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2008/12/30

お題「さて年末ですがネタは色々と(^^)」

年末ですが前のネタ登場なのれす(汗)。

○日銀再乗換に関して

既にご案内の話だとは思いますが、いちおうこちらはあたくしの俺様備忘録でございますので、クリップは必須なのれす。ちなみに22日のリリースなので大昔の話なのでありますが。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mpo0812a.htm

『2.償還期限到来国債のうち、平成20年度中に借換引受けを行った割引短期国債については、以下のとおり取扱うこと。

(1)額面総額3兆円については、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。

(2)(1)以外の割引短期国債については、本行資産の状況等に照らし支障がないと認められる場合には、割引短期国債をもって、借換引受けを行い得るものとすること。』

ご存知の通り、輪番オペで1年以内の債券がバカスカ打ち込まれる傾向が高まっておりまして、償還乗換分を現金償還すると余力がでまくるでござるの巻ですから、まあこうなるでしょうという話は本職の方からご指摘ありまして、市場の中の皆さん既にご案内の通りで、関係者以外何の事か良く判らんと思いますが、まあそういうことねということで(^^)。


○同じく22日の総裁講演@経団連

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812d.htm

景気認識の話とかは全部スルー致します。まあ決定会合や金融経済月報などで出ているようなお話でございますので良しという事で(こら)。

んでもって最後の方の金融政策運営に関する部分から引用してみます。


・ここからの金利引き下げに関して

『日米ともそうですが、金融機関間の取引におけるオーバーナイト金利がここまで低下してくると、金利による景気刺激効果という点では、今後は、企業の資金調達のコストやアベイラビリティ、すなわち、資金調達のし易さをどのようにして高めるかが、政策的に意味のある論点となります。』

政策的にあまり意味が無いと考えるからここからの利下げは否定的だと仰せのようでございますな。いやまあそれならそれで、10月以降の利下げ局面でドル資金の供給オペはとっととやってくれましたが、円資金の供給に関しては散々出し渋ってくれましたねえと思う訳でして、そーゆー所でどうも言行不一致(必ずしも全部が全部日銀のせいではない部分はありますが)な動きが目についたのが今年の展開でしたわな、と年末まで悪態。


・資金供給オペレーションに関して

『その意味では、まず、金融市場の安定性を確保し、金融政策の緩和効果が十分発揮されるような環境を維持するための措置が極めて重要です。この面では、リーマン・ブラザーズ破綻直後に各国中央銀行と協調して米ドル資金供給オペと呼ばれる仕組みを導入し、これにより、潤沢なドル資金の供給を行っています。現在、担保の範囲内であれば金額の上限を定めずに供給を行っていますが、この結果、ドル資金の調達金利は、期間の短い取引を中心に低下しており、金融機関によるドル調達圧力の緩和、ひいては日本の企業のドル調達の不安を取り除くことを通じて、経済活動を下支えしています。』

こちらはまあそうですな。米国の何だか出しまくり状態も効いてると思うが。

『また、円資金についても、積極的な資金供給を一層円滑に行い得るように補完当座預金制度を導入したほか、年末越えの資金を、昨年以上の規模で供給しています。』

補完当座預金導入して「目に見える積極的な資金供給」ってやってましたっけとか、昨年以上の規模の供給ってあーた金融市場のストレスが昨年と今年では天と地くらい違うのですから昨年以上程度で足りてたのか(最後は余りましたが)という論点もございますが。なんちゅうか脱力。

『国際金融資本市場における緊張の高まりの影響は、株価の大幅な変動や社債市場における信用スプレッドの拡大という形でわが国金融市場にも及んでいますが、こうした日本銀行の金融調節面での迅速な対応の効果もあって、米欧に比べればそれでも相対的には安定しています。』

・・・・・・いやあのですな(以下悪態につき割愛)。


・輪番増額は資金供給のテクニカルな見地から

『更に、先週の金融政策決定会合では、長期国債の買入額をこれまでの年14.4兆円ペースから、年16.8兆円ペースまで増額しました。これは、長めの資金供給を通じて、短期の資金供給オペを頻繁に実行せざるを得ないという事態を解消し、円滑に金融調節を実施するための措置です。』

と、ここの所何度かご紹介しましたけれども、輪番増額が調節上のテクニカルな話という事を強調しておりまして、まあこれは将来(今の調子だとかなり先の話で恐らく景気の立ち直りの方が先に来ると思いますが^^)のエグジットを睨んでいますなあという所でしょう。


・企業金融支援に関して

『このような金融市場安定化措置と並んで、金融政策の緩和効果が十分に波及するように、日本銀行は企業金融を支援するための様々な措置を講じています。主要国では、企業に直接与信を行うのは民間の金融機関や投資家であり、中央銀行の役割はそうした民間の与信活動を間接的に支援することです。具体的には、オペレーションを通じた流動性の供給であり、企業債務を中央銀行の与信の適格担保とすることです。』

そりゃそうなんですけどね。

『中央銀行が個別企業の信用リスクを直接負担する政策は、そもそも民間金融機関のビジネスを奪うことを意味します。また、損失発生の可能性が高くなることを考えますと、広い意味での政府との役割分担や中央銀行の財務の健全性確保、通貨の信認確保といった様々な観点から検討する必要があります。』

まあそうなんですが、何せ状況がそんな場合じゃなかったというのもまた現実。確かにCP買入に関する一連の措置の後、年末越えに抱え込んでいた資金を何だか良く判らんけど放出した人がいたこともあって、CPへの買いがわんさかやってきてレートがアホほど低下したので、そーゆー意味では運用側涙目になってますが(^^)、直前まではリスク回避の傾向なのか買いが無しの助だったのですから、政策投資銀行の買入開始と日銀の措置は心理的効果も大だったという事なのではないでしょうか。一回壊れたものを正常化する時にはやはり思い切った策が必要であるという事例なのかなあと思うのですけれども。

『因みに、FRBはCPを買入れる制度を設けましたが、買入対象は最上位格付けのものに限定しているなど、様々な工夫をしています。』

この話、白川さん相当何度も強調してますな(^^)。で、従来より実施した適格担保の緩和やらCP買現先オペ拡充の話をスルーしましてCP買入の説明を引用します。

『こうした措置に加えて、今後、年度末に向けて企業金融が一段と厳しさを増すおそれがあることを踏まえ、時限的に、CPの買い切りを実施するとともに、企業金融に係るその他の金融商品についても中央銀行としてどのような対応がありうるかを検討することを、先週末に決定しました。』

やっとですかという気もしますが、まあこれは結構でございました。

『CPの買い切り措置は、結果的に個別企業の信用リスクを負担することになるものであり、中央銀行のオペレーションの主たる領域は流動性供給であるという考え方に照らせば、中央銀行として異例の対応です。実際、先進国の中央銀行の歴史をみても、企業債務ないし企業の資金調達手段を買い切るという措置は、日本銀行が2000年代前半に行ったABCPとABS、株式の買入れ、あるいは先程申し述べたFRBによるCPの買入れ以外に例をみません。』

そりゃそうです。

『もっとも、流動性供給と信用リスクをとる政策との間に明確な線引きをすることは、危機的な状況の下では難しくなります。中央銀行としては、金融経済情勢を踏まえ、物価の安定と金融システムの安定という中央銀行に課せられた責任の重みを十分に認識し、その役割を適切に果たしていくということの具体的、実践的内容を判断していくことが求められます。』

まー悪用すると震災手形濫用みたいになっちゃいますからね。でもまあこの部分に関してはあえてこの状況下で強調する必要があるのかどうか。中銀として言いたくなるというのは非常に良く判るのですが、こういう話をすると「日銀はまた自分の庭だけ綺麗にしようとしている」と言われちゃうと思うんだけどなあ。

『中央銀行として企業金融の支援を進める上で、どこまでが必要かつ適当な範囲か、また、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保するために、政府との関係も含めどのような対応が必要か、といった点について、改めて検討を深めていく方針です。』

だいたいからして最近は通貨の信認が高すぎて困ってるんだし(苦笑)。


○このレビューは面白そうです

インフレ予想(Inflation Expectations)について
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev08j15.htm

という日銀レビューの本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev08j15.pdf

中身は非常に興味深く、毎度のように日銀レビューシリーズなのであたくしのようなシロートでも読める(計算式がアホウ程出てくるワーキングペーパーシリーズを見ると悶絶してしまうのが浅学菲才なあたくしの仕様です)のでお勧め。

で、色々と論点があるのですけれども、物価連動国債のBEIに関する論点から引用させていただきます。4ページ目から5ページ目のあたり。

『物価連動国債から求められるBEI は、あらゆる裁定機会を活用して収益をあげようとする、多様な市場参加者の見方を集約した指標とも考えられるが、実際のところは、市場流動性の状況によって影響される。とりわけ最近のように金融市場が混乱しているときには、情報価値が大きく低下するという問題がある。例えば、日本のBEI については、本年9 月から大きくマイナスとなっているが、これは、家計、企業、エコノミストのインフレ予想の変化幅に比してもかなり大幅な修正である。』

さよでございます。ついこの前は物国の利回りが軒並み4%台とか卒倒しそうなレートになっていましたが、最近はだいぶ復活傾向になってますなあ。

『こうしたことから、BEI のマイナス転化は、今後10 年間物価下落が続くとマーケットが予想しているというよりも、そもそもわが国の物価連動国債の市場流動性が低い中にあって、国際金融資本市場の混乱の影響で、一部マーケット参加者が物価連動国債の売却を急いだため、「物価連動国債の急激な利回り上昇」=「BEI の急激な低下」がおきたものとみられている。』

ということかと存じます。

『日本の物価連動国債の歴史は他国に比べて浅く、発行規模の大きさや発行年限の多様性で限られている面があるが、他国でも、物価連動国債の市場流動性が固定利付国債に比べて低いという問題は多かれ少なかれ抱えている。』

図表がついているのでそれは本文をご覧になると宜しいかと存じます。

『こうした中にあって、物価連動国債に比べて市場流動性の問題が小さい固定利付国債の名目金利や、それを変換したインプライド・フォワード・レートの動きにより着目するという考えもあろう。名目金利は、@実質金利、Aインフレ予想、B各種プレミアム(流動性プレミアム、インフレ・リスク・プレミアム等)の和と考えられる。中長期的には、仮に実質金利や各種プレミアムが安定的に推移していると考えれば、例えば、中長期のインプライド・フォワード・レートの時系列変化をみることにより、マーケットのインフレ予想に大きな変化がないか、大まかなチェックは可能である。』

まあやはり市場からのデータ取得という面で言えば、データを取ってくる市場の価格流動性の面とか、価格流動性はあるけれどもその市場自体があまり実態と関係ないただの場外乱闘場になっていないかどうかとか、まあそういう点を良く考えて市場を分析しないと「市場が織り込む」といいつつ思いっきり訳判らん結果を導出する結果になりかねませんので要注意ちゅうことでしょう。

『海外の中銀では、最近のファイナンス理論の発展を応用して、物価連動国債の情報を使わずに、名目金利を上記の3 つの要素にモデル分解して、マーケットのインフレ予想を抽出するといった試みもなされている。』

なるほどです。

ちなみに、今回はちょっとテクニカルな部分の引用でしたが、政策的なインプリケーションという点で言えば引用しなかった別の所の方もご覧になられると宜しいかと存じます。


○年末のご挨拶

まあ年末ですのでお約束のご挨拶。

今年は景気は急に悪化するわ金融機関は飛ぶわ市場はシュリンクするわと誠に遺憾な1年でございましたが、あたくしの駄文のネタは尽きまじという感じで(^^)あっと言う間でありました。ど〜せ来年もとりあえずは碌な事が無いと思いますが(既にヤケクソ)、生き延びていれば良い事もあろうかと存じますので、精々生き延びておこうかと(苦笑)。

あたくしのしょうもない文章をご覧頂きまして誠に恐縮でございました。来年もご愛顧賜れば幸いでございまする。それからご意見ご指摘ご質問など頂きました皆様にはこの場をお借りいたしまして大感謝させて頂きたく存じます。

来る2009年が皆様にとって素晴らしい年になりますように!















2008/12/29

お題「亀崎審議委員会見とか相場雑談とか」

ネタは後入先出法で勘弁ということでまずは亀崎審議委員会見から。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812d.pdf
会見要旨は6ページなのですが、中盤から中身が濃い質疑応答です。


○今後の政策は企業金融対策強化とターム物誘導(か?)

今後の政策メニューに関する質問に対して。ですが、やたら長いので段落分けしながら。

『(答) 日本銀行としては、世界経済が減速を強めている中で、日本経済も急速に悪化し、また当面悪化が続くであろうという中においては、可能な限りの適切な策を講じていくことが必要であると思います。1 つは金融調節、もう1 つは流動性対策であり、企業の資金繰りが潤滑に行われるように、金融市場の安定化に努めていくことが、日本銀行の責務であると思います。』

なるほど。

『先週19 日の決定会合では、政策金利を0.3%から0.1%前後に引き下げたことに加えて、CP の買い入れについても検討すると決定したわけであります。目下、執行部においてCP 買い入れの具体案について、また、今後企業金融にかかるどのような金融商品を金融調節の対象としていくのかについて検討中であり、私は、現段階で特定の結論は有しておりません。最近の厳しい金融経済情勢を踏まえますと、企業金融の円滑化に資するために、金融調節面でどのような対応が可能か、また望ましいか、真剣に検討しなければならないということであります。』

ということで最初に出てくるのが「企業金融の円滑化」なのです。

『ただし、こうした措置は、結果的に、日本銀行が個別企業の信用リスクを負担するものです。主要国をみますと、かつての日本銀行によるABS あるいはABCP の買い入れ、今回のFRB のCP 等の買い入れは、中央銀行としては異例の措置であります。それだけに、今回、CP を買い入れ対象とすることを契機に、こうした金融商品に対する中央銀行としての対応のあり方について、改めてしっかりと検討することが必要と判断したわけであります。』

それはまあ左様でございます。

『CP 買い入れの具体案や、これ以外の金融商品につきましては、企業金融円滑化のためにどのような対応が考えられるか、執行部の検討結果を踏まえて、金融政策決定会合でしっかり議論していきたいと思っております。』

ということでこれ以外の金融商品ってなりますと社債か株という話になりまして、まあ買取なのではなくて適格担保要件の緩和が本線ではないかと思う(さすがに短期のCPなら兎も角、長いのを買切というのはちょっと)のですがどうでしょうか。

で、この後に「政策金利水準の変更も排除しないのか」という質問が来まして、それに対する亀崎さんの答えは以下の通り。

『(答) 金融政策については、毎回会合当日の8 時50 分まで、ぎりぎりまで考えて会合に臨んでおります。経済現象というものは常にダイナミックに動いて、常に変化しているわけであり、そのデータ、情報をすべてぎりぎりまでみて判断したうえで会合に臨んでおります。今後、現段階で想定ができないような色々な状況が起きる可能性があり、次どうするかということは全く予断を持っておりません。従いまして、先行きの金融政策運営に当たりましては、予め特定の選択肢を排除することなく、必要な措置を検討していくことに変わりはありません。』

と、ここまでは利下げ否定せず。

『ただし、今回、政策金利を0.1%に引き下げましたので、その結果、今後の政策金利の引き下げ幅は自ずと限られてきます。なぜならば、私は、短期金融市場の機能が著しく損なわれるようなことは避けるべきであると考えているからです。今後、追加的な緩和措置をとる必要が生じた場合には、より長めの金利への働き掛けや、あるいは企業金融円滑化に資する措置等を中心に検討していくことになると考えます。』

ターム物誘導をするほうが市場機能が損なわれるような気がせんでもないのでありますが・・・・ちなみに、あんまり量的緩和しないゼロ金利と、超過準備付利と誘導目標金利が同水準で資金供給がジャブジャブになってコールレートが張り付いている状態だと、実はゼロ金利の方が市場機能が生きているような気がするのですけれどもどうでっしゃろ。

ま、もっと実を言えば、コール市場よりもレポ市場の方が今となっては規模がでかいので、レポ市場で裁定取引ができるような流動性があった方が市場機能とか参加者の飯の種という意味ではメシウマだったりするような気がするのはあたくしがインターバンクよりオープンに近いポジショントークですかそうですか。


○長期国債買入に関して

その次にこんな質問が。

『(問) より長めの金利に働きかけるという場合には、長期国債の買い入れ額を増やしていくことも排除しないというお考えなのかどうかをお聞かせください。』

で、これは良い答え方であると思います。

『(答) 長期国債の買い入れは、長めの金利を下げることを目的に行うわけではありませんけれども、それが結果として、そのような形につながる場合もあるかもしれません。それはそれとして結構ですけれど、長めの金利を抑えるために長期国債を買い入れるというわけではありません。』

白川総裁もこういう答弁をして欲しいのですよ。嘘八百を言わなくても良いのですけれども、「結果としてこうなるかもしれませんねえあっはっは」というのは景気付けにはよいと思うのですよね。ちゃんと「長期金利コントロールではない」とは言ってるわけですし。

『(問) 今のお答えですが、先行き長期国債の買い入れも排除しないけれども、長期国債の買い入れをすることによって結果として長めの金利が下がることもあり得るという理解でよろしいですか。現時点で特定の政策を排除することはないということから考えると、長期国債の買い入れ増額も先行きの選択肢の1つとしてあり得るということでよろしいですか。』

『(答) 私が申し上げているのは、長めの金利を下げるために長期国債の買い入れをするということではないということです。』

『(問) 少しくどくなりますが、より長めの金利へ働きかけることを考えるといった場合に、もし長期国債の買い入れでないのであれば、どういったことを考えていらっしゃるのでしょうか。』

『(答) これに関しては、さまざまな金融調節の観点から考えなければならないので、具体的な政策については執行部にまず検討していただいて、それをみて判断していきたいと思います。長期国債の買い入れについては、あくまでも円滑な資金供給という金融市場調節が直接の目的であります。』

ということで、微妙に答えをしないですなが、「円滑な資金供給」という名目で長期国債の買入増額もありえるかなという感じですな。


会見要旨からちとズレますが、先日も申し上げましたけれども、今回の会見でも長期国債の買入を「円滑な資金供給」という名目にしていますが、従来の日銀のロジックだと長期国債の買入は「成長通貨の供給」でありまして、速水総裁時代に当座預金残高目標の拡大と長期国債の買入増額が概ねセットになっていて「マネーを増やすため」という雰囲気を思いっきり漂わせていました。

なお、もうちょっと正確な話をしますと、速水総裁時代に当座預金ターゲットを採用した時点でのリリースを読みますと、長期国債買入増額は『日本銀行当座預金を円滑に供給するうえで必要と判断される場合には』という話にはなっているのですけれども、当座預金残高目標引き上げに長期国債買入増額がセットになっているので、何となく長期国債買入増額とマネー増加が対応しているような見せ方になっとるのですな。

なお、長期国債買入に関する決定会合のリリースを並べておきますね。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k010319a.htm
2001年3月の量的緩和導入時のリリース(当座預金供給の円滑化に必要があれば増額と書いてありますよね)

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k010814.htm
当座預金残高目標5兆円→6兆円に買入増額(4千億→6千億)がセット

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k011219a.htm
当座預金残高目標6兆円以上→10〜15兆円に買入増額(6千億→8千億)がセット

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k020228.htm
年度末越えの流動性強化策に買入増額(8千億→1兆)がセット

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k021030.htm
当座預金残高目標10〜15兆円→15〜20兆円に買入増額(1兆→1兆2千億)がセット

で、福井総裁になった直後に当座預金残高目標をさっくり引き上げたのですけれども、このとき以降は長期国債買入は増えなかったのであります。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k030325.htm
俊ちゃんの当座預金残高目標増額第一弾ね。



○利下げとか企業金融円滑化強化とか

『(問) 「市場機能を著しく低下させることは、避けるべきだ」と先ほどおっしゃったのですが、今0.1%しかない金利をこれ以上ゼロに近づけないほうが良いというお考えでおっしゃっているのでしょうか。それから、講演の中で英国ブラウン首相の言葉を引用されて、「非常時には非常の策で対応するべき」とおっしゃいましたが、CP だけでなく、市場で目詰まりが著しい社債についても日本銀行が買い入れるということは検討の余地があるのでしょうか。』

『(答) 市場機能につきましては、0.1%であれば短期金融市場を殺すことにはならない、ぎりぎりの水準ではないかと思っています。一方、これ以上下げるか下げられないかということについては、私が先ほど申し上げましたように、決定会合当日の8 時50 分まで金融政策について考えたうえで最終的な判断をするわけで、今から予断をもって申し上げることは、あまりにも乱暴すぎると思います。ただ、私としては、金融市場の機能を殺すことは避けなければいけないと思っております。』

うーむ、下げる気があるのか下げる気がないのか良く判らんですな。

『それから、企業金融の円滑化につきましては、社債や株式も含め、どこまで対象にできるかということを執行部にしっかり検討してもらって、その結果をみて判断したいと考えています。例えば、銀行の株式保有状況をみますと、わが国の金融機関は2002 年以降株式の保有を大幅に圧縮して、株式保有リスクへの対応は依然大きな課題であり、私どもとしましても、中長期的にその対応が必要であると考えております。』

ほほう。

『ただ、現時点での金融機関の株式保有スタンスをうかがいますと、日本銀行による株式買い入れ再開を利用して、保有株式を売却したいとの具体的なニーズはあまり聞かれておりません。日本銀行としましては、金融機関の株式保有リスク削減に関しまして、金融機関側の今後の検討、進捗状況を見極めつつ、また日本銀行自身のリスク負担のあり方に関する考え方の整理を踏まえて、これに対応し得る有効な手立てがあるかどうか、引き続き慎重に検討していきたいと思っております。』

ということで、プルーデンスの例の奴が復活してもおかしくは無いという事のようですけれども、前回実施した時には過剰な持ち合い解消がテーマになっており、売り圧力があったのですけれども、現状でそんなに売り圧力あるんかいなという気はするんで。


○ということで

延々と丸々引用みたいになっちゃいましたが、亀崎さんのこの会見は割とこう色々と発言してますなあという感じでして、何か存在感が出ているような気もするのであります。今後も注目したいと思いまする。


以下市場雑談

○末初はレート下がりましたが・・・・・・

金曜は前日の後場の流れを引き継ぎまして資金はしっかり出て参りまして、末初のレートは低下するわ、CPレートは発行がだいぶ少なかった事もあって運用圧力が高まって低下するわと中々結構な展開。資金をここまで抱えていた主体が放出に回ったのでしょうなあと思われる急展開で末初のメドもついたところでどどーんと出てきたという事でしょう。

ということで、まあ年末はもうさすがに波乱は無いのでしょうけれども、別にまあ海外のビック3さんに関しても先送りな訳ですし、そもそも年末は所詮国内的にはただの月末(一応四半期末)なので、まあ問題は年度末なのでありますが、何せ長い資金供給オペをろくすっぽやってくれないというとても素敵なオペが続いておりますので、さて来年になった時にどうなるのよという感じはしますわな。この調子だと延々とショートファンディング状態になって中々年度末越えが出合いにくい(オペ効果でCPはとりあえずの所大丈夫だと思いますが)ような悪寒も。

#今日のオペはCP買現先のロールくらいっすか?














2008/12/26

お題「不思議なオペ/決定会合議事要旨/亀崎審議委員講演」

といっても後半2つのお題は超簡単バージョンざます。

○確かに年末の所は片付いてるんでしょうが・・・・

昨日は債券の受渡が年内最終で今日はスポットが年内最終ということでして、まあ年末越えはだいたい終了という感じでございますなあという所ではあります。

・・・・えーっとそれはよいのですけれども、昨日の資金供給オペはスポネの国債買現先3兆円とCP買現先のみでして、翌日以降スタートの共通担保オペの実施は何と無しという有様。確かにまあ年末越えの所でどうのこうのという事は無いのは多分そうなのでしょうけれども、末初のオーバーナイトがよけりゃ問題ないとかいう話ではなくて、利下げして金融緩和すると言ってるわけですから、その緩和的環境を作るという意味ではターム物の資金供給をもっと積極化するのが筋ってえもんじゃあないでしょうかと思うのですが。末越えオペを実施するといってもひたすら末初のオーバーナイトものだけ打ち込むとか、ショートファンディングを奨励するようなオペを打ってわざわざ市場に不安定要素を打ち込もうとしてるとしか思えませんですが。

ということで、昨日は午後のオペ無しというのが気分的には大変宜しくないという感じになりまして、末初のGCは0.32%とかまたもロンバート越え。まあ末初だから仕方ない面は無いことも無いのですけれども、ロンバートより高いってのもねえという所でございます。何せ利下げ前はちゃんとオペバカスカ打ってターム物とかも出していたのに、利下げしたら出ないとかオペでやってることが訳判らんとしか申し上げようがございません。

ま、連日申し上げていますが、当座預金付利0.1%で誘導目標0.1%なのですから普通に期待されるのは「とりあえず資金をどどーんと供給して0.1%にするでしょ」だと思うんですけど、その期待を見事に外すオペレーションにはどんな意図があるのやらというところですな。いやまあ意図あってやってるんなら別に結構でございますけれども、その意図とやらって決定会合で言ってる事と違いわせんかと悪態の一つも付きたくなりますが。



○11月の決定会合議事要旨よりちょっとだけ

今年は年末にネタが多くて積み残しが溜まっていかんですな。後入先出ということで昨日公表された議事要旨からちょっとだけ。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g081121.pdf

この時の決定会合では見事なゼロ回答となり、流動性対策に関して何か出るのか、なお書き修正みたいなことをしてくるのかとか、まあ幾らなんでも何か出るでしょうとか申し上げていたあたくし涙目の会合でございましたわな。

で、『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の『2.金融面の動向』を見るとこんな認識になっていたようで。

『わが国の金融環境について、委員は、中小・零細企業で資金繰りが悪化しているほか、大企業においても市場での資金調達環境が悪化している先が増えるなど、全体として緩和度合いが低下しているとの認識で一致した。委員は、国際金融資本市場の混乱や世界経済の減速の影響が、様々なルートを通じて、国内の金融環境にも大きく影響してきており、わが国においても、金融と実体経済の負の連鎖を意識する必要がある局面に差し掛かりつつあるとの認識を共有した。』

まあ直接金融の人たちは反応がやたら早いという事はありますけれども、あたくし的にはこの時点(11月21日)で既に結構洒落にならない状態になっていたと思いますです。もうちょっと切迫感あるのかと思ったんですが。

『委員は、C P ・社債市場において、信用スプレッドが拡大しているほか、起債見送りの動きが拡がるなど、市場での資金調達環境は悪化しているとの認識で一致した。』

たぶん悪化の度合いは10月以降急速という感じだったと思うのですよ。

『多くの委員は、投資信託などの投資家が、信用リスクに対して慎重になっていることに加え、解約による資金流出リスクに備えるために、キャッシュ比率を引き上げており、C P への投資スタンスを後退させていると指摘した。』

さよですな。

『また、これらの委員は、社債についても、9 月中旬以降、起債中止・延期の動きが続いており、発行企業は、電力などごく一部の高格付け銘柄に限られていると述べた。もっとも、何人かの委員は、マクロでみると、C P ・社債による調達額の減少は、銀行貸出でカバーされており、個別企業ごとのばらつきはあるものの、99 年のような大規模な信用収縮が起こってはいないと述べた。』

つーか99年と同じだったらとっくの昔にお父さん続出なんですが。

『多くの委員は、中小・零細企業では、資金繰りや金融機関の貸出態度が厳しいとする先が増えており、中小企業向けの貸出残高は前年比減少幅を拡大していると述べた。何人かの委員は、株価の下落や倒産の増加によって一部の金融機関は資本制約を意識せざるを得ない状況になってきており、リスク・テイク姿勢の変化に十分注意する必要があると述べた。』

直接金融がシュリンクしたら間接金融に皺寄せ来るでしょうという話は議論としてあったのでしょうか。まあ当然その論点もあったと思いますけど・・・・

『これらの議論を経て、委員は、わが国の金融環境は、依然として米欧ほどは厳しくないが、このところ緩和度合いは低下しており、実体経済面への影響が懸念される状況になりつつあるとの見解で一致した。』

ま、12月になって対策打ったから良いようなものの、この時点での切迫感はイマイチだったのかなあと。もちろん一番の直撃弾食らっているのが直接金融のCPのあたりでその直撃弾食らっているのがあたくしのとこだったりするので、危機感を過剰に感じてますというのはありますけどね。


でもって『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』を見ると・・・・

『多くの委員は、@ 企業に対する直接の資金供与は、民間金融機関が担う分野であり、仮に何らかの政策対応が求められる場合でも、政府との役割分担や、中央銀行のバランスシートの健全性という観点から、慎重に対応する必要がある、A 企業金融の円滑化のために中央銀行がなし得る施策の基本は、流動性供給の分野である、との原則をまず認識することが重要であると述べた。』

いやそりゃそうなんですけれども・・・

『加えて、何人かの委員は、現在の日本の金融環境は、中央銀行が、直接、信用リスクをとる必要があるほど悪化している訳ではないのではないか、と述べた。』

・・・・・・うーむ。

『また、何人かの委員は、金融システムにストレスがかかる状況下における企業金融の対策としては、信用保証制度の拡充など信用リスクに直接働きかける施策や、金融機関の資本制約を緩和する施策などの役割も重要であると述べた。』

なんつーかね、そりゃ正論なんですけれども、時間がかかる話でしょと。目の前に年末越えがあり、それを越えてもより問題な年度末越えがありという状態で予算措置だの法律手当てを伴うような話が今の政治状況で間に合うのでしょうかという現実的な問題を考えていただきとう存じます。

『なお、ある委員は、先行きの情勢次第では、上記の原則にとらわれることなく、中央銀行が信用リスクをとっていく政策も視野に入れる必要があるのではないかと述べた。』

やっとここでホッとする意見が(^^)。

と言う中で、財務省の出席者までこういう指摘をしているのに泣いた。

『短期金融市場については、例えばC P 市場では、発行残高が減少し、低格付け企業の発行金利が上昇するなど、引き続き緊張状態にあり、年末に向けて注意が必要である。』

このあたり見てますと、どうもちょっと先行きの金融政策でもまた「追い込まれ型」をやらかしそうな悪寒がするのは今朝の寒波のせいだけではなかろうと。


○亀崎審議委員講演

どうも会見の方が面白そうなので今日公表の会見要旨を楽しみにしていますが。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812e.htm

経済認識とかは厳しいのですが、亀崎さんは従来より経済に関しては厳しめの見方をしてるので、まあそのあたりは想定どおりとスルーしておきます(後日補足するかも)。

講演の途中から続く『4.金融危機について』っていう部分が中々面白いのですが、全部引用してたらきりが無いのでちょっとだけ。

金融危機が発生した辺りの話。

『最初の危機は、先述のSIVから発生しました。欧州のあるSIVが、保有する住宅関連資産の時価を評価できなくなったことから経営不安となり、資金繰りが逼迫して活動停止に追い込まれたのです。これを契機に、他のSIVや、その資金調達を支援していた金融機関の資金繰り困難化、各種の金融市場の混乱に繋がりました。これが、昨年8月9日のパリバショックです。その後ほどなく、米国をはじめ世界中の金融機関に問題が拡がりました。』

『証券化によるリスク分散は、大きなリスクを一部に集中させないことが利点ですが、リスクは分散しても消えずに残っていることも、また事実であります。皆が限度を越えてリスクを移転しあった結果、皆が大きなリスクを背負うことになっていた、と言えます。』

おっしゃる通りで(^^)。で、危機の拡大はリーマンショックですという話。

『リーマン・ブラザーズのように大きな金融機関が破綻したことは、世界の金融市場を極度の不安に陥れました。金融市場では、資金余剰の先はリスクがあれば運用しない、資金不足の先は担保があっても資金が得られない、という状態となりました。ここで再び、中央銀行の大量資金供給が始まりました。この時点では、ほぼ中央銀行のみが資金供給に応じるという状況でした。』

ということで、米国当局の対応が素早いとか言われてますが、本当に日本の問題を理解してたら三洋証券破綻させてコール取引やレポ取引を突然コカした事がその後の市場の大シュリンクに繋がった事くらい判っている筈で、もとはと言えばこのあたりの対応に問題があったのですわなと思うのだが、とかいつの間にか悪態になってどうもすいません。で、その危機が実体経済に波及するという話を。

『このように金融機関が弱って融資能力が低下してくると、実体経済への影響が深刻化します。特にアイスランド、ハンガリー、南アフリカなど、経済が米欧金融機関からの借入に過度に依存していた国では経済危機に陥り、IMFなどからの緊急融資を頼ることとなっています。その他の国でも、金融機関が、リスクのある融資に慎重となっています。』

『こうしたことが景気を冷やし、それが金融機関の不良債権の増加に繋がり、また融資姿勢の慎重化に繋がる、という悪循環に陥っています。このような金融と実体経済の負の連鎖が、現在、世界で最も懸念されている問題と言えます。そのため、金融機関の不良債権処理策と、景気刺激策が望まれます。大規模な景気刺激策は、中国のほか、欧州各国も手を打ち始めていますが、米国では、自動車大手の最終的な救済方法が不透明であるほか、大統領の交代期で有効な政策が打ち出しにくい状況のようです。オバマ新大統領就任後の施策が、注目されています。』

ということで。中身に関しては講演要旨読んで味噌。


ところで、金融政策に関しては施策の説明とともに良い事を仰せであります(^^)。

『中央銀行が民間企業の信用リスクまで負担するのは異例中の異例のことですが、英国ブラウン首相が言ったように、「非常時には非常の策」で対応するべきだと考えています。』

というような発言を白川総裁もして欲しいもんなんですよね。そうじゃないから出し惜しみだの一般紙(東京新聞ですが)に書かれる有様なのよね。


















2008/12/25

お題「オペ雑感/総裁会見続き」

○何のための付利据え置きなのよという話

昨日の駄文で「今日(=水曜日)のオペ注目」という話をしましたけれども、その中でうっかりスルーしてしまった話がございます。それは何かと申しますと「利下げ翌日の月曜にロンバート貸出が11500億円も出ちゃいました」というお話。

これってどういう話かと言いますと、月曜のT+0の資金需給のバランスが悪くなっており、資金供給オペも無かった上にGCレポ市場での資金の出しが絶対的に足りなかったという事を意味してるとしか思えませんのですな。しかも月曜は(昨日書きましたように)利下げ期待で準備預金の積みを遅らせ出した時にしらっと減額したスポネの国債買現先をそのまま同額ロールしたのと、訳判らん末初の共通担保しか実施(CP買現先はありますが)しなかったので不足感拡大と。

だから月曜の国債買現先でも3兆円のオファーに対して応札が6兆3千とかあった訳で、このオペ応札額とロンバート実行沢山という状況を受けて水曜はオペを工夫してくるかと思ったら、昨日のオペもまるで同じような内容。スポネの買現先3兆円と末初の共通担保をまた実施。

結果どうなったかといいますと、スポネの3兆円に対して応札は6兆6千億円になって、落札利回りは月曜の0.208/0.19から0.254/0.24へと急上昇するわ、ロンバートは減るどころか2600億円追加実行されてしまいまして、何か罰ゲームでもしてるのでしょうかというオペレーション。

えーっとですな、従来より年末越えなども含めて「資金を潤沢に供給する」という触れ込みの筈でありますし、当座預金付利を行うことによって潤沢な資金供給がより円滑に実施できるって触れ込みの筈でしたよね。しかも今般の利下げで付利金利と誘導目標金利を一緒にしたので、ジャンジャン資金供給をしてもディレクティブ違反になる事もなくなって、これで安心して資金供給を出来るから、当然ながら資金供給オペをとりあえずジャンジャン打って来るもんだと先般の会合結果を見て短期市場の人たちは常識的に考える筈なのですよ。

然るに、利下げ後の年末越えの供給オペは(CP現先を除いては)共通担保の末初物という次第でして、そりゃまあ末初でも「年末越え資金を出しました」という事なのでしょうけれども、ファンディングという観点からしますと、必要なのは安定的な少し長めの資金と、足元の短い資金をバランス良く取る事でありまして、末初ピンポイントとか出されましても参加者の資金繰りが安定化しないどころか、ファンディングの足が短くなるので不安定化要素が高まるのですな。その上現在市場の頼りになっている資金供給オペレーションの打ち方が不安定と来れば尚更のことです。

暫く前に打ってた2か月だの3か月だののオペはどこに行ったのかという感じ。そういう安定しないオペをやって市場の考えることを外してくれるから市場が益々梯子外された格好になって安定しないのよね。どこ見てオペ打ってるんでしょうかねえ。マッタクモウ。


まあそれが市場機能だというのでしたらそれはそれで結構なのですけれども、状況としては市場でまたまた金の回りが悪くなっている(悪くなってなかったらロンバートが1兆も出ない)ということでありまして、10月にオペ金利が0.75%を超えてみたり、11月の終わりにオペ金利やレポレートが0.50%を超えてみたりとなって、GC市場が一時的に壊滅状態になってしまった件に対する反省が全く感じられないというか、別にどうでも良いとか思ってるんですねえという所であります。

ということで、何のために付利金利と誘導目標金利を一緒にしたのか全く意味が判りませんというような利下げ後2日間のオペレーションなのでございました。

たぶんCPオペと新型オペの効果があるからCPレートとかは低下してるからそんなに外野から文句は出ないのでしょうけれども、このオペの打ち方は市場が期待というより普通に考えるオペレーションのほぼ真逆になっておりまして、もう何だかなあとしか申し上げようがございませんですなあ、というかこういう体系になってるのにオペネタ(正しくは悪態)がドラめもんのネタになるとは思いませんでした。普通にタームの供給を沢山打っておけば済むだけの話だと誰もが思うんじゃねえのかと。



○総裁会見の続

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812c.pdf

金利の出来上がりが何故0.1%だったのか、追加利下げの可能性、長期国債買入増額の理由と今後の増額可能性、CP以外の買入に対して、と盛りだくさんの質問があったのでそちらの答えをまず引用。

・0.1%にした理由

一般的な「総合的に勘案」と言う部分を割愛して引用するとこうなります。

『金利を0.1%まで引き下げた場合、さすがに市場機能の一部が低下するという現象が起こるかもしれません。しかし、プラスの金利を維持することにより、金融取引に伴う諸コストや手数料をカバーし得るかという点で、金融活動の基盤や取引のインセンティブはギリギリ残ると考えています。』

ま、そりゃそうなのですが、そもそも短期市場での市場機能ってえのが日銀の資金供給オペ頼りという状況はとっくの昔から始まっておりますので、ちゃんとオペレーションをやらないと市場が回らないという状態なんすけどねえ。


・追加利下げの可能性

『次に、一段の引下げの可能性についてですが、将来の金融政策について絶対ないとか絶対あるといったことは勿論言えません。』

と、ここで止めときゃいいのにその後に余計な話を。

『ただ、今回金利引下げを決定するに当たり、短期金融市場の機能を維持するということについて随分議論を行い、その結果当座預金付利の金利を0.1%にしたわけであります。0%に近い世界はあまり例がありませんから、比較は難しいと思いますが、FRBは当座預金金利を0.25%とし、しばらくこの水準を続けると判断したわけであります。市場機能の維持という観点から0.1%が良いのか0.25%が良いのかは、なかなか説明が難しいですが、様々な要素を考慮した上で今回の判断に至ったわけであります。』

機能維持もクソもとっくの昔に(以下同文)。だいたいからして経済が崩壊したら短期金融市場の機能もへったくれもないと思うのですが、そう短期市場短期市場言われてもありがた迷惑にも程があります。


・長期国債買入

『従来より2,000 億円刻みで引き上げてきましたから、2,000 億円刻みというのは一つの自然な刻み方だと思っています。』

まあこりゃその通り。

『また、銀行券と長期国債の残高の差がポイントになってくると思いますが、その前提として、国債の買入れオペはこのところ残存期間の短い買入れが非常に増えていることや、政府の国債買入れ消却に応じたことで保有する長期国債が減ってきているという事実があります。今回、期間の長い国債も買入れ対象とし、且つ期間別に買入れを行うことにより、これまでと同じ買入れ金額であっても期間が長い国債を買う分だけ日本銀行のバランスシートに長く残る国債は増えていくことが考えられます。』

これってもっと物は言いようでして、長期国債買入でより長い期間のものを買いやすくしてますってのをもっとクローズアップされるような話をすりゃ見せ方としてよいと思うのですけれどもねえとしか言いようが無いです。

『こうした少し長い先の姿を想定しながら、銀行券の範囲に収まる買入れ額はどの程度か、バランスシートの資産サイドの期間の構成という面でバランスがとれているか、などを勘案し、2,000 億円の増額を決定しました。』

さよですか。

『当面、この2,000 億円を増額することは考えていません。』

どう見ても余計です。本当にありがとうございました。

・・・・こうやって折角出してる政策に関する効果を減殺するような話をしていくのが白川総裁クオリティなのですが、もう豆腐の角に華麗に頭をぶつけるべきではないかと思いますですよ。とほほのほ。


・CP以外の買入

『最後に、CP以外についてどのような対応を考えているかについてですが、今回基本的な検討のポイントを執行部に指示し、それを踏まえて執行部がこれから検討する段階ですから、現時点ではそれ以上の答えはありません。』

どう見ても押し付けられましたと仰せです。本当にありがとうございました。


まあそんな感じでよく言えばハッタリの無い正直なお話、悪態つけばやる気のないお話が続くのですが、代表的なもんとして以下の質疑を引用しておきますね。

・やはりこういう非常時にはインチキハッタリパワーが必要なのではないかと

『(問) 「量的緩和政策」という言葉は、かつて日銀が行った政策を表すものとして定着していると思うのですが、今回日銀が行おうとしている政策、つまり、市場金利の下限を設定して資産購入などを活用して市場への資金供給を増やしていくという手法をどう呼んだらいいのか、総裁のお考えがあればお聞かせ願えますでしょうか。』

しかし実は市場金利の下限を設定したのにそれをつけさせないようなオペレーションを行っているという恐るべき事実が翌日以降に発生しているのはチャーミング。

『(答) その名前についてのご質問に答える前に、今回の措置についてご説明しますが、目標金利を0.1%に設定した上で色々な資産を買うことにより、バランスシートを拡張させていくことを必ずしも狙っているわけではありません。』

あらそうですか。

『もちろん、金融市場の安定は図っていきますし企業金融の支援も行います。CPの買入れについてもそうした目的に沿って実行していくものです。バランスシートの規模を拡張していくこと自体に何か目標を置いているわけではありません。結果的に拡張していくことがあるかもしれませんが、積極的に大幅に拡張することに政策上の理念があるわけではありません。』

そうじゃなくてもインチキハッタリパワーがあれば「結果的に拡張していくことになるかもしれない」というのをもっと前面に打ち出すものです。こういうトーンで会見をやるから折角色々と実施してるのに「踏み込み不足」と言われてしまうのよね、アホラシカ。

『それからネーミングについてですが、日本銀行は、そういうネーミングは非常に不得意な組織ですし、何かキャッチ―な言葉があるわけではありません。』

まあこれはご愛嬌。


と言う感じでして、何か会見要旨読んでると総裁が「実はやりたくないのにやりました」って言いたがってるようにしか思えませんわなという感じが伝わってくる訳でして、腹で何考えているかは兎も角として、その当時は景気良く当座預金残高目標を拡大していた福井総裁のプレゼンを見習うべきであるとしつこく思うのでありました。


#今日のオペはちゃんとしたプレゼントになりますように、まさかクリスマス中止ですか?
















2008/12/24

お題「総裁会見/市場メモ」

ではまず決定会合後の総裁記者会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812c.pdf

○米国の決定に関連して

冒頭に中々よい質問が。

『(問) FRBが、先日のFOMCで利下げを行い、かつ大量の資金供給およびリスク資産の買入れを行うと決定しました。今回、日銀も大幅な利下げおよびCP買入れ・国債買入れの増額など、かなりリスクを取る姿勢を示されましたが、その意味では、米国同様、事実上のゼロ金利、事実上の量的緩和に日銀も踏み込んだと判断してよろしいのでしょうか。』

で、これに対する総裁の答え。

『(答) FRBの措置についてですが、これは他国の中央銀行の政策ですので、それ自体について私の立場から論評することは差し控えたいと思います。お尋ねの点については、最初に日本の経験に照らした印象から申し上げた方がよいと思います。』

といいつつその先にFRBの政策に対する解説が始まります(^^)。

『まず、誘導目標金利についてですが、今般のFRBの措置では、かつて日本銀行が採用したゼロ金利政策とは異なり、金融調節によって市場金利をできるだけ0%に近づけるという決定は行われていません。FRBの措置についての新聞記事では、「ゼロ金利政策導入」あるいは「事実上のゼロ金利導入」といった見出しが多くあったように思いますが、必ずしもそのような決定は行われていないと思います。』

左様でございます。で、現状追認の部分が多いのよって解説が続きます。

『既にフェデラル・ファンド金利は、準備預金の付利対象外の機関である、いわゆるGSE──ファニーメイとかフレディマックですが──、この影響により、0〜0.25%程度のかなり低い水準で推移しており、これに沿って誘導目標が設定されたといえます。市場金利については、極めて低い水準ながら、プラスの金利水準を維持しつつ誘導を図る方針にあることは、今回FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことに表われていると思います。私自身は、ゼロ金利政策との比較から言えば、今回FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことを非常に興味深く思いました。』

付利金利が0.25%を維持したままのFFレート誘導レンジ設定です

『金融機関からすれば、FRBというリスクのない金融機関に0.25%の金利で運用することができるわけですから、逆に言えば、マーケットでは0.25%以下で運用するインセンティブがないわけです。付利金利をもっと下げることもありえた中で、0.25%としたことについて非常に興味深く思いました。』

ということで、これはゼロ金利ではありませんという説明ですが、量の方に関しても解説しています。

『それから、FRBのバランスシートは、仲介機能が大幅に毀損した様々な金融商品の買入れを行う中で、約2兆ドルまで膨らんできています。今回は、こうした政策の継続が改めて示されたものですが、かつて日本銀行が行ったように、中央銀行当座預金量にターゲットを設けて流動性を拡大していき、そのことを通じてマクロ的な景気刺激効果を狙うという手法はとられていないと思います。以上が今回FRBがとった措置についてです。』

かつての量的緩和ではないと。


・・・・・でですね、まあそりゃそうでして白川総裁の言う事もご尤もなのですけれども、金融政策って時間軸効果にあるように「期待に働きかける」というファクターが効果を発揮するわけでして、そーゆー論点からしますと、実際は大して実害のなさそうな事をしながらも見せ方を工夫して民間の期待形成を大きく変える事ができたらそりゃ丸儲けな話でしょと思うのですが。特に今般の金融ゲロゲロ状態ってデレバレッジのスパイラルみたいな面が強くって、萎縮した民間の信用ルートの回復にはマインドの転換も必要(物理的には資本の増強と損失の確定だが)になると思うのですよね。

と言うわけで、この後もそうなのですが、どうせやることに変わりはないのですから、もっと見せ方を工夫すべきであると思うのですよ、白川さんは。何かこの先の質疑応答でもそうなのですけれども、もうちょっと威勢の良い話をすりゃ良いと思うのですけどね。

もちろん、一から十までハッタリ政策だった場合に化けの皮が剥がれてきたら今度は政策そのものが効かなくなってきますという問題はありますけれどもね・・・・・


一応その続きの発言。

『今回、日本銀行は、無担保コールレートの誘導目標を0.1%に、それから当座預金の付利金利を0.1%にしたわけです。これは、大きく捉えればゼロに非常に近い数字になりますが、かつての量的緩和政策のもとで行ったゼロ金利というのは、徹底的に量を出し、その結果金利が徹底的にゼロに近づくことを追求したものであり、その意味での量的緩和なりゼロ金利政策というものは、今回は採用していません。』

そらまそうなんですけど・・・・・


○ということで微妙に威勢のよくない説明は続く

その次の質疑も誘い水だったと思うのですが・・・・・

『(問) 先行きに対する懸念が高まる中で、市場へ大量に資金を供給するわけですが、新たに当座預金目標を設定しないまでも、事実上の量的緩和政策ということではないのでしょうか。』

『(答) 自分の好みによって色々な定義ができますが、先程申し上げたように、従来日本で言われていた量的緩和政策というのは、当座預金の量にターゲットを定めこれを大幅に拡張することによって、この流動性がマクロ的な景気の刺激効果を生んでいくことを期待する政策です。当時、海外の学者が提案したのは、そのような意味での量的緩和政策でした。』

さよですな。

『今回、米国は、そのような量的緩和政策を採用していませんし、日本銀行も今回採用していません。ただ、これまで何度も申し上げているとおり、金融市場の安定を維持するとともに、企業金融の円滑化を図るために、流動性を積極的に供給していくことはもちろん続けています。しかし、これは金融市場の安定や個々の企業金融の安定を図っていく結果として当座預金残高が増えていくというものですから、少し意味合いが異なっていると思います。』

いやね、確かにそうなんですけれども、もうちょっと物には言い様というものがあると思うのですよ。もっと威勢の良い話をぶち上げても良いんじゃないかなあって思うのはあたくしだけでしょうか。質問だって威勢のよい答えが出てくるのを期待して行ったような感じを受けるのですが、なんちゅうかKY総裁だなあと。


○また市場機能・・・・(−−)

だからその話は止めなさいと思うのですが、何で0.1%にしたのかという質問に対して。

『(答) まず、どのメンバーも経済・金融の情勢について非常に厳しいという判断で一致しており、これは先程も申し上げたとおりです。そうした状況の下で金利面から景気の刺激効果を狙っていくことについては、その出発点の金利水準が0.3%ですから、おのずと低下余地は限られているわけです。その中で私どもが意識したことは、短期金融市場の市場機能を維持しておきたい、日本銀行の政策的な手段によって短期金融市場の機能が更に低下していくことは避けたい、ということです。その両者のギリギリのバランスの中で、0.1%という水準が適切であると判断しました。』

えーっとですね、景気が悪化したままで結果として経済活動は低迷するわ低金利は継続するわって事になったほうが短期(だけじゃないけど)金融市場の人たち涙目になるのでありまして、別にそんな所に気を使って頂かなくても結構なのですが。それよりとっとと景気が回復して政策金利を上げられるような状態になった方が助かりますけどねえ。

というか、この「市場機能」って変な言葉のせいでオペが妙に自然体になったりする弊害も出ている(直接的に関係があるかどうかは知らんけど、そう見えて仕方ない)ように思えまして、もういい加減このワード使わないで下さいと。


○CP買入あれこれ

CP買取に関しては幾つかの論点がありましたが、その点に関しての質疑があったので、その答えの方から引用します。

・政策としては重いよという話

『主要国で個別の信用リスクを取った政策というのは、私が記憶している限りでは日本銀行によるABS(資産担保債券)・ABCP(資産担保コマーシャル・ペーパー)の買入れ、あるいは金融政策ではありませんが、銀行保有株式の買入れと、今般のFRBの措置に限られると思います。欧米の金融資本市場の状況は日本に比べてより厳しいと思いますが、欧州の中央銀行はそこにはまだ踏み切っていないという状況です。そういう意味で、これは日本銀行にとって非常に重い決定でありますが、中央銀行としての主体的な判断として行った方が良いと考えたものであります。』

そもそも10月末の会合で決定していれば年末越えでああ大騒ぎにならずに済んだのではないかと思いますけどねえ。いやまあいいです。


・損失が出た場合の措置

『次に、政府との関係についてですが、CPを買入れるということは個別企業の信用リスクを負担するわけですから、結果として損失が生じる可能性は有り得るわけです。その場合には、最終的に国庫納付金が減少することになります。従って、こうした措置から生じ得る損失については、最終的に日本銀行としての会計処理や決算上の取扱いの面で、政府との関係も含めた検討が必要であるということで申し上げたものです。』

政府保証を付ける話をしないのは「どうせ統合政府だからそういう事は意味無い」と思っているのかなあと勝手に想像しました。


・中銀の財務の健全性とか通貨の信認とか

正直、このフレーズをあえて入れるのは消極的な印象を与えるのでどうかと思う。だいたいからして最近は通貨の信認が他通貨比ありすぎて困る(というのも変な話だが)という状態なんですし。

『中央銀行の財務の健全性という言葉を使うと、時として中央銀行が庭先を綺麗にしておきたいのではないかという意味合いで語られることがありますが、決してそういうことではありません。』

と言ってもそう取られやすいので使い方には注意が必要ではないかと思います。で次。

『どの国においてもそうですが、一国の中でお金を無制限に発行できる権能を与えられているのは中央銀行だけであります。そういう権能が中央銀行に付託されているわけです。その見合いにどのような資産を買うか、あるいは取得するかということは、いわば国民から預かっているお金をどのように運用するかという側面があると思います。運用という言葉は必ずしも適切ではありませんが、中央銀行は国民からの信認を受けてそうしたことをやっているわけです。もし財務の健全性に疑念が生じた場合は通貨への信認が失われます。もしロスが発生し、例えば中央銀行が財務的に政府に依存せざるを得ないと人々が思うと、金融政策の運営それ自体に対する信認が揺らぐ可能性や信認が低下する可能性があります。』

わかりやすく説明しようとして却って訳判らなくなってますし、中央銀行が財務的に政府に依存とか統合政府という意味で言えば依存もへったくれもないと思いますけれども。多分言いたいのは次の部分だと思います。


・FRBのCP買入に関して

『FRBも今般色々な措置を講じていますが、ほとんどいずれも色々な信用補完措置が取られています。新聞報道等では「FRBがCPを買入れた」ということだけが報道されていますが、同時にFRBは十分な信用補完措置を取っているということは比較的知られていない事実だと思います。それは財務の健全性ということが決して抽象的なものではなくて、非常に重要な考えであるということです。』

ということで、上段の部分は要するにこれを言いたかったと思うのですけれども、まあその辺りですけれども、これもまた見せ方の問題に帰着するわけでして、威勢の良い施策をやっているように見せてるけれども実は色々と安全弁入れていますよというのは別に言わずもがなであるという事ではないでしょうか。


・・・・・そのほかもあるのですが、長いのでちょっと今日はこの辺で。


○市場メモですけど

えーっと月曜ですけれども、CPの発行レートはさすがに低下。最上位もの2〜3か月で0.30%あたりまで低下してるので、スプレッドも縮小の巻。というか新しい企業金融オペだのを勘案したら下手したらもっと縮小するのかねという感じです。まあレートがやたら高かった一部業種でもレートは低下してますわな。誠に結構。

一方、GCレートが0.2%より上に行きやがりまして、0.23だの25だのというようなのですけれども、何せスポネの国債買現先3兆円のオファーに対して6兆円の応札があるような状況なのに、月曜は何故かトムやスポットスタートの現先も共通担保も打たれずというケチ臭いオペ。わけのわからん末初オペが実施されましたが。

そもそもですな、GC(やコール)が先週思いっきり低下したのは、資金が大量に余っているからというよりは、積み進捗を遅らせようという動きがあって(利下げ後に積んだ方がオイシイから)資金の取り意欲が落ちた要因もある訳でして、利下げになったのですから遅らせていた積み進捗を戻す動きも出るとニーズって増えるでしょと思うのですけれども、何でまたオペを出し渋るのやら。まったく意味判らん。どうせ付利0.1%なのですから、ケチなこといわずにバンバン供給するべきではないでしょうか。

・・・まさか「年末対策だから末初オペを実施しました」とかいう理屈なんでしょうか。あのその末初のオーバーナイトなんぞ1週間以上前にオペ打たれてもそんな準備してないですって。わざわざ要らないオペ打つ理由がよく判らん。また変なアリバイオペとかだと、ちょっと勘弁して欲しいもんです。

ま、今日のオペは何気に注目しておきます。今日も年末越え出し渋りとかしてたら、10月以降の繰り返しになりかねませんけどねえ・・・・・・












2008/12/22

お題「決定会合結果あれこれ」

19℃の南風で枯れ葉が落ちるというのは何ともシュールですが、まあ経済も気象も訳判らんということで。

ということで今回の決定事項はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081219.pdf

・景気判断とかリスク要因とか下げまくり
・コール誘導目標0.1%に引き下げ、付利金利0.1%とロンバート0.3%
・CP買取の実施を決定
・輪番増額(月2000億円増額)
・輪番の対象拡大(30年国債、物価連動国債、変動利付国債)とゾーニング決定
・政策投資銀行のCP買取への資金繰り支援決定
・CP以外の企業金融モノの買取検討

という所で、まあ市場的には満額回答以上の結果でした。なお、あたくしが自信満々に「やる」と予想していた適格担保の緩和は実施されませんでした。外してどうもすいませんm(__)m

○コールレート誘導目標と付利金利が一緒に(^^)

利下げに反対したのは野田委員(この前の利下げでは0.3%の執行部案に賛成してました)で、総裁会見のヘッドラインを読みますと利下げそのものに反対ということで、反対理由は良く判りませんけど、この前下げたばっかでございますがという事なのでしょう。

で、付利金利の0.1%に反対したのは水野さんですが、これはまあ勝手な想像をすると付利撤廃して通常の調節を実施する中でコールレートが0%まで下がっても良いじゃないのという意見なんジャマイカと思われます。

まー今回の決定ですけれども、これによってコールレートの下限が付利金利くらいになる(テクニカルには付利金利と関係ない出し手と取りサイドの都合でちょっとだけ下の可能性もあるけど限界的な話かと)ので、今度こそオペはジャンジャン打ち込めるというものです(というか既に打ち込んでますが^^)。それから売出手形で引く必要が無くなりましたので、まあ売手で鞘抜きの小商いしてた人残念無念という感じですか(^^)。

そんな訳で、とりあえずジャンジャン供給してもディレクティブ違反にはなりそうもないということで、見かけ上のマネーはジャンジャン増えるでしょうから、マネー増やせという人もニッコリですかね、単に信用乗数がアホほど低下するだけの話ではございますが。「金利つきの量的緩和」っていうのに何か意味あるのかよという話(つーかそれってインチキ量的緩和でしょ)は死ぬほどございますが、まあこれで円売り介入の不胎化しなくてもよいですし政府日銀どっちもニッコリということですか(本当か?)。FRBの付利はFFレートの下限になっていない(どころか預金と貸付のファシリティのバンドが誘導目標の外側になる時点でもうカオスなのですが)のですが、日本の場合はそんなに下にぶち抜けるという事もないでしょう(追加利下げ観測が出た場合は別)。

ちなみに、これって一番の涙目は短資会社でして、コールに0.10%で放出しても手数料持っていかれます(しかも多分1bp+消費税だと思うのだが)し、日銀ネット稼動料金も掛かりますし、管理の手間も掛かりますなあとか考えると、普通に当座預金に積み上げて居た方が良いという人が続出すると、無担保コール取引はまさしく当日の限界的な部分と無担保の限界的な人の参加する市場になるんでしょうなあという感じです。

なお、一番ホッとしているのは調節担当の中の人かもしれませんが、この制度建てつけだと調節は適当にドバドバ供給しておけば良いという話になりますので、長期化すると調節能力の低下が発生しそうな悪寒(笑)。まあ当座預金付利も一応時限措置ですからね。

ということで、このパターンだと基本的にコールの下限は0.1%と理解しておけばよく、年末越えで資金を出している状態ですからそうそうコールが上昇することもなかろうと思料されます。その中でGCレートがいくらになるかという話ですが、第一勘では0.15%がセンターで上か下かが微妙だけど多分上。FB3か月は0.20%がセンターかなあ。ロンバートが何気に0.25%じゃなくて0.3%なのがちょっとだけチャーミングなのですよね。


・・・・で、こういう結構な結果でも悪態をとりあえずつくのがあたくしクオリティなのれすが、えーっとこの「誘導目標=付利金利」っていうのは前回の利下げで付利設定と市場機能とやらに拘ってわざわざ0.30%にした時の無理矢理ロジックはどこの彼方に旅立ったのでございましょうかと白川総裁を小一時間問い詰めたいものです。下限金利設定で市場機能思いっきり封殺してるじゃん。

まあ付利先にありきで訳の判らん理屈を持ち出してオペレーションを混乱させてしまった「市場機能」というアホアホテクニカルタームがこれで引っ込んでくれたのは誠に結構なことでございます(^^)。


○CP買取の決定

利下げとCP両方やってくれるとは中々結構。上記URLの中だと別紙の『金融調節手段に係る追加措置について』という所になりますけれども。

『(2)CP買入れを含めた企業金融面での追加措置の導入・検討

今後、年度末に向けて企業金融が一段と厳しさを増すおそれがあることを踏まえ、時限的に、CPの買入れ(買切り方式)を実施することとする。それとともに、企業金融に係るその他の金融商品についても対応を検討することとし、それらの検討結果をできるだけ速やかに金融政策決定会合に報告するよう、議長から執行部に対し指示した。』

CP買入を実施(時限的措置ですけど)する上にプラスアルファの話もあるとはこれはまたという感じですが、CP買入に関してもまあ今回の他の措置も含めまして、社債でも買うんかいという気はしますが、社債は別に企業の資金繰り支援とは話が別問題でして、短期資金が回らなくて黒字倒産というのは政策的に何とかする必要があると思いますが、財務内容がアレのため社債発行できないという企業まで支援するこたあねえと思いますがね。

ま、今回の措置って(あとでも申し上げますが)割と地味目だけど有効な施策というのがちょこちょこ入っていまして、そーゆー玄人受けする内容が入っているという所からすると、今回のCP買入スキームは有効に機能しそうな期待はございます。有効に機能ってのは、単に超優良企業発行のCP金利を下げる結果に終わるのではなく、必要な所に回るようなスキームになるということね。

『これらの措置は、結果的に個別企業の信用リスクを負担することになるものであり、中央銀行としては異例の対応となる。この点を踏まえ、議長からは、中央銀行としてどの範囲でどの程度の期間行うことが必要かつ適当か、また、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保するために、政府との関係も含めどのような対応が必要か、といった点からの検討を求めた。』

買い取ったCPに政府保証付けるのかな。まあ統合政府と言う意味ではどうでも良いじゃんとは思いますが、CP買取って要するに企業への直接融資と本質的にはあまり変わらんという事ですから(FRBがやってるのはどちらかというと昔のABCP買取に近く、日銀のやってるほうがモロ出しスキームです)、そりゃ財政政策よという理屈も成り立つの巻ですから。


○輪番の拡大とかゾーニングとか増額とか

これは正直嬉しいサプライズでした。で、最初の部分も何気に読み飛ばしてはいけない表現が少々。

『1.長期国債の買入れに係る措置

短期の資金供給オペレーションの負担を軽減するため、長めの資金供給となる長期国債の買入れを増額することとし、併せて買入対象国債の追加を行う。』

ここの部分も読んでて「ほほー」と思ったのですけれども、長期国債買入(輪番)は従来「成長通貨の供給」という名目だったと思うのですが、今回の公表文には「短期の資金供給オペレーションの負担軽減」「長めの資金供給」という表現になっておりまして、長期国債買入も資金供給オペの一環ですよという書き方になりました。いやまあ実態面を踏まえるとそれはその通りなのですが、このロジック構成にすることによって輪番の増減(特に減)をする時の説明ロジックが楽になりますなあと(調節技術上の問題ですから)。

一方でFRBはクーポンパスという長期国債買入の短期オペレーションが存在するのにも関わらず勿体付けて「長期国債買入の実施を検討」とか言ってるのと比較しますと中々味わいの深いものを感じます(^^)。以下続きます。


『(1)長期国債買入れの増額

これまで年14.4 兆円(月1.2 兆円)ペースで行ってきた長期国債の買入れを、年16.8 兆円(月1.4 兆円)ペースに増額する(当月より実施)。』

当月より実施ってことは今月輪番増えるのですね。こりゃラッキー。その後は増額分が変国物国に化けるとは思いますが。


『(2)買入対象国債の追加、残存期間別買入れの実施

買入対象国債に、30 年債、変動利付国債および物価連動国債を追加する。また、買入国債の残存期間が極端に短期化あるいは長期化することを避けるため、残存期間別の買入れ方式(残存1年以下、1年超から10 年以下、10年超区分)を導入する。これらの措置については、実務的な検討を行い、できるだけ速やかに成案を得るよう、議長から執行部に対し指示した。』

追加銘柄に関しては業者も投資家も歓喜。特に変動利付と物価連動のお助けオペ実施はサンタさんありがとうと大歓喜という感じですが、この2つに関しては利回り競争入札が馴染まないので、変動と物価連動に関しては価格競争入札になって、各1000億だか500億円づつとかになるんですかね(1000億じゃ多いかな)。

ゾーニングに関しては地味ながらとても有効な施策でして、従来より指摘しておりますように、輪番オペが償還まで1年以内の中長期国債の成れの果てのゴミ箱状態になっていたので、残存期間別の入札を行うことによって、きちんと長期なり超長期なりの債券が打ち込みやすくなる(1年超からって所はちょっと微妙ですけれどもまあよかろう)という点で玄人受けする話ですわな。


○政策投資銀行をCP現先オペ対象に

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0812d.pdf
「株式会社日本政策投資銀行との金融市場調節に係る諸取引の取扱いに関する特則」の制定等について

公表文の一部を引用しようと思ったらそもそも一文でした(^^)。

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、最近の企業金融情勢を踏まえ、適切な金融調節の実施を通じて、金融市場の安定確保を図るとともに、企業金融の円滑化に資する観点から、株式会社日本政策投資銀行が、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)第2条第5号に定める危機対応業務またはこれに関連する業務として実施するコマーシャル・ペーパーの買取業務を支援するための時限措置として、「株式会社日本政策投資銀行との金融市場調節に係る諸取引の取扱いに関する特則」を別紙のとおり制定することを決定しましたので、お知らせします。』

頼むからどっかで文を切って欲しかったのですが(苦笑)、まあそれはそれとしまして、今回は政策投資銀行のCP買入の資金繰りをつけますよと(現先方式ですが購入CPは政府保証してますね)いうことでちゃんと明言したのは政府日銀の連携という見せ方として結構と。


○景気判断とかリスク要因とか下げまくり

例によって前回と比較。

・景気判断

『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、全体として厳しい方向に急速に変化している。これらを背景に、わが国の景気は悪化しており、当面、厳しさを増す可能性が高い。』(今回)

『わが国の景気は、既往のエネルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから停滞色が強まっており、当面、こうした状態が続く可能性が高い。』(11月)

景気停滞から悪化更に悪化方向と思いっきり判断下げてますわな。これで利下げしなかったらウソという話になりますのでそらそうよという感じで。


・物価

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もと+2%程度となっているが、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(今回)

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もと+2%台半ばとなっているが、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(11月)

思いっきり同文ですね(^^)。


・先行き見通し

『経済・物価の先行きについては、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく、との見通しに関する不確実性は高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、わが国経済の回復に向けた条件が整うには、相応の時間を要するとみられる。』(今回)

『先行きについては、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと判断される。ただし、こうした見通しに関する不確実性は高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、回復への条件が整うには、相応の時間を要するとみられる。』(11月)

こっちは不確実性は高いとなりました。


・リスク要因

『リスク要因をみると、米欧の金融情勢や世界経済の動向次第では、わが国の景気が更に下振れるリスクがあることに注意する必要がある。また、金融機関の貸出姿勢や社債・CP市場の動向など金融環境が一層厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性がある。』(今回)

ここまでは前回と同文なので前回分割愛。

『物価面では、景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある。』(今回)

『物価面では、上振れリスクは以前と比べ小さくなっている一方、景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある。』(11月)

ということで物価の上振れの話もすっかりなくなりまして、リスクは完全に下方向のみになりましたとさ、ちーん。


・・・・ということで、景気に関しても当然ながら下げましたねというお話でした。


○雑感

ということで、今回の措置は「地味ながらも有効性の高い」ものが入っていたりするのでございまして、「見た目派手だけど・・・」というなんちゃって施策とは違いますねというのが好感されるところでございます。

一方で残念なのは総裁会見(詳しくは会見要旨出てからフォローしますが)でして、折角こういう施策を出したのですから、こういうときこそどこぞの福井の俊ちゃんみたいにインチキハッタリパワーを発揮して「もう大変な画期的な施策ですよ凄いですよ日銀バンバンやりましたよ」ってアピールすりゃ良いと思うのですが(ど〜せやるという事実に変わりは無いのですから)、ヘッドラインを見るとどうもイマイチ感が。だから土曜に見た東京新聞とかでは「日銀”出し渋り”」とか書かれる訳で。

どうせやるんだから気持ちよく威勢の良い事言って景気付けりゃ良いのに、会見でミソつけるとか白川さんちょっとなんだかねえという感じであります。会見要旨関連は後日。













2008/12/19

お題「さて決定会合ですが」

今日は雑談というかあたくしの脳味噌整理メモで申し訳ありません。

○今回は予想のオプション大杉(><;

えーっとまあそういうことで決定会合なのですが、今回につきましては方向性は判るのですが、その中身がどうなるのかさっぱり判らんという状態であります。で、ま〜現実的なお話をしますと、予想当てるよりも「市場が今どこまで織り込んでいるのか」を考察する方があたくし的には重要でございますので(と予想放棄の言い訳^^)、まあその辺を勘案してつらつら考えるのでありまする。

・金利水準

準備預金付利金利、ロンバート金利とセットで考えることになるのですが、世の中の予想はターゲット金利が「10bp」、「15bp」、「10−30bp」という所でしょうか。一応は穴でなお書き修正で低め誘導(最初はそう思ってました)というのも無くはなさそうですけれども、ちょっと情勢的に「金利下げました」っていうのをアピールするような施策を打ち込む必要がありそうですので厳しいかなあ。

んじゃ市場の織込み度合いってどうよという話ですが、無担保コール的には何らかの利下げを全力で織り込みに行った結果として積み進捗が遅れるのにコールレートは低いという楽しい状態(まあここはどうでもよいのですが^^)。TB/FBに関しては昨日の3MFB入札やら2年国債入札やらはそれほど大盛り上がりという訳にも参らずで昨日の引け時点と似たような感じとなりましたということで、まあさすがに現実に利下げが行われないとこれ以上は反応しにくいのかなという感じ。

GCはまあ0.31とかそんなもんで、さすがにこれも現実の利下げが無いと下がりようが無い水準ですから3MFBのレートが0.35%あたりに居るのはこんなもんとして、ではCPレートはどうよとなると、流動性対策次第の部分があるのでこれまたヤヤコシイ。

ま、昨日の時点で市場的には「何か利下げするでしょ」という感じになっていますので、ただのなお書き修正だと実質ゼロ回答になるんじゃねえのかなと、ナムナム。

で、その水準ですけれども、出来上がり10bpという予想が結構多くて、15bpという予想がそれに続き、10bp〜30bpというバンドの予想もございますというところ。

FBやらGCのレートとかどうなるのよと考えた場合、ターゲット水準も大事ですけれども、ロンバート幾らくらいになるのかも気になる所でございまして、基本的にはロンバートと誘導目標の差が小さくなると思われますので、どっちかというとロンバートに近い所にGCが振れやすくなるのかなあと何となく思います(もちろん調節次第の面はありますけれども)。例外があるとすれば準備預金付利10bpの誘導目標10bpのときですかねえ(それでコールが出合うのか知らんが^^)。

10〜30bpとかいうバンドになった場合が一番難易度が高いかなと思います。この時は思いっきり調節次第になってしまいますので、レート形成がある意味「市場機能(笑)」状態になるのですが、それは足元金利が安定しなくなる危険性があり、その場合タームの金利が全然安定しなくなって勘弁という事になる悪寒がします。



・流動性対策

たぶんこれはやるでしょうというのは「適格担保の緩和」ですけれども、それ以外がどうなるのよというお話。ちなみに適格担保の緩和でウケを取るのなら「上場株式の適格担保化」と「BB銘柄を場合によっては適格担保に含める事も」って辺りになるのかなと思います。

まー今回は「企業金融環境の緩和を支援」という名分がつくものを打ち込んでくるでしょうと思われますが、CP買入をするかというと予想としてはちと微妙。「検討指示」でお茶を濁す事になって、買ったCPに政府保証付けてくれとかいう交渉になるのではないかと予想。

でも市場としてはユーロ円金先が結構買われてしまい(レートは低下)まして、TIBORが想定利下げ幅よりも低下するというような所を織り込みに行ってますからCP買入がゼロ回答だとちょっと失望売りになるのかもしれませんね、よー知らんが。

輪番増額は実際問題としてはど〜でもよいのですが、利下げするのであれば輪番増額は無さそうな感じ。だいたいからして政府要人の発言とかも流動性対策が最初で次が利下げって感じなので、輪番は今回はネタから外れた感がします。まあ増額しても短期債が打ち込まれるだけなので現実問題としてはあまり影響無いのですが(^^)。

それから、ここの所CPレートが高格付けのものを中心にドカンと低下した(そうじゃないのは低下度合いイマイチ)のですが、これは日銀のCP買取を見越しているというよりは、昨日報道されてましたが日本政策投資銀行のCP買入具体化を見越した動きのような気もするのですが、一部の大手CPディーラーさんのポジション繰りのような気もするのでさっぱり判らん。


・ということで組み合わせとしては

市場の期待最大値からゼロ回答という並べ方するとこんな感じかと。

1.利下げ+担保緩和とCP買入
2.利下げ+担保緩和
3.なお書き修正+担保緩和とCP買入
4.金利いじらず担保緩和とCP買入
5.なお書き修正+担保緩和
6.金利いじらず担保緩和

で、この2と3のどっちがどっちなのかというと極めて微妙でありまして、CP買入の方がオープン市場的には思いっきり効く(内容次第の面はありますが)のですけれども、何か今回は利下げでお茶を濁すのではないかという悪寒が致します。それからまあ4番以下というのはさすがに無いとおもいますけど・・・・・・・

1が満額回答で、これだと結構好感すると思いますが、長いところでの期待は2番くらいと思われます。短期市場の期待は1と2の間くらいなのではなかろうかと。

・・・・と、つらつら書きましたが、外した場合謝罪はしますが賠償はしません(^^)。


・ところで準備預金付利どうするの??

しかしまあ何ですな、準備預金の付利なんですけど見事に残念な状態になっている所が実に味わい深い。制度を作った時には3月積み期間(=4月15日まで)の措置ということで「誘導目標金利−20bp」という金利を設定して「4月15日までは利下げしないもんね♪」って言外に主張でもしたかのような内容になっていましたが、1か月しか持たない状態になってきたのは誠に香ばしいことであります。

今回の決定会合では、FRBみたいに誘導目標金利をバンドにするという予想もあるのですが、バンドにした場合は早速準備預金付利の制度内容を手直しすることになりますし(^^)、まあそもそも利下げが10bp以上になると「誘導目標金利−20bp」がゼロになってしまうので、これまた準備預金付利が死亡の巻(^^)、死なないためには制度内容の手直しということで、もう涙がちょちょ切れてしまいますな。

昨日悪態つきましたけど、付利の為に利下げ幅を20bpとかいう変な数値にして「米国との政策金利逆転」になっちゃうわ、早速利下げに追い込まれて付利制度崩壊が見えてくるわという大変に素晴らしい「ふぉわーどるっきんぐ」になってしまいました本制度。ま、要するに利下げに付利をセットしたのは間違いでしたという事以外の何物でもありませんでしたねということです。


#と言うわけで、あたくしの整理できていない頭の整理メモで申し訳ございませんでした。

ところで、本石町日記さんのこのエントリーは笑ってしまいました(^^)。何と言うギャグ。
http://hongokucho.exblog.jp/10054271/














2008/12/18

お題「FOMCステートメント続き/市場雑談」

昨日からの動きは円高というよりドル安(ユーロの方が円よりも対ドルの上げがでかい)だと思うのですが、公共放送様も延々と円高連呼。いやまあもうちょっと長いレンジでみれば確かに円高なのですけれども、88円とか87円とかいう数字にビックリしてるのでしょうね。

○よくよく見ると「現状追認」と「検討指示」ではありますが・・・・

昨日はとりあえず寝起きで慌ててFOMCステートメントを読んだので、ふ〜んと思いながらも読んでおりました(というか手抜き引用^^)をしましたが、その後読み直してつらつら考えてみると「今回のキモは今まで覆面政策転換だったのを明言した」という所に尽きるのではないかと思います。量的緩和ってナンジャソリャという感じでして、その辺りは本石町日記さんも解説してますのでご覧あれ。
http://hongokucho.exblog.jp/10049541/

ステートメントは昨日ダラダラ引用したので再掲はしませんけど、まあ文章順に並べると。

・FFレートを誘導レンジ型にして0.00%−0.25%

そもそもFFが低下してて現状追認。「FFゼロ金利」ってのはとっくの昔に達成してまして、「ゼロ金利政策」といわれますと「はあそうですか」という感じなのですが、よくよく見ると預金ファシリティと貸付ファシリティの金利バンドが0.25%−0.50%になっていますので、じゃあ預金ファシリティって何のために存在するのよという話ですが。

単にFFと無担保コールの実際のレートという意味で言えば日米金利差がどうのこうのとか言われましても「まあとうの昔に並んだり逆転したりしていますが」という話なんですが、政策金利としてアナウンスしている数字という所に意味があるという事ですね、実際はコントロール不能になっているFF金利の現状追認であっても、ちゃんと明言するというのが重要ということで見せ方が実にきちんとしていますなあ。

しかし話は逸れますが、こうなってみると0.25%にしておけばバンドの上限は「逆転」になっていなかった訳でして、わざわざ付利だの市場機能とやらに拘って0.3%にした日銀執行部(というか白川総裁)テラアホスという所でしょうな。ちーん。


・連銀のバランスシート拡大も辞さず

まあよくよく考えますと今の調子でオペレーションやっていけばバランス拡大するのは当たり前なので辞さずもへったくれもなし。ただまあこれもやはりこのようにコミットメントする事によって、現在のTAFを始めとする色々な資産購入オペレーションの継続にコミットするという所がキモなんでしょうな。

んでもって具体的に何をどうするという話は既に「検討します」という話の蒸し返しと現状のオペレーションを必要あれば拡大しますって話で、検討するというのはそのままですし、現状のオペレーション強化というのは景気認識からするとそうなるのでしょうということですわな。

まあ政府保証をつけたり、最終的には実は銀行にケツを持たせるような安全弁をつけながら連銀のバランスシートを拡大という路線(よくよく施策を読んでいると連銀が最終的にケツを持つという話にあんまりなっていないのですよね)が継続されますよというコミットメントをしたんでしょうな。


・長期国債の買入

ここの所この話がクローズアップされている訳ですが、もともとFRBには長期国債買入の公開市場操作というのは「クーポンパス」という名前で大昔から存在しておりまして、クーポンパスをジャンジャン打てば別に今からでも長期国債の大量買入ってできる筈なんですが、何でわざざもったいをつけるのか正直良く判らん(というか判るのですが^^)。

まあこれも見せ方って所でしょうな(^^)。


・アナウンスすることに意義があるのですな

ま、そーゆーことでして、今回の声明は今まで何となくゼロ金利になったり何となく連銀のバランスシートが拡大していたことを悪く言えば現状追認ですけれども、ちゃんと総括してアナウンスする事によって、市場というよりは世間様に対して政策のコミットメントを行ったというのが実は今回の声明文のキモなのではないかと思いました。

そういう意味では、やはり見せ方が非常に良く工夫された今回のFOMC声明でありまして、意地悪な見方をすればただの現状追認なのですけれども、こういう見せ方でアナウンスメント効果をどどーんと出すというのは大事な話でしょうな。一方で白川総裁は何ちゅうかこういう時は良い意味でのハッタリが効かない人みたいで、どうも全然ダメダメ感が漂うのであります。こういう非常時に必要とされるのは、福井総裁(小泉首相もそうですが^^)のインチキ力(りょく)でありまして、まあ武藤総裁だったらもうちょっと(対政府もそうですけれども)巧く立ち回っていたんじゃねえのと思うと残念感が否めません。



○で、市場メモですが

一言で言えば「さあ盛り上がって参りました!」でありますが(^^)。

昨日はFB3か月物の入札があったのですが、結果は0.4046%/0.4115%となりやがりまして、えー強いですなーとか思ってたら(事前予想はもうちょっと甘い)その後なお爆発して0.35%出合いなどとやらかしてくれました。当然ながら既発のTB/FBも素敵な展開になりまして軒並み前日比0.1%とかの金利低下になってだいたい0.35%近傍の引けが並ぶというビューテホーな相場に。落札結果出た時点で不明玉が2兆円もありましたので、こりゃまあ投資家主体の景気の良い入札になりましたな。

CPはそんなに発行多くなかった(そりゃ様子見になるわな)のですが、何か高格付けのネームの良さそうな銘柄で発行が多めになっていた物が集中的に選好されたみたいで、そーゆーもんばっかりレート低下。これまた投資家様が急に絶賛大登場なされましたなあという感じですな。

てな訳でですね、短い所ってど〜せこれどっかの大投資家様がいきなりの派手派手買いになっているとしか思えないのですけれども、何でまあ毎度毎度そう極端に一挙に動くかねという感じではございます。別にそうデジタルに動かんでも良いでしょうにという所で。

2年は0.45%近辺(引けは0.455%)ですし、1年TBは0.37%の引け(利付債だと0.425%の引けになってる)ということで、利下げの織込みはまだ別に全部織り込んでいる訳でも何でもないのですが、とりあえず3か月0.35%近傍というのは、潤沢な資金供給によってGCレポレートなどが昔のように低位安定するでしょうというのを全部織り込んだ状態ですかな。

何故なら、コール0.50%でGCが0.52−53%くらいで安定している時のFB3か月が0.55−58%くらいだったので、そこから20bpレートを下げるとヨロシの巻なのですな。うんうん。

ちなみに債券の方も10年までブルフラットとかもう思いっきり現物主導チックな相場展開でして、戻り売りこなしながら強いってこれまた盛り上がって参りました状態でございまする。誠にビューテホーでありますが、またまた市場がいい感じで日銀に催促をする展開になって参りまして、益々明日の結果は決め打ち不能になって参りましたね!

#利下げだけして流動性対策ゼロ回答がオープン市場的には一番マズーですかね













2008/12/17

お題「FOMCとか国会の半期報告とか」

米茄子元会長のアレはただの詐欺ですな。つまり金融工学とかではなくてそもそも米国流の投資銀行ビジネス(笑)というものが壮大な詐欺みたいなもんであることのオマージュであると(暴言)。金融工学に暴言吐いてどうもスイマセンでした(汗)。

という話は兎も角、朝起きたらFOMCがなにやらアレなリリースをしておりますのでその辺りから。

○FOMCステートメントを引用という手抜き攻撃

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm

『The Federal Open Market Committee decided today to establish a target range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent.』

ということでFFレートを誘導レンジ型にしましたと。実際問題としてはFFレートはTAFだの何だのを突っ込みまくった辺りからFFレートはコントロールできてなくてゼロ近傍に低下してたので、事実上の政策転換状態になっていたのを明言化という所で誠に結構。

『Since the Committee's last meeting, labor market conditions have deteriorated, and the available data indicate that consumer spending, business investment, and industrial production have declined. Financial markets remain quite strained and credit conditions tight. Overall, the outlook for economic activity has weakened further.』

これはまた厳しい経済認識ですな。

『Meanwhile, inflationary pressures have diminished appreciably. In light of the declines in the prices of energy and other commodities and the weaker prospects for economic activity, the Committee expects inflation to moderate further in coming quarters.』

インフレリスクは消滅ですかそうですか、というかデフレ懸念を意識してるんですね。

『The Federal Reserve will employ all available tools to promote the resumption of sustainable economic growth and to preserve price stability. In particular, the Committee anticipates that weak economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for some time.』

Committee anticipates以下の文章って時間軸っぽいのですが、for some timeっていうのが時間軸というのかというとこれは謎。あまりコミットした格好にはなっていないと思うのですが、次のパラグラフで連銀バランスシート使いますよとな。長いから適宜分割。

『The focus of the Committee's policy going forward will be to support the functioning of financial markets and stimulate the economy through open market operations and other measures that sustain the size of the Federal Reserve's balance sheet at a high level.』

金融市場安定やら経済の刺激などの為に公開市場操作を通じて連銀のバランスシート拡大も辞さずと仰せです。

そりゃまあ米国様におかれましてはレバレッジ掛けまくり〜のでやってきた経済が物凄い勢いで巻戻ししているのですから、政府部門が巻戻し中のレバレッジを受けないと支えられませんねってお話になるんでしょう。

『As previously announced, over the next few quarters the Federal Reserve will purchase large quantities of agency debt and mortgage-backed securities to provide support to the mortgage and housing markets, and it stands ready to expand its purchases of agency debt and mortgage-backed securities as conditions warrant.』

これは今までやってた政策の強化をしますって話ですか。

『The Committee is also evaluating the potential benefits of purchasing longer-term Treasury securities.』

長期国債引受のメリットについても検討とな。これ引受なのか市中買取なのか普段細かく言動見てるわけじゃないから良く判らんが。

『Early next year, the Federal Reserve will also implement the Term Asset-Backed Securities Loan Facility to facilitate the extension of credit to households and small businesses.』

中小企業や家計のサポートもしますとな。

『The Federal Reserve will continue to consider ways of using its balance sheet to further support credit markets and economic activity.』

ということで、またまたFRBのバランスシートを使いますよって話をしております。


えーっと、総じて申し上げますと「バーナンキ先生吹っ切れましたな」という感じですけれども、これって金融なんちゃら法案やらビック3の法案などで散々やらかしてくれた議会のテイタラクを見ますと致し方なしという判断に至ったのではないかとも思われます。ただまあ国会報告ネタのところで申し上げます(というか人のふんどし)が、何だかんだと財政サポート入れながらのバランスシート拡大である事には留意が必要ではございますけど(中央銀行も政府も一緒くたでしょというのはございますけどね)。

政府と議会がイカレポンチ状態になっているのでFRBご登場という感じですが、まあこれはこれで諸刃の剣みたいな所はあるざんしょという気がしますですよ。


○利下げの話が多くなるんでしょうが

だいたいからして短期金融市場ってのはマニア的な世界であるのは否めなく、短期市場の話になると、他市場の皆様が思いっきり斜め上な解釈をかまして変な反応をされてしまい、マニア世界の人たちポカーンっていう動きが多い(特に為替市場の人)のですよね。

で、まあ米国の利下げを受けて利下げしろという話が多くなるのでしょう(昨日は公明党の太田代表が利下げしろと発言してましたね)と思いますが、常々申し上げておりますように、日本の現状における問題は「資金の巡りが目詰まりを起こしている」という所にある訳ですな。即ち、政策金利を0.5%から0.3%に引き下げを行ったにも関わらずCP発行レートだのTIBOR円レートなどが低下するどころか上昇しているのが問題なのでありまして、その辺を放置プレイしたままで利下げしても効果の波及が無担保コールやら短期国債のあたりで留まってしまうだけの話。

#今朝のモーサテのコメンテーターはその辺ちゃんと押さえたコメントでした

と言うわけで利下げは別にやってもやらなくても結構なのですが、それよりもオープン市場の年末越えだの年度末越えのレート(年末はとりあえず何とでもなりそうですけれども年度末越えですよ)が下がり、資金が必要な所に回るような政策を打っていただく方が重要なんですよね。逆に言うと「利下げでお茶を濁されても困る」というくらいなんですけど、為替市場が動いてやがるので利下げしろ攻撃が高まるのは困るんですよね、利下げでお茶を濁されておしまいにされそうだから・・・・(苦笑)。

というわけで半期報告。


○参議院での半期報告その他

でも人のふんどしだったりします(汗)。毎度お馴染み本石町日記先生から。
http://hongokucho.exblog.jp/10045676/

ここの論点は重要なのですが、惜しくもベンダーのヘッドラインやら報道内容には無かった点なので引用させていただきとう存じます。

『果敢な流動性対応でB/Sが急膨張するFRBが実はリスク遮断に関して政府のバックアップなどがあることや、CP買いきりでもトリプルAに限定していることなどの解説が良かった。これは総裁も言うようにもっと報じられるべき。ドルの信認を維持するためにも必要。わが国財務省も国難の時期なので日銀が突っ込むときのバックアップ体制が必要ではないか。日銀は梯子外されたくないのですよ。』

先般政策投資銀行のCP購入構想が報道された時に「買い取ったCPへの政府保証」というのがありましたが、まあ日銀がCP買う時にも政府保証つけられるのであればその方が良いですわなと存じます(が、何か法整備が必要っぽいので難しいですかね)。

まあそれはそれとして答弁のヘッドライン見ただけの印象としては、「全てのオプションを排除しません」というのは判りましたが、CP買取などの民間信用取りに行く話はあまり積極的じゃないなあという感じを受けましたがどうでございましょうかねえ。

まあ昨日の答弁を受けて債券市場などでは短い所が盛り上がりまして2年0.505%だの1年TB0.425%だのいい感じになってますし、CP買入がどうのこうのという報道もあったりした影響もあるのかCPレートがやや低下してたのは結構なお話ではございました。

・・・・・ということで、またまた市場が期待値を上げに行っておりまして、今朝のFOMC結果を受けまして益々期待値上昇の巻となりそうですので、さて日銀は何をやるのでしょうかというのはあまり決め打ちせずに結果見て考えるしかないかなと思います。

適格担保の範囲拡大はまあ間違いなく実施なのでしょうけれども、どの範囲まで行くのかなあと。BB格を保有している銘柄とか、上場株式とか(勿論強烈にヘアカットするのでしょうが)、地方公共団体向けの貸付債権とか。金利方面に行くのであればなお書き修正するのかこの際ヤケクソで利下げするのか。CP買取やら輪番増額などの方面が今の時点では重要だと思うのですが、そっちに方向性を出してくれるのか。

ま、どうなったらどうなるというのだけ良く考えておきますわという所で。


○その他少々メモ

時間が無いのであたくし向けの備忘メモ。

・政治からの発言多過ぎ

センスねえなあと思いますが、政治圧力というよりは内閣支持率低下で何でもかんでも「ワシが育てた」にしたい焦りが出ている発言に見えてきますね。言い方良くないからヘッドラインで結構無茶な発言っぽく書かれている(よくよく見るとそういう話ではないみたいなのですが)のはどうかと思います。

・タームのツイストオペ実施

やっとやったかと思いますが、どうせやるなら即日スタートで22日に落とす(余剰日に売手のエンドを持ってくるという発想は無いと思いますが)方が札を入れやすいと思うのですけれども。

・FB入札が2本ありますが

まあこの地合いだと大丈夫でしょう。明日の4月エンドはちょっとアレですけれども。













2008/12/16

お題「短観とかPD懇雑感」

米茄子前会長の詐欺ファンド問題はもう笑うしかございませんですが、そのうち詳報出たらまた考えましょ。何か高度な金融工学(笑)がどういう輩にどのような意図で使われていたのか(理論そのものは無罪^^)を象徴するような楽しい事案でございます。(翌日訂正、これただの詐欺事案じゃん、ということで、悪態つく先間違えますた。どうもすいません)

#最近の格付け機関の保身格下げは勘弁して欲しいですな

○ということで短観

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0812.pdf

悪い数字にも程があるのですけれども、市場的には事前にもっとクソのように悪い結果(大企業製造業の業況判断DIが▲30とか)まで想像してたので、この程度でしたかということで債券先物が下げ(NY株上昇が効いた面もありますが)たのは苦笑しましたけど。で、例によって例の如くシリーズ物で確認。

・業況判断DIの達成度合い

9月調査時点での先行き見通しがどのくらい達成出来ているかという話。6月調査では見通し達成ならず、でも市場の予想したDIよりは良い。9月調査時点では見通し未達相次ぐもそんなにドカンとは下げず、市場の予想したDIよりは小マシ。という展開でしたが、今回調査はだいたい市場予想よりちょっと悪いかほぼ予想通りという感じですので、まあダメダメですね。

            (9月時点)      (12月時点)
           現状→12月予測   現状→3月予測
製造業大企業   ▲3→▲4      ▲24→▲36
製造業中堅企業  ▲8→▲12     ▲24→▲45
製造業中小企業  ▲17→▲25    ▲29→▲48

非製造業大企業  +1→▲1      ▲9→▲14
非製造業中堅企業 ▲12→▲17    ▲21→▲32
非製造業中小企業 ▲24→▲31    ▲29→▲42

えーっと、これを見ておりますと何気に「企業規模が大きい方が相対的に前回対比の落ち込み度合いが激しい」という状態になっているのですね。まあ色々な解釈は可能な気がしますけど、金融市場の動向の直接的な影響が相対的に大きいのが企業規模の大きいところだと思うとそういう事なのかなあとか。


・雇用判断DI

これも延々とチェックしておいて良かったですが、結果は別に良くはございませんので嬉しくはない。

            (9月時点)      (12月時点)
           現状→12月予測   現状→3月予測
製造業大企業   ▲2→0         +8→+15
製造業中堅企業  +2→0        +14→+21
製造業中小企業  +6→+6       +16→+26

非製造業大企業  ▲10→▲13    ▲7→▲7
非製造業中堅企業 ▲6→▲8     ▲3→▲1
非製造業中小企業 ▲6→▲7     ▲2→+2

製造業の人員過剰判断っぷりに泣くのと、先行きの予測方向性が過剰方向に向かってきているのに泣けます。非製造業の不足って言っても景気に思いっきり遅行しそうな数値ですからねえ。

そりゃまあアレだけ減産とかしたらこうなるわなとは思いますが、それにしましても今回の下げ速度の速さには正直ビックリでありまして、あたくしもこんなに速いとはって感じです。


・証券業の業況判断

前回掲載した長期時系列をリバイスします。昨年の6月調査分から並べてますが、今回も残念ながら▲70ですな、ちーん。

        現状→次回予測
(6月時点) +34→+52
(9月時点) ▲30→+23
(12月時点)▲26→+4
(3月時点) ▲55→▲15
(6月時点) ▲45→0
(9月時点) ▲70→▲44
(12月時点)▲70→▲59

先行きの予測数値が前回よりも悪くなっているのは証券業の先行き業況判断の過去の外しっぷりからすると明るい材料・・・・の訳無いか(汗)。


ちなみにオマケですが、金融機関の業況判断といえば銀行業の現状判断DIが(ちゃんと過去の時系列みてないけど)久々のマイナスになっていて、▲9と前回から大幅悪化しているのが実に宜しくありませんな、と思います。

その他ちゃんとした分析は本職の人のレポートを見てくださいませ。



○PD懇談会雑感

先週末の国債市場特別参加者懇談会ですが。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c201212.htm

基本的なお題は来年度の増発に向けてどの年限を増やしますかという話ですけれども、毎度のテーマの物価連動国債と15年変動利付国債の部分は泣けますなあ。で、泣きながら読んでいたら超珍しく論議の途中に『当局からは以下のように回答した』って部分があるから「???」と思って質疑を読んでみました。

『(前半部分割愛)買入額(引用者追記:物価連動国債の買入消却です)については21年度も現在の金額を継続するとともに、入札回数を増やしていただきたい。また、価格が急落しているような状況では、事前に買入消却の日程をアナウンスするという緊急対策も考えられないか。』

・・・・・・・はて???

『(当局からは以下のように回答した)

・買入消却については、前日に発表される各銘柄ごとの売買参考統計値を基準価格として入札を実施しているため、事前に日程をアナウンスした場合には、入札の公正性が損なわれるおそれがあると考えている。』

これは当局の回答がどう見ても正しい。そりゃまあ要望するのはタダですけれども、あのその一応この場って国債市場特別参加者という立場で議論するのですから、てめえ勝手の超越ポジショントークは程々にした方が良いのではないかと思います(というか参加者としての資質に疑問符が・・・)けれども。

という悪態はさておいて、マーケット的にはこういう話なんでしょうかねえ。先週前半ボコボコになったと思ったら買入消却の前後から今度は急に息を吹き返しとか動きが一方通行にも程があります。

『物価連動債のマーケットの動きは、積極的に投資するというスタンスというよりは、ポジション調整、あるいは売らなければならないものを売るという状況ではないか。今の時点ではこれが来年改善するとは考えにくい。したがって、買入消却については、1〜3月は現行のまま対応し、21年度については、新規発行額の問題も考慮し、15年変動債と合わせてそれぞれ1,500億円程度としてはどうか。また、一つの考え方として、札割れ等も発生する可能性もあると思うが、前倒債を取り崩し、物価連動債の買入消却を2,000億円程度とし、状況を見ながら上期に多めに配分して様子を見る方法もあるのではないか。』

まあ海外投資家のデレバレッジの影響がモロに出た商品だと思いますので、ここが復活するには今の状況だと海外投資家のリスク許容度復活が求められるという話になるんでしょう。でも、このあたりの意見読んでるとなお泣けます。

『物価連動債については、70円、80円台という価格自体がかなり異常値であると思うが、そういう状況では買入消却入札で前日から4〜5円高い価格での落札は、ある意味やむなしという印象である。問題としては、物価連動債は海外投資家の保有比率が非常に高く、その海外投資家が大きな損失を被ったことで、日本の国債の対外的なイメージを落としてしまったことがあげられる。こうした状況を改善させるためにも、価格を早急に回復させる必要性があるのではないか。(以下割愛)』

・・・・・・これはまあ泣ける意見で。

国債市場全般に関する意見も「ほほー」と思うのでしたが、引用してるとキリが無いので割愛。市場が一方通行ですねというのと、流動性がどうにもこうにも(債券先物3月限の昨日の建玉4兆円そこそことか勘弁して欲しいですな)というのは皆さんが指摘してますね。


○その他雑談少々

・金融機能強化法が施行されるそうで

「公的資金を導入して中小企業への貸出強化をしましょう」キャンペーンが絶賛実施されるとのことでございますが、つい暫く前までこういうのがあっただけに実際に健全行が手を挙げて中小企業への貸出をジャンジャンっていうのは前途遼遠なんじゃないですかねえ、と人のふんどし。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080830/p1


・現先オペの1週間ものが全部年末越えにシフト

で、昨日は国債買現先と共通担保オペの年末越えが打ち込まれていましたけど、この落札レート(利下げへの期待が全く無い訳では無い筈なのに殆どロンバート)見てますと年末越えオペの打ち込み量が足りないんじゃないですかねえ。

と言って、年末越え増やすと同時にスポネの4兆を減額されるとこれまたレート上昇しちゃいますので勘弁なんですけど。あと昨日はスポネ4兆円の応札限度額が3500から4000に増えたのは中々のヒットでしたね。ウィークの現先を切った上に年末越えの金利が高止まりしている中だと、ファンディングが足元に寄って来るのでスポネが減ると結構大問題になりますわなという所で。


・CPレートが微妙に下がっているものもある気がする件

昨日は発行がそもそも多くないのでよーわからんけど、格付け的に高めのものに関してCP発行レートが何かさがっていたような感じがせんでもない。基本的には横ばいなのですが、政投銀のうんちゃらかんちゃらのアナウンスメント効果だったら良い話でございます。

#結局最初から全部雑感でしたすいませんすいません















2008/12/15

お題「今週は決定会合ですので」

外部環境は結局BIG3に振り回されっぱなしですなのですけれども、日本並みへの賃下げで抵抗とかいうニュース聞きますと全米自動車労組ってただの(伏字)じゃねえのかと思うのですが。

#それにしても手前らの夜中だからと言ってサプライズ出すんじゃねえというのがさすが飴公クオリティ

○金融政策関連で何を出してくるのか

今日は短観で木曜金曜が決定会合でその間にFOMCとECBの決定会合があるということで今週はオイソガシヤの展開となりますが、まあ金曜の市場で円高だの株安だのの壮絶なのをやってくれましたので、悪いであろう短観を受けて日銀も何もしないっちゅう訳にも行かないでしょう。ということでつらつら考えながら何となく整理してみるとこんな感じかな。

・ディレクティブのなお書き修正で低め誘導

ディレクティブに「なお、年末に向けた短期金融市場の緊張が高まる場合は上記目標値に関わらず潤沢な流動性供給を行うものとする」というような感じで誘導目標金利の0.3%に拘らないというお話ですな。

まあ実際問題からすると既に先週からこの状態になっておりまして、まあ誰も文句言わない(0.05%にやたら拘った執行部涙目プギャーと思っている人は沢山いそうですが^^)のでこれ現状追認ですけど、こう明言してくれれば堂々の実質低め誘導できますので一応ウケるにはウケるでしょうかね。ただの現状追認なので実質的な意味があまり無いですけれども、アホのような売手即日オペが無くなると、売手即日で運用している人の資金がレポとか現先に回ってきてレートが下がるかもと一応思うので効果があるのかもしれないです。


・この際利下げ

じゃあ利下げした方が早いのかというとこれまた微妙。

利下げするなら0.30%→0.10%だと思いますが、この時に当座預金付利をどうするのか。順当に考えると撤廃ですけれども(前回の決定のままだと「誘導目標−20bp」なので堂々の0%)、0.10%のままにしてヤケクソで日銀が超大量供給(してもコールが下がりにくい)するというFF方式でどうでしょう。

とは思いますが、そもそも論として現状の国内市場の問題点は金利がどうのこうのという前に市場機能がいかれてて、特にオープン市場の資金の周りが悪く(最近のスポネ大供給祭りでレポのT+3位までの裁定が効きつつありますが)CPレートなどが高止まりしたまんまだったり、何気に良く見ると金曜の無担保コール翌日物で最高0.83%とか、レートじゃないのよという世界がそこにあるのが問題なのですな。

ということで、他の施策なしで利下げ単独とかやっても国内市場の問題点は片付かないのですけれども、CP買取だの株式買取だのやりたくないっていうのならこっちをやる事になるんでしょうな。企業金融がキツくなっているという問題の解決には全然ならない(下手したら二極化が更に進行する)ので・・・・・


・CP買取

前々から申し上げておりますように、CPの買取なんぞ期間が超短いモノであって、そんなに問題視せにゃあならんものなのかよとは思いますが、どうせCP買取をするというのならば本来10月末の決定会合で決めておけば年末越えのレートもここまで高止まりすることも無かったと思いますけど今更その話をしても遅し。

直接出すのが嫌であればFRBみたいに箱作ってそこに突っ込む(日本には短資会社というこういう時に便利な箱も)とか、前々から申し上げておりますように問題はバランスシート制約ですので、引受金融機関のバランスシートから外れればCP買い余力が出るという話でございますので日銀じゃ無くても良いですが。その点で言えば政策投資銀行のスキームも宜しいのではないかと思いますが、2兆円で足りるのかという話は金曜もしました通りでして、日銀の買取スキームみたいなのがあるとそれはまあインパクトかなあ。

・・・・と思いますが、これは何かそもそも日銀の政策はって所で引っ掛かるようでございまして。先人は震災手形をやったんですから(その後の処理が悪かったのであまりイメージ良くないですが)そんなに嫌がる必要あるのかねとは思いますが。社債買えとか株買えって話ではないんですし。


・金融機関保有株式の買取

かつてのスキーム復活。ただ金融機関的に前回と状況が違うので、これってワークするのかいなという気が。


・輪番増額など

輪番増額してどうなるのと言うと、先日ご紹介した11月末の日銀保有国債残高の増加した銘柄を見ればお分かりのように、期近債のゴミ箱が拡大するだけだったりしそうで、これもまた実質的な意味は乏しかったりするのですけれども、やたら意味があるように見せているだけに増やす時よりも減らした時のインパクトがでかいから増やしにくい(何せあの福井総裁ですら輪番は増額していない)というのは判らんでもない。

それから、物価連動国債とか15年変動利付国債限定のお助け輪番の実施も是非お願いしたいところなのですけれども、これはまあ輪番の理屈からすると難しいので、仮にやるならプルーデンス政策の一環として金融機関の腐れポジション救済スキーム発動という形式になるんでしょうかね。


・その他

ただ言うだけなら「一層の潤沢な資金供給を行う」ってえ話ですが、既に2回言ってる話でして、今更感しか漂ってこないので単独でそれというのは勘弁して下さい。

あと地味に気になるのは1月以降のFB発行でして、経済対策だの何だのという話でFBが増えてきた時に今の市場で受けきれるのかという問題は常に気にしております。


○市場雑談

金曜はあのBIG3法案問題で見事に振り回されましたが、そんな中でTIBORは引き続き嫌がらせのように上昇してまして何の事やらという感じ。実は資金供給そのものは(まだ足りない感はありますが)スポネで4兆円をロールしているのが効いて足元で裁定する動きもあったりとちったあマシに。ただ年末越えのオペはまだまだ足りないですし、足元もちょっと供給の手を緩めると簡単に上昇しそうですので、足元の供給を維持しながら年末越えをもっとジャンジャン出して頂きたく存じますという所でしょう。

そういや金曜のオペはそんなに目立ったの無かったですが、今日は16日スタートの共通担保で少し景気良く出してくれませんかと期待をしておきましょう。

CPに関してはまあ横ばいのイメージですか。政策投資銀行云々は具体的にいつどのように実施するのかとか全然わからないので反応しようが無いと言ったところでしょう。残念ながら。

しかしまあGM関連は・・・・
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081215AT1C1300213122008.html
自動車救済、米政府は二段構えの支援検討 まず年越え資金

どう見てもオバマに爆弾先送りです本当にありがとうございました。
















2008/12/12

お題「今日の調節に注目します/政策投資銀行CP購入」

毎度同じ話をしているような気がしてどうもすいません。

○今日の調節に注目したいです

何で今日かと申しますと、今日のスポットは16日となりまして、新しい積み期間に入るのですな。


ここもと足元ではスポネの国債買現先を再び4兆円に増やしてヤケクソのロールを行っているのが効いてとりあえず足元のGCレートが0.4を割るようになっておりますが、今度は無担保コール翌日物金利の方が下がるという素敵なことになっていますけどこの際シャーナイナイとなったのかしらん。

まあ積みの進捗が良くてコールが上がらないというのもあるのですが、ここへ来てようやくコールレートが下振れしてもいいからGCレートなどを落ち着かせようという感じのオペレーションになって来まして、まあもっと早くにやっておけばここまでのドタバタ感は無かったですよねと思います。

そんな訳で、足元のスポネ現先4兆円がロールされて足元のGCレートが上昇抑制というか低下してて、とりあえずT+3位までは効果波及という感じになってきましたので、まあこの合間に年末越えのオペもジャンジャン打ち込んで参加者の皆様のポジションを軽くして頂きたいものであります。ただまあタームに関しては相変わらずの状況のようで、昨日打ち込んだトムスタート2月2日エンドの全店オペ8000億円は額が微妙にしょぼいことも手伝ったのか、平均は0.513%だわ足切りは0.500%と貫禄のロンバートだわということで、タームの資金に関しましてはまだまだ足りない感爆発という所でしょう。

現状では足元のスポネ現先がコールの低下にも関わらずきっちりとロールされていますので、そっちの方はようやく「潤沢な資金供給をちゃんと継続的に実施する」のねという感じになってきたのかなあとか思うのですが、年末越えのターム物に関しては出足が遅れた事から暫くはこの調子が続くんでしょうなあと思います。

ということで、今日はスポットが16日になりますので、オペがどうなるのかをちょっと注目しております。積み期間が変わるので当然ながら最初は積み進捗ニーズがあると予想されますので、その辺り踏まえてスポネの国債買現先の4兆円は継続と考えるのが順当なのですけれども、足元のGCおよびコールレートの低下を見て4兆円を減らすなどとなったらマーケット涙目ですな。まあさすがにそれは有り得ないですけどね(笑)。

意地の悪いあたくしと致しましては、調節での注目は「積みが変わった所で供給がここぞとばかりに増えるのでは」って方を注目しているのでありまして(苦笑)、ここでスポネ国債買現先を増額とかやったら中々オモロイのですけれども、まあそれは兎も角としましても、足元スポネ4兆円攻撃で落ち着いているうちにタームのオペをバンバン打ち込んで年末越えを沈静化させていけば徐々にショートファンディング傾斜も軽くなってオペレーションやりやすくなると存じますがどうでしょ。

何かここもとの調節ってイベントにぶつけて急にやることが変わる(付利開始にぶつけてツイスト開始とか、担保緩和開始にぶつけて年末越え供給復活とか)のが仕様になっているので、今回は積み期間が年末越えというイベント発生につき、何かカードが出てくるのではないでしょうか。「ドロー!年末越えオペ1兆円3本立てカード!」とかいう感じで(^^)。ワクワクテカテカ。


ということで、今回はターム物の資金供給が足りない状態を引っ張っり過ぎた為にショートファンディングが溜まらざるを得ない状態になって、足元でスポネ4兆とか打たないと落ち着かなくなってしまったということで、年末越えを通常運転でのほほんと打ってた対応のツケが見事に回ったのですけれども、じゃあショートファンディング傾斜を減らそうとしても、今は残念ながらスポネ減らすと今までの努力が水の泡になるの巻ですので、暫くは絶賛大供給を継続するしかないと思います。実は問題は積み後半、即ち来月になってからでして、恐らく超絶資金余りまくりの積み進みまくり状態になった1月前半に調節どうやるのかが楽しみだったりしますけどね。



○政策投資銀行がCP購入ですかそうですか

日経新聞が記事にしているとモーサテが報道しているのですが、ネットの方にはちと前のこんなのしか無かったので記事のヘッドライン(を耳で聞いたベース)だけで反応してみます。まあこの動きの一環である事は間違いないでしょうけれども。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081211AT3S1102311122008.html
財務省、政策公庫の「危機業務」発動を認定 大企業にも低利融資

 財務省は11日、企業の資金繰り支援を拡充するため、日本政策金融公庫による「危機対応円滑化業務」の発動を認定したと発表した。公庫は大企業や中堅企業に融資している日本政策投資銀行に、危機対応向け融資の原資を供給。政投銀を通じて、これまで中小企業が対象だった低利融資を大企業なども利用できるようにする。(以下引用割愛)

・・・・と思ったら公共放送がニュースになっていました。「機関投資家が世界的な景気低迷によって損失のリスクを恐れて買い取りを減らしている」というのは何かミスリード(それよりもCPの最大購入者である大手銀行ディーラーがバランスシート制約もあってポジションを圧縮しているのがでかいでしょと思うのだが)ですが、まあそれは兎も角として。

ニュースによれば「年末から年度末に向けて2兆円規模のCP買取」ということですので、これはまあどういうCP買うのかとかそのレートどうするのかという技術的な話はありますけれども大変結構な事ですな。どうせならそのCP購入のバックファイナンスを日銀がつける(CP担保に取って貸出を行う)と「政府と日銀が一体になって企業金融円滑化に取り組む」の図になって美しいと思うのですがどうでしょ(^^)。

まあ日銀が直接買うのがダメというのならば、「いわゆるCDオペ」のCP版なのかなとか思ったりもした(銘柄審査の問題があるから厳しいわな)のですが、政策投資銀行というのは「なるほど!」であります。こういう時にはバーゼルUだの何だのというような話と無縁な政策金融機関というのが実に有用な訳でして、「何でもかんでも民営化するとバラ色の未来」みたいな話で民営化推進してた構造改革マンセーな人たちに置かれましては今回の施策に関するご感想を頂きたいものだと思います、あっはっは。

もうちょっと早かったら良かったとは思いますけれども、まあ日銀がCP買うのかなという期待もあったのでその分出遅れになっちゃいましたねという所ですが、特に年度末に関してはバランスシート制約が気になるところでありましたので、昨今の銀行の資本増強とこの施策が相俟って、年末越えに対する不安感が軽減されることを祈念致します。


2兆円で足りるのかどうかは正直判らないですけど、こーゆー相場展開の時って言うのは、誰か腰を入れて買う人が出てきますと買うのかどうするのか様子見をしている人たちが追随で買ってきて落ち着き、その落ち着きを見て更に買いが復活してくるという流れになるもんでして、バランスシート制約がどうのこうのというややこしい話が少ない(無いわけでは無い^^)政策投資銀行が登場するというのは市場心理的には結構な話だと思います。急にレートが下がるかどうかは兎も角、アホほど上昇ってのは抑制されるんではないかと。


そのCPレートですけれども、昨日は上昇一服で横ばいみたいな感じになっていました。年末越えの発行ニーズがどの位残っているのか存じませんが、20日スタート近辺に向けてもうちょっと増える中で安心感に繋がると良いですねという所です。


○超余談ですが

流動性供給入札延期の件ですけど・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/kokusai0812a.pdf

>入札事務の委託を受けている日本銀行のシステム運用上の問題から

オペは通常運転で実施されてましたが、流動性供給入札だけシステムトラブルとはこれまた器用なお話で。

・・・・・と申しますか、別に紙と電話でも入札できると思うのですけれども、流動性供給位の規模だったら折角の機会だから危機管理の一環として電話で応札受けて入札書持込み(今の詳しい手続きは知らんが、システム障害時の対応策は昔からあるはず)ベースで入札やっても良かったのではないかなあとちょっとだけ思いました。














2008/12/11

お題「オペ関連続き/リテール金融の講演」

まずは毎度のオペ関連。

○人のふんどしでインスパイヤされてみる(例によってオペ関連)

毎度お馴染み本石町日記さんが考察を。
http://hongokucho.exblog.jp/10014183/

まあ大体同意なのですが、あたくしもあたくしなりに考えて以下うだうだと書いてみます。ご意見キボンヌ。

えーっと、今般の問題は利下げに当座預金(超過準備)付利をぶつけて、変な理屈を持ち出したことがファクターとしては最大だったかなと思います。当時の説明では「超過準備付利を行う事によってインターバンク取引レートにフロアが設定され、潤沢な資金供給を行っても金利がゼロまでは低下しない。従って短期金融市場の緊張が高まって大量供給するときにやりやすくなります」ってな感じでしたが、その理屈であれば、売出手形(と国債売現先)オペがある状態では(付利があってもなくても同じなので)インチキ説明にも程があります。

そんな訳で超過準備への付利というものが「大量供給するためのツール」という話になっちゃった次第なので、その理屈を通すために「目に見えた大量供給するのは超過準備付利以降」って変なプレッシャーが調節担当現場に掛かってしまい、長い期間のオペ実施が出遅れてしまったのではないかと勝手に想像するのでありまする。だって11月13日になって急にスポットスタートの国債買現先をアホのように打ち込んで来たんですから(このあたりに関しては先月の駄文をご参照ください^^)。

でね、もう一つ問題なのはこれは10月14日の会合から始まるのですけれども、「潤沢な流動性供給をする」と何度もアナウンスが出ているのに、実際問題としては思いっきり通常運転モードでの運営になっていて(CPオペを潤沢に実施と言いながら2週に1回とか)、年末越えのオペに関しても昨年とほぼ同じペースどころか途中までは昨年よりもペースが遅いという有様で、こちらもまた通常運転状態でして、その間にCP金利やレポ金利が上昇して株は下がるわ円高になるわ(利下げ前の話ですね)となっているのに全然普通に運転してたので、市場が「日銀は切迫感を認識していない」と見做した所から市場と日銀の歯車が噛み合わなくなったんでしょうな。

利下げ後も同様で、利下げと同時に「潤沢な流動性の供給」という話も出たのに年末越えのオペは全然ペースが上がらないわ、超過準備付利までツイストオペやらないわと、通常運転にも程がある運営が続くのですが、その間オープン市場の金利は高止まりとなっておりまして、GCは0.4台後半というかロンバート近くに張り付くわ、CPレートは徐々に上昇するわとなっていく中で、今度は白川さんの「市場機能論」がやたらとクローズアップされる格好になりました。当然ながらその合わせ技を市場が普通に解釈すると「要するに市場機能でCPレートとかGCレートとか上昇しても放置プレーなんでしょ」という話になってしまう訳ですな。益々歯車が噛み合わない状態に。

とどめは11月最終週でして、資金供給オペの金利が急上昇して、GCレポの金利が0.5%越えになって市場がシュリンクしちゃっているのにオペがそのまま同じペースで淡々と実行されてしまったことからオペの金利まで堂々の0.5%越えになっちゃった次第で、そうなってから慌てて税揚げ日に向けてオペ増やしても、それはもうもぐら叩き状態になってしまうのよねと。

大体からして短期金融市場の環境が悪化しているのは今に始まった事ではないどころか、リーマン飛んだ以降明らかなのでありまして、そーゆー状況にあって、かつ「潤沢な流動性供給をする」となっているのであれば、昨年と同じペースの年末越えオペ実施とか危機感の欠如にも程がある訳で、その辺をきちんと認識して早めから年末越え資金供給オペのペースを早めておけば、ショートファンディングのマグマが溜まってしまうという現在の惨状は避けられたのではないかとおもいます。本石町日記さんの上記エントリーの「飛車」さんのコメントにあります「Pilot Induced Oscillation」が正に今の状況を言い当てているのではないかと存じます。

#うーむ、マニアな話を長々としてしまった

で、昨日はヤケクソとなったのか前日に派手にGC低下して大勝利だと思ったスポネ現先4兆円を減らすこともなく、スポネのウィーク物を半分だけ年末越え(ただし1月5日って年初第1営業日落としでして、これは何か嫌がらせですかという感じはしますが)オペにし、共通担保オペは何故か突如3月10日まで足を延ばすということで、足元のGCレート上昇もさせないし、年末越えもまあ出しますよという感じのオペに。

・・・・やらないよりはやる方がよいのですが、そもそもは市場の緊張をよそに年末越えの流動性供給をのほほんと通常運転していた為に大火災状態になったものでありますので、それを火消ししたから調節がよくやったなどと言うことは全然ございませんのでね。

コールが下がりっぱなしなのは積み期間の終了が近いことも要因としてあるでしょう。これ16日以降にどうなるのかは(正直どうでも良いのだが)ニヤニヤしながら注目という感じですな(^^)。

以上オペ話。


○リテール金融ですかそうですか(^^)

前半書いてたら時間がなくなってきたので簡単に。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812b.pdf

まあ正直申し上げて、こーゆーセミナーでお話すべきは西村副総裁ではなくて野田審議委員ではないかと思いますけれどもね。で、これは西村さんのせいではなく、この手のシンポジウムでよくある香ばしい展開なのですが、講演要旨の4ページ目と5ページ目を見ると中々楽しい。

どうも今回のシンポジウムのお題は「顧客ロイヤルティの向上」らしいっす。

『このように、金融機関にとってリテール部門は、資金調達面および収益面での安定をもたらす部門として、経営における重要性がこれまで以上に高まっています。しかし当然のことながら、こうしたメリットを全ての金融機関が一律に享受できるものではありません。リテール部門がもたらし得る資金調達面および収益面での安定性を金融機関経営に十分に活かすためには、まさに今回シンポジウムのテーマ、「顧客ロイヤルティの向上」、を通じてリテール部門の基盤を強化していくことが大切だと思います。』

なるほどそうですか。で、次のページには現状分析としてこんな話が。

『金融機関の収益構造の点で、わが国の主要金融機関が欧米の金融機関対比どのような特徴を持っているか分析してみますと、全体の収益に占めるリテール部門のウェイトが相対的に高いことが分かります。これまで申し上げたことに照らして考えますと、わが国の主要金融機関は資金調達面や収益面での安定性という点で強みを有していると評価することができます。』

さよですか。

『ただし、その一方で、わが国主要金融機関の収益に占めるリテール部門のウェイトが高いことは、その他の部門、特にホールセール部門や資産運用部門から得られる非金利収入が伸び悩み、全体に占める非金利収入のウェイトが依然として低いことの裏返しでもあります。また、リテール部門の収益性も言わば低位安定の状態にあり、結果として、金融機関全体としての収益性が国際的に見て低い水準に止まっていることを考えますと、残念ながら手放しに評価する訳にはいかないのだろうと考えています。』

でも収益性上げると「顧客ロイヤルティ」って向上するんですか?????

・・・・金融業って物凄くしょうもない言い方をすれば、金を右から左に動かして口銭取ってる商売なのでありまして、収益性を向上させるというのは口銭を増やすことに異ならず、それをしながら顧客の囲い込みったって何ですかねという感じではありますわな。で、仕方ないので窓販で手数料がっぽり取れる商品を売って回ったらまあふがふがもごもご。

本当のこと言えば決済機能面ってのがいち個人利用者として考えた場合の最大の付加価値なのですが、歴史的に「規制金利の下で低利調達した資金を企業金融に回して鞘を取る」というモデルが最初にあったことが影響して、決済機能は資金調達をしやすくする呼び込みモノみたいになって、妙に過剰サービスになってしまっているのがどうなのかねという感はございます。

しかしまあ冷静に考えますと、収益性向上もクソも直ぐに「貸し渋り批判」とか言われるわが国の現状でそんなもん出切るのかいなとは思いますけどね。

中小企業金融問題の話は正直苦笑。

『サービスの提供について、申し述べたいと思います。中小企業金融に関しては、貸し手である金融機関と借り手である中小企業との間で緊密な取引関係を長く維持することにより企業に関する情報の不足を解消し、円滑な資金融通を図ることの必要性が久しく唱えられているところです。』

スコアリングモデルで担保や保証人に依存しない融資をやれと言った人たちが随分持て囃された時代があったような気がしますが。

『もっとも、最近になって金融機関の貸出姿勢の、過度の慎重化を指摘する声が再び高まりを見せていることからも、実際には金融機関と中小企業との関係において、こうした緊密な取引関係の構築が十分には進んでいない様子が窺われます。』

それは取引関係の構築ではなくて金(以下自主規制)。

時間がなくなったのでまあこんなところでって感じですが、以前よりはだいぶマシになってきたとは言え、地に足のついてない話が多いですなあってかつてドブ板踏んで金貸しの手先でやってたあたくしは思うのでありました。かつてどんな話がありましたかというのは過去のあたくしの駄文(2005年より前のあたりが懐かしく読めるかなあ)でもご覧下さい(^^)。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsatop.html













2008/12/10

お題「最近市場雑談ばっかですいません」

急に寒くなったり暖かくなったりするの勘弁して欲しいですが、それよりも勘弁して欲しいのはこの年の瀬にソニーの人員削減ニュース。雇用マインド悪化はまずいですって・・・・・・


○昨日のオペ劇場

でございますが、スポネの買現先がスポット不足日でもないと思うのにいきなり5000億円増額して税揚げ日対応時と同じ4兆円に増額打ち込みの巻。前日にGCレートが全般的に上昇して0.42%近辺になったのに対応してスポネを増額したのかなあとか位しか突如オペ増額の理由が掴めませんですがなという感じです。もともと昨日はややGCの資金が出し優勢(GCの引き合い方法で言えばビット優勢)でしたが、午後辺りからレートが低下してGCのO/NからT/NやS/Nにも波及するの巻で、GCレートはレギュラーの所で0.35位まで低下したみたいですな。昨日のところからいきなり低下したのですが、まあこのGCレート低下を企図してオペ増額したのでしたらオペ大勝利。

・・・・なのですけれども、基本的にGCやら現先などの資金はコールみたいにT+0主体じゃなくてもうちょっと先(T+2とかT+3とか)のスタートで動く割合が多いので、足元のスポネでレポレートをコントロールしようとしても効果が出てくるのにタイムラグがありまして、結果として資金の出し過ぎと引き過ぎの繰り返しになってしまうと思われます。現状のオペだとショートファンディングが益々溜まる一方な訳でして、足元が安定しなくなりますので、出し過ぎと引き過ぎの間を行ったり来たり状態に陥りやすくなりますので、もうちょっと長いオペ(1月の2週目以降のエンド)を打って足元への傾斜を軽くしないとイカンでしょとは思います。兼ねてから申し上げておりますように、スポネとかウィーク物をせっせと打ち込んでおりますとショートファンディングが溜まってレートが安定しないんでレートの制御は大変になります、本当にカムサハムニダ。


昨日は珍しくちゃんと共通担保を(あたくしの計算間違ってなければ)期落ちに対して増額ロール(8000億→1兆円)して1月8日エンドで実施してましたが、その前に意味不明な年末越えオペ出し渋りの効果が遺憾なく発揮されまして平均落札レートが0.503%とこれまた貫禄のロンバート越えで足きりも0.50%(按分85.4%)という結果に。去年の同時期よりも多く出してるというのは一応そうなんですけれども、そもそも去年と今年では市場環境が大違いなのでありますから、去年よりも多いので潤沢な年末越え資金供給とか言われましても大変困るのでありますがね。

本石町日記さんの最新エントリーでも話題になっておりました(http://hongokucho.exblog.jp/10009316/です。言及いただきまして恐縮であります)が、どうも市場の片隅現場労務者的に考えますと、オペでやろうとしている事がイマイチ掴みかねると言った所ではないかと。いやまあ年末越えや期末越えは市場の自助努力で何とかして下さいっていうのなら今のオペレーションでも無問題なのですが、状況はそうじゃないでしょと思うのですよね。どうも市場の考えている(あるいは期待している)こととオペレーションの間に齟齬があるんですよねえ。で、今となっては最初のボタンの掛け違いが拡大してお笑い劇場状態になってしまっていると。

ま、いずれにせよ11月の超過準備付利開始と12月の適格担保緩和開始に露骨にぶつけてきたオペレーションってのは如何にも(悪態の為自粛)感が市場現場労務者的には感じられるのですけれどもねえと。


○ところで地味に2か月FB入札とかその他の雑談

昨日は5年国債の入札があった訳ですが、そっちは華麗にスルー致しまして2か月FB入札の結果は平均0.4998%で足きり0.5084%でしたが、まあロールでもない2か月物で年末越えオペが0.50%とかやってる中でこのレートだったら健闘した方でしょう、と思ったら引けは0.495%みたいで。まあそんなもんですかねえ。

さすがにFBに関してはバランスシート食わない資産ですし、担保にも使えるしということで、ニーズがございますわなという所だったのでしょうと思いますが、今日は3か月FBの入札があり、来週は年末進行日程の都合上3か月FBが2日連続という中々素敵な状態になりますので今日の動向にも注目したいところです。


TIBORとCPは・・・・ええまあ昨日も昨日でレートが上昇気配という感じでして、ユーロ円TIBORも0.90%乗せまであと一歩となっておりますな。日本円TIBORは0.90583%と連日の上昇。CPもレートが上昇しとりますが、さすがに時期的に年末越え資金の調達が進んでいく中でレートがやや上昇という感じですので、金がちゃんと出てくればそれはそれで良い傾向なんですが、実態面としてそこがちゃんとワークしてるのかは昨日も申し上げましたようにビミョー。


長いところに関しては、カレンダースプレッドがまた3の倍数月恒例の「世界のJGB」状態になっておりますし、物価連動国債の気配がここへ来てまた落涙を禁じ得ない状態になっているのが気になるのでありますが、一体全体何がどうなっているのかさっぱり判らないので書いてみただけということで。

#と、市場クリップばかりで考察の無い話で申し訳ありませんm(__)m


○思いっきり余談ですけど

・踏むと発電ですか

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812c.htm
というのがあるのですが、そこで紹介されてるイベントがこんな感じ。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/un0812c.pdf

1ページ目にこんなのが。

『日本銀行本店前庭のヒマラヤ杉3本の周囲に、振動を電力に変換する「発電床」を設置。参加者が「発電床」を踏みことにより発電され、ヒマラヤ杉に取り付けたイルミネーションが点灯します。』

「踏むことにより発電」というのを「踏み上げ食らって発電」と読んでしまったあたくしは相場脳ですかそうですか。

なお、この手のエコイベントを実施するほうがエコロジーに反しませんかなどと悪態をつくと世間様から「つまんねえ奴」と非難轟々になりますので、まあニヤニヤしながら眺めるのが吉かと。


・さっきも書いたけどソニーの人員削減

新聞各紙もテレビニュースもソニーの人員削減ネタがトップニュースに。しかも正社員も削減という話ですので、これはまあマインドを悪化させてくれますので、そりゃまあてめえの会社的には結構かもしれませんが、こーゆーのって消費マインド悪化させて結局てめえにも降りかかって来るでしょうって思いますけれどもねえ。

こうドラスティックに雇用調整が進むと合成の誤謬になる悪寒がプンプン。












2008/12/09

お題「小ネタやら人のふんどしやら」

小ネタというか市場雑談ね。

○日本円TIBOR3か月貫禄の0.9%など

ひねりのない小見出しになってしまいましたが、このまんまでございます。昨日の全銀協公表のTIBORレートですけれども、日本円TIBORがとうとう0.90333%に上昇。ちなみにユーロ円TIBORは0.89615%に上昇しております。

いやまあ実勢がそーゆーことですからシャーナイナイなのですけれども、0.2%利下げしたのに利下げ前の水準よりレートが上昇という所が実に残念でございまして、10月31日の金融政策決定会合で行うのは利下げよりも流動性対策というかバランスシート対策の方でしたねということで、あの時点でCP買取オペの導入を、まあ年度末越えまでの時限措置で十分だったと思いますけれども行っていれば貫禄の上昇とかしなかったとは存じます。今更遅いですけどね。

ということでCPレートも上昇してまして、暫く上昇が収まっていたのですけれども。ここへ来て比較的格上と見られていた銘柄がやや上昇。動きとしてはこのあたりの発行体さんが多めに発行するとレートが上昇→買い手の目線が上がる→次の多めの発行でまたレートが上昇という感じに。まあ次の積み期間から年末対応とか考えてそうなどこぞの中央銀行様とは違いまして、インターバンク市場などに直接アクセス出来ない一般企業の皆様的な感覚からすれば年末越えの着地をそうそう寝転んでいる訳にも行かないと思いますのでこれまたシャーナイナイなのでしょう。レートが上昇することによってCP市場に資金が流入すれば、その分間接金融シフトが軽減されますから、回りまわって中小企業の資金繰りにも好影響・・・となると良いのですが、金利が上昇したからアベイラビリティが復活するのかは微妙ですな。まあ決算期末じゃなくて年末といえどもただの4半期末ですからレート上昇で何とかならないですかねえとは思います。

バランスシート制約が一層厳しくなる3月決算期末に向けて、バランスシート制約が現在のままだとするとやはり問題がありそうに思えるので、バランスシート制約対策は可及的速やかに打ち込まれる事を希望します。


○昨日のオペ劇場

連日のオペレーションですけれども、まあこれに一々トサカを立てて湯気ポッポーとなるから悪態も出るのでありまして、日頃からご愛顧頂いております短期市場関係者に向けてのオペ劇場だと思えば良いのでありますな、うんうん。

昨日の出し物は3本立てでして、
1、朝一即日吸収1兆5千打ち込んだら堂々の札割れ
2、9日の適格担保緩和措置スタートにぶつけて満を持して年末越えオペの実施
3、おっかなびっくり午後に5千即日吸収したら今度は応札2倍

という感じでございました。1番目の出し物と2番目の出し物の間に「10日が不足日なのでまたスポネが増額でショートファンディングの勧め」というのもあったので4本立てかもしれませんが、出し物として秀逸だったのは上記の3本。まあ1番目は兎も角として、午後の共通担保オペタイムに実施された年末越えのオペがもう露骨に9日の適格担保緩和措置スタートにぶつけている(オペのスタート日が9日)のには何だかねえ感を禁じ得ませんでした。

毎度申し上げておりますように、別に担保が緩和されないと入れるものが無いわけでは無いですし、年末越えのターム物資金のニーズが当然のように有るのですから、何も9日スタートのオペまで年末越えを引っ張る必要はどこにもないですわな。その間に年末越えのCP金利とか絶賛上昇しているのでして、いやまあ別にそれならそれで結構なのですが、では臨時政策決定会合まで開催して「年末越えや年度末越えの流動性対策をします」とか言ってたのは何だったのですかというお話ですが、これまた一々湯気ポッポーとやっていると体が持ちませんので、市場の末端労務者としては「言ってる事とやってる事に齟齬がある」という前提に立って動かないとなりませんなという話になるだけです。

しかしまあコールは即日吸収しても上昇しにくくなって昨日も0.275%の加重平均なのですが、そりゃまあオペが毎度毎度イベントデー直前まで自然体で打ってイベントデーにぶつけて一気に動くから、イベント通過後にバランスが取りにくくなるんですよね。超テクニカルな話になるから多分???な話になると思いますが以下続けますと・・・・

インターバンクやオープンが流動性高くて直前対応でも全然大丈夫っていう市場状態なら大不足日とか大余剰日がスポット渡しになる位まで放置してても何とかなるでしょうが、それはまあ流動性リスク管理という面からみてどうよというのがあって、普通の神経をしてたらその前から徐々に資金ポジションの調整を行うもんだと思うのですよ。特に今のように市場の流動性が落ちてる時とか、インターバンクへのアクセスが従来よりも狭くなっている(証券とか外資系とか)状態になっているときなどは特にそうでしょう。従いまして、スポットが大税揚げになってから大供給というのは証文の出し遅れでありまして、もうちょっと前から徐々に税揚げ跨ぎの資金供給を行っていかないとイカンと思うのですよね。それを直前に大供給するもんだから引く間合いが難しくなって、足元インターバンクだけ余りまくると。

まあ連日オペ何本も打ち込んでご苦労な事だとは思いますが・・・・・(と一応最後にフォロー^^)


○気が付けばまた短期債コレクション

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
(2008年11月28日現在)
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0811.htm

先月のデータと比較してみました(あたくしの手控えエクセルファイルベースですので間違ってたらゴメンナサイ。一応合ってる積りです)ら、短いものばかりがバカスカ入るの巻になっておりました(−−)。

特に目立ったのは12月15日に償還が来る2年251回債が貫禄の4855億円打ち込みとなっていたことで、えーっと輪番オペ1.6回分くらいこの銘柄でございますかという事で、毎度お馴染みの実質短国買入状態(^^)。

ちなみに、来年9月までに償還の来る銘柄が11月でいくら増えたかと計算してみますと、10739億円と輪番4回で12000億円の筈なのですが殆どが1年未満の国債が打ち込まれるの巻です。最近は元利金取扱手数料の大幅引き下げによって10毛甘だの15毛甘だのという派手派手な落札結果にならないので目立たなかったのですが、やはり傾向は変わらないようで誠に残念無念ですな。

・・・・ということで、実は輪番を増額しても償還銘柄の吸収装置になるだけだったりするのですが、財政拡張路線のタイミングで輪番増額ってのは下手したら長期金利上昇(財政の維持可能性に関してマジでネタにしてくる懸念ですね、為念)のネタにしてきてもおかしくないのが間の悪い所でございますなあという感じです。


○その他少々メモ

・人のふんどしですが

http://ensaigaisai.at.webry.info/200812/article_2.html

そうそう、年金資金で4半期(どころか最近は月次)報告して勝った負けたとか資金の性格からして如何なものかという気は思いっきり致します。大変に示唆の多いエントリーですので読んで味噌。

・ほほう

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev08j13.htm

何か愚昧なあたくしには良く判らん話が書いてございますが、こーゆーのに関しては毎度よく研究してますよね。














2008/12/08

お題「虫干しネタと雑談です」

○市場雑談メモですが

金曜もまたまたTIBORレート上昇。日本円3か月で0.89917%となりまして、利下げ前の高値は火曜日に抜いているのですが、その後も上昇となりまして、この調子だと今週には0.9%に乗りそうな勢いとなっております。20bp利下げしたのにこの有様というのは金融環境上如何なものかというのは毎度申し上げている通りでございます(−−)。

引き続き年末越え資金に関する警戒モードちゅうことなのですけれども、一方でオペレーションの方はと言いますと、金曜も資金供給の足は短いままでして、買現先はいつもどおりスポネと1週間だわ、共通担保本店オペは15日エンドと余剰日に足をぶつけるという平常時モードの運営だわということで、これまた期末越えどころか年末も越えないオペばっかとなっております。何せ今月は15日と22日が資金余剰日になりますので、年末でもなくて市場が平常モードだとするとここに足の来る供給オペを教科書的には打ちたくなるのは判るのですが、今月は年末月ですし市場は全然平常モードではないですし、政策決定会合では・・・いやもういいです。

てな訳で、ショートファンディングの勧め状態になっておりますので、超足元の金利は低い中であってもレート上昇。大体からして世の中無担保コールやらGCレポのT+0だのT+1だのという所に普通にアクセスしてファンディングつけられる人ばかりでは無いので、そういう人たちにとっては超足元だけ下げられてもショートファンディングに傾斜する訳にも行きませんわな。ということで金曜はCPのレートなんかも大型発行もの中心にちょっと上昇したみたいですな。

いい加減悪態つくのは疲れましたというか徒労感爆発ですから、まあ勝手に通常運転してればという感じですが、市場が「日銀はやると言った事(=潤沢な資金供給)をちゃんと実行しない」という認識を前提に行動しだしているのがアリアリという状況は問題じゃないかなあと思いますけどね。極端に言えば将来的には日銀が政策面でアナウンスしても信用しないとなったら金融政策もへったくれもあったもんじゃないと思いますがどうでしょうかねえ。


話は全然違いますが、金曜は輪番関連の麻生首相の国会答弁で先物とかが反応してたという話になっていましたが、発言内容を読み返してみますと一般的な話ですね。市場の第一反応は「何もしようとしないから政治からのご要望キター」って感じでしたが、拍子抜けという所でしょうか(苦笑)。まあ輪番増やしても短期ゾーンのゲロ袋状態なのには変わらないので増やしても大したことにはならないのですけど、減らす時にやたら大騒ぎになるから増やしにくいというのは判ります。名目が成長通貨の供給だから時限切って増額というのも理屈として変だし・・・・・


以下虫干しネタで12月1日の白川総裁講演と会見から少々。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812a.htm(講演)
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812a.pdf(会見)

講演って当初PDFで出てたと思うのですが、いつのまにかHTMLになっているのは何かの仕様ですか?

○景気の先行きについて

11月の金融経済月報で表現の変化が起きているという話をしましたけれども、講演でもこのあたりは同様でして、先行きの回復経路への復活と言う話はすっぱりと抜けております。まずは米国経済。

『海外経済の回復の時期については幾つかの条件に依存しますが、米国について言うと、住宅市場の調整がどのように進み、金融システムが安定をいつ取り戻すかが重要なポイントとなります。海外経済全体の成長率の回復時期を見通すことについては不確実性が高いと言わざるを得ませんが、現在の厳しい情勢を踏まえると、回復が明確化してくるのは、2009年半ば以降になるとみておいた方が良いと考えています。』

と慎重な見方を披露しまして、日本経済に関しては、

『このように海外経済が厳しい状況を辿ると見込まれる中で、わが国の景気の先行き見通しですが、本年第2四半期、第3四半期と連続してマイナス成長となった後も、当面、停滞色が強い状態が続くとみられます。そのように判断する最も基本的な理由は、前述した海外経済の動向や国際金融資本市場の混乱の影響が日本経済にも確実に及んできていることです。これらの点については、後ほど、やや詳しく説明します。』

ということで、先行きの回復がどうのこうのという話はすっかり無くなっている状態です。11月の月報内容下方修正と同じです。なおめんどいので詳しい説明部分は割愛します。


○金融環境について

白川さん米国の金融環境についてこのように言及してるんですよね。

『CPや社債の発行が難しくなり、発行金利も極端に上昇するなど、金融市場からの資金調達環境も悪化しました。そして、これらが実体経済に悪影響をもたらすという金融と実体経済の負の相乗作用が発生しました。この間、米国の中央銀行であるFRBは昨年9月以降、短期金利の誘導目標金利を5.25%から1.0%にまで引き下げましたが、社債の金利は昨年夏時点と比較するとむしろ上昇するなど、金融緩和の効果が発揮されにくい状況になっています。』

ということで日本についてですけれども。

『先程触れた銀行間の資金調達金利と国債金利の格差という尺度でみると、現在でも日本の短期金融市場の状況は相対的に恵まれていますが、わが国においても、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性について、十分な点検が必要な情勢になってきていると思います。』

ではそれを点検するとどうなりますかと言いますと。

『まず、第1に資金調達の金利水準ですが、銀行の貸出金利は低水準で推移しています。一方、CPや社債といった市場からの調達金利は、国際金融資本市場の動揺の影響から投信や生保などの投資家のリスク回避姿勢が強まっていることから上昇しています。社債の発行金利が低格付のものを中心に上昇していることに加え、今年の夏頃よりじりじりと上昇していたCPの発行金利は、9月以降急速に上昇しています。1998年から99年に企業金融が大きく逼迫し、クレジット・クランチと呼ばれた時期と比べると、まだ水準は多少低いものの、金利上昇のスピードなどは、当時と概ね同じ動きを示しています。』

となっているのですが、

『また、調達金利の水準を評価する際には、企業の収益率との比較が重要となります。わが国では、企業の資金調達において、市場からの調達と銀行からの借り入れとの比率は約1対4であり、ウエイトとしては銀行借り入れが圧倒的に大きなものとなっています。このため、現在CP金利は大きく上昇しても、全体としての調達金利は概ね横ばい圏内で推移しており、企業の収益率と比べるとかなり低い水準となっています。(98年との比較部分割愛)こうした点を踏まえると、足もとの調達金利の水準自体は、依然として緩和的と評価できます。しかし、これまでのエネルギー・原材料価格の上昇や足もとの景気の停滞色の強まりなどから、企業収益は大きく圧迫されており、企業の収益率は低下しています。このため、調達金利と収益率の関係からみた緩和度合いは低下傾向にあるとみています。』

ということで、まだ緩和的ということですけど、企業収益の悪化がデータとして掴めた頃になってCP金利や銀行借入金利が高止まりしてて大変ですよというような話になったときには問題は既に大きくなっているのではないかと思うのでちょっと悠長な気がするのですが・・・・・

『第2に、量的な側面、アベイラビリティの動向についてみると、このところ急速な変化が生じています。まず、金融市場からの資金調達の面では、CPの発行残高は、2007年以降、リーマン・ブラザーズの破綻前までは前年比約1割増のペースで増加していましたが、その後は投資家のリスク回避姿勢の強まりから、急速に伸び率が鈍化し、最近では前年割れとなっています。社債についても、低格付け先に加え、これまで順調に起債できていた高格付け先でも、起債を先送りする動きがみられています。』

『このような状況下、企業は世界的な景気減速、金融市場の混乱、先行き不透明感の高まりを背景に、防衛的な意識を高めており、手許資金を厚めに持つという動きが拡がっているように窺われます。この間、金融機関の貸出をみますと、大企業向けを中心に貸出残高の伸びは全体としては高まっています。しかし、建設・不動産業など一部の業種や中小・零細企業を中心に、銀行の貸出態度が厳しいとする先が増えています。』

『以上を総合しますと、わが国の金融環境は、特に資金のアベイラビリティの面を中心に、国際金融資本市場の動揺の影響などから、緩和度合いがこのところ急速に低下しているように窺われます。』

ところがそれが金利の方にも行ってませんかというのが問題意識ではあるのですが・・・・・まあそれは兎も角として、この部分の最後の方にこんな話が。

『さらに、国際金融資本市場が更に動揺した場合には、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり、市場からの資金調達が一段と困難になるリスクがあります。CPや社債の発行減少は、計数の判明している10月までの動きを見る限り、マクロ的には銀行貸出の増加でカバーされていますが、日本銀行としては今後の動きを十分注視していきたいと思います。』

いやまあ勿論日銀は計数だけ見てる訳じゃなくて、実際の市場動向を極めて熱心に観測しているのですれども、12月の頭に「計数の判明している10月までの動きを見る限り」とかいう話をするのは、世の中に安心感を与えたいんだろうなあとは思うのですが、事は資金繰りに関わる話ですので、聞いてるほうが「後から計数で厳しいことが判っても遅い」とか思わなかったかがお節介ながら気になりました。



○会見から少々

当面の金融政策運営に関する部分はこの前悪態と共に引用したと思いますので割愛いたしまして、会見からちょっとだけ「ゼロ金利にはしません」発言を。

『政策金利を引き下げた時に、引き下げ幅を0.2%にしたこと、それから、当座預金の超過準備分に付利した金利とのスプレッドを0.2%に保つようにしたこと、この2つの判断の背景には、短期金融市場の資金の流れが悪くならないようにするという考えがある訳です。短期金融市場の資金の流れというのは、もちろん金利の水準、スプレッドだけで決まる訳ではなくて、それ以外の金融機関を巡る様々な要因も影響する訳です。しかし、金利という面から、または日本銀行のアクションから、短期金融市場の機能が低下し、それが促進されるということは避けたいと思っています。』

どう見てもやってるオペレーションがそうは成ってません(ある意味究極の放置プレーだから市場機能なのは市場機能ですが)というのはまあお笑いと致しまして、こういう文脈ですと「利下げしません」ですわな。他の質疑から。

『前回の決定会合後の記者会見と全く同じ答えになりますが、先行き金融経済情勢が一段と悪化した場合、中央銀行としてどのような対応を採り得るかについては、常に幅広く検討を行ってきています。今、追加利下げという点についてご質問がありましたので考え方を申し述べますと、極めて低い金利水準の下では、短期金融市場の円滑な機能の確保という観点から、様々な問題が生じる可能性があることには留意が必要だと、これまでも度々申し上げています。』

「これまでも度々申し上げています」ってこりゃまた強調してますなあ。さすがに強調しすぎと思ったのかその次があるのですが、普通に報道するとここで切りますわな(笑)。

『その上で、これもいつも申し上げていることですが、先行き具体的にどのような政策対応を行っていくかは、その時々の経済・物価情勢や金融市場動向を十分に点検した上で、判断していくという方針であります。』

利下げを絶対にしないわけでは無いですよという事なのでしょうが、まあ前半を切り取れば当然ですけど、前半後半をつなげても利下げへの抵抗が強そうに見えますな。ただし、この「市場機能」という根拠は一押しすると崩れるような弱いロジックなんでダメでしょと思います。











2008/12/05

お題「いつものオペ雑感(悪態成分少なめ)/今更ですが11月の月報」

虫干しネタで申し訳ありません。本業が微妙に忙しいのでフォローが追いつかないのは月末月初の仕様です。

○昨日も年末越え資金供給無しとな

何かもう一々悪態つくのがアホラシヤになって来ておりますが(-_-メ)。

昨日もご苦労なことにオペ7本。国債買現先のスポネをまた5000億円減額したらレートそのものは低いのですが、その後GCがやや強含みになった(と言っても0.35%くらいになったというレベルですが)ので、応札限度額以上にスポネ現先オペ(などの日銀オペ)頼みの大ショートファンディングをしている勇者が数人いるのですなあというのが良く判ります。

で、積極活用というだけに期落ちは無かったけど12月8日スタートのCP買現先が6000億円実行。新規スタートな上に足が18日とかいうどうにも使いにくいオペ(年内償還物を入れるなら兎も角、年末越えの物をここに入れるのはちょっとねえという感じ)でしたので、平均落札利回りが貫禄の0.186%(足きり0.13%)となりました。

とりあえず今週2本目ということで積極活用は積極活用なんですが、期間的に年末越えとかのフォローになっていない(年末越えの担保を持っているのなら、足元が低いうちにタームで飛ばすタイミングを狙いたいからこんなオペには普通の神経だと入れるのを躊躇します。だからレートがアホほど低かったのですけれども)ところが実に素敵なオペでございますが、もう一つのインプリケーションとして「CP現先オペをバカスカ打ったら新オペよりもレートがお得じゃないですか!」というのをご丁寧に白日の下に晒してしまうという素敵な結果が(^^)。勿論今回のオペはそもそも使いにくいエンドなのでレートが下がったという面はありまして、年末越えやら期末越えでこんなレートにはならないのですけれども、理屈の上では無限に打ちまくればレートは局地的にここのオペだけ下がっていきますからね。

それは良いのですけれども、昨日も供給オペえは共通担保本店の5日スタート17日エンドということで、先般の臨時政策決定会合以降、年末越えの資金供給が打たれないのって何でなのよという感じでございます。


・・・・えーっと、まさかとは思いますが、先日の臨時決定会合で決定された適格担保要件の緩和が12月9日実施だからそこまで年末越えのオペ実施を待ってるとか言う事はないですよね。そんな余裕かましている場合じゃないんですけど(年末越えCPレート上昇してますよ!)ねえ。あ、念のため12月2日の公表文書を引用しておきましょう(^^)。

『(1)民間企業債務の適格担保範囲の拡大

民間企業債務の適格担保としての取扱いについて、社債と企業向け証書貸付債権の適格要件のうち、格付に係る要件を、従来の「A格相当以上」から「BBB格相当以上」に緩和する。これに伴い、新たに適格とする「BBB格相当」の社債と企業向け証書貸付債権に適用する担保掛け目(別紙1)を設定する。本措置は、12 月9 日から実施する。』(12月2日の決定会合公表文書から)

足元下がっているうちに年末越えを徐々に(いきなりアホほど増やして市場のボラをこれ以上拡大させるのは勘弁して下さい)増やしながら足元のスポネ3兆ロール大会とかは減らしていくのが宜しいかと存じますけれども、てか普通そうすると思うのだがこれでは市場のショートファンディングが溜まるので、レートが下がっても市場は安定しないざますが。。。。。



○遅くなりましたが金融経済月報11月分、判断下げまくりです

すっかり遅くなりましたが金融経済月報。今更何ですのと言われそうですが、まあそもそもここはあたくしの俺様備忘録でもありますので勘弁してちょ。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0811.pdf(11月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0810.pdf(10月)

例によって概要部分だけですが。

・総合判断

『わが国の景気は、既往のエネルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから、停滞色が強まっている。』(11月)
『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響や輸出の増勢鈍化が続いていることなどから、停滞している。』(10月)

輸出が増勢鈍化から減少に下げたのが大きいですよね。総合判断も下げているの巻ですね。

・現状判断部分、輸出、企業収益と設備投資

『輸出は減少している。企業収益の悪化などを背景に、設備投資も減少している。』(11月)
『輸出は増勢が鈍化している。企業収益は交易条件の悪化等を背景に減少を続けており、企業の業況感もさらに慎重化している。そうしたもとで、設備投資は減少している。』(10月)

輸出を先ほどご紹介したように下げていますが、企業収益も「減少を続けている」が「悪化」と下向きに。設備投資は減少のままです。

・雇用、個人消費、公共投資

『雇用者所得の伸び悩みやエネルギー・食料品価格の上昇などから、個人消費は弱めの動きとなっている。また、住宅投資は横ばい圏内で推移している。この間、公共投資は低調に推移している。』(11月)

こちらは10月と一言一句同じです。

・生産

『以上のような内外需要を反映し、生産は減少を続けている。』(11月)
『以上のような内外需要のもと、生産は弱めに推移している。』(10月)

「弱めに推移」から「減少を続けている」とこちらも下げまして、今回は輸出、企業収益、生産と思いっきり重要なものに関して現状判断を引き下げましたという結果に。


・先行き見通し、総合判断

先行きの回復経路がこっちでも無くなっていました、というのは既にご案内の通りですけれども。

『当面の景気は、海外経済の減速が明確化するもとで、停滞色の強い状態が続く可能性が高い。』(11月)
『当面の景気は、海外経済の減速が明確化するもとで、停滞を続ける可能性が高い。先行きについては不確実性が大きいものの、やや長い目でみれば、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(10月月報)

・・・・ということですが、んじゃあ利下げのときはどうでしたかと言いますと、

『3.現在、世界経済は、2000 年代央の数年にわたって蓄積された様々な不均衡の調整局面を迎えており、当分の間、厳しい経済情勢が続く可能性が高い。こうした世界経済の動向を背景に、日本経済の回復に向けた条件が整うには相応の時間を要するとみられる。』(10月31日の声明文より)

ということで、まあ10月31日の時点では成長経路に復する云々に関しては微妙な表現になっていますが、11月の月報では本格的に舵を悪化警戒コースに切ったという事ですから、まあ今後の流れは緩和傾向ですよとは言っているんですな。


・先行き見通し、輸出、国内民間需要

『すなわち、輸出は、海外経済の減速や為替円高を背景に、減少が続くとみられる。国内民間需要は、企業収益や家計の実質所得の減少を背景に、弱めに推移する可能性が高い。』(11月)
『当面の動向を需要項目別にみると、輸出は、海外経済の減速が明確化するもとで、横ばい圏内の動きにとどまるとみられる。国内民間需要は、企業収益や家計の実質所得の減少を背景に、弱めに推移する可能性が高い。』(10月)

輸出の見通しを下げていますね。

・先行き見通し、公共投資、生産

『この間、公共投資は減少傾向をたどると考えられる。以上の需要動向のもとで、生産は減少を続け、目先はそのテンポが速まるとみられる。』(11月)
『この間、公共投資は減少傾向をたどると考えられる。以上の需要動向を踏まえると、生産は、当面弱めに推移するとみられる。』(10月)

減少し、テンポが速まるということで、かなり予想を下げていますよね。

で、物価に関しては正直注目材料ではなくなりましたのでパス。一応見通しを引用。

・物価の見通し

『当面の物価動向についてみると、国内企業物価は、国際商品市況の反落を主因に、下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(11月)

まあそうっすね。


・金融面

こっちが何気に問題になってきているのですけれども、現状部分での短期市場に関わる部分はこんな話に。

『一方、ターム物の銀行間金利や国債レポ市場金利は高止まりを続けるなど、市場参加者がリスク回避姿勢を強めている影響が引き続きみられる。』(11月)
『もっとも、市場参加者のリスク回避姿勢の強まりから、コールレートのばらつきが拡大し、ターム物の銀行間金利は強含んでいる。』(10月)

ということで、レポ市場金利に関する言及が入りました。


『わが国の金融環境は、中小・零細企業で資金繰りが悪化しているほか、大企業においても市場での資金調達環境が悪化している先が増えるなど、全体として緩和度合いが低下している。』(11月)
『わが国の金融環境は、総じて緩和的な状態が続いているが、中小・零細企業や一部の業種で資金繰りが悪化している先がみられる。』(10月)

金融環境に関して従来の「緩和的な状態」が「緩和度合いの低下」ということで、まあ緩和は緩和なんですけれども、漸くこのあたりの認識がってところですわな。本当はリーマン破綻以降悪化して10月になってから更に悪化していたので、11月の終盤になってやっと認識変更というのは遅いのですけれども、認識しないよりはマシ。

#ということで今更の俺様備忘録がやたら長くてスイマセン















2008/12/04

お題「あたくしは悪態路線継続(^^)」

財政再建路線の放棄と散々な言われようですが、小泉さんの時だって新規国債発行30兆円を平然と超えたじゃんと思うのですけど、ローゼンは小泉対比で日頃のインチキ力が不足している訳ですな。

ところで、「年末に向けて中小企業に融資出せ」とか大臣様が言うわけですが、その一方で金融庁様が貸出の査定をせっせとやっておられる訳で、増やさなければ怒られ、増やせば査定されとなりますと銀行の中の人も大変ですなあと。


という話はともかく、まずは臨時決定会合を受けての総裁会見から参ります。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812b.pdf

○だから問題はバランスシート制約ですが・・・・

会見の冒頭に今回の施策の説明があるのですけれども。

『第2に、民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫として、民間企業債務の担保価格の範囲内で、無担保コールレートの誘導目標と同水準の金利により、供給金額に制限を設けず、年度末越えターム物資金を供給するオペレーションを導入することとしました。この措置は、企業債務を担保として相対的に有利な金利で長めの資金を供給することにより、資金調達面およびコスト面から金融機関の融資活動や社債・CP市場での取引を後押しする効果を狙ったものです。』

・・・・・えーっとですから問題はバランスシート制約であって、ファンディングのコストとかファンディングがつくかという問題はそれに対して副次的な問題なのでありますが。従って余談になりますが、この件に関しては別に利下げしても量的緩和しても問題の解決にはあまり効かない(全く効かないとは思いませんが)のでありまして、利下げすると下手したら短期的には逆効果くらいの話になるのですよね。

まあこういう風に説明するのは正直でよろしいですが、自らピントがずれてることをばらしてどうする(苦笑)。


○効果の数字わざわざ自分で言ったのね・・・・・

『(問) 今回の新たな2つの措置の導入について、資金調達環境が悪化している中でこれを緩和する狙いがあるという説明を受けましたが、具体的にはどの程度の効果が期待できると総裁はお考えになっていますか。』

『(答) まず、今回の措置について具体的にどのような効果があるのかというメカニズムを少し説明します。今回の2つの措置のうち、最初の適格担保範囲の拡大についてですが、第1に、適格担保の対象範囲が拡大するということです。数量的に申し上げると、格付要件の緩和により社債で4,500 億円程度、企業向け証書貸付債権で1.6 兆円程度の拡大が見込まれます。(以下割愛)』

・・・・・何だかね、わざわざ自分で言ってどうするって感じですが、その後こんな質問が飛んできまして、その時に答えた「3兆円」の方が一人歩きしていますのである意味不幸中の幸いだったのかも。

『(問) 今回の2つの措置の効果という点にまた戻ってしまうのですが、先程若干数字を交えたご回答を頂きましたが、結局今回の措置によって最終的に企業に回る資金はどの程度増えるのか、規模感が今一つよくわからない点があります。この点についてもう少し詳しく解説をして頂けないでしょうか。』

『(答) 明確に幾ら増えるか量的に数字を示すのはなかなか難しいと思います。仮に、日本銀行が民間企業に直接資金を貸し出すという立場であれば、その量を数字で示すことはできると思いますが・・・。しかし、日本銀行は金融機関に対して貸し出す立場ですので、それに関してはある程度数字のイメージは持ち得るわけであります。先程、第1番目の適格担保の範囲拡大について数字を申し上げました。2番目の民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。(以下割愛)』

このオペの実施額が3兆円に行かなかったらCP現先オペを減額してでも3兆円達成させに行くに1000万ジンバブエドル(^^)。



○で、CP買入はやりたくないと

正直言って別に社債買えとは今のところは金融市場の中の人で普通(何を持って普通というのかという話はあるけど^^)の人は言ってないと思うのですけれども、この調子で何もやらないとか言って事態が悪化したら「CPだけじゃ足りないから社債も買い取れ」って話になってくる悪寒が物凄くするのですけれどもねえ。

もうあちこちの発言からそういう雰囲気が漂っておりますのでてきとーに抜粋。

・米国のCPや社債買入について

『例えば米国のCP買入れについて申し上げますと、確かに、ご指摘のとおり米国ではニューヨーク連銀がCP買い切りを行う特別目的事業体(SPV)に資金を供給するというファシリティーが導入されています。この制度の細かいところは必ずしも詳しくは報道されておりませんが、SPVは、ニューヨーク連銀が十分と考える信用補完がなされていることを条件に、CPを買うというものです。例えば、信用補完として100 ベーシスポイントの前払い手数料を取るとか、第三者保証を求めるなど、ニューヨーク連銀が十分と認める信用補完を受けることを条件にSPVはCPを買入れるわけです。モーゲージ証券や色々な金融資産の買入れについても細かい説明は省略しますが、中央銀行として様々なことを考え、最も適切な方策を模索していると思います。』

ま、米国のCP買取ってどっちかというと過去の日銀のABCP買入に近いので、金融機関向け与信の色彩が強い(内容の細かいところが相変わらず良く判らんので評価しにくいですが)んですけどね。

・さっき引用した新オペレーションの規模に関する説明から

『中央銀行の貢献というのは、金融機関を通じて行うものですから、どうしても間接的なものとなります。』

・日銀は追加で何かしますかという質問に関して

『先程のご質問に対する回答と重複しない範囲でお答えします。日本銀行としては、物価の安定と金融システムの安定という日本銀行法で規定された目的、および日本銀行に与えられた手段、日本銀行法の全体の精神というものを踏まえて、中央銀行として何が適切かという姿勢で──これまでもそうですが今後ともそうした姿勢で──臨んでいくということです。』

つまり踏み出さないということですね、わかります。


○でもって利下げも例によって否定的と

もうね、この「市場機能」っての発言するたびに特に短期市場現場労務者の憤激を買っている(まあ類は友を呼ぶ訳だから、あたくしが思ってるほど全員が憤激してるかどうかは知らんですけれども・・・)ので言わない方が良いと思うのですけれどもね。

『先行きの金融政策については、前回この場でも申し上げましたが、金融経済情勢が一段と悪化した場合に中央銀行としてどのような対応をとり得るかについて、常に幅広く検討を行っております。追加利下げに関して言えば、極めて低い金利水準のもとでは、短期金融市場の円滑な機能確保という観点から、様々な問題が生じる可能性があることには留意が必要であると申し上げてきました。その上で、これもいつも申し上げていることですが、先行き具体的にどのような政策対応を行っていくかについては、その時々の経済・物価情勢や金融市場動向を踏まえて、適切に判断していくという方針に変わりはありません。』

はいはい市場機能市場機能。「短期市場関係者の権益保護の為に日銀は利下げを渋っている」とか言われて短期市場関係者までグルにされるのは大迷惑なんですけどねえ。


とまあそんな感じで悪態成分が相変わらず高い引用でございました(^^)。

以下市場雑談。まずは昨日のオペレーションに関してですが、これがまた楽しいインプリケーションが幾つかございます。昨日オファーされたオペはこちらの通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081203.htm


○素敵なやるやる詐欺

さっき紹介した総裁会見ではこんな発言もありました。

『日本銀行としては、年末・年度末に向け、今回新たに決定した措置も活用しつつ、適切な金融調節の実施を通じて金融市場の安定確保に努めていく方針です。』

決定会合のリリース文書でもこんなのがありました。

『3.日本銀行としては、年末および年度末に向けて、従来からの施策に加えて、今回新たに決定した措置も活用しながら、適切な金融調節の実施を通じて、金融市場の安定確保に努めていく方針である。』

で、改めてさっきのオファーを見ていただくと判るのですが、昨日のオペに年度末どころか年末越えの資金供給皆無。ついでに言えば、準備預金の積み期間が変わる16日以降に足が来る供給も共通担保本店の12月22日エンド1兆円だけでして、国債買現先で5兆円以上出しているのは全部ショートの資金となっております。

そりゃあーた足元は下がるけどタームは下がらんわなという所で、足元のGCが0.3台前半まで下がっても年末越えのGCが下がる(というか出合う)訳もなくという感じでして、下がらないのは要は年末越えの資金供給オペがろくすっぽ出て来ないので安心感が出ない(というか不信感が高まる)状態ってことでしょう。

市場的にはこの「潤沢な資金供給を実施」リリースのやるやる詐欺には大概慣れてきちゃった感じでして、もはや呆れ状態ではないかと存じますが。


○4回引いてコール加重平均0.25%とは笑った

でまあさっきのオファーにありますように、昨日は売出手形即日を4本実施して資金をせっせと引いたにも関わらずコールの加重平均は0.257%に低下。そりゃ足元スポネばっかり資金バカスカ出して、資金需給的に余り出しても打つんですからこうなりますわなという感じ。

さっき申し上げましたように、このあたりの影響でGCレートが今度は急低下しておりまして、正直こんなに足元GCレートが振れますとファンディングが安定しないのもありますが、SCで玉を放出する投資家的にもSC放出を躊躇するようになる(GCとのスプレッド握りなら別ですが、単純に出した場合に出したは良いが金イラネになったらどうするんのリスクが相対的に上昇する)のでこれもまた困ったもん。

まあね、今足元を下げているのが意図的にやっているというのなら判るのですよ。足元を下げておかないとタームのレートも当然下がりにくくなりますから、ここもとの供給で足元下げてからタームのオペをバンバン実行してレートを下げつつマーケットのショートファンディングを軽くするとか言うのであれば中々なもんですけれども、昨日のやるやる詐欺オペを見ていると単に足元のコールと積みの進捗に振り回されているだけのような悪寒が。

オペがオープン市場のボラ上昇させてどうするんだか・・・・・


○TIBORレートとかCPレートとか利下げ観測とか

んでまあ昨日はCPの発行はそこそこ大きいのとかも出てましたが、レートは結局のところ上昇基調という残念な結果。そりゃまあ新オペが年末をフォローしないってもんですから仕方ないですが、年始直ぐにエンドの来るようなCPはオペ関係なし確定ということもあって特にレートが上昇した感じで、一部では華麗に大上昇という向きもあったみたいですね。ちーん。

唯一の救いは年度末越えの発行がそこそこ出てきたことですが、残念ながら優良銘柄に限るという所。まあこの部分は新オペのアナウンス効果として評価できるとおもいます、別にレートは下がらなかったけど(^^)。


で、2日に利下げ直前の高値を抜いてしまったTIBOR3か月ものですが、昨日も嫌がらせのようにレート上昇。新オペが年末越えに間に合わないというあたりにリファレンス銀行様がご機嫌を悪くされた結果レートが上昇したということで
すね、わかります(^^)。

#このあたりだけ見ると(金先も下がってましたが)アナウンスメント効果は1週間どころか1日持たなかったですねとか言われても不思議ではありません

それから結構笑えたのは利下げ観測を本気で言う人が増えている感じがすることですかね(^^)。その理由が今般の張子の対策にあるわけでして、「CP買わない、株買わない、利下げしない、とか言ってこの程度の措置るなら、早いうちに逆に何かしないといけないように追い込まれるでしょ」というものでありまして(^^)、その時に何をするかを考えると、CP購入でこれだけ抵抗してるのに株を買うわけなく(まあ今金融機関から強制お買い上げされても金融機関もありがた迷惑)、そうなったら利下げでしょとなるのでありました。あっはっは。


#なお、最近読者様から「何か最近の論調が手厳しいですなあ」と良くご指摘を受けるのですが、あたくし身に全く覚えはございません(大嘘)。












2008/12/03

お題「施策は出ましたが、さて・・・・」

色々と論点がございまして上手くまとまるかなあ・・・・・

○まずは結果こちらね

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812b.pdf
新しいオペレーション概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0812a.pdf
担保要件緩和概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081202.pdf
金利の変更はございませんでした

ということで、今回市場が反応したのはたぶん「新しいオペレーション」の方だと思います。何せ最初に情報ベンダーのフラッシュで「無制限で政策金利水準での供給」ってのが出たので、おお!無制限!!ってなもんで反応したんじゃねえのかとは思いますがさて・・・・・・・

では以下論点をあまり纏まらないけどグタグタに。


○まあ担保不足な向きとか、既存の部分には効果ありますが・・・・・

今回の措置のうち、担保基準の緩和部分に関してはまあ効果あるにはあるでしょうとは思いますが、ちょっと出すのが遅れた感は強いですね。まーそれはそれとして、昨今担保不足になっている向きもありましたので、担保基準が緩和されたのは結構な話。別に担保不足じゃなくても既存のCPや社債とかでファンディングがつくものが増えるのは結構な事です。

その点で効果は勿論あるのですけれども、結局のところあくまでも「担保要件の緩和」でありまして、バランスシートから外れる話ではないので、これが出たからホイホイとCPや社債の購入を増やせるかというと残念ながらそういうわけには行きませんでしょう。再三再四申し上げているように、問題は期末のBISというバランスシート制約でして、何ぼ日銀にオペ入れましても金融機関のバランス上は残る話ですからね。

大体からして3月末のファンディングが回るからという理由だけで新規にBBBの社債を買うという奴はこの状況下でいない訳でして、この施策で社債発行環境が改善とかせんわな。アナウンスメント効果は無いとは言わないけど、ここもとの動き見てると持って1週間ですかねえ(苦笑)。



○ベンダーのフラッシュはどう見ても大げさです本当に(ry

ということで、例えば日本語版ロイターのヘッドラインでは

14:34 02Dec08 RTRS-民間企業債務担保に無制限で政策金利と同水準の金利で資金供給する制度を新設=日銀臨時会合

となっておりますが、上記リリースのオペレーション概要を見ればお分かりのように(というか上記ヘッドラインも良く見れば判りますけれども)、無制限と言っても「民間企業債務担保」の範囲内でありまして、それならCP現先オペを札割れするまで打ちまくっても同じ(というかそのほうがレート低くなる)なのでして、米国のTAFみたいなのを想定して反応するのはちとどうなのよという感じ。

#ま、最初聞いたときのインパクトはあるんですけどね

で、本石町日記さんがこう指摘してますが、実はこのオペの概要を見て「そんならロンバートのレートを下げれば同じじゃないか」という指摘をする人が複数いたことを付け加えさせて頂きます(^^)。

http://hongokucho.exblog.jp/9971300/
>私なら、ロンバート0.3%に下げて3カ月べた貸しOKにするが…。
>企業債務に限定したベタ貸しできるなら、それでもいい。


そもそも論として、資金繰り制約なのであればCPオペをバンバン打ってそれでも足りなければロンバートをどんどん利用してもらえば金が出て来る筈なのですが必ずしもそうじゃないというのが現状の問題でして、わざわざややこしいオペを抜き出して作りましたねえと本石町日記さんの見解に同意です。日銀企画の目くらまし力恐るべし。



○12月から実施しないとはしょぼさ爆発

オペ導入その他の施策に関してのリリースを改めて読みますと・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812b.pdf

『(2)民間企業債務を活用した新たなオペレーションの実施

(途中割愛)。本措置については、12 月18・19 日に開催予定の金融政策決定会合において基本要領等を決定し、来年1 月中の実施に向けて実務的準備を進める。』

・・・・・えーっと、年末は間に合わないんですかそうですか。いやどうしても間に合わないというのなら仕方ないのですが、ドル資金供給オペレーションはリリースして実施まで神速の勢いで9月期末越えを間に合わせましたと思うのですけれども、えーっとえーっと、国際協調で海外中銀にいい顔するのは熱心だけども国内は市場機能とやらで頑張れですか、わかりません><;



○やっぱり数字が一人歩きしやがったか・・・・

昨日の会見をフラッシュ見てたらこんなのが。

16:06 02Dec08 RTRS-適格担保拡大、社債で4500億円・企業向け証書貸付債権で1.6兆円程度見込める=白川日銀総裁
16:28 02Dec08 RTRS-民間企業債務を活用した新オペ、3兆円程度の資金供給見込める=白川日銀総裁

あーあ、数字言っちゃったよ〜と思ってたら案の定昨日の夜と今日のニュースや新聞報道では「3兆円の企業金融対策」という話が一人歩きを始めております(--)。

世間様的には3兆円というのアピールするのかもしれませんけど、金融市場的に言えばこの数字しょぼいですねと言う感じでして、CP現先オペが一発4000億円から6000億円とか打っているので、何だオペ6回分くらいじゃないのそんなら最初からややこしいことせずに打てばって感覚になりますわな。

#だいたい3兆円ったって担保に取るだけなのですから

あのですな、こーゆー時はマーケットがポジティブサプライズで驚くような巨大な数字なら兎も角、しょぼい数字だったら言わない方が良い訳で、たぶんインチキ俊ちゃんが質問されたら具体的な話は適当にぼかしながら「今回の措置で企業向け貸出やCP発行が飛躍的に増えて、資金供給が飛躍的に増えることを期待します」というような威勢の良い話をすると思うのですが、ハッタリが効かないのは残念ですなあ。

というのもありますけど、案の定数字が一人歩きしだしているのが問題でして、これでオペ実施額が3兆円にならなかったらまた公約違反とか言われるし、そもそもその3兆円の積算根拠と効果はどうなのとか国会でしょうもないツッコミを食らって益々訳の判らん話になるに100万ジンバブエドルなのです。



○とりあえずアナウンス効果のあるうちに・・・・というのは無理でしょうな

CP買入や株式買入をやりたくないということで今般微妙なオペを作りましたという感じが色々な人と議論を重ねるうちに理解できたのでありますが(--)、とりあえず今般の施策を好感してレートが低下しているうちに次の施策を前倒しで打ち込んで、とにかく先手先手で進まないといけないと思うのですよね。

でもまあ10月以来悪態ついてますように、何か施策を打つとか言って期待させながらそれを裏切ってしまい、事態が悪化。その悪化した事態に後追いで次の施策っていうのを繰り返しておりますので、少なくとも日銀直下のマネーマーケットでは期待値が随分下がっていると思われます。債券市場とかはまだ期待してると思いますので、まあ別にあたくし1ミリも期待してない(もう期待するの止めました)のですけど、アナウンスメント効果の残っているうちに次の決定会合で何か施策を出して欲しいものですな。

#実は金先や債券市場の利回り低下は「こんな施策如きだったら早晩利下げに追い込まれますね」って読み筋で動いているのだったら笑えるけど笑えません



以下テクニカルな論点。

○証書1兆6000億円も集まるの??

証書を担保に入れる場合、債務者の承認が必要になるので判子貰いにいかないといけないのですが、その作業の手間隙を考えるとさてどうなんでしょと思いますけれども。ついでに下らない事を言えば、「低金利で日銀が融資」というのを報道で宣伝されまくっておりますので、判子貰いに行ったら利下げ(というかスプレッド減らせ)要求されそうですが(^^)。

社債とかCPとかのように、そもそも転売されることが前提になっている法律的な作りこみになっていないので、担保不足で困ってない人までがこれにジャンジャン行くとは思えずなのですけれども。


○オペ形式がイマイチ読めませんが

何となくリリース文書見てますと、形式上はドル資金供給オペみたいな感じになるみたいですが、どうせならロンバート型にしてくれた方が使い勝手良い(ただし銀行などの社内仕切りの問題が起きるという点はある)ですし、それならそもそもロンバートの金利を下げればというさっきのループに戻るの巻(^^)。

ま、週に1回とか打つんでしょうとは思いますので、それは一応安心してますけど。



○ま、これもよいリトマス試験紙でしょ

ということで、適当にイチャモンつけましたが、そりゃまあやらないよりはやった方が良いので効果があるといいですね(棒読み)という所ですが、この施策に関してどーゆーコメントするのかは良いリトマス試験紙でございます(ニヤニヤ)。

それから、確かにやらないよりはやった方が良いのですが、最近の日銀クオリティは「新しい施策の効果を見極める」とか言い出して次の施策を出し渋るという恐ろしいものでありまして、そうなりますと「あまり効果の無さそうな張り子の目くらまし施策」というのは「有効な施策の出遅れ」に繋がるマイナス要素でもあるという点がございますので注意が必要です。


#うーむ、全然纏まってないし昨日色々考えた事から抜けがありそうな気がする



○ついでに市場メモ

昨日はとうとう1日のオペ本数9本とか素敵な状態になっておりましたが、ちょっと意外感があったのはスポネの買現先をそのまま4兆円でロールしてきたこと。税揚げ抜けたら減らすかと思ったのですが減らさずで、税揚げで足元資金が余ってきたこともあってGCレポレートはいきなり低下。レギュラーの所で39-40から始まって最後は37辺りになったみたいですな。

いやまあGC下がるのは結構なのですが、下がる時も上がる時も極端というのはオペが後追いになっているという面もまたありますので微妙に何だかな感はございますが、また例によって例の如く「決定会合結果にレート低下をぶつけてきた」の巻だと笑えるのですけれども。

CPレートは昨日時点では決定会合結果を織り込んでいない(担保緩和は織り込んでいたでしょうが)こともあったのかレート的には相変わらず下がらない感じでしたけれども、さて今日はどうなるのかという所で。一応レート低下すると思いたいのですけれども、何か年末越えに今回の施策が関係なかったりするので、どうなんでしょうかねという所で。

まずは何か知らんが今年はやたら入札日程が前倒しになっているFB入札第一弾に注目でございまする。あとTIBORレートもね。

#1日の総裁会見とか金融経済月報比較とか全部宿題ですいません












2008/12/02

お題「臨時会合ですけど・・・何かずれてるんだよな〜」

米国の景気後退って別に今に始まった訳では無いと思うのですが。感謝祭商戦が低調なのを嫌気では無いのですかにゃあ。まあ雨公の考える事は判らん。

#と思ったら公共放送様が「製造業の景況感指数が悪化したので株価急落」と講釈してました

微妙に多忙が続いているので今日も雑談です。


○さて臨時政策会合

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812a.htm

『開催日時 平成20年12月2日(火)午後1時より』

『開催理由 11月20・21日開催の金融政策決定会合における議長から執行部への指示に基づき、民間企業債務の適格担保としての取扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫に関する執行部からの検討結果の報告を受け、必要な金融調節事項の検討を行うため。』

リリースには出てませんが、記者会見が3時半から予定と情報ベンダーが報道しておりましてですな、えーっと1時間ちょっとしか検討時間が無い気がするんですが、そうすると従来より総裁様が仰せのお話くらいしか出てこないという事ですね、わかります(-_-)。会合時間が短い(=延々と徹底討議する訳じゃないですよ)というのを初手からわざわざリリースしている時点でポジティブサプライズな話が出ませんよって言ってるようなもんですが、何か良い話(=CPの買取とか)が出ると良いですね(棒読み)。


○で、いつもの悪態および予想される対策実施後のあたくしの勝手な想像

さて、その企業金融対策ですけれども、某モーサテのゲスト解説があまりにも的外れにも程がある(マネーマーケットのど素人っぽいので仕方ないですが、最初からドシロートに喋らせるなと)んですけれども、状況が98年と違うという論点が見事に抜けているのは残念でございますな。

まあこちらの読者様におかれましては耳タコではございますが、現下の短期金融市場というかCP、社債、企業融資における問題はバランスシート制約でして、資金繰りという面で言えば大手銀行などの国内の然るべき金融機関は普通にコール取れると思います(ただしコール市場そのものが縮小しているのはありますけど)し、大手銀行は基本的に預金超過ですから、コールで資金取れないとか言ってた98年とは問題の所在が違いますわな。

バランスシート制約がある中で「適格担保の格付条件を緩和」という話をしますと、そりゃまあ緩和しないよりは緩和した方が良いのは確かですけれども、緩和されたから低格付けのCPとかをホイホイ引き受けられますかというとそりゃ違いますがなという話になるでしょと。あくまでも「担保提供」してファンディングという話でバランスから外れる話ではないので、バランスシート制約で持ちにくい物は持ちにくいままという事には変わらんでしょと思いますがねえ。

ま、オペ先にはこれでもオイシイ話ですが、それで本当に企業金融環境が緩和されるのかは微妙。やらないよりはマシだけど、やはり実施すべきなのはバランスから外れるCP(別に社債まで買えとは思わん)買切だと思うのですが、買切りは妙にハードル高そうですねえ。株式買う位なら精々3か月程度の短期債務買うなんて屁のようなもんだと思いますが・・・

#そういや余談になりますが、三井物産さんが米国のCP買取プログラムに申請っていうニュースは「これはよい嫌味ですね」と思ってしまいました(^^)。


といういつもの悪態は兎も角として、適格要件緩和した場合は金利水準はちったあ下がるかもしれませんけれども、バランスシート制約に関して変化は無いので、そうそう景気良くクレジットスプレッドが縮小という訳にはいかないでしょう。アナウンスメント効果でどこまで持つかという話になると思いますが、今の地合いだとアナウンスメント効果で年末は持つ(というか基本的にCP市場に出てくるような企業さんは年末の所までは概ねメドつけてると思うのですが)かもしれませんが、本格的にバランスシート制約がかかる年度末に向けては追加の対策が必要かと思いますけどね。

バランスシート制約を軽減するには日銀のCPなどの買取とかが嫌ですというのなら会計問題から手を打つというのもあるとは思いますので、まあ日銀だけじゃなくて政府サイドの対応が求められるかと存じますです、はい。


○スポネ買現4兆円ってあーた・・・・

昨日は毎度お馴染みの国債買現先2本立て攻撃がスポネ増額になってましてスポネ(3日スタート4日エンドね)また1兆増えて4兆円のオペ。10日エンドは1兆円でしたけれども、月曜に2兆を3兆に増やしたばかりで昨日は4兆円に増額とな。

さすがに足きりレートは0.15%まで下がったのですが、平均0.458%ということは応札限度額3000億円だと足りない人が必殺で入れてきているんですねえという感じで足りないところは足りないのねという所ですがそれは兎も角。

えーっとですね、資金繰りを安定化させるという点を重視した場合の行動というのは「調達の足を延ばす」というのが基本中の基本でございまして、この逆をやって市場の流動性が低下した時にお陀仏さんになるのは古くは昭和金融恐慌の台湾銀行やら最近ですとサブプライム関連SPVとか例はなんぼでもあると存じます。

然るに、スポネの買現先(=資金供給)をバカスカ増額するとか市場のショートファンディングを奨励するようなオペレーションを実行している日銀のオペって何か変な意図でもあるのかと疑ってしまいたくなるようなもんでして、見た目のオペ実行額を増やせばよいというもんじゃない程度の事は理解してオペを打ってると思うのですが、短い資金ばかり大量供給すると市場の不安定な状況は解決せんのよね。市場の中の人たちが感じている問題意識(危機感と言ってもよいですけど)に対してオペレーションが全然呼応してないのがオソロシス。

ちなみに、あたくしちゃんと計算してませんので報道ベースですけど、年末越えの共通担保オペが前年の同時期対比減ってるそうで、CPオペ分を足してちょうどツーペーくらいみたいですけれども、そのどこがどう「年末越え資金の積極供給」なのかと小一時間。

ということで、何かこっちもずれてるんですよね。まさか「当座預金付利開始に合わせてスタートしたツイストオペ」と一緒で、今日の決定会合が終わってから急に年末越えのオペをアホのように打ち込んでくるとかいうのは勘弁して欲しいもんです。当初からやろうと思えば出来る事ですし、潤沢な資金供給というのは10月14日の時点で表明されていた訳ですから、「金利下げたくないから先に発射台作りに金利上昇をわざと放置したんですね」と言われても仕方ないと思いますけどねえ。


○ところで総裁講演

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812a.pdf

記者会見でまたまた追加利下げを否定したり、企業金融支援は間接的(=CP買入はしませんよ)と発言してたりしたみたいで、そっちの方が見たかったりするのですが一応。

まあ景気認識に関しては厳しい見方になっているのは良いと致しまして、今後の金融政策に関する部分から。

『金融政策の緩和効果を十分発揮させるには、金融市場が安定的かつ円滑に機能することが不可欠の大前提となります。このことは米国で政策金利が大幅に引き下げられているにもかかわらず、実際の調達金利が上昇していることからもご理解頂けると思います。』

全くその通りであります。

『こうした観点から、日本銀行は様々な対応を行っています。』

はて?

『第1は、流動性供給を通じた短期金融市場の安定確保です。』

どう見ても不安定です本当にありがとうございました。

『円資金の積極的な供給はもとより、ドル資金についても国際協調の枠組みの下で、担保の範囲内であれば金額の上限を定めずに供給を行なっています。』

>円資金の積極的な供給
>円資金の積極的な供給
>円資金の積極的な供給

『第2は、企業金融の円滑化に向けた対応です。先ほど申し上げたように、金融環境は、資金のアベイラビリティを中心に、このところ急速に緩和度合いが後退しており、現在の低金利の効果が実体経済に浸透しなくなるリスクが高まっています。日本銀行は、従来より、企業が発行するCPを対象とする現先オペ、すなわち、売り戻し条件付きの買入れを行なっていましたが、企業金融の円滑化に資する観点から、10 月以降、このCP現先オペの積極活用を図っており、11 月からは一層積極的に実施しています。』

「10 月以降、このCP現先オペの積極活用」ってその手が緩かったから効果が全然なくて11月に毎週実施にしたけど時既に遅し(今のところ効果は超優良銘柄に留まるの巻という残念な状態)だったと思いますが。

『さらに現在、年末、年度末に向けた企業金融円滑化のため、中央銀行としてどのような貢献ができるか、対応策の実務的な検討を行っています。検討を終え次第、できるだけ早いタイミングで導入を決定し、実行に移したいと考えています。』

で、CP買取でもやるのかという期待はあまりしてませんがね。ここまでは期待させて裏切るの繰り返しでしたからねえ。いやまあポジティブサプライズやってくれるなら大変結構ですけれども。

#なんか宿題だらけで申し訳ないです













2008/12/01

お題「利下げ会合議事要旨とか市場雑談とか」

12月ですなあ。

○結局担保基準の緩和程度ですかそうですか

朝のテレビニュースなどによりますと今週インターミーティングが実施されるようですが、具体的には担保基準の緩和でお茶を濁すようでございますな(-_-メ)。「98年以来企業金融対策実施」みたいな言われ方をしているのですが、担保基準の緩和であれば別に企業金融対策実施じゃなくて既存制度の運用の範囲内でございますので、それを「10年振りに対策実施」とか威張られましても何だかね〜って感じです。

まあ連日市場雑談と称して悪態ついてますからご案内の通りかと存じますが、状況は担保基準の緩和如きで劇的に好転するとは思えない(いやあたくしの勘違いなら良いのですけど)のでして、CP現先オペの強化とやらもそうですが、兎に角打ち出す一連の「流動性対策」とやらが小出しで来る上に全部ワンテンポ以上遅いので、出しても限定的な効果しか出ずに事態の悪化が継続するという図になっているかと。

まあ担保基準の緩和に関しても10月14日直後にでも出していれば(CP現先オペの実際の強化もそうですけど)と残念な所でございます。と端からどうせ効かないでしょという前提で話をするあたくし。再三再四申し上げておりますように、現状の企業金融環境の問題は資金繰りよりもバランスシート制約の方がでかくなってますからねえ。

ということで、相変わらずのケチ臭さに涙が出るのと、担保基準の緩和如きを「企業金融にまで踏み込んだ支援を行うのは10年ぶり」とか誇大宣伝(某局朝のテレビニュースによる)するしょぼさに呆然という所でしょう。その手のインチキ説明は貫禄のインチキオヤジ福井俊彦大先生がやるから何となくインチキが罷り通るのであって、残念ながら今の白川総裁にそれを求めるのは無理だと思いますけどね。

ちなみに、10年前の臨時ナンチャラ貸出制度(この前ご紹介した奴)を復活させても現状の環境では意味無いと思いますがどうなんでしょ。



○市場雑談

さすがに金曜はGCレポ0.52%とかいうような無茶な展開にはならなかったみたいですが、今度はFBの方が益々アレな状態になっているようでして、引け値バースで見ると3か月カレントゾーンの引けが軒並み0.495%とかやらかしております。12月償還物は堂々0.50%越えになってるし、多分真面目に売りに行くと年末越えでも0.5%台じゃないと売れないんでしょうなあという有様。

ということで、こっちまでロンバートに並ぶの巻ですが、何せ共通担保オペの落札利回りが1日スタートの12日エンドで足きりが貫禄のロンバートレート0.50%(しかも按分按分ちょっと)だわ、2日スタートの2月13日エンドが平均で0.504%だわという有様(しかもどっちも応札が堂々の3兆円越え)で、ロンバートって何でしたっけ状態に。なお、地味に短国買入なんかも良い感じの叩き込みレートとなっておりますわな。どう見てもオペの供給が不足しております本当にありがとうございましたという所でございましょう。

ちなみに、金曜はスポネの買現先を2兆円から3兆円に増額ロールしたのですけれども、平均落札は0.495%ですな。足きりが0.47%なのですから、必殺の札が多く入ってると思うのですが、必要な人の額が確保できていないってえ事は応札限度額も足りないんじゃないですかねえ。


さて、FBの売りとかに関して言えば、共通担保オペなどに放り込めば0.50%で借り入れ可能は可能なので、じゃあビットは0.55%とか言われて売るのかと言うとそれはお家の事情(日銀取引が直接に出来る人とそうじゃない人いますので)によるのでしょうが、これ以上レート上昇するとオペや最後はロンバートに行けば良しという事になりますので、レートが貸出ファシリティに張り付くと市場取引が益々回らなくなる(対日銀ばっかになる)という事ですわな。

つまり、どこぞのトゥーリトル・トゥーレートが得意技の中銀総裁様がお好きな「市場機能」という面で申し上げますと、市場取引ロンバート制度が上限制約になっておりまして(苦笑)、もしロンバートが無ければ市場金利はもっと上昇している筈ですけれども、逆に金利が上昇する事によって新しい運用者が出てくるので市場が回りますねというお話になるのかも知れませんな。と段々言ってることが無茶になってきました(^^)。

市場金融対策がどうのこうの言う前に、オペが小出しの後追い(レートが上昇してからロットを増やす)なのをどうにかせんとイカンと思いますけど。まず最初に年末越え(今の地合いだったら3月末越えもアリでしょ、と思ったら7時の某ニュースで期末越えのオペを打つ話をしてますな^^)の長いオペをドカンドカンとレートが下がるまで打ち込んで市場の目線を下げて安心させれば、逆に普段の供給をそんなにジャンジャン打たなくても安心感でレートはそうアホほど上昇しない筈なんですよね。しかしやってる事がその真逆になっているので、市場の目線が上がるわ疑心暗鬼で予備的需要が増大するわなのでちょっとやそっとの供給増加では追いつかないという流れに。

まあ毎日このネタで皆様食傷気味だとは存じます。性格が粘着なもんでどうもすいません。



○利下げ会合議事要旨

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g081031.pdf

経済面に関してよりも金融面に注目と言う感じですので、経済に関しては上振れ下振れ要因のあたりから少々程度。

・上振れ・下振れ要因に関して

『以上の見通しに関する上振れ・下振れ要因について、委員は、実体経済については、@ 米欧の金融危機の帰趨とその影響、A 新興国・資源国の動向、B エネルギー・原材料価格の動向、C 企業の成長期待の動向、D 金融環境の動向の5 点に、物価については、@ 経済活動の変化に伴う変動、A 家計のインフレ予想や企業の価格設定行動、B 輸入物価の動向の3 点に、それぞれ整理できるとの認識を共有した。』

で、その内容に関しては議事要旨の方に断片的にあるのですが引用割愛。で、最大の下振れポイントである金融問題に関してはこのように悲観的です。

『米欧の金融危機の帰趨とその影響に関して、委員は、各種対策にもかかわらず金融資本市場の緊張が更に強まる場合には、金融機関や投資家のリスクテイク能力が低下し、金融・実体経済の負の相乗作用が強く働き、米欧を中心に景気が下振れる可能性があるとの認識を共有した。』

共有ですかそうですか。

『複数の委員は、米欧金融システムの混乱の出発点である米国住宅市場の調整は進んでおらず、金融と実体経済の負の相乗作用が既に生じていることを踏まえると、短期的には海外経済の回復を展望できないとの見方を示した。このうちの一人の委員は、やや長い目でみた世界経済にとっての課題として、米国における過剰消費とその背後にある過剰債務の調整が、今後どのように進んでいくのかという点に留意する必要があると指摘した。』

ということで、話のトーンは暗いですな、当たり前ですが。


・とは言いましても

第1の柱の所ではこのようになっています。

『委員は、「金融経済情勢に関する検討」を踏まえ、第1 の柱、すなわち先行き2010 年度までの経済・物価情勢について相対的に蓋然性が高いと判断される見通しについて、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定の下での持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと判断されるとの見方で一致した。』

で、すっかりご紹介をスルーしていますが、11月の金融経済月報におきましてはこの部分に相当するものが削除されておりまして、即ち第1の柱が外れているの巻になっているのですがその話は後日再度。

どっちかと言うと、利下げした時点でここの部分が変わっている方が政策ロジックとしてはスマートだと思うのですけどねえ。ここ変えないで利下げってのも何だか。


・金融環境に関して

まず現状認識の部分。

『わが国の金融環境について、委員は、@ わが国の金融資本市場は、米欧に比べると、市場流動性の面での問題は小さく、金融資本市場における信用スプレッドの水準も総じて低い、A しかし、短期金融市場では神経質な展開が続いているほか、株価が大幅に下落するなど、国際的な金融面での動揺の影響がここにきてわが国の金融資本市場にも波及してきている、との認識を共有した。』

だから流動性対策をやれと・・・・

『複数の委員は、C P の発行スプレッドが大きく拡大し、社債市場では起債の中止や先送りの動きが続くなど、国際金融市場の動揺を受けて投資家のリスク回避姿勢が目立ってきており、今後の動向を注視する必要があると指摘した。別のある委員は、C P など資本市場からの調達環境が悪化し、企業は間接金融への依存度を強めているが、金融機関の融資姿勢は厳格化しており、緩和的な金融環境が損なわれてきているとの見方を示した。』

亀崎さんと中村さんと水野さん(野田さんも?)ですね、わかります(^^)。


んで今後の見通し。

『金融環境の動向について、委員は、今後、国際金融資本市場の緊張が更に高まる場合などには、わが国でも、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性があるとの見解で一致した。』

全くその通りでございます。

『ある委員は、有価証券の評価損や信用コスト増加を背景に、足もと金融機関にとって資本制約が意識される状況になり始めており、金融環境は引き締まり方向に変化していると述べた。』

そうですね。

『一方、ある委員は、やや長い目でみると、緩和的な金融環境が金融・経済活動や物価の振幅を大きくするリスクには引き続き注意が必要であると指摘した。』

・・・・・・(゜д゜)

ちなみに、金融政策をどうするの話に関しては各委員の反対意見を金曜に引用しましたあたりが一番わかりやすいので(^^)、まあ今回は引用割愛。その中でこんな意見が出ていましたが。

『また、適切な金融市場調節を行うことで、金融市場の安定確保に万全を期していくとの認識を共有した。この点、ある委員は、低金利による金融緩和効果を最大限に発揮するためにも、金融市場の安定は重要であると述べた。』

ある委員とは水野さんですね、わかります(^^)。

#月曜から引用増量で恐縮至極