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2009/04/30

お題「相場雑談とFOMC」

米国10年国債3.1%ってそれで良いのかバーナンキ。それから豚インフル絶賛拡大中なのに米国株式市場気にせず上昇とはさすが能天気というか強欲というか・・・・・


○豚の影響ででブタ積み拡大ということで(・θ・)

とりあえず豚インフルエンザってネーミング、「メキシコ風邪」とかにならないのでしょうかねえ・・・・・豚インフルエンザの感染拡大で今朝の警戒レベル引き上げはまあ来ましたなという感じ。まーあちこちで感染者確認ですから致し方無しでしょう。

火曜日の相場を思い出しますと、疫病の経済活動に与える悪影響懸念で何となく株安債券高だった所に、ストレステストに関するWSJの報道(シティとバンカメが資本不足云々の話ね)で債券市場は見事に踏み踏み状態になってしまいました。先物だけじゃなくて現物も強くなりましていやはや参りましたという所で。

まーしかし普通に考えてこれは貿易とか人の動きに対する阻害要因にも程がある状態になる訳ですし、スペイン風邪の事例によりますと若い衆が発病しやすい(ウィルスは1年くらいのスパンで見たら殆どの人が感染するでしょうが、有効なワクチンが大量生産されるまでに発病しないようにという事らしいですね、よー知らんが)そうですから、まともに大流行となったら益々経済活動によろしくないでしょと思う訳でして、本日金融政策決定会合もございますことですし、やはりここは豚インフルエンザ拡大への経済活動への懸念ということで長期国債買入拡大というのはどうでしょう(^^)。ちなみに今日の決定会合はあまりそういう類の織込みはしてないと思いますので念の為付け加えておきます。展望レポートがとてもゲロゲロになるというのは既に織込みですし。


で、その当座預金残高ですけど、今週月曜に当座預金残高を13兆円台に落としてGCレートは跳ねましたが、月曜にトムスタートの共通担保オペを8000億円2本立てで打ち込みまして当座預金残高を14兆円台に戻しまして、火曜日もトムスタートの共通担保オペを8000億円打って当座預金残高14兆円を維持の見込みとなりまして、債券のレギュラー受渡が7日になって7日スタートのGCはというと普通にレート低下の巻で落ち着いて良かったですねという感じです。

ということで、当座預金残高13兆円台に削減→GCレートやオペレート上昇→当座預金残高を14兆円台に戻すオペ実施という一連の動きによって、ここへ来て1月や2月の積み期間(3月積み期間は期末対策でさすがに積みが多くなってました)と比較して当座預金残高を多めに積んでいる状況が継続してるというのが確認できたのかな?という所でしょうか。ただまあ今月(3月積み期間)は積み最終に向けて当座預金残高をじゃんじゃん削減し、積み最終週はGCレートちゃっかり上昇してましたので、さて今回はどうするのでしょうかという感じではございます。


ついでに相場雑談をしますと、火曜日は何かよー知らんのですがCPレートが微妙に低下してたりというのがこれまた謎だったりします。またディーラ買いが入ったんでしょとは思うのですけれども、企業業績発表もなんのそのというその力強さにはちょっとおじちゃん「???」でございます。オペ効果おそロシアとしか申し上げようがございませんが、短期の運用難を見越した動きなのか、オペやら政策投資銀行の買入へにぶつける狙いの買いなのかは良くわかりませんけどちょっとこのタイミングでの動きはワケワカメであります。

あと、地味に補完供給の発動条件緩和が継続されてましたですな。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0904c.pdf



○そういえばこんなページができてました

先週木曜の夜かなんかに出てたのですけど・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0904c.htm
「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」ページの新設等について

『本日、本ホームページに、昨年秋以降の金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策をまとめた「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」ページを新設しましたので、お知らせします。』

『また、オペレーション等の各金融政策手段について整理したコンテンツも同時に開設しました。』

ということで、その政策のページがこちら。
http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku_cfc/index.htm

今般の金融緩和政策の3つの柱に沿って政策の説明をしておりますが、その後半は図表の集合体になっておりまして、はてさてこりゃ何のグラフかと申しますと、日銀のバランスシート拡大の状況とかのグラフになっているのが中々チャーミングでございます。FRBのバランスシート政策というのを意識して日銀もアピールって所でしょうか。


○ところでFOMC声明文の超斜め読み

斜め読みなので多分抜けがありますのはご容赦ありたし。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090429a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090318a.htm(前回)

・第1パラグラフ

まずは冒頭。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economy has continued to contract, though the pace of contraction appears to be somewhat slower. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in January indicates that the economy continues to contract. 』(前回)

・・・・・底打ちということで米国債券市場が下落したということですね、わかります。で、その底打ちですけど、経済活動に関しては『Household spending has shown signs of stabilizing』と言ってますわな。

『Although the economic outlook has improved modestly since the March meeting, partly reflecting some easing of financial market conditions, economic activity is likely to remain weak for a time. 』(今回)

ということで、金融市場の状況が一部緩和されている事を反映してちょっとだけ経済見通しも改善ということで、今般散々打ち込んだ政策の効果が出てきてますよというお話になるんでしょ。


・第2パラグラフ

で、物価上昇率が望ましい水準を下回るリスクに関しても引き続き言及。

『In light of increasing economic slack here and abroad, the Committee expects that inflation will remain subdued. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term.』(今回ですが前回と同文)


・第3パラグラフ

金利は当然据え置きで、例のインチキ時間軸もどきの表現も前回と同じ。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and anticipates that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』(今回ですが前回と同文)

でもって、その他政策に関しては追加措置はございませんでして、従来の政策を説明。

『As previously announced, to provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of up to $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and up to $200 billion of agency debt by the end of the year. In addition, the Federal Reserve will buy up to $300 billion of Treasury securities by autumn. 』(今回)

しかしですな、相変わらず「buy up to $300 billion of Treasury securities」が「provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets」になっているのですが、米国10年国債の金利は前回FOMCアナウンスやったときの水準に戻っちゃいましたよって所でして、はてさてこれどうするのでしょうかねえとニヤニヤしながら無理筋ロジック(まあFOMC的にはロジックもへったくれもあるもんかいなという火事場モードなんでしょうけど)の行方を眺めたく存じます。

一応今回は「今後額を増やすかもしれませんし、買入商品構成を改善するかもしれませんよ」というアナウンスを打ち込んだのですが、株式上昇とか金融不安解消ネタとかの方に反応して米国長期国債利回りが上昇しているのがチャーミング。

『The Federal Reserve is facilitating the extension of credit to households and businesses and supporting the functioning of financial markets through a range of liquidity programs. The Committee will continue to carefully monitor the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet in light of financial and economic developments.』

んでまあ今回は全員一致での決定でありました。

#超斜め読みで恐縮至極













2009/04/28

お題「色々と雑感」

ニュースサイトをリロードするたびに話が大きくなっておりまして、「いやもうあたくしなんぞ頭が鳥で体形が豚ですからエライコトですよ」というお約束のギャグをかましている場合では無いですな(汗)。

○連休前にGCレート上昇とな

先週木曜までは別に平穏だったGCなんですけどね、金曜月曜とレート上昇の巻となっておりまして、市場オペレートも当然ながら上昇しておるのですよ。昨日のスポネ現先オペは0.159%平均となってまあほぼ0.16%となってましたが、GCレートもレギュラーで16から17とかですし、ここもと足元に下がると緩和気味だったGCのトムネとかスポネとかのレートも上昇気味。

まー原因としては普通に当座預金残高を減らしてきたことにある訳でございまして、この積み期間に入って当座預金残高が16兆円近辺で推移していたのでGCが11−12レベルで安定しておりまして、「暗黙の量的緩和状態ただし金利付きですなあ」というような事を先日書いたと思うのですけれども、それで連休越えのCPとか短国のレートが超安定していた事と、このままの進捗状況だと連休で積み5日間の所で積みが進捗し過ぎると考えたのかどうか知りませんが、先週から残高が減ってきましたでござるの巻になったんですな。

即ち、22日に当座預金残高を1兆減らして15兆円近辺にした所に来て、金曜に当座預金残高をもう一丁減らして14.3兆円まで落とし、その時点で月曜スタートのオペなしだと当座預金残高が13兆円台半ばに下がるからトムスタートの資金供給オペへの期待があったと思うのですが、オペ実施なしということでレート上昇となってレギュラー翌日物のGCレートが16−17レベルに上昇となった次第ですにゃ。

・・・・・準備預金の進捗しすぎ懸念は判るんですけど、今回の積み期間ではのっけから16兆円の当座預金残高で走っていたので、「これは暗黙の量的緩和」という感じになっていたので、ちょっとあたくし的には意外感がございますです、はい。足元のGCレートが落ち着くと業者の在庫ファンディングのコストが安定するので、短国大量発行の昨今においてはターム物金利を落ち着かせるのに効果抜群(在庫ファンディングのコストがぶれやすくなると当然ながら足元対比で3か月とかのタームにリスクプレミアムが発生するので、水準云々よりも「足元のGCレートがぶれにくくなる」という方が重要だと思います)と相成りまして、補正予算に伴う国債絶賛大増発で短期国債も増発ですなあという状況を見据えてレートを落ち着かせようとしてたんだなーってあたしゃ思ってたのよ。

ま、当座預金16兆円で走っていると、準備預金が進捗しすぎた結果、すっかりシュリンクしている無担保コール市場のレートが0.1割っていくというそれはそれでディレクティブとの整合性がどうなのよという話になってしまうのもよーく理解できるので難しい運営ですねえとは思うのですけれども、連休前でGC上げちゃうのもちょっとあたくし的には意外感がございましたですよ。

ここもと3か月の共通担保とかは多かったのですが、連休越えで3週間程度の共通担保が(国債買現先はスポネと1週間もののロールですし)かなり少ない印象がございまして、足元GCが11−12で安定しているという認識の下では3か月の17だの18だの(21日の共通担保3か月がそんな感じのレート)というのは中々業者は入れてこないので、結果ショートファンディングが溜まってしまい、当座預金残高を減らすとビビットに反応しちゃった感じですかな。まあ連休の券需要を前に先日付の資金を出す人が減りやすいとか、決算発表シーズンなのでまあ様子見とか、微妙に資金の出が悪くなってもおかしくないタイミングに当座預金残高を下げてきたので効果でましたなあという所っすかね。


まー何ですな、準備預金進捗をある程度気にするという事であれば、イベントに向けて徐々に当座預金残高を厚くしていくような感じで走った方が、途中でレートがピョンと跳ねたりしないと思うのでありまして、今回だったら積みの最初はおとなしめの残高でスタートして大型連休前に向けて連休越え3wくらいの共通担保を打ちつつ当座預金残高増やすとかの方がレート安定しやすいのかなあとか勝手な後知恵浅知恵でございますけどね。

でも今回は前回の積み最終日近くの渡しでGCレートが17とかに上昇して、15以上状態が続いたので初日の時点で当座預金を積み上げておかないとGCが11−12に下がらなかったというのもありますからムツカシヤなのかもしれませんけどね。


○とは言えCPとか短国とかはとりあえず平穏みたいな希ガス

一方でCPレートとか短国のレートなんですけど、これがまたオモロイ事に足元のGC上昇に反応しないでござるの巻。昨日の引け値でも先週の新発20回がやっと0.200%になった程度でして、3か月以内は基本的に軒並み0.20%割れ継続となっておりますです。また、CPは先週金曜から昨日に掛けて連休越えの発行が増えましたが、もともと期末越えの発行分の落ちも多かった事も影響しているのかこちらもレートは落ち着いているにも程がある展開。

まー足元GC上昇しましたねと言っても、それはそれとして連休越えの潰すべきキャッシュを持っている人はいて、そっちのお家の事情的には運用圧力高いでしょという話とか、連休明けになるとレート下がるんじゃないのかという懸念とか、まあ何となくレポレートの世界の微妙にお隣さんとの金がやや分断気味のような感じですな。

政策投資銀行やら日銀の買い+企業特別オペという強力ツールがあって、CPの場合は特に阿片窟あるいは亜空間状態になっておりますので、何だかよーわからん所がございますけどね(苦笑)。今日は3か月TBの入札があるのですけれども、これは連休明けのスタートになりますので、投資家のニーズがどの位入ってくるのかちょっと気になりますね。


○国債増発雑談

ブルームバーグのヘッドラインを読みますと、今回の国債増発に伴う1回あたりの入札増額は以下の通りみたいですね(ソースは昨日のブルームバーグニュース9時01分のヘッドラインです)。

1年短国:4000億円
2年債:4000億円
5年債:3000億円
10年債:2000億円
20年債:2000億円
30年債:1000億円
40年債:1000億円
流動性供給入札:1回3000億円に(従来1500億円)
物価連動と15年変動は今年度3000億円ずつの発行

ということで、どちらかというとPD懇寄りの結論になった次第で、ちょっとこれまた意外感があったのですけど、今後予想される税収不足などに伴う国債発行増加に対して温存しているのは超長期なのか6か月なのかがイマイチわからん次第。

あたくし的には先般来申し上げておりますように、こーゆー低金利のうちにもっと超長期に振って借り換えが早くこないようにした方がエエンデナイノと思うのですけれども、まー発行当局様がこう考えたので、では今後実際に発行されたときにどういう展開になるのかを見ていきたいと思います。とか言いましても、実際に増発されるのは予算通ってからの話ですからもうちょっと先っすね。

それはそれとして、3年債は今後導入可能性もってヘッドラインもあってちょっとあのそのそれはどうなのよと思うのですけど。2年に3年に5年ってあーた中期大杉勝男ですがにゃという印象なのでござんして、ふと思ったのですが、どうせ3年出すなら毎月発行毎月償還形式にして、2年債から全部振ったら如何でございましょうかという気がしたんですが。そうなると1年短国、3年、5年と並んで何となく並びが良いじゃないですか(無責任)、償還年限延びますし。

なお、今の状況で中期3年とかで新発出すなら流通市場で変なスクイーズとか掛けられておもちゃ状態になるのを避けるために最低でも1.5兆円、普通に考えると2兆円の発行額が必要でしょと1年や2年のプライスアクションを見てて思いますですというのをしつこく付け加えます。


○金融緩和の名目が出来ました!(不謹慎でどうもすいません)

明日じゃなかった明後日は金融政策決定会合でして、絶賛下方修正の展望レポートが出るのはまあ予定通りだと思いますが、ここへ来てあたくしを含みますメタボの皆様におかれましてはニュースで連呼される度に微妙に気分がよろしくありません某新型インフルエンザがエライコッチャになってまいりました。

・・・・・そこでこれですよ!!

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k030430.htm
(2003年4月30日の当座預金残高目標引き上げ時の声明文)

ネタ振りが不謹慎でどうもすいませんm(__)m

ただまあここから更に話が大きくなって、渡航制限だの輸出入制限だのという話になると、マジメな話悪影響になります(昨日はGLOBEXのSP500指数先物が東京時間でも下がっておりましたですな)ので、あまりギャグをかましている場合ではなかったりするのでこりゃまた新しいリスクシナリオ。SARSの時よりも感染力が強そうですからねえ・・・・















2009/04/27

お題「白川総裁の不良債権問題講演」

河村たかしさんはさすがに勝ちましたね。ところで、投票率がどどーんと上昇したことのインプリケーションはどうなの??

で、白川総裁が23日にジャパン・ソサエティで講演をした日本語訳がアップされてましたが、こういう話をさせるとさすがの白川ゼミって感じですね。本文18ページで表紙が1ページと合計19ページになりますです。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0904c.pdf

○冒頭部分に「へ〜」

『最初に、個人的な思い出をご紹介したいと思います。日本銀行は、1990 年5 月に金融システムの安定を責務とする新しい局を創設し、私はその課長に就任しました。当時の三重野総裁は私の上司と私に、今後あり得べき金融機関の経営破綻に備えられるよう、政策対応の処方箋を描くよう指示しました。当時と言えば、日本経済はまだ好況に沸いていた頃です。日本の株価は既にピークを付けた後でしたが、地価はまだ上昇を続けていました。金融システム不安が表面化したのはこの数年後でしたから、総裁に先見の明があったことが、今でも思い起こされます。』

これはへ〜なのですが、そこまで先見の明があったのであったら(あんなに拡大しちゃってたら軟着陸は確かに難しかったとは思いますけど)もうちょっとバブルの潰しようがあったようがありませんでしたっけと。いやさすがに90年とかになると最早学生に毛が生えたようなもんなので、当時の状況を後知恵で言うのもちと憚られますけどにゃ。

で、その結果として政策対応の処方箋を作った部分は割愛しますが、

『こうした一般的な処方箋は、現在の状況の中でみても、依然として正しいと思います。しかし同時に、後から振り返ってみると、この処方箋は、現在私たちが経験しているような大規模な金融危機に対処するための包括的な戦略の一部に過ぎない、ということも認めざるを得ません。私たちは、なぜ過去においてそうした包括的な政策を遅滞なく実行に移し得なかったのかを、自らに問うてみる必要があります。』

ということで日米の金融危機の類似点に関しての話になります。


○で、日米の危機の比較ですが

『以上を念頭に置いたうえで、次に、1990 年代から今世紀初頭の日本の危機と、過去数年間における米国の経験との間には、顕著な類似点があることを指摘したいと思います。この類似点は5 つに分類することができます。』

『まず第1 に、日米ともに、金融危機の発生以前に、高成長と低インフレの時期が長く続いたことが挙げられます。』

ですな。

『第2 に、日米ともに、バブルが崩壊した後も、その事実だけではなく、それが経済に広くもたらす厳しい影響が認識されるまでに、相当の時間を要しました。』

つまりどういう事かと言いますと・・・・

『日本の場合、株価のピークは1989 年末、全国の地価のピークは1991年9 月であり、日本銀行が最初に利下げを行ったのは1991 年7 月でした。しかしその当時でも、金利引下げがバブル再燃の引き金になるのではないかと警告を発する声が多く聞かれました。』

『米国の場合は、住宅投資がマイナスに転じたのは2006 年第1 四半期、住宅価格のピークは2006 年5 月でした。一方、FRBが利下げを開始したのは2007 年9 月でした。この時も、FRBの利下げが国際商品市況の非合理的な高騰の一因となっているのではないかとの批判が聞かれました。』

『政策当局者の中には「バブルは破裂して初めて認識できる」という意見も多いのですが、正確には「バブルは破裂しても、容易にはそのことを認識できない」と言うべきだと思います。バブルの識別の難しさは、金融政策に対して重要なインプリケーションを持っていますので、後でこの点をご説明したいと思います。』

確かにその通りですね・・・・

『第3 に、過去の金融危機は、いつも金融機関の流動性不安から顕在化しました。』

どういうことかと言いますと、

『日本の場合、中規模の証券会社がインターバンク市場で債務不履行を起こしたことが、短期金融市場における急激な流動性収縮の引き金となり、その影響は直ちに日本の金融市場に広範囲に拡がりました。』

『今回の米国でも、2008 年9 月のリーマン・ブラザーズ社の破綻が契機となって、資金市場における流動性が枯渇しました。そのことが国際金融市場の信認の連鎖を断ち切ったほか、貸し手と借り手の間の与信の流れを詰まらせました』

返す返すもリーマンを突如法的にコカしたのは残念としか申し上げようがありません。というか前例あるのに何故やりやがったという感じですが。

『第4 に、日米ともに、金融システムの安定性が脅かされているにもかかわらず、公的資本注入等の本格的な対策は、金融市場の混乱が危機的な状況に達するまで採用されませんでした。』

こちらの日米比較はまあご案内の通りというか今ここにある状況ですので引用割愛。

『第5 に、金融政策についても類似性がみられます。』

と言う話は日米でやっている事は類似していますねという話なのでこれまた引用割愛。


○日本の「失われた10年」に関して

『最初に申し上げたように、日本の1990 年代は「失われた10 年」と呼ばれています。このわかりやすい表現から伝わってくる内容はたいへん率直なものであり、要するに、日本経済が長い停滞に苦しんだということだと思います。しかし私は、こうした表現は、物事を単純化し過ぎるあまり、問題に取組み適切な政策対応を策定するうえで誤解を与えかねないと懸念しています。』

ということで、10年間の確認をしているのですが、例によって端折って引用します。

『まず第1 に、日本経済が、1990 年代を通じて停滞していたということは事実です。』

と言いましても、『バブル崩壊後で経済情勢が最も厳しかった1998年度でも、日本の成長率は−1.5%にとどまっており、現在ほどの急激な落ち込みはみられませんでした。また、金融危機の間も、日本の実質GDPの水準は、バブル期のピークであった1989年を下回ることはありませんでした。』という状況でもありましたと。

『第2 に、日本経済は、1990 年代の低成長期においても、何回か一時的な回復局面を経験しました。ただし、このことは、経済が遂に牽引力を取り戻したと人々に早合点させる働きをしたように思います。これは「偽りの夜明け」(false dawn)とも言うべきものでしたが、人間の常として、物事が幾分改善すると楽観的な見方になりがちです。』

ゼロ金利解・・・いやまあいいです。

『第3 に、日本の危機は、デフレーションという文脈で議論される傾向があります。しかし、より正確に言えば、私たちが当時最も懸念していたのは、「デフレーション」という言葉から通常想起される一般物価の下落というよりも、資産価格の下落でした。』

つまり・・・・

『日本の地価は、大都市ではピークからボトムまでに7 割から8 割という規模で下落しましたが、一方、消費者物価の低下幅は1997 年から2004 年までの累積で3%でした。日本が直面していた本当の難しさは、資産デフレと銀行セクターの脆弱性との相乗作用でした。』

さいですな。

『第4 に、バブル崩壊後、長期間にわたって日本経済の成長率が低迷した背景には、構造的な側面もありました。』

で、構造問題から『不良債権問題による信用仲介機能の弱まりとともに、資源の効率的な配分を損ない、日本の潜在成長力を低下させました。』という指摘になっています。


ではその教訓とは何かという話が続きます。日本の政策に関して3点を強調しています。

『第1 に、大胆だと思って採った行動であっても、事後的にみれば必ずしも大胆ではなかったという場合があります。先ほども申し上げたように、日本政府は1999 年に大規模な公的資本の注入を行いましたが、これは、後からみると実体経済の悪化と金融危機の負の相乗作用を食い止めるために十分ではありませんでした。このように、負の相乗作用とは、その大きさを把握することがたいへん難しいものです。』

『第2 に、日本の銀行危機について既に申し上げたように、金融システムの安定を確かなものにするための大胆で迅速な政策対応は、政治的に不人気になりがちです。そのため、政策当局者は、政府や中央銀行による危機管理対応が、経営に失敗した銀行を救済するためではなく、金融システム全体を救うために行なわれているということを、しっかりと説明し、国民の理解を得る必要があります。』

『第3 に、マクロ経済政策は、経済の急激な減速に立ち向かううえで鍵となる役割を果たすのですが、万能薬ではありません。バブル期に蓄積された過剰の整理に目途がつかない限り、力強い経済成長を取り戻すには至りません。同様に、マクロ経済政策は、企業がビジネスモデルを調整できないことに伴う生産性の低下に対処することもできません。この点は非常に重要ですので、若干説明を加えたいと思います。』

ということで一々ご尤もですが、過剰の整理に関して更に説明。

『バブル期において、日本経済に蓄積された不均衡は非常に大きなものでした。1980 年代のブーム期に、日本の企業は借入れを急速に増やし、設備投資は、1990 年までの3 年間に年率2 桁のペースで拡大しました。しかし、一旦バブルが1990 年代初頭に崩壊すると、実体経済面で資源の稼働率が急速に低下するとともに、不良資産が増加し始めました。結局のところ、日本は債務・設備・雇用の3 つの過剰を大幅に蓄積していたのです。このような大きな不均衡を解きほぐすのに長い時間を要することは明らかです。』

で、この講演のお題とはあまり関係ないですが、先日ご紹介したさくらレポートで地域の中小企業における設備と雇用の過剰が現れているという所は気になっちゃいますよね。まあ過去のような深い過剰ではないと思いますけど・・・・・


○で、現在の政策対応に関して

現状の米国における状況および世界的に広がっている問題をどう見て、どのように対処するのかという話が続きます。が、過去の日本との相違点がどうのこうのとか、現状の問題点がどうのこうのという話の部分を全部端折りまして(引用してるとキリが無い)、結論の部分を引用。

『以上をまとめると、金融危機管理の政策対応として、第1 に、流動性の潤沢な供給、第2 に、信用市場の機能の支援、第3 に、マクロ経済政策による有効需要の喚起、第4 に、公的資本の注入とバランスシートの不確実性の除去という4 つの要素を述べました。この4 つの領域で効果的な措置が講じられなければ、経済は一段と厳しい調整を余儀なくされかねません。』

で、白川総裁更に厳しい認識を示しておりまして・・・・

『もっとも、政策当局者は何でも達成できる訳ではないということも認識する必要があります。この20 ヶ月間に採ってきた政策対応は、危機に先立つブーム期に蓄積された不均衡を解きほぐす必要性を帳消しにするものではありません。先ほど申し上げたように、日本の場合は、企業の債務・設備・雇用の3 つの過剰が整理されるまでは、経済が持続的な回復に移行しませんでした。今回の危機についても、同様のことが言えます。』

『米国経済は、金融機関のレバレッジの増加や、家計の過剰債務、そして恐らくは金融産業の行き過ぎた拡大に対する調整が必要になっているものと思われます。これは痛みを伴うことですが、避けては通れないプロセスです。日本の10 年に及ぶ経験からみて、痛みの伴わない近道はありません。』

メリケン様は痛みを伴わないで何とかしようとしているようにも見えないでも無いですがまあそれはそれと致しまして。

『もう一つ注意しておきたいことがあります。過剰の調整に伴う痛みの故に、貿易や金融面で保護主義に傾いていくリスクがあります。しかし、保護主義は断固として食い止めなければなりません。また、保護主義と同様、過剰な規制も経済の効率性を損ね、生産性を低下させます。こうした事態に陥ることも絶対に避けなければなりません。』

保護主義っていうかメリケン様の俺様超モンロー主義と言いますか・・・・


○で、今後の挑戦は「危機の予防」と来ました(^^)

という現状認識を行ったあと、最後の所で白川総裁の本領が実は発揮されてたりするのれす。

『ここまで私が申し上げてきたことは、危機の解決に関するものでした。しかし、中長期的にみると、危機が起こらないように予防することも同じように重要です。以下では、この観点から概略を説明したいと思います。』

『そもそも、現在の危機は、金融政策運営にとって重大なチャレンジとなっています。このことは、政策当局者の考え方だけでなく、実際の政策形成を裏付けてきた理論にも変化を迫っています。学問としてのマクロ経済学は、この20 年間に発展し、洗練の度合いを高めてきました。』

『政策実務家にとってそのインプリケーションを単純化して申し上げるならば、第1 に、経済の潜在的な成長力は一般物価の持続的な安定の下で最大化される、第2 に、中央銀行の金融政策は第一義的には一般物価の安定を目指すべきである、第3 に、第1 と第2 の帰結として、マクロ経済安定の責務は第一義的には金融政策に帰せられるべきである、ということになります。それぞれの命題は今でも正しいのですが、時間が経過するとともに、金融政策だけで全てに対応できるというような、一種の慢心につながってきた面もあるのではないかと思われます。』

金融政策万能理論の下に何でもかんでも金融政策批判をするのはケシカランということですね、わかります・・・・ってのは兎も角として、白川総裁がよく持ち出す「マクロプルーデンス」の観点の重要性について説明をしていますが、そこは微妙に端折りまして。

『「バブルにどう対応すべきか」という問題は長い間にわたって論争されてきました。一つの立場は、中央銀行はバブルが破裂してから積極的な金融緩和で対応すべきと主張してきました。この主張は、バブルを生成時点で認識することは難しいので、中央銀行はバブル崩壊後にその経済に及ぼす悪影響を相殺するしかないという考え方に基づくものです。しかし、私はこの考え方に対して異論を持っています。多くの場合、バブルは、破裂しつつある時でも認識が難しいものです。しかも、バブルの破裂後に、それまでに蓄積された過剰が解きほぐされていく過程では、現局面でまさにみられているように、中央銀行の金融緩和政策の効果はかなり減殺されます。』

BISビューキターーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー
バーナンキ批判キターーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー

『それでは、私たちはどうすべきなのでしょうか。まず、最も重要なことは、中央銀行は、バブルの生成を予防することと、バブルの崩壊の影響を緩和することの双方に注意を払うべきということです。私は、こうした対称的な(symmetrical)アプローチが正しいと考えています。』

ということでマクロプルーデンスの観点っつーもんの説明が。

『中央銀行は、不均衡が経済に蓄積されてきていないかどうかを、常に警戒しておくことが必要です。経済の不均衡はみえにくいところで積み上がります。したがって、中央銀行が金融政策判断に当たって一般物価の安定だけに焦点をあてていると、経済活動の様々な側面で生じる危険な兆候を見落とす可能性が高まります。マクロプルーデンスの観点が重要性を持つのは、まさにこのためです。』

『金融の不均衡は、典型的には、金融機関の信用量の伸びやレバレッジの拡大、資産価格の急騰、あるいはそうしたものの組み合わせとして現われ易いものです。中央銀行は、こうした指標を注意深くみることが必要です。』

『しかし、不均衡は形を変えて現れる可能性もあります。経済の不均衡が生成されるまでに長い時間がかかり、しばしば金融政策運営の通常の時間的視野を越えてしまうという点は、中央銀行にとって難しい問題です。したがって、物価の安定を短期的な消費者物価指数の安定として狭く捉えてしまうと、バブルの生成という意図せざる結果を生み出すかもしれません。』

『今世紀初頭にいわゆるITバブルが破裂し、デフレーション懸念が高まったことを背景に、金融政策は、世界的な規模でしかも長期にわたって緩和されました。不幸なことに、このことが、グローバルな信用バブルを発生させ、その結果グローバルな金融システムを混乱させた要因の一つとなっています。』

金融緩和の行き過ぎ警戒キタコレ。

『経済情勢が厳しい時に、積極的な金融緩和を追求すべきことは当然です。厳しい経済危機においては、政策当局者は、経済の一時的な回復──先ほども申し述べたような偽りの夜明け(false dawn)と言うこともできます──を本当の回復と見誤ることがないように注意する必要もあります。しかし、終わりのない経済危機というものはありません。したがって、中央銀行は、積極的な金融緩和からの適切なタイミングでの脱出も、意識しておかなければなりません。脱出が遅れると、より悪い状況への入口に既に足を踏み入れている可能性があるのです。』

ほっほー。

『最後に、金融政策だけでバブルの生成・崩壊の再発を回避できるものではないことを付け加えておきたいと思います。たとえば、規制・監督の領域においても、取り組むべき課題は数多く残っています。』

ということで、延々と引用しまくっちゃいました(特に最後の部分)けれども、最後の部分に関しては白川総裁の主張がどどーんと出てましたなあという講演要旨でした。何かもうアホほど引用しちゃってどうもすいませんでしたm(__)m














2009/04/24

お題「市場雑感と国会ヒマネタ」

草なぎ容疑者逮捕のフラッシュが出た直後(寄り付き直後でした)暫く株価指数先物と債券先物が値動きフリーズ状態になっていたように見えたのはあたくしの気のせいですかそうですか(^^)。

○金余りですかそうですか(市場雑感)

まずは一昨日の話で誠に恐縮ですが、これを一つ。

http://www.jfc.go.jp/common/pdf/shk090422.pdf
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul210422.htm

一昨日3か月ものTBの入札があったのですが、その間に日本政策金融公庫が3か月ものの政府保証CPを入札発行したのですな。お茶目にも期間がまるっきり同一でしたが、結果は上記の通り。

前回入札を行ったときは、足きりレートが3か月もの政府短期証券の実勢利回り+3bpのところになって、平均は+1くらいの所だったのですが、今回は堂々の国庫短期証券割れの利回りに。

・・・・えーっとあのそのこれって企業特オペ対象と違うと思う(勘違いだったらスイマセン)ので、特別御優待価格0.10%ファンディングのスペシャルツアー1名様から催行確約の対象になっとらんと思うので、如何に政府保証とは言え、国債アンダー利回りはねえだろと。つまり、現状での社債市場の一般的なレート形成での考え方は、流通市場での流動性の差を勘案すると政府保証の地方公営企業等金融公庫債とか預金保険機構債とかは同残存の国債からスプレッドが乗る(残存1年とかだと今なら2〜4bp位ジャマイカ)というモノでありまして、そこから考えると入札時点で明らかに国債よりレート低い所(政策公庫のCP応札締め切り時間のTBは堂々0.20%のオファー並ぶの図)で札入れるとは恐るべしという所です。

無理やり理屈をこじつけますと、片や1000億円の発行に対して5兆4千億の発行と発行量が全然違いますとかございますが、まあ引受実績欲しい人たちが特攻したとかいう辺りが実情なんでしょという所でしょうか。特オペには入れられなくても共通担保の担保としては使えますから、現在の実勢レートおよび今の所の暗黙の量的緩和状態(ただし金利つき)の継続を前提にすれば、足元共通担保オペで0.1%台半ば以下で回していけるので、在庫として抱えていてもそんなに死なないでしょというのもある(前回2月20日に入札やった時はまだCP阿片窟相場じゃなかったです(兆候は思いっきりあったが)し、当座預金残高はやや多目ながらも13兆円から14兆円での推移で今より2兆くらい少なかった)のかと思いますがどうなんでしょうね。

まーいずれにせよ、何もこんなところまで国債とCP(ただし政府保証)のレート逆転現象をやらんでもと思いましたです。


・・・・とか一昨日のTB落札結果出たときには思っていたのですが、その後引けに掛けて新発TB3か月は貫禄の0.200%に低下。そして昨日はと申しますと、スポネの国債買現先オペのレートが再び0.11%台に低下致しまして、GCレートも低下。TBの3か月以内は日本相互証券の引値ベースで軒並み0.2%割れとなって、大型連休を前にしてレートが堂々低下したでござるの巻となってしまいました。

まーそりゃ当座預金残高を16兆円あたりで安定推移させていりゃあ足元金が余るわなという所なのですけれども、大型連休越えを前に金余って足元レートは低下するわ、特オペだのなんだのということで企業決算とか出る時期を前にしても1年以内の短期ゾーンに関してはコーポレート物の金利(ただし日銀の買いに入らなさそうな銘柄を除く)は低位安定っつーか売り物が出ると直ぐに完売というような楽しい状況が継続しておりまして、その光景だけ見てると「5月危機って運用しようにもレートが下がる方の危機でしたっけ」と勘違いしたくなるような天下泰平な光景。

・・・・うーむ、それはどうも変な気がするんですがねえ(苦笑)。


○国会ヒマネタ

昨日の続きでまたも4月9日の参議院財政金融委員会で、民主党の楽しい質問っぷりを鑑賞。輪番オペ絡みで大久保委員が質問しているのですが、要するに大久保さんはこういう事を主張したかったようでございます。

『○大久保勉君 より具体的な質問をしたいと思いますが、先ほどの補正予算絡み、さらには税収の減ということに関しまして、恐らくは追加国債発行が補正予算絡みで十兆円、さらには税収減で五兆から十兆円と計算しますと、十五兆円から二十兆円の国債の発行が予想されます。市場では、なかなか消化できなかった場合は金利が上がります。長期金利上昇要因になりますが、その結果、景気を更に悪化させる、冷え込ませるということになることが考えられます。この点に関して、景気を更に悪化させないためにも、長期国債を購入して長期金利を下げる、こういった政策が必要じゃないかと思いますが、総裁の御所見を聞きたいと思います。』

「長期金利を下げるために国債を買う」というのはFRBが実施してますけど、ご案内の通りでアナウンスする直前の時点で10年国債金利は3%とか3.1%とかの辺りにおりましたが、アナウンスした時に2.5%まで低下した同金利は買入をせっせと実施しているにも関らず2.8%とか2.9%の辺りにいる訳でございまして、そう簡単に出来るもんじゃないと思うのですよね。

で、白川総裁が過去の事例について「釈迦に説法でございますが」と言いつつ説明してますが、きっと腹の中では「釈迦」というのが別の言葉に変換されているに100ペソ(^^)。

『○参考人(白川方明君) (冒頭割愛)一般論としてお答え申し上げたいと思いますけれども、長期金利がどうやって決まるのかということについて、もうこれ釈迦に説法ではございますけれども、これは基本的には先行きの経済や物価に関する市場の見方を反映して決まりまして、それに債券を保有することに伴う様々なリスク、それが上乗せされてくるということでございます。

 したがって、財政規律の面で将来この財政規律が失われるのではないかとか、あるいは金融政策の運営が物価の安定を通じて経済の持続的な成長を図るという目的から離れて金融政策が運営されるのではないかといったふうな不確実性、懸念が生まれない限り、基本的には長期金利は市場参加者の経済、物価の見通しから大きく離れた形で形成されることはないというふうに考えています。

 多少具体例で申し上げますと、一九九〇年代以降、御承知のとおり我が国の国債残高が急増したわけでございますけれども、そうした中にあっても、景気の低迷が長引いたことを反映して日本の長期金利はこの間低下傾向をたどってまいりました。その後、例えば二〇〇三年以降を見てみますと、国債の増発額が抑制される中で日本の景気が回復に向かう、それを反映して長期金利は上昇を行いました。

 こうした経験から見ましても、経済対策の効果に対する市場の期待と整合的な金利形成であれば、これが景気を冷え込ませるということにはならないというふうに考えています。

 ただ、繰り返しになりますけれども、長期金利が経済・物価情勢と整合的な形で安定的に推移するために最も大事なことは、これは、政府においては財政規律をしっかり守るということでありますし、中央銀行においては物価の安定を通じて経済の健全な発展を図るという金融政策を適切に運営することであるというふうに思っております。』

まーそうとしか言いようが無いのですけど、大久保さんはこんな質問を。

『○大久保勉君 私は、こういった非常時にはもっと踏み込むべきじゃないかと思います。じゃ、質問しますが、米国のFRB、三十兆円相当の米国国債を買うと、金利を下げるためにも買うということを言っていますよね。ということは、白川総裁の理論から考えたら無駄なことをやっているんですか、FRBは。』

ちなみに先ほどあたくし申し上げましたように、あたくし的には無駄というよりは「ロジックとして危ない」という所ではないかと思いますけど、白川総裁はこのように答えています。

『○参考人(白川方明君) 他国の中央銀行の金融政策について、私の立場で具体的にコメントをするということは差し控えたいというふうに思います。ただ、言えますことは、どの中央銀行も今非常に経済、金融厳しい中で、自国の金融市場、自国の金融制度、さらにはそれぞれの国の中央銀行法の枠組みの中で最適な方法を模索しているということであります。例えば、海外の中央銀行はやっていないけれども日本銀行だけがやっているという政策もございますけれども、これは別に、日本銀行だけしかやってないということでこれはおかしな政策ということではなくて、日本のこの状況の中でふさわしい政策を追求しているということでございます。そういう意味で、FRBの政策について直接コメントすることは差し控えたいというふうに思います。』

しかししつこい大久保さん。

『○大久保勉君 いや、都合が悪いからコメントしないように私には聞こえます。むしろ、こういった状況でしたら、銀行券シーリングを撤廃するということを表明しまして、さらには長期金利も下げるために買い切りオペの金額を増やす、この結果、景気をてこ入れする、そういった大きな判断が必要なときじゃないんでしょうか。そういった思いで質問したんです。もう一度質問したいと思います。』

マネタリーベース拡大の為に長期国債買入増やせというのならまだわかるのですけれども、長期金利下げるために長期国債買入増やすってやって実際問題として長期金利が思いっきり下がるのかというのは既にFRBがやってる事で一定の結果が出ているように思えますけどね。つまり「低下させる」というのは無茶で、今の所はとりあえず上昇させないようにする程度には効いているかも知れないですかね程度じゃねえのかと。


一方、大塚委員はまるで逆のお話が冒頭から。

『○大塚耕平君 (冒頭割愛) 今、大久保さんの最後の方のやり取りを聞いておりまして、ちょっと通告している問題のこれは二番から入らせていただかないといけないなというふうに思いまして順番を変えさせていただきますが、今委員の先生方にもまたちょっと配付資料を配らせていただいておりますが、グラフと、もう片面が私の作ったポンチ絵になっておりますけれども。

 大久保委員が先ほど、この局面、もっと日銀は言わば金融緩和的あるいは平時ではない対応に踏み込むべきではないかという御意見があったわけであります。これはなかなか、多分与党の中でも我々民主党の中でも、さあ、この局面、金融、これからさらにどうするべきなのか、あるいは財政との関係どうするべきなのかというのはいろいろ意見があります。私自身は、大久保さんとはもう日ごろから本当にいろんな意見交換をさせていただきながらいろんなサジェスチョンをいただいておるんですけれども、そろそろ金融政策の方も限界を意識しながらやっていただかないといけない局面なのではないかなと個人的には思っております。

 委員の皆様方、もしよろしければお手元の資料を御覧いただきたいんですが、これは以前にもこの委員会で一度配らせていただいたんですが。

 伝統的金融政策とか非伝統的金融政策とか、関係者の間ではそういう言葉をよく使うんですが、つまり今の大久保委員の御意見は、左側の伝統的な、つまり平時の政策からどんどんどんどん今右の方に行っている中で更にもう一歩踏み込むべきではないかという御意見で、それは一つ御意見として理解できる部分もありますし、それが可能ならやったらどうかなと思う面もあります。さりながら、日本には大変な財政的な制約があって、これは世界の中でもう最悪の財政状況だということを考えると、果たしてこれどこまで右の方に行っていいものなのかな、あるいは逆に最悪だからこそ右の方にどんどん行かなくてはいけないのかなというのが、これは日銀だけに任せられるあるいは責任を押し付ける問題ではなくて、財政を預かる国会として真剣に考えていかなくてはいけない問題だと思っております。(以下続くのですが割愛します)』

・・・・・・・・・・・(゜д゜)

いやまあ別に委員会質疑だから個人ごとに意見違っちゃいけないという話じゃないのですし、日銀の実施することを政府から強制するものでもない(という事になっております^^)から見解が違っても別に良いのですけれども、仮にも政権交代とか言ってる政党の経済金融政策に関るのでしょうと思われる財政金融委員会の常連さんの意見がこうまで真逆というのはどうなんでしょと思いますけどねえ。

勿論自民党の中でも意見が全然ちがったりする訳ですが、それでも政策担当のラインでは意見の分裂みたいなのは無いので、政権取る積りならどっちが出てくるのかさっぱり判らんという状況になるのは避けたほうが宜しいのではないかと思っちゃいますです、はい。

#また引用で増量しちゃいました









2009/04/23

お題「日銀レビューから/またヒマネタで国会ネタ」

すいません、今日は(も)引用大会です。

○日銀レビュー登場

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev09j01.htm
両大戦間期の日本における恐慌と政策対応
― 金融システム問題と世界恐慌への対応を中心に ―

というのが昨日日銀のサイトにアップされてました。で上記のHTMLは要旨のページでして、本文は上記ページにもリンクありますけれども、
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev09j01.pdf

でございます。本文はPDFで9ページでそんなにヘビーじゃありません(日銀レビュー・シリーズは超専門家ではなくてより一般向けです)ので、材料待ちで相場の様子見をしているのであれば(^^)お読みになれば。

#期初だから報告やら事務やらで忙しいですかそうですか

でまあ要旨のほうでこのように書いてありますが・・・・・

『1931年末に5度目の大蔵大臣に就任した高橋是清が「昭和恐慌」への対応として進めた経済政策は「高橋財政」と呼ばれているが、財政政策だけでなく、為替レート政策、金融政策を含むマクロ経済政策の総体として理解する必要がある。』

『「高橋財政」期の日本経済は世界各国に先駆けて回復したが、国際金本位制の崩壊によりそれまで財政を規律付けていたメカニズムが失われるなかで、日本銀行による長期国債の引き受けを伴う財政拡大が行われたことが、財政規律を失わせる結果につながったとの見方ができる。』

で、本文の最後の所(7ページ目)に当時のマクロ経済政策運営の骨子を整理しておりますので、その辺を引用致しますです。

『上記の分析結果を踏まえて「高橋財政」期の日本のマクロ経済政策の運営レジームを整理してみると、当時の政策当局や市場参加者は、日本が固定為替レート制下の開放小国であることを前提として行動していたと考えられる。すなわち、「高橋財政」の初期において、日本は自国通貨を維持可能な水準までいったん大幅に切り下げたうえで、その後は英ポンドへペッグさせた。』

本文中に説明がありますが、昭和6年12月13日に犬養内閣が成立し、当日に金輸出再禁止を閣議決定し(ちなみに金兌換停止の勅令は17日)一旦円安への誘導(というか円安の放置ですよね)を行い、その後昭和7年4月にこれ以上の円安は望ましくないとして円相場を安定させる施策をとったということです。

『「マクロ経済政策のトリレンマ」の観点からみると、固定為替レート制のもとでは、自由な資本移動と自律的な金融政策は両立しない。「高橋財政」期の日本は、主要通貨のうちで緩和的な金融政策を運営する国(英国)の通貨にペッグし、金融政策はその国に追随するという選択を行うと同時に、短期的に国内の財政支出を拡大するというマクロ経済政策を採用したと考えられる。そして、市場参加者も、そのことを意識しながら将来の物価変動を予想していた可能性がある。』

『当時の日本は、貿易面でも、金融面でも、海外市場に依存する度合いが高く、対外経済関係を安定させつつ国内経済を安定化させるとの観点からみると、こうしたマクロ経済政策の運営レジームは相応の合理性を持っていたと考えられる。なお、当時において日本と同様の政策対応を採った国にスウェーデンやデンマーク等が挙げられる。これら諸国は日本と同様、英国に続いて金本位制からの離脱を行うとともに、対英ポンドで自国通貨の切り下げを行い、ヨーロッパにおいて比較的早期の経済回復を果たした。』

で、これまた(ここの引用部分は最後のまとめの所だから当然なんですが)本文の中で自国通貨の切り下げを行った事がインフレ期待へのレジーム転換のポイントになったのではないかという話がございますので読んで味噌。で、財政政策に関して。

『財政規律の観点からは、先行研究では、「高橋財政」下の政策とりわけ日本銀行による長期国債引き受けの開始が財政規律を失わせるきっかけとなったとの論調が多くみられる。この点に関連して、最近の研究では、「高橋財政」の開始を前にした1931 年9 月の時点で、英国の金本位制離脱を契機とする国際金本位制の崩壊によって、金本位制下で国際金融面から日本の財政を規律付けていたメカニズムが有効でなくなっていた可能性が指摘されている。』

ほほう。

『すなわち、国際金本位制下では、日本を含む周辺諸国にとっては、金本下では、日本を含む周辺諸国にとっては、金本位制を維持すべく健全な金融財政政策を行うことが、欧米主要国の資本へのアクセスを容易にするものであり、そのことが国内の政策決定過程において軍事費等の過大な支出を抑制する機能を果していた。国際金本位制への参加を前提とすれば、金融政策だけでなく財政政策にも規律が必要となり、このことがいわば国際金融面から財政を規律付けるメカニズムとして働いていた。』

『しかしながら、国際金本位制の崩壊によりこうしたメカニズムが失われるなかで、日本銀行による長期国債の引き受けを伴う財政拡大が行われたことが、財政規律を失わせる結果につながったとの見方ができる。』

で、この次の「6.おわりに」という本当のまとめの部分で財政規律に関する説明がもうちょっと書いてありますのでまたまた引用(引用ばっかりでどうもすいません)。

『1930 年代初頭の「昭和恐慌」とその後の「高橋橋財政」期の予算編成においては、制度として財政規律を確保するメカニズムが存在せず、財政規律は高橋是清という個人の能力と意思に委ねられていた面が大きかった。「高橋財政」後期になって、政治的な歳出増大圧力が金融市場において許容される範囲を逸脱するようになると、予算編成を巡る高橋と軍部との対立が激化した結果、高橋の暗殺とその後の財政規律の完全な喪失を招き、戦時統制経済と戦後の急激なインフレーションにつながった。』

『1930 年代の日本においては、金本位制に代わる財政規律メカニズムを見出すのではなく、高橋是清という個人の能力と意思に依存しつつ、日本銀行による長期国債引き受けを導入したことが、財政政策のガバナンスを弱めたとみることができよう。』

シロートのあたくしがコメントするのも何ですが、言外に色々と主張したい事があるのではないかというのは把握致しました・・・ってのは深読みのしすぎですがそうですか。

なお、以前ご紹介したと思いますが、昭和恐慌に関する読み物であたくしめの知能でも読めました本としてはこの2冊がございますです。前者は経済政策面、後者は金融システム問題や不良債権問題を中心に説明しております。

・中村隆英「昭和恐慌と経済政策」講談社学術文庫
・高橋亀吉・森垣淑「昭和金融恐慌史」講談社学術文庫
 

○ところでヒマネタ国会ネタ

4月9日の参議院財政金融委員会から
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/171/17104090060015a.html

この日は日銀の半期報告がお題なので、最初から最後まで日銀に対する質疑応答が続きましてまあオモロイです。一番アレだったのは、民主党の大久保委員と大塚委員が日銀の国債買入などに関して真逆の主張を開陳して質問をしている所でして、こりゃ答えるほうも大変だわという感じです。民主党大丈夫かね・・・・・

で、今日引用するのは一部で人気沸騰中の日本共産党大門実紀史委員の質問。既に本石町日記さんの所で紹介されてますのでご存知かとは思いますけど(汗)。最後の質問者でして、最後9分の1くらい(スクロールバーを目の子で読んだだけなのですが)の所から大門さんの質問が始まります。

『○大門実紀史君 大門でございます。白川さん、一周年ということで、おめでとうございます。大久保さんの資料、また今日の毎日新聞の社説もそうですけれども、白川総裁の評価というのはどんどん上がっているようでございますけれども、世間の評価が上がれば上がるほど私の評価は下がるという関係にございます。』

いきなりワロタ。

『一年前とは大違いだなというふうに思うんですけれども、まあ大変な一年だったというふうには、その点は同情はしているんですけれども、私は日銀に一貫して申し上げてきたのは、こういうときですから何もおやりになるべきではないとは決して申し上げているわけではございませんけれども、中央銀行ともあろうものが個別経営、個別企業、個別銀行の中身に入るようなことはおやめになるべきだということを再三申し上げてきたわけでございます。それは、幾ら金融システムの安定とか美辞麗句並べても、結局は市場経済のメカニズムを壊してしまうものになりますよということを申し上げてきたわけでございまして、もう多くを述べる必要はないんですけれども、そういう点でいくと、今回の劣後ローンの問題とかもまたまた踏み出されたなというふうに思っております。』

『バブルのときはみんなが踊るというのがありますけれども、こういうパニックのときはみんなが右往左往して、打つ手でいえばもう何でもありと、行け行けどんどんと。行け行けどんどんという点ではバブルのときと似ているわけですね。バブルとパニックというのは、どうしてこうやってみんな同じことをやるのかといいますか、人間というのは浅はかだなというふうに思うわけですけれども。しょせん日銀のこの間の対応も、私は思うんですけれども、しょせん人間のやることだなと。まじめな顔をして議論されているかも分かりませんけれども、大した話じゃないんじゃないかなというふうに私は見ているところでございます。』

『CP、社債、国債の買い増し、銀行保有株の買取り、劣後ローンの引受けと、異例の措置だというのは自覚されているようでございますけれども、何といいますか、一回一線を越えてしまったといいますか、人間というのは一度一線を越えるともう行き着くところまで行ってしまいますから、何かもうどんどんどんどん行っちゃっているんではないかという心配を私はしているんですけれども。』

(;∀;)イイハナシダナー

『例えば、日銀が今までCP、社債、国債買い増しいろいろやって、これまた買い増しやられますけれども、それに対して市場といいますかマーケットといいますか、反応が良くないとかそれじゃ足りないとか株も上がらなかったとかいろいろあると、更に何かやらなきゃと、何かやらなきゃいけないというふうな、そういう深みにどんどんはまっていくというふうな状況に少しなっているんじゃないかなと思いますけれども、白川総裁、率直な心理状態といいますか、どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。』

白川総裁の答弁は当然ながら抽象的な答えで何とか切り抜けましたという感じ(引用割愛^^)。で大門さんの質問更に。

『○大門実紀史君 先ほど大塚さんの資料面白いなと思って、伝統的、非伝統的の話ですけれども。本当にどんどんどんどん非伝統的な方向に、これ、ずっと右へ行けば行くほど社会主義に近づいちゃうんですよね。これ、自己矛盾なんですよ、括弧付きですけれどもね。括弧付きですけれども、社会主義的な、こうなるんですよね。だから、どうなっているのかなというふうに思っているところでございます。』

マルクス大勝利ですかそうですか(^^)。

『要するに、せっかくですから大塚さんのこの表を使わせてもらって言いますと、要するに日本の場合は、この金利政策が手の打ち方がもう余り手数が残っていないと。しかし、何かやらなきゃいけないと。それで、この非伝統的な、やったことないところですね、何かやらなきゃいけないというプレッシャー多分すごいと思うんですよね。(以下引用省略)』

なおワロタ。大門先生絶好調ですな。この質疑応答が殆ど時間が無くて、大門さんの主張開陳で時間一杯になってしまうのは残念無念としか言いようがありませんで、民主党はクソ下らない質問をする時間があったら大門先生に質問時間を渡すべきであるとマジメに思うのであります。

#ということで今日は引用ばっかで手抜きにも程がありましてどうもすいませんでした









2009/04/22

お題「まあのんびり投資家懇でも」

ガイトナー発言で株価堅調とか楽観的でいいですねえ(棒読み)。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b210420.htm

投資家懇談会は増発年限に関する各社の見解がメインというか延々と述べられていまして、これまた要点引用するのがムツカシヤなのでありますが・・・・・まあ今回はさすがに超長期増発の話が多いのでちと安心しました。ちとここもと本業が忙しいので読んだ感想とダダ引用だけで勘弁してつかわせ。


○まあこの手の論点があってヨスヨス

4番目の人。

『本年や来年は税収が低調にならざるを得ない環境であり、また将来の追加経済対策の実施も否定できない中、財源手当は容易ではない状況であることを踏まえると、財政政策として超長期債へのシフトを高め、発行年限を長期化すべきタイミングであると考えている。』

とあたくしも思うのですけど。中短期を厚めにするとリファイナンスの時にどうなるのよという論点の前に「とりあえず目先の消化」みたいになってしまうのも如何な物かと。

『超長期債への投資ニーズは生損保や年金を中心に根強くあり、超低金利政策を実施する諸外国と比較しても金利は際立って安定かつ低位に推移している我が国では、今回予想される17兆円程度の増発を超長期債中心に割り振ることが適当と考えている。』

ま、投資家懇談会で超長期増やせという話が多いのはポジショントークでもありますけどね(苦笑)。最後から2番目の人もこんなコメントを。

『当社では、今回の増発規模を16〜17兆円近くというイメージを持っているが、今後の税収減や借換債の増加を考慮すると短い年限への集中配分は避けるべきと考える。超長期ゾーンについては、当社の主な投資対象ではないが、本懇談会等の議論を踏まえてニーズが確認できれば増額しても構わないだろう。』

この発言の先を読みますと、預金金融機関さんなので3年債希望とか結構短い所の話が多かったりするのが微妙に分裂気味ですが(^^)、まあそれは兎も角としてまともにポジショントークだけじゃないところにちょっと萌えた。


○まあ基本的にはこんな感じなんでしょ

投資家懇談会ということでトータルすれば長めの所にニーズがある人が多いっすから平均するとこんな感じになるざんしょ。

3番目の人。

『当社ではベンチマークに従って運用しているため、どの年限が増額されるかについて強い希望はなく、基本的にニュートラルという立場である。追加発行総額は16〜17兆円程度の規模を予想しており、基本的には超長期ゾーンと短期もしくは中期ゾーンに厚めに配分した方がよいと考えている。』

6番目の人。

『今回の増額は全体で約16兆円を予想している。発行規模とタイミング、イールドカーブに与える影響や極力ショックを避けるという観点では、各年限に均して増額するのが適当であると考えている。その中でも、金融政策の効果で水準は安定する短期ゾーンと、水準調整は必要になるが投資家のニーズの強い超長期のゾーンに、相対的な増発余地があると考えている。』

まあダンベルで増発って話になるのが妥当な所になるんでしょうなとは思いますけれども、PD懇では中短期が厚めの印象でしたが、投資家懇談会では超長期+中短期って感じのようですわな。

で、ここで話が逸れて雑感になるのですが、では業者(PD懇の中の人)は中短期増発の話が多かったのは何でですねんという事なんですけど、これはあたくしの超個人的印象なので合っているかどうかは超無保証なのですけど(と先にヘッジクローズ)、いざ入札をしますよという当事者的に言いますと、超長期よりは中短期の方が入札時のリスクコントロールがやり易い(のではないかと思う・・・)というのがありまして、応札落札義務のある側に立ってみた場合にそうそうリスクコントロールしにくいものをホイホイ増やされましても困るんですけど・・・・って感覚があるんじゃないかなあと。

即ち、投資家懇談会的にニーズあるニーズあると言われてホイホイ増発した場合に、入札前後のリスクコントロールという観点から入札時の調整がやや深くなるかもねという点は(当然発行体様におかれましては認識されていると思いますが^^)あるでしょうかねという所なんでしょ。


○不思議な理屈もありますけどね

後ろから3番目の人の理屈がよー判らん。

『増発額は全体で16兆円を想定している。各年限に幅広く分散して増発を行うのがよいと思うが、特に中短期債を厚めに増額したほうがよいと考えている。政策金利の見通しがある程度安定しているため、中短期債であれば償還見合いで幅広い投資家が再投資可能と考えるためである。一方、投資家が限定される超長期ゾーンを大幅に増発すると、例えば市場環境が大きく変化した場合などにリスクが高まることが想定されるのではないか。』

えーっと、おじちゃん頭が悪いので良くわからないのですけど、何か論点に目先の話と将来の話がごっちゃになっているような気がするのですが。市場環境が大きく変化した場合にリスクが高まらないようにするなら今超長期を増やして置く方が良いという結論にならんかその理屈だとという気がする。

いやね、中短期増やす方が目先の消化で金利上昇しにくいとは思うのですけど、主要投資家という意味では金利が上がってくると売って来る人が多い中短期こそが将来の市場環境変化に弱かろうと思うのですが・・・・・


で、話は別になりますが3年債の話しで最後の人がこんな発言を。

『現在、3年セクターとしては、5年債や10年債の残存期間が短くなった銘柄しかないが、金利リスクへの対応のほかにも担保繰りの関係でも3年セクターへの需要は強く、新発債が発行されることになれば非常に使い勝手がよい。ただ、今回の増発のための3年債導入ということであれば、結局は市場が拡大しない懸念があるので、導入する場合には発行当局として市場育成へのコミットメントを示さなければ、かえって混乱の要因にもなろう。また、流動性の観点からは1回当たりの発行額は最低でも5,000億円程度、場合によっては兆円単位が必要になるだろう。』

と、こういう話をするなら3年買ったら持ちきるんだなと思わせますが、ど〜せおまいらロールダウンしたら売って来るでしょと思います。「市場育成へのコミットメント」を要望する時点で売る気満々でしょ(^^)。しかし5000億円って全然足りないと思いますけど、どういう算出根拠なのか良く判らん。


○やはりこちらでもプレッシャープレッシャー(^^)

後半(というか殆ど最後)に最近の市場に関する話がありましてですな、4番目の人からこんなコメントが(^^)。

『今年度は大きな金利上昇はないと考えている。ここもと、日本銀行の金融政策により、短期金利のターム物が落ち着いていることがアンカーとなり、自然と長期金利の上昇幅も限界があるのではないかと見ている。』

短期金利のターム物とご指名が来ておりますな(^^)。


○で、最後の発言には同感

長いのですが最後の方を引用しますね。

『ただし、中央銀行がゼロ金利政策を実施している状況が続く中で、増発によりイールドカーブがある程度の水準まで上昇したとしても、そこでは投資家からの買いニーズは出てくるものであり、今の状況なら全体的に増発したとしても、そう悪い環境となることはないと考えている。そういった意味からも、なるべくこういう時期に超長期に大きくシフトして発行することは決して悪いタイミングではないと思われ、10〜20兆円規模の増発であっても十分凌げると考えている。』

『一方、アメリカやイギリスの中央銀行が行っている巨額な長期国債のバイバック等の出口政策の行方によっては、昔の運用部ショックのようなことが起こる可能性も否めず、この1年の間に起こるとは思わないものの、その時にどう発行当局や中央銀行が調整するのかは注目しているところである。日本においては、財務省や日本銀行は市場参加者とコミュニケートを取る場所を意識的に持とうとする意図が感じられ、こういった中ではクラウディング・アウトのようなことは起きにくいのではないかと考えているが、他国の発行当局や中央銀行等はそこまで丁寧なマーケットコミュニケートを取っていないため、場合によってはパニック的な状況が発生するというリスクがあるのではないかとも考えている。』

というのは同感だったり致しますです、はい。

#引用大会でどうもすいません


○ちょっとだけ雑談

いやまあシティの決算で楽観しバンカメ決算で疑心暗鬼になってガイトナー発言で楽観とかご丁寧なこったと思いますけど・・・・・・

ストレステストがどうのこうのってやってますけど、これって結局の所は個別行に関する詳しい内容が出るとも思えず、そうなりますと日本の例からすると、必ずどっかの行儀の悪い所が銀行決算の分析レポートみたいなのを出して、「どこぞの決算はインチキ臭くて安心できませんなあ。あ、うちは大丈夫ですよエッヘッヘ」と言ってうんこを投げてくるアホウが出てきて泥レス状態になるに100バーツ。

・・・・などと思っておりますあたくしなので、米国の金融機関決算の動きを見てても何だかなあって感じがしております。それからシティでしたっけ、てめえの発行した社債を時価評価して発行時よりも値下がり(クレジットスプレッドが拡大しているから流通市場で金利上昇している)してるのを収益認識してる所があったと思いますけれども、お前は投資家に喧嘩を売っているのかと小一時間問い詰めたいのですけれども・・・・・・

まあ正直言ってAIGのボーナスがらみの不手際を見ますと、またぞろKYな動きが出てきてどっかでまた火を噴くんじゃねえかという懸念が。噴いた火で米国が火達磨になるのは別に他人事なのでどうでも良いのですが、米国の場合火達磨になりますと世界を巻き込んで延焼しやがるので、米国金融機関様におかれましては、その超モンロー主義みたいな行動を慎んで頂きたく存じますけど無理でしょうな奴らは・・・・

#単なる悪態雑談でどうもすいません








2009/04/21

お題「PD懇ですが結局中身は雑談(汗)」

先週に続いて月曜の先物売買高1兆割れですかそうですか。で、PD懇の議事要旨が出たのでその辺りの雑感から。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c210417.htm

○新年限とか割り振りの話とか

最初の所では思った以上に中短期増発の話が多いのがふ〜んという感じだったのですけど、各社意見の中で最後から3番目に出てきた人の意見に個人的には同意。額の話としては30年40年を大方の意見より多目、中短期がやや少なめになっていますが引用すると長いので割愛。

『新年限について、3年債や7年債という声が聞かれるが、7年債に関しては日銀のシステムが未対応のため、早急な対応は困難と思われる。また、先物に連動するゾーンであるため市場が振れる要因を作る可能性があり、導入は難しいのではないか。』

『3年債については投資家の需要次第だが、数千億円の規模の発行ではショートスクイーズの発生が予想され、流動性に問題が出る可能性がある。実際に6年債で同様の現象が見られたと記憶しており、短期債で新しい銘柄を発行するのは困難ではないか。』

いやもう思いっきり同意でございます。まあさすがに新年限の3年に関しては反対(7年は論外)全体的にも圧勝でしたので安心しましたが(^^)。

『いずれにしても導入に際しては一定量を発行することになると思われるが、2年債や5年債とのトレードオフになりかねず、投資家の意見を吸い上げながら議論を継続していくことが肝要である。』

たぶんそうなりますわな。何も中期をこれ以上増やさんでもと思うのですが。

『この他の要望としては、第T非価格競争入札の比率を上げることにより、ヘッジ等が容易になるため、5%程度の引き上げを検討していただきたい。』

確かにこれは仰るとおりですな。第T非価格で入る分を増やしてヘッジをやりやすくすれば(普通に応札する分って落札結果出るまでガンマショートみたいなもんですからね)入札やりやすくなりますと。

まあ今回は増発規模がでかいので結局全部の年限に割り振る話になっていまして、そう極端な意見の違いが無いのが残念ですけど、3年債の発行について微妙な意見を見たので引用。さっきの人の前の人の発言なんですが。

『基本的には中短期ゾーンを増額の中心に考えているため、3年債の新規発行についても検討はしたが、当該年限の主要な買い手である銀行の需要が顕在化していない段階では時期尚早だと考えており、金融政策を含めた短期市場が安定してからでよいのではないか。』

・・・・・短期市場の何をこれ以上安定させろと????????


○日銀にプレッシャープレッシャー(^^)

昨日引用した記事では「日銀への国債買入増額への具体的な要望は無かった」というコメントが財務省幹部からなされたという話でしたがさ、最近の国債市場に関する話ではやはり・・・・・(^^)

『(2)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』の2番目の人から。

『日本の場合、多額の国債が発行されても、まだ長期金利は1.4%台半ばであり、米国などとは異なり、サプライズのない形で国債増発に対応してきたと思う。これは本会合をはじめ、発行当局と市場との対話が機能しているためである。今後も厳しい局面があると思われるが、ある程度自信を持って対応していけばよい。日本銀行も、金融市場の安定に向けて最大限の努力をしており、短期マーケットはかなり落ち着いている。今日の会合でも短い年限を中心とした国債増発が予想されているが、財政ファイナンスという観点でなく、あくまで金融市場の安定という視点から支援して欲しい。』

どう見ても短国買入増額要望です本当にありがとうございました。

・・・・・てかね、短国の発行を増やしたら資金需給バランス上資金供給オペレーションを増やさないといけませんので、それが共通担保オペになるのか現先オペになるのか短国買入になるのかは兎も角として、資金供給自体は増えざるを得ませんから安心しておけば宜しいのでは無いでしょうか(^^)。

しかしまあ国債増発を短い年限を中心にして日銀は国債の買入をってのはどう見ても財政ファイナンス要望です本当にありがとうございましたって感じですわな。もはや端から日銀の買入増額ありきという状態で増発可能額を計算してるだろー(^^)。

んでまあこのコーナーの最後の方も期待してますな(^^)。

『先月、日銀が長期国債買入れを1.4兆円から1.8兆円まで増額したが、マーケットでは今後も増額してくれるという期待感が多少あるように感じる。仮にその期待感が否定された場合にマーケットがどのような反応を示すのかは少し気にしている。』

ということで、白川総裁におかれましては全否定するのは(以下同文)。というか12月の時点で「当分増やさない」と言っておきながら3月という舌の根も乾かぬうちに増額したという時点で市場参加者的には表立っては堂々と言い出さないけど、腹の中では「ああ要するに追い込まれると増額するのね」という印象を与えた時点でヘボにも程がある次第ですわな。「当分増やさない」みたいは話をしないで3月に増額したら印象が「おお!日銀積極的に増額したじゃないの」となる訳で、白川総裁におかれましてはバーナンキの狸振りを参考にすべきではないかと思われます。あ、話がPD懇じゃなくなってしまった(笑)。


○物価連動国債・・・・・(涙)

その他の話題として物価連動国債が。

最初の人の意見から。

『物価連動債については、一時期の投げ売りは収まってきているが、引き続き換金売りを行い得る投資家もいることは事実であり、依然として、薄商いという状況は変わっておらず注視する必要はある。価格は安定しているように見えるが、証券会社は買入消却があるという前提でマーケットメイクしている。』

『極論ではあるが、発行価格よりも安く買い入れられる限りは、全て買い入れる姿勢で臨むのも一案ではないか。そうすることで潜在的な売り物がないという状況になれば元本保証の付与等の商品性の議論が可能になる。但し、1回当たりの買入額が大きくなると、札が流れて価格の振れ幅が大きくなってしまうため、金額は現状程度にとどめて、買入消却を継続して実施して頂きたい。』

いや多分それは極論ではないかもしれません・・・・・で、一人飛ばして3人目の人から。

『一方、物価連動債については、買入消却によるサポートはあっても(引用者注記:15年変動利付国債と)全く状況は異なり、次に繋がるか否かという点は極めて難しい。国内のニーズを顕在化できるか、既発債を全て買入消却してから商品性を変えて再スタートするのがよいのか分からない。物価連動債の市場は非常に小さいので、大胆に買入消却することも必要ではあるが、逆にその買入消却のタイミングでしか市場で売買が発生しない状況になっているのも事実である。市場規模対比でやや大きな買入額になっている印象で、価格の安定という観点では買入消却を長期的に継続するという安心感を与えつつも一回の買入額を減額する、例えば、昨年度末に増額した分を若干減らすなどの対応も考えられるのではないか。物価連動債がマーケットに対して非常に悪い印象を与えていることは確かで、投資家も含めてマーケット全体で議論していかなければならない。』

・・・・・涙。で次の人。

『当社店頭でも、物価連動債は買入消却狙いの売買しかみられない。海外で量的緩和政策の実施等により一時的に期待インフレ率が上昇し、物価連動債の市況が堅調となった際には、国内でも物価連動債の気配値が上昇することがあったが、買入消却狙いでしか国内の売買が起こらない状況であった。今後そう遠くない将来には一気に売買が細ることも想定され、買入消却の入札も札割れしてしまう状況になるのではないか。その時には買入消却を減額すればいいという考えもあろうが、一方で市場が消滅することにもなるので、そこから新しい商品を出していくのでは遅すぎるのではないか。』

いやもう残念感が強いですが、物価連動国債自体に潜在的需要が無い訳では無い筈だと思いますので、何とかならんもんかねえとは思います。


○目先の消化という話だけですと・・・・・・・

とまあそれはそれで良いんですけどね、今回増発しますって時には「足元の短期金利が安定してるから中短期出す」って論点もなんかどうなのよという気はするのよ。

『20年債は今月から毎月0.9兆円に増額したばかりなので、暫くは様子を見た方がよい。超長期債で増額余地があるのは30年債で、0.7兆円×4回の規模を考えている。30年債の現在の発行規模では、カレントセクターの需給がタイトな状況もあるので、流動性を高める観点からも増発してはどうか。40年債は、来年度以降も年間1銘柄で0.5兆円程度を考え、半期に1回0.25兆円ずつリオープンで発行するのがよい。』

『30年債は、投資家のニーズが強く、市場での引き合いの回数も増えているが、発行頻度が四半期に1回と少ない。このため、在庫手当に対する不安感があるが、発行頻度を増やせば解消できる。場合によっては発行額も更に増やす余地がある。40年債も、今まで発行額が少ないため、投資家の注目を集められていないのが現状であることから、発行頻度も発行額も増やすことが必要だと考えている。』

・・・・と、いきなり引用しましたが、こちらは昨年11月14日の国債市場特別参加者会合議事要旨でございましてですな、このときって今回ほど中期を厚くという話じゃ無かったのよね。http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c201114.htm

いやまあ実際増やしてみたらイマイチなのでやっぱり中期って話であるといえばそれまでなのですが、このときと現在だと短期金利の状況が違いまして、要するに中短期に厚い話が大勢なのって、現在の短期市場状況に思いっきり依存した話じゃねえのとか思ってしまう訳ですよ。

利上げ局面とかになるともっと素敵な話になるのですが、引用するのめんどいので2年半前のコレでも(^^)。http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c181117.htm

いやまあ今回は増発がでかいので目先の消化が気になるのは仕方ないのですけど、一部ちゃんとした話をしている人はいる(誰が何言ってるのかは列記方式だから判らないですけれども、発言内容を毎回見てると長期的視野で話をしている人が何人かいると思われます)のですが、目先の消化の話になると本当に超目先の話が目立つのがPD懇クオリティっぽいのでして、市場との対話も程々にという感じですわな。


#あ、投資家懇談会の話を忘れた








2009/04/20

お題「さくらレポート/PD懇キタコレ」

とりあえず様子見の言い訳が段々潰れてきますね(笑)。

○さくらレポート

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0904.htm(概要)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0904.pdf(本文)

本文はドカンと68ページありますのでご注意を。以下引用は主に概要の方から参ります。ちなみに前回の概要
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0901.htm(1月概要)

ということで今回なのですが、前回からなおも下方修正。まだ下方修正する余地があったのかよ!という感じですが、まあよくよく考えれば前回が1月調査だったので、下方修正なのでしょうな。どうも株価とか見てばっかりの人的には判断下げられると「ふーん」って感じですけど(気が早すぎ)。

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、若干の地域差はあるものの、大幅に悪化している。』

大幅に悪化ですかそうですか。

『すなわち、海外経済の悪化などを背景に、輸出が大幅に減少している。また、企業収益が大幅に落ち込み、企業の業況感も著しく悪化するなか、設備投資も大幅に減少している。個人消費については、雇用・所得環境が厳しさを増すなかで、弱まっている。住宅投資も減少している。こうした環境のもとで、生産は、大幅に減少している。』

『こうしたなか、総括判断は、中国、四国で「悪化」、東北、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄で「大幅に悪化」としている。』

『総括判断については、東海、中国で1月の支店長会議時の判断を据え置いたが、その他の地域では、設備投資が大幅に減少していること、雇用・所得環境が厳しさを増すなか、個人消費も弱まっていること等を反映して、下方修正した。』

ということで華麗に7地域下方修正。直近1年間の推移を見るとこの有様。

2009年4月(今回):7地域で下方修正
2009年1月:9地域で下方修正
2008年10月:9地域で下方修正
2008年7月:8地域で下方修正
2008年4月:8地域で下方修正

10月時点では悪化という表現ではなかったのですが、1月で悪化が続出(7地域)。今回は前回悪化じゃなかった四国も悪化になって、急速に下降が継続しているのが東海地方と見事なボロボロ状態ですし、大幅に悪化というのが増えておりますわな。

ということで、1月のときは色々と引用しましたが、まあ今回はそのうち一部に致しまして、総括判断の推移を前回と同様並べてみるのだ。で、これは昨年1月判断から並べてみると実に悲しいので1月以降順にどうなったかを→で。

北海道
やや弱めの動きとなっている
→やや弱めの動きが続いている
→弱めの動きとなっている
→やや厳しい状況にある
→厳しさが増している
→厳しさを増しており、低迷している

東北
全体としてみれば、緩やかな回復を続けている
→足踏み感がみられている
→足踏み感がみられている
→弱めの動きが広がっている
→悪化している
→大幅に悪化しており、厳しさを増している

北陸
一部で弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
→減速している
→減速感が幾分増している
→停滞している
→悪化している
→大幅に悪化している

関東甲信越
緩やかな拡大基調にある
→やや減速している
→減速している
→停滞している
→悪化している
→大幅に悪化している

東海
緩やかに拡大している
→緩やかな拡大基調にあるが、その速度は足もと鈍化している
→引き続き高水準にあるが、足もとは減速がはっきりしてきている
→なお高水準を保ちつつも、下降局面にある
→急速に下降している
→急速に下降している

近畿
緩やかに拡大している
→一部に減速の動きがみられるが、基調としては緩やかに拡大している
→減速している
→停滞している
→悪化している
→大幅に悪化しており、厳しい状況にある

中国
全体として回復を続けている
→一部に弱さがうかがわれるものの、全体として回復を続けている
→全体としては緩やかな回復を続けているが、そのテンポは、このところ鈍化している
→一部に弱い動きがみられるが、全体としては概ね横ばいで推移している
→悪化している
→悪化している

四国
緩やかながら持ち直しの動きが続いている
→持ち直しの動きがやや弱まっている
→横ばい圏内の動きとなっている
→やや弱めの動きとなっている
→弱い動きが広がっている
→悪化している

九州・沖縄
緩やかな回復を続けている
→回復に足踏みがみられる
→足踏み感が強まっている
→停滞している
→悪化している
→大幅に悪化している

まー昨年1月ってそんな感じでしたっけという所ですが、この後(実際にさくらレポートは昨年1月15日に出た)にベアスターンズショックがあって9月にはリーマンショックがあってという流れでありますわな。何と言う残念な流れ。

・・・・と残念がっても仕方無いですが項目別展開に関しては前回結構下げた上にまた今回も下げたでござるの巻となっておりますがそこは割愛して、それに繋がる話を『地域の視点』の所でしているのでそっちの引用を。

毎度見ております『地域の視点』なんですけど、今回のお題は2つ。

『1.地場企業を取り巻く経営環境の悪化とその対応──設備投資、雇用を中心に──』
『2.各地域からみたインバウンド観光の現状と課題』

でまあ2番目の方はスルーしまして(久々にちょっとだけ前向きチックなお題なのは良い話なのですが、トーンが全体的に暗いから明るい話題を入れようとしたのではないかという気もする・・・・)、1番目の方を見てて気分もトホホに。まず最初から。

『地場企業を取り巻く経営環境は、きわめて厳しい状態が続いている。足もとの収益環境をみると、製造業では、内外需要の更なる落ち込みから、売上・受注が一段と減少している。また、原材料価格は下落しているものの、過去に仕入れた高値の原材料在庫の処分の遅れから、採算面の改善が進んでいない、との声も多く聞かれる。また、非製造業では、企業の生産活動の落ち込みや消費者の生活防衛意識の強まりを反映して、売上の減少傾向が続いている。企業間の競争激化が採算悪化に拍車をかけているとの指摘も少なからず聞かれる。先行きについては、製造業の一部業種(輸送用機械等)で、大手メーカーの減産緩和等から、4月〜6月以降、売上・受注が若干持ち直すと期待する声が聞かれるものの、その他の多く業種では、当面、需要回復は「期待薄」との厳しい見方をする先が多い。』

ということで、現状と先行きが残念無念というのはさいですなあという話なのですけど。

『設備投資面についてみると、製造業を中心に、2008年度までに高水準の投資を行っていることもあり、設備過剰感が著しく高まっている先が多い。すなわち、地場企業では、需要環境が急激に悪化した2008年度下期以降、案件の絞り込みあるいは実施見送り等、設備投資の抑制に急速に舵を切ったものの、設備過剰感は依然として強い。このため、2009年度についても、設備投資を一段と絞り込むとする先が多くみられる。』

『雇用・賃金面についてみると、非製造業の一部業種(小売、介護、情報サービス等)で人員不足感が依然としてみられる一方、その他の大方の業種では、製造業を中心に、人員過剰感が著しく高まっている。地場企業の多くの先では、2008年度下期以降、非正規雇用を中心とする人員削減、役員報酬カットや給与・賞与引き下げ等を実施しているが、人員過剰感は引き続き強く、2009年度もこうした対応を継続する見通し。』

ということで、短観でも示されていましたが、こちらでも「設備」「雇用」に関して「過剰」という話がどどーんと出てきている訳でして、バブル処理時代の「3つの過剰」という実にいやーな言葉を思い出すのでありました。残りの一つの企業金融面では現状では債務過剰という訳ではなく、手元資金の取り崩しなどでの対応のようですけれども・・・・

『企業金融面の動きをみると、資金需要は、売上・受注の減少を背景に、引き続き高水準で推移しているとみられる一方、資金調達面では、企業間信用のタイト感が増していること、民間金融機関の貸出態度が厳しいとする先が増加していること、等から緊急保証制度や公的金融機関貸付を活用する動きが続いている。』

ということで、資金需要の拡大によって債務負担も増してきそうな勢いですね・・・・・


○国債市場特別参加者会合のメモ

議事要旨は恐らく朝イチには出る(いつも思うのですが、夕方にやった会合の議事要旨を翌営業日の寄り前に出すというのは中の人大変ですねえ)ので、楽しいポジショントーク大会の様子はそちらが出てからという所ですが、とりあえず報道ベースのお話で。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aSTMnAq2Ksic
財務省:3年など新年限の国債発行に慎重意見−特別参加者会合(2)

『4月17日(ブルームバーグ):財務省は17日午後、証券会社や銀行の関係者で構成する国債市場特別参加者会合を開催し、追加経済対策に伴う国債増発などに関して意見交換した。3年など新たな年限の発行に対しては、投資家層や需要を見極める必要があり、「拙速にやるべきではない」との意見が多かった。同省幹部が会合後の会見で明らかした。 』

ということで、とりあえずこの感じですと金曜に危惧した「中途半端な発行量での中短期ゾーンでの新規発行」は回避されるようで誠に結構であります。で、増発可能な年限別の割り振りとしてはこんな感じだそうで。

『既発債増発の年限別の割り振りでは、10年債と20年債は月2000 億円程度の増発が可能との意見が多かった。また、30年債と40年債は発行頻度を変えずに、各1000億円程度の増発が可能とか、3月と9月に30年債を発行できるなどの声が聞かれた。』

『1年物割引短期国債(TB)、2年債、5年債は、月3000−4000 億円程度の増発が可能との意見が多く、日銀の金融政策がアンカーとなるとの声が聞かれた。流動性供給入札に対しても、倍増できるとの意見が多かった。』

日銀の金融政策がアンカーっていうことは経済が正常化したらアンカーなくなるのでその時はエライコッチャになると思いますが、何かまた目先の消化の話(いやまあ勿論目先消化するのが大事なのはわかりますが)になってますなあと。

『一方で、10年物価連動債と15年変動利付債に対しては、新たに増発を求める声は全く出なかったという。』

予想通りですが物国変国アワレ。

『6カ月物割引短期国債(TB)は、年度が始まったばかりでもあり、緊急避難的に増額しやすいセクターのため、今回の発行増額対象に入れない方が良いとの見方が強かった。』

なるほど。で、3か月の話が無いですが、さすがに6兆円は勘弁ということで(^^)。

『国債増発で、安定消化に不安があるという人はいなかった半面、10年債利回りは1.4%台半ばで安定しているが、いくらでも増発できるというわけではないとの指摘があった。もっとも、日銀の国債買い入れについて、増額して欲しいという強い意見はなかったようだ。』

今の所は捌けるでしょ。という点は全く同意。ただあたくし的には中期を増やすのは目先は無問題としても将来の経済正常化が見えてきた所で消化が厳しくなるというか中期のイールドが膨らみやすくなり、借入金利などのレート形成全般に上昇圧力が掛かり易くなるのではないかという懸念がございますです。












2009/04/17

お題「さてPD懇ですがなおも雑談」

今週は何だかんだと言ってPD懇待ちだったような気がする。

○中期で新年限出すなら中途半端は止めてねと思う

先日も3年債とか7年債が出るの??という話をしましたが、まあその続きというか補足の話から。

えーっと、昨日の朝どこぞのレポートで国債発行年限割り振りの想定シミュレーションを見たら「3年債5000億円」というのがあって「えー」と思ったので、流通市場的観点から中期ゾーンの新年限発行に対して愚考。

かつて4年中期利付国債、6年長期利付国債というのがあってだな、発行量が4000億円とか5000億円とかいう代物だったのですが、当時は「カレントプレミアム」だの「非上場プレミアム」だの今の人たちからしから訳判らん理由で同残存の上場国債(10年利付国債の成れの果て)対比で10bpくらい強かったのが、金融危機発生で今度は「流動性リスクプレミアム」とか言い出して10bpくらい甘くなってみたりとかいう素敵な国債でもありました。

で、発行量が少ないので入札時点で一部の投資家がアホウのように買い占めてしまい、上場国債から50bpだか70bpだか忘れましたが発狂したようなレート水準になってしまい、レポも出来ないので「オファーですか?ありません><」「ビットは強いて言えば50毛甘ですけど」状態になるという流動性皆無になった6年17回(だったと思ったが違ったらごめんなさい)というムチャクチャ債券もございました。

・・・・えーっとですね、当時はRTGS導入前で時点決済をしていた時ですので、国債決済に関しては「売り手も買い手も残高無い状態からスタートして売買を行った時に売り手が買い手からレポをすること」が可能であったという素敵なループ取引おっけー状態でありまして、かつ国債の発行額および参加者の資金量が現在よりも圧倒的に少ない状態(割引短期国債の発行額なんて3か月と6か月が月に1回ずつ各1兆円ちょっととかだったんですよ!)だったのですが、その時でも「急にレポが締め上げられたので」というような事態が良く発生していたのですな。

つまり、今の市場状況を考えると、中期ゾーンで新規年限の国債を公募入札で発行するのであれば、5000億円程度の小規模ロットで発行したらスクイーズ掛け放題の債券になりますので、当然ながら業者が誰もショートを振れない債券になってしまい、ショート振れないから当然在庫も持ちたくないとなり、結果流動性皆無の債券が発生することになって誰も得をしないというスカポンタンな結果になるのは自明かと思われます。大体からして5000億円なんて1社で落札できるレベルでして、すぐ考えられる悪知恵としては、1社で寡占状態にしておいて常にビットを入れて気配を強くしておいて輪番オペに突っ込んで利食って終了でござるの巻というのがございますなあという感じ。

1年物国庫短期証券がこの前まで1兆円半ばの発行でしたけど、その発行量の時って恒常的にショート銘柄になっているものが多く、同残存の利付債から10bpくらいプレミアムが乗っていたり(しかも尚タチの悪い事に、たまに売りが出ると一気にゲロゲロになる)してた状況を勘案すると、目の子の話になりますけど、中短期で新規年限発行して普通にロングショート振れる流動性を確保するとなりますと1回の発行額で2兆円って所じゃないのかなと思いますがどうでしょ。

いずれにせよ、変に僅少な発行額で流動性がなくなるような債券を追加する(しかもプライマリーディーラーには応札および落札義務があるのが厳しい)のはご勘弁頂きたく存じます。と思いますけどね。


それから話はちょっとずれますけど、昨日も申し上げましたが、発行年限の割り振りはやはり長期超長期に厚めに振るべきじゃないかなあと思います。昨日申し上げたように「中期は順張り投資家が主体で長期以降は金利が上がれば買いが来る逆張り投資家が結構いるので最終的には長いほうを安定消化させるほうが良いのでは」というのもありますけれども、昨日国債発行年限の振り方についてお友達と与太話してたらお友達さんが指摘していたのは「今までの国債管理政策の成果をここで使わずしていつ使うのよ」という論点です。

まあ国債管理政策だけじゃなくてそもそも期待インフレ率や期待成長率が低いという残念な要因もあるんでしょうが、それにしてもこれだけの国債発行をしながらイールドカーブはそんなに立っていない(長期国債30兆円買うとか言って買いだしている米国と比較しましょうね^^)のは、ここ数年来に渡って行われている国債管理政策の成果でもある訳でして、こういう国債大量発行しなきゃいかんですよという時に従来の成果を使って発行年限長期化して将来にわたる利払い負担を軽くしておくのが宜しいのではないか何て思うのですけど。中短期に厚く振ると償還が直ぐ来ちゃいますからねえ。


・・・・などとエラソーにべき論みたいな話をしてますが、別にそれを言ったからどうこうなるような有力参加者でも何でもない無力参加者のあたくしが申し上げるのは単なるわんわんおのオーボエなのですけどね。アヒャヒャヒャヒャ。


中期で5000億円程度だすのなら(年限的に言えば3年というのにはニーズが無い訳では無いと思いますので)、非市場性国債(特別会計等の借入金を3年ものにするのも良いかも)にして投資家に直接引受してもらって満期保有してもらうとか(流動性プレミアムがないと引受ないでしょうから条件が難しいと思いますし、本当にその年限に引受余力ある人僅少な気がしますけど)いうようにしないとやりにくいんじゃないでしょうか。それから、超個人的に何も考えてない発言になりますが、15年の固定利付債って発行したらニーズ有るのではないかと勝手にドタ勘で想像するのですが。。。。。


○その他なおも雑談を少々

いやまあ相場さんが材料待ちになっててどうにもこうにもという感じなのでその他雑談を少々。

・ちったあ決算シーズンを意識してるのかね

阿片窟マーケットとなりすっかり一般人が寄りつかなくなっているCP市場なのですけれども、ここの所何気にその他金融さんなんかのレートが上昇してみたり、TBのレートが低下している為なのでレートが上昇している訳では無いのですが(苦笑)、メーカー系銘柄のレートの官民逆転現象がだいぶマシになってきているようで。

4月に入ってからの企業特オペは相変わらず落札が14453億円(先週)だの13126億円(昨日)だの絶好調なのですけれども、いくらファンディングが無限に0.1%で付くとは言ってもオペなので支配残としては買ってりゃ増える訳ですから(償還すれば減りますが^^)、何ぼなんでも無限には買えませんでしょという事なのでしょうか。

阿片窟状態が長期化すると阿片が切れた時にも暫くは一般人は寄りつかない状態が続き、その期間は阿片窟の営業時間に比例するものと思料されますので(^^)、まあ決算シーズン意識してちったあ冷静になってくれんかねとは思いますけど・・・さてどうなることやら。


・銀行券ルールをごまかすもっと無茶な方法(人のふんどし)

http://hongokucho.exblog.jp/10728410/
本石町日記さんのふんどしで悪ノリ勘弁。

・・・・・えーっとですね、法定準備預金もコア預金みたいな長期負債ということでございますというのを更に拡張しますと、「預金準備率を引き上げれば長期国債買入の糊代ができる」という楽しい事態に(^^)。

それから、この前申し上げましたが(9日の駄文をご参照くださいませ)、白川総裁この前の定例会見で

『例えば、日本の量的緩和の時のように、金融システム不安が非常に高く、その結果、金融機関が当座預金を無利子でもたくさん持っているという状況では、それに見合って国債を多く持つということは理屈のうえでは有り得ると思います。そのような状況でなければ、銀行券を上回って国債を保有するという状態というのは、中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです。』

って話をしてましたが、これに対してあたくし「現在は日銀当座預金における超過準備に付利を行っておりますので、実はこの「中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです」という状況が自動的に達成できるという素敵な状態になっている」とイヤミを書いた訳でして、これを更に拡大すると、

「当座預金または準備預金に付利する金利=誘導目標金利にしておけば仮に利上げをしても長期国債の買入を増やせます」(=インチキ量的緩和)

という金利付きインチキ量的緩和で長期国債の買入が増やせます(^^)。

・・・・いやまあそれって要するに政府が長期債務発行している側から日銀が発行年限の実質短期化を行っているのと同じことでして、イールドカーブがフラット化する(狂ったように購入したらインバート^^)というイミフな事態になるだけなんですけどね(苦笑)。


・時間がなくなったのでちょっとだけツッコミ(以下続編あるかもしれません^^)

文書のプロパティを見るとどうも今年の正月にアップされたみたいですけれども。
http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/nattoku.pdf

まあご丁寧におつくりになりまして(棒読み)と思いながらチラ見したんですがちょっとだけツッコミ。

(1)3枚目(ページ数では2ページ目、以下同様)→「金融庁の検査で問題になる恐れがあるので貸出できません」ということは有り得ないそうですが、そうなりますと資産査定で債務者区分を破綻懸念先に下げられても継続して融資を行って宜しいということですか??

(2)7枚目→「経営者と企業を一体として判断する」というお話ですが、確かこの手の話を始めた時は「担保や保証人に依存しない融資判断をしろ」というのがお題目だったのですが、今はそうではないですよという理解で宜しいのでしょうか?????

いやまあ何でも良いんですけどね、とにかく銀行融資っていうのは普通にやっている場合は長期的な取引関係になるものですから、上のほうでコロコロ方針変わられると現場は何もできなくなっちゃいますので、政治の風向きとかに影響されないでとにかく一貫した動きをしてもらいたいもんですよねと思うのですよ。









2009/04/16

お題「先日のバーナンキスピーチとかBOEの「量的緩和」の説明とか」

バーナンキの狸ぶりに感心感心。

○長期国債買入は住宅市場の回復に資するという話なのかね??

昨日(というか現地時間だと一昨日)のバーナンキ講演から。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090414a.htm

お題は『Four Questions about the Financial Crisis』であります。で、その2番目の小見出しの『What Is the Fed Doing to Address the Situation?』って中にFEDが何やっててどういう効果ありますかという説明をしています。

まず最初は利下げです。

『The Fed's basic policy tool for influencing economic activity and inflation is its ability to control very short-term interest rates--specifically, the federal funds rate, which is the rate that banks pay each other for overnight loans. Lower interest rates can be used to stimulate private-sector borrowing and spending at times like the present when the economy is suffering from a lack of demand.』

いやまあその通りですなという話なのですが、利下げによって借り入れコストを下げて需要の減退する経済に対して刺激を与えますよということですな。レートをゼロ近くまで下げたので、『In addition, the FOMC has made clear that it expects economic conditions to warrant holding the federal funds rate low for an extended period.』と時間軸みたいなものを入れたとも説明してますが、たぶんあんまり時間軸になっていない気がする。

利下げしたけど金利がゼロ近くになってもう下げられないので何をしたかというのが次の話になります。

『However, given the ongoing problems in credit markets, conventional monetary policy alone is not adequate to provide all the support that the economy needs. The Fed has therefore taken a number of steps to help the economy by unclogging the flow of credit to households and businesses. In doing so, we have demonstrated that the Fed's toolkit remains potent, even though the federal funds rate is close to zero and thus cannot be reduced further.』

で、『We have taken a wide range of actions to help restore the flow of credit, of which I will only mention a few of the most important.』ということで行動したのでありますが、そこに3つの施策を並べておりまして。

『One set of actions involves making short-term loans to banks and other financial institutions. 』ということで最初に挙げているのは単純に言ってしまうと「資金供給オペの強化」になります。金融機関に対する資金供給オペの強化によって資金繰り問題での短期金融市場の緊張を緩和するのですが、その効果は、

『The Fed's lending to financial institutions has helped to ease conditions in a number of key financial markets, reduced important benchmark interest rates (such as the London interbank offered rate, or Libor, to which payments on some mortgages and other types of loans are tied), and increased the willingness of banks to make credit available.』

ということで、金融市場の緊張緩和、ターム物レートの低下によって銀行が信用供与をしやすくしますよという話ですわな。

で、2番目は『A second strategy the Fed has employed is to use targeted lending to help free up critical credit markets outside of the banking system.』という事で金融システムの外側に対する施策ということですが、これはCP市場と、CPを買うMMFへの支援策およびモーゲージ証券に対する支援策で、これは急激なキャッシュフローの悪化を緩和する効果と、CP市場におけるファンディングコストとアベイラビリティの顕著な改善があったという説明になっているようですにゃ。

『Through a series of lending programs, and in coordination with steps taken by the Treasury, the Federal Reserve helped restore confidence in both money market mutual funds and the commercial paper market. Over time, withdrawals from money market mutual funds have been replaced by modest net inflows, and borrowers in the commercial paper market have seen significant improvements in the cost and availability of funding. 』

で、3番目には『To address this problem, the Fed has employed a third type of policy tool--namely, buying securities in the open market.』ということで各種資産の買い切りプログラムになるのですな。

『The FOMC has approved purchases of well over $1 trillion this year of mortgage-related securities guaranteed by the government-sponsored mortgage companies, Fannie Mae and Freddie Mac.』

えーっと長期国債買入は???

『Buying mortgage-related securities helps to drive down the interest rates that consumers pay on mortgages, and, indeed, the rate on a traditional 30-year fixed-rate mortgage has recently fallen to less than 5 percent, the lowest level since the 1940s. Certainly, the housing market remains depressed, but lower interest rates and house prices are making houses more affordable. 』

なるほどモーゲージ関連借入コストが下がって住宅価格の支援になったのは判りますけれども長期国債買入は???

『For example, two years ago, when mortgage rates were higher than 6percent, payments on a mortgage covering 80 percent of the cost of a $215,000 home would have been more than $1,000 per month; today, the price of that same house may have fallen to $170,000, and, at today's mortgage interest rates, the monthly payment would be about $700. Lower mortgage rates are also helping some homeowners refinance their mortgages to reduce their monthly payments. 』

ということで、そりゃまあ始まったばかりの政策だから効果がどうのこうのという話は出来ないというのも判るのですが、長期国債買入に関して華麗にスルーしているのが相変わらずの狸というか何というか。一応この項の最後の部分まで引用しときますね。

『The Federal Reserve will continue to take the necessary steps to unclog the credit markets and strengthen the economy. We will also continue to work closely with other agencies, such as the Treasury and the Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC), each of which has also taken a variety of actions to help stabilize financial markets, as well as with other central banks around the world.』

・・・・ということで、長期国債の買入がマネタリー政策なのか長期金利介入政策なのか財政ファイナンス政策(とは明言しないか^^)なのか華麗にスルーした状態で敢えて曖昧にしているというか、状況が切迫(当時はAIGのボーナス問題でエライコッチャになっていた)したので勢いでヤケクソで実施したので理屈もクソも無いのか知りませんが、引き続き謎のままで推移という感じになっておりますわな。


○一方BOEは量的緩和の説明コーナーがある訳で(^^)

というのは別に今に始まった話ではないのですが、この際丁度良いので引用(^^)。

http://www.bankofengland.co.uk/

右の下の方に堂々『What is Quantitative Easing?  Asset purchases and the inflation target』というコーナーへのリンクがございます。

http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/assetpurchases.htm

『The Monetary Policy Committee announced on 5 March 2009 that, in addition to setting Bank Rate at 0.5%, it would start to inject money directly into the economy in order to meet the inflation target.』

『This means that the instrument of monetary policy shifts towards the quantity of money provided rather than its price (Bank Rate). But the objective of policy is unchanged ? to meet the inflation target of 2 per cent on the CPI measure of consumer prices. Influencing the quantity of money directly is essentially a different means of reaching the same end.』

インフレ目標達成の為の政策ツールを金利操作から資金供給量になりましたと。

『Significant reductions in Bank Rate to date have provided a large stimulus to the economy but as Bank Rate approaches zero, further reductions are likely to be less effective in terms of the transmission to market interest rates and the impact on demand and inflation. And interest rates cannot be less than zero. 』

ゼロに近いところまで金利を下げましたが、ここから先は金利操作による波及効果が少ないですし、そもそも名目金利はゼロより下にはできませんがなと。

『The MPC therefore needs to provide further stimulus to support demand in the wider economy. It boosts the supply of money by purchasing assets like Government and corporate bonds ? a policy sometimes known as 'Quantitative Easing'. Instead of lowering Bank Rate to increase the amount of money in the economy, the Bank supplies extra money directly.』

ということで、国債や社債(なんですけど、基本的には国債中心になるかと)の購入によって資金供給を行う「量的緩和」として知られる政策を実施しますよという話で思いっきりマネタリー政策なのを明確に示してますな。

『This does not involve printing more banknotes but rather the Bank pays for these assets by creating money electronically and crediting the accounts of the companies it bought the assets from.』

そういえば日本のどこかでは『日銀は日銀券を刷って市場に流し込む。この上限を大幅に引き上げるのが量的緩和』という説明をする大新聞の論説委員様がいましたが、英国でもそんな言い方する人がいるのかもしれませんですなあ(ニヤニヤ)。

『This extra money supports more spending in the economy to bring future inflation back to the target.』

ということで、インフレ目標達成の為にマネーの供給を多く行いますという話で、政策の説明としては仰る通りとしか言いようが無い明快な話になっています。

・・・・・ということでFRBとBOEを比較してみましたでござるの巻でした(^^)。









2009/04/15

お題「材料待ちなので今日もなお雑談」

今週は小ネタ雑談が続いて恐縮。

○そういや社債買入

えーっと超今更の話なのですけど、4月6日にオファーされた社債買入オペは1500億円の買入オファーに対して応札586億円の落札586億円という豪華絢爛札割れでござるの巻。今回は平均落札利回り較差が0.118%で最低落札利回り較差が0.000%と相成りました。

前回の買入は3月4日に実施でして、これはまあ実施要綱のオファーが来てから間も無かったので札が集まらないかなあとは思ったのですけれども、今回も絢爛札割れっていうのはちょっと何だかなあという感じでございました。

応札の事務上の問題で参加者あたり出せる札が10本までとかいう事情があり、その一方で社債って一本一本のロットがそんなに多くないという要因はあるのですが、セカンダリー市場のレートを勘案すると、もうちょっと普通に札入っても良いんジャマイカと思う次第でありまして、業者様におかれましては在庫持つリスクに対して相変わらず慎重で社債買入に備えて在庫仕込むというような行動にはでにくいのかなあと思う結果になりました。

・・・・と丁寧な言い方しましたが、まーあの札割れ見て正直ガッカリだったのですけどね、あたくし的には(以下悪態割愛^^)。

事務的な問題としては、社債買入におきましては業者の一回の応札をもっと沢山できるようにするか、1回の入札額を500億円に減らして頻度を3倍にするとか、実施面での改善が求められると思います。



○3年債とか7年債とかマジで出すの????

今週金曜にPD懇があって月曜に投資家懇がありますが、それに向けて先日は金融ファクシミリ新聞で記事があって、昨日はブルームバーグでも記事があったのですが、既存の年限に振るだけではなくて、どうも3年債とか7年債とか発行して1回の入札額をあまり増やさないようにという話もあるんですかね。

#ま、有力参加者の皆様におかれましてはヒアリングとかが行われているんでしょうなとは思いますが、あたくしのように市場の片隅に棲息する無力参加者は関係ないので

たぶん今回は純粋にどどーんと増発という心温まる話になりますので、中期を厚めに増やすのか長期以降を厚めに増やすのかという話(結局全年限を増やすしかないのですよね^^)をする場合、目先まず消化を円滑に行わないといけませんよねという論点と、それはそれとして、先々の安定消化しやすい年限に振って金利のある程度の上昇で調整するしかないでしょという論点がありそうなので話がヤヤコシヤという所かと思います。

で、再三申し上げているような気がしますが、確かにまあ当面は利上げどころの騒ぎでは無いのですから、目先は中期ゾーンの方が消化しやすいのかもしれませんけど、大手銀行さんは結構ポジションを派手に振らしてくるのが仕様になっていますので金利上昇局面で買いが急に減るという問題があります。おまけに、何だか良く判りませんが既に2年債の金利が足元金利やら3か月TB金利の足し算をしてみた場合にちょっと1年ゾーンから見てイールド立ってねえかと思う状況にある次第でありますので、現実問題としても短い所あまり増やせないのではないかと思うのですが(3か月TB増発とかもう勘弁)。

まあ将来中期が重くなった時に3年とか7年とか発行したものをサクサク発行中止にできるのなら別に問題は無いのかもしれませんけど、年限をあまり散らしすぎると将来減らす話になった時に各年限の流動性が全部まとめて低下する恐れもありますし(って減らす日が来るのか知らんが)、金利上昇局面になると中短期の買いが極端に減りますので、中短期に厚い増発をするとこの前の金利上昇局面以上にイールドカーブの手前が不安定化しそうな気がするです(それに発行年限増やすと益々レポとか面倒なんですけどね)。

とは言え、そう極端に発行平均年限を長期化する訳にも行かないからバランス取るんでしょうけれども、3年債とか7年債とか出すのはどうかなあとは思います。2年のレートが(後ろから見た場合は別問題ですが)手前のレートから見て事実上の時間軸状態なのを無視状態になっている中で3年出したら益々その辺のイールドが上昇するんじゃないのという風に思いますし、7年は先物ゾーンでもあるのでここを増発するのはこれまたちょっとデリケートな問題がありそうですし。どうせ金利上昇させるなら中期の金利立てるよりも長期以降の金利を立てた方が長い目で見れば困る人が少ないと思いますけどね。

・・・・というような話は当然のことながら市場懇談会などの有力参加者の皆様におかれましては通常よりヒアリング等行われていますし、まあもっとちゃんとした話をしてると思いますから、別に無力参加者のあたくしがどうのこうの言う話ではないのですが、さすがにこの上中期で新規年限ってのは勘弁して欲しいなと思ったので言わずもがなの雑談でした。


○ヒマネタその1:地方自治法施行60周年記念貨幣

昨日つらつら財務省ページの新着情報を見てたら表題の件でのアナウンスがあったので、関連情報を見ていたらちょっと面白かったのでご紹介。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokko/top.htm

ここの議事要旨等という所なんですけど、第2回と第3回の少会合の議事要旨が中々面白くて、何か相当エライ人が揃ってマジメに色々とディスカッションしているのかあと思うと(別に嫌味とかではなく)面白そうだなと(^^)。

直近2回の議事要旨。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokko/giji/210204giji.htm(今年2月)
http://www.mof.go.jp/singikai/kokko/giji/200903giji.htm(昨年9月)

各県の記念貨幣のどこを先に出すかという話を大真面目にしているのがちょっと面白かったですが適当にピックアップするとこんな議論が。

『佐賀県の「大隈重信侯の肖像」については、地元にとっては非常に大事なことなんでしょうが、ちょっと弱いかなという印象を持つ。』(昨年9月)
『佐賀県の「大隈重信侯とその功績」については、裏づけ理由が弱く補強材料がなく選びにくい。』(今年2月)

・・・・大隈重信キングカワイソス

『富山県の「立山」という素材は良いと思うが、裏づけ理由が弱い。』(今年2月)

・・・・立山カワイソス

『岐阜県の「長良川の鵜飼」については、鵜匠が宮内庁所属とされてから120周年という節目にあたること、また、絵にもなるし地元に根ざしているので、他より優位ではないか。』(今年2月)

・・・・一方、長良川の鵜飼をはじめ、優位なものもありまして、どうして優位なのかという話をしているのが中々味わい深いです。まあお暇なら読んで味噌。


『貨幣のデザインには、今の時代の一過性のマスコットは避け、国の貨幣として適切なものを採用すべき。(複数意見)』(昨年9月)

・・・・何という正論(^^)


○ヒマネタその2:さすがにこれはちょっと・・・・・

3月26日の参議院財政金融委員会。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/171/17103260060011a.html

えーっとですね、これ引用してると超長くなるので割愛なのですが、平田財務副大臣(当時)の株式売買問題に関する質疑応答部分(大久保委員と大門委員がそれぞれ突っ込みを入れています)における平田さんの発言が何ぼなんでもいかがな物かという感じですので、これもまたお暇なときに読んで味噌です。

チヨダウーテの株式を市場外の相対で売った(というか自分の名義から自分の関連する法人名義に移した)のですけど、価格が何故か市場価格(JASDAQ銘柄です)の倍近い価格で売っている件に関して大門さんが批判してます。

ちょっとだけ引用。面倒なので『』を割愛してベタ引用しますね。

(引用開始)

○副大臣(平田耕一君) 百十二万株の価格の問題でありますけれども、それは私は適正な価格であるなと今でも思っておりますけれども、それ以上、今個別銘柄の価格申し上げてもしようがないんですけれども、私はそう思っておりますけれども。

○大門実紀史君 それは平田さんにとっては適正な価格なんですよ、もうかりますから。ほかに持っている人はどうするんですか。ほかに株持っている人はどうするんですか。その人たちにとって適正なんですか。あなたがそんな倍近い値で売っちゃったってこれ適正なんですか。ほかの人売れないじゃないですか。二百七十円の持っている人はどうするんですか。二百九十円ですか。売れないんですよ、そういう人たちは五百五十円で。五百円以上で。そういう人のこと考えないんですか。自分にとって適正なことしか言っていないじゃないですか。大変なことですよ、そんなの、副大臣ともあろう人がそんなことやったら。

 全然認識ないんですか、市場関係者に、そういう株を持っている人たちに、チヨダの株を持っている人たちにね。自分だけ得してほかの人たち売るに売れないんですよ、五百幾らなんて。そういうこと考えないんですか。あなただってチヨダにかかわっているわけでしょう、チヨダの経営に。どういう認識なんですか、それ。

○副大臣(平田耕一君) 今はチヨダの経営にはかかわっておりませんけれども。そうですね、価格の点は普通こういう取引、百十万株であれば、私ども売る立場としましてはやっぱり純資産価格というものと、それも自分は参考にいたしましたし、それと、それはまあどこであれ、私はそれは、この取引においては適正価格だと思っておりますけれども。

○大門実紀史君 聞いたことに答えてください。ほかの株主にとってどうなんですか。同じことは言わないよ。ほかの株主にとってどうなんですかと。あなただけ五百幾らで売り抜けたということはどうなんですかということを聞いているんです、五百五十円で。二百九十円で持っている人たちにとって何を言うんですかと、何か言うことないんですかと申し上げたんですよ。

○副大臣(平田耕一君) 御指摘でございますけれども、やはりこれはこれの取引でございますので、私はそれを実行したというだけでございますけれども。

○大門実紀史君 合法的かどうかさえこれ疑われますよ、後々。インサイダー含めて、背任含めてね。形で何も、別に相対でやったんだと。何が悪いんだと。 しかし、これ道義的責任だけじゃなくて、これ本当に合法的かどうかも後で調べられますよ。仮に今、別に相対でやったんだから、やっちゃいけないことをやっていないんだからということとしても、少なくとも財務省のこういうものを統括する財務省の副大臣が、副大臣がこういうことをやっちゃうというのは、道義的というか政治的というか、こんなもの人に言われなくたって、まずかったなと思って即刻やめられるのが普通当たり前だと私は思うんですけれども。そんな感覚何にもないんですか、あなたは、本当に。

(引用終了)

市場価格から極端に逸脱した価格を「この価格が適正」と言い切るのはすげえです。ちなみに、その価格にした理由の一つが「純資産価格から勘案」なのですけれども、もうひとつの理由がまた見苦しい。これは大久保委員からの突っ込みに対する答弁からですけど。

『最初のお言葉ですが、百万株を三百円辺りで買うのは不可能でありまして、それは是非ひとつ御理解をいただきたいと、無理であります、市場に出ませんから、そんなに。無理であります。もし買おうと思えば、一万円以上すると思います、になるんだろうというふうに想像はできますけれども、とても無理であり、数百円では無理であります。』

・・・・・えーっと、公開市場買い付けってご存知ですか平田先生???








2009/04/14

お題「閑散相場の為小ネタで」

債券先物の売買高が1兆円切るとか勘弁して下さい。

○決定会合議事要旨続き

最近は状況変化が素早いので1か月前の議事要旨を見ても「えーっと、この時って不良債権買い取りプログラムは出てましたっけ」とか悩んでしまいますが(汗)、タイミング的には「FOMCの直前」であり、「AIGの幹部報酬問題で大騒ぎになっていた時点」というまあ先月の雰囲気の悪い中でしたねという所を考慮に入れたく。

『金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』

・海外経済

『海外の金融経済情勢について、委員は、世界的に金融と実体経済の負の相乗作用が強まっており、海外経済は全体として悪化しているとの認識を共有した。多くの委員は、米欧のみならず、新興国、資源国でも景気が大幅に落ち込んでいるとの見方を示した。』

で、先行きですけれども。

『多くの委員は、世界的にみて企業や家計の支出スタンスは依然として慎重であると述べた。このため、多くの委員は、雇用・所得環境や金融環境の厳しさを考えると、最終需要が回復していく展望は未だ拓けておらず、下振れリスクに注意すべき状況が続いているとの判断を示した。』

ということで、世界的な落ち込みと。各地域別の展開ですけれども、全部引用してると長くなるので米国だけ引用するとこんな感じ。

『米国経済について、委員は、金融機関や投資家のリスクテイク余力が大きく低下するもとで、金融と実体経済の負の相乗作用が強まっており、引き続き景気が大幅に悪化しているとの認識で一致した。』

ということなのですが、住宅市場に関して。

『住宅市場について、多くの委員は、住宅価格の下落が継続しており、住宅市場の調整は当面続くとの見方を示した。また、多くの委員は、雇用環境の悪化が顕著であり、これが個人消費に与える影響が懸念されると述べた。これに対し、ある委員は、住宅着工件数が久々にプラスとなるなど、プラス面の材料が少し出てきていると述べた。』

昨日引用しませんでしたが、住宅着工件数に関してはFOMCでの景気議論でも話題になっていまして、そちらでは住宅着工件数のプラス転化は新しいトレンドの始まりではないが、今後の更なる住宅市場の悪化は限定的と見られるのではないかという指摘がありました(ただし現状の中古住宅などの販売に関しては厳しい)ので、会合の時期が同じなので当然ちゃあ当然ですけど、シンクロしててほっほーという感じです。


・展望レポート下方修正

まあ当然ですけどね。

『多くの委員は、足もとまでの経済状況は、一層厳しさを増してきており、更に、雇用・所得環境の悪化の影響は、これから本格化する可能性もあるので、当面は、下振れリスクに注意する必要があると述べた。何人かの委員は、1 月の中間評価以降、足もとまでの経済指標の動きを考慮すると、景気は下振れてきており、4 月の展望レポートでは、成長率見通しについて下方修正する可能性が高いと述べた。』

まーそりゃそうですなという所ですが、個別の需要項目に関してはこんな感じ。

・輸出

『輸出は大幅に減少しており、当面、減少を続ける可能性が高いとの見方で一致した。何人かの委員は、中国では金融・財政政策の効果により、内需に明るい動きがみられるが、これが、直ちに日本の輸出に好影響を与えるかどうかは不透明であると述べた。別の委員は、自動車など製造業分野で世界的に在庫調整が進めば、夏頃にかけて、日本の輸出も下げ止まる可能性があると指摘した。もっとも、この委員も含め何人かの委員は、日本の輸出回復の前提となる世界的な最終需要の動向には不確実性が大きいとの見方で一致した。』

ということで、まあ一番でかい輸出がこの有様ですから後は推して知るべしなのですけれども(−−)。

・設備投資、個人消費

『設備投資について、何人かの委員は、海外経済の悪化、企業収益の減少、企業の資金調達環境の悪化などから、当面、大幅な減少を続ける可能性が高いと述べた。複数の委員は、景気後退が長引くことにより中長期的な成長期待が低下することで、設備投資に一層の下振れ圧力がかかる可能性があるとの懸念を表明した。』

ということで、景気悪化の長期化による負のフィードバックを懸念していますね。

『個人消費について、多くの委員は、引き続き弱まっていくと述べた。ある委員は、雇用面での調整が、所定外労働時間や非正規雇用の削減から、足もとでは、正規雇用の調整にまで進む動きもみられ始めていると指摘した。』

その上、雇用情勢の悪化がなお拡大する懸念という話ですからもう真っ暗。

・生産

『生産について、委員は、内外需要の動向や在庫調整圧力の高まりを背景に、減少幅が更に拡大しているとの見方で一致した。先行きの生産について、多くの委員は、3 月の鉱工業生産予測指数がプラスとなったことや、夏頃にかけて、減産幅の縮小や増産といった声も聞かれるなど、下げ止まりの兆しを示す情報が徐々に現れていると述べた。』

と、ここでやっと明るい話が(^^)。

『もっとも、何人かの委員は、生産の下げ止まりというシナリオは、もともと中心的な見通しに織り込んでいたものであり、世界的な需要動向を踏まえると、引き続き下振れリスクに注意すべきであると述べた。』

でもやっぱり残念な見通しと。

・・・・でね、この前出た4月の金融経済月報では基本線をこの3月ベースから変化していませんので、まあ展望レポートの見通しを下げるという話になるんでしょう。


・物価に関して

先行きの所なんですけどね。

『何人かの委員は、需給ギャップが更に拡大していく中で、物価低下圧力が強まっていくため、企業や家計の中長期的なインフレ予想が下振れるリスクに注意する必要があると指摘した。複数の委員は、価格上昇品目数と下落品目数の差は、引き続き縮小してきていると指摘した。何人かの委員は、厳しい経済情勢が続く中、消費者の生活防衛意識の高まりや流通業における競争の激化が物価を更に押し下げる可能性があり、実際にそうした動きがみられ始めていると指摘した。』

この見通し部分を2月会合の同部分と比較しますと(引用するとうっとおしいので引用割愛します。確認する場合は2月会合議事要旨見てちょ)、「需給ギャップの拡大」というのと「実際に出ている動き」という部分でありまして、物価の先行き見通しに関してもより厳しくなっているという感じです。

『一方、ある委員は、長い目でみれば、世界経済が回復する過程において、適切な政策対応が採られないと、国際商品市況が再び上昇し、世界的にインフレ率が予想以上に高まるリスクもあると述べた。』

こりゃまあ先の話ですわなと思いますが、2月会合では「金融緩和策による国際商品市況上昇のリスク」を指摘する人と、「足元の穀物価格上昇など、インフレリスクは消えていない」という人がいました。


○日銀の資本準備金だか何だかの繰り入れ拡大とな

というニュースが昨日出ておりましたが、まあこれって要するに「CPやら社債やら株式やらの購入を行った件に関して政府の保証措置とか無いですし、予算措置するのも時間掛かるから、準備金繰り入れを増やす=国庫納付金を減らすのをその代替措置にしますよん」という話だとは思います。他の中銀の買い取りプログラムって基本的に政府にケツを回すスキームになってますもんね。

でも実はあたくしはこのニュース最初に聞いた時に「また何か買うのか(--)」と最初に思ってしまったのはここだけの話(^^)。とか書こうと思っていたら、昨日の日刊ゲンダイには早速『日銀 「自己資本増強」は赤字国債買い取りの布石か』という記事があって苦笑。

まー普通に考えると先ほど申し上げたように、「とりあえず今まで実施した措置への政府サポートはしませんのでよろしく」という話だと思いますけれども、タイミングが丁度大型経済対策が出て国債絶賛大増発が確定的という直後なのが実に香ばしい次第であります。ま、単に決算時期だからだとは思うのですが・・・・・・

余談ですが、間が良いかどうかという点では先般の輪番増額は政府の補正予算案構想が具体化する前だったので良かったですねという話でして、これが後に来たら、どうせ増発全部を輪番で対応するのは無理というか無茶なので、下手したら「財政ファイナンスだよーん」とうっかり市場が見てしまい、好感しないで長期金利グダグダになるかも知れませんでしたねという感じ(実際にやったらどう市場が取るのかはやってみないと判らないすけどね)ですわな。

なお余談&日刊ゲンダイですからどうでも良いのですけれども、その記事見たら「日銀は財務省にせっつかれて色々な買い取りを行って云々」というような書き方になっておりましてなお苦笑。まあ正直者(かどうか知らんが^^)の白川総裁におかれましては、会見で「やりたくないけど渋々やりました」感を出すのは極力控えて頂きますと誠に宜しいかと存じますが如何なもんでしょ。こういう火事場モードの時にはオトボケの狸さんというのも(白川総裁的には本意じゃなさそうですけど)必要では??



○なお余談

・山口副総裁の国会答弁

情報ベンダーで見ただけなのですけど、昨日は国会で山口副総裁が「需要不足への対応は金融政策では限界があって財政政策が必要」みたいな答弁をしたみたいで中々結構なお話かと思いました。まーこういうのってヘッドラインの出方の問題で、政府が経済対策をどどーんと出した所で財政政策が必要云々の話をするのは援護射撃っぽく見えるので良いと思うのか、日銀は金融政策の対応を出し渋っていてケシカランと見えるのかって本当に印象だけの話だと思うのですよね。

ということで、さっきの蒸し返しになりますが、白川総裁におかれましては(以下同文)。


・米国金融機関はもう少し空気を読むべきだと思います(苦笑)

ウェルスファーゴに続きゴールドマンも大幅な利益計上という話が出ている訳ですが、日本の不良債権処理問題における流れからしますと、「そんなに儲かっているのなら不良債権買い取りプログラムとかTARPとかイラネエんじゃないでしょうか」とか言い出す人が出てきて議会がまた揉めるに1バーツ。

公的資金が直接入っていない場合でも、基本的に税金突っ込んで金融システム何とかしましょとやっている中なのですから、精々金融機関は頭を低くしているべきであろうと思いますし、まあ米国は全然違う風土なのかも知れませんけど、このあたりの機微は万国共通なのではって気がするんだが(苦笑)。


・金曜に国債市場特別参加者会合

というのが先週アナウンスされていまして、こりゃ参加者会合まで様子見になったらどうしようと思っていたら本当に月曜は様子見になったのは泣けましたが、まー何だかんだと言いましても、債券市場はそれなりに増発を織り込んでいる筈で、市場予想以上の増発になってもいわゆる運用部ショックみたいなことには成らないでしょとは思っているのですが、あたくしが勝手に思っているだけに内容無保証(^^)。

どのゾーンを増発するのかという議論で、投資家会合も含めてポジショントーク大会になるのをワクワクテカテカしながら楽しみにしております。ただまあ短期国債に関しては3か月TB6兆円とかにするのは勘弁ですなあとは思いますけど・・・・・・

#なんか雑談大会でどうもすいませんでした









2009/04/13

お題「米国と日本の長期国債買入に関する議論を議事要旨から」

前半は金曜の続きというか焼き直しです(汗))。

○米国の長期国債買入にやっぱりロジック無しとな(昨日の焼き直し)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090318.htm

金曜にご紹介したFOMC議事要旨を改めて読んでみたのですが、後半3分の1くらいの所に『Meeting Participants' Views and Committee Policy Action』っていう見出しの所があって、その辺から金融政策どうしましょという話になるのですけど、全部引用してると終わらないので経済部分を箇条書きにすると、あたくしの理解するのはこんな感じ。

・1月会合時点より景気は悪化で全員一致
・一番の注目は海外経済の悪化による輸出低迷であると数名が指摘
・景気悪化が農業部門やエネルギー部門などにも波及している
・逆資産効果(株価や住宅価格)による消費の減退が継続している
・経済には引き続きダウンサイドリスクが大きいと多くの委員が指摘
・物価上昇率が望ましいレベルを下回るリスクを指摘
・一部の委員はデフレリスクを指摘

という経済状況のもと、最近実施した各種金融政策に関してはこんな指摘をしています、って以下金曜の焼き直し(改訂版)で、あたくしの備忘メモなので適当にスルーしたって下され。

『Looking beyond the very near term, a number of market forces and policies now in place were seen as eventually leading to economic recovery. Notably, the low level of mortgage interest rates, reduced house prices, and the Administration's new programs to encourage mortgage refinancing and mitigate foreclosures ultimately could bring about a lower cost of homeownership, a sustained increase in home sales, and a stabilization of house prices.』

モーゲージ金利の低下と、モーゲージ証券に対するリファイナンスおよび担保処分の緩和の支援策が住宅価格の安定化(一層の下落回避ですか)に寄与しているというような話になっているようで。

で、また話を飛ばしまして(その間に金融市場の話がありまして、CDSのスプレッドが拡大しているのは良くないというのと、投資適格クラスの社債が大量に発行されるようになったのは最も良いニュースという指摘がありました)、金曜に引用した最後の部分になります。同じもの引用で恐縮。

『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members agreed that substantial additional purchases of longer-term assets eligible for open market operations would be appropriate. Such purchases would provide further monetary stimulus to help address the very weak economic outlook and reduce the risk that inflation could persist for a time below rates that best foster longer-term economic growth and price stability.』

『One member preferred to focus additional purchases on longer-term Treasury securities, whereas another member preferred to focus on agency MBS. However, both could support expanded purchases across a range of assets, and several members noted that working across a range of assets and instruments was appropriate when the effects of any one tactic were uncertain.』

ということで、長期国債買入とMBS買入が同列に論じられている感じです。つまり、さっき引用した住宅価格に関する話で言えば、モーゲージ金利を下げますって話になるのでしょうが、それって(毎度申し上げてますが)市場介入で長期金利を下げるという結構無理筋のロジックなのですが良いのでしょうかという感じですが、長期国債買入に関する目的および効果に関する議論は敢えてスルーして、MBS買入と同列に並べるだけで話を済ませている観がございますな。

『Members agreed that the monetary base was likely to grow significantly as a consequence of additional asset purchases; one, in particular, stressed that sustained increases in the monetary base were important to ensure that policy was consistently expansionary.』

ここでは買入の拡大がマネタリーベースの顕著な拡大に寄与したという話をしていまして、マネタリー的な話も入っているのがまた不思議ちゃんです。

『Members expressed a range of views as to the preferred size of the increase in purchases. Several members felt that the significant deterioration in the economic outlook merited a very substantial increase in purchases of longer-term assets. In contrast, the potential for a large increase over time in the size of the balance sheet from the TALF program was seen as supporting a more modest, though still substantial, increase in asset purchases.』

で、この次は何を幾ら買います増やしますという話なのですが、どう見ても今回の論議で長期国債買入に関する意義とか目的とかを詰めて実施していませんとしか読めない状況。ロジック不在で特攻とはさすがメリケン様という所ですが、バーナンキって学者だった筈なのですけど、やはりメリケン魂とはこういうもんなんでしょという所かと。出口もへったくれもなく勢いというかエイヤってな感じで導入するこれらの政策はどうなるんでしょうかね。

ということで、金曜にご紹介した分の改訂版で恐縮至極ですが、結論としては「長期国債買入にロジック無し」で何かもう勢いで突っ込んだ感じであるというところですわな。ちゃんと議論した形跡が議事要旨からは見られませんでした。


○3月決定会合議事要旨、長期国債買入に関連して

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g090318.pdf

本文8ページの『当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。

『委員は、年度明け後の金融市場の動向を踏まえた政策対応について議論を行った。多くの委員は、年度末越え資金の調達は概ね目処がつきつつあるが、年度明け以降も、厳しい金融経済情勢を背景に、市場の緊張が続く可能性が高いとの見方で一致した。このため、委員は、金融市場の安定を確保していくため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であるとの認識を共有した。』

ということで長期国債買入の増額という話になります。

『こうした点を踏まえ、委員は、長期国債の買入れについて議論を行った。多くの委員は、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくために、長期国債の買入れを増額することが適当ではないかとの意見を述べた。』

ほほう。

『何人かの委員は、増額する場合には、年度明け以降の市場安定に向けた日本銀行の強い意志を示すためにも、銀行券ルールのもとで、出来る限り大幅な増額を行うことが適当であると述べた。』

えーっと、長期国債買入は調節上の問題じゃなくて「日本銀行の強い意思」ですかそうですか。つまり「意図のある金融調節」ですね(違)。

・・・まーぶっちゃけちゃえば長期国債買入はやたらめったら意味付けがされていますので、この会合時点で2000億円増額とか言われている中で4000億円増額したのはメッセージとしては効いたのですが、これもまた諸刃の剣で、あまり意味ある意味あるとしちゃいますと、何かの事情で買入減らさないといけないという時に負のフィードバックがやってきますので、あまり「日本銀行の強い意思」とか持ち出さない方が無難な気がするんですけど。

#逆方向の強い意志を示す総裁も如何なものかと思いますが、苦笑

『ある委員は、そうしたルールのもとでのラフな試算では、年間5 兆円程度の増額が可能ではないか、と述べた。その上で、委員は、これらの点について、執行部の見解を求めた。』

ほうほうそれで?

『執行部からは以下の説明が行われた。1 月に導入した残存期間別買入れによって、長期国債の満期構成を、厳密ではないにせよ、ある程度コントロールすることができるようになった。このため、銀行券ルールのもとで、従来の増額幅以上に買入れ額を増やすことが可能となっている。』

えーっと、従来は買入の半分くらい(下手したらそれ以上)が残存1年切るようなセクターに集中していたのが、輪番ゾーニングでその辺が緩和されたというのが現実なので、「ゾーニングで買入を増やせる」という話にいきなりズッコケてしまいました。

ま、この理屈って「ゾーニングすると何が入ってくるか判らない(確かに場合によっては超長期ゾーンばっかり入るという回だってありますからね)ので、買入シミュレーションをする際には超長期ばかり入って来るケースを考慮に入れないといけませんから」ってお話なのでしょうけれども、この部分を読んでいて一瞬「ナンジャソリャ」と思った市場関係者は多いに違いない。

『具体的には、ある時期は長期国債を買入れ、次の時期には売却するといった振れの大きい対応を回避しながら、先行きの銀行券発行高と長期国債保有残高のギャップをフルに利用する金額として、現在の年16.8 兆円ペースから、年21.6 兆円に年4.8 兆円増額することが可能である。もっとも、このペースで国債買入れを行っていくと、先行きの銀行券の伸び次第ではあるが、数年間のうちに銀行券発行高に近接していく可能性は高く、追加的な買入れ余地は自ずとかなり限定されてくるとみられる。』

これは白川総裁も会見で説明してまして、やたらと「買入を増やせません」という話になっていましたが、所詮「数年間のうち」の話でしょと思いますし、1年から10年って残存の所の買入だってここもとの結果みてると残存2年以内のものがそこそこ入っているようですから、シミュレーションよりも保有長期国債の残存が短くなるかもしれませんですよね。何か白川さんの話を聞いていると直ぐにでも銀行券残高に到達しそうな勢いで言いますけど、まー「数年間のうち」という話なら極端に言えばFRB流に時限切って買入増額したって良いじゃないのと思いますけどねえ。

で、結論。

『こうした執行部の見解に対し、大方の委員は、年21.6 兆円のペースに増額するという方針に違和感は無いと述べた。その上で、多くの委員は、長期国債の買入れに関する対外的な説明は、従来以上に丁寧に行っていく必要があるとの認識を示した。』

『委員は、銀行券ルールは、第1 に、円滑な金融市場調節を確保するという目的を示す、第2 に、長期国債の買入れが、国債価格の買い支えや財政ファイナンスを目的とするものではないということを明確にする、という点で重要であるとの認識で一致した。』

あれ日銀の強い意志は??ということで、白川総裁が丁寧に説明したら残念な説明になってしまったという事でしょう。

『複数の委員は、円滑な金融市場調節を確保するという点について、日本銀行のバランスシート上、長期的な負債である銀行券に対しては、長期資産である長期国債を割り当て、準備預金など短期的に変動する負債に対しては短期の資金供給手段を割り当てる、という原則であると敷衍した。』

しらっと流していますがここもトンマな話でして、準備預金って準備預金制度が存在して法定準備率を大きく変化させないのであれば、積まないといけないものであるという点で一種の「コア預金」みたいなもんで、長期負債みたいな見方をするのが妥当だと思いますけどね。5兆円位の話ですけどね。

『その上で、こうした点は、金融政策の機動性・弾力性を維持する上で極めて重要であり、あらゆる機会を捉えて、丁寧に説明していくことが大切であると述べた。』

で、丁寧に説明したら白川総裁(以下同文^^)。

ということで、他の部分はまた別途。











2009/04/10

お題「金融経済月報、総裁会見、3月FOMC議事要旨と引用大会です」

○金融経済月報(4月)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0904.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0903.pdf(前回)

まあ要するに悪い状況が継続なんですけどね。

『わが国の景気は大幅に悪化している。』というのは前回と同じでありますけど、項目別展開を前月と比較してみます。

・企業部門

『輸出は、海外経済の悪化などを背景に、大幅に減少している。企業収益の減少幅は拡大しており、企業の業況感も著しく悪化している。そうしたもとで、設備投資も大幅に減少している。』(4月)

『輸出は大幅に減少している。企業収益の悪化幅は拡大しており、設備投資も大幅に減少している。』(3月)

企業収益の悪化幅というのが減少幅になってたりして、下げてるのか上げてるのか良く判らんですな。業況感は短観を受けた結果ですね。

・個人部門

『また、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費は弱まっており、住宅投資も減少している。』(4月)

『個人消費は、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、弱まっている。また、住宅投資を新設住宅着工戸数でみると、再び減少している。』(3月)

ということでこちらは変わらず

・公共投資、生産

『この間、公共投資は低調に推移している。以上のような内外需要の動向や在庫調整圧力を背景に、生産は大幅に減少している。』(4月)

『この間、公共投資は低調に推移している。以上のような内外需要の動向や在庫調整圧力の高まりを背景に、生産の減少幅はさらに拡大している。』(3月)

生産の言い回しが変わってますが、これは下げてるでしょう。で、先行きに関して続いて引用。『景気は、当面、悪化を続ける可能性が高い。』というのは変わらないのですけれども・・・・・


・先行き見通し、項目別展開

『すなわち、輸出や生産は減少を続けるとみられるが、内外の在庫調整圧力が減衰するにつれて、減少テンポは緩やかになっていくと予想される。一方、国内民間需要は、厳しい収益・資金調達環境が続き、雇用・所得環境も厳しさを増すもとで、さらに弱まっていく可能性が高い。この間、公共投資は、低調に推移すると考えられる。』(4月)

『すなわち、輸出は、海外経済の悪化や為替円高を背景に、減少を続けるとみられる。国内民間需要も、企業の収益や資金調達環境が悪化し、雇用・所得環境も厳しさを増すもとで、さらに弱まっていく可能性が高い。この間、公共投資は低調に推移すると考えられる。以上の需要動向を背景に、生産は減少を続けるとみられるが、在庫調整圧力が減衰するにつれて、生産の減少テンポも次第に緩やかになっていくと予想される。』(3月)

先行き見通しですが、前回「減少テンポも次第に緩やかになっていくと予想される」とされたものは生産でしたが、今回は輸出もそれに加わっています。理由は引用文にあるように「在庫調整圧力の減衰」になってます。国内民間需要の先行きに関しては引き続き「今後も弱まる」と厳しい見方を踏襲しています。

ということで、微妙に底打ち感みたいなものも仄めかしている感じっすか。

物価の部分は割愛しまして(基本的に前月と同じ)、金融環境の所なんですけどね。

『コールレートはきわめて低い水準にあるが、大幅に悪化している実体経済活動との比較でみると、緩和度合いは低下している。』(4月)

となっている(前月と同じ)のですが、コアCPIがゼロだマイナスだという話になっているときに0.1%のコールレートって「緩和度合い」という状況なのですかねえと思うのですけど、緩和状況というのは引っ込めたく無いんですかそうですか(−−)。

とまあそういう感じで、見方自体は相変わらず厳しいのですが、声明文よりは月報の概要部分の方がちょっと底打ち感を見せるような書きっぷりになっているのが今回は気になりました。


○総裁会見の続き

昨日は銀行券ルールに関する話で終了しちゃったので、もう少々引用します。

・展望レポート下方修正確実と

展望レポートは下方修正ですよねという質問に対しては素直に下方修正と答えていますな。

『日本銀行は、決定会合で金融経済情勢の点検を毎回行っています。1月に中間評価を発表した後、2月、3月の決定会合では、いずれも1月時点の評価に比べて不確実性が高まっており、厳しい方向に変化しているという認識でした。このように、日本銀行は毎回連続的に見通しを修正してきましたが、それらを文章にまとめ、参考計数と併せて発表するのが年2回の展望レポートになります。景気判断は、4月の展望レポート公表に向けて非連続的に変化するのではなく、2月、3月の決定会合において連続的に変化しており、それとの比較ではほぼ予想通りの展開であると感じています。1月の決定会合における中間評価と比較しますと、下振れてきている可能性があると思いますが、現在4月の展望レポート公表に向けて作業を行っている段階であり、今後入念に点検を行ったうえで発表したいと思っています。』

まあどう見ても下方修正なのですが、では政策金利は引き下げないのかという話になる気がするんですけど、そっちに対してはどういう説明するのか今月末の決定会合で見せてくれるかなあと楽しみ(?)にしておりまする。


・政府との連携について

という質問に対する答えがありまして、やたらめったら長いのですが、段落分けしつつ引用してみますね。

『(冒頭部分割愛)そのうえで、今のご質問は個別の信用リスクを負担する政策を中央銀行としてどこまで行うべきかというご質問だと思います。いつも申し上げていることですが、損失発生を通じて納税者負担が発生する、あるいは個別企業に対するミクロ的な資源配分への関与の度合いを強めるとなると、これは財政政策に近い施策になってきます。特に、買入れ対象とするものの期間が長くなったり格付け基準を下げたりするほど、より財政政策に近くなってきます。』

これは従来より指摘されている説明どおりで皆様もご案内の通りですね。で、米国がどのようにしているかという説明がありまして、まあ普段だと引用端折る所ですが、丁度整理されているので各国の状況説明部分も引用します。まずは米国。

『これは、どの中央銀行も等しく直面している課題です。米国では、CPについてはFRBが買入れる、ABSについては最初の10%の損失を政府が負担するとした上でFRBが買入れる、ということを行っていますが、今のご質問にもあったように、中央銀行が信用リスクを負担することが金融政策遂行の制約となることを回避するという点について財務省が理解をするという趣旨の声明を先だって発表しました。』

では日本はどうかと言いますと・・・・

『日本銀行もCPの買入れを始めるにあたり、政策委員会で議論し、企業金融に係る金融商品の買入れについての基本的な考え方を公表しました。そこでは、企業金融全体の円滑化に照らして、必要な場合には、異例の措置ではあるがこれを行うということを明らかにしました。また、個別企業への恣意的な資源配分を回避し、信用リスクの適切な管理を通じて通貨への信認を確保するということも発表しました。こうした考え方は1月の金融政策決定会合で議論し、政府の代表の方から日本銀行の考え方を理解するという趣旨のご発言がありました。これは議事要旨にも出ています。』

という事になっています。まあ既にご案内の通りという感じですが、丁度説明になっているので引用しました。で、今後の展開なのですが・・・・・

『この先、金融経済が更に厳しくなったときに、例えばより期間の長い社債の購入、あるいは格付け基準の引き下げなどについて、より踏み込んだ対応を公的部門が行うことが適切かどうか、その場合政府の財政政策で行うべきかあるいは中央銀行が行うべきか、といった点について、先ほど申し上げた基本的な考え方に照らして議論していく必要があると思います。政府と中央銀行の関係をしっかり意識したうえで、現在のわが国において最適な方法を実行していると考えています。』

昨日引用した銀行券ルールに対する拘りの姿勢に対しまして、社債購入だのCP購入だのに関してはしらっと「より踏み込んだ対応」とか言うのが正直あたくしには不可解というか理解不能というか。

つまり、あれだけ物凄い勢いで拘る銀行券ルールの話をするなかでは中央銀行のバランスシートについて拘って「長期資産をあまり増やしたくないですぅ」と主張しているのに、その一方で元本が飛ぶリスクがある社債やCPに関しては「より踏み込んだ対応」という発言がしらっと出てくるバランス感はどうなっているのかよ!と思う次第でございます。あたくし思いまするに、社債やCP購入で踏み込む位なら長期国債の買入を増やすほうが(長期国債は償還リスクは無いですし、資金吸収で売りオペだって最終的には選択肢として使えるし)遥かに筋の良い政策だと思うのですけど、この辺りのイメージが良く判らんです、正直言って。

とまあそんな事を思った白川総裁会見でした。


○何か政策ロジックがグダグダになってなってるような気がするんですけど

昨日の夜出ていたFOMCの議事要旨(長期国債大量買入決定の回)なんですけどね。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090318.htm

最後の決定事項提案の前がいわゆる「金融政策に関する検討」にあたるのですが、読んでて何か微妙にワケワカラン状態になったのですよ。

『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members agreed that substantial additional purchases of longer-term assets eligible for open market operations would be appropriate.』

から始まる所なんですけどね。

『Such purchases would provide further monetary stimulus to help address the very weak economic outlook and reduce the risk that inflation could persist for a time below rates that best foster longer-term economic growth and price stability.』

マネタリーの刺激で景気へのサポートおよび物価上昇水準の望ましくない低下(デフレ懸念とは書いてませんが、まあそれに近い話となるかと)リスクを減らしますという話。

『One member preferred to focus additional purchases on longer-term Treasury securities, whereas another member preferred to focus on agency MBS. However, both could support expanded purchases across a range of assets, and several members noted that working across a range of assets and instruments was appropriate when the effects of any one tactic were uncertain.』

長期国債買えという人と、MBS買入増やせという人がいましたと。

『Members agreed that the monetary base was likely to grow significantly as a consequence of additional asset purchases; one, in particular, stressed that sustained increases in the monetary base were important to ensure that policy was consistently expansionary. Members expressed a range of views as to the preferred size of the increase in purchases. Several members felt that the significant deterioration in the economic outlook merited a very substantial increase in purchases of longer-term assets. In contrast, the potential for a large increase over time in the size of the balance sheet from the TALF program was seen as supporting a more modest, though still substantial, increase in asset purchases. 』

ということで、以下割愛しますけど、この結果として前回の決定(長期国債は買うわエージェンシー債およびMBSの買入は拡大するわ)になりましたという話になっています。


・・・・いやまあこれはこれで成程としか言いようが無い話なんですが、では従来長期国債の買入に対して「to help improve conditions in private credit markets」という理屈を出していた件に関してはどのような話になっているのかってのが、ここの部分では(というのは、もしかしたら他の部分でちゃんと議論されているのかもしれないので断定はしません。週末に精読します)見えてこないのでありまして、それって政策ロジック的にどうよという話。即ち、こういう議論してるのに声明文ベースではご案内の通り、

『Moreover, to help improve conditions in private credit markets, the Committee decided to purchase up to $300 billion of longer-term Treasury securities over the next six months. 』

ってロジックにしているのは何ですねんという所ですな。

・・・・いやまあロジックもクソも言ってられま千円という話なんでしょうけれども、あまりにもロジックをテキトーにコロコロ変えていると、政策実施している時はそれはそれで良いのですが、いざその政策を引いて通常の金利操作に戻ろうという時になってグダグダになってしまう懸念というのがある次第です。まあすっかりバーナンキ議長も狸になってしまったという感じですが、これが米国及び世界にとって幸福なのか不幸なのかは、目先だけではなくあと何年か経ってみないと判らないのかもしれませんね。











2009/04/09

お題「総裁会見から、また輪番の話で」

ヘッドラインで見た印象と実際に出てきた会見要旨に微妙な差がある気がするんですが・・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0904a.pdf

○またも輪番の質問がやたら多く

で、それに対して会見当日の情報ベンダーのヘッドラインを見てましたら「また今回も長期国債買入増額を思いっきり否定してますなあ」という印象だったのですが、会見要旨そのものを見るととりあえず説明に終始している感じで少々「???」感が。何回同じ説明させてるんだかという気もしますけど、もういい加減同じ説明するの止めちゃえばとか思っちゃいます。

ただまあ情報ベンダーのヘッドライン見てると、説明を淡々としているというよりは「だから輪番増額はしないんです」みたいなニュアンスが聞き手の方に伝わってくる説明をしてるんだろうなあと想像できる(だから各社のヘッドラインがそういう感じになるんでしょ)次第でして、別に輪番増額に関して自分からテーブルの賭け金吊り上げてどうするんだ(最終的に増額することになった時に総裁の発言に対する信認問題になる、というか既に市場は「そうは言ってもこの総裁追い込まれるとやるんでしょ」というイメージになってるもんね〜♪)という感じです。

それは兎も角。

まず銀行券ルールに関する質問がありましてその答え。

『銀行券ルールと通常言われているものについてですが、金融調節という仕事に普段から関わっていないとなかなか理解されにくい事ですので、少し丁寧に説明したいと思います。銀行券ルールそれ自体を説明するというより、銀行券ルールを撤廃してもっと長期国債を買った方がいいのではないかという質問に答えることによって、今のご質問に答えることにした方がよいかと思います。』

『所謂銀行券ルールを撤廃した方がいいのではないかということを議論する際に意識されている目的は2つあると思います。』

で、まず最初の目的ですが、要は資金を供給しろという話。


○銀行券ルール、調節上のでは・・・・

『1つは、金融経済情勢の悪化に対応して日本銀行が潤沢に資金供給を行えるようにするという目的です。ただし、そうした目的であれば、現在、銀行券ルールを撤廃する必要はないと考えています。資金供給を行う手段としては長期国債を買入れる長期オペと短期の資金供給オペの両方がありますが、現在のところ、長期オペを増額しないと潤沢に資金供給できないという状況ではないからです。むしろ、長期的な負債つまり銀行券に対応させた長期国債オペと、準備預金など短期的に変動する負債に対応させた短期オペの両方を活用した方が、円滑かつ潤沢に資金を供給できると考えています。』

『日本の場合、銀行券や財政資金に起因する当座預金の振れが非常に大きく、そうした短期の振れの調整を全て長期国債オペで行うとすると、その都度長期国債を売買することになり、長期国債市場に攪乱的な影響を与えてしまうことになります。』

ということで、通常の調節だけ考えると実務上はその通りなのですけれども、「日銀が能動的に長期国債の買入を増やすことによってマネーを増やすという発想はないのか」という点については別の質問(FRBが大量に長期国債買っているようですがそれとの整合性は??)に対して白川さんがこのように説明しています。

『中央銀行の政策を議論する際には、バランスシートに則して考えなければなりません。つまり、何らかの資産を買うにはそれに対応する負債が必ずなければならないということです。中央銀行の負債は圧倒的に銀行券であり、無利子である銀行券を国民の皆さんが保有することによって、中央銀行はそれに見合う分だけ国債を買えるのです。それを超えて資産を持つためには、それに対応する負債がなければなりません。』

というと「じゃあ日銀が銀行券を発行すれば良いじゃないか」とか某産経新聞の電波成分入りオジサンあたりが言いそうですが、銀行券に関しては発行、還流に関しては日銀は受身(市中銀行だって実質受身みたいなもんです)なのですけれども、まずそこで議論が成立しないんですよね。つまり、極端な話をすれば日銀が買いオペやって見合いに日銀当座預金残高を増やす代わりに銀行券を金融機関に渡したとしても、その銀行券って即座に還流してくるだけの事ですわなという話じゃないかと。(財政政策とセットになると話は別ですがそれは別の議論)

『例えば、日本の量的緩和の時のように、金融システム不安が非常に高く、その結果、金融機関が当座預金を無利子でもたくさん持っているという状況では、それに見合って国債を多く持つということは理屈のうえでは有り得ると思います。そのような状況でなければ、銀行券を上回って国債を保有するという状態というのは、中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです。つまり、政府が国債を発行し難い時に中央銀行のような公的セクターが債券を発行すれば、それに見合う分だけ国債を買えるという議論です。』

ほほー。

『以上のように、中央銀行のバランスシートに即してどのような状況を意味しているのかを考える必要があります。所謂銀行券ルールは、日本銀行が勝手に設けたものではなく、こうしたメカニズムを踏まえたものと言えると思います。』

ということなのですが、そういう話をしますと、現在は日銀当座預金における超過準備に付利を行っておりますので、実はこの「中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです」という状況が自動的に達成できるという素敵な状態になっているのでは無いでしょうかと突っ込まれたらどう答える積りだったのでしょうか(ちなみにそんな質問はたぶん咄嗟に思いつかないですわな^^)。

とは言え、超過準備付利は臨時措置という事になっておりますので、将来もうちょっと普通の金利操作の世界に戻った時に日銀が保有する長期国債の残高がやたら多くなったらどうなるのかという話が主眼だと思うのですよ。そうなりますと、先ほど引用したように、「長期国債買入ばかりやっていると、金融調節のテクニカルな理由で長期国債のアウトライトの売り切り、買い切りが連発される状況になった時に困る(長期金利が乱高下してボラティリティーが高くなるすると一般向けの金利とかも高くならざるを得ないから)という話なんでしょうと。

でも、そういう観点であれば、短期オペの世界に含まれる部分に関しては(どうせ短期で償還されるのだからテクニカルに足を引っ張る話ではないという意味で)銀行券ルールを厳密に適用する必要あるのかいなという気は(毎度申し上げておりますように)するのでありますよ。輪番のゾーニングする前で国債の元利金取扱手数料引き下げ前だと、うっかりしたら短国買入で1年近いものが入る側から長期国債買入で残存1か月ものが打ち込まれていたような状況があった訳でして、そういう場合に「調節上のテクニカルな銀行券ルール」を意識する意味が実質的にどうなのよというお話になりますわな。

ということで、今回銀行券ルールについては大演説をしているのですが、先ほども申し上げたようにあまりテーブルの賭け金を自分から上げていくのはどうなのかと思いますし、折角色々な施策やっているのに総裁会見のニュアンスが「嫌なんですけど渋々やりました」的なものがプンプン伝わってくるのは如何な物かと思われます。そりゃまあ白川さん個人的にはやりたくないんでしょうけれども、そこは前任のインチキ力を見習って、「はらわた煮えくり返っていてもニコニコ笑顔でやる気満々会見」(福井さんがそうだったのかどうかは知らんが多分そういうキャラでしょ)というのをやるべきではないかと。


○銀行券ルール、財政ファイナンスの問題

最初に引用した話の続きから。

『一方、銀行券ルールを撤廃した方がいいのではないかということを議論する第2の目的としては、財政拡大と国債増発が行われる際に財政ファイナンスを容易化する、あるいは長期金利を安定化させるということが考えられます。』

『しかしそのような目的であれば、銀行券ルールの撤廃はむしろ逆の効果を及ぼし、財政ファイナンスの面にも長期金利の面にも悪影響が出てくると思います。つまり、金融政策が、物価安定の下での持続的な経済成長の実現という本来の目的から離れ、財政ファイナンスに焦点が絞られてくると、将来の金融政策に対する不確実性が増大し、長期金利が上昇してしまいます。このことは、特に日本のように財政のバランスが悪い国においては非常に大事なことだと思います。』

財政が発散しない中であれば問題ない話だとは思いますが、まあ日本の場合はねえという話はそうですねという感じです。まあそもそも論を持ち出しますと、財政拡大懸念による長期金利上昇を抑制するために「放置したら経済に悪影響を与えるので緩和する」というのを「あくまでも一時的に」実施するのはアリなのではないかと思いますけど(FRBの長期国債買入だって期限6か月ですわな)、日本の場合はその「一時的措置」が一時的措置で終わらないというのが仕様になっておりますし、日銀と政府がちゃんとアコード結べるかと言えば、アコード結んでも「そんなの知らん」とか言い出しそうな2大政党のもう一方がありますので難しいわなとは思います。

#そういや国債大量発行ネタでドリームショートをしている人がいそうな雰囲気が思いっきり漂ってくるんですけど最近の債券先物は・・・・



ということで、銀行券ルールの所だけ引用して雑感かいてたら長くなりすぎましたので残りは明日にでも。というか金融経済月報もありますわな(大汗)。景気に関してはさすがに下ぶれリスク意識全開で、展望レポートの絶賛大下方修正は必至ではないかという所です。






2009/04/08

お題「決定会合結果、担保範囲の拡大」

まあ予想通りという感じでしたが・・・・・

○景気認識は基本的には変化ないですけれども・・・・

今回の決定会合声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090407.pdf

今回は適格担保の拡大を行いまして、地方公共団体向けと政府に対する証書貸付債権を適格担保に新たに加えたという結果になったのですけど、まあそっちに関しては後ほど書くとして、まずは経済情勢に関する部分を前回と比較してみます。3.の所ね。

『わが国の経済情勢をみると、海外経済の悪化により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。』(今回、前回と同じ)

『金融環境をみると、CP・社債市場の発行環境は改善しているものの、全体としては厳しい状態が続いている。これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化している。』(今回、前回と同じ)

という調子で、前回と同じ文章が続くの巻でありまして、まあ厳しい見方は変わりませんということで。

『今後は、内外の在庫調整の進捗を背景に、輸出・生産の減少テンポは緩やかになっていくと予想されるが、国内民間需要は更に弱まっていくとみられるため、わが国の景気は、当面、悪化を続ける可能性が高い。』(今回)

『これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い。』(前回)

当面の話に関して、結論の「悪化を続ける可能性が高い」というのは変化ないのですけれども、ここもとの経済統計などを受けたのか要因分解をして見通しを述べています。まあしかし国内民間需要が更に弱まっていくというのは見方としては厳しいのではないかと思料。

物価の見方、先行き景気の見方に関しては前回と同じですので一応引用だけ。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。』(今回)

『景気・物価の先行きについては、2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009 年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。』(今回)

『こうした下で、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高い。』(今回)

で、リスク要因も同じ話をしておりますが、引用するのも芸が無いので引用割愛。


○今回の措置は「金融調節の一層の円滑化」だそうで

んでまあ今回は適格担保の拡大を行ったのですけれども、声明文では導入の意図をこのように説明しています。

『日本銀行では、金融調節の一層の円滑化を図るため、以下のとおり、適格担保の範囲を拡大することを決定した。』(今回)

では輪番増額の時にはどういう話をしていたかと見ますと。

『日本銀行は、金融市場の安定を確保するため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であると判断した。こうした観点から、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくため、長期国債の買入れを以下の通り増額することとした。』(前回)

ということで、輪番増額は「長期の資金供給手段の活用」で「円滑な金融調節を行う」という理屈で実施しましたが、今回の担保拡大は「金融調節の一層の円滑化を図る」ということで根っ子の部分は同じ理屈になっています。ほっほーという感じですけどね。

従いまして、今回の声明文でもこのようになっています。

『日本銀行は、金融政策面からわが国経済を支えるため、昨年秋以降これまでの間、政策金利の引き下げ、金融市場の安定確保、企業金融円滑化の支援という3つの柱を中心に、様々な措置を実施してきた。本日の適格担保範囲の拡大措置も、金融市場の安定確保の観点から、決定したものである。』(今回)

ということで、まあ政府や地方公共団体向けの証書貸付債権の適格担保化を企業金融に絡めて話をするのは無茶なので「金融市場の安定確保」という話になったのでしょう。


○で、内容ですけれども

具体的な内容はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0904a.pdf

従来は政府向け貸出で適格担保になっていたのは、上記URLの2ページ目にある変更内容ご案内の部分で斜線が引いてある「交付税及び譲与税配付金特別会計に対する証書貸付債権」「預金保険機構に対する政府保証付証書貸付債権」「銀行等保有株式取得機構に対する政府保証付証書貸付債権」だったのですけれども、今回はそれ以外(国有林野会計などだと思いますが)にも拡大という話。

それから、地方公共団体向けに関してですが、公募地方債は従来より適格担保になっていますが、非公募地方債に関しては日銀から適格判定を受けたものに関しては従来より担保として使えていると認識しておりまして、そういう意味では「縁故債も対象になりました」というのは微妙にミスリードな気がする報道だと思うのですが。

#証書貸付債権まで縁故債というカテゴリーで扱う場合もあるので全然違う訳でもないけど

今回は地方公共団体向け(地方公共団体の公社とかは含まれない)の「証書貸付」を新たに適格対象に加えますという話になりますので、普通に解釈すると「債券」形式じゃない「証書貸付」という譲渡性が一段落ちるモノを日銀が担保に取りますよという話で宜しいかと思います。

時期的に言えばこれから出納整理期間になって地方債やらローンやらが出る時なので、まあ一応そういう意味では美しいタイミングなのですけれども、どっちかといえばこういう担保拡大は担保繰りが逼迫気味だった昨年の10月以降の早い時期に実施して欲しかったなあという感じです。現状ではそんなに担保繰りが大変になっているような話は聞こえて来ませんので・・・・・

で、これって日銀が適格判定するのですが、日銀がダメというラインってどの辺になるのでしょうかねえ。

『(1)入札等の貸付条件の決定方法、債務者における公募地方債の発行実績等を勘案して、本行が適格と認めるものであること。』

一応補足しておきますと、非公募地方債の場合、基本的には公募地方債に準ずる流動性がある(要するに債券市場で普通に売買されるような非公募地方債)ものだと普通は適格になる筈ですし、そもそも手間隙の点からして、そういうモノしか担保に入れにいかないと思われますので、まー実務上は従来の適格担保になっている地方債を発行している地方公共団体向けの証書貸付を担保に出すって話になるんでしょうけどね。

もうちょっと早く実施する、というか措置として確かに世間アピールイマイチなのですけれども、10月から12月に掛けての金融環境の元では特にこの措置て地味ながら効くし、それこそ社債を買うとかいうような話と比較して別に筋の悪い話でもない(と思う)ので、順番逆だったですねとは思いますが、やらないよりはやる方が良い話なので、良い話だったのではないでしょうか。

#会見に関しては明日










2009/04/07

お題「長期金利がしらっと上昇している件/ヒマネタで国会会議録を少々」

○米国10年国債が2.9%まで押し込んでいる件について

先週末の米国債券市場ではまたまた金利上昇の巻でして、昨日はあまり上がらなかったみたいですけど、2.92%とかでござるの巻。で、米債って何で売られてる(月曜のモーサテでは米国債券市場の数値も出さないというのは如何なものか)のと思ったら「バーナンキ議長が講演で出口政策に言及」ってあったので慌てて(あほです)先週末の議長講演を見たのです。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090403a.htm

『The Federal Reserve's Balance Sheet』ってお題の講演で、中々中身は面白そうなのですが、例によって全部読んでいない(どうもすいません)ので詳しくはもうちょっと読んでからですが、最初の部分になります(紙に打ち出すと1ページ目)『Some Principles for Balance Sheet Policy』ってことですから「バランスシート政策」の原則みたいな話をしてるのですが、第4パラグラフに件の出口政策云々が。

『In pursuing our strategy, which I have called "credit easing," we have also taken care to design our programs so that they can be unwound as markets and the economy revive. In particular, these activities must not constrain the exercise of monetary policy as needed to meet our congressional mandate to foster maximum sustainable employment and stable prices.』

このパラグラフの最初の文が「市場や経済の回復に伴い質的緩和というか信用緩和というかまあその政策を巻き戻す(アンワインド)ことができるように考慮」みたいな話になっておりますので、まあ従来からFRBが言ってます「市場機能がおかしくなっている所に中央銀行が介入して市場機能を回復させる」というロジックに対しては整合的な話なのですけれども、出口政策に言及して長期金利が徐々に「長期国債絶賛大量買付け決定」時点のレート水準にあと10bpまで戻って参りまして、はてさてここからどうなるのやら。

まー米国市場のことはよー知らんのですが、市場ならここで当局のスタンス試しに金利上昇でスタンスチェックと逝って貰いたいものです(まあそんなことしなくても国債発行増でレート上昇しちゃうかもしれませんが)。10年3%乗せ水準になったところで、FRBがどう出るのか是非見たいです。まあ適当に考えますと・・・・

(1)長期国債買入実施を決定した時の理由として「信用市場の緩和」というロジックを出しているので、「信用市場の緩和が進んでいる」と言ってスルー。
(2)長期金利上昇は信用市場の緩和に反するので再度買入拡大。
(3)長期国債買入実施を決定した時に同時にデフレ突入懸念にもより強く言及してますので、正攻法で「デフレ回避の為にマネーの拡大を行う」と言って長期国債買入を拡大する(リッチモンド連銀ラッカー総裁のロジックですわな)。
(4)「デフレ懸念の後退に伴い長期金利が上昇するのは無問題」とスルー。

うーむ、どうなるのかはさっぱり判らない(その時の他市場の環境や不良債権問題の進捗状況にもよるでしょうし)のですけど、まあ是非見てみたいので(だいぶひとごとモード^^)米国債券市場におかれましては何卒10年3%を可及的速やかにやらかして頂きたく(^^)。

・・・・・とか何とか書いておりましたら、本石町日記さんが既にエントリーを上げておられました。何と言う人のふんどし(涙)。

http://hongokucho.exblog.jp/10669266/

期待インフレ率を上げる政策を実施して、それが市場に「効果あり」と認知されれば長期金利が上昇する訳でして、長期債市場に「市場介入」と言いながら突っ込んでいったFRBのロジックは何かまあ微妙なヌエのようなロジックではございまして(BOEはその点直球ストレートにマネーの拡大を標榜してます)、長期金利が上昇しだすとそのロジックのヌエ部分に効いて参りますのですが、それがあっという間に来るのが中々香ばしい展開ではございます。


・・・・・えー、まあそういう米債を受けてるのか何だか知らないですけど、長期金利がズルズル上昇して日本の10年は1.4どころか1.4台後半でござるの巻になりやがりまして、正直皆さんの今月の想定レンジでメインで見ている所を抜けちゃっているんじゃねえのという状態になっておりますわな。大体皆が意識している節目ではとりあえず買いがジャンジャン入るのですけれども、その節目というかレンジを抜けて勢い良く下がると投資家の皆様に置かれましては様子見地蔵になってしまうのが人間としての仕様でございますので、まあさすがにソロソロ止まらないかと思うのですが、止まるまで地蔵モードになるんでしょうな。


○小沢鋭仁(民主党)議員の正攻法ツッコミ(国会会議録より)

3月25日の衆議院財務金融委員会より。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009517120090325013.htm

小沢委員の質疑は2番手ですので、スクロールバーで上から5分の1くらいの所から始まるマクロの質問は中々良い突っ込み方です。で、途中から日銀への突っ込みに。

(なお、適当に段落分けや改行をいじっておりますので念の為)

『○小沢(鋭)委員 (前半割愛)次に行きます。日銀の白川総裁に御質問をします。先ほどお聞きしましたように、CPIあるいは地価の公示価格ともに下落であります。デフレの局面に入った、こういう認識でよろしいんでしょうか。』

『○白川参考人 この席でもたびたび申し上げていることで恐縮でございますけれども、デフレという言葉がいろいろな意味で使われております。そういう意味で、私どもは、先ほどの答弁でも御説明しましたとおり、経済の先行き、成長率という面について大変厳しいというふうに見ております。それから、消費者物価でございますけれども、これについても、足元は今、前年比ゼロでございますけれども、これからマイナスの領域に入っていくというふうに見ております。』

で、この続きが苦しい説明になっておりますなあ)。

『その上で、デフレということで申し上げますと、過去の内外の経済を見ましても、物価の下落それ自体が起こるということは少なからず起きております。問題は、この物価の下落がいわゆるデフレスパイラルになっていって、つまり、物価の下落が経済のさらなる後退をもたらし、それがまた物価の下落をもたらす、これがデフレスパイラル、そうした事態は決して起こしてはいけないと強く私どもも思っております。現状、そうした意味でのデフレスパイラルに今直面しているということではございません。いずれにせよ、物価の動向それから経済の動向はしっかり見ていきたいというふうに見ております。』

どう見ても苦しい説明です。本当にありがとうございました。

『○小沢(鋭)委員 デフレという言葉を使うと日銀は過剰反応するように思うんですが、私が言っているデフレというのは単純な話で、いわゆる価格の下落です。消費者物価にしても地価にしても、価格の下落を単純に私はそう思っております。そうすると、デフレスパイラルの危険がなければ、物価の下落、地価の下落、これはそのままでいいんですか。』

何と言う正攻法な突っ込み(^^)。

『○白川参考人 今、地価の下落とそれから物価の下落、両方の下落について言及がございましたけれども、もちろん、これは両方とも経済の動向に大きな影響を与える計数でございますから、注意深く見ております。過去の経験を見てみますと、例えばこの数年間のアメリカがそうでございますけれども、物価自体はマイナスではなかった、しかし、資産価格が大きく下落する、住宅価格が下落する、そういう中で、過去の膨張した信用のおもしが大きく経済に悪影響を与えたわけでございます。要するに、これは資産デフレの悪影響ということでございました。一方、アメリカは、今、これから先の物価の下落がデフレスパイラルになっていくかどうか、これを非常に注意深く見ております。私どもの方も、そういう意味で、物価の下落あるいは資産の下落、こうしたものは注意深く見ております。ただ、一つの指数だけではなかなか判断できないということでございますので、決して、物価の下落なり資産の下落は見ていないということではございません。』

ということで、一時的な下落とデフレスパイラルを分けて話をするという毎度のパターンになっております。で、以下量的緩和政策についての質疑があるのですけど、そこは割愛しまして、小沢さんがまとめに発言した所はご尤もな説明。

『○小沢(鋭)委員 当座預金の話をされましたけれども、それだけが本当に量的緩和なのかどうか、国債の買い入れもしていただいたわけでありますから、含めて、ここは本当に、日銀、いつも申し上げていることで恐縮でありますが、私は、まさに物価の安定が日銀の政策目標なんですから、日銀の存在意義なんですから、それをちゃんとやってくださいよということを申し上げておきたいと思うんですね。』

『ですから、私の思いは、政府はGDPギャップを財政資金で全部埋めてくれ、物価の下落は日銀が全部埋めてくれ、これをまずやってもらいたい。まず、これが基本的なスタートラインだと私は思っておりまして、それを申し上げておきたいと思います。(以下割愛というか別件)』

その前に(引用すると長くなるので引用しませんでしたが)与謝野さんに対してGDPギャップをどう埋めるのかという話をしておりまして、こちらの方も中々正攻法でよかったなあと思います。

ただ、実に残念なのはその次のCP買入に関する質問がいきなりオッペケペーというかルンバというかのズッコケになっている所。まあ小沢さんにおかれましてはマクロの方での突っ込みに専念したほうがよいのではないかと思います。

『(さっきの続き)ついでに、もう一つ申し上げておきます。CPの買い入れみたいな話が出ておりますが、このCPというのをいろいろ調べたんですけれども、アメリカと日本で、同じCPといってもかなり受けとめ方が違いますね。アメリカのCPというのはある意味では約束手形、日本の場合は、金融機関が仲介をするような形でないとCPという形では認めない、こういうような話があって、ただ、約束手形という話になりますと、大臣、日常的に企業が、特に中小企業が出しているのは約束手形ですよ。その買い入れをアメリカは考えているし、やってくる、こういう話ですよ。』

えーっと、「日本の場合は、金融機関が仲介をするような形でないとCPという形では認めない」って意味が全然判らないのですけど。それ言い出したら約束手形だって金融機関の当座預金を介しているのですから「金融機関が仲介をするような形」になるんですけど(ちなみにCPの場合発行企業と投資家が相対取引をするケースもありますので念の為申し添えます)・・・・それから、日本のCP買入プログラムの方が企業への与信をモロにしている筈ですけどね。

『日本もぐずぐず言わないでやったらどうですか。中小企業の約束手形を日銀が買い取ります、そのリスクは政府が保証しますと言ったら、相当中小企業は楽になりますよ。いかがですか。』

どう見ても震災手形です。本当にカムサハムニダ・・・・と思ったら与謝野さんがモロに震災手形の話をしておりますが答弁割愛して(^^)、小沢さんもさすがに極端な話をしているのは認めている点をちゃんと引用しておきますね。

『○小沢(鋭)委員 もちろん、かなり過激な提案をしたつもりではいるわけですけれども、さっきの大震災の話ではありませんが、日本のGDPの落ち率はあれ以来の落ち率ですよ。ですから、政府が百年に一度の危機という話で言うのであれば、それくらいのことも含めて検討をしていただきたい、こういうふうに申し上げておきたいなと思います。(以下別の話なので引用割愛)』

また百年に一度ですかそうですかという感じですけど、まあ小沢さんの場合、細かい話になるとグタグタになってしまうのは玉に瑕という程度の話だと思いますので、今後もマクロの話で大いに突っ込んで頂きたいものだと思います。








2009/04/06

お題「今日も雑感で勘弁」

ドル円100円台定着なるか・・・・・・

○そういえば今日から決定会合

4月は決定会合が2発あります(2回目は月末で展望レポート)ので、今週は決定会合ウィークなのですが、今の所とりあえず何か出るという話が無いので今回は久々に何も無いのでしょう。

#実際問題としては、日銀短観も出た今回は何かアクションするならまあ理屈的には整合性が取れるのですけどね

・・・・というよりも、「今度の決定会合で何があります」と毎度毎度どこかのメディアに出てくるというのは甚だ如何な物かと思われる次第でして、こういうの続くとマジメに分析(あたくしのがマジメかと言われるとかなり怪しいですが)するのがアホラシカになるので勘弁して頂きたく存じます。

それは兎も角。

とりあえず株価とか為替が良い方向に進んでいるので「決定会合の前になると市場の催促が始まる」というここ数ヶ月のパターンにはならずで市場の方でも今回に関しては「何かクレクレ」状態にはなっていないようです。で、まあそういう状況ですけど次にやる緩和見たいな施策は何でしょうと考えますと・・・・・・

(1)量的緩和みたいなのをする、(2)ゼロ金利政策、(3)輪番拡大、(4)ターム物誘導みたいなのをする、(5)クレジット物買入の拡大、(6)株などの購入、などなど思いつくのですけれども、このうち1は何となく今の調節がそんな感じになっています(以前はは無担保コールが中々0.10%を切りませんでしたが、最近は割と簡単にコールの加重平均が0.10%を切っていますわな)ので、ターゲットは設けていませんけれども結果としては量的緩和(ただし付利金利あり)みたいなもんですわな。で、2番目以降についてどうなのかを愚考。

ゼロ金利政策ですけれども、海外の中央銀行も(この前はBOEの議事要旨をご紹介しましたが)ゼロ金利みたいな状態にすることの弊害がどうしたこうしたというような話をしている昨今なので、まあどう見てもゼロ金利にはしたくないんでしょうなあと思われる日銀執行部がそうそうゼロ金利にしてくるとは思えませんわな。予想としてはそんな感じですけど、日銀だって物価が当面マイナスで推移と想定しているのですから現在の政策金利水準は下げるという話になるんじゃネーノと思うのですけどね。あたしゃ。

輪番(長期国債買入)拡大はそんなにややこしい話にならないと思うのであたくし的にはお勧めなのですけれども、先日の会見でわざわざ白川総裁がいわゆる銀行券ルールを盾にハードルを上げてしまったので、増額するには理屈(ある意味屁理屈の世界だが)を作らないといけませんですわな。

でまー理屈を考えますと、「そうは言っても銀行券ルールに引っ掛かるまであと数年あるのですからちょっと増額しても目先は無問題」と言うのが一案ですがちと無理気味。もう一案としては(以前も書いた気がしますが)「残存1年以下の長期国債買入は短期国債買入と実質的な差が小さい(厳密に言うと償還乗換の問題とかがあってちょっと違う)ので、残存1年以下の長期国債買入を短期国債買入に含める」という形にして実質的に残存を長くする理屈。

残存1年以下の長期国債買入を短期国債買入に含めると買入の額面総額ベースは同じですけれども、購入銘柄が長期化されますので、実質的には結構効果のある話なのですが、問題はそれを一般的にアピールできるのかという点ですかね。マーケット的には受けると思いますけどね。あたくし的には推奨スキームなんですが・・・・・

ターム物誘導に関しては、まあ今やってる施策以上に何かやるという話になるとかなり無茶なこと(ターム物の指値オペ実施とか)しか思い浮かばないです(いやまあ口で言うだけ攻撃はありますけど、それは多用するものではないと思います)。ターム抑えておきたければ今の何となく量的緩和(ただし金利付き)を継続しておけば良いのではないかと存じます。

クレジット物の購入拡大とか株式購入とかですが、それはまあ中央銀行がやるというより政策金融の世界でローンを出すとか保証制度を活用するとかまあそういう世界の話ではないかと思われますので、補正予算でやってくれる話になるんでしょう。株式を市場から購入するのは何だか「ハァ?」って感じですけれどもね。

ということで頭の体操をしてみましたが、どうせあたくしの書いている事ですから発想に抜けがあると思いますので、思考の叩き台にでもなれば幸いでございます。


○決済制度に関する小ネタだが以降延々と続きそうなネタ

この前フェイルに関する話をしたのですが、それに関連してもう少し色々とネタが膨らんで参りましたので全然まとまってないけどつらつら書くのだ。

えーっとですね、フェイルに関してですが、実際問題としてはRTGS導入の時点でフェイルに関する覚書というのが日銀ネットで国債決済をしている人たちの間で締結されておりますので、そもそも論として「フェイルを認めない」というのが有り得ない(覚書結んだのを知らんというのは覚書になってないでしょというあまりにも直球の正論)のではないかというのが話の発端。

・・・・いやまあそうなんですけど、たぶんバイサイドの人間でちゃんとそういう認識持ってないでしょうなあという情けない状態になっているとか、覚書締結したのはいいけど投資家サイドの方で各種手続き(色々と考えていたのですが、何が必要かを整理するのがややこしい。事務上の問題とか計理上の問題とか)が全然改善されていないとか、日銀ネットに直接参加していない投資家(事務は信託銀行が行っている投資家)だとそもそもそこまで覚書入っているのか良く判らん(それは調べます)とか、まあ色々しょうもない実務的な事情があるようで、突っついて行くと結構根っ子に色々と改善しないといかん点があるようです。

#もっと言えば委託者は「そんなの知らん」と言い出しそうですし(汗)


元々国債の決済が普通に受渡されて受渡遅延が存在しないという前提のもとに各種の流れが出来ているので妙な事態になっているのかなあとも思ったのですが、そこでふと思い出したのは一般債(^^)。

えー、ある年齢以上の人じゃないと全く判らんと思いますが、かつては一般債では登録機関が発行する「登録済証」(業界は「ズミショウ」と呼んでいた)というのがあって、所有者が移転した場合は売り方と買い方の判子をついた「移転登録請求書」と「登録済証」を登録機関に持っていくと登録機関で登録するという人力制度があったんですな。

詳しい説明しだすとこの話だけで延々続くので端折ります(詳しくは職場の年寄りに聞いてください)が、これやっている時は今よりもディーリングが活発でしたので、登録機関での移転登録手続きが間に合わないうちに転々と玉が流通し、債券売買契約そのものは要物契約ではないので売買はどんどん成立しているのですが、登録機関ベースでの債券保有者は現状の真正な保有者の何人も前の状態だったというような素敵な決済遅延をしていたのですよ。

これって今の常識からしたらとんでもないフェイル状態なのですが、当時は金融機関などはコケないという前提だったので、「そのうちモノがやってくるでしょう」という感じで月末になると「まだ来ていない登録済証のトレース」というのがお仕事になってまして、「今何人前の所まで来てます」というようなのを管理帳票に書いていた気がする(というのは業者の受渡部門であたくしがやっていたことなので、投資家がどういう処理してたのかは詳しくない)ので、このときって計理上どういう処理してたのでしょうね(これも調べます)。

#この制度が変更になったのが証券危機の直前

その話はおいとくとして、国債決済ってRTGS導入前は発行量が今よりも圧倒的に少なかったのに思いっきり普通に流通してたのは、何といっても「ループ取引オッケー」というのがでかかったですわなと思います。それこそ4年とか6年国債だと恐らく「投資家のロングが8000億円VS業者のショートが3000億円」みたいな状況になっていたんじゃないかという状態でして、どうせ記番号管理とかしないで総額残高管理してるんだから、せめて「ループ決済を認める」ようにすれば、特にカレント物の決済って良く回るようになると思うのですけど・・・・やっぱダメなんですかね。

#まあフェイルフェイル言いますけど、日常のようにフェイルがある外債と比較してフェイル率がとにかく低いのは大変なもんですよ

・・・・結局何が言いたいのか判らん文章になってしまいましたが、まあ今後も色々と妄想を膨らましてみますです。それから日銀はフェイル慣行を定着させたいのであれば、国債売買系のオペレーションにおけるフェイルを事務ミス扱いすべきではなく、普通のこととして受け入れるべきではないかと思いますけれどもどうっすか(^^)。

以下このネタは整理できないまま無駄に長い話が続く(予定)。

#雑談大会でどうもすいません








2009/04/03

お題「各種資料を斜め読みでメモ程度の話でご勘弁でござるの巻」

時価会計適用の緩和で金融システム不安解消とか言われますと「そこの毛唐ども日本に向かって真逆を言ってた癖にふざけんな」と思うのは往時甚だ大変な思いをしていた年寄りの被害妄想ですかそうですか。

さすがに日本人のコメンテーター@モーサテは「メタボが体重計に乗らなくてよくなるような措置」とうまい例えで(^^)。

#あれ、ECBって25bpしか下げなかったの

○さて恒例の日銀保有長期国債残高と

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0903.htm

手元のエクセルさんでシコシコ計算した結果ですので内容無保証でお願いしますが・・・・

償還分を置いといて前月比での残高増分を見ますと1.4兆円ちょっとになるみたいですが、うち残存1年以内(3月末時点での1年以内だから輪番オペオファーベースの1年以内と銘柄が微妙に違う)の残高増加額が4200億円ちょっと。で、2年以内が3100億円ちょっととなりまして、残存2年以内の残高増分が増加額の約半分となりました。

やはりゾーニングの効果が出て、下手したら従来の短国買入よりも短い打ち込みばかりじゃねえか!状態がだいぶ緩和されたのは結構なお話でございます。というか輪番が期近債のゴミ捨て場状態になっていたここ暫くの状況が如何な物かという所でしたのですけどね。

なお、償還が額面ベースで2兆2000億円ほどございますが、これは1年物政府短期証券に償還乗り換えされている筈ですので、その分の資金吸収は発生しておりませんので念の為。

#と、これだけのことを書くのにエクセルでペタペタ計算するのに時間を食うのですよね。一応作ったシートを改めて見直してから書いたのでそんなに外してないとは思いますが。


○企業金融特別オペが7兆円ですかそうですか

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/juqf/juqf0903.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (2009年3月実績)

下の方に残高ございますが、そこにこのような華麗な数値が。
『企業金融支援特別 74,777』
・・・・うーむ、当初の見通しから超越的に残高が拡大しましたが、証書貸付もさることながらCPの打ち込みも随分来たようで、CP市場が見事に阿片窟状態になってしまったのは常々申し上げております通り。何と言う恐怖のオペという感じでございますが、このオペ続く間は阿片窟相場は続くでしょうと思われます。

「担保があれば全部出す」攻撃というのはやはり恐るべしとしか言いようが無いのですが、まあこれが普通の利回り競争入札になったら全然状況が違っていたであろう事を考慮しますと、効果は凄まじく出てよかったですね(出過ぎで阿片窟市場になったという困った市場もあるが)という所でございましょう。


○生活者意識アンケート続き

昨日の続きの雑感なんですけど。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0904.pdf

最初の質問(と言っても本文15ページ目です)を引用します。
(引用開始)

Q1. 1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。
1 良くなった0.2 ( 0.6 )
2 変わらない10.0 ( 16.0 )
3 悪くなった89.1 ( 82.5 )

Q2.Q1のご回答について、そのようにお考えになるのは、主に
どのようなことからですか。【2つまでの複数回答】

1 マスコミ報道を通じて49.5 ( 43.3 )
2 景気関連指標、経済統計をみて18.8 ( 20.2 )
3 勤め先や自分の店の経営状況から38.3 ( 34.6 )
4 自分や家族の収入の状況から36.3 ( 36.5 )
5 商店街、繁華街などの混み具合をみて19.3 ( 20.5 )
6 その他5.0 ( 5.2 )

(以上上記URLから引用)

・・・・・まー3か月前からあんまり変わらないのですけど、「景気が良くなった」が0.2%とかナンジャソリャという数字で泣けます。で、悪くなったと考える理由を見ると案の定というかいつもどおり「マスコミ報道を通じて」なのですけれども、この数値がやたらいい感じで伸びている(他の理由よりも前回対比の数字の伸びがよろしいですわな)のを見ますと、メディア様におかれましてはそのやたらめったら暗い調子で景気悪化だ何だって火事場の野次馬のような報道するの自粛して貰えませんかねえとか思っちゃいますです。

もうちょっと引用しますね。(また引用開始)

Q3. 現在の景気をどう感じますか。
1 良い0.0 ( 0.1 )
2 どちらかと言えば、良い0.4 ( 0.6 )
3 どちらとも言えない5.4 ( 9.7 )
4 どちらかと言えば、悪い36.6 ( 45.9 )
5 悪い57.4 ( 43.6 )

Q4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる8.5 ( 4.8 )
2 変わらない49.2 ( 42.0 )
3 悪くなる42.0 ( 52.7 )

(以上上記URLから引用)

・・・・・「良い」が華麗に「0.0」という数字になっているのも泣けますが、先行きの所では「ここから更に悪化」という回答が減って、「横ばい」(というか底ばいですが)と「さすがに良くなるでしょう」が増えているのは、各種マインド指標の推移と整合性のある結果になっておりますわな。

で、以下暮らしぶりの質問とかが続くのですが、まあ先行きの個人消費はマインドを見ていると厳しいですねとしか言いようの無い結果が延々と続いておりまして、株価とかは景気良く上昇しておりますけれども、実体面で言えばまあどうでしょうねという感じになるんでしょう。


○白川総裁の新入行員向け挨拶(まあ与太雑談です)

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/nyukou09.htm

まあそんなにネタ的な話は無いのが白川総裁クオリティなのですが、昨年の入行式での挨拶を見ますと最初のつかみを微妙に変えてますね(^^)。

昨年の挨拶はこちら(当時は白川さんは副総裁です)。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/ko0804a.htm

『皆さんは本日からわが国の中央銀行である日本銀行で仕事をされる訳ですが、中央銀行の最も根源的な仕事は、銀行券を発行し、それを国民の皆さんが安心して、かつ便利に使える環境を整えることです。普段はあまり意識されないことですが、銀行券が使われるのは、その価値が守られるという安心感、言い換えれば、通貨に対する信認があるからにほかなりません。そのためには、物価の安定と金融システムの安定が不可欠です。』(今年)

『中央銀行の仕事を表わす言葉として、皆さんは「通貨の番人」という言葉を聞かれたことがあると思います。「通貨の番人」には様々な側面があります。まず、銀行券や中央銀行当座預金からなる中央銀行通貨を供給すること、金融機関の決済を円滑に遂行することが出発点になります。その上で、物価の安定と金融システムの安定を実現することが求められています。』(昨年)

中央銀行通貨の話だったのがずばり直球で「銀行券」になったのは輪番オペの銀行券ルールだとか政府紙幣の話だとか長期国債の日銀直接引受議論だとかを意識しているからですね!というのは裏読みのしすぎですかそうですか(^^)。

で、まあ去年の挨拶でも『本日の入行式に当たり、日本銀行を代表し、また社会人の先輩として、お願いを3つ申し上げたいと思います。』ということでお願いしている3つのお願いの特に最初に関しては新人さん読んでねという所ですかな(^^)。

『第一にお願いしたいことは、責任感をもって仕事に取り組んで欲しいということです。皆さんが最初に任せられる仕事はそれほど大きなものではないかも知れませんが、職場ではあなた方がその仕事をきちんと遂行してくれるという信頼感を前提に仕事を行っています。与えられた役割をしっかりと果たしてください。そうした個々人の責任ある仕事の結果として、組織に対する信頼が生まれてきますし、ひいては先ほどお話した通貨に対する信認にもつながってきます。』

通貨に対する信認の所はまあ置いとくとして、『皆さんが最初に任せられる仕事はそれほど大きなものではないかも知れませんが、職場ではあなた方がその仕事をきちんと遂行してくれるという信頼感を前提に仕事を行っています。』なのですよね!

と、妙にご教訓状態の引け味になってしまいました(汗)。








2009/04/02

お題「悪いのを織り込みすぎで反応しなかったでござるの巻」

ということで新年度開始で短観なのですが・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0903.pdf

で、最初にお詫びですが、昨日「市場予想▲60越え」とか申し上げましたが、よくよく見たら市場予想は▲55あたりだったようでして、伏してお詫びいたします。市場予想は勝率2割3分を切ってますのでやっぱりやる大矢もビックリ(^^)。

で、大企業製造業の業況判断DIは▲58になりましたので、勝率2割1分でやる大矢どころか近鉄パールズもビックリでありましたけれどもね!

・・・・わけわからんネタ振りでどうもすいません


○いつものインチキ分析を(^^)

・業況判断DIの達成度合い

12月調査時点での先行き見通しがどのくらい達成出来ているかという話。6月調査では見通し達成ならず、でも市場の予想したDIよりは良い。9月調査時点では見通し未達相次ぐもそんなにドカンとは下げず、市場の予想したDIよりは小マシ。12月調査ではだいたい見通しよりもビックリするほど悪い上に市場予想よりちょっと悪いかほぼ予想通りという感じでダメダメでした。

で、今回はと申しますと・・・・・

            (12月時点)      (3月時点)
           現状→3月予測   現状→6月予測
製造業大企業   ▲24→▲36     ▲58→▲51
製造業中堅企業 ▲24→▲45     ▲57→▲61
製造業中小企業 ▲29→▲48     ▲57→▲63

非製造業大企業  ▲9→▲14      ▲31→▲30
非製造業中堅企業 ▲21→▲32    ▲37→▲45
非製造業中小企業 ▲29→▲42    ▲42→▲52

これを良く見ますと、中堅中小企業の方が前回の先行き見通しに対して今回の実績値が近い(非製造業中小企業なんてピタリ賞ですよ!)ことが判ります。これがどういう意味なのかは判りかねますが(汗)、まあ何となく微妙な香りが。


・雇用判断DI

だいぶ前から良く見てまして、前回の急速な悪化振りにビックリしたのですが、今回は更に涙が出る悪化。

            (12月時点)      (3月時点)
           現状→3月予測   現状→6月予測
製造業大企業   +8→+15      +35→+32
製造業中堅企業 +14→+21     +39→+37
製造業中小企業 +16→+26     +39→+40

非製造業大企業  ▲7→▲7       +3→+6
非製造業中堅企業 ▲3→▲1      +7→+10
非製造業中小企業 ▲2→+2      +8→+12

ええ見事に全部余剰ですよ余剰。しかし製造業の悪化振りが酷いですね。


・証券業の業況判断

これは毎度笑えるので長期時系列を更新ということで、サブプライム爆発前でありますところの昨年6月調査分から並べますね、前回▲70でしたが・・・・・

        現状→次回予測
(6月時点) +34→+52
(9月時点) ▲30→+23
(12月時点)▲26→+4
(3月時点) ▲55→▲15
(6月時点) ▲45→0
(9月時点) ▲70→▲44
(12月時点)▲70→▲59
(3月時点) ▲76→▲68

唯一の救いは今回の先行き予測から願望成分がかなり払拭されてきたことではないかと思います(^^)。パリバショック以降毎度毎度先行きの予測に願望成分が入っていて「3か月後は今よりも改善ですよ!」という数値になっていたのですが、願望成分の多さをもって鳴る証券業の業況判断からかなりそれが除去されてきたのは底打ち確認サイン近しということで(本当か??)。


○まあしかしオシレーターだと思えば・・・・・・

などと書いているあたくしにも願望成分が多いですかそうですか(^^)。

業況判断DIって企業業況判断を相場の上げ下げだと思えば(無茶な前提)オシレーター系のテクニカル指標みたいなもんで、ほらあの相場だと騰落レシオが80越えたり20割ったりしたら相場全体が天井だったり底だったりするじゃないですか。

・・・・などと屁理屈をでっち上げて業種別展開を見ますと、売られすぎのサインがでております業種は(大企業だけで勘弁)、木材・木製品(▲82)、非鉄金属(▲81)、自動車(▲92)の3つの業種になっております。そろそろ底打ちしませんかねえとか願望を。

というか前提が無茶なのでただの雑談ということで。ちゃんとした分析は本職の方がちゃんとやってくれるでしょう。まあゲロゲロな結果でしたが、正直市場はゲロゲロに慣れてしまい「打たれ強い子」になってしまってますので反応しませんでしたなあという所かと思います。


以下別の話を少々。

○あらま短国増発

昨日財務省からアナウンスがあったらしく、ブルームバーグニュースだと15時過ぎにヘッドラインが出てたのですが、今月の短期国債(国庫短期証券)の発行予定額と来月の何となく予定な話がございました。で、そこを見ますと1年TBが今月2000億円増発になって1.9兆円の予定になっているのはまあ良いとしまして(その程度の増発であれば無問題)、3か月TBの発行予定が堂々の「1回あたり5.4−5.7兆円」となっておりました。

・・・・・今年に入りまして3か月TB(1月はFB)の1回辺りの発行額が1月、2月、4月と3000億円ずつ増発あれたのですが、この調子だと5月か遅くても6月にはなお3000億円増発でござるの巻。その前が4兆5000億円でしたので、出来上がりで5兆7000億円に増えてしまいますと半年で26%増しの増発って中々素敵な状態ですねえとしか申し上げようがございません。

いやまあ資金繰り上仕方ないのですからブーブー言っても始まらない話なのですけれども、こりゃまあてーへんな話ではございます。昨日の3か月TB入札は0.25%割れの水準で決着してて、買いもあったみたいですから特に問題なく増発1発目は消化されたようなのですけれども・・・・・・


○日銀生活意識アンケート

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0904.pdf

えーっとすいません、読んでる暇がありませんでした(大汗)ので、ちょっとだけ。

毎度お馴染みの「物価水準」に関するところですけれどもね。以下引用、()内が前回12月調査の数値で今回調査の数値が最初に出てる数字です。

Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。
―― 数値をご記入のうえ、上・下いずれかに○をお願いします。なお、「0%」と
   思われる方は、記入欄に「0」とご記入下さい。

平均値:+6.4 ( +10.2 )
中央値:+5.0 ( +10.0 )

Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
―― 数値をご記入のうえ、上・下いずれかに○をお願いします。なお、「0%」と
   思われる方は、記入欄に「0」とご記入下さい。

平均値:+2.9 ( +5.7 )
中央値:0.0 ( +5.0 )

(以上引用)

おお!デフレ懸念が近づいて参りました!!!

・・・・と思ったら5年後の物価という調査項目がありました。ということで以下引用。

Q17. それでは、5年後の「物価」は現在と比べ毎年、平均何%程度変わると思いますか。
―― 数値をご記入のうえ、上・下いずれかに○をお願いします。なお、「0%」と
   思われる方は、記入欄に「0」とご記入下さい。

平均値:+3.8 ( +5.6 )
中央値:+2.0 ( +3.0 )

(以上引用)

まあ下がってはいますけどプラスですかそうですか(^^)。ただまあパッと見たときに1年後のところが気になったので引用してみましたの巻(^^)。








2009/04/01

お題「期初ですがただの相場雑感」

今期も宜しくお願いいたしますm(__)m

・・・・で新年度なのですが雑感少々でご勘弁。あ、それから四月馬鹿ネタは例年通りございませんです

○補完供給とかフェイルの話とか

昨日もまたまた補完供給オペが実施となりました。銘柄は10年249回ということで、これで249回が23日、25日〜31日(24日は10年267回だけでした)の補完供給実施、267回が23日〜30日の実施となりましたが、まあ結局期末まで随分引っ張りましたなあという感じでございます。局地的な現象だとは思いますけど、ここまで延々と補完供給が引っ張られるとはやりますなあという感じでした。昨日は落札275億円で、前日から100億円減っていましたので、玉手当ての方は進んでいるのでしょうかね。まあいいけど。

#ところで、時事メインのフラッシュが毎度毎度「補完供給オペ、札割れ」になっているのですが、他のオペと違って札割れにインプリケーションありません、というか札割れじゃない方がおそロシアなのでして、「札割れ」っての何か変えた方が吉かと思われ。

あとまあ昨日書かなかったのですが、相場が下がりながら迎える決算期末特有の10年カレント買い攻撃(四半期毎の償還の山と残高積みと益出し入れ替えのニーズ対応です)によって10年新発299回のレポが逼迫、というかおまいらジャンジャン買うのは良いけどレポ出さんかゴルァとも思いますが、レポの出が悪くてレート的には3か月手前の償還と同じ水準というロールダウンとかマル無視の展開になっていまして、末のレポ大丈夫かねとか思ってましたが、こちらは最後の方で末初のレポ1日分で結構なマイナスレートがついたものの、とりあえずバッドフェイルとかは無かったようで何より。

#今日の短観で相場水準がうっかり2毛ほど下がると10年新発がリオープンじゃなくなるというおそロシアな展開になりますのでレポ&キャッシュ対顧的にはちょっと気になりますな

世間話を続けますと、金利水準がこの有様になりましたので、フェイルに関してはそれなりのペナルティつけるとかいう話にしないと、ただでなくさえ投資家がフェイル認めねえという話なのが中々進まないのではないかとも愚考します。米国では確か5月からフェイルに対してペナルティー金利をチャージするとかいう話になりまして、元々海外ではフェイル慣行が定着しており云々って話はやはり金利水準に依存したものがあったんですねえという感じではないかと思います。

とは申しましても、実際問題としてフェイルがあって投資家何が困るかという話ですが、未決済取引が積み上がるとカウンターパーティーに関する与信が積み上がる(確かバーゼルUでも未決済取引はカウンターパーティーへの与信としてチャージされていたし、フェイル状態が続いているとチャージ料が高くなると記憶してます。違ってたらゴメンナサイ)というのと、フェイル食らった状態のままだと約定ベースで残高になっていても売れない(受渡までにフェイル解消しないとこっちがフェイルになってしまうから)というのと、手元に残ったキャッシュに関して扱いに困る人も投資家の種類によっては居そうな気がしますが(キャッシュ比率何%以下とか制限している場合に建付上困るのかなあとか)、後は「計理処理が面倒だから勘弁」的な話だとは思います。

#外債もそうですが、最近では株式でもフェイルってありますから、全くダメダメだという話ではないと思うんですよ。よー知らんが。

まあこの金利水準で決済関連の投資って「収益にロクに貢献しない話なのにナンデヤネン」という感じで中々進んでくれないというのが前回の量的緩和時代の経験則かとは思うのですが、リーマンショック以降色々と大変だった時の関係者一同が揃っているうちに決済関連がより良い方向に進化して欲しいものでございます。


○今日は3か月短期国債(政府短期証券)入札ですが

今日の入札分から増発でこれで去年の末から比較して都合週9000億円の増発という大変に素敵な状況。税収の落ち込みやら埋蔵金の大利用やらでまあこりゃ仕方ないのですけれども、さてどこまで増発に市場が耐えられるのか注目。

・・・・とか言ってますが、毎度お馴染みの期末要因で足元資金が余剰になっておりますので、その資金が期末の着地が読めた辺りから短国には買いが入ったでござるの巻で昨日の引けは先週の新発が0.235%とかになっていますから、そう変な入札にはならないでしょう。1月と同じパターンかなあとは思うのですが、1月も増発があったのですが、年末越えの資金が余剰になっていて買いが優勢なので「増発大丈夫じゃん」と思っていたら段々重くなってきたでござるの巻になったという流れでしたので、まーそんな有り勝ちな展開になるのかなあと愚考。

となると大型連休前辺りが宜しくないのかなあとか思いますが、こればっかりはここで予想すると見事に外すという禿げ曲げ丼状態なので思ってるだけということで勘弁(^^)。

なお雑談(今日は雑談ばっかですが^^)ですけど、昨日の金融ファクシミリ新聞(業界の人しか知らない新聞です)では「短国先物上場の要望も」みたいな記事が出てましたが、えーっとそんなニーズあるんですかというか有ってもワークするんですかという気は思いっきりするのでありますけど。記事には「円滑消化の為に先物でヘッジ機能を」って話が書いてましたが、アウトライト筋が新規に入れば別ですけど、実需ベースの人たちが参加するだけだったら市場総体の売り買いの需給バランスは変わらないので、別に先物入れたから入札が安くならないで済むといううようは話にはならんと思うぞ。

というか、最近はTIFFE様におかれましては、スワップ先物、無担保コール翌日物先物、レポ金利先物と新規商品を開発した側から大コケという経費の無駄遣いにも程がある商品を出し続けておられる訳でございまして、これだけ連続して全然取引の無い商品ばかり出すとか民間だったらそろそろ切腹モノではないかと思われる状態なのですけど、またスカ商品を出すんですかという感想しか沸いて参りませんな。アーコリャコリャ。

そういや東証の債券ミニ先物取引も全然取引が出来ていないという素敵な惨状なのですけど、「新商品投入」がおまいらの業務目標だか何だか知らんけど、最近の金利系における取引所の新商品開発のコケ振り(とこの前の先物システム変更の悲惨振り)は目を覆いたくなるものがございまして、唯一ネ申又吉イエスによって地獄の火の中に投げ込まれるべきではないかとか言いたくなって参りますわな。んなスカ商品開発する金あるのなら場口銭下げろと。

#いつの間にか全然違う話になっていることを謝罪致しますが賠償はしません^^


○で、短観ですね

今日の短観、市場予想は大企業製造業の現状判断DIで▲60越えという話だったと思いますが、良いが20で悪いが80だとDIが▲60という話ですので、勝率2割割れということで、やる大矢もビックリの数字が予想になっている所が実に悲しいですね(ちなみに去年の横浜ベイスターズの業況判断DIは▲32と電卓叩いたら出たのですが合ってますか?48勝94敗2分ね)。まあどうせなら夢のDI▲100ってのも見せてくれというヤケクソな感じですけど・・・・・

今回は足元がゲロゲロなのはもはや織り込み済みだと思いますが、先行きの判断がどの位明るくなってくれるかという所も話題になるのかなあって感じかと。ただ、先行き判断DIって前からぼけーっと見てますと、基本的に従来の水準に影響されやすい(景気が良い時には先行きが良い方向、悪い時には先行きが悪い方向に出やすい)面があるので、あまり中身に期待しない方が良いかと思われますけどね。設備投資計画とかボロボロみたいですし・・・・・

#改めて今期も宜しくお願いしますですm(__)m