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2007/07/31

お題「8月利上げ織り込み50%?/CPIの刈り込み平均」

とりあえず言ってみただけなのかと思えば、マジで居座るとはテラスゴスという感じですが、これじゃ皆様も指摘してるように「お灸が足りないようで」となって次の衆議院選挙でまた香ばしい事になるんじゃないですかねえ。というか今回思いっきり割りを食った公明党がぶち切れる悪寒が。

しかし金曜月曜はこの世の終わりのような勢いで話をしてて、今朝になったら満面の笑みでご対応というモーサテのあの調子は(気持ちは分かるが)ちょっと何とかならんのかと思うのでありますけど。これぞ一喜一憂ですわな>特にニューヨークの皆さん

#しかしメリケン様の御託を垂れ流すにしても、「財政支出が拡大すると景気が悪化する」、「日本の内需が弱いので日本経済は良くない」っておまえ話が無茶苦茶矛盾してるだろうと。財政締めて景気が良くなるってどんな理屈だよ・・・・>モーサテさま


○困ったときの織り込み50%(か?)

選挙ネタのために華麗にスルーしていましたが、ここへ来て日銀の資金供給オペ金利が織り込み50%攻撃になって参りました。そういや2月後半の金融政策決定会合前の積み期間に掛かるGCレートが丁度織り込み半分(というか足して2で割る数字)だったなあと思うのでありまして、まあ世の中良く出来てるというものであります(^^)。

その資金供給オペレートですけど、27日金曜の全店オペでは10月10日エンドで平均0.643%で足切り0.63%となっていました。んでまあこのレートなんですが、いつものようにコールレートの足し算をして見ると、8月23日から0.75%、末初1%とした場合には0.676%で9月16日から0.75%として同様に計算すると0.581%となりますので、足して2で割ると0.628%とかになりまして、まあ大体その辺が目線なのねというお話になるのでありました。

そして月曜のオペ金利なんですが、これまた本店オペで8月1日から9月7日の期間で平均が0.554%で足切り0.54%となりましたが、こちらの期間が8月23日から0.75%だとすれば0.601%となりまして(8月利上げがなければ当然0.500%)この出来上がりもまあ何となく半分くらい(足切りがちと低いですが)という出来上がりになっているのであります。うーむ奥が深い。


まあこうなってしまうと結局のところメリケン様の貧乏人向け特攻住宅ローン問題に端を発する信用収縮が実体経済にどの位の打撃を与えるのかという所の不透明感がどの位払拭されるのかというあたりが利上げに向けた一番気になる所ではありまして、「んなもん判らんがな」としか言いようが無い上に、何せ決定会合まであと20日以上ある訳ですからその間どうなるのかも判らんがなでありまして、そうなるともはや利上げするかしないかはサイコロ博打の世界でもありますわな、ということでこのレート形成になりやがったかという感じであります。

しかし相変わらずFB/TB利回りは香ばしい状態でして、9月10日償還のFB454回の日本相互証券の引けが0.53%とかで、利回り考えて持ち切りするには(そもそも論としてコールと比較すべきもんじゃなくてGCと比較するもんなのですけどGCも低いんで・・・)利上げ織り込み30%以下という数字(さっきのざっくり計算をご参照)はなんぼなんでもちょっと勘弁しいただきたく思うのでありますよ。まあ利回りじゃない買いとか入ってるんでしょうけれども・・・・んでCPレートはそんなに下がってないとか、商品毎に独自色の強い動きが相変わらず継続しているのでありました。


○刈り込み平均またキターということで

先日ご紹介した野田審議委員講演ですが、金曜のCPIを見てそういやこんな事も言ってましたなというのを思い出したので改めて追加でありまする。講演の真ん中あたりなのですが、物価についてお話している部分にこんなくだりが。

『物価情勢の判断に当たって物価指数をみる場合、私としては、物価の基調的な動き、言い換えれば、根源的なインフレ圧力とそのトレンドを重視したいと考えています。』

『例えば、消費者物価では、総合指数(ヘッドライン)やそれから生鮮食品を除いたコア指数だけではなく、それから更にガソリンや灯油などの石油製品などのように変動幅(振れ)の大きい項目や制度的な要因で一時的に変動している項目を除いた指数とか、価格変動の大きな項目を上下に一定の比率で除いた指数(刈り込み平均指数) 、更には、上昇項目数と下落項目数の差など、様々な数値を総合的に捉え、基調を判断するようにしています。』

『物価指数の動向を「フォワード・ルッキング」な判断に結び付けていくには、指数の基調的な動きが重要であると考えるからです。』

というころで、ここでヘッドラインやコア指数以外で物価を見るツールとして刈り込み平均を具体的なものとして挙げておりますが、これ見て思い出した方もおられると思いますが、先般西村審議委員が海外で講演をした時にも同じように刈り込み平均についての言及がございました。だいぶ前に日銀のペーパーで紹介された時にはだいぶ話題になったのですが、ここへ来ていきなり復活とはこれまたど〜したもんよと思えば金曜のCPIですよ先生。

ということで、金曜に公表されたCPIなんですが、こちらの10%刈り込み平均(くだんの日銀ペーパーはトレンドを見るのに一番トラックレコードが良いと指摘しています)が6月全国の数値で3か月連続でプラス(と言ってもプラス0.1%にもなりませんけど)でして、昨年来落ち込みモードだった状況から下げ止まってプラス推移になっておるわけですな。うーむ奥が深い(^^)。

#この刈り込み平均を算出をして時系列グラフも出している本職の方のレポートが出ていますよん(ネタバレで申しあげますとあたくしが拝読したのモルガンスタンレー証券の佐藤さんのレポートでございます^^)。まあ社内で本職の方がいたら計算してもらっておいた方が吉ジャマイカと存じます。

まあ何と申しますか、刈り込み平均CPIがプラテンしてきたと思えば審議委員の講演で刈り込み平均の言及が出てくるとか何というああいえばこういう状態とか意地悪く解釈したくもありますが、確かにまあ何でもかんでも網羅して説明するのは無理ですから、どうしてもピンポイントでその時のポイントに言及するのは仕方ないとも言えます。ただ、日銀の場合はその「持ち出すポイント」がどうもこう自分の政策運営ロジックに都合の良い数字が出ているものを殊更に拾ってきてるんじゃねえのという嫌いがありますわなという所でございます。何だかね〜。


#ということで、野田さんの会見はまた翌日送りなのでした



2007/07/30

お題「選挙ですから床屋政談でも」

正直申しあげて、「過半数取れなかったら政界引退」という小沢さんの発言を聞いたときには「ついにこの人もヤキが回ったか」とあたしゃ思いましたんですよ。失礼なことを思ってすいませんすいません。お見それ致しました。

選挙結果を受けて相場見通しをどうしましょうかというお話の前に、手元にあります東京新聞12版を見ながら雑談でも(ということで野田審議委員の会見までは辿り着かないものと思料されます)。

○選挙雑談

・東京地方区

保阪候補が落ちて、メディアを引き連れて期日前投票しに逝ったら住民票を在外から戻し忘れて東京地方区での投票が出来なかった丸川候補が当選とは何という事と呆れておりますが、共産党が次点にも届かないというのにも驚きが。まあそれはそれと致しまして唯一ネ申(おい)が最下位を脱出しているのにもかなりの驚きがございました(^^)。最下位脱出したんで、とりあえず地獄の火の中に投げ込むのは勘弁してください。


・比例代表

共生新党が維新政党新風に負けているのにはかなり笑ってしまいました、うひゃひゃひゃひゃ。前回の比例獲得議席と比較して公明がドロップしているんですね。しかしそう前回比強烈に差が出ている訳ではないので、地方区における民主の選挙戦術が上手かったということなんでしょうか(でも1議席違うと言うのは物凄い事なのですから、やっぱり基礎票も伸びてるってことなのかね)。

・出口調査

各社の出口調査を8時に急いでメモを取ったのですが、レンジを取ってるNHKは別にしてTBS以外大外ししてないですなあということで、今回も実は開票速報見てたの精々1時間だったというあたくしなのでありました。なお、東京MXTVは悠然と大井競馬中継をやっておりました(^^)。

・その他

公明党が地方区で取りこぼすとは(しかも首都圏とか愛知とかで)これまた驚きでありました。13議席鉄板と最初から決め付けておりましたよあたしゃ。こちらも何てこったいという感じですわな。

でね、まああたくしが個人的に極めて好感度を低く設定している自民党の中川幹事長が幹事長辞任とのことなんですけれども、何であたくし的好感度が低いのかという点について選挙戦を見てて気が付いた点があるんですよ。それはですな、「この人他人のこき下ろしばっかりですなあ」という印象が強いという所でして、野党なら兎も角、与党の幹事長として如何なものなのかってのがあったのかなあという所で。年金番号の未整理問題で一時自民党のサイトに「基礎年金番号制度に移行した時の厚生大臣は菅直人でした」とか宣伝(?)してたのが代表例(中川さんの差し金ではないのかも知れないけど)ですが、定率減税廃止しておいて「日銀の利上げのせいで景気が浮上しない」とか批判するとか、どうもこの幹事長(安倍さんもその観がありますが)は口を開けば他者批判って印象が強いんですよね。中川さんブログのご本人のコラム見てても何か人の批判が多いですしねえ。

#と、ここまで書いて自分にブーメランである事に気が付くあたくしなのでありますが・・・・・(滝汗)

これは自民党員の方のブログで見掛けたんですけれども、選挙戦では「気をつけよう、甘い言葉と民主党」などと中川さん仰せ(追記:といか自民党のサイトにございましたよ)だったようで、まあ民主の政策に関してはそれはどうなのかというのがありますが、それをお前が言ってどうすると思うのでありまして、何と申しますか、口を開けば批判というようなネガティブな事ではいかんのですなあと最後はアヤシイ人間力教室みたいなまとめになるのでありました(^^)。

#そして自分にブーメラン(^^)


○それはそれとして金融政策への影響

前から市場で言われてたのは「与党の勝利か大敗ならまあスッキリするのでよろしくが、中途半端に負けて安倍首相が続投して内閣が死に体になると困りますなあ」というものであったのですけれども、安倍首相が続投表明とは想定外の展開です。まあ民主党にとってはウハウハとしか言いようが無いですけど、これは見事な死に体で困るパターン。

ただまあ選挙結果そのものが市場に無茶苦茶影響を与えるかというと、目先の短期的な変動はあるにせよ、その先という意味で言えば来年の3月までは政府の予算だって決まっているんだし、政府部門からの動きに極端な変化がある訳でもないんですから、まあ中期的には別のファクターが働くのではないかと存じますが。

んでまあ先週金曜日はサブプライム問題益々表面化→米国金利低下に端を発して、おまけにコアCPIは相変わらずマイナスということで、相乗効果で国内の債券市場は上昇しまして、短期に関しても(CPは辛うじてまだそんなに低下してませんが)金利低下の巻で、10月29日償還のFB463回の利回りが0.640%(3.5毛強!)の引けだわ、9月26日償還のFB457回の利回りが0.560%(2毛強)の引けだわと、これは見事な8月利上げ織り込み剥落モードでありまして(ま、9月3日償還とかとっくの昔に0.520%の引けだったりしますけど^^)、誠に何てこったいと逝った所でありまする。

先週あたくしは「8月利上げスキップするなら「逆地均し」ですかねえ」などと申しあげておりましたが、こうなってくると別に逆地均しをしなくても超短い所では8月スキップしても大丈夫モードになっているのがオソロシスであります(ただし長い所はまだ8月利上げが大本線です)わな。まあ7月利上げしてなくて良かったねとしか言いようが無いので、そういう意味では福井総裁の悪運は尽きずと逝った所で(^^)。

まあ日銀は否定するでしょうけれども、8月利上げできるかどうかの最終的なファクターは株式市場がこの選挙結果や米国発の混乱でコケるかどうかってのと、来月出てくるGDPが悪い結果にならないかって所になるとあたしゃ見立てておりますので(違っていたらごみんなさい)、まあ暫くは短い所のポジション運営は難しいのですが、現在資金不足期間によって、資金供給オペが打たれやすくなっているのが金利押し下げ要因として働くので、当面は利上げスキップモードになり易い展開となるでしょうな。

で、短期市場が今申しあげたモードになっている事もありまして、8月利上げに関してはスキップするという手もありそうですけど、まあ「確信度合い」の筋論で言えば8月やらないと9月やるのは難しいかもしれないので、(べき論で言えば別に待っても良いんジャマイカと思うが)出来るもんなら8月にするんでしょうね。

#と、雑談与太話に終始して面目ない

#あ、たぶん米国利下げ(しないとおもうが)観測は関係ないと思うので一応




2007/07/27

お題「野田審議委員講演」

相変わらずオペ金利が低いがなという話もあるのですが本日は野田さんの講演話で参りますですよ。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0707c.htm

総じて言えば特に方向性を出すようなものではなく、基本的には展望レポートに沿ったお話をしているという感じであります。会見要旨は今日出ると思いますが、会見のヘッドラインを見た限りではこちらでもまあ「手堅い」印象を受けましたです。


○経済物価情勢に関しては展望レポート通りです

講演(というか正しくは挨拶ですが)の前半は経済物価情勢の現状と先行き見通しとなっております。で、こちらの内容に関しては展望レポートのロジックに沿ったものになっておりますので、皆様既にご案内の通りでございましょう、などと書きますと話が終了してしまいますので(^^)、まあ少々ピックアップ。

基本的にはメインシナリオ通りの展開が続くというようになってまして、リスクシナリオに関してはあまり大きな懸念をしていないという発言になっております。

『このように我が国経済は、足許では着実な回復基調を辿っていますが、2008年度にかけての景気を展望しますと、依然として上振れ・下振れの不透明要因が幾つか残っているのも事実です。以下では、こうした先行きを展望するうえで留意すべきポイントについて簡単に述べたいと思います。なお、私自身、こうした要因が顕現化する可能性が特段高いとみている訳ではないことをはじめに申し添えておきます。』

ということで、以下は展望レポートの内容に沿ってリスクに関して説明があるのですが、野田さんはその説明の前に「私自身は特段この可能性が高いと見ているわけではない」と言及していまして、この辺りでも「手堅いですなあ」という印象を強くさせるのであります。


○今後の説明に関しても手堅いです

ということで、これまた量は多いのですが、ネタとしては(おい)まあ通常のお話に終始してますので、特段エライコッチャな内容でもありませんわなという感じではございます。その中から少々ピックアップ。

日銀の政策変更が混乱無く市場に受け止められている点に関して講演で野田さんが指摘した点には「ほほう」と思いましたよ。

『これは、市場参加者の多くが政策変更を事前に予想し、それを相場に織り込んでいたためではないかと考えられます。2月には世界同時株安が、6月には世界同時債券安が発生致しましたが、その後は、株式、債券市場とも反発し、落ち着きを取り戻しています。この間、為替相場をみましても、実質実効レートは、1985年のプラザ合意前の円安水準に達しています。』

『こうした市場の動きを全体としてみますと、私としては、市場参加者がこうした調整に慣れ、先行きも相場が大きく崩れることはないといった過度に楽観的な見方を持ってしまい、市場全体のポジションが一方向に偏り過ぎることがないかどうかという点は常に気になるところです。』

あまりにも事前に市場が織り込みに逝き過ぎたので、ここへ来て「ありゃまあ」の金利低下をやらかしている国内金利市場も然り、メリケン様のように何でもかんでも楽観してたらズドン(しかし貧乏人向け貸し込みまくりローン問題って前から話はあったのにねえ〜)とか、まあ織り込みも程々にと逝った所でしょうか(^^)。

また、この部分からあたくしが勝手に読んだのは(我ながら正直深読みのしすぎだと思いますけど)、政策金利変更にあたって市場に大きな動き(というかショック的な動き)が発生しない事に関してあまりにも重要視しすぎるのは如何なものかという事も野田さんは言いたかったのではないかなあ何て思っちゃいまして、従来の福井日銀路線であります所の「地均し路線」(と言うとまた「そうではない」という公式見解にぶち当たるのですが^^、市場の中の人の印象から見るとやっぱり地均し路線だったでしょ)からの脱却を展望してるんじゃないかなあとも思えるのでありました。

・・・・正直、深読みすぎなのかもしれないけど、講演の冒頭部分でも「ほほう」と思った部分があったので、その印象を受けた次第なのでありますよ。


○ちょっと今までと違う掴みです

中央銀行の情報発信という話は毎度毎度の決定会合で論議されている訳でして、議事要旨にも書かれておりますが、野田さんの今回の講演に関して「ほほう」と思ったのは冒頭部分でのこの言及。

『なお、本会の趣旨は皆様からお話を頂戴することにあります。日本銀行の審議委員に就任して以来、早や1年が経過いたしましたが、マクロ経済に関する様々な統計や指標に接する機会が多くなる一方で、どうしても活きた経済の動きや情報、実際に経営に携わっていらっしゃる方々の考え方を直接得る機会が少なくなっています。この機会に毎日のご商売の実感や地方経済の現状に関する皆様のご意見を拝聴させて頂ければ、私自身、今後の金融政策運営に携っていくうえで大いに参考になり、楽しみにしているところでございます。従いまして、私からのご報告は簡単に止め、その後は、皆様のご意見や日本銀行に対するご要望などを是非お聞かせ頂きたいと存じます。』

そもそも「金融経済懇談会」ですので、『本会の趣旨は皆様からお話を頂戴することにあります。』というのはその通りなのですけれども、懇談会後の記者会見で「有益な話が聞けました」という話は必ず出てきますが、挨拶でわざわざこの言及をしたケースというのはあまり記憶になかったので、ちょっと「おお!」と思ってしまいました。従来の挨拶ですと挨拶の掴みでは「日銀の金融政策をご説明します」という感じだったんで、ちょっと毛色が違いますなって印象を受けました。

まあさっきの深読みの原因もここにあったりするという裏読みにも程があるあたくしなのですが、これは福井日銀の地均し路線からの軌道修正が徐々に図られていると見るのは深読みのしすぎでございますかそうですか。


○第1の柱、第2の柱に関する説明

『この枠組みに沿って、現在の経済・物価情勢を点検しますと、まず第1の「柱」について申せば、先行きの日本経済は、4月の「展望レポート」で示した見通しに概ね沿って、「中長期的な物価安定の理解」に沿った物価安定のもと、持続的な成長を続けることができるとみています。もちろん、こうした見通しの前提としましては、上振れ・下振れ両方向での様々なリスク要因が存在していますが、現時点では、こうしたリスク要因が、この見通しを変更しなければならないほど顕現化する可能性が高まっているとはみておりません。』

『次に、第2の「柱」につきましては、「先行きを展望するうえで注意すべきポイント」でもお話ししましたが、第1に、経済・物価情勢の改善が展望できる状況下、金融政策面からの刺激効果は一段と強まり、楽観的な期待の下で企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて、中長期的にみて、経済・物価の振幅拡大や非効率な資源配分が生じるリスク、第2に、海外経済の下振れなど、景気後退に繋がるような要因が顕現化し、経済情勢の改善や物価の上昇が足踏みするリスク、というアップサイド、ダウンサイド両面のリスク要因があるとみています。』

で、例によって第2の柱についての説明を確認致しますと、野田さんの説明では「第1の柱でフォローしていない要因」という内容になっておりまして、「アップサイドとダウンサイドがある」ということで、まあわかりやすくなってるんじゃないかなと思うのですがどうでしょう。

で、ここの第2の柱の説明でダウンサイドリスクがあると言及しているのですが、展望レポートの説明を見てると「経済情勢の改善にも関わらず物価が上昇しないリスク」というような記述になっていてどっちのリスクなのか良く判らんがなという感じでして、この部分を「経済の改善が遅れるリスク」とダウンサイドリスクとして捉えているのは、まあバランスの取れた説明ですねと思うのでございますよ。


○ロンバート金利について

講演ではなく会見での発言ですので、詳しくは本日アップされる要旨を確認したいと思うのですが、ロンバート金利に関してどっちかというと上げ幅拡大してくれるんじゃないかと期待(?)される野田さん(理由はゼロ金利解除の時にロンバート0.5%主張だったから)からのご発言はこんな感じだったようで。(ソースはブルームバーグニュース)

『基本的には市場の金利裁定がより働きやすいスプレッドがどのへんにあるのかを頭の中での議論のポイントとしている。基本的には、今の0.25%というスプレッドが望ましいということではなくて、今後、(無担保コール翌日物金利の)誘導金利が引き上げられるに従って、そのスプレッドがどうあるかはその時点その時点で考えたい』

『ただ、前回の利上げ以降の市場の状態を見て、今の幅で何か支障があるかといえば、必ずしも具体的に認識しているところはないので、そういう意味で、幅の拡大について差し迫った市場のニーズがあるとは理解していない。ただ基本的には、先ほど申しあげたように市場がいかに効率的にワークするのか、という観点から、今後も検討を深めていきたい』

ということで、こりゃどうも次回のロンバートは100bpっぽいですな。野田さんはタカとかハトとか分類しにくいのかも。





2007/07/26

お題「新発FB落札利回りが低下など」

○新発3か月FB入札利回りが低下など

昨日は新発3か月FBの入札が実施されました。んでまあ利回りが低下しましたなっていう話は短期地方だけではなくてそこそこ話題になっていましたのでご案内の通りであろうかと存じますが、まあ他にネタもないので(^^)そのあたりのお話から。

昨日実施された3か月FB入札ですけれども、7月30日〜10月29日の期間で平均落札価格の利回り換算が(財務省発表の数字は両端ベースの数字ですので、一般的な売買呼び値の片端ベースの数字と違います、いつも申しあげてますが)0.679%と0.68%にも届かん結果となりやがりまして、最低落札価格が利回りれ0.683%とかいう結果。日本相互証券の引けでは0.675%となっていますので、入札後の状況もまあ堅調ということで。

ちなみに先週の新発3か月FBは、スタートエンド共に1週間手前になってたんですが、平均0.691%で足切り0.695%でして、8月利上げとか言ってた筈なので、その織り込み度合いが変らなければ当然ながら今週のFB利回りが上昇して然るべきでありますから、金利が低下したというのはアヒャヒャヒャヒャと逝ったところですわな。

#と申しましても昨日突如金利が下がった訳ではなくてその前から利回り低下ドライブになっていたのはこちらでもうだうだと申している通りでありんす。

ちなみにですな、例によって例の如く足元からのコストの単純なる足し算をして逝きますと、当然ながら0.68%なんぞになる訳がございませんでして、まあ今回の積み期間に関してはGCレートも0.50%定着かというような勢いですから百歩譲って0.50%としまして、8月16日以降の金利に関して(ど〜考えてもそれは安い前提なのですが)8月利上げを100%織り込みコール金利ということで0.75%、期末期初をロンバート予想金利ということで1.00%として計算して逝っても0.711%とかになる筈でありまして、だいたい目の子で8月16日以降の金利がさっきの計算から5bp下がると0.67%あたりになる筈なのであります。

そもそも論でいえば、以前はGCレートがコール誘導目標から5bp上というような前提でお話をしていた次第でありまして、まあ資金供給オペ実施攻撃(今月は資金不足月なので資金供給オペが実施されるのでありますが)によってGCとコールがろくすっぽ変らんという状態ですので手前の0.50%換算に関しては良しとしましても、何と申しますか後半0.7%換算ですかそうですかという所ですわな。「利上げなしで0.55%、利上げすると0.80%」に対する0.70%と考えますと、ここだけ見ると何と8月利上げ織り込み度合いが60%に低下したという言い方も出来ます罠。アヒャヒャヒャヒャ。

#なお、他のレート形成を見ればお判りのように、短期市場の中の人の大方の見方がそんなに織り込み低下している訳ではございませんので悪しからず。FB独特の需給要因(国債というカテゴリーなので選好されるとか、大量ロットが捌ける商品なので選好されるとか、まあ色々と有利な点がありますので)がありますんでその辺は過大評価しないのが吉。


ま、オペ金利も相変わらずでありまして、何か昨日珍しく打った短い期間の国債売現先(7月26日〜8月2日)が平均0.505%の足切り0.51%(資金吸収オペ=応札する人からすると資金運用なので足切りレートの方が高い)ということで、いやはや0.50%の応札が1500億円くらいは入りやがりましたですぅということで、金が余りますのおという所でした。

んで、午後になったらまたまた資金供給オペが実施されたのですが、7月27日〜8月17日の期間で平均0.512%の足切り0.51%となりました。月曜に実施された共通担保オペで8月16日足の平均0.512%最低0.51%だったんで、今回も同じレートですかそうですかって話なんですが、よくよく見れば(と言うか良く見なくてもそうですが^^)オペのエンドが次の積み期間にしらっと入っておりまして、月曜には1日間だったのが昨日は2日間次の積み期間に突入の巻なのにしらっと同じレートということは、実質的にはレート低下ということですわな(8月利上げが無いと言うのなら同じですけど^^)。

とまあそんな状態ですんで、こっから月末に掛けて出てくる経済指標はそんなに威勢の良いものではないと予想されているらしいですから、その辺と相まって「8月利上げ実は無いんジャマイカ」というのが相場ネタとしては使われやすくなりますわなあという感じなんでしょうか。というか昨日なんか2年カレントが一時1%割れなどという何じゃそりゃというレートをやらかしていました(そこまでやらかすためには10月利上げに後ズレしないとしんどいですがな)ので、まあそーゆー意味では既にやっているんでしょうけれどもね。


○8月利上げが本命ではあるのですけど・・・・・

そもそもあたくしは「2度ともGDP見て利上げしたと言われるのは避けるんじゃねえの」ということで8月利上げは難しかろうなどと申しあげておりまして9月とか10月とかの大予想だったんですけれども、じゃあ8月利上げをスキップしたら9月になるのかという話になりますとこれがまたヤヤコシイ。

量的緩和解除が3月だったんで、9月は期末だから上げないというのは余り関係無さそう(ただし量的緩和解除しても3月には当座預金を引かなかった点は留意が必要)なのですが、現状維持判断から利上げおっけーの判断になる為に持ち出される「確信度合い」という点を勘案致しますと、8月の決定会合から9月の決定会合までの間に何かでかい経済指標ありましたっけという指摘は出てきそうでして、それに対して10月となりますと短観はあるわ、10月末の会合には展望レポートの半期見直しがあるわということで、ロジック的には10月に確信度合いが高まりましたという方が美しいというか筋が通っておりますわな。

とは申しましても、そんな美しい国じゃなかった美しいロジックなんぞケンチャナヨというのが福井日銀クオリティでもありますので、別に8月スキップして9月という借金返済繰延交渉風の流れになっても何らおかしくはない次第で、正直よー判らんのでありますけど、市場の思惑としては「8月スキップなら9月スキップ」という話は出やすそうな予感

まあしかし8月スキップするならそろそろ「逆地均し」(苦笑)をやっておかないと市場がまたブーブー言いそうですが、はてさてどうなるのやらといった所であります。まあお手並み拝見。


○超余談です。

久しぶりに経済財政諮問会議のサイトを訪問。
http://www.keizai-shimon.go.jp/

下のほうを見ると更新情報に『成長力加速プログラム・タスクフォース第1回議事要旨掲載(2007年7月25日)』というのがありました (PDFファイルです)。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/taskforce/01/work-s.pdf

・・・・えーっと、この議事内容なのですが、あたくし一応目の玉かっぽじって読んだのですが、ただの「IT推進会議」にしか見えなかったのでありますが、この会議ってそういうもんなんでしょうか教えてエロイ人。

と思ったら概要の資料にはこんなのがありまして、
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/taskforce/01/item1.pdf

一応そこを見ると『サービス革新戦略』の中に『IT革新』ってのがありますけど、議事見てるとどこがどう革新なのかよー判らんというのは引き続き頭の中で飛び回るのでありました(苦笑)。





2007/07/25

お題「オペ金利とか短期市場フォーラムとか」

NYダウの下げ幅を見て「さて開口一番どういう表情か」と思ったてモーサテを見たら掴みがフェニックスリゾートで来るとは思いつきませんでしたよ。制作サイドとしてはそれだけショックだったんですかねえ。。。。

○オペ金利昨日も下がってましたな

という話を(ネタも大してないので^^)しようと思ったら本石町日記さんのエントリーが(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7180632/

#で、いつもコメント盛り上がる本石町日記さんのエントリーなんですが、このネタに関しては今朝の5時時点でコメント0件という所に哀しみを感じるあたくしなのですが

昨日もまたまた資金供給オペが実施されていた訳ですが、共通担保オペが7月26日〜10月11日という期間で、落札平均レートが0.657%で足切りが0.65%と中々良い感じでレートが低下しておられます。毎度お馴染みの計算を電卓叩きながら行いますと、今回の積み期間0.50%+8月後半以降の積み期間0.75%+期末期初1.00%として単純に平均すると0.692%位になる(と思うんだが)ので、まあ8月利上げだと思えばこれで調達すれば悪くはございませんですなあ。この平均0.657%って8月後半以降の積み期間0.70%+期末期初0.95%で計算すると0.655%とかになるので、まだ8月利上げメインである事には変り無いですけれども。

で、まあ昨日は「もしかしてGCレートを下げようとしてるのか」というようなことを書きましたが、まあ本当の本気でそう思っている訳でもございませんでして(おい)、多分資金需給に合わせて淡々をオペを実施し、無担保コール翌日物金利の水準を見て調節ということで、特段の意図はないかと思うのですが(本石町日記さんのエントリーでも同趣旨の説明がございましたですので上記URLご参考されたし)、タームのレートが下がっているのにも構わず淡々と供給というのを見ると、何か意図でもあるんじゃないかとか思ってしまうのはあたくしの頭の中身が旧法時代から抜けていませんですがそうですか^^;

このタームのオペ金利低下によりまして、FB利回りあたりにはモロに影響が出てまいりまして、昨日の日本相互証券の引け利回りを拝見致しますとカレントのFB462回債は前日比5糸強の0.665%ということで10月22日償還だというのに何たるレートという感じであります。今日入札が行われる新発3か月FBの利回りも低いですなあとしか申しあげようがございませんですわな。先週の0.69%台というのはちょっと遠くになりにけりという感じでございます。合掌。んでまあCPのレートに関して言えば気持ち下がったかもしれないくらいの変化という所のようでございますかな。まあこの調子のレート形成が続くと影響してきそうですけど。


○とりあえず一段落でございますな

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0707d.htm
「短期金融市場の機能向上への取組み」最終報告書の公表について

ということで、上記から最終報告書へのリンクへ行きますと11ページ(本文8ページ)の報告書がございまして、こちらに関してはまあ読めという所であります。長らくお疲れ様でございましたです。

で、この取り組みの中での成果として出た具体的な施策についても色々とネタにさせて頂きましたが、そういや一件華麗にスルーしてたのが「国債担保の差入れ・払出し事務の外部委託可能化」でして、実は「これって多分レポのT+0を展望して、クリアリング銀行やトライパーティーレポを推進しやすくする企画なんだろうなあ」と思ったのですが、思っただけでその先あまり考えておりませんでしたので(おい)、改めてこちらの報告書を拝読して「そうでございますな」と思う次第。

まあ何ですわな、この手のサービスが成立するためにはある程度手数料収入が無いといかんですわなあという所でして、ゼロ金利じゃなくなったとは言え、金利水準がこの有様ですと委託に出そうとか思っても委託に出すまでの手間隙(業務プロセスの変更とかシステム対応とか)に掛ける労力が間尺に合わんとか、受託としても手数料大して期待出来ない水準ですわなあ(手数料払った出来上がりが有担コール出すのと変らん水準とかだと何のためにやってるのかワケワカランという話ですわな、出す方としては)とか、金利の絶対水準がこのあたりですとまだまだ前途遼遠っぽい気が致します。

えーっと、ところでフェイル慣行なんですが、やはり合理的なフェイル慣行の定着に向けてということでございますので、日銀オペのフェイルに関しても・・・ってそれはダメでございますかそうですか(^^)。


んでまあ福井総裁様の挨拶。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0707b.htm

『私からは、この「取組み」を通じて感じたことを、2点だけお話しておきたいと思います。第1は、市場参加者による実務的検討というアプローチが非常に有効だということです。』

『課題を克服していくことは、様々な困難を伴うものです。これを乗り越えていくためには、実務に関する専門的な見識と的確なビジネス・ジャッジメントの双方が必要です。だからこそ、「実務家が知恵を出し合うことによる価値創造のプロセス」が有効なのだと思います。』

まあ左様でございますな。どんな良い施策でも実務上のフィージビリティーを無視あるいは軽視されますとどうしようもありませんですから、今後とも(まあ日銀の短期金融市場関連の場合はその手の弊害は無いっすけど)よろしくお願いしたいものであります。

ま、ここから具体的施策がスタートしますが、とりあえず関係者の皆様一段落でお疲れ様でございましたm(__)m




2007/07/24

お題「オペ金利とかOISレポートとか」

サブプライム絡みの証券化商品とかって大体叩き売りに逝かなければそう簡単にアヒャヒャヒャになることも無いとは衆目の一致する所でありますが、そーゆー話になりますと時価会計だのバーゼルUのアウトライヤー規制だのというものはありゃ一体全体何のこっちゃという気もする次第でありまするよ。ま、それがメリケン様のダブスタクオリティなのでありますけれども。


○またオペ金利低下してますが

昨日も資金供給オペが景気良く打たれておりまして、何か金利はまたまた低下の巻となっている訳です。即日オペはまあ措くとしまして、資金供給オペが3本実施されやがりまして、金融政策決定会合までのオペレートの低さと、9月エンドのオペ金利の低下っぷりに「え〜」という感じであります。

国債買現先7月25日〜8月8日と、共通担保7月25日〜8月16日がそれぞれ平均0.519%の0.512%とまあ見事に別に金要りませんが何かレートへの道を邁進しておりまして(足切りはどちらも0.51%)先月の四半期末でプチ期末モードだった6月末とは大違いの巻なのであります。何のこっちゃという感じですが。

このオペ金利低下、というかよーするに足元金要りませんなあ状態によってGCやら現先金利は低く(0.51%近傍)なりまして、FB金利にはマトモに跳ねて来ました。そりゃまあいざとなったらオペ担保にぶち込めば8月会合まで0.51%で金が付きますし、それ以前の問題として資金が余ってきてる所にオペ攻撃ですからレート低下するのは当然なのですが、一方で基本的に持ち切り前提の人が入ってくるCPのレートはそこまで下がらんという状態になってまして、TB/FBレートとCPレートのスプレッドが妙に開いてきました。CPレートが上昇してスプレッドが開くのではなくTB/FBレートが低下して開くというパターンも時に見られるのですが、何かねえって感じではあります。

んでまあ9月エンドのオペ金利ですけど、共通担保オペのもう一本は7月25日〜9月20日で平均落札レートが0.616%で足切りが0.61%とこれまた低い水準でありまして、とりあえず今回の積み期間を0.51%で計算した場合に後ろのレートが0.68%という計算になる(計算間違えてなければ・・・)ということで、まあ確かに8月利上げと決まった訳じゃ無いですけど、そのレートは低いですなあと思うのですが、ほぼ同期間のFB456回(9月18日償還)の日本相互証券の引け(は既発になるとそもそもの売買が低調な銘柄も多いので必ずしもアテになるとは限らない点要注意ですが)が0.585%というそりゃ何じゃというレートですので、まあ何だかねえという感じです。

そんなFBなどと違いまして、先ほども申しあげたCPレートは引き続き8月利上げを大体織り込み体制が継続しておりまして、上位格付けの同じ足だと(周囲のレートなどから勘案すると)0.68〜0.70%辺りになると類推されましてまあ結構なスプレッドとなっておりますわな。うーむ。

ま、オペの影響だけじゃないんでしょうけれども、GCレートやショートタームのTB/FB金利が落ち着いている、というよりは低いですがなという状況の中でもタームのオペを打っているという状況に「もしかしてGCレートを下げようという意図があるんじゃないかいな」という見方をしたくもなる今日この頃であります。ちなみに、昨日の即日オペ(翌日物)のレートは平均0.525%で足切り0.52%と物の見事に足元とタームのレートが逆転してる(別に資金需給の特定日じゃないのですけど)のも何のコッチャでありまして、もしかしてタームやGCが下がってるのはケンチャナヨで足元だけ見てるのかいなという気もしないでもない。うーむ。


○これはまた素晴らしい寡占市場

昨日はこんなレポートが日銀から。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/ron0707b.htm

本文はこちら(PDFで表紙含めて18ページ)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron0707b.pdf

ということで、レポート本文は図表が多いのでページ数の割にはさらさら読めますので、本文を読んで頂きたいものと存じますが。

まとめ部分のHTMLページ(要は日銀のサイトを見に逝くとまず見る方でありますな)を見ますとこのように記述がございます。

『もっとも、金利スワップ市場全体と比較すると、OIS市場はまだ参加者が限定的である。特に、本邦金融機関の取引はごく一部に止まっており、少数の外資系金融機関への集中度が高い、このため、市場流動性は必ずしも高くないといった点が指摘されている。』

PDF本文の6ページにそれに対応する調査結果が出ているのでありますが、業態別シェアが外資系金融機関97%という素晴らしい数字となっておりまして、その次のページを見ますと取引集中度が上位3先で7割超ということで、どうみても寡占市場です。本当にカムサハムニダ。

でね、その上位3社が資金量の多い順に邦銀3行とかいうのならまだしも、上位3先って前のページにありますように外資系金融機関様な訳でありまして、何と申しますかその市場からインプライドされた数字で「市場が織り込む先行きの政策金利パス水準を分析する」とか言われましても少々困惑を禁じ得ませんわなあと思うのですよ。いやまあ一応TB/FB金利とかとも裁定してる(というかレポートにもあるように取引ロットが3000だの4000億円だのという状況ですので他にそれだけのロットを捌けて反対売買簡単に出来るのはこれしかない(GCも一応あるけど)と思われるので当然ちゃあ当然ですけど)のでこの市場だけ場外格闘場という訳でも無くて、参考にするなとは申しませんけど、日銀がせっせとOISOISと熱心にレポートを出して注目させようというのも何かねえって感じではありますが。市場参加者が使ってメリットあると思ったら続々参加してくるでしょと思うんですが、標準ロットが1000億円の整数倍とかいうオトナの市場だと、無力参加者であります所のあたくしとしてはにゃんとも・・・・

ま、PDFファイル(=レポート本文)の結論部分(最終ページ)には全く違和感は無いのでありまして、まあこの市場はこれからの市場だと思うのですな。ということで、日本銀行の別の部局様におかれましてはあまり「OIS市場からのインプリケーションを得る」と鐘や太鼓で盛り上げるよりは暖かく市場発展を見守って頂きたいものであると存じます。

『OIS 市場は、昨年初に漸く取引が本格化し始めた市場であり、市場参加者もまだ限定的である。今回の調査でも、上述の通り、同市場がまだ発展の初期段階にあることが確認された。もっとも、冒頭みたように本邦金融機関の多くは利用に関心を示しており、市場はさらに発展していく潜在性を有している。既に参入している先の間でも、多様な利用者の参加により、市場の厚みが増していくことに対する期待が強い。』

と、このように冷静に纏めているレポート本文なのでありますが、まとめページのHTMLの方をみると妙にポジティブな書き方になっているところがアレでございますわな(^^)。




2007/07/23

お題「月曜なので相場雑談」

自民大敗予想が喧しい中で群馬県知事選挙は与党公認候補が勝ちましたなあ。まあそんなもんじゃないですかね。

○動かないと悪態をついてたら動く訳だが

先週金曜はそれまで動意があんまり無かった債券市場が比較的威勢良く上昇(と言っても2毛5糸位の話ですが)し、先物ベースで132円とか10年カレントが1.9%割れとか節目を越えたので、まあ上りましたなあという感じでした。ここの所米債に釣られて寄りで値が飛んだ後は動意なしというような相場が続いていたのですが、珍しく寄り後にホイホイ上昇したのも「こりゃまた動きましたなあ」という感じを受けるものでありました。

まあ何と申しますか、もうとっくの昔から8月利上げで確定のような感じで相場が織り込んでいるので、今更8月利上げがあってもイベントリスクでも何でもない(無かった場合の方が香ばしい展開が期待できますわな^^)という状況になってると思うんですよ。でね、皆で8月利上げって思っているのに相場は値持ちしていまして、ついでに8月に利上げがあっても「事前予想通り」となり、そんなに大崩れすることもねえ(大崩れする位ならその前に相場が下がるがな)というのであれば、まあ取りあえず買って置けば期間収益稼げるしという話になってもおかしくはないという物ですな。

というようなことで、10年1.9%割れと相成ったとは思うのですけど、じゃあ金利が威勢良く低下するほどまで買うのかよとなるとその辺はどうなんでしょうかねえという所でして、月末に掛けて出てくる経済指標とか、超目先的には週末下落しやがった米国株式を受けた日本株式(あたくし的にはそんなに連れ安にならんと思うが)とか、何かもう一丁フォローが欲しいところではありますな。

ただ、あたくしの気のせいかも知らんけど、利上げのような基本的には金利が上がるほうの材料を意識しながらも値持ちするというような市場の中の人以外にには「何のこっちゃ」という展開(中の人的にはこのような光景はよくある事なのですが、何でそうなるのかと質問されると非常に説明しにくいのですわな^^)が続くと、期間収益を拾いに来るロングが段々溜まってくる(特に今回の場合は予想されるイベントまで1か月ありますから)結果、案外下に弱い相場になってくるかも知れませんな。

でも利上げがサプライズになるのには、次の利上げペースや利上げパスの目先到達点とかに関して今の市場コンセンサス(がどこにあるのか少々謎なのですが、たぶん1−3月期にあと0.25%までは織り込んでいて、目先到達点は1%〜1.5%の間くらいで見方が分かれそうな感じですか、1%に近そうな気もしますが)を外すような話が出てこないと難しいんじゃないですかね。

んでまあ本来8月利上げだろうが9月利上げだろうが長期金利にはどうでもいい話なのですが、まあここまで8月利上げを織り込んで、というよりは織り込まさせておいて(というと政策委員会の中の人は「地均しはしとらん」と言うんでしょうが^^)8月の利上げが無かったらサプライズになりそうな勢いでして、ここから出てくる経済指標がそんなに威勢の良いものじゃ無かったらどうするんでしょうかねえとワクワクテカテカ(完全に物見遊山モードの発言ですが)。


○引き続きロンバート予想は1%(か?)

金曜日は二発目になります期末越え共通担保オペが行われましたが、期間が7月24日〜10月5日と前回実施とケツが同じでスタートが4日後ろ平均落札が0.670%で最低落札が0.66%で、按分比率が9.9%と薄い按分になり、前回からレートは上昇していますが、8月利上げ織り込み+末初レートが1%という計算からすると、前回よりもスタートが後に寄っているのでまあこんなもんでございましょう。

そもそも8月利上げが決まった訳ではないですからその点も割り引いて考えないといけない(FBの利回りは相変わらず8月利上げを8割くらいしか織り込んでないです)ですけど、まあ値段の付き方がどう見てもそうなってますんで、短い市場的にはロンバート1.25%というのはあまり意識されていないのかなあという感じですな(ちなみに、末初レートが25bp違う場合、このオペ期間にその25bpをまぶすと1bpになりますわな)。

というのはまあ先週金曜にお話したのと同じなのですが、どうも最近気になるのは日銀の資金供給の打ち方でして、足元資金が潤沢になっている筈なのに何故かタームの資金供給は威勢良く打ち込まれておりまして(金曜の共通担保オペは月末越える8月15日エンドで平均0.526%、足切り0.52%)、その影響でGCレートが0.52%〜0.53%水準で全然上らない状態になってます。ど〜ゆ〜事情があるのか存じませんが、ここへ来て金利を抑え付けようとしているのではないかという気もする動きがちと不思議。

まあ物凄い裏読みにも程があるのですけれども、ロンバートが125bpになった時にGCレートや現先レートが跳ねないように今から落ち着かせておこうとしてるのかな?なんて(実際にはオペレーション部隊はそのような事情を斟酌して動く事はあり得ないというのは理解してますが^^)ヒマなもんでついつまらん事を考えてしまうのであります(^^)。

それともゆうちょ銀行が準備預金適用先になるのでそっちの資金繰りを巡る思惑で市場が不安定化しないようにという配慮なのかもしれません(というか普通に考えたらそっちの方が本命ですが)なあとか、まあ色々と考えてしまうのであります。

#ということで雑談でありました




2007/07/20

お題「生活意識に関するアンケート調査/その他雑談」

○生活意識に関するアンケート調査続き

昨日の続きですが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0707.pdf

アンケート結果を前回調査(3月調査)と比較した数字が出ているので判りやすいのですが、今回の結果を見ますと「景気の先行き見通しはやや悪化」「物価の先行き見通しはやや上方修正」「雇用環境の先行き見通しはやや改善」というセットになっておりまして、1番目と2番目を足すとスタグフレーションですかとか言いたくなるのですが(苦笑)、3番目を見ると必ずしもそうでもないという話になりますな。

ま、あたくしも恥ずかしながらこの調査ウォッチ始めたのここ1年くらいですし、そんなに必死こいて見てるわけでもないですので、統計のクセとかよーわからんのでアレですけど、結果をぼーっと見てるとちょっと意識が分裂してるような感じもしますわな。

(以下上記URLより引用、適宜レイアウトいじってます。なお回答の()内は前回調査の数字です)

Q4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる   10.2 ( 12.3 )
2 変わらない 64.3 ( 67.0 )
3 悪くなる   24.7 ( 20.0 )

Q14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。
1 かなり上がる  7.2 ( 3.3 )
2 少し上がる  64.6 ( 55.3 )
3 ほとんど変わらない 23.9 ( 36.1 )
4 少し下がる   2.3 ( 4.0 )
5 かなり下がる  0.3 ( 0.3 )

Q20.これから1年後を見たとき、あなた(またはご家族)は、勤め先での雇用・処遇(給与、ポスト、福利厚生など)に不安を感じますか。

1 あまり感じない 15.5 ( 14.3 )
2 少し感じる    47.5 ( 45.4 )
3 かなり感じる   33.5 ( 38.2 )

うち勤労者(勤労者:会社員・公務員・その他雇用者、パート・アルバイト)

1 あまり感じない  16.6 ( 14.8 )
2 少し感じる     46.7 ( 43.8 )
3 かなり感じる   36.4 ( 41.0 )
(引用終了)

ということで、何となく微妙な感じではありますが、あたくし的にちょっとふーんと思ったのは景気の先行き悪化が案外増えていることでして、これはどの辺が影響してるのかが興味あるところです。資産価格関連では特に悪い話は無いので、政局の不安定感とか、税源移譲+定率減税全廃の影響とかあるのかなあとも思うのですが・・・・

ま、このアンケート調査で金融政策に直撃する訳でもないでしょうが、景気の先行き悪化予想が増えて、物価の先行き予想は上方修正されているというコンボは中々扱いにムツカシイお話ですなあという感じ。


○ロンバートがどうなるのかという雑談

3月期末の市場結果を受けて4月の金融政策決定会合でロンバートとコール誘導目標の回廊幅について論議があったというのは以前ご紹介しましたが、その後は福井総裁が6月の定例記者会見(金融政策決定会合後の会見)でわざわざ「別にそれは急ぐ話ではありませんが(意訳)」と発言してましたが、改めてそのあたりをチェック、って元発言は死ぬほど長いので一部を引用します。

(6月15日の総裁記者会見要旨より)
『金融市場局は色々と苦労していますが、最近は0.5%近傍で比較的円滑に誘導目標金利が市場で毎日実現できているという状況になってきています。量的緩和政策を脱却して、資金の出し手も取り手も、国内外の金融機関も市場の中での資金繰りに相当慣れてきて、金融市場局における市場のオペレーションが円滑に行えるようになってきました。結果として、誘導目標金利の0.5%前後が円滑に実現しやすくなってきています。』

誠にその通りでございます。

『そういう意味では、補完貸付金利との幅をもう少し引き上げていっても良い可能性がこの先はだんだん出てくると思いますが、まだよく分かりません。郵政の民営化をはじめ、市場には色々と資金繰り円滑化要因もあれば、不円滑化要因もまだ色々と孕んでいますので、この先の市場の変化をきちんととらえながら――別にこれは急ぐ課題ではありませんので――、ゆっくり点検しながら適当な状況にもっていければと思います。今非常に不適当な状況であるとは思っておりませんので、時間をかけて検討していけば良いと思います。』

ということで「郵政民営化」と物凄い勢いで名指しされておりますが、まあこの前は某公社債情報専門誌の記者座談会形式のコラムでSCレポ市場での波乱について同じように物凄い勢いで名指しされてましたが、いやあこうなってみると郵政民営化ってフィージビリティーをろくに検討しないで勢いで強行したってえのが良くわかる話ですなあという所ですが、正直こちら金融市場は政治が後先考えずに特攻したケツが回ってくる訳でして「ですなあ」などと他人ごとのように言ってる場合でも無かったりしますわな(苦笑)。

#ま、インターバンクの資金需給調整のケツは日銀に回ってくるのですが


んでまあ上記引用した中で「時間をかけて検討していけば良い」という発言がある訳ですので、今のところロンバートが次回引上げになって125bpになるって感じもあまりしないという所なのかという感じでありまして、一昨日初めて行われた9月期末越えの共通担保資金供給のレートが平均落札0.670%で足切り0.66%となっておりましたが、この期間が7月20日〜10月5日。で、このレートはさてどういう数字なのよと思って電卓を適当に叩くと、7月20日〜8月15日を0.50%、8月16日〜10月5日を0.75%、その間の末初レートの9月28日〜10月1日を1.00%として計算すると大体この落札水準とになると思われますので、「なるほど色々考えてますなあ」という感じです。

#ま、それ以前の問題として、3か月のFBレートとかまだ8月利上げを全部織り込んでない(まあ当然ですが)上に末初レートの跳ね上がりもあまり織り込んでませんという感じですが。

ロンバートがどうなるのかは良くわかりませんが、こちらに関しては次の利上げ時に票が割れるのかもしれませんね。ただまあ期末前に利上げするんだったら125bpまで持って行かないかもしれませんけど。

最初100bpにしておいて期末やら郵政民営化に伴う作業が一巡した所で125bpに引き上げるという手もあったと思うのですが、「ロンバートだけ動かす」というスキームはゼロ金利解除の時に早々に福井総裁が会見で否定してしまったのがここに来てちょっと痛いですな。

#というわけで本日も雑談なのでした







2007/07/19

お題「決定会合議事要旨/生活者意識アンケート」

段ボール肉まんが捏造報道だったと言われましても、正直どこからどこまでが本当なのか判断できねえでありますよ。ま、話題取りの飛ばし報道によってトンでもない事態になるという文脈で言えば人の事をあまり悪し様に言えませんなあという感も。

まずは金融政策決定会合議事要旨から。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070615.pdf

○8時50分公表ってのはちょっと・・・・・

今回から公表時間が8時50分になったのをあたくしもすっかり失念してまして、朝っぱらからヘッドラインが出て来て慌てて議事要旨を読んでいたら気が付けば寄り付きになってしまうという有様(汗)。

いやあのですな、こういう読むのに時間が掛かる(実際問題としては読むべきポイントがあるので物凄く時間が掛かるという程のものでもないですけれども)のをクソ忙しい寄り付き前に出されましても誠に遺憾なのでありますけれども。じゃあ経済指標はどうなのかとツッコミが来そうですが、あれはまあその「数字」というのがまず出てきて第一反応が起きて、その後中身をまあざっと読みますかって話になるので少々違いますわな。

たまたま今回はあまりビックリネタが無かったから良かったのですが(^^)、ヘッドラインの打ち方次第でセンセーショナルなミスリードが出来そうなネタが転がっていた場合にどうなるのか。まあ見てみたい気もしますが(こら)。

#経済指標の場合はヘッドラインリスクは無いですからね

ま、要望とかあったのかもしれませんけど、あれは入札とか無い日の後場にマターリと読むのに味わいがあるわけでして(謎)、寄り付き前のクソ忙しい時に読むのは何とも。というわけで、別に引け後の公表でも良いんですけど・・・

それよりも次回の決定会合で議事要旨内容の承認をする(よって次回の決定会合後にならないと絶対公表できない)という法内容を何とかして頂きたく存じます次第で。

という話は兎も角。

○長期金利上昇(6月頭の)に関する議論

『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の『2.金融面の動向』部分はほとんどが6月頭の世界の長期金利上昇に関する議論でありました。議事要旨8ページ目(PDFファイルでは10ページ目です、以下同様に2ページのズレがありますので念の為)から。前半の現状認識部分は割愛しまして。

『長期金利上昇の背景に関して、何人かの委員は、長期金利上昇が景気拡大を反映したものか、インフレ期待の高まりに起因するものかの見極めが重要であり、後者であるとすれば、物価とインフレ期待が安定しているもとでの緩和的な金融環境という、世界経済の高成長を支えてきた構図の変化を意味し得る点には注意が必要だと指摘した。』

左様でございますな。

『その上で、複数の委員は、現時点ではインフレ期待は安定しているとみられ、株価が上昇する一方で長期金利は安定していたというこれまでの流れが若干修正されたとみることができるのではないか、との見解を示した。』

ということで、まあこの時点では「ここもとの動きは自律調整の範囲内ですわな」という結論。まあそりゃそうでしょう。

『こうした議論を経て、委員は、債券市場がまだ落ち着き所を見出していないことから、長期金利上昇に伴う実体経済への影響、株式・為替など他市場への影響、グローバルな資金の流れへの影響などを、引き続き注意深く見ていく必要があるとの認識で一致した。』

というまあ一般的な結論に落ち着くのですが、これが情報ベンダーフィルターを経由すると「長期金利上昇の実体経済の影響を注視する必要がある」という所がヘッドラインで打ち込まれるのであります。何だかな〜。


○毎度お馴染みの情報発信について

本文9ページ目の『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』では毎度お馴染みの如く情報発信問題に関して論議が行われている訳なのですが、毎度毎度これがネタになるというのも何かこうアレなのですけど・・・・

『何人かの委員は、足もとの消費者物価が低迷する中で、金融政策をどのように運営していくのかについて市場参加者、メディアなどの関心が高く、具体的な政策変更のタイミングについての憶測もみられると指摘した。』

このタイミングの問題なんですけど、短期市場のように金融政策変更がまともに直撃する人にとっては大変重要な話なんですけど、より長いところをやる人にとっては実は7月だろうが8月だろうが9月だろうが大差ない(20年に対する3か月なんて屁でしょ^^)筈でして、それより重要なのは将来的な大体の方向性がどうなるのよって話だと思うんですが。

より具体的に言えば、まあ現状の延長線上で引っ張って行って今の金利調整ステージがどの位の水準まで行くのかという話(実際問題としてはその間に経済情勢が変化するので、必ずしもそうなるとは限らないけど)がより長い金利の人たちにとって大事な話でしょと言う次第でして、その辺の感じがイマイチこうモヤモヤと霧がかかったようなところがありまして、と思うのだが。

ま、目先の金融政策云々という話になるとどうしても直撃弾を食らう短期の人たちの声が大きくなるのでタイミングの方への関心が強いように見えてしまいますなあとか、昨今の場合で言えば昨年の12月に「12月利上げ出来なかったから当分利上げできない」というように、タイミングと将来の金利調整パスへのイメージ変化が直結するような見方、何と申しあげたらいいのか、金融政策パスの手前ルッキングとでも申しましょうか、まあそんな見方があるので、妙にタイミングが注目されてしまうというのもあるのかもしれません。

『この点に関して、多くの委員は、フォワード・ルッキングな政策運営の枠組みに対する市場参加者などの理解をさらに深めていく必要があると述べた。また、多くの委員は、政策運営に関する具体的なスケジュール感を示唆していると受け止められるような情報発信を行うことは、市場との双方向のコミュニケーションを維持する上で不適切である点を強調した。』

ですから、確かに経済は生き物ですから先の事など判らないですし、それに対して変にコミットするのも予定外の事態が生じた時に手足を縛ることになっては元も子もないというのも判るのですが、「先の事は全く白紙」みたいな話が出てしまうから逆に先ほど申しあげた先行きのパスに関するイメージがつかみにくく、結果として却って参加者の目線が手前ルッキングになり、タイミングの話が妙に注目されるのではないかとも思う次第。

『こうした議論を経て、委員は、金融政策運営の基本的な考え方を繰り返し説明していくとともに、経済・物価の現状と先行きに関する判断を、引き続き丁寧に説明していくことが重要であるという認識で一致した。』

まあこの辺の間合いは難しいというのはありますので、今後も試行錯誤は続くと存じますが、まあ市場の価格に対する論評的発言は避けていただきたいものだと存じますです、はい。



○生活意識に関するアンケート調査を簡単に

・・・・と書いてたら時間がなくなってきたので、もうひとつの話はちと駆け足で(多分続きは明日)。

「生活意識に関するアンケート調査」
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0707.pdf
一覧するなら16ページ目以降をご参照なのですぅ。

ま、本日は物価の所だけ見ておきますが、18ページ目にそのあたりの質問結果がございます(以下上記URL先より引用、一部割愛してます)

Q12.次に「物価」についておうかがいします。あなたご自身の感じでは、「物価」は1年前と比べてどう変わりましたか(「物価」とは、あなたが購入される物やサービスの価格全体のことです)。

1 かなり上がった6.0 ( 3.4 )
2 少し上がった47.0 ( 35.0 )
3 ほとんど変わらない41.0 ( 52.6 )
4 少し下がった4.8 ( 8.4 )
5 かなり下がった0.2 ( 0.4 )

Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。

平均値 +3.7 ( +2.3 )
中央値 +2.0 ( 0.0 )

Q14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。

1 かなり上がる7.2 ( 3.3 )
2 少し上がる64.6 ( 55.3 )
3 ほとんど変わらない23.9 ( 36.1 )
4 少し下がる2.3 ( 4.0 )
5 かなり下がる0.3 ( 0.3 )

Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
平均値 +4.5 ( +3.0 )
中央値 +3.0 ( +1.0 )

(以下引用終了)

とまあそういう結果でして、何となくこれは単に燃料価格に引き摺られているような気もしないでもないのですが、まあ年度替りの価格改定が効いてるとかあたくし如きでも何となく感じるところの生活体感的物価の上昇(日常品価格の上昇とか、値下げ商品が減りましたなあとかね)を反映してるとか、色々と報道された製品卸売価格引上げ報道とかも効いてるのかも知れません。ま、トレンドになるのかというのは即断できない話ではありますが。

#ということで本日は駆け足モードで恐縮至極






2007/07/18

お題「相場は言うことも無いので日銀のペーパーでも」

まあ相場の方はこの調子で月末の指標やら来月のGDPやら出ないと動意が起きそうもないですが、何かここの所日銀から色々とペーパーが出ていますのでそのあたりでも。

#しかし農林大臣の会見映像には朝からワロタ

○市場が織り込む将来の政策金利がどうのという話

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev07j08.pdf

金曜に出てた日銀レビューでございますが、米国でFF金利先物レートから市場のが予想する将来の政策金利経路を見た場合にどうなりますかというお話でして、こちらは日銀レビューということで判り易く概略を説明してて、ややこしい計算式を見た瞬間に人間マーライオンになるあたくしにも優しい(^^)。

でまあ結論はFF金利先物にはリスクプレミアム、というか金利に上方バイアスがありますよ、即ち例えばFF金利先物レートが期先限月までベタッとフラットの場合、将来の金利変更無しを織り込んでいるのではなくて、将来の金利引下げがあるかも知れないということを織り込んでいるんだというお話だと理解致しました。本文にもありますように、米国ではこれに関する研究が色々と行われているそうな。

で、まあそこまでは良いのですが、このリスクプレミアムに上方バイアスがあるっちゅうのも何となくこう微妙にアレでございまして、(本文にも指摘がありましたが)そもそもこれらのデータが揃っている時代の中で金融引き締め局面となっていた時代が短い(おまけにグリーンスパン時代の最後の金利引上げ局面では「メジャードペースでの引上げ」を行い、FF金利引上げパスが「予測可能」だったのでリスクプレミアムに下方バイアスがこの間掛かりにくかったんじゃないのかとか疑問は少々ある訳でして(それにれ近年は引き締め局面の期間の方が短いと思いますし・・・)、このリスクプレミアムの上方バイアスはサンプル期間全体の金融経済環境に起因するかも知れませんわなあとも思うのですが。

それからですな、あまりFF金利先物市場を知らんで申しあげるのも僭越な話ではありますが(と言いつつ書く訳だが^^)、FF金利先物市場の特性として上方バイアスが発生しやすい市場だという可能性もあるとは思うんですよね。例えば本邦だと、ユーロ円金利先物市場にはどうしてもヘッジニーズ(バンキングALMのヘッジとか)が入り易いのと、精算価格がユーロ円TIBORというまあバーチャル金利(とか言うと銀行勘定から苦情が^^)で、今一歩短期金融市場の現物金利とリンクしてない部分があるとか、まあそのあたりの事情から常にTB/FBや国債金利からインプライドされる金利からT/Lスプレッドを勘案しても高いんジャマイカという金利になったりすると見てるんですが、まあその手の「市場そのものにバイアスがある」という部分も無視出来ないと思うんですが、米国での研究はどうなっているのでしょう。

と、書きながらふと思ったのですが、このリスクプレミアム云々って単に何もない時にターム物金利が足元金利よりも高くなるという話とどこがどう違うんだという気もしないでもないので(などと割り切ると失礼ですかそうですか)確かに先物などのデリバティブ市場の方がデータ取りやすいから分析しやすいというのはあるかも知れませんが、現物市場の方の分析もひとつお願いしたいものであります。短期のデリバティブ取引って(米国は知らんが)どうもあたくし如きの無力参加者には敷居が高こうございまして、あーたOIS取引なんぞに逝ったら想定元本500億円でも端物扱いじゃあーりませんでしたっけというものでありまして、より参加者層が広い現物(市場ごとに参加者が違うのがまた面白いのですけど)からインプリケーションをお取りになるのが実際の金利操作をしている部門の態度としてあるべき姿じゃねえのかなどと僭越な物言いをするあたくし。

というわけで、結論(冒頭にもありますが)部分はちとアレなものが。

『量的緩和解除以降のわが国では、OISレートが金融政策に関する市場の期待を抽出する手段の一つとして定着しつつある。但し、現状の利用方法は、リスク・プレミアムがゼロと仮定したうえで将来の金利変更の織り込み度合いを算出するというものが中心であり、米国についての分析でプレミアムの存在や変動が示されていることを踏まえると、特に期先のレートからは、市場の期待を正確に抽出できない可能性も否定できない。』

まあそりゃそうなのですが、それを言い出しますと昔からその話が出るたびに悪態をついておりました「金先市場が織り込む先行きの政策金利」(最近はOISのせいか金先ネタが減りましたが^^)も同じでありまして、これを持ち出すと大体期先金利の織り込みぶりが現物扱っている人たちから見ると「何じゃコリャ」という水準になるのですよね。

ま、さっきも悪態つきましたが、本邦のOIS自体一部の人たちが夢のような大玉を振り回す市場でまだまだ参加者の厚みに乏しいので(ということで、市場の規模を取引高だけで測るのはイクナイと思うのでありますよね、自分で手を振ったことのない人には中々理解してくれない所なのが厳しいんですが)そもそもOISにやたら注目する自体どうなのよと思いますけど。


○非常に重要なペーパーのような気がしますが・・・・・

昨日アップされたお題が『低金利環境下における均衡金利とイールドカーブ』でして、もう見た瞬間に「おおおおお!」と叫んでしまいましたよ。で、そのURL先を見に逝ったのですが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp07e18.htm

>全文ダウンロード(PDF) 全文は英語のみの公表です。

・・・・(-_-メ)

ということで本文を読む気力は涌かず(こら)、日本語の要約部分だけを拝読させていただきました。

『主な結論は、以下の通り。(1)均衡金利を長期的な名目GDP成長率に対する期待値で近似することについて、統計的に否定的な結果は得られなかった。(2)日本銀行のコミットメントは、ゼロ金利政策の継続期間に対する予想とCPIのリンクを強めることを通じて、ゼロ金利下でも、CPIの水準次第で長期金利が動くように貢献した。(3)10年金利のターム・プレミアムは、2004年ごろから低下トレンドを辿っている。』

ほうほう。ところでここにある「長期的な名目GDP成長率に対する期待値」って何ざんすかと思うのですが、それは本文を読まないといけないんでしょうな(涙)。んでまあ(2)の結論も何か体感的にはそうなんですかと少々「???」が飛び交うのでありますけど。正直、長期金利いじってる人たちがCPIに注目しだしたのって結構後の方(それまでは「ああマイナスですなあ」で終了^^)でして、2003年の金利低下→上昇時にはCPIもへったくれもなく利上げ期待が盛り上がったような気がするんですけど、まあそれも本文(涙涙)。

まあ英検20級(嘘)のあたくしとしてはこーゆー重要そうなペーパーは日本語でも出して頂きたいのでありますけど。。。。。

とまあ本日はこのへんで。





2007/07/17

お題「『確信度合い』への質問が続く総裁記者会見」

今回の会見でやたらと質問があったのがお題の論点。何というか実に微笑ましいものがございますが・・・・

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0707a.pdf

○確信度合いとは何ぞや

質疑の最初の方(会見要旨3ページ目)で水野審議委員(というか質問の際には「一人の委員」という言い方でしたけど)の利上げ提案の理由に対して質問されまして、総裁はこう答えました。

『(答) 詳しくは議事要旨、最終的には議事録でご覧頂きたいと思いますが、一人の委員は現状据え置きには反対され、この際金利の引き上げを決断すべきであるという意見でした。その委員は、様々な角度から経済・物価の動きを点検し、そして金融政策決定会合の場で議論をし、最終的に現状において将来の経済のパス、その蓋然性について他の委員よりもより強い確信を、本日持たれたということに尽きると思います。』

というのが今回の利上げ提案になったということですが、まあその是非は兎も角、水野審議委員の提案の方が話の筋は通ってますわなあと思うのですけど。

ということで、暫くサブプライムの話とかがあった後、5ページ目から延々とこの「確信度合い」とか前回の記者会見で総裁が言及した「要確認事項」などという誠に解釈のムツカシイ話について続々とツッコミが来るのであります(^^)。

確信度合いについて他の委員はどういう不安を持ってるのかという質問に対して。

『他の委員は不安を持っているか、というお尋ねに対しては、不安という言葉が適切かどうかは私は各委員の心の底までは量りかねますのでわかりません。しかし、政策委員会として、本日の情勢判断にしても、中間レビューにしても、経済は好循環を伴って先行きも息の長い成長を続ける蓋然性が高いという判断は不変のものとして本日も確認したわけです。従って、不安というよりはこの蓋然性についてより確信を持ちたいというポジティブな方向についての確信度合いの差だと思って頂ければ良いと思います。』

益々訳判らんということで次の質問はこうなります(^^)。

『(問) 確信度合いの差というものをもう少し噛み砕くと、どういう状態になれば政策委員の確信度合いが上がってくるのでしょうか。見通しも全て変わっていないということであれば利上げが決定されてもおかしくないと素直に思う人も多いと思います。しかし、そうはなってないので、もう一度説明して頂けますか。』

で、この答が益々アレでございますが、何か会合でそれなりに論議になっていたのではないかと思うような言い方です。長いので途中で段落わけします。

『(答) 経済状況を点検し、先行きの見通しを固めていく場合、9人の政策委員会のメンバーが誰しも等しく同じ度合いで確信を持つということはありえないと思います。経済は非常にダイナミックに動いており、今後ともダイナミックに動いていくので、将来にわたってフォワード・ルッキングな政策判断をしようと思う場合には、個々の政策委員の持っているものの考え方、それを将来の経済・物価の変動予測のパスに当てはめて考えた場合に、政策措置に結びつけることが適当かどうかという判断にまでその確信が深まっているかどうかということについては、常に差があるということだと思います。』

『その差はありますが、政策委員会の場では一つの結論を出すために議論を戦わせるので、会議に臨むにあたって持っていた差は議論を通じて相当修正されるものです。従って、多数のメンバーの意見が事前に持っていた差が修正されるかたちで収斂すれば、それは政策的結論になるということであり、今回の場合は多数の意見はまだ政策措置の変更に結びつくようなところにまで確信が深まっていなかったということだと思います。水野委員は、その中では先行して確信を持たれたということだと思います。』


さて、前回の会合後の会見で「要確認事項が非常に多い」と発言して債券先物をぶち上げてくれた総裁様でございますが、今回「要確認事項」はどうなったのよという質問に対してはこのように。

『新しい確認事項も色々出てきており、例えば先程のIT在庫の調整についてであれば問題がなくなったというわけではなく、引き続き進展していますがまだ未了だというように、それぞれの要確認事項、あるいは経済全体の姿を認定するために様々な角度から議論します。非常に多くの角度から引き続き議論すべき点があることは確かです。そして、それぞれの角度からみてやはり進展もあり停滞もあり、あるいは新しい問題が出てきている、ということだと思います。』

という一般的な話(そもそもの発言も一般論をわざわざ「非常に多い」というような表現で大袈裟にしてる観はありましたが)をするのであれば、そもそも前回時点で「要確認事項が非常に多い」というような思わせぶりな言い方をする必要は無い訳でして、そのあたり総裁のキャラクターでその場その場で判り易い言い方をしようとしてるんでしょうけれども、却って判り難いというかミスリードになるんですけどねえって思うのよ。などと今更言っても遅いのだが。

で、こうなりますと、前回の「要確認事項が非常に多い」発言は、市場の利上げ観測がより前倒しになって「7月利上げモード」にならないよう早期利上げ観測に水をぶっ掛けようとしてハトっぽい表現を使ったんでしょうなあという読み筋になる訳ですわな。


○ブルームバーグが妙に強いヘッドラインを打った質疑応答部分

質疑応答の9ページより、これは中々良い聞き方ですな。

『(問) 今回、8対1で現状維持を決め、水野委員は先行きのフォワード・ルッキングな立場で金融政策の変更と強く結び付けた確信があったのではないかということですが、総裁自身は、ここ2〜3か月の経済・物価情勢を点検してこられ、本日は確信がないということで現状維持と判断したと思います。その確信はある程度高まりつつある状況にあるのでしょうか。それとも、2〜3か月みてもなおまだ情勢をみなければならないというように何の変化も感じていない状況なのでしょうか。』

『(答) 私自身は肩に力を入れて判断することは元々できない性質であり、経済情勢を極めて丹念にフォローし続けているつもりです。4月の展望レポートの線に沿って、全体の太い動き、そして色々な側面からみた個々の動き、それらを総合しながらいつも判断を積重ねています。個々の動きについては若干精粗まちまちだと思いますが、総合してみた場合、本日の結論通り、太い流れとしては標準シナリオに概ね沿って動いていると思っています。従って、この動きが続けば、将来政策変更を行って間違いないという確信につながると思いますが、現在のところ、そういう心境がどこまで進展したかということを自分で測定することは難しいと思っています。』

ということで、まあ先行きへの自信は自信としてあるんでしょうけれども、さほどセンセーショナルな発言でも無いですし、質疑応答の全体的なトーンもそんなにもう来月やっちまいますよ全開という訳でも無い(まあこのままだったらやるんでしょうが)感じでありますんで、他社のヘッドラインの方が表現として適切であったと思料。


○1月との比較

この質問もオモシロイ。(9ページ目)

『(問) 本年1月も票が割れ、その時総裁は、もう少し判断の補強をする時間がいるという人ともう政策判断に踏み切って良いのではないかという人のごくわずかな判断の差だとおっしゃいましたが、今回もそのように水野委員と他の委員はごくわずかな判断の差なのでしょうか、それとも前回と票数も違いますが差が多少あるということなのでしょうか。その点についてお聞かせ下さい。』

『(答) わずかであるかどうかは、それほど正確に判断できませんが、標準シナリオを下回りそうだと心配している委員は本日はいませんでした。そういう意味では、標準シナリオ通り動いているが政策判断にはまだ至らないという多数の委員と、政策判断に至っても良いのではないかという一人の委員との差ということですので、これをわずかと言うか言わないかは、なかなか難しいところだと思っています。』

ということで、何となくこれは福井総裁釣られた観もございますが(^^)、1月時点(利上げ3票)ほどの盛り上がりはございませんでしたという事なんでしょうな。即ち、順当に行けば8月利上げなんでしょうけれども、まだ日和る余地もあるということですわな(^^)。


○第2の柱の説明が・・・・・

『情勢がシナリオ通りに動いているにも関わらず、金利を据え置くことによるリスクというか副作用の面についての議論は、本日行われたのでしょうか。』って質問(本当の質問はもっと長いのでそのごく一部ですが)に対して総裁は第2の柱について点検したよって説明をしてるのは良いのでありますが・・・・・(12ページ目)

『第2の柱についても、本日ももちろん色々と点検をしました。今後とも私どもが決断すべき時に決断をしないで長く金利を据え置くというパーセプション(認識)を市場に残した場合には偏ったリスクをとられる恐れがあり、資源配分に歪みが生じる危険性さえあるという点については引き続き繰り返し点検しています。本日も資産価格の動き、為替市場の動き、あるいは海外における様々な資産価格の動き等も含めて総点検しました。』

だからそう説明するから第2の柱を誤解されるんでしょうがと小一時間・・・・



○物価に関する質疑は興味深いですな

10ページ目から。

『(問) 判断対象となる消費者物価指数について、コアとかコア・コアとか言われているのは承知の上での質問です。最近値上げに関する報道が相次いでいます。主婦の方々がスーパーなどで買い物する時に生活費が余計にかかっているという声も聞きますが、その点について総裁はどのようにご覧になっていますか。そしてそういう声が、庶民が使うもので値上がりするものは輸入品が多く、それは円安が響いており、結局それは内外金利差だというような議論にも発展しかねない状況――ちょっと短絡的ですが――もあります。その点総裁はどのようにお考えですか。』

最近(概ね年明けから年度替り辺りから)日常品の買い物をしてて値上がりを感じるあたくしとしても質問したい所で(^^)。

『(答) 生鮮食品ではない加工食品であるとか、その他の日常生活に密着した色々な商品の値上げがかなり多岐にわたって始まっていますが、(割愛)それが消費者物価指数に反映されていないかというと、消費者物価指数の中身を細かく分析すると正確に取り込まれています。しかし、消費者物価指数全体の中のウエイトからみると、指数全体を押し上げる程の力にはなっていません。逆にウエイトの高い家賃であるとか、エレクトロニクス関連の商品の値下がり幅が非常に大きく、こちらのウエイトが高く、全体の動向が現状のような姿になっているということだと思います。』

この帰属家賃と電化製品のヘドニック(特に家賃)が浅学非才なあたくしには正直訳判らんところでして、いやまあ理屈は判るんですが、品質向上分が世の中の前提になった時に旧製品比較で性能向上分で実質値下げになったとか言われても旧製品が使えないのであればそのヘドニックは掛け過ぎなんジャマイカという風にも思う所でありますが、と素人の戯言でありますけど。

『従って、消費者物価指数もおそらく正確でしょうし、家庭生活を営まれる主婦の方々の感覚もともに正確だろうと受け止め、それらが全て私どもの物価判断に取り込まれているように思います。』

何とムツカシイ禅問答。で、その後にインフレ期待に関してコメント。

『より重要なことは、消費者物価指数に反映されているがなかなか目立たない多くの生活関連品目は、ある段階にくると人々の将来のインフレ予想にまで影響を及ぼすリスクがあります。そういう意味で、将来のインフレ期待にまで影響が及ぶ状況になるのかならないのかということは、より強い関心事項として見守っていきたいと思います。すなわち、消費者物価指数の判断については、消費者物価指数の中身を細かくコアのコア・コアやコア・コアのコアであるとかいうように因数分解をすることばかりが仕事ではなく、最終的には人々のインフレ予想とそこに影響が及ぶかどうかということを中心に判断していけば、間違いないのではないかと思っています。』

とまあそういうことでありますので、今度出てくる日銀による生活者意識アンケート調査の物価に関する内容については注目しておいた方が良いんじゃないでしょうか。


#調子に乗って質問まで引用したので長くなりすぎました。ごみんなさい






2007/07/13

お題「金融経済月報の現状判断が・・・・」

ヤケクソで8対1予想をしたら当たるとはこれいかにorz

○というわけで8対1

この8対1という結果を受けてちょっと債券先物上昇しましたけど、まあ7対2と8対1は事前予想のストライクゾーンということで何ともという所でしょうか。昨日も書いたように、8対1ですとまあ8月やってもやらなくてもどっちでもあまり不自然さは無いですので、そーゆー意味では日銀(というか政策委員会)は8月のアクションに関してフリーハンドを確保していると解釈できそう。よってこれから次回会合までの経済指標を見て「8月やるのかやらないのか」という話になるんでしょうな。ただし市場の予想大本命は8月という線は崩れてませんけど。


○現状判断が細かい部分で下方修正されている月報

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0707.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0706.htm(前回)

今回は展望レポートの中間評価がありまして、そっちで物価の見通しを強めにしているのが話題になるんでしょうが、文書を頭から読んでいると何かトーンダウンっぽいのが気になるのでありますよ。まずは展望レポートの中間評価。

『わが国の景気は、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に概ね沿って推移すると予想される。物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、2007年度は、「見通し」に比べて上振れるものと見込まれる。2008年度の上昇率は、「見通し」に概ね沿ったものとなると予想される。この間、消費者物価は、2007年度、2008年度とも、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということで、物価の先行きを上振れで予想してるのですけど、経済情勢に関する現状判断部分に関してはちょっと下方修正してるのが気になるのですよ。

・景気の現状、住宅投資と生産

『住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(7月)
『住宅投資も、振れを伴いつつ緩やかに増加している。』(6月)

住宅に関しては販売業者の出し渋り(先高感による)の要因もあるのでまあ下方修正即良くない話かというとその辺微妙なのかもしれませんけど。

『内外需要が増加する中で、生産は、足もと横ばいながら、基調としては増加を続けている。』(7月)
『内外需要の増加が続く中で、生産も増加基調にある。』(6月)

生産の現状についての表現がちと苦しめですなあ。


・民間銀行貸出

普段余り見ないのですが、金融面にも表現の変化が。

『民間銀行貸出は緩やかに増加している。』(7月)
『民間銀行貸出は増加している。』(6月)

『CP・社債の発行残高は前年を上回って推移している。』(7月)
『CP・社債の発行残高は前年を幾分上回っている。』(6月)

ということで、差し引きチャラなのかもしれませんが、銀行貸出の伸びが鈍化しているというのもちょっと気になったですよ。


・物価に関して原油価格反落の表現が消える

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、ゼロ%近傍で推移している。』(7月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移している。』(6月)

『消費者物価の前年比は、目先、ゼロ%近傍で推移するとみられるが、』(7月)
『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響が残ることなどからゼロ%近傍で推移するとみられるが、』(6月)

ふむふむ。

ということで、先行きに関しては物価については原油価格などの反発が数字としてはフォローになるのかもしれませんが、景気の現状判断部分で認めているような細かい下方修正があるというのはどうなんでしょうかねって気にはなる所であります。


○ヘッドラインの打ち方として如何なものかと思うのですが

昨日の引け後に行われた福井総裁記者会見なのですが、その内容が報道されたのは16時20分くらいからでありまして、その途中で債券先物がいきなり8銭くらい下がった場面があったんですけど、たぶんそれはこのヘッドラインに反応したものと思われます。

『この動き続けば政策変更しても間違いないとの確信へ』(ブルームバーグ)

このヘッドラインを打ったのはブルームバーグニュースでして、同社のニュースではその後の総裁会見まとめ記事のお題も同じく『日銀総裁:この動き続けば政策変更しても間違いないとの確信へ』になっております。

でね、他のニュースベンダーはどう報道してたのかと言いますと、たまたまあたくしが確保致しましたのは時事メインとロイター日本語版ですので、そちらのヘッドラインを見ますと・・・・

『概ねシナリオに沿う動きが続けば政策変更の確信につながる』(時事メイン)
『私自身はシナリオどおりの動き続けば将来利上げ間違いなしと確信』(ロイター)

ややロイターの方がトーンが強いですが、メインのヘッドラインですと、「まあいつも通りの発言ですなあ」となりますわな。ちなみにクイックを見てる人と話をしたんですけど、「何で急に下がったのかわからなかった」と言ってまして、ヘッドラインの印象では「まあいつもの発言だな」という所だったようです。

さて、その肝心の発言ですが、当のブルームバーグニュース12日17時57分配信の記事によりますとこうなっております。

『――総裁個人としては、シナリオの蓋然性について確信を高めつつあるのか、それとも何の変化もないのか』

『私自身は肩に力を入れて判断する事はもともとできない立場にある。経済情勢は極めて丹念にフォローしているつもりだ。4月に出した展望リポートの線に沿って、全体の太い動き、そして色々な側面から見たここの動き、総合しながらいつも判断しているが、個々の動きについてはもちろん若干精粗まちまちだと思うが、総合してみた場合、太い流れとしては標準シナリオにおおむね沿って動いているという今日の結論の通りに私も素直に思っている』

『したがって、この動きが続けば、それは将来、政策変更を行って間違いないという確信につながると思うが、現在のところどこまでそういう心境が進展したのかというのを自分で測定するのは難しいと思っている』

ここの文脈を読んでおりますと、どうもブルームバーグのヘッドラインはミスリーディングじゃないのかねと思いますわな、というかこういう報道する時って当然記者の方が現場で話を聞いている訳でして、その会見場での発言ニュアンスを汲み取った結果としてヘッドラインのトーンが決まってくると思うのですけど、ブルームバーグ以外は「まあいつもどおり」(標準シナリオ通りなら徐々に金利調整というのはそもそも公式見解ですから)という印象を与えるヘッドラインを打っている訳でして、ブルームバーグだけ妙にセンセーショナルな印象を与えるヘッドラインというのはちょっとねえと思うのでした。

というか、最近ブルームバーグニュースのヘッドラインがちょっとセンセーショナル路線に走ってるんじゃないかという気がします。ひところ日本語版ロイターがセンセーショナルかつミスリーディングなヘッドラインで市場の顰蹙を買いまくった時代があったのですが、まあちょっと立ち止まってお考えになられた方が良いんじゃないでしょうかねえって余計なお世話ですかそうですか。

#ま、詳しくは総裁会見要旨を見ないとね








2007/07/12

お題「さあ決定会合です」

延々と8月利上げ織り込み態勢で来てるんで、ようやく7月会合キタコレという感じであります。織り込みが早すぎるのも良くないですなあ。

○投票状況と相場展開(ただし当たるかは無保証)

という話は既にゲップが出るほど本職の方々からレポートが出ておりますので、今更あたくしのような者がしゃしゃり出るお話でもないのですが、吉例により(??)あたくしも予想など。

昨日の(あたくしが勝手に注目してた)3か月FB入札は若干流れたもののまあ引き続き8月利上げ8割くらいの織り込みになっております(正確に言うと9月末の末初3日間の金利が微妙なので、もうちょっとレート高くないと間尺に合わないのであるが)のですが、ちょっと気になるのは9月末エンドの新発CPレートが上昇して、逆に7月エンドとかの新発CPレートは低下気味となってたことでして、より実需レートに近いCPを見ると「ちょっと8月利上げ態勢でフンドシ締め直し」って所なのかも知れませんな(より短い所にニーズがシフトしているということですから)。

んでまあ中長期ゾーンに関しては昨日はサブプライムがどうのこうのという米債を受けて上で寄って、時間の経過と共に現物が先物に追い着いていく展開で、5年あたりも強いという実に5年国債落札した業者ウハウハの展開。たまにはこういう事もなきゃいけませんな(^^)。織り込み度合いを見るのは正直よくワカランですが、皆で織り込んでる8月利上げが後ズレするとちょっと上に持っていかれるリスクもありますわなあというのは薄々気にしてる所でしょうからね。


で、肝心の予想ですが、多分短期が8割くらい織り込みということでありますので、市場予想の予想(何のこっちゃ)としては「利上げ提案が出て2名賛成、現状維持は7対2で賛成多数」という所ではないかと思うのであります。よって8対1だと若干8月利上げが怪しくなって短い所確りになるんでしょうが、何せ昨日の相場でちょっとそのあたりやらかしてますので、限界はあるでしょ。そもそもより長い金利にとっては、ど〜せ8月が9月にずれたとしても大差ない(短期市場にとってはおおごとですが)ので、後は米国市場次第という毎度お馴染みの取っ掛かりネタ無し展開となるのではないかと思料。「8月どころか9月も出来ないんじゃネーノ」という発想が頭に浮かびだすと全く別の風景になるのでありますが。

ということで、9対0の時に「8月は無し」となって、その次の9月もやばいのかなあという話になりだすというのが相場的には一番スペクタクルな展開であるわけでして、ちょうど昨年12月みたいな香ばしい展開が発生して、利上げに関する火消しと火点けが交錯してやるやる鷺モードになってお祭り騒ぎとなるのでしょう。
#まあそれは疲れるので勘弁して欲しいのですが。

でまあ6対3ですと「8月利上げ間違いなし」になるので、現在8割織り込み位の3か月FBあたりの金利が甘くなる訳でして、あんまり精緻に計算してません(のはいつもの事ですが)のですけど、目の子で3毛少々修正するんですかな(別に100%織り込む義理は無いので)。そして、短い所で次の注目になるのは「ロンバートが幾らになるか」となる筈だったんですが、先般福井総裁が余計な発言もとい早期のロンバート幅拡大の否定的な発言が出てましたんで、あまりそっち方面での思惑から想定末初レートが跳ねる(どうせロンバートになるのでしょうから)と期末越え金利はもうちょっと上昇しやすくなるんですけどね。(追記:何言ってるのか判りにくいですね。よーするに「ロンバートがらみの思惑での末初レート上昇は余り心配しなくても良かろう」という話です)

まあ今回の利上げ(早くて8月ですが)ではロンバート引き上げ幅に関しては意見が割れると見ました。


○あたくしの票読みと利上げ賛成しそうな審議委員のスタンス予想

さて、ここまで書いてあたくしの票読みを全く書いてない事に気が付いたので、あたくしが書くと外れるの法則があるので遺憾なのですが書くとします。ずばり「水野さんが利上げ提案するけどそっちの賛同者無しで8対1」ということにしておきます。なお根拠は全然ございませんで、単に一番微妙な結果なのでそうなるとボラが上るかなって位です(こら)。

もうちょっと真面目あたくしが今見ている審議委員の皆様のスタンスを書きますと・・・・

水野さんは為替とか資産価格とか、まあ所謂「将来的な大きなリスクとなりかねない資源配分を惹起する事態」に対しての警戒感が他の審議委員よりも強そうですので、利上げの着手が必然的に早くなりますわな。須田さんはフォワードルッキングな金利引き上げ路線と申しますか、まあざっくりと言ってしまえば中立金利水準に向けての金利調整を淡々と行うという考えのように見えますので、ペースが早くなる事はないでしょうがそろそろ利上げと言い出しても何らおかしくはない。

で、この前の1月会合で利上げに賛成した野田審議委員は正直スタンスがつかみにくいのですが、1月会合の議事要旨を見ますと理由のうち3番目に『Bこのタイミングで政策金利水準を引き上げておくことが、フォワード・ルッキングな金融政策運営の考え方に適っていること』というのが入ってますので、やはり須田さんに近い感じがしますな。ロンバート0.4%の時にも反対しましたし。

新しい審議委員は益々良く判りませんが(おい)、就任時の記者会見とかを見てると、亀崎さんは平均的、中村さんは若干ハトという感じでしたんで、今回は特に動かないと思うのですがどうでしょう。






2007/07/11

お題「金融政策に関して支離滅裂な主張をする政党がいる訳だが(国会会議録ヲチ)」

すでにこの話、本石町日記さんが『民主党はワンボイス主義を=金融政策論議で考える党戦略』というエントリーを上げていますので、まあ受け売りもいいところなのですけど(大汗)。
http://hongokucho.exblog.jp/6974947/

本石町日記さんが話題にしていた6月13日の財務金融委員会の会議録を見たらその部分が中々面白かったのでご紹介するのでありますが、その前日に参議院厚生労働委員会ではこれまたテラアホスな議論が行われている訳でして、本石町日記さんが民主党の金融政策論議に関して『金融政策で論戦を挑むなら唯一まともな古本議員のワンボイスにする(またはその主張にそろえる)のが対与党戦略上はいいような気がする。』というのに禿げ上がるほど同意したい訳ですが。


○利上げの家計に与える影響に関する比較的まともな質問

んでまあその6月13日の財務金融委員会ですが。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009516620070613020.htm

民主党の古本委員の質問の冒頭から。

『○古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。(途中割愛)少なくとも、低利であったがために国民の財布を結果として痛めた、低金利だったから、預貯金をしている人に対して、そういう御議論も利上げの理由の一つになさっておられるようでありますが、一体、我が国の国民の平均的な世帯ごとの貯蓄の残高、どのくらい預貯金があるのか。金利がつくということでいえば、銀行に預けている、たんす預金ではなくて、そういう規模で申し上げれば大体どのぐらいあるのか、これをまずお尋ねしたいのと、一方で、金利が上がれば、住宅ローンももう既に上がり始めています。住宅ローンを借りておられる世帯数がどのくらいあって、当然にその金利負担は、今後は逆に金利が上がれば大きくなるわけでありますので、日銀はその辺をどう分析なさっておられるのか、まず事実関係を教えていただきたいと思います。』

答弁するのは雨宮さんです。

『○雨宮参考人 お答え申し上げます。まず、御質問のありました、金利の上昇が家計に与える影響ということでございますが、これはなかなか試算が難しゅうございまして、(割愛)なかなか試算が難しゅうございますけれども、御質問の観点からの、ざっくり、預貯金とローンとどっちが多いかという観点から推しはかるということでデータを申し上げさせていただきます。』

『これは、総務省の家計調査の十八年の平均の家計一世帯当たりの預貯金残高、住宅ローンの残高でございますが、まず全世帯平均で申し上げますと、預貯金が一千一万円、住宅ローンが四百四十万円でございます。これを勤労者世帯に絞りますと、これは全世帯に対する勤労者世帯の割合、五五%程度でございますけれども、勤労者世帯の預貯金が平均で七百三万円、住宅ローンが五百七十七万円ということでございますので、預貯金が若干上回っております。』

『これをさらに、御質問のございました住宅ローンを抱えている世帯ということに絞り込みますと、住宅ローンを抱えている世帯は、全世帯に対する割合が二割弱、統計上は一九%ということでございますけれども、預貯金の保有高が四百九十三万円、住宅ローンが千四百三十一万円というデータでございますので、冒頭申し上げたとおり、単純にはなかなか試算はできませんけれども、住宅ローンを抱えている世帯について申せば、はるかに住宅ローンの方が多うございますので、金利上昇は負担増につながるというふうに考えております。』

というのが結論でして、まあその通りですなあという話であります。

でですな、まあ質問者の質問に答えるために数字をださないといけないというのは重々承知していますが、「預金金利を上げて家計に寄与」とかいう流れの質問の時にもしらっと「いやそうはおっしゃいますが住宅ローンというのもありまして」とかいう資料を出すと甚だ楽しい展開になると思うんですが、参考人如きが選良様に向って喧嘩をふっかけるような訳には行きませんですかそうですか(^^)。

『○古本委員 つまり、金利で食っていける世帯なんというのは、恐らく、日本の世帯数が合計でどのくらいあるのか承知しませんが、ほんの一握りというか、一粒だけだと思いますよ、金利で食っていけますというような、そういう幸せな人は。(途中を割愛しますが、実はこの間の論理展開がちとちと怪しいです。まあ本文を読んでつかーせ)ですから、やはり庶民の暮らしという実態を考えれば、預貯金がたくさんあってローンが少ないなんという例は余り言っちゃいけませんよ。最後に言った例が正しいんです。預貯金が四百九十万円でローンを約一千四百万円抱えている、ここの世帯でいえば、今後、福井総裁がもくろむように金利を上げていけばどのくらいの負担増になるんですか。年間あるいは十年先、どのくらいの負担増になるんですか。スズメの涙の金利しか今ついていませんけれども、それがけた一つ上げたからといったって、そのスズメの涙がモズの涙ぐらいにちょっと上がる程度で、よほど住宅ローンの負担増の方が大きいですよ。そのことも織り込んで今金利の引き上げの議論をなさっていますか、日銀は。』

ということで、まあ雨宮さんは当然とも言える答弁をその後しております。そこまで引用してると引用だけで膨大な量になるので割愛しますけれども、まあ少なくとも「預金金利引上げで家計が」っていう議論よりは遥かにマシなお話ではございます。何か古本さんの結論らしき最後の意見部分はちと話を住宅ローン抱える家計に対してフォーカスし過ぎじゃねえのかという気はしますので、まあ本当にちゃんとした議論で民主党のワンボイスに足るかというと少々怪しい感じです。


○年金のために利上げしろという香ばしい論議

で、それはまあ良いのですが、前日の6月12日の参議院厚生労働委員会で民主党・新緑風会の大久保委員は金利を上げるべしという質問をしている訳です。広げた大風呂敷の右と左で別の事をやっているとはまさにこのこと。答弁してるのは稲葉さん。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0108/166/16606120062028a.html

『○大久保勉君 (前半割愛)年金運用で一番大きい分は、約八割は国内の債権(原文ママ)若しくは融資等で運用しております。ですから、国内の金利に連動すると思いますので、ここで日銀に質問したいと思います。日本におきまして、七〇年代、八〇年代、九〇年代、そして二〇〇〇年代の金利の推移に関してお尋ねしたいと思います。 特に年金財政がおかしくなっておりますのはこの十年、バブル崩壊後の十数年でありますから、その辺り、金利がどういうふうに推移したかということに関して質問します。』

もうこの時点で話がおかしい訳ですわな。残高が大きくてもリスクリターンがでかいものが他にあったら利回りはそっちに引っ張られることだってありますわなあ。美しい金利の人もそうなんですが、どうして証券出身の人がこーゆー話するかなあとがっかりですよ。

『○参考人(稲葉延雄君) お答え申し上げます。長期国債の十年物利回りで申し上げますと、七〇年代の平均は七・七%、八〇年代は六・七%、九〇年代は三・九%、そして二〇〇〇年以降、二〇〇七年五月までの平均は一・四%でございます。』

『○大久保勉君 例えば、八〇年代は六・七%ですから、二〇〇〇年代の一・四%に比べまして五・三%高かったわけなんです。ということは、先ほどの表を見てもらいましたら、今よりも五%上がっているとしましたら、二〇ポイント所得代替率は増えます。もちろん、これはインフレとかいろんな要因がありますから、直接並行的には動きませんが、金利の動向というのは極めて重要ということを指摘したいと思うんです。じゃ、八〇年代六・七%と二〇〇〇年代の一・四%、差が五・三%ありますが、数字を丸めて五%とします。年金の現在の運用金額は百五十兆円です。そのうち八〇%は債券市場で運用しておりますから、金利に完全に連動しています。じゃ、こういった条件で八〇年代と二〇〇〇年代、どのくらい年金の運用利回りが減っているか、このことを日銀に聞きたいと思います。』

『つまり、日銀の政策、低金利政策が年金財政に多大な影響を及ぼしているんです。ですから、日銀にこのことを是非認識してもらいたいということで、あえて日銀に質問します。これは数字の計算ですから、できるはずですから、計算してください。』

他のファクターがあるから計算できません。というか計算できるから計算しろというならお前が計算ロジックだせ・・・と言いたいでしょうなあ。日銀の中の人たちにマリアナ海溝よりも深くご同情申しあげます(というか国会に呼び出されるような所に就職したら首が幾つあっても足りないよと思うあたくしなのでありました^^)。

『○参考人(稲葉延雄君) お尋ねの前提でございますれば、百二十兆円の五%相当額は六兆円でございますし、その十年分の合計は六十兆円ということになると思います。ただ、そういった計算が年金資産運用の逸失利益の試算として、計算として適当であるかどうかということにつきましては、日銀は所管外のことでございますし、年金資産のポートフォリオの内容を詳しく存じませんので、判断できる立場ではないということを申し上げたいと思います。』

『それから、一般論として申し上げますと、日銀が採用してまいりました低金利政策、副作用といたしまして、年金等に関する資産運用難をもたらしているということは承知しておりますけれども、ただ、金融政策は全体としての経済、物価の状況に照らして実施するものでございまして、低金利政策はこれまでの経済、物価情勢の下で必要な政策であったというふうに考えております。』

ここの字面からは「計算できないものを計算しろというなこのアホウ」という気持ちが伝わってくるのは単にあたくしがそう思っているからですかそうですか(^^)。

『○大久保勉君 ここの議論は日銀と相当昨日もやりました。つまり、日銀として正式な数字を出しなさいと言ったんです。つまり、日銀が決定する金利によりまして年金の財政が変わるんです。日銀は、自分たちの管轄外だと。それは間違いなんです。』

どう見ても貴方が間違いです。本当にありがとうございました。だいたい利上げやり過ぎでオーバーキルして景気が悪化したら株価など下がって年金資産内容が悪化しますがねえ・・・・

『じゃ、金利は二つあるんですか。(以下質問者の頭の中身を疑う話が延々と続くので割愛)だから、ここで柳澤大臣、金利は年金のために上げるべきという答弁が欲しいと思いますが、柳澤大臣、どうですか、通告しておりませんが。』

お願いですから党で意見を纏めてから金融政策の質問をして下さい。国会答弁のために何人の人がどれだけエネルギーを掛けてるかとかちょっと考えりゃ判るでしょ。

#とまあ引用で増量になってしまいましたが本日は古いネタで恐縮でした。


○最後に一言ノーコメント雑談

http://www.r-i.co.jp/jpn/news_topics/nr_rating/rating.html

>07/07/10 楽天の格付けBBB[安定的]を新規公表、発行登録も同格付け
>07/07/10 楽天の格付けBBB[安定的]を新規公表、発行登録も同格付け
>07/07/10 楽天の格付けBBB[安定的]を新規公表、発行登録も同格付け

はあはあそうですか。いやもうノーコメントでございますが・・・・・




2007/07/10

お題「決定会合待ちですなあ」

ということで今日も小ネタで。

○明日のFB入札に注目してみたいです

今日の5年入札の方が注目ではあるのですが、どうも最近中期ゾーンの需給はワケワカラン(残存2年の10年債が弱くて、3年ゾーンは妙に強くて4年ゾーンは需給が良く無さそうといった感じのようですな)ので何かイメージがどうも。

そして明日はFB3か月の入札がいつものように行われるのでありますが、先々週の入札が平均0.66%でこれがまあだいたい8月利上げを100%近く織り込んでいた水準で、先週の入札が平均0.65%でこちらの織り込み度合いが目の子で80%くらい(発行と償還が1週間ずれるので利回りは徐々に上るはずですけどね)と相成りました。

まあFBで利上げ度合いを見るというのもムツカシイ面がありまして、FBの場合は利回り(=コールレートなどの足元金利見合い)で買う投資家は勿論いるのですが、「国債だから」という理由での買いを入れる人がいるのがヤヤコシイ訳です(いつも申しあげてますが)。でまあそういう買いがあると、実は利上げに対する警戒での足元シフトの影響でFB利回りだけ下がるということもありますので、持ち切りと現先玉以外の買いがほとんどないCPのレートなんぞをつらつら眺めると3か月FBカレントが0.66%の引けに対して同じくらいの償還のCPだと上位格付け銘柄で(期越えなのでネーム毎の差があるようですが)0.7%台前半くらいのようですんで、ちょっと(期末越えで持ち切り筋の買い出動が鈍いという点を割り引く必要はありますが)スプレッドがついているかなという感じで、最終実需筋の出足は鈍いですわな。そりゃまあロンバートが幾らになるかによって期末越え3日間のレートがだいぶ違ってきそうなんですから慎重になりますわなというところですし、6月末如きであの有様だと9月末はど〜なるのよというのもありますので。

ま、一応既発のレートを所与とすると2毛くらいスプレッドつけておけば十分なはずですが、そもそも既発の位置がCPと対比してこれでいいのかという話は少々ございますな。まあFBへのニーズは相変わらずあるようですので普通の入札になるんでしょうけれども。


○景気ウォッチャー調査

内閣府のサイトにある抜粋版は
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/0709watcher/bassui.html
でありますが、景気ウォッチャー調査またまた悪化ですわな。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/0709watcher/menu.html
のリンクから詳しいの読めます。で、まあ抜粋版にありますように、

『家計動向関連DIは、気温が高めに推移したことからエアコンなどの動きは良かったものの、ガソリン価格の上昇に加え、税負担感の増加を指摘する声もみられ、低下した。』

ちゅうことで税源移譲の影響がでましたわなあという事でして、一般リーマンの皆様ですと給料日に気が付いたとは思いますが、普通納税の皆様ですと6月頭に市区町村役場から納税額通知というオソロシイものがやってきて呆然となられた方も多いかと存じます次第。まあ6月の数字に跳ねて来ます罠というところでありますが、本当の効果(?)は一般リーマン様が呆然となられる6月給与以降という気もします(が、そもそもが天引きですので、賞与などの総支給ベースが増えていると意外に気にならないのが源泉徴収クオリティでもありますので、何とも言えませんな)。

いやまあ人の事は言えないのですが、何となく税源移譲で定率減税廃止分が相殺された気になった上に、これまた何となく景気が良いという雰囲気で久々にちょっと消費してみるかという気分になっていた(最近の飲み屋の人入りを見てるとそういう気がするのであるが^^)のがここでどうなるのやらという所で、個人消費の今後は予断を許さんのかも知れませんな。


○しかしまあ早く織り込みすぎですので

というウォッチャー調査はありましたが特段大きなインパクトはなく(ちょっと反応してたみたいですが)相変わらず市場は「8月利上げ、その次は来年の1−3月期で、コール1%になったらまあ一旦様子見になるかもしれませんしまだ上るかもしれませんがそのとき次第」というのが平均的な見方だと思うのですが、よくよく考えるとこのコンセンサスになってもう1か月以上やってまして、まあよくここまでコンセンサスが変らずに引っ張れますなという感じ。

これで金融政策決定会合で利上げ提案が少数否決されて、GDP見て8月利上げとなりますと美しい予定調和(などと言うと怒られますかそうですか^^)なのですが、相場は皆の都合の悪い方向に動くの法則によりまして、本当にそうなってくれるのでしょうか。物価とGDPがどうなるのやらというのも気にはなりますが、分析は本職の方にお任せですわな。

しかしこう見事に織り込んでしまうと余程の事がないと見方が大きく変らないので、ちょっとネタなし相場ではあります。とりあえず目先は何となく海外金利で動いてるっぽいが。


○最低賃金引上げですかそうですか

珍しくNHKニュースのサイトから引用(いずれリンク切れ)。

http://www3.nhk.or.jp/news/2007/07/10/d20070710000001.html

『9日夜に開かれた「成長力底上げ戦略推進円卓会議」には、塩崎官房長官や大田経済財政担当大臣のほか、経済団体や労働団体の代表らが出席し、今年度の最低賃金をめぐって意見を交わしました。この中で、厚生労働省の担当者は「従来どおりの指標に従った決め方だと、時間給で平均5円程度の引き上げになる」という見通しを示したのに対し、出席者から「引き上げ幅が小さすぎる」といった意見が相次ぎました。』

何かこの成長力底上げ戦略推進円卓会議っていうネーミングに落涙を禁じ得ませんが、タクシー運賃の値上げは罷りならんのに最低賃金の引上げはドカンと行え(と言っても700円以下にしかならんようだが)とはこれまた何と申しますかご苦労なミクロ介入でございますな。

#というか選ky(自粛)?





2007/07/09

お題「さくらレポート/月曜なので月曜的雑談」

事務所費問題の後任が事務所費問題ってもう何だか感動的なのですが、もっと感動的なのは公共放送様が本件をニュースで見事にスルーしていることですかな。


○さくらレポート

PDFで50ページございますのでリンク先注意。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0707.pdf

特にまあこれがどうというのもございませんで、基本的に順調なのが続いているけど地域間格差はありますなあってところでしょうか。

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』

『こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。なお、4月の支店長会議時と比べると、総括判断は、全9地域のうち、6地域で現状維持としている。こうした中で、東北が個人消費の底堅さ等を背景にやや上方修正した一方、東海が人手不足等を背景とする生産活動や設備投資などのスピード調整から、また北陸が個人消費の弱めの動きから、それぞれやや下方修正している。』

ということで、総括判断では1地域上方修正で2地域下方修正なんですが、東海の下方修正ってスピード調整の意味が強いですし、北陸も元々が『回復を続けている』となっており、それほど弱い地域でもなかった訳ですが、一方で上方修正している東北は元々が『緩やかな回復を続けている』と弱い地域でしたんで、トータルすると別に悪くは無いとなるんでしょうな。それから個別の展開を見ますと・・・・

個人消費で東北上方修正で北陸下方修正
設備投資で北海道が上方修正
生産は東北が上方修正
雇用所得は中国が下方修正

ということで、まあこれまたほぼチャラって奴ですが、形から見ると弱い地域が上方修正してるんで悪くは無いって話になるんでしょうかな。

んでまあ、今回は中小企業の収益動向に関してを『地域の視点』コーナーで取り上げていますが、引き続き大企業と比較しての出遅れが指摘されていまして、製造業については比較的好調ですが非製造業はやや厳しめという所のようでございますな。

まあ総じて言えば引き続き順調で推移し、地域間格差は相変わらずあるけれども気持ち縮小ということでしょうか。


○唐突ですが金融政策の第1の柱第2の柱リターンズ

BISにも間違えられた金融政策の第2の柱に関してですが、昨年3月の『新たな金融政策運営の枠組みの導入について』を改めて見るのでした。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060309b.htm
で、この英語版を読んでみようという無謀な企画が今朝の雑談なのであります。正直読んでるの1箇所だけなのでアレでございますが。
http://www.boj.or.jp/en/type/release/zuiji_new/k060309b.htm

第1の柱、第2の柱の日本語版をまずは読むのである。

『第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。』

良く見りゃこれも難しい表現でして、「日銀が今見ているメインシナリオが、物価安定の下での持続的成長に該当するか点検」って何か持って回ったような言い方ですな。そもそもメインシナリオがそうじゃない時だったらどういう対応をしていくのでしょうか(まあそのときは緩和的または引き締め的な政策をしますって話なんでしょうが)。

『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。 』

んでまあ、この第2の柱の冒頭部分の『踏まえつつ』の「つつ」が重要でありまして、長期的な視点を踏まえた部分と踏まえてない部分がございますという話、要するに基本シナリオ以外の部分が第2の柱になるちゅうことなんですけれども(詳しくは6月22日の駄文をご参照下さいませ)、正直もうちょっと判り易く書いてちょと思うのであります。

で、これが英語になるとどうなるのでせうか。

『The first perspective is examining, as regards economic activity and prices one to two years in the future, whether the outlook deemed most likely by the Bank of Japan follows a path of sustainable growth under price stability.』

第1の柱は向こう1、2年の経済物価情勢に関する蓋然性の高いシナリオが物価安定の下での持続的成長のパスに乗ってるか点検って読めますのでなるほどと。

『The second perspective is examining, in a longer term, various risks that are most relevant to the conduct of monetary policy aimed at realizing sustainable growth under price stability. More specifically, for example, the Bank of Japan may examine risk factors that will significantly impact economic activity and prices when they materialize although the probability is low.』

第2の柱なんですが、日本語で『踏まえつつ』となってる部分が『in a longer term』となっているように見えるのでありまして、ここを見ると「つつ」のニュアンスがちゃんと伝わるのかなあという気もせんでもない。というか逆に『in a longer term』を入れないで様々なリスクの点検をするという文章にした方がニュアンスが伝わりそうな希ガス(と言っても日本語本文にあるのを書かない訳にもいかないですから仕方ないのですけれども・・・・)。

・・・・まあそれって日本語の文章でも同じなんですけれどもね。日本語難しいがな。


ということで本日はあたくしの語学力の関係上これだけなのでありますが、よくよく考えてみたら海外投資家(というかアクティブなファンド筋)が日本の金融政策がらみで「何を考えとるんじゃ」という動きをしてくる事が多々ございます(最近は平和ですが)ので、英語でのリリースも暇があれば(中々ヒマとエネルギーが捻出できませんが^^)見ないといけませんな。

しかしこれは兎も角として、議事要旨まで英文リリースしてるのでありまして、こりゃ作るの大変ですわなあと思います。



2007/07/06

お題「相場雑談等」

どこぞの企業がバーニーズニューヨークの買収提案だそうですが、ここって昔日本のデパートがライセンス取得してたら事実上倒産して損をぶっこいたという記憶がございますもんで、そりゃまあ昔と今で同じなのはブランドと箱だけなんでしょうけど、いやはや感がするのは昔のイメージを引きずりすぎですかそうですか。

#どうも米国企業の買収されニュースを見ると「エグジット」という言葉が浮かんでくるのは気のせいかしらん。

最近本業が少々多忙なもので今日も雑談で勘弁。


○10年カレントに散々悪態をついたのが聞こえたようで(笑)

10年国債入札の前後でエライコッチャになっておりました10年カレントゾーンの国債でありますが、火曜(入札日)の引け辺りでは#286と#287が実力単利2毛程度のスプレッドという豪快なスクイーズ状態になってまして、水曜に悪態を書いた覚えがございますが(^^)、さすがにあまりと言えば余りということで、水曜日以降#286の需給が若干マシになった(ということは物理的に玉が出たということでしょうが)ようであります。

とは言いましても、まあ#285と#286は相変わらずレポがきつい(#285の方がレポレート的にはタイト)ようですので、どうも10年カレントの所のイールドカーブが妙なのですけれども、ちょっとそれはどうよという極端な状態は一服と。

しかし何ですな、この動きのせいでカワイソスな人がJGB以外にもいるわけでして、10年カレントの値付けがトンデモネエ状態になってるドサクサに紛れてやたらタイトな新発を打ち込まれる格好になった政地債ディーラーには同情の念を禁じ得ません。ナムナム。


○リオープンがどっちになるかは中々スペクタルなのです

さて、現在の10年カレントが1.8クーポンの#286と1.9クーポンの#287と相成りました訳ですが、来月の入札でどっちがリオープンになるのかというのはちょっとワクワクテカテカなのであります。と申しますのは、5年42回43回の楽しい(?)思い出があるんですよ、はい。

5年42回と43回といえば、今では需給関係が特に偏っている訳でもない(確かクーポンが高い42回の方がタイトだったと思うのですが)のですけれども、発行後1年以上に渡って延々と43回がタイトで42回がジャブジャブという状況が続いていたんですな。何故かクーポンの低い方が需給タイトというのは、42回がリオープン銘柄で、43回が1回発行銘柄ということもあるのですけれども、実はその前にちょっとしたドラマ(?)がございましたんですな。

5年42回は0.6クーポンでして43回は0.5クーポンなのですけれども、43回の入札があったのが2005年の1月13日でして、この時のあたくしのノートを解読しますと(こら)、この時は5年42回が需給がタイトになっていた(中期のカレントは需給が良かった)ようで、前日に0.54%の引けで入札時に相場を下げたのですが、誠に如何ながら0.5%クーポンで43回債の入札がありまして、帳面には「新発5年リオープンならず」とああ無念だったんだなあと思わせるメモが(笑)。

んでまあこのあと5年カレントはリオープン入札の直前までカレントの位置が0.5%台前半でして、ロークーポンが嫌われるの法則で5年43回の需給が悪くて42回がタイトだったんですよ。でまあ入札直前まで5年カレントの居場所が0.53%あたりだったんですよね。ただでなくさえいらねえ43回がリオープン必至ということでディーラー泣きながら43回を外していたのですけれども、2005年2月9日の入札日は中期ゾーンに実弾売りが朝から出て、中期ヘロヘロとなってしまい、42回債のリオープンという水準になっちゃったんですな(帳面によると前場引けが25銭安で5年カレントが3毛甘と書いてある^^)。

そうなってしまうとあら不思議(でも何でもないが)ですよ奥様。リオープンになった方の42回債が一気に需給が緩んで、需給関係大逆転となってしまい、その後延々と1年以上に渡って5年42回と43回の需給関係が結構極端に(概ね実力ベースで単利5糸以上平気で違ってた)なっていた次第。

とまあそういう訳でして、今回の流れはロークーポンが先に出ているのでちと違いますが、来月の入札がどっちで出るかでドラマが見られるかも知れませんですなという与太話なのでありました。

#と、これだけ書いて来月が1.7や2.0だったらそれはそれで自分が髪様モードになっているという事なので感心感心なのだが


○ところで昨日の続きですが

昨日ご紹介した銀行の信用スプレッドがどうのこうのというペーパーなのでありますが、本業の人とお話してましたら、いくつか勉強になるご指摘を賜りましたのでちょっと紹介&あたくしの雑感付け加え。

この分析なんですが、分析している期間が2004〜2006年度というところが何とも残念なところでありまして、この時期は既にりそな銀行救済スキーム炸裂以降でありまして、大手銀行に関して言えば信用不安が存在しないに等しい状況でしたんで、正直申しあげてこの時期のスプレッドは信用リスクの反映というよりは現物債券の需給動向に依存する部分が多かったんじゃないのかというのが現場感覚的な理解。まあ分析結果でも各行の自己資本比率などがろくにスプレッドに反映していないという話でしたが、まあさもありなんという感じ。

まあそんな次第でありまして、CDSのデータ自体がそんなに昔まで取れないでしょうからCDSで分析するのは無理でしょうが、せめて2000年以降の信用スプレッドの分析をしていただかないと色々と面白いインプリケーションは出てこないんじゃないですかっていうのがございますわなという話。

あと申しあげますと、メガバンクのCDSに関しては、そもそもメガバンクを対照資産にするCDS市場の参加者には海外投資家が多くて、国内の多様な投資家が参加している社債(メガの場合は金融債じゃなくて社債扱いですな)市場の方がどう見ても市場としての広さがあるんじゃないでしょうかという指摘も頂いたので、それもまた付言させていただきたく存じます。

ではでは。








2007/07/05

お題「小ネタを少々」

本業がここのところ多忙につきツッコミの足りないネタを出してしまうのでありました(汗)。

○中々興味深い結果が出ている銀行のクレジットスプレッド分析

きのう日銀のサイトにアップされてたワーキングペーパーシリーズのお題は『3メガ行のクレジット・スプレッドの決定要因――厳密最尤法によるCDSプレミアムの分析――』であります。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp07j10.htm
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp07j10.pdf

本文はPDFで20ページございますのでご注意。で、あたくしは何せこの「厳密最尤法」の読み方も知らん(「もっともごもっとも」でございますかな^^)のですが、何となく現物債いじってたりしたこともあるあたくしとしては最初の部分で少々頭の中に???印が。

こちらの分析では3メガ行のクレジットスプレッド推移を分析しているのでありますが、分析対象としてCDSを使うのに少々違和感が。確かに一般事業会社のSBなんかですとそもそもの発行がスポット的ですので、この分析の本文4ページに指摘されている『デリバティブであるCDS の方が、社債に比して、市場流動性に富むと思料されるためである。実際、日米両国において、CDS プレミアムの方が、社債金利の対国債金利スプレッドよりも、価格発見機能が高いことを示唆する実証分析結果が得られている(Baba and Inada (2007)、Longstaff, et al. (2005))』というのも左様でございますなあというのはありますが、こと3メガという話になると、恒常的に相当量の社債(あるいは金融債)が発行されていることもありますので、CDSスプレッドが社債よりも価格発見機能が高いかというと少々疑問も。

もう一つ付け加えるならば、社債とCDSでは参加者層の厚みが違う訳でして、例えばの話(それ用に特化しているのは別として)普通の投信とか年金とかのポートがCDSを使ってポートフォリオのヘッジをしてるかというと(あたくしの知らないところでそういうの有るのかもしれませんが)まあ一般的じゃないという話ではないかと思料。

ま、CDSの方がデータ取りやすいとか処理しやすいですし、現物債券は銘柄ごとの需給要因とかありますので、必ずしもCDS使うのがイクナイという話でも無いのですが、折角現物債券の市場に厚みがあるのですから、そっちからの分析も拝見したいものであります。まあここもとの期間の分析であれば直感的にはどっちを使っても大差無さそうですが、CDS/社債の本職の人のご意見はどうなんでしょ(ま、実際にはどっちのデータを使うかという点で両方の分析してると思うのですけれども)。

#念の為申しあげますと、まとめ部分で『最後に、先行研究との関連で、本稿の限界および貢献を述べておく。先行研究も、本稿も、市場流動性の多寡や需給ショックといった点は、定数項や状態変数によって十分かつ明示的に制御されていない。』と述べてますんで。

という点は兎も角と致しまして、米国の商業銀行CDSデータ(シティ、バンカメ、JPモルガンチェース)との比較分析部分を見て「ほほう」と思ったあたくし。まずは本文15ページより。

『第3 に、わが国では、イールドカーブがインプライする短期金利引き上げペースは、重要な決定要因とはなっていなかった一方で、米国ではそうなっている。すなわち、米国では、5 年金利水準を制御した下で、より早期の利上げが見込まれる場合、CDS プレミアムは大きい。』

CDSプレミアムは大きいということは信用スプレッドが拡大するというお話でありますな。で、まとめ部分の本文16ページでは改めてこのように述べられています。

『わが国では、米国と異なり、イールドカーブが示唆する短期金利引き上げペースは、重要な決定要因とはなっていない。短期金利引き上げは、本稿の定式化の下では、(調達費用の増加に起因する)運用・調達金利格差の縮小を意味するので、そうした縮小が、わが国では、メガ行の信用リスクの市場評価にて材料とはなっていないようだ。』

『サンプル期間である2004〜2006 年度において、わが国の短期金利水準が米国に比べて圧倒的に低かったことを踏まえると、このような日米間の差異からは、上記のような金利格差の縮小が銀行の資産価値に与える悪影響が、短期金利の水準に対して、非線形に増大していく可能性を指摘できよう。もっとも、本稿の一連の分析結果だけでは、その妥当性は十分に吟味され得ないので、今後の課題としたい。』

なるほどと思いながら、そう言えば昨年の量的緩和解除からゼロ金利解除のあたりでは主に海外発で日本の銀行株に関して「政策金利引上げは銀行の収益拡大要因なので銀行株買い」というレポートなどがドカドカ出ていて、金利債券の世界の住人達から「そりゃ違うんジャマイカ」という疑問が出ていたなあというのを思い出したあたくし。

でもこの分析によりますと、やはりCDSで示される『より早期の利上げが見込まれる場合、(商業銀行の)CDS プレミアムは大きい』ということでして、「利上げは銀行株買いってのは変じゃねえの」と言ってた金利債券の感覚は世界共通ということでしょうか。まあその間の株価がどうなってるのかまで見てないから「信用スプレッドの拡大と株価の上昇」が同時に起きてるのかもしれませんが、まあ普通に考えると信用スプレッド拡大は個別要因としては株価下落でしょうな。

既に米国のCDS市場で「利上げは信用スプレッド拡大」という結果が出てたのに「利上げは銀行株買い」とか言ってたぎゃーじんさんたちの理屈もワケワカランですわな。まあただの(自粛)なのかもしれないですけど(^^)。


○西村審議委員講演と刈り込み平均CPI

http://www.boj.or.jp/en/type/press/koen07/ko0707a.htm

正直申しあげまして、一昨日3分の2を読んだだけでその先まだ読んでる根性も時間も無かったのですが、とりあえず前半部分を見てるだけでも色々と「ほうほう」と(図表を見ながらですけど)思いながら読んでいたのでありました。で、読んでて「おお!」と思ったのは講演の真ん中あたりにある『2. Increased Uncertainty in the Policy Transmission Mechanism』という見出しの部分でして、フィリップス曲線分析の物価指標として使っているのが、図表4を見るとわかるのですが、10%刈り込み平均CPIを使っておるのですな。で、その脚注。

『The inflation rate is the year-on-year rate of change in the CPI (excluding fresh food), which is widely considered to be representative of Japanese consumer price inflation and on which the Japanese version of Treasury inflation protected securities (TIPS) is based. The basic characteristics of this rolling estimation exercise do not change if we use the trimmed-mean CPI inflation rate referred to later in this speech instead of CPI (excluding fresh food) inflation.』

だいぶまえにCPIのトレンドを見るのに何が適切かっていう趣旨のペーパーが日銀から出てまして、一時は10%刈り込み平均CPIも話題になってましたんですが、ここのところさっぱりその話題も減ってきてるなあと残念に思っていたあたくしと致しましては、ここの部分を読んでて「おお!」と思ったのですよ。いやまあそれだけですけど(^^)。

という訳で、突っ込むとオモシロそうなのですが、全然料理してない途中ものをお出ししてしまい恐縮至極なのでありました。







2007/07/04

お題「これは酷いスクイーズ/武藤副総裁講演より」

実は西村審議委員の講演もあるのですが、全文英語でありまして、3分の2まで読んだところで力尽きたのでネタが無かったら後日ということで。

○10年国債入札の悲惨

昨日の10年国債入札ですが、何がどうなっているのかはまあややこしい事情があるようですが、端的に言えばレポ市場への玉放出を渋る人がいるという思惑で玉締めの雰囲気が煽られ、その結果毎度お馴染みの相場自己実現によって(正直、適正水準がどうのこうのというのが難しいSCレポ取引をスクリーンでやってる日本相互証券もこういう時にはマニュピレーションの温床になりかねんと思うんが)10年285回(6兆円近くも発行されているのに・・・)と直近の10年286回が物凄い勢いでスクイーズモードになっているという状況で実施された訳ですな。

んでまあ異常事態になっていることも勘案して286回債のリオープン希望の声が業者中心にあった訳ですが、一応実勢水準が1.9%の方に近いのでクーポン高い方が良いという投資家(時価会計の昨今で相変わらずの直利指向というのも良くわからんのですが、証券業者が全面時価会計なのに投資家サイドには時価会計とそうじゃない人が混在している(同じ投資家の中でも混在してるし)というのがややこしさに拍車を掛けてる希ガス)の意見もありますし、まあカレントに近いクーポンで発行という形になったんでしょうかな。

それはそれで財務省様のお決めになる事ですから左様でございますかなのですが、今回の#286に関してはちょっとこう大変な(#286だけじゃなくて#285までというのは何ぼ何でも酷い)状況なので、リオープンで出した方が良かったんジャマイカという感じは致します。大体からして落札責任があり、市場への流動性供給の責務があるのは業者であって投資家ではないんですけどねえと思うのですけどな。

ま、入札がどうなったかというと、リオープン発行じゃなかったということで、いきなり#286が2毛ほどぶっ飛んで入札を迎えてしまい、10年カレントだけ一人旅相場になってしまったので入札はやや低調となってしまいまして、引けてみれば#286と#287が日本相互証券の引け値ベースでは1毛スプレッド(勿論#286が利回り低い)となってますが、こりゃどう見てもインチキ引け値でして、実力的には2毛以上違うという有様で、#286の流動性が無くなってしまいましたわな。

まあこの調子で流動性が無くなってしまいますと、10年カレントの居場所がスクイーズ状態を前提にした価格形成になっちゃうのでアテにならねえとか、いずれask-bidが広がってフツーの投資家も大迷惑だとか、弊害も出るんジャマイカ(というかもう出てると思うんですが・・)と存じますけどねえ。大体からして財務省様が近年絶賛推進しておられる国債市場への海外投資家様のご参入という文脈で考えても、現物債券、しかもカレントの流動性が低下するっていうのは由々しき問題だと思うんですが。海外様は国内勢よりも流動性を重んじてますし、債券引値が実勢を反映してないケースについて不満とかPD懇でも発表がありましたよね?

かつて5年債で銘柄統合発行してくれという声を聞いたら銘柄統合後ヘロヘロになったという事例が大昔あった(5年の30回台のどっかの入札だったような記憶がありますが)ので、まあやはり出すならカレントクーポンって教訓があるわなとも思うんで、難しいところではあるのですけれどもねえ・・・・・



○武藤副総裁の講演:だいたい前回と同じですが・・・・

最近武藤副総裁の出番が増えているのはやはり来年を見据えた動きなのでせうか(^^)。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0707a.htm

基本的には例によって展望レポートや金融経済月報に沿ったお話でして、6月20日の島根県金融経済懇談会の講演(6月26日にご紹介しました)と同じであります。要するに物価に関する見通しが政策委員会平均よりもやや弱気になっているのではないかというところでしょうか。ただまあちょっとだけ説明が長くなっている部分がございます。小見出しの最後の部分になりますけど「情報発信について」の説明部分がございます。

まあこれに関しましてもかつての講演と同じなので、特筆することもないのですが、一応いつもの部分を引用したいと存じます。

『第三に、こうしたプロセスで、中央銀行が発信すべき情報とは、経済・物価情勢に関する判断と金融政策運営についての基本的な考え方の2つです。市場参加者は、こうして発信された情報を、自らの経済・物価に関する情勢判断と照らし合わせて金利観を形成し、中央銀行は、形成された金利、イールド・カーブから市場の経済・物価認識を読み取ることができます。』

『市場との対話とは、こうした双方向のコミュニケーションです。一般論として、こうしたプロセスにおいて、具体的な政策変更のタイミングを示唆することは好ましくありません。そうしたことをすれば、市場参加者は自らの経済・物価観に基づいて取引を行うことなく、中央銀行の示唆するタイミングを前提とした取引を行うことになり、双方向のコミュニケーションとは言い難いものとなるからです。』

イールドカーブがどうのこうのというような御託を並べる人には猛省を促したいですわな。


で、それよりも微笑したのはと申しますと、今回の講演では前回対比で金融政策における第1の柱と第2の柱の点検作業の部分の説明がちょっとわかり易くなっているところですわな(^^)。


(今回)
『4月の展望レポートでは、「『中長期的な物価安定の理解』に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる」と記述しています。ここでも、「日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認する」という第1の柱による点検と、「リスク要因を点検する」という第2の柱による点検の双方を丹念に行っていく方針を、はっきりと述べております。どちらかの柱を他方に優先させるといったことではなく、あくまで2つの柱をバランスよく点検した上で、適切に政策判断を行って参りたいと考えています。』


(前回)
『このように、先行きの金融政策は、「中長期的な物価安定の理解」に照らして、わが国経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、進めて参ります。こうした確認・点検を踏まえた上で、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えています。』

前回よりも「第1の柱と第2の柱に基づく点検作業」の部分の説明が丁寧になっていて、あくまでも「柱」はメインシナリオVSメインシナリオ以外の点検作業だという点を明確にして、ついでに「第1の柱と第2の柱の点検は同等扱いだ」という面も明確にしているのは、先日のBIS年次報告にあった『The second move was based on the second perspective』というのに少々トサカに来たのではないかと存じます(^^)。


○その他少々

・金融担当大臣様におかれましては・・・・

例によって本石町日記さんの所からのネタですが、夜10時過ぎのエントリーに夜中の1時半までにコメント7つという盛り上がりぶりに驚倒(^^)。

http://hongokucho.exblog.jp/7051549/

この大臣と副大臣の組み合わせはどう見てもトンデモへの道まっしぐらになりそうですわな。変に中途半端な知識があるトップに取り巻きが妙なアイデアつけて焚きつけると碌な事が起きないの展開にならないように切に願いたいものであります。


・FB入札ですが

今日もFB入札なのですが、前回よりも利回りが下がりそうな感じ。前回の0.66%というのは8月利上げをきっちり織り込んだ水準でしたが、今回は発行と償還が1週間延びるのにレート低下となりますと、8月利上げ織り込み度合いが100%じゃなくなるという話(まあOISは既にそうなってますが)でありまして、ちょっと風景が変ってくるかもしれませんなあというメモを置いておきますね。






2007/07/03

お題「短観その他少々」

東京は毎日蒸すわ雨は碌に降らんわと最悪ですな。

#しかし質への逃避で買われた(ことになっている)米国債金利の低下を好感して米株式買われるってのも(マジで言ってるのであれば)何たる都合の良い後付け・・・・

○例によって短観

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0706.pdf

短観の内容に関しては本職の皆様がちゃんとした分析をしているのですが、まあ予想のど真ん中で、内容的には特に利上げが加速したり減速したりするものでは無かったというお話のようです。まあ例によって「前回の予測指数がどの程度達成できているのか」というのを見るのであります。

・ヘッドライン

            (3月時点)       (6月時点)
            現状→6月予測  現状→9月予測
製造業大企業   +23→+20    +23→+22
製造業中堅企業  +16→+12    +13→+14
製造業中小企業  +8→+7      +6→+4

非製造業大企業  +22→+23    +22→+23
非製造業中堅企業 +5→+4      +8→+7
非製造業中小企業 ▲6→▲10      ▲7→▲10


大体ご覧になればお判りのように、基本的に先行き予測指数にはクセがあるのですが、現在のように「景気がいい」と言われるときには先行き見通しが慎重に出やすくなるのですな。で、今回なんですけれども、前回までとちと違うのは(1)前回調査で出た先行き予測についての達成度合いがマチマチ(今までは大体前回の慎重予測をぶち破る内容だったんですが)な事ですが、これはまあ絶対水準が絶対水準なだけにニャンとも。で、(2)としては、先行きの予測指数でして、こちらの数字が実は3月時点での先行き予測と比較して強くなっていることでありますかな。まあ先行き慎重なのは変りありませんが、3月時点よりも先行き予測DIが好転しているのは株価や為替などが要因なのか、何となく販売価格が上昇しているのが要因なのか、何だか良く判らないですけど、ちょっと強いなあと思いましただよ。

ちなみに前回は(1)は前回の先行き慎重度合いよりも良い内容(=達成度合いは良好)で、(2)に関してはマチマチですが、非製造業大企業以外は先行き予測DIが前回よりは悪化、ただしそもそもの発射台が下がっていた、という感じでしたので、前回調査時点からトータルして考えると、昨年9月調査をピークにそれ以降やや低下気味だったマインド面に関しては、この3月で歯止めがかかり、今回の6月調査で先行きへの堅調さが戻ってきましたという所になるのでしょうか。シロート見立てですけど。


・雇用判断

前回は製造業での雇用不足感拡大は一服したという数字でしたが。


            (3月時点)       (6月時点)
            現状→6月予測  現状→9月予測
製造業大企業    ▲7→▲8      ▲6→▲9
製造業中堅企業  ▲8→▲9      ▲6→▲9
製造業中小企業  ▲6→▲8      ▲3→▲7

非製造業大企業  ▲19→▲19    ▲17→▲19
非製造業中堅企業 ▲13→▲14    ▲14→▲17
非製造業中小企業 ▲14→▲16    ▲9→▲13

今回は前回予測よりも不足感の拡大は無いという結果。これまた多分統計のクセだと思うのですが、先行きの雇用人員判断に関してはだいたい「固め」に出る傾向がありまして、人が余ってるという雰囲気の時には先行き判断が余剰気味に、不足感があるときは先行き判断が不足気味に振れやすいようですので、先行き予測をトレンドとして信用しすぎるのも何なのですが、どうもここ2回の数字だけ見てると「人員判断」的には不足は不足としてもさすがにその不足拡大感はこの辺までというところでしょうか。

で、今回もまたいつも派手派手に振れる証券業の業況判断DI(^^)。

        (3月時点)       (6月時点)
        現状→6月予測   現状→9月予測
証券業    +34→+52     +34→+52

どう見ても大本営発表です。本当にありがとうございました。


○ところでCPIはイマイチで雇用の数字は良かった訳ですが・・・・・

以下妄想モード全開でありますので念の為申しあげますが。

先週末に出た指標はCPIがイマイチで雇用は結構という数字。まあ誠に結構な数字の出方(インフレ無き経済成長ですから)でございましたが、金融政策という話になると、本職の方によりますと6月の全国コアCPIも▲0.1%とマイナスになりそうですという事ですので、さて8月にコアCPIマイナス状態で利上げするのかいなという話は生じるのであります。

でですな、全て妄想モードで話しが進みますが(^^)、ゼロ金利解除と前回の利上げに際しては、ゼロ金利解除の直後にCPIの基準年改定が待ち構えておりましたし、前回の利上げ後はまあ本職の方々の予想通りでエネルギー価格とか通信料金とかの影響でコアCPIがゼロに低下した訳でありまして、そーゆー意味では「ここで利上げをかましておかないとタイミング的にちとマジイ」というのもあったんではないかと勝手に妄想(当然ながら政策委員会としてはそんな事は全く考えていないとなるでしょう、為念)されるのですな。で、今回に関してはどうなのよという話ですが、問題はコアCPIのプラス転換がいつ頃になってくれるのかの読みとなるのかなあと。

つまりですな、コアCPIマイナスなんで8月利上げをスキップしても9月とか10月くらいに(即ち7月や8月の全国コアCPIが)CPIのプラス転換が見えて来るのが確実なのであれば、敢えてコアCPIマイナスで利上げをする冒険をする必要もないと思うのですけれども、まあコアCPIのプラス転換がもうちょっと先(本職の方がたによれば年末あたりらしいですけど)だというのであれば、そこまで引っ張るという選択肢は無さそうなので、やっぱ8月かなあ何て思うのですな。

以上、思いっきり妄想で語っておりますので念の為。ちなみにあたくしのべき論で言えば、全国コアCPIのプラス転換を見届けてからの3次利上げ、その代わり先行きの金利調整ペースはもうちょっと早くなるというのでまあ大丈夫なんじゃないかとは思うのですが、今までの金利調整の流れが着手を早めにしてそのかわりペースをゆっくり(という言い方も変ですが)となっているように見えますので、今更福井総裁のもとでこの流れを変える訳にもいかんでしょうなあという所で。

まあそんな訳で変な裏読みを披露させていただきました。








2007/07/02

お題「月曜ですので雑談です」

今年も後半戦に突入ですな。早いもんだ。

○四半期ごとに期末とはこれいかに

先週末の無担保コール翌日物取引は加重平均金利が0.605%となったのですが、朝から0.65%台での推移で、結局追加資金供給をして何とか0.605%まで加重平均金利が低下したということのようで。

まーコール以前に月末越えのレポ取引でも0.6%台となっていましたし、レートそのものは上昇するのねという所でしたが、結局「新BIS規制導入で四半期決算末も決算扱い」というのが理由だということになって、決算期末の如き展開になったということのようです。本当に四半期末の決算が本決算並みに色々とややこしいのかどうかはあたくし存じませんが(^^)。

一応後講釈によりますと、四半期末の決算で国内勢の無担保資金放出が慎重になるというのと、海外勢の半期決算がぶつかったということのようですけれども、この調子で3か月ごとに決算期末扱いされたら誠にあわただしいことですわな。多分別の事情が原因だと思うのですがSCレポ市場でも最近はややこしい事になっておりますし、期末でもないのに期末モードとは勘弁して欲しいものです。

#というか、BISの規制で末残調整しなきゃいけないってのがそもそも論として時代遅れな規制じゃのうという気もするんですが、本当に規制するなら平残でしょ平残。


○一応CPIに反応しましたな

金曜の債券市場は、ちと弱めに出た東京都区部CPIと、ちと強めに出た雇用関連指標に対してどう反応していいのかよー知らんという感じだったのですが、後場に入ってグングン上昇して、前日(木曜)のわけわからん下げ分を全部消す戻しになりましたですな。

まあアレでございます。この調子だと7月末に出るはずの6月全国コアCPIはマイナス→何ぼなんでもコアCPIマイナスで利上げするのはどうなんでしょというのが市場の人たちの頭の中をかすめなかったとは言えまい。ただまあ雇用関連の指標が結構しっかり目で、雇用需給のタイトさが出ていることもありまして、そうは言っても方向性は変わりにくいでしょというのもあろうかと。

最近の短い所は足元のSCレポがぐちゃぐちゃになっている方ばかり気になって何が何だかあたくし正直よー知らんのでありますが、まあ先週入札のあった10月1日エンドの新発3か月FBの利回りがしらっと低下していることもありまして(CPレートはやや高かったけど月末越えて発行が少なくなるゾーンに入ったのでよくわからん)、まあこのあたりも少なくとも7月利上げの可能性は全然見なくなってきましたわなという感じであります。

まあいずれにせよ本日の短観に注目ですが、前回比ちょっとだけ悪くなるくらいがコンセンサスなんでしたっけな。どっちかというと「8月利上げキビシイ」となった時の相場かち上げの方が相場としてはぶれたときにぶれそうな希ガス。



○ヒマネタですが国会ウォッチ

ちょっと前の話ですが6月19日の参議院財政金融委員会より。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/166/16606190060019a.html

電子債権法案に関する質疑がメインなのですが、たまたま福井総裁の参考人質疑もあったのでその辺を見てたわけですが。

民主党・新緑風会の大久保委員の質問からなのですが。

『日銀の福井総裁が十五日の金融政策決定会合後に行った会見で、思わぬハト派的な発言に市場からは驚きだったと戸惑いの声も上がっております。例えば(割愛)など、これまでのトーンと相当変わってきたと思うんです。これまでといいますのは、一月前とかその前です。そこで、前回の政策決定会合から今回の政策決定会合まで何か経済のファンダメンタルズが劇的に変わったのでこういったタカ派発言からハト派に変わったのか、それとも、七月に予定されている参議院選挙を意識した高度な政治的な発言、若しくは高度な政治的判断によるものか、この点に関して質問します。』

例によって「政府に独立性を脅かされている日銀」フレームアップ質問キターという感じでありますが、あたくしが先日の駄文でご紹介したように、会見内容自体はいつもと同じでありまして、7月利上げへの思惑を出させるような質問に対応したらヘッドラインリスクキターという所だった筈ですわな。福井総裁の回答はまあ引用するまでもないのですが、部分だけ切り取りますわ。

『(略)先週十五日の御指摘の記者会見でありますが、このときもこうした基本的な考え方に立った上で経済・物価情勢について丁寧に御説明をしたところでございます。(略)参議院選挙を意識した発言かという御質問も今ございましたけれども、そうしたことは全くございません。あくまで経済・物価情勢を丹念に説明したものでございます。』

で、この質問に対する大久保委員の返しにワロタ。

『ということは、六月の発表とその前四月、五月というのは、福井さんにとりましては全く同じような意識で、全く同じようなタカ派的な考えの下にコメントを出したということでよろしいでしょうか。』

お前は人の答弁を聞いてちゃんと理解する能力があるのかと小一時間。そしてこの先生、その後こんな質問をして延々と質疑応答をしているのですけれども、もう何というか頭が痛いですわな。

『では続きまして、いわゆる日本銀行の金利政策が経済若しくは年金等に与える影響に関して幾つか質問したいと思います。最初の質問としては、これはもう既に答弁されたことですが、確認のために質問します。これまでの日本銀行の低金利政策によって日本の預金者の金利が減少しているということで、この点を日本銀行は分析されたと思います。じゃ、どのくらい家計に影響したのか、この点に関して質問します。』

で、この応答のあとに出てきたのはこんな質問。

『日本銀行の金利政策がいわゆる預金金利に与えた影響はよく分かったんですが、国民のもう一つの関心事といいますのは、いわゆる将来の生活、そのための年金制度、ここに多大な関心があると思います。では、日本銀行の低金利政策が公的年金に与えた影響に関する試算はあるんでしょうか、まずその点に関して質問します。』

『低金利政策が年金財政等の、年金財政は様々なルートから収入があるわけですけれども、金利収入という面での減少をもたらしたという御指摘があることは私どももよく承知しております。ただし、低金利政策の年金財政への影響は、経済活動全般の動きを通じた効果も考慮して評価する必要があるんではないかというふうに思います。(以下面倒なので引用割愛しますが、金利面以外があるでしょという当たり前の答弁です)このように、資産運用のパフォーマンスはそのポートフォリオや運用方針によって異なるものでありまして、金利収入だけを取り出して評価することは非常に難しいというふうに考えております。』

まあ当然ですわな。で、その後も延々と質問してるのですが、何か日銀の政策金利が大きな影響を与えているという話をしてるんですけど、それは因果関係としてどっちが先なのかと考えると???ではある話ですわな。大体からして株式などの運用をしててそっちのパフォーマンスが効いている面が高いものですから、「景気が悪い」→「株価が低迷」→「パフォーマンスが悪い」という流れはあっても、「政策金利が低い」→「株価が低迷」とはならんだろうと思うのでして。「景気が悪い」→「政策金利が下がる」というので見た目相関してるに過ぎないんじゃないですかねえ・・・・

しかしこの質問には驚倒しました(ずっと後のほうになります)。

『リスクとリターンの関係というのは重要ですが、ところがリスク量を一定にしてリターンを上げる方法もあるんです。具体的には、今四資産で運用されておりますが、いわゆるREITとかヘッジファンドというのは株式とか債券市場とは別の動きをしますから、リスク量はそれほど増やさずに利益を上げることができますから、こういったことを是非検討すべきじゃないかと私は言いたいと思います。この点、川瀬理事長(注:年金積立金管理運用独立行政法人理事長です)はどうですか、御意見は。』

テラアホス・・・・・