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2008/01/31

お題「長い1か月でしたな、とまた雑談」

毒餃子オソロシス・・・・・・・

○ほほうブルフラット

昨日は米国様の債券安を受けていきなり先物は前日の安値を切ってスタートしたものの、そもそも鉱工業生産悪いだろとか、月末ですからねえとか、中短期ゾーン売りの長期超長期ゾーン買いがあったとかで戻るの巻。前場引けの段階では中短期が前日より甘くて長期超長期が前日より強い(先物はちょっとだけ安)という中々珍妙な展開に。

いやまあ何ですな、2年って3か月FBの足し算で考えてもナンジャソリャレートですし、後ろとのバランスもどうなのよという感はございましたし、一方で超長期ゾーンはヘロヘロさんでしたんですが、何せ相場様の方が勢いよくぶれるもんで、勢いオソロシスということで手を出しにくい状況で月末近くまでやって参りましたですな。でまあカーブを戻す動きがあった所で「じゃあうちも」と言う感じになったんでしょうかね、と思わせてくれる昨日の動きではありました。

前場のツイストフラットも何のこっちゃでしたが、後場になりますと例によってアジア株下落に追随して国内株がヘロヘロになった事から相場上昇の巻となって結局ブルフラットになったのはお茶目でしたけど。。。。。

ま、相場の動きがどうも荒めなのでカーブに関しても暫くの間はテーマを持って動くというよりはその日の需給関係で動くのではないかと勝手に思料。


ところで、昨日は3か月FBの入札が実施されたのですが、前場引けが0.5425−0.545から0.545の出合いで入札はだいたい平均0.545%で足切りが0.55%に届くの巻となりまして、えーっとあのその相変わらず1年よりもレート高いですなあという有様。んでまあ足元のレポとかの金利を見ますと昨日の全店オペ(2週間ちょい)がトムスタート即ち月末スタートだったことからほとんど0.54%とちょい確り。

・・・・うーむ、全然レートが変化ないですなあ。ちなみに今回のFBは5月大型連休明けの足なんですがこれがまた全然レートのハンデついてないし、そもそも期越えのGCレートとかも足元対比ろくすっぽハンデついてないですし、短期の現物金利に関しては素敵な時間軸状態になっておりますと申し上げておきましょう。

でまあ米国様が利下げかつ追加利下げ示唆(そんなら市場が驚く75bp下げときゃ良いのにとか思うんですけど)でイールドカーブはまたまたスティープしてるのがどう影響するのか知りませんが。


○読もうと思う日銀ペーパー

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp08j01.htm

『日本のフィリップス曲線に何が起こったか』ってお題で、本文は上記URL先にリンクのあるPDFで本文30ページ。大体この手のペーパーは計算式が多くて泣きそうになる(四則演算というかヘッジ比率の調整とかだったら瞬間かつ大体(苦笑)正確だと思うのですが、数学様は苦手なもんで)のですが、今回は式が少なめ(脚注送りになっております)ので一つねじり鉢巻と。

・・・・・ってここは宣言の場じゃないんですけど(笑)、上記URLにありますように、東京大学金融教育センターと日銀調査統計局の共催コンファレンスに関連して別途新しいコーナーも出来ておりますので、そちらも併せてご参考になされると吉かと存じますです。はい。
http://www.boj.or.jp/theme/research/conference/index.htm


○いやあ今月は疲れましたなあ

今月は発会からご案内の相場でありまして、利下げ大催促相場はやるわ(まだやるかもしれないけど)先物は上下に威勢良く振れるわ(でも実はレンジだったりするのがチャーミング)、閣僚の発言に勝手にトサカを立ててみるわ(それはあたくし^^)といやはや何ともの相場でございましたわな。

外部環境というかアメリカ様に散々振り回されるのは仕様ではございますが、外の要因で動かされますとこちとら何の抵抗もできないケースが多々あるので勘弁していただきたいもんでございます(無理だけど)。

来月のネタは米国雇用統計(今週末ですが)の結果(結果が良いと逆に利下げクレクレ相場になるのではないかと思われるのでありますが・・・・・)と欧州系金融機関の決算と、G7の協調があるのかというのと言った感じで、とりあえず前半のネタしか出てこないところがオソロシスな所です、つまり後半のネタは多分前半の結果を受けてネタ山積なんですよ。

いやー2月は無風で迎えられると思ったんですけどねえ・・・・


○超余談ですが

毒餃子の件ですけどね、古紙配合率偽装とか何とかで騒いでいるのがアホラシスと思ってしまうようなお話で、重体にまでなられた方におかれましては誠にご同情申しあげます(お亡くなりになった方が出なかったのが不幸中の幸い)次第ですけど、ちょっとだけ思うことが。

何かね、色々と形式チェックがやたらやかましい昨今なんですけど、形式チェックに追われて肝心のところが抜作先生になっていたら何の意味もないと思うんですよね。

いやまあ別に特定の法律について申し上げている積りではありませんので念の為・・・・・・









2008/01/30

お題「相場で振らされてるんで雑談ネタのみですぅ」

すいませんすいません。もう何が何だか。

○安定してるのは現物の1年くらいまででして

あんまりちゃんと見ないのですが、ネタとして面白いのでユーロ円金先のSEP08を見ておりますと(中心限月はJUN08)、先週水曜日に利下げ催促祭りを実施した時に99.535の高値をマークしてましたが、先週金曜には99.405まで安値つけまして月曜は99.460まで反発して昨日は99.425ともう何だか凄いですな。

一応0.5%割れなどという数字をたたき出さなくなったんで、先物市場などの利下げ催促祭り自体は一旦中断の巻のようでありますが、この間に1年TBとかって0.50%が0.485%位に下がってまた戻ったという感じ。3か月FBは0.53〜0.54位ということで、足元金利の足し算をしながら現実的に投資せざるを得ない実需筋さんの動きはそこまで盛り上がりませんでしたかねという所でしょうか(足元に資金を逃避させてその場を凌いでも金利変りませんですからね)。

もっと長いところの動きっぷりはもう一々書くほどでもないと存じますが、ドカドカぶれている間にふと見ますと昨日の引けで平均株価は先週頭の恐怖の急落(月曜火曜で日経平均1200円のトピ120下げ)前の金曜(18日ね)回復していないというのに、金利様の方といえば2年が低下(0.575%→0.545%)している中で後ろの方は全部上昇しやがっておりまして、5年が0.855%→0.900%、10年が1.390%→1.465%(以下面倒なので割愛)などと上昇しているのが実にチャーミングでございます。

えーっと、まあ米債様がスティープするのにそんなに付き合わんでも良いように思えるのですが(^^)、こうやって見ますとネタとしては「金融不安問題の解決策」→「実質ゼロ金利のようなネタ(かつてのFF1.5%とか)登場」→「長期金利は上昇ですよあっはっは」ということになるんでしょうな。本当にそうなのかは兎も角として、どさくさに紛れてこっそり長期金利が(カーブの形状変化により)上昇しているのがなんともです。

まあアレですな。福井総裁が利上げ路線にどう見ても白旗モードとなり、まあ後は後の人がご随意にってモードになったことから、従来の金利正常化路線でベアスティープという絵が描きにくくなったのは事実でしょうから、こーゆーチャーミングな事態になっちゃったりするのですけど、「金利引き上げ路線はちょっと無理ですなあ」となった所で長期金利は上昇しちゃうってなると、足元の政策金利と長期金利って必ずしも連動しない(というか利上げしたのに長期金利が下がったのがゼロ金利解除以降の展開ですし・・・・)次第でありますよって、まあ金融政策で長期金利の話までされると難しい(最近そういう話する人あまりいなくなりましたが)ですなあと思うのでありましたです。

ただまあ景気見通しおよびマインド面(マインド面に関しては正直株価次第でしょと思うんで、下がらないでじり高になってくれて報道機関が明るい話をすりゃいいのよ)が復活した場合は昨日ご紹介した水野審議委員のロイターインタビューにありますように、またぞろ正常化路線復活の線もあります(どんなに早くても半年以上はかかるでしょうけど)ので、今の2年とかちょっとこう楽観(というか経済に関して言えば悲観ですが)なんじゃねえのかと思うんですけど。「対策が何も効かないままダラダラと現状が維持される」って前提の金利に思えるのでありますが。(でも2年って全然金利あがらないんですよねー)


○協調利下げとかあるのでしょうかという与太話

べき論で言えば日米欧が景気下支えパッケージで減税(米国の場合はサブプラ問題の公的資金注入もセット)と利下げをセットでぶち込んでくれてV字回復したところで皆さん揃ってメジャードペースの正常化に復帰というのが美しいと思うんですがそれは兎も角として。

えーっと、どうにもこうにもそんな協調っぽい感じが欧州方面からも聞こえてこないですし、日本は日本で減税どころの騒ぎじゃないですし、そんな雰囲気が感じられませんな。これが各国実は既に握っていて、サプライズ効果出したいから発表まで雰囲気見せないでいるとかの大狸状態だったら凄いけど。

ということで、国際協調があんまりワークしないものの、日銀としても何かやらねえと格好つかないという場合に何がどうなるのか適当に考察するとこんな感じでしょうか。

その1:なんちゃって低め誘導+ロンバート下げ

もうね、低め誘導という文字を書いた時点で12年くらい前を思い出すので何だかねって感じですが、0.50%をちょっと下回る位に誘導するという超懐かしい作戦。ヒジョーにちょっとした金利下げ効果しかないのですが、ついでにロンバート下げておけば格好はつくでしょ。何となく政策金利いじってるし、公定歩合が下がっているので一般向けアナウンスには吉でしょう。短期市場の機能がまた低下しますが既に1年までイールドフラットと見事に低下しているのでそんなことはケンチャナヨ。

その2:時間軸復活

これは時間軸があると思われるところまでの金利が下がる(実際は期待でもっと先まで下がり、逆に期待の剥落とか逆方向の期待盛り上げが起こると時間軸がアホほど短くなる)ので中長期のカーブ形成に効くのですが、惜しいことに一般人向けに全然意味が判らないですな。

まあそもそも現在の金利もある意味「サブプライム問題が決着して米国経済の軟着陸が確認されるまで」という時間軸が効いているとも言えますが。

その3:輪番オペ増額

これは世間もセンセイ方にも受けそうですが、現在の状況で輪番(国債買い入れね)を少々増やす程度であればまあ単に資金供給オペのリバランスに過ぎないというお話もあったりするのですけどね(そりゃまあいきなり月に50兆も輪番やれば話は別ですよ、と一応書いておきます)。

本件に関しては本職の複数名の方が輪番オペの増額に関してレポートを(最近だったり暫く前だったりしますが)出しておられます(本石町日記さんの所にも関連エントリーあります)のでそちらをご参照下さいませ(と人のふんどしで逃げる)。

とりあえず思いつくのはそんなところですか。ABCPオペ復活というもっと意味のなさそうなものもありますけど、もはや全然アピールせんでしょ。

まあこんなこと書いてるあたくしも、ここんところ何度も書いてるように、大体からして何でアメ公のケツ拭きを国際協調せにゃならんのじゃという感情はあるのですけど(苦笑)。











2008/01/29

お題「決定会合議事要旨(12月)続きなど」

まずは昨日の続きから。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g071220.pdf

○12月月報でアセスメントを下げた辺りに関して

『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から。

『経済情勢について、委員は、前回会合以降に公表された経済指標を踏まえると、わが国経済は、住宅投資の落ち込みなどから一時的に減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大しているとの見方で一致した。(先行き部分略)』

ということで、12月の金融経済月報で現状判断に減速というのが入ったのはこのあたりの議論によるということになります。

『ただし、一人の委員は、「生産・所得・支出の好循環のメカニズム」において「所得」、「支出」の観点から点検を要するデータ等がでてきたとの見方を示した。』

ということで、12月時点で「一人の委員」は好循環のメカニズムが家計部門で成立してないんじゃないかという指摘をしている訳ですけれども、これが1月の会合でどのような見方になっているのかは注目したいです(が、議事要旨が公表されるのって2月会合が終わってからなんですよね。うーむ)。これは水野審議委員でございましょうかな。

んでまあ12月20日時点の海外経済見通しに関しての議論を拾っても状況がその後大きく変わってしまっているのでアレでございますが、基本的にはこんな所かと思います。

『こうした議論を経て、委員は、今後の国際金融市場の動向について、それが実体経済にどのような影響を及ぼすのかという点を含め、引き続き注視する必要があるとの見方で一致した。』

要するに実体経済にひびくかどうかという話ですわな。


○国内経済について

・住宅関連投資に関して

『住宅投資については、改正建築基準法施行の影響から大きく減少しているとの認識で一致した。何人かの委員は、住宅投資の落ち込みは、一頃予想していたものよりも深くかつ長いものとなっており、その影響も幅広くみられるようになってきていると指摘した。』

『先行きについて、多くの委員は、当面は低調に推移するとみられるが、次第に回復に向かい、やや長い目でみれば、雇用者所得の増加や緩和的な金融環境などを背景に、底堅さを取り戻すとの見方を示した。』

とか言っていますものの・・・・

『ただし、何人かの委員は、マンション価格の上昇などが、基調的な住宅需要の押し下げに寄与していると述べ、建築基準法改正の影響が一巡した後も、弱めの動きとなる可能性があることを指摘した。』

ということで、こちらの懸念は引き続き高いという感じですかな。設備投資の部分でも住宅関連に関する指摘がございまして・・・・

『複数の委員は、改正建築基準法の影響が、構造物投資にも影響しており、今後の動きに注意していく必要があると指摘した。』

となっております。不動産価格に関しては(場所にもよりますが)ここ暫くの間上昇してると理解してますが、まあそういう状況だと一次取得者以外の人たちも動きやすいんじゃないかとは思いますが、今後の動きには注目でございますな。ちと先行きは怪しげですけど。


・マインドに関して

短観を受けまして。

『企業の業況感については、やや慎重さがみられているとの見方で一致した。委員は、こうした慎重化の背景には、原材料高に伴う収益の圧迫懸念、住宅投資の減少、世界経済の不透明感の高まりなどが影響していると指摘した。』

『複数の委員は、原油などの原材料高を製品価格に転嫁できない中小零細企業の収益は厳しい状況となっていると指摘した。』

このあたりですが、景気が厳しくなると相対的に立場の弱いものに皺寄せがいくというお約束の展開で中小零細企業に皺寄せが来ていますという指摘は別の所でもなされておりまして、これが経済全体に与える悪影響に懸念しているというところでございましょうな。

『また、複数の委員は、改正建築基準法の施行や信用保証付き融資における責任共有制度の導入などが、中小企業に対して追加的な負担となっている可能性があると指摘した。』

ほほう官製不況話(^^)。


とまあそんな感じで、景気のアセスメント下げているのですから当たり前でございますが、12月の会合では景気に対する慎重姿勢が目立つというところでございましょう。



○いやあ毎日ぶれますなあ

昨日あたくしは週明けボケ状態で「今週は先週の暴れ相場のリハビリ」などと申し上げたのですが、相場の方はご案内の通りで、我ながら何たる髪様モードというところで、相場に関して明確かつ根拠レスな事言うもんじゃねえと改めてアセアセなあたくしでございます(涙)。

えーっと、昨日は大体先週金曜の逆みたいな事をやってたようですが、NYが住宅統計悪化で50bp利下げ期待となって株高債券安で帰って来てますんで、またひっくり返しをやるんでしょうか。マッタクモウ。

それよりも先週末なんで利下げ期待が一部でシュリンクしちゃったらしいのかが良く判らんので例によって勝手に憶測するだけなんですけれども、緊急利下げ以降の相場上昇(本当にSGのポジション整理終了だけで戻るのかよとかはこれまた良く判らんのですが)を見て利下げ期待が遠のくちゅうのは、FEDのアクションが市場的には利下げクレクレ相場の後追いと見做されている節があるんじゃねえのかという懸念が無きにしも非ずなのでありまする。まあ良くわからんけどね。


○水野審議委員のロイターインタビュー

えーっと例によって長いんですが、要するに景気の見方を慎重化させていますが、景気がまた戻ったら金利正常化路線に戻りますよってえお話でございますってのは要約し過ぎにも程があります。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-29981920080125

ポイント多すぎでございますが、何気に12月決定会合の議論とも被る部分がありますので、利下げに関しての質疑が最後にあったところのみ引用しておきます。

── 株式市場や金融市場のボラティリティが高いことに政策運営上細心の注意を払うべきと言われたが、そういうことに対応して利下げを検討することはないか。

「株が下がったとか、為替が上がった、下がったということよりも、それが実体経済にどういう影響を与えて、日本銀行が想定していたメカニズムや景気見通しを大幅に変えないといけないことかどうかがまず大前提となる。だから日々の動きにはコメントしない、あるいは一喜一憂しないということはそういうことを言っている」

「当然株価の水準がこれだけ下がって、しかも今後も ── この2─3日多少反発しているが ── こういう状況が続くのであれば、3月に短観が出てくるが企業マインドがかなり暗くなることも予想される。既に消費者マインドは最近、かなり悪くなっているとの結果が各種サーベイに出ている。こういうところが今後ハードデータにつながってくるはずだ。株価あるいは為替が何を示唆しているのか、われわれが正しくて、マーケットが単なる一時的な要因で動いているのか、それともマーケットがかなり強いメッセージを出しているのに、われわれがボーとしているだけなのか、そこはすごく重要なポイントだ」

「ただ、年が明けてまだ3週間しかたっていない。今回の問題は日本発の問題ではない、ここに非常に複雑さがある。FRBは思い切った金融緩和をしたが、サブプライムの問題はアメリカ発であって、その震源地である中央銀行として思い切った措置をして、ブッシュ政権も財政対策を出そうとしている。日本についていえば、景気は少なくとも踊り場的な状況に止まっており、景気が減速しているが景気が後退に入っていくという判断までは行っていない。その中で株価がそれを示唆しているのだという議論は可能だろうが、それだけで政策変更 ── たかだか50ベーシスしかない金利の中で ── 相当慎重に議論しないといけないと思う」

(以上上記URL記事より引用)

前半の2文に関してはおっしゃるとおりかと存じます次第です。というか水野さんは金融市場発の動きが実体経済に下押し圧力を掛ける面について結構心配してるちゅうことですな。最後の部分に関しては議論分かれるところでしょうな。

あたしゃこの際国際協調して財政と金融出して景気浮揚させるのどうよとか思うのですけれども、まあ日本がヒーヒー言ってるときにアメリカ様は何をして下さったんでしょうかとか忌まわしい過去を思い出すと、こっちが焼け野原にならなきゃ良いやとか(それが少々危ないの巻なので困るのですが)いう心境もあったり無かったり(闇)。


○余談ですが・・・・

毎日jpのトップページにドカンとぐっちーさんが出ておりますな。記事はこちら。
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20080128mog00m300023000c.html

んでまあ中身はご覧頂くとして、一番印象が強いのはこの部分。

『今、自己責任とか言うじゃないですか。それは情報を100%みんなが共有できて初めて自由競争なのであって、それがないのに自由競争だと言われたら、情報から遠い人は負けちゃうに決まっています。むしろ強い馬に重いおもりを載せて走らせるべきなのに、今は弱い馬に「情報が足りない」という非常にヘビーなおもりを載せて走らせているような状態なわけです。「それはおかしいだろう」ということは言いたいですね。』

激しく同意ですが、それを言い出すと金融って中々アレなお仕事でございましてですな(^^)。ま、あたくしがプレーンな商品が大好きでストラクチャー物とかを毛嫌いするのもより「自由競争」に近いものへの憧れがあるのかもしれないなあとか思うのでした。










2008/01/28

お題「決定会合議事要旨とか相場雑談とか」

北曲先生の「安心して週末を迎えられそうです」砲撃が米国株式市場を直撃するとはさすがセンセイ。ただまあ救いなのはNYの下げのお蔭で北禿先生いきなり「慎重姿勢」と言い出すわ、モーサテは全然楽観しないわというところでございますな。

あとね、大阪府知事選挙で橋下さん大差で当選で、最近調子に乗って引っかきまわしばかりしている民主党がちったあ大人しくなってくれると極めて結構なんですけど。


○相場世間話など

昨日は壮絶株式上昇を横目に見ながら債券はこれまた素敵な下落。カレント近辺の出合いをぼーっと見ておりますと最初弱かったのは5年とか先物だったんですが、取引終盤になってくると10年も追い着いてきてヘロヘロ。2年があんまり下がらなくて妙ですな(5年対比のバランス悪いんじゃねーの)と思ってたらこっちも最後の方では調整されてましたが、10年は実弾っぽく思ったんですが2年はどうでしょうかね。

まあ火曜水曜あたりの絶賛利下げ催促相場からいきなり戻っているのですが、ふと冷静に考えますと先々週あたり2年が0.565%とかになった時に「それって何て利上げ無し観測」とか申しておりました訳でして(ってあたくしも書き物整理してて思ったんですが、笑)、いやまあ何と申しますか今週は祭りの整理ウィークなのか、それとももう一丁祭りをやるのか。株式市場次第っぽいですが、株が大下げしなければ整理ウィークで良いんじゃネーノとか思うんですが。


○その他エライ人の発言とか

・門間調査統計局長の弱気発言

イブニングセッションで瞬間債券先物が跳ねた場面があったのですが、門間調査統計局長の講演報道が原因でありました。ということでメモメモ。

ヘッドラインでは門間局長が「一切動かせないほど硬直的ではない」と利下げ論に関して述べたとなってますが、記事内容も景気に対しては弱気となっています。

ブルームバーグ25日17時55分配信記事より。

『日本銀行の門間一夫調査統計局長は25日午後、都内で講演し、「世界経済は全体の連関が非常に密接になってきている」とした上で、「結果的に、外から見て協調と見えるタイミングでの政策変更が全くないとは言い切れない」と言明。「外的なショックが非常に強くなり、日本経済にデフレ圧力が強まるようなことが起こったときは、0.5%だからといってビタ一文動かせないかというと、そこまで硬直的に考えていない」と述べた。』

んでまあ当該記事の小見出しですが、『世界経済はますます一体感を強める』『あらゆる可能性を排除しない』『CPIは目先、さらに上昇も』『物価上昇が定着するとは言い切れない』『不確実性高く、一瞬とも気を抜けない』となってまして、内容的にも景気の先行きにかなり慎重というか警戒的になっておりました。

その割には債券市場が瞬間しか反応しなかったのは、まあそこまでの地合いかなあと思うのですけど、金先はちょっと戻っていましたんで、短い所に関しては反応してたみたいですな。


・衆議院予算委員会:有能な敵より質が悪いのは・・・・

あとですね、昨日は衆議院予算委員会で山本幸三さんが福井総裁などにツッコミを行っていたようですが、こちらに関しては会議録出てからじっくり読みたいと思います。現状の景気と物価の話をして利下げすべきという論陣を張ったようでして、まあその辺は主張として一貫してまして論戦は読んでおきたい所でございます。

そんな中で何かまたピンボケ発言してたのは例の人でして・・・・

『[東京 25日 ロイター]渡辺喜美金融担当相は25日午前の衆院予算委員会で2006年7月のゼロ金利解除後にダウとドルベースの日経平均がかい離を始め、どういう影響があったのか懸念持っていると述べた。』(25日10時43分配信記事より)

いや先生あの状況下でゼロ金利解除しなかったら円安が更に進行してドルベースの日経平均ってもっと下がったんじゃないでしょうかって気もするんですが。しばらく前も株価下がっている時にドルベース日経平均はそんなに下がってないとか発言して(厭債害債さんの所でネタになってました)失笑を買ってましたけど、何か日銀ケシカランという結論が先にあって話をするもんだから言ってることが支離滅裂で実に香ばしい。

何か例えてみますと、にわか仕込みの中途半端な知識を合コンでひけらかす小僧の自慢話が聞こえてくるのを隣のテーブルで失笑あるいは爆笑をこらえながら聞いている感じですな。



○決定会合議事要旨なのですがちょっと時間が無いので簡単に

ちょっと時間がなくなってしまいましたので簡単で恐縮。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g071220.pdf

・水野審議委員の現状維持賛成理由

まあ既にでておりましたけど。

『これまで現状維持に反対してきた委員は、建築基準法の改正をはじめとする制度変更や原材料高などによるマイナスの影響が当初の想定を上回っており、わが国経済の「好循環メカニズム」が機能し続けるかについて点検を行う必要が生じたため、今しばらく様子をみたいと述べ、現状維持に賛成した。』

ということですので、メインシナリオを下げているともいえますな。


・景気の現状評価を変更した点についてとか

『市場との対話について、多くの委員は、今回、景気の現状評価を変更したが、@10 月の展望レポート対比では、本年度の成長率は下振れる可能性が高いこと、A もっとも、先行きについては持続的な成長路線に復帰していくことがメインシナリオであることについて、対外的に丁寧に説明していく必要があることを強調した。』

いやーん、わかりにくですわー。

『また、何人かの委員は、F O M C のアカウンタビリティー向上策について触れ、日本銀行の金融政策の枠組みと同様の問題意識をもって構築されており、共通する部分も多いと述べた。』

まずはその前に訳判らん状態になっとる政策ロジックの建て直しをしていただきとう存じますでございます。


・物価に関して

『原油価格をはじめとする国際商品市況の高騰によって国内物価が上昇することを、物価判断においてどう位置付けるかについて、前回に引き続き議論が行われた。』

『ある委員は、輸入物価の上昇は、物価に対しては上昇圧力となる一方、景気や賃金に対しては下押し圧力となると指摘した。これに対して、何人かの委員は、現在の原油価格の上昇は、新興国などの成長に伴う世界的な資源需要増加を反映している面もあり、これは、日本の輸出の増加にもつながっているため、交易条件の悪化は、かなりの程度相殺されていると述べた。』

こでは最初の「ある委員」に乗りたいですが、何人かの委員さんの方が多いんですね。うーむ。

『また、複数の委員は、エネルギー原単位の持続的な改善も交易条件の悪化をある程度相殺していると指摘した。ただし、何人かの委員は、輸出やエネルギー原単位の改善に伴う恩恵は、大企業ではみられるが、中小企業にとってはマイナスの影響がかなり効いており、影響の出方は、企業によってばらつきがみられると述べた。』

まあこういう二極化というか淘汰みたいなのが起こると言うのがそもそも景気悪いんじゃないのですかという話になるんでしょうな。(あたくしは株さえ戻ってくれればマインド好転して消費戻るでしょとその辺は結構強気にみてますけど)

『ある委員は、90 年代後半以降、日本では名目賃金の引き下げに対する抵抗がなくなったのではないかと指摘し、そうした中で生じた原油価格の上昇は、実質賃金の低下を通じて個人消費に対して悪影響を及ぼす可能性があると述べた。』

これは確かにと思いまする。

『一方、ある委員は、インフレ期待の重要性を指摘した上で、インフレ期待が修正され企業の価格転嫁が容易になれば賃金抑制姿勢も弱まる可能性があると指摘した。』

それが弱まらないから困るのよ。。。。。

『こうした議論を経て、委員は、原材料価格上昇がもたらすマクロ的インパクトについて、景気と物価の両面について、今後、一層注意深くみていく必要があるとの見方で一致した。』

ということで、引き続き時代はCPI上昇=デフレ脱却=金利正常化という過去のステージを脱却して来ましたということでございましょう。

#続きは明日












2008/01/25

お題「相場雑談とか総裁会見続きとか」

北ハマー先生が水曜の玉音放送(ラジオ日経の番組)で「株が下がっている時には株式から債券への資金シフトが起きる」などというお告げを出したら債券(特に長いところ)が・・・・・日本はまあそれほどでもないですが、米国債券市場まで曲げるとはさすが髪。


○まあ勢いで動いてるので後講釈するのもアレですが

昨日はSGでトレーダーが権限違反大取引やって大損ぶっこいたとかいうリリースがあったんですが、このリリースの前後あたりから欧州株式市場の絶賛大上昇に拍車が。前日に下がってたのをあたくしトリシェの利下げ否定発言かと思って昨日は悪態つきましたが、何かロイターニュースとかによりますと、このネタって前日とかも話になってたんですね。こりゃ失礼。

欧州銀行の損失→ユーロエリアでも対策が打たれる→各国協調行動期待→問題の早期解決期待→株は買いじゃん長期債は売りじゃんという絵を描いて相場が動いているとすれば、今までのパターンと違いますのでこれはオモロイんですけど、まあ金融機関巨額損失ネタがサブプラじゃないのが判明したので「なーんだ」となって前日に下がった分が戻った(上に米国の財政対応を好感した分が上積みになった)という所なんでしょうけれども(^^)。(追記:SGの敗戦処理に伴い株が下がったとの話もあるようですな。詳しくは厭債害債さんのところで)

ま、ここもとの相場自体が一日でダウが600ドル以上乱高下するようにもう何が何だかの勢い相場なのでございますが・・・・


んでまあ昨日の国内債券市場は前日の続きみたいな展開ではございましたが、さすがに2年の0.5%割れは何ぼなんでもそれは如何なものかということになったようで0.5%乗せに復帰致しました。と言っても相変わらず3か月FB対比逆イールドなのでありますが(苦笑)、1年以内のTB/FBに関しても昨日申し上げた素敵な逆イールドが若干緩和されましたねというところでございます(3か月が5糸強とか1毛強で1年は5糸甘)。

#どうでも良いのですが、先物ってマージンコールが掛かるから8000億円も飛ばす前に資金繰りで気が付くような気がするんですけど。その額さすがに資金繰りの誤差じゃすまないでしょ。


○総裁記者会見の続き

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0801b.pdf

・「すわ利下げ」で盛り上がった質疑応答

金融市場が「利下げキター!」と盛り上がったらしい部分はこの質疑応答でございますな。

『(問) 金融政策は目先の状況だけでなくフォワード・ルッキングな視点が重要だとのことですが、欧米は目先の状況に対応するために利下げといった対応を取っていると思います。協調の観点から日銀だけが現状維持でいいのかという点と、日本の金利水準が欧米に比べてまだ低いので利下げという選択肢を取りにくいという考えなのかどうかをお聞かせ下さい。』

欧米じゃなくて米英というのが正しいのですがそれは兎も角(^^)。

『(答) 中央銀行の金融政策の基本的な考え方については、国際会議等で十分な擦り合わせを繰り返してきているつもりです。目先の状況だけで政策判断を行って正しい金融政策ができると思っている中央銀行は一つもないと思います。(長くなるので割愛しますけど、要は先行きを分析することに皆努力してるという話)欧米諸国において、あたかも目先の問題に対応して金融政策を行っているように見える場合でも、かなり先々まで分析作業を施した上で金融政策の最終的な判断をしているということは間違いないと思います。それぞれの中央銀行の議事要旨をみますと、そうした議論の集積が十分行われていると確信できます。』

で、この次ですな。

『日本の場合、金利水準が非常に低いことを出発点として、金融政策に制約があるという前提で物事を考えるという立場は、私どもはとっておりません。』

んでまあこの部分がヘッドラインになって、金利が低いのが制約ではない→金利の引き下げも選択肢になる→利下げキター!となった訳で。

『あくまで情勢判断を中心に考えています。フォワード・ルッキングであり、確信が持てれば正しいタイミングで必要な施策をとる、そのような機動性は十分保ちながらやっていきたいということです。目先の現象に目を曇らせて、性急な判断で物事を処理するということは避けながら対応したいということは、繰り返し申し上げたいと思います。』

ま、ここまで読みますと、景気が復活すれば利上げも復活ですよという話をしてましたねと言う事なんですけれども、昨日ご紹介した株価下落への強い懸念発言もありましたし、まー最後の所はただの空元気って奴ですかね。

勿論きちんと時系列分析しているわけではないのですが、福井総裁クオリティーとしては、先行きに本当に自信満々の時は余裕ぶっこいているのでそんなに前のめり発言をしなくて、自信がちょっと無くなって来るとさも自信があるかの如き強気発言が段々出てくるという傾向が見て取れるんですが、降参モードになると急に警戒感丸出しの発言になってくるというのが流れとしての印象でありましてですな、まあ昨日の会見は要旨から見ますと降参モードって感じでしょうという雰囲気が伝わってきますわな。


・株式市場に対するコメント

それはそれとして株式市場の下落に関してもう一つ良い分析をしている部分がございまして、昨日ご紹介するときにうっかり八兵衛で見落としておりましたすいませんすいません。

『それから株価の下落ですが、他の国に比べて大きい、小さいというのは、いつを起点に考えるかによってかなり差が出ますが、最近日本の株価の下落幅が少し他の国に比べて大きいという感じをお持ちになられるような面があることは、否定し得ないと思っています。』

さよでございますな。

『日本も、世界同時株安という基調の範囲を超えるものとは思いませんが、円相場が少し円高方向に振れていることも一つの原因として作用していると思います。また、日本の株式市場において、過去に比べると外国人投資家のウエイトが非常に大きくなっている点も挙げられます。』

『少し振り返ってみると、2005 年あたりは外国人投資家の日本株の買い増しが非常に大きかったわけです。今は世界的にポートフォリオの見直しが行われる中で、他の投資ポートフォリオに生じた損失を日本株の売却によって益出しをしてカバーするという外国人投資家の行動も少し加わってきていて、それが追加的な株価押し下げ要因になっている可能性はあると思います。一つ一つの投資家の行動を見ているわけではありませんが、全体としての動きを見ている限り、そのようなことも言えると思います。』

これね、今週インドで引導状態になってた時に同じようなバージョンがあったと思うんですよ。と申しますのも、個人投資家さんの株式などのポートを勘案しますと、現物株では大体食らっている筈なんですけど、インド株投信みたいなのって(設定タイミングにもよりますが)概ねまだまだ大利食いゾーンにあるので、ここもとの下落で向った人が「やっぱダメじゃん売ってもう一回買いなおし」となった時に「利が乗ってるものを合わせ切りしておこう」となると利が乗っているのは新興国株系の商品と相成りますので、それがバカスカやって来ていきなりサーキットブレーカーって要因が(勿論それが全てとは思いませんが)あったんジャマイカと存じます次第。

ということで、昨日ご紹介した部分とこの部分を見ますと、まあ立場上閣僚よりは良く見てるの当たり前ですけど、閣僚さまの発言と比較して非常にちゃんとしていると思いますですよ。


・官製不況に関して

『(問) 国内の住宅投資の不芳は、建築基準法の改正のほか、貸金業法、金融商品取引法など一連の法改正による「官製不況」との指摘の声も出ていますが、総裁はどのようにお考えでしょうか。』

これはある意味上手い釣りでありまして・・・・・

『(答) 国内の住宅投資については、改正建築基準法の施行に伴う影響が予想以上に大幅で長引いているということが、下振れの基本要因ではないかと見ています。それ以外の政策的、制度的要因が強く絡んでいるかどうかは明確には認識しておりません。従って、建築確認に関する手続き面での問題が解消していけば、住宅投資は徐々に回復していくと基本的には考えています。』

で、途中を割愛しますが、この先でこんなコメントを。

『ただ、改正建築基準法の影響だけかと言えば、そうではなく、改正前からの住宅投資の動きを見てみますと、マンションについては、既に昨年から、特に都市部においてかなり物件価格が上がっており、そうした地域では住宅の新規購入態度に弱さが認められていました。それに改正建築基準法の影響が加わったため、両者の影響を見分けることが難しくなってしまったわけですが、私どもは、改正建築基準法の影響は徐々に薄れていく一方、物件価格の上昇によって弱さがみられる部分は少し尾を引く可能性があると考えております。』

まあ決定会合議事要旨でも指摘している人がいましたわな。

『従って、基本的には住宅投資は来年度入り後回復するが、回復のペースについては幾ばくかの不確実性が残っていると感じております。』

不確実性キター!ということで、この官製不況質問は中々良い誘導になったんではないかと存じます(^^)。やっぱ先行き気にしてるじゃん。。。









2008/01/24

お題「素敵な利下げ催促祭り」

利下げ否定のトリシェのバカタレ発言で欧州株が下がりやがって不機嫌モードで寝た訳ですが、起きてみたらいきなり米国株大反発とは何のこっちゃでございますな(^^)。(追記:実は要因は別だったようです。25日のドラめもんをご参考に)

しかし公共放送様は何で「320ドル下がった!」って報道するんでしょうかねえ。報道してる時点で200ドルくらい上昇してるのに、何という不安煽り。

・・・・・なんですけど、きっと公共放送様が本格的に狼狽してるということはある意味底打ち近いということでございましょう(と都合の良い解釈^^)。

#(追記)と思ったら6時のニュースの時(あれま300ドル上昇)には「値上がりに転じています」って言ってますな。

#(なおも追記)7時のニュースのヘッドラインは「大幅値上がり」になりましたよ。あっはっは(^^)。



○これは素敵な逆イールド&ツイストスティープ

昨日の債券市場はご案内の通り、朝っぱらから2年が0.5%割り込むわ、1年が0.5%割り込むわ、金先のSEP09が0.5%割り込むわ(しつこい^^)ともうお祭りにも程がある展開。2年の高値0.485%ですよ先生。

で、そんな中で3か月FBの入札をやってみればこっちは0.54%台の落札となりまして(引けでは0.54%ビットの0.535%ちょっと出合いで0.535%ですが)、いやあもうこれまた素敵な逆イールドになっておりますですよ。

・・・・ということで引けを並べると2年より手前は見事に0.5%割れの引けが並び、6か月くらいが0.5%でその手前になるとレートがちょっと上がってGC並みになるという感じですな。どれがどう引っ張っているのだか判りませんが、OISのAPR-MAYの仲値が0.393%あたり(15時半ごろ拾った数字)になってまして、利下げ織り込みが半分近くじゃねえか(半分なら0.375%ね)よおおおおという数値になっております。どうみてもそれはただの祭り状態ですが、これはまあ利下げ催促ということで(^^)。


で、一方で長いほうは何かヘロヘロになっておりまして、昨日の引け見ますと2年が3毛強の0.495%となってる側から5年が引けの0.780%、一方で10年が2毛甘の1.335%で20年30年が3毛甘の2.040%に2.300%と短期で利下げ催促して長期金利絶賛上昇の巻。

いやまあこんな時って勢いで動いてるから一日の動きで後追い講釈しても仕方ないんですけど、これを講釈すると「日本は利下げを行い、その利下げが効果を発揮して景気がまた復活するんで長期金利は上昇!」って市場が申しているということになりますな。なおも我田引水的解釈を続けると、これは市場が「日銀の利下げと政府の政策対応を催促している」と捉えていただくと有りがたく存じます次第。

・・・どんどん解釈が胡散臭くなってきた気がしますが(苦笑)。


でもね、2年が0.5%割れっちゅうのはこれ何なんでしょと思う訳でして、利下げしてそれが効かないとかなら兎も角、利下げが効果出したら将来的には逆に金利調整のプロセスが早くなるという結果になる筈で、そこまで2年もかからんのじゃないのって思うんですけど。いやまあ1年とかの金利はまだ理解できるのですが、2年まで買い進むのは勢いとは言え、催促してるのに利下げ効かないって感じでちょっとねえと。

ま、このあたりは解釈の世界なんで人それぞれ理屈を捏ねるんでしょうけれども、かつての時間軸時代の金利体系に目が慣れてしまってて、勢いで2年とかまでカーブを潰しに来てるように思えるんですよね。本当に各国が協調して政策パッケージ(財政と利下げ)やったら実質ゼロ金利とかマイナス金利の世界になって、わりとさっくり復活するんじゃねえのと思うんですけどねえ。。。。


○一番美しいシナリオはパッケージ炸裂だと思うんですが

昨日も何か頭に血が上りながらうだうだ書いたのでありますが(汗)、今後の一番ビューテホーな絵を描くとすれば、今度のG7だか何だかで各国が政策協調して利下げと財政対応(減税が宜しいのではないかと思うのですが)パッケージを炸裂させて回復ですよ回復ってお話。トリシェ先生がやる気なさそうなのが実に遺憾なのですが。

さすがに政府サイドが「うちらは何も出来ません」って発言してるのマズイと思ったのか知りませんが、福田首相が「各国の協調が必要」みたいな発言をしてたらしいのが希望を持たせてくれます。

・・・でも昨日のまっちー会見のヘッドライン見てると何ですかねと思っちゃう次第でして、ブルームバーグのヘッドラインを並べますと。

JBN 16:19 *町村氏:景気の先行き心配しないといけないが企業部門は底堅い
JBN 16:24 *町村氏:日銀も政府と同じ認識で適切な金融政策行うと思う
JBN 16:25 *町村氏:日本経済は極めて堅調、拡大基調にある

最初のはまあ良いとして、政府の認識は2008年度実質GDP2.0%名目GDP2.1%の見込みで、しかも極めて堅調な拡大基調だったらあのその日銀の適切な金融政策って利下げにならないと思うんですが(苦笑)。

危機感無いなら仕方無いのですが、微妙に他人事モードっぽいのが何ともですねって感じです。そういや山本幸三さんが「日銀はゼロ金利に戻して量的緩和を」って提言するそうなんですが、政府に減税しろというような提言もして頂きたく存じますんですけどね(何か酒の方の中川先生が「政府何かやりやがれ」みたいな発言をしてたらしいとちらっとどこかで見たんですが)。量的緩和やってる間もシバキアゲ大会(あれも一種の官製不況って奴でしょ)やってる時って株価絶賛下落してましたように、財政というか政府部門の適切な対応も大事じゃないのかと思うんですけどね。


ま、5日前に自分達が閣議決定した経済見通しを華麗にスルーしてほぼ同等の見通しを出している日銀の見通しを下げるべきだとかいう大臣がいるようじゃあ話にならんのですけれども(とまた悪態)。



○福井総裁記者会見:「金利水準の調整」終了のお知らせ(^^)

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0801b.pdf

上のほうの結局またトサカモードの書き物してるうちに時間が無くなって参りましたのでとりあえず簡単に(汗)。

・今までは「現状維持か利上げ」でしたが・・・・

何という直球質問(^^)。

『(問) 本日の中間評価でもありましたが、景気判断が下方修正されていく中で、今後の金融政策としては、利上げではなく利下げを検討する過程にあると考えてよろしいのでしょうか。』

『(答) 今申し上げましたように、先行きの経済見通しについて基本的シナリオは大筋維持されており、これまでの金融政策の基本的なスタンスには変わりはありません。見通しの蓋然性と上下両方のリスクを丹念に点検しながら、金融政策決定会合でその都度適切な政策判断をきちんと行っていくということに尽きます。』

途中を大いに割愛して。

『最も蓋然性の高い見通しは、わが国経済が物価安定のもとで緩やかな拡大を続けるということですので、先行きの金融政策運営についての基本的な考え方は、これまでと変わりありません。『リスク要因は、変化の激しい環境の中では刻々と変わります。私どもとしては、それを十分フォローし政策判断の中にきちんと取り入れながら、的確な判断を重ねていきたいと考えています。』

となっておりましたが、例えば12月の定例記者会見ではこのようになっておったんですよね。

『一言で言えば、先行きの金融政策運営についての日本銀行の基本的な考え方は、これまでと全く変わっていないということであります。日本経済が物価安定の下で息の長い成長軌道を今後とも辿るのであれば、金利水準を徐々に引き上げていく方向にあるとかねてより申し上げております。この基本線にいささかの揺るぎもありません。』(これは12月ですので念の為)

・・・・本石町日記さんのエントリー(昨日ご紹介しました)で指摘されていたように、利上げとか金利の調整とかという話が見事に消えましたね。

どう見ても「金利水準の調整」終了です。本当にありがとうございました。


・株価の話

株価についての総裁のコメント。

『(答) 大きな背景としては既に申し上げました通り、米国を始めとする世界経済全体の不確実性を市場が強く認識している、あるいは国際金融資本市場における全般的な不安定性を引き続き強く認識していることがあると思います。結果として、様々な市場において、投資家のリスク回避の動きが、足許非常に強まっています。そうした流れの中で、世界的な株価の下落が急激に進行中だと私どもは理解しています。』

リスクリパトリと経済の不透明の合わせ技というのは確かにさよで。

『日本の株式市場についても例外ではなく、中央銀行としては十分警戒的な目でもってフォローしていかなければなりません。経済全体の分析を常に踏まえながら、冷静に事態の把握に努めていきたいと思っています。』

『日本の経済全体の姿や、サブプライム住宅ローン問題の波及については既に申し上げました。株価の下落については、そのこと自体が直接日本経済に対して、いわば逆資産効果、あるいは企業マインドや消費者マインドへの影響等を通じたネガティブな影響を及ぼすリスクがあり、注意深くみていきたいと思っています。』

正直、閣僚の発言よりも総裁の発言の方がちゃんとしてますなあと思うのですが・・・・・

ということで、足元の株価下落に関してもちゃんと警戒しているようですな。

時間が無くて詳しくご紹介出来ませんでしたが、結構警戒色が強い内容になっていまして、さすがに(当たり前ですが)「利上げ時期を模索する」というトーンはすっかり影を潜めておりますな。利下げまで行くかというとそれもちょっとまだって感じですけれどもね。











2008/01/23

お題「相場のせいで少々トサカに来てますもんで・・・・」

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080122b.htm

米FRB75bp緊急利下げ。まあどうせ追い込まれるんだからもっと最初のうちに多めに下げてた方が良かったですねとは思いますが、遅れ馳せながらもやらないよりは遥かにマシということで、これで後は財政でしょ財政。

・・・・寄りは随分下がってたけど朝になったら戻りましたね。月曜日休みの分があるんだからこれでも上々でしょう。


で、金融経済月報とかの話の前に相場でトサカに来ているあたくしめの悪態成分のやや高めなクダ巻きモードで(^^)。


○何か連携大丈夫ですかという感じです

えーっとですな、皆様の周りでもそんな事例があるかも知れません(無い方が良いのですが・・・)けれども、出来の悪い組織と言いますか、責任の所在が曖昧な組織になりますと、目の前に問題や不具合があるのに、構成員の皆さんは文句は言うけど「じゃあこうして改善しよう」と誰も言い出さないまま事態が放置され、最後にどうしようもなくなるというのがございますわな。「改善しよう」と言い出した人(とか部門)に何故か問題解決が押し付けられるので、誰もが「雉も鳴かずば撃たれまい」モードになっちゃうって奴でございますよ、ええ。で、火中の栗を誰も拾わず最後に栗が破裂してそこら中で怪我人ってことですよ。ナムナム。


でね、何か昨日の閣議後の閣僚様の発言と、金融経済月報を見ると、そんな嫌な感じがしてきたのはあたくしが心配性だからなのであって欲しいんですけどどうもこう。

多分閣議後の閣僚発言だと思うのですが、ロイターの配信したヘッドラインと記事に少々口あんぐりのあたくし。


09:41RTRS-今の時点で景気対策考えていない=大田経済財政担当相
09:42RTRS-状況認識して日銀も金融政策を決定される=大田経済財政担当相
09:45RTRS-今日本でどうこうすることは難しい=株安・円高で大田経済財政担当相

・・・政府は何もしないで日銀やれですかそうですか。別に対策を打たなくても、それなりに考えているという姿勢を示すこともなく放置モードと取れる言い方は如何なものかと思うんですけど、まあこの大田さんの名誉の為に申し上げますと、一応気にしているというコメントも後に出ているんですけれども・・・・

09:46RTRS-金融資本市場動向はウォッチしていく=大田経済財政担当相

その前のヘッドラインの後では何か「手を拱いて見ております」って感じでちょっと弱いっす。

まだ大田さんは良いとしまして、極めつけは例によってこのお方でした。

12:35RTRS-日銀だけがメインシナリオ維持すると米欧とかけ離れる=決定会合で渡辺金融担当相
12:37RTRS-次の日銀総裁人事は大事、市場をわかっている人がやらないと危うい=渡辺金融担当相
12:37RTRS-マクロ政策として日本が打てるのは金融政策だけ=渡辺金融担当相

建築基準法改正の不手際とかは華麗にスルーですかそうですか、って言うか、何も「日本政府は何もしません出来ません」って取れる言い方をするのはそれこそ市場に足元見られるだけだと思うんですけれどもねえ。それで「市場をわかっている人」とか言われましてもヘソが茶を沸かしてしまいますわなあ。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-29888320080122
こちらにも記事がありまして、まあ最初の発言に関しては何となく良い事を仰っているように見えますけれども、まあちょっと待てと。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi-taisaku.html
こちらにありますように、先週金曜に「閣議決定」された「平成20年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」の中身は下のPDFにあるんですけどね。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2008/0118mitoshi.pdf

この5ページ目に「平成20年度の経済見通し」ってのがあるんですけれども、そこにはこのような記述が堂々ございます。

『こうした結果、平成20年度の国内総生産の実質成長率は2.0%程度(名目成長率は2.1%程度)になるなど、別添の主要経済指標のとおりと見通される。』

一方で日銀の展望レポート(今回中間評価で「やや下振れて推移」という認識をご披露してましたが)ですが、こちらの最後にございますように、10月末の時点(ですからサブプラ問題が今のようになる前ですよね)に出されたGDPの見通しは実質GDPで1.9%〜2.3%の中心値2.1%でございますわな。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0710.htm

・・・・いやあの日銀のメインシナリオ下げろというのは論議として非常に良く判りますが、それなら金曜にお前らが閣議決定した経済見通しは何なんだという話ですよ。自分の所の見通しを思いっきり下げているというのであれば日銀に文句つけるのも有りというか当然だと思うんですけども、自分達のメインシナリオと同じような日銀のシナリオを下げろと言う側からてめえらは何もしませんできませんってそりゃねえだろうよと。

何ちゅうかね、もう「言うだけ番長」にも程があるとしか申し上げようが無い訳でして、まあ批判するのは簡単ですんで(オマエモナーというツッコミが十字砲火ですかそうですか^^)とりあえず先生は閣僚とかはやらんで頂きたいと存じます次第でございます。


翻って考えまするに、小泉さんの頃は日銀が量的緩和で(意味があったのかどうかは微妙ですけれども)当座預金残高をアホほど増やす間に、「新規国債30兆円公約」をあっさり反故にしたり、為替絶賛大介入したり、最後はシバキアゲ止めて銀行に公的資金突っ込んだりと、実際にやってた政策は財政拡張攻撃と金融緩和攻撃のセット政策でして(その間財政拡張と言わせなかったのは政治的なお上手さ)、まあ30兆円を反故にして批判食らった時にもちゃんと泥を被った(というか泥を華麗にスルーしたというか^^)ように、政府ってやることかなりやってたと思うんですよね。

#株価とか戻ったのってシバキアゲを止めた所からですよね

一方で現在はてめえらは実質GDP2.0%って見通しを閣議決定しておいて実質GDP2.1%の日銀はケシカラン世界標準とかけ離れているとかもうアホか馬鹿かという感じでございまするな。


とまあ政府が何もしねえと言ってるのに悪態ついてる訳ですが、今月の金融経済月報がこれまた全然12月と変っていないというのも何だかなあという感じでございます。いやまあ確かに下がったのは株式市場とマインドだけでハードデータは変ってないでしょうとか言われるとそりゃそうなんですけどね・・・・・

ただまあ総裁会見ではさすがに利上げの話を封印したようで、まあそれは良かったですねという感じです。会見内容に関しましては日銀のサイトに今日アップされますが、本石町日記さんのところにエントリーがございます。
http://hongokucho.exblog.jp/7968380/

いぜれにせよ、何かこう政府と日銀がうまく連携できてなさそうな印象が伝わってくるような状況は如何なものかという風に思う訳ですよ、はい。


○金融経済月報の基本部分が全然変っていないんですが

12月にアセスメント下げた金融経済月報。今月も下げるでしょとか思ったら、こちらは前月と同じ文言が並んでおります。いやまあマインドは株価戻ったらあっさり戻るんじゃねえのとは思うので、悲観することも無いのかも知れませんけれども、12月に下げているのに1月変らずというのはちと不思議でした。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0801.htm(1月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0712.htm(12月)

えーっとですね、これがまた12月月報と思いっきり同じでして、違うのは金融市場で円高長期金利低下株安が進行しているって所と、先日公表された日銀短観に関連する企業の業況感に関する記述が外れた所だけでございます。あたくし的にはちょっと意外でしたけど。

まあそのあたり引用するまでもないですが一応。

『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している。』

『景気の先行きについては、当面減速するものの、その後緩やかな拡大を続けるとみられる。』

『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、当面は、石油製品や食料品の価格上昇などから、また、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

ということで、展望レポートの中間評価部分に参ります。

『わが国の景気は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、住宅投資の減少が長引いていることなどから幾分下振れて推移している。このため、2007年度の成長率は潜在成長率をやや下回る水準になるとみられる。』

まあこんな感じの表現だと思いっきり想定の範囲内ですにゃ。

『もっとも、生産・所得・支出の好循環メカニズムは基本的に維持されており、住宅投資が次第に回復に向かうことから、2008年度の成長率は、「見通し」に概ね沿って、潜在成長率をやや上回る水準になると予想される。』

でも決定会合の議論の中ではこの住宅投資大丈夫なのかってのが前から出てますよね。そういう意味ではリスクを見てますねってことでしょう。

『こうした「見通し」については、引き続き、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに注意する必要がある。』

『物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、2007年度、2008年度ともに、「見通し」に比べて上振れるものと見込まれる。この間、消費者物価は、石油製品や食料品価格が上昇していることから、2007年度は「見通し」に比べて幾分上振れるとみられる。2008年度は、石油製品や食料品価格の上昇の影響が残る一方、景気の一時的な減速の影響が現れることから、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ただまあ既に物価に関してはコアCPIが上昇したから金利正常化という話は12月の時点で封印モードになっているでしょというのは、12月時点は兎も角、現状では市場の共通認識となってますので、その点ではコアCPIが少々上昇しようとも(2%より高くなったら話は別でしょうが・・・)あまりそれで利上げを意識することはないので、こっちの数字が強めでもあまり驚きませんわな。

しかしCPI見通しに関しては上にあるように『景気の一時的な減速の影響が現れることから』とわざわざ入れているのが中々チャーミングですね。


○その他少々

・金先9月限高値99.520でしたっけ

ナイトセッションでそんなお値段がついていたようですが、まさに利下げ催促モードと言うか、来るのがはええええええよおおおおおお!!!って感じでまあビックリであります。OISのJUN-JULなんて仲値0.34%ってあーた利下げ織り込み50%超えてるじゃあーりませんか。

#まあOISが金先に裁定されてそんな値段になっているという気もしますが

2年国債は引けベースで0.525%で引け後に0.515%とかやらかしていたのですが、一方で3か月FBの引けは0.545%なんですが何という逆イールドでしょう。。。。。


・利下げに関するあたくしの今の雑感

いやね、もうちょっと考えまとめたら書くかもしれないし書かないかもしれないですけれども、上のほうで散々悪態ついたとおりでして、日銀が利下げして政府は絶賛緊縮財政とかしててもタマの無駄撃ちになっちゃいかねませんので、利下げするなら財政もセットで出していただきたいと思うと申しますか、財政セットでくるなら利下げも有りかなとは思いまする。というあたくしは財政重視な古い人ですかそうですか。

まー財政出すというよりは減税すりゃ良いと思う次第でして、定率減税の復活と恒久化(今度こそ本当の本当に恒久化)が個人消費に効くんじゃないでしょうかねと勝手に思ってるんですけど。

その辺が無いうちは利下げってやりにくいんじゃないかねえと思います。










2008/01/22

お題「国会会議録でも見て現実逃避(><;」

やっとこうモーサテが葬式モードになってきた感じ。まあ早急に禿先生の落ち短と武者悲観砲の発射をお願い申し上げたいところでありまする。とほほのほ。

○2年0.565%ですかそうですか

いやまあ相場さんの方はどうにもこうにもという感じでございますが、2年カレントの昨日の引けは0.565%なんぞになっておりまして、どう見ても2年間(というかまあ2年近く、ってことでしょうが^^)利上げがありません本当にありがとうございましたという大変素敵な数字になっております。

1年0.55%とかいうのはまあ仕方ないのかも知れない(年内全然ダメってのも悲観し過ぎのような気がせんでもないのですが)ですけれども、あのその2年までそうってえのはちょっと何だかなという感じですけれども、まあここからどうせ利下げ催促みたいなことを一回はやらないと気がすまない人たちが居るんでしょうしねえ。

でまあ2年がそんなレートなもんで、より短いゾーンの国債金利は皆揃って似たようなレートになってまして(苦笑)、ついでに2月だの3月だのの償還ものは0.525%とかに低下してますが、そもそもGCレートが足元やっと落ち着いて0.53%とかになってますし、タームのオペ金利が期内0.53%で(この調子だともう一丁下がるかね)期末越えが0.55%となっておりますので、まーそんなもんちゃあそんなもん。

金先は相変わらず元気というか何というかで、6月限と9月限の逆イールドは3毛くらいまで拡大するわ、祭り成分が不足と悪態をついたのが聞こえたのか、9月限と12月限の逆イールドが縮小してまして、気が付けば6月限と12月限で比較した場合も逆イールドになりやがっているのが祭り成分拡大で誠に結構な事になっておりますです、はい。

いやまあ何と申しますか、2年だとちょっとどうなのかと思うのですが、1年0.55%(新発はモノが薄くて0.54%とかだったりしますが、まあ本来の居場所は55かちょっと切る位だと思うんですけど)とかですと、来年1月とかまで利上げが無いと思えば足元対比でとりあえずチャラで回せそうな感じでして、利下げ(現実にやらなくても思惑が出れば良し)ともなればウハウハということでこうなると宝くじ感覚で買えますなというお話になりますな。

と、理屈を展開してみましたがさて・・・・・(^^)

#同じ理屈ならOISの6月-7月の0.44%を受ける方がより宝くじ成分が高い(さすがにそこでの利上げは99%無いでしょうからやられて6毛で当たれば19毛ですよ!)と思ふ


○さて1月11日の衆議院財務金融委員会

例によって直リンのアドレスがわからなかったので、以下の所から財務金融委員会の1月11日をご覧になりたし。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

今回は定例の四半期報告の質疑だったんですけれども。

・物価上昇が景気下押しという話

自民党の鈴木馨祐委員の物価に対する見方に対する福井総裁の答弁にはこんな部分がございました。

『ただ、その一方で、原油価格を初めとする原材料価格の高騰は、企業収益の圧迫という一面を持っておりまして、これを通じた場合には経済活動に対する下押し要因となる。つまり、一方で物価を押し上げ、片方で企業収益の圧迫を通じて経済を下押す要因となるということでありますので、なかなか複雑でございます。』

これは最近政策委員の皆様が指摘していることですが、

『この下押し圧力の方を重んじて考えれば、将来の物価にマイナスの影響が及ぶ可能性すらあるということでございます。』

ほほう、これはちょっと踏み込んでネガティブ(というのも変な言い方ですが)な言い方してますな。これはこれは。

『したがいまして、日本銀行といたしましては、原油を初めとするエネルギーの動向あるいは原材料価格の動向が経済や物価の先行きに与える影響については、少し幅広い角度から検討を深めてまいりまして、随時適切な結論を得て、適切な金融政策の運営につなげていかなければならない。そういうふうに、少し視野を広げ、分析を深め、適切な政策判断につなげたい、こういう考え方でおります。』

この前の部分では人々のインフレ感がどうのこうのという話もあるのですけれども、流れからするとこの「幅広い角度」というのは従来の物価上昇したら金利正常化(と少なくとも外の人からは見られやすかった)という話ではないですよという解釈になると存じますな。


・ちょっと微妙ですが総裁またうっかり梯子外し?

同じく鈴木委員の質疑応答の中でこんな答弁が。

『そして、最近の物価動向、特に消費者物価指数の動きなどを見ておりますと、マイナスの領域から少しプラスの領域に入ってきた。プラスの領域に入って、当面の見通しも、今申し上げましたとおり目先は供給要因から、その先は需給がよりタイトになるという要因で、ゆっくりと上昇基調をたどっていくということでありますので、この物価安定の理解の範囲内で、基調的な物価安定ということはしっかり確保しながら物価が推移していくだろうという見通しでございますので、理解について変更する必要はない、こういうふうに考えております。』

後半はまあどうでも良いのですが、冒頭部分を良く見ますと「マイナスの領域」と仰せなのですが、えーっとあのその去年2月から9月のコアCPIは「ゼロ近傍」じゃなかったでしたっけ?????

と思って答弁じゃなくて報告部分の冒頭を見ますと、こちらでも福井総裁こう説明してますが。

『消費者物価指数ですが、生鮮食品を除くベースで見ますと、その前年比は、昨年十月にプラス〇・一%とプラスに転じまして、十一月にはプラス〇・四%というふうになりました。』

プラスに「転じ」ますという表現ですとその前はマイナスだったと解釈するのが普通ですよね。いやまあ「ゼロ近傍だったのがプラスに転じました」っても言えますけど、その後でマイナスの領域から云々が出ちゃいますと、今までのゼロ近傍は何だったのよと・・・・・

たぶん「実数がマイナスになっていることと継続的な物価下落という意味でのデフレとは別なのでゼロ近傍としている」とかいう話になるのでしょうけれども、何と申しますか総裁もうっかりさんですなあと(^^)。


・で、景気減速発言

同じく鈴木委員から景気認識について質問されて・・・

『委員御承知のとおり、まず、日本経済を単体として眺めますと、足元景気は少し減速している、率直にそういう状況だというふうに思います。』

ということで、まあその後色々と基本的なメカニズムは崩れてないという話をしていますが、まあまあ最初がこれということで、今回の答弁の印象としては従来の強気を引っ込めてますねという感じでしょうか。


・日銀総裁に必要とされること

これまた同じく鈴木委員の質問に対する答弁から。

『一つは、やはり何と言っても通貨の安定に対する強い信念と実行力。それから、こういうグローバル化のもとで、日本経済は世界経済と緊密な連関を持って動いているということがありますので、やはり鋭敏な国際感覚というものは必要だと。それから、何と言ってもマーケットエコノミー、経済と市場とが相互連関、相互作用と言った方がいいですね、インタラクションを持ちながら発展していく状況でありますので、市場を大切にする気持ちというものが非常に大事じゃないかというふうに思います。』

とりあえず理解したが、市場を大切にする気持ちというのはあのその何と申しますか・・・・もういいや。

『そして、最後に、政策委員会で、一つの結論を創造的に導き出していくプロセスを、リードしていくという言葉もあれですが、そういう政策委員会のダイナミクスを前進させていくエネルギーが要る、創造的な能力が要る。言ってみればそんなことでありまして、そのいずれも私は十分満たしているとはもちろん思っておりませんが、後任には私以上にそういった条件を満たす方を選んでいただきたいというふうに思っております。』

自分でも微妙な表現と思ったようですが、やはり「リードしていく」という意識はそりゃまあ福井総裁だったらございますわなと。いやあのリードするならするでも良いんですけれども、笛吹き男にリードされて全員で入水する破目になっても困りますので、そのあたり一つ宜しくお願いしたいと思うのでありまする。

ちなみに、その後民主党の鈴木克昌委員の質問に対する答弁も似たようなもんでしたが、その最後の部分。文章が全部繋がっているので最後の方だけ引用すると少々アレなのですが。

『経済も自律的な調整をしますが、市場も自律的な調整をする。その相互の調整の波長がうまく合えば、次は経済と市場とがよりバランスのとれた好ましい発展の条件が整うということでありますので、そこを目指して適切な市場調節あるいは金融政策を運営して次のターゲットに結びつけていくということでありますので、市場を大切にする気持ちというのはもう絶対に欠かせないし、十分市場からの情報に耳を傾ける、あるいは市場に十分コミュニケーションをしていくというふうに、意思の疎通が十分できるということが非常に大切だというふうに思います。』

意思の疎通ですかそうですか・・・・・・


・おまけ

ということでまあ引用はこんな感じなんですが、民主党の鈴木委員がサブプライム問題に関して現在どうなっているかという質問をするなかでこんな話が。

『まず、皆さんもお聞きになっておって、えっと思われる。この九月末というのが、今はもう年が改まっているわけですよ。まず、このデータが九月末時点でというふうな話がこの委員会で出ておるということは、私は、これは一体全体本当にどうなっているのかなというふうに思います。』(これは鈴木委員の質問)

気持ちは良く判りますが、集計をするのは金融機関の現場でして、あんまり頻繁に報告しろと言われますとそれこそ報告が仕事になってしまって肝心のリスク管理があさっての方向に行ってしまいますので、一つそのあたりは穏便にして頂きたく存じます。。。。

あと、民主党の階猛委員が質問してたんですが、最初の部分でアセスメントを変えているのに金融政策の方向が変らないのはどうしてだという質問をしているのが面白かったのですが、途中からどうでもいい質問を総花的に行ってしまい実に惜しかったです。

共産党の佐々木憲昭委員が「景気は後退入りしていないか」と思いっきり質問してたのも中々でしたが、後半がちょっと共産党節になってたのが残念。

それはそれとして階さんの冒頭の一言に何とも。

『旧日本長期信用銀行、十年前に破綻した、そこの出身の階でございます。きょうは福井総裁と、私は元バンカーですけれども、バンカー同士ということで、忌憚のない意見交換をさせていただければ、こう思っております。』

バンカーねえ・・・・・









2008/01/21

お題「引き続き日銀総裁人事の雑談」

まあ色々と相場に振り回されてるもんで(汗)。

○次期日銀総裁人事関係の与太話

金曜は民主党の岡田さんの話をご紹介しましたが、まあ民主党様におかれましてはど〜もこう根本的にご理解が不足してるんだろうなあとか思うのは、しばらくご紹介して悪態ついた民主党のエライ人の国会質疑もさることながら、財務省トップ経験者が日銀のトップになった場合、『国債の利払いを減らすために金利を低く抑えるなど、財政政策に気兼ねする恐れがある』、という理屈とか。
http://www.asahi.com/business/update/1231/TKY200712310128.html
(昨年の大晦日の朝日新聞の記事でしたな)

えーっとですな、何度も申し上げておりますように、長期金利(はゼロ金利解除どころか量的緩和解除(つまり日銀当座預金が30兆円あった時代)よりも政策金利が50bpの今の方が低うございます。ただまあ10年だけじゃなくて他の金利も見ないといけませんが、手元の帳面ベースですけれども一昨年の3月8日(量的緩和解除の前日)と金曜の引けを比較すると、2年は0.480%VS0.575%でさすがに今のほうが高いのですけれども、5年は1.040%VS0.855%、10年は1.610%VS1.390%とこの辺までの金利は今の方が低いとオソロシス。20年以降は今のほうが高くて1.975%VS2.045%、30年は2.205%VS2.310%とこの辺は高いと。ふむふむなるほど(ちなみに平均株価は15627.49円)。

つまりですな、超短い所はともかくとして、中長期の金利って他の要因が色々とありますんで、政策金利を必要以上に低く抑えた場合って実は中長期金利が上がる場合だってある(というか多分金利は跳ねる)訳でして、別に財務省寄りだから政策金利を上げないって訳じゃないんすよね。どっちかと言えば景気が腰折れしない範囲内での(という限定はつきますが)正常化路線の方が財務省的には(長期金利が跳ねないから)助かるような気がするんですけどね。

とは申しましても、政策金利を徐々に上げた方が長期金利が上がりにくく、低金利を必要以上に引っ張った場合は長期金利が上昇するなどというのは普通に説明するのは中々ムツカシイ(というか無理です^^)ので上記朝日新聞記事にあるコメントのようになるんでしょうな。いやはや。

ちなみに、民主党様に関しては
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-02.html
の10月30日、11月8日、11月14日あたりが中々腰が砕ける質疑応答でございましたが、まあ最近のことですのでまだ覚えておられますよね。改めて読み直して泣きそうになりましたが。

しかしまあ何と申しますか、次期日銀総裁人事の問題で民主党様から色々とコメントが出てくるのですが、出れば出るほど政権担当能力を疑いたくなるお言葉になっていて実に香ばしいですよね。


とまあ民主党様の悪態ばかりでは何ですので、久々に自民党の前幹事長様であらせられます中川秀直氏のサイトから。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=795

『0ECD加盟国中、デフレが続いているのは日本のみである。その理由について、民主党はどのような認識をもっているのであろうか。この1年間の日銀の金融政策をどう総括するのであろうか。昨年の4月から日銀が物価見通しを2度下方修正していることは、金利正常化の路線は正しくなかったと受け止めるべきなのではないか。』

このデフレっていうのがイマイチしっくりこないんですけれども、まあこの部分に関しては筋の通ったお話。ただこの先の部分がまあ何と申しますか、説明の説得性を高めようと判りやすい言い方をしてるんでしょうけれども・・・・・

『私は昨日の上尾市での講演でも述べたが、世界経済の最大の問題は「金融システミックリスク」の対応だ。』

えーっと、金融システミックリスク対応なら利下げじゃなくてプルーデンスとか金融行政の登場する場面でして、金融政策でどうのこうのというのはちょっとそれは。まあそんな中で利上げするのは無茶でしょうからここまでは判るんですが。

『今後、欧米は協調利下げになる可能性が高い。そのような中で、日本はどうしたらいいのか。世界の流れを無視して、これまでのような利上げ=金融正常化路線を続けるのか。ここは、世界と歩調を合わせて、金融緩和を検討していくべきなのではないか。』

いやあの先生、ちょっと前までの欧米は金融正常化路線でバンバン利上げしてたんですが、その頃には量的緩和解除ダメとか利上げダメとか仰せだったと思うんですが。と申しますか、そういう話をしちゃうと海外が利下げ休止して正常化に舵切ったら日本も正常化すべしって結論になってしまいますので、あくまでも「日本はデフレ」「景気悪化懸念がある」から利下げすべしって線で利下げ論をぶったほうが吉かと存じますが。

#しかし『日が再び沈む国になるか、それとも日が再び昇る国になるか、ポスト福井にかかっているといっても過言ではない。国益そのものがかかっている。』って中川さん金融政策に対する期待値がちと高すぎのような気もしますが。あたしゃ財政出せばって思っちゃうクチなんで。


・・・・と、少々悪態をつきましたが、ミンス様の議論は議論になっていないのに対しまして中川さんの主張を並べるのが申し訳ないくらいにちゃんとした政策論議になっている訳でして(^^)、『民主党の総裁人事の3原則は「形式論」のみで、内容に踏み込んでいないように見られる。』という中川さんの指摘がまさにその通りという感じですわな。

でまあそんな党に多数を与えたのは選挙民である我々なんすよねorz

最後になりましたが、bewaadさんの総裁人事に関する見解はまさにその通りと存じます。まあ武藤副総裁で何の問題があるのかなと反対してる人には逆に質問したいと存じます。
http://bewaad.com/2008/01/06/385/


○ところで相場メモ

金曜日ビックリしたのは2年カレントが0.56%の出合いがあったこと。どうも仕掛けなのか間違いなのかという出合いで、その後そんなに時間も掛からず0.565%のオファーがさっくりと出てきて引けは0.575%になってましたんで、まあ0.56%はご愛嬌としましても、結局先週月曜日に悪態をついたレベルに再度達しておりまして、もう何と申しますかそのレートが意味する日本経済見通しを見ると落涙を禁じ得ません。

それから、足元のGCとかのレートに関しては21日渡し抜けたところから落ち着いて、オペ金利も54bpから53bpへ低下してるんですが、金融系のCP新発レートが下がらないというかスプレッドついたまんまというか、こっちも気になります。先週からやたらとサムライ債とか出てるのもアレでございますしねえ。

#とまあそのくらいしか相場メモが無いのが誠にアレでございますが








2008/01/18

お題「何かと相場で忙しいので雑談で恐縮」

武者先生のドテン悲観か北禿先生の落ち短を可及的速やかに望みたい所であります。北禿先生が今日の前場で下げたところで後出し更新して落ち短ってのが一番美しいんですけど。

でもアメ公の株下げに関しては、そこまでの上げと値持ちっぷりにかなりムカツイていましたので当たり前じゃヴォケとか思ったりするのでありますが。


○その理屈はちょっと違和感が

日銀執行部人事に関する意見が政治方面からちょろちょろ出てくるのですが、昨日は民主党の岡田副代表が日本記者クラブで講演し、武藤副総裁の総裁就任に対して難色を。

ソースは17日15時27分配信の日本語版ロイターです。

『岡田副代表は「今の副総裁(武藤氏)では財金分離に反する」とし、「財務当局の実務の最高責任者を務めた人が、金融の最高責任者になることに対する違和感を持っている」と武藤副総裁の総裁就任に難色を示した。』

・・・・・うーん、武藤副総裁の場合は執行部として5年間日銀の中の人になってた訳でして、その5年間は無視ですかそうですかという感じがするんで、それを財金分離に反するとか言われるとちょっとねえという感じはするんですけど。だいたい財金分離って大蔵省の組織改編に関して出てきた話じゃなかったでしたっけ。

でね、さすがにオカラ先生におかれましても役人出身ですよねというツッコミを受けるのを予想したのかどうか知りませんが。

『もっとも、「役人出身者が全部ダメということではない。党としてもそこまでは言っていない」と述べ、官僚出身かどうかが日銀総裁人事の基準にはならないとの見解を語り、「国会で議論をしていく中で、何らかの合意が得られるかも知れない」との見方を示した。』(これもソースは上記ロイター記事)

ということで、まあさすがに頭ごなしに「ダメ」という訳ではないんでしょう。

以下はあたくしの勝手な想像になるんですけどね、今までのミンス様が政府与党を非難するときに使っていた「日銀の独立を政府与党が邪魔している」というロジックがあったと思うんですけれども、次期総裁候補に武藤副総裁って話になった時に、ミンス様としては、「財務省事務次官が日銀総裁就任=財務省の日銀支配=日銀は困っているに違いない=日銀の為にも武藤副総裁の昇格阻止!」とか考えたんじゃねえのかなあって思うんですよ。

ところがあにははからんや、武藤副総裁は日銀の中の人になった時点で財務省の人じゃなくて日銀の人になってお仕事をやってらっしゃるというまさしく優秀な官僚としての本領を発揮していましたという訳でして、これまた今までの講演とかの文書を拝読した限りの想像になりますけれども、サービス発言で余計な波風を立てたりする今の総裁様と比較して、武藤さんの方が安定感があるし、何か下々の話も聞いてくれそう(総裁様の場合は何か俺様のいう事を聞けって雰囲気が)な感じだし、ど〜見てもやりやすいと思うんですよね。

で、ミンス様はその辺毎度お馴染みの読み間違えをしてたんじゃないのかなあって気がして、振り上げた拳をどう穏便に下ろすかという状況なんじゃネーノと存じますが。

大体からして下馬評に上がっている中に民主党のネクストキャビネットの財務大臣になった事がある榊原英資氏が出るという時点で財金分離とか今更何いってんだと思うんすけどね。そりゃまあミンス様が推してるという話は聞いてませんが、もし政治からの独立性とかミンス様が本気で考えているのだったら既に自分の所の政党色がついている榊原氏なんていの一番に却下するから候補の下馬評にすら上がらない筈なんですけどねえ。

以前にも引用しましたが、本石町日記さんが中々鋭い指摘をしていましたよね。ということで再掲。
http://hongokucho.exblog.jp/6974947/

『(引用者注:民主党が主張する)日銀を与党に抑圧された存在とみなす戦略は、仮に与党になれば日銀を抑圧するのが見え見えで、薄っぺらな感じである。』

とか悪態をついた訳ですが、良く考えたら半年前から同じ悪態をついていることを思い出しましたスイマセンスイマセン(苦笑)。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-01.html#za070806
(うまく飛ばない場合は8月6日の所をクリックありたし)


○日経に利下げ観測キター!などなど

例によって不見識なあたくしは日経新聞を購読してませんので、モーサテ様の「日経朝特急」コーナーがソースなのですが(汗)。

OIS市場で織り込んでいる利下げ観測が夏場に3割!ということでそろそろ来るかと思っていたら日経様が記事にしましたので、まあここは是非利下げ催促祭りをやっていただきたいものなのですが、何せ昨日も金先の9月限と12月限は順イールドのままで、要する金先の9月限だけで祭りをやっている感じなので、昨日も申し上げましたように祭り成分が不足しておりますというか、9月の3か月TIBORは6月よりも低下するのに12月になると元に戻るという織り込みっぷりはどんな器用な織り込み方なんだよと。

まあそう考えると価格形成が妙な分だけ祭り成分が濃厚とも言えないわけでもないという結論になったりするのですが(苦笑)。日経に出ると終了の法則が今回発動するのかどうかは良く判りませんけどね。

でね、昨日本石町日記さんが指摘してましたけど、次回の展望レポートにおける経済見通しって前提になる政策金利パスがこのままでは「今年のどこかでもしかしたら利下げ」という風になるのですけれども、それだと見通しを上方修正しないと話がおかしくなってくる(去年4月は年度内2回利上げ、去年10月は年度内1回〜2回の利上げを市場金利は織り込んでいたから)のですけれども、さてどうするんでしょ。

・・・と思ったら、誠に残念な事に3月に執行部が交代するので展望レポートの見通し作るロジックをいじることが可能でした。残念無念(^^)。

まあこの展望レポートの経済見通しロジックと言い、第一の柱、第二の柱と言い、基本的に金利水準の調整という名の利上げ路線を補強するようなロジックの作り方をしていたという所が経済情勢が変化しやがった現在になって益々今の金融政策ロジックが判りにくいですがなということになる原因になっているというのはまあ衆目の一致する所だと思うんですよ。

てなことで、まあ新執行部体制になりましたら、あまりこう先行きに一点張りするようなロジック構築をするのは避けた方が宜しいのではないかと存じます次第であります。

#いつの間にか話が変ってますがケンチャナヨということで。







2008/01/17

お題「いやあ2年0.575%出合いですか」

前場引けを見てボログで「悪くない動きです」とお告げを出した途端のあの株式相場に北ハマー先生はやはり相場の髪様であると改めて痛感致しました。

というわけで今日も世間話モードで恐縮至極。

○これは素敵な時間軸(あるいは利下げ^^)

昨日の債券市場ですが、前場は先物中心に強かったような感じでしたが後場になると現物がやたら強くなって長期超長期が先物を追い抜いてしまうという何かこう現物の踏みですかそうですかという動きでありましたが、そんな中で中短期も例によって確り。で、何と2年カレント国債の高値が0.575%なんぞになりやがりました。

先週金曜の後場寄り付きで0.58だか585だかをマークして「えええええ!」という感じだったのですが、改めて強くなりやがりまして足元のGCレポレートが相変わらず落ち着かなくて0.55%から0.58%のあたりで推移しており、ターム物のオペ金利は軒並み0.54%で揃っている(期末越えはまだ出てませんので念の為)という状況なので、要するにリスクプレミアムがろくすっぽございませんというレートになっちゃっています。まあ引けは一応押し込んだのですがそれでも0.585%でございます。

ちなみに1年TBカレントは何か品薄らしくて0.54%の引けになっている(なおその1つ前の引けは0.545%^^)ので、百歩譲って1年金利0.54%として2年0.585%ってどうよとエエカゲンに計算すると1年後スタートの1年金利が0.63%(かなりざっくり計算ですので念の為)ということですので、どう見てもリスクプレミアムがありません。本当にカムサハムニダ。

#まー要するに時間軸状態になってるって事ですけどね(じゃないとさすがにこれを正当化するのは・・・・)

でね、昨日って3か月FBの入札もあったんですけど、こっちの平均落札利回りは0.5655%で足切りが0.5683%となっておりまして(引けは0.560%です)、昨日もあたくし申し上げましたように、もはやこの辺はイールドカーブですらねえという状態で発行が多いゾーン重くなってそこのレートが上昇しますねえという大変香ばしい状態になっておられますわな。

ちなみに来月から3か月FBの発行が1回あたり3000億円くらい増発になるらしい(相場がこの調子で何か落ち着いて調べる余裕が無くてよー調べてませんが、これって例の埋蔵金論争によって特別会計の引当を一般会計に振り替えた為に資金繰り上発行量が増えたとか、引当に回す分が減るから資金繰り上発行量が増えたとか、そういう背景があると存じます)ので、3か月ゾーンに関しては12月の増発と合わせて昨年11月末対比で今年6月になるとしらっと8兆円近く増発になってるんですよね(=6000億円×13本)。何かこの調子の相場やってると足元から3か月あたりが一番重くなりそうな悪寒。やりにくいですわな。


○まあお祭りでもあるんでしょうが

とまあ一応そんな後付け理屈を並べてますけど、そもそもは金先のレートが何というか祭り状態になっている次第でして、この前お話した6月限と9月限の逆イールド様が昨日の場中は瞬間3bpくらいに拡大してた(記憶ベースなので間違っていただゴメンナサイ)という有様でして、利下げを意識しないとそういう数字は正当化致しかねますが何かという感じです。

んでまあそっちが引っ張っているのかOISが引っ張ってるのか知りませんが、某ベンダーで某証券さまが出しているOISの気配が5月会合から6月会合までで0.45%くらいで、6月会合から7月会合まで0.43%くらいになっておりまして、これはまた素敵な利下げ催促祭りの始まりのような板気配。

というように、現物金利じゃ無い所では現物のイールドフラット状態とは一味違った祭りモードっぽくなっている所がこれまた香ばしい状態になっておりまして、まあこりゃちょっと利下げ催促祭りでもやらかすんでしょうかねえという所ではあります。

とか何とか祭りと申し上げてますが、その金先におかれましては、9月限と12月限が順イールドになっているのが中々チャーミングでありまして、利下げ催促するならもっと期先の限月まで逆イールドにしやがれってんだいと思いますが(^^)。イマイチ祭り成分が不足しておりますというか9月限だけで祭りすんなよとか思うのですが、その理屈の無いところが金先クオリティ。

#だからあたしゃ「金先市場の金利が織り込む将来の政策金利パス」って分析を蛇蝎の如く嫌っているんですけどね

どうせ祭りをするならもうちょっと盛大に期先限月まで全部逆イールドやって頂けるとそれはそれでオモロイので許す(何を?)。

(追記:今書いた駄文アップしながらネットを見てるんですけど、本石町日記さんのhttp://hongokucho.exblog.jp/7946503/を見ましたら『ところで、市場が織り込む政策金利の経路を参考に経済見通しを作っていた日銀だが、軽く利下げを織り込み始めた場合の経済見通しはどうするんだろう。「利下げを前提とした経済見通し」になるんだろうか。政策金利不変での見通しに戻した、とか言わないでね。』ってのがありまして、これは気が付きませんでしたわと脱帽)



○日銀生活意識アンケート調査とか

まあ想定の通りの結果でございますが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0801.pdf

16ページ目以降が質問の詳細で、前半は回答をグラフ化していますけど、まあご覧の通りで、景況感は悪化(2ページ目)して収入はそんなに増えない中支出は増えてます(5ページ目)と。

で、最近の物価は上昇しやがりまして(6ページ目)ということですので、必然的に物価上昇は困ったもんだ(9ページ目)ということでどう見てもスタグフレーションです本当にありがとうございましたというお話ですな。

まあさすがに金融市場の中の人たちでもここもとの物価指数上昇(いやまあまだデフレとかいう議論はあるんでしょうが)に関しては利上げと直結して考える人も少なくというかあんまりいなくなって来てますんで、アンケート調査で将来の物価見通しで「かなり上昇する」が絶賛大増加(7ページ、8ページ目)というのも相場のネタにはなりませんでしたな。

まあそれ以前に朝の機械受注が予想対比良い数字だったのもそんなの関係ねえ状態でしたのでまるでノーケアーだったのは致し方なしの巻という所でございますが。


しかし昨日は5年入札も別にヘッジがワークしてるわけでもないのにオファーサイドの向こうをジャンピングキャッチする入札やってみたり、先ほども申し上げましたように後場になっていきなり現物が全部強くなってみたりと、ちょっとこう祭りと言うか踏みというか、中々いい感じで香ばしさが漂う動きになってまいりましたなあという感じであります。

てなことで、相場があまりと言えばあまりの展開になっているので、相場雑談ばかりでスイマセンスイマセン。










2008/01/16

お題「本日も雑談で勘弁でありまして」

モーサテが開口一番「日本株歴史的な低水準」と来て「ああこりゃまだ戻らんわ」と思ったら、6時の公共放送一発目のお題が「サブプライム問題で日本の金融機関も損失拡大の見込み」とはこりゃまたいただけませんな。

お願いですから武者先生早く悲観してくださいお願いします。
#あるいは北ハマー先生の「落ち短」でも良いのですけど
#そういや先生のボログのチェックを怠ってますな>あたくし

という話はともかくとしまして。


○1年TB入札とか

さてさて、昨日は1年ものTBの入札が行われました。でまあ発行が1兆4千億円とあまり多くないのでニーズのある時には強くなると言う仕様になっておりますのですが、落札結果は平均落札で0.550%で足切りが0.557%という有様になりやがりました。(先日ご紹介したように今月から財務省発表の利回りが市場の呼び値と同じになったので財務省のサイトを見ても確認できますよん→http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2007/resul069.htm

えーっと昨日のGCレポレギュラー渡しの翌日物が0.56%くらいでございまして、3か月カレントFB(カレントと言っても今日また新発の入札があるんですけど)が引けベースで0.565%と申しておりますが、1年TBは引けでも0.55%ですし0.555%にはビットが鎮座ましますということで、これは見事なイールドフラットというか逆イールドと言うか。

まあ逆イールドと言うよりは単にイールドがフラットな中で需給によって特定のゾーンが強くなったり(例えば3月償還ものには現先とか年度内運用とかのニーズがあってちょっと強かったりするとか)というだけのような感じですけど、まあこれは素敵なイールドカーブというかもはやカーブですらねえというところでございまする。

良く見りゃ金先の6月限と9月限の逆イールド拡大してまして、9月限と12月限は順イールドっていうのは12月末越えのTIBORはまた上昇するって事なのか、よくわからん。。。。


○さくらレポート(ですが中身はあまり読めてない)

概要http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0801.htm
詳細http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0801.pdf

このレポートの見所はたくさんあるのですが、まず見ておくべきなのは『地域の視点』って部分でして、これは毎回何かのお題が設定されてそのお題についてレポートするというものなのですが、今回のお題は『原材料価格上昇のもとでの企業の対応──最終消費者に近い「川下」段階にある地場企業を中心に』でございます。

どう見てもコストプッシュインフレ懸念です。本当にありがとうございました。

一応お話としては前向きな施策のご紹介とかをしておりますけれども、まあ原材料価格の上昇が消費者価格に波及する前に企業業績に下押し圧力をかけ、例の前向きメカニズムに悪影響を与えるという面も日銀の中の人たちは懸念しているんだろうなあとか思ってしまったのはまとめの中(全文PDFのファイルで言うと6ページ目、本文の4ページ目)にある囲み部分のこのあたりから感じましたよ。

『一方で、競合の激化や差別化の困難さ、需要の弱さ等を背景に、依然として、値上げに踏み切れない先や値上げの浸透が進まないとする先も少なくない。例えば、戦略的に価格を据え置いている総合スーパーとの競合に直面する地場スーパーや、価格以外に差別化が難しい中小のサービス業(ガソリンスタンド、クリーニング等)などでは、「コスト上昇分の販売価格への転嫁が十分でないほか、顧客を繋ぎ止めるため、場合によっては値下げせざるを得ない」との声も聞かれており、今後も、大手や他社の動向を眺めながらの受身の対応を余儀なくされるとみられる。こうしたもとで、中小企業の収益が一段と圧迫されるのではないかと懸念する向きも多い。』

で、今回のお題ではないので触れられてませんが、政策委員会の方では家計所得が伸びない中での消費者物価上昇を消費減退から景気下押しリスクとして捉えるという議論が行われてますとなりやすと、まあここもとの消費者物価指数の上昇に関して利上げに直接結びつけるような発想は日銀的にはちょっと無いと見るのが至当ではなかろうかと(景気がよくなりゃ話は別でしょうけど)存じますですよ。


ところでここ最近の「地域の視点」のお題を並べるとこうなります。

『原材料価格上昇のもとでの企業の対応
── 最終消費者に近い「川下」段階にある地場企業を中心に』(今回)

『1.最近の企業立地の動向と立地戦略の特徴点
 2.北海道農業の現状と新たな取り組み』(2007年10月)

『中小企業の収益動向と支出行動の特徴点』(2007年7月)

『1.各地域からみた最近の雇用・賃金情勢について
 2.近年の東京における高額消費市場の特徴
――海外ブランドや外資系ホテルの動向を中心に』(2007年4月)

『各地域からみた最近の住宅投資動向について』(2007年1月)

・・・・えーっと1年ほど遡っているうちに何か目から汗が出てきたような気がするんですけど目は汗をかかないですよねえ(ToT)。

さてその汗を拭いまして、去年の1月の住宅投資動向のまとめの最後を拝読しますと、

『 先行きについては、雇用所得環境の改善が続き、緩和的な金融環境が維持されるもとで、今後も世帯数の増加が見込まれることから、当面の間は堅調に推移するとの見方が多い。ただし、分譲マンションや貸家においては、供給サイドの積極的なスタンスがみられている一方、足もとでは供給過剰となっているとの指摘も一部に聞かれている。』(去年の1月のさくらレポートですのでお間違えのないように)

まあこの時点で堅調推移と予想するのはそんなもんかなと思いますけど、実は足元では供給過剰になっているとの指摘もってこの時点で既に出てたんですよね。なるほどなるほどという感じでありまする。



○オプションを売ってリスクが限定するとはこれいかに

人のふんどしで恐縮ですが厭債害債さんのエントリーから。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200801/article_4.html

「リスク限定型」って商品は公募投信とかでもございまして、一部の商品におかれましては今般の平均株価下落によりまして見事にノックインされたとか一部業界紙では話題になっておりましたですな。

いやまあ害債さんの指摘で話は尽きているのですけど、そもそもオプション売ってるのに商品名が「リスク限定」というのが(コメント欄での指摘のようにマーケティングの勝利ではあるのですが)どうなんでしょうねと思うんすけど。オプション売ってアップフロントでプレミアム確保するんですから「リスク限定」じゃなくて「リターン限定」なんじゃないかと思うのですが、そりゃまあ「リターン限定ハイクーポン型ファンド」とか名前つけたら売りにくいわな。あっはっは。

そもそもオプションを売る行為でリスクが減るわけではないのですけれどもねえ。。。。

#銀行とかの販売でトラブル事例にならないことを心から祈る










2008/01/15

お題「武藤副総裁会見などなど」

ゆっこ先生、日本の不動産価格の頭打ち観はサブプライムの影響じゃなくて単に不動産屋が調子に乗って強気の値付けをし過ぎただけだと思うのですが・・・・まあ台詞は言わされてるんでしょうけどちょっと何だかねえって感じっすな(苦笑)。

何かね、最近は「サブプライム問題」ってのが都合の悪い事の言い訳に使う万能のお札になってませんですかという感じですな。日本株の場合は小泉改革期待バブルが剥落したと思えばこんなもんなのかもしれませんよ(と半ばヤケクソ^^)。

○いやあのそこまで買うのはさすがにどうかと

金曜の債券市場では中短期ゾーン強い攻撃と昼の国会質疑での福井総裁や武藤副総裁の答弁が例に寄って例の如くネタにされたのか何だか知りませんが、少々仕掛けみたいな動きが後場の寄り付きに入りまして2年カレントが0.58%だか0.585%だかとかマークしやがりました。

えーっと当日の3か月FB入札の平均落札利回りが0.565%で足切り利回りが0.57%とか、交付税特別会計6か月の最高落札利回りが0.59%ちょい乗せだった次第でして、さすがにあの2年を0.6%割れまで買うっていうのはキャピタルゲイン狙い(=利下げ期待狙い)じゃないのなら時間軸2年間ってえ話ですが、さすがにそれはあの(あたくし的な願望も込めまして)幾らなんでもそこまで日本経済悪くないでしょと申し上げたいのでありますけれども。

何か答弁を変に解釈した向きがいるとの見方もあるようなのですが、その後はさすがにやり過ぎ観から売りも出て0.605%まで押し込んで、結局引けは0.600%ってそれでも3毛強でございまして、いやはや何ともとしか申し上げようがございませんですぅ。


○10日木曜日の武藤副総裁記者会見

ちょっと会見要旨が出た時間が遅かった気が。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0801a.pdf

前半部分で足元減速(これは講演でもその認識を披露してましたけど)とか下振れリスクの話を強調した感じですが、後半になると今度は強調した分の火消し(?)をするという感じになってしまいました。何で火消しモードっぽくなったかは以下をご覧いただければ宜しいかと(^^)。


・住宅着工の復活に関する不確実性

『 一点目の改正建築基準法施行の問題でありますが、(途中略)そういう手続き面での問題が解消していけば、徐々に住宅投資は回復していくと考えております。ただ、これは首都圏中心のことではありますが、マンションの物件価格の上昇等を背景に、マンション販売に弱さがみられております。従って、住宅投資の回復のペースや水準については、不確実な面があると言わざるを得ないと思います。』

これは既にだいぶ前から決定会合の議事の中でも論じられていました(議事要旨のご紹介で何度か出したと思います)ように、当初は一人の委員からの指摘でしたが、最近は複数の委員がこの点を注視しておりまして、その複数の委員の中に武藤副総裁も含まれるということでございましょうか。


・メインシナリオのリスクについて

『わが国経済は減速していますが、将来緩やかな拡大を続けると申し上げました。ただ、それは、標準的な見方、あくまでもメインシナリオという意味で申し上げており、見通しでありますから、それにはリスクというものがあることを念頭に置かなければなりません。』

先行きリスク来ましたな。

『世界経済をみますと、米国経済や国際金融市場が不安定な状態にあることから来る不確実性というものが、下振れリスクを高めているということを申し上げたわけであります。そのようなリスクについて申し上げましたが、メインシナリオに対して、根本的に変更を加えているものではありません。従って、我々の金融政策運営の基本的な考え方についても、変えることは考えていないということであります。』

ちなみに引用を飛ばしちゃいましたが、この応答の前半部分では

『挨拶では、生産・所得・支出の好循環メカニズムが一時的に弱まっていると申し上げました。その背景の一つは今申し上げたような改正建築基準法の施行に伴って住宅投資が大幅に減少していること、あるいは原材料価格の高騰に伴って企業収益が伸び悩んでいること、また、サブプライム住宅ローン問題の影響によって企業の業況感が慎重化していること』

というのを国内要因として挙げています。で、さっきの続きに戻りますと、

『今後の金融経済情勢というものを十分分析し、仮に私どもが申し述べている通りの緩やかな拡大が続いていくのであれば、その度合いに応じて、現在、非常に緩和的な状況にあるこの金利水準を徐々に調整していく方向にあることを申し上げているわけであります。』

という話はしてるのですが、市場的にはまあこっちには反応しにくいですなあってところでございまする(^^)。


・足元の景気減速という話と景気拡大という話

でまあメインシナリオのリスクについて説明する武藤副総裁ですが、それ以前の問題として、基本的な認識である『わが国の景気は現在減速しているとみられます。』という部分に対して結構いい感じの質疑応答が中盤以降続いております。

『(問) 今日の挨拶で、日本の経済について、足許住宅投資の落ち込みなどから減速しており、先行きも当面減速が続くものの、その後は緩やかな拡大を続けるとみているとおっしゃっています。12月の日銀の景気判断では、「基調としては緩やかに拡大している」という表現もあったわけですが、今日の副総裁の挨拶の中には、足許について、「基調としては緩やかに拡大している」という表現はありませんでした。これは、足許の景気については、一言で、減速しているということに尽きるということであり、足許の基調として緩やかに拡大しているとは判断していない、という理解でよろしいのかどうか、教えて下さい。』

これは中々良い質問でありまして、ちょっと武藤副総裁の応答が苦しそうな感じでありまする。

『(答) 私が申し上げておりますのは、足許、日本経済は減速しているということに加えまして、目先、当面のところ、この減速は続いていくであろうとみております。しかし、その先については緩やかな拡大を続けていくであろうということであります。基調という表現について触れられていましたが、私の言いたいことは、足許減速していて、目先は減速が続くであろうけれども、その先は、緩やかな拡大に復していくであろう、ということであります。』

んでまあその後もツッコミを受けるわけですが(^^)、質疑全部引用するとやたら増量になるので応答部分を引用します。

『(答) 緩やかな拡大という言葉は、足許からすぐ先のこと申し上げているのではありません。当面は減速が続き、しかし、その後は緩やかな拡大を続けていくであろうということを申し上げているわけであります。』

『(答) 拡大はしているわけです。減速という意味は、成長率がスローダウンしているということであって、成長が止まっているとかマイナスになっているという意味ではないことをはっきり申し述べておきたいと思います。』

で、多分最初の質問をした人と思しき方が更にツッコミをしまして、中々良い質問なのでこれまた引用。

『(問) 日銀は、当初、拡大という言葉を使ったときに、拡大というのは需給ギャップがプラスになって、それがプラスの領域で成長していることであると説明されたと思います。ただ、足許の成長率は潜在成長率を下回っておりますし、拡大という言葉を使うのは、成長率が単にプラスにあるということでは使えないのではないかと思います。そういう意味で今、足許拡大という言葉を使っていないということは、すなわち拡大が止まっているという理解になるのではないでしょうか。』

もはやこれは解釈の世界として説明するしかなかろうと思ったら案の定。

『(答) 需給ギャップの拡大は、おっしゃるとおり足踏みしていると思います。しかしながら、将来、成長が緩やかに拡大していけば、需給ギャップも少しずつ拡大していくであろうとみています。経済成長率の減速と、需給ギャップの拡大というものを、はっきりと区別して申し上げているつもりであります。(以下割愛)』

もう何かだいぶ苦しそうでございますが、要するに「足元減速してるけど基調の拡大は変りません」という話をしたいという事なんでしょう。金融経済月報の基本的見解に引っ張られざるを得ない所が何ともですね。いやはや。













2008/01/11

お題「盛り上がってまいりました!(とほほ)」

後追い利下げの香りが実にこう良い感じで漂って参ります米国様でいらっしゃいますが、如何お過ごしでしょうか?

ところで、昨日の参議院予算委員会で9.11自作自演論を持ち出して質問してたお方がいらっしゃったと聞いておりますので、会議録がアップされるのを楽しみかつ絶望しながら待ちたいと存じます。


○金先の6月限と9月限が瞬間逆イールドとか

昨日もまたまた短いゾーン強含みに対して長期、超長期ゾーンが渋々ついていくという展開は変らずのようでして、2年カレントの引けが0.635%とはこりゃ参りましたとか思ってたら引け後に0.63%堂々のビットサイドなんぞになっておりましたし、5年カレントは0.905%(ちなみにそれは引けの1毛強)が出合ってたような気が。

武藤副総裁の講演や会見(講演は後ほど軽めにご紹介)そのものは利下げまでは踏み込んでないですけど、まあ利上げはムツカシヤですなあという感じだと思ったんですが、何せ相場様に勢いが付いてしまってますので、大変に素晴らしい展開が見られるのでありました。

で、小見出しの金先ですけど。

昨日もまたまた金先堅調だったんですが、引け後の動きを見てますと金先の6月限と9月限が金利ベースに引きなおした場合(呼び値は100−金利ね)に最大で1毛逆イールドと言う動きになりやがりました。

ちなみに3月限と6月限は結構な逆イールドなのですが、これはまあ一応後付け理屈をこねるとすれば3月限の清算値となる3月の3MTiborは期末越えになるのでプレミアムが乗るでしょうとか、6月になったらサブプライム問題によってゲタ履いているLiborのゲタが外れて低下して、Tiborも下がるでしょという正当化はできますわな。

でも、6月限と9月限だったら期末越えのプレミアム分がある筈なので、ここが逆イールドと言うのはちょっと如何なものかと思いますわな。それにですね、そもそも論としてサブプライム問題のリスクプレミアムのゲタが外れるという事は、サブプライム問題が片付いているという話になりますので、その頃には米国様景気の下振れ最大懸念が一個外れるのですから利上げの話が大復活しててもおかしくないと存じますので、やはりあのその6月9月で逆イールドなのはちょっとそれは調子に乗りすぎではないかと。

ま、もっとそもそも論を申し上げますと、ユーロ円金先そのものがバンクALMとディーラーとファンドの乱闘場みたいな市場なんで、あまりそういう理屈(というか屁理屈というか、汗)で考えても仕方ない市場であるというのがありますが、まあ一応この動きを解釈すると「利下げをちょっと意識してきました!」ということになるのでありました。キングオソロシス。

ちなみにTB/FBの利回りはというと足元が上昇して6か月とか1年は堅調なので益々フラット状態(3月償還はニーズがあるようなので確りですけど)となり、引け値ベースで3か月0.56%の6か月0.56%の1年(というかほぼ11か月ですが)0.575%とこれまた素敵な展開になってまして、利上げはどこへやらという水準でございますわな。ナムナム。

この前昨年の同時期対比での金利の話しましたが、ゼロ金利解除(2006年7月14日)直前対比にまで戻りますと、ゼロ金利解除の前日に行われた1年TBの居場所が0.655%−0.660%とあたくしの手控え帳面には書いてあります(なお14日の引けでは0.605%になってます)ので、オソロシスな事にゼロ金利解除直前よりも1年の金利が低下しているのでありますな。頭がクラクラして参りますが・・・・・・


○ちょっと余談みたいなもんですが

でね、昨今の米国様のイールドカーブが利下げ期待でスティープしてたりしますけど、上で申し上げましたように、政策金利引き上げた(または引き下げた)からって長期金利がフルスライドで上がる(または下がる)という保証は世の中別に無いというか普通そんなことは起きないのでありますよね。

それなのにバーゼルUのアウトライヤー規制って最近どうなってるのか知りませんが、当初大々的に言われてたのは標準的な金利ショックに対するリスクの計測ということで、「イールドカーブが100bp上方にパラレルシフトした場合の債券ポートの損失」がTier1の20%だか何だか忘れましたが、何かの閾値を超えるとアウトライヤー銀行として追加の自己資本増強が必要ってなってたんですわな。

お蔭でイールドカーブのパラレルシフトで損益がぶれない15年変動利付国債が・・・という話は耳にタコでございますが、そもそも論としてバーゼルUにおけるアウトライヤー規制の当初設定が空想の世界にも程がある(じゃあどういうカーブ形状の変化なら適切かと言われるかと申しますとそれはもう難しいとしか言いようが無いのですけどね、汗)次第でございましたということで、まあ不幸と申しますかBISは何やってたんですかねえと申しますかですわな。

まあそれは兎も角として、日銀新執行部人事関連でミンス様が財務省出身の人が適切じゃないかという理由として時々新聞などで拝見するのは「財務省出身だと国債利払い費削減を優先して低金利を継続させる懸念がある」というのがあるようですが、上のほうでうだうだ市況について申し上げましたように、低金利を引っ張った場合に長期金利がそのまま上がらないかと申しますと別にそんなこたあねえのでありまして、多分そ〜ゆ〜理論(?)を持ち出しますと、やはりミンス様は金融政策も金融市場も判ってませんなあと認定されかねませんので、もうちょっとどころではなく勉強された方が宜しいかと存じます。

#でも聞く人を間違えると某与党様の某議連のように(以下自粛)


○えーっと時間がなくなったので武藤副総裁講演ですが簡単に

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0801c.htm

紙に出すと5ページです。基本的なトーンとしては下振れリスクを意識しつつも腰折れ景気悪化までは見てないという事で、結論から行きますと「利下げまで踏み込んでませんが利上げは当面様子見するっきゃないですなあ」と言ったところではないかと思うのですけどね。一応バランス考えている感じっすね。

『さきほどご説明しましたとおり、わが国の景気は現在減速しているとみられます。そうしたもとで、需給ギャップのプラス方向への動きは当面足踏みすると思われます。ただ、やや長い目でみれば、景気の拡大基調が続く中で、需給ギャップもプラス方向に向かうとみられ、それを背景に物価のプラス基調が続くと考えています。』

『以上のように、わが国経済は、もともと緩やかなペースで拡大していたところに、原材料価格の高騰、住宅投資の急減、世界経済の不透明感の高まりといったマイナスの要素が加わり、減速しているとみられます。このため、現在、生産・所得・支出の好循環メカニズムは一時的に弱まっていますが、これでメカニズムが途切れるとは考えていません。』

では何で途切れないかと言いますと・・・・

『今回の景気拡大局面は、世界経済が拡大していることと、国内では企業や金融機関の様々な過剰の調整が進んだことを背景としています。現在、世界経済との接点である輸出や生産は、増加を続けており、好循環メカニズムの起点はしっかりとしています。企業の構造調整の進み度合いには業種や企業規模による違いはありますが、企業部門全体としてみれば、設備や人員、在庫などの面で調整圧力を抱えているわけではありません。(以下項目展開部分割愛)』

日本の場合はストック調整が進んでいるのでそう簡単に悪化までいかないんじゃないでしょうかというのは甚だ同意でありまする。

ただまあ・・・・

『もっとも、今申し述べた要素に変化が生じるリスクには注意が必要です。とりわけメカニズムの起点にある世界経済の成長の持続という点は、重要なリスク要因であると考えています。』

で、その説明部分全部端折りまして結論を引用すると、

『このように、世界経済は地域的な広がりを持ちながら高成長を続けるというのが標準的な見方ですが、米国経済や国際金融資本市場の調整が深まる中で、ダウンサイドリスクが増していると考えられます。』

『同時に、インフレ方向のリスクにも注意が必要です。(途中思いっきり割愛)このように経済のダウンサイドリスク、物価のアップサイドリスクの双方に対処していかなければならないという意味で、各国の金融政策は難しい局面にあります。』

という点も仰る通りでありまする。


で、金融政策に関しては景気減速と物価高をどう評価するかという点を強調していますわな。

『本日ご説明した経済・物価情勢に即して申しますと、日本経済は、当面減速するとみられる一方で、消費者物価は石油製品や食料品の値上がりなどから当面上昇幅が拡大していくと見込まれます。金融政策運営においては、こうした動きが先行きの経済や物価にどのように影響するかを予測する必要があります。』

『たとえば、(1)減速が一時的なもので景気は拡大軌道に復すると考えてよいか、あるいは、減速が予想以上に長引くことはないか、(2)物価上昇が経済に悪影響を与えて、先行きの経済や物価を下振れさせることはないか、(3)逆に、物価上昇が、家計の物価についての見方や企業の価格設定行動に影響を与えて、先行きの物価を上振れさせることになるかどうか、といったことを、丹念に分析しながら、先行きの経済・物価の見通しに織り込んで判断していくことになります。

『』もとより、見通しには不確実な面がありますので、見通しそのものだけでなくて、その蓋然性や上下両方向に乖離するリスクも重要な判断材料です。このように、見通しやその蓋然性、上下両方向のリスクを十分に点検しながら、物価安定のもとで持続的な成長を達成できるように、適切な金融政策運営を行っていく所存です。』

まあ従来の金融政策の枠組みは維持しつつも、従来の枠組みに組み込まれている「シナリオ通りなら利上げ」という部分を強調しないことによってトーンを落として慎重な姿勢を見せていますということでして、さすがにこの講演で利下げまで見に行くのはちと無理がありそうな気がしますけどね。

#と、やたら簡単で恐縮至極でした










2008/01/10

お題「例によって小ネタ/伊藤元重先生のインタビュー記事」

○相場雑感

昨日は10年入札と6か月入札があったんですけど、10年入札は業者待望のリオープンで出てくれたのは良いのですが、何かここもと超長期とかがヘロヘロな状況が続いておりまして、入札後の伸びは宜しくなくて終わってみれば5年とか先物は1毛強だというのに10年が5糸甘で20年1.5毛甘とは何というツイストスティープ。

どうも米国様のカーブがスティープしてるのが日本にも影響という毎度お馴染みの意味不明な展開になっているようでございますが、まー超長期に関しては絶対水準的にイラネと言って買わない人たちの我慢が強いってえのがあって相場が上昇すると追いていかれるの巻というのはあるんでしょうけど、その間にレラティブ系な人が投げさせられて投げ回転(やな回転ですな)が効いてしまってるんでしょうな。

それよりもありゃまなのは短い所でして、2年0.66%ってこりゃまたどんなことになっているのよとか思うのですけれども、短期国債の引け値並べると3か月FBが0.555%で6か月TBが0.56%だったりするんですなこれが。で、GCのレートって0.53%から0.56%くらいの間をウロウロしているということで何と素敵なイールドフラットでしょうかという所でございます。

どうも見事に亜空間状態でありまして、何か時間軸のような様相を呈しているのがオソロシスなのであります。お蔭で1−3年ゾーンとか強いの何のって。まあそのうち時間軸だ利下げだとかいう話があちこちから出てくるんでしょうな。

しばらくあまり真面目に見てませんでしたが、OISのレートも延々と先のほうまで0.50%となっておりまして、ベンダーに価格情報出している某社ご提供の「市場が織り込む次回MPCでの金融政策変更可能性」というところの「BOJ」の部分がいつの間にやら「25BP Rate Move」(以前はRate Hike)という表現になっているのに微苦笑するあたくしでありました(^^)。


○いやまあどうでもいい話かもしれませんが

別にこれはモーサテが悪いのではないのですが、モーサテ見てたら出てきたお話なのでマクラになるのはご勘弁ね。

と申しますのは、今朝のモーサテ例によって聞き流していたのでありますが、米国のイールドカーブがどうのこうのというお題で話が進んでいるので「ほほー」と思いながら聞きながら画面を見たわけですよ。そうしたらそこにあったのは「イールドカーブが立つ事によって金融機関が復活」というネタだったんですな。

基本的に銀行ってのは短期調達長期運用になりますので、イールドカーブが立つと長短スプレッド拡大でウッシッシなのでありますのでそのお話はその通りでありますわな。よって現在のイールドカーブのスティープ化は米国金融機関にとっては干天の慈雨と言いますか、そもそも金融政策的にそうなるようにしている訳でございます。

という話はそんな話なんですけどね、あのー貴方様方におかれましては確か日本でゼロ金利解除とかやってた時に「金利が上昇すると金融機関の収益力が向上するから銀行株は買い」とか何とか言って今の価格の8割増し位の水準の日本の大手銀行株を全力推奨してませんでしたっけと思う次第なんですよ。特に外資系というか海外投資家様。

いやまあ海外投資家様が日本市場にお金持ってきてジャンジャン焼いていただくのは大歓迎でありますので今後とも宜しくお願い申し上げたいのでありますが、銀行株アナリストという名がつく人たちも「利上げは銀行株にフォロー」とか言ってた筈でして、いやはや何というご都合主義という感じですわな。



○伊藤元重先生のインタビュー記事

ネットでは残念ながら査収できませんが、昨日(1月9日)の東京新聞朝刊経済面(9面)のインタビュー連載シリーズ『どうなる子年経済』の第2弾『金融政策』に伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授のインタビュー記事が。

で、その内容は本紙を頑張ってあたって頂ければと存じます次第(こら)ですが、記事中でデカイ字であったのは『利上げ 福井氏退任後か』と『他国水準との比較 重要』でして、前者はともかく後者はどんな通貨ペッグですかと思いましてその部分を拝読。

『ただ、金融政策は、金利の上げ下げでは無く、他国と比較してどの水準にあるかが重要だ。日本は短期金利(無担保コールレート翌日物)の誘導目標が0.5%と圧倒的に低く、超緩和状態だ。だから中長期的には金利を上げざるを得ないだろう。』

ほっほーと思いつつ質問部分を見ますと、質問の頭の部分では「世界基準と比べて低金利が続く日本経済」とマクラがありましたので、誘導尋問にでも引っ掛かったのかもしれませんが、他国と比較してどの水準かが重要っておっしゃいましてもそもそも物価上昇率の水準が違う訳ですから極端な話ジンバブエと日本の名目ベースの金利水準を比較しても仕方ない(ジンバブエドルは名目上は固定為替だったと思うのでジンバブエを持ち出すのは微妙に不適切です、為念)次第で、ってのはあたくしが指摘するほどのことも無いですな。

ちなみに、インタビューの流れとしては、そもそも東京新聞が金融政策に関する社説を出す時に最近(ここ1年ちょいくらいでしたかな)は「利上げを急ぐな」という論調であることを反映しているようで、日本景気には下振れ懸念あり、日銀の言う前向きの循環メカニズムはちゃんと機能してないのではないでしょうかというような感じでの質疑が続く感じになっています。

伊藤先生の景気認識に関しましては、基本的な部分での底割れまでは見ていないけれども下振れを意識しているという感じですかな。記事から引用します。

『日本経済のエンジンである企業業績は傷ついていない。問題は、企業業績が国民の所得増につながり、支出に向かっているかと、そうなっていないのが日本経済の大きな問題だと思う』

『天気予報でいうと、薄曇りで台風が近づいている状態だろう、国内外に下振れリスクがある。景気の拡大期間がこれだけ長く続くと、サイクルの波が低落傾向に向う可能性はある。08年はそうした不安を抱えながらの一年になるだろう』

ということで東京新聞ネット版に記事出てないかと改めて探してみたんですが、惜しくも記事はネット版にはアップされておりませんでした。まあその代わりと言っては何ですが本石町日記さんがエントリーをアップしてましたので(また今年もふんどしをお借りして恐縮でありまする)エントリーおよび皆様のコメントをご参照ありたしです。
http://hongokucho.exblog.jp/7920627/









2008/01/09

お題「コミュニケーションポリシーがテーマなんですか」

米国株が下げた下げたと葬式のような報道っぷりでございますが、ダウナスの居場所って去年の今頃とあんまり変らんのよね(と思ったら引け際ナイアガラですかそうですか)。

えーっと昨年の今頃と比較すると日本の株価は下がってまして、金利は6か月から手前以外見事に低下しているんですが・・・・(苦笑)


さてさて、12月に引き続き今月も営業日数が少ないので本業が押しまして誠に遺憾の極みでございまして、本日もまた簡単にご勘弁でありまする(汗)。

昨日日銀のサイトにアップされていたのはおフランスで行われました福井総裁の講演要旨。こちらはモノが何とおフランス語という代物ですが、さすがに邦訳付きでございます。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0801b.htm

○今年のお題は金融政策の透明性ですか

昨日ご紹介した岩田副総裁の講演のお題がまんま金融政策の透明性とコミュニケーションポリシーでしたが、こちらでも福井総裁が金融政策の透明性に関して説明しています。講演の後半部分になります。

『同時に、中央銀行どうしは、互いに切磋琢磨する関係にもあります。それぞれが、他国の中央銀行の経験から学ぶことに貪欲で、良いところを取り込もうと日々努力しているという意味です。そこには特許はありません。また、他国が適切な金融政策を行うことは、世界経済の安定を通じて、自らの利益になりますから、どの中央銀行も自身の経験を教えることにも熱心なのです。』

という所から始まるのですが。

『そのひとつの例が、金融政策の透明性の向上を巡る各国の取り組みです。』

金融政策の透明性向上キター!

『1990年代以降、物価安定の意義への理解が深まるもとで、中央銀行が政府からの独立性を高める動きが、日本や欧州を含む、多くの国と地域でみられました。同時に、政策の透明性と説明責任の拡充が、それまで以上に求められるようになったことも共通しています。透明性の向上は、家計、企業、市場参加者などの期待に働きかけることを通じて、金融政策の有効性を高める観点からも、重要なことです。こうした問題意識のもとで、どのように政策を説明し、市場との円滑な対話をどう図るか、各中央銀行は、互いに他の中央銀行の事例を参考にしつつ、それぞれ、経済・社会の実情に照らし最適と考えられる方策を模索してきました。』

岩田副総裁の講演と同じお題ですが、この先は物価安定に関する話になってきます。

『例えば、金融政策の目的である「物価の安定」をどう表現するか、という根本的な問題は、単にわかりやすさを追求するというだけではなく、一方でどう柔軟性を確保するか、というバランスの問題です。この難問に対して、各国は同じ問題意識のもとでも、異なる解答を示しています。』

現場的に申し上げれば、多分単一指標で自動コントロールってのをやると、その指標が全然ブレないものなら別かも知れませんが、多分指標のブレに対応して短期金利のブレがでかくなってしまうという結果になりやすそうではございますので、岩田副総裁が指摘しているようにまずは中央銀行の行動で示すという事になるのかなあとか漠然と思う訳ですが。単一指標コントロールで金利がブレまくった極端な例は確かボルカー時代のマネーサプライコントロールと記憶しております。

でも今の日本の政策ロジックは基本的なシナリオに対して最適化しすぎている(悪口モードで言えば「利上げが前提」ですが^^)のでこれはこれでわかりにくいのですけどね、と話が逸れましたが。

『最も直裁に目標インフレ率を示すインフレーション・ターゲティングは、英国などで採用されていますが、運用が硬直的にならないように柔軟性を確保する仕組みが次第に整えられてきました。1998年に設立された欧州中央銀行では、物価安定の定義を消費者物価指数前年比で表現するとともに、通貨供給量の増加率に参照値を設けています。』

『日本銀行では、2006年に新たな金融政策の枠組みを採用し、中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率を集計して公表しています。そして、この理解との関係で、蓋然性の高いシナリオを評価するとともに、上下のリスクの点検を行うという複合的な枠組みになっています。』

複合的過ぎて訳判らんのですが(><;

『米国連邦準備制度(FED)では、昨年11月、コミュニケーション戦略の拡充策を公表し、そのひとつの要素として、経済・物価見通しの期間を3年間に延長しました。先行き3年目の物価見通しは、物価安定と雇用の最大化というFEDの任務と整合的とFOMC参加者が判断したインフレ率を表していると説明されています。』

『これらの仕組みは、他国の経験を学んだ上で、自国に最もふさわしいものを考え抜いて、導入されたものです。この先も各国の経験を踏まえながら枠組みを磨いていくプロセスは、螺旋構造のように進んでいくと思います。』

ということで、岩田副総裁の講演もそうでしたが、今年の先進国中央銀行におけるメインテーマは「金融政策の透明性と市場との対話」ということになるんでしょうかと思わせてくれる年初早々2発の講演要旨でございました。

特に日本の場合は3月に執行部が入れ替わる(全員入替じゃないかも知れませんが)ので、これを機に金融政策の透明性向上と市場との対話に関しまして新しい機軸を出していただく事を希望します。とここの所そればっか申し上げてますが(^^)。


○これは余談ですが

前半は日本とフランスの歴史的なつながりがどうのこうのという話をしているのですが、その中で福井総裁ならではと思ったのはこの部分。

『私自身、中央銀行間のフォーラムであるBIS総裁会議には欠かさず出席し、ノワイエ総裁をはじめ総裁方とお話することを楽しみにしてきました。そこでは、経済や物価の現状についての情報交換にとどまらず、それぞれが抱える問題や世界共通の課題について語り合い、同僚から多くの示唆を受けることができます。海外の同僚たちとは、世界経済をともに支える同志として、強い連帯感をもっています。』

何せ村上ファンド出資問題で大騒ぎになっていた時にもBIS総裁会議に出席してたくらいですから、福井総裁の思い入れがたっぷりなのでしょうなあと読みながら思うのでありました(^^)。



○その他小ネタ雑談ですが

・2月からFBがしらっと増発

3か月(13週)もののFBって週4兆2000億円の発行だったのが先月から週4兆5000億円になったのですが、2月からは4兆5000億円から4兆8000億円の間とかになるというのがベンダーに出てましたな。

何でここへ来て増えてるのかよー判らんのですがちょっと気になった次第でありまして。(単に季節性でこの時期になると増える傾向にあるのかもしれないんですけど、汗)


・この前から出てた空港会社の外資規制問題から雑感

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080109/plc0801090120001-n1.htm

去年からこの話出てましたが、結局外資の株式保有比率を規制する方向で動くようですな。ほうほうなるほど。

・・・・というかですな、民営化して株式上場したら想定できる話(というか空港会社の民営化のお手本とされた筈の英国ではヒースローなどの空港を保有する会社ってスペイン資本になっちゃったでしょ)だと思うんですが、後付けで保有規制とかまたこれは素敵な泥縄ですねと。

改正建築基準法でもそうなんですけど、何かをやった挙句に出てくる不具合が「それって想定内の不具合じゃねえのかよ」ってのが最近多いんじゃないでしょうかねえ。

ま、こういうお方が政策意思決定の中に紛れ込んでしまうような状況が続いていることに問題があるような気がするんですけどね。「民間の意見を聞けば上手く行く」ってのも聞き方によりけりだと思うんですけどね。ポジショントークする人だって沢山いるんですし。
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/2008_830a.html

>本当だったら、「無責任に制度を変更しないこと。ずっと初歩的になるけど、建前を叫んで改革するのではなく未来がどうなるかを予測して改革をすること」(by「亀吉のブログ」さん)なのに、そこが認識されていません。


・・・・・とりあえずお前が(以下略














2008/01/08

お題「岩田副総裁の市場との対話論」

正直申し上げまして、モノが英文なのできっちり全部読めているのかどうか我ながら怪しいのですが(汗)。

http://www.boj.or.jp/en/type/press/koen07/ko0801a.htm

講演要旨でございますが、箇条書きになっているのは日本の読む人向けに配慮しているのでしょうというのは把握しました(^^)。えーっとお題が『Transparency and Communication Policy in Japan』ということで、透明性と市場との対話がお題になっているのでこれは読まねばなるまいと存じます。

で、前半部分は日銀法改正以来の経緯についてお話をしているように思えますので何となく斜め読みでスルーしちゃったのでありますが、もしかしたらこちらにも重要なインプリケーションがあるかもしれませんな(こら)。

で、とりあえず8番あたりから。

○金融政策の第一の柱、第二の柱

Two Perspectives Approachって所です。

『8. The new policy framework is entitled the "two perspectives approach", in contrast to the "two pillars approach" advocated by the ECB.』

そうそう、ECBではpillarですからまんま「柱」なんですが、日銀の場合は日本語が柱なんですが英語はperspectiveですから見通しとかってニュアンスになるような気がしますが、正直ニュアンスの世界はドメドメ人間のあたくしには理解致しかねます(><;

『The first perspective examines whether the outlook deemed most likely by the BOJ follows a path of sustainable growth under price stability within the forecast period, while the second provides an assessment of various risks, including low-probability events which can cause serious damage to the economy beyond the forecast time horizon. 』

これはいつもの説明を英語に直したもののようですな。

『The latter perspective shares features in common with the "risk management approach" urged by former Federal Reserve Chairman Alan Greenspan.』

そーだったんですか。何か第2の柱ってのは「メインシナリオ以外全部」を含むという風に理解してたんですが、この説明だとちょっと違うような気がせんでもないのですが。

結局訳判らんのでこのあたりのフレームワークはもうちょっと判り易くしていただきとう存じますm(__)m


○市場との対話について

えーっと、その前に金融政策の透明性についての話をしているように思えまして、それが多分9から先のあたりだと思います。そして将来の経済予測に対して金融政策を不変じゃなくて可変として前提を置くという現在のやり方がリーズナブルではないかというような話が、11番とか12番あたりになろうかと思うのですが、その辺をちょっと端折ってCommunication Policyっていう13から参ります。

『13. Monetary policy becomes more effective, if the communication policy succeeds in coordinating market expectations by providing the public information as a signal. Yet, it is possible that the public information is imperfect and contains noise.』

コミュニケーションポリシーが上手にワークすれば金融政策の有効性が高まりますと言う話ですな。

『Take the example of focal points illustrated by Schelling. If the focal point is unique, then it is easy to bring expectations into convergence. But if there are several focal points, it may not be easy to stabilize market expectations . In addition, there may be cases where market participants find it difficult to delineate the consensus view and the minority view which is expressed to demonstrate individual accountability.』

この辺を見てますと市場の期待を安定化させるためには焦点を絞った方が良いと言ってるようには思えるのですが。

『Furthermore, if the common knowledge shared by Board members or the public information is imprecise, as compared with the private information, the signaling by the central bank can have an adverse effect on welfare. There may be a limit to transparency, if the provision of public information can cause an overreaction in market participants (Morris and Shin(2002)). It is also possible that the public information contains noise or the precision of public information is significantly lower than the private information. Nobody would recommend broadcasting Monetary Policy Meeting discussions. 』

金融政策を事前シグナリングで行おうとしてもコミュニケーションの間にノイズが生じるので必ずしも上手く行きませんですよというお話ですか。最後の一文は何となく笑ってしまったんですが。

で、14番目。

『14. Deputy Governor of the Swedish Riksbank, Lars Svensson (2007) proposed the announcement of the loss function of central banks and making voting on the relative weight attached to two objectives; namely the deviation of the inflation rate and the GDP gap on the future path of economic development. He recommends preannouncement of the path of policy rates to minimize the present value of the loss function.』

スゥエーデン中銀副総裁のスヴェンソンは物価とGDPギャップを目標として、金融政策のパスを事前アナウンスするのがコミュニケーションポリシーとしてロスが少ないと提唱していますと説明しているような気がします。

『Yet it seems to be premature to put preannouncement into practice at the present time in conducting Japanese monetary policy. 』

でも現在の日本では時期尚早ですと。その理由はその先に。

『First of all, there are doubts as to whether communication with the general public can be carried out in an undistorted way ; specifically, it may not be easy to convince market participants that the announced path of policy rates is conditional, and is not a promise.』

将来の金融政策の事前アナウンスが「約束」と取られてしまうという問題があるのではないかというお話ですな。そういやECBも最近は事前決めうち的なアナウンスを止めたような感じですもんね。

『Second, there is a measurement problem. In addition to the GDP gap, there is uncertainty over the measurement of the relevant parameters.』

えーっと、統計にも限界がありますと。で、具体的にどんな限界があるのかがその先に説明されているのですが、そこの話になると最早あたくしさっぱりわかりませんので引用も割愛します(こら)。結局のところインフレターゲットのようなものを設定すれば金融政策なんぞ自動制御ですよといった見解に対して「そのように行くもんじゃないですよ」と仰せのように読んでしまったのは誤読でしょうか。


○で、まとめなのですが

15番目と16番目がまとめの部分っすな。

『15. Finally, communication can be made through action.The power of action can be stronger than words in persuading market participants.』

これはカッコイイですね。要は行動をきちんと取るのが重要でありますと。

『Schelling once noted that "to communicate a commitment requires more than the communication of words...One has to communicate evidence that commitment exits". It is important to implement monetary actions in a consistent manner based on the fundamental framework notably under the circumstances of imperfect public information. 』

で、16番がConclusionであります。

『16. The new policy framework of the BOJ has improved both transparency and flexibility. There is room for further improvement in transparency and communication policy. Yet, we should be mindful of the limits of our knowledge and of transparency, as well as of the liability to distortion of communication in the process of consensus formation on decision making.』

ふむふむ。まあ今後もうちょっと金融政策のフレームワークと申しますか、現在の金融政策のロジック(「新しい金融政策の枠組み」と展望レポートの合わせ技で展開されているロジック)を判り易くしていただければと存じます次第であります。

何か全体的に拝読致しますと(って、ちゃんと読めているのか我ながら怪しいのですが)、金融政策を動かす立場になると必ずしも理屈通りに行かないこともあるし、各国には各国なりの事情があって、そこの部分って細部かもしれないけど実務回す所では重要なポイントになるっていうような事も仰りたいのではないのかなあ何て思っちゃいましたが。どうも日程がタイトな月なので中々こういうのをゆっくり読む時間が無くて流しちゃいましたが、また読んでみることにしたいです。








2008/01/07

お題「大分前のネタですが金融政策決定会合議事要旨」

昨年の26日に公表されたものを今更でございますが、10月31日の会合と11月12、13日の会合の議事要旨から少々。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g071031.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g071113.pdf

で、まずは10月会合議事要旨から。

○米国景気に関して(10月)

『米国経済については、委員は、住宅市場の調整が当初予想よりも深いものになっているが、これまでのところ個人消費や設備投資は堅調な動きを続けており、緩やかな減速過程にあるとの見方で一致した。もっとも、何人かの委員から、ミクロ情報では商業用不動産などにサブプライム住宅ローン問題の影響が波及しつつあることや、消費者コンフィデンスが悪化していることなどから、ダウンサイド・リスクが高まっているとの指摘がみられた。』

ということで、まあ10月末の時点で指摘してたダウンサイドリスクが出てきたってことになるんですかね。展望レポートよりはこっちの議論内容の方がちょっと先行きのダウンサイドを意識しているような気がしますな。


○国内景気に関してと、中小企業の弱さについて(10月)

『個人消費は、9 月の失業率が上昇するなど気懸かりな指標はあるが、雇用者所得の緩やかな増加を背景に、底堅く推移しているとの認識を共有した。』

『住宅投資については、改正建築基準法施行の影響から大きく減少しているとの認識で一致した。何人かの委員は、改正基準法の運用面での緩和が住宅投資の落ち込みを小さくする可能性に言及しながらも、不動産業界の一部には、住宅需要が頭打ちになっているとの声があると指摘した。』

ということで、雇用が頭打ちになっている点と、住宅投資に関するいつもの指摘が出ています。で、今回に関しては中小企業が弱いという点についての議論が行われたようですな。

『この間、中小企業関連で弱めの動きを示す指標が多いことを、マクロ的な観点からどのように考えるべきか、議論が行われた。』

で、幾つか指摘されている事があるのですが、原材料価格上昇による交易条件の悪化に複数の委員が10月の時点で指摘していたのはまあそうですなという感じです。

『また何人かの委員は、中小企業は、原油価格など原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できず、交易条件の悪化の影響を受けていると指摘した。』

『その上で、委員は、中小企業部門の動向は、マクロ的には、雇用者数・賃金の面に表れやすいため、企業部門から家計部門への波及メカニズムにどのような影響を与えるかという観点から点検していく必要がある、との見方で一致した。』


○展望レポートの第2の柱(10月)

『この点(引用者注:第2の柱)に関して、委員は、低金利期待定着のリスクと経済・物価下振れのリスクの2つが重要であるとの考えを共有した。』

ということですが、

『これに関連して、ある委員は、今般のサブプライム住宅ローン問題や国際金融市場の動揺が持つ政策運営上の意味合いについて、@良好な経済環境が続くもとでのリスク評価の緩みという、これまで展望レポート等で警鐘をならしてきたリスクが現実に生じたこと、その意味で、やや長い目でみれば「経済・物価情勢に応じた金利調整」の必要性を裏付ける事例であること、Aその一方で、市場の自律的調整が働いて巻き戻しが起きた結果、短期的には、経済に対する不確実要因として作用していること、という両面があるとの整理を行った。』

ということで結論つけられてますが、ど〜見ましてもこの理屈だと@の部分に関しては「将来的な問題」でございまして、目先という意味では金融政策正常化路線は厳しいって話になるように思えるんですけれども。だってリスクが現実に生じてるんですからねえ。でまあAは現実の下振れリスクですから、まあ第2の柱での点検からは金利引き上げという話にならんように思えますな。ナムナム。



続きまして11月12、13日の決定会合議事要旨から。

○米国経済に関して(11月)

『こうした点(引用者注:委員会の検討)を踏まえた上で、何人かの委員は、先行き、米国経済は次第に安定成長に向けて軟着陸するという標準シナリオを変更する必要はないが、景気下振れリスクが幾ばくか高まっているとの見方を示した。』

ということで、まあ当然ながら1か月経つとこうなっておりますわな。


○原油価格上昇と物価判断(11月)

国内景気に関しての論議も当然行われてまして、全体的に先行き慎重な見方が目立つ内容でした。引用は割愛しちゃいますけど。で、今回の議論のお題はどうもこれだったようですな。

『原油価格をはじめとする国際商品市況が高騰していることを、物価判断においてどう捉えるかについて議論が行われた。』

ということで原油価格上昇の背景についての議論が行われている中にしらっとこんな指摘が。

『もう一人の委員は、原油価格を除外して物価情勢の判断はできないというのは、欧州や米国でも一致した見方になっているとコメントした。』

米国型コア指数をやたら持ち出す人への嫌味ですかそうですか。まあそれは兎も角として、結論部分はこんな感じです。

『委員は、原油価格の上昇には需給両面の要因が働いており、単純に除外して考えることはできないが、相場の振れが大きく、それが物価の短期的な動きに影響していることも意識しながら、物価の基調を正確に捉えていくことが重要である、との認識で一致した。』

でまあその議論に関連して原油価格上昇とインフレ期待の議論があったようでございますな。

『この点に関連して、ある委員は、日本の場合、エネルギーのほとんどを輸入しているので、その価格高騰による物価上昇は輸入されたインフレであり、国内の需要に基づく物価上昇圧力は強くないと指摘した。』

つまりコストプッシュであるので物価上昇よりも景気下押しを注意しないといかんという指摘なんでしょうかね。

『これに対して一人の委員は、外生的なインフレであっても、人々のインフレ期待を高める可能性があると述べた。』

そりゃまあそれもそうですが。

『別の委員は、こうした議論について、外生的な物価上昇がインフレ期待に結びつくかどうかは内需の強さにも依存するので、両者は同じ問題の違った側面を述べているのではないかとコメントした。』

ということで、もうちょっと突っ込んだ話もあったのかも知れないけど、今回の論議ではそんな話だったようですね。


○展望レポートが難解という話(11月)

そりゃそうでしょうよと思いますが・・・・・

『一方、一人の委員は、これまでに比べ、各委員が考える蓋然性の最も高い見通しには大きな変化がない一方で、先行きの不確実性への言及が多いことから、我々の考え方が難解であると受け止められた可能性もあるとの見方を示した。』

可能性もあるじゃなくて難解にも程があります。

『何人かの委員からは、そのような中にあって、政策変更の時期に関心が集まりがちであり、「見通しが楽観的であり、利上げを急いでいる」とか、逆に「下振れリスクを強く意識しており、当面、利上げは難しい」といった見方が聞かれるとの指摘があった。』

だって短期市場でポジション持ってたら政策変更時期がいつかは死活問題なんだから仕方ないじゃないですか(苦笑)。より中長期になると話は別で、何月にピンポイントで政策変更があるかというよりは政策変更の進めかたがどうなるか(メジャードペースなのかビハインドザカーブなのかとか)がより重要になってくるんですけどね。

『その上で、委員は、1 年半先までを見通した「展望レポート」の標準シナリオや上下両方向のリスク評価、政策運営の基本的な考え方について、引き続き粘り強く説明していくことが大切であるとの認識を共有した。』

正直、相変わらず難しいのですけれども・・・・・・

ということで、決定会合議事要旨2回分をサラサラとご紹介でありました。









2008/01/04

お題「謹賀新年で今日は小ネタです」

あら、珍しく4日からモーサテやってるじゃん。

○財務省のTB/FB利回り計算方法

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/fb/fbauct/fbauct191228.htm
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/yotei/auct745.htm

どっちでも良いのですが、上のほうのURL先に行きますと下のほうにこんな注釈が。

※ 政府短期証券の入札結果発表における募入平均利回
  り及び募入最高利回りは、これまで両端入れ方式によ
  る償還日数を用いて算出していたが、今回債の入札結
  果発表分から片端入れ方式での算出に変更する。

昔々の話になりますが、利付国債の利金は両端入れ方式で計算されていた時代が長くございまして、そのため割引短期国債の呼び値利回りから売買単価を計算する時に両端入れで償還日数を計算してたんですな。ところが、国債の発行方法をちょっと変えて特殊利金を廃止したり、銘柄統合方式をリオープン方式に変更したりした時(えーっと、10年利付国債で231回が新発の時でしたっけ?)に利金計算が片端入れになりまして(特殊利金がなくなるのだから当たり前)、この時に割引短期国債/政府短期証券の償還日数計算を片端方式に変更したと記憶してます。

でも何がどうなっているのか知らんのですが、財務省様におかれましては何故か延々とこの利回り計算を両端入れ方式を継続してまして、公表される利回りと実際に市場で呼び値として使われている利回りが同じ値段なのに違うという状況が続いてたんですな。まあ割引債で償還までの日数を長く計算すると値段が同じなら利回りは低く表示されてしまいますので、財務省様公表利回りの方が低く出ますので、実害は小さかった(財務省公表利回りの方が高いと「財務省が公表している利回りよりも低い利回りで買っているのはケシカラン」とか良く判ってない人に言われた時に一々説明しないといけませんから面倒)のですが、まあ市場慣行と違うというのは具合がよろしくないので良かったですねという感じです。

しかしこの変更って何でこれまで行われなかったんでしょうかと思うのですが、何かあたくしの与り知らぬ事情があったのか、単に誰も指摘しなかったのか、どっちなんでしょうかね。


○日銀券がやたら出ていましたという話から輪番の話とか

例によって本石町日記さん(今年もお世話になりまする)のエントリー。
http://hongokucho.exblog.jp/7873833/

今年は年末年始の銀行休業日が6日間もございましたので銀行券の需要がやたらございまして銀行券絶賛増発の巻となったというお話。2000年問題とか金融不安で絶賛タンス預金とかの時よりも日銀券残高が多くなって81兆円となったそうですな。

輪番の問題で言いますと、日銀保有の国債を国債整理基金が買入消却して買入余力が出るというのがデカイのですが、超テクニカルなお話をしますと、多分最近の輪番(買入消却もそうですが)でやたら残存の短い銘柄と申しますか、要するに償還銘柄が打ち込まれやすくなっていて、元々輪番の日に相場が上昇すると相対的に利回り低下余地の無い短い銘柄が入り易いのに、その傾向がもっと素敵になっているというお話も。

つまりですな、国債の発行額が段々増えてきた影響で、最近償還になる銘柄は最後まで流通量が多くなってまして、国債の元利金取扱手数料(今年の10月償還分から大幅減額予定でございます)見合いで購入する人に嵌まって終了という訳にも行かなくなっております。その上、償還直前(振替停止期間に入ってしまってから)の国債は担保などに使えないという問題点がございまして、その分を無担保でファンディングしないといけませんですなとなります。

このとき、特にクーポンの高い利付国債に関しましては、相変わらず売買参考統計値が手数料をある程度加味して短期金利よりも低い利回りのベースで計算されてますので、無担保でファンディングするコストを勘案した場合、輪番に叩き込んでしまった方がオイシイという状況が発生しちゃう次第。特に先月は償還銘柄叩き込み攻撃で12月10日の輪番が平均8毛3糸甘なんぞになってしまったりという現象が発生しておりました。輪番じゃなくて短国買入ですなこりゃ。

ま、この現象自体は先ほど申し上げたように手数料体系が変ると(たぶん)解消されますんで、今年の9月までのお話だと思うのですけれども、2年国債のクーポンも高くなってますので毎月これをやらかしたら笑ってしまうしかないですな。今年の密かな楽しみ(^^)。

銀行券の残高に関しましては本石町日記さんがその前にこのようなエントリーも上げています。
http://hongokucho.exblog.jp/7870277/

年末年始の人の動きを拝見した印象とか、年始の初売り(という名のバーゲン)を見物に出掛けた(2日にちょっと遅れて出たら既にめぼしい物はピラニアが襲来したかのような状況があちこちで散見されました^^)印象からしますと、銀行券が出たのはそれだけ消費などでの需要があったからと素直にあたしゃ受け止めましたが、それは単に東京などの大都市圏だけの現象なんでしょうね。

#では今年も宜しくお願い致しますm(__)m