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2010/08/31

お題「決定会合レビューとか相場メモ(もはや雑談でもない)」

トロイカ体制と聞いて、雪の白樺並木夕日が映える♪って光景の中で鈴を付けた鳩ポッポ先生とお遍路先生とお縄先生が手に手を取って走る姿をうっかり想像しちゃいました(汗)。

問題はこのトロイカ、本来の御者は有権者だと思うのですが、御者と関係なく勝手に走っているとしか思えない所で、まあ本人たちは走れトロイカほがらかに♪ってなもんなんでしょうけれどもねえ。

日本で散々言われる当局対応ですが、モーサテでニューヨークの外人さん(BNPパリバの人)が「日銀の緩和発表は少し早すぎた(これから米国の重要指標が出てくるのでその後でよかったという意味)」と言っているのに朝から微苦笑する一方、日本のコメンテーターが「日銀の次の一手とは?」という話でいきなり現実からワープした無責任筋悪話ばかり並べるのは如何なものかと。

いやまあこれがフリーダムでコメントする人とか学者さんとかなら別にどうでも良いのですが、セルサイドの何とかストとしてメシを食ってる人には、現実に意味の無い机上の空論なんぞ職業的に求められていないと思う次第で、まずはbewaadさんの「これなら現実的に受け入れられそうなリフレ政策」のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100829/p1)でも百回嫁と。


○10年1.1%に20年1.8%を瞬間上回るとはオソロシス

以下単なる自分用の備忘メモで、相場付きに関してはベンダー(ってまあ先物の数字とプライスアクション程度で一部カレントの値付きが瞬間わかる程度ですけどね)みたり戦場の第一線で狙撃兵としてご活躍のお友達に聞いたりしつつという感じで書いておりますので、本人の脳内ではそれなりにちゃんと書いている積りですが、正確性に関しては一切保証致しかねます(というか正確じゃないと思う・・・)のでその辺をご留意の上ご覧頂きたいと存じます(とヘッジクローズ^^)。

昨日の債券市場ちゃんですが、米債が何が何だか良く判らんですが豪快にベアスティープして戻ってきた事から、寄りから債券先物が15銭安とかのスタートに。と思ったらその後も先物がスコスコと下落して、寄りから5分くらいの所(だと思った)で先物が142円20銭(35銭ちょい安)割る所で超長期が何と10.5甘(1.800%)出合いとかになって、何と今日もやるのかよという事で更に相場が下がるでござるの巻。

何か結局いくらが安値なのかという感じでしたが、10年も前日比10毛甘の1.1%を抜けちゃうわ、20年も1.8%を楽勝で抜けちゃうわで、先物は9時9分に安値141円60銭と、何と95銭安(つまり寄りから9分で80銭低下ね^^)まで売られてしまいましたが、さすがに10年1.1%だの20年1.8%などとゆー水準ですので、今まで買わないで必死に耐えてきた人たちにとっては干天の慈雨というか地獄に仏というかちゅうことで買いが入り持ち直してとりあえずデルタを消す為に売られたと思われる先物にも買い戻しが入ったようですわな。

・・・・と言いましても、先物はきゅいーんと142円台回復したものの、その後も暫く10年はウダウダと7毛甘(=1.070%)だの8毛甘だのというような水準(だいたいその辺だと思う、あまり正確では無い)で推移しておりまして、また一旦142円われをやらかしていましたが、その後は徐々に復活モード。

でですな、決定会合結果はご案内の通りでござんしたが、それでどうのこうのという事も無く、後場に入ると長期、超長期ゾーンの買いが確りしまして(それから2年とかが妙に強くなったのも謎ですが・・・)後場取引の中盤以降は前場の強烈なスティープニングも緩和されて、引けは先物142円45銭(10銭安)に対して10年2毛甘(1.020%)の20年3.5毛甘(1.730%)となりまして、前場引けが先物142円22銭(33銭安)に対して大体の居場所が(何せ動いているので良く判らん)10年6毛甘近辺、20年10毛甘近辺だったようなので、まあ後場に掛けて10年、20年にはそこそこ買いが入ったんでしょうなあという感じでござりまする。


まーよく売られましたなとゆー感じですが、20年の1.8%と言えば相場がソイヤソイヤと上昇しだしたのが7月頭とかだと思いますけど、その前に結構ウダウダとやっていたレベルではございますので、そらまあ後付けで考えれば止まりどころという話になるのかも知れませんけれども、はてさてこれで落ち着くのかやっぱり落ち着かないのかはどうなんでしょうかね。

あとですね、お縄効果というのは(まあ正直それは単なるギャグネタとしての効果であって、本気で「財政拡張懸念が急に現実的になった」というのは流石に・・・・^^;単純にここまでその手の話をスルーし過ぎたので奇襲効果があったのはあったのでしょうが)これまた後付けで無理矢理こじつけると、昨日の後場途中(確か午後2時手前位でしたっけ、忘れたけど)に「菅さんと小沢さんの会談が」みたいな手打ちへの道が出て参りまして、これはお縄リスクが軽減の悪寒という事で買い戻しに拍車が掛かったとか講釈するとギャグとしては面白いですけれども(^^)、たぶんそれはあくまでもギャグの世界でしょうな、あっはっは。


以上、何の役にも立たない俺様備忘メモでしたm(__)m


○決定会合レビュー

#しまった、時間があんまり無い・・・

これが結果
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k100830.pdf

実際に行うオペに関して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/un1008d.pdf

とりあえず駆け足であたくしめが勝手にポイントと思った事を箇条書きモードで。

・「量」ではなく「金利」とな

『1.日本銀行は、本日、臨時の政策委員会・金融政策決定会合を開催し、固定金利方式の共通担保資金供給オペレーションについて、期間6か月物を新たに導入したうえで、同オペを通じた資金供給を大幅に拡大することとした。これにより、市場金利の低下を促し、金融緩和を一段と強化していくこととした。』(声明文より)

>これにより、市場金利の低下を促し
>これにより、市場金利の低下を促し
>これにより、市場金利の低下を促し

ということで、従来のロジックの踏襲なのですが、今回の措置に関しては「金利の低下を促す」というのを目的および波及経路として考えているという事です。まあ足元勝手に市場が全部以上織り込んでしまったので、既に市場金利は下がっていますが何か?という無粋なツッコミは兎も角として(^^)、期間6か月を打ち込むことにしたのは、あくまでも「より長めの資金を供給することによって長めのターム物金利の低下を促す」という建付けにするということですな。

従いまして、仮に次に何かやらにゃあ行かんという場合には(白川さんが急にポッキリ折れれば別ですが^^)、方向性としては「より長いターム物金利の低下を促す」というのがロジックの踏襲としては普通の考え方ということになると思いますので、方向としては「今の3か月で回っているものを6か月にする」「今回っているものを1年にする」というようなオペ手直し方向、もうちょっとやる気を出せば時間軸的なコミットメントという話になりますが、時間軸のコミットメントは「展望レポートでの見通し公表と、先般更に明確化した中長期的な物価安定の理解で示しています」というのがまあ日銀の理屈だと思いますので、コミットメントをする時にはそこの所を整合性つける(まあちょっとした屁理屈で良いと思いますが^^)ちゅう所でしょうな、と思います。


・やっと下振れ意識ですかそうですか

『2.わが国の景気は緩やかに回復しつつあり、先行きも回復傾向を辿るとみられる。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、基調的にみると下落幅が縮小を続けており、先行きも下落幅が縮小していくと考えられる。この間、米国経済を中心に、先行きを巡る不確実性がこれまで以上に高まっており、為替相場や株価は不安定な動きを続けている。こうしたもとで、日本銀行としては、わが国の経済・物価見通しの下振れリスクに、より注意していくことが必要と判断した。』(声明文より)

何かまあやっと「下振れリスクにより注意」っていうのが出ましたが、その前段に「景気認識は変わってませんよ〜♪」とか「下振れするのは米国ですからね〜♪」とかわざわざ打ち込む所がチャーミングというか白川総裁意地っ張りというか何だかなあという感じではあります。詳しくは会見要旨を見つつ考えます。


・オペ供給額だけであれば期間3か月の方が早く10兆円積みあがりますが

『日本銀行では、本日の政策委員会・金融政策決定会合において示された方針を踏まえ、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションの運用について、これまでの期間3か月の資金供給の残高20 兆円を確保したうえで、追加的に10兆円程度の期間6か月の資金供給を開始することとしました。』(実施の具体的説明文より)

ということで、従来のは3か月のままで6か月を打ち込みますよと。

『2.期間6か月の資金供給

・オファー頻度:月1〜2回
・資金供給額(1回あたり):8千億円程度』(実施の具体的説明文より)

つまりですな、3か月のオペなら10兆円になるのに3か月ですけど、6か月のオペを6か月掛けて10兆円にするのですから、まあオペ実行額という意味で言えば実は期間が短いほうが残高が先に積みあがるという実にシュールな今回の決定。何だかねえという感じですが、まあそもそも肝心の短期ゾーンの金利が(超足元のGCだけ高いですがそれは兎も角)下がりきっているので、金利的にはどっちもどっちだったりしますけどね。まあ先に来ればそらまあ6か月の方が3か月よりも効いて来るでしょうけど。


・須田さんが反対とな

『(注1) 須田委員は、本文中、固定金利オペに関し、期間6か月物を新たに導入したうえで、同オペを通じた資金供給を大幅に拡大することについて、反対した。』(声明文脚注より)

・・・・さて、この理由については今度出る(来月は間に合わなくて再来月でしょうなあ)議事要旨で反対理由をみたいものです。


#ということでバーナンキ講演はすっかりスルーでどうもすいません








2010/08/30

お題「ほほう臨時会合/面白市場メモ/バーナンキ講演」

だからネタをいっぺんにあちこちから打ち込まないでくれと(^^)。

○ほほう臨時会合ですか

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2010082900205
日銀、30日に臨時会合=追加金融緩和決定へ

日銀は急激な円高・株安による景気悪化を防ぐため、30日に臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決定する。政府が追加経済対策の基本方針を31日に決めるのに合わせ、政府・日銀が一体となって円高などの課題に取り組む姿勢を鮮明にする。(上記URLより)

・・・・追加経済対策の「基本方針」を定めるのに緩和のお付き合いとはご苦労なこったと申しますか、民主党代表選挙で首も涼しくなってきた現政権の皆様におかれましては、経済無策と言われると益々マズーなのでしょうから、経済対策を打たにゃならんけどさて31日にどういう対策を打つのやら。ただまあそこに日銀がお付き合いしないと益々「無策」振りがはっきりする次第ですなあと考えますと、実はこの決定会合実施の方が「お縄効果」なのではないかという悪寒が(^^)。

まあ何ですな、ど〜せ9月定例会合では本件が打ち込まれるでしょうというのは市場のコンセンサスもコンセンサスでありまして、単にそれが1週間早くなったに過ぎないというステータスでありますので、これに対する実際の短期市場における金利形成がどうなるこうなるとかは大体コンセンサスが出来ていて、既に織り込んでしまっているとは思いますけどどうなんでしょうかね。つーか織り込みすぎているような気もするので、新型オペ拡充でこれ以上(短期ゾーンの)金利が下がってどうのこうのというのは想定しない方が良いとは思いますので、そーゆー意味での市場へのインパクトがあるのかねとは思いますが、為替だの株式だのがどういう反応するのかは正直知らん(恐らく為替を見て株が反応するものと思料)ので、金融政策に関して毎度毎度斜め上の面白い解釈をして面白い反応をする為替市場の皆様がどういう反応するのか次第でしょ、そちらの方面については影響あるでしょうな。波及経路が良く判らんけどね(^^)。


○いやあ超長期売られましたねえ

金曜の駄文で超長期が売られた(ネタとして絶妙に面白いので「お縄先生力あるわ」とか書いたけど^^)話を書いて、「さて米債が強かったのですが今日はどうなるでしょう」という風に書いたのですが・・・・・

えーっと、寄りは米債フォローで先物17銭高とかで始まっていたのですが、超長期ちゃんは朝から5糸甘とかゆーよーな中々お洒落な展開。その後も超長期の気配はドンドン甘くなり、超長期が重いことから先物も徐々に下落し、前場引け近くの10時50分ごろには先物11銭高に対して10年308回が1毛甘出合いだとなって超長期が4毛甘出合いとかになりました。ちったあ買いもあったみたいなのですが、前場引け後も業者間のビットを叩くとか中々素敵な雰囲気に。で、後場に入って益々雰囲気が悪化し、午後1時20分過ぎになると10年、20年が更に崩れて先物も一気に下落しやがりました。先物27銭安の142円55銭で10年309回が6毛5糸甘の1.00%に上昇したようですが、さすがに10年1%レベルでは買いが入り、一旦持ち直すました。でも20年ゾーンがボコボコになっていまして、引け前10分だか15分高のところでもう一発売りが出たみたいですが、今度は10年とか5年などに出たようで、引けに掛けて再度相場は下落しましたが、そこで買いが入ってまた戻るとかややこしい展開。

で、引け値ベースで言えば、先物142円55銭(27銭安)に対して10年1.000%(6毛5糸甘)、20年1.695%(13毛甘)という実にお洒落な展開。

でまあ何ですな、木曜金曜の市場って特に何か材料があったわけでも無く、おまけに金曜に至っては米債が思いっきりフォローだったのですからして、昨日書いたように「民主党代表選挙結果次第で財政再建路線の頓挫が懸念されて」という風にしちゃうと一番説明はしやすい訳ですし、まあそもそもユーロ圏の財政問題ネタ以降で金利低下のネタに使われたものの中に「菅政権の財政再建路線」というのが一応あったので、それがひっくり返るリスク(今年の最初3か月とか粛々と超長期が打たれてましたからねえ)というのを意識してどうのこうのとゆーのもあるのかも知れませんけれども、そもそも木曜の最初の売りなんて良くある「計画に則って寄りからドカンと売却」的な売り方だったと思われますし、ま〜どっちかと言えば「超長期市場が勝手に真空地帯を駆け上がって来た分を勝手に自己崩壊した」という感じジャマイカと。たまたま月末受渡のタイミングで小沢さんの代表選出馬表明が出たちゅうこってしょうな。うんうん。

もともと買ってるほうもソイヤソイヤとキャピタル狙いもあってお祭りをやっていたちゅう所もありまして、さてどこでどうケツを入れるかという事は皆さん考えていたと思いますので、そこで売りが一発出て相場が下向きになった場合に、普段だと循環取引でもやっているかのようにどっかで押し目買いが入るのですけれども、まあ先週の20年国債入札にありましたように、ちょっとその押し目買いの人の頭数が減ってきてた感がありました(一部の大口落札だけで多くの業者が珍しくドン引き状態だった)ので、買いの手が引っ込む中での売りで、「じゃあ俺も決算益固め」とか何とか言って売りが出て、俺も俺も状態になったというような自己崩壊(この程度で自己崩壊というのも大げさですが)したとゆー事ジャマイカと、よー知らんがの。

ま、何はともあれ本日は追加緩和でございますので、さて長いところはどういう反応をするんだか(ニヤニヤ)。


○バーナンキ議長の講演のどこがどう量的緩和拡大を強く示唆しているのか意味判らんのだが

注目のジャクソンホールでの講演。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf(PDF版)

この講演、中身的には相当面白くてですね、景気認識に関する話がまずあって、その後これまでFRBが実施してきた各種政策の整理があって、この整理が珍しく政策の狙いやら波及ルートの説明をしているのがマニア的には非常に興味をそそるのですよ。それから今後の政策オプションに関する説明をしてまして、わざわざ具体的に(1)長期国債の買入拡大、(2)ガイダンス文言(extended periodね)の変更、(3)超過準備付利金利の引き下げ、に加えて自分たちでは検討をしていないけれども経済学者などからの提言(IMFのブランシャールペーパーを意識してるんでしょ)として(4)インフレ目標値の引き上げ、に関してメリットデメリットについての話をしている部分も中々オモローでありまする。


でですな、報道されているベースで言うとバーナンキ議長が「量的緩和拡大を強く示唆」というような話になっているのですが、この講演テキストを一応相当注意して読んだのですけれども、そんな話はどこにも載っていないと思うのですよ。例えば最後の「Conclusion」のところでPDF版だと(以下ページはPDF版ね)18ページになりますけれども。

『Although what I have just described is, I believe, the most plausible outcome, macroeconomic projections are inherently uncertain, and the economy remains vulnerable to unexpected developments. The Federal Reserve is already supporting the economic recovery by maintaining an extraordinarily accommodative monetary policy, using multiple tools. Should further action prove necessary, policy options are available to provide additional stimulus.』

追加的な緩和政策が必要な状況になったら我々は追加的な緩和政策を実施する用意があります(キリッ)って良く良く考えたら当たり前の話をしているに過ぎず、まあそれは政策の方向性が出口政策模索という状況から、状況が悪化したら緩和という方向性になった事なのでそれはそれで意味はありますけれども、その辺の話は既にFOMCステートメントでも出ている話でありまして、別に新たに何か追加緩和に関して踏み込んだ発言をしたとも思えませんけどねえ。

ついでに経済見通しに関する部分で7ページ目から8ページ目に掛けての最後の部分で現状の物価に関する話を引用しますとこんな感じなのですが。

『Maintaining price stability is also a central concern of policy. Recently, inflation has declined to a level that is slightly below that which FOMC participants view as most conducive to a healthy economy in the long run. With inflation expectations reasonably stable and the economy growing, inflation should remain near current readings for some time before rising slowly toward levels more consistent with the Committee’s objectives.』

現状のインフレ率がFOMCメンバーの考える長期的な望ましい水準から若干下回っているという話はしていますが、先行きの見通しについてそう悲観的な話をしているわけではありません。

『At this juncture, the risk of either an undesirable rise in inflation or of significant further disinflation seems low. Of course, the Federal Reserve will monitor price developments closely.』

望ましくないディスインフレも高インフレも、どちらへのリスク共に低いと言ってますな。

『In the remainder of my remarks I will discuss the policies the Federal Reserve is currently using to support economic recovery and price stability. I will also discuss some additional policy options that we could consider, especially if the economic outlook were to deteriorate further.』

経済の先行き見通しが更に悪化した場合には追加緩和を行いますって言うのは非常に当たり前の話をしているようにしか思えないのでして、どこをどう解釈すると「追加の量的緩和拡大を強く示唆」という話になるのかがさっぱり判りません。


で、景気認識に関する部分ですが、これまた引用していると無限コースになる(何せこの講演PDFファイルで19ページもありやがる)のであたくしが勝手に解釈したのはこんな感じですかね。

・経済成長は極めて緩やかで失業は高く、雇用所得環境の改善は非常に遅い
・金融環境は大きく改善するものの、銀行の貸出態度はややタイト
・今後の回復に関して重要な要因として挙げられる消費の拡大や住宅市場の回復に関しては、労働市場および雇用者所得の改善が重要だが、これらの改善が進んでおらず、消費者信頼感が回復しない
・最近の労働市場のデータは以前として失望的(Incoming data on the labor market have remained disappointing.)で、景気回復の弱さと先行きの不確実性が企業が
雇用の拡大や給与の引き上げをすることを抑制している

明るいネタに関しては・・・

・家計の貯蓄率が上昇している事は、先行きの不確実性に起因するものだが、一面では家計のバランスシートの改善がより速く進んでいることでもあり、家計のバランスシート改善による消費の押し上げに期待
・住宅価格の下落とモーゲージ金利の歴史的な低水準によって住宅取得がより容易になっている
・企業の設備やソフトウェア投資に関しては上半期前年比20%拡大しており、今後も健全なペースでの拡大が続くだろう
・最近になって銀行の貸出態度がやや改善している
・米国輸出先の景気拡大がサポート、足元ではやや悪化しているが一時的な要因と見られる

つー感じですか、読み間違えていたらゴメンナサイ。大体これで8ページ分なんですが(^^)。



さて、この講演ですが先ほど申し上げたように金融政策ネタが非常にオモローなのでございまして、これがどうオモローなのかと申しますと、従来実施してきた各種の政策に関する狙いや波及効果の説明に味わいが非常に深いものがあるのに加えまして、今後実施しようとする政策オプションに関する狙いやら波及効果に関する説明がその直前で話をしていた話とあんまり整合性が取れていないようにしか思えないというところであります。

時間がないので続きは明日(は決定会合レビューもあるのかorz)なのですが、今回読んでいて「えええええええ?????」と思ったのは、資産購入プログラムに関する政策の狙い及び波及効果に関して、「金利の引き下げ」と「ポートフォリオリバランス効果」を出しているのが非常にチャーミングというか何というか・・・・・

本文9ページなんですけどね。

『The FOMC has also acted to improve market functioning and to push longer-term interest rates lower through its large-scale purchases of agency debt, agency mortgage-backed securities (MBS), and longer-term Treasury securities, of which the Federal Reserve currently holds more than $2 trillion.』

暫くの間「市場機能」に絞っていたのですが、今回は思いっきり「長期金利を引き下げる」という話をしています。えーっと長期国債買入を決定して瞬間金利はさがりましたけれども、その後買入を行っていく中で長期金利って下がるどころか上昇したんですけどねえ。

『The channels through which the Fed’s purchases affect longer-term interest rates and financial conditions more generally have been subject to debate.』

まあ金利経路については今後も議論すべき問題ということのようですが。

『I see the evidence as most favorable to the view that such purchases work primarily through the so-called portfolio balance channel, which holds that once short-term interest rates have reached zero, the Federal Reserve’s purchases of longer-term securities affect financial conditions by changing the quantity and mix of financial assets held by the public.』

何とポートフォリオリバランス効果の話が。それはあまり直接的に買入の効果で効くものでは無い気がするんだが・・・・・

『Specifically, the Fed’s strategy relies on the presumption that different financial assets are not perfect substitutes in investors’ portfolios, so that changes in the net supply of an asset available to investors affect its yield and those of broadly similar assets.』

既にここで話が破綻気味なのでして、MBSの場合はこういう説明でもいけるとは思いますが、FEDによるトレジャリーの購入で「changes in the net supply of an asset」という効果が出るのかよというのは甚だ疑問があると思うのですけれども、発行額が全然違いますからねえ。

『Thus, our purchases of Treasury, agency debt, and agency MBS likely both reduced the yields on those securities and also pushed investors into holding other assets with similar characteristics, such as credit risk and duration. For example, some investors who sold MBS to the Fed may have replaced them in their portfolios with longer-term, high-quality corporate bonds, depressing the yields on those assets as well.』

まあ最後の事例紹介はともかくとして、その前の部分は「そら違いませんかねえ」という感じが思いっきりするんですよね。

そしてですな、ここまでの説明を今後の政策に敷衍するとなりますと、更なる金融緩和を行うということは金利を下げるルートとポートフォリオリバランス効果という話になるのですが、それってどっちも既に散々効いているので、何を今更という話になりゃーせんですかね、という話にもなるのですがその話は明日以降に。



















2010/08/27

お題「市場雑談およびその他雑談」

FRBの追加緩和で大規模国債買入がどうのこうのという話を目の前のテレビでやっているのですが、ここまで行った国債買入に関する効果や波及ルートに関しては見事に有耶無耶にしたままの状況なのに、反対者がそれなりにいる中で突撃できるのかね??

ところでですな、またどうでも良い話ですが、今朝のモーサテの話題のコーナーでの「中華まんはいつ売るか」ってネタ(テーマは「季節物の販売はいつから行うのか」というネタのようです)はつい数日前(今週のいつだか忘れた)確か公共放送(もしかしたら別の局だったかも)の朝のニュースの話題で見たばっかのネタなんですが。いやまあ季節の定番ネタなのかもしれないのですけれども、そんなにネタが被るもんなのかねえ。


○お縄先生効果で超長期金利上昇・・・・かどうかは知らんがスティープしただよ

朝の時点のニュースで「小沢前幹事長が民主党代表選出馬へ」というのは出ていましたが、寄り前に日経と時事が「どっひゃー」なニュースを配信。

で、日経電子版がそのニュースを8時半過ぎに配信したのですが、何か良く判らんがURLがクソ長い上のでしょうがないので時事通信のちょっと後の記事で勘弁。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2010082600209
鳩山氏の発言要旨=民主代表選

民主党の鳩山由紀夫前首相が26日午前、記者団に語った内容の要旨は次の通り。

−小沢一郎前幹事長が、鳩山氏の支援を受けるので代表選に出馬すると発言した。

 その通りだ。きのうの菅直人首相との会談の模様を尋ねられたので、概要を申し上げた。その結果、(小沢氏が)「民主党、旧自由党の合併の時からの同志としての協力が得られるなら出馬をしたい」という意向を述べた。(上記URLより、以下割愛)

・・・・と言うことで、まあ良く考えたら勝ち目が薄い戦いにノコノコ出てくるような小沢先生ではございませんので、こういう展開もあるのかなあとは冷静に考えたら思えるのですが、何せこちらのポッポ先生は前日だか前々日に菅さんを支えるみたいな発言をしておられた訳でして、さすが鳩ぽっぽ先生のぶれっぷりは半端無いですわとゆーところですわな。つーかこの人「総理大臣を辞めた人が影響力を残すのは良くない」とかシンキロー先生を批判してませんでしたっけと思うのですが、常人には到底理解できない方なのであまり驚かないです。

まあそれはそれとして、小沢グループと鳩山グループを単純に合計すると国会議員票だけみたらシロート目には小沢大先生大勝利のような気がする(何かその後セルサイド各社の人たちの出してるレポート見たら「菅さん優勢」とゆーのが多くて「へ〜」と思いながら見るのですが、党友はともかくとして、地方組織なんてお縄先生に楯突かないんじゃなかろうかって気がするんだが)次第でして、どちらかというと直近の火曜水曜辺りには鳩山さんの動きから「やっぱり菅さんになるのかな〜」というイメージだったのでこれはこれで不意打ちっぽかったですわな。

で、債券市場ちゃんですが、先物13銭安とかで始まったのですが、超長期ゾーンとかが妙に重くて先物下がる中で20年の4毛甘とかが叩かれたようで、いやまあ米国市場で株高債券安をやってはいましたけれども、その動きはまあ別にそんなに凄いものでもなかったので、ナンジャソリャとゆー所ではございますけれども、まあ他に材料も無いので「お縄先生さすが力あるわ(笑)」という事になるのでありました(^^)。

その後押し目買いも入って4毛甘から2.5毛甘位まで戻ったのですが、後場になってからまた長いところ売りが出たみたいで(たぶん1時半過ぎと大引け前)終わって見れば先物24銭安(142.82円)に対して10年309回が3.5毛甘(0.935%)の20年120回が5毛甘(1.565%)と華麗にベアスティープと相成りました。お縄先生恐るべし。

いやまあオモシロ連想をしようと思えば色々とオモシロ連想ができるのでありまして、小沢先生民主党代表就任→亀井先生や福島先生堂々の連立内閣再復帰で財政打ち込み路線復活、とか菅さんやら前原さんやらが怒りの離党→小沢先生の人脈を駆使してまさかの公明党連立参加で財政拡張路線、とか楽しい連想で売りが!!などとゆーと大変にネタ的にはオモローなのですけれども、ま〜話はそこまで深刻なものでは無いっしょ。そもそも小沢さんが勝つのかも判らんですしねえ。

とゆーよりは、ここまで強くなっている超長期でオリャオリャと買っているとーしかのお方もおいでのようですし、まあその辺りの方は「さてどこかで一旦少しポジション軽くしないとねえ」とタイミングを考えていた方もいるでしょうし、そろそろ中間決算に向けた着地を意識する時期でもありますので、朝イチで売った人でしたらそれこそ単純に「月内最終渡しなので計画通りに売却しましたよ♪」ってなことなのかも知れませんし、本当に小沢先生ネタでロングの外しをしたのかも知れませんし、そんなのは売った人に聞かないと判らんですわなということで(^^)。

ただまあその後売ってる人もいましたので、(同一人物なのか別人なのかも判りませんが)もし別人だったら「ああ先行き不透明ネタが出たし、ここまで散々フラットしてウハウハだし、他にも売ってる人いるみたいだし、こっちもちょっとポジション軽くしておくか」位の人がいても不思議じゃないので、まあここまで散々超長期強いのだからまあそんな事もありますわなという感じで。

つまり何を申し上げたいかと言いますと、たぶん昨日の貫禄のベアスティープって別に売りで勝負している訳じゃなくて、単にロングの人がポジションをちょっと軽くしたというのが出ましたなあって所で、前場押したところでは早速買いが入っていたような値動きをしてたみたいなので、まあ買う人もいますわなとゆー所なんじゃないっすかねえ。

ただまあキャピタルゲイン狙いでワッショイワッショイと買うようなとーしかのパターンだと「上がっているときは元気ハツラツだが下がりだすと急にムズムズしだす」という極めて人間的な(^^)動きをするのが仕様となっていると見られますので、米国株安債券高で戻ってきた本日さてどうなるんでしょとゆーのをニヤニヤしながらヲチしたいと存じますです、はい。

#と柄にも無く長いほうの相場メモを延々と書いてしまった


あとですな、短いほうでは何かGC妙に高くて、ショートファンディングはそらまあ溜まっているというのもあるのでしょうが、昨日の場合はレギュラーが末渡しという要因もあると思いますけど、何か資金の回りが良くないんじゃネーノという感じがします。オペ残やら当座預金残高はそこそこあるのですが、オペ実行の実額があまり多くなくて、一方で追加緩和騒動以来短期を含めてキャッシュのマーケットちゃんがそこそこ動いているので、債券業者の資金・債券ポジションのブレが大きくなっていて、その辺りが資金の回りの悪さに繋がっているのかなあなどと言ってみるテスト。あとは銀行さんの資金ポジションもそれなりに動いていてGCへの資金放出が悪いのかなあなどと。よー知らんがの。

#ま、2年国債入札は入札前に調整したから堅調でしたけどにゃ


○これは空気を読んでいるというか読んでいないというか

月末が近くなると中々忙しいのでまだ中身はあんまり読んでいない。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp10j14.htm(要旨)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp10j14.pdf(本文)
マネーと成長期待:物価の変動メカニズムを巡って

『マネーと物価の中長期的な変動について、OECD諸国を対象に国際比較を行うと、両者の間には明確な正の相関が確認される。日本は、マネーの伸び率と物価上昇率の双方が国際的にみて低いところに位置しており、これを貨幣数量説に基づいて解釈すれば、マネーの伸び鈍化が日本の物価上昇を抑制してきたという見方(Money view)につながる。』

とあるので「おや?」と思ったらその次が本旨ですな(^^)。

『一方、主要先進国別に、マネーと物価の変動について時系列上の関係をみると、1990年代半ば以降、日本を含む先進各国において両者の相関は低下している。さらに、この時期において、日本では潜在成長率と中長期的な予想インフレ率の間に強い正の相関が観察され、これらの事実はMoney viewとは整合的ではない。』

つまり相関関係があるのと因果関係があるのは別だから「マネーを増やしてデフレ脱却」という話は必ずしもワークしないということをチクチクと指摘しておられるということですね、わかります(^^)。

『日本の潜在成長率の大幅かつ長期にわたる低下は、国際的にも目立っており、それだけ日本では成長期待が明確に低下し、このことが物価上昇を抑制してきた可能性も考えられる。すなわち、(1)成長期待が低下すると、民間部門にとって将来にわたる財政負担や債務返済負担が高まる、(2)民間部門はこの将来負担に備え、貯蓄を増やし支出を抑制するようになる、(3)その結果、需要が長期にわたり低迷し、財市場の需給緩和から物価の低下圧力が強まったという見方(Expected Burden view)もできよう。』

成長期待の形成が重要、ということですかな。

『本稿では、マネーや成長期待の変化が物価変動に影響を与えるメカニズムの妥当性について考察するとともに、日米欧の物価動向の現状について整理する。』

で、実際は中身をたいして読んでいないのですが、最終章からちょっと引用しますと。

『日本の中長期的な物価変動について、Money view とEB view のいずれか一つの見方で全てを説明しようとするのは適当ではないと思われる。1990年代、特に90年代前半のディスインフレは、銀行貸出減少によるマネーの低迷期と重なり、これはMoney view と整合的であるとみることもできよう。しかし、中長期的な予想インフレ率と潜在成長率の間の正相関という日本特有の事実は、Money view では説明できない。EB view に立った場合、日本がデフレから脱却するには、成長期待(潜在成長率)を高めていくことが必要である。成長期待が高まれば、民間部門の支出が増加し需要低迷も解消され、物価は上昇に転じていくと考えられる。』

ということで、まあ結論としては「マネービューでも期待形成のビューでも、そのどちらかだけで説明するというのは無理で、話はそう簡単なものではない」という極めて穏当かつ当然な話になっているような気がしますが、週末に真面目に読んでみますです、はい。

しかしなんちゅう時期にこういうペーパーが出てくるのよ♪


○どうでも良いが一発ギャグネタ

今朝のニュースで(別に吹く類のものではないが)吹いたのはこの話題。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20100827k0000m020068000c.html
ガソリン:価格下落が続く 円高、原油安を背景に

・・・・・・円高によって「ガソリン値下げ隊」の公約(?)が実現できたようで誠に結構なことですね!!!!

#って6週連続の下げって言ったってリッター6円しか下がってねえのか













2010/08/26

お題「諸般の事情で本日は超簡単メモでご勘弁ください」

お縄先生立候補キターーーーーーーーーー(・∀・)

#などどお縄お縄と言ってたら天罰でも来たのか、ちょっと朝からネット接続絡みでドタバタしてて書き物を書く時間が無くなってしまったので市場メモだけでご勘弁してつかーせ。

○市場メモ少々

昨日は3か月TBの入札があってだな。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul220825.htm

(3)募入最低価格 99円97銭3厘5毛 (募入最高利回り)(0.1063%)

(4)募入最低価格における案分比率 17.4361%

(5)募入平均価格 99円97銭3厘9毛 (募入平均利回り)(0.1047%)

昨日の3か月TB入札はご覧の通りで貫禄の0.105%割れの平均落札というのもあらあらという感じですが、0.1063%水準の足切りでの按分が17%しか入らないというのも何ですかちゅう所でありまして、えーっとファンディングして買う人的には保有しているだけでしんどい状態になりますなあという感じです。まあそうは言っても足元で追加緩和ネタで盛り上がるという状態で、昨日は朝からユーロ円金先とか堅調に推移していましたので、まー入札強くなるんでしょうなあとは思っていたのですけれども、何も0.105%割らんでもという気は(^^)。

しかもですな、巷間予想されている追加緩和策の本命って新型オペの期間延長か増額かという所になると思うのですけれども、期間延長だとしたら基本的にはオペ額は増えないのでそんなに足元のGC取引における需給に変化が起きるとも思えないですし、増額する場合もその分当座預金残高がまともに増えるわけでもないでしょうから(固定オペ30兆円打ち込んだ場合、現状のオペ残推移から考えた場合資金余剰月の当座預金残高は結構積み上がってしまう可能性は高いが)、その分が足元で急にGCを押し下げるという事には繋がらんと思うのですよ。

とは言いましても、別にまあ足元でGCレートが上がるような方向には動くわけが無く、もしかして利下げがあったら(利下げは最終兵器なのでいきなり切る訳にも行かんと思うのだが)ベースレート下がった分大勝利とゆーよーなオプション(というか宝くじ)感覚だったら買えるのかも知れませんし、ファンディングじゃなくて単純に運用資金を足元に傾けて置きたくない人とか、間違って利下げになった場合に即死するのを避ける為に買うだの、もっと単純にキャッシュを潰したいだけとか、まー色々とあるんでしょうなあとは思いますが、しかし堅調堅調。

また、これは昨日のネタですけれども、新型オペちゃんの入札における按分率も上昇しててですな。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba100824.htm

こちらの「固定金利方式」って奴ですけれども、こいつの按分比率が21.2%になっていますが、20日は20.8%、17日は19.2%、13日は18.2%という事で、追加緩和ネタが盛り上がりだす頃から徐々にこの按分比率が上昇しているのですよ。固定金利方式で0.10%の3か月を取るのは良いけれども、その間に間違って利下げがあったら困るかなあとかいう事(えーっとこのオペって途中で政策金利水準が変わった場合も最後まで固定金利という理解で良かったでしたっけ、汗)を反映しているちゅう理解で宜しいのかな、と思います。

政策金利水準が仮に変わらないとしても、「金利付の事実上の量的緩和」(たぶん従来のロジックを踏襲すると「当座預金残高目標」のような事はやらないと思われますが、新型オペを増額した結果として超過準備がよりつみあがりやすくなって当座預金残高の引き上げになるという変化は大いにアリエールな話です)となった場合、足元のコールレートなどがダダ下がりする可能性はありますから、その場合に0.10%のオペが魅力的なのかとゆー論点もあるんじゃないかなあとは思いますです、はい。


とまあ3か月入札だの足元のオペの話をしていますが、一方で2年とか3年とかのゾーンは織込み祭りに少々お疲れ感が出たのか(^^)、一昨日および昨日はちょっと売られていて、2年0.12%水準になっているようで、今日の2年国債に向けての単なる外しなのかもしれませんけど、まあこっちはちょっとクールダウン。

つーことでですな、どうもこう足元の動きって超短期のキャッシュ部分とか金先やOISなどのオフバランスの部分とか、債券市場における2年だの3年だののゾーンのそれぞれの動きが微妙にバランスが悪いのが不思議とゆーか訳判らんとゆーか。キャッシュとオフバランスの間がリンクしないというのはまあ判らんでもない(参加者がまるっきり違うから)のですけれども、キャッシュ現物での動きが片や臨戦態勢満々で片やクールダウンちゅうのもムツカシヤという所です。

恐らくは単純に大手の投資家が動いた結果として需給がどどーんと動くとか、今日の2年国債入札のように入札スケジュールに向けて(入札そのものは要するに財務省様による国債大売出しなのですから)需給がどどーんと動くとかゆーよーな所で動いているから微妙にチグハグなのかなあとも思う所でございまする、単なる妄想ですが。



ところで、白川さん今日から出張なのですがこれでまだ今日も「臨時政策決定会合のデマ」は流れるのでしょうか(苦笑)。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aTFGoKALsqUE
日銀:白川総裁が26日から30日まで米国に出張−連銀主催の会議に出席

なんかね、今朝のモーサテでは「この会議にはバーナンキ議長も出席しますので、白川総裁とバーナンキ議長の間でどのような協議がされるか注目されます」とか日経必死だなwwwwとしか申し上げようが無い報道をしていましたが、何で日経さんってそこまで必死になって日銀を追い込みに掛かっているのでしょうかと考えるとさっぱり意味判らん。報道機関だし経済報道を売りしているのに、何でそこまでバイアス掛けて報道したがるんだろう・・・・・・


○時間は超無いのですが予告メモだけ(BOEネタ)

昨日の予告ネタの続きの前に新たな予告ネタを出すとかアホですな>自分

いやですね、BOEのインフレーションレポートの冒頭説明部分とか、8月頭のMPC議事要旨とか何となく怪しい英語力で読んだですけどね、昨日の予告メモで申し上げていたセントルイス連銀ブラード総裁のペーパーでの話でいうBOEの量的緩和政策の整理とBOEの実際の整理ってちょっと違うんじゃネーノと思った次第なんですよね。

つまりですな、相変わらずなのですが、資産買入(=量的緩和政策)における効果っていうのには「緩和的な環境を作る」というのはまあ良いとして、その買入に関しての「定量的な効果」に関しては相変わらず8月MPCでの議論でもスルーしていますし、インフレ期待に関してはまあ何となく話はあるものの、インフレレポートにおけるMPCでのインフレ状態への要因分解にはこのマネタリーの量的部分を微妙にスルーしていますし(まあそうしないとターゲットを越えて上昇している物価抑制の為に量的緩和の回収をしないといけなくなるという面はあると思うけど)、ブラードさんが言うほどに「低金利継続の約束よりも量的緩和政策がデフレ均衡へ陥らないために有効」という結論にならねーんじゃネーノなどと浅学非才なあたくしは思うのであったり致しましたです、はい。

という話はまた今後追々参りますです。









2010/08/25

お題「また政府のケツ持ちコースとはご苦労な事です」

ブラードさんのペーパーの話の続きをする積りだったのですが・・・・

さてさて、モーサテはやたらと円高対策がどうのこうのと言ってますけど現状ってそんなに危機的ヒャッハーでこの世の終わりみたいな状態とはあんまり思えないのですが、今朝のコメンテーターのアジ演説は何か勢いありますな。勢い余って「先週だったら効果は少なかったかも知れませんがいま日銀が対策したら市場は『必ず』反転します」って言ってるのもチャーミングでした(押し上げは出来ないけれども勢いを止めるには効果があるって言いたかったっつーのは良く判るが、証券会社の肩書きでテレビに出て「必ず」はいかんだろwwwww)。

更にどうでも良いが、今朝のモーサテでやってる激安クーポンサイトの話題って昨日朝の公共放送で思いっ切り同じネタをやっていたのですが、導入部分の画像が似たような展開でして、これって企業サイド様謹製の宣伝キャンペーンって奴なんですね。うんうん(^^)。


○まずは今朝の公共放送より

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100825/t10013549071000.html
日銀 追加の金融緩和を検討 8月25日 4時46分

日銀は、外国為替市場で1ドル=83円台まで円高が進むなど、このところの急激な円高が緩やかに回復している日本経済を悪化させかねないとして、追加の金融緩和をする検討に入りました。(上記URLより)

一方の政府様でございますが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100825/t10013548601000.html
追加経済対策で難しい対応に 8月25日 4時46分

政府は、追加の経済対策を来週にも取りまとめる方向で検討を進めていますが、急激な円高と株安を受けて、効果的な対策をどうとっていくのか、財源が限られる中で難しい対応を迫られています。(上記URLより)

・・・・どう見ても政府のケツ持ち状態です本当にありがとうございました。

でまあ最初の記事にありますように、追加緩和の内容に関しては新型オペの拡充で、あたしゃ当初期間延長が本命かと思ってましたが、どうも為替市場ちゃんあたりへのアピールを考えると「10兆円増額」にした方が数字として判りやすいのでそっちで実施とかいう話になるんでしょうかねえ。よー知らんが。

日銀単独でやるなら政府の経済対策とセットで行うべきだとは思いますけれども、まあ為替市場が無茶しやがって状態になった場合は単独コースになっちゃうんですかねえ。何だかなあという感じですが、株価と為替見ながら市場が暴れだしたらご対応もやむなしなんですかねえ、せめて9月定例会合まで待てるもんなら待った方が、益々「日銀がまた追い込まれて追加緩和実施」というか「日銀は追い込めば何かやってくれる」状態になって、それこそ今年の頭にありましたように、為替市場あたりの人たちが「今月何の追加策が打たれないと2か月連続で追加策なしですから市場が失望する」とかまた訳の判らない事を言い出すのが甚だ見苦しいので勘弁してほしい所ではありますけどね。

ま、ど〜なるのか判らんですけど、毎度毎度「追い込まれて何かやる」という印象を与えるのは、アラン・ブラインダー元FRB副議長の言う「自分の尾を追う犬」状態にでもあるっちゅう事ではないかと存じます次第でありまして、そーゆー意味では白川総裁におかれましてはもうちょっと「建設的曖昧さ」というのを見せておいた方が吉なのではないかと思うのですけどね。明瞭にロジック押して正論で正直に行くのは良いのですが、追い込まれてポッキリと折れてしまうと却ってそこまでの正論が空しく見えるのでありまして、それなら最初から俊ちゃん状態で言語明瞭内容不明瞭の大狸状態になっておいた方が印象が良いのではないかと思うのですよね。中々難しいとは思いますが。


○政治主導なのか何だかしらんが脇が甘すぎです(財務大臣会見悪態編)

昨日は夕方5時から野田財務大臣が会見をしたのですが・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aFo8YXmqYA_k
野田財務相:足元の為替の動き、明らかに一方向に偏っている(Update2)

この辺りの関連するブルームバーグのヘッドラインを並べるとこんな感じです。

JBN 16:43 野田財務相が午後5時ごろ記者会見−財務省発表
JBN 16:57 野田財務相:マーケット動向には重大な関心
JBN 16:59 野田財務相:為替相場の過度な変動は経済や金融の安定に悪影響
JBN 16:59 野田財務相:為替介入についてはコメントしない
JBN 16:59 野田財務相:日銀とは緊密な連携をとる
JBN 17:00 円は対ドルで一段と上昇、一時84円台前半
JBN 17:00 野田財務相:機動的、適切に対応していくこと大事−政府・日銀
JBN 17:01 野田財務相:今の為替の変動は明らかに一方向に偏った動き

しらっと野田財務相発言以外のものが入っていますが(^^)、まあ要するに野田財務大臣の会見を切っ掛けに円高ドル安アタックが打ち込まれたかのような格好になっておりまして実に香ばしい展開であり、誠に遺憾に存じますとしか申し上げようが無い所でございます。

えーっとですね、前回の緊急会見とやらもそうなのですが、何かやるというのであれば会見をやってもヨロシカロ(介入とかだったら本来は黙っていきなり突っ込むものだと思いますけどねえ)と思いますけれども、別にたいした話をする訳でもないのにホイホイと会見を実施するとか脇が甘すぎとしか申し上げようがございません。

しかもですよ、これが東京市場の午前中とかに出るのでしたら、まだ(見守る発言に対する耐性が最近出来ているので・・・)反応は「また見守るか」で5銭や10銭位の動きで済んでくれたかもしれないのですが、時間的にロンドンが思いっきりやっている時間で、何かネタを見つけてアタックしてやろうと手ぐすね引いて待っているガイジンどもに格好の燃料投下(しかも東京は夕方なので東京の取引は日中よりは多くないんでしょ)して円高ドル安攻撃ヒャッハー状態にするという辺り、マーケットの事わかっとるんかいなと甚だ情けないものを感じるのでありまする。

何も無いのならとりあえず黙っている方が良いのでありまして、わざわざ出張って特に何もありません発言するとかもうアホかと馬鹿かと申しますか、お前はわざわざ円高にする為に会見したのかと小一時間問い詰めたい所でございます。

ま、あたくし的にはこのグダグダ振りはアマチュアの皆さんが「政治主導」とやらで専門家であります所の官僚まる無視で無秩序無統制に動くもんだから、まあ平常時ならそれでも何とか回るものの、ちょっと情勢がややこしくなった場合に各人が無秩序無統制に動いた結果として結果的に木偶の坊状態になっておられると勝手に見立てておりますけど実際の所どうなんでしょというのは霞ヶ関の中の人に聞かないとわかりませんけどにゃ。


・・・いやね、これで例えば今日も明日も対策打たないで無為無策の振りをして、円高攻撃ヒャッハー状態にして投機筋の円ロングを散々ためさせて(その間に瞬間79円とか面白いことになって)おいてから怒涛の絶賛大介入に金融緩和をセットで打ち込んで投機筋大殲滅作戦とかをやるという大作戦の前振りであって、今はアホの振りをしているだけでしたとゆーのであればもう恐れ入りましたという所であたくしがお遍路に出掛けないといけませんが(^^)、どうも素でやっているのではないかと思われるのが如何なものかと・・・・・

つーかさ、こういう政府を持ってる国の通貨が何で安全資産への逃避で買われるという話になるのか(単にドルとユーロが暗黙の自国通貨安政策取っているのに乗っているだけだと思うのですが)という気は致しますなあ。よー判らん。



○ホームラン級の(自粛)現る(連合会長悪態編)

昨日の夕刻に市場の一部に大爆笑の発作を生起せしめたニュースはこちらです。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aMnWOpZrHhGc
連合:為替相場安定へG7開催呼び掛けを−菅首相に要望書(Update1)

関連ヘッドラインをこれまたブルームバーグさんの所から引っ張りますとこの通り。

JBN 17:36 連合会長:円高でG7開催呼び掛けを政府に求めた−記者団に

いやまあこの時点で腹筋崩壊なのですけれども・・・・・

JBN 17:36 連合:雇用悪化回避に追加対策を、速やかに補正予算実施求める
JBN 17:36 連合:急激な円高は経済・雇用に深刻な影響−要望書を首相に提出
JBN 17:36 連合:世界経済の成長鈍化・デフレ基調への国際対応が必要−要望書
JBN 17:36 連合:政府・日銀が一体で機動的、適切な経済・金融政策の実施を
JBN 17:36 連合:為替相場安定へG7で国際的取り組み呼び掛け求める−要望書

補正云々はまあ良いとしましてですな、G7開催を呼び掛けって日本以外からしたら何で円高対策でG7なんぞ実施する理由があるのと冷笑されて終了な訳でして、まあ日本のアホウ振りを世界に晒して日本売りに持っていって円安誘導とでも言うのであればそれはそれで奥が深い大作戦ですが、どう見てもこれって素で要望してるでしょ。いやもうマジでどういうセンスしてるんだかと言う所でございまして、ホームラン級の馬さん鹿さんというか馬さん鹿さんの三冠王とでも申し上げますか、実に素晴らしい要望でこれまた落涙を禁じ得ないのですが、そもそも連合の活動費は傘下の労働組合、即ち勤労者の懐から出ている訳で、一般勤労者の懐から掠め取った資金でお前らは何をやっているんだと考えた場合には怒りの感情も沸いてくるというものでもございます。

大体ですな、国際対応だの国際的取り組みだのと言いましても、現状って端的に言ってしまえば「日本さんってバランスシート調整問題が無いですし、比較的回復が順調と聞いてますし、あんたのところはデフレでも回復なんですから、ちょっとそっちで為替調整を受けてくれませんか」状態になっているとしか思えない訳でして、そんな中で「国際対応が必要」とか言われましても「???」状態ではないかと存じますがどうでしょ。

#まあしかし通貨切り下げ合戦はどうなのかと思いますけどね、すっかり中国の為替操作がどうのこうのとか欧米が言わなくなったのはさすがに後ろめたいんでしょ(笑)

いやまあ欧米が喜ぶような介入をすれば良いという論点からしますと、日本は為替介入と同時に米国のMBSとギリシャスペインアイルランドの国債を為替リスク付で買いますよと言えば喜んで受けてくれるかもしれませんが、その後回収不能になったらただの朝貢状態になるだけなんですけどね、あっはっは。


#悪態ばっかでどうもすいません

で、ブラードさんのペーパーネタの続きをしようと思ったのですが、残り時間が中途半端なので今日はただの悪態オンパレードになってしましましてどうもすいませんです。


○で終わるとあまりにも何ですので一応次回予告を

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
のペーパーネタなのですが、後半の7つの論点に関しては(あたくしの知能が至らないせいで)イマイチ何が何だかわからん部分が多々あるのですが、その辺りを微妙にスルーすると・・・・

第3の論点:「2003年のFOMCはステートメントを使い、インフレが上昇しても金利を上げないという期待を起こしてインフレ期待を引き上げることに成功した」という話が3番目の論点(1番目と2番目は読んだのだが何が言いたいのか良く判らんかった)なのですが、それが何で「現在のextended periodフレーズだと駄目なのか」の説明になっていない気がする

第4の論点:最初の図を改変して物価が0.5%を切ったら突如名目短期金利のラインを1.5%にするという訳判らん図にして「これなら「望ましくない均衡状態」にはならない」とか謎の話を。しかもあたくしの読解力が悪いせいなのか、文中でブラードさんは「結局短期金利が1.5%のレベルにある状態はほぼ全ての状態でアグレッシブな緩和政策として認識されるべきであろう」という15年間短期金利が1%以下の日本は何なんですかと突っ込みたくなる話もしているように思えるのですが

第5の論点:過去314年の間BOEは2%を切る政策金利を認めていなかったが、これを最初の図に当てはめてみると、低インフレの均衡状態が図表で言えば右側にシフトするので「望ましくない均衡状態」にならないで済む、というような論考をしていますわな。ということはブラードさんって「短期金利をゼロ金利よりはそれなりに高い水準に置きながら量的緩和しろ」とか言ってるのかなあと思わせる論考なのですが、そもそもBOEが国債買入による物価上昇効果に関してちゃんとした分析をしていないような気がするのに何かそれってどうよと思えるのです

第6の論点:ヨーロッパにおける財政支出の効果を金融緩和とセットにした場合どうのこうのという話をしていて、現在行っている「ソルベンシー対策としての財政出動は不十分」というような指摘をしてますけど、最後に「でも日本が財政出動しているのにデフレから脱却しないのはquestionable」とあるのがチャーミング

第7の論点:だからこそ量的緩和というまとめなのですが、そもそもその前提になっているBOEなんですが、国債買入による量的緩和に関してインフレ期待のシフトに繋がるというような論点になっていない(BOEのインフレレポートおよび先週でてたMinuteにその辺りの話があるのでいずれご紹介)のに、いきなりそこから入るかなあという感じはします。まあ「長期国債買入」→「財政マネタイズ」→「インフレ期待上昇」という話もしてて、それはまあ思いっきり直球の話だとは思うのですが、中央銀行が財政マネタイズを正面切って唱えていいもんなのか(米国はそらまあ基軸通貨国特権があるから財政マネタイズ上等とか言えるかもしれないけど、他のローカルカレンシーでそれはどうなんでしょ)という気もしますわなあと思うのですが。

てな感じで、どうも無知蒙昧のあたくし的には「???」な部分が色々とあるブラードさんのペーパーでして、金利をゼロに維持しないで量的緩和とかどうも不可解な話でよーわからんです。頭の良い人誰か教えてジェネラル!








2010/08/24

お題「結局電話会談でしたね/虫干しネタでブラードさんの量的緩和論」

ユーロとドルの減価合戦は暫くはユーロの番のようですね。

#公共放送を見ておりますと、参議院議員10名ほどが「今の菅内閣では今後の展望が開けない」として小沢さんの立候補を求めるということで纏まったようですが、普通に小鳩体制で絶賛内閣支持率低下民主党支持率低下した経緯を勘案するに、お縄内閣で展望が開けるという発想がどうも理解に苦しむのですけれども・・・・

○結局電話会談でしたがそれ単体では極端な反応も無く

昨日は昼に仙石官房長官の会見で「菅さんと白川さんが電話会談をした」ということで、15分ほどのお話だったようですが、えーっとそれって別に大仰にするもんじゃなくて普段から「で、白川さん最近どうよ」とゆー感じでホイホイ話をしても良いんじゃネーノと思うレベルの時間のような気がしますが(−−;)まあ日経さん貫禄の風雪のルルでしたなあという所でしたが、「〜の見込み」と書いておけば世間に影響を与えた挙句に飛ばしの大外しでもお詫びもしなくて良いとはマスメディアちゅうのは結構な商売ですなあと思いますがそんな悪態は兎も角。

このニュースが出た時に市場ちゃんが反応するのかどうかと思って見ておりましたが(しかも仙石さん「介入の話は無かった」とか言うし)、為替市場は10銭弱円高に振れた位で、株式も(ニュースでは「安値更新」とかうるさいですが、隣の市場から見ている感じで言えば)下がったとは言えこれまた大して動かず。債券市場も特に反応せずという拍子抜けにも程がある結果。

いやまあ追加緩和やら経済対策に関しては、「そうは言っても全く何もなしちゅう事もないでしょう」という見方も当然強いのでありまして、期待感が残るので別にせっせと叩きに行く必要も無いちゃあ無いのかもしれません(ただし、たぶん一番短絡的に反応するのが好きな為替が政府の段取りの悪さを突いてアタックしに行く可能性はあるが)ので、まだまだ様子見ちゅう所ではあるのでしょうなあとはその時には思ったのですが、はてさて米国株安の今日はどう反応するんでしょうな。

しかし何ですな、先日来悪態しつこく書いてますし昨日も悪態書きましたけれども、「政治主導」とやらがスローガンの民主党政権様ってロジ(というか段取りと言うか)が余りにもダメダメ過ぎにも程があるとしか申し上げようが無い所です。まあポッポ先生は普天間問題でそのロジの駄目さ加減を遺憾なく発揮して話をカオスにしましたけれども、今回に関しても「そもそも最終的に決まっていたわけではない(結果から逆算したらそうですよね)首相と日銀総裁の会談について政府筋の誰がメディアにホイホイと話をしたのよ」というのが激しく疑問なのでありまして、こんなイイカゲンな段取りもへったくれもないロジ不在状態を「政治主導」というのであればそんな政治主導は簀巻きにして隅田川にでも投げ込んでおけと思うのですけどねえ。全くもう。


○一応市場雑感メモメモ

まあ雑感と言うほどの動きも無かったのですが、昨日のメモとしては・・・・

・10年309回債を親の敵のように売っている人がいるようなのですけれども(前場だけで業者間で1000億以上出合っていたみたい)何がど〜なっているのでしょ

・今日の20年国債入札はまあ何とかなるのでしょうが、明後日の2年国債入札って0.11%って水準でマジでやるんですか入札分捌けるんですかと思うのですが

・短い所で言えばキャッシュの方は先週木曜とか金曜の前場辺りをピークにしてちょっとクールダウンしているのですが、OISとか金先とかが妙に元気で、金先の中心限月よりも先の方の取引が活発になってきたりしているのは何とした事ぞという気が

という所で、あまり考察は無いので箇条書きメモでお茶を濁すのでありました。つーかあたくしの疑問について教えてエロイ人!!


以下虫干しシリーズ。

○ブラードさんの量的緩和論ネタ

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
Seven Faces of "The Peril"

こちらの2ページにある線を2本引いてるグラフ(グラフは引用しないので上記URLを見てちょ)がキモというのはだいぶ前(先週の月曜くらい)にネタにした時にお話しましたが、念の為再度申し上げますと、ブラードさんの上記ペーパーでは米国と日本について、名目短期金利とコアCPIインフレ上昇率をプロットして、それにフィッシャー関数の直線とテイラールールタイプの曲線を引いて分析してみましたという話が最初にあります。

で、その結果として「望ましい均衡状態」と「望ましくない均衡状態」の2タイプの均衡状態があり、望ましくない方の均衡状態に日本が陥っており、その均衡状態というのは「名目短期金利がゼロ近辺で、コアインフレ率がマイナス」というものですよ、という話で、じゃあそれを回避するのにどうしたらよいのか、って話をしているように(一応あたくしの駄目そうな頭で読んだ限り)思えましたです。

その「望ましくない均衡状態」ですが、インフレ率が1.56%を割り込むとそこに落ち込むリスクがあり、現在の米国がFOMCステートメントで出している「extebded period」の文言が「低金利政策の継続」という意味で「望ましくない均衡状態」への遷移へのリスクを高めるので、金利政策では足りないという話をしていますわな。本文第1章の5〜6ページの辺りにその部分がござんす。

『A key problem in the Figure is that the monetary policymaker only uses nominal interest rate adjustment to implement policy. This is the meaning of the nonlinear Taylor-type policy rule continuing far to the left in the diagram. The policymaker is completely committed to interest rate adjustment as the main tool of monetary policy, even long after it ceases to make sense (long after policy becomes passive), creating a second steady state for the economy.』

金利を低位水準に置いただけだと、望ましくない方の均衡状態に陥るリスクがありますよということを仰せのようですな。

『Many of the responses to this situation described below attempt to remedy this situation by recommending a switch to some other policy in cases when infation is far below target. The regime switch required has to be sharp and credible - policymakers have to commit to the new policy and the private sector has to believe the policymaker. Unfortunately, in actual policy discussions nothing of this sort seems to be happening. Both policymakers and private sector players continue to communicate in terms of interest rate adjustment as the main tool for the implementation of monetary policy. This is increasing the risk of a Japanese-style outcome for the U.S.』

で、その「switch to some other policy」によって「regime switch」が必要と言うことで、具体的には量的緩和政策を挙げていまして、それに対して第2章で7つの論点のようなものを挙げているのですけれども、正直あたくしの知能では手に余る部分が少々あってその辺は華麗にスルーしつつ、後のほうではどうも何だかねえというツッコミどころが無い訳でも無い気がするので、そのツッコミをまた後日行う所存とか言って、今回も最初の部分で終わりかよという指摘はしないように(汗)。

でね、第1章の最後(さっきの続き)を引用して今日は終了という手抜きコースでどうもすいません。

『My view is that the Benhabib, et al., analysis is an important one for current policy, that it has garnered insufficient attention in the policy debate, and that it is indeed closely related to the current "extended period" pledge of the FOMC. Below I relate and critique seven stories concerning this analysis that I have encountered, both formal ones and informal ones. The fact that there are seven faces shows how fragmented the economics profession is on this critical issue. These stories range from reasons not to worry about the implications of Figure 1, through ways to adjust nominal interest rates to avoid the implications of Figure 1, and on to the uses of unconventional policies as a tool to avoid "the peril."』

「Benhabib, et al.」ってのはこの話の最初に出てくるのですが、2001年に「The Perils of Taylor Rules.」って有名(らしい)なペーパーが出まして、そのペーパーを書いたのがBenhabib先生達というこってす。あと「the implications of Figure 1」ってえのが先ほどから申し上げている「望ましい均衡状態と望ましくない均衡状態があり、その望ましくない均衡状態に陥る問題」という所です。

『I conclude that promises to keep the policy rate near zero may be increasing the risk of falling into the unintended steady state of Figure 1, and that an appropriate quantitative easing policy offers the best hope for avoiding such an outcome.』

ということで、「金利をゼロ近辺で維持する約束を行うと『低金利とマイナスの物価上昇率という望ましくない均衡状態』に陥るリスクを高めるので、量的緩和政策を行うことによってそのような結果に陥る事を回避できるのではないか」というのが結論なんすけど、その時点であたくし的には・・現状で量的緩和政策したら結局の所金利がゼロ近辺で長期間維持されるという期待が高まるのですから結果は同じじゃないのですか??と思ってしまうのですが、まあその辺に対するツッコミの直接の回答にはなっていませんが、関連する論点がこの先にありますので、また追々。









2010/08/23

お題「市場メモと虫干しネタ」

えーっと、今日から3日間菅さんは当選1回の議員との意見交換会をやるそうですけど、日銀総裁との会談がどうのこうのというニュースがとりあえず公共放送ではしていないのですけれどもはてさて・・・・??????

#追記すると7時の公共放送によれば「今日は野田財務大臣からの報告を受け、総裁との会談は今週中に行いたい」だそうですよ

と思ったら「早ければ今日にも会談」ってモーサテは報道しているのですが、「日銀が追加緩和策を打ち出す」とか(最初に本件報道したのが日経だからというのもありますが)随分と突っ走って報道してますなあ。これでただの根拠レス報道だったら風雪のルルですよね、ゲストコメンテーターの元金融庁長官さん。

#しかしあの番組の元金融庁長官さんのコーナーのオープニングで本人が「間違いない」「確実に言える」とか言う画面って、「断定的判断の提供」をするとお縄になる業界を監督してた人が言うってえのも何だかなあと何時も思うのですが。いやまあご本人様の今の業界はその規制範囲外なのは判るけど、規制対象業界にいる人間としては見る度に正直不愉快だと思うのはあたくしだけですかそうですか。


○金曜の最後は少しだけクールダウン(市場メモ)

金曜の市場ちゃんも朝から威勢良く5年70回台〜80回台が5糸強ビットとか思ってたらその内1毛強ビットになって銘柄によっては1毛5糸強テイクンとかしやがるし、2年は堂々の0.11%ビットとかになり、5年カレントは1毛5糸強テイクンで90回債は貫禄の0.25%割れなどとゆー事で、短期ゾーンの暗黒相場状態が続いていたのですな。何か金曜も金曜で臨時決定会合のデマを性懲りも無く為替方面から流れていたりしてたみたいですし、何だかねという所でございました。

ところが、引けに掛けてはやや相場が冷静になったのか、それとも内閣府からの報告が出た後の経済関係閣僚会議後だかに仙石さんが「首相と総裁の会談がいつかわからない」というような発言をしておりまして・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aZKdyrqjzrqA
仙谷氏:首相と日銀総裁、いつ会うか知らない、意思は疎通(Update2)

臨戦態勢大会もいつまでもやってる訳にもいかんのか、引けに掛けては3か月が0.11%がヒットしたり(ビット残りですが)1年が0.105%ヒットしてみたり、2年は0.11%ビットだったのがオファーサイドになってみたりと多少冷静というかお祭りモードが緩和されましたなという所のようでござんすな。

と思ったらこんなニュースも金曜の深夜に出ていたのですな。これはこれは。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_date4&k=2010082000921
菅首相と白川総裁、会談先送りの方向=電話協議案浮上、日銀の独立性考慮

まあ今日も今日とて為替市場ちゃんあたりは盛り上がるのでしょうが、そもそも経済対策の中身がある程度固まらないのに日銀が先走って緩和カード出してもしょーがないでしょという話は昨日書いたとおりですが、モーサテではさすがは日経クオリティと言うところで、「前回も会談前に緩和したから今回も」とか臆面も無く報道する短絡振りに呆れるとしか申し上げようが無いですなあ。


○この政権は皆が好き勝手言ってどこで意思決定してるのか判らんがな

金曜はこんな発言が。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a4l2PXBeVlL4
玄葉氏:円高の最大の要因はFRBと日銀の姿勢の違い−会見

多分ね、おまいらの政権がそーゆー風に閣僚たちが好き勝手に無統制に発言してて、意思決定能力も対応能力無いのが見抜かれているからアタックの格好の対象になっているんだと思いますよ。

今回の菅さんと白川さんの会談に関する話も、良く良く見たら最初の報道って「政府関係者の発言として日経英語版ニュースが伝えた」って内容でして、それってそもそも政府のどの辺から来た話なのよという事を考えますと、正直この政権(というか前の政権の時もそうなので民主党政権クオリティなのは間違いないが)に関しては誰がどこで意思決定しているのかがさっぱり判らんという非常に困った状況ではないかと思うのでございます。

まあそういう意味でもお縄先生が総理大臣になった方が意思決定が明確化するのかもしれませんが、そもそもお縄先生に経済政策に関する興味が無いような悪寒がするのが非常にこれまたマズーですわな。



ということで虫干しネタ。

○今更7月会合議事要旨でも無いですが一応虫干しで

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g100715.pdf

展望レポート中間レビューに関する部分で「リスクは上下に中立」と言っていた人が「何人かの委員」にいたのは判ったが、他の委員のリスク認識はどうなっているのか書いてませんなあというのだけ引用しましたが、その続きから。

・7月時点での景気認識は強めなんですねやっぱり

中間レビューのリスク認識に関する部分ではまあ上記のような所を注目して読みましたが、景気認識に関する議論の部分を見ると、下振れリスクへの言及もあるものの、まあ強めのトーンですなという感じです。

米国経済に関して

『米国経済の先行きについて、委員は、全体として回復傾向が続くとの認識を共有した。ある委員は、今後とも、堅調な企業業績が、設備投資や賃金等に波及し、景気を下支えするという、基本的なメカニズムは機能していく可能性が高いと付け加えた。』

『もっとも、何人かの委員は、家計のバランスシート調整圧力が残存する中では、景気回復ペースは当面緩やかなものになるとの見方を示し、このうちの一人は、リスクは下振れ方向にあると指摘した。こうした議論を経て、委員は、足もと弱めの各種指標の今後の動きを含め、米国経済の先行きの展開には十分な注意を要するとの認識を示した。』

ということで下振れ意識ですが、その後の日本経済の所ではダム論らしき話が。

『こうした海外の金融経済情勢を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。委員は、わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつあるとの認識で一致した。何人かの委員は、輸出や生産の増加を背景に、企業部門に改善の動きが拡がっており、その影響が、家計部門にも緩やかながら波及してきていると指摘した。』

ダム論ですかそうですか(棒読み)。

『ある委員は、6月短観の結果を取り上げ、製造業に加え、運輸や情報サービスといった企業サービス関連の非製造業の業況感も大きく改善していると述べた。また、何人かの委員は、企業収益の回復や雇用不安の和らぎを反映して消費は持ち直し基調を続けており、各種の消費者マインド指標も総じて改善傾向にあると述べた。』

と割と威勢の良い話が続き・・・・

『この間、何人かの委員は、足もと、鉱工業生産の伸びが鈍化し、機械受注や失業率などにも弱めの動きがみられると指摘した。』

とケチをつける向きもあるものの・・・・

『この点に関し、複数の委員は、わが国の景気は、昨年春のボトムから最近まで、米欧を上回る急速な持ち直しをみせてきただけに、在庫復元効果の一巡や政策効果の減衰に伴い、回復ペースがある程度鈍化すること自体は避けられないとの認識を示した。』

という話も出るとな。で、先行きですけど。

『景気の先行きについて、委員は、緩やかに回復していくとの見方で一致した。何人かの委員は、本年度後半にかけて各種対策の効果は薄れていくものの、基本的には、企業活動の回復に伴い、雇用・所得環境は次第に改善し、国内民間需要の自律的回復力は高まっていく可能性が高いとの認識を示した。』

ということになっておりました。個別項目の部分は長くなるので割愛しますけれども、キモは企業収益の拡大から雇用所得環境がちゃんと改善してくれるでしょうという部分になるのですが、さてその辺ってどうなんでしょうかねえという所かと。


○銀行決算の概要がどうのこうのというペーパー

だいぶ前に出てたネタでどうもすいません。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/ron1008a.htm
2009年度銀行決算の概要

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron1008a.pdf

本文14ページなのでサラサラ読めると思います。2009年度銀行決算の収益状況に関する概観が記述されてまして、まあ中々面白いです。ここで示された状態から恐らく現時点になる段階で更に貸出利鞘が縮小して、一方で債券関連の有価証券関連収益は拡大しているのでしょうなあとか思うのですが、引用するのはまとめの部分(本文14ページ)の『おわりにかえて〜決算から示唆される課題』という所を。

『先に触れたように、2009年度の当期純利益は、有価証券関係損益の改善や信用コストの減少を主因に、大手行、地域銀行ともに4 年振りの改善となり、2008年度の赤字から黒字に転化した。もっとも、わが国銀行部門が抱える収益構造上の課題は、引き続き残存している。すなわち、基礎的な収益力が弱いなか、信用コストと有価証券関係損益によって当期純利益が大きく左右される点には、目立った改善はみられていない。以下では、この特徴点について若干敷衍しつつ、決算から浮かび上がるわが国銀行の課題を考えることとしたい。』

『まず、第1に、前述の通り、銀行の基礎的な収益率を表すコア業務純益ROAが、2005年度以降、低下傾向を辿っている。2009年度決算時に発表された2010年度の収益見通しをみても、借入需要の低迷により貸出の伸びが低迷していることや、厳しい競争が続くなか、貸出利鞘の縮小が続いていることなどを背景に、慎重なものとなっている。』

『第2に、前述の通り、不良債権比率は、大手行では小幅の上昇、地域銀行では小幅の下落となったが、これには、貸出条件緩和債権に関する要件見直しも影響しているとみられる。こうしたなか、企業再生への取組みの帰趨や今後の経済情勢次第では、やや長い目でみて信用リスクが表面化する可能性がある。また、基礎的な収益力の低下が続くなか、信用コストが増加する場合、決算が赤字化する可能性がより大きなものとなっている。』

『第3に、有価証券保有残高の推移をみると、大手行、地域銀行ともに、株式保有額の削減テンポが緩やかである一方、2009 年度には、貸出の伸び悩みを反映して、国債・地方債の保有残高が急増している。』

『このように、基礎的な収益力が低下しているだけに、適切なリスク管理を通じて、信用リスクや市場リスク等から生じる損失を抑制し、収益性の改善を図ることが、極めて重要である。』

と、手抜きでひとコーナー丸々引用しちゃいましたが(だって中身引用するよりこのまとめの部分引用するほうが要点全部網羅しているんですよ〜)、基礎的収益の低下が問題という事で、貸出利鞘が低下しているのが09年度決算時点でも問題というのは中々マズーな話なんでしょうなあと思われます。貸出はその後も全然伸びないですし、TIBOR低下に見られるように利鞘は確実に縮小していると思われますけれどもどうなんでしょ。

国内外における足元の金利低下は債券部門の収益押し上げには繋がり、目先はウハウハなのでしょうけれども、この金利低下が長期化して貸出需要も伸びないということになった場合は、やはり長期的にはマズーな話でしょうなあと思う次第。

という話だけでは面白くないので微妙に悪態成分も入れますけど、第2の論点も第3の論点も御尤もでありまして、最後に述べられているように「適切なリスク管理を通じて信用リスクや市場リスク等から生じる損失を抑制」するのはまあそれもまた御尤もなのですが、そうは言いましてもじゃあ銀行はどこで収益上げればええねんっちゅう話になるわけでして、リスク管理がどうのこうのというよりは「どの部門でリスク取って儲けましょか」という話にならないと今後も厳しいんじゃネーノと思うわけで、何でもかんでもリスク管理(そらまあリスク管理するなとは言わないけど)となると縮小均衡になりそうな悪寒も。

あとそれからまあ何と申しましても、貸出利鞘が低下して基礎的収益の低下が問題というレポートが出るのは全くその通りですが、一方でどこぞの局長様が「TIBORは是正されるべき」と受け止められるような発言をするというのも何だか部分最適の世界に陥ってねえかと思うのでありました(−−;)。












2010/08/20

お題「追加緩和ネタで昨日もバタバタでしたなあ」

読み物ネタは溜まっているものの、こーゆー面白相場はやはり備忘メモを残しておくべきものと存じまして(^^)、そもそもが俺様備忘メモであります所の当駄文は毎日相場後追い話ばかりになるのでありました。どうもサーセン。

○臨時会合のデマが流れたそうで

昨日は朝刊で産経新聞が微妙なテイストの記事を出していた訳ですが。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100819/fnc1008190131000-n1.htm
日銀、資金供給拡大へ 10兆円増視野 円安誘導図る
2010.8.19 01:30

『円高・株安に対応するため政府が20日の経済関係閣僚会議から検討に入る追加経済対策と並行して、日銀も追加の金融緩和策の検討に着手することが18日、分かった。企業の資金調達を後押しし、景気下支え効果が期待される「新型オペレーション」(新型オペ)の拡充が有力視されている。来週に予定される菅直人首相と白川方明日銀総裁との会談前に「臨時の金融政策決定会合で決めるのではないか」との声も出ている。』(上記URLより)

でまあこの記事に関しては「何かリークのような記事っぽく書いているけどただの観測記事じゃろ」と華麗にスルー(お友達から来た「産経にこんなのあるけどどうよ」という質問に対しては「産経は願望記事が多いからねえ」と回答していたのはここだけの話^^)しておりましたが、市場ちゃんの方は前場引けに掛けて債券先物が急伸(と言うほどでもないか)して堂々の143円台乗せとなりました。

これはどうした事ぞと思ったら何と為替市場方面から「本日14時から臨時金融政策決定会合が実施される」というデマが流れていたようで、それを受けて債券先物とかユーロ円金先とかも反応したのですが、当然ながら昼休みタイムになっても臨時会合実施のアナウンスは無く、後場寄り付きの債券先物は前場引けから10銭近く落ちてスタートしたのがチャーミング。

とは言ってもユーロ円金先や短期ゾーンの現物債は強いままだったのですが、この辺のインプリケーション(またの名を後付講釈)は後ほど。


○前回は会談前に臨時会合があったから今回あるとか発想が安易過ぎ

とはいえ債券市場ちゃん的には「前回10年国債入札日の前場引け後に臨時会合アナウンスをして苦情出まくりだったので、そもそも流動性供給入札のある木曜に臨時会合はねえだろ」という意見は多かったので、「為替方面から金融政策ネタのルーマーが出るときはガセ率高し」の法則が炸裂しましたねえとあまり大騒ぎにはならなかったみたいですな。

でですね、あたくしの視点から致しますと、先日来申し上げておりますように、今回日銀が何かするとなれば「政府の経済対策とのタイアップでの金融緩和(目くらましも含む)」という形での実行になる筈(そもそもその方が効果が大きい訳で、少ないカードを有効に切る為には政府とのタイアップが不可欠でしょ)であります。然るに政府のスケジュールはと申しますと、本日に内閣府が菅首相に現状分析の説明をする(ので関係閣僚会議とかやるんですよね)という段取りであって、いやまあ今日の時点でそれなりの経済対策の内容がきっちりと固まるというのであれば、そらまあ首相と日銀総裁の会談前に臨時会合実施してという話もあるとは思いますが、政府の方がそこまでの準備が出来ているとは思えない状況で日銀だけ先行してカードを切っても、政府のほうがああでもないこうでもないと言って結局何もやらなかったら玉の無駄打ちにも程がある状態になりますよね。

という事を勘案すると、普通に考えると昨日どころか今日の臨時会合というのも無いでしょという発想になるのが順当だと思う(などと書いているのを真に受けて投資判断するのは自己判断でお願いします、といきなりヘッジクローズ^^)訳で、まあ今日どの位その辺りの話が固まるか次第でしょと思われます。

それとですね、前回の場合は一応「ドバイショック」(良く考えるとあの時は大騒ぎだったのだが今にしてみたら何だったんでしょうねえ)というものがございまして、市場が急速にアヒャヒャヒャヒャ状態になったので、何はともあれ先にやりますか(そもそもその前の「決定会合終了日にいきなり何の対策も用意せずデフレ宣言」という前代未聞のアホウプレイを実施した菅さんが段取りも何も考えていない動きなのだが)という事になったちゅう面もありますが、今回そこまで緊急に動く必要があるんかいなという状況でもあろうかと思う訳でして(モーサテの報道見てると政府の経済対策は来月上旬メド、公共放送は今月中をメドとしてますね)、まあ為替市場が何か妙に期待しているのですが、もうちょっとその「スケジュール感」とかを考えて頂きたいものだと思うのであります。つーか金融政策に絡むネタになると為替市場の人達ってどうして毎度毎度短絡的というか不勉強にも程がある発想と期待をして、それが外れたからと言って日銀が悪いだのFRBが悪いだの逆切れするのでしょうかといつも疑問に思うのでありますが・・・・・


○まあそれはそれとして短期ゾーンは前日よりも織込度合いが超高まりました

で、市場メモになりますけれども、昨日も短期方面はしっかり金利が低下しやがりまして、一応引値はもうちょっと穏当にしているようですが、出合いベースだと3か月TBが0.10%だの1年が0.10%だの2年が0.11%だの3年が0.12%だのお洒落にも程がある展開。いやまあさすがに0.10%はオファーサイドなんですけど、全くもって盛り上がるにも程がある状態。

また、超足元でありますGCレートは上昇し、一方で前日は9月1日までの資金供給オペの足切りが0.11%だったのに対して、昨日は9月6日までの資金供給オペが平均0.102%まで低下するという事で、ショートファンディングに傾けて臨戦態勢になっていますなあという流れになっております。

ま、今日明日に何か無かったとしても、政府の経済対策に合わせて日銀が何か緩和(目くらましを含む)を実施するというのがコンセンサス化しているとゆー所かとは思いますが、多くの人が予想していると思われる新型オペの拡充となった場合に、GCや短国のレートなどが0.10%ギリギリに張り付く(ただし0.10%だったら日銀当座預金に放り込んだ方が手間隙掛からない分有利なのでそこまでは普通は下がらない)という形になるんでしょうなあとゆーところで。これで米国のGSEみたいな人がいるとレートがより低下する可能性はありますが、日本の場合は日銀当座預金取引先じゃない人の資金だけで現在発行されている短期国債やGCの資金ニーズを全部吸収することは出来ないので、まあそこまでの低下はよーせんじゃろと思うので、まあ3か月とかが10/105とかになるのはまあ順当ちゃあ順当ですが、オペ拡大を先取りした感はありますわな。

また、ユーロ円金先も昨日は結構反応してまして、中心限月とかも低下していましたが、昨日は朝から当限(9月限)が前日比2毛分上昇してたりとこちらも織込み度合いが上がりましたなあという感じですので、まあ債券市場は上がった後下がったりしてましたけれども、その一方で短期市場ちゃんの方は織込みというか臨戦態勢になってますなあという所かと存じます。

まあ今回に関しては臨戦態勢解除してもそんなに反動はなさそう(次の会合に向けての期待は残るし、まあ今回利下げをすれば話は別ですが、利下げしなかったら打ち止め感は出ないのですからね)ですので、そらまあ臨戦態勢を組むわなという所かと存じますです、はい。



○しかしまあ今回は(も)何だかなあ感の強い展開でありまして

えーっとですな、前回の「対策も打たないでデフレ宣言をしてケツ拭きを日銀にやらせる」というお洒落にも程がある展開にも相当呆然とした訳ですが、今回の動きにしたって、わざわざ無意味に財務大臣の緊急会見やったり、日銀総裁に総裁談話を出させてみたり、首相と日銀総裁の会談をセットしてみたりと、当局の方がドタバタして勝手に市場の期待を煽るという珍しい展開になっているようにしか見えません。

市場というまあ自分勝手に自己実現する代物を相手にする場合っていうのは、こっちがドタバタすればするほど市場の方がそれに反応してドタバタとやり、ドンドン勝手に期待を膨らませて自己実現状態になってしまい、相手を追い込んで逝くという事になる訳ですな。事前に鉦や太鼓でああでもないこうでもないと打ち鳴らすとその音に対して皆が踊ってしまい、時間が経つと皆さん踊り疲れてしまいますので、まあこういう時には黙ってスパッと手を打つのが正しい姿であって、それこそ会談だってこっそり実施したって別に問題ないと思うのですよね。全く何だかなあという感じです。

まだ慣れていないから仕方ないではないかとか言う言い訳が許されるのは義務教育まででありまして、いい加減に民主党政権の皆様に置かれましてはプロとして当然行うべき事を行っていただきたいものだと存じます。

ま、日銀も追加緩和(目くらましを含む)をするのは良いのですが、そこまで散々っぱら白川総裁が景気に対して強め(まあそんなに強い訳ではないが、市場の見方や株価動向などを勘案すると市場平均よりも強めの印象は与えるわな)の話を連発している中で(GDPという要因が出たので言い訳はまあ出来るとは思いますが)急に緩和が来たのでという動きになるっちゅうのも毎度の様式美の世界ではありますが、もうちょっと総裁様におかれましては見せ方を工夫していただきたいものだと存じます次第。今回だって「総裁が原則論を唱える」→「政治から差し込まれる」→「あっさり陥落」という様式美の印象を与えかねない(まあ今回はそこまでの差し込まれ感は無いけど、ある意味市場に差し込まれたようなもんですからねえ)訳でして、こういう不透明な状況が続くのですからもうちょっと狸成分を入れたほうが宜しいのではないかと愚考するところでございまする。


○その他政治日程に関する雑談等

まあスケジュール感とか読み筋とかは何となく想定するものはありますが、細かい読み筋の話は華麗にスルー致しましての雑談ですが。

えーっとですな、10月は決定会合が2回ある関係上、9月の決定会合って9月の前半に実施されるのですよね。6日〜7日に実施される訳ですけれども、民主党の代表選挙が9月14日に実施と言うことで、折角日銀が政府とタイアップして何か決定をしたとしても14日になるとカウンターパートがお遍路先生からお縄先生に替わっているというリスクがあるのがオソロシス。

まーなんちゅうか間が悪いとしか申し上げようが無いのですが(−−)、政府の経済対策を早いところ出して、菅さんが飛んでも次の内閣にちゃんと申し送りしてもらわないと困りますなあという感じが致しますが、微妙なこの間の悪さに様式美というものを感じるところです。


あとですね、ふと思ったのですが、お縄先生がミンス党代表選挙に出られるというお話になっているようでございますが、そもそもミンス党の支持率が下がったのって小鳩体制のせいだったと思う訳で、お遍路先生のトンチキ発言の影響もあったとは思いますが、基本的にはケツ拭き担当であの負けで済んだと評価されても良いような気がするんですが・・・・

しかし、何かお縄先生がマジで代表になると、いきなり発足時の最低支持率更新とかしそうでそれはそれで面白そうですし、何か昔に戻って超越財政支出とかばら撒きとか再開しそうですし、そうなったら(長い目で見たら碌でもない話で大変にマズーではありますが)目先だけに関してはそれこそ長期金利上昇、円安になって株も戻るんじゃネーノという気が最近するようになっておりまして、最早ヤケクソの世界になっているような気がしますが(^^)、いっその事お縄先生の内閣総理大臣姿というのも見てみたくなってきました。

その上リアルお縄先生にでもなったら日本売りとなりまして円安進行でめでたしめでたし(多分ものすごく間違っていると思う^^)。

#最後のほうで一部暴言らしきものがあったことを深く陳謝致しますが賠償は致しません(^^)











2010/08/19

お題「今日も市場雑談その他で」

イブニングで10年309回が0.900%という債券市場だけ祭りですから。

○短期ゾーンが注目されておりましたな

昨日の債券市場ですが、まあ朝から短いゾーン強くて2年ゾーンの一部の銘柄が5糸強(0.120%水準)が出合ってみたりしていたのですけれども、輪番オペの残存1年未満の結果が平均1毛強の足切り3毛9糸強という結果(なので普通に0.10%割れの出来上がりで日銀様お買い上げの図)になりましてあららの結果。

いやまあ前場は6年が強いですなあとか20年が昨日と打って変わって弱めですなあというような話もあったのですが、輪番結果ですっかり短いところが話題でございますわよ奥様というような状態になって参りまして(というのはだいぶオーバーですので念の為^^)、その後日本円TIBOR3か月物は3行(中央三井信託、りそな、商工中金)が提示レートを0.38→0.37に下げたのでレートは低下するわ、3か月TB入札は0.1103%/0.1123%の結果だったのですが、足切りの按分比率が0.0823%という超ウルトラ極薄按分でこれまた堅調。

てな訳で、まあその雰囲気が続き2年辺りから前の現物債はオファーが出てこなくなって何だか知らんが急に利下げを見に行くような雰囲気を醸し出して参りまして「さあ盛り上がって参りました!」というような状況で、2年ゾーンの一部銘柄では0.115%とか最早訳判らんレートが出合い(えーっとちなみに昨日のGCは0.115%レベルでしたので、瞬間的な話だがGCとレート水準が変わらんのよ)となる始末で、もう何か素晴らしい盛り上がりっぷりでございましたな。


まあプライスアクションを見れば「追加緩和に対する思惑が盛り上がり」という話になってしまいますので、金融政策ネタの大好きなガイジンさんがイブニングセッションで債券をえっさえっさと買い上げたようでございまして(^^)、イブニングセッションの終値(東京18時)は143円03銭と東証引けから15銭上昇して、10年309回もBB引けの0.915%から1毛5糸買われたのですかな、いやはやなんとも。


○でも金先は上がらないのですよね〜

とまあその辺のプライスアクションだけ見ると利下げまで織り込みに逝くような楽しい相場展開なのですが、じゃあ本当に短期市場が利下げを先取りしに逝っているのかと申しますとこれがまた微妙。

つまりですな、ユーロ円金先ちゃんですけど、MAR11は日中では99.710と99.715の辺りにいた(記憶ベース)と思うのですが、これって別にここもとの水準から大きく上昇している訳でもなく、まあ確かにレベル的には0.30%割れていますから全く織り込んでいるわけでも無いですが、利下げ先取りワッショイなのであれば金先がもっと盛り上がる筈で、売買そこそこ伴いながらも金先がろくすっぽ上昇しないのは「まあそうは言っても利下げ先取りまではねえ」とゆー感じじゃないかと。ターム物の資金供給オペの落札レートだって0.11%でしたしね。

#大手銀行が利下げ先取りで盛り上がったらもっと楽しいことになりますから

じゃあ何で短い所ってこんなに強いのよという事に関してはまあ正直あたくしも知らんがなという所ですが、元々物理的にショートは振りにくい(このゾーンの現物はカレント近辺以外売買規模に対して流通玉が少ないと思われます)というのもありますけど、それよりもリスクリターンの関係で、例えば1年の0.115%って下手したらGC並とかの水準ですけれども、これを叩いて何ぼ儲かりますかという事を考えると、どう見たって1年以内に利上げなんて無いとしか思えないのですから金利上がって0.13%〜0.14%程度なのに対し、間違って5bpとか利下げされたらモロに持ち上げられてしまいますのでよー売れませんなという所でしょうか。

いやまあロングが叩きに行けばいいじゃんという意見もあるとは思いますが、短い所だけで見ればほかに買うものも無いですし、まあもっと下らぬサラリーマン的な事を言えば、間違って利下げでもあった日には「利下げ観測があるのに何でその前に売ったんじゃボケ」と後付で好き放題言われた場合にまあマズーだったりする訳でして(^^)、中々こう思い切って売るのもねえという残念な事情もあるかなあというところでしょうか、よー知らんが(^^)。

とまあそういう訳で、本気で金利が下がるような追加緩和があるというのまで織り込みは実はしてないでしょというのが冷静な話になると思いますし、この次に書きますけれども、月曜の菅さんと白川さんの会談に何か「お土産」があるのかという所を考えた場合に、政府の対応がどうもそこまで行ってなさそうな状況で日銀だけノコノコお土産を出しても無駄に消費されるだけの話ではございますからして、まあ来週の会談にぶつけて何かっていうのはどうなんでしょうかねえと思うのであります、というのが何となく平均的な見方になっているからこそ金先とかの辺りが別に大盛り上がりしない(金先は夜間取引ではMAR11で99.720位だったかなあ)という所なのではないでしょうか。



○ところで月曜って何をするんだろう・・・・・

火曜日に「会談実施」のニュースが出たので昨日はあたくし「常識的に考えれば手ぶらで何もなしってえ事はないでしょうけれども、何せ民主党は普通じゃないですから」などと書いたと思いますが、何か月曜の会談がマジでお洒落なことになるのではないかという楽しい悪寒が。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ayfhPuiTEgVk
荒井戦略相:内閣府による現状分析を20日に首相に報告へ(Update1)

・・・・えーっと、現状分析を20日に報告して23日までに本格的な対策が出るとは1ミリも思えないのですけれども。

と思ったら菅さんもこういう話になっているのね。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a20blrvexjgg
菅首相、円高対応で追加経済対策に前向きな考え示す−共同通信

前向きな考え示すですかそうですか。うーむ・・・・・

とまあそういう事で、政府が来週の会談に向けて何かスケジュール感を持ってここぞという対策をぶつけてくる訳でもなさそうですし、まあそもそもうっかりすると9月に飛ぶ可能性もある内閣がそんなに根性の入った対策打てる訳でもないでしょうとかゆー話になりますと、やはり民主党クオリティ恐るべしという所に落ち着く悪寒も漂ってくる次第。

#なのでこの際円高対策に暗黒舞踊ということで(^^)

まあ足元為替がぶっ飛んでいる訳でもないですし、株価も何気に平均株価9000円手前で持ちこたえてますし、そんなに底抜け脱線ゲームっぽい感じも無い(とか書いて変な死亡フラグを立てるのは望ましくありませんが^^)所であわてて何か出さなくてもという所なのかもしれませんが、それならそもそも無駄に会談セットしたり財務大臣が緊急会見してみたり総裁談話を出してみたりとかして雰囲気だけ盛り上げてどうするんじゃいなという所でもありまして、何かこうチグハグ感が。


ま、米国が追加緩和しちゃうと先にこっちが金利系で何かやっても吹っ飛ばされてしまいますから、米国の追加緩和の打ち止め感が出るか、それこそまた出口戦略モードになってくれないと(何せ米国金利の低下がドル円相場のネタなもんで)弾の無駄打ちになってしまうというのもありますから、政府が余程腰をすえて根性の入った施策を打ち込まない限りは日銀も中々カードを切りにくい(現実問題として切るカードが少ないですからねえ)ですわなという所でしょう。

#ただまあ追加緩和がなくても観測は残るでしょう


○単独介入で95円行くなら誰も苦労しませんが何か???

昨日落涙を禁じ得なかったのはこの記事ですな。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aPbZDREFeGl0
日本単独でも介入を、1ドル=95円目標−民主議連事務局長(Update1

『8月18日(ブルームバーグ):民主党の金子洋一参院議員は、外為市場での円高傾向に歯止めをかけるため、政府・日銀は1ドル=95円を目標にして為替介入に日本単独でも踏み切るべきだとの認識を示した。同氏は民主党の有志議員約150人でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)の事務局長。』

・・・・えーっとですねえ、単独介入でここから10円ドル押し上げ出来るのでしたら誰も苦労しないのでありまして、誰がどう考えてもそんなの無理に決まっているからどういう対策(目くらましも含む^^)をするのが良いのか(それとも市場が円買いに疲れるまで待つのが良いのかとか)っつーのでああでもないこうでもないとやっているのだと思うのですが、これはまた随分と能天気な御提言ですわな。

まあ何が素晴らしいってこの発言一応英語でも配信されてて、金子センセイの肩書きをブルームバーグでは「民主党のLawmaker」というような書き方だった(ヘッドラインしか見てないけど)のですが、この発言が報道された前後にドル円がまるで反応しないと言うのが落涙を禁じ得ない所でございました。いやあ実に素晴らしい(棒読み)。

しかも記事をよく見ると「現実的な目標として」95円とか言ってるし、その数字の根拠も腰だめの数字っぽいし、何か大丈夫かよという所でございますが、まあそこまで仰るのでしたらまずは金子センセイ達が米国や欧州やらに行ってガイトナー様などに話を付けて頂きたいと思うのでありまして、そもそも出来もしないネタを「現実的な目標」とか言って実施しろとか言うのってお花畑の平和論議をしてる人達の経済版としか思えませんがなという所ですなあ。

#お前は昨日介入しろとか書いたじゃないかと言われそうですが、海外と握って介入できるのならばそれはまあやった方が良いんじゃないのという話でして現状の各国の暗黙の切り下げ合戦環境では無理でしょと思います

というかですな、

『金子氏は日本単独での介入の効果について「日本政府として今の水準がとても受け入れ難いという姿勢を示すために必要だ。単独だと効果も低いということもよく分かるが、今、そういうことを言っているような危機感のなさでいいのか」と語った。』

だから介入って勝たないと意味が無いのであって、打つなら不意打ち的にやって一気に攻撃するもので、事前に鉦や太鼓で「これから攻撃しますよ〜」とか言う物ではないでしょうし、それに加えて「効果が低い」のならば無駄玉は打たない方が良いに決まってるでしょという所で、何か大丈夫かねという所でございますな。


#と相場雑談のつもりが悪態大会になってしまった事をお詫びいたしますm(__)m

#積み残しのネタがドンドン溜まっている・・・・orz











2010/08/18

お題「今日も市場雑談でござる」

市場雑談クリップクリップ。

○そう言えばTIBORが低下している件

意図的ではなくうっかり昨日書き忘れたのですが、TIBORちゃんが今週に入ってから久々に低下をしておりまして、一部の好事家の間でネタになっております(^^)。

日本円TIBORの方でお話をしますと3か月の金利がご覧の通りで(http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYENTIBOR.pdf)、今週になってから0.38%割れとなって金利低下。リファレンス銀行の提示レートを見ますと、月曜にみずほCBがそれまでの0.38%から0.37%に提示レートを下げて、昨日は三井住友銀行が同様に0.38%から0.37%に提示レートを下げましたとな。

まあだからどうしたと言われると困りますが(^^)、足元の外部環境などから「まあ下げましょか」という事になったのでしょうかねえという程度ですが、まあよく考えたら毎月月初にちょっとずつTIBORって低下してたので、その定例イベント(?)が2週間遅れて来ただけのような気もせんでもないですな。ま、提示レートの世界なので結局はレートを出している人たちの所に行って聞かないとよー判りませんがね(^^)。

TIBORが何となく低下ということもありますし、まあ日銀総裁と首相の会談がどうのこうのという話が出たり、経済対策がどうのこうのという話が出ていますので、まあ普通に何らかの追加緩和に対する期待が出てくるのが普通でして、その辺の合わせ技でユーロ円金先はちょっと堅調なのですが、よー上がりきらんというのも不完全燃焼っぽいですな。

ところで話はワープしますが、全銀協のサイトのTIBORのページって・・・
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/

『全国銀行協会では、日本の短期金融市場の整備・活性化に資するため、無担保コール市場の実勢を反映した「日本円TIBOR」と本邦オフショア市場の実勢を反映した「ユーロ円TIBOR」を毎営業日公表しています。』(上記URLより)

へー、TIBORって無担保コールのターム物市場の実勢なんですか(棒読み)。



○短い所の金利が益々低下というかフラットしている件

昨日は1年TBの入札が実施されました。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul220817.htm

(3)募入最低価格 99円88銭0厘
(募入最高利回り) (0.1194%)

(5)募入平均価格 99円88銭1厘
(募入平均利回り )(0.1184%)

・・・・・・orz

ということで、めでたく1年のTBまで0.12%割れとなってしまいまして、結果発表後も平均落札レベルは貫禄のビットサイド(なので日本相互証券の引けの0.120%というのは実力より甘いと思われる)で0.115%も出合う(さすがにオファーサイドのようですが)という大変に素敵な展開に。まあ実力ベースで1年の0.12%ってビットサイドじゃないのってえ感じの展開が足元の追加緩和ネタ祭り以来続いていましたが、入札でこうあからさまに出てきますと中々素敵な状態でございまする。

何せ足元GCが0.105-0.11%とかで時々0.11-0.115%とかになるという状態な訳でして、それに対して1年TBが0.115%〜0.120%という水準にあるというのは、資金運用という面で言えば「1年間を固めるリスク」というのが殆ど乗っていないという状況ですが、そらまあ足元で追加緩和で金利が下がるリスクが無い訳ではないけど、足元が上がる雰囲気も皆無(オペは比較的多目ですし)なのですから、気分はヘッジの買いって所でしょうかねえ。

そんなこんなで短い一般債市場でもモノがだいぶ買われているようですし、2年国債は堂々の0.125%ということで(2年0.125%ちゅうのも冷静に考えるとおそロシアな水準ではありますが)、まーこの辺の水準はかつての量的緩和でベースレートが0.001%の時の数字を10bpシフトして考えるともう相当の水準になったですなあという所ですが、ターム物金利をフラットさせようとした場合ってベースの金利水準がある方が(下げ余地があるからなんですけど)フラットさせやすいですなあとふと思うあたくしなのでありました。


○ところで来週会談が行われるようですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100817-00000094-jij-pol
菅首相、23日にも日銀総裁と会談=円高などで意見交換
8月17日18時2分配信 時事通信
(第一報が出たのは昼休み時間帯でした)

まあ常識的に考えますと、まさか二人が手ぶらで会談して「意見交換はしましたが、特に何もやりませんが何か?」というような間抜けな事は起きないと思うのですが、何せ「対策も何も無いのにいきなりデフレ宣言」というトンチキにも程があるプレイをした張本人が一方の当事者ですし、GDPが出たその日に内閣府政務官と国家戦略担当相のコメントが全然整合性取れないというような素敵な政権でもありますので、とにかくこの政権は常識的な動きをしないのが仕様で、それに付き合わされる官僚の皆様などは大変ですなあと思う次第です。

で、昨日の市場の反応も中々お洒落でして、株式市場は経済対策と追加緩和という発想なのだか何だか知りませんが一応敬意を表して下げから値を戻していた(インデックス先物の話ね)のですが、債券市場はと言えば後場は先物とか長期が押し込んだ一方で超長期はクソ堅調にも程がある動き。えーっとあのその「経済対策+追加緩和」に普通に反応したら長いところって売られる筈なんですが・・・・という所でございますが、超長期買われるってどんだけ政府日銀を舐めとるんかいなという論点から考えますと大変に素敵な反応ではございます。

#債券が循環物色状態で色んな年限が買われるのですが、「循環物色」という話をしているうちに「循環取引」という言葉を思い出してしまいましたが特に意味はありません(^^)

でですな、まあ手ぶらで会談というお洒落な事もあり得ない訳でもないのが民主党クオリティなのですが(いやまあ手ぶらで会談終了して円買いアタックさせておいてからいきなり不意打ち介入のカウンターアタックを仕掛けるというような「三年鳴かず飛ばず」の故事成語みたいな事をやってくれるのならば格好良いのですけどねえ)、まあ普通は何かのお土産があるでしょうと思うのが常識的なので何があるが妄想してみる。

どうせやるなら為替介入+輪番増額くらい景気良くやっていただきたいものですが、まあそれは普通にやらないでしょうと思いますので(--;)、ある程度普通に考えて見ますと(1)固定金利オペの手直し(期間延長か30兆円に増額か)、(2)利下げ(0.10%→0.05%)、というのが一般的かなあと思います。ただまあどっちのネタもそう何発も打てないので中々難しいかなあとは思いますけど・・・・・

上記のようにターム物金利が見事に潰れて壊滅状態というか4番グリーンウェル状態というか、まあ暗黒にも程がある状態になっておりますので、固定金利オペの期間延長とかやっても実際には金利は下がりきっていますわなという所ではありますので(^^)、実際の金利に与える効果がどうのよというのもありますけれども、まー今回に関しては(というか今回だけじゃないですけれども)為替市場や株式市場へのアピール狙いでもあります(もうちょっと綺麗な言い方をすれば「期待に働きかける政策」ですね^^)ので、「別に金利が既に下がっているので打っても打たなくても同じ」とか言わんでてきとーに緩和演技をお願いいたしたく存じます。


○ところで余談ですが・・・・

昨日見てて超謎だったニュースヘッドラインですが・・・・・

ブルームバーグのニュースヘッドラインから

JBN 16:11 日銀筋:円上昇し政治圧力強まれば追加策検討も−日経英語ニュース

・・・・?????

いやあのどの日銀筋だか知らんですが、日銀の中の人が「政治圧力強まれば追加策」とか政治圧力の存在を認めたり、政治に振り回されて動きますみたいな事はよー言わんでしょうにと思うのですが、立場からして。

つーか、「中央銀行が政治圧力によって動きますよ」なんて言ったらそもそもが日銀法の精神に悖ると思いますし、大体からして通貨の信認やら物価の安定という観点からしてもダメダメにも程があると思うのですが、この「日銀筋」って日銀じゃないでしょと思うのですが・・・・・なんかこの手の「〜筋」みたいなニュースって何だかなあ感が非常に強く漂うニュースでありますな。

ちなみにたぶんこれで市場は反応していないというか時間も時間なのであまりネタにもなっていなかったと思いますけどね。

で、更に与太話になるのですが(^^)、目先為替市場のネタって相変わらず「日米金利差」ばっかりでして、デフレ懸念で金利が低下する国の通貨は相対価値が上がるのだから買いにならんのかというような話はまる無視で推移しております関係上、中々こう日本の金利がどうのこうのってったって米国の方が元々金利が高い(というかイールドカーブがスティープしてた)のですから如何ともし難し。

つまりですな、根本治療という点で言えば米国の金利が上昇してくれないとどうにもならん訳ですから、この際外準で持っている米国債を全部売却して(円転はできないので^^)NY連銀のデポにでも突っ込むとか3か月のビルを買い占めるかでもすればちったあイールドカーブが立つんじゃないでしょうか(嘘)とか、与太話にも程があるネタしか思い浮かばない今日この頃であります。

まあそれよりも来週の菅さんと白川さんの会談のあと、二人で共同記者会見を実施するにあたり、お二方が突如全身白塗りで現れて暗黒舞踊を披露するとかした方が円安になりそうな気もしますがヤケクソで一つ如何でしょうか(大嘘)。


#今日は雑談ばっかでどうもすいません、積み残しネタが溜まっていますな













2010/08/17

お題「市場雑感その他」

まあ米国2年債0.5%割れですかそうですか。もうちょっとで時間軸ほぼ織り込み状態ですなあ。

#米国の指標が悪くてドル売られましたという事ですが、日本の指標が悪くて円が売られないとは何ででちゅかね〜

○GDPがうんこで債券強いっす

ということでたまには市場備忘メモ。

えーっとですな、昨日はそもそも週末の米債が強かったので強くなりますわなあという感じでしたが、寄り前に発表になった2QのGDPの数値がうんこ(前期比実質年率0.4%(予想2.3%)で前期比名目年率▲0.9%(予想▲0.3%)(予想数値はブルームバーグから)という大変にお洒落な内容)だったことから今日も今日とて(金曜の取引終盤からそうだったのですが)10年が強くて相場が上昇でござるの巻となりまして、先物から10年がお強い相場のようでオソロシス。

結局引けは309回債で0.945%と単利では0.9%台前半ですし、20年119回債は1.590%と単利では1.60%割れるし、5年90回債は0.270%(89回債は0.285%)ともう何が何だかという素敵な水準になっておりまして、しばらく10年1%近辺でうだうだやっておったのですが、いきなり昨日は居場所を変えてしまったでござるの巻。まあここまでの動きって円高株安はあるけど、実体経済はそこまで悪かったでしたっけ?という中でのものだったのに対して、日本のGDP数値がうんこというあっちゃーな物を見せてくれてしまったので動くのはシャーナイナイとゆー所ではあります(が、世の中には地合いという物があって、「いやそうは言っても7−9は強くなるでしょ」などと適宜いちゃもんを付けてあんまり反応しないという変化もアリエールなのですが、今回はそーゆー地合いではなかったので素直に反応したのだ)。

まあ超短いところは今更動くと言いましても(先日も申し上げたように)2年が0.13%だわ1年が0.12%(本当はもうちょっと強そう)だわということで、まあ概ねGCが0.105%〜0.110%で安定推移(最近はあまりにもレートが低いのでGCの資金出し手が減ってきて存外GCが下がりきらないようですけどね)となっている中でもう期間プレミアムが殆ど乗らないという素晴らしいレート形成になっておりまして、スプレッド物のスプレッドも潰れっぱなしという状態が継続しているのでコメントのしようが無し。

なのですが、最近思うに資金供給をホイホイ実施している(昨日のオペ残39兆円とかだったと思うのだが)のにも係わらずコールレートが比較的下がらず、GCレートも0.105-0.11水準から下がりきらずという結果になっておりまして、単に金利が低くて金の出し手が出さなくなっており、大手銀行あたりが積極的に動かないからなのかなあとは思うのですが、この調子ですともうちょっとオペ残増やして当座預金残高を積み上げてもよさそうな気がするのは気のせいですかそうですか(^^)。

てな訳で単なる俺様備忘メモのコーナーでした。


○しかし閣内の反応がチグハグとか勘弁して欲しいのだが

昨日のGDPの結果を受けての発言を見て昨日はずっこけたわけですが。

ブルームバーグのヘッドラインより。

JBN 9:09 津村政務官:既に踊り場入りしているといえるかもしれない−GDP

というのは「うんうん」と頷いて見ておったのですが、その後に出たヘッドラインで見事に腰が砕けてしまいました。

JBN 9:23 荒井戦略相:景気が着実に持ち直していることを示した−GDP
JBN 9:25 荒井戦略相:設備投資の増加、景気の自律性の高まりかを検証へ
JBN 9:28 荒井戦略相:円高が自律的回復の障害になるかもう少し見る必要
JBN 9:30 荒井戦略相:踊り場の表現当たらない、そこまでは考えてない
JBN 9:31 荒井戦略相:日銀との連携作業が必要−円高で
JBN 9:33 荒井戦略相:早急にということにはならない−新たな経済対策
JBN 9:35 荒井戦略相:円高対策については日銀と議論している
JBN 9:37 荒井戦略相:近々とは聞いていない−日銀総裁と首相の会談

・・・・・orz

当然のことですが、この一連のヘッドラインの後ドル円が円高方向に振れたことは申し上げるまでもございませんが、なんちゅうかスカポンタンな印象を与えるヘッドラインでありまして、この国家戦略大臣は何をしに会見をしたのかと小一時間問い詰めたいわけですが、まあさすが事務所経費で(以下割愛)。

そういや話は大幅にワープしますが、民主党のデフレなんちゃら議連の松原仁さんが先日ああだこうだとまた提言しているみたいですが、おまえは武藤さんと伊藤さんの総裁および副総裁就任に対して反対票を投じておいて今更何をいうのだ(金子洋一さんは当時議員じゃないので無問題ですが^^)と小一時間問い詰めたい(というか、この議連って臆面もなくというか人間として何か欠落しているとしか思えないというか、勉強会に武藤さんを呼んだんですよね〜)のであって、議連はその件に関する総括をまず最初にしろと思うのですけどね。あと介入しろというならお前が米国に行って説明してこいやという感じですがね(ニヤニヤ)。

まあいずれにせよ困ったもんですわなあ。


○それはそれとして経済対策が出るようですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100816-00000108-jij-bus_all
政府、追加経済対策検討へ=円高、消費、雇用重点―財源1.7兆円、国債増発は慎重
8月16日21時0分配信 時事通信

あらそうですのオッホッホという感じで、荒井大臣の慧眼ぶりに目から何か水のようなものが出てくる今日この頃でございますが(−−)財源1.7兆円とはこれまたしょぼいというかこの地合いなんですからぜひ国債増発して頂きたいと思うのはレート低下で困っている市場の中の人的なポジショントークですけど(^^)まあそれは兎も角。

経済対策の規模にもよりますけれども、まあ何かこう気合の入った対策を打ってくれれば日銀が何か金融緩和(今更何を金融緩和するのかという論点はあるが、まあ効果はともあれ「緩和しましたよ」というなんちゃって緩和で宜しいのではないかと思料)するのも格好が付くというものでありまして、ここもとの日銀の金融緩和って基本的には麻生さんの頃から政府の景気対策とセットで実施というのが多かった(最近は政府があんまりろくな事しない中での実施というテイストが漂いますが)ので、そーゆー意味でもあんまり目先の付け焼刃的な対策ではないきちんとした経済対策の実施が求められますわな。


○7月決定会合議事要旨からちょっとだけ(たぶん続編あり)

これまた金曜に出たものを今更で恐縮ですが(汗)。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g100715.pdf

いやまあ景気に関する議論の部分とかも中々興味深いので明日に続くのですけれども、展望レポート中間評価のリスク認識に関する部分に関して今日はメモ的に引用。

『リスク要因について、多くの委員は、景気面では、上振れリスクと下振れリスクが、それぞれ4月時点に比べて幾分高まっていると指摘し、何人かの委員は、リスクは概ね上下にバランスしているとの認識を示した。』

あれ、「何人かの委員」なの?

『下振れリスクとして、多くの委員は、国際金融面での動きを指摘し、特に、欧州における財政・金融状況を巡る動きが、国際金融や世界経済に与える影響に注意する必要があると述べた。ある委員は、こうした動きに加え、耐久消費財を中心とする各種対策の効果の反動等を踏まえると、本年度後半にかけては、下振れリスクの方が意識されると指摘した。また、何人かの委員は、米欧におけるバランスシート調整の帰趨をリスク要因として指摘した。』

ふむふむ。

『この点に関連し、ある委員は、バランスシート調整の継続などから、米国経済の中長期的な成長期待が低下している可能性があり、その影響についても注視する必要があると付け加えた。このほか、ある委員は、必要以上に長期に亘って拡張的なマクロ政策が維持されると、構造変化への取り組みの遅れから、わが国経済の生産性が高まらず、結果として中長期的な成長期待が下振れる可能性があると指摘した。』

最後の構造改革の遅れの人の指摘も毎度おなじみだなあと思いつつ、下振れの話をしている中で「何人かの委員」以外がリスクのバランスを下にみているような気が思いっきりするのだが、何せこちらには「何人かの委員」以外のバランス認識に関しては明確な記述がないので行間から想像するしかないのれす。

何かあたしゃーこの会合で結構下振れリスク警戒の意見もあって割れてたんじゃないのかねえという気がする(白川総裁はおそらく堂々のリスクバランスを主張しているっぽいので総裁の見方がそれなりに結論に影響を与えたのではないかと妄想)のですが、まあ正直よー判らんので以下、上振れリスク部分の議論を引用しておきますね。

『他方、上振れリスクとしては、大方の委員が、新興国・資源国経済の更なる強まりを挙げた。何人かの委員は、新興国の場合、元々成長のモメンタムが強い上、先進国の景気回復の弱さが自らに波及することへの懸念などから、金融緩和政策の修正が遅れ気味となる可能性があることには注意が必要との認識を示した。複数の委員は、仮にそうなれば、新興国の景気が一段と過熱するリスクがあり、その後の経済・金融活動の急激な巻き戻しにも繋がる可能性があると述べた。』

『このほか、ある委員は、先進国から新興国への資本流入や今後の情報関連財需要の動向如何では、新興国経済の成長スピードが一段と速まる可能性があると述べた。このうち、後者の点については、ある委員が、過去の経験からいっても、情報関連財の需給バランスは比較的短期間で大きく変動し得る点には留意が必要との見方を示した。』

『こうした議論を経て、ある委員は、新興国、先進国に関する上下のリスク要因は、相互に独立したものではなく、複雑に絡み合っているため、わが国経済への影響を点検するに当たっては、この点をしっかりと念頭に置く必要があるとの認識を示した。』

とりあえず引用だけで勘弁。ということで恐らくその他の話は明日に続く(手抜きですいません)。













2010/08/16

お題「セントルイス連銀総裁ブラードさんの量的緩和論って金利は下げるなと言ってるのだが」

お題が長いですかそうですか(大汗)。

その前に金融経済月報から。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1008.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1007.pdf(前回)

○変化は輸出・生産と金融環境のごく一部だけ(月報概要)

今回はろくすっぽ変化が無いので殆ど今回分の引用で終わってしまうのですよね。まあ引用大会ということで。

『わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。

輸出や生産は増加を続けている。設備投資は持ち直しに転じつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。そうしたもとで、個人消費は持ち直し基調を続けている。住宅投資は下げ止まっている。この間、公共投資は減少している。』(今回)

という景気の現状に関する部分は短観がらみの業況感の表現が抜けただけでものの見事に同じですので前回分の引用は割愛。

『先行きについては、景気は緩やかに回復していくと考えられる。

すなわち、輸出や生産は、増加ペースが緩やかになっていくとみられるが、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる。国内民間需要は、持ち直しを続けるものの、設備・雇用の過剰感が残ることや、各種対策の効果が薄れていくことなどから、当面、そのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。この間、公共投資は、減少を続けるとみられる。』(今回)

で、この部分ですが、輸出や生産の部分が前回とちょっとだけ違いまして。

『すなわち、輸出や生産は、増加ペースが次第に緩やかになっていくとみられるが、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる。』(前回)

・・・・えーっと、何が違うと申しますと「次第に」という文言が抜けているという所でござんして(^^)、つまり増加ペースがより緩やかになっていくででしょーって所でしょうか。単に足元でペースが緩やかになったことの反映でもありますので殆ど変わっていないっちゃあ変わっていないのですが。


で、物価とかの部分もあるのですが、ものの見事に前回と同じ文言が続くので引用するのも面倒になってまいりまして(こら)華麗にスルーして金融環境の部分をば。

『わが国の金融環境は、緩和方向の動きが続いている。

コールレートがきわめて低い水準で推移する中、企業の資金調達コストは、低下傾向が続いている。実体経済活動や物価との関係でみると、低金利の緩和効果はなお減殺されている面があるが、企業収益との対比では、その効果は強まりつつある。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は改善している。』(今回)

『CP・社債市場では、良好な発行環境が続いている。資金需要面では、企業の運転資金需要、設備資金需要とも後退しているほか、一部に、これまで積み上げてきた手許資金取り崩しの動きもみられている。以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、銀行貸出は減少している。社債の残高は前年を上回っている一方、CPの残高は減少している。こうした中、企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善の動きが続いている。この間、マネーストックは、前年比2%台後半の伸びとなっている。』(今回)

前回との違いですけれども、マネーストックの数値という事実に関する部分は別にしまして、現状認識で違っているのはCP・社債市場のところでして。

『CP・社債市場では、総じてみれば、良好な発行環境が続いている。』(前回)

「総じてみれば」が抜けているので良好な発行環境という認識という所ですが、そらまあ運用難で発行環境は良いわなというか、これで発行環境があまり良くないとか言ったらそれはあり得んわなという所で。

ということで引用しましたが、よーするに(前回)とあるところ以外は揃いも揃って前回と同じという大変に素敵な金融経済月報でございました。



ではとりあえず何となく読んでみた(今更ネタですいませんが)セントルイス連銀総裁のJames Bullardさんによる量的緩和がどうのこうのというペーパーから少々。

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
Seven Faces of "The Peril"

本文が大体21ページ分あって逐語訳とかしてたら海外在住経験も長期の旅行もした事が無いあたくしのへぼ英語力では死亡確定なので、とりあえず何となく全部は読んで見ましたが、勘違いしてたらどうもすいませんと言う事で(ヘッジクローズ)。

○最初のまとめ部分から

最初にAbstractってのがありまして。

『In this paper I discuss the possibility that the U.S. economy may become enmeshed in a Japanese-style, defationary outcome within the next several years. 』

米国経済が日本のようなデフレに陥るかどうかの考察とな。

『To frame the discussion, I rely on an analysis that emphasizes two possible long-run outcomes (steady states) for the economy, one which is consistent with monetary policy as it has typically been implemented in the U.S. in recent years, and one which is consistent with the low nominal interest rate, defationary regime observed in Japan during the same period. The data I consider seem to be quite consistent with the two steady state possibilities. 』

この2種類の「安定状態」(とでも言うのか?)というのがありまして、しばらく前の米国経済はそのうち望ましい方の安定状態にあったものの、日本が現在陥っている「デフレ状態と超低金利による意図せざる安定状態」に陥る可能性が現在の米国にありますよってえ話になるそうな。

『I describe and critique seven stories that are told in monetary policy circles regarding this analysis. I emphasize two main conclusions: (1) The FOMC's extended period language may be increasing the probability of a Japanese-style outcome for the U.S., and (2) on balance, the U.S. quantitative easing program offers the best tool to avoid such an outcome.』

で、それは何ですのという話ですが、(1)FOMCのガイダンス文言の「extended period」というのが経済の「デフレ均衡」に陥るリスクを高め、(2)それを防ぐためには(後で出て来るのですが)長期財務省証券の買入拡大による量的緩和政策が必要、という結論になっているようですな。

で、その中身を延々と読んでみたのですが、何か「????」な部分も結構見受けられるペーパーにあたくしのような無知蒙昧な人間には思えるのでございまして、いやあの何でそーゆー論理展開になるのかねとか結論になるのかね的な違和感があるのですが、きっとこれはあたくしが現場の地べたを這いずり回っており、大所高所からの観点が無いから判らないからに違いないということにしておきましょう。


○とりあえずブラードさんのペーパーでは「金利は下げるな」と言ってるんだが

さてそれで本文を読みつつという話になると思うのですが、月曜なので(言い訳になっていない)本文紹介しないで読んだ結果のブラードさんが出している(あたくし的には)謎結論を勝手に解釈しますと・・・・・

まずですね、本文2ページ(PDFファイルの3ページ)にある、
『Figure 1: Short-term nominal interest rates and core infation rates in Japan and the U.S., 2002-2010. OECD data.』
というのが本論のキモになっておりまして、図を貼り付けるわけにもいきませんのでそれは本文を読んでちょという所ですけれども、「コアインフレ率」と「短期名目金利」をプロットしたグラフに対して、フィッシャー関数(関係?)とやらの直線と、テイラールールの曲線を引いたものを出しております。

で、その直線と曲線の交点が2つあって、その交点近辺が均衡状態になっているのですが、通常の均衡状態として「インフレ率2.3%で短期名目金利が2.8%」というのがあって、それは「望ましい均衡状態」なのですが、そうじゃないほうの均衡状態として「インフレ率▲0.5%で短期名目金利が0.001%」というのがあって、日本がまさにこのステージに入って安定してますわな、というのがこの話の基本的なキモなのですよ。


でね、その部分の説明とか面白いので今後紹介すると思うのですが(今週はネタもなさそうなので^^)、BOEの従来の政策および最近の量的緩和政策を評価している部分がありまして、これらの均衡状態に陥らないようにする為にかつてBOEが政策金利の下限を2%に置いていたのと伝統的政策での一つのやり方と評価してます(本文15ページ以降の『2.5 Traditional』の章)し、BOEの現在の「国債のみを購入する」という量的緩和政策に対しての評価も行っているのですよ。(その評価の中身がBOEの認識と違うんじゃネーノというような部分があって、それはまあ後日)

つまりですね、ブラードさんの提唱する量的緩和政策の導入っていうのは基本的な発想として「名目短期金利を長期間ゼロ近傍低位に置かない」が「時間軸政策のようなものを実施する」事によってインフレ期待をあげる(具体的な説明としてはテイラールールの曲線を右側にシフトさせるという効果を出す)みたいな話をしているように見えるのでありまして、どうも全部足すと「実効FFレートを現在の水準よりも若干高めに維持しつつ量的緩和政策を行ってインフレ期待を引き上げて、早いところ日本的な望ましくない均衡状態に陥るのを防ぎましょう」と言っているように見えるのですよね。

とまあ考えますと、米国の追加緩和だの量的緩和期待というのに対する米国市場のファーストリアクションというのも何か微妙な所がありまして、単純に大喜びして金利が下がって良いのでしょうか????という気がするのであります。

なお、本文に関しては中々おもろいというか、あたくしの知能では中々よー判らんものが多々あったりするので、追々ご紹介させていただきとう存じます(ネタ切れ用の在庫作りでは決してございませんので念のため^^)。











2010/08/13

お題「今日は市場雑談で勘弁」

金融経済月報ネタは来週で勘弁してつかあせ。

○久々に為替市場でドタバタ

昨日は昼過ぎから為替に関するヘッドラインが色々と出て参りまして、そのヘッドラインで為替市場が動くもんだから債券市場ちゃんもそれを見ながらホイホイと動くとゆー展開になりまして、まあ久しぶりに介入だの何だのってな話で動いたでござるの巻でございましたわな。

ということで昨日のメモと雑感をば。

最初に出たのは多分このネタ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aq2Kr.tb0KRI
玉木財務官:内外の金融情勢めぐり中曽日銀理事と会談

で、13時過ぎ位だったかな、まあドル円が妙にドル高方向に振れたので「これってレートチェックでも入ったんじゃネーノ」と言うような雑談をお友達としていた(本当)のですが、その後こんなニュースが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ayOt84scjPS8
日銀がドル・円相場のレートチェックをこの日行った−ロイター

おお、怒りのレートチェックキターーーーって感じで、まあ90年代後半の為替市場に散々振り回された年寄りのあたくし(と申しましてもプラザ合意とかは存じませんので所詮小僧ですかそうですか^^)としては懐かしい言葉ですなあとワクワクしておりましたら次はこんなものが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aitPXQeSrkyg
野田財務相が今夕緊急会見、市場対応で−予定変更し登庁(Update1)

さあ盛り上がって参りました!と思ったら日銀からもこんなのが。

http://www.boj.or.jp/type/press/danwa/dan1008a.htm
総裁談話

『最近の金融資本市場の動きをみると、米国経済の先行き不透明感の高まりなどを背景に、為替市場や株式市場では、大きな変動がみられている。
 日本銀行としては、こうした動きやその国内経済に与える影響について、注意深くみていく。』

ちなみにこの総裁談話って一応「これは」という時にでるもんでして、過去の談話のインデックスを見ますとこの通りで、金融危機やら総会屋事件やらの時にやたら出てましたが、まあそんなに出るものでもないです。
http://www.boj.or.jp/type/press/danwa/index.htm

まあ為替に関しては(金融政策打てば別ですが)日銀は財務省のパシリとして動く実働部隊に過ぎないのでそんなに気合の入った事はいえないのかもしれませんが、もうちょっと気合入れても良かったのに〜とは思っておりましたが、まあ市場ちゃんは野田財務大臣の緊急会見待ちに。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aa4ZUruF0..Q
財務相:為替動向に重大な関心持ち見守る−介入は言及せず(Update1)

・・・・ヘッドラインが出た途端に86円ちょっと割れ水準だったドル円がいきなり85円台20銭近辺まで失速しやがりまして、なんちゅうかわざわざ緊急会見やって何も無いのかよおおおおおおおおおおお!!!!!というがっくり感満載の動きに全俺様が泣いたという所でございます。「断固たる措置を取る」とか言わないところが何だかなあというか、普通こういう会見とかやるんだったら何か介入だか何だかセットにならないと意味が無いと申しますか、単なる無策の露呈になるのでやらない方がマシというのが昔の常識だったと思うのですけれども。

#いやまあそうやって無策の振りをしてからいきなりぶつけるという高等戦術なのかも知れませんので最終的には判りませんけどね(^^)

総裁談話に関して中曾理事の会見もあったのですが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aEW1U6nxLBwA
中曽日銀理事:政策判断変えてない−為替の総裁談話(Update1)

・・・・うーむ、微妙な内容で何かやる気があるのか無いのか良く判らん次第で、結局のところ何か政府日銀とも中途半端な感じがしますわな。


という流れだったのですが、まあ昨日の動きで一番衝撃というかどちらかと言えば爆笑の発作が起きたのは野田財務大臣の緊急会見を受けた為替市場の動きでございましたわな、という所で。



○しかし日銀の円高対応って言ってもねえ

たとえば代表的なのはこんなニュース。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-16758120100812
日銀の危機管理能力に疑問の声、「量」拡大政策が選択肢に

金利市場やってるあたくし的には「今更円高対応で何かするとかいうよりもとっとと介入したら良いじゃん」と思いますし、まあ「日銀が今更円高対応で何かやるって言ったって碌なタマが無いのでは」というのが金利市場的な一般的な解釈ではないかと思うのですが、どうも金利市場以外の人たちは「日銀が追加緩和したらどうのこうの」という話をする傾向にありまして、まあ話をしてても温度差を感じるところでありまする。で、どう見ても世間的には金利市場の人たちの声のほうが少数派であることは間違いないので(涙)、少数派にいるのが好きなひねくれ者のあたくしが何となくその理由を説明してみる。

えーっとつまりですな、昨今の為替市場って毎度毎度某モーサテでの為替コメンテーターが抜かすように「2年債の金利差」だの「5年債の金利差」だの「LIBORの金利差」だのという話をネタにして動いている訳でして、日本のイールドカーブが米国対比で素敵に潰れている状態であって、米国が金利上昇しない限り死んでも日米金利差は開かないとゆー状況の中で日銀に何をせえちゅうねんという所ではないかと思うのですよね。それなのに「日銀何かやれ」と言われましても実際に金利が米国の金利下げペースに追いつくような下げをするのが無理(したら金利が物凄くマイナスになりますが^^)だと思うのですが、その辺を斟酌した話をしとるんかいなという気はする訳ですな。

とは言いましても、まあ米国があれだけ福井俊ちゃんスキームを発動して緩和しているような演技をしつつ追加緩和の可能性を見せると言う技を繰り出している中で、日銀におかれましては白川総裁が相変わらずサービス精神の無い雰囲気を出しているというのはちょっとねえという所でもありまして、結局相場なんて(最終的にはファンダメンタルズに収斂されるのでしょうけれども)雰囲気の世界で動くものでありますから、その雰囲気作りの為に芝居をするというのもこれまた大事じゃないかと思うのでありまして、ちょっと今の状況ではどうなのかなあというのはございますわな。

ただまあ福井の俊ちゃんスキームっていうのはありゃ中央銀行と政府のタイアップというか信頼感がちゃんと出来ていないと難しい物があると思うのですよね。つまり何か急に日銀が俊ちゃんスキームを発動している中で政府(というか民主党政権)が急に日和って梯子外しちゃったら屋上に持ち上げられて日銀置いてかれ状態になるというのがオソロシスになる訳でして、俊ちゃんスキームとか言って俊ちゃんがエライかのような言い方してますけど、あれは小泉首相さんなどの自民党政権とのきちんとしたタイアップが出来ていたからスキームがワークした訳でして、昨日のテイタラクの民主党政権相手に俊ちゃんスキームができるのかという問題もあると思いますので、まあ可及的速やかにまともな政権担当能力のある政権が出来ていただきたいというあたくしの毎度の主張になるのでございました(^^)。


まあ何かやるならあまり金利下げにならないけれども(というのは既にターム物金利が2年で0.13%(引けは135だけど出合いは13)という大変にお洒落な金利になっているので下がりようが無い)、ターム物金利を押し下げる効果がある(事になっている)固定金利オペの期間を6か月じゃセコイから思い切って1年に延長するとかでもしたらちったあ影響するんじゃないですかねえという所ですかな。



○ところで今回の積み期間では何気に資金供給量が多かった件について

さっきURL付けたロイター記事で「量の拡大がどうのこうの」とかまた何を言ってるんだこの通信社はという話をしていましたが、今回の積み期間に入って日銀の資金供給が厚めに推移してるんですよね。

積み最終が今日(本当は15日だけど営業日ベースで言えば実質的には今日が最終)になるのですが、いつものパターンだと足元ここまで準備預金残高の進捗も宜しいので、積み最終に向けて当座預金残高をそんなに積んでこないというのが流れで、今回に関しては13日に財政の大幅余剰(年金の定時払)があるので、そこで普通に資金供給オペが落ちるというのが想定されていた訳ですが、意外や意外にも13日スタートでのオペをきっちりと打ってきまして、今日は積み最終日の週末なのですが当座預金残高見込みは今の所18兆400億円と前日までの16兆円台からきっちりと積み上げて来ます。

また、オペの残高は(この積み期間は特に余剰地合いじゃないからというのもありますけれども)概ね34兆円近辺(途中で落ちた時も32兆円)で推移した後足元では36兆円近辺になっていまして、まあGCレートも0.105%〜0.11%というか殆ど0.105%で安定した状態で推移しています。

と言うことで、まあ調節に関してはGCレートを跳ねさせないような配慮をしたオペレーションになっているなあと思われるところでして、GCが跳ねたりすると短国の金利が下がりにくくなるとゆー事を勘案しますと、足元の調節に関しては短国の金利を上げにくくする→ターム物金利の上昇をしにくくする、という点に配慮しているんじゃないのかなあという気がします。まあ考え過ぎなのかも知れませんけど、金利差で為替がどうしたこうしたとか言われる昨今の為替市場にも気を使っているんじゃネーノという風に思えるのですが考えすぎでしょうかね(^^)。

#まあそのせいで3か月TBは0.11%カツカツだわ6か月TBは0.115%だわとなっておりまして短期市場やること無し子ちゃんになっているのですがorz

とまあそんな雑談でございましたとさ。












2010/08/12

お題「総裁記者会見は円高ネタばかりなり」

米国の出口戦略後ずれを評価する人は日銀が以前から出口戦略をまるっきり意識させないような動きをしている事をもっと評価すべきではないかと思いますが如何でしょうかねえ。

#だって米国の措置って別に緩和拡大じゃないでしょ

んでまあこれがまた結構長めの質疑応答が続く会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1008a.pdf

○足元の景気回復ペース減速に関して

最初の質問が「米国や欧州の回復持続性について」という中々良い質問でして、それに対する答えも中々結構でございます。

『(答) 米国経済は、先般発表された本年第2 四半期のGDPや先週発表された雇用統計を初めとして、回復テンポの減速を示す指標がいくつかみられますが、全体としてみると緩やかに回復していると判断しています。』

というのは米国と同じ認識ですからまあ良いとして。

『日本銀行は、わが国のバブル崩壊後の経験から、バランスシート調整の厳しさについて、もともと市場参加者や国際機関などよりもかなり慎重な見方をしており、本年の比較的最近までのやや楽観的な市場の見通しについては、多少、私どもの判断との間に距離感があると感じていました。』

これは(^^)。

『私どもは、米国経済について、4 月末の展望レポートや先月の中間評価では、その回復テンポが緩やかなものに止まるという慎重な見通しを持っており、現在の米国経済の姿は、こうした私どもの慎重な見通しに概ね沿ったものと考えています。』

つまり「それ見たことか、お前ら楽観しすぎだヴォケ」という事ですね(^^)。

『日本銀行としては、日本経済について――もちろんリスク要因について注視する必要があることは言うまでもありませんが――こうした米国経済の慎重な見通しを前提として考えており、現在までのところ、展望レポートで示した標準的な見通しの枠の中で動いていると判断しています。』

という話になる訳ですな。まあ元々日本の場合は出口政策もへったくれもないという状況および物価見通しなのでありまして、そーゆー観点で言うと米国みたいにホイホイと景気認識を微調整で上げたり下げたりする必要もなかんべというのはあるのでしょうが、しかし下振れリスクに関してはもうちょっと何とかならんのかなあとあたしゃ思いまする。

で、欧州経済。

『次に、欧州経済についてです。金融市場の動向やストレステストについては先程申し上げた通りですが、この春先以降に金融市場が不安定であったにもかかわらず、足許の経済指標は比較的強い内容となっているとみています。しかし、米国同様に欧州も、2000年代半ばにかけての大きな信用バブルの拡大、崩壊あるいは調整、さらにはそのもとで生じているソブリンの問題、こうした調整圧力を引き続き抱えていると思っています。経済には、その時々の上昇・下降はもちろんあるわけですが、私どもとしては、米国同様欧州についても慎重にみています。』

ということで、まあこの辺りは「偽りの夜明け」発言をした白川節炸裂という感じでございます。

#だったら日本経済に関してももうちょっと慎重に言えばとは思うのだが


○円高に関してとかリスクバランスに関してとか

基本的に円高に関する質疑応答だらけなのですが、2番目の質問に対するやたらめったら長い回答がまあ典型的かなという感じですので引用をしますが、余りにも長いので一部拾って引用するのですが(汗)。

『(問)米国経済が減速する中で円高が進行していますが、これが日本経済に与える影響は如何か。また、これまでリスクバランスは上下にバランスしていると判断されているが、とくに下方向のリスク状況は如何なのか。また、こうした中で、追加金融緩和の必要性があるのか。この3点についてお聞かせ下さい。』

『(答)米国経済については、先程ご説明しましたので、まず、為替の影響についてですが、このところ円の対ドル相場は円高傾向を辿っています。一般論として申し上げると、円高の進行は、短期的には、わが国の輸出や企業収益の下押し要因となります。もっとも、それが経済全体に与える影響は、世界経済全体の情勢、企業の売上や収益の動向、更には、金融環境の動向など、様々な要因に依存することも、バランスよく認識する必要があります。』

ということで、為替の影響に関してこりゃ懸念してねえええええ!という感じで、その後は日本経済に関しては展望レポートどおりですよという話が続くのですが、さすがにそれだけではあまりにも何だと言う事でしょうか更に続きがありました(^^)。

『もちろん、米国経済や為替相場の動向は、日本経済に大きな影響を与え得る要因であると思っています。日本銀行としては、その可能性も十分意識した上で、引き続き、注意深く点検するとともに、日本経済を取り巻くグローバルな経済・金融情勢の動向も踏まえながら、バランスよく総合的に評価していきたいと考えています。』

と、まあ一応入れていますわな。

『次にリスクバランスについてですが、前回の会合では、不確実性は高いものの、わが国経済に関するリスクバランスは概ねバランスしていると判断しました。今回も、前回会合以降に公表された各種の経済指標やデータ、企業からのヒアリング情報を丹念に点検した結果、前回までの判断を大きく変える材料はないと判断しました。ただ、様々な動きが生じているだけに、注意深く点検していく必要があるという認識でした。』

という言い方を見ますと、何かまあリスク認識に関しても意見が割れているのではないかと見ましたがどうでしょうかね。で、ぶつ切りしながら引用しますが。

『前回会合との比較で言いますと、国際金融資本市場では、市場が最も注目していた欧州金融機関のストレステストの結果公表などを受けて、ひとまず落ち着きを取り戻す方向に好転しています。もっとも、一部欧州諸国のソブリン問題などを背景に、依然として不安定な状況が続いていることに変わりはありません。また、為替市場では、米国経済の先行きを巡る不透明感を意識した動きがみられています。こうした動きが実体経済に与える影響については、引き続き、十分に注意する必要があると思っています。』

為替市場に関して「円高」といわないで「米国経済の先行きを巡る不透明感を意識した動き」というのが実にチャーミングでありまして(^^)、つまり「円高対策で金融政策を出せと言われましても、そもそも足元での為替市場は米国のせいですのでそう簡単にホイホイと為替対策とかできませんのよオッホッホ」という事を言外に示している訳ですな、って解釈がひねり過ぎですかそうですか。

んでもって更にリスクバランスに関して。

『前回も申し上げたことですが、リスクバランスの評価の仕方は、従来以上に難しくなってきていると思います。上振れ要因、下振れ要因を挙げて、どちらが勝るかという捉え方だけでは、わが国経済が直面しているリスクを必ずしも適切に捉え切れないと考えています。』

ということで禅問答が始まります。

『2つだけ例を挙げたいと思います。』

『高い伸びを続けてきた中国向けの輸出の増加テンポは、中国における一連の措置の効果もあって、足許では幾分鈍化しています。これは短期的には下振れリスクと分類されるわけですが、これまでのような高い伸びを続けるほど、その後の反動減が大きくなることを考えると、景気拡大の持続性という、より長期的な観点からは、むしろこれはプラスに評価されるべきかもしれません。』

『また、現在は、大きく整理すると、先進国は景気の下振れリスク、新興国は上振れリスクが意識されているわけですが、その場合、先進国における金融緩和の長期化予想、あるいは先進国における景気の下振れの可能性を意識した新興国の金融緩和修正の遅れが、新興国への一層の資本流入を促進し、これが新興国の上振れをもたらす可能性もあります。つまり、先進国の下振れが新興国の上振れをもたらすかもしれないという側面もあります。』

まあ確かに仰りたいことは分からんでもないですし、世の中そんなに単純な話で割り切れるものではないですよということなのでしょうが、これはまた禅問答の世界に入っているような希ガス。

『そういう意味で、私どもとしては、経済・金融がグローバル化しているもとでは、新興国、先進国に関する上下のリスク要因は複雑に絡み合っており、リスクが顕現化する経路も一様ではなくなってきていると思っています。日本銀行としては、こうした点も念頭に置きながら、わが国経済を巡るリスクとその影響をしっかりと点検していく必要があると考えています。』

ということでだいぶ煙に巻かれた挙句に追加緩和に関する話は華麗にスルーされたでござるの巻だったりします。


○更に円高に関して

円高に関してはその後もいくつか質疑応答があったので、まとめて引用するだよ。

・前回の円高と比べて環境が違いますがなという件

『昨年12月頃に円高局面がありましたが、その後8か月程度経った現在を当時と比較してみると、先程申し上げたグローバル経済あるいは金融環境、企業収益それぞれの面で変化があることも事実です。企業収益の水準はかなり上がっています。金融環境も当時はまだ厳しい評価でしたが、これも随分改善してきたと思います。それから、先進国の景気についても、色々なリスク要因はありますが、当時に比べると回復してきています。円高がマインドの下振れ要因であることを十分認識しつつ、一方でバランスよくみていく必要があります。』

まあこれは先般の山口副総裁の会見でも指摘されていましたよね。


・為替を直接ターゲットにはしませんがなという件

『今、正確に山口副総裁の発言を逐語的に記憶しているわけではありませんが、先進国の中で、為替相場の水準自体を金融政策のターゲットにしているという中央銀行はないと思います。日本銀行に限らず、先進国のどの中央銀行もそうですが、景気・物価情勢に影響を与える様々な要因を点検して金融政策を運営しています。その意味で、為替の水準や動向は、景気動向に影響を与える1つの要因ですが、そこから金融政策が直ちに決まってくるものではない、という点では山口副総裁と同じ意見です。』

えーっとスイスは・・・・(いやまあ為替介入はしましたけれども、別にカレンシーボードを目指している訳ではないので為替ターゲットではない、といえばそれはそうなのですが)


・円高に関しての議論が進んでいる件

『為替については、本日の決定会合で、随分時間を割いて議論を行いました。為替相場が足許円高方向で推移していることが、企業マインドを含めて日本経済にどういう影響を与えるのかは、私どもにとっても大事な点検ポイントなので、十分な時間をかけて議論を行いました。』

まあ意見が分かれているんでしょうな。というのは把握した。


・なんで円高になっているのかという質問に対して

『大きな流れとして市場でどのようなことが言われてきたかを、リーマンショック以降の円相場の動きでみると、2 つのことが言えると思います。』

『1つは、グローバルな投資家のリスクテイク能力や意欲が低下すると、相対的に安全だと思われている通貨である円に対する需要が高まるという動きです。』

『もう1つは、円の金利水準が非常に低いため円をファンディングカレンシー(資金調達通貨)とし、相対的に高金利の通貨の資産で運用するといういわゆるキャリートレードがあり、グローバル投資家のリスク認識が高まると、リスクがあるこのキャリートレードのポジションを巻き戻すため、円安から円高の方向になるという動きです。』

『この2つのことが、折々に、市場ではコメントされてきたわけです。私どもとしては、様々な可能性を念頭に置きながら、円相場の動きを注意深くみていく、その影響を捉えていく必要があると考えています。』

ということで、この文脈で言えば「日本が単独で金融政策を打って円高阻止と言いましても中々難しいのですよ」と言ってるように見えますなあ。うんうん。


○リスク認識に関して意見が割れているのでしょうなあ

リスク認識に関して委員間にバラツキがあったのかという質問に対して。

『そう申し上げた上で、景気・物価に関する足許から将来にかけての認識については、委員の間で、ニュアンスの差はもちろんあります。そういう意味で、私が記者会見で申し上げることはコンセンサスと考える内容を整理したものです。先程私が申し上げた整理に、政策委員会のメンバーが大きな違和感を感じることは、多分ないと思います。いずれにせよ、詳しくは、議事要旨や今後の様々な講演等で確認して頂きたいと思います。』

ということは意見のバラツキがあったんでしょうなあと思うあたくしなのでした(^^)。


○例の公開討論会に関して

会見で質問があったんですね(諸事情により一昨日はあまり会見報道を見ておりませんでしたもんで・・・・)、ふーん。

『また、2 番目のご質問である公開討論についてですが、私宛に次回の金融政策決定会合までに公開討論会を設定するようご要望を頂いております。』

『日本銀行としては、これまで日本銀行法に則って国会に対する説明責任を果たすべく最大限の努力を尽くしてまいりました。日本銀行法第54 条に基づく国会報告――いわゆる半期報告――を行い、その審議に十分な時間を頂いているほか、随時、国会の関係委員会からの求めに応じて、政策運営等に関する説明に努めています。私としても、国権の最高機関である国会という公開の場で、政策運営等について説明することは大変重要なことだと考えており、国会に対する説明責任を果たす努力を続けてきました。今後とも、国会からの求めに応じて、私どもの考え方を丁寧かつ明確に説明することをもって、しっかりと説明責任を果たしていきたいと考えています。』

まあこうなりますわな。だいたいからして「公開討論会」と銘打ったって所詮は私的な場所での私的な物でありますし、お前ら国会議員なんだから国会でやればいいじゃないかと思うのですよ。要するに本件って「そもそも日銀が組織として公開討論のようなものを受けられない」というのを判った上でわざと申し入れを行って「日銀が我々の主張に聞く耳すら持たないとはケシカラン」とか「日銀は逃げた」とか言いがかりを付ける為の口実みたいなもんで、どこの(自主規制)だという感じですが、まあスタンドプレーに過ぎないとしか評価の仕様がございませんわな。

昨日も申し上げましたが、必要ならば財務金融委員会(参議院の場合は財政金融委員会)なり予算委員会なりに呼び出して討論をすればよいだけの話ですわな。

#と言うわけで月報ネタが後回しになってしまってサーセン











2010/08/11

お題「決定会合とかFOMCとか」

ついに5年債利回りまで持ち出して為替の説明するとかモーサテのコメンテーター恐るべしなのですが、そもそもデフレ懸念とか言ってる国の通貨が何で「金利低下で売り」という話になるのか百万回考えてもさっぱり分からないのですけれども。デフレって「通貨の相対価値の増加」じゃないのかと小一時間問い詰めたいのだが・・・・

○まあ予想通りですが殆ど変化無い中でヘッジクローズがひっそりと

毎度の声明文比較で恐縮ですが。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k100810.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k100715.pdf(前回)

小見出しに書きましたように、まあ今回に関しては、予想通りだが何というサービス精神が無いというか雰囲気読まないというかという感じですわな。いやまあ日銀は元々「景気回復はスローで今年の夏ごろに一旦回復ペースが減速する」という見通しだったので足元の状況も普通に予想通りですよ、と言われればまあその通りですねとしか申し上げようが無いのですけれども、やはりまあ白川総裁様がもうちょっと景気の悪い話をしてくれりゃ良いのにとは思うのでありますけどねえ。

ということで比較なのですが、これがまた前回と同じなので比較もへったくれも無いのですけれども引用をば。

・現状認識は前回と同じ

『わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。』(今回)

という所から始まるわけですが、前回と同じのオンパレードなので前回分の引用はしないのだ。

『すなわち、新興国経済の高成長や世界的な情報関連財需要の拡大などを背景に、輸出や生産は増加を続けている。設備投資は持ち直しに転じつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。そうしたもとで、個人消費は持ち直し基調を続けている。公共投資は減少している。この間、金融環境をみると、緩和方向の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(今回)

前回との比較ですが、短観を受けた業況感に関する部分が今回抜けていますが、これは短観発表直後に出る声明文の仕様ですので、結論から言えば今回は前回と全く同じという素敵な展開。


・先行き見通しはもっと見事に前回と同じ

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、回復傾向を辿るとみられる。物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小していくと考えられる。』(今回)

全部文言が同じなのでこれまた前回分を引用せずと(^^)。


・リスク要因に微妙なヘッジクローズが入っています(^^)

ここが中々チャーミング。

『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の更なる強まりなど上振れ要因がある。一方で、国際金融面での動きなど下振れリスクもある。』(今回)

というのは前回と同じですが、その先に微妙なヘッジクローズが。

『この点、一部欧州諸国における財政・金融状況を巡る動きなどが、国際金融資本市場の動きを通じて内外の経済に与える影響に注意する必要がある。』(今回)

『この点、一部欧州諸国における財政・金融状況を巡る動きが、国際金融や世界経済に与える影響に注意する必要がある。』(前回)

まずですな、ここの「など」というのがとてもチャーミングなヘッジクローズな訳でして(^^)、まあ資料作るときの困った時には「等」を入れてお茶を濁すのは読者の皆様におかれましても基本的な技として使っておられるものと存じますけれども(^^)、まあそういう事ですわな。

それからですね、「国際金融資本市場の動きを通じて内外の経済に与える影響」と言う文言ですが、これはまあ要するに「円高が国内の経済に与える影響」というのを露骨に言いたくないのだけれども、一応円高がどうのこうのといわれた場合にヘッジを打っているという解釈になるかなあと思います。あともう一つの可能性としては、円高に関する懸念が政策委員会の全員に共有されている訳ではなく、現値の状況を既に大きく懸念している人と、そうじゃなくてまだ様子見でええんちゃうのという人との温度差があるので、その辺を折衷して上記のような表現になったとも言えそうですな。

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)

こちらは前回と同じです。


・例の決意表明みたいな部分も変化なし

『日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。そのために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。』(今回)

まあこれは変化ないわな。


ということで、まー下振れリスクの所で何となく為替に触れたような触れないようなという所がチャーミングですが、何も変化なしで来やがりましたなあというのが白川日銀らしくて中々な味わいでございまする。



○なんじゃこの要請は??

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16712320100810
渡辺喜美氏ら3議員、日銀に早急な公開討論を要請
2010年 08月 10日 15:11 JST

『[東京 10日 ロイター]日銀が現状の金融政策を維持することを決めたことをめぐり、中川秀直、山本幸三、渡辺喜美衆議院議員は10日、3氏の連名で、日銀の白川方明総裁に対し、早急に公開討論会を設定するよう求める文書を送付した。』

中川秀直先生と言えば幹事長やって選挙して大敗したのを日銀のせいだと主張するという大変に素敵な方として著名なのですが、公開討論とかいうような訳分からん私的な場所じゃなくて国会の閉会中審議で呼べばよいのではないかというか、そもそも9月になったら国会始まるでしょと思う次第で、またスタンドプレーですかそうですかという所ですな。というか中川先生と山本先生はみんなの党に逝けば宜しいのではないかと思いますけど、って小選挙区で負けて比例復活した先生と小選挙区公認争いに負けて比例単独当選の先生だから離党できませんねあっはっは。

という悪態は兎も角として。

『氏は、文書を通じて「物価上昇率は依然としてマイナスのままであり、デフレ脱却の気配はみえない。こうした状況を打開するためには、CPI上昇率2%程度の物価安定目標を設定し、その達成のために20兆円規模の量的緩和が必要」と主張している。』

2%の物価安定目標はまあ良いと思うのですが、具体案の「20兆円規模の量的緩和」って何ですかそれ????という感じでございます。いやね、この先生方のお話って理屈の面ではそらまあそういう考え方もありますわなと思うのですけれども、具体的にじゃあ何をするのよという話に落とし込む時点で話がグダグダになるのが仕様で、実装技術の無いメーカーみたいなもんだなあといつも思うのでありますよ。

で、20兆円の量的緩和って具体的に何なのかさっぱり分かりませんけれども・・・

国債を20兆円一発(まあ1年くらい掛けるのでしょうが)追加で買うというのがまあ従来の山本先生あたりの主張と整合的だと思うのですが、現状の金利水準&運用難で死にそうな状態になっている中で長期国債20兆円買われましてもただの民業圧迫じゃねえのという所ですし(^^)、長期金利の方は勝手に下がっているので何を今更という感じですよね。

で、もしかしてみんなの党で日銀法改正がどうのこうのとか言ってるときに出てた「中小企業債権を20兆円買入」を「20兆円の量的緩和」と言ってるのであれば、逆に山本先生の従来の主張と整合性あるんかいな(山本先生は基本的にマネタリーの話で攻めているのでそれはそれで主張に整合性があるのよね)という感が思いっきりするのでありまして、それってそもそも財政政策の世界の話でありまして、金融政策でも量的緩和でもなんでもない話でしょ、ということになりますわな。

中小企業債権を20兆円吸い上げられても、そもそも貸出先が無くて困っている状態なのであって、吸い上げて入ってきた資金は結局国債でも買いますかという悲しい状態になるだけであって、これまた貸出が伸びなくて困っている金融機関の民業圧迫になるだけではないかと存じますがねえ。いやまあ不良債権を20兆円(当然ながら額面で)お買い上げになられるのであればそれはもう銀行ウハウハ不良債務者ウハウハでございますが、それは財政に20兆円穴が開くだけの話でございますけれども、その辺に関して渡辺喜美先生におかれましてはどのようにお考えなのか小一時間問い詰めたいところでございますな。



○最初の買入時に「量的緩和ではない」と言ってた筈なのですが・・・・・(FOMC)

正直こっちのほうが注目ネタ扱いだった人挙手しなさい(^^)/~

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100810a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100623a.htm(前回)

例によって寝起きで読んだだけなので読み間違いあったら勘弁。

・景気の現状認識部分

まずは第1パラグラフから。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in June indicates that the pace of recovery in output and employment has slowed in recent months. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in April suggests that the economic recovery is proceeding and that the labor market is improving gradually.』(前回)

まず、景気の回復に関するproceedingというのが抜け(これは後で出てきますが、この部分も下方修正されています)まして、労働市場の改善に関して下方修正しているのが何と言ってもでかく、掴みにこの文言を持ってくるのがFOMCのワーディングのテクニックだなあと思うのです。あと生産も下方修正ですね。

『Household spending is increasing gradually, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. 』(今回)

家計に関連する部分は前回と同じなので前回分の引用は割愛します。

『Business spending on equipment and software is rising; however, investment in nonresidential structures continues to be weak and employers remain reluctant to add to payrolls. 』(今回)

『Business spending on equipment and software has risen significantly; however, investment in nonresidential structures continues to be weak and employers remain reluctant to add to payrolls. 』(前回)

大体同じなのですが、significantlyが抜けているけれども、is risingだからそんなに下げてはいないという事になるのかな、よー知らんが。

『Housing starts remain at a depressed level.』(今回)

住宅着工は前回と文言同じです。


『Bank lending has continued to contract. 』(今回)
『Financial conditions have become less supportive of economic growth on balance, largely reflecting developments abroad. 』(前回)

金融環境についての表現に変化がありまして、前回は海外の状況を受けて金融環境が景気をサポートする力が弱まったという話をしていましたが、今回は単純に「銀行貸出は引き続き調整局面」という話だけのあっさり味に変化しています。

『Nonetheless, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be more modest in the near term than had been anticipated.』(今回)

『Nonetheless, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be moderate for a time.』(前回)

ということで、前回は「景気回復のペースは当面緩やかになるでしょう」という書き方だったのが、今回は「足元での景気回復のペースは想定よりも緩やかになっています」という書き方になっていまして、冒頭の部分での景気回復がどうのこうのという話が今回見方を変化させてますなという所です。

ということで景気認識は下げていますが、基本的には「回復のペースが弱まった」という話でして、回復は回復ですけれども時間が掛かりますなあという話になっているのでしょう。


・インフレに関して

『Measures of underlying inflation have trended lower in recent quarters and, with substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time. 』(今回)

『Prices of energy and other commodities have declined somewhat in recent months, and underlying inflation has trended lower. With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time. 』(前回)

With substantial resource slack以降の部分には変化が無いですから先行き見通しはいつもの決め台詞なのですけれども、現状に関しては従来は何かの一時的要因チックなものを持ち出していたのが今回はその部分が抜けているのは「ふ〜ん」という感じです。


・いつもの文言には変化なし

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

変化ありませんなあ。


・で、MBS償還分を長期国債買うという話ですが

『To help support the economic recovery in a context of price stability, the Committee will keep constant the Federal Reserve's holdings of securities at their current level by reinvesting principal payments from agency debt and agency mortgage-backed securities in longer-term Treasury securities.』

『1. The Open Market Desk will issue a technical note shortly after the statement providing operational details on how it will carry out these transactions.』

MBSの償還で戻ってきた資金分長期国債を買うという話ですが、これを追加緩和とか言われましてもそれはちょっと違うんでネーノというところでして、単にこれは「出口政策に向けてMBS償還分をそのまま放置してFEDのバランスシート縮小するというのを一旦止めますよ」というお話ではないかと。

いやまあ従来市場が想定していた出口が遅れるのだからそれは緩和ですと言ってしまえば市場的に言えば緩和ちゃあ緩和なのかもしれませんけれども、別に実体に変化がある訳でもなく、そもそもこれって市場買入だったらそれなりに影響あるかも知れないですけれども、従来の流れだと償還乗換になるだけのような気がするんで、それはまあその分国債の市中消化が減るから意味はありますけれども、そんなに意味のある話なのかねという気は思いっきりします。


ただまあ実態はともあれ、景気認識を下げたというのと、出口政策を後ずれさせたという意味において意味はある訳でして、まあ綺麗に言えば象徴的な意味合いでのアナウンス効果が大きい政策ともいえますし、意地の悪い言い方をすれば「福井の俊ちゃんスキーム発動!!」という所でもあります。

『The Committee will continue to roll over the Federal Reserve's holdings of Treasury securities as they mature. 』(今回)

保有長期国債の償還乗り換えなんてこんなの昔からやってることで、わざわざ言う事でもないのですが、こういうのもわざわざアナウンスするのが俊ちゃんスキーム発動だなと思うのであります。


しかし何ですな、元々おまいら資産買入を行うときに「我々の実施しているのは量的緩和ではない」、「バランスシートの負債サイドに注目した政策ではなく、資産サイドに注目した政策である」とか言って、しかも最近だって「バランスシートの量が物価に与える影響に関しては不透明な部分がある」みたいな話をしてた筈なのにいきなり前言を撤回もしないで急に量的緩和っぽい言い方(実際は償還分の買入をするだけなので緩和が拡大される訳ではない)をしだすというビューテホーなロジック崩壊振りに関してはマーヴィンキングBOE総裁様の見解をお伺いしたいところでございますわな、という所でして、この辺りの政策ロジックだの政策効果だのに関する分析をさせられるFEDのスタッフの皆様に置かれましてはご苦労様という所でしょうかねえ。どうロジックの整合性を取るんだか・・・・・

以下の部分に関しては時間と量の都合上引用だけです。ホーニッグさんは今回も華麗に反対していまして、当然ながらfor an extended periodにも反対してますが、今回はMBSの償還分でトレジャリー買う件も反対しています。

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to promote economic recovery and price stability. 』(今回ですが前回と同じです)

『Voting against the policy was Thomas M. Hoenig, who judges that the economy is recovering modestly, as projected. Accordingly, he believed that continuing to express the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted and limits the Committee's ability to adjust policy when needed. In addition, given economic and financial conditions, Mr. Hoenig did not believe that keeping constant the size of the Federal Reserve's holdings of longer-term securities at their current level was required to support a return to the Committee's policy objectives. 』(今回)

ということで引用大会で恐縮でした。








2010/08/10

お題「日銀決定会合プレビューという名の雑談」

今日もまた雑談で恐縮至極です。なお先週の相場レビューはそのうちこっそりとアップする予定です(今更先週の10年0.995%の話を書いてもねえ)。

○日銀の追加緩和観測は直ぐにという話では無いでしょうが・・・

今日まで金融政策決定会合が実施される訳ですが、ま〜今日何かがあるというのは考えにくいでしょう。特に株価が厳しい状況にあるという訳でもなく、まあ円高は気になるところであってもまだ勢い的にどんどん円高になるという事でも無いでしょうし、そもそも今日日銀が円高対策で動いてもFOMCで何かやらかしてくれるとその分が全部相殺されてしまう可能性がありますから、折角何かやっても見事に無駄玉打ちになるリスクありと言ったところで中々やりにくいですわな。

というテクニカルな面もありますけれども、ここもとの山口副総裁や亀崎審議委員の講演などにありますように、円高の影響に関しては足元での景気回復が進んでいる分だけ影響が弱いという説明(その説明でいいのかという点はここでは措く)をしていまして、いきなりここで円高対策で金融政策(というのは表向きには行いませんが、昨年12月の新型オペなんかは明らかに為替向け対策の香りがプンプンする訳でして)を打つとは思えませんわな。宮尾審議委員が3日の朝日新聞インタビューで円高の持続的継続に関して日本景気に与える影響を懸念する旨の発言をしたようですが、足元の状態はまだ持続的継続じゃないとでも言うのでしょうなあと思われる次第でありまして、まあ直ぐに追加緩和がどうのこうのというのはちょっとねえという感じです。


一方で昨日も2年債の引値が5糸強くなって0.135%なんぞになってやがりまして、そのレートってしばらく前の1年ゾーンの金利とあんまり変わらない(もともと1年と2年の金利ってそんなに変わらんじゃろという意見はあると思いますが、ミクロの世界でやっているので1bpか2bpかというのは大きい話なのよね、とほほのほ)のでありまして、足元で2年以内の部分ってレートが只で無くさえ潰れているのですが、更に潰れているという流れでして、そこだけ見ると何か追加緩和を織り込みに行く動きにも見える所がオソロシス。

ただまあこの辺の金利が低下したのって米国追加緩和観測ネタが出た先月末辺りからですけれども、その間に金先って最初に3月限で99.70越えまで上昇したのですが、その後は微妙に頭打ちとなっていたりしまして、本気の本気で追加緩和を見ているという感じでも無かったりする訳です。では何でキャッシュの方は買い優勢なのかという点を考察しますと、間違って追加緩和が実施された場合に足元金利が下げられるとエライコッチャになるという事を勘案した動きという所で、思惑と言うよりは一種のヘッジのような動きという事でしょう。つまり1年とか2年とかいう時間で見た場合に、政策金利が上昇するという可能性は極めて低く(2年だったらもしかするともしかするかもしれませんけど、と思いたいですが・・・)まあ現値で買っても負けは限定的、勝ちは殆ど無いに等しいのですが、間違って利下げされた場合にうっかり短いものばかり買っていると再投資の際に死亡確定となりますから、まあ勝ちはしないけどヘッジしておくか、という発想になるんジャマイカと思われます。よー知らんがの。

つーことで、長いところは別として足元から1年とかの短いスパンでやっている人たち的には「間違って利下げされたときのヘッジ」的な買いがキャッシュに入る一方で、金先ちゃんの方はそこまで思惑を盛り上げるほどの自信も無いので特に大盛り上がりをする訳でもなく、という所なんでしょうなあというのが足元の状況ではないかと愚考します。


○何かあるとすれば何でしょうかねえ

正直申し上げましてここもとの金融緩和ネタに関しては理屈に関してはもう何か後付けで無理無理でっち上げている感はする(別にそれは日銀だけではなくて米国とかもそうなのですが)ので、そーゆー意味であまりロジカルに考えても仕方ないのでありますけれども(でも成長基盤強化貸出に関しては後付けで思いっきり堅牢な理屈が出来上がっているのが日銀恐るべしという所ではございます^^)、まあ一応頭の整理に愚考してみます。

基本的には追加緩和のようなものを実施するとして、今更金利を下げるというのもあまり余地の無いところですし、それこそ玉の出し尽し感が出ちゃうとマズーな所でもありますので、ただ金利を下げるというものではなく、為替市場やら株式市場への働きかけをするようなネタにしないとこれまた玉の無駄打ちになりかね無いと思われます。

とまあそんなことをつらつら考えますと本当は輪番拡大が一番金利市場的には微害有益ではないかって思うのですが、単なる長期の資金供給オペレーションである筈の輪番オペが何か知らんがやたらと意味のあるものという扱いのままになっているのが微妙にハードル高い所ですし、ここもとの輪番拡大って政府とタイアップ(は名目上はしてませんが、何となくそういう雰囲気を出していました)してやっていたと言うのもありますので、何か日銀単独で輪番拡大だけしても無駄玉の悪寒が。

後は新型オペの手直し(期間を6か月にするとかですわな、額の拡大はこれ以上は物理的に無理)をするというのもネタとしては有りだと思いますし、短期金融市場的には小害無益程度(固定オペの足を長くするとその分オファーの頻度が減るので実は使いにくくなるという面もあるのよ)の効果になるかとは思いますが、それで為替や株が反応してくれればウハウハという所でしょうか、よく分からんが。

一連の流れの継続という話で言えば成長基盤強化貸出施策の充実を行うということになるのかもしれませんが、何をやると目くらましになるのか良く分からん。金利市場的には特に影響なかろうという感じで。

となりますと、やはりまあ金利をいじるのか時間軸のコミットメントを明確化するのかという話になるのが普通の想像になると思う次第でして、金利下げるなら現在のディレクティブを0-10bpという形にしてコールレートの低下を容認するのか、それとも思いっきり0.05%に下げるという明確な形にするのかという所でしょうか。時間軸の場合はまたCPIコミットメントを入れるとして、今回は「安定してゼロ以上」という表現にもうちょっと色を付けるかどうかという所になるんじゃないっすかねえ。

で、その中で一番日銀的に痛くないのは実はコールレートの低下容認あるいは5bpの利下げというリスクを短期市場関係者の皆様におかれましては感じているので、先ほど申し上げたようなヘッジ的なキャッシュの買いが入る、という所なのではないかと思います。


#ダラダラと雑談ばかりでどうもすいません。まだPCに慣れてないもんで・・・






2010/08/09

お題「久々ですのでFOMCプレビュー雑談で勘弁」

何かあたくしのお休みモードの間に素敵な相場になっておりまして、そのときのレビューとか、ネタが微妙に溜まっている件とかを成敗していかないといけませんです、どうもサーセン。

#と言いつつちょっとエンジンの掛かりが悪いので今日は簡単雑感で

○急に緩和期待が来たので

あたくしが書き物をお休みしている隙に米国での追加緩和期待が来ている訳ですが、それに関してあれこれと雑感を。

まあ元々は米国景気が各種財政措置の剥落から足踏み傾向になって来たというのがベースにあって、やたらそれまで明るい景気回復期待だった雨公の皆様が今度は急に二番底だの何だのと訳の分からんことを言い出してっつーのがあるのでしょうが、まあ足元で火がついたのはブラードセントルイス連銀総裁のペーパーとWSJの「FRBがMBSの償還分で国債購入を検討云々」という記事が後押しした感じだと思われますが、まあ盛り上がって参りましたという所ではございまする。

いやまあWSJがどこからどこまで状況を把握して書いているのかは全く存じませんですけれども、本当にそのあたりを真剣に(思考実験として検討するのはそらまあ少数意見だってあるのですから普通にあるでしょう)検討しているというのですと、おめーら6月のFOMCでは(先般書き物のネタにしたと思うのですけれども)FEDのバランスシートの縮小に関してああでもないこうでもないと冒頭で思いっきり議論していた訳で、それから2か月も経たないうちにいきなり量的緩和の話になってくるのかよ(ちなみにその時のFOMCではMBSを売却して国債を買うことによってバランスシートをトレジャリーのみにしていく事も検討課題という意見を出している人も居たほどで)という事はあたしゃ思うのですよね。


○追加緩和するのはいいけど理屈は相当苦しい

つまりですな、量的緩和みたいな事を行うということになりますと、では6月FOMC以降の動きの中で6月時点での議論を根本から覆すような話があったんですかという点が突っ込みどころになると思うのですけれども、経済指標そのものにそんなに悲惨なものが出た訳でもなく、経済に対する下方ショックの話が出てきた訳でもなくという状況であって、そこでいきなりちゃぶ台をひっくり返すような事が出来るのかねえというのが最初のハードルな訳ですよ。

でですな、その上にハードルがある訳でして、そもそも資産買入プログラムを再開という話になった場合、従来のロジックとの整合性を問われるんジャマイカというところがある訳ですわな。つまり、MBS買入の効果として挙げられていたのは「金利及びスプレッドの引き下げを通じて民間金融環境の改善を促す」というものでありますが、現状での金利水準、スプレッド共に別に問題があるわけでも無く、ここからもう一段下げる理由が見当たらないでしょというのがありますわな。更に言えば、国債の買入に関してはその量的な効果については現状では評価を避けている訳でして、少なくとも最初の時点における「金利引下によって民間金融環境の改善を」という言い方(このときはMBSとのセットでもあったので下げる金利が国債なのかMBSなのかというのが微妙というか敢えて曖昧にしてたのでしょうが)というのは国債に関しては評価を避けています(実際に国債金利上昇しちゃったし)わな。

と言うわけで金利下げルートでの説明での資産買入復活というのはロジックがかなり苦しいのですが、ではバランスシートを拡大する系の量的緩和的な話ではどうよという事ですが、これがまた話がややこしい事に「足元では連銀のバランスシート拡大がインフレ期待にそんなに効いておらず、それよりも経済のスラックや過剰生産力が中長期的なインフレを抑制している」という評価をここまでやって来ているので、これまた従来と違う話になってしまうんじゃネーノという所ではございまする。どうなっちゃうんでしょうなあ。

なお、その辺の話をブラード総裁がしているような気もせんでもないのですが、例のペーパーはまだ頭のほうしか読んでいない(大汗)なので教えて偉い人。


まあそれから言うまでもありませんが、市場機能不全の為の買入というルートでの説明はもっと無理がありますし、現在の0-25bpという金利ターゲットを下げる件に関しては「金利をあまりにも下げると短期金融市場の機能が阻害される」という話をバーナンキ先生がご丁寧にもしていたようですので、利下げというのもちとロジック的に難しいですわな。


○でもって米国はどうするんでしょ

などということをつらつらと考えますと、もし何かやるとすればガイダンスの文言における例の「for an extended period」をどないかするという話でなんとなく時間軸を強化というそれはどこの日銀ですかとゆー方式が今までFRBの中心的なロジックとして組み上げた絵との整合性的には一番有力(なのですけれどもブラードさんは反対みたいな気がする)じゃネーノとは思います。

ただまあガイダンス文言変更に関しても、それならば現在のFOMCにおける景気認識との整合性というのが出てくるわけでして、そんなに思いっきり景気認識を下げる程のネタってあったっけ(まあ雇用統計は一応あったけど)という話は先ほどと同様に物凄い勢いでするのでありまして、もしやるならガイダンス文言変更だとは思うのですけれども、正直理屈的にどうよというのはありまする。

そう考えますとFRB的には毎度お馴染みの「追加緩和のやるやる詐欺」で引っ張りながら何となくドル安にして、ついでに低金利と株高も共存させるというのが本命ではないかと思うのですよね。バーナンキさんはそう考えているのではないかと勝手に想像しておりますが、それが上手く行くかどうかは知らん。

良く良く考えてみると、国債の買入を行った時だってその前から延々と国債買入やるやる詐欺で引っ張りまくっていたのですが、このときは不良債権処理プログラムをどうするだの何だのという問題やらAIGへの公的資金注入がどうのこうのだのというような状態で(ちなみにこの頃のダウは7000ドルとか)しかもガイトナーさんが立往生状態になっていてしょーもないという流れの中でのヤケクソ実施だった訳でして、じゃあ今回そこまでヤケクソになる程の状況でしたっけという考察はあって然るべきだとは思うのですよねえ。

などとFOMC前に勝手な雑感を書きましたです。先週の相場レビューとか決定会合プレビューとか連銀の人たちの発言フォローとかは追々やりますです、はい。


2010/08/02〜2010/08/06はお休みです。