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2011/04/28

お題「FOMC声明文を読んでみるだよ」

逆さ絵おじさんの会見とSEP(景気見通し)の方が材料になったという話ですが、http://www.federalreserve.gov/の画面の右側にある会見ビデオを朝起きてからのうのうと見ている時間は無い(3時起きしないのかという突っ込みは却下)ので声明文だけ読んでみるだよ(今日はテレビの音を切ってネットの会見音だけ流しながら書く^^)

ちなみに逆さ絵おじさんの英語ですが、最初のところで「私の会見での発言はmy own responsibility」と仰せのようでしたが、あたくし脳味噌が足りないのでよく判らないのですが、「話はFOMCの見解だが発言内容に関しては私の責任で行うので」という話になるんですよね。今回からの会見って基本的に「FOMCの政策を説明する場所」なのですからコンセンサス取れていない話されても困るんですけどにゃ。

で、逆さ絵おじさんの英語が案外ヒアリングできるので純ドメのあたくしでも英語が出来るのかと一瞬喜んだのですが、最初の分は殆ど声明文に沿った説明(10分前後から政策部分の説明になっているけどその部分がちょっと声明文より細かくなっておりまふ、ちなみに質疑応答は11分30秒過ぎから)と同じ話をしているからヒアリングが出来る気になっているだけなのでありましたウェーハッハッハorz

#逆さ絵話を聞いていると手が進まないので今日の量が少ないのは勘弁ね^^;

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110315a.htm(前回)

○声明文だけ見るとあたくしが思ったより引き締め的なのですが

恐らく声明文と会見でバランス取ったのだと思います(説明の10分近辺から今後の政策に関する話で比較的慎重な物言いをしているように聞こえた、まあ詳しくはQ&Aの文字起こしがFRBから出てくると思いますのでそれ読みながら)のですが、声明文に関しては先で引用するように、足元のインフレについて「ここ数か月のインフレが引き上げられている」と指摘してみたり、資産買入政策に関して「FEDの資産構成の見直しを行う」という文言を入れて、MBSの売却でもやらかすのではないかと思わせるところがあったりして、中々アレな気がするんですけどどうなんでございましょうかねえ、と思ったら債券売られてるのかやっぱり。

ということで前回との比較をするだよ。


○現状認識部分では景気とインフレ、基調的インフレの文言が微妙に変化

第1パラグラフから。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economic recovery is proceeding at a moderate pace and overall conditions in the labor market are improving gradually.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in January suggests that the economic recovery is on a firmer footing, and overall conditions in the labor market appear to be improving gradually.』(前回)

景気全体の話については「on a firmer footing」(より堅い足取り?)となっていたのが「proceeding at a moderate pace」(緩やかなペースで進展している)となっているので上方修正下方修正になるんですかね。(追記:お前これは下方修正だろと大量に突っ込みを受けましたどうもすいませんすいません、つーかGDP見通し下がってますよね)

『Household spending and business investment in equipment and software continue to expand. However, investment in nonresidential structures is still weak, and the housing sector continues to be depressed. 』(今回)

家計とか住宅投資とかの話は前回と同じなので前回分引用割愛。

『Commodity prices have risen significantly since last summer, and concerns about global supplies of crude oil have contributed to a further increase in oil prices since the Committee met in March. 』(今回)

『Commodity prices have risen significantly since the summer, and concerns about global supplies of crude oil have contributed to a sharp run-up in oil prices in recent weeks. 』(前回)

商品価格に関する部分は基本変わらないけど、世界的な原油供給への懸念が原油価格の「更なる上昇」に寄与している、と3月会合以来の上昇について言及してますな。

『Inflation has picked up in recent months, but longer-term inflation expectations have remained stable and measures of underlying inflation are still subdued.』(今回)

『Nonetheless, longer-term inflation expectations have remained stable, and measures of underlying inflation have been subdued.』(前回)

あたしゃ何気にここの所気になったのですが、まず「インフレがここ数か月引きあがっている」という文言が入った事でして、次に基調的なインフレに関する部分の記述なのですけれども、「抑制されている」という「be subdued」という基本部分は同じなのですが、前回まではこの部分が現在完了形で表現されていたのが、今回現在形で表現され、その中に「still」というのが入っているのが気になったんですけど。いやあのあたくし純ドメ人間なもんで、正直この変化のニュアンスとか本石町日記様あたりに解説して欲しいと思うのでありますが(とお願いをする^^)、何せモノが基調的インフレという部分ですので気になるわけですよね、うんうん。


○第2パラグラフはまあそんなに変化が無い

正直ここはあまり変わっていない。

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The unemployment rate remains elevated, and measures of underlying inflation continue to be somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate. 』(今回)

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. Currently, the unemployment rate remains elevated, and measures of underlying inflation continue to be somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate. 』(前回)

前回あった「currently」が抜けているだけですかな。

『Increases in the prices of energy and other commodities have pushed up inflation in recent months. The Committee expects these effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability. 』(今回)

『The recent increases in the prices of energy and other commodities are currently putting upward pressure on inflation. The Committee expects these effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability. 』(前回)

1番目の文章が足元の商品等の価格の与えるインフレ圧力に関して今回「have pushed up inflation in recent months」と最近の物価上昇に言及していますけれども、「影響は一時的だがインフレ期待の動向に注意」「物価の安定によって徐々に資源の活用状況は高いレベルになっていくと予想」という部分には変化がありませんですな。あと何か会見冒頭の説明部分で「second-round effect」がどうしたといってたように聞こえましたが、多分従来の流れからして「足元で商品や原油価格上昇の2次的効果は見られないが今後も注視する」程度の話をしたんでしょと思うだよ。


○第3パラグラフでは「資産構成の見直し」に言及したのが結構斬新だと思ったのだが

んでまあ金融政策に関する第3パラグラフですが。

『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to continue expanding its holdings of securities as announced in November. 』(今回)

まあ当たり前だがここの文言は前回と同じ。

『In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings and will complete purchases of $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the current quarter. 』(今回)

『In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings and intends to purchase $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the second quarter of 2011. 』(前回)

ということで、今回「complete」という文言が入りまして、とりあえず購入プログラムは一旦終了(と言っても別にその後やらないと言っている訳ではないが)ですとゆー話ですが、今回はこの次の部分があたくしてきには斬新だと思っただよ。

『The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings in light of incoming information and is prepared to adjust those holdings as needed to best foster maximum employment and price stability. 』(今回)

『The Committee will regularly review the pace of its securities purchases and the overall size of the asset-purchase program in light of incoming information and will adjust the program as needed to best foster maximum employment and price stability.』(前回)

6月で買入プログラムの一旦終了が見えているので「買入ペースを見直す」という部分が抜けるのはまあテクニカルに当たり前ですからそっちは良いのですが、小見出しでも書いたように、今回見直すものの対象に「composition of its securities holdings」とFEDの資産構成のレビューを行い、必要があればその調整を行う、という文言が入りましたので、これはつまり先行きの金融政策においてMBSやら長期国債やらの売却がありまっせと思いっきり予告と言うか瀬踏みをしているように見える訳でして、いやまあいずれそうなるのかなあとも思ったわけですが、いきなり売りを想像させる話を打ち込んでくるとはちと早い気がしましたけどどうっすかね。


○第4パラグラフの「for an extended period」とか第5パラグラフの宣言文みたいなのは変化無し

変化無しなので引用だけ。第4パラグラフ。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

第5パラグラフ。

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to support the economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate.』(今回)


○今回も全員一致ね

第6パラグラフ。

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)

ですので、反対意見が出て説明がある部分とかが無いのは今回も変わらずでありまふ。


#まあ他に相場メモとか3MTB入札とかギリシャ2年債25%とかbewaadさんとこのネタ雑感とか色々とあったような気もするのですが、質疑応答流して聞きながら手を動かしていたら頭の中が整理できない上に(声明文だけ先に読んだアルよ)時間が掛かったもんで本日はこれだけで勘弁して頂きとう存じます










2011/04/27

お題「FOMCだの決定会合の前なので超雑談なのだが」

モーサテのお天気のおねいさんが今日は突然サザエさん状態ですがなにか心境の変化でもあったんでしょうか・・・・・

#どうでも良いが変換候補の1発目が「新疆」ってorz

○決定会合とかFOMCとかプレビュー

ま、あたくしがプレビューしてもただのフラグにしかならないのでよー書かんのでありますが、まあ今回の展望レポートに関して明白だと思われるのは手前(今年度)の実質GDP見通しが下がるでしょという所ですが、その先の見通しどうするんでしょうね。

いやね、常識的に考えると昨日ネタにした西村副総裁講演後の会見とかにありますように、サプライチェーンの回復って4月7日の総裁会見で「6月か7月には回復のメド」みたいな話がありましたけれども、何かこう状況が把握されるにつれて特に自動車などでは時間が掛かるでしょという認識が示されてきたと思いますので、そー考えると供給制約の解決まで時間は掛かるし、その間に景気下押しリスクもあるし、そもそも生産の回復が遅れたら雇用とか所得とかにも影響あるでしょと思いますから、「手前の見通しを下げた分の逆ゲタもありますし復興需要が来ますしその先はウハウハですよ先生」という見通しを出すというのも如何なものかという感じはするんですけど、「長期的な見通しは変わりません(キリッ)」とかゆー風になるとウハウハ見通しを出してくる悪寒もする(つーか昨日の公共放送はそうでした、時事は先の話については報道して無かったかな、どっちもソース見つからないのでサーセン)のでござんして、さてどうなりますやら。

元々物価に関しては供給ショックと燃料価格問題があって見通しが引き上げになるというのは自明になっていますので、その中で長期的に強い見通しを出すとなりますと、まあそれは威勢が良いのは良いですけれども、状況から言ってその結果の「強い見通し」というのがヘッドラインとしてホイホイと一人歩きして、「日銀はこの大災害の後なのにやたらめったら強気な経済見通しを出していて何考えているんだか」という印象を与えるという結果になりそうでありまして、ただでなくさえ叩かれやすい日銀がまたまた叩かれて結果政治的に変に追い込まれるという下らない展開が起こるに10万ドラクマ(^^)。

だいたいからしてこの状況下で先行き無闇やたらと強い見通しを出すのに何のメリットがあるのかというと多分メリットは無いですし、下振れリスクに関する認識についてよほど丁寧に説明しないと「日銀何考えてるんだ」で終わってしまうでしょう。変に強過ぎる印象を与える見通しをだしておいて、震災前よりも明らかに高くなっている下振れリスクはが顕在化したときに見通しを下方修正すると日銀の信認問題にもなってくると思うのですけどねえ。

と、これだけ嫌味書いて見ましたが、さて今回の日銀文学はどうでるのでございましょうかねえ(ニヤニヤ)。


で、FOMCでございますが、何かよー知らんけど米国市場では妙に何を期待しているのかさっぱりワカランチ会長ですが期待もあるようでございますけど、今回って正直言って何も出ないでしょと思う次第。

何でですねんと申しますと、そらまあ先般もご紹介した前回のFOMC議事要旨および地区連銀総裁のタカ派発言祭りVS執行部寄り高官の火消し祭りというマッチポンプ祭りを拝見致しまするに、どっからどう見てもFOMC内部の見解がバラバラ、そもそも景気見通しの時点でも結構な差があるし、物価動向に関するウェイト付けが人によって違っているという素敵にも程がある状態でございまして、そんな中で逆さ絵おじさんが会見で何か断定的な話をするのは無理でしょと思います。

#ただし、逆さ絵おじさんの場合、どこぞの俊ちゃんのように金融政策に関する会見慣れしているとは思えませんので、売り言葉に買い言葉で余計な事を言い出すというクオリティーを発揮するリスクはありますが

QE3はさすがにハードル高そうですし、一方でバランスシート縮小なり利上げなりという話もこれまた方法論で皆さんの意見がバラバラ。実行タイミングに関する見解がバラバラな上に、何をどういう順序でやるのかという具体的な方法に関しても見解がバラバラ。ただ執行部寄りの皆様におかれましては「我々は有効なツールをもっています(キリッ)」といってるだけというこれまた素敵な状態になっておりますから、この調子ですと今回のFOMCでは何も決定せず、単に「従来決めていた資産買入を6月までやりますよ」という話をして、次回FOMCが6月になりますのでザ・出たとこ勝負になるという事になるんでしょ、と勝手に思ってますけどどうっすかね。

会見でも「経済データなどを見て次回のFOMCで今後どうするのか判断したい」という話をして終了というツマランチ会長になる悪寒がしますけどね。

と、柄にも無くMPMとFOMCのプレビュー雑談なのですが、盛大に外したら笑ってやってください(^^)。


○これは中々面白かったです(「金融研究」のペーパーより)

http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/kk30-2-1.html
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk30-2-1.pdf
第一次大戦後の日本における国債流通市場の制度改革

HTMLの概要読んでも何が何やらという所でありますが、PDF版の本文が中々オモシロスなのでございまする。金研の論文ってホイホイ引用してよいのか良くワカランチ会長なのであんまり盛大に引用しないけど、そもそも本文が24ページ(残りは参考文献リスト)ですので、まあそんなに読むのに苦労するわけではない(ただし昔の新聞などからの引用部分はカナ表記部分があって、そこでは音読するのが吉^^)です。

で、まあそこ読んでいて初めて知ったのですが、日本では国債の売買でいわゆるclean priceを使うようになったのって1919年(大正9年ですか)11月における取引所振興における振興策などによるのですな。ということで上記URLの本文15〜16ページより引用。

『その後、大蔵省、日本銀行、東京株式取引所、取引所仲買人、日本興業銀行を中心とする市中銀行などの間で協議が行われた結果、1919 年11 月に取引所市場における取引振興策がまとめられたとみられる48。同時期に日本銀行が作成したと推定される文書49は、その具体案を示したものと推察される。以下、この文書の主な内容について考察する。』

ちなみに48、49というのは脚注ですが、

48「国債取引所設置計画」、東京銀行集会所[1919e]、杉野[1925]。
49 日本銀行、「国債市中取引促進に関する意見」、日本銀行営業局国債売買係、『国債売買関係書類綴』(日本銀行金融研究所アーカイブ保管資料4020)。

だそうです(^^)。

で、その中にこんなのが(本文16ページ)。

『第3 に、当時使用されていた含相場(裸相場に経過利子を加算した金額)53には利回りを比較する際に取引価格から経過利子を差引く必要が生じるなどの不便があったことに対応し、国債市場での取引価格は裸相場による金額とし、経過利子は別に計算して授受するとした54。』

脚注の53と54ですが、

53 例えば、4 月1 日の甲号五分利公債の取引価格88.65 円には、前の利払期日が前年12 月1 日の場合、前年12 月1 日から4 月1 日までの121 日間の経過利子1.65 円(年利5%)が含まれていることになる(太田垣[1923]69〜70 頁)。54「国債取引と裸相場」、東京銀行集会所[1920c]。

いやもうほほうという感じですが。


あとね、順序逆になりますけど、本文の14ページ辺りの記述も興味深くて・・・・

『国債流通市場の整備に関する検討作業は1919 年に入り大蔵省で開始されたとみられる40。同年、大蔵省は、「逐年国債発行高ノ増大ハ国債市価ノ維持、流通力ノ増進ヲ益々急務トスルニ至レル」41との認識のもとで、取引所市場における国債の取引振興策として「国債証券売買増進計画ノ要領」を作成し、日本銀行に回示した42。』

『その主な内容は、(1)日本銀行は日本興業銀行、有力市中銀行、有力現物商、勧業債券月報社などの国債売買を支援する、(2)これらの機関の国債売買価格は日本銀行と協議して統一を図る、(3)これらの機関が買い入れた国債の手許保有高が特定売買資金の2 分の1 を超過する場合や国債の手許保有高では買入れの申込みに対応できない場合、日本銀行はこれらの機関からの申込みに応じて国債売買を行う、(4)計画を円滑に実行するために必要な場合、大蔵省預金部と国債整理基金特別会計は日本銀行の要求に応じて国債売買を行うというもので、日本銀行が取引所市場で国債を直接売買することにより、取引所市場の価格形成・公示機能の向上と国債価格の安定化を図る取引振興策であった。』

と、大蔵省が提唱する中で、日銀はどうだったかと言いますと・・・・

『これに対し、日本銀行は、国債価格の安定化を目的とした取引所市場での国債の直接売買には消極的であり、市場参加者による自由な国債取引の拡大が必要であると判断し、「本行自ラ直接国債売買ヲ行フハ国債市場ノ発達ヲ阻害スルノ虞アルヲ以テ、寧ロ一方国債市場ノ確立ヲ計ルト共ニ本行トシテハ右国債売買ニ付出来得ル限リ銀行其ノ他証券業者ニ便宜ヲ与フル程度ニ止メ積極的ニ之カ取扱ヲナスヲ避ケ度」43旨を大蔵省に答申した。』

カナ文書のところは音読してつかーせ(^^)。で、その詳しい理由ですが・・・・

『この答申で日本銀行は、

「政府及日本銀行ハ公債市場ヲ支配シ適当ナル価格ヲ維持スルニ努ムルタメニハ銀行証券現物商ノタメニ便宜ヲ図ルハ当然ナレトモ日本銀行直接売買業ヲ営ミ証券現物商ノ抵抗シ難キ競争者トナリテ公債市場自然ノ発達ノ萌芽ヲ折ルハ最モ不可ナリ」、

「憖ニ拙ツク手ヲ著ケ売物ニ売物ト嵩ミタル場合引取ル能ハサルカ引取ルニ無理ナル手段ヲ弄セサルヲ得サルヤウノコトアリテハ却テ公債市価ノ下落ヲ来シ又ハ他ノ弊害ヲ醸ス虞アルヲ以テ先ツ余程豊富ナル資金ヲ擁スルニアラサレハ寧ロ之ヲ企テサルヲ可トス」、

「ヨシ豊富ナル資金ヲ擁スルトスルモ虚々実々所謂生キ馬ノ眼ヲ抜ク証券現物商等対手ノ仕事ナレハ相場ヲ定ムルコト及実際取引ヲナス上ニ於テ其人ヲ得サレハ必ス彼等ノ乗スル所トナラン現今ノ日本銀行ニ於テハ斯ル方面ニ訓練ノ機会ナキヲ以テ容易ニ適材ヲ得難ク此点ヨリスルモ大仕掛ノ公債売買援助ハ余程慎重ナル考慮ヲ要スヘシ」、

「公債売買ニ就テハ実際上ノ必要ニ応シ銀行業者証券現物商ニ対シ出来得ル丈ノ便宜ヲ与へ例之或銀行カ必要ニ迫リ売又ハ買ヲ欲スルトキ之ニ応スルトカ或現物商カ買注文ニ接シタレ共市場ニ品物ナクシテ困難スルトカ言フ場合ニ売買ノ求メニ応スル程度ニ止ムル方可ナラン然ラサレハ現物商等ノ策略ニテ折角安定セル公債所有者ヲ動カシ却テ害アルヲ致スヘシ」44

と説明していた45。』

とありまして、いやなんか昔からこういう流れのやりとりがあったのねと思うと同時に、上記の4つの説明のうち3番目は中々ワロタでありまする。

まあ他にも色々面白いとマニア的には思いますのでマニアは読んで味噌。


○ヘッジのヘッジとは?????

意味不明の商品を上場してコケるのが様式美の世界となっている東京金先様でございますが、まあいつかは化けるかもしれませんからスクラップ&ビルドは重要かもしれませんなあ(棒読み)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aoRUnYe3Qojs
東京金融取:6カ月LIBOR先物を上場へ、金利スワップのヘッジに

まあどうせどっかのスワップ系のハウスに吹き込まれたのでしょうけれども、この上場における需要について、記事では『同取引所では、円金利スワップ取引をヘッジするための需要を見込んでいる。』と中々斬新なアイデアを。

えーっとですな、そもそもスワップってオフバランス取引でして、いやまあ当然スペキュレーションのスワップもありますけれども、オフバランス取引って基本的にはオンバランスの取引のヘッジとして機能するのがスタート地点だと思う(合百のようなものは別^^)次第でございますが、東京金先様におかれましては、今回の先物商品に関しまして「オンバランス取引のヘッジ商品のヘッジ」という中々不思議なニーズを見込んでおられるというのはお洒落ですなあと。

いやまあ変動金利の金利リセットタイミングのヘッジをしたいとかいうニーズがあるのかも知れませんけど、何かそもそもがヘッジ商品としての基本機能のある取引のヘッジニーズって何ですねんという突っ込みをしたかったのでちょっと書いてみただけの話です(^^)。







2011/04/26

お題「BOE議事要旨続き/西村副総裁会見/その他少々」

そういや今週末から大型連休進行ですなあorz

○昨日の続きでBOE4月議事要旨

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf

『The immediate policy decision』の所も意見が割れる割れる。

まず基本的には相変わらず「足元のインフレはエネルギー商品価格の上昇とポンド安、VAT引き上げの影響で上昇していますが、より長い期間の先行きを見た場合にはこれらの一時的な要因が弱まると顕著な経済における余剰が存在する事からインフレはターゲット圏内に戻ります」という最早何かの呪文のようになっているのが第26パラグラフであります。

『Inflation had risen to well above the 2% target as a consequence of higher energy and other commodity prices, increased VAT and the impact of the past depreciation of sterling. It was likely to remain well above the 2% target for much of 2011. Nevertheless, the Committee’s central view remained that a substantial margin of spare capacity in the economy was likely to persist for some time and would bear down on inflation in the medium term, as the impact of the factors temporarily boosting inflation waned.』


でまあそれは良いのですが、リスクバランスに関して今回も「ダウンサイド」が先に来ているのですが、前回は「経済活動が弱い状態が続いてその結果経済の余剰がインフレを押し下げるリスク」と割とざっくりした話をしていたのですけれども、今回の内容としては民間最終需要が伸びないリスク、という結構具体的な先行き懸念を示しているのがチャーミングなので第28パラグラフ。

『On the downside, the key risk was that private final demand would not pick up sufficiently strongly to offset the impact on aggregate demand of the fiscal consolidation, and that the resulting margin of spare capacity would cause inflation to fall materially below the target in the medium term.』

ということで、現在行われている財政再建策の実行にあたって民間最終需要が伸びないと経済の余剰がインフレを顕著に押し下げるリスクがありますがなってところでございましょうか。

『Data on output during the month had been mixed and did not provide clear guidance about the extent to which activity had recovered since the slowdown in growth at the end of 2010. Indicators of output in the manufacturing and services sectors pointed to reasonably healthy growth. But weak output in the construction and energy sectors was likely to depress GDP growth in the first quarter of 2011, and assessing the outlook for economic activity as a whole was likely to be complicated by the volatility in these sectors.』

その背景としてやはり昨年終わりに掛けてのGDPの落ち込みからの回復がきちんと進むかどうかという所にあるようでして、そういう意味からしますと本年入りしてからの経済指標の推移を今後も確認する必要があるでしょという結論になるのでしょうかねえと勝手に思うのでありまする。ちなみに次のパラグラフでは家計支出と消費は弱いけれども外需に関しては強いですよという話がありますがスルー。

ではアップサイドはどうなのよというのが第30パラグラフ。

『On the upside, the key risk was that the period of elevated inflation could persist for longer than the Committee expected if there were further pass-through from the past depreciation of sterling; if externally generated inflation pressures continued to raise CPI inflation; or if expectations of higher future inflation became entrenched, leading households and businesses to set higher wages and prices.』

というのもこれまたいつもの話ですが。

『The price of oil had risen further during the month, but this was likely to have been influenced by temporary supply disruptions. CPI inflation had fallen sharply in March, but until more detail became available it was hard to know how to interpret this. In the light of recent developments in the prices of energy, imported commodities and other goods, the near-term path of CPI inflation was likely to be higher than in the February Inflation Report.』

『And there remained a significant risk that inflation would exceed 5% in the near term. Survey-based measures of inflation expectations from household surveys had been mixed, while those derived from financial markets had been little changed. It was encouraging that the data on pay settlements suggested that wage growth had remained muted. There was a risk, however, that the rate of wage growth consistent with hitting the inflation target in the medium term could be lower than the Committee had previously assumed if labour productivity growth remained weak.』

ということで、企業の価格転嫁の動きと賃金動向にかなりナーバスになっているという感じでして、実はこちらの記述も前回比分量が増えて内容が細かくなっておりまして(めんどいので一々比較引用しまへん)つまりは「上下共にリスクが拡大している」と言う大変に華麗な展開になっておられるという事のようで誠に遺憾の極みであります。

つーか「賃金の伸びが依然として弱めである事は勇気付けられる」とかMPCの議事要旨に乗っているのが素敵なジョンブルクオリティですなあとか思ってしまうのでございますが。いやまあインフレ加速警戒しているからそういう話になるのは当たり前なのですけれども、そうは言ってもそれはそれで「BOEはこのインフレと増税の中で給与が伸びないのを肯定するとはケシカラン」とかイエローペーパー様辺りが言いそうな話ではございますなあとか思ってみただけであります(^^)。


ということで、上下のリスクは両方とも大きいという結論が31パラグラフ。

『The risks to medium-term inflation in both directions were substantial. It was possible that medium-term inflation would deviate from the target in one direction or the other, perhaps materially. Overall, however, the balance between the upside and downside risks to the outlook for inflation in the medium term had not changed sufficiently over the month for Committee members to change their views of the appropriate stance of monetary policy.』

でもって今回も例によって例の如く(1)利上げをすべきと言うのが3人いて、そのうち2名(デール委員とウィール委員)が25bp引き上げ、1名(センタンス委員)が50bp引き上げ、(2)国債買入拡大しろというのが1名(ポーゼン委員)、という意見分裂ショーが展開されるのですが、今回の各員の意見について前回とちと違うのは利上げせえという方が「継続する雇用情勢の改善は経済の余剰がMPCの想定よりも小さいのではないかということを示唆する可能性がある」と昨日引用した雇用に関する部分で示されたロジックを新たに持ち出したところでしょうな(ポーゼンさんの主張は基本的に同じ)。32パラグラフの途中から引用。

『Developments over the month had, on balance, not been sufficient to alter that view. There remained a material chance that the prolonged period of above-target inflation could cause companies and households to expect inflation to come back to target only slowly and this could become embedded in wage and price-setting. Waiting for this risk to crystallise before beginning to tighten monetary policy could be costly. Moreover, the continuing growth in employment suggested that the degree of spare capacity could be less than the Committee had assumed and that the degree of downward pressure on prices could be commensurately lower.』

でまあ他の委員は「まだ上下ともにリスクのある状態で、そのリスクが具体化している訳でもないですし、今のところニュースや経済指標もまちまちですし、輸出に関してもユーロエリアが微妙な状態なので暫く様子見をする余裕があるでしょ」という事で現状維持を主張して、結果はご案内の通りに現状維持でありました、という事になりましたですにゃ。

つーことで延々と引用しましたが、既にインフレーションターゲットがターゲットになってなくて裁量的政策に移行せざるを得ない(いやまあ一応「中長期的にはターゲットに戻りますからこれはこれで良いのです」という事でインフレーションターゲットの枠組みの範囲内であるという理屈は付けていますが、どう見ても裁量的です本当にありがとうございましたという状態ですわな)という状況の中、先行きはワケワカランわインフレは止まる気配が無いわという状態ですので、まあ利上げ主張する方の「価格転嫁や給与引き上げによるインフレスパイラル発生」というのも判らんでも無いですし、でもまあこの時点で利上げってのもねえとも思いますし、さてどうするんでしょと引き続きマニア的興味で眺めて参りたいと存じます。


○西村副総裁会見から

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1104d.pdf

よくよく見たらチャーミングな質疑が(^^)。

『(問) 2点お伺いします。1つは、先程の懇談会のご挨拶で、サプライチェーンの問題の解消に相応の時間がかかるとおっしゃいました。以前、白川総裁が「サプライチェーン問題の解消は6〜7月になろう」と会見で話されていましたが、それと比べて、同じくらいなのか、それより短いのか、長いのか、副総裁のイメージをお聞かせ下さい。もう1つは、今回の震災が、設備投資や個人消費を下押ししているというお話がありましたが、供給面の制約が和らいでくれば、それは解消される問題なのか、あるいはそれだけでは解決されず、リスクとしてみていく必要があるのかについてお聞かせ下さい。』

前半の方がチャーミングな質問だが後半も論点として重要なので両方見る。

『(答) 両方とも不確実性がきわめて高い、と最初にお答えしなければならないと思います。サプライチェーンの問題について、秋口以降に供給面の制約が和らいでいくというお話をしましたが、それは電力とサプライチェーンと両方を合わせて考えて、そう申し上げたわけです。サプライチェーンに関しては、一部でそれなりに前向きの動きもあります。しかし同時に、サプライチェーンの他のところで問題が生じているということもありえますので、サプライチェーン全体に関して、この段階で何か明快なことを言うということは出来ないと思います。いずれにしても、総裁が以前申し上げた認識から、大勢としては大きな変化はない、と考えています。』

どうも総裁が発言(上記質問に関する話をしたのは4月頭の決定会合後の記者会見)した比較的景気の良い話に対して微妙にズレがあるというのにこの質問見てから気がついたというのがあたくしのトンマなところでありますが、確かに講演でもその辺りやや警戒的なトーンになっていましたが、読んでいて個人的に違和感が無かった(つまり白川総裁の言うサプライチェーンの回復のイメージがそら何ぼなんでも強いじゃろと思っていたとゆーことですな)ので思わずスルーしてましたすいませんすいません。

ただ、さっき見た公共放送ニュースによりますと(なのでソースは呈示できずあたくしの脳内記憶ベース)今回の展望レポートでは「秋口から景気は回復軌道」という見通しが出るという報道になっていまして、そうなると何か「サプライチェーンの回復が遅れたからやっぱり見通しより遅れましたわあっはっは」という残念な流れになったときにどうなのよという気もするんですけどどうっすかねえ。いやまあ明るい話をしたいというのも有るのかも知れませんので、リスク認識の辺りと総合して考えないといけないのでありますが。

『それから、供給面の制約と需要面の下押しについてですが、需要が供給に影響されているということもありますので、必ずしも分けて考えることはできないと思っています。このように考えれば、供給面の制約が少なくなっていくにつれて、需要面の問題もそれなりに解消していくだろうと思います。しかし、懇談会冒頭の挨拶でも申し上げましたが、風評被害などが中長期的な成長期待に影響を及ぼす可能性もありますので、全体としてどうなるかについては、今の段階では、非常に不確実性が高いとだけお答えしたいと思います。』

という事で、まあそんな感じで質疑応答の後半は延々と「不確実性が高い」という話が続くのですが、この後は「サプライチェーンの複線化に伴う日本企業への需要低下」とか「電力等供給制約回避を企図した国内企業の海外シフトによる空洞化懸念」などの論点が並んで、これはこれでまあ重要な話ですが、まあ要するに「今後の推移を見ないといけないけれども不確実性が大きく警戒が必要」という警戒トーン全開になっているのが特徴的であります。

ただまあ一応最後の質疑では「そうは言っても回復軌道に復しますよ」という話はしていますので、まあ展望レポートはメイン部分はそんなに大きくは下げずにリスクを下方に思いっきり寄せてバランスを取るという形になるんでしょうかねえとか思うのですけれども、本来的に言えばメイン部分での回復の遅れを指摘した方が先行きの金融政策(目先出口は有り得ないので追加緩和のようなものをする可能性の方ですわな)運営の際に一々訳の判らん理屈を持ち出さなくて済むと思うのですけれどもさてどうなることやらという感じでございまする。


○その他少々

・ブラックアウトルールの改正とな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110422a.pdf

『各金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)から会合終了当日の総裁記者会見終了時刻までの期間は、国会において発言する場合等を除き、金融政策及び金融経済情勢に関し、外部に対して発言しない。』

これまでは「国会において発言する場合等を除き」部分が「原則として」だったのですが、今次改定で発言する場所を限定列挙した形になっているとゆーことですから、多分ルールが厳しくなったという風に解釈したのですけれどもどうなんでしょ法令のワーディングに詳しい人教えてジェネラル。


・これは後で読む

http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2011/ron110425a.htm/
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2011/data/ron110425a.pdf(量があるので注意)
2010年度の金融市場調節

2010年度と言えば何か一時は短期金融市場に白い鳥がお飛びになっておられたかのような記憶が微妙に残っているのですが(^^)、さてその辺どうなっておられるのかはニヤニヤしながら閲覧したいと存じます(ってまだ斜め読みもしてないのかという突っ込みはしないように)。


・bewaadさんの所から

毎度の如く人のふんどしですが。

http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p1
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p2

東京電力の事故に関する賠償スキームに関してはまあもう少々時間がかかるのでしょうけれども、そもそも賠償に関して政府サイドで何ちゃら委員会みたいなのを作ってガイドラインを決めるとか言っている時点で政府のコミットが入っている訳でございまして、政府でガイドラインを決めた結果として賠償が巨額になるので東電は法的にこかしますけど賠償はその後政府が払いますとか言い出したらそれは債権の優先劣後を思いっきりひっくり返した話(電力会社の社債は電力事業何とか法に則って一般担保が付与されているので優先順位が高い)でありまして、そんな事やりだしたら海外の投資家辺りからみたら「日本は債権の優先劣後構造を事後法でひっくり返す国なので安心して債券投資できませんわなあ」と見なされると思いますし、更に言えば他の電力会社も含めて債券市場での低利での資金調達が難しくなって(原発という偶発リスクの塊を持っているのは沖縄電力以外全社同じ話ですからねえ)結果として電力コストに跳ね返ると思いますけどどうなんでしょうかねえ。

ということで2番目の方のエントリーに関してはbewaadさんご指摘の通りだと思うのですけれども、はてさてこのロジックがちゃんと通じるのかどうかは正直言って菅内閣の実行力に依存するように思えますのが誠にアレでございまするなあと存じますです。

まあ軽々しく原賠法の免責に関する「個人的見解」を発言した馬鹿官房長官(以下悪態の為激しく自主規制)。

#まあ何らかの公的関与となりますとかつての銀行のように目に見える大リストラしないといかんでしょうけどね>とうでん






2011/04/25

お題「4月BOE議事要旨より」

今回の選挙結果を受けて人気回復のために補償名目が更に拡大(もともと東京電力を打出の小槌にして風評被害だの何だので無限にばら撒きをしそうな雰囲気だというのに)しそうな悪寒がするのでありますが・・・・・・

という話は兎も角本日は4月BOE議事要旨よりなのだが、今回の議事要旨は何気に論点がうじゃうじゃある事に気がつきまして、ちとネタ引っ張るかもしれませんでしゅ。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf

○堅調な需要と生産VS弱めの家計

景気に関する部分ですが、『The international economy』の所では日本の震災の影響が不透明という話をしていましたが、それ以外の部分は強い話が多くて、『Money, credit, demand and output』の冒頭でも生産が強くて製造業やサービス業の活動が強いという話をしています。その辺り全部引用すると長くなりすぎるのでスルー(どうせ後でもその辺の話が出ますので)しますが、まあ途中までは「あらら、景気強い話が続くじゃないの??」と思いながら読んでおったのですが・・・・・

第16パラグラフから。

『The prospects for consumption would have an important bearing on the outlook for activity. Consumer spending was estimated to have fallen during the second half of 2010 and to have been broadly flat over the year as a whole, consistent with stagnant real household income growth over that period. The near-term prospects for consumption had weakened further over the month. Survey-based measures pointed to weak consumption of services in the first quarter. The volume of retail sales had been broadly flat for some months. And surveys of consumer confidence had remained far below their historic average levels.』

つーことで、消費の見通しが今後の景気見通しに重要という事ですが、消費に関する部分が弱い訳ですわな。第17パラグラフ。

『A key question was whether this softening in measures of household spending indicated that the medium-term outlook for consumption was weaker than the Committee had previously expected. The continuing squeeze on households’ real incomes, as a result of subdued post-tax pay growth and the elevated rate of near-term inflation, was likely to dampen consumption materially over the next year or so if some consumers had not yet fully adjusted their spending.』

家計の消費支出の中期見通しがMPCの予想するより弱くなるかどうかがキーである、ということで、その消費を抑制する要因として実質所得が上昇しないことを挙げていまして、んじゃ何で実質所得が上昇しないかというと、給与の伸びが抑制されている事、足元での物価上昇を要因としていまして、更に今後家計の消費行動が調整されるようなら顕著に消費が弱まる可能性もと。

『It was also possible that some people might seek to increase their rate of saving if, for example, they perceived future income prospects to be more uncertain.』

また、家計が将来の収入に対する不確実性から貯蓄性向を高めた場合には更に消費が抑制されますとな。

『Alternatively, the weakness in consumption growth might be temporary, due to factors such as the rise in the standard rate of VAT. Output growth was typically uneven during the early stages of economic recoveries, so some unevenness in consumption growth would not be surprising.』

ただまあ一方で、現在の要因は一時的であり、回復期に一様な回復傾向を示さないのは良くあることです、という見解も最後にあるのですが、どうもこの辺りのトーンを見ておりますと弱めかなあという印象を受けます。


○名目GDPは上昇しているがそれは物価と間接税上昇要因とな

見通しとはあまり関係ないけど第19パラグラフに苦笑。

『Nominal GDP had increased by 4.2% in 2010 and nominal domestic demand had risen by 5.6%. Nominal consumption had grown by 5%, close to its historic average rate. This might provide a positive signal about households’ and businesses’ willingness to spend.』

ほほう。

『But higher nominal spending might simply have been a mechanical consequence of tax changes and other factors that had raised prices.』

それは残念(棒読み)。

『Broad money and credit growth had remained weak, with M4 excluding the holdings of interbank intermediaries increasing by 0.5% on a three-month annualised basis in February and M4 lending rising by 2% on a similar basis. Subdued money and credit growth could nevertheless remain consistent with more robust nominal spending growth if companies continued to become less reliant on bank credit to fund investment.』

この辺はマネーの話ですが、マネー伸びてませんけど企業が銀行借入や投資による資金を当てにしていない動きによるという部分もあるかもという話ですな。


○インフレ警戒は続く

『Supply, costs and prices』の第22パラグラフから。ちなみに3月CPIが4.0%に低下するというのはMPC時点で速報の予想ベースで議事に乗っているのはここを見れば判ると思います。

『Despite the fall in CPI inflation in March, recent developments in the prices of energy, imported commodities and other goods indicated that the most likely near-term path of inflation would be higher than the Committee had thought at the time of the February Inflation Report.』

3月CPIは下がっているが近い期間の先行きに関しては2月のインフレレポートよりも高いと。

『Recent developments in wholesale gas and other energy prices pointed towards further likely increases in utility prices later this year. These factors represented disturbances to the price level whose direct impact on inflation should abate over time. But it would be a source of concern if import prices were to continue rising rapidly.』

エネルギー価格上昇が波及しだしているようで。

『Moreover, it was possible that there were further effects from the past depreciation of sterling still to come. Near-term developments in inflation were also a source of concern to the extent that businesses were finding it easier than might have been expected to pass on cost increases.』

ポンド下落の影響もあるし、足元の物価上昇が企業の価格転嫁に繋がるリスクも意識しているとは中々であります。

で、先日引用しましたが、今後のインフレのリスクとしては「賃金の上昇が大きくなる」という指摘でありまして、第24パラグラフは先日引用しましたので、インフレ期待に関する第23パラグラフを引用しておきます。

『A key risk remained that expectations of above-target inflation would become entrenched, adding to wage and price pressures. The evidence from surveys about households’ medium and longer-term inflation expectations had been mixed. Implied measures of inflation expectations derived from financial market prices had shown no consistent pattern on the month. Options-based measures of uncertainty about the level of inflation in the United Kingdom, United States and euro area five to ten years ahead had remained elevated relative to the period before the financial crisis, but had not risen much further. It was possible that this reflected a view among market participants that the shocks affecting inflation would be larger or more persistent than before.』

ということで、インフレ期待については、家計のサーベイベースではまちまちとなっており、金融市場からのインフレ期待に関してはまだ上昇は見られないという話ですな。


○生産の余剰が実は少ないのではないかという話が今回も

第25パラグラフから。

『The evidence from published employment data and surveys of employment intentions had remained consistent with gentle growth in employment and the total number of hours worked. The LFS employment measure had increased by 32,000 in the three months to January by comparison with the previous non-overlapping three-month period and average hours worked had increased by around 1%. It was possible that the growth in employment over recent months indicated that underlying demand in the economy had been stronger than suggested by the official data. To the extent that it indicated that firms were less able to meet demand from existing resources, it might also be a sign that the degree of spare capacity in the economy was less than the Committee had assumed.』

ということで、最近時々この指摘が出ている訳ですが、雇用が予想よりも強くなっているというのはいわゆる「経済の余剰」(degree of spare capacity in the economy)がMPCが予想するよりも大きくないのではないか、という指摘が今回も出ていまして、この論点は従来より(今回もそうですが)「足元のインフレは上昇しているけれども、それは一時的な要因によるものであり、先行きで見た場合には経済の余剰によってインフレは押し下げられてターゲットに落ち着く」という理屈によって金融政策の現状維持をおこなっているロジックに対するカウンターとなりますので、まあ今回もキタコレという感じです。

で、この後の『The immediate policy decision』は時間切れのため明日にでも(汗)。





2011/04/22

お題「西村副総裁講演から/その他雑感少々」

どこぞの禿は寄付活動する金があるのなら携帯電波通電状況および有線電話回線の強化に金を掛けるのが本来のインフラ産業としての使命だと思いますけどねえ。

○西村副総裁講演は特にサプライズ無しですが日銀の注目点整理に便利

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110421a.pdf

横浜支店での講演ということで、最後の部分で関東大震災の話をしていまして、そこで原三渓の言葉が引用されているのがあたくしには胸熱でありますが、原三渓といわれてピンと来ない横浜市民は神奈川都民認定になるのかな(謎)。

てな話はどうでも良いので経済見通し部分を注目してみますね。

『3.わが国の経済・物価情勢』がちょうど展望レポートを前にした日銀執行部の注目材料の整理になっています。で、その内容でありますが、基本的には4月の金融経済月報やら先日来行われました白川総裁の講演とか記者会見とか、宮尾審議委員の講演とか記者会見で示されていた話を基本的に継承するものとなっていますので、まあサプライズは無いでありまする。

『(わが国経済の先行きを展望する際の視点)』という所から。

『次に、わが国経済の先行き見通しについて、お話しさせていただきます。日本銀行では、四半期に一度、経済・物価の先行き見通しを示しており、来週28 日の金融政策決定会合では、2012 年度までの見通しを示す予定です。そこで、本席では、わが国経済・物価の先行きを展望していく上で大事だと考えられる3つの視点について、お話ししたいと思います。』

ということで3つの視点がありますので一応引用。

『第一の視点は、現在、わが国経済が直面する様々な供給面の制約が、いつ、どのように、どの程度解消していくかです。震災後の日本経済の大幅な落ち込みは、端的に言えば震災・津波による電力供給能力を含めた資本設備の毀損という供給面でのショックを出発点としたものです。したがって、先行きを見通していく上では、震災がもたらした供給面の制約がいつ、どのように解消されていくかが、大事なポイントになります。供給面の制約が解消される時期については、なお不確実性が高いと言わざるを得ません。これは、次の3つの問題に関する不透明感が強いためです。』

つーことで3点があるのですが、よーするに(1)毀損した生産能力の復旧(2)サプライチェーンの復旧(3)電力供給の復旧、という3点という話ですのでこれはまあ従来から出ている話です。

『以上の点を勘案すると、供給面の制約が直ちに解消するとは考えにくく、わが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状況が続くとみざるをえません。もっとも、秋口以降を展望すれば、電力の需給逼迫が改善に向かうとともに、サプライチェーンの再構築も進む結果、供給面の制約が和らいでくることが予想されます。そうなれば、世界経済が新興国・資源国に牽引されて高い成長を続けているもとで――今のところその可能性が高いと考えられますが――、生産活動の回復とそれに伴う輸出の増加が、日本経済の回復を支える原動力のひとつとなると見込まれます。』

要するに「先行きは回復軌道に復する」のですが、その前提として2段階ある次第でございまして、「供給制約の緩和」に「外需の好調さが継続する」とまあ今のところはナローパスという程でも無いのかもしれませんが、まあ前提条件が2丁ついているのですねという事でありますなあorz


『震災後のわが国経済を展望していく際の第二の視点は、海外経済の先行きを巡る不確実性をどのように考えるかです。この点は、今後のわが国経済の回復を支える起点のひとつが海外経済の成長であるだけに重要なポイントとなります。』

ということで、これはいつもの話でまあ論点も同じなので詳細の引用はスルー。


『震災後のわが国経済を展望する際に大事だと考えられる第三の視点は、震災によって毀損した資本ストックの復元に向けた動きがどのように現われてくるかという点と、福島第一原子力発電所事故などを通じた間接的な影響が、今後時間の経過に伴ってどのように変化していくかという点です。』

『これまでご説明してきたとおり、震災の影響としては、短期的には供給面の制約に伴う影響が大きく出てきます。しかし、その後、供給面の制約が和らぐとともに、震災によって毀損した道路や港湾、工場や商業施設、住宅といった資本ストックを官民で復元する動きが顕在化してきます。こうしたいわゆる「復興需要」が出てくれば、それは経済を押し上げる方向で寄与してくるものと考えられます。ただ、こうした需要がいつ、どの程度の規模で顕現化してくるかについては、現在のところまだ不確実性が大きいと言わざるを得ません。』

まあこれは西村副総裁の話じゃなくてあたくしがこの部分読んでいて思ったしょーも無い話なんですけどね。

いわゆる復興需要に関する部分を見るのにってえ話になるとあたくしどもの所でそれを見るのって銀行の資金動向かなあとか思うのでありますよ。つまり足元では震災関連での費用が出るかという事で企業にしろ金融機関とかが流動性を確保した結果銀行のところに資金が余っている(預金が拡大してる)状態にある(各種統計を見るとこの間落ちたのはアセマネ系でしたな)訳でして、この預金が今後どういう動きをする/動かないままが継続するという動向を見ているとまあ震災関連の費用とか復興需要とかいうのの動きが見えるかもしれませんなあとか勝手に思っているわけですがどうでしょ。

で、これまた話が逸れますが、そんな要因もあって足元の3M短国の入札が強かったりする訳で、銀行も預金拡大しているけれどもその預金が復興需要によって大々的に抜ける可能性だってある訳で(つーか抜けないとそれはそれで残念)、そうなると預金拡大したから長期債投資ヤッホッホーという訳にもいかんでしょうし、そんなこんなで市場的には短いキャッシュの部分に資金が滞留しているってえ状態なのかなあとか勝手に妄想するでござるの巻でありまする。

・・・・・と、何か全然関係ないあたくしの雑感が入ってしまいましたがその続き。


『また、より長期的な視点からは、震災がわが国の経済構造や趨勢的な成長力に及ぼす影響も、重要です。私は、原子力発電所の問題そのものについての専門家ではありませんが、経済への影響という点では、福島第一原子力発電所事故の解決が長期化し、電力の供給能力不足が続くリスク、また風評被害が内外で拡がり、輸出や観光に大きな影響が生じるリスクには、留意が必要だと思っています。また、企業のサプライチェーン再構築の過程で結果的に生産の海外移転の動きが加速するおそれや、震災と原発事故が企業や家計の投資意欲、購買意欲を冷やし、個人消費や国内設備投資を低迷させ、ひいては国内の成長期待を低下させるリスクも考えられます。』

まあそうですなという所で。


で、物価に関してですが、『(物価を取り巻く環境)』という所から。

『物価を取り巻く環境を展望しますと、震災の影響による供給面の制約から、個々の財やサービス市場では、短期的にボトルネック的な状況が発生する可能性はあります。しかし、マクロ的な需給バランスという面で考えてみますと、震災の影響により供給面の制約が厳しくなると同時に、企業の投資意欲、家計の購買意欲が減退し需要も落ち込む結果、需給バランスが短期的にどちらに向かうかは判然としません。もっとも、やや長い目でみれば、景気が緩やかな回復経路に戻っていくにつれて、マクロ的な需給バランスが徐々に改善していくとの見方が基本になろうかと思います。』

つまり先ほど説明していたように下押し圧力が高く、更に回復にも不確実性が高いとなると、物価ってそんなに上がらないですね、という話をしているように読んでしまいましたが(^^)、あたくしの読み方が正解だとすると、供給ショックによる物価上昇は一時的なもので、基調的物価に関してはむしろ景気回復の遅れから上昇しにくくなる、という認識を日銀執行部もお持ちという事になりますので、そー考えると展望レポートで物価見通しが持ち上がっても実はそれはそんなに政策インプリケーションは無かったりするのではないか、というイメージを持ってみましたが妙に読みすぎですかね(^^)。


んでまあ日銀の対応云々の部分は華麗にスルー致します。


○長期国債買入関連に関して少々雑感的な話で

先般引用したbewaadさんのお話をベースに。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110413/p1

後半に今後の政策という話をしていまして、結論として『現在主張すべきは、長期国債買切りオペ増額。』という話がありますが、まあ2次補正で国債の市中消化が拡大するという話になりますと、資金需給的に言えば長めの資金供給を打ち込む余地が出てくるけど、日銀のバランスの長短という点では銀行券が増発にならないとあまり変わらないですよね、という状態に(非常にざっくりした話で恐縮ですが)なりますかにゃと存じます。

となりますと、まー麻生さんの時にやった「財政出す話が固まる前の長期国債買入拡大」という攻撃を仮にやるのなら基金国債買入の拡大というのはまあ財政マネタイズみたいなイメージも大きくないし(基金オペは経済が正常に回復基調に乗ってきて超越緩和政策の必要が無くなったら終了する政策なので)、買入する利付国債も残存2年以内なのでハードル低いかなとか思うのでありますよ。

#bewaadさんからしたら2年以内じゃ短期オペと大差が無いので効果は足りず、買うのは長期ゾーンであるべき、とゆー話になろうかと存じますが・・・・・

でですね、まあ直ぐに始まりそうも無いのが残念なのですが、FEDが出口政策模索という話になったときにMBS売却とか長期国債売却とかして従来のように保有する財務省証券は基本的にBillを中心にするみたいな事をやって下さいますと、これはこれで日銀的にも「使える」テストケースになるのではないかと思うのですよ。

つまり、長期債を中銀が本格的にアウトライトセールするケースっていうのが今のような市場(統制市場みたいな状態では無いという意味ね)環境ではテストされていないと思われますが、もしFEDが長期資産の売却をスムーズにこなしてそんなに市場が混乱しない、ということになれば(まあ無理だと思いますけどね)、実は日銀も長期国債買入(基金買入では無いほう)に関して毎度毎度大騒ぎしなくても、単純に「期間の長いオペ」扱いでホイホイと買ったり売ったり出来るのではないか、というお話になるのかも知れないなあとか思っているのです。

そういう意味では、非伝統的政策に関しては散々っぱら日銀が先駆者となって身を張って実施例を積み上げてきた訳ですが(^^)、非伝統的政策(というか信用緩和じゃないバランスシート政策の本格的量的緩和政策)の出口政策という意味ではFEDがこれから身を張って色々と実施してくれるのかなあとワクワクテカテカしながら期待する訳でありますことよ。

なお、ECBはあまり非伝統的政策でも新しいのやらないであっさり出口モードになっているのであまり面白くありませんが、BOEに関しては「我々はFEDやBOJみたいなのと違う本当の意味での量的緩和政策を実施しました(キリッ)」と言って実施した緩和政策の中で物価はターゲットを逸脱して上がるわ経済は伸びないわという大変に素敵な状態になっておりますので、そーゆー点ではこれまた趣味の中銀マニア的には興味深いのですがちと別の論点になるかなとは思います(^^)。


○その他更に雑談

時間が無いので箇条書き。

・今週2度目の3MTB入札

週に2度となりますと大型連休進行になりましたなあ(GWと書いてあるのをGEとかGMとか空目するのは金融病患者です)という感じでございますが、さっき西村さんの講演の中でちと書いたように、足元「直ぐには出そうもないけれども、もうちょっと長い目で見たら何時出るか判らん預金」がしこたま集まっている状況で短期金融市場的には足のそんなに長くない金だけはふんだんにあるという状況ですので、連休跨ぎのキャッシュを潰すという意味では運用対象物件最後の大セールでありまして、まあ堅調なんでしょと勝手に妄想。


・人のふんどしコーナー

東電の補償機構がどうのこうのの記事がありましたが、補償機構が政府保証で財投機関債発行して(預金保険機構の2年債みたいなイメージ)資金調達してくれるのかなあとか思ったら交付国債オンリーになりそうなので交付国債のネタでもやろうと思ったが手抜きで人のふんどしで勝手に牛熊さんのところをご紹介するのでそれで勘弁。
http://bullbear.exblog.jp/14643388/

別件ですがソルベンシーUに関しても色々と勉強しないといかんですなあと思っていたらちょうどこれまた天の助けのように厭債害債さんの所でエントリーがあったので人のふんどし。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201104/article_2.html


・想定元本130兆円???

いやなんかどこぞの証券会社サンがいい感じで損かましたようなのですが、そもそもグロスポジション規制とかカウンターパーティーリスク規制とかに引っ掛からなかったの????と不思議なのですが、不思議ですなあと一言書きたかっただけなのでそんだけの話。

クレジット絡まないで金利リスクだけで800億だか何だか飛ばすとかどうやって飛ばすのか全く判らんとか思ってたのですが、まあグロスでそんだけポジション持っててアーブとかやってたら飛ばすのかねとか思いますが、スワプションなんてエキゾチックはエキゾチックですけどプレーンからそんなに距離が無いから管理難しくないと思うのですがまあ不思議ですわな。







2011/04/21

お題「個人的に微妙に多忙に付き雑談雑感ですいません」

昨日の謎のネットワークトラブルの原因がいまいちワカランチ会長orz

○無担保コールレートが下がったままモドランチ会長な件について

無担保コールの直近金利推移はこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_m.htm

んでまあ15日までは3月の絶賛大量供給による準備預金積み進捗のし過ぎによってコールレートが下がりましたなあという感じかとも思いましたが、積み期間変わってもコールレートはモドランチ会長となりまして、今週に入って0.06%台で推移しておりまふ。

当座預金残高は18日に38.5兆、19日に37.4兆、昨日が35.9兆と推移していまして、前回積み期間の40兆円ペースからは減っていますけど相変わらずの高水準でして、今日は予定ベースでは34.2兆円とまあ徐々に減ってはいますが多いには多いという状態で、無担保コールで取りに行く必要無しの助状態になっているちゅうことでしょうな。んでもって補完当座預金制度(超過準備付利)の外側にいる主体の成行資金放出(付利される人は日銀当座預金に放り込んでおけばよいので10bp未満の金は出さない)によって冷やかしビットの6bp(補完当座預金使える人なら無担保コール6bpで取って日銀当座預金に放り込んでおけばヨロシアルなので冷やかしビットなら入る)にぶち当たって居ると言う状況なんでございましょうな。

さすがにGCレポは積み期間変わって震災直後にバンバン出したオペの期落ちが来たので担保玉足りませんがな状態の7bpだのというような状況から10bp程度になっているようですけれども、コールは下がったきりとなっているのが微妙にチャーミングでありまして、まさに量的緩和状態という風情を醸し出していますが、よくよく考えたら10bp未満でコールを放出する人の資金総額とか考えますと(基本的には生損保、年金、投信の運用余資と短期公社債投信のコール運用部分だけなので)コール市場そのものがいい感じで閑古鳥大合唱状態になっているっちゅう状態になっているだけなんでしょうかねという気もしますが、これは市場残高がどうなっているのかの推移を真面目に確認しないといけませんけどね。

つまりですな、まあGC市場の方が多い上に、有担保コールでの運用をする人もそこそこいまして(以前の量的緩和時代はそもそも有担保コールが担保不足状態になっていましたが、現在は短国の市中流通量が圧倒的に違うので有担保コール市場もこれはこれでワークしているので、カウンターパーティーリスクとか考えた場合に有担保コールの方が良いやという人も多いと思われるのでありましゅ)、無担保コールそのものが限界的な市場になりつつある中、足元の実質量的緩和状態の影響で更に無担保コール市場が限界的になっちょるという感じではないかと。勝手に想像しますと、今の無担保コール市場って確かにレートは6bpで資金が取れているんですけれども、真面目に資金を取りにいこうとした時にその6bpで資金バンバン取れるかというとそれはどうなのよという気もする市場の厚みになっている(実際にそんな動きが現状では起きようが無いから判らないけどさ)ような印象があるのでございますけどどうなんでしょうかね、と思う今日この頃でありました。

と、限界的な市場の限界的な雑談で正直この話を延々として誰得の世界なのですが、何となく思っていることを書いてみたでござるの巻なのでありました(おいおい)。


○何でこう「増税が正義」状態になるのか意味判らん

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a.NcAzlASDxg
与謝野氏:復興債は税裏付け必要、消費税も選択肢−インタビュー(1)

いやあのですね、復興に関わる国債発行したのを未来永劫放置プレイでよいかと言うと、そもそも財政真っ赤っ赤状態ですから財政再建への取り組みは取り組みでする方向というのは判るんですけれども、国債発行するのに最初から増税ぶち上げるとかイミフなんですけど。

つーかよ、過度の自粛で経済活動を必要以上に萎縮させるってこの前あんさん仰ってませんでしたっけ(ソースが産経なのがアレだが)??
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000580-san-bus_all
東日本大震災 与謝野経財相「自粛は不景気運動」

復興復旧ってその前に災害で失われたものがある訳で、その復興の為に税金召し上げて突っ込みますって言い出すのと過度の自粛とがどうもあたくしにはオーバーラップして見えちゃうのですが、増税となると急にスイッチが入るとか訳の判らんジジイでありまして、東京1区はロクデナシ大臣を2名も輩出している事の責任を取るべき(まあこの人は落選してますが比例復活する票を与えたのがケシカランという事で)である、というのはまあギャグですが(−−;)この記事だと書いてませんけど「3年程度の時限的に消費税を8%に」とか言う案もどこかで見たような気がしましたので頭痛いですな。

だってさ、こんなの「復興財源の為時限的に消費税増税」とか言ってそれが本当に時限措置で済むかどうか非常に怪しいというか正直信用ならないというのが日本政治クオリティなのでありまして、これまで「時限的措置」とか言った物が全然時限的にならなかったというのが散々ある中でこういうのを持ち出すのは、震災復興を錦の御旗にしているだけで、実際の目的は消費税増税なんでしょと申し上げたくなる動きでございますわな。

やるならまずは歳出の見直し(高校無償化とか子ども手当てとか)して足りない分は国債増発して、経済が立ち直った所でまあ増税するというのが普通じゃないかと思うのですけれども、復興に関する話って何故か先に財源の話ばかりが盛り上がって、最初は産経辺りが「日銀の国債引受」という(市場で別に消化可能なのに何も中銀の財政マネタイズなどという象徴的な事をせにゃならんのよという意味で)極端にも程がある話が出たと思ったら、今度はその反動というか揺り返しというか、「消費税増税」話とかこれまた極端な話が出てくるとか、全くもって意味が判らん動きが続いて頭がクラクラしますな全く。

つーかさ、まあ東電関連の話もそうですけど、現政権におかれましては全然練れていない話が次から次へとメディア経由でアドバルーンとして出てきて、それがまた最終的に誰が責任とって決断しているのかの意思決定機構もよく判らんという状態になっているからだと思うのですけれども、発言に統制は取れていないわ、前後関係が無茶苦茶だわ、金融関係者的な視点で見て無茶だなという話がホイホイ出る位ですから、恐らく原発関連や復興関連なんかでもその道の専門家が見たら何じゃこれ状態の話がホイホイ出てくるのでしょうし、更にはこの無秩序カオス状態を利用して復興を錦の御旗にして自分達の通常からの主張をそれに乗っけてしまおうという動き(上記のような)もあるしと、民主党政権におかれましては一刻も早く下野して運営能力の高そうな人(なので「東電は国有化すべし」とかドヤ顔で言っていた元金融大臣の所ではない)に運営を行わせるべきかと存じますがねえマッタクモウ。

・・・・トサカに来ながら書いたら一文が長くなりすぎですかそうですか(−−;


○BOE議事要旨は後で読む

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf

詳しくは後で真面目に読みますが、第24パラグラフにある「インフレ期待の先行きを決める重要な経路」についての部分を引用しておきます。

『24 One important channel through which an increase in inflation expectations could lead to a sustained increase in inflation was through a pickup in wage growth. Pay settlements and total earnings had risen over the past year, but remained below pre-recession averages. The data on private sector wage settlements agreed so far in 2011 remained limited, but the additional evidence over the month had suggested that the underlying level of settlements remained muted. The contribution to pay growth of bonuses and regular pay drift had also remained subdued; annual whole-economy regular pay growth had been 2.2% in the three months to January. But there was a risk that pay growth could rise further in response to elevated inflation. And the sustainable rate of wage growth consistent with meeting the inflation target depended upon the growth rate of labour productivity, which had also remained weak in the latest data.』

手抜きで1パラ全部引用しちゃいましたが、要するに「賃金動向に注意」ということでありまして、現状では賃金の上昇は見られるものの、長期的に見た平均的水準の上昇に留まっており、足元の物価上昇を受けた賃金の上昇によるインフレスパイラル的な動きにはなっていませんよという話のように見えます。すなわち、MPCの最近の注目はこの辺りが一番ということ(物価に関してですが)かなあといった所になるんでしょうね。










2011/04/20

お題「リッチモンド連銀ラッカー総裁の景気見通し」

とにかくFED高官の発言がむやみやたらと大杉でありまして、とてもじゃないですけれどもフォローしきれなくて正直困りまふ。何せ情報ベンダーでの話を真に受けていると実は微妙に違うとか普通にあるので本当は読まないといかんのよね。

でまあ最近はどっちかに寄っていないとあたくしが思っているタイプのコチャラコタとかブラードとか読んだのですが、ややタカ派寄りと思われるラッカーさんの講演から。

http://www.richmondfed.org/press_room/speeches/president_jeff_lacker/2011/lacker_speech_20110414.cfm
http://www.richmondfed.org/press_room/speeches/president_jeff_lacker/2011/pdf/lacker_speech_20110414.pdf

○いきなり手抜きだが最後のまとめを読む

『In conclusion, let me say that we’ve come through an extraordinary period in our nation’s history. Despite all the challenges, there are good reasons for an affirmative view of the future, as long as policymakers follow coherent, sustainable long-term policy plans. I look forward to working with my colleagues in the Federal Reserve to meet the unique monetary policy challenges we face this year.』

ということで、結論を読みますと明白なのですが、ラッカーさんの景気見通しとしては「我々は米国が直面した特別な時代を通り抜けたと申し上げましょう」として、「今年は直面する金融政策の課題に対処しないといけませんなあ」(どっちもあたくしの俺様意訳)というお話ですので、まあ地区連銀総裁はあちらこちらでタカ派ちっくな人が多いですなあという話になるんでしょうけれども、今年のFOMC劇場は執行部(というのが適切かどうか知らんが)VS地区連銀総裁っぽい感じですなあというところですか。


で、景気に関する話ですが、景気の基調が強いですよという話をしているのですけれども、項目別の話から始まってまあ興味深い指摘もありますのでその辺を。

○景気は回復していますが回復途上というのがフェアでしょうと

最近の回復に関してですが、延々と回復の堅調さについての話をしている部分を全部割愛して(手抜き)最後の方ではこんな話を。

『Many observers were disappointed with that modest growth, which was barely above the long-run trend rate that results from population growth and productivity growth. But at least real GDP has improved, since its level is now above its previous peak in the fourth quarter of 2007.』

回復の速度が遅いという話に関してはこの先に論点整理をしています。

『Other important indicators of growth have not recovered. The number of employees on nonfarm payrolls has risen by 1.4 million persons in the last 15 months, but that increase is dwarfed by the 8.7 million jobs that were lost in the previous two years. It’s fair to say that we have a ways to go before we will fully recover from what many are calling the Great Recession.』

ということで、その前の部分では景気回復が堅調でファンダメンタルズも強いというような威勢の良い話をしているのですが、最後の方に来るとややおとなしくなってくるのがややチャーミングでありまする。


○過去の恐慌からの脱却局面と比較して回復速度が遅い件について

『A natural question is whether growth could be stronger. After all, we can remember other times when the recovery from a recession was much more rapid than this current recovery. Consider the recoveries from the other two deep recessions in the postwar period, the recessions of 1981-82 and 1974-75. In the first six quarters after those recessions ended, real GDP growth averaged a 6.3 percent annual rate. Accompanying that output growth, job growth averaged 4.5 million persons in those two recoveries.』

ということで、足元までの経過で見ますと、1981-1982や1974-1975の回復局面と比較してその速度が遅く、それはGDP成長率と雇用の拡大速度に現れていますわなあという事でして、それを過去と今回の比較をしている訳ですな。

『Two factors account for much of the sluggishness of this first stage of the recovery. The most obvious is the collapse of housing construction. We built too many houses in the boom years from 1995 to 2005, and many of those houses are now vacant and are pretty good substitutes for new construction. As a consequence, residential investment fell by 57 percent from the end of the housing boom to the end of the recession, and has fallen further in this recovery. In contrast, residential investment increased an average of 40 percent in the first year of recovery following the two recessions I mentioned earlier.』

ということでまず明確に違うのが住宅建設ですなという話で、要するにバブルで住宅作りすぎたがなという話をしておりますが細かい数字は読んでちょ(おいおい)。

『While housing is the most obvious factor dampening this recovery, residential investment accounts for only 2.4 percent of GDP at this point. A much larger factor is consumer spending, which accounts for over 70 percent of GDP. In the first five quarters of this recovery, consumer expenditures increased at an annual rate just below 2 percent. This is in contrast to the two other recessions, where household spending grew by an average of 6-1/2 percent in the first year of expansion.』(フォントの関係で分数表記改変しました)

つーことで、数字で目立つのは住宅ですが、要因として大きいのは消費の伸びが弱いことだそうですが、米国の上記の数字を見ていますと、過去の落ち込みからの回復の強さの方が正直ビックリですよという感じです(^^)。


○つまり消費支出の力強い伸びが必要と

『Thus a key to the outlook is consumer behavior. At over two-thirds of GDP, it is impossible to imagine a robust recovery without a substantial advance in consumer spending. And it is easy to understand why consumers were cautious at the beginning of the recovery. A large number of households experienced unemployment during the recession, and many more were uncertain about their job security. Wage growth fell during the recession. Housing prices declined, in many cases unexpectedly, significantly reducing the value of housing equity on the consumer balance sheet. Stock prices declined sharply during the recession. It should not be too surprising that consumers responded to this adversity by deferring nonessential spending and rebuilding their balance sheets. That behavior is reflected in statistics such as personal saving, which was slightly below 2 percent of income in mid-2007 but was slightly above 6 percent of income at the end of the recession.』

長いのですが微妙に切る所が無くて1パラグラフまる引用しちゃいましたが、その消費支出の伸びに必要なのは(1)雇用問題(2)住宅などの家計バランスシートの両面の改善である、という話をしています。

でね、そういう文言見ますと外野的には「じゃあ回復って遅いんじゃないの」という風に思ったりもするのですが、ラッカー総裁はその基調的な部分が顕著な改善を示していると仰せなのは正直申し上げてあたくし的には少々「???」な部分もありますがまあ引用。

『Some important fundamentals underlying household spending plans have improved significantly since the recession’s end.』

外野的にはそうとは思えませんけどねえ・・・・・まあその先が具体的な経済指標。

『New claims for unemployment insurance have trended down since last summer. The unemployment rate has fallen by 1.3 percentage points from its peak, and as a result, those who are employed have reason to be more confident in their job security. Employment has picked up, with growth in the last two months averaging slightly better than 200,000 jobs per month. The employment components of the Institute for Supply Management’s monthly surveys of manufacturing and nonmanufacturing activity are at extremely high levels, signaling broad gains in labor market conditions.』

と、雇用環境の改善の話をこれでもかと並べまして。

『The stock market has more than doubled from its recession low point, and the net worth of households has increased by $8 trillion since early 2009. As these fundamentals have improved, so has consumer spending. Retail sales rose 5.2 percent in the first year of recovery, and in the next nine months improved at a 9.9 percent annualized growth rate.』

ということで、株価の上昇もあって個人消費が強くなっていますと。


○個人消費の改善は強固な上に輸出も伸びるとな

ということで個人消費の改善が強固だという話をしていますわな。

『I would stress that this higher pace of consumer spending is solidly grounded in improving fundamentals. Thus I expect robust growth to persist, as consumers see continuing improvements in job markets, incomes and wealth. Moreover, households have deferred nonessential spending for several years and a stock of pent-up demand has built up; as they gain confidence, it is likely they will draw down that stock and boost spending as a result.』

んでもってその次には「輸出も伸びますよ」という話をしてまして、世界経済、特に中国やインドの成長が強いという話がベースにあるのでホンマカイナという感じですけど。

『Thus I see consumer spending as an important part of the recovery, but there are other areas of strength as well. Exports of goods and services have risen 18 percent since the end of the recession, adding 2 percent to real GDP growth. Yes, exports fell in February, as reported yesterday by the U.S. Bureau of Economic Analysis, but they remain well ahead of the fourth quarter’s pace. Moreover, the key fundamental factor for export demand is growth abroad, and here the prospects are excellent.』

『Although growth in the highly industrialized economies has been similar to domestic growth, many less developed economies are growing very rapidly. Especially notable are the two most populous countries; China’s GDP grew 9.7 percent last year and India’s GDP grew 8.3 percent. Again, this growth is solidly based, as these countries are deploying a large labor base more effectively. Japan’s growth miracle following World War II lasted for several decades, and the current crop of rapidly growing economies can look forward to several decades on the fast track.』

なんつーかね、新興国経済の成長に関してやたら強気のように見えるのですけれども・・・・・・

『As they grow, they will buy more of our products. Consumers who join their middle class will buy goods we make that were formerly luxuries, from pharmaceuticals to motion pictures. Demand for our agricultural products will rise. Most importantly, newly industrializing economies will want to acquire more capital goods in order to allow workers to move into more productive activities. For all of these reasons, export demand is likely to contribute strongly to U.S. growth for the foreseeable future as we produce goods and services that the world wants to buy, especially the most rapidly growing parts of the world.』

ということで、新興国の成長が続き米国の輸出拡大に大いに寄与するという話なのですが、そう話が上手く行くもんかいなとは思いますが、まあそういう見通しになっております。


○リスク要因の話を飛ばしまして(おいおい)インフレの部分

リスク要因に関しては(1)住宅市場の低迷(2)エネルギー価格(ただしあまり懸念していない)(3)財政問題、を並べていますが、基本的に強いですよという話をしていまして、その後にインフレの話が少々。

『One reason that the consensus of forecasters is so positive about the national economy is that they believe that the inflation environment will remain benign. Over the 12 months ending in February, the price index for personal consumption expenditure has risen 1.6 percent. In the absence of further energy price increases most forecasters do not foresee a significant acceleration in prices this year.』

物価が安定的に推移しているのも先行き見通しが強気の背景にありますとな。

『We should not take that outcome for granted, however. Commodity price increases have squeezed profit margins for many firms, and we are increasingly hearing that some are looking for an opportunity to raise prices. If firms see robust demand growth, they will be increasingly willing to pass input price increases through to their customers. Such increases can be common in this stage of the business cycle.』

ただまあ企業の価格転嫁の動きが始まっているようで、その流れが続く可能性という話をしていまして、これはまあFOMCの議事要旨でもそんな話がありましたけれども、インフレに関しては若干警戒という感じなのでしょうか。まあ景気見通しがあれだけ強ければ物価見通しは警戒的になりますわなという感じですが。


○まあそんな感じですので

この講演ページ数少ないのと、あまり突っ込んだ話をしていないのでサラサラと読めますが、どうも突っ込んだ話が無いせいなのかも知れませんが、見通しが全般的に甘いのではないかという気がせんでもないですけど、まあラッカー総裁もタカちっくな地区連銀軍団構成員という予想された結論になるのでございましたが、この講演だけだと見通しそのものに???が付く感じは致しますな。


#と、完全に世間離れしたネタでどうもすいません





2011/04/19

お題「アピールは大切ですな/その他各種雑感」

ということでまずは先日の総裁講演から。

○特に先行き金融政策に関する話ではないですが

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110415a.pdf(邦訳)
東日本大震災:社会の頑健性と復興に向けた意思
── Council on Foreign Relations主催の会合(ニューヨーク) ──

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2011/data/ko110415a.pdf(実際の講演)
Great East Japan Earthquake: Resilience of Society and Determination to Rebuild
Remarks at the Council on Foreign Relations in New York

まあこの講演そのものは金融政策どうのこうのという件で言えばスルーで良いのでふが、こういうアピールおよび感謝の意を積極的に表明するのは結構なお話であります。

『I am privileged to have the opportunity to speak before the Council on Foreign Relations today. Before beginning my speech, I would like to extend my heartfelt gratitude to the government and people of the United States for the support and encouragement concerning the tragic Great East Japan Earthquake.』

というのが冒頭での謝意ですが、最後のところでも改めて謝意と復興に向けたアピールをしています。

『VI. Concluding Remarks

As I mentioned earlier, nothing is more heartening in a crisis than the encouragement and support of friends overseas. I would like to conclude by thanking you once again for your friendship. With the resilience of Japanese society and the determination to rebuild, I am absolutely convinced that Japan's economy will overcome this trying time, successfully rebuild and become even better placed with greater growth potential. With that, I would like to conclude my remarks. Thank you for your attention.』

ということですが、それ以外にも海外に向けて日本は皆様が誤解している程全て危険でエライコッチャな訳ではないというのも説明してますな。

『The Bank of Japan's Fukushima branch, which is about 40 miles away from the Fukushima Daiichi nuclear plant, has been conducting its business as usual, and has been providing cash, including on the weekend immediately after the earthquake. Financial market stability has been maintained. I would also note that trading on the Tokyo Stock Exchange has been perfectly normal.』

『福島第一原発から約40 マイルの距離にある日本銀行の福島支店も通常通り営業しており、地震発生後の週末も含め現金供給に努めています。また、金融市場も安定を維持しているほか、東京証券取引所における株式の取引も正常に行われています。』(めんどいので日本語版を一緒につける^^)


『Looking beyond the world of settlement systems and financial markets, the people in the disaster areas have been calm and composed and full of a spirit of mutual cooperation, despite such a difficult living environment. In Tokyo, although electricity shortages are causing some inconvenience, people have accepted these new realities and adapted immediately. One of the visible changes is that people are increasingly deciding themselves to cancel parties or other events, as a mark of respect to the victims of the disaster and out of consideration for the feelings of the people affected. Another change is a substantial decline in visitors from overseas.』

『決済システムや金融市場の外に目を転じると、被災地のあれだけ厳しい生活環境にもかかわらず、人々は冷静に行動し、助け合いの精神に満ちています。また、東京での人々の生活を見ると、電力不足による不便はあるものの、そうした事態を受け入れて直ぐに適応しています。目に見えて変化したのは、震災の犠牲者に対する弔意と被災者の心情への配慮から、様々な会合や行事の自粛が広がっていることと、外国からの観光客の大幅な減少です。』

ということで、日本は頑張っておりますし、別にどこもかしこも放射能という事でも無いですよ、と状況の説明をしているのは、まあこういう時ですから金融政策どうのこうのの話をするのではなく、こーゆー話をするのが吉という事なのでしょうな、うんうん。

更に外国人の皆様が脱出した件に関してはこんな話がチャーミング。

『As was the case in the financial markets immediately after the failure of Lehman Brothers, when people's lives and safety are at risk, they sometimes tend to become excessively risk averse, which makes things worse. Incidentally, while foreign nationals residing in Tokyo increasingly left Japan for fear of radiation risk, it has tended to be overlooked that the radiation levels in Tokyo are roughly the same as in other major cities around the world, such as Paris and Berlin, or they were exposed to more radiation on the airplane than they would have been exposed to in Tokyo.』

『リーマン・ショック発生直後の金融市場もそうでしたが、人間は生存や安全が脅かされると、時として極端なリスク回避に走り、そのことがさらに事態を悪化させます。因みに、東京在住の外国人が放射能リスクへの恐怖から国外に退避するという動きも広がりましたが、東京の放射線量はパリやベルリンなどの主要都市とほぼ同じであるとか、飛行機内で受ける放射線の方が多かったという事実は忘れられがちでした。』

・・・・・(^^)。

で、日本経済に関する話はまあ普通の話をしていますのでそちらはスルーの方向で。


○復興国債はいいけど別建て発行はするんじゃねえぞと思いますが(-_-メ)

http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-20659320110418
再送:復興国債の発行必要、財源は増税で確保すべき=民主幹事長

『[東京 17日 ロイター] 民主党の岡田克也幹事長は17日、NHKの番組に出演し、東日本大震災の復興に充てる2011年度第2次補正予算について、通常の国債と区分した復興国債の発行が必要とし、償還財源は将来の増税によって確保すべきとの見解を表明した。』(強調部分は引用者によります)

えーっと、まあ別に建国でも赤国でもなく別枠にするというならそれは別に良いのですけれども、発行形態まで別建てにされると債券市場的には心の底から迷惑千万なんですけどねえ。

・・・・・と書いただけで債券市場の中の人的には「そうですなあ」で話が終了して下さると思いますが、蛇足を承知で説明すると、例えば「復興国債第1回債」みたいな形で市中発行するという事になりますと、その銘柄だけ流動性が極端に低くなってしまいますし、レポは面倒だしスクイーズする馬鹿とか出てくると更に話がややこしくなるので、結果的に通常の中長期国債よりも流動性が低い=円滑な消化の妨げとなる&無駄に流動性プレミアムが付くので発行コストが結果的に高くなる恐れがある、というアホウにも程がある事態が発生する訳で、おまえら馬鹿政治家どもの馬鹿パフォーマンスの結果国債発行が円滑に進まなくなるとか馬鹿の二乗にも程がある状況になりますがなということです。

まあ名目(=発行時の根拠法)が特別な復興国債であるというのはどうでも良いのですが、実際に発行するときには通常の中長期国債の発行に混ぜて同じようにやってくれないと、流通市場をやっている方としましては個別管理は面倒臭いし、流動性は無駄に低いしプライシングするのも手間が余計にかかるし(大体からしてまた新しい銘柄コード体系を作らないといけなくなってシステム負荷(それ自体は大した事はないけど手間は手間)が発生するわという債券市場のお荷物が発生しますので勘弁して頂きたいものであります。

店頭で「復興1回50億出しは〜?」とかなるんですかねえ、アホラシカ。


○何でこういう話がでるのかねえ

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a0H3yKSSk6_4
日銀がコアCPI見通しを上方修正へ、物価安定「1%」をより明確に

『4月19日(ブルームバーグ):日本銀行は28日公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年度比上昇率の見通しを0%台半ばに上方修正する見通しだ。一方で、政策委員の大勢が1%程度を中心とみていた物価安定の理解から「大勢」という表現を削除し、1%をより明確に打ち出す方針だ。複数の関係者への取材で明らかになった。』

結局この記事最初から最後まで(しかも英語バージョンも)読んで見たのですが、リーク記事なのか観測記事なのかさっぱり判らんかったですが、英文バージョンに関しては(この前の社債買入のTEPCOネタでもそうでしたが)如何にも「日銀の人間が言っています」的なヘッドラインになっていました。でまあ観測記事なら観測記事でも良いのですが、それならばそれらしく書いて頂かないと「日銀は決定会合での議事内容を事前にリークするとはケシカラン」と常日頃から批判を受けている訳で有りますので、まあ有体に言えば日銀に対する業務妨害みたいなもんでございますわな。

大体からしてこの程度の内容を一々事前にリークするメリットは日銀に1ミリも無く(経済データと公式に出ている各委員の発言を足し合わせればこの程度の予想は不思議ではない世界ですから地均しとかする必要も無いでしょうし)、事前リークするという行動に対して世間が考える批判というデメリットの方が圧倒的に高いので、まあ別に内容そのものが日銀の決定会合の関係者各位から漏出しているとは思ってませんが、まあ本当に検討する内容に関しての事実が漏出しているのでしたらば当該関係者様におかれましては鴨居から縄を下げて首を支点に懸垂運動でもやって頂きますと誠に有り難く存じます次第です罠。

つーことで、決定会合の度に一々リーク記事みたいなのが出る(観測記事ならまあなんぼ出ても普通なのだが)のは大概にせえという感じですし、報道する方も報道する方で、ただの観測あるいは予想記事なのか、本当のリークなのかというのが特にニポーンの報道ではさっぱり判らん書き方をするもんだから、(今回程度の内容では関係ないですけど)金融市場的にはノイズ祭りになってしまう、というのは先般来続いているTEPCO関連の話でも典型的なのでありまして、報道機関におかれましてはもうちょっとお前ら何とかならんのかという所であります。


○ほほうS&Pが米国債にネガティブとな

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011041800867
米格付け見通し「ネガティブ」に=財政問題への対処不透明−S&P

まあ正直どうでも良い、と思ったら最初トリプル安になったのですが、その後レーティングアクションを受けた本家本元であります所の米国債だけ買われて戻るというどこの日本国債ですかという大変にお洒落な展開になったようでございますな。まあ米国債券市場の日本化ネタはよく言われていましたが、レーティングアクションで同じことになるとかテラワロスなのであります。

しかしまあ米国だってオバマ大統領が財政健全化どうのこうのとかいう演説をしたばっかりなのにS&Pがレーティングアクションとか、まあ首吊りの足を引っ張るような事をするというか、わざわざ地雷を踏んでぽぽぽぽぽーんになるような事を平気でするというか、全くもって困ったもんというか何というかでありまして、やはり中国4000年の叡智が生み出した(嘘)俺様格付会社の「大公国際資信評価」のスタンスを見習うべきであると思います罠。







2011/04/18

お題「FOMC議事要旨から」

どうせ見なくても言う事は判りきっているのでモーサテは見ないでござるの巻。

・・・・といいつつ頭の部分をうっかり見たら何故か「日本はGDP辺りのエネルギー消費量が少なくて省エネなので原発に頼らなくても良い」という理論が展開されていたのだが、そもそもGDPが大きい国でその間に電気の原子力依存が高い状態で省エネで何とかなるとか随分と簡単にお話をしておられるようで、何か世の中単純に考えてませんですかねえ先生。

(追記)モーサテ見ないと言いつつそのコーナー見たら・・・・

・「国債発行すると民間の資金需要を圧迫するので長期金利が上昇して円高になる」という理論を述べておられましたけれども、財政マネタイズをするともっと凄い勢いで長期金利が上昇するリスクがあると思いますが何故財政マネタイズが必要なんでしょう???

#大体からして国債発行増えてもここまでは長期金利上がってませんが何か???

・名目GDPが伸びると税収が増える話と政府支出が増える話をしていますが、税収の伸びと政府支出の拡大をバラバラに出して「差額がどうなる」という話が1ミリも無いのは何でなんでしょう???

などと思いましたけど(^^)、もっと財政マネタイズの話を大々的にして山本幸三先生のホームページ状態となって「財務省・日銀マフィアを殲滅すべし」みたいな電波浴が出来ると思っていたので少々拍子抜けですたwwwww



そんな事はどうでも良いのですが金曜の続きでFOMC議事要旨から。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110315.htm(html版)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20110315.pdf(PDF版)

○金融環境の緩和に対して一部から微妙なコメントが

金融環境に関しては、個人向けの学生ローンや消費者ローンにおける環境が改善していたり、自動車ローンの条件がヒストリカルの平均水準まで戻っていることなどが明るい話として指摘されていますが、一方で不動産向けのローンの環境は依然としてタイト、という話が展開されていますが、その最後のところにほほうという指摘が。

『A few participants expressed concern that the easing of credit conditions in some sectors was becoming or might become excessive as investors took on more risk in order to obtain higher yields. 』

いわゆる「利回り追求」への懸念表明ということで早速資産バブル警戒キタコレという風情でありまする。


○ヘッドラインのインフレに関して

ヘッドラインのインフレは商品価格の上昇の影響についてこれから注視する必要があるという感じでしょうかね。

『Participants observed that headline inflation was being boosted by higher prices for energy and other commodities, and that prices of other imported goods also had risen by a substantial, though smaller, amount. A number of business contacts indicated that they were passing on at least a portion of these higher costs to their customers or that they planned to try to do so later this year; however, contacts were uncertain about the extent to which they could raise prices, given current market conditions and the cautious attitudes toward spending still held by households and businesses.』

つーことで価格転嫁への動きが無いわけではないが、今の状況だと消費者が付いてくるかが微妙と考えているようですな。

『Other participants noted that commodity and energy costs accounted for a relatively small share of production costs for most firms and that labor costs accounted for the bulk of such costs; moreover, they observed that unit labor costs generally had declined in recent years as productivity growth outpaced wage gains. Several participants noted that even large commodity price increases have had only limited effects on underlying inflation in recent decades. 』

そのほか単位労働コストが抑えられていることや、ここ数十年の実績において商品価格が大幅に上昇した時でも基調的なインフレに対する影響は限定的であったというような話が続いていますので、基調的なインフレに関しては以下のようになりますわな。


○コアインフレに関して「資源の活用状況」だけで抑えられるといえるか

『In contrast to headline inflation, core inflation and other measures of underlying inflation remained subdued, though they appeared to have bottomed out.』

抑制されているが底打ちとな。

『A number of participants noted that, with significant slack in resource utilization and with longer-term inflation expectations stable, underlying inflation likely would remain subdued for some time.』

これはいつもの「資源活用のスラックが基調的インフレを抑える」話ですな。

『However, the importance of resource slack as a factor influencing inflation was debated.』

ほほう。

『Some participants pointed to research indicating that measures of slack were useful in predicting inflation. Others argued that, historically, such measures were only modestly helpful in explaining large movements in inflation; one noted the 2003-04 episode in which core inflation rose rapidly over a few quarters even though there appeared to be substantial resource slack. 』

ということで、リソースのスラックで基調的インフレが抑制という話をいつまでも続けていられるのかという論点もあるようですな。


『Participants expected that the boost to headline inflation from recent increases in energy and other commodity prices would be transitory and that underlying inflation trends would be little affected as long as commodity prices did not continue to rise rapidly and longer-term inflation expectations remained stable.』

ということで、足元のヘッドラインの物価上昇は長期的なインフレ期待に今のところ影響を与えていませんという話ではありますが。

『However, a significant increase in longer-term inflation expectations could contribute to excessive wage and price inflation, which would be costly to eradicate. Accordingly, participants considered it important to pay close attention to the evolution not only of headline and core inflation but also of inflation expectations.』

ということで、インフレ期待の動向に注意深くならないといけませんって話で、ユニットレーバーコストやらリソースの活用状況などの経済のスラックだけを見るわけにも行きません罠という事でしょうな。

『In this regard, participants observed that measures of longer-term inflation compensation derived from financial instruments had remained stable of late, suggesting that longer-term inflation expectations had not changed appreciably, although measures of one-year inflation compensation had risen notably. Survey-based measures of inflation expectations also indicated that longer-term expected inflation had risen much less than near-term inflation expectations.』

ただまあ現状では顕著なインフレ期待の上昇は観測されていませんと。

『A few participants noted that the adoption by the Committee of an explicit numerical inflation objective could help keep longer-term inflation expectations well anchored.』

これは先日引用したプロッサーさんの講演にもありましたが、ここにあるのは「One」ではなくて「A few」となっているので、プロッサーさん以外にも「明示的なインフレ目標の設定」によってインフレ期待の上昇を抑えるという主張をしている人がいるようですな。ドタ勘だとミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が賛同していると見ましたがどうでしょうかね。


○上下リスクについて

『Participants generally judged the risks to their forecasts of growth in economic activity to be roughly balanced. 』

上下リスクはバランスとしていますが。

『They continued to see some downside risks from the banking and fiscal strains in the European periphery, the continuing fiscal adjustments by U.S. state and local governments, and the ongoing weakness in the housing market. Several also noted the possibility of larger-than-anticipated near-term cuts in federal government spending. Moreover, the economic implications of the tragedy in Japan--for example, with respect to global supply chains--were not yet clear. 』

先にダウンサイドが出てますが、(1)ユーロのソブリン問題(2)米国の住宅市場(3)米国の財政再建による政府支出の縮小(4)日本の震災による世界的なサプライチェーンへの影響、ということのようで。

『On the upside, the improvement in labor market conditions in recent months raised the possibility that household spending--and subsequently business investment--might expand more rapidly than anticipated; if so, the recovery could be stronger than currently projected. Participants judged that the potential for more-widespread disruptions in oil production, and thus for a larger jump in energy prices, posed both downside risks to growth and upside risks to inflation. Several of them indicated, in light of recent developments, that the risks to their forecasts of inflation had shifted somewhat to the upside. Finally, a few participants noted that if the large size of the Federal Reserve's balance sheet were to lead the public to doubt the Committee's ability to withdraw monetary accommodation when appropriate, the result could be upward pressure on inflation expectations and so on actual inflation. 』

長々とありますが、基本的にはインフレリスクに関する部分がアップサイドとして大きくて、労働市場の改善に伴う賃金拡大からのインフレとか、エネルギー価格上昇に伴うインフレ期待へのシフトとかがありますが、最後のところで「a few」ではありますけれども、FEDのバランスシートの大きさによってインフレ期待が高まるという話が出てきたのがこれまたほほうという感じです。

『To mitigate such risks, participants agreed that the Committee would continue its planning for the eventual exit from the current, exceptionally accommodative stance of monetary policy. In light of uncertainty about the economic outlook, it was seen as prudent to consider possible exit strategies for a range of potential economic outcomes. A few participants indicated that economic conditions might warrant a move toward less-accommodative monetary policy this year; a few others noted that exceptional policy accommodation could be appropriate beyond 2011.』

ということで、現在の政策をどうするのか、という話に関してはどこからどう見ても「議論が空中戦モードになっているだけで何も進んでいない」としか読み取れないこの部分なのでありました。

ということで、まあとりあえずそこだけ読んでおけば大丈夫という『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』を2回に分けて読んで見ましたが、まあ最後の所にありますように、どうも委員の間での意見がバラバラにも程がある状態で、これで6月のQE2期限に向けて話が進むのか非常に不安があるというところだと思います。










2011/04/15

お題「各種世間話/出し遅れの証文で恐縮ですがFOMC議事要旨」

風評被害ってそらまあ大本は東電の原発なのですが、その風評被害を結果的に煽る事になっているのが、重大な話と実はそんなに大騒ぎしなくても良さそうな話を全部ごちゃ混ぜになって出してくる政府のドタバタ対応じゃねえのかと言ってみるテスト。

○どう見てもフラグでした本当にカムサハムニダ

昨日の短期市場ちゃんではレギュラーとかのGCレートが普通に0.10%に戻ったようでさっくり普通のレベルでござるの巻となったようでして、昨日GCレートが下がっていますがなというネタを書いた途端にレート上昇とかどう見ても間が悪かったです本当にありがとうございましたという風情でありまする。

とは言いましても資金供給オペの方はいい感じでオファーされ続けておりまして、昨日は18日の共通担保オペの期落ちに対して6か月基金固定オペを新規に8000億円入れるというお洒落な技(6か月基金オペは既に最初の方に打ったのがロールオーバーになっていて、基金オペが30兆行かないうち(28.8兆円)にロールかよとこっそり思っていたのですが、今回の新規で公約どおりに約30兆円(29.6兆円)になりましたなあ)を入れつつ、共通担保オペを1.4兆円オファーとか金イラネエヨとゆー所であってもオペをきっちり打ち込んでいました。

で、金利入札のオペは5563億円の応札(札割れ)となりましたが、これによって18日の当座預金残高は38.6兆円程度(18日の資金需給は短資さんの予想をベースにしています)になりまして、まあ相変わらずの高水準は高水準ですが、こうやって「オペ打っているけど札割れしながら徐々に当座預金残高が落ちる」という形だと「日銀が資金を引いている」ということにならないので中々よろしゅおすなと思われますがさてこれから大型連休に向けてどうなるやら。

まあ昨日の金利入札方式オペ1.4兆円が全部入ると18日の当座預金残高か39.5兆円レベルになっていましたので、そーゆー意味では日銀は引き続き次の積み期間でも高水準の当座預金残高、というかある意味なし崩し的な量的緩和状態(^^)は継続しますよという姿勢をみせましたよっちゅうのが昨日の「オペ1.4兆円」だったんでしょうかねえという所です。

それはそれとして、昨日は基金CP買入を実施していましたが、出来上がりのレートに換算すると平均買入レートが0.121%で足切りレートが0.115%となっていたのですが、最近発行されているCPレートから勘案すると足切り水準ですともうぶっ千切りで最上位格付け発行体さんの出すレートとカワランチ会長だと思われる水準でござんして、つまりCP市場もすっかりモノナシモードと相成りましたようで、震災直後にレートが上昇してアチャーでもあったCP市場ちゃんも、その後レートはきっちり低下して震災前の水準に戻ったという風情でありますな、うんうん。


○bewaadさんとこ補足などなど

bewaadさんのエントリー紹介、というよりはbewaadさんのエントリーで思いっきりネタとして引用された自分の宣伝(おいおい)を昨日した訳でございますが、その時に申し上げた「4月1日のエントリーが非表示に変更されてます」状態は再び元に戻って1日のエントリーが読めるようになりましたので改めてリンクはっておきますね(本編と補足編がありますので日付ベースのURLをつけて
おきます)→http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110401

で、昨日ご紹介したbewaadさんの13日のエントリーに山本幸三先生のページにおける「日銀が恒常的に国債引受しているじゃないか」という主張のご紹介部分がありまして、何か山本幸三先生が色々とアピールというか何と言うかをしておられるのを知った訳ですが、その中にある奴でこれはさすがにどうかと。

http://www.yamamotokozo.com/news/20110405.htm
日銀・財務省マフィアに打ち克てるか?

・・・・・・山本幸三先生にしてその「フリーメイソンの陰謀」「コミンテルンの陰謀」みたいな陰謀論展開するとか何とも残念感がする訳ですが、何で「新規の中長期国債発行の日銀直接引受」VS「復興増税」の2者択一になってしまうのかさっぱり意味がワカランチ会長でポカーンなのはあたくしだけでは無いと思いますけど。

で、bewaadさんのエントリーで説明されていますように、山本幸三先生までもが償還乗換の1年TB引受と中長期国債の日銀直接引受という直球ストレートの財政マネタイズ政策を混同して主張する(つーかこの前あたくしが「東京新聞に絶望した」と言いながらご紹介した東京新聞の頭の悪い社説と同じ主張なのですが)とか、もっと山本幸三先生ってまともな人だと思っていたのですが、「目的の遂行の為ならインチキ説明も陰謀論も辞さず」というお方だったのですかと残念感が拭えませんわな。政治活動にあたってインチキ説明をベースにするというのは憲政に携わる人としてどうなのよと思いますけどねえ(当然ながら山本幸三先生の事ですから償還乗換の引受と中長期国債引受による直球の財政マネタイズ政策の違いをご理解していると思っていますけど、これでただの無理解だったら更に情けない)。



○などと書いていたら時間が無くなりそうなのでFOMC議事要旨ネタは継続審議(汗)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110315.htm(HTM版)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20110315.pdf(PDF版)

FOMC議事要旨というのは委員の議論の部分を見るのが本命ではありますが、実は前半部分の連銀スタッフのビューと言う部分もかなりオモシロスな場合もあるので、そこをスルーして後半だけ読むのは手抜きバージョンではございます。

ということで、本日は手抜きで『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』(PDFだと6ページ)から参ります。あ、そこの貴方、証文出し遅れの上に手抜きとはケシカランとか突っ込まないようにorz


○景気の現状、商品価格の上昇について、先行きの不透明要因について

景気の現状がより強くなっているというのは声明文どおりなので軽く流しますが、冒頭部分に示された景気の全体的な見方はこんな感じ。

『In discussing intermeeting developments and their implications for the economic outlook, participants agreed that the information received since their previous meeting was broadly consistent with their expectations and suggested that the economic recovery was on a firmer footing. 』

というのは声明文の言い回しにもありましたが、まあそういう事でして、その後天候要因がどうしたとか、項目別の話とかありますが割愛しまして、商品価格上昇と物価に関する部分。

『Participants noted that recent increases in the prices of oil and other commodities were putting upward pressure on headline inflation, but that measures of underlying inflation remained subdued.』

ということで、足元の商品価格上昇はヘッドラインのインフレを押し上げるものの、基調的なインフレは依然として抑制されているとの事です。

『They anticipated that the effects on inflation of the recent run-up in commodity prices would prove transitory, in part because they saw longer-term inflation expectations remaining stable. Moreover, a number of participants expected that slack in resource utilization would continue to restrain increases in labor costs and prices. 』

長期的なインフレ期待が安定していることから足元の商品価格上昇の基調的インフレに与える効果は一時的であり、更に資源利用のスラックが労働コストや価格の上昇を抑制するように働くでしょうと。

『Nonetheless, participants observed that rapidly rising commodity prices posed upside risks to the stability of longer-term inflation expectations, and thus to the outlook for inflation, even as they posed downside risks to the outlook for growth in consumer spending and business investment.』

とは言いましても、商品価格上昇によって長期的なインフレ期待が上方シフトするようになれば、消費支出や企業投資の見通しに関するダウンサイドリスクを拡大するとしてもインフレの見通しを変えないといけませんなという事のようでしゅ。

『In addition, participants noted that unfolding events in the Middle East and North Africa, along with the recent earthquake, tsunami, and subsequent developments in Japan, had further increased uncertainty about the economic outlook.』

ということで、リスクはMENA地域と日本の今後とゆーことですにゃ。


○金融環境改善と個人消費の先行き

『 Some easing of credit conditions for households, particularly for auto loans, also appeared to be supporting growth in consumer spending. On the other hand, declining house prices remained a drag on household wealth and thus on consumer spending. In addition, sizable recent increases in oil and gasoline prices had reduced real incomes and weighed on consumer confidence. 』

自動車ローンなどの与信態度改善が個人消費に好影響だが、一方で住宅価格が低迷していることによる家計のバランスシートの痛みや、足元の原油やガソリン価格の上昇が家計の実質所得を引き下げ、消費者信頼感に悪影響を与える、と結構きびしめですな。


○企業部門の見通しは好調

『A further increase in business activity also indicated that the economic recovery remained on track. Industrial production posted solid gains, supported in part by continuing growth in U.S. exports. Business contacts in a number of regions reported they were more confident about the recovery; a growing number of contacts indicated they were planning for an expansion in hiring and production to meet an anticipated rise in sales. Manufacturing firms were particularly upbeat. Some contacts reported they were increasing capital budgets to undertake investment that had been postponed during the recession and early stages of the recovery; in some cases, firms were planning to expand capacity.』

ということで中々景気の良い話が続きます。

『Consistent with the anecdotal evidence, indicators of current and planned business investment in equipment and software continued to rise and surveys showed a further improvement in business sentiment. In addition, although residential construction remained weak, investment in energy extraction was growing and spending on commercial construction projects appeared to be bottoming out. 』

建設部門に関しても底打ちの傾向が見られるとか中々結構な話です。


○労働市場は改善基調にのってきましたとな

『Meeting participants judged that overall conditions in labor markets had continued to improve gradually. The unemployment rate had decreased significantly in recent months; other labor market indicators, including measures of job growth and hours worked, showed more-modest improvements.』

と明るめのイメージ。

『Several participants noted that the drop in unemployment was attributable more to people withdrawing from the labor force and to fewer layoffs than to increased hiring. Even so, participants agreed that gains in employment seemed to be on a gradually rising trajectory, although the recent data had been somewhat erratic and distorted by worse-than-usual weather in many parts of the country. In addition, surveys of employers showed that an increasing number of firms were planning to hire.』

失業率の低下要因としてlabor forceの低下要因というよりは雇用の絶対数の回復という指摘がありますなあ。

『 Participants noted regional differences in the speed of improvement in labor markets; scattered reports indicated that firms in some regions were having difficulty hiring some types of highly skilled workers. Participants generally judged that there was still substantial slack in the labor market, though estimates of the degree of slack were admittedly imprecise and depended in part on judgments about a number of factors, including the extent to which labor force participation would increase as the recovery progresses and employment expands.』

とは言いましても、地域差があったり、依然として労働市場のスラックは存在するということで、結局は警戒姿勢はカワランチ会長ということですかな。


と、ここで時間切れなのですが、実は本編はこの先だったりするのでどうもすいませんすいませんとしか・・・・・・(汗)









2011/04/14

お題「各種雑談でご勘弁」

楽天の連勝で被災地に勇気を、というのは素敵な話ですが、楽天の相手のロッテも千葉本拠で被災地なのを思い出して上げて下さいm(__)m

○短国が強い話やGCが低い話

先週「資金供給オペが久々に2倍も入ったお!」とゆーよーなネタを書いたのですが、また例によって例の如く盛大にフラグを立ててしまったようで(フラグの悪寒がしたから「でも一時的かもね」とはヘッジを打ったものの・・・・・)、月曜からGCレートとか下がる下がる(^^)。

まあ今週は、というかその前からですが、超過準備がうじゃうじゃあるという素敵な状況にあってコールレートは無担保コールの加重平均ですら6bp台で低位状態となっておりますし、更に今月の場合は先月の震災直後にジャンジャン実行した共通担保全店資金供給オペが今回の積み期間終了後となります18日(月曜)に5兆円の期落ち(その後20日と25日に各3兆円落ちるかな)となりますので、特にオペで在庫ファンディングを行う債券業者は18日の大量期落ち後の事も考えると、当然ながら18日を跨ぐオペで予め資金を押さえておく動きになりますな(18日の期落ちが全部ロールされるとは思えないので)。

となりますと、18日のオペ落ち前にはオペ落ちの事前準備分のファンディング資金が浮いて出る事になりますので、今週は更にGC市場での資金取りニーズが低くなる、という素敵な状態になったようでありまして、先週まではGCレートは0.10近辺になっていましたが、今週に入ってまさしく陥落という言葉がしっくりくるような展開になっていますが、まあこれは言ってみればGCで全員資金出し状態になっているようなもんとゆー素敵な流れになっているっつーこってすな。

とまあそんな感じに世の中なってきますと、短国のほうに皺寄せが行くとゆーものでして、先週月曜あたりは今週の短国入札3発攻撃を警戒してたのか単に入札前に強くしたくなかっただけなのかは判りませんが、3か月以内の短国が0.11%オファーでズラズラ並んでいた(月曜時点でGCレートは下がりましたが、18日以降にレート上がるのだったらそんなに頑張ってもてないというのと、そもそも売りが出てたのの要因があって、GCが急低下するのに短国が重くなるという怪奇現象が発生したみたい)のですが、火曜と水曜の2か月、3か月TBの入札はどちらも華麗に0.11%割れでござるの巻。

特に火曜の2か月は(って火曜の話を木曜にしてもしょうがないのだが・・・・・サーセン)直前まで業者間でWI取引の0.11%レベルが出合っていまして、当然ながら0.11%レベルでしょとか思っていたら、それより上の札で切れてしまって平均は0.1049%とか(業者推定で2兆5千億円の半分ほど不明札)になってショートカバー祭りになってしまい業者間で0.08%だの何だのというような素敵な事になってしまい、前日重かった既発の短国も「2か月新発買えないなら既発買うわ」攻撃によってすっかり軽くなるでござるの巻となりやがりました。まあ足元の40兆円攻撃もありますし、そもそも世の中の人たちが震災以降手元流動性の確保を優先させますと、他資産から銀行預金方面に資金がやってくるざましょという事もありますし、銀行が貸出してもその金は銀行預金に滞留と言うことで、銀行さんの所には「とりあえず顧客の手元流動性確保の資金が滞留」しているという状態になり、更に言うとその金ってそのうちホイホイ出て行くかも知れないという類のもんなのかなあ、とか入札などの結果を受けて後付講釈で適当にかますのは簡単なので安易に後付講釈をするエエカゲンなあたくしなのでありました。

いやね、つまり何ですねんと申しますと、銀行に恐らく資金が滞留してて、更に言うと3月の震災の影響で大手行さんは毎度お馴染みの期初前に計画して債券残高を積んで利息収入のメド立てましょう攻撃を今年はしている所では無かった(震災前にしてた分はあるかもしれないけど、相場状況から逆算(売買動向から類推ではないのであしからず)するとその額は大した事が無いと思われますので、どこかで債券買わないといけませんねえという状態だと思いますが、さてその金ってどの辺りの長さまでなのかな、というのが興味津々な所だとゆーこってす。

厚めになっているはずの非銀行セクターの手元流動性が速攻でホイホイと抜けていく類のものであれば短国と2年債ばっかり人気化という残念な展開になるでしょうし、そうじゃないのであれば(復興需要なり各種支払需要が急に炸裂しないでしょ、という事ね)もうちょっと長い所も買いに行くという話でしょうし、それ以前の問題で収益頑張りませんとという事でしたらやはり長めの所にも来るでしょうな、とか勝手に人の懐具合を妄想してみるテスト(^^)。


ところでですな、話を元に戻しますとGC市場さまのこの素敵な状況を見ますと、やはり当座預金40兆だのオペ残50兆だのというのは市場が全員金イラネ状態になる(ここから国債が大いに増発されるとバランスは変わってくるでしょうが)ようでございまして、ここまでGC市場やら現先市場が資金運用側から見ると壊滅(調達側は何せお出掛けの必要がありませんので世の中運用側が並んでいる有様)状態になってしまうとこれはこれで中々さびしい状態はさびしい状態。

とは申しましても、じゃあ平常に戻ったから平常運転で良いですかと言われましてもそれはさすがに違うと思われます(余震は続くし原発は相変わらずだし)ので、当座預金残高水準自体は震災前よりも高い水準が続くのでしょうが、あたくしの計算間違えてなければ積み明けの来週月曜も当座預金残高今の時点でも35兆以上とかになる筈でして(今日は月曜に落ちるオペのロールがある程度入るでしょうから更に増えるっしょ)、いやもう次の積み期間も資金運用困難者が列を成して0.07%とかの現先市場やレポ市場にワサワサとやってくるという事になるんでしょうな、つーか既に低いけどね。

まあ一度どどーんと出してしまうと中々その後の匙加減は難しいでございますわな。うっかり引きすぎて短国レート上げてしまったらそれはそれでマズーでしょうし・・・・・・

#と、マニア向けネタでどうもすいません


○この内閣はどこがどう責任とって指揮しているのやら

東電関連で昨日は読売が記事を。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110412-OYT1T01201.htm
他の電力会社にも負担させる福島原発の賠償原案

今日も同じような感じでフォロー記事。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110414-OYT1T00174.htm?from=main3
政府と東電、賠償金支払いに基金創設検討

ただ、その間に枝野官房長官がまたまた例によって例の如く否定してたりしましたけれども・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aIekAsBkMSXM
枝野氏:政府として検討対象になってない−他の電力会社の負担案

えーっとですな、昨日1日だけでも「誰がこう言った」「いやそれは違う」というのが何本あったかという感じでありまして、この調子で連日東電の(他の事でもそうですが)ネタでフワフワした話が出てその度に金融市場が振り回されるとか国益に悖る事夥しいと思います、まあ連日言ってるけどさ。

東電は株式としても発行総額大きい(つーか暫く前に増資しましたし)ですし、債券発行残高も大きいですし、銀行借入だって大きい訳で、そういう大きな影響のある会社の問題について腹の据わっていない話がああでもないこうでもないと出るのは非常に困るのですが、どうなっているんでしょうかねこの内閣。

以下延々と悪態を書こうと思ったが書いているうちに空しくなったのでまた怒りゲージを溜めてから参ります(^^)。


○これは恐れ入ります

bewaadさんの最新エントリー3本の一発目から
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110413/p1
「アリフレ政策の議」の補足その3

1日のエントリーが非表示になってしまった(どうもまたまた休筆宣言のときと同じことが起きたようで)のが残念ですが、その後のエントリーが出たのは良かったなあと思ったらいきなりあたくしの駄文が引用されてて汗顔の至りでありまする。といいつつお前ちゃっかり自己宣伝しているじゃないのというツッコミは大人の対応でしない方向でお願いします。

あっしの駄文と切込隊長さんの説明がたたき台になっていますので当然ながらbewaadさんのエントリー(同日にその5まである)に同意でありまする。









2011/04/13

お題「一応3月会合議事要旨/セントルイス連銀ブラード総裁の講演の前にこの前の講演ネタ」

日本の原発事故のレベルが上がったので米国株安とはナンジャソリャという感じなのですが。レベル上がったら急に事故の規模が拡大する訳でもないでしょうに・・・・・・

#つーかこの「レベル引き上げ」っていつぞやの「デフレ宣言」を思い出すのだが・・・

ただまあ昨日は何か色んなリスク性資産(とか認定されているもの)が下がる(そこで円高になるのか意味プーだが)の巻ではありましたな。

○英国インフレ率が4.4→4.0とな・・・・といいつつほぼ雑談^^;

http://www.bankofengland.co.uk/
の右下の方に燦然と『Current Inflation 4.0%』という文言が昨晩入りました。

その前は4.4%でしたので、これで英国は5月のインフレレポートと同時に利上げしなくてもよさそうな感じにもなっているような無いような。とは言え元々のインフレターゲットからは堂々の上方乖離は継続しているので、利上げしないならしないでこれまた今後の流れがインフレ率縮小に向かってくれれば良いのですけれども、そうじゃなくてうだうだと4%近辺にいる時には、利上げをどこで打ち込むのかも難しいですわな。

中央銀行的に政策がビハインド・ザ・カーブとなるのも中々勇気の要る事(外野は好き勝手いいますけどやはり当局の決断する側からすればビハインドというのは中々大変ですよね)ですし、まあ英国に関しては別に日本の金融政策にどうのこうのというのは無くても中々勉強素材として中銀見物人としての興味は尽きません罠。

・・・・むむむ、BOEのサイトの下のほうに何か心を動かすバナーがあるので踏んで見るとこんな素敵な企画が絶賛実施中なのですね。

http://www.bankofengland.co.uk/education/museum/exhibitions/easter.htm

Put all your eggs in one basket
(11-15 & 18-21 April)
10:00am - 4:30pm

During the Easter break (11-15 & 18-21 April) the Museum presents Put all your eggs in one basket, a special event to entertain the whole family. There will be a treasure trail to find eggs hidden in the Museum, with a chocolate egg for every child who takes part. Children can also indulge their imagination by creating and decorating their own Easter basket to take home.

A family fun day out is guaranteed with all the other museum attractions including banknote jigsaws, a roller ball game, interactive displays and the opportunity for some safe cracking. You can also take control of a virtual hot air balloon and chart it on a stable course to simulate the role of the Bank in keeping inflation steady. Visitors can even try to lift a genuine gold bar with a current value of over £340,000 -although, weighing 13kg, it will take many people by surprise!

ちなみに、最後の文にある「try to lift a genuine gold bar with a current value of over £340,000」って奴ですが、指をフックのようにして延べ棒に引っ掛けると持ち上がるようなのですが、そんなのが出来るのは博物館の係員だけだと思います(^^)。

ロンドン観光のコースにお勧めです(そうか???)。ちなみに下記URLはあたくしの訪問記録(そこでは延べ棒の重さを15キロと書いていますが、どうも13キロが正解のようですな、サーセン)である。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/justfunsight-BOEmuseum.html



○この日は原発の話がより深刻化する前、停電で朝の交通がエライコッチャでしたよね

3月会合議事要旨、と言いましても震災後の月曜午前中から実施した奴です。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2011/g110314.pdf

でまあ執行部の報告もあの時を思い出す中々な内容でありますので引用だけ。

『地震発生後、東北地方の太平洋沿岸地域を中心に、金融機関の一部店舗の損壊やATMの稼働停止が生じているものの、金融機関の間では、預金の支払いなど、国民のライフラインとしての金融サービスを維持するため、休日営業を実施するなどの取り組みが拡がっている。日本銀行も、こうした取り組みを支援するため、本支店において、休日にも金融機関の現金手当てに対応している。この間、日銀ネットのほか、主要金融機関の資金・決済システムは正常に稼働しており、資金・証券決済に大きな混乱は生じていない。当面の課題としては、被災地における日本銀行の支店の業務継続を確保し、損傷銀行券の引き換えなどに応じられる体制を整えることや、電力会社の施設被害に伴う計画停電への対応などが挙げられる。』

ということで、被災地における日銀の拠点は決済システムの維持のための重要な役割を担っておられたようですが、この後どこぞの銀行が盛大にシステム障害をやらかそうとはお釈迦様でも気づくめえという所でしょうか。

『本日は、地震発生後、初めて金融市場が開くことになる。市場参加者の予備的な資金需要が非常に高まっていることを踏まえ、金融市場の安定を確保する観点から、朝方より本日の午後にかけて、15 兆円の即日資金供給オペレーションを含む、総額21.8 兆円の資金供給オペレーションを実施することとした。こうした日本銀行による大量の資金供給もあって、短期金融市場は、落ち着きを取り戻してきている。』

朝一9時1分に共坦全店即日7兆円オファーにはさすがに「おおおおおおお!!!」と思いましたな、うんうん。

『地震発生後の金融市場をみると、株価は大きく下落しており、日経平均株価は9千円台後半の水準となっている。東証REIT指数も大幅に低下している。社債の流通市場では、取引の成立がみられなくなっているが、潜在的には売り圧力が高い状態にある。わが国のソブリンCDSプレミアムや民間企業のCDSプレミアムは、大きく拡大している。このように、市場では、投資家のリスク回避姿勢が強まった状態にある。この間、為替市場をみると、円の対米ドル相場は、振れやすい展開となっており、一時1ドル80円台半ばまで円高が進んだあと、足もとは82円台で推移している。』

まあこの時点では計画停電の影響がどうなるとかサプライチェーンの毀損の影響がどうなる的な話をしていましたが、その翌日に原発が火を噴くわ放射能はダダ漏れになるわ大変な量の放射線を観測するわというハルマゲドン的な動きになったのはお釈迦様(以下同文)。


では『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の部分に参ります。

『わが国の経済情勢について、委員は、東北地方太平洋沖地震の影響を定量的に評価するだけの情報が乏しい現時点では、改善テンポの鈍化した状態から脱しつつあるという判断を維持しつつも、経済・物価情勢の先行きを巡る不確実性が大きく高まっていると判断することが適当との見方で一致した。』

さいざんすか。

『地震の影響について、何人かの委員は、東北地方を中心に、生産設備や物流施設、社会インフラ等に大きな被害が生じていると述べた。また、多くの委員は、地震による直接的な被害に加え、発電所の被災に伴い、電力の供給に制約が生じることも経済活動に影響する可能性が高いと述べた。何人かの委員は、被災地域には素材・部品工場が多く立地していることを指摘し、サプライチェーンを通じて生産活動の停滞が国内外に広く波及する可能性もあると述べた。』

ということで、この辺りは直近の決定会合で示された認識と似たような論点ですな。

『一方、一人の委員は、わが国の設備稼働率が低位にある現状に鑑みれば、他の工場や企業への生産シフトを通じ、経済全体でみれば、生産の落ち込み幅が比較的小幅にとどまる可能性もあると指摘した。別の一人の委員は、買いだめなど、生活必需品の消費需要が押し上げられる面もあると述べた。』

ということで、まあ前者については残念無念というところですが、後者については想像以上に必需品の買いは増えたと思いますが、原発という大ネタが炸裂してしまい、そっちの上げよりも一般消費のコケっぷりの方が大きいというのは今回の決定会合および金融経済月報でも示されているかと。

『多くの委員は、深刻な被害状況や電力の安定供給を巡る懸念の高まりなどから、企業や家計のマインドが悪化する可能性にも注意が必要であるとの見方を示した。複数の委員は、今回の地震が、一段の国際商品市況高によって交易条件の悪化が懸念される中で発生したことも、マインド面を通じた経済の下振れリスクをより高めていると指摘した。』

ということで、まあこっちの方が色々と効いている感じですにゃ。


さて、物価に関してはCPIの基準改定で再びデフレマインドが強まる事に注意してます。

『なお、委員は、本年8月に予定されている2010年基準への改定に伴って、消費者物価指数の前年比が下方改定される可能性が高いとの見方を共有した。ある委員は、これに伴って人々の中長期的な予想物価上昇率が下振れるリスクについても意識する必要があると指摘した。複数の委員は、基準改定が物価上昇率に及ぼす影響についても十分意識して対外情報発信を行う必要があると述べた。』

しかし一方で野田審議委員は先般の講演だか会見で指摘していたのは、「そもそも足元のCPIが時間の経過と共に、実力ベースのCPIから上方乖離して出ているのであって、基準改定で下がるから云々という議論は話の筋が違いませんかねえ」という話でございまして、そーゆー観点からすると足元の方がゲタ履いているだけであるのではいかという論点でありますな(つまり物価の基調は弱いと言いたいのでしょうけれども)。


資産買入拡大に関連して。

『以上の金融経済に関する情勢認識のもとで、議長は、金融政策面から対応することが適当であり、今回の地震の発生以降、国民の不安心理の高まりや企業マインドの悪化、金融市場におけるリスク回避姿勢の高まりなどがみられることに鑑みれば、リスク性資産を中心に資産買入等の基金の増額を行うことが考えられるとの見方を示した。』

という事で実施と言う話になったのですが、執行部の説明部分の前半は兎も角として後半の、

『? 買入規模を5兆円程度増額したうえで、この買入を進めていく場合には、既存の5兆円規模の資産買入と同様、1年程度の時間を要すると思われる。』

というのはちとスピード感的にどうなのよという感じはせんでもないですが、その後は通常のオペ拡大もありましたし、まあその後少し早くやっていこう的な感じも見受けられましたのでそれはそれでヨロシアルね。

で、幾つか意見があったようですが・・・・・・

『一人の委員は、日本銀行が、かねてから、経済・物価情勢に照らして必要と判断する場合には資産買入等の基金の増額も選択肢の一つ、と表明してきたこととも整合的であると指摘した。』

まあ本当は国債の買入拡大だったような気もしますが、思わぬ流れで信用緩和の拡大の方になってしまいましたな。

『別の一人の委員は、リスク性資産の買入の増額は、市場を歪める可能性や日本銀行の財務の健全性への負担といったコストを伴うが、現在の経済情勢のもとでは、効果の方が上回るとの判断を示した。』

ふむふむ。

『増額の規模について、一人の委員は、市場に十分な安心感を醸成する観点からは、相応の規模が必要であると述べた。複数の委員は、日本銀行がここまでの措置を講じることで、逆に経済の実態に対する人々の不安感を高めることにつながらないよう、周到な情報発信が必要であるとの意見を述べた。』

まあ周到な情報発信の前に原発問題がまさに火を噴いてしまったのでそれどころの話ではなくなったような気もしますが。

『この間、基金を通じた国債買入の増額について、一人の委員は、長めの金利が低下傾向にある中で実施すると、財政ファイナンスであるとの疑念を招く可能性があると指摘し、資産買入の増額は全てリスク性資産で行うべきであるとの意見を述べた。』

これはどう見ても須田さんですが、まあ是非は兎も角として話の筋は通ってますな。


ということで、まあ今回の議事要旨にそんなに多くの政策インプリケーションは無いと思いますが、震災直後の会合ということで、記憶にとどめる意味もあってうだうだと引用してみました。



○ブラードさんの「用がなくなったので国債買入終了ね」講演(^^)

先月末にプラハで行われた講演でありますが。

概要
http://stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=953
MARCH 29
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Recent Developments in U.S. Monetary Policy


講演のスライドショー
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_Prague_Mar_29_2011_Final.pdf

スライドショーの方でも良さそうな気がしますが、ペタペタコピペするのに不適当なので上のほうのURLの概要の方から引用するざますわよ。

ちなみに、2月24日にはこんな講演してまして、3月11日の駄文でネタにしていますので、重複部分は基本的にスルーの方向ですが、まとめ部分は重複になるかもしれません(汗)

http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=915
FEBRUARY 24
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Quantitative Easing, Global Inflation, and Commodity Standards


ではプラハでの講演要旨から。

『During his discussion, Bullard explained how the Fed’s second round of quantitative easing was “a classic easing of monetary policy” and “an effective tool, even while the policy rate is near zero.”』

QE2については、政策金利のゼロ制約下の中での「伝統的な金融政策」で「有効なツール」という話をしていますっつー事ですが、こちらに関しては2月の講演で同じ論点の話をしてて、まあ先日ネタにしたので割愛します。

『He also discussed the situation in early 2011, stating that “U.S. growth prospects remain reasonably good for 2011.” He added that recent global and domestic events “present considerable uncertainty, but can be resolved in benign ways.”』

米国経済に関しては先行きの不確実性はあるがより強い回復を予想するとな。

『Finally, Bullard talked about the path to normalization. “Discussion of the normalization of U.S. policy will likely return as the key issue in 2011,” he concluded.』

ということで、「今年は政策の正常化への議論が重要な論点として戻ってくるでしょう」つーまとめになっているのでありました。

んでまあ最初の論点は前回のネタと同じなのでスルーしまして、今年の米国経済に関する部分はこんな感じである。

『Bullard stated that, relative to last summer, U.S. growth prospects improved by early 2011. “Private sector forecasters and the FOMC all marked up their forecasts,” he said. “Anecdotal reports were more bullish,” showing “profitable businesses with considerable cash and an improving outlook.” He added, “An improving economy 18 months post-recession is generally a strong positive.”』

どう見てもカンカンの強気です本当にありがとうございました。

『Noting the improved economic outlook since QE2 was implemented, “the natural debate is how and when the exit should begin,” Bullard said. “However, additional uncertainty has clouded this picture.”』

ということで、その不確実性は以下の通りだそうな。

『1.turmoil in the Middle East and North Africa and the associated uncertainty premium in oil prices;

2.the natural disaster and the damaged nuclear reactors in Japan;

3.the U.S. fiscal situation and the possibility of a government shutdown; and

4.continued uncertainty regarding resolution of the European sovereign debt crisis. 』

まあ大体順当な所ですが、これらの不確実性が拡大した場合には出口政策が遅れる場合もあるが、基本的にはこれらの不確実性は全体に大きな影響を与えずに解決するでしょうと仰せですな。

『Bullard pointed out that all four situations have the potential to escalate. If escalation occurs, he added, how and when to begin normalizing monetary policy would become less clear. “Still, the most likely prospect is that all four are resolved without becoming global macroeconomic shocks,” he said. 』

で、その次の『Normalization of U.S. Monetary Policy』というそのまんまにも程がある小見出しの部分から。

『Bullard said that U.S. monetary policy cannot remain ultra-accommodative indefinitely. “The process of normalizing policy, even once it begins, will still leave unprecedented policy accommodation on the table,” he stated. “The FOMC may not be willing or able to wait until all global uncertainties are resolved to begin normalizing policy.”』

QE2実施しろ論の先鞭をつけただけに出口に関しても先鞭をつけるということですかそうですかという感じでありますにゃ。

『Bullard noted that normal monetary policy has two parts: “QE accommodation is removed by returning the balance sheet to an ordinary size over time,” and “the policy rate begins to approach levels associated with moderate expansion.”』

ということで、出口政策としては「バランスシートの縮小」と「モデレートな利上げサイクル」というあわせ技という事ですが、スライドショーの方を見てもその辺りに関しては具体的な手順書は無い(つーかこのまとめとスライドショーの内容があまり差が無い)ので正直よー判らんです。

『Bullard said that normalization will take time and added that it is the most difficult part of the business cycle for a central bank.』

金融政策の正常化には時間がかかり、中央銀行にとって最も難しい仕事であるというのは確かに仰るとおりですな。

『“Exit strategy was widely discussed in 2010, and that debate will likely revive during 2011,” Bullard said.』

ということで、どう見ても正常化路線まっしぐらです本当にありがとうございました状態なのですが、ブラードさんの場合そもそも今年はFOMCでの投票権が無いので、その分好き勝手言えるという面がありますので何なのですけど、QE2に関してかなり早い時期から「時間軸政策よりも資産買入」と主張した人だけに、まあそれなりにインパクトあるんじゃないかね、と思うところでございます。

#なお、今日のうちにネタにしないと更に講演が入るのでネタが発酵するというのはここだけの話であります








2011/04/12

お題「月報とかさくらレポートとか」

日米長期金利差で日本と米国の債券バブルを論じるのはさすがに何か無理矢理こじつけの香りを感じるのですがモーサテ北野さん・・・・・

#しかも結論が国債バブルなのかバブルじゃないのかが判らん

ちなみに今の金利水準でバブルとか全く思わないですけどね。

○金融経済月報はこれまた前月との比較がムツカシヤ

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1104.pdf(今月)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1103.pdf(先月)

で、先月は震災直後の3月15日に出ておりますです。

・昨日引用した総裁会見と同じですが供給面の制約について

『わが国の経済をみると、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。』(今回)

『わが国の景気は、改善テンポの鈍化した状態から脱しつつある。』(前回)

ということで、まあ前回の総括判断と比較してもシャーナイですが、当然のようにぶっちぎりで下方修正になっていますわな。で、通常ですと需要項目別の話がこの後続くのですが、今回は震災の影響について生産面というか供給面の制約に関して説明しています。

『震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給の制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響が及んでいる。』(今回)

ということで、供給面の制約に関しては昨日引用した総裁会見と同様に、(1)設備の毀損、(2)サプライチェーンの毀損、(3)電力供給の制約、という3点を挙げています。


・先行き見通しについて

『先行きについては、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続いたあと、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きについては、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。もっとも、今回の地震によって、わが国は、地理的にも広範囲な被害を受けており、当面、生産活動の低下が見込まれるほか、企業や家計のマインドの悪化も懸念される。』(前回)

ということで、概要の方では今回しらっとマインドの話をスルーしたのですが、スルーした直後に内閣府からボロボロの景気ウォッチャー調査が出てくるのが日銀の芸風ですのであまり気にしないように(^^)。


・先行き見通し項目別展開

『生産は、当面、低水準で推移するとみられるが、供給面での制約が和らぐにつれ、増加していくと考えられる。こうした状況になれば、海外経済の改善を背景に、輸出も増加に転じるとみられる。設備投資、住宅投資、公共投資も、資本ストックの復元に向けた動きなどから、徐々に増加していくとみられる。この間、個人消費も、生産活動が回復するにつれて、持ち直していくとみられる。』(今回)

『輸出は、海外経済の改善を背景に、基調的には緩やかに増加していくとみられる。個人消費は、持ち直していくとみられる。この間、設備投資は、企業収益が改善基調にあるもとで、持ち直しの動きを続けるとみられる。もっとも、設備過剰感が残ることなどから、そのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。こうしたもとで、生産は、基調的にみると、緩やかに増加していくと考えられる。』(前回)

ということで、前回と比較すると生産、輸出、個人消費に関しての先行き見通しが下がっていまして、設備投資に関しては「設備過剰感」と言う文言が今回抜けたのはある意味画期的な所でありまして、従来の「設備過剰による余剰生産力をどうしましょうか」から日本の経済の課題は「供給制約を如何にして軽減するのか」という方向になってまいりました、という事になるのでしょうな、

しかし個人消費に関しては、というかマインド面の話についてはど〜せ景気ウォッチャーが直ぐに出てくるのですから、特に今回の月報でマインドの話をスルーせんでも良かったんちゃいまっかという気がしないでもない。


・物価に関してはまだ「マクロ的な需給バランスが緩和状態」の文言が

物価に関して。

『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況高の影響などから、上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで、下落幅は縮小を続けている。』(今回)

『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況高の影響などから、上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで、下落幅は縮小を続けている。』(前回)

あえて並べてみましたが、見りゃ判るように一言一句変化無し。

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面、小幅のプラスに転じていくとみられる。』(今回)

これまた前回と同じですが、さすがに2度同じ事をするのはくどいので今回分だけ引用でござるの巻。

・金融面に関して

これは前回と比較してもあまり意味が無いので今回分だけ引用。

『震災後のわが国の金融動向をみると、金融機能は維持されており、資金決済の円滑も確保されている。』(今回)

『わが国の金融環境は、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。』(今回)

『資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、改善が続いている。社債市場では、信用スプレッドが幾分拡大する中、発行を見送る動きがみられるが、CP市場では、良好な発行環境が続いている。』(今回)

『以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、銀行貸出は減少している。一方、社債の残高は前年を上回っているほか、CPの残高は減少幅が縮小傾向にある。こうした中、企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善しているが、震災後、中小企業を中心に一部で資金繰りが厳しくなったとする先がみられている。』(今回)

とりあえずこういう認識になっているので、まあ基本的には「中小企業向けの金融面をサポートするようなネタ」というような形になりそうな政策を打つという感じになるかと思いますが、そもそも論からしますと中小企業金融に関しては政府の話になりますので、まあ日銀として何かするのかという話は実際問題としても中々繰り出しにくい所ではないかと思います。


ということで、まあ金融経済月報では現状認識と見通しを当然のように下げているのですが、震災の影響に関しては生産面、つまり供給面における制約の話がクローズアップされていて、供給面のネックが解消したら景気も回復軌道という話になってはいますけど、その間にマインドの悪化が起きたり(つーか起きてるが)需要がそもそも落ち込むのではないでしょうかという話を言及していないので、何となく先行き見通しが甘く見えますなあという感じで。


○さくらレポート

http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer110411.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer110411.pdf(本文)

『最近の景気情勢については、多くの地域で東日本大震災(以下「震災」という)後の生産活動の障害等を背景に、慎重な見方が広がっている。

地域別にみると、東北では「社会インフラ、生産・営業用設備の棄損が生じたことから、経済的にも甚大な被害が生じている」ほか、関東甲信越や東海でも、「震災の影響に伴う生産活動の大幅な低下等から厳しい状況にある」等の見方となっている。また、その他の地域でも、サプライチェーンにおける障害や消費マインドの慎重化等から、「震災の影響が生産面などにみられ始めている」、「停滞色がみられ始めている」等の慎重な見方となっている。』

ということで、まあこれまた前回と比較してもシャーナイのですが、今回は現状判断に関して四国が上方修正、近畿は変わらず、他の7地域は現状判断を引き下げとまあ順当な展開になっています。

で、今回は震災直撃地域以外の状況を見ましょうかね。

東海:持ち直しつつあったが、足もとでは悪化しているとみられる

近畿:緩やかな回復基調にあり、昨秋からの足踏み状態を脱しつつあったが、足もとでは震災の影響が生産面などにみられ始めている

中国:震災の影響を受けて、生産活動の制約や個人消費関連での自粛ムードの広がりなどから、停滞色がみられ始めている

四国:持ち直し基調にある。なお、先行きにかけては、今回の震災によって、生産活動のほか企業や家計のマインド等が短期的には下押しされる可能性が高い

九州・沖縄:緩やかに回復してきたものの、足もとでは震災による供給面の制約等の影響がみられている

という事で、四国以外では既に足元に影響が出ているのですが、その背景として生産の停滞という話になっていまして、まあさいですなという感じです。

需要項目としてはまあ生産と消費でも。

『生産については、震災の影響による生産設備の毀損、サプライチェーンの障害、電力使用の制約等を背景に、7地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、中国、九州・沖縄)からは「大幅に減少している」または「減少に転じている」等との報告があった。また、残りの2地域(近畿、四国)も「震災の影響がみられ始めている」、「持ち直し基調にある。ただし、今後、震災の影響によって、短期的には生産活動の低下が見込まれる」と言及しているなど、全地域が震災の影響を指摘した。』

『業種別の主な動きをみると、ほとんどの地域から、自動車・同部品がサプライチェーンの障害を背景にした部品調達の困難化等から、「操業度が大幅に低下している」等との報告があった。また、東海、四国からは、電気機械・電子部品、一般機械などで「海外向けを中心に増加している」等との報告があった一方で、複数の地域からは「部材の調達難の影響から生産調整を行う動きもみられる」等の報告があった。この間、被災地向け需要に対応するため、複数の地域(北海道、九州・沖縄)から、食料品における生産水準引き上げの動きについて報告があった。』

で、消費に関して。

『個人消費は、7地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、中国、九州・沖縄)からは、震災後の消費マインドの慎重化等を背景に、「弱含んでいる」等と報告があった。この間、2地域(近畿、四国)からは、「持ち直し」等との報告があったが、四国は「先行きの商品仕入や家計マインド等に影響が及ぶことを懸念する向きが多い」点にも言及した。』

『品目別の動きをみると、大型小売店販売額では、多くの地域から非常用物資や防災関連製品の売上増加がみられたものの、消費マインドの慎重化を背景に不要不急品の支出を手控える動きがみられているとの報告があった。』

『乗用車販売については、持ち直し等の動きを報告する地域(近畿、四国)と、震災の影響や政策効果終了後の反動減などから減少の動きを報告する地域(北陸、関東甲信越、東海、中国、九州・沖縄)がみられた。家電販売でも、東海、四国からは持ち直しの動き等の報告があったが、多くの地域からは震災の影響や政策見直しの反動減等の動きについて報告があった。』

『旅行関連需要では、東北からは被災および交通網の寸断等による観光需要への深刻な影響が報告されたほか、他の地域からも外国人観光客の減少や国内観光を取りやめる動きが広がっているとの報告があった。』

ということで消費の落ち込みに関してはマインドの低下と外国人観光客の落ち込みの話が出てます罠という感じですが、まー確かに東京でも外国人観光客落ちていますわなあという感じです。

ということで、まあこういうところを見ますと、金融経済月報以上に現状判断および先行きについては慎重な見方になっていると読めそうな感じですので、月報で供給制約の話だけしているような印象を受けるのとはちとニュアンスが違うような気がします。


○この期に及んで何をいう海江田さん

日経新聞ネット版から
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381949EE3E3E290878DE3E3E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
海江田氏、補償「東電は責任から逃れることなく向き合って」
2011/4/11 18:38

『東京電力に対しては「第一義的な責任は東電にあり、賠償の責任から逃れることなくしっかり正面から向き合ってほしい。1都8県への電力供給という責任を果たす中で、収益から賠償できるような体制を取らなければならない」と求めた』(上記URLより)

・・・・・・・あのー、この期に及んで何を仰っているのでしょうか海江田さんは?????「収益から賠償できるような体制」ってお前ら賠償名目でなんぼ払うのかという話がドンドン拡大しそうな勢いの話ばっかりしている中でどうやって収益から賠償するですねんという感じですし、そもそも電力会社ってそんなにバカスカ儲かる商売じゃない(事故らなければ損はしない)のですから(バカスカ儲かるように料金設定したら大変な事になりますがな)収益から賠償とか現実問題として何年掛かる話なのかとか認識した上で話をしているのかよと思います。

が、悲しいことに電力関連の権限って最終的にこの人の所にあるという事でございまして、何を今更責任の押し付け合いみたいな話をしているのやこのアホウはとしか思えません次第で、この人を当選させた東京1区は責任とって計画停電しろと思いますが、東京1区を計画停電すると丸の内や霞ヶ関が停電ですかあっはっは。

日経新聞ネット版はURLがなげえええええよ。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381949EE3E3E2EB9C8DE3E3E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
経団連会長、原発事故「甘かったのは国の安全基準」
2011/4/11 16:19

『損害賠償などによって東電の経営不安説が流れていることに関しては「(事故原因は)天災であり、国が支援するのは当然のこと」と語った。国有化論については「全然ありえない。一部の政治家が口にしたせいでどれだけ東電の株価が下落したか」と非難した。〔日経QUICKニュース〕』(上記URLより)

(以前ネタにしましたが)ドヤ顔で国有化を主張しているみんなの党の党首もそうですが、他にも国有化とかいう話あったかなと思ってちょっとグーグル先生に問い合わせたらそういや枝野さんまで言ってますな(「多くの可能性を検討」という言い方ですが)。

同じく産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110411/biz11041119000023-n1.htm
経団連会長、「原発賠償は国の責任」 東電国有化論は一蹴
2011.4.11 19:01

『東電の経営体制については、原子力の安定供給体制を維持するため「法律に基づき国は東電を民間事業者として全面支援すべきだ」と語り、政府内の一部で浮上している東京電力の国有化論を一蹴(いっしゅう)した。また、福島第1原発の損傷についても「原発は国によって安全基準が定められ、設計、建設されている」と指摘、国の安全基準が甘かったとの認識を示した。

一方、「政治家が国有化という言葉を使っただけで、どれだけ東電の株価が下落したか」と非難。海外にも広がっている放射能の風評被害についても、「もっと正しい情報を発信するとともに、場合によってはWTO(世界貿易機関)に提訴すべきだ」と語った。』(上記URLより)

まあ事故経過の話や放射線の影響についての話も重大な話ととりあえずそんなに慌てなくて良いレベルの話がごちゃごちゃになって出てくるからさっぱり判らないという状態だし、国内でそうならそらまあ海外はもっと大げさになりますわなあ(韓国で放射線量がどうのこうのとか偏西風の影響考えたら福島原発の影響の訳ねえだろってか韓国で騒ぐレベルの放射線量だったら日本人全員死んでるがな)とゆー感じで、全く困ったもんであります。

それから東電の経営がどうのこうのの話については、そもそも枝野さんが原子力賠償法に関連して「国は払わない」とか言い出したのが間違いの始まりであって、この前は菅さんがまた何も考えないで「民間事業者として頑張って欲しい」みたいな発言するし、何がどうなるのかさっぱり判らないままで話だけフワフワと流れ、その間に賠償額が増えそうな話ばかりが続くと言う風になりますと、金融市場の方もいつまでもイライラした状態が続く訳でして、とりあえずどういう風に今後持っていくのかという点についてはフワフワな話じゃなくてキチンとした形を示して貰いませんと先送り大会で済ませられる問題じゃないと思いますけどどうなんでしょうかねえ。








2011/04/11

お題「だいたい日銀総裁会見から」

知事選で自民と民主の一騎打ちったって東京と北海道はそもそも現職が圧倒的に強いから政党以前の問題じゃん。オカラ先生の所で落ちたのはアチャーですけど。

#そして更に民主党の統治能力が無くなり民主党プレミアムがorz

○相場雑感

・オペが2日ほど札割れしなかった件について

木曜と金曜の共通担保オペはどっちも久々に札割れにならずの巻。特に木曜のオペは11日スタートの1か月物で8000億円の予定に対して15031億円の応札と久々に倍近い応札となったのですが、金曜は1兆円の予定に対して10661億円ですからまあほぼ札通りという応札で平常運転ですなあという感じなんで、瞬間的な話だったりしそうですけど(^^)。まあ足元で短国の入札が続いて微妙に強い所で決まってしまったので木曜辺りはちょっと在庫が多めだったという感じだったのかなあとも思われます。

ただまあ絶賛超過準備状態になっていて無担保コールが連日6bpとなっている事からGCレートはその間別に跳ねた訳でもなしという感じでしたので、特に短国市場に波乱が起きたわけでもないですかにゃあとか言っているうちに短国に関しては需給が改善したっぽく(短国買入もありましたし)金曜はオペの応札倍率は1倍そこそこに低下したでござるの巻とゆー感じですので、また札割れとかになる前にメモメモという感じである。


・基金社債買入オペの雑談を今更

1500億円の購入予定額に対して1379億円の落札という事で、120億円ほど「レートとしての札が入ったけど銘柄としての札が空振りました」というのがあったという事のようで、まあ例の銘柄様がお入りになったり空振りになったりしたようでふな。

まあしかし基金買入を実施した時に一発で1000億円以上の札が入る発行体が出てくるとはお釈迦様でも気づくめえという所でありまして、想定外にも程がある(いやまあ震災以降には想定していましたけど)展開でございまして、世の中何が起こるかわからんですなあという感慨でありました、うんうん。

で、まあポジショントーク的には「折角ですから1社辺りの買入限度額を拡大してくれ」という意見もあろうかと思いますが、今となってはその拡大はどう見てもお助け施策です本当にありがとうございましたという事になるでしょうから、さすがにそれは難しいでしょうな。

つーかよ、結局のところこれも民主党プレミアムでありまして、何をどう収拾するのかという見通しも無しに適当にその場で感情的な発言が飛び交うから(亀井静香先生のように最初から落とし所を考えた上で放言するのとはレベルの違う話)何時まで経っても市場が落ち着かず、どうも債券市場全般的に強い戦意を感じないモードが続いているのもそのせいじゃネーノとまで思うあたくしなのでありまする。


・市場メモじゃないけど景気ウォッチャー調査

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/0408watcher/watcher1.pdf

>3月の現状判断DIは、27.7 と前月比20.7 ポイントの大幅な低下となった。
>3月の現状判断DIは、27.7 と前月比20.7 ポイントの大幅な低下となった。
>3月の現状判断DIは、27.7 と前月比20.7 ポイントの大幅な低下となった。

・・・・・・タイミングが恐らく最悪に近い時であったというのもありますが、この大幅な低下オソロシスという事で、これはマインド超悪化に伴う景気下振れリスク超警戒って解釈で宜しいのではないでしょうか。

まあ今回は大きく落ちるでしょうとは予想されていたと思いますが、半値近くまで下がるとか、もしこの調査を大昔からやっていたとしたらこの落ち込み振りって何時の時代に該当するんでしょとか思ってしまうくらいの動きでありまする。

#節電なども大事ですが過剰な自粛も如何なものかという事なのでしょうな


○総裁会見から:今後の課題は生産をどう復活するか

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1104b.pdf

冒頭の説明部分からいくつか既にネタがあるので珍しく引用。


・イイハナシダナー

『今回の大震災について、多くの海外中央銀行からお見舞いの言葉を頂いたほか、タイの中央銀行とその職員有志、およびBISからは、義捐金も寄せられています。』

・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

というか、こういうイイハナシダナーな事はもっと報道されて然るべきではないかと存じます。


・復興支援オペと適格担保要件緩和について

『被災地において、今後の預金受入れの動向が不透明である一方、資金需要が大きく高まることが予想される中で、被災地金融機関にとっては、現在の潤沢な資金供給に加えて、さらに長めの資金供給が行われれば、資金調達面からの安心感につながると考えられます。さらに今後の被災地金融機関の資金調達余力を確保する観点から、担保適格要件の緩和を図ることとしました。』

ということで、つまりまあ復興支援オペに関しては金曜に「1兆円だとするとメガバンクとかがジャンジャン使うような感じでは無いですな」と申し上げましたが、この発言をみますと適格担保要件の緩和に関しては信用緩和的なイメージというよりは、普通に被災地域向けに要件緩和をするというような感じになるのですかねえと想像しましたけれどもどうでしょうかね。


・生産の回復に向けて

『わが国の景気については、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にあると判断しました。今回の地震の影響で広範囲に亘る地域において、生産設備が毀損されています。被災地の工場で、生産されていた部品や素材の供給に制約が生じていることなどから、サプライチェーンにも障害が生じています。さらに、発電設備が大きく毀損されたことに伴い、電力供給面での制約も生じています。これらを受けて、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響を及ぼしています。』

ということで、今回の景気の問題は従来の需要不足によるものではなくて、生産の下押しによるものであるという点と、その中で何の問題があるかという点について、(1)生産設備の毀損、(2)サプライチェーンの障害、(3)電力供給の制約、という3点を挙げています。


・短観について

『先日公表した 3月短観をみると、今回の震災前までは日本経済が私どもの見通し通りの回復を続けていたことが裏付けられました。同時に震災後の回収分のみを集計した業況判断DIからは、業種・規模を問わず、企業が先行きの悪化を予想していることも確認されました。いずれにせよ、今回の短観には、震災の影響が十分織り込まれてはいませんので、ここから多くの情報を引き出すことは難しいとみています。』

ということですので、まあ今回の短観は震災後の回収分の結果がそんなに悪くは無かったですが、さすがにこれは参考にならんという見解ですのでまあ短観は無視して良いという事ですし、こう言い切る位ですから日銀も足元では緩和方向での発想しかありませんわなという事でしょう、当たり前だがちと安心。


・先行き見通しおよび今後の課題

という質問に対する答えから。

『まず最初に、今回の震災をリーマンショックとの比較で位置付けてみたいと思います。 わが国経済は、生産面を中心に、2008年秋のリーマン破綻後と同様に、大幅に落ち込んでいます。もっとも、リーマン破綻後の落ち込みは、金融収縮に端を発する「需要の蒸発」が原因でしたが、今回は、供給面の制約が経済の落ち込みの原因であり、「需要の蒸発」が生じたわけではありません。』

ほほう。

『供給面での制約が解消していけば、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、日本経済は緩やかな回復経路に復していくと考えています。』

で、解消する前に需要が落ちてしまったらどうすんでしょ???

『このように、時間軸を意識しながら先々の経済を展望した場合、今申し上げたような回復経路に復していく上で、多くの課題を克服していく必要があります。中央銀行の立場からは、次の3点を指摘したいと思っています。』

『1つ目の課題は、供給面での制約の解消に向けた努力です。この点、企業サイドでは、生産施設の再稼働、西日本などへの生産代替の推進、代替調達先の確保、電力不足への対応など、既に様々な取り組みを進めています。今後、供給面での制約が解消していけば、世界経済が新興国・資源国に牽引されて高い成長を続けているだけに、輸出の増加が日本経済の回復を支える原動力の1つとして、はっきりと作用してくると見込まれます。』

で、その供給面の制約がさっきの3点ですが制約解消するのでしょうかねえ???

『2つ目の課題は、震災によって毀損した資本ストックの復元です。そのためには、必要な資金調達を確実なものとすることが大事ですが、わが国の場合、家計および企業部門の貯蓄超過状態が続いています。従って、金融システム・金融市場の安定が確保されている限り、マクロ的にみれば、資本ストック復元のための資金調達が困難な状況ではありません。』

これはそうですかな。

『3つ目の課題は、被災地をはじめ、わが国経済が現下の困難を乗り越えるとともに、これが同時に、将来の成長力の向上につながることを意識しながら、復旧・復興に向けた取り組みを進めていくことです。こうした取り組みは、企業や家計の中長期的な成長期待が下振れしないようにするためにも重要な課題です。』

しかし景気ウォッチャーを見ると既に下振れの悪寒が。

『さらに、以上3つの課題に取り組む際には、内外への正確な情報発信を行っていくことが必要です。特に、日本経済に対する不安感などから風評被害が起きやすい時だけに、誤解を招かないような情報発信が現在きわめて重要となっています。』

しらっと報道機関のセンセーショナル報道姿勢に対して苦言を呈していると共に、情報発信がグダグダな民主党政権に苦言を呈していると思ったのは読みすぎですかそうですか。


・国債引受に関して

やはりその質問が来た訳ですが。

『復興資金をどのような方法で調達するかについては、政府・国会でお決めになることであり、私からコメントすることは差し控えたいと思います。その上で、中央銀行による国債引受けについて、一般論としてお答えします。』

と言った後の一般論が大演説状態になっておりましてどう見ても国債引受反対です本当にありがとうございましたという感じ(とは言っても国会でやれと言われれば結局やらないといけないのですけどね)でありまする。

『この点に関する法的な取り扱いをみると、欧州では、中央銀行の国債引受けが明示的に禁止されているほか、新興国を含め世界の多くの国で、中央銀行による国債引受けは認められていません。わが国でも、財政法第5条が本則で日本銀行による国債引受けを禁じています。

このような取り扱いは、いったん中央銀行による国債引受けを始めると、初めは問題はなくても、やがて通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたという歴史の教訓を踏まえたものだと思います。』

さいですな。大体からして財政再建とか言いながらこの10年で国債発行なんぼ増やしておりますねんとか思いますと、とてもじゃないけど復興国債の1発で話が終了する訳ないじゃんとしか思えない訳でして。

『このように通貨に関する基本原則が世界的に確立されている中で、日本銀行による国債引受けが行われると、わが国への信認、通貨への信認自体を毀損することになります。こうした通貨への信認の毀損は、長期金利の上昇や金融市場の不安定化を招き、現在は円滑に行われている国債発行が困難になる惧れもあります。震災後、国庫短期証券を含めて12回の国債入札が行われており、震災直後を除き、好調な入札結果となっています。こうした現在の安定的な国債発行環境を維持していくことが大事であると考えています。』

という事で、債券市場系の人は基本的に「市場で円滑に消化できているのに何で劇物扱いの施策を実施しないといけないのですか」という意見だと思うのですけれども、何故か「国債引受VS増税」みたいなフレームアップをされるのかがさっぱりワカランチ会長でありまする。

『今回の震災の経験から、私どもはインフラが破壊された場合に、国民生活や経済活動にいかに大きな影響が生じるかを改めて認識させられました。この点、通貨への信認・信頼は、わが国の金融・経済にとって重要なインフラの一角をなすものです。日本の財政状況は厳しく、日本経済も震災の大きな影響を受けている時であるだけに、国際的にも国内的にも通貨への信認・信頼をしっかりと維持することがきわめて重要な課題だと思っています。』

と、思いっきり大演説でありました(^^)。

あと、最後の質問で償還乗換の質問があってその説明もしていましたが、「償還乗換と財政マネタイズは別物ですよ」という話でしたので引用しまふ。説明としては判り易いです。

『財政法第5条の解釈は、日本銀行が行うことではありませんが、これまでも財政法第5条に基づいて日本銀行は毎年国債の乗換え引受けを行っています。つまり、国会においてその金額の上限が定められて、日本銀行の判断で、買入れた国債が満期を迎えた時に、その国債を乗換えて引受けることをしています。その国債について、いったん全部現金償還を受けた上でマーケットから同額を買うという手もありますが、両方がセットになっていると考え、買入れた国債の満期償還について金融調節上支障がないことを確認した上で乗換えの引受けを行っています。』

『言い換えると、この乗換え引受けは通貨を追加的に発行するために行っているわけではなく、現在ある通貨の量を維持する時に行っているのがこれまでの実績です。過去、政府が国会で示しているのもこのような見解です。』

・復興支援オペ1兆円の根拠

オペ金額1兆円の積算根拠は何ですかという質問について。

『本日お示しした措置は、先程も申し上げましたが、被災地の金融機関を初期段階において支援することを狙いとしています。今回の被災による影響はまだ正確には分かりませんし、見通すことは非常に難しいことだと思います。先般、内閣府が発表した試算によると、今回の大震災の被害見込みは約16〜25兆円程度です。これは、阪神・淡路大震災の約10兆円の2倍程度となっていること、阪神・淡路大震災の際に私どもが行った、いわゆる復興支援貸出の限度額は5千億円だったことも勘案して1兆円が適当と判断しました。』

・・・・・・・・・・・・な、なるほど。


・供給制約の解消はいつごろでしゅかという件

『次に、供給制約がいつ解消するのかということですが、サプライチェーンについては、現在企業が懸命になってその修復に努めています。正確な時期はもちろん特定できませんが、6月か7月くらいには、このサプライチェーンの制約は解消していくだろうと期待しています。一方、電力についてはこの後いったん計画停電が解消されますが、夏場にかけて再び電力不足が関東地区を中心に生じてくると考えられます。その後は、また、いったん電力の供給制約は解消していくことになると思います。そのような供給制約の解消について、日本銀行で時期を特定することは性格上難しいわけですが、注意深く点検していきたいと考えています。』

サプライチェーンは早期に回復し、問題は電力供給だという見解のようです。


・では供給制約に対して日銀が何をするのかという話

供給面でのショックの場合は従来と違うアプローチが必要ですよねという質問に対して。

『3点目の日本銀行としてさらに貢献できることについては、基本的に経済活動の停滞の原因が供給制約である場合、金融政策それ自体で供給制約を緩和することはできません。中央銀行ができることは、供給制約に端を発した需要ショックがさらに追加的な需要ショックを生み出すことがないようにしていくことであり、それが日本銀行の課題であると考えています。』

まあそういう感じですわな。


・社債オペ関連で質問が幾つか

限度額を拡大しろという市場の意見に関して。

『まず、社債の買入れについてお答えします。現在、日本銀行は社債の買入れ限度を設けています。これは、日本銀行として異例の措置を講じながら、金融政策の面から経済を支えていくために買入れを実行している一方で、中央銀行の財務の健全性に配慮し、信用リスクの集中を避けるという観点から設けているものです。今これを見直す必要があるとは考えていません。』

まあシャーナイですねあっはっは。

で、誰か知らんが引っ掛け質問にしては出来の悪い質問をしているのがいまして。

『(問) 社債関連で2点伺います。昨日、社債オペがあり、前回のオペに比べて落札金利が上昇していますが、この点についてどのように受け止めているのでしょうか。もう1つは、社債の流通市場で、原発問題が発生した以降に東京電力債のスプレットが上昇しています。日銀としては個別企業についてコメントしにくいところがあるかもしれませんが、社債市場の中で非常に大きな発行体で投資家も多様ですので、直近の金利上昇についてどのように受け止めていらっしゃるのか伺えればと思います。』

『(答) 1つ目の社債オペの結果ですが、オペは、市場参加者が自らの相場観、ポジション等を踏まえて入札しているわけであり、そのオペの結果について私がコメントすることは差し控えたいと思います。ただ、1点だけ申し上げると、日本銀行は、前回の決定会合で社債の買入れを含む資産買入れ規模を倍増しました。そのことは、アナウンスメントという意味でも、実際の買入れ資金という意味でも、金融市場、あるいは社債市場の安定に相応に貢献していると思っています。

2つ目の東電債の金利については、ご質問の方ご自身がおしゃっていたように、個別企業のプライシングについて私がコメントするのは差し控えたいと思います。』


・こういう馬鹿は会見などに出席されず速やかに天寿を全うされる事を希望します

更にもっと出来の悪い質問がそのちょっと後にございますので晒し上げ。

『(問) 社債の買取りについてお伺いします。一部報道では、東電債の応札が多かったとされていますが、実際にはいかがでしょうか。また、一般論として、大きな事故を起こした企業の社債を日本銀行が買取ることは、社債買取り制度の趣旨にあっているのでしょうか。』

馬鹿かこいつは????答えは引用しませんが、その人と思われる質問が更に続く。

『(問) 一般的に、値下がりが確実な社債を買うことは、ある意味では金融機関を救済しているようにみられかねないと思うのですが、その点はいかがでしょう。』

値下がりが確実なんですかそうですか、ふーん。まあ答えは割愛するんですけど、BOEみたいに日銀の会見も「どこの誰が質問したか」というのがわかる様にした方が良いのではないかと思いますけどどうなんでしょ。


ということで、今回の会見要旨は18ページもあって結構量がありましたです。











2011/04/08

お題「あちこちで決定会合/その他雑談」

昨日の余震は時間が長くて東京にいるあたくしもビックリ(揺れもそこそこあったけど時間が長い=規模が大きいと思ったので)しましたです。

○ECB利上げとな

http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110407.en.html
7 April 2011 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following monetary policy decisions:

1.The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem will be increased by 25 basis points to 1.25%, starting from the operation to be settled on 13 April 2011.

2.The interest rate on the marginal lending facility will be increased by 25 basis points to 2.00%, with effect from 13 April 2011.

3.The interest rate on the deposit facility will be increased by 25 basis points to 0.50%, with effect from 13 April 2011.』

利上げはまあ予告(?)どおりなので良いとして、ちと意外だったのは預金ファシリティと貸出ファシリティをそのままスライドで上げてコリドアの幅を上下75bpのままにした事。今回は預金ファシリティを25のまま据え置きにして回廊の幅を以前の100bpにすると同時に、市場下限金利を画する金利の据え置きによって利上げするけど慎重さも残してみましょ的な配慮もあるかなと思ったのですが、貫禄の預金ファシリティ引き上げで普通に利上げヒャッハー状態なのね。

会見のテキストは読みたいが慣れてないのと時間が無いので勘弁。


○BOEは予想通り据え置き

http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2011/037.htm
News Release
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £200 billion

こちらは据え置き。物価は上がるわ景気はパッとしないわという大変に素敵な状態になっているジョンブル達の明日はどっちだという所であります。


・・・・・・というのは前振りのようなもんで、本番は日銀ちゃんであることは言うまでもありません。


○足元の見通しは下がっているのですが・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110407a.pdf(今回声明文)

直近比較は2回分と確認するのが吉ですたい。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110314a.pdf(震災直後の会合での声明文)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110215a.pdf(遠い昔のような気がする2月声明文)

で、復興支援貸出制度の指示だの担保緩和の指示だのという所をスルーしまして景気の現状判断や見通しに掛かる部分をまず引用します。

・現状判断

『わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。すなわち、震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給の制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響が及んでいる。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小を続けている。震災後の金融動向をみると、金融機能は維持されており、資金決済の円滑も確保されている。金融市場は、全体として安定している。この間、金融環境は、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に、一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。』

まあ今回の現状判断については過去と比較する意味があまりない(主な論点が震災の影響になっているから)ので今回分だけ引用しますが、震災の影響が直接的には供給面に大きな影響を与えており、経済には「下押し圧力の強い状態」と現状認識を相当厳しくしています。

・先行き見通し

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続いたあと、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、小幅のプラスに転じていくと考えられる。』(今回)

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、景気改善テンポの鈍化した状況から脱し、緩やかな回復経路に復していくとみられる。物価面では、引き続き、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。』(2月)

当たり前ですが山のようにヘッジクローズが入ったでござるの巻。しかし一応「震災の影響は時間の経過と共に徐々に解消に向かいます」という見通しになっていますな。いやまあ「もうダメです」という見通しをメインに置くのもさすがに何ですのでこうなるのでしょうが・・・・・


・リスク要因:景気

『リスク要因をみると、景気については、上振れ要因として、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがある。一方、下振れ要因としては、国際金融市場の動向や、一頃に比べて低下しているとはいえ、米欧経済の先行きを巡る不確実性がある。さらに、震災がわが国経済に及ぼす影響については、不確実性が大きい。』(今回)

『リスク要因をみると、景気については、上振れ要因として、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがある。一方、下振れ要因としては、引き続き、米欧経済の先行きや国際金融市場の動向を巡る不確実性がある。』(2月)

ということで下振れ要因に関しては震災の影響を強く強調しているのは当たり前ですけれども、しらっと米欧経済の先行き不確実性に関しては引き下げているのがチャーミングなのですが、それよりも違和感があるのは上振れ要因の方でありまして「新興国・資源国の経済の強まり」なんですけれども、声明文の前段にありますように現在の経済の問題点が「供給制約による生産の落ち込み」でありますからして、その海外の強まりが輸出増のような形でわが国の経済に「上振れ」といえるような恩恵を与えることができるのか、という点に立った場合に大丈夫ですかねえと思うのです。


・リスク要因:物価と国際商品市況に関して

『この間、国際商品市況の上昇については、その背景にある新興国・資源国の高成長が輸出の増加につながる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力の低下が国内民間需要を下押しする面もある。』(今回)

『物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(これも今回)

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(2月)

ということですが、これもまたさっきの話と同じですが、「新興国・資源国の高成長が輸出の増加につながる」というパスが今回の震災による供給制約の発生によって効かなくなり、交易条件悪化というマイナス面だけ出てくるのではないかという気がするので、ちと見通しの置きが強めなのではないかという気が致しますです、はい。


○新しい制度2件については正直内容次第の面がある

『本日、日本銀行は、被災地の金融機関を対象に、今後予想される復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援するため、長めの資金供給オペレーションを実施することが必要と判断し、別紙の通り骨子素案を取り纏めた。また、日本銀行は、今後の被災地の金融機関の資金調達余力確保の観点から、担保適格要件の緩和を図ることが適当と判断した。議長は、執行部に対し、これら2つの措置について具体的な検討を行い、次回の金融政策決定会合において報告するよう指示した。』

で、そのうち資金供給オペの方に関しては別紙にありますような内容で、まあ要するに成長基盤強化貸出を震災復興支援名目に焼きなおしただけなのですけれども・・・・・

『1.対象先
被災地に営業所を有する金融機関で、共通担保資金供給オペ(全店貸付)の対象先のうち希望する先

系統金融機関については、共通担保資金供給オペ(全店貸付)の非対象先や非当座預金取引先についても取引先金融機関を通じて資金供給を行うことを検討

(注)被災地は、東日本大震災にかかる災害救助法の適用指定を受けている地域(岩手県、宮城県、福島県の全域、青森県、茨城県、栃木県、千葉県の一部)』

と結構対象先が広くなっているのですが、

『5.貸付総額 1兆円』

という事ですな。メガ4行ともに仙台には拠点があった筈ですのでこの貸出の対象にメガも入ってしまうという素敵な対象の広さになると思うのですが、その対象の割には総額が少なめな印象。

まあ恐らく今回の支援貸付はその2文目にあるように、第2地銀や信金、信組などを貸出の対象として意識していて、メガとかは普通に日銀が資金供給するからそっちを使いなはれという事なんでしょうかねと思われます。メガにもバシバシ使ってくんなましというのでしたらもっと額が多くなると思いますので・・・・・

それからしらっと書いてある『担保適格要件の緩和』ですが、これはやりようによっては大変に素敵な緩和になる可能性もありまして、まあどうせなら「貸付債権の担保適格性の判断において銀行の内部格付けを利用する事を認める」とでもやりますと大変に画期的な信用緩和になりますが、それはさすがに豪快過ぎますので(当たり前だ^^)、まあ適格担保の判断を少し緩くするとかいう話になるのか、掛け目をいじってくるのかとかいう話になるのでしょうかねえという所ではございます。

逆に「日銀としては姿勢は見せましたので一つよろしく」というスタンスなのかも知れませんし、その辺に関しては内容の詳細が出てから判断するという話になろうかと思います。


○各種雑談

・これは大変に当たり前すぎる結果だが・・・・

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110408/t10015172811000.html
東証 取引時間延長を先送りへ
4月8日 4時56分

『東日本大震災による電力不足に対応するため、東京証券取引所は、来月導入を予定していた取引時間の延長を、ことしの秋以降に先送りする方向で調整を進めています。

東京証券取引所は、株式市場の取引量を増やすため、昼休みの時間を短縮する代わりに株式の取り引き時間を来月9日から30分間延長する予定でした。しかし、関係者によりますと、東京証券取引所は、震災による電力不足に対応するため、取引時間の延長をことしの秋以降まで見合わせる方向で、金融庁や証券会社などと話し合いを進めているということです。』(上記NHKホームページURLより)

こちらに関しては証券業界有志による反対署名とかも行われていたそうですが、この状況下で取引時間延長を強行しようというスタンスで直近までいたというのが既に東証の頭の中を疑うものでありまして、どちらかといえば夏場の電力需要ピークに合わせて夏場の昼休みを延長するとかいうレベルの問題だったのではないかと思われるのですが、何せ東証というのは証券業界にありながら超越的に硬直的かつ(以下悪態に付き割愛)。

あたくしとしては夏場の取引時間の短縮を望みますけどねえ。別に時間長くしたから取引が増える訳でもないし、時間長くしたら多くの証券業者がそれに対応してシステムを長時間稼動させる事になるのですから、時間短くしてもエエンチャウノと思いますけどねえ。


・人のふんどしコーナー

切込隊長の所から。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/04/post-2fbb.html
日本の経済を、考え直そう

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/04/post-9cc8.html
さきのエントリーへのご批判について

・・・・・要するに民主党政権が統治の体を為していないのに、その上政治主導とやらで肝心のエキスパートである官僚をまったく使わないので混乱に拍車を掛けておられるということですかそうですか(吐息)。





















2011/04/07

お題「白井審議委員就任記者会見/国会見物の巻」

ほほう米国10年3.5%とな。

○白井さんの就任会見から

ちと出遅れました(汗)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1104a.pdf

・震災の影響に関して

『(答) 震災後の見通しですが、まだ判断するためのマクロデータがありません。この点をお断りした上で、私の意見を申し上げます。まず、当面は生産や輸出等が減少する可能性があります。それは、1つには東北地方でインフラや生産設備そのものがかなりの被害を受けているということ、それから北関東地方の工場も被災しているということ、また電力供給の悪化による経済活動・物流への影響を考えると、自動車産業を中心に、当面は輸出・生産が減少すると考えられます。同時に、先程も申し上げましたが、今回の震災や電力不足が、日本全体の家計や企業へ心理的に様々な影響を与えています。そうした大きな影響があるので、当面の見通しは非常に不確実性が高いと思っています。 ただ、いずれ中期的には復興・復旧が始まり、それに関連した需要が増えていくため、その分だけ成長していく可能性もあります。それがいつ始まるのか、どの程度の大きさなのかは、今判断するのは時期尚早だとみています。』

ということで、まあ基本的には「先行き不透明性が高い」「供給の低下による生産の低下」「マインド面への影響」という点を指摘していまして、まあ普通ちゃあ普通ですけれども当然ながら慎重な見方ではあります。


・日銀の国債引受論議に関して

『(答) (冒頭割愛)この、復興国債という話は、非常に大きな震災があり皆さんが心を痛めていて、どうしたら早く復旧できるかという観点から出てきた案だと思います。そうした気持ちは、私も十分理解しています。ただ、一つ一つの政策を考える際には、その政策が私達国民にとって長期的にみて良い結果をもたらすのかどうかを常に検討しなければいけないと思います。』

さいですな。

『その上で、中央銀行による国債の引受けについて一般論を申し上げると、例えば、私が専門分野としてきた欧州、とくにEUでは、基本条約でECB(欧州中央銀行)による国債の引受けおよび政府に対する直接的な融資を明確に禁止しています。その他の多くの主要な国々でも、明確に中央銀行による国債引受けを禁じています。このように、ある種の国際的なコンセンサスがあることをまずきちんと踏まえなければいけないと思います。何故そのようなコンセンサスが国際的にできているのかといえば、その背景には共通の歴史的な認識があることが指摘できます。』

『最初は、中央銀行による国債引受けを認めて、それが良いと思うかもしれません。しかし、そうしたことを一旦導入してしまうと、後に歯止めが効かなくなり、国債の乱発に繋がるかもしれません。そのためにインフレが起きてしまえば、結局国民の皆様が銀行券を安心して使えなくなってしまい、経済活動に色々な歪みをもたらす惧れがあります。』

『一番気を付けなければならないことは、長期的にみた場合に、通貨に対する信認が失われてしまう可能性です。一度通貨に対する信認が失われると、長期金利に跳ね返ってきます。長期金利が上昇すれば、政府の利払いに大きな負担となって返ってきます。そうしたことがあるからこそ、先程申し上げたようにEUも明確に中央銀行の国債引受けを法律で禁じており、日本でも財政法5条で日本銀行による国債の引受けを禁止しているわけです。したがって、そのようなリスクを十分考慮した上で、日本銀行による引受けといった案が妥当かどうかを考えていく必要があると思っています。』

まあ通貨の信認が喪失したら長期金利云々の世界ではないような気もしますが、お話としてはそうなりますわな、ということで、これまた中銀のスタンスとしては普通っちゃあ普通の話ですけれども、まあとりあえずは最初の最初なのでそんなに変わった話をしている訳ではないとゆー所でありました。


以下国会鑑賞会ね。

さて、久々に大門先生の質問を鑑賞しようと思って会議録をみたのですが・・・・・

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/177/17703250060004a.html

共産党の大門さんの質疑を鑑賞しようと思ったらその前に自民党の西田昌司委員の質疑が途中からいい感じで残念になるので鑑賞を。

○いやあのだから結局どっちですねん

質疑の最初の方ではこんな話をしてデフレ脱却の重要性を力説。

『○西田昌司君 (質問の主要部分割愛)それと同時に、もう一つ大事な視点は、震災復興とか強靱な国をつくるというだけではなくて、この日本が震災の起きる前一番大きな問題の一つに、やっぱりデフレということがあったわけなんですよ。このデフレをどう脱却して成長路線に持っていくかと。財政再建ということはもちろん必要なんですけれども、財政を再建しようと思えば、これは当たり前の話ですけれども、借金を返済しようと思えば、デフレでは借金返済絶対できないんですよ。少なくともデフレではできない。インフレ状況でないとこれできないわけなんですよ、これ当たり前の話。ですから、そのためにもデフレ脱却をどうすべきかということをこの予算の中でも考えるべきだと思っていたわけです。(以下割愛)』

んでまあ日銀に国債の買いオペ増やせと言う話をしているのですが、買いオペと日銀直接引受を途中からごっちゃにしているのが非常に残念なのですけれども、まあ円安になるならエエジャネエノという話をしているのはこれはこれでまあ理屈としては筋通ってますな。だから国債引受とかアホかと思いますが。

#ちなみにどうでも良いがあたくしは「財政出すなら赤字国債やむなしですが復興が立ち上がったらその分の償還考えないといけませんね(はあと)」というイメージ(なので増税はねえだろと思う)で、「現状で国債引受はする必要無い(政策としてのリスクリターンが全く合っていない)」という人ですので念の為

『○西田昌司君(前半割愛)そして私が申し上げたいのは、昨日も日銀総裁がお話しになったけれども、要するに日銀引受けでどんどん国債を発行しちゃうと、インフレ懸念なんですよね、インフレになっちゃいますよと。ということは、要するに金利も上がってくるという話ですね。それから、円が安くなってしまうと。通貨をたくさん発行し過ぎて円が安くなっちゃうと、こういう話なんですよね。ところが、今起こっている状況というのは、今日本の経済が苦しんでいるのは不当な円高ですよね。そして、デフレという状況で物の物価がどんどん下がっちゃっているという話なんですよ。それで経済活動が滞っているという話なんですね。

 だから、日銀総裁が懸念されている話というのは、むしろ今のこの状況からすると、状況を改善することになるんじゃないですか。だから、総裁の昨日おっしゃったような懸念というのは、まさに杞憂にすぎないと思いますが、どのようにお考えでしょう。状況は、つまりそういう方向に、多少インフレの方向に、円安の方向に振れて、問題ないんじゃないですか。』

とまあここまでは話の筋が通っているのですが、では何で財政を出して復興するかという話になると急に話がアレになるのだ。

『○西田昌司君 (前半割愛)それともう一つは、私が実は非常に懸念していますのは、通貨発行によるインフレじゃないんです。生産力が落ちてしまったことによるインフレの方がもっと怖いんですよ。戦後のインフレというのはまさにそれなんです。あれは、国債が多かったからじゃないんですよ。まさに生産手段がなくなってしまったから、供給不足によってインフレが起こっている。今起きている、例えば石油の値段が上がってきているのもそこなんですよ。だから、そのためにもまず喫緊にやらなきゃならないのは、インフラを整備して生産力を回復させるということなんですよ。それをしないと、とんでもないことになるんです。だから、皆さん方にそのことを訴えているわけです。もう時間が来たのかな。』

・・・・・・・えーっと先生さっき何て仰ってましたっけ????

『○西田昌司君 そろそろですか、はい。そろそろということですから、これで終わりますが、一言ずつお願いしたいのは、だから、復興のためにやっぱり非常事態だということを認識して、デフレ脱却のためにあらゆる手段を取るんだと。(以下割愛)』

・・・・・・・・先生1つ前の発言で何て仰ってましたっけ???????????


どうもね、この先生日銀の国債引受がどうのこうのという質問に関しても、最初のうちは「引受じゃなくて買いオペ拡大で良いのでやるという決意を示せ」(それは総裁の一存で決められる話ではないので答えようが無いのだが)という話をしていたのですが、最後のお話(前半割愛ってした2つ前の所)では「高橋財政のように国債引受を実施しろ」という話をしているという事で、どうも一つ一つの主張は単体で筋が通っているのですが、話を総合すると整合性が無いという不思議なクオリティーを示しておられる中々奥の深い質問をしておられて、読んでて椅子から落ちそうになった事をご報告させていただきます。

つーか、国会に大臣だの日銀総裁だの呼んで話がこれっていうのも何だかなあという感じでございます。


○では大門先生の質疑(というか演説)鑑賞会を

毎度お馴染みの日本共産党大門実紀史先生(^^)。長いが余計な茶々入れずに引用します(手抜きとか言わないように^^)。

『○大門実紀史君 昨日から日銀の国債引受けが議論になっております。先ほども西田さんからございました。私は大体西田さんとは意見がほとんど合うんですけれども、この問題だけはかなり見解が違うなと思います。

 振り返れば、日銀に国債を引き受けさせろという話は、もうこの十年来絶えず出てきている話で、速水さんのときからあった話でございます。何かあるたびに日銀に国債を買えという圧力といいますか、これがずっとありまして、その都度私は日銀の味方をして、圧力に屈すべきではないということを一貫して申し上げてまいりましたけれども、日銀は迫られて迫られて、結局今六十兆ですか、何だかんだいって六十兆ですかね、引き受けている、持っているわけですね。

 もちろん、今回の大震災の規模というのは国債発行は避けられないという認識は私も持っております。いわゆる復興国債ということですね。それをどこが引き受けるかということなんですが、先ほど予算委員会の公聴会の話がありましたが、西田さんから言われたとおり、日銀が積極的にというのもありましたけれども、私も提案いたしましたが、今余剰資金のあるところ、企業にしろ個人でも一億、三億持っている、金融資産を持っている人が百何十万人になってきているわけですから、国難ですからね、そういう方々の余剰資金にもお願いするということも含めて、国民みんなでまずやるべきだと、我が党はそういう考えでございます。

 ところが、そういう中で、まず日銀にという話がこれだけわあわあ出てくるのが私ちょっと異常じゃないかなと思っておりまして、一つは産経新聞が火を付けたようなところがありますけれども、従来から日銀に、こういうことがなくても日銀に国債を買わせようという、リフレ派というんですか、よく分かりませんけれども、何考えているのかよく分からない人たちですけれども、そういう人たちがこれを機会にやらせてしまおうと、どさくさ紛れに言っているようなところが多分に感じられます、はっきり申し上げてですね。

 場合によっては、日銀法を変えて日銀に言うことを聞かせようなんてとんでもないことを考えたりする議員連盟もあるわけですね。私はそれはとんでもないことだと思っておりますし。あえてもう少し良識的な方でも、こういうときなんだから日銀がアコードという形でいざというときには引き受けますというようなメッセージも含めてやるべきじゃないか、若干良識的な意見もあるんですけれども。

 どうしても、私はこういうことだと思うんですね、復興は必ずやり遂げなければなりません。人の命も救わなければなりません。お金が掛かります。国債発行が必要です。しかし、市中で吸収できない、消化できないという事態になればこれは日銀が引き受けるという、まさに非常事態ですからこれはあり得ることかなと。そこまで私は否定するつもりはございませんけれども、今市中で吸収できる力はあるわけですね。その時点でいきなり日銀に先に引き受けろとか、あるいは引き受けることをあらかじめメッセージ出せとか、私はこれは大変、何といいますか、後々何をもたらすのか大変恐れるところでございます。

 高橋是清の話もよく分かっておっしゃっているのかどうかと思うんだけれども、よく出てくるんですけれども、高橋是清というのは物すごい財政規律論者でございました。だからこそ二・二六で命を奪われたわけですよね、軍部にですね。

 要するに、あのときは大恐慌がありまして景気対策をやらなきゃいけないと、しかし市中に引き受ける力がないから日銀に国債を引き受けさせた。そして、当時は公共事業といっても軍需産業が最大の公共事業ですから軍事費を拡大するという形になって、もちろんそこで雇用は生まれたわけですけれども。高橋是清は、一定景気が回復したところで、やはり国債をこれ以上どんどん発行するのはまずい、歯止めを掛けなければいけない、財政規律をやっぱり戻さなきゃいけないということをやったんですけれども、軍事費拡大というのは軍部の言うことの表裏一体なものでございましたから、そういうことを言うともう軍部から反発を食って命を奪われたわけですね。

 したがって、財政規律を守るために高橋是清は命を奪われたわけでございます。高橋是清が殺されたものですから、どんどんどんどん国債が発行されて、軍事費が膨脹して、戦争に突入して日本を破滅させたと、こういう流れになるわけですから、高橋是清から学ぶべきは、命懸けで財政規律を守ったということだと私は思っているわけでございます。

 この点で、私は、日銀が引き受けると簡単にハイパーインフレになるとか、金利がどうなるとか、それは大丈夫だとか、そんな話よりも、まず中央銀行の信頼とか通貨の信認とかがどういうふうになってしまうのかと私大変危惧を抱いておりますけれども、それをもう少しやっぱり白川さんの方から踏み込んで、メッセージとしてきちっと説明してもらうことが必要かと思いますが、いかがですか。』

・・・・・・・延々と引用してしまいましたが、途中で茶々を入れる必要が無いっつーか何で日本「共産党」の人がこういう質問(というより演説ですが^^)が出来るのかがある意味不思議でなりませんな(って褒めてますので念の為^^)。

で、白川さんの答弁はスルーしまして更に大門先生。

『○大門実紀史君 昨日もございましたけれども、一定まあ良識のある提案の中で、銀行券ルールの範囲内ならばそういうこともやるべきではないかという御意見もあったりするわけですけれども、私はこれも慎重に考えなきゃいけないと思っているんです。

 銀行券ルールもこの委員会でさんざんいろんな議論がありました。ちょっといろんな方が勘違いしているのもあるのかと思いますが、銀行券ルールの上限といいますか発行額範囲内というのは、別に、何といいますか、カードローンの上限とは違うわけですよね。そういう意味じゃないんですよね。ですから、カードローンだって目いっぱい使っている人はやっぱり余り、分かっちゃったら信用されないというのはありますけれども、銀行券ルールの重みもちょっとこの機会にきちっとお話ししてほしいなと思うんですけれども。』

「カードローンだって目いっぱい使っている人はやっぱり余り、分かっちゃったら信用されないというのはありますけれども」に吹いた(^^)。

まあ正直言って大門先生の質疑時間をもっと確保すべきではないかと存じます。









2011/04/06

お題「今日はFOMCネタはスルーして世間話で勘弁」

まあ各種世間話で勘弁してつかーせ。

○2度目の情報漏洩なのですが・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aZwUJHw_MnLo
福島原発問題で揺れる東京電力、社債は日銀の購入対象に (1)

『入札に参加する金融機関が日銀へ提出した売却希望の社債銘柄について、同行は5日、買い入れ可否の個別銘柄を回答。関係者によると、東電債は、買い入れ可能の銘柄に入っていたという。』(上記URLより)

ちなみに見つからなかったので手打ちしますと、18時07分のブルームバーグ英文ニュースでは『BOJ Said to Rule Tepco Bonds as Eligible for Auction Tomorrow』とまるで日銀が発表したかのようなヘッドラインを打つという念の入れようであります。

・・・・・えーっとですな、この前も社債買入に関して特定の銘柄が対象外になったというのがニュースになっていたのですけれども、こういうのがニュースとして出ると言うのはそもそも日銀のオペの趣旨に反する話でありまして、1度ならずも2度もこういう形で情報がニュースベンダーに漏洩されるというのはさすがに大いに問題があると思われますし、ちゃんと漏洩ルートを調査して該当するオペ参加者に対してオペ参加資格を停止すべきレベルの問題であろうかと存じますが。

つまりですね、日銀のオペというのはあくまでもマクロ的にリスクプレミアムを縮小させるという意図で実施するものであって、このように個別銘柄の名前が思いっきり報道というような形で出てきて、「日銀の買い入れ対象か否か」というような事が投資判断や与信判断に影響を与える、となりますと、日銀が個別企業に対する資源配分に影響を与えるということになってしまう訳でして、それは企業金融関連の買入オペレーションを実施した時の2009年1月22日における公表文に思いっきりありますよね。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/un0901d.pdf
企業金融に係る金融商品の買入れについて

『3.実施に当たって留意すべき事項
(1)個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること』

その為にオペで買入を行うかどうかという事に関しては買入対象銘柄をオペ先に対して示すような形ではなく、あくまでも個別お問い合わせが来た場合にお答えする、という形式を取っているはずでありまして、まあ今回は前回の事案と違って「買う」方なのでまだマシっちゃあマシですけれども、「買う」という方だって言うなれば「日銀お墨付きリスト」みたいな扱いになってしまうとそれはそれで問題がありそうな話でしょ。つまりこういう個別銘柄がどうしたこうしたというのが報道機関でホイホイ報道されるというのは、日銀のオペの趣旨を理解していない上にオペの政策目的を阻害するものでもある、ということになると思われますので、情報漏洩したオペ参加先に対して参加資格の停止などを考えるべきレベルの問題ではないかと思われますがどうでしょうかねえ。

つーか記事にしたブルームバーグの記者も日銀のオペの趣旨理解してない訳で、これで金融関連記事書くとかアホか馬鹿かという所でありまして、日銀の公表文書を百万回読み直してから出直した方が良いのではないでしょうかねえ。


○東京新聞に絶望

昨日の東京新聞の社説を見て呆然。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011040502000053.html
【社説】震災復興策を考える 青写真と手法を早く 2011年4月5日

『◆日銀は国債引き受けを

国債の日銀引き受けを禁じ手とする意見がある。財政法は国会議決があれば引き受けを禁じていない。実際、日銀は財務省と合意のうえで償還期限が到来した保有国債について毎年、借換債を引き受けてきた。それでインフレになったわけではない。二〇一一年度も一一・八兆円を引き受ける。』

えーっとですね、財政法がどうのこうのだから禁じ手なのではなくて、歴史的に中銀の財政マネタイズを一旦実施すると歯止めが効かなくなって財政インフレが起きて国民厚生的に誰も得をしないことが起きるからなんですけど、というのは兎も角として、どう見てもアホとしか思えないのは後半部分であります。

つまりですね、確かに日銀って引受の実施してますけど、それは買入等によって日銀が保有している国債の償還期限が来た時に行う償還乗り換えであって、その買入する国債は「割引短期国債」ということで「1年で償還になる」ものであって、復興財源として発行する中長期国債とは全然話が違うものなんですけれども、その辺の背景を全部無視してあたかも日銀が中長期国債の引受を行っているように説明するのは、知らないのであれば不勉強にも程がありますし、知っているのであれば悪質なインチキ説明にも程がある、ということですわな。

ちょっと日銀のHP探せば直ぐに出てきますが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2010/mpo1012a.htm/
平成23年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けおよび平成23年度における国債買入消却への対応に関する件

『1.平成23年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、 「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、次のとおり定めること。

(1) 償還期限到来国債のうち、利付国債額面総額11兆8,000億円については、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。

(2) 償還期限到来国債のうち、「平成22年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けに関する件」(平成21年12月24日決定)1.に基づき借換引受けを行った割引短期国債については、償還期限到来国債である利付国債の額面総額が(1)に定める金額を下回ることになると認められる場合に限り、当該差額につき、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。

(3) (2)の借換引受けの要否については、総裁が決定すること。』

ということで、基本的には償還来た中長期国債を1年物割引短国で引き受けて、その償還が来た場合に1度だけ再乗換の可能性が限度付きであります、というだけの話で、「償還乗換」で引き受けた国債はあっという間に償還になってしまうのであって、復興目的で出す中長期国債の引受論議とは全然違うレベルの話であります。

しかも東京新聞のさっきの社説の続きでは、その「市中を通さない新発中長期国債の引受」と「一旦市中消化という形で市場メカニズムを通してからの買入」の差が無いような話をしていまして、いや今までは経済記事に関してはどっかの経済クオリティーペーパーなんかよりも比較的まともなことを書く新聞だと評価しておったのですが、日銀引受に関する部分での壊滅的なクオリティ(そこまでの話はそう無茶ではないのだが)に正直絶望したので購読やめるかねと思う今日この頃でありました。

『日銀が財政出動に伴う円高を避けるためにも、引き受けか市中国債の買い入れ増額を決断する。いまは、それほどの非常時である。』

・・・・・つーか財政出動したら財政悪化懸念ネタで円安アタックの材料を与える可能性はあっても円高になるという話は意味がさっぱり判りません。


○10年入札は順調でしたが・・・・・・

昨日の10年国債入札は朝から10年1.30%でスタートして10年には何か買いも入っていたものの、前場は株安円安で債券安な上にイールドカーブはベアスティープとか非常に気分の悪い相場付き。

でも10年国債入札は前場引け1.305/1.310の気配に対して1.303/1.305と結構堅調な結果となりまして、その後も強くて一時1.260/1.265くらいまで強くなるという中々結構な展開。

まあ期初一発目の長期国債入札で、これがコケルと更に気分的に萎える所でありましたが、まあそもそもの需給面で言えば期初の残高構築が必要な人たちがそれなりにいる(震災の影響で先月は動けなかったですから残高構築が遅れ気味)というのもあって、更に水準が1.30%まで来たのですから普通なら堅調な入札になるというその普通の展開になって誠に慶賀すべき事であります。

ただまあ昨日も昨日で超長期がどーもぱっとしませんでして、これってまあ単に国債増発の需給悪化懸念というよりは、やはりこれは民主党政権に対するリスクプレミアムへの意識が高まってきている、としか思えないのですけどどうでしょうかねえ。東京電力に関する問題もそうですし、日銀引受の話がこうホイホイと出て来るとか、どうもこの民主党政権は「常識的な落とし所」というのが良く判っていない節がありますし、更に言えば金融市場とか判って無いわな、というのは驚愕の菅首相の「デフレ宣言」を見た時から良く判っていた積りですが、この非常時になってそれが明白にリスクプレミアムとなって出てきているという所ではないでしょうか。

昨日もこんなのありましたけどね。
http://www.mbs.jp/news/jnn_4692590_zen.shtml
鹿野農水相、汚染水放出「大変遺憾だ」

『鹿野大臣は、「水産関係を預かっている農水省に対して、事前の通告はあってしかるべき」との認識を示し、海江田経済産業大臣に対して東電の姿勢をただすよう求めたことを明かしました。』(上記URLより)

・・・・・・東電に文句言うんじゃなくてお前の閣内の連絡不行き届きを反省するのが筋だとしか思えないのですけれども、てめえらの不手際を人のせいにするとかいうような当事者能力の無い人たちがトップにいるというのが今の国内金融市場の最大のリスクプレミアムである、としか思えんわけで、最近どうもトリプル安みたいな日がちょくちょくありますが、見ていて非常に精神衛生上宜しくないこと夥しいです。

ということで今日は世間話大会で恐縮至極でありました。










2011/04/05

お題「プロッサー総裁の出口政策論」

短観再集計でたけどあんまりネタにならないので今日はフィラデルフィア連銀プロッサー総裁のその名も「Exit」という講演から。

http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/03-25-11_shadow-open-market-committee.pdf

本文9ページなのでそんなに読むのはしんどくないと思う。

○当然ながら前提条件として景気見通しは強い

『Economic Outlook』の所は今回の本旨ではないので簡単に。

景気に関しては当然ですが強い見方になっていまして、先行きのリスクとしてまず最初にあげられる米国不動産問題は「そんなに大きな阻害要因にはならない」としています。また、グローバルなリスクとして日本の震災とMENA地域の問題に起因する原油価格上昇の話をしていますが、これも短期間における問題に留まるとの見通しを示しています。一応その部分引用。

『The tragic events in Japan and the potential for sharply higher oil prices given the turmoil in the Middle East and North Africa pose some risk to our recovery. Yet, I believe this risk is small and short term, assuming Japan is able to stabilize its nuclear reactors and political unrest in the Middle East does not dramatically disrupt Saudi Arabia, the region’s largest oil producer.』

で、その見通しが正しければExit政策が必要であり、どのタイミングでアンワインドするべきかというのと、どのようなツールを使って出口政策を実施すべきかというのが重要ですが、今回の講演ではその「出口政策で使うツールとその方法」となっています。


○出口政策後の金融政策の軸は何か?

『The Monetary Policy Operating Framework After Exit』の所から。

まず最初にプロッサーさんは出口政策におけるコミュニケーションと透明性の重要性を説明しています。一気に引用するだす。

『In designing an effective exit strategy, we must start by deciding what the operating framework should look like at the end of the process. We must then articulate a systematic approach that will get us to that framework in a reasonable time frame. The approach must be easily communicated and thus transparent to the public and the markets, so that they understand not just where we are headed but how we plan to get there.』

出来るだけシステマティックかつ判りやすく、というのが需要だとの事ですな。

『Of course, monetary policy actions should be dependent on economic conditions, that is, state contingent, and the exit strategy should be as well. While there is very little economic theory to guide systematic policymaking using nontraditional tools, we nonetheless should not act with complete discretion. I have frequently advocated a systematic approach to policy and our exit strategy should be no different. Such a systematic approach reduces uncertainty by offering a degree of commitment by policymakers to the exit strategy.』

んでもって出口後の金融政策のフレームワークは4つの要素で構成されますということでその4つですが・・・・・・

(1)FFレート誘導による従来型の金利誘導政策

で、その実行に当っては預金ファシリティと貸出ファシリティで金利のコリドアを作って誘導を容易にする、という話ですが、以前のFEDは預金ファシリティが無かったのですけれども、現在は準備預金付利(略してIOR)が預金ファシリティとなっているので、これを常設ファシリティにするっちゅう事ですな。

『First, monetary policy should operate using the federal funds rate as its policy instrument. Because the Fed can now pay interest on reserves, monetary policy could use the interest rate on reserves (IOR) as its instrument, establishing a floor for rates and allow reserves to be supplied in an elastic manner. However, targeting the federal funds rate is more familiar to both the markets and policymakers than is an administered rate paid on reserves.』

『To make the funds rate the primary policy instrument, the target federal funds rate would be set above the rate paid on reserves and below the discount or primary credit rate that banks pay when they borrow from the Fed. This operating framework is sometimes referred to as a corridor or channel system and is used by a number of other central banks around the world.』

有名どころではECBが以前からmarginal ledding facilityとdeposit facilityを使った金利コリドア方式を採用していましたが、その他各国でも採用されていますなという事で。

『I have argued elsewhere that our goal should be to operate with a corridor system instead of a floor system, in part because it constrains the size of the balance sheet while the floor system does not.』

こりゃどういうことかといいますと、例えば現在の日本では預金ファシリティ(超過準備付利)は誘導目標金利の外側にあるコリドアとしての運用ではなく、市場金利の下限を画するために実施している、あるいはバランスシート拡大に際して市場金利が極端に低下する事を防ぐためのものとなっていますが、これを通常のコリドア運用となるような水準に預金ファシリティを置いた場合、バランスシートはそんなに拡大できない(調子に乗って拡大すると誘導すべきFFレートがコリドアの下限に張り付いたり下限を抜けたりするから)ですよね、という指摘なのですな。


(2)リザーブの縮小

『The second element of the environment follows from the first. To ensure that the funds rate constitutes a viable policy instrument and thus is above the interest rate on reserves, the volume of reserves in the banking system must shrink to the point where the demand for reserves is consistent with the targeted funds rate.』

目標とするFF金利に相応しいレベルまでリザーブを縮小するとな。

『This will require a significant reduction in the size of the Fed’s balance sheet, with reserve balances falling by $1.4 trillion to $1.5 trillion to about $50 billion.』

これはまた結構な縮小になるかと思いますが・・・・・


(3)FEDのポートフォリオの質的変更

この論点は意外に言われない論点ではございますな。

『The third characteristic of my preferred operating environment has to do with the composition of the Fed’s assets and in particular the System Open Market Account, or SOMA, portfolio.』

ポートフォリオ構成を変えて(当然ながら売却を伴う)ポートをMBSから米国政府短期証券にするというお話ですが、さてMBS売れるのかね、という気がせんでもない。

『I believe this portfolio should consist predominantly of U.S. Treasury securities concentrated in short-term issues, similar to its composition prior to the crisis. At that time, about 90 percent of the SOMA assets were Treasuries, of which about 35 percent were Treasury bills.』

つーことで、MBSだの長期資産だのから政府短期証券主体のポートに変更するのが望ましい姿というこってすな。

『Currently, only about 60 percent of the portfolio is in Treasuries, while around 40 percent is housing-related assets, such as mortgage-backed securities (MBS). Moreover, Treasury bills are less than 2 percent of the Treasury securities in the portfolio. Thus, the exit plan must contemplate a significant restructuring of the balance sheet in terms of its composition and average maturity.』

中々の荒療治(武者陵司ではない)になりそうですな。


(4)明示的なインフレーションターゲットの導入

つまり最初にあった「透明性」に関わる部分だと思いますが、デュアルマンデートで微妙に曖昧にするのではなくて、より物価重視的な形にする事によって透明性を高めたコミュニケーションとするという話なんでしょうな。

『Fourth, my preferred operating environment would make explicit the Fed’s commitment to a numerical inflation objective, a proposal I have made many times. Numerical inflation objectives are fairly common among major central banks around the world and many academics and students of central banking regard adopting such an objective as best practice.』

『I believe it is time for the Federal Reserve to adopt this best practice and clearly announce a numerical inflation objective in support of our dual mandate. This would be particularly valuable as we exit our accommodative stance.』

で、何で有益かという中に、FEDの現在のバランスシートが大きいため、明示的なインフレーションターゲットを導入することによって、バランスシートの大きさから来るインフレ懸念を抑制する効果があるという指摘をしていますわな。

『Since our large balance sheet poses significant risks for inflation down the road, an explicit commitment to a low and stable inflation rate would help reassure the public that we will exit in a way that is consistent with that goal. This would also help keep expectations of inflation well anchored.』


○では実際にどういう手段で出口政策を実施するのか

『A Proposed Exit Plan』という所から。

(1)FF誘導目標の引き上げとバランスシートの縮小に同時に着手

『My proposed strategy involves raising rates and shrinking the balance sheet concurrently and tying the pace of asset sales to the pace and size of interest rate increases.』

具体的にはFFレートの引き上げとMBSの償還分の国債への再投資の停止だそうで。

『The first element of the plan to exit and normalize policy would be to move away from the zero bound and stop the reinvesting program and allow securities to run off as they mature. Thus, we would raise the interest paid on reserves from 25 basis points to 50 basis points and seek to achieve a funds rate of 50 basis points rather than the current range of 0 to 25 basis points.』

まずはIORを0.50%に引き上げてFF金利を現在の0-25bpの目標から0.50%近辺になるようにしつつ、MBSの償還分国債再投資を止めますと。

『We would also announce that between each FOMC meeting, in addition to allowing assets to run off as they mature or are prepaid, we would sell an additional specified amount of assets. These “continuous sales,” plus the natural run-off, imply that the balance sheet, and thus reserves, would gradually shrink between each FOMC meeting on an ongoing basis.』

で、更に次回のFOMCに向けてバランスシートをここまで縮小するというアナウンスをして、保有長期債券の満期償還や中途償還(MBSの場合)での縮小では足りない場合は更に売却も行うという事のようで。


(2)実はここの英語がイマイチ判らんかったのですが・・・・・(汗)

何となく上記の続きで、先行きの目標となる金利水準に向けて次回の会合で追加利上げを実施するかの検討を行うかどうかをアナウンスする(というのは市場に金利上昇パスを織り込ませに行くという意味なのかなあ??)というような事を想像したのですが、英語の得意な人の解説キボンヌ。

『The second element of the plan would be to announce that at each subsequent meeting the FOMC will, as usual, evaluate incoming data to determine if the interest rate on reserves and the funds rate should rise or not.』

『Monetary policy should be conditional on the state of the economy and the outlook. If the funds rate and interest on excess reserves do not change, the balance sheet would continue to shrink slowly due to run-off and the continuous sales. On the other hand, if the FOMC decides to raise rates by 25 basis points, it would automatically trigger additional asset sales of a specified amount during the intermeeting period.』

『This approach makes the pace of asset sales conditional on the state of the economy, just as the Fed’s interest rate decisions are. If it were necessary to raise the interest rate target more, say, by 50 basis points, because the economy was improving faster and inflation expectations were rising, then the pace of conditional sales would also be doubled during the intermeeting period.』

どうもこの部分はバランスシート縮小および金利誘導を出来るだけシステマティックに実施して金融政策の透明性を高めるみたいな話に通じるような気がするだわさ。


(3)MBS売却

『The third element of the exit plan must address the composition of the Fed’s portfolio. If we are to return to an all-Treasuries portfolio, then asset sales, particularly in the early part of the program, must be concentrated in MBS.』

ってしらっと書いてますけど本当に売れるのでしょうか・・・・・


○具体的なプランが2つほど

調子に乗って引用していたら講演の大部分を引用する勢いになってきたので反省して、『Examples of the Exit Strategy』の所は訳だけにしておきます。

まず概念的にはこういう順番です。

(1)FFがIORよりも高くなる水準(1.4〜1.5兆ドル)までバランスシートを縮小する(2)長期資産および償還再投資を止めることによって月に200億ドル、(=FOMCの間(6週間)に300億ドル)程度のバランスシート縮小する(3)FOMCの間に200億ドルの売却を実施して、結果として(自動的に縮小する分とあわせて)インターミーティングで500億ドルのバランスシート縮小を実施する

何かそもそも(1)の時点で1兆ドルとか減らさないといけないような気が死ぬほどするのですけれども(さっきFEDのサイトで見たら3月30日のバランスシートが2.62兆ドルとかあるんですけど・・・・)まあその辺はキニシナイという事で、つまりFFレートを50bpに引き上げ(IORも50bpに引き上げる)ながらバランスシートが1.5兆ドルになるまでバランスを縮小して初めてその後の追加利上げが可能になるっちゅうことですかいなという感じですな。

で、そのプランとして2種類あって、講演テキストの最後に図表があるのですが、12か月(=FOMCミーティング8回分)と18か月(=12回分)での方法というのがあって、どっちも25bpずつの利上げなのですが、バランスシート縮小のペースが前者の方が速く、結果としては12か月コースだとバランスシート500億ドルでFFが2.50%、18か月コースだとバランスシート460億ドルでFFが3.50%という結果になっています。


○論点について

『Discussion』の所からですがこれまた引用は割愛して拙訳で勘弁。

まず最初に「そもそもそんなペースでバランスシートの縮小が出来るのか」という点について(あたくしもそう思うが)ですが、「バランスシート拡大のペースと同じように縮小しているだけですよ」という事でスルーしているのはちと???感は致します。

あといわゆる「ストックビュー」に基づくツッコミとして、FEDがバランスを縮小するとその分民間部門の保有資産が拡大するから、その分ポートフォリオリバランスの反対が起きるのではないかという論点についてですが、プロッサー総裁は「資産売却は市場が正常化していれば大きな問題は無い」という話をしています。

それから、バランスシートの縮小の前に利上げをした方が良いという点については、「幾つかの欠点がある」と指摘。で、その欠点ですが、基本的には「バランスシートが大きいと政策金利の誘導が上手く行かない」というのと「FEDのポートにMBSが残り続ける」という問題点を指摘し、そうなると「バランスシート次第で政策金利が決定されることになって本来の経済状況による政策金利決定ができません」という話をしております。

更にバランスシート縮小を先にして利上げは後、という点については「よりアピールする政策」としながらも、「リスキーなやり方」と指摘。すなわち金利が低すぎる状態が長く続くのが弊害で、かなり積極的な売却をしないといけませんという説明をしています。

ということでプロッサーさん提唱のやり方が良い、というのですけれども、まあそれはどうなのかなとあたくし的には思うんすけど、何はともあれ出口政策のたたき台(ただしタカ派成分が高い)としてこういうのがあるというお話でございました。

#引用大会で増量になって恐縮至極です










2011/04/04

お題「今日は日銀関連のリリースを読み読み」

金曜は悪態連発で誠に恐縮至極でありましたが、せっせと下調べしたお勉強コーナーよりも悪態の限りを尽くして書き散らした方がウケを取れるとはどういう事でおじゃるか(^^)。

#プロッサー総裁ネタはどうしたというツッコミはしないように

○インフラは大事ですな(入行式挨拶)

総裁の入行式挨拶。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/nyukou11.htm/

今回は東北地方太平洋沖地震がありましたので金融政策の話よりも「インフラとしての中央銀行」の話が主体になっていますわな。

『日本銀行の使命は、「物価の安定」と「金融システムの安定」です。普通の言葉で言うと、「人々が通貨を安心して使えるようにすること」です。具体的には、全国どこでも現金が円滑に流通し、預金による受払が安全確実に行われ、物価も安定している状態を実現していくことです。これらは国民生活や経済活動の基盤とも言えるものであり、そのいずれが欠けても健全な国民生活は損なわれ、ひいては経済の発展は実現しません。』

『今回の大地震を経験し、日本中の誰もが、様々なインフラ、基盤が円滑に運行することの重要性を改めて認識させられています。日本銀行は、1882年の創立以来、130年近くにわたり、通貨、金融の基盤を提供するという仕事を担ってきました。我々の先輩は、関東大震災の時も、阪神・淡路大震災の時も、被災当日も含めて全ての店舗で営業を続けました。今回の大震災でも、仙台・福島支店をはじめ、全ての本支店・事務所が通常通りの営業を続けており、通貨、金融の基盤は大きな障害なく機能しています。』

ということで、今回の震災においても日銀の各支店、事務所は銀行券の出納を初めとして業務を行っていまして、日銀の地方支店の重要性というのはこういう時に見事に示されたという所ではないかと存じます次第。

『どの組織も自ら提供するサービスや商品を通じて社会に貢献していますが、日本銀行も同様であり、通貨、金融の基盤提供という面で、普段は「あたりまえ」と思われ余り意識されないことを、危機時を含め本当に「あたりまえ」にしていくことを通じて、社会に貢献することを目的としています。』

まったくでございまする。


○短観ですが震災前の経済はかなり好調だったということのようです

金曜に公表された短観はいつものパターンですと7割方が震災前、3割方が震災後の集計で、その辺りを分けた集計は今日公表されるそうです。
http://www.boj.or.jp/statistics/outline/notice_2011/not110401a.pdf

『日本銀行では、「2011年3月短観」について、回答期間を2月24日から3月31日、回収基準日を3月11日に設定して調査を開始しました。通常の調査回では、回収基準日までに7割方の調査表が回収され、回収基準日以降に残りの調査表が回収されます。こうした中、東北地方太平洋沖地震が3月11日に発生し、地震発生の前と後では、調査対象企業の回答時の状況が大きく異なることとなりました。そこで、今回は異例の措置として、業況判断DIの参考計数として、@調査開始日2月24日から3月11日までの回収分と、A3月12日から調査期間最終日3月31日までの回収分に分けて再集計し、その結果を4月4日(月)午前8時50分に公表することとしましたので、お知らせいたします(詳細は下記参照)。』

ということでまた今日の短観データを見るとどういう事になるのかなとは思いますが、とりあえず金曜に出ていた総合の数値を見ますと小見出しのような状況になっていたようでございますな。

ということで短観はこちら。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1103.pdf

#自分の書き物読み直したのだがもしかして12月短観ってネタにするの忘れてた??

・前回の先行き予測DIの達成状況

        (12月時点)      (3月時点)
        現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業   +5→▲2       +6→+2
製造業中堅企業  +1→▲12      ▲4→▲5
製造業中小企業 ▲12→▲23     ▲10→▲16

非製造業大企業   +1→▲1      +3→+2
非製造業中堅企業 ▲10→▲17     ▲6→▲12
非製造業中小企業 ▲22→▲29    ▲19→▲27

今回の短観の数字の何が良いってこちらの業況判断DIの改善っぷりが中々でありまして、12月時点では結構先行き落ち込むという予想だったのに、今回の業況判断DIは12月の時点の先行き予測DIどころか製造業中堅企業以外のセクターで前回の足元業況判断DIを上回るという進展を示していまして、大震災なかりせばどう見ても景気下ブレ回避で結構順調な回復基調でしたねという内容になっていたのです。

・雇用判断DI

        (12月時点)      (3月時点)
        現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業   +8→+8       +5→+6
製造業中堅企業 +10→+11      +9→+8
製造業中小企業 +11→+13      +8→+10

非製造業大企業   +4→+4      +3→+5
非製造業中堅企業  +2→+1      +1→+1
非製造業中小企業  +4→+5      +3→+3

相変わらず過剰の方が大きいのは少々アレなのですが、こちらに関しては前回の予測と同じなのが非製造業中堅企業で、それ以外に関しては全てのセクターで前回予測よりも状況が好転(過剰マイナス不足の数字だから数値がマイナスの方が望ましい)しており、更にそもそもの数字も前回の現状雇用判断DIよりも改善している、とこれまた中々結構な数字で、企業の雇用余剰感もこの調子だと徐々に解消に向かうのではないでしょうか的なアンケート結果になっていたのですな。

ただまあ大震災があったので全ての前提が変わってしまいましたよって、この辺の数値はあくまでも参考指標という事になろうかと思います。


○生活者意識アンケートなんですけどね

http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1104.pdf
これは震災前の数字ですな。

例によって18ページ以降が調査結果一覧みたいになっているのでそれを見る
あるよろしある。

・金利水準と物価に関するアンケート結果っていつもこうなっているのだが

Q5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。
1 金利が低すぎる53.1 ( 52.0 )
2 適当な水準である35.1 ( 35.3 )
3 金利が高すぎる10.0 ( 10.5 )

・・・・・いやあのですな、毎回毎回この数字見て思うのですが、「景気が悪いから日銀が金利を下げました」っていうニュースを流していると思いますし、更にアンケート調査では「景気が悪い」という答えの方が多いというのに、何でその結果として「現在の金利水準が低すぎる」という答えが過半数になってしまうのか非常にワケワカランチ会長ではございますが、恐らく一般ピープルの皆様におかれましては「景気が悪いのだから利息くらいつけろやゴルァ」というようなイメージになっているのでしょうかなあと思うあたくし。

Q12-b.(Q12で4または5「下がった」と答えた方への質問)
「物価」が下がったことをどのように思いますか。

1 どちらかと言えば、好ましいことだ33.2 ( 39.8 )
2 どちらかと言えば、困ったことだ27.0 ( 23.8 )
3 どちらとも言えない37.8 ( 35.8 )

あれだけ物凄い勢いでテレビとかで「デフレで売り上げが落ちた」とか「デフレで企業収益が苦しい」というようなニュースをやっているというのに、何で物価が下がった事が「好ましいことだ」の答えが3分の1とか平気であるのよと思うのでございますが、「自分の買うものの価格が下がるのは好ましいことだ」というような認識なんでしょうなあと思いつつ、なんつーかもうずーっとデフレが良くないという話が人口に膾炙しているはずなのに相変わらずこの調子の答えが結構あるというのはどうした事なのでしょうかと思うのでありまする。


・まあこれまた震災前の数字ですからアレですが物価の見方を次回と比較したいですな

Q12.次に「物価」についておうかがいします。
あなたご自身の感じでは、「物価」は1年前と比べてどう変わりましたか
(「物価」とは、あなたが購入される物やサービスの価格全体のことです)。

1 かなり上がった6.5 ( 6.2 )
2 少し上がった43.8 ( 31.9 )
3 ほとんど変わらない35.3 ( 39.9 )
4 少し下がった12.7 ( 19.2 )
5 かなり下がった1.0 ( 1.9 )

Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。
平均値:+3.6 ( +2.3 )
中央値:+1.0 ( 0.0 )

Q14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。
1 かなり上がる7.2 ( 3.5 )
2 少し上がる55.8 ( 34.5 )
3 ほとんど変わらない30.6 ( 49.1 )
4 少し下がる4.8 ( 10.7 )
5 かなり下がる0.5 ( 0.6 )

Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
平均値:+4.3 ( +2.4 )
中央値:+3.0 ( 0.0 )

Q16. 5年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。
1 かなり上がる21.8 ( 12.3 )
2 少し上がる54.3 ( 48.5 )
3 ほとんど変わらない15.3 ( 25.1 )
4 少し下がる5.4 ( 10.0 )
5 かなり下がる0.7 ( 1.5 )

Q17. それでは、5年後の「物価」は現在と比べ毎年、平均何%程度変わると思いますか。
平均値:+4.3 ( +3.5 )
中央値:+3.0 ( +2.0 )

・・・・・・・えーっと、今回は物価の見通しが上昇しているのですけれども、これが先般の震災を受けてどのように数字が変わってくるのかが注目とゆー所でっしゃろってな感じでふ。


○その他少々

・固定金利オペ(基金共通担保)の按分率が上昇している件について

3か月物の固定金利オペ(基金共通担保資金供給)の按分率の推移ですけどね。

3月28日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110328.htm

3月30日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110330.htm

4月1日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110401.htm

つーことで、27.8%→44.8%→50.6%と順調(?)に按分率が上昇しております。

基本的には固定金利オペはベースのファンディングとして業者が使うという感じだと思うのですが、足元でオペが沢山出ているのもありますし、更に短国が(金曜の3か月TB入札はとりあえず0.10%前半という感じになりましたが)受渡ベースの6日までスッカラカンになっているという状況になっておりまして、そもそもオペの担保が不足している状態になっているので按分率上昇というのもあろうかと存じます、よー知らんけどな。

つーことで、この按分率上昇がこのまま継続するかどうかは知らんですけれども、この調子で按分率が上昇して札割れとかなりますとこれがまた中々胸の熱くなる展開になるのよね。つまり当座預金残高に関しては別に目標がある訳ではないのでどうでも良いのですけれども、基金オペに関しては何せ残高目標がありますので、基金オペが札割れすると言うことになりますと買入等基金オペ目標未達という素敵な状態になってしまいまふ。

まー多分基金オペが札割れしたら普通の共通担保を減らせば済むような気もするのでそんなにおおごとにはならないとは思いますし、どうせこれから国債増発される分オペの打ち余地が高まりますからそんなにすごいことにはならないとは思いますけど、将来的にどうなるのやらという所で。

ま、そもそも足元で資金供給オペ大会によってコール平均とかも低下して自動的に事実上の量的緩和状態になっているという論点もありまして、そういや先般の決定会合議事要旨ではオペレーションで政策スタンスの変更みたいなのが示されてしまうのは如何なものかという論点に対して何か微妙に齟齬があるような気もせんでもないのですが(^^)、そもそもディレクティブが0-0.10%という状態になっているのですから、こーゆー流れになるのも仕方ないのでしょうな、うんうん。


・人のふんどしコーナー

色々と同意したり勉強になったりするので人のふんどしコーナーである。

・bewaadさんの久々のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110401
アリフレ政策の議

・what_a_dudeさんの最近のエントリー2本
http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20110329/
危険デマも安全デマもどちらも有害―ジャーナリストの役割は正しい情報の提供

http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20110330/
流通しているものは安全、の意味

・厭債害債さん
http://ensaigaisai.at.webry.info/201104/article_1.html
震災後の市場について

・・・・色々と勉強させていただいておりますが勝手にリンクと。








2011/04/01

お題「本日は予定を変更して各種悪態シリーズでお送りいたします」

昨日の訂正ですが、東電への融資で「メガ4行」と書きましたが、まあ引用元のURLを見ればお分かりのように「メガ3行」(みずほではCBのみの参加でBKは参加せず)の間違いでした。深くお詫びして訂正しておきましたです。

さて、本当は昨日の続きで溜まっているFED観察大会でプロッサークオリティの見学会をする予定でしたが、期末だというのにトサカに来るニュースが昨日は続出致しましたので、頭から湯気を出しつつ悪態でござるの巻とさせていただきたく存じますので、予定しておりましたお話は後日。

ちなみに今日は4月馬鹿ですがその手のネタは全くございませんので念の為申し添えます。


○日経新聞の震災国債引受報道

昨日は後場途中から上値重いですねとか思っていたら引けに掛けて先物は下がるわ10年カレントは妙に重いわとなって妙な相場展開に。復興対策に関するニュースが出ていたのは出ていたのですけれども、良く良く見たらしらっと「国債を日銀引受」とかある次第で、前回産経が書いた時には市場は完全スルー状態でしたが、日経が書いたというのとその記事にあるのが何と「政府が」という事ですので、じわじわと効いて来たというのもあるでしょうし、ガイジンさんあたりが食いつきそうな所でもあったので、まあ単に月末のオペレーション絡みの下げかもしれませんけれども、引けの雰囲気の悪いこと夥しい訳で。

日経のWeb版の記事はURLがクソ長くて困りますが、当該記事はこちら。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E1E3E2E3E58DE1E3E2E1E0E2E3E39F9FE2E2E2E2
(記事の後半は有料会員のみでありますので記事全部は知らん)

『復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出した。』(上記URLより)

・・・・・と言う訳で市場で消化できますがなと言ってるのにも関わらず日銀による直接財政マネタイズを検討というのが出まして、後場終盤に相場が弱含みになって引け際ストンと先物とかが下がったのは日経記事だからという事で先般の産経新聞の話と比べたら何となく事実っぽい話と捉える向きが多くなるわなという点からも不思議ではありません。

いやこれが期末の月末(まあ期末なら月末ですが^^)で皆さんポジション固めた後のニュースだからあんまり反応してませんでしたが、もし10年入札の日だとかだったらそれこそ10年入札が札割れになってもおかしくないレベルの話でございますわな、何せ「政府が財政マネタイズを決定」みたいな記事ですからねえ。

・・・・と思ったら引け後のニュースヘッドライン(あたくしはブルームバーグニュースで見たのですが)に枝野官房長官が会見か何かで「震災国債の日銀引受を政府で検討していると言うことは無い」と否定していたというのがあったのでイブニングセッションで債券先物の売りは一旦止まった風情でありました。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a0rIFthzL.xM
枝野氏:政府の決定や検討開始を否定−震災復興で日銀の国債引き受け


えーっとですな、さっきのURL先の記事冒頭には思いっきり『政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が31日、明らかになった。』という風に「政府」方面からの情報という触れ込みで記事が書いてあったのでありますが、政府の中枢そのものであります所の枝野官房長官が思いっきり否定している中で政府の検討している素案で日銀引受の話がでるとか意味が判らないんですけど。

いつもだと月末明けって10年長期国債の入札があったりするのですが、今月は今日の入札は3か月短国で、10年の入札は来週火曜日なのが不幸中の幸いでありまして、もし今日10年国債入札で枝野さんの明確な否定発言が無かったら入札が札割れしてもおかしくないような話ですし、そうなったら「リスクプレミアムの拡大」という経済ファンダメンタルズと別の世界での長期金利上昇が発生して復興どころの話じゃなくなるのでございますけれども、この記事書いた日経新聞の記者と、日経の取材源の「政府筋」だか「政府関係筋」だか何だかしらんがその取材源ちょっと出て来いやという感じであります。言論の自由か知らんが、中銀による財政マネタイズなんて一番デリケートな話題を話がフワフワの状態の中で決定事項のように報道する(枝野官房長官の発言が正しいと仮定してのことですが)とか、日本の運命を筆のおもちゃにして遊んでるんじゃねえこの国賊どもがという所でありまして、お前らただの飛ばしだか願望記事書いてやがるんだったら今すぐ揃ってこの場で腹(以下激しく自粛)としか申し上げようが無い次第であります。

つーかよ、こんなデリケートな問題で飛ばし記事書く(枝野官房長官の発言が正しいと仮定してのことですが)とか言論人としての資質を疑うレベルの話であって、まさに何とかに刃物といった風情であり、まあ腹を(自粛)で済むだけではなく、地獄の火の中(以下自主規制)であると存じます。


○要するに選挙目当てに財源が欲しいんですかそうですか

で、別に市場の片隅で生息する無力チンピラ参加者のあたくしだけでなく、ちゃんとした市場参加者の皆様に置かれましても、別に単発の復興支援で国債の増発があってその増発が野放図に拡大するのでなければ普通に市場が消化できるし、そもそも現在国債をしこたま市場消化しているのであって、それが10兆やそこら増えたからと言って破滅的な金利上昇を招く訳でも何でもないという話は折に触れて発信されておられるかと存じますが、それにも関わらずわざわざこのタイミングで国債の日銀引受をしろ、という話が出てくるとなりますと、こちらとしてはその人たちの意思を小見出しのように感じてしまいますがなと思うんですけどどうでしょうか。

時あたかも統一地方選挙の前半戦スタートとなっている中で、復興関連名目でとにかく色々と財政支出したい、となっているので国債発行の規律がどうのこうのとか文句を一々言う小姑みたいな「市場」とやらを通さないで、日銀という打ち出の小槌が欲しいから国債引受って話をするんですね、と金融市場の人だったら一般的にそう思うと存じます次第でありまして、こういう話が与太話レベルじゃなくて実現性のありそうな話で出てくるという時点で民主党政権の財政問題に関する認識の浅薄さが現れている訳ですよね。「財金分離」とか言って武藤副総裁の総裁就任を拒否した民主党がいざ自分たちが政権取ってみると財政を打ち出の小槌にして選挙民の歓心を買いたいとかもうここまで来ると民主党全員(自主規制)とか思うのでありまして、ふざけるんじゃねえこの(自粛)とか存じますがどうでしょうかねえ。


○そしてここを先途と自己アピールする馬鹿がカオスに拍車を掛けると

でまあメディアっつーのは一面で「目立ってナンボ」的な部分もありまして、特にまあニポーンの場合は広告収入で食うというビジネスモデルが幅を利かせておりますので、とにかくこの危機モードで目立つニュースをしたり目立つ意見を吹聴したりという事によって自己アピールしようという輩がのさばって、混乱に拍車を掛けるような言説が罷り通るようになるという流れがあちこちで散見される訳であって、そういや日経って昨日は朝刊1面トップの日産自動車さん関連記事が思いっきり日産自動車さんから否定されていましたと存じますが、何か目立とうとして報道機関としての基本的な部分がどこかに飛んでいるんじゃねえかと。

更にどうように目立ってナンボみたいな意識をお持ちの方が多い民主党あたりの政治家の皆様(野党時代からのあのパフォーマンス癖は全く治りませんわなあ)がドヤ顔でしゃしゃり出てきてこれまた余計な事をしやがってみたり、兎に角目立ちたい&歓心を買いたい一心で後先の事を考えているとは到底思えないパフォーマンスを図る訳で、混乱を利用した火事場泥棒みたいなのが多すぎで全くトサカに来ること夥しい訳でございます。自分がアピールする為には混乱を煽る事を厭わずとか端的に言ってしまえばそんな馬鹿こそ(以下超自粛)。

で、まあそういう目立ちたがりの総本山が政権与党というのが更にトサカに来るわけでありまして。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=atJbOfGb.LEQ
民主:日銀は金融緩和の適切・機動的な実施を−復興策で部門会案(2)

ブルームバーグでこの記事のヘッドライン見たときに椅子から落ちそうになったのですが、日銀は追加緩和の実施に金融市場の動揺を防ぐための渾身の資金供給実施など、おまえらがしょうもないスタンドプレーに終始する間に色々とやっている訳で、お前が言うなという言葉がここまでしっくり来るニュースも無い、と昨日の午前中にこのニュース出て昨日はそもそも朝からトサカに来る状態だった訳ですが、その後にさっきの日経飛ばしニュースですから悪態ゲージも上がるというものでございます。


○それにこんなニュース出たら日銀が国債買入増やしにくくなるじゃねえか

それからね、まあ枝野官房長官が言うように今回のこの日経新聞の記事が具体性の低いやわらかい状態の話を思いっきり確定のように飛ばした日経記者の飛ばしだったとしてもですよ、こういうニュースが一旦出てしまうと、日銀が国債の買入を拡大しようとか、資金供給オペを拡大して短期金融市場で資金じゃぶじゃぶにしましょう等というような事をやると、一々それが「財政マネタイズ」と関連付けて思惑を呼びやすくなるのですから、そういう文脈からしても今回のこの記事書いた奴ちょっと出て来いやゴルァと思うわけですよ。

いやね、実は今月の(2回実施される)決定会合あたりで国債増発が来る前に事前に基金国債買入の拡大を決定するかもしれないなあとかちょっとだけ予想していた(本当)のですよあたくし。以前も麻生政権の時に経済対策の補正予算の話が出る直前に日銀は輪番オペの拡大を行った実績があるので、そういう前例からも「財政マネタイズと関連付けられないようなタイミング」での国債買入拡大(国債増発したら短期金融市場の資金バランス的にはある程度長めの期間の国債を買ったほうが金融調節がやりやすくなる)というのは大いに可能性があったのですが、今回の日経の与太記事(枝野官房長官の発言が以下同文)によって日銀の基金国債買入(なり輪番なり)拡大や、先般決定した基金買入の前倒し実行辺りまでもが「財政マネタイズ」として連想されやすくなるリスクが高まっている訳ですから、このお馬鹿記事(枝野官房長官以下同文)によって望ましい政策(とあたくしは思っていますが)の遂行を妨げるという、これを国賊と言わずして何を国賊と言おうかという記事でもある、というのが今回の記事であろうかと存じます。


○まあ要するに現政権の統治能力の問題じゃねえのかと

大体からしてよ、「政府が決定」みたいな書き方で滅茶苦茶デリケートな財政マネタイズの記事が思いっきり出たと思ったら官房長官がすかさず否定。しかもその元記事書いているのがそこらのチンピライエローペーパーじゃなくて日本を代表する経済クオリティペーパーとか言う時点でこの政権の情報発信能力とか情報管理能力とかどうなっているんだと小一時間問い詰めたい次第でありまして、タガが外れているというよりはもうゆるふんのフンドシが落ちてモロ出し状態になっているんじゃないのかという位の情けない状態だと思わざるを得ないのが悲しいところであります。まあ頭のタガはとっくの昔に外れて脳味噌がダダ流れになっているのかも知れませんが。

まあ大体昨日も悪態成分が入りながら書いたけど、東電の話だってこの非常時に感情論を交えながら賠償が無限に増えそうな勢いの話が出てみたり、国有化云々とか思いっきりデリケートな問題で何か煮詰まっていない話で金融市場に燃料とうかを連発したりとやっている訳でして、政権全体として統治能力が問われる状態になっており、それはつまり各種のリスクプレミアムが拡大する、という形で国民厚生的に誰も得しない展開が更に拡大しているのではないかと思う次第であります。

大体からしてこの政権、トップからして発言がなってない訳でして。
http://www.asahi.com/politics/update/0331/TKY201103310499.html
菅首相、原発新増設の見直し検討 東電存廃も議論へ

おいおいおいおいおい、東電「存廃」って「廃」なんて選択肢があるのかよ冗談にも(以下罵倒文言が続くため自主規制)という所でありますが、何せ『東京電力福島第一原発の事故にめどがついた段階で、同社の存廃を含む国内電力会社のあり方を議論する姿勢も示した。』(上記URLより)という他の電力会社まで話がでるのかよと読めてしまう恐ろしく不用意な発言をしておられるようでございますので、さすがに枝野官房長官が火消し会見をしていましたな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aR1gpPS4Ksm4
枝野氏:東電には電力供給の責任、政府も支援、在り方議論は尚早

まあ菅さんも別に東京電力を法的にこかすような意味で喋ったのでは無いと思いますが、そもそも論として下手な解釈をされるような物の言い方をする事が既に危機管理がなっていないにも程がある訳で、特に金融市場なんて欲豚の集まり(あたくしもワンオブ欲豚)の世界は、欲豚なだけに欲にまみれた上に臆病者と来ていますから、ちょっとした不用意な発言でもその一部を捕らえて右往左往するものであり、市場にストレスが掛かっている時にはその右往左往が市場の自己破壊に繋がる場合だってある訳で、まあ端的に言えば能が無いならそこで黙って座ってろという風情でありまする。

で、枝野さんもちょっと何だかなあというのが昨日の東京新聞朝刊であったのですけどね。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011033102000034.html
東電会長 1〜4号機 廃炉明言
2011年3月31日 朝刊

『一方、枝野幸男官房長官は同日の記者会見で「客観的状況は明らかだ。社会的な見方はかなりはっきりしている」と述べ、1〜4号機だけでなく、隣接する5、6号機も廃炉になるとの認識を表明。勝俣会長と異なる見解を示した。』(上記URLから)

周囲の汚染状況から5、6号機の運転は難しいとでしょうし、そもそも設備が老朽化してたらリスクあるわなと素人考えではあたくしも思うところでありますが、その廃炉にすべきか否かって話は「社会的な見方」じゃなくて「技術的な見方」で決定されるものであって、社会的な一時の感情論でどうこうするものではないと思うのであります。どうも枝野さんも発言そのものにはあまり安心感が無い人だなあと思う(そもそも東電の賠償がどうのこうのの話を盛り上げたのは枝野さんな訳ですし)のでございまして、「政治主導」「政権交代」で熱狂した(あたくしはご案内の通り口を極めて悪態ついてましたが)結果がこれですかと思いますと実にこう暗澹たるものを感じざるを得ない今日この頃でございます。


・・・・つーかさ、もうそろそろ市場は怒って10年国債入札とか札割れにでもした方が良いんじゃないかとか思うようになって来る位あたしゃトサカに来てもう頭から湯気シュシュポポ状態になっているんですけどねえ。



○と、トサカに来ているあたくしに追い討ちを掛ける嫌がらせタイミング格下げ発生

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a109n5xN5240
ムーディーズ:東京電力をBaa1に格下げ、格下げ方向での見直し継続

まあ一応格付けアクションに関わるリリースは読ませて頂きましたのでそれはそれと致しまして、何がトサカに来るってこのリリースが昨日の夜7時半過ぎに実施されている事であります。

つまりね、期末営業日の通常のトレード終わった後に3ノッチの格下げを敢えてリリースするとか、どう見ても嫌がらせというかテロ状態のタイミングでして、ただの週末程度ならまだしも、日本の多くの金融機関や企業の決算締めのタイミングをわざわざ狙うとかどうもこの会社は日本は焼畑農業の焼畑とでも思っているのではなかろうかという所でございます。しかも1兆9000億円の融資が出て(確定ニュースは見ていないけどMoody's社のリリース見てると今回融資が出た事を前提にしているような分析になっているっぽい)財務ポジションが改善したタイミングで売ってくるとかどういう嫌がらせなのよと。

どうせ一昨日とかにリリースしたら発行体の方から依頼格付取下げ攻撃が来るから期末の逃げられないタイミングを狙って3ノッチ格下げ攻撃とかどう見ても格下げテロです本当にありがとうございましたという所ですが、まーここは欧州ソブリンとかBPとかの格下げの時にも嫌がらせのようなタイミングでリリース打って来るというのが最近の仕様なので、これが最近のMoody'sクオリティなのですが、この会社も何か「目立ってナンボ」みたいな行動原理で動いてるんじゃねえのと問い詰めたくなる次第であります。

ただまあリリースの内容を見るとその中で政府のサポート体制がどうなっているのかさっぱり判らないのがリスクというような趣旨と思われる背景説明がありまして、まー要するに事業リスクというよりは政治リスクを織り込んだ格下げなんでしょうなあとは思いますが、そんなの別に3月31日じゃなくても判ってる話でありまして、わざわざ期末の夜7時過ぎ(以下同じ悪態が続くので割愛)。

そういう意味では統一地方選挙やってていつも以上に政治方面のポピュリズム的スタンドプレーが出易い今日この頃でありますので、政治リスクが更に顕在化しやすい時間帯にあるのが非常に懸念材料、と言ってしまえばそうですなという所でありますが、火事場泥棒の跳梁跋扈は止まらないのでありまして極めて遺憾でございます。



○悪態付くのも疲れたのでちょっとだけ普通の話

昨日は東京レポレートが貫禄の新記録更新。
http://www.boj.or.jp/statistics/market/short/trp/trp110331.htm/

T+0 0.074
T+1 0.079
S/N 0.083

当座預金残高40兆円恐るべしとしか申し上げようがありませんが、特に期末ということもあって債券残高を調整したい人が短国買いだの短国買い現先だのを今週に入ってからせっせとやってる上に資金が余っているという状況でございますので、セカンダリーの短国も3か月以内で0.10%割れのオファー、というかそもそもオファーが出てこない状態だったりする次第で、今日の3か月TB入札は中々ファンタスティックな入札になるんでしょうなあと思われる所です。

あと、他に何か書くことがあったような気がするが朝からトサカに来ているので本日はこの辺で勘弁。