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2011/01/31

お題「コチャラコタ総裁講演ネタ続き:タカかハトかとは区別しにくいですね」

まあ予想通りですが格下げを受けても債券は売られませんでしたなあ。超長期が弱かったのがちょっとだけ「らしい」展開ではございましたが。

んじゃまあ先週末に予告していたコチャラコタ総裁の講演ネタ続きを。

http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=4607
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/kocherlakota_speech_01112011.pdf
『It’s a Wonderful Fed』

○FEDの対応は「貸出」と「金利の引き下げ」に分類されるというお話

つーことで後半の『The Fed’s Responses and Their Benefits』であります。

『The Federal Reserve responded to the Great Recession and the associated financial crisis in a number of ways. These responses fall roughly into two classes.』

FEDの金融危機対応はラフに言えば二つの種類に分類されますよと。

『First, the Fed engaged in a vast amount of lending to firms believed to be in sound condition. It lent through conventional vehicles like the discount window and swaps with foreign central banks. But it also lent through relatively unconventional vehicles like the Term Asset-Backed Securities Loan Facility. I’ll briefly discuss how this lending is distinct from the Fed’s injection of funds into obviously nonsolvent institutions like AIG.』

最初の対応は「貸出」ですが、その貸出というのはAIGへの融資とは別物の方の「貸出」でありまして、金融パニックで「健全だけど流動性不足」な金融機関に従来型の貸出(ディスカウントウィンドウとか)や新設した各種貸出ファシリティを使って実施した貸出の事でして、まあざっくりと言えば「信用緩和(CE)」ですわな。

『Second, the Fed lowered the real interest rate facing borrowers and lenders.』

2番目は「実質金利の引き下げ」 であります。ということで「名目金利」ではなく「実質金利」の下げを強調しているのは読んでいて非常に腑に落ちる整理であります。でもって「実質金利」の説明。

『Here, I should clarify some terminology. By the term “real interest rate,” I’m referring to the interest rate received by lenders net of inflation. Thus, if the interest rate on the loan is 5 percent and lenders expect inflation to be around 2 percent, the real interest rate is roughly 3 percent. Economists generally think that the real interest rate, not the nominal interest rate, matters for economic decision-making.』

ということで、実質金利=名目金利−期待インフレ率という説明をしてまして、名目よりも実質の方が経済活動の決定に対して重要と経済学者は考えますとな。

『Early in the recession, the Fed lowered its target for the fed funds rate. Given that inflation expectations remained stable, this action served to lower the real interest rate. By early 2009, when the fed funds target essentially reached its lower bound, the Fed used large-scale asset purchases to achieve further reductions in the real interest rate.』

つまりこの部分がポイントになる訳でして、インフレ期待が安定する中ではFF金利を下げれば実質金利も下がるのですが、FF金利がゼロ金利制約に引っ掛かってしまったので、FEDは大規模な資産購入プログラムを実施することによって「実質」金利を下げる事になった、という事でして、つまり「QEは期待インフレに働き掛ける政策である」という説明でして、この辺りは特に腑に落ちる所であります。

『I’ll first discuss the lending responses and then talk about the interest rate cuts. I’ll then discuss how I believe economic events would have unfolded had there been no Fed.』

ということでまずは貸出から。


○各種貸出ファシリティの狙いと効果について

『Lending』の所ですが、最初は金融危機の間に市場でどのようなことが起きて、それがどのような問題に繋がるかという説明が続きまして、まあ市場の中の皆様には先刻ご承知の助な話ですので引用は割愛しますが、CEとQEをごっちゃにしている人とかうっかりすると市場の中の何とかストみたいな人でもいる(素でやってる人と、自分の主張に都合の良いようにわざとやっている人がいる)ようですので、そういう人は読んだ方が良かろうかと存じます。まあ要するに流動性懸念によって健全な機関まで巻き込まれるプロセスの説明であります。

で、その問題を回避するために各種貸出を実施する訳ですが。

『I would say that most economists agree about how central banks should respond to financial panics. The crux of that agreed-upon response is that central banks have to be willing to lend freely to solvent firms, against a wide range of good collateral, at some kind of penalty rate.』

金融パニック時の中央銀行の対応は「支払能力のある機関に」「幅広い種類の優良な担保を裏づけにして」「若干のペナルティー金利で」貸出を行うという事ですと。

『This policy is useful for two reasons.』

『First, it provides a source of funds to potential borrowers who are illiquid but nonetheless solvent.』

『Second, it provides a floor to collateral valuation. Private lenders know that they can always use collateral seized from a defaulting borrower as a vehicle to borrow money from the central bank.』

『That baseline use serves to spur private lending.』

つまり、FEDの貸出プログラムは(1)流動性パニックによってファンディングが難しくなる健全な金融機関への貸出を行うことによって、(2)優良な担保の投売りなどによる資産価格のファンダメンタルズから乖離した暴落を防ぎ、流動性パニックの連鎖を防ぐ、ということです罠。

で、その為にこういうことをやりましたよ、という説明をしてまして、その結果としての効果をこのように説明しています。

『There is no doubt that these interventions saved many solvent firms from collapse during the financial crisis. Over time, panic eased and spreads in financial markets normalized. Once that happened, the private sector stopped borrowing from the Fed because it found the Fed’s penalty rates too onerous. As a result, the Fed was able to shut down its special lending facilities in 2010.』

ということで、CEによる各種貸出プログラムは金融市場のパニックが収まると共にスプレッドも縮小したので自動的にプログラム縮小の運びとなりましたという話ですな。

んでもってこの後は納税者に負担が出るかどうかみたいな論点と、AIGへの貸出についての話ですが、「金融パニック時には優良な担保のスプレッドが拡大しているので本源的なリスクは小さいですよ、いや勿論その計測が簡単な訳ではないですが」という説明になっています。で、その中でこの政策のゴールについて述べているので、その部分だけ引用。

『The goal of the central bank’s intervention is exactly to eliminate this panic-driven illiquidity.』

ということで、ここのコーナーでは「貸出を何億ドル実行したからどうした」というような定量的な説明は無く、定性的に『At their peak, the interventions made up more than a trillion dollars of Federal Reserve assets.』という説明が入っているだけでして、即ちCEでの目的は別にバランスシート拡大先にありきではない、という話ですわな。



○実質金利の引き下げについて

『Cutting Interest Rates』の所ですが、んじゃあ何で金利を下げるのかという話の中で「資産価格下落による家計や企業のバランスシート問題」に言及しておりまして、後で出てきますが、このバランスシート問題による景気抑制要因を実質金利の引き下げで軽減する、というロジック構成になっています。

『I’ve talked about how the fall in land prices generated a sharp increase in risk perceptions in financial markets, and how that in turn led to a financial crisis. I now want to turn to what I see as the second key effect of the fall in land prices.』

と、利下げの話のマクラに(引用してないけど)さっき説明した地価(と住宅価格)のバブル発生とその崩壊が金融パニックを引き起こした件を話しましたが、地価下落にはもう一つの宜しくない影響があると仰せでして、バランスシート問題が景気の押し下げ要因になるという説明をしています。

『This fall reduced the net worth of many households and firms.3 』
『3 Household net worth fell by over 25 percent from the second quarter of 2007 through the first quarter of 2009 (Fed Flow of Funds).』

ということで、この下落は家計や企業の「net worth」を引き下げる、ということで、企業や家計のバランスシートを毀損することによって、企業や家計の投資や消費行動を抑制し、物価の押し下げ要因になる、というお話です。

『They responded by forgoing consumption and investment projects. The fall in household demand for consumption and firm demand for investment led in turn to a fall in output and employment,4 and put downward pressure on the price level.』
『4 See Kocherlakota (2010) for a more extensive discussion of the relevant transmission mechanisms.』

詳しくはコチャラコタ総裁の昨年の講演でこの辺を詳しく説明しているようですな。


で、金利を下げた話と、金利が下げられないので資産の買い入れを実施しましたという説明であります。

『The FOMC reacted by lowering its target interest rate from 5.25 percent in August 2007 to a range of 0-25 basis points in December 2008. Since inflation expectations remained stable, the FOMC’s action has the effect of lowering the real interest rate facing households. Households respond by saving less and demanding more consumption. Similarly, firms undertake more investment projects. In this way, the FOMC can partially offset the impact on the economy of the loss of net worth.』

インフレ期待が安定している中でのFOMCの利下げは実質金利の引き下げに作用し、家計の消費を刺激したり、企業の投資行動を活発化させる事ができるので、FOMCは家計や企業のバランスシート調整圧力による経済に対するマイナスインパクトを一部軽減することが出来る、という説明ですわな。

『Lowering rates, of course, may lead to undesirable inflationary pressures within the economy. However, the recent path of inflation shows little evidence of such pressures. On a year-over-year basis, core PCE inflation was running about 2.5 percent in the fourth quarter of 2007. It is now down to about 1 percent.』

金利を引き下げる事によって、望ましくないインフレ圧力が発生する可能性があるという問題がありますが、現在はその圧力は発生していません、という話ですな。

『Indeed, given the ongoing deceleration in inflation and the high rate of unemployment, the FOMC would probably have liked to respond by cutting its target interest rate still further. The problem is that the target interest rate is essentially at zero and cannot go negative.』

ということで金利を下げつくしたので買い入れを実行しましたと。

『Instead, from December 2008 through March 2010, and again beginning in November 2010, the FOMC engaged in large-scale purchases of long-term Treasuries. The goal of these transactions is to lower long-term real interest rates and again offset the impact on the economy of the net worth shock.』

ということで、資産購入プログラムは「実質長期金利の引き下げを行い」「バランスシート調整(ちなみに、さっきからバランスシート調整と超意訳してますけど、net worthですので本当は企業や家計の富とか言うのですかね)が経済に与えるショックを更に軽減する」というのがその目的と効果という説明になっています。

『Thus, the fall in land prices triggered an increase in risk perceptions and a decrease in household net worth. The increase in risk led to a major financial crisis that has been cured, thanks in no little part to actions by the Federal Reserve. The decrease in net worth led to a major recession and ongoing slow recovery. The Federal Reserve’s reduction in interest rates has lessened the impact of the net worth shock.』

FOMCが何もしなかったら資産下落による経済のショックは更に大きくなっていたでしょう、という事でこの「金利引下げ」の部分を締めています。つまり、資産買入プログラムの効果として、期待インフレ率の引き上げとポートフォリオリバランス効果を重視している、というのが読み取れるのではないかと思います。


つまりですな、以下あたくしが勝手に想像するだけなのですけど、コチャラコタ総裁は(先日引用した分になりますが)労働市場の構造的な問題も懸念していますし、更にこの金利引下げに関する話の中ではバランスシート調整の経済に対する悪影響に言及ということで、まあ確かにコチャラコタ総裁の循環的な見通しはやや強めな所もあるのですが、ここら辺での説明は経済に対する構造的な問題を重視している印象がありますので、そーゆー事を考えますとあんまりタカ派にはなりそうな気はしませんね、と言う所です。

で、更にこの金融政策の部分は『George-Meet Clarence』というFEDが無かったらどうなっていたでしょう、というお題の話と、『Did the Fed Cause the Bubble?』という直近のバブル発生は誰のせいなのよ、というお題の話があるのですが、例によって時間が無くなったので、リクエストでもあればまた後日に。

#ということで今日も今日とて趣味の世界でどうもすいません









2011/01/28

お題「S&Pソブリン格下げネタ雑談」

昨日どどーんと出しをしたのでネタがNeeee!と思ったらネタが出るとは。

○市場が大して反応しねえじゃねえかああああああ

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aESPS8ykNmdc
S&P:日本の長期国債を「ダブルAマイナス」に格下げ(Update3)

何か引け後に気がつけば(おいおい)為替が動いてて債券先物が下がっておりやして「S&Pが日本国債格下げ」とかぬかしてやんの。んでまあ債券先物は139円75銭近辺から55銭近辺まで下がってドル円は82円20銭近辺から瞬間83円台になったのですが、その後は押し戻されて83円抜けるでも無くもさもさと推移と。

で、海外でどの位円安になって下さるのかと思って起きてみたら何のこたあねえドル円82円台後半じゃあ別に何も変わってねえじゃんよと誠に遺憾に存じます次第でありまする。

世界各国では格下げがどうのこうのとか財政リスクプレミアムがどうのこうのとか言っているのですが、本邦の市場の中の人たち(と言っても他の市場はよー知らんので債券市場ですが)は格下げのニュースを見て「何だこれだけしか円安にならないとかつまらん」とか言い出す有様でございまして(^^)、誠に不謹慎にも程がございます(棒読み)。ちなみに引け後は確か10年カレントが1.250%(引けの2.5甘)で出合ったのですけれども、そもそも昨日の場中に1.245/1.250の板までやっていましたので、まあ昨日の場中の安値というか寄り近辺まで戻した(というか謎のツイストスティープしてるので実は中期とか先物はそこまで押していない)だけですからねえ。

ところでですね、昨日紹介した白川総裁定例会見で「日本のソブリンCDSスプレッドの拡大」の質問をしていた人がいましたし、先般ではどこぞの経済新聞がネタにしてた(のがピークなのがお洒落なのですがそれは兎も角)りしていましたように、ここ暫くの間ってCDSのスプレッドに動意があったらしいのですが、このスプレッドの動きと今般の格下げ発表には当然ながら全く何の関係も無いものであると確信しておりますので念の為申し添えます(棒読み)。


○日経クイックのヘッドラインに悪意成分が強い件について(^^)

何かね、ブルームバーグニュースのヘッドラインを見てたら野田財務大臣が普通にコメントしているように見えたんですけどね。

JBN 17:35 *野田財務相:為替の動きについてはコメント控える
JBN 17:36 *野田財務相:財政規律を守るメッセージを出し市場の信認得たい
JBN 17:38 *野田財務相:新成長戦略の本格実施と財政規律を堅持した予算を提出
JBN 17:38 *野田財務相:年度内に来年度予算を成立させたい
(以上ブルームバーグニュースのヘッドラインから)

これがクイック(ちなみにデリバティブコメントではなくてNQNニュースの方です)のヘッドラインだとこうなるのよね。

17:45 <NQN>◇野田財務相、S&Pの格下げ「民間会社の評価、コメント控える」
(クイックのヘッドラインから)

・・・・コメント控えるってお前そりゃないだろと思っちゃいますよね(^^)。

で、すっかり有名になった菅首相の「そういうことに疎い」発言もここぞとばかりに報道してたのは日経クイックニュース。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381949EE0E5E2939F8DE0E5E2E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
菅首相、日本国債格下げに「そういうことに疎い」
(最後の部分を見ますと〔日経QUICKニュース〕と思いっきり書いてあります)

まあお遍路さんの日本語能力は勘弁して欲しいと思う訳で、「詳しい内容を確認してから改めてコメントします」とでも言えば良いのに「疎い」とかどうでも良い所で一言多いわけで、もうお前は永遠に黙ってろと思うのですが、わざわざこれをどどーんとニュースにする日経新聞及びクイックの悪意成分の強さに激しくワロタです。

#今朝7時の公共放送ニュースでもネタにされてやんの、あっはっは

もしかしてこれはトンチキ発言に見える不用意発言部分(まあその不用意発言をするお方は可及的速やかに永遠にお遍路の旅でもして頂きたく存じますが)をクローズアップする事によって更なる円安進行をさせていこうというNQN様の深慮遠謀なのであるのであれば大変に素晴らしいと存じますが、単にオモシロヘッドラインを打とうとしているだけだったらつまんねえなあと思った昨日の夕方なのでございました(^^)。

#カップ麺の値段だとか漢字の読み方で首相を批判してた連中に盛大なブーメランという事で、人間正しい道を踏まないと結局自分に災いが降りかかるという話ですな

まあしかし何ですな、どうせですから菅さんと野田さんが格下げに関する会見と称して一緒に(片方だけでも良いけど)出てきて全身網タイツ姿で腰の下辺り(^^)に天狗のお面をつけて「天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!!」と踊りだす位のパフォーマンスをやっていただければドル円が30円くらい飛んでくれて株価は上昇するわ輸入物価は上昇してデフレ脱却が進むわ対外資産は儲かるわ外為特会の穴は全部埋まるわと良い事ずくめではないかと思う次第でありまして、格下げ一発でドル円1円も動かないとか残念な所ではございます(←って何かが違う^^)。


○更に雑談の続き

まあそもそもAA−の格付けだとFitchさんが既に付けているので、何か「ふーん」という反応しかないのですが、S&Pの見通しがネガティブのままだとまだ下がる余地があるという話だから何ですなあとか思いながら久々に(普段そんなの見ないから)端末叩いて国債の格付けを見たら何か見慣れないものがありました。

大公国際信用格付

長期外貨建見通し   STABLE
長期自国通貨建見通し NEG
自貨建長期ソブリン格付 AA-
外貨建長期ソブリン格付 AA

・・・・・( ゚д゚) ナンダコノタイコウコクサイカクツケッテ

効力発生日確認したら2010年7月11日でして、中国が米国に対抗したんだか何だか知らんけど変な格付けおっ始めた格付けで、大公国際資信評価という会社の付けている格付けなのでした(^^)。ちなみに中国の国債の外貨建がAAAで自貨建がAA+という俺様スタンダードな評価をしているのは言うまでもありません。

ということで、日本国債の格付けなんぞここ半年以上真面目に端末叩いて確認していないというのがバレるのでありましたが(^^)、画面見た瞬間に感じる違和感は中々凄いので端末叩いて画面をご覧になる事を推奨いたします。

ちなみに、S&Pの見通しはご存じのようにNEGATIVEからSTABLEに変更になりました。


それはそれとしまして、毎度お馴染みの厭債害債さんのエントリーに感服。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201101/article_8.html
外圧の使い方

『同じ格下げでも、市場にインパクトのある形で行うには、このような膠着感のある地合いのときが効果的だった。もちろん市場が簡単に見切ってしまって円安効果そのものは長続きしないかもしれないけれど、少なくとも財務省や財政再建に軸足を移した政府にとって今回の格下げがもたらす悪い要素は少ないだろう。』

『陰謀論は(本当は好きだけれど)あまり格好良くないけれど、これが格付け会社を巻き込んだ「外圧」ごっこだったとしたら、なかなか上出来ではないか、と思ったりする。』

(以上厭債害債さんの上記URLより)

確かにまあこれが外圧となって財政問題をもうちょっと真面目に考えて頂く機会になるとそれはそれで慶賀すべき事ではないかと思いますな。


○備忘録メモなど

本当は今日は格下げ雑談だけじゃなくて先日途中で終わっているミネアポリス連銀コチャラコタ総裁の講演の続きであります「資産買入などの非伝統的金融政策に関する現在の論点整理」部分のネタを投入する積りだったのですが、雑談ネタをあれこれ考えているうちに時間と気力がなくなったので(昨日沢山ネタ投入したのでバッテリー残量が少ないという事で勘弁)週明けにでも投入の所存。

ちょっとだけこの前も書きましたが、コチャラコタ総裁の論点整理は端で見ているあたくし的には非常にしっくり来る整理でございまして、まあ一部ちょっと微妙な部分もあるのですけれども、コロコロ話が変わってすっかり福井の俊ちゃんのような風格が備わっているバーナンキ議長を初めとした執行部の皆様のお話よりはFRBの政策の整理には良いと思います、のでお楽しみに。

それからですな、昨日は微妙に黒歴史的な期間の決定会合議事録が出た訳ですが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gijiroku/data/gjrk.htm

これって議事録の正本と思われるものをスキャンして画像ファイルにしているものなので、ネタにするときは自力でタイプしていかないといけないという大変に手間隙のかかるものでありますし、多分今回のはまあ読む場所もかなり長くなると思いますので、ネタにできるかどうかは正直怪しいけど、何はともあれこの間の議論は読んでおきたいものであります。

・・・・・もしかしてこの議事録ネタを経済ニュースの注目から外すためにS&Pが格下げのタイミングを選んだんでしょうか(超大嘘^^)。

あとど〜でも良いですが昨日の2年入札は微妙にアレでしたな。いやまあ絶対水準の0.20%で買いが入るのは判るけど何ぼ何でもオファーサイドの向こうの100円0銭5厘で切れんでも・・・・・キャピタル狙えなさそうなのに良く頑張りますな。












2011/01/27

お題「FOMCは反対無しとな/日銀金融経済月報も明るめのトーン/総裁会見は麿節封印の巻」

ということで金融政策ネタで本日はアホのように増量企画でお送り致しますが、全編に渡って引用大会ですので量は多いが中身は以下自主規制(-_-メ)。

あとね、今日はさすがに読んでるヒマが無いので華麗にスルーしますけれども、昨日発表されたBOEの1月Minuteを見たら反対が3名になっていて、増えた1名はセンタンス側(=利上げ)になっていますな。そしてその後のデータと言えばCPIは堂々の上昇な上に4QGDPはコケて華麗なスタグフレーションの香りがする英国の金融政策運営がどうなるのかは趣味の中銀見物人的にはとても興味がアルザマス。

#どうでも良いが「FOMC声明文を受けてドル安」という説明は良いのだが、肝心の債券市場は売られているようにしか見えず、為替市場様の反応のロジックは訳判らん(と思ったらブルームバーグニュース日本語版のサイトではドル上昇と書いてあるな)

#ついに「ドル円相場と米国の長短金利差」のグラフがモーサテの説明に出てきたのだが、米国の長短金利差がどういう因果関係でドル円相場に影響するのかおじちゃんさっぱり判らないのですが、もしかして適当にクソ短い期間取って適当に相関しているように見えるものを並べて因果関係があるようなインチキ説明するのって最近の流行なの??

と朝から為替(ではなくモーサテのコメントですかそうですか^^)に悪態ついてますが、正直米債市場の反応の意味もワカランチ会長なのだが勝手な妄想をすると「全員一致」のヘッドラインで瞬間買われたけど景気に関する部分が微妙に上方修正されているのを見て元に戻ったとか、それとも冷静に考えたら別に全員一致でも反対出てもあんまり変わらないでしょという認識になって経済指標への反応が継続したとかなのですか????真面目にサパーリわからんです。

・・・・などと無駄に前振りが長くなりましたが(汗)声明文を読むのだ。


○FOMCは全員一致、景気に関する文言がチマチマと変わっているだよ

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110126a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20101214a.htm(前回)

・第1パラグラフの景気認識部分は色々と変化しています

『Information received since the Federal Open Market Committee met in December confirms that the economic recovery is continuing, though at a rate that has been insufficient to bring about a significant improvement in labor market conditions. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in November confirms that the economic recovery is continuing, though at a rate that has been insufficient to bring down unemployment.』(前回)

経済の回復ペースについて、前回までは「失業率を引き下げるには不十分」だったのが、今回は「労働市場の顕著な改善には不十分」とありまして、顕著なってのが入っているくらいですから改善はしてる(そらまあ失業率そのものは下がりましたからねえ)という話なんですかいな。よー知らんが。

『Growth in household spending picked up late last year, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. 』(今回)

『Household spending is increasing at a moderate pace, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. 』(前回)

家計の消費支出に関しては「昨年の終わりに上昇しました」と引き上げましたけれども、高失業率、所得の伸びが緩やかなこと、住宅価格の低迷、クレジット環境がタイトな事によって引き続き抑制されている。という後半の文言には変化が無いでやんすな。

『Business spending on equipment and software is rising, while investment in nonresidential structures is still weak.』(今回)

『Business spending on equipment and software is rising, though less rapidly than earlier in the year, while investment in nonresidential structures continues to be weak. 』(前回)

ここも微妙に変わっていて、企業の設備やソフトウェアへの投資の上昇に関しては「今年(今になると昨年ですが)の早い段階に比べてそのペースは緩やか」という文言がしらっと外れたのと、非住宅部門の建設に対する投資についての表現が「引き続き弱い状態が続いている」から「依然として弱い」に変わっているのが更に微妙なテイストを醸し出していますが、これって一応上方修正になるのかね、よー知らんがの。

『Employers remain reluctant to add to payrolls. The housing sector continues to be depressed. 』(今回)

新規雇用が中々増えませんなあという話と、住宅セクターは引き続きあばばばばーな状態ですよという表現は前回と文言が同じなので前回分は引用しませんですぅ。

『Although commodity prices have risen, longer-term inflation expectations have remained stable, and measures of underlying inflation have been trending downward.』(今回)

『Longer-term inflation expectations have remained stable, but measures of underlying inflation have continued to trend downward. 』(前回)

商品価格上昇への言及キタコレ。

ということで、今回の表現は「商品価格は上昇しているけれども、長期的なインフレ期待は引き続き安定しており、かつ基礎的なインフレは低下トレンドを辿っている」となっていまして、前回の「基礎的なインフレは低下トレンドを辿っているものの、長期的なインフレ期待は引き続き安定している」というのと接続詞が変わりましたな(^^)。


・第2パラグラフ以降は以下同文状態が続く

で終了させても良いのですが、俺様備忘録でもあるので、以下の声明文も引用だけはするのです。

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. Currently, the unemployment rate is elevated, and measures of underlying inflation are somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate. Although the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, progress toward its objectives has been disappointingly slow.』

デュアルマンデートへの言及、足元の失業率や基礎的なインフレ率がデュアルマンデートに対してややケシカラン水準にあり、資源の活用が低い中での回復が続くためにこれらの数値の改善は失望的なほど遅いでしょうと思いまっせという部分は前回と同一文言です。

『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to continue expanding its holdings of securities as announced in November. In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings and intends to purchase $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the second quarter of 2011. The Committee will regularly review the pace of its securities purchases and the overall size of the asset-purchase program in light of incoming information and will adjust the program as needed to best foster maximum employment and price stability.』

この第3パラグラフでは、政策手段の部分ですけど、保有証券償還分の国債への再投資と新規の国債投資に関して前回は二文で表現していたのですが、今回はIn particularで始まる文章で一文にまとめています。何か意味があるのか無いのか判らないですけれども。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period.』

毎度お馴染みのfor an extended periodを始めとしてここの文言も同じです。

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to support the economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate.』

ここも同じですな。で。最後が前回と違う訳でして・・・・・・

・反対者なしですかそうですか

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen.』

ということで反対者がいないのはFOMCプロレス観戦的にはプロッサー先生辺りを捕まえて大滝秀治状態になって「お前の話はつまらん!」と言いたくなる所ですが、今後反対に転じたりすると第5パラグラフにある「to monitor the economic outlook and financial developments」の結果として反対に回りますという話になりますから、その辺の見立てがどうなるのか。経済見通しで来るのか金融環境で来るのか、はたまたインフレ期待で来るのか楽しみでもあります。

ま、レビューとして注目なのは議事要旨でインフレの辺りとかどういう話をしているのかという辺りでして、今後に関してはタカ連中の景況感を示すと思われる落語じゃなかった講演とかが出るのをチェックしていくという作業が必要になるでしょうな、と思います。



○金融経済月報の概要も上方修正ですわな

金融経済月報の比較、と言いましても概要の所だけといういつもの手抜きパターンでどうもすいません。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1101.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1012.pdf(前回)

・現状判断の個別項目での変化は住宅age輸出sage生産がわずかにsage

基本的には昨日ご紹介した声明文のベースをもうちょっと丁寧にしたというものですので、前回比変わっていない所とかは割愛しますね。

『住宅投資は持ち直しに転じつつある。』(今回)
『住宅投資は下げ止まっている。』(前回)

『輸出はやや弱めとなっており』(今回)
『輸出は、横ばい圏内で推移している。』(前回)

『生産はやや減少している。』(今回)
『生産はこのところやや減少しており、』(前回)

まあ生産のところは激しく微妙なのですけど一応ほんのちょっとだけ下がった事にしておきますが、正確には本文を読むと判ると思う(のだがめんどいので今回はパス)。

・先行きはどう見ても上方修正です本当にありがとうございました

これは声明文と同じですが総括判断が上昇と。

『先行きについては、景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きについては、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

で、需要項目では輸出と生産の見通しが上昇となっています。つまり現状認識で下げた部分はここでチャラになっているのですな。

『輸出は、海外経済の改善を背景に、再び緩やかに増加していくとみられる。』(今回)
『輸出は、当面、横ばい圏内の動きを続けたあと、海外経済の改善を背景に、再び緩やかに増加していくとみられる。』(前回)

『生産は、緩やかな増加基調に転じていくと考えられる。』(今回)
『生産は、耐久消費財を中心に一時的に弱めの動きとなったあと、増加していくと考えられる。』(前回)

ということですので、まあ全体としてはやはり強めだと言う事になるでしょう。


・物価も先行き見通しが何気に上昇、ただし企業物価ですが

現状認識に変化は無いのですが、先行き見通しが上昇。

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇基調で推移するとみられる。』(今回)

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、緩やかな上昇基調で推移するとみられる。』(前回)

緩やかな、が抜けましたわな。


・金融面のターム物金利には微苦笑

『ターム物金利は、総じて弱含んでいる。』(今回)
『ターム物金利は、一部の金利が強含んでいるものの、総じて低水準にある。』(前回)

前回は「一部の金利」ってどういう事やという悪態を付きましたが、まあ今回は無事に落ち着いているからこれで良いと(^^)。


・金融環境では社債の発行体の裾野拡大に言及

『わが国の金融環境は、引き続き、緩和の動きが強まっている。』(今回)
『わが国の金融環境は、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。』(前回)

という総括判断部分は声明文にもありましたので昨日ご紹介しましたが、今回じゃあどの辺りに緩和の動きが強まったのかと言うと、社債の発行体の裾野が拡大したという指摘をしています。

『CP・社債市場では、社債の発行体の裾野が拡がるなど、発行環境は一段と良好になっている。』(今回)
『CP・社債市場では、良好な発行環境が続いている。』(前回)

まあこれはそうですなという感じですので、特に違和感無いです。


ということで、月報は全体として(声明文と同様に)トーンが明るくなったという感じではないかと思います。



○明るい話をしながらも麿節は封印した感じの総裁会見

ということで総裁会見ですけどね。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1101a.pdf

・景気や物価に関しては明るめのトーンのコメントが多い

冒頭の説明部分でも割と明るめのトーンの話が。

『物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落していますが、基調的にみると、下落幅は縮小を続けています。特に、高校授業料の実質無償化等の影響を除いてみると、最近では、前年比が0%となっています。』

高校授業料除くで0%の指摘キタコレ。

『日本経済は、物価安定のもとでの持続的成長経路に向けて、引き続き着実に歩みを進めていくと考えています。』

というようなコメントもありまして、更にCPIの基準年改定問題でのCPI低下に関してもこのような話を。

『いずれにせよ、基準改定自体によって人々の支出行動が変わるわけではありません。大切なことは、デフレ脱却に至る展望が拓けているか、すなわち、物価下落幅が縮小しプラスに転化していくかどうかですが、そうした展望は、先程申し上げたように拓けていると判断しています。』

更に実質的に最初の質問にこんなのがありましてですな、

『(問) わが国の景気改善の動きが「一服」の状態から脱する時期について、本年1〜3月期の可能性を指摘する声も出ていますが、ご見解をお聞かせ下さい。』

『(答) 昨年秋以降、わが国の景気は、改善の動きに一服感がみられていますが、これには、主に2つの要因が影響しています。(以下延々と説明が続くが割愛^^)こうした点を踏まえると、わが国経済は、1〜3月期と確定的に言うことは難しいわけですが、早晩、景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し、緩やかな回復基調に復していく蓋然性が高いと判断しています。』

ということで、先般のさくらレポート以来そうなのですが、景気認識および先行き見通しに関する日銀のトーンはかなり明るくなっているという風に見るのですがどうでしょう。


・リスクバランスについて

『(問) リスク要因について、上振れ、下振れのリスクバランスをどのように判断しているのか伺います。』

『(答) リスク要因を昨年10月の展望レポートの時点と比較すると、(以下延々と説明が続くがまたも割愛^^)以上、日本経済を考える上で最も大きな要因である世界経済についての上振れリスク、下振れリスクを整理しましたが、この整理は10月の展望レポート時点から大きな変化があったわけではありません。引き続き、新興国・資源国については上振れ、先進国については下振れを意識しながら、全体としては概ねバランスしているということであり、前回の判断とは変わっていません。』

リスクバランスの他に「スピードの違う世界成長」という点も今回強調した感じがしますが、まあいずれにせよ、声明文の内容ではリスクバランスが変わっているようなトーンの中で総裁は「リスクは概ねバランス」という姿勢を維持しておりまして、まあ元々の総裁のリスク認識の「バランス」がお前強くねえかという感じがしてましたと考えれば世の中が総裁に追い付いたとも言えるのですが(^^)、いずれにせよここで足元の状況好転に踊って「リスクは上方」みたいな麿音頭を踊りださなかったのは誠に結構至極な事では無いかと存じますです、はい。


・引っ掛け質問が2つほどありましたが、どちらも答えはお上手

引っ掛け質問その1

『(問) 日銀の資金供給の拡大と長期金利について、2点お伺いします。1点目は、長期金利が7か月振りの高水準に達した12月半ばから、日銀はマネーマーケットへの資金供給を急拡大していますが、その目的と、急激な金利上昇が景気に与える悪影響をどうご覧になっているのか、先月も言及して頂いたのですが、改めてお伺いします。2点目は、短期金融市場の資金供給オペレーションで札割れが生じる程の潤沢な供給が続けられているわけですが、市場機能への影響をどうご覧になっているのか、札割れが続いても、強力な緩和を推進するという観点から潤沢な供給を続けるというスタンスは変わりないのかお伺いします。』

1点目の質問に関しては「長期金利と資金供給」という筋が悪くて頭の悪い質問なので正直どうでも良い(というかこの後に「この質問をしたのは誰だ!(ガラッ)」という海原雄山先生登場のコーナーがあるのでそっちで晒し者にするレベルの質問)のですが、「市場機能」云々の後半部分はどう見ても引っ掛け質問です本当にありがとうございましたという感じですな。

とうことで後半部分だけ引用。

『(答)(前半割愛)2つ目ですが、現在の日本銀行の金融調節は、かつての量的緩和の時とは異なり、当座預金の残高をターゲットに運営をしているわけではありません。誘導目標はあくまでもオーバーナイトの金利ですし、包括緩和のもとで、さらにやや長めの金利の低下やリスクプレミアムの縮小を促すといった運営を行っています。従って、札割れが生じているもとで、なんとかある一定の当座預金残高を目標にしてオペを繰り出していくわけではありません。』

全く仰るとおりです。

『短期金融市場の機能の低下については、従来から私どもは大きな問題意識をもちろん持っています。私どもとしては、金融緩和の効果と副作用を点検しながら行っていくということに尽きると思います。なかなか難しい点もありますが、それらを総合判断した上で、現在、この包括緩和を進めていくことが適当だと判断しています。』

どこぞのベンダーのヘッドラインだとこの最後の部分が切られていたので「あっちゃー」と思ったのですが、これはケツを切ってヘッドラインにするどこぞのベンダーがうんこなのでありまして、この総裁の答えにあるように、「市場機能云々というのはあるけれども、包括緩和政策に則ったオペレーションを実施するという判断に至った」という説明をしている訳でして、まあ当面はそーゆー意味では変なところで梯子は外してこないでしょうなあと思われる答えではありました(が、急にこれでまた梯子外したらあたくしの鷺連呼が始まるのでありますけどね、苦笑)。


引っ掛け質問その2

『(問) エネルギーや商品価格が、日本だけではなく上がっています。いわゆるコアの部分と総合部分の乖離が、段々大きくなる傾向にあると思います。この先その乖離がどんどん大きくなって、コアはあまり上昇していないけれど総合が大きく上昇した場合、金融政策を判断する立場から、基本的にどうお考えになるのかをお聞かせ下さい。 また、先程もお答えになったことですが、交易条件の悪化の1つの具体的な例として、企業収益への影響、例えば鉄鋼大手何社かが先行きの利益見通しを下方修正する動きも出ていますが、そういう部分はあまり懸念する必要がないのか、それとも注意深くみていった方がいいのかお伺いします。』

この質問ですが、後半部分を切って質問するとかなりの引っ掛け意地悪質問になるのですが、後半で交易条件の悪化がどうしたこうしたという質問をしているので、引っ掛け質問というのは質問者に悪いかもしれませんな(その1の特に後半は明らかに質問者が引っ掛けてやろうとしているのが見え見えなんですけどね)。

『(答) 米国型の「食料とエネルギーを除くコア」を指してのご質問と理解しますが、それぞれの国は、総合的な物価指数とコアと呼ばれる物価指数を持っています。コアとして何が適切かは、その国の経済構造や家計の支出構造に依存しています。なぜコアをみるかというと、変動の大きな品目を除去することによって物価の基調的な動きが判断できるためです。米国の場合は、食料とエネルギーを除いたベースでみた方が、将来の全体の物価動向を把握しやすいということです。一方、日本の場合は、過去のデータから分析すると、米国型のコアの予測力は必ずしも高くなく、むしろ生鮮食品を除くベース、あるいは日本銀行が作成している「刈り込み平均――上下10%ずつ変動の大きい品目を除いたベース――」がありますが、こうしたかたちでのコア物価指数の方が、全体的な物価指数をより正確に予測しているという分析結果があります。そういう意味で、どういう物価指数を考えるかは国によって違いますが、私どもとしては、物価の判断に当たっては、わが国の実態に合ったコアの物価指数をもとに先々の総合物価指数を予測していくという現在のアプローチが適切だと思っています。(後半部分割愛)』

と言う事で、この部分だけのインプリケーションとしては、ECBのトリシェ総裁のWSJでのインタビューのように総合の物価指数が上昇しているからそちらを重視というようなアプローチは取らないですよ、という事でトリシェ総裁の急に出口が来たのでモードには引っ張られないんだからね!!という白川さんのスタンスを見せたというのが1つ。

もう1つは技術的な問題になるのですが、物価指数の推移を見るときに折に触れて日銀から出てくる「10%刈り込み平均」の話がここでも出ておりまして、引き続きCPIの10%刈り込み平均の数値のトレンドを見るのが重要だなという所でしょうか。

ちなみに、この刈り込み平均ネタはかなり前からありまして、日銀からの関連ペーパーとしては、まあ判り易いバージョンの「日銀レビュー」シリーズでは白塚重典さんの書いた「消費者物価指数のコア指標」(2006年4月)→http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j07.pdfがございますし、金融研究所のペーパーでは三尾仁志さんと肥後雅博さんの書いた「刈り込み平均指数を利用した基調的物価変動の分析」(1999年3月)→http://www.imes.boj.or.jp/japanese/zenbun99/kk18-1-5.pdfというのがありますので(既にまあご存知の向きも多いかとは存じますが)ご参考までに。


・この質問をしたのは誰だあ!(ガラッ)

と、急に海原雄山状態になっているドラめもんでありますが、今回の質問で一番意味が判らなかったのはこの質問。

『(問) 2011年度の消費者物価指数が10月時点の見通しの+0.1%から+0.3%に上方修正されましたが、これはデフレ脱却に資するものではないという認識でよいのでしょうか。そうでないとすれば、その理由を教えて下さい。また、国際商品市況の上昇の要因は何であるとお考えか、ご所見をお願いします。』

で、答えは割愛致しますが(^^)、まあ当然ながら白川総裁は「上方修正した理由について」の説明として国際商品市況上昇傾向を織り込んだんですよ、という説明をしたんですよね。そうしたらこの人更に同じ質問をしましてですね。

『(問) 確認ですが、2011年度の消費者物価指数が+0.3%に上方修正されたことは、デフレ脱却に資すると考えられるのでしょうか。』

・・・・・「日銀の物価見通し」が上昇したからデフレ脱却に「資する」ってナンジャソラ。

いやその「資する」ってどういう意味なのよ??もしかしてお前は「資する」という言葉を初めて覚えたから得意になって使いたくなっただけなんちゃうのかという位日本語として意味が判らん質問でありますわな。

世の中の現実の期待インフレ率が上昇したとか、足元の物価が上昇しているからデフレ脱却に「資する」というのなら判るけれども、日銀の見通しは見通しの世界だし、その数字を大本営発表したって仕方ない話だと思うのですが。その数字いじってデフレ脱却に役に立ち、更にその手が未来永劫使えるのであれば(一度は効いても当然ながら大本営発表していると信用を無くすので二度目からは倍返し以上の逆効果が待ってますよね)何ぼでも見通しの数字を舐め舐めしてインチキ数字を作りますがなと思うのですけど・・・・・・

ということで、白川総裁もどう答えたらよいのか困ったのがこの答えに窺えます。

『(答) 「デフレ脱却に資するのか」というご質問の意味ですが、仮に「物価上昇率が上がっていますか」というご趣旨であれば、もちろん物価上昇率は上がっているわけです。私どもは、全般的に物価上昇率が、私どもが定義する「物価安定の理解」に照らして、そうした状態に近づいていくことを願っていますし、また同時に、その物価上昇が経済の成長率の上昇を伴うものであることを期待しているわけです。そうしたことも踏まえ、全体をみて判断していく必要があるわけですが、私どもとしては、現在は望ましい方向に向かっていると判断しているということです。』

・・・・・いやこれはお疲れ様です。


そういや上記のように記者の癖に日本語の用法がおかしい人はさておきまして、こんなオモシロ質問もありました。

『(問) 日本国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が、1月に入り若干上昇傾向にあるようですが、これは注意すべき動きなのか、そうとは言えないのか、総裁の見方をお教え下さい。』

総裁の答えが完璧なので以下引用(^^)。

『(答) CDSのマーケット自体は非常に流動性の低い市場ですから、CDSのプレミアムの動き方から、過度にインプリケーションを引き出すことは、必ずしも適当ではないと思っています。CDSのプレミアムが短期的にどういう動きをするかにかかわらず、財政のバランスについて持続可能性をしっかり維持していく取り組みは、非常に大事だと思っています。』

ということで総裁会見はこんな感じで。

#久々の引用大会増量企画でお送りいたしました(^^)







2011/01/26

お題「上方修正は控えめですがトーンが明るいのでやはり強く見えるかなあ」

ということで決定会合がございました。声明文はこちら。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc11/k110125.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101221.pdf(前回)

○現状判断部分

・総括判断

『わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる。』(今回)

という総括判断は同じですが、その後の文章は需要項目で微妙に下がっているのがあるのですがトーンが明るくなった感じがするという中々器用な内容に見えますにゃ。まずは各需要項目から。

・輸出

『輸出はやや弱めとなっている。』(今回)
『輸出は、横ばい圏内で推移している。』(前回)

ま、これが下がっているのはややマズーな話ではあるのですが(汗)。

・生産

『こうした内外需要のもとで、生産はやや減少している。』(今回)
『こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており』(前回)

何か物凄く微妙なのですがこれも下がっているのかいな。

・住宅投資

『住宅投資は持ち直しに転じつつある。』(今回)

・・・・あれ?こんなのがしらっと入っているがなと思ったわけですが、前回の金融経済月報(概要)の住宅投資部分はこうなっています。

『住宅投資は下げ止まっている。』(12月金融経済月報より)

ということでこちらが珍しく上方修正でどどーんと出て来ました。

・設備投資、雇用・所得、個人投資

『設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は一部の財に駆け込み需要の反動がみられるが、』(今回)

『設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。』(前回)

ということで、全体的に内容前回と同じじゃネーノと言われそうですが、前回との違いは文章構成の変化でして、この部分を全部並べるとこうなるのでございます。

『すなわち、設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は一部の財に駆け込み需要の反動がみられるが、住宅投資は持ち直しに転じつつある。一方、輸出はやや弱めとなっている。』(今回)

『すなわち、輸出は、横ばい圏内で推移している。企業収益は、改善ペースに一服感がみられるが、増勢を維持しており、そうしたもとで、設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(前回)

最初の掴みの所で前回は「横ばい」の文章になっていましたが、今回は良いほうの話がつかみに来て、最後に前回より下がっている輸出が入っていまして、更に短観を受けた企業の景況感の話が抜けている事から、全般的なトーンが明るめになっていますよね、という印象をあたしゃ受けたのですがどうでしょうかね。

・金融環境

ここも改善。

『金融環境をみると、引き続き、緩和の動きが強まっている。』(今回)
『金融環境をみると、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。』(前回)

ということで「引き続き」改善中とな。

・物価

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(今回)

これは前回と同じです。


○先行き見通しが明るくなったでござるの巻

これは「展望レポートで示した『踊り場を経て回復へ』というメインシナリオに沿った動きです」という事なのである意味「予定通り」ではあるのですけれども。

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、世界経済の成長率が、新興国・資源国に牽引される形で再び高まっていくと考えられることなどから、景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し、緩やかな回復経路に復していくとみられる。』(今回)

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、世界経済の成長率が、新興国・資源国に牽引される形で再び高まっていくと考えられることなどから、緩やかな回復経路に復していくとみられる。』(前回)

ということで、

『景気改善テンポの鈍化した状況から徐々に脱し』(今回)
『景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後』(前回)

てな感じで明るい未来キタコレという事ですが、さくらレポートで示されていたので、特にビックリ感はなかったりします。というかもうちょっと強気のトーンになるのかと思ってた位で。

ちなみに物価見通しは同じです。

『物価面では、引き続き、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。』(今回)


○リスク要因:景気

上振れ要因がさらに詳細になり、一方で下振れ要因が弱まっているという中々結構な内容。

『上振れ要因として、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがある。』(今回)

『新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で』(前回)

というのが上振れ。

『下振れ要因としては、米国経済に対する懸念は一頃に比べて後退しているものの、米欧経済の先行きや国際金融市場の動向を巡る不確実性がある。』(今回)

『米欧経済の先行きを巡って、なお不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(前回)

国際金融市場(欧州のソブリン問題ですわな)が加わったものの、不確実性の部分の表現や米国経済の懸念の表現がトーンダウン。いやまあ不確実性はともかくとして、米国経済の方はすっかり雨公の皆様は我慢が足りないというか気が早いというかすっかり景気回復ヤッホーホー状態になっておられますからそらそうかと。

でですね、更に今回工夫が凝らされているのは、上記の部分の文章を元のまま読んだ場合に変化が生じていることであります。さっきと同じような話なのですが。

『リスク要因をみると、景気については、上振れ要因として、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがある。一方、下振れ要因としては、米国経済に対する懸念は一頃に比べて後退しているものの、米欧経済の先行きや国際金融市場の動向を巡る不確実性がある。』(今回)

『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米欧経済の先行きを巡って、なお不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(前回)

つまり、前回のリスク要因の文章は締めが「下振れリスクにも注意が必要」という一文の中に収めていて、「良い所もあるけれども悪い所に注意が必要」って文章構成だったのですが、今回は上振れ分が文として独立しましたので、そういう意味ではリスクバランスが展望レポートの中間レビューのチャート面ではあんまり変化が無さそうに見えるのですけれども、ここの文章のトーンとしてはリスクバランスがやや上方修正されたような印象を受けますわな。ただし、恐らくは公式見解としては「上下リスクはバランス」という事にすると思うのですけどね。


○リスク要因:物価

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(前回)

資源価格の上昇というのが国際商品市況の一段の上昇とややトーンが強くなりましたが、まあ基本的にはそこまで派手に替わっている訳では無いのかと。


○展望レポート中間レビュー

2012年度の所はそんなに大きく変わっていない(GDP見通しの入り繰りは10年度の数値が上がった分のゲタの関係ですよね)のですが、まあ物価に関しては元々10月の展望レポートの内容が「ちょっと強いんじゃネーノ」と申し上げておりましたので、変わらずではあるのですが、これやっぱり強くねえかと思うのですよ。

2012年度の見通し中心が+0.6%なんですけど、物価安定の理解っていうのは「CPI総合で+2.0%以内のプラスの領域、中心は+1.0%」でありますので、トレンドとしてプラス幅が拡大する予想の下で2012年度の通年見通しが+0.6%だと12年度の後半には+1.0%近傍は楽勝で展望できてくる数字でありまして、そうなって来ると普通に「包括緩和政策の正常化であって引き締めではないですよ」とか言いながら実質ゼロ金利政策とやらの解除が来年度後半には展望できちゃうという数字ですよねというのは前回の展望レポートの時も書きましたが、足元では米欧でインフレ懸念がどうのこうのというのがすっかり材料化しつつある中ですので、日本でもそのあたりを意識する動きがなんらかの拍子に出てもおかしくはないですわな。

で、その何らかの拍子になりかねない白川総裁講演に関しては今日の会見要旨を詳しく読んでみたいとは思うのですが、ニュースベンダーのヘッドラインやら記事やらを読んだ印象では、今回は麿節を封印して引っ掛け質問にもガードをきっちりと行って対応しているような感じを受けました。

あと、何らかの拍子のもう一つとしては金融調節の方になるのかなと思いますが、足元では引き続き金利入札オペで絶賛札割れとなっておりまして、一時トムのGCでオペ待ってた向きもちゃんとスポットスタートのオペで資金を取るようになってトモネのGCオファーもすっかり軽くなったのでGCレートは0.100-0.105で安定しているようですし、その辺の金利が落ち着いていてオペが札割れ状態だったら別に当座預金残高が18兆でも騒ぐ話ではないとは思います。ただし、オペが札入りまくる状態で当座預金残高が増えないでGCレートが上がりだすとそれこそ時間軸がーとかの思惑を呼びかねないですなあという所っすな。ま、今の資金供給オペのペースだと特に問題は無さそうですけれども。

ま、外部環境が好転中だから変に一緒になってはしゃがないでじっくり構えておく方が良さそうですよね。


○おまけですけど

さっきのリスク要因の所なんですけどね。

『リスク要因をみると、景気については、上振れ要因として、旺盛な内需や海外か』

という所で改ページしてまして、

『らの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがある。』

となっておりまして、これって普段読み慣れないでぱっと見ると「旺盛な内需」が新興国・資源国に掛かるというのが読み難いと思うのですが。一瞬あたくしも「あら?」と思ったのですが、こういう時には英文を見るのが実は良いというナイショの技があります、ここだけの話ですが(おいおい)。

http://www.boj.or.jp/en/type/release/adhoc11/k110125.pdf

『In the area of economic activity, there are some upside risks such as faster growth in emerging and commodity-exporting economies due to robust domestic demand and capital inflows from overseas.』

ということですので、旺盛な内需というのは新興国、資源国の国内需要というのが判ります(^^)。なお、英文の声明文とかを読むとこれまた味わいが深いと教わったのでございますが、中々そこまで読んでいるヒマが無かったりするのが残念。

ちなみに、日本語で出ているのが正本で、英文は参考文の筈ですから(違ってたらゴメンナサイ、というか教えてにちぎんさま!)それはそれという事で宜しゅうに。










2011/01/25

お題「ミネアポリス連銀コチャラコタ総裁はタカ派にはならなさそうですな」

投機的取引の抑制の為に金融商品取引税を導入って話がありますが、有価証券取引税があった時代の方が短期大回転売買大会だったという気がする訳ですが、気がついたら有価証券取引税とか知らん若い衆だらけなのか今はorz

#日銀の追加緩和期待とかしてる為替市場のトンチキは誰なんですか@モーサテ

んなことは兎も角としてFOMC前の駆け込みネタである(^^)。1月11日のコチャラコタ総裁の講演から。

http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=4607
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/kocherlakota_speech_01112011.pdf
『It’s a Wonderful Fed』

PDF版の方が読みやすいと思います(表題入れて17ページあるのですが)。正直、最後の『Conclusion』を読んでも何がなにやらという話になるので、これは惜しくも最初から読んだ方がベターな講演でありんす。


○経済見通しの話と金融政策の話の2本立てなのだ

『Introduction』の第2パラグラフを引用しますね。

『My speech today will have two distinct parts. In the first part, I will discuss my outlook for the economy in 2011. In the second part, I will look back in time to the Great Recession of 2007-09. My discussion will parallel the classic Frank Capra movie, “It’s a Wonderful Life.” In that movie, the hero, George Bailey, is granted the miraculous opportunity to see how other lives would have been affected if he had never existed. I will do the same for the Federal Reserve and describe how I believe the Great Recession of 2007-09 would have unfolded if the Fed did not exist.』

FEDが無かったときに2007年〜09年はどうなっていたか、という話があるのですけれども、ネタバレしちゃいますと、「金本位制ではない管理通貨制度の下で、中央銀行が通貨供給を拡大したので危機が深くならなかった」という話をしているのですが、この「通貨供給」の内容が「国債買入」ではなくて「各種緊急貸出ファシリティ」であるということで、そういう意味では「信用緩和政策」と言い出して実施したFEDのバランスシート拡大政策、即ちバーナンキが当初言っていた「我々はバランスシートの負債サイド(=量を幾ら出すのか)を重視するのではなく、資産サイド(=どのような資産の買入を実施するのか)を重視した信用緩和政策を実施する」という当初のFRBの説明に沿った話であります。

あと、金融政策の説明の部分ではバーナンキ議長の議会証言(まあ議会証言だからやや端折っている面はあると思うが)であえてゴッチャにしている信用緩和政策と国債買入(最初の方ね)に関してキッチリ分けて説明しているのは読んでいて違和感無く入って来る講演で、あたくしてきには「ほうほう」と納得しながら読めました。


○経済見通しに関して

あたくしの怪しい読解力によりますと、経済見通しに関しては(1)循環的な部分では「2011年は2010年よりも成長が高まる」ということでこの部分では特に弱い訳ではないが、FOMCの中心的な見通しに比べるとGDP見通しは弱い、(2)雇用に関しては先行き見通しは厳しい、(3)バランスシート調整圧力が景気回復を阻害するという点を強調、(4)ただし物価に関しては割と明るい話をしていて2011年末には1.5〜2.0%というような感じ、ということで、『Outlook』の最後の所を見るとこうあります。

『To summarize: I expect that real output will grow slightly more rapidly in 2011 than in 2010. Household deleveraging and bank asset quality will remain a drag on the recovery. Unemployment will fall-but much more slowly than we would like. Finally, as is suggested by financial market data, I am optimistic that we will see some re-inflation in the coming year.』

でまあここだけ読むとタカに見えなくも無いのですが、あたくしが勝手に纏めた4点に関して少々引用しようかと存じます。

・ブッシュ減税継続要因を加味してもあまりGDPは伸びないと

最初に、

『My bottom line is that, from the point of view of the macroeconomy, 2011 will be a better year than 2010.』

とあるのですが、11月のFOMCでの成長率見通しでは2011年の中心的見通しのレンジは3.0〜3.6%ということになっており、その数値はブッシュ減税継続等の財政要因を加味していない(出る前なのだから当たり前だが)という説明をしていますが、コチャラコタ総裁としてはそれよりも弱めの水準を見ています。

『Even with the December changes in fiscal policy, I would say that I expect that real GDP growth will probably be closer to 3 percent than 4 percent in 2011.』

12月の財政政策分を加味しても、2011年の実質GDP成長率は4%よりも3%の方に近いでしょうという見通しですので、GDP見通しは弱そうですが、その理由としては「バランスシート調整の影響」を強調しているのが日本人的にはしっくり来るのであります。

『I still see two major headwinds in the U.S. economy.』

『The first is that many households will continue to strive to rebuild their net worth positions in response to past-and possibly future-falls in residential land prices.』

『As I will explain in more detail later, I believe that the decline in household net worth, precipitated by falls in land values, was a key factor in generating the severity of the Great Recession. It will remain important in the recovery.』

ということで家計のバランスシート改善が住宅価格低迷および今後の下落で遅れる事によって経済の向かい風要因になるというのが一つ。

『The second headwind is related.』

relatedというかまあ同じ話だったりしますが。

『Many banks in the United States face ongoing issues with asset quality. For example, the FDIC problem bank list contains over 800 banks. Problem banks are less likely to take the risk of lending to small and/or younger firms and other entrepreneurial activity. Instead, they are more likely to preserve capital ratios by limiting their asset growth and allocating their lending staff to working out loans to existing borrowers.』

つまり、銀行の不良債権問題による銀行のバランスシート調整が足かせになって、企業金融が伸びないですね、という話をしていると読みましたがどうでしょう。

『Indeed, as the economy improves, I suspect that this headwind will become even more important.』

経済が回復するとこの向かい風要因は更に重要になってくるとはどう言う事でしょうか。

『In 2010, our information at the Minneapolis Fed indicates that small businesses were reluctant to expand because of ongoing uncertainties about product demand. As a result, their demand for bank financing remained low. In 2011, as the economy improves, I expect loan demand to rise accordingly?but banks with poor asset quality will continue to focus on capital preservation rather than loan expansion.』

ミネポリス連銀のサーベイなどによれば、先行き需要への不透明感から足元での中小企業の資金需要は低迷しているものの、景気が回復するにつれこれら中小企業の資金需要が高まる中において銀行の貸出態度がバランスシート調整要因により回復しない場合、景気回復の足を引っ張る事になるという話ですな、ありそうな話、というか日本の事例を意識してますねコチャラコタ総裁。


・雇用に関して

雇用情勢に関しては厳しい見方です。

『Employment data released last Friday indicated that the unemployment rate fell to 9.4 percent in December from 9.8 percent in November. While any decline is welcome news, I do not think this single data point signals a rapid recovery in labor markets. Employment growth remains disappointingly low?nonfarm employment increased by only 103,000 in December.』

12月の失業率低下は良いニュースですが、これだけで良い話というわけにはいかないです、雇用の伸びは「失望的なほど低く」12月の非農業部門雇用はわずか103千人の増加に留まっていますと。

『I think that it is important to understand how unemployment fell by 40 basis points from November to December, even though employment growth was relatively low.』

ということで、ここから説明が始まるのですが、この部分に関しては11月22日に行われた講演『Monetary Policy, Labor Markets, and Uncertainty』により詳しい話がありまして、こちらの8ページから10ページまで3ページ分丸々使って説明しているのを読むのが吉なのですが、多分こっちまでネタにしている時間は無さそうなのであたくしの気が向くかネタが切れるかリクエストがきたら下記講演ネタもやるかもしれません(エエカゲン)。

http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=4571
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/kocherlakota_speech_11222010.pdf
『Monetary Policy, Labor Markets, and Uncertainty』
↑(これは今回のネタにはしませんので念の為)


で、さっきの文の続きに戻ります。

えーっとですな、雇用統計では「employed」な人と「unemployed」な人の合計であります所の「labor force」に対して失業者がなんぼかという事から失業率が出るのでござんすが、12月に失業率が低下した要因はこの分母である「labor force」が低下したのが要因であり、要するに労働市場から退出した人が沢山いたという効果の方が効いてますよ、という話です。

『In that one month, the labor force fell by 260,000-certainly a large move by historical standards.』

ということで26万人が退出したということですが、更にコチャラコタ総裁が指摘するのは、その労働市場から退出した人の多くが若年者であることです。

『The available data do suggest that most of the unemployed who left the labor force were young. The number of people under the age of 25 in the labor force fell by about 244,000 from November to December. 』

景気が回復したらこの人たちは戻ってくる事を期待したいと。

『My hope?and expectation?is that many of these people will return to the labor force as the economy improves in 2011.』

で、更に今後の景気回復においても失業率の改善が遅れるという見通しに関してですが、問題点として(1)景気回復の立ち上がり時における雇用拡大の受け皿になるのは、新規企業や業歴の若い企業がその中心的な存在になるのだが、先ほど述べたように銀行の不良債権問題のある中でこれらの企業への銀行の貸出態度が厳しい状態が続く事が見込まれることから、これらの企業の資金のアベイラビリティーの厳しさが続く結果雇用拡大が遅れる、(2)失業期間が6か月以上の長期失業者がlabor forceの4.2%という高い水準にあり、これらの人たちは中々再就職が難しい(詳しくは先ほどURLを貼った11月22日の講演に解説がありますが、スキルの低下と新たな仕事に改めて就業する困難さと言った理由です)、という点を挙げています。めんどいので丸引用だわさ。

『Nonetheless, I do not believe that either unemployment or employment will improve rapidly in 2011. Startup businesses and other young firms are a key source of employment growth in the early stages of recoveries. As I’ve mentioned earlier, they are likely to find bank financing more challenging to obtain than usual. As well, 4.2 percent of the labor force has been unemployed for longer than six months. Historically, this group of workers has a low job-finding rate.』

その結果として、コチャラコタ総裁の失業率見通しはFOMCの11月の中心的な見通しよりも悪くなっています。

『The central tendency of the November FOMC forecasts is that unemployment will remain above 9 percent throughout 2011. I would agree with those forecasts. Even more troublingly, I expect too that unemployment is likely to be higher than 8 percent as late as the end of 2012.』


・インフレに関して

インフレに関しては、足元で基調的なインフレが低下している点は問題視していますが、先行き見通しに関しては自分からoptimisticといっていまして、これはミネアポリス連銀のサーベイ調査や市場でのデータなどからインフレ期待がアンカーされている事から先行きは再び望ましい水準に戻る見通しになっています。更に面倒になったのでこの部分思いっきりまる引用。

『Finally, I turn to inflation. Inflation remains extraordinarily low. In the third quarter of 2010, overall PCE inflation?including all goods-was 0.8 percent. Core PCE inflation-stripping away energy and food-was 50 basis points. PCE food inflation was 26 basis points. And all of these figures are annualized.』

『These inflation levels are too low to be consistent with usual formulations of the Fed’s price stability mandate. More troublingly, inflation continued to trend downward in 2010. In the third quarter of 2009, annualized core PCE inflation was 1.5 percent. Hence, in the course of one year, quarterly inflation rates fell by 100 basis points. A further deceleration of the same magnitude in 2011 would drive inflation into negative territory.』

と言う所までが足元の話。

『With that said, I’m optimistic that inflation will actually turn north in 2011. Our Minneapolis Fed forecasting model predicts that, by the end of 2011, inflation will be between 1.5 and 2 percent. We can get another reading by looking at the prices of financial instruments called zero-coupon inflation-indexed swaps. Their current prices imply that, for the coming year, expected inflation will be roughly 1.7 percent.』

基本的にはインフレ期待がアンカーされているのと、景気そのものは引き続き拡大傾向となり、2011年は2010年よりもその拡大傾向が高まる(FOMCの中心的な見通しよりは弱めっぽいですが)のでデフレ入りのリスクはあまり大きくは見ていないという事のようです。


○で、肝心の金融政策は時間切れ

というのがいつものドラめもんクオリティで申し訳ありませんが、決定会合とFOMCネタの後にでもその続きを。肝心の今回の講演のお題の部分に入らないとかトンチキにも程があるのですが。

で、先ほども書きましたように、金融政策の説明に関して特徴的なのは、そのパートを『Lending』、『Cutting Interest Rates』に分けていて、国債買入は後者の方になっているのがチャーミング。ただし、この「国債買入で金利下げ」の説明は名目金利ではなくて「インフレ期待を引き上げて長期実質金利を引き下げる」という説明になっていまして、説明としては無理が無いのですが、肝心のインフレ期待って本当は計測がしにくいものだったりする点はまあ今後の課題じゃネーノと思います。

更に金融政策の説明は『George-Meet Clarence』という「FEDが無かったらどうなっていたでしょう」という話と、『Did the Fed Cause the Bubble?』という話になっているのですが、最後の部分では「あーた高金利の時だって住宅価格の急上昇は起きていたんですよ」というややインチキの香りが漂う説明となっておりまして、しかもじゃあ住宅バブルの要因とか責任を取るべきものがあるとすればそれは誰という話に関しては完全スルー体制というのが微妙ではあります。

ただし、まあそういう話をしていると言う事は、資産バブル抑制の為に金融緩和を見直すべきというようなマクロプルーデンス的なイメージはコチャラコタ総裁の中にはそんなに強くないでしょうなあというのは想像できるかなあと存じます。


#以上、単なる趣味のコーナー状態でどうもすいませんすいません









2011/01/24

お題「FOMC前に地区連銀総裁ネタの駆け込みを(^^)/その他少々」

ということでダラス連銀フィッシャー総裁の直近の講演から。
http://www.dallasfed.org/news/speeches/fisher/2011/fs110112.cfm
The Limits of Monetary Policy: ‘Monetary Policy Responsibility Cannot Substitute for Government Irresponsibility’

金融政策は放漫財政のケツ拭きはできませんというお題のようですが、さて・・・

○とりあえずあたくし的まとめ

フィッシャー総裁の講演って真面目に読んだの恥ずかしながら初めてなもんでこれがフィッシャーさんの通常ベースなのかどうか判らんのですけれども、今回の講演は他の連銀のエライ人の講演と比較してやたら読みにくかったです。あたくしが普段見ない単語がやたら多くて、愛用のデイリーコンサイス(高校生かお前はというツッコミはしないように)英和辞典で無い単語があったり、訳の所に<詩>とか注釈付いてるのがあったりとか勘弁してくれという所です。

というてめえの貧弱な語学力に関する泣き言は兎も角として、ヒーヒー言いながら読んだ結論としては、(1)国債買入に関しては財政マネタイズ懸念があるので基本的には望ましくない、というかその時に票決権があったら反対していたという堂々の意見表明、(2)雇用に関しては中央銀行の貢献は限られている、とこれまた清々しい発言、(3)その雇用の話に絡めて、財政政策に関しては財政(というか多分財政支出の)構造改革と企業の成長を促進する規制改革が必要である、というような話がポイントだったかなあと思います。

ということで、今回は経済見通しは無い(他の講演を読めば良いのですが)ので何ですが、QE2に関しては問題ありとの話ですし、労働市場に関して中央銀行の貢献が限られている、という話をしていますので、失業率の低下が遅れるという話を最近強調する執行部とは違いが出そうな感じですなあということで。


○財政マネタイズがどうのこうの

なんか冒頭のご挨拶部分から読みにくいったらありゃしないのですが、そこのケツではこんな事を(^^)。

『Today, I will speak to the truth as I see it. I speak only for myself and my colleagues at the Dallas Fed and not for anybody else on the FOMC or elsewhere in the System. I suspect this will immediately become clear.』

これから話す私の意見は個人的な意見で他の連銀の人たちの意見ではありません、ってのは直ぐにわかると思います(キリッ)。ということですが、その次の『Fiscal Matters』の第4パラグラフから。

『I have been outspoken about the limits of monetary policy as a salve for the nation’s fiscal pathology.[4] The Fed has done much, in my words, to provide the bridge financing until the new Congress gets to work restructuring the tax and regulatory incentives American businesses need to confidently expand their payrolls and capital expenditures here at home.[5]』

で、この脚注4というのは2008年5月28日の講演ということですが、それはまたいずれヒマだったら読みます。で、その次に「FEDは既に十分な施策をしていますがな」という話をしていまして、そこで「11月の国債買入プログラムは票決権があったら反対していました」という発言が。

『The Federal Reserve has held rates to nil. We have expanded our balance sheet to unprecedented levels.』

何でわざわざzeroじゃなくてnilとか言うかねと思うのですが、フィッシャーさんの今回の講演はこんな感じで微妙にお洒落というか難しい言葉(あたくしにとってですが、汗)が並ぶのですが、まあ兎も角として反対云々は次の部分に。

『After much debate―which included strong concern expressed by one member with a formal vote and others, like me, who did not have voting rights in 2010―the FOMC collectively decided in November to temporarily undertake a program to purchase U.S. Treasuries that, when added to previous policy initiatives, roughly means we are purchasing the equivalent of all newly issued Treasury debt through June.』

昨年11月に決定されました来年の6月までの期間新たに発行される米国国債とほぼ同額という規模の国債を購入するというプログラムに関しては、この決定に反対票を入れたメンバー(ホーニッグ総裁)と同様に私は極めて強い懸念を持っています、というように仰せかと存じます。

んじゃあ何が懸念なのかと言う話ですが次の2つのパラグラフにあります。

『By this action, we have run the risk of being viewed as an accomplice to Congress’ fiscal nonfeasance.』

この政策によって、FEDが議会の財政的無責任の共犯者としてみなされるリスクが高まります、という事のようですな。

『To avoid that perception, we must vigilantly protect the integrity of our delicate franchise. There are limits to what we can do on the monetary front to provide the bridge financing to fiscal sanity. Last Friday, speaking in Germany, [European Central Bank President] Jean-Claude Trichet said it best: “Monetary policy responsibility cannot substitute for government irresponsibility.”[6]』

ということで、トリシェ総裁の発言も引きながら、中央銀行が財政マネタイズに引きずり込まれないように自らの矩を越えないようにすべきであるという話をしている訳ですな。で、そうならなかった場合ですが、「恒常的に財政ファイナンスを行う国は破壊的な結末を迎える」とか何とか仰せでして。

『The entire FOMC knows the history and the ruinous fate that is meted out to countries whose central banks take to regularly monetizing government debt.』

『Barring some unexpected shock to the economy or financial system, I think we have reached our limit. I would be wary of further expanding our balance sheet. But here is the essential fact I want to emphasize today: The Fed could not monetize the debt if the debt were not being created by Congress in the first place.』

つーことで、主に財政マネタイズ懸念からの説明に留めていますな。


○雇用に関してはFEDよりも財政や規制の問題の方が重要とな

んでまあその先のほうにそんな説明があるのですが、「金融政策は米国の全ての州で同じだが、各州ごとに雇用情勢は違っています。それは各州ごとに税制や規制に差があって、それが成長を促進したりしなかったりするのです」という話に持って行っておりますです、ホンマカイナという気がするのですがまあ読んでみる。

えーっとですな、実は図表が講演のページ(さっきのURL先)に貼り付けてあるのですが、それをパクるのは遺憾なのでそっちを見てちょという事ですが、1990年以降の各地区連銀ごとに非農業部門の雇用者の推移を指数化したものを並べたグラフをつけまして、(ちなみにダラス連銀のところが一番高くてニューヨーク連銀のところがシンガリです)この差がでるのは金融政策ではありません(そらそうだ)という話をしています。

『That reason has nothing to do with monetary policy. It has everything to do with the taxation and fiscal and regulatory policies of the states. The cost of capital does not explain the different economic performances of the states; the cost of doing business has everything to do with those differences. However well-meaning tax and regulatory initiatives in the laggard states may have been when they were conceived and levied, they have had unintended consequences that have led to economic underperformance and job destruction.』

と言ってますけど、それよりも各州の産業構造の違いじゃねえのかと思うのですけど、まあそれは講演後半(ちなみに後半のお題が『The Recent Election』というおいおいそんなお題かよという物ですが、内容的には財政構造改革と規制改革の重要性を主張するものと読みました)の前振り部分という事なのかなあとは思います。

ただまあいずれにせよ、その辺に関しては金融政策とは関係ないですがなというのはまあその通りですので、その先に「このような問題はFEDでは如何ともしがたいでございますなあ」的な説明が。

『Similarly, the key to correcting the underperformance of the American economy and American job creation does not rest with the Federal Reserve. It is in the hands of those who make fiscal and regulatory policy.』

『The Fed has reduced the cost of business borrowing to the lowest levels in decades. It has seen to it that liquidity is widely available to banks and businesses. It has kept the economy from deflating and it has kept inflation under control. This has helped raise the economic tide. Recent data make clear that the risks of a double-dip recession and deflation have ebbed and that economic growth and job creation are beginning to flow. Yet the ships of job-creating investment remain, for the most part, tied to the docks?or worse, choose to sail for foreign ports where tax and regulatory conditions are more favorable, very much in the same way that Ohio, Michigan, New York and California businesses and workers have navigated to Texas.』

FEDは企業の借入コストを引き下げ、銀行や企業の流動性へのアクセスも容易にして、デフレ入りを回避してインフレを制御可能な状態にしています。で、それが経済の回復に貢献しており、最近のデータによれば景気の2番底懸念は後退し、新規雇用も回復しだしている。と仰せです。

ただ、地域によってはまだ新規雇用が伸びない所がありますね、という話をしていまして・・・

『I don’t believe this has much to do with the Fed. None of my business contacts, large or small, publicly held or private, are complaining about the cost of borrowing, the lack of liquidity or the availability of capital. All express concern about taxes, regulatory burdens and the lack of understanding in Washington of what incentivizes private-sector job creation. All are stymied by a Congress and an executive branch that have appeared to them to be unaware of, if not outright opposed to, what fires the entrepreneurial spirit. Many have begun to feel that opportunities for earning a better and more secure return on investment are larger elsewhere than here at home.』

その点に関してはFEDは知らんがな、というと大げさですが、問題は借入金利の問題やリクイディティーの問題などではなく、税制や規制の問題、それからワシントンが民間の雇用拡大に対するインセンティブに必要な事に対する理解が不足している事である。と中々素敵な説明をしています。

正直何だかなあという感じはせんでもないのですが(中小企業の借入環境がそんなに緩和されていないという話も一方ではありますし、明日にでもネタにしようかと思うミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁の講演では「銀行の貸出態度が不良債権問題によって中々改善しないのは今後の景気拡大期に足かせになる」と指摘しているんですよね)、まあフィッシャー総裁はこういう話をしていて、失業率の高止まりにあまり注目しすぎない方がよかろうというスタンスなんでしょうなあと思うのでありました。

財政構造改革や規制改革の必要性がどうのこうのという話の後半部分は割愛します。


○で、今回のFOMCですが

本当はちゃんと色々みないといけないのですが今回は手抜きでブルームバーグニュース記事から。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=avWRIXCkOgcg
【FRB要人発言録】タカ派も米国債購入計画の完遂を示唆

ということで、その中に色々とございますが、フィッシャー総裁は微妙なのかねと思うのであります。プロッサー総裁はどっちなのか良く判らん。まあいずれにせよ6月の国債買入プログラム終了前に買入終了がマジョリティーになるとは思えませんので(というか結局継続になると思っちゃうのは日本の状況に目が毒されているからですかそうですか)そらまあフィッシャー総裁が言うように完遂されるのでしょうけれどもね。

というのを一応おまけにつけましたが、いずれにせよ今週のFOMCで誰か暴れてくれると面白いですなあ(完全に野次馬モードですいません)と思うあたくしなのでございました。逆に全員一致だと意外感が出るのかな??


○その他少々

・短国買入が2週連続でスキップされた件について

えーっとですな、先々週と先週は短国買入が2週連続でスルー。その間に基金短国買入はあったのですが、あれは1年新発が出た翌日なので思いっきり新発1年しか入らないというお助けオペなのですけど、それ以前の問題として基金短国買入は利回り競争入札であって、売買参考統計値からの利回り較差競争入札ではないので、絶対水準の高い1年物が入る仕組みになっていまして、2か月とか3か月が1年と逆イールドにでもならない限り短い所はハイランチ会長という代物。

ということで、もしかして3か月と2か月の新発短国入札が堅調だったからスキップしたのかもしれないのですが、そうは言いましても2週連続でスキップとなると何か微妙に???感はするのでありまして、つまりそこに何らかの意図、即ち短国金利に関する意思があって、そこのレートが低すぎるだの高すぎるだのの意図が入っているのではないかとゆー思惑を呼びそうな悪寒が。

いやまあ今の政策フレームで一応その短期のターム物金利押し下げの話もあるので、意思がどうのこうのというのがあるのかも知れませんけれども、スキップが長いとあまり金利を下げたくないのかなあとか思われちゃいますし、逆に年末年始の買い攻撃は何故よという話になるような気もするので、中々この辺の匙加減というのは難しいもんですなあと思うのでした、って一々ネタにするお前はどこの発言小町に出てくる姑かというツッコミは謹んで却下させて頂きたく存じます(^^)。


・そういえば決定会合

さくらレポートも先行きの明るさを示していた(足元は下げたけど)という今日この頃ではございますので、まあMPMでは普通に「今後の緩やかな回復」の見通しのライン通りにあるという見通しがでるんでしょうなとは思いますが、ちょうど物理的な事情で足元の当座預金残高が18兆円台に落ちている(詳しくは毎度お馴染みの上田八木短資さんのデイリーシグナルhttp://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.htmlをご覧あれ)中ですので、変にそれを絡めてネタにするアホウが出てくるに1万ドラクマ。

まあ札割れ連発ではありますが、さすがに先週末は1兆2千億円のオペがほぼ埋まる(惜しくも札割れでした)という結果。最近またスポットスタートだけのオペになって来たのですが、これはトムは打たないから市場で何とかしろというお告げなのでしょうかねえと思う今日この頃(と書いたら判る人には判るかと)であります。上田八木短資さんの予想も今日はスポットスタートのオペ2発という見方ですかそうですか。そろそろ短国買入が入るんじゃないかと思うのですけど(^^)。金曜の輪番がちょっと早い気がしたんですが・・・・・









2011/01/21

お題「市場雑談とかその他雑談」

動きが判らんとか言ってる場合でもないので(^^)。

#米国中古住宅販売キタコレ

○久々に踏ませ入札となった超長期入札とか

今週は5年と20年の入札があったのですが、何か20年入札をコンプリートする前までは何か微妙にへにゃへにゃな相場展開を示しておりまして、火曜の5年入札は結構堅調で5年はその日に強くなったのに水曜にはズルズル下落。水曜のズル下げ状態の中で10年312回(カレントですね)だけ妙に堅調だったのと20年が下げの中で割と堅調(ただし30年はうんこ)という事で何と申しますか「買いのある所だけ堅調だけど全体として買いが無いですなあ」っぽい相場が続いておった訳ですな。

で、昨日は昨日で米国市場様が株安債券高で戻ってきましたが20年国債入札前に前場は先物14銭上げても新発は引け近辺といい感じで押し込んで入札を迎えたのですが、落札結果は2.045%/2.046%(本当は価格ですけどね)と、前場引けの2.055%/2.060%の板を突き抜けた落札結果。

後付ですから何とでも言えますが(苦笑)、先週金曜の地合いが悪かった(外部環境が絶好の筈なのに全然伸びなかった)辺りから「何か買う人が全然いないんですけど」状態になっていて、まあ新発の事業債とか地方債とかは売れても見合いの玉が出てみたりというような残念な展開ですなあと言う事で、ちょっと警戒モードに傾いていた所で、入札の事前準備も結構入念に入っていたような感じでしたので、見事に踏まされる結果になりまして、(後場の寄りから先物が飛んでいたのですが、その上に)落札結果発表後は20年新発ショートカバー祭りであっという間に2.000%回復とか大変に素敵な展開。

まあどう見ても狙って上に札をどどーんと突っ込んだ感じで、他の人たちはど必殺の積りで入れた札しか入らなかったでござるの巻と思われますので、誰が何考えて上に札入れたのか存じませんが、踏ませようとする仕掛けだったら仕掛けとしてはお上手ですが、誰得だよコノヤローという所でもございまする(-_-メ

ということで、結局10年1.200%に吸い寄せられるように戻って来た訳ですが、米国様が経済指標が素敵な結果で華麗に金利上昇しておりまして、30年4.6%とかとっても素敵で超長期債をはじめとしてさて本日はどうなるんでしょうなあウッシッシ。

と、忘れないうちに債券市場メモ(書いておかないと自分も忘れるのでただの備忘録でどうもスイマセン)でした。


○3か月TB入札と2か月TB入札とか

水曜が3MTB入札で昨日が2MTB入札。

先週中盤まではご案内のように超過準備回避の為のキャッシュ潰し祭りが開催されたので既発の特に期内償還あたりが0.10%割れ祭りとかになったのですが、受渡ベースで積み期間も変わる所でさすがに新発3か月も残ったと言う事で、入札前の時点では流通玉がまともにあるのが新発3兄弟(3Mと6Mと1Y)だけで既発玉はカラカラ帝浴場状態という微妙な流れになっておりした。

で、3か月入札の前段階では前週入札の3M既発が0.1068%辺りがオファーになっていて、入札時の前場引けではWIで0.11%とかの出合いもあったのですが、そもそも入札前段階で「新発3MTBが0.11%に乗ったら買いたい」的な声が多かったという状況でしたので、大体そういう時は0.11%が買えない時というのが市場様の仕様でありまして、案の定落札結果は0.1079/0.1083と0.11%の1つ手前で切れたでござるの巻。

なお、余談になりますが、上記の市場様の仕様の別バージョンとして、「0.11%に乗ったら買いたいとか言ってた癖に、実際に0.11%でホイホイ買える状況になると今度はビビリが入るのか欲張りになるのか知らんが急に買いが止まる」というのも市場(特に短国)の仕様でありまして、何と申しますか人間の業の深さというのを毎度毎度垣間見る事が出来て大変に良い精神修養の場になるのが市場様という事であります(違)。

てな事は兎も角として、結局水曜の3M新発は平均落札レベルもあっさり完売状態になって何だ0.11じゃなくてもニーズあるじゃんってそもそも0.11で買いたいと投資家が(以下同文^^)でして、まあこれなら2Mも強いでしょうなあとか思ったら今度は0.10カツカツになる0.1008/0.1020という落札結果。いや正直平均が0.10割るかとびびっておりました(汗)。

で落札結果後業者間で華麗に0.10%の出合いとか0.10%割れのビットとかナンジャソリャという展開になっておりましたのですが、何ぼなんでも0.10割れを買う投資家というのは少ない(買うのは為替スワップ絡みで0.10割れ買っても十分にウハウハな人とか、海外中銀とか、この前みたいな無理矢理超過準備回避とか、流動性確保のために必要最低限自動的に購入せざるを得ない部分とか)のでありまして、新発2Mは3月25日償還と使いやすい玉ではあると思いますが、さすがに2兆5000億円はそれだけで埋まる事はありませんでしたという事のようで、その後は普通に0.10%乗せモードのようですわな。何かお約束のような展開で微苦笑を禁じ得ませんけれども。


○当座預金残高関連ネタ

ということで上田八木短資さんのデイリーシグナルを毎度使っておりますが、例によって今日の夕方以降はアップデートされちゃいますので念の為。
http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html

若干資金需給が当初予想よりも上振れした結果今日の当座預金残高は18兆円に乗るのですけれども、昨日のオペ前の時点では「トムのオペを打ち込まないと18兆円割れですなあ」とか思いながら13時のオペ実行を待っておった訳です。

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110120.htm

トムでも一部打つのかと思ったら結局スポットスタートだけでの供給オペ実施。GC市場でT/Nのオファーが残っていたのでトムスタートとスポットスタートに分けて打ってくる(トム6000のスポット8000とか)のかとも思ったのですが、割とあっさり味でスポット1兆2000の供給で結果は微妙に札割れ。

いやまあ連日のように札割れしているので供給してますよと言う事なのではございますし、R/NのGCも多分0.100-0.105とかなのですけれども、割とあっさり味で当座預金残高が18兆まで落ちて来ましたなあという感じでござんして、この調子ですとどこかでGC上がるような気がするんだが、その割には金利入札供給はまだ札割れなのねという所ですが、昨日の場合だともしかしたらトムとスポットに分けた方が札の入りは良かったかもしれないですなあとは思います。まあ足元では銀行さんの資金ポジションが以前に比べて改善(たぶん債券を年末に掛けて外していてその分資金ポジションが改善しているのではないかと妄想するのだが)しているのかなあとも思うのですけれども、超過準備が増えてくると金の回りが悪くなるので、その分当座預金残高の積み上げが必要になる筈なんで、その辺の匙加減は難しいなあとは思います(が、18兆で今積み期間最後までやったらどこかでGCが跳ねると思う)。


それからこれまた月曜に出たネタを今更なのですが。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/jcabs.pdf
業態別の日銀当座預金残高

ま、あれだけわんこそば大会のように資金供給オペを打ち込んだらこうなるわなという感じですが、特に超過準備額を抑えるように推移させていた都市銀行さんと地方銀行さんの超過準備額が12月積み期間ではかなり拡大したなあという感じでございます。まあシャーナイナイなところでもありますが、この辺の業態の人たちが「ま、いっか」って感じで超過準備置き攻撃を始めちゃうと市場の資金の巡りが悪くなるのは事実としてあるので、今後どういう感じになっていくのかというのは気になる所でもあります。


○久々に産経電波浴

電気風呂替わりにたまには電波を浴びるのも良いものです(違)。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110116/fnc11011607370001-n1.htm
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 脱デフレの秘策 銀行資産税を導入せよ

・・・・・・・・( ゚д゚)ポカーン

いやもうどこからどう突っ込んで良いのやらという感じですが・・・・・

問:あまりにもツッコミどころが多いので、適当にちょっとだけツッコミますが、あたくしが突っ込んだ所以外でツッコミ所を3箇所挙げよ(10点)

『かつて「向こう傷は問わない」と積極融資の檄(げき)を飛ばした故磯田一郎旧住友銀行会長は、90年代初めのバブル崩壊の序奏となった「イトマン事件」の屈辱にまみれた。以来、銀行界の後輩たちはアニマル・スピリット(血気)をドブに捨てた。この20年間、銀行はほんのかすり傷すら恐れるようになり、融資をせずに国債を買い続ける。カネはあり余っているのに流れず、デフレ不況を悪化させている。』

ほほう、つまり一般の皆々様からお預かりした大切な虎の子であり、命の次に大事とも言われるお金を銀行はドブに捨ててよいと仰る訳で。

2ページ目(さっきのURL先に次のページへのリンクがあります)から。

『まず、国債の買い取りは民間銀行本来の主要業務ではない。個人や機関投資家が買えば済む。あるいは、日銀がお札を刷って買い上げればよい。すると市中に出回るおカネの量が増えてデフレ対策になるのだが、日銀は民間銀行のおかげでデフレ無為で通して平気だ。銀行は国債相場が危ういとみれば、資産の目減りを恐れて今度は愛国者の仮面をかなぐり捨ててさっさと売却するだろう。』

何かもう釣りだらけなのですが、銀行も機関投資家ですし、個人が預金した分で銀行が買うのと個人が直接国債買うのとどこがどう違うのかイミワカンネ。で、この人は妙に「日銀がお札を吸って」というのが好きなのですが、もう突っ込む気力も起きません。で、銀行は別に愛国者だから国債買っているのではなくて、リスク対比での期待リターンが高いと思うから国債買うんですけどねえ。

で、まあその辺も何なのですが、具体的施策がまた電波度が高いです。3ページ目から(同様にリンクがあります)。

『銀行はゼロ金利の特権に安住して本来の役割を果たしていないのだから、そのペナルティー(罰)として銀行資産に課税する。資産総額は780兆円程度だから、1%の課税で7・8兆円を確保できる。税率10%なら78兆円にも上る。この資金は銀行による中小企業向け融資の保証財源とする。銀行は融資リスクがゼロになるので、貸し出しに前向きになるだろう。』

ちょwwwwwwwww

えーっと、全国の銀行から78兆円も召し上げたら資本不足銀行続出で金融システム不安が起きてしまうんじゃないでしょうか。まあ起きなくても資本不足解消のために皆で資本調達始めたら株式市場から物凄い勢いで資金調達が起きて株価が暴落してデフレ脱却どころの話じゃないと思いますけど。大体からして既に信用保証制度あるんですけど。

つーかこれユーロ圏の銀行課税をヒントにしたとか言ってるけど、あの課税は言うなれば「臨時預金保険料徴収」みたいなもんなのですけれども、銀行から金召し上げてデフレ対策に使うとかどんな狙い撃ち課税だよという感じでして、「ここに金あるから(実際は無いのが更に凄いが)取り立ててやろう」とかお前は夏の桀王か殷の紂王かと(本当はどちらもそこまでの暴君ではなかったのではという件はここではスルーね)小一時間問い詰める気力も起きません。

いやまあ凄い勢いで電波浴が出来ますのでツッコミの練習にはお勧めですが、これが「日曜経済講座」な産経クオリティって何なんでしょうね全く。




2011/01/20

お題「今日もプロッサー総裁シリーズでござる」

連日お前はてめえの英文読みを垂れ流しているだけではないかというツッコミをしてはいけません(−−)

○と言う訳でプロッサー総裁のQE2への評価である

http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.cfm
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.pdf

ひたすら引っ張って恐縮なのだが(だって市場ネタが微妙にわけわかんねえですもん)『Monetary Policy』の後半である。

『In November, the FOMC decided to purchase an additional $600 billion of longer-term Treasury securities through the end of the second quarter of 2011. It is no secret that I have expressed doubts about whether the benefits of this policy, commonly referred to as QE2, exceed the costs. These doubts were based on my reading of the economic outlook and the nature of the challenges that the economy faced.』

(;∀;)イイハナシダナー

という事で、いきなり「あたしゃQE2は政策として利益よりもコストの方が高いと思うと言うのはみなさんご存じの通りですな」と言う事ですけど、ではその理由とは何ぞやとゆーのがこの先に整理されています。


○前回のQE1と状況が違うのでQE2は同じようには効かないでしょという話

『The first round of large-scale asset purchases began nearly two years ago, after the Fed reduced the federal funds rate to near zero. That program, completed in March 2010, added roughly $1.75 trillion in agency mortgage-backed securities, agency debt, and long-term Treasuries to our balance sheets. If the Fed completes the full amount of the second round, the Fed’s balance sheet will have more than tripled since mid-2007.』

いわゆるQE1の説明ですな。ゼロ金利制約の後FEDは各種資産の買入を行って、その結果バランスシートは実施前2007年中盤から見ると3倍に拡大しましたと。

『Proponents of the program to acquire Treasuries expect these purchases to lower longer-term interest rates through a portfolio balance effect.』

まあこれはバーナンキ議会証言で思いっきり説明されていました事ですが、提案者(だか支持者だか)の説明はこうなっていますってんですからまあそれは当然。

『That is, as the supply of longer-term Treasuries available to the public is reduced, prices of Treasuries should rise, which means yields should fall. Yields on similar assets are also expected to fall as the public rebalances portfolios away from Treasuries to other similar assets. Just as in conventional monetary policy, lower interest rates would stimulate business and consumer demand and increase exports, thus lending support to the recovery.』

具体的には、長期国債の買入によって市中の流通玉が減るので、その分価格の上昇がおき、金利の低下によって相対的に魅力の高まる事になる他の金融商品などへの投資が行われ、金利商品全体の利回り(つまり全般の長期金利商品の金利が)低下して、伝統的な金融政策(短期金利操作)と同様の効果を発揮するということで、これはまんまバーナンキ議長の先日の議会証言ですわな。

で、ここまでが前振りでプロッサー総裁の評価はこうなります。

『The Fed’s first purchase program worked to lower interest rates, although estimates of the effect vary quite a lot. These purchases were done at a time when financial markets were highly disrupted and asset risk premiums were extremely elevated. But markets are no longer disrupted. Thus, it seems unlikely that we can expect the effects to operate through the same channels as before.』

これは正直あたくしもだいぶ同意する所でございましてですね、QE1というよりもCEと言われた方が効いたのは確かですけれども、そもそも最初の長期国債買入って金利という意味では期待で引っ張った時と、買入アナウンス発表直後だけは長期金利が盛大に低下(10年で2.5%近辺になった)しましたけれども、その後って長期金利は上昇して4%に接近してましたわな、と思うわけです。

つーことで、プロッサー総裁は(1)資産買入プログラムは長期金利の低下には寄与したが、そもそもその効果の測定にはかなり幅がありますがな、(2)当時は市場が混乱していて、その結果としてリスクプレミアムが過大な水準となっていた事から買い入れによって市場の混乱を沈静化してリスクプレミアムを引き下げる事によって金利が低下した、という指摘をしていまして、(2)から導き出される結果としては「足元の市場は混乱しておらず、前回のFEDの資産買入プログラムのような波及経路での政策効果が得られるのかは不確かではないでしょうか」としておりますわな。

『Even if we did, it is not clear to me that a modest reduction in long-term interest rates will do much to speed up the reduction in the unemployment rate.』

これは積読状態なのですが、イエレン副議長が「資産買入で長期金利が下がって雇用が創出された」みたいな相関関係と因果関係を取り違えたのではないかというような強引な話をしていた講演要旨(長いのでまだ積読)があったので、その辺と比較してみたいのですが、「仮に長期金利の低下に我々が成功したとしても、緩やかな長期金利の低下が失業率の低下を加速する為に大きく寄与するのかどうかという点に関しては不透明です」と更にダメ出しをしているのですな。


○財政出動余地の無い中で金融政策を代替的に使うのは藪医者の処方薬みたいなもんだと

次の論点だ。

『Some commentators thought that even if the benefits were limited, the costs were small and the action was worth taking, given the concerns that many had about the state of the economy. Other commentators argued for the policy because the fiscal authorities were unable to act, even though fiscal policy would have been the more appropriate policy tool to address some of the challenges we faced. I view both of these arguments as flawed.』

「効果が限られていてもコストが小さくて実施する価値があるのであればその政策は実施すべきだ」とか、「財政出動余地が限られる中では金融政策が替わりに働くべきである」というような考え方は問題があります(キリッ)との事です。

『It is a serious mistake to view monetary policy as a substitute for fiscal policy. Doctors must diagnose the disease correctly in order to prescribe the right medicine. If the wrong drug is administered, the physician might not only fail to cure the patient, but might also make matters worse. To suggest that monetary policymakers must act simply because fiscal policymakers were unable or unwilling to act is not the proper way to conduct policy.』

藪医者が間違って薬を処方したら病気が悪化するようなもんで、財政政策で適切な対応が可能なのに、財政当局が動けないからという理由で金融政策が対応するのは適切な対応ではなく、金融政策を財政政策の代替品として割り当てようとするのは深刻な間違いでありますとのことです。


○資産買入政策のリスクは後から来るという話

で、その続きですが。

『As to the cost-benefit analysis, the costs of this policy are likely to be seen only in the future, but they must be part of the analysis when the policy is undertaken, not dismissed to be dealt with later.』

資産買入政策のコストというのは後になって出てくるので、資産買入政策のコストは小さいから実施すべきという論点は如何なものかちゅう事を言いたいんでしょうか。

『History tells us that exiting from an accommodative monetary policy is always a bit tricky. It is easier to cut rates than it is to raise them.』

緩和的な金融政策からの出口は扱いにくいものであります。引き締め政策の実施は緩和政策の実施よりも難しいです、というのはまあどこの国でもそうですわなと思うのであります。

『As I discussed earlier, monetary policy must be forward-looking because it works with a lag. This means that the Fed will need to begin removing policy accommodation before the unemployment rate has returned to an acceptable level in order to avoid overshooting, which would result in greater instability in the economy.』

これまたバーナンキ議会証言での「労働市場が正常化するのに4、5年掛かる」発言を意識したのかねという発言キタコレという所で実に面白い。


○巨大な超過準備が経済に流れ出すとインフレが爆発するとな

『So how do we exit from this accommodative policy? While the high level of excess reserves on the Fed’s balance sheet is largely benign now, that will change as banks become more willing to lend. As economic conditions improve and those excess reserves begin to flow out into the economy, inflationary pressures will grow. And given the magnitude of those reserves, these pressures could be significant. This is one reason I feel confident that sustained deflation is highly unlikely.』

まあ小見出しにした通りの話なのですが、「経済が回復してきた時に巨大な超過準備が爆発してインフレ圧力」というのはもしかしたらその可能性はあるかも知れませんねとは思いますが、「巨大な超過準備が銀行の貸出態度を高める」というのはちょっとどうなのよとは思います。ただまあそれはそれとして、プロッサーさんは巨大な超過準備が将来景気回復した場合に起こす弊害への懸念を表明しており、その超過準備がこれから更に拡大するんですよねという指摘もしているのでした。


○そして「FRBは流動性吸収が出来ますよ(キリッ)」というバーナンキ議長を更にdisる

『To prevent inflation from becoming a serious problem, the Fed must be able to remove or isolate those reserves.』

というのはまあ皆さん指摘の通り。

『The Fed is developing and testing tools to help us prevent such a rapid explosion in money to address this looming challenge. But we won’t know the full effect of these new tools until we use them. Nor will we know how rapidly or how high we may need to raise rates. The larger our balance sheet, the greater our challenges to successfully navigate an exit strategy without disrupting the economy and while keeping inflation under control.』

FEDは超過準備を吸収したり隔離する政策ツールを用意してテストを行っていますけれども、実際にこれがどの位の効果を発揮するのかは判らないし、更に言えば、実際にマネーの爆発によって望ましくないインフレ懸念が高まった場合に、どの程度の速度および規模で利上げを行っていけばよいのかもよく判らないです。FEDのバランスシートが拡大すればする程、出口政策の実施にあたって「景気を悪化させないようにしながらインフレの適切な制御をする」という事が難しくなってくるのです。

というような話をしていまして、何気に「FEDは5分で利上げが出来るんです(キリッ)」って言うバーナンキ議長を更にdisっているようにしか見えないのが実にチャーミングであります。


○ということで、今月のFOMCでプロッサー総裁はどの程度の意見をだすのでしょうかね

『The FOMC statements in November and December indicated that we will regularly review the asset purchase program in light of incoming economic information and adjust it as needed to foster our long-run goals of price stability and maximum sustainable employment. I have taken this intention to regularly review the program seriously.』

資産買入プログラムを真剣にレビューをする宣言キタキタキタ。

『If the economy begins to grow more quickly and the sustainability of this recovery continues to gain traction, then the purchase program will need to be reconsidered along with other aspects of our very accommodative policy stance.』

これはこれは。

『We are a year and a half into a recovery, although a modest one. The aggressiveness of our accommodative policy may soon backfire on us if we don’t begin to gradually reverse course.』

景気が回復傾向にある中、徐々に金融緩和スタンスを反対方向に向かわせないと、現在の積極的な金融政策はすぐに裏目にでる結果に繋がるでしょうとはこれまた豪快な。

『On the other hand, if serious risks of deflation or deflationary expectations emerge, then we would need to take that into account as we adjust our policy stance.』

で、最後の最後にサービスフレーズのように「一方でデフレ入りへのリスクや、デフレ的な期待が高まった場合には、適切な金融政策スタンスを検討すべきである」という話をしていますが、まあプロッサー総裁は残念ながら(?)現状では(先日引用したように)デフレリスクは今の所見ていないというお話でしたわな。

で、この後の結論部分は先日引用しましたので、延々引張りましたがプロッサー総裁ネタはこれで終了でございます。

#ただの俺様メモ状態になっておりまして誠に申し訳ございませんでしたm(__)m






2011/01/19

お題「プロッサー総裁がボラを上げてくれそうですなという話/その他市場世間話」

○プロッサー総裁ネタの更に続きである、まずはインフレに関して

昨日に続きこの講演から
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.cfm
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.pdf

・プロッサー総裁の「望ましいインフレ率」は1.5%〜2.0%と

ということで引っ張りまくっておりますがプロッサー講演の『Inflation』の所。

『Turning to inflation, the headline consumer price index (CPI) has risen about 1 percent over the last year. Core CPI inflation, excluding food and energy, has been just less than 1 percent this past year. While inflation is currently lower than the 1-1/2 to 2 percent level many monetary policymakers would prefer, it does not follow that sustained deflation is imminent or even likely. While I do expect that inflation will be subdued in the near term, I do not see a significant risk of a sustained deflation.』

ということで物価の見通しに関しては「近いタームでは抑制される」けど、「先行きのデフレ入りのリスクはそんなに見ていない」という話をしつつ、その中で望ましいインフレ率を1.5〜2.0%という水準としています。まあそんなに不思議な水準ではないですな。

『Respondents to the Philadelphia Fed’s fourth-quarter Survey of Professional Forecasters released in November and the Livingston Survey released in December also saw little chance of deflation in 2011.』

で、フィラデルフィア連銀の調査でもデフレリスクは小さいという結果が出ています、という話をしているのですが、その次のパラグラフの前振りみたいな話でして・・・・


・中長期的なインフレ期待がアンカーされていれば一時的なデフレも大きな害が無いとな

これはwww

『It is useful to remember that the U.S. saw average consumer price inflation of just 1.3 percent through most of the 1950s and early 1960s. This period of low inflation did not lead to fears of deflation nor did it lead to economic stagnation. Low inflation is not generally a bad thing.』

1950年代の殆どと60年代前半のCPI平均上昇率は1.3%でしたが、この期間の低インフレはデフレーションの懸念も起こしませんでしたし、経済の停滞も招いていませんでした。低インフレ状態は一般的に悪い事である、とは言えないのです。

『Moreover, brief periods of lower-than-desired inflation or even temporary deflation are unlikely to materially affect economic outcomes as long as longer-term inflation expectations remain well anchored and the public continues to see the Fed’s promise to maintain price stability as credible.』

望ましいインフレ率を下回る期間が短い場合、更に言えば一時的な物価下落の状態があっても、長期的なインフレ期待が十分にアンカーされ、FRBの物価維持に対する約束が一般の人たちに対して信頼された状態を維持できるのであれば、恐らくは経済に対する影響はそれほど大きくは無いでしょう。


・ということでインフレ期待とFRBの姿勢に対する信頼が重要とな

『The Fed’s challenges are greater, however, when monetary policy finds it difficult to respond because rates are already near zero. In that case, a loss of credibility resulting in a decline in inflation expectations would lead to an increase in the real interest rate, which would encourage consumers and businesses to save more and spend less.』

FRBが直面する課題は大きな問題であるが、政策金利がほぼゼロとなっている中で実施できる事には制約があります。このような状況で、FRBの物価安定に対する信頼が失われる事によってインフレ期待のアンカーに失敗した場合には、実質金利の上昇を招き、それによって企業や家計の消費を抑制して貯蓄へ導く結果になってしまうでしょう。

・・・てな感じでヘタクソ日本語訳をしてみましたが、あたくしの脳味噌の出来がばれるので正直冷や汗モノである(−−;

んでまあインフレ期待に関してですが、今の所これはアンカーされている、というのがプロッサーさんの認識のようです。

『Given that the Fed’s policy rate is now close to zero, a decline in inflation expectations would be unwelcome and could undermine the recovery. Fortunately, this is not happening.』

まあさっきの所にありますように、実質金利が上昇するのはマズーですのでインフレ期待の低下はマズーという事ですが、それは今の所起きていないと。

『Expectations of medium- to long-term inflation have remained relatively stable because people expect the Fed to take appropriate action to keep inflation low, positive, and stable.』

ということですな。


・そして物価見通しは何気に強くねえかこれ

『As the recovery continues, I anticipate that inflation will accelerate toward 1-1/2 to 2 percent over the course of the next two years.』

景気回復が続けば向こう2年間で物価は1.5〜2.0%(つまり望ましい水準)に上昇するという見通しのようで。

『We are already beginning to see acceleration in some commodity prices. Manufacturers responding to our monthly Business Outlook Survey are increasingly reporting rising cost of inputs, including energy and raw materials, and they are projecting that they will be forced to pass on these cost increases to consumers and businesses in 2011.』

ということで、投入価格の上昇がこれから価格に跳ねてきますという見通しのようですが、そう簡単に行くのかねという疑問は少々あったりしますけど、まー商品価格が高止まりするとそうなっていくのかもなので今後のヘッドラインの物価動向は今年の金融政策ヲチャーのネタになるんでしょうな、と思うのでした。

『As we begin the new year, many forecasters are revising their outlooks to incorporate the latest economic data and the anticipated effects of the tax package approved by Congress in December. Although most forecasts assumed that some tax package would be approved, the details are now being factored into many models. My own view is that the tax compromise’s biggest impact derives from the reduction in uncertainty about tax rates for consumers and businesses over the next couple of years. Unfortunately, fiscal challenges still loom large for the new Congress and the economy.』

ということで後半にプロッサーさんの予想する今後2年間に関してというのがありますが、ブッシュ減税継続によって将来の増税に対する個人や企業の感じる不確実性を大きく減らすことになるでしょうというような事を仰せのようで。まあ物価は上向きで見ているっぽいですな、うんうん。


○プロッサー総裁ネタの更に続きである、金融政策がオモロイのである

そしてメインイベントは『Monetary Policy』の部分である。

・「金融政策に関する健全な議論は大事である」というフリーダム発言をしますよ宣言キタコレ

『Let me now turn to some observations on monetary policy.』

さあさあ来ましたよ。

『The last couple of years have been an extraordinary time for policymakers. We have been forced to react with speed to new challenges that have sometimes been outside the usual frameworks we rely on for policy guidance. That does not mean that economic models are no longer helpful; they most definitely are. But because of the unusual environment, there is less consensus among economists about the right answers to some of the most difficult and challenging questions.』

最近の金融政策運営にあたっては従来のフレームワークを越える事が起きていますが、これは従来の経済モデルが役に立たないという事では決してございません。しかしながら現状の環境は異例なものであり、この困難かつ挑戦的な課題に対する正しい政策の処方箋に関してのコンセンサスは経済学者の間でもコンセンサスが従来より取りにくくなっています。

『As a result, it is not surprising that the debate about what constitutes the most desirable policy is vigorous, with bright and talented people on every side.』

その結果として、あるべき政策についての議論が活発化するのは驚くべき事ではありません(キリッ)。

『That is as it should be, in my view. I am fond of quoting the American journalist Walter Lippmann, who said, “Where all men think alike, no one thinks very much.” Healthy debate is necessary for informed decisions and results in better policy decisions.』

・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

つーか、引用されているウォルターリップマンさんの言葉ですけど、相場に相対する者としてだけではなく、サラリーマン人生うん十うん年(以下保身の為全面的に自主規制)。

『These debates have gone on inside the Fed, just as they have gone on in the media and in the economics profession. Some have suggested that it is counter-productive for policymakers to express differing opinions, as it confuses markets and creates uncertainty. I find such arguments misdirected.』

という事で、フリーダム議論によって市場に不確実性とボラティリティーを高める、という論点から難ずる人もいますが、と先般引用しました12月のFOMC議事要旨にあった論点を意識したような話をしておりますが、その論点は誤っています(キリッ)という話をしているのでありまして、従いましてプロッサー先生のフリーダム議論で今後はお楽しみ下さい、という事になろうかと存じます(^^)。


・フリーダム議論が重要であるという理由

基本的には「金融政策の透明性を確保する事が結果としてFRBの金融政策に対する信認を維持することに重要である」という話なのですが、2つの説明をしています。

『First, the uncertainty is real. It would be disingenuous and misleading to suggest otherwise. The central bank owes the public clear communication and as much transparency as is feasible. For policymakers to project a false sense of certainty would fail that test and deeply trouble me.』

不確実な状況の下、コミュニケーションポリシーとして、政策に関する議論は出来る限り透明にすべきであって、その辺りをエエカゲンにするのは不誠実であってミスリードだとか仰せのようですな。

『Second, for monetary policy to be successful, policymakers, and the Fed as an institution, must earn the public’s confidence. Confidence is important in preserving the Fed’s credibility, which is something that is hard to earn but easy to lose.』

次に、金融政策が効果を発揮するには、金融政策に携わる人間および機関としてのFEDは一般公衆の信頼を得なければいけません。信頼はFEDの金融政策に対する信認を維持する事にとって大切であり、それは築き上げるのは難しく失うのは簡単なのです。とこれまた(;∀;)イイハナシダナーですが、更に次の部分は微妙にこう何と申しますか耳が痛い指摘であったりするのでございまして。

『One way to undermine confidence and credibility is to fail to communicate the difficult choices we face and the thoroughness of our debates.』

信頼と信認(この辺テキトーに訳しているのだが、non-nativeのあたくしはこの辺りのニュアンスが金融政策のテクニカルタームとしてどういう感じなのかなというのは気分的には判らんでもないけど、実際はどういうニュアンスなのかってのは強い人に教えていただきとう存じます次第)を損なう方法の一つとしてあるのは、困難な選択を迫られたときに議論の無い中で選択を行い、そのコミュニケーションに失敗することです。

『Unanimity is not the natural state of affairs in life - nor is it inside the halls of the Federal Reserve. For policymakers to feign unanimity only serves to undermine the institution’s transparency.』

全員一致というのは人生においてもそうそうある事では無いのと同様に、FOMCのミーティングの中でも同様なのです。金融政策に携わる者が全員一致を見せかけるというのは、中央銀行の透明性を損ねるだけの結果となるのです。

・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

というか何か読んでいて目から微妙に汗が出てくるのですが(^^)、まあこれはこれで一種の正論ではあるのですが、そうは言いましても金融政策として機関決定したら、それはそれこれはこれというのも重要ではないかと思われる次第であります。

つまりですね、こういうフリーダム発言横行状態というのは議論としては健全であって、建設的な議論が続けば結構な事なのですけれども、例えば「時間軸政策」のような期待に働き掛ける政策を実施する場合、また現在のQE2みたいにある意味気合の世界で期待に働き掛ける政策を実施する場合においては、議論の活発化は期待形成においてはやはり「不確実性とボラティリティを高める」という弊害もある訳でござんして、その観点からしますと今後のFRBの金融政策の方向性にもまた影響を与えそうな論点でございます。

で、この後QE2の評価がおっぱじまりましてこれがまたオモロイのですが以下明日以降に続くのだ。


○とか書いていたら時間がなくなったのでメモだけ

他に今日書く積りだったネタをメモだけ。

・オペに関してなど

短国買入が何故か基金買入で入って通常のオペがここの所入ってないのは微妙に何か意味があるのでしょうか??という話と、この調子だと金曜の当座預金残高20兆を維持するのに3兆はオペ入れないといけないのですけれどもどうなるのでしょうかという話を書く積りでした。

あと大ネタ系としては超過準備がつみ上がって参りました!とか、3か月の固定オペの按分が増えて参りました!!というようなネタですにゃ。と書けば判る人は判るかと存じます(^^)。

・英国のインフレが盛り上がっている件について

12月のヘッドラインが+3.7%、コアが+2.9%でどちらも予想を上回っておりますが、1月はVATが上がるので更に上昇が予想される訳で、確かにこりゃBOEの議事要旨にあったCPI4%も今年の春どころか直ぐにやってきそうな流れですがBOEはどこへ行くという感じですな。

などなどあったのですが、時間なしの助につき書いただけでござる。








2011/01/18

お題「さくらレポート関連/プロッサー総裁ネタ続き」

○7地域下方修正ですけれども内容がそんなに下方修正ではない件について

小見出しが長いですかそうですか。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki1101.htm(概要)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki1101.pdf(全文)

前回は3地域で下方修正でしたが、今回は何と7地域で下方修正って事ですのでヘッドライン的には「おお!」という感じなのですが、今回の方が内容的にはそんなに弱い感じはしないなあと存じます。

冒頭部分なんですけどね。

『最近の景気情勢については、基調として「緩やかな回復」、「持ち直し」と判断する地域が多いものの、7地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国)が、このところ「改善の動きに一服感がみられる」あるいは「足踏み状態となっている」等と報告するなど、前回(10年10月時点)との比較では、改善ペースの一服感を指摘する地域が広がった。』

『こうした変化の背景としては、情報関連財における在庫調整や海外経済の減速等を背景とした輸出の弱まり、一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動減、これらを主因とする生産活動の弱まりを指摘する地域が広がったことが挙げられる。』

前回のさくらレポート(昨年10月)バージョンではこの部分がこうなっておりましてですね。

『最近の景気情勢については、全地域が基調として「緩やかに回復」または「持ち直し」と判断しているが、3地域(関東甲信越、東海、中国)が政策効果の弱まりと海外経済の減速を主因に、このところ回復ないし持ち直しのペースが鈍化していると報告した。この間、先行きの不透明感の強まりに言及する地域もみられた。』

『また、引き続き、多くの地域が水準の厳しさ(北海道、北陸、近畿、四国、九州・沖縄)ないし地域や業種間のばらつきの存在(関東甲信越)に言及している。』(こちらは前回のさくらレポートです)

という感じになっておりまして、判断そのものは下がっているのですけれども、先行き不透明感だの水準の厳しさだの業種間のばらつきだのというような表現が前回は入っていまして、今回の方が先行きに関して希望が持てそうな感じになっておりますわな。


個別項目ですけれども、今回は生産が下がっているのですが、他の項目が微妙に「下げ止まり」とか「厳しさの度合いが緩和」というのが並んでおりまして、その辺からも「7地域下方修正!!」という程の厳しさを感じないなあと思うのでございまする。以下各項目のリード部分に関して前回(http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki1010.htm)と並べて比較してみましょう。

・公共投資

『公共投資は、全地域が「減少している」等と判断した。』(今回)
『公共投資は、全地域が「減少に転じつつある」または「減少している」と判断した。』(前回)

これは下方修正。

・設備投資

『設備投資は、5地域(北海道、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が「持ち直し」または「持ち直しつつある」、「低水準ながら増加」と判断したほか、2地域(北陸、関東甲信越)も「下げ止まっている」と判断した。この間、東海は「持ち直しつつあるが、そのペースは幾分鈍化している」と判断した一方、東北は「減少しているものの、一部に動意がみられ始めている」と判断した。』(今回)

『設備投資は、6地域(北海道、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が「持ち直し」または「持ち直しつつある」、「低水準ながら増加」と判断したほか、他の2地域(北陸、関東甲信越)も「下げ止まっている」と判断した。この間、東北は「減少」と判断した。』(前回)

東海が鈍化(エコカー関連ですかね)しているものの毎度弱い東北が持ち直しとな。


・個人消費

『個人消費は、雇用・所得環境の厳しさが緩和しているもとで、引き続き6地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄)が、基調として「持ち直し」または「下げ止まりつつある」等と判断した。もっとも、多くの地域で冬物衣料品販売等で持ち直しの動きがみられた一方で、全地域が一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動を報告した。こうした中で、中国は「持ち直しの動きが一服している」、東海、四国は「全体としては弱めの動き」等と判断した。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境の厳しさが緩和しているもとで、6地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄)が、「持ち直し」または「下げ止まりつつある」等と判断した。もっとも、ほとんどの地域が、乗用車販売における駆け込み需要の反動を指摘しており、こうした中で、東海は「弱含んでいるとみられる」、中国は「持ち直しの動きに一服感がみられる」、四国は「全体としては弱めの動き」と判断した。』(前回)

微妙に上がっていますな。


・住宅投資

『住宅投資は、引き続き水準の低さに言及する地域がみられるものの、6地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)が「持ち直している」または「一部に持ち直しの動きがみられる」等と報告したほか、他の地域(北陸、近畿、中国)でも「下げ止まり」と判断した。』(今回)

『住宅投資は、引き続き水準の低さに言及する地域がみられるものの、5地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、四国)が「持ち直している」または「一部に持ち直しの動きがみられる」と報告したほか、他の地域(北陸、近畿、中国、九州・沖縄)でも「下げ止まり」がはっきりしてきた。』(前回)

上がってますがな。

・生産

『生産については、ほとんどの地域で、情報関連財における在庫調整や海外経済の減速等を背景とした輸出の弱まりと、一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動減を背景に、生産活動の弱まりがみられた。こうした中で、6地域(北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国)が、「増勢一服」、「横ばい圏内の動き」等と判断しているほか、関東甲信越は「このところやや減少」、東海は「自動車を中心に減少している」と報告した。この間、九州・沖縄は「緩やかな増加基調にある」と判断した。』(今回)

『生産については、引き続き4地域(東北、北陸、四国、九州・沖縄)が、「増加」等の判断を維持しているが、東海は「減少に転じているとみられる」と報告したほか、4地域(北海道、関東甲信越、近畿、中国)が増勢鈍化を報告した。』(前回)

ということで生産が下がっていますけれども、要因として在庫調整とか駆け込みの反動とか微妙に「これからドンドン悪化する訳ではないですよ」っぽいモノが並んでいるというテイストを感じるのであります(^^)。

・雇用、所得

『雇用・所得環境については、引き続き厳しい状況にあるが、ほとんどの地域で、その厳しさの度合いが緩和していると報告した。この間、東海は「このところ改善の動きに一服感がみられる」と報告した。』(今回)

『雇用・所得環境については、引き続き厳しい状況にあるが、全地域が、その厳しさの度合いが緩和していると報告した。』(前回)

これまたお車関連の東海さんがアレですが、他は引き続き改善傾向は継続とな。


ということで、まあ前回のさくらレポートを見た時は「総括判断では先行きリスクに関しての言及が目立ってあまり宜しくは無い(そらまあこのレポート出る直前に包括緩和実施したのですから冷静に考えたら当たり前なのですが)という感じでしたが、前回の時も「良く良くみると個別項目ってそんなに極端に悪くなっているわけでもないですな」などと申し上げたのですが、今回はそもそもの全体のトーンに「先行き不透明」的な部分が外れている事もあるせいか、ヘッドラインの見た目程悪い印象を与えませんでした。

とあたくしは思いましたが勘違いだったらサーセン。



○プロッサー総裁ネタの続きである

昨日に続きこの講演から
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.cfm
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.pdf

・景気に関して基本的にそんなに腰折れとか見ていません

まずは『The Economic Outlook』のところですが、こちらに関しては激しく端折りましてプロッサーさんの見通しのところだけ引用。

『When the final estimates are released, I expect that GDP growth will be between 2-1/2 and 3 percent for 2010 and will pick up to 3 to 3-1/2 percent annually in 2011 and 2012. My forecast for 2011 changed only modestly during the past year, and I remain confident that the economy is on track for continued moderate recovery. As with all forecasts, this projection carries some risks. But for now, I expect moderate growth overall, with strength in some sectors more than offsetting weakness in others.』(フォントの関係で改変箇所あり)

ということで、2010年のGDP成長率は2.5〜3.0%で、2011年と2012年は3.0〜3.5%成長になるでしょうという予想でして、「私は引き続き経済は継続的な緩やかな回復の軌道に乗っており、先行きのリスクはあるものの、一部のセクターの強さが他のセクターの弱さを打ち消す強さを示し、全体的には経済の緩やかな回復を見込んでいます」という比較的強めっぽい見通し。

で、この後に各項目別の説明があるのですが、引用すると長くなるのであたくしがへぼい英語力で読書した要旨のみ書きます(ので確認の為に本文見てちょ)。

住宅、商業用不動産は引き続き弱いが景気全体の足を大きく引っ張らない。

企業の設備支出に関しては夏の弱さから脱却して先行きも明るい、企業マインドも改善しており、健全なペースで設備投資の拡大が続く。

GDPの7割を占める消費支出は緩やかな拡大をしており、消費者信頼感は好転しており、販売業者の見通しも明るい。リセッション時に価格が下落して個人部門のポートフォリオ悪化に繋がった住宅価格や株価の回復によってより強い消費支出がもたらされるでしょう。

という感じで、基本的に景気には強気っぽいです(というか強気じゃなかったらタカ派的な発言も飛び出さないわけですけれども^^)。


・労働市場に関して

『Unemployment』の部分なのですが、厳しい事は認めつつも(昨日引用したように冒頭部分で「物価の安定によって雇用の最大化が達成できる」と言っているので当然なのですが)最後の最後に「そうは言っても金融政策で雇用に関して出来る事は限られていますがな」というのがあるのがチャーミング。こちらは該当部分全部引用という荒業(手抜き)に出るのでした(汗)。

『The private sector added over a million jobs in 2010. Unfortunately, the pace of employment growth hasn’t been strong enough to have much of an effect on the unemployment rate. However, recent data have been somewhat more encouraging. New claims for unemployment insurance have been trending down, as have continuing claims. In December, the economy added about 100,000 jobs and payrolls were revised up in both October and November. In addition, the unemployment rate fell from 9.8 to 9.4 percent in December. I expect this number may bounce around in the near term, but the unemployment rate will gradually recover as hiring improves enough to allow the unemployed as well as those people who have left the labor force to find jobs.』

いきなり一段落まる引用という手抜きにも程がある状態ですが、労働市場は改善していて先行きに関しても改善しますよってトーンになっているかと存じます。ただし失業率の改善が遅いという点に関しては・・・・・

『I wish I could forecast a faster improvement, but it will take time to resolve the difficult adjustments now under way in the labor markets. 』

より速いペースでの改善を見込みたい所ではありますが、現在労働市場では困難な調整が進行中であり、その解決には時間が掛かると仰せです。

んでまあどういう事かと言いますと・・・・・

『Many workers may be forced to find jobs in new and unfamiliar industries. For instance, the contraction in the real estate sector and in sectors closely related to residential construction, such as mortgage brokerage, means that many workers will likely need to find jobs in other industries or fields and that will take time.』

『The productivity gains occurring in other sectors also suggest that many workers may need updated skills to find their next job. This may be particularly relevant for the long-term unemployed.』

具体例を出していますが、労働市場における困難な調整というのは、労働者が新しい種類や分野での職で働く事を余儀なくされており、その結果慣れない仕事をする事によるスキルの低下によって発生する生産性の低下や、そもそも職探しが難しくなる事によって生じる長期失業者の増加という事だと説明しています。

ちなみに失業問題に関して構造的な問題がどうのこうのという話や、長期失業者の増加に関しては連銀の他の人や、FOMC議事要旨でも議論になっているネタだったりしますけど、日銀も年末にこんなのを出している(ネタにするの忘れた)のでご参照ありたしという事で。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev10j21.htm
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j21.pdf
米国の構造失業率を巡る最近の論点


で、話を戻しましてまあそういう説明をした後の結論がこうだったりするのがチャーミング。

『Monetary policy cannot do much to help these types of adjustments in the labor markets even if we wish it could.』

まあそらそうなのですが身も蓋も無い結論だったりするのでした。で、その次のインフレーションに関する部分と金融政策に関する部分が中々長い上にオモローでありますが、例によって時間がなくなったので(段取り悪いですかそうですか)続きは明日以降(汗)。





2011/01/17

お題「市場雑談&フィラデルフィア連銀プロッサー総裁講演ネタ」

そういやこんなのが。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc11/renew1101a.htm
日本銀行ホームページのリニューアルのお知らせ

まあ現在のページは情報に辿り着くまでの階層がリニューアル前よりも概ね1回から2回多くなってしまっているので、慣れないと使いにくい面が多々あったりするので、リニューアルはさいですかという所なのでございますが・・・・・

『なお、今回のリニューアルに伴い、トップページ(http://www.boj.or.jp/)以外のアドレス(URL)が変更になります。トップページ以外のコンテンツをブラウザの「お気に入り」等に登録されている場合は、お手数ですが、新しいアドレス(URL)への変更をよろしくお願いいたします。』

あのですな、前回のリニューアルでも同じ事やって下さったのですが、リダイレクトするとかして欲しいのですが、今回も単に「リンク切れ」のページが出るだけ攻撃になるのは勘弁と存じますが、ど〜せ激しくめんどいからという事でやらないんでしょうなあ。ぶーぶーぶー。

○資金供給オペは引き続き積極姿勢ですが・・・

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110114.htm

その結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110114.htm

2本とも札割れでござるの巻でございますが、18日はオペの期落ちが無い(19日は全店金利入札の期落ちが8000億円ある)ので、ロールのニーズが無かった事から札の集まりがイマイチで、20日は資金不足日は資金不足日なのでございます(国債発行要因)が、この日もオペの期落ちが本店オペの4000億円(元は札割れオペ)しか無いのと、T+4という事でこれまた札の集まりがイマイチでしたな。まあ国債発行要因と言いましても今月の場合は1年TBの分くらいですからそんなにニーズが無かったのもあるでしょうけれども、それはそれとして20日の資金不足日に向けてオペ供給をしようとしているんですよという姿勢を示すオペと言う事で、今回の積み期間に入っても資金は供給して行きますよ(キリッ)というのは把握いたしました。

まあそんな所なのですが、何か不思議なのは先週短国買入オペが通常のも基金のもオファーが無かった事でして、年末年始で入札が無く時にオペ連発して玉のスッカラカン状態になるのに一役買ったというのに、今週のTB3発入札を前に何故かオペがスルーというのもナンジャラホイという感じがしますな。ま、足元の資金供給オペ札割れ攻撃が連発しているので、そーゆー意味では買入系のオペを入れやすいので今週は普通に短国買入のオペが入るのでしょうなあとは思うのですが、超スッカラカン状態から実質的に次の積み期間になったところで微妙に売れ残りモードになってきた(まあそもそも論からして0.10カツカツで3か月TBが延々と推移するというのは超越量的緩和状態にならないと難しいと言う事ですが)のであらら感もあったり無かったり。いやまあ足元の需給が悪い訳ではないと思いますし、水曜の短国入札が前週よりも強い結果になっていたから買入をスルーしたのでしょうけどね。

それからCP買入は地味に落札利回り低下してて、出来上がりの平均が0.127%となりますとa-1格の大手系その他金融さんの新発3か月のレートとほぼ同じ水準という感じで(前回は平均0.142%の足切り0.131%でして、同じ比較対象となる発行体さんのレートより1bpほど高かった印象があります)、こちらは順調に落札利回りが低下しているようですな。うんうん。


○フィラデルフィア連銀プロッサー総裁の講演から(1回で終わらないのでシリーズネタ予定)

FOMCメンバーの地区連銀総裁と言えばタカ派であらされるカンサスシティ連銀のホーニッグ総裁様の票決と意見が毎度のお約束でしたが、票決に参加する地区連銀総裁はローテーションになっていまして、今年から入れ替わりで入ってくる地区連銀総裁の皆様のうちの1名がフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁。

という事でフィラデルフィア連銀のページにあるプロッサー総裁の講演リストを見るのだ。
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/

直近の講演はこれですな。
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.cfm
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/01-11-11_risk-management-association.pdf
(下がPDFバージョン)

で、お題が『Economic Outlook and Challenges for Monetary Policy』ということで、これからFOMCで投票するということもあるのか中々気合の入った内容になっておりまするが、まずは手抜きにも程があるのですが最初と最後を読むのだ(中身は明日以降)。

・物価安定重視の政策スタンスで原理原則重視のイメージです

冒頭の『Introduction』の所から。

『The goals of monetary policy are set by Congress in the Federal Reserve Act, which states that the Fed should conduct monetary policy to “promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.” I have long believed that the most effective way monetary policy can contribute to maximum employment and moderate long-term interest rates is by ensuring price stability over the longer term. Price stability is also critical in promoting financial stability.』

ということで、FEDのマンデートのうち「最も重要なのは物価の安定である」というのを明確に打ち出していて、「物価の安定によって雇用の最大化と長期金利の安定推移が生み出される」という指摘をしていますので、「デュアルマンデート」を打ち出して失業率が下がらないから金融緩和継続ですよ的なFRBの執行部の説明とはちと違いますなあという所です。

で、その金融政策遂行の為にはFEDは何をしますかという事ですが。

『The Fed seeks to achieve these objectives by influencing the cost and availability of credit through its decisions about interest rates and the supply of money. These decisions are the primary responsibility of the FOMC - the Federal Open Market Committee - the group within the Fed charged with setting monetary policy.』

ということで、民間金融のコストとアベイラビリティーを金利およびマネーの供給変化によってコントロールしますよって話でまあ原理原則論っぽいテイストが。

『Since monetary policy affects the economy with a lag, the FOMC must be forward-looking in setting appropriate monetary policy. Therefore, I want to begin my remarks with a review of the nation’s economic recovery and my outlook for growth and inflation. I will then offer some observations on current monetary policy, including the Fed’s current program of large-scale asset purchases.』

「金融政策の効果波及には時間的なラグがあるので、適切な金融政策運営にあたってはフォワードルッキングで政策を実行していかないといけません」というのはどういう事かと言うのはこの先にあるのですが、まあ今日は時間が無いのでご興味のある方はこの先読んで味噌という感じです。ちなみに小見出しは『The Economic Outlook』、『Unemployment』、『Inflation』、『Monetary Policy』と続くのですが、景気見通しを読まないと話が始まらない面があるのですけれども、中々オモローなのはインフレの所と金融政策の所だったりします。


・いきなりワープして結論部分を(^^)

というのは明日以降にしますが、思いっきり端折りまして『Conclusion』から引用(^^)。

『In conclusion, our nation’s economy is now emerging from the worst financial and economic crisis since the Great Depression. A slow but sustainable economic recovery is under way, and I expect annual growth to be in the 3 to 3-1/2 percent range over the next two years.』(3-1/2の所はフォントの関係で改変しました)

景気は緩やかながら持続的回復を続けており向こう2年間の成長率は3〜3.5%となるでしょうとな。

『As the economy continues to gain strength and optimism grows among businesses, hiring will increase. The unemployment rate, however, will decline to acceptable levels only gradually. The shocks and dislocations we experienced from the financial crisis were significant, and it will take some time for the imbalances in labor markets to be resolved.』

労働市場に関しては雇用の拡大は続くものの、労働市場の構造問題の影響もあり失業率の低下には時間が掛かるでしょうという事ですが、その点は本文で詳しく説明していますです、はい。

『The Federal Reserve remains committed to promoting price stability over the intermediate to longer term. This is the most effective way in which monetary policy can contribute to economic conditions that foster maximum sustainable employment and economic growth. Finding the right path for monetary policy in such challenging times will require thoughtful deliberation. We should acknowledge the debate as a healthy process that adds to transparency and enhances credibility.』

この中身に関しても本文の金融政策のところでヒジョーに面白い話があったりするのですが(^^)、要するに現在の各委員フリーダム発言状態はこれはこれで建設的かつ健全な状態であって、引き続き活発な論議をすべきである。ということですので、益々のフリーダム発言が期待されます(^^)。

『As we move forward, I will continue to monitor incoming economic developments and update my economic outlook as necessary. Should evidence suggest that monetary policy is not consistent with our longer-term goals, then I will support an appropriate adjustment to policy.』

先行きの金融政策運営に関しては、景気の動向を見ながら適切な措置を実施するという事ですが、これは本文を仔細に読みますと(仔細に読まなくても判るのですけれども^^)「現在の資産買入によって発生した大量超過準備が景気の回復に伴って経済に流れ込んで来た時には、その時に発生するインフレーションの制御が非常に難しくなるリスクがあります」という話を思いっきりしているという事から致しまして、ホーニッグ総裁の跡目相続という感じになるのかなあとは思うのですけれども、今回のFOMCでいきなりホーニッグ状態になるのかはよくワカランチ会長ではございまする。

という事で本文は明日以降で(^^)。








2011/01/14

お題「今日はひたすらマニア市場雑談で勘弁」

自民党の比例復活当選の与謝野さんが民主党内閣に入閣とかもはやポカーンとしか。議員辞職して民間人として入閣されるのが筋なんじゃないですかねえ。

○2兆6千億円の供給が入りましたけど・・・・

短期市場のみが注目した13時のオペオファー(債券市場の関心は30年国債入札ですからね^^)はこの通り。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110113.htm

ということで、トムスタートで6000億、スポットスタートで2本立て2兆円のオペオファーとなりまして、まあとりあえず資金供給は多めにやりますよってえのが示された格好でございましたが、このオペのオファーが行われるまでの状況がど〜なっとったかと申しますと、コールがビット確り(最近の市場環境において積み最終近くになると良くある話、理由は敢えて詳しくは書かない)になっていたり、T+0のGCオファー(=資金の取り)がしつこく残っていたり(とは言えどっちもレート上げれば直ぐに取れる筈なので別に金が無い訳ではない)という動きがあったり、17日スタートのGCも微妙に資金の出が悪かったりとゆー感じで、0.105-0.110とかのイメージでまあ市場の地合いがあまり宜しくない状態だったようですな。

でもって上記のオペ2.6兆円攻撃で一安心ということでその後は17日のGCも資金の出し安心感が出たのか何だか知りませんが、まあ地合い好転して0.100-0.105とかのイメージになったようで落ち着いて良かったですねという感じのようでございまする。

・・・・ということでですな、まあオペ実施で最終的に地合いは落ち着いたのですけれども、昨日の前場の地合いとか見てますと、昨日のオペオファーを確認するまでは「日銀が梯子外して来るんじゃねえのか」というリスクに対する懸念(その時点の金利水準からすると予想通り打ち込んできてもそんなに金利が下がる訳ではないけれども、間違って梯子外されたらあばばばばばー状態になってしまうのでそらまあ資金の出し手も出し渋る罠)が市場(というかGC市場)の参加者様におかれましてはご認識されていたという事が示されたというのが昨日のインプリケーションだったりすると思うのですよね。


○先日付取引なので匙加減にも工夫が必要でしょうなあという件

つーことで昨日のオペはまあ「次の積み期間でも資金供給は多め(潤沢と書いていないのがミソですがそれは後ほど)に出しますよ」というのは大体伝わったという感じでございますが、そもそもGC取引というのは基本が証券業者の在庫ファンディングなのでポジションがほぼ確定するのがT+3のアウトライト取引が終了した時点で、そこからカバーという事になってT+2で取引というのが多い(年末に日銀から短期市場のレポートが出てましたわな)ので、実は資金供給に関しても例えばの話トムのオペで足りなさそうだったら出せば良いやというスタンスだと資金供給スタンスに対する絶対的な安心感が無い場合は昨日の前場のようにしらっと地合いが悪化しちゃう訳ですな。

これが仮に昨日の供給が1兆6000億円とかで今日になってトムで2兆とか入れてくるというようなパターンだと、最終的にT+1とかT+0のところでGCレートは下がる(のでそのうち地合いは安定するかもしれませんが)んですが、T+2の所が落ち着くのに時間が掛かりますし、上がったものを下げることになるので、落ち着かせる為には恐らくは資金の供給をする必要量が多くなると思われる訳ですな。

つーこって、まあ昨日の前場の地合いからしますと、先行きの資金需給的に不足が予想されるポイントポイントで先日付のスタートの供給とかをやって「梯子は外しませんのでご安心を」という雰囲気を醸成していくのがまだ必要なのかも知れませんな。まあその辺のスタンスに対する安心感があれば別に先日付とかやらないで普通にT+2(一度に打ち込むのが大変な時でもT+3程度)でオペ打っても大丈夫なのでしょうけれども。

つまりまあ何だかんだと言いましても、昨年の包括緩和アナウンス以来の当座預金17兆円攻撃の継続によって「包括緩和とか言ってるけど短期に関しては市場機能重視なんでしょ」というイメージが付いてしまったという意味では、まだまだ「潤沢な供給」という点に関しては市場が全面的に信用している訳ではないという事ですからして、信用を落とすのは簡単だが作るのは難しいとは良く言ったもんだと何時の間にか悪態になっているのはあたくしの仕様ですので気にしないように(^^)。


○当座預金残高とかオペ残高とか

またまや上田八木短資さんのページから(このページは毎日の日銀ネットが締まった後に更新されているのでURLは昨日と同じ、つまり14日の夕方以降に開けますと別の日の資金需給の表がでますのでそのへんご承知おきを。過去分を見る場合には画面左上の「履歴メニュー」をご覧あれ)。

http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html

資金需給が微妙に当初見込みからぶれていることもありまして、2.6兆円の供給によって17日の当座預金残高の見込み額は現状で207,400億円となっておりますが、上田八木短資さんも予想していますように、今日は17日スタートでもう一発供給して当座預金残高を21兆円台(どうせなら1兆円打って21兆後半まで持っていったほうが安心感が更に増すと思うのですが)に持っていくざましょという所ですかにゃ。

と申しますのは、当座預金残高もそうですが、あたくしの手計算ベースでのオペ残高(買入と成長基盤強化を除いた共通担保オペの金利入札+基金固定の合計)が昨日のオペ実施後で17日の所が40兆円を回復した所でございまして、12月の積み初日のオペ残の入りが42.5兆円程あったのと比較すると少々少ないので、まあ当座預金残高20兆円乗せは多めは多めなのでしょうが、潤沢に資金が入って金が余ってますねというイメージまでには行かなさそうなのと、どうせ今月は資金不足月で20日、21日に財政要因で不足があるので、どうせ来週後半に向けてオペを入れていかないといけないですから、今日もまあトムスタートは入るでしょうかねえという感じですが外しても謝罪も賠償もしませんので悪しからず。

ちなみに、今月の資金需給日足予想の元ネタはこれまた上田八木短資さんのここからでございます(月次更新なので月末近辺になって来月の数字を見たい時にちと困るのですが^^)。

http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_5.html


○そういえば3か月TB

水曜に0.1055/0.1063というまあ足元玉が無かったからシャーナイナイな入札をやりました3MTBちゃんでございますが、昨日は足元のGC市場中心に地合いがイマイチさんだった事も手伝ったのか売り優勢モード。

つーかまあ今回の積み期間で超過準備積まない為に渾身のキャッシュ潰しの動きが入った分と、入札が2週間以上実施されないのに短国買入を通常のオペと基金オペで5連発とか資金供給姿勢を見せる為の日銀攻撃によって流通玉が吸い上げられた分によってマーケットの玉がスッカラカンになって、期内償還の短国が平気な顔で0.095%だの0.09%だの0.08%だのという(ただのショートカバーで超小額の出合いですからあまり意味は無いですが0.05%ってのもありましたっけ)出合いをしていた訳ですが、まーそういう成行買いが一巡すると0.10%割った水準で短国を買う人(成行でキャッシュを潰しに行くか円転スワップで超低利資金が入っているかのケース)のニーズだけで毎週4.8兆円の玉を捌くのはさすがに無理があるということでしょうかね、という感じです。

とは言いましても、短期資金の運用ニーズ自体は相変わらずの状況でございますので、レートがちょっと上がったらピラニアのように買いがやってくるという動きには変化が無いと思われる所です(足元資金自体はありますので)から、まー別にだから短国がじり安シーザーになってズルズルという訳ではなかろうとゆー所ですかね。よー知らんが。

さすがに3MTBが0.10%カツカツという前提じゃないと2年の0.15%というのも中々難しいですよねとか思っておりましたら、足元2年とかも微妙にまた金利上昇しているのがチャーミングですが、そーは言いましても別にGCが跳ねる訳ではないのでしたら3MTBの金利もそんなにアガランチ会長だと思います(11から12の間とかになるんでしょ)ので、まあ来週入札3連発ありますけれども、大過熱感は終了して普通に堅調入札になるんでしょうなあと思いますが、これまた外しても謝罪も賠償もしませんので投資は自己責任でよろしくお願いいたします。


○その他世間話雑談

昨日のオペ結果ですが1番上に注目
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110113.htm

オファー額6000億円に対して応札6000億円とか目方でドンのピタリ賞ですかという感じ(歳がばれます)ですが、日曜の昼と言えばやはり100円均一つかみ取り大会とかの大正テレビ寄席でしょうとか言ったら更に歳がばれますかそうですか(^^)。

しかしこんなピタリ賞は珍しいですな。これ応札したの何名なのか興味があります(けれどもそれは残念ながら非公開)。10社とかが応札してこの結果だったら凄いですが、「ピタリ賞なので特別に2倍供給致します」と言われても単に迷惑なだけなのが残念な所です(あたりまえ)。


一昨日の話で既に話題になっていますから今更ですが。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc11/bis1101a.htm
国際決済銀行(BIS)理事会による「白川総裁のBIS理事会副議長任命」に関するプレス・リリースの発表について

これは素直にすげえええええと思いましたが、これによってBISビューバリバリになってマクロプルーデンスで日本が率先して金融緩和の縮小とか訳判らん事をするのは止めてちょと思うのは気にしすぎですかそうですか。

しかし前任が「ブンデスバンクのティートマイヤー」さんですかそうですか(^^)。








2011/01/13

お題「市場雑感とか超虫干しネタとか」

市場雑感と虫干しって毎度の組み合わせでどうもすいません。

○3か月TB入札とか次の積み期間に向けた当座預金残高とか

ここもと0.10%カツカツだったり0.10%割れ(!)とかで業者間で堂々の出合いを展開している残存3か月以内の短期国債でございますが、本年2発目の3か月TB(先週金曜に6か月TBの入札があったので短国としては3発目ね)入札の結果はこんな感じ。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul230112.htm

(3)募入最低価格 99円97銭3厘5毛
(募入最高利回り) (0.1063%)

(5)募入平均価格 99円97銭3厘7毛
(募入平均利回り )(0.1055%)

先週木曜の3か月は0.1087/0.1107でしたが、その後更に短い所のキャッシュ潰し攻撃となって期内償還のTBの0.10%割れの出合いがあったのが金曜ですから、まあ出来上がりとしては先週より落札が強いのはシャーナイナイという所でして、まあ今週に入って4月償還物まで強くなっていましたから(ただし強いのはTBで利付国債はそこまで強くなかったりする)、落札結果としては強い結果でございましたが、セカンダリーでは0.105%オファーとか平均落札オファー(0.1055%ですな)とかになっておりまして、さすがに4兆8000億円を全部0.10%カツカツとか0.10%割れで捌くほどのニーズは世の中には無かったようで(成行で買うのは超過準備付利と関係ない人と、超過準備を積みたくない成行買いの人になるけれども、今回は発行日が17日なので今回の積み期間とは関係ない)ございますにゃ(^^)。まーそこまで過熱しなくて良かった良かった。

でまあ来週は1年、3か月、2か月と入札が3連発ありますし、準備預金の積み期間が新しくなりますので、年末年始の入札の無い時期に親の敵のように買入を打ち込みまくった日銀攻撃によって需給が猛烈に引き締まった状態から徐々にまあ普通に需給が良いですね(日銀の資金供給がちゃんと潤沢な状態で継続することが前提ですが)状態になるのかなあとは思うのでありまする。


でですな、来週月曜から(正確には日曜から)準備預金の積み期間が新しくなるのですが、17日の当座預金残高をどの位に持っていこうとするのか、というのがマニアの注目材料。

上田八木短資さんのサイトを参考にしますとですな・・・・
http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html

表の右の方にあります「当社需給予想」の1月17日の所を見ますと、昨日時点で確定しているオペの新規実行&期落ちと予想される資金需給(まあ短資さんが予想する数値から実際の需給もそう派手にはぶれないので参考になります)を勘案すると17日はこのまま何もしないと当座預金残高が17.6兆円になる見込みでございますわな。

という事で、積み初日の時点で当座預金残高を20兆円ペースに持って行くと考えますと、17日の所であと3兆近くは資金供給を打ち込まないと積み初日に「潤沢な資金供給」感が出ないんじゃネーノと思うのでありますけれども、17日は固定金利オペ(基金共通担保)のロールが無いので通常の金利入札オペで3兆打つのかと思うと中々目頭が熱くなるのでありまして(6Mの基金共通担保を新規に打てば8000億円分は稼げる)、今日はオペ連発になるのかいなという感じですかねえと思うのです。

いやまあ明日トムで追加打てば良いのですけれども、今日の打ち方がしょぼいと「積み期間が変わったら『潤沢な供給』スタンスが後退するのかよおおおおおおお!!!!!」というイメージを与えかねないのでどうなんでしょうかね♪オペ残高も年末年始は堂々の42兆円(うち固定オペが24.8兆円)でしたが、足元では(年末年始に買入をバカスカ入れた分も効いているのかもしれませんが)オペ残高38.6兆円とかになっている(ただしこの数値あたくしの手元でエクセルちゃんでへこへこ集計した物なので間違っていたらスイマセン)状況でござんす。まあ足元の残高減少はオペ札割れしているから別にそれで不足感は高まっている訳では無いのですが、今回の積み期間で年末年始に22兆円ペースで当座預金残高を引っ張った関係で積が進捗しすぎた為の札割れ要因もありますので、積み期間が変わった所でオペ残高がそのままだとやはり不足感が出てくるんじゃないですかねえとか思うのでした。

という超マニアな話でございましたが、まあ地味に今日のオペもマニア的に注目でございますなあという話でした。


○超越的に今更ですが12月金融経済月報比較(大汗)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1012.pdf(12月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp1011.pdf(11月)

俺様備忘録の為誠に恐縮ですが今更ネタを。

例によって概要部分だけ比較なのですが。

・景気の現状判断

『わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる。』(12月)

というのは前回と同じですが、個別項目部分のトーンが弱めになっています。生産の減少という部分と日銀短観を受けての企業の業況感の部分が弱くなっている感じですな。

『輸出は、横ばい圏内で推移している。企業収益は、改善ペースに一服感がみられるが、増勢を維持しており、そうしたもとで、設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。住宅投資は下げ止まっている。この間、公共投資は減少している。以上のような内外需要の動向を反映して、生産はこのところやや減少しており、企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(12月)

『輸出や生産は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は持ち直しに転じつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。住宅投資は下げ止まっている。この間、公共投資は減少している。』(11月)

全体の文章量が長いのは短観部分を反映させているからですけれども、個別項目で言えば設備投資の持ち直し傾向が継続しているというのがプラスですけれども、生産と企業業況感に関しては厳しい見方になっています。

・景気の先行き判断

なのに先行き判断はまるっきり同じという器用な内容です。

『先行きについては、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(12月)

『輸出は、当面、横ばい圏内の動きを続けたあと、海外経済の改善を背景に、再び緩やかに増加していくとみられる。個人消費は、駆け込み需要の反動が薄まるにつれ、再び持ち直していくとみられる。この間、設備投資は、企業収益が改善基調にあるもとで、徐々に持ち直しの動きがはっきりしていくとみられる。もっとも、設備過剰感が残ることなどから、そのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。こうしたもとで、生産は、耐久消費財を中心に一時的に弱めの動きとなったあと、増加していくと考えられる。』(12月)

11月とまるっきり同じ文言です。生産の現状判断下げているのに見通し同じなのかよという感じですが、上記にあります生産の先行き見通しは「一時的に弱めの動きとなったあと、増加」という判断を維持しているということですので、つまり「足元の生産は減少しているが、この減少は織り込み済みなのでメインシナリオには変化がありません(キリッ)」と言う事なのでしょうな。その見通しで平気かよという気はするけど・・・・


・物価では「為替円高」と「製品需給緩和」がしらっと抜けています

『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況高の影響などから、緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(12月)

『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、製品需給緩和や為替円高の影響などから下落しているが、国際商品市況の動きを背景に下落幅は縮小している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(11月)

国内企業物価の部分ですけれども、商品市況高の部分が強調されているのもさることながら、国内企業物価の下落の背景とされていた為替円高と製品需給緩和という文言が外れているのが「ほほう」という感じ。

先行き見通しは同じなので引用割愛。


・短期金融市場のターム物金利部分でカフェオレ吹いた

金融面ですけどね。

『金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%を幾分下回る水準で推移している。ターム物金利は、一部の金利が強含んでいるものの、総じて低水準にある。この間、前月と比べ、長期金利および株価は上昇しているが、円の対ドル相場は下落している。』(12月)

『金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は概ね0.1%を幾分下回る水準で推移している。ターム物金利は弱含んでいる。この間、円の対ドル相場は前月と比べ上昇しているが、長期金利および株価は前月と概ね同じ水準となっている。』(11月)

>一部の金利が強含んでいるものの
>一部の金利が強含んでいるものの
>一部の金利が強含んでいるものの

・・・・・・「一部の金利」ですかそうですか、へーへーへーっと。


・金融環境は改善を強調

包括緩和の効果を強調したいのですね、わかります。

『わが国の金融環境は、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。』(12月)

『わが国の金融環境は、緩和方向の動きが続いている。』(11月)

で、個別項目の引用をすると長くなるので変化のあった所だけ引用しますが。

『資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は一段と改善している。』(12月)
『資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は改善している。』(11月)

『こうした中、企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善している。』(12月)
『こうした中、企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善の動きが続いている。』(11月)

ということで、今更ネタの虫干し(しかも長い)で誠に申し訳ございませんでした。









2011/01/12

お題「昨日の続きともうちょっと前の補足ネタで勘弁」

FRB関連の皆様が物凄い勢いで色々と講演しているのですが、あまりにも大杉でフォローできまへんがな。ちょっとずつ読んではおりますが新しいのが出る(この前プロッサーとコチャラコタの講演1本ずつ読んだのにまたお二人が講演とか何と言うわんこそば状態^^)のにあたくしの貧弱な能力では読むのが追い付かないですぅ。

という泣き言は兎も角として微妙にネタの虫干しなどで勘弁。


○バーナンキ議会証言関連その他少々

http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110107a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110107a.pdf(PDF版)

金融政策に関連するところは大体昨日引用した部分なんですがあと少々。

・昨日駆け足で引用したのでもう一度詳しくQE1の効果について読んでみる

昨日引用した部分でも「低すぎるインフレは家計の購買力を引き下げる」というようなだいぶインチキ臭い議会向け説明要素があったり、「資産買入で長期金利が引き下げられた為に株価などの資産価格が上昇したり、クレジットの環境が幅広く改善したり」という説明があったのは何なんでしょという感じでございましたわな。

で、昨日は急いで引用したので再掲になるのですが、どうもバーナンキ先生はQE2ではなくてその前の緩和政策に関して「資産買入は短期金利引下げと同じ効果のある政策波及効果がありますよ」という話をしている部分を改めて。

PDF版の本文4ページのケツの辺りから。

『By contrast, securities purchases by the Federal Reserve put downward pressure directly on longer-term interest rates by reducing the stock of longer-term securities held by private investors.3 』

『3. More specifically, the Fed's purchases should tend to reduce term premiums, a component of the yield to longer-term securities. Longer-term interest rates are also influenced by market expectations of the future path for short-term interest rates, which in turn depend on the outlook for the economy and so for the target federal funds rate.』

もうね、この時点で既に説明がインチキっぽいのですけれども、実際問題として長期金利って長期債買入アナウンスの瞬間に低下したけどその後は長期債買入実施前よりも高い水準で推移していた訳でして(下がったのはQE2への思惑が高まった以降ですわな)、「民間セクターの長期債券保有を減らす事によって金利に低下圧力を掛けました」というのが成功したのはMBSなどの買入の方であって、長期国債の買入ではないのですから、この説明って現在の国債買入を正当化する説明になっていないのですよね。何と言うインチキ。

ただまあさすがにそう突っ込まれると困るので脚注3のように「買入はタームプレミアムを下げる傾向がある」みたいな話をしているのですが、こんなの長期金利の動きの要因分解をする時の置きで何とでもいじれる数字であって、何かもう後付で尤もらしいクオンツ(苦笑)分析をして操作する世界じゃネーノと思う(1回3000億円だけ実施したCP現先オペがCP市場のリスクプレミアムを引き下げましたとかいう分析をしたどこぞの中央銀行がいましたが)次第でございます。

『These actions affect private-sector spending through the same channels as conventional monetary policy.』

ということで、金利引下げの話をしているのが何だかなあと思うのですが、まあバーナンキ議長辺りのイメージとしては、これらの資産買入によるポートフォリオリバランス効果が起きて、資産価格などが上昇するという政策波及ルートを本当の所は本命として考えているのではなかろうか、とは思いますのがその次の文章。

『In particular, the Federal Reserve's earlier program of asset purchases appeared to be successful in influencing longer-term interest rates, raising the prices of equities and other assets, and improving credit conditions more broadly, thereby helping stabilize the economy and support the recovery.』

でですな、ここまで読んで判るのですが、FEDの資産買入に関してその政策波及ルートに特にリザーブ拡大とかマネタリーベースの拡大とかの話が無いという点に関してはQE1における資産買入拡大を行った時の説明であります所の「FRBの資産買入は中央銀行のバランスシートの資産サイドに注目したものであり、いわゆる量的緩和とは違う(だから議長や理事はQEナントカとは言っていない筈)」という理屈はキープしておりますなあって所ですな。


・しかし良く考えたら「経済の回復が不十分」なだけでこんなに買入実施するのかよ

で、その次も再掲ですがQE2の実施理由。

『In light of this experience, and with the economic outlook still unsatisfactory, late last summer the FOMC began to signal to financial markets that it was considering providing additional monetary policy accommodation by conducting further asset purchases. At its meeting in early November, the FOMC formally announced its intention to purchase an additional $600 billion in Treasury securities by the end of the second quarter of 2011, about one-third of the value of securities purchased in its earlier programs. The FOMC also maintained its policy, adopted at its August meeting, of reinvesting principal received on the Federal Reserve's holdings of securities.』

まあQE2実施の理由は物価低下圧力の軽減と失業率の高止まりという事なのでしょうけれども、よくよく考えますと別に経済に下方ショックがあった訳でもないのに国債6000億ドル購入をするとか冷静に考えたら過剰反応にも程がありませんかという気がするのでありまして、何かこうその前に変に期待を煽りまくった結果引くに引けなくなって量が増えましたというテイストも漂いますなあと思います。

つーかね、QE1の時に実際問題として長期金利の低下ができていない(まあ屁理屈を動員すれば「タームプレミアムの縮小」とやらは出来たという結論になるのでしょうけれども)訳で、まともに金利ルートで効いたのってリスク資産の買入とか担保政策とか(と財政による金融機関救済)の方だったと思うのでありまして、QE1の時と同じような説明でダイジョウブカヨと思うのであります。


・とどさくさに紛れて物価ターゲット話

『The FOMC stated that it will review its asset purchase program regularly in light of incoming information and will adjust the program as needed to meet its objectives. Importantly, the Committee remains unwaveringly committed to price stability and, in particular, to maintaining inflation at a level consistent with the Federal Reserve's mandate from the Congress.4 』

『4. Most Committee participants judge that, in the longer term, inflation in the range of 2 percent or a bit less appropriately balances the risk that adverse economic shocks could tip the economy into deflation against the benefits of low and stable inflation. An inflation rate modestly above zero also reduces the probability that monetary policymakers will be constrained from easing policy when necessary by the zero lower bound on nominal interest rates. Many central banks around the world have come to similar quantitative judgments about the long-run level of inflation that best fosters growth and stability.』

恐らくは議会向け成分がこの辺にも入っていると思われるのですが、FOMCの考える望ましいインフレ率は「2%またはそれよりも若干程度低い水準」というのがしらっと説明されていまして、「世界的にも長期的に緩やかにゼロ以上の水準の物価上昇率が経済に望ましいと各国の中央銀行は意識を共有している」という話をしているのですが、ここでバーナンキ議長が割とピンポイントの数字を出しているのは「ほほー」という感じです。


・以下議会向けの説明が

『In that regard, it bears emphasizing that the Federal Reserve has all the tools it needs to ensure that it will be able to smoothly and effectively exit from this program at the appropriate time.』

必要な時には直ぐに出口政策が可能なんです(キリッ)という事ですが・・・・

『Importantly, the Federal Reserve's ability to pay interest on reserve balances held at the Federal Reserve Banks will allow it to put upward pressure on short-term market interest rates and thus to tighten monetary policy when needed, even if bank reserves remain high.』

そらまあそうなのだが、リザーブの水準が高い場合には預金ファシリティーが市場金利の下限としてワークしない場合もあるので(つーか今でも実効FFレートは預金ファシリティーの金利よりも低いかと)、やはりリザーブそのものが極めて多いと利上げも大変だと思いますけどね。

『Moreover, the Fed has invested considerable effort in developing methods to drain or immobilize bank reserves as needed to facilitate the smooth withdrawal of policy accommodation when conditions warrant.』

タームデポジットファシリティという売手みたいなもんで吸収すると。

というのは良いのですが、実はこの時にそれなりに政策金利上昇パスを進めて行った場合に、ある時点でFEDの保有する長期国債が逆鞘になると思うのですが、そういうときってどうするんでしょうかねえと思いますが。まあ財政で穴埋めするしか無いのですけどね。

『If necessary, the Committee could also tighten policy by redeeming or selling securities on the open market.』

まあ最終兵器ですが最終兵器だけに金融市場がエライコッチャになるでしょうなあ。


・この説明は議会向けだがオモロイ

次のパラグラフから。

『As I am appearing before the Budget Committee, it is worth emphasizing that the Fed's purchases of longer-term securities are not comparable to ordinary government spending.』

我々の実施する長期債券購入プログラムは「財政支出」ではないんです!!という話。

『In executing these transactions, the Federal Reserve acquires financial assets, not goods and services. Ultimately, at the appropriate time, the Federal Reserve will normalize its balance sheet by selling these assets back into the market or by allowing them to mature.』

我々は物やサービスを購入しているのではなく、金融資産の購入を行っているのであって、しかも最終的には適切な手段でこれらの金融資産の売却または満期償還によってFEDのバランスシートを元の状態に戻せるのですよ(キリッ)という所でしょうか。

『In the interim, the interest that the Federal Reserve earns from its securities holdings adds to the Fed's remittances to the Treasury; in 2009 and 2010, those remittances totaled about $120 billion.』

しかもこの政策を実施している間はFEDの証券保有の利息収入で財務省に納付金も払っていますよって話をしてこれまた長期国債保有の正当性の説明になっているのがチャーミングですが、民間債務買っているのではなくて国債買っているのだったらその利息収入がどうのこうのというのも元は政府の払った利息だから微妙ですな(^^)。

とまあそんな感じで、議会向け成分が入っているのですが、説明は結構無理筋な部分もあるかなあとか思うのでありました。


○ちょっと前の話の追加です

BOEの議事要旨に関する引用で「何が何だかワケワカラン」と申し上げた部分があったと存じますが(大汗)、その部分を解説して頂きましたので(どうもありがとうございます)さっそく受け売りコーナー(^^)。

あたくしが何が何だかわからんと泣きを入れた部分はこちら。

『The extent to which commodity price increases would affect UK inflation would depend in part upon what caused them and hence upon the behaviour of the sterling exchange rate. If higher commodity prices signalled a rise in generalised inflationary pressure in the world economy, it was possible that the sterling exchange rate would appreciate to offset the effects of that pressure on domestic inflation. But it was less likely that there would be an offsetting appreciation of the exchange rate if, because of supply constraints, world prices of commodities rose relative to those of finished goods and services.』

国際的な商品価格(というか素材材料的な価格と読んだ方が判り易いのですが)の上昇が英国国内のインフレにどの程度影響を与えるかという程度については、その商品価格上昇の原因と英国ポンドの為替レートの動向によります。

商品価格上昇が世界経済における一般的なインフレ圧力の上昇(=モノに対する貨幣価値の下落)を示しているのであれば、(英国ポンドの価値をきちんと維持する事による)英国ポンドの上昇によって英国国内のインフレ圧力の影響を相殺することも有り得る
でしょう。

しかし、商品価格上昇が最終財やサービスの価格に対して供給制約の為に上昇するのであれば(インフレが素材材料に対するディマンドプルで起きているのであれば、供給制約はそう簡単に解消できず、上記の一般的な貨幣価値の下落と問題が違うので)それを相殺するような英国ポンドの上昇が為替市場で起きる可能性は低いでしょう。

というお話だったようです。ご教授頂きまして誠にありがとうございましたm(__)m

そして、議事要旨の中で「素材材料について新興国を中心とした世界的な需要の高まりによる価格上昇圧力」という面への言及がありました事を勘案すると、よーするに素材材料の価格上昇が英国国内のインフレに跳ねてくる可能性について言及しているのかなあ等と思うのでありましたです。

#人のふんどし引用と重複が多くてどうもすいません








2011/01/11

お題「やっと来た包括緩和ですな/バーナンキ議会証言」

この3連休って1週後の方が良い気がするんですけど、成人式と共通一次をぶつけない為の配慮とかあるんですか??

○やっと来ました包括緩和らしい動き

金曜は業者間で期内償還の短国でこんな動きが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=afG3TdmpKhes
年度内償還のTBが0.1%割れ、資金余剰でオペ札割れ続く−入札順調

ということで、期内償還の短国が大変にお洒落な展開になっているのでありますが、金曜に3M短国入札(は木曜に実施された)の話を書いて、短国が玉枯渇してますねという話と、まあ普通に考えると他の短期物の金利も影響するかねというような話を書いて「来週に注目」などと書いた訳ですが、相変わらず走り出すと一気にやるのが好きな相場のようでありまして(^^)、金曜はCPとか短い一般債とかの買い意欲もいきなり高まるわ短国は勢い余って0.10%割れ(しかもそれなりにロットで出合っていた)とかやるわという大変に素敵な展開に。

まあね、そもそも包括緩和の実施ということで「潤沢な資金供給を行い長めの金利の低下を促す」という話をしているのですからして、当然ながら市場ちゃん的にはこういう風に成らないと長めの市場金利は下がらないのでありまして、つまりは包括緩和という事で声明文で表明された内容に則したらこうなる筈という事でございますので、そーゆー意味では「やっと包括緩和らしくなってきましたよ」という所なのでしょう。

いやまあ10月5日の包括緩和の翌日にいきなり包括緩和効果を全部織り込むような金利低下をやったのはフライングにも程がありましたけれども、その後の資金供給も市場機能重視ちっくな17兆円攻撃だった事もありまして、GCレートがサガランチ会長どころか上昇しちゃって、そーゆー時にまた間の良いあるいは悪い事に米国の2年やらユーロドル金先やらFF先物やらが絶賛金利上昇と来ましたので、散々悪態をついた状況になった訳でありますな。

まー何ですな、そもそも包括緩和で長めの市場金利の低下を促そうというのであれば、市場機能を重視して足元のGC金利というターム物金利の起点になる金利の形成を市場の需給で振らされるようにする、という「市場機能論」は包括緩和とは両立し得ないものでありますからして(足元のGC金利が振れるのであればその分だけタームのリスクプレミアムが発生しますわな、そらまあ政策金利の下げ余地があるというのなら話は別ですが)、まあやっと本来の文脈での「包括緩和に則った資金供給オペレーションの実施」が行われるようになって市場の方も包括緩和らしくなってきましたなという事で、少々遅れてやって来ました包括緩和ちゅう事でしょう。途中で随分と余計な回り道をしているのですが・・・・

・・・・・何かね、この流れって2008年の時のCP市場などのレート上昇およびその後の特別オペ導入の流れと相似形みたいな感じがする訳でして、妙な所で市場機能重視みたいな事を言い出すもんだから市場がその機能を遺憾なく発揮して金融緩和効果を相殺する方向に暴れるのを市場機能重視で放置プレイとなって、火消しのためにより強力な策を打ち出さないと落ち着かなくなるという流れって白川日銀の仕様なんですかねえ、何だかなあという感じですが。



バーナンキの議会証言から少々。オモロイのだが短い中で色んなネタを詰めすぎです。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110107a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110107a.pdf(PDF版)

○内容に関してざっくり感想をとりあえず

景気に関しては回復を続けており、特に消費者支出や企業投資に関しては「自律的な回復」という話をしていたりするのですが、その一方で特に雇用に関してはこれでもかとばかりに「回復が遅れている」という話を連発しており、物価に関しても厳しい話をしています。

で、金融政策に関しては資産買入(QE2ですがQEとは言わないのがチャーミング)に関する説明を延々と行っていまして、まあ議会様からああでもないこうでもないと言われる昨今でございますので、資産買入は大事なんです効果があるんですという話を結構頑張って行っています。

それから最後に財政健全化および財政支出の構造改革を行うべきというこれは議会向けの切り返し攻撃が入っているのも中々お洒落な所であります。

つーことで、まあ特に内容的にビックリするような話はそんなに無いとは思うのですけれども、議会向けの国債購入プログラム正当化説明に色々と微妙(というか一部インチキ)な成分が入っているのが味わい深い所です。


○金融政策に関して

とりあえず景気の部分をスルーして中盤の『Monetary Policy』の所から参ります。

・雇用の回復が遅れると言う話

その前に景気の部分でこれでもかと雇用の回復が遅れている話と今後も中々回復しませんよという話があるのですが、その流れで金融政策のところの冒頭はもういきなり雇用の回復が遅れるという話を。

『Although it is likely that economic growth will pick up this year and that the unemployment rate will decline somewhat, progress toward the Federal Reserve's statutory objectives of maximum employment and stable prices is expected to remain slow.』

回復が遅れますよという話はいつものネタですわな。

『The projections submitted by Federal Open Market Committee (FOMC) participants in November showed that, notwithstanding forecasts of increased growth in 2011 and 2012, most participants expected the unemployment rate to be close to 8 percent two years from now. At this rate of improvement, it could take four to five more years for the job market to normalize fully. 』

で、ここがヘッドラインにもなった「雇用市場の正常化には4-5年掛かるかもしれません」という部分でして、まあこれは単体で読むと時間軸強化っぽい文言なのですが、まあそれよりも(この議会証言全体のトーンから勘案すると)現在実施している国債買入をやったとしてもこのように雇用市場の環境は厳しいのですから、国債買入を急に止めるとか有り得ませんよ、っていうような事を強調したいのではないのかなとも思われる部分でございます。


・物価に関しては「極めて低いインフレの弊害」を説明するのですが・・・・

でその次が物価。

『FOMC participants also projected inflation to be at historically low levels for some time. Very low rates of inflation raise several concerns: 』

で、その幾つかの問題ですが・・・・

『First, very low inflation increases the risk that new adverse shocks could push the economy into deflation, that is, a situation involving ongoing declines in prices. Experience shows that deflation induced by economic slack can lead to extended periods of poor economic performance; indeed, even a significant perceived risk of deflation may lead firms to be more cautious about investment and hiring.』

うじゃうじゃ説明していますが、要するに低インフレだと経済ショックによってデフレ入りする危険性が高まりますよ、で、デフレだと企業の投資や雇用が慎重化しちゃいますよという話のようで。

『Second, with short-term nominal interest rates already close to zero, declines in actual and expected inflation increase, respectively, both the real cost of servicing existing debt and the expected real cost of new borrowing. By raising effective debt burdens and by inhibiting new household spending and business investment, higher real borrowing costs create a further drag on growth.』

現在政策金利がほぼゼロとなってこれ以上引き下げができないので、インフレの低下は債務者に対する実質的な借入コストの増大を意味し、企業や家計の投資行動の消極化や、起業における借入コストの増大を招き、経済によろしくないと。

というのはまあ良いとして、3番目の説明が議会向けテイストを感じる部分でございまして、えーっとそれで説明良いのかという気がせんでもない部分。

『Finally, it is important to recognize that periods of very low inflation generally involve very slow growth in nominal wages and incomes as well as in prices. (I have already alluded to the recent deceleration in average hourly earnings.)』

極めて低いインフレの継続によって名目賃金や名目所得の上昇も物価と同様に極めて低い上昇に留まりますよというのはまあその通りなのですが・・・・・

『Thus, in circumstances like those we face now, very low inflation or deflation does not necessarily imply any increase in household purchasing power.』

・・・・・・????? 実質購買水準はうっかりしたら上昇するんじゃないの???

『Rather, because of the associated deterioration in economic performance, very low inflation or deflation arising from economic slack is generally linked with reductions rather than gains in living standards.』

経済のスラックによって生じた極めて低いインフレあるいはデフレは、経済のパフォーマンスが低下するので生活水準も低下しやすいですよ、と仰せなのですが、その場合は名目ではなくて実質の経済成長をするのかどうかに依存する話であって、まあ「家計の購買力の低下」だの「生活水準の低下」だのというような議会向けのネタを散りばめて説明しているのでしょうけれども、何かここはインチキ成分が入っているような気がするだわさ。


・金融緩和政策の説明が更に微妙なテイストを

で、その続きとしてここからが金融緩和政策が適切な政策ですよという説明の部分になるのですが、のっけからそこの説明が怪しげになるのが議会証言クオリティ。

『In a situation in which unemployment is high and expected to remain so and inflation is unusually low, the FOMC would normally respond by reducing its target for the federal funds rate. However, the Federal Reserve's target for the federal funds rate has been close to zero since December 2008, leaving essentially no scope for further reductions. 』

まあ確かに2008年12月の声明文とか見ると失業率が急上昇して物価上昇が急速に弱まっているという話をしていますなあと思いつつその次。

『Consequently, for the past two years the FOMC has been using alternative tools to provide additional monetary accommodation. Notably, between December 2008 and March 2010, the FOMC purchased about $1.7 trillion in longer-term Treasury and agency-backed securities in the open market. The proceeds of these purchases ultimately find their way into the banking system, with the result that depository institutions now hold a high level of reserve balances with the Federal Reserve.』

信用緩和の話を華麗にスルーしているのが何とも。この時の長期国債購入って正直言って不発にも程があったと思うのですけれども・・・・・

『Although longer-term securities purchases are a different tool for conducting monetary policy than the more familiar approach of managing the overnight interest rate, the goals and transmission mechanisms of the two approaches are similar. 』

いやまあ信用緩和政策は金融機関救済と議会でブー垂れるのがいるからその辺の話題を避けるというのは判るのですが、また「長期国債買入は金利引下げ政策ですよ」という話をするのも諸刃の剣だと思うのですけどねえ。

『Conventional monetary policy works by changing market expectations for the future path of short-term interest rates, which, in turn, influences the current level of longer-term interest rates and other financial conditions. These changes in financial conditions then affect household and business spending. By contrast, securities purchases by the Federal Reserve put downward pressure directly on longer-term interest rates by reducing the stock of longer-term securities held by private investors.3 These actions affect private-sector spending through the same channels as conventional monetary policy. In particular, the Federal Reserve's earlier program of asset purchases appeared to be successful in influencing longer-term interest rates, raising the prices of equities and other assets, and improving credit conditions more broadly, thereby helping stabilize the economy and support the recovery.』

ということで(めんどいので切らずにどどーんと引用するという手抜きプレイですが)、FEDによる債券購入によって長期金利の引き下げに効を奏して、それによって株価や他のアセットの価格も上昇させましたというのはさすがに説明に無理があると思うのですけれども、それよりも気になるのは今回の議会証言でもまた「長期金利引き下げ」の話を前面に押し出している事でして、この説明の続きの部分の脚注で「長期金利は市場の経済見通しなどにもよって変化する(ので景気回復期待が高まると長期金利が上昇する、と言いたいのでしょう)」というヘッジクローズが入っているのですけれども、もうちょっとポートフォリオリバランスを前面に出すような話をした方が無難な気がするのですよね、と思います。

ということで、さっきの引用の中にある3という部分なのですがね。

『3. More specifically, the Fed's purchases should tend to reduce term premiums, a component of the yield to longer-term securities. Longer-term interest rates are also influenced by market expectations of the future path for short-term interest rates, which in turn depend on the outlook for the economy and so for the target federal funds rate.』

ということで一応ヘッジは入っているのですが、あまり「長期金利低下」を連呼しない方が良いとは思うのですけどねえ・・・・・

で、QE2実施は「この経験を踏まえ、経済の見通しや失業率の水準が満足のいくもので無い事から、去年の夏の終わり以降に新たな緩和策実施を示唆し、11月に緩和策を実際に行いましたよ」という事になっていまして、これまた違和感が。

『In light of this experience, and with the economic outlook still unsatisfactory, late last summer the FOMC began to signal to financial markets that it was considering providing additional monetary policy accommodation by conducting further asset purchases. 』

何かね、CEの説明とQEの説明を意図的にごっちゃにしているような気がするんですけど・・・・

ということで、金融政策がらみの部分は概ねこんなもんです、明日補足するかもしれません。







2011/01/07

お題「短国入札絶賛大堅調/FOMCネタの続きとか補足とか」

問責決議案で一々辞任する必要があるかというのはその通りだが、そもそもてめえが野党の時に自公政権に向けてやっていた事をやり返されているだけなのに何必死にファビョっているのでございましょうかと思う今日この頃。つーか早く下野しろ。

○3か月TB入札堂々の平均落札0.11%割れですかそうですか

いやまあ予想の範囲内の展開ではあるのですが昨日の短国入札。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul230106.htm

(3)募入最低価格 99円97銭3厘0毛
(募入最高利回り)(0.1107%)

(5)募入平均価格 99円97銭3厘5毛
(募入平均利回り )(0.1087%)

ということで貫禄の0.10%台ということで、落札結果発表後も堅調推移していたようで、まあ既発債が流通玉枯渇状態でありましたこともありまして新発も入札日から普通に0.11%割れ水準での流れとまあ順当ちゃあ順当なのですが、前回の入札対比ではえらい勢いで強くなりましたなあという所です。とは言いましても、ここ2週間程入札が無く(年末年始の日程上の都合)その間に準備預金の進捗はヤケクソ供給の効果でドンドン進み、更に短国買入をレギュラーオペと基金買入で合計4回(20日の入札日にやった基金買入を含めると5回)打ち込んでおりまして、そらまあ玉が枯渇するわなという所でございます。

超過準備が積み上がりそうになってくる銀行さんがキャッシュを潰しに短国とか短い国債とか買っているのでしょうなあと思うのですけれども、そろそろ年始本格始動になる普通の投資家(普通か普通じゃないかというカテゴリーも不穏当な言い方ですねすいません)が「さて運用するか」と言った時に運用するものがNEEEE!という状態になると今度はCPとか短い一般債とかも強くなってくると思うのですが、足元短国(とGCの運用ニーズ)だけが走っている状態でして、これがどうなるのかは来週生温かく注目しておきまひょかという所でございます。まあ普通に考えると足元での気合の資金供給が続けば超過準備候補の運用ニーズが高いままで推移しますので、0.10%以上のレートなら買いましょーってな事になって、他の投資家もスピルオーバー効果みたいにその辺の周辺商品の買いが入りますなという事になろうかと存じますけど。

ということで、短国入札の話はするものの長国入札の話は完全にスルーするのがドラめもんクオリティ。あれだけ押し込んだのに平均がそんなに高くなかったなあという印象、と思ったらその後もぱっとしなかったという感じなんですか、よく判らんが。


○FOMC議事要旨ネタ続き

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20101214.htm(html版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20101214.pdf(pdf版)

・景気に関しては若干引き上げているものの、循環的には良いが構造的な問題は厳しい見方継続

というのは声明文の時に明らかでしたけれども、議事要旨にもその辺りの言及が。

『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants saw the information received during the intermeeting period as pointing to some improvement in the near-term outlook, and they expected that economic growth, which had been moderate, would pick up somewhat going forward. Indicators of production and household spending had strengthened, and the tone of the labor market was a little better on balance. The new fiscal package was generally expected to support the pace of recovery next year.』

と、ここまでは明るい話。

『However, a number of factors were seen as likely to continue restraining growth, including the depressed housing market, employers' continued reluctance to add to payrolls, and ongoing efforts by some households and businesses to delever.』

こうやって見ますと、循環的な回復と財政刺激によって景気は拡大するものの、その一方で住宅市場や雇用者所得の伸びが弱い事や家計や企業のバランスシート修正などが成長を抑制するってえ話をしているのですから、モロに構造要因が残存するという話。

『Moreover, the recovery remained subject to some downside risks, such as the possibility of a more extended period of weak activity and lower prices in the housing sector and potential financial and economic spillovers if the banking and sovereign debt problems in Europe were to worsen.』

更にダウンサイドリスクがどうのこうのというのは昨日引用した所にも同じ話(これは冒頭部分だから最初にまとめが1パラグラフで書いてあるのだから当たり前ですが)をより詳しく記述した部分がありましたね。

『In light of recent readings on consumer inflation, participants noted that underlying inflation had continued trending downward, but several saw the risk of deflation as having receded somewhat.』

消費者物価に関してはダウントレンドが継続しているものの、数名の委員は「デフレのリスクが幾分か軽減している」という認識を示したというのはホンマカイナという気がするのですが、ただのQE2効果自画自賛なのか良く判らんです。まあ商品価格とか上昇してますからヘッドラインのインフレは高いっすからねえ。

ということで、構造要因が足を引っ張り、更に経済のスラックが改善されてこないという中での循環回復ですからどう見てもFalseDawnです本当にありがとうございましたという感じなのですが、まーそーは言いましても日本だって何度も回復ワッショイとかやってた訳ですから、雨公様におかれましても偽りの夜明け祭りは目先続くでしょうなという所ですか。


・ホーニッグさんの反対理由

お約束のホーニッグさん。

『Mr. Hoenig dissented because he judged that economic conditions were improving, and that the current highly accommodative stance of monetary policy was inconsistent with the Committee's long-run mandate. Mr. Hoenig noted that the economic recovery was shifting from transitory to more sustainable sources of growth and was picking up momentum.』

直球ストレートで景気回復ですと、しかもその回復もよりサステイナブルになっているとな。

『In his assessment, maintaining highly accommodative monetary policy in the current economic environment would increase the risk of future imbalances and, over time, cause an increase in longer-term inflation expectations.』

これはいつもの理由。

『Mr. Hoenig also was concerned that the eventual orderly reduction of policy accommodation would become more difficult the longer the first step in that process was delayed. In Mr. Hoenig's view, the Committee should begin preparing markets for a reduction in policy accommodation.』

今回この理由が入ったのが新しいっすな多分(違ってたらごめんなさい)。最初の出口が遅れると秩序だった出口政策が困難になるという話で、これに関しては「15分で引き締め可能」とか豪語するバーナンキさんよりもホーニッグさんの見解の方が妥当だと思います。「今」がその時期かというとそれは違うと思いますが。

『Accordingly, he thought the press statement should indicate that sufficient monetary stimulus was in place to support the recovery.』

前回も「長期間にわたる高いレベルの金融緩和継続はFOMCの目的達成に対してリスクがあるという点を声明文で指摘すべきだ」というような話をしていまして、まあ今回もその流れの話でしょうな。


・昨日の補足

昨日引用したコミュニケーションポリシーに関する部分なのですけど。

『Several meeting participants mentioned the communications challenges faced in conducting effective policy, including the need to clearly convey the Committee's views while appropriately airing individual perspectives.』

このindividualがFOMCメンバー個人を指すのか、個別の案件(物価とか雇用とか)を指すのかよく判らないでうにゃうにゃと訳してみたのですが、早速読者様からご指摘を頂きまして大変に勉強になりましたありがとうございますm(__)m以下受け売りで恐縮(^^)

ここの接続詞のwhileは「〜の一方」という意味になりまして、「委員会のビュー」と「その一方で」という繋ぎになりますので、そうなると「委員会」と対比させるindividualは「委員会の委員個人」と解釈する方が自然な解釈と思われます。つまり、「FOMCメンバー個人個人の見通しを適切に述べつつ、FOMCの委員会としてのビューを明確に示す必要があるのではないか」というコミュニケーションポリシーに対するお話ということでして、確かに足元ではFOMCメンバーの個々人のビューがはっきり伝わってオモロイのはオモロイのですが、QE2実施前後などは特にそうでしたが、FOMCメンバーの発言で微妙に政策に対する思惑がぶれて市場が揺れたりしておりましたし、この辺りに関しては「ここからここまでが個人のビュー」「これはFOMCが委員会という機関で決定したビュー」というのをより明確化した方が、コミュニケーションとしては良くなるでしょうという感は致します。

昨日は「力技よりも時間軸の方が良いのではないか」とか書いた訳ですが、確かにこうやってここの部分を読んでみますと、各委員が結構言いたい放題モードなので、どこからどこまでがFOMCのビューなのかが良く判らんという部分がありまして、そーゆー中で時間軸のような期待形成に働き掛ける政策フレームワークにシフトするというのは却ってミスコミュニケーションの拡大になるリスクもあるなあと思うのでありました。

#本当はBOEネタもあったのですが時間がなくなったので来週






2011/01/06

お題「FOMCは長期金利押し下げに固執しない方が良いと思うのだが・・・・」

また米国2年債0.7%乗せですかそうですか・・・・・

さてさて、昨日はまだ頭が年初(いつも頭が寝ぼけているだろというツッコミは謹んで却下致します^^)でございましたので完全スルー体制としたFOMC議事要旨でございますが、微妙な論点があったので取りあえず「FOMCメンバーのビューおよび政策決定」に関する部分から少々。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20101214.htm(html版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20101214.pdf(pdf版)

紙に出すときはPDFを等倍印刷した方が読みやすいのですが、引用する時にはHTMLの方が使いやすいので基本的にHTML版の方から引用をするでござるの巻。なので、基本的にはFRBスタッフの経済見通しなどの話は必要があったら後日追加しますが、今回は後半の『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』部分から引用します。

○今回の議論の白眉はやはり「長期金利に関する論議」ではないかと

「長期国債買入で長期金利の低下を図る」と言って華麗に長期金利が上昇した件に関してはFOMCプギャーとか思っていたりもする(不謹慎)あたくしと致しましてはひじょーに興味のある所なのですが、1パラグラフ分のスペースを使って足元の長期金利上昇に関する議論がございました。

『Interest rates at intermediate and longer maturities rose substantially over the intermeeting period, while credit spreads were roughly unchanged and equity prices rose moderately.』

この辺りに関する詳しい話はスタッフのビューに色々とありますが、前回のFOMC以降で長期金利が「かなりの」上昇を示している一方で、クレジットスプレッドは概ね変わらず、株価は緩やかに上昇している(ので名目長期金利の上昇は金利上昇以外の金融環境悪化には繋がっていないと言いたいのでしょう、というかスタッフの経済ビューのところでその辺りは「クレジットスプレッドは拡大していないし企業の資本市場へのアクセスは悪化していないんですよ」と強調しているのがチャーミング)と仰せですな。

『Participants pointed to a number of factors that appeared to have contributed to the significant backup in yields, including an apparent downward reassessment by investors of the likely ultimate size of the Federal Reserve's asset-purchase program, economic data that were seen as suggesting an improved economic outlook, and the announcement of a package of fiscal measures that was expected to bolster economic growth and increase the deficit over coming quarters. It was noted that the backup in rates may have been amplified by year-end positioning, as well as by some reported mortgage-related hedging flows.』

つーことで足元までに長期金利が上昇した要因について幾つかの要因を指摘しているのですけれども、(1)FRBの資産購入プログラムの規模に対する市場の期待が低下した、(2)足元での経済指標が景気見通しを引き上げるものであった、(3)ブッシュ減税継続などの財政刺激策が、目先数四半期に渡っての経済成長押し上げと財政赤字拡大を期待させるものであった、という点に加えて(4)年度末におけるポジション調整の動きや、MBSのヘッジ絡みの売買が金利上昇を加速させた可能性、というのを指摘しています。

でね、話をまあここで止めておけば良いのにとあたくしなんぞは思うのですけれども、その次に何と申しますが物凄くのけぞるというか脱力する議論があるのよこれが。

『A number of participants indicated that, because the backup in rates appeared to importantly reflect changes in investors' expectations about the size of Federal Reserve asset purchases, the backup was consistent with purchases helping to keep longer-term yields lower than would otherwise be the case.』

ちょwwwwwwwwお前それはwwwwwwwww

・・・・えーっとですな、どういう話をしているかと申しますと、「a number of」って言ってるんですから多くのFOMCメンバーが認識しているのは、「足元の長期金利上昇は主に市場参加者がFRBの今後の資産買入規模に関する予想の変化(つまり資産買入規模が今後増えないとか現状の予定をコンプリートする前に終了するとかいう予想に転じたということ)を反映したものである」ということである、てな話をしているのですな。

何かその時点でどうなのよというツッコミがあるのですが、その次の部分(文章的には同じ文のカンマ以下部分ね)が更に(;゚д゚)な訳でございます。

つまり、そこの部分を読みますと「ということは、足元の金利上昇は『FRBの資産購入プログラムが他の手段よりも長期金利を低位に維持する事の助けとなる』ということに整合的である(事を示していると多くのFOMCメンバーが指摘した)という中々こう脅威の指摘をしているのですよね。

この部分の何がおそロシアかと申しますと、そもそも「FRBの長期国債買入規模を拡大させるor拡大するであろうという期待を市場に持たせる事によって長期金利を低下させる」という力技にも程があるロジックをFOMCメンバー(今月から一部入替になりますが)の多く(a number of participants)が持っているということでありまして、どう見てもそれは無茶にも程があるだろと存じます次第。即ち、資産買入プログラムが景気や物価に対して好影響を与えるというものであって、市場参加者もその認識を共有しているのであれば、資産買入の拡大は景気見通しの上方修正に繋がるものであり、それによって長期金利が上昇する方が先に来るでしょ(というか現に来ていると思うのだが米国の金融市場では)と思うのでありまして、そこの所よりも「足元の金利上昇は資産買入規模への期待がしぼんだ事によるものである」という点を強調しちゃうと、「資産買入拡大」→「市場参加者の景気やら物価やらの見通し上方修正」→「長期金利上昇」→「長期金利上昇を抑制するために資産買入を更に拡大」という無間地獄というか要するに米国債券市場のボラティリティーの拡大を巻き起こす話になると思うのですよね。

それにですね、どこかの段階で積みあがったFRBの国債買入の残高が足元の米国連邦政府の財政赤字拡大とリンクして「中央銀行による財政ファイナンスとなって維持不可能になるのではないか」という制御不能な財政マネタイゼーションという発想にいきなり転換した場合にはどうしようもない状態になってしまうリスクがある訳でございまして、この手の「市場の期待」って言うのは必ずしも線形で動くものではなく、どこかの閾値を超えるといきなり非線形にジャンプするものであるというのが市場現場労務者10ウン年のあたくしが思うのでありまして、必ずしも「FRBが長期国債を何億ドル買うから長期金利が何ベーシス下がる」というような定量的な話にはならないと思うのですよね。

でも、何かここの部分を見ておりますと、FOMCメンバーの多くはそーゆー部分を割と楽観的に「定量的にこれだけ買うから長期金利はこれだけ下がる」みたいなナイーブな話をしとりゃーせんかと微妙に薄ら寒いものを感じる次第なのでござる。


いやまあね、長期金利を下げる云々といっておっぱじめた部分があるし、足元での長期金利上昇先行モードが景気の足を引っ張る事を懸念してこの手の話をわざわざ公表文書に掲載する事によって長期金利の上昇を抑えるというような思惑で威勢の良い事をあえて入れている、という考え方も出来るのでこの辺りは微妙なのですが、少なくとも字面を裏も表も無く読むと、「この人たちマジで長期国債買入の額を調整することで長期金利をコントロールできると思ってるか?????」とおそロシアな物を感じる次第。

でまあこっちのロジックに固執すると何か長期金利上昇抑制のためにQE2のおかわりを実施とか平気でやりそうで、その度に米国長期金利のボラが更に上昇というような非常に香ばしい展開も想定されますので、まあ何だかなあと思うのです。


○長期金利低下に固執するよりは時間軸強化の方向が政策としてのリスクもコストも小さいと思うのだが

で、実はこのパラグラフはまだ一文残っておりまして、その部分が救いになるかもしれないと思うのですよ。ということで上記の続きでこのパラグラフの最後の部分ですが。

『Several meeting participants mentioned the communications challenges faced in conducting effective policy, including the need to clearly convey the Committee's views while appropriately airing individual perspectives. 』

金融政策のコミュニケーションポリシーに関してより有効な政策を行うに際する新たなチャレンジに直面している(って何か訳が怪しくてすいません)という事を数名のFOMCメンバーが指摘していて、そこにはFOMCの個別(なのかメンバー個人個人なのか良く判らんが、普通は個人個人のビューは細かく出さないのがお作法だと思うので個別案件ということかいな)の見通しに関して明確に伝達する必要があるのではないかという論点が含まれるという事です、とかヘタクソにも程がある訳をしてみたのですが、ニュアンスとしては「FOMCの政策スタンスをより明確な方法で示す」という話ですから、時間軸の明確化のような話になるのではないかなあと思うのですよ。


でね、まあそういう意味では時間軸の強化っぽいネタはこの章やその次の『Committee Policy Action』の章のあちこちに散りばめられてはいるのですが、ここの指摘というのはそれらの辺りに関しても「景気認識やら見通しの中での表現で伝えるという示唆方式ではなく、より明確化したほうが良いのではないでしょうか」という論点なのではないかなあと思うのでございまする。

んでもってどの辺が時間軸っぽい話の部分かと言いますとこれがまたこの2章だけでも幾つかあるのですが、まずは全体としての経済活動の先行き見通しに関するパラグラフから。

『Regarding their overall outlook for economic activity, participants generally agreed that, even with the positive news received over the intermeeting period, the most likely outcome was a gradual pickup in growth with slow progress toward maximum employment. 』

つーことで全体的な見通しとしても「中心的な経済見通しは緩やかな成長であり、それはFRBの目的である雇用の最大化に対して遅い進展しか示さない」と言う事で、即ち現在の極めて緩和的な金融政策の長期化を示唆しているという訳ですな。

更に『Committee Policy Action』の冒頭でもこんな話がありますが、まあこの辺りは声明文にも反映されておりましたかな。

『Members noted that, while incoming information over the intermeeting period had increased their confidence in the economic recovery, progress toward the Committee's dual objectives of maximum employment and price stability was disappointingly slow. In addition, members generally expected that progress was likely to remain modest, with unemployment and inflation deviating from the Committee's objectives for some time.』

ということで、前回のFOMC会合から足元までの回復のペースは「dual objectives」に対して「disappointingly slow」であり、先行きの見通しに関しても当面(for some time)の回復ペースに留まり、FRBの目的とする失業率や物価上昇率に対して乖離していると仰せですな。

んでもって、前半の景気認識部分を引用してないですけれども、まあ足元の景気回復に関してはFOMCの予想よりも良いですよという話をしておりますが、その部分を踏まえながらも当面の金融政策は継続しますよという話をしていまして、時間軸が短期化するのを防ごうとしているなあというのも見えて参ります。同じく政策決定論議の部分から。

『While the economic outlook was seen as improving, members generally felt that the change in the outlook was not sufficient to warrant any adjustments to the asset-purchase program, and some noted that more time was needed to accumulate information on the economy before considering any adjustment.』

景気見通しは改善しているものの、その改善は資産購入プログラムの規模修正を正当化するには不十分であり、数名のメンバーは資産購入プログラムの修正を検討する前により多くの景気改善の情報を必要とする為に時間が掛かると指摘しました。

『Members emphasized that the pace and overall size of the purchase program would be contingent on economic and financial developments; however, some indicated that they had a fairly high threshold for making changes to the program. 』

FOMCメンバーは資産購入プログラムの実施ペースや実施総額は経済状況や金融環境次第であることを強調したものの、数名のメンバーはプログラムの変更を行うための敷居はかなり高い事を示唆しました。

つー感じで、声明文に示された「景気見通しは改善しているけれども物価や雇用に関しては下げている」というある意味器用な説明で「景気回復ムードに水を差したくないし、その一方で時間軸を短くして長期金利の更なる上昇を招くのは避けたい」という印象を思いっきり受けた訳ですが、今回の議事要旨におけるFOMCメンバーの議論部分を見ておりますと、声明文を読んであたくしめが感じたような話をしているんだなあと思ったのでございました。


個別の需要項目に関する部分も引用したいところですが、まあ長くなるので華麗にスルーでございますが、特に物価と雇用に関する部分で「雇用の改善に時間が掛かる」「経済のスラックが残存し、雇用者所得の伸びが低い状況ではコア物価の上昇は緩やかなものに留まる」といういつもの話を強調していまして、まあその辺りからも時間軸の強化みたいな話がでていますなという感じです。

つまりですな、前半でご紹介したような「長期金利を力技で押し付ける」的な発想で今後も政策運営のスタンスが決まっていくのか、それとも今回に関しては力技的な話をしているものの、将来的にはその辺りの話から足抜けして「時間軸の強化」方向でのスタンスにしていくのか、という辺りが今年のFED野次馬ヲチャーの積りのあたくしとしての注目でございまして、仮に前者の「力技での長期金利押し下げ」に固執するようであれば、米国は長期金利だけでなく短い所まで含めてボラは益々上昇するでしょうし、後者になれば徐々にイールドカーブの手前の方が落ち着いてきてもおかしくは無いと思うのですが、米国の場合はまだ「投資対象無いから国債買うか」みたいなステージになっていないのでその辺は微妙かもしれませんなと思うのでありました。


○景気の上振れ下振れリスクに関してですが「え??」と思った場所が

さっきの『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』での先行き見通しに関する部分に戻りますが景気の上振れと下振れリスクに関して。

『A few mentioned the possibility that growth could pick up more rapidly than expected, particularly in light of the very accommodative stance of monetary policy currently in place. It was noted that such an acceleration would likely be accompanied by significantly more rapid growth in bank lending and in the monetary aggregates, suggesting that such indicators might prove to be useful sources of information. 』

どう見てもホーニッグさんですという感じですが、「a few」と書いているのですからホーニッグさん以外にも(少数意見扱いですが)この論点の話があるのねというのが微妙にチャーミングではございますが、足元の景気加速が予想より強く、異例の緩和的な金融政策が銀行貸出やマネタリーのより急速な拡大をもたらす可能性があるという上振れリスクの話をしてますわな。まあ少数意見ですけど。

『Others pointed to downside risks to growth. One common concern was that the housing sector could weaken further in light of the considerable supply of houses either on the market or likely to come to market. Another concern was the ongoing deterioration in the fiscal position of U.S. states and localities, which could lead to sharp cuts in spending and increases in taxes.』

ただまあ他の人たちはダウンサイドリスク意識ということで、住宅市場の低迷継続と連邦政府および地方政府の財政問題に起因する公的支出の縮小や増税が経済に与える悪影響を懸念している、という所まではまあさいですなという感じなのですけど。

『In addition, participants expressed concerns about a possible worsening of the banking and financial strains in Europe, which could spill over to U.S. financial markets and institutions, and so to the broader U.S. economy. 』

先日ご紹介した12月頭に実施されたBOEの議事要旨で思いっきり同じネタがありましたけれども、ヨーロッパの周縁国の債務問題が英国の銀行セクターの資金調達のコストやアベイラビリティーに悪影響を与えて英国のクレジット環境の悪化に繋がるというのはまあ話として思いっきり判るのですが、米国にそんなに問題拡大するのかよってのはひじょーに疑問なところでして、何でこういう話になっているのかは微妙に気になる所であります。まあこの時点ではソブリンが飛ぶみたいな話もあったので、その辺りで懸念が大きくなっていたと言う事なのかも知れませんが。

まあ基本的に「リスクはダウンサイド」という事かと思います。


てな感じでとりあえずFOMCメンバーの議論の中から一部引っ張ってきてああでもないこうでもないと申し上げましたが、あたくしの妄想成分も入っていると存じますので、この辺違うんじゃないのというようなお話がありましたら是非是非(^^)。しかしまあ読んでて思うのは「QE2の評価に関してメンバーの見解が固まっていないな」というところかと思いますです、はい。


以下別件雑談。

○日銀の何か知らんが気合の供給なのかこれ

昨日のオペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110105.htm

・・・・・(;゚д゚)

10時10分の「輪番+短国買入同時実施」というのもあまり見たことが無いのですけれども(しかも輪番は1年以内と1〜10年のセットなので1年以内の買入が利付国債と短期国債の2本立てという形になる)、13時の供給でも(手前の3本はまあ良いとして)わざわざ12日スタート(12日は10年国債発行要因で財政が揚げ超になる資金不足日)のオペを打ち込んでくるという形で4本立て供給。

というのを見て反応したのかどうかは知りませんが、13時のオファーの後2年カレントが5糸強堂々の買われという事で反応したのもチャーミングでございましたが、長い所も何か反応して債券相場上昇でござるの巻。

いやあ何と申しますか、11月後半までの市場機能重視というか当座預金残高17兆円維持というか、そんな調節スタンスから今度はわんこ蕎麦大食い大会状態かというような調節スタンスとなっておりまして、そらまあ声明文からしたらこれは整合性のある動きにやっとなりましたなと言う事なのですけれども、あーた振れが極端過ぎですがなという感じでございまして、もうちょっとこう「市場の金が少々余る程度に安定的に供給」ってゆー風にいかないもんかねと思うのですけど、まあ昨日申し上げたようにGC市場の需給を正確に読んで調節するのも難しいのは難しいので、無いものねだりかもしれませんが、もうちょっと何とかならなかったのかねえとは思います。

しかしまあ何ですな、どうせならこの気合の供給は今日の13時に見せていただきますと、3か月TBの入札と10年国債の入札が終わった直後で世の中が全員ロングポジションになっていますから皆さんハッピーハッピーなのでありますが、その1日前に相場を持ち上げるようなオペ(まあどうせ今日は米債要因で下がるから同じちゃあ同じですけど)をして入札のレベルを上げる辺りが一昨年の「12月1日臨時政策決定会合開催(ただしアナウンスが11時1分)」というのと似たKYテイストを感じる所でございますな(−−;)。

いやまあ別にどうでもいいちゃあどうでもいいんですけどね(^^)。今日の3か月TBはどの位強いんでしょうかね〜♪








2011/01/05

お題「また札割れ供給とな/12月BOE議事要旨」

ペニーオークションと言いクーポンビジネスと言い、最近の「海外で流行の画期的なネットビジネス」って何でああアレなのでございましょうか。そしてそういうのを何も考えずに宣伝(ニュースの形式だがどうみてもパブニュースです本当にありがとうございましたというのがございますわなあ、某公共放送の某コーナーとか某経済ニュース番組の某コーナーとか・・・・)を流す報道機関ももうちょっと物事を考えるべきではないかと思いますがねえ。単に宣伝したいサイドの情報を垂れ流す番組を放映するんならそこらのネット情報と変わらんがな。

という話は兎も角として、やはり大発会が普通の立合いで普通に仕事すると疲れますなあって怠け者ですかそうですか。

○年始早々札割れとか

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110104.htm

これはまた見るからに札割れオペと思ったら案の定札割れでござるの巻。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110104.htm

ということで当座預金残高22兆円攻撃が続いている事から放っておくと準備預金が無駄に進捗する惧れがある為にとりあえず短い所の国債とか短期国債とかで運用しておく動きで先週末には2年299回債が0.155%とかお洒落にも程がある展開を示したのですが、短期国債は買い攻撃によって業者の在庫がスッカラカンになった挙句にこの有様。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=aq_rcK2AR3Vc
新発TB3カ月物0.10%に低下、日銀の潤沢供給受け−オペ札割れ続く

・・・・(;∀;)イイハナシダナー

いやーもう何と申しますか急に出すようになったら今度は潰すべきキャッシュが世の中に溢れる状態になるとか(昨日も申し上げましたが)極端に振れますわなあと思いますが、これで資金を引いたら更にトンチキにも程がありますので、何ぼなんでもこの調子で暫く行くと思いますが、結局の所「ターム物金利の一段の低下」と「市場機能の維持」というのは、現状のターム物金利がコールではなくて実質的にGCレポを起点に形成されており、そのGCレポ市場が日銀がコントロールするのにコールのようにホイホイと簡単に上げ下げしにくいという部分がある事からも難しいですわなという所なのではないかなあなどと呆然と妄想するあたくしなのでした。

つまり、GC取引が先日付であるというのは前から申し上げていますが、もう一つの問題としてGC市場で一番金を出しているのが実質3人くらいしかいないという市場の特殊性(投信などの他の参加者もいるけれども測定誤差の世界)があって、債券ディーラーの資金ポジションが現物国債の需給および参加者のポジションの大小によって増えたり減ったりする訳ですが、そのポジションが全員資金取り方向になった途端に市場の出し手が直ぐにレートをホイホイ上げてしまうので、市場機能重視的なオペレーションをすると何らかの事情(資金繰りが読みにくい所を跨ぐ取引とか)が起きた場合にアッというまにGCレポレートがホイホイ上昇となるわけです罠。現在のように業者が全体で資金調達超過状態になっている(と思われる)場合だと一部の出し手さんが資金出さないでいるとドンドン業者の運用が先行しちゃって資金出し損ないリスクがあるのでGCを低いところで資金出し方向になるんでしょうけれども・・・・・

まあ業者のポジション自体も市場動向に左右されますし、逆にGCが無限にアベイラビリティーあると思えばポジションを直ぐにホイホイ拡大するような動きが起こる事も想像に難くない所でして、まーこの辺りの状況把握をするのも中々難しいというかスキルが必要っぽい話でして、どうしたら良いのかというのは結構考え出すと頭が痛くなる話ではございますな、って傍観者のあたくしが悩んでどうするという話ですが(^^)。

非常にそもそも論かつ何の解決にもならない話としては「0.10%という低金利&金利抑え込みという状況が困るのよ」という事になりますけれども、そこはそういう話をしても解決にならないのでありまして、複雑なパズルの話がこの後続く予定なのですが、頭の中が纏まっていないので以下後日(急に話がワープしておりますがまあその内考えた事をうだうだ書きますです、汗)。


昨日の続き
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1012.pdf

○景気に関しては案外強気だがユーロ圏ソブリン問題の下振れリスク警戒

第13パラグラフから。

『The Q3 data were mildly encouraging because they indicated that growth had been driven by final demand, rather than by stockbuilding. That suggested that the recovery might be more securely based than if growth had been driven primarily by a temporary boost from the working out of the stock cycle.』

ということで、景気の拡大が在庫復元だけではなく最終需要の伸びによって起きている事を示す指標がでているのが「mildly encouraging」と指摘していますな、うんうん。

『Nevertheless, the range of available business surveys had indicated, on balance, that activity growth might slow a little in Q4 and Q1 to slightly below its historic average rate. Within that aggregate rate, it was possible that manufacturing growth would remain relatively robust but that services sector growth would be more modest.』

ただまあ先行きに関してはややスローになると。

でまあ需要項目別に詳しい話がその後にあるのですがそこはスルーして第16パラグラフ。

『A more significant risk to the outlook for UK activity arising from recent developments within the euro area was the possible impact that a prolonged period of financial market tensions might have upon domestic demand within the United Kingdom. It could hamper the ongoing process of balance sheet strengthening by the UK banks, which could in turn put renewed pressure on the cost and availability of credit to UK households and companies, especially if it were associated with a further withdrawal from UK lending markets by some euro-area banks. It could also lead to a reduction in spending as the result of a fall in household and business confidence.』

ということで、最近のユーロ圏での金融市場の動揺が長引いた場合に、英国の需要に悪影響を与えるという話と、英国の銀行の資金調達に悪影響が起きた場合に国内の民間セクターの資金調達に悪影響を与えるという論点であります。で、この問題はリスクを高めているという話を金融政策決定に関する議論の第28パラグラフでも強調していますが、まあそっちの引用はこの後で。


○金融政策決定におけるリスク認識

基本的には毎度お馴染みの如くなのですが、「前回のMPC以降に特に予想の変化が大きくは起きていない」(第25パラグラフ)、「目先に関してはインフレの更なる上昇を予想する」(第26パラグラフ)「しかしながら経済の余剰生産力が当面の間継続する環境においては、一時的な要因が弱まってくればインフレはターゲット水準に向けて低下するでしょう」(第26パラグラフ)という話は継続しています。

で、第27パラグラフではいつもの指摘。

『The key consideration for the policy decision was whether recent developments had altered the Committee’s view of the balance of risks to the prospects for inflation in the medium term. As had been the case for some months now, there were two opposing key risks.』

先に低下リスクの話がありますが、いつもの「財政再建と経済の余剰生産力」問題に加えて、今回は先ほど引用したユーロ圏問題の長期化リスクに言及していますがさっき書いたので引用だけ。第28パラグラフから。

『On the downside, there remained the risk that private sector demand would not pick up sufficiently strongly to offset the fiscal consolidation and to erode the substantial margin of spare capacity that existed in the labour market and within firms. The persistent underutilisation of resources could then cause inflation to fall significantly below the 2% target in the medium term.』

ここまでは今までと同じ。

『Recent developments within the euro area had heightened that risk. A persistent period of financial market distress could depress activity in some of the peripheral euro-area countries and hence the demand for UK exports, although this direct effect was unlikely to be large. It could, however, also adversely affect business and consumer confidence both at home and overseas, pushing down on demand. And it could affect UK banks’ ability to raise funding, leading to a deterioration in the cost and availability of credit to households and firms. The likelihood of these events occurring was hard to judge, but their impact could be large.』

で、アップサイドに関しては昨日引用した世界的なディマンドプルインフレに関するリスクが新たに加わっているのですな。第29パラグラフから。

『On the upside, there was the risk that a prolonged period of above-target inflation could cause inflation expectations to rise, making it more costly to bring inflation back to target in the medium term. Recent developments had heightened this upside risk. CPI inflation had risen again in November.』

ここまでは今までと同じ話ですが、足元のインフレ拡大でこのリスクも拡大と。

『There were also signs of increasing inflationary pressures from strong growth in the world economy. Commodity prices had risen substantially over recent months, which could herald a prolonged period of deterioration in the UK terms of trade. And there were some signs that UK households’ inflation expectations were edging up. Nonetheless, available indicators of businesses’expectations and those inferred from financial markets had remained stable. And it was encouraging that earnings growth had remained moderate.』

所得の伸びがモデレートなのがインフレスパークしない意味でencouragingとな。


○ポーセンVSセンタンス

毎度の反対意見ですが、ポーセン先生は今回「サーベイのインフレ予想が上昇している事よりも金融市場の示唆するインフレ率(は上昇していない)事の方が有益なデータである」とのご主張です。めんどいので第31パラグラフをまる引用。

『One member continued to take the view that a further expansion in the Committee’s programme of asset purchases was necessary to prevent inflation undershooting the 2% target in the medium term. For that member, recent inflation outturns could be explained by the various price level shocks that had occurred and contained little news about inflation in the medium term.』

『Financial markets provided a more valuable guide to inflation expectations than did surveys of households, and measures backed out from them had remained broadly consistent with the inflation target.』

ほほう。

『That was consistent with continuing subdued growth in earnings. Looking ahead, consumption growth was likely to slow, reflecting in part the impact of the fiscal consolidation. It was likely that there was a significant margin of spare capacity and that this would persist for some time. In this member’s view, that would probably act to push inflation well below target in the medium term in the absence of further measures to stimulate demand.』


で、センタンス先生は思いっきり「景気が良くなっている一方でインフレリスクが拡大している」「経済の余剰生産力がインフレを押し下げる力は実は弱いのではないか」というこちらも直球攻撃です。第32パラグラフから。

『Another member continued to take the view that it was appropriate to begin to withdraw some of the exceptional monetary stimulus that had been provided by cutting Bank Rate to 0.5% alongside the Committee’s programme of asset purchases.』

『Demand had continued to recover at home and abroad, and a wide range of measures of UK nominal demand had grown at above typical pre-recession rates. Private sector activity had expanded steadily over the past year, which augured well for the economy’s ability to continue to grow in the face of the prospective fiscal tightening, although the pattern of that growth might prove to be volatile.』

景気は良いとな。

『Meanwhile, inflation had remained above the target. Strong global growth was putting upward pressure on commodity prices, and there was little evidence to suggest that spare capacity was exerting significant downward pressure on UK inflation.』

ほほう。

『In this member’s view, a gradual withdrawal of monetary stimulus by raising Bank Rate was justified by recent economic developments and would help to reinforce the expectation that inflation would fall back to the target.』

ま、どちらが正しい(両方とも間違っているのかもしれませんが)のかとかはこれから見ていく話ですが、足元でヘッドラインのインフレが上昇して春には4%に近づくという英国が振り上げた量的緩和政策の拳をどう収拾する(しないかもしれませんが)のかは見ものでございます、などとすっかり野次馬的不謹慎発言ですな。

なお、今回のMPC議事要旨でもそうなのですが、量的緩和政策の「定量的効果」に関する議論らしき部分は一切無く、その辺りは華麗にスルーの方向だというのは把握しました(^^)。







2011/01/04

お題「12月BOE議事要旨、世界経済ディマンドプルインフレへの警戒も」

東証は「量へのチャレンジ」をするとアンディー社長が仰っていますが、システムを無駄に進化させて大量取引対応をする事によってシステム投資に耐えられない人たちを切り捨てると、取引参加者の多様性が損なわれてただの大手の撃ち合い賭博場状態になって却って市場の縮小に繋がるリスクがあると思うあたくしは零細参加者ですかそうですか(−−;)

#モーサテがお約束の衣装なのですが、七五三にしか見えなかったあたくしの目は新年早々濁っていますかそうですかorz

○その前に市場メモ

30日は前場で終了しない所かイブニングセッションまで普通にあるという実に風情の無い相場でございましたが、何か知らんけど相場大躍進の図と相成りました。長いところも堅調でしたけれども、びっくらこいたのは2年とかの強さで、カレント2年が2毛5糸強の0.170%とかになっておりましたが、受渡がレギュラーで既にモノがだいぶ枯渇気味の2年299回債(新発の300回債は17日渡)に至っては3毛強の0.155%が業者間で買われるという有様でござんして、全力でキャッシュ潰しの買いが入ってますがなという風情。

いやまあ木曜の場合は板が薄いというのもあるので、ちょっとした買いでも値が飛んでしまうってえのもあるとは思いますが、それにしても大納会で見事な債券相場上昇というのはあららのらという感じでしたわな。

ま、そもそも先週火曜夜の米債5年国債入札の滑りによる米債大下げと、水曜夜の7年国債入札順調による米債大戻りがワケワカンネという感じでございましたが、米債の下げの方には大して反応せず、上げの方には大きく反応するでござるの巻というのは中々アレな展開ではございました。


でですな、まあ長いところは兎も角、短い所に関しては急に人が変わったのか変なものでも食ったのかと思うような日銀の資金供給攻撃で潰すべきキャッシュが余りまくり状態となっているようですので、短国とか2年とかいい感じで金利が潰れるという流れになりましたが、現場でやってる方の感覚からすると「ここまでドカドカ出す破目になるのだったら最初からもうちょっとGCレートの上昇に配慮した資金供給をしておけばよかったんじゃないですかねえ」と思うのですけれども、「市場機能重視オペ」を実施して金利がアホほど上昇してから一転して今度は親の敵のように資金供給をして金利を下げてくるというのはオペレーションの費用対効果とでも申しますか、効率と申しますか、まあそういう意味(何となく言いたい事判りますでしょうか、汗)からしますと、何か無駄にバタバタしてるなと思うわけですよ。

つまりですね、これって2008年のレポレート上昇から始まったCPレートなどの上昇時の反省というか検証がちゃんとできていないんじゃネーノという話にもなると思うのですが、あの時もレポレート上昇に対して資金供給は普通のスタンスで推移し、CPレート上昇に対してCP買い現先オペの実施を決定したのに現先オペは最初に1発実施した後全然実施せずにCP発行レートはドンドン上昇(なのに「CP買い現先オペの実施でCPレートの低下が起きた」というふざけた日銀レビューシリーズが出てあたくしがトサカに来て悪態ついたと思いますが)して、金融市場だけではなく産業界からも文句が出まくる始末。で、結局沈静化の為にCPの買取に加えて力技にも程がある企業金融支援特別オペの実施までする破目になったと思うのですよ。

てな感じでありまして、市場というのは基本的に一度ゴロゴロと一方方向に転がり出すとそれを止める為には通常モード以上の対応が必要になる訳でござんして、従いまして普段の小まめな火消しをした方が使う政策のコストが低くなるんじゃないのかねえと思いますが、どうも白川日銀体制におけます市場機能重視というマジックワードは市場がローリングストーン状態になるまで放置プレイという政策対応を誘発しやすいようでございまして、まあ足元の資金供給に関しては放置プレイが解除になって急に金が出てきたので状態になるという反省したんだか変なもんでも食ったんだかは知らんですが、まーそういう対応になりましたけど、今後もどこかのマーケットで同じような事案が生じるのかなあなどと思う年の瀬でございました。

#と市場メモと言いつつ新年早々悪態ですかそうですか(^^;


書いているうちに調子に乗って悪態が長くなりましたがBOEの12月MPC議事要旨より。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1012.pdf

○当然ながらインフレ関連の言及が多いですわな

いきなり第19パラグラフでございますが、目先の英国のインフレ見通しは更に上方修正されて「2011年の春には4%近くに上昇」という素敵な話がありましてパラグラフの途中から引用するだよ。

『Inflation had generally been a little higher than the Committee’s central expectation in recent months. In the near term, it was possible that some firms might raise prices in anticipation of the increase in VAT to 20% in January 2011. The prospective VAT increase would raise measured CPI inflation over the year ahead and would be likely to keep inflation above the target for several quarters. Some utility price increases had been announced for December, which would also be likely to add to inflation in the near term. The MPC noted that inflation was likely to rise further over coming months and could well reach 4% by the spring, somewhat higher than the November Inflation Report central projection.』

とまあ中々お洒落な予想になっているのですが、世界経済に関する論議の部分で世界経済に関してディマンドプルのインフレの話とかがあるのがこれまたほほーという感じだったりします。

第7パラグラフから。

『The data released over the month had pointed to continued firm - if regionally unbalanced -global growth and there were additional signs of global pricing pressures, particularly evident in markets for commodities.』

グローバルには商品価格上昇に見られるような追加的なインフレ圧力が見られるとな。

第9パラグラフは米国の話なのですが、米国経済に関しては普通の話をしていますけれども、最後にこのような指摘がありますわな。

『Recent announcements of further monetary and fiscal stimulus were likely to boost the outlook for activity and inflation.』

最近発表された金融および財政の刺激は経済活動とインフレの見通しを引き上げることになるかもしれませんとな。

第10パラグラフはアジアの話で、アジア経済が強いという話の中に日本も入っている(一時的な政策効果であると書かれていますが^^)のが素敵ですが、それはそれとしてアジアのエマージング諸国におけるインフレ圧力に関する指摘部分が。

『There were signs of increasing inflationary pressures in some emerging economies and monetary policy had been tightened in several over recent months, including China and India.』

というような話のあと、第11パラグラフでは商品価格が上昇しているという話をしていまして、その中で新興国におけるディマンドプルインフレ発生の可能性に関して指摘しているように見える部分があるのですにゃ。

『It was possible that these developments signalled a persistent increase in the prices of commodities relative to those of finished goods and services, given the potentially limited ability to increase supply in response to increases in demand, especially from emerging economies. If so, it was possible that there could be further upwards pressure on commodity prices if demand pressures intensified.』

とまあそんな感じでインフレ圧力に関する言及が多いのはCPIが絶賛ターゲット超過状態が続いているからある意味当然の指摘なのですけれども、日米とは全然違う状態となっているので読んでて中々興味深いものを感じますです、はい。


○物価見通しに関して

もうちょっと長い期間の物価見通しに関しては、毎度お馴染みの「経済の余剰生産力が物価上昇圧力を抑える」という中心的な見通しは変えていない(第20パラグラフ)のですが、その不確実性に関して第21パラグラフに書いてあるのですが、イマイチ後半部分の意味が判らない(字面は判るのだが意味が判らないというのがBOE様というかジョンブル野郎の仕様でありまして、正直読みやすいのか読みにくいのか非常に良く判らんのですよね、毎回しつこく読んでいると行間を埋められるようになってくるのですが・・・・)ので引用だけしますです(汗)。

『Further increases in global demand relative to supply - to the extent that they were not already fully reflected in market participants’ expectations - might lead to upwards pressure on global commodity prices for some time. 』

将来のディマンドプルインフレに関しては市場も完全には織り込んでいないので暫くの間商品価格の上昇圧力になるかも知れませんとな。

『The extent to which commodity price increases would affect UK inflation would depend in part upon what caused them and hence upon the behaviour of the sterling exchange rate. If higher commodity prices signalled a rise in generalised inflationary pressure in the world economy, it was possible that the sterling exchange rate would appreciate to offset the effects of that pressure on domestic inflation. But it was less likely that there would be an offsetting appreciation of the exchange rate if, because of supply constraints, world prices of commodities rose relative to those of finished goods and services.』

・・・・・ここの部分が単語の意味は判るのだが言ってる事の意味が判らないという素敵な部分ですので誰か教えてくださいませ。結局為替レートの影響の話をしているように見えるのだが、話が為替ドリブンなのかグローバルインフレ圧力と英国内の余剰生産力によるギャップによって為替市場に影響がという話をしているのかが良くワカランチ会長なのでありんす。いやまああたくしの英語力(と知能)が足りないだけなんですがね。


で、物価見通しに関しての重要なファクターとしては世間様のインフレ期待と賃金の動向という話をしていますが、その中でサーベイによる家計のインフレ予想が上昇している事と、企業のサーベイやマーケットからインプライされるインフレ予想が安定している事を指摘してまして、家計サーベイが2年先あたりまで上昇していることをやや懸念しているようでもございます。第22パラグラフから。

『The household surveys suggested that expectations for inflation one year ahead had risen over recent months; that was broadly in line with the Committee’s own central view of near-term inflation prospects. More worryingly, however, measures of households’ expected inflation two years ahead had also edged up. But longer-term measures had remained more stable.』

『And there was less evidence of a significant rise in measures inferred from financial markets or in survey-based measures of firms’ inflation expectations, which might matter more immediately for price-setting behaviour.』

でも賃金が上がらないから大丈夫でしょという指摘は第23パラグラフの頭です。

『An increase in inflation expectations was unlikely to raise inflation in the medium term unless it resulted in a sustained rise in pay growth. The outlook for pay would also depend upon the behaviour of productivity as the economy recovered, the degree of slack in the labour market and the extent to which firms were willing to grant higher pay increases in order to retain employees with valuable skills.』

と、ここまで書いたところで(前半でしょうもない雑談に時間を食ったせいで)時間がなくなってまいりましたので(大汗)、誠に恐縮ですが続きは明日。FOMCの議事要旨ネタもあるというのに(というかそれ以前の問題として短観とか日銀政策決定会合議事要旨ネタを華麗にスルーしているのですが・・・)誠にすいませんすいません。

んじゃまあ今年も宜しくお願いいたしますm(__)m