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(各日付の最初にラベルを「070104」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます。まあ自分用に作ったんですが、手が空いたときにシコシコ遡及しておきます)



2007/01/31

お題「金融政策は事実上CPIペッグだと思うのですが・・・」

正直相場的なネタはあまりないので雑談と人のふんどし。

○あたくしはCPIペッグの事実上復活という説に同意です

昨日は生産指数が強めで消費指数が弱めにでて差し引きチャラというような感じで経済指標自体には反応しなかったような相場なのですが、あたくしが勝手に思いまするに、それよりも本石町日記さんが指摘している「CPIペッグの事実上復活か」という説に賛成してたりします。

説明責任っつーか政府の経済政策との整合性って話になると思うんすけど、利上げに関して否定的になる根拠は物価動向以外は考えられない(というか一時的要因であっさりマイナスに転化する水準で利上げするのはちょっとあの・・)と思うんですよね。政府がそれこそ「個人消費の伸びが弱く」とか言い出したら「じゃあ何で定率減税廃止したのよ」という話(ええもうしつこいですよあたくし)が出てくる訳ですし、基本的に政府の経済見通しは強気で出てますから、物価のノリシロが確保(それが幾らなのかは難しい問題ですがそこはスルー^^)できれば金融政策正常化路線自体を拒否する理由は無いですな。

という事を考えているあたくしでございますので、まあ正直次の利上げはCPIが明確に上を向いてこないとやりにくいのではないかと思うのですけれどもどうなんでしょ。


○為替と金融政策との関係ですが

bewaadさんのところでネタになってた(http://bewaad.com/20070130.html)のですが、毎度お馴染み日経金融新聞2面の「ポジション」欄でこれまたお馴染みの太田編集委員様が「日銀内の利上げ派は為替是正を利上げの方便にしようとしているのではないか」というようなコラムを書いておられたようで。

あたくしの駄文で再三指摘しておりますが、この太田編集委員というお方が日銀関連の記事とかコラムを書くと何か無闇矢鱈と悪意を感じる構成のモノになってしまうという仕様になっておりまして、おまけに日経金融のポジション欄と言えば現場の人が「???」というような記事が多かったりするコーナーで、あたくしの駄文ネタには格好の素材なのですが、これをエライ人が読んで下々の者に「どうなってるんだこれは」と聞かれると誠に遺憾な事が多々ありますんで、などという話はどうでも良いのですが。

この「円安是正のための利上げ」ですが、何ちゃらのトリレンマという話でもあると存じますが、何せ過去には「プラザ合意」という日銀黒歴史(と思われますがどうなんでしょ^^)がある訳でして、為替水準の是正の為に金融政策をいじるというのは筋としてさすがにアリエネーと思います。んなことマジで言い出したらあたくしとしてはいつの間に日本がカレンシーボード制になったのかと小一時間問い詰めたくなりますわな。

で、まあ為替是正するなら当然の如く介入で対処するんじゃないですかと思う(日本がドル売り介入して対ユーロで水準が訂正されないのであればユーロ圏でドル買い介入するんかいな?よー知らんが)のですが、どうもここもと出てくる報道が「G7でユーロ高是正の為に利上げ話出てくるんじゃネーノ」調になっているのが気になるところです。例えば昨日のブルームバーグニュースではこんな話が。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aBPp1MdE4_F0&refer=jp_news_index#

『1月30日(ブルームバーグ):欧州政府の当局者らは来週開催される7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、日本銀行の利上げの遅れが既に下落している円の為替相場をさらにゆがめる恐れがあると警告する見通しだ。ブルームバーグ・ニュースが入手したG7会合に向けて準備された機密文書草案から分かった。(以下割愛)』


で、あたくしの杞憂だと誠に有り難いのですが、ガイアツ様のパワーによって政府サイドが「利上げ容認」姿勢に転じてしまった場合、日銀(というか総裁?)が「こりゃラッキー」とホイホイ乗って利上げに突撃する懸念が物凄い勢いである訳でして(苦笑)、まかり間違ってそんな事になったら、そりゃまさしく「為替是正のための利上げ」という本末転倒も甚だしい話になるのですけれども・・・・ま、んなこたあねえとは思うのですが。

#「円安懸念で利上げをしようとしてる人が沢山いる」かのような観測報道には正直言って悪意を物凄く感じます。この新聞は「市場との対話が出来てない」とか批判してたとおもうんですが、てめーらのそういう記事が市場との対話を阻害してるんじゃねえのかと小一時間。


○少々気になるのはこのあたりでして

ちと古いのですが、CPIを受けた閣僚発言で少々気になったのがありましたのでクリップしときます。

尾身財務大臣の26日会見要旨より
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070126.htm

『物価は、私は、安定していることが一番であって、上がっていくことがいいとは必ずしも思っていません。物価安定なので、皆さんは何となく物価が上がった方がいいと思っている人が大勢いるみたいな感じがするけれども、物価は安定していることが一番なんだろうと。で、じゃあ、物価が安定しているから景気が悪いか、経済が悪いかというとそうではなくて、経済は順調に発展しているという状況ですから、そういう意味では物価が上がる方がいいというのは、何か変だなという感じもするんですね。だから、経済全体は順調な、まあ、石油の原油価格の動向等にも影響されて、いろんな変動がありますけれども、全体としては安定しているんだろうというふうに思っています。』

『だから、弱いというかね、あなた方、上がった方がいいようなことを言っているけどね、私は安定していることが一番いいんで、物価が上がる方がいいというのは、昔の、他の、私この前外国を随分回ったけれども、みんな物価上昇のことを心配しているんですよね。インフレになるのではないかという、今、特に財務大臣とか中央銀行の総裁は心配しているんだけど、日本はちょっと雰囲気が違うんで、何か世界的な考え方とちょっと違うような感じがしますね。』

塩崎官房長官の26日会見・・・・なのですが、官房長官の会見に関してはなぜか知らんが質疑応答部分が公開されないという摩訶不思議な仕様になっています(あたくしの探し方が悪いのかもしれませんが)ので、ブルームバーグニュースの記事から。

(塩崎官房長官は)金融政策について「当然、為替も考慮に入れて判断するのは当たり前だが、それだけで決めるのかというとそれも違う話。あくまでもさまざまな指標を考慮し、先を見通しながら判断していくというのが政府も日銀もやらなければいけないことだと思う」と延べ、為替レートも判断財衣料にして決定すべきだとの認識を示した。(出所:ブルームバーグニュース)

市場はあんまり反応しなかったようなのですが、何かちと妙なものを感じるのは気にしすぎですかそうですか。

#てな訳で本日もまた雑談でした。正直CPI終わったので終了と思ってるのは決め打ちし過ぎですかそうですか(苦笑)








2007/01/30

お題「どうもこう訳判らん展開で」

早いもんで今年も1か月になろうとしてますな。まあCPIで目先の話が一巡しましたんであまり話もないのですけど。

○オペ金利は下がるがGCレートは・・・

などと書くとその途端に下がるのがドラめもんクオリティなのですが(笑)、ここのところT+1スタートの共通担保オペやら国債買現先オペをしつこく打ってまして(水曜、金曜、昨日と連発)、しつこくオペを打った効果から昨日はとうとう現先オペの最低落札利回りは0.30%を割って0.29%になるわ、6000億円のオファーに対して応札が9746億円と札もイマイチだったりしまして、まあ資金の取り手にとっては結構な話で出し手にとってはマズーな展開。

・・・・の筈なのですが、GCに目を向けるとこれがまた微妙に話が違っているようで、決定会合後に0.30%レベルまで低下したGCレートなんですが、月末だの国債発行日要因だのを抜けた割には昨日もGCレートは0.31−0.32と案外確り。

GCに関しては資金の出し手が妙に強気なのか、それとも目先の利上げ無しで(足元とか3か月とかの超短い所をいじってる人で2月利上げがあると思ってる向きはたぶん皆無と思われ)足元にキャッシュ置く位なら少しでも利回り高いものを購入する動きで足元の資金が少ないのか、何だかよー判らんのですが、オペで資金が出ている割にはレートが下がらんなあという感じです。

ま、ショートターム(除く翌日物)の資金供給オペ自体も足切りが0.3%を切るのが中々難しくて、手元のノートをパラパラ見てますと、ショートタームの供給オペ金利が足切りベースで0.3%割れが数日続いたのを見ると中間期末越えが終わって金利先高感も無かった10月頭まで戻ってしまう(手控え帳面ベースなので間違っていたらゴメンナサイ)んですが、この時はGCが0.28%あたりまで低下して「いやー金利下がってますなー」って感じだったんで、まあ本日以降のレート推移にもあたくしは注目したいと思いますが、正直このネタは超マニアな話でございますかそうですか。


○FBやらCPもまあ確りしてますかな

昨日はスポットスタートが月末だったのでCP発行祭りでしたけれども、まあ印象としては「発行多い割にはまたレート低下気味ですかそうですか」って所でしょうか。2月の決定会合前のエンド物になると0.33%近辺とかの利回りで、それは先生現先レートと殆ど変らんがなという数字になっているのは兎も角として、4月エンドものでも最上位格物だと堂々0.5%割り込みの巻となっているようで、まあ一応期末越えには敬意を払っているようですが、利上げへの警戒はかなーり弱くなっている状態。

FBに至っては先週入札が行われた新発FBの引けが0.43%となってまして、どーせビットサイドではないかと存じますが、既発債の4月エンドが0.42〜0.43%と殆どレートを並べておりますんで、この点で言うと利上げ警戒よりも単に「期末越え」ということでレートが付いてるんじゃないかって感じですな。FBに関しては例によって例の如く、利回り着目というよりは「ショートタームの国債にニーズがある」という要因の人の買いが優勢になっていて、やたらめったら確りしているという所なのではないかと存じます。基本的にマネー系の投資家と現先見合いの買いしか入ってこないCPレートとの差が中々詰まらない、というかFBが強いのでCPが仕方なく付いていくという感じでの動き。足元金利が妙に下がらないのとセットで考えると、まあ「足元資金の潰しでタームが下がって足元の需給は逆にタイトになっている」って事なのかも知れませんが、少々妙といえば妙ですわな。

明日はFB入札がありまして、GWの関係上償還が前回債より2週間近く伸びまして、年度末越え+GW越えって奴でして、4月の決定会合2発を通過する上に、GWと言えば昨年は相場が反転するきっかけになった時でもありまして(スティーブンローチ大先生のご託宣なんてものもございました^^)、この430回債が429回債から幾らスプレッド乗せてくれるかは注目したいです。てかスプレッド乗らなかったら常識的に考えて槍杉注意報ですかな。

○しかしイールドカーブ立ちましたなあ

決定会合の初日に利上げ無しを堂々織りこんでしまった債券市場でしたが、さてその後どうなったのかということで、1月17日と昨日の引け(ただしめんどいので単利です)を各年限のカレント物で比較するとこんな感じ。

           1月17日       1月29日
30年24回    2.315%      2.400%
20年92回    2.125%      2.190%
10年284回   1.680%      1.720%
5年62回     1.210%      1.190%
2年252回    0.770%      0.730%

30年のカレントは今は25回なんですが、比較するのに別の銘柄使うのも何なので24回の引け単利にしときました。

いやはやこれはまた2年の強さって何なんですかちゅう感じでございますが、目先の利上げ懸念後退→じゃあまあ短い所を買っておきますかという動きは想像できますけど、0.7%前半って1回利上げになったら多分GCから0.1%ちょっとしかバッファーがなくて、2回利上げになったら死亡確定というレベルなんですけど、それでいいのか2年カレントと思うのですが・・・・と思ったら今日は入札なので、1か月で1.5毛位はスプレッド乗せるからまあ何とか0.75%に近い所にはしてくれますな。それでもつええと思うが。

この間に20年と30年は新発債の発行があったとは言え、何もあーたここまでボコボコにしなくてもと思うのですけど、まあそこまでの間に「利上げでベアフラット」というのがコンセンサスと申しますか相場のテーマっぽくなっていたんで、それが逆に逝ってしまった事からアンワインドの動きが起きてみたり、米国債市場で長いところが弱くなっているので(あたくしとしてはそれで日米が相関するというのも無茶な話だと思いますけど)こっちも連れてカーブプレイが起きてますとかあるのでしょうが、正直ここまでやるの?って印象っす。

たぶんイールドカーブに関する思惑(およびそれが外れた事)によってカーブが動いてるっちゅう話だとは思うのですが、まーそのうち「低金利の長期化期待によって、将来の金利調整幅が大きくなることを懸念して超長期ゾーンの金利が却って上昇してる」とかいう講釈をする人が出てきそうな悪寒。


・・・・などとつらつら書いてみましたが、要するに「ここもとの動きが何と申しますかサッパリ判らんですなあ」という愚痴をレポートっぽくしてみただけです、などと最後に自分で落としてしまうのでした(^^)






2007/01/29

お題「須田審議委員記者会見」

PDFファイルで8ページになるのですが、一つ一つオモロイ。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0701b.pdf

質疑の中で多かったのは「フォワードルッキングのスタンス」に関してと、利上げするという人と現状維持の人の差がどこから来ているのかという話でした。まあ当然なのですが。


○須田審議委員の基本的な考え

という訳で、須田審議委員のフォワードルッキングのスタンスについてですが、質疑の3ページ目のあたりからその話です。講演(正しくは挨拶)要旨の中で「先行きのシナリオにある程度確信が持てるのであれば躊躇なく政策変更を検討すべき」という部分があったことに対する質問に対する答えから。

『先行きのシナリオについて、今のところ我々は07 年度まで持っていますが、それは将来のことであり、基本的には確実ではありません。従って、ある程度は、リスクをとる必要があると思っています。』

『そのリスクをとるにあたっては、自分たちの描いているシナリオの蓋然性がどれくらいか――それが何パーセントかということは申し上げられませんが――、そのシナリオの蓋然性は高いが、下振れリスクなり、上振れリスクなりの不安の程度が大きければ、それは今のシナリオにより確信をもてるまで色々と分析等を行うということになると思います。』

『私自身、12 月の決定会合の時期と1月の会合の時期を比較してみた時に、いわゆる標準シナリオが実現する蓋然性はより高まっていると感じたわけです。』

ということでして、そのフォワードルッキングに関してどういう話をしているかというと別の質問に対する答えの部分の方が判りやすいですわな。

『私は先ほども申し上げたように、フォワード・ルッキングであるからには、ある程度のリスクをとって政策を行っていかなければ、利上げが遅れ過ぎるリスクを抱えることになるという思いがあり、物価安定のもとでの持続的な成長ないしは息の長い景気拡大を続けていくためには、ある程度景気の山谷を均していくことが必要になると思っています。』

まあこれはこれで一つの見識だと思うのですが、やはり標準的なシナリオの中に利上げが前提になっとるのがまた話がややこしくなると思うんすけど。「展望レポート方式」だと中長期のシナリオを先に出す形になってしまうので、足元の指標が中長期のシナリオ通りに行かなかった場合に(例えば現在に関して言えば、ちょっと足踏み状態になってる訳ですが)現在のように路線が違ってるんじゃねえのって話になってきて訳判らんモードになるのかと思うのですな。

で、まあこの「中長期のシナリオを出す」(1−2年は中長期とは言わないとツッコミを受けそうですが、笑)というのは経済が動くという事を考えますと、ちょっとリスキーなんじゃないのかなあとあたくし考える次第。経済情勢の変化によってシナリオをちょこちょこ書き換えていたら「何だか安定しませんな」って感じになるし、かと言って「シナリオ不変」を貫いたままでいると以前の判断に縛られてしまい、判断を変更するタイミングが遅れる結果になりかねないということで。

まあ「新たな金融政策の枠組み」をやって見ましたが、市場との対話という点で齟齬が発生してますので、枠組み構築を見直すということでご検討されるのも宜しいのではないかと思うんですよね。結局「物価安定の理解」が数値目標っぽく見えるのに、実はターゲットじゃなくてアンダースタンディング(??)であり、政策は総合判断っていうのはやっぱ判りにくいと思うのですよね。


○市場との対話がどうも上手く行ってませんがという話

市場との対話についての質問に対して。

『今回私がこのようなテーマでスピーチをしたのも、情報発信力を少しでも高めようとする努力の表れです。ただし、対話の再構築ということではく、私自身としては、新たな金融政策運営の枠組みがまだ理解されていないとの思いが非常に強かったため、この点についても本日お話させて頂きたいと思いました。』

先ほども申し上げたように、あたくし思うに展望レポートの作り方を変えてみたほうが良いのではと。正直金融経済月報だけで十分であって、第1の柱とか第2の柱に関しては決定会合の中で議論してくれれば、それが議事要旨という形で出てくるので(よって、議事要旨が次回の会合前に出てくれると良いのですが)、それで判断できると思うのですけど。判りやすくしようとする中で色々なものを盛り込んでしまったので、ポイントが見えにくくなっているという面があると思うんですよね、今の金融政策の枠組みって。

#ポイントを曖昧にすることによってフリーハンド確保なんてことはまさか考えてないと思うが・・・・

『この考え方をしっかり共有してもらえれば、もう少し対話しやすくなるのではないか、あるいは枠組みが共有財産となっていない中ではなかなか対話も難しい、と判断しました。この点は私も反省するところであり、もう少ししっかりとこの枠組みについて情報発信してくるべきだったと思っています。』

率直に申し上げまして、多分須田審議委員のご説明でも枠組みへの理解は中々進まないと存じます><;


○利上げ派と現状維持派の距離について

その距離はフィロソフィー(哲学)の違いからきているのではないかという質問がございまして、それに対する須田さんの答え。

『フィロソフィーの違いと言われると、何ともお答えできませんが、金融政策決定会合で議論する上で、そもそもの考え方という点で議論するのに困るというようなメンバーがいたことは一度もなく、それがフィロソフィーの違い――定義はわかりませんが――という感じは一切持っていません。』

とは仰っていますが、どうも微妙に違うような気がするんだが・・・

『私自身の感覚としても、先行きの見通しについての確信度合いは皆さんそれぞれであって、それぞれのメンバーが経済全体として何か特定の指標をみて判断されるということではないため、新しい指標が顕著に良くならないと考え方が変わらないというわけではありません。もともと持っているのは標準シナリオであり、これを確認するためのデータがもう少し欲しいという人と、もうこれでOKという人の差ですから、私としては先行きのこと(引用者注:ここで言ってる先行きのこととは、慎重派の意見が1〜2か月で変わるのかという事に関してです。質問を引用してないので文脈から読み取れないですね)は全くわかりません。』

「標準シナリオが確認できない」というのは要するに「シナリオ通りに行ってません」って話のような気もするんですけど、一度書くと中々ホイホイと書き換える訳にも行かんので、先ほどと同じ話になりますが、金融経済月報でやった方が良いと思うんですよね。現状判断と先行きをどうせ月報で書いてるんですから・・・・


○原油価格に関して

以前は「原油価格上昇の背景には投機があるが、根本には世界経済の拡大があるのでCPIの判断には原油も含めるのが適当」と言ってた点について須田さんの答え。

『次に、原油の問題ですが、原油取引にはもともと投機的な部分がありますが、その一方で、NIEs、加えてASEANといった新たなアジアの力、経済の発展のもとで、原油等の需要は基本的には増加していきます。また、世界経済が拡大していく前提のもとでは、先進国の原油需要も増加し、その中で原油価格は上昇基調にあると思っています。その意味では、それを物価の一つの力として捉える必要があると思っています。』

『ただ、どこまでがトレンドで、どこまでが投機的なものかわからない面があり、振り返ってみれば、最近原油価格が急激に落ちたのは、投機的な部分の影響があったと判断しています。そういう意味では、考え方が変わったということではなく、もともと実体経済の強さを反映したものである限りは、それは物価に反映されて、それを含んだもので良いと思っています。ただし、一時的な要因で動きがあったとわかった時には一時的だという判断をした方が良いと私は思っています。』

何か判ったような判らんような話ですが、そうすると一時的だという判断になった部分で行った金融政策に関しては是正をするべきという結論になるように思えますが(^^)。

結局ですね、色々と物差しを出してくる中で、その時の政策運営に都合の良い(というか日銀様の標準シナリオに都合の良いと言うか・・・・)ものがホイホイ出てきて、都合が悪くなるとあっさり引っ込めると市場から(市場以外からもだと思うが)思われている時点で対話が上手く行っとらんと思うんっすよね。

・・・という訳で、本日は須田さんの記者会見のご紹介なんだかあたくしの金融政策雑感なんだかよく判らん展開になってしまい誠に汗顔の至りでございます。こんなところで。






2007/01/26

お題「須田審議委員講演」

何はともあれ本日のCPIがネタとして注目されるところですけれども、市場予想+0.2%ということになってますけど、+0.1%くらいまで織り込んでるような気もするんですがどうなんでしょうかね。

予想通りタカ派な須田審議委員の講演でしたので別に市場は反応しなかったんですが、ロジックを整理するのにはちょうど良いのでこの講演を読んでおくのは吉ではないかと存じます。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0701b.htm

講演本文をA4の紙に打ち出すと13ページになりまして、図表(上記URLにリンクがあります)が20ページという中々の量になりまして、景気に関する部分も読むところ多いのですが、本日は金融政策に関する後半部分を読むということで。


○フォワードルッキング

『報道にもありますように、日本経済の先行きにつきましては、「見通し」に概ね沿って推移する可能性が高いとの認識で意見の一致がみられた一方、金融政策については意見が分かれたことになります。その意見の分かれ目になりましたのは、各委員の「見通し」に対する確信度合いということになりますが、こうした一見するとややわかり辛い結果が、金融政策運営に対する市場の見方を複雑化している面は否めません。』

ということで須田さんの解説が始まります。フォワードルッキングの重要性については・・・

『このような政策によって、政策を変更しなければ生じたであろう問題の芽を早めに刈り取ることができれば、そして中央銀行の政策を国民が信認していれば、国民の将来に対する期待も安定化しますので、金融政策の有効性が高まり、それは持続的な成長の実現に資することにもなります。』

と指摘しておりまして、それは確かにその通りなのですが、現時点で「日銀に利上げバイアスがある」と(日銀の中の人たちの大勢がそんなに利上げバイアスあるのかといわれるとそうでも無いんじゃないのかという気はするのですが・・・)世の中に認識されている時点でフォワードルッキングの有効性について黄信号が絶賛大点燈の香りがしますが。

その他フォワードルッキングの重要性について指摘しておりますが、特に変った話をしている訳ではなく、まあ確かにその通りでございますという話が続いておりますので引用割愛。


○「新たな金融政策運営の枠組み」に関して

『昨年10月の展望レポートでは、標準シナリオを点検して第1の「柱」で「わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高い」と評価するとともに、第2の「柱」では、金融政策面からの刺激効果が一段と強まり、中長期的にみると、経済活動や物価の振幅が大きくなるリスクがある、ということと、景気拡大や物価の上昇が足踏みするような局面も考えられるが、物価下落と景気悪化の悪循環に転化するリスクは小さい、と指摘しました。』

『このように、われわれの先行きの政策運営に関する情報発信は、二つの「柱」に基づく点検結果とセットになっています。なお、毎回の決定会合では前回決定会合以降に出てきた指標を中心に経済物価情勢の現状と先行きについて点検していますが、常に展望レポートのシナリオを意識しながらみています。』

というのが第1の柱と第2の柱って奴ですが、この第1の柱と第2の柱にフォワードルッキングが微妙に混じっていて、というか第2はまんまフォワードルッキングなのですが、フォワードルッキングを強調する→第2の柱がフレームアップされる→第2の柱は先行きのリスクを強調している→利上げバイアスが意識される→色々な話が利上げ先にありきになる、という流れになっちゃうと思うので、やっぱこの枠組みも「先行きの金融政策に予断を持たず」っていうのには馴染まない気がするんですが。

とはいえ、本来で言えば金融政策は「先行きの経済情勢を見ながらリスク対応も考え」っていうので別に変ではない気もするのでして、何で日銀の口からその話がでると利上げバイアスが出てくるのやらと思う訳ですが(苦笑)、過去の実績および、展望レポートの標準シナリオの作り方のせいではと思うのですが。

『現在の標準シナリオは、政策金利について市場に織り込まれたと見られる市場参加者の予想を参考にしつつ作成されています。現在は利上げが織り込まれていますので、それを前提に標準シナリオはつくられています。したがって、現実の経済物価情勢が標準シナリオに沿ったものであれば、おのずと市場の平均的な見方と大きく乖離することなく利上げに行き着くことになります。』

結局ここのところが「利上げ先にありき」と言われてしまう原因でして、先行きの金融政策に予断を持たないでフラットな対応をするという形じゃない所にロジックの複雑骨折(利上げ主張する須田さんの方が却ってロジックは展望レポートや枠組みに沿っているのですっきりしてますわな、骨折気味なのは据え置きの人たち)が出てますってことを明らかにしてくれる話ですな。

大体からして、市場なんて常にオーバーシュートするんですから、「政策金利について市場に織り込まれたと見られる市場参加者の予想」を参考にしてるのでしたら、シナリオが物凄い勢いでコロコロ書き換わるような気がするんですが、そういう訳でもなさそうなのは、「予想」はどこかで切り取った数字を使っているのか、須田さんの講演テキストのように「将来の利上げを織り込んでいるから先々利上げがあったとして・・・」みたいなファジーなお話なのか、この「予想」が何か曖昧模糊としている所が、この枠組みをわけわからんものにしてる原因のように思えるのですが。

以前も申し上げましたが、標準シナリオを書くのであれば「市場の予想を参考にしたベース」の他に、「現在の金融政策を不変として対応した場合」ってのを出していただく方が判りやすいと思います。


○須田さんの先行き見通し

前半部分に詳しい話があるのですが、今後の金融政策という話の中でも須田さんの見通しが披露されてますので引用。

『私自身、1月の決定会合に向けて、その(引用者注:標準シナリオの実現性)確信度合いを高めてきました。』

『米国景気については先ほど述べましたように、強めの指標を確認することにより、米国経済のソフトランディング・シナリオの蓋然性が高まったとみています。』

『国内の個人消費については、もともと緩やかな雇用者所得の伸びに見合った形を想定しており、それほど強い姿を想定しているわけではありませんが、雇用者所得が緩やかに増加している状況に特に変化はみられていませんでしたので、夏場の落ち込みは一時的な振れ、かつ統計上の歪みと捉えていました。ここへきてそのような考え方で基本的に問題ないとの確信をより高めています。』

『物価については、原油価格の下振れによって足もと下振れていますが、それは一時的な要因とみられ、かつ経済活動にはむしろプラスに働くと考えられます。私にとって関心あるのは物価の先行き基調です。GDP統計の改訂で、物価の基調を決める要因である需給ギャップとユニットレーバーコストの動きを点検しましたが、物価の基調判断に変更を迫るものではありませんでした。これらだけでなく、この間公表された様々な指標も、いつものごとく丹念に点検したことは言うまでもありません。』

『なお、10月の展望レポートの第2の「柱」にあるように、「仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、金融行動・投資活動などを通じて、中長期的に、経済活動の振幅が大きくなり、ひいては物価上昇率も大きく変動するリスク」は気がかりです。』

特に解説するようなお話でもございませんので、はあそうですかという事で。


○特定の指標1点張りのリスクについて

『もちろん、我々は毎日新たに出てくる様々な指標の数値をみながら、それをベースとして経済物価情勢の中期的なトレンドに変更が必要かどうかを点検していますので、その意味では、フォワードルッキングといっても、足もとの指標を全く無視していることにはなりません。』

『とはいえ、何か特定の指数をとりあげてその値を重点的に予想に組み込んでいくということではありません。数値は振れますし、多くの経済指標においては、確定値になるまで数次に亘り過去のデータが遡及改訂されるという技術的な問題もあるからです。政策決定にとって重要な予測を一つの指標のそのときの値に依存させすぎますと、結果的には、意図とは異なる政策運営を行ってしまう可能性も否定できません。』

ということで、特定指標に対する1点張りを否定している訳ですが・・・

『ダラス連銀のフィッシャー総裁は、実際に指数改訂によって政策判断が違ってしまったケースを例示しています。すなわち、「FOMCでは、2002年の終わりから03年の初めにかけて、コアPCEがコンフォートゾーンの下限である1%を割りそうになったため、金融緩和を実施し、金利水準を低く維持する約束を行ったが、後になってコアPCEが0.5%上方修正されたため、結果的に緩和しすぎとなってしまった」と指摘しています。このケースでは、不十分なデータがもたらした金融政策が、住宅やその他の市場で投機的な行為を増幅させたと述べています。』

という具体例をだしてまして、コアPCEの改定がどうなっていたかという解説をしておりまして、一つの指標に依存した形でのフォワードルッキングの難しさが非常に難しいという話をしてます。インタゲ導入に否定的って話なんでしょうかねえ。


○で、市場との対話なんですが

そこに辿り着く前に時間が無くなってしまったので細かく引用するのはスルー致しますが、どうも現在の「金融政策の枠組み」と「展望レポート」のセットという大枠をそのまま使って対話をしていくという話(まあ新しいものを作り直せとは言いにくいでしょうけれども^^)になっておりまして、あたくしの頭が痛くなるものだったりするのです。

『私どもにとっても記者会見や議事要旨は重要な情報発信手段ですが、それを使って政策変更時期を直接示唆するような方法はとっておりません。先ほど説明いたしました「新たな金融政策運営の枠組み」のもとで、金融政策についての基本的な考え方や経済・物価情勢全般についての対話から、市場の自律的な予想形成を促しながら、一緒に利上げ時期を見出していくという戦略を採用しています。』

『金利の世界に戻ってからまだ時間が経っておらず、またこの新たな枠組みについての理解が十分浸透していないもとで、ある程度利上げの織り込み度合いが振れるのは致し方ない面もありますが、今後、日本銀行、市場、マスコミが学習を重ねることで、政策先行き予測の乱高下は次第に回避できるようになると期待しています。』

たぶん、「市場の自律的な予想形成を促しながら、一緒に利上げ時期を見出していくという戦略」というのは市場がオーバーシュートしやすいという事を考え合わせますと、乱高下の回避というのは難しいともうしますか、どっちかというと市場の期待の振れを増幅しやすいメカニズムがこの枠組みに内包されているのではないかと思うのですけど。

現在の枠組みには工夫というか改善の余地が大ありと存じます。







2007/01/25

お題「材料待ちですな」

ということで本日はまあ雑談で勘弁。

○オペ金利

今週になってから毎日のように国債買現先とか共通担保オペが実施されているのですが、ショートタームのオペ金利が下がりそうで下がらんですな。一昨日は2月6日エンドの国債買現先が平均0.309%で足切り0.30%で按分13.9%だったのですが、昨日は2月15日エンド(は積み最終日にぶつかるので使いにくいような気もするんですが・・・)の国債買現先が前日と同じくで平均0.309%足切り0.30%なのですが、足切りの按分が8.0%となってまして、思ったよりレートが下がりません。共通担保本店オペもT+1スタートで実施された分が2月9日エンドのショートタームで実施されたのですが、こちらも平均0.309%の足切り0.30%で按分6.6%ということで、0.30%の所で下げ渋るイメージ。

まあ昨日の後半からコールが下がってきてますので、今日になるとまたちょっと違うのかもしれませんが、利上げ見送りで(実際問題として足元金利は別にだからどうなのよというのはあるんですが、心理的に何となく下がりやすくなるんじゃないかというのもありまして)オペ金利もうちょっと下がるのかと思っていたのですが少々意外でありました。

何気に資金の取り意欲はあるんですね。その原因がどこにあるのかはよく判らんのですが。


○期内物のニーズが高いようで

昨日は3か月FBの入札。一昨日時点でのWIの0.46%というのはまあインチキとしまして、0.45%は一昨日の段階でも「まあ買わせてはくれないでしょう」という感じでしたが、結局入札は平均が0.432%位で最低が何とか0.436%近くという所で、「利上げ見送り」報道が出てた先週水曜の3か月FB(償還期間が若干違うのですが)の平均0.474%からは見事に低下しておりますわな。まあ2月利上げ観測もかなり遠くなってしまったという雰囲気満々状態ですので当然と言えば当然ですが。

で、その3か月よりもまあこれはと思うのは3月期末を越えないモノでして、3月償還物で一番長いのがFB423回(3月28日償還)なのですが、こちらの引けが0.37%とかでして、まあ実力的にもそんなもんのよう(0.37とか38とか)なのですが、それってあの共通担保オペと殆ど変らんというか若干低かろうというレベル(昨日の共通担保オペでは1月26日スタートの3月30日エンドの本店オペの平均が0.386%で足切り0.38%でした)でございまして、何かどうしてそういう理屈になるのかは存じませんが、2月償還とか3月償還への買い需要は結構なもののようですな。

一方で3月期末越えになるとレートがちょっとギャップアップという感じでして、FBだと424回(4月6日償還)で0.425%の引値になってまして、昨日の新発とあんまりレート変らん状態。4月償還(というか期末越え)というカテゴリーで一緒くたにされているような感じでして、目先の利上げ観測絶賛大後退の割には期末越えの所で妙にレートが飛んでいるイメージです。

正直その理由は判らんのですが、レラティブバリューというよりはお家の事情というか「期内物だから」という人気化のような感じです。あたくし的には期末越えの1週間でレートが5毛も飛ぶのは少々不思議なんですけど・・・・


○外国人売買高シェアがトップですかそうですか

何かさっきから目の前のテレビで債券市場の業態別売買高シェアで外国人がトップになって相場のリード役がどうのこうのと申しておりますが・・・・・・(追記:日経にもその記事があったようでして、「海外投資家動向が長期金利に影響を与える」というトンチンカンな結論に対して各方面から大々的にツッコミを受けてました^^)

いやあのですな、売買高シェアがトップでも保有シェアはどうなのよというツッコミをしたくなる訳でして、どうせそっちはまだまだ低いと思う(推測で言ってますので念の為)次第でして、それは単に外国人投資家様が短期売買を好んでやっておられるという話だと思うんですよね。確かにバカスカ短期売買をすれば市場の目先の動きには影響大なんですが、市場の方向性という観点でいえば、長い目で見た方向性に大きな影響をあたえるのはポジション保有期間の長い人たち(要するに長期安定保有する人)なんで、株式市場みたいに保有シェアが大きくなってから「相場のリード役」ということになるのではないかと思いますがね。

#ま、目先のリード役という意味では確かにそうなんですけど

ところで、それだけ売買シェアがあるということは、利上げがどうのこうのという場面で外国人投資家様におかれましては相当ドタバタとお動きになったということでもあるんでしょうな。そりゃまあ振り回された方としては「日銀ケシカラン」と言いたくなる訳で、海外メディアが(以下妄想全開につき自主規制^^)。


○ロジックの再構築が必要なのではないかと(考え中のネタ編)

小見出しにあるようにまあ考え中の話なんですけど。

昨日ご紹介した12月の決定会合議事要旨からあたくしが読み取ったのは「利上げすべき」というのと「現状維持すべき」という間にはロジックにギャップが出てきてるんじゃないかという所なのですが、展望レポートで示されたロジックの「第2の柱」というのがフォワードルッキングだということなのでしょうが、ここの位置づけがどうも曖昧なあたりでロジックの分裂が起きている(と思ってますが、見たてが違うのであればゴメンナサイ)のではないかと思います。

それともう一つ思いつく論点としては、展望レポートにあります「先行きの経済見通し」でありまして、政策委員メンバーの先行き見通しを公表してる中での前提となる将来の政策金利が「市場が織り込んでいる将来の政策金利推移」という風になっているあたりは再考の余地があるかなあという所。その結果として「日銀の見通しが利上げを前提にしているので、利上げをしないと論理的に変」という本末転倒な話になってしまう訳でして、ここの所は展望レポートでのロジックが「利上げを前提にしている」のがどうなんでしょうねというのに繋がる話ですわなあという感じ。ま、自分でぶち上げたロジックで自分に妙な縛りが出来てしまうと言う点では自業自得プギャーでもあるのですが、この際その辺も再構築した方が良いんジャマイカって思うのでありました。

この件につきましては以下続く、というか思いついたらまた書いてみますが、こればっかりは一人でひねもす沈思黙考しててもしょうがないので色々と議論しないといかんでしょうな。


○ところで須田審議委員の講演がありますが

タカ派というか金利調整派の人ですので、そうじゃない内容だとサプライズですが、順当な内容だったら別に市場へのインパクトは無さそうですな。この手の発言というか講演で注目すべきなのは旗幟不鮮明な人たちの物だというのは基本中の基本ですわな。

#というわけで全編これ雑談で恐縮至極






2007/01/24

お題「正常化VS足元重視の香り」

12月の決定会合議事要旨が公表されましたのでその辺りから。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g061219.pdf

まあ今回の注目は利上げ云々に関する議論はどうだったのよという所ではないかと思うのですが、市場の反応的にはあまり新味ありませんなあという感じだったのかなと思います。でもまあ色々考えさせられる(というか考えると頭が混乱してくる^^)ネタなのでこのあたりを。

本文8ページ目(PDFファイルで9ページ目)からが「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」でしてそこから。


○この辺は正常化路線っぽいお話に見えますな

『この間、一人の委員は、次回会合における展望レポートの中間評価で、経済・物価情勢が展望レポートで示した見通しに沿って展開していく蓋然性が高いと自信を持って判断できるのであれば、政策変更を行うべきであると述べた。』

『複数の委員も、金利調整を急ぐ必要はないが、経済・物価情勢の見通しがより確かなものとなれば、1月会合以降の適切なタイミングで、異例の超低金利からの調整を進めることが適当であると述べた。』

恐らくこの中の委員が1月会合で利上げ賛成に回ったんでしょうなという事ですが、ここの発言(の要旨)から読み取れるロジックはそもそも日銀が展望レポートなどで示しているものですな。で、「異例の超低金利からの調整」ってありますように基本的には「正常化路線」がクローズアップされているような印象を受けます。

「異例の超低金利から」中立金利への調整を徐々に行うというのはグリーンスパンがやってたメジャードペースでの金利調整と同じような話だと思いますが、このロジックを量的緩和解除直後に持ち出した水野審議委員は余計なことに中立金利水準の数字をやたら高い数字を言ってしまって物議をかもしてその後中立金利水準の話が持ち出しにくくなってますが、まあ12月要旨のこの部分を見ますと「メジャードペースでの正常化」論をちゃんとするようになってきましたなあという感じ(まあ元々の展望レポートなどのロジックを突き詰めるとそうなるのですけど)。

じゃあ現在の経済状態が「メジャードペースでの金利正常化」に着手するタイミングなのかというとこれまた議論になりそうなのですけれども、展望レポートでの見通し不変とすればそのタイミングですって話になっちゃう訳でして、まー昨年4月の威勢の良さげだった景気状況で威勢良くぶち上げた展望レポートが却って重荷になっておりますな、合掌。

もう一つですが、後半の発言にあるように、利上げに関してそもそも『金利調整を急ぐ必要はないが』『1月会合以降の適切なタイミングで』という風に述べられていることでして、この点はあたくし従来から受けていた印象と合致するのですけど、もともと日銀的には利上げにそんなに前のめりな訳ではなく、「まあ年度内のどこかで金利調整をするタイミングがあるだろうからそこで次の調整でしょうなあ」ってなのんびりした感じだと思う次第でして、まあその印象を裏付けているようにも読めますが、それはあたくしの印象が正しかったと勝手に喜んでいるためにバイアスが掛かってる可能性もありますので念の為。

ということで、12月の時も今回もそうですが、「今回利上げできないともう当分利上げ全然ムリムリですよ」という話になってくるのは、(特にガイジン様から見て)理屈としては判りやすいのですが、どっちかと言うと「まあどっかのタイミングでやるんじゃないですかねえ」というファジーな考えで構えてた方が良いような気もするのでした。後は経済物価情勢次第でして、据え置き長期化観測で為替や株価に影響が出るとまあそれが経済物価情勢にも影響が出てきてって話になるとは思いますが、何せ市場は極端から極端に振れやすいっすから。


○足元重視だと展望レポートと話の整合性が・・・

さて、ではまだ据え置きの主張はどうなのかと見ますと・・・

『別の複数の委員は、政策金利の調整を進めていく際は、経済・物価見通しを巡る不透明感がある程度晴れるまで、様々な材料を丹念に点検し、タイミングを適切に見極めていく必要があると指摘した。』

こちらの意見は先ほど申し上げた話を敷衍すると、「現在はまだメジャードペースの金利調整をする段階には至っていない」という意見になるかと存じます。でもこの主張するなら展望レポートの書き方を変える必要があるんじゃないですかねえと思うのですが。

というのと、この主張だとフォワードルッキングというよりはデータ重視の時間軸に近い話になってくると思うのですが、結局のところ量的緩和解除の時に出された「物価安定に関する理解」と展望レポートでの「フォワードルッキングによるメジャードペースでの金利調整」という話が現在の物価情勢だと不協和音を起こしている為にロジックがワケワカランというか混乱しております(混乱してるのはあたくしの頭の中だけかもしれませんが)なあという所なのではないかと存じます。

例えばの話、CPIが前年同月比+1%くらいで推移していて、その中で中立金利への調整をするからメジャードペースで中立水準まで利上げするって話ならまあ(CPIが+1%の時に中立金利って幾らなのよという話はありますがその話をしだすとあたくしの手に負えないので華麗にスルー)話として両立しそうな気もするのですが・・・・


1月会合後の総裁記者会見で総裁様が賛成票と反対票の間の「意見の違いはほんの僅かですよ」と言ってましたが、どうも12月の議事要旨を見ると、意見の相違は表面上はタイミングの問題かもしれないけど、その中身は正常化路線VS時間軸という内容になっているようにも読めます(もちろんあたくしの勝手な誤読かもしれませんけど)んで、結構これは1月会合記事要旨をとっとと公表してくれと言いたくなる所ですな。

というか、議事要旨次回の会合前に(2回ある月は仕方ないけど)議事要旨を公表してくれると誠に有り難しと申しますか、ここまで思惑で大盛り上がりしないんじゃないですかと思うのですけど、ご検討あられると誠に幸いでございます。


以下クリップ

○バーナンキ氏、経済成長だけで財政赤字問題は解消しないと語ったような気が

ちと古いネタですが、利上げ騒動のどさくさでスルーしてしまったのでクリップだけととりあえずしておきます。このままだと忘れちまいそうでございますんで。

18日の上院予算委員会(と言うのか?)での議会証言。

http://www.federalreserve.gov/boarddocs/testimony/2007/20070118/default.htm

の中盤。1段落丸々引用しちゃいますので、途中で段落分けします。

To some extent, strong economic growth can help to mitigate budgetary pressures, and all else being equal, fiscal policies that are supportive of growth would be beneficial. Unfortunately, economic growth alone is unlikely to solve the nation's impending fiscal problems.

Economic growth leads to higher wages and profits and thus increases tax receipts, but higher wages also imply increased Social Security benefits, as those benefits are tied to wages. Higher incomes also tend to increase the demand for medical services so that, indirectly, higher incomes may also increase federal health expenditures.

Increased rates of immigration could raise growth by raising the growth rate of the labor force. However, economists who have looked at the issue have found that even a doubling in the rate of immigration to the United States, from about 1 million to 2 million immigrants per year, would not significantly reduce the federal government's fiscal imbalance.

ドラめもん仮訳すらつけずにクリップしておきますが(手抜き)、後日追記予定。要するに「財政赤字削減努力をされたほうが宜しいのではないでしょうか」というのが趣旨なんですかこりゃ。(引用の前段落で財政赤字に警鐘をならしておりますんですよ)

(1月28日追記)
本件のインプリケーションは色々とありそうですが・・・・
1.バーナンキ氏が「越権行為発言」を出来るほど信認を回復している
2.実は氏はコストプッシュのインフレが発生するのをかなり懸念してるんじゃネーノ?
3.「成長すれば増税無しで財政再建」と言ってる上げ底上げ潮路線プギャー

特に3.については上げ潮マンセーな人たちが本件に全然触れないあたりに怪しいものを感じるわけだがw





2007/01/23

お題「2月利上げ警戒感も盛り下がってまいりました」

○オペ金利などは「決定会合越え」も気にせずに

昨日の市場もブルスティープ、というか20年とか30年とか(特に30年)弱くて前日比利回り上昇してる向こうで、2年5年がレート低下という状況。利上げに時間がかかる→将来の時点で必要になる利上げがより大きな幅になる→中短期金利低下して超長期上昇。。。という風に後付け理屈を並べることはできますが、まあそんなことよりも中短期(特に2年とか)は買いというか踏みじゃねえのという圧力が強くて、長期投資というか安定持ち切りに近い人が多い超長期ゾーンは金利が下がると買いの手が引っ込むという需給要因だと思いますが。

昨日も引け後に金先が上昇(期先の上げ方が目立った)してたり、2年ゾーンの買いというか踏みパワーも大変なもんで、0.72%などと威勢良く上昇してるんで、まあ海外なのかなあと勝手に想像しておりますよ。今般の利上げするのしないので実は一番振り回されてたのって海外勢なんじゃねえのかという気が思いっきりするここ数日の流れなのでした。

と、小見出しと全然違う話が延々と続きましたが、昨日の短期オペあたりの金利。昨日は24日スタートの短期オペが行われたのですが、共通担保本店オペの2月15日エンドが平均0.327%の足切り0.32%で、国債買現先オペの2月26日エンドが平均0.325%の足切り0.32%となっておりました。国債買現先と共通担保オペの金利を単純比較するのもちとざっくりの話にはなりますがまあそこは兎も角として、2月の決定会合は20日、21日に行われますので、この2本のオペ金利レベルが似たようなもん(一般的に国債買現先の方が共通担保よりも低めに出る事が多いので実質的には期間の長い買現先のレートのほうが若干高いと思われるが)だというのは「2月決定会合への警戒をしたレートで資金をわざわざ取りに行くこともあんめえ」という状態になってる事を意味しますわな。CPの1か月もの(決定会合越え)も最上位格で0.4%は楽勝で割っているようですし(とは言え3月期末越えは0.5%台ですんで、資金運用サイドはまだ利上げへの警戒(運用だから期待)は根強いですけどね)、とりあえず12月決定会合終了後と同じ状態になったようですな。


○日銀の金融市場レポート

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/mkr/mkr0701a.pdf
半期に一回のペースで出てくるのですが、こういうのを金曜の午後に出されますと、週末に読むのには良いのですが、うっかりエライ人に見つかって「このレポートのここについて教えてくれ」との質問攻撃が来ると大変なことになるという説も(笑)。

ページ数は14ページになりますが、図表などが多くてまあ知ってる人にはあっさり読めるし、あまり馴染みの無い人でも読みやすいのではないかと思います。何せこのレポートは日銀様が良く出されるペーパーと違いまして難しい数式が1つも出てこないという誠にありがたいお話。

で、最初のページにサマリーがあるのですが、短期金融市場の機能回復がまた進みましたよでもまだまだ課題はあるねというのがまとめだとは思うのですが、こちらであまり強調されてない論点について少々。

レポートの中では市場間の裁定が徐々に進んできているという話になっているのですが、実感としてはまだまだ歪みまくっているという気はします。その最大の原因としてあたくし思うのは何と申しましても大手銀行(というかメガバンク)様が機動的に動かないことでして、最も売り買い(資金の出し入れ)をしやすく、その体力もある人たちが市場間分断モードから中々脱却できていないなあと思うのですよね。

と、大手銀行様に悪態つくわけですが、メガバンクの立場を思うと同情すべき点も多々ございまして、何せ市場に対するメガバンクのシェアがでかすぎなので、自分達のマーケットインパクトがでかい(昔のように上位行同士での打ち合いとかができない)こととか、商品ごとにセクションが分かれてて機動的に動きにくいとか、まあ市場という観点からすると、参加者のメガ化というのは市場機能の阻害要因でございますわなあという感じでございます。んあ訳で悪態をついても解決しない部分というのがあるとは思う。

それから、今絶賛話題のOIS取引なんですが、やたらBOJタームの取引ばかりが出来てるようでして、あたくしこの前も申し上げましたが、BOJタームのOISって要するに次の政策金利の当てっこですがなとおもう(当てっこと言えばこれは合百とどこがどう違うとか言うと総スカンを食らうのでそのようなことは言ってはなりません^^)次第でして、短期資金取引のヘッジ目的で入る人たちが増えてくる前にロットだけでかくなちゃうと、金先同様にバンクALMと巨大ポジションを振り回すディーラー(のような人)の特殊格闘場になっちゃうんジャマイカと少々懸念。

「日銀様も注目してる」とか言うと、じゃあ市場の見方をここで出してやろうじぇねえのと振り回しだす人は世の中にいます(参加者が薄いと特に)んで、あまりそういうこと(どの市場を注目してるとか)は名言しないほうが宜しいのではないかと思うのですけどね。もちろん現場の人たちは色々なレートを見ながら「総合判断」して「市場の考える先行き金利見通し」を見てると思いますが。

あとまあ有担保コール取引がバーゼルUの関係でややこしい話になるらしいというのをちと聞いた(というか年末にペーパーが出てた)のですが、有担保取引の拡充をどうするのという話は本編でも触れられてますが課題ですなあという話とか、オペ先以外の参加者の話も一つお願いしますとか思いつくことは少々あるような気もしますが、気が付けば時間が無いので本日はこの辺で勘弁してください。

ま、このレポートは17ページなので一瞬読むのを躊躇しそうになりますが、先ほども申し上げたように図表を駆使し、難しい計算式とか全くございませんので、短期市場に興味のある方にはマジでお勧めです。






2007/01/22

お題「総裁記者会見」

捏造ばれたら売れ残る、
ハイッ!ハイッ!ハイ!ハイ!ハイ!

・・・スーパーの納豆売り場における土曜と日曜の風景の余りの違いっぷりに思わず爆笑を禁じ得ず、某テレビ番組を鵜呑みにして踊らされる連中プギャーとか思ったのですが、ふと思えば今般の利上げ騒動で市場の人たち(あたしも含む^^)や外野の皆さんは気持ちよく踊りましたので納豆に群がった人たちを笑えませんな、あっはっは。

#中川幹事長の「提案」に関しては趣旨にどうもきな臭いものを直感的に感じるのですが、とりあえず保留(てか書いたものを全部消したんですが)。まあいずれにせよ権力はそれが強大であればあるほど行使は慎重に行うべきであるというのがあたくしの基本思想なもんで辛口バイアスはかかりますな

と、いう前置きはともかくとして総裁記者会見。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0701a.pdf


○フォワードルッキングとは

金利を引き上げるべきという提案も出たようですが、さて利上げすべきの人たちと据え置きの違いはいずこということでして・・・・

『経済・物価情勢の変化をこれまでのシナリオに照らしてみた場合、少なくとも現状を出発点として先行きをみた場合、生産・所得・支出の前向きの好循環なメカニズムが変わっていない、その蓋然性が高いという点では一致しています。しかし、さらに追加的に情報を蓄積し分析を重ね、全体を再構築してその判断をより確かなものにするために、さらに丹念に今後の見通しを追求するかどうかという点で、もう今回でその判断は十分できるという方と、さらにもう少し丹念に検討を加えようという方との差ということです。そういったところから差が出ているとご理解頂ければと思います。』

ということは、利上げの人はフォワードルッキングという話なんでしょうかという質問が出てくる訳で、次の質問でこんなくだりがありました。

(これは質問の一部)『今のお話だと、フォワード・ルッキングという基本方針と、足許を丹念に点検するといういわばバックワード・ルッキングとの整合性について、日銀の外部からみると、その都度その都度、日銀の主観的な判断で優先順位が左右されているのではないかと受け止めてしまいます。』

で、もうその答えが落涙モンですな。長いので抜粋。

『フォワード・ルッキングなスタンスには、いささかも揺らぎはありません。記者会見の場でも何回かお答えした覚えがありますが、フォワード・ルッキングは、手前の指標を一切無視してただ遠眼鏡で先々を想像によって判断するということでは絶対にありません。』

『市場でも個々の指標をみながら様々な判断が形成され、あるいは実際に取引をされる場合にも、先々の経済を直接写し出す経済指標があるわけではありませんので、市場参加者も結局は私どもと同じ思考経路を組み立てながら、将来の経済を予測し、決断をもって様々な取引をしておられます。私どもの姿勢と市場の姿勢が基本的に異なっているわけではありません。』

『私どもがスケジュール感をもって政策行動を予定していることはなく、その点について示唆的な情報を日本銀行から一切差し上げていないことも事実です。そこは市場参加者自らが判断されることで、そこには明確な峻別があると思います。』

まあいつもの公式見解ですけど、どうも分裂気味の回答ですな。


○CPIと金融政策

これまた厳しい(というかまあ普通は普通ですが)ツッコミが。

『総裁の今のお話と、本日の展望レポートの中間評価を拝見していると、かなりの方が追加利上げの環境はもう整っているのではないかという印象を持つのではないかと思います。さらに丹念に点検を続けていくとすれば、総裁は、どのポイントに焦点を当てて今後点検していくのでしょうか。例えば、CPIも、今後原油の動向次第では一時的にマイナスになるのではないかとの予想が出ていますが、例えば単月でマイナスになるような事態になれば、追加利上げは困難になってしまうといったことが起き得るのでしょうか。現在、市場は総裁が何をご覧になって政策を判断しているのか、非常に分かりにくくなっている状態だと思いますので、是非説明をお願いします。』

で、まあ説明は当然の如く長いので抜粋するのですが・・・・

『繰り返しになりますが、何か特定の指標が出れば、あるいは、特定の指標が強ければ即政策判断に結びつく、ということではないという点を、もう少し市場関係者と私どもとで理解を共有したいと思います。』

『CPIのことをおっしゃいましたが、CPIの数字的な伸び率が仮にある程度下がった場合に、このインプリケーションは、数字としての物価上昇率が低くなったから利上げが遠のくというような単純なものではありません。』

とはいえ、CPIが前年同月比ゼロとかマイナスとかって話をしてる時に利上げをする中央銀行っつーのもそれはそれで変な気もしますけどね。BOEは確かにCPIがインフレ目標レンジの下にいる時に利上げしましたが。

『原油の値段が上がったら経済は悪くなると心配しますが、原油の値段が下がったらやはり心配するのでしょうか。そうではなく、原油価格が上がった場合にも下がった場合にも、将来の経済に対しては様々な角度から再構築してみないと本当の姿はわからないという部分があります』

原油の価格が上昇してCPIが上昇した時は「この上昇が一時的なものなのか継続的な上昇定着になるのかという事を考えないといけません」っていう話をしてたような気がするんですが・・・・・


○ロンバートだけ引上げることあり得るのかな??

補完貸付金利に関しての質問がありまして、その答えの中で。

『当初のように市場参加者がいつも資金の取り入れに不便を感ずるという状況がだんだんなくなってきて、出し手、取り手相互間での資金のやり取りもかなり円滑になってきていると感じています。そういう意味で、今の0.25%と0.4%というレンジの中で市場機能の回復、向上も徐々に進んできたと思っていますが、この0.25%と0.4%の幅が今後とも適当かどうかということは、引き続き検討課題として残しています。』

まあ日銀渾身の金融調節によって足元金利はあまり跳ねない(積み前半が高くて後半が低いとか何だかなあって部分もありますが)ようになっておりますので、ロンバートだけしらっと上げておいても別に問題ないとは思うのですが、そもそもロンバートの位置だけ変えることはありませんとか7月に言ってたのは総裁だったような気も。

まあ次回の利上げ(いつだか知らんが)で幅を広くするって意味での話だとは思うのですが、この言い方だと利上げの前にロンバートの「正常化」(?)をしようという話なのかも知れず。



○事前協議とか圧力とか

これは当然とは言えキツイ質問。

『民の関心も高いですが、今回の金融政策決定会合前に政府・与党の間で、利上げするのではないかということについて反対意見がかなり出ました。一部市場関係者の中には、今回の政策維持が政府・与党からの言わば圧力というか、そういうものに対して何らかの配慮もあったのではないかという思惑も出ています。こういった見方について総裁自身はどのようにお考えですか。また、日銀の独立性について改めてお伺いします。』

んでまあ回答は長いのですがまたも抜粋。

『思惑は思惑であり、思惑に対してお答えする立場にありません。繰り返し申し上げれば、今回の決定も従来と全く同じであり、経済・物価情勢を丹念に点検した上で、かつ委員の間で十分議論を戦わせて最終的には多数決で決まったということです。そこに経済・物価情勢の判断以外の要素が入り込む余地は全くありません。それ以外の要素を入れて議論した形跡は全くないということです。』

いやあ実に心のこもった回答です(棒読み)。

『つまり私どもの判断と責任において適切な金融政策運営に努めて参る所存です。判断誤りなきを期し正しい政策を行っていくということが、日本銀行の独立性に対して国民の皆様から信を置いて頂ける結果につながり、それ以外にそこにつながる道はないと思っています。』

まあそういうことで、トラックレコードを積み上げるしかない訳でして、もうちょっと慎重にやっていただいても宜しいんじゃないでしょうかと思うのですけどね。

別の質問でTBS報道について質問されておりますわな。

『色々な報道がされましたが、直前の週明けに、政府の方に今回利上げをしないという連絡があったという報道が一部でなされています。それに象徴されるように、市場としては、今回の一連の色々な騒動といいますか、結果についても非常に日銀に対して不信が渦巻いています。こういう不信に対してどのようにお答えなさるか、お願いします。』

『今週になって政策措置をしないと日本銀行から連絡したというのは、全くの事実無根です。こういうことで日本銀行に不信感を持たれるのは非常に遺憾なことです。事実がないということですので、私どもの方からは如何とも仕様がありませんが、そのような事実はなく、何も連絡はしておりません。』

まあ雲の上の人同士の間でどういう話をしてるのかは存じませんが、全くの事実無根だというのであれば、例のTBS報道は日銀法によって定められている政策決定プロセスに対して不信感を激しく呼び起こす内容であり、強い言い方をすれば国益に反する国賊的報道であると存じますが、如何とも仕様がありませんとはこれいかに。


○審議委員の票が割れる場合の話続き

質疑の後半では審議委員の票決が割れたことに関して、現状維持派と利上げ派の意見の相違について個人消費、物価、経済のグランドデザインなどについてどのような議論があったのかという話が多くて、これもまあ読んでてオモロイのですが、「大きな差はないんですよ(><;)」という回答に終始している印象を受けました。最初に引用した部分と同じような話を手を変え品を変えしているようですので引用を割愛しちゃいますが、気が付いたらまた書きますね。

で、票決に関する質問が最後の方にもありまして、審議委員の票が2対4になったりしたらどうすんのよという問いに対する総裁の答のまたまた抜粋。

『今回はたまたま総裁、副総裁の3人は現状維持の方向で揃っておりましたが、理論的に言えば、この3人の意見が違うということも将来的にはあり得ます。従って、執行部であるとか、その他の審議委員であるとかといった色分けなしに議長としては公平に議論をさばいていきたいと思います。』

『本日のように結果的に意見が分かれる場合があると思いますが、究極の場合には4対4に分かれます。その時には最終的に議長が決めなければなりませんので、私自身判断をいっそう研ぎ澄ましながら臨んでいかなければならないと思っています。』

ということで、まあ外から見れば票決が割れた方が色々な意見が出てるというのが伝わってきて面白いんで、今回の議事要旨をワクワクしながら待ちたいと思います。執行部の票が割れたっていいじゃないかかいごうだものって感じですな。

#引用が多くて恐縮でございました





2007/01/19

お題「金融政策決定会合であれこれ書いてみる」

まあドタバタ劇場だと思えば随分と楽しませてくれましたな。さてどこから逝きましょうか。

#福井総裁会見まで手が回らないと思います。総裁会見で為替とか債券先物とかがやたら反応してましたが、ヘッドラインだけ見てると何でそんなに反応するの?って感じなんですけれども・・・・ま、ガイジンの考えることは判らん


○金融経済月報は実は12月とほぼ同内容なのです

金融経済月報の基本的見解が本日公表されまして、その中に展望レポートの中間レビューもございます。で、中間レビューでの現状判断部分の下振れが当たり前のように注目されるのですが、ふと冷静に月報を読んでみると、12月と判断を殆ど変えていないことに気が付くのでありました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0701.htm(今回分)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0612.htm(12月分)

でまあ、この2つの文書を紙にでも打ち出して比較すりゃいいのですけれども、経済の見立てに関わる部分で前月と比較して表現に変化があるのは2箇所だけでして、そのうちの1箇所は短観を受けた企業業績に関わる表現ですので、実質的には1箇所を直したに留まっております。

その箇所は国内企業物価の現状判断部分でして、このようになっております。

『国内企業物価は、国際商品市況の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて弱含んでいる。』(今回)
『国内企業物価は、原油価格の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて横ばいとなっている。』(12月)

ということで、現象というか事実に関わる部分に関して弱含みという表現をつかっておりますが、他の部分に関する記述は物の見事に12月の判断を踏襲した形になっております。

で、下振れだの弱含みだのという話は中間レビュー部分にございまして、こちらはどのような表現を使っているのかと申しますと・・・・・

『わが国の景気は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、天候要因等一時的な下押し要因もあって個人消費を中心に幾分下振れている(注)。』

ご丁寧にも注記がありまして、そこを読むとこう書いてあります。

『(注)成長率の下振れについては、2005年度計数が確報化により下方修正されたことに伴い、2006年度への発射台(年度中の各期の前期比伸び率がゼロであった場合の年度平均の前年比)が0.3%ポイント縮小したことも影響している。』

ということで、「下振れしているけれども、それは一時的な要因です」と主張しておいででございますので勘違いの無い様にしたいものです。

『先行きについては、生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということで先行き判断は不変ですという少々アクロバットな形になっておりますが、要は「今の状況は一時的要因」だと言いたいのでしょうな。はいはい一時的要因一時的要因。

『物価面では、国内企業物価は、原油価格反落の影響などを背景に、「見通し」に比べて幾分下振れるものと見込まれる。この間、消費者物価は、「見通し」に比べて、これまでのところ、原油価格反落の影響もあって幾分下振れているが、先行きは、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということです。総じていえば、決定会合後に出てきた文書ベースでの発信を見ると「とは言っても相変わらず強気の旗は降ろしません」という雰囲気が伝わってくるなあというのは何となく理解した。



○票決が割れたのは本来あるべき姿ではないかとも思いますし

えーっと、6対3と言うことは正副総裁が議長提案に賛成するのですから残り3名の審議委員の票が綺麗にスプリットということで両論分かれて喧々諤々っぽくていいじゃないですか。というか反対3票で短期はともかく債券先物がスルスルと売られたのはナンノコッチャでございますけれども、まー「1月無ければ当面無い」というのも理屈としては判らんでもないので、その期待がちょっと剥がれた分ということでしょうかな。何か判ったようなわからんような話だが。

そもそも論で考えますと、前回のゼロ金利解除がそうですが、その直前まで全員一致で現状維持で、1か月経ったら全員一致で政策変更なんていう方が気持ち悪いこと夥しい(量的緩和解除の時は当座預金残高目標引下げ提案という形での反対はありましたが、解除すべしという反対提案は出ていないので、まあ似たようなもんですわな)わけですがな。票決が毎度毎度割れまくるのが仕様のような中央銀行はあちこちにある訳でして、これはこれで良かったのではないかと存じます、利上げの是非はさておいて。

というかね、12月に全員一致だったのが理解に苦しむ訳でして、まあこの票決差が動くことによってボードメンバーの意見の推移が判って、「ボードメンバーの見方」が発信されるというのが本来の「市場との対話」の一つなんじゃないですかねえと思います。それから、正副議長の票が毎回一致するというのも変な話で、執行部が自動的に3票持ってるというのも何なんでしょうねと思うのでした。

#というか「政策変更は全員一致じゃないと説明責任が云々」とかいう論調を時々見るのですが、それはちょっとおかしくねえかと

まーあまり頭数を絞るのも何なんでしょうが、執行部3票っての止めて議長1票+審議委員3人にして、2対2の場合は今回は決定事項無し(なので事実上は現状維持)ってのどうかな何て勝手に妄想してみるテストなのでした(あくまでも咄嗟に思いついた妄想ですが)。


○これは酷い

今回もまた決定会合中にNHKが「今回は執行部からの利上げ提案はなかった」というようなフライング報道をしてて、どういう根拠でそういう報道をしてるのかと話題になってましたが、それよりもTBSが凄い事を放送してるぞって話題沸騰になったのはこのニュース。

http://news.tbs.co.jp/20070118/headline/tbs_headline3472551.html
日銀、「利上げ見送り」事前に政府側に
『(前半略)こうした中、日銀は、今週初めまでに、政府側に対して「今回は金利の引き上げを見送る見通しである」と非公式に伝えていたことが、JNNの取材で明らかになりました。(以下略)』

ニュース映像もリンク先で見れますので拝聴しましたが、どうもこの内容の重大性を認識して放送しているような雰囲気は1ミリも見受けられませんで、これを世の中では俗に「知らぬが仏」と申します(または放送禁止用語を使用した諺もありますが自主規制)。しかし「金融政策劇場1月公演」の締めを飾るのには誠にふさわしいというか花を添える実に香ばしいニュースでございました。

えーっと、まあこちらの駄文をお読みの皆様には先刻ご承知かと存じますが、これが事実だとするともう無茶苦茶なお話でございます。従ってこれはもう徹底的に誤報として華麗にスルーし続けるものと思われますが、こんな巨大な釣り餌には釣られない事にはあたくしの沽券にかかわりますので釣られて見ますよ。

報道が事実だった場合(絶対に誤報扱いになるに100福井)の問題点としてはまあ色々とありますが、何といいましても日銀および政府は「金融政策決定会合を何だと思ってるんでしょうか」という事でしょうかな。審議委員をコケにした話もいいところで、これじゃあスリーピングボード+マル卓時代に逆戻りですかそうですかって感じで、中原伸之さんが著書「日銀は誰のものか」で指摘していた「旧法時代に先祖帰り?」という現象ではないでしょうかという所でございます。次回の会合で審議委員の皆様におかれましては全員揃ってどんな提案であっても議長提案に反対されることを強く推奨致します^^(冗談ですよ、じょうだん)。別にマル卓ならマル卓でも結構なのですが、独立しているようで独立していない機関なんて責任の所在が一番ワケワカラン無責任な話ですから、まあちゃんとしていただきたいものですな。あ、報道は誤報ですよね(爆)。

で、報道は誤報なのでしょうが(笑)仮に事実だったとして話を続けると、「今週初めまでに」非公式打診があったということは日銀法改正まで持ち出してしまい、「与党からの圧力」を強く印象付けた中川幹事長(巨大与党の幹事長という立場は「日銀法改正」をする力があるものと見做されるので、他の与党議員が発言するのとは重みが違う)の発言は、もしこの経緯を知ってて言った(日銀法改正云々は日曜の発言なのでそこでは微妙ですが、月曜は「日銀法改正」には触れませんでしたが、発言は続いてましたわな)のならば、状況を徒に混乱させ、中央銀行が政治圧力に屈したという印象を作ってしまったということですし、経緯を知らないで言ってたのなら何か劇場に飛び込んできて勝手に大暴れした感じで何ともアレな話ではございます。あ、報道は誤報ですのでこれはあくまでも虚構のお話ですんで念の為。

まあそれはそれとして、この誤報(しつこい)がどのような経緯でJNNの取材するところとなり、ニュースになったのかという点は非常に興味のあるところでして、どうしてこんな話が出たのかは考察の余地があるかと存じます。情報管理体制どうなってるのよとか、そもそも金融政策の決定に関する理解に欠ける人がJNNの取材対象にいますなあってところですわな。うーむ恐ろしい話だ。

なお、誤報誤報とTBSとJNNに対して申し上げておりますが、是非JNN様におかれましてはこの報道について突っ込んだ追加取材をしていただきたいものと存じます、オッホッホ。

#「意見や情報の交換」で政府と日銀の連絡をどんどん取るのは非常に大事なことで、それに文句をつける気は1ミリもございませんので念の為付け加えておきます



○政府、日銀の景気認識の共有に関する素朴な疑問

手元にニュースのクリップが無いのでアレなのですが、中川幹事長が金融政策の現状維持に関してコメントを発表したそうで、その中で「政府、日銀は景気認識を共有して・・・」という話をしてたそうです。そりゃまあ政府と日銀が全然違う景気認識の元に政策運営をしてたらポリシーミックス無茶苦茶になるのでそれは正論なのですが、ちと素朴な疑問もあるんですよね。

と申しますのは、その政府の景気認識ですけれども、最終決裁権限者は大臣様なのでして、そこに「政治的ご配慮」が働かないための担保をどうするのよってお話でして、まあだからこそ中央銀行の独立性がどうのこうのって話があるような気もするんですが。

そこで思い出すのが2006年10月31日の参議院財政金融委員会における沓掛委員と尾身財務大臣の質疑応答でして、あたくし11月14日の駄文で国会会議録から引用して『政府が「大本営発表」をしても良いという超越議論』という小見出しでお話したんですよね。尾身財務大臣が経済企画庁長官時代のお話について尾身さんご答弁の部分を再掲致します。(ちなみに、同日の委員会会議録の冒頭部分(発言番号で6番以降です)ですので、割とあっさり見つかると思います)

『平成九年の秋に、私が、桜の咲くころは日本景気は良くなるということを経済企画庁長官のときに申し上げました。景気が正にどん底でございまして、言わば末期のがん患者が死の直前にあるというような景気の状況でございました。そのときに、更に景気の悪い状態が続くというようなことを私が責任者として申し上げたならば、いわゆるコンフィデンスといいますか、将来に対する展望が一層悪化して、それが心理的な影響を持って景気の崩壊といいますか、を加速するのではないかという実は心配がございまして、あえて向こう傷を負うのは承知の上で、いずれ良くなると言ったのでは印象が薄いものですから、桜の咲くころ良くなると申しましたら、三月になってもなかなか良くならない。』

まあ確かに「見通し」であって「現状認識」ではないかも知れませんが、政治的ご配慮は政治的ご配慮な訳でして、その後の質疑応答を見ても「ああいうことはしてはいけない」というような雰囲気はあまり漂ってきませんでした(会議録に当たって読むのが吉)訳なんですよね。

そーゆー事をつらつら考えておりますと、「政府と日銀の景気認識の共有」ってのはある意味正論は正論だけど、何か落とし穴もあるんじゃないのかなあって気がするんですよね。まあムツカシイ話ですけど。

#政治的ご配慮が今そこにあるとは申しておりませんのでこれまた念の為。

まあ景気認識と先行き見通しに絶対正しいものがあるのかというとこれまたややこしい話になるような気がしますのでそこまで立ち入らないで逃げ帰ってしまいましたが・・・(滝汗)







2007/01/18

お題「市場との対話路線は一時放棄された方がよろしいのではないでしょうか」

題が長すぎですかそうですか(^^)

○市場はドテン利上げ見送り

共同のリーク報道に各社追随したことから(今朝も読売と毎日と日経の1面に「利上げ見送りへ」と出てるようですが)「まあこりゃ見送りでしょ」となった(というよりは「金融政策どうしようって時になるとリーク報道合戦になる(=決定会合に何の意味あるのか)三流国家振りに呆れたといった方が正しいのですが、苦笑)金融市場では火曜に殆ど織り込んだ利上げを全部剥がす形。

22日スタートのGC取引は0.35%と前日比0.2%(笑)金利低下して、完全に元に戻ってしまいましたし(ただし、一応本日の利上げリスクが完全に無い訳ではないので、ターム物取引は超低調)、新発3か月ものFBの平均落札利回りは0.474%あたりになりまして、メンドクサイので物凄くイイカゲンに計算すると手前の1か月が0.33%とおいて後半2か月が0.545%とかになるので、実は2月利上げの織り込み度合いも必ずしも100%じゃなかったりするような気もします。

12月見送りの時も同じ現象が起きてましたが、「今回見送りなら年度内見送り」という話が出てくるのが市場ってもんでして、まあ昨日もそういう動きを先取りするような感じも見られたちゅうことでしょうかねえ。

それにしても凄いのは金先でして、正直バンクALMと海外ファンドの叩き合い格闘場のような市場なんぞどうでも良いのですが、ここのプライスアクションをボケーっと見てますとまあ踏み圧力恐るべしという感じ。早い時間帯から全限月で威勢良く価格上昇(=金利低下)しておりまして、まあ期先限月の価格が威勢良く上昇するのは判りますが、期近限月の07年3月限まで威勢良く上昇してるのには笑ってしまいました。おまいら1月利上げでも2月利上げでも最終精算価格は同じだろうと小一時間なのですが、それだけまあ売り込んでたってことと、ガイジンさんの方が上記「今月無ければ当分無い」という発想をしやすい(まあ確かに理屈としてそう考えたくなるのは理解できますが)って事でしょう。

あ、念の為付け加えますが、そもそも最終精算価格いくらよって考えた場合、年末の時事報道以降につけている0.68%だの0.7%だのという07年3月限の金先価格がそりゃ変じゃねえのという議論はありますので、ようやく正気に戻ったとも言えますけど。

まあそんな感じで、ほぼ織り込み状態だった利上げを一転して全部剥がすという実に香ばしい展開になった昨日の市場なのでありました。あっはっは。


○まあ本日の注目は票決内容と展望レポート中間レビューですな

ということで、本日の会合では利上げ見送り(もし罷り間違って執行部提案で利上げが出たら驚倒モン(とは言えまあ昨日戻した分をお返しするだけの話で市場的に大したことは無いでしょう)ですが、この場合は議決延期請求をするかの最終判断を大臣に求める為に議事が一旦中断する可能性が高く、その時にどこかのアホウが「議長が利上げを提案した見込み」というフライング憶測報道を打つのではないかと勝手に想像しておりますけど)でしょうが、注目されるのはその票決内容かと。

全員一致で現状維持だったら今までの情報発信は何だったのかと小一時間問い詰めたいところと申しますか、その茶番振りに呆れる次第でして、まあ反対(および少数提案で利上げの提議)が何票か入るとは思ってますが、何せ新聞辞令先行の政策委員会なだけに何が起こるか判らん。

一応今回は近い先行き(というか2月)の利上げに関しては含みを持たせるような方向(じゃないと今までの話と整合性が取れませんが)になるとは思うのですけど、展望レポートの中間レビューと金融経済月報(はセットですけど)の内容と、福井総裁の不規則発言(笑)に注目と言った所ですな。

いやまあこれで「景気悪化したりデフレに再突入したら辞任をするし量的緩和大復活するので今回は利上げ」とか福井総裁が言い出したら、利上げの是非は兎も角としてケツの穴の大きさに感動します(ってその時に辞任しなかったらただの無責任言うだけ番長ですが、爆)けど、まー某企業経営者逮捕の後に某私募ファンドをコソコソとご解約なされる(以下割愛^^)。



○市場との対話路線はお諦めになられた方が賢明では

量的緩和解除の時には「新たな政策の枠組みのようなものが出ます」という報道が出てみたり、12月以降はもうリーク合戦でございますかこれはというような報道の連発でして、金融政策決定会合は一体全体何のためにやっているのでしょうかと申し上げたくなるのでありました。何か量的緩和解除の時にも同じ悪態ついてましたので要はいつまで経っても変りませんよということですわな。

まー報道の人たちがどういう所からどういう取材をしてこんな動きになるのかはあたくしの知らない世界ですけれども、観測記事じゃなくて具体的な行動に関する予想記事みたいなのが物凄い勢いで出てくるというのは、どこの未開国だよと小一時間。


7月の利上げがスムーズに行った事に味を占めたのかもしれませんが、地均し路線で市場に織り込ませてっていうような「市場との対話」路線によって、自分で機動性を封じてしまったり(事前に方向性を出しちゃいますから)、丁寧に説明しようとして変なノイズは出してみたり、市場に燃料を投下してみたり、その燃料に別の方向から反応が出てきてどうみてもうんこの投げ合い状態になってみたりとなるというのは皆様も痛感してるのではないかと。

バーナンキ議長も就任当初色々と情報発信をしてた感じですが、議長発言がノイズだと散々な評価になって結局は露出を抑える方向になったような印象(詳しく見て無いので誤認だったら指摘お願いしたいのですが)で、(モスコウみたいなおしゃべりさんはいますけど)その辺りから金融政策に関する市場の思惑は経済指標で動くことが多くなっているように見えますが、福井総裁におかれましてはご参考にされるという発想はございませんでしょうかねえ。

あたくしが勝手に問題点だと認識するものを思いつくまま並べますと・・・・・

まず公式な講演やら会見に関して言えば、暫く前に西村審議委員も指摘してましたが、委員の個人的な見解と政策委員会全体との見解を峻別するというかあまり個人的な見解を連発するのは如何なものかという所でしょう。それに個人的見解なら見解でちゃんと決定会合での票決態度で示して頂きたいと思うのですけどね。かつての篠塚さんや中原(伸之)さんのように。

それから、何かよく判らんところから情報が出てきてるのじゃないかというのが多過ぎですわな。観測記事にしては妙に真実っぽいのが出てくるとか、それこそ量的緩和解除の時のように実際に出た「新しい金融政策の枠組み」に酷似した内容が事前に新聞記事になってみたり(あの時は記事を書いてる人の理解力に若干問題があったようで、結果からするとミスリードな部分があったのはご愛嬌でしたが)とか、意思決定がどうなってるのよと言いたくなるような話多過ぎ。

で、情報発信とはちと違いますが、政策に関する説明がその時その時で何かこう「自分がやりたいことに対して都合の良い理屈を引っ張り出してくる」という傾向が強くて、じゃあ「総合判断」とは何ぞやというのがサッパリ見えてこないところですな。「やりたいこと」だけは見えてくるんですけど、爆。


という訳で、正直言って日銀の情報発信に関して発想を変えた方が良いのではないかと思ってしまうのですけど。大体からして金融政策の変更の度にこんなにリーク紛いの報道が出まくる状況で東京に金融特区作って世界の金融センターをとかいう寝言が出てくるのが信じ難いです。いやマジで・・・・




2007/01/17

お題「利上げを100%織り込んじゃったんですけど一転して見送り報道相次ぐ」

今朝のお題は「やあ100%利上げ織り込みましたなあ」の筈だったのですが、いきなりお題が変わっちゃいましたよ。

#NHKは見送り、テレビ東京はどっちだか判らんと報道してますね


○ということで共同通信の報道

http://www.47news.jp/CN/200701/CN2007011601000695.html

追加利上げ見送りへ
日銀が17、18両日の金融政策決定会合で、昨年7月のゼロ金利解除に続く追加利上げを見送る見通しになった。景気の拡大基調は続いているが、個人消費の勢いが鈍く、物価の先行きにも不透明感があるためだ。18日に議決する。当面は景気の点検を続け、2月以降に利上げ時期を探る。ただ決定会合に参加する審議委員などには早期利上げを求める意見もあり、最終日の18日に向けて調整を続ける。(上記URLより)

はあそうなんですか。昨日の閣僚発言は「日銀の自主性を重視」というニュアンスだったので「ああこれはさすがに利上げ容認ですねえ」という解釈になったんですが(市場状況については下で書きます)。ではそもそも何で「自主性重視」のコメントを出させられる事になったかと言えば「政府(ではなくて自民党なのだが)と日銀の齟齬」が急にクローズアップしたわけでありましてその原因は(以下同文につき割愛)。まああれがなければ情勢急展開にならなかったと思うのですけどね。はい。

べき論その他は別にして、市場状況を申し上げますと、昨日の時点で明日の利上げを(少なくともGCなどのマーケットでは)100%織り込んだ上で、足元から2か月程度の利上げ直撃ゾーン以外の金利は落ち着いて推移しておりましたんですが、これでまた来月も騒動やるのかよと脱力と共に、こりゃ今日は19日以降の資金取引が全然動かないじゃないで参りますなあって所ですか。正直言って金融市場は利上げしても別に金利上るような状況じゃ無かったと思うんですがねえ。(材料出尽くしで株式市場も灰汁抜けじゃないのかと)

しかし100%織り込みで「やあ最大の材料が決着して当分は金融政策のことで悩む必要もないですねえ」と一相場終了の雰囲気が漲っておりました昨日の雰囲気がまたこれでピリピリモードになるんでしょうなあ。特に短期は「これで2か月連続かよ!」という感じ。

まー共同の報道が正しいとすれば今回の落としどころは少数提案で利上げが出て6対3か5対4で否決ってことになるんですかね。もし「全員一致で据え置き」だったら何なんだよそれは(というか何たる茶番)って感じですが。

まあしかし2か月連続でこれじゃ疲れますな。来月もやるのか・・・・

#というのと、北ハマー先生がマジ当りモードになっていることに驚倒するのでありました。何かの前触れでは・・・・ガクガクブルブル


○昨日は思いっきり100%織り込みになったのですが

という訳で昨日の市場ですが、尾身財務大臣の発言や塩崎官房長官の発言などが、まあ市場としては「利上げを容認するんでしょうなあ」という解釈(その解釈には「利上げをしてもその後の利上げについては慎重に行い急がないというようなニュアンスを出す事によって、金利の跳ね上がりを抑える」というのがセットになってるのですけど)になりまして、19日スタートの翌日物GCレポ金利も最終的には0.55%レベルまで上昇しました。

で、これまたワケワカラン所ではあるのですが、日本相互証券の引け利回りを拝見しますと1月29日償還のFB414回債が前日比13毛甘(苦笑)の0.54%となっておりまして、3か月もの最長のFB427回債(4月16日償還)の引け値が0.535%となっておりました。おいおいGCから逆イールドかよ・・・・・

まあ一応ここでは昨日の市場の話なので上記の共同通信の記事を度外視して1月利上げ前提で申し上げますと、利上げ後のGCレートが0.55%あたりからスタートしてるのにGCレートより低いFBとなりますと、在庫ファンディングをする必要のある業者としては中々保有しにくいという話になりますわな。実質ゼロファンディングというか、マークトゥーマーケットと関係ない人としてはまあそれより低くても持てる人もいるんでしょうけど、現先やGCよりも低い利回りのままで定着というのはチト無理がある希ガス。

で、そもそもこの「3月期末越えが足元よりも低い」という(と言っても実際の業者間取引でどうなってたのかは知らんというか日本相互証券のスクリーンではろくすっぽ出合ってなかったとの話もあるのですが)現象はさすがに変ではないかと思うのですよね。

と申しますのは、(利上げを前提にすると)ロンバートの「誘導目標+0.15%」というありがたい上限が拡大されて「誘導目標+0.25%」と(多分)なる最初ということでして、ロンバートとオペに頼りっきり(まあオペの方は引き続きお助けオペをやってくれるのでしょうが)の期末やら年末越えをやってた人たちの集団がちゃんと対処するんでしょうかと言うのは少々「???」だと思ってるとゆーのが背景に。正直今の市場は最後にロンバートあるからと寝転びモードになる人大杉。

でですな、今回の3月期末越えは週末にぶつかるので末初の翌日物金利は(コール0.5%前提で)0.75%に張り付いても何ら不思議は無いのでして、3日間はレートが普段のGCレートから20bp跳ねますよってコスト計算が華麗にスルーされるというのも如何なものかと思うのですがどうなんでしょ。


○3か月FB入札はもはやワケワカラン

昨日の感じでは0.55%よりレートの高いところはちと難しいというところでしたが、いきなり足元の利上げ予想時期がぶれてしまいましたので、どのくらい織り込むのかは正直ワケワカランです。まあある程度運用の皆さん足元にキャッシュが多くなってるでしょうから、消化ニーズはあるでしょうし、こーゆーケースではたいていドテン全力で1月利上げ無しモードになるものというのが世の中の仕様ですので、つよーい入札になっちゃうんでしょうな。2月100%モードになるんですかね。


○一応クリップしておきます

とりあえずソースはブルームバーグニュースですが、会見テキストが出る分に関しては後ほど差し替え予定。


・尾身財務大臣

『全体としては順調な回復過程にあると考えていますが、具体的な金融政策の判断は日銀が判断すべきである』

『議決延期請求権というようなものを使うような局面ではないのではないか』

『現在の景気の局面が全体としては順調な基調であるという点では意見は大体一致している。消費動向はそう強くないが弱くもない。経済の状況は全体としては順調』

・塩崎官房長官

『(尾身発言について)私は特に聞いていない。尾身財務相は個人的な意見をおっしゃったのだと思う。政府としては日銀がそもそも利上げをするとか聞いていない』

『そう言う(日銀に対して金融政策、というか低金利維持で経済を支えて欲しいという意見)人もいるが、金融政策は大きいものだから、お互いの立場で、政府の考え方を踏まえつつ日銀が判断していくのが大事だ』

『中長期的に安定した物価の中で安定的に成長していって国民生活が安定していくのが大事なことだ。そのための政策が何なのかを政府は政府なり、中央銀行は中央銀行なりの手段を使いながら達成していくということで互いに息を合わせていくということではないか』

『(政府と日銀の間に)あまり大きな意見の差はないと思っている。表現の差があると思っている。それなりに私どもは話し合う機会があるので、お互いにどんなことを考えているか分かっている』

『(無担保コール利回りが上昇している事について)一番大きいのは皆さんが書くからではないか』

ニュース記事読みながら上記の発言のところで思わずプッと吹いてしまいました(^^)







2007/01/16

お題「様子見モードなので雑談」

昨日は見事に様子見モードになっちゃいましたね。で、まあ動きにくいので本日はつらつら考えたことを少々。

○中川幹事長発言は逆効果との指摘多し

昨日の市場はどう反応するのかと思ってたら、寄り前に公表時間が変更された機械受注統計が市場予想よりもやや強め(というか予想通り強いというか)だった方に反応して下がってスタートしました。で、市場では「決定会合後はどっちにしても一旦買われる」という見方が多いようでして、他にネタもないのに下を威勢良く叩くパワーも乏しく時間の経過と共に戻るの巻でしたが、別に閣僚発言に反応したわけでもないようで。

当たり前ですが昨日はニュースベンダーから色々とコメントが出てきたり、緊急アンケート取ったりとしておりましたが、その中でも「中川幹事長が日銀法改正に言及したのは利上げ阻止に対しては逆効果」という指摘が多く、あたくしが昨日ニュースを聞いて半ば脊髄反射で「本当に阻止する気があるなら他にやりようがあるんじゃないのかねえ」などと書きましたが、まあたまにはあたくしの考えも市場の平均的な考えと同じこともありますなあって所ですわな。

というわけで、日銀法改正に言及した中川幹事長発言ですが、昨日あたくしが申し上げたような「また事前ヘッジか!」ってのが市場の平均的な評価だったりするようです。市場の人は先刻ご承知だと思いますが念の為申し上げます。

てかあんな恫喝的な発言をしたら却って日銀の選択肢が狭くなるというのを理解してなければアフォ(んな事は無いと思うが)ですし、判ってて言ってるのならば、日銀を追い詰めるという政略としては結構かもしれませんが、目的(経済が悪化した場合に日銀を悪者にしたり法改正したり)のために手段(経済に悪影響のある利上げを日銀に決断させるように追い詰める)を問わず(日銀が断念したら自分の大手柄だし)って話でやはりいかがなものかと思いますけどねえ。


ま、講演での話で勢い余って議決延期請求を日銀が否決できるのがケシカラン(全部延期できるとなると政府の認めない議案は一本も通せないという話になるのでその理屈もどうかと思うが)とか日銀法改正だとかになったのかも知れませんが、ちょっとねえという感じです。中川幹事長の公式サイトでは12日と15日に金融政策の話をしてますが、日銀法改正云々については触れてませんですわな。(ただし法改正について話をした部分もきっちり新聞記事引用してて、その部分はノーコメントという微妙な書き方で^^)


○景気判断じゃなくて物価を全面に出した方が・・・・

と、まあ昨日および本日と中川幹事長発言に粘着してみましたが、市場の片隅に居る無力参加者として政策動向を予想して動くとかいう論点を全く別にして「べき論」で考えた場合に「別に1月利上げを急ぐこともなく、11月に一旦底打ちをしたように見える全国コアCPIの底打ちをもうちょっと確認してからでも良いんじゃないっすかねえ」って思う次第でして、まあ外野が大騒ぎして却って動きにくくなるような状況の決定打を打ち込んだ「日銀法改正」云々はどうだったのよという風に思う訳ですよ。

で、まあ日銀法改正の話を別にしても、中川幹事長や塩崎官房長官のコメントは「景気判断」の方に力点を置いてるように見える(大田大臣は物価の話を前面に出している)んですけど、「景気判断」という意味で言えば政府の景気見通しも結構強いものだった筈でして、景気判断を持ち出して反対というのはどうも理屈として弱いですわな。

#何せ経済対策の一環で実施した定率減税という「恒久的減税」(苦笑)を全廃しちゃう位ですから

となりますと、やはり物価を前面に出して反対する方が筋が通ってると思うのですが、(中川昭一政調会長は「現在はまだデフレなので利上げ時期尚早」という言い方をしていたと記憶しています。先週金曜でしたが)その点から突っ込めない理由でもあるのかなあと不思議に思うのでした。



○つらつらと思考実験

なおも雑談は続く^^

議長提案で利上げを提案(するのかどうか知りませんが)した場合に議決延期請求が出たら「はいはいそうですかじゃあ延期」と延期しちゃうというのも日銀が腹黒かったら選択肢としてありえるのではないかという思考実験です。

いやまあそうすると「利上げをしてはいけない理由」について政府にも説明責任(という言葉はあんまり好きじゃないのですが、まあそれはともかくとして)が生じるような気がする次第でして、政府の論理展開と日銀の論理展開のどっちが説得的かという話がガチンコで発生するのも見てみたい気がするのですけど。ただしそんなことになったら延々と不透明要因が残り続けるので市場は堪ったもんじゃないですが(笑)

まあそんな腹黒さは日銀には無くて常に直球投げてくるので(レトリックは上手いが^^)んなこたあねえんでしょうが。


まあ恐らくは「目先一旦打ち止め感」を出すような公表文を出して「足元金利(から3か月位までの金利)は上るけど、中長期金利はあまり上昇しません」って方向にするんでしょうなあと思うのですけどね。そのあたりが昨年7月の利上げ時点と大いに違う訳でして、昨年7月の場合、市場で想定される最速の金利上昇ペースは「今後3か月程度の間隔で0.25%ずつ利上げ」でしたし、まあ「年度内にあと2回」というのが一般的に言われてて、利上げ直前には2年が0.9%になるわ5年が1.51%になるわ10年が1.975%になるわと金利上昇してましたわな。

現在は四半期ベースでの政策金利上昇を見込む人は殆ど見当たらなくて、まあ1月に利上げしたとして次の次は7−9月期という人と、10−12月期という人が概ね半々って所のようですから、変に追加利上げに色気を出さずに暫く大人しくしてれば金利の跳ね上がりも抑えられるのではないかと思います。

#ただしカーブがベアフラットすると運用してる人たちはしんどい


○雑談の余談(2行だけ)

http://blog.livedoor.jp/orion3/archives/50823669.html

髪様のお告げによりますと、どうも議決延期請求も出されずに利上げになるようです。







2007/01/15

お題「さて今週ですなあ」

今月から機械受注は寄り前に発表なので、北ハマー先生伝説の「虹が見えてきた」も見られませんですわな。

○本当に阻止する積りなら言い方が別にあるのでは

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070114AT3S1401314012007.html

利上げなら議決延期請求を、自民幹事長が政府に呼びかけ

自民党の中川秀直幹事長は14日、愛知県豊川市内で講演し、日銀の追加利上げについて「政府と金融当局、日銀の景気判断は一体でなければいけない」と述べ、反対姿勢を強調した。そのうえで「日銀が異なる判断をするなら、政府は日銀法19条に基づく権利を行使する義務がある」と述べ、日銀が金融政策決定会合で利上げを決める場合は議決延期請求権を行使するよう政府に呼びかけた。(中間割愛) 中川幹事長は「再び否決する歴史を繰り返すなら、重大な法制度の欠陥ととらえざるを得ない」と述べ、日銀法改正もやむを得ないとの認識を示した。(以上NIKKEI NETの上記URL先の記事より)

ということで、政権与党の幹事長様という責任ある地位の方が「日銀法改正」をまたまた持ち出しているようなのですが、さすがにモーサテのゲストコメンテーター(株式市場の人)も「はっきり言って恫喝」とコメントしてますが、まああたくしも「本当に利上げ阻止する気があるのかね」と思う次第。

いやね、12月の場合は中川さんがサイトで平成の関東軍云々に言及するのと時事や読売が利上げ見送り報道するのとタイミングが似たようなものでしたけど、今回の場合はさすがに露骨な圧力に見える次第でして、これじゃ逆に日銀としては何かアクションをしないと(せめて少数提案で利上げ提案して6対3とか5対4くらいの僅差で否決するとか)「日銀は政治圧力に屈した」という評価になるっしょ。何だかなあって感じ。

どう見てもこの発言「日銀法改正」が余計ですがな。

#まあ前回は全員一致で利上げ見送りだったのに1ヶ月でいきなり利上げ決定というのも何のこっちゃでございますから、その点から言えば前回が金利据え置きが全員一致だった政策委員会もトンマでしたなあと思うのですが

あたくしが勝手に推測するに、政府との協調に関しては今の日銀は結構気を使ってる節がありそうですので、本当に阻止する気があるのなら別にこんな恫喝まがいの発言を公然としなくたってルートはあるんじゃねえのかよと存じます訳で、今の日銀は政府の強硬な反対を押し切ってまで利上げを実施するとは思えませんけどねえ。。。。実効性という点で考えたら、日銀法改正という恫喝まがいの文句を持ち出すんじゃなくて、官邸ルートなどから(まあ水面下でってのは方法としてどうなのよと言う議論はありますが、その点は別に致しまして)意思を日銀にキチンと伝えることじゃないんですかと思うのですが。わざわざ「中央銀行に政治圧力を掛ける」という図を作ってどうするのよ。(言っても聞かないから公然と物言いをつけたという事なのかも知れませんが)

激しく意地の悪い解釈をしますと、この中川発言って「自分の影響力の誇示」および「利上げ後に景気が悪化した場合に全部日銀のせいにするための準備」であって、本当に利上げを阻止する気あんのかねと鼻白んでしまうあたくしなのでした。


ちなみに政調会長の中川昭一さんも12日に反対の話をしてましたが、報道を見る限り「日銀法改正」は持ち出してなかったと思うのですけどね。



○支店長会議での総裁挨拶

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/siten0701.htm

支店長会議の挨拶なんつーのは基本的に華麗にスルーなのですけれども、金曜はこの挨拶もネタにしてた節が少々あったようですわな。

『(2)物価面では、原油価格反落の影響がなお残ることから、国内企業物価は、3か月前対比でみて、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移しており、先行きについても、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

基本的には展望レポートならびに金融経済月報の通りの話をしておりまして、要するに基本シナリオに変化が無いというのが挨拶内容。まあ当たり前といえば当たり前なのですが、景気見通しに関しても強気で、物価に関しては原油価格反落の影響ということで「一時的要因」の話にするんですなあという感じ。何か原油価格が上昇してた時と話が違うような気もしますが・・・・・(-_-)



○で、さくらレポートですが

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0701.htm

実際はこのURL先にリンクが貼ってある全文を読むと物凄く面白いのですが、まだ半分も読んでない(週末に中々読まないのは怠け者たるあたくしの仕様です)ので中身の話は兎も角。

表にあるように、全地域で持ち直し、回復、拡大の前回総括判断を維持しております。で、注目されるのは「12月以降に新しく出た材料」に該当する部分でして、表の続きに書いてあります要因分解の部分にはこのような記述がございます。

(個人消費)『なお、歳末商戦・初売りの状況をみると、食料品(お歳暮、おせち料理等)や高額商品等の販売が好調に推移するなど、多くの地域で前年を上回る盛況となった。』

(雇用・所得)『所得面は、労働需給の改善や好調な企業収益などを背景に冬季賞与も前年を上回っている中』

ということで、まあ理屈としては「年末に新たに明らかになった経済の状況は改善が続いており、緩やかな景気拡大という動きに変化はない」というのをサポートしてます。てか結果から逆(ry


○その他小ネタですが

・ところでやたらオペが多いのですが

先週は毎日のように「国債買現先」「共通担保オペ2本」がセットでオファーされておりまして、しかも期間的に「使いやすい」ものをバシバシやって頂いております。誠に結構なお話でして、レート推移も見れまして参加者の意識も見えてきて実にオモロイ。金曜はさすがに気持ちレートが強含みましたね。

・・・・で、これって16日からの積みニーズを意識してるんでしょうなあと思う次第でして、お助け有り難しと言ったところでございます。


・東京新聞が「日銀が18日に利上げの公算」記事

13日土曜日の朝刊経済面に「18日利上げの公算」という記事が出ておりますが、あたくしの探し方が悪いせいかネットでは拾えませんでした。

『日銀が17、18日に開く金融政策決定会合で、短期市場の無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0.25%から年0.5%への追加利上げを検討する見通しとなってきた。』(1月13日東京新聞9面記事より)というのがリードでして、題字とリードは威勢が良いのですが、本文の出だしは『ただ、政策委員の一部には「消費や物価の弱さが本当に解消したと言えるかどうか、もう少し見極める必要がある」といった慎重論もくすぶっており、決定会合での討議内容や今後の金融・経済情勢によっては、利上げが2月以降に先送りされる可能性もある。』といきなりトーンダウンしておりまして、何とも言い難い記事の作り方でありました。

ま、何せ今週も疲れる週になりそうです。






2007/01/12

お題「オペ金利低下/日銀の生活意識アンケート」

今朝は日経が「利上げ機運」報道ですかそうですか。これがどう影響するのでしょうか、昨日は利上げ懸念がまたまた剥落してたんですけど・・・

○オペ金利は1月利上げ懸念大幅後退と申してます

昨日実施された資金供給オペはまたまた金利絶賛低下の巻となりました。1月15日〜22日の国債買現先オペの利回りが平均0.373%の足切り0.37%となり、1月15日〜24日の共通担保本店オペの利回りが平均0.385%の足切り0.37%ということで、18日の利上げをあまり織り込まない水準になっております。

もし18日の利上げを織り込むというのであれば、新しい積み期間に入る16日からは準備預金積み上げニーズが発生するので金利が上りやすくなりますんで、まあ0.373%だの0.385%だのというレートでは織り込み度は低いという話になります。18日までの金利を(仕方が無いので)0.33%にでも置くとしますと、18日以降の金利が幾らになりますかというのを簡単に計算すると、国債買現先で後半が0.405%、共通担保本店オペで後半が0.4125%となりますので、全くの無警戒という金利ではありませんが、まあ織り込み度合いは剥がれてしまいましたなあ。


○ところで議決延期請求に関してですが

政府サイドが利上げ阻止の為に(来週の会合で議長提案で利上げが提案された場合)議決延期請求をするのではという観測もあるようで、というか一昨日のセミナーで中原伸之元審議委員もそんな見立てをしてましたけど、「ところで昔の議決延期請求に関して何かあったっけ?」というご照会が来ますので先に申し上げておきませう。

それは2000年8月11日のことでした。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k000811b.htm

『本日決定した金融市場調節方針に対しては、大蔵省および経済企画庁からの出席者が、日本銀行法第19条第2項に基づき、議決を次回金融政策決定会合まで延期することを求めた。政策委員会は、同条第3項に基づいて採決した結果、これを反対多数で否決した。』

ということで、議決延期の請求が来てもまあ否決はできるのですが、政府と日銀の意見が思いっきり合わなかったですというお話でして、この後日銀の見立てどおりに物価が上昇基調を継続してれば良かったのですけどその後はご存知の通りですな。

ちなみに、過去の決定会合の結果は
http://www.boj.or.jp/theme/seisaku/kettei/index.htm
で一覧(1998年以降のものですが)できますので、いつ当預を引き上げたかとか買い切り増やしたかとかは上記URL先のリンクをポチポチ押していけば調べられますのでご利用になられると吉かと。

あたくしの場合は昔の公表文をポチポチ押しながら「いやあ色々ありましたなあ」とか「政府からの出席者」を見て谷垣さんやら武藤さんやらの名前を見て「ほっほー」と思うのでありました(^^;


○生活意識に関するアンケートがでてましたが

半年に一度の生活意識に関するアンケート
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0701.pdf
ちなみに前回(2006年10月公表)のURLは皆様の予想通りに
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0610.pdf
であります。

まあこれを細かく見て行くと中々味わい深いのですが、ちと時間切れの香りですので今回公表(12月調査)分について簡単に。

・景況感ダメじゃん

資料16ページ目からがアンケート調査の内訳を箇条書きしてるのでこっちの方が読みやすいと思います。で、その16ページ。

(引用開始)
問3. 現在の景気をどう感じますか。※今回新設
1 良い0.6
2 どちらかと言えば、良い13.2
3 どちらとも言えない40.7
4 どちらかと言えば、悪い35.6
5 悪い9.5
(ここまで引用)

・・・・・どう見てもマインドがダメダメです。本当にありがとうございました。


・しかも前回対比で全般マインド低下ということですが

(引用開始)
問4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる10.3 ( 13.8 )
2 変わらない67.5 ( 65.7 )
3 悪くなる21.7 ( 19.7 )

問5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。
1 金利が低すぎる63.5 ( 64.2 )
2 適当な水準である23.0 ( 25.4 )
3 金利が高すぎる10.9 ( 7.7 )
(ここまで引用)

()内は前回調査の数字でして、このあたりを見ますと「フォワードルッキング」の精神から致しますと、マインドが悪化傾向にあるのですから、足元の数字が良くても慎重に対応した方が良いって話になりませんかねえと思う訳ですが。

金利水準にしても、低すぎるという方が物凄い勢いで多いですが、それにしても低いが減って高いが増えてるわけでして、そのあたりはご考慮頂きたいものです。


・物価に関しても・・・・

18ページから物価の質問ですよ先生。

(引用開始)
問12.あなたご自身の感じでは、「物価」は1年前と比べてどう変わりましたか。

1 かなり上がった7.5 ( 11.2 )
2 少し上がった39.0 ( 48.0 )
3 ほとんど変わらない45.5 ( 36.1 )
4 少し下がった7.0 ( 3.5 )
5 かなり下がった0.3 ( 0.2 )

問13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。

平均値: +2.9 ( +4.2 )
中央値: +0.5 ( +2.0 )

問14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。

1 かなり上がる6.7 ( 14.4 )
2 少し上がる60.9 ( 65.0 )
3 ほとんど変わらない28.2 ( 18.9 )
4 少し下がる3.5 ( 1.4 )
5 かなり下がる0.2 ( - )

問15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。

平均値: +3.5 ( +5.1 )
中央値: +2.0 ( +3.0 )
(ここまで引用)

ちなみに、質問文の一部と、回答部分の注記を割愛して引用しておりますので、原資料に当たってご確認いただきたいのですが、足元の意識として「物価が最近上昇したなあ」というイメージが涌かず、先行きの物価上昇への意識もやや低下しているという結果になっているようです。とは言えまあ物価が下がると思ってる人はあまりいないのはまあ良かったですねという感じですが。


まあこのあたりの数字を見てると、消費者マインドは夏ごろから比較して悪化してますねえという所で、まあそうでしょうなという感じですが、個人消費の先行き見通しもどうなのよという結果でございました。

#引用多くてスイマセンスイマセン







2007/01/11

お題「思惑がぶれますな」

○海外レポートでオペ金利など低下

昨日は夜中のうちに毎度お馴染みのメドレーレポートで「日銀は1月利上げを見送る見込み」というのが出たらしく(現物は見てませんが、まあ世の中でそういう話になってました)金先、債券とも反発してスタート。債先に関しては入札だの早川調査統計局長の講演などで結局前日比安となってましたが、短い所は確りのまま推移と相成りました。

昨日実施されたオペですが、国債買現先が1月12日〜2月15日の期間で平均0.429%の最低0.41%となってまして、一昨日の1月31日エンドが平均0.430%最低0.40%でして、足が15日伸びて平均レート低下。オペの時間は早川局長の講演要因が無かったというのもありますが、それにしても織り込み度がまた低下の巻です。

1月18日までを0.35%で(GCで0.35%とするとちと高いのですが面倒なのでキリの良い所にしました)計算すると、一昨日の国債買現先オペだと1月18日以降の金利が0.473%になるのですが、昨日の結果だと18日以降の金利が0.446%ということで、このあたりからも織り込み度低下という感じかと存じます。

昨日は共通担保オペも行われましたが、同じようなエンドで行われた2月8日エンド(前日実施分は2月5日エンド)の本店オペが平均0.423%と前日の0.436%から低下しとりまして、こちらでも1月織り込みに逝ったものがまた剥落しましたという所ですわな。



○この調子で盛り上がったり盛り下がったりするんでしょうな

長いところの金利に関しては正直言って利上げが1か月ずれてそれが何なのよという所だとも思うのですが、短期のゾーンに関してはさすがにそんな事も言ってられません(当たり前ですが)ので、来週の会合までこんな感じでやらかすのかと思うと参加者の皆様に同情の念を禁じ得ません。

でね、実物レポート見ないで言うのも何ですが、1月利上げが行われないという見通しがど〜ゆ〜流れで出てきたのかとあたくし勝手に想像してみたのですが、中原伸之元審議委員が昨日都内の大手証券会社のセミナー(というか講演会)で話していた中で「1月利上げは政府が反対していて議決延期請求が出るかもしれません」みたいなお話をしておりまして、そのあたりの政府スタンスが伝わってそういう報道になったのかなあと勝手な憶測をしてみます。ただ政府が反対の意思を明確にしているのに利上げ強行するのが正当化できるような物価動向でもないのに、日銀が利上げに意欲満々になるというのも有り得ない話だと思いますので、もし政府のスタンスが利上げケシカランで一致してるなら今までの報道の流れが逆に理解致しかねますという所でもあります。

まあそんなあたくしのしょうもない憶測は兎も角として、フォワードルッキングで金融政策を変更しようと言ってるのに、変更前に市場にそれを全部織り込ませようという(いやまあそうじゃないというのが日銀の公式スタンスだと思いますが、どう見ても地均し絶賛の話が政策委員の皆様から出てる訳ですから・・・)のはやはりちと変な話だと思います。市場の全員が「いやもうこれは政策変更でしょう」というのを「地均し無しで」認識するという状態というのはフォワードルッキングじゃなくてビハインド・ザ・カーブの政策変更なのではないかと存じます。

つーことで、何か毎月この調子かよ!という感じですが、また新聞や通信社の報道に注目しないといけないのでしょうな。


○早川調査統計局長は景気の先行きに強気ですが

ブルームバーグニュース10日17時05分配信記事からで、発言引用するとこれが結構長いので、割愛(後日追記予定)しますが、まあ報道された局長の発言を勝手に端折るとこんな感じかと。

・個人消費について

グローバル化に伴う先進国の労働分配率の低下は必至であり賃金が伸びにくいのはベースラインとしてある。ただ、昨年のGDP統計で個人消費が大きなマイナスをつけた点はベースラインとは別問題で、一時的な要因と統計のかく乱によるもの。10−12月のGDPベースの個人消費は結構大きな増加になる可能性が高い。

・海外経済について

米国の住宅市場の調整はまだ終わった訳ではなく、ソフトランディングしたというにはまだ早いが、個人消費が伸び、サービス産業が拡大していることもあり、ソフトランディングの方向にあると思われる。

・景気展望

世界経済は米国の減速にもかかわらず極めて安定しており、米国の住宅過熱の反動が最大のリスク要因だったことを勘案すると、住宅市場の調整が進みながらも世界経済の安定が続いていることは世界経済全体のリスクが少し低下しているということ。その中で日本経済の経済拡大のメカニズムは基本的に変化していないので、今後もある程度の成長が続くと考える。日本経済は今後も潜在成長率を若干上回る成長が続くという見方は変化ない。

といったところで、入札があるのにメドレーレポートを買いのネタにして(別に100%信用してるわけじゃないでしょ^^)ちょっと余計に上昇しちゃって前日比上昇で10年国債の入札をやっちまった分を剥がすネタにはなりましたという事かと存じます。

#てかね、金利低下局面だったら別ですけど、前日比高い所で入札すると碌なことにならんのよね





2007/01/10

お題「新年本格始動で益々1月利上げ織り込みモード」

株式市場への利上げの影響って話で、「利上げをしたら利鞘改善するので」銀行株が最初に買われましたという講釈が相変わらず罷り通っているようで、今朝もモーサテに(というかそういう講釈をする某証券の某氏にですが)脱力なのでした。正しくは「利鞘改善すると誤解している人が多かったので」最初に買われたけど、良く見たら貸出利鞘が改善どころか悪化してるからその後伸びませんでしたって講釈すべきなんじゃネーノ?

#この人番組最後でも「銀行株注目」とか言ってるよorz


○2月償還あたりのFBが弱くなったようですが

昨日は2月後半償還のFBに売りが出た(のか別の要因か知らんですけど)ようで、2月後半償還のFB(FB418〜421あたり)の日本相互証券引値が軒並み0.48%に上昇しました。前日はこの辺0.42%〜0.45%ということになっていましたがこれはまた豪快なレート上昇(0.50%まで一時売られてたという話もござんしたが)。

と申しましても、そもそも1月12日(昨日のレギュラー受渡日)スタートの2月後半エンドのFBで1月利上げを想定したら0.4%台はねえだろう(16日からコールが上昇して、18日から誘導目標が上昇する訳ですから)と思う訳でして、ようやっとこのゾーンが織り込んで来ましたなあという感じです。

1月利上げが有りや無しやで一番極端に違ってくるゾーンの2月償還ものFBレートが修正された訳ですが、そもそも持ち切り前提の参加者シェアの高いCP市場ではとっくにレートが上昇しておりまして、まあやっと追いつきましたねという感じではないかと存じますが。

ちなみに、昨日は既に利上げをだいぶ織り込んでいた3月償還あたりよりも、2月償還辺りの方がレート上昇が目立ったのはCP新発レートでも同じような感じだったようでして、いよいよ利上げ絶賛織り込み体制になってきたという感じでしょう。


○という訳でオペ金利も上昇

国債買現先1月11日〜31日が平均0.430%(足切り0.40%)だったり、短国買入が平均5毛甘(足切り4毛3糸甘)だったりとこれはまた結構なレート上昇ですねという所ですが、国債買現先のレートも同期間のa-1+格CPの発行レートから見るとまだまだ低いような気もしますにゃ(というか持ち切り前提で来週木曜に利上げだと思うと絶対水準で0.5%が1つのメドになると思う)。

実際に利上げになった後はコールが0.5%でロンバートが0.75%(さすがに今回は幅が広くなるでしょうと皆さん思っているので、ロンバートが上昇しても無問題かと)となって、GCや現先は幾らなんでしょうかと言うと、まあ通常は0.55%〜0.60%あたりでやるんじゃないですかねえと思う次第でして、オペ金利で言えば0.50%〜0.55%あたりになるのかと(あくまでもあたくしの勝手な勘であって、市場のコンセンサスは知らん)想像してますので、そこから考えるとオペ金利の方はようやく織り込み度合いが高まって来たものの、まだ織り込み足りないかなっていう気もするのでありました。

そういえばユーロ円金先の3月限って99.30近辺になってるのですけれども、「利上げ後の次」はど〜せ半年は先でしょうという世の中のコンセンサスから考えるとその水準は絶対値としておかしくねえかと思うのだが。とりあえず利上げしたら目先の3か月金利あたりは(その次の利上げが意識されないのだから)GCに毛が生えた(下手したら禿)程度の金利にしかならんと思うんですけど常識的に考えて・・・・(よって0.7%水準はちと高杉では?)


○OISにメガバンク参入ですかそうですか

昨日18時10分配信のブルームバーグニュースによりますと、OIS取引に三菱東京UFJ銀行様がメガバンクとして初参入だそうで誠に結構なお話でございます。

と思ってニュース読んでたのですが、記事によりますと「ALM上のヘッジが目的」という所から入っておられるようで、何と申しますかあのALMヘッジがまともに入ってくると砂場にブルトーザー持ち込まれるような市場になっちゃうんで、どっちかというとスペキュレーションのトレーディング玉が入ってくれた方が市場としては面白くなるんじゃねえのかと。まあそのうち入ってくるのを期待したいところです。

あたくし不勉強でアレなのですが、OIS取引ではBOJターム(MPMの間の1か月)が人気と記事にあるのですが、それって要するに丁半博打とあまり変らん(追記:というか日銀が利上げするかしないかの合百ではないかという気もしますが、まあ倍になったりゼロになったりする当て物じゃないって言うんでしょうな。本質的には変らんだろうに)ような気がする次第でして、普通にスポット1か月とかスポット2週間とかいうような資金取引に近いようなものって活発化してくれないのかなあとも思いますけれども。スワップだと元本キャッシュが要らないので資金ディーリングの代替に使えないですかねえ(途中で反対売買できないから無理なのかなあ)。


○ニュース雑感

・衛藤議員秘書に不透明な給与…形を変えた迂回献金か
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070110it01.htm?from=top

ネット上の情報を冊子にして販売して収益ガポガポとは結構な商売でございますなあ(棒読み)ってかよく色々と話がでますね。松岡先生の言い訳もあれでオッケーかよという疑問が拭えないのですが。


・東京に金融特区創設、金融相が検討表明
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070109AT2C0900609012007.html

『英金融街シティーのように内外の金融機関の集積を促し、日本の金融・資本市場の活性化に弾みをつけたい考えだ。』(同記事より)

だそうですが、既に外資系金融山のように参入してるのに今更特区とはポカーンなのですが、もしかしてこれは先般可決した政治資金規正法改正案とうわなにをするくぁwせdrftgyふじこl

まあアレですな。ホワイトカラー何ちゃらなんぞが典型だと思うのですが、かつては日本企業がライバル視された頃はニホンジンはエコノミックアニマルでケシカランとかいう話だったのに、投資先になったら早速配当増やせ残業代払うな(以下激しく自粛)


・みずほ証券と新光証券、08年1月めど合併
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070110AT2C0904Q09012007.html

えーっと銀行(みずほ銀行)との共同店舗を絶賛展開中のみずほインベスターズ証券はどうなるのでしょうか。何か相変わらずグループ内の証券戦略がワケワカランですが、リテール販売網を持ってないと大変だってことなんでしょうかね。まあ生暖かく見守るだけですけど。







2007/01/09

お題「今週から本格始動ですね」

○FBはレート上昇

金曜日に行われたFB入札ですが、朝からあっさりと叩き屋さん登場して0.53%(だか0.535%)まで値付けをしていたようで。さすがにそれはやり過ぎということで前場の引けは0.51%−0.525%となりまして入札も0.51%台での決着。まあ入札は無難と言えば無難なのですが、冷静に考えると年末には前回債(FB424回)が0.45%レベルで、年始になっても妙に確りしてましたなあって話を金曜にしていたわけでして、そこから見るとやっぱり弱くなりましたなあという所。

てかあたしゃ「好需給ですから中々レート上らないんんですかねえ、そのうち上るとは思うんですが」などとすっかりピンボケな話をしておりました。入札一発で需給関係に変化が起きるのはありがちな話ですが、んだったらもうちょっと事前に動けという気もしますが(苦笑)。

まあ1月利上げだと考えてますと、今期間の積み最終日(=1月15日)までの足元金利とかGCレートとかは積みも進捗してる筈なのでまあ低水準。16日以降は前倒しでの積み進捗を行いたい人たちがいるので足元金利が上昇してGCも連れて上昇するんでしょうな。この時に日銀がせっせと供給してレートの上昇を抑えると期待しても良いのですけれども、かつて日銀からペーパー出てた(いつだか急に思い出せないのでここに追記します)ように、積み期間中のMPM(政策決定会合)で政策金利の変更が予想される時に、MPM前に金利が上昇するのは自然現象。よってあまり頑張って供給しても仕方ない(というかそれはただのお助けオペになるし、MPM後の調節に苦労するし)という発想も起きそうな気もするし。

#というかMPMの日程が積み期間の頭近くに設定されているのは何も気を使ってませんなあと思うのですけどねえ

ということで、途中脱線しましたが、1月15日、19日の2箇所でレートを別物だと思って考えないといけないでしょうなということでございます。いつの間にかFB入札とあまり関係のない話になってますけどまあそういう感じでレート考えないとイカンのでしょうなあと言うことで。


○武藤副総裁会見追記

一応追記しておきますが、会見の内容自体はもともとの日銀のロジックに沿ったお話をしているという感じですが、最後の質疑応答の部分が記事見出しにもなっていましたように、武藤副総裁らしく政府(というか官邸というか)への理解も得られてます(のかこれから得るのかは知らんですが)というようなニュアンスが伝わってくるところでございます(一応主要部分は金曜の駄文に追記引用しておきました)以下1月3日日本経済新聞朝刊5面の記事より引用。

(問)利上げは成長を重視する安部晋三政権の「上げ潮政策」と対立するとの見方もあります。

(答)上げ潮政策は『活力に満ちたオープンな経済社会の構築』という意味だと理解している。そのためにはイノベーションで民間活力を引き出し、潜在成長率を高めることが重要だ。政府の基本的な考え方に異存はない。日銀の役割は、物価安定の元で持続的な成長の実現に貢献することに尽きる。金利をずっと低位に据え置くことが持続的な成長のために一番必要かというと、決してそうではない。経済が順調に成長しているのに金利を無理に維持すれば必ずひずみをもたらす。景気の急激な拡大と縮小という大きな調整コストを払うことになる可能性が高く、成長の芽を摘んでしまう恐れがある。経済が正常な姿になっていくのであれば、それに応じて金利水準を正常化していくことが望ましい。

『金利をずっと低位に据え置くことが持続的な成長のために一番必要かというと、決してそうではない。経済が順調に成長しているのに金利を無理に維持すれば必ずひずみをもたらす。』というのはまあ従来からのお話ではありますが、会見の前の方では当然ながら「経済は順調に成長しているという基調に変化は無い」という見立てをしておりますので、合わせてみれば「近いうちに利上げが必要ですよ」って話になりますわな。

皆様当該記事についてはご存知とは思いますが、念の為。


○またも読書室

やはり人間インプットは大事ですので今年は読書室も復活させナイト。で、あたくし興味が涌くと同じ著者の本とか同じネタの本を立て続けに読むという傾向がありまして、本日もまた佐藤優さんの本で。

・「自壊する帝国」(佐藤優著、新潮社)

ソビエト連邦の崩壊に関わった人たちの動きという視点から描いてます。著者のソビエト連邦という「植民地なき帝国」への見立てとか、ソ連崩壊の中で著者が見た人々の立ち居振る舞いとか、テーマは全然違いますが、深田祐介さんの「革命商人」の読後感に似てましたというのがあたくし的な印象。(ちなみに「革命商人」の感想駄文は2004年5月18日に書いてます)

著者は大学時代に神学を研究していたこともありまして、宗教に関する見立てや宗教と国家の関係についての見立てなどが話の中で何度か出てくるのですが、そのあたりも面白かったですな。あたくしとしてはテンポが良いので読みやすいのですが、人間にスポットを当てる構成上、同じ登場人物の話が続きまして、次の場面で時間や場所が飛ぶ箇所もままありますので、読みにくいという人もいるかもしれませんな。

ISBN4-10-475202-9 C0095 \1600

#実はこの本は土曜に買って日曜に読んじゃったんで、積読は全然解消されていないのでした。次の予定は「日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」(小学館)で、メインは大川周明ですが、これまた書いてるのは佐藤優だったりします、と次回予告をすることによって積読解消を促進しようというテスト(^^)


○雑談メモ

以下余談。

その1:5日謎の急落の株式でしたが・・・・・

・5日のモーサテ初日に「ストラテジストなどにアンケートをとりました」として平均株価の年間高安予想アンケート結果が「安値が16000円台中心でした」というゆっこ様のアナウンス

・オープニングベルでムーシャ先生登場し超強気をぶつ

おまけに場中は髪様のボログ更新と来たら垂直落下も仕方無かったのでしょうかねえ・・・・


その2:何となく朝日新聞に釣られている気もするが・・・・

http://www.asahi.com/politics/update/0105/007.html
残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」
安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。 (以下略)

・・・・・・・・(゜д゜)

ソースが朝日新聞なだけに発言の一部を切り取っている可能性も無きにしも非ずなのですが、かつては「満州の権益は第一次大戦の結果ドイツから割譲されたものもある」というようなご発言をテレビの討論でなされたというご実績もありますので、何か素で言ってそうでオソロシス。いやあ皆さん吹き込み放題でうわなにをするくぁwせdrftgy








2007/01/05

お題「まだ雑談で恐縮です」

まずは正月早々過誤訂正ですが、昨日申し上げた話は3日の日経朝刊の武藤副総裁インタビューでして、産経は昨年の総裁インタビュー話でございました。ソースを確認しないで書くと碌な事になりませんという典型でして、お詫びして訂正させていただきます。誠にすいませんです。

という訳で、武藤副総裁のインタビュー記事をネタにしようと思って昨日は当該記事を入手して熟読したのですが、肝心の記事を持って帰るの忘れてしまうというまさに正月ボケ。

1月3日の時点では殆ど「いつもの日曜日」気分だったのですが、発会で出社してみると年賀状がやってきてて何かまた正月気分になっちゃいましたよorz


○でも一応メモを書いておきます(追記あり)

武藤副総裁のインタビューでしたが、見出しは「利上げ、成長戦略と矛盾せず」という趣旨でございまして、経済が正常化する中で超緩和的な金融状況を続けると余計な過熱が起きるから、金融政策の正常化をするというような話でした(脳内メモリーから書き出しておりますので後日補記致したく存じます)。

まあ要するに「1月か遅くても2月には利上げしますよ」ってお話なんでしょうという風に市場の中の人たちは理解する訳でして(読売新聞の記事も影響してたと思いますが)金先や債先が売られておりましたが、年末年始の関係上今月前半は入札の本数が多いので相場の水準も訂正してくれないと困りますんで妥当な反応という事で。

別にそんなに利上げを急がないといけない理由は判らんのですが、ものは試しに正常化理論を正当化してみますと、(1)引き締めを行うのではなくて景気が拡大する中での正常化という文脈なので、期待インフレ率(がそもそもそんなに高いのかという問題は華麗にスルー)を押し下げる訳ではない、(2)正常化路線をとらずに低金利継続の期待が強まると、期待インフレ率の上昇に拍車がかかり、長期金利に上昇圧力が掛かりやすくなるので、財政健全化に対してもアゲンストであり、正常化路線によって長期金利の過度な上昇が抑えられる、なんて感じでしょうか。まあ愚考もいいところでございますが。

読売新聞ではこんな記事が出てたようですし、まあ基本的には(記事にもありますが)政府の理解が得られれば1月に利上げですし、まあ1月やらないにしても2月にはって感じなんでしょうな(さすがに今度はやらないにしても利上げ提案でますよね)という所でしょう。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070104mh01.htm
月内にも利上げ 日銀検討
日本銀行が、1月にも追加利上げを実施する方向で検討する見通しとなったことが、31日、分かった。2006年末の経済指標で日本経済の底堅さが確認されたとして、利上げに向けた環境が整いつつあるとの判断を固めた模様だ。

(以下1月8日追記)

で、まあインタビュー記事ですが日経新聞3日朝刊5面にございまして、内容の一部を引用させていただきます。

(問)景気持続のカギは何ですか。

(答)企業から家計に波及していくメカニズムが今後も順調に働くかがポイントだ。だが波及は後ずれしている。1月の金融政策決定会合では経済情勢が10月に公表した日銀の経済見通しを示す『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』に沿っていくのかしっかり議論し、中間評価を示したい。

(問)日銀の金融政策はどう運営すべきですか。

(答)金融政策は先行きの経済・物価動向を予測しながら運営する必要がある。物価安定の下で行きの長い拡大を続けていくのが最も蓋然性の高い見通しだ。リスク要因を点検したうえで展望リポートの見通しに沿っていくと見込めるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持しながら、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に金利水準の調整をする。

(問)「徐々に」というのはどの程度の期間を想定しているのですか。

(答)我々はスケジュールの感覚を持って議論しているわけではない。今後出てくる指標や情報を丹念に点検することが重要で、具体的にどのタイミングで政策の変更が行われるのかを予め示すのは適切ではない。市場には米連邦準備理事会(FRB)が毎回0.25%ずつ利上げして逝った強烈な印象があるので、それを参考に『徐々に』という表現を理解しようとする傾向がある。そうした前例がなければ、『徐々に』の意味について『何カ月ごとか』という質問が出てくる余地はないと思う。あくまで虚心坦懐に判断していくと理解して欲しい

(問)利上げは成長を重視する安部晋三政権の「上げ潮政策」と対立するとの見方もあります。

(答)上げ潮政策は『活力に満ちたオープンな経済社会の構築』という意味だと理解している。そのためにはイノベーションで民間活力を引き出し、潜在成長率を高めることが重要だ。政府の基本的な考え方に異存はない。日銀の役割は、物価安定の元で持続的な成長の実現に貢献することに尽きる。金利をずっと低位に据え置くことが持続的な成長のために一番必要かというと、決してそうではない。経済が順調に成長しているのに金利を無理に維持すれば必ずひずみをもたらす。景気の急激な拡大と縮小という大きな調整コストを払うことになる可能性が高く、成長の芽を摘んでしまう恐れがある。経済が正常な姿になっていくのであれば、それに応じて金利水準を正常化していくことが望ましい。

(追記終わり)


○3か月FB入札ですが

早速本日は3か月FBの入札。昨年の今頃は量的緩和解除が別に3月にあったっておかしくないと個人的に思いながらも、平均落札レートが0.0027%とかいう素晴らしい利回り(しかも前年の11月後半に量的緩和早期解除懸念で一度金利が上昇した後)になっておりまして、償還の頃には「何ですかこの利回りは」というレートになっておりましたが、今年はまあ普通の入札になってくれるものと勝手に思料。

昨年末にかけてTB/FBがむやみやたらと確りしておりましたが、年末年始を抜けてからもこの状況に変化があるのでしょうか(あまりなさそうですが)というところですけど。CPの利回りは先日の時事通信記事あたりからさっくりと上昇しておりまして、常識的に考えればCPの利回り上昇に短期国債も鞘寄せされると思うのですが・・・


○まあ雑談シリーズですが

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=ahYfBFmY.0tg
景気に取り残される車、国内市場は07年も前年割れへ−競争力に危機も

各社首脳の困惑コメントが出ておられますが、あたくし愚考するに単に景気拡大の中で所謂2極化が相変わらず治らなくて、大衆車が売れないって事じゃないかと。困惑コメントで出ているようなミクロの問題も勿論あるんでしょうが、それよりも単に今般の景気拡大の裾野が個人や家計に十分に広がっていない事の証左ではないかと思うのでして。

かなり大昔の記憶(駄文でも書いた)ですが、日経新聞の講演会だか特集記事だかで中国市場万歳話を絶賛展開する中でアイシン精機の社長さんが「高級車ばかり飛ぶように売れて大衆車の売れ行きが悪いのは歪みがあるとしか言いようが無い」というような趣旨の発言をしていたのを思い出すわけで。

投資(というか投機というか)マネーは相変わらずの威勢の良さですし、百貨店の年末年始商戦も好調とかいう話も聞くのですけど、一方で実感として景気が良いのかというと人によって言うことまちまちですし、正月商戦もあたくしが見に逝った場所が悪いのか実感としては「ふーん」程度だったわけでして(人混みがダメなんでその時点でオワットルのですけど、笑)、中々「全体が実感する景気回復」っつーのは難しいんではないかと思います。


そういや御手洗ビジョン(PDFで巨大ファイルです)にも突っ込もうかと思いましたが、まあ内容に関しては時間の関係上割愛します。で、悪態ですが、このビジョンをPDFファイルで公開しておきながら、印刷不可でコピペ不可って一体全体どういう了見なんでしょうなあ。「希望の国、日本」は皆様に頒布する時には後日本にするので有料(ですよね)ってのが何とも言えませんですなあ。きっとね、「希望の国、日本」は金の無い人は参加するんじゃねえよって事なんですよ。

#どうもまだ頭が正月モードで恐縮至極







2007/01/04

お題「新春雑談室」

ニュース見てて昭和10年生まれの人口が平成7年生まれの人口より多いということを知ってちょっとビックリの年末でございましたです。ところで今年もテレビ東京だけ今朝も正月モードですなあ。マイペースマイペース。


○総裁とか副総裁のインタビューがあったらしいですが

年頭インタビューということで、武藤副総裁のインタビューが産経新聞に出たようでして、先日の総裁インタビューに引き続き産経新聞というのが実にアレでございまして、総裁インタビューが掲載されたらしい日経新聞がまたファビョりそうでございますな(笑)。全面的に誤解してました。勝手な私の勘違いでして、武藤さんのインタビューは日経新聞の3日朝刊でした。深くお詫びして訂正致します(産経は年末の福井総裁インタビュー!)。だから現物を見ないで書き物しちゃダメなんですよね、勝手な思い込みほど恐ろしいものはありません。新年早々自戒。

で、内容は惜しくも読んでおりませんのでこれ以上のコメントをする話でもないのですが、どうも金融政策の正常化がどうのこうのということのようですので、まあこれまた1月利上げへの地均しちゃんですかねえという所。まあ何と申しますか火消しをしたり火付けをしたり誠にご多忙極まりないという感じですけど、そんなにやる気があるなら12月の会合で何故誰も利上げの提案をしなかったのかと、そのヘボさに呆れるあたくしなのでございます。

ま、確かに12月の決定会合前はメディアと市場が相乗作用を起こして12月利上げ観測を盛り上げすぎた(ただし燃料投下になったのは水野審議委員の講演ですのでお忘れなく)時期もありましたので、敢えて利上げ提案することもあるまいという考えもあったのかもしれませんが、実際に12月の会合が行われる時点では火消しが効きすぎて良好な内容の短観でも全然反応しなかったという事を考えて欲しい訳ですな。「市場との対話」(笑)をしてる積りなら。全会一致と月報での個人消費判断(現状&先行き)にただし書きとは言え弱めという言及をした事は市場に1月利上げも困難ってメッセージとして伝わりましたわなあ。

てな訳でして、武藤さんのインタビュー記事読まないで(福井総裁のはこの前産経で出てたんでまあどうせ同じような話でしょうと勝手に判断)書くのも何ですが、特に12月以降の日銀の動きは市場との対話をしようとして却って市場へ変な燃料を投下してるに過ぎないと新年早々いつもの悪態。

まあ「下手な考え休むに似たりと」は申しますが、へぼい対話ならしない方が良いんじゃネーノとも思いますし、これも試行錯誤しながらの正常化路線だというのなら、今回のドタバタは今後の情報発信への反省材料として頂きたいものであります。多分反省しないでしょうけれども(爆)。


○フラットニングに関するちょっとした雑感

金融政策正常化とやらで短期金利が上昇するけど益々インフレ期待が抑制(も糞もそもそも現時点でインフレ期待ってあるのかよという話ですがそこは割愛^^)されるという文脈や、国際的にイールドカーブの形状が似てくる(というのは本当にそうなのかよという気もしますがそこも割愛^^)とかまあ色々と理屈はあるようなのですが、今は猫も杓子もフラットニングという見方が多うございます。

で、まあ皆さんがそう考えるのに対して参加者としての行動で逆らっても仕方ないのですが、短期金利がちゃんと付いている時代から金利が低下していく局面を見てました年寄り(もっと年寄りだと短プラ8.9%時代とか市場でご存知なんでしょうが、そこまであたしゃ詳しくない)と致しましては、やっぱ短期金利はファンディングコストだという発想がありますので、「ファイディングコストが上昇するのに現物債のベーシスがつくのかよ」という疑問がどうもこう払拭できない所でございます。

とは言え、ファンディングコストがどうのこうのって話は投資家的には効果が出てくるのってボディーブローっぽいんで、徐々に効いてくる話なんでしょうな。ファンディングコストを毎日チャージされる人じゃないと実感として把握しにくいのかもしれませんなあという所(よって債券ディーラーでも短期または一般債をいじってた人のほうが実感を持ってると思われ)かも知れん。

#などと妄想を言ってみただけですけど、一応世の中のトレンドと言われているものには一々茶々をいれてみないと気がすまないヒネクレモノですんであたしゃー


○新春読書室

今年の正月休みは積読を2冊成敗するという課題を立てたのですが、積読成敗しないのに本を2冊買ってしまいました。しかも読了1冊読みかけ2冊で目標未達orz

・「インテリジェンス 武器なき戦争」(手嶋龍一、佐藤優共著、幻冬舎新書)

共著と書きましたが、形式は全部対談になっているので、まあお気軽に読めてしまいますが、中身はなかなかオモロイです。序章の部分を読んでて耳に痛かった(対談形式なのでそういう書き方しますけど^^)のでほんのさわりを引用。

(手嶋)『(前半割愛)大きな国際事件が起きると、商社マンは、「こうなることを示す情報をすでに持っていた」と言います。それは後講釈というものです。大きな地震が起きた後に、微動地震の記録用紙を取り出して、「ここに地震の予兆があった」と釈明する予知学者に似ています。なにしろ巨額の国家予算を使ってますから言い訳をせざるを得ない。事前に決定的な情報を分析し、国家の舵取りに役立つような形で報告させなければ、インテリジェンスとしての価値はありません。ところが彼らは、自分の会社のトップにさえ報告していないケースがある。見通しが外れるリスクがあったからなのです。』

(佐藤)『さらにいえばそんな後講釈は、自分自身のビジネスにさえ役立たない。インテリジェンスを本当にビジネスに生かしている人間は。「こうなることはだいたい読めていた」なんて絶対に言いません。「知っていた」ではなく、必ず「教えてください」と言うんです。(以下割愛)』

(以上同書19、20ページより引用)

いやーもう耳が痛い痛い。「こう思ってたけど出来なかった」というのは相場の見通し外して損こくのの1億倍くらい頭に来ますからこのくだり読んでて誠に痛いものを感じましたですよマッタク。

しかし別の出版社の本でも指摘したことがあるんですが、この本も宣伝用の帯カバーに書いてあるのが内容と全然違う次第でして、『日本存亡の鍵はスパイが握っている』って営業部門が内容を見ないで作ってるとしか思えない(題名だけで判断したんでしょ)次第でございます。帯カバーの宣伝文句と中身の乖離を見せられる度に出版社の営業部門の知性に疑問を呈したくなりますよ。

ISBN4-344-98011-5 C0285 \740


それでは本年もよろしくお願い致しますm(__)m