トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「071001」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)


2007/10/31

お題「今日もひねもす国会見物」

国会会議録の引用のため、本日もまた増量となっておりまして恐縮至極でございまする。

○残念な事にツッコミ不足の質疑

昨日ご紹介したミンスのネクスト金融担当大臣のトンマな質疑の翌日に行われた(ので10月24日)の衆議院財務金融委員会の会議録が昨日アップされたので、展望レポート待ちの(^^)あたくしは早速査収(例によって直リンのアドレスが上手く取得できなかったので、衆議院HPから辿っていただきたく存じます)して拝読。

稲葉理事に質問をしたのは民主党の鈴木克昌氏でして、会議録の真ん中あたりからになります。質問の方向がどうも格差社会の話になっているのでツッコミ方がちょっと外してるなあとか思うのですが、昨日ご紹介したネクスト金融担当大臣(笑)よりは遥かにマシな香りが。というか民主党ってどういう人選してるんだよとか思うのですが。

『○鈴木(克)委員(前半割愛)そこで、現況の物価とか景気を含めて、二点ほど日銀にお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、今申し上げたように、日銀の業務の目的は、言うまでもなく物価の安定だということになるわけでありますが、これは、当然のことながらインフレのみならずデフレに対しても言えることだというふうに思います。現実を見てみると、いまだ政府がデフレ脱却の宣言を出していないということに示されておるように、我が国経済は目下デフレ状態にある、私はこのように思っています。』

『平成十一年に消費者物価がマイナスを示すようになってから、八年になるわけであります。この間、日銀がゼロ金利政策を継続してきたことはもちろん承知をしておるわけですけれども、しかし、この物価安定の観点から、デフレについて日銀はどのような見解を持ってみえるのか、まずお示しをいただきたいと思います。』

前日の質疑ではバブル発生の原因がどうしたのとか、方向性として利上げしろっぽい感じでしたが、前日とは打って変わって今度はデフレについてどう思うかという質問。いやまあ個人個人で質問が違っても良いのですけれども、この政党が与党になったら金融行政が支離滅裂になりそうな悪寒がするのですが。

稲葉理事の答弁がこれまたやたら長い。

『○稲葉参考人 デフレについてでございますけれども、このデフレという言葉でございますけれども、これは人によってさまざまな意味に使われることがございます。例えば、物価の下落というのをデフレというふうに指す場合もありますし、土地とか株といった資産価格の下落をデフレといったようなことで表現することもあります。さらに、景気が悪いとか経済活動の落ち込みといったものをデフレと表現することがありまして、物価指数の下落に関しましても、例えばそれがどの程度の幅で、どのぐらいの期間で続くかによっても、それをデフレと言うか言わないか、人によって論じ方が違うというのが実情だと思っております。』

・・・・・はてさて。

『したがって、こういったデフレという言葉は注意して使っていく必要があるなというふうに思っておりますが、日銀として大切なことは、日本経済が物価安定のもとで持続的な成長を続けていくことができるかどうかということがポイントではないかというふうに考えております。委員が先ほど御指摘にありましたように、日銀法におきましても、金融政策の目的は、物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資することというふうに記されておりますが、これもそうした考えに基づいているのではないかというふうに思っております。そういった観点から現在の日本経済を見てみますと、景気は緩やかに拡大をしております。そして、先行きについても、息の長い成長を続けていくと考えております。』

『一方で、物価面の方でございますけれども、消費者物価の前年比、足元ゼロ%近傍でございます。目先も、物価は前年比がゼロ%近傍ですから、言ってみれば、横ばい圏内で推移するという可能性が強いと考えておりますし、より長い目で見ますと、プラス基調を続けていくというふうに予想されます。したがいまして、日本経済は物価安定のもとで持続的な成長軌道にあるんだ、今後とも息の長い拡大を続けていく可能性が高い、こういうふうに考えておりまして、こういった状況をできるだけ長く続けていくことというのが大事なことではないかと考えております。』

ということで、結局デフレであるというのを認めませんでしたな(苦笑)。そりゃまあ認めると諸般の不具合が発生するのは判りますが、これはどう切り返すかの例として鑑賞されると吉かと(何のこっちゃ)。

で、鈴木さんの返しはこうなっています。

『○鈴木(克)委員 今いろいろおっしゃったわけでありますけれども、やはり、いわゆる物価を通して民生の安定を図っていくということであるならば、もう少し、日銀のリードというのか、そういった姿勢が示されてもいいのではないのかな、こんなふうに私は思って、今のお話を伺っております。』

で、この話を敷衍(日銀と政府でデフレの定義が違うのは変じゃねえかとか、インフレターゲットを導入するとかね)してくれると興味深い話が聞けると思うのですが、話はここで転換してしまうのが実に惜しい。

『続いて、いわゆる物価がそういう状況にあるにもかかわらず、賃金も横ばいないし下落をしておる。先ほど私は数値を申し上げたとおりであります。百貨店の売り上げも横ばい、そして、あえて言えばマイナスかもしれません。結局、先ほどから申し上げているように、大企業の収益は拡大をし、そして、それに伴って設備投資は伸びても、人々の所得が伸びないがゆえに、消費が一向に伸びていない、こういういわゆる循環だと思うんですね。』

『最近は特に心配な傾向がありまして、所得が伸びない中で、いわゆる原油価格が想像を超えて上昇しておるということ。それから、例えば海外のトウモロコシの話でわかるように、いわゆる原材料が値上がりをしておる。ということで、要するに、ガソリン価格だとか食料品が値上がりするという傾向があるわけですね。結局これは、庶民に、家計にもろ響いてくるわけですよね。こうした状況を、まず日銀は、ではどのように今考えてみえるのか、御答弁ください。』

質問の論点が拡散しすぎで面白い答弁にならないのですが・・・・と思えば案の定でありまして、応答は引用するほどのこともない毎度お馴染みの公式見解でございました。ということで稲葉理事の答弁は割愛しまして(おい)、家計は今後もよく見る必要がありますねというお話に留まりました。で、鈴木さんのまとめ。

『○鈴木(克)委員 日銀に対する質問は以上にさせていただきたいと思いますが、私が申し上げたいのは、要は、どこに目線を当てるかということなんですね。さっき申し上げました、景気のいい大企業、そして富裕層、明らかにそういうところはありますよね。だから、全部をならしてしまえば、何にも悪くないじゃないかということなんですが、先ほどから言っているように、要するに、格差なんですね。明らかに困ってみえる人たちがふえておる。その人たちは、まさに今家計を直撃されて大変な状況にある。どこに光を当てていくかというか、目線を当てていくのかということだと私は思うんです。』

折角最初の部分で面白くなりそうな話をしてたのですが、結局格差問題でございまして、まあ日銀としてはホンネの部分では「金融政策というマクロの政策で格差問題を是正しろとか言うのは筋違いでしょ」とでも言いたいんでしょうけれどもね(^^)。

と申しますか、もうちょっと真面目かつ建設的(かどうか知らんが)に考えますると、野党様のこの手の筋違いな質問は「それは筋違いです」って指摘しないと国会の論戦がただの時間の無駄になり、おおげさに言えば国家としての損失に繋がるんジャマイカと思うのですが、何せ国会議員のセンセイ達はそういうの受け付けてくれないでしょうからねえ(嘆息)。

『そういう意味で、私はぜひ、物価の中心に景況感を見ていくということであれば、そういうようなスタンスというのを、なかなか、支店長さんを集めて、どうですかと言えば、それはやはりいいところの話が多くなるわけですよ。そうじゃなくて、家庭の主婦を集めて、どうですかと聞くぐらいのスタンスをやはりとっていくことが、物価の番人、経済の番人である日銀に課せられた一つの大きな使命ではないのかな、このことだけ私は申し上げておきたいと思います。』

最後は家庭の主婦を集めろですか。出だしが比較的まともだっただけに残念無念としか申しあげようが。。。


○ちなみにこの日の質疑応答で面白かったのは別の所

ということで、実はこの日の質疑応答で面白かったのは、鈴木委員の前に登場した民主党の福田昭夫委員と渡辺大臣の質疑応答なのでありました。

『○福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。(中略)初めに、足利銀行が破綻処理された理由についてお伺いをいたします。一つ目は、破綻の理由についてでございます。当時、大臣は四つの説を、巷間うわさされているということで、よく話をされておりました。(中略)足利銀行はなぜ破綻処理させられたのか、大臣の御所見をお伺いいたします。』

ということで質疑応答が始まるのですが、まあ質問する方も結果後出しじゃんけんの香りがしますが、当時渡辺大臣が勇ましく発言していた点を突っ込んでおりまして、会議録を見ると『○福田(昭)委員 それは違うんじゃないですか。』が連発してて中々オモロイです。最後の方では渡辺大臣もこんな答弁に。

『○渡辺国務大臣 当時、私は野党みたいなものでございまして、政府の中にいたわけではございませんので、政府の中のいろいろな情報というものは知る立場にはございませんでした。また、野党的な立場であったということでございます。したがって、その当時の私の発言をとらえて今と違うではないかと言われても、これは、今私は、金融大臣として、地元の立場ではなくまさに国民全体の立場に立たなければいけないことでございます。したがって、地元密着型金融の足利銀行の再生を図るという点では、地元の金融仲介機能が永続的な形で行われるということはよく考えておりますけれども、四年前の私の立場も御理解をいただきたいと思います。』

いやはや何とも。

ちなみに、4つの説どうのこうのというのは平成15年12月4日の衆議院財務金融委員会で渡辺委員が竹中大臣(当時)にツッコミを入れている話でして、158回国会ですので検索機能とか使わなくても「衆議院HP」→「会議録」→「財務金融委員会」の画面で「第158回」というのをクリックすると見つけられますのでご覧いただければと。

いやあ、勇ましい発言もやりすぎると自分に降りかかって来ますなあ(自戒)。










2007/10/30

お題「国会会議録で珍獣の存在を確認致しますた(^^)」

最近「ワケワカラン」ばかりでお前は何をやってるんだと言われそうで甚だ恐縮でございます。もっと勉強しないと。国会会議録の話の前に相場メモを。


○債券先物が暴れますな

昨日の債券相場ですが、先週末の米国市場が何となく株高で債券(ただし長期)安でしたし、国内株式も金曜から復活の香りでしたんで、寄り付きから下をぶっ叩いてスタートしたのですが、途中から切り返し。で、切り返して戻るのは良いのですが何も朝下がった分を倍返しで戻すことはねえと思うのですが、戻る過程で先物がやたらと強かったというか先物をせっせと買うというか持ち上げる人がいましてナンノコッチャでございました。

先週後半に1.6%割れの水準から外部環境(特に米国)自体が国内債券にそんなに悪くないのに押し戻したので「やっぱり1.5%台は戻り売りですよウッシッシ」という感じが広がっていたというのに昨日は株高だわCPIに携帯電話新プラン入らない(これ自体あたくしは別に本質的な問題じゃないとは思いますが・・・・)わとかの材料がある中で下げてみたらいきなり倍返しで戻るの巻。実に奥が深い(というか意味不明なのですが)相場であります。

しかしこの先物で暴れる動きがよく判らんですな。まあ今日明日あたりはインデックス系のリバランスに伴う買いとかあるから緩和されるとは思うのですが、先般の30年入札以来長いゾーンの現物の需給があまり宜しくないので現物在庫にしてる業者の先物がショートになりやすいとかで先物で暴れるのにちょうど良いタイミングではありそうなのですけれども、昨日の動きはあまりと言えばあまり。うーむ。



○ネタが無い時は国会ウォッチング

会議録の直接のURLがうまく表示できなかったのでURLをご紹介できませんけど、23日火曜日に行われた衆議院財務金融委員会での問答をご紹介したいと存じます。なお、検索する際は「衆議院HP」→「会議録」→「財務金融委員会」で会議選択画面が出てきますのでそちらから選択ありたし。

稲葉理事が国会で「バブルの原因は何でしたか」とか答弁させられていた回でありまして、その質問をしたのが民主党の大畠章宏委員でして、質問順が2番目ですので会議録の中盤以降になります。まずはその稲葉委員との問答。

『○稲葉参考人 バブル発生の原因についてのお尋ねでございますが、いわゆるバブル発生につきましては、現在もなお、いろいろ、さまざまな議論がございます。実際、さまざまな要因が作用したというふうに考えられますけれども、その中でも、長期にわたる金融緩和が、その一端があったということは否定できないんではないかというふうに考えております。当時のバブル発生に至る金融政策を振り返ってみますと、国内経済、一九八五年のプラザ合意以降の急速な円高進行、そのもとで、デフレ効果が強く懸念された状況にございました。このため、日本銀行は、当時の政策金利であります公定歩合を二・五%まで引き下げて、その水準を一九八九年まで据え置いたというわけでございます。』

『このように、金融緩和が長期にわたって維持されたわけですが、その背景につきましては、第一に、当時は景気の回復傾向が次第に強まっていましたけれども、足元の物価の安定基調は維持されていたということがございます。そして第二に、何よりも、国際的に大幅な経常黒字の是正、あるいは円高の回避というのが優先的な課題として考えられていた、こういった事情が指摘できると思います。』

ほほう左様でございますか。

『それで、金融政策面での教訓を、こういった経緯からどう酌み取るかということでございますが、やはり第一に、経済が抱えるリスクがあれば、極力早期にこれを把握して、予防的に対応していくということが大事なことではないか。そして第二に、為替相場の安定とか黒字の是正といったことのために過度に金融政策に頼るというのはやはり好ましいことではなくて、やはり金融政策はあくまで物価の安定というものを目標にしていくことが重要ではないか。こうしたことが重要な教訓として挙げられるのではないかと考えております。』

何となく無難にまとめつつ予防的な金融政策についてアピールでございますかそうですか。

で、まあ稲葉理事の答弁が特にこう驚倒するものではなかったという(当たり前ですが)のを確認したところで、この後の渡辺大臣のごく穏当な答弁に対して訳判らんいいがかりをつける大畠委員の香ばしさを鑑賞致しましょう(^^)。

質問自体が稲葉参考人と渡辺大臣に向けられたものでしたので、この稲葉さんの答弁の次に渡辺さんがごくまともな答弁をしております。

『○渡辺国務大臣 バブルというのは崩壊してみないとわからないものだとグリーンスパン議長がおっしゃったそうでございますが、八〇年代後半のバブルの原因が一体どのあたりにあったんだろうか。いろいろな研究を今内閣府の研究所の方でしているそうでございます。(中間割愛)したがって、我々はこの歴史の教訓に学ぶことが極めて大事でございまして、バブルというものが破裂してみないとわからないと言うには余りにも手痛い教訓を我々は負ったわけでございますから、常に危機管理の先の先を読む、そういう行動が必要であろうかと思います。(以下略)』

まあ仰るとおりでございますが、これに噛み付く大畠委員が何とも。

『○大畠委員 バブルというか、金融の危機も起こってみなければわからないような話を大臣はされましたが、確かにそういう側面もあるかもしれぬけれども、それでは、金融庁とは何なんだ、あるいは日銀とは何なんだ、政治とは何なんだという不信になりますよ。』

・・・・・?????

『私は、金融庁のこのパンフレットをいただきました。私も、先ほど言いましたように、金融の方は、お金を借りることはあってもなかなか貸す立場はやったことがありませんから、いろいろ調べさせていただきましたが、今の大臣の御認識では困るんですね。それだったら、私と同じような、借りる立場であればいいけれども。』

前後の質疑応答を読んだのですがパンフレットが何書いてる物なのかよく判らなかったのですが、この部分は一体全体何を言ってるのか益々判らんですな。借りるだけで貸さなかったら金融は成り立たないんですけど・・・・・???

で、なお続く。

『私はあのとき、大臣も学生時代だったかもしれませんけれども、一九九〇年の前のころ、一九七〇年、八〇年、九〇年、あの当時、何かおかしいと思いましたよ。だって、朝八時から夕方五時まで一年間働いた人の年収よりも、土地を買って転がした方が何億も入るなんということがあの当時あちこちで散見されましたよね。そんなものが続くわけがないと思った。だから、そういうものは突然起こってみて初めてわかるんだという大臣の認識では困りますね。これは大臣、それはあちらさんはそうかもしれないけれども、日本の金融大臣がそんな見識では困りますよ。』

どう見ても後出しじゃんけんです。本当にありがとうございました。というかそんなに判るなら是非投資家をやって下さいwwww


でね、この大畠センセイって一連の質疑応答の中で信用組合の所謂卒業生金融問題に質問したり、保証協会の保証責任が100%じゃなくなった件とか、貸出への個人連帯保証制度に一生懸命文句を付けているのですが、質問が全体的にピントずれているの感が拭えません(が面倒なので割愛)。

それよりもこちらのセンセイが質疑の最初の方で「金融とは何か」と渡辺大臣に質問した後にセンセイの所信らしきものを述べた部分が実に香ばしい。

『○大畠委員 私も、この金融についてはそう深い見識を持っているわけではないんですが、結局は、すべては世のため人のため、これが私は金融の原点なんだと思うんです。ある方は、人様から預かったお金だから安全第一で運用しよう、そして、奉仕が第二、第三にはやはり収益なんだと。やはり、そういう基本をもってすれば、かつてのように、土地を買いあさって転がして巨額な益を得るという、いわゆる大手銀行がかなり走りましたよね。それが結局は金融不安を生んで国民の皆さんにも大きな負担を与えたことは事実です。』

銀行が土地転がし・・・・??いやまあいいですけど、安全第一で運用して奉仕しろってそれで収益が上がるなんて世の中甘けりゃ誰も苦労しませんが何か??

『ここら辺をどうやってコントロールして、国民のための金融あるいは中小企業のための金融という形にするかというのが原点なんだと私は思います。』

はいはいワロスワロス。で、なお笑えますのはこのセンセイ、同じ発言の続きの部分でこんな事言ってるんですな。

『郵便局を民営化する、反対するのだったら刺客を出して殺すぞ、こういう強権政治といいますか、強引な政治をずっとやってきたんです。国民は、どうもその政治はおかしいんじゃないか、このままいったら日本はどうなるんだという不安感を持って、さきの参議院選挙では自民党が、大変残念ながら大敗をされたんでしょう。』

えーっと、民間企業であります所の銀行が安全第一で運用して奉仕した挙句に収益は後回しという話は良い強権政治で小泉改革は悪い強権政治という理解で宜しいでしょうかねえ。


と、いう訳で、この大畠委員の質疑応答部分は珍獣観察という意味で中々面白く(渡辺大臣の「愛の構造改革」も飛び出すので大変にオモロイ)読めるのですが、一つだけ大きな問題がございます。それは大畠委員の答弁の冒頭部分でございまして・・・・・・

『○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。私は、民主党の次の内閣の金融担当大臣というものを命ぜられまして、そういうことから渡辺金融担当大臣の所感について質問をいたします。』

>民主党の次の内閣の金融担当大臣
>民主党の次の内閣の金融担当大臣
>民主党の次の内閣の金融担当大臣


・・・・・・・・(-_-メ)

という訳で別にただの三下でしたらどうでも良いのですが、最大野党が選挙に勝ったら金融担当大臣になる予定の人がこれでは甚だ困るとしか言いようが。民主党さん勘弁してください。。。。。












2007/10/29

お題「まあ相変わらず小ネタ雑談なのですが」

最近は「結局海外の金融政策が危機対応モードから脱却しないとどうもならんでしょ」というのが定説でありますのでねえ。

週初はボケボケですので小ネタ雑談ですがな。


○当面採用せずですかそうですか

金曜日のCPIですが、まあ数字よりも注目されたのが携帯電話新料金プランに関してでございまして(笑)、そっちのQ&Aを早速チェックする人多しと言った所でありましたな。なお、CPI自体は思いっきり予想通りで11月にはコアCPIのプラス転換が見えて来ましたなというのもコンセンサスという所のようでした。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/4-1.htm

というのが注目されまくりの携帯電話に関するQ&Aでございましたが、要するに一般的に誰でも使えるプランで一番安いものにホイホイ乗り換えますよって話でして、今回特に話題になってたのはauの新しいプランに関してでありまして、全部採用された時に計算の方法によっては最大で0.6%だか0.7%だかCPIが下がるちゅう話でございますからそら注目されますわな。大体市場のコンセンサスは「まあフルに下がるような話にはならず、当面採用しないでしょ」でしたが、とは言ってもサプライズがあったらマズーなので警戒という感じでしたかな。

で、その部分は22-3-2と22-3-3が該当すると思うのですけれども、要するに新プランに乗り換えた人が多数になった場合に採用しますよという順当な結論になったようです。

『これらのプランは当面、最も安いプランの検討対象とはしません。』ということですが、こーゆーものをつい意地悪く読んでしまうあたくしと致しましてはこの部分を「今は採用しませんが、コアCPIがプラス0.5%近くに上昇したらそのあたりで採用しましょうか」と読んでしまうのでありました(^^)。仮に近いうちにいきなり採用するとコアCPIがマイナス0.5%(またはそれよりマイナス拡大)とかになって、ただでなくさえ最近「CPI統計の数値が生活実感と合ってない」と悪態をつかれつつあるのに、そこに燃料を投下してどうするんじゃいという話ですかなとか、意地の悪い見方をするのはあたくしの仕様であります(^^)。

まあそんな意地悪い見方は兎も角、市場としては「当面」の撹乱材料がとりあえず出てきませんなあというので(上に持ち上げられなくて)ホッと一息と言ったところ(市場の外の皆様向けに念の為申しあげますが、投資家と名がつく人たちは動きが過激でない限り金利上昇(=債券下落)大歓迎なのです)では無いかと思います。ホッと一息で中長期の金利が上昇したのはナンノコッチャという感じではございましたけどね。

ちなみに3か月だの6か月だのという所は微動だにせず、相場叩かれてるのに1年半くらいまでのゾーンは強いの何のということで、オフバランスの市場は兎も角として、現物債券の金利を見てると「12月〜1月/2月までの利上げがないと来年の6月までは利上げ無いでしょ」のシナリオを見て買う人が増えたんですかなという感じです。

#全然話が違うのですが、この携帯電話関連のQ&Aを今回全部更新したように見えるのですが、一般的な説明部分とか、禿携帯の部分とか前からあったはずで、差し替えたのか差し替えてないのかよく判らんのはちょっとどうかなと思いますが(もし差し替えているのなら前との変化がわかるようにして欲しい)



○今週はFOMCですが

今週のFOMCはかなり利下げを織り込みモードになっているというか利下げクレクレ相場になっておりますが、まあ投資銀行とかの決算があの有様では危機対応モードを継続するしかないですので、利下げするのか利下げを思いっきり見せておくのかどっちかになるんでしょう。

で、米国がそんな感じで危機対応モードとかやらかしている中で日銀が正常化路線を持ち出すのも話としてムツカシイですなとなるんですが、果たして米国の利下げ路線ってどうなるのよとか考えますと、「金利下げるけど、バランスシート調整(というか資産バブル崩壊というか)は長く続き、その間にドル安と物価上昇がやってきてスタグフレーション」とかつい碌でもないシナリオを想像するのですが、さすがにそれをメインシナリオにするほどの状況でもなさそうですんで、あくまでもリスクシナリオ。

で、そのリスクシナリオですと、ドル安対応でまたまたドル買い介入とかするんかいなとか、そうなると米国のスタグフレーションがこっちにも来るのかねとか、まあ色々と考えてしまうのですが、どうもこうスタグフレーションシナリオがリスクシナリオにちらちらしてくるのは誠に遺憾であります(ちなみにあたくし国内景気にはまだ基本的に強気(大分弱ったが)なんですけどね)ところですな。


まあ米国のサブプライム問題とか国内での建築基準法改正の不手際で住宅建築絶賛大落ち込み(これってどう見ても人災だと思うんだが)とか、日銀からしたら「うちと関係ねえ所で思いっきり足引っ張られたがな」という感じではありますが、その結果として経済状況がこうなっているのでまあ0.5%継続は仕方ないなという所で。

#この前も書きましたが、0.5%継続されると低め誘導時代を思い出して、ある意味居心地良かったりするのがオソロシス


○ちょっとだけ不安

あたくしどうもこの大臣様に対する点数が辛いので、つい見方が厳しくなってしまう点は割り引いて頂きたいですが・・・・・

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071026AT2C2600926102007.html

『渡辺喜美金融担当相は26日の閣議後の記者会見で、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で発生した損失について「どの程度あるのか分からない状態が続くことが一番不安心理を巻き起こす」と述べた。そのうえで「早め早めに適時開示することが大事だ」と強調した。』(上記URLの26日NIKKEI NET記事より)

それは正論ですけれども、恐らく問題は「まともに時価開示したら大変な話になる」ことであり、「そもそも時価が正しいのか」という所にあるのではないかと思うんですよ。問題大発生で全部叩き売りモードになっている時の「時価」と平常時の「時価」というのは物凄い勢いで違うというのは不良債権叩き売りの勢いで味噌も糞も売られた後に味噌の価格が急回復した我が国の事例を見れば明らかな次第でして、何でもかんでも「時価開示」すりゃ良いって問題じゃないと思うのであります。

だからこそSIVビークルの飛ばしじゃなかった凍結機関を作るとかいう話になっているはずでして、問題があまりにもアレになった場合にそのまま正論で大丈夫なのかねというのは少々気になる所ではございます。

てか、アメリカ様が凍結機関とか作って適当に先送りモードとかやってる中で日本だけ「叩き売り価格」を前提にした「時価評価」を馬鹿正直にやって、またも味噌も糞も叩き売りとなってオイシイ部分を海外にかっさらわれるのではないかという悪寒がするのでありますけど、何かこのセンセイは巧い事吹き込まれたら思いっきり乗ってしまいそうで何だかちょっと不安が・・・・・

いやまあ杞憂であることを望むのですが。









2007/10/26

お題「受難の入札と時間軸復活(か?)と」

○20年入札でしたが

昨日実施された20年国債入札ですが、前場引け時点では2.145%−2.15%で、これに対して落札結果も平均と足切りがちょうどこの範囲内という事でしたので、この時点では順当といえば順当な結果。で、落札結果発表後先物が戻ってみたものの後続無く、その後中期がやたら強くなって長期ゾーンがヘロヘロになるというバランスとなってしまい、終わってみれば前場引けよりも先物が15銭上昇してるのに20年新発の引けは2.155%(実力はもうちょっと甘いと思うんですが)となりやがるという状態で、30年でヘッジでもしない限り(ここもとの状況からするとそのオペレーションは作りにくい)何でヘッジ掛けててもやられと言う涙のでるような状態でした。

ここもと海外市場がアホのようにぶれるので、中々事前ヘッジがやりにくくて当日にヨーイドンでヘッジ入れてそこそこ甘くしたんですが、レラティブバリューで買う人のパワーが減退している中で絶対水準バイヤーさんだけでは20年のニーズがイマイチでしたねということなのでしょうが、それにしても何も3毛甘にしなくても良いのにとか思うんですけれども、入札にぶつけて売り崩す人でもいたのか、単に新発出た分だけ重くなってその重みで崩れたのかは知りませんが、いずれにせよ期初からこの入札とは誠に遺憾でございます。

一方で中短期は強くて、こっちが相場を引っ張る中で仕方がないので嫌々ついてきた超長期ゾーンが先週の30年に昨日の20年という新規玉の供給で実はこの辺がついていく必要ございませんでしたなあということになったということなのかもしれませんが、それにしても余りといえば余りな展開ではございました。ナムナム。


○一方で中短期は時間軸復活(か?)

そもそも昨日の受難入札の一方を演出しやがったのが中短期の買いであることは間違いないと思うのですが、2年カレントの昨日の引けは0.765%ということで次に利上げがあった時の予想されるコール誘導金利に益々接近。というか次回利上げした時のGCレポとか現先の金利がこの辺じゃろという気もしますが、まあそんなレベルにまで低下。

今後の利上げ路線を見込むのであれば1回の利上げにしか耐えられない2年って如何なものかとか思うのですが、12月か1月に利上げができないと来年6月くらいまでは動きにくかろうとか考え出すと、第4次利上げが物凄い勢いで後ズレするという予想になってしまいますので、持ちきり前提で足元金利見合いで考えた場合に、第4次利上げで割り食う部分よりも第3次利上げが来るまでの鞘で稼ぐ分の方が多いでしょとかいう理屈が成り立ってしまうところがキングオソロシス。2年がその有様ですと、まあ中期ゾーン全体的に強くなるでしょうということで。

米国のサブプライム関連が泥沼モードになる中で、こりゃまあ米国また利下げするでしょとか欧州の利上げって何ですかそれって状態になっている中で、そもそも国内経済指標がイマイチな状態なのに金利正常化路線が正当化される訳もなくというのがコンセンサスになっているでしょうとなりますと目先利上げは難しかろうとなりますわな。んでまあ2月とか3月になりますと執行部の交代が待ち構えているのであまりイタチの最後っ屁みたいな動きはしにくい(後任が迷惑するじゃろ)と思いますし、民主党が何だか判らないですが後任人事でごねるらしい(確かに任期が5年もあるからごちゃごちゃ言うのも判らんではないが、何を持って適任と判断するのかがさっぱり見えてこない現状ではただの嫌がらせにしか見えないですわな)ので、金融政策で動くのも慎重にならざるを得ません罠。

で、新執行部になっていきなり動くというのもちょっと考えにくいとなりますと、6月まで亜空間発生となってもおかしくないですなあという計算が成立するので、サブプライム問題が物凄く運が良いことに年末までに片がつく(片がつく訳無いので、まあ官民揃って絶賛問題先送りで体力の範囲内で徐々に誤魔化しましょうというスキーム発動とか、どっかを血祭りに挙げた後に公的資金注入して一気にめでたしめでたしというスキーム発動とかになるんでしょうが)とかにでもなれば話は別ですが、12月または1月に利上げするチャンスが無ければ今の0.5%は暫く続きますなあと。何か昔々に延々と続いた「低め誘導」時代を思い出しますなあ(涙)。

おまけにここのところ日銀様のオペレーションもきっちり0.5%のディレクティブを守るようにどっちかというとやや緩めの調節が続いておりますので、足元金利が跳ねそうな感じもなく、ターム物も安定となってまして、まったりとした状態が続きそうな悪寒。


まあ皆さん考えることは似たようなもんですので、気がつきゃ3か月FBは0.575%まで金利低下するわ、6か月FBは0.60%まで低下するわとなってますし、何でそう親の敵のように供給オペするのかイマイチよく判らんのですが、連日絶賛大実施中の共通担保オペでは昨日とうとう1か月ものの平均レートが0.543%まで下がるわということで、この調子で3か月の本店オペ打ち込まれたら次は夢(調達サイドにとっては夢で運用サイドにとっては悪夢ですが^^)の足切り0.6%割れとかになりそうな気がしますな。CPの発行状況なんかを見ますと、今のところはさすがにそこそこある年末越えプレミアムが潰れて行くのを待とうということで発行してくるタームが短くなってきているような気が何となくしますし、この調子ですと金融政策の見方が完全に「当分無し」になるまではショートファンディングが増えることになりそうですにゃ。

1年以内のカーブも手前から徐々に潰れてきましたし、まあ次は一般債のスプレッドを潰しに(って既に結構潰れていますが)行くんでしょうなあとか思うのですが、そもそも短い一般債自体があまり在庫が無かったりするのですけど。

・・・と超短い所の話をしてますが、長いところになると短期ゾーンの金利が下がる側から超長期ゾーンがスティープするとか、もっと違った話になるので面白いのですけどね。まあ1年とか2年とかの金利の部分ってえのは正に時間との戦いの部分があるので、「いずれ利上げがある」と思っていてもその時期がちょっと違うだけでも判断をいじらないといけないですから。。。。。

#と、本日も雑感でしたが、今日のCPIはどうなるんでしょうかね












2007/10/25

お題「相変わらずネタなしひねもす雑談を」

サブプラ関連赤字祭りのようで誠に香ばしい。

○民主党の金融政策・・・・・・

昨日と一昨日の衆議院財務金融委員会に稲葉理事が呼び出されておりまして答弁させられています。で、実際の内容は後日(1〜3週間後)アップされる会議録を見ないと何ともなのでありますが、とりあえずブルームバーグニュースを参考にしますと・・・・・

一昨日の質疑応答ではこんな事を言ってた(言わされた)ようです。ソースはブルームバーグニュース23日11時59分配信の記事です。

『日本銀行の稲葉延雄理事は23日午前、衆院財務金融委員会で、1980年代後半のバブルを引き起こした原因について「長期の金融緩和にその一端があった」と指摘。そのうえで、バブルの教訓として「予防的な金融政策が大事」であり、「為替相場や貿易黒字の是正ために(原文ママ)過度に金融政策に頼るのは好ましくない」と語った。民主党の大畠章宏氏の質問に答えた。』(ブルームバーグニュース)

たぶん大畠さんとしては「低金利継続がバブルを発生させる」という答弁をさせようとして質問をしたのではないかと思うのですが、そもそも80年代後半の期待収益率と今の期待収益率は思いっきり違いますし、ストック調整とか散々やらかした後とその前ではマインド違いますしとか、そもそも論として経済の条件が違うわけでして、そりゃまあ昔のことから教訓を得るというのは大事ですが、昔のことをそのまま今に当てはめて良いのかというとそれは疑問なんですけど。

ということで、どうも民主党的には自民党との対立軸をこんな所でも出すべく、「低金利継続を押しつける自民」VS「低金利継続の弊害を訴える民主」みたいな図を作りたいんでしょうかねえとか思うのですが、この問題に関しては変な対立軸で政治的なお話になるのは如何なものかと思うのであります。

ただし、以前も「民主党の金融政策論議は訳判らん」という悪態をついたと思うのですが、民主党が金融政策の話を国会でするのを見てると言う人によって方向性が違うというのもあるのがややこしいのですが、基本的な論調としてはどうも大畠さんが質問しているような構図になっているように見える次第でして、来年の正副総裁任期切れに向けて実に不安があるのでございます。


ちなみに昨日の衆院財務金融委員会では景気見通しなどについて質問されたようですな。ソースは24日11時02分のブルームバーグニュース記事。

『日本銀行の稲葉延雄理事は24日午前、衆院財務金融委員会で、「景気は緩やかに拡大している。先行きも息の長い成長を続けていくと考えている」と言明。生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比についても「目先、横ばい圏内で推移する可能性が強いが、より長い目でみると、プラス基調で推移すると考えている」と述べた。民主党の鈴木克昌氏の質問に答えた。』(ブルームバーグニュース)

まあこっちは普通の質疑応答のようですが、どんな質問してるのやら(正直、どう答えているかはあまり気にしてないっす^^)というのは気になるところでありますので、会議録がアップされたら改めて確認したいと思います。



まあ何ですな、そもそも民主党が何か勘違いしてるんじゃないかと思うのは、日銀が利上げするのを政府と自民党が文句垂れまくって止めさせてると見ている(ように見える)構図でありまして、自民党は兎も角として、国債費が増えると困りますなあという財務省様の懐具合を勝手に忖度すると、「日銀が正常化路線をやってくれれば長期金利が跳ねない形で推移するのでむしろ願ったり叶ったり」なのではないかと思うんですよね(ここでは景気が悪いので金利を上げられないのではという議論はあえてスルー)。すなわち、低金利引っ張り過ぎという認識が世の中に広がり、なおかつ低金利を政策当局が引っ張ろうとした場合って、長期金利が気持ちよく上昇してイールドカーブは立ってくるわけでして、その時の長期金利上昇の破壊力は結構あると思うので、実はマイルドに利上げ路線を(やるやる詐欺状態でも可なのではと思うけどその話はまだ考えてないので割愛)継続した方が国債管理政策上はオイシイかと思うのであります。

全て勝手な妄想ではございますが、そんなこんなを考えますと、経済状況が良好な状態であればという大前提条件は勿論つくのですけれども、正常化路線をとられても政府困らんのではないかと思うんで、その点は民主党はなんか勘違いしてるように思えますな。



○入札だけ押し込みましたが

昨日の3か月FBの入札ですが、落札結果は平均0.592%で足切り0.596%ということで意外に利回り高いですねえという感じでしたが、終わってみると0.58%−0.585%ということで結局2月償還だけど既発と同じような水準になっているの図。

人の懐具合はよー知りませんが、入札時点では押し込んでしまうというのは普通に考えるとプライマリー時点でニーズが続々でもうエライコッチャですよという状態にはまだ至っていない(至ってたら入札が過熱する)のではないかと思います。でも頑張って値持ちさせておけばまだ年内償還物しか手を出していない人たちもそのうち年末越えに手を出してくるでしょうから値持ちさせておけば良いじゃんという事で頑張ってるんでしょうなという感じです。

これでまあ売りのぶちかましでも出れば話は別なのですが、今の市場環境(ただし短い所)はどう見ても運用難です本当にありがとうございましたという状態でありますので、何か変なものでも食わない限りドカンと売りがでて崩れるというのも考えにくいので、この調子で推移する中で玉はちんたら捌けて行って、気が付いたら翌週になってまた入札って事なんでしょうかな。

あとは年内償還ものにしか手を出していない人がいつ年末越えを買ってくるのかで、その動きがでてくれば現在の年末年始にある階段が低くなる(年末越えプレミアムは最後まで残るので階段そのものは無くならないですけど)のかなあと思います。








2007/10/24

お題「今日もまあ雑談なのですが」

何せ国内市場と言いましても海外次第で振り回されるの巻ですし、金融政策どうなるのと言いましても米国がサブプライム問題を懸念して利下げモードを継続するようなら日本も中々動けないですし(欧州が利上げ再開したらちょっと動きやすくなるが)となりますと、国内要因で動くって感じじゃないですからねえ。

とひとくさり愚痴を申しあげたところで雑談を。


○主要銀行貸出動向アンケート調査

出たの月曜で今更の話で恐縮ですが・・・・

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0710.pdf

こちらですが、前回調査の7月で中堅中小企業の資金需要判断がドカンとマイナス(=需要減少)転換したのが話題になりましたが、今回調査では中堅中小のマイナスは復活したものの2ページ目のグラフにありますように何となくピークアウトしてトレンドが微妙に弱くなっているというような図になっておりますわな。

まーここから減少方向にズルズル落ちていくと誠に遺憾としか申しあげようがないのですが、4ページ目にございます資金需要減少の要因を拝読致しますと、大企業、中堅企業では資金繰りの好転や手元資金の取り崩しというのが資金需要減少のファクターとなっており、売上減少とか設備投資減少とかになっていない(サンプル少ないですが)のがまあ救いなのかなとは思われまして、そんなにズルズルとマイナス方向に落ち込む気もこのあたりを見てると思うのであります。

ちなみに3ページ目には資金需要増加の要因のアンケートもあるのですが、こちらを見ると資金需要増加のファクターが売上の増加と設備投資の拡大(中堅では手元資金の積み増しも)となっておりますので、内容そのものは最初のページで見るほど経済そのものに関してお先真っ暗ではないように思えますがどうでしょ。

とは申しましても、後ろの方には貸出運営スタンスや利鞘設定に関するアンケートがございますが、こっちを見てますと貸出利鞘とか微妙に縮小してたり(しかも中小は拡大)してますので、銀行経営的には中々大変ですなあという所なのかもしれませんな。


○GC雑感というか傍観

#以下延々と特殊世界のマニアックな話が続くので念の為申しあげます。

昨日のレギュラースタートのGCレートは前日の0.56%からスタートして0.53−54レベルまで順調に低下。一昨日は25日の国債発行(大した発行ではないけど)要因ということで0.56%まで上昇した訳ですが、月末要因でもあるのかと思えば昨日はあっさり低下したようで、よくよく考えりゃ昨日のレギュラーだと26日スタートですから金曜日スタートでオーバーナイトが3日ですわな。

先日来GCレポのレートがTB/FBとかCPとかターム物のオペとかの動きと必ずしも整合性の取れた動きじゃないですなあ(以前からその傾向はあったのですが)とか書いておりましたが、昨日のGCレートが「週末要因」で下がったとなりますと、GC市場が益々コールになってきましたなあ(とか書いても何の事やらと言われそうですが、まあ何となくニュアンス伝わりますよね、関係者の皆さんであれば^^)という感じです。何せ昨日は現先のレートは特に下がらず(というかCPとかちょっと重くなってきて強含みだったんですが)なのにGCは絶賛低下とか、半年くらい前だったら中々そういう動きはしなかったですねえという事も勘案しますと、GCレポ市場がオープン市場というよりインターバンクっぽくなってきたのかなあとの感を深くするのであります。

ま、将来的な展望という意味ではGC取引がレギュラーとかスポットが主体になるんじゃなくてトムとか当日とかが主体になる、というか最終的な姿はT+0のリスクフリーな資金運用手段になるんじゃないでしょうかというのは衆目の一致する所だと思いまするので(ただまあそこに至るまでにはレポ取引のT+0対応の事務体制整備というのがあって、0.5%ぽっちしか金利がない状態で新たに経営様が金を突っ込んでくれるのかという点は絶望的なものが・・・・)、GCレポ市場がオープン市場からインターバンク市場っぽくなっていくのは時代の流れというか要請でもあるんでしょうな。

ただまあこうなってきますと、インターバンクで無担保コールを機動的に取れないと色々と大変ですなあとか、この市場への資金の出し手として金はそこそこある(筈)だが別にこう主体的に相場を張りに行く訳でもない恒常的な資金出し手は、今は何となく先渡しで資金を出すリスク(大したリスクではないが)を取ることによってやや有利な運用をしている分がいずれ剥落するとなると、これからの資金運用ってまた一つ工夫をしないといけない(マーケット並みで良いというのなら別にそんなの関係ねえですが)ですなあとか、色々なことを考えてしまうのでありますが、あくまでも妄想的に考えている状態でありまして、今後ともご意見賜りつつ考えなきゃなあとか思うのであります。


○FB3か月入札ですが

昨日の3か月FB(前週発行のもの)は0.58%と0.585%をやってましたが(ところで引け時間帯にBBで引値合戦(業界用語)みたいな事をやってたのはどこのどちらで^^)、今日の新発はとうとう2月償還となりやがります。2月償還ですよ2月償還。

・・・・と盛り上がりたいところではありますが、何せ一昨日の2月エンド共通担保オペも何事もなかったかのように0.61%足切りでありましたので、2月償還でもそんなの関係ねえということで、入札段階だけでは既発債にちょっと毛が生えたレートになるんじゃないっすかね。さすがに0.6%割れでこれ以上エッサエッサと盛り上げるの厳しいでしょ。

1年以内の一般債もスプレッドがろくすっぽ無い物はともかく、それ以外の部分では格付けそこそこ高くてスプレッドがそこそこあるものから順に売れ売れみたいですし、FBも(さすがに年末越えの0.6%割れは飛ぶように売れるとはいかないようですが)まあ確りと債券と名がつく短いゾーンは強いようですな。CPはそんなに下がらないんで、純粋に短期資金の運用という観点なひと的にはそろそろ勘弁状態なんでしょうが、まあ債券強い攻撃であればこちらも確りなんでしょ。

・・・・・何かこう華麗に利上げの話がスルーされているような気もしないでも無いのですが、そのあたりはケンチャナヨということにしといて下さい(^^)。









2007/10/23

お題「相場雑感と今更G7雑感」

世の中何気に風邪が流行っているようですな。

○相場雑感

昨日は海外市場を受けまして朝っぱらには2年カレントが3毛強なんぞがお出合いになられましたのですが、3毛強と言えば0.765%でして、ついに2年間で利上げ2回しか織り込まないレートですが(2年くらいの金利だと足元金利の足し算をどうしてもしたくなるのよ)それで良いのかとか思ったらその後はさすがにちょっと押し込まれて引けは0.785%となりました。

まあ世界経済がここからもうグローバルリセッションで日本はデフレスパイラル再突入ですよという話でしたら2年0.75%でも良い(というかもっと下がりますかそうですか)のでしょうが、さすがに現時点でそこまで予想するほどでもなかろうというお話ですから、1回利上げになって誘導金利と同じになる0.75%というのはさすがに抵抗されるでしょうという所でして、まあさすがに目先2年の金利って達成したように思うのですけれどもどうでしょうかねえ。

#大体からしてこういう明確(適当に逃げ文言を入れてますが^^)なことを言い出すと逆に逝くのがドラめもんクオリティなのが我ながらキングオソロシスなのですが

より短い所に関しては、FB3か月が徐々に買われてまして先週の入札で平均0.609%でまあ確りですなあとか言ってたのですが、昨日の引けは0.580%で出合いなのですが途中までビットという有様。短い所ではFBのレートが下がってみたり、一般債の気配が確りしてみたりと中々景気の良い状態でして、一方でCPのレートは横ばい範囲内でありまして、またまた「債券と名がつくもの」へのニーズが強くなっている感じですわな。世の中利食えるような長期債があんまりあるとは思えませんが、もうちょっと短い所とか一般債とかを外した資金が入ってるんですかね、よくわからん。

もっと良く判らんのは足元のGCレートだけ妙に下がらない事でして、一応25日という言い訳はあるのですが昨日はイメージ1つレート上昇となったようですけど、一方でFBとか強いですし、昨日実施された共通担保本店オペは2月足になったのですがレートは前週の全店オペよりも1つ低下して平均レベルでも0.61%台という状況でありまして、タームのところとか債券と名がつくものが強いとかいう状況と整合性がイマイチ取れないんですな。どう見ても積みの進捗良い筈ですし、レートがそう上るというのも何なんでしょという感じです。

ま、ど〜せ個別市場の需給が微妙にバラバラになっているんでしょうけれども、少々不思議ですなあとか思うのでありました。

明日入札が行われる3か月FBは償還が2月になるのですが、共通担保オペのレートがあの有様では引き続きイールドカーブは階段状態のまま(ちなみに昨日の日本相互証券の引けベースでは1月償還物は11日償還が0.575%で残りは全部0.58%と見事な横一線です^^)になるんでしょうかねえ・・・・・



○総裁記者会見(20日の奴)を念の為

昨日のモーサテ様では「福井総裁は日本景気に確信を深めたと発言し、改めて利上げに対する意欲を見せました」とか何とか報道していた20日総裁記者会見。実は昨日はあたくしのPCのご機嫌が麗しくなかったので総裁記者会見のPDFが開けなかったのでして、改めて会見要旨をば。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0710d.pdf

くだんの部分は最終ページ(4ページ)にございます。

『【問】今回の一連の会議で各国当局者と議論した結果として、日銀が描いている「物価安定の下での持続的な成長が今後も続いていく」という見通しは、色々な議論を通じ蓋然性が高まったのかどうか、あるいはやはり霧が深いなという意味でそういう確からしさは今ひとつ進んでいないのかについてお伺います。』

この前須田審議委員も「霧が深い」というような話をしてましたが、この表現もしかして日銀のブームですかな?

『【答】日本経済の姿を内在的に分析する限り、「物価安定の下での持続的成長」というわれわれが思っている基本的シナリオに何か瑕疵があるということは確認されませんでした。われわれはむしろ確信を深めたということでありましたが、』

句点じゃなくて読点で切って恐縮ですが(^^)。

『世界の経済と緊密な連関を持っている日本経済ですから、今グローバルな枠組みの中で起こっている市場の変動が世界の実体経済に及ぼしていく影響については、まだ大きく不確定要因を残しているということです。従って、霧が晴れたかどうかという質問にはなかなか答え難いのですが、引き続き先が読み難い状況が暫く続くということは間違いありません。』

以下は割愛しますが、どう見てもこの句点部分で切って「改めて利上げへの意欲を示した」というのはちょっとそれはどうなのよと思いますけど。


ところでこの会見の中で読んでて「ほほー」と思ったのは2ページ目の質疑応答部分。

『【問】金融市場における規律の緩みの背景として、世界的な過剰流動性が指摘されています。今回の危機で結局各国が対応できたのが金融の緩和でした。これが、当初の原因となった過剰流動性を招いて悪循環に陥るのではないかという指摘もありますが、今回の会議でこれに対する何らかの答えは示されたのでしょうか。』

このロジックを認めると特にアメリカのマエストロ様の否定に繋がりますし、福井日銀様におかれましても金融高度化路線とかを絶賛ご推進しておられるので中々この話はややこしいのでどう答えるのかと思えば。

『【答】冒頭にも申し上げましたが、ここ数年に亘って世界経済や金融環境があまりにも恵まれた状況にあったということだと思います。中央銀行がじゃぶじゃぶにお金を供給したという意味での流動性過剰ではなく、金融市場の中でリスク評価が甘い形で資金が流れ易い環境が続き、非常に流動性の高い経済であったということだと思います。』

ふむふむなるほど。

『今、少し苦痛を伴いながら修正過程が進んでおり、いわば資産の本質的な価値が市場に照らして正当な価格評価がなされる過程にあります。これは本来の姿です。そういう姿にひとたび戻して、実体経済とのインタラクション(相互作用)がうまく働き、リスクがたまり過ぎない市場と経済の一体的運営という姿に、早く辿り着くという努力が今なされていると思います。』

以下は割愛しますが、えーっと現在米国でおっぱじめているサブプライム関連証券塩漬け機関ってどう見ても正当な価格評価に耐えられないから飛ばして問題先送りしているようにしか見えませんが、本当の本当に「本来の姿」とやらに向っている過程なんでしょうかねえ。

話はより脱線しますが(こら)、まあサブプライムどうのこうのに関してはちょっと話を聞いてみれば聞いてみるほどレバレッジが掛かったりして中々香ばしい状況のようでございますので、こりゃまあ世の中総出で先送りして誤魔化す攻撃で逝くしかなさそうではありまして、アメリカ様などのご指摘を賜りまして不良債権処理とやらでシバキアゲを行ってエライコッチャになった国の人間としては「何であたしらはシバキアゲであんたらは先送りなのよ」とどうも釈然としないのでありますな。いつも勉強させていただいております害債さんの最新エントリー(http://ensaigaisai.at.webry.info/200710/article_14.html)にございます『この國際版亀田一家のような国をどのように落ち着かせるか、まったく持って頭の痛いところであります。』というのがツボに嵌まってしまいました(^^)。それから、上記エントリーの最後の部分にも激しく同意です。


ところでG7声明ですが、どう見てもただの一般論羅列です。本当にありがとうございました。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/g7_191019.pdf










2007/10/22

お題「展望レポートを妄想してみませう」

サブプライム問題が簡単に済むって空元気の景気付けなら兎も角、日本の資産バブル崩壊見てるのに本気で信じてる人おらんじゃろうと思ってたんですけど。。。

○2年4毛強とはこれまた

木曜に案外動かなかったので、まったりとした相場とか金曜の朝書いたら金曜は中短期中心に相場爆裂。ナンノコッチャと思いながら見てますと2年が結局4毛強で0.8%を割り込むの巻と相成りました。いやあのその利回りは短期金利の足し算で考えてそれで良いのかよと思ってしまうのですが(0.8&割っちゃうとざっくり考えて利上げを2回強(多分2.5回以下)しか織り込んでないと思うぞ)、なんちゅうかこのタイミングで急に来やがりますかと実に不思議。

ま、今月は2週目に何だかよく判りませんが決定会合の票決で反対が増えるというお話とかそれ行けワッショイ相場のNY株式が伝染して強かった株価指数とかの影響なのか妙に売り込まれた分の反動はあったのかとも思うのですが、結局のところ相場が下げ止まって来たかと思ったらいきなり期初の買いってえ奴なんでしょうか。最終的にはこの前も申しあげたように「皆さんショートなんですね」ということだとは思いますが。

しかし2年から4年あたりまでが一番強いというこの展開ですが、要するに中短期買うのを十八番としている人が本格化買い出動した結果(追記:これ判る人には判りますよね^^)こんな有様になりましたっちゅうことなんでしょうかねえ。よーわからんが。


○展望レポートについて

金曜は全国信用組合大会で武藤副総裁の挨拶が行われ
ました。→http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0710b.htm

挨拶自体は簡単なものですが、その中でもサブプライムローン問題に関する話が出ておりますわな。

『このように、わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長続けていく可能性が高いとみられます。』

『もちろん、こうした先行き見通しへのリスク要因も十分念頭に置く必要があります。米国サブプライム住宅ローン問題に端を発して、国際金融資本市場において不安定な状況が続いているほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性があります。』

『今のところ、米国以外の地域の高成長によって世界経済全体としては拡大を続ける可能性が高いと思いますが、国際金融資本市場や世界経済の動きについては、引き続き注視していく必要があると考えられます。』

ということで、この問題がややこしくなってきた以降で言えば総裁の定例会見以外に岩田さん、武藤さん、須田さんの講演などがありましたが、皆さんこの調子で「金融市場の混乱が続くリスク」「米国経済の下振れリスク」に言及しておりまして、まあそう考えますと展望レポートがどうなるかを何となく妄想してみたくなるのであります。

えーっとですな、多分あたくし思いまするに、基本的なシナリオであります所の『物価安定のもとでの持続的な成長を続けていく可能性が高い』(再掲)というのは変らないと思うんですが、リスク評価に関しては思いっきり下へのリスクを意識するってえ書き方になるんでしょと思います。

あ、そういえば福井総裁が日本経済の先行きについて『確信を深めた』といったのを日経あたりで思いっきり報じてましたが、ありゃ「展望レポートで基本的シナリオまでは下方修正しませんよ」って意味でしかなくて、『先行き見通しにくい状況が続く』という方が重要ポイントでしょ。相変わらずですなあ日経は。

従って今後の展開としては「金利水準の調整(という名の利上げ)をしようと思いますが、どうも先行きがよく判りませんので様子見をするしかございませんなあ」と言いながら現在の金利水準が継続と言うことになるんでしょうと思う次第。で、その間に今月頭みたいに「やっぱ利上げか」という思惑が出たときには売られるけれども結局元の木阿弥になるというのが続くんでしょうな。

もっと短いゾーンだと既にかなりその辺は亜空間入りしておりまして(苦笑)、何せ短期国債のイールドカーブが階段状になるという要するに「そこまでのゾーンしか買えない」というニーズの量に利回りが比例しているとしか思えない状態ではございますので、利上げってなんじゃらほいという所になっているのです。まあここからやって行くのは、手前からこのカーブ(というか階段)を潰しに逝って、その後は(時間の経過と共に買える足が伸びてくるというのもありますが)例えば年末越えのプレミアムのような階段の段差を潰しに逝くような展開になるんでしょうな。実につまらん展開ではございますが。


○どうでもいい雑談ですが

ネタがないときは国会会議録を見るのが面白いのですが、今国会ではあまり金融ネタが無いのでどうにもこうにも。

この前首班指名で衆議院と参議院の票が割れた訳ですが、両院協議会というものでどういう協議をしてるのかというのが興味ございまして議事録を見ました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0305/168/16809250034001a.html

どう見ても協議してません。本当にカムサハムニダ。(まあ協議のしようもないので予想通りですが^^)

#本当はqh-nuさんのところ(http://d.hatena.ne.jp/qh-nu/)でネタになってた15日の参議院予算委員会見たかったのですが、何故か16日以降の方が先にアップされてるみたいなので(^^)。








2007/10/19

お題「なんっちゅうか手詰まりですなあ」

まったりとした相場展開ではございます。

○明確なテーマの無い相場ですな

昨日の債券市場は前日対比の引けカーブがナンノコッチャという動きでしたが、先物の上下をぼーっと見てますとどう見ても株価指数に逆連動です本当にありがとうございましたという動き。で、その株価指数はどう動いてたかと言うと、これがまたどう見ても上海株式見て下がったものがインド株式見て上ったとしか思えない動きでして、そういや去年も某掲示板株板の北浜先生スレッドのサブタイトルが【インドで】【引導】なんてのがありましたなあとか思いますとちょっとナツカシスではあります。

でもよりでかい日本市場が上海だのインドだのを見て動くというのはそりゃまあ他にネタもないから仕方ねえというのはありますけれども、誠にこう悲しいものを感じる次第ですわな。


さてまあ先物は置いといて現物の方なのですが、2年から3年あたりがやたら強くて5年も強く先物は弱め、10年ゾーンが強くて超長期は冴えませんって何かこう思想を感じないバランスなのでありますが、よーするに単に局地的な需給関係がそのまま現物の引け値に出てきましたよ〜って所なんでしょうかねえとしか申しあげようがゴジャイマシェン。その勝手な妄想に基づきますと、2年とか3年とかを買う人と、5年、10年のカレントを買う人が出てきて、超長期は来週入札もありますし、そもそも相場が戻ってしまったのでそんなに上はイラネということで買いの手が引っ込むというお話になりますが、はてさてそんなんで良いのでしょうか。。。。。


○そういや今更ですが日本国債格上げに関して

証券化商品関連の格付けで物凄い勢いでミソをつけた格付け機関でございますので、まあやっと格上げになって良かったですねえ(棒読み)というお話ではございますが・・・・・

http://www.moodys.co.jp/PDF/10008/0000009870.pdf

『「福田康夫首相率いる新政権が、歳出削減を主軸とした財政再建方針を継続する意向を示していることは、一般政府赤字の縮小と、2011 年までに一般会計のプライマリー・バランスを黒字化するという政府目標の達成につながるとみられる」とバーン(引用者注:ムーディーズのシニア・バイス・プレジデントの人です)は述べる。』

「小泉改革の一部見直し」みたいな話をしている福田政権になった途端に格上げで、しかも理由がそこにあるというのはひょっとしてそれはギャグで言ってるのかそれともアメリカ様のあt(規制中)。

と申しますか、格上げしてA1にしかならないとはセコイとしか言いようがございませんでして、当然Aa2くらいにはなるもんだと思っていたあたくしは「何だつまらん」という印象でありますわな。それ以前の問題として、国債がA1なのに財投機関債がAAAとかいうこの格付け機関のロジックは相変わらず1ミリも理解できない訳でして、所詮民間の営利団体である格付け機関をバーゼルUで有り難がってオーソライズしちゃったというのはやっぱり如何なのもかと思うのであります。

そのバーゼルUでも「中小企業向け貸出は分散効果が効くので低格付けの一般事業会社向け貸出よりもリスクウェイトが低い」とかいう珍妙以外の何物でもないロジックで運営されているのはだいぶ前に悪態をついた通りでございます。あーたリスク高い貸出100個集めても1000個集めても全体のリスクは変らんでしょうにとか思うんですが、まあ結局はその手の空中楼閣があちこちにあるというのは注意しないといけんちゅうことでしょうかね。


○久々に本の紹介

今回は気に入った所をちょっと引用しちゃってみるのです。

・「会社は頭から腐る(冨山和彦著、ダイヤモンド社)」

この方のキャリアを最初に拝見した時には「机上の空論なコンサルさんですか」とか思ってたのですが、著書を拝読致しましてあたくしが物凄い勢いで完全に誤解していた事が判りました。誠に申し訳ない(って誰に謝ってるんだ?)というか、自分のアホさに汗顔至極。

どこを読んでも面白いのですが、ニヤニヤと思ったのは第1章の本書15ページから始まる小見出し『大企業の中間管理職は半分に減らしても業務をこなせる』という部分。17ページの中盤を引用致します。

『だからスタッフ部門の「忙しくて手が足りない」「忙しいからちゃんとした分析や計画書を出せない」という話はだいたい、話半分に聞いておいて大丈夫である。そのような状況下ではスタッフ部門の人員、とりわけ管理職やそれに準ずる中高年オジサンの頭数は思い切って減らした方が業務遂行能力も意思決定のスピードと的確性も向上する。スタッフ部門のパラドックスはインテリが多い組織ほどその深刻さを増す。』

耳が痛い・・・・

『その極致が政府の官僚機構である。大雑把にいうと、この手の中高年インテリスタッフ比率の高い組織では、上のほうからスタッフを半分くらいに減らしてもほとんど障害は起きない。以前ミスミの創業者である田口弘社長(当時)から「人が足りないという部門からはむしろ人を取り上げたほうが本質的な効率改善が進むものだ」といわれて「うーむ」と頭を抱えたことがある。田口さんはこのようなパラドックスを見抜いていたのであろう。』

物凄く耳が痛い・・・・・

ISBN978-4-478-00070-0 C0034 \1500


・「満鉄全史 「国策会社」の全貌(加藤聖文著、講談社選書メチエ)」

満州国が成立して満業(満州重工業開発)が設立された後の鉄道会社としての満鉄ではなくて、日露戦争後に獲得した南満州の権益からスタートした国策会社としての満鉄の歴史を書いてますので鉄道マニア向けではありません。昭和史の本はよく見ますが、日露戦争から満州事変までの日本史に関連する本(かつあまり重くないもの)は意識して探さないと見つからないので、これは中々(ただし読者はかなり限定されるものと思われ)。

筆者あとがき部分の「エピローグ」から。本書207ページより引用。

『残念ながら近代の日本が国家として希求した国策は、場当たり的なものでしかなく何の統一性もなかった。松岡(引用者注:松岡洋右満鉄第14代総裁、のちの外相)は「満蒙は日本の生命線」と唱えたものの、では具体的には何をしなければならないのかについては、誰も明確かつ合理的な答えを持っていなかった。松岡や石原(引用者注:石原莞爾関東軍参謀、のちの陸軍大将)のように個人にせよ関東軍や外務省のような組織にせよ、それぞれが勝手な国策を唱え、総論賛成・各論反対の足の引っ張り合いを繰り広げるなかで日本の満州支配は進められていった。そして、その場当たり的な国策があらゆる民族に限りない悲劇をもたらす結果を招いたのだ。』

『しかも強力な指導者や指導層によって進められたわけではなく、国策に関わったものたちがいずれも部分的な役割しか果たしていないこと、さらには足の引っ張り合いによって誰もが多かれ少なかれ不満を抱えていたことがかえって責任の所在を曖昧にし、今日まで日本人の意識のなかに底流しているのだ。こうした日本がかかえる根本的な問題をわれわれのまえに指し示してくれる具体的な象徴が、国策を遂行する機関として生み出された国策会社であり、その最たるものが満鉄だったといえるだろう。』

ISBN4-06-258374-7 C0321 \1600

#引用長くてスイマセンでした。。。










2007/10/18

お題「今日も何となく雑談になってしまいますが」

米国10年10毛強に3か月23毛強キター!

○皆さんショートだったんですねえ

昨日の債券市場は米国の株安やら国内の株安やらインド株式市場が急に大下げしやがったなどのような外部要因はあったのですが、あのそれにしてもそこまで上昇しますのかいなという威勢の宜しい相場になりました。何せ先週の金曜日に5年国債の入札があったわけですが、木曜の5年カレントの引けは1.28%とかやってた筈なのですが、昨日の5年カレントは1.165%だの1.17%だのということで、あのちょっと先生巻き戻しにも程があるという感じでございます。

まあ一応株安が原因って話になるんでしょうけれども、それよりは「買いたいけど様子見地蔵」な人が世の中多いからこういう話になるんでしょうなと思う次第でありまする。即ち「押し目で買いたい」→「でも買って下がると具合悪いから下がってる時は様子見」→「止まったのを確認して買いましょう」というのはまあ別にそれはそれでアリな話だとは思うのですが、そーゆー人が多くなると何が起こるかと申しますと、ここもとのように「買いが急に来たので」状態になりやすくなり、上る時の速度が速くなりますと言う事ではないかと。それにしてもこの速さはちと何と申しますか目がテンなんですけれども。。。。。

ま、要するにマーケット全体がショート(買わなきゃいけない状態で押し目待ちをするのもショートですから)ばっかりという状態になってるので、「下げる時はダラダラ」→「何かのネタで反発すると急上昇」という相場になりやすくなるのではないかという感じですわな。よく「上げ100日で下げ3日」などという相場格言(でしたっけ?)があるように、参加する人たちのロングが徐々に溜まっていって何かの拍子にロング総投げで急落ってパターンがございますが、そこまでは行かないにせよ、ちょうどまあその逆モードになっているということでありましょうな。ナンノコッチャという感じでもありますが、昨日はグングン上昇する相場に「いやあ皆さんそんなにショートだったんですねえ」と落涙を禁じ得ない動きでございました。今日も米債急騰して帰って来てるんですが(涙)。

ちなみに、じゃあ何でマーケット全体がショートかと言うと、そりゃまあ多分投資家の書いてる説明用紙芝居の9割くらい(というか多分全部)には「経済が緩やかながらも拡大しているので政策金利を含めて金利は緩やかな上昇傾向」って絵が描いてあるるからでしょうとしか申しあげようがございませんな。何となく相場が売られているときは紙芝居どおりですから、そこで逆張りしてそのまま下がろうものなら「お前は何をやっとるんじゃ」となる訳ですからね(^^)。実に悲しい説m(以下激しく自主規制)。

#そもそも多くの人が考え付くのと同じ発想&行動で相場に勝てるほど世の中甘くはないのですけれどもねえ



○3か月FB入札とか

昨日申しあげていた3か月FBでございますが、入札前の前場引け段階で0.61%センターで入札は0.609%平均の0.615%足切りとなって引けは0.60%挟みということですからまあまあの入札でございましたとなるのかと思います。

と申しますか、昨日もうだうだ申しあげましたようにこの辺りのイールドカーブが見事なまでに階段状になっていてカーブとは言い難い形状になっておりますもんで、何のことやらという感じではございますが、まあそれは兎も角として先週2発の入札でゲロゲロになってたFBはありゃ何かの幻でしょうかという感じで、すっかりまあ落ち着いた事よという感じですな。

ただまあGCレートとか下がったと思ったら上ったりするし、何かこうここもとチョー短い所でのマネーフローが正直わけわからんのでして、FBのわけわからん利回り形成もその辺反映してるのかなあとか書いているのは思いつきで何の裏も取ってませんすいませんすいません。より「利回り見て持ちきり投資」の意味合いが強いCPのレート見てると年末越えプレミアムもしっかりとついているし、一応利上げリスクを反映してイールドカーブらしきものがありますので、多分FBとかGCとかがちょっと今までの発想だけではよくわからん部分があるんじゃないかなあとか漠然と思うのでありました。



○そのマーケットコメントは如何なものかと

ちょっと前に害債さんの所で某ベンダー様の出来の宜しくないインタビュー記事への苦言があった訳ですが(→http://ensaigaisai.at.webry.info/200710/article_6.html)、同じベンダー様の金利市況解説記事(「金利マーケットアイ」ってお名前なんですが)を見て思わず飲んでいる茶を噴きそうになりましたよ。

『<12:50>FB落札金利が小幅上昇、入札ラッシュや年末越えで』

という部分で、まあ色々と書いてあるのは良いのですが、その水準についてのコメントで・・・・・

『短国に対する余剰資金の運用需要は根強い中、「利上げ時期を気にしなければ、0.6%台は買える水準」(邦銀)という。』

というのがございましてぶっ飛んでしまった次第(^^)。ちなみに入札の札入れ後の11:55の記事でも『「利上げを加味しなければ、0.6%を超える居心地のいい水準になっており、投資家の買いが戻っている可能性もある」との指摘があった。』って書いてあるからまあ同じ人のコメントなんでしょうけれども、ちょっとそのコメントしたのどこの誰だと小一時間問い詰めたいのですけれども。もっと長い金利見てる人だったら政策金利が11月に上昇しようと12月に上昇しようと本質的な問題ではなくて、全体的な方向性とかが大事ですからねえとかコメントしても何らおかしくない(というか足元何月かを気にし過ぎじゃろと)のですけれども、あのFBは国債だけど短期金融商品ですが、その購入に「利上げ時期を考慮に入れない」ってどんな勇者だよと(笑)。

というかこんなコメントを記事にしちゃう編集も編集。あたくしが極めて勝手に妄想するに、この超越コメントを出した人も恐らくこんな趣旨の話をしてたんじゃなくて、「年内の利上げが無いという見方であればこの水準でも何とかなるでしょう」という趣旨のコメントをしたのに、聞いた方が脳内伝言ゲームによって上記のような話に改変してしまったという事なんじゃないかと思うのですよ。

ちなみに、先週の2か月FB入札の結果を紹介してた同じ市況解説コーナーでは「2か月FB落札金利が急低下」とあり「何を書いとるんじゃこいつは」と思ったら比較してたのが8月に行われた2か月FB入札(利上げ確実とか言って足切りが0.77%まで流れた奴)と比較して急低下とか。大丈夫ですか某社さん。


○サブプライムの問題先送り話

そもそも論としてプレーンな物が大好き(オプションくらいまでは手を出しますが)なあたくしは仕組商品と聞いただけで自動的にシャッターが降りる設定になっておりますので、ど〜も本件に関してはよー判らんという不見識発言をする訳ですが、同じく害債さんのこのエントリーをスタートにして勉強したいところでございまするという要するに人のエントリー紹介でありました。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200710/article_11.html
スーパーコンデュイット、M-LEC=SIV資産買取機構

ちなみに本石町日記さんの最新エントリーでもこのネタ
http://hongokucho.exblog.jp/7589624/
共同債権買取機構を思い出した=サブプライム支援基金

このスキーム、直感的に飛ばしっぽいと思ったのですが、どうもやはり飛ばしのようでございますな。人の国の時は散々批判して手を突っ込んでおいて自分の所では時価評価も誤魔化して問題先送りで清算しないとはさすがはダブルスタンダードのジャイアン国家でございますなあと思うのでありますが、逆に言えばそのジャイアン振りが露骨なので正直者と言えば正直者なのでありまして、腹黒紳士の人たちとは違うもんですなあという所でもございます(^^)。











2007/10/17

お題「とっかかり材料もあまりないので雑談」

○入札が順調になって参りましたが

先に短い所のお話をしますと、昨日は1年TBの入札。こちらは1年ものでありますので当然の如く来年の10月償還ということで期末を2回越える(と書くと変ですな^^)こともありまして既発の1年TB425回よりは結構ハンデがついてしまいました(425回はショート銘柄になってるという要因もあるのですが)が、とりあえず前場引けの0.73%−0.74%の気配から落札結果は平均が0.728%で足切りが0.753%ということでまあ一応流れずに済みましたなという感じ。その後もさすがに0.7%乗せでは確りしてたようで、0.71%の出合いとかもあったようでまあ一安心(日本相互証券の引けは0.715%ですが)という感じですかね。先週は2か月FBと3か月FBが連日流れるの巻でしたのでまずます。

長いほうに関してはより順調という感じでして、金曜入札ということで鬼門かとも言われてた先週の5年国債入札は順調に終了して落札後も中期堅調でしたし、昨日の30年国債入札も順調で落札後ブルフラットという展開でして、ついこの前まで入札の度にヘロヘロになっていた悲しいパターンがとりあえず終了したようで誠に結構な話です。

とは申しましても、昨日の1年入札に見られるように、そもそも入札の前にヘッジだか何だか知りませんが、それなりに頑張って当該ゾーンの水準訂正をしてから入札を迎えるので、そりゃまあ入札確りしてくれよという感じでもありますけれども(^^)、まあこんな感じで入札やってくれると業者も投資家も気分宜しいのではないかと存じます。


てな訳で本日は3か月FBの入札が実施されるのですが、WI取引の引け値0.63%はまあシャレと致しまして(苦笑)、既発の479回債が0.60%で、月曜実施の1月29日エンドの共通担保オペが0.62%足切りでしたから、まあ既発にちょっと乗せた程度で決着すればこれもまた順当と言った所でしょう。あんまり注目されそうも無いですが一応注目しておくのであります。


○まあ展望レポート待ちなんでしょうけれども

という次第で入札も相場も何となく落ち着いている訳ですけれども、さてこの間何がありましたかと考えますと金融政策決定会合がありましたなあという位しか思い浮かばないのでありますけれども(汗)、何だかんだと言ってもまだ市場的には日銀のスタンス気になってたのねえと思った次第です。特にチョー短い所を中心に見てると全然こう金融政策に関する織り込みというか思惑が盛り上がらない昨今でありますので、(先週のFB入札が流れたのはどっちかと言えばそこまでの利回り低下がやり過ぎだった面が・・・)ちと個人的には意外感がございましたんですが。

須田審議委員講演→岩田副総裁講演→金融政策決定会合→支店長会議にさくらレポートという一連の流れを見ておりますと展望レポートも下方修正とは言いませんがヘッジ入りまくりになるでしょうなあという所で、そんなにサプライズな展望レポートが出るとも到底思えないのですが、先ほど申しあげたように「何もないと思うけど決定会合通過しないとどうもねえ」というような動きがございますと、今回もまた展望レポート待ちとか言って何か動くのか動かんのかワケワカランという動きになるんでしょうかね。

適当にダラダラ動くけど暫く経って見直してみると結局同じようなところにいますなあという相場展開が続くとなりますと、時間が経過する分だけ様子見は分が悪いと思うんですけどね。


ところでしつこく展望レポートの注目点についてお話を致しますが、ちょっと注目しているのはいわゆるダム論みたいなロジック構成を今回も続けるのでしょうかというのがございます。先日の決定会合後の総裁記者会見での総裁発言を再掲しますが、こういう話が出ているのはもっと注目されて良いような気が。

『グローバル化の中での経済の成長は、国際競争圧力が経済の色々な面に強く浸透してきますので、企業所得が家計部門に満遍なく均霑するという従来の経済と同じパターンではなかなか動き難い、つまり平均してみると家計部門への――特に賃金を通ずるルートでの家計部門への――還元というのが幾ばくか弱目に推移する──想定よりも非常に離れているわけではありませんが──という面があることは事実です。』

タカ派最右翼の福井総裁がこういう発言してるとなりますと、やっぱりまあダム論如何なものかという感は否めないので、ダム論的なロジック(ダム論というと「それは違う」となるので歯切れが悪くてスイマセン^^)がどの程度トーンダウンするのか、で、ここがトーンダウンするとフォワードルッキングでどうのこうのっていう見通し部分にも影響してくる話でありますので、このあたりのロジック構成がどのように変化(あるいはヘッジクローズが入りまくる)するのかを見たいのでありまする。


○1月償還とか4月償還とかの段差について

またエライ勢いで細かな話ですが(^^)。

まあFBでもCPでも何でも良いのですが、チョー短い所の利回り水準を償還順に並べますと、12月と1月、3月と4月のところで妙に段差がありやがりますなあという感じです。例えばFB(とTB)の引けを並べると12月償還までが0.55〜0.56%でほぼ水平でして、1月償還のところで0.59%に飛んで3月までが0.59%〜0.60%でこれまた水平、4月償還になると0.64%〜0.68%位で何となく一応傾きがあるのですが9月償還が0.665%で10月償還が0.715%とここでもワープ。

まあ一応年末越え、期末越えのプレミアムが乗っかっているといえば乗っかっているのですけれども、本来的に言えば期間中の現先コストなどが一定で期末越えのプレミアムが乗るという価格形成をしていれば、期間が長い方がプレミアム分が分散されるのでレート低くなってもおかしくないですし、逆に利上げを適宜織り込んでいるのであれば、こんなに綺麗(??)に階段状にはなりませんなあと思うのですけどどんなもんでしょ。

では何でこういうある種珍妙(でもずっとこうなっているのであまり違和感が無いのがアレですけど)な価格形成になっているかと申しますとこりゃまあひとえに需給のなせるわざでしょとなる次第でして、恐らくは「12月償還までなら買えるけど年末越えはまだ買えない」とか「3月償還(以下同文^^)」という人が世の中に結構おいでになるのが原因なんでしょうなあという所です。

・・・・・うーむ、中々こう「イールドカーブ」になりませんなあ。結局は短期に関しては相場が亜空間に入ったままだということなんでしょうけれども・・・・

#雑感と雑談ばかりで恐縮でございます






2007/10/16

お題「トーンダウンの香りがしないでもない訳だが」

東京地方も朝晩冷えるようになってきましたね。

○全体的に思うのですが

昨日ご紹介した先週の総裁記者会見では、所謂「ダム論」をしらっと否定までは行きませんが、「ダム論通りに行ってませんわなあ」というコメントをしておりましたが、今回のさくらレポートではいくつかの地域で判断を下方修正していますし、支店長会議での総裁挨拶からはやる気満々振りが窺えないと思える次第でありまして、まあ何と申しますかトーンダウンの予防線を張っている感じがプンプンするのですが気のせいでしょうか?

でですな、月末の決定会合で展望レポートが出る訳ですが、こちらに関してはさすがに金融政策の方向性(経済実態に合わせた政策金利の調整っていういつもの話)や、景気の見通しに関する基本的な見方(緩やかに回復)を変えるとは思わないのですけど、景気の現状や先行き見通しに関してヘッジクローズてんこもりのレポートになるのではないかと想像が逞しくなる次第なのであります。

#ま、それはあたくしの勝手な想像なので外れてもそんなの関係ねえということで勘弁してください(^^;


ということでさくらレポートから。

全文を読むとこれは中々オモロイのですが、まだ全文読めておりませんでまとめ部分と本文の総括部分しか見てないので甚だ恐縮でありますが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0710.htm(まとめ)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0710.pdf(全文)


○さくらレポートのトーンが落ちております

まとめページでも本文の冒頭でも良いのですが『T. 地域からみた景気情勢』っていう初っ端の文章。

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、ほとんどの地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』(今回のレポート)

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』(7月のレポート)

読めば一目瞭然ですな(^^)。まあこういう感じでしらっと全体のトーンが下がっているのを読みますと、これまた前にご紹介した9月の金融経済月報で表現が微妙にトーンダウンしてたあたりからの一連の流れですかなあとか思う次第。まあ勝手読みのような気がしますけど(^^)。


んでまあその続きですが。

『すなわち、輸出は増加を続けており、設備投資もすべての地域で引き続き増加傾向にある。こうしたもとで、企業の業況感は、幾分慎重化しているものの、総じて良好な水準にあるなど、企業部門は好調さを維持している。』(今回のレポート)

『すなわち、輸出は増加を続けており、設備投資もすべての地域で引き続き増加傾向にあるほか、企業の業況感も多くの地域で良好な水準にあるなど、企業部門は好調さを維持している。』(7月のレポート)

どう見てもヘッジクローズ入りです。本当にありがとうございました。

『また、家計部門については、個人消費が、雇用・所得環境の改善傾向を背景に、底堅く推移している一方、住宅投資は、足もと、改正建築基準法施行に伴う着工の遅れ等から、すべての地域で減少している。この間、内外需の増加が続くもとで、生産も増加基調にある。』(今回のレポート)

『また、家計部門については、個人消費は、雇用・所得環境が改善傾向をたどるもとで、底堅く推移している一方、住宅投資は、足もとでは弱めの動きとなっている地域が多い。この間、内外需の増加が続くもとで、生産も増加基調にある。』(7月のレポート)

個人消費部分の「改善傾向」というのと「改善傾向をたどるもとで」のどっちがトーンが強いのかという話はさすがにワカリマシェン。何となく言い切っている今回の方が強い気はするのですがどうなんでしょうか教えて中の人って感じですわな(^^)。

住宅投資に関しては建築基準法関連の特殊要因が入っているのでまあこれはこんなもんでしょう。で、その次。

『こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向ないしは「横ばい圏内」にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。』(今回のレポート)

『こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。』(7月のレポート)

ま、総括判断に「横ばい圏内」が入ったのですからその部分が追加されるのは当然ですが、引き続き地域差が見られるというのは引き続き変らずでございますわな。

んでまあさくらレポートは実はこの部分よりも中身が物凄く面白くて、毎回いくつかのトピックスをピックアップして『地域の視点』として紹介しているのが非常に面白いのですよ。で、これを読んでまたネタにしようかと思ったら早速本石町日記さんのエントリーがございました(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7581091/


○総裁挨拶要旨

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/siten0710.htm

ま、こちらも当然ちゃあ当然ですが項目が一個追加。

『米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発して、国際金融資本市場において不安定な状態が続いているほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性がある。したがって、国際金融資本市場および世界経済の動向は、引き続き注視する必要がある。』

ということで、こっちもトーンダウン気味でありますわな。

あとまあホームページとかに出てこないと思いますが、大阪支店長や名古屋支店長のコメントとかもややトーンダウンの感じがしたのでありますが、手元に資料がないので脳内メモリーで書くのも如何なものかと思うので割愛しますけど、情報ベンダーのヘッドラインを見ておりますと、「何かこう全体的にヘッジ入ってますなあ」という感じが致しましたです。



○他の話を少々

・担保掛目の話

先般の金融政策決定会合で共通担保に40年国債を導入するどさくさで掛け目に関して見直しが行われてましたなあという話をしたのですが、読者様から「今回は定例見直しと40年国債導入対応がたまたまぶつかったので40年国債対応のどさくさで掛け目変更したように見えるだけではないでしょうか」(意訳)というご指摘を頂きました。

確かにご指摘の通りでして、昨年の10月にも見直しが行われているのでありました(汗)。でまあその時の公表資料にも『原則として年1回程度の頻度で、金融市場の情勢等を踏まえた検証を行い、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする』とございました。ご教示大感謝であります。

#だから10月に定例見直しするんですかな。


・積み最終日の話

何かコールが上昇してT+0のレポが上昇しておりましたが、まあ最終日に年金定時払いがぶつかり、おまけに国債が発行超なので致し方なしというところでございましょうか。まあそれは良いのですが、その余波だか何だか知りませんが、午後に実施されただいたい3か月の共通担保オペの金利が先週水曜比足切りベースで1つ、平均ベースで1つ半くらい上昇してるのはナンノコッチャという感じ(そのせいかレギュラーネクストのGCも0.60%だったようですが)であります。1月償還重いんですかね。

ではでは。






2007/10/15

お題「総裁記者会見など」

○金曜の追加というか訂正

金融経済月報に関して金曜にご紹介しましたが、よくよく見ると本文全部同じじゃなくて1箇所9月と違っている所がありましたので訂正致します(汗)。

生産の現状判断部分ですが、

『内外需要が増加する中で、生産は増加基調を続けている。』(10月)
『内外需要が増加する中で、生産は、足もと横ばいながら、基調としては増加を続けている。』(9月)

となっておりまして、生産の現状判断元に戻しやがりましたですな。不覚にも見落としておりましたm(__)m


ということで総裁記者会見ですが、内容的には淡々としたように字面からは読めます。要は展望レポートをお楽しみにって事かと。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0710b.pdf

○サブプライム問題関連

3ページから。

『前回の金融政策決定会合以降、米欧の金融市場ではいくつか改善の動きがみられていますが、全体としては、なお不安定な状態が続いています。一言で言えばそういうことであります。』

『まず第1のクレジット市場の機能の改善という点ですが、(中間割愛)これらの市場の機能は引き続きかなり低下した状態にあります。』

『それから2番目の着眼点、金融機関のディスクロージャーによる相互の信頼回復についてですが、(中間割愛)短期金融市場では銀行間のレートはまだ高止まった状態が続いており、正常な状態に戻ったとは言えない状況であります。』

『3つ目の着眼点、企業金融全般についてですが、これは引き続き円滑に行われていると言えると思います。』

『このように、米欧の金融市場では、幾つかの改善の動きがみられますが、全体としてはなお不安定な状態が続いています。』

ということですが、一応この流れの中で『これまでのところは、世界経済全体は地域的な拡がりをもって拡大を続けておりますので、影響は最小限に留まっていると思いますが』としていますので、サブプライム問題に関しては注意して慎重に見ていきますが、それはそれという予防線は張っている点には留意が必要ですわな。


○短観で見られた格差拡大に関して

5ページから。

『今回の短観では、業況判断は一言で言ってしまえば全体としては良好な水準にあるということになると思いますが、その中でも例えば中小企業製造業は生産の伸び悩みとか原材料コストの上昇の影響などがあり、業況判断は3期連続の悪化となっています。』

『また、中小企業非製造業でも建設業や消費関連業種を中心に、構造的な調整圧力がかかり続けるもとで2期連続悪化しています。これらは継続的に出てくる新しい経済の姿の変化であり、今回の短観で何か新しい変化が屈折して出てきたというようには、私どもは理解しておりません。』

ということで、グローバル化の進展に伴う部分があるとは言ってますが、景気が今後拡大しないとこのままともなりかねませんのではてどうなんでしょうかねえという気はするんですが。

で、まあそれに関連するのですが、6ページ目ででCPIに関する質問に対してこのような話をしてるんですな。

『グローバル化の中での経済の成長は、国際競争圧力が経済の色々な面に強く浸透してきますので、企業所得が家計部門に満遍なく均霑するという従来の経済と同じパターンではなかなか動き難い、つまり平均してみると家計部門への――特に賃金を通ずるルートでの家計部門への――還元というのが幾ばくか弱目に推移する──想定よりも非常に離れているわけではありませんが──という面があることは事実です。』

結果としてそうなってないから仕方ないところではありますが、これって要するに所謂ダム論を否定しているようにも見えますがどうでしょ。というかそもそもいわゆるダム論自体に無理があったんでしょうけれども、これは日銀だけじゃなくて政府の経済政策においても同じ指摘ができそうですけどね。企業サイドを活性化させると経済全体が底上げされて個人所得にも波及ってのはまさにこれまでの流れだったと思う訳で。


○CPIに関連して

CPIに関連した質疑応答はやたら多い(当たり前ですが)のですが、まずは生活意識アンケート絡みの質疑から(7ページ)。

質疑応答が長いのですが、最初にまず福井総裁はこのように発言してます。

『金融政策はマクロの経済政策ですので、GDP統計とか物価指数とかその他の経済指標、マクロの経済指標から目を離して、感覚的に判断するというわけにはいきません。』

そりゃそうですな。

『やはり消費者が感じる物価感というのは非常に正直なところがあるというのは今ご指摘のとおりです。』

という所だけヘッドラインで打たれてたんですが、市場はあんまり反応してませんでしたね。

『私どもが消費者物価指数を見ておりましても、これを品目別に細かく見ていますと、昨年から最近までの1年間くらいを振り返ってみても下落する品目よりは上昇する品目が刻々と増えてきています。特に最近はおっしゃったように食料品その他生活者の身の回りに関連する品目の上昇が次第に目立ってきています。』

『従って、生活意識アンケート調査を見ますと、大掴みに言って、経済の状況が一頃より少々悪いのではないかという感じになっているわけですが、その背景を探ってみると、物価が上がり始めている、特に身の回り品が上がり始めているではないかということと、どこかで連関しているようにも読めます。』

これはスタグフレーションキター!の懸念がありますがなというお話にもなるように思えますにゃ。でも最後にはこんな結論になっているので、最初のアレは何だったんだという気もするのでした。

『物価指数で見る物価は、マクロの判断として基本としてこれは欠かせないと思いますが、人々の物価感はどうかということは、私どもがフォワード・ルッキングに経済を理解していくためには非常に重要な点ですので、そこのところも十分織り込みながら金融政策の判断につなげていかなければならないと思っています。』

『物価指数は微動だにしない状況で今動いていますが、人々の物価感はかなり変化が始まっている可能性があるとみています。』

結局全部通して読むと、やる気があるのか無いのか判らん・・・・


○この質疑応答はワロタ

6ページ目なのですが。

『(問) CPIがなかなかプラスに転じずに7か月連続でマイナスが続いていますが、これは当初の日銀の考えに比べ見通しが少し狂っているということでしょうか。回復してくるのが後ずれしているのでしょうか。目先はゼロ近傍が続き、先行きはプラス基調といつもおっしゃっていますが、いつまで経ったら転換するのでしょうか。どこまで経っても目先なのかなという感じもするのですが、いかがでしょうか。』

まさにあがるあがる詐欺(失礼)というご指摘を頂いておりますが。

『(答) 数字を一生懸命ご覧頂いて、目もお疲れになるでしょうし、大変恐縮していますが、ご質問の点は、もう少し我慢強くみて頂ければという感じです。そう遠からずCPIはプラス基調で推移していくようになるだろうとみています。(以下割愛)』

茶を噴きそうになりました(^^)。


まあ全体としては今回に関しては利上げに関して淡々としているという印象が強く、前のめり感が全然無いというのが特色だったと思います。










2007/10/12

お題「金融政策決定会合あれこれ」

拳闘で投げ技をする選手の切腹マダー(・∀・ )っ/凵

○全体的には「拍子抜け」ですかね(拳闘ではなく決定会合^^)

昨日終了した金融政策決定会合。市場の中の人たち的には今週になって「反対票が増えるのではないか」とか「ちょっとタカ派っぽい話が出るんじゃないか」というような期待というか不安というか、まあちょっとした思惑モードも入っていたような感じでありましたが、金融政策決定会合の票決も金融経済月報も9月と同じだわ、総裁記者会見は比較的穏健(に見える伝えられ方)だわという結果。

いやまあ別にそんなに慌てて利上げするこたあねえ(今利上げして将来に発生する問題の責任を押し付けられるのは上手くないでしょ)と思うので、この結果それはそれで良いのですけど、何か拍子抜けといえば拍子抜けな結果になりましたなという所でしょうか(^^)。

という訳で妙な盛り上がりは何だったんでしょうかという所でありますが、そもそも論として最近は「日本が利上げできるかどうかは結局海外次第でしょ」ということでサブプライムとか米国や欧州の金融政策がどうなるかとか、そっちの方が気になる中で衝撃の雇用統計過去分まで上方修正攻撃が来たので盛り上がってみましたという所だったんですかね。

ま、株高と円安もでかいと思いますが。



○決定会合が微妙に時間が掛かったので

昨日の金融決定会合の結果発表は13時半をちょっとだけ回りましたが、ここんところの決定会合は票が割れた場合でも13時前半に結果が公表されてたので、もうちょっと長くなったらより思惑が広がったかも知れません(^^)。と言ってるあたくしも「おやこれは時間掛かってますなあ」とか思い出して「何も無いとは思うけど、何かあったら笑えますなあ」とか雑談してる頃に決定会合終了という感じでした。あははのは。

そんな事もあったのかどーかは知りませんが、後場に入って債券先物が微妙に弱く推移してまして、決定会合の結果が何の事は無い8対1で現状維持だったということでいきなり買い気配になって値段が10銭ほど飛んでしまったのには微苦笑と言ったところでした。

決定会合のケツの時間が決まってないので、時間が掛かると色々と思惑が生まれるというのはこりゃまあ仕方ない部分がありますが、とは言えケツを常に一定にすることによって議論が途中で打ち切りになりましても宜しくない(何も無いのに延々とやるのも不経済ですし)というのは確かでありますので、こればっかりは今のやり方で進行する分には致し方無しの巻ではあるんでしょうな。

ということで、決定会合は出来るだけ13時くらいに終わらせるようにして下さい(^^)。

ちなみに最近の履歴はこちらをご覧あれ→http://www.boj.or.jp/theme/seisaku/kettei/index.htm


○金融経済月報は見事に変化なし

の一行で終了になってしまうところが甚だ困る訳ですが(^^)、今月の金融経済月報(基本的見解)は10月の短観を受けた企業の景況感の部分以外は9月分と全く記述は同じです。

最近は展望レポートや中間評価のタイミングで判断をいじってくるという観が強いので、今月末にもう一回ある決定会合で出てくる展望レポートの方が注目されるっちゅうことになるのでしょうな。

一応10月の月報はこちらです。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0710.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0709.htm

9月の月報と比較するといういつもの事をやろうと思ったのですけど、最初に申しあげた通りでございますのでこの際ヤケクソで短観に関わる部分を過去の月報と比較してみましょう。

・短観に関わる部分

『企業の業況感も、部門によって慎重さはみられるが、総じて良好な水準を維持している。』(10月)
『総じて良好な業況感が維持される中』(7月)
『総じて良好な業況感が維持される中』(4月)

ヤケクソで並べてみたら、今回の短観に関して日銀は慎重な評価をしているというのが判って誠に結構でありました(^^)。


○その他少々

・総裁記者会見

詳しくは今日アップされる会見要旨を見ましょうということになるのですけれども、今回「ほほー」と思ったのはブルームバーグニュースの記事見出しでして(^^)、総裁会見内容を報じるニュースのお題が、

『福井日銀総裁:金融市場は幾つか改善の動きも全体として不安定』

となっていまして、一目慎重な印象を与えますわな。ただまあ人々のインフレ期待というか懸念というか、物価観の変化がどうのこうのという所に言及した(というかさせられてるんでしょうが)あたりがちょっと「ほー」と思うところでもありますが。

・「適格担保取扱基本要領」の一部改正等について

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/k071011b.pdf

40年国債対応ということになってますが、よく見ると微妙に掛け目があちこちで変化してるような気がする(まあ1%とかの世界ですけど)のですが・・・・・












2007/10/11

お題「3か月FBも流れました」

○3か月FB入札

昨日は3か月FBの入札が実施されました。前日に2か月(50日ものでありまして、昨日の3か月が98日ものなので実は1か月半VS3か月と言った方が良いような気も)もののFBが存外流れて0.555%レベルになり、既発の12月償還ゾーンも0.55%レベルに上昇したのですが、3か月FBに関しては前場時点では0.575%−0.58%レベルとなってました。

いやあの12月利上げの可能性とか、年末越えの翌日物が1週間あるんですけどその12月ものと1月もののバランス(年末越えプレミアム)はそれで良いのかという感じではあったのですが、まあニーズあるんですかねえとか思ってたら最後の最後に0.58%になってたようなんですが、まあそんなところで入札。

で、結果の方はと申しますと、平均落札は0.589%レベルだったのですが、足切りが何と0.602%レベルということで、テールが1毛5糸近く流れやがりましたですぅという結構ビックリの結果。まあ元々の水準がやたら強かったというのは確かなのですが、期末どころか期初になってもアフォのように強かった先週の動きは一体全体何だったんですかと(゜д゜)ポカーンでございます。

んでまあ結局終わってみれば新発FB479回は0.60%の引けでオファーサイドということで、足切りにかなり近い所までヘロヘロになってしまいました。発行日が15日なので云々とかいう指摘もあるようなのですが、別に償還ロールなんですからんなこたあねえと思う次第でして、まー今まで何が何だか判らんけどやたらめったら短い所へのニーズが利回りケンチャナヨで入ってきたのが剥落しましたなあと言うところだと思うんですけど、それにしても今週入って2日で5毛近く居場所を訂正とは雇用統計衝撃の上方修正があったとは言えちょっとビックリであります。

とまあこうなりますとGCレートの方も上りやがる次第でして、15日はそもそも年金定時払いの絡みで金の動きがでかく、資金繰り上はやや取りニーズが強くなる所な上に新発FBが業者の持ちになってしまった(ようにしか見えない)ということで、0.58%レベルまで上昇して現先とかも0.6%近くにまで上昇したようで、これまた動きやがりましたなあという感じです。いやはや。


一応今日の金融政策決定会合を警戒する動きがあります(と言っても別に今日利上げがあると思ってる訳じゃなくて、現状維持反対票が増えて年内利上げが復活するんじゃないかという話です)というのもあるようですし、まあそもそも論として年度内利上げ全然無しという値付けで動いていた方が楽観(景気には悲観ですが^^)し過ぎだったのでその反動が来ましたと言ってしまえばそれまでなのでございますが、それにしてもあたくし的にはもうちょっと亜空間が続くと思ってたので少々意外感がありますな。

・・・・とか言ってたら今日の決定会合が8対1で亜空間が復活したりするのですが、笑。



○FBとTBの統合発行

先日の「国の債務管理のあり方に関する懇談会」で公表されていたのが政府短期証券と割引短期国債の統合発行なのですが、要するに発行する名前を統合して(中身はTBとFBがごちゃごちゃになる)一緒くたにしますよというお話。

まあ実務上はTBもFBも一緒なので別にこれはこれで特に問題が無いと言いますか、最近のFBは2、3、6か月ものが発行されるので回号を見ても償還が直ぐに判らんという(ど〜でも良い事ですが)業務上ちと困る次第だったので、これでちょっとややこしくなくなるかなあとか思ったのですが、よく考えたらTBFBが統合されるだけなので、償還順と回号順は一致しないのは変らないですな(というか1年が出るからもっとややこしくなる^^)、残念無念。

でまあ統合発行するのは良いのですけど、ちょっと気になるのは、この措置やっちゃうとFBの日銀引受を復活させにくくなっちゃうんじゃないかなあという所。いやまあ勿論今みたいに公募発行をしてくれれば運用とか担保とか便利なんですけど、金融調節の面から考えた場合FB大量発行してる分で短期の資金供給オペに負担を掛けてるように見えるんで、実は両建てを落とすという観点からすればFBの日銀引受というのも悪くはないとは思います(がレート設定どうするかで問題がありますか^^)けど(ただし昔の「FB売却」オペは勘弁)。

まあ実務上は特にどうということは無い話だと思います。


○さて決定会合

というわけで本日は金融政策決定会合なのですが、何かここのところ急に「今日は反対票が2票になるかも」という説が語られておりまして、まあほうほう左様でございますかという感じではありますが、いきなり全会一致で現状維持→全会一致で政策変更というのも何ですが、徐々に反対票が増えていくってえのも何だかこう妙な予定調和の香りがして、何でしょうかねえという気もしないでもないざんす。

まあ一応当たらない予想をさせて頂きますと、今回に関しては水野さんの反対(+利上げ提案)のみで、米国サブプライム問題が片付いている訳ではない(上方修正された雇用統計の結果から逆算すれば、米国はサブプライム問題を別のバブルで解決させるというバブルで飛ばし作戦に出ましたなあとしか言いようがないので)次第なので、もうちょっと様子を見るという話になると思うんですが。景気ウォッチャー調査とかあまり良くないですし、もうちょっとインフレ期待が出て、コアCPIが明確に上を向いてくるとかじゃないとちょっと理由に乏しいかと。

で、乏しい理由の下で利上げをかますとコレ幸いとばかりに全ての害悪の原因を日銀に押し付けられるのは必定でありますので、別に国内要因で今すぐ利上げするほどの状態でもないのに利上げを急ぐこたあねえと思いますけどどうでしょうかね。

経済情勢以外の話を予想要因に加えるのも何ですが、正副総裁人事もありますし、12月の決定会合は年末近くなので短観後ではありますがちょっと金利いじりにくいようにも思えますので1月って所なのかもしれませんけど、正直よーわからんです。

それから総裁会見に関しては特に変な話は出ない(ヘッドラインで妙な打ち方されるのは警戒が必要ですが^^)と思います。それより金融経済月報でサブプライムの話をどう取り扱うのか(華麗にスルーを予想)が注目されるんですけどね。

#ということで本日は雑談ばかりで恐縮














2007/10/10

お題「小ネタを少々」

えー、いちいちややこしいツッコミする気力も起きませんが、NY市場の後講釈してる某テレビ番組なんですが、個別市場の後講釈で言ってることが全然統一されてない(特に金融政策に関連する部分)のには正直呆れてしまいます。ま、出る人間の発言まで制御出来ないから番組制作サイドが悪いんじゃないんですけどね(^^)。

しかし雇用統計が上方修正される前のFOMC議事要旨で0.5%利下げが全会一致なのを好感するってもうアホか馬鹿かと思うのですが、多分それは後講釈に過ぎないと思います。まさかそこだけで反応してる訳ないっしょ。

要は「見てきたような後講釈」が如何にあてにならんかということですな・・・・ってあたくしのことですかそうですか(自爆)

#と思ったら公共放送さまでNY市場の数字の話した所で「この日公表されたFRBの議事録でインフレに対する警戒の記述が削除されました」(耳の記憶ベースですがそんな感じ)と一言で的確っぽい指摘が(^^)。


○2か月FB入札が妙に流れました

昨日は2か月FBの入札が実施されました。先週時点では亜空間相場もいいところだったというところでしたんで、12月4日償還だから格好のキャッシュ潰し銘柄かと思ったのですが、昨日は朝っぱらから年内償還物を中心にFBが弱くなりまして、12月償還ゾーンが軒並み1.5毛甘とかの0.545%オファーとかになりやがりました。

で、落札結果も平均0.551%相当で足切りが0.562%となったわけでして、2か月と言いましても実は50日ものなので1か月半ちょっとものなんで、このテールの流れ方は1厘5毛も流れるの巻ですんでまー流れましたなあという感じです。

結局最終出合いは0.555%ということで平均よりも下というイマイチの結果になりやがりましたが、既に12月3日償還の3か月FBがあるので今更この償還イラネとか、2か月FBは償還分が基本的にロールされないので大量に買うと償還金の再投資を行う時に(ロールが無いので)不便とか、まあ後付けでは幾つか理由は挙げられます。でも既発ゾーンが全般弱くて、特に年内償還物が弱いので、それだけではない事象が発生しているであろうという感じは致します。先週の年内償還何でも0.53%以内状態は一体全体何だったんでしょうかねえという感じです。

幾つか勝手にこじつけるとしたら、GCレポレート(レギュラースタートベース)が結局0.52%レベル当たりから下がらない(昨日は0.53%位ですかな)のに年内償還FBが揃って0.53%あるいはそれ以下という状態は何ぼ何でも変じゃろうということで外しが来たですぅとか、ここもとの金利上昇&昨日の朝方の下落を受けて1.5%台で戻り売りをかましていた人たちが買い戻しに入って見合いで持ってたFBあたりの外しが来やがりましたですぅとか、まーそんな後講釈は思いつくんですが、実際の所はど真ん中に居る人しか知らんがなと逝った所ですな(無責任)。

ま、本日は3か月FBの入札がございまして、こっちはまあいつもの入札になりますんで、いつものニーズもあるでしょうし、それ以上のニーズが有るのかどうか見極めるのには良い入札かと存じますです。


○ま〜少し長いところに金が戻ってきたということですかね

期末近辺から先週に掛けましては亜空間亜空間と申しあげていたように短い所では亜空間発生によりTB/FBはおろか高格付けの一般債も物凄い勢いで在庫払拭状態でエライコッチャになっていたというお話をしておりましたにゃ。しかしTB/FBに関しては先ほど申しあげたとおりで昨日には妙にモノが出てきたような気配(本当に出てきたのか、出たのが本当に昨日なのかは正直ワカランですが)ですし、ここもとの金利水準で事業債を中心とした一般債の発行が多いせいか、この新発一般債の購入見合いと思われる売却(と、月末月初のインデックス落ち銘柄外しもありますが)が出てきたような感じでして、長いところは比較的確り目の中で短い所は少々弱いというある意味絵に描いたような展開。

あまりにも尤もらしすぎる絵なので、たぶんこの講釈はどっかが間違っていると思うのですが(何たる理屈^^)、一応そういう感じで解釈しつつ、市場の中での資金の流れを注視したく存じます次第なのでありますです。


○意識調査関連雑感

景気ウォッチャー調査は相変わらず悪化してましたが、一方で日銀の生活意識アンケートを見ると生活感覚的な「暮らし向き」あたりは悪化してますが、雇用環境を見ると雇用不安の数字が微妙に好転してたり、物価意識に関しては改善というのかどうか微妙ですけれども「上がった」という数字がこの半年で大いに拡大しておりますという感じですな。

景気ウォッチャー調査までちとフォローできてないのでまあ見てて気になったら続編書きますが、物価上るわ景気は足踏みだわでは全く困ったもんですなあという感じではあります。ナムナム。

まーいずれにせよ今週の金融政策決定会合は動き無いでしょという感じであります。


○この正直者!

ちと古いニュースですが先週木曜の話。

13:42 04Oct07 RTRS:日銀の金融政策の間違いを実証する方向で勉強=自民金融政策小委

ということで、木曜に毎度お馴染み山本幸三先生が勉強会やっておられたという記事が出てたんですが(記事は日本語版ロイターから)、その中で山本委員長は委員会の位置づけに関してこのように仰せのようです。

『同委員長(山本さんね)は委員会の位置づけについて「いまの金融政策が間違っていることを実証する方向で勉強する」と明言。』

いやあ相変わらず先生正直者で宜しいですな。普通こういう勉強をして実証するのであれば、まずは本人の主張は兎も角フラットな態度で検討をした結果として「今の金融政策は間違っている」という結論が出てくるというのでしたら説得力が出ると思うんですけど、最初から結論ありきで実証するとか言い出されましてもそれはあの実証する態度として如何なものかと思うんですけど(^^)。

てか、日銀だけで経済状況をどうこうっていうのは何だかなという感じでありまして、所得税住民税の定率減税廃止などに現れたような「企業が儲かれば下々にも伝わる」理論で進んだ(ように見える)与党様絶賛ご実施でありますところの一連の税制改正とかの経済政策に関しての実証もしていただかないとフェアじゃないと思いますが、物価見るのにそんなの関係ねえなのかな?

記事によりますと次回はサブプライムローン問題に関するお勉強をするそうですが、それこそ金融政策と関係ねえ話でして、もし日本に影響あるというのであればバーゼルUとかの絡みになってくるので金融庁マター(日銀も絡んでますけど)になるんですけど・・・・・


まあ別に勉強するのが悪いとは思いませんが(全然フォローになってないですかそうですか^^)、山本先生初手から「日銀が間違っているのが前提」みたいな物言いしなけりゃ良いのにと思う次第でして、そういう時は建前でも「金融政策と物価動向の関係について実証する」とか一応「結論先にありき」みたいな印象を与えない言い方をした方が宜しいのではないでしょうか。まさに「この正直者!」といったところで、それが山本センセイの良い所でもあるんでしょうが・・・・・







2007/10/09

お題「岩田副総裁記者会見など」

期末期初にこう3連休を連発されますとどうにもこうにも調子が狂いますな。で、岩田副総裁会見の前になんぼなんでもこれはという雇用統計に悪態を(^^)。


○どう見てもイカサマです本当にありがとうございました

先週末の雇用統計。
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20071005D2M0502M05.html

どうせそのうちリンク切れになりますが、要するに雇用統計が良かったと言う記事。でまあそれはいいのですが、ご案内の通り雇用統計の過去分が上方修正されましたという話でありまして記事にはこのような記述が。

>8月の雇用者数は4000人減から一転して8万9000人増に改定された。
>7月の増加幅も6万8000人から9万3000人に変更された。

しかも改定されてるのが政府部門中心だそうですが、これは要するに「利下げを実行させる為に統計数値が悪くなるように操作しましたよ」ってことのようにしか見えない次第でありまして、これはもうどう見ても馴れ合いイカサマ統計です本当にありがとうございました。

という訳で、米国の雇用統計ってのは(ちゃんと記録とってる訳じゃないから体感的なもんですが)最近特に毎度毎度市場予想を外すような強烈な数字が出てきまして、しかもその数字が妙に政策当局にとって「都合の良い」数字が出てくるように思えるのでありまして、統計作成に恣意が思いっきり入ってるんじゃねえのかとか言いたくなるところであります。

ま、サブプライム問題でグリーンスパンがこの前「証券化したからやられを海外に押し付けられましたなあ(意訳)」という話をしてたのもそうなんですが、「制度を自分の有利なように使ってウハウハ」ってのも程々にされた方が宜しいのではないかと>メリケン様

#そういやどこぞの国のCPIでは基準年改定の際に誰も予想できない位にCPIが下が(ry


そんな悪態は兎も角岩田副総裁記者会見。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0710a.pdf

○思ったよりもハト丸出しではないですが

質疑応答の応答の部分がやたら長い割にはPDFファイルで9ページということで、下手に引用すると却って長くなってしまうと言う中々難しい(?)会見でありますが、トーンとしては先週末にご紹介した講演要旨と同様に、そんなにハト丸出しではないという内容。

でね、以下あたくしの勝手な妄想全開ですけれども、岩田副総裁がハトのトーンを何となくマイルドにしているのって、要するにボードの中でタカ派の勢いが無くなって、岩田副総裁が反対するであろう利上げの可能性が雰囲気として落ちてきているのが原因なんじゃねえのかとか妄想する訳ですよ。岩田副総裁が頑張ってハトを主張しなくても心配ないぜってことで(^^)。


○米国経済見通しとその影響

3ページ目から始まる質疑の部分からなのですが、岩田さんの説明って句点は多いのですが読点が少なくて引用しにくいですぅ。

『こうしたことを総合的に考えると、私自身は、アメリカが例えばリセッションになるとか、そういうことではないと思っています。おそらく言えることは、これまで考えていたシナリオについて修正すべき点があるとすれば、住宅投資部門の調整が1 年程度遅れているということではないかと思います。』

『こうしたアメリカの減速リスクがある下で、日本経済の先行きを考えますと、仮にアメリカ経済に減速があったとしても、現在中国向けとかアジア向け輸出のシェアが高まってきており、足許の数字をみる限り、アメリカ向けの輸出は減速しているのですが他の地域向けの輸出が伸びておりまして、結果的にかなり輸出の伸びは強い数字が出ているように思います。』

『全体として申し上げますと、アメリカ経済の先行きについて減速のリスクが従来考えていたよりも、やや高まっている可能性はありますし、金融市場の混乱というものが、先行きについての不確実性を高めているということは確かだろうと思います。しかしながら、そうだからといって、これまで我々が考えていたシナリオが崩れてしまうといった状況になっているとは考えていません。』

ということで、このあたりに関しては須田審議委員の認識と割と似ている感じです。しかし同じ話をしても須田さんがするとタカ扱いされるのが誠にアレでございます(^^)。

総じて言えば「日本の景気拡大の基本シナリオは崩れていないけど、時間はかかるでしょう」って所でして、まあ須田さん、岩田副総裁と立て続けにこういう話が出ていると言うことは政策委員会の方向性もまあこんな所なのではないかと思料。


○望ましい物価水準

与謝野前官房長官のインタビュー記事での発言『インフレ率を高く見積もって日本の税収を予想することは決してやってはならない』を受けて岩田副総裁に望ましい物価水準についての質問がありまして、それに対する岩田副総裁のお話が7ページ目あたりから。

『二番目のご質問はさらにもう少し踏み込んで、いわゆる物価安定ということについて、どのようにお考えかということですが、人為的に高めるということは決して望ましいことではないと私も思っています。』

『物価は、経済全体のファンダメンタルズの強さなどを反映して決まっていくものだと思っています。物価の上昇率については、中長期的な物価安定の理解ということで、ボードメンバーがそれぞれどのくらいが望ましいのかという意見を集約したところ、だいたい0〜+2%で、+1%前後で散らばっているというのが新しいフレームワークの考えです。私自身は、個人的な意見ですが、中長期的に考えて+1%程度になっていくことが望ましいと思っています。』

ほうほうなるほど。何かもうちょっとインフレターゲット導入みたいな話するかと思ったのですがちょっと意外ですわな。数値についてもまあ穏当な数字ですし。


○流動性と金融政策

最後の質問から。答えの部分は9ページ目。

『二番目の、流動性不安の問題についてどう考えるかというのは極めて重要な点です。』

『私の理解では、流動性不安というのは、言葉を替えて言えば、先行きの経済の不確実性を高める要因であり、流動性不安が続いている限り、先行きの経済は、そうでない場合と比べて明らかに不確実性が高まっているということだと思います。』

『その不確実性が実体経済に果たしてどの程度の影響を与えるのかというのは、数字で示すのは非常に難しいですが、方向としては、不確実性の増大が、実体経済の先行きに対するリスクをそうでない場合と比べて増加させるという意味合いは持っていると思います。ですから、先行きの実体経済に及ぼす影響をどの程度に見積もるかということが最も重要な点だと思います。』

ということで、流動性問題があるうちに利上げをするという選択肢は余程の先行き強気でもない限り(まあそんな状況で市場全体に流動性問題は生じにくいですが)難しいという結論になるんじゃないでしょうか。


週明けでボケてるので今朝はこの辺で。









2007/10/05

お題「岩田副総裁講演」

昨日の午後に新興市場(というか大証ヘラクレス)の銘柄が続々ストップ高になったのはありゃ一体なんだったんでしょ。

という話はともかく岩田副総裁の講演(挨拶)。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0710a.htm

正直あまり市場への影響はございませんでしたが・・・・

○全部読んだ感想というかまとめというか

ハト派と目される岩田副総裁ですが、今回の講演(挨拶)要旨を拝読致しますと、ハト丸出しというわけでもない感じ。乱暴に一言でまとめちゃえば「いやまあ先行き不透明な部分が多いですから慎重に慎重に」っていう所でしょうか(^^)。

会見の方では(会見要旨は今日アップされるでしょう)岩田さんの個人的見解というのも出てたようですが、講演の方は特に強烈な話もなかった感じでして、執行部の一員としてこう見ておりますってお話になってるんじゃないかなあと思うのでありまして


○サブプライム問題が米経済に与える影響

『国際金融市場の混乱の震源地は、アメリカ住宅部門における過剰投資にあります。この過剰投資の調整は、実体面と金融面の2つの径路を通じて経済活動に影響を与えています。まず、実体経済面への影響については、量、すなわち実質住宅投資と、価格、すなわち住宅価格の2つの面から考えることができます。』

ということで、この両面について岩田さんの指摘するところを引用致しますとこんな感じになるかと。

『住宅価格の下落は、2つの径路を通じてアメリカの実体経済に影響を与えることになります。第一の径路は、住宅資産の目減りによる個人消費への影響です。(具体的な数値の部分割愛)もちろん、この住宅資産の目減りは、株式保有による資産増加によってある程度緩和されます。また、賃金の増加による可処分所得の伸びが消費を支える可能性もあると思います。それでも株価上昇が限定的であるとすれば、家計の保有する資産が減少し、その分は個人消費にマイナスの効果を与えることになります。』

ということで要するに逆資産効果ですけど、米国の場合は住宅担保融資がホイホイ出る(らしい)ので逆資産効果も大きいんでしょうな。

『第二の径路は、金融面を通じるものです。住宅ローンや証券化された住宅ローンの担保価値が減少することにより、各種のファンド、投資ヴィークル、金融機関や投資家に損失が発生します。すでに住宅ローンの貸出基準は厳格化しています。さらに、サブプライムの変動金利ローンには、当初低い固定金利で出発しても変動金利への移行に伴って金利が大きく上昇するものがあります。この結果、ローンの延滞率や差し押さえが増加し、担保価値がさらに毀損する可能性があります。金融機関が蒙る損失額が大きい場合には、企業向け貸出や消費者ローンに消極的になることが考えられます。』

この第二の径路は金融面から消費への影響という意味では第一の径路にも繋がるものですなと思いますと、やっぱ問題は波及しやすいので先行きの見極めが必要ってお話になるんでしょうなあと思います。

ただまあ米国経済の基本的な部分まで下向きで見ている訳ではないことはその次の説明部分で確認できますので念の為。

『現在のアメリカ経済の状況は、住宅部門で調整が行なわれていることを除くと個人消費、設備投資ともしっかりしており、経済拡大を支えています。製造業の景況感も安定しています。ただし、これまで堅調であった雇用者の伸びは、8月に0.4万人減少しました。また消費者の景気に対する信頼感も低下し、設備投資の先行指標である耐久財受注も減少しています。これらは先行きの景気減速のリスクが高まっていることを示唆しています。』


○日本経済への影響

ここの部分で「ほほー」と思ったのは株価と為替について言及している点でございますな。「日本においてサブプライム関連の直接的な影響は軽微」という話をした続きにこのような指摘がございます。

『他方で、株価と為替レートには、他国よりも大きな影響が現れています。これは、日本の株式市場では外国投資家による売買の占める割合が高く、リスク再評価で損失を蒙った外国投資家が日本の株を売却したこと、および為替レートについては、ヘッジファンドや個人投資家によって投機的な円キャリートレード(レバレッジを効かせる形で円借入れをし、外国通貨建てで資産運用する取引)が行なわれていたことが影響しています。』

ほほう。

『株価の下振れと円高が持続するとすれば、先行き景気にマイナスの効果が生ずることになる点には留意が必要です。』

ということで、日本経済への影響という意味で株価の下押しと円高を真っ先に指摘してるのがちょっと「ほほう」って感じなのです。その次が米国経済の減速になっています。

『また、アメリカ経済が減速することによって、日本のアメリカ向け輸出が減少することになります。昨年夏以降、アメリカの住宅部門の調整は始まっており、日本のアメリカ向け輸出は減速していますが、中国を中心とするアジア向け輸出のシェアが高まっていることもあり、その影響は限定的なものとなっています。世界経済は、先進国を始め中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興国、さらには一次産品輸出国にいたるまで裾野の広い拡大が続いています。』

『中国のアメリカ向け輸出のGDP比率は7.7%とかなり高いにもかかわらず、足元の成長率は11%とやや過熱気味であります。日本のアメリカ向け輸出のGDP比率は4%と中国よりもはるかに小さいのですが、今回の回復局面における輸出依存度が高いこともあり、仮に先行きアメリカの減速度合いが強まり、欧州諸国でも景気が減速するとすれば、日本の成長率に下方リスクが生じ得ることに留意する必要があります。』


○今後の金融政策に関して

で、その次のセクションは日本経済の現状と先行きという話なのですが、こちらに関してはまあ順当なお話をしてまして、中小企業セクターの弱さに関する注目が高いのは須田審議委員の先日の講演と同じであります。

で、今後の政策に関してまとめの部分での説明。

『住宅部門調整が長引くことによるアメリカの減速、欧米金融市場におけるリスク再評価の過程で生ずる貸出条件の厳格化、原油価格高騰などの対外環境の下で、日本の設備投資、消費、賃金、物価が先行きどのような動きを示すのか注意深く点検する必要があります。』

『資産価格については、足元で円安修正が行なわれていますが、不動産・土地価格など資産価格の先行きについても、金融政策を運営する上での有用な情報変数としてモニターしていくことが必要です。』

ということで、まあ先行きは注意深く点検ということで須田審議委員の講演と同じく慎重姿勢と言ったところではないかと。ただまあ低金利政策の長期化に関する過大な期待が起きるのは勘弁という文脈のお話が次にある点については注意しときましょ。

『今回のアメリカ住宅部門の調整に端を発する金融市場の混乱は、資産価格の変動に対して金融政策はどのように運営すべきかという問題を提起しています。日本銀行は、2006年3月に公表した新たな政策枠組みにおいて、中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率である「物価安定の理解」を公表するとともに、二つの柱という枠組みを導入しました。すなわち、予測期間における短期的な見通しの点検を行なう第一の柱と、予測期間を超えるリスク点検に関する第二の柱です。』

えーっと、第二の柱は第一の柱(メインシナリオ)以外のリスク点検だと理解してるんですが・・・・・という話はここでは措きまして(措いてない^^)その続き。

『新たな枠組みの導入は、1980年代後半以降の資産価格バブルの発生と破裂、それに続くデフレという歴史的な経験も踏まえたものであり、第二の柱は、発生する確率は低くともそれが発生した場合には経済に与える損失が大きな事象に備えるためにも設けられました。』

で、途中を省略して最後の部分。

『これからも、「物価安定の理解」を念頭におき、中長期的な視野に立って二つの柱に基づいて経済の先行きのリスクをしっかりと点検しながら金利調整を行なっていくことが重要であると思います。』

ということで、この結論からしますと「いずれ金利調整するけどまあ当分は様子見ですよ様子見」というのが当面の金融政策の進め具合となるのでしょうかという感じっすな。

#うむ、今週末も3連休なのか・・・・









2007/10/04

お題「やはり亜空間のようで」

3か月FBの入札がありましたが・・・・・

○FB強ええええっすな

昨日はご案内の通り3か月(年末越えなので100日物です)FB入札が行われたのですが、前場の引けで0.570%−0.575%だったんですけど落札結果は平均落札でほぼ0.57%(0.5699%)とオファーサイドで足切りは0.5757%でしたが按分が1%ちょっとしかなくて実質的は1つ上にの札に対応する0.5739%となりやがりますので、まあ確りさんの入札でございます。

んでまあ日本相互証券の引けは0.565%とこれまた確りなのですけれども、既発のTB/FBがこれまた確りでして、相変わらず3月償還の471回が0.56%だったり、12月償還ゾーンが0.525%とか0.53%とかというような状況のようでございまして、現先やレポ金利の足し算と考えた場合に間尺に全然合いませんがなという水準に。キングオソロシス。

で、昨日は久々(よく見たら9月25日から一昨日まで毎日トムスタートの共通担保オペ打ってたのね)スポットスタートの共通担保オペが実施されまして、こちらの足が1月11日ということでFB475回(先週入札があった奴)の足とちょうど同じでしたけれども、この平均落札が0.605%で足切りが0.59%という状態でして、FB475回が0.565%ということですからやはりこれは「TB/FBというモノ」に対するニーズがやたら強いということの反映でございますわなあという感じであります。


○どう見ても亜空間です本当に(ry

さてそのTB/FB、引け値とか大体の気配とか見てると、1月償還になります新発3か月FBの引けが0.565%で3月償還のFB471回が0.56%とかもう思いっきりここのカーブがフラットしておりまして、1年TBカレント(と言っても先月の新発なので実質11か月もので来年9月償還です)425回が0.635%の引け(日本相互証券)とかやって下さっているんですが、実は4月償還ものでも大体そんな利回りになっておりまして、引け値見てるとTB/FBのイールドカーブってカーブじゃなくて「1月〜3月」「4月〜9月」のところで階段になっているという有様でございますわな。

年末越えのところのギャップは3bpくらい、期末越えのギャップが7bpくらいというのは、そこでの手前と後ろの間で投資家(しかし利回り水準ケンチャナヨで買ってくる人たちを投資家と呼んで良いのかと悪態の一つもつきたくなりますが・・・・)のニーズ量が違っているのでそれは宜しいとしましても、そのギャップ以外の部分でカーブがフラットになるというのは何かいつかどこかで見たような風景であります。

・・・・・とつらつら考えつつお友達と話をしておりましたら、「こりゃ量的緩和のゼロが0.5になったということでしょ」という誠にご尤もな指摘を頂いた訳ですが(^^)、それにしても0.5%の時間軸って来年の9月まではねえと思うんですがという感じではあります。まあ中長期債券の投資資金逃避先としてTB/FBに金が回ってきてまして「モノ」として買いたいというお人がいるとか、カレントがモノ不足でショート気味になっているとかいう分は割り引いて考えないといけませんが、それにしても亜空間にも程があるというものであります。

いずれにせよ12月まで0.53%近辺という現在の状況は、少なくとも12月までの擬似時間軸が設定されてるという状態ですなあといったところなんでしょ。この亜空間を打破する亜空間殺法はどこから飛んでくるのでせうか。

・・・・適当に思いつくものとしたら「ECBが再び気合の利上げ攻撃」「平均株価18000円とかトピックス1800とか」位しか思い浮かばん(FRBの緊急利下げ終了→金利元に戻すってのはあの状態じゃやらないでしょと思う。精々出来るのは追加利下げのやるやる詐欺くらい)のでありまして、下手するとそういう外部環境の変化があっても「でもそんなの関係ねえ」とばかりに亜空間が継続しても何らおかしくは無いですな(苦笑)。

あ、この亜空間なんですけど、あくまでもチョー短い所の話でして、もっと長いところに関しては「擬似時間軸が設定されたけど、実態経済はもっと強いでしょ」とか言い出すと長期金利だけ上昇するというお話になってもおかしくは無い(そういう動きにならないようにってのが須田審議委員が指摘してた漸進的かつフォワードルッキングな金融政策って奴ですけど)と申しますか、FF下げた直後の米債の反応がまさにそれでしたわな。債券市場の中の皆様には「何を今更」と言われそうですが為念。



○さて本日は物価連動国債の入札ですが

BEI安いといって突撃する人が増えないとどうにもこうにもという感じですが、何せこの商品「CPIの動向によっては元本割れすることもある」という素敵な商品ですんで、国内投資家的には買いにくかろうというのは相変わらず。まあそれは兎も角。

昨日喜び勇んで「携帯の通話料下がるじゃん」とか思っていたのですが、冷静に考えますと通話料下がるのと端末料金が上るのがバーターになっておりますので、古い端末そろそろダメポになっているあたくしには何の恩恵も無いという事実に気が付き涙目なのであります(笑)。

ということなんぞを考えているうちに禿しく不思議になってきたのでありますが(とか言い出すと債券市場に居ながら物価統計のことワカットランノカとか怒られそうですが恥を忍んで・・・)、まあその値付けが適正なのかという問題はありますけれども、今回の新料金プランって一応の話としては「通話料の下げと端末購入代金の上げがバーター」になっているはずで、単純に通話料がドカンと下がるという話じゃないですよね。それなのになんでこのプランがフルにCPI統計に跳ねるとCPI全体が0.4%も下がるのか不思議ですわなあということで。

同じ話って結局CPI計算には入らなかった禿携帯のホワイトプランにも言えるような気がるすん次第。あれって一定期間(2年とか)の解約縛りとバーターで通話料金下げている訳でして、利用者から見たら携帯キャリアに解約オプションを売ってそのオプション料を通話料金にまぶしているという話でして、それがCPI統計に跳ねると0.1%下がるとかで話題になりましたし、まあその統計結果がまともに物価連動国債を直撃するのでそれはそれで仕方ないのでありますが、何かこう釈然としないものがあるんですけど。

ま、これってCPIに対する通話料金のウェイトと端末料金のウェイトのバランスの問題に帰着するというお話を聞きかじってきたのですけれども、その辺のヤヤコシイ話はそのうち本職の方がレポート出してくれるのを期待。


かつて(だいぶ昔)は「消費税引き上げでCPIが上昇するから今の物価連動国債はお安いですよ〜」とかいうセースルトークもありましたし、マジでそれを見込んだBEIトレードとか入ってたと聞きますけど、何ちゅうか本当の意味での期待インフレ率と違うその手のテクニカルな話で振り回されてしまう物価連動国債って何なんでしょという感じは致しますです罠。

まあ何ですな、世の中の期待インフレ率が低いからその手のテクニカルな部分ばかりがクローズアップされるという事なのでございましょうけれども・・・・・

ではでは。









2007/10/03

お題「今日からFB入札連発ですが」

上位3球団のデットヒートというよりは壮絶な転び合いだった(最後に転ばなかったジャイアンツ優勝ということで)ようでどうもこう盛り上がりに欠ける終盤のセ・リーグ。まあクライマックスシリーズを導入したのが却って裏目に出たという気もしますが・・・・・(^^)


○FBが期初になっても強いんですが

どこで何がどうなっているのかさっぱりワカランのですが、FBが相変わらず強いですな。10月償還ゾーンのFBが強いのはまあ良いとしまして、12月償還ゾーンとか来年の3月償還ゾーンとかにもニーズが強いらしく、先月発行された6か月FB(なので実質5か月もの)の471回(3月償還)の引け値は0.56%なのですけれども場中はもっと強い出合いがありまして、先週入札が行われた3か月FBカレント(なので1月償還)が0.56%のまま推移してたんで、どう見ても逆イールドです本当にありがとうございましたという所です。

いやまあ一応年末越えプレミアムが反映される事を勘案して・・・という理屈は成り立たないでも無いのですけれども、それは来年の3月まで金融政策全く動かないという確信モードじゃないと理屈として無理があるんですけど、そのレートで良いのかFB471。


まあ期末になると残高調整だとかキャッシュ潰しだとか言いながらTB/FBが買われるという現象はよくあるのですが、期末を過ぎてもこの有様というのが何の事やら良く判らん次第でして、その背景に何があるんでしょうかねえと未だに「????」なあたくしなのでございます。うーむわからん。

んでもって今日は3か月FB、明日は6か月FBの入札があるわけなのですが、単に「12月償還」「3月償還」だから強いという(意味よーわからんが)現象であればどっちもイマイチ入札になる(1月償還と4月償還だから)のですけれども、そうじゃなくて「新発FB」にニーズがあるのだったら確りさんの入札になりますわなあというところでありまして、どっちなんでしょという感じです。

新発3か月FBの足が12月だったうちは、一発でロットを揃えられるプライマリー段階でのニーズがやたら強くて、業者の新発在庫がショート気味になっちゃうという有様で、新発債の方が既発債よりも強くなるというありがちだけど端から見てるとただの怪奇現象が起きておりましたが(^^)、これが「12月償還」ニーズなのか「新発」ニーズなのかというのは今回の入札で何となく判るかなあとかまるで他人事のようなのんびりした発言をしているのでありました。



○トムスタートのオペがやたら多いのは?

昨日の共通担保オペは翌日スタートで2週間とかいう「週末の積み最終直前」というちょっと面白そうな所を跨ぐ期間でありまして、レートは相変わらずの足切り0.52%と盛り上がらない事夥しい結果。一昨日も翌日スタートで1か月と2か月のオペを打ってましてこちらの足切りが0.52%の0.54%ということで、ええもう全然金利が上りませんなあという数字が出ております。

まあ何ですな、そもそもトムスタートのオペを打ちますとGC主体のファンディングしてる人(証券ディーラー)的にはちと入れずらい所でありまして(その前に資金繰りを大方固めるから)、そもそも金がそんなにいるのかという銀行主体の入札になるのでレートが下がり易いのでして、最近妙に多いトムスタートの資金供給(期末にもやってました)はど〜も「オペレート下がりやすくするように」という感じがして仕方ないんですけどねえ。

いやまあコールレートコントロールするのが金融政策の指令としてお越しなのはわかるんですが、何もそう露骨に押さえつける様なオペやらんでも「上りそうなら即日供給」でいいじゃんよとか思うのは動かないと収益チャンスがないと思ってるあたくしのポジショントークですかそうですか(自爆)。

そんな次第でありますので、期末も無風も無風だったのはオペレーションの大勝利でありました(あたくし的には期末くらい動いてくれないと面白くないのですが^^)が、期初からさっくりとレート低下してGCもしっかり0.5%台前半に低下するわ、FBは12月償還まで0.54%(で買わせてくれるのかどうか怪しいが)となっているの巻で、はーこりゃこりゃという所であります。


○入札後に出るよりは良いのかもしれませんが(半分雑談)

昨日は10年入札だというのに携帯電話料金プランという物価連動国債を売ってくださいと言わんばかりのネタがでてしまい、どうも10年国債入札もイマイチ盛り上がりに欠けるの巻でありました。そして明日は物価連動国債の入札となっておりまして、もう何か誠に落涙を禁じ得ないのでありますが、携帯電話料金一発でエライコッチャになるCPIって何なんでしょという疑問は何となく思うあたくしなのでございますが。

まーこれはBEIトレードやってたガイジンさんがリスク許容度低下しているであろうという問題もありまして、BEIの数字だけ見てるとちと安いような気がするんですけど、需給が需給ですからねえという所かと存じますです、はい。

でですな、財務省様のサイトにも掲載されてるし、計算上判り易いので「BEIが幾らだから市場の期待インフレ率がどうのこうの」ってお話が為されるケースをよく見るんですけど、現状では物価連動国債の参加者がやたら少なく、しかもBEIトレードしてるのっておおむね海外の人たちでして、そーゆー需給関係(ここのところは恒常的に需給が悪いのですが・・・)から出てくるBEIなので、あまりそれを市場全体の見方と言われてもちと違和感が。

とか書きますと「それなら参加すりゃいいじゃないの」とアカデミックな人たちから直ぐ言われる訳ですが、いざやろうとすると色々と制約があって参加しづらい→そういう人が多いと安いと思って買っても中々日の目を見ない→皆がそう思ってるので参加しずらい→ループとなる訳ですな。投資(でもディーリングでも良いですが)には「時間」の概念も必要でありまして、いつか修正されると思ってもそこまでにかかる時間がかかるようであれば別の事やってりゃ良いじゃんとなるんですよ、当分使う予定のない自分の手金使って参加してる訳じゃないんで・・・・・


ま、何はともあれトホホなニュース(てめえの懐具合という意味では携帯下がればウハウハですけど^^)でありましたことよ。小見出しにも書きましたが物価連動入札後じゃなかったのが唯一の救いですな。



○本当の雑談:ネーミングでげげげと思ったもの2つ(^^)

ちょっと前に害債さんがネタにしてましたが、某社のビールで「ニッポンプレミアム」という名前を聞いた時に「いやあこのネーミング世が世なら嫌味以外の何物でもなかったですなあ」と思いましたが、つーかどうもその名前で良からぬ事を思い出すあたくしとしては、折角のプレミアムビールなのに全然美味い気がしなくて買えないんですが(笑)。

さて、そんなことよりもアレでしたのは今月発足した大阪方面の百貨店持ち株会社(でしたっけ?)様。いやあのですな、「H2O(エイチ・ツー・オー)」というネーミングを関西方面でおつけするとは金融業界の古傷に塩でも塗りたいのかと(苦笑)。その名前聞いて真っ先に思い出すのは「FH2O」(何の事だか判らない若人は金融業界10年選手に聞くこと^^)なんですけど(-_-メ)。(あ、関係者の皆さんスイマセンね。あの頃は関西ネームと言うだけでコール取れなかったりしてましたな)

ま、それを抜きにしましても「H2O」と言えば一曲だけ大ヒット飛ばしてその後どうなったか良く判らん(失礼)某歌謡グループを思い出すのでどうも一発屋さんのイメージがするとか言うと歳がバレますかそうですか(^^)。







2007/10/02

お題「短観とか須田さんの講演続きとか」

確か日本語版ロイターのヘッドラインですけど、グリーンスパン大先生が講演だか何だかで「サブプライム問題は証券化をしなかったら米国内だけの問題になっていた」とご発言になられたようですが、えーっとそう致しますとバーゼルUでアセットの格付け別のリスクウェイトを掛けるようになったのは証券化商品を海外投資家に嵌め込(以下しょうもない陰謀論^^)。

ところで道路特定財源なんすけど、昔も申しあげた気がするんだが、特定財源が余るなら馬鹿高い特石税とかを減税したほうが物流コスト下がってよっぽど経済効果が高くねえかと存じますのですが・・・・

などという余談は兎も角。


○真面目な分析は本職の人にお願いします

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0709.pdf

というわけで短観ですが、大企業製造業の業況判断DIが事前予想の小幅悪化と違って横ばいだったのが「おお!」でしたし、下方修正かと思われた設備投資計画が全体的に強めで出てきたとか、一見するとかなり良い内容。ただまあ業況判断DIが良いのは大企業製造業でして、中堅中小に関してはあまりパッとしないという結果。まさに先週須田審議委員が講演などで指摘した「中小企業の減速」がモロに出ているという印象でして、ヘッドラインで下がった債券はあっさり上昇してしまいやがりました。オソロシス。


・業況判断DIの達成度合い

いつものアレでございますが(^^)

            (6月時点)       (9月時点)
            現状→9月予測  現状→12月予測
製造業大企業   +23→+22    +23→+19
製造業中堅企業  +13→+14    +10→+10
製造業中小企業  +6→+4      +1→+3

非製造業大企業  +22→+23    +20→+21
非製造業中堅企業 +8→+7      +4→+3
非製造業中小企業 ▲7→▲10     ▲10→▲11

先行きがやや弱めに出るのは景況感が良い時の仕様なのでそれはそれなのですが、今回は「6月に予想してた悪化ぶりよりも悪化してやがってますぅ」というのが中堅中小企業に出ているのがちょっとダメダメ感が漂う所でありますな。と言う話は既に本職の皆様がしておられるかと存じますが。

ちなみに、前回の駄文は7月3日に書きましたが、この時は3月時点での予測数値よりも良い数字が出やがった(非製造業大企業だけ別でした)という結果になっておりまして、今回はちと足踏み感が鮮明といったところでしょうか。まあ元が良いですねと言ってしまえばそれまでではありますが。


・雇用判断

前回は全体的に雇用不足感拡大は止まったという数字でした。


            (6月時点)       (9月時点)
            現状→9月予測  現状→12月予測
製造業大企業    ▲6→▲9      ▲7→▲8
製造業中堅企業  ▲6→▲9      ▲8→▲10
製造業中小企業  ▲3→▲7      ▲3→▲6

非製造業大企業  ▲17→▲19    ▲17→▲21
非製造業中堅企業 ▲14→▲17    ▲14→▲18
非製造業中小企業 ▲9→▲13     ▲9→▲13

まあ今回も前回予測数値よりは雇用不足拡大をしていないという数字になったんですが、これまた前回申しあげたように統計のクセがあるようで、状況として不足気味の時には先行き不足傾向に出るし、余剰気味の時には先行き余剰傾向に出るという代物ですので、先行きの数値はあまり気にしない方が良いかも知れません。

となりますと、雇用不足に関しては引き続き不足状態継続ということで宜しいのではないかと存じます。


・例によって証券業の業況判断

        (6月時点)       (9月時点)
        現状→9月予測   現状→12月予測
証券業    +34→+52     ▲30→+23

前回比の変化幅▲64は全業種全業態の中でダントツの下方修正です。しかも予測対比で見たら▲82って何だそりゃという所でありまして、てめえの業績先行き見通しが世の中で一番達成できてない業界の人たちが人様のレーティングとかしてて良いのでしょうか(いやまあ短観に答えてるのは企画部門様であらせられましてアナリスト様じゃないですけどね^^)と悪態の一つも申しあげたくなります(-_-メ)。

#確かに市況産業ではありますが、他の素材とか化学とかでもさすがに50も60もぶれないと思うんですが。30くらいぶれるのは見たことありますけど・・・・(記憶ベースですけどね)


以上不真面目な分析でした。


○須田審議委員の講演続き

すっかり後回しになってしまいましたが須田審議委員の講演後半の金融政策に関するタカ派な部分を。

・いきなりテイラールール

『さて、次に、金融政策のあり方について、最近考えていることを述べてみたいと思います。』と言って出てきたのがいきなりテイラー・ルールのお話になっております。いやあのそういうの金融経済懇談会でされてもポカーンだと思うんですけど・・・まあいっか。

んでまあテイラー・ルールの説明は兎も角、政策対応のタイミングについてのお話がございます。途中割愛しようとしたのに各々の文が長すぎて割愛できねええええ。

『日本経済は、バブル崩壊後長い調整過程を経験したわけですが、当時の日銀の金融政策については、テイラー・ルールを判断の物差しに使って、80年代の後半にもっと早く利上げすべきであったとか、90年代前半にもっと早くアグレッシブに利下げすべきであったといった議論がなされてきました20。前者の批判については日本の金融政策はテイラー・ルールに沿ったものであったとの分析結果も出され、バブル期における日本の金融政策の問題は、90年代前半に利下げをアグレッシブに行わなかったことにあるという結論がFRBからだされました。』

『実際、ミシュキン理事は、日本の経験から引き出されるべき教訓は、バブルに立ち向かう中央銀行の仕事はそれをとめることではなく、破裂した後に素早く対応することであると述べています。』

とまあそういうことでその後現在の米国の住宅問題の話をしていまして、そっちもちゃんとご紹介しないと次の引用部分と内容が飛んでしまうんですけど、これまた色々と話がありまして引用しようとすると全部引用する破目になりますのでそこは敢えてすっ飛ばします。


・『フォワード・ルッキングかつ漸進的な対応の必要性』という小見出し

で、その米国のお話の次にこの小見出しが出て参ります。

『それでは、金融政策は、住宅価格などの資産価格をより配慮すべきなのでしょうか。テイラー・ルールでいえば、先に示した式の右辺に資産価格の動きを付加すべきなのでしょうか27。確かに、現在、米国における金融政策の運営をむずかしくしているのは、サブプライム問題をきっかけにした金融市場の混乱による先行き不透明感の高まりであり、その根本的な原因は米国の住宅市場のブームとその調整にあります。』

『もっとも、FRBは資産バブルに金融政策で直接対応することに対しては、バブルの認識が難しいことなどからかなり批判的です。中央銀行は住宅価格が総需要と資源の稼動状況に影響を与える程度に応じて、住宅価格に対応すべきだという考え方はFRBでも共有されているようです。しかし、テイラー・ルールに直接資産価格の変動を組み込むべきではないという立場を明確にしています。例えば、ファーガソンFRB副議長は、2005年1月に「資産価格のブームと破裂はリセッションにしばしば関連するが、市場の熱狂が疑われる状況に対して明確な政策対応をとることは提唱できない」と述べています。』

んでまあ日本の事例に触れまして、結局バブル崩壊対応は金融政策だけでは中々難しいという結論に。

『このようにバブル崩壊の懸念が強まった後に、金融政策対応だけでうまく経済をソフトランディングさせることはなかなかむずかしい、というのが日本の経験が我々に語っていることだといえます30。将来に対する経済主体の期待が著しく強気化した後は政策対応が大変になります。したがって、バブルの発生を未然に防止するよう努めることも、重要だと思います。そのためには、フォワードルッキングに様々なリスクをできるだけ顕現化しないうちに把握し、早めに対応していくことが不可欠です。』

ということで、(途中を割愛しますが)タカ派ヘッドラインの元となる(^^)まとめになるのでした。

『足もと物価が落ち着いていても、持続的な物価安定が損なわれるリスクが高まっていると判断される場合には、早期に金利を引き上げ、持続的な物価安定を確保していく必要があります。もちろん、このようなフォワードルッキングで予防的な政策も口でいうほど簡単ではありませんが、そのような努力を続けていくつもりです。』


・『金利調整の現状評価』というお話

こちらを見てて「ほほー」と思った部分が(^^)。

『我々は物価上昇圧力が弱いもとで、これまで半年に一度というようなゆっくりとしたペースで金利を調整してきました。』

いやまあ結果的にそうなっていたという話だとは思うのですが、これだけ見ると「おや?利上げにスケジュール感あったんですかあ??」というツッコミが(^^)。

まあそれは兎も角。

『さて、最後に現在の金利調整の適切さの程度について言及しておきたいと思います。図表14にありますように、現在のような実質金利がずっと続くとしたら実質経済成長率との関係でみて、金利がかなり低い状態にあることがわかります。』

で、さっきの半年に一度云々の続きでこういうタカ派ヘッドラインの元が。

『この間の金利調整を、オリジナルなテイラー・ルールに当てはめて評価しますと、多くの場合、利上げが遅すぎるという結果がでるのではないかと思います。ただ、経済構造についての考え方や損失の考え方で望ましい政策ルールはいかようにも変化することは前に述べたとおりです。』

ただまあ一方的にタカなのではなくて、今までの金利調整に関しては『不確実性の高い経済』における『フォワードルッキングな漸進主義』というロジックから『これまでの金利調整のスピードが遅すぎたというようには必ずしも捉えていません。』という話はしております。そりゃまあ利上げ提案してないんですからそういうの当たり前でもありますけどね。



・てな次第で、先行きの政策スタンスはいつも通りのタカなのですよね

と、まあこのような感じで先行きの金融政策に関する話は延々とタカ派的なお話は続く次第でありまして、あたしゃ須田審議委員の講演および記者会見に関しましては足元の景気判断の慎重化にウェイトを置いてご紹介しました(理由は昨日も申しあげたとおりで、元々金融政策のスタンスがタカの人がタカの発言をするのは仕様であって、足元の景況感慎重というのが「いつもと違う」からそっちを注目するということであります)が、先行きの政策に関する基本的考え方は全然変っていません。

従って本職の皆様でも今回の須田さんの講演および会見に関してはタカ派的なニュアンスで読む人もいるでしょうし、あたくしみたいに「おやタカがちょっと引っ込んでますなあ」と読む人もいるのではないかと思うのであります。

引用でやたら増量してしまって恐縮至極でありまする。







2007/10/01

お題「須田審議委員記者会見」

須田審議委員の講演後半の話もありますがその前に会見から。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0709b.pdf

○全体で言えば「足元慎重で先行きは一応強気」でしょうか

講演に関して(まだ金融政策に関する部分をご紹介してませんけど皆様ご覧の事と存じますが・・・)金曜日に申しあげました通り、「現状の経済認識が結構慎重というか弱気」という印象でありましたが、質疑応答の中で象徴的な質疑が7ページ目から8ページ目にございましたのでまずはそこから。

『(問) 挨拶要旨の中では、アップサイドリスクについても言及されていましたが、現状、景気については、アップサイドリスクとダウンサイドリスクというのは、ほぼ均衡しているというふうに捉えていらっしゃるのか、あるいは、どちらかにウェイトを置かれてみておられるのか、如何でしょうか。』

『(答) 本日は、実体経済のダウンサイドリスクと、物価上昇のアップサイドリスクという話をさせて頂いたのですが、これを比較することができるのか、私自身よく分かりません。比較するといっても、タイムスパンが違うと思っています。』

『今、実体経済のダウンサイドリスクには、足許も含めて短期のものがあり、物価については、私はもう少し長いタイムスパンでアップサイドリスクをみています。短期のダウンサイドリスクと、もう少し長い意味での物価のアップサイドリスクということがあって、両者のバランスという観点ではお答えできないと思っています。』

ということですから、まあどう見てもこりゃダウンサイドリスクを意識しておりますわなあという感じであります。



○中小企業問題

講演の中で目立った「中小企業問題」「サブプライム問題」の2つのお題に関する質問が多かったのは当然なのですが、まずは中小企業問題に関連して。

三重県の地域格差問題に関して(1ページ目)

『私も事前の勉強を通じて、かなり格差の問題があるのだなとは認識していたのですが、本日、お話を伺う中でも、なかなか南側に北側の景気が波及していかないということが伝わってきました。』

『私は、金融政策運営を行なっていくという立場でお話を伺ったのですが、金融政策というのは、一つの政策手段しかありませんから、地域によって非常に格差がある中では、難しい決断を迫られることになるのだなということ、また、そうした問題にもしっかりと耳を傾けながらも、経済全体の「真中」はどこなのかということを考えながら政策を行なっていく必要があると、改めて感じたところです。』


中小企業の業況が悪化しているのではないかという点(3ページ目)

『まず最初の中小企業の問題ですが、私どもは、生産・所得・支出という好循環のメカニズムが続いていくことを考えておりますが、少しその波及のスピードが遅いのではないか、というのが出発点です。』

『そこの波及が遅くなっているという背景に、ひょっとしたら中小企業において──本日も沢山話が出ましたが──、コスト高を転嫁できないということによる収益の低減、それと同時に賃金に下押し圧力を掛けざるを得ない、という部分があるのではないかということです。雇用者所得という意味では、中小企業で働いていらっしゃる方々は沢山いますから、この波及の程度を決めるところで、中小企業の弱さが影響しているのではないか、という観点から、私は主として中小企業に関心を持っております。』


ということで、今までの須田審議委員の講演などではこの「中小企業」というような特定のカテゴリーに注目して意見を表明するという動きが無かったと思う(あっても扱いは小さい)次第でありまして、普段こういう話をしなかった人がこの手の話をしだすというのは注目すべき事なのであるとあたしゃ思うのですが如何でしょうか?

というかね、須田審議委員はタカ派のイメージが出来てるから、情報ベンダーがヘッドライン打つとどうしてもタカ派の部分に目が行ってしまいますし、講演要旨みた人たちの後講釈でもそっちに目が行くのはある程度仕方ない面があるかも知れませんが、タカ派の人がタカ派の発言をするのはある意味仕様でありまして、最も注意してみなければいけないのは「いつもと違う事を言った場合」にその背景とか思想に何があるのかってのを講演要旨や会見要旨から読んで見るちゅうのが大事なんじゃねえのと(あたくしのスタンスがそうだからと言ってしまえばそれまでですが^^)思うんすけどね。金融経済月報読みで「前月との表現変更」をやたら気にする癖が全体に波及しているというのはあるんですけど、あっはっは。


○サブプライム問題

サブプライムに絡んでの発言にはやたら「不透明」というのが目立つ印象でございますが、これはあたくしが講演要旨や一連の発言などから「須田さんが慎重発言してるううう」と目がランランと輝いているのでそっちに目が逝きやすいという面はありますので念の為(^^)。

3ページ目から。発言の途中をぶった切ってますので元ソースも見てね。

『私はサブプライムの問題が起こりそうだと思ったとき、非常に不透明さを感じました。一体これはどういうことなのかと。(途中割愛)サブプライムの問題では、まずリプライシングの話―証券の価格を正しくもう一回付け直さなければならないという問題―がでてきました。さらに非常に予想外のことであったのは、ABCPのマーケットで、流動性補完の関連で金融機関が流動性需要を非常に増大させて、一種の流動性リスクが高まりました。』

『私の不透明感は、かつてよりは薄らいできています。(割愛)この問題について、いつ霧が晴れるかということについては、全く予想できなくて、霧というのは予想外に早く晴れるということもありますし、深くなっていくこともありますので、現在は全く予断を持たずにやっていくしかないと思っています。』

6ページ目から。

『今確かにサブプライムの問題は、短期金融市場の問題だったり、再評価の問題であったりというところで注目を浴びていますが、基本は住宅市場の調整の問題だと思っています。これに関しては、確かにオーストラリアとか、一時の英国のように、思いのほか上手くソフトランディングしたというケースはあるのですが、やはり日本の経験を踏まえると、住宅問題の調整はそう簡単には終わりません。』

『価格が下がり始めた時に金融政策でどれだけ対応できるかという問題も私は認識として持っています。住宅の問題は長引くとは思っていますが、ただ、それは急激に起こることではなくて、アメリカの経済成長の頭を抑えていくというものである、と捉えています。』

ということで、一応米国経済はまあソフトランディングというのが須田さんのメインシナリオである事は変りなくという所のようですし、世界経済全体で見れば新興国などの状況が良いので、世界景気の悪化までは見ていませんとなっている点については念の為。


○物価に関して

先日ご紹介した決定会合議事要旨で、物価に関して意見が分かれていますなあというのがありましたが、同じ事に注目した記者さんがいるようで8ページ目にその質問がありまして、須田さんは以下のようにコメントしています。

『実体経済が2%程度の成長を続けていて、潜在成長率はそれよりは幾分低めと判断しておりますから、需給ギャップはプラスの方向に動いており、そういった成長が続いていくということ、そして、今のところユニット・レーバー・コストは、少しマイナスが続いていますが、どんどん悪化していくということはなくなっていくだろう、また、原油価格の高止まりもある、といったことを考えていくと、普通に考えたらある程度物価が上昇しても良いのではないか、ということです。』

『これまでそういう状況にあって、実際、物価のコアの部分は、1年というタイムスパンでみれば、少しずつ上昇してきております。足許は、物価の基礎的な部分の動きが少し鈍いというところがあるので、そういうところを含めて考えると、ある程度は上昇しても不思議ではないと考えられます。』

『それから、企業の行動が少しは変わるかもしれないし、また、家計も少しずつ色々な価格の上昇を受け入れていくかもしれません。こうしたことを思うと、今までなかなか上がっていかなかったので、それをずっと先に引き延ばすのではなくて、思いのほか物価が上がっていくということがあっても不思議ではないと私自身は思っています。』

ということで、講演要旨にもありましたように、物価に関しては上昇リスクを見ているほうということになるかと存じます。


#期末の話とか講演の後半部分とかは明日以降に繰越。。。