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2006/01/31

お題「2年国債入札ですが」

昨日書いた後にネタとしてどんなもんかなあと思って削除した雑談がございまして、そのネタが米国産牛肉輸入問題(本当)。寝ぼけたタイミングだからと思って削除したら地雷が出てくるという相場観の悪い(?)あたくし。実に香ばしい。

ちなみに書こうと思ってた趣旨は「特定部位が見つかった時点で輸入の停止を直ぐに行った中川農相の決断を褒め称える小泉万歳の皆様、そもそも問題点指摘されてるのに輸入再開に踏み切ったのはどこの誰でしたっけ?」ということでございました。何と言うか目をつけていた銘柄を買おうと思ったら思わぬ材料が出て大爆騰したような感じですなあ(笑)。

ところで、防衛施設庁がうんたらかんたらという「大ニュース」は国会での野党からの指摘を本件にぶつけくぁwせdrftgyふじこ

いやまあぐうぜんとはいえさいきんのいろいろなそうさにおけるたいーほのたいみんぐはとってもすばらしいですなあ(棒読み)。


○2年国債入札ですが

まあブタエモンショックがあったせいもありますが、先々週の中盤には2年カレントものの金利は0.23%あたりまで低下して「???」感を醸し出しておりましたが、その後に2年ゾーンに改めて売り物(売る人は物凄く限られているのですが、笑)が出るわ、平均株価は戻る(しかも年末来頭打ちの香りだった主力大型株が強くて新興はヘロヘロというパターンですので、債券相場的には売りたくなりますわな)わということで、先週に入ってさっくりと下落。で、先週末のCPIを受けて昨日の2年240回債の引けは0.3%となりました。

この2年債なんですが、以前より発行日が前倒しになったとは言え、発行日が翌月15日となっておりますので、2年債といいつつ実質は2年と半月債。この半月というのは別にギャグで言ってる訳ではございませんで、金融政策がどうのこうのとか将来の短期金利がどうなのよっていう観測が具体化するような状況における「半月」ってのは馬鹿にできませんです。しかも買っても発行日まで肝心の利息収入が入って来ないし。



んじゃこの「2年(と半月)0.3%」ってどうよって議論なんですけれども、色々と「これと裁定」って話はあると思いますが、あたくし的には物凄くざっくりと考えてしまいますんで、「短期調達でこれを買って持ちきれるのか」って話を考えてしまいます。しかも複利の概念が無いのがドラめもんクオリティでして、頭の悪さがモロバレですかそうですか。

えーっと、今のGCレートが0.005%よりはちょっと低そうですが、量的緩和政策解除後にはさすがにコールが0.001%って事は無いと思う(思っているだけですが)のでGCが安くても0.01%とかでは無いかと。という部分でのコスト計算をするのに、入札日から発行日まで15日とか掛かっているのがでかい訳でして、「次回決定会合で利上げも」なんて状況になっていると、そこまで織り込んで価格形成をしだすので話がややこしく(って程でも無いですが^^)なる訳ですな。はっはっは。

さて、解除後にも超越低金利が継続するちゅうことですので、さすがにその次に金利引き上げになりますと何ぼなんでもコールレートは0.25%にはなると思います(勿論0.5%になったらその瞬間0.3%の国債はどう見ても逆鞘です。本当にありがとうございました。)で、そうなった時のGCレートってコールレート辺りかもうちょっと上か・・・・と考えると2年間で利上げ1回と思わないと中々間尺にあう投資ではなさそう。まあ今のところのコンセンサスはその辺にあるという感じでもありますんでそれで良いんでしょうが。

利上げの時期に関しては予想してる人の中でも一番早い部類で今年の秋以降という所でしょうから、2年間で利上げ1回というのでも良いのかもしれませんが、景気回復&デフレ脱却状態で超低金利を長期間行えばその後引き締めが必要になった時の必要な引き締めはより強力になるという事もございますので、「量的緩和解除後にゼロ金利」というのを余り信じすぎるのも如何なものかと思うあたくし。

いやまあ景気はこの辺でピークで、物価も全然上らんというのが債券市場の平均的な見方(じゃなかったら10年が相変わらず1.5%〜1.6%なんてやってねえだろう)なのでまあ皆さん信じるものは救われるでしょうという事で宜しいのではないかとは思いますが(何のこっちゃ?)。


まあ「持ち切るとしたらどうよ」って話とはやや別になりますが、日銀の保有国債銘柄別残高表(日銀のWebページを探してちょ)をご覧になるとお判りのように、2年国債ってのは日銀の輪番オペでじゃんじゃん吸い上げられているものです。まあ要するに2年債のカレント物を買っておいて暫くホールドしてから輪番オペで売却って形をとって何とか現在の発行量が維持できているのではないかというのがあたくしの正直な実感でございまして、量的緩和政策を解除して、その後金利政策に移行したときに現在の輪番オペを維持し続けられるかどうか(維持することによって短期のオペレーションが無理無理になったら意味が無い)も考慮に入れる必要があるでしょうな。確か当座預金残高8兆とかでも大丈夫は大丈夫だというのを見た気がしますが。

ま、いずれにしても注目ですな。これ買うのって短期の預金吸収機関が殆どなんで、需給が一方方向にぶれやすいですわな。

いじょ。






2006/01/30

お題「都区部CPIプラスですか/その他雑談」

今日も雑談ばっかです(汗

○CPI雑感

全国CPIは市場予想通りで「何だつまらん」と思っていたのですが、同時に「1月東京都区部CPIがプラス」という久しぶりに見た(98年8月以来だそうで)数字でさすがにサプライズとなりまして、金曜の債券市場はさっくり下落しました。ただまあ例によって例の如くで押し目買い軍団登場で節目で一旦反発した形になったようですが。

まあさすがにこれで4月(ひょっとしたら3月かも知れないけど)の量的緩和政策の解除に関しては織り込んだと思うのですが、問題はその後の短期金利がどうなるかって話。まだ意見は色々あるとは思いますが、少なくとも今年一杯はゼロ金利じゃねーのかというのがコンセンサスっぽいと思われます。よって前倒しになるという観測が広がる方が恐らくインパクトが出るんでしょうな。

それは兎も角として、思わず笑ってしまったのは竹中様の強力な肝いりにより(かどーか知らんが)前回発表からご参考として公表された「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」という指標。もうついこの前は「この数字は絶賛マイナス継続中だぞ」と言ってた数値があっさりプラスに転換しておりまして、折角企画したのに残念でしたねえあっはっはという所でしょうか。量的緩和政策の早期解除に関する是非問題はその辺に置いといて(たまたまシナリオ通りに行ってるから良いようなものの・・・とは今でも思うあたくし)笑っちゃいました。時系列データはこちら(エクセルです)→http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/zuhyou/0581h8.xls


○また地均しか!

CPIに先立って金曜の朝に出てた新聞記事。毎日新聞曰く、
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20060127ddm008020107000c.html (多分過去ログはリンク切れだと思うのでリンクしません)

『日銀は26日、量的緩和政策の解除に備え、大手行などに対し、短期金融市場での資金取引体制の整備を促す方針を明らかにした。』

リリースはどこにも見当たりませんがどこで明らかにしたんでしょう(って実はありましたというのであればあたくしの不明でございます)かよく判りませんなあという所ですが、毎度申し上げているようにこのような話は各金融機関の経営判断の世界であって日銀が一々手取り足取り指導するものでは無いと思います。いやまあ何も言わないと金融機関がその時になって初めて混乱して大騒ぎになるという話も判らんではない(と言うか大いに判る^^)のですが、これってニワトリが先か卵が先かって話になるんですが、日銀などが一々懇切丁寧(?)に手取り足取りあれこれ「ご指導」するから金融機関がそれに甘えているという面もありまして、正直どっちもどっちだと思います。

まあ言える事としては、お前ら結局横並び意識が全然抜けてねえだろうってところですかねえ(苦笑)。

しかしまあこれって意地悪く捉えますと、日銀自らが「これから量的緩和政策を解除するからお前ら準備しやがれコノヤロー」と言ってるのを、一部の市場参加者にだけリークしている(物凄く意地悪な言い方ですけどね)とも取れる訳でして、何だかなあって感じ。まああれだ、地均しも甘やかしもはいい加減止めた方が良いんじゃないのって思うんですけど。15年変動利付国債ではミソつけたんだしさあ。


○もう一丁毎日の日銀関連記事

金曜は日銀関連記事がもう一発毎日から出ているのですが・・・・

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060127k0000e010083000c.html (多分過去ログはリンク切れだと思うのでリンクしません)

『政府は27日、日銀政策委員会の審議委員に、世界銀行エコノミストの竹内佐和子氏(53)を起用する方針を固めた。』

で、ご高名は存じておりますが、はてどんなお方でしょうかと調べてみようかと思ったら早速bewaadさんが記事を書いていましたので、さっくりと人のふんどしをご利用させていただきたく存じます(またか!というツッコミがきそうですが)。

http://bewaad.com/20060128.html

どうもまだ確定ではなくて、須田審議委員再任の方向もあるようですが(エントリーのコメント欄をご参照下さい)、エントリーの中でbewaadさんが『審議委員に「金融政策」を専門に研究している人間が誰もいないってのは勘弁して欲しいもので。そればっかりじゃまずいでしょうけれど、何も執行部の人間だけにすることはないでしょうに。』と指摘していますがあたくしも同感でございます。


○全然関係ないけど雑感

・これは豪快な法令違反ですね

「ステート・ストリート銀行東京支店に対する行政処分について」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/ginkou/f-20060127-5.html

何つーか銀行が証券業務やっちゃいかんでしょって思うのですが、ここの信託は相当昔からセキュリティーレンディングやってましたわなあなどと思いつつ。コンプライアンスがどうのこうのって話はよく言われるのですが、正直な印象として、この手の「お前それは凄いな」っていう法令違反は外資系と言われる方が(この前のGS投信も驚き桃の木の花替えをやってましたが、そういえば郵政公社の窓販はそのままなの??)豪快ではないか(捕まる方としては「法令解釈の問題」というんでしょうが)と存じますが。

新生証券のも「普通そりゃまずいだろ、つーか昔長銀証券作った時に弊害防止措置に関して無茶苦茶厳しくチェックしてなかったんでしょうか」って言いたくなります。

「新生証券株式会社に対する行政処分について」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/ginkou/f-20060127-4.html

メールで非公開情報の授受ってあんたらアホですか?

しかし金曜のリリースで一番驚倒したのはステート・ストリート信託銀行の方でして、

「ステート・ストリート信託銀行に対する行政処分について」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/ginkou/f-20060127-5.html

この内容を熟読すべし。




2006/01/27

お題「議事要旨の補足を少々」

きゃあ寒さで寝坊!で昨日の補足で勘弁ですが、その前に雑感。

ふと気が付けばやっと月末ですが、月末と言えば物価統計。本日はCPIが発表されますが、コアCPIの市場予想は横ばいの+0.1%ですので、今回に関してはどっちにぶれてもインパクトがあるのではないかと勝手に想像中。米国の株式相場は何をテーマに動いてるのか良く判らん動きで、値幅以上に「何か荒いですね」ってのが個人的印象です。

まあ日本株もさっくり戻った上に、ソニーの決算が珍しく良い方でぶれたようですので平均株価で16000円奪還ですかそうですか。これじゃ調整にも何にもなってませんな。昨日とかだと証券決算が良いから証券株が大幅上昇(いきなりストップ買い気配になってたのもありましたが)してたとかいうのを見ると、早速またまた調子に乗ってるんじゃないの(証券決算が良いなんちゅうのはこの市況なら当たり前でしょうが)って気もせんでもないっす。


○実質金利の低下に関する議論

今回発表されたのは12月15、16日の議事要旨ですが、「III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」の中で実質金利がどうのこうのって議論がこのように書かれています。

『何人かの委員は、経済・物価を巡る環境が好転する中で、実質金利が低下し、株高、為替円安が進行するなど、金融環境の緩和度合いは実態的に強まっているとの認識を示した。』

これが11月17、18日の決定会合議事要旨ではこのように書かれております。

『何人かの委員は、物価見通しの改善により実質金利が低下していることが、株高や円安の進行をもたらしている面があり、金融の緩和度合いは足もとで一段と高まっている可能性があると指摘した。』

そりゃまあCPIがプラス転換してるから当たり前って言われてしまえばそれまでかもしれませんけど、このようなロジックで「実態的な緩和度合いが高まっている」と政策委員会で認識がされてきているという事に関して債券市場も短期金融市場もちと楽観視してるんじゃネーノという気は致します。まあ「世界的に生産能力が上っているから物価が上がりにくい」ってロジックが最近の流行でもありますので、そうは言っても物価は上がりにくいから金利は上がりませんよっていう理屈もあるのですが、何だかんだと悪態つかれながらも日銀はここまで意思を通し続けている(良いか悪いかの問題は別にして)という印象は強いので、その辺をあまり軽く考えるのはどうなんでしょうというあたくし。

ちなみに、実質金利云々という話に関しては11月の決定会合議事要旨にまとまった形で出てきた筈ですので念の為。


○各種の物価指標の扱いについての議論

議事要旨を見るとこの話も結構スペースが割かれていますが、CPIの何を使うかという話が妙に盛り上がったのでしょうか。

『消費者物価の動向を判断する上で、総合指標を見るべきか、一時的な要因を除いたコアベースの指標を見るべきかについて、ある委員は、一時的な変動要因を除くことで基調が見やすくなる一方、その結果として、消費者物価全体に占めるウェイトがあまりに小さくなると、全体の動きが見えなくなるという問題もあると指摘した。また、多くの委員は、一時的な変動を除くという観点からは、エネルギー価格を除外するか否かも論点となり得るが、このところのエネルギー価格の上昇はエマージング諸国の需要増に起因するところが大きく、必ずしも一時的な要因とは言えないため、これを除外して見ることは適当ではないとの見方を示した。』

そんな中にさらっとGDPデフレーターの話が一言入ってます。

『一人の委員は、GDPデフレーターを点検する場合には、GDP統計の改訂の際に、同デフレーターは何度もかつ大幅に改訂される可能性があることも十分踏まえる必要があると指摘した。』

まあ実際にどういう議論が行われていたのかは知る由もありませんが、この議事要旨の書き方を見ておりますと、金融政策運営の関係で見る物価指標はCPIであって、内閣府方面から毎度毎度出てくるGDPデフレーターについては勿論見ない訳じゃないでしょうが、指標あるいは物差しとしての優先順位は低いですが何か?って事なんでしょうなあと思わせてくれる書き方だなあと読みました。


○そういやうっかりしてましたが

どうでもいいのですが、前回の決定会合から「当預引下げ提案コンビ」の議案が揃ったんですね。今回読んで前回分を見直していたら気が付くとは不覚でした(笑)。

しかし何ですな、この「VI.採決 」のところも『以上の議論を踏まえ』って踏まえたら引き締めそうな勢いなんですがとか、水野委員の当預下げ議案提案理由の『金利を通じた市場との対話』ってのは(言いたい趣旨はわかりますけど)、それは量的緩和政策の今までの政策ロジックとまるっきり整合性取れてないんじゃねえのかとか突っ込みたくなりますが(笑)、寝坊したので以下省略。


#もっとどうでもいいですが、LD株は昨日もタチのわるい値動きでしたね。どう見ても嵌めこみです。本当にありがとうございました。あ、そうそう、Googleのキーワード検索で「ライブドア 解散価値」なんて入れて検索を掛けてみると香ばしいのでお試しあれ。





2006/01/26

お題「12月15、16日の決定会合議事要旨/例によって例の話」

まずは議事要旨。色々とあるのですが、ざっと見て目立ったのは3点。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g051216_f.htm

○物価見通しに関する部分ですが

「III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」の部分です。

『中長期的な物価の動向に関して、複数の委員は、短期的な振れはあるにせよ、物価の基調としては、(1)需給バランスが改善していること、(2)賃金が上昇方向にあること、(3)人々の物価見通しも改善していることを踏まえると、上昇を続けるとみられると述べた。』

まあこれが一応の大勢見解のようですが、次の「ある委員」は中原さんか岩田副総裁かどっちなんでしょう?

『ある委員は、潜在成長率が足もと高まっているとすれば、予想したほどには需給ギャップが縮小していかない可能性もあるのではないかとコメントした。』

えーっと、この部分しれっと流されていますが、パンドラの箱を開けるようなお話でもございまして、潜在成長率を上回る経済成長により需給ギャップ改善って話で一家団欒している所でちゃぶ台ひっくり返す類のもの。で、詳しくは本石町日記さんがエントリーを上げてますのでそちらをどうぞ(人のふんどしで手抜き)。
http://hongokucho.exblog.jp/4075394


○バブル警戒問題

同じく金融経済情勢に関する検討部分から。

『金融・資本市場の動向について、多くの委員は、最近の株式市場や為替市場の動向には、わが国経済が改善する中で、わが国投資家のリスクテイク能力・リスク選好の高まりや、内外金利差を巡る思惑が影響しているとの見方を示した。このうち一人の委員は、わが国の超低金利が長期化するとの予想が過度に強まれば、為替市場等における価格形成が不安定になる可能性も否定できないと指摘した。また、別の委員は、株式市場において投資家のリスクに対する認識がやや楽観的になっているのではないかと指摘した。』

低金利継続の弊害のお話をしている人が最低でも2名いる訳ですが・・・・

『この間、複数の委員は、最近の株価の上昇は、企業収益の上方修正などを受けたものであり、資産バブルというような状況ではないとの見方を示した。別のある委員は、そうした見方に同意しつつも、一般物価が安定していても、景気が力強さを増す中で、超緩和的な金融環境が継続すれば、資産価格の大幅な上昇を招きやすくなり、そのような状況になれば、リスク、リターンのバランスを欠いた投資が増加し、経済の過熱とその後の反動が生じる可能性があることには留意する必要があると述べた。』

と、こう並べられるとざっくり字面をおってますと何となく資産バブル警戒のように見える並び順ですが(^^)、資産バブルというような状況ではないという人が複数委員というあたりも拝見すると、今のところそこまで気にはしてないでしょうし、さすがに資産バブル潰しに金融政策を使うってのは現状の物価上昇率ゼロ近傍段階でやらかす事はないと思いますが。資産価格の上昇が物価に悪影響与えそうだって話になれば別でしょうけれども、一般物価の状況が全然そうなってませんわな。

ということで、あたくしは、このくだりに関しては「日銀のバブル警戒というのはちょっと読みすぎ(=まだ警戒してないでしょ)」と見立てをしておきます。



○インタゲ等に関わる議論

「IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 」の半分くらいのスペースを使っているのが『さらに、金融政策運営との関係で各種の物価指標をどう扱うかについて、意見が出された。』って事でインタゲ等に関わる議論。

色々な話が書いてあってまあ意見が錯綜したんでしょうなあと思われるところです。是非このくだりはご一読ありたいです・・・・・で、終わらせると意味無いのでそのまた後半部分が一応まとめらしくなっています。多分岩田副総裁の見解と見られる所から話が始まります。

『この間、一人の委員は、経済・物価の先行き見通しにアンカーを提供し、市場における安定的な期待形成に資する観点から、日本銀行が望ましい物価上昇率を示すことを検討すべきとの見解を示した。』

で、これに対する反論がわんさか登場。

『これに対して、ある委員は、インフレーション・ターゲティングとは中長期的に物価目標値の実現を目指すものであるが、こうした点が十分理解されないまま導入されれば、金融政策の機動性を犠牲にする面があるほか、目標を高いところに設定すれば、期待インフレ率やリスク・プレミアムの上昇を通じて、長期金利が上昇する可能性もあると指摘した。』

それの理屈だと「ちゃんと説明して理解されるのであれば導入しても良い」という事になるような気がする諸刃の剣(^^)。

『また、別の一人の委員は、インフレーション・ターゲティングと言っても、諸外国で実施されている内容にはかなり幅があり、金融政策の透明性向上のための枠組みについては、わが国の実情に合わせて考えていく必要があると指摘した。』

・・・・・うーむ。。。。

『さらに、複数の委員は、わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長に至る途上にあり、経済・物価の形成メカニズムが変化しているため、現段階で中長期的に望ましい物価上昇率を見極め、公表することは難しいとの見解を示した。』

いやあの経済や物価形成のメカニズムって常に変化してると思うんですが、それは要するに絶対やんねーよーと言うことでございましょうか?他にはどんな議論があったのかは10年経たないと判らないのは残念無念。

現状では量的緩和政策解除の後でもインタゲ等の導入の実現性は低そうですなあ。


○政策の非連続的変化という話に関して

3点と言ってた割には4点目が出てくるのは気にしないように(笑)。

この話の前に毎度お馴染み情報発信論議がございまして、どうも個人的に引っ掛かるのはこの部分でございます。

『これに関連し、一人の委員は、金融市場関係者に加え、企業関係者や国民においても、量的緩和政策の解除が経済に非連続的な変化をもたらすものではないという点について理解が十分に浸透するように、丁寧な説明を続けていく必要があると述べた。』

この「非連続的変化をもたらさない」ってのは量的緩和解除の話をする時に政策委員の皆様が揃ってこの話をするのですが、金融政策の変更ということに関してこの「非連続的な変化をもたらさない」ってのをあまり意識しすぎるのはどうなのかなあって思いますのでこの際一言。

まあ確かにマーケットが先行きの経済状況を正確に反映して価格形成されているって事であれば、適切な将来の金融政策を全部織り込みに行くから「市場容認型」みたいな金融政策の変更によって「経済に非連続的変化をもたらさない」という結果になると思いますが、市場なんてえのは基本的には年がら年中間違えているものだというのがあたくしの経験的感覚(なので科学的根拠はございません。悪しからずご了承下さい^^)でございまして、その市場を意識して「非連続的な変化を与えないようにしよう」と考えると「地均し」の発想が出て来るのではないかと推測するのはあたくしだけでしょうか?

政策運営で無用のショックを与えないようにするという事は誠に結構ではございますが、その配慮もやりすぎると「地均しやって予定が狂ったらどうするのよ」って落とし穴が待っているように思えます。過度にその点を意識しない方が良いのではないでしょうか??



#という所でとりあえず議事要旨の話は終了。例によって東証の話をしようとしましたがこっちを書いているうちに時間がなくなったによって簡単に。

・規制強化ですかそうですか

http://www.tse.or.jp/news/200601/060125_e.html

信用新規禁止、売買代金即日徴収、証券自己の売買禁止、立会い1時間とまあ見事に規制が強化になってしまいましたが、昨日のLD株の板は(途中からどうでも良くなって見なくなりましたけれども)まあようやりますなあという感想。まあ規制強化は仕方ないでしょうけれども、何か昨日一日だけ山のように売買させて今日から規制かよ!とは思いますけど。するなら最初からやっときゃ良いのに。

リバ狙いとかやってたスイングトレードの皆様ご愁傷さまです。つーかこれで今日売買どうなるんでしょうか??買いが入るのか??


・いやだから努力の方向が・・・

http://www.tse.or.jp/guide/interview/index.html

ここの1月24日の記者会見要旨。会見「要旨」のくせにPDFファイルで21ページもあるんで全部読むのは面倒かもしれません。で、10ページ目の質疑応答部分なんかを見ますと、西室社長様におかれましてはシステム容量をもっと強化するというような部分に力点を置いてお話をされておられるように見受けられます。

で、昨日の繰り返しになりますけれども、システム能力の増強をするなと言う気は毛頭無いのですけれども、ここの所の東証を巡る混乱ってのはシステムの問題もさる所ながら、問題が発生した後の対応というソフトの部分に問題があるのではないかと思うのですよ、あたしゃー。

ジェイコム株式に関して言えば、まあそもそもあんな注文を場に通すなよと言うのはございますが、問題を激しく大きくしたのは、その注文を成立させたら明らかに受渡不能に陥るような注文を5分間に渡って漫然と晒しっぱなしにしていた(個別銘柄の注文受付の緊急停止なり取引所での手動取消処理はできなかったのでしょうか)という対応のまずさであり、今回に関しては取引時間中にいきなり「全銘柄の取引を停止するかもしれない」という措置を取って、相場はパニックになるわ、結局引けさせなかったのはちとどうかと。今でもその状況は同じですけどね。

まあ取引のキャパが数百万のオーダーなのに売買単位数ベースで10億もある銘柄が存在することを今まで放置していたもそうですし、システム能力の向上も大事かもしれませんが、それよりも運営に関してもっと何とかしていただきたいと切に願いたいものでございます。

どうも努力の方向がおかしい気がする・・・・





2006/01/25

お題「まあ雑感」

悪材料出尽くしですかそうですか。まあ自律反発なんでしょうけど、どこがどう出尽くしなのか意味判らんですけどまあいっか。

債券の方は何と申しますか相場の上下って話だとネタがあんまり無いというかちと細かく見てないので雑談を少々。


○変動15年国債・・・・・

特に銀行業態の皆様が金利上昇ヘッジ商品の振れ込みでひところ全力買いしたものの、金利上昇前にこっちが先にいかれてしまった悲惨な商品変動15年国債の入札が昨日実施されました。

入札前の前場引け時点で99円60銭のビットだったのですが、平均落札価格は99円59銭。最低落札価格は99円40銭ということで、まあ今回もテールは流れるわ、前場引けのビットサイドの向こう側が平均落札になるわと大変に香ばしい結果になってしまいました。

さすがに押し目買いらしき動きもあったらしいのですが、引けに掛けてまたまた既発債に売り物もあったようで(発行αの小さい銘柄を入れてでかい銘柄を外して損切りしつつ利回りの改善へって事のようで)して、どうにもヘロヘロな状況は継続のようです。

いやまあ入札に関しても(市場推定ベースで)野村證券が3000億ほど落札してくれたから(あと多かったのは「不明分」でしたが)この辺で止まったという感じでして、誠に涙を禁じ得ない結果かと。最悪期は月初に脱したような雰囲気が漂っていたのですけどやっぱり冴えませんな。

まあ「市場の要望」に押されて発行をバンバン増やしたら突然ヘロヘロになってしまった訳ですが、発行当局様におかれましては、市場との対話も諸刃の剣と申しますか、所詮は自分たちに都合のよい話をしたがる人たちの集まりでもあるし、何か皆で共同幻想の如く誤解(今回なんかまさにそう)している事もございますんで、(寂しい話ですが)何でもかんでも要望を聞く(そりゃ誤解だって言われそうですな、とヘッジクローズ^^)のも如何なものかって教訓になったのではないかと存じます。


○そういえば物価連動国債

会計指針が変って投資しやすくなりましたって話で盛り上がってましたが、物事が盛り上がると早速冷水を掛けたくなるのがあたくしの性格の悪いところでございます(笑)。

最近はどうなのか余り聞かない(というか個人的興味があんまり無い)のですけれども、ひところは将来の消費税増税論議と絡めまして、「消費税が増税になるとCPIが上昇するので買っておきましょう」みたいなセールストークがあったと聞いております。そのせいか量的緩和政策の出口はどこにあるんでしょうって頃に突如買われて見たりしたこともあって、これじゃ先行きの物価見通しじゃなくて消費税問題の意識を測るベンチマークかよ!って状況になったりもしてましたな。

でですな、身も蓋も無い話をして恐縮なんですが、消費税が上昇しますよって話が始まる頃にCPIの算定ルールが今のままであるという保証はどこにも無い訳でして、それこそ金融政策にCPIのターゲットとかが設置された時に消費税増税分をCPIに反映させちゃうと絶好の金融引き締めのネタをご提供する事になるから何か手を打ちゃしませんかねえなどという妄想が沸き起こるあたくしなのでありました。

いやまあ真っ正直に物価見通しでどうのこうのっていうのならそれはそれで結構なお話なんですが、まあ消費税がどうのこうのって言ってる人がいるうちはその分下駄を履いている(いやまあ上記がただの杞憂なら別に下駄でも何でもないですけど)可能性もあって、その下駄部分がどのくらいなのかを考える必要がございませんですかねえなどと思うのでありました。

15年変動国債に関してはバーゼルUでのアウトライヤー規制に関連してリスク値が過小計上されるという(プレーンな短期金利フロートだったらそんな事は無いのですが、為念)制度上の抜け穴といえば抜け穴みたいなものから下駄を履いていた訳ですが、まあそんな感じで制度に関連するニーズが発生して下駄を履いている商品に手をだすのは(割り切り系でやるのなら兎も角)ポートの長期投資(銀行ポートが本当に長期投資スタンスなのかという話はここでは自主規制^^)としてはどうなのよってのがあたくしの正直な感想。

いきなり個人投資のレベルに話が飛びますが、バブルの頃に「給与所得と損益通算できるから節税できます」って振れ込みで期間損益が赤字のマンション投資をした人たちが制度改正で枕を並べて討ち死にしてしまったとか、その手の話はもう限りなくあちこちで発生しますわな。節税するのはまあ頑張ってねという所ですが、「節税目的の金融商品(に限らんが)投資」ってのは税効果控除後のリターンが間尺に合う(というか自分で耐えられる)のかをよく考えて手を出さないと大変に香ばしい事態を生じる恐れがありますので注意しましょう。

いやまあ似たような話だとおもうんですけどね。


○怪しさ満点の4753の板・・・・

社長逮捕が何で材料出尽くしなのかあたくしにはよー判らんのですが、そんな気分を後押ししてくれたのは前場の時点でライブドア株の板に1000万株以上の買い板が入っていたのもあったように思えるのですがどうでしょうか。

こんな事なら気配情報の画面コピーでも取っておけばよかったのですが、んなものは無いのでてめえのメモベースで昨日の4753の怪しさをご報告いたしますが、前場の時点で1400万株くらいの買いがあって(売りはいつもどおり2億株とかございましたが)、前場の時点では「この調子で買いがくるなら下手したら今日寄るかも」などと思わせる感じでした。その後はあんまり買いが増えなかったのですが、まあ引けのちょっと前でも1700万株くらいの買い板がございましたようです。

で、引けてから「いや今日はどのくらい出来たのかなあ」って見たら出来高が107万株ちょっと。あの買い板はどこに逝ったのかと小一時間問い詰めたい所でございまして、どうみても見せ板です。本当にありがとうございました。

いやまあ買収がどうのこうので一株純資産がどうのこうのとか言う話はあるんでしょうけれども、企業がそんな状態になってしかも現金はございますって状況になった時にはあんな人たちやそんな人たちがピラニアの如く群がって現金を毟りに来るのが世の習いではなかろうかと思うあたくし的にはその現金がいつまでも無事でいるとは思えませんので、開示資料ベースでのバランスシート分析して買いとか言うのは如何なものかと思いますが、まあ割り切り系なんでしょうな。いやまあ本業が儲かってるというのなら買収メリットはあるかも知れんが。。。。。

ま、買収価値どうのこうのよりそのインチキの香りがする昨日の買い板は何だったんだという方が激しく気に掛かるのですが、あたしゃー。


○もひとつおまけの雑談

ライブドアが寄ったら取引パンクする懸念があるのでこの銘柄だけ立会時間を短くしますそうそう売買に制限を加えるかもしれませんのでよろしく。と東証が仰せです。

http://www.tse.or.jp/news/200601/060124_g.html

ここのリリースにもありますが、「当該銘柄は、上場単位数ベースで当取引所の全上場銘柄の約45%を占めており」ってある訳ですが、取引処理能力でパンクするとか言うのであれば今までそんな状況をよくもまあ放置してましたねさすが東証って感じでございます。

東証も色々な問題が起き続けで災難といえば災難ではございますが、危機対応能力というよりは危機がどうなると起きるかという観点が物凄く欠如した結果がここの所の混乱に拍車を掛けているんでしょうなあと思うわけで、どこぞから最高情報責任者とか言うのを引っ張ってくるのは悪いとは言いませんが、何か努力する方向が間違っているような悪寒が。

まあシステム問題起こしたすぐ後に「夜間取引市場の設置を検討」とかいう話をしちゃう(ご参考:http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-051216-0024.html)とってもメルヘンなお方がトップにいるという時点で大変に香ばしい訳ですがねえ・・・・

#また悪態をついてしまった・・・





2006/01/24

お題「20日の総裁記者会見」

いやー逮捕ですかそうですか。逮捕と言うより身柄保護なのではないかと思ってしまったりするのですが、それはそれとして安国寺恵瓊の人口に膾炙した書状を思い出しちゃいますな。曰く、

信長の代、三年五年は持たるべく候。明年辺りは、公家などに成らるべく候かと見及候。左候て後、高ころびにあふのけにころばれ候ずると見え申候。

本能寺の変の10年前に書かれた報告でしたな。


と、訳の判らん前置きは兎も角、20日の総裁記者会見を今更。タイミングがライブドア強制捜査と重なったので一部しょうもない質問もございますが、総じて興味深い応答(ただしネタ的にオモロイかというとそれは別問題か^^)ではございます。http://www.boj.or.jp/press/05/kk0601a.htm


○「重要な局面」発言部分

ブルームバーグでフラッシュを打たれてた部分は質疑の最初の部分。

『消費者物価指数(除く生鮮食品)が11月にプラスになったが、これから先、経済・物価情勢を十分点検しながら、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比が安定的にゼロ%以上となったと言えるかどうかを、かねてからお示ししている基準に沿って、冷静かつ適切に判断していく重要な局面に入っている。従って、いつ頃、量的緩和政策の枠組み修正ができるかについて、予断を持って臨んでいないことは前回までと変わっていない。現時点において言えることは、現在の枠組みを変更する可能性は2006年度にかけて高まっていく、とかねがね申し上げている通りであり、この点についての見方は少しも変わっていない。』

ということで、発言の前後も読むといつもと同じ話をしているのですが、まあわざわざ「重要な局面」とか言っちゃうのが福井総裁のお茶目な所でして、本人のやる気というか心が伝わって来る発言ではございます。

まあ何ですな、今から直せって言っても無理な話なんですが、今後の政策枠組みで裁量を重視するって事になったらあまり「私はこう考えてます」って「やる気」があまり表に出ないようにした方が良いんじゃねえかと思うのですが。裁量でやるなら「何考えてるか判らん(「何しでかすか判らんで」はない)」風にしておかないと将来の自分の手足を縛る破目になるし、意思を出しまくった見込みが外れたら洒落にならん。

上記応答の続き。

『私どもは枠組み変更の時期について予断を持って臨んでおらず、これからが冷静に判断していく重要な局面だと申し上げたが、枠組み変更後の短期金利の水準や時間的経路についても、言うまでもなく、今後の金融経済情勢や金融市場の状況次第、すなわち全くオープンであり、この点についても何ら予断は持っていない。現時点で申し上げられるのは、10月の展望レポートでも記述した通り、概念的整理に留まっている。』

『枠組み変更後のプロセスは、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序を辿るということである。かつ、経済がバランスのとれた持続的な成長過程を辿る中にあって物価の上昇圧力が抑制された状況が続くと判断されるのであれば、枠組みの変更やその後のプロセスは、余裕をもって対応を進められる可能性が高いということである。』

まあここで市場とて気にになるのは「極めて低い短期金利の水準」がどのくらい続くかという話になるのですが、この点に関して債券市場はどうも楽観しているのではないかと思うのでありました。この次の質疑で賃金の上昇問題に関して話がありますが、そこまで引用しているときりが無いので引用割愛しますが、雇用者所得や賃金の上昇がどういう風に転んでいくかは気にした方が良い気がする(けど、昔みたいに自分の周り見てると全体の感じが掴めるって世の中じゃないから中々判りにくいのかもしれないが)。

で、「余裕をもって対応を進められる可能性が高い」とか、欧米でのイールドカーブのフラット化とかインフレ懸念があまりございませんなあとかいう辺りから、量的緩和解除後にもゼロ金利が相当期間続くという見方が多いのですが、そもそも欧米でインフレ懸念が加速しないで金利がフラットとか言ってる金利水準と日本の水準は全然違うんですけどねえ。

ま、3月だか4月だか知りませんが、量的緩和解除したとして物理的に当預引く時間は足元金利がゼロ近辺になっちゃう(いやまあ即時利上げすれば話は別だが、これだけ言って置いていきなり利上げ攻撃はやらないでしょう)でしょうからそれが1ヶ月程度は継続するとして、その後どこまでゼロ金利?ってのは微妙な気もする。。。。


○インフレ参照値等(等って便利な言葉だ^^)に関する発言

『以前にもお答えしたが、この点(引用者注:インフレ参照値など)については、この先の金融政策の透明性向上のための枠組みを、どのように構築していくかという幅広い議論の中で位置付けながら考えていけば良いと思っている。繰り返し申し上げると、異例な金融政策を実施することによって日本経済がデフレ・スパイラルのリスクに陥るのを身を呈して防ぐという局面から、先行きはより正常な金融政策の枠組みに移っていき、民間のよりダイナミックな動きを引き出して日本経済の実力を底上げしながら、振幅の小さい景気拡大過程を築き上げたいということである。』

『この先、金融政策にとってもっとも重要なことは、情勢判断に即応できる、つまり機動性の高い金融政策であり、何か特定のことに縛りを受けている──ストレート・ジャケット(拘束服)を着たような──金融政策は必ず害が出るということである。従って、金融政策運営の透明性とフレキシビリティーの両立というポイントは欠かせないと思う。』

身を呈して防ぐってのはまた大袈裟な(^^)。まあそりゃ兎も角として、基本的に福井総裁は「量的緩和解除後の金融政策に縛りは要らん」というお話。このあたりの議論が今後具体化していくのでしょうな。

『物価に関して特定の参照値という形で何かを示すことが、今後の日本経済情勢とか日本経済を巡って人々が抱いている期待との関係で本当に良い手法なのかどうか、よく検討しなくてはならない。議論としては極めて単純にターゲットだとか参照値だとか出ているが、過去のパターンをそのまま引用したような議論が多く、私どもとしては多少閉口している。実は、透明性の議論の幅は非常に広い。皆さんも心にゆとりを持って、どんなものが出てくるのかというぐらいで楽しみに待っていて頂きたい。』

最後の一文、釣りがお上手ですなあという話は兎も角と致しまして、字面と今までの福井総裁の発言を並べて考えると「そんなんやるかよへっへー」と読んでしまいますが(笑)。



○不動産融資の質疑応答2題

やはりこの点に関しては質問が出ますわな。

『(問)本日公表の月報でも銀行貸出の増加幅が拡大しているという記述がある。その中で不動産向け融資も増加してきているが、これに対して日銀としてどのように見ているのか。また、昨年末、一部の報道で日銀として監視を強化していくとの報道があったが、そのようなことを考えているのか伺いたい。 』

『(応答の最初の部分割愛します)それでも現状はなお、住宅関連あるいは不動産関連の資金需要が、家計および企業部門両方から強いということも事実である。東京都心部等一部の土地を中心に、土地の値上がりとの関連で資金需要が出ているという傾向も否定できないと思うし、土地から期待し得る先行きの収益についての評価が楽観的になり過ぎていないかどうか、将来のバリューを現在価値に引き直す時のレートが甘くなり過ぎていないか等、様々に心配する声もちらほら聞こえるようになってきていることは事実である。しかしながら、私どもは日本経済全体、全国各地の動きまで総合しながら判断しているが、今のところ経済全体として不健全な軌道に踏み込むリスクを感じさせるという所まではいっていないと思っている。』

ということでして、特にそういうことはしませんがなというのが公式見解。ただ公式見解は公式見解として考査やら通常のモニタリングの方ではどうなのよってのも気にかかりますが。

『(問)日銀として、ここにきて不動産融資の監視強化をするということは特にないということで良いか。』

『(答)実際のところ、私どもの考査では、取引先金融機関の経営実態を把握するため、様々な業務に伴うリスクの管理状況等を検証している。その中で、融資についても、信用リスクの実情や管理状況等をつぶさに検証しているということも事実であり、幅広いチェックを通じて、もし管理体制等の面で問題ありということであれば、個々の金融機関に対して改善を要請している。これは私どもの通常のアクションである。しかしながら、一部報道にみられたように、ここにきて考査で特に不動産融資に対する監視にフォーカス(焦点)を当てて強化しようという方針を決めたことはない。執行部においても、独自にそういう方針をプラクティスとしてとろうとしているということもない。不動産融資に限らず、広く与信行為全般についてのリスク管理状況をつぶさに把握し続ける。不動産融資についても、当然その中に含まれているということである。 』

だそうです。それはそれとして気になったのは最初の質問に対する答えの最後の部分でして、不動産融資とは関係ない話ですけれども・・・・・

『先程も申し上げた通り、これから本当に物価がデフレ的と言われた状況から安定化局面に入り、それと交錯しながら経済が着実に上昇するにつれ実質金利が下がるという局面に入っていくと、様々な交錯した現象が出てくる。ここをしっかり読み分けていくことが重要な局面に入っていると思う。』

どうも実質金利マイナス(何をもって実質金利というのかという問題に関しては議論が分かれる所ですが、その点は置いておくと致しまして)での政策運営に関して福井総裁は結構リスクを感じているのではないかと思われる節のあるこの発言でございます。今後「実質金利マイナス運営も辞さず」というスタンスとの政策論争が楽しみでございます。

#と、引用ばっかりで恐縮でございました。





2006/01/23

お題「相変わらず強気の1月金融経済月報」

朝青龍は優勝を逃す(しかも4敗)わ、アメリカ様から鳴り物入りで輸入した肉からは危険部位が早速発見されるわ。まさに「本命がコケる」が今年のテーマになりつつあるのではなかろうかと。まさしく魔坂の坂。

しかし東証の処理能力がいきなり50万件増えるものなのかね?まあ増強したせいでシステムに何かあったらお笑いですが、東証だけにちょっとだけ心配ですな(苦笑)。NY株式が大下げしてるによって今日は下げてもNYのせいなので平和維持活動(自主規制)。


○本題の前に相変わらず血圧の上昇するコーナー

毎度お馴染み月曜のテレビ東京モーニングサテライト(^^)。血圧が上がるから見なけりゃ良いのですが、ネタの一環としては秀逸な某経済評論家のお方は今日も朝から楽しい寝言。

「志の低い人間が会社ごっこをしてどういうことになるのか」「投資する会社が何をしているか、経営者が何をしているのか」などと「かねてから」言っておられたんですかそうですか。

フジテレビ騒動の時はあなた全力でブタエモンを応援していましから〜〜残念!

「このような事があるとまた『株が悪い』という話になっってはならない」とか言ってますが、悪いのは株式投資じゃなくて公共の電波でその場その場で勢いのあるものに提灯つけて煽ってるあんたたちですから。

で、このセンセイ最近は「グローバル化によって賃金の低い国と高い国が同じ土俵で戦うことになっている」っていう経済的トンデモの類になります「中国発のデフレ」の焼き直し理論(追記:ここの書き方が微妙で誤解を招きましたが、中国発のデフレってのが経済の理屈的にトンデモだという意味です)がお気に入りらしく、今日もその話をしてましたが、その強引な理屈はもしかして従業員(や臨時従業員)の待遇を改善したくない人たちのご意向でございますかねえ??


○という訳で月報

例によって12月と比較。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0601.htm(1月)
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0512.htm(12月)

・総括判断に文言が追加されましたよ〜♪

(1月)『わが国の景気は、着実に回復を続けている。』
(12月)『わが国の景気は、回復を続けている。』

景気回復の足取りが着実だそうです。これって判断前進ってことでしょうな。


・生産の現状判断を前進

で、総括判断の次に現状判断があるのですが、この中では生産の判断が前進。

(1月)『生産も増加の動きが明確になってきている。』
(12月)『生産も振れを伴いつつ増加傾向にある。』


・先行きの判断もこりゃ前進なんでしょうな

(1月)『先行きについても、景気は着実に回復を続けていくとみられる。』
(12月)『先行きについても、景気は回復を続けていくとみられる。』

自信度が上っているということで宜しいでしょうか(^^)?その内訳に関しては文言同じでございます。先行き見通しの総括部分だけ前進ってのも珍しい気がしますが。


・物価の先行きに関して「円安の影響」を追加

物価の現状に関しては当たり前ですがプラスに転換したって話をしてますが、そこは当たり前の部分なので引用省略。で、物価の先行きに関して、国内企業物価のところで、将来の上昇要因として円安というのを挙げています。ただし、この円安に関してはここもとの国内企業物価上昇の要因としても挙げていましたので、まあ現状程度の円安であればそれほど気にはしない(継続的に強含み要因になるんでしょうけれども)のかなあ。


・金融面に関しては前月と同じです

強いて言えばマネーサプライの数字だけですが、これは実績数値の話なので前月と違いが出る時には違っているのは当たり前ですんで引用割愛。


ということで、総括しますと判断が前進と申しますか、景気の先行き拡大に関して自信をより一層深めているという風に読むのが吉かと存じます。


○総裁記者会見要旨は本日ということで

一応ブルームバーグニュースなどでも報道されてますが、まあ景気には益々強気のようでございますな。ヘッドラインには「冷静かつ適切に判断する重要な局面に」ってありましたが、瞬間2銭くらいしか反応してませんで、もう福井総裁の強気発言には慣れてしまったのか、週末で今更反応する気力が涌かなかったのかは知りませんが(笑)、全体を通して読まないと何とも。

まあ本日の会見要旨のアップを待ちたいと思います。





2006/01/20

お題「まぁ本日も雑談でご勘弁」

雑談あんど人のふんどしですが(笑)

○黒ひげ危機一髪ゲームじゃないんだからさあ・・・・

http://www.tse.or.jp/の新着情報って所を見ますと、東証の本日約定件数がどうのこうのってのがリリースされているのが判ると思います。昨日の場合はこんな感じで、14時に315万件、14時半に350万件。
http://www.tse.or.jp/news/200601/060119_f.html(14時)
http://www.tse.or.jp/news/200601/060119_g.html(14時32分)

で、この350万件のリリースがあった後に、平均株価はダレて参りまして、15700円近辺から15500円近くまで押し込まれたんですが、14時48分頃(TSEのウェブベースでは14時47分となってますが、ブルムバーグ(プロフェッショナル)でフラッシュが打たれたのは14時49分だったかな)に「今日の立会いは最後までやります」というのが発表されて引けに掛けて戻すという相場でございました。
http://www.tse.or.jp/news/200601/060119_h.html(14時47分)

てな訳で、まあ思惑が入っているのもございますが、取引が通常通りに行えなかったとなるとそれはそれで「市場の流動性リスク」って問題になりますので、嫌気されるというお話になりますわな。その辺りの機微を昨日の引け前20分が表していたのではないかという事で。

しかし400万件になったら取引停止って言っておいて、如何にもギリギリっつーか引けの処理したら400万件楽勝で超えるだろうって心配する人だっている訳で、こんな「引けるか引けないか判らない」ってのを連日やられても激しく困るんですがねえ。その度に思惑が出るって本来の株価形成と全然関係無い世界で動くって馬鹿馬鹿しい事態ですがな。


しかし昨日も申し上げましたが、ライブドアみたいに寄りから延々と特別売り気配になっている銘柄が、売買停止になると比例配分も何もなく執行不能で、引ければ比例配分で売れるかもしれないって状況は如何なものかと考えます。

売りが過大すぎて比例配分すら出来ないというのなら諦めもつく(ちなみにライブドアの場合は売買最低単位が1株なので余程の事が無い限り比例配分になります)のですが、全然関係ない(まあ元はと言えばここの問題から始まってますけど^^)取引所全体の約定件数の問題で売買が出来たり出来なかったりというのは、もし自分がLDのホルダーだったら東証に対して「ふざけんな」と上記論理で大騒ぎですが、あたくしの駄文を過去からご愛読の皆様におかれましては、「CXは糞だがLDはもっと糞なのでCXを応援したい」などと資本市場関係者にあるまじき発言をしていたことをご存知のように、そもそもこの会社の株を買うと言う発想が起きる訳なし(笑)。

とにかく、途中で止めたりとめなかったりというのは勘弁していただきたい。


○ここにも影響が

何故か投信協会のウェブサイトには何の掲載もないのですが、昨日のブルムバーグニュースでも報道されていましたが、東証で取引が停止になった場合に売買停止の瞬間から東証の売買銘柄を主投資対象としている投資信託の当日分の設定・解約の申し込みの受付を停止するというとのこと。例えば野村アセットマネジメントのウェブサイトではこんな感じです。

http://www.nomura-am.co.jp/whatsnew/info/200601191.html

まあそりゃ止めるのは当日分の設定・解約なんで、翌日分に持ち越せば良いって話だと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、翌日に持ち越せばオーバーナイトのリスクも発生しますし、大体からして資金繰りで売りたい人だっている訳でして、急に「本日は早仕舞い」などと看板を下ろされても投信購入者は「聞いてねーよー」ってなもんでしょうな(だから発表してるんですが^^)。

で、事はこの通知だけで済む訳はなし。そんな事言われても、投資信託ちゅうのは全国津々浦々の販売会社の店頭で設定・解約の申し込みを受け付けておりまして、特に証券会社の全ての営業店舗でいきなり対応しろっていうのは正直物理的に厳しいお話です。翌日に持ち越した結果、設定・解約を申し込んだ委託者にとって不利な状況が発生すれば事前通知してるって言ってもトラブルの種になるでしょうし、ギリギリの受付をどう処理するのかとか、まあ大変なお話でございます。


○ところで短期マーケットですが

株式市場を横目に睨んで動いていますなあと苦笑したのは一昨日入札があった新発FBの動き。一昨日に入札が行われた新発FBですが、落札結果発表時刻は12時40分。この時は最低落札価格に対応する0.0051%は一瞬にしてオファーが消化されて投資家の買いが入ったようなのですが、株が戻って見ると昨日はまた0.0051%レベルにはオファーが出てくるという有様。

まあ短国買入が無かったとかも影響してるんでしょうが、株価の下落で量的緩和政策解除に影響が出るという見方はやはり多いんでしょうなあと思った昨日の値動きでございました。

本日は決定会合ですが、月報と記者会見は引け後なので、とりあえず場中に影響は無いでしょう。勿論大注目でございますが。


○もはや髪の思し召しとしか・・・・・

北浜先生恐るべし。

昨日の朝寄り前に珍しく出されたエントリー→http://blog.livedoor.jp/orion3/archives/50344735.html
『市場オープンとともに圧倒的な売りが来ることを覚悟しておきたいものです。もちろん反対もあります。でも確率は10%以下でしょう。』

・・・・・・降参です。

ちなみに、お昼になってから「前場の動き」を予想されても困るんですが→http://blog.livedoor.jp/orion3/archives/50344962.html
『ライブドア問題は引き続き尾を引く。これは避けられないが、早ければ前場には回復に転じるだろう。』

下のタイムスタンプを目をゴシゴシして見るべし(笑)。

まあこのセンセはブログの投稿時間を捏造できる機能とかを使わないで素のまま投稿するので、それがまた人気を博する所ではありますが、北浜先生の黄金伝説にまた1ページが加わったという事のようですが、このセンセが群を抜いて人気があるのは判る気が致します。。。。とだけ言うとアレですので、センセの良い所ですけどね、いや一度生で講演聴いたことあるんですが、アンチョコを殆ど見ないで立て板に水でお話してて、中々面白く眠気を催す暇が無かったんですよ。いやマジで講演はオモロカッタ。


○自殺ですかそうですか

いやまあ自殺ですかそうですか。自然死じゃない状況が発見されてから自殺とリリースされるまでの時間が妙に短いんですけど何なんでしょうか・・・・・・(追記:ライブドア元役員でHS証券副社長が沖縄のカプセルホテルで謎の自殺を遂げたって話です)

うわなにをするやめろくぁwせdrftgyふじこlp;@





2006/01/19

お題「また東証か!」

もはやブタエモンショックではなく東証ショックであります。

○ご案内の通りですが一応状況を

昨日の前場ですが、米国の株が下がったり、(米国)引け後のインテル&ヤフー決算が期待外れだったことから平均株価は下落っちゅうか、日経平均よりもトピックスの下げ方がきつかったのでこりゃ参りましたなという感じでした。

で、後場最初は何となく一旦下げ渋りだしたかと思わせたのですが、そこにご案内の東証の発表。「約定件数が400万件になったら全銘柄の売買を停止しますんでよろしく」って発表したのでさあ大変。停止前に売っておかなければというのでパニック状態になって日経平均は危うく16000円割れ(後記:15000円の間違いですがな、ああ恥ずかしい)寸前まで下落。さすがに途中から大型株などに買いが入ったりしてたので持ち直す展開にはなりました。

で、結局目出度く400万件到達して14時40分に取引停止。取引終了なのはまあそうだから仕方無いのですが、引けの板寄せをしていないでザラ場のままで終了させてしまいました。これもまた如何なものかと思いますが。。。。


○東証の対処がアホアホ過ぎ

1.パニックを誘発する対処

http://www.tse.or.jp/news/200601/060118_a.html
「約定件数が400万件になったら全銘柄停止するので、皆様注文を集約して下さい(意訳)」

もうね、アホかと馬鹿かと。そんな事言って注文を自粛する奴がいると思うのがもう頭の中に蛆が涌いているとしか言いようがないですわ。あのね、例えば満員の映画館でボヤが起こった時に誰かが「ここしか出口が無いぞ!」って叫んだらパニックになって圧死者続出でしょうに、そんな連想も起きないのかおまいらはと。

そんなに件数増えるのが困るのならザラ場方式を一旦止めて全銘柄板寄せにしちゃって「約定件数多過ぎなのでこのまま注文は受けますが引けまで板寄せにします」とでもやればいいのにと思うのですが(つーか人間様が立会いやってたら当然約定件数多過ぎで笛吹きですがな)、14時40分に取引終わらせているのにザラ場のままでやっちゃったという事は、システムがそういう対応できて無いんでしょうな。

で、本日もこの有様
http://www.tse.or.jp/news/200601/060118_g.html

約定件数で取引制限するくらいなら立会い前場だけにしてその代わり幾らでも持って来なさいと開き直る方が余程良い訳で、こんなことしたら取り付け騒ぎよろしく「400万件に逝く前に取引執行を終了させておかナイト」というインセンティブが働いて却って注文が殺到するでしょうがな。もうお前らは脳味噌が溶けているのかと小一時間。中途半端な開け方をするなと。

この「取引がもしかしたら途中で停止になるかも知れない」っていう無茶な状態は株券等の売買を直接行っている投資家だけでなく、他の方面にも影響が出る話でして、その対処はどうなるんだよって言うのもあるのですけれども、その話はちと置いておきます。


2.何で板寄せをやらないんだ

でまあご案内のように14時40分で取引は停止したのですが、とんでもないことに14時40分時点で引けの板寄せ処理を行わずにザラ場のままでまさに「停止」させてしまいました。その前に「14時40分で売買停止」ってリリースが出たのですが・・・・
http://www.tse.or.jp/news/200601/060118_c.html

「売買停止」だから「引け」ではなく、ザラ場で終了しちゃうって事なんですが、引け条件の注文執行が全部無効になっていますので、引け条件の注文をしている人はポカーンです。そして引けさせなかったので、S安売気配のままだった4753ライブドアの場合は引けの板寄せしてないので比例配分の処理は行われずに気配のままでおしまい。売り方は売れないままに翌日に持ち越しになってしまいました。何というか「取引所は取引執行の場を提供している」という意識はどこにあるのかと小一時間でございます。何故板寄せをせん。

板寄せ板寄せと業界用語を断り無しに使っちゃいましたが、板寄せってこれです。
http://www.tse.or.jp/glossary/gloss_a/itayose.html

#まああれだ、西室某以下幹部職員は全員切腹して詫びろと。


○だいたいグローバルスタンダードとやらにしたのがですなあ・・・・

と書くとグローバルスタンダードな皆様からボロカス言われそうですが、そんな話は忘れられていると思うので敢えて時代に逆行したアナクロな意見をば。

http://www.tse.or.jp/glossary/gloss_t/tyuuikehai.html
注意気配って制度が昔はございまして、直近価格から次の価格(正確には次の価格ではなくてややこしい説明が必要なのですが)に逝くのに1秒かけるというお約束がございまして、その間に注文が殺到すると板寄せになるという形になっていました。各会員会社の市場部員と才取業者が人力で取引執行していた時の方式をシステム化していたのですが、上記の注意気配の説明文にありますように、「株券等に関する注意気配は平成10年8月24日に廃止」となっております。

この時に何が起きていたのかと申しますと、この日本独自の知恵の結晶とでも申すべき(ああアナクロ)注意気配制度が海外の皆様には判り難いし、ザラ場に大量執行しようとしても板がちんたら動くのでその間に提灯がついてしまう(だけじゃなくて逆の場合もあるんですけどねえ)のでムカツクとか、まあ要するに海外投資家様やそのご意見を受けた当業者の皆様などから「ザラ場方式をもっと透明かつ迅速に執行しやがれコノヤロー」と散々言われてザラ場の最良執行が出来る現在の取引執行方式に変更(正確にはその後いじってるかもしれないので正確性は保証しかねます)となった訳。

(この時に東証には物凄い処理能力のスーパーコンピュータが導入されまして、債券先物の取引執行なんかは嘘のような速さになったのですが、速くなり過ぎて板がバカバカ飛ぶようになったので、誰も注文を置かなくなった(出来たと思ったらあっという間に遠い彼方まで値段が飛ぶマーケットにヘッジ注文さらさんわな)というアホな事態になってマーケットの流動性が落ちるシャレにならない珍現象になりました。その後値がバカバカ飛ぶのは改善されて現在に到るのですが。)

注文が殺到したら板を寄せてしまえば良いというのが日本の知恵だったのですが、どうも注意気配制度の廃止と共にそんな仕様は無くなったようですな。遅延が困るから能力増強→能力上ったから注文沢山来る→最初に戻るってやっていたら単なるいたちごっこなだけでして、全然抜本的対策にならん訳ですわな。

ザラ場の注文処理方式を何とかした方が良いと思いますけどねえ。


○で、今日はどうなるのか判らんがな

普通そろそろ自律反発があってもおかしくはないと思ったのですが、何か市場関係者じゃない識者の方が妙に「ライブドアとその関連企業群だけの問題と考えると大した事ないでしょ」って落ち着いている(別に槍玉に挙げる積りではないけど例えばこの方http://tameike.net/comments.htm#new(編集時注記:現在ここには当然無いので過去ログ見てください。でもとりあえず久々渾身の平和維持活動で猛烈大反発しましてよね。よってあたくしの負け)とか)のを見ると何か却って「あっちゃー」感が漂うのでございます。

一番怖いのは(実際に見たわけでは無いですが良く聞く話として)「鉄鋼株の時価総額世界ベスト30の中で一度に沢山買える銘柄を幾ら買いたい」などというような意味不明の連中の資金が一旦降りちゃうことでして、まあそんな事がなければ当面調整は続くものの、内容が良好な銘柄から落ち着いてくるんでしょうけど。

ブタエモンショックであればブタエモン関連群の問題なのですが、事が東証問題になりかねない状況だと問題は別なんですよね。出来れば本日はちゃんと大引けまでやってもらいたいものです。そうすりゃ落ち着くでしょう。

#債券市場のコメントは・・・・



2006/01/18

お題「今日が正念場ですな」

昨日呑んだら今朝もまた寝坊しちゃいましたすいませんすいません。

○ブタエモンショーック

昨日の株式市場ですが、ライブドアの寄り付き前の板を見て「ほほう2000万株の売り気配」などと思い目をゴシゴシしたら2億株の売り長ですかそうですかという感じでして(д)ポカーンって所でした。

しかしそれより驚いたのは前場途中から平均株価が猛然と戻して前日比プラスまで逝ったこと。いやまあ相場の地合いが強いのはわかったのだがプラスはすげえななどと仲間内で話をしておりましたら、後場いきなりつるべ落としの下落。久々に勢いのある暴落祭りを拝見致しました。

昨日は「影響が少ない・・・といいんですが」などと微妙に毒にも薬にもならない言い方をしておりました(でも小見出しはさすがにこれは・・・でしたけど^^)が、まー戻って下がるという動きは実にタチの悪い展開で、寄りから単純に400円超下がるよりも怪我人が出やすかったのでは無いかと思料。「でも基本的な地合いは強い」とかやってたデイトレの人とかが随分参加して後場一気に逆を食らったというのをデイトレ自慢のブログを巡回していて幾つも見てしまいました。幾らリバ狙いのデイトレって言っても材料を吟味して参加するもんじゃネーノかねえとジジイのあたくしは思うのですが・・・・・


でですな、ここ半年くらいの相場パターンですと、何かでありゃりゃと下げた翌日に猛然と戻るというのがお得意のパターン(前回ではジェイコム株式誤発注事件の翌日のリバが記憶に新しいと思いますが)。ですけど今回はどうもライブドア本体の粉飾関与の疑いなど大変な状況な上に、そもそもライブドア自体の時価総額のでかさとか勘案するとどうなるんでしょうかねえ。間の悪い事に耐震偽装建築問題で与党の偉い人の名前が出てきたり、NY株式は下げて帰ってきてるし・・・・

連続下落にどの程度耐えられるのでしょうかって所かと。まあどっかで止まるんでしょうが・・・・・

ところでライブドアですが、本業でも買収した企業でも儲かっている企業って何でしたっけ??って企業群でございますので、昔懐かしい(って今も健在ですが^^)光通信のように本業は物凄くパワフル(いやマジであの会社の営業って凄かったのよ。今はどうだか知らんが)だというのと本質的に違うので、まあ・・・・



○量的緩和解除が展望されていますが・・・・

この調子でバリュエーションもあったもんじゃない豪快な買われ方をしていた新興市場が調整を余儀なくされ(ると思うけどね)た場合に日銀はどうするか。まあとりあえず既定路線どおりに粛々と進行するんでしょうけれども、何と申しますかイットバブル崩壊をやっているのに何で今ゼロ金利解除??とアイテー業界の片隅(当時は何の気の迷いかアイテーベンチャーの真似事をしていたのでイットバブル崩壊を良く見てました。いや確かに株も下がったのですが、あの時はIPO狙いで未公開アイテー企業に資本が突っ込まれ、その金でピカツーだの禿だのを買っていた企業とかあったのよ。それで経営おかしくした会社とかあったし・・・)で思ったのですが、さて今回はどうなるのやら。

株式市場と金融政策を直接リンクさせる必要は毛頭無いのですが、株価が調整している中で金融緩和の解除という光景はどうもこういつか見た物でございますので、どうもこういやーーーーな感じが致しますわな。

例によって人のふんどしですが、毎度おなじみ本石町日記さんが「ライブドアショックと金融政策=直結はしないが…」「「バブル潰しは日銀のお家芸」という誤解」というお題でエントリーを上げていますのでご覧いただければと存じます。

ま、当時のゼロ金利解除に関して金融市場の評価としてどうなっているのかは存じませんが、秋葉原(ビットバレーではない)での体感的に申し上げると、あの時点で既にアイテーバブルの崩壊はエライコッチャになってました(資金というか資金(資本の間違え)の流入も細くなったし、米国の崩壊が痛かったですな)ので、日銀がアイテーバブルを結果的に崩壊させたという事には成らないかと思います(まああの時点で何故解除?やるなら2000年になって直ぐじゃなかったの?とはその当時思いましたが)。

さて福井総裁の運勢や如何に??



○髪業恐るべし

用意するもの
1.昨日の日経平均株価の日中値動きを示すグラフ
2.インターネット接続環境(は今ございますわな^^)

推奨ウェブサイト
http://blog.livedoor.jp/orion3/

画面を下スクロールしていって真ん中近辺まで下げますと、(編集時追記:さすがにトップでは見えませんので1月17日の部分を探してください)昨日の午前10時4分のエントリーが読めます。(その直ぐ下のエントリーのお題は「東京地検特捜部が動いた以上・・・・」でございますのでそのお題が出たらスクロールを止めるアルヨロシ)

で、その10時4分のエントリーから上のエントリーの11:46、12:03の髪のお告げを読んでから改めて日経平均株価の日中値動きを確認しましょう。

・・・・・・・・(゜д゜)ガクガクブルブル・・・・・・・



○まあしかし魔坂の坂って奴ですわなあ

いやまあここへ来て色々と香ばしい事態が噴出してきてまして、実にこうディープインパクトが2着敗退という香りが漂う今日この頃でございますが、完全無垢は魔を呼ぶという思想は昔からございまして、何と申しますか「頂点に達すると魔坂の坂が待っている」を地で行くような光景をこれから見ることになるんでしょうかねえ。

などと訳の判らん事を申しておりますが、「無闇に喜ぶなかれ」と同じように「無闇に絶望するなかれ」ってのもありますんで、悲観一色になるのもどうかとは思いますが、さっきご推奨した髪様の最初の方(=最近の)エントリーを見ているとどうもまだ悲観になっていないので実にガクガクブルブルって気は致します。


・・・・・あ、債券相場の話を全然してないや。まあ株が下がれば昨日と同じように先物の買いだか買い戻しだか知らんが、先物主導で相場が上って、10年の1.4%割れとかになったら戻り待ちの売りとカバードコールで値動きの悪い現物はケツが重くなり先物だけ値動き軽くなるんでしょうな。以上ってところで(おい)。






2006/01/17

お題「短期も落ち着いてきたようで/ライブドア雑感」

昨年の有馬記念が何らかのサインだったのではないかと・・・・

○金利関連は落ち着いて来ましたようで

短期に関して言えば今週の1年TBはさてどうよってのはあるものの、足元の資金に関しては落ち着いた感じ。MUFGの銀行統合とか、電子CPのフェーズU移行とかが一段落した上に、ゼロ金利ってひょっとして思った以上に続くんじゃネーノというのもあるのかも知れませんが。ただし、3月末越えに関してはまだ手探りっぽい面もあるようですな。

先週のFB入札で最低落札価格が利回り換算で0.005%をぶち抜けとなった為にこりゃどうよって感じになったのですが、金曜の短国買入では前日比変らずまで落札(平均は+0.002%でしたが)されたのでおおそんなに需給悪くないじゃんって感じで昨日もその動きが継続。FB入札にぶつけた感じで2月償還物のTBFBに少々出物があったようなのですが、その辺もまあ業者が抱えて無問題なレベルまで消化されたんでしょうな。昨日の短国売現先のレートも低下してますし。

いやまあ足元の需給で金利が何となく動くということになっているようにも見えますので、そーゆー意味では「短期金融市場の市場機能の復活」(笑)に向けて絶賛進行中という言い方も出来ますが、単に短期のオペが今までの判で押したような同じパターンからちょっと変わったら動いただけとも思えますが、わざとオペを妙に打ったのかそれとも素でパターンを変えただけなのかは良く判りませんな。


債券に関しては世の中の投資家様を悩ませている15年変動利付国債の気配がだいぶ戻っておりますし、まあカーブとかはそれなりに動いてますが結局レンジ内取引で上を買う材料も無く下を叩く材料も無くという所で、金融政策決定会合(自体では何も無いでしょうが、月報と福井総裁のスタンスに注目)やら月末に掛けての経済指標を見ながらって話になるんでしょうかねえ。

今日の5年入札は52回債のリオープンなので別に入札が過熱もせずにヘロヘロにもならずという平穏なものになるんでしょうが、0.8%クーポンで0.8%台半ば位まで下がってくれると販売しやすそうな感じですんで前場に下げて頂きたいのですが、さすがに今日は株式がアレでしょうから中々前場下げる訳にも行かんでしょう。

で、あまり上昇して入札を迎えちゃいますと、リオープン発行なだけに「その値段は既に買ったがな」という投資家が増えて来ますなあってのが懸念っちゃあ懸念ではありますが。


○さすがにこれは・・・・・

まあニッポン放送買収騒動の頃から「ライブドアはけしからん」と言い続けて証券市場関係者としてその発言はどうよとご批判も賜りましたが、当時からこの会社のやってる事は如何なものかと言ってたら今頃になってこれですかって所で、まあ昔から仕込んでいた銘柄が大化けしたような(って別にポジションがある訳ではないが)気分ではございます(苦笑)。

2000年のアイテーバブル崩壊の前はアイテー銘柄が爆騰したかと思えば次はバイオが爆騰(年末年始からの協和発酵と寶酒造の連続S高には驚きました)して、その後またアイテーが上昇。そして2月にあの懐かしき「野村日本株戦略ファンド」が出て2月の終わりだか3月の頭だかに週刊文春の光通信関連記事が出て暫くしてから大崩壊というのが実に懐かしい思い出。

で、今回は監視委員会がちょろっと捜査に来たとかいう次元じゃなくて地検特捜部まで出てきて強制捜査(しかし昼間に捜査すると営業妨害になるから夜なんでしょうが、徹夜で捜査されたら会社の中の人たちも溜まりませんわな)モードで、何だかゾロゾロと容疑が出てくるという実に香ばしい状態。まあライブドアとその関連企業群は本日暴落祭りになるのでしょうけれども、さすがにこれは新興市場には影響するでしょうな。

まあ前回のアイテーバブル崩壊も別にその時置いていかれていた内需関連とかのバリュー株は特に影響なく推移してましたし、今回は不良債権問題で銀行シバキアゲってのも無い(そもそも日経平均が10000円割れるような騒ぎは銀行シバキアゲによる信用不安モードが主因かと。アイテーバブル崩壊と直接関係があったかどうかは謎ですわな)ですから、影響は限定的なものに留まる・・・・と良いなあとは思いますが、資金の回転が止まった場合の影響に関しては、前回のアイテーバブルよりも大きいかもしれませんし、最近日本に金持ってやって来てる海外の新規投資家の皆様がどういう評価を下すかも気にかかる所ではあります。

ま、せいぜい証券市場で合法ギリギリで派手にやらかしている誰かさんや誰かさんにおかれましては次は自分の番ということでガクガクブルブルしていただければと存じますがね。

#で、今日は耐震強度偽装問題の証人喚問ですな。まあ好事魔多しと言うことで。




2006/01/16

お題「量的緩和を解除して金融緩和?という雑談」

今朝のモーサテ、いい感じで強引な理屈が出てくるので血圧が上昇する三原さんのコーナーで「マネー・労働力のグローバル化で好況下でも低金利・低インフレ」って話をしてましたが、これって「中国発の世界デフレ」と理屈の根っこが同じだと思うんですが、悲観の時は悲観追認で楽観の時には楽観追認理屈ですかそりゃまた随分ご結構な商売ですねえ大変な「投資家の皆様に役立つ報道(by本村ゆっこ様)」ですなあなどと悪態をつくと冬で上り易い血圧が更に上昇するので注意しましょう。

予定利率が引き上げというニュースがございましたが、引下げの時には随分豪快に下げていましたが、引き上げは0.1%刻みでございますかそうですかという所でして、政策金利が上昇しても市場連動しない金融商品の金利は上りませんよって事でしょうなあ(笑)。しかし何故またこのタイミングで・・・・??


○金曜日の続きですが

金曜日に書いた「需給以外の理屈でイールドカーブのフラット化は景気への見方以外で説明しにくいんジャマイカ」というお話。そのキモとなるのは「量的緩和解除してからゼロ金利に移行したときにゼロ金利の時間軸が示される訳はないでしょ」って理屈でござんした。

念の為繰り返します。現在の日銀の公式見解としては「現在の量的緩和政策はデフレ脱却期待が高まっていることから、時間軸効果が弱くなってきており、ゼロ金利の効果が中心になっている(ので、量的緩和政策を解除して金利政策に移行しても、低金利を継続する分には金融政策に不連続な変化は発生しませんよ)」と言う事になっている訳ですわな。従いまして、武藤副総裁が言うような金融政策の「道しるべ」を採用するにしても、ゼロ金利政策のコミットメントが採用される訳無いでしょう。量的緩和政策の現状における政策効果が「ゼロ金利+時間軸」と言い、時間軸が外れている状態だと認識している状況から「量的緩和政策を解除するけど、ゼロ金利のコミットメントを採用する」という事になりますと、時間軸が復活するのだから金融緩和になっちゃいます。

・・・で、こちらについて早速ツッコミと申しますかご指摘を頂戴致しました。しかも同じような見解でございまして(^^)、その趣旨はと申しますと・・・・

まあ何だ、理屈ではその通りになるのだが、何せ日銀の政策ロジックが破綻をしているので、理屈どおりには動くとは限らないだろうし、結局の所政府からの圧力の強さ次第で時間軸入れてくるんじゃねえのか?

・・・・確かにそりゃそうですわな。

まあ普通に考えるとFRBみたいに「緩和的スタンス」と言いながら小出しにやっていくというような話になるんでしょうが、政府からのプレッシャーが強くなったらまあやりかねませんわなあという感じは致します。

もともとあたくしはご存知のように、「量的緩和政策を解除したら金利がゼロって事はねえだろう多分0.25%もしかしたら0.10%(当座預金残高削減中は別として)」って言っていたクチでして、現状は「量的緩和解除してもゼロ金利が継続する」というニュアンスで福井総裁などもお話をしていまして、市場のコンセンサスもその線ですんで、予想屋(いつ予想屋になったんだ?)としては見事に大外しでございます。何でそんな予想をしたのかと申しますと、日銀としては量的緩和解除してもゼロ金利のままでは、金利政策への移行が実質できない状況な上に、物価が下がったり景気が失速した時に責任を取らされるだけ日銀は損じゃねえのかというのがあたくしの理屈の根幹にあった訳ですな。

結局は「量的緩和政策は解除するけど、ゼロ金利は当面続くから勘弁」という方向になったような感じですけれども、これって何の事はない「実を捨てて名を取りました」っていう結果になっちゃってるんじゃネーノ。と、なりますと政府との妥協の産物としてもしかすると「量的緩和政策を解除したのに、実は緩和政策の強化を行う」という無茶苦茶な施策が出てきても何らおかしくはないという結論にも落ち着く所が恐ろしい話でございます。

変な地均しをしなけりゃこんな事にも成らなかったのにとは思いますが、地均しのシナリオ通りに経済状況は今のところ進行しているので結果オーライって言えば結果オーライなのかもしれません。何か余計に頭を出して要らん妥協をしたようにも思えますが。

日銀はここからまた「実を捨てて名を取りに行く」のでしょうか??




2006/01/13

お題「変動利付国債の惨状/他雑感メモ」

いつの間にドル相場のネタが貿易収支になっていたのやら・・・

○変動15年国債の悲惨

昨日の債券市場は途中から20年を中心に反発してまたまたフラットニングしまして、前回入札のあった変動15年37回債は98円割れとなってしまいまして、理論価格から2円くらい安くなってしまいました。

まあ昨年8月9月あたりまでは理論価格から1円くらい高くなっていたのにここ3ヶ月ちょっとで2円安いところまで逝ってしまうとは幾らキャリー収入が入ってくると言ってもさすがにエライコッチャになるでしょう。しかもこの商品を持っている主体って銀行セクターなので、ある程度やられだすと投げるという素晴らしい傾向がございまして(困ったもんだ)、投げスパイラルが始まると逝き過ぎになるのはVaRショック以来の年中行事。今回は変動国債ですかそうですかと言った所。

どうもやられの投げの為に「合わせ切り」をやっているようでございますが、何というか金利上昇ヘッジの積り(実は勘違いもいい所ですけど)で買った商品をここまで下がってから投げるなよと小一時間問い詰めたくなるのですが。ま、何と申しますか自己責任は自己責任ですが、「金利上昇への備えはできているでしょうか金融機関の皆様」などというメッセージを出して変動利付国債を買えば貴方も幸せって雰囲気を醸し出していた(これ以上の直接的表現は自粛^^)人たちに対する金融機関の怨嗟の声も聞こえて徽宗皇帝といった所ですわな。ええ、聞こえているとは申してませんので念の為。


まあアレですな。プレーンじゃない国債でヘッジが難しい(理論どおりにヘッジしようとしたら流動性の低い超長期既発ゾーンでややこしいロングショートをリバランスしないといけない筈)ので、需給が一方方向になる商品なのがこの商品の特性ですが、一方通行恐るべしといった所でございますわな。で、相変わらず銀行業態の皆様に於かれましては横並びがお好きと申しますか何と申しますか、どうしてそう揃いも揃って同じ方向でやりたがるのやら。参加者の殆どが横並び行動様式の人になっていると市場に止め役がいないので毎度毎度ソロスの言う「市場の帝国主義的循環」が起きてしまうという感じですわな。

こういう状況になると業者も下げに立ち向かわないのでして、こうなったら変動15年国債を買ってくれそうで止め男になってくれるのは某系統金融機関親分しかいないのではないかと思料される今日この頃でございます。


○で、フラットニングしてるのですが・・・・・(まだ考え纏まってないメモっす)

フラットニングの理由としては上記の変動利付国債の叩き売り激安相場の他には、イールドカーブがフラットしてない主要国ということで海外から見たヘッジつき外債投資の対象になるとかございます。

そんな中で「量的緩和解除をするけどゼロ金利の長期化」という文脈も買いのネタになっているような気がするのですが(本当はどうなのか良く判らん)、この発想の落とし穴に関してつらつら考えている今日この頃のあたくしなので、メモ程度の考え叩き台で恐縮ですがちとメモメモ。

まあ物価が上らないという見込みでゼロ金利長期化ってのなら正統派の発想で、それは経済見通しの話ですからまあ良いと致しまして、それ以外の発想を持ってくる場合の落とし穴ですが・・・・

毎度申し上げているように景気が好調な時にゼロ金利みたいな低金利を続けていれば、景気刺激効果が強くなるので将来の金融引き締めの際にはよりきつめに運営しないといけませんですってのはございます。で、ちと別角度から考えます。金利政策に戻ってゼロ金利になってからまた新たなコミットメントが出てくるという思惑があるようでして、武藤副総裁の「新たな道しるべ」発言がインパクトあったようでございます。

でもちょっと考えると量的緩和解除をしましょうと言ってる段階の昨今、福井総裁が何度も言っているのは「時間軸効果が無くなって来て、単なるゼロ金利状態になっているから、金利政策に移行しても低金利維持していればマーケットにショックを与えない」というものでして、その伝で行きますと、量的緩和解除後に「ゼロ金利のコミットメント」を設置するというのはありえ無い話ではないかと。だって「ゼロ金利の」時間軸を再設置したらそれは金融緩和になっちゃうでしょ。

「道知るべ」ってのが何になるのかとかそもそもそういうのを導入するのかは何とも言いがたい話ですが、債券市場の方で勝手に楽観というか都合よく解釈しているという節がございますが、まあそういう訳であたしゃー普通なら「ゼロ金利のコミットメント」を新たに設置するのはちょっとねえだろうと。

「慎重なスタンス」とか「緩和的な状況」とかいう言い方をするので政策金利が上らないというのもまあ都合のよい誤解のような気がする訳で、そんなことを言いながらFRBはFFレートを延々と引き上げ続けて今は4.5%ですからね。

#ま、まだまだ雑感のレベルですけど


○全然市場と関係ないですが・・・・・

松下がストーブのリコールで全世帯に葉書を送るというニュースを聞き、松下頑張りますなあと思いつつ、それだけ古い製品でも使われているだろうという自信みたいなものも感じ(ちなみにあたくしのCDラジカセは15年選手ですが現役でピンピン活動中)たのですが・・・・

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060112it04.htm(恐らく過去記事はリンク切れかと思います)

ふと思ったのは「どうやって全世帯に葉書を送るんだ??」という疑問でして、その記事を見たら「あて先を特定せずに各戸に郵送できる日本郵政公社のサービスを利用するという」ってあったので、郵政公社がそんな商品をやっているのかと初めて知りました。

で、まあこれが郵政省時代からやっているものなら以下の話は思いっきり勘違いに類するものなので「トンチンカンな事言ってやがるぜバーカバーカ」で終了して頂きたいのですが、もしかして郵政公社になって始めたサービスだとすると何かイマイチ釈然としませんな。

と申しますのは、要するにこのサービスってぶっちゃけチラシのポスティングをやりますよって話と大差ないお話に見える訳でして、集合住宅(じゃなくてもそうですが)で日々ぶち込まれてゴミを沢山発生させているチラシポスティングは一応どこでも「無断でそんなもん配るんじゃねえ」と掲示してるのが当たり前の状態ですわな。従ってまあ配る方もコソコソ配りにきてコソコソ帰る訳ですが、商業チラシでも迷惑チラシ(成人ビデオの宣伝とか)がございますが、政治関連のビラを配ってこんな事件も生じる訳で(っていきなりソースが赤旗になるのも何というかアレでございますが、あ、この裁判に関する意見は今のところ「良く状況がわからないので保留」です)。→http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-10/2005121002_01_2.html

まあ要らんDMとかもやってきますが、基本的に住所と名前を書いてあるので届くものを配っているから郵便局の人が配っていても「お勤めご苦労様です」って気分になっている訳でして、民営化するから当たり前だゴルァと言われそうですが、「郵便配る人」ってんで各戸を堂々と回っていた人たちがいきなり商業チラシのポスティングおっぱじめられると何か今までの信用と申しますか信頼と申しますか何と言ったら良いのか表現がムツカシイのですが、そーゆー「官業の信用力をバックにしていきなり商売開始ですかそうですか」っていう違和感(あ゛ーうまく表現できないよーーー)を感じてしまうのは、あたくしがひねくれているからなのでしょうか。。。。。

で、最後に念の為繰り返しますが、郵政省時代からこのサービスやっているとか、別に上記のサービスは商業チラシのポスティングのようなものじゃないとかいうのであれば(郵政公社のWeb見てもそれらしい商品の説明が見当たらなかった)この項目全部取り消しさせて頂きますので申し添えます。(じゃあ書くなと言われそうですが)

という訳で日銀の偉い人が大人しいので日々これ雑談でした。



2006/01/12

お題「準備しろと言うお告げですか?」

後継指名ですかそうですか。何だあなた様も院政をやりたいということですか。権力の座ってのは結局そういうもんですか。>誰かさん

○昨日のFB入札

昨日は10年国債入札でしたが、そっちの話はさておいて(おい)、政府短期証券の入札がございまして、先週木曜日の入札とは一転(まあ火曜から雰囲気は変ってましたが)した結果になってしまいました。

先週の入札(4月12日償還)では平均落札価格(の利回り換算)が0.0027%で最低落札価格が0.0035%となりましたが、セカンダリーの消化は順調で値を戻したのですけれども、昨日の入札(4月17日償還)は平均落札0.0047%で最低落札0.0059%と(単に心理的なものですが)何となく目処にしてた0.005%をあっさり抜けました。セカンダリーも低調で(というか既発債に売りものが出たらしく)、終わってみれば0.0065%あたりまで気配が切り下がる形。価格に直せば屁のようなミクロの世界ではございますが、利回りで言うと2倍とか3倍とか(^^)。

んでまあ何でこんな話になっているかと言いますと、MUFGの銀行統合に伴い足元の資金放出が渋られているとかいう話もありますけれども、年初から何だか資金吸収と供給を両建で行うツイストオペ(と言われる事が多い。どっちかというとマッチポンプと言った方が気分的にはしっくりくるのはあたくしの性格の悪さを反映^^)が絶賛実施中でございまして、売出手形だの国債売現先などが実施されてどうも需給の悪化傾向を後押ししている悪寒。

昨日に関しては、入札日だというのに国債売現先オペを打つという何と申しますか「入札するのに日銀まで玉出すなよ(ちなみに現先の期間は1月13日〜1月25日、落札結果は平均最低とも0.004%)」状態で、ここもとの足元金利だのGCレートだののサガランチ会長モードがまだ続きますかということで入札のやる気がだいぶ削がれたものと思料。


○というわけでツイストオペが多いのですが

今月になってからのオペレーションを見ますと、5日は国債買現先(実質的にはレポオペですな)と売り出し手形を実施し、10日には13日スタートの短国買入を実施しているのに昨日は13日スタートの国債売現先を実施と(ちなみに10日はCP買現先+全店買手と売手のセットも)何か資金需給を単純に均しているのかコリャという雰囲気が何となく漂う今日この頃。

まあ各オペのオペ残をいじらないようにしながらやっていくと資金余剰月にはこういう変なオペレーションをしてくる必要が出てくるというのも何となく判らんではないのですが、当然乍ら(?)早速ネタとして出て来たのは「これは何か意図があるのではないか」というお話。てな訳でまあ以下どんどん脳内妄想の世界に入りますので、その積りで読んで頂くとありがたいですが・・・・・

(以下妄想ワールド。市場の一般的な見方かどうかは保証対象外^^)

少々長い資金供給と足元の資金吸収のセットを行っているという事ですが、これは1つには「市場の先行き金利見通し(=市場の予想する量的緩和解除時期)を見ておきたい」っていうのがあるのかも知れませんですな。ちなみに3月(あたしゃ3月解除もありうると思ってますけど)の決定会合が3月8、9日でして、4月は10、11日と28日。5月が18、19日ですんで、まあその辺に足が掛かるものとかに関しては微妙になるんでしょうな。

他に考えられるのは「日銀も練習中ですか?」というネタでして、資金の供給と吸収をする事によって需給をぶらして短期金融市場に緊張感を与えておきましょうというお話ですかな。いざ量的緩和政策を解除という段になっていきなり慌てられても困るということでしょうなあ。まああたくしのような年寄りに言わせますとそんなの準備しないで慌てる参加者が自業自得と思うのですが、まあ市場全体を見ている日銀様におかれましてはどこかのアホウが混乱して市場全体が混乱したらそりゃ困るって思いたくなるのも判らんではない。その為にロンバートとか日中流動性とか債券市場なら補完貸付とか色々と手は打ってあるから心配ないぜって思うんですが、まあ「やってみたら全然臨戦態勢になってない奴のせいで一時的に混乱」ってケチが付くのは避けたいのでしょう。そんな訳で短期市場に向って「おまいらそろそろ準備せえよ」と言っているのかもしれない。

もっと妄想を逞しくすると、この調子で短期の吸収と長期の供給をツイストしていくことによって足元の短期金利を何となく持ち上げ気味にして、量的緩和解除による足元金利上昇(するかどうか判らんが、0.001%−0.002%って事はないでしょう)のインパクトを緩和するという事だったりするとかなり笑えてしまうのですが、これをやると解除後に吸収オペレーションをせっせと打たないと当預を所要+α(あたくしのドタ勘では目先10兆円弱8兆から10兆くらい??)の金利コントロールレベルまでに落とすのに時間が掛かる副作用もある諸刃の剣っぽいですが(^^)。



えー、日銀の短期金融市場調節にはそのような「意図」は無い事になっておりまして、本来こういう想像をするのは時間の無駄なのですが(^^)、まあこんな妄想をせっせとしてしまうのも、供給しようと思えば供給できた筈なのに当預残30兆円割れをわざわざやらかしたとしか思えない昨年6月2日というのがございましたんで。ええ、あたしゃーしつこく覚えてますから(笑)。

#来週は1年TBとFB入札ですな、おっほっほ。






2006/01/11

お題「材料は今日辺りからということで」

ネタが無い上に思いっきり寝過ごしたので本日は超簡単にメモ(汗)。

○変動利付国債

先週末にはスティープニングと価格下落が同時進行するという「ぶっちゃけありえな〜い♪」の図が展開された15年変動利付国債。さすがに昨日はあちこちの業者から「これはあなた幾らなんでもやり過ぎではないでしょうか」という趣旨のレポートが出ておりました。何せ固定利付債のイールドカーブから算出されるらしい理論価格を1円を大幅に超える激安の殿堂状態になっておりますので。

まあ要するに需給でこんな事になっているのですけれども、大体からして償還が向こう10年以上無いのに発行しろしろと言ったのは債券市場でございましたので、まあ自業自得と申しますか、しこたま買った銀行業態の皆さんご愁傷様です。BISの2次規制におけるストレステスト(=標準的な金利ショック)の設定が非現実的なもの(=イールドカーブのパラレルシフト)であった為にストレステスト上のリスク値が過小に見積もられて、その分超過需要が発生してしまったというのはございますが、そもそもイールドカーブに対してリスクのある商品だと判ってて買ったのではないかと小一時間。ってまあよく判ってなくて「金利上昇への備えはどうなっている」とかご指導だか何だかをするお方もいるのがアレですが。

別にこの時点でご教訓という訳でも無いですが、まあこの半年ほどの間に無茶苦茶に動いてくれた変動利付国債から勝手にあたくしが思うに、(1)制度あるいは規制に現実との歪みがあると、その歪みから特定商品の価格形成が歪むことがある(2)財務省さまにおかれましては「市場の声」を聞きすぎるのも如何なものか、と言ったところなのでしょうか。今月も入札があるのですが果たしてどうなるのやら、幾ら何でもそろそろ止まるとは思うのですが。


○入札2本

10年国債入札と政府短期証券(13週間)の入札が行われます。10年に関してはこの水準で消化できるのかいなって思うのですが、まあ他の年限とか先物とかでヘッジ入れながら業者主体で入札するんでしょうか。昨日いきなり相場は上るわ先物対比で10年は強くなるわで、(まあ雇用統計の週末前にヘッジ売りっぱなしの人もいないでしょうけれども)事前の準備は年末辺りから長期ご準備している人以外は踏まされの巻になっていると思いますので、今日の前場次第。水準が水準なだけにそんなに過熱はしないんじゃないかな?

FB(政府短期証券)の入札も(最近短期市場の方があたくしの主戦場の為に)注目しております。年明けからコールの平均が0.002%と微妙に上昇しておりまして、先週末に実施された6ヶ月ものTBの入札では平均が0.03%まで流れるという結果になりました。昨日短国買入オペが行われて足元の需給は改善していそうですが、本日の入札がどのあたりになるのかは個人的には勝手に注目しています。前回はちょっと安かったかなと思ったらあっさり買いを集めましたが。

特に短期に関しては量的緩和政策の解除自体は織り込んでいるけども、さていつ解除してそのときの足元金利は幾らでしょうという話は今一歩盛り上がっていない感じですが、何せ毎週のように入札があるので、その落札レートを見ながら皆さん何考えているのだか見たいと思います。


○人のふんどしコーナー

本石町日記さんの最新エントリー

お題は「日銀当座預金取引先の銀行の方々へ=ロンバートを活用しましょう」ということで、ロンバート貸し出しが本来短期市場金利(というかオーバーナイト)のキャップになる筈なのにロンバートを使うのが抵抗ありというのは日銀も困るでしょうってお話をしております。

そういえば昨年(といっても先月末だが)の12月29日には何故かコール市場で0.2%という目を疑うようなレートで調達していた人がいたようで(まあ物凄く少額だったんでしょうけれども)すな。こういう方の出来も市場価格になっちゃうんで正直迷惑なんですけどね。http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/md051229.htm

本件はどうもかなりの特殊事例だったようですが、数年前にもどこぞの銀行さんが期末でロンバードよりも高いところでコールを取りに行ったという事例があって、「そりゃ何じゃ」という話になりましたが、まあ皆さん使いましょうね(はあと)。


○そういえば

http://www.boj.or.jp/set/05/set0601a_f.htm

電子CPのフェーズUへの移行は無事に進み、市場での混乱も発生しなかったようで誠に結構至極でございます。

という訳で、簡単なメモで恐縮至極。




2006/01/10

お題「細かいお話ですが・・・」

諸般の事情(?)により債券市場の話よりも短期市場に近い話の方が多くなる物と思料されますので何分にもよろしくです。

○一時的なものかそれとも・・・・

先週末に行われた6ヶ月もの短期国債の入札ですが、入札前取引では0.02%近辺で売買していたものの、同日に短期国債買入が行われなかった事もあって平均落札価格が利回りで0.03%、最低落札価格の利回りが0.0344%と案外流れる結果となりました。

前回12月の入札が平均0.0125%だったんで、年末越えが終わったのに随分と下がりませんなあ(というか金利上昇してますが)という感じではございます。前回入札以降に何が世の中変っているかとつらつら考えますと、12月のCPIが発表になってコアで+0.1%というプラス転換の数字が出てきたことしか思い浮かびませんわな。

という事で、金曜に見たブルームバーグニュースの記事なんぞでも「政策変更を視野」などというお題になっておりましたが、量的緩和解除後にさすがにゼロ金利政策やると言っても0.001%でベッタリ足元金利が張り付く事はないでしょうって事なのでしょうか(あたしゃそう思ってますが)。まあ量的緩和政策の解除自体は4月±1ヶ月位に行われるという見方が多いと思うんですが、そうなりますと7月償還の今回の6MTBにはプレミアムが要求されて然るべしという話にはなりますわな。

と、尤もらしい後付け理屈を申してますが、実はただ単に足元の資金と短期国債の需給が反映しているだけという説も大有りです。1月15日の年金定時払いに向けて資金余剰傾向が続くので資金供給が少ないとか、10日(本日)に始まるCP電子化のフェーズU稼動に伴い手元流動性を一応確保しておこうという(そんなに大層な話ではないが)向きとか、偶々このタイミングでメガバンクの合併が行われているとか、その手の短期的な要因によるものっぽい気も致します。

どうもここの所かなーりまじーめにヲチして気が付いたのですが、何故か短期金融市場の方が債券市場よりも金融政策変更絡みに関してナーバスに反応している節があります。過去通算ウン年ほど金利物の市場をヲチというかポジション抱えてきゃあきゃあ申し上げているのですが、短期のほうが債券よりもこのネタに反応しているというのはチョー久しぶりに見た気が致しますわな。

まあそこら辺の事についてはより熱心にヲチしているうちに段々理解してくるものと言うことで、本日はそういう気がするというお話だけですが。


変調と言えば年明けからのイールドカーブは超長期ゾーンが弱くてスティープする形になってます。先週は相場が上っても下がってもスティープという久々の姿になったのですが、昨年末にフラットしてた事の反動なのか、単に入札を控えたポジション調整なのかそれとも別の要因なのか、これもまた気にはしておきたい部分でございます。

ついでに申し上げるとドル円が何か113円台までドル下落ってのもまあ随分戻りましたわなあ(今朝は114円台)という所でございます。いやまあ色々と年末までの動きに変調が起きているのか単なる綾戻しなのかよく判らんのですけれども、ちょっと気になる所でございます。


○この欄はどうにかならんのか

毎度お馴染み日経金融新聞。2面に「ポジション」という欄があって、編集委員の方が交代で執筆されていまして、結構な記事もあるのですが(と一応フォロー)、先週金曜の記事に関してはそりゃあーた如何なものよって感じ。

記事のお題は「国債買い入れ消却変身 財務省が金融緩和」となっていまして、要するに買い入れ消却が長期金利の押し下げ効果がありますよってお話になっております。そりゃまあ財政特会の準備金取り崩して長期国債買うのですから効果は無いとは申しませんが、その効果に挙げている3つのうち2つ目と3つ目には「???」が涌いて来ます(1つ目にもちと?なのですがそれは兎も角)。

『二つ目は買い入れ消却対象の多様化により利回り曲線への影響だ。』という事で長いのを買えば事実上の金融緩和効果が大きくなるという話をしているのですが、財務省は国債発行を長期化(市場の要望でもありますが)しているという話をスルーして買入消却の増加の話をしますですかそうですかという感が致しますが。だいたい日銀の長期国債買入残高を銘柄別に見れば判るように、普通に市場から買い入れを行うと残存2年以下の国債がやたらめったら入ってしまいますけど(ってどういうやり方をするのかはまだ確定してないから何とも言えないけど)。

記事には『買い入れ対象の調整で、特定の期間の利回りの上昇を抑える効果も期待できる。』ってあるのですが、そんなモロに露骨な介入は市場重視で(市場の人々からは)評判のよろしい財務省が行うとは思えませんが。今の買い入れ消却は買い入れ対象年限が最初から判っているのですが、買い入れ消却の時にいきなり「今日は残存○年の国債対象」とか言い出したら、その年限を誰がどのように決めるのかという問題が物凄い勢いで発生すると思いますが。

市中以外からの買い入れ消却って日銀と財政融資資金から5.5兆円ずつなんですけど、これって結局のところ統合政府の中での付け替え(というか両建解消)に過ぎないお話ではないかと思いますが。


『三つ目は、日銀へのけん制だ。十二兆円のうち、五兆五千億円は日銀から買い入れる。保有国債の圧縮につながり、その分、日銀の国債買い入れ余力が増す。量的金融緩和の解除をめざす日銀に、国債買い入れ余力が増す。量的金融緩和の解除をめざす日銀に、国債買い入れを減らさないよう促す狙いがある。』というお話なのですが、国債買い入れ余力が無いから量的緩和を縮小するというような議論は誰もしてないと思いますが。まあ敢えて混同して書いているんでしょうが、量的緩和解除と国債買い入れの論議は実際問題としてはリンクせんでしょうし、日銀の買入銘柄って2年未満のものがやたら多いので償還もそれに併せてやたら多く、そう簡単に余力が無くなるという話にならんと記憶してますが。

で、話が何故か『問題は買い入れ消却に原資が伴うのは一年の期間限定であることだ。』となって、今後も買い入れ消却の原資を見つけないといけないという話になって、『高度なリスク管理の導入で財政特会の金利変動準備金の余剰をあぶりだしたような工夫がほかの特別会計に求められるだろう。』と仰せなのはギャグか何かでしょうかと小一時間問い詰めたくなりますな。

署名記事をあたくし如き三下が名指しでいちゃもんつけるのもまあアレですけど、正直この記事書いている編集委員のO氏がこのポジション欄を書くと何と申しますか「何でもとにかくセンセーショナルに」って感じが非常に強く漂って参りまして、何か記事書く前にストーリー作り上げてから材料を拾ってきてませんですかと思いたくなってしまう香ばしさがございます。もうちょっと何とかなりませんか?

同日の紙面の隣(3面)の「視点論点」でみずほ証券の高田さんが「債券運用の局面転換」というお題で、「金利上昇はリスクか」と金利上昇すると金融機関の経営が大変でエライコッチャと囃し立てる人たちに対して「それはいかがなものか」と提言しているコラムに深く頷いてから、ポジション欄を読んだので激しくコケてしまいましたわな(^^)。

まあ連休明けでボケボケなので本日はそんな所で。




2006/01/06

お題「それは調子に乗りすぎではないかと/その他」

相場やら経済3団体の新年記者会見よりも先にこっちの話になるのだが。

○そのレポートはいかがなものか

毎度毎度話題狙いなのか提灯なのか知りませんが、「○○の経済効果は○○円」っていう効用の方ばかりやたら強調するレポートを出す事で著名な某経済研究所がこんなリリースを出していまして、昨日はあたくしの知人友人の間で「さすがにそれは調子に乗りすぎ」という結論に。

http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news_index.html

お題は 「寒波が日本経済に及ぼす影響 〜85年度並みの厳冬となれば、短期的に実質GDPを約6,567億円押し上げ〜」 です。本文は下のURL先。

本文PDF→http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2005_30.pdf

最初のニュースリリースのインデックス見てると「父の日の経済効果はナンボで母の日の経済効果に及ばない」とか、よくもまあ世間ウケ狙いのレポートを出しますわなあと思うのですが、寒波由来の悪天候で特急電車が脱線転覆したり、スキー場で雪崩が起きたりする今日この頃(石川県白山市では雪で屋根が潰れて2名がお亡くなりになられたそうです。ご冥福をお祈りいたします)にこのレポートにというのは「悪ノリのし過ぎ」ではないかと思うのでした。

いやまあ父の日の経済効果だのGWの経済効果だのというネタレポート(父の日によって消費が行われた分は他の消費が減るんジャマイカとかいう分析は華麗にスルーするのは如何なものかってのはいつも指摘されてますが)が毒にも薬にもならない話ですんで、出てくる分にはまあ苦笑してスルー致しますが・・・・もはや自然災害状態になっている昨今、その自然災害状態を「経済効果はどうのこうの」とかいうレポートを出す神経には墨痕鮮やかに「デリカシー欠如」という文字をお贈りしたいと存じます(-_-メ)。あーたの会社の親会社様のお客様には大雪や寒波で困っている人だって沢山いるんじゃないでしょうかねえ。いやまあ冷暖房完備の東京で立派な建物の中でたかいおきゅうりょうをもらってれぽうととやらをかくひとはかんがえることがすばらしいですなあ(棒読み)。


で、今朝はそんな事をちらっと書いてやろうと思っていたら尚のこと血圧が上昇したのはモーサテ東京スタジオからの第一声。今日のマクラはまさにこのレポートでして、キャスターさまも暢気にGDP押し上げの話をしておりました。こういうのを一々話題にするからしょうもないネタレポートが連発される訳で、出すほうも出すほうだが話題にする方も話題にする方でしょう。しかも今回は不謹慎じゃねえのかよと思うのですがねえ。

ちなみに、この番組について昨日のドラめもんで「いくらてめえの番組が5日スタートだからってマーケット関連のニュースが5日に臆面も無く「明けましておめでとうございます」はねえだろう」って感じのことを書いたのですが、読者様からもご賛同のメールを頂戴しちゃいました(^^)。

まあ何ですな、モーサテの皆さんも東京唯我独尊思想に毒されてませんですかねえ(追記:こういうのを最近一部では「ゲーム脳」をもじって「東京脳」と揶揄するそうです)とゆー感じですが、まあ朝から血圧の気になるあたくしの血圧をまた上昇させてくれる話題ではございました。



○また踏み上がりか!

と申しましても場中は相場以外のことで多忙を極めていて、引けて見て「はぁ?」状態になって早速ディーラーに質問したのでまあ聞いた話って奴だと予めお断りしておきます。

いやまあ昨日の債券相場もまたまた株式インデックスが上昇しているのにも関わらず先物とか中期債あたりから上昇。輪番オペが実施されて、思ったよりも高いところまで持っていかれ(前場引けで1毛甘のオファーとか並んでいたのに8糸甘までオールテイクン)て買戻しに弾みがついちゃったというのもあったようですが、基本的には中期と先物がやたらと強い相場でして、まあ5年(あたり)の実弾買いと先物の踏み上げ(ヘッジの買戻しなのかポジションの閉じなのか知りませんが)という所のようで。

5年の買いといえばまたも銀行勢のようにも思えますが、まあそれは兎も角として、1月は休みの関係で入札日程が押すので需給悪化という発想が皆様にあった所に米債がFOMC議事要旨で反発というか利上げ打ち止め感がでた為に、年末年始のヘッジ売り買い戻しなんかも巻き込んで久々の阿鼻叫喚モードになったようですね。

先物に200枚だの300枚だのの買いが入りまくってお仲間ディーラー曰く、「久々に『もう明日になったら買い戻せない』っていうような勢いの買いを見た」という所のようですな。ポジションの踏みや投資家の踏み(投資家が買っていない状態はショートポジションと同じ)が入ったという図でしょうか。雇用統計があるってのにまあ。。。。


#という訳で、経済3団体の人の話を書く暇が無くなったんですが、まあ量的緩和解除をしてゼロ金利継続という方向は大体コンセンサスになっちゃいましたなというところで。何だかな〜とは思いますが。





2006/01/05

お題「だいたい世間話」

1月5日になって明るく「あけましておめでとうございます」と言われると何か激しくこけますわな。そういや昨日はやってませんでしたが、ちょっとお間抜け感が漂いますよ>モーサテ

○こりゃ今年も安心だ

例によって人の日経金融新聞を見るあたくしなのですが、年初ですので今年の相場展望みたいなのがトップ記事になっておりますわな。で、真っ先に入った見出しが「日経平均、年末18000円」というものでございました。

えーっと、年末が16111円ですからここから15%しか上りませんですかそうですかっていうお話で、そんなに低水準の値動きしかしないというのはさすがに予想としてどうよって思うのですが、まあそれを見て大発会の株式市場も安心したのか(嘘)ご案内の通りの上昇と相成った訳でございます。

まあ日経新聞がカンカンの強気になって2万5000円間違いなしとか2万円は通過点(ちなみにあたくし現状では2万円くらいあっさり行くでしょと思ってますが)とか言い出すと調整もあるのでしょうななどと相変わらず説得力の無いお話をしている自分なのでありました。日経新聞におかれましては引き続き慎重スタンスでお願いします(笑)。

まあ問題があるとすれば不動産ではないかと。不動産投資ファンドなどへの資金流入が続いているうちは大丈夫でしょうけれども、ローンの利回り下がりすぎじゃネーノかとか、あまり真面目にフォローしてないのでこういう事書くのも何ですが、この前暇つぶしに某不動産ファンドの公表資料から保有物件の入替状況を見てたら何かこれ同じ資本系列同士で物件が動いてませんでしょうかねえと眉に唾をつけたくなるようなものがあったの(最近暇じゃないので全然フォローしてませんすいませんすいません)をちらっと見つけてしまったりとか、どうもこう調子乗りすぎ感が漂うのであります。

まあ不動産でバブルになってると言うような状況ではないでしょうし、今更土地の価格がこれ以上下がるとも思えないので何かあってもそんなに大問題にはならないでしょうけれども。。。。



○構造改革したから経済成長ですかそうですか

首相の年頭会見。構造改革をしたら経済成長をしましたかそうですか。いやまあ政治のアピールとして言いたくなるのは判るんですけど、別にシバキアゲたから不良債権片付いた訳じゃないと思いますがねえ。

構造改革万歳の人たちからは「自助努力と構造改革」で経済成長したというのがどうもコンセンサスになっているようですが、何というか過程の分析に思いっきり???感のあるものを出されますと今はともかく将来またまた経済状況が悪化した時にまたまた無茶な処方箋がでてきそうで実にオソロシスではございます・・・が、どうせ結果よければ全て良しとか逝って有耶無耶にされるんでしょうな。化学実験に例えると不謹慎ですけど、実験でうまく行かなくてもそれは「このやり方はうまくない」という重要な知見。再現できない実体経済なんだからより精緻にフィードバックすべきじゃねえのかと思うのですが。

で、その構造改革原理主義問題(?)ですが、普段あたくしが巡回しておりますpogemutaさんの「ダメオタ官僚日記」(http://d.hatena.ne.jp/pogemuta/)の1月3日のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/pogemuta/20060103)で規制改革・民間開放推進会議のお話が出ておりまして、大変に興味深く読みました。肝心の元であります会議の議事録を斜め読みしかしてないんですが、何か乱暴な論議が行われてますなあという印象で、こんなんで規制改革民間開放推進をやってるのねえと吐息が出てしまうのでありました。

で、まあ最後の方にあったpogemutaさんの意見というか感想を読んで全くその通りですなあと共感したのでそこを引用しようと思ったら既にbewaadさんが深くうなづいて引用してましたので引用省略(^^)。



○国債市場特別参加者関連の雑談

昨日財務省から発表されたのは国債の落札・応札順位でございます。何故かPDFファイルで発表されているのですが、デュレーション換算値とか区分別順位とか出ているのでそれはそれで楽しめます。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/jgbsp/060104b.pdf

で、毎度毎度お約束のように「落札額ランキング」と「応札額ランキング」を比較する訳ですが、公表当初は特に超長期国債のカテゴリーで落札額のランキングに出てこないのに応札だけはランキングに出てくる所とかが少々おいでだったのですが、今回眺めると超長期国債の落札額では9位に位置しているのに応札額では堂々の1位という相変わらずの会社様が一社ございます。どこなのかは上記URL先を見ましょう(^^)。

いやこの会社はこの順位公表が行われても全く臆する所無く堂々と応札と落札の乖離をし続けているので、まあその根性はある意味見上げたもの(入らないような所に客注が沢山入っているとか言うんでしょうけど)ですけれども、こういう輩がいると応札倍率とかの公表が意味無くなるので勘弁願いたいと思うのもまたございますわな。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/jgbsp/060104.htm

ドレスナーが特別参加者資格を返上してます。まあ撤退話は暫く前にあって既定路線なのですが、債券部門強化する所あれば撤退する所もありということですなあと。まあどうでもいい感想ですけど。



2006/01/04

お題「新年のご挨拶と年末の訂正(年初早々から大汗)」

仕事始めになってのこのこと更新するあたくしは何せ3日の夜までネットに繋がなかった(携帯は別ですが)という事で休みの時にはやる気無し(過去ログの整理も放置)という大変にのほほんとしたダラダラ生活を送っておりました(笑)。

本年も何卒ご愛読の程をよろしくお願い致します。ツッコミを頂きますと大変に勉強になりますので今後ともツッコミ宜しくお願い申し上げます(じゃあブログにしろと言われるのですが、コメント欄の管理をするって考えると恐怖心が先に立つあたくし。今更ブログに移行するのもめんどくさいし)。


○何かこの前も書いた気がしますが今年の予想

金融政策に関しては先日発表された11月全国コアCPIがプラスに転じましたので、量的緩和解除の条件は整ってきたという話になるかと思われます。順当に行くと3ヶ月連続でプラスで、その間の推移が上向きになっていれば「安定的にコアCPIがプラス」と言っても文句の出にくい状態になるでしょうから、3月の金融政策決定会合か4月の金融政策決定会合で量的緩和解除。ただしコールレートの誘導目標水準は「きわめて低い金利」という形になるんでしょうな。

この時に裏技として日銀のオペ金利の刻み幅を0.01%単位に戻すと言うのを勝手に妄想してるのですが。いつの将来になるのか知りませんが、まあ短期金利が1%だとか言ってる時にレートの刻みが0.001%じゃあ面倒以外の何物でも無い(現物株式だって値段が変ると呼び値の単位が変りますし^^)ので、金利政策に戻ると共に短期金利の刻みをまた0.01%に戻せばちったあ「短期市場の活性化」とやらになるんじゃないでしょうかねえ。

で、まあ短期金利が引き上げ(引締めの時は0.5%くらい上げるのが大昔は当たり前でしたが、最近は0.25%のメジャードペースという方がフツーになったような気がするので0.25%でしょう)になるには、まあコアCPIが0.5%位になっていませんと中々厳しいでしょうな。


この時のイールドカーブがどうなっているかというのを想像するのは前提によって全然違う話になりそうで、何とも申し上げにくいですが、現状の債券需給という面から考えますと、長期、超長期(特に超長期)のゾーンに関しては、ひたすら買うという人の買いが入るので、金利上昇局面で相対的に確りしやすい状況は当面変化は無いかと思います。中期や先物に関しては、売ったり買ったりする人が参加しているので、相対的に売られやすいという状態。先日知人のディーラー達と忘年会と称して飲んだ時にも飲みながらそんな話になりまして、某ディーラー氏曰く、「超長期は『売らない人』が買うから下がらねぇ」でございました。

ご存知のように相場が派手派手に動くのは「ポジションの踏み投げ」による場合が多く、国内債券市場においてはディーラーの踏み投げなどというのはインパクトという点では投資家のそれに比べれば屁のようなものでございますので、「投げが発生しない」程度の金利上昇の場合は下げながら超長期ゾーンがアウトパフォームするという形になるんでしょうな。ディーラー氏言いえて妙でございます。


先日の武藤副総裁のインタビュー記事にありました「量的緩和解除後に何らかの道しるべ」って奴はある意味波乱要因かと思います。道しるべに関して、「CPI3条件に変る新たなコミットメントでゼロ金利継続のコミットメント」と債券市場が誤解(無意識なのかわざとなのか知りませんが)している節がございまして、量的緩和政策を解除して時間軸を外すのが解除の眼目じゃなかったのかと思うのですが、そのあたりを債券市場がどう取るのかによってイールドカーブに無駄なエネルギーが溜まってしまう懸念がございますわな。

どうも債券市場は景気回復に半信半疑なのか、それとも短期金利が4%だとか言ってる国のイールドカーブ形状と日本を比較するというあまり意味があるとは思えない攻撃に出ているのか判りませんが、「道しるべ」=「新たな時間軸」=「イールドカーブフラット化」という発想になっているように見受けられます(さっき書いた需給問題なのかもしれませんけど)が、景気刺激効果が本当に出てくれば将来の金融政策がどうなるのよって考えたらイールドカーブは立ってくる筈なんで、そのあたりの読み筋がどうなるかってのと、そもそも市場のメジャーな読み筋はどうなるのよって所が難しいでしょうな。

あたくし的には「そんなんイールドカーブ立つでしょ」と思いたいのですが、どうもフラットニングを予想するほうがメジャーな気がする。


量的緩和解除後に気になるのは2年あたりのイールドでして、中長期国債買切オペ自体は暫く減額しなくても回せると思うのですが、長めの短期金利が微妙に上昇するようになると、只今でも0.3%とかになっている2年ゾーンの国債の消化が無事に行くのかどうか、蓋を開けてみないと判らない面が強いのですが、あたくし的には懸念しております。イールドカーブ全体に大きな影響があるのかというとそれもまた微妙な話ですが。


直接イールドカーブがどうのこうのって話とは別ですが、爆弾は15年変動利付国債。イールドカーブがベアフラットするとまともにいかれる商品設計になっているというのと、ヘッジの仕様が無い(一応超長期とか買えばヘッジにならない事も無いらしいが)上に、主に保有している主体が銀行業態という「いかれだすと投げる人」であるという問題がございます。昨年後半の災厄的な下げでやや整理はされたと思いますが、こちらに関しては償還は無いのに発行はバンバン継続。発行額が減額になるのが救いですが、量的緩和解除後にイールドカーブが尚のことフラットニングしちゃったりするとまた一荒れあるかも知れませんわな。ナムナム。


株価とか為替は全然判らん(床屋政談みたいなレベルでしか考えてません)。企業業績も良いのに賃金出し渋りは相変わらず(まあ賃金上げだしてインフレスパイラルになる時代じゃねーわなとは思いますが)だったりそれを言い出すと以下自主規制だったりするのですが(苦笑)、そうそう企業業績がゲロゲロになる事はあるめえと思います。ただ、個別銘柄の推奨という話になると、なんちゃら関連銘柄とか言って強引なこじつけが出てきたりしてまして、ちょっと頭冷やしたほうが良いかもしれませんわな。IPOはやり過ぎでは無いかと。

平均株価で見ると落ち着いて上昇トレンドなんでしょうが、個別ではやり過ぎの修正入るんでしょうなあ。だいたい季節的に言うとGW明けあたりが底になり易いんじゃなかったでしたっけ?


○29日のエントリーの訂正エントリー

29日にキムタケブログに出てたフィナンシャルジャパン記事のエントリーに関してあたくしが行いましたおなじみグロソブの説明に少々どころかだいぶ問題箇所がございましたので新年早々お詫びして補足致します。

あたくしはこう書きました(再掲)。

グロソブ毎月分配型の基準価格ってhttp://www.kokusai-am.co.jp/に堂々掲載されているように8000円そこそこなんですけど「元本を毀損させることなく」ってのは悪い冗談としか思えませんな。(途中割愛)基準価格が10000円割りながら分配を続ける投信という事は、元本を取り崩して分配しているという意味なんですが(ここ数年の基準価格は8000円台で上ったり下がったりです)。

で、ここの部分の説明のどこがおかしいかという件に関して読者様(本当のCFP)からご指摘頂きました。さすがCFPの方はお詳しいので勉強になります。

投資信託の平均元本は、”各受益者が追加設定した時の基準価格の加重平均”であり、グロソブのように8000円台での設定が多ければその近辺にあるのが当然で、1万円と比較することに_全く_意味はないっす。

ご指摘その通りでございまして(大汗)、あたくしの書き方だと10000円で買ったのが8000円になって元本取り崩しとなっているかのような表現ですがな。10000円と比較する意味は無いですわな、公社債投信んじゃないんだから。ご指摘のように、この投信はここ数年で恐ろしく元本が増えている投信ですんで、8000円台での追加設定(誤差を押して言えば後から購入した人という意味)が多けりゃ基準価格が8000円を上回るのは大変なお話です。毎月分配しちゃってるんだし。


グロソブの毎月分配型自体が複利運用でも何でも無い投信であるので、ドル建ての毎月分配投信を「複利の効果が享受できない」ってわざわざ毎月分配型のグロソブに乗り換える意味があるんでしょうかって所に関しては見解は変りませんけど、説明部分に瑕疵がございました事に関しては謹んでお詫び申し上げます。ご教授頂きまして大変感謝しておりますので、皆様におかれましてもドンドンツッコミ頂きますと大変に助かります。


と、仕事始めから思いっきり増量してお送り致しました(^^)。