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朝のドラめもん



2004/06/30

お題「相場でヘロヘロなので雑談」

ま〜疲れる相場なのですよ。全くもう。。。

○相変わらず落ち着かないのですが

例によってあたくしが「こりゃ駄目だ」と書いたら上昇とありがちな相場展開になったのですが、昨日の債券市場は前場途中まで中期債の特に3年〜4年ゾーンがやたらめったら売られておりまして、もう駄目駄目状態でした。ところがいつの間にやら超長期債ゾーンが軟化して中期ゾーンが次第に堅調になるという有様。3年ゾーンあたりの債券が安値前日比1.5毛甘(=+0.015%)から最後は1.5毛強と、日中の利回り変化幅が3年債だというのに3毛もあるという相場。

別に相場に関する材料が出たわけでもない(強いて言えば2年国債入札)のにこれだけ動くというのは、まさに相場の内部要因(要するに投資家の売買動向)で振らされるという実に不安定な状況が継続しているということでしょう。本来短期金利が安定すると踏んでいればそんなに動く筈ではない3年とか2年のゾーンが今月の9日(捏造された「武藤ショック」レポートが出回った日)以来まぁ動く動く。

という事で、結局この中期債のうちより期間の短いゾーンが不安定化しているというのは、まぁ何だかんだと言っても、相変わらず量的緩和政策の時間軸への見方が分かれてるというお話である訳ですな。まぁ健全と言えば健全ですが、もうちょっと落ち着けって感じです。

イールドカーブのドタバタ振りも凄まじいのですが、何だかポートフォリオの長期化をする人と短期化をする人がいるようで、連日どころか一日の間に「長期堅調+中期ボロボロ」というのと「中期堅調+長期ボロボロ」というのを先物あたりを軸に入れ替わり立ち代わり展開するという有様。先物の値動きだけ見ているとあまり動かない(と言っても動くが)相場なのですが、中短期の不安定さも含めましてイールドカーブの暴れ馬状態もありますので、まともに店頭でマーケットメークしている業者はもう連日ロデオ状態であります(-_-メ)。

というわけで、あたくしも電池切れな訳ですな、とほほのほ。


○BISの新規制案が出ていますが

先日(26日)のG10中央銀行総裁会合で新BIS規制案が承認されました。バーゼルUとか言いまして、かなり以前に「ならず者(outlier)規制」の実施により変動利付国債のニーズが高まるとかいうお話をご紹介したと思いますが、まぁ色々と金融に影響を与えるお話なのでこれは勉強しておく必要があるかな〜と思っているわけです。

日銀のWebにバーゼル委員会のプレスリリース(だったと思う)の仮訳がアップされておりまして、とりあえず色々と書いてあるのですが、信用リスクがどうのこうのというお話で激しく素朴な疑問が少々あったりするあたくし(^^)。

銀行の自己資本規制に信用リスクを勘案して「より正確に反映」っていうのが今回のポイントなのですが、日銀が簡単にご説明している「新BIS規制案について」っていう簡単なペーパーによりますと、分母(=自己資本規制上のリスクアセット)の計算に対してリスクをより正確に反映、と銘打っていきなり書いてあるのがこんなこと。

『中小企業向け・個人向け貸出については、小口分散によるリスク軽減効果を考慮して、所要自己資本額を軽減。』

ご丁寧にも「中小企業向け・個人向け」って所と「軽減」って所は太字で強調線まで引いているという念の入れようです(^^)。

この「中小企業向け・個人向け貸出の所要自己資本額を軽減」というのが新BIS規制の「リスクをより正確に反映」というのと思いっきり矛盾しているのではないかと思う訳ですな。普通に考えると「信用リスクをより正確に反映」させたら、当然ながら信用リスクが比較的に高い貸出金である中小企業向けの貸出金の所要自己資本額は増える筈。

だいたい、長々と書いてあるバーゼル委員会のプレスリリースの「編集者のための解説」(仮訳)って所の5ページ目に、

『第一に、バーゼルUの枠組みは、信用リスクがより高いと考えられる債務者についてはより高い水準の所要自己資本額を課すという手法を全般的に適用することにより、信用リスクに対する自己資本の枠組みの感応度を高める。』

って書いているのですが。

これは日本独自の判断なのかバーゼル委員会が大真面目にそのような指針をだしているのかは、激しく量のあるドキュメントを読んでみる必要があるのですが、どうにもこうにも理解に苦しむところであります。罠なのでは??という気も。

小口分散されているからリスク軽減効果があるという問題と、個別貸出先の信用リスクの問題は全然別の話だと思う訳(小口分散効果を云々するなら与信先の企業規模で縛るのではなくて、一与信先あたりの与信額で切る話でしょ)でですし、大体からしてその「中小企業貸出」とやらの貸出先がきちんと色々な業種や地域に正規分布されている訳も無かろうかと思うのですが、どうもこの理屈がサッパリ判らないので勉強してみます。ただし時間と気力があるときになのでいつになる事やら・・・・・・。

どうも変な「政策的意図」があるような気がして仕方無い訳でして、またいずれお得意の梯子外し(繰延税金資産を認めるから償却、しかも何故か有税償却を加速しろという甘言を真に受けて後から「おまえら全員資本不足」という恐怖の梯子外しを食らったのは記憶に新しいところですな)を食らうのではないかと思う訳です。邦銀のために誠に憂慮に耐えないわけです。杞憂かもしれんが。


で、もう一つ気になった「信用リスクをより正確に反映」という論理の罠なんですが、一国の経済が悪化傾向になると当然ながら不良債権の発生が増えるわけですが、そうなった場合にはこの「より信用リスクを反映」という理屈を適用すると、貸出は償却するわ信用リスクが増えるから生きている貸出への所要自己資本は増えるわという碌でもない事になるのではないかと、激しくシロート考えなのですが思ってしまう訳です。

ま、とりあえず週末の宿題ということで。多分一回や二回読んでも何の事やらわからないとは思いますが、おほほのほ。







2004/06/29

お題「またも腰砕け/何故か喧嘩腰の会見」

○また腰砕けか!

昨日の債券市場、先週末に日銀総裁発言を受けたのかど〜かやや謎ではあったのですが、中期のスワップの受けやら先物の持ち上げ何ぞでまぁ相場は上昇していた訳です。しかし、寄り付き後上昇したのもつかの間でして、またまた中期ゾーンに売りがでてしまい、時間の経過と共に中期ゾーン、しかも3年〜4年あたりが7年(=先物)よりも売り込まれるという激しい展開になってしまいました。

「そろそろ落ち着いたでしょう」と思わせておいていきなり派手派手売りが出てしまう攻撃というのは今月の相場で既に3回目。「2度あることは3度ある」などと申しますが、これはさすがにいかがなものかと思われますな。念のため確認しますとこんな感じ。

6/16(水)→14日に5年安値1%、2年安値0.25%をマークして「おいおい」という状態になった後、林財務事務次官、谷垣財務大臣と金利上昇に対するお怒り発言が連日炸裂して相場反発。福井総裁の会見は市場金利に対してニュートラルも、米国債がG議長発言で大爆騰して、一気の大踏み上げスタート。しかし上がった所で超長期債に戻り売りが出てしまい、一気の相場冷却。日中値幅なんと1円50銭。

6/22(火)→17日引け後に10年1.94%、5年1.005%という驚愕の安値をマークして財務省様大激怒の巻。財務大臣の強硬なる金利上昇抑制発言に「金利上昇は良くない事だ」という記事のオンパレードで財務省様のお怒りを感じて(?)大買い戻し大会になった週末。月曜もそこそこ堅調で、米10年国債が4.7%を割り込んだ事を受けて円債相場も上昇したのですが、いきなり5年ゾーンに戻り売りが出てしまいこれまた相場冷却。

で、まぁ今回は前週末の米債上昇に東京都区部CPI6月分が警戒された程の良い数字にならなかった為に反発。月内最終受渡のパッシブ買いなんぞで上昇したところで福井総裁の記者会見で後押しされた筈が中期債の戻り売り爆裂。うーむ。


とまぁ戻る度に現物にドカンと戻り売りがでてしまって相場のマインド急低下って事になっている訳で、2度でも十分にアレなのですが、これで3度目って事ですので、こりゃさすがに「相場は戻りにくい」というお話になってきたでしょうな。しかも今回は当局発言ではなくて経済指標を受けて戻った相場だっただけにショックがでかい訳。とは言いましても、元々この3回の「相場腰砕け」の特徴として、(1)相場の反発が始まる直前の日の終値から先物ベースで概ね1円上昇したところが高値になって戻り売りご登場、(2)相場の戻りがやたらと早く、1日半程度で1円上昇している、という所がありますわな。

要するに戻る時に戻りが早すぎ。値固めしないからこうなる訳。

という事で、相変わらず不安定な相場で、足の速い動きが続いているという事が言えるかと思います。ま〜こりゃ当分大変な相場が続きそうですな。中短期債に売りが出て米国で2年債が売り込まれた翌日に2年国債の入札があるし・・・・・・・


○何故か喧嘩腰の総裁記者会見

昨日ドラめもんでご紹介した日銀総裁記者会見の要旨が日銀Webにアップされました。これが中々笑えるのですが。
http://www.boj.or.jp/press/04/kk0406d.htm

最初の質疑応答から長期金利へのコメントを求める記者に対して、中央銀行総裁としての本来あるべき(と思われる)回答をしていたのは最初だけ。その後はどうも記者の執拗な質問にぶち切れて喧嘩状態になっているというのが要旨によく出てきております。最初の質疑の引用は割愛して、日銀総裁ぶち切れと思われる質疑の開始。

『(問)前回の記者会見時の長期金利に関する総裁の発言を巡って、マーケットでは2つの見方がある。1つは長期金利の上昇を牽制されたというものであり、もう1つは、長期金利の上昇を総裁が容認されたのではないかというものである。そういう2つの見方が交錯して長期金利が1.9%台へ乗せるような動きもあったのだが、その辺の総裁の真意について改めてお伺いしたい。』

中々嫌がらせ入ってますな。

『(答)特に意図を持って発言しているわけではない。マーケットに対する極めて客観的な我々のものの考え方と、その考え方に照らして見てマーケットの現実の動きがどうかということについて、コメントを申し上げたつもりである。』

『今も申し上げた通り、マーケットには、長い目で見て経済や物価の情勢の先行きに沿うように動いていくという一面と、短期的には様々な思惑も絡んで不安定な動きを示すという一面がある。常にこの二面を申し上げているので、一面の動きをとらえてどうだとか、また一方の動きをとらえてどうだという解釈は、有り得ると思うがそれはどうぞご自由にということである。』

他にはこんな質疑も。

『(問)前回の会見の時にデータをよく見た上で市場は動いてほしいというご趣旨のことをおっしゃったと思うが、そのデータというのは一体何をどういう部分を指しているのか伺いたい。』

『(答)本日長期金利について申し上げた通り、市場は、経済および物価に関する動き、指標を着々と消化しつつ動いていると申し上げた。何をというよりはすべての指標を消化しながら動いている。そういう意味では、市場は正常に動いているというように私どもは判断している。しかしやはり、市場は常に先のほうを見ながら動くという面もあり、そこにやはり時々思惑が入って不安定な動きを示すこともある。これは市場本来の性格として避けられないところである。そこのところは我々も注意深く見ていかなければならないと申し上げているところである。市場は、指標に目をつむって動いているとか、指標を読み間違っていると申し上げているわけではない。』

これじゃ喧嘩です(^^)。

ま〜今回の会見では「前回このように仰ってましたがどういうことなのでしょうか?」という質問が多くなっておりまして、要するに記者の皆様が「あなたは言っている事(も政策も?)が首尾一貫しておらん」という雰囲気で追及モードになってきているところが中々香しいものを感じるところであります。

そんな中で原油価格(だいぶ下がってきましたが)に関するこの質疑は一応チェックしておきましょう。

『(問)原油高について伺いたい。原油高については、前回の会見の中で総裁は、素直な物価高である反面、企業収益の圧迫要因にもなりうるとおっしゃったと思うが、現状でどの程度企業収益を圧迫する要因になっているのか、評価を伺いたい。また、出口政策を今後考えるにあたって、例えばコミットメントの総合判断の中で、その部分をどのように判断されているのか伺いたい。』

『(答)今のところはまだ消費者物価指数に出てきていない段階であるので、経済全般へのコスト高という面からの影響は我々としても測りかねている。少なくとも企業段階では、収益の見通しが急に暗くなったという感じは今のところ聞いていないが、やはり消費者物価指数の段階でどの程度影響があり、経済全体にコストアップ効果がどのくらいあり、また翻って企業段階がそれをどう受け止めるか見極める必要があると思う。何分にも景気は比較的順調に回復しているが、デフレ脱却という目標からすると、まだかなり遠い状況にあるので、原油価格の上昇を単に景気が強いことの反映というように一面的には見ていない。常に二面性――もう1つの面――についても注意深く見極めながら、対処していきたいと思っている。』

ちなみに、この答えの真ん中あたりにある『デフレ脱却という目標からすると、まだかなり遠い状況にある』というのが思いっきり失言というかサービス発言というか「やっちまった」って奴なんでしょう。情報ベンダーからヘッドラインが出てきて「おいおいまた言っちまったよ」という感じで債券先物の引け後の(余計な)上昇の一因になった訳です。

という話は兎も角、原油価格上昇に関しても前回は物価に注目した発言が目立ちましたが今回は妙にサービスフレーズっぽい発言。財務省に気を使っているのか、選挙期間中だから金利の余計な上昇をさせるとマズイと思っているのか良く判りませんが、前回の会見から見ると随分豹変しているという印象です。


全部引用する訳にもいきませんのでこの辺までにしますが、この会見は最初から喧嘩腰というか吊るし上げ大会というか。特に前回の会見要旨と比較すると実に対照的で笑えるのでご一読をお勧めします(^^)。







2004/06/28

お題「元の木阿弥」

怒涛の不安定相場はいつになったら落ち着くのやら・・・・・・

○またやってしまった火付け会見

金融政策決定会合は予想通り現状維持。会合終了も11時半頃という素早さで、まぁ織り込み済みなので反応しませんでした。

で、反応したのは総裁会見(本当に反応したのかは怪しい節もあるのですが)でして、元々上昇というか踏みあがりのような動きで高値引けした相場の流れに火付けをしてしまった状況になってしまいました。週末引け後恐るべし。

肝心の総裁記者会見要旨はまだ日銀Webにアップされていないのですが、情報ベンダーから出てくる総裁発言は前回の落ち着き払った記者会見の状況とは一変して、昔のようにリップサービスが出まくっていました。曰く、「量的緩和政策を断固として継続する」「量的緩和政策を終了させるにはかなり長い時間が掛かる」ってな感じ。特に量的緩和政策の「期間」に言及したのは具体的な発言って奴ですので、またも金融市場に対するサービス発言という訳です。

前回の金融政策決定会合後に行った記者会見では、珍しくもサービス発言(失言ともいうが)が飛び出さない内容となっておりまして、日本銀行としてのスタンスと淡々と説明するものとなって「おお、やっと学習効果が働いて余計な事を言わなくなった、それでこそ中央銀行総裁」って感じだったのですが、結局元に戻ってしまいました。


先週木曜日(金融政策決定会合の前日)に林財務事務次官が記者会見をしておりまして、この時も「効果的な金融政策を日本銀行にお願いしたい」という発言を繰り返しております。まぁ財務省引き続き血圧上昇の巻って感じだったのですが、何度となく財務省筋から出てくる「金利上昇に対して怒り心頭モード」というシグナルに対して初めてまともに反応したという事なのでしょう。


○問題は「間が悪い」事でありまして

つーことで、結局福井総裁に置かれましてはどっしりと落ち着いて構えるというのは本人の性格として出来ないのか、それとも過去のサービスフレーズ乱発によって言わないわけには行かないという状況に陥っているのか判りませんが、どうも無理があるようです。

で、サービス発言をするならするでもいい(というか仕方無い)のですが、先週末のサービスフレーズもまたタイミングが悪いのがこのお方の何とも評しがたい特徴なのであります。先週末の場合は異常なまでに(というか当たり前なのですが)注目されていた物価統計が「6月東京都区部▲0.1%、5月全国▲0.3%」ということで市場が懸念していた「ゼロ」に達しておりませんで、債券市場は買い戻し優勢の展開となっておりました。従いまして、別に総裁のサービス発言が必要な状況ではなかった訳でして、総裁の発言が踏み上げモードに拍車をかけるという結果を生むだけになってしまった訳です。

今回は買い戻し合戦の火に油を注ぐ発言でしたが、以前も「金利に蓋をする」という迷言あるいは妄言によりまして10年金利の戻り高値1.2%をつけさせに行く相場展開(そういえばまだ2月の話ですな)を見事にサポートしてくださったり、もっと前では債券市場がバブル的上昇をしている時に「国債価格の上昇と株式バブルと同列に論じることはできず、バブルとは言えない」などといった趣旨の発言をしてみたりと、まぁこのお方が余計なサービス発言をするたびに相場が不安定化して上下に余計な振れを生じさせやすくなる訳です。

ど〜せそのような「サービス発言」をするなら、前回の金融政策決定会合後(6月15日)にすれば良いものを、実にタイミングが悪いとしか申し上げようがないお方であります。そんな訳で、またも債券市場には「福井リスク」が復活したと考えるのが妥当だという事になる訳です。困ったもんだ。


○発言の真意を勝手読み

情報ベンダーで識者のコメントを面白がって見ていたのですが、その中で「ほほう」と思ったのは東短リサーチの加藤さんのコメントでして、「短観で結構なよい数字が出てくる可能性を考えて、短観で債券市場が動揺しないように先に量的緩和政策の維持を強調した」というような感じ(間違っていたらゴメンナサイ)の指摘。確かにさもありなんという感じもする訳です。

まぁ本来的に言えば、CPIやらFOMCに短観と重要イベントが控えているので参加者は間違って相場が下ぶれした時への備えをそれなりにやっている筈でして、こ〜ゆ〜サービスフレーズを出す事によって折角皆さんが準備しているリスクヘッジを踏み上げさせてしまいますので、仮に短観の数字が上ぶれしていた場合には却って相場の下げに拍車をかける(ヘッジを解除しちゃった後だから)という恐ろしい効果を発揮する訳でございます。何だかな〜。

まぁ前回あまりにも淡々と記者会見を行い、隙らしきものを見せなかった総裁様。今回は散々質問を浴びせられて例によって勢いで言ってしまったっていうお噂もちらほらと仄聞しておるのですが。

ま〜どっちにしても「また元の木阿弥か!」って感じです。詳しくは日銀Webに本日会見要旨がアップされる筈なので、何か面白い部分でもあればまたご紹介します。





2004/06/25

お題「焦点ボケ相場なので引き続き雑談」

本日発表の物価統計、来週のFOMCに日銀短観とありますので、まぁとりあえず方向性が見出しにくいですな。そんな中で昨日もまた超長期債がアフォのように売られておりましたが、そんなに巨大な売りが出ているとも思えないのによくもまぁ動くものだと感心しつつ呆れる次第でありました。


○高級品の需要増大というお話

最近日銀が出している金融経済月報やら各種講演を拝読しておりますと、今後の景気に関して個人消費が重要なポイントにあるというお話が多い訳です。で、そのお話を見ていると、割と見通しは強気だったりする訳であります。景気が回復している割には懐が相変わらず温まらないデフレ人生絶賛驀進中のあたくしとしては「本当かぇ?」って感じなのですが・・・・・・


昨日の日経新聞に、同社が名古屋で先日実施した景気討論会の様子が記事になっていました。その中で中国景気についてアイシン精機の社長さまが「中国の自動車販売が好調だというが、実際に売れているのは高級車ばかり。これは異常な状態だ。」という趣旨のご発言をされていました。非常に的を付いたご指摘だと感動、というか金融市場で経済統計見ながら売った買ったとやっているとつい忘れてしまう現象面のお話ですな。

そのお話に関連して「そういえばこんな話があったな〜」と引用物を探していたら、丁度目の前の朝のテレビ番組(日本テレビ)のニュース番組の「新聞ナナメ読み」のコーナーでの本日のお題が「高級品が売れています」というお話。ちなみにどんな話だったかといいますと、日経新聞に「夕張メロンの卸売価格が前年比6%上昇、贈答品需要の増大が背景」という記事がでており、東京新聞には「ソニー(だかどこだか忘れちゃいました、スイマセン)が最高級モデルのヘッドホンを発売、販売価格は26万円(くらい)」という記事が出てるなんてお話。

そういえば絶好調という話になっている不動産市況も、新築マンション絶賛建設ラッシュのあたくしの(賃貸だが)家の回りでも億円単位の物件は瞬間蒸発のようですが、中途半端な価格帯の物件は「最終期完売御礼」とか言っていた筈なのに後から「追加募集」やってみたり、完成後も何故か売れ残り住居があったりと中々心温まる事態が起きていたりするのですよ、これがまた。


まぁ少々別の種類の話なので、この話を一般化して括るのもいかがな物かと思いますが、まぁ雑談と言うことで話の展開に無理があるのを承知の上で強引に括ってしまいますとこんな話になる訳です。引用する題材は清朝末期の太平天国の乱を題材にした陳舜臣先生の歴史小説「太平天国」であります。

(講談社文庫「太平天国」第四巻より引用、適宜改行を省略)

南京が太平天国の手におちた直後、商品流通のうごきはぴたりととまり、それによる不景気が、上海における小刀会決起の一つの原因にもなっていた。ところが、まもなく、ある種の商品のうごきが目立って活溌になってきたのである。おもにうごいたのは生糸と絹であった。おなじ繊維製品でも綿布のほうはいまひとつ振るわない。
―――よくないきざしだな。・・・・・
市況の報告をきいたとき、連維材はそう言った。
―――なぜですか?
と、理文は父に訊いた。
―――ぜいたく品だけがうごいている。心配な事ではないか。
と、連維材は答えた。
―――さようでございますね。
(引用終了)


まぁ最近の現象をどう取るのかってのは難しいところですが、日本は兎も角として、「中国で高級車ばかりが売れている」という状況は、どこかで猛烈な搾取が行われており一部の特権階級が甘い汁ってのを吸っているのか、はたまた局地的にバブルが大発生しているのか。どっちにしてもアイシン精機社長さんのお言葉の意味するところは結構深いのではないかと思うわけですな。

日銀的「ダム論」によるとそういう状態でもいずれは全体に効果が波及するってお話なんですが、本当にそうなのかな〜とふと思いかえる景気討論会の記事でありました。まぁとりあえずあたくしの懐もちったぁ温まって欲しいものでありますが(^^)。


○金融政策決定会合

福井総裁、今日から欧州にご出張ということですので(しかし大変なお仕事ですな、日銀総裁ってのも)、当然ながら会議も長時間になることもないでしょうし(^^)、別にややこしい決定もないでしょう。と思いますが、前回の衆議院選挙の時にも当座預金残高の意味不明な目標引き上げをやっていたりする訳で、まぁ何だかな〜という気もする訳でありまする。

そんななかで相変わらず血圧急上昇なのは財務省な訳でして、林事務次官は昨日も「日銀には効果的な金融政策をお願いしたい」と発言したと報道されております。孤軍奮闘ご愁傷様としか申し上げようがないわけですが、本日の会合でも恐らく財務省からのご注文というのが出てくるんでしょうね。

昨日の時事メインコラム「金融観測」(またそれかい!って突っ込みは勘弁^^)で「福井日銀が妙に静かで、余計な事を言わなくなってしまったのが不気味だ」という指摘がありましたが、あたくしも最近そういう意味でのきな臭さは感じております。まぁ微妙なところにあるので黙っているという事なのでしょうけれども、それはつまり「微妙な状況」であるという認識にあるという事でもありますので、やっぱり不気味な訳です。

と、判ったような判らないようなお話ですが、要するに本日は何もないでしょうし、会見で変わった話も出ないでしょうが、どうも何か怪しい雰囲気でもありますという事を言いたかっただけであります。



では良い週末を(^^)/~~





2004/06/24

お題「本日は雑談」

特にこれはというネタが無かったりするので脈絡なく雑談。

○謎の輪番オペ

昨日いつものように行われた日銀の長期国債買入。前場の雰囲気では中期債の4年ゾーンから長期債の9年ゾーンくらいまでやたらと需給が悪く重そうな雰囲気を漂わせていたのですが、蓋をあけてみれば応札額が過去最低水準の応札倍率となってしまう3661億円となっておりました。

最高落札利回りが+0.034%で平均落札利回りが+0.040%ということでしたので、まぁ最初から落札する積りの札は適正水準に入って、入ったらラッキー(実際は後場相場が上がっているのでアンラッキーだったりするのですが^^)札がほぼ全部落札になったという事です。あの前場引けでの現物債の重さ(というか重いように見える状態)は何だったんだという感じですな。

じゃあ現物債の需給が実は悪くなかったのかと言いますと、これがまた全然そうではなく、入ったらラッキー(の積りがアンラッキー)札のカバーで先物は上昇したのですが、現物債の気配はそれについて行かずという有様。その後短期化入替と思われる動きがあったようでして、いきなりイールドカーブが前場と大逆転してしまったのでぐちゃぐちゃになってしまいました。

というわけで、そんな状況証拠から類推される応札額のあまりの少なさなのですが、考えられる理由はこんな感じ。

・売りをぶち込まれている銘柄がオペ対象外
→どう考えても中期ゾーンの中で一番需給の悪そうだった5年35回債なのですが、「直近発行2銘柄はオペ対象外」という規定によりまして、5年債のオペ対象外は37回と35回(35、36、35のリオープンの順で発行されているため)です。周辺のオペ対象銘柄の需給は激しく良好なので、ヘッジでオペに入れようにも入れられなかった。

・実は前場引けの時点では需給が変わっていた
→後場になってイールドカーブに変化をもたらした「短期化入替」の動きの一部が前場に入っていて中期債の業者の在庫が捌けていたので応札額が少なかった。

・業者疲弊で元気なしの巻
→前場引け際の現物債の重そうな雰囲気を見て「ど〜せ入らんでしょ」とやる気をなくしてしまった業者が応札を控えた(落札されそうなゾーンはそれなりにヘッジをしておく必要のある年限なので)為に極端に応札が減った。

まぁ2ヶ月に1回くらいこういうことが起きるので、輪番オペってのも中々楽しい(あたくしは踏まれましたが)事もある訳ですな。


○イールドカーブ動きすぎ

昨日は超長期国債が前場の先物40銭割れで前日比3毛甘(+0.03%)のレベルのビットがやっと叩かれていたのに、終わってみれば先物が80銭なのに超長期国債軒並み4.5毛甘に売りが並びまくるという凄まじい展開。先物40銭上がって現物40銭以上安くなっているんとは何たる相場。その前日には先物5銭安で5年が1.5毛甘で20年が2毛強という無茶な動きもありましたが。

まぁマーケット全体が様子見ムードになっていてるのと、そこはかとない不安があるので、どうしても投資家様の少々の売買で業者が「やっぱり長期化だ!」「やっぱり短期化だ!」と右往左往(提灯つけている筋もいそうですが)するという有様。恐らく昨日もそう大騒ぎするような規模での入替があったとも思えないのですが、まぁここまで過激に動くとは超長期国債恐るべしといった所ですが、これでは大手の投資家さまにおかれましてもマーケットインパクトがでかくなりすぎでポートフォリオのリバランスに苦労するのではないかと思います。

まことにご愁傷様としか申し上げ様の無い事態ですが、相場がそこはかとない不安心理に覆われている状態で、相場が壊れた状態が継続しているうちはまぁこんなものでしょう。暫くは大きなポートフォリオの組換えはマーケットインパクトが今までの3倍くらい掛かると思って臨んで頂きますとマーケットメーカーと致しましては幸甚であります。

ま、そういう事ですから、一昨日の中期債売り(どうも中期の単純売りと中期売り超長期買いの入替がぶつかったのが「巨大中期売り」に繋がったようですが)で修復しかけの相場を荒らしてしまい、低下しつつあったボラティリティーも上昇させてしまった訳でして、相場の為に実に惜しまれるところではあります。


○出さない方が良いと思う「政権公約」

以下相場と関係ない雑談。本日参議院選挙が公示されるわけですが、どこぞの政党は前回選挙後にいきなり反古にしてくれたマニフェストとやらをまたお出しになっているそうで、先日債券関連超有名老舗Webの「債券ディーリングルーム」でマニフェストのお話がありました。で、同Webの久保田氏によりますと「量的緩和解除」が何故か某政党(って一つしかないが)のマニフェストにある事を指摘して「量的緩和解除ができるような経済運営を行うというのなら判るが、日銀の専決事項である金融政策を政権公約に掲げるのはいかがなものか」と誠にその通りというご指摘をされています。

「ほうほう」と思いそこの政党のWebを見たら政権公約なのか政策なのか良く判らなかったのですが、まぁ色々な政策をうじゃうじゃ並べてあるのですが、ざっと見ただけでも「政府系金融機関における貸出の個人保証徴求を撤廃する(日本の中小企業の現状から言って非現実的にも程がある)」とか「中小企業融資の推進の為の銀行を設立する(今でもあるでしょ。何で作るの)」とか現実離れした「机上の空論」の香りが非常に激しく漂って来る訳ですな。どうもいかがなものかと。

ま〜前回出して選挙後に反古にした政権公約でも「日銀を大阪に移転させる」とかいう何を考えているのか全く理解に苦しむものが出ていたと記憶していますが、正直、真面目に読むとあまりにも馬鹿馬鹿しい公約やら政策でして、ま〜出せば出すほど割とちゃんと政策を見て投票するようなコアな有権者が呆れると思うんですけど、この政党の本分は身を切って行う自爆系のギャグなのかもね。

選挙期間が明日(後日補足:本日からです)から始まるのでこんなところで以下自粛(^^)。





2004/06/23

お題「相場雑感」

毎日血圧の上がる相場が続く訳でして、血圧が上がりながら考えるよしなしごとをつれづれなるままに。

○まぁ持ち上げすぎたのも何なのですが

一昨日から昨日に掛けての債券市場。一昨日の引け際から突如債券先物が上昇して5年ゾーンを中心に中期債がやたら堅調となりました。市場観測では引け際に5年カレントゾーンに買いが入ったという感じで、業者間気配もまぁそれに則した動きでした。

で、昨日の債券市場。前日引け後の余波で、海外市場で米債が買われた事もネタにして中期債中心に相場は堅調で、先物なんぞは前日の引け直前で重そうにしていた133円75銭レベルから見ると何と70銭以上の上昇。まぁそんなに慌てて戻るなって感じではあったのですが・・・・・・・

様子がおかしくなったのは前場の途中からでして、5年債の気配が妙に弱くなってきたと思ったら後場に入っていきなり先物の乱高下が始まってしまい、またも相場が凶暴化。気が付きゃ5年ゾーンが先導する形で相場が下落するという最も雰囲気の悪くなるパターンで相場は元の木阿弥になってしまいました。


そんな訳で、月曜(除く引け際)に続いて落ち着いてくれるかな〜と思わせてくれた債券市場なのですが、中期ゾーンと先物の凶暴化と共にまたまた地合いが不安定になってしまいました。何がイカンと申しましても、これで「戻りかけたらまた現物に売りがぶちかまされて押し戻される」というのがここの所の下げ相場で3度目の出来事になってしまったのが誠に遺憾に存じます♪(古いね、つーかご存知ですか?)って所な訳でございまして、さすがに3度もやると最早相場様意気消沈と言った所でしょう。


○何で売るかね〜

まぁ一昨日の引け際に買いで持ち上げ攻撃というのも如何なものかと思うわけですが、昨日は「やっと相場が中期債から落ち着いてくる」と皆さんが思っている所での中期債主導の下落って事ですから、現象としては一昨日の引け際の持ち上げ攻撃分を剥落させただけなのですが、心理的にはちょっとショックのでかい下げだと思うわけですな。

まぁ世の中(というか大手投資家様)で実際にどういう動きが起きているのかは無力ディーラーのあたくしは存じません(ので、却って業者間の気配で色々と想像する推理力が身につきますわな)が、まぁ昨日はどう見ても5年債の前回発行の34回債、35回債に大規模な売り爆弾が投下されたとしか思えない動きな訳でして、結構な単売りが出ていたんでしょう。ちなみに20年ゾーンだけが死ぬほど堅調だったので入替ベースの売りもあったと思われますが、相場全体が下落しているのでトータルでは勿論売り優勢ですな。

特に相場が見事に壊れてしまって先週末から修復作業が行われているというお日柄な訳ですので、つい1ヶ月前の相場のようにまぁそこそこ安定していた時と比べて市場が耐えられる売買のロットが低下している所であります。業者の方もまだ相場に対して半信半疑って状態だった訳でして、そこにいつもの調子で現物の売りをぶつけられますと、業者もそうそうロングで耐えられない訳でして、どこかで「ヘッジ合戦」が始まってしまい、しまいには「売り攻撃」も入ってしまう訳ですな。

まぁそんな事で、見事に自分で自分の首を締めるような売り(その前の買いも如何なものかとは思うが)が出てしまった訳ですが、まぁ何と言うか「何でそんなに慌てて売るかね〜」って感じではあります。

財務省様渾身の「金利上昇ケシカランキャンペーン」で戻ってくれた債券市場ですが、こりゃまた当面落ち着きは望めないでしょうな。折角低下に転じてくれた先物オプションのインプライドボラティリィティーも昨日の後場途中からまたまた上がりだしているし。ナムナム。


○2年ゾーンに見る不安定さ

2年ゾーンの気配っつーのもこれまた不安定な訳であります。先週の月曜日の0.25%というのはやり過ぎでしたが、その後も0.2%台で推移していた2年債は一昨日に久々に0.2%割れ。それはいいのですけれども、昨日はまた例によって極端なお話で、一時0.175%買い気配という所まで2年ゾーンが値を戻したのですが終わってみれば中期ゾーンの売りに押されたのかヘロヘロになって0.195%買い気配というレベルまであっさり下落。

ご存知のように期間の短い債券ほど「目先の金融政策がどっちに行くか」という事に影響を受けやすいのでして、そ〜ゆ〜意味では2年ゾーンがこれだけ不安定に動くというのは、口では「量的緩和解除は当面ない」と言っていても皆様どこかに不安を持っているという証拠でもある訳です。


で、この2年ゾーンなのですが、今月発行の2年211回債と同償還に5年13回、14回という債券がございます。この中で5年13回という債券がまた極端に需給の悪い銘柄でありまして、例えば2年211回が0.175%買い気配って状態の中で業者間での出来値は堂々の0.2%という有様。同償還でおまけにこっちの方がクーポン高いという債券なのですが、引け値ベースでも単利2BP、実力では2.5〜3BPお安いという素晴らしい状況であります。

これを何とこじつけるかは色々とこじつけようがあるのですが、まぁこの利回り格差は「流動性プレミアム」に起因するというのは衆目の一致する所であろうかと思います。市中流通玉が多く、おまけに新発債ということで、売買をする時にスムーズに行きやすいからその分2年債が割高であっても選好されて恒常的に利回りが低いって事ですな。

と、さらっと流してお気付きかと思いますが、そもそも「流動性プレミアム」なんぞが付くというのは、「買って持ちきり」を前提としていないという投資行動が2年ゾーンの債券であっても行われているという事を意味する訳でありますな。2年ゾーンを買って持ちきる積りならば5年13回を買えばよろしいのにそうはならんという訳ですから、まぁ事ここに至っては「2年ゾーンは安心して持ち切り」という事もできない状態に陥っているという訳なのでしょう。ナムナムナム。


てな訳で本日はただの落ち着かない相場に対する愚痴シリーズでした。
あ〜疲れるだよ。。





2004/06/22

お題「対照的な副総裁」

な〜んてお題ですが別に大したお話ではないので雑談程度のお話なんですけれどもね。

○武藤副総裁の記者会見

先週末に行われた講演(というか挨拶)の後に記者会見がありまして、会見の要旨が日銀Webにアップされました。
http://www.boj.or.jp/press/04/kk0406c.htm

記者会見の内容を思いっきり要約してしまうと、「長期金利の水準については上昇スピードが急でなければ特に問題なし」「量的緩和解除に関しては消費者物価指数のプラスへの転換がまだ先になるという言い方で慎重な見方を示す」「インフレ参照値に関しては検討するのは時期尚早」でありまして、更に「量的緩和政策と財政問題についての直接的なリンクについて否定する」というのが大変に特色があるかと。

財務省事務次官まで勤めた大物副総裁である武藤さん。財務省出身ということで、ま〜日銀としてはある意味鬱陶しい副総裁ではないかと思うのですが、腹の中でどう思っているかはともかくと致しまして、日銀のオペレーションを財政対策にリンクするような趣旨の質問に関して否定する所なんざぁ「日銀の人」になりきっているように見えます。

良くも悪くも「日本の優秀な官僚ってこうなんだな」と思わせる姿勢でありまして、置かれた場において最も求められる動きというのを理解した動きをしているとも言えますし、次期総裁含みという事を意識して「鬱陶しい落下傘副総裁」という意識があるであろう日銀プロパーの人心掌握を図っているとも言えますし、まぁ「立場をわきまえた最適な行動」って奴なんでしょう。

という訳で、記者会見のポイントとなると思われるところを引用。(趣旨を損なわない程度に一部割愛しています)

・長期金利について

『長期金利は(略)このところ多少上昇傾向にあることは事実である。これは、世界経済全体が好調であり、ひところ懸念されたディスインフレーション傾向に対する見方も変化しつつあることに加えて、日本経済も、私どもの判断として「緩やかな回復」から「緩やか」がとれるなど、より良い方向の循環が始まったことによるものと認識している。』

『長期金利については(略)短期的にみると、マーケットは様々な思惑によって動くというのも事実だと思っている。日本銀行としては、今後、長期金利の動向が、実体経済にどういう影響があるのかということを含めて、しっかりと注意深くみていく必要があると考えている。』

『金利の日々の動きについて中央銀行が直接コメントすること――このことは水準を論ずることと同義である――が、マーケットとの対話方法として適切とは考えていない。(略)中央銀行としては、適切な金利形成が行われているかどうかという点について、実体経済との関係も含めて注意深くみていく立場にある訳だが、金利水準そのものが適切であるかどうかについて直接的に言及するのは、マーケットとの望ましい対話の方法ではないと私自身は思っている。』

要するにオーバーシュートしなければ別に良しだということで。

・財政問題と金融政策

『財政面からいえば、長期金利が上昇すれば、当然、国債利払い負担が増えるということである。その際、その背後に景気全体が上向いているという事情があり、かつそのことと整合性がとれたものであるとすれば税収の増加がある訳だが、その規模が如何ほどのものなのか、金利負担をcompensate(埋め合わせ)するものかどうかということについて、現時点では私は具体的によく知らない。しかしながら、理論的には、単なる利払い負担の面だけでなく、収入面を含め、あるいはそのほか経済の好影響による財政負担の減少もある筈であり、そういう面も含めて考えていくべきものと思う。』

金曜日にご紹介した「財務省の密かな悩み」での財務省的な現状認識というか現状への危機感とは激しく温度差のあるコメントになっているところが注目されます。財務事務次官までやっていた訳ですから、先日あたくしがご紹介したような「財務省的な危機感」は武藤さんもお持ちだと思うのですが、このさらっとした日銀的なご発言は良くも悪くも立派ですな。

『また、同時に、財政も長期金利というマーケットの状況から様々な評価を受けるのは当然であり、経済活動の一環として色々な評価を受けるのはある意味自然なことである。従って、財政もマーケットの状況を良く考えながら、運営されていくべきものであると思う。』

『量的緩和政策の変更との関係で、財政の立場からどう考えるかとの趣旨の質問であるが、あくまでも我々は金融政策の立場である。』

お見事です。

『先程の金利上昇あるいは財政負担という観点から国債買いオペが論じられるという様な状況に今あるとは思っていない。国債買いオペをどのようにするかというのは、日本銀行としての考え方として、短期、中期、長期、バランスのとれたやり方をしていくということから出てきているものであって、財政負担、国債の金利負担が増えたからどうのこうのと、そういう様な文脈で国債の買いオペが語られるということは、少なくとも現時点では全くないと私は思っている。』



○岩田副総裁シンポジウムで吠えるの巻?

日本語版ロイターの記事によりますと、昨日岩田副総裁は都内でのシンポジウムで毎度お馴染みの持論を唱えておられます。以下は昨日17:43の日本語版ロイターの記事を参考にしております。

岩田副総裁はシンポジウムでいつも氏が主張しているわたくしども凡下には判りかねる理論を展開。どうも伊藤隆敏氏も出席ということで、所謂リフレ派の皆様大いに盛り上がるの巻だったのかと思われるところでありました。その場での岩田さんのお話。

「将来もマネタリーベースのプラスの伸びを保つ」「現在の財政健全化目標をきちんと守る」「1−2%のコアCPIの目標を置く」という政策を行うとデフレからの脱却が可能になる。といういつものお話をしております。だいぶ前にドラめもんで同じ氏の主張を丸写ししてみたものの何の事か判らなかったのですが、どうも人から教えて貰った所によるとこういうことらしいです。

「マネタリーベースのプラス」+「プライマリーバランスがゼロになる(だけであって、国債の発行額を削減するという話ではない)」という政策は、バランスシートで言えば「日銀の負債増加」+「政府の負債増加(ただし発散しない)」という訳です。従ってこの反対側には「民間部門の資産増加」と言うのがありますわな。で、財政が発散するとなりますと財政への信認問題が発生してしまうのですが、プライマリーバランスがゼロになる政策を取っていれば財政への信認も確保されているので、資産逃避なども起きず、増加した民間部門の資産は消費やら設備投資に回るのでデフレ脱却に繋がる。という事だそうな。

何か元々の前提条件が激しく理解に苦しむ(マネーサプライは政策当局が意図するようにコントロールが可能なのかという問題とか、そもそも財政相変わらず発散してますが何か?という話とか)のですが、それはそれと致しましてもこの理論は謎。しかし岩田副総裁様におかれましては、最近家計部門が赤字に転じたのは上記政策が効果を上げている為に起きている現象だとリアルで思っている節があるようです。

で、先日時事通信社とのインタビューでは理解したように見えた、「ビハインド・ザ・カーブのカタパルト効果」についてもまた本卦帰りしてしまったようで同じ話をおっぱじめています。

岩田さんは、量的緩和のコミットメントの条件について「コアCPIが再びマイナスに戻らない為の物価上昇率には1%は必要だ。そうすると政策が遅れる、ビハインド・ザ・カーブになるという議論があるが、それは2%という上限で抑えられると考えている」と述べたそうなのですが、そうやって目標を引き上げる事自体がカタパルト効果をもたらす訳だとおもうのですが。先日のインタビューでは単に「のりしろ」と言ってましたが、結局事実上のCPIターゲット引き上げの話が続いているようであたくしとしては遺憾に存じます。

まぁ仲間内の話なのでもう調子に乗って論理展開が凶暴化する岩田センセイは記事によるとこんな提言もしていたようで。

長期金利のオーバーシュートをどのように防ぐかという点について、記事によりますと岩田副総裁「新しく発行する国債には、インデックスボンドにいつでも変えられるオプションを付ける。経団連もこうしたことを提言している」と述べたそうです。

このインデックスボンドというのはもしかしてETF転換国債って意味なのか(過去の経団連の発言にそんなのがあったような気がする)とも思うのですが、それって結局の所「普通の国債が売れないからオプション付与してあげますよ」ってな話ですから目先の発行コスト削減の為に将来につけ回し(オプションが将来行使される可能性があるから)をしているだけで、何の解決にもなっていないアフォな話であります。

で、この人に限らず日本の経済学者といわれる人(個人的にはリフレ派などのような現実離れしたお話を堂々とする人に多い気がするのですが)お得意のフレーズが炸裂していたのがお笑いなのです。「経団連もこうしたことを提言している」って言ったってそもそも経団連が金融政策をまともに理解して提言しているのかよって感じなのですが、この手の「誰々もこういっている」という主張を自分の意見の補完として乱用するのは学者としていかがな物かと思うわけです。

そういえば(以前ご紹介しましたが)昔々、岩田さんが内閣府にいたときに行われたとある討論会で、現在の白川理事に「今の日本経済を論じる時にはテーラーがどういったとかクルーグマンがどういったということではなく、現状認識を行い処方箋を出さなければ」などという趣旨の楽しい突っ込みを他のリフレ派の方共々食らっておりましたな。まぁいいけど。


というわけで、岩田副総裁はやはり岩田センセイのままでおられるようであります。しかしこのシンポジウムの内容公表されないかな〜。中々凶暴な論理展開が見られそうなんですけど(^^)。




2004/06/21

お題「金曜にあったあれこれ」

月曜なのでさらりと参ります(^^)。

○財務省様のお怒り

金曜日の債券市場は寄りから窓を開けて反発。木曜の引け後の叩きまくり攻撃は何だったんだってところです。金曜には提灯の誉れ高いどこぞの経済新聞さまの3面に「金利上昇で企業の資金調達にも影響」だとか(本当に困るのは絶賛最大の借金主体である政府部門ですが)5面には「金利が1%上昇すると国債費の増加が税収増の3倍になるだとか(よくよく読んでみると、そもそも想定金利が2%なのが1%上昇したらどうなるのって話なので全然かすりもしない前提だったりする)いう記事が出た訳でありますな。しかも1面に書かないという芸の細かさ。

これを財務省の(以下自主規制)。と言う事で10年2%直前にてお見事に相場は反転していただきました。ま〜今回に限って言えば、10年金利2%抜けちゃったら相場の勢いとしてかなり洒落になっていなかったので、よくぞ相場を止めたと申し上げたいところではあります。

結局最後に頑張ったのが財務省。国庫を預かる当事者として金利上昇で表面化する財政問題(金曜の引用ばかりだが力作のドラめもんをご参照のこと^^)に対する備えもへったくれも無いという状況を良く理解しておりまして、金利上昇のもたらすもの(災厄)を最も理解しているって事なのでしょう。日銀ではなく財務省さまご登場というのが何ともアレな訳でございます。

財務省以外は本音ベースではあまり気にしていなかったのかな〜と思ってしまう節がありまして、先々のことを考えると「政府と日銀のアコードなんてできるのか?」と不安になってしまう次第。そういえば木曜に生保協会の会長様が「急速な金利上昇に関しては日銀におかれましては何らかの対策を希望」とか当事者意識のない香しい発言をされておりましたな。もはやその見識の高さに何も言う事はありません。君らは何でもお上頼みかね、そんなんだから捏造された武藤ショックに合わせた仕掛けにずっぽりと嵌るわけですな。


○武藤副総裁講演

さて、俄かに注目の的となってしまった石川県金融経済懇談会における武藤副総裁の挨拶と記者会見。何故か挨拶要旨の方しか日銀のWebにアップされておりませんで、記者会見については今日アップされるようなので本来はそっちも読んだ方が良いのですが、とりあえず挨拶要旨を読んでみましょう。
http://www.boj.or.jp/press/04/ko0406d.htm

まぁ先に結論を申し上げると極めてオーソドックス。だいぶ大昔に武藤副総裁の講演を紹介した時にも「財務省出身という看板を持っているのに日銀の企画ラインの発想(=正統的な日銀の発想)に則したお話をするんだな〜。優秀な官僚というのはこういうもんなんでしょうな〜。」などという感想を書いたと思うのですが、今回の講演もまさに模範解答のような講演でありますね。

ポイントがやや多いのですが。

・経済の現状は強気、所謂ダム論が展開されています

『わが国の景気は、昨年後半以降、回復を続けており、最近では、雇用面でも改善の動きがみられます。今回の景気回復は、海外経済の好転に伴う輸出増を起点に始まり、それが生産活動の活発化、企業収益の増加に繋がり、さらに設備投資の拡大を促すという「前向きの循環」が働いています。』

で、その前向きの循環が雇用面への改善の動きになっているということですから、景気に遅行する雇用が改善傾向と言うことで、景気回復熱烈進行中というお話。

『こうした順調なわが国の景気回復は、私どもの想定を上回るものでした。そのひとつの背景は、米国、中国を中心とした世界経済の予想以上の回復です。』

『もうひとつの背景は、雇用・所得環境が必ずしも明確な回復をみていない中にあっても、個人消費が予想以上に健闘していることです。』

と、ここまでは普通のお話なのですが、もうひとつの要因として結構驚愕の要因を挙げている訳でして(^^)、長いけど引用。

『さらに、今回の景気回復局面の中で見逃してはならないのは、構造調整の進展が景気回復の動きをサポートしているという点です。バブル経済崩壊以降、わが国の企業は、過剰な債務、雇用、設備についての調整に懸命に取り組んできたわけですが、ようやくその努力が実を結びつつあります。とくに製造業大企業では、リストラや企業再編等を通じて、収益を上げやすい企業体質に変化しつつあり、日本銀行の短観によると、売上高経常利益率がバブル経済崩壊後のピークを更新している状況です。また、金融機関の不良債権処理についても、全般に相当進捗してきています。金融システムが全体として健全性、安定性を徐々に取り戻しつつあることは、企業金融面での安心感に繋がっていると思います。』

金曜にご紹介した財務省というか池尾先生の御認識とは随分こりゃまた温度差を感じるお話。「構造調整の進展」というのが日銀的(というか世間的にもそうですが)な認識なのかただの大本営発表なのかは知りませんが、どうも日銀から景気良く出てくる進軍ラッパを聞いているともしかしてリアルで「構造調整の進展」と言っているのかも知れないとつい思ってしまいますな。金曜日にご紹介したように「構造調整の進展」は単に「政府部門へのツケ回し」に他ならず、政府部門の構造問題(=財政絶賛大赤字と訳のわからん特別会計なんかの肥大化)は調整どころかせっせと拡大中ですが。

・物価情勢

「経済の先行き」に関しては省略。そんなに変わった話はしていなくて、基本的に今後は景気回復の効果が個人部門に及んでくる(要するに雇用)かどうかがポイントになるでしょうって話。海外経済とあわせまして。

『その中身(国内企業物価が0.5%前後の伸びを示していること)をもう少し詳しくみると、昨年後半頃より、米国、中国を中心とした世界経済の回復を背景に原材料価格の上昇が目立ち始めたのに続き、今年に入ってその中間財価格への波及が明確化してきています。』

『しかし、その一方で、最終財価格や、消費者物価、例えば家電製品価格などへの波及はなお限定的です。これは、企業の生産性向上に向けた努力や賃金抑制姿勢を反映して、商品を生産するのに必要な人件費コストが低下していることが基本的背景にあります。つまり原材料にかかるコスト上昇が企業段階で吸収されていると言えます。』

『また、物価の基調的な動きに影響する経済全体の需要と供給のバランスは、景気の回復を反映して着実な改善をみていますが、なお緩和した状態が続いており、引き続き物価を押し下げる方向に作用していると考えられます。』

相変わらずこの理屈で消費者物価だけ上がらないという話なんですが、景気回復のダム論が正しいのならば労働分配率が上がってやっぱり上昇って話にならんのかな〜とおもったりもします。だから「雇用情勢に関しては今後のポイント」という事ですから話としての整合性は取れているとも言えますが(^^)。

『これらの事情を踏まえ、私どもでは、物価下落圧力は徐々に減じているものの、今年度の消費者物価は基調的には依然として小幅な下落が続くものと予想しています。』

で、原油価格上昇についてもお話をしているのですが、非常にオーソドックスなお話。先日福井総裁は記者会見で「原油価格上昇は需要の増加という面もある」などと景気の良い話をしていましたが、武藤副総裁は福井総裁のような楽観的な面ではなく、『わが国のように、原油をほとんど輸入に頼っている経済にとっては、原油高は交易条件の悪化を通じてマクロの実質的な購買力を圧迫するなど、景気にマイナスの影響を与える惧れがあります。』と慎重な見方を示しています。


・金融政策運営

金利水準については市場の一部で勝手に期待していたような牽制あるいは介入的な発言はございませんでした。というかあると思っている方が日頃日銀見てね〜だろって感じですが。

『長期金利は概して安定的に推移してきましたが、ここにきてやや強含んでいます。これは、世界経済が高めの成長を続けており、ディスインフレーションの傾向にも変化が窺われつつあることや、わが国の景気も回復しているといった状況の中での動きと理解できると思います。長期金利は、やや長い目でみると経済や物価情勢を反映して変動するものです。ただ、同時に短期的には様々な思惑によって動く一面も有していますので、今後の長期金利の動きについて、注意深くみてまいりたいと考えています。』

まるで模範解答ですな。

CPIターゲットの引き上げに関しては思いっきり否定。どこぞのストラテジストやら日経新聞やらが「ひとつの案」などと言っていて、それに乗ってしまった(自分でお考えになったのかも知れませんけどね)中原審議委員さま十字砲火で撃沈の巻と言った所で実に香しい。しかも時事メインの「金融観測」で指摘された「カタパルト効果」にも言及しておりますな(^^)。

『このように申し上げると、「約束」の水準を引き上げて、例えば、基準となる消費者物価の前年比についてゼロ%より高い水準に改めた方が、もっと景気刺激効果を引き出せるのではないかという疑問を持たれるかもしれません。しかし、物事には必ず表と裏があります。』

『仮に日本銀行が消費者物価の前年比が高い水準に達することを確認するまで現在の政策を続けると宣言し、経済にどのような変化が生じても、そうした段階に至るまでゼロ金利状態を続けるとなると、経済は過熱し、物価上昇率は急速に高まるかもしれません。少なくとも、市場は常に経済の先行きを予想しながら動く性格を有していますから、ゼロ金利状態が長くなる分だけ、将来の短期金利の上昇幅は大きくなるという予想が広がり、結果として長期金利が大きく上昇する可能性もあります。』

非常に明解な説明、というかこんなの金利市場に絡む仕事してたら当たり前の常識であってそんな理屈も判らんで「期待形成の安定化の為にCPIターゲットを引き上げる」と言っていた人は本当にイールドカーブとか判っているのかと小一時間(略)。


なお、念のため申し上げますと、当然武藤副総裁は「出口論議は時期尚早」であって「いまの量的緩和を続ける」と言っております。

『現在は、景気が回復を続けているとはいえ、消費者物価の前年比がなお小幅のマイナスで推移している状況です。そうしたもとでは、量的緩和政策からの「出口」を具体的に論じる段階ではないと考えています。』

『現時点で私がもっとも重要と認識している点を一言述べれば、政策の転換のプロセスを通じて人々の予想形成を不安定にさせないということです。このためには、日本銀行として、経済・物価情勢の判断を的確に行ったうえで、金融政策運営についてどのように分かりやすく説明していくか、言い換えれば金融政策の透明性を高める方法についてどのように考えていくかが何にも増して大切になってくると思います。』

『いずれにせよ、日本銀行としては、デフレ脱却を最優先として、今後とも、消費者物価に基づく「約束」にしたがって、適切な金融政策運営に努めてまいりたいと思います。』


では今週もよろしくです。




2004/06/18

お題「財務省の密かな悩み」

本題の前に相場の話。

昨日は20年国債入札が行われましたが、相変わらず入札前に事前の先回り買いが入りまして入札は業者のカバーも巻き込んで堅調。落札結果は良好で、結果発表後はヘッジ売りなんかで先物が下落する中で新発超長期国債は当初値持ちしておりました。

先物は下がったものの超長期国債が堅調って事で、安心感が広がったために先物が買い戻し優勢となり、前場引けレベルを上回って先物が上昇していったのですが、先物の上昇と共に「入札裸隊」のロング外しの売り注文がうじゃうじゃとご登場。上値が思いっきり重くなった所で勝負があったようです。

結局ヘッジ売りが出てきましたし、どうも現物債も「こりゃ駄目じゃん」という現物債売りも出たようで、またまた相場が下落してしまいました。


相場が下落するのも困りものですが、より懸念されるのは相場のボラティリティーが上昇している事。引け値ベースでみた場合、相場はじり安商状という事になるので表面上のボラティリティーは余りあがっていないと思うのですが、日中の値幅が非常に派手になってきており、先物オプションのインプライドボラティリティーが上昇してとうとう7%くらいまで上昇しているようです。

段々「リスク値」がでかくなってきている相場という事で非常に困った状態です。まぁ悪い時には全てが悪く働くということなんでしょうが、一昨日のグリーンスパン議長の議会証言で余計な踏み上がりをやってしまったのが売りを誘発してしまったという事でしょうな。

こうなってくると債券相場は機関投資家による「囚人のジレンマ」状態になってくる(既になってますが)のでして、保身的合理的行動>>>経済的合理的行動というサラリーマンの悲しい行動特性が悪い方向に働いてくるというものです。


あたくしの相場ごたくのいつものパターンですと、これだけ悲観的な書き方をすると相場は反発する筈なのですが(^^)。


○日本将来の経済ビジョンは?

という訳で本題。本日のドラめもんは15日の時事通信社「時事メイン」のコラム「金融観測」の記事『衝撃の財務省「議事要旨」=『出口』の先は極東の最貧国』と思いっきり被っておりますので、時事メインで記事をご覧になった方は以下読み飛ばしということで。

http://www.mof.go.jp/singikai/vision/gijiyosi/a160601.htm

「日本経済の将来ビジョンを語る懇談会」というのを財務省が行っているのですが、第10回となりました6月1日に実施された会では、慶應義塾大学の池尾和人教授が議論のたたき台のレクチャーを行い、財務省の審議官クラスの幹部や有識者が議論をしたようであります。まぁとりあえず上のリンク先を読んでくださいな。ちと長いけど。

・・・・・・まぁ結論から申し上げると「身も蓋も無い本当の話」でありまして、財務省幹部の財政問題や経済問題に関する危機感が伝わって来る極めて悲しい内容であったりする訳です。上記リンクを読んでいただければ特に解説も不要な話なのですが、んなもの読んでられるかというお方の為に金利と財政のお話の部分をかいつまんでご紹介致します。ちなみに、あたくしが引用したのは6月14日に財務省の上記Webから取得している議事要旨です。もしかしたらその後若干の変更があったかもしれません。

・池尾先生の出した問題提起:日本経済の当面のハードルは?

池尾さんは日本経済の当面のハードルとして「金利の正常化」というものを上げております。要は量的緩和解除が行われた後に日本経済のハードルが発生するってお題な訳ですな。

『バブル経済の際、民間企業のバランスシートが膨らむ一方、家計の金融資産は1,400兆円まで増えた。しかしながら、家計の金融資産は、その見合いとしての企業の債務に裏付けられており、バブル崩壊でその多くが過剰債務となった現在では、家計の金融資産も実態としてはかなり価値が毀損していると考えられる。』

まさに仰せのとおりなのですが、そんな認識は世の中に共有されていないところが実に悲しい訳です。「世界一の個人金融資産保有国」だと皆さん思っているでしょう。未だに。で、ここからがなかなか。一般ピープル的には衝撃の指摘。あえてコメント付け加えませんが。

『バブル崩壊によって生じた問題からの脱却の第1局面、すなわち、民間部門の債務を公的部門に付け替え、民間部門の健全化を進める局面は終わりを迎えつつあり、そろそろ公的部門に付け替えられた債務の償却を考えなければならない第2局面に入ってきていると思われる。第2局面を打開するには、家計の過剰な金融資産を増税等により実質的に圧縮し、公的部門の債務の償却にあてる必要があるのではないか。』


で、次は財政状況のお話と金利の話なんかが出てきます。まずは財政の現状について厳しい指摘が。

『現在、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化の目途は立っておらず、足元の回復も構造的な要因ではなく、循環的な要因であると考えられる。過去の経験から名目利子率が名目成長率を上回るという可能性を考慮すると、プライマリー・バランスがゼロになっただけでは、対GDP比債務残高の発散は止まらない。公的債務残高をGDPの2倍程度で安定化させるなら、対GDP比4%程度の黒字化が必要である(名目利子率が名目成長率を2%上回る場合)。』

そもそも小泉内閣の構造改革工程表によりますと(確か)2010年頃にやっとプライマリーバランスが黒字化するというお話ですが、ご存知のようにいつまで経っても国債新規発行額が減る気配も無し。そんな中でこの「プライマリー・バランスがゼロになっただけでは、対GDP比債務残高の発散は止まらない」というのは「駄目じゃん」ってお話ですな。

では何で危機感がないかというとそこには量的緩和政策がリンクされてしまっているわけであります。

『なお、巨額の公的債務残高の存在にもかかわらず、世間的に危機感がさほど抱かれていないのは、低金利状況の下で、債務維持負担(debt service burden)が非常に軽いものに済んでいるからである。日本銀行のゼロ金利政策とそれに続く量的緩和政策が、こうした債務維持負担が軽い状況を作り出している。』

『換言すると、日銀が量的緩和政策を続けざるを得ない経済情勢が続くことが、財政の安定が維持できる条件になってしまっているともいえる。そうした経済情勢とはデフレの持続にほかならず、デフレの脱却による日銀の政策スタンスの変更が財政危機の顕在化につながりかねない状況と言える。』

財政の安定が維持できる条件がデフレの持続にほかならないとは何たる皮肉なお話なのでしょうか・・・・・・・・・(寒)

『このような財政状況は、これまでの後先を考えない「何でもあり」のマクロ経済政策のつけが回ってきた結果であるというしかなく、国債価格支持政策としての量的緩和に、当面、出口戦略は見出しがたいというのが率直なところである。もし比較的高い名目成長率が実現でき、国債価格支持政策によって名目金利の上昇が抑制できれば、ソフトランディングもあり得ないことではない(この場合も早期に基礎的財政収支の黒字化が図られることは不可欠)が、かなり激発的な調整が起こる可能性も否定できない。』

『いずれにせよ必要なのは、国債保有者と納税義務者の間での債権債務関係の再構築であり、このプロセスについては、想像力を豊かにしシナリオをいくつか準備しておく必要があるだろう。なお、インフレも、債務者利得の発生を通じて債権債務関係の再構築につながるという意味では、一つの可能性であることは確かであるが、ハイパーインフレという形の債権債務関係の再構築が唯一の可能性であるというのは、アナクロニズムではないか。』

はい、「このプロセスについては、想像力を豊かにしシナリオをいくつか準備しておく必要があるだろう。」ということですので、想像力を豊かにひとつ皆様よろしくです(^^)。この問題提起の続きは社会経済システムの再構築、主に金融システムのお話をしているのですが、こちらは割愛させていただます。


・池尾先生の問題提起に関する出席者の議論

という訳で上記の如く池尾先生が問題提起のたたき台を出したところで出席者の間で議論が行われております。実に「本当のお話」であって大変に有意義かつ寒い内容であります。

『財政再建については整合性のあるようなシナリオを書くのは難しいのではないか。将来的には悪性インフレシナリオが考えられる。』

ドラめもん長期ご愛読(または強制送付とも言うが)の皆様におかれましては、あたくしがこの見解をキープしている事はご存知かと(^^)。

『悪性インフレは現在のような「もの余り」の状況では発生せず、名目金利が低く抑えられる。その結果、財政赤字には歯止めがかからない一方、財政赤字の結果潤った民間資金が国債を消化するため、低い金利水準を保ったまま、公的債務残高が増加してしまう。このような状況は20年程度継続するのではないか。』

『危機が表面化するのは、「もの余り」が解消したときではないか。米国のように、日本も対外資産を原資に輸入を行えば、「もの余り」の状況を10年くらい継続させることができる。輸入に頼った「もの余り」が継続する結果、生産技術が失われ、競争力が低下してしまう。こうした問題は20年後に表面化するだろう。』

本当に20年持つのかはよーわからん。直感的にはそんなに持たない気がするのですがまぁともかく。結局このままでは過去の蓄積の食い潰しモードに入っているという指摘をしている訳で、この人の結論はこういう事。

『今述べた問題に関しては、今から対処を始めないと、20年後では打つ手がなくなる。』

全くそのとおりですね。それに関連してこの衝撃の指摘。

『このままの状況を20年間継続することは可能だが、それでは極東の貧しい国になるというシナリオになってしまう。10年間で構造改革を終え、公的債務を減らすためのシナリオを、構想力豊かに考えていかなければならない。』

もはやコメントする事はありません・・・・・・・


足下の景気回復に関してはこんな指摘。

『日本経済は2年間回復局面にあるが、今回の特徴は財政出動がなかったことだ。民間は財政出動に頼ることなく、自らが合理化することで景気を回復させた。このような民間の姿勢こそが「柔軟性」である。政府が手厚く保護すれば保護するほど、民間は政府に頼ってしまう。政府のやるべきことは、再び政府が手を引くことである。』

毎度あたくしが指摘しておりますように、財政出動という形での出動はないんですけど、各種の財政をバックとしたセーフティーネットの存在がドンドン強化されています。例えばペイオフの抜け穴である決済性預金の全額保護だとか政府系金融機関による中小企業への無担保無保証融資の拡充とか、今まででは破綻している筈の金融機関への公的資金絶賛大投入やら産業再生機構。挙げればキリが無いとも言えますな。

もしかして「再び政府が手を引くことである」というのはこれらセーフティーネットを外していくということなのかな?とも思います。それなら意味は良く判るというもの。


長期金利のお話ではこんな指摘が。

『長期債の金利は1990年代以降、国際的に決定されている。金利は一度上昇を始めると、何らかのクライシスが起きないと低下しない。今後米国の長期債の金利は上昇することが予想されているが、米国の歴史を振り返ると、87年のブラックマンデー、91年のS&L破綻、94年のメキシコ危機、97年のアジア通貨危機、99年のITバブル崩壊など、金利が低下したのはクライシスと名が付くものばかりだ。』

ほうほう。

『一方、日本の90年代の長期金利の動向をみると、アメリカの長期金利を反映した動きとなっている。日銀がイグジットポリシーを模索する段階にあっては、財政支出や政府保証に関して長期的なコミットメントを早いうちに出すべきだ。一度上がり始めた長期金利に対処するのは困難であり、相当の覚悟がいる。』

確かにご指摘の通りで、既に長期金利がこの懇談会時点から見ると随分威勢良く上昇しております。で、もうちょっと日米の長期金利の連動性に絡むお話があるのですが、そこは端折りまして長期金利の上昇が財政に与える影響に関する衝撃の議論を引用しましょう。

『最近、金利上昇が発生しても、税収も同様にあがるのだから、利払費だけを取り上げて議論するのはナンセンスという議論がみられるが、もし税収の弾性値が低下していれば、こうした議論は成立しないのではないか。』

『「利子収入に対して20%の課税がなされていることを考えると、国債以外のあらゆる債券からの利子課税の増収分で利払費の増加分はキャンセルアウトできる」という話ではないか。しかしながら、キャンセルアウトするには、課税が20%であることから、社債などの国債以外の債券を合わせた総額が国債の5倍なくてはならないこととなる。そんなにあるのだろうか。』

この議論を踏まえてのことなんでしょうが、早速今朝の経済ニュース番組では「長期金利上昇で利払費の増加分が税収の増加分の3倍になる」というアナウンスがされていましたな。以降段々話が寒くなります。

『金利の上昇が財政再建のキックオフとなりうるという面はある。』

『公的債務残高、金利、税収の関係を考えると、自然の姿では手当てできない状況ではないか。現状では、金利が上昇する際には、税収よりも利払費の増加分のほうが大きくなってしまう。』


で、議事要旨の順序ではこっちが先なのですが、財政改革に関してはこんな指摘がされていたようです。コメントの必要も無い本当のお話。

『政府としては、プライマリー・バランスの黒字化を強調しているが、プライマリー・バランスの黒字化は最終目標ではなく、あくまで一里塚である。政府がプライマリー・バランスの黒字化で財政再建が済むというようなイメージを与えることのないよう気をつけなくてはいけない。今後、財政再建の絵を書くには、歳出のカットとももに、歳入の増加も必要である。』

『財政の悪化によるクラウンディングアウトはしばらく起きないと考えているが、このまま公的債務残高が増加し、税収が増加したとしてもまかないきれなくなれば、クラウンディングアウトは起きてしまう。プライマリー・バランスの目標だけでなく、最終的な目標を明示しないといけない。』

『高橋是清蔵相は515事件の後ケインズ政策を行ったが、それは当初の3年間で終了しており、その後は公債漸減主義を掲げ、財政の健全化を行った。「高橋財政」とよくいわれるが、高橋是清蔵相の政策は財政の健全化と、低金利による経済の活性化であった。これから私たちが取り組むべき政策ではないか。』


財政問題に危機感を持つ財務省の立場から書いてある議事録ですので、危機感に関して強調するバイアスが掛かっている内容でもあるのですが、昨今の金利上昇に関して財務省は恐らくとてつもなく危機感を抱いているのでしょう。循環的に回復基調になっている現在、「引締め政策」をすべきなのは金融政策ではなくて実は財政政策だという事なのでしょうが、財政って結局政治が決めるわけですから・・・・・・・・寒いお話で。


延々と長い引用にお付き合いいただきましてありがとうございました。




2004/06/17

お題「日銀の楽観?」

今週は「金利動向に関る財務省VS日銀」ってぇのがメインのお題になっております。その手のネタ物件ばかりが出てくるので。

本題の前に昨日の債券市場に対する愚痴。

いや〜、ありゃ何だったんでしょう。グリーンスパン議長の議会証言のタイミングが丁度ショートの残っている所だったので、円債も大踏み上げから始まったのですが、超長期ゾーンの上値が妙に重くなってきたあたりから「あれれ?」という感じになって参りました。中期ゾーンがが確りしているけれど超長期が重いと言えば先週金曜日の相場(中期の利回り低下で長期、超長期の利回り上昇という脅威の相場)を連想させる訳でして、そうなると今度はまた「やっぱり売るか」という動きになってきて気が付けば雪崩のように投資家様の現物債売り。

超長期債が売られてしまうのは「量的緩和政策の堅持+景況感の大幅前進」というセットなので自然な動きといえばそれまでなのですが、相場が余計に戻った分だけ反動も大きく、何と先物や長期債、超長期債は月曜の安値を切ってしまいましたな。困ったものです。

まぁ戻りすぎると売りが出るからまずは値固めしてから動けって感じなのですが、結局益々相場変動がでかくなってしまい、地合いは益々不安定に。どうも投機筋に踊らされている気もしますし、また投資家サイドもちとポジション動かしすぎ(投機筋だけでは相場を作っても一時的に過ぎませんから)なのではないかと思う訳ですな。

まぁ一昨日の戻り相場のように、中期ゾーンが戻る中でいきなり途中の年限を飛ばして5年カレントが買われるというのも激しく理屈に合わない展開でしたので、昨日のスティープニングは理には叶っている動きではありました(が動きすぎです)。


と、相場レビュー(ただの愚痴)はこのくらいにして本題を。
http://www.boj.or.jp/press/04/kk0406b.htm

○金融市場に関する発言

まず最初の質疑では直球で長期金利の質問が出ております。

『(問)長期金利がじわじわ上がってきており、昨日は1.85%台とほぼ4年振りくらいの水準までつけている。こうした動向について、ポジティブ・サインという見方がある反面、最近は政府筋からは行き過ぎた上昇への警戒感や牽制する発言も出ているが、長期金利の動向と現在の水準について、総裁の認識を伺いたい。』

長くて読みにくいと思うので途中できりますね。

『(答)長期金利に限らず、金融為替市場の市況の動きについては、丹念にフォローしているつもりである。また、市場の声にも冷静に耳を傾けているつもりである。市場の声として我々の耳に静かに聞こえてくるのは、今お尋ねの長期金利について言えば、世界経済がよりバランスのとれたかたちでより高めの成長を続けている、また、世界的にディスインフレーションの傾向にも少し変化が窺われつつある。その中で、日本の景気も回復してきている、そういうことが大きな背景だろうという声が聞こえてきている。』

『長期金利というのは、何回もお話ししているが、長い目でみると将来の経済や物価に対する人々の見方を反映して変動していくものであり、市場の静かなる声もそれと同じ見方をしているということだろうと思う。もちろん、同時に市場の中では、いろいろ思惑めいた話、そうした雰囲気もあるようだが、これはかねてから申し上げているとおり、市場は短期的には様々な思惑によって動く一面も有しているということだろうと思う。』

確かにこう言われると「長期金利の現状について大きな懸念はない」というフラッシュを打ちたくなるわなという感じです。で、その続き。

『私どもは、現在の市場の動きについては、先程申し上げた内外の経済の動きを反映して、為替市場、株式市場、債券市場、それぞれの市場が相互に牽制機能を働かせながら、均衡点を模索している段階と思っている。もちろん、市場は思惑によって大きく振れるリスクを常に抱えているので、日本銀行としては、金融政策の効果を円滑に浸透していく立場から、そうした動きを含め、注意深く見ていかなければいけないと思っている段階である。』


でもこの会見時点での問題というのは「量的緩和政策の早期終了を織り込む金融市場」なのでありまして、そういう観点からより突っ込んだ質疑もある訳ですな。

『(問)先程、「市場は短期的には振れることがある」とおっしゃったが、端的に伺うが、今の水準はやや振れている水準なのか。金利先物市場で昨日──今日は多少買い戻されたようだが──、来年3月限の先物金利の水準が0.3%近くまで上昇し、単純に考えると、来年3月での量的緩和政策解除という思惑を市場が持っているような市況になっていた。これも「やや振れている」とお考えか、長期金利と併せて、ご意見を伺いたい。』

うーん直球ストレートの投げ込みが厳しい質問です。で、お答え。これがまた数段落に分かれていて長いのよ。

『(答)市場全体を眺めていると、私どもが特徴的に捉えているのは、繰り返しになるが、為替市場、株式市場、そして債券市場が相互に牽制機能を働かせながら、均衡点を懸命に模索している動きだ。そういう意味では、非常に正常な市場の動きと捉えられると思う。』

ということで、不安定ながらも正常な動きで市場は次の均衡点に動くと言っているようですが。

『また、債券市場だけをみても、皆様方のご記憶に一番新しいのは、昨年の夏から秋の動きだと思うが、その時点と比べてみると、例えば、スワップ・スプレッドの開きがそれほど大きくないし、ボラティリティーが非常に高まっているという状況ではないと思う。先程私は「市場の静かな声」と言ったが、その「静かな声」が私どもの耳に聞き取れないほど掻き乱されているわけではないというのが市場の雰囲気であり、昨年の夏から秋にかけてよりはずっと落ち着いている。この2つのことが申し上げられると思う。』

うーむ、どこぞのレポートで作られた「偽りの武藤ショック」なんてのもありましたが、何と言うか「落ち着いている」のかね〜??

『しかし、昨日までのここ数日の動き──今日(引用者注:15日ね)は債券が買い戻されているが──については、足取りが少し速くないかというと、少し速いかなという印象は受ける。もっとも、それは市場の日々の動きで、1日、2日の動きを捉えてコメントすべき性格のものではなかろうと思う。』

2年やらスワップやらの動きは「1日、2日の動き」というよりは「安定していたものがいきなり動き出した」もの。そういう意味ではもうちょっと気を使った言い方をして欲しかった訳ですが、まぁそれは兎も角。

『いずれにしても、これからデフレ脱却の目的を果たしていくために、金融政策の効果を浸透させていく非常に重要な過程にある。私どもの量的緩和政策は、景気が上向き過程に入り、かつ上向きの動きを続ければ続けるほど、この量的緩和の景気刺激効果が強まっていく。この強まっていく効果をしっかり発現させて行かねばならない重要な過程に入っている。』

『従って、市場の動きがこれに対して攪乱的な影響を持つかどうか、あるいは、思惑がこれを乱すか、ということについては、非常に注意深くみていかなくてはならない。』

『繰り返し申し上げるが、今の緩和スタンスを続けるという我々の姿勢はいささかも揺るぎがない。この点について、思惑の入る余地はないと断言申し上げたい。』

最後に量的緩和継続に関してだけはきちんと言及しましたが、よくよく読んでみると長期金利の方についてはあまり下げようとする発言は出ておりませんな。「金利に蓋をする」などという迷言もあったお方とは思えませんな(^^)。

長期金利水準に対して政府(というか財務省)が「有効な施策を打ってくれ」という話が散々出ているのですが、その点に関する質問に対しては(時間とスペースの都合上今日は引用しませんが)基本的にゼロ回答ですな。表現についてはやたらと気を使ってはいるものの。


○物価動向に関して

金融経済月報にありますように、国内企業物価は相変わらず「現在は上昇傾向で今後も強含み」という見通しになっており、一方で消費者物価はCPIターゲットの縛りの問題があるので「小幅のマイナス継続」という見通しです。しかし、昨日ドラめもんでご紹介したように「ダム論」は絶賛発展中なわけでして、その辺の問題についてこれまた秋山登のカミソリシュート(古いね)って感じで質問が。

『(問)原油高と円高の修正ということで、企業物価については日銀が展望レポートで想定した見通しをかなり大きく上回ってきている。仮に今後、川下段階にも原油高などの影響が出た場合、一部では、これはコスト・プッシュ要因であり、企業収益、あるいは消費者にとってもメリットはないとの見方から、CPIが安定的にゼロを上回るという判断においても原油高による物価上昇というのは勘案するべきでない──つまりそうした物価上昇は量的緩和を解除するには十分条件にはならないのではないか──との見方もある。こうした見方についてのお考えを伺いたい。』

『(答)企業物価指数は、これから今年度が終わってみて、最終的にどうなるかわからないが、今の足許の動きは確かに少し上振れ気味に動いている。世界的な景気の回復、商品市況の上昇、それに原油高の影響が上乗せされているということだろうと理解している。しかし、その企業物価自身も中身をブレイク・ダウンしてみると、川上の動きが川中にかなり波及しているということであるが、川下段階への波及は生産性の上昇によってかなり吸収されて限定的に止まっている、という構図に分解することができる。』

ダムからの水はまだ川中にあると言うことですか。展望レポートよりも上ブレしていることに関して認めている事にはご注意ください。

『消費者物価指数は、景気回復に伴う需給要因の改善ということが一番基本的な要素だとみている。逆にコスト・プッシュ要因という意味では企業物価の段階でみられる変化が消費者物価段階にどのように及ぶかということであるが、これは目下のところ限定的な影響に止まっているし、止まり続けるだろう。ただ、原油については、一般の商品市況の浸透よりはストレートに川下段階、あるいは消費者物価段階にも及んでくる公算が強いと思っている。従って、もうしばらくすると、日本の消費者物価指数にも原油高の影響は及んでくるであろうとみている。』

だそうですので、原油高の影響ってことはCPIも暫くすると強含み。で、ここからが最注目点。重要なので段落を途中で切ります。

『原油高の影響が及んできて消費者物価指数の数字が少し変わった場合、これをどう読むかということはなかなか難しい問題を孕んでいると思う。米の値段が上がったから来年下がるだろうとか、医療費が上がったのは一過性のものだといった、特殊要因としての扱いは原油高については適当でないと思う。』

最後の部分に注目くださいね。特殊要因とするのは適当ではないのですよ。

『原油高の場合は、特に1970年代の石油ショックの時と比べて、今回は世界景気の拡大──つまり世界的な需要の増加──ということが大きな背景になったものであるという側面が強い。もちろん地政学的リスクに絡んで、いつ何時供給ショックが起こるかわからないという要素もある──そこは不確定要因である──が、経済的にみていくと、今回は世界需要の回復を大きな背景とする原油高という要素も非常に強い。』

まぁ確かにコストプッシュかディマンドプルかって話もアレなのでして、モノ不足が背景にあればコストプッシュって言えるのかも知れませんね。やたらと「原油高での物価上昇は量的金融緩和の解除に結びつけるべきではない」という話が横行(あたしもややしてますが最近宗旨変更中)しているのに対して中々挑戦的なコメントです。

『この面からみていくと、原油高というのは景気が良いことの反映であり、従ってそれは素直に物価高であると理解しなければならない面と、逆に原油高はコスト・アップを通じて企業収益を押し下げる、あるいは所得の海外移転を伴うということがあって景気にとってはマイナスの面があり、両刃の刃というところがある。』

『そこのところをじっくり分析しないと、単に表面的な消費者物価の変化率が原油高が浸透してきて変わったといって、単純な理解でこれを処理するわけにいけない。我々は経済全体に与える影響というものを少し深掘りしながら、それを分析していきたいと思っている。』

つーことで、何気に原油高に関して「原油高のCPI上昇は緩和終了に繋がらない」という議論に対して反駁しております。もちろん「我々は経済全体に与える影響というものを少し深掘りしながら、それを分析していきたいと思っている。」って言っているわけですから、原油高を全て景気回復需要増大だと捉えてはいませんが、フリーハンドはしっかり確保している訳です。


○日銀事務方の隠れた意思表明なのか?

ということで、本日はあえていくつかの質疑について質問と回答を丸々全文引用というのをやってみました。分量が多くなってすいません。

当然この会見要旨ってのは日銀の事務方(企画部門?)が作る(筈)でしょうから、昨日のドラめもんでご紹介した「金利上昇への危機感現れる国債市場懇談会議事要旨」と同じ理屈で会見要旨を作っている部署の意思というのを(公開の質疑応答ですから文面は日経金融新聞あたりの記事とほぼ同じになるんでしょうが)文書としては出せないでしょうが、何と言うか行間からにじみ出てくるニュアンスってのに感じたりする訳ですな。だんだん話がオカルトじみてきますが(^^)。

で、この要旨を読んで見ると、何となく財務省の感じる危機感とはやや温度差があるように思えるのですよ。この会見要旨。


気のせいなのかもしれませんがね〜♪





2004/06/16

お題「財務省の悩みと日銀の楽観」

思わず文学的(どこがじゃ)なるお題が登場の巻(^^)。


○火消しに躍起な財務省

昨日のドラめもんでちょっと触れた国債市場懇談会。議事要旨が早速財務省Webにアップされておりました。http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/a160614.htm(もしかしたらディープリンクだと直接行けないかも知れません)

昨日の寄り付き前には既にアップされているという訳で、通常にもまして素早く要旨の公開が行われ、寄り付き前から早速議事要旨を読んだ市場参加者も多かったのであります。で、読んだ人々の第一感はと申しますと「金利動向に関する懇談会の見解が何か報道されているものとニュアンス違う」であります(^^)。

一昨日の国債市場懇談会終了後に出た吉野座長のコメントの段階では(昨日のドラめもんでご紹介したように)「最近の金利上昇は景気回復期待を背景にしたものという意見が大勢」というお話になっており、日経新聞あたりでの報道も同じような内容であったと言われています。

ところがこの議事要旨における「最近の国債市場の動向について」という部分を見ると、足許の金利上昇に関してのコメントにはオーバーシュートしているというコメントが多く見られておりまして、前日の吉野座長からでていた暢気なコメントとはだいぶ違った危機感の滲む内容になっております。特に良く状況を纏めていたコメントはこちらですか。

・最近の相場の動きについては、「都銀の国債の運用が、去年の夏以降、中短期ゾーンにかなり偏ってきており、量的金融緩和政策、ゼロ金利解除といったテーマに非常に脆弱だ」といった見方に基づき、海外の投機筋等による「中短期ゾーンのスワップのロスカット」を引き出すような動きが一部に出ていたと思う。しかし、都銀は、早期の量的金融緩和政策の解除を考えて動いているわけでもなく、また昨年議論となった「VAR枠」との関係では、まだ十分に余裕がある。ただ、足下、量的金融緩和政策の解除が早まるという警戒心が過度にマーケットで高まっており、日銀に断固として抑えていただくことをお願いしたい。そうすれば、10年金利が2%に行く前に相場は落ち着くのではないか。

なんか都銀のコメントなのかも知れませんな。その割にはこの懇談会の日にはど〜考えても「会議室発偉い人の売り指令」らしき売り物が中期債に炸裂して相場がエライコッチャになっていましたが。まぁそれは兎も角として、かくのごとく議事要旨は危機感のにじみ出るトーンになっている訳です。


まぁ激しく憶測の域に入りますが、この議事要旨の発表がやたら早かったのは、やはり吉野座長の長期金利に対する暢気なる発言による「金利上昇容認イメージの瀰漫」を何としても止めたいという財務省事務方(要旨を作るのは理財局国債課)の意思の現れ。火消しの為に一刻でも早く「金利上昇危機感ありあり議事要旨」を出したかったのでしょうな。ご苦労様であります。

一昨日の林財務事務次官の金利上昇猛烈牽制発言リターンズ(先週木曜にも事務次官と大臣が牽制発言してました)があり、昨日は谷垣財務大臣が同様に金利上昇猛烈牽制というか思いっきり不快感の表明って感じの発言こちらもリターンズがありと、財務省からは「金利上昇は極めてケシカラン」という意思表明のオンパレードとなった次第。そりゃこれだけ言われたらさすがにショート筋は買い戻しますわな。どこまで戻れるかは知らんが。


○日銀はやはり循環論者のようですが

昨日の金融政策決定会合、何と11時半には終了という実にあっさりとした会合でありまして、予想通り政策変更なし。で、3時に発表された金融経済月報(基本的見解)は正直言って「またも景況感前進か!」って感じであります。という訳で金融経済月報のポイントを少々。

・経済の現状認識

『わが国の景気は回復を続けており、生産活動や企業収益からの好影響が雇用面にも及んできている。』となっております。5月は『わが国の景気は緩やかな回復を続けており、国内需要も底固さを増している。』でしたが、とうとう外れた「緩やかな」というお話でして、これは明確に判断前進であります。

『輸出、設備投資の増加が続いており、鉱工業生産も引き続き増加している。こうしたもとで、雇用面も改善の方向にあり、雇用者所得は下げ止まってきている。個人消費もやや強めの動きを続けている。(以下割愛)』という各部門の現状に関しては雇用に関する部分の判断が若干前進になっております。まぁ元々強めのお話なんですけど。5月は『雇用者所得は徐々に下げ止まってきており』という事でこちらは「徐々に」という部分が消えています。

・経済の先行き見通し

『先行きも、景気は回復の動きを続け、前向きの循環も明確化していくとみられる。』5月は『先行きについては、景気は当面緩やかな回復を続ける中で、前向きの循環が次第に強まっていくとみられる。』ですので現状認識の判断絶賛大前進と平仄があっております。

で、全体ではなく個別について例によって長々と書いている部分があるのですが、『企業の過剰債務など構造的な要因が企業活動に及ぼす影響も和らいできている。(6月)』が『企業の過剰債務など構造的な制約要因はなお根強いが、徐々に和らぎつつある。(5月)』から見て前進しており、構造要因が緩和されているという認識を示しているところが一番注目かと思うわけです。また、お得意のダム論的な発想で『生産活動や企業収益から雇用者所得への好影響の波及は次第に明確化していくと考えられる。(6月)』となっておりまして、『生産活動や企業収益からの好影響が、雇用・所得面へ徐々に及んでいくと考えられる。(5月)』の「徐々に及んでいく」から「次第に明確化」と企業収益の好影響が雇用者に回り、(ここではかいてませんが)個人消費に波及するって絵が明確に描けるようになったというお話なのでしょうか。その割にはあたくしの(以下自主規制^^)。

・物価の現状

国内企業物価については5月と同じなのですが、消費者物価に関してはとうとう「一時的要因」という言葉を外してしまいました。まぁ当然ですがね。

『物価の現状をみると、国内企業物価は、内外の商品市況高や需給環境の改善を反映して、上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のマイナスとなっている。』

先月まではこの消費者物価の中で必ず言い訳のように『一時的な要因も押し上げに働く中』という文言が入っておりました。

・物価の先行き

こちらも同様で、消費者物価で今まで色々(米価格だの診療報酬の自己負担増加だの)と一時的要因を入れていた部分を削って非常にあっさりとした見通しになっています。

『物価の先行きについて、国内企業物価は、原油高の影響もあって、当面、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、需給環境が改善方向にあるとは言え、当面なお緩和した状況が続くもとで、基調的には小幅のマイナスで推移すると予想される。』

と、さらっと流しそうなのですが、実を言いますと消費者物価に関る部分は、前月までは『需給バランスが徐々に改善しつつもなお緩和した状況』という表現をしておりまして、『徐々に改善しつつ』が明確な『改善方向』になっているのもちと注意しておく必要があるかと。

例によって金融面は割愛しますが、総じて見ると結構判断を前進させているという感じです。


さて、本当はここで注目材料の総裁記者会見もネタにするのですが、正式なテキストが出てくるのが本日の午後くらいになりそうですので、情報ベンダーから入手したテキスト(日経金融新聞にはあると思いますが)を参考に印象だけ。

印象としては「長期金利に関しては非常に気を使っていますな」という所。気を使ってはいるのですが、実を言うと金利上昇に関して無理矢理押さえ込もうというような意思は見られません。ただ、余計な事を言って金利上昇の火に油を注ぐことは避けたいという雰囲気が伝わってきますな。

で、量的緩和継続に関しては「そんなに早期利上げの思惑が爆発するんじゃねぇ」というニュアンスは判るのですが、その割には『量的緩和政策は景気が上向き過程に入り、上向きの動きを続ければ続けるほど、量的緩和の景気刺激効果は強まっていく。(日本語版ロイター記事より)』などと気になる発言もありますな。やはり量的緩和の景気刺激効果が強くなってきているという認識があると言うことは、裏返せば緩和政策の行き過ぎた長期化に関しても釘をさしているとも見える訳で、中々微妙な発言ではないかと思います。

結局「金利の急激な上昇はマズイけど、マイルドな形で自然にじりじりと上昇して行くのは別にお止め致しませんな〜♪」という感じに見えます。ただ、言葉を慎重に選んで、余計な相場のブレを起こさせないようにしようとしているのも良く判ります。これだけ気を使っているのはもしかして初めてではないかと思えるのですが、まぁ日銀Webへのアップを待ちたいと思います。






2004/06/15

お題「金融政策決定会合」

いやはや、またもやってしまいましたロスカットのヒットパレード大会あるいは集団自殺相場。まぁ陰謀説を持ち出すのも何ですが、5年入札にあわせてでっち上げられた「武藤ショック」から始まった「早期金融引締めの幻影」がどんどん自己実現的に拡大するという、国内債券市場の特徴というか構造的欠陥がまた爆発したというものでしょう。

そ〜ゆ〜意味においては、「ここの所新発債の売れ行きが悪くてど〜も雰囲気がよろしくない」だとか「2年ゾーンが重いのはあまり気分がよくない」などと言うような事をあたくしですらブツブツとドラめもんで申し上げたように、でっち上げの「ショック」とは言え、爆弾をぶち込むタイミングとしては絶好だったのかも知れませんな。それにずっぽり嵌る日本の債券市場ってどうなのよっていう議論はありますが。


さて、昨日から金融政策決定会合が実施されております。

○財務省孤軍奮闘の巻

昨日も金利上昇に関して各所から発言が出ておりますが、物の見事に揃いも揃って楽観的な発言であります。村田経済産業次官というのも金利上昇の意味が判って話をしているのかと小一時間問い詰めたくなるお方だと思いますが、自分の所が資金絶賛大余剰のせいか全然金利上昇を意に介さない経団連会長という人も毎度お馴染みの自社の立場での視野狭窄的発想で大変に香しいものを感じる訳であります。税金散々突っ込んで道路網を整備し、為替市場まで散々介入して随分国から恩恵受けてる筈なんですがこの視野狭窄っぷりには豪快ですな。

という話は兎も角、昨日の債券市場では、引け後に先物が一気に買い戻しモードになり133円台まで売り込まれた債券先物が134円20銭近辺まで復活。この復活は昨今の金利上昇に対して懸念を深めるも孤軍奮闘モードとなっている財務省の林事務次官の発言がきっかけとなっているようです。情報ベンダーによりますと、「金利の上昇はいかがなものか」「金融政策決定会合で日銀に実質的な金融緩和になるような政策を財務省としてお願いしたい」というような趣旨の発言が出たことになっております。

財務省激怒激怒大激怒の巻といったところ。近日中にご紹介しようと思って読んでいる財務省発の資料なんかを見ますと、財務省は金利上昇による本質的な問題点、すなわち「この時点での金利上昇が起きると財政が持たない」という点に関してかなり深刻に受け止めているようですな。で、困った事に他の皆さまはこの問題点に関しては何故かスルー状態。

量的緩和政策の長期化と財政による各種セーフティーネットの拡充によって、金融政策と財政政策が既に一体不可分状態になっており、不用意に金融引締めを行うと財政危機が表面化するというのは正に笑えないけどお笑い状態としか申し上げようがありませんな。


○財務省の要望は通るのかという愚考

さて、そんな訳で財務省のお怒りが伝わって「こりゃまた実質的な金融緩和になるような施策でもでるのか」という思惑(というよりはショート筋の買い戻しの言い訳だと思いますが)なのか上昇した債券市場なのですが、昨日の今日で何か役に立つ施策が出てくれるのかと言えばそれは期待薄な訳であります。

先日ご紹介した須田審議委員の講演録で、金融政策決定会合がどんな感じで会合やっているのかという話がありましたように、『金融政策決定会合の資料は、会合の2営業日前に手元に届きます』なんて感じですので、今回は皆さま『月報や展望レポートの基本的見解の文章表現についても、自分の見方と違うところはないかチェック』するのに中々お忙しいのではないかと思います(^^)。で、いみじくも同じ講演録にありますように、『準備なしに特定の問題について突然議論を始めても、全ての話題について質の高い議論をする自信はありません。また、他の委員の意見を聞いてその場で判断を大幅に変えるということもまずあり得ません。』何てところですので、まぁ本日いきなりちゃんとした政策として何かが出てくると期待するのは期待薄かと。『他の委員の発言に対してその場で意見を述べることはあるものの、本格的にその意見に対応したい場合には、次回の金融政策決定会合で対応しよう、ということを考えます。』という事ですからね〜。

で、そういう意味では前回議論に出てきた(と思われる)インフレ参照値云々というお話が出てくるのかも知れませんが、まぁ時期尚早もいいところのお話(時間軸強化に使うという話では無い筈)でしょうな。

ちなみにドラめもんでご紹介しなかったのですが、春審議委員は6月3日の記者会見で『インフレ参照値という形で中央銀行が望ましいインフレ率を示すということは、確かに金融政策の透明性を増すという意味では効果があると思うが、米国や英国における例などを考えると、本当に市場の安定性を増す効果が同時に期待できるのか疑問もある。』と発言しております。まぁ岩田副総裁と精々中原審議委員あたりだけしか今のところインフレ参照値に対して積極的な向きはないと見られますので、時期尚早も時期尚早ってところではないかと存じます。念のため。


○ここで突然告解のコーナー

最近過去の駄文を絶賛整理中(これがまた七面倒くさいので遅々として進まん。自分の駄文を読み返していたら、あたくしもまた「CPIの呪縛」にずっぽりと嵌っていたことに気がつき激しく赤面する訳であります。

自らの不明をさらけ出す引用を赤恥大爆裂ですが引用して反省しましょう。あたくしはこのドラめもん本職な訳ではない(だいたい1銭にもならない)のですが、一応本人としては(文体は不真面目ですが)大真面目にやっている積り。で、どこぞの債券ストラテジストあるいはアナリストみたいに前と全然違うことを強弁するのも如何な物かと思いますので。

ちなみに、1月30日の衆議院財務金融委員会質疑における民主党津田委員に対する福井総裁の答弁をネタに3月10日に書いた駄文です。最初の部分は「出口政策」に関する福井総裁の答弁です。

(ここから)
『CPI、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでというものは、私ども、当面の非常に重要なゴール、目標といたしておりますけれども、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%以上になれば、すぐ、均衡ある、将来望ましい日本経済の姿になるかどうかということとはまた別問題。その先、本当に均衡ある日本経済の姿、いわゆる最終的なゴールに行くまでさらに距離があるかもしれないというふうに思っていかなきゃいけないと思います。したがいまして、そういう意味では、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上に達するというのは、一つの通過点であるかもしれないということでございます。』

この発言が「あらら?」と思わせる内容でした、この部分を読みますと「CPIがゼロ以上になっても量的緩和を続けるのか?」というお話になります。まぁ量的緩和のコミットメントが出た頃から「CPIゼロ以上は必要条件であって、CPIだけで量的緩和を自動的に終了させる訳では有りません」という事は言われていましたが・・・・・

またお得意の「サービス発言」が出てしまったという所なんでしょうが(以前も同じ事を言いましたが)自分たちで「CPI時間軸」を改めて明文化したのに、せっかく明文化した時間軸の条件に余計な「均衡ある日本経済の姿」という具体的に何を意味するのか判断に苦しむような条件を加えてしまってどうするんでしょうか。
(終了)

ああ自分で読み直して実に恥ずかしい文章。こういうのを「穴があったら入りたい」と申す訳でして(超大汗)、あたくしもまた「CPIの呪縛」に嵌っていた事が良く判ろうかと思います。

しかし良く良く見るとこの総裁答弁にも問題がある訳でして、『消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上に達するというのは、一つの通過点であるかもしれないということでございます。』などと言ってますが、実は「かもしれない」ではなくて「一つの条件に過ぎない」のでありまして、『将来望ましい日本経済の姿』とかいう抽象的な表現ではなく「最終的な判断は必要な条件が満たされた後に総合的に判断する」とコミットメントにも書いてある通りの事を繰り返していれば良かったのではないかと今更ながらに思う訳であります。

ラストワンマイルがどうのこうのとか格好良いフレーズで耳障りの良い話をするのがお好きなようですが、市場の不安定化を抑える為には「ぶれない」「愚直」な姿勢を見せるのも必要ではないかと、もはや事ここに至ってはどうしようもないですが思う訳であります。

しかもこの「将来望ましい日本経済の姿」発言がでたのが1月30日というまさに債券市場の金利低下祭り華やかなりし頃だったというのが、タイミングの悪さを彷彿させていただきまして大変に血圧の上がる思いであります。言うなら金利がじりじり上昇している5月の終わりごろでしょうに・・・・・

と、告解しつつも結局総裁に矛先を向けるというせこい事をしているあたくしでありました。


○何だかな〜

もしかしたらもう議事要旨が出ているのかも知れませんが、昨日実施された国債市場懇談会では「最近の金利上昇は景気回復期待を背景にしたものという意見が大勢」だとか「物価連動債の年限多様化や変動利付国債の年限多様化の意見が出た」というお話になっているようですな。情報ベンダーで吉野座長のコメントとして出たものを見ますと。

あたしゃ国債市場懇談会に出席できるような身分ではないので、なんとかの遠吠えもいいところですが、過度の金融引締めを織り込みに行っている債券市場という現状認識だとか、じゃあ何故このような過度の引締め織り込み相場になるのかというような意見開陳っつーのは無いんでしょうか?

それとも市場懇談会参加の有力業者様は皆さまこの金利上昇(長期ではなく中短期)は全然オーバーシュートでも何でもなくあるべき姿だと思っているのでしょうか????ど〜も訳がわからんところであります。つ〜か何の為にやっているんだこの懇談会??と思ってしまう所です。

まぁ遅くとも本日中には議事要旨が出ると思いますんで、そっちを読んでみる事にしますが、なんとも釈然としないところでありました。そういえば「国債購入者層の多様化」という話はどうなったのでしょうか。こちらも楽しみ。




2004/06/14

お題「相場四方山話」

○先週末の債券市場

先週末の債券市場、途中からは完全に2年〜4年ゾーンが一番しっかりという展開。特に5年ゾーンなんかと同じ勢いで利回りが上昇していた3年ゾーンが相対的に売られすぎになっていたということで最も堅調な推移となりました。

とは言いましても、前場と後場にそれぞれ1回ずつ先物の下げと共に「おいおい大丈夫か」という動きになる事もありまして、中々ヒヤリとさせるものもありましたので、ま〜中短期の地合いについても必ずしも予断を許すものではないかとは思いますが。

それよりも驚きなのが長期、超長期ゾーン。

「利回りの絶対水準に着目した買い」ってのは利回りの絶対水準が高いより期間の長いゾーンに入るってことですから、まぁここ数日の「金融引締め織り込み相場(なんたるアフォな話だ)」では中期債が引っ張って下落する故に長期債、超長期債がやたらと堅調だったということではあります。

で、散々堅調になった超長期やら長期ゾーンが先週末は入替ベースだか何だか良く判りませんがいきなり大崩壊。それまで散々堅調推移をしていた反動なのか、先物上昇しているのに20年債なんぞはあれよあれよという間に売られまくりという実に香しい展開。こうなってくると「20年国債入札がもうすぐありますな〜」なんて事も言い訳に使われるわけで、まぁよくやりましたというイールドカーブの動きになりました。


○利上げモードのオーバーシュートの反動

昨年の9月(というか8月末)には「利上げ織り込みモード」というか「VaRショック」によって大手銀行様を始めとした銀行勢の投げスパイラル現象という凄まじい相場が起きまして、瞬間最大風速で2年債が0.28%、5年債が1.035%まで売り込まれました。で、日銀総裁が「量的緩和を断固として継続する」という意思表明を講演で行った為にパニック売りが収まった訳です。

で、この時に何が起きたかと言いますと、まぁ連日のように起きたのが「イールドカーブ大暴れ合戦」でございました。相場の全体水準が方向感を持ちながらイールドカーブが動くのであれば、まぁ上がったり下がったりする間の程度問題なので仕方無い面もあるのですが、先週末の債券市場のように「中短期債は利回り低下なのに長期債は変わらずで超長期債は何と利回り上昇」みたいな間の抜けた相場が暫く続く事になるかと思います。

そ〜いえば昨年の9月にも「オファーサイドで売った筈の10年新発債が何故か20銭先物が下がっているのに同値でしか買い戻せない」などというような大変に血圧の上がる展開がありました。特に昨年9月は相場大崩壊後の復活場面と債券先物の中心限月交代がぶつかりまして、大変な相場が日々続いた(実はその週夏休みでのうのうと相場の見えない所へ遊びに行っておったので良く判らんのですが)わけで、まぁ一旦相場が壊れてしまうとその治癒には時間が掛かるという物であります。

恐らく、20年国債入札の後で暫く入札がないので、そのあたりが落ち着きどきなのではないかと思います。


○まぁ相手にされてないから良いようなものの・・・・・・・

朝のテレビニュース番組によりますと、竹中大臣が長期金利上昇について相変わらず「景気回復を反映した前向きなもの」っていうようなお話をしているそうな。まぁ懸念発言もしていたようですが、竹中大臣の御○放送局様がおんみずから「長期金利上昇に楽観的」と報道するようですので、ニュアンスは「ノープロブレム」って奴でしょう。

このセンセイ、妙な所で市場万能主義みたいな所がありまして、どうも市場というのは勝手に暴走する癖があり、横並び意識が強くて巨大化が進んでいる日本の債券投資家の行動様式がそれに拍車をかけて無駄にオーバーシュートするという認識はないようです。市場は常に将来を織り込んだ均衡価格を形成するとでも思っているようですな。

ま、そう考えればこの債券市場の状況もノープロブレムなのですが、ご存知のようにインチキレポートにまんまと嵌って金先市場で集団自殺が起き、その流れが債券市場を直撃するという実に馬鹿馬鹿しい動きが起きるような市場でありますので、竹中大臣さまのようなナイーブな発言は実に困ったものであります。その前に林財務事務次官、谷垣財務大臣が立て続けに「金利の急激な上昇は好ましくない」と発言。しかも「長期金利」では無く「金利」と言って「金融引締め織り込み相場はケシカラン」という意図を伝えるという芸の細かさまで見せてくれているというのに、こ〜ゆ〜アフォが余計な事を言うと見事にぶち壊しになるので勘弁していただきたいものであります。

そういえばこの大臣、昨年の9月にも大暴落の最中に同じような金利上昇容認というか楽観発言をするわ、10年長期国債入札の結果発表で相場が動く時に唐突に「新型国債の発行がどうのこうの」などと間抜けな発言をして債券市場の崩壊に大いに貢献した前科がございます。まぁ発言が余りにも間抜けなので債券市場でこの人の言うことをまともに相手していても仕方が無いというコンセンサスが形成されているらしいのが唯一の救いであります。

困った大臣ですな。全く。


○ところで長期金利上昇して大丈夫なの?

毎日まとめは似た話なのですが、現在の経済状況って確かに景気が循環的には回復しているのかも知れませんが、民間部門の問題を産業再生機構のような機関にぶち込んだり、破綻金融機関に無理矢理税金を突っ込んで穴埋めしてみたり、その他信用保証協会やら何やらとセーフティーネットを政府部門の負担で張り巡らせているという意味において、単に「民間企業部門の問題を政府部門に付け替えて問題の延命を講じているに過ぎない」という構造的な問題を抱えているとしか思えません。

だいたい、景気が回復しているのに財政赤字の拡大が留まる事を知らずって事は、民間部門の黒字を出すために財政部門が絶賛大赤字を垂れ流しているという構造になっていることではないかと思ってしまう次第でして(激しく単純な理解で本職の人が聞いたら大笑いされそうな論理ですけど)、そんな中で金利をホイホイ引き上げた時に財政が持つんでしょうかね〜???とっても不思議です。

金利を上げると財政が持たないので、増税をするか財政を絞るかって話になりますが、所詮財政底上げ景気でありますので、どっちにも耐えられなくなって景気腰折れ→また金融緩和→振り出しに戻るの図、って感じですか。何回かやっているうちに着実に体力が落ちてきそうな流れですな。

ま〜どうなることやら。一応本件には秘蔵のネタも熟成中ですが、秘蔵なだけにとりあえず熟成終了したら出すかもしれません(^^)。





2004/06/11

お題「CPIの呪縛」

○昨日の債券市場

昨日の債券市場、朝っぱらからまたも金先やスワップが叩かれてしまい、現物債市場では超長期ゾーンは前日比変わらずだったり前日比利回り低下と買い優勢なのに、中短期債はボロボロ。3年〜4年ゾーンあたりが一番利回り上昇幅が大きいという展開を連日やってしまいました。

しかも質の悪い事に、前場安値をマークした後に反発して「やっと安心か」と思わせておきながら、後場になりまして2年〜4年ゾーンがもう一発売られる有様。市場予想比強い数字が出た機械受注(こんなブレの大きい経済指標でも反応するようになった債券市場はやはり「政策変更警戒モード」なのですが)の発表後には業者間取引のスクリーンで見たお値段としては、2年ゾーンで前日比+5BPだの3年ゾーンで+6BPだのという見事な売られっぷり。大引けにかけてはさすがに2年ゾーンの+5BPなんぞはやりすぎでしょうという感になったのか買いが入るようになってきました。

一応ミニセリングクライマックスをやったような雰囲気もあるのですが、今一歩灰汁抜けって感じもしないので、まぁ何ですな。どうにもこうにもって感じです。恐ろしいことに2年新発債が0.25%をマークってもう思いっきり金融引締め織り込み相場になっている所がすげぇ所です。もうアホかと馬鹿かと。

まぁ絶対水準利回りの上昇を見て買いが入るのは、当たり前ですが期間の長い物から順にって事になりますので、昨日の債券市場では20年や10年どころか、5年ゾーンよりも3〜4年ゾーンの利回り上昇がでかいという実に涙の出るような動きになりました。


昨年の債券相場絶賛大暴落炎上大会の時は、2年新発債が瞬間0.28%(だか27だか)まで売られてしまい、マーケットメーカーをあ然とさせましたが、とうとうその水準にまで接近している訳でして、昨日のドラめもんで申し上げた「マーケットメーカーそんなにロングじゃないでしょ」という見方もそろそろ怪しくなってきたかも知れませんな。さすがに2年新発債の0.25%が叩かれるようでは、どこぞの業者の店頭では売りをぶつけられている(のでそのままあるビットを叩く)と見るのが妥当なような気もして参りますわけ。「大本営被弾!」「そこにある業者間スクリーンのビットを叩け!」ってな感じかと。

ちなみに、0.95%で一旦抵抗した感のある5年債ですが、単利ベースの昨年安値は1.035%(ただしあたくしの手控え帳ベースですが、まぁその辺ですので)でした。うーむ。

まぁこの辺まできて尚も2年ゾーンなんぞの叩き売りって事になりますと、昨日申し上げた「偉い人の売り指令」という最終兵器の炸裂が懸念される(既にちょこちょこ出ている雰囲気でありますが)ところであります。ときあたかも週末でありまして、一番危険なお日柄ではあります。

「コツン」と来た気もするんですけどね〜。



○チグハグな期待形成のやり方

ここへ来て一気に「金利上昇は当然の帰結」という論調が増えてきた感のする債券市場。「世界的金融引締め」と言ったお話やら「景気回復での当然の金利上昇」という話なんかが出てきました。

将来の期待インフレ率とリスクプレミアムを織り込む形で長期金利が何となく上昇するのはある程度自然な流れなのですが、またまた長期金利の上昇を見た短期金融市場が「金融引締め織り込み相場」を演じてしまうというのは昨年やった相場とまるで同じパターン。

で、CPIターゲット達成でいきなり金融引締めになるのでしょうか?


量的緩和政策の実施にあたって「期待に働きかける政策」ってことで「量的緩和政策は消費者物価指数が前年同月比ゼロ以上になるまで継続」というのと「緩和政策の終了にあたっては総合判断」というのは量的緩和政策実施時に当時の速水総裁が記者会見の質疑でこのように言っている訳ですな。

CPIがゼロ以上になるまで緩和政策を続けるという「時間軸の定量的目標(あたくしが今勝手に作った造語)」はこちらの質疑がそのものズバリです。

『(問)仮に何年か後にインフレが生じた場合に、インフレの局面でも同じように金利よりも量的なコントロールで金融政策を動かしていくのか。』

『(答)それは今申し上げたように、インフレ率、CPIが前年比ゼロを上回って、安定的になっていった場合にはこの政策は止める。アメリカの場合も確か3年ぐらい続いたと思う。逆の政策であるが。』

で、その判断は最終的に総合判断ですよっていう「時間軸の定性的目標(これも造語)はこちらですな。

『(問)つまり、どのくらいの期間で判断するのか。(この前の質問で「消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで」というが、そうなるにはどれくらいの期間を要するのか、というのがありまして、その繰り返しの質問です) 』

『(答)それはわからない。これからどのようになって行くか。「安定的に」という判断は、機械的にどういうもので決めるという基準を設けているわけではない。総合的な判断で、「これなら大丈夫だ」となった時には、このデフレ対策はやめることになると思う。』

これは速水総裁(当時)の質疑応答ですが、政策の枠組みに関しての変更はこの時から変更があった訳ではないので、時間軸の定量的目標にも定性的目標にも変化無く、この双方の目標が達成(というか、定量的な目標が達成されてから定性的な目標が達成されているかどうかを総合判断するのですが)されないと量的緩和政策は終了しないって話は変化がないはずなのですな。


然るに、昨年の株価底打ち反転で政策委員会大はしゃぎ(かど〜かは知らんですが、部外者から見るとねぇ)の巻で、時間軸の定量的目標の達成まで遠い状態なのに「将来の金融政策はどうのこうの」という出口論が飛び出してきて「CPIが安定的にゼロ以上になるまで量的緩和する」という肝心の部分の信頼をなくさせる話で債券市場大炎上。早期利上げを何故か思いっきり織り込みに行って相場大崩壊となりました。

で、その大崩壊への反省ってことで「コミットメントの明文化」という屋上屋を架すようなことをしたのですが、この時には行きがかり上「総合判断」の話よりも「CPIがゼロ以上にならないと量的緩和を解除しないんだからまぁお前ら落ち着け」という話を前面に打ち出さざるを得なくなって仕舞った訳ですな。

その後、株価は上昇して景気判断も前進させているのに何故か当座預金ターゲットを拡大するという論理的整合性が無い政策を打っているうちに、やっとCPIがゼロ近傍にやって参りました。すると今度は以前に「CPIゼロ以上になるまで量的緩和継続」というのを悪魔払いの呪文のようにやたらと強調して市場参加者の皆様を呪縛にかけた効果が逆に作用して「すわ緩和解除で引締めじゃ」という話になるというのは、まぁ皮肉であります。

本来は時間軸効果には「総合判断」という定性的目標もある筈なのですが、過去にあたくしが散々悪態をついたように「論理的整合性の取れない当座預金残高引き上げ」を連発してくれた前科がここで絶大なる効果を発揮する訳でして、「日銀はああ言っても結局何をやるか判らない」というそこはかとない不安が市場参加者の間にある(と思いますがどうでしょうかね)ので、目先話題の「量的緩和後の政策の枠組みがどうのこうの」とか「インフレ参照値がどうのこうの」とか「CPIターゲットの引き上げ」だとかいうような議論に巻き込まれていく間に「ああ、量的緩和はそろそろ終わりですな〜」って雰囲気が日銀の意図しない所でどんどん一人歩きする訳ですな。

まさに日銀またまたマッチポンプの巻って所であります。


資金循環上では政府部門からの公共投資は減少していますが、まぁいろいろな形で財政のステルス出動やら見せ金形式でのステルス出動(=財政の張ったセーフティーネットですな)が行われて下支えしている経済状況。プライマリーバランスの達成どころか新規国債発行額の増加傾向も変わらずという中で本格的な金利上昇が起きれば、財政の発散を抑えるために増税をするか財政を超緊縮にするのかを選択する必要がある(しなけりゃ財政インフレで破綻)わけで、その状況に耐えられる状況に日本経済があるのかという「総合判断」が求められるのではないかと思いますが、どうも「循環的回復」と「一次産品の価格上昇」のほうばかりに目が行っているのではないかと思ってしまう次第であります。


毎日同じような話で恐縮ですな。ちゃんとまとめないといけないんですが。




2004/06/10

お題「またやってしまった叩き売り相場」

昨日の債券市場、普通のリズムで言えば反発する筈なのですが、朝からユーロ円金利先物市場がアフォのように下落、どっちが先なのか良く判りませんがスワップ市場で2年〜4年ゾーンが崩壊して、そのあたりの現物国債も叩き売りモードとなりました。まさか5年よりも3〜4年の方が利回り上昇幅がでかい状態になるとは思いませんでした。まさに利上げモードというもうアホかと馬鹿かという動き。

まぁ色々なことがあった昨日の市場。順不同で色々な感想ならびに見解をつらつらと。多分一本一本の内容を極めて良心的かつ真面目に書き出すとそれだけでまともなレポートになりそうなのですが、とりあえず本日は言いたい放題モードで参ります。

○また銀行か!

昨年の絶賛大暴落相場で、2年債の0.15%あたりから「量的緩和政策が早期に終わる訳ねーだろ」と後から考えればどう見ても正解な発想で証券会社のディーラーはこのあたりのゾーンを買い向ったものですが、信じがたい事に瞬間0.27%まで下落するという相場で皆「何じゃこりゃ」と投げされられて驚くべきやられになってしまったという経験があります。そのせいか、証券会社のディーラー、要するに店頭でまともにマーケットメークをしている業者は昨日の相場大下落で買い向っている雰囲気は見られず、ま〜冷笑しながらポジションのリスクを確認していた(ここ数日の動きから言って、5年新発債で無駄な落札をしていない限り中期債でパンパンのロングになっている業者はいないと思われます。つーか5年落としすぎていてもヘッジかかって入ると思われます)って感じなのでしょう。

どうもこの年限を派手に売るとなると、自己資金豊富かつスワップ市場などでのヘッジが円滑にやりやすい銀行さまの姿が浮かんでくる訳ですな。証券会社ってのは何だかんだといっても手元流動性の問題がありますので、あまり「自己資金運用で中期国債を買う」という発想にはならないのですが、銀行業態ですとディーリング勘定であってもそういう発想が出やすいので、中期債の持ちがそこそこあったのではないかと思います。で、また大遠投合戦で見事に炎上されたのではないかと思い、痛惜の念を禁じえないものでございます。


で、昨日朝っぱらから絶賛大暴落祭りで炎上合戦を演じていたユーロ円金利先物市場ってのは物の見事にスペキュレーターしかいないというまるでどこぞの国の商品先物市場のような市場であります。で、本来「将来のTIBOR3ヶ月物」を取引している筈なんですが、昨日の中心限月の終値(だと思いますが久々に見たのでもしかしたら単に夜7時の価格かもしれませんが)が99.80でございますが、この意味する所は「来年3月中旬(最終清算日いつだかわすれました)のTIBOR3ヶ月もの(国内円だかユーロ円だかも忘却していますが、この議論では大きな問題ではない)金利が0.20%」という事であります。

ということは、この値段を真面目に売買しているスペキュレーター、ちなみに殆どバンクディーラーの皆さんですが、この方々は「来年春には量的緩和解除、しかも解除後の足許金利は0.25%」というまぁ激しく想像を絶する水準を真面目に売買しているという事になるわけであります。昨日馬鹿馬鹿しく叩き売られた債券市場で2年国債が0.20%をマークして市場参加者が全員あぜんとしていたのですが、それですら0.20%な訳ですから、もはやこの「来年3月の3ヶ月もの金利0.2%」というのは何と言うかもうアホかと馬鹿かと。

実需筋の入らないマーケットというのは斯くの如しという事かもしれませんが、短期金融市場は銀行の市場業務の根幹なんですからもうちょっと物を考えて売買して欲しいものです。他の限月なんてもっと滅茶苦茶な値段で売買されていますが最早論評する気も起きませんな。


で、一番困るのは、こういうユーロ円金利先物市場の価格を捕まえてどこぞの経済新聞社あたりが「金融市場、来年の量的緩和解除を織り込む」などとアフォな見出しを出す事でしょう(ちなみにあたくしは全然読んでませんので、本当に今日の見出しがそうなっているかは存じません)な。で、その新聞記事を見た「偉い人」が現場に向って「量的緩和の解除が近いようだがちゃんとヘッジはしているのか」とか言いだして東京大空襲状態になる事ですな。

それだけは勘弁いただきたいものです。



○いかがな物かと思うレポート

最近出来た豪華ビル(事故で有名ではないほう)にご入居のどこぞの外資系証券会社様の有名なお方が、6月7日に武藤副総裁がロンドンで行った講演の内容を見事に換骨奪胎した素晴らしいレポートをお出しになられたそうで、昨日はそれもまた市場の話題になっておりました。そのお方によれば、一昨日の相場下落(5年国債入札の日)も武藤副総裁のスピーチのせいだという事になっているという大変な作品。

何でも、そのレポートによれば、武藤副総裁は「コアCPIが数ヶ月続けてプラスとなれば、我々の金融政策スタンスは変わるだろう」と述べて金融市場に「武藤ショック」を与えたという事になっております。

で、その講演ってのは英語で行われていまして、内容も別に特筆すべき事ではなかったので、日銀も訳文をWebに上げていなかったのは不覚といえば不覚だったのかもしれません。何せ日本語ページからでは判らない所にこの英文原稿がありましたので、あたくしも人から教わるまでこの講演の原稿の居場所がわかりませんでした。

http://www.boj.or.jp/en/press/04/ko0406a.htm

問題の部分はこうです。インチキ和訳の文責はあたくし。

Of the three features of the current monetary policy, let me elaborate on the second one: the Bank's policy commitment.

この前の部分で、現在の日銀がやっている金融政策を3本柱で説明しています。量的緩和政策、緩和のコミットメントによる時間軸効果、緩和政策の波及効果を確実にするために行っている証券化市場の育成、の3本でして、ここではそのコミットメントに関しての説明をすると言っているようですな。

In this commitment, the Bank will maintain quantitative easing until the core CPI registers stably zero percent or an increase year-on-year.

このコミットメントではCPIが安定的に前年比ゼロ以上になるまで日銀は量的緩和を続ける、と言っているようです。

More specifically, before the Bank considers terminating quantitative easing, certain conditions must be met: the core CPI inflation has been positive over a few months and it is forecast to remain positive in the future.

で、ここが問題の部分なのですが、あたくしの英語力によりますと、『日本銀行が量的緩和政策の終了について検討をするためには、「数ヶ月間に渡ってCPIのプラス基調が続き、将来に渡ってプラスであるという見通しが立つ」ことが必要である』としか読めないのですがどうでしょうか。

だいたい量的緩和のコミットメントには「量的緩和はCPIにペッグする」とは一言も書いてないのでありますし、今まで毒にも薬にもならないというか自分の個性を全然打ち出さない発言や講演しかしていない武藤副総裁が、わざわざ海外で金利が急上昇するような爆弾発言をする訳は無いというのは、ある程度真面目かつ不真面目に日銀ウォッチをしているあたくしであっても理解できる訳でして、「武藤ショック」などと書いた著名外国人ストラテジスト(なのか?)様はなに考えてこんなレポートを出したんでしょう。

無知で書いたとすれば只の馬鹿ですし、知っていて書いたなら為にする悪意のレポートと言われても仕方が無いかと思われます。だいたい上記の英文をみると「武藤ショック」と言われるようなお話はありませんし、全文読んでいるわけではないですが、とりあえずその手の爆弾発言は特にない講演原稿でありました。まぁ英文なのですぐに気が付かれないのを良い事に換骨奪胎したという解釈なんですがね。

と、散々書きましたが、実はあたくしはレポートのダイジェスト見たいな部分しか見ていませんので、もしかして「レポートなるもの」が勝手に一人歩きしているのかもしれません。もしそうなら(とは思っていないが)上記の罵倒部分は慎んで撤回し陳謝する積りです。



○そもそもCPIを強調しすぎ

時間と分量の都合かつ考えがまだ発散中なので続きは明日、なのですが、とりあえずこの騒動で言えることは、

「みんなCPIの数字ばかりを意識しすぎ」

ということでしょう。本来金融政策は単一の経済指標にペッグして運営するようなものではなく、物価や雇用、日本の場合は資産の中で大きなウェイトをしめている不動産の動向やら貿易収支など、まぁ兎に角いろいろな経済情勢を総合的に判断して運営されるべきものであります。

それを昨年10月に追い込まれるようにして「量的緩和のコミットメントの明文化」をした際に「CPIターゲット」を悪魔払いの呪文のように強調してしまったのがまた問題。CPIがマイナス基調絶賛継続中のときは問題なかったのですが、ターゲットが近づいてきたら「コミットメントのゼロを変更するのも手段」だとか「インフレ参照値(と称する物)の導入」だとかもうCPIゼロに対する恐怖感に立脚するアフォな議論が横行する破目になってしまいました。

本来政策は総合判断。「わかりやすい政策プロセス」が不要とは言いませんが、「わかりやすい」=「単純化」ではないでしょう。その辺の迷走が現在の金融市場の大疑心暗鬼状態の一因を担っている訳でして、まぁ日銀(というか政策委員会)の自業自得でもあるのですが、自業自得を笑ってはいられませんな。

この調子で、また変なことをやりだすのが一番のリスクですな。全くもう。

(この項はもう少し考えと論点の整理をしたいと思います。相場が暇なら^^)




2004/06/09

お題「今日は相場その他の雑談で勘弁」

本職でありまする5年国債の入札、まったくもうエライコッチャでありまして、さすがに疲弊いたしておりますので今朝は軽く雑談。

○値持ちしない入札リターンズ

昨日の5年国債入札、前場の引けにかけて5年既発債やら6年ゾーンやら見事に弱い中で入札を迎えたのですが、あまりにも順調に前場に中期債が弱くなったので、事前ヘッジのショート筋が「どこで応札しても利食いですがな」という状態。応札姿勢は「ショートカバーの高めの応札」+「在庫手当にやや安目の応札」と予想されたのですが、またも妙に強めの結果になりました。

で、落札結果発表後には散々乱高下しましたが、ふと気が付いてみると前場の引けよりやや安目のところまで先物6月限が戻る中で、新発5年債が0.83%あたりの出合いとなっておりました。前場引けより上昇しても0.825%のオファーが買われずという実に情けない入札。

何せ入札の最低落札価格を利回りに換算すると0.82%でございまして、この入札は物の見事に一度たりとも利が乗らないままという実に素晴らしい入札になってしまいました。前回の10年債では一応お助けシーンがありましたし、先物なり中期債なりでヘッジして今まで引っ張れば、まぁ何の問題もありませんでしたが、この5年債はどうなってしまうのでしょうか?

総じて、碌でもない入札をやった債券というのは後々までロクデナシ銘柄となって嫌われる傾向があります。落札して不良在庫が残ってしまった業者の大安売りセールが出るために、安目に買えた投資家様が多くなり、コストが良いので利食いの売りが出やすいって事なんでしょうな。


で、まぁこの入札が弱い背景は色々と説明できそうですが、あたくしの感じる印象としては、

(1)5年債の主力投資家である大手銀行様がここへ来て益々リスク回避傾向が強くなってきており、利回りの変化が結構ある5年債を投資する気分になっていない(ここまで来たら5年債でも変動利付国債でも同じだと思うが)ようですな。

(2)大手銀行様の積極的な動きが乏しいので、入札で瞬間的に捌けるという美しいパターンが崩れ、「入札で捌けないのでセカンダリーが安くなる」→「待てば安くなるので入札前後でのニーズが減る」→「ますます入札で捌けなくなる」→「マズー」という悪循環サイクルが始まる。

(3)にも拘らず、国債市場特別参加者募集絶賛キャンペーン実施中なので、落札実績確保をしたい大手業者が入れ替わり立ち代わり割高な水準で応札を行うので悪循環なのに割高。しかも悪循環サイクルが意識されるので、逆に「酷い目に遭う前に早めに実績を確保しておきたい」という意識が起きやすい。

という感じなのでしょうか。相場観だのグローバル物価上昇だのという話が勿論根底にあるのですが、局地的な部分を見るとそんな気がします。

しかし何ですな。単にショートカバーだとか落札結果発表後に即刻買いに来る分の在庫を押えるとかなら別なのですが、在庫を抱えることが確実なほどのロットを無駄に高値入札をして落札して、結果その反動で入札後に値崩れを起こすという現象を続けていると・・・・・発行側としてはわざわざ割高(=発行コスト安)で落札してくれるから良いのかもしれませんが、その後の円滑な消化がうまくいかないのであれば長い目で見れば発行側にもデメリットがある訳で、このアフォな消耗戦も勘弁していただきたいものでありますな。


○ちと怪しい2年〜4年の動き

日本相互証券発表の債券終値ベースでは何となくイールドカーブの変化はそれなりに滑らかになっているのですが、昨日の債券市場では、場中の取引を見ておりますと、個別銘柄の需給要因というのはありますが、どう見ても5年ゾーンの利回り上昇幅よりも3年や4年ゾーンの利回り上昇幅のほうがでかいという「中途半端な中期債」が売られるという実に胡散臭い状態になっております。

日中の2年債の動きも結構荒く、この年限にして昨日の日中に0.14%と0.15%の間を動くという状況。まぁ大体0.15%というのは一つのメドの金利でありまして、本気で金融引締めが視野に入ってこないとここから下を叩くわけには行かない水準(激しく単純計算しかも甘めの見積もりをしても、短期金融市場で資金調達して2年債投資をするとして、目先がほぼゼロ金利なのですから2年債が0.15%水準ならば1年後から短期金利が0.3%になって損益トントン)になります。

また、短期金利が引き上げになってその他の条件が全く変わらない(んな事は無いが)で、イールドカーブだけ平行に上方シフトが起こる(訳は無いが)とすれば、引き上げ幅一定ですから元々の金利の絶対水準が低いゾーンほど痛手がでかい(1.0%のものが1.2%になったら利回り2割高だが0.2%が0.4%になったら利回り2倍ですな)と言う事になりますので、金融引締め観測が真面目に考えられるようになると、イールドカーブ的な観点から言いますと2年とか3年とか言ったゾーンの債券は叩き売りモードに入りやすくなります。

逆に長期金利が先行して上昇するのは引締めが遅れるリスクを意識した場合という事ですので、まぁどっちにしても痛し痒しと言った所ですが、ここまでかなり頑張って堅調推移していた2年ゾーンが心理的な節目である0.15%を超えるようですと、日銀のケツに火がつくという雰囲気になってくるかと思います。


しかしど〜してここまで売り込むのかは理解に苦しみますな。まぁ落ち着けって感じがするのですが(^^)。



○勘違い世にはばかる

全然関係ない話。時々銀行話をしますが、昨日読者様と色々お話をしている内に「なるほど、そうだったのか」と思うことがありまして・・・・・・

りそな銀行の「窓口の行員を立たせてどうのこうの」とか「窓口サービスの為に航空会社のCAのおねいさんを講師にして研修させる」などという新企画に対してどうも違和感をもっておったのですな、あたくしは。で、あたくしは職員としても(インチキ企業の経営者の端くれとして)客としても銀行との接点があったので、まぁどっちの立場も気分的には判らんでもないんですが、この自称斬新なる新企画を好意的に報道するメディアの論調に激しく違和感を持つものの中々上手く説明できなかった訳です。

で、昨日の半分世間話で仕事の話していて目から鱗が落ちた気がした指摘はと申しますと、

「窓口の行員を立たせて経営状況が改善するのか、CAみたいな応対をしたから経営状況が改善するのか。経営悪化の原因は支店の窓口じゃないだろう。」

というご指摘でございました。

そもそも、りそなに限らず銀行の不良債権問題がここまでこじれたのは、マクロでいえば信用創造が銀行ばかりに集中しているという金融構造の問題であり、資産インフレを放置して無用に信用創造を拡大させたバブル期の金融経済政策の無作為のツケが回っているのでしょうし、個別銀行の問題で言えば窓口の一般行員がどうのこうのではなくて、融資業務における問題であり、融資の問題を引っ張ったのは経営というか企画というか、要するに本社経営部門の問題であって、現場は本社の言うなりに動く駒に過ぎないわけですな(だからと言って全員駒が免責になるわけではないのですが、念のため)。

内部ではちゃんとやっていると期待したいのですが、所詮駒、しかも不良債権問題とは関係ない現場支店の窓口一般行員に対して「意識改革がどうのこうの」とせっせと締め付けをする事に何の意味があるかといえば、結局はカムフラージュに過ぎない単なるパフォーマンス。これで、締め付けられるのが現場だけで、幹部は安全な場所で相変わらず督戦だけって状況になっているなら状況は悪化しているという事になる訳でして、どうもやりきれないものを感じます。

参謀本部が誤った脳内現実に基づく現状認識で立てた数々の作戦で、起きなくても良かった筈の犠牲を蒙るのは、訳も判らずに動員された一般兵卒やら現場の下士官という構造が重なるわけでして、まぁ以下自粛という所ですか。


そういえばどこぞの金融グループは過去の役員退職金を遡及して出すらしいという話がありまして、散々に叩かれておりましたが、退職金が遡及するなら経営責任は遡及しないんでしょうかね。どういうセンスしているのか知りませんが、仮にそんな話が俎上になっていたのであれば、関係者一同切腹ものではないかと思いますが。現場に散々締め付けやっておきながらどういう発想なんだ。


銀行を擁護しているように書きながら終わってみれば銀行経営批判の巻でありました(^^)。前と脈絡が無くてスイマセン。





2004/06/08

お題「入札に絡んでまとまりの無い話をつらつらと」

何がどうなってこんなに債券が下落してしまったのかが訳の判らぬままによくもまぁ下がりました債券相場。今朝はNY市場で米株高米債高。シカゴ日経225先物が11500ってことで、まぁ本日のNY市場分は既に昨日のうちに織り込んでいたという感じですから、東京の債券市場は昨日ほどの下げは無いとは思いますが・・・・・

○5年0.8%の滞空時間

本日の入札は昨日の引け近辺で入札をするとすれば概ね0.8%クーポンの0.78%〜0.79%近辺ではないかという感じ。ふざけた需給要因によって直近発行の5年既発債の利回りが、0.6クーポンの35回債と0.7クーポンの36回債で無意味にハンデがついていまして、適正水準がどこにあるのか激しく怪しい(入札前の取引は値付け合戦なので当てにならない)訳であります。

で、この「5年0.8%」という水準なのですが、非常に滞空時間の短かった水準であります。昨年の9月にパニック的に売られた時にマークしたのですが、日本相互証券の債券終値(ただし単利ベースで恐縮ですが)ベースで、昨年9月1日と4日、そして同じく0.8%クーポンで償還が3ヶ月延びる5年30回債の入札のあった日である9日と10日と僅か4日であります。この前後は相場としては上から急落していってあっという間に下にぶち抜けて再度戻ってまた下がって猛反発という実に驚異的な展開でありました。

で、これがまた惜しい事に、昨年9月の0.8%クーポン入札日の手控帳を見ると「休暇で旅行中♪」などという能天気な文字しかありませんで、ドラめもんのネタにしようとしていたあたくしは朝からしばし呆然とするのでありました。何があったのか判らんではないか。(どうもこの入札は所謂「不明札」が大量にあったそうですが)まぁこの後威勢良く上昇しているところを見るとさすがにこの時点での「5年0.8%」は量的緩和を前提にすると無理があったということでしょうか。


○今回の5年0.8%はどうなのか。

昨年の金利上昇は色々とテクニカルな背景はありますが、りそな銀行絶賛御救済スキーム大発動に端を発した株価上昇を背景に過剰な債券ロングの振り落としがあったという事が基本。この時には時間軸というものが存在しており、相変わらず消費者物価の下落基調の出口が見えてこないという状況にあるのに、何故か2年債の金利が瞬間最大風速で0.26%と1年後あたりに0.5%まで短期金利を引き上げるという所まで織り込む水準まで上昇しておりました(5年0.8%台の時はだいたい2年が0.2%近辺でした)。

よーするにですな、前回は「短期調達の投資家(要は大手銀行だが)が碌にヘッジをしていなかったので超越的振り落としが入った」というのと「量的緩和の時間軸への疑い(正確に言いますとマーケットが勝手に勘違いしているだけなのですが)」というのが背景にあったという事にしておきますと、今回の債券市場に関しては、「大手銀行を始めとする短期調達の投資家は既にデュレーションの短期化やら変動利付国債の購入などでリスク量は断然少ない」「量的緩和に関しては出口政策話があったりCPIプラスが近そうな雰囲気を出している」という違いがあるので、今回の金利上昇の方が前回と比べて遥かにまともな金利上昇であると言えるかと思います。

あくまでも自分勝手な想像ですが、景気回復(というか株価の上昇と物価の持ち直し)を背景にして長期金利がダラダラと上昇するのは「量的緩和解除」を展望すれば実は好ましいお話でありまして、それこそ「相場が勝手に織り込んでくれて市場後追いで緩和解除」というありがたや節状態になるのではと思う訳であります。

前回のゼロ金利解除の時は金融市場にいなかったのでいま一歩よく判らんのですが、残っている資料なんぞを見ると、どうも日銀がゼロ金利解除への期待を散々煽って市場が後追いした形になっていたようで、今回はといえば、徐々に出口政策の話なんかで雰囲気作りはしてますが、さすがに量的緩和解除モードを煽らず(というかゼロ金利に慣れてゼロ金利依存症になっているようですが)に何となく金利が徐々に上昇中って感じですから、まぁこれはこれで無問題かと。


○で、話し変わって現在の問題とすれば・・・・・

問題があるとすれば、連日この場で罵倒しているように、「ゼロ金利政策を長期化する事によって長期金利を抑制する事ができる」という激しく間抜けな理解に基づく「時間軸の長期化」論議があることですか。最近の「インフレ参照値」に関する議論の中には、昨日の日経金融新聞朝刊に代表されるように妙な誤解を元に論議しているものが多うございまして、「インフレ参照値=金融政策のCPIペッグ(んな事は岩田副総裁も言ってませんが)」であるかのようなお話もあって益々混乱する訳であります。

元はといえば中原審議委員が「CPI時間軸の0%を引き上げるという考えもある」という驚愕のアフォな話を講演でしたのが論議の混乱の始まりだったんですけどね。

先日の時事通信社による岩田副総裁のインタビューによりますと、岩田副総裁も「長期金利の跳ね上がりを防ぐ為に時間軸の長期化を強調するのは、景気回復期においては逆効果になる」という時事メイン「金融観測」コラム筆者氏の新語「カタパルト効果」についてご理解いただいたような節がありまして、もうちょっとまともな議論が今後展開されるのではないかと期待される所ではあるのですが、昨日の日経金融新聞を見ていますと、相変わらず日本経済新聞社様におかれましてはお判りではないようで。

別に日経新聞がお判りでない事には「アフォじゃの〜」と笑っていれば良いのですが、余計な事にこの新聞様の記事は金融市場に対して会議室から指示を出してくるという至極迷惑な「偉い人」たちに影響力がある大メディア様であらされるのでありまして、激しく困る訳ですよ。何とかしてくれって感じですな。



○おお!肝心の話をしていないではないか!!

と、入札の話をする積りが全然違う話になってしまいましたので最後に思いっきり目先の話。

並みの神経をしている業者は入札の事前ヘッジをそこそこにやっておりまして、しかも昨日の下げでは5年ゾーンもかなりの勢いで下落しましたので、5年を売りながら他年限を買ったりしてヘッジをしてもヘッジロスもそんなに出ていない筈。昨日の相場の下げの主役は中期債ではありませんので、別に5年を今慌ててぶん投げる必要のある人はいませんな。

発行量2兆円はしんどいですが、業者のショートカバーもありますので入札は問題無いでしょう。問題があるとすれば、前場中に「先回りの買い」とか言って買いに来るお調子者が出るリスクですが、前回の10年入札で先回り買いをしたお調子者かつ大馬鹿者のお方は、そのお蔭をもちまして入札がアフォのように割高になってしまい、「振り返ればノービット」状態を作った挙句に長期債火だるま状態という実に香しい結果を生み、高値入札に参加した業者もろとも見事に炎上という素晴らしい結末になりましたので、さすがに今回は懲りて参加しないと思うんですけどね。

とはいえ、ショートカバーニーズやら「5年0.8%の100円なら売れるでしょう」というつい先週10年の1.6%で同じような話をしていたような気がする根拠レスな安心感もありますので、まぁ入札自体は問題なく、最初に述べたように5年既発債の水準が不透明な点もありますので、結構堅調な入札になるでしょうな。

入札が堅調だからその後相場が上昇するかというと激しく疑問ですが。


では〜(^^)





2004/06/07

お題「春審議委員の講演」

ちと前の話ですが、6月3日に春審議委員が青森で「最近の金融経済情勢について」というお題で講演を行いました。この講演なんですが、景気認識と金融政策に関するお話でして、講演記録にしては珍しく箇条書き形式になっているので比較的見やすい(内容は兎も角)ものとなっております。

http://www.boj.or.jp/press/04/ko0406b.htm


○ダム論の展開と個人消費に関する認識

景気の現状と見通しという部分についてですが、上記のように箇条書き形式になっている(言葉使いは話し言葉なので、この原稿でお話をしたんでしょうが)ので、判りやすくて結構であります。ご一読をお勧めしつつも引用していきましょう。

景気の現状認識に関する項では、このお方も所謂「ダム論」のようなお話をしておりまして、「どこぞの景気回復の効果があちこちに浸透していく」というゼロ金利解除当時に言われていた「ダム論」的な論理展開はいまや日銀政策委員全員がお持ちになっているのではないかとまで思ってしまうような状態。

『また、「(注:日本景気の)先行きについては、景気は当面緩やかな回復を続ける中で、前向きの循環が次第に強まっていくとみられる。」としています。米国や中国など海外経済の高めの成長から、輸出、生産、企業収益、設備投資という企業サイドの前向きの循環が続くほか、企業収益から雇用・所得、そして個人消費へという家計サイドにおける前向きの循環も徐々に明らかになっていくことを想定しています。』

で、日銀が5月に公表した金融経済月報に関してもコメントしているのですが、その中では、

『日銀は、その後5月21日、5月の金融経済月報を公表し、その中で「わが国の景気は緩やかな回復を続けており、国内需要も底固さを増している。」としています。03年度後半は瞬間風速としては高めの成長を示しましたが、雇用者所得が下げ止まりながらもマイナスとなっており、個人消費の見極めが難しいことなどもあって「緩やかな」という表現を残しています。』

ということで「個人消費」をポイントにして「緩やかな」回復というお話になっているのですが、そのすぐ後に物価の先行きに関してこんなコメントをしている所を見ますと、春委員もまた景気回復に関しては強気派となっているようであります。

『また、消費者物価は一時的な要因による押し上げが解消する一方、消費の回復などにより基調としての前年比マイナス幅が縮小し、結果として当面小幅のマイナスで推移するものと想定しています。』

ついさっき「個人消費の見極めが難しい」と言っていた割にはその直後で「消費の回復」というところが中々楽しい講演ではありますが、一応春さんのために弁護しておきますと、最初の「難しい」というのは日銀の金融経済月報ベースでのお話で、後の「消費の回復」が春さんの意見に属する部分のようです、文脈を読みますと。


○景気回復への強気見通しなのですが・・・・・

で、まぁ今次の景気回復に関しては『ある程度持続性を持った回復となり、デフレ克服につながる可能性があると考えています。』というお話をしております。その理由としてあげているのが4点あるのですが、その4点を見ていると「うーん」と唸ってしまう所があるのです。

『第1に、回復を主導している海外環境が、米国に加えて、中国を中心とする東アジアという大きな柱があること、』

と言っていますが、さすがにこの点についてはこの後でリスク要因として米国の金利上昇や株価下落、中国の景気過熱の抑制の行き過ぎによる過度の景気減速や逆に抑制不足によるバブルの発生などを指摘しています。

『第2に、産業界の構造改革による企業収益の回復とともに不良債権処理の進展など金融機関の経営健全化も進んでいること、』

まぁそうかも知れませんが、本当に不良債権処理が出来ているのかというお話は産業再生機構のご登場やら、りそな銀行への公的資金絶賛大投入に見られるように、やや「?」をつけたくなる所ではあります。何と言うか色々な技を駆使して表面化をさせないようになってきているような気もするんですよね〜。まぁいっか。

『第3に、内需が公共投資主導ではなく民間需要主導であること、』

これはあたくしに言わせれば「明確に事実誤認」でしょ。確かに公共投資という形での財政出動はしていませんが、外為特会での米国債絶賛購入を始めと致しまして、りそな銀行への税金突っ込み攻撃に見られるように預金保険機構というこちらもまた特別会計の世界での大いなる税金投入ならびに、「いざとなったら救済ですがな」という「国による債務保証」状態など、一般会計を使わない形での大いなる「数字にでない公共投資」を絶賛実施中。

数字に出てこない公共投資によって外需が引っ張られたり、株式市場の絶賛モラルハザード相場を演出した挙句に時価総額上昇による企業やら個人への資産効果の発生やら不安心理の後退を招いているわけでして、現在はこのつっかい棒を恐る恐る外しているようにも見えますし、産業再生機構嬉々として大はしゃぎ状態だったり、ペイオフ前面解禁前にペイオフ制度の大いなる穴「当座預金全部保護」の拡大を推奨中なのを見ると、やっぱり数字にでない公共投資を絶賛続行中にも見えるし、よくわからんところなのです(判らないようにステルス化を進行させているんでしょう)。

本当に民間需要ってそんなに威勢良くあるか?ってのはどうも・・・

『第4に、今回回復の代表商品であるデジタル家電を含む高付加価値・高機能の家電や乗用車は、日本のモノ造りの技術蓄積を活かせる製品であると同時に、海外も含め家庭における幅広い需要が期待できること、』

よーわからんのですが、本当にそうなの??


○量的緩和政策の評価と今後の金融政策

金融政策に関してはそれほど新味のあるコメントはないので、さらりと流しておきます。

量的緩和政策の評価に関しては非常にシンプルでありまして、「資金繰り支援によって金融不安の発生を防ぎ、金融システムの安定化に寄与」というのと、「短期金利がほぼゼロ%になり、時間軸効果によってやや長めの金利が抑えられ先行きの金利予想も安定して、企業金融の緩和状況に寄与して経済を下支え」という2点になっております。もっとも簡潔な評価という感じです。

で、今後の金融政策に関して、「今後の量的緩和政策」という項でコメントしているのですが、春委員におかれましても、量的緩和解除が遅れるほうが金利の安定化に繋がるという大いなる勘違いがあるようで誠に残念であります。

『金融市場における、実体経済から離れた動き(引用者注:オーバーシュートした長期金利上昇によるオーバーキル)が生じないよう今後日本銀行としては、その時々の状況に応じて日本銀行の金融政策に関する考え方などを明確にお示ししていくことが必要と考えています。』

『将来、3条件が満足したかどうかの判断に当っては、早すぎず、遅すぎずが大原則ですが、私としてはどちらかといえば早すぎるリスクを重視して判断したいと考えています。』

という訳でして、時間軸効果ってのはその時間軸のゴールがまるっきり見えない状態にある場合には将来の金融政策の期待安定化ということで、より長期の金利の低下を促す効果があるのですが、時間軸のゴールが見えてきた場合に時間軸の強化を行うと「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクが意識されて長期金利が跳ね上がるという諸刃の剣に転じかねないという点への認識はお持ちでないようですな。

と申しましても、先日岩田副総裁が時事通信社とのインタビューで金融引締めの遅れによる「カタパルト効果」について「ご指摘ご尤も」というコメントをしているように、時間軸を無闇矢鱈と強化するのが必ずしも長期金利の安定化に繋がるとは限らないという認識も徐々に理解されてきているのではないかとも思っております。

あと、この講演では「金融政策の波及メカニズム強化」ということで項を設けてお話をしているのですが、全て証券化関係のお話ですので、あまり面白くありませんでした。


○たまにはあたくしなりにまとめてみる

ということで、あたくしなりに本講演をまとめてみるとこんな感じでしょうか。

1.景気認識および先行き見通しに関してはやたらと強気
2.しかし、フローの回復を重視する余り、ステルス状態になっている問題を軽視しているような気がする
3.量的緩和の解除に関してはこのお方も本音では「解除が遅れるのは構わん」

まぁ審議委員の中では比較的平均的なご意見かと。




2004/06/04

お題「雑談でござる」

本当は春審議委員の講演というネタもあるのですが、あまりにも材料にならなかったのであまり読んでいないという状況でありまして、誠に恐縮ながら本日は世間話で勘弁。

○10年新発債の受難は続く

昨日の債券市場もまたレンジ内でしたが大暴れ。朝方は先物を叩く動きになり先物独歩安モードだったのですが、時間の経過と共に長期ゾーンの上値が重くなって前場の引け後には10年債の1.6%という節目をマークしました。

まぁ一昨日の引けレベルまでに先物でヘッジが出来ていれば、先物レベルで137円40銭あたりで10年債の1.6%100円を販売していれば、一昨日の引けベースでの対比でとりあえず損はしていないという計算が成り立ちますので、世の中では前場に先物が137円50銭を割り込んで40銭近辺で推移する間(延々とこの間新発260回債は1.595%−1.600%の気配が続いておりました)に、とりあえず最終投資家さまの需要が旺盛な1.60%で在庫を捌いたものかと思われます。

で、在庫さえ軽くなってしまえば売ったヘッジに用はないので、先物の買い戻しが入りやすくなる所で株式市場で謎の急落が発生したこともあって債券先物は買い優勢の猛烈大反発になった訳ですな。

世の中のどこかでデュレーションの短期化をそこそこの規模でやっていた人がいるようで、イールドカーブは結局見事なスティープ化となってしまい、昨日の下げ局面で10年債をある程度捌いて(まぁ普通にマーケットメークしている業者なら余程のマヌケでない限り在庫は捌けていると思いますが)いないと、この相場の振幅で益々安くなってしまった10年新発債が頭痛の種になりそうですな。


○リズム悪化の予感

昨日のドラめもんで申し上げたように、「入札後に当該年限の割安修正が起きて業者ウマー」というウマーな流れがめっきり駄目駄目状態になってきまして、おまけに今回の入札では落札結果発表直後と昨日の前場の先物が137円40銭近辺にいる時の2度しか無事に逃れるチャンスが無かったという中々厳しい状態であります。

おまけに10年国債入札直後だというのにいきなりイールドカーブがスティープ化ということで、10年ゾーンが駄目駄目になってしまうということですと、「あの過熱(したようにしか見えない)入札は一体全体何だったんでしょう」というのも兎も角、上記の「ウマー」なリズムが完全に崩れてきたというのが業者としては頭の痛いところ。

また、激しく間抜けなのは、来週火曜日に5年国債が2兆円も世の中に入札という名前で出てくるのに、世の中が「長期売り→中短期買い」で動いていること。中短期債が思いっきり堅調になったタイミングで入札が実施されたら、見事に高くなった所で入札をさせられるという碌でもないパターンになる訳ですから、益々業者は頭が痛いところであります。あたくしも来週の入札のことを考えると大変に血圧が上昇してくるというものでありまする、とほほ。

まぁそんな訳で、だいたい6月ってのは昔から債券需給が変化(概ね崩れる方向で変化するのですが)しやすい月であることも勘案すると、今回の入札における「業者ウマー」構造の変化というのには、そこはかとない不安感を持っているわけでございまする。いや、あくまでも予感程度のお話なんですけどね。


○全然関係のない雑談ですが

儲かれば何でもやるというのは如何な物かと思うあたくしは甘いんでしょうけれども、何とも釈然としないニュースで。

大陸中国が日本との排他的経済水域の境界から数キロ程度しか離れていない東シナ海で海底資源掘削のプラントを建設中(しかも国際プラントな訳ですが)という、海洋資源開発における経済水域の形骸化を狙っているとしか思えん動きがある(しかも何故かテレビ報道ではこの問題はスルーされている訳だが)のですが、昨日の東京新聞朝刊によりますと、住友金属工業が住友商事の仲介によって当該プラントの建設用資材を販売したそうな。

商社といえば商業を通じて日本の国益にもなり自分の商売にもなり、まぁ相手も商売が出来て結構(やらずぼったくりとか政治と癒着みたいな話もあるのですが、まぁそれは兎も角)という下手な外務官僚よりも国益に資するというのが、古き時代の商社全盛時代であったかと聞いております。

そんな大手商社でも、まぁ最近はこのように日本の国益に反するとしか思えない他国のプラントに嬉々として(かどうかは知らんが)商売をつけてしまうって状態。おまいらは金さえ儲かれば国益も売るのかと小一時間問い詰めたいところでありますが、まぁそれが近年の風潮なのかもしれませんな。実に寂しい話であります。

憲法改正やら教育基本法の改正やらで愛国心教育(自国を過剰に極悪人扱いする教育は論外ですが、かといって愛国心っつーのは教育で強制するレベルの話ではないと思いますが)がどうのこうのとか道徳教育がどうのこうのとか言ってますが、その前にこの国の指導者層に「オマエモナー」と申し上げたい所でございます。困ったもんだ。


と、本日はあたくしの勝手なる随想ばかりで大変恐縮でありまする。皆様良い週末をお迎えください。






2004/06/03

お題「お腹いっぱいになってきたのか?」

昨日の債券市場、朝方から先物6月限とやたら割安になっていた6年ゾーンの現物債だけ堅調で、その前の日に入札の実施された10年債は弱々しい展開。ちんたらと先物が上がったり下がったりしているうちに10年ゾーンは益々弱くなってしまい、終わってみれば先物が前日比14銭上昇している間に10年新発債は前日と同じ1.56%、しかもこの1.56%という日本相互証券の終値はど〜考えても過大評価で、実力は前日比利回り上昇の1.565%となりました。

入札時の先物価格(=入札日の前場引け値)が137円82銭でして、落札平均価格から引受手数料を勘案した平均落札利回りは1.538%でありまして、入札時点から見ると先物が6銭下落している間に10年新発国債は0.027%(日本相互証券終値ベースでは0.022%)の利回り上昇となっておりまして、先物の価格下落よりもはるかに威勢良く価格が下がっているという中々寂しい結果となっております。

昨日の入札の結果は良好そのものという素晴らしい内容であった筈なんですが、翌日からいきなりこれとは何なのよって感じでありまして、何でおまいらそこまで高値入札をしたのよという所でございます。

ま、それ以前の問題と致しまして、入札日の相場状況も何だか変でございました。落札結果発表の瞬間には先物がやや上昇して、一呼吸置いてからもう一回上昇したのですが、殆ど値持ちせずに相場は下落。あれよあれよという間に入札時点のレベルである137円82銭まで先物が下落してしまいました。で、この時に10年新発債はどうなっていたかと申しますと、既に1.545%での取引になっておりまして、最低落札価格から手数料を勘案した利回りが1.539%であったことから致しまして、既にこの時点で負けゾーンに入っているという大変に情けない状態でして、まぁ昨日も弱含みとなったのもやむを得ないのかも知れません。


と、延々と相場の細かいお話を並べましたが、要するに今回の入札は「ほとんど勝つチャンスの無かった入札」という壮絶なる割高入札になってしまったというお話になるわけ(ただし、話をしているのは債券市場の中だけの話ですので、もしかしたら円金利スワップなどだと勝つチャンスあったのかも知れませんが、普通に考えるとヘッジロスがでかいのでヘッジ負けしていると思います)であります。

ここの所、入札といえば「事前にヘッジの動きが嵩んで当該ゾーンを売り込むことによって水準を安くする」→「入札でやや高い水準を落札(それでも前から見ればまぁ安い)する」→「落札後はそのゾーンが堅調になる」→「参加者ウマー」というのがパターン化されていたのですが、遂にその黄金のパターンが崩壊している訳でして、業者としては激しくトホホな結果になっており、結構深刻に受け止めている人も多いのではないかと思う訳であります。

実は前回の20年国債も入札当日にはスーパー大爆発したのですが、その後はといいますと翌日こそは20年堅調推移でしたが、それ以降はぱっとしない動きで、とうとう昨日は駄目駄目状態の10年新発債よりも駄目駄目モードとなっており、ここ数回の入札では堅調推移攻撃で皆ウマー状態というのもあまり続かなくなっていく傾向になっております。そして今回の「入札した分ほぼ討ち死に」というマズーな展開になった訳でして、極めて涼しいものを感じる今日この頃でございます。


まぁこの現象、色々と講釈は可能なのですが、よーするに入札によって世の中に新規に玉が絶賛大供給される状況に対して、最終投資家さまの需要が次第に追いつかなくなっているというのが根底にあるのかと。相変わらず資金が金融市場内部でのみジャブジャブって状況は厳然としてございますが、以前のような底なしデフレ感が払拭されて来た以上、債券投資に慌てて向う必要もなくて、「まぁじっくりと構えて相場が下がったらちょっとずつ買っていきますか」というスタンスになってきているという事なのでしょう。

10年債の1.5%が買いのメドだった筈がいつの間にやら1.55%が岩盤という扱いになり、入札が終わってみれば今度はそこもあっさり突き抜けて昨日は1.57%で2度跳ね返されたという展開。うっかりしているうちに、押し目買いの水準がドンドン切り下がっている訳でして、これは中々のものかと思います。

まぁあたくし最終投資家ってのをやった事がありませんのでよ〜判りませんが、この程度の速度でちんたらと価格下落=利回り上昇が起きる状況ってのは「相場が下がって困る」というよりは「投資環境が徐々に改善してきている」というレベルのお話であって、比較的居心地のよい相場下落なのではないかと思う訳です。何せ債券投資は満期になったり利息が入ると再投資しないといけないという悲しい永久機関モードでありますので。

そんな感じでダラダラと推移する債券市場ではありますが、どうも今回の全然値持ちできずに相場が下落してしまった(しかも大した材料も出ていないのに)入札というのは、業者のお腹いっぱい感が反映されているだけなのかも知れませんが、どうも全般的に債券市場が「お腹いっぱい」状態になっているのではないかと思うところであります。


いつものパターンですと、そう書くと逆に行くので今日は堅調か?





2004/06/02

お題「岩田副総裁の記者会見(続き)」

昨日ちょっとお題にした時事通信社による岩田副総裁インタビュー記事の続きであります。で、本題に入る前に昨日触れた「カタパルト効果」ですが、やはり時事メインコラム「金融観測」著者氏の造語だそうですが、「カタパルトって何じゃ?」という質問が某中央銀行のそこかしこで飛び交っていたそうであります。ちなみにカタパルトっていうのは、飛行機などを離陸させる時に効率よく加速するために使う「加速装置」でございます。大いに実用化されたのは第2次世界大戦中でありまして、空母からの発艦に活用されてました。「機動戦士ガンダム」なんぞをご覧になったお方ですと良くお判りかと(^^)。

そんなこぼれ話もある岩田副総裁の単独インタビュー記事の続きです。元記事は時事メインにしかないと思われますが、お持ちでない方は時事通信社に聞いて下さいませ。

○そんな精緻なインフレコントロールができるのか

インフレターゲットに関するコメントではこんなお話を。

『インフレターゲット、つまり「物価安定目標政策」は経済が正常になれば必要だと私は考えている。現在の量的緩和の枠組みは、広い意味での「物価安定目標政策」だ。ただ、物価の下限を設けているだけなので、2%の上限を設けるべきだと主張してきた。また、下限は上方バイアスがあるので1%がいいと思う。最終的には物価安定目標を掲げるべきだが、そこに至る過程は慎重にやっていきたい。』

つーことで、どうも物価安定目標を設定したいようなのですが、この物価安定目標が足許の物価指標にペッグしたものなのか、それとも将来の物価指標がこのレンジ内に収まるように政策運営をするというものなのかは不明ですが、消費者物価上昇率前年比1%〜2%にしたいというお話。最近はめっきり物価が安定化しているのでこのレンジを見ても「ふ〜ん」って感じですが、こんなに細かいレンジで大丈夫なのかはちと不安。レンジを狭くすると煩雑に緩和と引締めを繰り返す破目になりそう。


『目標達成期限を設けたインフレターゲットで物価を押し上げる考えは』という質問に対しては大変模範的な回答をしている訳ですが。

『そういうことは考えていない。インフレターゲットを主張したクルーグマン教授は「マイナスになった期待成長率を引き上げるために、中央銀行が強い緩和を行って物価安定に無責任になり、4−5%のインフレになるように努力すると言えば、マーケットの期待が変わる」との主張だった。(途中割愛)日本銀行が物価安定に無責任になる必要はない。』


○しかし不良債権問題の本質は資産デフレなのではないか

と、まぁ岩田先生もまたインフレターゲットにご執心なんですが、先日ご紹介した須田審議委員の講演記録にもありましたBOEの利上げ(物価は目標の下限に近いので理屈上は金融をどちらかと言えば緩和する筈の所を、住宅価格高騰を抑制する利上げを実施した)に関する質問に対してこういうお答えをしています。

『(質問)達観すると、日本の物価は0%を挟んだレンジだ。むしろ資産価格崩壊の打撃が大きい。インフレターゲットを採用するイングランド銀行が低インフレなのに住宅価格高騰を抑制する利上げをしているのを見ると、ターゲットに傾斜しない方がいいのでは』

『(岩田副総裁)インフレターゲットは人によって国によって理解が違う。それぞれの国が一番良いやり方を採用すればいいと思うが、共通するのは「最終目標」を持つ、ということ。それを持ったうえで、プリエンティブ(って何?by引用者)に資産価格に対応するやり方もある。リジッド(って何じゃ?多分硬直的なとか言う意味か?by引用者)な物価目標では制約が大きい。』

ど〜も今一歩質問に対する答えになっていない気がしますが、元々はといえば土地バブルやら株式バブルやらでは数十年分(あるいは百年以上)の成長を先食いした形で採算無視のスーパー高値形成を行ったと今になって冷静になれば言えるのでしょうが、まぁそういう訳で、将来の需要を先食いして発生したバブルとその崩壊というのがあった訳です。で、日本経済の資金の流れやら信用創造のメカニズムから言って、経済の問題が集約されるのが銀行セクターでして、そのバブル崩壊のあおりをまともに食らったのが不良債権問題。

で、まぁデフレも問題なのですが、物価のデフレもさることながら資産デフレの方がまたマズーなのが現状なわけでして、散々叩き落された株価がだいぶ復活して下さった所で何となく回復ムードが盛り上がるのが資産価格問題の根深さの証拠でもあろうかと思う訳で(そういえば2000年あたりも盛り上がりましたな〜)。

確かに中央銀行が資産価格まで介入できるのかとかという問題もありますが、やはり肝心の問題をスルーして物価論議を繰り返す姿というのは、結局バブルの教訓から学んでいないのではないかと不安に思ってしまう訳であります(一応物価統計には「帰属家賃」って項目はあるんですが)。


○リフレ派副総裁に対する嫌味な質問を発見しました

あたくしの主観的印象で恐縮なのですが、最近我が世の春を謳歌している観の強いリフレ派の主張って二言目には「クルーグマンがどう言った」「スティグリッツがどう言った」「バーナンキがどう言った」の連発であります。かの高橋亀吉先生は「経済学は、世界的に普遍的真理であるという部分も無論ありますが、そうでない部分も多いのであって、それぞれの国に於ける色々の経済事情、客観的事情に依って、或国においてはA学説が正しいということになり、或国においてはB学説が正しいことになる。斯ういう意味の相対的な性質のものが非常に多いのである。」と述べておられます(しかも昭和9年に)。何と言うかどうもそういう点において、リフレ派の主張って「本当に日本で効くのかその政策?」という疑問符が付き捲るのでありまする。

そういえば以前ドラめもんご紹介したんですが、とある討論会で日銀白川理事(当時は企画室審議役)が「現在の日本経済の問題を議論する時には、テーラーがどういったとかクルーグマンがどういったかではなく・・・・・」ってリフレ派に向ってきつーいお言葉を出してましたな。という事であたくしの主観的印象は実は受け売りでした、あはは。

という話はともかく、この質疑は中々(^^)。

『(質問)バーナンキ理事が以前、米国がデフレになった際の手段をいくつか挙げたが、いずれも日銀が採用済みのもの。日銀に学んだのか』

『(岩田副総裁)学んでいるし、むしろお互いに学んでいる面がある。私もFRBがやることを学んでいるし、われわれの方は実験的にしかやりようがない世界でもがいているわけだから、(米FRBも)それを見て研究している。』

今一歩嫌味が通じていないようですな(^^)。通じていないようなので質問者は更に追い討ちをかける質問をぶつけます。

『(質問)バーナンキ氏はFRB入り前、「ケチャップでも買え」と言っていたが』

『(岩田副総裁)いろいろな提案の中には実物資産を買うという極端なものもあった。しかし、結局は今のやり方でいける、と確信している。』

そういえば岩田副総裁も日銀入りする前には結構色々と言っていたような気が(^^)。


○しかし何と言いますか・・・・

いつも思うのですが、何か無理矢理欧米というか米国的な経済理論や金融理論を持ち込んでせっせと議論したり、金融庁が銀行への政策を打ってみたりとやっておりますが、そもそも日本と米国では根本的に経済構造の基本部分に違いのある点があるので、どうしても現実との齟齬が生じてしまうと思いますが。で、最近の金融庁のように理論を無理矢理現実にぶつけてしまって大変な騒ぎになっている所もあれば、日銀のように現実の壁にあたり、論点が激しく迷走して何が何だか訳のわからん状態になっているものありという感じで、実践経済学を提唱される高橋亀吉先生もさぞお嘆きのことかと存じます。(って先生って明治24年生まれなんですが、まだご存命かどうか不覚にも存じませんのでとりあえずこんな表現で)

まぁなんだかな〜って感じです。いい加減米国崇拝止めて自国に合った経済理論構築して欲しいのですが、どうも近年益々米国崇拝体制になってきているようで、どうにもこうにも・・・・って感じです。


それでは(^^)/





2004/06/01

お題「10年国債入札/岩田副総裁インタビュー」

お題自体は重いのですが、本日はさらさらと参ります。

○10年国債入札

日程的にやむを得ないのですが、10年国債の入札がいきなり月初の初日に行われるというのは中々なものです。あたくしの記憶に間違いなければ月末だの月初だのに国債(除く短期国債)の入札があるのは初めてではないかと。

まぁそれだけ国債の発行量も増えているし、色々と訳のわからん種類の国債を発行しているので入札日程が押しまくっているということなのでしょう。国債投資家懇談会あたりではこの上変動利付国債の発行年限やら商品性の多様化を要望しているようですが、これ以上商品増やしたら入札が追いつきませんな〜。四半期発行すれば話は別ですけどね。


さて10年入札。今回は前回債から比較して償還が3ヶ月延びるので、最終利回りが償還が延びる分だけ高くなります。よって何となく利回り上昇した分だけ心理的に買いやすくなり、常に3ヶ月償還の延びるタイミングでの入札は好調な入札になるという激しく馬鹿馬鹿しい法則がございますので、まぁ常識的に考えると入札特に懸念なしであります。

おまけに昨日もやや無理矢理気味に長期ゾーンを叩く動きが見られておりまして、新発国債のクーポンが久々の1.6%に設定される可能性があります(というか多分そうなる)。大体「初物は割高でも買い」という青果市場あるいは鮮魚市場のような法則が生きている債券市場でありますので、この面から見ても入札まるで懸念なし。

まぁそういうよく見える動きとは別に、現場でヒーヒー言っているあたくしの目から申し上げた「場の雰囲気」はと申し上げましょう。昨日の債券相場では、朝方は海外の株高あんど債券安ってことで先物が売り叩かれたのですが、この時は10年ゾーンは案外堅調な推移でした。その後は時間の経過と共に先物が買い戻されて10年ゾーンは弱含みという展開になったので、終わってみれば10年が一番弱いという動きになりました。

まぁ世の中で10年ゾーンにドカンと実弾の売りでも出ているのかもしれませんが、昨日の債券先物やら現物債やらのプライスアクションを見る限りでは現物債に派手な売買があった雰囲気は見られず。まぁ明日の入札に向けて何となく10年ゾーンを安くしておきましょうって売り方のように見えました。

最近の入札では、落札して抱えた玉が瞬間蒸発するという事は起きない(強烈な入札になった前回の20年国債ですら瞬間蒸発していないと思います。業者が抱えているものと思われ。)上に、何だかんだと言って割高入札になる傾向がありますので、入札前に時間を掛けて当該ゾーンを事前に割安方面に持っていかないと、業者としても激しくしんどいものになります。そんな訳で、まぁ毎度毎度上記したような入札前の相場作りを行っている訳ですな。

これで事前に実弾売りが出ていると調整しっぱなしという事になるのですが、まぁ昨日の推移だけから勝手に大予想すると、入札に向けた無理矢理売りって感が強いので、まぁ入札自体は問題ない物と思われます。


・・・・・・と、割高割安分析のような頭の良い分析が皆無という我ながら情けない分析(あたしゃー基本的に動物的感覚で売買してますんで)でございますが、まぁこういうポイントで大真面目に書くのはまともな会社のまともなレポートではよ〜フォローせんと勝手に思っていますので、割高割安分析はちゃんとした会社のちゃんとしたレポートをご覧下さい。あたくしは「相場のモメンタムを検討すると、今回の入札にはあまり死角が見当たらない」と申し上げておきます。あえてその中で死角は何か?って言えば「皆が入札に対して懸念を持っていない」という事でしょうか。無警戒なときに碌な事がないというのはこれまた定説であります。


○岩田副総裁インタビュー

昨日、岩田副総裁が時事通信社とのインタビューでいろいろなお話をしております。何せ時事通信社単独インタビューのようですので、内容はとりあえず時事メインから拾ってきたものによって、著作権だの何だのという話を気にするため、あまり引用せずにサラサラと参ります。時間も無いし。以下『』内は昨日の時事メイン記事から岩田副総裁のコメントを引用しております。昨日の15:06〜15:08の記事であります。

まず、景気の現状認識に関してですが、副総裁は『展望リポートでの消費者物価の大勢見通しはマイナス0.2−マイナス0.1%だが、私はそれよりも上振れする可能性があると思っている』と強気です。背景にはGDPギャップの縮小やグローバルなディスインフレ脱却なんかを挙げております。

まぁそういう意味でこのお方も量的緩和のコミットメントの解除条件の達成問題についてコメントをしておりまして、岩田副総裁は足許のCPIが多少のプラスになっても解除条件は満たさないという見解を取っています。すなわち『デフレに陥らない「のりしろ」が1%程度は必要だ。物価の上方バイアスの面でも「のりしろ」が必要で、解除を考えるうえでは、(のりしろが)重要なポイントになる。』とコメントしております。

しかし、解除条件の一つにある「足許のCPI数値」に関しては0%を引き上げるという事に関しては『いろいろな考え方があり得る』と含みを持たせております。で、長期金利に対してのコメントの中で、このお方は「遅れすぎの量的緩和解除」の弊害を意外にも(失礼!)理解しているようです。

『長期金利は、私の最も注目する点だ。ポイントはインフレ期待が先走りしないようにすること。イールドカーブを参照する形で金融政策の対応がよく議論されている。ビハインド・ザ・カーブなのか、アヘッドか、ウィズが。経済指標やイールドカーブなどをしっかり見極めて、(解除も含め金融政策は)慎重に注意深く対応することが重要だ。対応が遅れ過ぎると、後になって急に「カタパルト効果」というか、長期金利がポンと跳ねる可能性もあり、FRBはウィズとビハインドの中間あたりでうまく金融政策運営をしていくと思う。』

FRBの話が出ているのは、そこまでの話の流れで日本と米国の金融政策の比較話が出ているからなんですが、こうやって発言させる分には極めて穏当かつよく物の判った話をしているようで。その割にはどうも金融政策の評価を行う際の話なんかを読んでいるとどっちかというとインフレ期待を煽るタイプに見えてしまうのは(あたくしの主観的印象にバイアスが掛かっているのもあるんですが)何故なのか極めて不思議であります。

おそらく、先日槍玉に挙げた中原審議委員も、「金融政策の信頼性」だとか「イールドカーブ形状の安定化」というお題でまとまった話をさせると、当然の如く真っ当な話をおっぱじめると思う(何てったって東京三菱銀行副頭取まで勤めたお方ですから)のですが、いざ具体的な話を始めると「そりゃー理屈に合わんでしょ〜」って話になってしまう訳で、何とも頭の痛い話ですな、全く。

そういえばこの中でちょっと笑ったのは、あたくしの愛読する時事メインコラム「金融観測」で使われていた「カタパルト効果」ってのが早速岩田副総裁のコメントで出ていたことです。もともとこの術語があるのかどうかはあたくし不肖にして存じませんが、長期金利がポンと跳ねる云々の話の流れでこの言葉を使ったのは「金融観測」コラムで見たのが最初でしたんで(^^)。


では〜(^^)