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2006/04/28

お題「レポレート急上昇」

さてCPIと展望レポートですな。しかし展望レポートで何か出ますよって報道が昨日は出てましたが、先行きの金融政策についてはオープンって書き方で、変に燃料を投下するような不用意な事はしないと思うんですがねえ。

バーナンキFRB議長も基本は「将来の政策は経済情勢次第」って話だと思うんですが、米国の場合は長い期間のメジャードペースの利上げ&グリーンスパン流のやや曖昧なメッセージによる先行き決め打ち示唆攻撃に慣れているので、米国は今後金融政策の先読みでフラフラ動くって感じなんでしょうかね。

利上げ打ち止めをしても(つーか必ずしも打ち止めするのかもよく判らんのですが)次のアクションが利上げだか利下げだかは判らんという事だから、益々難しくなったという気はするんですが(って議会証言の本文読んで無いのでかなり外した話してたらゴメンナサイ)。

で、ちょっと気になったんですが、今朝のモーサテで議会証言を解説する人を紹介するのに「FRBウォッチャー」って言い方してましたが、昔から一般的に「Fed Watcher」って言うと思うんですけど(まあ英語だとFedって言った方が読みやすいってだけの話ですが)。

#豊和銀行のニュースはよーわからん。

まあそれはともかく今日も短い所の話。

○年末年始かよ!というGCレート

昨日は連休越えとなる2日〜8日のレポ取引が行われたのですが、昨日に引き続きまして金利上昇。結局0.04〜0.045%あたりの水準まで上昇(何せ相対取引市場なのでヒアリングして回った話な所をご了承下さい)しちゃいまして、つい2日くらい前(火曜の前場)の雰囲気は一体全体どこへ逝ってしまったのかという有様。

GCレポレートが0.045%とかになりますと、前日の新発FBは落札コストから勘案すると見事に逆鞘になる訳でして、当然ながら3か月以内のTBFBは全部逆鞘(レポでファンディングをするという前提で書いてますので念の為)になりますし、ついこの前まで0.01%だの0.02%だのというレベルでやっていた1ヶ月あたりのFBなんぞはGC対比で買おうという人がいなくなりますわな。

そんな訳で、短い所のFBも売り物勝ちのようで、レートはやや上昇。3か月も昨日の0.045−0.05%レベルから戻る感じも無くて業者間売買という「表」に出る商いは薄いという感じだったようですな。いやはやいきなりひっくり返しで、しかも連休前にこうなるとはちょっと意外でしたが、まあ世の中皆が思っているタイミングに動くわけでは無いって話ですわな。


○で、要因は?

いやまあ直接的な要因は当然ながらGCレポ取引市場での資金の主要出し手でありますところの大手銀行さまがいきなり資金を出し渋った為なのですが、GCレポレートが上昇するとFBやら2年以内あたりやらの利回りも影響を受けて結局自分に降りかかってくる話なので、単純に資金部門が小遣い稼ぎの為に出し渋るということはないとおもうんですが(やや棒読み^^)。

一応連休で足元資金を確保するとか言い訳はありますが、それはどう考えても取ってつけた屁理屈で、まるで年末年始のような金利上昇をする必要なしでございます。単純に「ちょうど良い言い訳があるから出し渋って見ますか」って思惑が一致しただけだったら実に馬鹿馬鹿しいのですが(しかしその可能性も否定できない)、一応真面目に他の要因も考えて見ましょう。

まああるとすれば当座預金残高が20兆円そこそこまで削減されてきたこと(日銀当座預金残高の日足に関しては日銀のウェブサイトのhttp://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htmあたりをご参考に)かいなってお話にはなりますわな。大体市場関係者のコンセンサス(?)として「当預が15兆円くらいになったら金利が動き出すでしょうってのがあったんですが、まあその数字もドタ勘の数字。よくよく考えてみるとどこぞの大手銀行が「資金繰りの練習」と称してFBを買って自行の当座預金を落としてみるとかいうワケワカメな事をおっぱじめたりしたんで、その分ちょっとタイミングが早くなったとも言えるのかも知れませんな(単なる嫌がらせで金利が上昇してるのなら今日の8日スタートの金利はさっくり低下するかと思料)。

まあそのワケワカメオペレーションの結果FBの金利は下がるわCPの金利は下がるわ(しかも何故か量的緩和解除直後の水準よりも下がった訳だが)とはた迷惑な事態が発生しておりまして、反動もまたでかくなったというお話でしょう。そもそも4月最初の3か月FB(当然償還は7月前半だった訳だが)は平均落札の実質利回りが0.057%とかだったんですから、ようやく元に戻ったという事でもあるんですが、余計に金利低下をした分の反動が来そうな気もややする訳ですが(今日レポの金利が下がらなかったらあり得る話、米国の影響がやってくると無事だと思うけど)。


まあいずれにしても以前からあちこちで指摘されている「GCレポ取引市場の資金出し手が極端に偏っている」という状況の問題点が物の見事に出ているという状況で、この煽りを食らって、現先レートに関してもTBFBの現先レートの方がCP現先レートよりも高いという担保証券の信用力+流動性から行くとそれは逆ではないだろうかっていう状況が発生。まあ有意にこの状況が継続すればCP現先で運用してる資金がTBFB現先に回るんで、あくまでも一時的な話でしょうが困ったもんですなあという感じ。

まあGCレポ対応するためにはそれなりの用意が必要で、そんな用意(=投資)をするほどの利回り水準かと言われると「誠に申し訳ございません」としか言いようがないので(笑)、今しばらくはこんな事が時々起こるんでしょうな。


○今月は19兆円で着地のようですが

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htm

昨日の速報ベースの日銀当預残高は20兆200億円。昨日は本店手形買入を6000億円実施しましたが、本日は資金不足日で本日の日銀当預残高は19兆300億円の見込み。

まあ昨日のGCレポや現先市場でのレート上昇はちと先走りというか仕掛けの香りがしますが、今後当座預金残高が削減されていく間に足元の金利などもさすがに動き出すかとは思います。そうなると4月に0.01%あたりで買われていた5月エンドのFBとかを外してくるアホウが出てきて尚の事ややこしい話になるやもしれませんが、まあそういう時には当預残高削減のペースが鈍る場合もあるかと思います。

でもそれはテクニカルな問題であり、先行きの金融政策を示唆するものではないので、あまり当座預金残高の削減ペースで大騒ぎする必要はございません。どこぞのメディアとかが本件に関して話題にして、それを見たエライ人や海外のよく判っていない人やらが妙な指令あるいは振り回しをするのは勘弁していただきたいものです。

#というわけで本日も雑談でした






2006/04/27

お題「いきなりヘロヘロの短期国債」

まあアレだ、飲み放題の酒は体に悪いという事で本日は物凄く簡単に勘弁させて頂きたいと存じます(汗)。

えーっと、手元に日経新聞があるわけではないので某テレビでの日経朝刊紹介記事特集ベースなのですが、「展望レポートで日銀はゼロ金利解除の時期を示唆せず」ってお題の記事が出るらしいですが、んなの当たり前なんですけど・・・・・・アホですか?


○FB入札が・・・・・

昨日は例によって例の如く大体3か月物のFB(政府短期証券)の入札が実施されました。

今回のFBは5月1日〜7月31日の期間になるのですが、前場の引け時点ではWI取引で0.35%で取引されてまして、まあ大体その辺でしょうかという感じで入札を迎えました。

で、結果は平均落札価格が99.9915円で0.03409%(財務省方式だと0.0337%)の平均落札価格が99.9905円で0.03810%(財務省方式だと0,0376%)ということでここもとの入札でラリー攻撃から見ると案外な結果。しかも応札が11.79兆円でこれまたイマイチの感じでした。

とは言え、ここの所ずっと入札つよつよでその後益々つよつよという攻撃もありましたので、当初は平均落札のあたりで販売は進んだようなのですが、リアルマネー系の買いが後で申し上げる理由から続かずで、最低落札価格ゾーンを抜けた後は一気にヘロヘロになりまして、0.04%レベルでの銀行勢の買いはあったものの、さっくりと下落して0.045%まで下落。

引け後だか引け近辺だか知りませんが、最終は0.05%まで出合いだったそうで(さすがにそのレベルはビットが残っていたようですが)、まああたくし的には「何となくロング溜まってるなあ」と思ってましたが(いやあの後講釈で言ってますけど、一応一昨日にはそんな話を仲間内でしてたんですよマジで)、いきなりこのタイミングで来るとは少々意外。


○ようやく需給超タイト状態が緩和されたようで

昨日はスポット渡しが月末になりますので、短期市場ではCPの発行が結構ございました。額もさるところながら発行される銘柄も多くもうエライコッチャだったのですが、実は前日も発行が結構ありまして、量的緩和政策の解除以来のきもち発行が少なめですなあ状態がここへ来て雰囲気ちと変った感じ。

しかも昨日は今まで利上げ警戒ゾーンの為に発行が手控えられていた7月中旬以降にエンドが来る発行も行われまして(FBなどのレート低下が影響したのかと思いますが)、まあそうなるとリアルマネー系がCP市場の方に流れて、7月の利上げに関して完全無警戒となっている利回りになっているFBはイラネーヨ状態になるのも当然かと。

以前にも申し上げたかなりインチキな計算ですが、7月に利上げになったとすると、今の金利だと利上げ後2週間(正確には13日)間の逆鞘が確定になる訳でして、それに対して3か月が0.03%とか言うのはそりゃまあ一応7月利上げの可能性がある状況(だとあたくしは思うのですが)下でリスク無警戒状態の価格形成は如何なものかっちゅう話にようやくなってきたということでしょう。


まあ今まで大手銀行を中心にしてキャッシュ潰し系の買いが旺盛だったのでリアルマネーの人たちが泣きながら買わざるを得なかったという側面が強かったのですが、そのキャッシュ潰し隊が一服すればこんなもんだということでしょうかねえ。


○GCレポレートが急上昇

で、まあキャッシュ潰し攻撃の一服というのもありますが、まあ必ずしもそうではなくて単にGW越えの一時要因かもしれないのですが・・・・・

昨日実施された本店手形買入オペ(6月27日エンド)の平均落札金利はいきなり0.037%(最低金利が0.033%)となりました。6月27日エンドで0.03%台ならば7月31日エンドのFBが0.03%台って事は無いでしょうって言う発想も起きましてFBが売られた一因にもなっているとは思うのですが、このオペ金利で早速GCレートが上昇。

うまいことに(?)連休越えという金利上昇の絶好の言い訳がありますので、資金の主要な出し手の頭数が少ないGCレポ取引では14時半過ぎくらいから絶賛急上昇して前日までの0.01%近辺からいきなり0.035〜0.04%近くまで上昇。つい数日前の足元資金余りまくり状態は何だったんだという感じで、まあ相変わらず極端に動く困った市場ですなあという感じです。しかし受渡が先になるからとか、コールでの調達能力が弱い証券会社が資金取り入れの主体だからとか理由はあるにせよ、本来国債担保で一番リスクフリーな資金取引の筈のGCレートが真っ先に上昇するのもアレですなあという感じです。資金の出し手の頭数が少ないのがやはり問題のような希ガス。


ま、本日は先週実施が見送られた短期国債買入オペがお助けオペの如く実施されると思われますが、2日ー8日のGCレポレートがこの調子で上昇傾向ですと、昨日落札したFBを抱えている人の中で店頭販売力が劣後する人はヤケクソでオペに投げに行く(店頭でリアルマネー系を押さえていれば0.05%はさすがにかなり捌けると思われますが)可能性がありますので注意が必要ですわな。地合いの悪さを見せ付けちゃったら却ってお助けにならなかったりして^^(現実問題として3000億の吸い上げになるので最終的にはお助けですけど)。


○で、2年入札ですが

この短期金利の妙な上昇は、キャッシュ潰し隊が手を引いた一時的なものなのか、その外れた梯子がこのまま外れっぱなしなのかというのがイマイチよー判らんのですが、まあ4月半ば以降のアフォのような足元金余りの雰囲気が解消されているのは事実。

で、そんな雰囲気があると中々2年国債も(買い手のうちでかいのが大手銀行のため)やや盛り下がるという話になるのですが、今書きましたように雰囲気が単にGW越え限定のインチキ気配なのかもしれないのでちと難しいですな。まあ逆に言えば2年入札がどっちに転ぶかが短期にそこそこ影響しそうな気もしますね。


#悪性アルコール攻撃に我が軍は撃破されておりますので今日は相場の概況メモ(しかも短期)で勘弁していただきたく存じます。



2006/04/26

お題「消費者物価指数に関する日銀レポート読書メモ」

米国債券市場、経済指標が出るたびに上ったり下がったりというのはまあ自然といえば自然ですが、まあコロコロと見方が変化する不安定な動きというのは「延々と金利下げ」→「延々と金利上げ」というトレンド状態が長かったのでこーゆーのに慣れてないちゅうのもあるんじゃないかと。

まあ本日は3か月もの政府短期証券の入札があるとか、月末発行のCPがやたら多いですなあとかいう話題もありますが、まあ週末の展望レポートに物価統計がありますので、そこまではとりあえずそんなに相場の決定的な取っ掛かりも無しということで、昨日もちょっと申し上げましたが、日銀レビューシリーズのお話を。

『消費者物価指数のコア指標』というお題のレポートが、この展望レポート公表直前というまたまた狙ったようなタイミングで出てくる所にどうしても意図を感じざるを得ない訳ですが(勿論日銀はそんな意図は毛頭無しという見解ですが)、今回のお題は「一時的な要因を極力排除したCPIのトレンドを見るためにはどの数字に注目するのが良いのか」というものです。
要旨はこちら
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev06j07.htm
本文はこちら(PDFです)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j07.pdf


○結論は「CPIの10%刈込平均」が良さそうとの事で

金融政策で今後見ていくCPIは「CPI総合」だという話は3月の決定会合以降何度もお話がされてます。とは言え、このCPI総合のトレンドをじゃあどうやってみるのかという話に関しては今まで出ていなかったかと記憶しております(違ってたらゴメン)。で、今回のペーパーということですんで、まあ(日銀の公式見解じゃあありませんが)こんなのを見てますよってのをさらっと説明したペーパーではないかと勝手に解釈しております。

で、CPI総合をどう加工するとCPIのトレンドがより読みやすくなるのかという点について、本ペーパーでは「除く生鮮食品(今まで皆が見てた所謂日本でのコアCPI)」「除く食料・エネルギー(総務省の偉い人の肝いりで唐突という印象で公表が始まった奴)」「除く農水畜産物・エネルギー・公共性料金」「10%刈込平均」の4つを日本のデータから比較検討するという事をしてます(5ページ目以降)。

で、この10%刈込平均って何でしょってのも最初の方に書いてあるんですが、他の3つの算定のように項目を選んでCPI総合から除外するのでは無くて、項目中の前年比変化が上下に大きい物から順にCPI総合に対するウェイトで10%になるところまで除外して(品目数で10%ではありません)内側のウェイト80%部分(上下10%を除外するから)を採用するって事だと本文を読んで理解したのですが、違っていたら誰かご指摘いただくと誠に助かります。

ちなみに何でこの10%という数字が出てきたかという話は本文の前半部分に過去のデータからこうやって出しましたってのがありますのでそちらをご覧頂ければ。


まあ今後CPIのトレンドを見るときは10%刈込平均のトレンド(んなもん発表されないでしょうから本職の方は算出するんでしょう^^)も見るちゅう話になるのかなあとは思いますが、ペーパーにもあるように、そんなに極端な差が出る訳ではないようですな。まとめ部分の7ページ目にこんな記述がございます。

『これまでの検討結果を整理すると、各指標のパフォーマンスに決定的な優劣の差はみられなかった。ただ、あえて優劣をつけると、全体的なパフォーマンスは、除く生鮮食品、10%刈込平均がやや高く、除く食料・エネルギー、除く農水畜産物・エネルギー・公共性料金が幾分見劣りする。』

『まず、除く生鮮食品は、除外対象を最小限とした上で、一過性の要因を的確に除外し、基調的な物価変動の捕捉や将来の予測力といった点で、安定したパフォーマンスを示している。したがって、これまで長期にわたって利用されており、定着度が高いことも踏まえると、引き続き、コア指標として注目していくとの判断は妥当と考えられる。』

『また、10%刈込平均は、全体としてみると、コア指標としてのパフォーマンスは高く、基調的な物価の動きをみるために除外すべき品目が、経済・物価情勢に応じて変化している可能性を示唆している。ただ、上述したように、将来の総合指標の変化の方向性の予測力は、2000年基準改定の影響を受けている可能性があるが、2000年基準改定以降のデータが蓄積されることで、この問題は徐々に解消されていくと考えられる。』


○何気に竹中先生に反論が(^^)

と、ごく真面目に読んでいるだけではアレでございますので、あたくしとしてはやはり竹中先生肝いりで公表がさっくり開始になった「除く食料・エネルギー」に関するこのペーパーの扱いに微妙に注目する訳でございます(^^)。

『また、最近では、高止まりが続く原油価格の影響も控除するため、食料品とエネルギーを除外した指数(食料<酒類を除く>及びエネルギーを除く総合)も公表されている。』

ということで、脚注には「米国のコアCPIに対応する概念」という説明もあるこの指数ですが、しれっとボコボコにされているような気がするのはあたくしの読み方にバイアスがかかっているからですかそうですか。

5ページ目のBOXっていう囲みコラムコーナー(?)には米国のコアCPIと日本の「除く食料・エネルギー」の比較をしているのですが、そこでは日米データを比較して、今まで日本でのコアCPIとしてエネルギーを除外しなかったのは妥当ではないかというお話をしてます(^^)。そして先ほどご紹介したまとめの部分の8ページ目なんですが、とどめのようにこんな事を。ちと長いですけど。

『この間、除く食料・エネルギーと除く農水畜産物・エネルギー・公共性料金は、除外対象をやや広くとっており、カバレッジが低くなっている。このため、基調的な物価変動を反映した情報までをも除外している可能性があり、これがコア指標としてのパフォーマンスを低下させていることも考えられる。』

『特に、両者ともエネルギーを除外しているが、その妥当性は、背後にある原油価格の変動要因等に依存している。例えば、近年の原油高の背景としては、中国等の新興市場諸国における高成長によって需要が増加しているという側面が重要である。こうした趨勢的な原油需要の増加は、供給面での制約とは異なり、一過性のものとして除外することは、必ずしも適当とは言えない。』

『また、除く食料・エネルギーは、必ずしも攪乱的な動きを示していない生鮮食品以外の食品までも除外しており、わが国消費者物価の変動の特性を踏まえると、必ずしも適当とは言えない。』

・・・・・・・(^^)





2006/04/25

お題「今日も雑談で恐縮ですが」

テレビの中の人があちこちで風邪のようですが、ここの所のお天気は乱高下が続いてますので皆様もご注意下さい。

○円高ですかそうですか

しかしいつも思うんですが、為替のニュースの時にドル円の話ばっかりでして、せめてドル、円、ユーロのどれが引っ張って相場が動いているのか位言って欲しい訳ですが。いやまあ自分のお仕事場にいれば各通貨のスポットもクロスレートも直ぐに判るから別に良いのですが、自宅にいる時やらお休みの時は一瞬ニュース聞いて「はて?」と思うので(その点NHKはドル円とユーロ円レートを話すのでまあよろしいかと。クロスレートを対ドルに頭の中で換算しないといかんですが、苦笑)。

で、まあ珍しくG7を受けて円高になってるんですが、中国人民元の切り上げ圧力やらアジア通貨の切り上げ圧力やらが出てアジア通貨上昇なのは判りましたが、それが円高になるというのも何か妙な話のような気はしますが、まあアジア通貨を買いたかったんでしょうかねえ。前回の人民元切り上げ騒動の時はドルが売られたという記憶があるのですが、今回は円が買われたという感じかと思うんですが、この違いはどこにあるのかなあ。


○情報発信と期待の安定化という話(の前振り)

雑談というか思考のネタにでもなると幸いですが(要するに自分の中で生煮えなのにご提供するわけですがorz)、ここのところつらつらと考えているネタを一つ。

先日FOMC議事要旨で米国債券市場がいきなり急反発して米国株式も高値更新とかやっていた訳ですが、ここもとの米国での金融政策に関する先行き見通しがまあやたらめったらぶれるのが気になる所で。

最近でも経済指標でぶれるのは兎も角として、FOMCの声明文でぶれ、地区連銀総裁などの発言でぶれ、FOMC議事要旨でぶれるということでして、まあグリーンスパンの言語不明瞭運営からのレジーム転換の最中だから仕方ないのかもしれませんけど、「次回で利上げ打ち止め」から「向こう3回は利上げ間違いなし」の間を行ったり来たりとややこしいことこの上なし。

まあそんなややこしい相場になっていることもあって、(手元に資料が無いのでうろ覚えですが)Moody'sだったと記憶してるですが、日米の中央銀行の情報発信は如何なものかというようなレポートが出てたような気がしましたが、まあそんな感じで早速情報発信に対する批判もでているやに仄聞しております。

まあ就任直後は色々と大変ではあるのですが、情報発信に関しては日本の方が物凄い勢いで市場との対話という名前の政策委員の講演が行われておりますので、まあこの状況をバーナンキ議長もご参考にして頂ければと存じます。参考にすると言いましても反面教師にするのも参考の一種ですのでそこの所は一つよろしくお願いします。

ま、グリーンスパン議長の任期中(特に最後の2年くらい)にはボードメンバーが何か言ったとかで大いに注目ってケースがあまり無かった感じだと思うんですが、ここへ来て皆さんの発言が一々注目されるようになった感じがする(まあ日本でボケーっと見てる人の気のせいかもしれませんけど)ところであります。

あたくし的には退任直後にグリーンスパン議長が金融政策についてベシャリをしたんで火がついたような気がする次第でして、まあバーナンキさん的には後ろから撃たれたようなもんだったのではないかと思うんですがどうでしょう。あたくしとしては、あの発言(しかもどこぞの投資銀行のVIP客向けプライベートセミナーの席上だし)でグリーンスパン氏の評価はストップ安なんですが。


と、結局書いてはみたものの何か生煮え料理をご提供してしまったので、もう一度煮直していただけると宜しいかと。


○金利の期間構造と金融政策の続き

昨日の続きですが。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j05.pdf

読んでいてちとまた引っ掛かった点が5ページ目にございます。4ページ目の後ろの方から続く話なんですが、金融政策の変更に対して金利の期間構造(要するにイールドカーブ)がどう反応したかということに関して金融政策の信認と絡めてインプリケーションを見ましょうって話がございます。

で、まあケースとして外生的なショックに対して金融政策が利上げで反応した場合って話をしてるんで一般化した話ではないとは思うんですが、一応ツッコミ。

利上げをした後にイールドカーブがベアフラットした場合のインプリケーションとしてこんな話をしてます。

『金利の引き上げによって、金融政策の目標インフレに対する市場参加者の認識が下方修正されたか、その不確実性が低下し、ターム・プレミアムが縮小した可能性が考えられる。このため、「並行シフト」のケースとは逆に、金融政策に対する信認が高まったシグナルと解釈できる。』

まあこちらのペーパーでも「可能性がある」と書いているので、そうで無いかもしれませんって思っているものと考えますが、金利の引き上げでカーブがベアフラットするのも程度問題で、「リスクプレミアムの減少で長期が短期比較で買われる」という場合だけではなくて、「金融政策のオーバーキル懸念で長期が短期比較で買われる」ちゅう可能性もあるかと思う次第で。特に現在の米国のようにイールドカーブがフラット気味になっている場合は、イールドカーブの変化が与えるインプリケーションはまた違ったものになるかと。

つーか金融引き締めやって長期が買われる場合ってのはどうも現場感覚的に言うと「金融政策に関する信認が向上」っていうよりは「引き締めによるオーバーキル懸念」という話になりそうな感じなんですが、まあいっか。

まあこの議論は前提としてさっきも書いたように外生的なショックに対する反応という話ですから、あたくしの言ってるツッコミも論点がずれてるかもしれませんが何となく気になったんで。

あ、それから、図表なんですが、図表2で出ているグラフはフォワードレートとスポットレートで分析してて、まあ本文中にもあるようにその分析が分析として主流だという風に理解してるんですが、一般人(というか現場の人)が見たときにフォワードレートのグラフを出されてイールドカーブの形状を直感的にイメージしにくいですなあというのと、日本の国債市場では必ずしもスポットレートを見て売買が行われている訳では無い(ストリップス債市場もあれだけ作れ作れと市場懇だか投資家懇だかで要望があったのに結局全然機能してないし)という点については留意が必要かと存じます(ってこれもトンチンカンな指摘かも知れないが)。

#これを読んでいる間に早速次のペーパーが出ています。しかもお題がCPIなのはもう読むしかないですが(大汗)





2006/04/24

お題「福井総裁引き続きマーケットニュートラル/白塚さんのレポート」

いつものテレビ番組、マーケットの知識をご紹介するコーナーでREITの話をしてるんですが、その触れこみが「景気回復への期待で注目を集めている」だそうな。何でも景気が回復すると地価が上昇したり賃料が上昇するから大丈夫だというお話で。

金利上昇についてのコメントはさすがにあったのですが、某証券会社の不動産アナリスト様(この人のレポートはどうも発行体に寄りまくったものにしか見えないので暇なときにネタレポートとして見るのは楽しいんですが)は「今は資産価値上昇がより注目されている」「3.5%の利回りは現状でも魅力的」と強力サポート(^^)。どう見ても嵌めこみです。本当に(略


○G7での総裁記者会見

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0604b.htm

この手の会見ですが、普段は「今回の国際会議ではこんな事がありました、以上」で終了なのですが、珍しく質疑応答があったりしましたので少々。しかも土曜日にアップされてるし。質疑応答は3つありましたので、全部紹介してると全部引用になりそうな悪寒がしますが行って見ましょう。


・12月のG7声明と比較してインフレの話が楽観的ですが

という質問がありまして、それに対する福井総裁のコメント。

『インフレのリスクに対する認識が12月の時点に比べて大きく変わっている、ということではないと思う。ただ、現実に世界経済はそうしたリスクを孕みながらも、今日までの適切な政策運営の効果もあってバランスのとれた着実な回復をたどっている、ということも事実である。そうした事実を踏まえながら、インフレ圧力についてのリスクは、より根底的な理由である世界的な不均衡の問題や、持続的な景気回復の妨げとなったりインフレを強くもたらすリスクのある原油高の問題等に、包摂して書かれていると理解している。』


・長期金利上昇の話はどこ逝ったの?という質問が(^^)

いやあの「財務省幹部発言」って債券相場への牽制でしょ(^^)。

『長期金利に特に強い焦点を当てて議論する、ということはなかった。ただ、現実に世界的に長期金利が上昇してきており、その動きの中でボラティリティが高まっていると認識されているのも事実である。』

つーことでボラティリティが上昇というこの前の国会答弁でもお話した言葉を使っておりますな。で、その続き。

『今回、長期金利に強い焦点を当てて議論が行われなかったのは、(1)これが世界的な景況感を背景とする動きであり、(2)世界的にみて株価が概して堅調である、また、(3)米国・日本・欧州の長期金利の動きがバラバラではなく連関性を持った現象である、といった共通の認識があったためではないか。』

ということでして、福井総裁は長期金利上昇に対して景況感に基づくものであり、世界的な景況感(や、本人言って無いけど多分物価に関する見方も含まれるんでしょうな)を受けた長期金利上昇だから心配ないぜと仰せでございます。

『他方、この先、金利に不確定な動きが出た場合には、金融市場はデリバティブの発達等により大きな変化を遂げていることもあり、気が付かないところで大きなフィナンシャル・リスクが発生する可能性がある点には十分注意しなければならない、という議論も行われた。』

ほほう。


・世界的な金融引き締め傾向に関する質問

『【問】世界的に金融引締め方向にあることが財政状況の悪い新興市場国に悪影響を及ぼすのではないか、というような点が議論になったのかどうか、伺いたい。』って質問がありました。

『主要国の中央銀行の金融政策は揃って引締めの方向にあるが、これは2000年秋のハイテク・バブルの崩壊後の事態に対応した超金融緩和からの復帰過程、いわばreturn to normality(正常な状態への復帰)のプロセスと性格づけられている。』

ということですので、まあ認識は「正常化」ということですな。ところで「揃って引締めの方向」ってのに日本は含まれるのでしょうか(笑)?

『従って、これは経済に対し政策的に強いショックを与えるものではなく、物価安定の下で持続的成長を確保していくという性格を持った金融政策であり、基本的には安定指向である、ということが理解されていると思う。実際に主要国の中央銀行は、自国経済への影響や相互の経済への影響を点検しながら、慎重に金融政策運営を行っている。』

で、この後に一般論的に「グローバル化の為に主要国の金融政策は世界に影響を及ぼすから目配りが必要」ってお話もしていまして、恐らくそれが質問の答えって感じでしょう。

で、まあ過去の話の流れから考えると、早急な「正常化」のリスクよりも、超金融緩和の長期化の方がグローバルにも問題っていう考えのような気がするのは読み筋にバイアスがかかっているからですかそうですか。


まあアレだ。基本的に現状追認で、将来の金融政策は別に決め打ちしてないけど、ゼロ金利長期化という発想は無い(まあゼロ金利長期化する位なら何のために量的緩和解除したのか訳判らんですからねえ)ということで宜しいんじゃないですか。


○ちと古いが白塚さんのレポートがありまして

ネタにせずに華麗にスルーしてたんですが、3分の1くらい読んでみました。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev06j05.htm

毎度おなじみ日銀レビューシリーズでこれまた毎度お馴染みの企画局白塚さんによります『金利の期間構造と金融政策』というお題のレポート。

本文はこちら(PDFです)http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j05.pdf

金利の期間構造からマーケットの経済動向(物価その他)に対する見方を得たり、金融政策に関する信認度合いを見るというお話がございまして、この辺の話ってのは大体あたくしのような人間は10回くらい真面目にツッコミを入れながら読むと何となく状況が掴めるのですが(←ただのアホです)、まだ読み込み不足のようで、何となく「はて?」と思いながら読んでる段階です。

でもこのレポートは中々興味深いのでお勧めかも知れない。

で、いつもだと「マーケットなんちゅうのは間違えまくってますから」ってレポートに悪態をつくところですが、なぜ悪態が出ないかと申しますと、7ページ目にこんな記述があるんですな(^^)。

『このように金利の期間構造が包含している情報は、市場参加者の経済動向に関する長期的な見方を読み取る上で、有用な情報を提供している。ただ、こうした情報を活用していく上では、いくつか留意しなければならない点もある。』

『第一は、長期フォワード・レートが予想されていない情報に対して過剰に反応する問題である。』

『(中間の肝心な部分を思いっきり割愛しちゃいます)この観察事実からは、標準的なマクロ経済モデルで想定されている、定常状態が不変であり、この定常状態に向けて経済主体の長期的な予想が収斂していくという仮定は、現実には、必ずしも成立していない可能性が考えられる。』

『第二は、中央銀行が民間部門のインフレ予測に機械的に反応するような政策行動をとった場合、合理的期待形成を仮定した均衡が不決定になる可能性が指摘されている(円環性問題、circularity problem)。』

『つまり、中央銀行が金融市場に機械的に追随してしまうと、中央銀行は金融市場の見方を是認しているとみなされてしまい、それをまた市場が織り込んでいくといった形で、マクロ経済全体の不安定化をもたらす惧れがある。この点についてブラインダーは、中央銀行は金融市場に追随する誘惑に陥りやすく、短視眼的な金融市場の時間的視野を採用するリスクがあるとしている。』

ええ全くその通りなんですが、政策委員会の中の人には市場誘導発言をしながら「市場が利上げ催促することもありますわなあ」というような話をする向きもありますんで一つその辺も宜しく。

ま、もうちょっと読んでみます。






2006/04/21

お題「本日も雑談です」

ちとネタを暖める暇が無いので雑感&雑談で勘弁。

○武藤副総裁の参議院財政金融委員会出席

だから何でこんなに毎度毎度日銀の総裁やら副総裁を国会に呼び出すのかと小一時間。センセイ方にとっては「国会で金融政策に関して日銀副総裁に質問」と宣伝すると政策通だって箔がつくんでしょうけれども、毎度毎度同じような質問に対応するために出席者やら国会対応の職員やらの時間を拘束している訳ですから、数字には出ないですけどリソースの大いなる無駄遣いだと思いますが。


さて、その財政金融委員会ですが、報道によりますと武藤副総裁は特に長期金利に関しても金融政策に関しても全く「余計な事」は言わなかった模様です。そのため、というよりは与謝野大臣あたりが長期金利上昇について楽観している発言をしたためのような気がしますが、ユーロ円金先や債券先物は国会のお時間中に若干下押しした感じですな。

以下ブルームバーグニュース20日15時56分の報道より。

(武藤副総裁)
『現時点では、その量的な当座預金残高の削減を円滑に順調に行っていくことがきわめて重要』
『その段階で、ゼロ金利の今後についてどうするかについて、予断を持って語ることは、いかがなことか』
『(長期金利については)いずれ市場がきちんと反応し、正常に作用していけば、しかるべきところに落ち着いていく』
『長期金利は、将来の物価や経済の動向によって決まるという要因が非常に大きい。直接、これに効果的な影響を与えることはできない』

(与謝野経済財政・金融担当大臣)
『今の(長期金利の)動きは、世界の長期金利と連動して併行的な連動ではないか(長期金利を中長期的にコントロールすることはできないとも指摘)』
『オーバーナイト物がゼロというのは世界の金融の中では異常な政策の1つ、いずれ是正されるべきであることは間違いない』
『(ゼロ金利解除の)時期については、日銀が金融政策として独自にご判断されること』

(谷垣財務大臣)
『デフレが緩やかながらも継続しているような状況で金利が急に上っていくということは、景気にも悪影響を及ぼすし、決して望ましいことではない』
『足元の金利上昇のスピードは少し早すぎるのではないかと懸念している』


まあここもとの長期金利上昇に関しては日銀の早期の政策金利引き上げとか連続的な引き上げ懸念がどうのこうのってよりは、海外のインフレ懸念とかフラットニングポジションのアンワインドとか日本の株価が全然下がらない(というのは主力株とかインデックスの話で、新興市場は何かアレな部分もあるようですが)とか言ったファクターの方が強い(早期利上げ懸念で上るなら3月中に長期がもっと上昇してないと話が変)ので、そーゆー意味ではデフレ完全脱却期待も混じっているとも言えるような気もするんですが・・・・・

いずれにせよ、印象としては長期金利の上昇に関してこの程度であればそれほど政府から圧力が掛からないってのを与える一連の答弁(の報道)ではございました。

先日(一昨日)は一部の情報ベンダーで「財務省幹部」発言として、「福井総裁は連続利上げの間違ったメッセージが伝わらないようG7で説明するだろう」ってのがあったのですが、基本的に連続利上げが行われるのか行われないのかという問題(利上げしないという問題もそうですが)は経済物価情勢に依存するものでして、例えば何らかの事情で突如インフレマインドが大盛り上がりして物価が急激にとんでもない上昇をしだしたら(んな事は98%無いと思うが)連続利上げとか金融本格引き締めだってやる訳ですから、結局は「決め打ち禁物」ということに尽きるのではないでしょうか。孤軍での弾打ちは程々に。

と、考えると決め打ち発言をして市場を誘導したがるようにしか見えない水野審議委員逝って良しという話にもなります(^^)。いつもの結論ではございますが、あっはっは。


○国債市場特別参加者がそれは・・・・・

短期国債市場の話というか要するに悪態ですが(^^)。

ここもとの短期国債(TB、FB)市場で短い期間のものが見事に需給大逼迫でございまして、とうとう昨日は水曜に入札が行われたばかりの3か月ものFB(償還日は7月24日)は0.03%を割り込むという有様で、10月償還の6ヶ月物TBで0.12%とかになってまして、ここだけ見るとゼロ金利7月解除どころか7−9月の解除もひょっとすると無いかもしれませんなあ状態になっているという香ばしい状況。それより長くなるとやや金利が付き出すのですが、2年の0.6%(昨日の引けで0.62%)と何かこう整合性がイマイチ取れませんなあ。

ま、短期市場に資金が退避して大混雑というお話は以前にも申し上げましたけれども、先日は日経新聞の市況面でも報道されてまして、昨日はブルームバーグニュースの市況解説でも同じ話が出てましたが、報道が正しいのであればこんな現象もあるようで。20日15時53分配信のブルームバーグニュースより。

『短期国債市場では、残存期間が1、2ヶ月の短いゾーンを中心に需給が逼迫してきている。大手銀行を中心に余剰資金を短国に振り向ける動きが強いためで、背景には当座預金の超過準備を早めに削減した資金繰り運営に慣れる要因もある。その結果、金利低下圧力が徐々に広がってきている。』

確か一昨日の日経新聞市況面には「関西に本拠を置く銀行」の動きとして上記の「資金繰りの練習」話が載っていまして、まあ同じような話でございますな。ええまあ資金繰りの練習で買うなら利回りが幾らという事が問題になる訳では無いですな。

しかしちょっと待って欲しい(突如天声○語調になってますが^^)。「資金繰りの練習」で短期国債を大量に購入するというというのは一見すると金融機関の危機管理ができているように思えるが、大手銀行には別の役割があった事を忘れてはいないだろうか。(ああこれだけ書くだけで疲れる^^)

・・・・というのが何かと申しますと、大手銀行と言われる方々は国債市場特別参加者という資格をお持ちでして、(先日議事要旨ご紹介した)財務省の国債市場特別参加者会合にも出席している訳でございます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/jgbsp/060403a.pdf

で、この国債市場特別参加者制度というのは何で設けられているかと言えば、制度作った時にこんなの出てまして、そこの冒頭にこんな事が書いてあります。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/kihonyouryou.pdf

『今般、財務大臣が、国債市場(発行市場及び流通市場)において重要な役割を果たし、国債管理政策の策定及び遂行に協力する者であって、国債市場に関する特別な責任及び資格を有する者を「国債市場特別参加者(以下「特別参加者」という。)」として定め、特別参加者及び財務省等により、国債の安定的な消化の促進並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持並びに向上等を図ることを目的とする国債市場特別参加者制度を導入することとした。』

まあ難しい事かいてますけど、要するに国債流通市場の円滑化に寄与するような人たちとして期待されいるんですよね。効率的かつ流動性の高い国債流通市場があれば国債消化の円滑化にも寄与するんですから。

でね、まあその次にある「指定基準」にはこんな事書いてあるんですけど。

『(3)国債流通市場に十分な流動性を提供することができると見込まれる者であること。』

ま、仮にですよ、仮に国債市場特別参加者の人で報道されているようなことを本当に実施して短期国債の需給を利回り無視水準まで逼迫させているというような行為があるのでしたら、上記URL先にある国債市場特別参加者制度基本要綱を百万回読めと申し上げたいですな。

ま、「投資家」として市場に参加して「お家の事情」で国債を買い上げたり投げ投げをしたりするのは別にお止め致しませんが、「国債市場特別参加者」として市場に参加する人がそれをするのは(程度問題というのはあるけど)如何なものかと思うんですけどねえ。

#久々に悪態でした。


○日銀出張旅費の過払い問題

まあいまどき随分と鷹揚な出張旅費の精算方式をしてたもんですなあという所ですか。新券取替えの時ほどはトサカに来ませんけど、まあ情け無いお話ですなあ。で話が終了してしまった。





2006/04/20

お題「ネタが無いわけではないが多忙につき雑感」

○米国債券市場雑感

今朝はコアCPIが強い数字だったことから再度インフレ懸念で米国債券は売られて帰ってきたのですが、昨日はFOMC議事要旨で利上げがあと1回で打ち止めの見方が出て債券上昇株式大爆騰したのはご案内の通り。

「バーナンキ議長はやっぱりハト派」って見方も出たりしてたようなのですがちょっと待てと。今回公表されたFOMC議事要旨は3月27、28日のFOMCミーティングのものですけど、この後米債が売られたのは原油価格上昇に代表されるインフレ懸念だった訳だが、じゃあ3月末から現在に到るまで原油価格どうなってるかというと、WTIの原油先物価格が3月末の65ドル近辺から、昨日は71ドルで今朝も高値更新だと。

つまりですな、3月末の議事要旨で論議されていた経済の前提条件が変ってきてるってのが4月入り以降の米国債券売り売り(と言っても大した売りっぷりじゃないけど)状態のテーマだった筈なのに、前の状況を前提にした議論を捕まえて「利上げ打ち止め観測」が出てくるのはとっても間の抜けた話ではなかろうかちゅうことですな。

という話を書くつもりでいたら、先ほど申し上げたようにCPIが強い数字+原油上昇で米債あっさり反落したので、あまり逆張り系の話にならなくなったんでイマイチですな(笑)。

いやね、普段あまり読み込んでないFOMC議事要旨なんでアレなのですけど、FEDの利上げサイクル終了がいつかっちゅうのは基本的には経済物価情勢次第って話(議事要旨にそんな部分もある)ですから、まあ先行き連続利上げで大騒ぎしてたのがやり過ぎだったという話もありますが、次回利上げで打ち止めと決め打ちしてもしょうがない話でしょって所ですな。グリーンスパンの何だかよく判らん曖昧な発信から、連銀のエライ人が色々とおしゃべりをする情報発信に切り替わって米国市場でも間合いを計りかねているような感じがしますな。

・・・などと素人が書くとろくな事が無いのですが(汗)。


○そこまで上がりますか?(国内債券市場雑感)

昨日の国内債券市場は米国利上げ(次回で)打ち止め観測と、30年国債が堅調に転じたことを言い訳にして大幅上昇ブルフラット。

まあ上昇したんですが、そんなに最終投資家の気合の入った買いがあったの?ってイメージらしいっす。で、まあつい一昨日までは「こんなに売られるならいつでも買えるぜベイベー」って余裕ぶっこいていたと思われる投資家の皆様に置かれましては、そろそろ尻がムズムズしてくる頃かと存じます。

まあこれで数日値持ちをすると「連休中のキャリー取り」だの「月末のインデックス買い」だのというのがネタになって買いがわさわさやって来るの図になって、急に俺も俺もともう投資家オレオレ踏み上げ状態になるって事にならなきゃ良いんですけど。

まあここから買いあがる位なら何でその前にコツコツと買い下がらんと言いたくなりますが、それはそれという奴で、時価評価というモノがありますので中々逆張りで入りにくくて、どうしても底値確認したと多くの人が思ってからヨッコラショと買いに入る形になるんでしょうなあってのは非常によく判りますな(汗)。まあ先月末から今月に掛けて2年債がドタバタと動いたみたいなのがしばらく続くんでしょうなあ。合掌。


それから昨日の3か月ものFB.、案の定0.04%なんて楽勝で割り込んでその後も堅調。引け後にまた買いが入ったちゅうんですから海外勢の手もあったのかも知れませんが、0.03%が堂々のビットになったというお話で、それは保有期間中の現先利回り対比で勝てませんが何か?という状態になっておりまして、持ち切りベースで投資する人にはお手上げモード。

まあ昨日の日経新聞市場面で「関西に本拠がある銀行」のコメントとしてFBを買ってます量的緩和解除前のレベルよりも強い所までってな感じのコメントがあったのですが、何か読んでて「はあそうですか」としか言いようのない妙なコメントではありました。資金繰りの練習で当預残高圧縮するからFBを買うってそりゃ理屈になってない(どうせ取材に対して適当な話をぶっこいたんでしょうけど)んですが。「試し借り」ならまだ判るが、んなもんの練習とやらの為にFB買ってもその結果手持ちの担保繰りが楽になるので結局練習になってないと思うんですけどねえ。

マジでそんなこと考えているとしたらガクガクブルブル。

海外の買いというのは、財務省の牽制攻撃を評価したり、米国の利上げ打ち止め観測を評価したりしてるのかなあ(想像通り買っているとすれば)という所ですが、金融政策がらみでの海外投資家の動きはまあ基本的に外していることの方が多いので、これもまた評価が難しい。

とは申しましても、足元の資金余剰状態というのは相当なもののようで、何か6か月TBとかまで利回りが徐々に低下してますな。上記のように持ち切りベースの人が買えない状態になった3か月以内の短期国債市場のお金がより長い期間のゾーンに弾き出されるの図になってきているのかなあって感じです。その辺見てると、連休明けくらいまでは全然短めの金利が上るって感じにはならないという事でしょうな。いやはや。



○雑談:モーサテなどに釣られてみるあたくし

東京MXテレビで以前6時から放映しててブルームバーグTVが6時半からになってしまったのでついテレ東のモーニングサテライトを見る時間が長くなった昨今ですが、朝から楽しい(機嫌の悪い時に聞くと不愉快だが)コメントにお目にかかれて実に素晴らしい釣り番組でございます(笑)。

ということで、今朝の釣り糸に食いついて見ました。

・株式市場の今年の最大のポイントはゼロ金利解除という話

某証券会社系調査センターの人でよく出てくる人なのですが、ゼロ金利解除の時期に関して話をするのに当座預金残高の減少ペースのフリップを出して説明をおっぱじめました。ええもう当駄文をご覧の方には耳タコだと存じますが、そのペースと利上げ時期は関係ないと何回言ったら判るのか。

こういうのをモーサテのように割と多くの市場に関心のある人が見ている(と思われる)番組でエエカゲンな説明が罷り通っているから日銀の説明が全然伝わらない訳でして、まあ逝って良しという所ですな。


・フジマキ大先生のご託宣

「マーケットを長い目で見ないと経済の大きなうねりを見逃す(だったかな)」みたいなお題で話を始めたので「オマエモナー」と思わず茶を噴きそうになりましたがそれは兎も角(^^)。

「国が国債を大量発行しているので、それを銀行が買ってそれだけじゃなくて日銀も買って結果として日銀券の発行残高が増えてもうすぐインフレですよ大変ですよハルマゲドンですよ(意訳^^)」って話をしてたのにもツッコミをしたくなる(それ因果関係の説明をわざと変な順序でやってるでしょ)とか、その後に話の展開上本村キャスターが「個人はインフレになると困りますがどうしたらいいでしょう」って話を振ったのにも、はぁ?って感じですけど、それは兎も角。

フジマキ大先生に置かれましては、「要は国VS個人という形になったら国の勝ちになるんだから、個人が国と同じ事をやれば良い」って理論で、国の財務状況(?)と同じように借金して土地や株などを買えっていつもの話をしてます。

いやあの大先生、国は借金しても元本どころか利息のリファイナンスも出来ますし、国は死なないので延々と借り入れ継続できますし、いざとなったら徴税権あるんだから自国通貨建てで借金してる分には心配ないのですけど、個人の場合はいつまでもあると思うなリファイナンスということで、借金して資産買ってもキャッシュフローが回らなくなった時に持ってる資産が減価してたらお陀仏さんになりますわな。

そういう前提条件を無視して「国と同じ事をやれ」とかテレビで説法をするのは如何なものかと思うんですけどねえ(まあそれを流す方に問題があるのだが)とネタにマジレスしてしまった朝のひとときでございました。


・そういやこの理屈判らないんですけど教えてエライ人

昨日の日経金融新聞の最終面。損保株の話をしてまして、資産に株式がやたら多い金融機関なので擬似株式投信みたいな会社って話は判るんですが、どうしても判らなかった部分がございます。

手元に記事が無いので正確な引用は出来ませんが、損保会社の資産構成に株式が多い理由の一つに、資産負債構造を持ち出しているのですが、その中で「損保会社の負債は自動車保険などのような期間が短期の物が(生保と比較して)多く、負債期間が短期なのでリスク資産への投資をしやすい」という説明がございました。

・・・・・何かこう投資の理屈を素晴らしく超越した説明にしか思えなかったのですけれども、誰かこの理屈の意味をあたくしに判るように説明してくださいエロイ人。







2006/04/19

お題「纏まったネタが無いので雑感」

インフレ大警戒から利上げ打ち止めとまた振り子が動いたようで、米国市場もよく動きますわなあ。

○とりあえず30年入札は通過

昨日は30年国債の入札があったのですが、落札結果発表前の30分間で何か長期、超長期が売り売りになって入札ダメなんじゃないかという不安心理も台頭して10年叩かれの巻となりました。で、10年2%(と言っても単利の2%なので複利の2%はもうちょっと先)をマークしましたが、入札結果が良好だったのでいきなり超長期ゾーン大反発の巻となりました。

まあ例によってイールドカーブの動きも過激だったようで、朝方は5年独歩高のスティープニングで、引けてみれば5年がカーブ上一番弱い形でフラットニング。2年のあたりは確りしてまして、2年〜5年はスティープしてまして、5年以降がフラットニングという形ですな。

とりあえず1回は2%つけてみましたが、昨日は引け後も30年強かったんで、来週は20年入札ありますけど、とりあえず長いゾーンの不安材料が1個解消という事でいいのかなあなどと書くと失速しちゃったりして(汗)。


○さて7月会合越えのFBが出ますが

本日実施される3か月ものFB入札。償還日が7月24日ということで、7月にベースレートの引き上げがあった場合は実質適用が18日(これも微妙で、午前中くらいに決定されたら15日の金利にも影響あるし、大体からして7月利上げが確実視されたらその直前になったら足元金利はロンバート近辺まで上昇する筈なんですが、どうも今までの常識らしきものが通用しないのが最近の短期市場クオリティ)ですので、6日間はそのリスクありって話になりますわな(6月解除リスクはとりあえず今はノーケアー)。

で、6日間の現先レートが0.25%でFBの残存期間91日にちりばめるとそれだけで0.016%になります(いやもうごく単純に0.25*6/91=0.016って無茶苦茶エエカゲンな計算ですけれども)ので、既発債(というか前回債)とその位はスプレッド付いてくれないと話としてどうなのよっていう感じになるのですけれども・・・・

足元の資金余剰感が相変わらずやたら強く、キャッシュ潰しの動きは相変わらずですので、まあ強い入札になるんでしょうな。

いつもだとここで同期間の高格付けCPの発行状況などからある程度類推できるのですが、7月解除を意識してか7月後半にエンドの来るCP発行は避けられているようでして、より低い金利で調達可能な2か月ものに発行がシフトしてまして、参考になるものが惜しくも無いという状態。まあ別に債券市場に影響のある入札ではないですけど、短期の実需+キャッシュ潰しの金利観が少し見える入札になるかと思います。


○日銀地域経済報告

さくらレポートという何と申しますかちょっとアレなお名前のレポートでございますが。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0604.htm

中身詳しく見てる暇がなかったのでまだなんですが、そこのURL先にある概況話見てますと相変わらず前回から上方修正か横ばいになってまして、判断が全部横ばいなのは北海道と九州ですかそうですかというところで、他の地域は何がしかの判断に上方修正が入ってますな。

支店長会議で総裁の開会挨拶がありましたが、これはまあいつものとおり公式見解のままでございました。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/siten0604.htm

一応メモだけですが。


○財務省or財務大臣が孤軍の香りが

10年金利2%ということで昨日の報道を見てますと谷垣財務大臣は「日銀総裁何か言え」モードまで発言のトーンを強めてますが、惜しいことに与謝野経済財政担当大臣は「長期金利は市場が決める」的な発言をしてまして、今一歩政府が一致結束して金利上昇に異議申し立てという図になってませんな。

経済政策におけるポスト小泉がどうのこうのとかの絡みもあるのかも知れませんし、まあ小泉さんの花道がデフレ脱却経済正常化だとなると「長期金利上昇ケシカラン」と殊更に強調するのは花道と話が矛盾するんであまり騒げないとか、色々としょうもない裏読みをしたくなりますけれども、まあ現状では量的緩和解除前の大騒ぎと比較すれば静かなもの。

昨日の報道のヘッドラインと、ベンダー提供の記事をちらっと見ただけですんで、間違って解釈してるかもしれませんが、昨日は谷垣大臣「国債の利払い費負担」にも言及してましたな。まあ財政再建も重要課題なのでその話をするのもよく判るんですが、先日来あたくしが申し上げてますが、そっちの論点よりも「企業の調達コストの上昇が景気に悪影響」というような話をした方がアピール度が高いんじゃないかと思うのはあたくしの勝手な感想ですけど。どうも利払い費の話を持ち出されると「財務省の事情話」が全面に出る印象を受けてしまいます。

ついでに申し上げると、昨日の報道では谷垣大臣が「日銀総裁何か言え」みたいな発言をしていたように伝えられてますが、それをやりだすとまたまた変な思惑が発生して相場が無駄に乱高下しそう(口先介入で低金利継続のコミットメント出して、あとから梯子を外すの巻になる)で、まあそうなったらなったで相場としては笑えますが、それはちょっと難しい「お願い」なのではないかという感じです。


ちなみに前回10年新発が1.94%なんぞを付けた時(2004年6月17日の引け後、ちなみにこの日スイスがゼロ金利政策解除してましたな)はドル円は110円近辺で日経225は11500円近辺(11607.90円)という数字になってまして、まあそこから見ると確かに経済の腰は相当強くなってるでしょうなあ。解除したらいきなり「次」の地均し攻撃を受けて財務省としてはまあ一杯食わされたって切歯扼腕かと存じますが、やや苦戦か?


本石町日記さんが昨晩のエントリー(http://hongokucho.exblog.jp/4427542)で『長期金利の上昇に対して日銀は何もしないと思い込んではいけないのではないか、と逆バリ的に考えることがある。』ってことで興味深い考察をしてますが、確かに福井日銀に限っては「何をやらかすか判らん」という所がある(から相場が妙にオーバーシュートしたりとなるんですが)のは事実ですな。

まあ政府が一致結束して長期金利上昇ケシカランになったらまた変るのかもしれませんが、今の感じだとまあ市場の動き容認のような気がします。まあいままで「マジっすか」というような目くらましをやって変に期待持たせてから後から梯子外しをするというのが(一番印象にあったのは「金利に蓋をする」という国会発言。あれを信用して長期債買った人は後でエライ目に遭ってましたなあ)毎度のことでしたが、それがまた大復活すると思うと頭が痛くなりますな(笑)。さてどうなることやら。





2006/04/18

お題「国債市場特別参加者会合議事要旨を見ると・・・」

昨日の信託大会の日銀総裁挨拶がモーサテで報道されていましたが、「原油価格高騰を懸念」という話になってまして、何だかなあという感じ。後でちょっと触れますが。

○国債市場特別参加者会合

先週木曜日に実施された国債市場特別参加者会合。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c180413.htm

・何か財務省の中の人の気持ちが出てますなあ

最初のお題は毎度お馴染みの「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」ですが、冒頭から中々いい感じで議事要旨作った事務方の心が(^^)。

『金利上昇の要因は、基本的に2つあると考えている。1つは言うまでもなく日銀が量的緩和を解除したことである。特に、幹部の発言により、マーケットに「これから先、日銀は中立的金利を目指す」というイメージが醸成されてしまったのは確かである。(以下略)』

この意見は続きが延々とあって、この続きにはグローバルなディスインフレ状況からインフレ懸念への転換がどうのこうのという話があって、必ずしも日銀の前のめりだけではないって話になっているのですが、冒頭一発目からこれなのは、財務省の中の人の気持ちが出てますなあということで。

3番目の意見も中々。

『3月以降の金利上昇については、量的緩和が解除されたこと自体よりも、その後の言動により、日銀がゼロ金利解除や金利正常化に対して前のめりになっていることが明らかになった結果であるとの見方をしている人が多いのではないか。そうした中で、海外の金利が上がり、株価もしっかりとしていることもあって、ここ数週間で夏場の利上げを織り込むような形になっている。』

『(途中省略)仮に、日銀がそうしたカーブの状況(引用者追記:フォワードカーブが今後1年くらいで3回程度の利上げを織り込む状況)に基づいて、「マーケットが日銀に対してゼロ金利の解除を催促している」という解釈をすれば、結果的にそれが債券マーケットを壊してしまうことになりかねないと懸念している。』

『(途中省略)日本銀行には、是非、市場に対する細心の注意を払い、発言についても慎重を期して頂きたいと思っている。』

このあたりはモロに水野審議委員の言動を批判してますな。まあこの位言われて当然なんですが。


・その説明は何となく大げさな気が

先ほど引用した3番目の意見言ってた人のお話ですが。

『ユーロ円金先は確かに来年にかけて3回位の利上げを織り込んでいる水準になっているが、キャッシュのターム物金利は6Mで0.18%近くであり、まだそこまでの利上げを織り込んではいない状況。従って、実際に夏に日本銀行が0.25%金利を上げるようなことになれば、中期ゾーンの金利の調整も大きくなるおそれがある。中期ゾーンの主要な保有者は銀行であり、時価会計に晒され、来年3月にはアウトライヤー規制の適用が始まることもあり、もう一段の売りを誘うリスクもある。』

そもそもユーロ円金先は恒常的にヘッジで売りのニーズがあり(時間軸があった時にはロールダウン取りに買う人も沢山いたようですが)、期近もの以外は「お前その値段はねえだろ」という所まで叩かれるのがいつもの傾向。で、以前書いたような気がするのですが、6ヶ月ものの短期国債は1年以内の短期ゾーンの中では需給が相対的に良好(3か月はFBが大量に発行されるし、1年はインデックスから外れた投資家からの売りが恒常的にある。6か月TBは大体需給が良好な事が多い)でして、まあその比較をするのはちょっとどうかという気がします。

というかですな、ユーロ円金利先物ってバンクALMがアフォのように振り回す中短期のスワップ市場のヘッジ玉が飛び交っているので、ここの価格形成を捕まえて「短期市場の金利観」とか言うのは物凄く違和感あるのですな。金先の価格を「市場は何回の利上げ織り込み」って言う人多いんですけど・・・・

で、まあ中期債の事はよー知らんですが、夏(7月から9月)に0.25%の利上げは短期市場はまあ大体織り込んでるんで、利上げした後「ここで利上げの影響を確認する(=しばらく小休止)」ってコメントでも出れば逆に金利低下するんジャマイカという感じでして、ここから尚の事中期が売り込まれるって見立てには少々違和感がありますな。ちと騒ぎすぎのような。


・まあ落ち着けって意見もございます

4番目の人の意見(一つ一つが長いので割愛ばっかで恐縮ですが)より。

『(前半の見立て部分割愛)緩やかな成長の中で緩やかに金利が上がっていくというのが、一番あり得るシナリオであると思っており、そうした前提に立てば、銀行としては、コア預金などの負債動向とのバランスを考えながら、中期債を中心に従来どおり継続的に投資していくことになるだろう。今後、利上げのパスの行き過ぎ感の修正や景気回復のスピードが少し緩やかになることが確認されれば、足元少し消極的な運用スタンスとなっていたこともあり、ちょっと積極的にしてみたいという気持ちもある。なお、アウトライヤー規制についての発言があったが、我々の感覚としては、ヒットするのは相当遠いという印象を持っている。』

5番目の人の意見より。

『当行でも、預貸金の状況はまったく変わっておらず、加えて昨年来ポジションを落としてきた関係もあり、運用資金は潤沢にある。一方で、時間軸効果がなくなることについて、ある程度覚悟はしていたものの、ここまで不安定な状況になるとまでは思っていなかったこともあり、先行きには今一歩自信が持てないというのが実情である。ただ、マーケットは、発行者、投資家、金融当局の3者の阿吽の呼吸みたいなものがあり、その間で、一種の信頼関係が醸成されれば、資金がある以上、当然、将来的に一定額の運用は考えていくことになる。(以下略)』

まあそんな感じなので、3番目の人の見解はインパクトあるんですが、「そりゃちょっと騒ぎすぎではなかろうか」って話のようですな。


・マーケットメークに関連して

2番目のお題は「今後の国債発行について」という意見を聞くとその瞬間における参加者の自分に都合の良い意見が出たがるものです。まあそっちは「ふーん」と思いながら読みましたが、最後に興味深い部分が。

『理財局から、「本日のヒヤリングを通じて、超長期債や物価連動債に対するニーズの高まりと、中長期的にこれらの市場を育成すべきとの期待を感じたところであり、発行体として発行量を増加させるよう努めていきたい。他方、投資家からは30年債、15年変動利付債、物価連動債の流動性についてフェア・プライスがついていないのではないかとの懸念が表明されているのも事実。その点についてどう考えておられるのか、マーケット・メイクの現状も教えてほしい。」旨発言したところ、出席者から以下の発言があった。』

で、この後に続く発言なんですが、惜しいことに言い訳大会(3人しか発言してませんが)の様相を呈してますな。市場参加者の厚みだとか、オファービットのスプレッドだとかの話になってるように見受けられますが、オファービットが狭けりゃ良いっていう投資家の意識も何とかならんのかと思いますわな。だいたいフェアプライスって何よ?って思うのだが(以下罵倒文言になりそうな悪寒がするので自主規制^^)。

まあそれは兎も角として、最大の問題は特に30年債とか(うっかりすると20年債なんかでもそうですが)でレポ市場の流動性が乏しいことではないかと思う訳で。30年債に限らず、マーケットで特定銘柄が無意味に人気化してその銘柄だけレポがやたらめったらタイトになり、それを聞きつけた人たちが業者に買いに来るので益々タイトになるなどという下品な状況をもうちょっと何とかしろという意見が欲しかったですな。


○ところで福井総裁の挨拶

信託大会で福井総裁ご挨拶。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0604c.htm

『景気が着実に回復を続ける中で、物価情勢も改善しています。生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は、昨年11月にプラスに転じた後、足許では比較的はっきりとしたプラスで推移しています。このような経済・物価情勢のもとで、日本銀行は、先月、5年間にわたって継続してきた量的緩和政策を解除し、金融市場調節の操作目標を無担保コール市場におけるオーバーナイト物レートに変更した上で、これを概ねゼロ%で推移するよう促すことを決定しました。あわせて、金融政策の透明性を確保する観点から、「物価の安定」についての明確化を含め、金融政策運営の新たな枠組みを導入しました。』

『日本銀行としては、こうした枠組みのもとで、経済・物価情勢の変化に応じて金融政策を適切に運営し、物価安定のもとでの持続的成長の実現に引き続き貢献していく所存です。』

どう見ても公式見解そのものです。本当にありがとうございました。

・・・と言うのを常に愚直に語り続けておけば何の問題も無いのですが、既に中立金利だのフォワードルッキングだの資産価格高騰懸念だのという話が出た後なので証文の出し遅れ感は否めません。

ま、最近の総裁講演やら記者会見はやっと金融政策に関しては公式見解をなぞるようになって来たのはかなり証文出し遅れですが、まあマシな傾向かなあとは思うのですが。

http://hongokucho.exblog.jp/4416453
本石町日記さんが「金利上昇の心理分析=日銀フリーハンドへの恐怖心」というお題でエントリーを上げてますのでご参照ありたし。





2006/04/17

お題「3月8、9日の決定会合議事要旨」

10年が2.5%だのというのなら兎も角として、10年が2%近くに接近した如きで「日銀は説明を」とか言うのは量的緩和解除に関して政府と日銀の認識に齟齬がありますって宣伝してるように感じてしまうのですが。まあ銀行の貸出金利により影響がある1年〜5年の中短期金利が急上昇して時にはあまりアクションせずに、後追いの形で10年金利が上ってやっと物言いだすのはあたくし的には今更感が漂う何だかなあという感じ。>谷垣大臣

ま、日銀は説明をどうのこうのってのはモーサテとブルームバーグTVが報道しているのが谷垣さんの発言をちゃんと伝えているというのを前提にしてますんで、谷垣発言の意図がそうじゃないのであったらゴメンナサイ。


それはともかく、量的緩和政策解除が行われた金融政策決定会合の議事要旨が公表されました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060309.htm
紙に打ち出すと15ページとかになりますが、本論部分は7ページ分でございます。

まあ総じて申し上げますと、量的緩和解除後に福井総裁から色々と説明があって、物価安定に関する「理解」に関しての公表文書とかもありますので、まあその辺りに関して読み込んだ内容の再確認って感じかと思います。そんなに「こりゃビックリ」みたいなややこしい話は(今のところ)気が付きませんです。

○CPIの「のりしろ」論

「III.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」の3番目の「3.金融政策運営の対外的説明について」の部分から。

『多くの委員は、概念上の「物価の安定」は、計測誤差(バイアス)のない物価指数でみて変化率がゼロ%の状態と考えられるとした上で、デフレ・スパイラルに陥るリスクを回避する観点から、消費者物価指数の前年比でみて、若干のプラス(「のりしろ」)を許容したとしても、「物価の安定」の範囲内と言えると指摘した。』

うーむ、計測誤差無し状態でゼロ%か。

『これに関して、何人かの委員は、統計作成当局の努力もあって、わが国の消費者物価のバイアスは大きくないとみられると述べた。また、物価下落のリスクに備えた「のりしろ」について、一人の委員は、名目賃金の下方硬直性が小さくなっているとみられること、今後潜在成長率の上昇が期待できること、金融システムが安定を回復していることなどを考慮すると、必要な「のりしろ」は大きなものではないとの見方を示した。』

うむむ・・・・では具体的には幾らなのかという話はもうちょっと後ろに出ております。結構幅がありますなあ。

『複数の委員は、バイアスの存在や物価の継続的下落に陥らないための「のりしろ」を踏まえると、2%よりは低くとも、1%よりは高いくらいが適当であると述べた。』

『何人かの委員は、国民が物価の安定と考える物価上昇率がかなり低くなっている可能性を踏まえた上で、バイアスの存在や「のりしろ」の必要性も勘案すると、1%程度を挟んだ範囲で考えるべきであると述べた。』

『別の何人かの委員は、わが国のインフレ率は過去数十年間低く、国民が物価の安定と感じる水準も低いとみられることは重要であり、1%を下回る水準である程度の幅をもって考えるべきであると述べた。このうち一人の委員は、平均的な国民が物価安定と考える状態に対応する消費者物価上昇率は、指数のバイアスや国民の消費パターン分布を勘案すると、1%より若干低いレベルを中心とする範囲になると述べた。』

『別の委員は、名目賃金の下方硬直性の低下等から必要な「のりしろ」は縮小しており、中心値は0%に近いプラスと考えられると述べた。』

ここのくだりを読んでいると何か1%より低い所に「理解」の数値を置いている人の方が多そうな悪寒がするのは「政策委員会はマイルドインフレであってもファイターでは」って先入観をあたくしが持って読んでいるからですかそうですか(苦笑)。


○フォワードルッキングが重要と

同じセクションの中から。

『物価の安定について、多くの委員は、2000年10月に日本銀行が示した「『物価の安定』についての考え方」にあるように、「家計や企業等の様々な経済主体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」と考えられると述べた。これらの委員は、物価の安定は中長期的に目指すべきものであること、金融政策運営に当たっては、政策の効果波及にラグがあることを踏まえ、フォワード・ルッキングな姿勢で臨むことが重要であることを強調した。』

量的緩和政策解除の翌日に行われた衆議院財務金融委員会での岩田副総裁の答弁にも「金融政策はフォワードルッキング」ってのがあったって話を以前ご紹介しまして、「岩田副総裁もですか」って思ったのですが。勿論、金融政策の波及効果にタイムラグがあるんでフォワードルッキングで政策を打つのが理屈の上ではその通りなんですけど、何と申しますか『フォワード・ルッキングな姿勢で臨む』のは昨今の日銀トラックレコードを勘案すると前のめり攻撃を連想しちゃうんですけど。


○中原委員の反対理由メモ

まあ一応メモとして残しておきます。当然ながら「採決」のところです。

『中原委員は、現状の景気判断においては、多数意見と基本的に相違はないものの、(1)消費者物価指数の実績が安定的にプラスであると判断するには、もう少し検証する方が良いこと、(2)先行き消費者物価がマイナスになることがないかどうかを判断するには展望レポートに準じた慎重な分析と検証が必要であること、(3)今後4月にかけて公表される3月短観その他の指標が解除判断を行うに当たり重要と思われること、(4)期末という市場にとって一つの節目である時期に解除を行うことのリスクが残る一方、これを4月に延期することのコストは殆どないと思われること、から反対した。』

ちなみに、この反対理由に対しては、先ほどの「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」の1番目の部分に載ってますがこんな感じ。

『これに対して、複数の委員は、1、2ヶ月待ったとしても、「約束」の条件の充足について、新たな判断材料が加わるとは考え難いとの見解を示した。また、別の複数の委員は、量的緩和政策は、金融政策の機動性低下や市場機能の低下といった問題を内包する異例の政策であり、「約束」の条件が満たされたと判断される以上、早期に金利を操作目標とする政策に移行することが適当であると述べた。』

このあたりを読んでいるとどうもこう前のめりな香りを感じてしまうのはあたくしの先入観(以下同文)。


○その他景況感でちょっと気になった所を2つほど

まあ景気判断に関連する所はさらっと流し読みしてるんですが、今回は読んでてちょっと気になったのが2箇所あったんで。「II.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」の1番目「経済情勢」から。

『複数の委員は、高額商品の販売が好調であり、株価上昇等の資産効果が出ている可能性があると述べた。』

ま、売れないよりは売れるほうが良いのですが、資産効果で高額商品が好調ってのは資産効果が全体に波及するようなものになっていないって話でもありそうで、ちょっと読んでて何となく気になる所で。

『別の委員は、ウェイトの大きい住居費で帰属家賃の上昇が明確化していることや、労働需給の引き締まりに伴い様々な財・サービス価格に上昇の動きが窺われていること、品質調整で大きく下げてきたパソコンの下げ幅も縮小していることに言及した。』

確かに帰属家賃は上昇してたのですが、どうもあたくしの実感と全然合わないと思ったら木造戸建の家賃上昇が効いていたとやらで、マンションとかはきっちり下がってるんですよね(だと思いましたが、違って居たらゴメン)。

#まあちょっと気になった所でした。




2006/04/14

お題「まあ雑談で(その割には長いが)」

米国10年国債5%ですかそうですか。

○中期売られフラットニングの反動とは言え

昨日は5年国債の入札がありましたが、売られていたのはまたまた長期超長期ゾーンという感じ(まあ一般債の発行が長期ゾーンにあったというのもありますが)。前月末から2週間経ってませんが、単利(ここまで来ると単利比較じゃなくて複利比較すべきなんですが、手元のノートは単利でつけているので単利で勘弁)ベースで30年カレントが2.235%→2.605%と0.37%(複利だともうちょっと幅が少ない)上昇して、5年カレントが1.305%→1.380%と0.075%上昇という展開。うーむ。

決算要因の中短期はずしとかの要因もありましたが、量的緩和解除では長期は中期対比で確りしてたのが嘘のよう。まあフラットニングポジションの閉じとか、国内最終投資家の買いが決算終了と共に一巡したとか、原油やら商品価格の上昇で素材インフレの香りとかネタは色々あるようですが。

ま、昨日の相場に関しては何か「何か売りが出たから下がったんですかねえ」という感じであまり悲愴感は無かったようですけれども、米国長期金利上昇でさて本日もまた買いの手は引っ込んだ下げ方ってところ(投げで下がるんじゃなくて)でズルズル下がって気が付きゃあらあらって感じになるんでしょうかねえ。

谷垣財務大臣がここの所長期金利の上昇に対してまあコメントをしてますが、そもそも2年前とかは「早期の量的緩和解除があるかもしれない」って話(あの時は株価上昇に加えましてロンドンでの武藤副総裁スピーチを誤訳したレポートがネタにされてましたが)で10年カレント物が1.94%まで上昇してた訳でして、正直このあたりで牽制するくらいなら量的緩和解除の議決延期請求でもすればって気はするんですけどね。まあ立場上そろそろ言わないとってのはよく判るんであまり悪態つきまくるって話でもないけど、ちょっとねえ感は漂うのでありました。


ちなみに昨日の3か月ものFBは朝方は0.04%が居場所だったようなのですが、昨今の「うっかり売るとショートカバーでもうエライコッチャ」状態を反映してあまり業者間スクリーンも活発では無いようでございますな。正直よー判らんのですけれども、債券市場大引けあたりになると0.035%の買いたしモードになっていたっぽいので、まだまだキャッシュ潰し隊は跳梁跋扈しているようで。

来週の1年ものTBと償還が7月25日になる3か月ものFBの入札(まあさすがに1年ものはキャッシュ潰しには不適当だが)がありますので、まあここまで流れが続くのかを見たいです。

#しかし何も水曜に短国買入をやるこたあねえと思ったんだが


○国債投資家懇談会(4月11日)メモ

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b180411.htm

・相場展望の部

相場見通しに関わる部分で金利上昇を見込んでいる人は「将来の連続的な利上げ」を展望していますなあというのは「ほほう」と思いました。まあそんなに上らないって意見もありまして、この部分は色々とお話でてます。個人的にしっくり来たのはこの意見かなあ(段落分かれてますが、同じ人の一つのコメントです)。

『日本銀行の新しい政策のフレームワークは、一言で言えば、より柔軟性、裁量性のある政策への移行ということではないかと考えており、それによるリスク・プレミアムの上昇は当然見込まれることになろう。ここ3ヵ月くらいの間に、リスク・プレミアムはかなり拡大してきているが、まだ十分には織り込まれていないと見ており、国債については、ディフェンシブな運用姿勢で臨みたい。』

『今回の段階的な利上げは、我が国では80年代後半の利上げ以来、市場参加者も政策当局も含めて、久しぶりの経験になるため、それによる市場の混乱、あるいは経済の混乱の可能性は、やはりゼロとは言えず、今後の見通しをたてるのは難しい。』

『なお、今回のアメリカの利上げ局面の最初の段階において、いわゆるフォワード・カーブが実現されないということにベットして、債券は買われたが、実際にはその後、その時点のフォワード・カーブが実現されたということがあった。従って、日本においても、今のこのフォワード・カーブが実現されていくことが、債券運用における一番のリスクと考えている。』

・国債発行の部

15年変動利付国債減らしてくれのオンパレードと、30年国債の流動性の無さに関しての指摘(結局発行増やしてくれという話になるのですが)のオンパレードという感じです。

30年債は一部海外勢とごく一部の国内投資家の挙動で振り回されるという毎度お馴染みの展開ですんでまあ発行増やしましょうってのは誠にその通りで。イールドカーブの一番ケツが流動性なくてチョッピーに動く(全然動かないか派手派手に動くかの両極端)というのは困ったもんです。20年と30年どっちかに集約するのも一方だとは思うんですが。。。

まあ30年が荒れ荒れで参りますなあという意見がこれだけ多くなったのも現状を見れば当たり前といえば当たり前ですが、良い傾向といえばよい傾向かとは思います。イールドカーブ全体に悪影響与えて、結果として相場全体に悪影響って問題意識が高まってますな。


○これは凄い特別寄稿ですね

先日の日経金融太田編集委員の記事は細かく論評するにも値しないでしょうというご指摘も多く(苦笑)、まあ一ついえるのはこの方が書いた日銀関連の解説はどうも的が外れてるということですな。何せ日経新聞だけに信用されてしまうのが困り物ですが。

で、まあ経済に関しては日経新聞ちゅうことで世の中的な評価があるんですから、その期待に沿えるようにやって頂きたいとは思うのですが、まあ一応期待してるから批判もする訳でして(結局それかよというツッコミは不可^^)、量的緩和解除に関する言説をネットで拾っているうちに引っ掛かった物件。

日経BP社のサイトでこんなのがございました(実は連載2回目)。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/contribute/g/02/

お暇な方はご覧になると物凄い勢いで頭がクラクラしてまいりますが、こういう言説に突っ込みを入れながら読むのも自分の頭の整理になります(本当か?)ので。ちなみに本日は量的緩和解除の金融政策決定会合議事要旨の公表が14時ごろからありますので、それ以降は議事要旨を読んだ方が為になることを念の為申し添えます(笑)。


そもそも日本語として読み難い(お前が言うなというツッコミも不可^^)ですし、現状の理解を間違っている所もあるのですが、それよりも言ってることが頭とケツどころか段落変ったら違ってるような感じでして、大変に香ばしい。

上記URLの最初のページですが、当座預金残高の縮減について・・・

『吸い上げの方法は、日銀が持つ手形(=金融機関への貸し出しに相当:45兆円)と国債(国家への貸し出しに相当:93兆円)の、売りです。』

と書いてますが、残念ながら国債の売りは行いませんというのはあたくしの駄文にお付き合いいただいている皆様におかれましては先刻ご承知かと。しかも中長期国債の買入は当面減額しないんですけどね。

まあそこは事実の誤認でしょう(それも激しく困るが)ということですが、最初のページにある小見出しの最後「債券バブルの時代」というのに心惹かれて読んで見るとその香ばしさに呆然としますのでマジお勧め(ただし暇で機嫌の良い時に限りますので念の為)。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/contribute/g/02/07.html

『今は、債券バブル、国債バブルです。いずれ、破綻するところまで、行き着きます。』

実は最初で上げたURL(つまり序論部分)で「当座預金残高の削減の前にすでに金利が上昇した(意訳)」って話をしてるんですが、金利が上昇してたらバブルじゃないと思うんですけどねえ(苦笑)。

で、その後も読み難い文章が続くのですが、「低金利が続くならどうなるか」って話をしております。

『今の低金利が、今後も2年続くなら、債券バブルはもっと大きくなります。結果は、破綻のリスクが、今よりも大きく高まるということです。膨らみすぎた負債は、破綻の直前まで、外見だけは平静に膨らみ続けます。地価がそうだったでしょう?』

『債券の低金利は、ゼロ金利に近い低い利回りのものが、高く売れているということであり、その価値は、普通の金利にもどればバブルになります。』

もう何と言っていいのやら。 地価と債券じゃあ市場での値段のつき方全然違うぞとか、価格と利回りが独立事象だと思ってるんじゃないか(そうじゃないと信じたいが)って文章に頭がクラクラしてきます。


まあ他にも「金利が上昇すると財政が破綻する」という毎度お馴染みの破綻終末論が展開されているのですが、金利が上昇するというのは基本的にはインフレ経済になってる筈ですから債務の実質負担は目減りしますし、名目上の税収だって増えてます(筈)から利払い負担の増加だけにスポットを当てる議論はどう考えてもおかしい。

あとグローバルな話っぽく「世界の金融資産=負債が1京3800兆円で世界的に金利が上昇すると大変です破綻です(意訳)」ってのもありましたが、増えた利払いの分債権者の(名目の)収入は上昇するんだからトータルで見れば単に債務者債権者間の所得(しかも名目、実質の話はまた状況に応じて変る)移転の問題ではないかと思うんですがねえ(まあ借り入れ拡大させすぎてる人もいるでしょうから全く問題ないとは申しませんが)。


ま、別にこれが日経BPじゃなかったら読んで「あっはっは」と笑って終了なのですが、一応日経BP社のサイト、しかも悪い冗談としか思えないのですが「SAFETY JAPAN」なるコーナーにこの「特別寄稿」があるのは如何なものか日経BP。論理展開が無茶なのを読んでも全然安全に寄与せんと思うんだが。

実は第1回というのもあって、それは出て数日後に同じサイトで読んだのですけども、これまたかなり香ばしい話を展開してたんですが、そのような毒電波を論評する暇など無かったのでネタにしなかったんですが、連載第2回まで出た日にはさすがにこれはネタにしないといけませんなあと言うことで(誰です?ネタが無いときの埋め草でしょって言う人は?^^)、まあ暇ネタに(あ、言っちゃった)採り上げた次第。

どうも執筆者様は金融のことお詳しく無いのに無理矢理記事を書いたんジャマイカというのが日経BP社のサイトにあるプロフィールから窺えるのですけれども、政府のなんちゃら委員をやっておられたという箇所を見てかなり愕然とするあたくし。これが大蔵省財務省関係だったら首でもくくりたくなりますが、通産省(=経済産業省)なのでまあいっか(笑)。

まあアレだ、日経BPって日経ビジネスとかで金融関連の記事も書いてるんだから、原稿チェックくらいちゃんとしてくれって事ですけど、自分も勝手な駄文を垂れ流している身として反面教師にしないといけないなあと思った次第です。あたくしが間抜けなことを書いていましたら、これからもご指導ご鞭撻方よろしくお願い致します。








2006/04/13

お題「総裁記者会見などなど」

債券相場はワケワカメな状況になってるようで。

○5年と20年以降(30年)が暴れているようで

昨日も一昨日も債券先物は引けて見ると前日比変らず。先物だけ見てると平穏そうなのですが、日中のイールドカーブの動きというかうねり方が無茶苦茶らしく、昨日は先物(=7年)は「上で寄って下がった後反発して前日比変らず」なんですが、30年は「下で寄って前日比変らずまで戻した後引けに掛けて失速」という全然逆の動き。で、5年はというと「上ると先物よりも強くて下がると先物よりも弱い」というこれまた激しい動き。

その中間にある10年あたりのゾーンが平穏で、期初からよくあるパターンなのですが、10年辺りのゾーンを軸にしてイールドカーブがうねるというか逆の挙動をするような攻撃が出ていたちゅう事のようですにゃ。

まあ正直「何ですかそりゃ?」という感じなのですが、一つ勝手に想像すると、超長期ゾーンは海外投資家さん、中期ゾーンは大手銀行さんが振り回していて、その動きがまあお互い独立事象状態になっているということなのかなあという所で。決め打ちする材料の無い中で何か頑張って振り回しの巻なのはご苦労な事ですが、それに振り回される業者の方はもうヘロヘロという感じかと思います。合掌。


○FB3か月もの入札でしたが

朝方から前日の2か月ものFBが▲0.02%出合いとか無茶な事をやっていたようですが、そんなショートカバー攻撃もあって入札前から業者間に板を晒す勇者も乏しく(当たり前だが)、まあ入札も強いんでしょって事前から諦めモード。

落札結果はというとまあ案の定強くて平均99.9905円で0.0376%(財務省方式で0.0372%)の最低99.9900円の0.0396%(財務省方式で0.0392%)ということで、昨日の駄文で申し上げていた「0.04%割れるかもしれないけどそりゃ幾らなんでもねえ」という幾らなんでも入札になってしまいました。

ちなみにこの債券は償還日が7月18日ということで、もしかしたらその前の金曜日(7月15日)には政策金利の引き上げがあるかもしれませんなあ(ちなみに債券市場&短期市場では7月〜9月で引き上げでしょって認識かと思いますが)という所でして、まあそれ以前に足元のコールレートは今の0.002%って事は無いでしょう(ただしロンバートがあるので0.1%越えるのも考え難い)し、そう考えると「3か月物で利回り0.04%」っていうのは現先利回りとの対比で考えてもちと厳しいんジャマイカという感じではございます。

まあそんなこともあって、キャッシュ潰し隊ではなくてまともに利回りベースでの買いをする人たちの後続買いが続かなかったようで、結局平均レベルの0.038%あたりはオファーが残る感じになっていました。まあ今日以降どうなるのか見ないと何とも言えないですけれども、さすがに強烈なキャッシュ潰しも7月償還まではやってこないという感じですかねえ。


○総裁記者会見

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0604a.htm

会見録画も見たんですが、まあ淡々と終始したという印象です。昨日ご紹介した「債券市場がボラタイル云々」は最初の部分で総裁が説明していました。昨日書いたことに特に付け加えることはございません。

・ゼロ金利の景気刺激が強くなりすぎるリスクについての質疑

【問】『前回の量的緩和政策を解除した際、金融政策面から刺激効果が一段と強まるリスクを挙げられていたと思う。現段階で金融緩和の度合い、ゼロ金利に伴う緩和水準が以前に比べて強まっているという判断をされているのか。(後半割愛)』

【答】『前回の金融政策決定会合以降まだ1か月である。この1か月間の変化は、色々な経済指標、物価指標が出て、景気の着実な回復振りと、消費者物価指数のプラス基調がさらに定着しつつあるということが確認された。一方、ゼロ金利に伴うリスクは、この1か月の間に強まったかどうかは、この間の情報だけではまだ判断できない。これは次回の金融政策決定会合で出す展望レポートにおいて長期的な経済・物価の見通しを示し、その見通しについて2つの柱によるクロスチェックをかけていく。特にその2つ目の柱はより長期的にみたリスク要因に関するものであり、そのレポートの中でもう少し詳しい分析ができれば、示していきたいと思っている。』

月末の決定会合で出される予定の展望レポートでそのあたりの説明がなされますって事のようですんで、展望レポートと総裁会見は注目ということですな。えー月末の週末かよーどと言ってはいけません(笑)。


・資産バブルに関して

【問】『先程の経済に対する判断の中で、企業行動は極めて慎重であって過熱感が出ていないという話があったが、最近資産価格の上昇や株価、地価について色々と指摘される面もあるかと思う。そうした面で企業の投資行動に資産バブルの予兆というものをリスクとして感じられているのかどうか、現在の所見を伺いたい。』

【答】『(前半部分割愛)資産価格の動きについてのお尋ねがあったが、最近発表された不動産価格の指数などをみても、中央と地方、あるいは中央の中でも地域によってまだかなり開きがあるが、一部の地域では不動産価格のかなりの上昇がみられるようになってきている。これは過去と比べて大きな変化だと受け止めているが、大きくとらえると、収益還元法の中での価格の動きという健全な範囲内での動きを逸脱している、あるいは大きく逸脱しそうであるとは、まだ受け止めていない。』

懸念してるんだか懸念して無いんだかよく判らんです。どっちでも無いということなのかなあ。


・市場金利に関して

基本的に長期金利の上昇を懸念というような事は無いでしょう。ただし急激な動きや、経済実態からかけ離れて上昇するとかいうのは如何なものかというスタンスだなあと昨日も書きましたが、最後の方の質疑ではこんな感じになってました。

【問】『これまでの量的緩和時は非常にリジッドな条件だったのでどうしても先行きが読みやすいという側面があったと思うが、総裁の発言を伺っていると、市場にとって金融政策の先行きがあまりに読み取りやすくなるのは好ましくないという考えをお持ちのように感じられるが、そのあたりの考えを伺いたい。』

【答】『(冒頭部分割愛)量的緩和政策のもとでは、短期金利はゼロ制約に縛りつけられて動かない。従って、言葉のやりとり、文字通りコミュニケーションにかなりのウエイトがかかっていた。量的緩和政策解除後は、金利が動く世界にだんだんなっていく。ゼロ金利といえども、皆さんから「ゼロ金利はいつ動くんだ」というようなお尋ねがあること自体、「金利は動くものだ」というようになっている。そして、現に先物市場や長期の債券市場をみても、先程のお尋ねのように既に金利が動いている。金利を軸とする政策の時代のコミュニケーションは、常に市場金利を真中に挟んでコミュニケーションが行なわれる。言葉のやりとりだけではコミュニケーションは全うしない。(まだ続くのですが以下割愛)』

ということですんで、基本的に現在の金利上昇についてまあそんなに無茶な動きじゃなくてじりじり上昇する分には無問題(ただし上り過ぎは困る)という認識でございましょう。まあその「コミュニケーション」がブラインダー元FRB副議長が指摘する「自分の尾を追う犬」の図にならないようにしていただきたいです。

まあ今回はそんなに不規則発言(といったら失礼か)は無かったって感じじゃないですかね。





2006/04/12

お題「FB入札、政策決定会合、その他少々」

ネタがまとめてやってこられても困るんですが(笑)。

○2か月ものFB入札・・・・(-_-メ)

昨日のだいたい2か月ものFBの入札は申し上げていたような0.02%どころではなく平均落札価格が99.9983円で利回り換算すると0.0126%(財務省方式の計算だと0.0124%)で最低落札価格は99.9980円の0.0148%(財務省方式で0.0146%)でした。最初見たときに最低落札の利回りが平均かと思って「ああこりゃ強い入札だったですねえ」とか思ったら最低落札が0.015割れかよ!って感じでした。

で、事前に販売予約してた人の空振り分のショートカバーなんでしょうけれども、何と脅威の0%まで買われてしまいビット残りと(マイナス利回りの出合いがあったとかなかったとか)なってしまいまして、まあキャッシュ潰しの買い恐るべしという所です。今回のFBは償還日が法人税の大量税揚げにあたり6月2日償還になっておりまして、その点では「当座預金残高が大きく落ちる直前に償還」ということでより買い易かったという事もあるんですが、それにしてもまともに利回りを見て買う持ち切りの発想ではとても買えない利回り(何せGCレポ取引は相変わらず0.01%ですし)です。

いやまあ別にそりゃ0.01%で買いたい人が居たらその値段になるのが市場ではあるんですが、利回りじゃなくて「国債と名がついて価格変動リスクの少ないモノ」という点に着目した巨大ポジションに買いを入れられた日にはまあ短期市場エライコッチャという所ですわな。

で、本日は3か月FBの入札があるんですが、こちらは償還がだいぶながくなりますけど、さてキャッシュ潰しはここにも押しかけてくるのでしょうかという所ですな。FBのセカンダリーとかCPの発行利回りとか見てると6月償還と7月償還ではだいぶ見方が違っているようでして、7月償還でも前半と後半だとまたまた違うという所ですが、さてどうなることやら。まあ2回連続で入札が予想より思いっきり強い所で決まっていると心理的には強いところに入れないとって感じになるんですが、幾らなんでも0.04割れとかはさすがにやり過ぎでしょうな(調子に乗ってやってもおかしくは無いが、保有期間の現先利回り対比で考えると多分0.06%くらいはないと間尺に合わないと思うんだが)。

ま、いずれにせよこの退避資金が暴れているうちは足元の資金だけは異様に余剰状態になりそうですな。どうせなら残存1か月位の短国売却オペやったらどうでしょうかねえ。まあ変に3000億とかのしょぼいロットで売却打たれるとビット殺到で却って地合いの強さが鮮明になりそうで諸刃の剣ですかな(0%出合いが既に報道されてるから同じことか、苦笑)。


○金融政策決定会合で一つ決定されてましたが

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/mok0604a.htm

まあ読んでも何の事だか判らんという人の方が多いと思いますが。

「共通担保資金供給オペレーション」が実施されることになったというのが発表されていました。従来の手形買いオペを7月末までに共通担保を見合いにした貸し出しにしますよというお話(手形売りオペはそのままなんですかね)。

まあこれ自体は元々予定されていた事ですが、このあたりの変更が金融機関の担保繰りにどういう影響を与えるかとか言う話はよー判らんので勉強しておく(多分影響は無いような施策にしてると思うけど)として、それ以外で気が付いたのは今回の措置に伴い「手形買いオペとロンバート貸付が経理上は(たぶん)同じ勘定になった(んじゃないかなあ)」ということですな。

どちらも日銀による貸付(担保付)という扱いになりますが、申し込みの窓口は変更がなければオペは金融調節でロンバートはプルーデンスになりますんで、そこの所は違いますけど、科目上は(たぶん)同じになるのでバランスシートに乗っけても見分けがつかないぜということでして、相変わらずロンバート借り入れに微妙な抵抗感がある(のかどーか知らんが、そういう報道になってますわな)金融機関の皆様におかれましてもこれで堂々ロンバート借り入れが出来るというものです。

ロンバートがきちんと機能しないと短期金利の金利回廊設定が機能してくれないので、今回の措置の副次的効果ではあるんでしょうが、まあ良いお話ですなあと思った次第です。


○過剰解消キター!(4月金融経済月報)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0604.htm(4月分)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0603.htm(3月分)

例によって見比べるのですが、今回はちょっと言い回しを変えてますね。

総合判断は同じ『わが国の景気は、着実に回復を続けている。』でして、第2段落の現状判断部分は日銀短観を受けた『良好な業況感も維持される中』ってのが入っている以外はまあ同じです。

先行きは『先行きについても、景気は着実に回復を続けていくとみられる。』というのは同じなのですが、その次の部分が(まあ皆さん注目したでしょうけれども)注目ですわな。新しく入った文言はこんな感じ。

『すなわち、各種の過剰は解消されてきており、企業の雇用不足感が強まるなど、経済活動の水準は高まっている。』

「過剰は解消されてきており」「雇用不足」「経済活動水準が高まる」ですよこれはキタ−−−−−−−−−−−!!って感じですわな。まあ量的緩和解除してるんだからこの位の見立てをしてないと話のつじつまが合わないから当然といえば当然なのですが。

それ以外のところは前回と同じ(物価の現状の所は勿論ちょっと違いますが、これは当たり前なので割愛)で、まあ元々内容的には強い話をしてます。

まああと今回に関しては、あまり気にはしてない金融面のところで、企業金融環境についてちょいとだけ変っていましたのでその点だけ。

『金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。』(4月)
『金融面をみると、企業金融を巡る環境は、総じて緩和の方向にある。』(3月)

緩和の方向から緩和的な状態にステップアップですな。


○総裁記者会見メモ

詳しくは本日のテキスト出てから明日にでもということでメモだけ。

債券市場の動向についてブルームバーグニュースおよび今朝のブルームバーグTVで放映されてました。

『もっとも、海外市場の動向とも絡んで、債券市場の一部にボラタイルな動きがみられることも事実だ。日銀としては引き続き金融市場の動きを十分注視していく必要があると考えている』(ブルームバーグニュースより)

ここで注意しなければいけないのは、債券市場の動向について「ボラタイルな動き」と言ってることでして、「金利上昇」と言って無い事です。まあ総裁(あるいは政策委員会)としては経済実態(と思っているもの)にあったメジャードペースな金利の上昇に関して別に文句を言う気は無いっちゅうことでしょうにゃ。ただまあボラタイルに相場が暴れられると問題ですがなって所なんでしょ。もし金利上昇ケシカランと言うのであれば「経済実態から乖離した相場のオーバーシュート」みたいな言い方をしてくるでしょうから。

で、これが某テレビ局の経済お笑い番組の手にかかると「福井総裁、長期金利上昇を注視」というヘッドラインになるわけですな(もしかしたらヘッドラインは注視じゃなくて牽制って書いてたかも知れないけどもう忘れたよあっはっは)金利上昇を牽制した発言でも何でもないんですが、例によって(本当にそうなのか知らんが)海外投資家さまにおかれましては円売りのネタにしたらしく(まあ純粋外国人マネーを日本市場で焼いていただくのは日本国民として誠に結構なお話ですのでどんどん勘違いして焼いてくれ)。ブルームバーグTVでは「債券市場に注視必要」と見出しを打ってましたが、どう見ても
こちらの方が正確ですな。



○という訳でいつもの新聞なんですが(予告編)

http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/4ba9d4c42f75b36765f07196fe28073d
えーっとぐっちーさんが某金融新聞に対して物申してました(本題の方もオモロイですけどあたくしは残念ながらTOEIC900は到底取れませんなあ、とほほ)ので、これはあたくしにネタ振りをしたものと理解して昨日の某金融新聞1面の太田編集委員の記事というかコラムをネタにしようかと思ったら本石町日記さんが早速ネタにしていたので人のふんどしで勘弁→http://hongokucho.exblog.jp/4375415/

太田編集委員の記事って(まあ社内的にそういう役割になっているんでしょうが)日銀批判のスタンスで書いていまして、まあ批判するのはそれはそれで良いのですが、どうみてもこりゃ無理筋な論理展開。批判するならするでちゃんとした筋でやらないと日銀批判者に対して「彼らはトンチンカンな言いがかりをつけてくる」というような評価が出来てしまいかねませんので、特に日経(あ、かいちゃった)の編集委員さまともなれば記事を信じる人もより多い訳でして、正しい認識の下に批判をしていただきたいものです(まああたくしも人の事言う程ではないけどさすがにこれよりはマシだと思うんですがどうでしょ)。

ツッコミどころについてうだうだ書いていると時間もなくなるので簡単に。当該記事は昨日(4月11日)の日経金融新聞1面をご参照ありたし。

1.日銀は無担保コール金利の誘導目標を設定して、大きく逸脱しないような政策運営をするので、コール金利の水準に回廊が設定されるのは(幅は兎も角)当然。

2.規制金利時代ってのは定期預金金利とかまで規制されていたんですが、コール金利に回廊があるから「規制金利とあまり変らない」って用語の使い方がおかしい。

3.ロンバートは「弱い金融機関の安全弁」ではありません。無担保の特融と勘違いしてませんか?

4.よって「公定歩合が弱者配慮水準を示すメルクマール」というのはもうアホかと馬鹿かと。

えーっと、実はこの話のほかに量的緩和解除に関する言説をネットで探しているうちに日経BPのサイトで物凄く頭の痛くなるモノを見つけてきまして、そっちはまた強烈な毒電波で論理が無茶苦茶すぎて笑ってしまうのでお笑いがてらご紹介しようかとおもってたんですが、それはまたそのうちネタの無いときにでも。

なんちゅうか掲載物件のチェック機能がちゃんと働いているのか日経って感じです。







2006/04/11

お題「避難所大混雑中/今更ですが水野審議委員記者会見(続)」

金曜は5年VS20年で4毛フラットして昨日は2.5毛スティープとはまあ不安定な相場が続く次第で。

○避難所大混雑中

昨日もまたまた3か月、というよりは2か月かもしれませんが、短いゾーンは退避資金のキャッシュ潰し圧力の強さを感じさせる動きでございました。金曜日に入札が行われた3か月FBは0.045%の出合いがちょっとあったようなのですが、業者間でのオファービットは離れた状態になってました。まあ0.045%は恐らく値付けみたいなもんで、実態ベースは0.04%の方に近い0.04%台という所でしょうな。当座預金残高の削減が開始されてからFBの利回り低下とはこれいかにという感じですが。

債券市場ではまあ7−9月期の政策金利引き上げを睨んでいますので、債券運用サイドでは運用(の一部)を短期化(というか実質キャッシュ化ですが)して対応っちゅう動きがあるのではないかと思料されるのですが、まあ銀行だけじゃなくて運用業態勢揃いで退避資金が短期国債(ただし3か月以内、というか多分2ヶ月以内)に大挙押し寄せてきているの図という所のようですな。

そんな中で本日は2か月ものFB(というのは普段あまり発行されないのですが、4月は恒例で発行されます)の入札が行われます。その入札前に昨日は久々の全店手形買いオペが実施されたのですが、こちらは期間が6月8日までで平均落札利回りが0.032%で最低落札利回りが0.027%と案外利回り高いなって感じでした。まあ久々の手形オペでの資金供給だったのでレートが確りだったのかもしれませんが、同期間で最上位格のCP(そういや書きませんでしたが、CPの利回りは期末の発行ラッシュ一巡で品薄状態となり、レートは低下中)が出たら0.04%は楽勝で割り込んで下手したら0.03%位になるんじゃネーノって感じですんで、まあ手形オペの方と微妙に市場分断状態だなあと思います。

まあ2か月ものFBに関しては、それなりに纏まったロットでキャッシュ潰しをするチャンスですんで、恐らくは渾身のキャッシュ潰しが入ってきて、利回りで投資する人たち(短期資金の運用をする人)が買いにくいレベルまで強くなりそうな悪寒。一応手形オペに敬意を表して0.02−0.03%なんて話になってますが、正直0.02%カツカツの入札になるんじゃないかと思います。キャッシュ潰しの人は「価格変動リスクの小さい債券だったらあまり利回り水準は気にしないぜへっへー」と買いに来ますので、まあ入札結果で残高確保のキャッシュ潰しの勢いが推測できると思います。

#そんなに潰したかったら日銀当預にブタ積みでもしてくれと(苦笑)

ちなみに、資金の出し手が大手銀行と信託銀行(有価証券運用信託)しか実質的にいないGCレポ取引では、手形オペなどが減っている影響もあってレートが上昇(既に上昇してるんですが)という感じでして、こちらは0.01%が見事に定着して証券会社は退避資金流入の恩恵があまり回ってません(まあCP発行すりゃいいんでしょうが)ですわな。そのせいか現先市場ではTBFBの現先利回りのほうがCP現先の利回りよりも高くなりそうな勢いで(TBFB在庫持ちしてるのは銀行と証券、CP在庫持ちしてるのは銀行なので)ございまして、まさに市場分断で裁定の働かない世界となってますな。まあこの金利水準だとこういう状況もいつもの事とは言え、仕方ないのかなあとは思います。



○水野審議委員の3月13日記者会見、今日は血圧上げずに(^^)

そういや昨日はURL置くの忘れてました。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0603b.htm


・過去の総括よろしくお願いします

量的緩和解除の心境を聞かれた時のお答え。

『もう1点付け加えると、異例と言われる量的緩和政策を解除するまでに、量的緩和政策が導入された背景、その後の金融経済情勢における効果を総括すべきだとの議論もあった。量の効果、金利の効果をきれいに分けて考えることは難しいが、今後、過去のゼロ金利政策の解除や量的緩和政策について、功罪、副作用等を含めて総括しなければならない。大変な仕事が将来的には待っていると感じている。』

だそうですので、総括をしていただきたいのですが、まあ今までの政策ロジックをどう説明するのか今から楽しみにしております。ワクワク。


・どうみても連続利上げ発言にしか思えません

恐らく水野さんの場合はわざと言っているのではないかと思うのだが、資産バブル懸念云々の話をしているついでに連続利上げ発言。まあ市場の勘違いも困るって事なんでしょうけれども、お蔭で物価安定の目安云々の話は既に債券市場ではどっか行っちゃったという感じは否めませんな。まあ株式市場その他が勘違いしたままのような節がある(その手のレポートが金利関係以外の人からは今でも出ているようですし)ので別に構わんのかなあ。

『今回、量的緩和政策を解除したが、これで終わりでないというメッセージ、すなわち景気のファンダメンタルズが我々の見通しどおりであれば、二の矢、三の矢の量的緩和解除のプロセスが続いているというメッセージを出していかなければならない。』

『量的緩和政策の解除の次はゼロ金利の解除に関心があると思うが、フォワードルッキングな金融政策運営の中では、将来のリスクバランスという観点から、いつまでも低金利にあるという期待が強まり過ぎないように、丁寧に説明していかなければいけない。私は、こうしたことを意識して、年明け以降、資産バブルの懸念について表明してきたつもりである。』


・「中立的な政策金利」の話と「糊代」の話

中立的な政策金利に関しては2度質疑応答が行われてましたが。

『挨拶要旨の後半部分では均衡実質金利の話をしているが、私は景気に中立的な短期金利の水準を意識して政策を運営したいと考えている。現在の景気に中立的な金利水準を潜在成長率から計算すると、現在の政策金利は明らかに低すぎる。ゼロではなくてそれが何%かは皆さんでお考え頂ければよい。非常に簡単なテーラー・ルールなり、均衡実質金利なりから計算できると思う。先行き2006年度、2007年度の景気に対してある程度自信を持てるのであれば、政策金利に「糊しろ」があるべきであるし、仮になければ、その後の政策運営は非常におかしなことになってしまう。』

政策金利の水準に関しては後で具体的な数字が出てきますが、糊代に関しては前も指摘したように本末転倒なお話でございますわな。糊代論の本質は、上記発言の続きの部分に現されてますが。

『結局、ゼロ金利のまま景気の後退局面に入り金融政策でサポートするという話になった場合には、当然、資産バブルは高い確度をもって大きなリスクとして出てくる、ということを含めて考えている。』

ゼロ金利のままで景気の後退局面に入るような経済状況であれば、その前にゼロ金利を引き上げるという選択肢が無い筈なんですけど。それに現在の金利水準は景気刺激的なんでしょ。景気の後退局面に入って金融政策でサポートするような破目になった時に資産バブルがリスクってのも意味判らないですし。

で、中立的な政策金利ちゅうのも何かよく考えるとワケワカメな定義のような気がする訳で。中立金利だの均衡実質金利ってのは長期金利の話じゃなかったでしたっけと思う次第でして、長期金利は日銀がコントロールできないって話じゃなかったでしたっけ。何か都合のいい時だけ長期金利を政策金利でコントロールできそうな話になりますなあと思うのですけど。

『潜在成長率について、日本銀行は1%程度、あるいは1%程度強という言い方をしてきた。これはこれから再計算をしないといけない中で議論を始めているが、まだ日本銀行としての公式見解を出すには至っていない。過去4年間を見る限り、2003、2004、2005、2006年度と平均で2%程度の成長をしそうだと考えると、潜在成長率は1.5%程度はあると考えている。少し幅をもってみないといけないと考えて、1.5%〜2.0%として、それに対しゼロから若干のプラスの望ましいインフレ率があると仮定すれば、2%台の政策金利というのは中長期的にみれば十分正しいと考えている。』

具体的な数値を持ち出して話をする中央銀行のボードメンバーちゅうもの珍しいと思うんですけど。何かこう市場に手を突っ込んでいくのは勘弁して欲しいものです。








2006/04/10

お題「FB利回り低下/ネタにするの忘れてた記者会見」

月曜は雑談を少々。

○FB入札強かったですねえ

金曜日に実施された13週間ものFB入札は今週2度目になるものでしたが、何と前回入札よりも利回り低下となりました。償還が前回入札よりも1週間延びていたのにも関わらず前回入札よりも0.005%ほど強い入札でして、その間に債券市場では5年ゾーンが主導する形で相場がまたまた下落していたことと合わせますと、何か木曜日に申し上げていた「中期ヘロヘロでFB確り」が継続している格好となりました。

入札の落札結果(市場推定)に関しても、どうも大手銀行の買いが窺われる状況でございまして、退避資金流入おそるべしという所なのですかな。まあ3か月FBを0.01%や0.02%叩き売っても屁のようなものですし、そもそも3か月経てば100円で償還されますから、少々強い入札をしても心配ないぜってのは判るのですが、それにしても強い所まで買いましたなあという感じです。資金ディーリングとしての買いじゃなくてキャッシュ潰しの買いでしょうな、こりゃ。

入札前の前場引け時点では「まあ今回の入札は強くなっちゃうんだろうけれども、まあ0.057%位まで最低落札が届くんでしょうかねえ」というお話だったのですが、平均が0.05%(財務省方式で計算すると0.05%割れ)となったのにはさすがに開いた口が塞がらないとはこの事でございました。いやはや。

今週は火曜日に2ヶ月もの、水曜日に3か月ものFBの入札が予定されていますが、とりあえず利上げリスクとは関係ないと思われているゾーンで収まっている(とは言え、7月の決定会合で利上げがあるのであれば、現先利回りとかが7月に入っても0.05%あたりで落ち着いているとはあまり想像できないんですけど、どうも何か勘違いしてるんじゃないかという気も)ので、まあ引き続きキャッシュ潰しの人がどこまで買いに来るかって感じでしょうな。

ちなみに、その気になれば6月に利上げだって出来ないことはないんですが、さすがに今のところそこまでリスクを感じている向きは居ないようで。あたくしは今月発表の物価統計と株価次第ではそのリスクが顕在化する可能性ありと思いますが。べき論は兎も角として、予想屋としては「3月解除に前倒しした意味は7月利上げでしょ」と解除のちょっと前から申し上げていた認識が最近広がっているようなのは「今頃前倒し織り込みになりましたか」ってな所ですが。


○今更ですが水野審議委員の3月13日記者会見

すげえ昔の話を引っ張り出しますが、ちょうど解除後のドタバタやら中原審議委員の素晴らしい講演&記者会見とぶつかりましたので、フォローをすっかり忘れておりました。

いやまあ何で今更引っ張り出したかと申しますと、どこぞのレポートで「審議委員の講演日程に政策的意図は無い」というのを読んだ時に思いついた小ネタを考えているうちにすっかり忘れてたのを思いだしたもんで。

小ネタのほうは・・・・政策的意図話ですけど、水野審議委員の講演ってこの前の「当預下限割れ容認」決定の直後一発目に行われてタカ発言してましたわな。今回も量的緩和解除直後の一発目でタカ発言してるんですけど・・・まあ講演日程の決定に政策的意図は無いのはその通りだと思うのだが、偶然にしては出来過ぎでして、ゴルゴ13に言わせると「二度の偶然は無い」んですけど、こりゃどうなってるの?


でまあこの記者会見改めて読んでみたのですが、何かこう読みながら大変に血圧が上昇する内容でございまして、まあ市場枠(?)が次もあるのでしたら、アナリストランクングの順位に拘らずに(大体からしてあのランキングは証券会社の営業力が関わる部分がかなり大きい訳でして)選好していただけると宜しいのではないかと思いますが(苦笑)。

結構紹介どころがうじゃうじゃあるのですが、とりあえず量が多くなるので血圧の上昇した部分を上昇度合いの高かった辺りから順に。

・3月解除に関して

『期末に量的緩和政策を解除すべきだったかどうかとの点については、これまで総裁が言ってきたように、「量的緩和解除の条件が整った」とボードメンバーの大勢が考えたから解除したということである。マーケットでは4月28日解除説が多かったと思うが、私自身としては、マーケットの予想時期が後ズレするよりも前倒しされる方がよかった。私は数週間前の時点では4月解除が良いと思っていたが、この理由としては、仮に期末に様々な問題が発生すると、引き下げることができる当座預金残高が限られてくること、期末に発生する様々な問題に対して日銀に全責任が集中するリスクがあること、が挙げられる。』

えーっとですな、この人の話(特に記者会見のようなベシャリ)はとにかく無闇やたらと長くて、しかもこうやって字にしていると論点が物凄く分散されているので、引用する方としてはやりにくいったらありゃしないです。結局この部分はこの後も引用して全部引用になっちゃっいます申し訳ない。まあここまでは穏当(前倒し云々は気になるが)なお話をしてますが。

『ただ、その後、3月解除説が出てきた。マーケットの意見が割れてきたこと、また、10〜12月期の実質GDPの年率が5.5%であるとの公表を受けて、政治サイドの雰囲気が相当変わったとマーケット参加者が感じとったことなどを踏まえ3月解除説が出てきたと思う。』

よくそういう白々しいお話ができますなあ。GDPを受けてってマジで言ってる訳は無いと思うが、幾らなんでもそりゃ話に無理ありすぎ。前線(市場)で起きている事を東京の大本営(政策委員会)で自分に都合よく解釈して作戦(金融政策)を行っている・・・なんて事は無いと思いたいんですけど。という訳で血圧超越急上昇。

『海外の投資家の話を聞いていると、量的緩和政策の解除については既に消化が相当進み、イールドカーブの手前の部分をショートしてくる、あるいはイールドカーブがフラットニングするポジションにかけてくる、あるいは株のショートポジションを膨らませている、あるいは逆に3月か4月のどちらかわからないから日経平均先物のショートカバーをしないといけないという動きがみられたため、これは大丈夫だなという感じを抱き、私自身は3月9日時点では解除しないリスクの方が解除するリスクより高いという判断をした。』

えーっと意味が判らないんですけど、日本の金融政策の話をするのに海外の投資家の話を持ってきて、海外の投資家が大丈夫だから実施するということでしょうかねえ(皮肉)。

『ただ、期末にどうして解除したかという議論については、もう少し時間をかけて説明した方が良かったという気がする。期末に対する思いは、金融機関は強すぎるということもあるし、今後の政策運営を考えても、期末には何も手を打てず決算のために金融政策が縛られるということになると、長い目で見ると良くないと思う。結果的にマーケットの反応も良かったという面もあるが、適切なタイミングで解除できたと思っている。』

つーかおまいらが「3月解除!3月解除!」って散々煽り立てて、3月解除しないと逆に日銀が政治干渉されたって話になるから引くに引けないって状況にしたからでしょうがって感じですな。

ちなみに、期末云々の話ですが、あたくしは「3月31日に公定歩合引下げ」ってのを見た(そのときは短期国債のポジションを持ってたんで、まさに直撃ですな。金利低下方向でしたが^^)ことがありますので、そんなに期末ってのを強烈に意識して無いんですが(過去の駄文をお読みになるとどこかで「期末だからどうのこうのってのは変」って書いてた筈)、まあ期末云々を意識させ過ぎるのは良くないというのは判ります。それを理由にするのはさすがに本末転倒なのでそうは言わなかったようですが(笑)。

・・・と、ここまで来てもう時間も無いし量も多いので、続きは明日にでも。






2006/04/06

お題「短期金融市場の課題というレポートが出ていました」

月末月初(しかも期末期初)は本業多忙でネタはあれども検証する暇はあまり無く・・・で、今日は日銀が昨日出していた『量的緩和政策解除後の短期金融市場の課題』というペーパーを見ながら雑談。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/mkr/mkr0604.pdf
(PDFファイルです)

昨日日銀金融市場局から出た金融市場レポート追録は短期金融市場が過去(ゼロ金利前)と比較してどういう変化が起きて今後どのような課題がありますかってお話です。さすがに金融市場局が作っているだけに状況をよく把握しておられますな。お勧めなんですけど短期市場に興味がないと何が何だかって所かもしれませんな。

○レポ市場に関して

だいたい書いてあることに異論はないのですが、ちょっと気になったのはレポ市場に関連してのところかなあ。6ページになるのですが。

『レポ・現先市場は着実に拡大してきており、市場機能面で大きな課題がある訳ではないが、敢えて挙げればやや長めのタームの取引が薄い点がある。』

この辺は実際に証券会社で玉繰りをやってる人を横で見てた感覚からすると、ターム物取引の前にレポ市場の厚みというか深みというか、確かに取引高はでかいのですが、市場の懐がそんなにまだ深くないんじゃないのかって気はします。

まあこれは国債の保有主体がメガ化した影響もあるんでしょうが、先日の国債補完貸付で見られたように、何かちょっと相場が下がると現物債のSCレポ取引で玉締め類似行為(微妙に断言しませんが)が横行しちゃったり、大して意味も無く「マーケットで業者のポジションがショートになっている銘柄」を聞きつけて大手だけじゃなくてフツーの投資家さんまでもが特定銘柄ばかりを買いに来て変な価格形成になるとか。まあ何か相変わらず「残高はでかいけどマーケットの懐は浅いんじゃネーノ」という気は思いっきり致します。

GCレポ取引に関しても資金の出し手がバリエーションに乏しいというのは課題ではないかと思う(本来安定的な出し手として登場して欲しい投信とか年金とかがそんなに出ているとは思えない)次第ですが、多分事務が回らない(レポをやるとなると担保値洗いをどうするとかいう話が浮上してくるし)ものと思料。ちなみにSC取引に関しても投信とか年金の保有は基本的に安定保有(アクティブ運用は別ですが)だから本当は安定的な供給主体になる筈ですし、品貸しによって品貸料(正確にはSC取引で入ってきた現金をGC取引で運用して稼ぐGC-SC金利スプレッド分ですが)が入ってくるので本来ならやった方が良い筈なんですが、事務の問題に加えまして、これをやると運用の見かけ上「レバレッジが掛かった」状態になってしまう(=100億円の資金を100億円債券で運用してSC取引に放出して品貸料取りにGC取引で資金運用したら運用額が200億円になってしまいます)ので、これが基本的には出来ない(レバレッジ掛けて運用するって決めになっていれば別ですが、債券の年金運用でレバレッジ掛ける人はまあ殆ど居ないでしょう)という問題点が。。。。。

調達サイドは調達しないとケツに火が点くのでまあ体制整備はサクサク進むのでしょうが、運用サイドに関してはケツが重そうな気がしますな(レポの所ではないですが、別のところでペーパーでも同じような指摘が)純粋資金運用の投信や年金側としてはレポを行ってレバレッジがかかる問題(単純に資金放出してるだけならその問題はないですが)を業界としてどうクリアするか何て話には・・・ならないだろうなあ。

ペーパーにあるように当日スタートのレポ取引も広がると面白いんですが、まあ事務が回らんでしょうな。で、そのあたりの事務が回らないから短期金融市場の機能が回復しないって話に関しては、短期市場の事務体制に金を掛けて間尺に合わない時代が長かったんで、実際問題として短期金利がそこそこついて商売として成立すれば自然と機能回復はするでしょうから無問題だと思う。(市場機能が回復しないから当座預金残高下げられないとか、市場機能を回復させるために利上げするとかいう議論は勘弁して欲しいのですが、笑)


○まとめの部分ですが

で、7ページ目のまとめの部分ですが。

『日本銀行は、量的緩和政策の解除後、数か月程度を目途にしつつ、当座預金残高を所要準備額に向けて削減していくこととしている。削減にあたっては、以上みてきたような問題意識を踏まえ、短期金融市場の動向や機能回復の状況を十分に点検しながら、進めていくこととしている。』

早速クイックでは「短期金融市場の動向や機能回復の状況を十分に点検しながら」って所にスポットをあててヘッドラインを打ってまして、何か如何にも「当座預金残高の削減には時間が物凄い勢いで掛かります」という印象を与えてましたが、まあここの所は「強引に引くことはしませんよ」という意味と理解したほうが良いかと。さっき申し上げたように、市場機能の回復云々と言いましても、現実問題としてゼロ金利状態でわざわざ手間隙掛けて資金の放出をするのは腰の軽い人でして、大体世の中は8月20日過ぎに夏休みの宿題をやるような人が多いっすから、現実に金利が上昇しないと資金の出し手が涌いて出てくる状況にはならないでしょうし。

『また、補完貸付について、現在0.1%である適用金利を据え置くともに、同金利による利用日数に関して上限を設けない臨時措置を当面継続することとした。補完貸付は短期金融市場での安定的な金利形成を目的として設計された制度であり、日本銀行としては必要に応じ躊躇なく利用されることを期待している。』

多分ここの所は活字を大きくして強調したいところでしょう。ロンバート貸出が機能しないと短期市場金利のキャップ(有担保ですから無担保取引のキャップには直接はなりませんけど、まあ有担保でもキャップがあるのは大きい訳で)が機能しませんからねえ。

次世代RTGSの話はスルー致しまして。

『短期金融市場は、金融機関間の資金の過不足の調整の場であると同時に、金融市場調節の場である。したがって、日本銀行としては、短期金融市場の機能がどのようなペースで回復していくのかについて、大きな関心を有している。こうした観点から、市場参加者との意見交換を通じて短期金融市場が今後どのように変化していくのかを把握するとともに、市場参加者の市場機能の向上に向けた取組みを支援していきたいと考えている。』

市場参加者に意見を聞くときには皆さんまあ基本的に自分の都合で話をするという事を割り引いていただくと誠に幸いですので(笑)、できるだけ広範囲の人にお話を聞かれる事を願いたいものです。まあ金融市場局だったらクオンツ系(笑)じゃないと思いますが。


○余談:今日本当はネタにしたかったもの

シンクタンクのメッ!さんが先日http://www.smepolicy.jp/challenge1.htm「再チャレンジ推進会議の問題点」という話題で『趣旨自体はまったく問題ありません』としながらも、『再チャレンジ推進会議は、くれぐれもポピュリズムに陥ることなく、また役所の自己増殖に口実を与えることのないようお願いしたい。まぁ、無理かもしれないけど。』ってまとめで指摘してたのを読みエントリーの内容のいつもながらの深さに頷く所がありました。

で、昨日のbewaadさんのエントリーhttp://bewaad.com/20060405.html#p01にあった「地方分権21世紀ビジョン懇談会での地方公共団体の破綻法制についての議論」についてbewaadさんが『よくよく見てみますと、本当にこんないいかげんな検討で政策決定してしまっていいのかという代物です。』と指摘したエントリーを読んでまたまた頷くのでありました。この2本はマジお勧め。

でですな、3月29日の経済財政諮問会議の議事要旨を見てたら前半のお題「成長力・競争力強化について」の部分で二階議員の提出した「新経済成長戦略」中間とりまとめペーパーで妙に盛り上がっているように見えまして、その中で竹中センセイは「米国にはニューエコノミーはあったんだよ!」って話にまでなってたんでこれは一体全体何が起こっているのだろうと思ってるんですよ。

でも、肝心の提出資料をまだ読んでないので結局話題にできませんでしたって話ですな。あっはっは。


あ、そういえば肝心の話をもう一つ忘れてたので結論だけ。

「昨日の6か月短国の入札は意外にレートあがっちゃいましたなあ。どうも10月償還を嫌う向きが多いようですね。それなりに7月から9月の解除も警戒感強いんですね」

ではでは。







2006/04/05

お題「これはまた極端な巻き戻しですね」

東京MXのブルームバーグテレビが6時半スタートだとどうも調子が狂いますな。つーか無駄なニュースを見る時間が長くなっていかん。

という訳の判らん言い訳をしてますが、まあ雑談で。

○これはまた凄い巻き戻しで

昨日、というか一昨日からですけど、今までやたらめったら堅調だった長期、超長期ゾーンがやっと失速してきたような感じですな。時々出てくる「50年国債発行」話が一つのネタにはなったようですが、まあそんなのは仮に出るとなっても2年は先の話ですから実際問題としてはポジション巻き戻しの言い訳に過ぎないとは思いますけど。

まあそんな訳で2年とか戻る戻る。引けは前日比4毛5糸強の0.655%ですが、高値は0.65%だったようです。その間に7年が2毛5糸強で10年が5糸強。で、20年が3毛甘で30年が4.5甘って事で、前日比のカーブ上一番強いのが2年というつい先週の木曜日(30日)にやった「カーブ上2年が一番売り込まれ」の逆をやった形ですな。

材料と言えば10年入札位しかないのですが、まあ決算絡みの処分売りが一巡して「幾らなんでも2年0.7%はねえだろう」ということで巻き戻しのタイミング待ちだったというのはあると思いますが。何せ先週末のイールドカーブのショルダーが2年ですってそりゃ幾らなんでもねえ。

2年ゾーン的には「戻ってほっと一息」の図ではありますが、それにしても値動きの激しさというのはヒジョーに良く判りましたなあって所でして、今後もALMやら決算やらというのに振り回されるゾーンになりそうですな。ヘッジが効きにくいゾーンなので2年のあたりは大口の売買がまともにカーブをぶらすことになる(そのものズバリで対処する事になるから)2年の発行減らせないもんでしょうかねえ。


ま、2年の0.7%だと向こう2年間で3回は楽勝で利上げがあって短期金利が0.75%になっても心配ないぜ(時期によるが)という状況でして、その一方で6ヶ月の短期国債あたりは今後半年でまあ1回の利上げを織り込むかっちゅう水準な訳でして、整合性は取れてるちゃあ取れてますが、短期の織り込み方からするとちとやり過ぎではあったかという所でしょうかね。まあ短期金利が動くという思惑が出ると直撃弾を食らう(本当に直撃は短期ですが)2年ゾーンがボラタイルになるのは仕方ないかもしれませんが、もとの金利水準が低いので利回り的には「物凄く動きますね」って感じですな。


○短期は足元運用圧力が相変わらずのようですが

昨日の13週間物FB(政府短期証券)の入札は7月償還物になったのですが物の見事に金利低下。まあ先週入札が無かった上にここの所申し上げております足元の運用圧力の結果というのはあるんでしょうけれども、償還が確実に長くなっているのに利回りが前回比1bpちょっと低下とはこれまた強いですなあ(まあ既発債の水準から見たらこんなもんですが)という品不足状態でした。(ちなみに平均が0.0574%で最低が0.0608%ですが、これは売買呼び値ベースの計算方式で出した数字です。財務省方式だともうちょっと低くなります)その後0.05%まで買われたりもしたようですが、引けの気配は0.05%オファーの0.055%ビットで買いの方が強そうな感じ。

まあ足元の運用圧力が強いというのに加えて、今回の入札では償還が7月の金融政策決定会合前になり、来週以降のFBだと(今週は金曜にもう1回3か月の入札あり)7月の決定会合越えだから一応警戒しない訳には行きませんなあというのもあって、落札実績確保しておくなら今のうちだとかいう発想もあったんでしょう。当座預金残高が削減されていく間に現先利回りが上昇しませんかねえという事はどうもあまりケアされていないようですが・・・・・短期国債はいつもの人たちやら海外の買いやらと買い優勢ですな。

まあそんな訳で、来週になって行われる7月決定会合後に足が来るFBの利回りを見ないと何ともいえない(既発の6か月や1年TBの残骸は流通玉が乏しいので指標として見るのはあまり適さない)のですが、今のところ(足元の運用圧力で金利が必要以上に低下してるのではないかという話は別にして)利上げがあるとしても最速で7月という見方で、6月の会合でというのは今のところ無警戒という所でしょう。

本日は6ヶ月もの短期国債の入札が行われますが、前月債が0.125%とかでやってまして、まあ0.13%〜0.15%の間で確り目の入札になるようでございますな。7月の半ばに足元金利が0.25%になるとしますと、その間の現先利回り勘案するとまあカツカツ(ゼロ金利下でも次第に現先利回りがあがることを想定)というよりはちょっとやられ位の水準のような感じ(一々検証しないのがドラめもんクオリティ)ですので、さすがに「7月利上げ」は全部織り込んだっちゅう感じでもないかなあとは思います。

つーか無担保コールの誘導目標が0.25%になったら現先利回りやターム物金利も0.25%だと思ってるんじゃねえのか短期市場はって気が少々するのですけどね。んなこたあねえ。


○ほとんど雑談ですが日銀総裁の入行式挨拶など

http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0604a.htm

月曜の話ですけど今年度の入行式挨拶を読んだ訳ですが、ウェブサイトのリニューアルに伴い小見出しが付く様になりまして、去年もありましたスローガン「戦略、起動、実現」が小見出しに載っております。

昨年度は見事な「戦略、起動、実現」でしたなあなどと申し上げる前に昨年書いた駄文を読み返してみると、物の見事にこのキーワードをスルーしている自分がいる訳で、誠に遺憾でございますな(苦笑)。

ちなみに去年の入行式挨拶の方が何かオモロかったんですが・・・・・


で、ついでにウェブサイトを見ていたんですが、どうも慣れると調べやすいのかもしれないのですが、前の状態に慣れているせいもありますが、トップページから目的の場所まで辿り着くまでのステップが若干多くなったせいかどうも使い勝手が宜しくなく、普段見る統計なんかを悉くブックマークする破目になっております。まあ慣れの問題なんでしょうが。。。

と愚痴を書くのではなく(笑)、ちと見てて笑ったのはこんなコーナー

http://www.boj.or.jp/type/press/kokkai06.htm

以前はこんなコーナーありましたっけ?って感じなのですが、まあこれはきっと「日銀はこのように国会に出席して国民の皆様に説明責任を果たしています」っていうことのアピールでもあるのでしょう。国会の会議録を検索してオモシロネタを拾う(たまにはちゃんとしたネタも含まれます、為念^^)あたくしには便利でございますが(笑)、まあこれは言外に「こんなに国会に引っ張り出しておいてまだ『説明責任不足』とか言いやがるのかエエカゲンニセエ」とか「諸外国の中銀と比べて物凄い勢いで議会に引っ張り出されてますが何か?」という事をさりげなく主張しているものと思料。

ま、確かにこれだけの勢いで国会に出席して「説明が足りない」という議員の皆様におかれましては、文句を言う前に皆様の糞下らない質問(例えば・・・暫く前に槍玉にあげた参議院での「日銀株式が買占めの対象になった時の対処は考えてますか」というお馬鹿な質問とか、量的緩和解除直後の衆議院予算委員会でただひたすら何でもかんでもクソミソに文句だけつけて、質問に一貫性のない事を聞く人(ちなみにリンク先に出てくる最初の人ではありませんのでお間違えのないように念の為申し添えます。次の人ですよ)とか)を改善された方が宜しいのではないかと切に願いたいものです。







2006/04/04

お題「日銀短観など」

春の番組改編で東京MXテレビがブルームバーグテレビを放映しなくなったようで(というのは勘違いで6時半から放送しておりました。南関東U局で放映してる千葉テレビ謹製「朝まるJUST!」もほのぼの系で良かったんですが)、仕方が無いので某モーサテを見ております。いやまあ何と申しますかコメンテーターの話とか頭の中できっちり反論しながら聞かないと煽りの連続攻撃にこっちが乗せられそうになってしまいますなあ。曰く、

「都心の地価上昇で住宅の先行取得の動きも出る」→いやあの土地の高度利用が促進されて単位面積あたりの収益力が向上してるって要因が大きいと思うんだけどなあ。戸建ての需要(というか値上がり転売期待)で価格が上ってるというようなバブル時代の地価上昇とは違う(ごく一部にはそれっぽい雰囲気もありそうな気もするけど)ので、まあ煽られる人はいるだろうけど・・・上物の供給が逼迫してるって状況じゃないでしょうに。

「団塊世代の退職で別荘購入などの需要も期待」→リタイヤして今更別荘って買うのか??高額旅行をすると言うのならわかるけど。大体団塊世代の退職金はどこから出るのかと小一時間。まあこの前の電通の調査受け売りなんだろうなあ。ま、「期待」なんだから良いですか(笑)。

まあぱっと思いついたコメントに脊髄反射してるだけなんですけど、聞き流しながらもそんなツッコミを頭の中でしてると朝の頭の体操になるのでマジお勧め(嘘)。なお、このあたくしのツッコミも正しいかどうかは責任取りませんので悪しからず。


悪態が長くなりましたがまずは日銀短観から。


○短観はパッと見悪そうですがまあ良いのではないかと

昨日は日銀短観が公表されました。「大企業製造業業況判断DIが+20」という数字が事前予想を下回ってましたので最初は2年ゾーンや金先などが確りしておりました。その後長期超長期やら中期やらもう売り売りで結局先週来弱かった2年の方に鞘寄せされる方向になったんですが、それは兎も角として。

短観のDIですが、毎回(昨年の9月短観はスルーしましたが)似たような所しか見てませんが、今回もちょっとだけ。本当の分析は本職の方のレポートを読みましょう。

・前回からの見通し達成度合い

短観では毎回「向こう3か月の予測DI」が公表されます。で、この数字を見ながら「今回の業況判断DIは前回時点での予測と比べてどうでしたか」というのをチェックするのが人の過去の発言をほじくり返して一々ツッコミを入れるのが好きなあたくしの趣味。(予)は12月短観での予測DIで(実)は今回の業況判断DIです。

製造業
大企業(予)19→(実)20
中堅企業(予)6→(実)12
中小企業(予)6→(実)7

非製造業
大企業(予)17→(実)19
中堅企業(予)3→(実)3
中小企業(予)▲9→(実)▲9

えーっと、12月調査時点での先行き見通しよりも実績が良いではない(か予想通りか)ですか。

・先行きの方向性

ここ1年くらいの推移を見てますと、毎回毎回先行きの予想DIがやや堅めに出る傾向がありまして、基本的にあまり先行きの方向性が揃って改善ってのは見なかった(これを表にするのは面倒なので割愛)というところですな。これを楽観とみるのか先行きに自信ありありと見るのかはその人の強気弱気次第ということで(おい)。

ま、あと付け加えると、大企業のDIが横ばいで中堅企業のDIが何となく良くなってきているという見方もできる(実は非製造業中小企業のDIが前回比悪化してるのが気になるが)訳でして。


・例によって雇用関連

短観(概要)の6ページ目には雇用人員判断のDIが公表されています。で、こちらの数字に関しても上記と同じように12月時点での判断と比較してどうなのよって話をすると、まあ大体予想通りの展開になってるのですが、そもそも12月時点での先行き予想が強気というか雇用人員が不足傾向の方向性が全産業の全規模において出てましたので、雇用関連に関して言えば「予想通り人員不足感が強い」ということでしょう。

例によっておまけですが、7ページにある金融機関の雇用人員判断を見ますと何か夢のような「不足」数字なのですけど(笑)。


○補完貸付2度目の実施

昨日は日銀による国債補完貸付が行われました。銘柄は10年252回。先物のチーペストでして、ここの所どうも業者のショートが深くなっていると申しますか、どこかでせっせと買って貸し渋っているアホウがいるようで無茶苦茶なレポレートになっていたりしたようで。

まあ日銀もこれは50億円しか持ってないので25億円しか貸出できないのですが(よって量の問題で言えば焼け石に水)、まあ「スクイーズしてるんじゃねえ」という意思(?)が伝わると大変に結構なのですが。

つーかフェイルも相変わらず業者間以外では碌に定着せずの状態で、スクイーズの規制も無しでこれ以上国債決済の期間短縮はマジで無理では無いかと思う(日銀や金融庁は決済期間を短縮化させたいらしいのですが)んでこの辺り何とかならんかねって思う期初でありました。


#長期債の話をほとんど出来なかったですな。時間切れにて勘弁。







2006/04/03

お題「期末の中短期マーケット雑感」

4月というのはてめぇは何の関係もなくても何となく気分がリフレッシュされたような感じになりますな。で、こちとら気分はお花見モードが抜けて無いのですが(汗)。


○短期市場での足元運用圧力が強いですが

ということで、3月31日の無担保コール翌日物金利が0.004%となりました。まあ確かに当座預金残高31兆円とかあったから量的緩和政策時代と同じでも良いんですが、しかし0.004%だったらこの前の年末年始と同じですな。事前準備が進みすぎてたとか、もしかしたら2年とかの債券の売りで出たキャッシュの退避があったとかあるのかもしれませんが。

金先などは売られていますが、3か月以内なら政策金利の引き上げはねえだろうってことで、3か月以内のターム物金利も妙に堅調。これは先日来申し上げているキャッシュつぶしの動きが影響しているのですけれども、それにしてもちょっと・・・・という感じは致します。先週29日がスポット受渡で31日スタートでしたが、31日スタートのCP発行金利やら短期国債(は本来3日受渡ですが)の利回りが2bpほど低下した感じでしたが、受渡が4月のスタートになった週末も引き続き金利が妙に低下しておりまして、31日はA-1+格のCPが2ヶ月物で0.05%近辺とか最上位格(A-1+(追記:a-1+と書くのが正しい。R&Iの短期格付けね)の中でもより格上と目される銘柄ね)の3か月CPが0.05%とかになっていた模様。

ちなみに量的緩和解除前の2月末から3月頭には同じような条件のCP発行利回りがそれぞれ0.10%〜0.12%ちょっと、0.08%〜0.09%とか。解除後3月中は当座預金残高30兆円維持ということで下がりだした3月中盤は0.09%〜0.10%に0.07%〜0.08%と言った所(あくまでもイメージですので念の為)でしたので、本来足が延びた分金利が上ってもおかしく無い所での金利の顕著な低下には少々ビックリでもあります。まあ年度末越えの資金繰りが確定しないと中々資金運用できないとかいう需給要因もあるんですが。


いやまあそれもまた相場なのですが、4月から当座預金残高の縮減が実施されまして、まあ順調に行けば4月末で当座預金残高20兆円とかまで減りそうな感じですが、どうもその間に無担保コール翌日物の金利は大して上りませんよ勿論6月の利上げなんか有り得ませんよっていうようなレベルまで利回りが下がっているのはちとお得意の「極端から極端へ走る」って奴では無いかと言う気が致しますが。

何かこう金利の値頃に対する感覚というよりはその場で運用する資金を単に機械的に潰したりしてるんじゃ無いかという悪寒がして、何か短期市場はまだまだ価格形成って感じまで行って無いってところでしょうかねえ。


○2年0.715%にはビックリしました

先週末の債券市場は当初またまた中短期債が売られまして2年が0.7%にまたまた乗せてしまい、前日の0.705%をあっさり越えて0.71%レベルまで到達。ピークで0.715%だったらしいのですが、まあそれはまた凄い金利ですねという所。

現在取引されている2年新発債は2008年4月15日に償還になる債券なのですが、これが0.7%って事はGCレポ取引でファンディングして運用という毎度お馴染みの発想で行ったとして、2年間で3回利上げになって0.75%まで金利が上昇しても何ともないぜっていう状態なのですが・・・・先週末にも申し上げましたが本当にそこまで売って良いのかよって所ですな。

まあさすがに後場になってから中期債に結構な買いが入ったようで2年も引けは0.68%と前日引けから利回りは低下しておりましたが、この買いが期初も続くのかどうか、まあ短観が予想の範囲内だったらさすがに中短期はちとやり過ぎ感が漂うので買戻しからスタートするとは思うんですが、実際に当座預金残高が削減されてコール取引の金利が上昇しだすと頭は重くなるでしょうなあというイメージで。


○ということで当座預金残高の削減が始まります

あまり真面目に計算してませんけど、当座預金残高の所要は6兆円(うち郵政分2兆円)。まあ郵政が所要きっちりの資金繰りをする訳もないですし、銀行でもブタ積みとか暫くは続くでしょうから、落とせていいとこ8兆円〜9兆円でしょう。本当に何も供給しないで供給オペの期落ちをロールしないと5月中には大楽勝でそのレベルまで当座預金残高を落とせる計算になる筈です。

まあそんな運営はしてこないで供給も適当に交えながら様子を見ていくとは思うのですが、まあ最初は当座預金残高を自然体で引いていくでしょう。まあ市場としても初体験でして、本来当座預金残高の量は関係ないとは言えまあ気になる人も出てくるでしょうな。ドタ勘では当座預金残高が15兆円くらいまでは資金取引市場的には資金が十分に潤沢な状態が継続しているという感じだとは思いますが。

コールの金利に反映するのは最後の最後なので、その前に逆年度末要因で下がった1か月とか2か月の金利、GCレポやら現先利回りなどがどのようになっていくのかに関してチェックするのが吉かと存じます。


#それでは今年度もよろしくお願い致します。