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2011/06/30

お題「3か月TB入札/趣味のBOEネタである」

米国10年国債が3.1%乗せとな・・・・・・

○3か月TB入札(^^)

昨日の3か月TB入札結果。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230629.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛
(募入最高利回り) (0.0982%)

(5)募入平均価格 99円97銭7厘5毛
(募入平均利回り) (0.0902%)

ちょwwwwwなんですかこのテールの長さはという感じでございますが、前場の段階ではやたら強い所でWIをやっていたので、空振りを避けようとゆーことでうっかりすると0.07%台とかから応札したんでしょうなあとは思うのですが、まー案の定預金ファシリティー金利割れのニーズは限定的でございまして、4兆8000億円の入札分を全部捌くだけの札が無かったので、足切りだけは0.0982%と0.10%直前寸止めレートになりましたとゆーことでしょうな。

つーかですな、いやまあ先週の入札で壮絶ショートカバーさせられた人もいたようですので入札空振りはマズーという事で上に必殺の札を入れるのは判るんざますが、このレベルって業者の調達コストや預金ファシリティーとの勘案で言えば実質的にはマイナス金利の世界(ただし預金ファシリティーの外側にいる投資家にとってはゼロより高い場合はプラス金利ではあるのが話をややこしくするのだが^^)でして、そのマイナス金利の範囲内で札を流してどうすんねんといいますか、必殺の次の札は0.10%でエエンチャウノとか思うのは気楽な傍観者だからですかそうですか(^^)。

まあ何はともあれ、0.10%割れのニーズが限定的とゆーのが判明した所で華麗に足切りオファーとかなったようで、これはまた何とも香ばしい入札となりましてちったあ短国市場正常化に向かってくれるかねとは思うのざますけれども、まだ海外タイムとかでは順調に販売が進んでいるっぽいので、やはり先々週の木曜辺りから短国ちゃんが変調というよりは夏の短国祭り状態になっていた流れの余波がまだ少々ちゅう所でしょうかねえ、よー知らんが。

とりあえず明日はカレンダーベースで4半期末を目出度く通過しますので、そこでここもと強かった短国のうちどの辺りまでが期末特殊要因でござるの巻であって、どの辺りまでが預金ファシリティーの外側の人たちのマジ買いなのかがある程度見えるかなあとwktkしているのですが、そうは言ってもビットサイドが0.10%乗せになっちゃったら期末特殊要因で買った人も別に直ぐには売ってこないかもしれませんし(中長期債の購入との入替で飛び出てくるかも知れませんけどね)にゃあとゆーことですが、以上の相場雑談にはあたくしの妄想成分も多分に含有されておりますことを念の為ご了解されたく存じますです、よー知らんがの。


○BOEの6月会合議事録ネタである

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf

ご案内の通り英国経済はどう見てもスタグフレーションです本当にカムサハムニダという風情を醸し出しているのでありますが、現状評価とか先行き見通しが微妙に微妙なのでその辺りを鑑賞しようかと存じます。

・世界経済への評価が「これは一時的要因ではないかもしれない」とな

『The international economy』の第8パラグラフ以降になりますが。

『8 Indicators for the second quarter had continued to point to a broadly based slowing in the pace of global activity. The JP Morgan global manufacturing PMI, excluding Japan, had fallen again in May, as had the comparable services index, albeit by rather less. Taken together, these surveys indicated that global growth in the second quarter would be weaker than the Committee had assumed at the time of its May Inflation Report.』

ということで、2Qに向けた経済指標は日本以外のグローバルな経済活動の低下を示し、5月のインフレーションレポート作成時点での見通しよりも下振れているとのお告げでありまして、一方でその翌週に(いやまあ確かにBOEの見立てのように日本は経済活動の回復を示していたとは言え)現状判断上方修正の日銀とはこらまた随分と雰囲気違いますのおと。

『9 On one view, it was possible that the apparent slowdown in activity could be explained simply by the disruption to global supply chains caused by the earthquake and tsunami in Japan, together with the dampening impact of elevated oil prices.』

で、その世界経済減速の要因に関して、日本の震災の影響と石油価格の上昇で説明できるというビューもありますなと。

『The weakness of automotive manufacturing output in the United States and the slowdown in consumer spending growth there could be consistent with that.』

つまり現象として、米国での自動車関連の生産の落ち込みや、(石油価格上昇に伴って発生したと見られる)消費支出の減速というのがありまして、上記のビューを裏付けるのではないでしょうかっつー所っすな。

『On that view, unless oil prices rose further, activity might be expected to recover over the coming quarters as supply chains were re-established. Over the past month, the dollar price of Brent crude oil had fallen by almost 3%, notwithstanding an increase on the first day of the Committee’s meeting following OPEC’s lack of agreement on production quotas.』

というビューに則ると、サプライチェーン問題が解決に向かうと、原油価格のこれ以上の上昇が無ければ生産活動は回復に向かうという話になるし、足元では原油価格の騰勢が弱まっていますよねってな事でこの辺までは明るい話。

『10 It was also possible, however, that the softening of global growth would be more sustained. Supply-chain disruption could not explain the apparent weakening in services activity in many countries or, for instance, relatively disappointing US employment and investment indicators. It was possible that private sector deleveraging and fiscal consolidation in many countries would prove more of a drag on growth than anticipated, though it remained too early to draw firm conclusions.』

一方で、この世界的な減速傾向は一時的ではないのではというビューがありますなという話をしていますわな。即ち、例えば米国の雇用や投資関連の経済指標の弱さなんかは、サプライチェーンの落ち込みによるものであるとは説明できませんですわよ奥様とゆーようなお話でありまして、まだこの辺りの結論を出すには早過ぎるという事のようではございますが、この辺米国経済を例にとって話をしているだけに、米国の6月FOMCとも微妙に温度差があるっぽい感じを受けて中々興味深いところではございまする。

FOMC後のバーナンキ議長の会見に関してはTranscriptがFRBのサイトに出ているのですがまだネタにしておりませんが(汗)、まあ声明文だけ見てもよーわからんのでありますが、Minuteおよび議長会見のお話辺りとこの辺のトーンを比較してみたいなあと思ったりするわけでございまする。


・英国経済の現状についての判断も保留モード、というかかなり判断に苦慮している模様

『Money, credit, demand and output』の第12パラグラフから。

『12 It was not yet clear from the available data whether the recent weakness in growth would prove to be a temporary soft patch or something more lasting.』

なるほど。んでその考察に関して色々とございますので鑑賞。

『Despite a possible boost from the recovery from snow disruption at the end of 2010, real consumer spending had been estimated to have fallen by 0.6% in the first quarter. Although the unexpectedly rapid growth in the consumer expenditure deflator suggested that real consumption might eventually be revised upwards, the weakness of real household consumption had been consistent with the sharp reduction in indicators of consumer confidence in the early months of the year. Those indicators had recovered in May, although they remained at a level consistent with further falls in consumption.』

『House prices had remained broadly flat. Housing transactions had remained below the level normally implied by natural market turnover, although there had been some signs that the supply of houses for sale was beginning to edge up.』

と、この辺までが家計部門の実質消費支出の落ち込みとか住宅価格(=家計のバランスシート問題)の話ですな。

『Business investment was estimated to have fallen by around 7% in the first quarter. Some, but not all, of that weakness was likely to reflect the unwinding of the erratically strong spending on aircraft in the second half of 2010 induced by tax changes at the start of 2011.』

企業の投資に関しては落ち込んでいるものの、これはそもそもが前年の特殊要因による部分やVATなどの変更に基づく部分がありますとゆーことで、どうもこの後にも色々と説明が続くのですが、問題としては家計の「実質消費」の部分っぽいです。ちょっと飛ばして第15パラグラフ。

『15 As in recent quarters, nominal spending indicators had been more robust. Nominal consumer spending was estimated to have grown by over 2% in the first quarter and by 5% over the previous year.』

名目ベースの消費者支出は強いですかそうですか。

『This might simply reflect households’ unwillingness or inability to alter some of their real spending patterns in the face of higher prices. But it might also provide a positive signal about households’ future spending.』

名目が強いのは単に物価が上昇しているけどもそう人間生活パターンを変える訳ではないですからねえという事なのかもしれませんが、もしかしたら家計の将来の支出に対してポジティブなシグナルかもとな。

『The Committee noted that the strength of nominal spending in the economy had been possible despite the continued weakness of money and credit growth. Notwithstanding some erratic monthly movements, broad money growth had remained very subdued. And the stock of M4 lending had not grown at all since the beginning of 2010, while lending to private non-financial companies had continued to fall. Given the available data, it was not yet clear whether the reported increase in nominal spending in the first quarter had been associated with a reduction in saving or increased income.』

しかもマネーが伸びているわけでもクレジットが伸びている訳でもない中で、足元1Qの名目消費の強さについては、貯蓄取り崩しなのか家計の収入が伸びている事なのか(実際問題として賃金改定に関しては2%割れ水準で推移しており、そんなに強いわけでもない)はよー判りませんなとか何とか言う話をしています。

何か、物価が上昇しながら景気が減速しているという状態だと、出てくる経済指標とかがかなり複雑なものになってきて、政策判断としてどっちを注視すべきなのかというのが非常にむつかしいんでしょうかねえというのは何となく把握しましたが、こうなって来るとインフレーションターゲットというよりはどう見ても裁量的政策です本当にありがとうございましたという感じでございますわな。

Minute後半以降に関してはまた明日にでも(^^)。





2011/06/29

お題「これはまた麿絶好調ですな(オランダでの講演メモ)/その他世間話雑談」

「極端な悲観からガラッと極端に楽観に振れたように見えます」というモーサテの為替コメントがモーサテにしては珍しく感じが出ていますな、うんうん。

さて世間話雑談を少々。

○世間話雑談を少々

・静岡県債を買うと静岡県に対して好き勝手な要求が出来るらしいです(嘘)

読売新聞ニュースより。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110628-OYT1T00062.htm
静岡知事、お茶の「伊藤園」空港広告撤去要求

『川勝平太・静岡県知事は27日、静岡空港にある大手飲料メーカー「伊藤園」(東京)の広告看板を撤去するよう、空港ターミナルビルを運営する「富士山静岡空港株式会社」(静岡県牧之原市)に要請した。』(上記URLより)

という事で、静岡空港って県営じゃ無いはずなんですけどと思ったら同じ記事中にこのような大変に素敵な川勝知事のお言葉がございました。

『空港会社は県からの出資を受けない民間企業。記者会見で、企業間の契約に県が口を挟むことの是非を問われると、川勝知事は「県が27億円余りを貸している会社で、要請する資格はある」と話した。』(上記URLより)

>「県が27億円余りを貸している会社で、要請する資格はある」
>「県が27億円余りを貸している会社で、要請する資格はある」
>「県が27億円余りを貸している会社で、要請する資格はある」

これはまた大変に素敵な理屈を展開して下さる知事様でいらっしゃいまして、この理論だと静岡県の公債を購入すると県政に対して好き勝手要求する資格があるという事のようでして、株式担当部門で議決権行使についての意思決定をどうするという件について色々と忙しいというのは存じておりましたが、まさか債券担当部門で議決権行使のような事で悩まないと行けないとは大変に画期的なお話であろうかと存じます。

てかさ、こんなこと知事が言い出したらしまいに「指定金融機関は県が資金を大量に預金しているので経営に関与する資格はある」とか無茶苦茶な事を言い出しそうでございまして、いつからこの国はこの手の「法の支配」という概念の理解が存在しない暗黒中世国家の暗黒王みたいなアホウが権力機構の中にウジャウジャ揃うようになったのかと血圧が急上昇する思いでございまする。

・・・・・・もしかして川勝知事様におかれましては「他の自治体ではそのような事は無いですが、静岡県では公債を購入すると県の行政に好き勝手に要請する資格が発生しますので是非当県の公債をご購入下さい」という新手の公債販売促進政策をお取りになられているのでしょうかねえ(−−)。


・おまえが言うなおまえが

しばらく前までのzakzakでの注目記事トップになっていた記事ですが。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110624/plt1106241635005-n1.htm
悲しき無知…菅&枝野ビビッて「債権放棄」発言撤回のワケ
2011.06.24

まあ産経クオリティーな上にzakzakクオリティーだから記事の内容がどこからどこまでアレなのかというのがアレなのですけれども、

『先の関係者は「金融に詳しくない人物。金融や市場に関する知識に浅い者が、安易に金融機関の債権放棄を入れ知恵した。それが関係者を混乱させ、銀行株の急落をはじめとする市場の混乱を引き起すことになった」と内幕を明かす。』(上記URLより)

まあさもありなんという話ですが、これを捕まえて『悲しき無知』とは産経様もこれまた大きく出たなと思うわけでございまして、産経新聞様と言えば時々ネタに困った時の(いえいえそんなことはありませんよ^^)電波浴シリーズに見られますように、大変に素敵な記事を書かれる事で一部のヲチャーを楽しませてくれるのが仕様だと思うのですけどにゃあ。

まあ経済ネタでは脅威の「田村秀男の日曜経済教室」が素敵なのですが、それ以外にも素敵なネタシリーズがありまして、先日来これまた話題になっていたのでご存知の方も多いと存じますが、どう見ても永久機関、あるいは単なる位置エネルギーを利用した超効率の悪い装置を捕まえて「夢の新発明」扱いするというチャレンジャーにも程がある記事があると思ったらその内容が更に拡大して詳報されるという有様に頭がクラクラしておりました所、Yosyanさんの所のブログ「新小児科医のつぶやき」で記事への詳しいツッコミをしておられましたので(ちなみに医療関連とか科学関連のエントリーが客観的かつ医療現場の状況などを反映しているので勉強になりますです、はい)ので一読推奨。

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20110627
2011-06-27 さすがは産経
(コメント欄も中々面白いです)


・ちょっと真面目に今日は3か月TB入札ですねという雑談

さてさて、まあそんな雑談は雑談と致しまして、ちょっと真面目に相場ネタといえば本日は3か月TBの入札でございます。何せ前回の入札は平均0.0918%足切り0.0922%という大変に素敵な結果になりまして、まだその余波でモノナシ状態になっているのか、相変わらず短い所のTBは預金ファシリティーを下回る金利じゃないとモノが出てこないというかうっかりすると売りに行っても預金ファシリティー以下の素敵な金利になるっぽい(とあたくしが申し上げるのを見て千億単位で売りに行って0.10以上のビットしか出なかったと言われても苦情は受け付けませんので念の為申し添えます^^)とゆーのが昨日辺りの短国市場クオリティーだったようでございますので、今日の入札ちゃんで0.10%乗ってくれるのかどうかは正直知らん。

まあこの前から半分口惜し紛れに申し上げておりますように(-_-メ)、本来的に言えば超足元の些少な額なら兎も角、毎週4.8兆円の入札が行われる新発3か月TBが入札レベルから預金ファシリティー金利を下回るとかゆーのは何ぼなんでもそこまで当座預金制度の外側に金は無いだろ(米国ですとGSEと言われる人たちが資金を莫大に持っていて実効FFレートが預金ファシリティー金利を恒常的に下回るというのはありますが、日本では預金ファシリティーの外側にある短期金融市場の余資は短国の発行額を全部カバーする程は存在しない筈)と思うので、決算等の季節的要因が絡んでいるとは思いますけど、本当の本当に債券市場の待機資金とかがうじゃうじゃ流れているといかゆーのだったらこらまたエライコッチャですなあとも思うのでありました。

今月は国債大量償還の関係で20日以降日銀当座預金残高が高水準で推移しており、財政の揚げが来るのが来週以降となりまして、次の大きな財政揚げが4日の税揚げだと思うのですが、そこに向けて何の供給をしなくても当座預金残高は楽勝で30兆円を維持するという素敵な状態でありますので、まあ確かにそもそも準備預金の進捗が良くて、資金が余りやすくて、うっかりオペで資金取りすぎちゃうとGCで担保の方をカバーしにいかないと行けなくなりそうな勢いですから、超足元が低いのはわからんでもないのですが、何もあーた3MTBまで波及せんでも・・・・とは思うのでございましたですよ。はい。


○雑談書いていたら意外に時間が無くなったので(大汗)簡単に

もうね、海外での講演とか学会の講演とかになると麿節全開で本人も相当気分良く講演しているんだろうなあというのが判るオランダでの講演の邦訳。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110628a.pdf
我々はテール・リスクにどのように対応すべきか
── オランダ外国銀行協会年次総会における講演の邦訳 ──

まあこの前の6月1日の講演の続きみたいなもんでありまして(ちなみに6月1日も英語が元でして、本当はこういうのは英語版を読むと味わいが更に深い筈なのですけれども、あたくしは純ドメドメ人間で英語は得意ではないのでついついマンドクセと言いながら日本語訳を読んでしまっております)、まあ足元の金融政策的にどうのこうのというのはあまり無いのですが、これは中々良い論点というのがあったのでとりあえずその辺をば。

本文6ページ目(PDFファイルで7ページ目)からの『金融システムの安定の重要性』という部分ですけどね。

『テール・イベントへの対応を考える上で、皆さんの注意を喚起したい第2の事実は、金融システムの安定の重要性です。生産の落ち込みが短期的には大きかったにもかかわらず、リーマン・ショックの場合と異なり、生産が比較的速やかに回復に転じているひとつの大きな理由は、金融市場、金融システムの安定が維持されていることに求められます。この面では、民間金融機関も日本銀行も震災発生直後から、金融市場、金融システムの安定確保に全力を尽くしてきました。』

たまたま昨日ネタにした6月1日の総裁講演でも金融システムの仲介機能の重要性に関する示唆が幾つかの観点から指摘されていたのですが、ここでテールイベント(今回で言えば東日本大震災)における金融システムの安定について言及している話が、以下の部分に繋がってきます。

『まず、決済システムの面をみると、被災地の複数の手形交換所が停止を余儀なくされましたが、日銀ネットを含む主要な決済システムは安定的に稼働を続けました。主要決済システムのコンピューター・センターが収容された建物は、東京およびその周辺地域における震度5強の地震に対して十分に耐久力を発揮しました。さらに、地震直後に一時導入された突然の計画停電の実施に際しても、自家発電などのバックアップ対応によって、金融機関店舗やコンピューター・センターの稼働が維持されました。』

ということでインフラとしてのシステムに関する話はその通りでありまして。

『日本銀行は、震災後連日にわたり金融市場に対し、リーマン・ショックの時をはるかに上回る大量の流動性供給を実施しました。また、震災発生の翌営業日に、マインドの慎重化や投資家のリスク回避姿勢の強まりから経済活動が下押すことを防ぐために、CP、社債、ETF、REITなどのリスク資産の買入を増額することを決定しました。』

という説明でありまして、つまり3月14日の施策は「基金買入の拡大」という形を取っていますが、信用緩和的というかQE1的な施策であって、信用緩和あるいはQE1が金融システム安定化を主眼として実施したように、この時の追加緩和の論点も信用緩和的なものでありました、という事が確認された(一応あたくし緩和実施の時にそういう話をしたような気がするので、論点間違ってなかったなあとホッとしたというのが正直な所である^^)とゆー事ではないかと存じます。

『こうした対応の結果もあって、未曾有の大震災発生にもかかわらず、日本の金融システムは安定を維持しています。仮に、今回、金融システムが不安定化していたならば、経済活動の落ち込みはもっと大きなものとなっていたと思われます。それだけに、金融システムの安定を確保することは極めて重要です。』

ということで。

んでもって時間がなくなってしまったので(おい)、講演の中での小見出しを並べて、白川総裁のお話を見ていきたいと存じますが(手抜き)、何となく小見出しを並べると話の展開が読めてくるという感じっすな、うんうん。

『3.テール・リスクへの対応−金融機関

・十分な量の自己資本や流動性の保有
・リスク・エクスポージャーの集中回避
・安定的な業務継続体制
・国際的なリスク・シェアリング
・冷静な行動

4.テール・リスクへの対応−公的当局

・頑健な決済システム
・金融規制・監督
・適切な金融政策運営
・マクロ・プルーデンスの視点
・最後の貸し手
・適切な情報発信』

まあ思いっきり時間の関係で手抜きになってしまいましたが、論点をコンパクトに整理していますので読んで味噌。




2011/06/28

お題「書く書く詐欺でスルーしていた虫干しネタで」

今日は東電の株主総会で胸熱とか思ったのですが、足元では東電のサイドでどうにかできる話じゃない面が重要になってきた感がございまして、民主党とか自民党の部会を見に行った方が良い(そんなの市場の無力参加者であるチンピラゴロツキには無縁の話ですが)という希ガス。

ということで、本日は散々書く書くと申し上げていた麿講演ネタを今更虫干しネタ大会という事で。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110601a.pdf(本文)
バブル、人口動態、自然災害
―― 日本銀行金融研究所主催2011年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳 ――

実は本文8ページしかないのですが、論点は一つ一つかなり濃いと思います。

プレゼンの図表はこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110601a1.pdf(図表)

#ご覧になればお分かりのように、6月1日の講演ネタで何を今更というツッコミはしないように。


○バブルと金融危機

冒頭の『2.過去四半世紀の日本の経済変動と今後の研究課題』の所で『今後の研究課題』というのがございまして、その研究課題の3つが・・・

『まず、第1の研究課題は、バブルとその帰結としての金融危機です。グローバル金融危機をきっかけに活発な議論が行われて来ましたが、さらなる研究の余地があります。』

『第2の課題は、人口の減少や高齢化といった大規模な人口動態の変化が社会や経済に及ぼす影響です。第3の課題は、予測困難な自然災害が経済活動に与える影響です。』

ほうほう。

『第2と第3の課題は、一見すると、金融システムや金融政策と無関係のようにみえるかも知れませんが、後述のとおり、そうではありません。人口減少は自然利子率の低下を引き起こし、ゼロ金利制約を通じて金融政策に影響を及ぼします。また、もし年金制度の予定利率が人口減少に伴う自然利子率の低下を十分に織り込んでいなければ、利回りの追求(search for yield)に拍車がかかり、バブルの芽が生まれるかもしれません。』

ということで麿節キタコレという感じですが、その次の『3.バブルと金融危機』の所から。

『はじめに、第1の研究課題であるバブルと金融危機について、お話したいと思います。バブル崩壊後の景気悪化は、通常の景気後退局面と比べて長期化し、回復当初の立ち上がりも鈍いという特徴が各国で共通に見受けられます。ちなみに、1990年代の日本、および2000年代後半の米国におけるバブル崩壊後において、GDP成長率と物価上昇率の両者が、日米で非常に似通った経路をたどっていることが観察されています(図表6)。』

『景気回復の遅れは、基本的には痛んだバランスシートによるものですが、この点、金融仲介機能の低下を背景とした非効率な資源配分と低生産性の関係にも注意することが重要です。持続的な経済成長のためには、潜在的な成長力の高い産業に経済資源を円滑に移動させることで、新陳代謝を維持していくことが極めて重要です。』

ということで、麿が(というか中央銀行の人が、ですけど)バブル警戒の話をするとバブルをむやみやたらと警戒して景気を強くしたくない中銀クオリティーとか言われる訳ですが、別に中銀的にそこまで考えている訳ではなく、バブルが起こる事よりもそれが崩壊した後に、バランスシート調整による景気の長期低迷が発生する事と、金融仲介機能が低下して経済のベースとなる成長力が落ちるという点を問題視しているというのが判ると思います。というか普段からこうやって丁寧に話をした方が良いと思いますし、逆に言えばこういう丁寧な説明を出来るような時間的な余裕の無い場所でバブル警戒の話をすると、「バブルを警戒して景気の拡大を抑制するとは本末転倒」という批判を受けやすくなる(只でなくさえ中央銀行というのはタカ派認定されやすい上に日銀は更にそうですから)ような希ガス。

『ちなみに、日本銀行のエコノミストは、バブル崩壊後6年間の日本経済のGDP成長率の低下幅3.6%ポイントのうち、1/ 7程度は、生産要素市場の歪みによる資源配分の効率性低下によってもたらされたと推計しています3。金融機関のバランスシートの悪化やゼロ金利の長期化が資源配分の効率性にどのような影響を与えるかについては、さらなる研究が求められます。』

まあだから成長基盤強化の充実を図る、という事で6月会合で不思議貸出制度が加わったという話でございまして、まあ後からこういうのを申し上げても時既にお寿司なので申し訳ございませんが、この麿節を拝読いたしますと、成長基盤強化に関する麿の思い入れが強そうです罠という話になるのであります(そもそもの導入時点では目くらましオペだったような気がしたのだが、何時の間にかこういう事になるというのも味わいがありますが)。


○フリードマン命題について

で、ここで話が止まらないで更にこれがまた麿絶好調モードになるのよ(^^)。

『この点について、デフレ期におけるマネーと信用の微妙な相違点を挙げておきます。かつて、ミルトン・フリードマン教授は、「インフレはいつでもどこでも貨幣的現象である」と述べました。有名なインフレに関するフリードマン命題です。』

どう見ても「バブルと金融危機」から話が逸れていますが(^^)、これが麿クオリティ。

『シカゴ大学におけるフリードマン教授の最後のクラスを受講した1人として、教授に対する尊敬の念を込めた上で、次のような質問を考えてみたいと思います。教授の命題の中の「インフーション」を「デフレーション」に取り替えたら、命題の妥当性はどうなるでしょうか。このように一見対称にみえる命題の妥当性を考えると、金融危機がデフレとどう関連するかについてより深く理解するための糸口が見えてきます。』

デフレ関連の話に流れていますが、この部分で麿が話をしたかったのは前段の部分の底流にある「だから日本は成長基盤強化が必要」という話と、後段のマネーとデフレの話ではないかと思うのですよねえ(^^)。

『インフレをデフレにするのだからプラスの符号をマイナスにする以外は何も変わらないと思われるかもしれませんが、議論はそれほど単純ではありません。デフレに関するフリードマン命題が成立するかどうかは、われわれが命題をどう解釈するかに依存します。』

ほうほうそれでそれで??

『この命題を、「金融危機に際して金融システムの安定が維持されなければ、マネー・ストックが大幅に減少し、デフレを招来してしまう」と解釈するならば、この命題は成立します。』

で、この辺りは(後にもありますけど)プレゼン資料の図表7を見るとヨロシアル。

『歴史を振り返ると、深刻なデフレは金融危機を併発しています。フリードマンは、著書である「米国の貨幣史」の中で、1929年から1933年の間、大恐慌時にFRBが最後の貸し手として適切に行動しなかったために、マネー・ストックは31%減少し、物価は25%下落したと指摘しています。一方、1990年代後半の日本では、日本銀行が最後の貸し手として積極的に行動したこともあって、1930年代の米国と異なり、マネー・ストックの収縮といった事態は回避され、物価は最大で年率0.5%の下落と、小幅にとどまりました。また、1998年以降、物価は累積で3%強下落していますが、これも米国の1930年代の経験とは全く異なります(図表7)。』

『つまり、日米両方の経験は、先ほど解釈したようなデフレに関するフリードマンの命題の成立を裏付けていると言えるでしょう。』

ほほう。

『他方で、この命題を「中央銀行は、マネタリー・ベースの拡大により経済をマネーであふれさせることによって、物価を思いのままに押し上げられる」という意味で解釈する場合、命題は、少なくとも日本や米国の最近の経験とは整合的ではありません。』

麿節全開キタキタキターーーーーーー(・∀・)

『1997年から2010年の間、日本のマネタリー・ベースは90%と大幅に増加した一方、マネー・ストックの増加は30%でした。2008年から2010年の間の米国の経験をみても、マネタリー・ベースは140%増加していますが、マネー・ストックの増加は10%に止まりました。』

んでもって・・・・

『一方、日本の消費者物価は、マネタリー・ベースの大幅な増加にもかかわらず、2010年までの13年間で3.7%下落しています。また、米国のコアCPIインフレ率は、マネタリー・ベースの増加にもかかわらず1%ポイント以上も低下しています。』

キタコレ。

『つまり、マネタリー・ベースが大幅に上昇したからといって、マネー・ストックやインフレ率が、同じように大幅に上昇することはありませんでした。』

どう見ても麿絶好調です本当にありがとうございました。

『命題を解釈する鍵は、金融システムにあります。バーナンキ議長は自身の学術研究の中で、「金融セクターとマクロ経済の連関性のすべてがマネーで説明できるという見方には懐疑的である(I doubt that it [money] completely explains the financial sector-aggregate output connection)」と述べていますが、日本の経験に照らして、私も同じ意見です。』

『金融システムやクレジット市場の微妙で複雑な作用についての理解なしには、マクロ経済や金融政策の波及メカニズムを十分に理解することはできません。この面での分析がさらに進むことを期待しています。』

バーナンキ議長を持ち出す所がチャーミングですが、金融仲介機能が低下した結果、マネタリーベースの拡大がそのままマネーストックの拡大に繋がらないという話は、特に金融危機の時はそうですわな、というかその前の方に話があったように、金融危機対応でマネーを拡大している時って正にそうですよねという話っすか。

まあそらそうよという感じですが、ではQE2とか英国の量的緩和みたいに、長期国債の大幅な買い入れを実施している金融政策の場合、金融政策とマネー、物価の関係ってどうなるのか、という点に関しての白川総裁(急にここだけ麿とならない^^)の見解を仮説でも何でも良いので一度お伺いしてみたいものではございます。


○人口動態と政策対応ですかそうですか

次の部分は『4.人口動態の変化と政策対応』というお題でおじゃる。

『次に第2の研究課題として人口動態の問題を取り上げます。ケインズは、1937年に行った「人口減少の経済的帰結」という講演の中で「人口減少期には、総需要が期待を下回り、過剰供給の状態が継続しやすい。従って、悲観的な雰囲気が続く可能性がある」と指摘しています。ケインズは、伝統的なマルサス流の人口増加懸念論とは対照的な視点を提供しました。新古典派成長理論では、経済変数は、一人当たりGDP、一人当たり資本ストックというように、「一人当たり」で議論されることが多く、これでは日本が現在直面しているような問題を扱えません。』

なるほど。

『日本は急速な高齢化と生産年齢人口の減少といった人口動態の変化期を迎えています。日本経済の現在と将来を考えるために、人口の規模や構造の変化を分析しようとしたケインズの視点が、より重要になってくるのではないでしょうか。この点、先進諸国はもちろんのこと、今後は、エマージング諸国も同様の課題に直面することが、高い確度で見込まれていることに言及したいと思います(図表8)。』

中国ですね、分かります・・・・ということで、人口動態と総需要、人口動態と景気循環という話になるのですが、まずは小見出し『人口動態と総需要』の所から結論部分をば。

『以上を踏まえると、人口動態の変化期には、社会・経済制度が、様々な変化に対して柔軟に対応できることが、制度が安定的に存続するために不可欠な条件であると再認識できるかと思われます。こうした観点から、有権者の高齢化が進む中で、高齢者の選好を反映し、社会全体の選択がどのような影響を受けるのか留意していく必要があります(図表9)。』

まあ前半部分読まないと具体的に何の話をしてるのか判りにくいかも知れませんが、基本的には人口動態の変化に合わせて制度の設計を変えないと対応できませんよねという話をしているです。

小見出し『人口動態と景気循環』の所ではこんな話が。

『冒頭で申し上げた通り、3つ目の視点は、ブーム・バスト・サイクル(boom-bust cycles)と人口動態との相互作用の重要性を示唆しています。両者を関連付ける考え方として、例えば「支出の波(spending wave)」という仮説があります。この一見単純な仮説は、消費者が支出のピークを迎える年齢が45〜50歳前後であるとの想定のもとで、「ベビーブーマー世代が『支出のピーク』を迎える時期と、景気や資産価格のピーク時とが重なる傾向がある」と主張するものです。』

なるほど。

『私の同僚である西村副総裁が指摘しているように、非現役世代1人に対して、何人の働き手が経済に存在しているかを示す指標である「逆従属人口比率」は、日米の不動産市場の動向と相関しています(図表10)。また、若年層は住宅の買い手として市場に参入するため、若年層の増加が不動産投資ブームをもたらす、という類似的な研究も存在しています。』

ほほー。

『こうした全ての議論は、バブルや金融危機の分析においても、人口動態の影響を軽視してはならないことを示しています。』

だそうです。


○自然災害と集中のリスク

『論点は多岐にわたりますが、ここでは「自然災害による生産活動の大規模な混乱を回避ないし軽減するために、どの程度追加的なコストをかけるのが望ましいか」という論点に絞って議論したいと思います。この点に関して、すぐに思い浮かぶのは「在庫水準」と「集中のリスク」の2点です。』

で、まあ震災によって従来のジャストインタイムの在庫水準によって生産がいきなり止まりましたねという話に繋がる訳ですが、その辺割愛してその先を。

『もちろん、望ましい在庫水準は引続き検討すべき論点ですが、今回の震災で明らかになった、それ以上に重要な論点は、「集中のリスク」であったように思います。ここで言う集中のリスクとは、複雑なサプライ・チェーン・ネットワークをたどると、特定地域の特定企業の部品に調達が依存していたということです。』

『在庫保有を増やすにも、調達先を分散するにも追加的なコストがかかります。無料で済むような都合のいい話(free lunch)はありません。この点に関連して、バロー教授は、自身の論文の中で、災害時の大幅な所得変動を回避しようとするために、平時に家計が支払うべき「保険料」はかなり大きいと述べています。』

なるほど。

『この問題は企業行動のレベルだけでなく、国家レベルでも重要です。例えば、一国の経済活動の一極集中は危険ですが、競争的な市場の下では、そうした費用は必ずしも内部化されるとは限らず、結果として、テイル・リスクが非効率に高まる可能性があります。』

確かに仰るとおり。

『ここでのまとめとしては、実務家、政策当局者、エコノミストが互いに協力して、大規模災害に対する広い意味での公的なリスク・シェアリングの制度を改善するために努力していくことが重要と言えます。』


○ということで最後のまとめの所をこの際全部引用(^^)

『ここまで、日本経済が直面する課題について議論して来ました。金融危機や自然災害といったテイル・リスクについては、マクロ経済学における既存研究が相対的に手薄な領域であり、今後の更なる進展が期待されます。また、人口動態の変化がもたらす帰結についても、探求すべき点は山積しています。』

『例えば、人口減少を背景とする自然利子率の低下と整合的でない年金等の制度設計が「利回り追求」を誘発し、新たなバブルを招いてしまうといったことが起き得ます。』

なるほど。

『この例が示すように、人口動態の変化に対し柔軟性を失ってしまった制度は問題です。既存の社会経済制度を見つめ直すことが求められています。今日、私がここで述べた課題に対する研究を深めるべき時であると思います。こうした問題意識を持ちつつ、今回のコンファランスを通じて学界と政策担当者との間で対話が一段と深まることを期待しています。ご清聴、ありがとうございました。』

ということで、麿節全開ではございますが、論点としては中々奥が深そうではございまする。






2011/06/27

お題「森本審議委員会見/決済システムレポート関連雑談」

まずは森本審議委員の会見から。

○まあそんなに変わった話は無かったですが・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1106c.pdf

質疑応答を見ていますと・・・・・・前回の講演後の会見(昨年12月9日)で長期金利について質問されたのが結論のところだけ切り取られてヘッドラインに使われて債券市場の下落を後押しした(と言われた)っつー残念なデビュー戦の実績が影響しているのかどうか知りませんが、今回はこれまた妙に慎重な、というかオモロさの無い質疑応答が続いて少々残念感が漂うのでありますが、まあ微妙に引用してみる。

・なるほど円高の影響ですか

最初の長崎県経済の部分から少々。

『長崎県の経済は昨年来、持ち直しの動きが続いていましたが、東日本大震災の発生に伴い部品調達が困難となり、精密機械の一部が操業を停止したほか、自粛ムードや原発事故の影響等から消費手控え、また、観光客の予約キャンセルの動きが広範にみられたとの話もありました。』

『ただ、当地主力の造船や一般機械が全体として高操業を続けているほか、電子部品等でも東日本大震災に伴う代替生産の実施の動きがみられており、自動車産業のウエイトが当地は低いといったこともあって、生産面への影響は比較的軽微なものに止まっている状況だと思います。また、外国人観光客は引き続き大幅に減少しているとのお話がありました。ただ、修学旅行の増加等もあり、国内観光客は回復してきているほか、消費手控えの動きも次第に和らいできているということが全般的な話としてありました。』

「国内景気が持ち直し」という執行部ペースの話に整合的な話ですな。

『こうした中で、本日の懇談会では、造船関係では、「円高の影響等から採算を確保しづらい」とか、観光業界からは、「大震災の影響から外国人観光客が激減している」といった実感のこもったお話があり、収益環境の厳しさを指摘する声が随所で聞かれました。また、中小企業の業況の先行き不透明感が増していく中で、資金繰りがやや窮屈化しているといったお話もありました。』

ほほう円高ですかそうですか。


・海外景気に関しては先行きの下振れリスクの話が多い

こらまた強引な質問(^^)。

『(問) 冒頭挨拶の中で、米国経済の減速、あるいはギリシャ国債の流通利回りが15%に達していることを挙げて、海外のリスクがこれまでより大きくなっているとの認識を示されたと思います。これは足許、金融政策において、より緩和的な方向に進まなければいけないのではないかとの懸念を示されているとの認識でよろしいでしょうか。』

クソ長いのですが引用します。まずは米国経済。

『(答) 海外経済の状況について、まず米国についてみると、FOMCの報告も出ていましたが、最近の主要な経済指標では市場予想を下回るものが多くなっており、米国経済についても慎重な見方が多くなっているかと思います。もともと、米国経済については、家計のバランスシート問題が引き続き非常に重石になっている中で、国際商品市況の影響でガソリン価格が高騰している状況も受け、個人消費の伸びが足許鈍化しています。また、生産も日本のサプライチェーン障害の下押し要因もあり、足許減速している状況があったと思います。FOMCでも、そうした状況について一時的ではないかとの見方がなされたと思います。いずれにしても、そうした状況は時間とともにある程度緩和されていく方向にあり、また、緩和的な金融環境はさらに継続するため、これに支えられ、成長テンポを再び回復させていくのではないか──年後半から緩やかではあるが回復軌道に復していく──との見方がありましたが、概ね私どもの展望レポートでもそうした方向で考えています。ただ、下振れリスクの要因が少し大きくなってきていますので、引き続きこうした面については注目していきたいと考えています。』

続いて欧州経済。

『欧州経済については、ドイツなどコア国は好調な一方、周縁国は債務問題により低調な動きを続けており、全体としては、ばらつきを伴いながらも緩やかに改善している状況だと思います。ただ、ご質問の趣旨もおそらくそういうことだと思いますが、金融面でもソブリンリスク懸念が非常に重くのしかかってきていると思います。特にギリシャの債務問題に対する不透明感が非常に強く残る中で、周縁国の国債利回りの対独スプレッドは、既往ピーク圏にあります。こうした中で、いわゆる周縁国全体の景気の下振れという問題に直面しており、債務問題の解決がさらに困難になっている面があり、EU全体で対応が急がれている状況と思います。ギリシャについても、当面の資金繰りについては、何とか目途をつけたのではないかと思いますが、いずれにしても、周縁国が、政府部門の過剰債務を圧縮していく道筋を何としても付けることが大変重要なことだと思います。緊縮財政、あるいは民営化プログラムなど、産業競争力の強化に向けた構造改革が必要であることを、国と国民が危機感をもって共有して、着実に必要な政策を採っていかなければならない状況にあると思います。』

ということで結論。

『そうした意味で、現状から判断すると、予断を許さない状況でもありますので、海外のリスクがやや大きくなっているのではないかということで、そのような表現にしました。』

この辺は講演にもありましたが、海外経済のリスクに関してはトーンとして懸念モードになっているという感じでして、やや執行部ペースよりも慎重な感じがせんでもないという所です。そして説明をうだうだと実施した結果追加緩和の話を華麗にスルーしている所がチャーミングで、まあ独自色を出さないようにしてますなあという感じが。


・ただまあレクどおりに喋ってる部分があるなあとか思うのが今回も

前回の会見では包括緩和実施後の市場金利について「ターム物金利が低下している」とその時点で低下している「ターム物金利」が非実在金利として著名なTIBOR金利だけだったというタイミングで極めて不思議発言を行いまして市場の一部から「???」という反響を獲得したのですが、今回も何か微妙な発言が。

『(問) 先日の金融政策決定会合で導入したABL(動産・債権担保融資)に対する支援について伺います。全銀協の会長が、米国と違って日本では、ABLで融資した際、担保について第三者から権利を主張された時にそれに対抗できるだけの条件が整っていないので、日本で導入するのは難しいとの見解を示されています。この点について、日銀として、どのようにしてこれが拡大していくとみているのか、何が必要かということについて教えて下さい。』

で、その答えですが。

『(答) ABLは、米国では40兆円以上の市場があるのですが、日本ではまだ3〜5千億円程度の規模かと思います。この意味で、十分に普及していると言える状況ではありませんが、これから成長を目指す企業──中小企業や、色々と前向きに取り組みたいとする企業──が多くあると思います。しかし、出資等の資本性の資金が不足するケースがある、あるいは十分な不動産や人的保証等の担保を持たないために十分な資金を受けられないケースがあるとの声があります。』

いやだからそもそもの金融に関する成り立ちとか違いますし法的環境も違いますから。

『こうした状況をみて、私どもとしては、是非、後押ししていきたい、潜在的な成長の芽を掘り起こしていきたい、企業のこうした前向きな活動を引き出す方向で金融機関の成長基盤の強化に貢献する力を後押ししていきたい、との趣旨で導入を決めました。』

ほうほうそれでそれで。

『ご質問にあるとおり、ABLについては、日本ではなかなか手法が確立されているわけではないということは事実だと思います。ただ、こうした成長を目指す企業が、そういう制約要因がある中で、新たに将来を拓いていける、道筋をつけていけることが非常に大事ではないかと思っています。日本銀行として、こうした金融手法があることについて情報発信・情報提供を進めていくことにより、この市場の認知度が向上し、ABLが少しでも拡がっていくことを強く希望しているところです。』

どう見てもただの気合あるいは根性論です本当にありがとうございました。

と申しますか、何かこの辺りの話って想定問答集の世界っぽいテイストを醸し出しているとゆー感じでして、この前の「ターム物金利低下」発言といい、今回のABL絡みの発言といい、どうも何か微妙なテイストを醸し出す発言が飛び出すのが森本審議委員会見のクオリティに思えますな、うんうん。


・この質問は・・・・・・

『(問) 森本審議委員は東京電力のご出身ですので、電力業界については、非常にお詳しいかと思います。浜岡原発の運転停止をきっかけとして、全国的に現在休止中の原発の運転再開ができないのではないかとの懸念が出てきています。来年夏には、現在停止中の原発が運転できない、また、現在運転中の原発が点検に入って運転できなくなるということになると、全国の原発が止まってしまうリスクを指摘する声が増えています。そうした点について、どの程度の可能性があるとご認識されていらっしゃるのでしょうか。また、仮に全国的に原発が全て停止した場合、電力料金や生産など経済活動に対する様々な影響があると思いますが、具体的にどのような影響が予想されるのか、ご意見を頂ければと思います。』

>森本審議委員は東京電力のご出身ですので、電力業界については、非常にお詳しいかと思います
>森本審議委員は東京電力のご出身ですので、電力業界については、非常にお詳しいかと思います
>森本審議委員は東京電力のご出身ですので、電力業界については、非常にお詳しいかと思います

・・・・・・・いやまあそうなのですがこれは(^^)。

でまあ原発問題、というか電力供給問題に関しては厳しい見通しを示しています、当たり前っちゃあ当たり前ですけど。

『(答) 浜岡原発の停止に伴い、停止中の原子力発電所の再稼働問題と、これによる電力の安定供給については、やや長い目でみて不確実性が増してきており、先行きについては順調に運転再開されるかどうか、来年春以降、全原発が止まってしまうという事態も最悪は考えられるわけですが、予断を許さない状況だと思います。国や原発立地県等の関係者の皆さんの間で、今後、安全確認等に関する色々な議論が尽くされるかと思いますので、状況を見守ってまいりたいと思います。』

まあ見通しは厳しいと。

『また、原発が全て停止した場合の影響についてですが、これは私が申し上げるまでもなく、先行きの日本経済に大変大きな影響を与えるかと思います。具体的にとのお話ですが、エネルギー需給、エネルギーコスト等を含めて、これは全般に大きく関わる話ですので、細かく触れることは控えさせて頂きたいと思います。』

とりあえず元東京電力副社長ですからあまりこのネタに関して必要以上にああだこうだと言うのは控えたいというのは把握しました(^^)。まあ森本さんの会見に関してはこんなところで。


○決済システムレポートから雑談を

http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/psr2010.htm(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psr2010.pdf(本文・PDFで60ページ)

まあ何ですな、内容は中々盛りだくさん(本文だけで50ページあるのだから当たり前ですけど)なのです詳しくああだこうだとやっていると延々とネタになりそうな気もするのだが、とりあえず雑談的に。

・証券決済T+1相変わらずやる気満々のようだが正直誰得の世界だと思う

めんどいのでまずは最初の「要旨」のところにある『国内決済システムの主要な動き』から。

『国債市場では、2012 年4 月から決済期間を1 営業日短縮し、アウトライトT+2(GCレポT+1)とすることが合意された。本措置は、国債取引の未決済残高の積み上がりを抑え、決済リスクの削減に寄与するものである。市場関係者の間では、さらにアウトライトT+1 化(GC レポT+0 化)について、実現に向けた検討が続けられている。』

で、本文14ページにはこのような解説が。

『(アウトライトT+1 化、GC レポT+0 化)

次に、決済期間をさらに1 営業日短縮し、アウトライトT+1 化を実現することに関しては、GC レポのT+0 決済を行う仕組みを新たに構築する必要があるとされている。これには、現在の約定実務や取引慣行等の大幅な変更を伴うため、幅広い課題を丹念に検討していく必要がある。また、市場参加者のみならず、決済インフラや関係当局を含めた幅広い関係者の協力も不可欠である。このため、WGは2011 年秋頃の最終報告書の取り纏めに向けて、実現に向けた検討を続けている。日本銀行としても、アウトライトT+2 化の2012 年実施、およびアウトライトT+1 化の検討について、市場参加者の取組みを引続き支援していく考えである。』

えーっとですな、相変わらず日銀様におかれましては国債決済のT+1化やる気満々のようで、何かここの解説みてると市場関係者がやる気になっておられるような書きっぷりではございますが、正直言ってこの低金利で決済関連のフィーが雀の涙程しか確保できない中で、システム的にも人的にも無茶苦茶負荷が掛かる事がかなりの確率で予想される国債決済T+1化なんて誰得の世界だと思うのですけどねえ、いやまあシステムベンダーは儲かるかもしれませんけど・・・・・・


・そういや内為決済の大口がRTGSになるんでしたな

当事者じゃないとこの手の話ってちょっと聞いても直ぐ忘れるものでありまして、あたくし見た瞬間にはすっかりこの件失念していたことに気がつきましたですよ(汗)。

本文9ページの『2.日銀ネット次世代RTGS 第2期対応』から。

『日銀ネット次世代RTGS プロジェクトは、わが国における大口資金決済の効率性と安全性の一段の向上を目的とするものであり、以下の2 つの施策を柱としている。

@ 日銀当座預金上のRTGS 処理に流動性節約機能を導入し、資金決済の効率性を改善すること。

A 民間決済システムにおいて、時点ネット決済で処理されてきた大口資金取引(外為円決済取引、1 件1 億円以上の大口内為取引)を日銀当座預金上でRTGS 処理し、決済の安全性を向上させること。』

ということで、この2番目の方ですが。

『―― 外為円決済取引の多くと内為取引の決済は、従来、時点ネット決済方式で行われてきた。しかし、時点ネット決済方式は、参加者に決済不履行が生じた場合の決済の巻戻しリスクを抱えており、決済システム全体にシステミック・リスクをもたらしうる。次世代RTGSプロジェクトは、こうしたリスクを抑制するため、大口資金取引につき、時点ネット決済方式をやめ、RTGS 処理しようとするものである。』

で、今回は内国為替の大口決済がRTGSになると。

『第2期対応では、Aのうち残った大口内為取引のRTGS 化を2011 年11 月14 日に実施する予定である。このため、日銀ネットと全銀システムとを結ぶ新たなインターフェースを構築する(図表1-3)。なお、1 件1 億円未満の小口の内為取引は、引続き、全銀システムを通じた時点ネット決済により処理される。』

まあ何ですな、銀行間は時点決済処理していますけど、内国為替の電信扱(もクソも今は文書扱は無いですが)取引をすると現在は被仕向銀行(をすんなり読めるのは銀行員か経理担当のどちらかかと)で入金確認した時点でサクサク引き出し出来てしまいますので、その間は被仕向行が仕向行に対して与信している状態になっていますから、利用者的には便利な話ですけど、これはこれでリスクはリスクではありますもんね。


・債券市場的にはこれですな

本文12ページの『3.新日銀ネットの構築』から。

『新日銀ネットの機能・仕様の検討の前提となるテーマについては、2010 年4 月以降3 回にわたり、日銀ネットの利用金融機関等が参加した「新日銀ネット構築に関する意見交換会」を開催し、議論の結果を2011 年2 月に公表した。その主要なポイントは、図表1-4 のとおりである。』

『図表1-4 意見交換会での主要な論点と対応

@ 国債決済の一層の円滑化に向けた対応

・ 新日銀ネットと、証券保管振替機構の決済照合システムや日本国債清算機関のシステムとの接続を可能とする。
・ これらのシステムとの接続も念頭に、DVP 決済のメッセージフローを見直す。
・ 新日銀ネットに所要の機能を設けること等により、従来の振替停止期間(償還期日または利子支払期日の2営業日前から前営業日まで)を、廃止する。』

という事で、この辺りは事務フローだけではなく約定の部分も変化する可能性があるかなあとは思いますです。


・あと第3節が面白いと思う

という事で、まあ雑談ネタにしてみましたが、『第3節 民間決済システムによるリスク管理強化への取組み』の部分とかこれがまた読んでいてオモシロイ(まあ面白いと思う人がどの位いるのか知らんけど)と思いましたが、これまた大ネタなので引用割愛。


#ということで適当に雑談ネタを拾っただけで恐縮ですが、面白い人には面白いレポートである





2011/06/24

お題「森本審議委員講演は展望レポートベースも先行きの下振れリスクを指摘/BOE議事要旨メモだけ」

いやあしかし日銀が足元の景気判断を上方修正した直後に英国と米国では景気判断と見通しを下げるってゆー先般のMPMは何と申しますか実に日銀クオリティーらしいのですが、先日の謎の成長基盤オペ拡充も含めまして、何となく最近の麿体制に微妙なアレを感じるのですが・・・・・・という話はそのうち整理整頓してみる。

#えーっと、全員が織り込んでいた筈なのですが、何で「QE2終了ショック」になるのか全く判らんのだが>モーサテ

ということで森本審議委員講演から。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110623a.pdf

○基本的には展望レポートベースのお話に見えましたが

『日本銀行では、去る4月29日に「経済・物価情勢の展望」、いわゆる「展望レポート」を公表しました。そこでは、当面のわが国経済は、震災による設備へのダメージ、部品供給ネットワーク――いわゆるサプライチェーン――の障害、電力の供給制約などによる下押し圧力に晒されますが、これらの供給面の制約が次第に和らぎ生産活動が回復するにつれ、本年度の後半からは景気は緩やかな回復に戻るとみられるといった見通しをお示ししています。』

『もちろん、生産の回復も、製品が売れなければ長続きしません。このシナリオを支える重要な背景の一つに、海外経済が改善するもとで輸出が増加するという見通しがあります。ですからわが国の経済を考えるに先立ち、世界の経済はどうなのかをみてみたいと思います。』

ということで海外経済の見通しが最初に来ますが。

・米国

『6月の雇用統計も、非農業部門雇用者数の増加幅が市場予想を大幅に下回るなど、労働市場の改善傾向は依然として確固たるものとはなっていません。バランスシート調整の重石や財政再建の道筋が定まっていない点なども含め、下振れリスクに留意する必要性は高まっています。』

ほうほう。

『もっとも、米国経済の先行きについては、力強さを欠きながらも緩やかに回復することをメインシナリオとしてみていましたので、これまでの動きは、下の方ではありますが、想定の範囲内の動きであるとみていて良いのではないかと思っています。』

あらそうですか。

『先行きも、新興国・資源国向けを中心に輸出は増加基調を辿るとみられますし、ここ数週間調整局面にある株式市場もやや長い目でみれば底堅さを保っていると言え、そうしたもとで個人消費や設備投資が大きく崩れるとは考えにくい状況です。下振れリスクを意識しつつも、過度に悲観することなく情勢を見守りたいと思います。』

ということで、米国市場でQE3ヒャッハーとか言ってるのに対して温度差あるような気もせんでもないですが、まあ市場は市場で毎度毎度景気先行きに関して楽観と悲観の過剰反応をするのがメリケンクオリティーでもあるので、これに関してははあそうですかと申し上げるに留めておきますが、市場との乖離という面は気になるなあとは思います。


・欧州

欧州に関するリスクですけどね。

『金融市場から実体経済全体にダメージが拡がる可能性がありますので、ギリシャはじめ周縁国の財政立て直しとEU全体での対応を注視していく必要があります。』

という話ですが、あまり凄い警戒という感じではないっすが、このあたりに関しては会見のトーンともあわせてみないと行けませんので判断保留。


・新興国

『新興国・資源国経済は、堅調な内需を核として拡大しています。先行きも、インフレ懸念が高まるもとで金融を引き締める動きが続くとみられますが、経済は幾分減速しつつも高めの成長を維持する見通しです。』

ほうほうそうですか。

・・・・・という感じで、まあ展望レポートどおりっちゃあそれまでなのですけれども、やはり足元の市場ちゃんのテーマとちょっと齟齬を感じるなあとゆー所ですわな。


・日本経済

んでもって日本経済の部分は先行き見通しを主に読んでみますけれども。

『こうしたもとで、当初は秋口以降に供給面の制約が和らいでいくとみていましたが、生産は7〜9月中に震災前の水準まで戻る可能性が強まっており、秋口頃には供給面の制約が概ね解消されるのではないかとみられます。しかし長い目でみた電力供給不安等の不確実性は依然残りますが、そうした状況になれば、海外経済の改善が輸出や生産の増加につながり、この動きがわが国経済の回復を支える原動力として作用し始めると考えられます。またその頃になると、震災で損なわれたインフラ、建物、設備の復旧・復興の動きも本格化し、わが国経済を押し上げると思われます。』

ということで、まあこれも展望レポートとか今月の金融経済月報どおりでございますけど、はてそうなんですかねえという気は思いっきりするんですけど。

輸出のところではこんな話を。

『ですから、為替動向には注意が必要ですが、従来みていたよりやや前倒しされ、7〜9月のどこかのタイミングで抑え込まれていた出荷が大きく動き出して震災前の水準をほぼ回復する可能性が強まっていますし、その後も輸出は拡大経路を辿るとみて良いと思います。』

でもって設備投資。

『こうしたもと、設備投資は、当面一進一退はあるものの、2010年度の高収益を背景に底堅く推移し、秋口頃からは輸出、生産の復調に加え、震災復興の取り組みも本格化するにつれ、持ち直しは明確になると予想されます。』

個人消費。

『次に家計部門のうち個人消費をみますと、震災直後の自粛ムードが徐々に和らぐもと、百貨店や家電販売等の小売サイドからは、不安感を伴いながらも、消費の地合いは正常化しつつあるという声も聞かれています。また、各種指標の動きからみて消費者マインドも幾分改善しつつあるため、先行きの個人消費は徐々に緩やかな持ち直しに向かっていくとみて良いのではないかと考えております。』

ごくごく個人的生活実感からすると個人消費の先行きは相当予断を許さない(急角度で落ちてるんじゃないかと思ってる)と思いますけれどもまあその辺りは措いといて(^^)。

『もちろん、夏場の電力需給がサービス業に与える影響には注意が必要ですし、長引く原発問題や節電意識は消費者マインドに影を落とすものと思います。』

『また、雇用・所得環境も、賃金面を中心にやや厳しさが増しています。このため、持ち直しと申しましても、その足取りはかなり緩やかなものとなる可能性が高いと思います。』

という部分の影響ってもうちょっと大きいんジャマイカと思ってるんですけどね、いたあの個人的感想なんでまあいいんですけど。


○先行きリスクの部分は下ぶれリスクを強調していますな

で、先行きリスクの部分に関して見ると、森本さんが先行きやや懸念しているのかなあとも思える部分がございましてね。

『海外経済の動向を巡るリスクについては、先ほど大方ご説明しましたので重複は避けますが、これまでよりやや大きくなっているように感じられます。』

ほう。

『新興国では、景気拡大による上振れリスクがある一方、金融引き締めが続いていますが、景気の過熱やインフレ懸念が十分に鎮静化されている状況ではなく、より長い目でみれば、景気の振幅が拡大して、持続的成長を損なうおそれもあります。また、国際商品市況が一段と上昇しますと、その分家計の購買力は弱まりますし、企業収益も一層厳しくなり、その結果、国内民間需要が下押しされることになりかねません。』

『こうしたリスク要因については、私としてはどれも軽重のつけがたい重要な事項であると感じています。供給制約の解消が想定より早まれば経済が上振れる可能性がありますが、やはり、未曾有の津波や原発事故を伴った大震災ですから、その影響の不確実性からくる下振れリスクを最も重く受け止めざるを得ないと思っています。』

『またこの点と関連して、国内の空洞化が進む形で生産拠点の海外シフトが加速しないかどうか、特に中小企業の皆様にとって重大な関心事だと思いますが、私もここは注意が必要だと考えています。』

ということで、日本経済の先行きリスクに関しては下振れリスク強調という感じです。

以下、物価に関する部分とか金融政策に関する部分は引用割愛という事で。



○BOE議事要旨ですけど

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf

詳しくは週末に精読しますけど、今回は景気に関する見方が更に厳しくなった結果、何とポーゼン先生の賛同者現る(票決上は賛同してません、為念)の巻となったのがほうほうそうですかという感じではございますけど、さて物価の上昇が本当にテンポラリーで止まるんかいなという気はするので、英国大変ですなあと棒読みをするのでありますが。

ということで皆様ご案内かとは存じますが第25パラグラフ。

『25 Most members judged that it was appropriate to maintain the current stance of monetary policy at this meeting. The current weakness of demand growth was likely to persist for longer than previously thought. Moreover, the fiscal challenges in the euro-area periphery highlighted the potential for further adverse shocks to demand.』

つーことで、金融政策の現状維持が適切と多くの委員が判断していますが、その中で足元の需要減退が従来考えていたよりも弱く、更にユーロ圏周縁国の財政問題が需要に対する新たな追加的なショックとなる可能性が高まっているという認識になっています。

『For some of these members, it was possible that further asset purchases might become warranted if the downside risks to medium-term inflation materialised.』

その結果として、中期的なインフレのダウンサイドリスクが顕在化した場合には追加の資産買入が正当化される可能性がある、というのが「数名のメンバー」から示されたという事でありまして、これは(今度ご紹介しますが)従来より言われている物価下落のリスク、即ち「需要の拡大が弱い結果、経済の余剰生産力が物価を押し下げて、物価上昇率がターゲット(=2%)を下回るリスク」の顕在化を本格的に懸念する動きが出てきた、という事でありまして、一方で(センタンス委員は退任したので3名から2名になりましたけど)利上げ主張の人は利上げ主張の人で物価上昇の継続によるインフレ加速の懸念を強めていまして、BOEのMPC内部の意見対立が更に広がっている印象を受けるのであります。

『For others, there remained a substantial upside risk to medium-term inflation stemming from the possibility that inflation expectations might rise significantly, compounded by the potential for further upward shocks to global prices. Although there was no sign that this risk was materialising as yet, that did not preclude it from doing so in the future.』

ということでございまして、利上げ主張じゃなくても足元の物価上昇が更にインフレの加速への可能性を高めているという意見もあるようですな。

しかしまあ何ですな、インフレーションターゲットを設定している中で、物価は上がるわ景気は下がるわというどう見てもスタグフレーションです本当にありがとうございましたという状態の中、政策の方向性って難しいですわなと思うのでして、まあマニア的にはBOEの今後については注目していきたいと思うのですが、正直ただの趣味の世界という気が思いっきりします(^^)。

リーマンショック後とかにはBOEは資産買入を実施して「私達の量的緩和はFRBやかつての日銀のような緩和とは違う純粋な量的緩和です(キリッ)」とやっていたのですが、足元では何と申しますか実に残念な展開になっていますし、大体からしてインフレーションターゲットを大幅に超えた状態が延々と続くとか中々お洒落な状態になっているのでございますが、さてどうするBOEという感じですな。







2011/06/23

お題「FOMC声明文は景気を下げてインフレを上げ/短国入札が0.10%割れってあーた・・・・」

ちなみにBOEのMinuteも中々味わいがあるのだがまだ斜め読みしかしていないのでそれはまたいずれ。

○FOMC声明文

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110622a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427a.htm(前回)

・景気を下げながら物価の引き上げですなあ

とりあえず寝起きで読んだ印象はそんな感じであります。では第1パラグラフ。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in April indicates that the economic recovery is continuing at a moderate pace, though somewhat more slowly than the Committee had expected. Also, recent labor market indicators have been weaker than anticipated. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economic recovery is proceeding at a moderate pace and overall conditions in the labor market are improving gradually. 』(前回)

ええもういい感じで下方修正ですわな。「予想よりも回復ペースが弱い」とゆー所ですがその理由はこうだそうで。

『The slower pace of the recovery reflects in part factors that are likely to be temporary, including the damping effect of higher food and energy prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain disruptions associated with the tragic events in Japan. 』(今回)

食品とエネルギー価格の上昇はまあ良いとして、「日本の震災によるサプライチェーンの損壊の影響」と来ましたかそうですかという所ですが、まあ要するにここの最初にあるように「一時的なものです(キリッ)」という事を言いたいのでしょうかねえ。

『Household spending and business investment in equipment and software continue to expand. However, investment in nonresidential structures is still weak, and the housing sector continues to be depressed. 』(今回)

ここは前回と同じなので今回分だけ引用しておきます。で、この次の物価の所がしらっと上方修正。

『Inflation has picked up in recent months, mainly reflecting higher prices for some commodities and imported goods, as well as the recent supply chain disruptions. However, longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)

『Commodity prices have risen significantly since last summer, and concerns about global supplies of crude oil have contributed to a further increase in oil prices since the Committee met in March. Inflation has picked up in recent months, but longer-term inflation expectations have remained stable and measures of underlying inflation are still subdued.』(前回)

ということで、インフレに関する文言であたくしが真っ先に注目したのは「measures of underlying inflation are still subdued」というのが抜けている事でありまして、この先のパラグラフとかも読んでみたのでありますが、この「基調的なインフレが抑制されている」というのが抜けたのってまあそういうデータという事ではあるのでしょうけれども、これはこれで政策判断の重要ファクターの一つでありますし、景気認識下げたといっても足元の減速は一時的という認識を示している一方で基調的インフレの抑制の文言を外しているというのは中々芸が細かいなと思うのでございまして、一見dovishなのですけれども、よく見るとhawk成分も入っているというバランスの取り方が中々じゃないのとあたしゃ勝手に思いますけどどうっすかねえ。

ということで、議事要旨を読むときには景気認識もそうですけれども、物価認識に関する部分も注意して読みたいなあと思うのでありました。


・第2パラグラフ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. 』(今回)

まあこれは決まり文句状態で前回と同じ。で、そのデュアルマンデートの見通しなどに関する文言ですが、

『The unemployment rate remains elevated; however, the Committee expects the pace of recovery to pick up over coming quarters and the unemployment rate to resume its gradual decline toward levels that the Committee judges to be consistent with its dual mandate. 』(今回)

『The unemployment rate remains elevated, and measures of underlying inflation continue to be somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate.』(前回)


『Inflation has moved up recently, but the Committee anticipates that inflation will subside to levels at or below those consistent with the Committee's dual mandate as the effects of past energy and other commodity price increases dissipate. However, the Committee will continue to pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations. 』(今回)

『Increases in the prices of energy and other commodities have pushed up inflation in recent months. The Committee expects these effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability. 』(前回)

ということで、今回は微妙に論点が違っていますなという感じですが、とりあえずデュアルマンデート達成に向けた状況の改善は緩やかに進行するでしょうという結論は前回も今回も同じになっています罠。でもってここのパラグラフでも基調的インフレが抑制されている的なコメントはございませんでして、ほほーと思いつつ読んだでござる。


・第3パラグラフ以降

若干章立てが今回変わっています。まずは政策決定部分。

『To promote the ongoing economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent.』(今回)

『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to continue expanding its holdings of securities as announced in November.』(前回)

ということで、まあ資産買入終了ですので当然ちゃあ当然ですけれども、最初に出てきたのが金利の方でございまして、金融政策の基本フレームは金利政策に回帰という話ですわな。それから「stronger pace」が「ongoing economic recovery」に格下げになってますな(^^)。

んでもってガイダンス文言。

『The Committee continues to anticipate that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period.』(前回の第4パラグラフ)

つーことでガイダンス文言に変更はなしです。で、QE2終了のお知らせ文言。

『The Committee will complete its purchases of $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of this month and will maintain its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings. 』(今回)

ということでQE2は終了しましたがバランスシートのサイズは維持という穏健な結果になりましたな。いやまあ市場の皆様予想してたからサプライズは無いですけど。

『The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings and is prepared to adjust those holdings as appropriate. The Committee will monitor the economic outlook and financial developments and will act as needed to best foster maximum employment and price stability.』(今回)

というのはまあお約束の文言であります。


・全員一致ですな

まあ全員一致も予想通りという事ですが。

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen. 』(今回)



○短国入札ェ・・・・・・

昨日のTB3か月の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230622.htm

(3)募入最低価格 99円97銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.0922%)

(5)募入平均価格 99円97銭7厘1毛
(募入平均利回り )(0.0918%)

・・・・・(;゚д゚)

いやまあ前場の段階で新発WI取引が0.090/0.095とかいうお茶目な気配になっていましたので0.10%割れは覚悟していましたけど、何もそこまで強くせんでもエエジャロと思うのでありますが・・・・・とか言ってたらセカンダリーの業者間市場で0.045%だの何だのとかケシカラン出合いがあったようで更に(;゚д゚)な状態。どうも一部の投資家だか何だかがドカンと購入だか落札だかしたようで、4兆8000億円の発行予定額に対して市場推定のいわゆる不明玉が3兆円を超えるという有様になり、入札空振りとなった業者がショートカバーを入れたり、その煽りで他の短国も強くなって0.10%を大きく下回るレートで出合ってみたりと散々な状態だったようでございますな。ナムナム。

えーっとですな、先日あたくし申し上げましたように、0.10%割れの短国を購入するのに経済的な意味があるのって、日銀当座預金制度の外側にいる人に限りますんで、そーなりますとガイジンに生損保に投信・年金となるのですが、足元でドル円スワップがワークすると申しましてもこれらの買いだけで4兆8000億のニーズが爆裂するとかあまり想定し難いものがございますし、それならもうちょっと不明玉少ないと思う(業者にそれなりに札が分散されると思うのだが)のですけど、何なんでしょうねこれ。

まあ6月末という四半期末を控えて国債残高(短国ですけど)調整しようと思った時に1兆以上のオーダーで玉を確保するタイミングって短国入札しかない(しかも受渡ベースで言えば昨日の入札がラストチャンス)ので買ったお方でもいるのかなあとか妄想するのでございますが、どちらにしても日銀当座預金に置いておけば超過準備部分に0.10%の付利があるのに0.10%割れの短国を買うとか純粋な金勘定としては全く引き合わない話でございまして、仮に昨日大量購入している投資家(業者は在庫持ったりショートカバーしたりしなきゃいけないから買うけど別に投資で買っているわけではないので話は別)が日銀当座預金使える人だとしたら全く持って意味不明っつーかおめーそれ株主に対して申し訳ないと思わないのかと存じます罠。いやまあ債券残高がどうのこうのとかあるのでしょうけれども、周囲の皆さん大迷惑なんですけどねえマッタクモウ。

まーしかし何ですな、昨日ネタにした国債投資家懇談会での凍死家の皆様の買いたい弱気オンパレードを見た後にこの落札結果およびその後のカーニボーを見せられますと、お前らどんだけ待機資金抱えとんじゃとゆー所でございますわなあっはっはっはっはorz











2011/06/22

お題「PD懇と投資家懇メモメモと雑談(麿講演ネタは先送りですorz)」

「今日は今年一番の暑さとなった昨日より暑くなりそうです」ってうれしそうに満面の笑みで言うんじゃねえええええええええ!!!!と、ついついテレビに向かって悪態をついてしまった朝のモーサテお天気コーナーなのでありました(^^)。いやまあ職場や通勤電車の暑さのせいなんで、おねいさんに悪態って八つ当たりにも程があるのですがwww

#ちなみに公共放送は「暑いので熱中症には注意しましょう」とか「今日は暑くて大変です」みたいなトーンで話をしてましたがね^^;

ところで、第3次補正予算を作る「新体制」が新首相じゃなくてただの内閣改造になるに1万ドラクマ。

○PD懇雑談

毎度思うのだがアップが物凄く速くて事務方大変っすなあと思う。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/c230620.htm

今回は流動性供給入札と買入消却の話で、流動性供給入札のオファー方法の変更が今回の大ネタ。財務省の説明から。

『いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断していきたいと考えているところであり、7-9月期の流動性供給入札の実施方式について、意見を頂きたい。なお、資料2下段に記載のとおり、アンケート方式の留意点として、@要望の多かった銘柄から順に選定するとともに、要望先が同数となった場合には、日銀保有分を除いた5月末現在の市中残高の少ない銘柄を優先する、A発行対象銘柄は7-9月期を通じて固定する方針である。もっとも、発行対象銘柄の見直しの頻度については、10-12月期以降、その時点における市場参加者の意見や当方の内部的な事務処理上のフィージビリティ等も踏まえ改めて検討することとしたい。』(機種依存文字は原文ママで勘弁)

という事ですが、まあ参加者の回答は誰がどう見ても同様でございまして、アンケート方式賛成というのがズラズラ並んでおりまする。適当に一部の意見を引用しておくだわさ。

『流動性供給入札については、アンケート方式を支持する。流動性供給入札の本来の趣旨に鑑みれば、市場で需給がタイトになっている銘柄に対し流動性を補完供給することは、最も理想的な形だと思う。残存15-29年ゾーンの銘柄選定については、四半期に一度64銘柄の中から60銘柄を選択するとの説明を受けたが、今後様々な活用方法があるだろう。例えば、1社当たりの回答数を30銘柄まで絞ることで、各ゾーンにおいて人気の高い銘柄やニーズの高い銘柄の判別が可能となり、流動性供給入札自体の必要性についても検証できるのではないか。』

さいざんすな。

『流動性供給入札については、可能な限り幅広い選択肢を確保できることから、アンケート方式が望ましい。現段階で特段需給が逼迫している年限やレポレートがタイトな銘柄は見受けられないものの、こういった状況を未然に回避する意味でもアンケート方式は効果的と考える。』

以前はレポの需給が逼迫している銘柄をわざわざ買ってレポ料を稼ぎましょうとかアホな事する投資家も一部にいるとか仄聞したりする訳でございましたが、まあ国債の円滑な消化という面で言えば、オフザランの国債の需給で変な人為的な歪みが出てセカンダリー市場の流動性が落ちるという事態が起きますと、当然ながら国債流通業者に無駄な負担を掛ける事になり、結果として国債の円滑な需給に悪影響を与える可能性がありますわな、とあたくしなんぞは考える訳でございまして、そーゆー点からもアンケート方式よろしゅおすなあと存じます。

『流動性供給入札については、現行どおりでも構わないが、アンケート方式を否定している訳ではない。現行の方法はルールに従っているため予見性が高く、市場のポジション繰りを比較的コンスタントに変えられるのが利点であるため、仮にアンケート方式を採用するのであれば、7-9月期の結果を踏まえてという前提ではあるが、アンケートの頻度を上げて頂きたい。』

何か微妙に頭とケツで論旨が一致していないので何を仰りたいのかが伝わりませんが、この方だけではなく多くの方が指摘しているように、アンケート方式にするのであれば頻度を上げていただければという感じですわな。現物債の需給に関しては万年タイトな銘柄みたいなのもありますけど、一部の大口の玉が飛んだ関係で急に変化するとかございますので、まあこまめに確認した方が吉なんでしょうな。うんうん。

そういや昔々その昔、輪番オペが本当に輪番オペで、月に1回とかしか実施してなかった頃って対象銘柄の選定ってBBでの売買額とか見ながら流動性のある銘柄はナンデスカと調べて回っていたんでしたっけねえ。まあ大昔の話ですけど。


買入消却に関連しての意見から。

『買入消却入札については、現状維持でよい。国際会計基準の問題により、15年変動債の需給に先行き不透明感があることから、現状の買入額を維持することが望ましいのではないか。』

ほほう。

『また、現状、買入消却入札のオファー時刻は10時40分となっているが、オファーから締切までの間の対応が混雑しており、投資家からも余裕を持って入札を考えたいという声が聞かれていることもあって、ある程度の時間的余裕が欲しい。できれば入札日前日までに入札の実施を公表して欲しいが、最低限オファー時刻の前倒しを検討して欲しい。』

これは事務的に何とかなるのでしたら短国入札のオファー並のタイミングで実施して頂きますと委託入札(のような事)したり、入札タイミングに合わせて売却したりというような動きへの対応が業者も投資家もやりやすいと思われますので是非お願いしたいです。


・・・・・というような感じで、今回のPD懇議事要旨って実は全然ツッコミ所の無い「いやあ全く仰るとおりですなあ」のオンパレードなので、ネタにするのかどうかって感じではありますけれども(笑)、流動性供給と買入消却は地味目に見えながら業者の重要イベントだったりするのでメモメモということで。


んでもって、今回のPD懇の『(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』が中々興味深かったので、とりあえず最初の意見を引用するだわさ。

『足元、10年債利回りは1.1%台で膠着しているが、米債の利回り低下など外部環境に様々な変化がある割には反応が鈍いという感じがする。震災の影響により企業が手元流動性を高めたことで、金融機関の余剰資金が積み上がった結果、積極的に債券の購入に向かう動きも見られているが、まだ残高は積みきれていないという印象。

 先週16日の後場以降、幾分金利低下方向で動意が出てきているが、6月中は金利が低下しても1.05%程度と見ている。1.1%前後という利回り水準が平均的には今後も続いていくと思うが、7月以降、特に下期に関しては、マーケットの見方とは違ってもう一段低い水準をつける可能性があり、1.0%を割り込んで0.9%程度まで利回りが低下しても不思議ではないと考えている。

 下期に関しては、震災復興需要による景気の急回復や第3次補正予算による国債の大幅増発で金利が上昇するという見方があるが、それは既に誰もがわかっていることであり、それが織り込まれたところでプライスアクションがなされているはずである。したがって、現在織り込まれている以上の景気回復や、国債の増発による財政悪化懸念が起こらない限り、上期より利回りが上昇するということにはなりにくく、今後の国債発行に対しての不透明感が払拭されて安心感が出てくれば、逆に利回りが低下していくのではないかと考えている。
 
 国債増発による金利上昇はよくある話であるが、2009年度を例にすると、年度中に26兆円以上の国債増発があり、カレンダーベースでも24兆円以上あったが、リーマン・ショックによる景気悪化の影響もあって、2009年度に加え2010年度の上期まで含めると金利は低下している。したがって、景気の見通しや期待成長率が長期金利の決定要因としては最も大きいと考えられる。原発事故に伴う長期的な電力供給不安が復興需要に伴う設備投資を抑制し、我が国の潜在成長率や期待成長率を押し下げてしまうという懸念が日増しに強くなっていることに加え、長期的な設備投資の抑制に伴う資金余剰も金利低下要因になってくると見ている。

 以上のことから、現段階では断定できないものの、4月11日につけた1.335%が今年度の最高利回りになる可能性が高く、結果として6年連続で4〜6月期に年度最高利回りをつけることになるのではないか。』

長くて恐縮でありますが、まあとりあえず最初の人の意見がこんな感じ(何となく発言者が誰か想像が出来るのですが・・・・・^^)でありましたが、以下皆様の意見がズラズラと並んでいまして、そこを見ておりますとですな、着眼点とかポイントとかは勿論人によって違うのですけれども、結論として「先行きの債券市場はとりあえず堅調推移でしょ」というのが物の見事に全員同じで、その着眼点も大体同じという素敵な状態だと思ったんですがどうでござんしょ(^^)。

いや正直あたくしも同じような感覚でおりました(つーか今直ぐに財政破綻ネタで金利急上昇ですよウェーハッハッハとか中々チャレンジャー過ぎでしょうなあとも思いますし)けれども、何かこの意見コーナーで目先の債券市場に関するコメントがここまで揃っているのってあんまり見た記憶が無い(記憶ベースなのでアレですけど、大体1人か2人位は相場のコンセンサスの逆の意見が議事要旨に出てた筈なんですが・・・・・)ので、これは何のフラグかと解釈に悩んでおりました次第でしゅ(^^)。

#もしかしたら最近の傾向なのかもしれないですけどね>意見が妙に揃う件


○と思ったら投資家懇の議事要旨も出てましたなorz

こっちはさっき斜め読みしただけなので簡単に勘弁
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/b230620.htm

・買入消却と流動性供給入札に関して

意見コーナーがあまりにもあっさり味でワロタという感じですが、まあ投資家的には買入消却の方は気にしているようですが、流動性供給入札に関してはどっちでも良いがなという感じが伝わって参りました。

『流動性供給入札については、あえて発行対象銘柄の選定方法を変更しなければならないという意識を有しておらず、現行どおりで特段問題ないと思われるものの、アンケート方式に強い反対意見がある訳ではない。強いて言えば、いわゆる予見可能性という観点からは、発行対象銘柄が変わり得るという点で逆に市場の不安定性が高まることがないか、きっちりとモニタリングして頂きたい。』

たぶんそんな予見可能性は関係ないと思いますので無問題という所でございますが、まあ流動性供給入札によってオフザランの銘柄の需給が急に変わる恐れがあるのはケシカランとか昔はそんな意見が投資家懇談会から出ていたりして大変にお洒落というか香ばしいものを感じましたが、割と皆様物分りが良いようで(^^)。


・相場見通しに関して

こちらに関しては業者主体のPD懇とは違って意見が多様(そらまあ投資主体によって懐具合も投資スタンスも違うのだから当たり前だが)になっているので中々。

『当面の相場は、米国の長期金利や株価を睨みながらのレンジ相場と考えている。期初に設定した長期金利の想定レンジは1.2〜1.6%であり、現状の1.1%台は下限を下回っており、運用には着手していない。売却益をとりたいとの考えもあるが、売却益の追求ではなく、期間収益や利息収入の維持拡大を図るのが従来からの運用の基本方針である。』

ほほう、で同じ人の意見の続き。

『また、第3次補正予算に関し、復興基本法案には復興債の償還財源を担保することが謳われているが、これがきちんと担保できるかどうかという点は、マーケットでの大きな波乱材料になる可能性があると考えている。』

どう見ても買いたい弱気です本当にありがとうございました(^^)。

まあそんな感じで投資家懇談会の方は買いたい弱気が並んでいて実に心温まるものがあるのでございました。はてさてどっちのフラグが大勝利になるのでしょうか(ニヤニヤ)


○ということで麿講演はまたも先送りですがその他雑談

PD懇のネタで時間が無くなった(慌てて投資家懇談会議事要旨斜め読みしたせいですがorz)ので昨日予告していた麿講演ネタはパスでその他雑談。

・東電の広報はもう少し物の言い方を考えるべきではないかと

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aCI9vFXEEGg4
東電:引き続き金融機関に低コストで支援を要請していることは事実

『6月21日(ブルームバーグ):東京電力広報担当の吉田薫氏は21日の記者会見で、「現状を踏まえて引き続き金融機関に低コストで支援をお願いしていることは事実」と述べた。』(上記URLより)

いやまあどういう文脈で言ってるのか知らんけどさ、そもそも(後で一応撤回のような発言はありましたが)内閣官房長官から「融資の放棄も」みたいな話を言われて、賠償金と事故処理の負担が大変で政府に支援お願いしているという状態の会社に対してですよ、預金者の皆様からお預かりしている大事な資金を融資しますかってえレベルの問題になっているのに「低コスト」とか何寝言言ってるのよこのバカチンはとゆー感情的な反発が融資サイドの方から起きても何らおかしくないんでありまして、その「低コスト」とか言うのいい加減言うなよと思うのですけれども、未だに御用金調達感覚で物を考えているのでしたらとりあえず本社ビル出て日比谷公園の派遣村(もう無いですかそうですか^^)にでも事務所移しやがれという思うのですけどにゃあ。

つーかさ、金貸しって「融資の5原則」(てきとーに検索してください)ってえの小僧の時に教わって叩き込まれる(少なくともあたくしが金貸しの手先をやっていた時には新人は叩き込まれたんだが)んですけど、そこには「安全性の原則」とか「収益性の原則」というのがありまして(以下悪態になりそうなので割愛^^)。

少なくとも、報道フィルターが基本的に悪意持っている状態だと思われますので、もうちょっと慎重な物言いをして頂きたい訳で、一時が万事と申しますか、本社の方でこーゆースタンスが報道されたり見えたりしちゃうから纏まるものも纏まらないという面についてもっと考えるべきでは無いかと思うんすけどねえ。


・これはまた見苦しい言い訳

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aKoBX5nXtBF8
東証社長「東電の処理について発言していない」、午前延長は11月(1)

『6月21日(ブルームバーグ):東京証券取引所の斉藤惇社長は21日の定例記者会見で、同社長が東京電力の法的整理が望ましいと発言したと今月上旬に一部報道で伝えられたことに関し、「東電の処理について発言したわけではない」と述べた。』

とりあえず今すぐ三途の川で行水しろという感じですが、これから原発停止して電力需要がどうのこうのとか言ってるのにまだ午前延長とか言ってるのかよという感じでありまして困ったもんよ。ピーク電力削減に協力の意味で言えば後場の取引無しにして前場12時までで終了してそれじゃ足りないなら4時過ぎから締め後取引でもすりゃエエジャンとか思うのですけどにゃあ。


・外貨建て復興国債????????

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahbGAf75FABg
野田財務相:外為特会活用した復興ドル債の引き受けに慎重姿勢

『6月21日(ブルームバーグ):野田佳彦財務相は21日午前の参院財政金融委員会で、外国為替資金特別会計を活用した「復興ドル債」の引き受けについて「財政規律上問題がある」として慎重な姿勢を示した。みんなの党の中西健治氏への答弁。復興ドル債は、外為特会が保有する満期を迎えた米国債を、東日本大震災の復興費用調達のため、ドル建ての日本国債や財投機関債に振り替えて発行する仕組み。』

野田さんの意見ではなくてこのみんなの党の中西健治とやらの意見に?????

『中西氏は、1年で約15兆円もの満期を迎える米国債を再投資せずに日本政府や財投機関が復興ドル債の形で発行して外為特会が購入し、為替スワップを通じて円資金に換えることで復興に活用できると提唱。』

いやだからそれやった後の見合いの為券の償還どうするのよという話で、ただの外準使い込みと本質的に全く変わらないと思う(外為特会に購入する金が無いのでその分外為特会が為券発行しないといけないはずですが・・・・)のですが、この前ご紹介した根津なんちゃらとかいう人の脳味噌が乾燥後のヘチマで構成されているのではないかと疑いを持たざるを得ないご提言と同じじゃねえのかと思うのでありますし、為替中立にしたいから為替スワップ取引とかいってるようですが、そんなロットでドル円フォワードのフロー打ち込んだらボラれて更にスワップのコストが無駄に掛かると思います(まあ儲かるのは業者だけなんですけど)。

中西センセイにおかれましては残念なことに最近の暑さで思考機能に一部不具合が生じておられる可能性があるのではないかと存じますので、医師のご診察を受けられたほうが宜しいのではないかと存じます次第。








2011/06/21

お題「まあ色々と雑談とか虫干しネタの予告編(・・・時間が無くなったorz)とか」

本格的にクソ蒸し暑くなって参りまして色々と効率が下がる事夥しいですなあ。

○東電格下げですかそうですか

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aC0Y7d3zn09E
ムーディーズ:東電を4段階引き下げ「B1」に−支援案不透明(1)

『6月20日(ブルームバーグ):米格付け会社のムーディーズ・ジャパンは20日、東京電力の長期発行体格付けを「Baa3」から投機的水準である「B1」へと4段階引き下げたと発表した。引き続き、格下げ方向での見直しを継続する。

 同日会見したムーディーズの岡本賢治ヴァイス・プレジデントは、東電の支援に向けた原子力損害賠償支援機構法の国会での成立見通しについて現在の政治状況から判断すると「不透明でリスクが高まっている」と説明。また「福島第一原発の状況が安定化していないこともコスト増の懸念を招いている」と付け加えた。』(上記URLより)

で、シニア担保付債権はBa2と相成りましたが、国会会期末で会期延長がどうのこうのというタイミングで下げてくるとか中々お洒落でありますが、それはそれとして原発の事故処理問題も順調には程遠い状況ですし、まあ事故処理でも金が湯水の如く出るんでしょうからねえ。情け容赦ねえなあとは思いますが、リリース(はMoody'sのサイトに行くとありますが会員登録しないと読めません)読みますとまあ仰っている事はそらそうですかなあという所。

まあBBB格から落ちるでござるの巻という話は既にS&Pが打ち込んでいるので2社目という事になりますが、まー1社も2社も似たようなもんだったりしまして、直ちにアレな事では無いかと存じますけどまた来やがりましたかしかもどういうタイミングなんですかねという感じではござんすな。

と思ったら国会はこうなるんすか。

今朝の公共放送ニュースから
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110621/t10013654631000.html
退陣時期・条件巡り駆け引き続く 6月21日 4時25分

『政府・民主党は、今の国会の会期について、10月半ばまで4か月程度延長する方向で、21日、野党側とも調整したうえで国会で議決したいとしています。一方、野党側が菅総理大臣の早期退陣を求め、政権幹部からも退陣の条件の明確化を求める声が出るなか、菅総理大臣は、公債特例法案などに加え、自然エネルギーによる電力を買い取るための法案についても成立に強い意欲を示しており、退陣の条件や時期を巡る駆け引きが続いています。』(上記URLより)

昨日の朝日新聞ニュースから
http://www.asahi.com/politics/update/0620/TKY201106200474.html
首相、辞任条件に再生エネルギー法成立も 計3条件に 2011年6月20日21時32分

『民主党の岡田克也幹事長は20日、与野党幹事長・書記局長会談で、22日までの通常国会の会期を10月中旬まで約4カ月延長することを提案した。第2次補正予算と特例公債法、さらには本格復興の第3次補正予算の成立を図るためだと説明した。これに関連し、菅直人首相は辞任時期について、2次補正、特例公債法、再生可能なエネルギー普及のための全量固定価格買い取り制度(FIT)の関連法成立を条件とする意向を示していたことがわかった。』(上記URLより)

・・・・・・・あのーもしもし???東電の賠償支払スキームの法案の前に何でまたどこぞの禿の金儲けのネタになりそうな法案が優先課題になるんですかこのすっから菅さんはどういう頭の構造になっているのかというか何も考えてなくて脱原発でウケを取れそうな事をするって発想しかねえだろふざけんなという所でございますなあ。

つーかさ、只でなくさえ原発の運転止めろって話が盛り上がりまくっていて火力とかの発電を増やさないといけなくて、電力作るための燃料価格が上昇して電力料金が上昇しやすいですよって状況なのに、そこに更に太陽光だの風力だのの電気買取義務化とか電力会社の負担を増やす法案を優先しましょうという発想が優先順位のつけ方として誠に素敵としか申し上げようがございませんなあと思うのですが、結局この人にとっては賠償支払がどうのこうのというような話とか、電力の供給制約で日本経済がどうのこうのというよりも自然エネルギー推進で名を残そうという発想しか無いんでしょうなあというのだけはよく把握した、今すぐ(激しく自主規制)。


しかしまあ何ですな。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=amtuJopXHCYQ
枝野氏:東電債務超過なら賠償遅れ、間接出資で一部国有化も(1)

『6月20日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は20日午後、参院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力が債務超過に陥れば東電福島第一原子力発電所事故の被災者への賠償が遅れるとの認識を示した。原子力損害賠償支援機構法案で規定された東電支援スキームは国が機構を通じて東電に出資するという意味で一部、一時国有化するということだとも説明した。松田公太氏(みんな)への答弁。』(上記URLより)

何かまあ微妙な答弁が続く人だなあという感じですが、企業って債務超過になったから即座に飛ぶのではなくて、資金繰りが回らなくなったら飛ぶのですからして「東電の資金繰りの支援は政府がしますが、将来的に東電に賠償金は払わせます」という説明をした方がすっきりすると思うのですけど、ど〜もこの人金融のことになると無茶苦茶疎いというか余計な発言のし過ぎにも程があるのでして、これが次期総理候補で人気がどうのこうのとか言われますとJGBのソブリン格付け大丈夫かとか思ってしまいますがな、マッタクモウ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aHYs8SnnNTQI
経財相:東電の資金繰りは政府が支援、電力制約につながらず(2)

まあこう言ったほうがスッキリすると思いますので与謝野さんにレク受けた方が吉ではないかと存じますが。


更に雑談ですが、昨日はこんな謎意見が出ていたようで。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110620/dst11062019350035-n1.htm
【放射能漏れ】原発事故損賠、日弁連が意見書「送配電網の国有化を」2011.6.20 19:34

『東京電力福島第1原子力発電所事故で、日弁連(宇都宮健児会長)は20日、東電の被災者に対する損害賠償の枠組みについての意見書を政府に提出した。国が債務引き受けの対価として管内の送配電網を譲り受けて一時国有化し、将来的には一部を民間に売却し資金を回収することなどを柱とした内容。「賠償は現有資産の売却が大原則で、安易に電力料金に転嫁してはならない」としている。』(上記URLより)

・・・・・・・・????

あのー、まず送配電網を国有化する金はどこからでるんでしょうか?んでもって国有化した後誰が運営するんでしょうか??国有化しても送配電網からキャッシュを生むには結局のところ電力料金に乗せないと無理じゃないでしょうか???大体からしてその送配電網の査定が厳しかったら賠償原資が出ませんし、査定が甘かったらその分回収するために電力料金に転嫁するか国民負担でロスを出すかのどっちかになるんじゃないですかねえ?????これだから法曹はなどと言っては良くないですが、どうも何だかなあ感ありありの話で。

何かね、東電法的に潰すのはそらまあ気分良いかもしれませんけど、「破産免責」とゆーのもあるように法的に潰しちゃうとその時点で終了になって将来的にこれから発生するであろう損害の問題とか諸々の負担とかって問題は全部免責状態になる訳でして、将来的に奴隷船の漕ぎ手としてこき使うスキームの方がトータルで見ればしんどい話だと思うんすけどねえ、金融屋的発想からすると。


○その他雑談

・短国とかの雑談続き

昨日は先週の短国市場がどうのこうのとかCP市場がどうのこうのという話をした訳ですが、その後も色々と確認してみましたが、結局のところ欧州関連でのファンディングで金が詰まっているとかいう訳でも無さそうで(なってたらEONIAとかが変なことになってる筈)、ファンディングの絡みでドル放出した結果安い円が出来たというよりは、フォワードとかの絡み(まあフォワードが資金繰りに関係ないかというと関係はある場合もあるので原因は当事者じゃないとよく判らんけど)で色々と時空が歪んでくれたようでおじゃる。

まあ何はともあれ、時空の歪み(^^)によって短い所の円資金でお安いお金が放出されてくれた事によって、世の中の短国がかっさらわれてしまいまして新発3か月TBも玉がカラカラ状態になってしまった状況というのはお安いお金の放出が終了しても別にそのリバースの動きが起きる訳では無いのでカラカラ状態はナオランチ会長となるのでありまふ。

つーこって、まーこの調子ですと水曜の3か月入札まで玉無しの助状態が続くものと思われます(ってまあ明日の午後までの話ですが)が、入札はどうなるのやらと中々こうwktkな状態ではあります。とは言いましてもそもそも論として短国の0.10%をアウトライトで買うニーズというのは特殊ニーズと日銀当座預金制度の外側にいる人だけでありまして、それだけで4兆8000億円が充足するとはさすがに想像できませんから前回並みとかいう話になるんでしょうけど。

ま、あと注目してるのはCPレート、というかオペとの関係でありまして、最近は短国金利の方も3か月で0.105%に中々届かないというような素敵なレートになっているから比較感からするとCPもこんなもんでっしゃろという感じなのかもしれませんが、どうも基金CP買入効果で金利が下がっている部分があるんじゃねえのかというのが直感的にするのでございまして、足元では短国市場が玉なし祭りなのでよく判らんですけど、一巡した後にCP金利ちゃんがどう推移するのか、もしかしてオペが価格形成を歪めに来てないかなあという辺りを見たいなあとか思うのでありまする。


・そういや今週はFOMCですが

今回はQE2終了してバランスシートは維持(償還再投資は継続)という話になるのでしょうけれども、今後の政策のフレームワークとしてインフレーションターゲットの導入を主張する地区連銀総裁が何人かいるという状況をバーナンキ議長がどういう風にまとめていくのかというのが注目材料かなと思ってます。

まあ直ぐに声明文や会見でその手の話が出てくるかというともうちょっと先の話になるのかもしれませんが、議事要旨では今後の金融政策のフレームワークに関しての話が出てくるんジャマイカと今からwktkしております。いやまあ会見で出たらオモシロスなのですが。

ただし、先般ご紹介したバーナンキ議長の講演(そういやその後「財政の安定性」というお題で講演していたのですがまだ斜め読みしかしていませんorz)にもございましたように、インフレやら商品価格の話をしながらもそれよりも米国経済に関して構造的な要因(バランスシート調整問題、財政問題、長期失業による生産性低下問題など)を強調していまして、あくまでもデュアルマンデートを前面に出している印象を受けました。

でまあデュアルマンデートを強調しているのも別に失業重視でビハインド・ザ・カーブを辞さずとかいうのとも違う感じでありまして(というのはあたくしが今までバーナンキ講演をつらつら見た印象論なので正確性については保証致しかねます)、どちらかというとバーナンキさんはインフレ重視とか失業率重視とかいうような感じでデュアルマンデートのどちらかに傾斜しないで、あくまでも経済状況を見ながらの金融政策運営、という事はまあ言ってしまえばある意味裁量的運営みたいな所もありそうですけれども、まあ「Data Dependent」ってえ奴で運営していきますよ的な感じじゃないかなあって思うのですよね。

つーことで、そーゆー意味ではそんなに明示的なインフレーションターゲッティングのような話に傾斜した発言とかは期待しにくい気がするのですが、まあそれが政策運営上都合が良いという話になったらあっさり導入するかも知れず、中々その辺りは決め打ちしにくいなあと思うのでありました。


○虫干しネタ予告編

予告編もへったくれも前段の雑談をうだうだ書いていたら時間がなくなっただけの話ですがorz

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110601a.pdf
バブル、人口動態、自然災害
―― 日本銀行金融研究所主催2011年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳 ――

6月1日の講演で何を今更ネタで恐縮至極でありますが、

『今年のコンファランスのテーマは、「実体経済と金融の連関性と金融政策」です。伝統的なマクロ経済学では、経済変動を経済成長と景気循環という2つの視点から分析してきました。こうした2つの視点は依然として重要ですが、過去四半世紀の経験を振り返ると、第3の視点として、金融危機のように発生頻度は低いものの一旦発生すると深刻な帰結を招く事象を考察に加えることが、政策当局者と学者の双方にとって、ますます重要になってきています。私自身も、昨年のこの開会挨拶で、既にバブルや金融危機の問題を取り上げました。』

『今年は、第3の視点という意味でも、さらに自然災害の影響について言及せざるをえません。また、金融危機や自然災害といった劇的で予測不可能なショックの対極にある出来事として、わが国経済がまさに経験しつつある人口動態の変化も非常に重要な問題であると認識しています。本日は、経済変動をもたらす要因として、このような、バブルとバブルに続いて発生し得る金融危機、人口動態の変化、および自然災害の3つを取り上げ、これらに対するさらなる研究の必要性を喚起したいと思います。』

という事でお話が始まるのですが、まあ随分と力の入った講演でございまして、こういう方向に力が入るのは大変結構なのですが、力が入った挙句に麿の自己満足でおじゃるな新貸出制度の追加などをされるのは如何なものかと思う次第ではありますけど、昨今のバーナンキ議長の各方面への配慮を怠らない講演テキストと比較しますと麿の良くも悪くも麿ワールドな部分が良く見えますなという感じかと思われます。

ということで中身は明日にでも。まあ良い方の麿ワールド炸裂という感じっすかね(^^)。








2011/06/20

お題「市場メモと5月決定会合議事要旨ネタと」

菅首相の往生際の悪さを見ますと権力の座ってえのはそんなに魅力があるのかね、と権力と無関係な市井のゴロツキのあたくしは思うのですが、まあそういや何時まで経っても粘る人ってあちこちいますわなあとか思うのでありまして。

○CP買入のレートが素敵なことになっていたりその他

金曜のオペ結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110617.htm

>CP等買入(資産買入等基金) 5,180 2,725 0.007 0.011 16.8

左から順に応札額、落札額、足切りレート、平均レート、足切りの按分比率、となるのですが、えーっとこのオペは0.10%からの利回り較差で応札するのですから平均0.011%ってえ事は出来上がり0.111%で足切り0.107%ってあーたどういう事よという感じなのでございまする。

そらまあ足元でCPのレートが何でもかんでも低くて、1年未満の社債で一部スプレッドが乗っている筈の銘柄でもCPでは銘柄間の格差がろくすっぽ無いわなという感じではございますが、足元では短国のレートも低位安定している上に、諸般の事情で資金が短国とかGCレポとかの方面に流入している事もありまして、そもそもが短国の代替でキャッシュ潰しにCPに資金が入りやすい状況でもありますので、CPオペによる価格形成への影響と通常の市場要因によるものがどの位ウェイトあるのかが微妙にイメージしにくいざますので、CPオペで市場の歪みが酷くなっているアルねという風にいえるかどうかは今の所ワカランチ会長。

海外時間的には先週の水曜位からだと思うのですけれども、ギリシャが年中行事のように昨年に続いて初夏のお祭り状態になっておりまして、その流れでドルファンディングが微妙にアレになっておられるとの事のようでございまして、何かお前ら去年と同じ事やってるとかどういう健忘症なのよと思います(けど多分ECBに打ち込みとか出来るからポジション拡大だぜヒャッハーとかやってたんでしょ欧州銀行って)が、まあそういう健忘症の連中がおりますので期近ドル金先とかにも影響出てたようざんして、何がどうなっているのかは兎も角として、ドルファンディングのプチ祭りの余波でコストの安い円資金が市場に出てきて短国は堅調だわGCは資金運用ニーズ強いわというのが先週ちょっとあったという感じでござんすので、その余波がCPに波及した可能性もありますな、という事でございます。

ただまあ去年と違ってさすがにファンディング祭りで日々フェスティバルになるかっちゅうとギリシャの延焼状況次第なんでしょうかねえ、よー知らんがな。

ということで、まあ超短い所は相変わらずの相変わらず振りであるというメモなのでありました。


続きまして5月決定会合議事要旨から。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2011/g110520.pdf

○色々と置いている前提が6月に掛けて変わっているような気がするのだが・・・・・

まあ何ですな、読んでて思ったのは小見出しの通りでございまして、経済の見通しとかの話のあたりとか読んでいまして思ったのは、えーっとベースがこの認識だと6月の決定会合で足元判断を上方修正したのってどうなのよという違和感が益々拡大といった所かと存じます次第。

とゆーことで『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』部分から。

・海外経済について

『委員は、海外の金融経済情勢について議論を行い、海外経済は、新興国・資源国の高成長に牽引されるかたちで回復を続けており、先行きも回復を続けていくとの見方を共有した。』

という話なのですが、新興国って足元減速気味じゃなかったでしたっけと思うのでございますし、総裁会見でもそういう話をしていた(ただし総裁は「過熱しないのは却って良いことです」という話をしていましたが)よねえとゆー感じになるのでございますが・・・・・・・

『米国経済について、委員は、回復を続けているとの認識を共有した。個人消費について、委員は、追加財政刺激策や雇用者数の増加、株価上昇による資産効果などを挙げ、堅調に推移しているとの見方を示した。ある委員は、好調な収益を背景に設備投資も増加していると述べた。複数の委員は、新興国向けを中心に輸出も好調に推移しているとの見方を示した。更に、複数の委員は、緩和的な金融環境が続いていることも景気を全体として下支えしていると述べた。』

・・・・・・・えーっと、緩和的な金融環境以外の件について5月決定会合以降は減速観が強まっているように思えるのですけれども。

『多くの委員は、バランスシート調整の重石から米国経済が上に弾みにくく、下に振れやすい状態が続いていることが改めて確認されているとの見解を示しつつ、こうした動きは、これまで想定していた米国経済の先行きの見方に対して大きな変更を迫るものではないとの認識を示した。』

はあそうですか。

『ある委員は、一部経済指標の事前予想対比下振れを受けて、米国経済の先行きに関する市場の見方がこのところ再び悲観的な方向に振れていると指摘したうえで、米国経済の下振れリスクは小さくないとの見方を示した。』

えーっと、指摘しているのが1人ですかそうですか。


で、ユーロエリアに関して。

『何人かの委員は、これまでのところ市場の反応は、ギリシャ、アイルランドおよびポルトガル以外の国に対しては比較的冷静であるとの評価を示した。しかし、別の何人かの委員は、ギリシャの債務再編を巡る市場の思惑を受けて、ソブリン問題に対する懸念が再び高まっており、今後、国際金融資本市場全体の不安定化につながることはないか、注視していく必要があるとの見解を示した。』

で、その結果6月決定会合時点ではギリシャ問題が拡大していると思うのですが・・・・・


と、微妙に???な展開が続くのですが、どうも足元の新興国の減速が「良い減速」という認識になっているのが根底にあるのではないかという気がするのは中国経済に関するこの部分。

『複数の委員は、これまでの金融引き締めの効果などから、中国経済が目先幾分鈍化する可能性を指摘したが、多くの委員は、景気の過熱感からインフレ圧力が高まった状態にあり、金融政策の対応が遅れ気味になっているのではないかとの懸念を示した。』


・国内経済に関して

とまあそんな感じが海外経済なのですが、国内経済に関してはその先にありますが、まず基本的な見方としては・・・・・

『委員は、景気の現状について、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にあるとの認識で一致した。先行きについては、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続いたあと、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられるとの見方を共有した。』

というのは声明文にあったとおりですが、5月会合時点では「震災の影響による大きな落ち込みを確認」した上で「改善傾向が見えている」となっていまして、その改善傾向が恐らく6月会合で更に確認できたから上方修正となった、という話になるのでしょうなあというのは把握しましたが、でも肝心の前提条件となる海外経済に関して5月会合での認識よりも減速感が出ているのですよねえというのは不思議ちゃんでございます。

『景気の現状について、委員は、前回会合後に公表された経済指標によって震災直後の景気の落ち込みがきわめて大きなものであったことが確認されたとの見方を共有した。』

ということなのですが、

『もっとも、委員は、最近の経済指標や企業からのヒアリング情報などを踏まえれば、経済活動の水準はなお低いながらも、震災直後の大幅な落ち込みからは徐々に改善していく兆しがみられるとの見方を共有した。』

ということであり、

『こうした中、家計マインドの動きについて、多くの委員が、4 月末を調査時点とする景気ウォッチャー調査で、現状判断が下げ止まり、先行きについての期待も改善していると述べた。企業マインドについても、複数の委員が、いくつかの指標で、このところ下げ止まりの動きがみられると指摘した。』

ということのようです。


・供給制約関連

『委員は、サプライチェーンの障害や電力供給など、供給面での制約が解消していくタイミングについても議論を行った。』

ということでああでもないこうでもないという話が続くのですが、最後のところでこんな指摘が。

『以上の点を踏まえ、複数の委員は、このところ、供給制約の解消に関する不確実性は低下しているとの見方を示した。』

でまあ5月会合時点ではそうだったと思いますが、直近の6月会合ではこの供給制約に関する問題では全国的な原発停止に伴う電力需要の逼迫問題という不確実性は拡大しているように思えますが、なにゆえ6月会合で上方修正をしたのかが微妙ですなあ。

まあ電力問題に関しては先行きリスク認識の部分でこういう指摘もありまして、

『この間、何人かの委員は、定期点検後の原子力発電所の再稼働の問題を考えると、やや長い目でみて、電力の安定的供給についての不確実性はむしろ増しているのではないかとの見方を示した。』

という認識が5月にあった訳で、それが6月会合で更に拡大していると思うので、最早リスク認識というよりは経済への下押し要因として認識した方が良いのではないかとシロートのあたくしは思うのですけどにゃあ。


○金融政策に関する議論も微妙にアレでござる

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分ですけど。

・時間軸の話が出ているのが唐突感があるのですが

この部分の最初には「金融政策は従来どおりを維持という結論になりました」という話になるのですが、そこに微妙な一節が。

『この間、複数の委員は、市場の安定を図るうえで、時間軸に対する市場の理解と信認を確保していくことも引き続き重要であるとの認識を示した。』

・・・・・・・なんかどういう話の流れでこういうのが出ていたのかが良く判らないのですけれども、5月決定会合時点で時間軸がどうのこうのというような話は円債市場では特に話があった訳でもないですし、別にその前後とかでもそれらの思惑って無かったと思うのですけど何か唐突感が。

もしかしたらQE2終了後の米国金融市場を念頭に置いた話なのかもしれませんけれども、それはそれこれはこれだと思うんすけどねえ。


・西村さんともう1人の人

『この間、資産買入等の基金の運営について、ある委員は、前回会合時点では、原子力発電所事故等の展開を背景に将来に対する不安が増大し企業や家計のマインドが更に悪化するリスクが高まっており、基金の増額を図ることが望ましいタイミングだと判断して増額を提案したと述べた。この委員は、その後、景気の先行きの見方に関する指標やヒアリング情報などにより、懸念していたマインドの更なる悪化の兆候がみられていないことなどを指摘したうえで、追加緩和の必要性は潜在的には大きいものの、現時点で基金の増額を行うメリットは大きくないとの見解を示した。』

『別のある委員は、経済物価の見通しを踏まえると追加緩和の必要性は依然として存在しているものの、各緩和措置の効果波及経路と副作用などの検討を続けながら、適切なタイミングを見極めていくことが重要であると述べた。』

『大方の委員は、震災直後に決定した追加緩和の枠組みのもとで、多様な金融資産の買入れを着実に進め、その効果波及を確認していくことが引き続き適当であるとの考えを示した。』

・・・・・うーむ、はあはあそうですか(棒読み)という感じですけどにゃ。


・成長基盤関連

『委員は、成長基盤強化を支援するための資金供給についても議論を行った。多くの委員は、第4回目の資金供給の結果が判明した段階で、これまでの同制度に基づく資金供給の効果について、金融機関からの声も踏まえたうえで、総括的な評価を行い、今後の同措置の在り方について検討を行う必要があるとの見方を示した。』

で、その結果があの日銀自己満足オペレーションの導入ですかそうですか。んでまあ復興復旧と成長基盤強化がどうのこうのという話も微妙にお花畑感がありますが一応一部だけ引用。

『多くの委員は、復旧・復興の過程においては、これまでもわが国が直面してきた成長力強化という基本的な課題に、同時に取り組んでいく必要があるとの見解を述べた。何人かの委員は、復旧・復興自体の資金需要はかなり出てくると思うが、資金需要を成長力強化へ結び付けていくための「呼び水」という観点から、日本銀行が果たすべき役割は大きいとの見解を示した。この点につき、ある委員は、復興資金需要の様々な特性を踏まえた必要な修正を加えたうえで、「成長基盤強化を支援するための資金供給」の枠組みを活用する余地があるのか、検討することも考えられると述べた。』

はあはあそうですか(棒読み)という感じですが、何か今後もこの関連のオペが色々と出るんでしょうかねえと考えるとorzなところではございまする。






2011/06/17

お題「出遅れましたが総裁会見である」

高橋是清という偉大な財政家をもってしても「一時の便法」の出口政策が出来なかった訳ですが、最近の与野党には自分たちが高橋是清よりも偉大なる財政家であると誇大妄想でもしておられるのか、それとも財政マネタイズの歴史的結末についてご理解しておられないような方が200人以上もおいでのようで誠に遺憾の極みとしか申し上げようがございません。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aCZqhH4DbBME
超党派議員:増税に反対、日銀は復興債の全額買いオペを−211人署名

安倍晋三なんてかつての政権放り出しっぷり見ますと財政マネタイズの出口政策を強固な意志持って実施するとか「絶対」無理だと思いますがねえ。


という話は兎も角として総裁会見から。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1106b.pdf

○景気判断に関する部分から

まずは冒頭の説明部分から。

『まず、景気の現状については、「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている」として、先月の判断から一歩進めました。』

『こうした下押し圧力はなお続いていますが、最近は、サプライチェーンが着実に修復されてきているほか、当初懸念されていた夏場の電力問題への対応も進められているなど、供給面の制約が和らぎ始めています。また、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあります。そうしたもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられています。』

・米国経済や新興国経済の減速懸念に関して

とまあ冒頭の一発目で上方修正ちっくな話をどどーんとしていますが、その後米国経済や新興国経済の減速懸念に対してどうっすかという質問が出ていましてですなあ。

『原油価格は5月に入って反落した後、横ばい圏内で推移しているほか、サプライチェーン障害の影響も短期間で収束すると見込まれます。このため、米国経済は、緩和的な金融環境に支えられて、成長テンポを再び回復させていくと考えられます。ただし、原油価格の動向に関しては不確実性が高いほか、バランスシート調整圧力も引き続き作用するため、米国経済の下振れリスクには注意していきたいと思っています。』

ということで米国に関してはこれだけ見ると何か市場コンセンサス対比強気じゃないかと思ってしまいますが、その後の質問ではバランスシート調整問題の根の深さについてコメントしています。別の質問に対する答えから。

『それから、2つ目の米国経済についてですが、サマーズ氏の寄稿は私も読みました。私自身は、多くの日本の方々と同じだと思いますが、大きなバブルを経験した後のバランスシート調整は非常に強い力で作用するということを、身をもって体験しています。従って、本格的に経済の成長率が高まるにはかなり長い時間がかかるだろうという想定を持っています。』

ということですので、循環的には回復が継続するものの、構造的に問題があって、そーゆー意味では米国経済に関してはベースとなる成長力が趨勢的に低下する中で循環的な上げ下げを繰り返すというイメージを持っているのでしょうなあと。


で、先ほどの部分の質疑の新興国部分ですけれども。

『一方、新興国については、先行きも、所得水準の向上を背景に、個人消費が堅調に推移し、基調として高めの成長を続けるとみています。金融引き締めの動きが続いていますが、流動性の過剰感はなお強く、賃金やインフレの上昇圧力がより強まっていけば、景気の振幅が拡大する惧れがあります。これまで成長が速いテンポで続いてきただけに、成長を持続的なものにするためには、景気の過熱やインフレの上昇を回避する必要があり、景気がある程度減速することはむしろ望ましいと考えています。』

ということですが、だいたいこーゆー時にソフトパッチで留まらないで資産バブル崩壊とかになってしまうのがお約束だったりするので、まー今後に関してどうなのよという気がするけど、割と明るい話ではございます。


・で更に日本経済に関してですが

関西電力の節電要請に関する質疑から。

『関西電力についてではなく、前回会合以降、あるいはもう少し前、前々回の会合以降の変化かもしれませんが、夏場の電力不足問題とは別に、少し長い目で見た電力不足の問題が日本経済にどのような影響を与えていくのかについてのご質問としてお答えします。電力は、経済・生産活動に非常に大きな役割を果たしているものです。この電力供給が、仮に、中長期的にも十分に行えなくなると、日本経済に対する影響が非常に大きくなってくると思います。』

『仮にそうなった場合には、特に製造業が中心ですが、日本での製造のコスト、あるいは日本への投資という面での見直しがなされ、日本経済の潜在的な成長率、潜在的な経済活動水準を下げていく、そういうリスクを秘めていると思います。経済面からみると、そうした点について意識していく必要があると思います。』

ということで、電力の問題は供給制約そのものズバリの話ですからこういうコメントが出るのは当然なのですが、どっからどう見ても国内の原発が止まっていくという流れが止められそうも無い以上(まあ電力不足で広域ブラックアウトでアヒャヒャヒャヒャヒャとかにでもなったら風向き変わるかもしれないけど、こういう時に無理矢理対応しちゃうのが日本クオリティーの悪寒も)、もうちょっとこの部分の供給制約に関するリスク認識を引き上げてもよさそうな気がするんですけど、そっちは5月会合よりも「改善」という結論になっているのは正直違和感があるのですけどねえ。

と思ったら「短期的に改善だけど長期的には懸念高まる」という話もしてました。これは別の質問から。

『そういう意味で、短期的には──短期的とは夏場から秋ということですが──、むしろ前回会合時点に比べると事態は幾分好転していると思います。一方で、少し長い目でみた電力不足の問題は、前回会合時よりも意識せざるを得ない──もちろん現状ではリスク要因として意識しているということですが──、そうした問題も先々の経済を考える上では意識していく必要があると思います。』

だったら足元の判断をここで引き上げる必要があったのかはちと疑問があるんすけどね。


最後の質疑2本から。

『(問) 先程の質問と関係しますが、現在、国内の景気の回復ペースが予想よりも少し速いピッチであるとすれば、今後もしばらくは続くとみているのかお聞かせ下さい。』

『(答) 今の生産活動の回復が、想定よりも幾分速いというのは、ひとえに供給制約の解消のスピードの反映です。従って、あれだけ大きく落ち込んだ、1か月で生産が15%も落ちる、あるいは3月、4月で輸出が15%近くも落ちた後ですので、当然、回復のスピードは供給制約さえ解消すれば大きくなるわけです。そこまでは定性的に考えると不思議なことではなく、供給制約が解消した後の経済の回復スピードがどうかが論点になってきます。』

ほう。

『それを大きく規定するのは、世界経済の拡大のスピードがどのようになっていくかと、先程中長期的な懸念材料として挙げた電力の問題をどのように考えるかなど、幾つかの要因がありますが、一番大きな要因は、やはり世界経済がどのようなテンポで拡大していくのかだと思います。先程、世界経済、米国と欧州と新興国に分けてご説明しましたが、今、世界経済の成長率がここに来て大きく低下するという見通しを立てているわけではありません。基本的には、高い成長率が続くということですが、この問題についての判断が、ご質問への答えになってくると思います。』

どう見ても強気です本当にありがとうございました。で、あまりにも強気なので更に質問が来るのですな。

『(問) 先程の質問に関連してお伺いします。足許の景気認識、景気判断は4月の展望レポートにおけるシナリオ対比でみても上振れているとのご判断でしょうか。』

そらまあそう聞きたくなりますわな。

『(答) 先程申し上げたのは、サプライチェーンの修復あるいは電力の回復により、生産活動については、4月の展望レポートに比べると幾分上振れているということであり、景気全体についてそのように申し上げたわけではありません。いずれにしても、来月、展望レポートの中間評価を行います。繰り返しになりますが、今、景気全体について上方修正したと申し上げたわけではありません。』

いやいやいや、国内景気の回復ペースについて質問されてわざわざ一番立ち上がりの調子が良い生産活動を選んで答えたのは麿様でいらっしゃいますから(^^)。まあ威勢の良いヘッドラインが出て「判断を大幅に上方修正」的な報道されるのもマズーと思ってちょっと火消しをしたのでしょうが、どうも字面だけを見ていると景気回復テンポ拡大ウェーハッハッハとご機嫌なように見えますけどにゃあ。


○そもそも何がご機嫌かというと麿様肝入りオペでドヤ顔状態(かどうか知らんが)というのがある訳で

ということで成長基盤オペのおかわりに関してまずは冒頭の説明部分から。

『今回の会合では、昨年夏以来実施している成長基盤強化を支援するための資金供給について、今後の取り扱いを決定しました。本資金供給は、当初の狙い通り、金融機関がわが国経済の成長基盤の強化に向けて自主的な取り組みを進める上で、「呼び水」としての役割を果たしてきている、と評価しています。』

どう見てもドヤ顔です本当にありがとうございました。つーかこういうの日銀が「ご指導」するってゆーのがそもそもどうなのよというのはあるのですが、まあ元々成長基盤オペを導入したときって日銀何か追加緩和しろと外野がやかましく、とりあえずゼロ回答する訳にも行かなかったというのがありまして、変な事されるくらいだったらこっちの方がマシですかなあというのはあったのですが、今回に関しては別に追加緩和を期待されている訳でもないのに何か急にこんなのを実施というのが何だかなという所であります。

『金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点からは、資本性資金の供給や、従来型の担保・保証に依存しない融資に着目して、今後、これを支援していくことが適当と考えられます。こうした判断に基づき、今回の会合では、金融機関による出資や動産・債権担保融資(いわゆるABL)などの取り組みに対して、日本銀行が資金供給を行うために、新たに5000億円の貸付枠を設定することを決定しました。』

『日本銀行としては、今回の措置によって、金融機関が金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを期待しています。』

まあ一昨日もひとしきり悪態ついた訳ですが、「金融面の手法を一段と広げ」などというモノは商売になると思ったら別にあんさんらに言われなくてもドンドン実施する訳でございまして、何と申しますか金融機関を「ご指導」してた時代に遡ったかのようなお話でございます。正直言ってそんな「ご指導」よりも大事なのは規制緩和とか法令所規則の整備などだと思うのですけどねえ。中央銀行のありかたとしては・・・・・


成長基盤オペの元の分に関して増額があるのかという質問がありましたが、そこでも麿のドヤ顔(いや見てないから知らないけど)が踊るのであります。

『先程の説明でも申し上げましたが、本措置は、当初の狙い通り金融機関がわが国の成長基盤強化に向けた自主的な取り組みを進める上での「呼び水」としての役割を果たしていると思います。多少具体的に申し上げると、対象先の金融機関は、業態・地域の双方で拡がり153先に達しているほか、各金融機関の取り組み分野も多様化しています。また、金融機関が設定した投融資枠は約8.4兆円と本措置の上限である3兆円の3倍近くになっています。』

という数字の話は兎も角として。

『このような、いわば即物的な「呼び水」効果に加え、メッセージ効果、すなわち、日本経済にとって成長力を高めていくことが大事であり、そのために金融機関としてもしっかりとした取り組みが必要であるとの問題意識を高めていく上でも、効果があったと思っています。』

ドヤ顔でアナウンス効果とかいやまあもうね、何か麿様は日本経済の課題を把握しているのだがこの成長基盤強化オペによって下々の下賎なる金融機関の連中にも知らしめることが出来ましたとか何だかちょっと違うんじゃネーノという感じで。

『この点は、金融機関に対する日本銀行のアンケート調査の結果にも示されていますし、あるいは金融機関のIR報告書等においても、成長基盤の強化、成長分野への取り組みが大事であるということが謳われています。こうした点は、もちろん日本銀行の力だけではありませんが、「呼び水」としての効果が発揮されていると考えています。』

どう見てもドヤ顔です本当にありがとうございました。

『以上を踏まえると、成長基盤強化に向けた金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、先程申し上げた通り、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し、今後これを支援していくことが適当と考えられます。 次に、さらなる増額という観点からのご質問についてです。今申し上げた通り、従来の成長基盤強化支援資金供給の枠を単純に増額することは、効果と副作用の面からみて、そろそろ限界に近づいています。一方、まだ十分に効果が発揮されていない出資の面、あるいは新しい金融手法を通じて成長基盤強化の体制を作っていくという面から、今回、新たな措置を設けたということです。』

ということなのですが、何で出資とか商業銀行にやらせようというのかが結局ワケワカンネと申しますか、それで出資して全損しても金融庁(一昨日と同じ話なので繰り返しませんが・・・・・)


で、大きなお世話ではないかという質問が後のほうで出ていますが。

『(問) 成長基盤支援の新しい貸付枠設定関連で教えて下さい。動産や債権担保融資は、これまで金融機関や政府が取り組んできて、必ずしも拡がっていない実態があると思います。低利の資金を出したからといって、直ぐにそれで金融機関が貸出しを伸ばすというのはなかなか考えにくいような気がします。今回の貸付枠の設定は、過去の取り組み事例に照らしてどうお考えかという点と、中央銀行が金融の手法にまで踏み込んだ異例の措置を採ることの意義について、どのようにお考えか教えて下さい。』

これはポイントを突いた良い質問(^^)。で、その答えが長いので微妙に端折りますが。

『(答)(冒頭部分割愛)市場が発展する初期の段階では、市場が小さいために市場自体がなかなか発展しにくいという時期が必ずあると思います。私どもとしては、ABLを資金供給の対象にすることによって、ABLに対して、金融機関あるいは一般の企業の方が、さらに認識を高めていく、いわば「認知効果」を通じて少しでも市場を大きくしていく、これがまた好循環を生んでいくということも期待しています。』

・・・・・・・・??????

いやあの別に認知効果もへったくれも動産担保がどうのこうのとかのネックって別に誰も知らないとかいう話じゃない(銀行じゃない業態でやってるのいたような気がしますし)と思うのですが、何かもう麿が無知蒙昧な大衆を啓蒙するでおじゃる的なテイストが溢れていて何だかなあ感が。で、その続き。

『それから、今回はこの措置を発表しただけですが、今後、そもそもABLの市場はどのような市場か、どういう課題を抱えているのかについても、日本銀行なりの分析をして発表したいと思っています。』

結論先にあり気みたいなレポートを出さないでくださいね(棒読み)。

『また、これは日本銀行の仕事では必ずしもありませんが、これまでも法律的な整備が行われてきました。さらに、政府や民間金融機関の努力で、電子債権の登録機関も生まれてきました。少しずつ制度やインフラは整備されてきていますが、まだ改善を要する面があるかもしれません。そうしたことについて、私どもは議論を興していきたいと考えています。』

いやだからそれだけやってくれれば十分なんですけどねえ。

『次に、金融の手法に中央銀行が入っていくことは異例ではないかということですが、もちろん非常に頻繁に行われているわけではありません。しかし、多くの中央銀行をみてみると、市場の発展期に中央銀行が役割を果たしています。非常に古典的な例を挙げると、かつて米国ではBA(銀行引受手形)という貿易金融のマーケットが大きかったのですが、FRBが創設された直後に、BA市場を大きくするために随分いろいろな努力をしています。日本銀行については、2003年以降、ABCPあるいはABSのマーケットを健全に育てていきたいという思いから、買入れを行うと同時に、市場関係者と一緒にフォーラムを作って、市場の発展の色々な条件、具体的な策を検討しました。そのうちの幾つかは、例えば情報をもっと開示していくという動きで、フォーマットも当時作り、今でもこのフォーマットが使われていると思います。そうしたことは、中央銀行の仕事の中の1つの部分だと思っています。』

でも別に今回って出資なり動産担保融資したりしても信用リスクの移転や信用リスクの補完、流動性補完をしてくれる訳じゃないですよね。資金供給方式は共通担保オペだから当該出資なり貸出が担保適格になるわけではないですし、信用リスクの移転なども起きませんし(2年のローンが出るというのは新しいけど今回の麿が仰せの趣旨からするとそこの年限がどうのというのがあまり関係ないと思われますし)、市場発展に向けてどうのこうのとかいうもんじゃないでしょ。

大体からしてBAとかABSとかって市場取引の育成だけど、そもそも出資だの動産担保融資だのってそれが市場取引されるわけでもないじゃネーノとか思うのでありますがねえ。


という訳で、結局何が何だかワカランチ会長、というか判るんだけど何か違うんじゃネーノと思うオペの説明なのでありました。ドヤ顔なのは麿ばかりなりということにならないように願いたいものでございまする(棒読み)。






2011/06/16

お題「悪態成分の無い決定会合レビューである(^^)」

しかしまあ何ですな、現状判断引き上げの声明文を華麗に披露した途端に米国では景気指標下振れに物価指標上振れという素敵な結果が出るとか最早様式美と申し上げても差し支え無いですな。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=anGLQChYSTwU
NY連銀製造業景況指数:6月はマイナス7.8、受注・出荷も水面下(1)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=akBAxx0MGf24
米CPI:5月は予想上回る伸び、自動車がコアをけん引(1)

あ、それはそれとして昨日の短国入札は中々壮麗な結果で益々キャッシュ潰しの世界おそロシアという話を書きたかったのですが時間と量の関係で本日はスルーでござるの巻でどうもすいませんm(__)m


まずは声明文比較から。

○現状判断を華麗に引き上げとな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110614a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110520a.pdf(前回)

・現状判断はご案内のように華麗に引き上げ

『わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている。』(今回)
『わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。』(前回)

ということで総括判断がどう見ても引き上げです本当にカムサハムニダとゆー感じですが、その後も上方修正話が続きます。

『すなわち、生産や輸出は、震災後に大きく低下し、国内民間需要も弱い動きとなった。こうした下押し圧力はなお続いているが、最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている。』(今回)

『すなわち、震災による供給面の制約を背景に、生産活動は大きく低下している。この結果、輸出が大幅に減少し、また、企業や家計のマインド悪化の影響もあって、国内民間需要も弱い動きとなっている。』(前回)

ということで、「供給制約の緩和」と「マインドの好転」という思いっきり直球豪速球を投げ込んできましたが、暴投にならないことを心の底から祈念して止まないものであります(棒読み)。


金融環境には変化なし。

『この間、金融環境をみると、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。』(今回)


物価に関しては現象として指数がプラスになった事を言及しているのみです。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスとなっている。』(今回)


・先行き見通しは基本的に大きくは変えていない

つまり「先行きは緩やかに回復する」という従来の見通しの範囲内であるとも声明文的にはなっているのですけれども。

『先行きのわが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るとみられる。その後は、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続いたあと、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

結論の「2011年度後半以降の回復」というのは変化なしで、足元の下押し圧力に関しては「強い状態」から「下押し圧力が残る」に上方修正し、供給制約に関しては「さらに」緩和されるという表現になっていますな。供給制約に関しては既に前段で直球豪速球を投げ込んでいますのでいいとしまして、足元の下押し圧力に関しても(前段の豪速球からしてそうなるのは当然ではありますが)下押し圧力の軽減に言及ということで、まあ先行き見通しの結論は変わっておらず、あくまでも「当初見通しのライン上にありますよ」という話ではありますけれども、足元の景気状況に関してはかなり強い認識になったなあという感じであります。


・リスク要因は新興国の上振れを下げる

だから下向きになったのかと思いきや、総裁会見では「過熱しないのは良い事」みたいなポジティブ話があったのが少々アレなのですが、まあこうなっています。

『リスク要因をみると、景気については、震災がわが国経済に及ぼす影響の不確実性が大きい。』(今回)

『海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。』(今回)

と、ここまでは前回と同じ。

『新興国・資源国については、このところ減速の兆しもみられるが、依然として上振れの可能性にも注意が必要である。』(今回)

なので、これが上振れ下がったから先行きのリスク認識が下に振れたのかというと微妙な希ガス。前回とは語順が違っていまして、先に下振れが来ているのはこれはこれで微妙なテイストでして、結論としてはリスク認識が下に振れたというよりは、足元の見方が上方修正された分だけ上振れリスク認識が弱くなったというバランスの取り方になったのではないかという風にオモタです。で、肝心の前回はこちら。

『海外経済については、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けて、新興国・資源国の経済が上振れる可能性がある一方、米欧経済は、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。』(前回)


商品市況に関する表現は前回と同じですが念の為引用。

『この間、国際商品市況の上昇については、その背景にある新興国・資源国の高成長が輸出の増加につながる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力の低下が国内民間需要を下押しする面もある。』(今回)

で、その結論も前回と同じ。

『以上様々な要因はあるが、当面は、震災の影響を中心に、下振れリスクを意識する必要がある。』(今回)


物価に関してはここもと同じコメントである。

『物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)


ということで、現状判断を大きく引き上げているのが特徴という所ですな。



○金融経済月報(ただし概要部分だけで勘弁)

こちらでは生産に関して現状および見通しを引き上げているのが特徴。まあ項目が生産なだけに直球勝負のテイストを醸し出していますなあという感じではございますけれども、その間に米国経済の指標がお洒落になっている辺りが何と申しますか日銀の見事な様式美ではないかと存じます(^^)。

全文のURLですのでPDFで60ページ近くありますのでご注意を。
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1106.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1105.pdf(前回)

・現状総括判断

『わが国の経済をみると、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている。』(今回)
『わが国の経済をみると、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。』(前回)

上方修正キタコレ(^^)。


・現状判断需要項目別

『生産や輸出は震災後に大きく低下し、国内民間需要も弱い動きとなった。こうした下押し圧力はなお続いているが、最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている。』(今回)

『震災による供給面の制約を背景に、生産活動は大きく低下している。この結果、輸出が大幅に減少し、また、企業や家計のマインド悪化の影響もあって、国内民間需要も弱い動きとなっている。』(前回)

ということで、基本的に声明文と同じ変化のしかたでありますな。


・先行き総括判断

『先行きについては、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るものの、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きについては、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続いたあと、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

これまた声明文と同じような変化ですわな。


・先行き判断需要項目別

まずは生産と輸出。

『生産は、供給面での制約がさらに和らぐにつれ、増加が明確になっていくと考えられる。そうしたもとで、輸出も、海外経済の改善を背景に、増加に転じるとみられる。』(今回)

『生産は、当面、低水準で推移するとみられるが、供給面での制約が和らぐにつれ、増加していくと考えられる。こうした状況になれば、海外経済の改善を背景に、輸出も増加に転じるとみられる。』(前回)

ということで、供給制約に関しての上方修正に伴い「海外経済の改善による輸出の増加によって生産などが拡大し、景気も回復基調に復する」というシナリオの実現可能性を引き上げたようなイメージですわな。

その他の項目は前回と同じ。

『また、設備投資、住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けた動きなどから、徐々に増加していくとみられる。この間、個人消費も、生産活動が回復するにつれて、家計のマインド改善もあって、持ち直していくとみられる。』(今回)


・物価の先行きに関しては企業物価の上昇幅の縮小を見る

物価に関しては企業物価の部分だけ前回と違います。現状に関しては特にインプリケーション無いので割愛して先行き見通し部分だけ。

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇幅が縮小していくとみられる。消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる。』(今回)

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、小幅のプラスに転じていくとみられる。』(前回)


・金融面では社債発行市場の環境改善に言及

金融面の話は基本的に前回と同じ表現が続きますが、社債発行市場に関しては「全体としてみれば良好」としています(つまり電力債除くという意味です)。

『社債市場でも、全体としてみれば、発行環境が改善し、良好となっている。』(今回)
『社債市場では、震災後、発行を見送る動きが一時みられたが、このところ徐々に発行が再開され始めている。』(前回)

という感じでありまして、文章を全体としてみるとやはりトーンが明るいですなあっつーところだと思います。


と、ここまで書いたところで時間が無くなったのですが、最初に申し上げたように昨日は3か月TB入札の平均落札および最低落札価格がアヒャヒャヒャヒャな0.100%カツカツレベル(もう一つ上の札に入れると貫禄の0.0992%)になったというキャッシュ潰しニーズここに極まれり、と言いつつ何時まで経っても極まっているのがマネーマーケットクオリティーのおそロシアな所ではあるのでございますが(−−;)まあそうなっていますがな、というのを一応申し上げておきますです、はい。









2011/06/15

お題「決定会合レビューをするはずが何故か悪態モードになっているのは仕様ですorz」

まずは決定会合結果から。

○何じゃこの新制度は???

ということで声明文である。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110614a.pdf

『5.昨年夏以来実施している成長基盤強化を支援するための資金供給は、金融機関の自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割を果たしてきている。金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し、今後、これを支援していくことが適当と考えられる。こうした判断に基づき、今回の会合では、出資や動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)などを対象として、新たな貸付枠を設定することを決定した(別添参照)。日本銀行としては、今回の措置によって、金融機関が、金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを期待している。』

実際の制度に関してはこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110614b.pdf

えーっとですな、色々とツッコミ所の多い制度だと思うのですけれども、何と言ってもツッコミ所は上記の中にある、

『金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し』

という部分ですわな。まずその後半の従来型の担保云々の部分は措きまして、前半の「資本性資金の供給」というのが全く持って意味が判らないのである。


・銀行が資本性資金の供給を行うとか意味わかんないんですけど

つまりですな、そらまあ日本の金融でいわゆるアーリーステージのリスクキャピタルの出し手が少ないというのはあって、それが直接の原因かというと個人的には疑問がありますけれどベンチャー育成がどうのこうのとか言われるつーのは把握しておりますが、何でそのリスクキャピタルを金融機関、つまり銀行に出させるという発想になるのか全く意味が判りません。

そもそもですな、商業銀行の資金というのは原資が預金なのでありまして、それはつまり一般の皆様の生活資金であったり小口の資金であったりするものでございまして、そーゆー資金を運用するにあたってリスクキャピタルのような流動性も元本の保全にも問題があるような所にホイホイ突っ込んで良いのでしょうかと思うのですよ。その手のリスクキャピタルの出し手はVCなりファンドなり私募投信なり余裕資金をアホほど抱えている金持ちさんとかのように「リスク許容度の高い資金」であるというのが本来的な姿ではないかと思うのでありまして、預金を原資とする商業銀行のようにホイホイ元本が毀損するような事があっては困る資金に対して「資本性資金の供給を促す」とか言われても何考えているのか理解致しかねますがどうでしょうかねえ。

いやね、それとも日銀様におかれましては商業銀行がそのような元本保全を気にしない資金供給をホイホイ行っても良いと仰せで、預金者保護とかバーゼルVとかゆーよーな件とはまた別の発想転換でもされたとでも仰せになったとか、突っ込んだリスクキャピタルの信用リスクを日銀が受けて下さるとでも仰せなのでございましたらばそれはそれで凄い変化なのですが、どっからどうみてもそんな事まで考えているとは思えない訳でございまして、商業銀行に資本性資金の供給を行う取り組みの拡大を促すというのは一見「新しい金融手法」的な美しい話なのですが、そもそも理念的に如何なものかという感想を持たざるを得ませんわなとゆーこってすな。


・動産担保融資の促進とか言われなくても儲かるならやりますがな

でね、後半の動産担保融資云々なんですけどね、大体からして現状で銀行は貸出先が無くて困っている(どう見ても不良債権に発展しそうな先なら沢山あるのでしょうが、銀行の原資は預金でありますので不良債権確実の融資はよーしませんわなあ)のでございまして、別にあんさんらに言われなくても与信先の在庫資金の見合いで融資とかしてますがなとゆー所であります。ちゃんとした債務者だったら無担保でも出しますし、というか動産担保を真面目に取るとなったら例えば商品在庫を担保とかゆーことになったらその管理だって七面倒臭いですし、第三者対抗要件の具備とかの話になると更に面倒臭くてコストが掛かる話なんで、債務者がちゃんとしてたら動産担保取るよりも無担保で融資した方が楽ですし、そんなこんなの関係でまあ不動産担保を根抵当に取っておいた方が実務上楽ですがな、という話だと理解しております(あたくし金貸しの手先の現業業務から離れて久しいので間違っていたらご指摘プリーズ)けどねえ。

つまりですな、信用リスクおよびコストに対するリターンが見込めますというのであれば、別にあんさんらに低利融資していただかなくても(つーか別に0.1%自体市場で取れるし今回の融資制度は共通担保オペ方式なので当該融資にファンディング付く訳じゃないのですが)銀行はドンドンその手の貸出を推進する訳でございまして、どこぞの麿が「融資するからこれらの貸出を推進するように」とかドヤ顔で仰せになりましてもピンボケ感ありありでございますがなという所です。

それよりもその手の動産担保を取得して第三者対抗要件まで具備するという事になった場合、現行の法制度において必要となるコストを軽減するような制度改革に努力すれば、さっき言った「信用リスクおよびコスト」のコストの方が下がるのですから別に融資制度なんぞ作らんでもそれらの貸出が伸びると思いますけどどうなんでしょうかねえ。


あと、保証人云々の話は以前(だいぶ前)にもひとしきりネタにして書いた事がありましたが(リテール金融の高度化みたいな話があったときに色々と書いたりしました、もう5年以上前の話ですが)、そもそも税制などの状況から最適化した行動を取った場合、零細企業になればなるほど企業には内部留保って溜まらないようになっていて、企業単体では財務諸表がうんこにも程があっても経営者の資産まで含めると優良取引先などというのは普通に存在していたとゆーのがあたくしが金貸しの手先をやっていた時の理解ですが世の中そんなに変わっていないと思うんすけどねえ。

この点に関して企業に内部留保するよりもオーナー経営者等の報酬などの形で流出させちゃった方が税制上有利に働くような形をどうにかした場合に話がまた違ってくるんじゃないですかと思うのですけどね。ということでやはり制度改革が必要という話になると存じますがどうでしょうかにゃ。

そういや、「無担保で保証人も取りません(キリッ)」とか言って「ミドルリスクの融資市場の開拓」とか言ってたどこぞの新規設立の銀行さんが結局その市場開拓できずに栄光のペイオフ第1号という先入先出法にも程がある(違)華麗な実績を挙げておられたと存じますけどねえとか書いていたらその代表者様がもと日銀であった事を思い出しましたざますわよ奥様オーッホホホホ。


・大体からして信用リスクは移転しないわけですし

ということで2年で0.10%の金利で出すから取り組みしやがれとか仰せのようでございますが、別に足元で資金取れない訳でもない上に、こーゆー制度を公的に打ち込まれますとその手前これをネタにした貸出等って貸付金利が低くならざるを得ないので、折角金融機関が信用リスク取っているのにそれに対するリターンが減るという面もこれがまたあるような気がするんですが。

大体ですな、決定会合結果の公表文書の3ページ目にもありますが、

『3.資金供給方式 共通担保を担保とする貸し付け』

ということで、本件によって実施した貸付が担保になるわけでもない(たまたまその貸出債権自体が審査の結果担保適格だったらなるけど)ですし、融資なり出資なりが飛んだ場合は金融機関が被る訳ですからして、そうなるとバーゼル何とかだの不良債権比率がどうのだの分類貸出がどうのだのとゆーいつもの残念な話になりますわな。

それらの推進をするってえのでしたら、例えば本件制度に則って融資なり出資して元本毀損した場合でも金融機関にバッテンをつけないとか、無税償却を認めるとか、そーゆーメリットでもつけていただきませんと、単に低利融資が付くから金利を安くしろ攻撃が飛んできて銀行のリターンが減るだけの話という誠に残念な流れになりそうな悪寒。で、その辺のメリットつけるのは金融庁様なり国税様のお話でございまして、つまりまあこの手の話ってのは日銀が単独で金だけ出せば済むという問題ではないと思うのですよね、いやまあ勿論今後そういう件について日銀様におかれましては金融庁様や国税様と協議していただけるとか、制度改革や規制緩和に向けて動いていただけるという事なんでしょうけれども(ニヤニヤ)。


・正直こんな細かい話よりも大所高所の話をしていただきたい訳で

えーっとですな、いやまあ成長基盤強化という事ですから麿様あたりにおかれましてはこれも大所高所の話という事なのかもしれませんけれども、延々と悪態を申し上げたようにそもそも資本性資金を商業銀行が供給するというのは本来の商業銀行の機能として如何なものかという気がしますし、動産担保融資云々に関しては色々と申し上げたように資金供給がどうのこうのではなくて制度上の問題をどうしましょうかという話ではないかと思うのでありますよ。

つまりですな、こういう制度を導入するから金融機関はこれこれの取り組みをしやがれコノヤローとかゆーよーな箸の上げ下げについての「ご指導」をするような細かい話をするよりも、日銀様におかれましてはより大所高所に立った話をして頂きたいと存じます次第。まあ成長基盤オペ位までなら兎も角、さすがに今回の話はあまりにも細かい話過ぎで、いやまあ大所高所で考えたら政策は現状維持しか無いからちゅう事なのかもしれませんけど、ちょっと今回の施策は違和感ありまくりじゃないかなあ、と思いましてつい勢いで悪態大会になってしまいました。

いやね、まあそのリテール金融の高度化みたいな話を推進したいとかいうような事とか、色々な資金供給チャネルの拡充が必要じゃないかというような問題意識とかまで否定している訳じゃないですし、それはそれで問題意識としては有りの話だと思いますけれども、その結果として出てきたのが今回のオペというのはどうにもこうにも何だかなあ感がぬぐえませんわなあという事でありまする。

#とMPMが出たというのに誰得悪態祭りになってしまった


○さて東電賠償スキーム法案と

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/index.html
『平成23年6月14日閣議において原子力損害賠償支援機構法案が閣議決定されましたので公表します。』

ということで法案が閣議決定されたようですが、早速枝野センセイが謎の発言を連発。

午前中はこのようなお話。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=awaM4wOSSiUs
枝野氏:電力料金に転嫁することなく賠償進めてほしい−東電

『6月14日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は14日午前の閣議後会見で、同日閣議決定された原子力損害賠償支援機構法案をめぐり、東京電力は電力料金に転嫁することなく賠償を進めてほしいと述べた。』(上記URLより)

・・・・・・えーっと、枝野先生におかれましては金は天から降ってくるとでも思っておられるのでしょうか????いずれにせよ何らかの形で誰かの所に負担が回ってくる話で、東京電力の単年度における通常の収益力及び事業用以外の余剰資産の範囲内で原発事故処理と賠償の費用が賄えないのが自明な以上、どこかにそのケツは回ってくるのですけれども、電力料金引き上げをしなかったら東電の賠償支払い完了まで何百年掛かるんでしょうかねえ。


更に午後はこのようなお話。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a9bMesdP.8kQ
枝野官房長官:東電と金融機関の協議見守る、債権放棄問題−会見(1)

『6月14日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は14日午後の会見で、福島第一原子力発電所事故を受けて閣議決定した原子力損害賠償支援機構法案に基づく資金援助を東京電力に行うにあたっては、債権放棄などの協力状況について同社と金融機関などステークホルダーとの協議を見守った上で判断する考えを示した。』

『同法案は「東電が金融機関等から得られる協力の状況については政府に報告してもらうスキームになっているし、東電に支援を行うにあたってはさまざまなことを考慮して最終的には主務大臣の認定を得るとなっている」と指摘。その上で、「今後の東電と関係ステークホルダーとの協議を見守りたい」と強調した。』(上記URLより)

・・・・・・えーっと、法案通ってもスキーム発動しないつもりみたいな発言とか全く意味ワカンネ。もうふざけんなとしか申し上げようが無いんですけどねえ。

ま、単に意地になって妄言を吐いているだけだと存じますが、枝野官房長官様におかれましては可及的速やかにお遍路に旅立って頂きたいものであるとの感を禁じざるを得ません次第であります。


で、みんなの党が相変わらず「東電救済だから反対」とか言っててイミワカンネ(東電を今法的にコカしたら後の賠償は国庫負担になるから東電却って楽になるんですけどねえという意味)とか思いますが、ブルームバーグニュースのURLが見当たらなかったので華麗にスルー。



これはただの余談ですがちょっと前に結構呆れたのがありましてね・・・・・

東京大学の岩本先生(経済学)のブログ(先週木曜なので法案出る話が出てこないときの話です、為念)
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/35690629.html
福島原発事故損害賠償支払いスキーム設計における法学者の役割

『原発事故の損害賠償が巨額になることで東電が債務超過となって,債務再編がこの順番に処理されると,社債保有者が保護され、被害者の求償権がカットされることになる。 多くの人が,このことには釈然としない思いを抱いている。原子力損害賠償法(原賠法)は原子力事業者(今回の事故では東電)に無限責任を課すという異例の措置をとっているのだが,このような形で賠償支払い能力に制約がかかっていることを何とかしたい,というのが様々なスキームの提案が腐心しているところである。』(上記URLより)

いやあの釈然としないも何もそういう決まりで資金調達とかしてるんですから。

『一方で,今回の事故処理について事後的にルールを決めることによって,社債保有者と事故被害者の優先劣後関係を逆転させてしまうことに対する批判がある。資本市場の予見可能性を著しく損なうというのは事実である。』

と思ったら一応理解されておられるという事ですかそうですか、と思ったらその次に凄まじい理屈が展開されるのである。

『したがって,社債保有者の債権がカットされ,それが損害賠償の支払い原資となるスキームが成立するとすれば,それは事後的な対応ではなく,原賠法の成文の不備を補って,立法の趣旨に沿うものであるという理論構成が必要である。制度設計を考えることは経済学者の仕事に含まれるが,現在の成文法から立法趣旨の解釈を導くことには経済学者の出番はなく,法学者の仕事となるだろう。』

・・・・・・・・あのですな、事後法作って頂いた方がまだ責任の所在というのがはっきりする(それによる日本からの資本逃避とかの責任は事後法を制定した立法府の責任ですからねえ)のですが、「法律の解釈論で優先順位をひっくり返すべき」とか更に無茶苦茶な話で、そんなのが横行したら日本の法律の文言すら信頼に値しないという話になって、先生がドヤ顔(かどうか知らんが)で仰せの「資本市場の予見可能性」とやらは事後法制定以上に低下すると思いますけれども、それが「法学者の仕事」とか意味わかんないですぅ。

とまあ思ったので晒し上げしてみただけのおまけコーナーでありました。






















2011/06/14

お題「昨日の続きでバーナンキ講演は対外説明をかなり丁寧に実施してますなというネタ」

イタ公に核を使わせて「ローマ帝国の復活」とか言い出すドウチェが出てきても困りますなあ・・・・とか思ってたらどこぞのテレビニュースの現地インタビューでビア樽みたいなオバハンが「ゴミ管理も出来ない国が原発管理なんかできないわよ!!」と言ってるのを見てクソワロタ。

まあニポーンみたいに周囲全部の国と領土係争がある(無いのはアメリカ合衆国様だけでは?)国と違って回りから電気輸入をホイホイやっても安心感がありますからねえEU域内は。

という話は兎も角として昨日の続きから。


○バーナンキ議長講演の商品価格の説明が味わいがあるのだ

昨日の続き、というか飛ばした部分でありまふ。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.pdf

『Commodity Prices』という所がこれまた説明がやたらめったら丁寧でありまして、更に(昨日も一部で見られましたが)一般ピープルだか海外だかよー知らんけど、要するに「FOMCのやっている事は正しいんです」という話を経済学的にどうのこうのと言うよりは政治的に対外説明をしてますなあという風情があると思うのですよ。

つまりですな、グリーンスパン時代と違ってバーナンキ議長は政治的に言えば以前より難しい立場にいる(そらまあ失業が高止まりしているのだから仕方ないっちゃあないですし、バーナンキが副議長時代のケツ拭きもやっている面がありますからまあシャーナイナイとも思いますが)事から対外説明を相当に丁寧に行う事が重要になっており、更に足元ではQE2に対する批判も意識せざるを得ないという部分があるのかなあとか思ったのは考え過ぎでございましょうかね。

あとですな、昨日は本件ネタでお友達とお話しててそういう結論になったのですけど(と入れ知恵成分がある事を先にバラすあたくし^^)、今回の講演でもそうなのですが、毎度毎度のバーナンキ議長の発言を見ていると先行きの金融政策に関して実際にやると決めるまではひたすらポジションを取らないようにしている感があって、市場が出口政策モードになっている時は必ずしもそうではない的発言をしてますし、足元のように地区連銀総裁からインフレ目標云々の話が出ている時には「物価に軸足を置くのではなくあくまでもデュアルマンデートが大事なんですよ」という話をする(今回ね)というようなバランスの取り方が特徴的なんじゃネーノという感じがします。

というあたくしのどうでも良い感想は兎も角として当該部分から。


・商品価格の上昇は主に新興国を中心とした経済発展によるものとな

最初の方で現状で原油だの鉱物だの農産品の価格上昇の話をしたあとこんな話から入ります。

『When the price of any product moves sharply, the economist's first instinct is to look for changes in the supply of or demand for that product. And indeed, the recent increase in commodity prices appears largely to be the result of the same factors that drove commodity prices higher throughout much of the past decade: strong gains in global demand that have not been met with commensurate increases in supply. 』

で、そのあと延々と(PDFファイルで1ページ分を丸々使って!)世界経済が新興国を中心に成長を続けた結果、原油やら商品やら農産品に対する需要が高まるという話があって、そのあとこれまた長々と(こっちは1ページ弱^^)生産能力の拡大はあまり進んでいませんでしたという説明があるのですが、そこの中でわざわざこんな話をしているのが物凄くチャーミングというか政治的な配慮がきちんとしているというか。

需要が拡大しているという話の最後の方にこんな一節が。

『Importantly, in noting these facts, I intend no criticism of emerging markets; growth in those economies has conferred substantial economic benefits both within those countries and globally, and in any case, the consumption of raw materials relative to population in emerging-market countries remains substantially lower than in the United States and other advanced economies.』

この部分は微笑を禁じ得なかったのですが、「新興国のせいで物価が上がってケシカランというのではありませんよ新興国経済は世界経済成長の重要なエンジンですよ!!!」とか気を使うこと使うことという感じで、まあ講演の対象を幅広いものと意識しているんだなあと思う訳でございまして、まあどこぞの麿ももう少し配慮した方がエエンチャウノと思う時がありますけど、これは人それぞれの部分がありますから難しいのかなあ・・・・・

ちなみに、需要が増えている話の最後はこうです。上記の続きです。

『Nevertheless, it is undeniable that the tremendous growth in emerging market economies has considerably increased global demand for commodities in recent years.』

で、一方で供給に関しては伸びておらず、足元ではリビア問題などの影響で原油生産に関しては低下してますがなという話とか、農産品に関しては悪天候の影響がありますという話をしてまして、更には「全ての商品価格が上昇している訳ではない」ということで、米国経済の落ち込みを受けて需要の縮小した木材や、生産技術の革新が起きた天然ガスなどの価格が下がりましたという話をしてましていやまあ丁寧丁寧。

で、結論ですが。

『In all, these cases reinforce the view that the fundamentals of global supply and demand have been playing a central role in recent swings in commodity prices. That said, there is usually significant uncertainty about current and prospective supply and demand. Accordingly, commodity prices, like the prices of financial assets, can be volatile as market participants react to incoming news. Recently, commodity prices seem to have been particularly responsive to news bearing on the prospects for global economic growth as well as geopolitical developments. 』

となっております。


・では先行きは???

んでその次。

『As the rapid growth of emerging market economies seems likely to continue, should we therefore expect continued rapid increases in the prices of globally-traded commodities? While it is certainly possible that we will see further increases, there are good reasons to believe that commodity prices will not continue to rise at the rapid rates we have seen recently. 』

足元のような急激な上昇は持続しないとな。

『In the short run, unexpected shortfalls in the supplies of key commodities result in sharp price increases, as usage patterns and available supplies are difficult to change quickly. Over longer periods, however, high levels of commodity prices curtail demand as households and firms adjust their spending and production patterns. 』

ということで、長期的には商品価格の上昇が家計や企業の消費パターンの変化を招いて需要を減退させるというのがまず最初の理由とな。

『Indeed, as I noted earlier, we have already seen significant reductions in commodity use in the advanced economies. Likewise, over time, high prices should elicit meaningful increases in supply, both as temporary factors, such as adverse weather, abate and as investments in productive capacity come to fruition. 』

現に先進国では商品の消費が既に顕著に減っていますし、更に長期的に商品価格が高止まりすれば生産も拡大するでしょうと。

『Finally, because expectations of higher prices lead financial market participants to bid up the spot prices of commodities, predictable future developments bearing on the demands for and supplies of commodities tend already to be reflected in current prices.』

高止まりする商品価格が上記の長期的見通しを強めるならば市場もその見通しを価格に織り込んで行くので急激な価格上昇は長続きしにくいでしょうと。

『For these reasons, although unexpected developments could certainly lead to continued volatility in global commodity prices, it is reasonable to expect the effects of commodity prices on overall inflation to be relatively moderate in the medium term.』

というのが結論でありまして、まあこの辺りの話ってタカ派ちっくな地区連銀総裁も同じような話をしていますが、これだけ丁寧に説明しているのは中々ございませんので、まあこの辺りも読んでおくのが吉かと思います。変な比喩とか無いから(ジョンブル連中の講演は比喩とかふんだんに使うから読むのホネなのよね)割とスラスラ読めますですよ。


・FEDが物価上昇を促進しているとの批判に対して

この先がその手の話になりまして、これが2ページ分くらい続きます(^^)。

『While supply and demand fundamentals surely account for most of the recent movements in commodity prices, some observers have attributed a significant portion of the run-up in prices to Federal Reserve policies, over and above the effects of those policies on U.S. economic growth. 』

ほうほう。で、最初に来るのが「ドル安を招いて物価高を招来している」という批判に対する説明でありまする。

『For example, some have argued that accommodative U.S. monetary policy has driven down the foreign exchange value of the dollar, thereby boosting the dollar price of commodities. 』

で、どういう説明かと申しますと。

『For example, some have argued that accommodative U.S. monetary policy has driven down the foreign exchange value of the dollar, thereby boosting the dollar price of commodities. Indeed, since February 2009, the trade-weighted dollar has fallen by about 15 percent. However, since February 2009, oil prices have risen 160 percent and nonfuel commodity prices are up by about 80 percent, implying that the dollar's decline can explain, at most, only a small part of the rise in oil and other commodity prices; indeed, commodity prices have risen dramatically when measured in terms of any of the world's major currencies, not just the dollar. 』

ドルの実効為替レートの低下よりも商品価格の上昇の方が遥かに大きいとか、そもそも商品価格はドルだけではなく他の主要通貨対比でも上昇しているとかいう話をしているのですが何となく言い訳キタコレという印象も(^^)。

『But even this calculation overstates the role of monetary policy, as many factors other than monetary policy affect the value of the dollar. For example, the decline in the dollar since February 2009 that I just noted followed a comparable increase in the dollar, which largely reflected flight-to-safety flows triggered by the financial crisis in the latter half of 2008; the dollar's decline since then in substantial part reflects the reversal of those flows as the crisis eased. Slow growth in the United States and a persistent trade deficit are additional, more fundamental sources of recent declines in the dollar's value; in particular, as the United States is a major oil importer, any geopolitical or other shock that increases the global price of oil will worsen our trade balance and economic outlook, which tends to depress the dollar. In this case, the direction of causality runs from commodity prices to the dollar rather than the other way around. The best way for the Federal Reserve to support the fundamental value of the dollar in the medium term is to pursue our dual mandate of maximum employment and price stability, and we will certainly do that. 』

長々と引用しましたが、ドル安の要因はFEDの金融政策だけではなく、例えば金融危機によるFTQの動きの巻き戻しであったり、米国の貿易赤字の拡大によりものであったりと、色々な要因がありますがなという話までして良い訳に余念が無いのでありまする。


で、次のお題は「低金利が商品価格の上昇を招いた」という批判に対してです。

『Another argument that has been made is that low interest rates have pushed up commodity prices by reducing the cost of holding inventories, thus boosting commodity demand, or by encouraging speculators to push commodity futures prices above their fundamental levels. 』

「低金利は在庫保有の資金コストを引き下げるので商品の需要を引き上げる」「低金利は投機家に対してファンダメンタルズのレベルを超えた商品価格上昇への誘因となる」ちゅう話でございますかな。

『In either case, if such forces were driving commodity prices materially and persistently higher, we should see corresponding increases in commodity inventories, as higher prices curtailed consumption and boosted production relative to their fundamental levels. In fact, inventories of most commodities have not shown sizable increases over the past year as prices rose; indeed, increases in prices have often been associated with lower rather than higher levels of inventories, likely reflecting strong demand or weak supply that tends to put pressure on available stocks.』

商品在庫は顕著に拡大している訳ではないなど、そのような仮説を強く支える証拠はあまり無いですがなという話ですかな。

で、もう一つの批判は「先進国の低金利が新興国のキャピタルインフローを通じて新興国経済の過熱を招いて商品価格上昇を招いている」というものですな。

『Finally, some have suggested that very low interest rates in the United States and other advanced economies have created risks of economic overheating in emerging market economies and have thus indirectly put upward pressures on commodity prices.』

『In fact, most of the recent rapid economic growth in emerging market economies appears to reflect a bounceback from the previous recession and continuing increases in productive capacity, as their technologies and capital stocks catch up with those in advanced economies, rather than being primarily the result of monetary conditions in those countries.』

『More fundamentally, however, whatever the source of the recent growth in the emerging markets, the authorities in those economies clearly have a range of fiscal, monetary, exchange rate, and other tools that can be used to address any overheating that may occur. As in all countries, the primary objective of monetary policy in the United States should be to promote economic growth and price stability at home, which in turn supports a stable global economic and financial environment.』

つーことで、何か結局新興国は新興国で金融引き締めやってますよという話でお茶を濁しているような悪寒もしますが、まあこんな感じで延々と商品価格に関する話をしているのが実にチャーミングでありました。

まー金融政策に関するインプリケーションは昨日引用した部分に尽きると思いますが。

#うーむ、他にネタを考えていたのだが時間が無いざますわ











2011/06/13

お題「バーナンキ議長講演から:米国景気に関しては労働市場を重視気味ですがさて・・・・・」

すっから菅先生はまたまた自然エネルギーがどうのこうのとか禿呼んで話をしてるのかよ、つーか「有識者」に電気を散々食う興行関連でメシ食ってる方が複数おいでなのは何だかなあと。

#ちなみに禿のお花畑太陽発電に関してのツッコミは孝好さんのブログをご参照ありたし→http://soulwarden.exblog.jp/13704143/

ところでモーサテの株のコメンテーターが金融政策決定会合では毎月何かの緩和策が出るもんだというような勢いで話をしているのですけれども金融政策ってそんなに毎月変わるもんじゃないんですけど何を考えておられるのか全く持って意味が判りません。

などという悪態は兎も角として先日のバーナンキ講演より。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.pdf

○長いのですがそんなにややこしい話は無い

PDF版だと本文15ページになるのですけれども、話は長いのですが説明がやたら丁寧になっているものの、特にこう難しい表現をしている訳では無いので割とサラサラと読めてアリガタヤなのがバーナンキ議長のスピーチの仕様でもあります。

まずは冒頭部分ですが。

『I would like to thank the organizers for inviting me to participate once again in the International Monetary Conference. I will begin with a brief update on the outlook for the U.S. economy, then discuss recent developments in global commodity markets that are significantly affecting both the U.S. and world economies, and conclude with some thoughts on the prospects for monetary policy.』

で、章立てによりますと

・The Outlook for Growth
・The Outlook for Inflation
・Commodity Prices
・Monetary Policy

という流れになっていまして、まあ一つ一つ中々丁寧に説明していまして、表現も平明ですので割と苦にならずに読めると思いますので一読推奨。で、丁寧とは言え本文15ページもあってこれをまともに全部紹介していると死ねますのでその辺に関してはてきとーに端折りつつ参ります。


○景気に関してはまあ慎重

『The Outlook for Growth』の一発目の文がこれですからねえ。

『U.S. economic growth so far this year looks to have been somewhat slower than expected.』

という事で、足元では日本の影響などもあって生産の伸びが減速し、モメンタムも低下しているが、日本の影響やガソリン価格の上昇などの影響があっても先行きに関しては緩やかなペースでの経済拡大を見ていますという話が続く。

『Aggregate output increased at only 1.8 percent at an annual rate in the first quarter, and supply chain disruptions associated with the earthquake and tsunami in Japan are hampering economic activity this quarter. A number of indicators also suggest some loss of momentum in the labor market in recent weeks. We are, of course, monitoring these developments. That said, with the effects of the Japanese disaster on manufacturing output likely to dissipate in coming months, and with some moderation in gasoline prices in prospect, growth seems likely to pick up somewhat in the second half of the year.』

んでもって全体的にはという話ですが。

『Overall, the economic recovery appears to be continuing at a moderate pace, albeit at a rate that is both uneven across sectors and frustratingly slow from the perspective of millions of unemployed and underemployed workers.』

ということで、景気回復のペースはセクターによって一様ではなく、多くの人にとってはイライラするほど遅いとかまず冒頭でぶちかましていまして、その後は各項目に関する話になります。

で、その各項目ですが、(1)家計、(2)労働市場、(3)企業部門、(4)住宅・商業不動産について、(5)政府部門、という話になっていますが、まあそんなに突拍子も無い話をしている訳ではないのですが、労働市場に関する話と家計のバランスシート悪化に関する話は先の話の前振りっぽいのでその辺だけ引用ざます。

労働市場に関しては冒頭からこんな指摘を。

『Developments in the labor market will be of particular importance in setting the course for household spending. As you know, the jobs situation remains far from normal.』

とまあこれまたぶちかましているのですが、更にこれも前からFOMCメンバーが多く指摘していますが、長期失業者に関する懸念を指摘しています。

『Particularly concerning is the very high level of long-term unemployment--nearly half of the unemployed have been jobless for more than six months. People without work for long periods can find it increasingly difficult to obtain a job comparable to their previous one, as their skills tend to deteriorate over time and as employers are often reluctant to hire the long-term unemployed.』

まあいつも指摘されていることですが、この点に関しては大きな問題でしょうという認識でございますわな。

『I expect hiring to pick up from last month’s pace as growth strengthens in the second half of the year, but, again, the recent data highlight the need to continue monitoring the jobs situation carefully.』

ということです。

で、不動産部門では最後の所にこれまた良い指摘を。

『The housing sector typically plays an important role in economic recoveries; the depressed state of housing in the United States is a big reason that the current recovery is less vigorous than we would like.』

つーことで、この辺りの話を見ますとバーナンキ議長は米国経済の構造的な部分に問題が生じつつあるというような認識を示しているなあという印象を受けまして、それがまた景気に関してハト派的な印象を与えますよね、という感じだと思います。


○インフレに関して

インフレに関してですが、まあ当然ちゃあ当然ですけど、幅広いインフレの拡大の兆候はありません(キリッ)という話になっています。

『Although the recent increase in inflation is a concern, the appropriate diagnosis and policy response depend on whether the rise in inflation is likely to persist. So far at least, there is not much evidence that inflation is becoming broad-based or ingrained in our economy; indeed, increases in the price of a single product--gasoline--account for the bulk of the recent increase in consumer price inflation.』

ということで、商品価格の上昇単体だけでの物価の持続的な上昇は難しいというこの前ブラードさんも指摘していたお話が続きまして、足元のコモディティー価格上昇による物価上昇は一時的であるという話をしていますがその辺は引用割愛するざます。

でもって、それ以外に先行きのインフレを抑制する要因を2つ指摘していますが、これまたFOMC議事要旨や他の地区連銀総裁などからも出ている論点ではございます。

『First, the still-substantial slack in U.S. labor and product markets should continue to have a moderating effect on inflationary pressures. Notably, because of the weak demand for labor, wage increases have not kept pace with productivity gains. Thus the level of unit labor costs in the business sector is lower than it was before the recession. Given the large share of labor costs in the production costs of most firms (typically, a share far larger than that of raw materials costs), subdued unit labor costs should remain a restraining influence on inflation. To be clear, I am not arguing that healthy increases in real wages are inconsistent with low inflation; the two are perfectly consistent so long as productivity growth is reasonably strong.』

つーことで、労働市場の大きなスラックが残っている中では、雇用者所得が上昇しにくく、単位労働コストも上昇しにくいので物価は抑制されますという話をしているのですが、最後に「だからといって雇用者所得が上がらないのが良いという話をしている訳では無いですので念の為」と一々断っているのがチャーミングでもあるのですが、FRBに対する政治的な批判を意識してその辺りに関しての断りを入れているのかなあと思うとバーナンキ議長も大変ですなあと感じたのですが深読みのしすぎですかねえ。


『The second additional factor restraining inflation is the stability of longer-term inflation expectations. Despite the recent pickup in overall inflation, measures of households’ longer-term inflation expectations from the Michigan survey, the 10-year inflation projections of professional economists, the 5-year-forward measure of inflation compensation derived from yields on inflation-protected securities, and other measures of longer-term inflation expectations have all remained reasonably stable. As long as longer-term inflation expectations are stable, increases in global commodity prices are unlikely to be built into domestic wage- and price-setting processes, and they should therefore have only transitory effects on the rate of inflation.』

まあこれまたいつも言われている事ですが、インフレ期待が安定しているのが重要なファクターだという話をしていますわな。従ってインフレ期待の安定化が重要という結論になるのであります、まあ当たり前ですが。

『That said, the stability of inflation expectations is ensured only as long as the commitment of the central bank to low and stable inflation remains credible. Thus, the Federal Reserve will continue to closely monitor the evolution of inflation and inflation expectations and will take whatever actions are necessary to keep inflation well controlled.』


○商品価格の部分は後日に飛ばして(おい)結論の金融政策部分

商品価格に関する部分が実は今回の講演で妙に長くなっていまして、その中の説明が色々と言い訳コーナーになっていて中々味わいが深いのですけれども、これがまたちょっと量があるので時間の都合上明日回しで勘弁という事でスルー、というのと、結論の金融政策部分に関してはここまで引用したコーナーでの論点で結論に対しての理屈は通っていますので、そーゆー点も踏まえまして結論部分にワープします。

『Monetary Policy』から。

『As I have discussed today, the economic recovery in the United States appears to be proceeding at a moderate pace and--notwithstanding unevenness in the rate of progress and some recent signs of reduced momentum--the labor market has been gradually improving. At the same time, the jobs situation remains far from normal, with unemployment remaining elevated. Inflation has risen lately but should moderate, assuming that commodity prices stabilize and that, as I expect, longer-term inflation expectations remain stable.』

ということで、現状の景気と先行きに関してですが、インフレの幅広い拡大は見られず、一方で労働市場が平常ペースから遥かに遠い状態であるという話をしていまして、(引用割愛しますが)そういう環境の下、FOMCは現在の政策運営をおこなっていますという話をしています。で、先行きに関してですが。

『Although it is moving in the right direction, the economy is still producing at levels well below its potential; consequently, accommodative monetary policies are still needed. Until we see a sustained period of stronger job creation, we cannot consider the recovery to be truly established.』

ということで、経済は回復しているものの潜在的な成長よりは低く、持続的な雇用創出が見られなければ景気回復が真に進んでいく事は考えにくいという話をしておりまして、従って依然として緩和的な金融政策が必要であるという話でありますけれども、この辺りに関してはよりインフレに軸足を置いて失業に関してはあまり数値的な目標などを置いたり直接コントロールしようとしたりしない方が良いという話をする複数の地区連銀総裁とはトーンが違うという印象でございます。

つまり、QE2終了後の金融政策運営に関しては、このデュアルマンデートのどちらにより注目すべきかという部分が論点になる可能性も出てきてますなあという感じでございます。いやまあ物価が(現在多くのFOMCメンバーが予想しているように)商品価格の上昇が一時的で済めば特にこの部分が問題になることも無いとはおもうのですけれども、英国パターンになる場合が問題になるざんしょと思いますがどうっすかねえ。

『At the same time, the longer-run health of the economy requires that the Federal Reserve be vigilant in preserving its hard-won credibility for maintaining price stability. As I have explained, most FOMC participants currently see the recent increase in inflation as transitory and expect inflation to remain subdued in the medium term.』

まあバーナンキ議長もこの次に「インフレ期待が不安定化した場合には適切な行動を取る」と話をしているのですが、どちらかというと今回の講演のトーンが構造的な問題への指摘とか労働市場の弱さに関する指摘が目立ったので、実際のインフレ期待については多分コリャマズイとなる間では中々正確に計測しにくい所でもありますので、そーゆー意味では今後は商品価格の高止まりが続き、価格転嫁の動きが拡大してきた時にさてどうするんでしょという話になるかと思いますです。

『Should that forecast prove wrong, however, and particularly if signs were to emerge that inflation was becoming more broadly based or that longer-term inflation expectations were becoming less well anchored, the Committee would respond as necessary. Under all circumstances, our policy actions will be guided by the objectives of supporting the recovery in output and employment while helping ensure that inflation, over time, is at levels consistent with the Federal Reserve’s mandate.』

ということで引用大会で恐縮至極でありましたm(__)m












2011/06/10

お題「今日は普通の雑談です(おいおい)」

今週も何だか疲れたよパトラッシュ・・・・・・

○決定会合プレビュー雑談

これは火曜日のニュースなんですけどね。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-21575420110607
焦点:次回日銀会合は成長基盤支援で追加策議論
2011年 06月 7日 22:07 JST

ふーんという印象しかなかったりするのでありますが

『日銀内では、金融機関の成長分野への融資を促す「呼び水」効果という一定の役割は果たしたとの評価では共通している。ただ、金融機関の低利融資競争をあおっている、との副作用も一部で指摘されており、単純な融資枠の拡大には慎重だ。その中で、行内では不動産担保に依存した金融機関の融資姿勢の柔軟化を支援するため、在庫商品や売掛金などの動産を担保とした融資を促進するような新たな仕掛けを組み合わせる案が浮上している。』(上記URLより)

・・・・・・えーっと、お気持ちは判らんでも無いですが、後半にある「動産担保の融資促進」みたいな話って大きなお世話の世界のような気がするんですが。この手のアーリーステージ物に対して日銀が急いで適格担保化したりするような手を突っ込む動きをしちゃうと、今度は日銀のつっかえ棒が無いと成り立たない制度みたいな形になる恐れがあると思いますがね。

まーそれ以前の問題として個人的には動産担保については一般債権者とのコンフリクトが起きるので、動産担保取るなら取るで開示とかの規則をきちんと整えた方が良いような気がするんすけどまあいいです。


ま、それは兎も角として、どうも白川総裁の思い入れ的には「成長基盤支援」というのが強いように思えるというのは以前も申し上げたと存じますが、こんな報道も出てくるようですので、まーそーゆー方向性を考えているとゆー事なんでしょうかね。

でですな、成長基盤オペって仕組みおよび理念上そうなんですが、特定の貸出に紐付けして実施するというモノですけれども、本来的に言えば(これは元々の成長基盤強化オペの趣旨とも同じだと思うのですが)金融機関が貸出などを実施する際に自主的に取り組めば良い話であって、日銀がその特定貸出に紐つけてどうのこうのというのをやるよりは、普通にどどーんと低利の1年ものみたいな資金供給をして金融機関の取り組み頑張ってねとやる方が筋じゃないのと思う次第でありまして、やはり特定分野の貸出がどうのこうのとか、それこそ上記の記事にあるような動産担保融資の促進みたいなのっていうのに対して日銀が手を突っ込んで行くのは中央銀行としての矩という意味でどうなんですかねえという気がせんでもない。


ということで、あたくし的にはあまり成長基盤の拡充云々とかいう(話としては美しいのかもしれませんが)方向に走るよりは、やはり普通に資金供給を行うという方向で、基金オペの拡大とかの方向が中央銀行としての筋なんじゃネーノとゆー気がするんですけどね。

という事で結論は何も無いのですが(おい)、他に特に事前報道に盛り上がりもございません事ですし、今回の決定会合でわざわざ何かをぶちかます必要も無さそうな感じはしますが、上記記事にあるように麿のご趣味感漂う成長基盤強化オペの拡充云々についてのお話が出るのかも知れませんけど、正直言って市場に何のインプリケーションも無さそうな悪寒。


○まあ短国とかは素敵に安定していまして

ここもとの3か月TBの落札結果

199回債:6月8日入札、平均0.1027%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230608.htm

197回債:6月1日入札、平均0.1039%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230601.htm

196回債:5月25日入札、平均0.1039%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230525.htm

どう見ても低位超安定です本当にありがとうございました。


今週の6か月TBの落札結果

198回債:6月7日入札、平均0.1083%、足切り0.1103%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230607.htm

どう見てもイールドカーブがありません本当にありがとうございました。

・・・・・・とまあそんな感じですっかり短国市場が安定していてすっかり足元では安定していないどこぞの社債関連の雑談ばかりが多くなっている今日この頃のあたくしでございますが(−−;短国市場超安定の背景としては米国の短国がどうのこうのとかもあるみたいですけれども、何はともあれ一番効いているのは日銀の資金供給姿勢がレポ金利を0.100〜0.105%水準で磔の刑にしようという動きになっている事かなあと思うので忘れないうちにメモメモ。

つまりですな、今回の積み期間って入りの所での当座預金残高が29兆円弱の水準でスタートしたのですが、その後当座預金残高が27兆円レベルまで落ちてきた所でGCレートが若干上昇の香り(といっても0.100が0.105になるとかいうレベル)を漂わせたのですけれども、25日に久々の共通担保本店オペをオファーし、その後も27日、30日・・・・とホイホイと本店オペのオファーを行いまして、在庫ファイナンスをGCとオペで行っている証券ディーラーに向けてGCのレートを切り上げなくてもよろしおすえという姿勢を見せたのがいい感じで効いてGCレートは0.100%水準できっちり安定モード(足元では積み最終近くなっているので積み終了モードに伴いGCレートが下がりやすくなっていますので東京レポレートも0.10%割れになっています)となって誠に結構な安定振りでございます。

つーことで、GC安定化→短国金利安定化という感じで大変に平和な短国ちゃん市場でありますが、地味に日銀のオペがきっちりとしていて安定感があるとこういう風になる訳でございまして、市場機能論だの何だのとか言って変にGCを振らせるのを容認するようなオペをやらなきゃこーゆー話になる次第でございまして、いやまあその件は公表文書的にはマズーなのかも知れませんが、かつて「お前そら声明文と話が違うじゃねえか」と文句が出まくった調節と、足元の比較と言うのを金融市場局さんの調節部門的にはきっちりとレビューして頂きたく存じます次第でござりまする。


○東電関連ニュースのクリップなど

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110610/t10013435111000.html
東電支援法案 来週国会提出へ
6月10日 4時32分

・・・・・・だからこの法案「東電支援」じゃなくて「賠償支払枠組み」法案なんだってという話でありまして、東電支援とかいう話が出るからあちこちから感情論が噴出して収拾付かなくなるんだから馬鹿メディア共はもう少し物事を考えて報道しやがれなどと思いますが、まあ何はともあれ法案来週出るんですかそうですか。

何かもうちょっと与野党対立が収まった所で出したほうが審議で余計なヘッドラインが出てこない分安心感があるような気もするんですが、まー足元では昨日の市場なんぞでも取引中盤ではこんな事象があったから政府サイドも急がないとマズイと思ったのかもしれませんね。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aSX61Qb6yG3s
午後の日本株再び下げ基調、東電株150円割れなど電力の下げきつい
更新日時: 2011/06/09 12:56 JST (これはザラ場の状況ですので念の為)

東電の株価は一時エライ勢いで下落してアチャーという感じでしたが、引けに掛けては戻ってきまして人心地つきましたなあちゅー所でございますが、まあ先週末のアンディー発言以来もう一発の下落モードとなって、市場が暴れだした事によって危機バネが働いてくれるのであれば不幸中の幸いと言えないこともないのかなあなどと。

結局ですな、例の2兆円融資パワーで当面資金繰り回るからという意識から「じゃあ本件はまだ余裕がある」などと考えるのが間違いの元でありまして、市場ちゃんというモノはそんなに余裕ぶっかましてくれない人たちの集団だったりするので、このように催促しまくるという所でしょうな。こーゆー危機対応にはスピード感が必要でありますけれども、まあこれ法案審議でまたぞろ河野某のような「無能な働き者」が暴れだしてヘッドラインリスクにならないようにして欲しいものでございます。


電力さんといえば関電さんの起債が延期とな。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahzgH1ujlLh0
関西電:6月の起債見送り、金利帯で折り合わず−根深い原発リスク(1)

『6月9日(ブルームバーグ):東日本大震災後初となる電力債発行を検討していた関西電力は、6月中の起債を見送ることを決めた。時期も未定としている。野村証券が9日、電子メールで情報を開示した。東京電力の原発事故による市場環境の激変を受け、高い利回りを求める投資家との間で折り合いがつかなかったようだ。』(上記URLより)

そらまあ法的整理がどうのこうのというような取引所のお調子者社長がいて、更には野党第一党の「影の内閣」の馬鹿閣僚が電力債の一般担保の前提を平気で覆すような話を堂々とするというような事例が生じたら他の電力会社さんの電力債発行に影響が出ますわなという事でありまして、まあ早速このように他の電力会社さんにも悪影響が波及しておりまして、その結果として東電以外の電力会社さんまで資金調達コストが上昇するという事は即ち電力のコストが上昇する事になる訳で、日本全体が得をしないという大変にワンダホーな展開になりつつある、という事ですなこりゃ。

つまり斉藤某と河野某は可及的速やかに腹を(以下自主規制)という事に他ならない訳であって、不用意かつ軽率な言動によって国民の厚生を阻害するバカチンは速やかに首を(以下自主規制)であるという思いを禁じ得ないものでございます。


○とか書いてたらECBネタを忘れた

http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110609.en.html
9 June 2011 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 1.25%, 2.00% and 0.50% respectively.』

はあそうですか。

http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110609.en.html
Introductory statement to the press conference

『Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council decided to keep the key ECB interest rates unchanged. The information that has become available since our meeting on 5 May 2011 confirms continued upward pressure on overall inflation, mainly owing to energy and commodity prices. The underlying pace of monetary expansion is gradually recovering. Monetary liquidity remains ample, with the potential to accommodate price pressures in the euro area. Furthermore, the most recent data confirm the positive underlying momentum of economic activity in the euro area, while uncertainty remains elevated. Overall, our monetary policy stance remains accommodative, lending support to economic activity. On balance, risks to the outlook for price stability are on the upside. Accordingly, strong vigilance is warranted.』

「upward pressure on overall inflation」だの「risks to the outlook for price stability are on the upside」だの威勢の良い言葉が続いて「strong vigilance is warranted」とゆー事で利上げ予告ですかそうですか。いやあ威勢の良いことですなあ(棒読み)

と、メモだけしておきますね(^^)。














2011/06/09

お題「世に悪態の種は尽きまじということで悪態雑談であるorz」

今日は雑談の巻で勘弁でおじゃる。

○優先順位は引っくり返らないようで何より、つーか当たり前じゃヴォケ

直リン自粛ですが例の人のブログ。
http://www.taro.org/2011/06/post-1023.php
一部修正 平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案
2011年06月07日 14:34

えーっと、一昨日悪態をつきましたが、よくよく調べてみたら河野センセイの「優先順位をひっくり返す」ネタは思った以上に金融市場で話題というか恐怖の対象になっていまして、勿論「そんなアホな話あるかよ(法の支配という観点的にありえないでしょという話で)」という反響なのですが、自民党も大丈夫かよという認識が金融市場(といってもネタが社債の優先順位云々ですから金利方面限定でしょうが)方面に拡大中なのは自民党さんも把握すべきでは無いかと存じます。

ということで、一部修正とやらが入ったのですが、そちらにはこのような記述が。

『6月4日付のブログに載せた、自民党の農水部会と経産部会が議員立法で提案しようとしている「平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案」の条文を衆議院法制局と確認したところ、一般担保よりもこの法案による国の求償権を優先する規定は盛り込まれなかった。

シャドウキャビネットの議論では、国がこの法案に基づいて行った仮払いによる東電に対する求償権は、電力債よりも優先的に弁済されることになるとのことだったが、そうするためには特例の条項が必要となる。その条文が現段階では法案に盛り込まれていないので、このままのかたちで提出されれば、国の求償権より電力債の方が優先される。』(上記URL先より)

河野太郎ざまあと言った所ではございますが、その車道キャビネットとやらの議論が何で部会の方に反映されないのか意味が判りませんなあと申しますか、ああつまり河野先生は言うだけ番長さんなんですねえと申しますか、その件が盛り込まれないことに関して何で政治家として自分の主張が通るべく努力しないでひとごとのように「規定は盛り込まれなかった」とか書くだけなのですかねえと甚だ不思議に思うのでありました。

つーかそれ以前の問題として、ここにある「シャドウキャビネットの議論」とやらの方がオソロシスでございまして、河野太郎センセイ以外のシャドウキャビネットのメンバーがこの事後法により物権の優先劣後をひっくり返すとゆー無茶苦茶な事後法炸裂スキームを了承してるんですかと思いますと自民党も相当頭のネジが外れているんじゃネーノという懸念が高まるものでございまする。いやまあどうせ「議論」って言ったって河野センセイが一人でその話してただけだと思う(もしシャドウキャビネットが全員でそれを了承しているのだったら部会でそれが引っくり返った事になるんですがそれってどうよという感じですわな)のですけれども、何だかなあという感を深くする昨日のひとときでございました。

そもそもですな、一昨日も悪態を申し上げましたが、事前に法的に定められている物権の優先劣後順位を国家権力が事後的にひっくり返すという行為を普通だと思うような感覚を持った人間を国政の場に置いて良いのか、という議論になる訳でありまして、近代法治国家における立法府の人間としての適格性を問われるべき(つーか議員に不適格)問題でありますわな。これは氏の主義主張の問題以前であって、このような手合いに国家権力握らせたら法治もへったくれも無い無茶苦茶な事が起きてそれこそ皆様の生活もいつ国家によって収奪されるかも判りませんというようなキチガイ国家になるのではという懸念(当然ながらそんなキチガイ国家に投資やら融資やらする人は居なくなりますよねえ)まで起こるのはあたくしが心配性だからでしょうかねえ・・・・・・・



○住宅ローンの免除を義務化・・・・・・ですと??????

昨日の公共放送ニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/k10013379991000.html
二重ローン問題 支援策の原案
6月8日 4時54分

『東日本大震災に伴う、いわゆる「二重ローン」問題で、政府と民主党は被災者の負担軽減を図るため、金融機関から中小企業に対する債権を買い取るファンドを新たに設けることを柱にした支援策の原案をまとめました。』(上記URLより)

ということで話が出ているのですが、最後の一文に呆然。

『この問題について、自民党は、住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており、今後、与野党の調整も行われる見通しです。』(上記URLより)

>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており

・・・・・(;゚д゚)

住宅ローンの免除の「義務化」ってナンデスカソレ????????

えーっと、つまり「津波で流されるような住宅に融資を行った銀行は貸し手責任があるのでローンは債権放棄すべきである」とまあ自民党様はそのように仰せだという事で理解すれば宜しいのでしょうか。で、その放棄した分の穴は金融機関が被れという大変にワンダホーな認識でおられるという風に理解すれば宜しいでしょうか???

今朝(というか昨晩遅く)のニュースで続報がありましたが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/t10013408961000.html
二重ローン対策 民主が原案了承
6月8日 23時48分

『二重ローン対策を巡っては、自民党なども住宅ローンの免除を金融機関に義務づけるなど独自の案をまとめており、民主党では、来週から野党とも協議を始め、合意できる部分があれば、改めて政府側に提言していくことにしています。』(上記URLより)

いやね、報道ベースの一言だけで、自民党の案そのものを見ている訳じゃないからまさかに自民党が枝野発言もびっくりの「国家による債権放棄の強制」法案を作ろうなどとは思いません(というか思いたくない)でして、これは公共放送が自民案をちゃんと理解しないでローンの免除に関わる部分を端折って紹介しただけだと思うのでありますが、民間企業である銀行の債権放棄をそう簡単に扱われても困る訳でございまして、「被災者がカワイソウ」の感情論先行でそこの部分だけ部分最適の行動とかされても困りますがな。

大体からして「義務化」とか言うのって国家による私権の強制的な収奪に他ならないのでありまして、義務化して債権放棄した分の穴を政府が全部埋めてくれるとでも言うのなら兎も角、そうじゃないのに「義務化」と言い出したら自民党の方が枝野官房長官のはるか上を逝くという話でありますが大丈夫なんでしょうか自民党。

まさか「銀行は金があってケシカランので負担させればよい」とか素敵な事でも考えているのでしょうかとも懸念される次第でありまして、その「何かとりあえず金が有りそうだから取って来る」みたいな暗黒中世国家もビックリの発想が出て来るのは立法に携わる者としての適格性(以下同じ悪態なので割愛^^)。


それにさ、住宅ローンの免除分は国が埋めますみたいな話をした場合であっても、それってローンの残債によって不公平がでまくる話ですし、そもそも家を自己資金で買っていた人や住宅ローンを完済した人には何の救済も無いという意味不明な展開になると思うのでして、それなら津波などで被災して自宅が流されちゃったという人に対して、当時の固定資産台帳(とかが流れているのかもしれませんが・・・・・)などを参考にしながら住宅流れた分の相当額あるいはその一部を国が救済措置として支給するみたいにするほうが話の筋じゃネーノという気がするんだが。

もしね、本当に強制放棄という話になるんだったら、今後銀行が住宅ローンを出す時には火災保険に加えて地震保険などを鬼のようにガチガチに取って貰ってその保険証券にも担保設定しないとおっかなくて融資できませんがなという話になるのでございまして(当然ながらローンの審査も厳しくしないといけませんわなあ)、つまり目先の被災者救済の為に将来の住宅ローン借入者のコストが増大するという甚だトンチキな結果を招くのではなかろうかと存じますけどあたくしのイメージ間違っておりますでしょうかねえ。

つーかさ、そんなに貸し手責任言われるんだったら自由民主党様辺りに貸している銀行さんもそのうち何言われるか判らないからさっさと回収される事をお勧めしたく存じます次第ですなあウェーハッハッハ。



○こっちの方がクローズアップされるんだからさあ

この話最初に出たときにも悪態ついたけどさあ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aiwCB1NqxDaY
自民:Xデーで金融機関に経営不安も、日銀は潤沢な資金供給を(2)

『6月8日(ブルームバーグ):自民党は8日、将来の償還への不安から国債価格が急落(金利は急上昇)し市場の動揺が収まらない状況が起こった場合、一部の金融機関の財務状況が大きく変化して経営不安を引き起こす可能性があると警告した報告書を公表した。このような事態に対処するため日本銀行は前例にとらわれないで思い切った潤沢な資金供給を行う必要があると強調している。』(上記URLより)

んでもって上記記事(およびブルームバーグニュース見てて流れてたヘッドライン)を参照しますと、どうも今回の提言の目的は

『報告書は、その作成目的として「民主党政権の財政政策に対して警鐘を鳴らすこと」を挙げ、政府・民主党に対し、税と社会保障改革に関する議論を軌道に乗せていくなど財政健全化に向けた取り組みを着実に進めることや民主党のマニフェスト(政権公約)の抜本的な見直しを行うよう求めた。』(上記URLより)

という事のようなのですが、金融市場フィルターが掛かるとブルームバーグの見出しにあるように、

『報告書では日銀の取るべき対応について「前例にとらわれず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う」と指摘。具体的な対応として国債の買い切りオペレーションの大幅増のほか、「リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない」ことを挙げている。』(上記URLより)

というどうせマネー増やせばどうのこうのって方々が主張している話の部分だわなあと思われる話がクローズアップされるわけよ。

でもさ、そこの記事で第一生命経済研究所の熊野さんも指摘していますけど、そもそも「国債大暴落」という話になる時っていうのは「ソブリンのソルベンシー問題」とか「通貨の大暴落」とか「財政の猛烈な発散懸念」とか、まあその手の症状が起きているのであって、そんな時に日銀が資金供給しても焼け石に水にもならないし、財政発散懸念で大暴落してる時にうっかり日銀が国債買入拡大したら財政マネタイズの更なる拡大の懸念から大暴落に拍車を掛けるだけで、焼け石に水どころか焼け石にガソリン投下になると思うのですけど大丈夫か自民党。

・・・・・とまあそういう感想を金融市場の中の人的には考えてしまうのでありまして、たぶんこれはあたくしだけではなく普通に金融市場でやっている人の感覚として共有できると思うのでありますけれども、何かこう自民党も激しくネジが外れていますなあという懸念がするものでありまして、こうなって参りますと日本の資本主義の最後の砦はやはり大門実紀史先生(ただし日本共産党)しかおられないのではないかと実に悲しい思いをする昨日のひと時なのでございました。


○悪態ついでに産経電波浴

毎度お馴染みの産経電波浴のお時間です(^^)。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/plc11060508250007-n2.htm
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 大復興の鍵握る「新結合」
2011.6.5 08:21 (2/3ページ)

ほうほうそうですかという事なのですが、田村先生何時の間にか「電力の自由化で大復興」という主張をされている(3ページ目ご参照)ようですが、上記URLの2ページ目の小見出しを見て椅子から落ちそうになったあたくし。曰く、

『◆効率の悪い財政支出』

・・・・・・・えーっと、ついこの前は「外貨準備を担保に復興国債数十兆円発行しろ」とか何とか仰ってませんでしたっけ田村先生。

(ご参考)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110327/fnc11032708140000-n3.htm

何かさ、こういうのが「編集委員」で「日曜経済講座」とかやってて大丈夫なのかねというか書いてて恥ずかしくならないのかねとか思うのです(あたくし如きのチンピラゴロツキだってこうやって世間の片隅で誰も得しない駄文書いてる中で変なこと書いたり矛盾した話したりすると物凄く恥ずかしい思いをして訂正したりするんですけどねえ)けどまあ何とも。


・・・・・と思ったらこんなのも。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110603/fnc11060321240015-n1.htm
【復興を問う】国債の日銀引き受けも選択肢 早稲田大学政治経済学術院教授 若田部昌澄氏
2011.6.3 21:22 (1/2ページ)

えーっとですな、まあ日銀引受に関する主張に関してはまあそういう主張もされるのも宜しいんじゃないか(あたくしは現状でやるメリットよりもやった結果起きるデメリットのほうが破滅的に大きいと思われるのでやる必要なしと思いますけど)と存じますが、これはないでしょこれは。

『−−日銀は国債の直接引き受けが「通貨の信認」低下を招いて悪いインフレにつながると否定している

 「(戦前に)高橋是清が日銀に国債を引き受けさせたが、是清の存命中はハイパーインフレになっていない。日銀は毎年、民間が購入せずに残った国債を事実上引き受けている。物価上昇が通貨の信認を脅かすなら、世界中の通貨は信認を失っている」』(上記URLより)

何か3つの文とも突っ込みどころがありますけれども、とりあえず2番目の

>日銀は毎年、民間が購入せずに残った国債を事実上引き受けている

というのは何を指して仰っているのかさっぱり判りません。主張をされるのであれば、その根拠に事実と乖離していると思われるような話を為されないほうが宜しいかと存じますけどねえ。

ちなみに、1番目の文に関しては「是清の死後が問題顕在化した件を問題にしているのに何でそこで話を終わりにするのよ」ですし、3番目の文の「物価上昇が通貨の信認を脅かす」とかそれ話が逆で「通貨の信認が喪失したら破滅的で誰も得しない物価上昇が起きるという話をしているのに何で話をすりかえるんですか」という話でございまして、こういう理屈にもならない理屈を言われましても建設的な話になりませんがなという所なんですけどねえとは思います。


#ということで今日も誰得な与太話大会で誠に申し訳ございません







2011/06/08

お題「明示的なインフレターゲットに関連して/昨日の悪態の補足(?)」

昨日の悪態の補足をさらっと。

○やはり東証の社長がそもそもコメントをすべきではないという論点について

昨日東証の社長のインタビューに関してああだこうだと申し上げましたけれども、お仲間の人たちとその後も話をしていましたら「そもそも東証という取引所運営機関の人間が個別企業に関するコメントをすること自体が不適切にも程がある」という論点を皆さんから頂戴しました。

確かにその通りでありまして、今回のような「法的整理」という問題となりますとそれは上場廃止などにも繋がる問題(というか斉藤社長はその手の処理策に関しても言及しているようですし)であって、個別企業の上場廃止云々に関わる問題っていわゆる「重要事実」並に扱いが重要なモノであり、かつ取引所そのものの中の人がそのような問題に関して見通しなどを発言するっていうのはコンプライアンス上どうなのよという論点がそもそも論としてありましたなあという所でございます。

つーかさ、今回は社長コメントだったけど、東証の審査部門とか売買管理部門の担当者が外部に向けて個別企業の問題についてホイホイと勝手に発言したらマズイんじゃないかと思うわけなのですが、東証はそーゆー件に関して内部的にちゃんと規制してるんでしょ、何で社長が率先してあんな話するかなあという所で、まあこの社長ただの目立ちたがり屋の軽率なお調子者だったのですかねえとガッカリ感が否めない次第でございまする。

というかさ、取引所の立場ある人が上場している個別企業の問題について規定に則った以外の対応やコメントをするというのは、月曜の株式市場で実例を示したように株価に重大な影響を与える場合がある訳でございまして、全くもって不適切極まりない行動(=発言の内容云々以前に個別企業の経営見通しに関して取引所の社長という立場の人間が発言するという行為)によって株価を下げた斉藤社長の行為は罪万死に値するというかとっとと社長辞めろやヴォケという感じでしょうかねえ。

ご参考までに野村證券の証券用語集のリンクを張りますが、意味が何かあるわけではございませんので念の為申し添えます(^^)。
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/i/innsaida.html



○明示的インフレ目標に関する地区連銀総裁2名の講演から

常にフロントランナーで主張するいつものお方
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1027
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Commodity Prices, Inflation Measures, and Inflation Targeting

MAY 24

こちら実は4月7日講演なのでちとネタが古いけど。
http://www.clevelandfed.org/For_the_Public/News_and_Media/Speeches/2011/Pianalto_20110407.cfm
Current Issues in U.S. Monetary Policy

Global Interdependence Center Conference: Capital Markets in the Post-Crisis Environment Part IV
Rome, Italy
April 7, 2011

ということで、毎度お馴染みのセントルイス連銀のブラード総裁と今回はクリーブランド連銀のピナルト総裁の講演から少々。


・ブラード総裁の「ヘッドラインインフレ重視」論が更にパワフルに

http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1027(再掲)

ブラード総裁は先日来「明示的なインフレ目標の導入」にすっかり熱心になっていまして、更に「コアインフレの概念は必ずしも正しくない」という主張をするというのもセットになっているのですが、その主張は引き続きパワフル、というかスピーチが新しくなると更にパワフルになる訳でして、常に議論のフロントランナーを目指しているというお方のようでして、何かそういう人が日銀の審議委員にもいたような気がしますが(^^)。

でもってさっきのURLのブラードさんの方ですけれども、冒頭に大体のまとめがございましてですな。

『Bullard said ignoring energy prices in measures of inflation may understate the true inflation rate if rising energy prices represent a relative price shift for energy. In addition, he discussed headline and core inflation and stressed that the key policy goal with respect to prices is headline inflation rather than core.』

まあこの前も同じ話をしていしたが、エネルギー価格が上昇する結果として相対価格の上昇が起きるケースを考えた場合には、コアインフレが安定しているから無問題とか言っているのは如何なものかという話をしているざんすな。

『He also said that the Federal Open Market Committee (FOMC) “should de-emphasize core inflation in order to reconnect with households and businesses that experience important price changes every day.”』

ほう。

『Bullard briefly discussed the merits of commodity standards and inflation targeting, concluding that “inflation targeting is a better choice in the current environment.”』

これまた毎度の話でして、本文およびプレゼンテーション資料を見ますとより細かく説明されているんですけど、基本的には(このあとに出てくるピナルト総裁も同じ趣旨の話をしていますが)「エネルギー価格の上昇がある程度継続して足元のヘッドラインインフレが上昇したときに、一般ピープルのインフレ期待を引き上げる事を防ぐ為(一旦上昇したインフレ期待を下げるのはコストが掛かるから)に、明示的なインフレ目標を呈示する(ことによってインフレ期待をアンカーさせる)」という話をしているのですな。

『With respect to monetary policy, “a pause allows more time to assess the strength of the economy,” he said.』

ただし、具体的な金融政策運営に関しては(これまた直近のピナルト総裁の講演でも同じ趣旨の話をしていますが^^)「足元の金融政策は現状を維持すべき」という話が結論になっています。

では何で現状維持かという話なんですけど、それはブラードさんの講演趣旨を書いた上記の最初の方のURLの『Commodity Prices』にあるのですけれども。

『While there have been substantial increases in commodity prices in recent months, Bullard noted that energy prices cannot continue to increase indefinitely. “Still, some sectoral prices do continuously move in one direction for a long time,” he added, citing two examples: prices for medical care, which have increased, and prices for computer technology, which have decreased.』

つーことで最初にありますように、エネルギー価格のここからの単独での持続的上昇に対しては不可能であると指摘していまして。

『Bullard said that as the giant economies of Asia converge toward Western levels of real income per capita, “it is at least a reasonable hypothesis that global demand for energy will outstrip increased supply over the coming decades.” He added, “If that scenario unfolds, then ignoring energy prices in a price index may systematically understate inflation for many years.”』

ただし、アジアなどの新興国の経済成長によって当該諸国の生活水準が上昇する事によって需要が拡大している、というケースを考えた場合には「コアインフレだけをみているとインフレを過小評価する」という指摘もしていまして、まあそのあたりのバランスを取ると「デュアルマンデートよりも物価を重視すべき」という話になるというのがブラードさんの結論っすな。

なお、先ほども引用しましたが、ブラード総裁は今後の金融政策に関しては、

『Bullard also discussed monetary policy after the Fed’s current quantitative easing program ends. “Past behavior of the FOMC indicates that the Committee sometimes puts policy on hold,” he said. He noted that hold in the current environment would mean:

・the policy rate remains near zero;
・the “extended period” language remains intact; and
・the balance sheet remains at the level as of the time of the decision to go on hold.

A pause “gives the Committee more time to assess economic conditions,” Bullard said.』

ということで、現在の「実質ゼロ金利」「extended periodの文言」を継続し、更にバランスシートは当面現状水準を維持すべきという話をしています。


・クリーブランド連銀ピナルト総裁のインフレ目標およびインフレに関するコメント

ということでピナルト総裁。
http://www.clevelandfed.org/For_the_Public/News_and_Media/Speeches/2011/Pianalto_20110407.cfm(再掲)

ちとネタが古くて4月7日なのですが(大汗)。

景気認識に関しては割愛しますが、基本的には「回復はしているけれども緩やか」という話をしていまして、『The Outlook for Growth and Inflation』の頭の所でこんな話をしています。

『For almost two years since we emerged from the deep recession, the U.S. economy has been recovering, but at a gradual and bumpy pace.』

んでもってその回復は輸出に牽引されてはいるものの、雇用の回復が遅れているので・・・・

『Despite these sources of strength, not all Americans are sharing equally in the recovery. Unemployment continues to be a significant problem. At this point, the U.S. economy has added back only 1.5 million of the 9 million lost jobs. Also, the continuing problems in the housing sector pose a significant drag on economic growth.』

てな話をしていまして、今回は引用しませんけど直近で6月1日にピナルト総裁が講演しているのですけれども、金融政策に関しては現在の緩和的な政策を継続して現状維持をすべきという認識を示していますが、まあこの時点での講演内容での見通しからの変化があるという感じではなく、違和感は無いかなという所です。


で、インフレに関してですけれども。

『Nevertheless, if energy and commodity prices continue to increase sharply, people could start to worry about the consequences for inflation. The natural question in these times is whether the recent surge in oil prices will be enough of a driving force to cause a lasting increase in the rate of inflation in the United States. At this point, I don’t think it will, and let me explain why.』

ということで、足元のエネルギー価格の上昇が持続した場合にはインフレ拡大の懸念が一般にも高まる懸念がありますが、そこまでの上昇は見込んでいませんと。

『First, large increases in food or energy prices tend to be temporary. History shows that they are often followed by sharp declines. For example, in 2006, oil prices in the United States rose significantly over the first eight months of the year but then dropped in the remainder of the year.』

急激な上昇をするとその反動ありまっせと。

『Second, to cause a lasting rise in inflation, the increases in food or energy prices have to be large enough and persist long enough that they spill over and cause sustained increases in a wide array of other consumer prices. At this point, there is no evidence of a broad spillover, but as a central banker, I keep a close eye on this.』

ということで、現状では食品やエネルギー価格の上昇の溢れ出し効果(つーか波及効果と言った方が良いのか^^)は観測されていないというのももう一つの理由ですが、これはFEDでも皆さん注目していると思いますけれども、食品やエネルギー価格の上昇の2次的効果の拡大を注視する、というのがFEDのこれからの一番重要ポイントになるように思えます。

で、そのあとクリーブランド連銀が計測している『median CPI』の話があってこれもオモロスなのですがそこは割愛しまして、その次の部分。

『Another important factor in my outlook for inflation is the public’s expectation that the Federal Reserve will keep inflation contained. While it may sound like a self-fulfilling prophecy to say that we will have low inflation because we collectively expect low inflation, the relationship between actual and expected inflation has been borne out over history. One reason is that expectations of inflation play a crucial role in the price-setting decisions of firms. When firms expect lower inflation, they raise prices more slowly. Despite the recent surge in food and energy prices, measures of longer-run inflation expectations remain below 2 percent. These measures come from bond yields and surveys of economic forecasters.』

七面倒臭いので段落全部引用しちゃいましたが、まあ要するに「インフレ期待が現状ではアンカーされており、Fedがインフレをコントロールするという点に関する期待も維持されているのでインフレの高進は抑えられるでしょう」という話をしている訳ですが、それが次の前振りみたいになっています。


『Implications for Monetary Policy』の所からですが、最初はまあ金融政策の話を比較的普通の話をしていますが、途中からインフレ目標導入の話になります。

『The current stability in inflation expectations was not achieved just by good fortune. The public’s expectation that inflation will remain low and stable over the long run comes from their expectation that the Federal Reserve’s monetary policy will deliver low and stable inflation over the long run.』

ほう。

『As a Federal Reserve policymaker, I believe that it is my responsibility to do everything I can to underscore confidence in our commitment to maintain price stability. But I understand that price stability can mean different things to different people. Today, the concept is vague and the FOMC has not established a formal inflation objective.』

ということでインフレ目標導入論キタコレ。

『With the potential for inflation expectations to be more volatile in the face of energy and commodity price shocks, I think it could be an opportune time for the FOMC to be more specific and publicly announce an explicit numerical inflation objective.』

商品価格のプライスショックによってインフレ期待に変化が起き易くなるリスクも勘案して、明示的なインフレ目標を設定すべきという話ですわな。

『Adopting an explicit numerical objective would have to be the decision of the whole FOMC. My own preference is 2 percent over the medium term, an inflation objective that is quite similar to the targets of many central banks around the world. As much as the concept of “zero inflation” appeals to me, 2 percent is a much more practical numerical objective than zero. An objective set much below 2 percent increases the likelihood that the FOMC would need to push short-term interest rates down to zero for an extended time to head off a deflation or to fulfill its mandate for maximum employment. As we are seeing today, keeping interest rates near zero complicates the monetary policy process.』

インフレ目標の数値は2%が適切で、その理由としては「ゼロ」だと何かの拍子でデフレ入りするリスクもあるという糊代および、政策金利をある程度のプラスに置く事による金融政策上の糊代の観点のようですな。

『Although I remain committed to fulfilling both aspects of our dual mandate for price stability and maximum employment, I think it would be unwise for the Federal Reserve to establish a corresponding numerical objective for unemployment. The long-run sustainable rate of unemployment can move around for a variety of reasons, such as the demographic makeup of the population and changes in how labor markets function. Since the Federal Reserve cannot know what the sustainable level of unemployment is, or how it will evolve over time, it should not set a numerical objective for unemployment.』

ということで、ではデュアルマンデートの失業率はどないよという話ですが、そちらに関しては数値目標を設けるのは意味が無いという話をしています。まあそらそうだなという理由になっていますが(^^)。

で、最後に金融政策に関してですが。

『Establishing an explicit inflation objective need not imply any material change in the current conduct of monetary policy.』

明示的なインフレ目標を設けることは金融政策に大きな変化を生じさせるものではない、とインフレ目標設定をタカ派的なイメージで取られないようにしているのかなあとか思いましたが(^^)。

『The U.S. economic expansion is still quite uneven, and it has considerable ground to make up. History suggests that the effects of recent commodity price pressures on consumer price inflation are likely to be transitory. From my perspective, economic conditions, including low levels of resource utilization, subdued inflation trends, and stable long-term inflation expectations, warrant the continuation of our current monetary policy stance. Indeed, my outlook for economic growth and inflation assumes that we complete our asset purchase program as originally scheduled, and keep our federal funds rate target at exceptionally low levels for an extended period. As always, if my outlook for economic growth or inflation changes, I stand ready to adjust my view about what constitutes appropriate monetary policy.』

とまあそういうことで、基本的には「現状の政策を維持する」という話になっているようでございます。








2011/06/07

お題「今日も悪態シリーズになってしまいますたorz」

東電関連はどうしてこう悪態ネタばかりが出てくるのでしょうか・・・・ということで、やはり6月6日は6月6日でしたという悪態雑談で今日は勘弁。

○東証社長のインタビュー記事で大変なことに

http://www.asahi.com/business/update/0604/TKY201106030609.html
東証社長、東電の法的整理を主張 「日航と同様に」
2011年6月4日10時26分

良く見ますとネットの記事は土曜の午前中に出ていたようで(一応日曜にはそんなのあるなあとは思ったがここまで大事になるとは思わなかったし、そもそも火消し出るだろと思ってたですorz)、新聞だと朝日新聞の日曜の朝刊の経済面に出ていたとか何とかだと思いましたが、新聞に関してはそのものズバリを確認していないので良く判らん。

んでもって記事より。

『東京証券取引所グループの斉藤惇社長は、原発事故で経営危機にある東京電力について、法的整理による再建が望ましいという見解を明らかにした。朝日新聞のウェブマガジン「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」のインタビューに答えた。』

『1990年代の金融システム危機を参考にした処理案も提示。特別法をつくり、東電の資産内容を厳しく調査。債務超過ならば一時国有化し、銀行には債権放棄を求める。その場合、東電は上場廃止になるが、数年後に発電会社として再上場する案を示した。送電設備の売却や原発の国有化の可能性も指摘した。』(上記URLより)

ということで、オリジナルのインタビュー記事内容は上記のWebマガジン(有料です)を見ないと判らないのですが、途中まではこちらで読む事ができるようでございます。

http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011053100009.html
「東電は法的処理が望ましい」「政治のリーダーシップが必要」
東電賠償問題で斉藤惇東証社長が提言
2011年06月03日(約10400字)

『東京電力の福島第一原子力発電所放射能漏れ事故の損害賠償を支援する政府の枠組みをめぐり、東京証券取引所グループの斉藤惇社長が「できることなら東電は日本航空(JAL)と同様の法的処理が望ましい」「政治のリーダーシップがあれば可能だ」「その結果、東電が上場廃止になっても受容せざるを得ない」などと語った。政府が東電に融資している金融機関に「債権放棄」を求めたことに斉藤社長が「異義」を唱えた真意を尋ねるインタビューの中での発言。破綻した原発中心の電力ビジネスの在り方についても聞いた。』


・・・・・・で、その結果ですが市場はこういう反応を。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aEQvzj82iVqU
東電株がストップ安で安値、東証社長の法的整理望ましい発言報道(3)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aTKJpPBBreB4
東電CDS、東証社長発言で社債保証コストが1000bp台に拡大


そらまあそういう事になりますわなという感じですが、どうもインタビュー記事が途中までになっているので斉藤社長の説明が良く判らん(質問と答えの流れが微妙に何だかなあという感じなので)のですが、どうも読んでいると何だこの人不見識じゃんという感じも漂ってくる気がするのでありますが、まあこういうのは最初から最後まで見ないと判らんですし、そもそも書いているのが朝日新聞なので本件に関しては朝日新聞フィルターが入っている可能性があって即断は避けておこうかと思います。

とは言え一言。上記インタビューの中で斉藤アンディーさんが「銀行の貸し手責任がある」とか言ってますけど、貸し手責任というのは「返済の可能性が低いのが明らかなのに貸出あるいは追い貸しをしているケース」を言うのであって、国策としてのインフラ企業であり、かつ当時の日本航空と違って累積赤字の山でも何でもない企業である電力供給会社に対しての融資を捕まえて「貸し手責任」と言うとは頭おかしいんじゃねえのとしか申し上げようが無いのですけど。真っ赤っ赤なのに表面化恐れて延命していた住専融資とかと話を一緒くたにするとか意味わかんねえ。

インタビューでアンディーさん「銀行は債権者で一部株主だからガバナンス働かせろ」というような事も言っているようですが、屁みたいな持分で東電様みたいな取引先に何か言える訳ねえだろという感じですし、潰れそうな企業に貸してるんじゃないんですから銀行がそんなに取引先企業に対してガバナンスとやらを効かせる事なんて出来ないんですけど。大体からして原発は国策で推進していて、それに関しては経済産業省やら原子力ナントカ保安院やら何やらと色々な政府関与のある世界で、取引先銀行如きが口だせるかってえの。

#大体からして「ガバナンスを効かせる」とか言って銀行が取引先の事業展開に口を出して融資引き上げたら「貸し渋り」とか「貸し剥がし」とか朝日新聞あたりが先頭切って銀行叩きするでしょうが・・・・・


○発言そのものがそもそも不適切な上に事後処理も糞な東証は腹を切って(自粛)

話がちと脱線しましたが、まーそれは兎も角として、5月13日の枝野官房長官会見において枝野さんの「債権放棄恫喝発言」を引き出した質問をしたのが朝日新聞の記者さんでして、翌日の社説でも枝野発言を絶賛しておられたのもこれまた朝日新聞でありますので、こちらのインタビューに掛かれば「東京電力は法的整理が望ましい」という発言部分がクローズアップされるのは火を見るより明らかでありまして、記事になった時にどういうインパクトを与えるかというのって普通に斉藤社長および東証サイドで想像がつくはず。

でね、そういうヘッドラインが出るというのは、まあ例えとしてどうかと思うけど、八百屋が店頭で売ってる商品を捕まえて「この商品は本来廃棄すべきだがそのまま陳列しています」というようなもん(多分もっと質が悪いが)であって、そもそも証券取引所という立場の人間、しかもトップの位置にある人間が、自分の所で上場しているだの企業に対して「法的整理すべき」とか発言するとか全く持って意味が判らない訳でして、そういう問題に対しては取引所はルールに則って中立に対処しないと取引所としての機能が果たせないと思いますがねえ。

まあ記事を読むと別に今すぐ法的整理しろといっている訳ではないのですけれども、少なくともそのように取られる発言をするのがトンチキにも程がありますし、しかも相手が朝日新聞であって、従来の論調からしたら「東電解体」的な発言にビビットに反応するの見え見えなのでありまして、何ドヤ顔でインタビュー受けてるんだという感じですし、大体からしてインタビュー記事見たらやれ原発の国有化だの電力事業の送電分離とか、お前は取引所の社長という立場でそこに上場している企業の有り方とかに何か言う資格あるのかヴォケというような感じでありますが、まあ「取引所のトップ」という立場からしたら脇が甘いですなあと思いますがどうでしょうかねえ。


でね、まあその発言についてはそんな感じでありますが、更にトンチキなのは小見出しにあるように東証の対応が糞にも程があること。

まあ朝日新聞サイドでも一応武士の情けというか、気を使ったんでしょうなあと思うのは、このネタを新聞記事ベースにしたのはネットに出たのが4日の土曜で紙の記事になったのが5日の日曜(らしい、土曜かもしれないけど兎に角記事になったのは月曜朝刊よりも前)でして(そもそものWebマガジンはマイナーなので話題にならんかったでしょ^^)、東証サイドでは当該記事に関しての何らかの火消しを月曜の立会い時間開始前に行う事が十分に可能であった筈。

然るに、東証の対応はこんな感じ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=av1ShxIlwYWE
東証:現時点で東電が上場廃止基準に抵触すべき事実ない−報道受け

『6月6日(ブルームバーグ):東京証券取引所は6日、東京電力の上場廃止などに関する一部報道について、「現時点で東電が上場廃止基準に抵触すべき事実はないと認識している」とのコメントを発表した。』(上記URLより)

これは昼休み時間帯に出たコメントで、ああこれだけなのね肝心の斉藤社長の「法的整理」発言へのフォローは無いのねと思っていたら、ようやく引け後も引け後、夕方の6時になってやっとこんなのが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=adN1D5p78bv0
東証:一般的に債権放棄が求められる場合について答えた−東電報道

『6月6日(ブルームバーグ):東京証券取引所の斉藤惇社長が東京電力について法的整理による再建が望ましいという見解を明らかにしたとの一部報道を受け、東証は6日、「一般的に債権放棄などが求められる場合には会社更生法やそれに代わる特別法などの法律に基づき明確なルールのもとで対応が行われるべきであるという考えをお答えしたもの」とするコメントを発表した。』(上記URLより)

・・・・・あのさ、一日取引終わってから3時間もしてからノコノコと今更何をコメント出してるのアホじゃないの東証ってとしか申し上げようが無いのでありまして、その間に株価はクソ下がりするわCDSは絶賛拡大するわで散々動いておりまして、まさにアフターフェスティバルにも程があるとはこの事であろうかと。折角朝日新聞が武士の情けで(かどうか知らんが)火消しをする時間を与えてくれているというのに東証および斉藤社長の牛の涎のようなダラダラとした対応によりまして時既にお寿司になってしまっているという事で、これはまあ朝日新聞のセンセーショナルな見出しの出し方もどうかと思いますけど、それよりも東証の対応があまりにも糞過ぎて泣けてくるというものであります。

つーかそもそもアンディーの発言が糞なのであればアンディーは腹を切って(自粛)なだけではなく、唯一ネ申又吉イエスの手によって地獄の火の中に投げ込まれるべきであるものであろうかと存じますが。どうもあのインタビュー記事見てると「一般的に債権放棄などが求められる場合」という話にはあまり見えない気がせんでもない(ただし朝日新聞フィルター入り)ですしねえ。


と言うわけで、読者様のお役に全く立たず、更に誰も得しない悪態をつい延々と書いてしまいまして誠に申し訳ございません申し訳ございませんm(__)m


○折角ですので他にも東電関連ネタ

・枝野官房長官会見より

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a1xtDz4vrjLI
枝野長官:東電の法的整理は大変な問題生じる、避けねばならぬ(1)

『6月6日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は6日午後の会見で、東京証券取引所グループの斉藤惇社長が、東京電力は法的整理による再建が望ましいとの見解を示した、と一部報道で伝えられたことについて、法的整理されると「大変な問題を生じる」ため政府としては回避したいとの考えを示した。』

ほう。

『枝野氏は東電への対応について「賠償債権がしっかりと確保される、事故処理に関係している多くの事業者、特に中小企業等が有する債権がしっかりと確保されなければ原発の収束に影響を与えることになる」と指摘。その上で、東電の法的整理について「この2つの債権には優先権がないので大変な問題が生じるということを政府としては一貫して危惧をして、このことは避けなければいけないと考えている」と訴えた』(以上上記URLより)

ああやっと気がついたのね・・・・・・っておせーよお前それでも法曹出身かよという感じですが、そもそも関連の枠組み作るときにちゃんとした人からちゃんとしたレクを受けていれば最初の時点で理解している筈であって、政権に入りこんで訳の判らん入れ知恵をしている魑魅魍魎(どこぞの禿みたいなのが著名ですが有象無象は沢山いるようで)の話ばっかり聞いてるからそういうことになるのよね。

同じ会見記事でロイターから。
http://jp.reuters.com/article/politicsNews/idJPJAPAN-21546420110606
東電の法的整理は避ける、債権放棄発言していない=官房長官

>債権放棄発言していない
>債権放棄発言していない
>債権放棄発言していない

・・・・・・・・・・「トラストミー」発言で著名な鳩ポッポ先生が「人間はウソをついてはいけない」と先日仰せでございましたがさて・・・・・・・


・しかし枝野官房長官の恫喝よりも凄いのが自民党にもいたりする

と書けば判るようにお馴染みのポピュリズム全開の河野太郎先生ネタ。

昨日の朝こんなニュースが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110606/t10013330771000.html
自民 原発賠償金仮払いへ法案
6月6日 4時14分

ほほうと思ってみていたのですが、当該法案に関して河野太郎先生がブログでご宣伝。(直リン自主規制中)

http://www.taro.org/2011/06/post-1021.php
平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案
2011年06月04日 21:03

『東電の発行する電力債は、一般担保付き社債として、他の債務よりも優先して弁済されることになっている。つまり、東電が法的整理をされた時に、電力債は、賠償金や金融機関からの借り入れよりも優先的に弁済され、残った資産で賠償金と金融機関からの借り入れが同じように弁済されることになる。』

お分かりのようで。

『電力債の弁済が行われ、資産が残らなければ、賠償は国民負担になる。しかし、国がこの仕組みで仮払いをして東電に対する求償権を持つことにより、賠償が電力債よりも優先的に弁済されることになる。』(以上上記URLより)

・・・・・・・えーっとですな、あたくし破産法を専門に勉強していた訳ではないから良く判らないのですけれども、国として先取特権としての優先順位があるのは「国税債権」でありまして、賠償金の立替払いをしたものの求償権って国税債権扱いにならないような気がするんですけどどうなんでしょ。

という技術的な問題も去ることながら、河野先生のこの発想と言うのは危険極まりないわけでありまして、即ちこの発想のそもそもの問題として、「物権の優先劣後関係を国家権力が事後法によってひっくり返そう」という意図があるのは明白でありまして、それってそもそもの近代法治国家としての根幹を揺るがす発想に他ならないと思いますけど如何でしょうか。

つまりですな、枝野官房長官の債権放棄恫喝発言(本人は「言っていない」との事ですが、笑)は無法発言なのですが、河野議員のこの発想は近代法治国家の根幹を揺るがす発想であり、最早無法を通り越して暗黒中世国家への逆戻りを容認する発想としか申し上げようがございません訳で、こんなの横行したら日本で安心して商取引できませんがなという話になりますがなと思う訳で、こんな手合いを「影の内閣 行政刷新・公務員制度改革担当大臣」にしている自民党も何考えてるんだという感じですな。

ま、自民党はそんなアホな意図でこの法案作った訳では無いとおもいますけどね。


・ああ時間が無くなったけど全然別件

どうでもいいが今週号のエコノミスト(本家ではなく毎日新聞系で出してる奴)の宣伝ツイートで面白いのを見かけたので一応悪態。というかこのページ見た瞬間に大爆笑したわwwwwwwwwww
http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/

爆笑の第一特集。
http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/summary/news/20110603org00m020076000c.html
第1特集:米国債を売れ!
 ◇復興財源に外貨準備を活用せよ
 ◇根津利三郎(ねづ・りさぶろう=富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー)

・・・・・・・・いやもう爆笑過ぎて腹痛い(外準って別に余剰金積んでるんじゃないから為券償還したら何も残らないどころかいまだと赤じゃねえのとかいうツッコミはもうしない^^)のですが、あたくし不覚にもこの方存じ上げませんけれども、経済研究所の人という肩書き入りで堂々とこんな事書いて恥ずかしいくないのかねと思う次第でありまして、富士通総研って確か日銀総裁になる前の福井の俊ちゃんが社長をやってたと思うのですが、こらまた随分なお方を飼っておられるなあと感心致します。

まあこちらの著者様におかれましては反省してお遍路にでも出かけて頂くと宜しいかと存じますが、まあお遍路に行っても全然反省も進歩もしない人が日本国の首相をやっておりますようですので、どうせですから御社目の前の竹芝埠頭から手漕ぎのボートか足漕ぎスワンボートで伊豆七島縦覧の旅にでもお出掛けになられると宜しいかと存じます。









2011/06/06

お題「中村審議委員会見はやはり景気に慎重/延々引っ張っていますがFOMC議事要旨ネタ」

お題が長いですかそうですかorz

○景気に慎重&成長基盤オペの拡大に慎重とな

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1106a.pdf

・景気見通しに関して

まずは米国経済に関する質問に対するコメントから。

『もっとも、米国経済の先行き見通しに関しては、不確実性は依然高く、雇用環境をみると雇用者数の増加が続いているものの、過去の景気回復局面に比べ改善テンポは緩やかです。失業率もまだ高水準で推移しています。原油価格をはじめとする国際商品市況の動向は不透明であり、再び上昇することになれば、原油の純輸入国である米国の所得形成力を弱め、民間部門の支出を下押しするリスクがあります。

また、かねてから指摘されているように「家計のバランスシート問題」が、景気回復の重石となって作用し続けていることも気懸りです。昨年いったん下げ止まったかにみえた住宅価格は再び軟化しており、家計債務の過剰感はなかなか払拭されないと思います。家計の住宅購入需要も弱い動きが続いており、住宅投資の回復は当面期待しがたいように思われます。住宅市場の調整圧力は、実体経済と金融面の双方に対して、引き続き下振れリスクとなるのではないかと懸念されます。』

でもって講演で国内景気に関して「足元改善しているものも見られる」という話をしていましたけどどうなんでしょという質問も来まして、それに対してこのように説明しています。

『まだ、指標が多く揃っているわけではありませんが、生産面では、自動車を中心とするサプライチェーンの回復について、各社の情報からみると、当初の想定よりも早まっているように思います。また、消費についても、小売などはかなり戻っているように感じられます。一方で、観光をはじめとするサービスについては、回復はまだまだ弱い状況です。また、下振れリスクとして、原発問題などの不透明な部分が大きいことから、改善している部分はあるものの、全体として明るさが強くなったとはまだ言えない状況にあると思っています。』

ということで、講演ではちょっと明るい感じの話でしたが、経済に関する先行き見通しの話は丁寧に慎重な言い方をしていまして、就任以来ハト派的な発言が多い中村審議委員はやはり先行きの見方は慎重でございましたです。


・成長基盤強化オペに関して

成長基盤強化オペについての質疑が妙に長かったのでその辺から。

まずは先日の入札で成長基盤オペが3兆円になった件について。

『今回の資金供給では、地域金融機関向けが一段と増加しており、業態や地域の面でさらに拡がりがみられます。また、個別投融資については、引き続き、日本銀行が例示した18分野のほか、地場産業への取り組みなどもみられます。このほか、各金融機関が取組方針において設定した投融資枠の合計額は8.4兆円になります。また、本資金供給の上限である3兆円を大幅に上回っているほか、個別投融資の平均期間も6.6年と、本資金供給の貸付期間の上限である4年を上回っています。 このように、幅広い金融機関が、自らの顧客基盤や地域性などの特性に応じて、成長基盤強化のための多種多様な金融面からの取り組みを活発化させており、本資金供給は、狙いとした「呼び水」効果を発揮していると思っています。』

呼び水効果キタコレと申しますか、成長基盤強化オペそのものよりも「金融機関の自主的な取り組み」を評価しているように見えますが、その後の質疑応答を見るとまあ確かにそんな感じですかなというのが続くのである。

『本資金供給については、今回の貸付けの実施により、貸付総額の上限である3兆円にほぼ達することになります。今後の取扱いについては、成長基盤強化の重要性の観点や、本行からの融資額を積み上げることではなく、民間金融機関による取り組みを後押しするという本措置の狙い等を踏まえつつ、金融機関等による取り組み状況を見極めたうえで、慎重に検討していきたいと思っています。』

ということで、あまり増やす話になっていませんねえとゆー所ですが、ズバリ直球ストレートに「つまり枠の増額は積極的では無いと?」とゆー質問が飛んで来ましたがそちらに対して。

『やや慎重に考えたいということです。先程お答えした通り、この制度は、導入した当初から転貸資金ではなく、あくまでも基本は民間金融機関が金融仲介機能を発揮していくための呼び水です。この制度が、日本銀行がお金を出し続けなければ成り立たない制度だとすると、制度としてどこかおかしな部分があるということになるのではないかと思っています。』

ほほう。

『もちろん成長基盤の強化は大事なことですから、引き続き支援していかなければならないわけですが、この制度が当初意図した形で機能しているのかを検証し、制度自体に問題があるとすれば、むしろその点を見直さなければならないということであり、そういったことを含めてトータルで考えていく必要があると思います。当初、導入した趣旨から考えても、単に枠が一杯になったから増額するということにはならないし、そういう制度ではありません。私としても、この制度の延長について全く反対ということではありませんが、日本経済を成長させるという目的に資するのかどうかという点をきちんと検証する必要があると思います。』

成長基盤強化に関する重要性については麿と同じ話をしていますけど、成長基盤強化オペの拡充に関しては麿とはちと(だいぶ)温度差がありそうな感じです。で、何でじゃろという所ですが副作用に関する質問がありまして、そこの答えがこんな感じ。

『この制度の副作用についてですが、一部の金融機関からは金利の引き下げ競争を刺激しているとか、単に転貸のために使用されているといった指摘が聞かれています。本制度の趣旨は、基本的には民間金融機関の自主的な取り組みを支援するということであり、これを歪めているのであれば、好ましくないし、目的にも合致しません。こうした副作用については、本制度を継続するにしてもどのように排除していくのかをしっかりと考えていく必要があります。』

転貸資金になっているのはまあ確かにどうかなという感じですわな。で、同じ質問になるのですが、震災支援貸出制度を成長基盤強化に発展的に乗換みたいな話に関してどう思うのかという質問に対してはこれまた慎重。

『震災の問題については、既に被災地の金融機関に対する支援という形で対応策を打ち出していますが、復興復旧資金については、こうした活動が緒に付いたばかりであり、具体的にどのような形で資金需要が出てくるのかについては、今後の問題だと思います。また、現時点では、民間金融機関の対応や国の財政支援の内容が明確になっていないため、もう少し様子をみる必要があります。このため、単純にこれを右から左に持ってくることには無理があると思っています。』

ということで、中村審議委員は講演などがそんなに多くないのですけれども、講演は兎も角として会見を見ていますと、割と執行部のペースとは違う感じで話していまして地味に面白いです。


・財政問題に関して

まあこれは標準的な話をしていますけど。

『財政再建については、米国でも争点となっているほか、欧州でもギリシャ等の財政再建問題を抱えているわけですが、わが国においてはもっと大きな問題であると認識しています。こうした中、日本国債に対しては市場の信認が維持されており、金利が低いことから、財政にとって大きな金利負担になっていませんが、ある意味では課題が先送りされているように思います。ただ、日本国債に対する信認がすぐさま無くなることは考えられませんし、今回の震災の復興財源についても、どのような形で調達されるかは分かりませんが、国債が増発された場合でも、市場で十分に消化できると思われます。』

さいですな。

『しかしながら、財政問題は時が経つに従って、傷が深くなっていきますし、市場が信認を与えているうちに財政再建の道筋をつけておかないと、ある日突然、市場からバッシングを受ける可能性もありますので、金利が低いから良いとするべきではないと思います。午前中の挨拶でも申しましたが、財政問題は短時間で解決できるものではないので、個人的には、市場の信認がある間に財政再建の道筋をつける必要があるとの危機感を持っています。』

で、改めて国債増発の市中消化に関する質問に対して。

『規模とタイミングによると思いますし、発行後の財政的な裏付けがどういう形で明示されるかということにもよると思います。資金の需給から言えば、国債が増発されても、ある程度は市場で消化する余裕があると思います。ただ、財政面での裏付け等がないままですと、市場から反発が出ることも懸念されます。』

という事で、「しらっと出しても大丈夫でしょ目先は」という感じですが、このイメージには違和感ございませんです。


ということで、中村審議委員の講演は講演よりも会見の方が面白いのでありました(^^)。


○引っ張ってスマンカッタ(4月FOMC議事要旨)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf

・FOMCメンバーのインフレ見通しについて

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の第9パラグラフから。

『Participants discussed the recent rise in inflation, which had been driven largely by significant increases in energy and, to a somewhat lesser extent, other commodity prices. These commodity price increases, in turn, reflected robust global demand and geopolitical developments that had reduced supply.』

足元のインフレが商品価格上昇の影響で上昇していますがその件に関して、と説明入りなのがチャーミング。

『One participant suggested that excess liquidity might be leading to speculation in commodity markets, possibly putting upward pressure on prices.』

過剰流動性の商品価格上昇に対する影響を指摘したのは1名と。

『Many participants reported that an increasing number of business contacts expressed concerns about rising cost pressures and were intending, or already attempting, to pass on at least a portion of these higher costs to their customers in order to protect profit margins. This development was also reflected in the rising indexes of prices paid and received in several regional manufacturing surveys. 』

価格転嫁への動きが徐々に起きる懸念がある、というか一部で起きているとな。

『Some participants noted that higher commodity prices were negatively affecting both business and consumer sentiment. 』

数名は物価上昇のセンチメントに与える悪影響を指摘。

『Core inflation and other indicators of underlying inflation over the medium term had increased modestly in recent months, but their levels remained subdued.』

ということで、結論はやっぱりコアインフレや中期的な基調的なインフレは依然として抑制されていますという話でありました。で、インフレの話は更に続くのでありました。第10パラグラフから。

『Participants generally anticipated that the higher level of overall inflation would be transitory. This outlook was based partly on a projected leveling-off of commodity prices and the belief that longer-run inflation expectations would remain stable.』

まあそうですなという感じですが、商品価格上昇による足元の物価上昇は一時的なものである、というのがFOMCメンバーの一般的な見通しとなっていますので、そーゆー意味からも(4月27日時点であっても)そんな簡単にホイホイと出口政策ってえ感じじゃないなあという風に思うのでありますけどどうでしょうかね。

『Some participants noted that pressures on labor costs continued to be muted; if such circumstances continued, a large, persistent rise in inflation would be unusual.』

労働コストの上昇圧力は引き続き弱められており、その状態が続く中でインフレが持続的に拡大するのは不自然である(つまり持続的な拡大はしない)と数名が指摘。

『Measures of near-term inflation expectations had risen along with the recent rise in overall inflation. While some indicators of longer-term expectations had increased, others were little changed or down, on net, since March.』

しかも足元の短期的なインフレ期待は上昇しているけれども、3月以降の長期的なインフレ期待に関する指標は一部で上昇しているものの、そのほかは変化少なく、一部は下がっているということで、全体的には変化なしまたは低下と言う認識のようで。

『Many participants had become more concerned about the upside risks to the inflation outlook, including the possibilities that oil prices might continue to rise, that there might be greater pass-through of higher commodity costs into broader price measures, and that elevated overall inflation caused by higher energy and other commodity prices could lead to a rise in longer-term inflation expectations.』

とは言いましても、インフレ見通しに関しては多くのメンバーがアップサイドのリスクをより懸念しているという話がございますな。そらまあ当たり前ですけれども、そのルートは商品価格上昇の継続による価格転嫁ルートと、長期的なインフレ期待の上昇ルートということですな。

『Participants agreed that monitoring inflation trends and inflation expectations closely was important in determining whether action would be needed to prevent a more lasting pickup in the rate of general price inflation, which would be costly to reverse.』

一旦一般物価インフレが拡大すると戻すのにコストが掛かるので動きを注意深く観察して必要なときには行動というフレーズが。

あたくしが勝手に思うのですが、このあたりハト一辺倒でも無いのはデュアルマンデートで物価を軽く見ていると見られた場合にインフレ期待が上昇するリスクがある、というのを意識しているんじゃないのかなあとか思っているのですけどどうっすかねえ。つーかまあ同じこと次のところに書いてあるのでございますけどね。

『Maintaining well-anchored inflation expectations would depend on the credibility of the Committee's commitment to deliver on the price stability part of its mandate.』

で、明示的なインフレ目標を設定してインフレ期待をアンカーさせるという数名のFOMCメンバーの主張になるのである。

『A few participants suggested that clearer communication about the Committee's inflation outlook, such as explaining the measures it uses to gauge medium-term trends in general price inflation and announcing an explicit numerical inflation objective, would be helpful in this regard.』


・インフレリスクは上昇するものの経済はダウンサイドリスク拡大

第11パラグラフから。

『While rising energy prices posed an upside risk to the inflation forecast, they also posed a downside risk to economic growth.』

キタコレ。

『Although most participants continued to see the risks to their outlooks for economic growth as being broadly balanced, a number now judged those risks to be tilted to the downside.』

経済のリスクは概ねバランスしているものの、ダウンサイドにやや寄ってきているとな。

『These downside risks included a larger-than-expected drag on household and business spending from higher energy prices, continued fiscal strains in Europe, larger-than-anticipated effects from supply disruptions in the aftermath of the disaster in Japan, continuing fiscal adjustments at all levels of government in the United States, financial disruptions that would be associated with a failure to increase the federal debt limit, and the possibility that the economic weakness in the first quarter was signaling less underlying momentum going forward.』

ということでダウンサイドリスクに関しては(1)エネルギー価格上昇に伴う家計や企業の支出への悪影響が予想より大きい事、(2)欧州財政問題、(3)日本の震災によるサプライチェーンの障害が予想より大きい事、(4)米国の財政抑制、(5)米国の国債発行上限額を巡る混乱、(6)1Qの景気落ち込みは実は一時的ではなくてダウンサイドトレンド入りのサインなのではないかという懸念、などとの事。

『However, participants also noted that the rapid decline in the unemployment rate over the past several months suggested the possibility of stronger-than-anticipated economic growth over coming quarters. 』

一方で失業率の低下は今後の先行きが予想よりも強いという話ですが、この週末に出た5月失業率はダメダメ感がありましたので残念無念という感じでありますな。


・先行きの金融政策(足元の話ではない)について

足元の金融政策に関してはそのあとでの話になるのですが、経済見通しを踏まえた先行きの話に関しては第12パラグラフになります。

『In their discussion of monetary policy, some participants expressed the view that in the context of increased inflation risks and roughly balanced risks to economic growth, the Committee would need to be prepared to begin taking steps toward less-accommodative policy.』

数名から出口政策の準備しましょうキタコレ。

『A few of these participants thought that economic conditions might warrant action to raise the federal funds rate target or to sell assets in the SOMA portfolio later this year, but noted that even with such steps, monetary policy would remain accommodative for some time to come.』

そのうちの幾人かは年後半にはFFレートの引き上げまたは資産売却が正当化される経済状況になると考えているキタコレ。更にそうしても金融政策は緩和的とこれまたキタコレですな。

とは言え、逆に慎重派もいまして、最後にその人たちの指摘が。

『However, some participants indicated that underlying inflation remained subdued; that longer-term inflation expectations were likely to remain anchored, partly because modest changes in labor costs would constrain inflation trends; and that given the downside risks to economic growth, an early exit could unnecessarily damp the ongoing economic recovery.』

ただ、他のメンバーは基調的なインフレは抑制されていて長期的なインフレ期待はアンカーされており、労働コストが緩やかにしか上昇しない事からインフレのトレンドは抑制されていて、かつ経済のダウンサイドリスクがある事から、早い出口政策の実施は経済の回復を阻害するリスクがありますよと指摘しています。

ということで、まあ出口政策に関しては手段もさることながら、やるのやらないのという話に関しても先行きどうすべきかの点で意見はバラバラのようでございます。


ということで、その次の『Committee Policy Action』に関しては今回はそんなにこれという話は無く、最後まで「資産買入の効果は不透明」という人がいたり、出口政策の検討もという人がいたりとかありますが、まあ長く引っ張りすぎたのでこのネタ終了と言うことで(汗)。









2011/06/03

お題「中村審議委員講演は基本展望レポートベースだが明るめに見えます」

何かモーサテによりますと「市場はQE3を催促しているように見えます」とか仰せなのですが、ついに米国市場もクレクレ状態になってきたかと思いますと胸が熱い展開でございます(が、そんなに催促してるのかねという疑問はある)。ちょっと指標が減速したらQEナントカをやってたらきり無いじゃんよお。

○昨日は鳩ポッポ三文芝居で腰が砕けましたですなあ皆様

昨日はwktkのお縄劇場だと思ったら鳩ポッポの三文お笑い芝居だったとは全く意味不明ですが、退陣時期に関して数時間前の話をひっくり返すという息をするように嘘を吐く人が内閣総理大臣という事でございますので、この政権のコミットメントなどは全く役に立たないということは非常によく判りましたよorz

#松木>>>>>>>>>>>>>>>>>>>原口というのも把握したwwww

しかしまあウソツキが現首相でそのウソに簡単に引っ掛かる大馬鹿(いや引っ掛かった振りしてガス抜きしているんだったらそれはそれで中々のタマなんだがどうみても只の大馬鹿です本当にありがとうございました)が前首相とは日本国民として実に情け無いっすなあ。

#しかし退陣表明が1日持たずに引っくり返るとか斜め上過ぎるわ

しかし公共放送は「来年1月退陣」、テレひがしは「長期続投に意欲」、赤坂テレビは「年明けまで続投?」というお題でしたが「具体的な言質を取られないような言い方に終始」と、解釈にも苦労する展開となっておりまして今後の展開を考えると落涙を禁じ得ないのですけれども、この調子だと政権延命の為に原発を(以下想像したく無いので自主規制)。

とにかく2次補正と東電賠償支払支援スキームをちゃんとした形で作って(特例公債法案もそうですけどアレは復興関連法案を真面目に作ったらさすがに野党も通すでしょ)とっとと実施しやがれコノヤローとしか申し上げようが無いのでございまして、確かに政局やってる場合ではないと言えばそうですけれども、今の「延命の為にしか動かない政権」状態だと2次補正も東電賠償支援も進まないのですけどねえとあたくしは思うのでありました。


○中村審議委員講演は経済認識のところをチェック

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110602a.pdf

今回の講演では金融政策の話はまあ正直新しい論点は無い(と思う)のでスルー致しまして、中盤の『3.最近の内外経済情勢』を中心に見物。

でまあ結論を先に申し上げると、中村審議委員の今回の講演は比較的景気に対する認識が普通というか執行部ベースというか、まあそんな感じでありまして、過去の講演では政策委員会平均よりも比較的ハト派ちっくで景気にあまり強い見方をしていないなあという感じでしたので、ちょっとその点では意外感があったのですが、前回(昨年12月)でも講演は展望レポートベースの話をしていたのですが、会見ではやはりハト派でしたという内容でございましたので、今日出る会見要旨も合わせて見るべきだと思いますので判断は保留ということで。

・海外経済について

『海外経済については、先進国経済が緩やかな回復を続けている中、新興国・資源国経済の力強い成長に牽引されるかたちで、全体としても緩やかな回復基調が続いています。IMFは、世界経済の成長率について、2011年は+4.4%、2012年は+4.5%としており、先行きも堅調に推移するとの見通しを示しています。東日本大震災の海外経済への影響は、総じて限定的なようです。』

ということで、比較的明るめの話をしている訳ですが、今回の話のトーンが明るめに見えるのはこの後の文章構成でありましてですな。

『新興国・資源国では、旺盛な内需を主因に高めの成長が続いており、世界経済の成長を牽引していますが、多くの国・地域で、既往の国際商品市況の上昇などを受けてインフレに対する懸念が強まっており、各国の中央銀行は、政策金利や預金準備率の引き上げなど、金融引き締め方向の動きを続けています。中国は、足許では+9%台の経済成長を維持していますが、インフレ率は+5%台であり、政府の目標水準である+4%を上回っています。こうした中、中国人民銀行は、先般、本年入り後5度目となる預金準備率の引き上げや、融資総量規制を始めとする流動性管理の強化を行うなど、インフレ抑制の姿勢を強めており、成長のテンポが幾分鈍化する可能性もありますが、輸出、生産、所得、支出の好循環の中で、全体としては、高めの成長が続くとみています。』

とちと長くなりましたが、海外経済の話をするのにのっけから新興国という足元における世界経済の成長エンジンについての話をしていまして、いやこの手の話を日本でしてる時って米国→欧州→新興国という流れになるのがよくあるパターンなので、新興国がいきなり来るというのは話しのトーンが明るくなる訳で。

まあ中村審議委員的には世の中暗くなってもいけないから明るい話を先にしないとなんて考えてトーンが明るめになっているのかも知れませんですけれども、従来どちらかというと「いやあそんなに楽観しちゃいかんざき」というトーンの話が多かった人なのでこの流れはちと意外でありやした(いやまあさっき書いたように会見ではトーンが違う可能性はありますが)。

んでもって新興国は上記の通りですが、米国に関してはこんな感じ。

『米国経済は、回復を続けており、先行きについても引き続き回復基調を辿ると思われます。(具体的数値部分割愛)もっとも、過剰債務による家計のバランスシート調整が引き続き大きな重石となっており、住宅市場は長期低迷が続いているほか、4月の失業率は9.0%と高水準であり、民間部門雇用者数が増加傾向にあるものの、リーマン・ショック以降失われた約8百万人の雇用を取り戻すにはまだ力不足の感は否めません。』

欧州経済に関して。

『欧州では、低成長のユーロ圏域内周縁国に対して、新興国向けを中心とした輸出の増加や個人消費に支えられて堅調なドイツ、フランス等の経済規模の大きなコア諸国というかたちで、ばらつきを伴いながらも、全体としてみれば緩やかに回復しています。先行きについても、ユーロ圏諸国の財政再建策に基づく緊縮財政が実施に移されていることや、ギリシャなどの債務問題の先行きに対する不透明感などから、全体として緩やかなペースの成長が続くと見ています。』

『ただし、欧州の先行きを巡っては、かねてより懸念材料であったユーロ圏域内周縁国国債の信用リスクを巡る問題がリスク要因となっており、ギリシャを中心に予断を許さない状態が続いています。』


・で、日本の財政再建の話キタコレ

『話は少々それますが、欧米諸国の財政再建問題に注目が集まる中、GDPに対する政府債務の比率が主要国で最も高いわが国の財政についても、関心が高まっています。わが国の長期国債金利は、世界的に見ても低位で安定的に推移していますが、これは、深刻な財政状況の中にあっても、わが国の国債が市場からの信認を維持できているためです。財政再建は、短期間で解決できる課題ではありません。市場の信認が維持されている間に、財政再建に向けた取り組みをしっかりと進めていくことが重要だと考えます。』

まあ今の政権では無理と思いますがwww


・国内経済に関しても割と先行きの明るさを指摘しているのだ

国内経済の部分から。

『足許では、大幅な減産が続いていますが、生産現場の復旧見通しについては、以前の「全く見通しが立たない」状態から、「見え始めた」部分が次第に増えてきており、幾分前向きな動きとして評価できるのではないかと思います。』

『4月25〜30日を調査期間とした景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断は大きく落ち込んだ水準にあるものの、先行きについては+11.8%ポイントの改善となっており、マインド面の持ち直しを示唆しています。連休を含めた5月入り後の消費動向については、報道やヒアリング等から得られた情報では、地域間、業態間のばらつきは大きいものの、自粛ムードの後退、財や電力の供給制約の緩和などを背景に、不要不急の消費は控えながらも、徐々に前向きな動きも見られるようです。』

と言う感じで、現状の話に関しては「震災の影響で大きく落ち込みましたが先行きには明るい動きも見えますね」という話になっています。で、先行きですが。

『すなわち、2011年度のわが国経済は、サプライチェーン再構築にそれなりの時間を要すると思われることや、夏場のピーク時における電力供給制約もあることなどから、当面は、生産面を中心に、下押しされた状態が続くとみています。しかしながら、自動車産業を中心に大きく毀損したサプライチェーンの再構築が進捗していくほか、秋口以降は、電力供給制約も緩和され、堅調な海外経済を背景に、生産・輸出が再び増加していくと考えられます。また、これに伴い個人消費も緩やかに持ち直し、復興需要の増加とも相俟って、わが国経済は、本年度後半にかけては、景気回復テンポが高まる可能性が高いとみています。』

ということで展望レポートベースであります。


・上振れ、下振れ要因も展望レポートベース

展望レポートベースの中で特に「下振れに注意」みたいな話が無いのがチャーミング。

『まず、震災がわが国経済に与える影響については、上振れ、下振れ双方において不確実性が大きいということです。また、企業や家計が、わが国の先行きを過度に悲観する状態が続くと、設備投資や個人消費などの内需が中長期的に手控えられ、わが国経済の期待成長率が下振れるリスクとなります。さらに、サプライチェーン修復の想定以上の遅れなどにより、わが国企業の生産拠点や部材調達先の海外シフトの加速や、わが国製品の海外市場シェアの低下が生じたり、あるいは原発事故や電力供給制約などの帰趨次第では、わが国経済が展望レポートでの見通しに比べ下振れる可能性もあります。』

というのが下振れでして、

『一方では、今般の震災による被害を踏まえ、リスク分散のための新たな国内製造拠点の設置やサプライチェーンの再構築、またはエネルギーの効率的な利用促進のための新規の設備投資や新たなライフスタイルに適合した新製品開発などを通じた新規需要の創造などが積極化した場合には、見通しと比べ上振れる可能性もあります。』

というのがありますが、その先にこんなのが。

『さらに、今回の震災が、これまでわが国が長年に亘って先送りしてきた多岐にわたる課題を浮き彫りにした面もあり、これを機会に、抜本的な改革に果敢に取り組むことができれば、長期低迷からの脱出の契機となる可能性にも期待したいと思います。』

麿のようですな(^^)。

海外要因に関してはまあ普通の話(上記と同じく展望レポートベース)なので割愛しますけど、商品価格上昇に関しては「景気下押し」と明言しているのはほほーという感じであります。

『最後に、北アフリカ・中東情勢の緊迫化等の地政学リスクなどから、国際商品市況が一段と上昇し、原材料価格の上昇に伴う企業収益の悪化等を背景に国内民間需要が下押しされるリスクにも注意が必要です。』

物価が上がりますねえ(だから正常化云々)の話に持って行かないのはまあ宜しいんじゃないかと(^^)。


・自動車産業依存経済からの脱却とな

次のお題が『(5)わが国経済と自動車産業について』という部分でありまして、これはまあ中村審議委員の問題意識という事なのでしょう。中身はまあ色々と説明があるのですけれども、その辺を華麗にスルー(自動車産業の裾野の広さとか、現在起きている震災によるボトルネックが発生する背景の話とかをしています)しまして結論を。

『先程申し上げた通り、わが国の経済活動に占める自動車産業の位置付けが大きいだけに、震災後のわが国経済の持ち直しのスピードと拡がりは、裾野の広いわが国の自動車産業やその関連部品メーカーの生産現場の復旧と輸出の回復に大きく左右されると云えるのかも知れません。』

さいですな。

『なお、今回の震災により図らずも明らかになったように、わが国の経済は特定の産業に大きく依存しており、当該産業が大きく落ち込むと日本経済全体が落ち込むというリスクと隣り合わせとなっています。こうした産業構造は、当該産業での新興国の急速な追い上げによる競争激化や、強力な代替製品が現れた場合のリスクも抱えています。』

確かに。

『政府の「産業構造ビジョン2010」では、「一本足打法」から「戦略五分野の八ヶ岳構造」へのシフトを提唱していますが、こうした点は、環境変化に強い国作りに重要な視点だと思います。』

・・・・・・・・すいません、このビジョン知りませんでした(汗)。

#つーか「一本足打法」とか昭和の香りにも程があるわw


ということで金融政策運営の説明が続くのですが、単に現状の政策の説明だけなので割愛します。










2011/06/02

お題「昨日の訂正とかだいたい雑談とかで恐縮であります」

米債3%割れキタコレですが、それよりも交流戦のセ・リーグの弱さの方が気になるあたくしは昭和のジジイですかそうですか。

#それより内閣不信任案ダロというツッコミは謹んでお受け致します(^^)

○昨日の間違いを訂正でござるの巻(すいませんすいません)

昨日のあたくしMoody'sの日本国債(ソブリン)に関する格付けアクションについて駄文を書かせて頂きましたが、そちらで今般のアクションについて「ネガティブアウトルック」と書きましたが、これは「ネガティブウオッチ」が正しゅうございまして、思いっきり勢いで間違えを書いてしまいましたすいませんすいませんすいません。

「見通しの方向性の表明」というのと「格付けの見直し検討」というのは何となく似ていますが似て非なる物でございまして、これをゴッチャにするのは大変残念な間違え方でございますので、注意しましょうなのでございます>自分

朝日新聞(asahi.com)の記事がきれいに説明できてるじゃん。

http://www.asahi.com/business/update/0531/TKY201105310304.html
ムーディーズ、日本国債格下げ方向で見直し
2011年5月31日13時50分

『ムーディーズは2月、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更した。その際は、菅政権が「税と社会保障の一体改革」が実現できなければ格付けを見直すと説明していた。

 今回は、さらに踏み込んで格下げ方向の見直しを表明したかたちになる。今後、3カ月後をめどに実際に格下げするかどうか最終判断するという。改革に実効性が乏しいなどと判断した場合、「Aaレンジの格付けを維持できる可能性が低下するだろう」とし、2段階以上の格下げの可能性も示唆している。』(上記URLより)


先週末に格付けアクションをしたFitchの場合はこういうリリース。
http://www.fitchratings.co.jp/web/

こちらのページの真ん中当りにある『最新リリース』に『2011-5-27 日本の格付アウトルックを「弱含み」に変更』とございます、リリース内容を見るには会員登録が必要でございますので中身に関してはスルーしますが、こっちは「アウトルックネガティブ」になるんすかな。うんうん。


という事で、このあたりの用語を間違えると大変に恥ずかしい思いをしますので、皆様におかれましてもご注意ありたく、自らの恥を大々的に宣伝するのでありまして、謹んで昨日の訂正を致しまして謝罪はしますが賠償は致しかねます。


と、ひとしきり恥を晒した所でまずは雑談。


○だいたい雑談コーナー

・R&Iは1ノッチ下げですかそうですか(9501)

格付投資情報センターさん昨日は東電格下げアクション。
http://www.r-i.co.jp/jpn/
とりあえずR&IはA格維持ですにゃ。

リリースはこちら
http://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2011/06/news_release_2011-A-264_01.pdf

いやまあこちらのリリースにもございますし、S&Pの格付けアクションもそうなのですけど、今回は「賠償支払支援スキームの具体化が進んでいない」という点をレーティングアクションの大きな理由の一つにしている訳でございまして、いやまあそう言われますとそらそうですなとしか申し上げようが無いでござる。

まあ悪態(格付け会社向けではなくて政権向けね)は火曜日にも書いたので今更なのでございますが、何か微妙にフワフワな「案」だけ出して(しかもただの関係閣僚会議合意であって閣議決定ですらない)その具体化に向けての所で「ステークホルダーの協力」に関して関係閣僚の発言が食い違う(上に無法発言をする内閣官房長官がいるわ)という状態で話が宙に浮く位だったら、スキーム案まだ検討中って感じの方が良かったんじゃねえのとか(実際にはそれはそれで問題になるんでしょうけど)愚痴りたくもなりますにゃ。

何はともあれこのままダラダラとされても誰も得をしない展開になります訳でして、現政権におかれましてはもうちょっと物事の優先順位というものを考えていただきたく存じます次第でございます、あ、それから法治国家としてのあり方もお忘れなきように。

毎日新聞でもこんな記事があったんですな。うんうん。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110531ddm008020131000c.html
東京電力:「投資不適格」 社債市場回復に水 契機は債権放棄要求発言
毎日新聞 2011年5月31日 東京朝刊


・どうでも良いがこれは高度なギャグ

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381949EE2E3E293EB8DE2E3E2E4E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
菅首相、原発対応「思いつきの危険性知っている」
2011/6/1 15:28

・・・・・・・・ギャグが高度すぎて何が何だかさっぱり判りませんorz


○FOMC4月議事要旨ネタを更に引っ張る

一昨日の続きである。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf

・企業などの先行き見通しに関する委員の見解が微妙に違うのだ

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の第6パラグラフから。

『Several participants indicated that, in contrast to the somewhat weaker recent economic data, their business contacts were more positive about the economy's prospects, which supported the participants' view that the recent weakness was likely to prove temporary. They acknowledged, however, that sentiment can change quickly; indeed, one participant noted that his contacts had recently turned more pessimistic, and several participants indicated that their business contacts expressed concern about the effects of higher commodity prices on their own costs and on the purchasing power of households. 』

つーことで、企業のセンチメントに関しては足元の経済指標が若干弱くてもまだ先行きポジティブと指摘する人がおり、その一方でいやもうちょっと悲観的になっていると指摘する人がいて、また商品価格上昇が企業や家計の購買力の低下に繋がる事について警戒する企業もあり、という風にセンチメントに関する見方は結構分かれているという感じですわな。


・労働市場、賃金の伸びは全体としては抑制が続く

労働市場に関しては第7パラグラフ。

『Participants judged that overall conditions in labor markets had continued to improve, albeit gradually. The unemployment rate had decreased further and payroll employment had risen again in March.』

まあさいですな。

『Some participants reported that more of their business contacts have plans to increase their payrolls later this year. A few participants noted that firms may be poised to accelerate their pace of hiring because they have exhausted potential productivity gains, but others indicated that some firms may be putting hiring plans on hold until they are more certain of the future trend in materials and other input costs.』

ということで、雇用の先行きに関してはこれまたまだら模様で。

『Signs of rising wage pressures were reportedly limited to a few skilled job categories for which workers are in short supply, while, in general, increases in wages have been subdued.』

賃金の上昇に関してもスキルの低い労働者については厳しい状態という事のようで、これは長期失業率が高止まりしている事なども相まって考えると、やはりまあ先行きの賃金上昇は抑制されるという話になるんでしょうなあ。

『Participants discussed whether the significant drop in the unemployment rate might be overstating the degree of improvement in labor markets because many of the unemployed have dropped out of the labor force or have accepted jobs that are less desirable than their former jobs.』

失業率の足元の低下に関してはレーバーフォースの減少も効いてますねと。


・金融環境については今回もこの指摘が(^^)

で、金融環境に関する話の第8パラグラフですが、金融環境全般に関してはスタッフの見立てと同じく改善傾向という話ですが、最後にこんな指摘が(^^)。

『A few participants expressed concern that the easing of credit conditions was creating incentives for increased leverage and risk-taking in some areas, such as leveraged syndicated loans and loans to finance land acquisition, and that this trend, if it became widespread and excessive, could pose a risk to financial stability. 』

ということで、クレジット環境の緩和が続くと金融の不均衡が発生するリスクについて「A few」なメンバーが指摘しておりますな、うんうん。


と、ここまで書いたら時間がなくなったので(すいません)続きはまた後日。










2011/06/01

お題「国債クレジットウォッチですかそうですか/通貨の信認とかの総裁講演を鑑賞」

さあ内閣不信任案提出ですよ(・∀・)ニヤニヤ

まあしかしこの内閣は「積算根拠無い独断専行」をリーダーシップだとおもっているんでしょうね、ちょっと知能というか人間としての良識を疑っちゃうんですけどにゃあ。これはワロタというか情けない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110531-00000146-mai-pol
<菅首相>太陽光パネル発言で陳謝 「聞いてない」閣内不満
毎日新聞 5月31日(火)22時25分配信

ということでお縄先生劇場が開演されるのか見物人だけ集めて不発になるのかワクワクテカテカなのでありまふ。

○日本国債のネガティブアウトルックが揃ってまいりました

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aNKH.wPWFPXY
ムーディーズ:日本国債格付け「Aa2」を引き下げ方向で見直し(3)

『5月31日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは31日、日本政府の自国通貨建てと外貨建ての債務格付「Aa2」を引き下げ方向で見直しの対象にしたと発表した。東日本大震災に伴う経済・財政コストの増大に加え、政府による財政赤字削減の見通しが不透明なことなどを理由に挙げている』(上記URLより)

社会保障と税制の一体改革の原案の内容が判明しました♪というニュースが出た日にいきなりネガティブアウトルックネガティブウォッチ(スイマセン間違えてました)攻撃とはムーディーズさんお洒落ですなあ(棒読み)という感じですが、何だか知らんが昨日は珍しくドル円が若干円安に振れるわ債券市場では超長期がヘロヘロになるわと、多分別の要因で動いたと思うのですが(^^)、珍しく反応したかのような動き(正確に言うと債券市場で超長期とか先物がダメダメになったのは10時過ぎからなんで順序が逆なんですけどね^^)と相成りました。

まあ別にだからどうしたのと言う感じ(そもそも先週末はフィッチレーティングが日本のAA−をネガティブアウトルックにしてますし)ではございますが、

『政府の取り組みについて「人口動態上の圧力の高まりや、危機後の不安定かつ不確実なグローバル経済環境において発生しうる新たなショックに対して、長期的財政再建戦略がぜい弱」との見方を示した。』(上記URLより)

というのにワロタとしか申し上げようがございませんですな。まあ目先的にだからどうなのよという感じではございますが、今回ちょっとだけ違うのは貿易収支が赤くなっている事っすかねえ。だから直ちに経常収支に影響を与えるものではござーませんけど、気分的な問題として(どうせ市場ちゃんの目先の動きは気分次第ですから^^)貿易赤字をホイホイ見せられると何でございましょうかなあというのは無い訳でもない、気分だけの話だが。



○先般の金融学会における総裁講演から

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110530a.pdf
通貨、国債、中央銀行
―信認の相互依存性―
日本金融学会2011年度春季大会における特別講演

まあ題名見ただけで内容が想像できてしまう訳でして、金利市場関係者の皆様としては大体ご案内のお話が展開されるのですが、折角白川総裁がやる気満々(かどうか知らんが)で講演しているので鑑賞を。

いきなり冒頭から壮大な話。

『2000年代以降、世界の金融で起きた最大の出来事は、言うまでもなく、グローバルな信用バブルとその後の金融危機の経験でした。この一連の過程を振り返って、浮き彫りになったのは、政府に対する信認、金融システムに対する信認、中央銀行に対する信認が相互に影響を与え合っているという事実です。具体的に申し上げると、まず出発点、すなわち、危機に先立つバブル期では、ファニーメイやフレディマックといったGSE(Government-Sponsored Enterprise)による「暗黙の政府保証」が米国の住宅バブル発生の一因となりました。リーマン破綻後の危機の局面では、危機の終息のために、政府の信認を背景とした強力な行動が必要となりました。すなわち、民間金融機関に対する信認を回復し金融システムの安定を維持するために、欧米各国の政府は金融機関に対する大規模な資本注入や保証を余儀なくされました。マクロ経済政策の面でも、政府は経済の急激かつ大幅な落ち込みを回避するために、積極的な財政政策を展開しました。危機が終息した後も、政府の信認は重要な論点となっています。

2009年後半以降、世界経済は次第に回復方向に向かい、その意味で、1930年代のような恐慌の回避には成功したと言えますが、今度は、財政バランスの悪化から、政府債務の信認が問われる事態になっています。現在、財政バランス悪化の問題が最も先鋭的な形で表れているのは、ギリシャ等、欧州周縁国のソブリン・リスク問題です。欧州周縁国は、ソブリン・リスクと金融システム、実体経済の負の相乗作用の問題に直面しています。この間、わが国はそうした国債金利の上昇という事態には直面していませんが、財政バランスの悪化は深刻です。』

ということで、ここの段落(長いので引用時に段落分けしただよ)にあるネタが「マクロプルーデンス」「金融危機における対応」「財政の維持可能性」というお話になっているという中々お洒落な展開でありまする。

『一方、中央銀行の世界に目を転じると、ここでも政府の信認を巡る論点は無関係ではありません。リーマン破綻後、わが国も含め先進国の中央銀行は非伝統的政策を採用しましたが、この政策は流動性供給という純粋な金融政策ではなく、多かれ少なかれ、準財政政策的な要素を帯びています。それだけに、中央銀行は金融政策としてどこまでの役割を担うべきか、すなわち、政府と中央銀行の関係、あるいは、金融政策と財政政策との関係は大きな論点になっています。』

またこの論点来ましたな。

ということで本論に入るのですが『2.信認の相互依存性』というお題で話が始まる。

『通貨と国債』という所で、まあ最初に通貨か国債発行額の話とかしていますがその辺は華麗にスルーしてどう見ても総裁の力入っている部分が次に続くのである。

『ところで、通貨も国債もそれ自体は債務証書に過ぎません。言うまでもなく、債務者は、中央銀行通貨は中央銀行、銀行預金は民間銀行、国債は政府です。いずれも素材として価値を有している訳ではないにもかかわらず、価値あるものとして認められ、その機能を発揮しうるのは、究極的には、通貨や国債の保有者がその発行主体を信認しているからです。勿論、信認の重要性は金融論で最も強調されていることのひとつであり、新しい論点ではありません。政府も中央銀行も民間銀行もいずれも信認を得るために、最大限の努力をしています。政府の場合は、中長期的な財政バランス維持の努力がこれに当たります。中央銀行について言うと、金融政策や最後の貸し手、金融監督等を通じて、物価の安定や金融システムの安定を図ることです。民間銀行の場合は、信用仲介や決済サービスを提供するうえで、資本基盤の維持や様々なリスク管理に努めることです。政府や中央銀行、民間銀行は、こうしたかたちで信認維持に努力しています。』

キタコレ。

『本日私が述べたいことは、それぞれの主体に対する信認はこうした自らの努力だけでなく、他の主体に対する信認が確保されていることや、社会の構成員が信認の重要性をお互いに理解することによっても支えられているということです。多少、結論を急ぎすぎたように思いますので、以下では、そうした信認の相互依存とでも言うべき側面について、詳しくお話をしたいと思います。』

ということで、ここで既に結論が出てしまったのですが(^^)、ではその側面についてどういう話をしているかというのについての小見出しを並べて、結論部分と思われるところを引用してみるだわさ。


○総裁講演ネタ続き:信認の相互依存とな

で、その「信認の相互依存」について。

・『民間金融機関の信認の裏付けとしての政府の意思』

『今回のグローバル金融危機において、米国、英国、ドイツ、フランスの4カ国の政府が投入した公的支援の金額は日本円に換算して約84兆円にも上りました。このことは、通貨や金融システムの安定は最終的には政府の信認にも大きく左右されることを物語っています。』


・『政府の信認の裏付けとしての国民の意思』

『非常時における政府の各種の積極的施策は、政府への信認という「ストック」の存在を前提に初めて成立するものです。そして、このストックの実体は、詰まるところ、財政バランスを維持していく国民の意思です。そうした国民の意思と無関係に、政府が「打ち出の小槌」のように財政政策を無限に展開できる訳ではありません。』


・『中央銀行の信認の裏付けとしての政府・国民の意思』

『中央銀行は経済や金融の安定を維持するために積極的に行動しましたが、積極的な行動をとることが出来る大きな前提条件は、中央銀行に対する信認が維持されていることです。』

で、この項だけ話が微妙に発散していてあまり纏まっていなかったりするのがチャーミング。


○財政問題の話

『3.財政を巡る課題』のところから少々。

『財政バランス確保の必要性は一般論としては認識されていますが、長年、財政状況が悪いにもかかわらず、国債は円滑に消化され、長期国債の金利も低位で安定的に推移しているため、財政悪化に伴う危険に警鐘を鳴らす議論は、時として「狼少年」のような扱いを受けることもあります。しかし、どの国も無限に財政赤字を続けることが出来る訳ではありません。政府の支払い能力に対する信認は非連続的に変化しうるものです。ギリシャに始まった欧州のソブリン・リスク問題はこのことを端的に示しています。』

キタコレ。

『ギリシャに始まった欧州のソブリン・リスク問題はこのことを端的に示しています。ドイツ国債に対する欧州周縁国の金利のスプレッド幅が明確に拡大し始めたのは2009年秋頃からでした(図表5)。2009年10月時点では2%以下のスプレッドでしたが、その後急激に拡大し、現在はギリシャで13.4%、アイルランドで8.0%、ポルトガルで6.6%という高水準になっています。これらの国のマクロ経済がこの間に劇的に変化した訳ではないにもかかわらず、金融市場での評価は大きく変化しています。』

んでもって更に話が続く。

『ところで、日本の長期国債の金利は2010年度中、平均で1.15%と低位で安定的に推移しています(図表6)。私が国際会議に出席して最も多く受ける質問のひとつは、「日本の財政状況は非常に悪いにもかかわらず、長期国債金利は何故、低位で安定しているのか」というものです。この問いに対して、経済理論に即して答えようとすると、取り敢えずの答えは低成長と低インフレに求められます。因みに、過去10年間の経済成長率と物価上昇率の合計、すなわち名目成長率と10年国債金利を比較すると、若干の乖離はありますが、大きな流れとしては、同様の動きとなっています(前掲図表6)。過去10年続いた状態が先行き10年も続くだろうと多くの投資家が予想する場合、日本の国債金利が低位で安定的に推移していることは取り敢えず「説明」できる現象です。』

取りあえずというのだからその後がありまふ。

『しかし、低成長と低インフレを指摘するだけでは、答えは完結しません。と言うのも、長期金利は予想経済成長率と予想物価上昇率だけで決まるのではなく、それらにかかる不確実性を補償するリスク・プレミアムが上乗せされるからです。従って、長期金利が低いことを説明するためには、リスク・プレミアムが低いことの理由も併せて説明しなければなりません。この点に関しては、私は次の2つのことを指摘したいと思います。』

で、その2点と言うのはいつも白川さんが話していますが。

『第1は、わが国の財政状況は深刻ですが、最終的に財政バランスの改善に向けて取り組む意思と能力を有している筈であるとみられていることです。第2は、金融政策が物価安定のもとでの持続的な成長の実現という目的に合わせて運営されていることについて、信認が維持されていることです。このことは、同時に、この2つの点について信認が揺らぐと、リスク・プレミアムは上昇し、その結果、国債金利が上昇することも意味しています。』

といういつもの話になるのでした。


○で、更に国債引受論のdisりとかが入るのであって

『4.中央銀行と国債の役割』というお題に続くのですが、前半の『金融調節における国債の利用』の話はちと微妙なので一旦スルーの方向で(^^)。一応ここだけ引用。

『このように、日本銀行は金融調節に当たって国債を大いに活用していますが、中央銀行による国債買入れオペは、銀行券の供給や金融政策の運営のために行われているものであり、財政ファイナンスや国債金利の安定を目的として行われているものではありません。』

まあそうは言いましても国債の発行が増えると調節のバランス上国債買入を増やさないといけまへんなあというのもあるような気がせんでもない(ただまあ長いのを買えばよいのかというとそれは微妙)ですし、もしFRBの出口政策において長期国債とかMBSの市中売却がそんなに混乱無く実施できるようであれば、このあたりももっと弾力的に運用して、ホイホイ長期国債買って売ってみたいなのが日本でも出来るようになるのかも知れませんなあとか思うのでありますけどどうっすかね。

まあそれは兎も角。

『高橋財政期の日銀による国債引受け』という素敵な小見出しがあるので最後にそこを引用。

『ここで、時折聞かれることのある「日銀による国債引受け」の議論について、日本銀行の考えをご説明します。この点に関する各国の法的な取り扱いをみると、欧州では、中央銀行の国債引受けが明示的に禁止されているほか、新興国を含め世界の多くの国で、中央銀行による国債引受けは認められていません。わが国でも、財政法5条が本則で日本銀行による国債引受けを禁じています。』

『このような取り扱いは、一旦中央銀行による国債引受けを始めると、初めは問題はなくても、やがて、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたという歴史の教訓を踏まえたものです。このように通貨に関する基本原則が世界的に確立されている中で、日本銀行による国債引受けが行われると、通貨への信認自体を毀損することになります。こうした通貨への信認の毀損は、長期金利の上昇や金融市場の不安定化を招き、現在は円滑に行われている国債発行が困難になる惧れもあります。』

といういつもの原則論はさておいて高橋財政の話。

『日本銀行による国債引受けに対する考え方については既に申し上げましたが、以下で述べるように、当時と現在の金融経済情勢はそもそも大きく異なっている事実は意外に認識されていないように感じています(図表9)。』

『まず第1に、国債引受けの始まる前は金融引き締め期でした。当時のコールレ−トは6.6%と高い水準であったのに対し、現在は0.07%と極めて低い水準です。また、長期金利も当時の5.9%に対し、現在は1.1%台となっています。』

名目金利の話だけで比較するところが微妙に怪しげな気がするんだが・・・・・

『第2に、高橋財政が始まる直前の国債発行残高の対GNP比率は47.6%と、現在の対GDP比率の181.9%とは比較にならないほどの健全財政の状態でした。』

『第3に、国債引受けは、是非の判断はともかくとして、資本移動規制の強化を伴うものでした。これに対し、現在は当時とは比較にならないほどに金融市場や経済のグローバル化が進んでおり、金融政策や財政政策が通貨の信認を壊すような方向で運営されると、長期金利にすぐ跳ね返る状況になっています。』

ふーん。

『そして第4に、当時の国内金融市場は現在に比べて規模が小さく、国債市場が発達していなかったことです。当時の国債発行は、民間金融機関が引受けシンジケート団を組成して引き受けるか、郵便貯金等を原資とする預金部が引き受けるかたちが中心であり、多額の国債を速やか、かつ円滑に消化する方法はありませんでした。』

まあこれはそうですな。つまり・・・・・

『当時の国債発行は、民間金融機関が引受けシンジケート団を組成して引き受けるか、郵便貯金等を原資とする預金部が引き受けるかたちが中心であり、多額の国債を速やか、かつ円滑に消化する方法はありませんでした。当時、日本銀行は国債を引き受けても最初の数年間、すなわち高橋是清蔵相の存命中は速やかに売却をしており、日本銀行による国債の保有残高やマネタリーベースが大きく増加した訳ではありません。いずれにせよ、現在は十分に発達した国債の発行市場が存在している点が大きな違いです。今回の震災後も、国債の発行は順調であり、応札倍率にも変化は見られません。』

ということでしたと。

『なお、高橋財政期に為替レートが円安になったことが指摘されることもありますが、1931年末に金本位制から離脱することによって、金本位制の下で人為的に割高に設定されていた固定為替レートが是正されたということです。これに対し、現在は変動相場制を採用しており、この面でも高橋財政が始まる前に置かれていた状況と異なります。』

それはそうなんでしょうけれども、現在でもQEナントカで通貨安合戦やってたりするので、って金融当局は通貨安誘導を否定してるけど、BOEとかFOMCとかの議事要旨読んでいると思いっきり「通貨下落が国内経済に刺激的な影響を与える」という認識を委員が示しているのですから、為替レートの話をスルーするっつーのも微妙に怪しげな説明っすわな。

『ご存知のように、高橋蔵相は軍部の予算膨張に歯止めをかけようとして凶弾に倒れ、結局はインフレを招いたわけですが、偶々軍部の予算膨張を抑えられなかったのではなく、市場によるチェックを受けない引受けという行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした面もあったのではないかと思っています。現在、金融政策を巡ってよく用いられる言葉を使うと、引受けという「入り口」が予算膨張の抑制失敗という「出口」をもたらしたと解釈すべきではないかということです。』

『この点、今日の目でみて興味深いのは、高橋財政期の日本銀行による国債引受けがあくまでも「一時の便法」として始まっているという事実です。高橋蔵相は帝国議会での演説で、引受けによる国債の発行は一時的なものであることを述べていますが、その後の歴史はこれが一時的なものではなかったことを示しています。』

『現在、先進国はもとより、新興国でも中央銀行による国債の引受けは認められていません。中央銀行による国債の引受けは、初めは問題がなくてもやがて通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを起こすことによって国民生活や経済活動を破壊します。人間は誘惑に弱い存在ですが、そうした弱さを自覚するがゆえに、予め中央銀行による国債の引受けを禁止するという強さをもった存在と言えます。』

と、途中の説明は微妙にアレなのですが、まあ力が入っているというのは把握した。

あともう少し論点があるけどまあ割愛。特にこの講演で金融市場的に何かインプリケーションがあるわけではないので今日は純粋に観賞用という感じでございましたです、はい。