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2005/08/31

お題「市場との対話を上手く行うには(という雑談)」

うーん、幾ら大型台風と言っても台風如きで原油精製能力が通常の10%から20%程度まで落ちるというのはそりゃちと安普請なのではないかという気が少々しますが。まぁ自然災害恐るべしですな。

○国債市場特別参加者懇談会にあった意見より

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c170829.htm

今回のお題は相場時事放談と物価連動国債だったようでして、相場について延々と参加者のコメントの要旨が出ております。

で、まぁ見ておりますと、今月の金利上昇→やや低下という相場(何せ2年国債が0.1%台でそれなりに動きましたし)に関して投資家行動と申しますか需給に関するコメントが結構多いですなぁという感じでして、まぁ今月の相場は「景気指標の改善と株価の上昇で金利が上昇したものの、最終投資家の債券購入意欲によって上昇が抑えられました」と物凄く割り切って言えるのでしょう。

まぁ相場時事放談部分は「はぁそうですねぇ」という以上の感想はあまり起きないのですが、今回の金利上昇は「景況感改善による海外勢の売りVS運用圧力が相変わらず高い国内投資家の買い」であって、投資家の投げ売りが入った相場ではない(いやまぁ全く無いとは思いませんが)ので、そんなに派手派手な動きにはならなかったというお話が延々と続いています。そんな中でちょっと苦笑したのはこのコメント。

『引き続き穏やかな金利上昇が継続する可能性は高いとは思うが、やはり大事なのは、日銀がいかにマーケットと対話をしていくかであると思う。今回の上げ局面は、そういった意味で、うまくいったのではないかと思っており、こういった形で継続していくならば、量的緩和の解除も、あまり大きなレンジの触れがなくできるのではないかと思っている。』

最初さらっと読み流したのですが、よくよく考えてみると中々含蓄の深いコメントでございます。ということで「市場との対話がうまくいったのはなぜでしょ?」という事を8月相場を思い出しつつつらつらと考えてみるのでありました(笑)。



○さて何で今回上手く対話ができたんでしょう?

今回の金利上昇と申しますと、概ね7月下旬からおっぱじまったのでありますが、この間の最大特徴は日銀審議委員の講演らしきものがろくすっぽ無かった事でございます(笑)。あったのは金融政策決定会合が2回と、それに伴う金融経済月報の発表と福井総裁記者会見でございました。

で、この間の総裁記者会見はご案内の通り「景気には進軍ラッパ鳴りまくりの強気発言をしつつ、金融政策スタンスに関しては慎重な物言いに終始していまして、それだけ景気回復デフレ脱却に対して自信満々なんでしょうという見方が多かったかと存じます。

要するにですな、将来の金融政策がどうのこうのとかいう仮定の話を審議委員が勝手気儘に言わなきゃ「本来日銀がどのようなスタンスで金融政策運営をやっていましたっけ?」って問題をちゃんと市場が考えて行動するから、金利上昇が「メジャードペース」になるんじゃネーノと思う訳でございます。

「市場との対話がうまくいった」のが「金融政策に関する審議委員の余計な発言が無かった」事によって達成されたというのが実に香ばしい限りでございまして、この発言者がそこまで考えて皮肉を飛ばしたのか、議事要旨を作成した(しかし前日夕方の会議の議事要旨を翌朝アップするんですから国債課の中の人は大変ですね)理財局国債課の方が上手に(笑)纏めたのかどうか存じませんが、中々皮肉が利いているコメントであったと思います(笑)。

この一文を重く(?)受け止めていただきまして、審議委員の皆様におかれましては、講演その他で量的緩和政策の解除がどうのこうのとか市場の正常化がどうのこうのというようなお話をするのではなく、自らの景気見通しなどのような点に関して(資産価格がどうのこうのという話も含めると思うが)力点を置いたお話なんぞをして頂きますと誠に結構至極な「市場との対話」になるのではないかと存じます。



○ベシャリもほどほどにor発言と決定会合の行動を一致させなさい?

で、つらつらと考えは続くのですが・・・・

そもそも量的緩和政策の解除において「解除条件が揃う際の景気、物価のベクトル」によって解除の方法とかその後の金利政策への移行方法や、先行きの引き締め速度とかは変り得るものであって、決め打ちができる代物ではない筈。然るに、審議委員の皆様におかれましては、各位がご想定になられますところの景気シナリオを引っ張って将来の金融政策をどうするのかというお話をしたがる傾向をお持ちのお方がおられるようで(全員とは申しませんが)やはり如何なものかという気もしますわな。

まぁ景気シナリオを考えて景気見通しをするのは当然として、その仮定に則って金融政策運営がどうのこうのという話をおっぱじめるのは、それが近い先の話(この前の当預引下げみたいに)なら兎も角として、あまり先行きの話の場合は市場に対してあらぬ誤解を招く可能性があるのかも知れません。


もう一つの考えですが、当預引下げ騒動のあたりで一番撹乱要因になっていたのはご案内の通り水野審議委員の「金利の正常化」だのの強い調子の発言であった訳でして、当初水野審議委員の「タカ派丸出し発言」は「実は審議委員の大勢も同じなのではないか」と思われていた節がありました(福井総裁の意向を受けて露払いをしているという見方も結構ありましたし)ので、なおのこと市場が反応したという状態でしたわな。しかしその後、決定会合の議事要旨が公開されるに至り、政策委員会の大勢意見と水野審議委員の意見が相違するという点が明らかになり、その分水野審議委員の発言が「少数意見」として見られるようになった(議事要旨だけではなく武藤副総裁や福井総裁の発言も効いたと思いますが)事によって、市場のあらぬ誤解が発生しにくくなったという事も言えるかも知れません。

ま、その辺はあたくしの脳内妄想部分が多分にあるので微妙な所ですが、まぁあまり余計な事をペラペラ喋るよりは、市場が好き勝手言っている事を聞いて回る方が吉(現場ではヒアリングを熱心に行っているようですが)なのでしょうかねぇと思ってしまいました。ま、物分りが良すぎると市場のポジショントークに乗せられる場合も無きにしも非ずなんでそれはそれでどうかと思いますがね。





2005/08/30

お題「あいかわらず相場雑談/国庫金管理の効率化」

幾ら大型台風だからって言っても石油精製施設が台風で全部崩壊するわけでもないのにいきなり大暴騰ってニューヨーク原油市場もなかなか香ばしい動きをしてますなぁ


○いやはやここまで上るとは

昨日の債券市場はご案内の通り大幅上昇。インデックスの長期化などで「買う必要があった人」がいたことに加えまして、ここもと「量的緩和の解除を織り込む」などという話が出ていた為に買いがやや遅れ気味であったという状況が、株価指数の下げ+原油価格上昇による米国債券市場の上昇(あたくしの席の情報端末によりますと、東京市場の18時くらいの時点で前週末比5毛くらい上昇してましたな)によって火が点いてしまいましたの図ではございました。

10年1.35%接近とはよーやりますわなという感じなのですが、今週木曜に実施予定の10年国債入札は償還が3ヶ月延びるので、昨日の引け時点でも新発10年債のクーポンは余裕で1.4%(あと3毛強くなれば話は別)になるので、どさくさに紛れて正当化されてしまう悪寒もございますな。

さすがに昨日の上げは月末要因だと思うので入札時にはちったぁマシな水準になると思いたいのですが、ど〜せそう思っている人が多かったから安易に売り向かって踏み上げの刑を食らったというのが昨日の相場であろうかと思う次第でして(笑)、皆さんが諦めて「10年新発債の1.4%オーバーパーはもはややむなし、1.3にならなかっただけでもラッキー」などと思い出すと相場は下がるのでしょうな。

そんな中で、本日入札が実施される予定の2年ゾーンは笑ってしまうほどヘロヘロ状態でして、2年235回債はやっと前日比5糸強の0.145%となっておりました。久々(1年ぶり)の0.2%クーポンの可能性が高いのですが、まぁ0.2クーポンだからといって思いっきり選好されるとかいう商品でもないのでクーポンどっちでも無問題という感じですな。

月末要因以外でどこまで値持ちできるのやらという感じです。


○相変わらず神メディア

先週あたり妙に量的緩和解除論議だの金利上昇だのという話をしていた毎度お馴染みの新聞社様。昨日の恐怖金融新聞2面では「揺らぐグリーンスパン議長、長期金利は上げられない?」というお題で、グリーンスパンFRB議長の最近のスタンスが揺らいでいて、住宅価格問題への対応が遅れ気味ではないかという記事がございました。

で、週末にグリーンスパン議長がカンサスシティでの講演で住宅価格の高騰に警告を発したというのもまたご案内の通りな訳でして、とうとうグリーンスパン議長にまで影響を及ぼすまでに神々しくなったのかと新聞を読んで腰を抜かしたあたくしなのでありました。

いやもう正直申しあげてここの所百発百中なのではないかと言いたくなるほどのネガティブインディケーター振りを発揮しているのですが、ここの新聞社で一体全体何が起こっているんでしょうかね〜(笑)。


○財務省の国庫金管理効率化

昨日すっかり取り上げるのを忘却していたら既に本石町日記さん(http://hongokucho.exblog.jp)で取り上げられているのでそちらを読みましょうで終了しちゃうのも何ですので。

http://www.mof.go.jp/jouhou/sonota/kokko/kk170826.htm

『国庫金は、その受払いの時期が様々であるため、国庫収支は時期によって資金不足や資金余剰が生じる。財務省としては、このような国庫収支の過不足の調整を行い、国庫金の効率的な管理に努めてきているところであるが、今般、次のような施策を実施し、その取組を強化する。』

インターバンクでの資金需給のぶれの大きさ(と、かつては都銀が恒常的に大幅不足だった資金の偏在、今はオーバーローンが解消された上に資金がじゃぶじゃぶですが)は国内短期金融市場の特色でもある訳ですが、資金需給のぶれは銀行券選好の強さに加えて財政資金の受払いのぶれがやたらと大きいというのが要因でございます。で、芸術的な資金過不足調整を日銀オペレーションで均すのですが、かつては(旧法時代)そのオペレーションに色々とシグナルを込めてコールレートの誘導を行っていたという実に職人的な手法(?)が発達しておりまして、国内インターバンクの人には職人同士の阿吽の呼吸で日銀のシグナルを読んでいたものの、ガイジンにはさっぱりワケワカメと不評な状態でございました。それはともかく。

「国庫金の効率的な管理に努めてきているところであるが」っていうかやっと手をつけましたかっていうのが正直な感想ではありますが(苦笑)、まぁ放置しているよりはやった方が遥かにマシな話ですので、今後も財政資金需給のブレを小さくしていくような施策を望みたい所です。

で、これをもって「日銀が当座預金残高目標を達成しやすくなり(財政資金需給のぶれが小さくなると一時的なブレを均すための無理なオペレーションをしなくて済むようになるから)、財務省が日銀に対して量的緩和政策の側面支援を行っている」というようなことを陰謀論が好きなどこぞの新聞あたりは言い出しそうです。確かにその手の意図が全く財務省にないと思いませんが、それよりは、これまで国庫金の効率管理にあまり熱心に取り組んでいたとは思えない財務省が本来やるべき事をやっと本格的に手をつけたという解釈が正しいと思います。

と思って昨日の恐怖金融新聞を見ていたら2面の囲み記事で本件に関して「財務省が日銀に貸しを作ったともいえそうだ」などと解説しているのにはかなーり呆れてしまいました。「貸しを作った」のではなく「借りを少しだけ返済した」というべきではないかと思うのですが、この新聞社の記事は時に財務省ぁwせdrftgyふじこ。


ま、政府の資金繰りの為に発行されているFB(政府短期証券)の金利が延々とゼロ近傍(というか最近暫くは本当にゼロだった訳だが)に張り付いており、短期資金繰りの金利負担が激しく小さかった(今も小さいですが)為にあまり今まで「資金の効率管理」という発想をする必要が無かったという事もあるので、財務省が怠慢とか言うのもちょっと言いすぎかなとも思いますけれども、為念。(蛇足ですがFBの市中公募が始まる前は公定歩合よりも低い金利で発行されていたので、実質日銀の全額引受でした)






2005/08/29

お題「色々と雑談」

グリーンスパン議長は資産価格の高騰に関して警戒感を示したそうですが(実は原文まだ読んでない)、日本の教訓が生きているというのはまぁ結構なお話ではございます。然るに日本は最近ど〜なんでしょうかね〜というのはあたくし的には気になるのですが・・・・・

○海外レポート話の続き

金曜にドラめもんでお話した海外レポート。実物をお読みになった読者の皆様からレポートについての情報を頂きまして誠にありがとうございました。

レポートには「量的緩和解除の始まりは、金融政策の正常化の第一歩であり、日銀は政策金利を少なくとも1%程度にまでは引き上げる意図を持っている」というようにあったとのことで、「勿論、経済が日銀高官等の思うように動かなければ、すべては白紙となる」ともあり、まぁそんなに大騒ぎするようなお話でも無しというところだったようですな。「読んで見たら別にあっそうって感じのレポートだった」というご感想も頂まして、金曜にあたくし「吹かしレポート」などと罵倒したのが誠に恐縮。

まぁこのレポートも「米国政府筋に近い有力レポート」に「量的緩和解除」「短期金利が1%程度まで引き上げ(あたくしが聞いたときは1.25%でしたが、よく考えたら1%の方がレポートとしては普通か)」「日銀が意図している」というようなキーワードが一人歩き(しかもレポートが会員制のレポートなので実物に当たりにくい)したと言うことでしょうな。


ま、それだけ「量的緩和政策の出口」を意識する人が増えてきているというのもあります。ただ、昨年6月や一昨年8月(は出口の意識というよりは、それまでレバレッジ掛けてロングだった人たちのデレバレッジの動きが効いて市場が自壊したという感じですが)に同じように「量的緩和政策の早期解除」を意識した相場が発生した時に比べますと、中期ゾーンから10年ゾーンあたりまでの金利水準はまだまだ落ち着いています。今回はさすがに警戒感が前からあるので投資家様の「ロングの投げ」が発生しにくい状況になっており、そのために逆に金利が上りにくいという事は言えるかもしれません。

でも量的緩和政策の解除を意識する割には5年0.6%台ってのはまだ意識が入ってませんなぁというのが個人的印象なのですが、ここ暫くのイールドカーブ的に言うと5年はそんなに高くないって結果になるらしいので中々難しいお話ではあります。


レポートのせいでは無いんでしょうが、金曜も中短期国債は弱めの推移でして、月末のextension tradeを意識したのかやたら強い超長期ゾーンに引っ張られて先物も絶賛19銭高で138円90銭台をあっさり奪回した金曜の引けでしたが、2年235回債は前日引値の5糸甘の0.155%が堂々のオファーサイドとなっておりまして、イールドカーブは2年のあたりが一番ヘロヘロという面妖な展開になっておりました。何故か0.15%になっていたのですが(笑)。


○バーゼルU絡みの宿題メモ

先日ドラめもんで「宿題」と称したバーゼルU絡みのペーパーなんですが、結局読んでみたものの、詳しくはやたら量の多い公表文書を読む必要があるので、専門家の人にご教示を乞う方が話が早そうではございます(とあっさり白旗)わな。

で、見た感想というと誠に僭越至極で何なのですが、リスク計測のやり方に関して既存の方式の他に新しい方式を追加している(これはトレーディング業務だけではなくて信用リスクでもそうなのですが)という方向に関しては結構なお話だと思います。懐かしの一昨年の債券相場大下げの時に指摘されていた事として、「金融当局が銀行の債券ポートフォリオのリスク管理に同じ手法をさせている」ってのがございました。同じリスク管理手法をしてたら相場環境が急変化した時に参加者が全員で同じ方向の売買が始まってレミング状態になって集団自殺状態になりますわな。

まぁその教訓が生きて「複数のリスク管理手法を認める」ということになったのであれば(だと思いますが)、一昨年の滅茶苦茶相場も無駄ではありませんでしたなぁという所でしょうか。

ちと気になるのは、どうもリスク算定方式に関して「より適切に反映」という方向、即ち算定の精緻化という方向にあることですかな。「そんなの当たり前だ」といわれそうですが、トレーディング(に限らず市場でバカスカ売買されているようなもの)のリスク管理をせっせと精緻化すりゃあ良いって物でもないと思うのですよ。精緻化していく間に前提条件が段々増えてきて、肝心の「市場環境の急変」の時には「想定の範囲外」になっていたら精緻化の意味なしとなっちゃいますんで。市場環境が平穏無事な時に精緻にモニターできるというのが無駄とは言わんですがね。

などと勝手なごたくを並べましたが、トンチンカンな事を言っていたらゴメンナサイというか誰か指摘してちょ(と人頼み)。さすがに本件は読まないといけないと思いつつも、中々片手間に読める代物でもないので積ん読状態のままです(汗)。


○選挙雑感

・武部センセイ大変ですな

普段そんなものは見ないのですが、珍しく公共放送様謹製の「日曜討論」を視聴。

そもそも与党2人に野党5人なので討論となるとしんどいのですが、武部幹事長はあまりこの手の番組向けじゃございませんわなと思いながら拝見。しかし「国民投票」はねぇだろうと思っていたら、案の定突っ込まれているし(苦笑)。途中から与党側の発言は冬柴幹事長になっていたのは何ともまぁって感じでした。

ま、打たれ強いというか打っても効きませんなぁってのが武部さんの真骨頂なんであれはあれで良いのかもしれませんが。と言って小泉さんを出すと議論が無茶苦茶になりそうな予感。

しかし司会の人の仕切りにちゃんと従って(時々言い合いモードになりますが)進行する番組で、民放のどこぞの見ていると不愉快モード爆発になる(ので間違ってチャンネルが回る時以外でここ数年見てませんが)番組とは大違いですな。>NHK

#民放番組の収録後に収録したようなので論点整理ができていたからなのも知れんが


・地域代表が悪いのか

などと書くと抵抗勢力として堂々取り扱われる訳ですが、シロートの勝手なたわ言です。

国会議員は地域の利益代表ではなくて国政を考えて云々って話は確かに正論ではありまして、英国の議会がどうのこうのとか引き合いに出されて鈴木宗男センセイのようなお方におかれましては誠に困った風潮ではございます罠。

で、ひねくれ者のあたくしとしてつらつら考える訳ですが、日本って中央政府の機能と権限が強くて、地方政府に広範な機能があるとは(引き合いに出される欧米諸国と比べて)言えないのではないかという気がいたしますわな。地方政府だけではどうも片付かない案件があるので国会議員に「地方政府の議会議員」みたいなお仕事が発生しちゃい、それゆえ地域代表的な人になるのも仕方無いのではないかなどと言い出すと守旧派抵抗勢力ですかそうですか。


ま、何はともあれ明日衆議院議員選挙の公示ですわな。





2005/08/26

お題「またも吹かしレポート登場ですか」

台風襲来で早く帰宅したものの、夜中の風雨がうるさくて何度も目覚めた挙句に寝坊しちゃいましたorz。

そんな訳で本日は簡単に。

○舶来レポートをネタにひと仕掛け

昨日の債券市場、米国でのダウ下落に債券そこそこ確りを受けて朝方は堅調スタートで先物も139円乗せましたが、そこまで来ると追随買いが業者のショートカバー位しかなく伸び悩み。

「どうもパッとしませんなぁ」と思っているうちにふと気が付くと高値マーク後に3年とか2年の中短期ゾーンに弱めのオファーが並び出しまして、「あら駄目ですなぁ」などと見ておりましたら後場に入って中短期ゾーン売り売りになるわ先物は叩かれるわとなりました。

長期、超長期ゾーンが確りだった事もあり、先物はその後叩かれても戻ると言う動きを示しまして、終わってみればまたも中期ゾーンがヘロヘロになるの図。

で、まぁ後場になって最初売り売りになった時には「何だ何だ」って訳でちょっと緊張が走っていたのですが、実は前日のニューヨーク時間に昔は一世を風靡したこともある会員制の某著名レポートが震源地と判り、その概要が市場に知れ渡ると「ナンジャそりゃ」という事で安心モードになって下げ止まったといった所のようです。ついでに言えば、その「衝撃の利上げレポート」で債券が売られたと聞きつけた株式市場で指数先物が売られた為に株安→債券反発となったりしてたというのもあるようで(苦笑)。


ま、昨日はそのレポートの話が一部では早い時間から(そりゃニューヨーク時間に出てたんだから知ってる人は知ってる罠)知られていたものの、レポート内容が国内の市場関係者から見るとあまりにもお粗末な内容(後述します)だったので、「(゜д゜)ハァ?」と思いながらも様子見してたら、139円台に乗せた債券相場の伸びがイマイチだったので一発下に仕掛けてみた人たちがいたって事でしょうか。


○で、その内容は先日の某金融紙も腰を抜かす・・・・

そもそも会員制の有料レポートなので実物は見ておりませんが、ニュースベンダーやら人の話やらを聞いた所、来年の1−3月期に量的緩和の解除を宣言したあと数ヵ月後から利上げステージに入り、「measured pace(=今FRBがやってる引き締めの速度として声明文に入っている奴)」で0.25%ずつ利上げを行い、短期誘導金利は1%(あるいはそれ以上)になる。ってのがレポートの内容らしいです。

で、まぁそのシナリオは先日「日銀は1年もの金利を高め誘導」などという豪快な吹かし記事を書いたどこぞの新聞も驚愕の内容としか申しあげようが無いですわな。量的緩和政策のコミットメント3条件を読みますと、「コアCPIが再びマイナスにならない見込み」の上に「総合的判断」ってのがある訳でして、コアCPIが仮にゼロ近傍になってもそう簡単に量的緩和解除を宣言できる訳はございません。

そりゃまぁ唐突に消費者物価指数が絶賛急上昇して、その上昇角度がもう屹立状態ですよ先生って状況になれば話は別でしょう。でも来年の1Qにそんな事態が生じるとはちと考えにくいし、そもそも原油価格上昇でCPIが急上昇した場合は、原油価格上昇が景気の抑制要因として働いているケースが考えられますわな。そこで下手に金融引き締めを行ったら最悪のスタグフレーションを招くかもしれずって話にならんのかと小一時間ですわな。

しかしそんなレポートで金取れるというのはコケオドシも役に立つということなんでしょうかね。誠に遺憾でございますわな。


○舶来モノには相変わらず弱いということですか

てな相場できゃあきゃあ言ってる間に思い出したのは昨年の6月の「発言捏造による武藤ショック」でございます。

武藤日銀副総裁がロンドンで講演というかスピーチを行ったのですが、そのスピーチを取り上げて「武藤副総裁がコアCPIが数ヶ月に渡ってプラスになったら金融政策スタンスは変ると発言。これは武藤ショックだ」みたいな趣旨のレポートがどこぞの外資系証券の有名エコノミストだかストラテジストだか知りませんが、まぁ著名な外国人アナリストのレポートとして出たわけですよ。で、まずいことにこの発言原稿が日銀のWebで英語の原文だけしかアップされてなかったので、発言がどこにあるのか気が付かない人が多くて、実は武藤副総裁のスピーチを無理矢理勝手な解釈をして書かれたレポートだったという事が判明するまで時間がかかり、その間に中短期債が売られまくって財務省さまお怒りになるも相場の修復には時間を要したという事件でした(昨年の6月10日にその話書きましたが)。

国内に何の断り(?)もなく、海外でそんな重大な爆弾発言を武藤副総裁がするわきゃあ無いのですが、書いた人がそれなりに著名な人で発言場所が海外。内容が英語で裏を取るのに時間を要した事もあって、物の見事に「武藤ショック」扱いをされてしまって武藤副総裁(と債券市場)におかれましては災難でしたが、まぁ「著名外国人ストラテジストのレポート」というのを相変わらず有り難がるマーケットちゅうのも困ったものですなぁという感じですな。(ちなみにその捏造レポートを作成した某著名ストラテジストだかアナリスト様は現在もフツーにお勤めになっておられます。何だかな〜)

ま、舶来モノに弱いのはやたら「元外資系企業勤務」だの「海外留学あるいはお仕事から帰ってきたばかり」だのという人を目玉候補に掲げる比較第1党様と第2党様がまさにその通りですので、債券市場に悪態をついても意味はないのかも知れませんな。


#本当は郵政民営化関連の話もしようと構想はあったのですが、整理ついてないので本日は終了。





2005/08/25

お題「ま、よく動くというか不安定というか」

宿題とかあるのですが、ぶれまくる相場で疲れて遅々として進まずです。

○昨日は急反発・・・・・・って何なんでしょうな

昨日の債券市場は急反発して、先物は138円84銭で引けたのですが、よくよく見てみりゃ先週末の引けを上回るという状態。まぁ20年入札前の事前ヘッジを売り込みすぎた分の戻しだと思えば「まぁそうですな」で済むのかもしれませんが、昨日も申しあげましたようにここもとの値動きの中で中短期、というか2年国債の値動きが派手派手なのが目立ちますな。

昨日は朝っぱらから前日引けの5糸強の0.140%が堂々のビットサイドになってたと思ったら、平均株価が前日比プラス水準に上昇した時点では逆にオファーだらけになり、後場になるとまたまた買い優勢になるという大変にご多忙な展開。とりあえず昨日下げた分を丸々お返しして終了の図となりました。

2年ゾーンが妙に戻ったのは、そもそも一昨日の売りが「ああ勘違い」だったということなのかも知れませんが、まぁ今までろくすっぽ動かなかったこのゾーンが毎日値動きをするというのは、市場(というか短期金融市場)参加者の想定時間軸がやっと短縮されて来たという風に解釈すれば良いのかな?と思います。

それにしても相場のモメンタムというか勢いで2年ゾーンも動くようになるとまぁ商売としてはきゃあきゃあ言いながらどたばたやれるので楽しめますが、平均株価が50円や100円動いて時間軸が長くなったり短くなったりするもんでも無いでしょうとつい思ってしまう年寄りのあたくしとしては、毎日頭の中で「???」が飛び交いながらヒーコラ売買するのでありました。


○この状況で大丈夫かトレジャリー部門

まぁしかし何ですな。一昨日の手形オペ金利いきなり上昇(0.002%の上昇って世界の話ですが)にも「まぁお前ら落ち着け」と言いたくなってしまいましたけれども、別に何か景気や物価に関するすんげぇ材料が出た訳でもないのにこれだけフラフラと値動きをしてくれているのを見ますと、将来まともに金利のつく世の中になった時に大手銀行のトレジャリー部門大丈夫かと思いっきりひとごとですが気になってしまう今日この頃なのでありました。

現在の2年国債は月に1.7兆円発行なのですが、実は「短期金利がぶれる」という前提の下でこんなに発行されていた訳ではございません。で、2年という年限は短期金利の影響をより長い年限に比べて受けやすく、おまけにヘッジのツールに乏しい(5年以降ならば債券先物が絶賛大規模売買中)ので、ゼロ金利を脱却した後に円滑消化できるのでしょうかって話は実はこの年限の方が気にかかるというのはあたくしの感覚的な発言なのですが。

勿論多年限も絶賛発行増なのですが、2年というのはヘッジしにくいこともあり、金利上昇局面ではもうゲロゲロのダメダメになりやすいという体験がありますし、現在も2年債の消化状況って物凄くざっくりと割り切って言えば「発行」→「大手銀行のトレジャリー部門」→「日銀の輪番オペ(国債買入)」という流れがあって、短期資金見合いで動いている面が強く、短期金利がぶれだした時にイールドカーブの手前のグリッドポイントが不安定になり易くなるのは長期金利に対してもあまりよい話では無いと思う訳ですな。感覚的な話が続いて恐縮ですが。

で、それを意識してるのかしてないのかは存じませんが、発行年限を長期化しているのは、将来の量的緩和解除→金利政策の復活となった時のイールドカーブという事を考えるとこれまた理に叶ったお話でもあったりする訳で。と勝手に解釈しているあたくし。


話は戻りますが、まぁ今の状態でこれだけどたばたやってて本当にCPIがゼロになった時にはきっとどこかに行ってしまった年寄りが復活してくるから何とかなるのではないかとは一応思ってますんで念の為(^^)。

しかし「まぁ落ち着け」としか言いようのない昨今(というかここ3週間)の短期ゾーンの値動きでございました。ちなみに蛇足ですが、時間軸云々は3ヶ月ものには無影響だったようで、昨日の3ヶ月ものFBの入札は99.9998円の足切りでして、そのあと業者間ではショートカバーなんでしょうが100円まで出合っていたようで。銀行のトレジャリー部門って資金ディーリング部門なんですから業者が泣きながらショートカバーするようなニギリをしなきゃいいのにと思うあたくしは業者失格ですかそうですか。

#ドタバタ乱高下してますが、結局この2週間ちょっとって138円台(上下に瞬間抜けたときもありましたが)で上に行ったり下に行ったりしてるだけなんですよね。今日抜けるのかど〜かは知らんが。

やっと木曜日かと思いつつ既に電池が切れているあたくしなのでありました。





2005/08/24

お題「変な相場になってきましたな」

○ああ勘違い

さてどこから話をしようかと思う昨日の相場。ちょうど目の前の番組で米国のなんちゃらというガイジンの人が為替見通しの話をしていたのを聞き流していたら、物凄い勢いで腰が砕けるコメントがあったので朝からぶっ飛んでしまいました。曰く、

「日本銀行はいずれ量的緩和政策の解除を検討する事になるだろう(まぁそこまでは判る)。早ければ10月にも」

ええええええええええ!って感じですが、こんな講釈であたくしの20倍位(もっとか?)の年収があるのではないでしょうかなどと思ってしまうと物凄い勢いで血圧急上昇ですわな。んな訳ネーだろというのは量的緩和政策のコミットメント3条件を読めば誰でも判る事ですがなというのはドラめもん読者の皆様におかれましては自明ですが、そういう発言が平気で(生放送とは言え)テレビ番組でのたまう人が米国にいるちゅう事は、結構マジでそういう事思ってる海外の人っているのかもね。


で、昨日もまた恐怖金融新聞は香ばしい記事を並べてくれたのですが、1面トップのお題「銀行株高、上昇余地探る」ってのがいつもの法則発動で昨日の銀行株反落を招いたというのはご愛敬と致しまして(笑)、「アナリストの見方」として某黄金人間証券の著名な外国人アナリストのコメントとして「なお3割近く余地」とありました。

ほっほーと思って読んでみると、前提として「短期金利の水準が2009年3月末ごろまでに1.25%に上ると仮定すれば」って書いてありまして、今の日本国債のイールドカーブを見て書いているのかおまいはと小一時間問い詰めたくなるようなお話でございました。そういうことはせめて5年国債が1%になってから言えという感じですな。逝って良しということで。

ま、何ですな。海外投資家がどうのこうのってやたら有り難がる傾向がございますが、そんなにエラソーなものでも無いちゅうことで宜しいのではないかと大和魂重視のあたくし(ナンノコッチャ)は思うのでありました。



○馬鹿馬鹿しいほどに動く2年ゾーン

まぁそんな「ああ勘違い」が横行する昨今ではございますが、昨日の債券市場では2年国債が朝っぱらから売り物がちになり、前場からいきなり前日比2毛甘の0.16%なんぞが出合う有様。10年20年よりも金利上昇幅がでかいってそりゃ何よという感じ。後場には0.165%まで売られて目を疑いましたよ全くもう。(引けは0.145%)

20年国債入札後に株式市場が頭打ちになったこともあって債券先物などが上昇した為に、終わってみればイールドカーブ上2年近辺が一番お安いというかなーり豪快な相場になってしまいました。

今月の2年国債は0.12%からスタートしたのですが、8月11日の5年国債入札の時に0.185%の安値までマークして反発。先週は(ドラめもんでもご紹介しましたが)週初0.145%まで戻ったと思ったら0.17%まで売られ、水曜日からは猛反発して先週末は0.125%まで上昇したのに、昨日の安値は0.165%と言う事で、まぁ動くわ動くわ。


金融政策変更の思惑がそんなにぶれるような材料がでてますかねって思うような動きですし、以前(12日)に5年国債入札レビューを書きながら「何か妙なタイミングで中短期がボロボロになりました」と書きましたが、昨日に関してもいきなり2年債がボロボロになるのは意味判らんですわな。

株価堅調で量的緩和政策の時間軸が短くなるっていう発想が起きるのであれば、月曜に平均株価が爆騰した時に売られる筈でして、何というかやたら反応するタイミングが変でございまして、まぁ量的緩和ゼロ金利時代のご到来以来「短期資金運用」の名目でご参入の大手銀行の資金部門あたりの人たちが暴れているのではないかと勝手に想像しておりますが、何かモメンタムというか勢いで売ったり買ったりしてませんかねという印象を強くします。

別にあたくしが当事者として詳しい訳ではないので聞いた話を組み合わせて好き勝手に想像しますと、大手銀行の資金部門は長引く量的緩和でベテランディーラーのノウハウの継承が上手く進んでおらず、年寄り絶滅後の若い衆は短期金利が動くという世界への経験が乏しい為に、量的緩和政策の出口がどうしたこうしたって状況になってきた昨今金融政策に関するちょっとした新聞記事やら相場の勢いやらでドタバタしているのではないかなぁという感じです。あくまでもあたくしの好き勝手な想像であって実態はどうなんでしょうとは思いますが、業者の債券ディーラーだけで2年の金利がこんなにアホのように動く事は考えづらい。


○で、またお得意の吹かし記事が見つかる訳ですが

上に書いた「金融政策に関するちょっとした新聞記事」ってのが毎度お馴染みの日経金融新聞2面の「ポジション」欄。お題が何と「1年もの金利高め誘導?短期市場の機能復活狙う」という記事でして、年寄りのあたくしなんぞは見出しを見た瞬間に小一時間問い詰めたくなるような記事なのですが、この記事を真に受けたのかどうか判りませんが、朝っぱらから1年TBを売っていた人もいたらしいので世の中わからんものです。

で、まぁ朝っぱらからそんな動きで、短期商品やっている同僚から日経金融新聞が話題になっているというのを聞きつけて読んでみたら危うく茶を噴き出しそうになりました。謝罪と賠償を要求したいものです。

記事では「5月中旬以降週に1〜2回のペースで実施していた期間の長い全店手形オペが8月8日以降全く入らなくなったのは、オペ期間の短期化で長めの短期金利の上昇を促そうとしている」という趣旨でお話が展開されておりました。好き勝手ペラペラ喋って相場を混乱させるのが得意技なのではないかと思われるどこぞの少数派審議委員が腹話術でも使っているのではないかという記事で思わず笑ってしまいましたが・・・・

今月初の資金不足を通過した後は当座預金残高は34兆円とかを維持していまして、そもそも資金供給オペを実施する必要性が薄い状態が続いているので全店手形オペを打っていないだけの話しで、それを取り上げて大騒ぎするのは明らかに為にする論議ですわな。そして、オペの期間に関しては、そもそも「札割れ回避」(=資金供給をちゃんと行う)が目的であって、長めの短期金利を下げるのが目的ではございませんわな。札割れが続いていたので仕方なく資金供給オペ期間を長くしていたのであるからして、無事に資金供給できるのであれば期間を短くするのが当たり前で、それを「市場機能の復活を狙う」というのは話がおかしい。

ちなみに、昨日久しぶりに実施された全店手形買いオペは4月14日エンドと前回のオペからエンドを2ヶ月ほど短くしてきましたが、何を慌てたのか落札利回りは前回から0.002%上昇して0.007%となってました。いやまぁ節操ねぇなあと思いますが、1年ものTBが0.01%乗ってますんで、この辺りの金利上昇はまだそんなに驚くほどではないでしょうな。(つーか先週もオペ金利上ってたと思うのだが)

で、まぁ今日あたりも日経新聞あたりで「オペ期間の短期化によって量的緩和政策の出口に向けたシグナルが出た」とか言い出すのではないかというあたくしの珍説を某通信社の短期市場担当記者に話したら電話口の向こうで爆笑の発作が起きていたのはここだけの話しです(^^)。本当にそんな話題が出かねないのがアレですが。


念の為申しあげますと、量的緩和政策で短期金利だけでなく、より長めの金利の低下を促すって話を量的緩和導入の時にしておりますが、これは短期金融市場へのオペレーションで金利誘導をするのではなく、あくまでも時間軸効果によって長めの金利を低位安定させるという意味であって、そもそもが時間軸を市場機能に働きかけて長めの金利に影響をさせるというお話。よって「オペ期間の短期化によって市場機能の復活云々」という理屈は筋違いな理屈であるとあたしゃー思うのですが、どうなんでしょうね。

ま、その辺「何でもあり」というか鵺のような政策なんでまた話がややこしいのですが、相変わらず無茶な解釈をして吹かしますな〜と感心した次第であります。






2005/08/23

お題「宿題リスト/20年国債入札です」

○宿題リスト

ここの所金融庁や日銀から色々なペーパーが出ておりますので、そちらについてご紹介しないといけないのですが、何かと雑事が立て込んでいて読んでいる時間がございませんで、すっかり放置プレイとなっておりまして恐縮至極。

という訳で宿題リストです。

その1:バーゼルU関連資料

バーゼルU関連の資料がいくつかあるのですが、その中で債券売買にモロに影響しそうなのは金融庁あんど日銀のWebに載っております「トレーディング業務に対するバーゼルUの適用およびダブル・デフォルト効果の取扱い」についてのペーパー。こちらはカウンターパーティーの信用リスクの扱いとかレポ取引に関する扱いとかを(なぜかプレゼンテーション用のソフトで)書いてあるのですが「なんちゃら方式による算定がどうのこうの」として数学が苦手なあたくしにはお経よりも難しい式が幾つも入っていて誠に遺憾です。

正直、この手の資料に出てくるの「式」ってのは「計算の式」ではなくて「算定に関する基本的な考え方」を書いている事が多いので、わざわざ式にしないで日本語で説明して頂きたいものだと思います。経済学の本を見てても同じ事を思うのですが、基本的なものの考え方を文章でうだうだ書くと冗長になるのは判りますが、読んでる人が読み下しながら「ほうほう」と思うような記述を工夫されたしと前々から思いますな。

などと自分の頭の悪さを棚に上げて勝手な事を言うあたくしでありました。

最後のレポ・フェイル関連の所をざっと見たんですが、現在の実務から見て無理のない(というかいきなりリスク賦課が増える事が無いと申しますか)扱いになっているようですな。DVP決済(証券と資金を同時決済すること)推進の為に非DVP取引の扱いを厳格化するのかと思ってましたが、国内でのヘルシュタットリスクは考慮しない(意訳)というのが最初に目に入りまして、「まぁあまりガチガチにしないんですね」との第一印象です。資金に関しては「内国為替決済における銀行間決済途上の資金」は全額保護ですけど、証券決済って保護対象でしたっけと思いつつも。


その2:金融庁の監督指針

これがもう莫大な量ありまして、おまけに「概要」と書いてあるペーパーを読んでもこれが単なる本の見出しみたいなもんでこれを見ても何の事やら内容が全く判らんという代物。これはちょっとパスかもしれんね。


その3:証券取引等監視委員会関連

証券取引等監視委員会の年度は何故か7月からスタートになってまして、実は7月21日に既に平成17事務年度の証券検査方針に関するペーパーが出ております。まぁこれも読んでおかないとという感じですが、既に出てから1ヶ月経過していて証文の出し遅れですかそうですか。

9月半ばになりますと、「証券取引等監視委員会の活動状況」という本が監視委員会編集で出版(政府刊行物を置いているようなところで売っているものと思われます)されますので、そちらを読むとこれがまた面白い人にはかなり面白いという代物です。特に犯則事例の紹介が中々勉強になるというか示唆に富むというか。まぁお勧めです。


○20年国債入札ですが

昨日の債券市場は実に嫌らしい感じで下げました。終わってみれば先物で56銭も下落して先週前半のレベルまで下がっているのですが、その間の下げ方がドカンドカンというような下げじゃなくって、何となく上値が重くて反発力が無いと思っていたら下がっちゃうという展開。じり安シーザーとか下らん駄洒落を飛ばしていたのは内緒です。

終わってみれば日本相互証券の引値ベースで20年79回債が2.15%となってますが、まぁビットサイドでの引値になってまして、これを複利に引きなおすと2.135%あたりになる筈なんで、まぁ新発20年国債はクーポン2.1%で2.135%〜2.14%あたりの入札になるでしょうなぁ(もしかしたらクーポン2.1%なので人気化してもうちょっと強くなる悪寒も)という感じです。

昨日は内閣支持率上昇→総選挙で自民党大勝→平均株価の上昇という図で債券が何となく(今日入札だし)買いにくい感じでしたが、さすがに10年も1.47%まで下落してますし、ここから下はさすがに10年20年に押し目買いが入る事になるでしょうという感じ。まぁ消化にそんなに懸念は無いのではと思います。つーか昨日よくもまぁ下がりましたなぁという印象が強いですが。

昨日の下げ方が何となく「売ってもイマイチ下がらないので買い戻し」って感じで事前ヘッジの売りをかましてもついつい買い戻ししたくなるような相場でしたが、まぁ事前ヘッジもそれなりに入っているものと思われます。と申しますのは、昨日終わってみれば30年と債券先物(実は8年ゾーンあたりも)が一番安いというイールドカーブになってますが、取引開始から途中までは20年ゾーンの甘さ(30年も)が目だってまして、事前ヘッジなのか30年が重いのかは判りませんが、それなりに準備モードでもあったという印象でして、業者の受け入れ体制(?)もそこそこできていると存じます。

ま、前場次第でどのくらい強い入札になりますかって感じですが、今日もシカゴで日経平均が強く帰ってきてるようですので、頑張って先物叩いて相場水準を下げて入札を迎えるのかもしれませんな。

#などと書くと大外しする(昨日の分をご参照ください)のがドラめもんクオリティなのですがorz






2005/05/22

お題「無駄な乱高下モードは終了のようで/雑談」

○一番平和だった金曜日

えー、毎日のように相場雑感と称してグチグチと相場の乱高下に関して申しあげていたのでお判りのように、先週はお盆休みウィークの隙を狙うかのごとく先物中心に振り回し攻撃をする人の姿が目立つ動きでした。

で、金曜の相場なのですが、これがまた意外に平和な動きでした。ここまでの勢いならば先物で139円乗せとかちゃっても良いんじゃネーノと思っていたのですが、結局先物高値は前場に93銭の後場94銭。日中の値動きもほとんど138円85銭近辺での小動きでした。久々の平和な値動き(笑)で、まぁ平和過ぎると商売上やや問題があるのでそれはそれでアレなのですが、物凄い勢いで訳のわからん動きをしていた一週間だったので偶には良いでしょうという事で。

変に振り回す人の動きがあまり目立たなかったのを勝手に想像すると、投資家さまの夏休みモードも大体終了してあまり無茶な振り回しをすると投資家の本格的な売買をぶつけられる可能性があるし、下がって上った相場の間にポジションの整理も進んできたのでオドシに乗る人が減って来ましたでしょうなぁと言った所なのでしょうか。今週は明日に20年国債入札あり、夏休みモード終了ときておりますので、まぁいつもどおりの相場が戻ってくるのではないかと愚考します。


最近米国債券市場(だけじゃないけど)がよく動きますなぁと感心して傍観しているのですが、どこぞの情報端末を見ておりましたら、米債が買われた理由付けに「日本の週間対外証券投資統計で、米国債の買い越し額が前週比倍増した」というのがネタになっていたとかいうのがあったので、「ほほう」と思って普段あまりみない数字を見たら、500億円の買い越しが1000億円になっていただけでして、ナンジャソリャという落ちがあった訳でして。ちなみにピークの時は週間1兆円とかいう数字が出てきます。

まぁ米国市場も金融政策と景気動向に不確定要因が多くて相場が不安定になっているので、意味不明の後付け理屈が出てくるっちゅうことなのでしょうかねぇと思うのでありました。

今週末には毎度ご注目の消費者物価指数が発表される筈でして、まぁこの数字に注目って話に徐々になっていくのでしょうなぁと思いながら、とりあえず20年国債入札に注目ですか。特に懸念されるような事はないとは思いますが。


○床屋政談的雑談

国民新党に引き続いて日本という名前の新党が結成されるそうですが、数人しかいない状態で党を2つ作るという発想が激しく意味不明というか頭の中がメルヘンなのではないかと小一時間問い詰めたい所であります。少数派が分散してどーするのよ。

まぁこの週末は今回の解散総選挙や自民党の候補擁立に関してネット上でも色々な見方が披露されておりまして、なるほどなるほどと感心しながらあちこち読んでおりました。で、bewaadさんがその旨指摘してましたが、自民党の言う「廃案になった6法案の再成立を目指す」という政権公約は賛成派で3分の2以上の多数を取らないと無理なお話であって、そりゃちょっとどうよ(というか元々の解散理由がそれなので仕方無いのですが)とは思いますわな。その割には(自民党+公明党−自民党の法案反対者)の現有議席を割り込んでも信認された(過半数なら信認だそうで)事になるという理屈も随分と好き勝手な話なんですが。

誰が言ってたのか忘れましたが、自民党の偉い人が「選挙結果を受けて衆議院で成立させた法案を参議院でまた否決するというのは参議院の存在意義を問われる事になるだろう云々」という発言をしていたのをテレビで見たのですが、まるっきり同じ法案を出したら同じ賛否結果になるの方が当たり前で、今度まるで同じ法案が成立するようでは、そっちの方がチェックアンドバランスの為に作っている二院制の意味ないじゃんと思うのは原理主義者ですかそうですか。

まぁそもそも二院制の意味がどうのこうのって話になりますと、ひたすら政党主体の似たような選挙を参議院でもやってるのが問題なのであって、個人的にはまずは全国区復活キボンヌなのではございますが、それは兎も角として、何かこう理屈を詰めていくと「おめぇそりゃおかしいだろう」というのを「郵政民営化は構造改革であって反対者は既得権益擁護の抵抗勢力」という錦の御旗の勢いでゴマカシているでしょうあーたたちはというのがど〜も引っ掛かるここもとの選挙動向なのでありました。

などと書くと「小泉改革を支持しないとはケシカラン」と言われそうですが、まぁ書くことが出来る世の中がいつまでも続いて欲しいものです(苦笑)。

#「ホリエモン無所属で出馬」というニュースで最初ちょっと下がったあと値上がりして、暫くしたら急落したというライブドア社の株価推移は笑ってしまいました。ありゃ一体何だったんだ??






2005/08/19

お題「底打ち確認のようですが」

果てしない〜大空と〜♪ってまんまの命名で笑ってしまいました(注記:鈴木宗男氏が主宰する新党「大地」のことです)。

○底打ち確認で買いレベル切り上げですかそうですか

昨日のドラめもんで「よくぞ戻しました」などと申しあげておりましたが、米国市場で何となく株高債券安になって帰ってきて昨日の債券市場は、一旦海外市場に反応して債券先物が下落しました。しかし、138円50銭近辺でサガランチ会長状態になってきたかと思えばその後はじりじり上昇と相成りました。

昨日は朝っぱらから超長期ゾーンが前日に引き続き堅調で、2〜3年ゾーンもしっかり。株価指数が相変わらず確りだったのですが、そちらにはお構いなく現物債も堅調推移という前日の続きのような相場になってきてました。日中の値動きは相変わらず先物振り回し組の動きが目立つとしましても、こりゃまぁ相場は目先下げ止まりましたわなぁという動きになりました。

毎度お馴染みのパターンではございますが、運用しなきゃいけないお金というのは相変わらず絶賛流入するようでございまして、相場の下げ止まりを確認すると「運用しなきゃいけない資金」の圧力が気になってきて買いが入ってくるという傾向がございます。特に今回はつい1ヶ月前には1.4%なんぞ全然買えないでしょうと諦めの介だった相場でしたので、まぁそのことを思えば1.5%を待って空しくキャッシュに置いておくよりは1.4%に乗ってるなら買っておきましょという発想になるでしょうね。

そんな訳で、来週火曜日の超長期国債入札は気になる所ではございますが、とりあえずは底打ち確認で買いを待っていた人たちがとりあえず買って見ますかって動きの方が効いてくる相場展開になっておりますわな。


○相変わらず先物を振り回す人がいるのですが

火曜日には成り行き1000枚の売りなどというのもありましたが、昨日もまた引け際10分で400枚だの200枚だの先物をバカスカ売り叩く人がいまして、引けまでに10銭ほど相場をぶち下げて138円72銭の引け。その後イブニングの寄り付きも売り超にして引けから4銭下げてスタートしたのですが、特に何があったわけでもないのにふと気が付くと138円77銭とかまで大して出来高も伴わずに上昇。

引け際の先物売り叩きが本当に現物債にそれなりの売りが出ているならそう簡単に戻るわきゃーなくて、まぁ先物の大玉を振り回してディーラーの心理を煽って売り買いさせようっていう人がやってるんでしょうなぁという感じ。勿論何の見込みも無しに振り回すと最終投資家さまの売買に返り討ちにされますので、ある程度投資家動向の裏づけがないと無茶な振り回しはできませんが、今週は夏休み+入札や経済指標の大きいのが無しという事で、投資家さまの大きなアクションが見込めないので絶好の暴れ場となったようですな。

引けで「何でこんなに売り売りになるんだ」と「???」になっていたらどこからともなく「大手銀行が今売ったんだかこれから売るだとかいう話らしい」などというふざけた噂を流している人がいるという噂(何のこっちゃ)を小耳に挟んだのですが、いやまぁ噂ですかそりゃまあえげつないことやってご苦労なことですわな(売りが出てるならイブニングで出来高伴わないで戻るなんて有り得ん)というのはここだけの話(というのはウワサの常套文句ですなぁ^^)でございます。


○2年債も戻りましたな

相場の下げ止まり感といえばこちらですわな。今週火曜日に安値0.17%まで下がった2年235回債ですが、一昨日の引けは0.135%で、昨日は高値0.125%まで戻るという動き。引けは0.13%なのですが、それにしても2日で上下0.045%も動くとは豪快な相場でございました。実に疲れるお話で。

金融政策の早期変更リスクを織り込みに行った筈の相場にしては戻るのが早く、特にその間に何があったとも思えないので結局「???」のまま一相場終了してしまい誠に遺憾ではありますが、とりあえず2年ゾーンが崩れる気配が起きなければそう簡単に債券相場が売り売りモードになるとも思えず。先ほど申しあげたように依然として存在する運用圧力パワーによって押し目は
買いが入るんでしょうなぁというところで。


○床屋政談的なただのおまけ雑談

・ライブドア堀江社長の立候補がどうのこうの

何でも亀井静香氏の選挙区にぶつけるという話になるらしく、福岡1区で各党入り混じっての乱戦を(傍観者としては)期待していたので何か拍子抜けではございますが、直感的には民主党候補が獲得する浮動票を食って却って亀井さんのサポートにならんかと感じますが(笑)。もしかしてこれは対立候補を出す振りをした裏サポート策なのでせうか?

ま、お笑い選挙になってきて誠に遺憾極まりないという印象は変りませんがね。


・国民新党の候補者公募

皆様も既にニュース等でご案内かと存じますが、国民新党(国民党の方が良いのではないかと愚考しますが)が候補者公募ってニュースでこんなのが(URL先は例によってあっという間にアーカイブ化される悪寒)→http://www.asahi.com/politics/update/0818/003.html

論文のお題の一つが「刺客と教育」ってあなた落語の三題噺じゃないんだからそういうアフォな事言ってると票が逃げますよと思う訳ですが。何というかこう反小泉の人たちどうしてこう揃いも揃って間が抜けているのかとある意味感動してしまうものがございました。

それ以前の問題として日経の昨日の社説じゃないですが、結成の経緯があまりにも往生際の悪さを見せ付けすぎですけどね〜。


・郵政民営化以外は白紙委任なのか

という共産党のコメントは泥の投げつけあい状態の選挙(始まってませんが)戦の中では珍しく正論に聞こえますな。自民党の幹事長様なんぞは当初「国民投票」とか言い出してて聞いたあたしゃー腰が砕けましたが、選挙に当選したので全面委任されたという論理はやはり飛躍がございませんかねぇとあっしも思います。まぁ批判するのは簡単と言ってしまえばそれまでですが(^^)。


ま、本日自民党の第4次公認が発表されるようなので、また話題に事欠かないと行った所でしょうな。





2005/08/18

お題「大したネタも無く雑談を少々」

引き続きネタがあんまりない相場ではあります。

○よくぞ戻しました

昨日の債券相場、米国債券市場が鉱工業生産と株式の下げのせいか買われて帰ってきたのをネタにしたにしては朝っぱらから豪快に買い気配。朝方から中期ゾーンがやたら強く、先物や長期ゾーンも確りとなりまして、相場全体大きく戻るの図。相変わらず注目の2年国債は2年235回債が前日比2毛強の0.135%まで買われまして、前日の安値近辺で0.17%とかやっていたのを考えると、こりゃまたエライ勢いで戻りましたなぁという感じ。

ま、相変わらず「相場が下げ止まると買いたかった人がご登場」というのが最近の債券市場のお約束でもございまして、2年辺りは大手銀行様の資金ディーラー類似の皆様の買いのような気もしますが、その他年限の現物も引けに掛けて妙に強くなってきましたので、インデックス系な買いとかもあったんではないかと勝手に妄想。

暫くは「絶対水準に着目した買い(あるいは売りだけどまぁこの辺では売りはないでしょう)」よりも「相場のモメンタム重視の売り買い」の動きが遥かに大きくて、目先の値動きが増幅されているという感じになるのかな〜と思いますが、それにしてもこう毎日の値動きが「もう今日でマーケットが終了しちゃう」って言わんばかりの買い(あるいは売り)というのはやってて疲れますな。全くもう・・・・


○恐怖新聞ウォッチ

さて、そんな相変わらず疲れる相場が終わり、あたくしふと恐怖金融新聞を読んでみたのですが、その毎度お馴染みの2面「ポジション」欄には「長期金利1.5%抜けを狙った海外投資家のポジションが積み上がって来ました」というような如何にも長期金利上昇でっせ先生みたいな記事がございました。「この程度の材料でこんなに債券相場が上昇したのはこの記事のせいでしたかガクガクブルブル」ということでして、相変わらずの恐怖新聞ぶりに命が100日縮まる思いでございます。

ちなみに、昨日ネタにした火曜日の日経新聞の1面には不動産投信あるいはファンドの不動産保有が10兆円に拡大して、都市部で取得競争が繰り広げられているという記事がございましたが、まぁこちらがガクガクブルブルになるのだけは勘弁して頂きたいものでございます。

都心部にこれでもかとばかりに住宅やオフィースビルが供給されているのを見るとちょっと懸念しちゃうんですが、杞憂であって欲しいものです。


○取引所の株式がどうのこうの

昨日は村上ファンドとも言われるファンドさまの大証株追加取得問題で金融庁が「そりゃちょっと如何なものかと」という判断をしたというニュースを目にしまして思わず万歳三唱したのは内緒です(笑)。

まぁ株式公開してるんだから買収だのという事態が発生してもやむなしなのですが、んじゃあそもそも何で証券取引所が普通株式を公開する必要があるんでしょうかねぇという話にもなる訳ですが、その話はさておきまして。

最近朝6時から東京MXテレビ(と南関東UHF局3社)でやってるブルームバーグTVをみてたりするのですが、昨日の企業トップインタビューには東証のシャチョーさまがお出ましになりまして、東証上場問題に関して答えておられました。で、あたくしの脳内メモリーベースで誠に恐縮至極でございますが、株式を買い占められて云々という問題に関してはシャチョーさまにおかれましては「証券取引所の公共性というものを勘案して市場の皆様の良識に期待する」みたいな誠にのんびりした仰せでございまして、いやまぁ寝言は寝てから言えという印象。

まぁインタビュー全文を見たわけではないので、ちゃんとお考えなのかもしれませんし、もしそうならこのくだりは全面削除してお詫びなのですが、株式公開問題に関して何かトップがあの調子で大丈夫かよという不安を描き立てられるインタビューでございました。


○久々に麻生総務大臣ネタ

というかネタ元は普段Web巡回してる「はてなダイアリー」の「ダメオタ官僚日記」さん(http://d.hatena.ne.jp/pogemuta/)の8月16日のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/pogemuta/20050816)でございます。勝手にご紹介して大変恐縮至極ではございますが。

先週金曜日の大臣記者会見で、靖国問題に関してテンプレートというかカセットテープのように決まりきった質問をする記者に対して、お得意の皮肉を交えて切り返しているというお話でして、まぁその内容はリンク先(もしくは総務省のWebから大臣記者会見を調べるか)をご覧頂ければと存じます。

以前何度かご紹介したように、経済財政諮問会議でも中々味わい深い(と言うか身も蓋もないという方が正しいような気がしないでもないので、味わい深いとは言わんか・・・・)発言をして、会議が机上の空論に走らないようにしているように見えるその姿勢に萌える訳でございますが、引き続き大変に良い味をお出しになられているという事に改めて乾杯といったところです。



○総選挙・・・・

に関しては益々萎える一方のあたくしでありますが、政党本位の選挙というよりは既存大政党が有利(政党内部の状況で言えば党執行部が断然有利)になる現在の選挙制度に関しては、ちょっとねぇ・・・という気がする今日この頃。構造改革、規制緩和で民間活力の導入、新規参入を促進するなら一つ選挙制度もその方向で宜しくお願いしたいものですが(笑)。

ま、皆様が選んだ人たちがやってる事なんで、アホか馬鹿かとか言うのは自分の鏡に向かってアホ馬鹿言ってるようなもんだというのは理性ではわかるのですけど、なんというか日々脱力でございますわな。ここの所の騒ぎは・・・・






2005/08/17

お題「丹羽伊藤忠商事会長の構造改革郵政民営化コメント」

相場や日銀は大した話もなく、本日は日経新聞よりネタを査収。

○値幅以上に疲れる相場(相場メモ)

昨日の債券市場も相変わらず動いたのですが、またまた動いたのが2年国債。昨日は前日比1.5毛甘まで叩かれた後に前日比変らずまで戻るという動きでして、何がどうなってるのか知りませんが、とても2年債とは思えない日中の値動き。2年国債の動きに3年ゾーンあたりまで影響されて動くという感じでしたが、昨日は4年あたりから先の中期ゾーンは何故かボロボロになっていました。売りでもあったのかも知れませんけど。

昨日は先物がやたら底堅く、買戻しっぽい買いの雰囲気が目だっていました。現物債がヘロヘロで強いのは先物ばかりなりという感じでした。成り行き1000枚売り(何か半分くらい出来た所で取り消しになったっぽいですが)で下がった瞬間だけは現物債のビットが残って何となく復活した感じもありましたが、その後下がらなくなってからは戻るのは先物って所で。

しかし地震で債券先物が戻るってのも何のこっちゃという感じですな。


○これはまた正論ではないかと(丹羽さんのインタビュー)

昨日の日経新聞5面経済面のインタビュー企画「どうする構造改革、識者に聞く」の第5回目に登場したのは伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎さん。

構造改革と郵政民営化問題に関してコメントをしていまして、丸々引用する訳にも参りませんので当該新聞記事を読んでいただければとは思いますが、経済同友会の行政改革委員長として郵政民営化を支持してきた事から現状の郵政民営化問題に対するコメントをしてまして、このくだりにあたくし感心することしきりでございます。以下同記事より引用します。

『(郵政民営化は)白紙に戻し、やり直したらいい。窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険の4事業体に分割する民営化にはリスクがある』

『貸し出しなどの銀行業務部門は素人ばかり。そもそも民間企業は借金を返しており借り入れ需要は少ない。潤沢な資金を官だけで使わず、民間に流すことが郵政改革の根幹だったが、350兆円の資金を民間に流すといっても今となってはありがたくない』

『むしろ必要なのは郵貯と簡保の将来的な廃止だ。郵便事業は当面、必要なものを税金で運営すれば済む。郵貯と簡保が消えていけば350兆円の資金は民間に自然な形で流れてくる』

民営化して新事業を展開して収益を上げるというバラ色のシナリオが先日の民営化法案の前提としてあったりしていた訳ですが、「民間でできる事を民間に」というスローガンに則るという話であれば、何も元官営金融事業を大々的に展開するこたぁねぇだろうと(民営化ったって元は官業だったんですから)いうわけで、郵貯簡保の将来的な廃止で規模を縮小していくっちゅう方が筋は通ってますわなぁと思う次第。

この前の日曜夕方にどこぞの報道番組をちょっとだけ見てたら、郵貯限度額を引き下げると言ってる政党の人と竹中大臣様が議論をしてましたが、脳内メモリーによりますと竹中センセイ「限度額引下げで雇用の確保はどうなるんだ」とか突っ込んでいましたが、そりゃお前さん突っ込む所間違ってませんかって思う次第。民営化の一つの目的ってリストラだと思ったのですが・・・・・


話はなおずれてきますが、郵貯の限度額をいきなり引き下げると国債が暴落するという懸念もあるようですが、まぁそれは工夫次第でしょうなぁと思います。郵貯の限度額を引き下げればその分資金流出は発生しますが、全額タンス預金にでもならない限りは1日なのか1ヶ月なのか判りませんがその資金は民間金融機関に預入されますわな。今は金融不安もございませんのでそんなに多くはタンス預金化しないでしょ。

で、現在民間金融機関に資金が回ってきても(丹羽会長のご指摘のように)民間企業の資金需要が少ない現状では結局国債を買うしかない訳でして、タイムラグを置いて郵貯の保有する国債が民間金融機関に振り替わるだけのお話。従いましてこのタイムラグに相当する期間の資金繰りの面倒を日銀(とか国債整理基金とか)が行って移行期間に市場でバカスカ売却させるのを止めれば宜しいかと。そもそも郵貯の負債デュレーションってそんなに長くないので、資産のデュレーションもそんなに長くないと思うので、長期国債が売られまくって阿鼻叫喚って感じにはならんでしょとは思いますが。つーか資金繰り上では金余ってなかったっけ?


で、丹羽さんのインタビュー記事に戻りますと、丹羽さんの行政改革に関する発言も中々の物でしたが、そちらまで引用しだすと記事を殆ど引用する事になってしまい誠によろしくございませんので、「政治に改革の旗手を期待できるか」という質問に対する丹羽さんのコメントもまた中々のものでございまして、最近の「構造改革は正しい→小泉改革は正しい→小泉首相に反対するのは既得権者の抵抗勢力」という奇妙な理屈が罷り通る風潮の中、企業経営者としての立場でこの発言は結構勇気いるんじゃないのって思いました。同じく同記事より引用。

『巨人軍元監督の川上哲治さんに「V9」の秘訣を聞いたことがある。川上さんは王や長嶋ら実力者がいたからだと言った。どんな名監督でもその思いを実行する実力者がいなければ、偉業は成し遂げられない。企業も人も一人では改革はできない。小泉政権の場合、小泉監督の下に実力者がいなかったのではないか』

『王や長嶋がいないなら育てなければいけない。小泉さんが一人でスターになり、国民は小泉さんだけに拍手するから、ますます一人でやれるとの自信をお持ちになったのではないか。それはごう慢でもある』


○節操無き戦い

今朝の某経済ニュース番組では朝から元気一杯ハイテンションのおねいさんが「ますます仁義無き戦いの様相」とコメントしてましたが、何でもライブドア社長の堀江さんに福岡1区(福岡市東区、博多区)で自民党から出馬の可能性ってお話のようですわな。

社長の力で持ってる(と勝手に思ってますが違ったら正直スマンカッタ)会社を差し置いて政界進出はね〜だろ〜と思いますが(笑)、それにしても報道を見ておりますと、話題づくりだか何だか知りませんが、有名人を立てて浮動票狙いってのもちと調子に乗りすぎではないかと思う今日この頃。

報道する方も報道する方で困ったものですが、何かこう日が経つに連れてどんどん萎えて来る総選挙でございます。日本の「極端から極端に走る」「メディアに踊らされ易い」という日比谷焼き討ちの頃からお約束の国民性を勘案すると、現在の選挙制度っつーのも何かあまり宜しくないような気が致しますな。

ま、思ったことをグチグチ書いただけですが。






2005/08/16

お題「金融庁の得意技」

○相場はまだ落ち着きませんな

昨日の債券市場は大体盆休みモードっぽかったのですが、それでも先物の値幅は39銭とまぁそこそこ動いたという感じでした。で、相変わらず動いていたのが2年債でして、2年235回債は寄り付き後は元気に買われて前日比1毛強の0.145%まで買われた場面もあったのですが、その後は戻り売りだか何だか知りませんが押し戻されるという展開。気が付けば前日比変らずの0.155%が全部売られて売り残りなんて場面もございまして、まぁ先週後半程では無いですけれども2年ゾーンの金利がまだまだ落ち着いてくれないようでございます。

この辺の金利が妙に上ったり下がったりするというのは、短期金利(というか金融政策)に関する参加者の先行き見通しがぶれているというか、一致していないという事でしょうな。まぁここもとの急速な金利上昇で発生したイカレポンチなポジションが整理できていないというのもあるでしょうが、それにしてもこのゾーンの金利が日中に上ったり下がったりというのは微妙に「落ち着きませんなぁ」という雰囲気になるというものでございます。


○お節介は止めましょうね(はぁと)

ちと旧聞になりますが、日本経済新聞に「金融庁またかよ!」といいたくなる香ばしい記事が8月9日にございました。あたくし過去記事検索のやりかたが下手くそなので何故か「特集生保経営」のコーナーから拾ってしまいました(リンク先は3ヵ月立つと消滅しますんで念の為)。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt36/20050809AS1F0900W09082005.html

「金融庁、全金融機関に顧客満足度の調査実施を要請へ」って記事でございまして、記事でもさすがに「金融機関からは「民間が自主的にやること」と批判的な声も出ている。」って批判的な感じですが、この元ネタを金融庁のWebで見ると益々香ばしさが爆発して参ります。

http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/f-20050809-1.html

金融庁様におかれましては具体的に何をお考えかというのが上記URLの真ん中あたりに書いてあるのですが、この文章を読んでいると実に慇懃な言い方で「ご要望」をしておりまして、その言い回しの香ばしさに涙を禁じ得ません(-_-メ)。曰く、

『金融庁としては、懇談会でのご意見等を参考に、利用者満足度向上に向けた取組み、すなわち、利用者の声を把握し、それを踏まえ、各金融機関がその創意工夫による自主的な経営改善を行う取組みを、各金融機関が推進していただくことを期待しております。』

懇談会の意見(上記URLの文章からリンクしている先にあるざます)を聞いて満足度向上に向けた取組みをしやがれこの野郎どもという事ですな。

『利用者の声を踏まえた経営改善を行う取組みとしては、各金融機関が利用者保護を更に充実させるために利用者の声を生かし業務改善を行うものと、マーケティングの一環として利用者のニーズを掘り起こし、各金融機関が特色ある金融商品・サービスを開発する等の改善を行うものに大別されるのではないかと考えられます。』

その前の文で各金融機関がその創意工夫による云々と書いている割には、既に取組みに関して規定をしているのが心暖まる訳ですが、2種類あるからその通りに実行しやがれと。

『前者については、各金融機関が積極的に業務改善を行っていただき、改善を行った項目等について公表されることを期待しております。また、後者についても、特色ある金融商品・サービスを開発する等の改善を行っていただき、各金融機関の経営判断のもと、できる限り公表していただくことが望ましいと考えております。』

やった事に関してはちゃんと発表しやがれと仰せですかそうですか。



で、まぁ日本経済新聞の記事を見ますと「満足度調査を実施するよう要請する」とありますが、金融庁の発表文とそのリンク先を読みますと、どうも満足度調査とやらの実施状況に関して各業態の業界団体に実態調査をさせたという事のようです。例えばこれ→http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/f-20050809-1/yokin02.pdf

上記URLは預金金融機関に関るお話なのですが、まぁその実態調査の内容が細かい事細かい事(2ページ目をご覧下さい)。その細かさについては上記資料なんぞをご覧頂くと吉だと存じますが、4ページ目に「顧客へのアンケート調査を行っていないのは何故でしょか」っていうアンケートがあったりして、思わず茶を噴いてしまいました。

『Q7.アンケート調査を行っていない場合、その理由はなぜですか

(1)その他の方法で把握できるとしている金融機関における利用者の満足度の把握方法としては、「お客様ご意見カード(お客様の声カード)」、「投書箱(ご意見箱)」の店頭設置、ホームページに意見受付コーナーの設置を行い把握しているとの回答が多くみられる。

(2)協同組織金融機関では、渉外活動や懇談会・親睦会・相談会を開催し利用者の満足度を把握する活動を行っているとしているとの回答も多くみられる。

(参考)外国銀行については、顧客が少数・限定的であること、個人顧客がおらず法人顧客とは定期的な会合をもっていること等の理由から、特段のアンケート調査は行っていないとしているところが多い(8割)。』

特にこの(参考)のところは・・・・・(^^)


まぁ何と申しますか、ペイオフ完全解禁をして(という事になっているが、尻抜けも良い所だというのはご案内の通り)各金融機関が自主的な経営努力をする事によって金融機関経営が発展していくとか何とかいう建前で「金融改革プログラム」が作られている筈なのですが、監督官庁たる金融庁様が業界団体経由でこんな細々とした「実態調査」を行って「自主的な取組み」もあったものじゃないですわなという感じでございまして、金融機関の中の人も大変ですなぁと涙が止まらなくなるお話でございます。

大体からして、顧客の満足度が最低最悪だったら金融機関じゃなくても顧客から淘汰される訳でして、顧客アンケートの具体的項目まで事細かに「業界調査」を行うというのは暗に「この項目をアンケートに入れやがれこの野郎」と言ってるとしか思えませんが、そーゆーポイントこそ各金融機関の創意工夫で行う話なのでは無いかと小一時間ですわな。大体からしてアンケート形式にしなきゃいけない理由もワケワカメだが。

現在の内閣の絶賛金看板であります所の「構造改革」とやらは「民間でできる事は民間で」「規制緩和」という話の筈ですが、実態として進んでいるのがこれかよおいおいと感心することしきりなあたくしでございました。金融庁だけが突出しているのかも知れませんが、それにしてもこりゃ何なんだってお話でして、中長期国債の入札も無いお盆ウィークですんで、是非当該資料をご覧頂ければと存じます。





2005/08/15

お題「相場メモ/決定会合議事要旨(7月12〜13日)」

○まさに行って来い

金曜日の債券相場、終わってみれば先物は51銭高で5年は5毛強(新発は5.5毛強でしたが)、10年が5毛強で2年が2毛強だったのですが、前日の下げが、先物56銭安で5年と10年が5毛甘で2年が2毛甘って事で、思いっきり前日の下げ相場の正反対の動きをやってくれました。

朝方発表されたGDPが市場予想(年率換算1.9%くらい)というか、一昨日市場の一部で囁かれていた(もっと良い数字)水準を下回る年率換算1.1%だったのが戻りの原因なのですけれども、それにしても前日下げた分丸々戻るとはお見それ致しましたというか何というか。

前場はそうでもありませんでしたが、後場に入ると前日まで凄い勢いでヘロヘロだった5年30回台前半のゾーンなども復活してきまして、木曜日の下げは何だったんだという感じですが、木曜は入札で需給バランスが悪化していた所に指標前ということで余計に下がったという事にしておきましょう。

・・・・ま、いずれにせよ相場が不安定な地合いにあるという事でありまして、金融政策に関する何らかのアクションが近いうちにあったらどうしましょうかねぇ(まだあるかもしれないモードにはなってないと見ました)と懸念している所だというのが現状ではないかと思います。


○決定会合議事要旨

7月12、13日に実施された金融政策決定会合の議事要旨が公開されましたが、金曜日は上記のように「行って来い」相場できゃあきゃあ言ってましたので、あまり材料視されませんでしたが(笑)。

http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050713.htm

・景気の踊り場脱却に関して

この決定会合後の福井総裁記者会見で、やたらと景気に強気な発言をしていたのはご案内の通りでございます。

『踊り場脱却に関するお尋ねであるが、わが国の景気は踊り場を脱却したとまで明確に言い切れないものの、脱却しつつあると判断して良いのではないかと思う。IT関連分野の調整は、なお若干尾を引いているが、企業部門の状況の良さが家計部門に次第に浸透してきており、景気回復が当初のシナリオよりは少し広がりを持って動いて来ている。そこまで含めて私どもは踊り場を脱却しつつあると判断している。』

で、議事要旨を読みますと、この総裁発言と平仄を合わせるような内容となっておりました。「U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」の部分になりますが、引用していると長くなる(というか要約すると上記総裁発言になる)ので最初の所だけ引用しておきましょう。

『経済情勢について、委員は、わが国の景気は「踊り場」を脱却したとまでは言い切れないものの、「踊り場」を脱却しつつある、との認識を共有した。』


・当座預金残高目標に関して

「V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」より。

毎度のように2名様が当預残高目標の引下げの提案をしてましたが、この提案に対してどういう議論があったかと申しますと・・・・・

『ある委員は、当座預金残高目標の減額は、「引き締め」と受け止められる可能性があり、こうした点を踏まえ、金融経済環境を丁寧に点検していくことが必要との認識を示した。』

そうですな。引き締めと受け止められないのであれば下げても良いという話なのかどうかはここのくだりだけ読んでいても良く判りませんが。

『別の委員は、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気や物価の現状を踏まえると、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。』

こちらの委員は、景気や物価に当座預金残高目標を連動させるという事のようですけれども、そもそも当座預金残高目標を最後に引き上げた時には「景気見通しを上方修正しながら当座預金残高目標を引き上げる」という表面上の理屈として訳の判らん事をやっていたという事実はスルーですかそうですか。


ご案内のように7月末に当座預金残高が(ヤラセじゃなくて^^)目標割れをしましたが、当然ながらこの会合時点で「月末の目標維持がヤバイかも」って話をしていたようで、目標割れに関する議論も行われています。

『何人かの委員は、5月の消費者物価指数の前年比がゼロ%となるなど、物価を巡る環境に変化がみられる中で、残高目標の下限を下回った場合、金融市場に一段と思惑が強まる可能性もあると指摘した。』

えー、この後に起きた現象によって判明したかと存じますが、実は金利先高感が市場に発生しますと長めの期間のオペに対する応札意欲が高まるので、資金供給に関してはそんなに苦労する必要がなくなるんですな。よって上記の可能性というのは考える必要があまり無かったりします。

『その上で、「なお書き」の趣旨が量的緩和政策を円滑に運営していくためのものであることを丁寧に説明するとともに、現在の物価情勢を踏まえれば、(1)当面、金融政策運営の基本スタンスに変化がないこと、(2)量的緩和政策からの「出口」については、「約束」の3つの基準に即して適切に判断していくこと、(3)経済・物価情勢の変化に対しては、機動的かつ柔軟に対応していく方針であること、を情報発信していくことが重要であると述べた。』

で、まぁそれに即した発言が総裁記者会見で行われたという事で宜しいのかと思いますが、景気の先行きに自信満々だから「余裕を持った対応」をしているだけなのでは無いかという気もややしますが(笑)、まぁ景気が回復して困る人もいませんので何とかこのまま余裕を持った落ち着いた対応を望みたいものであります。あまり自信が無い時には逆に念願の量的緩和解除をやりたいという意思が表に出てきて困るのよね。

ま、いずれにせよ「なお書き修正は金融政策の正常化への一歩」というような、過激派の見解はマイナーなる意見ということになっているのは確実(審議委員の皆さんのホンネは兎も角として)だということのようで。

『この間、別の委員は、情報発信に当たっては、経済・物価の見方等を丁寧に説明することが大事であり、先行きの政策運営への思惑を生まないよう努める必要があるとの考えを述べた。』

いやまぁそうですけどオマエガナーって感じはしますけどね。ま、いっか。


・財務省と内閣府からはまたも注文

もう殆どお約束の世界ですが、財務省からは「デフレ脱却が重要なので、デフレ脱却前に金融政策をいじらないで」というご注文、内閣府からは「マネーサプライを増やしましょうね」というご注文がでております。

(財務省)『民間需要主導の景気回復を持続的なものとするとともに、デフレから脱却することが、引き続き重要な政策課題である。従って、日本銀行におかれては、現在の政策内容を継続するとともに、現状の量的緩和政策を堅持する姿勢に変更がないことを、市場や国民に引き続き示して頂きたいと考えている。』

(内閣府)『日本銀行におかれては、実体経済が緩やかに回復している一方、デフレ克服には結果としてマネーサプライが増加することが不可欠であることから、政府のデフレ脱却への取り組みや経済の展望と整合的なものとなるよう、市場の動向や期待を踏まえつつ、実効性のある金融政策運営を行って頂くよう期待する。』


・しかしまぁ今回も・・・・・

議事要旨の最後は採決に関してですが、今回もまた福間委員は「27〜32兆円」の提案を行い、水野委員は「25〜30兆円」の提案を行い、おまけにお互いの提案に関しては反対票を投じるという端から見てると意味不明なこと夥しい結果になっておりました(笑)。






2005/08/12

お題「相場レビュー/総裁記者会見補足」

○何かミョーなタイミングで中短期債がボロボロに

昨日の債券相場はま〜色々とございました。5年国債入札というイベントもございましたが、そんな中で2年だの3年だのというゾーンが随分と派手派手に動いておりました。

昨日の2年235回債は0.185%まで出合いがあって、引けに掛けては戻して0.175%がまぁビットサイドのようでしたが、上ったり下がったり結構忙しい事でてーへんですなって感じでした。勿論先物だの5年債だのも良く動いたのですが、2年だの3年だのというゾーンの債券がこのタイミングで「時間軸の短期化」を織り込むような動きになっているのには驚きました。

恐らくは株価指数がやたらめったら堅調なのを受けて俄かに尻に火が点いたって所なのでしょう。先月末の金融政策決定会合後の総裁記者会見では景気に関しては益々強気の発言が聞かれ、出てくる経済指標もまぁ悪くはないという展開が続いていた割にはあまり時間軸が変らんのですなぁという感じだったのですが、何故かこのタイミングで2年ゾーンがヘロヘロとはこれ如何にという所でしょうか(苦笑)。先月末の2年国債入札の直前に売られていて「おいおい大丈夫か」って感じだった2年ゾーンが入札後反発し、その後もトリオ・ザ・ショート銘柄の5年27回〜29回(残存3年弱)がやたらと強かった(何せ今週月曜の相場では先物が下落しているのに前日比利回り低い所に強力ビットが入ってた位でして)のに正直あたしゃー騙されましたよとほほのほ。

まぁ昨日の2年ゾーンの動きを勝手にあたくしの脳内で解釈いたしますと、実弾売りが出たというよりは、今までやたら堅調だった3年ゾーンや、相変わらず足元の資金余剰で確りのFBに挟まれて何となくロングになっていた債券や資金ディーラーの外しが下げの要因かな〜と。と申しますのは、昨日の2年新発債は所々で反発を交えながらという動き(引けでは小戻ししてますし)でして、昨日の相場でより悲惨だった4年前後のゾーン(5年33回〜38回あたり)のようにビットも入らずヘロヘロという所まで逝っておらず、ビットも入りながらの展開。そりゃまぁ0.2%に接近してきた所ではさすがに買いも入りますわな。本当に早期の量的緩和解除が起きたら知らんが。


とりあえず2年ゾーンには押し目を拾う動きあり、5年新発債に関しても後述しますが、新発債のゾーンに限るという感じですが(苦笑)買いが入っているという感じですので、このあたりの押し目買いによって、2年と5年のカレント物が落ち着いてくれば、中短期債が全般的に落ち着きを取り戻してくるのではないかなぁとは思います。


○5年国債入札

いやまぁ強烈な値動きではございました。

朝っぱらから中短期ゾーンがよわよわだったことから、5年ゾーンも先物対比で安いところでの取引という目を疑うような展開が延々と続きまして、前場の引け時点では先物が138円15銭(すいません、あまりにも動きが凄かったので自分のポジションのケツ拭きに忙しくて前場引けの値段は脳内メモリーベース。数銭違うかもしれません。)でしたが、5年47回債、48回債は前日比5毛甘の0.685%が買われ(47回債は0.68%も出合い)てビット残りという状態。

前場引け際に先物をいきなり10銭近く持ち上げたのはちとケシカランでしたが、水曜日の先物高値(あの上げはしかし一体何だったんだお蔭であたしゃー騙されましたよ)から80銭以上下げているという相場ですんで、事前ヘッジはまぁワークしてるという展開。逆に「入札どこ入れりゃいいんだ」というので皆さん頭を痛めるというお話になりましたが、落札結果はご案内の通りで平均100円13銭(0.672%)の最低100円12銭(0.674%)と前場引けの実勢と思われるベースから3〜4銭高いという豪快な入札になりました。

で、落札結果発表後に相場は戻ったのですが、毎度お馴染みのように戻ったのは先物だけで、先物が138円30銭近くまで戻った時に何とか0.67%がビット(0.665%は47回債の方では出合ってましたかな。さっきと同じ理由で昨日は相場のメモがあまり無いのよ(苦笑))とかで全然アガランチ会長になっていましたが、再度相場が売られる過程では何と中期ゾーンの中で5年新発債のゾーン(47回債と48回債のコンビ)が一番確りという動きになりました。

終わってみれば(ちと最後の先物は勢いついて下げすぎ感漂うのですが)先物が137円95銭に対して、コンビ・ザ・5年カレントは0.685%堂々のビットサイド(周囲の債券がボロボロだったので、バランス上引けは新発債にしては珍しくビットサイドで値付けされました)となっておりました。よって「前場引けから先物20銭下がって5年の気配は前場引けと同じ(入札が1毛近く割高なのですが)ですかそうですか」という事でして、落札結果発表後に当該ゾーンがゲロゲロになるという最近の遺憾な入札と比較勘案すると、まぁ悪くは無い入札だったという感じではないかと。

おまけに、相場下落の過程で4年も6年もボロボロなのに5年カレント兄弟は相対的に強いビットが残っていたという事は、5年新発債に関しては少なくとも下がればニーズがそれなりにあるのではないかと思わせる値動きで、落札した業者としては割とホッとする入札ではなかったかと思います。



○福井総裁、今回も「公的部門のリストラ」を訴える

昨日ご紹介した総裁記者会見の続きです。

『ご承知の通り、日本経済は過去10年以上もの苦しい過程を経て、過去の問題──少なくとも民間部門においては過去の問題──の処理という点について、かなりの進展をみてきた。言い換えれば、ショックに対して脆弱性をもっていた経済が、その脆弱性をかなり脱却し、ショックに対して比較的強い経済に生まれ変わってきている。今回の政治的な変化がさらにどのように発展するかわからないが、このことによって目先すぐ具体的に目に見えるようなかたちで悪い影響が及んでくるかというと、そこまでは言えないような気がする。しかし、今後の政治情勢の展開如何によっては、やはり人々の心理に微妙に悪い影響が染み込んでくるリスクはないとは言えない。このように心理面を通じてボディーブローのように染み込んでくる悪い影響に十分注意を払いながら、今後の経済の動きを判断していく必要がある。その程度の注意深さは必要である。』

『さらに長期的に考えれば、日本経済の新しいダイナミズムを確立するためには、民間部門だけではなく、公的部門のリストラ、構造改革がしっかり伴っていって初めて完成形に近づいていく。将来の課題は非常に明確である。従って、今後の政治情勢の展開が、公的部門の構造改革推進という国民の期待にしっかりと沿うようなかたちで進展していくことが、経済にとって非常に重要である。』

『私は非常に長い目で見て、公的部門の構造改革が民間部門の努力と平仄が合って来ること、これが生命線だと申し上げている。私だけでなくて、日本経済の中で真剣に努力をしておられる一人ひとりの皆様が、過去10年以上の苦しみの過程で築き上げた蓄積の中から十分引き出せる材料をたくさん持っておられる、そのことだけを申し上げている。』

(以上8月9日の総裁記者会見要旨から福井総裁のコメント)

で、この話を読んで思い出したのは「驚愕の審議会」です(^^)。

去年の6月のお話になりますが、財務省における「日本経済の将来ビジョンを語る懇談会」という審議会の第10回会合で、池尾和人先生が大変に身も蓋もない「日本経済の状況」についてお話をされていまして、それに対する議論が行われていました。、その中で池尾先生のプレゼンテーション(まぁ論議の叩き台なんでしょうね)にこんなのがあって「何とまぁそんな本当の事を(^^)」と妙に感動した覚えが。。。。(ちなみに、去年の6月18日に「財務省の密かな悩み」などというお題でドラめもんでご紹介いたしましたが、この当時の文章をさっきざっと斜め読みしたら、ああこんな事書いてたのねと赤面することしきり)

『バブル崩壊によって生じた問題からの脱却の第1局面、すなわち、民間部門の債務を公的部門に付け替え、民間部門の健全化を進める局面は終わりを迎えつつあり、そろそろ公的部門に付け替えられた債務の償却を考えなければならない第2局面に入ってきていると思われる。(実はこの先の方が読み応えがあるのですが、あえて割愛します。是非当該資料をご覧下さい!)』(平成16年6月1日に実施された「日本経済の将来ビジョンを語る懇談会」議事要旨より)

で、まぁ公的部門のリストラをこれから始めましょうってご認識なんでしょうな。今の郵政民営化法案問題ってここで池尾先生が指摘する「公的部門の債務償却」とは何かちと違う気もしますが。。。

当該議事要旨はこちら→http://www.mof.go.jp/singikai/vision/gijiyosi/a160601.htm





2005/08/11

お題「総裁定例記者会見その他」

○何というか素直じゃない相場なことで

昨日の債券市場。前日FOMCを受けた米国市場が株高債券高になったせいなのかいきなり先物上昇。引き続き中期債がやたらと弱く、先物が前日比15銭上昇して5年47回債の前日比変らずがやっと買われるといった次第。長期債も弱く、前日に続いて先物独歩高でした。

ところが、前場途中から中短期債が益々弱くなってきたかと思えば相場は全体的に下落。で、下落の過程で3年半〜6年ゾーンが先物に先行して売られるというバランスが延々と続いてました。また、業者のショートカバーニーズがやたら強くて割高になりながらもビットだらけだった5年27〜29回のトリオ・ザ・ショート銘柄のお蔭で気配が誤魔化されていた1年半〜2年ゾーンも気配誤魔化しきれずにヘロヘロとなり、中短期ゾーンが見事にボロボロになってしまいました。

当初は(昨日のドラめもんで申しあげていたように)入札前の5年むりむり売りかと高を括っていたのですが、さすがにこの売り方は入札を前に5年というよりは4年あたりにでも売りがぶち込まれたとしか思えず、こんなに売る人といえば大手銀行様(ポートじゃなくてALMの方かもしれませんが)という事になる訳ですが、正直この時間差攻撃というかワンテンポ遅れて売られたというタイミングには参りましたな。まったくもう。

と申しますのは、あたくしが何度も申しあげているように(っていうとどこぞの債券ストラテジストのようでアレなのですが^^)手形オペの金利上昇はもうちょっと前に出てましたし、機械受注統計が強いのは昨日の2時に出てましたし、日銀の月報で景気判断をまた前進させて福井総裁の踊り場脱却キターは既に昨日(の3時過ぎですが)出ている話。一昨日の機械受注統計発表後の相場上昇と、昨日前場の相場上昇(先物の上昇という表現の方が正しいかも)は一体全体なんだったんだということで。まぁ日経平均が12000円どころか12100円まで上昇しちゃった株式市場の強さを見て反応したのかも知れませんが、日経平均しか見てないのかと小一時間ですな、あははのは。


で、まぁ本日はいきなりヘロヘロになった所で5年国債入札。昨日中期債を売ったお人が新発を買うのか買わないのかで全然様子が違ってくるでしょうという実にアレな入札になりそうですな。入札だけ割高になる攻撃は勘弁していただきたいものであります(がそうなりそうな悪寒)。まぁ投資家様の売りもあったでしょうが、入札準備の提灯売りもあったとは存じますんで。



○小林議員(正しくは前議員)それは情けないぞ

あまりにも香ばしい姿なのでついネタに。

小林興起氏立候補予定の東京10区に小池環境大臣が近畿比例から回って立候補予定と言う事で何か早速泣きが入っているようですが、「自由民主の党でこのようなことは云々」って同情引こうかと思ってるのかもしれませんが、正直逆効果では無いかと(^^)。

かつて第4次吉田内閣の時にかの有名な「バカヤロー解散」があったのですが、この時に総理懲罰動議採決に欠席して謀反を起こした自由党(この時の名前は民主自由党だったかもしれない幹事長(追記:この時は農相でしたな。で、罷免されたんですが)の廣川弘禅氏に対しては新人候補(安井大吉氏)をぶつけて見事叩き落したという実績がございます。まぁ吉田ワンマンが自由民主かという議論はございますが(笑)、んなもん対立候補立てられるの当たり前じゃネーノって思う訳ですが。

「国政に汗を流し、地元の為にも汗を流してきた自分が現職閣僚とは言え近畿地方からいきなり鞍替えしてきた落下傘候補に負ける訳にはいかない」くらいの根性を見せないとダメダメですわなぁという所ですな。正直あまりの情けなさに昔の某掲示板用語で現在死語と化した「逝ってよし!」を連発したくなる状態ですな。

ま、小選挙区制度の中で政権党が解散に次ぐ解散をして・・・っていう事態に関してはかの憲政の神様尾崎行雄氏が懸念していた点(暫く前にドラめもんで書きましたが、国会会議録検索システムでど〜ぞ)ですので、あまり小林さんの慌てぶりをサカナにしている場合でもないんですけどね。



○というわけでやっと総裁記者会見(^^)

もう進軍ラッパなりまくりですよ先生。

http://www.boj.or.jp/press/05/kk0508a.htm

・踊り場脱却キター

長いので改行入れます。

『(答)日本経済は、実体経済面を見ても物価面を見ても、じわじわと良くなっている。じわじわだが確実に良い方向に進んでいる。従って、前回、「踊り場局面から脱却しつつある」と言ったが、今回も同じかというと同じではなく、少し前進している。』

『なかなか難しいのは、じわじわと良い方向に進む経済がいつ明確に踊り場から脱却したのかということについて、その瞬間を正確にとらえて完了形できちんと判断するのは非常に難しい。少し過ぎてから振り返ってみて、「もう脱却していました」となりかねないのが今の経済の実態の姿だと思う。おそらく今の瞬間はそんなに正確にはわからない。特にIT関連の在庫調整は着実に進展しているが、生産・在庫などの統計で、特に電子部品とかデバイス関連の在庫循環の絵を描いてみると、在庫調整が終了したかあるいは終了するごく直前という感じになり、明確に終了したと断定できるぎりぎりのところにあり、大変微妙な状況になっている。』

『そうしたことも含めて考えると、今の時点で写真判定すれば、少しぼやけた写真判定において、大方踊り場的な局面から脱却したと言えないこともないという感じである。私は文学者ではないので、これ以上うまく言えない。』

いやまぁ強気というか自信満々というか。ところで文学者云々のくだりで茶を噴いてしまいましたが、言葉尻を一々チェックする人が鬱陶しいわけですかそうですか。


・当預残の下限割れ話も結構ありました

結構下限割れ問題も突っ込まれていましたが、「なお書きでの下限割れの程度問題」に関しては定義づけのようなことを極力しないようにという感じを受けました。まぁそりゃ当たり前と申しますか、そもそも「30〜35兆円程度」という「程度」の言葉で済ませる事も出来たところをわざわざ「なお書き」を入れた訳ですから、なお書きの程度問題を明確化しちゃうと自分で自分の首を絞める結果になりますわな(笑)。そんな中で、あたくしもすっかり忘れていた件に関して突っ込みをする人がいたのには受けました。

『(問)当座預金残高目標30〜35兆円程度の中心線は33兆円程度であるという考え方は、変わっていないのかどうか。(後半はのちほど)』

そういやそうでしたすっかり忘れてました(滝汗)。意地の悪い質問ですけど、中心が33兆円だとか言ったのはそもそもが福井総裁な訳ですからね(笑)。

『(答)最初の質問であるが、その点については「なお書き」を今のように修正した5月の金融政策決定会合後の記者会見でご説明した通り、下限割れをしているごく短い期間を除き、通常の状況においては、従来通り33兆円程度を中心に市場調節を行えるであろう、また行っていこうということであり、従来と変わっていない。』

全然33兆円中心じゃありませんが、前に余計な事を言ったツケがこういう所でも回ってきておりますな。この後続けての突っ込みが無かったのは惜しい所ですが、恐らくまた総裁が売り言葉に買い言葉モードになってしまうので矛を収めたんでしょうな。身から出た錆とは言え苦しい答弁だこと。


・市場機能の回復?

同じ人がもう一つ鋭い質問をしております。さっきの質問の続き。

『(問)(前半は上記)また、7月27日の全店手形オペの金利が0.002%となり、最近では0.005%まで上昇しているほか、TBのレートも上がっているが、これは多少なりとも市場機能の正常化に向けて動き出したと見てよいのか、それとも一時的な弾みでなったものと見るべきなのか、あるいは何らかのリスクが出てきていると見るべきなのか、伺いたい。』

『(答)それからごく最近の動きとして、ご指摘のように全店手形オペについて応札が少し増えてきており、応札倍率も上がっている。また応札される方の金利の面での札の入れ方も変わってきている。私どももその変化に十分注目している。』

その通りでございます。ご存知なのは当然とは言えさすが細かいですな。

『今のところ私どもの受け止め方は、経済・物価情勢に関する私どもの基本的シナリオと、世間一般の方々、そして市場参加者の方々の情勢判断について、従来いくらかあったかもしれないギャップが段々と縮まってきており、情勢判断を共有しうる範囲が少し広くなってきている。それに伴って市場参加者の行動が変わり、イールド・カーブの形成のされ方が少し変わり、それが次のオペの機会における応札の態度にも微妙な変化を与えてきている。』

市場がやっと日銀の強気に反応してきたかとご機嫌のようでございます(苦笑)。

『これは、経済・物価情勢の変化、それに対する認識の変化、そして市場参加者の行動の変化、市場のコンディションの変化、それがまた市場関係者の次の行動を促す、というような新しい循環を生み出し始めている可能性があると見ている。まだ始まったばかりのことであるので明確なことは言えないが、そのような循環の走りと受け取れるものではないかと見ている。(以下割愛)』

金利先高感が起きれば「市場機能」とやらはちゃんと復活するんですよ(^^)。


・その他

今回の記者会見では政局の質問と、行財政改革に関する質問が多くでていまして、行財政改革の話が色々と出ていましたが、今日のところは割愛いたします。




2005/08/10

お題「踊り場脱却ですかそうですか」

○相変わらず先物が暴れてましたが

昨日の債券市場の動きもまたまた妙な動きをしておりまして、米債が4.4%に乗せたのは判りますが前日安値引けしたのにいきなり寄りから138円63銭なんぞで寄り付きました。で、その後は先物は妙に買戻しの中現物ヘロヘロで、超長期や長期の弱さもさることながら、4年〜5年あたりの中期債が重いのは入札準備態勢なのでしょうかって感じ。まぁここもとの下げで先物が妙に売られていたので、その戻しも大きく影響していたかと思いますが。

それにしても呆れたのは機械受注統計を受けた相場展開でして、機械受注の数字は市場予想を上回るもので、瞬間138円69銭→61銭まで下落したのですが、その後先物買戻し攻撃が発生して前日比プラス圏まで相場が上昇して終了という誠に素直じゃない相場の反応でございました。

一昨日の参議院本会議結果判明後の債券先物の妙な暴れっぷりもそうでしたが、ここの所(というか暫く前から)先物が威勢良く動くことが多く、まぁ「訳判らんときは海外ファンドの法則」(笑)によって海外の人がよく売ったり買ったりしているようでございます。一方で国内投資家の皆様におかれましては、ここもとの金利上昇は「投資環境の改善」レベルの上昇のようでして、まぁ下値を売り叩きにくる人はございませんですわなぁという所で、引き続き押し目買い継続中。

んな訳ですから、機械受注統計の数字が予想より良くても下がらかったのでFOMCもあることですしポジション落として置きますかモードになったのかもしれませんな。戻り局面で現物債のバランスは変っていないどころか益々ヘロヘロになってますんで、そんなに強力な買いが入った感じではなさそうです。

明日の5年国債入札向けの準備モードがちとやり過ぎ感漂うのですが。


○いやまぁ強気ですなぁという金融経済月報

8月分はこちら→http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0508.htm

例によって7月と比較しますと、現状判断をより強気に修正しまくっているのが目立つ所でございます。

・総括判断

(8月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整が進むもとで、回復を続けている。』
(7月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、回復を続けている。』

その後の記者会見で「景気が踊り場を脱却したとほぼ判断しうる」という話を福井総裁がしておりまして、情報ベンダーのヘッドラインを見た記憶ベースで恐縮ですが、IT関連分野の調整に関しても調整がかなり進んできているというコメントをしていた筈でして、懸念材料の一つ(7月の月報から文言は削除されてましたが)が片付いたという点では「また強気になりましたなぁ」という感じです。

・現状判断は輸出、生産と雇用者所得に関して上方修正

(8月)『輸出は緩やかながらも増加しており』
(7月)『輸出は伸び悩んでいるが』

(8月)『生産も、IT関連分野の在庫調整が進むもとで、振れを伴いつつ増加傾向にある』
(7月)『IT関連分野の在庫調整が進むもとで、生産は緩やかな増加傾向にある』

(8月)『雇用面の改善や賃金の持ち直しから、雇用者所得は緩やかに増加しており』
(7月)『雇用面の改善や賃金の下げ止まりから、雇用者所得は緩やかながら増加しており』

ということで、生産に関してはまぁ書き方が微妙ではございますが、輸出と雇用に関しては上方修正。何だかんだと言っても輸出と個人消費(に影響する雇用者所得)は経済の牽引役ですんで、この2点に対して現状判断を前進させているのは大きいと思います。

まぁ最近の市場はこのあたりの判断前進をある程度織り込みに行ってるとは思いますが、例えば去年日経平均が12000円になって日銀の景況判断がガンガンの強気になった頃に中長期金利はいくらでしたっけって考えると、どうなのかな〜って気も致します。需給面で言えば昨年4月〜6月の相場よりもより「金利上昇に向けた警戒感」がある分だけ投資家の皆さん買い余力残しながら臨んでいるようで、「警戒感があると逆に相場は下がりにくい」というのを絵に描いたような展開ではございますが。


・先行き見通しに関して

先行き見通しに関しては7月と8月の文言に変化はございません。要するに『先行きについても、景気は回復を続けていくとみられる。』ということで(^^)。


・物価に関して

こちらも文言に変化なし。現状判断も先行き見通しも変化なく、『国内企業物価は、上昇基調を続ける可能性が高いが、当面の上昇テンポは鈍化するとみられる。一方、消費者物価の前年比は、需給環境の緩やかな改善が続くとみられるものの、電気・電話料金引き下げの影響もあって、当面は小幅のマイナスで推移すると予想される。』となっております。

・金融面に関して

正直あまり見て無いのですが、こちらも変化なし


○で、踊り場脱却なわけですが

総裁記者会見に関しては今日日銀Webにアップされますので詳しくはそちらでとなりますが、踊り場脱却の話は内閣府の方面からも出るようでして誠に結構なのですが、日経平均12000円と踊り場脱却宣言の組み合わせというのは過去に2度ほど天井高値掴みのサインとなってしまったという非常に縁起のよろしくない記憶がございますので、ここは一つ12000円が完全に定着したと見られるまでは我慢して欲しい所でございますが(笑)、言ってしまったものは仕方ないので、その通りに踊り場脱却をしていただきたいものだと切に願う次第です。

・おまけの雑談:FOMCの結果で米債反発

ステートメントさっきざっと見たけど肝心な所は前回と同じだと思う(読み間違いだったらゴメンナサイ)のですが、米債反発ってそんなにインフレ警戒全開のステートメントが出るとでも予想されていたのでしょうかねぇ。最近までのFedのやり方見てると「口では細々コントロールするけど、文書では方向性を出したら方向転換するまで同じパターンで行きます」というものですから、今回いきなりペース加速するとも思えないんですけど、まぁ真面目に見てない人なのであまり無責任な話をするのもアレですので思ってみただけです。

ではでは。





2005/08/09

お題「相場と相場以外の雑談をグダグダと」

えーっと、サッカーの平山選手が「ヘラクレス」に入ったというニュースを聞く度に「平山選手が上場ですか」と思ってしまうあたくしは職業病ですかそうですか。


○総選挙ですかぁ・・・・・

ということであまり政治ネタは扱わないあたくしですが。

参議院本会議前にどこぞの民放で「賛成派VS反対派生討論」とかいうのをやっていましたが、お笑いマンガ道場の人(と言っても30歳以下の人は知らないに違いない^^)とハマコーさんが論議をする筈が論議になってませんわ。だってハマコーさん、相手の柏村さんが二言くらい言うと大声で喚きまくるんだもん。却って逆効果ではないかと思う訳ですが、このハマコーさんが今の状況を象徴してますわなぁってふと感じるの巻。

まぁこのハマコー氏もそうですが、法案反対→民営化反対→抵抗勢力というレトリックは判りやすいし、おまけに亀井静香くんが嫌われキャラクターとしてのイメージが定着(しているのですが、そもそも最初に小泉さんが自民党総裁に選出された時に予備選後に政策協定を結んで小泉支持を打ち出して橋本氏の本選辞退の流れを作ったのは亀井氏だったりするわけですな。協定はあっという間に反古にされてましたが)しているので、昨日も申しあげたように報道もネット上でのご意見も「本法案に反対する人は抵抗勢力」ってのが絶賛ヒートアップ。

どんな政策にもメリットデメリットがあって、その比較を行ってメリットの方が大きいから行うべしって話をしないと論議もへったくれもあったもんじゃございませんが、「本民営化法案はメリットばかりなので反対する人は抵抗勢力」っていうのはやっぱりおかしいと思うあたくしはひねくれものなんでしょうかね。同じ批判は法案の中身についての論議をあまりしているように見えなかった反対派(特に参議院の論客2名)にも言えることですけどね。

最近は何でも単純に「賛成か反対か」という二元論みたいな話が流行しておりますが、まぁそのお祭りワッショイ状態というのは興奮状態の中で行く先を誤るのではないかと思っちゃうんですよね。ちなみにあたくしは行財政改革に反対する気はさらさら無いのですけどね。


いずれにせよ、この調子だと自民党VS分派自民党(あたくしの大予想では代表というか表の看板は野田聖子さんということで)の話がクローズアップされまして、民主党は注目の外になりそうな雰囲気。実は院内の勢力ってあんまり変らなかったりして(^^)。個人的な好き嫌いもありますが、報道されているほど民主党が伸びるのかなぁって激しく疑問。


○やはり織り込んでいましたか・・・・

という訳で昨日の相場。本会議中は正直皆さんテレビをみるのに忙しくて債券市場はザラ場中なのに板が殆ど止まってしまう状況(笑)。ところが、「ほぼこれは否決ですなぁ」という感じになってきたあたりから何となく債券先物が上昇。で、否決となった時には瞬間株安債券高になったのですが、株価指数が前場の安値を切らずに反発してきたらいきなり債券先物も急反落と相成りました。

債券先物が前日終値の139円05銭を抜けて上昇した後下落する所では殆ど板の無いような状態の中での動きでして、例によって先物が持ち上がってみたものの下落過程では長期債、超長期債が相対的に確りということで、まぁ先物だけ暴れましたなぁという感じです。

債券市場はど〜もこの材料消化しにくいようで、暫くは株式市場や米国債市場の動きに振らされるという感じになりそうですね。


○手形オペ金利がまた上昇

そんな中、昨日実施された全店手形オペはまたまた金利上昇。今回は8月10日スタート来年6月15日エンドでしたが、平均落札利回りが0.005%となり、最低落札利回りが0.004%の22.9%按分と「あらら」って感じになりました。

日銀の供給オペレーションで短期国債買入の対象銘柄が絞られて長い期間の短期国債があまり応札できなくなっていることもそろそろボディーブローのように効いてきたようですな。1年ものの短期国債とかも重苦しい雰囲気になっております。

このため、1年以降の今まで時間軸効きまくりだったゾーンの現物債もおもーい感じなのですが、こちらに関しては気配をあまり見せていないので引値ベースでは値持ちしている格好。とは言いましても、昨日の輪番オペでは平均売却利回りが前日比0.009%安とやや安目になっておりまして、板気配から勘案するに中短期ゾーン(と先物近辺の銘柄)が落札されたような感じで、どうも1年半あたりにも影響が及んでいるようですな。

何故か3年ゾーンの5年27〜29回債がやたらめったらタイト(理由は3年ゾーンの中での100円近辺の銘柄がこの辺りにしか無く、買いがこのトリオにばかり入るからなのですが)で、妙にここが確りしているので誤魔化されている感じがあるのですが、昨日の手形オペ金利上昇も含めまして、長めの短期金利から少々金利に上昇圧力がかかっているという雰囲気ですわな。


○金融経済月報と総裁記者会見に注目

長めの短期金利に上昇圧力がかかる中で行われている金融政策決定会合でございますが、何もなしというのは兎も角、景気の先行きに関する福井総裁のコメントは気になりますわな。あまり余計な事を言って金利上昇のネタを撒くのは控えた方がいいと思うのですが、どうもここの所の福井総裁発言をみていると、あまりその辺りは気にしなくても良いかもしれませんね。ヘッドラインリスクはあるのですが(笑)、基本的に景気の先行きとデフレ脱却に自信を深めてきた福井さんは逆に発言が慎重になっている感じですね。

あと気になるのは、いつも会合の内容をリークする「関係者」が今日は何をしゃべりだすのかですか(苦笑)。いい加減にして欲しいものですが・・・・

では♪



2005/08/08

お題「材料の整理/何ちゅうか議論になりませんなぁ」

○まずは材料の整理でも

(1)郵政民営化法案:否決を織り込んだのかなぁ

金曜日の昼に中曽根弘文さんの法案反対表明が出たために市場としては「法案否決→解散総選挙」というのを織り込みに行ったような動きになりました。正直、債券市場がどっちに動くのかは激しく謎だったのですが、当日のそれまでの動きが債券先物売りモードになっていた事が影響したのか、債券市場は「買い」で反応する形になりました。

まぁ株価指数が下がるのはお約束という感じでしたので、株価指数の下げにポジションの閉じへの動きがぶつかったという感じでしょうか。まぁここ1ヶ月で10年カレントものが1.2%割れそうな所から1.4%に掛かろうかという所まで売られているので、週末につきとりあえずポジション閉じって感じもしますし。

一ついえるのは「法案可決」の方が既にサプライズという形になっている事ですな。可決になったら債券は・・・・株価指数先物に逆方向で反応するんでしょうなぁ(笑)。


(2)金融政策決定会合:こちらは平穏無事

金融政策決定会合が本日と明日の日程で実施されます。当座預金残高目標の下限割れ問題に関して議論はあるかと思いますが、おじょーずなことに本日からは再び当座預金残高30兆円を回復するらしい(金曜日の残高が29.5兆円で、本日は1兆円増加予定)ですので、決定会合中の当預目標割れという事態も避けられそうです。よってそんなに大騒ぎにはならないでしょう。まぁ金利先高感というか時間軸の短期化(近い将来量的緩和政策解除の3条件が成立するかもしれないという見方が広がる)が起これば、より長めの資金に対するニーズが高まるので資金供給のオペレーションが円滑に行えるわな。

ということで、「市場が金イラネって言ってるから当預目標を下げる」という市場機能封殺論に関しても、市場がちゃんと先行きの政策をおりこみに行くと動かない訳でもないというのが示されたのは皮肉ではございました。

また、今回の決定会合では金融経済月報も公表されますが、こちらは例によって強気の進軍ラッパ鳴り捲りということで宜しいのではないかと思います。ここの所ずーっと日銀の景況感は強気継続していたのでその延長線上ではあるのですが、債券市場が強気相場だった時はあまり月報を気にせずに動いていて、ここへ来て・・・・そのときに債券市場弱いと月報にもちょっと反応するのかもしれませんな。


(3)米国の債券市場:結局出たとこ勝負ですが

週末の雇用統計が強かったので米国債はまたまた下落して4.4%にあと一息というところまで売られたようですな。ここの所米国債に連動してるんだか連動してないんだか微妙な状態が続いておりますが、とりあえず米国債が妙に堅調だった事がサポートになって上って来た相場でしたので、米債下落にはタイムラグを伴いながらも下げで反応するんでしょうな。

ただし、先ほども書きましたが、ずーっと上から下がってきている相場ですので、途中途中でポジションの閉じの動きが発生して戻る事も多そうではございます。今週はFOMCもありますな。


(4)まぁ需給面で言えば相変わらず押し目買いで戻りは買いなし

金曜の債券市場、というか金曜に限らずここのところ毎度毎度同じなのですけれども、先物VS10年債という関係を見ておりますと、相場が下落する場面では先物が先行して売られ、戻る時にも同様に先物が先行して買われると言った次第。要するに「下がると買いがあるけど、戻りで買う人はいませんですなぁ」というのが如実に現れている状態でして、材料待ちだから仕方ないんですが、方向感があまりない相場になっております。

まぁ20年だの30年だのというのはここの所上っても下がっても強いのですが、これは今までの相場展開で10年までのゾーンが妙に下がらなかったというか20年以降のゾーンがよわよわだったというか、相対的にちょっと弱くなっていたのが影響しているんでしょうな。

まぁ注目すべきは中短期ゾーンの動向かなぁと思います。先週後半は3年あたりのゾーンがあっさり復活してましたので、そのあたりもやや安心感を持たせてましたなって感じです。心理的には2年と5年カレントゾーン動向が目先は気になりそうです。

その他で言えば経済指標が機械受注に週末GDPですけど、ここの所の金融政策決定会合での議論は家計部門に関する雇用情勢と個人消費に注目が行っている(勿論CPIもですけでども)ようですので、まぁ指標として重要は重要ですけれども、どうなんでしょうね。



○郵政民営化法案雑感その2

・「資金の流れ」論は正直わからん

いやまぁネット上でもやたら議論が盛り上がっているのですが、正直あたくしには「郵政事業を民営化して資金の流れを官から民に」っていう理屈が未だに???なのですよ。そんなに「郵貯簡保→財投(というのは財投改革によって直結ルートではございませんので正確性に欠ける書き方です。というか郵貯簡保資金はは国債を思いっきり買ってますわな)」というのがケシカランというのであれば、郵貯の段階的縮小をする方が理屈としては合ってねぇかとおもう次第。まぁその縮小ちゅうのだと政治的抵抗が大きい割には成果として目立たないので国民の支持を受けにくく、実行が困難だってことなんでしょうが。

だいたいからして、民間銀行だって国債を鬼のように買っている訳でして、資金の流れを官から民にすると言って国営郵貯の看板を挿げ替えたからと言って資金の流れが変わるわけでもあるまいし、郵貯が貸出業務やりだすとかいう話になると、おいおい大丈夫かって印象は拭えませんな。


・まぁ賛成派の皆様もおちつけと

いやまぁそんな訳で、郵政改革するなら他のやり方がございませんですかねぇとか、そもそも今の説明で民営化するのは???じゃねぇのかなどと思うあたくしなんですが、最近の流れではもう「民営化法案に対して疑問を呈する人」→「亀井一派」→「抵抗勢力の権化」というようなお話になっておりまして、もう「この法案に賛成しないのは抵抗勢力」というレッテル貼り状態ですわな。よってたまに見るネット上での議論も議論として成立しない状況で困ったものでございます。

しまいには「解散が嫌なら法案に賛成して欲しい(by小泉くん)」ってそりゃ翼賛政治会じゃないんだからさぁって感じでして、法案の内容に関する議論があまり進まなかったのは甚だ残念であります。

まぁ言いたいことは色々あるのですが、整理できてないしただの愚意見垂れ流しになりそうなのでこの辺で。




2005/08/05

お題「材料待ちの相場です」

まぁ週末から来週にかけてエライ勢いで材料がありますので、今日もまた動きにくいでしょうなぁ。その割には先物を一生懸命振り回している人はいるんですが。

#相場が様子見なのでこっちもネタが。鋭意仕込み中ですが

○本店手形オペは相変わらず札割れ

昨日実施された本店手形オペ、金額が8000億円で期間が来年1月26日エンドですので5ヶ月ロングというか6ヶ月ショートというオペなのは毎度お馴染みのパターン。で、こちらは今回も札割れとなりまして4200億円しか供給されませんでした。

来年6月エンドのオペは絶賛大人気でこちらは札割れという事でございますので、まぁこれを素直に解釈すれば、来年の前半あたりに金融政策で何らかのアクションがあるかもしれないという予想というか懸念が何となく世の中ございますなぁということになりますわな。福井総裁(や日銀のレポートやこの前は早川調査統計局長がどこぞのインタビュー)がコメントしていたように「今年末から来年初頭にかけてCPIのプラスが達成」され、そうなりますと様子を見てから金融政策に何らかのアクションがあるかも知れませんなぁという見方だという事ですから、まぁ話としては美しく整合性が取れていますわな。

昨日の債券市場では、今まで割りと持ちこたえていた1年半あたりの債券が思い出したように売られてきておりまして、量的緩和政策時間軸が微妙に短期化してきているということの表れではないかというイメージでございますわな。


相場そのものは上でちょっと書いたように、まぁ様子見モードで最終投資家様のオーダーフローがそんなにあるとは思えないのですが、前場途中に先物が139円22銭とかやっている時に超長期79回債が前日比1.5毛強テイクンとかやって何やっとるんだと思っていたらその後ちょっと先物下がったらすかさず1毛強ヒットしてオファー残り、後場になってみると先物12銭で1毛甘とかやっていてまぁ呆れる展開でございました。顧客のオーダーフローに提灯つけて爆死したアフォなディーラーがいたものと見ましたが、しかしまぁ先物も何か妙な動きをしてますし、出来高と値動きはあるけど投資家さん大して動いて無いでしょうによーやりますなって感じでございます。


○もうちょっと何とかならんのかと思う「お金相談」

自分で振ったネタに自分で反応するあたくし(^^)。

リテール運用の無駄なハイテク化如何なものかという与太話をここのところ良くしておりますが、中日ファンでもないのに読んでおります東京新聞の昨日朝刊にお金の相談コーナーみたいなのがありまして、ファイナンシャルプランナーの人がこんなアドバイスをしましたってコーナーがあったので「ふむふむ」と思いながら読むのであった。

記事はよくあるパターンで、高齢のお方が預金取り崩したく無いし、利息は全然つかないしさてどうしましょって話。で、その答えが「安全性の高い運用の為に債券を中心に投資」という事になっている割にはお勧めしているパッケージがいきなり「外国の転換社債に投資する投資信託」ってなってまして(その他は多分MRFもしかしたら外貨建てMMF?と、個人向け国債)、それは一体全体どこがどう安全性が高いのか小一時間問い詰めたくなるようなお勧めの仕方。「平均利回り6%」とか言っちゃってるし良いのかよ。

大体からして「預金は目減りさせたくない」といいながら「運用利回り2〜3%キボンヌ」とか言う時点で既に相談が間違っているわけでして、結果を出す前に「その希望は市場金利を勘案すると無茶なので、どのくらいのリスクを取ってリターンを求めるのか」という考え方をご教示するのが真のファイナンシャルプランニングではないかと小一時間ですな。そういうこと言ってるからナントカ共済とかに引っ掛かる人が後をたたないわけでして。

東京新聞って割と経済記事まともな部類に属するんですけど、まぁこの新聞にしてこの程度、つーかまぁ経済専門紙とやらがアレでございますので仕方ないんですが、リテール金融のハイテク化とかデリバティブで運用とか花盛りですがその先にあるものはかつてのうわやめろなにおするえdrftgyふじこ


○郵政民営化雑感

衆議院解散が嫌だから法案を通せとかいう理屈をいう議員がいるようですが法案の是非を論じるのが先だろうお前はそれでも立法府なのかと小一時間ですわな。閣僚が解散の閣議決定に反対すりゃええだけの事やん。物理的には首相が全閣僚を兼任して一人で解散できるかもしれないけど、さすがにそれは有り得ない(と思うのだが、あの人はちょっとアレなのでやりかねないですな。そしたら自民党総裁を解任すりゃいいんじゃネーノ?)ですし。

まぁ何ですな、かの本間宗久相場三昧伝の一にございますが、「売買共、今日より外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。是伝なり。」ってなもんですか。継続審議で何が悪いんだ。

本件に関しては田中秀臣先生がブログでhttp://reflation.bblog.jp/entry/214959/というエントリーを上げてましたが、『つまりいままでの田中の主張からは廃案ひそかにwキボンですが、その政治的帰結を予測するとガタブルものなので、これは困ったぜ、という脳内を少し懸念がかすめたりもします…。』という所に禿げ上がるほど同意でございますので、まぁ困ったもんだなぁと思いながら成り行きを見守るの巻と言った所ですな。

民主党政権が出来て「連帯保証人制度の廃止」に代表されるような現実を無視した政策が実施されると思うと誠に遺憾極まりない次第でございまして、新の王莽に政治やられても困るんですがねぇというのはケチのつけすぎですかそうですか。

民営化法案通すから来年度予算通ったら来年4月に首相退任くらいで手を打つのではないかという気もしないでもない。ただの脳内妄想(相手がその手の約束を守らない人で成立する妥協なのかという疑問が残るが)ですが。



2005/08/04

お題「手形オペ金利上昇の周囲/その他雑談備忘録」

○まぁ理詰めで考えていると??なのはいつもの事ですが

昨日の債券市場は、あたくしが朝「5年が0.6%にでもなって腰の入った買いでも入らないと」と言ったのが聞こえたのか(苦笑)、中期債がやたらしっかりで3年(というか3.5年かな)〜5年が堅調になっておりました。このために先物は前場いきなり上昇しちゃったりしてたのですが、10年ゾーンが妙に重くて20年30年ゾーンは比較的しっかりという動き。終わってみれば先物から10年がぱっとしないという結果になったのはまぁ良いとしまして・・・・・

昨日の短期金融市場では8月5日スタートの全店手形買入が8000億円オファーされました。期日は来年の6月7日ということで相変わらず10ヶ月ロングのオペなんですが、期落ちが1兆円のところへここの所毎度お馴染みの8000億しか打たなかった事も影響したのか、応札が3兆8394億円で最低落札金利は0.003%と前回の0.002%を上回りましたわな。日経平均がザラ場で12000円をマークしたとか、先週末の経済指標で雇用と消費関係の指標が悪くありませんなぁとか、公共料金引き上げとかの影響もあってCPIがプラス転換しそうですなぁとか、まぁ量的緩和政策の出口を意識するような材料が転がっているので、応札が増えて金利が上昇するのは当たり前といえば当たり前。

てな事を短期金融市場がやっているのに中期債にこのタイミングで買いが入るというのは実に面妖ではあるのですが、まぁ正直言って短期市場と債券市場は同じ金利の話してるのに市場が分断されているようなものでして、ここまで売られてきたから5年は割安とかいう声の方を良く聞くわけでありますわな。去年(の4、5月ごろ景気が良いですね量的緩和政策の出口はいつですかって話をしていた頃)の金利は幾らでございましたかねぇと思うと???ですけど(10年も高いですが)ってのは知人のディーラーからの受け売りなんですけど。

市場が分断されている(笑)債券市場は兎も角として、あたくしの顎が外れるほど驚いたのは昨日の3ヶ月FBの入札でして、確かに入札は全店手形オペのオファー前に片付いているのですが、9時20分のオペ時間に供給オペ無しの放置プレイになっていて当預30兆どころか29兆も割れてますが何か?って状態で、前回の手形オペが0.002%。2年辺りの債券も(昨日は反発してましたが)売られていたという状況になっていたから今回は100円落札にはならねぇだろうと思っていたんですが、堂々の100円落札。全く意味判らん。

と思ったら手形オペが0.003%になったタイミングで業者間では99円99.98銭の出合いがあったようですが、まぁようやりますなって感じです。


ということで、整合性を考えると昨日の短期金融市場から中期債あたりまでの動きは見事にワケワカメなのですが、まぁどこかが勘違いしているのでしょうね〜と思いながら意味不明の相場展開(昨日の引け後の先物の売られ方にも呆れましたが)を眺めるあたくしなのでございました。


○リテール運用の無駄なハイテク化(続)

火曜のドラめもんで恐怖金融新聞月曜朝刊1面で堂々特集をしていた記事について悪態をついておりましたが(笑)、同じ事を思うお方は世の中にいる事が判ってホッと致しました。

良くネタに使ってしまい誠に恐縮至極ですが本石町日記http://hongokucho.exblog.jp/3231834/さんの所で「投資銀行はリテール金融のふりかけ論」ってエントリーが上ってまして(今朝エキサイトブログがメンテナンス中なので見えないかもしれません)、「リスク限定型投信って実はリターン限定型投信じゃネーノ(激しく意訳)」って指摘がありましてなかなか。コメント欄での議論も実に興味深いので一読をお勧め致します。

コメントの中に「最低元本保証型の商品で元本90%確保しながら運用するってのがよくあるけど、それなら90%を定期預金にして残りの10%で積極運用すれば良いだけのことじゃん(意訳)」ってのがあって実に至言ですわなぁという印象を受けました(^^)。

手元に大昔に買った「金融のゆくえ(財部誠一、織坂濠共著、総合法令、1995年の本で、織坂濠ってのは実は木村剛さんです)」というのがありまして、「タカラベにキムタケかよ〜」などと著者を見ただけで悪態をつきそうな今日この頃のあたくしではありますが(失礼)、この本はデリバティブに関するお話というかまぁ要するにデリバティブでカモられないようにするにはどうしましょうか何て話を書いたり、今後はどうなるんでしょうって話をしておりまして、ここに書いてある話しが10年前の本なのに今でも通用するのは何と言うか香ばしいことでございます。

『デリバティブをヘッジのために利用しようという良心的な財務マンが、デリバティブ業者とつき合う際に、おさえておくべき基本法則は、次に示す五つである。第一法則:世の中にうまい話は絶対にない、第二法則:シンプル・イズ・ベスト、第三法則:値段だけ叩く、第四法則:論より書面、第五法則:休むもヘッジ。』(同書199ページ第5章「だまされないためにはどうするか」199ページより引用、改行と句読点を若干いじりました)

勝手に想像するにここは木村さんが書いたと思われますが、ここの冒頭部分を「運用のために利用しようという財務マンあるいは個人投資家が」って置き換えたら今のリテール運用ハイテク化時代にぴったりマッチしてしまいますなぁと思うわけですな。まだこの本出てるかどうか知りませんが、内容を読みたい方はISBN4-89346-484-1C0033ですんで一つ如何ですか?


○備忘録:月刊現代記事

前回の続きと言う事で「大反響、内幕ドキュメント第2弾」の日銀ネタが出ていてまたしょうがないので月刊現代を購入して読んだのですが、いやまぁ大反響なのは書いてある話しの事実関係は兎も角として、ブラックアウトがどうのこうのという話をあんた思いっきり誤解してるでしょうというような反響はございましたが何か?って所なんですが、相変わらずブラックアウトは誤解したままですし、稲葉理事が大阪支店長になったのを左遷扱いしてますけど大阪支店長も理事ですが何か?(この辺のことは正直あまり詳しくないので余計な事はあたくしもよー書きませんが)とか、武藤さんが福井総裁を完全に抑えたとか書いているけど、福井総裁はデフレ脱却と景気回復に自信を深めているから余計な動きをしなくなっただけでは無いかと思うのですが?とか(文が長いって>自分)色々と突っ込みどころがあって、正直前回の作品からみると大幅に???でございますな。(追記:何の事はない本石町日記さんが例によってちゃんと分析してました、大汗)

まぁこの手の内幕ネタが面白い人はどうぞ。内幕よりも景気動向の方が重要なんでこのネタは正直旬を過ぎてますな。





2005/08/03

お題「昨日の相場を見ながら」

○10年国債入札レビュー

昨日の入札に絡んでは相場が随分動きましたなぁという感じでございまして、中々コクのある展開で正直疲れました。

寄付きから先物が若干下落したのは兎も角として、朝方一瞬下げ止まりそうに見えた中期ゾーンがいきなりヘロヘロの展開になりまして、3年半あたりから5年のゾーンが物の見事に先物よりも弱いという涙の出るような展開となって相場の雰囲気を見事に悪くしてくれました。

でまぁ相場の雰囲気が宜しくなければ入札前の事前買いが入りにくいという発想でヘッジ攻撃にも力が入るというもので(?)、10時半ごろに一瞬事前ヘッジ踏ませ隊も入ったのですが、結局前場の引けでは前場のほぼ安値まで先物は叩くわ、10年ゾーンは先物よりも安くするわという事前ヘッジがウハウハの展開となり入札を迎える事と為りました。

で、入札時点での先物が前日比31銭安の139円20銭で10年270回債の既発債気配が1.375%(3.5毛甘)−1.38%(4毛甘)で270回新発債の気配が1.38%−1.385%という状況でしたが、ここの所穏当な落札結果が続く10年国債入札にしては珍しく今回の落札結果は平均99円57銭(1.376%相当)の最低99円56銭(1.377%相当)で、まぁ56銭の札は9割以上入りましたが、それにしても前場引けのオファーサイドを堂々上回る強い結果に相成りました。そんなに事前ヘッジがワークしてたんですかそうですかという結果ですが、市場観測によります落札結果としては大手証券2社で5000億だの4000億だのという落札になってまして、「いや随分頑張りましたねぇ」って所でしょうか。別の某有力大手証券様が落札ボウズだったのが意外でしたが。

落札結果発表後の動きをみますと、予想以上の落札結果で先物が踏みあがるも、その後先物叩き隊がご登場。と言いますのは、落札結果発表前には現物が弱くて先物が確りしていたのですが、相場が持ち上がってから下落する場面では先物下がりながら現物債がやたら確りになってきまして、まぁ先物売り叩いてますなぁという印象。具体的には、新発270回債で後場より付き直後に先物139円25銭で1.38%の出合い(さすがにオファーが出た瞬間に買われていましたが)があったのですが、落札結果発表後上って下がった後では先物139円13銭で1.38%のオファーが買われるという有様でして、先物対比で結果発表前から単純計算で12銭強くなっているという事になりますわな。

誰が何で先物叩いたのかはよく判らんですが、まぁ大量落札した人が持ち上がった所で先物叩いて現物債を捌きながら先物を買い戻したのか、あるいは落札空振りした大手業者が怒りの叩きでロングの振り落としをしたのか、いずれにせよ強い落札結果でその後相場がブル展開にならない所が「追っかけて買い」が無いんですねぇと思わせる相場でした。

その後、少々押し目買いが入ったのか先物を買い戻したのかは良く判りませんが相場が反発して、結局前場引けよりも先物が上昇して相場は終了しましたが、相場が戻りますと先物対比相対的に確りしていた現物債のパワーが衰退して、先物独歩安というほどではない結果になりました。下がれば先物対比で現物債が確り、上ると先物対比現物債がついていかないという毎度お馴染みの展開でして、「下がると買いがあるけど、上を追ってまで買わない」という状況は相変わらずだという感じです。


○中短期はどうもまだパッとしません

昨日もそんな感じでよく動いた相場。そんな中でさすがに2.1%に接近した超長期ゾーンとかにも下では買いが見られていたようですが、どうもこう昨日も申しあげたように中短期ゾーンがパッとしません。

2年235回債は朝から0.12%堂々のオファーから始まって安値では何と0.14%まで売られるという有様。先週木曜日の入札後に0.11%まで買われてビットとかになっていたのは一体全体どうなっているのでしょうかという動きです。その後0.13%まで戻ってはいましたが、どうもこうアレな展開で2年ゾーン相変わらずボラタイルになっている訳でございます。

昨日の下落場面では5年47回債で0.585%まで下落。先物対比では結構強いという感じでしたが、その後先物が戻る中では現物債の戻りは大したことなく、そんなに強力な買いがあった感じもしません(というかそもそも中期で確りしているのは5年47回債だけなんですけど)。値動きや業者間の板気配を見ても、3年〜5年ゾーンは荷もたれ感が強く、何せ5年27回債〜47回債まで皆まとめて2毛甘の引けということで、買いが見えない状況とは困ったものです。

金融政策に関する思惑が出る、あるいは他の人たちがそう思うのではないかと思い出しますと、中短期債には売りが出やすくなり、その結果相場が自己実現しちゃって「時間軸の短期化を相場が織り込みに逝き出している」って解釈になっちゃうという毎度お馴染みの展開。

まぁ5年が0.6%にでもなってちょっと腰の入った買いでも来ないと中々雰囲気が改善しませんですなぁというのが正直な印象です。


○(ある意味不運でしたが)総裁答弁で先物動く??

そんな相場の中で昨日は参議院の郵政なんちゃら委員会に谷垣財務大臣が出席し、衆議院の財務金融委員会に福井総裁が出席していたのですが、マーケット時間中に両者の発言がニュースベンダーからフラッシュを打たれました。

谷垣財務大臣は「長期金利の上昇は景気回復に悪影響」という発言をしていつものように金利上昇牽制発言でしたが、福井総裁の発言として打たれたフラッシュは「CPIは年末から来年にかけてプラスも展望」だの「景気は踊り場を脱却して回復傾向を強めている」(ちとブツが手元に無いので脳内メモリーから書き出してます。よって相当端折って書いてます、為念。)というようなものでして、別にその発言に反応したわけでも無いのでしょうけれども、債券先物の値動きだけ見ていると谷垣さんの発言で買い戻しが入ったと思ったら福井さんの発言でまた下がるというタイミングになっていたのは実に香ばしい動きでございました。

まぁCPIにしても景気にしても前から福井さんは言ってることなので、それをネタに相場が動かれたと言われても福井総裁も困るとは思うのですが、まぁ10年国債入札というイベントのある日の発言なんで、片言隻句が情報ベンダーにフラッシュとして打たれると、相場が思わぬブレを示す事もありますわなぁという所ではございます。

その後今度は「CPIがプラスになったからといって即座に量的緩和政策の枠組みを修正するわけではありません」と発言してくれた(というかそういう発言を時事通信がフラッシュ打った訳ですが^^)ので引けにかけて債券先物は反発した、かど〜かは知りませんがタイミングとしてはそんな感じでしたが、まぁ不安定な地合いの時は自明の話をしていても相場は反応するという事でございました。

まぁ何ですな、国会で説明責任果たすのも良いのですが、正直日銀総裁がホイホイ国会で色々と話をするのは、その頻度を少し減らして貰えればと思いますわな。昨日は半期報告だかなんだかなので仕方無いのですが、何も10年入札にぶつける事はねぇだろうと思うのでありました。


○その他少々

・今日も当預30兆円割れ

昨日の速報ベースで当預残30.2兆円で、今日の見込みでは財政要因(税揚げでございますか)で1.9兆円の資金不足が予想されてますので、このまま放置すると当預残28.3兆円の予定。オペを打つとしても即日2兆円とか打てないでしょうから、まぁ堂々の当預目標割れ確定と言っても良いでしょう。マーケット的に話題になるのかならないのかと申しますと、当預目標減額がどうのこうのという話よりも、市場としてはその先の量的緩和解除のタイミングってどうよってのを気にしているように思えるのはあたくしの勝手な勘違いでしょうか?

・白川理事の受難

ヘッドラインを見ただけですが、昨日の衆議院財務金融委員会では白川理事も出席して答弁。どうも6月の当預30兆円割れについて「やらせじゃなかったのかゴルァ!」という質問を受けたようでございまして、「当預残目標割れは自作自演ではない」とご答弁されたみたいですな。いやまぁお気の毒に、などと言うとそもそも自作自演だの何だの悪態ついていたのはドラめもんでしょうがと言われてしまいますですかそうですか(苦笑)。





2005/08/02

お題「10年国債入札です」

もうちょっとこうカラッとした暑さになってくれないですかねぇ。

○10年入札ですが

昨日の債券市場は思いの他下落という感じ。米国債が売られたので入札準備モードになったのは兎も角として、いきなり寄り付きで下に値を飛ばしてスタートしちゃったのには呆れました。

寄り付きで債券先物が下寄りしたところでは当然の如く先物独歩安になっていたのですが、その後寄り付き近辺でのもみ合いが続き、先物が上ったり下がったりしているうちに現物債が段々追いついてくるという「どうもパッとしませんなぁ」状態。昨日は2年ゾーンが弱くなっており、入札日に買いが入って一安心と思わせたのは只のダマシでしたかそうですかという状況だったのも雰囲気を暗くしましたな。2年新発債はあっさり入札日の最低落札価格0.12%がオファーサイドになってしまいまして、何でそう2年ゾーンの金利がぶれるかねって感じではございます。

気が付けば5年国債も0.55%になってしまいまして、何と申しますかズルズル下落。まぁ米債が売られているのもありますが、平均株価が絶好調で今度こそ12000円に乗って定着するんじゃないかってのが消費者物価の先行き堅調見通し(公共料金も引き上げですし)と相まって「時間軸の短期化懸念」がようやっと出つつあるという感じではないかと思いますが、ちとそれは読みすぎかもしれません。


本日の10年国債入札ですが、まずクーポン設定が微妙な所で、昨日の引け時点での実勢では1.3クーポンになりますが、1.3%クーポンになりますと270回債のリオープン発行になりまして、新味に乏しいという問題点がございます。1.4%で発行してくれると消化はかなり楽だとは思いますが、こ〜ゆ〜地合いの宜しくないときに高いクーポンを設定すると、「(今回の場合なら)1.4クーポンの100円が下値メド」などという意識が発生して却って下げ余地を作る可能性もあるという諸刃の剣(^^)。まぁさすがに1.4%にすれば今回は人気化はすると思いますが・・・・・・

とりあえず本日も米債が売られて10年4.3%とかやってる地合いの悪さですので、本日の入札は注目度高しというところですな。日銀ネタが無い昨今ですが、先週の2年国債入札からいきなり入札が注目モードになるというのがまたオシャレなところではございますな。


○2年ゾーンの値動きが出てまいりました

上でも書きましたように、今年度になってから全然動かず、というか何となく堅調地合いが続いていた2年ゾーンが個々へ来ていきなり動意づいております。先週の2年国債入札を前にしてそれまで0.07%で安定して堅調推移となっていた2年カレントゾーンが先週月曜から連日下落して入札前日の水曜日には0.095%と3日で0.025%利回り上昇。2年新発235回債の入札日も235回債ベースで0.12%がオールヒットしてみたり大引けでは0.11%がビットになってみたりと中々豪快に値動きを行い、昨日は0.12%がオファーサイド。

新発債が出て償還が1ヶ月延びているので単純比較するのも何ですが、それにしても先々週は0.07%(それも割高ではないかと言う声はあったのですけどね)なんぞでやっていた2年カレントものが0.12%ですんでそれはもう随分と利回り動きましたなぁという所です。

このゾーンが動くというのは金融政策に関して何らかのアクションが起こる可能性に対する思惑が交錯しだしているという事でございます。例年8月といいますと、暑さのあまり景気の良い話が出やすく(というのはあたくしの勝手なこじつけですが)金融政策に関する思惑も何故か良く発生する傾向にあります(昨年は7月でしたが)。おまけに8月は板が薄いので仕掛けやすいという事になっていまして(という事が多いのでディーラーは意外と休まないもんなんですが)、とりあえず不安定化しつつある2年などの中短期ゾーンが今後の注目材料になりそうですな。逆に言えば安定化してくれば相場も安定するでしょ。


○雑談:何でそうややこしいリスクを取らせようとするかな〜

毎度お馴染みの恐怖金融新聞ネタ。

こちらの新聞はどうも我が国の個人金融資産をどうしてもリスクに晒したいらしく、昨日の1面はシリーズ「個人マネー・ウォーズ」第3部リスクと向き合うというお題で香ばしい記事を投入されておられます。

『家計の運用資金が預貯金からリスクのある金融商品に本格的にシフトし始めた。超低金利の中でペイオフが解禁され、一定のリスクを取らないと資産形成が難しい次代になり、(以下割愛)』

毎度毎度この種の煽り文句を見る度にケチをつけるあたくしも暇人というか粘着なのですが、ペイオフ解禁と運用商品の預貯金からのシフトは別問題でしょうに。超低金利の長期化によって預貯金からのシフトが起きているというなら話は判るのですが、この経済クオリティーペーパー(笑)がこ〜ゆ〜子供だましの論法を繰り返しているからダメダメなんじゃないんでしょうか。

で、まぁ色々と投信だの日経平均オプションの売りだのの話が出てきまして、記事の見出しが「言いなり運用はしない」って話になっている割りには、何か「高度な金融商品のススメ」のような記事内容になっているのが実に香ばしい次第でございます。

こんなややこしい商品に手を出す前に現物株式の買いから入ってみた方が判りやすくて気が効いていると思うのですが、まぁそれでは売る方も中々商売にならんわけですな。で、この手の「新しい運用商品」ってのはちょっとハイテク感を醸し出したり、高級感を醸し出したりして買う人の心をくすぐる商品設計が上手でして、商品のリスクがどこにあるとか、手数料や為替鞘を含めたオールインのコストは幾らよってあたりを良く理解して投資しましょうと言いたくなりますが、そもそもそこまで理解する人は一見素晴らしいけど良く見るとアレな商品には手をだしませんですかそうですか。

その横のコーナーには国際商品インデックス投資の機関投資家向けセールスをやっている人の記事が出てますが、いやまぁ面白いですねって感じですな。紹介されているエライ人によりますと、『商品の投機性は工夫すれば抑えられ、インフレへのヘッジなどプラス面を生かせると投資家が気づき始めた。』だそうですが別にインフレヘッジするなら株式でも不動産でも問題ないんじゃネーノなどと言い出すあたくしは野暮ですねそうですね。

いやまぁやりたいならどうぞってお話ですけど、何でも「新しい運用商品」をさせようとするこの煽りっぷりはちょっとどうなのよって感が拭えないのはあたくしが思いっきりローテクな商品をローテクにいじっているから僻んでいるということにしておきましょうか。ややこしい金融商品に手を出す前に、自分の馴染みのある企業の個別株式を配当とか株主優待とか見ながら1単位でも買ってみるほうがよっぽど「投資教育」に資すると思うんですけどね。

と、いつもの話になってしまいましたな。スイマセン。




2005/08/01

お題「相場雑談など」

週末は休養モードで、グダグダ状態だけに先週末堂々宣言の「リスク管理高度化ペーパー」は3行読んで睡眠学習という素晴らしいペースで読んでおり、ネタにする状況に非ず(汗)。

という訳で本日もまた月曜らしく軽く雑談。

○騒ぎになりませんでしたが当預30兆割れ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx050729.htm

という訳で金曜日の当座預金残高は29.8兆円(速報ベース)と相成りました。今週に入っても資金不足要因があったりするので本日は30兆円に戻るのですが、その後も30兆円割れが何度か発生する可能性大有り。

前回6月2日に外野が「おめぇそりゃわざとじゃねぇの」と絶賛大騒ぎしている中で30兆円割れ第1弾をやらかしたのですが、今回の30兆円割れはご案内の通りに「供給したけど30兆円行かなかった」の巻。先日ご紹介した総裁記者会見における「量的緩和政策の出口議論と関係ない当座預金残高目標引下げ」という「技術的当預引下げ」派にはありがたい展開にはなっております。という訳で来週の金融政策決定会合は一応警戒ですな。実際問題としては、量的緩和政策の出口が意識されるようになれば短期金融市場のイールドカーブが立つのでオペへのニーズは高まる筈で、当預残目標を下げれば益々ニーズは増えそうにも思えるんですが。


○そんな事もありまして中期債イマイチ

金曜の債券市場は米国債が買われたりしてた割には今一歩の展開になりまして、とうとう先物ベースでは先週5営業日連続前日比下落という誠にトホホな展開になりました。で、金曜日にも目立っていたのは中期債のだめっぷり(超長期も弱かったですが)でして、何かこう積極的な買いが感じられない相場展開が続いておりました。木曜相場における2年国債入札後の切り返しで少しは安心モードになったのかなと期待していたのですが、2年新発債も前日比変らずの0.11%オファーでまぁ伸びはイマイチ。木曜の前場のように威勢良く叩かれるような事がないのでそんなにゲロゲロって話でも何でもないのですが、ど〜もあたくし的にはこう「今一歩」的なものを感じる次第でございます。

5年国債入札は来週木曜でして、その間に郵政民営化関連法案だの金融政策決定会合だのありますので今の時点でどうのこうのというのはアレでございますが、このあたりで入札を迎えると新発債が4ヶ月連続で0.5%クーポンになって再度47回債のリオープンになっちゃいますな。それも何かご勘弁願いたいところではございますが。

明日は10年国債入札が行われますが、米国市場で株高(これ勘違い)債券安(は正しい)をやっている事でもありますし、そもそも10年1.3%も既にやっておりますので、まぁ今日相当に債券相場が下落しない限り1.3%クーポンなんでしょうが、今までの押し目買いポイントとして意識されていた1.3%が目先暫くは逆に上値抵抗線として意識されそうな悪寒。


○郵政民営化関連法案で思うのですが

先週ご紹介したように日銀総裁までが郵政民営化関連法案に関してコメントしちゃうという郵政民営化問題。報道も随分盛り上がって誠に香ばしいのですけれども、法案の内容がどうのこうのという話の前に票読み話ばかりで正直ツマラン。と思ったら今目の前でやってるフジテレビのニュース番組でも「本法案による郵政民営化の具体的イメージが認識されているのか」と問題提起してました。そんなに言うならお前が報道しろと思うが(^^)。

先日はとある会みたいなものに逝ってきたら、幹事さまご挨拶で郵政民営化法案の話になりまして、「この法案が通るかどうかは日本の民主政治の試金石」みたいな事を力説している姿を見て、ちょうど福井総裁の定例記者会見での発言(金曜日にご紹介した奴ね)とダブってくる訳ですわな。

この騒ぎっぷり、どこかで見た覚えがあると思ったらかつて大騒ぎした「選挙改革法案」ではないかと思うのですよあたしゃ。あの時も「小選挙区比例代表制度に反対する人間は抵抗勢力で愚昧な連中」って感じのキャンペーンが行われておりましたわな。まぁ中選挙区と現在とどっちがどうなのよっていうのは難しい話ではございますが、政治とカネの問題が解決されたとも思えず、自民党の派閥が弱くなった代わりに党の締め付けが強くなったのは色々と議論はあると思いますが、あたくし的には自民党の「多様性」が失われて活力低下に繋がってませんかねぇと思うクチでございますので、まぁちと懐疑的でございます。

で、今回の郵政民営化云々なんですが、「郵政3事業の見直しは必要だけども、この法案はちょっと・・・・」というような声を出すと法案賛成論者から「お前は抵抗勢力か」と言われかねない勢いになっている状況で法案を何が何でも通すっていうのはちょっとどうなんでしょうかねぇと思う今日この頃のあたくし。だいたいそう言うような時っていうのは通しても廃案にしても碌な事が起きないと思うんですが。まぁおちつけという感じですなぁ。

などと言っても法案の参議院での採決は今週末にでも行われるようですので、債券市場にも影響しそうですが、可決だと株が上るし、否決だとトリプル安という何かあまりポジティブ思考にならないのは先週の5日連続先物下落に影響されていますかそうですか(笑)。

#そこかしこで夏風邪流行中。咽喉に来るので結構厳しいです。ご注意ください。