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2009/01/30

お題「各種雑談で恐縮です」

西村副総裁の講演を華麗にスルーで勘弁して下さい。てか西村さん話長いから読むの大変なのよ。月末近くにネタ連続投下されても(汗)。

○またヘッドラインに釣られているわけだが

昨日は西村副総裁の講演(金融経済懇談会の挨拶)があって、講演後の記者会見があったのですけど、その会見のヘッドラインで例によって瞬間的に相場が反応してたように見えました。

日本語版ロイターのヘッドラインが早い順に3つ並べるとこんな感じでしてね。

14:04 29Jan09 RTRS-長めの金利に影響を与えていくためにオペの工夫を考えていく=西村日銀副総裁
14:05 29Jan09 RTRS-翌日物金利下げられない時は長めの金利に影響強めていくことが望ましい=西村日銀副総裁
14:06 29Jan09 RTRS-長めの資金供給で長めの金利低下に効果あることは量的緩和時代にも明らか=西村日銀副総裁

「ターム物金利に働きかける方策」云々という話は白川総裁もしてますが、実際にやってるオペレーションは全然そうじゃないですよねえってのは特に短期市場の皆様先刻ご承知の助ですので、ヘッドライン見ても「またやるやる詐○か」ってなもんですが、こりゃまた脊髄反応しそうなヘッドラインの打ち方ですなあと思ってましたら、一方でブルームバーグ(プロフェッショナル)日本語版のヘッドラインはこの通り。

JBN 14:05 *西村日銀副総裁:長め金利に働き掛けるためオペの工夫考えるの有効
JBN 14:05 *西村日銀副総裁:ターム物金利ターゲットは簡単に結論出る問題ではない
JBN 14:06 *西村日銀副総裁:危機対応でオペ全体の中で考える−国債買い入れ増額
JBN 14:07 *西村日銀副総裁:量的緩和時代は長めのオペで金利に下方圧力掛かった
JBN 14:08 *西村日銀副総裁:状況によっては長めの資金供給が有効になり得る

・・・・・印象違いますよね!

んでまあ会見要旨は結局の所今日の公表文を見れば判る話なのですけれども、従来の白川総裁の発言から話のトーンは変わっていないでしょと思われる所でありまして、まあ上がった先物はまた押し戻された(その間に新発2年がセカンダリー好調という動きがあったのでカーブとかは変わっていましたけど)でござるの巻となっていたようですので、まあヘッドラインに釣られてプギャーという感じですかな。

まあ緩和で次にやるのはターム物金利を誘導するのか、質的緩和を更に進めるのか、それとも量的緩和にするのかという話で、どれがどういう風に効くのかとかを勘案しつつやりますよねというのはその通りですから、ここからも緩和の話は続くのでしょうが、それに一々反応するのも何だかなあと。だってここから更に何かの緩和措置が出るでしょというのはある程度織り込んでるんじゃないですかねえと。

何かね、「キャッチーなヘッドラインを打ってマーケットにインパクトを与えれば良し」みたいな発想でニュース配信を致しますのは、瞬間の日計り的な売買にとってはそりゃまあ結構な餌ではございますが、そんな事よりもより正確な報道をして頂きたいと思います。大体からして従来からの白川総裁の発言や日銀の公表文をチェックしていれば、西村副総裁の発言もその延長線上で、唐突に出てきたものではないという事は把握できると思うんですよね。

で、従来よりこの手の粘着的チェックをしてますけど、近年はクイック、時事メイン、ブルームバーグは発言の一部を切り取って大げさなヘッドラインを打ち込むというのは(少なくとも日本の金融政策関連では)ほぼ見られなくなったのですけれども、ロイターだけは大昔のディーリング全盛相場時代から頭の中が変化していないようで、マーケットにインパクトを与えるヘッドラインを打つのが仕事と勘違いしっぱなし(ディーリング全盛相場ではそういうニーズがありましたもんね)なのではないかと、誠に遺憾に存じます次第であります。


○FBが重いですねという話

昨日申し上げましたように、水曜は3か月FB入札が0.30%に接近しやがってちとあれれ状態だったんですが、昨日は短国買入オペが実施されて平均落札利回りが前日比3毛1糸甘なんぞになりやがっておりまして、それって水曜の新発とかその近辺入れに行くと0.31%で叩き込み(だからそのゾーンが入ったんじゃないと思うが)とかに相当するレートで、中々こう悲しいものを感じさせる次第でございます。

FBが重いせいなのか、月末のところの着地を見てからじゃないと資金の出が悪いのか、それともどこかで予備的需要が増えているのか良く判りませんけど、その関係からかGCレートもサガランチ会長でして、資金供給オペに対する応札は多いわレートはじり高だわという素敵な状態が継続。スポットは月末抜けているというのにスポネの買現先は0.231/0.22と前日から1つ上昇している(余談ですが、一昨日の末初買現先0.221/0.21でして、昨日の末初GCが0.27近辺とかワケワカランのですが・・・・27売るならオペ必殺入れとけよ・・・)わ、それより香ばしいのはスポットウィークの買現先が0.226/0.22で、月末抜けてるのにレート上昇とは何たることぞという感じ。午後の共通担保は末スタートだったので0.231/0.23とこれまた素敵に1bp上昇と何か金が無いですねえという感じ。

ま、当座預金残高自体はある(増えてる)ので、これってまあ実際に金が無いのではなく、市場に出てこない予備需要的な「死に金」が増えているという現象なのでしょうが、GCは0.20台半ば近辺で推移するわ、カレント3か月FBは引け全力オファー状態だわと、これで来週の3か月TB入札どうなのよという感じであります。まあ月末抜けてどうなるのかは知らんけど、今の雰囲気は(月曜か火曜辺りから変でしたが)宜しくなく、この調子では中々これは寒いものを感じますなあという所でありまする。


○FOMC関連

これはあたくしの備忘メモモードであります。昨日ご紹介したこれですが。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090128a.htm

長期国債買入のロジックのあたりのメモでして、昨日の再掲ですけれども。

『The Committee also is prepared to purchase longer-term Treasury securities if evolving circumstances indicate that such transactions would be particularly effective in improving conditions in private credit markets.』

この背景って12月のFOMC議事要旨(Minute)ではこのような論点になっていました。

『Specifically, participants discussed the merits of purchasing large quantities of longer-term securities such as agency debt, agency mortgage-backed securities, and Treasury securities.』

『The available evidence indicated that such purchases would reduce yields on those instruments, and lower yields on those securities would tend to reduce borrowing costs for a range of private borrowers, although participants were uncertain as to the likely size of such effects. Participants also generally believed that the special liquidity and lending facilities implemented or announced recently would support the availability of credit to businesses and households and thus help sustain economic activity.』

この時には「レート低下で民間信用のコスト低下」と「流動性供与で市場のアベイラビリティ確保」ってロジックを出していまして、じゃあ財務省証券を買うのはどっちなのですかという話になると、長期金利のベースレートを低下させることによって信用市場の環境を改善させるって話になるんでしょうか。

一方でリッチモンド地区連銀のラッカー総裁が反対票を投じてまして(すいません見落としてました)。

『Voting against was Jeffrey M. Lacker, who preferred to expand the monetary base at this time by purchasing U.S. Treasury securities rather than through targeted credit programs.』

米国財務省証券を買い入れることによってマネタリーベースの拡大を図るほうが適切ですと主張していまして、こちらの主張の方があたくし個人的にはしっくり来る長期国債買入理由ですわな。「金利押し下げの為に長期国債買入」ってのはちょっとさすがに無理筋ロジックじゃねえのか(市場がどっかで大反乱状態になるの
ではと思うのです)って感じがしますけどね。

関連記事がロイターに出てましたのでそちらもご参照。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36157120090129

同じ「米国財務省証券を買う」という結論であっても、話でも、BOEのキング総裁流にすれば(http://www.bankofengland.co.uk/publications/speeches/2009/speech372.pdfの8ページ目とか本石町日記さんのhttp://hongokucho.exblog.jp/10265859/をご参照下さいませ)、バーナンキ議長が言う長期国債買入は「unconventional unconventional measures」であり、ラッカー総裁の言う長期国債買入は「conventional unconventional measures」という事になるんでしょうな。

・・・・・もはや禅問答の世界ですが(^^)。

#今週投入された各種ネタは積み残しになっちゃいました(><;












2009/01/29

お題「昨日の続きとかFOMCとかFBが流れた話とか」

では昨日の続きから。

○金融環境の認識とかCP買い入れに関する議論とか

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g081219.pdf

CPの買い入れを決定しましたという議論の部分から。

『委員は、現在の情勢を踏まえると、年度末に向けて企業金融が一段と逼迫する可能性があることから、一段と踏み込んだ企業金融円滑化措置が必要との認識を共有した。その上で、委員は、CP の買入れを時限的に実施する必要があるとの見方で一致した。』

ということで、その理由。

『ある委員は、C P を金融機関から買い入れることは、その分だけ、金融機関の資本制約が緩和されることになるため、現在、貸出姿勢が厳しくなっている中小企業などへの貸出が増加することも期待できると述べた。その上で、この委員は、この効果は金融機関の行動を通じて発揮されるため、日本銀行の政策意図を金融機関と共有することが重要と述べた。』

ま、微妙に強引な部分もあるけど、「CP買入で大企業だけ救済するのか」というような批判に対する理屈的な反論としてはこうなりますという話でござんす。

『複数の委員は、日本銀行がC P を買い入れることが呼び水となり、C P 市場の流動性が高まるという効果も期待できると述べた。一人の委員は、日本銀行のC P 買入れは、C P 市場の価格発見機能にもプラスの効果を与えると付け加えた。』

まあそうですかね。

『委員は、中央銀行が個別企業の信用リスクをとる政策に踏み込むことは異例のことであるとの認識を共有した。また、多くの委員は、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保する手当てが必要と述べた。こうした議論を経て、委員は、信用リスクをとる政策について、どの範囲でどの程度の期間行うことが必要かつ適切か、また、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保するために、政府との関係も含めどのような対応が必要か、といった点から検討する必要があるとの見解で一致した。』

ま、ここで述べられている話をもうちょっと身も蓋も無く解釈しますと、「政府は日銀にやれやれ言うだけで、いざとなったら梯子外す攻撃をしないようにね」って事でしょ。まあつまり、CP買ったら発行体がお父さんになってしまった(今後もし社債買うとなったら益々問題が発生しやすくなる)時に急に政府というか政治サイドが逃げモードになってしまい、「日銀が勝手にやりやがってケシカラン」みたいな話になったら適わんがなって所なんでしょうと勝手に解釈しとるんだが。

FRBみたいに中央銀行が財政政策やってる状態に出来るのは、政府とのがっちりとした提携(品の無い言い方をすれば「握り」)が出来ていて、いきなり「うちは知らん」攻撃が出ない事というのが重要だと思われますのでね(従って財政政策やる主体と金融政策やる主体の握りが出来ないユーロエリアは中々しんどいですねという話になるのですが)。

で、その金融環境の政策委員の認識ですが。

『わが国の金融環境について、委員は、全体として、厳しい方向に急速に変化しているとの見方で一致した。』

さいですな。

『複数の委員は、信用スプレッドの上昇によって、C P ・社債の発行金利が上昇しているほか、銀行の貸出金利も幾分上昇している可能性があり、このところ、企業の資金調達コストは強含んでいると述べた。企業の資金調達環境について、何人かの委員は、C P ・社債の発行減少が続いているほか、企業からみた金融機関の貸出態度は、12 月短観で、大企業まで「厳しい」超となるなど、アベイラビリティの面で厳しさを増しているとの認識を示した。また、複数の委員は、C P ・社債の発行環境が悪化する中で、金融機関は大企業向け与信を増加させており、金融機関の資本制約のもとで中小企業金融を巡る環境が悪化していると述べた。』

ということで、まあこの辺りは12月の声明文および金融経済月報で指摘されていた話と同じですな。当たり前ですが。

『こうした議論を経て、委員は、企業の資金調達環境は一段と厳しさを増しており、低金利の効果が、実体経済に浸透しにくくなっているとの認識を共有した。』

だから10月にさっさとやっておけば良かったんですけど、どうもこの部分に関してはお得意のフォワード・ルッキングで早期対処して欲しかったですね。市場なんてもう動き出したらあっという間に暴走しますから。

#景気認識の話とかもありますが、まあ月報などでも触れましたのでパス


○FOMC声明文より少々

昨晩のFOMCですが、あたくし当然ながら朝起きてから斜め読みでござるの巻なので本当の本当に簡単に。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090128a.htm

なお前回はこちら
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm

・何となく時間軸みたいなものを明記(何のこっちゃ)です。

何となく時間軸が最初の所に出てきましたね。第1パラグラフの2番目の文ですね。

『The Federal Open Market Committee decided today to keep its target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent. The Committee continues to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for some time.』

前回はこの2文目が無くて、こうなってました。

『The Federal Open Market Committee decided today to establish a target range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent.』

まあこのfor some timeちゅうのが時間軸になるんかいという話はあるのですけれども、景気先行き見通しやら現状認識が「悪化」の方向であれば一応時間軸にはなるという所でしょう。でも、こーゆー何となく時間軸だと、景気認識的に底打ち感が出てくるとあっさりと時間軸がぶっ飛んでしまうのは2003年の日本を見ればお分かりの通りでございます。結局あの時は改めて時間軸のコミットメントみたいなのを出してその場を収拾する破目になりましたわな。さて米国はどうなるのでしょ。


・デフレ懸念みたいなのに関して

第3パラグラフが今回の声明での物価の話。第2文に注目。

『In light of the declines in the prices of energy and other commodities in recent months and the prospects for considerable economic slack, the Committee expects that inflation pressures will remain subdued in coming quarters. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term.』

ただまあこの議論は先般ご紹介した12月の議事要旨で同じ話がありましたので、市場的にはそんなにサプライズじゃなかったのではないかなとは思います(米債はそんなに詳しくないから知らんが)けど。ちなみに当該部分は前回こうなってました。

『Meanwhile, inflationary pressures have diminished appreciably. In light of the declines in the prices of energy and other commodities and the weaker prospects for economic activity, the Committee expects inflation to moderate further in coming quarters.』


・長期国債買入はとりあえずチラリズムで(^^)

『The Committee also is prepared to purchase longer-term Treasury securities if evolving circumstances indicate that such transactions would be particularly effective in improving conditions in private credit markets. 』

長期国債の買入でprivate credit marketsの環境を緩和するっていうのも何というか凄い理屈ですけれども、まあ米国と日本ではその辺だいぶ違う(日本の場合は何気に長期よりも中短期に近い金利に連動するローンの方が多かろう、と思う)のかも知れませんけれども、「財政マネタイゼーション」とは言いませんでしたな。いやあのバーナンキ先生ですから当然ながら「インフレ期待を改善させるまで長期国債の買入をする用意があります」って話をするのかと思ったのですけどねえ(^^)。

んでもって、今回はprepared to purchaseということで具体的なスケジュールやらスキームは出てきませんでしたが、つまり「長期金利が上昇しだしたらこのカードを切りますよ」と伝家の宝刀をチラリズム状態にすることによって、長期金利上昇を牽制しましょうってことなのですかな。前回はこんな書き方です。

『The Committee is also evaluating the potential benefits of purchasing longer-term Treasury securities.』

ま、チラリズムでどこまで引っ張れるのか楽しみであります(^^)。


○3か月FB入札が流れて債券先物がビックリした(???)件に関して

昨日は3か月FB(政府短期証券の最終回)入札がありました。

1月から3か月FBの発行額が従来の週4.5兆円から週4.8兆円に増えてちょっと荷もたれ感がある所に来て、来週からは週5.1兆円に増額ということで、兆円の数字が増えてしまうというのも何かこう重さを感じる次第で、入札前からせっせと調整して前場の引けでは既に0.275/0.28で入札を迎えました。

で、その結果が0.2887/0.2992と思いっきりロンバートに接近というレートになり、まあ流れたけどとりあえず30で止まったねという感じでしたが、その結果出た直後に債券先物がいきなりストンと下がったのはこの結果にビックリしたんでしょうか、よー知らんけど。その後暫くは平均オファーだったみたいですけど引けに掛けて持ち直しで0.28%の引けになってましたので、一応止まりどころで今回は止まりましたねという感じでしょうか。

このFB、今月の最初の入札では0.1789/0.1825だったので、3週間の間に華麗に上昇した格好なのですけど、まあそもそも今月最初の入札時点が年末年始の発行端境期+年末年始対応の資金供給が余った時期に当たっていたというのがあるので、まあそれは下げすぎだったのかもしれませんけど、一方でGCレートとかオペのレートとかも0.20%台で高止まりしているので、そっちも足を引っ張る格好。

GCに対して自然体なのか押し下げようとしてるのかが微妙に良く判らん調節というのもありまして(マーケットちゃんとしましては、時々やたら配慮したような細かいオペあり、かと思えば自然体の放置プレーオペありと、どうもどっちだか判らんというのが印象だと思います)、何だかちょっと右往左往みたいな面もありますけど、FB(来月から短期国庫債券なのでTBですか)が絶賛増発されているというのが徐々に効いているという感じなんでしょう。来月からは3か月TBの償還対比の増発額が6000億になるので、もうちょっと逼迫感が出てくるのかもしれませんね。まあ所詮は国債ですからレートを調整すれば解決する話で、アベイラビリティがどうのこうのとか信用スプレッドがどうのこうのというヤヤコシイ話ではないですけどね。

来週の入札時には積み期間も後半になるし、月末とか税揚げとか資金繰り読みにくいからGCの資金そんなに先日付でホイホイだせないよと言ってる人の状況が変わっているとは思いますが、増発されて5兆円の大台乗せになった3か月TBちゃんと捌けるのかは気にしておきたいと思います。

・・・・ところで、余談の類になるんですけどね、こっから円売り介入をするとかいう話になりますと益々TB(今はFB)が増発されるのですけれども、現状でこの有様なのにどうなのよという論点とか、昨今の埋蔵金ブームで「財源は埋蔵金」っての大流行なんですけど、TBの発行が着実に増えているということは、そりゃまあ会計上の利益(というか剰余金ですか)はあるのでしょうけれども、キャッシュフローとしてそこに金があるのは別問題という雰囲気が大変に香ばしく漂って参りますけれども、埋蔵金財源で真水を出されたらまたTB増発ですかそうですかという感じなんでしょうかねえ、いやはや。












2009/01/28

お題「しつこくCPの話/12月18、19日決定会合議事要旨より」

まずは昨日書いたCPレート公表に関する補足を。

○レートがまともに透けて見える事は無いようですが・・・・

珍しくパブコメスルーで今般いきなり実施となった(短期市場フォーラムとかで検討したというのは判るが、その時と今は事情が違うと思うのですけどねえ)CP出合いレートの公表ですが、昨日あたくし「発行繁忙日じゃない時なんかだとうっかりすると発行体の条件バレバレになりますがな」という話をしましたですが、さすがにこれは避けられそうです。

と申しますのは、日銀の公表文にはそこまで詳しくは書いて無かった(と思う)のですが、出合いの平均レート公表という趣旨からしまして、発行が1社しかなかったようなケースですとレートの公表は行われないようですな。ちょっとだけ安心しました。

とは申しましても、CPって個別発行体にとってのオーダーメイド的な性格がより強いもの(資金繰りなのですから)でして、逆に投資家の方も短期資金運用の事情(大口の入出金が確定してるとか)によって償還日や発行日が1日違うだけで全然ニーズが違ってくるようなケースも多々あるモノでして、GCレポ取引みたいなある程度定型化されているもの(でもやっぱり色んな個別事情でぶれますが)とはまた違う金融商品でございまする。

そーゆー商品の出合いレートを実質的に取引が全部集中されているほふりが個社名出ないとは言え、堂々集計して公表して良いものなのでしょうかという点はちょっと何だかねえ感があるのですけど(そんなの別に公開しないで日銀だけ把握しておけば良いじゃんという感じですけどねえ・・・)。

つまり、昨日も申し上げましたが、CPというのは基本的には私募形式で発行されているものでありまして、公募発行していない事の意味を考えた方が宜しいのではないかという話ですわな。「透明性の向上」というのが何か錦の御旗みたいな扱いになっているのですが、もともと私募発行という事になっているのはそれなりの理由がある訳でして、CPの場合で言えば、あたくしが思うに、上記したような個別事情によって色々なケースがある金融商品なので、公募形式よりもより機動的かつ個別対応のしやすい少人数私募発行をしているという事ではないかと。然るに、あたかも錦の御旗の如く「透明性向上」を持ち出して少人数私募発行されている取引を、集計値とは言え、日々細かに公表するというのは、CPの商品の法的な建て付けを形骸化する畏れがありませんですかねえ。と思うのですけど。

なお、あたくしも何となくCPレートの話をしてますし、情報ベンダーなどでも発行レートがどうのこうのと割と話は出るんですけど、あれって全て「市場推計」の話でして(従いましてあたくしがCPレートの話をするときはおおまかな話だけで基本的に個社の条件がわかるような具体的な書きかたはしないようにしてますし、やや具体的な数字らしきものが出る時ってのはどっかのプロ向け情報ベンダーやらプロ向け市場レポートで出た後付けのお話でございますので念の為申し添えます)、まあそういうベースのファジーなお話なのですよね(私募だから別に世間に公表する義理は無いので表に出ない発行だって沢山ある、と思う)。然るに、ほふりがCP発行レート公表って事になりますと、この人は実質的に取引のほぼ全てを把握しているのでありまして、出てくるものも正真正銘マジレートとなりますので、これはやはりどうなのかと思うのでございます。

本当に透明性向上云々が然るべきものだと言うのであれば、そもそもCPを公募発行で行うべきとか、まあそういう根本的なお話をして頂きたいと思うのでありますけどね。なし崩しみたいなのは如何なものかと。

#何でもかんでも「透明性向上」するなら通常の政策委員会も含めて全部ライブ中継くらいして欲しいものですな(=ただの悪態)

あとね、これまた昨日の繰り返しになりますけどね、こーゆーの公表することによって市場のボラティリティって基本的に上がる方向になるんですよ。その学問的理由は無学のあたくしにはさっぱり判らないですが、市場の片隅でささやかなポジションを持ってきゃあきゃあ言いながらメシ食ってる経験値はそのように申しておりますです、はい。で、まあそういう性質がある施策を危機モードに出すっていうのはタイミングどうなのよと。昨日なんか金融ファクシミリ新聞が「BIS規制の一時凍結を検討も」みたいな記事出してましたけど、まあ流れって今はそっちのほうでしょ??

ま、本件に関しては透明性向上を進めて本来公募発行で行えば市場がもっと拡大するのではないかという論点もアリだとは思いますけどね。



○12月19日会合より:金融政策運営に関わる部分だけで恐縮ですが

CP話かいてたら思わず長くなってしまったのでサラサラと(多分明日に続く)。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g081219.pdf

本文9ページから15ページのあたりです。

・利下げ反対論と市場機能

野田審議委員の意見ですな。

『一人の委員は、現在の政策金利の水準は既に極めて緩和的であり、0.1% への利下げは、景気刺激策としての効果が限定的である一方、金融機関が資金を市場に放出するインセンティブが低下し、市場取引が不活発になるため、市場機能が大きく損なわれるリスクが高いことから、現在の水準を維持すべきとの意見を表明した。』

白川総裁のいう「市場機能」を突き詰めるとこういう話になるのでして、やはりあたくし思うに「市場機能」論ってのは危機脱出するまではあまり持ち出さない方が良いのではないかなあと思いました。利下げの反対理由を見るとそのあたりがなお良く見えてくると思いますので引用。

『野田委員は、@ 市場機能の低下が問題となる中で、それを大きく減じることは不適切であること、すなわち、市場機能を維持するためには、補完当座預金制度の適用利率、およびその政策金利とのスプレッドを一定水準以上にする必要があり、0.1% への利下げが行われると、両者間のスプレッドが確保されないため、金融機関が資金を市場に放出するインセンティブが損なわれ、市場取引が不活発になるリスクが高いこと、A 現在の政策金利の水準は既に極めて緩和的であり、0.1% への利下げは景気刺激効果が限定的な一方、市場機能の低下というデメリットが大きいため、むしろ、高止まりを続けているターム物金利に働きかけることが適当であることから、反対した。』

で、1番にあるのは「市場機能」という論点からすればまさにその通りとしか申し上げようが無いのでして、まあ要は市場機能という話を全面に出すと話がややこしくなるから止めましょうね白川総裁(はぁと)という所でしょうな。

で、この2番のところも注目なのですけど、実は野田審議委員は単純に利下げ反対しているのではなくて『高止まりを続けているターム物金利に働きかけることが適当である』と言ってまして、金利下げることに関して単純に反対してる訳ではないのですね、というのは判りました。


・補完貸付金利と市場機能

補完貸付金利0%(要は付利撤廃)を主張したのは水野審議委員。

『水野委員は、先行きターム物レートへの働きかけを強める可能性もある中、必要に応じて潤沢な資金供給を行うと、無担保コールレート( オーバーナイト物) に低下圧力が生じるが、自然なレート形成を損なわないために、この際、付利水準は0%とするのが望ましいとして、反対した。』

これまた「市場機能」論を詰めますとこうなるというのと、将来のターム物誘導をする時には恐らく資金をジャンジャン出しますよ攻撃になる筈だから、足元金利をゼロまで下がるようにしておいたほうが良かろうという話ですね。

とまあそういう事で、市場機能論を散々言ってるのですけど、今の政策の建て付けで市場機能というのも何か無理があるんですよねという所なんですよね。


・金融緩和をどう行いますかという話

検討の概要の最初の部分から。

『一人の委員は、政策運営の考え方として、@ 現在は、企業金融の目詰まりを解消するための対応を進める必要があること、A 政策金利を引き下げるかどうかについては、企業金融が目詰まりを起こしている中での効果と市場機能低下というデメリットの両方の観点から考える必要があることを指摘した。』

結局ね、10月末のところで超過準備付利の話がやたらクローズアップされちゃって、そこに利下げが入ってしまう事によって、企業金融目詰まり対策が出遅れてしまったというのが問題をややこしくした原因だと思うんですよね。結果を見れば極端な話利下げよりもCP買入を先にやっていた方が、実質的な緩和効果が先に出てたでしょという事ですわな。

『金利引き下げの効果について、ある委員は、10 月末の政策金利引き下げにもかかわらず、インターバンクのターム物金利はむしろ上昇しており、今回、更に政策金利を引き下げたからといって、カウンターパーティ・リスクへの警戒感が強い中で、ターム物金利が大きく低下するとは限らないと述べた。』

このとき利下げだけだったら確かにそうでしたわなという所です。

『この点について、別の委員は、0.1% への利下げよりも、高止まりを続けているターム物金利に働きかける方が望ましいとの認識を示した。これに対して、何人かの委員は、企業金融円滑化措置とセットで政策金利を引き下げれば、金利引き下げの効果が実体経済に波及しやすくなり、効果が見込まれると述べた』

まあそういうことで。


・今後の方向性ですけど

先行きの金融政策の運営についての議論部分をまともに引用。

『まず、政策金利の引き下げ余地について、何人かの委員は、0.1% が市場機能を維持するぎりぎりの水準との見解を示した。』

『一方、ある委員は、経済情勢が今後一段と悪化する可能性が高い中で、政策金利を0.1% から更に引き下げる選択肢も排除すべきでないとの見方を述べた。』

ほっほー。

『政策金利の引き下げ余地が乏しい中での追加的な政策対応について、ある委員は、今後は、より長めの金利への働きかけや企業金融円滑化措置に重点を移していく必要があると述べた。何人かの委員は、ターム物金利が高止まっている状況を踏まえると、ターム物金利への働きかけを強めることが一案になると述べた。』

で、具体的にどうするのかが見えないのが実にこうアレなのですが(一番簡単なのは指値オペをタームで打てばよいのですが、その場合市場機能というのはもう寝言になってしまいます^^)、水野審議委員の先ほどの意見が一つの参考に。要するに明示的なゼロ金利をするかどうかは兎も角として、資金供給を増やして量的緩和状態にするというような感じなのでしょうかね。

ま、それは良いのですが、何故か現在のオペレーションがGCレポレートをあまり下げないような運営になっているのは何なんでしょと軽く悪態ついて時間の都合上本日はこの辺で明日に続くでござるの巻。











2009/01/27

お題「遅れましたが決定会合/日銀から出た短期関連の話を少々」

○今更ですが決定会合での経済見通し関連をサラサラと

金融経済月報の話もしないといかんのですが、まあ今更でありますので、とりあえず今日は声明文の比較と展望レポートの中間レビューから参りましょ。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090122.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081219.pdf(前回)

当面の金融政策運営について(12月は「金融政策の変更について」ですが^^)という最初のところですけれどもにゃ。

『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。』(1月)
『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。』(12月)

輸出が「大幅に」減少とグレードアップ(というかグレードダウンですが)ですね!


『金融環境をみると、厳しさが増している。』(1月)
『金融環境をみると、全体として厳しい方向に急速に変化している。』(12月)

金融環境は益々悪化となってます。まあ企業のキャッシュフローが悪化していますという話でしょう。でもまあCP発行市場とか、ターム物金利の動向という意味で言えば、マーケット面だけで言えば12月の方がしんどかったですね。まあこのあたり詳しくは月報全文を見たほうが良いです。


『これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い。』(1月)
『これらを背景に、わが国の景気は悪化しており、当面、厳しさを増す可能性が高い。』(12月)

大幅悪化だわ今後も悪化と、ナムナム。


『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、春頃にかけては、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。』(1月)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もと+2%程度となっているが、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(12月)

展望レポートの時点(10月)には片足マイナス予測でしたが、今回の見直しで思いっきりマイナスの世界に入りましたね。

『景気・物価の先行きについては、2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009 年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。こうした下で、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高い。』(1月)

『経済・物価の先行きについては、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく、との見通しに関する不確実性は高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、わが国経済の回復に向けた条件が整うには、相応の時間を要するとみられる。』(12月)

回復に関連する表現の変化が泣けますよね。12月は「わが国経済の回復に向けた条件が整う」という書き方だったのが1月「物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓ける」となってまして、回復の文言も無いですかというお話で(涙)。

で、その次がリスク要因ですが、こちらは比較じゃなくて前回対比増えた分ということで、今回増えた分は以下の通りでありまする。

『企業の中長期的な成長期待が低下し、設備や雇用の調整圧力が高まることを通じて、国内民間需要が一層下振れるリスクもある。』

『金融環境が厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高まり、金融と実体経済の負の相乗作用が強まる可能性がある。』

『この場合(引用者追記:物価が下振れた場合)、企業や家計の中長期的なインフレ予想が下振れるリスクに注意する必要がある。』

ということで、まあ下げまくりですわな。金融環境云々は何か証文の出し遅れ感があるのですけれども、まあ今回企業金融関連の施策を出したからってことなんでしょうね。


で、展望レポートの中間レビューの部分ですが、2010年の見通しで何とか明るくしていますが、来年度の数値は物価も成長率もマイナスという事になりますので、これはまあ普通に考えて来年度は金融政策は緩和的に推移させるしかないでしょという所かとは存じます。思いっきりマイナスの数字がでまくっているのが今回のポイントだと思います。

#と、ざっとで恐縮でございました


○短期市場レポートが出ました

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/ron0901a.htm
わが国短期金融市場の動向と課題
――東京短期金融市場サーベイ(08/8月)の結果とリーマン・ブラザーズ証券破綻の影響――

本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron0901a.pdf

えーっと、これは中々の大作でありまして、中々の大作なだけにまだ実は全部読めていない(ちょっと忙しいもんで)ので、詳しくはまた改めてですけど、HTMLの方から少々。

『日本銀行は、わが国短期金融市場の機能向上への取組みの一環として、2007年8月以降の1年間を対象に、サブプライム住宅ローン問題が深刻化する中での短期金融市場取引の動向や参加者構造の変化と、同市場の諸課題への取組み状況を点検するため、「東京短期金融市場サーベイ」を実施した。』

ほうほう。

『また、同サーベイ実施直後の2008年9月中旬に発生したリーマン・ブラザーズ証券の破綻について、市場参加者への追加ヒアリング等を通じて得られた情報をもとに、破綻直後の短期金融市場への影響のほか、とくに市場機能が大きく低下したレポ市場について今後の検討課題を取りまとめた。ポイントは以下のとおりである。』

ということでポイントが並んでいるのですが、ちょっと微妙だなと思ったのは、市場動向の計数関連の部分が2008年7月末というマーケットがグチャグチャになる前の話になっているので、前半と後半で別世界の話になっている所。HTMLのまとめで言えば4番目までが昨年7月末までのレビューで5番目がその後の話になっておりますので、中身読まないで見出しだけ読むと勘違いしそう(勘違いするほうが悪いと言えばそれまでですけれども)な所っすな。

で、その見出し見ててちょっとあっちゃーと思ったのはこの辺ですかね。

『3.レポ市場については、引続き増加したGC取引では、T+0やT+1スタートの取引やターム物の取引が拡大するなど、前向きな動きもみられた。』

で、ターム物の方は良いのですが、手前スタート取引の方でありまして・・・・・

いやまあ平常モードだとこれでも良いのですけれども、そもそも証券決済がT+3で動いている中なので、証券決済によって生じた資金繰りの尻をあわせるという意味で言えば別にT+0やT+1が増えなくても良い話で、手前の取引が増えて結構という認識は「有担保資金取引市場」という面を重視してると思うのです。で、その市場を育成するという面も考えて、オペも工夫していたと思うのですよ。

『また、翌日物取引をみると、取引の中心であるT+2 スタートが増加した。この間、T+3 スタートの取引が減少する一方、T+1 やT+0 スタートの取引が着実に増加した。T+1 やT+0 スタート取引の増加の要因として、日本銀行の資金供給オペレーションが、T+1 スタートで安定的にオファーされるようになったことを指摘する先が多い。』(これは本文の10ページです)

さっきも言ったように、平常モードだとこれでも良いのですけど、いざ金融市場にストレスが掛かって資金繰り確保に市場参加者が走り回るという状態になりますと、当然ながらショートファンディングよりは早めに資金を確保しようとなりますから、証券決済のT+3の尻が固まった時点から資金確保をするインセンティブが生じる訳ですよ。

然るに、危機モードにおいても、T+0やT+1の取引が活発化するのが「前向きな動き」という認識のままで資金供給オペの運営を行っておりますと、当然ながら資金繰り確保をしたい市場参加者との間にギャップが生じちゃう訳ですな。

10月以降の資金の逼迫感が高まりに対して、GCレポレートの上昇を抑える為にもうちょっと先日付スタートの資金供給したほうが良いのではないかと、あたくしも何度も指摘したと思うのですが、中々先日付オペのオファーが出なかったのはこの辺りの認識から、あまりT+2以降の先日付モード資金供給を出したくなかった(出すと折角増えたT+0やT+1取引がT+2やT+3に食われちゃうから)のかなあなどと大変に意地の悪い事を思いましたです。

え、意地が悪すぎですかね(苦笑)。

もっとちゃんとしたレビューは追々。



○やるなら市場が落ち着いてからではないかと・・・・(CPレート関連)

暫く前に金融ファクシミリ新聞で報道されてて、これは発行体が文句言って流れるでしょうと思ってたら何と表に出てしまいましたのでビックリの巻。

http://www.boj.or.jp/type/release/nt_cr09/re0901b.htm
CP平均発行レート統計の拡充に関する証券保管振替機構との合意について

業種と格付けと期間の区分で割と細かくレートが公表されるとの事ですな。

えーっと、さっきの短期市場レポートの本文の頭の方に、本件に関しての話も書いてありましてですな、思いっきり本文1ページ目なんですけどね。

『I. 東京短期金融市場サーベイ

1.短期金融市場の機能向上への取組みとサーベイ実施の狙い

日本銀行では、2006 年3月の量的緩和政策解除後の短期金融市場の自律的な機能向上プロセスを支援・促進するため、2007 年2月から約半年間のプロジェクトとして「短期金融市場の機能向上への取組み」(以下「取組み」)を推進した。同プロジェクトでは、主として実務的な視点から、短期金融市場における課題の洗出しを行うとともに、早期に対応が可能なものについては順次実現を図ってきた。』

で、途中を端折りまして、その結果として今回の施策が出ましたと。

『また、市場に関する情報を更に充実させるため、証券保管振替機構や市場参加者の協力を得て、CP 発行レート統計の見直し(本年秋を目途に実施予定)に取組んでいる。』

・・・・・・・うーむ。


えーっとですね、この件に関しては去年の7月に実施した東京短期金融市場サーベイの結果を受けたことなのか、それとも量的緩和解除後の「取組み」の結果を受けてのことなのか存じませんけど、どちらにしてもCP市場がおかしくなる前に企画された話を、オペ効果によって回復に向かいつつありますけれども、まあ市場が変になった後に通常運転状態で実施するのってどうなのよという気が思いっきりするのですけれども。以下理由をつらつらとあまり整理しないままに。

#いやまあ実施予定の今年の秋に企業金融関連の市場が完全回復していれば杞憂でして、当然ながらその方が良いのは言うまでもありませんが

・CPは少人数私募発行しているのですがという論点

まあ確かに個社名は出てこないと言ってしまえばそれまでですが、CPってのは別に国債市場みたいなのと違いまして、定例的にいつも均等に発行が出る訳ではないので、うっかりすると個別の発行条件がモロに判ってしまう惧れがございます。いやまあ公募発行している債券などだったらそれが当然なのですが、CPは少人数私募で発行しているという法律上の建てつけがありまして、あくまでもプロ同士の相対の世界で運営という話になっております(ので、随時に相対で発行されているような発行体あるいは投資家にとってオーダーメイド的なものも当然ながらある)。それを場合によっては個別の発行条件が透けて見えてしまうような細かい公表をするというのは、何のために少人数私募形式の法律上の建てつけにしたのかという趣旨にそぐわないのではないかと思われるのでありますが。


・個社別のレートが開いている時に出すのはどうなのかという論点

ま、上記の話は「でもやっぱりこれは公募でやるべき」という論点もありますので、まあ現状を是とした上での理屈なんですけど(笑)、それはそれとして、この話が最初に出た時と比較した場合、現在って個社別のレート較差がアホのように拡大している(オペ効果で改善傾向ですが)ので、その日の発行状況によっては同じ業種で同じ格付けの同じ期間でも、加重平均した出来上がりのレートが高かったり低かったりというような事態が生じるのではないかという気が物凄くするのであります。

そうなるとどういう話になるかと言いますと、レートが急に上がったり下がったりするような事態を見て、その度に「企業金融が逼迫した」だの「緩んだ」だの一々反応する人が出てきたりしますと、変なバックラッシュが起きる可能性これありという所でありまして、クレジット市場に変な悪影響(スプレッドのボラを増幅する装置になるとか)与えるとか、それこそ下手すると個別企業のネームまで出てきてややこしい事になりかねませんがなという懸念なのであります。

#例によってあたくしお得意の懸念のし過ぎだと思いたいのですが、リーマン飛んだ時にレポ市場で法律的な問題が思いっきり発生したことを思います(この件は前々から悪態ついておりましたんですよ)と、危機の時には何が起きるか判らんと思わナイト。

また、当然ながらこの数字が出ることによって、まあもちろん時価でも何でもないとは言え、日銀の肝いりでほふりが出した出合いレート集計となりますと、それなりにオーソライズされた数字と見做される訳でして、その数字が何となく時価みたいなイメージになったりするような、数字一人歩きリスクもあるかと。

で、今申し上げたように日によってレートが上がったり下がったりとなりますと、実際問題としては全然そうじゃないとしても「CPってのは結構時価が乱高下するもんだ」というような話を判らん人たち(またの名を会議が好きな偉い人^^)はするのでありまして、「買って償還まで持ち切り」という本当の意味での最終投資家からしますと却って投資しにくくなるという懸念(杞憂とも言う^^)もあるのですよね。保有期間中に妙に乱高下するマーケットってのは持ち切り前提の投資家的には入りずらいもんですから。


ということで、他に論点がありそうな気がしますけど、この施策ってのは少なくとも市場が正常化する前に出すのはちょっと何だかねという感じがしますがどうでしょ。











2009/01/26

お題「総裁記者会見より、引用大増量でどうもすいません」

まずは総裁記者会見。当たり前ですが今回も長いです。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0901a.pdf
今回は切り貼りしまくったので総裁発言の引用に要旨の何ページ目になるかを入れました。

○最初の説明でいきなり3ページもあります

最初に総裁の説明があるのですけれども、今回は決定事項がたくさんあったので説明が長くなっています。で、その部分から少々。

・社債買入と投資法人債に関連して

『今回の検討の結果、社債市場の機能が足許にかけて大きく低下しており、こうした状況が企業金融全体の逼迫につながっていることを踏まえ、残存期間1 年以内の社債の買入れについて、実務的な検討を進めていくことを、議長として執行部に指示しました。』(2p)

理由は市場機能の低下という奴で、これはまあ最近の中銀のトレンドでございますわな。

『第3に、不動産投資法人、いわゆるJ-REIT の発行する投資法人債など、J-REIT の債務を適格担保とすることを決定しました。これは、J-REIT が、わが国証券化市場の重要な構成要素である不動産証券化市場の主要な担い手であり、J-REIT が発行する投資法人債などの債務が相当の規模に達していることを踏まえた措置であります。』(2p)

それは重要なな理由ですねえ(棒読み)。


・展望レポートの中間評価

『まず、中心的な見通しを述べると、景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高いということです。物価面では、生鮮食品を除くベースの消費者物価の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足許低下しており、春頃にかけては、需給バランスの悪化も加わってマイナスになっていくとみられます。』(3p)

景気は悪化で物価はマイナスと。

『さらに2010 年度までの中心的な見通しとしては、世界経済の見通しにも大きく依存しますが、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009 年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿を想定しています。こうしたもとで、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高いとみています。』(3p)

「持続的成長経路へ復していく展望が拓ける」とかこれまた残念な表現でありますけれども、まあ下げたメインシナリオもかなり怪しいですねという状況ですな。

で、リスク要因で新たに加えたものは何かと言いますと。

『リスク要因については、景気面では、世界的な金融情勢や海外経済の動向に加え、新たに、中長期的な成長期待の低下に伴う設備や雇用の調整圧力、金融と実体経済の負の相乗作用、の2点を指摘しました。物価面では、景気の下振れや国際商品市況が下落した場合に加え、企業や家計の中長期的なインフレ予想が下振れるリスクを新たに指摘しています。』(3p)

物価のリスクもまあ微妙に本格デフレ入りリスクでして、中々アレですわなあ。


○デフレ入り見通しではないと仰せですが

で、その見通しはデフレ入りという話ではないかという質問が最初に来るのですが、その答えから少々。

『デフレという言葉は、いつも申し上げている通り、物価の下落という意味なのか、あるいは資産価格の下落という意味なのか、あるいは景気が悪いということを言っているのか、その辺りを明らかにしないと議論が混乱すると思います。』(4p)

はあ。

『物価の下落という意味で申し上げると、物価の下落が景気の悪化につながり、それがさらに物価の下落につながるという、いわゆるデフレ・スパイラルが起きるかどうかということが懸念すべき最大のポイントだと思います。』(4p)

まあそりゃそうです。

『その際、最も重要な判断材料は、中長期的にみたインフレ予想、先行きの物価上昇率の予想、あるいは中長期的にみた日本経済の成長率がどのようになっていくのかという点だと思います。現在のところ、そうした中長期的な物価上昇率の予想が大きく変化したという感じは日本経済についてもありませんし、世界経済についてもありません。』(4p)

で、この後にはこの予想が変化するかどうかを見ていく(さっき述べていたリスク要因ですよね)のを注視するとは言ってますが、しかし日銀の向こう2年位における物価の予想が前年比マイナスになっていて、世間の中長期的な物価上昇率の期待が変化しないと見るのも何だかなという感じはしますけどねえ。

それから後の方の質問で、「日銀はデフレスパイラル入りかどうかは別にして、一時的にデフレ入りを見てるんですよね」というのがありまして、そちらでの総裁の答え。

『まず、デフレに入ると日本銀行がみているかどうかということですが、何度も同じ話をして大変心苦しいのですが、デフレという言葉は非常に曖昧に使われる言葉だと思っており、私自身はデフレという言葉をあまり使わないようにしています。物価、生鮮食品を除くベースの消費者物価指数の下落がこのあと続くとみているかという問いですと、先程の政策委員の見通しの数字にも出ていますとおり、マイナスを予想しています。』(10p)

デフレという言葉を使いたくないのですね、判ります。

『ただし、マイナスということだけに着目した場合、日本だけではなく他の先進国でも今年の後半からマイナスになっていくという見通しが少なからずあります。その点からも、それから過去の日本や他の国をみても、物価上昇率がマイナスになる時期は極めて稀というわけではなく、時々起きているわけです。日本の場合でいうと、実はバブルの時ですら消費者物価上昇率はマイナスでした。』(11p)

何か微妙な言い訳キタコレ。

『問題は、物価の下落が原因となって更なる景気の悪化や物価の下落をもたらすかということです。景気が悪くて物価も下落しているということであれば、それは単に景気が悪いということであるので、物価の下落に固有の問題があるかどうかが重要だと思います。先程のデフレ・スパイラルの問題はそういう意味で申し上げたということです。』(11p)

微妙に煙に巻いているような気がしますな、うーむ。


○今後の金利政策について

「オーバーナイト・レートをここから下げても意味がないと考えているのか」という質問から。

『コールレートについては、現在、わが国のコールレートは誘導目標金利が0.1%で、現実のコールレートの平均も大体0.1%で推移しています。米国は誘導目標が0〜0.25%ですが、このところのフェデラルファンドレートの推移は、少し前までは0.1%前後、足許は0.25%くらいです。いずれにしても、日米のオーバーナイト金利は0.1%前後で推移しているということです。』(6p)

これはその通りです。

『前回のこの席でも申し上げましたが、ここまでオーバーナイトの金利が下がってくると、金融政策という観点から意味のある論点というのは、実質的には、企業が実際に資金調達する少し長めの資金の金利をどのようにして下げていくのかとか、量に関する安心感をどのように確保するのか、ということに移っていると思います。私が出席している海外の様々の中央銀行同士の会合でも、徐々に関心がそちらに移っています。』(6p)

それはそうだが、では10月以降の流動性対策出し遅れ攻撃やオープン金利上昇放置プレイは何だったのだと小一時間、というかそのせいでCPだけじゃなくて他のモノまで買えだの何だのという話に踏み込まされたんでしょうけどね。

で、この後に「つまり長期金利を押し下げるオペレーションをするのですね」という質問がありまして、それに対して総裁が追加説明しています。

『それから長期金利の話ですが、私の話が舌足らずで申し訳ありませんでしたが、要は短期金利がここまでゼロに近づいてくると、金融政策という面からマクロ経済への働きかけとして何が重要な論点になってくるかという意味で申し上げました。』(11p)

『CPも社債もそうですが、企業の資金調達に係る金融市場が充分に機能しておらず、その結果、景気が更に下押しされるという事態が大なり小なり起きているときに、中央銀行としてどう対応すべきかという意味で申し上げたわけです。』(11p)

ということで、クレジット面やらターム金利の問題という話ですが、それなら10月以降(以下同文^^)。

『長期金利という場合、それが社債の金利か国債の金利かということですが、社債の金利が国債の金利対比スプレッドが大きく乗っているという状態は、今申し上げた企業金融の問題に包含されるものです。』長期金利の中で、リスクフリーである国債の金利を政策的に下げていくこと──短期金利の誘導とは別にこれ自体を狙って下げていくこと──、この是非については、中央銀行によって色々な考え方があるだろうと思います。』(11p)

つまりFRBが提唱しているような話とは違うがなという所。確かにまあFRBの言うような長期国債買入で長期金利本当に下がるのかと言ったら、需給で低下してもリスクプレミアムの拡大で打ち消される懸念もありますからねえ。

『FOMC では、この問題について検討していくということが議事要旨で公表されましたが、そういう問題について考えている中央銀行は現にあるわけです。日本銀行自身は今、国債金利自体を下げていくことをターゲットにして政策運営を行っていません。あくまでも、短期金利をほぼゼロにし、そのもとで市場参加者は先々の景気や物価の弱さを見越した結果、現実に長期国債金利が低い状態で今推移しているわけです。我々にとってより重要な課題は、企業金融という面で量についての安心感を出していくことだと思っています。』(11p)

まあそれは判るのだが出遅れましたなという感じ。企業金融問題やる前に利下げ圧力が先に来てしまったというのは同情すべき点ではありますけど、それにしてもこういう話をしている割に動きが今まで宜しくなかったですよね。



○社債買入に関連して

金融商品買入に関する考え方を公表した件に反対した須田さんの理由ですが。

『まず、反対された委員は、社債買入れ検討を公表することは社債市場及び企業金融の動向からみて、時期尚早であるという理由で反対されました。』(13p)

つまり社債買入検討の公表に反対と。確かにまあ買入検討というのを公表すると、じゃあ実施決定ですね(東京新聞では思いっきりそういう報道してました)となる訳で、まあ正直申し上げてあたくしもこういう訳判らん「検討を公表」みたいなエエカゲンな事はしない方が良いと思います。

「買入検討を公表」という訳判らん動きになった背景理由は一応こんな感じらしい。

『一方、社債市場の機能は明らかに低下してきており、先々のこの市場の状況や経済の状況をある程度見通した上で、社債市場についても検討したほうが良いと判断したわけです。これは時限措置でありますが、必ずしも年度末対策だけではなく、もう少し長いものとして、検討したほうが良いとの判断であります。』(13p)

というか年度末対策にならんですが。残存1年以内だけ買うとかしても直接的には社債発行のお助けにも何にもならんのですけどね。そりゃまあイカレポジション外せるかも知れないと大歓喜してる人もいますけど。


○CP買入あれこれ

・政策の効果が出てますね

政策効果を定量的に出すとどうなりますかという質問に対して。

『今回のCP買入れの効果を定量的に示すことはなかなか難しいと思います。ただ、リーマン破綻以降日本のCP市場も急速に変調を来たしてきたわけです。振り返ってみますと、大企業が先々の資金繰りに不安を持つということは、98 年の金融危機の後、暫くありませんでした。特に、この4〜5年間は非常に緩和的な環境の中で、流動性や資金繰りについて懸念するという状況では全くありませんでした。それが突然手許流動性が枯渇するのではないかという恐怖にとらわれた状況になったわけです。』(9p)

『この先、経済・景気が大きく変化し、自分の会社の売上も急速に減少するかもしれず、そうなると資金繰りに対して非常に不安が出てくるわけです。統計学の用語で「テール・リスク」と言いますが、確率的には低いけれども、しかし起きた場合には損失が非常に大きいという、そういう事態が自分の身に降りかかるのではないかという恐怖心に駆られるわけです。CPというのは、そういう時にマーケットで資金を調達する手段でもあるわけです。』(9p)

と、しらっと説明してるのですが、たぶん最後の一文が実に怪しげな説明でして、そうじゃなくてCP市場の機能が急速に悪化したからテールリスクというのが絶賛大発生したのではないかと思料されるのですが。で、そのCP市場の機能急低下ってのは、CP金利の上昇そのものもそうですけど、オープン金利の上昇などからも判ったと思うのですけどねえ。いやまあいいです。

『そのCP市場の機能が大きく低下することに対して、日本銀行が買入れることによってCP市場の機能の回復を側面から支援するということになります。この意味は大きいと思います。12 月に日本銀行が買入れ方針を発表した後、日本政策投資銀行の買入れと相俟ってCPの発行環境が上位格付けを中心に改善してきているということも、そうした効果の大きさを潜在的に示していると思います。』(9p)

まあ効果があったのはその通り。


・特定業界救済ではございません

「今回のCP買入はノンバンク業界が強く要望してましたけど」という意地悪質問に対して。

『今回、CPの買入れに先立って企業金融に係る金融商品の買入れに関する基本的な考え方を公表しました。そこで明確に謳っているとおり、私どもが買入れる場合というのは、当該金融市場の機能が著しく低下していること、そのことによって企業金融全体が逼迫していることが、一つの重要な判断ポイントです。個別の企業や個別の業界それ自体のために日本銀行がある商品の買入れを行う、行わないといった考え方は採っていません。』(8p)

まあ考え方にあるよね、ということで。

『日本銀行のCPの買入れをある特定の発行体のために行うということは、財務の健全性あるいは中央銀行の中立性という観点からみても望ましくないので、買入れ対象CPの信用度の要件や買入れ総額の上限を設けていますし、特定の企業の信用リスクを集中的に負担することを避ける為の手当てもいくつか行っています。』(8p)

というか、そうなってしまうとこれは財政政策の範疇であり、民主主義国家で議会を通さないで中央銀行がやってしまうのはどうなのよという話じゃないですかね。


・CPを買うと中小企業にも恩恵という理屈

ま、中小企業の資金繰りは政策金融の世界でしょとは思いますが、そうは言っても「大企業だけ助けるのか」という突っ込みに対しての理屈も必要な訳で。CP買入の話ではないですが、企業の資金繰り問題に関連した話からその理屈が垣間見れます。

『貸出計数の面からみると、実は11 月および12 月は、現行の統計が開始されて以来最高の伸び率を更新しています。その意味では、金融機関は貸出を減らしているわけではなくむしろ増やしています。この伸び率の寄与度を分解してみると、足許増えているのは大企業向け貸出です。大企業向けが増えているということは、別に大企業の中に資金が留まっているわけではなく、自動車メーカーも電機メーカーもそうですが、大企業の傘下にはたくさんの下請け企業がありますので、企業間信用というかたちで中堅・中小企業に資金が行き渡るということだと思います。ただ繰り返しになりますが、企業が全体として今どのように認識しているかというと、厳しくなっているということだと思っています。』(15p)

大企業の資金繰り支援を行うことによって、中小企業へのサポートにもなるという話でございますな。まあ日銀がやるのはCP買入まででしょと思いますけど。


・沢山買えばよいと言うものではないという話

これは全く仰るとおりです。というか本来はこういう施策をやらないで居られる状況である方が望ましいのですから、この論点は白川総裁の発言は全くその通り。

『また、CPの買入れの金額の大小をもって、中央銀行の積極性の度合いを測るような議論がないわけではないと思いますが、これは改めるべきだと思います。』(16p)

一方、日銀OBの与党議員はこういう話をしてましたが。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aTgAf8saecTM
「買入の判断がやや遅かった」というのは同感ですけど、「3兆円より増やすべき」というのはもうアホかと。ちなみに、ネット版じゃなくて専門家向けの記事の方ではもうちょっと書き方が違ってて「3兆円では足りない」みたいなニュアンスになっていましたが、全部日銀に買わせてどうするのよと(大体必要なら増やすでしょうし、不必要ならその方が望ましいんですから)。

『米国の場合は、CPの市場が日本よりも非常に大きく、資本市場への依存度が非常に高いわけです。一方日本の場合は、資本市場への依存度は低く、企業の銀行借り入れ4に対して資本市場調達は1という割合です。米国の場合はほぼその逆です。また、最近のスプレッドの状況をみても、10 月初の段階で、米国では極端にスプレッドが拡大していました。例えば、格付けがa-1 プラスのCPのスプレッドは、米国は10 月の上旬で3%台半ば、日本は12 月の段階で0%台半ばであります。そういう意味で金額の大小だけでは判断できないわけです。』(16p)

まあそんな細かい話をするんじゃなくて、「市場状況が正常ならば別にこんなのをやる必要は無い訳で」って話をすれば良いような気もするんですけどね。

あと余談の類ですが、やたらABCPに拘った質問してる人が居ましたが、今の市場環境でABCPってそんなに最重要な問題じゃないと思うのですけれども・・・まあいいですけど。


#案の定金融経済月報が後回し(汗)









2009/01/23

お題「決定会合いろいろと」

色々とあったのでちゃんと全部網羅出来るかなという感じですけど(汗)、決定事項はたくさんですよと。

金利据え置き、展望レポート中間評価、
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090122.pdf

金融企業金融に係る金融商品の買入れについて
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf

CP買入基本要綱
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901a.pdf

輪番オペのゾーニング関連
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901b.pdf(要綱)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901c.pdf(概要)

投資法人債の適格担保化関連
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901e.pdf

これはテクニカルな話ですが割引短期国債と政府短期証券が国庫短期証券に統合される件に関連して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901d.pdf


で、たくさんありますのでまずはCP買入と社債関連に関する所から。

○CP買入に関して

買入の概要は
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf
の3ページ目にありまして、基本要綱は
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901a.pdf
ですな。

・買入銘柄は適格担保銘柄

買入対象は『CPおよびABCP(担保適格かつa-1 格相当、既発行、残存期間3か月以内)』となっております。ここのポイントは何と言っても『担保適格』でございまして、a-1だから全部買うという訳では無い所に注意が必要。

ま、短期格付のa-1(R&I式の表記ですな)というのはかなーり広い範囲になりますので、形式要件でa-1全部おっけーにしちゃうとちょっとどうなのよというのもありましたので、結局担保適格銘柄が対象となりました。a-2でも担保適格っていうのもありますし、海外格付け機関の2格と国内の2格はだいぶ違うので、『a-1 格相当』として「相当」をつけましたということですかね。

こりゃまた信用判定死ぬほど忙しそうで大変だと思いますが、措置としては極めて妥当だったと思います。


・3か月もので0.4%を切るものは入りませんよ

『3.買入方式

コンベンショナル方式による入札

以下の区分で下限利回り(CP・ABCP 共通)を設けたうえで、当該利回りからの利回り較差(ゼロ以上)を入札(下限利回りは状況に応じて変更がありうる)

残存期間1か月以内:無担保コールレートの誘導目標+20bps
残存期間1か月超3か月以内:無担保コールレートの誘導目標+30bps』

最初ロイター英語版のヘッドライン見たとき指値かと一瞬焦ったのですが、上記のレートが入札下限利回りになるということですから、まあ期末越え3か月もののレートの方にプレミアムがついている(期末のリスクアセット保有プレミアムだから当たり前)のでそっちが入るとして、最近のCP発行市場の状況を勘案すると上位格付け銘柄のレート押し下げはしませんよという所でしょう。例えば最上位格の電力会社さんの3か月物CPレートとかは0.4%を思いっきり下回っていますので、そういう銘柄はとりあえず入りませんなあという所ですね。

で、入札はレート競争入札になりますので、とりあえずは発行レートが高い銘柄から順に入って行くという流れになりますので、これは「目詰まり対策」という意味では一番正しい方式。正直言って電力CPばかりバカスカ購入されても意味無いですもんね。


・買入総額3兆円とな

『4.買入額

買入総額の残高上限は3兆円(CP・ABCP 合計)

発行体別の買入残高の上限は1000 億円(CP・ABCP 共通)

―― ただし、買入残高が、昨年7 月から12 月の各月末の発行残高のうち最大の残高の25%を超えた発行体については、償還により買入残高が当該金額を下回るまで、買入れ対象から除外』

2兆円と報道されていましたが、3兆ってまあ多いかもです。これはまあ足りなきゃ増やすでしょうし、別に買わなきゃいけないものでもなく、そもそも論で言えば市場がちゃんと機能していればこーゆー政策を実施しなくても良いはずでありますと考えますと、買い切れなくても(ちゃんと政策効果が出ていれば)それはそれで良しという事でしょう。

発行体別の買入残高上限はまあこんなもんでしょう。レートの高い順に入って行きますけど、別に全部が全部入る訳では無いですから、「早い者勝ち」であったりするのですけどね(^^)。

で、時限措置になってますけど、9月末の所に向けては状況によってはまた実施という事になるんでしょう。そのままロールオーバーになるかもしれませんけど(^^)。

なお、要綱にきっちり書いてますが、REIT発行のCPは対象除外です。まあそりゃそうだという感じですけどね。


○投資法人債の適格担保化

後でご紹介しますが、『企業金融に係る金融商品の買入れについて』の基本的な考え方に『個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること』って思いっきり書いてある中でモロにREITがドカンと出てくるのも何だか妙な感じが致しますけれども、まあ買入と適格担保化じゃあ全然話のラベルが違いますので・・・・とは思いますが何だか国土交(以下保身の為自粛^^)いやまあいいです。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901e.pdf
に書いてますけど、要するにAA格の投資法人債が適格担保になるのですけれども、信用判定をこれも行いますし、そもそも適格担保にするというだけの話でありますから、実際の効果としてはどうなのかねという所で。

ま、在庫の投資法人債の在庫ファイナンスが出来るようになる証券会社にはアリガタヤな話になりますので、これはこれで良しと。どうせ担保ですから減価したり飛んだりしたら担保出してる先が担保差し替えしないといけないだけの話ですからね。

#とか言ってたらこの前はリーマンが飛んで変な国債が日銀の在庫に増えましたが


○輪番ゾーニングの影響を愚考

概要はこちら
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901c.pdf

月別に引き直すと・・・・・

1年以下:4600億円
1年〜10年:8000億円
10年超:750億円
15年変国:500億円(2ヶ月に1回)
物価連動:150億円(2ヶ月に1回)

となりますが、発行量やら市中残存量を勘案し、ついでに従来1年以内ばかりアホのように入ってた状況を是正するという観点で言えばまあこんなもんでしょというか、市場中立的な内容になっています。超長期ゾーンがもっと買われるかと期待していた向きが業者中心に結構あったみたいですけど、そもそも超長期はニーズがあるから増発とか言ってた筈なんで、そっちを厚くするのもスジとして変でしょうな、と思う。

従来は殆ど同じゾーンばかりが叩き込まれる(当日カーブ上安い所が入りやすいのですから当たり前ですが)格好だったのが、ゾーニングによって1回につき2ゾーンで入札する格好になりますので、より相場に対しては中立になるようにという事を考えているのはまあ良く出来ていると思います。1回の入札における各ゾーンの額そのものは減る(分けるのだから当たり前ですが)ので、突拍子も無いレートまで入ってウハウハみたいな事は起きにくくなり、業者としては残念感があるかもですけどね。

で、問題は今まで期近債のゴミバコ状態だった輪番がこうなることによって、当然ながら期近債の需給が悪化する可能性があること。まあ悪化してレートで調整されれば売りに行く投資家もわざわざ叩きには行かないとは思うのですけれども、ちょっと注意が必要でしょうなと。そもそもFBだって増発傾向なのですし・・・・・・


○社債買入検討

次で書きますけど、残存1年以内の社債買入の検討指示って何か微妙。まあこれはやるこたあねえと思う(ので須田審議委員に賛成^^)のですけれども、何気にそれに付随して書いてある「考え方」でガチガチにコンサバなことを書いているんですよね。

#ど〜せ世間的にはそこはスルーなんでしょうが

残存1年以内の社債で、それなりに格付けの高いものという話になると、それはまあ既に投資家のニーズはあるのでして、んなもん買わんでも良かろうと思いますし、やはりこれは政策金融の世界であって、きちんと議会で審議して予算措置を取った形で実施するのが筋ではないかとも思いますので、本当にやるなら日本政策投資銀行に対して政策金融措置の一環として予算を取り、その買入の資金繰り支援を資金供給オペレーションの形で日銀が実施するのが筋じゃないでしょうかね。

ということで次に続く。


○実はこの考え方が重要ですよん

これですよこれ。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf

『日本銀行は、本日、CP買入れを含む企業金融面での追加措置について検討し、企業金融円滑化の観点から企業金融に係る金融商品の買入れを行うことについて、基本的な考え方を下記の通り整理した。そのうえで、こうした考え方に基づき、@CPおよびABCPの買入れを別紙の内容により今月中に開始することとしたほか、A残存期間1 年以内の社債の買入れについて、実務的な検討を行い速やかに成案を得るよう、議長から執行部に対し指示した。』

ということで、その考え方。

『1.企業金融に係る金融商品の買入れの性格』

『企業金融に係る金融商品の買入れは、これを金融機関に対する与信の裏付けとなる担保とする場合に比べ、民間部門の個別先の信用リスクを負担する度合いが高い。このため、こうした政策手段は、損失発生を通じて納税者の負担を生じさせる可能性が相対的に高く、また、個別企業に対するミクロ的な資源配分への関与が深まるという特徴をもつ。』

左様でございます。

『さらに、他の政策手段に比べて、損失発生により日本銀行の財務の健全性を損ない、ひいては通貨や金融政策への信認を損なうおそれが、相対的に高くなる。』

実際にはしょぼいみたいな額のデフォルトであっても変なインパクトを与える可能性もある訳で。国債買って金利上昇したから損したとかいうのはどうでも良い(どうせ償還されますから)話ですけど、それとはまた別の話ですからね。

『こうした点を踏まえると、企業金融に係る金融商品の買入れは、中央銀行の政策手段としては、異例の措置と位置付けたうえで、実施の可否や方法を検討する必要がある。』

世の中が平穏だったらやらんでも済む話。ということでして、FRBみたいなバランスシート絶賛大利用政策というのはまあぶっちゃけ中央銀行が財政政策やってるようなもんですから、そこをやるのはまた別次元の世界になるというのを認識しましょうねということでしょう。


『2.実施の必要性に関する判断』

『日本銀行が、企業金融円滑化の観点から、企業金融に係る金融商品の買入れを実施するのは、次のような場合に限られる。』

『@ 当該金融商品の市場金利が発行企業の特性如何にかかわらず全体として高騰する、あるいは、当該金融商品の市場取引が成立しにくい状態が継続するといった市場機能の著しい低下が生じており、これが企業金融全体の逼迫につながっていること。』

これはFRBもそういう趣旨の指摘をしながら政策実施をしていると思いますが、市場機能の大幅な低下により、個別の金融市場において問題が生じている所に流動性を供与して、市場機能を中央銀行が担うという話ですよね。

『A こうした状況を改善するため、下記の諸点に十分留意した上で、異例の措置として金融商品の買入れを実施することが、日本銀行の使命に照らして必要と認められること。』

で、その留意事項。

『3.実施に当たって留意すべき事項』

『(1)個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること

・ 日本銀行による買入れの実施が個別企業への恣意的な資金配分となることを回避しうるよう、例えば、@発行体からの直接買入れではなく日本銀行の取引先である金融機関等を通じた買入れとすることや、A入札方式による買入れとすることなど、適切な買入れ方式を採用する。』

日銀による個別企業特別優遇みたいなことはしませんよという理念ですな。


『(2)必要な期間に限り、適切な規模で実施すること

・ 必要な期間に限って実施する観点から、実施期限、あるいは終了の条件を設ける。

・ 日本銀行の買入れへの過度の依存による市場機能の一層の低下といった事態が生じないよう、適切な規模で実施する。

・ 市場機能の回復に応じて日本銀行への売却のインセンティブが低下していくような仕組みとするなど、適切な規模での実施や円滑な終了に資する買入れ方式を採用する。』

つまり、今回のCPがそうですけれども、あまりにも低利まで買入をすることにしちゃうと市場が全部オペ頼みになっちゃうという弊害を避けないといかんという話ですな。今回のフロアレート設定なんかは、市場が回復してきてレートが全体的に低下したらCP買入に応じる必要も無くなるという作りこみになっているので(実際にやってみるとどうなるか判らないけど)中々宜しいのではないかと存じます。FRBのリスク資産買入でも「保証料」みたいなのを徴収したりしてまして、これもまあ「本来の市場が回復したら市場で売却した方がお得ですよ」という状態にすることによって、オペ中毒状態にならないようにする仕掛けなんでしょうと思います。


『(3)日本銀行の財務の健全性を確保すること

・ 他の政策手段に比べ損失発生の可能性が高まることを踏まえ、買入れから生じる信用リスクを適切に管理する。こうした観点から、買入れ対象とする金融商品の信用度や残存期間に関し、一定の制限を設ける。また、買入れ総額に限度を設けるほか、特定企業の信用リスクを集中的に負担することを回避する手段を講じる。

・ こうした信用リスクの管理に加え、日本銀行の決算において、損失が生じた場合の処理や自己資本の確保を適切に行っていくことを通じて、財務の健全性を確保していく。日本銀行としては、こうした考え方について、政府の理解を求めていく。』

最初の方はCP買入にもこの内容が織り込まれていますね。で、後半の方がポイントでして、FRBのリスク資産買入でも政府のサポートがある訳でして、日本でやる場合は、あたくしの個人的意見としては、さっき書いたような政策金融スキームでやる方がよさそうだと思います。まあそうじゃないとしても買い取った社債に政府保証つけるとかね。まあその辺は政府と日銀が強力にタッグを組まないといかんでしょと思います。


#ということで肝心の展望レポート中間評価まで予想通り行きませんでした(汗)










2009/01/22

お題「細けぇ話を毎度ネタにするのも何ですが/その他少々」

米銀決算の詳しいことまで把握しとる訳では無いのですけど、カストディ屋さんのステートストリートの株価が最近下がっているのがあたくし的には気になりますな。

○またもオペネタでさすがに食傷ですよね(−−)

昨日の日銀金融調節は以下の通り、オファー順にならんでます。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of090121.htm

えーっと、朝9時半の現先タイムでスポネの買現先を同額ロール(訂正:5000億円増額して4兆円でした)してタームの30日エンドを打ってきましたが、昨日はGCレポレートが上昇地合いでして、オペの落札レートもあまり下がらずという感じで推移しとりました。

昨日申し上げておりましたFB入札に向けて地合い宜しくない中で、FB入札は平均0.2412%で足きり0.2488%と0.25%に大接近しましたでござるの巻。2週間前のFBの落札水準が0.18%あたりだったのですが、まあ見事にヘロヘロになっております。こちらはその後も0.24%オファーとかで推移してたみたいですわな。まあ関係者的には想定範囲内ではありますが、想定どおりにダメダメでしたねという感じでございました。

ということで途中を端折りましたが、昨日短期方面の関係者が結構げげっと思ったのではないかというのが上記オペの3本目の売出手形でございます。1兆円の国債買現先と同じ期間で売出手形を6000億円実施してさっき出した金を引くという謎の両建てオペですよ先生。

でですな、これがGCレートがクソ下がりしているような地合いで打って来るのなら話はまだ判るのですが、GCレートが上昇地合いになっていて、レポ市場的には資金が不足気味になっており、コールも別に下げっているわけでもなく0.11−0.12くらいで、おまけにFBの入札も流れましたという地合い(FB落札結果発表の後に売出手形オペがオファーされます)の中で敢えて先日付の資金を引くという素敵なプレーが炸裂してビックリという感じ。レポレート上げたいオペですかあって感じで、レギュラーの所のレポレートは上昇(というか金の出が悪くなる)地合いになりました。そりゃあーた売出手形のウィーク物で0.21%(平均は0.198%)で運用できるのだったらレポ市場で0.22%の金を出すよりそっちを選ぶわなと。レポレート上昇とFB入札低調(これは相互作用している面もあるけど)によって既発のFBレートも軒並み上昇しちゃいました。いやはや何とも。

今回の謎のオペに関しては何を意図してるのかよーわからんのですが、まあ普通に考えると単純に当座預金残高を調整(10兆円台ですかね)しているのかねという所なのですが、実は先日付の資金をスクイーズしてショートファンディングを推奨してるのではとか、企業金融特別オペの札を増やしたいからわざと資金引いているのではとか、やはりコールレートの本当の誘導目標は0.10より上なのねとか、まあ色々と穿った見方をしたくなる(というか上記の見方は人様の受け売りなんですが^^)今日この頃なのでございます(−−)。

まあいずれにせよ、超過準備付利レートと誘導目標金利が一緒になったところでオペネタは終了でしょと思っていたあたくしとしては、未だにこんなに細けぇ事でネタ振りをするとは想像しておりませんでしたという所であります(そしてしつこくオペネタに粘着するのも脅威の粘着質だと我ながら思うのでありますが、大汗)。

どうにもこうにもオペ読みにく過ぎです。いやまあ別に全部市場の予想通りにオペ打てとか言う話ではありませんけど、日々の金融調節オペレーションで余りにも色々な点について微調整しようとして、結果として市場の方では「何がどうなるとどういう調節が来るのか」が訳判らんという状態になってレポレートが迷走するのかねという所かと思います。で、レポレートが迷走しだすと只でなくさえ発行が多くて消化がしんどくなっているFB3か月の金利に悪影響・・・・って話は毎度しております通り。


○人のふんどしシリーズ(いつも恐縮です)

・イエレンさんの講演

a-kunさんのところでSF連銀イエレン総裁の講演が取り上げられていまして興味を持ったら本石町日記さんがエントリーを上げていましたのでそのふんどしで恐縮。

ジャネットさんのスピーチはこの辺にあるのですけど、本石町日記さんが紹介しているのは当該ページの下4分の1くらいの所にあります。
http://www.frbsf.org/news/speeches/2009/0115.html

で、あたくしも何か書こうかとか、読んで訳してみようとか思ったのですが、本石町日記さんの所と、a-kunさんの所を読んで感心して終了してしまいましたので(大汗)、本石町さんとa-kunさんのエントリーのリンクをおいておきますね。

http://d.hatena.ne.jp/a-kun/20090117
http://hongokucho.exblog.jp/10230080/


・ユーロとかポンドがヘロヘロな件に関して

今日のモーサテでドル円以外の通貨での円高を今更ながらにネタ化してましたけど、グローバルって話になるとドル円なんぞよりも他通貨比の円高の方が全然洒落になっていないと思われる次第で、高金利を売り物にして他通貨建てで発行された個人向け高格付け債券とか持ってる人涙目というようなしょぼい話から、海外現地法人の上がりが為替で絶賛大減価とか、まあ色々とございますわなと思うのですよ。

で、英国ポンドも大変素敵なことになっていまして、その英国の話とかユーロエリアのお話につきましては害債さんのエントリーになるほどと。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200901/article_8.html

ユーロエリアの問題点に関しての指摘が判りやすい例えでありまして、エントリーから引用させていただきたく。

>財政の問題はご存知のとおりユーロ圏でも各国マターです。単一通貨の枠組みを維持するために必要とされた財政規律をいじらないことにはどうしようもないところに来ているのですが、それをないがしろにしたとたん、ユーロは通貨としての信任を失うはずです。日本で地方議会が勝手に外国から借金しまくって地元の銀行を救うことを認めたらどういうことになるか?日本の場合は地方自治体は一応政府の監督下にあるのですが、ユーロの場合なにせそれぞれの国が「独立国」ですから、他の国は責任を負わない。(害債さんの上記エントリーより)

『日本で地方議会が勝手に外国から借金しまくって地元の銀行を救うことを認めたらどういうことになるか?』というのは大変判りやすく、かつ日本でそうなったらそりゃまあガクガクブルブルですなあと思うのでありまする。


#ということで人のふんどし大会で誠に申し訳ありませんでした














2009/01/21

お題「微妙に市場等雑談」

まあ米英で色々とヤヤコシイことになってるようですが微妙にスルー。

○オペとかGCとかFBとか

えー、毎日オペレーションの話ばかりして恐縮なのでございますが、他にネタも無いのでまたオペレーションの話から(^^)。

昨日はスポネの買現先オペが5000億円増額になって3兆5千億円実施と相成りました。月曜にスポネの買現先を1兆円減額して3兆円にしたのですが、途端にGCレートが上昇しましたなあという話は昨日申し上げましたけど、それに対応したのかどうかよー知らんが減らしたと思ったら今度はまた増額とはオイソガシヤですな。

で、オペ結果は応札相変わらず5兆7千億円(月曜は6兆2千億円)といつもの多さですが、応札するほうの目線が上がったみたいで落札レートは0.188/0.18(前日は0.180/0.17)と1bp上昇しました。GCレートちゃんの方はと言いますと、こちらもまた前日から1つくらい上昇したというところで、またまた0.20%台にきっちり乗ってきた感じのようでこれは中々の市場機能ですなあ(棒読み)という所で。うーむ。

まあ細けぇ事はいいんだよ!(やる大矢のAA略)とは思うのですけれども、スポネで当座預金残高なのかGCレートなのか良く判りませんけど、ファインチューニングしようとした結果却ってGCレートが微妙に安定しない(某ベンダーで「ダッチロール」とか書いてましたが、記事書いた人の歳がバレるのではないかと思料)というのは、超短い所の国債のレートにリスクプレミアムが乗っかってくる(=ファンディングコストが安定しないから)ことに繋がりまして、徐々に国債のレート形成に影響を与える結果になりますかねと何度か申し上げている通り。

でですな、この前の利下げ以降その辺のレートが落ち着いていたのって、年末に向けて準備預金の積み進捗がとっても素敵に進捗していたのと、スケジュールの関係でFBの入札が年末年始の2週間実施されなかった(年内最終の入札が12月18日ですので利下げの前、年始の入札は7日)ことによって、FBの在庫負担が軽かった(最後の入札の翌日に利下げでしたから)ことも寄与してたようですな。んでもってここもとGCが微妙に不安定なのはオペの影響とか積み始まったばかりでT+3でGCを積極的に買う向きもすくないとかありますけど、年初から3か月FB入札が復活して徐々に在庫が重くなってきたのも効いてる(ついでに言うと今月から増発になっているし)のかなあと思われますです、はい。

ということで、まあ今日のFB3か月ものの入札は短い所の人は当然ですけれども、ちょっと注意して見ておいた方が宜しいかと。カレントの引けは0.215%とかなのですけど、さて徐々に重めになってきている3か月FB入札今回はどうなるのよという所で。先々週は0.2%割れでやたら強く、先週はちょっと流れてその後はまあ無事に推移という流れですが、今日はどうなんでしょ。まあそう下をバンバン叩かないといけない地合いでもないと思うからそう無茶な話にはならないと思いますし、2年とかがやたら堅調ですからうっかりすると3か月カレントだけピンポイントで甘いという需給要因丸出しモードになる(イールドが寝てるのは足元から1年くらいまでですので念のため)のかも知れませんけど、ちと注意かなあ。


○企業金融特別オペ2発目実施

昨日は23日スタート4月8日エンドで実施されましたが、応札が1兆2883億円となりまして、前回のオペが1兆2248億円だったので合計で2兆5000億円に到達ということで、白川総裁が導入当初に『民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。』(12月2日の総裁記者会見)と言っていた数字は残りオペ回数を考えるとまあ達成したも同然と言う所でございますな。

いやはやお見それしました。「変な数字を出すと一人歩きするから止めときゃ良いのに」とか申し上げました(あたしゃ3兆も集まるのかという疑問があったので)が、これはこれはきっちり行きそうでありまして悪態ついてどうも失礼致しましたm(__)m


○CP現先オペ効果ですな

その企業金融特別オペは期越え物ですけれども、CP買現先オペの方は週に2本のペースで主に期内ものが淡々と実施されてます。足きりレートは0.10%か0.11%かという共通担保やら現先オペなどよりも低いレートとなっていまして、その辺の効果が出ているのか、期内物のCPで最上位格付けの電力会社さんのレートがFBフラットというか引け値ベース見てるとFBよりレート低いじゃねえかというようなレートにまで絶賛低下となっております。オペ効果恐るべし。

まあ10月以降のCP発行市場の問題は、GCなどのオープン金利の上昇とか、最終投資家の過度なクレジットリスク回避とか、株価下落による銀行のリスク許容度低下とか、まあその手の外部要因がかなり効いているとは思うのですが、そうは言いましてもこの動きを見てますと、「年末に向けた流動性対策」というのをもうちょっと早く打っていれば年末に向けてあそこまで大騒ぎになる事は回避できていたのではないかという気がするのです。その結果今になってアレ買えコレ買えとか言われていると思いますと、どうも何だかね〜感が。


○しつこく決定会合あれこれ

CP買入は2兆円になる見込みという報道がモーサテで。

この2兆円というのがオファーベースなのか買入残高ベースなのかは良く判りませんけれども(というか2兆円という数字にも腰だめチックな香りがしますけど^^)、まあ実は2兆買わなくても効果出ちゃうかもしれませんし、実は足りないとなるかもしれませんが、それに関しては柔軟に対応ってことになるんでしょ。とりあえずは時限措置ということですし・・・・(ま、9月末に向けて7月くらいに復活するとか、そんな細かい動きじゃなくてあっさり延長とかになる可能性は結構ありそうですが^^)

モーサテ様の報道するところを聞いた感じでは、今日はCP買入の詳細が決まるというのと、展望レポート中間評価で思いっきり下方修正するというのがお題になっていて、その他に関してはあくまでも検討事項ですわな。


超余談ですけどね、やたらクレジット系の人たちが盛り上がりまくっている「社債買入」でありますが、ついこの前どこぞのレポート見てたら「社債買入を投資戦略にどう生かすか」みたいな意味のお題(実際のお題は別だが大体同じ)のレポートが堂々出ていてかなりのけぞりそうになりましたよ。

いやあのですな、日銀のオペっていうのは別に投資家やら業者をお助けする為に実施するもんじゃなくて、金融政策の目的を達成するためのツールでありまして、CP買うだのという話は「企業金融の支援」に実施するもんですわな。そりゃまあ結果的にはそのオペを投資戦略やらトレーディングに活用される事はあるでしょうけれども、最初からそのお助け期待を表立って堂々と言うのはさすがに如何なものか(社債買入スキーム実行でキャピタルゲインの機会がどうのこうのとか書くのはちょっとその・・・)と思うのですけれどもねえ。

#まあ社債買入の話で大歓喜状態になる気持ちは判りますけどね。

あと、社債買えと言っている人(クレジット系のアナリスト・ストラテジスト様がもう絶賛大合唱ですけど)が良く指摘するのが「FRBやBOEは社債の買取スキームやっているから日本も遅れないでやるべき」という論点なのですけれども、米国や英国は金融システム不安に対して大規模な公的資金を突っ込んで、おまけに中央銀行もそこに一緒に突っ込んで中銀が財政政策チックな動きにまで至っているのでして、ほとんどそりゃ国有化ですか状態になっているものまで有りという状況ですが、日本は全然違いますがなという前提条件を物凄い勢いでスルーしているのは如何なものかと思われますけど。そんなら金融機関の大々的国有化が先でしょ(^^)。

#「市場の声を聞く」というのは「市場の言うがままに政策実行する」とは同義じゃないですからねえ・・・・

なお余談が逸れていきますけどね、中央銀行がモロに長い期間の社債を買いますって話だと、そりゃもう実質的な政策金融の世界になる訳で、信用判定とか出口政策どうするのか(社債の買入は株と違ってホイホイ反対売買できないから出口は償還まで無いのですが)という問題もさる所ながら、政策金融ってのは財政政策であって、その大枠を作るということを議会通さないで決めて良いのですかという論点もあるんじゃねえの(事後的には決算承認されますけど)という気がちょっとするのですけどね。
ま、よー知らんけどな。












2009/01/20

お題「決定会合に向けて雑感/市場雑感」

ネタもあまりございませんので雑談モードで勘弁。

○さて決定会合ですが

今回の金融政策決定会合ですけど、先日毎日新聞が物凄い勢いで報道していた「社債買取」に関してはその後の報道が盛り上がらない所からしてまあ検討課題の一つではあるのでしょうが、いきなり次回会合でというのはちょっと話が早い気がします。よー知らんが。

繰り返しになります(先週金曜に書きやした)からアレですけれども、社債の買取というのはさすがにCPとはだいぶ話のレベルが違いますし、そもそも日銀が社債買ったからと言っても証券会社の不良在庫が叩き込まれた後で社債の買い余力が復活するのかというと、甚だ疑問がありますわなという所で。それにその後の記事見てましたけど、残存期間区切って格付け厳選しちゃったらまさにそのゾーンは今投資ニーズあるゾーンでありまして、セカンダリー市場見てましても高格付けで残存1年以内とかになると見事に証券会社の在庫が無い(=あると即売)状態であって、もしそういう条件で社債買取やったら全然買取実績上がりませんがという感じっすな。

白川執行部になってからの日銀金融政策の特徴として、良くも悪くも「見せかけパフォーマンス政策を避ける」というのがあるとここ1年弱の推移を見て思うのであります。大々的にABCP買取をぶち上げて最初はメザニンでも買いそうな勢いで「震災手形復活か!」とかなりあたくしは慌てたのに、いざ実施要綱見たらきっちりと信管抜いていましたみたいな福井の俊ちゃんスタイルとはだいぶ違いまして、まあこの手の政策を打つ時にも「実体問題としては意味が薄いけど、凄くやっているように見える」的なスタイルは排除していくというのが今のスタンスであると思われます。

ま、こういう危機の時には良い意味でのハッタリも必要だと思いますのでちょっとどうなのよという面はありますけど、政策でどういうの出てくるのよという事を考えると、意味なしパフォーマンス政策(政策の実体として意味がないのと心理的効果とかは別問題として考えてちょ)は出てこないという線から読めば宜しいと思われますので、その辺は理屈で攻めていけば良いのかなと。よー知らんが。


で、金融政策決定会合は他にもネタがあって、CP買取がどういうスキームになるのかとか、輪番のゾーニングは具体的にどうなるのかとか、展望レポートの中間評価はどうなるのかとか、その他追加の施策が何か出るのかという所かと思います。

最後に書いた「追加の施策」は多分今回はそこまで手が回らないような気がしますが、前々からあたくしが申し上げて外し続けている適格担保の範囲拡大(上場株式担保とか)がそろそろネタになってもいいかなと。

CP買取はスキーム出てから考えたいとは思いますが、普通に考えるとレートの押し下げをするのではなくて(というか既に下がってますが)、企業金融支援という文脈で言えば、市場の混乱(かなり沈静化してますが)によって資金の出し手が過剰にビビリ状態になっていることによって、業績的や短期資金繰りに本来問題の無い筈の企業がいきなり金詰まるという状態を避けるという話ですから、どちらかと言えば期末限定セーフティーネットという感じになるんでしょうかねという所ですかね。レートの押し下げ効果の方はCPオペ打ちまくり+企業金融支援オペ(0.1%無制限の資金供給)によって出ていますからね。

輪番のゾーニングはとりあえず1年未満ばかりアホウのように叩き込まれるのを避ける方向になるのでしょう。ゾーニングの割り振りによっては長い所のレート形成に心理的影響(実際問題としてそれが強烈に効くのかというと疑問な所はあり)がありそうな感じ。というか短い所のゴミ箱オペ状態になっていたのが是正ということは逆に言えば短い所がその分重くなりますわなあという感じですな。

で、展望レポートですけど、支店長会議での総裁挨拶要旨がこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/siten0901.htm

昨日さくらレポートの概要部分をご紹介(手抜き引用大会とも言う)しましたように、もう経済状況はダメダメにも程があるという話になっておりますし、前回展望レポート以降にも利下げしていることですし、まあ内容的には相当の下方修正になるんでしょう。


○市場雑談

というかまたもオペ雑談。

昨日はスポネの買現先を1兆円減額しましたところ落札レートがちと上昇。ここもとのスポネ買現先の足きりレートは木曜に0.23%で金曜が0.15%で昨日が0.17%と毎日ぶれておりますな。木曜金曜が4兆円で昨日が3兆円となっておりました。

で、GCレートちゃんの方ですが、先週は為替の円転マネーが出てきたりしてT+0とかT+1のGCの買いがあってレートは金曜にだいぶ下がったのですけれども、昨日はオペ減らしたのと、よー知らんが為替絡みの分が減ったのか、今度は手前の金が出にくくなってきたみたいでレートは上昇傾向と。

常々申し上げておりますように、レポだの現先だののレートは足元および先日付の需給の両方で振らされますので、正直言って今のように微調整しようとしてスポネの現先を4兆円とか打つのは労力が大変な割に報われないと思われますです。何だかかんだといいましてもレポ市場の機能自体は低下している訳でして、日銀オペの存在が重要となっている中で、スポネの資金供給額がデカイという事は、市場全体の調達運用が足元に思いっきり傾斜することに繋がりますわな。資金繰りが足元に思いっきりシフトした状態でオペ打つ方がファインチューニングしようとすると、参加者の方はオペが読みにくくなってその分リスクプレミアム乗っちゃうとか、目線がいつまで経っても安定しないとか、まあ色々と不具合が生じやすいのではないかと。

つまりですな。その日の資金供給全体におけるスポネ買現先のシェアをもうちょっと下げて、資金繰り的に使いやすい1週間とか2週間程度の資金供給オペにもうちょっと振った方が足元安定しやすくなりませんかねえというお話でありまして、今のスポネが増えたり減ったりする資金調節はわざわざ苦労しに行っているような気がするであります、はい。

で、資金繰り部分はそーゆー感じで1wから2wくらい主体で、期末越えは期末越えでそれは需要があるでしょうから淡々とオペを実行という感じで、オペであまり忙しくならなくても宜しいのではないかと思います。まあ中の人はあたくしのような凡下が考えるようなラベルの話ではない次元で考えているとは思いますけど、なにせ市場は凡下の集まりなもんでね(^^)。


#というわけで全部雑感でした(汗)









2009/01/19

お題「ボコボコのさくらレポート(今日は引用で手抜き増量)」

さくらレポートは中身を詳しく読むと更に味わいが深いのですが、概要部分を駆け足で見るだけでも結構長いですので、今日は手抜き引用大会で申し訳なしでござるの巻。

概要はこちら
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0901.htm
図表付き本文はこちら(量多いです、63ページ)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0901.pdf

ちなみに前回の概要はこちらです
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0810.htm


○まだまだ下方修正できますかそうですか

最初は『地域からみた景気情勢』というお題ですが、その結論はこのようになっています。

『なお、昨年10月の支店長会議時と比べると、総括判断は、雇用・所得環境が厳しさを増すなか、個人消費が弱まっているほか、生産も大幅に減少していること等を反映して、前回に引き続き全9地域で下方修正した。』

直近1年の下方修正推移はこのとおりになっています。感動した!

2009年1月(今回):9地域で下方修正
2008年10月:9地域で下方修正
2008年7月:8地域で下方修正
2008年4月:8地域で下方修正
2008年1月:5地域で下方修正

で、これまた前回もやったのですが、今回は直近1年間という事で、同じく2008年1月からの判断からの下がりっぷりを地域ごとに並べてみます。最初に書いてあるのが去年の1月。

北海道
やや弱めの動きとなっている
→やや弱めの動きが続いている
→弱めの動きとなっている
→やや厳しい状況にある
→厳しさが増している

東北
全体としてみれば、緩やかな回復を続けている
→足踏み感がみられている
→足踏み感がみられている
→弱めの動きが広がっている
→悪化している

北陸
一部で弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
→減速している
→減速感が幾分増している
→停滞している
→悪化している

関東甲信越
緩やかな拡大基調にある
→やや減速している
→減速している
→停滞している
→悪化している

東海
緩やかに拡大している
→緩やかな拡大基調にあるが、その速度は足もと鈍化している
→引き続き高水準にあるが、足もとは減速がはっきりしてきている
→なお高水準を保ちつつも、下降局面にある
→急速に下降している

近畿
緩やかに拡大している
→一部に減速の動きがみられるが、基調としては緩やかに拡大している
→減速している
→停滞している
→悪化している

中国
全体として回復を続けている
→一部に弱さがうかがわれるものの、全体として回復を続けている
→全体としては緩やかな回復を続けているが、そのテンポは、このところ鈍化している
→一部に弱い動きがみられるが、全体としては概ね横ばいで推移している
→悪化している

四国
緩やかながら持ち直しの動きが続いている
→持ち直しの動きがやや弱まっている
→横ばい圏内の動きとなっている
→やや弱めの動きとなっている
→弱い動きが広がっている

九州・沖縄
緩やかな回復を続けている
→回復に足踏みがみられる
→足踏み感が強まっている
→停滞している
→悪化している

1年前には「やや弱めの動き」が北海道で他は回復だの拡大だったのですが、今回は「悪化」が7地域で「急速に下降」が東海で、「弱い動きが広がっている」が四国ということで、この間の下がりっぷりが急だったというのが思い出されますわなあという所であります。四国がまだ「悪化」じゃないのですが、これは「山高くないので谷が深くない」なのかそれとも取りまとめ店の支店長の個性なのかどうなんでしょ(^^)。

前回(10月)はこんな事書いたのですが・・・・

>まだ悪化という状態ではないのでメタメタではない(というか悪化だったら金融大緩和でしょ)のですが。(前回昨年10月のさくらレポート見ての駄文)

まあ金融緩和は前回以降行われたということで、その流れを追認する格好になったということでありましょうか。


○項目別展開

まあここに関しては概要説明部分を読めばもうその通りですという感じですが、項目別展開はものの見事に下がってまして、これは酷いという結果。

・個人消費

『個人消費は、北海道で「厳しい状況」と判断しているほか、その他の地域でも「弱めの動きが広がっている」ないしは「弱まってきている」などと判断している。』

『前回報告との比較では、北海道、四国、九州・沖縄がやや下方修正、その他の6地域が下方修正した。』

まあ要するに全部下方修正と。ちなみに10月はと申しますと、『北陸、東海は現状維持としたものの、東北、中国が下方修正、北海道、関東甲信越、近畿、四国、九州・沖縄がやや下方修正した。』となっていまして、前回よりも下げっぷりが激しくなっております。


・設備投資

『設備投資は、企業収益の減少が続いており、企業の業況感も悪化していること等を背景に、ほとんどの地域で「減少している」ないしは「減少幅が拡大」、「下方修正の動きが広がりつつある」といった判断となっている。』

『前回報告との比較では、四国が前回並の判断を維持した以外は、北海道、九州・沖縄がやや下方修正、その他の6地域が下方修正した。』

現状維持1地域で残りが全部下方修正とな。こちらの10月ですが『北海道、東北、中国、四国は現状維持としたものの、北陸が下方修正、関東甲信越、東海、近畿、九州・沖縄がやや下方修正した。』とこのときは現状維持が4地域ありまして、今回は来ちゃいましたねという所でございますな。


・生産

『生産は、濃淡はあるものの、全地域で減少している(「大幅に減少している」等:関東甲信越・東海・近畿、「減少している」等:その他の地域)。』

『前回報告との比較では、全9地域が下方修正した(前回の前々回対比:「現状維持」1地域、「下方修正」8地域)。』

何と言うひねりの無い結論(^^)。で、何故か生産と次の雇用・所得環境については前回の前々回対比というのが入っているので、10月の引用どうしようかと思いますが一応引用すると『北海道は現状維持としたものの、東北、北陸が下方修正、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄がやや下方修正した。』となってましたので、こちらもまた下がりました。内容も四国の「弱い動き」という以外は全部「減少」とか「大きく減少」とかヘロヘロ感溢れるものとなっています。

ちなみに、前回調査時点で明確に「減少」といってたのは東海でして、ここは元の水準が高かったというのがあり(支店長の個性による厳しい認識もあるかと思いますが^^)、他の地域では「弱め」という表現はあるにせよ「横ばい圏内」とかいうのもありまして、今回判断がドカンと下がった項目は生産ですかねという感じです。


・雇用・所得環境

こちらは前回10月調査時点で全地域が下向きベクトルという素敵な展開になったのですけれども、今回はどうなったかと言いますとこんな感じ。

『雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、製造業の生産が全地域で減少していること等を反映して、全地域で悪化している。雇用者所得も、所定外給与や冬季賞与の減少などから、全地域で弱含んできている。』

生産調整で雇用調整ということで(-_-メ)。

『前回報告との比較では、雇用情勢、雇用者所得とも、北海道、近畿、四国、九州・沖縄がやや下方修正、その他の5地域が下方修正した(前回の前々回対比:<雇用情勢>「現状維持」1地域、「下方修正」8地域、<雇用者所得>「現状維持」4地域、「下方修正」5地域)。』

ここの部分の説明文だけちょっと長いのですが、ざっと見ますと「悪化」「弱含み」のオンパレードで、上記の説明の所にもありますように、雇用者所得が弱めの動きになっているというのが目立ちます。



○毎度お馴染み「地域の視点」

今回のお題は『わが国中小企業の経営の現状および当面の見通し──最近の収益環境、企業支出、資金繰りの動向等を中心に──』という物でして、内容に関しては最初のまとめの部分にありますように、ここもと急速かつ派手派手に悪化しているという話になっています。

『最近の中小企業の収益環境についてみると、製造業では、08年10月頃を境に、これまで好調であった、自動車、電気機械、一般機械関連を中心に、大半の業種で売上・受注の急速かつ大幅な落ち込みに見舞われているうえ、為替円高の進行と相俟って、輸出採算も悪化している。』

そりゃまあそうでしょうなあ。

『一方、非製造業では、消費者の節約志向の強まりや自動車・電機メーカー等における生産調整の影響、企業のコスト削減圧力の強まり等から、卸・小売、サービス等を中心に、売上が減少傾向にある。加えて、非製造業の多くの業種では、既往の仕入コスト上昇分の価格転嫁が不十分な中で、需要減少を背景に顧客獲得競争が激化しており、数量面のみならず、採算面でも悪化傾向が強まっている。』

コストは上がるわ需要は減るわと。

『地域別では、東海、関東甲信越、近畿等、近年、好調な輸出に支えられて、全国対比でみて順調な景気拡大を続けてきた地域において、足もとの収益環境の悪化は急速かつ大幅である。』

とまあそういう感じで続くのですが、資金調達面に関してはちょっと注目してみます。本文だと10ページの部分になります。

『ロ.民間金融機関貸出

● 民間金融機関の貸出スタンスについては、従来と変わりはないとする先もみられるが、建設・不動産等の業種に加えて、製造業(自動車、電気機械)、その他業種の業績悪化先を中心に、貸出スタンスが厳格化しているとの声も多く聞かれている。こうした状況下、政府が資金繰り対策として新たに打ち出した緊急保証制度や公的金融機関のセーフティネット貸付制度等の利用が急増している。』

で、『【金融機関の貸出スタンスの厳格化を指摘する声】』というのもあるのですが事例紹介は割愛します(本文見てくださいませ)。その事例紹介の後に『なお、金融機関からは、「トップ自ら指示を出して、中小企業への貸出増加に努めている」、「緊急保証制度(後述)も最大限活用して中小企業の資金需要に対応していきたい」といった声も聞かれている(松山などの支店、本店)』とフォローがあるのがチャーミング(^^)。

で、その次に微妙に素敵な指摘があるのですが、何故か概要の方(HTML版)には記載が無いというのがこれまたチャーミングなので、折角だからご紹介します。

『● この間、金融庁の「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(03 年3月公表)を契機に一部の優良先中小企業で広がりをみせていた、新たな資金調達手法(私募債の発行、シンジケート・ローンの利用、グループ金融の活用、各種ファンド、ABL等)を活用する動きは、未だ限定的な動きに止まっている。』

いやーあっはっは。

ということで(その他の部分端折って)中小企業の資金繰り動向への認識はこうです。

『● 以上を踏まえて、中小企業の資金繰り動向をみると、年末については、総じてみれば、手元資金取り崩しのほか、緊急保証制度や公的金融機関貸付の利用、地域金融機関の繋ぎ融資、その他当局の各種施策も奏効して、乗り切れた先が多いものの、これから年度末に向けては、通常の年度末資金手当に加えて、「10〜12 月の売上・受注の減少に伴う後ろ向きの資金需要が本格化する」との声が少なくない。このため、年度末にかけて引き続き厳しい状況が続くものとみられ、中小企業の資金繰りの動向については、今後もきめ細かくみていく必要がある局面が続くと思われる。』


まあ厳しい状況にあるということで、このお題引っ張ってきたのはCP買入だの企業金融支援特別オペとか実施したことに対する後付けふがふがもごもごなどと野暮な話をしてはいけません(^^)。

なお、この「地域の視点」のお題を過去2年分並べるという企画を前回同様に行いますと、これまた悲しい。

・『わが国中小企業の経営の現状および当面の見通し
──最近の収益環境、企業支出、資金繰りの動向等を中心に──』(今回)

・『1.各地域からみた最近の個人消費動向と消費関連企業の対応』
 2.地域経済における原油価格等上昇の影響とその対応─水産業のケース─』(2008年10月)

・『最近の企業の設備投資動向 』(2008年7月)

・『1.グローバル需要の取り込みに向けた企業の対応について
── 中堅・中小製造業や非製造業の動きを中心に
 2.地域からみた最近の雇用・賃金情勢について』(2008年4月)

・『原材料価格上昇のもとでの企業の対応
── 最終消費者に近い「川下」段階にある地場企業を中心に』
(2008年1月)

・『1.最近の企業立地の動向と立地戦略の特徴点
 2.北海道農業の現状と新たな取り組み』(2007年10月)

・『中小企業の収益動向と支出行動の特徴点』(2007年7月)

・『1.各地域からみた最近の雇用・賃金情勢について
 2.近年の東京における高額消費市場の特徴
――海外ブランドや外資系ホテルの動向を中心に』(2007年4月)

・『各地域からみた最近の住宅投資動向について』(2007年1月)

今回は直球ストレートに景気悪化モードになりましたという感じですね、ちーん。


#引用大会で恐縮でございました













2009/01/16

お題「社債の買入ねえ・・・・」

風邪が流行っているようですので皆様ご注意を。

○社債買取のニュースが出ましたが

昨日の毎日新聞朝刊にこんな記事が。
http://mainichi.jp/select/biz/archive/news/2009/01/15/20090115ddm001020012000c.html

上記記事では『長期資金を調達する社債は短期資金向けのCPより損失リスクが大きい。日銀は慎重に検討してきたが、資金繰りが逼迫(ひっぱく)する年度末を控え「さらに踏み込んだ企業金融の支援が必要」との判断に傾きつつある模様だ。』と何か自信満々な書きっぷりなのですが、その後他紙の続報が全然無い(あたくしが見た限りなので間違いだったらゴメンナサイ)のが摩訶不思議ではあるのですが。

前回の会合ではCP買入以外に何らかの施策がどうのこうのみたいな話にはなっておりましたが、CPと社債じゃあさすがに問題がだいぶ違うと金融政策をある程度マジメに見てると思うのですが、昨日はこのニュースを受けてセルサイドのクレジット系ストラテジスト(あるいはアナリスト)の大歓喜レポートが複数本出ていたのが実に微笑ましいところでありまして、まあそういう時点で社債買入って企業より先に一番助かる人がいますよねってのが判るのでございます(苦笑)。企業の資金繰り支援になるんですかねえ・・・・・という事で以下微妙に私見を。


○信用判定の観点が短期物と長期物では違うでしょ

さすがに毎日の記事でも書いてますし、まあ読者様におかれましてもその位先刻ご承知だと思いますが、期間数か月のものと5年とか10年とかするものでは話が全然違う訳でして、世の中何年も経過すれば状況というものはだいぶ変わる訳でして、例えば1990年には日本の金融機関どこもかしこもAAAだったのに97年98年には・・・とかいう話は昔話ですけど(笑)、発行時には別に普通の投資適格な公募社債だったのに見事デフォルトになっている社債とか散見される昨今、長期物を買いますとなると信用判定は短期物よりも相当慎重に行わないといかんでしょと思うのですよ。

短期間ですと短期資金繰りという話ですけど、長期になるとそれはもう長期資金の与信判断の世界になるのですから、やるならば従来よりその業務をやっていた日本政策投資銀行や商工組合中央金庫などの(どこぞの民営化マニアのせいで民営化しちゃいましたけど)ついこの前までの政府系金融機関が融資するなり社債買うなりすれば良いですしノウハウがあるのだから、そっちに予算をつけて行うというのが筋が通った話ですし、効率的ではないかと思います。

で、信用判定を厳しくするとなりますと、既にこの利下げ攻撃の中で高格付けの社債に関しては投資ニーズがある訳でして、そんな中で日銀が買ったら民間の投資機会を奪うただの民業圧迫(笑)になるだけなんで資金繰り支援にも何にもならんのですが。


○資金繰りの観点が短期物と(以下同文^^)

まあ全てが全て実際にそうではないですけど原理原則的な話をすれば、CPってのは期間が普通3週間くらいから3か月少々程度ということで、これはまあ短期的な資金繰りの為の調達という話になりますが、一方で社債って短くても2年とかですから、これはまあ普通は設備投資とかの長期的な投資などの資金調達という話ですわな。

ということですから、「企業の資金繰り支援」という文脈からすると、今般の一連の措置は市場の機能低下の影響でしょうもない資金繰り倒産が発生するような事態を避けるというのが眼目の筈でありまして、「決算期末に向けた企業資金繰り支援」という論点からすれば、CP発行できなくなる事態を避けるというのは重要な話になりますけれども、投資資金まで何で面倒見なきゃいかんのよという話になりませんかねという話になりますわな。やるなら政策金融の世界でしょ。

何ぼなんでも「何でもかんでも日銀が救え」みたいな話になるのはちょっと如何なものかと思いますけど。事業がちゃんと回っているのに市場混乱の影響で資金繰りが急に回らなくなってお父さんになってしまうというのは確かに問題ですけれども、そもそも事業の方がダメダメになっていて社債なんぞ発行できませんがなというような状態の所まで救う必要あるのかねというのが理念的な話になろうかと思います(異論はあるかとおもいますけどね)けどねえ。


それからですな、CPは短期物でターンオーバーがどんどん来るので、日銀やら政策投資銀行が購入するしたり、低利のファンディングをつけることによって市場の機能が復活しますわなという話になります(現実にそうなりつつありますし)けど、社債買入やっても多分それは証券会社などの不良在庫の処分に使われるだけの話で(企業から直接社債を引き受けるというのなら別ですが)それが来たから長期の社債がバンバン発行できるようになって「企業の」期末の資金繰り緩和になるかってえと、さすがに無理筋の香りが漂って参りますけどねえ。

そういえばBBBの社債買えとか言ってるレポートがあったりしたような気がせんでもないが、てめえらの怪推奨銘柄がボコボコになった(以下悪態につき激しく自主規制^^)。


○そもそも実施方法につめるべき点大杉

というのもあります。信用判定のところもそうですし(つい1年前の今頃は某アイスランドの某大手銀行の残存2年半(当時のベース)サムライ債がMoody’s長期格付けでAa3とかでしたなあ、笑)、そもそもどーゆー方式で買うのかがこれまた難しい。通常の輪番オペみたいに日本証券業協会の売買参考統計値をベースに使おうと思いましても、そもそも社債、特にマーケットで今買い手が少ない銘柄になりますとその数値が(自主規制)。

買った後それらの銘柄の信用状況のウォッチどうするのよとか(いやまあ飛ぶの辞さずって大覚悟してるのなら別に何も言いませんが)、さすがに数か月で出口がやってくるものと同じように考えるのは筋悪すぎにも程があると思いますけどねえ(それに信用判定でちょっと買えませんなあとなった銘柄が更にアレになってしまうリスクもあるかな)。


○適格担保の拡大の方が先だと思いますが

常々申し上げておりますが、社債よりは株式の方が流動性ある事ですし、どうせ銀行とかが長期的な政策投資で持ってる株式なんて金庫で寝ている(株券電子化したからこれは比喩ですので念のため^^)のでありまして、ヘアカット50%くらい取って共通担保の適格担保に受け入れれば金融機関の資金繰りの足しになると思うのですが。

「金融機関保有の株式を担保に資金供給」って言えばそれなりに世間様に対するアピールするような気がしますし、与信は金融機関相手ですからそんなに大問題になる事でもないですし、ヘアカットさえきっちり取っておけば、誰も困る話じゃないと思うのであたくし的には推奨スキームなんですけれども。


・・・・と、これだけ書きましたが、最近はあたくしのこの手の見通しが見事に逆に行くのが仕様でありますので(あほ)念のため付け加えさせて頂きます。


#相場雑談スルーしましたけど、何でレギュラーの翌日物GCを25でせっせと売る人がいるのか良く判らんという位ですかね。20日ってそんなに逼迫してましたっけ??









2009/01/15

お題「生活意識アンケート/その他」

米国株式市場の年初の上げっぷりは何だったんでしょうか・・・・ま、日本では「ありゃ変だろ」という冷ややかな論調が多かったですが。

#昨日一昨日と延々とやりましたので今日は超簡単で勘弁してちょ

○生活意識アンケート

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0901.pdf

結果詳細は16ページ目以降にあるので、そっちを見たほうが一覧性が高いです。で、景況感のところあたりを引用するのですけど、今回は一ひねり致しまして前回調査と前々回調査の数値を並べてみます。最初の数字から順に、今回(12月)、前回(9月)、前々回(6月)でございます。

Q1. 1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。

1 良くなった0.6 (0.6) ( 1.7 )
2 変わらない16.0 (18.0) ( 28.8 )
3 悪くなった82.5 (81.0) ( 69.0 )

Q3. 現在の景気をどう感じますか。

1 良い0.1 (0.1) ( 0.0 )
2 どちらかと言えば、良い0.6 (1.3) ( 2.4 )
3 どちらとも言えない9.7 (10.4) ( 17.5 )
4 どちらかと言えば、悪い45.9 (52.8) ( 54.1 )
5 悪い43.6 (35.3) ( 25.8 )

Q4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる4.8 (3.2) ( 2.2 )
2 変わらない42.0 (38.4) ( 36.9 )
3 悪くなる52.7 (57.9) ( 60.5 )

現状判断の数字が最悪を更新って話になっているのですけれども、実は落ち込みぶりは前々回→前回の方がでかく、しかも先行きに関しては(まあここまで悪化したのだからいい加減戻るでしょうという事なのでしょうけれども)戻りを見てる向きが増えているという結果は、景気ウォッチャー調査が勢い良く低下して2002年の最悪期を絶賛下回るとかいうような状態と比較するとちょっと意外感があったのですけれどもどうでしょう。

ま、まだ陰の極じゃないのでコリャダメダという事かも知れんが・・・・

ところで金利ですけど(^^)、利下げしたのですがこのような結果になったのはちったあ良い話ですかねえ。

Q5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。

1 金利が低すぎる46.2 (51.7) ( 53.3 )
2 適当な水準である34.2 (28.5) ( 28.8 )
3 金利が高すぎる15.6 (14.1) ( 14.0 )

やっと「適当な水準」+「高すぎる」が「低すぎる」を上回りました(^^)。

んでまあその先を引用すると長くなるのでざっと申し上げますけれども、物価の上昇に関して「かなり上がった」という見方が減っており、物価上昇に関する見方が前回調査よりも緩和されている所は(でもまだ物価上昇意識強いですけど)まあそんな感じなんでしょうねって所だと思います。

確かにまあ内容は悪いのですけれども、他のマインドサーベイの数値がアホのように悪化している中でこの数字を見せられるとちょっと意外感もありという所ですかね。自分の周囲3メートルに関するマインド関連調査ってのを受けると、それはまあメディアで言われる雰囲気じゃなくて、自分の身に降りかかってるか降りかかってないかによってだいぶ答えは違ってくるでしょう。で、そのわが身に云々ってのはデジタルな話だから、サンプルの取り方が難しいのかもしれませんですな。とちょっと思いましたが的外れな印象だったらゴメンナサイ。


○バーナンキ議長の講演(ただし人のふんどし)

The Crisis and the Policy Responseっていうお題の講演をバーナンキ議長がしております。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090113a.htm

で、それを読んだらこうなりましたと申し上げたいところですが、先般ご披露したようなアホタレさんのあたくしですので、ここは華麗に人のふんどし。

毎度お馴染み本石町日記さん(いつもふんどし借りまくりですいません)
http://hongokucho.exblog.jp/10195387/
やっぱり「質的緩和」なんですね=バーナンキ議長講演より

この前延々引用した12月FOMC議事要旨の中でも、FRBのバランスシートを拡大する政策というのは従来的な緩和政策というよりは個別資産を狙い撃ちした刺激策をしているという政策枠組みですなあとか書いたと思うのですが、やはり講演でもそういう話をしている感じですね。昨日書いたと思うのですけれども、議事要旨の中で今後の追加的な政策に関して「further monetary stimulus」と表記しててeasingになっていないのは意味合いがあるのかなあと再認識致しました。

#ということで週末の宿題ができまして誠に結構


○市場メモ

今日は積み最終日。

で、昨日ですけれども、前日に華麗にGCレートが上昇したことを受けましてスポネの買現先が1兆円増えて4兆円になったんですが、昨日のスポットって16日でありまして、まあそうやってレポレートを叩くならば普通に言えばT+3に需給が締まる日(今回だと締まるのが15日ですから9日ですわな)には需給締まる日越えで供給打たんとねえと思う訳でして、まあオペがあったり為替円転の金で少しT+0とかT+1で資金出たりしたこともありまして、GCは20台前半レベルの気配になったようですな。

まーそーゆーGCの地合いがありましたので3か月FB入札は前場引けの0.21/0.215から流れて平均0.2171%の足きり0.2247%となりまして、先週の平均0.18%割れの3か月FBの立場はどこへという感じでございます。ハーコリャコリャ。

需給が一方通行になりやすい面があるので仕方ないところではあるのですが、オペ次第でGCが振れやすくなりますが、オペがどういう指向をしてるのかが微妙にワケワカンネという事になるとGCが振れますので、FBのレートも影響するでしょうと思いますし、それ以前の問題として、毎週4兆8千億円の発行というのはさすがにってのもあると思います。増額されたばっかですので、暫くの間はロールの度に3000億円増発になるというのも効いて来るんでしょうかね。

あと、どーでも良い話ですが、トムスタートの共通担保オペ2本が1本は積み最終の年金定時払い、もう1本が期初直ぐの落ちってまた使いにくいもん打ってきますなと思ったのですけど。いやそれだけですけど。

#一方でCPレートは平和ですな。



と、何でもない市場メモで恐縮至極。











2009/01/14

お題「昨日の続き/GCレート上昇の件」

昨日の続きの方が長いので市場メモを先に。

○GCレートが華麗に上昇

実は先週木曜あたりからGCレートなどがかなり怪しい状態で、金曜には既に上昇しておったのですが、昨日はオペの金利が華麗に上昇してGCレートが華麗に上昇しておりましたですのでメモメモ。

えーっと、木曜時点で足元のGCをやたら売る(資金を取る)人がいて10台前半だったレートが10台後半に上昇した(背景には新発FB3か月があんまり売れてなかった事と、準備預金の進捗が進みすぎたので資金供給オペが絞られた事があるかと)のですが、金曜の時点で積み最終の着地がどうのこうのと言い出して15日の資金の出が悪くなりGCレートが20台に上昇し、トムやらスポットはオファー(資金の取りサイド)ばっかでござるの巻。

そんな状況で昨日はスポネの買現先を1兆円増額して3兆円(金曜も5000億円増額したのですが)にしたのですが、応札6兆7170億円と素敵な応札となり落札レートは0.223/0.21と金曜の0.132/0.13から8bpの華麗な上昇となりやがりました。当然ながらGCレートも上昇して20台後半となりまして、一部では30の出合いもあったとか。

えーっとですな、レポって基本的に先日付の取引で動くもんですから、特に積み最終みたいに資金繰りをきっちり固めたい日に向けてはあまり先日付でホイホイと資金をディーリング的に動かす人が減ると思うのですよ。そもそも資金の出し手のうち金利によって弾力的に出したり出さなかったりというのは銀行(もう一つの出し手の投信は余程のことが無い限り基本的に自動的に資金が出てくる人)だと思いますし、積み最終前に資金の余剰が無いとなると、需給バランスが崩れるとレートが跳ねやすくなるという事なのでしょう。

まあそれはそれで良いのですが、ここもとの振れ方が過激になっている(下がる時も急速に下がるし上がる時も急速に上がる)のが気になる所でありまして、市場の質的な意味での厚み(というと訳判らんですが、参加者の多様性とかそんなニュアンスかなあ)が無い上に、日銀のオペレーションが後追い的になっているので、供給にしろ吸収にしろ、最初足りなくて後から追加で打ち込みをするから最後にはやり過ぎになってしまい、レートの上昇および低下が過激になってるのではないかと思われます、はい。

即ち、T+0スタートの無担保コール翌日物は要するに当日の資金需給に影響されるから上がった所で叩いたり下がった所で引いたりして間に合うのですが、レポはT+1からT+3で動くものなので、手前の需給が先の動きに影響与えるとか、先の需給が手前にも影響与えるとか(たぶん前者の方が多いと思いますが)ありまして、レートが動き出してから手を打つと初動が遅れて最終的にやり過ぎになるというまさにビハインド・ザ・カーブになっちゃうのではないかと。

ということで、まあしつこく申し上げますと、あまり細かい調節を一生懸命やろうとしない方が吉で、ざっくり多めにタームで供給して需給を安定化させた方が良いのではないかと存じますがどうでしょうかねえ。

なお蛇足というか悪態の追加になりますが、ここに白川総裁の「市場機能」論があるからややこしい次第で、たぶんオペレーション的にはGCレポ金利を注目していると思うのですが、市場的に見ると資金の出し過ぎと引き過ぎを繰り返している為に「レポ金利の上昇を放置したいのか牽制したいのかがさっぱり読めない」という話になるのだと思います。端からレポ金利などが上昇するのは勝手にせいやという話ならそれはそれで市場のレート目線がそうなりますので、多分高い水準で安定するのですけれども、一方で総裁などもオープン金利などの上昇で金融緩和効果が減殺される事に関しては宜しくないという趣旨の発言をしていると思いますし、そういう認識なのでしょうから、まあ市場としては何をどうしたいのか訳判らんという感じになるのでありますな。

ということでまた悪態になってしまいましてどうもすいませんm(__)m


以下昨日の続きです。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm


○利下げの話の前振り、デフレ懸念の指摘もあるのかな

第33パラグラフから参ります。

『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members recognized that the large volume of excess reserves had already resulted in federal funds rates significantly below the target federal funds rate and the interest rate on excess reserves. They agreed that maintaining a low level of short-term interest rates and relying on the use of balance sheet policies and communications about monetary policy would be effective and appropriate in light of the sharp deterioration of the economic outlook and the appreciable easing of inflationary pressures.』

前回会合以降の市場の動きを見ると、超過準備がかなり大きいので既にFFレートが目標レートおよび預金ファシリティ金利を下回って推移しています。で、低い水準の短期金利およびFRBのバランスシートを拡大させる政策は景気の急速な悪化とインフレ圧力のかなりの減少という現状判断に照らして適切ですと。

『Maintaining that level of the federal funds rate implied a substantial further reduction in the target federal funds rate.』

現在のFF金利の水準を維持することは、実質的により以上のFF金利ターゲットの引き下げを含意しますとか言ってるようですな。ターゲット下げへの前振りですか。

『Even with the additional use of nontraditional policies, the economic outlook would remain weak for a time and the downside risks to economic activity would be substantial. Moreover, inflation would continue to fall, reflecting both the drop in commodity prices that had already occurred and the buildup of economic slack; indeed some members saw significant risks that inflation could decline and persist for a time at uncomfortably low levels.』

追加の非伝統的政策を取っても、経済見通しは当面悪く、経済活動のダウンサイドリスクはあり、商品価格の下落やら経済活動の悪化などによって物価上昇率は今後も低下するでしょうって話なのですが、最後の部分では数人の委員が物価上昇率が不快な低い水準(uncomfortably low levels)に低下する重大な(significant)リスクを見ているという指摘がありますので、デフレ懸念を意識してますって話になるんでしょう。


○FFレートターゲットを置かないという論点に関して

34パラグラフから。

『Members debated how best to communicate their decisions regarding monetary policy actions. Since the large amount of excess reserves in the system would limit the Federal Reserve's control over the federal funds rate, several members thought that it might be preferable not to set a specific target for the federal funds rate.』

超過準備が巨大になっていることによって、FRBのFFコントロール能力が限定的になっている事を踏まえて、数人の委員からはFFレートのターゲットを特定水準に置かない方が良いのではないかという指摘をしましたということで、以下この論点のお話が。

『Indeed, those members felt that lack of an explicit target could be helpful, in that it would focus attention on the shift in the policy framework from targeting the federal funds rate to the use of balance sheet policies and communications about monetary policy as a way of providing further monetary stimulus.』

明確な金利ターゲットを置かないで、FRBのバランスシートを使うという政策を政策の枠組みとしておくことによって、今後の追加緩和(緩和って書きましたが、easingじゃなくてstimulusって書いてるのは、バランスシートを使った政策が特定金融商品あるいは主体に対する個別撃破方式なのだからかなあと勝手に思ってますので、実は「刺激」って書いた方が良いのかも・・・)策に関するコミュニケーション策として有効ではないかと。

『A few members stressed that the absence of an explicit federal funds rate target would give banks added flexibility in pricing loans and deposits in the current environment of unusually low interest rates. However, other members noted that not announcing a target might confuse market participants and lead investors to believe that the Federal Reserve was unable to control the federal funds rate when it could, in fact, still influence the effective federal funds rate through adjustments of the interest rate on excess reserves and the primary credit rate.』

その反論としては、明確な金利ターゲットを設けないと銀行に対して預金や貸出金の金利設定に自由度を与えるという一部の指摘(金利を引き上げて緩和効果を減殺するリスクって意味なのかな??)があって、他の人たちの(たぶん多くの)指摘としては、明確な金利ターゲットを設けないと、FEDが金利コントロールを出来なくなっていると市場などが理解して、結果市場が混乱するのではないかという点を指摘したということですな。実際問題として金利コントロールは貸出ファシリティと預金ファシリティの金利調節である程度は可能だと言ってますが・・・・まあ極端に上げればそうなるのでしょうかね。

『The members decided that it would be preferable for the Committee to communicate explicitly that it wanted federal funds to trade at very low rates; accordingly, the Committee decided to announce a target range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent. Members also agreed that the statement should indicate that weak economic conditions were likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for some time. The members emphasized that their expectation about the path of the federal funds rate was conditioned on their view of the likely path of economic activity.』

ということでFOMCの結論部分になるのですが、レンジを設定したのは上記の議論を踏まえてという話になるのでしょう。また、時間軸っぽい表現が声明文に加わった話もここに載ってまして、FOMCの考える経済活動の先行き見通しが要はとても悪いので、当面はFF金利は低い水準にあるでしょう的なアナウンスをすべきでしょという話なのですね。ふむふむなるほど。


○今後の金融政策に関する言及をした件について

次のパラグラフから。

『Members also discussed how best to communicate the focus of the Federal Reserve's policy going forward. Members agreed that the statement should indicate that all available tools would be employed to promote the resumption of sustainable economic growth and to preserve price stability. They also agreed that the statement should note that it was the Committee's intention to sustain the size of the Federal Reserve's balance sheet at a high level through open market operations and other measures to support financial markets and stimulate the economy.』

同じくステートメントの中で色々な政策手段を使って景気回復と物価の維持(デフレ回避)を目指すという文言を加えるという点で一致したという話でして、このときのステートメントでやたら決意表明みたいに色んなものを使いますよってのがあったのはこういう議論(というか議論すっ飛ばして結論でして、議論はもっと前の方での景気認識とかの話なのでしょうが)が背景なのねという所です。FRBのバランスシートを活用しますという点を強調すべしと。以下続く。

『In addition to the already-announced asset purchases and liquidity programs, members concurred that the statement should indicate that the Committee stands ready to expand purchases of agency debt and agency mortgage-backed securities, and that it is evaluating the potential benefits of purchasing longer-term Treasury securities.』

既にアナウンスした資産購入や流動性供与プログラムに加え、エージェンシー債やモーゲージ債の購入を拡大する用意があること、米国長期国債の買入を行うことが潜在的な効果があって評価すべきであるという文言もステートメントに加えるべきであるという話で、それもまあその通りになりましたね。


○ディレクティブまで中々読むこともないもんで丸々引用しますね(長くてスイマセン)

で、最終パラグラフですけれども、ディレクティブにどういう事を書くかという話をしておりますのでまあ引用だけ。FFレートを0%から0.25%(0 to 1/4 percentですな)にして、GSE債の購入とかMBS債の購入を増やす話、個別の購入タイミングと額はデスクが決めること、今後もFRBのバランスシート活用(拡大)がFRBの政策目的である「maximum employment and price stability」を達成に影響を与えますという指示になるみたいですね。以下引用アホのように長くてすいません。このあと声明文もあるのですがさすがに割愛。今回は全員一致での決定であったという点も重要かと思います。

『In light of the use of additional tools for implementing monetary policy, the Committee revised the form of the directive to the Open Market Desk of the Federal Reserve Bank of New York. In addition to specifying that it now seeks conditions in reserve markets consistent with federal funds trading in a range of 0 to 1/4 percent, the Committee instructed the Desk to purchase up to $100 billion in housing-related GSE debt and up to $500 billion in agency-guaranteed MBS by the end of the second quarter of 2009. Members agreed that they should not specify the precise timing of these purchases, but that they should leave discretion to the Desk to intervene depending on market and broader economic conditions. The directive also noted that the Manager of the System Open Market Account and the Secretary of the FOMC would keep the Committee informed of developments regarding the System's balance sheet that could affect the attainment of the Committee's statutory objectives.』

『At the conclusion of the discussion, the Committee voted to authorize and direct the Federal Reserve Bank of New York, until it was instructed otherwise, to execute transactions in the System Account in accordance with the following domestic policy directive:

"The Federal Open Market Committee seeks monetary and financial conditions that will foster price stability and promote sustainable growth in output. To further its long-run objectives, the Committee seeks conditions in reserve markets consistent with federal funds trading in a range of 0 to 1/4 percent. The Committee directs the Desk to purchase GSE debt and agency-guaranteed MBS during the intermeeting period with the aim of providing support to the mortgage and housing markets. The timing and pace of these purchases should depend on conditions in the markets for such securities and on a broader assessment of conditions in primary mortgage markets and the housing sector. By the end of the second quarter of next year, the Desk is expected to purchase up to $100 billion in housing-related GSE debt and up to $500 billion in agency-guaranteed MBS. The System Open Market Account Manager and the Secretary will keep the Committee informed of ongoing developments regarding the System's balance sheet that could affect the attainment over time of the Committee's objectives of maximum employment and price stability."


というわけで、読者の皆様の方がよっぽど英語得意だと思うのですが、赤恥覚悟で自分の備忘メモ大公開時代というヤケクソの一発を打ちこまさせて頂きました。正直アセアセです。












2009/01/13

お題「FOMC議事要旨を(部分的に^^)読んでみました」

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm
全部と言いたいところですが、経済の現状とか金融市場の現状の状況に関して議論している(と思われる)前半部分ではなくて後半3分の1くらいを読んだのですけど(汗)。

ということで30パラグラフ目あたりから参りますです。なお、あたくしの怪しい語学力をずうずうしく披露していますので(大汗)、エエカゲンな解釈でここは変だという点についてご指摘いただきますと幸いでございますです、はい。

○時間軸とか明示的なインフレ目標とか

『In a joint session of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors, meeting participants discussed extensively how in current circumstances the Committee could best support the resumption of sustainable economic growth and promote the maintenance of price stability over the medium term.』

という所から始まるパラグラフです。A4の紙に普通に出すと14ページ中9ページ目の最後の方になると思います。

『Participants noted that very low levels of the federal funds rate had the potential to help buoy aggregate demand and economic activity, but they also had potential costs in terms of the functioning of certain financial markets and some financial institutions. Most participants judged that the benefits in terms of support for the overall economy of federal funds rates close to, but slightly above, zero probably outweighed the adverse effects.』

低金利の効用と弊害に関して議論したが、ゼロに近いFFレートが経済を支える効用の方が重要であると。

『With the federal funds rate already trading at very low levels as a result of the large volume of excess reserves associated with the Federal Reserve's liquidity operations, participants agreed that the Committee would need to focus on other tools to impart additional monetary stimulus to the economy in the near term.』

FFレートはFEDの流動性対策のオペレーションに関連して発生した巨大な超過準備の影響によって既にゼロ近傍に低下しており、近い将来の追加金融緩和(マネタリーの刺激って書いてますな)については金利以外の別の道具立てが必要になるのではないかという論点ですね。

『One broad class of such tools was the use of FOMC communication with the public to provide more information regarding future policy intentions. In particular, participants judged that communicating the Committee's expectation that short-term interest rates were likely to stay exceptionally low for some time could be useful because it could lead to pricing of longer-term interest rates consistent with the path of monetary policy that policymakers saw as most likely. Participants emphasized the importance of explicitly conditioning communication regarding future policy on the evolution of the economic outlook.』

先般のステートメントで時間軸もどきみたいなのが出ていた背景はこの辺の議論にあったんですな、と思いました。将来の短期金利に関して、当面の間極めて低い水準にある事を期待という話をすれば、より長めの金利に影響を与えることができる(ので、従来のツールと違う新しいツールになる)という話かと。

『Another possible form of communication that participants discussed was a more explicit indication of their views on what longer-run rate of inflation would best promote their goals of maximum employment and price stability. The added clarity in that regard might help forestall the development of expectations that inflation would decline below desired levels, and hence keep real interest rates low and support aggregate demand.』

さっきあったlonger-termとlonger-runの違いってのが(英語力不足と普段の読み込み不足の為)イマイチ判らんのですが、タームが所謂短期の長いもので、ランがもうちょっと長めの話になるのでしょうか。で、そう勝手に解釈しますと、ここの最初の文は「FRBが目標とする雇用の最大化と物価の安定に対して、最も有効とFOMCが考えるより明確な指針(more explicit indication)を与える方法があり得るコミュニケーションの道具であると委員が議論しました」ってえ事ですからより明示的なインフレターゲットの話になるのでしょうな。

それから、次の文では「より明示的なインフレターゲットの導入による透明性の付与によって望ましいレベルを下回るようなインフレ期待の発展を妨げ、実体の金利を低く維持し、需要を集めることを助ける」(直訳調でスンマセン)とありますので、まあデフレ期待(懸念)発生回避の為のインフレ目標設定という論点でありますな。ほっほー。


○バランスシートの使い方について

第31パラグラフから。

『Meeting participants also discussed how best to employ the Federal Reserve's balance sheet to promote monetary policy goals. The Federal Reserve had already adopted a series of programs that were providing liquidity support to a range of institutions and markets, and participants generally agreed that a continued focus on the quantity and the composition of Federal Reserve assets would be necessary and desirable.』

という所から始まる部分です。

『Specifically, participants discussed the merits of purchasing large quantities of longer-term securities such as agency debt, agency mortgage-backed securities, and Treasury securities.』

ロンガータームの各種証券を買い入れることに関する効用に対する議論が行われましたと。

『The available evidence indicated that such purchases would reduce yields on those instruments, and lower yields on those securities would tend to reduce borrowing costs for a range of private borrowers, although participants were uncertain as to the likely size of such effects. Participants also generally believed that the special liquidity and lending facilities implemented or announced recently would support the availability of credit to businesses and households and thus help sustain economic activity.』

買い入れを行ったこれらの商品のレートが低下して、一般の借り入れコストの低下に繋がりましたと。で、効果の量(なのか?よーわからん)ははっきりしませんが、一般的に言えばこれら実行あるいは実行をアナウンスされた流動性供与プログラムの存在は、事業会社や家計に対する信用供与のアベイラビリティ確保に寄与しており、経済活動の維持に役立っているという話のようです。

『Many participants thought that the Federal Reserve should continue to consider whether expanding some of the existing facilities and creating new facilities could be helpful. Participants emphasized that the ultimate objective of special lending facilities and asset purchases was to support overall market functioning, financial intermediation, and economic growth. Participants acknowledged that the effective federal funds rate probably would need to remain very low for some time.』

最初の文は「これらの流動性供与プログラムに関して引き継ぐ気拡大することが有効なのかどうかについては考慮し続ける必要がある」と読みまして、その次の文では、これらの流動性供与プログラム(特別な貸出ファシリティと資産買取って書いてますが)の最終的な目的は、市場を機能させる事、金融仲介機能を維持し、経済を成長させることであると強調した」って書いてありますので、これは救済の為にやっているのではないってのを確認してるのかしらとちと思いました。で、実効FF金利は当面の間極めて低い金利にあることが多分必要でしょうと。

『However, they also recognized that, as economic activity recovered and financial conditions normalized, the use of certain policy tools would need to be scaled back, the size of the balance sheet and level of excess reserves would need to be reduced, and the Committee's policy framework would return to focus on the level of the federal funds rate.』

出口政策の話ですな。経済活動が回復して金融環境が正常化したら、現在バンバン実行および実行予定になっている流動性供与や買入の政策手段は縮小し、FRBのバランスシートは縮小し、超過準備も吸収し、政策の枠組みはFF金利誘導に戻るでしょうという認識を委員の皆様お持ちですよと。


○量の目標を置く話に関して

木曜にご紹介した部分と重複したり、本石町日記さんの話とモロ被りですが(汗)、次の第32パラグラフより。

『A number of participants observed that, under the approach of conducting monetary policy by acquiring a variety of assets as needed to address financial and macroeconomic strains, the quantity of excess reserves and the size of the Federal Reserve's balance sheet would be determined by the Federal Reserve's asset purchases and the usage of its lending facilities. It was likely that, during the period of financial turmoil, the size of the Federal Reserve's balance sheet would need to be maintained at a high level.』

マクロ経済の緊張に対応してFRBが各種資産を購入したり流動性供与をしたりする政策を取っている下では、超過準備の大きさやFRBのバランスシートの量は、これら政策をどの位実施するかによって決定されますよと。んでもって現状の金融危機の中ではこの量が高水準で維持されるでしょうと。

『Participants discussed the potential advantages and disadvantages of setting quantitative targets for bank reserves or the monetary base.』

超過準備やマネタリーベースの量的目標を置くことの良し悪しについて議論してるのですね。

『Some were of the view that quantitative targets for an increasing reserve base could be effective in preventing deflationary dynamics and useful in communicating to the public the Committee's determination to take the steps needed to avoid such an outcome.』

超過準備などを増加させる量的目標を設定することは、デフレスパイラル入りを避けるのに有効で、一般に向けてFOMCがデフレ入りを避けることを措置を取るという決意をしているというコミュニケーションに有効であるという指摘をする委員が複数いますとな。

『Several other participants, however, noted that increases in excess reserves or the monetary base, by themselves, might not have a significant stimulative effect on the economy or prices because the normal bank intermediation mechanism appeared to be impaired, and banks may not be willing to lend their excess reserves.』

他の委員(SeveralとSomeだとどっちが多いんでしたっけ、答わかったらここを追記します、汗)は増加する超過準備がそれ自体では意味のある刺激的な効果を発揮しないのではという指摘をしています。というのも、現状では通常の銀行の信用仲介メカニズムの機能が損なわれており、銀行が超過準備を貸し出しに回そうとしないからですと。

『Conversely, a decline in excess reserves or the monetary base would not necessarily be contractionary if it occurred in the context of improving financial market conditions.』

逆に、金融市場の環境改善によって超過準備やマネタリーベースの減少が起こるのであれば、それは必ずしも否定される物ではないと。

『A few of those who supported quantitative base or reserve targets did so because they saw them as helping to coordinate the actions of the Board of Governors, which is responsible for authorizing most special liquidity and lending facilities, and the Committee, which is responsible for open market operations. Most participants, however, were of the view that such coordination would best be achieved by continued close cooperation and consultation between the Committee and the Board. Going forward, consideration will be given to whether various quantitative measures would be useful in calibrating and communicating the stance of monetary policy.』

最初の文がやたら代名詞だらけで何が何を指すのかイマイチ良く判らなかったのですけれども(涙)、コミュニケーションツールとしての量的目標に関しては結局のところ継続審議になったという話なんですか、わかりません><;


#ここで時間と根性が切れましたので続きは明日(大汗)












2009/01/09

お題「今日も市場雑談で勘弁」

BOEが利下げ(2.0→1.5)ですかそうですか。

○企業金融支援特別オペ1兆2千億円実施

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba090108.htm

この3番目にありますように、12248億円の実施となりました。まあこの市場的評価なんすけど、色々と聞いて回った結果を総合すると「まあ多目で良かったですね」という結論のようで。今週実施した共通担保オペの年度末越えが平均0.19から20くらいで足きりが0.18なので、共通担保オペで使っている証書貸付などがこっちに回ってきたという感じなのでしょうか。0.10%で取れるのでその分こっちに回りますよね。

で、このオペですけれども
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0812b.htm
の下の方にありますように、あと5回実施されるのですが、期間が一番長いのは今回ですので、まあ従来共通担保オペに突っ込んでいた分を回すなら今回か次回くらいになるんでしょうね。

さて、このオペ導入を決定した12月2日の決定会合後の記者会見で白川総裁は『民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。』などと余計な数字を言ってまして(12月3日と4日の過去ログご参照下さい)、一人歩きしかねない数字を自分からホイホイ出すのは如何なものかと思った次第なのですが、今回1兆2千億円の札が入ったので2兆円台は確保できそう(なのですよね)で、まあ格好ついて良かったですねという所かと存じます。


○CPレートが落ち着いている件について

政策投資銀行のCP買入とか、今般の措置とか、まだ具体化していないですけれども日銀のCP買入とか、CP現先オペ打ち込みまくりの政策効果が出たような感じで、CP発行環境が随分改善されてきています。

一昨日昨日あたりからCP発行が年末年始モードから通常モードに戻ってきたと思うのですが、昨日あたりも期末越え3か月の発行が出てきて、まあレートはまちまちみたいですが、いつぞやのようにロクでもないレートでほんの小額しか発行できませんというようなアホウな事態は解消の方向で誠に結構。発行体さんのネームも一頃は「いつも同じ人たちの発行だけ」状態だったのですが、最近はレート上昇でCP発行を見送っていたと思われる発行体さんも復帰しつつある観がございまして、これまた誠に結構なお話です。

また、期内ものだと、最上位格の電力会社様でFBスレスレのレートとかに低下してるようで、CP現先オペ効果か足元の資金供給の効果なのか知りませんが、まあ結構なレート低下となっておりますな。まー足元のレート低下に政策当局のCP買入という動きで安心感が出たことリスクマネーが戻ってきましたってお話なんでしょ、よー知らんが。

ま、アレですよ。日銀のCP買入まだですけど、こーゆーのは「セーフティーネットがある」というのが安心を呼ぶのでありまして、結果見せ金になったとしても効果があればめでたしめでたし(かつての預金保険機構だか何だかの50兆円枠(でしたっけ?)みたいなもんで)というお話になるんではないかと(まあ今回は見せ金で済むほど楽勝な金融環境ではないとおもいますけどね)存じます。


・・・・・で、まあこういう流れを見せられますと、10月以降の日銀の政策推移ってどう見ても優先順位が逆でしたなあと思うのですよ。今更の後知恵みたいで恐縮ですけれども、レポ市場が変調になって、CP発行市場が変な動きになってきた所で企業金融対策をさっさと実施しておけば「利下げしてるのに金融環境が悪化する」という訳の判らんアホウな事態は発生せずに済んだとしか申し上げようが無く、実はここまで非難轟々に追い込まれまくらずに済んだんじゃないですかねえという気が思いっきりするのでありました。


○次の政策はターム物誘導ですかそうですか

昨日は白川総裁が国会答弁してたみたいですね。ブルームバーグニュースから。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=ai4rJlMxuQnE
日銀総裁:金利低くても行うべきことある−企業金融などに傾注(4)

『白川総裁は政策金利の下げ余地がほとんどなくなっていることを踏まえ、今後は金融政策の方向性としては、金融市場の安定確保と企業金融の円滑化が大事だ、と言明。特に企業金融の円滑化については「コールレートはあくまで金融機関の間の翌日物の金利であり、実際の企業はもっと長い期間で資金調達を行っている。そうした長い期間の資金調達について、金利をどう下げていくのかや、資金調達の量的な安心感をどう確保するのかが大事だ」と語った。』(上記記事より引用)

えーっと、最初からそう思っているのでしたら10月以降延々とCP発行環境やオープン市場の金利上昇を放置プレイしておられた動きはアリャ一体全体何だったんですがとか悪態をつきたくなりますがそこはスルー(してないって)。

よく判らんですけどね、こういう言い方をしてるというのは「翌日物の誘導目標はもう下げたくないけど、その代わりにターム物金利に働きかける政策をやって行きますよ」という話をしてるんだなあと予想されます。白川総裁の思惑(?)通りに事態が進行するかというと進行しそうもない(=まあゼロ金利になるんでしょうなあ)と思ったりするのですけどね(苦笑)。

しかしターム物金利に働きかけるオペレーションをするという話になったら白川総裁お得意の「市場機能論」って一体全体何なのよと小一時間問い詰めたくなるのでありまして、まさか白川総裁のいう「市場機能」っていうのは「無担保コール翌日物市場機能」ってお話なんですかとか悪態の一つもつきたくなる次第でございまする。

それは兎も角、先日の亀崎審議委員発言(そういやあの会見はフリーダム感があって中々面白かったですなあ)と言い、今回の総裁答弁と言い、何か次はターム物金利に働きかける政策が打ち出されるんでしょうかねえというところでございます、と一応予想するが外れても知りません。












2009/01/08

お題「だいたい小ネタ(本当は大ネタもある)で恐縮です」

1月は月初の業務日程が押していただけませんなあ。

○オペ雑談

昨日はまた期末越えの供給とショートタームの吸収のツイスト実施ですが、即日吸収は無しと。えーっとまあ吸収をするという細かいオペってやらんでも良いのではとも思うのですけれども、一昨日とか無担保コールで7bp位の出合いがそこそこあったり、昨日とかも取り手の一部の希望レートが7bpとかになっていたこともありましたんで、吸収であまり下がり過ぎないようにという発想なのかなあという感じかなあとは思います、つらつら考えてみたんですけどね。

とりあえず一昨日の即日吸収で「えー」という感じだったので、昨日は期末越えの供給オペを今週2度目の打ち込みとして、「もちろん期末越え供給はちゃんと行いますよ」という姿勢を見せたというところだとは思います。そりゃまあ良い話なのですけれども、そんなら別に一昨日即日吸収やらんでもという感じもせんではない。きめ細かくやろうとして余計な仕事を増やしているような気がするんですよね。

まー細けぇ事は良いんだよ!(やる大矢のAA略)という感じでざっくりというのは今更難しいのかもしれませんけどまあその方向でやる方が吉なのではないかと存じます(しつこい)。


○輪番で購入したのは1兆2千億円ちょっとの筈ですが

毎度お馴染みの日銀保有長期国債残高。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0812.htm

えーっと、あたくしが手元で保存している数字をエクセルでヒョコヒョコ計算させますと、前月比の増分が6411億円になるように思えるのですが(間違ってたらごめんなさい)、つまりこれは月前半に12月償還銘柄の大打ち込みがあったという事でしょうか。減った銘柄が見当たらないところを見ると政府の買入消却があった気配も無いようですし。

いやはや何という短国買入並みの長期国債買入ですかという所でありますが、この面に関しては先日の金融政策決定会合で中長期国債買入のゾーニングを実施する方向性が出た(次回の会合で内容は決まるのでしょう)ので、ちったあ改善される事でございましょ。


○輪番といえば12月16日の参議院財政金融委員会

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/170/17012160060007a.html
先頭バッターの大久保委員(民主党)の質疑から。会議録の上4分の1からちょっと行った辺り。

『○大久保勉君 次に、もう少し細かい金融調整に関して質問したいんですが、私は、質問する前、若しくは定期的にあるブログを読んでいます。「本石町日記」というブログなんですが、いわゆるBOJウオッチャーの間では非常に評判のブログなんです。白川総裁は「本石町日記」というのは読まれたことはありますか。』

『○参考人(白川方明君) 余り私の立場で特定の人のブログとかについて読んだ読まないということを言うのは、マーケットに対する悪影響もあると思いますんで、差し控えさせていただきたいというふうに思います。』

『○大久保勉君 分かりました。読んでいると推測しますが、こっちの中に、最近のコメントとしましては、ここのところ日銀オペの誘導目標が下に外れぎみで、誘導目標の精度が落ちてきているという指摘がございます。このような日銀調整が難しくなっている理由というのはどうしてか。彼は、買い切りオペを増やした方がいいんじゃないかという指摘がございます。お願いします。』

・・・・・ワロタ。

で、山本理事の説明の後にこういうツッコミが(^^)。

『○大久保勉君 まあ分かったような分からなかったような。僕の質問は、誘導目標〇・三%を大幅に下がっているということは、じゃ低め誘導されているんですか。』

『○参考人(山本謙三君) 私どもの今の金融調節方針は、無担保コール・オーバーナイト物レートが〇・三%前後で推移するよう促すというものでございます。低め誘導ということではございません。』

『○大久保勉君 でも、目標の〇・三%を大幅に下回っているんじゃないですか。ですから、低め誘導していないんだったら、ちゃんと〇・三%に持っていかないと、持っていくようなオペレーションをすべきじゃないですか。いわゆる、このことに関しては、日銀のオペのやり方がへたくそなのか、こういう指摘もありました。若しくは、もう技術的な限界があるから別な方法でやらないといけないのか。一番か二番か、どっちですか。』

0.25%か0.30%かで票が割れたという禍根がこんな所にも出ていますな、合掌。ちなみに、この後大久保委員の提言は何故か長期国債買入増額の他にCP買入とか社債買いオペとか不動産証券化商品の買入オペが必要ではないかとか斜め上の話が展開される(調節上の技術的問題と政策面が明らかに混同されております)のが如何なものかと思われますが。

山口副総裁の説明もなんか苦笑を禁じ得ませんが。

『○参考人(山口廣秀君) お答えいたします。先ほどの御質問でありますが、日本銀行は〇・三%の誘導目標に対してそれを達成できていないんではないかという御質問がありましたので、まずそれについてちょっと若干補足させていただきます。十一月という月を振り返ってみますと、十一月の後半につきましては、実は誘導目標の中心であります〇・三%をやや上回っておりました。それが、その足下につきましては〇・三%をやや下回る水準で推移しているということでございます。私どもの誘導目標の実現というのは、ある期間を通してならして実現するということがターゲットでございます。したがって、ある時々を見てみると〇・三%を下回ることもありますし、ある時を見ると〇・三%を上回っていることもあると、こういうことが起き得る、そういう調節であるということについて御理解をいただきたいと思います。』

・・・・・・・いやはや何とも。



○FOMC議事要旨のほんのちょっとだけ(本当は大ネタ)

この前の利下げの時の奴ですので真面目に読まないといけないと思われます。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm

が、あたしゃ正直まだろくすっぽ読んでおらず、情報ベンダーの記事とか人のレポートとかを見て何となく把握した振りをしているだけ(大汗)。まあこういうのはちゃんと読むべきだと思うので遅くとも週末には読まナイト。といいつつ情報ベンダーの記事からネタを。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009010700081
日銀型支持の意見も=量的金融緩和で−米FOMC議事録

ふーんと思って要旨にあたると、たぶん要旨の下4分の1位の所にそれらしき記述がありましたです。

『A number of participants observed that, under the approach of conducting monetary policy by acquiring a variety of assets as needed to address financial and macroeconomic strains, the quantity of excess reserves and the size of the Federal Reserve's balance sheet would be determined by the Federal Reserve's asset purchases and the usage of its lending facilities. It was likely that, during the period of financial turmoil, the size of the Federal Reserve's balance sheet would need to be maintained at a high level.』

って文から始まるパラグラフで、その次に

『Participants discussed the potential advantages and disadvantages of setting quantitative targets for bank reserves or the monetary base.』

ってことで議論が。

『Some were of the view that quantitative targets for an increasing reserve base could be effective in preventing deflationary dynamics and useful in communicating to the public the Committee's determination to take the steps needed to avoid such an outcome.』

『Several other participants, however, noted that increases in excess reserves or the monetary base, by themselves, might not have a significant stimulative effect on the economy or prices because the normal bank intermediation mechanism appeared to be impaired, and banks may not be willing to lend their excess reserves.』

『Conversely, a decline in excess reserves or the monetary base would not necessarily be contractionary if it occurred in the context of improving financial market conditions.』

以下続くのですけれども、最初に引用した部分あたりを読みますと、時事通信の記事の見出しにある「日本型」ってのとFOMCでの話って、結論としては超過準備のターゲットを置くのどうのという話なので日本型なのかもしれませんけど、アプローチのやり方がFEDのバランス拡大が最初にあるという理屈なので日本型というのと理屈の構成は違っているのではないかと思われますがどうなんでしょ。

まあ今般の決定に関する政策ロジックはロジックの転換を伴うものみたいですねという所までは何となく把握したが、議事要旨の中身をちゃんと読む必要がありそう(さっきも申し上げましたが)と思われます。










2009/01/07

お題「今日もまたオペレーション雑談」

またまたマニアな雑談で恐縮です。

○即日吸収無い無いと書いたら即日吸収打たれたでござるの巻

小見出しが長いですかそうですか(^^)。

えーっと、昨日のオペレーションですけど、朝方の買現先はスポネの方が5000億円減額でスポット1wの方は期落ち分の同額ロールでございました。まあ足元資金余剰感強く、GCレポでもビット(資金の出しサイド)が結構いますので、まあスポネが減ってもシャーナイナイという感じでここまでは順当。CP買現先も親の敵のように実施されていますが、年末年始の発行減に当たってますから札割れもするわなとは思いますが、そもそも札が割れても割れなくてもレート的には同じようなもんですからこれまた順当。

で、世の中が驚倒した(オーバー)のは12時50分にオファーされたオペでありまして、売出手形即日6000億円期間翌日物という奴。何せあたくしなんぞ昨日こちらで「即日吸収は無い無い」と堂々と書き、その理由まで延々と書いたばっかりでしたのでもう何と言うかどこの北禿先生ボログあるいはメ○レーレポートかとあたくし涙目。


・・・・で、昨日あれだけ即日吸収しない意味について書いた手前、今度は即日吸収をする意味を考えたのですが、やはりどうも意味が判らんですな。色々な人とお話をしたのですが、まあ普通に解釈すると、(1)無担保コール翌日物が0.1%割れ水準で延々と出合うのが気に食わない、(2)当座預金残高をそんなに増やしたくないから引いた、のどっちか位しか思い浮かばないのですが、どちらにしても「超過準備付利を行うことによって潤沢な資金供給を行いやすくする」と言って超過準備付利を導入したことや、先般の利下げで誘導目標金利と付利金利水準を同じにしたことから市場が普通に解釈するであろう行動と整合性が全然取れていないお話。

もしかして(2)の亜種になりますが、当座預金残高を増やして付利が増えると日銀の収入が減って国庫納付金の予算達成に問題が起きるとか下らねえ事でも気にしてるのではないかという意地悪な読み筋まで出てくるのでありますが、何かこう世の中平常時じゃないのですから、あまり平常モードな理屈でオペレーションをするのはどうなのでしょうかという感じで、いや邪推だとは思いますけどね。


でね、それはそれとして即日吸収する意味が「市場機能」論からしてもよく判らん訳よ。つまり即日吸収実施というのは無担保コールまたはT+0のGCレポや現先と競合する(オペに入れられない人は別ですけれども)「運用商品」のご登場なのでありまして、そっちが出てくると市場が認識しちゃったらコール出さないでオペ行きます分が発生し、それだけ市場運用が減りますわな。市場を活性化させたいとかいうのであれば、日銀当座預金(超過準備)以外の運用先を与えないで市場運用を促す方向に持っていく方が宜しいのではないでしょうかと思うのですけど、考え方間違ってますかねえ。

折角「誘導目標=付利金利」によって即日吸収は行わないんですねという認識になってですな、4日のオペで即日吸収はやらないけれども翌日以降スタートのショートタームの吸収はやるのね(その吸収の意味も正直よく判らん部分がありますが)というイメージができつつある状態だったのに、ここで即日吸収とかやりやがりますとオペで何やりだすのかが、また訳判らんモードになる訳でして、もうちょっと勘弁していただきたく存じますのですが。


○何をしたいのかが市場にうまく伝わっていないと思いますが

てな訳で本日もまたオペ話、というか悪態書いているのでありますけれども、類は友を呼ぶ点を割り引いて考えましても「日銀の最近のオペレーションは何をやりたくてこういうオペをやっているのか訳判らん」という意見をよー聞く訳ですな。

一本一本のオペに関しての意味は何となく判る(スポネを増やしてGCの上昇を抑えるとか)のですが、やってるオペを全部足して、それに金融政策決定会合などでの声明文や会見での総裁発言なんかを引っ張り出してみると、右の手と左の手で別のことをやっているという感じでして、一体全体何をやりたいのかがさっぱり意味不明というのが(昨日もそんなこと書いたと思いますが)昨今のオペ事情。

たぶん調節担当部門様におかれましては、市場の人たちが見ているものとは違うものも見ないといけないので、そのあたりを調整しようとして市場から見て訳の判らんオペレーションになるんでしょうし、短期市場のいろいろな所を微調整しようとしているのでオペレーションが首尾一貫してないようにも見えるのでしょう、と一応擁護的な書き方をしてみますけれども(^^)、やっぱりよー判らんです。

「誘導目標=付利金利」なのですから、てきとーにタームで資金を出しておいて余ったら準備預金にブタ積み(付利があるからブタではないけど)させておけばそう細かいオペやらんでもええじゃんと市場の一般的な人々は思うんじゃねえのと存じます(企業金融関連はCPオペと新オペがあるのでそっちで対応)が、どうも細かく微調整しようとして却って市場がワケワカメになっているのではないかという悪寒がするのです。

もうちょっとざっくりとやった方が良いのではないですか???と思いますけれどもねえ。



○その他相場等の雑談でございますが

・FB入札とか

今日は3か月FBの入札なのですが、昨日の日本相互証券の引けを見ると何か期末越えの所でプレミアムらしきものが発生しているような値付けになっておりまして(正確に言えば期内モノが低下してプレミアムが発生したように見える)これホントなのかウソなのか良く判りませんけど、まー今回から堂々の4兆8千億円入札なので、バンバン威勢よくという事もないでしょうけれども、地合い自体は宜しいので別にどうという事も無さそうでオモロクナイ感じですな。

CPはさすがに期末越えも発行されだして、レートも落ち着いて(というか低下して)いますので、まあオペ効果とか資金の余剰とかあるのでしょうけれども、やっぱり買取やって(まだやってないけど)良かったですよねと思うのでした。何ぼなんでもちょっとスプレッドやりすぎでしたよね。

#オペが効きすぎて電力がFB並みになっているのもどうかと思うが


・米国長期金利上昇ですかそうですか

というか米国に引っ張られた感じで日本でも年末金利低下して年始金利上昇しているのですけど(苦笑)。

いやまあバーナンキ先生の長期国債購入発言で勢いついて金利低下しました(理由はそれだけではなくて経済指標とかBIG3問題とかありましたけど)けれども、財政問題がネタになって実際に10年債の発行が市場予想より多くなるという話をネタにして(本当の原因は良く判りませんけど)長期金利上昇というかスティープニングとはお洒落な展開。

まあ変に長期金利を直接下げようみたいな話をしない方が吉という事なのではないかと思うのですけれども、これ現実に「長期金利下がるまで長期国債買う」とかヤンチャなこと言って(財政絶賛拡張路線とセットで)実行したらどうなるのか恐ろしいけど見てみたい気はせんでもないです。これをイタリアあたりが実施したらユーロから離脱というような思惑に発展してとてもセクスィーな展開になる(ちなみにジンバブエが実行するとジンバブエになります^^)と思うのですが、米国様が実行するとどうなるのでしょうねえ。

ま、米国の今後の展開を見たいと思いますけど、本当にヤケクソで上記のようなことをやりださない口先介入レベルなら別にどうということもないんでしょうかね。よー判らんが。

#まあ今日も雑談で恐縮でありました









2009/01/06

お題「オペレーション雑談」

総額2兆円ぽっちの一発物定額給付金って何でそんなに大騒動になるのか良く判らんのでありますが。代案が定率減税だったらあたくし的には誠にアリガタヤではございますけれどもそうじゃないんでしょ?

#モーサテで議員が出てくるので楽しみにしてたのですが、某議員を見た瞬間にチャンネル変えてしまいましたとさ♪


○これは珍しくやる気を

昨日日銀のオペに関してちょろっとだけ話をしましたが、その時に「さて年度末越えのオペ」とか書いたのですが途中で書き直した次第(本当^^)だったら、何と昨日は年度末越えのオペをオファー。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of090105.htm

スポットスタート4月2日エンドの共通担保オペを8000億円オファーなのですが、いつもだと市場から散々催促されて(=当該金利が目に見えて上昇して)から打ち込みに行くのがオペレーションの仕様なのですが、新年になってご機嫌でも宜しくなったのか珍しくも市場が催促する前に年度末越えのオペ実施。ついでにトムスタート1月14日エンドで売手吸収してまして(これ売手じゃなくて短国の売現先の方が使いやすいんじゃないのかという気がするんですが)、まあ3か月と1週間でツイストオペ実施という感じで誠に結構な事でございます。ちなみに結果はこんな感じ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba090105.htm

期越え3か月のFBが0.185%とか言ってるので、FBと比べるとレート的にはちと高いような気がするのですが、東京レポレートの3か月が0.214%ですのでこんなもん(レポレートの3か月とFBがいつの間にか乖離してるのね)ですかね。まあ初回だし8000億円ですから。

ということで、このオペを見ますと普通は「これは期末越えの資金供給を早めのうちから淡々と実施して逼迫感は出ないようにオペレーションをしてくるでしょう」という発想が成り立つのでありまして、まあ別に親の敵のようにバカスカオペを打たいでもヨロシなので、ある程度淡々と年度末越えの共通担保を打っていただければ、市場の方も安心するので取引もまあ回るんじゃないでしょうかと愚考するのであります。

ちょっとだけ嫌な予感がするのは、こうやって一発打ってハイおしまいという「とりあえず一回やったから良いでしょ」みたいなアリバイオペの懸念も正直言って拭えないというのがございましてですな、まあ今回折角市場予想よりも早く年度末越えオペ打ったのですから、その効果を生かすような運営を希望いたしたく存じます。


○即日吸収は無い無い

年末の足元大供給攻撃によりまして準備預金の積み進捗が華麗に進行致しまして、残り所要が普通に日割りした時の半分くらいまで減ってしまうという素敵な状況になっていますが、昨日情報ベンダー見てたら「今日は吸収オペレーションが無いことも好感され」みたいなコメントが。

えーっと、そもそも超過準備付利レートと誘導目標を同値にしたのは、吸収オペをしないでもコールレートを必要以上に低下しないという効果を考えてという話ですし、超過準備付利をするということはブタ積み容認という事でありますから、結論として即日吸収のオペは常識的には実施されないという話になる筈なんですが、ど〜してそ〜ゆ〜コメントになるのやら。

コメントをしている人が単に訳判ってないだけならまあ良い(良くないが^^)のですけれども、もしかして市場的には「今までの日銀の動きからして、準備預金の積み進捗が進みすぎてコールが0.1%切りそうになったら即日吸収して牽制してくるのではないか」と警戒していたのかなとも思えます。

もしそうなのであれば、オペレーションに関して市場が考えているものが「出すと言って出さない」「実は0.1%に張り付かせないオペをやってくる」というような認識が強いという話になりますわな。まー今までそんなオペをやっていて「決定会合の声明文やら総裁会見で潤沢な供給をするという話をしているのに、実際は(既に機能が大きく低下している)市場機能を生かすとか言って必要な所に資金回さない」という認識が強うございましたので、ある程度シャーナイナイな感じですが、あまり良い傾向ではございませんですな。

ということで、まあ従来はオペの打ち方が市場の期待する動きじゃない(年末越えの潤沢な資金供給をすると決定会合で声明しておきながら前年と同じペースでしか供給しなかったとかね)のが仕様でしたけれども、今年はもうちょっとその辺りが齟齬がないようになってくると良いですねと思いますです、はい。まーその別に市場の期待通りにオペ打たなくてもよいのですが、散々悪態ついているように、一体全体何をやりたいのかがコロコロ変わっているように見えるようなオペとか、担保範囲緩和したら緩和の適用日スタートまで急に年末越えオペ打つの止めて、適用日スタートになったらいきなり年末越えオペ復活みたいな「いかにも」オペを打つのは勘弁していただけると誠にありがたく存じます。


○とりあえずCPの状況とかFBとか注目してみようかと

昨日はCPの新規発行は(ダイレクトは知らんが)無しみたいでしたが、年末年始にCPオペ効果やら政策投資銀行購入効果やら、足元の資金余剰が強まったことやらで気配は下がった感じで誠に結構な話ですが、そもそもレートが下がる話よりも発行が円滑に進んで企業金融の逼迫感が軽減されるのが政策の目的だと理解しておりますので、二極化というより三極化(レートが死ぬほど低い発行体と高い発行体と全然発行出来ない発行体)していたCP発行市場が年末抜けてどうなるのか注目。ただまあ発行する方もこんな年初早々に大きな資金ニーズ抱えたまま越年してはいないと思いますので週後半か来週くらいからになるのかなあ、よー知らんが。

あと、年末年始に同様に足元資金余剰でGCも0.1%台前半に低下して、2年から手前の金利が軒並み絶賛低下中で、3か月FBも0.2%割れとなっておりますが、暫くやってなかった新規発行がとりあえず明日の入札からスタートになりますので、こっちの方もちと注目なんでしょう。雰囲気からして今週の入札とか楽勝だと思いますけど。

ま、FBに関しては発行が増えることはあっても減ることはないという魔法の債券状態になっていますので、今は良いのですが景気が立ち上がって来た時に結構しんどい話になると思いますけどね。このエグジットについても何か構想はあるんでしょうけれども考えておかないとねえって感じですかな。


#ということで雑談大会で恐縮でした。そういや株券DVPは円滑にスタートしたんですね。良かったよかった。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/set0901a.htm










2009/01/05

お題「新年早々虫干しネタで恐縮です」

今年もよろしくお願いいたしますm(__)m

○まず雑談

例によって年末年始に1年分の手控え帳を読み直してまとめてみたりしたのですけれども、相場動向は兎も角として、日銀のオペレーションに関しては今年になってもまあ変わらんのだろうなあと思います。改めて帳面読み直して痛感したのですが、「オペで何の金利をどう持って行きたいのか」というのがさっぱり判らん(出すと思えば出さず、出さないと思えば出す、というような感じで一貫していない)という感じでしたからねえ。

とりあえず今後もオペレーションに注目という感じではございますな。どうも「市場機能」ってのが変な呪縛になっているような気がするので、オペ担当というよりは「市場機能」を連呼する白川総裁の方が問題含みだと思うんですけどね。

ということですっかり忘却していた虫干しネタです。

○12月金融経済月報より(古い話でスイマセン)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0812.pdf(12月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0811.pdf(11月)

本文を読む根性はありませんので概要部分を比較。

・総括判断

『わが国の景気は悪化している。』(12月)
『わが国の景気は、既往のエネルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから、停滞色が強まっている。』(11月)

ストレートに「悪化」になりましたな。悪化してるのに緩和策無しというのも変なのでこりゃ利下げでしょ利下げという感じで。


・現状判断

『輸出は減少している。企業収益は減少を続けており、企業の業況感も悪化している。そうしたもとで、設備投資も減少している。個人消費は、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、弱まっている。また、住宅投資は横ばい圏内で推移している。この間、公共投資は低調に推移している。以上のような内外需要を反映し、生産は大幅に減少している。』(12月)

『輸出は減少している。企業収益の悪化などを背景に、設備投資も減少している。雇用者所得の伸び悩みやエネルギー・食料品価格の上昇などから、個人消費は弱めの動きとなっている。また、住宅投資は横ばい圏内で推移している。この間、公共投資は低調に推移している。以上のような内外需要を反映し、生産は減少を続けている。』(11月)

めんどいので一気に引用しちゃいましたが、企業収益が「悪化」→「減少を続けている」になったのが下方修正っぽいですが、何といいましても今回下げているのは「雇用・所得環境」と「生産」の部分でして、「雇用・所得環境が厳しさを増す」という部分と、「生産は大幅に減少」という部分が思いっきり下方修正になっています。


・先行き見通し、総括判断

『景気は、当面、厳しさを増す可能性が高い。』(12月)
『当面の景気は、海外経済の減速が明確化するもとで、停滞色の強い状態が続く可能性が高い。』(11月)

これはまた厳しい先行き見通しになりました。というかやっと追いついた感じでもございますが、苦笑。


・先行き見通しの項目別展開

『すなわち、輸出は、海外経済の一段の減速や為替円高を背景に、大幅に減少するとみられる。国内民間需要も、企業の収益や資金調達環境が悪化し、雇用・所得環境も厳しさを増すもとで、さらに弱まっていく可能性が高い。この間、公共投資は低調に推移すると考えられる。以上の需要動向と在庫調整圧力を背景に、生産は大幅な減少を続けるとみられる。』(12月)

『すなわち、輸出は、海外経済の減速や為替円高を背景に、減少が続くとみられる。国内民間需要は、企業収益や家計の実質所得の減少を背景に、弱めに推移する可能性が高い。この間、公共投資は減少傾向をたどると考えられる。以上の需要動向のもとで、生産は減少を続け、目先はそのテンポが速まるとみられる。』(11月)

海外経済が「一段の」減速と更に減速見通しになり、輸出の見通しが「大幅に」減少と引き下げ。民間需要も雇用・所得環境の悪化を踏まえて「さらに弱まっていく」と下げ、生産も「大幅な減少」と下げました。それから「在庫調整圧力」も指摘しているということで、もうお先真っ暗みたいな内容ですな。ちーん。


・物価に関して

まあ正直物価は市場的には注目範囲外になってしまいましたが。まずは現状。

『物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況の下落を主因に、3か月前比でみて大幅に下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は+2%程度となっており、石油製品価格の下落を主因にプラス幅が縮小している。』(12月)

『物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況の反落を主因に、3か月前比でみて下落に転じている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギーや食料品の価格上昇などを背景に、+2%台半ばとなっている。』(11月)

まあ現状は現象面の説明ですので。上昇モードじゃないのであまりネタにならんです。デフレスパイラル懸念とかになったら別方向でネタになるのですが。で、先行き。

『当面の物価動向についてみると、国内企業物価は、国際商品市況の下落を主因に、下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(12月)

11月と全部同じなので11月分引用は割愛(^^)。


・金融面に関して

金融面の現状に関しては引用を割愛致しまして、金融環境に関する部分を引用します。

『わが国の金融環境をみると、CP・社債市場での資金調達環境が悪化しているほか、中小・零細企業に加えて、大企業でも、資金繰りや金融機関の貸出態度が厳しいとする先が増えており、全体として、厳しい方向に急速に変化している。』(12月)

『わが国の金融環境は、中小・零細企業で資金繰りが悪化しているほか、大企業においても市場での資金調達環境が悪化している先が増えるなど、全体として緩和度合いが低下している。』(11月)

えーっとですな、認識がワンテンポ遅いのではないかと。金融政策はフォワードルッキングだそうですので、「厳しい方向に急速に変化」する前に手が打たれて然るべきではなかったかと。突発事態でどうのこうのというのなら仕方ないですけれども、11月決定会合時点で何もやらなかったら年末越えの所を意識した動きが急速になる事は皆さん指摘してたと思うのですが。

ちなみにその細かい部分に関して12月の分だけ引用。

『コールレートは、実体経済活動や物価動向との比較でみて低い水準にある。しかし、CP・社債の信用スプレッドが拡大していることなどから、企業の資金調達コストはこのところ強含む気配が窺われる。』(12月)

利下げ前の段階でコールレートは「低い水準」という認識なんですね。企業金融に関してはその通りで。

『この間、CP・社債の発行残高は、投資家の選別姿勢が厳しい状態が続く中、前年水準を下回っている。銀行貸出は、中小・零細企業向けは前年割れを続けている一方、CP・社債発行からの振り替わりや手許資金積み増しの動きを受けて、大企業向けを中心に増加している。そうしたもとでも、大企業も含めて、資金繰りや金融機関の貸出態度が厳しいとする先が増えている。(以下割愛)』(12月)

ということで、短観でも指摘されてましたが、金融環境の悪化を指摘となってます。


#年頭早々引用増量企画で誠に恐縮至極