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2006/10/31

お題「短期国債見てると早期利上げ警戒は後退ですかな」

日経平均が下がった翌朝のモーサテのコメンテーターは「今までの上げが日経平均中心で実は脆弱な上げでした」という後講釈をして(させられて?)います。いやー終わってから講釈するのは楽でちゅねーってそんな悪態はまさしくオマエモナーですな(自爆)。

○火曜にFB入札ですな

何で月末の火曜にFB入札なのかよと思ったら金曜が祝日なので、T+3のレギュラー受渡が月曜なんですな。で、長期国債の入札が来週から入るという形になるんですが、月初にいきなり連休入るとタイトな日程になりますな。色んなところでorz

という訳で本日はFB3か月ものの入札が絶賛実施されるのですけれども、2週間前位に突如騒ぎになった早期利上げ観測も先週中盤あたりからは(少なくともTB/FBを見る限りでは)だいぶ沈静化したような観はございます。先週0.38%まで上昇した新発FB3か月(=今日入札するFBより1週間短いもの)は昨日の引け値が0.36%でまあ仲値っぽい感じ。んでもってその前のFB利回りを日本相互証券の引け値(というか値付けというか何というか)を見てると、一応1月決定会合越えからレートは上昇させてますが、先週の入札前には1週間で1.5bpちょっとの段差をつけてたのが1bpの段差になってまして、今日の入札もその段差で迎えるとなれば先週よりもレートが低下するでしょうってお話になりますわな。

まあ微妙なレートの差ではありますが、何せ足元のGCレートが0.3%くらいの所から幾らのスプレッドでやりますかって形でのレート推移のため、1bpと言えどもデカイんですな。そーゆー事言ってるからセコイとか言われるんですが(それは違う^^)。


それはそれとして、TB/FBの現先レートが妙に低下気味になっておりまして、これは業者の在庫が軽くなっていることを意味するわけでございますわな。先週後半からの新発CPのレート形成を見ておりますと、何のかんのと言っても年内償還物に関するニーズがむやみやたらと強く(どう頑張っても12月より前に利上げするのは無理でしょうというのは確定的コンセンサス)なってますので、同じ理由から短いゾーンのTB/FBの在庫がここぞとばかりに捌けて来てますという所ではないかと。

そーなりますと、今日のFB入札は業者の在庫も軽いですし、まあ償還見合いの買いは入るでしょうし、展望レポートはありますけど無難と言うかしょーもない入札になるのではないかと思いますが、変な踏み入札になると後続があるのかよとは存じます。最低落札が0.37%台になって平均は正直判らんが、0.37%くらいになるんジャマイカと。


○今日は展望レポートですが

再三再四申し上げているように、今回の展望レポートは4月のものを基本的に踏襲したものになるでしょうってのがあたくしの勝手な予想ですけれども、多分金利市場の中の人たちは皆さんそういう風に思っているかと存じます。変に期待してるのは為替市場とか海外筋とかなんですが、それに乗っかって報道するなよと小一時間。

あたくし的に若干ですが気になるのは総裁記者会見。と申しますのは、9月の定例記者会見の会見要旨を見た時に受けた印象として、「総裁また元気になってきましたなあ」というのがございましてですな(書いたと思いますが)、調子に乗ってくると発言が滑るというのが福井俊彦クオリティだという事を勘案致しますと、誘導質問みたいな質問にまんまと嵌まってヘッドライン打ち込まれるという光景が想像される訳ですな。

まあ勝手な妄想を逞しくしているあたくしの妄想を続けますと、海外勢なんぞはこの会見を結構まともに注目しているようにも見える訳ですが、そんな会見でヘッドライン打ち込み攻撃によって変な反応が発生するという事もアリエールなのではないかという所でしょうか。2段落目から完全に妄想が入ってますけれども(笑)。

今朝の報道によりますと、民主党が何かよく判らん日銀法改正案を提出するらしいですが、それでちったあ福井総裁大人しくなって頂きますと誠に結構なんですけど、とか言っちゃあちとカワイソウですかね。


いやまあ一応債券市場とかでも展望レポートと記者会見注目とは言ってますけれども、それって運用担当の「売買しない(というか買わない)言い訳」だったりする(まかり間違ってサプライズの内容が出た時に逆のポジションを持っていた時の言い訳が大変だということですな、笑)んで。展望レポートの内容にサプライズ無しは殆どコンセンサスだと思うんですが。少なくとも国内の金利市場プレーヤーにとっては。総裁記者会見での不規則発言は確かにリスクではありますが、出てくる経済指標がそんなに強くない(ここが今年前半と違う)状況下で地均し開始はさすがに無理筋の香りがするんですけど(でもやりかねないという恐怖心は完全には払拭できませんな)。


○その他雑談

・民主党の日銀法改正案??(内容を知らずに書く)

総裁のファンド出資問題に絡んで日銀法改正案を民主党が提出すると朝のテレビニュースが報道してましたが、報道によると服務規程を法案化するんですかそうですか。服務規程変えるたびに日銀法改正とかいう間の抜けた事態が起きるような気がするんですが。

何か国会の質問もそうなんですが、やってることピントずれまくりですな。


・法人税の実効税率引下げの話に関して

ソースは失念しましたが、「上げ潮」路線の一環で法人税の実効税率引下げ話が出ているようでして、どうも法人税の実効税率下げによって企業活動を活性化して、設備投資の拡大やら雇用環境の改善につなげるって理屈のようなのですな。

あたくしが勝手に愚考するに、いわゆるダム論の話になっちゃいますが、実感なき景気回復/拡大というお話の中に、上流(大企業を中心にした企業部門)に溜まった水(収益)が中流下流に思ったほど流れてないという点が指摘されていると思う次第でして、上げ潮したいんならどっちかというとダムの上より下のほうをケアーすべき話なんじゃねえのかと思うんですけど。

法人税の実効税率引下げする余裕があるんでしたら、定率減税廃止をストップした方が個人消費にまともに効いて来るとか言うのはポジショントークが入っていないとは申しませんが(笑)、何か力を入れる方向が微妙に変な気がするんですけど上げ潮路線。


・ソフトバンクモバイル

サービスインする時にてめぇのインフラ整備をしないで発車するというのはヤフーBBの時に派手にやらかしてくれているので、ここまで来るとお約束のネタ状態。様式美まで感じてしまいます(嘘)。まあ他の2キャリアとの罵り合いが実に香ばしい状況になっているのを楽しむしかありませんな。中の人たちにはお疲れ様としか申し上げようがございませんが。

#そのうち街で赤装束軍団が「携帯端末0円」と言って端末配りだしたりして






2006/10/30

お題「雑談ばっかでスイマセン」

どこぞの携帯キャリアがキャリア変更申込受付をどうのこうのという話があるらしいですが、申込絶賛殺到という話題を作るために・・・などと考えるあたくしは裏読み癖の付き過ぎですかそうですか(笑)。

#「気の毒というだけで安易な救済をしたら国家は成り立たない」という伊吹文部科学大臣、就任直後の小学校での英語教育に関する発言でも感心させられましたが、何でもかんでも情緒的な報道が目立つメディアは伊吹さんの爪の垢を煎じて飲むべきではないかと。

○CPIで(だけではないが)短期は金利低下

金曜に公表された全国CPIは事前予想よりも弱めの数字となりました。ただまあその前日(木曜)から「全国CPIの数字が事前予想よりも弱い数字になるのではないか」という話が出ていたようでして(だから木曜にいきなり相場上昇したのですけれども)、債券先物ベースではそんなに派手派手な上昇にはならなかったという形になりましたな。何で直前になってそーゆー話で相場が動いて、しかもその話が大体「当たり」になるんでしょうかねえ全く東京市場って奴は。

まーそれは兎も角として、水曜に入札が行われた3か月FBですけれども、最低落札価格の0.38%から水曜の取引は始まりましたが、木曜の引けが0.37%で昨日の引けが0.36%とじわじわとレート低下の模様。びみょーなレート低下ではありますが、1月決定会合越えのレートについていた段差が小さくなるちゅう形になってますんで、こりゃまあ1月利上げへの警戒モードが若干低下ちゅうことでしょうか。

ただまあ基本的に日銀の金融政策へのスタンスは「物価安定に関する理解」の下での「総合判断」でありますんで、これはこれとして鉱工業生産とかのような(あたくしとしてはいわゆるダム論が実現してるかどうかに関して雇用・所得に関する統計と、消費に関する統計がどーなってるのかが気になりますが)指標も重要ってことだと思うんですが。

で、その点から見るとそんなに利上げ急ぐ必要あるのかなとは疑問に思うのですが。シロートの勝手なドタ勘としてはあたくし物価に強気で景気に弱気だったりするんですが(たぶん世の中とは違うと思う)。


○ところで月末は展望レポートですが

勝手にあたくしが予想致しますると、基本的な線は4月のレポートと変らない(=日銀の基本的なシナリオは変らない)内容で、先日の武藤副総裁の講演にあるような景気への見立てになるんではないかと思うのですけど。

ということで、将来の金融政策に関しては「余裕をもって金利の調整を行う」っていう今までの書き方が継続されると思ってるんですが、どうも金利市場から遠くなるとマスコミ報道が影響しやすいのか、今朝のモーサテ様で出てきた外国為替市場関係者のコメントでも「日銀の展望レポートで年内利上げを後押しする内容が出るかどうか注目」とか朝から寝言は寝て言えと申し上げたくなるようなのがございましたが、海外のファンド様とか反応し過ぎだって。

まー海外が勝手に反応しててめえらの金を東京市場で焼いていただくのは誠に結構なお話ですが、問題は立派なお部屋の中でふんぞりかえっているエライ人たちも反応しちゃうところだったりするんですけどね、何度も申し上げましたけれども。

まー話はずれますけど、利上げを遅めに対応となりますと、将来に必要になる利上げというか金融引き締めがよりキツイ物になる事が予想されますんで、どっかの時点(景気上昇や物価上昇が確認された時点)で長期金利は上昇圧力かかりやすくなると思うんですが。で、そうなってくれば「頼むから利上げして下さい」モードになるんじゃないのかねえと思うんでして、日銀が現時点でそんなに早期利上げ頑張ることもないんじゃネーノ?って感じはします。



○経済番組なんだから幾らなんでもそれは・・・(金曜の続き)

金曜に予告編と書いた話の続き。

先週火曜のモーサテでゲスト解説として出てきたのが毎度お馴染みの円安資産インフレ提唱のおじさん。金曜に申し上げたように、このおじさんは「国の借金680兆円」という現実から「金利が上昇したら利払い負担が増加して大変なことになる」というお話をしまして、「だからこそ円安で資産インフレ」という毎度お馴染みの主張から提言したのが「日本国がドル建て国債を個人向け発行する」というもの。

で、そのスキームを説明してたんですが、まあ要するに個人にドルを買わせれば、基本的に持ちきりになるので円安圧力になりますよって話なんですが、この説明をしているうちに本村ゆっこ様も何か変だと思ったのかちょっとツッコミを入れていたような気が(現実に突っ込んだのか、突っ込みそうな空気を察知しておじさんが先回りして話をしたのか忘れましたが)致します。

根本問題として「金利が上昇すると大変なことになる」というのがどうなのよという話はさておきまして、もっと単純なツッコミを致しますと、そもそもドル建てで国債発行したら利払い負担がドル金利ベースになるのでまさにその「大変なこと」が発行時点で発生するという大変香ばしい事態になりますわな(笑)。

で、その点について説明途中でおじさん気が付いたようで、「国の発行コストは為替ヘッジをすれば円ベースの低金利に転換できるので無問題」という補足をしておりました。はてさてそうするとどうなるかという話ですが(先週の火曜はここで自分の書いてる説明を読み返して納得いかなかったので20分間掛けて書いたものをばっさり削除^^)、図じゃなくて文で説明するとアレですが、箇条書きにしますと・・・・・

金利部分の関係
・日本の購入者:ドル金利を受け取り
・日本政府:ドル金利の支払いを円金利ベースに直すために為替市場でヘッジのドル売り円買いを先渡しで入れる(期間を短期で取るのか長期で取るのかというのはあるけど)=日米金利差がディスカウントになるので高金利通貨売れば受取超になる

元本部分の為替
・日本の購入者:手持ちの円を売ってドル買って政府に払込
・日本政府:入って来たドルを上記のようにヘッジするのでドル売り円買いを実施

・・・・どう見ても意味がありません。本当にありがとうございました。

#つーか手間隙書ける分だけ執行コストで損するだけです


という頭の体操を致しましたが(笑)、いやあのね、モーニングサテライトって一応経済番組として認知されているんですから、あんまり無茶苦茶なものは頼むから放送しないで欲しいと思うんですよ。今月は11日の朝にも別の人が「内閣支持率と株価の関係」とか言って「内閣支持率が就任から退任までの間に下がると株価が下がる」とか因果関係逆だろうって話を堂々としてましたが、個人向けドル建て国債提言の場合は根本的に話が間違えてますから救いよう無し。

月に2度のペースでそれは如何なものかモーニングサテライト。


○尾身財務大臣メモ

手元のメモやら資料がぐちゃぐちゃなので記憶ベースですが。

金曜の尾身財務大臣ですが、国会(手元のメモがぐちゃぐちゃでどっちだか判らん、汗)で尾身財務大臣は海外投資家の国債投資に関して「短期的に売買をする投資家の購入が増えると国債市場が不安定化する恐れも」というような趣旨の答弁をしていたそうですな。

勿論、その答弁の中で「長期に渡って安定的に保有する海外投資家の購入が増えることは望ましいことだ」というお話もしておりまして、全く仰る通りかと存じますが、最初のヘッドラインを見たときにあたしゃー「まー海外IRやってる後ろから何て素敵な銃撃♪」と感心したのでありました。ええまあ勿論財務省の海外IRは別に一部のアクティブファンドのおもちゃにして貰うためにやってる訳ではございませんで、本来の趣旨は海外投資家に長期安定保有して欲しいって事でしょうから、財務大臣の仰ることその通りなんですが。

ただまあ発言順にヘッドライン出ますし、聞いたほうの印象もまた発言順になる訳ですから、この答弁は短期売買云々は余計で、国内外問わず長期安定保有する投資家が増える事が望ましいって話をすりゃあ良いんでしょうな。尾身大臣は中々イイヨイイヨー。

#ま、そんな悪態ついてるあたくしも咄嗟にそこまで考えは及ばないと思う次第でして、そう考えるとヘッドラインリスクが全然無さそうな武藤副総裁って凄いお人でございます。




2006/10/27

お題「小ネタで恐縮」

さてまあ本日はCPI公表でして、今までの(とーーっても緩やかだけど)上昇トレンドが継続してるもんなのかどうかが注目されるところです。まあ相場に関しては今日のCPIと来週の展望レポートを見て方向とかカーブの流れとか出てくるんでしょう。

ということで、ここんとこ本業多忙につき小ネタで恐縮至極でございます。それから頂きましたメールは全部読んでおりますがお返事遅れておりまして申し訳ございません。


○こういう記事が出ると脱力するんですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061025-00000625-reu-bus_all

一昨日の夕方に出てたらしいロイターの展望レポート見込み記事。内容それ自体はそんなに突飛な話ではなく、今までの流れから順当に類推するとそうなるでしょうって話ですんで別にサプライズではないと思うのですけれども、記事冒頭にある『複数の日銀幹部に対するロイターの取材で明らかになった。』というフレーズに物凄い勢い脱力&血圧上昇。

この書き方をまともに額面どおり受け止めますと、記事にあるやたら詳しい展望レポートの内容予想は「複数の日銀幹部」に聞いて出来上がりましたということでして、決定会合後に発表されるべきものをリークですかそりゃまた随分立派な市場との対話ですなあと感心してしまうところではございます。端的に言えば「逝って良し」。

まあ実際に「複数の日銀幹部」が記事にあるお話を具体的な数字を並べて微に入り細に入りしている訳ではなくて、一般的に予想されているストーリー(ストラテジストのレポートとかでも予想している人はいると思う)をベースに取材で感触を掴んで書いた観測記事だと思うのですが、というか思いたいのですが、如何にも「日銀の内部者が展望レポートの内容をリークしてますよ」という書き方をするのはロイタージャパン如何なものかと思うのでした(本当に内容をリークしてるなら論外だが)。

まあ何ですな、情報管理はきちんとやっていただかないと、先般ご紹介した日経太田編集委員の指摘した『公平な情報開示を求めた「日本銀行員の心得」に違反するとともに、公平な市場への背信行為』って奴じゃネーノと思うのでした。まあちゃんと情報管理はやっているのでしょうが、上記記事のように「情報管理が疎漏なのではないか」と思わせるような記事が出るのが如何なものかと思うわけで。

で、それに対する物言いがろくすっぽつかないように見える(のですが気のせいかもしれません)のが東京市場クオリティなのですけれども、これは逆に考えると過去のトラックレコードからして「重要な決定するときに事前に内容が出てくるのは東京市場のデフォ」と皆様が認識しているという事を意味しちゃってるということではないかと存じます次第で、文句が出ない(こんなのに一々目くじら立ててブーブー言うのはあまりいない)のはそれはそれで問題なのではないかと思うんですが。


○またも予想より強い入札

昨日の2年国債入札ですが、前場の引け時点で0.785%オファーの0.79%ビットだったので、価格ベースで100円3銭から札を入れて2銭5厘の按分がどうなるのでしょうかねえという感じだったらしいと聞いておりましたが、結果蓋を開けてみると平均落札が100円3銭3厘と前場のオファーサイドを3厘ちょっと突き抜けた結果。平均がこの数字ですから100円3銭5厘の札を沢山いれた人がいるということでしょう。火曜日の超長期入札に続いて今回もジャンピングキャーッチでした。

#3銭の按分が62.2%あったのがまあ救いでしたが。

これが始まると、「今回も入札強いんじゃないか」→「仕方がないから少し強めの札も入れておこう」→「みんなで同じこと考えるので入札強くなる」→最初に戻るという入札強くなるスパイラルが発生する悪寒が。まあシェア確保とか逝って特攻するアホウがいなければスパイラル発生と言ってもそんなに爆発しないのですが、アホウがいるとアホウなだけにどこまでもバンザイアタックされるのが困る訳ですわな。

財務省以外皆困るスパイラル発生はご勘弁願いたいものです。次回の10年国債入札に注目。


○尾身財務大臣にワクワク

昨日は朝というか寄り付き前から話題になってたのが尾身財務大臣の米WSJ紙のインタビュー記事(を伝えた記事^^)。肝心の本尊の記事を読む前に本業が多忙になったので日本語ベースの報道を読むの巻でございますが、26日8時32分配信のブルームバーグニュースによりますと、『尾身幸次財務相は日本銀行に対し、当面は低金利政策を維持し、経済成長を支援するよう要請した。尾身財務相とのインタビューを基に伝えた。』そうですな。

いやまあ元記事見てないからアレなんですが、タイミングがタイミングなだけに日銀への介入っぽく取られそうな発言をしちゃうのはちょっとねえってのが。いやまあ今までもそういう発言が財務省筋から出てたとは思うのですが、ロジックとして「デフレ脱却の為に量的緩和(あるいはゼロ金利)を維持してくれ」という話。「成長支援のため」ってのはちょっと話が違うんジャマイカという希ガス。

で、まあそんな発言が報じられた日に三菱東京UFJ銀行のディーリングルームを見学したそうですな。後から報道された結果を見ると、どうも素でただの「お勉強の見学会」だったようですが、当初ニュースが出た時には「見学して為替市場で意見交換」とヘッドライン打たれてましたんで、「何か市場に対してコメントするのか」と思わず身構えて(というのは大げさですが)しまいました。朝のWSJのインタビュー記事で「金利についてコメント」が出た直後だっただけにね。ちとタイミングが・・・・

何と申しますか、ここのところ割と安定感のある大臣が続いてた財務省なんですが、ヘッドラインリスクのある人が久々に登場したなあという感じでして、今後もこの大臣様にワクワクさせていただけるものかと存じます。


#あらま、時間切れになっちゃいました。以下予告編

○驚愕の珍説(予告編)

この前書きかけて全部削除したお話というのがあったのですが(24日のお話です)、人と話していて頭の整理がついたので今日のネタにする積りだったのですが時間切れの為に予告だけ。

24日火曜日のモーニングサテライトに毎度お馴染みの円安資産インフレ提唱の某氏が登場して「(個人向け)ドル建て日本国債発行の勧め」というのを説いていました。で、これがどう考えても無意味なお話なのですが、無意味さについて書いているうちにこっちの頭が混乱したのでばっさりと駄文を削って20分を無駄にしてしまったあたくし。

この理屈のホネは、「国の債務が680兆円あるから金利上昇すると大変な話になる」「だから円安で資産インフレ」「その為に個人向けにドル建て国債発行して、個人のドル投資を国として推進して円安に」って感じだったんですが、では何故それは変かという話については週明けにでも。まあ簡単な話なんですが、こういうのってマネーとか金利のフローを図にしないで、こうやってキーボード叩いてるだけだと頭の中が混乱するなってのが判りました(^^)。

で、まあモーサテ制作の皆様におかれましては、ゲスト解説で出てくる人の話って(フリップ作ってる位だから)事前に確認してると思うのですけれども、あまりにもネタ臭が強すぎるものは一応却下された方が良いのではないかと思います。しょうもねーとか思いながらも、他に見るものないですから一応市場の中の人とかも見てたり見てなかったりする番組ですんで、あまりにもそれはってのを出すのはどうかと思いますよ。







2006/10/26

お題「FB入札でしたが」

FOMC声明文は一応景気減速って書いてるのに反応するもんなんでしょうけれども、何かどっちとも取れるような内容のようにも思えますな。まあ今後の経済指標次第じゃないのかと。債券高の株高で反応するのは虫が良すぎと存じますが・・・・


○FB入札、1月利上げ警戒モード(か?)

さて昨日はFB入札。償還が2月5日となりましたが、平均落札価格が0.376%くらいで最低落札価格は0.380%くらい(例によって財務省発表の数値と違いますが、市場での利回り換算方式にすると上記の数字になります)とまあ順当といえば順当ですが、前場の引け時点では0.375%出合いのビットとかでしたので、少々引き気味の落札結果という感じ。最低落札価格での按分比率が52%でして、この最低落札価格は利回り0.38%ですからまあ「ここで切れるかな」と思う所のように見えるのですが、割と按分入ったという感じですかな。

最近(超ごく最近の話です、為念)は何か国内勢はちょっと様子見気味で海外勢の買い意欲の方が強いような感じで、昨日に関しても落札結果発表後暫くは最低落札価格の0.38%は堂々オファーというヘロヘロな展開だったのですが、大引けにかけて0.38%は買われて日本相互証券の引値は0.375%に置いてたようですな。一応平均落札が引けですな。


で、このTB/FBの値段の付きかたを見ますと、年末越えの所で利回りがギャップアップして上昇(と書くと大げさですけど、要はそこで利回り上昇ってことで)してまして、そこから利回りが同じような感じで推移した後に1月決定会合越えの所から利回りが1週間償還が先になるに連れて0.015%くらい上昇するという値付けになっております。でまあ昨日の入札に関しても前回債が0.36%くらいですかねえという所から0.015%くらいの利回り上昇という形になってますし、この値付けは「1月利上げを警戒しています」ってか織り込みに行ってるという値段の付きかたですわな。

まあ値段の付きかたがそうだから皆が皆1月利上げを見てるのかというと、そこは市場でございますので(と言い訳)、そういう値付けで皆が動き出すと「ああそうなんですね、おいらは別のシナリオだけど」と思いながらも付いていくという自己実現性がございますんで(笑)、これがまたややこしい話ではございますが(だって10月入って暫くは1月利上げどころか年末越えのプレミアム金利まで潰しに行く勢いだったんですから。この間にそんなに経済情勢に関する見方に変化が起きるような事象があったのかと小一時間)。

でもまあ1月利上げは警戒強いんじゃないですかね。

月末も近いのでCPの発行も昨日から今日、明日に掛けて多くなる筈ですが、昨日に関しては年末越えの発行があまりございませんでしたので、持ち切り(と現先玉用)ニーズが基本のCP購入層の金利観ははっきりは現れなかった印象。年内(しかも12月決定会合前)償還物へのニーズは相変わらず確りのようなんで金利はそんなに上ってなく、年末越えに関してはさすがに若干上昇という感じみたいですけれども、昨日のFB入札結果を受けてどうなるのか一応注目。

CPに関しては需給関係が比較的タイトな事と、月末に関して言えば発行も多いですが償還も多いので、よほどの発行超にならない限りは需給関係上実はあまり金利が上らないという香ばしい状況になりますので、まあ上ると言っても大したこと無くて、そうなりますとFB対比でCPの割安感が薄れますなあという感じでもございます。ま、蓋を開けてみないと判らんですが。


○2年国債入札ですが

で、本日は2年国債入札。カレントが0.8%クーポンで、足元金利がGCレートで計算して0.3%くらいですんで、発行日が以前よりも前倒しになったとは言え、翌月15日の発行というのはちょっと先渡し過ぎではないかと。大昔は0.1%クーポンとかでしたからそれほど大きな話じゃなかったんですが、さすがにここまで来ると先渡し分のネガティブキャリー(つーかクーポンが入ってこないというか)が結構気になってきますわな(今に始まった事ではないのですが、急に思い出したので書いてみる)。

20年国債とかは殆どレギュラー渡しに近い日程で発行してくれる訳でして、まあ国債窓販のことを考えて先渡にしているのだとは思うのですが、個人向けには個人向け国債もあることですから、あまり先渡しにするのもどうなんでしょうとは思うのですが。

で、この2年なんですが、ヒジョーにざっくりした言い方になりますけれども0.8%あれば今後利上げ2回分は耐えられるでしょうから、まあ絶対水準バイヤーというか持ち切り前提の人は参加できる水準になってますし、まあ別に懸念するような事もないでしょう、と思うんですが。


#という訳で本日は雑談で勘弁。






2006/10/25

お題「携帯電話の新価格体系とか相場雑感とか」

受験科目の勉強に集中させるために必修科目の履修を飛ばしてしまい、学年全員留年の懸念ってこれはまた豪快な本末転倒>富山県の某県立高校

○携帯電話新価格プランでCPI押し下げだそうですが

昨日の債券というか金先とか中短期債ではソフトバンクモバイルが発表した携帯電話の新しい価格プランがCPIを押し下げる効果→日銀の利上げが遅れるのではないか→金先など上昇というのをやってくれました。何を隠そうあたくしも「メール無料」に「おお!」と思ったクチですが、無料なのはSMSだけと知って「何だメールが全部無料じゃねえのか・・・・」と脱力したのですがまあそれは兎も角として。

まあこれで携帯電話の通話料が下がるとCPIが下がるって話は確かに仰せの通りのようですので、如何にもそういう話に食いつきの良さそうな海外ファンド勢大喜びのようでして、場中に強かった金先は引け後にまた上昇してました。ありがちな展開。

でもちょっと待てという感じはするんですよね。と申しますのは、携帯電話の通話料が下がった場合に他の商品の価格に対して波及効果ってどうなのよって思うんですな。これが例えば原油価格だったら原油価格の上昇が燃料やら化学製品の原材料価格の上昇を意味するので物価全体への波及効果がって話になると思うんですが、携帯電話の通話料って(そりゃまあ全然影響ないことはないでしょうけれども)所詮は局地的な話ではないかとシロートのあたくしは思うのでした。

以前米が不作で米価が上昇した時に「米価上昇で上るCPIはテクニカルな問題でデフレ脱却とは別問題だろう」(それは確かにそうですな)というお話がありましたが、まあ携帯通話料の場合は多分下がったら下がりっぱなしという点で違うのかもしれませんけど、これもまた似たような話じゃないのかなあと。

ついでに脱線致しますと、携帯電話通話料と言えば普段使うお金の中でも(たぶん特に若い衆にとっては)ちょっとした額になっていると存じますが、これが値下がってくれると他の消費に金が回って目出度し目出度しなんてのはどうでしょう(笑)?



○テクニカルよりも経済シナリオの検証が大事ではないかと

あたくし思いまするに、この手の事案に関しては「CPIの数値に与える影響」も大事ですけど、景気に対してポジティブなのかネガティブなのかって観点も入れて評価しないと、何か妙な話になるんじゃないかって気はするんですけど、何か今回のネタへの食いつきっぷりを見ておりますと、「量的緩和政策のCPIペッグの幻影」が色濃く残っているなあと思うのでありました。と申し上げるあたくしは日銀の「物価安定への理解」を華麗にスルーしているともいえそうですが(笑)。

あまり各方面の一般物価への波及がどうなのよっていう価格の変化でCPIがどうのこうのという話をする(のも大事ですが)よりは、「日銀が考える経済見通し、即ち展望レポートやら金融経済月報やら決定会合議事要旨やらで示されている日銀の経済シナリオの通りに世の中回ってるのか」という事を注目した方が良いんジャマイカとあたしゃー思うんですけど。そうなりますと、昨日申し上げましたさくらレポートやら主要銀行貸出動向アンケート調査の中身なんぞは「景気回復or拡大継続だけど、何か肝心の大企業/主要企業からの中小企業への波及効果があんまり出てないんじゃネーノ」って思わせる部分がありましたし、まあ雇用とか個人消費とかの個人部門に関する統計とかを注目するもんじゃないのかなあって思うのでありました(まあ昨日は他にネタが無かったからってのもあるかもしれないけど)。


などとエラソーなお話をしましたが、まあシロートの戯言ということでご寛恕賜れば、とヘッジクローズを入れるヘタレのあたくしでした(汗)。


以下相場雑感。

○FB入札ですが

本日予定されているFB3か月ものは2月償還となります。10月入り以降「利上げって何でしたっけ」状態でレートが形成されていた短いゾーンですが、ここの所へ来て12月の年末越えとか1月の決定会合越えとかの金利にプレミアムがついてきまして、まあ本日のFB入札も順当に考えると0.37%〜0.38%とか(38に近いのかなあ)になるのかなあという感じ。ちょっと年末越えの短期国債が重めになってきているようなのと、昨日は1月償還のCPも発行されてきたんで、年末越えの需給に若干変化が生じている感じ。

まあ1月利上げ(ヘタしたら12月利上げの線も捨て切れない)と思ったら本当は持ち切り前提だと0.4%くらい欲しい気もするのですが、FBの値段のつき方見てますと、12月の利上げはそんなには警戒してないが、1月利上げに関してはあるかもしれないという見方が結構あるんじゃないかなあって感じが致します。

#そんな中で相変わらず某金融新聞ではOIS取引の価格がどーのこーのというので「市場の利上げに関する見方」を報じてますが、だからアレは参加者が未だに限定的でバリエーションに乏しいんだからと小一時間


○20年国債入札でしたが

前場の引けが2.285%オファーの2.29%ビットで29ヒットして迎えた入札だったんですが平均落札が100円23銭の2.283%でオファーサイドの向こう側の落札結果。こりゃまた久しぶりにジャンピングキャッチの入札で、久々に某CM(の元ネタは名探偵明智小五郎ですが)の「また○○か!」というのを思い出しましたが、落札結果が強くてもその後は肝心の超長期ゾーンは足取り重いとな。まー事前予想ベースより強い結果だった分で空振りになった人は先物を戻して対応したってことなんでしょうけれども、入札が強くてもその後のセカンダリーで肝心の当該ゾーンが伸びないところがイマイチ力弱い入札ということで。

まー中々上を追っかけて買っていくような時期でもない(まだ10月)し、そこまで金利低下を見込むような状況でもないでしょって話なんでしょうね。







2006/10/24

お題「主要銀行貸出動向アンケート調査」

食事のバランスは大事です(謎)。

○銀行貸出の話

と言ってもこの話は本来銀行の中の人のほうが詳しいので、あくまでもシロートにわか評論でございます(汗)。

先週日銀から地域経済報告(さくらレポート)が公表されていました。ヘッドラインは「全地域において景況感が回復あるいは拡大」というお話になっていたのは既にご紹介申し上げましたが、では仔細に見るとどうなのよというお話ですけれども、本石町日記さんがエントリーを上げてましたので既に皆様ご存知かと。あたくし用に備忘録リンクを貼って置く所存→http://hongokucho.exblog.jp/5901428/
「さくらリポートに見る貸出事情=後ろ向きの資金需要と金利ダンピング」

皆様ご覧になってると思うのでややこしいことは書きませんが、要するに銀行貸出に関しては伸びはあるものの、その中身に「後ろ向きの資金需要」「貸出金利利鞘の縮小」というものが見られるというのがレポートにありますってご指摘でした。

そんな話が出た所で昨日は日銀から「主要銀行貸出アンケート調査」というのが発表されていましたんでつい読んでしまった訳なのですが→http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0610.pdf

何か色々と項目があるのですが、前回調査(は7月)と比較してDIに変化があるのは最初の方のページに記載されているあたり。

トップの質問の「資金需要動向」に関しては全体的にDI数値が悪化(=資金需要減少)しておりますが、特に地公体向けと個人向けが悪化。まあ地公体向けは悪化してもそんなに悪い話ではないと存じますが、個人向けも悪化してますな。住宅ローンとかなんでしょうし、季節要因もあるかもしれませんし、そもそもこのアンケートを時系列でフォローしてる訳ではないのですけど(苦笑)、ニュースベンダーでのヘッドラインでもこの部分は報道されていた感じです。

で、2ページ目になりまして、「企業向け」のうちの規模別はどうなのかという話になりますと、大企業向けには著変ないものの、中堅企業向け、中小企業向けと規模が小さくなるに連れて資金需要が増大しているという傾向が見られます。

で、この話は先ほどの本石町日記さんのエントリーにありました指摘、

『後ろ向きの資金需要とは、利益が減少して支払いが苦しくなり、借り入れを増やすこと。簡単に言えば、財務内容の悪化である。後ろ向きの貸出が増えているとき、それを景気回復を裏付ける材料の一つと錯覚して利上げすると、後ろ向きの借り入れを増やした中小企業は打撃を受ける。貸出は増加基調とは言え、後ろ向き・前向の見極めが必要と思われる。』

と重ね合わせて考えてしまうのでありました。まあこういう話は最後の所は金貸し現場に丹念なヒアリングが必要なんですけど、さくらレポートで一部地域から報告されていた話とこのアンケートはまあ話として整合性がございますなあという感じです。


アンケートの8ページ目には「利鞘設定」の話がありまして、こちらに関して見ると、貸出先の格付け(信用格付け)による利鞘設定の変化ですが、利鞘設定が拡大してるのは「下位格付け先」だけで、上位、中位の格付け先に関しては相変わらず利鞘設定縮小と。まあ前回調査でもそんな感じですので相変わらずの状況という所でしょうが。

しかし中小企業資金需要が増大してて、下位格付け先の利鞘設定が拡大っていうのを見ると、景気回復と称するものが実は中小企業への皺寄せで維持されているんじゃねーのかと思ってしまうのでありました。うーむ。(10月29日追記:この部分に関しては「クレジットスプレッド正常化(今まで量的緩和によってクレジットスプレッドが潰れていた面があった為)の動きではないか」という確かにその面もあるかなというご指摘を頂きましたことを追記させていただきます)


以下雑談。

○全国信用組合大会における総裁挨拶

http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0610c.htm

景気に関する話とか物価に関する話は毎度のお話なのでどうでも良いのですけれども、金融システム面に関する項目があって、そこでこんな話をしております。

『こうした期待に応えていくうえで、今後予想される金融経済環境の変化を踏まえつつ、金融業務に付随する様々なリスクを適切に管理していくことが一段と重要になっています。なかでも、金融市場の状況が変化する中で、金利や流動性に関するリスク管理の重要性が高まっています。』

信用組合の経営規模(勿論大きい所もありますので一概には言えませんが)で「金利や流動性に関するリスク管理」とか言われましても。精緻なリスク管理するよりもストレステストをする方が重要だと思うんですけど。流動性に関するリスク管理とかまでやらせようって方向なんですかねえ。管理するなとは言わないけれども、管理すべき方向が違うような気がする。

金融高度化もほどほどに、と思うあたくしは高度化路線と程遠いドブ板現場労働者の僻みが濃厚に入ってますかそうですか。


○20年国債入札

あたくし的には明日の2月償還になる3か月FBとか、あさっての2年国債にワクワクテカテカしてるんですが、まあそれは兎も角として、昨日は一応相場水準をちょっと下げてくれましたな。今日の前場に変な買いが入って踏み入札になったら後はシラネになる悪寒がしますが、まあそういう変な入札にならなければ無難じゃないっすか。

踏み入札にしても、後続の買いがそう簡単に上の水準を買ってくれるかと言いますと、勝手な想像ですが20年ゾーンの最終投資家の人たちは結構辛抱強くて、中短期ゾーンあたりを売買するどっかの誰かさんのように、直ぐに買ったり投げたりカバードコール掛けたオプション行使されたら踏んだりというようなドタバタをする傾向が小さいんで、まあ入札前に熱心に持ち上げても追随はどうなのよって思いますけどね〜♪


#本日は途中まで書いて全部削除したのがあったんでこの程度で勘弁







2006/10/23

お題「9月決定会合議事要旨を良く見ると・・・/結論は同意だが論理展開が・・・」

朝の気温と目覚まし網突破率は反比例しますなあ(汗)。

○よく見るとヘッジクローズが増加中の9月決定会合議事要旨

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060908.pdf
先週水曜日に公開された9月決定会合議事要旨ですけれども、景気に関する『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の部分を見ると景気の先行きに関して微妙な意見が増えている事に気が付くのでした。8月の議事要旨と比較して見ると吉かと。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060812.pdf(これは8月)

8月の議事要旨を読んだ際に(9月21日のドラめもんで書きましたが)、慎重意見がちらちら出てきましたなあと申し上げましたが、日銀のメインシナリオ(外需や企業部門の好調が個人部門に波及して景気の牽引役は個人消費にバトンタッチ)実現の為に重要な個人消費、雇用・所得面に関連する部分で慎重意見が増えていることに気が付くのでありました。

「個人消費について」の最後の部分から。

『また、多くの委員は、企業部門の好調さが家計部門へ波及するスピードについて、これまでのところは比較的ゆっくりとしたものになっていると述べた。』(9月8日)

ちなみに、8月の議事要旨ではこんな記述がありましたわな。

『ある委員は、景気回復が所得層によって異なる影響を与えている可能性があり、その場合、好調な企業業績から個人消費への波及効果が想定比弱いかもしれないと指摘した。』(8月12日)

ある委員の指摘が今回多くの委員の指摘になっております。弱いという表現ではないので表現としては8月のものよりも控え目になってますが、企業部門から家計部門への波及に関してはやや慎重に見だしているということになるかと存じますがどうでしょうか。


「雇用・所得面について」の賃金に関する部分で慎重意見が。

『賃金について、何人かの委員は、所定内給与が足もとやや弱めとなっていることに言及し、この背景には、企業の人件費抑制スタンスが根強いことがあると指摘した。』(9月8日)

先月まではこの部分は威勢の良いフレーズとなっておりました。

『雇用・所得面について、委員は、労働市場の需給は引き締まり傾向を続け、フルタイム労働者を中心に雇用者数が着実に増加しているもとで、雇用者所得も緩やかに増加を続けているとの認識を共有した。』(8月12日)

で、まあ議事要旨ご覧になれば判りますが(てか引用すると量が多くなるんで)、この「雇用・所得面について」という部分が9月8日の会合では量が増えておりましてですな、結論としては8月12日と同じで「今後も緩やかに増加」ってなってますが、途中にヘッジクローズが入った格好になっております。


ということで、まあこの「個人消費」「雇用・所得」の今後の見立てに関してちと先行き懸念っぽい意見が増えてきているという点に関しては注意が必要なのかも知れません(ただし、先日の決定会合後の定例記者会見で妙に総裁が元気になっているように会見要旨の字面から読み取れるので、10月会合でまた強気になっているのかもしれませんけどね^^)。



○結論部分は同意だが途中の立論過程が無理矢理すぎます

Baatarismさんのブログで(http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20061020)知ったのですが、日経新聞太田編集委員が「福井総裁の新たな火種」ということで"不適切な講演"についてNIKKEI NETに記事を書いておられたそうです。当該記事はこちら→http://www.nikkei.co.jp/neteye5/ota/20061019nb9aj000_19.html

えーっと、こちらのコラムによりますと、9月4日に福井総裁が不動産証券化協会(http://www.ares.or.jp/)で講演した時にCPI改定に関するコメントをしたということだそうで、その講演が非公開のものであり、(正直あたくしも全然知らなかった)9月8日の定例記者会見の前に非公開の場で金融政策に関する発言をするのはケシカランという事でございます。こちらの記事によりますと、福井総裁はこのように発言したそうです。

『消費者物価の改定値が予想を下回ったことで、市場が反応を示しています。現在、市場の反応と私たちのベーシックな判断との間にギャップがありますが、無理にギャップを埋める必要はありません』

また市場水準について語っていたのかよという感じで呆れてしまうのですが、何も非公開の場でそういう話をするこたあねえだろうと思う訳でして、この発言に関して太田編集委員が『公平な情報開示を求めた「日本銀行員の心得」に違反するとともに、公平な市場への背信行為にあたるといえる。』と指摘したことに関しては、(8日の定例記者会見前の発言だったことから)背信行為とまで言うかどうかはともかくとして適切な発言だったのかは疑問が。

9月8日の決定会合の日のあたくしの手控え帳面を見ると、「福井総裁会見で長期金利低下の牽制発言無かったことから引け後に先物上昇」とありまして(翌日から夏休みだったのでメモがかなり雑だわ^^)そういえばこの週は「定例記者会見で総裁が長期金利低下について牽制発言をするんじゃないか」という話が聞かれていたのを思い出しました。「そんな発言する訳ないじゃん」と思った(し駄文でも書いた気がする)のですが、もしかしてもしかすると背景にこの発言があったのかなあ??単なる脳内妄想だから思いっきり外しているかも知れませんので念の為。


・・・と、まあここまでは良いのですが、太田編集委員と言えば日経ウォッチャー(人の借りて読んでるだけですすいませんすいません)の間では「やたらと日銀批判記事を書く」人だけど、「立論過程が無茶な記事になる」ということで著名なお方でもございまして、途中の話が正直無茶苦茶過ぎでして、市場の中の人が読むと説得力が超越的に失われるという残念な点がございます。何か個人的に日銀に含むところでもあるんじゃないかと想像しちゃうような日銀悪玉論なんですけど、過ぎたるは及ばざるが如し。

・発言内容は物凄く重大だったのか

『基準改定を日銀がどう受け止めるかは、年内利上げの有無を探る市場の最大の関心事だった。』(上記コラムより)

Google大先生で「CPI 基準改定 影響 金融政策」とキーワード並べて検索をすると、あたくしのPCでは最初にヒットしたのが8月29日の本石町日記さんのエントリーで、その次は大和SMBCが8月28日に出したレポートなのでした。

本石町日記さん→http://hongokucho.exblog.jp/5581825
大和SMBCのレポート→http://bond.daiwasmbc.co.jp/kinyu/bojw236.pdf

まあ中身はURL先をご覧いただきたいのですが、当代切っての日銀ウォッチャーの方2名の見解はいずれも「基準年改定そのものに関しては金融政策に影響を与えるものではないでしょう、日銀は自然体」というものでございまして、その点から申し上げますと、指摘された福井総裁の発言に関しては(市場動向にコメントしている点は如何なものかと思うが)既にそういう発言をするでしょうと予想されているお話ですし、その発言が定例記者会見で出た8日引け後は長期金利低下の牽制発言が無かったということで相場が上昇しておりますわな。

残念ながら「市場の最大の関心事」なのかというとそれは「否」と申し上げてしまいますな(そりゃまあ「CPI改定でデフレ懸念だ大変だ」とか言うのならサプライズでございますが、んなこたあねえ)。それに、CPI改定が出てくる前から「金融政策は総合判断」という予防線(苦笑)が出てましたし。


・この「情報」で儲かったんでしょうか

『福井氏は空白の4日間を作ることで、金融機関や不動産会社が講演情報を元に債券や株式を売買できる物理的な余地を与えたことになる。』(上記コラムより)

9月4日の講演ですから5日の寄り辺りから見るのかもしれませんが、この週は金曜日に先物が下落しましたが、トータルで見てまあそんなに下がっておらずおまけに8日の会見後は相場上昇し、週明けの11日には衝撃の機械受注統計で相場が大爆発しましたですな。残念無念。


・それはちょっと・・・

『その講演は福井氏が株式を保有する不動産会社の社長からの依頼で実施していた。』(上記コラムの冒頭部分より)

もちろん記事の中にはこの講演が「不動産証券化協会」で行われたという事が書いてありますが、これじゃあまるで不動産会社が単独で行ったセミナーでの講演みたいな印象を与えると思うんですが、最初にこういう書き方するのがテクニックなんだなあとその点では感心しますけど。

で、くだんの不動産証券化協会ですけれども、そのメンバーを見るとこんな感じ。
http://www.ares.or.jp/ares/officer.html

どう見てもただの業界団体で、金融業界入りまくりです。本当にありがとうございました。

ということで、折角の指摘なんですが、話の展開に「???」があるので説得力が落ちているのが誠に残念なコラムなのでございました。

・そもそもですな

と、立論過程にイチャモンをつけさせていただきましたが、論議のキモでありますところの「金融政策に関する情報発信は全て公開で行うべし」というのはあたくしも同意したい所ではございます。

でもね、その結論出すんだったら「展望レポートのリークかと思しき記事」とか「新しい金融政策に関するリークかと思しき記事」を決定会合の何日も前に掲載している新聞はどこの誰だったっけと小一時間問い詰めたくなりますし、それなら「単独インタビュー」も止めてくれませんかねえと嫌味の一つも言いたくなってしまいますですな。

ま、福井総裁がサービス精神旺盛で、いらん事を喋ってしまうというのは(例えば本件だって別にそんな発言しないで金融政策に関する基本的な話を繰り返していれば全く問題視されるようなものでもなかったと思いますが)今に始まったことではありませんが、まあ勘弁頂ければと思うのでございます。脇の甘さは相変わらず感じますなあというところでございます。





2006/10/20

お題「ネタが多くなってまいりました♪」

というのにちと寝坊。

○2年0.8%ですかそうですか

昨日の債券市場、というか中短期債券ゾーンはまたもヘロヘロになっていたようでして、2年カレントは何と0.8%まで金利上昇。あのー先週木曜の引けは0.685%だったんですけど・・・・

で、この間の激しく面妖な所は、「年度内の利上げ無し」という勢いで威勢良く動いていた中短期ゾーンがいきなり「12月の利上げ懸念」とか言い出すところ。まあ実際にトレードしている人たちはそんなに極端に金融政策への読みをぶらしている訳では無いと思う(小僧とエライ人と海外ファンドの人は別)のですが(だいたいイメージの中心は1−3月だと思うんですが)、何せ相場がそう動くのですから「同じアホなら踊らにゃ損損」ざますんで(とは言えどこかで向わないとタダのアホになりますが、爆)。

でですな、まあこの間に経済指標とかが出て経済のファンダメンタルズへの見方に大きな変化がありましたっていうのなら判るんですが、先週から今週に掛けてはそんな大きな指標が出たわけでも無し、他市場もそんなに動かず。福井総裁会見だって別にまあ従来と変った話をしてるわけではないという事で、せっせと金先やら2年やらを売っている皆様におかれましては、おまいらの情勢判断は新聞報道とか風雪とかで行うのかと問いたい、問い詰めたい、小一時間問い詰めたく存じます。もうね、アホかと馬鹿かと。


今週に入って何故か唐突に「円キャリートレード」話が出てきたり(皆様ご案内のように、本件は先月に公表された金融政策決定会合議事要旨ネタで、本石町日記さんがとうの昔にご指摘してます)、昨日の新聞などの報道では「OIS市場取引で年内利上げを50%織り込んでいる」という話が出てみたりしてて、この如何にもという流れは何なんでしょうかね。しかも昨日の朝は毎度お馴染みの某海外レポートが「FED年内利上げ説」とか出してたようですし。

ついでに、あまりにも短期ゾーンがヘロヘロになっているのであんなウワサやこんなウワサもあったらしく、本石町日記さんが(って毎度ネタにしてスイマセン)エントリー上げてるんでご参照ありたし(と言わなくてもご覧になってると思いますが)。
http://hongokucho.exblog.jp/5895087
『噂の真相=尾ひれの付き方は複雑性』

何かこう一連の変な流れがあるって感じですな。誠に遺憾。


ちなみにOIS市場ですが、想定元本ベースでの取引高は結構あるようですが、参加者の層が薄く、ニーズは特にこういう動きが出たときにはぶっち切りの一方通行。んなもんを参考にするよりは、リアルマネーというか持ち切り前提の参加者が存在して毎週4兆円発行されてるFB3か月物の金利でも見たほうがマーケットのリファレンスになると思うんですけどね。


○FB3か月は落ち着いてます

昨日は輪番は無かったのですが短国買入が実施されましてまあお助けオペでおじゃります。昨日申し上げたように、1年TBの引けが多分実力よりも強いんじゃネーノって感じでしたからまあ入ったのは1年TBが中心だろうと想像できますが、在庫がやや軽くなってくれた感じ。

前日の入札で0.355%とかだった3か月FBですが、まあ確りとして参りまして、0.35%オファーの0.36%ビットという状況になってますから落ち着いた展開。より短いゾーンに関してはニーズが強いという感じで、引け値だけ見てると12月償還と1月償還の所で段差がありますが、たぶん11月償還と12月償還の間にも段差があるんじゃないかと愚考。

短い所にニーズがあるのは長いところ買いにくいから短い所へって動きが顕著になっているってえことでしょうかね。


○さくらレポート:景気絶賛拡大中だそうな

何でこうネタがある時はネタだらけになるんだかと思うんですが、さくらレポート(地域経済報告)に関してちらっと。

今回はこちら
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0610.htm
ちなみに前回は7月に公表されていましてそれは下記URL
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0607.htm

こういうのは例によって前回と比較するのが一番手っ取り早し。

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きとなっており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』(10月)

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、ほとんどの地域で引き続き拡大あるいは回復方向の動きとなっており、全体として着実な回復が続いている。』(7月)

回復→拡大ですよ先生、で回復/拡大も「全ての地域」だそうです。

この後に項目別に展開した説明になるのですが、これがまた景気のいい記述が並ぶのでありました。アーコリャコリャ。

『企業部門は好調さを増している。』『家計部門への波及も徐々に進んでいる。』『生産の増加も明確化している。』

いやあ景気の良いお話ですなあ。ちなみに、個人消費に関しては7月には『全体として底堅い』だったのが今回『緩やかに回復』と判断を前進させているのも注目される所だと思います。日銀のシナリオでありますところの「企業部門の好調さが家計部門に波及して景気の牽引役が個人消費にバトンタッチされる」というお話が今まさに進行ですかそうですか。

細かい地域別のものも中々オモロイのですが、今回はパス。


○尾身財務大臣会見メモ(10月17日)

http://www.mof.go.jp/kaiken/my20061017.htm
17日の記者会見でこんな話が。

『07年度というか19年度予算については、何回もここで申し上げているように、基本方針2006に基づいて、厳しい歳出削減合理化をやっていくということが決まっているわけで、その方針の中で進めていきたい。』

『ただ、9月に安倍政権が発足をして、例えば再チャレンジとか地域の活性化とか、いろんなことが政権の大きな課題としてなってきておりますから、それについては各関係省庁のご意見も伺いながら、全体の予算の大枠を変えない中で、出来るだけの弾力的な対応をしていきたいと考えております。』

質疑応答の中から出てきたコメントなんですけど、先日の会見でも『新しい内閣の基本的な考え方に沿って、追加というか差替要求等をするものについては、財務省は前向きに対応します』って話をしてましたけれども、何か「上げ潮」路線と併せて考えると財政拡大の香りが。政府税調会長も交替するようですし。

でね、財政拡大路線に金融緩和を継続って話になると、すっかり忘れられている「財政マネタイゼーション懸念で長期金利跳ね上がり」シナリオが復活しませんかねえってのはまあ随分と先の長い杞憂ではございますけれども、何かちょっと気になるなあということでメモメモ。まあ別にあたくし財政均衡優先すべしって考えともちと違うんで、別にそれで長期金利が跳ねても程度で許容できると思いますけど。


ところがですな、bewaadさんが経済財政諮問会議の議事要旨から指摘してるのですが(http://bewaad.com/20061020.html#p02)、経済財政諮問会議ではまた別の話をしているようですな(実質第1回の経済財政諮問会議議事要旨をまだ読んでなかったあたくしはorzでございます)。「中長期的な平均インフレ率が0.8%」だったら日銀の物価安定の理解の中央値よりも低いじゃないですか。これのどこがどう上げ潮路線なのかと小一時間。

#日銀よりも政府の方がインフレファイター(デフレ愛好者?)だったとは!

てなわけで、財政マネタイゼーション懸念の長期金利上昇などという遠い話を心配する前に、経済政策が全体として支離滅裂になって、何となく見た目が世論受けしそうな尤もらしいミクロ介入のオンパレードになる方を懸念した方が良いのかもしれませんね。とほほのほ。







2006/10/19

お題「これはまた面妖な短期ゾーン」

どこぞの証券がどこぞの会社の実質売り推奨レポートをいきなり取り下げて新興市場が上昇って何か釈然としないものを感じますな。嵌めこみ(というか逆ですか)という言葉を墨蹟鮮やかに大書したくなるんですけど、そーゆーのは何故か華麗にスルー(自主規制)。


○FB入札パッとしませんでした

昨日のFB入札ですが、昨日あたくしが申し上げた警戒感入りモードの0.35%にあっさり乗ってしまいまして、日本相互証券の引けは0.355%となっておりました。しかもオファー残りのようですな。また予想が外れるという実に香ばしい状況に我ながら笑ってしまいますな。すいませんすいません。という訳で言い訳がてら(笑)、何でそーなってるのという考察を。

昨日に限らずですが、まあ今週に入ってからの2年債のヘロヘロ振りが中々香ばしいものがございまして、金曜の引けが0.705%と久々に0.7%台に乗ったと思ってたら昨日の引けは0.77%と0.065%上昇ですよ先生。この間に債券先物は38銭(チーペストは0.035%上昇)しか下がってないんですなこれが。5年カレントが0.06%上昇ということで、利回りベースでは2年とか5年が引っ張って相場下げてますってお話ですわな。

どうも今週に入ってからその傾向強いんですが、残存1年から2年とかの国債の売りが妙に多いようでして(だから2年がヘロヘロなんですが)、需給が悪くなっておりました。で、昨日は輪番オペがあるかと思ったのになぜか実施されずでして、昨日の相場付きだと明らかに1年〜2年ゾーンが外せるお助けオペになることは間違い無いところだったのですが、これが無しというのでちとガックリしたディーラーは多かったものと思料。ってか昨日のドラめもんであたくし思いっきり輪番オペがあるものと思って書いてましたね。

という需給の悪さですが、そのゾーンの実弾売りって時の背景にはだいたい「早期利上げ警戒感」みたいな雰囲気がある次第でして、まあ何をどう地均しと解釈してるのか知りませんが、現象としては福井総裁の定例記者会見を受けて実弾売りが嵩んだという解釈になってしまいますわな。なんでじゃろうかのう。

でもあたくし前から申し上げてますように、福井総裁会見で反応するなら武藤副総裁の講演テキストで反応するもんじゃねえのか(基本的に全く同じ話ですから)と思いますし、それ以前の問題として、日銀の公式見解は金融経済月報の基本的見解が7月以来まるっきり同じになっているという事実を見ていればスタンス不変なのは予想できそうなものだと思うんですけど。

まあそんなわけで、昨日のFBもどう見ても平均落札レベルは堂々のオファーサイドでもう一声で0.36%レベル。1年TBなんかも日本相互証券の引値ベースでは0.585%のようですが、実力は0.6%近傍じゃネーノと思うんですが、まあ随分と雰囲気が急に悪化してきましたわな。


しかし何で輪番を昨日実施しなかったのかどうも理解に苦しみますわな。単に資金需給見ての事だと思うんですが、短期ゾーンの需給悪化に見事に効いてしまいましたわな。これが狙ってやっているのだったら凄いですけどね。まあ短国買入と輪番で何とか需給軽くしていくしかないでしょうな。


○9月の決定会合議事要旨

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060908.pdf

この要旨出た後に債券先物は下がるわ株価指数先物は上るわという展開になっておりましたので、慌てて読んだのですけど、あたくしの読み方がヘボだったせいか特に「あちゃー」というものは見当たりませんでした(幾つか論点はありますが、ちと今朝は時間の都合上そこまで手が回らない)。

情報ベンダーのニュースを見てますと、昨日の一部報道で取り上げられていた「日銀、円キャリー取引の監視を強化」とかいう記事に関連して、「為替市場では今回発表される決定会合議事要旨への関心が高い」とかいうコメントが為替の人から出ているのを見てもう何言ってるんだかって感じですけど、特に円キャリーに関する記述が無かったってのがまた話題になっていたようですな。

一応先行きの金融政策に関する部分を。

『先行きの金融政策運営について、委員は、今後とも経済・物価情勢を丹念に点検しながら運営していくとしたうえで、経済・物価情勢が4月の展望レポートで示した見通しに沿って展開していくのであれば、金融政策運営についても、展望レポートで示した考え方に沿って進めることが適当であるとの考え方で一致した。』

ここは毎度お馴染みの書き方ですな。

『また、今後の政策変更の時期については経済・物価情勢次第であり、現時点で何らの予断も持っていないことを丁寧に説明していくことが大切であるとの認識を共有した。』

年内利上げがどうのこうのとか聞かれたときには上記の文言を呪文のように唱えておれば良いわけでして、何もわざわざ余計な事を言う必要はないのですな。

『こうした基本的な考え方のもとで、具体的な政策のタイミングや金利水準については、経済・物価情勢次第です。これ以上に言いようがありませんが、ご質問にありました年内の追加利上げの可能性云々を問われれば、否定することはできないと思います。しかし、だからといって現時点で利上げの時期を特定して考えているわけでもなく、従来通りオープンです。』(10月13日の総裁会見)

これは13日の福井総裁の記者会見での発言ですけど、「これ以上に言いようがありませんが」以降は余計なフレーズというものです。こういう事言うから発言の一部を切り取られてヘッドライン打たれるんですよって申し上げたいですけどね。マッタクモウ。

消費者物価指数の基準改定についてもこの部分で言及がありましたが、まあ予想通りといえば予想通りの内容です。

『消費者物価指数の基準改定に関連して、委員は、「新たな金融政策運営の枠組み」のもとで示される「中長期的な物価安定の理解」は、中長期的な概念であるため、今回の指数改定に伴って変更されるものではないことを確認した。』

まあそう来るのは想定の範囲内ですが。というところで今朝は時間切れ(汗)。






2006/10/18

お題「生活意識に関するアンケート調査/その他」

○日銀の「生活意識に関するアンケート調査」

月曜の話ですが、上記アンケート調査が発表されました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0610.pdf

PDFで24ページもございますので、実はまだ全部読んでない(追記:実はこの駄文書きながら全部読了しました、笑)のですが、まあとりあえず物価に関するあたりを読むのが基本ですわな。と申しますのは、政策委員の皆様の講演などを読んでおりますと物価の先行きに関して「人々の見方」に言及してますからなんですけど。

PDFの19ページ目に物価に関する質問とその回答が出ております。

『問11. 次に「物価」についておうかがいします。あなたご自身の感じでは、「物価」は1 年前と比べてどう変わりましたか(「物価」とは、あなたが購入される物やサービスの価格全体のことです)』

ということで、その回答に関して詳しくはPDFを見て下さいなんですけれども、総じて「物価が上っている」「上昇率が拡大している」「今後も上昇する」という答えになっておりますな。とは言え、その上昇率に関しては回答の中央値が3%になってるので、上ると言ってもまあそんなもんですかという感じですけど。

#ちなみに、極私的な話をしますと、普段の日用品お買物ベースで考えると物価上昇と申しますか、安売り品が段々減ってきているということは感じますな。

生活意識に関するアンケートの部分(17ページ以降)を見ると何か「暮らしぶりが苦しくなった」とか「収入が減った」とかいう答えの割合が増えているのが気になりますが。景気に関しては悪くなったという答えがそんなに増えてるわけでも無いと思うんですが、こりゃ国民負担増がジワリと効いてきてると見たほうが良いのかなあ。


○同じく生活意識アンケートの日銀に対する質問

『(5)日本銀行を信頼していますか』って質問がございまして、これに対してまあ色々とございましたので「信頼しない」の答が増えるのはやむを得ない所ではございますが、この部分を新聞がどう取り扱ってますかというのがオモロイのでまあ小ネタ的に。

まずは皆さんご覧になられる日経新聞ですが、NIKKEI NETより。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C1603F%2016102006&g=E3&d=20061016
『1年後の物価上昇率、5.1%と予測・9月の日銀アンケート』

まあこういうお題になりますわな。実際問題としてはこのアンケートでは極端な数字を出す人がいるらしいので、平均値じゃなくて中央値を重視して「3.0%と予測」と出すべきではないかと思うのですが、まあそれはそれと致しまして。

これが東京新聞(中日新聞)になるとこうなります。
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101601000492.html
『「日銀信頼しない」急増 調査、総裁投資問題響く』

何せ昨日の東京新聞朝刊では1面左側の「今日の紙面から」っていうお題ご紹介の経済記事に同じく「日銀信頼しない」急増と出てまして、新聞を見たあたくしは思わず「その発想は無かったわ」と声を出してしまった次第(笑)。

記事の順番ですが、日経は物価の話がほとんどで最後に「日銀信頼しない」の結果に対して触れるという構成に対しまして、東京新聞はほとんどがこの「日銀を信頼するかしないか」の話で、その後物価と景況感の部分に触れているという流れになっております。中々オモロイなあと思いましたよ。


で、まあその東京新聞記事では先ほど引用したように、総裁のファンド投資問題が響くと書いております。記事の冒頭部分は『福井俊彦総裁の村上ファンドへの投資問題などの不祥事が表面化した日銀に対し、「信頼していない」との回答が調査対象の16・4%と、3カ月前と比べ7・3ポイント急増したことが、日銀自身が16日公表した生活意識アンケートで分かった。』と書いております。

さて、日本経済新聞様におかれましてはいかがかと存じますと、上記URL先の記事にはこのように記述されています。

『また日銀の評価に関しては「日銀を信頼していない」が16.4%と前回調査よりも7.3ポイント上昇。職員への出張旅費の過払いなどが響いたとみられる。』

どう見ても誰かさんへの遠慮(配慮?)です。本当にありがとうございました。


○1年TB入札と3か月FB入札

昨日は30年国債の入札の横でひっそりと1年TBの入札が行われましたが、どうも人気はイマイチのようで、落札結果は事前予想通りだけど、その後の伸びは無しという有様。まあ本日の輪番で1年半とかのゾーンを捌いて、金曜あたりの短国買入でこちらを捌くことによってちったあ状況は緩和されるかと思料。

で、1か月とかのごく短い期間に短期運用資金が避難しだしている感もありまして、こっちの金利は全然上らない感じですな。CPの発行利回りが上らんというのはどうなのよと存じますが、特に1か月とかのあたりはヘタすると現先よりも低いレートになってたりするのよね。

本日の3か月FBはそーゆー意味ではびみょーな期間になります(1月の金融政策決定会合越えだし)ので、WIの0.36%はまあギャグとしましても、今回の入札で0.34%台に順当に収まるのか、それとも退避資金殺到であっさり0.33%台になるのか、警戒感で0.35%あたりまで突っ込むのか。注目はしておきたいと存じます。

しかしコールとかレポの金利が確りとして下がらんのにショートタームのCP発行金利が上る気配皆無というのも何ざますかねえという感じです。ちと心なしか発行が減っている感じがするので、需給面によるものが大きいとは思いますけど。。。。


○ネタメモ

#以下個人的備忘メモ

・次世代RTGSプロジェクト通信ってのが日銀から出てます。マニア必見(か?)。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610b.pdf(創刊号)
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610c.pdf(第2号)


・「適格担保取扱基本要領」の一部改正等について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k061013b.htm
金融政策決定会合で同時に公表された文書


・「次期日銀ネット端末」の利用開始について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610a.htm
あたくし的には専用端末の方が安心感あるんですが、まあこれが技術の流れなんでしょうね


・バーゼルU関連
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/bis0610a.htm
「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」改定版の公表について

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/bis0610b.htm
「先進的計測手法(AMA)の主な論点についてみられたプラクティスの幅」の公表について

正直、ここまで手が回らない上に、あたくしの知能ではお取扱い致しかねるので、誰か判りやすく解説してくれないかなあとクレクレ君状態。





2006/10/17

お題「福井総裁記者会見(その2)」

会見テキストが出ましたので昨日の続きを。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0610b.pdf

基本的に景気に対する見立てについては先日ご紹介した(ものの全部はご紹介してませんが)武藤副総裁の記者会見(と講演)の線から外れていませんので、実を言えば武藤さんの講演テキストと記者会見要旨を見た方が役に立つ(簡潔だし)と思われます。

・・・・だと話が終わってしまうので、まずはちと別の点から。

○何かいつもの調子が戻って来やがりましたな

本石町日記さんが既に話題にしてましたので屋上屋を重ねるとはこの事ですけど、口が滑らかになってきましたなあって感じを受ける箇所が少々。

最近の相場動向にというか「質への逃避現象が起きているように見えますが、景気の見立てとの関係はどうなんでしょうか」言う質問に対してこんなお話を。

『株式市場の価格を含め、マーケットの中で形成される相場については、世界中の数えきれないくらい多くの市場参加者の経済に対する見方、あるいは思惑、期待が最終的に総合されて、ひとつの相場として浮かび上がってくる、あるいは相場の変化として浮かび上がってくるものです。そのため、今のご質問にクリアー・カットに答えると間違うリスクが非常に高いと思いますが、あえて整理して申し上げれば、(以下超長い)』

「そのため」の前の部分ですが、んなこたあ総裁様に言われるまでもないお話かなあとか思っちゃうんですが、どシロート向けに丁寧な説明するようなマクラをつけるあたりが福井節復活ですなあって感じです。多分ご本人は親切丁寧に話をしてる意識で言ってると思うんですが、テキストで見るとどうもこの部分は言わずもがなというか慇懃無礼というか、まあいいけど。

で、この「あえて整理して申し上げれば」以降がやたらめったら長いのですが、まあ色々と見解をご披露されております。中身はよく読むと両論併記みたいな感じですが、基本的には今まで商品とか新興国市場にいってた資金が先進国のブルーチップ銘柄に行ってますなあってお話になってまして、あまり奇をてらった話ではないです。

ただまあ言えるのは、テキストから読むと質問者としては「質への逃避が起きてるけど日銀の強気見通し大丈夫なの」って聞いてるように見えますが、それに対しては先行きへの「期待」という言葉で日銀の強気見通しをフォローしているという印象を受けました。


○基調はやっぱり強気ですなあ:「慎重に」をしらっと否定

『(問)先程、総裁は金利水準の調整はゆっくりと進めていくことに尽きるとおっしゃられましたが、昨日の国会では「慎重に」という言葉を挟まれました。それを受けてマーケットでは、より慎重に今後の追加利上げを行っていくのではないかという憶測も聞かれました。昨日の国会答弁において「慎重に」という言葉を使われた真意をお聞かせ下さい。』

『(答) そういう報道を拝見し、最近のマーケットではあまり材料がないのかな、と率直に感じました。私は、特に新しい意味を込めて答弁をしたつもりは全くありません。』

最初の「材料がないのかな」というのはちとウケましたが、新しい意味を込めて答弁したつもりが無くても、マーケットというのはそういう反応をするのですから、言葉遣いは慎重にしていただきたいと思いますですよ福井総裁様。いつもと違う言葉、特に総裁の場合アドリブで妙な形容詞や副詞(や英単語^^)が入る傾向があるんで、そう思うのならば余計なフレーズは付け加えないように願いたい物です。

とは言え、福井節復活の香りは先ほど申し上げたように濃厚でございますので、マーケット的にはヘッドラインに戦々恐々の日が復活というところでしょう。いやあ引け後にのんびりできませんなあ(笑)。

『いつも申し上げているのは、諸情勢の変化を丹念に点検しながら、ゆっくりと必要な調整を進めていくということです。「慎重に」と言ったとすれば、それは「丹念に情勢を点検しながら」と言ったのと同じ意味だと理解して頂いて良いと思います。』

正直、国会中継見てなかったのでどういう言い方したかあたくしも判らんのですけど、まあ特にテキストが翌日とかに出てこない国会答弁はヘッドラインによって印象が完全に作られてしまう(講演だとその場でテキスト出るし、会見だと翌日にはテキストが出る)んで、特に慎重を期して頂きたく存じます。つーか国会に呼びすぎ。


○基調はやっぱり強気ですなあ:「下振れリスク」の質問に対して・・・

『(問)米国経済の関係でもう一点お伺いします。日銀は、現時点では米国経済がソフト・ランディングのパスにあるとみていると思いますが、展望レポート等で言われているような、起こる可能性は低いが仮に起こった場合の日本経済への影響が大きいという観点からすると、』

変な所でぶった切って恐縮ですが、この質問の仕方に感心してしまった(誰がしたのか知らんが)ので変な所で切りますね。「起こる可能性は低いが仮に」云々って以前利上げ早期化ロジックを補強する時に言われてましたわな。それを逆手に取って下振れリスクに対する質問をするのが中々。

『米国が仮に予想外に悪化した場合の日本経済に関する最大損失をどのように見られていますか。また、現在の日銀の金融政策運営に関して、そのリスクはどういう位置付けにありますか。日本の経済・物価が想定範囲で動いているのであれば、ゆっくりと金利を調整していくということでしたが、それに対して、米国のリスクが金融政策にどのように影響しているのかを教えて下さい。』

で、この質問に対する答えも長いのですがダウンサイドリスクに関しては要するにこういうことだそうです。

『(前半部分割愛)米国経済のダウンサイド・リスクが、ゆっくりと金利水準の調整を図っていくという私どもの基本スタンスにまで響くほどの強い影響になるかはまだ分かりませんが、具体的に今後の金利調整を進めていくペースそのものを調整することによって吸収できる幅は十分あると思っておりますので、シナリオが少し狂った時に金融政策運営のシナリオまで一挙に塗り替えるというリスクは、それほど大きくないのではないかと思います。』

で、まあそれは良いのですが、この質疑応答の後半部分は聞かれもしないのに「米国経済のアップサイドリスク」に言及してます(驚)。

『一方、米国経済について、アップサイド・リスクも考えておかなくてはなりません。(以下長いのですが割愛^^)』

テキストを読んでいたあたくしが目を丸くしたのは言うまでもありません。


○インフレターゲットに関して

インフレターゲットに関する質問に対する答えからかいつまんで引用致します。

『インフレーション・ターゲティングを唱えられている内外の識者の方々のお話を聞いてみますと、それぞれの言葉がインフレーション・ターゲティングであっても、中身には随分幅があると感じています。現実にインフレーション・ターゲティングを採用している中央銀行の例を見ても、実際の金融政策の運営の仕方は、インフレーション・ターゲティングというアンブレラ(傘)のもとで、それぞれその国の経済情勢に即して実情に合う金融政策を行っているという意味で、非常に幅があると感じています。』

『私どもは3月に量的緩和政策を終え、金利レジームに戻った時に、新しい金融政策のフレームワークを公表しました。(中間割愛)インフレーション・ターゲティングと言われているものの共通項と比較すれば、より柔軟なやり方を私どもは採用したと思います。柔軟とはいい加減という意味ではなく、ここから先、日本経済が目指すべき方向とより良く合うように、という意味で申し上げたのです。』

だそうです。どうも福井総裁は「インフレーション・ターゲティング」はお嫌いなようですな。


で、物価安定に対する理解に関する評価ですが、同じ答えの中から。

『7月にゼロ金利からの脱却という大きな政策変更も行いました。この時は3月に新しく打ち出したフレームワークをフルに活用しながら、市場とのコミュニケーションを強化することを通じて、この政策を行ってきました。新しいフレームワークのもとでの政策運営の経験は乏しいわけですが、この1回だけの経験からみても、このフレームワークは結構使えると率直に思っています。これからもっと上手く使っていかなくてはならないと考えています。』

「フレームワークを使って」って活用してたんかいなと思わずツッコミを入れざるを得ませんが、この調子では次の利上げの時も地均しですかそうですか、何だかね。


○村上ファンドですが

同じ質疑の中でおまけのように村上ファンドについて質問がありまして、その後の追及が何もないとはどういう事なのかと存じますが、福井総裁のご説明はこれだけでございました。

『私としては解約の手続きは終わっていますので、戻るものはなるべく早く一括して戻してもらいたいと思っていますが、先方の事情はよく分かりません。部分的に戻ってきたということでございます。今後どうなるのかちょっと分からないでおります。』

精算の明細が判らないのに一部だけ金が返ってくるなんて金融取引の常識的に有り得ないと思うんですが、どういうファンドなのよ???

ってか、どう見ても「私のせいじゃないですよ」モードになってますな。こんなエエカゲンな事で終了で良いんでしょうかねえ(まあしぶとく粘着するあたくしもあたくしではありますが)。

#他にもネタがありそうなのですが、時間の都合上今日はこの辺で






2006/10/16

お題「判断変らずの金融経済月報/総裁記者会見その1」

半月前(9月27日)に同じ番組内で「米国株が上昇しても日本株はダメ(意訳)」という講釈を垂れていたアナリストだかストラテジストだけが登場してチャートを持ち出して平均株価16800円近辺がチャートポイントで上値メドと誠に有り難いご講釈をなさっておられました。何か150円から250円程度が上値メドという事は「そんなに上らん」と言いたいのかと思いましたが、「そんなに上らん」とは言わない所が香ばしい(笑)。


○日銀の判断に変化なし(金融経済月報)

という訳で(どんな訳だ)、まずは金融経済月報。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0610.htm(10月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0609.htm(9月)

例によって7月以来殆ど変化のない9月分と比較するのですけれども。これがまた変化ないのよね。

・現状判断は短観が入っただけ

『わが国の景気は、緩やかに拡大している。』から始まる現状判断部分ですが、違っているのは企業収益の部分ですが、これは短観に関する文言を加える為に文言いじっただけでしょう。

『企業収益が高水準を続け、業況感も良好な水準で推移する中』(10月)
『企業収益が高水準で推移する中』(9月)

ということなんで、短観で示された企業の業況感の堅調さを入れただけで、他の文言は一言一句変らないという状態。即ち現状判断に変化は起きてませんってこと。

・先行き判断も見事に不変

景気の先行きに関してはこれまた一言一句変らずでして、輸出は『増加を続けていくとみられる』、国内民間需要は『増加していく可能性が高い』、生産は『増加基調をたどるとみられる』、公共投資は『減少基調を続けると考えられると考えられる』、ということで。

・物価の先行きはちと変化

『国内企業物価は、最近の国際商品市況の反落が影響し、当面、上昇テンポが鈍化していくとみられる。』(10月)
『国内企業物価は、当面は国際商品市況高の影響などから、上昇を続けるとみられる。』(9月)

ということで、さすがに国際商品市況の反落に言及していますが、「上昇テンポが鈍化」という見通しになっておりまして、上昇という見立てに関しては変化がないというのも注意しておくべきでしょうな。

・金融面に関して

CP・社債の発行残高についてちと変化がありますが、まあデータに基づく部分なんでそれほどややこしい話でもないでしょう。


ということで、総じて強気判断を継続しておりまして、7月の月報から内容が変化しておりませんということですわな。となりますと、今月末に出てくる金融経済月報に関しても基本的なトーンは強気で出てくるということになるでしょうな。


○総裁記者会見(詳しくは明日にも)

総裁記者会見で相場がぶれたのはニュースベンダーのヘッドラインで「年内の利上げの可能性は否定できない」というようなモノが流れた時。またこりゃ引っ掛け質問みたいなのをしやがったなという風に思ってましたが、案の定発言の前半部分だけを切り取っていたヘッドラインという事でした。

あのね、そういうことやって相場が動くと営業上は「うちのニュースは相場に影響が高い」ってことになるのかも知れないけど、現場のトレーダー(ディーラー)には無茶苦茶迷惑なんすよね。マジな話ヘッドラインの編集やってるデスクの人が顔出ししたら吊るし上げモンですよ。

まあ武藤副総裁の英文スピーチをどう考えても誤訳したアナリストレポート書いた(おかげで債券市場はショック安しましたなあ)人間が何も無かったように堂々と今でも営業活動するのが東京市場クオリティなんですから一々湯気ポッポーとなっていると体が持ちませんな。でも悪態は一々つけておくのがドラめもんクオリティ。

と、前置きが長くなったのですが、件の発言部分をブルームバーグニュース配信の一問一答から(13日18時14分配信のニュースより)引用します。

『(問)先日の武藤敏郎副総裁の京都での記者会見などを受けて、金融市場で年内利上げの可能性が浮上しているが、どうお考えか。』

これね、質問する方も質問する方だと思うんですが、どっちかというと今まで来年の1−3月期の利上げもないという風に金融市場の方が盛り上がってしまったのの修正が起きていると見た方がより状況を正確に表現してると思うんですよ。CPI改定から始まった一連の経済指標と平均株価ヘロヘロ状態で利上げなんぞ出来ませんがなってなってた雰囲気が、平均株価は戻るわ(新興とか中小型株はゲロゲロですがまあそれはともかく)短観は案外悪くないわと10月になって雰囲気に変化が生じてるってことかと。

で、その答えなんですが、前置き部分から引用してると長いので、肝心な部分の段落を引用いたしますとこのようになります。

『(答)(前半3分の2をとりあえず割愛)こうした基本的な考え方(引用者注:現在の日銀の基本スタンス)の下で、具体的な政策のタイミングや金利水準については、経済・物価情勢次第であり、これ以上に言いようがないが、お尋ねの中にあった年内の追加利上げの可能性を問われれば、これを否定することはできないと思う。しかし、かと言って、現時点で利上げの時期を特定して考えているわけでもない。従来通り極めてオープンである。毎回の政策決定会合において経済・物価情勢を丹念に点検した上で、適切に判断していきたいと思っている』

この発言の「年内の追加利上げの可能性を問われれば、これを否定することはできないと思う。」だけ切り取ってフラッシュニュース打つなよなと思うのですが、まあ可能性を否定するという発言をすることは有り得ないので(世の中何が起こるのか判らないのだから断言はせんわな)、東京市場クオリティを勘案すればこの程度のヘッドラインが出るのは有り得る話かとは存じますけど、まあ反応したくなる人もいますわな。

割愛した前半部分を読まなくても、この段落を見ていただければ結局は今までどおりの「経済・物価情勢次第でオープン」ということでしょう。まあ利上げできる状況になればスパッと利上げするんでしょうけど、今の所前のめりになっているような見せ方はしていませんわな。

#ところで、村上ファンドに関する質問は誰かしたんですか?





2006/10/13

お題「決定会合より諮問会議」

本日は経済財政諮問会議の安倍政権下での初回会合が実施される予定だと存じますが、それを控えました昨日は諮問会議の民間議員でありますところの伊藤敏隆氏がブルームバーグのインタビューに登場してました。本日はまあその辺から。

以下、ソースはブルームバーグニュース12日13:44配信のニュース「伊藤敏隆東大大学院教授:インフレ目標を議論の余地ある‐諮問会議で」です。

○インフレ目標をどう位置づけるか

『インフレ目標を採用すると金融政策が縛られてしまうと言うが、私は柔軟な目標を考えている。いろいろなショックがあった場合に、ある一定の幅の中ではインフレ率を高めに持っていったり、低めに持っていったりということは仕方がない。それはショックの種類によって金融政策は柔軟にかえる、そういう余地を残している』

ということで、具体的にどのくらいのレンジを考えているのかは良く判らんのですが、まあ柔軟対応の余地は残してってお話になっているようです。で、そのインフレ目標の議論に関してですが、このような位置づけになっているそうで。

『インフレ目標政策は、中央銀行と政府の適切な関係につながり、独立している中央銀行の説明責任、透明性を高めるのに役立つ。それは金融政策の枠組みの在り方の議論であって、個別の金融政策の議論とは全く別の話。金利を上げるか下げるか、現状維持か、金融政策の決定については日銀の金融政策決定会合で決まる。諮問会議で議論するのは適切ではない』

ということで、まあいつもの話といえばいつもの話なんですが、日銀にインフレ目標をやらせている側から政府方面からは、財政審報告で国債新規発行をバンバン減らしましょうなどというように財政引締め施策(需要抑制に繋がりませんかねえ)が出てくるんで、本当に「適切な関係」になるんかいなという疑問が払拭できないシロートのあたくしなのでございます。


○枠組み作りは大変なのかもしれませんな

現在の日銀が示している「中長期的な物価安定の理解」に関する伊藤先生の見解。

『今回の日銀の理解という0%か2%というのが柔軟なインフレ目標かというと、それは違う。日銀も明確にインフレ目標ではないと言っているし、参照値でもないと言っている。我々から見てもインフレ目標政策とは呼べない。何もコミットメントはなく、それを目標としてそれに向かって金融政策を説明したり、運営したりしようとしていない』

それはその通りでございますな。

『そういう意味で、数値は言っているけれどもインフレ目標にはなっていない。コミットメント(責任)がなければアンカーの意味はない。何か大きなショックがあった時にそのアンカーを持ち続けるといった効果はない。枠組みの議論ではそこが重要になってくる』

この責任ちゅうのも難しい話ではないかと思う次第で。と申しますのは、あたくしドシロートなりに愚考しますと、確かにインフレ目標導入で中央銀行にコミットメントって話は判りますが、中銀では財政政策やら経済政策は出来ない(ように分業してるんですから)と思うんで、中銀がインフレ目標をやってるそばから政府が絶賛シバキアゲ政策取って需要が壊滅しちゃったりしたような場合も中央銀行だけが悪いのでしょうかっていう気はするんざます。インフレ目標を政府と中銀が共有するって話になると、当然ながら政府の側にもコミットメントが求められる話になりますが、はてこの場合どういう責任分担になるのでしょうかねえという気が。理論的には物価に関しては全部中央銀行マターだって話だとは存じますが、何か本当にそうなのかなあというのが頭の隅に常にあるんですよ。

実際問題としてはインフレ目標設定によってインフレ期待の安定化を図るという経路が効いてくるっていうのが一番効果がありそうな気がするんですけど。


○デフレは脱却しているそうです

『デフレをどう定義するかはいろいろあるが、日銀がこれまで金融政策の指針としてきた消費者物価指数(CPI)除く生鮮食品を見ると、ずっとプラスが続いている。基準改定によってプラス0.6%だったものがプラス0.2%に改定されたが、プラスはプラス。単純に見ると、デフレは脱却していると言える』

『ただ、将来的にこのプラスが続くのか、ひょっとするとマイナスにいく可能性がないのかという懸念に関してはいろいろな見通しがあるが、少なくとも日銀はデフレに戻るとは考えていない。だから金利も上げたし、これからの展望についてもおそらくプラスの基調が続くということを言うと思う。日銀はおそらくプラス0.2がもう少し上がっていくだろうと思っている』

ふむふむ、まあ左様でございますな。

『政府の見通しでも成長率は少なくとも現状を維持したうえで、実質で2.2%、名目で3.0%を目指しており、政府もデフレに戻ることは考えていない。そういう意味ですでにデフレは脱却していると見ても差し支えない。CPIはプラスが続いており、先行きもそれほど心配される状況にはない。』

ここまでは把握した。

『ただ、それを宣言して『やったぞ』という感じのこと(引用者注:デフレ脱却宣言のことです)を今やる意味があるとは思わない』

最後の所が良くわからん。期待に働きかける政策をやろうって提唱してるんだから、デフレ脱却していると考えるのならデフレ脱却宣言をしてマインドの好転を図った方が良いんじゃないのかなあ。

諮問会議でデフレ脱却について取り上げるかという質問に対しては「議論する必要なし」というお話をしてまして、何か肝心な所を曖昧にして先に進むんじゃないのかなって気がするんですけど。。。。


○とは言え、直ぐにこの話題が出るわけでもなさそうです

『ただ、枠組みに関しては、中央銀行と政府の関係になる。これは議論する必要が出てくるかも知れない。枠組みをどうつくるかということについて私は議論の余地があると思う。それを、今すぐプライオリティーを持って議論すべき状況にあるかどうかというのはよく考えてみたい』

ということですので、今日いきなりその話が出てくるという訳でもなさそうですね。


#以上、シロートの戯言を並べましたのでご指摘事項ございましたら一つよろしくお願い致します



以下雑談を少々

○水曜日の日経新聞「経済教室」

に関して本石町日記さんがツッコミを入れていたエントリーがあったので、日経ヨクヨマナイあたくしは同僚から該当部分を頂戴致しまして拝読。

・・・・これは酷い。

どう酷いのかは本石町日記さんのエントリー「日経『経済教室』の「邦銀、債権流動化加速を」は正しいか」(http://hongokucho.exblog.jp/5849880/)の本文並びにコメント欄をご参照下さい。盛り上がっております。


○GCやらコールが上昇圧力だそうですが

GCが何かまた上昇して、昨日は0.34%あたりまで行ったそうな。コールも妙に取りが確りになってきて、新発FBの売れ行きがイマイチとかいう要因もあるんでしょうが、直接的にはどうも積み最終に来て準備預金を絞り気味なので取りが確りになってきたとかいう話になってるそうで。

いやまあそれが本当の原因なのかどうかは存じませんが、非常に単純な言い方をしますと、先月末から今月の頭にかけて資金供給を潤沢に行ったんだから、準備預金の積み進捗ペースがその時点で早くなるんですから、積み最終に向けて資金は絞られて来るの当たり前だと思うんですが、何でその当たり前の事態に対して金利がこんなにさっくりと上昇(つい先週はGCや現先0.28%だったんですから)するんかいなと思う年寄りのあたくし。

もしかしておめえら何も考えてねえだろうと小一時間ですな。






2006/10/12

お題「短期市場雑感/村上ファンド問題」

最近中長期金利のコメントが無いのは何故かと申しますと、あまりにも日中のイールドカーブの振れ方が豪快過ぎるのと、そもそもの動きが何がなんだかワケワカランってのの合わせ技でございまして、正直お手上げ状態なんですよ。誠に遺憾極まりないことです。

○FB入札堅調でした/GCレート上昇

昨日は3か月(98日間)FB入札が行われました。で、あたくし昨日ちったあレート上昇するかなあとか申し上げましたが、その結果は平均落札価格が99.9110円で0.331%相当、最低落札価格が99.9105円で0.333%相当ということで、前回入札よりもレート低下。

まー前回入札から相場水準が変ってまして、前回債が0.32%あたりなんで一応スプレッドは乗ってると言えば乗ってるのですが、1月決定会合越え(実質的にはあんまり越えませんが)にあまり敬意を表しているようにも見えない落札結果と相成りました。また予想が外れましたな。

引値(by日本相互証券)の0.33%はまあオファーサイドだと思うんですが、前日の2か月物もしらっと0.295%の出合いとかで引値0.3%割れをキープしている次第でして、まあGCレートなどが需給要因で上昇して0.3%台に乗って来たにしては頑張って値持ちしておりますな。

で、そのGCレートですが、16日スタートの翌日物は0.3%台に乗ったようですな。金曜発行の新発2か月FBに加えて昨日の入札で月曜発行の新発3か月FBが打ち込まれているのですから、需給要因で上昇したという事なのでしょう。ただ先ほど申し上げたように、その割には新発FBの下を叩く動きが見られないというのは(週末にかけて短国買入もあるし)現在の足元資金運用&キャッシュ潰しニーズが強いという状況を反映しているんでしょうな。頑張っていれば買いが来るでしょうってのと、そもそも1か月あたりのTBやFBの需要がやたら強いというのがあるので、在庫を空にすることもできませんってお話なんでしょうな。人の懐具合を勝手に想像してるだけですけど。


○CPレートはまだ低下傾向

マーケットの価格(というか利回りというか)推移に対して動きがやたら遅行することで名高いCP発行レートなのですが、どうも昨日もレートが気持ち低下した感じですな。

特にここもとは1か月あたりの短期国債の需要が強い(=1か月あたりのキャッシュ潰しニーズがやたらと高い)状況を反映して、1か月もののレートに低下圧力が掛かりやすいようですわな。GCだの現先だののレートが上昇してきたんでちったあ反応して来るのかなあとか思ってはいるのですが、それよりも短い所にキャッシュが回ってきている方が効いていますな。

もしかしたら先行きの政策金利変更想定時期が前によって来た事が1か月ものへのニーズを高めているのかも知れませんが、動きがさほど極端ではないので、まだそこまでの話では無いと思います。


○そういえば補完供給

昨日じゃなくて一昨日の話ですが、久しぶりに国債補完供給が実施されてました。対象銘柄を見て「ありゃりゃ」と思ったのですけど、超長期17回なんてそりゃまた発行量少ないわ流通量が碌に無いわという銘柄。時々嫌がらせみたいに買いに来る人いるんですよね〜。うっかり出してレポが埋まらなくなった業者はご愁傷様というかまあトンマというか。ナムナム。



○さてさてファンド出資問題

えー、昨日の参議院予算委員会に出席した福井総裁は村上ファンドへの資金拠出問題に関して「日銀総裁就任時に拠出を続け、結果として利殖行為ではないかという批判をいただいたのは、不明の致すところであり深く反省している」と答弁したそうですな(ブルームバーグニュースより)。で、朝のテレビを見てて「はあ?」と思ってNIKKEI NETをチェックしたらこんな記事が。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061011AT2C1102W11102006.html
村上ファンド拠出金、返還の1400万円寄付・日銀総裁
日銀の福井俊彦総裁は11日の参院予算委員会で、自身が村上ファンドに拠出した資金について「まだ全部は戻っていないが、部分的に戻ってきた資金については今般、寄付を実施した」と明らかにした。民主党の広野ただし氏への答弁。(以上上記URLより)

反省云々も広野氏への答弁なんで同じ話の中と存じますが・・・・

えーっと、9月8日の定例記者会見で福井総裁はこのように仰せになっておられました(20日のドラめもんで触れました)。

『村上ファンドについては、解約を申し出たのは2 月で、実際の解約は6月と申し上げておりましたが、最終的にファンド側からいくら戻されるのか連絡を受けていません。こんなに時間がかかると思っていませんでしたが、そういう状況ですので、いずれまたきちんとご報告したいと思います。』

上記URL先の関連記事にこんなニュースもありました。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061011AT3L1106011102006.html
日銀総裁、日赤などに1400万円寄付・村上ファンドの資金戻る
日銀は11日夕、福井俊彦総裁による村上ファンドへの資金拠出問題に関し、総裁が約1400万円の払い戻しを受け、うち1000万円を日本赤十字社(東京・港)に、約400万円を留学生支援のための慈善団体に寄付したことを明らかにした。(以上上記URLより)

全部解約してるのに出資金の一部だけ先行して戻ってくる(配当分はまあさておきまして)ってどういうファンドなんだよという疑問が激しく沸き起こりまして、益々訳の判らん不透明なお話ですなあというのもあるのですが、それ以前の問題として、「きちんとご報告したいと思います」ってのは資金が戻ってきた事に関して黙って寄付をして、参議院予算委員会で質問されたからお答えすることだったんでしょうか。上記ニュースの書き方だと、日銀の政策広報は福井総裁の答弁を受けて明らかにしたという風に読めますが、どう見ても遅れた事後報告です。本当にありがとうございました。

あのですな、そういう「何がどうなってるんだか良くわからんぞ」っていう不明瞭あるいは不透明なことが多過ぎなのが本件で福井総裁が非難される一因(というか個人的には大きな原因だと思うんですけど)だというご認識は全然持って無いでしょうと小一時間問い詰めたくなるんですけど。

下衆の勘ぐりはしたくないですが、このタイミングで公表に至るというのは、政治日程を勘案してタイミング測っていたんじゃネーノとか、北朝鮮の問題で世間の話題がそっちに行くから今がチャンスだといきなり公表したとか色々と下らない妄想を逞しくしたくなるんですよね。如何にも話題としてスルーされそうなタイミングを狙ってるとしか思えないのはあたくしが下衆だからですかそうですか。

福井総裁は「深く反省している」とご答弁なさっていたようですが、反省しているなら「一部が返戻される運びになりましたのでご報告します」って事前に報告するもんじゃないのかと思う次第でして、実は総裁様におかれましては「いやあ何か事故にあっちゃったよ不運不運♪」程度のご認識しかお持ちになっておられないのではないかと申し上げたくなる次第でございます。

本件に関してカリスマ(苦笑)総裁様を問い詰める訳にも行かないで、結果として後出し報告になってしまっている(という光景は容易に想像できるのですが、もしそうじゃなくて日銀の中の人たちもこの件を知ってて公表タイミングを測っていたのならセンスを疑う)日銀政策広報の中の人が不憫でございますな。などとあたくしのような片隅に棲息する下衆に言われたくはないですかそうですか(笑)。

しかしまあ話は戻りますが、解約の損益が確定しないのに資金だけ一部が戻ってくるって言うのもワケワカランですな。それじゃあ税務処理困ると思うんですが、そんなファンドに出資してた機関投資家大丈夫かってまた同じ話に戻る次第です(笑)。明細も判らないで資金だけポンと返って来るなんて金融の常識からして有り得ないんですが(概算で返還するってのあるのかね??)。そういう点に関してもご説明賜りたい所ではございますな。プロ中のプロ(笑)の運営するファンドとしておかしいだろ・・・・

#どうも本件に関してはどこまで行ってもグダグダですなあ。





2006/10/11

お題「FB入札/色々と小ネタを」

今朝のモーサテのゲスト解説には感動すら覚えました。「株価と内閣支持率」というお題だったのですが、宮澤内閣以来の就任時、退任時のデータを持ち出して「内閣支持率が下がると株価も下がる」という結論を導いているのですが、常識的に考えて因果関係は逆だろう・・・・・(-_-メ)

ネタが無いからと言ってトンデモに走るのはテレビ東京如何なものかと思いつつ、あたくしとしても我が身を振り返り自戒致したく存じます。

○FB入札2本

すっかり忘れてましたが昨日は2か月物FB入札、本日は3か月物FB入札となっております。で、昨日のFB入札ですけれども、ここもとの足元運用圧力を反映して平均落札、最低落札共に0.3%をかすかですが下回る結果になりました。0.2%台になるかなあとは懸念してましたが案の定となっております。

まあ先週はFBレートやGC、現先利回りがさっくり低下して、CP発行金利も1か月ものなどのショートタームを中心として金利が低下。週初(期末明け早々)は0.34%〜0.35%あたりだったものが週末には0.32%あたりまで低下するという豪快な金利低下の図をやってまして、まあ期初から資金潰しですかもう勘弁してくださいよ4月と同じじゃんという状況になってますわな。

で、まあその0.3%割った2か月FBなんですが、セカンダリーの状況はよー判らんのですが、さすがに先週の3か月FBのような盛り上がりには欠けるようでして、この新発FB発行日に掛かる13日スタートの現先利回りが気持ち上昇している(ただし0.3%台までの上昇ではなく、0.27−28%が0.28−29%になるとかそういう感じですか、非常に微妙な話ですが)ことから類推すると、飛ぶような売れ行きって事はなさそうですな。まあ0.3%割ってるというのはさすがに心理的にちと買い進みにくいということのようでして、その点を考えますと本年4月の2か月FB0%テイクンよりは遥かに冷静な相場でもございます。

まあアレですな、0.3%なら楽勝で捌けるけど売るほうとしても叩くのは癪、0.295%なら買えるんだろうけど買うほうとしても0.3%割れを買いに行くのは癪ということで睨み合いって所ですか。


そんな中で本日は3か月ものFBの入札があるんですが、ここもとの金先売りだのに反映されているような「年内利上げ全く無し、年度内利上げですかねえどうなんでしょう」というような短期国債やらCPの現物マーケット状況に何らかの変化が生じるのか注目と言った所でございましょう。昨日の2か月FBによって需給は若干緩んでいるとは思う(現先レートが気持ち上昇したから勝手に想像)のですが、キャッシュ潰しだの運用資金の待機だのという要因がどのくらい続いているのかがよーわからん(人の懐具合は知らん)ので、その意味でも注目したいです。まー前回から若干上昇するかいな位のイメージですが。


○財務大臣に注目(か?)

既にあちこちで話題になってるんですが備忘メモ。6日の大臣会見。
http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20061006.htm

『今日は、後でお配りしますが、再チャレンジ等について、新しい内閣が出来ましたし、9月に各省から概算要求をしたものを、新しい内閣の基本的な考え方に沿って、追加というか差替要求等をするものについては、財務省は前向きに対応しますということを、今日、閣僚懇談会で申し上げました。再チャレンジ担当大臣からもお話がありましたが、そういう方向になろうと思います。ただ、全体の予算の枠、及び来年度予算編成についての私共の従来の考え方は変えないと、こういうことです。』

で、以下質疑応答になるのですが、その一発目がこれですな

『(問)では追加受付だけじゃなくて、差替え自体も構わないと、そういうことなんでしょうか。』
『(答)  いえ、そうじゃなくて、基本的には差替要求で、新しい状況に応じて、そういうお話があった時は、私共は前向きに検討いたしますと、こういうことです。ただし全体の枠組みは変えないということです。』
(元の文書は問、答の()が閉じてないので引用者が補記しました)

もしかしてこの大臣様におかれましては、どこぞの中央銀行総裁同様にサービスフレーズを発する傾向があるのかなと思わせてます。ネタとしては大変結構なのですが、大臣やら中銀総裁やらとなりますと下手なサービスフレーズは市場をミスリードすることもございます。直ぐに元に戻れば良いのでしょうけれども、市場が自己実現しちゃう事も無いわけでは無いので、やはりご発言の言葉は慎重にお選びになった方が吉かと。

#藤井事務次官の5日の会見で財政審の話が出てたのも少々気になるのですが、頭の中が生煮えなので割愛


○団信には良い団信と悪い団信があるようです(雑談です)

あんまり消費者金融ネタをちゃんとフォローしてるわけでは無いので、この話もネットやら今朝のニュースやらで知った次第なのに物申すのもお恥ずかしい話ですが。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20061010i211.htm
アイフルも「借り手保険」廃止…大手4社足並みそろう

ということで、いずれ記事はアーカイブになっちゃうのでかいつまんで書きますと、要するにローン契約者に消費者金融会社が付保している団体信用生命保険(金融業界では「団信」と呼んでます)を廃止するって話でして、記事でもニュースでも言ってましたが、『「命を担保に取っている」と社会的な批判が高まっている』そうです。いや全くですよ、さいむしゃがしぬとろーんがかんさいになるなんてとんでもないはなしです(棒読み)。

えーっと、銀行や住宅ローン会社(その他でも同じ)で住宅ローンを借りると団信に加入させられる(と言っても保険料は債権者が負担。これはどこでも同じ)のですけれども、消費者金融の団信が社会的批判を浴びるのならば住宅ローンの団信だって社会的批判を浴びると思うんですが、世の中には良い団信と悪い団信があるですかそうですか。それとも消費者金融が団信を利用するのは制度の悪用とでも言うんでしょうかねえ。団信をあたかも「債務者に保険を掛けさせて自殺に追い込む」ようなものと勘違いして社会的な批判とやらが発生してるのではないかと。

#過酷な取り立ての段階で「団信で返せ」みたいなケースがあるのかも知れない(というかそういう事例があるから批判になってるんでしょうが)けれども、その批判は団信ではなく過剰に厳しい取立て行為に対して向けられるべき物なんじゃないのかなあ

何かね、ここまで来ると「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の世界になってるんじゃないのかって感じです。消費者金融問題に関しては別に現状に問題が無いなどという積りはさらさらございませんが、それにしても何か改善しようとしてあさっての方向へあさっての方向へと突き進んでいるように思えるのは気のせいでしょうかねえ。






2006/10/10

お題「武藤副総裁記者会見」

PDFで7ページ程度ですが、よくよく見ると質疑応答の内容は充実してまして、実のところ全部引用したくなる感じですが、そうも言ってられませんので適宜。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0610a.pdf


○市場の景況感VS日銀の見立て

マーケットが反応したと思われる質疑2本のその1です。

市場の景況感と日銀の景況感が違う(市場は利上げが遅れる方向で走っている)ことに関して、『こうした中で、日本銀行が利上げをしようとする時に大きな反動が出てしまうと思うのですが、そのハンドリングをどのようにしていくのでしょうか。』という質問に対しての武藤さんの答え。

『まず、最初の質問について、マーケットがどのような予測をしているのか、ということについては、私どもは色々な見方があり、必ずしも一定方向の流れがあるとはみておりません。』

えーっと、市場が利上げ(とか量的緩和解除)を織り込みに行った時は「市場も織り込んでます」とかいうような話になると思ったのですが、市場の景況感が日銀と違ってくると「色々な見方がある」ですかそうですか。ふーん。

という悪態は悪態としてまあフォローしますと、確かに短期国債の金利とかを見てますと年度内の利上げも無いんじゃないかという話になってましたが、じゃあ皆さん本当にそう思っているのかというとこれまた別のような気もしますんで、色々な見方があるというのは現時点を切り取るとそれはそれで変な話でもないとも言えますわな。難しいところですが。

『日本銀行としての基本的スタンスは繰り返し申し上げているとおり、「予断を持っていない」ということであります。勿論、今後事態の変化、次々と出てくる経済・物価関係の指標をみながら判断していくわけですが、恐らくそういうデータが一つ一つ現実のものになってくれば、マーケットもそれを織り込んで自律的な判断をする可能性が十分あると思います。』

まあここは一般的なお話。で、次にこういうコメント。

『したがって、今すぐ私どもがマーケットに対して何か政策変更をしたら、それがショックを生じさせるような状況にあるとは思っていません。』

ちと市場の景況感に対するコメントが引っ掛かりますが、ここまでの流れとこの先の流れを読みますと、まあそんなにややこしい話をしてるわけではないですな。ここだけ切り取ると「ええっ!」となりますけど。

『勿論、今後の展開次第では、そういう可能性もあるかもしれませんが、今後の展開が一つの大きな流れを作っていくのではないかと考えております。私ども自身もデータをみながら、予断を持たずに客観的に判断していきたいと考えております。』


○米国クリスマス商戦がどうのこうのという話

一番マーケットが反応した質疑は多分これ。質問の当該部分を引用します。

『2点目は、それと関連して、挨拶要旨の中で、リスク要因として米国経済を挙げ、米国の消費マインドやインフレ動向を注意深く見守りたいとおっしゃっているが、米国の消費動向を判断する上で、クリスマス商戦というのは、IT需要とも関連し非常に重要だと思います。これを見極めないと、次の利上げは難しいとお考えですか。見極めるという意味では、クリスマス商戦のデータが出てくるのは年明け以降になり、それを見極めなければ追加利上げは難しいとお考えですか。』

1点目と3点目も似たような趣旨の話をして、要するに「年内の利上げは出来ませんですよね」という超具体的な質問です。こういう質問が来たら「そりゃ違います」って答えが当然帰ってきますわな。

そういうことでこの答えが出てきたわけです。

『そういうこととの関連で2番目の質問も出てきていると思いますが、米国の消費動向について、クリスマス商戦を見極めないとその判断が出来ないかどうかというと、クリスマス商戦は米国の消費動向を占う上で、非常に重要なものだと理解しておりますが、その見極めができないと政策展開ができないというような考え方をとっているわけではありません。』

まあ先ほどの質疑応答からして、当然こういう答えになりますわな。政策委員会としては基本的に「今後の金融政策はオープン」というスタンスなんですから、年内利上げの可能性を否定する訳にはいかないでしょう。ちなみに米国経済への見立てはその続きにあります。

『米国では、住宅販売、あるいは住宅価格が減速していることから、逆資産効果を通じて消費に悪影響があると考えられますが、その住宅動向の消費に与える影響については色々な考え方があろうかと思います。また、住宅動向が全てではありませんので、その他の指標をみますと、住宅を除いては好調なものが多いと思っております。』

『一方、原油価格が60 ドルを切るといったように大分低下してきました。米国において、原油価格が消費に与える影響は、かなり大きなものがありますので、そのこと自体は消費に対してプラスの影響があるということが考えられるわけです。このように消費に与える影響としては、プラス面、マイナス面の両面あるわけで、「全体としてどのようになるのか」ということが、今後の注目点であると考えております。』

基本的には講演要旨と同じような話ですけれども、米国経済の先行きに関してはちと不安要因もあるけど、まあ一応はそんなに懸念している感じではなさそうですね。


○物価だけでは判断しませんよという話

先ほどの質疑のうち、3つ目の質問というのがありまして、CPIの改定に絡んだお話がありました。で、それに対する応答部分の中でこんな部分が。

『そして、利上げあるいは政策変更ということになると、確かに物価が重要な一つのデータではありますが、物価だけで判断するわけではありません。その他の経済情勢を総合的に判断するということであり、さらに正確に言えば、この3月に示した新しい金融政策の枠組みに基づいて点検しながら判断していくということですので、それ(CPIの技術的な問題です)によって直ちに時期が具体的に決まってくるということではないと思っております。』

で、最後の質疑でしらっとこんなお話が行われております。

『(問)今の質問に関連したことですが、先ほどからおっしゃっているように、政策はフォワード・ルッキングでなければならないが、消費者物価指数の計数が公表された時点では、公表された計数は大分過去のものになっています。それでは、実際にどのような計数やサーベイをご覧になるのか――物価だけではないとおっしゃいましたが――、もう少し具体的にどういうことを一つずつみていかれるのかご説明ください。』

『(答)実体経済のデータ、すなわち、生産や消費、設備投資、あるいは賃金など、そういうものをすべて色々な形で勘案しながら考えていくということです。私どもは経済の需給ギャップの動向をフォワード・ルッキングに念頭において行動するということです。その実体経済のデータのうち特定のデータをみている、という立場は、私どもはとっていないということです。』

ということで、フォワード・ルッキングを強調していますわな。物価指数に関しては政策効果の結果として出てきた数字であって、将来の判断をする場合に足元のCPIの数字に縛られたくは無いという事なんでしょうな。まあその通りに出来るかというとそれもまた難しい気もするのですけど。。。。


○短観の評価

短観に関する評価についての質問に対してはこのように話をしてます。

『結論的に申し上げますと、私は、これまで日本銀行が展望レポートで説明してきた私どもの経済情勢の見通しが、この短観によって確認されたと考えております。それがこれまでの私どもの見通しに比べ上振れたかという趣旨のご質問であれば、そうではなく、今までの私どもの見通しがこの短観によって確認されたとみるのが妥当ではないかと考えております。』

ということで、短観が出てからやたらめったら景気回復利上げモードの報道になっていた新聞メディアの論調よりも日銀は冷静に受け止めているということでしょう。まあ悪い数字じゃなくてホッとしたという所なんじゃないでしょうかねえ。


○その他

最初の質疑応答部分では京都(京都府金融経済懇談会ですから)の経済情勢に関する見解を披露しているのですが、他の政策委員の皆さんのコメントは割りと地域限定の話っぽいのですが、武藤副総裁のコメントは京都の話をしながらも、一般的な話に繋がるような事例の指摘を行っているのが印象的で、他の政策委員の方のコメントと一味違うという感触を受けました。引用すると長くなるので割愛しますが。

あと、企業部門の家計部門への波及に関する質疑もありましたが、基本的には講演要旨と同じくで、先行き波及していくでしょうって結論になっていました。こちらも引用は割愛します。

全体的に読みどころの多い内容でして、何と申しますか武藤副総裁さすがの貫禄と思ってしまったのはあたくしが安定感の高い武藤さんの総裁就任待望なための贔屓目でしょうかね。





2006/10/06

お題「武藤副総裁講演」

経済指標が弱くて金利が下がれば株価上昇、指標が強けりゃ景気が良いので株価上昇って実に威勢のよろしいお祭りワッショイ相場ですなあアメさんは。

さてまあ昨日の話題は武藤副総裁講演と記者会見。

○順序逆ですが記者会見メモ

と言いましても、講演の方ではそんなに反応してなかったと思うので、本日要旨が出ると思われる記者会見のメモ。

市場が反応したのでは無いかと思われるのは、年内の利上げに含みを持たせる趣旨の発言かと存じますが、ヘッドラインでは『米年末商戦見極めないと政策展開できない訳はない』『物価は重要な1つのデータではあるが、物価だけで判断するわけではない。』(以上ブルームバーグニュースのヘッドライン)なんてえのが出てきまして、まあこれ実は講演テキストを見れば、そういう答が出てくるのは当たり前なんですが、改めてヘッドラインにでないと反応しないのが市場クオリティ。

この手の発言に海外勢は反応しやすいようで、引け後も金先とか弱そうな感じがしたのは気のせいかな?

でですな、金融政策に関する発言とかも色々と行ってまして、こちらは会見要旨をじっくりと読んで見たいと思いますので詳しくは後日。


で、武藤副総裁の講演に参りましょう。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0610a.htm

まずは景気に関する見立てからですが、講演要旨の3.の小見出しがそのものズバリで『3.景気拡大の背景』となっておりますわな。

○外需については拡大判断継続

『まず、前提となる外需の動きをみますと、このところ米国における景気拡大のペースダウンがはっきりとしてきていますが、世界経済は、全体としては、地域的な広がりを伴いつつ、拡大を続けています。』

『米国では、設備投資や生産が増加傾向にあり、景気拡大が続いていますが、これまでに比べると、拡大のピッチは緩やかになってきています。住宅建設の面では、住宅着工戸数や新築一戸建て販売戸数が前年割れとなっているほか、住宅価格の伸び率は、鈍化傾向が続いています。住宅価格の下落は資産効果を通じて、家計の消費にマイナスの影響を与えるのではないか、という懸念がある一方で、原油価格が一頃に比べて落ち着きをみせていることが消費にプラスの影響を与える、との見方もあり、今後の個人消費の動向や消費者コンフィデンス指標が注目されます。』

ということで、米国経済に関しては先行きリスクについて言及しつつも基本的には先行きを強気で見ていると解釈されるかと思います。

『物価面では、原油価格や高い稼働率を背景に、インフレ・リスクが引き続き存在します。先行きについて、FRBでは、景気減速やこれまでの利上げの累積的効果などから、インフレ圧力は次第に緩和する可能性が高いとしています。私どももこの点を注意深く見守っていきたいと考えています。』

おまけにインフレリスクにも言及ですよ先生。

ちなみに、他の地域に関しても当然お話はあるのですが、こちらに関してはめんどいので引用しませんけど、強気というか威勢の良いお話になってますにゃ。


○内需に関しても先行き強気のようです

設備投資に関しては堅調というお話。『民間設備投資が引き続き堅調です。』ということで、内容について触れてますが引用割愛。で、家計部門に関しても割と先行き強気ではないかと。

『このような企業部門の好調さは、家計部門にも緩やかに波及してきています。』ということで、労働需給環境が良いという話をしているのですが、所定内給与が弱いという点については武藤副総裁はこのように言及しています。

『こうした中で、所定内給与は、前年並みの水準で推移しており、弱めの動きとなっていますが、これは、相対的に賃金の低い新卒を企業が積極的に採用していることが、全体の下押しに働いているほか、基本的には企業の人件費抑制スタンスが根強いことを反映したものであると考えられます。ただし、今後、労働需給の引き締まり傾向が続いていくならば、いずれは所定内給与にも影響を及ぼしていく可能性が高い、と考えられます。』

いずれはいずれはと言いつつ中々その時期が来てない気もしますが、まあそういう認識で先行きを展望しているということですな。

で、この先には金融環境とか構造調整の進展という話があるのですが、そちらは割愛。


○物価動向に関して

(現状と見通し)という部分ではこういうお話をしてます。まずは現状。

『需給ギャップ、すなわち経済全体の総需要と供給能力の差を推計してみますと、既に供給超過の状態を脱しており、今後も需要超過方向で推移していくとみられます。』

『ユニット・レーバー・コストの下落による物価への下押し圧力は、次第に緩和していると考えられます。』

『消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比も、プラス基調で推移しており、価格が上昇している品目は、原油高の影響を受けている石油製品ばかりではなく、様々な財・サービスに広がりをみせてきています。』

そして先行きに関して。

『先行きについても、景気の拡大が続く中で、マクロ的な需給ギャップが需要超過で推移していくと考えられることから、物価のプラス基調が続いていくとみられます。ちなみに、短観や各種サーベイ調査の結果をみても、企業や家計が、先行き物価が上昇していくとの見通しを持っていることを示しています。』

しらっと書いてますが、この「ちなみに」以下の部分はマインドに関するお話ですんで、結構重要視してるんじゃないかと思われます。最近物価見通しの話が出るたびにこのマインドに関する言及が出てきますわな。

CPIの基準改定についてですが、これに関してはのっけから結論を出してますんで、この「結論」を強調したいんでしょうな。

『結論から申しますと、この基準改定は、私どもの物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではありません。幾分、技術的ですが、この点について補足しておきたいと思います。』

とありますが、技術的な話の引用はめんどくさいので割愛(こら)。


○リスク要因

ちなみに、この講演要旨を読みますと、見出しが『3.景気拡大の背景』、『4.物価の動向等』、『5.日本銀行の金融政策運営』ときてまして、先行きのリスク要因に関しては『4.物価の動向等』の最後に小見出しで(先行きのリスク要因)というのが載っております。

ということはですな、リスク要因に関しては「等」なわけでして、まあこの講演要旨のトーン(実際の講演は聞いてませんから判らんけど)としては強気という印象を受ける訳ですな。

リスク要因は「米国経済」「IT需要」「原油価格」となっています。



○さて金融政策

暫く前にご紹介した決定会合議事要旨でも同じような表現があって、「いやあの何と申しますか・・・」とツッコミをしたのが聞こえたのかど〜か知りませんけど、講演要旨にはこの話が。

『このように円滑に政策変更が行われた背景の一つとしては、私どもが3月の量的緩和政策解除の際に導入した「新たな金融政策運営の枠組み」が、市場参加者などとの対話のツールの一つとして有効に機能したことが挙げられると思います。』

でまあその中にある2つの「柱」に関して解説してるんですが、そっちの引用は端折りまして、金融政策の枠組みに関してこんな話を。

『この枠組みは、長い目でみてわが国経済が良好な成長を遂げることができるように、先行きの経済・物価動向を十分に見越して――「フォワード・ルッキングに」という表現がしばしば用いられますが、――金融政策運営を柔軟かつ機動的に行うという考え方に立って作られています。また、そうした政策運営を行う上で、市場参加者などの期待形成の重要性にも十分配慮し、日本銀行の経済・物価情勢についての認識や金融政策運営に関する考え方を発信し、金融政策運営の透明性を確保することとしています。』

この「フォワード・ルッキング」「柔軟かつ機動的」という部分と、先行きの景気見通しの話を読めば、年内利上げ無し観測についてちょっと決め打ちはどうよっていうコメントが出てくるのは読めると思うんですがねえ。

ただまあ先行きの金融政策に関しては全くオープンというか、別に前のめりになる必要はないですよって話は当然ながらしています。先行きの金融政策運営に関してはこのように。

『具体的な政策変更の時期について予断を持っている訳ではありませんが、経済・物価情勢が4月の展望レポートで示した見通しに沿って展開していくと見込まれるのであれば、政策金利水準の調整については、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に行うことになります。』

『この場合、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面、維持される可能性が高いと考えられます。これまで繰り返し述べてきたように、金利水準の調整は、経済・物価情勢を良く見極めながら、ゆっくりと進めていくということです。』

まあ従来の日銀公式見解通りではございますので今更言うことでもないのですけれども、日銀としては現在の金融環境は「緩和的」という認識であるということであるというのは念頭においておく必要があるんじゃないかと思います。


○この時期にこの講演ですんで

まあこの時期に武藤副総裁が景気に関して色々と言及した講演をした訳ですが、このトーンが今月末に出てくる展望レポートのトーンに繋がるんじゃネーノって思う次第でして、まあ結構先行き強気見通しの内容で展望レポート出てくるのではないかというのは読みすぎですかねえ。

引用が多くて長くなりましたが、本日はこんなところで。





2006/10/05

お題「FB入札爆発/デフレ脱却宣言間近」

モーサテの「歴史的な日」連呼にムーシャ先生のご託宣「バスに乗り遅れるな」と北ハマー先生のお告げというコンボの恐ろしさに感動を覚える昨日の株式市場ではございましたが(-_-メ)、今朝6時の公共放送様トップニュースがNYダウ最高値更新と来たもんだ(6時半のトップはGMと日産・ルノーの提携交渉話)。

しかしこういう髪技を見てると、相場って何なんだろうなと思ってしまうのです。何年やってても奥が深いとしか申し上げようがございませんです。あ、そんなもんを一々注目するお前の方がおかしいとかいうツッコミは却下です(^^)。


○FB入札爆発

前日の6か月TB入札が足切り水準で殆ど0.4%になり、(引けは0.39%とか)おおちったあ金利上昇したじゃんよというお話になったのですが、FB入札は物の見事に大爆発となってしまいました。

前日のTB入札後は「0.34%台位ですかねえ」という感じだったのですが、前場引けに掛けて気配が強くなってきて、0.345%ビットとか怪しげな雰囲気になってきまして、結局落札結果は平均価格が0.335%あたりで足切り価格が0.337%あたり(財務省発表の数字と違いますが、市場の呼び値方式で計算するとだいたいこういう利回りになります。っていうか財務省の残存日数計算方法は片端にならんのかね)という強い入札。

で、セカンダリーのニーズも見事に爆発してくれたようで、世の中あっという間に玉が無くなりまして(先日も申し上げましたが、今週は2か月物の償還が入ったので元々償還超)最終は0.32%まで買われる有様。オソロシヤ。

そんな状況ですんで、GCレートや現先レートも0.3%割れ定着の香りで、まあ鶏が先か卵が先かの話になりますが、全体的に短いゾーンの金利水準が低下するという図になっておりまして、短い所に運用資金が入ってきているということのようです。何でこうなっちゃってるのよってのが正直よー判らんのはあたくしの不明の致すところ。

当然ながらCP発行レートも低下してきまして、月中物のレートが最上位格で0.34%を割り込む状況で、週初から見ると0.01%強の低下と言ったところのようですな。そんな中で来週は2か月物と3か月物のFB入札が行われますが、どんな過熱入札になるのかと今から心配なあたくしなのでありました。

何かこの状況って4月の再来のような香りがするんですけど、はてさてどうなることやら。

#そういや昨日は中長期ゾーンがベアスティープしましたな



○財務大臣記者会見(10月3日)

http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20061003.htm

デフレ脱却宣言がどうのこうのというヘッドラインが打たれてましたが、そのくだりをブックマークするでござる。まずは短観に関するコメントを求められてこのようにご発言。

『日銀の短観は、これまでの景気、非常に好調な状況を表しているものだというふうに認識をしております。デフレ脱却宣言というのをまだやっていないというふうに聞いていますが、私もそういうデフレ脱却の宣言をするのはどういう条件が整ってからだというような、やや専門的な話もあまり細かくは聞いておりませんが、こういう景気の状況を全般的、総合的に判断すれば、デフレ脱却宣言と言うのはやってもいいんじゃないかなと。どうも今の段階でデフレ脱却宣言というのをやらないのは何となく不自然だなというふうに思っております。』

ほうほうそうですか。で、別の質疑になったあとで、再度このネタで質問が飛んでくるのは当たり前でございます。

『(問)先程のデフレ脱却宣言のことで、脱却宣言をしてもいいんじゃないかと。しないのは不自然だというふうにお感じになる根拠というのは、今の経済実態と…。』

『(答)企業の利益も空前と言ってもいいような利益が上がっているし、それから、今日辺りの報道を見ると、人手不足も顕在化しつつあるというような話もございまして、そういう中でどういう指標がどうなったらデフレ脱却宣言をするんだという極めて専門的な方の意見があって、まだしていないように思っていますけれども、素直に経済全般を見れば、さっき申し上げたように、どうももう脱却宣言をしてもいいのではないかというふうに私は感じていると言うことを申し上げているわけです 』

何かこうですな、最初の答えと合わせると「世の中の空気がそうですからこうです」って言ってるように思えるのですが、それで良いのかなあと思うんですけど・・・・・(-_-メ)、と思ったら続いてツッコミが飛んでくるのであります。

『(問)今のデフレの関係なんですけれども、今デフレ脱却をしていないのは、物価の下落傾向から抜け出して、またもう一度下落にも戻らないということを見極めるということで、まだデフレ脱却宣言は出されていないという私は理解でいるんですけれども、そうすると大臣は、もう物価の下落というのは、もう再び下落する傾向はもう起きないだろうというご判断ということでしょうか。』

このお答えが何というかアレなのですが、長いので段落分け致しまして全部引用するだよ。

『(答)物価の下落はどうかとか、生産の向上がどうかとか、いろんな指標があるんですが、そういう1つ1つの指標に捉われて、全体としての経済がここまで良くなっているにもかかわらず、まだデフレを脱却しないんだというのは、ちょっとどうかなと私自身は感じているということを申し上げているわけで、これから政府部内で色々検討した上でどうするかという対応をするんだろうと思います。』

ほほう。

『極めて、私流に言えば、総合判断的な言い方ですが、別な言い方をすれば素人的な考え方かもしれませんが、普通の常識的な見方はそうじゃないかなということを申し上げているわけです。』

いやまあ国務大臣は執行機関というよりは判断をする人だと思うんで、必ずしも専門家である必要はないとは存じますが、それにしても先生6年前に経済企画庁長官やってましたよね。まあ素人だの普通の常識的な見方というのは尾身大臣が自らを謙遜して表現してるんでしょうと解釈致しましてその次に。

『だから、政府としてこれを脱却宣言をすべきであるとか、そういうことを今の段階で財務大臣として申し上げているわけでありません。しかし、感じとしては全体的に見ると、もう脱却宣言をしてもいいのではないかというふうに、全体の経済の大きな動きというものを見ると、そうじゃないかなというふうに思っているということを申し上げたわけです。』

ということで、個人的見解という但し書き付きではありますが、これはもうどう見てもデフレ脱却宣言でございますわな。政権内でそういう認識という話になると、まあ脱却宣言は時間の問題でしょうね。


#そういえばおまけですが、昨日あたくし「これはデフレ脱却宣言の地均し」と脳内妄想で申し上げた新聞報道のトーンについてですが、本石町日記さんの見立てを読んで「なるほど」でした。






2006/10/04

お題「小ネタ雑談ですいません」

歴史的な日歴史的な日っておおげさなモーサテ・・・・

○3か月FBの入札が行われますが

終わった入札の話の前に3か月FB入札とは順序が逆のような気もしますし、多分超局地的にしか注目されてないとは思いますけど。

本日は3か月FBの入札が行われますが、とっても短いゾーンの需給はタイトになっているようでして、昨日もちらっと申し上げましたように、年内償還物のTBFBが軒並み0.3%〜0.31%という状態になっております。どうみても年内利上げなんぞ知った事かというレート形成になっていまして(まあそうなるわな)、利上げ観測もさることながら、足元の運用ニーズの高さもまた反映されているような観がございますな。

TBFBの利回りが低い(コールから比較すればまだ一応金利はありますが)状態で張り付きつつあるんで、他の金利にも波及の香りでして、CPの発行金利も微妙に低下傾向ですし、GCレポや現先レートも低下で、6日スタートの翌日物レポやら現先取引は0.3%割れになったようですな(ただし10日スタートは国債発行要因があるので別かもしれない)。

という訳で、WIの0.35%などというのはまあ期待を全くしておりませんで、0.34%台での決着になるんでしょうなあという入札。ゼロ金利解除直前の入札で0.4%になった3か月FBですが、まあそこから金利がひたすら低下するというのが(経済指標などを反映しているとは言え)実に香ばしいというか何というか・・・


ところで、6か月TBの入札は最低落札価格が0.4%にかなり近い所まで流れまして、まあ一応年度内利上げの可能性に敬意を表していないこともない位の利回りにはなってくれたようですな(4月償還ですもんね)。1−3月期の利上げを織り込んだ利回り形成とはまだまだ言い難い所ではありますけどね。


○何か皆さんベアフラットを見てるような気がするんですが

昨日の10年入札は落札結果もまあ事前予想通りに良くてその後も相場上昇という毎度お馴染みの展開。まあ昨日の下げの時点から押し目買いをする投資家もいましたし、相場水準を訂正して入札をやって皆さん目出度し目出度しという所でしょうか。ただし引けに掛けて相場上昇して見事に引けピンにしやがったので、ケツの重い投資家の皆様におかれましては買い損なったと地団駄踏んでる向きもあるのではないかと思料。

んでまあ色々と話を聞いて回ってるとあれだ、「買いたい弱気」っていうか「下がったら買いがくるんでしょ(あるいは買いたい)」っていう意見で揃ってる感じが致しまして、こーゆー時にその通りに相場が行かないのはいつもの事なんですが(笑)、はてさてどういう形でその想定が崩れるんでしょうかね、うーむ。

ま、何となく思うのは、下がりそうな材料(株高とか株高とか株高)が出るものの妙に債券が値持ちしてしまい、そのうち上期の運用成績が思わしくなかった(ゼロ金利解除前が一番金利が高かったという相場状況からして買いそびれの人が多いのは自明でしょう)事に対してエライ人からあんな事やそんな事を言われ出して・・・・っていうのがシナリオなんですけど(^^)。

天の声にもたまには変な声もあるとは故福田赳夫元首相の名言でしたが、債券・金利市場の住民と致しましては、天の声は(自主規制の為割愛)でございまして、それがまた下期の相場を香ばしいものにしてくれそうな悪寒がするところでございます。

まあ確かにここから相場が下落したらバランス的にベアフラットになるんでしょうけれども、皆さんの見方が同じなんでそうすんなりと行くんでしょうかとは少々疑問が。


○急に新聞報道が景気回復利上げモードになったのは?

毎度お馴染み本石町日記さんが興味深いエントリーを。→http://hongokucho.exblog.jp/5802684

何か今週になって急に景気回復物価上昇ですよって記事を日経を始めとして新聞やらテレビ報道で出てきてるのは金利市場的には「????」感を持っていたのですが、今回は本石町さんの指摘と同じで日銀の地均しという感じは見受けられないです。それならそもそも野田審議委員のインタビュー記事であんな内容にはならん訳で、あの記事が出た直後に景気回復物価上昇利上げモードになるのは動きが正反対もいいところ。

で、まああたくしが勝手に脳内妄想を逞しくすると、これはまあデフレ脱却宣言に向けた地均しなんですよきっと。新政権になってからの景気付けにって感じがするんですけど。大体(本石町さんも指摘してますが)政権メンバーが日銀に冷淡というか事有らば日銀の足をすくいそうな面子が揃ってる上に、別に経済状況的に利上げ急ぐメリットは日銀に無いと思いますんで。

そんな中で昨日は尾身財務大臣様におかれましては、記者会見で「デフレ脱却宣言やってもよいのではないか」「今の段階でやらないのは不自然」と仰せ(ブルームバーグニュースのヘッドラインより)との事でございまして、経済企画庁長官時代のアレな大本営発表発言を思いだしてしまい、誠に何ともうしますかという所ではございますです(←これじゃ何言ってるかワケワカランですな、あっはっは)。

とは言え、新聞報道というのは恐ろしいもので、こういう論調が並ぶと立派なお部屋で新聞読んでおられるエライ人たちはそれはそれで影響されちゃったりするところがまたアレな所でございますので、このトーンがいつまで続くのかは注視したいものです。と言いながら日経購読してないんですけど(爆)。


○メモメモ(与太話です)

bewaadさんのコメント欄(9月22日のエントリー分です)で知ったコラムをブックマーク。→http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/51/

竹中氏は与謝野氏に追い落とされたとの森永卓郎センセイの見立てですが、閣僚や補佐官人事からはどう見ても逆にしか取れません。本当にありがとうございました。

っていうか、このSAFTY JAPANとかいうのは以前量的緩和解除に関する言説で信じ難い怪電波を発しているコラムを発見してネタにした事がある(しかもその時は気が付かなかったんですが、よくよく読んだらコラムのお題が「量的規制緩和解除は・・」とかなってたんですよ。総量規制と量的緩和がごっちゃになってますな^^)んですが、ここはもしかして怪電波発信所なんでしょうか。そしてそれを「SAFTY」の冠つけたコーナーで発信するとは大丈夫か日経BP。

しかしまあ自宅に立派な棚作って立派な模型コレクションを並べてるのを「自慢のコレクション」とか言ってテレビで自慢してる大先生様(たまたまどっかの番組で見たんですけどね)に「拝金思想を疑え!」とか言われても「オマエモナー」としか返しようがありませんな。

#笑えるコラムだったのでついネタにしちゃいました。



2006/10/03

お題「日銀短観など」

日経平均戻り高値マーク→某ゲスト解説者登場して強気発言→反落3週間→別の某ゲスト解説者登場で弱気発言→4営業日でほぼ全値戻し・・・・と絶好調なモーサテに本日登場したゲスト解説者(また別の人)からは「米国経済は不動産から株の時代、景気減速と悪化は違う、東京市場心配する必要無し」と強気のコメントを頂いております(-_-メ)。ちなみに2人目のゲスト解説コーナーも「明るさ増す10月相場」と来たもんだ。ハーコリャコリャ。

#そしてブルームバーグテレビの放送をしなくなった東京MXは可及的速やかに元に戻して欲しいものです。6時からブルームバーグ、6時半から朝まるJUSTというのが最強コンボだったんですけど、ついに両方ともなくなるとは東京MXヒドス。(追記:いつの間にかブルームバーグが5時半に移ってました>東京MX)

んまそういう話はさておきまして日銀短観から。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0609.pdf

ヘッドラインの大企業製造業の業況判断DIが+24と強かったのですが、暫く前に出てた法人ナントカ統計(忘れた)で強い数字出てたから短観改善という話があったような気もするのです(が、その時は華麗にスルーされてた気もしないでもない)けど、まあいっか。

○前回の「先行き見通し」の達成度合い

シロートなりに延々と小見出しの部分に注目しているあたくしでございますが、今回はまあチグハグというか何というか。要は3か月前の予測DIと実際の今回のDIがどうなってるのかを見る訳ですが(以下6月時点での予想→今回実績の順)。

製造業
大企業:+22→+24
中堅企業:+13→+14
中小企業:+7→+6

非製造業
大企業:+21→+20
中堅企業:+6→+5
中小企業:▲9→▲8

前回予想から改善してるのが製造業大企業、中堅企業に非製造業の中小企業なのですが、まあ今回に関しては前回の先行き予想DIから一番ぶれてるのが製造業大企業の2ポイントということで、そんなにぶれてませんなあとも言えますわな。で、前回の時といえばちょうど株価が絶賛下落してる中で調査期間に入ってたんですが、その割りには短観悪くないし、先行きも予想も下がってない(中小企業は下がってました弱気)ですなあという感じだったんで、あたくしは「まあ良いんじゃないの相変わらず」という印象。

先行きの予測に関してはあまり強く無いのですが、予測DIが業況判断DIから3ポイント悪化してるのはDI改善組の製造業大企業と中堅企業なんで、まあ先行きに掛けても予想しっかりって感じではないかと存じます。というか先行きDIって景気拡大期には基本的に弱めに出るんで、まあ今のところ高原状態って感じじゃないですかねえ。これが先行き予想よりも実際に出てくる数字が悪いってのが続くとヤバスと思うのですが。


○想定為替レート

これまた短観概要の1ページ目の(参考)って所に大企業製造業の「事業計画の前提となっている想定為替レート」というのがありますが、ここのレートが相変わらず111円台にございますな。為替レートはご案内のようにこれよりも数%とは言え、ずーっと円安で安定しているので、製造業では為替でノリシロが出来ているんじゃないかという気も。まあそれが業況判断に既に織り込まれているかもしれないので何とも申し上げられませんが。


○設備投資計画

5ページ目の設備投資計画等の本年度下期の計画が上方修正されているという話に関しては本職の方がご指摘かと存じますのでメモだけ。


○雇用人員判断がちとアレでございますが

6ページ目の雇用人員判断。ここの数字は何故か「過剰」−「不足」という出方をしているので、ここだけはマイナスがでかい方が「良い数字」。

で、ここの数字なのですが、さっきと同じように6月調査時点の予測DIと比較すると、全業種の全規模に渡って「予想よりも悪い数字」になっています。まあ6月時点での雇用人員判断の現状DIと比較すれば数字としては良いのですのでそんなに大騒ぎする話では無いのかもしれませんけれども、「思ったよりも改善幅(というか人員不足度合い)は小さいですなあ」ってのはどうなんでしょう。

いやまあ前回のDIと比較する時に「前回の先行き予想」との比較をするのが好きなもんで、どうも気になるんですよね。ちなみに雇用人員判断の先行き予想DIに関しては基本的に「先行き不足」となっています。

#これが公共放送のニュースにかかると、現状のDIにフォーカスして「人手不足観がバブル期並の水準に」ということになるのですな。うーむ。


○これ何て北浜先生?

まあ雑談ですが、7ページ目(8ページ目以降は参考の図表なんで実質最終ページ)の最後に「金融機関の業況判断等」というものが出てきますが、これがまた実に香ばしい。

業況判断DIなのですが、証券業という欄を見ると6月調査時点での業況判断DIが+20で先行き予想が+36と実に景気が良いのですが、9月の業況判断DIは何と▲4と業況判断ベースで24ポイント悪化なのですが、予想DI対比では40ポイントの悪化。

まあ業種別でぶれの大きいのは他の業種でもございますが、先行き大幅プラス予想が一転してマイナスってのはさすがにここしか見当たらないですわな。市況産業だからまあ仕方無い面もあるのですが、証券業の経営連中の中の人たちは髪様の集団かと小一時間問い詰めたいとはまさにこの事でございますわな、というか頭痛いよ勘弁してくれや。

ちなみに、先行きの予想DIは+36となっているのはどんな大本営発表なのでしょうかとこれまた小一時間・・・・


と、ここまで書いてたら時間が無くなったのですが、一応メモだけ。

○別の話ですが、FBがつええよという話

昨日は何かよー判らんのですが威勢良く売り込んでみた債券相場だったようですけど、短い所は風景が違いまして、TBFBの金利が短いところで絶賛低下、というかモノがねえんだろうなあという感じ。

日本相互証券の引値を眺めると年内償還までが0.31%などという誠に強烈なレートになっておりまして(というか11月償還になると0.30%なのですが)、1月償還になる先週の新発債410回が何とか0.33%となっている(そりゃまあ年末年始が5日間あるんでプレミアム乗っけてくれないと困るんですが)という状況。ちなみに引値を見ると年度内償還のところまでは金利変らずか低下で、その先は金利上昇という判りやすい値付けになっております。さよですか。

まーそんな訳ですんで、今週は6か月TBと3か月のFBの入札があるのですけど強いんでしょうなあという所です。特に今週は水曜に2か月ものFBの償還があるのでFBに関しては償還超となってますので益々ですなあという感じです(来週は2か月FBがあるので発行超になるが)な。CP発行金利も低下傾向ですし、まあ暫くこんな感じでしょう。そうしているうちにゼロ金利解除前に一番金利が高かった時のFBが再来週の月曜に償還になるのですけど、再投資利回り低下という事態が発生という感じですな、あっはっは。

#ということで10年入札の話は華麗にスルー





2006/10/02

お題「野田審議委員インタビュー/期末のロンバート」

さて下期スタートです。

ところで、つい3営業日前に引っ張り出した解説者には散々弱気見通しを話させておいて、今朝の解説者は「長期政権の後は買い」というお題で佐藤内閣、中曽根内閣の後に4割とか5割上昇しましたという話を持ち出してくるテレビ東京様に朝から感動を禁じ得ないのでございます。

○野田審議委員インタビュー記事:利上げ慎重派登場

金曜の日経金融新聞3面に野田審議委員のインタビュー記事が掲載されました。お題が『米住宅減速、来年前半まで見極め、「国内景気に影響」』(句点は引用者が入れました)ということで、利上げ慎重派ご登場の香り。以下9月の29日日経金融新聞より。

・景気に関して先行き楽観ではございませんな

『現状は順調に推移している。内需では家計部門が消費面での力強さに欠けるが、企業部門は設備投資を主導に拡大を続ける』

『米住宅市場の減速感が想定よりも強い。今後も住宅価格が低下していく可能性は低くない』

ということで、今後の懸念として米国経済の失速と、国内の家計部門が先行きどうなのよってところがありますという話で、先行きに関しては金融経済月報ベースよりも弱気ではないかと。


・よって物価に関しても強気ではないと

『基調として緩やかな上昇を続けるが、当面は経済実態の改善ほどに目立って上昇しない情勢が続く可能性がある』

これも金融経済月報や展望レポートで出てくる政策委員会のメインシナリオとはちと違う見立てになっておりますわな。景気回復の家計部門への波及(要するに賃金の上昇)に関して想定よりも弱いというのがメインの見立てなのかと。


・金融政策変更に関しては但し書き付き

『政策変更のタイミングは予断を持つことなく、経済・物価情勢を点検して決めていく。ポイントは内外需のバランスがとれた景気拡大が続く下で物価上昇率が次第に拡大するかどうかだ』

という訳で、「内外需のバランスが取れた」という点をポイントにしている訳でして、内需に関しては現状の家計部門の弱さ(というか力強さに欠ける)状況、外需に関しては米国の住宅減速懸念ときておりますので、当面は様子見という話になるのでしょうね。


・野田さん面白い存在になるかもしれませんね

いやあ就任時には「この人は順送り人事ですかそうですか」などと悪態をついておりましたが、利上げの時にはロンバート金利に関して反対票を投じ、今回のインタビューでは大勢意見と異なる景気の見立てを表明ということで、独自色が出て中々宜しいのではないかと思います。悪態ついて大変失礼致しましたm(__)m

先日公表された8月決定会合議事要旨で景気の先行きに懸念を示した「ある委員」はまあ野田審議委員だったんでしょうということになるかなあという感じでして、今後の野田委員には注目が必要かも知れませんな。

ロンバート引上げの時に0.4%じゃなくて0.5%を主張したというのが現状の景気見立てに対してどうよという気もしますが、コール誘導金利の金利回廊を狭くすることに関しては反対ということであって、金利を上げろという意味ではないということなのでしょうな。そういう意味ではまあ金融政策に関しては筋論を出してくるお方でもあるわけで(金利回廊を狭くするというのも考え方として変だとは思わないし、そもそもあたくし0.4%を主張してましたように0.4%が筋違いとは思いませんが)、金融政策の筋論に関してはその場その場で都合の良いお話を出してくる福井日銀からするとちと異質な存在になりそうですな。

ということで野田審議委員の今後に期待。


○期末のロンバート利用状況

金曜日は即日オペで1兆円を供給。外野のあたくしとしては、そんなに出したら積みが進捗しまくる(と、後の運営が絞り気味にしないといけなくなってしんどい)のでどうなのよと思ってまして、午後落ち着いたら吸収するのかなあと思ってました。無担保コールの平均は速報ベースで0.339%だったのですが、どうも最後の方まで0.4%近くのビットが残るという状況だったようで、ロンバートの無い時代の末初取引を見慣れていたジジイと致しましては「そんな時間まで何やってるのよ」という感じですが、まあそういうことで吸収どころでは無かったようで。

んでまあ公表されたロンバート利用状況ですけれども、結局7400億円実行されたようでして、その一方で超過準備が2兆2800億円(木曜の超過準備は8000億円)とはナンジャソリャという感じなのですが、どこかでブタ積み抱えた人がいたという事なんでしょうか、随分とまあ金でましたなあという感じです。積みの方も進捗しまして、木曜終了時点では1日辺りの残り所要が4兆3700億円だったのに対して末初3日の積み進捗によって金曜終了時点での1日辺りの残り所要が4兆700億円まで進みましたな。

まあしかし随分出ましたなあという感じでしたが、ロンバートよりも何か午後遅い時間になっても高いレートの取りが残っていたというのがあたくし的には「はあ?」でございまして、どうせまあ限界的な調達なんでしょうけれども、限界的な調達をしないといけない身分の取り手がそんな時間まで取りを残すとはアフォというか何というか。普通そういう人は早めに手当てするもんじゃねえのかと思うのは信用収縮時代の羹に懲りて膾を吹いているジジイの感想なんでしょうかねえ。

#では今期もよろしくお願い致します♪