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2012/11/30

お題「そんな安倍さんに俺様が釣られクマー/市場メモ/BOEの利下げしない理由」

ということで今日も安倍さんに釣られるあたくしなのでありました。

○「経済の安倍」で売り出そうとしているのは判るのですが・・・・・・

昨日も金利市場の皆様は朝っぱらから安倍さん発言のヘッドラインに釣られクマーなのであります。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME819F6KLVRQ01.html
自民党の安倍総裁:物価上昇2%まで無制限緩和、手段は日銀が (1)
更新日時: 2012/11/29 10:36 JST

『11月29日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は29日午前、都内のホテルで開かれた日本アカデメイアとの交流会で講演し、政府・日銀が2%のインフレ目標を設定した場合はそれに到達するまで無制限に緩和し、超えた場合は引き締めに入るとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)

上記記事はまとめ物なので10時過ぎの配信になっていますが、実際はこの交流会は所謂朝食会みたいなもので、ブルームバーグの関連ヘッドラインはこんな感じでした。

8:14*安倍自民総裁:日銀の国債引き受けするべきと言ったこと1回も無い
8:15*安倍氏:日銀の国債引き受け報道はマスコミが間違えた
8:16*安倍氏:次元の違う新しい強力なデフレ脱却策をする
8:17*安倍氏:このままでは平成の大不況に突入する可能性
8:17*安倍氏:インフレターゲットはそれ以上でもそれ以下でもだめ
8:17*安倍自民総裁は:日本アカデメイアとの交流会で語った
8:18*安倍氏:2%を超えたら引き締めに入る
8:19*安倍氏:2%までは無制限に緩和
8:23*安倍氏:日銀の独立性脅かしているというのは全くわかっていない批判
8:24*安倍氏:中央銀行が完全に独立性担保されているのは金融政策の手段
8:26*安倍氏:インフレ期待を高めるのは公共投資
8:27*安倍氏:インフレ期待の後に円安と株高が来る

ということで朝から威勢よくヘッドラインが流れた(他のベンダーまで一々チェックしていませんがまあこんな感じだったんでしょうな)のですが、いやもうねという所で安倍さんって本当に面白いですわ(棒読み)という所でにゃんとも。

『安倍氏は「インフレターゲットはそれ以下でもだめだが、それ以上でもだめだ。例えば2%というものを決めれば2%を超えていくという段階で引き締めに入っていく。この技術が中央銀行の人たちには問われる」と指摘。その上で、「制限は2%。額にではなくて目標に対して無制限で緩和をしていくということだ。政策手段については日銀が行っていく」と説明した。』

2%までは「無制限緩和」を実施して2%を超えていくという段階で「引き締めに入っていく」ってそんな事したらフルスロットルでアクセル踏んでいたものをいきなり急ブレーキ掛けるようなもんで、それはどこをどう考えても金融市場全般に対して物凄い勢いでストレスを掛ける話で、ボルカーショックも裸足で逃げ出す超越金融調節方針にも程があるんですけど・・・・・・

>この技術が中央銀行の人たちには問われる
>この技術が中央銀行の人たちには問われる
>この技術が中央銀行の人たちには問われる

・・・・・・・・・・いやあのそんな技術問われましても出来ないものは出来ないのでありまして、安倍先生の仰るのは言うてみれば生身の人間にイカロスの翼渡してこれで太平洋無着陸飛行してこいとかいうようなもんで、実務上のフィージビリティーを何も考えずに無茶振りして「あとはお前がうまくやれ」とかパワハラ上司も土下座しそうなお話に腰が抜けるというものであります。昨日も申し上げましたが、そもそもそんな超厳格なターゲット政策は世界のどこの中央銀行でもやってませんぞなもし。

つーかですな、

http://jp.reuters.com/article/topnews/idjptye8aq03g20121127
日銀は2%の物価目標を、法改正なら雇用にも責任負うべき=安倍総裁
2012年 11月 27日 16:25 JST

2日前には「雇用にも責任負うべき」という話をしていまして、もしデュアルマンデートを求めるというのであれば物価目標の2%を達成したとしても雇用目標との関係で引き締めをしない方が適切という場面が生じるのでありまして、日銀引受と財政規律喪失のセットで財政インフレ懸念というのに対する反論をしたいというのはよく判るのですが、その説明をするのに今度はいきなり厳格なインフレターゲットの話を始めて、つい2日前に言っていたデュアルマンデートの話といきなり矛盾するとか、そもそも安倍さんがあるべき政策フレームワークを理解しないでああだこうだ吠えているのがバレバレになるので、毎度申し上げておりますようにあまりこの件を突っ込んで話をなさらない方が良いと思うのですけど・・・・

大体そんな細かい技術論を首相(まだ首相じゃないけど)が知っていなければいかんというものでもなくて、もっと大括りの理解で本質的な所(政府が中央銀行に財政ファイナンスを強要するのは良くないですよねとか)を押さえておけば良いだけの話だと思うのですよね。

てかさ、上記のニュースヘッドラインにしても、「金融政策の手段は独立している」と言いながら「無制限緩和しろ」とか金融政策の手段について言及してみたり、「インフレ期待を高めるのは公共投資」ってだったらインフレ目標2%は何のために実施するんだよとか、どうも金融政策に関する安倍さんのここ2週間のご発言を拝読するに、「一つ一つの話(というかパーツパーツの部分というか)は内容の是非はともかくとしてそれなりに筋が通っている」話をするのですが、「一連の話を通して読むと各個の話(パーツ)の内容が前後で相互矛盾を起こしている」というのが誠にアレでございまして、色々と勉強をして微調整しているというのは有るのかも知れませんが、何か政策ブレーン()の某ウォッチマン先生がそういうのを得意にしているのにまるでそっくりというのが何ともアレでございまする。

まあそんなこんなで債券市場は「この調子じゃあ政権取っても金融緩和バイアスは掛かるけど債券売りになるような過激な政策は実施できないでしょ」と思いっきり高を括るの巻となって昨日も昨日で10年カレントは直近高値(低金利)更新でござるの巻だったりしておりましたな。

まあここまで散々話題にしてしまっているので引っ込みが付きにくいのは判るのですが、いい加減安倍さんの生兵法で村正の妖刀を振り回しまくるの図を止めさせないと、今は安倍トレードとか言って囃し立てている市場も呆れだします(まあ金融政策への認識がある金利市場が真っ先に呆れているのですが)し、一国の宰相(まだ宰相じゃないけど)が海外投機筋の絶好のカモの図とか正直見たくはございませんのですけどねえ。

いやまあ相手が一般ピープル向けだったらこの程度の話でも「安倍さんって経済にも強いんだ!すごーい!!」って事になるのかもしれませんが、その挙句部分部分はあっているけど全体を見ると矛盾している謎の金融政策理論を一般ピープルに啓蒙されますと世の中の為になるとは到底思えないので心底ご勘弁願いたいのですが、あと2週間この調子でニュースを見させられるということですかそうですか。

#ということですが、まあ安倍さんの話も多分ここから先は同じ話が循環して出てくるだけのような気がします。ウォッチマン先生の俺様理論の展開状況からするとそんな感じがするのですが

追記:どうでも良いけど朝の公共放送ニュースでニコ動の党首討論ニュースやっていたのですけれども、原子力政策に関して安倍さん「原子力発電で廉価な電力を得て日本は高度成長を達成してきた」と仰せなのだが原子力発電の本格推進ってオイルショック(即ち高度成長後)で「いつまでもあると思うな廉価な原油」状態になってからじゃなかったでしたっけ?????


○相場雑談を少々

・買入オペ金利がちゃっかり低下している件について

昨日の基金長期国債買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121129.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 14,332 7,006 0.097 0.098 86.2
共通担保資金供給(資産買入等基金)(12月3日スタート分) 34,169 8,013 23.5

一昨日の基金短期国債買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121128.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 29,478 8,006 0.098 0.098 32.9

月曜日の基金CP買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121126.htm
CP等買入(資産買入等基金) 5,665 3,982 0.102 0.106 57.1

という結果なのですが、これらのオペの前回の結果は以下の通り。

基金長期国債買入は前回が14日で買入利回りは平均0.099%足切り0.098%
基金短期国債買入は前回が22日で買入利回りは平均0.099%足切り0.099%
基金CP買入は前回が19日で買入利回りは平均0.110%足切り0.109%

・・・・・・ということで、各種買入オペの金利が低下となっています(CP買入なんぞ平均0.4bp足切り0.7bpも低下してやがります)って動きでございまして、買入残高積みあがり効果ともしかしたら利下げあるかも思惑が無い訳では無いというのもあり、CPに関しては買入対象銘柄の中で利回りが高め(つまりクレジット的に少々アレ)の銘柄が日銀様の買入枠いっぱいになってきたのでというような所があるんでしょうな、うんうん。


・今さらですが業態別当座預金残高推移

本当はこれ16日に出ているものなので証文の出し遅れにも程があるのですが備忘録という事で。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf

今回見て「ほほー」と思ったのは、季節柄超過準備が落ちる(9月積み期間は国債償還要因があるので超過準備が積みあがる傾向があって10月は資金需給の問題もあってその反動が起きる)傾向にある10月積み期間だというのに「都市銀行」と「外国銀行」の超過準備が絶賛拡大していること。一方で「地方銀行」とか「その他準備預金制度適用先」とかは平常モードで超過準備が減少しているので、突出して伸びてますなという感じです。

まあ考察すると、というほどの事でも無いですけれども都市銀行の超過準備(ちなみに見るのは月中平残の方を見るのが基本ですので念の為申し添えます)が平残ベースで9月、10月と順調に拡大しているというのが目立ちますなというのはどういうインプリケーションかと申しますと、要は超過準備積み上げ上等スタンスになったというのと、超過準備発生する背景として日銀の国債などの買入オペに積極的に参加して基金オペに国債とかをせっせと打ち込んでいるというのがあるんでしょうなあという所でしょうな。

そらまあ0.10%で3年以下の国債買って買入オペに0.098%で打ち込んで超過準備に積んでというのをすれば微かながらも鞘は取れますから(だから実際には3年以下の国債を0.10%では買わせてくれませんけど話の例えで言っているのを念の為申し添えます。逆に言えばこれらの日銀買入対象ゾーンの金利が0.10%になったらそれこそ青州黄巾兵30万人の如く怒涛の買いが大軍団となって押し寄せてくるというおそロシアな話ではあります)、そーゆーのもせっせとやれば金利が下がって瀕死の状態の短期部門(3年を短期というのかは微妙だが・・・・・)も雀の涙であっても無いよりはマシな収益が上がりますし、日銀からしてみると資産買入が順調に進捗しますし、まあ皆様ウハウハの展開という事ですな、うんうん。

まあその結果として市場金利が更に低下して日銀当座預金非適用先の享受できる金利が下がって投信生損保涙目の展開という事になる訳ですけど・・・・・・・


○BOEネタ・・・・・・と思ったら時間切れ

いやもうね、安倍さんネタばっかり毎日書いて何の役にも立たないモードが続いておりまして誠に申し訳ございませんですし、大体からして今週は麿の名古屋講演と昨日は白井審議委員の熊本講演があったのにスルーしてますし、真面目なネタ(いやまあ安倍さんネタも本人は大真面目で書いているのですけれども)が無くて読者を無くすようなプレイが続いておりますのでまあ安倍ちゃんヲチも程ほどにということですな。

ちなみに、利下げに関する検討の所だけヤケクソで引用しますと
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2012/mpc1211.pdf
の37パラグラフなのですが。

『The Committee also discussed the likely effectiveness of reducing Bank Rate to below 0.5%. Over the past few months, Bank staff had consulted with the FSA and the Building Societies Association on the possible consequences. In the light of that, the Committee had re-examined in detail the desirability of such an option.』

利下げの影響についてヒアリングとかしてるのか。

『While it would be beneficial for some existing borrowers, there were concerns that a cut in Bank Rate might prove counterproductive for aggregate demand as a whole. Staff analysis had concluded that a further cut in Bank Rate would be likely to cause a reduction in the profitability of some lenders, especially building societies, because of the prevalence of loans with interest terms contractually or closely linked to Bank Rate. That would weaken their balance sheets and they might have to respond by increasing other loan rates or restricting lending.』

『Viewed against the backdrop of the Funding for Lending Scheme (FLS), and the potential for building societies to play a material role in increasing lending, the Committee judged that it was unlikely to wish to reduce Bank Rate in the foreseeable future.』

>it was unlikely to wish to reduce Bank Rate in the foreseeable future
>it was unlikely to wish to reduce Bank Rate in the foreseeable future
>it was unlikely to wish to reduce Bank Rate in the foreseeable future

・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー(短期市場関係者的に)

というのが結論なのですが、利下げをすると銀行やビルディングソサエティーの収益基盤を悪化させて、その結果としてこれらの金融機関の貸出体力を弱めることに繋がり、その結果クレジット環境を悪化させるリスクが、利下げによる貸出金利低下のメリットより大きいという判断になっておられるようで、それよりもFLSを推進しましょうというのが結論になっております。

まあ何ですな、どこぞの次期首相有力候補様におかれましては「政策金利をゼロやマイナスにして貸出を拡大へ」という話をしていたやに聞いておりますが、世の中そう単純な話では無い、とまあそういうことでしょうなあという所なのでございました。

#結局安倍さんネタになっとるがなorz







2012/11/29

お題「BOEネタの続きでは無く今日は雑談の日になりましたorz」

日経調査によると比例で維新の会に15%投票したいとか言ってるそうだが、反省という文字を知らんのかと小一時間orzと思いますが。

#つーかあの党は烏合の衆にも程があって誰が当選するかで全然カラーが違ってきそう

というか今回の選挙に関しては世論調査がバラバラで興味深いですな。

○やはりまた安倍さんのアレとかの続き

・財政ファイナンスしろの話が問題なんですけどね

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012112800727
2%超えたら金融引き締め=インフレ目標は厳格運用−安倍総裁【12衆院選】
(2012/11/28-19:10)

『安倍晋三自民党総裁は28日午後、都内で街頭演説を行い、同党が政権公約として掲げる2%のインフレ目標について、「2%を超えていけば(金融政策を)引き締めるということだ。インフレ目標を定めた国で、ハイパーインフレになった国は世界中どこにもない」と述べた。』(上記URLより)

うーむ、相変わらずよく判っていないようですが、そもそもインフレ目標政策というのは足元の数字に直接対応して金融政策を上げ下げするのではないというのは英国の状況を見れば一目瞭然でございますし、大体からして金融政策の波及効果にタイムラグがある上に物価って景気に遅行して動く傾向があるので、そんなリジットな物価ターゲット政策を打ったら金融の緩め過ぎと引締め過ぎの連発になるだけなんですけど。今頃「インフレ目標を厳格運用する」ような政策枠組み組んでる国は「世界中どこにもない」と思いますけどにゃあ。

つーかですな、「インフレ目標を定めたらハイパーインフレにならない」というのはあまりにもナイーブな話で、過去に起きなかったから将来も起きないというのは理由にならない訳で、財政規律無視しながら金融緩和を強要して財政ファイナンスしやがれとかやっているとやはりマズーな気はしますがね。

まあ先の大戦後の日本の大インフレは供給能力に下方ショック(戦争による生産力破壊と植民地喪失)に敗戦に伴う軍事関連支出の急激な拡大に財政ファイナンスが加わっての通貨膨張の合わせ技が原因で、普通に考えたら供給ショックが起きなければまあそう簡単にとんでもないインフレにはならないでしょうけれども、ただまあ足元の日本ではエネルギー関連の輸入超で貿易収支が赤くなっている所に来て財政ファイナンスとか無茶振り言い出すと輸入物価ルートでショックが掛かるという日本国内的に誰得な物価上昇パスはあるんじゃネーノとは思いますけどね。

何はともあれ重要なのは財政規律の方で、延々とネット減税しかしないような政治が続いているというスカポンタンな状況の下で社会保障関連で支出は確実に増えていくのでございますからして、そっちの方をどうにかして頂かないと困る訳で。

・・・・・・それは兎も角として、安倍さん何でこの件をしつこく発言するのかというのがワケワカランチ会長なのですけれども。話せば話すほど「付け焼刃の生兵法」というのがバレバレになるのでありまして、いやまあ聞いている方も素人だからよく判ってないでしょうしそれはそれで「安倍さんって経済通で凄い」的な印象を与えるのには良いのかもしれませんけれども、浅学菲才ながら一応物事を素人さんより判っているつもりでいるこのあたくしのような市場関係者とか政策担当者からすると最早見るに堪えない状態になってしまわれているというのはご本人の為にも宜しくないと思うのですけれどもねえ。


・ウォッチマン先生は何トーンダウンしてるのやら

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME6GNM6TTDT501.html
安倍総裁ブレーン・高橋氏:日銀総裁に英国式説明責任を−物価目標で

『11月28日(ブルームバーグ):嘉悦大学の高橋洋一教授はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日本政府はインフレ目標を設定するとともに、目標が達成できない場合は日本銀行総裁に理由を説明するよう求めるべきだと述べた。同教授は、自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人。インタビューは27日に行った。』(上記URLより、以下同様)

この先生以前はみんなの党のヨッシー先生のブレーンやってた筈で、つい最近は橋下さんのところでアドバイザーみたいなのをやっていたという具合の方で、なんちゅうか政治家さんってそういう渡り鳥にも程がある人(まあ本人の理屈からしたら政治信条云々では無くて正しい経済政策を理解してもらいたいのでそういう人にアドバイスするという事なのでしょうけれども)を良くもまあ重用しますなあ安倍さんとか思いますがそれは兎も角。

『高橋教授はインフレ目標が達成できない場合、中央銀行総裁を「英国と同じように議会に呼んで質問するか、言い訳をレター(公開書簡)にして議会で説明させる」べきだと主張。一方で、ニュージーランドのように総裁を退任させるのは「ちょっとやりすぎ」と述べた。』

・・・・・・・・・??????

えーっと、議会に呼んで質問って言いましても既に日銀総裁の国会出席回数って他の主要国の中銀対比異常なまでに多いですし、BOEの書いているレターなんぞ「これこれの理由で中長期的に見たら物価は2%に下がります(キリッ)」というのを1年じゃ効かなく書き続けているだけの紙状態でございますけど。つーか総裁の解任権が無いのはおかしいとかこの先生主張してた筈なんですけど、何かこの先生言う事がコロコロ変わり過ぎで(大体からしてかつては「マンデルフレミングモデルによって財政支出効かない」とか主張してたのに今の生徒の安倍さんはゴリゴリの財政支出派じゃないですか)もう何が何やらという所で。


#まあそんな感じで安倍さんのトーンが落ちているのが見えてきたのも効を奏したのか債券市場におかれましては売る理由が無くなってしまいまして0.715%テイクンとかやりやがっている訳ですが


○銀行券ルールの実務的妥当性に関する雑談

公明党の西田さんと言えば以前も結構強烈な緩和主張をしていましたが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME5YH16K50Z301.html
公明・西田氏:大胆な金融緩和、日銀券ルールの撤廃を−インタビュー

『11月28日(ブルームバーグ):公明党の西田実仁参院国会対策委員長は、デフレ脱却に向けて日本銀行が大胆な金融緩和に踏み切るよう求めた上で、購入する長期国債の保有残高を日銀券の発行残高内に抑える「日銀券ルール」を撤廃すべきだとの考えを明らかにした。26日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)

えーっと既に基金買入の分で銀行券残高超えているんですけど。

『西田氏は、「日銀券ルール」について「こんなルールを内規で定めているのは日本しかない。この際、デフレを脱却するまでは廃棄すべきだ」と述べた。デフレ脱却後は一定のルールを設定することは必要とも付け加えた。』

うむ、基金国債買入は「物価安定の目途達成が見通せるようになるまで」継続するのですから、「デフレを脱却するまで銀行券ルールを廃棄してデフレ脱却後に一定のルールと設定することは必要」なら今の枠組みと同じのような気がするんですが・・・・・・

『日銀の資産買い入れ等基金による国債購入が同ルールの例外扱いされていることについては「分かりにくい。すでに従来のルールはもう壊れている」と指摘した。』

まあ判りにくいという指摘は判らんでもないですが、ただまあ西田さんの主張されている話だと(話がこの記事通りという前提で考えた場合)今の枠組みと同じでして、何がどう違うのかという話ではあります。

#確かに「見せ方を判りやすくすることによって気合を見せる」という効果があるのは否定しません

そもそも銀行券ルール自体が日銀総裁などの説明によりますと「野放図な国債購入拡大によって日銀が大量に保有する長期国債が財政ファイナンスと見なされないようにする」という事になっているらしいので、要は財政規律の方がきちんと確保されていて、それが将来的にも担保されているというのであれば、そもそもの問題意識である「中央銀行による財政ファイナンス化懸念」というのが発生しないのですから、銀行券ルールがどうしたこうしたというのは別にどうでも良い話という事になりますぞな。

然るに、どう考えても財政規律どころかPB達成すらいつまでたってもできそうもないという状況な中で財政バンバン出しましょう的な話ばかりが(選挙だから仕方ないけど)次期政権与党になりそうな所からバンバン出てくるという状況でございますので、まあ中々この手の歯止めを外すというのもアレではないかという気もしますけどどうなんでしょうかね。


・・・・・・・でまあ銀行券ルールって財政ファイナンス懸念を起こさせない的な話にはなっているようなのですが、短期市場とか資金需給とか判っている人だったら何を今更の話ですけど、銀行券ルールはまあ実務的に考えた場合にも妥当ですよねというお話を一席(まあどこかの席で話をした気もしますし、以前(数年前)簡単に書いた事はあるのでご存知の方はスルーしてくらはい)。

日銀が資金供給するだの吸収するだのというのっていうのは結局の所インターバンク市場での資金需給を調整することなのですが、これを日銀のバランスシートで見た場合、市中の資金需要分っていうのは思いっきりざっくりと言ってしまえば「発行銀行券総額」に「所要準備預金額+日々の資金需給分」が相当する(たぶん政府預金分がそれに加わると思うが)という話でありまして、このうち短期的に動くのは日々の資金需給に相当する部分で、銀行券の増発(がインターバンク市場の資金不足要因になるという理屈を理解する所から短期市場の理解がスタートしますので判らないかたは東京マネーマーケットでも麿の本でも読んでくらはい)や還流、財政の揚げと支払という事になります。

一方で長期的に資金需要として固定化されている部分っていうのは発行銀行券残高の底溜まり部分と、インターバンクの所要準備のほぼベース部分と見られる部分でして、日々の日銀のオペレーションで資金需給を均そうとすることを考えた場合、長期的に固定化されていると見られる部分については「足の長い期間の資金供給」を行うのが理に叶っていて、短期的な部分については「足の短い期間の資金供給」を行うのが適切という話になりますわな。

ただまあテクニック的に言えば、上澄み部分相当だけを短期のオペで出し入れすると、そもそも市場全体の資金過不足と個別参加者の資金過不足は必ずしも一致しない(例えば市場全体で1兆不足の時もしかしたら2兆不足の金融機関と1兆余剰の金融機関があるかもしれませんという話)ですし、何らかの事情で資金需給がおおきくぶれた時の対応がややこしくなるので、基本的に言えば長期的な固定部分の資金にある程度食い込んだ形で短期の資金供給オペレーションを行って、そこの上げ下げをしながら調節する方が技術的にもやりやすいし市場関係者的にも楽(ある時はオペ残高が1兆である時は11兆というよりは、21兆から31兆というような形でオペの底溜まり部分がある方が市場の方も対応しやすいという意味)という事になりますぞなもしという事であります。

でまあその資金供給のうち「足が長い」のが中長期国債の買入であり、「足の短い」のが通常の短期オペですよねという事でありますので、短期金融市場における資金過不足調整を円滑に行うという観点からすると銀行券ルールっていうのは調節技術上も比較的意味のある話ですよねというのがまあ結論になるのですが、この説明自体は少々ざっくりベースで行っていますのでもうちょっと正確な説明するにはどうしたら良いのかという件については読者の皆様におかれましては誰か親切にご教授頂きますと誠に有り難く存じますのですが。


#ということで、何か今日はしょうも無い雑談(しかも知っている人には何を今更ネタをドヤ顔で説明するの巻でしたし)になってしまいましたすいませんすいません

BOEネタについては明日やります(きっぱり)





2012/11/28

お題「大体BOEネタ一部毎度の安倍さん雑談」

まあ雑談系でございますが。

○例によって安倍さん関連

・もう何と申しますか

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112700749
「米倉経団連会長は勉強を」=緩和強化批判に安倍自民総裁
(2012/11/27-17:51)

『自民党の安倍晋三総裁は27日、都内で講演し、金融緩和強化の一環として日銀に建設国債の購入を求める持論に対し経団連の米倉弘昌会長が「禁じ手」と批判したことについて「今も日銀は市場から国債を買っている。米倉さんは勉強してもらいたい」と反論した。』(上記URLより以下同様)

・・・・・・・・えーっと、米倉さんは(以下の記事にもありますが)「中央銀行による財政ファイナンス」を念頭に「禁じ手」と言ったんですけど。「米倉さんは私の発言を誤解しているようなので正しい理解をして頂きたい」程度に話を止めておけば良いのに「日銀は市場から国債を買っている事も知らないのか」的な言い方をしてどうするねんというか、要は批判されたのでムキーとなっているというのが見え見えなので一国の宰相として如何なものかと見られ兼ねない話になるだけなのでこの件どうせ安倍さん得意じゃないんですから余計な物言いをしない方が良いと思うのですけど。

『米倉会長は26日の記者会見で、日銀による国債の直接引き受けを念頭に「安倍総裁は『建設国債を日銀が引き受けなさい』ということで、世界各国で禁じ手となっている政策は無謀に過ぎるのではないか」と述べていた。安倍総裁は「建設国債の直接引き受けと言ったことは一回もない」と強調。「これから選挙戦を戦う上で米倉さんとけんかする気は全くないが、間違った認識は正しておく必要がある」と語った。』

・・・・・・・・「輪転機を回してお金を増やす」「建設国債を全部買ってマネーを強制的に市場に流す」とか「無制限に緩和」「従来の自民党とは違った次元の大胆な金融緩和」などという言葉を散々並べたら、受け止める側でまあ市場の事を理解している記者さんも市場関係者も普通に「中央銀行に財政ファイナンスをやらせる」という趣旨として理解する方が自然でして、従来やっている日銀の国債買入と同様の話ですとか後から言われましてもと思いますが。

大体からして本当に「中銀の国債引受要請じゃない」って思っているのなら当初「引受」と解釈された報道が流れた時点の先週土曜の夜以降即座に否定すれば良いものを、世間が大騒ぎして批判がドカドカ出てから「そのような意味で申し上げたわけではない」(どこかで聞いたような物言いを思い出しますが^^)とかえーっともしもしどういう事ですか(しかもその間に安倍さんブレーンの一人と言われている某ウォッチマン先生は「中央銀行の引受が禁じ手というのは世界的に見て間違い」とかネットで発信(ちなみにそれも変なのですが)してましたぞなもし)と存じますが、元々経済政策は安倍さんの得意分野とも思えませんし、いつのまにか3%のインフレ目標の話が2%になったりとかにもありますように、あまりこの件で詳細な部分に踏み込んで話をしない方が変なボロが出ないと思いますけどね。

つーか、「米倉さんは勉強してもらいたい」と仰せの安倍さんにおかれましては、確かに勉強はしておられているようなのですが、残念な事にその勉強を教えている教師が少々アレな方々であって、アレな先生にアレな事を教わった結果として発言が市場をちったあ判っている者から見ると大丈夫かおいという風になるという一連の動きは誠にご勘弁願いたいものでございます。

ちなみに先週末のWSJでは安倍総裁のインタビュー記事がありまして、紙ベースの物を読んだだけなので一々引用できないのが残念ですが、そちらの記事は題名が「日本の安倍氏は財政支出にフォーカスを置く」とかいう話になっていまして、「我々の政策はデフレ脱却に集中する」として「しかしデフレ脱却は金融政策単体では達成できない、財政政策も必要である」とゆー話をしてまして、何か国内ベースの報道での安倍発言とトーンが違うんですがという違和感はあるので、興味のある方はWSJの先週末の週末版を読んでちょ(1面と14面にあるぞな)。


・俊ちゃんキタコレ

まあ話題になっていたのでご覧になられた方も多いと存じますが。

http://www.canon-igs.org/management/toshihiko_fukui/20121121_1663.html
2012.11.21 [役員室から] 打ち出の小槌はない
理事長 福井 俊彦

・・・・・・・・・・・・・俊ちゃんキタコレでございますが、全くご尤もという所でございまして、安倍さんも勉強熱心であるというのは把握致しましたので、できましたら今周囲におられます変な取り巻きからのレクチャーというのを止めて頂いて(そういや月曜の某六本木テレビの某番組で取り巻きさんが雁首揃えて出ておられたとの話を小耳に挟みましたが)俊ちゃんなどからの授業を受講されますと誠に有り難く存じますが、どうも取り巻きさんたちが「日銀の陰謀ガー」「財務省の陰謀ガー」とか言う人たちのようでございまして、聞く耳持たないとか言い出さないかと不安はございますな。

という事でしかしまあこのネタで書く事が毎度あるとかネタに困らないのは結構でございますが、どう見てもいち国民としては不幸だなあとしか思えないのがorzorzでありまする。


・・・・・気を取り直してBOEネタで。

○BOEネタ:次期総裁がカナダ中銀のカーニー氏とな

本当は月曜の日本時間の夜に公表されていたのですが、あたくしが諸般の事情で月曜のニュースフローに付いて行けてなかったので一日遅れてしまいましたすいませんすいません。

BOEのサイトのトップが新総裁指名の発表になっておりますぞな。

http://www.bankofengland.co.uk/Pages/home.aspx
Welcome to the Central Bank of the United Kingdom

『Her Majesty the Queen has been pleased to approve the appointment of Mark Carney as Governor of the Bank of England from 1 July 2013. He will succeed Sir Mervyn King.』

ということですが、リリースの本チャンはこちら。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/130.aspx
News Release - New Governor of the Bank of England announced
26 November 2012

財務省のサイトを見ますとこんな感じ。

http://www.hm-treasury.gov.uk/press_111_12.htm
26 November 2012
Governor of the Bank of England

『Her Majesty the Queen has been pleased to approve the appointment of Mark Carney as Governor of the Bank of England from 1 July 2013. He will succeed Sir Mervyn King.』

『Welcoming the appointment the Chancellor of the Exchequer, the Rt Hon George Osborne MP, said:』

ということでオズボーン財務相の声明。

『“Mark Carney is the outstanding candidate to be Governor of the Bank of England and help steer Britain through these difficult economic times. He is quite simply the best, most experienced and most qualified person in the world to do the job.』

この英国経済が難しい時期の舵取りをするのに世界中で最も適任な人がカーニー氏であるとな。

『He has done a brilliant job for the Canadian economy as its central bank Governor, avoiding big bail outs and securing growth. He has been chosen by the rest of the world to be the chair of the international body, the Financial Stability Board, charged with strengthening global financial regulation after the financial crisis.』

カナダ中銀総裁として、カナダ経済の成長を守り、大型倒産も回避しました。またFSBの議長として金融危機後の新しい金融規制監督強化に貢献する立場にもありますと。

『Along with its central role in monetary policy, this Government has put the Bank of England back in charge of regulating our financial system so that we don’t repeat the mistakes of the last decade. Mark Carney is the perfect candidate to take charge of the Bank as it takes on these vital new responsibilities. He will bring strong leadership and a fresh new perspective.』

金融政策の舵取りと共に、カーニー氏におかれましては英国政府がこのたび金融監督分野での役割を英国中銀に戻した件についても多大なる貢献をされる事を大いに期待しますとな。

『I look forward to working with Mark as we continue to rebalance our economy, deal with our debts, and equip Britain to succeed in the global race. We needed the best - and in Mark Carney we’ve got it.”』

まあ最後はご挨拶みたいなもんですな。

でまあついでに副総裁のうちビーンさんの再任が決定という事で、元々総裁候補本命だったタッカー副総裁はLIBOR問題でケチをつけたのが思いっきり響いて任期切れで終了ということですかそうですか。

http://www.hm-treasury.gov.uk/press_112_12.htm
Re-appointment of Deputy Governor of Bank of England for Monetary Stability

『Her Majesty The Queen has been pleased to approve the re-appointment of Charles Richard Bean as Deputy Governor of the Bank of England for Monetary Stability from 1 July 2013.』

『Mr Bean has agreed to stay on for a year to help oversee the extension of the Bank of England’s responsibilities and the transition to the new Governor. He has asked to stand down on 30 June 2014.』

こちらにありますように再任予定のビーン副総裁はマネタリーウィングの担当で、タッカーさんはファイナンシャルスタビリティー即ちプルーデンスウィング担当。


カナダから起用とかほーという感じですが、FSBの議長という所や、こちらのオズボーン財務相の声明からのプルーデンスウィングでの活躍期待を思いっきり表明している部分など見ますと、まあプルーデンス強化の世界的な流れに乗ったような話で、いやープルーデンス強化もやり過ぎるとバランスシート調整が深くなっていつまでも景気がピックアップせんぞなもし(もちろんノーズロでやれば良いと言っているのではないので為念)とは存じます次第。

海外からの総裁起用とは斬新とか思いましたが、良く良く考えてみるとカナダはコモンウェルスを構成する国でカナダの国王は「Her Majesty The Queen」なのでカーニー総裁も形の上では「女王陛下の臣民」なのですから英国人的な理屈からするとそんなに違和感が無い(旧属領の人を抜擢起用したとか)のかもしれませんな。

まあ中銀総裁としては実務は詳しいし見識は高いしということで、日銀総裁人事でも見習って頂きたいものであると思う所ではございます。



○BOE11月議事要旨より(その1)

その1とか思いっきり今日全部終わりません宣言を最初にするこのあたくし(汗)。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2012/mpc1211.pdf

・面白いなと思ったのは海外経済の認識部分

『The international economy』の部分なのですけどね。

まずユーロ圏についてが第8パラグラフ。長いので途中で分割する。

『In the euro area, the composite purchasing managers’ index (PMI) had fallen a little further in October and indicated a continued contraction in activity in the fourth quarter. Industrial orders in Germany had weakened in September.』

PMIが若干下がった話とドイツの工業受注が弱い話をしておりますな。

『The announcement of the ECB’s OMT programme earlier in the year had continued to compress peripheral-country sovereign debt yields. Moody’s had reaffirmed the Spanish sovereign debt rating. And bank funding costs in the euro area had continued to fall. For the first time since early 2010, a Portuguese bank had been able to issue senior unsecured debt without a government guarantee.』

『In Greece, where the situation had not improved, the Parliament had approved a further ユーロ13.5 billion of spending cuts and tax increases. A further vote on the overall Greek budget plan was scheduled for the weekend following the MPC’s meeting. Its approval would be necessary for the EU and IMF to release the next tranche of support finance.』

ということで最初の所で景気の話をした後は金融環境の話が延々と続いているのですが、まあ当然ながら金融環境は改善しているという話をああだこうだと例を挙げておりまして、景気についてあまり良くないでしょというのはあるのでしょうが、ここに書かれている部分を見ると何となくポジティブっぽく見えますぞな。

で次が米国の第9パラ。これまた長いので途中で分割する。

『In the United States, output was estimated to have increased by 0.5% in the third quarter, somewhat in excess of market expectations. Employment growth had strengthened, with non-farm payrolls increasing by 171,000 in October and data for previous months being revised upwards.』

『Signs of a modest recovery in the US housing market had continued, with increases in both home sales and prices in recent months. The manufacturing PMI had edged up a little in October.

雇用と住宅という大ネタに関しては改善の話。

『Less positively, the non-manufacturing index had dropped back, although it remained consistent with an increase in output. And capital goods orders had remained weak in September. 』

でこっちが残念な話ですが・・・・・

『It was possible that these more negative indicators were related to uncertainty surrounding the future path of US fiscal policy. The US Presidential elections had taken place during the month, but it was too early to know how the results of the election would affect the outcome of the impending negotiations over the pre-programmed fiscal contraction. In any event, it was probable that some fiscal tightening was in prospect, which would be likely to weigh on activity. It was likely that the disruption associated with post-tropical cyclone Sandy would have a modest effect on economic activity.』

まあ問題はフィスカルクリフで(11月8日なので)大統領選挙結果が出ないと今後どうなるかは判らんが、いずれ財政支出は削減されるので影響はあるでしょうというのと、ハリケーンの影響は大したことないという認識。


で、新興国が第10パラグラフ。

『Indicators in the emerging markets had tentatively suggested that activity was no longer decelerating.』

>activity was no longer decelerating
>activity was no longer decelerating
>activity was no longer decelerating

キタコレ。

『In China, the National Bureau of Statistics had estimated that output growth in the third quarter had increased to 2.2%, exceeding expectations. Moreover, revised data on the composition of Chinese demand over the previous two years had suggested that growth in domestic consumer spending had held up relatively well in the face of a slowing in the rest of the economy. This would help to rebalance the pattern of global demand and to reduce the imbalances built up in the years leading up to the global financial crisis and recession. Survey data had suggested a modest recovery in output growth in several other emerging economies.』

ということで、新興国経済の見立てがやたらと明るくなっていまして、ここの3つのパラグラフを見た印象として、あたくし的には「意外に景気に明るめのトーンの部分が多いなあ」と思った(あくまでも毎回読んでいて今回のトーンが妙に確り目だなあと思ったという比較感の話ですが)のですが、どうでございましょうかねえ。

でまあこれ読んだ後に月曜に日銀の決定会合議事要旨(これは10月末)見た時も何か海外に関しては割と何とかなるぞなみたいな話をしている向きが多かった(もちろん下振れの指摘もありますが)ので、へーと思ったのでとりあえず今日はそっちのネタで一発引用大会としてみました。

まあ何ですな、恐らくのところ、中国の経済指標が何か底打ちっぽい雰囲気を醸し出しているとかゆーのが中銀界での世界経済見通しに影響を与えているんじゃネーノとか勝手に妄想してるのですけれどもね。


・予告編

時間が無いので予告編ですが、今回の議事要旨でオモロスと思ったのは「金融緩和効果がどう効く/効かないのか」という論点からボトルネックに関する指摘の部分があったり、金融政策効果のルートとしてのポートフォリオリバランス効果に関する部分があったり、これまたここもと問題になっている「生産性と物価」に関する議論があったりというのがございまして、あと最後の所では追加の資産買入と追加の利下げに関する議論がございまして、その部分がこれまた面白かったということで、まあ要するに今日はさわりの部分だけで終了という誠にケシカラン状態であるという事だけお伝えしておきますすいませんすいません。




2012/11/27

お題「10月30日決定会合議事要旨から」

本日はあっしのお家の事情により簡単にで勘弁。

ところでおじちゃん頭が悪いから判らないのですが、諸派集合体(第三極などというのは過大評価にも程がある泡沫連中と認識しているのでそういう表現をあたくしはするのだが)のトップがどこぞの市長(実質並立トップ)とかどこぞの知事(これから結集するようだが)とからしいのですけれども、この人たち自分が立候補している訳でも無い選挙なのに首長という名の公務員としての職務専念義務との関係はどうなっているのやらと思うのですがどうなんでしょうかねえ。

展望レポート&追加金融緩和の10/30決定会合議事要旨ですが
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121030.pdf

○経済情勢および見通しに関して

『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』から。

・海外経済について

『海外経済について、委員は、昨年後半以降、欧州債務問題の悪影響が貿易や企業マインドのルートを通じて世界的に拡がっており、最近は、多くの国や地域で、製造業部門を中心に減速の度合いが強まっているとの認識で一致した。先行きについて、委員は、当面減速した状態が続くとみられるが、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの想定のもと、減速した状態から次第に脱し、緩やかな回復に転じていくとの見方を共有した。』

ということで、現状認識が下がる中で先行き見通しは何か知らんが変わらんという不思議な展開が続いていますが・・・・・・・

『一人の委員は、海外経済の回復時期が後ずれしたり、回復ペースが緩やかになる可能性を意識する必要があると述べた。』

一人ですかそうですか。でまあ地域別ですけどね。

『ユーロエリア経済について、委員は、緩やかに後退しているとの認識を共有した。複数の委員は、欧州経済の不振が貿易チャネルを通じて中国経済のブレーキになり、世界貿易量の伸びを強く圧迫していると述べた。先行きについて、委員は、域外輸出の増加からユーロエリアのコア国が成長率を徐々に高めていくものの、周縁国では緊縮財政が続くことから、全体でみても回復の勢いに乏しい状態が続く可能性が高いとの見方を共有した。』

コア国の成長率って徐々に高まる見通しなのか。

『中国経済について、委員は、インフラ投資などに動意がみられるが、素材産業など幅広い分野で在庫の積み上がりが解消しておらず、在庫調整局面が長引いていることから、ここ数か月でみると、成長ペースの減速の度合いもやや強まっているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、当面減速した状態が続くとみられるものの、金融・財政両面での景気刺激策の効果が顕在化し、在庫調整が進展していくにつれて、成長率は徐々に高まっていくとの見方で一致した。』

『何人かの委員は、根強い在庫調整圧力や政策効果を巡る不確実性などを踏まえると、成長率が明確に回復するには時間を要するとみられると述べた。』

ということで中国についてはまあ確かに底打ちの香りもしますな。

『NIEs、ASEAN経済について、委員は、欧州や中国の最終需要の弱さの影響もあって、輸出や製造業の設備投資といった企業部門を中心に、持ち直しの動きが緩やかになっているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、個人消費を中心に内需が堅調さを維持する中で、輸出が次第に増勢に転じていくことにより、持ち直しの動きがはっきりしていくとの見方で一致した。』

とまあこちらは明るめの見通し。

『米国経済について、委員は、個人消費が緩やかに増加し住宅市場で持ち直しの兆しもみられるなど、全体としては緩やかな回復基調を続けているが、世界経済の減速やいわゆる「財政の崖」を巡る先行き不透明感の高まりから企業マインドが慎重化するもとで、設備投資や輸出、生産の増勢が鈍化しているとの認識で一致した。先行きについて、委員は、緊縮的な財政政策の影響を受けつつも、緩和的な金融環境などを背景に、緩やかな回復を続けるとの見方で一致した。』

まあFRBの見通しと同じですな。

『一人の委員は、欧州や中国経済をはじめ、世界経済の減速が強まっている中で、米国経済が回復を続けることができるか注視していると述べた。複数の委員は、「財政の崖」の影響により、2013年前半の経済活動が大きく抑制される可能性があると付け加えた。』

ということで、海外経済に関しては先行き見通しがそんなに弱くないというのが大勢見解であるというのは把握しました。

余談ですけれども、(今日は時間が無いのでネタにしませんが、って昨日も申し上げた気がしますが)BOE11月頭のMPC議事要旨見ると海外経済の見通しが割と明るめだったりしまして、恐らくは米国が財政の崖を何とかして、中国経済が底打ちモードになって来てるとかその辺が背景にあるのでしょうけれども、「自分の所は兎も角として海外経済は何とかなりそうですなあ」みたいな見通しを同じようなタイミングで別々の中銀から見ると何かちょっとオモシロスではございますな。


・国内経済

『委員は、海外経済の減速した状態が強まっていることを反映して、輸出や鉱工業生産が減少し、内需にもその影響が一部及び始めているとの認識で一致した。一人の委員は、海外経済減速の影響は製造業の設備投資に及び始めているとの見方を示した。委員は、9月の会合以降、景気は一段と下振れているとの認識を共有した。』

という認識の下で追加金融緩和を実施した訳ですが。

『日中関係の影響について、一人の委員は、ハードデータでは十分に確認できていないが、支店長会議の報告などミクロ情報から判断すると、輸出や生産、観光需要に影響が出ているとの見方を示した。複数の委員は、生産や景気動向指数の動きなどを踏まえると、事後的に、景気の後退局面入りが認定される可能性があると述べた。こうした議論を経て、委員は、景気は弱含みとなっており、先行きも、当面横ばい圏内の動きにとどまるとの見方で一致した。』

とのことです。


○展望レポート関連

まあこっちの方が長いのですけれども。

『経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、委員は、7月の中間評価時点と比べると、海外経済の減速の影響などから、下振れているとの見解で一致した。そのうえで、委員は、今回の会合で金融緩和を一段と強化するのであれば、海外経済の成長率が再び高まることや、広い意味での復興関連需要などに支えられ、日本経済は次第に緩やかな回復経路に復していくとの見方を共有した。何人かの委員は、政府などによる成長力強化の取り組みが成果をあげることで、景気回復の持続性が増していくとの見方を強調した。』

下振れはまあ良いとして政府などによる成長力強化の取り組みが成果ねえ・・・・・


・見通しの年度別展開を改めて読むとやはり願望成分ががががが

見通しの年度別展開は以下の通り。

『2012 年度下期から2013 年度にかけての景気展開について、委員は、輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速が長引くもとで、当面弱めに推移するとの見方を共有した。』

『2013 年度の成長率について、委員は、復興関連需要による景気押し上げ効果が公的需要中心に徐々に減衰していくものの、海外経済の持ち直しが次第に明確になるにつれて、企業収益や雇用者所得の増加を伴いながら国内民間需要がしっかりとした伸びとなるため、潜在成長率をはっきりと上回るとの見方で一致した。』

つまり2013年度は海外次第ですねわかります。

『2014 年度について、委員は、海外経済が過去の長期平均を上回る成長を実現するほか、企業収益の改善や成長期待の高まりを背景に低金利の持つ景気刺激効果も強まっていき、これが国内民間需要を下支えするとみられることなどから、消費税率引き上げに伴う変動を除いた基調でみれば、潜在成長率を幾分上回る成長経路を辿るとの認識で一致した。』

2014年度になると海外の成長が続き、その上国内は成長力強化が成果を上げるとは素敵な願望レポート。


・消費税率引き上げの影響について

『また、消費税率引き上げの影響について、委員は、2013 年度下期には、税率引き上げ前の駆け込み需要が相応の規模で発生すると予想されるため、一時的にかなり高めの成長となる一方、2014 年度の成長率は、上期を中心に駆け込み需要の反動が出ることから、小幅のプラスにとどまる可能性が高いとの認識を共有した。』

毎回思うのですけれども、消費税引き上げの影響の話をするときに駆け込み需要の話を強調しておりますが、そもそも消費税作った当初および5%への引き上げの際はネット減税となっていた訳で、今回の消費税引き上げはこのままだと初のネット増税になる訳でして、影響については普通に考えるとマイナスになると思うのですが、その辺はご配慮が働いているのか、願望レポートの一環なのだか知りませんが、こーゆー評価になっているのはどうも解せないなあと思いますが。


・物価情勢について

『消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、大方の委員は、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014 年度には当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとの見方を示した。』

というのが展望レポートのメインシナリオね。

『前提となる国際商品市況について、これらの委員は、当面は、海外経済の減速を反映して、均してみれば横ばい圏内で推移した後、新興国の経済成長に伴う食料・エネルギーの需要拡大などを背景に、基調的には緩やかな上昇傾向を辿ると想定されると述べた。一人の委員は、家計の購入単価の上昇傾向やパート労働の改善傾向などが、今後、消費者物価の上昇につながる可能性を指摘した。』

はあそうですか。

『こうした見方に対し、複数の委員は、マクロ的な需給バランスと消費者物価との相関が依然として緩やかであることを踏まえると、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力を控えめにみておくべきであり、「1%に着実に近づいていく」との評価は難しいのではないかと指摘した。』

佐藤委員と木内委員ですねわかります(^^)。

『このうち一人の委員は、物価の先行きを考えるうえでは、労働市場の需給バランスの改善が重要であるが、単位労働コストがここ2四半期はっきりと減少していることなどを踏まえると、先行きについては慎重な見方をとらざるを得ないと付け加えた。』

名目賃金が上がらない中で物価が上がるのかいなと言う事ですかな。つーか名目賃金が上がらないのに物価が上がっても誰得にも程がある訳で、財政インフレ起こして物価上昇とかしても無意味にも程がある訳ですから円安誘導して企業収益が改善したら労働者にジャンジャン分配させる方向で企業に要請というような枠組みで説明したら安倍ちゃんも大受けすると思うのですが(^^)。

でまあ上振れ下振れの話しは割愛。上振れの話が幾つかあるのがはあそうですか(棒読み)という所ではありましたがめんどいので引用割愛。


○金融政策に関して

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。

『委員は、経済・物価のシナリオは、海外経済、輸出、生産に加え、内需の一部でも、9月の金融緩和の強化時にみていたよりもさらに下振れており、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏みはずさないようにするためには、金融緩和を一段と強化する必要があるとの見解で一致した。』

つまり足元の下振れに対応して追加緩和という理屈になっておりますの。

『そのうえで、委員は、9月に続き、資産買入等の基金を大幅に増額することが適当であるとの認識を共有した。基金の増額幅について、多くの委員は、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、リスク性資産を含めて10 兆円規模で増額することが適当と述べた。』

まあ良いのですけれども、一方で(こちらの議論でもそうですが)毎回の金融経済月報で示されている金融環境の認識は「緩和した状況にある」という風に大昔からなっているという事を踏まえますと、この「長めの金利やリスクプレミアムへの働きかけで金融環境を緩和的に」というロジックってどうなのかという気もせんでもない。

『一人の委員は、為替相場への働きかけなどインフレ期待を高める一段の工夫が必要ではないかとの認識を示した。』

佐藤委員ですねわかります。まあ金融環境が緩和的という認識なのに「更に緩和的な金融環境を」という動きをして限界的になんぼ効きますねんという事を考えると、何らかの別途の工夫が必要という認識に関しては同意します。まあ問題はそれをどう工夫するかという話でそれが難しいのですけど・・・・・

『包括的な金融緩和政策の効果について、委員は、包括緩和が実体経済に及ぼす影響のうち、第一段階である金融環境への波及という点では、企業・家計が直面する金融環境は緩和した状態にあるとの認識を共有した。一方、第二段階である金融環境から実体経済への波及という点では、委員は、金融環境はきわめて緩和的であるが、こうした緩和的な金融環境が十分に活用されていないとの認識を共有した。』

この金融緩和政策の波及経路2段階論も以前から話をしているのですが、1段階目は十分に緩和しており、問題は第2段階への波及だという認識の中でじゃあ何で第1段階の所を「より緩和的にする」という事になるのかということですな。

『第二段階における緩和効果の一層の浸透を図るため、委員は、金融機関の一段と積極的な行動と、企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す工夫をしていくべきとの認識を共有した。』

だったらそれよりも「インフレ期待を高める一段の工夫」の方が話が早いんでネーノという(たぶん佐藤委員の)指摘の方が妥当な気がします。


でまあ基金増額の方の議論ですが。

『以上の執行部説明を受けて、委員は、まず、資産買入等の基金の増額について議論を行った。委員は、基金の増額幅について、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、10 兆円規模で増額することが適当との認識で一致した。多くの委員は、9月の10 兆円と合わせるとかなり思い切った幅の増額になると述べた。買入対象の資産について、委員は、短期国債、長期国債だけでなく、日本銀行のリスク許容度も考慮したうえで、リスク性資産も幅広く増額の対象とすべきとの認識を共有した。』

『一人の委員は、貸出金利などに幅広く影響を及ぼし得る国債買入れを中心に増額することが適当と述べた。何人かの委員は、リスク性資産の増額の完了期限が本年末に迫っている一方で、わが国の景気が弱含みとなっていることを踏まえると、引き続き、リスク性資産を幅広く買い入れていくことが適当との見解を示した。このうち一人の委員は、リスク性資産を増額対象とすることにより、過度な不安心理の抑制が期待できると付け加えた。複数の委員は、リスク性資産を大量に買い入れると、日本銀行に損失が発生し、最終的に納税者負担につながる可能性に注意する必要があるとコメントした。一人の委員は、こうした強力な緩和措置がより広く周知されるよう、対外的にしっかりと説明していくべきと述べた。』

結構何をどう買うかで揉めたというのが何となく判りますな。


貸出何とかスキームについて。

『続いて、委員は、貸出増加を支援するための資金供給について議論を行った。委員は、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給することが適当との見解で一致した。また、委員は、資金供給の総額の上限を設定せず、無制限とすることが、金融機関の貸出増加への取り組みの大きな支えになるとの認識を共有した。』

でまあその中でふーんという部分ですが。

『一人の委員は、非居住者向けの円貸出を貸出増加の算出対象に加えることは、円高圧力の緩和という副次的な効果も期待できると付け加えた。』

『一人の委員は、成長基盤強化支援を導入した当初に聞かれた、貸出競争を煽っているとの批判が、政策意図が浸透するにつれ後退していった経験を踏まえると、今回も、政策意図をきちんと説明していく必要があると述べた。』

まあほほうという所です。


○コミットメント文言の変更提案とな

最後の所でこれはこれはという部分が。

『また、コミットメントの文言について、複数の委員は、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」との文言を変更し、それを対外公表文に明記することで、金利などへの働きかけをさらに強め、日本銀行の緩和姿勢をより明確にすることができないかと問題提起した。』

ということですが、具体的にどういう事かというと更に後ろの方に提案内容がありまして。

『佐藤委員からは、物価見通しの記述について、「消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014 年度には当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていく」から「消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じていく」に変更し、政策運営方針の記述について、1%を「見通せるようになるまで」から「安定的に達成するまで」に変更する旨の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。』

『採決の結果
賛成:佐藤委員、木内委員
反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員』

ということで、コミットメント文言を「1%を見通せるようになるまで」から「安定的に達成するまで」に変更という提案でして、これは時間軸伸びますし緩和姿勢が明確になりますよねという所ですけど、さて反対の理由でございますが・・・・・

『これに対して大方の委員は、現時点でコミットメントの文言を修正することには慎重な見解を表明した。これらの委員は、市場金利をみると、イールドカーブの中期ゾーンまできわめて低位で、日本銀行が金融緩和を継続していくことに対して市場で疑念が生じているとは考えられず、コミットメントの文言の変更が必要な状況にはないと指摘した。』

金利市場的に言えばそらそうなのですが、金利以外の市場でと考えた場合、実は日本の時間軸が一番クソ長いという事実が認識されているとも思えず(そうなら円高傾向が続くのが変でしょ)、そういう意味では金利市場以外に向けたメッセージとしてはコミットメント文言変更は有りのような気もします。

『複数の委員は、将来的に文言の修正が効果をもつ局面になることも考えられるが、現時点ではないと述べた。また、資産買入等の基金の運営についても、これらの委員は、現行のコミットメントのもとで、増額を完了したら直ちに基金残高を取り崩すという運営を想定している市場関係者がいるとは考えにくいと付け加えた。』

金利市場の関係者としてはそうなのですが、仕組みとして増額完了後何もなければドカドカ残高落ちるような設計になっている(のは出口政策を考えると極めて妥当な作りになっているのですけれども)というのはやはり他市場的には別の認識を持たれている可能性もありそう。

『何人かの委員は、仮に基金の運営について市場に誤解があるのであれば、増額完了後も、「1%」を目指して強力に金融緩和を推進していくというコミットメントの考え方に即して基金を運営していくことを、改めて対外的に説明していくことで払拭すべきとコメントした。』

まあそうですが。

『複数の委員は、日本銀行の現状認識を正確に伝えるため、まだ「1%」を見通せるとの判断には至っていないことをしっかりと説明していくことが重要であると付け加えた。』

いやあの展望レポートの見せ方だとそのうち1%に行くでしょうという話に見えるじゃろ。

・・・・・・ということで、まあこの部分の提案と意見の交換部分は決定会合声明文や総裁会見では見えなかった部分なので面白かったです。


○展望レポートの1%云々

『X.採決』の部分から。

『続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、多数意見が形成された。これに対し、一人の委員は、消費者物価の前年比が2014 年度には1%に着実に近づいていくとの物価見通しに関する記述と、消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるようになるまで強力に金融緩和を推進していくとの政策運営方針に関する記述について、変更する旨の議案を提出したいと述べた。この結果、以下の2つの議案が採決に付されることとなった。』

ということで、佐藤委員の議案はさっき引用したとおりです。佐藤さんと木内さんが1%云々の記述に反対した理由はまあ普通に物価見通しによるものということですね。

とまあそんな所でした。






2012/11/26

お題「白川総裁会見を鑑賞する/安倍さんのネタは尽きずとな」

このニュースを見て先週は「お前は幸せだったかも知れんが・・・・・」とツッコんだのが日本中に1億人位はいたのではないかと愚考。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121121-00000046-asahi-pol
鳩山元首相、引退会見 「政権の方針と私の主張が違う」
朝日新聞デジタル 11月21日(水)21時56分配信

『記者会見の中で、鳩山氏は「波瀾(はらん)万丈の人生だったが、政治家としては幸せだった」と振り返った。』(上記URLより)

ぽっぽ先生におかれましては第三の人生とやらをこれから送るそうですが、第三の人生などと言わずにこの際永遠の人生を西ほ(以下自主規制)


○総裁会見では今回随分と頑張って説明している感じです

ということで出遅れましたが総裁会見。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1211b.pdf

・景気見通しに関しては願望入りとな

景気見通しに関する質疑は2発。

『(問) 先週発表されたGDPも3 四半期ぶりのマイナス、月例報告でも4 か月連続の景気判断下方修正と、日本経済が景気後退局面に入ったという指摘もある中で、日銀が描いている展望レポートの景気回復シナリオが崩れているのではないかという見方もあるのですが、その点はどのように認識されていますか。』

キタコレ。

『(答) ご指摘の通り、7〜9 月の実質GDP(1次速報値)は、前期比マイナス0.9%、年率マイナス3.5%と、2011 年10〜12 月期以来のマイナス成長となりました。こうしたGDPの動きは、海外経済減速の影響から輸出や鉱工業生産が減少し、内需にもその影響が一部及び始めており、景気全体は弱含みとなっている、という展望レポートでも示した景気の厳しい現状を確認する内容であったと思います。先程も申し上げた通り、わが国経済の先行きについては、当面弱めに推移すると考えています。』

ふむふむ。

『わが国経済が景気後退局面に入った可能性が高いとのご指摘は、景気動向指数の一致CIが6 か月連続で低下したことを踏まえたものと認識しています。景気動向指数の一致CIには、鉱工業生産を始め所定外労働時間、大口電力使用量など製造業の生産活動と密接に関係する指標が数多く含まれているため、最近の海外経済減速の影響が強く出ている面もあるように思います。』

『いずれにせよ、景気基準日付に基づく正式な景気後退局面の認定は、別途、内閣府が決定することになるわけですが、景気後退と認定されるかどうかにかかわらず、景気が弱めであることは事実です。こうした情勢認識に立って、日本銀行は、9 月、10 月と2 か月連続で、景気判断の下方修正を行うとともに、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏み外さないようにするために、金融緩和を一段と強化してきたところです。』

ということでこの前追加緩和を実施したぞなと。

『先程申し上げた通り、わが国経済の先行きは、当面弱めに推移するとみられます。もっとも、そうした局面を脱した後には、展望レポートで記述した通り、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えています。こうした見通しには、日本銀行が既に決定した累次にわたる金融緩和の効果や、政府の成長力強化の取組みの成果も織り込んでいます。』

願望の鉛筆舐め舐めキタコレ。

『また、こうした見通しの前提となる海外経済の動向に関する日本銀行の見方は、IMF等の国際機関や民間エコノミストの見方と大きく違わないわけですが、同時に様々な不確実性が存在することは十分認識しています。とりわけ、海外経済の減速が一段と長引くことで、輸出や鉱工業生産の持ち直しが遅れ、ひいては内需への悪影響が一段と強まることがないかどうか、丹念に経済指標や各種のミクロ情報を点検していく方針です。』

と、最後に下振れリスクの話をしているのですが、まあ大体ここにありますように説明が長い時とゆーのは(皆様も身に覚えがありますように)説明が苦しい時ですなあというのは把握した。


・下振れリスクについて

んでもって景気のリスク要因に関する話はこちら。

『(問) 今回、先行きの景気については、前回よりも若干下振れに変更されたと思いますが、政策については、9 月、10 月の緩和強化の効果を見守るという中で、短期的な、ソフト・パッチ的な下振れに過ぎないという見方でよいでしょうか。それとも、可能性としてはリーマンショック後のような大きな下振れになり得るが、現時点ではハード・データで確認できないということで、こういう判断になったのか、ご見解をお聞かせ下さい。』

『(答) まず、先程も申し上げた通り、10 月末の展望レポートの基本的なシナリオは変えていません。ただ、展望レポートでも強調している通り、様々なリスク要因が存在しています。私どもは、そうしたリスク要因も踏まえた上で、先般、金融緩和を行ったわけです。足許の景気の弱さの原因を考えてみた場合、幾つか挙げられます。』

ということで下振れリスクですが。

『1 つ目は、海外経済自体の弱さです。これが内需にも波及してきているということです。海外経済については、8 月、9 月と段々悪化していますが、先般出席した11 月のG20では、世界経済がさらに悪化してきているということではなかったように思います。この先は分かりませんが、もし世界経済全体の減速が段々止まっていけば、この面でのマイナスの影響は次第に消えていくことになります。』

さてこの減速って段々止まるのでしょうかという所ですが、米国と中国は確かにちょっと明るい兆しも見えない訳では無いっすな。

『2 つ目は、最近における日中関係の影響です。9 月、10 月と、その影響が強くなってきていると思いますが、この点は、10 月の貿易統計でも確認されると思います。これが、この先、どんどん悪化していくのかどうかについては、今後の展開をみて判断していく必要があると思います。』

日中関係キタコレ。これは新しいリスク要因ですわな。

『3 つ目は、一時的な要因ですが、エコカー補助金終了の影響です。これは、元々予測されていたものですが、やはり影響が出てきたということです。』

ほほう。

『このように考えると、リーマンショック後のような大きな落込みを想定しているわけではありません。しかし、日本銀行の毎回の発表文の最後に書いてある通り、私どもとしては、現在、世界経済に関する最大のリスク要因は何と言っても欧州債務問題だと思っています。足許、投資家のリスク回避姿勢はやや後退していますが、基本的な問題が解決されているわけではありません。リーマンショックの場合、国際金融資本市場の安定が確保されるかどうかが決定的な鍵を握っていたと思います。従って、私どもとして、金融システムの安定に万全を期していくということを毎回書いているのは、そういう趣旨です。』

ということで欧州債務問題とその結果としての金融市場のリスクアペタイトが最大の下方リスクとゆーのはいつも通りでありまする。



・一般論シリーズキタコレということでまずは日銀の政策枠組みの説明である

まあ皆様ご覧になってお判りのように今回は安倍自民党総裁の一連の発言に関連する質疑が多いのでございますが、日銀総裁のお立場としても露骨に物言う訳にも行かずという所で、「一般論として質問しますが」「一般論としてお答えしますが」という一般論攻撃キタコレという所でありまする。

ということでこんな質問が。

『(問) 自民党の安倍総裁が、日銀に対する一段の金融緩和を求める発言を繰り返されていますが、「2〜3%のインフレ目標を設けて無制限に金融緩和を求める」とか、「当座預金の付利について、ゼロかマイナス」という発言、あるいは「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらって新しいマネーを強制的に市場に出す」という一連の発言について、総裁はどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ下さい。』

キタコレでございますが。

『(答) ご質問の安倍総裁のご発言について、詳細を承知しているわけではありませんので、ご指摘の個々の論点について具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。』

と言いつつ一般論攻撃クルー。

『一般論として、日本銀行の金融政策運営の考え方を改めてご説明すると、日本銀行は、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率について、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しています。その上で、当面は1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進しています。』

と、物価目標については今の政策枠組みの説明。

『当初35 兆円程度、2011 年末までとして導入した資産買入等の基金については、現在は91 兆円程度、2013 年末までと、当初の予定を遥かに超えて大規模なものとなり、期限も大幅に延長されています。また、成長基盤強化支援の拡充や、先月決定した新たな貸出増加支援策の導入など、様々な施策も次々と導入してきています。この貸出増加支援策については、金融機関の希望に応じて全額資金供給を行い、限度を設けない、すなわち無制限の資金供給とする、ということは先月公表した通りです。』

無制限やってますよキタコレ。

『このように、日本銀行の考え方は、現在ゼロ%近傍で推移している消費者物価について、当面「+1%」を目指して、その実現に最大限の努力を尽くすということです。デフレからの脱却は、成長力の強化と金融面からの後押しの両方が揃って初めて実現するものです。この点、先般の政府との共通理解にも示されている通り、思い切った規制緩和を始め、政府による成長力強化の取組みは極めて重要であり、日本銀行としては政府の強力な取組みを強く期待しています。そうした成長力強化への取組みの成果が挙がっていった場合には、目指すべき物価上昇率が1%よりも高まっていくと考えられます。日本銀行は、そうした可能性も十分念頭に置いて、「中長期的な物価安定の目途」について、原則として、ほぼ1 年毎に点検していく方針であるということを明らかにしています。』

>目指すべき物価上昇率が1%よりも高まっていくと考えられます
>目指すべき物価上昇率が1%よりも高まっていくと考えられます
>目指すべき物価上昇率が1%よりも高まっていくと考えられます

まあここの所は以前より説明しているのですが、別に中長期的に1%が見通せたら金融緩和を正常化コースに機械的に進める訳では無く、その時の潜在生産とか潜在成長とかが上昇していたら当面の目途の1%は2%になって然るべきという話をしているんすけど、中々この辺は伝わりませんなあというのも有りますが、まあここに関しては過去の日銀に引締めバイアスがあるという認識(というか前科というか)が人口に膾炙しているので致し方なしという気もします。

『また、日本銀行は積極的な金融緩和政策を実施してきているところであり、それだけに、日本銀行による大量の長期国債の買入れが、財政ファイナンスであるという誤解が生じると、長期金利が上昇し、財政再建だけでなく実体経済にも大きな悪影響を与えることになると思います。特に、日本の政府債務残高が大きく積み上がっており、また、金融市場のグローバル化が進展しているもとでは、金融市場の受け止め方には十分な注意が必要であると思います。』

まあそらそうよ。

『いずれにせよ、日本銀行としては、今後とも、政府との十分な意思疎通を図った上で、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的成長経路への復帰に向けて、自らの責任と判断において中央銀行としての使命をしっかり果たしていく方針です。』


・財政ファイナンスについて

でまあそんな答えだけで許してくれないのが記者会見でありまして(^^)、個別具体的な「一般論」の質問が飛んでくるのだ。

『(問) 一般論で結構ですが、国債を日銀が直接引き受ける、買い入れることについて、総裁としてはどうお考えでしょうか。先程、「財政ファイナンス」という言葉がありましたが、なぜそれが問題になるのかという点について、一般論で結構ですから、改めてご説明をお願いします。』

短い質問の中で一般論が2回出てきたのはワロタ。

『(答) 今、記者の方がおっしゃった通り、あくまでも一般論として申し上げたいと思います。』

ワロタ。

『まず、現在、日本銀行は、極めて多額の国債の買入れを行っています。基金では、来年末に向けて、さらに、長期国債を17.4 兆円、短期国債を12.1兆円買い入れることになっています。これに加えて、成長通貨オペとして、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っています。』

と物凄い勢いで買っているぞなもしというアピールを。

『そのことを申し上げた上で、中央銀行による財政ファイナンス、あるいはそれを端的に表した国債の引受けですが、これは、先進国でそうしたことが行われていないということだけでなく、発展途上国でも、例えば、IMFも中央銀行制度に関する助言を行う際に、行ってはならない項目リストの最上位に掲げるようなものです。これは、中央銀行が、その通貨を発行する権限をバックに、国債の引受け、あるいは引受け類似の行為を行っていくと、通貨の発行に歯止めが利かなくなり、その結果様々な問題が生じるという内外の歴史の教訓を踏まえたものだと考えています。』

全く仰せの通りでございます。


・インフレ目標3%について

更に次の質問も一般論とな(^^)。

『(問) 現在、日銀は、物価目標を1%としていると思いますが、現在の日本経済において、一般論として、3%という物価目標が現実的な目標だと思われますか。』

『(答) まず、日本銀行が発表している「中長期的な物価安定の目途」ですが、これは正確に言うと、「2%以下のプラスの領域」ということです。その上で、当面は1%を目指すというのが、私どもの正式な表現です。今、3%に関するご質問を頂きましたが、その問いに対するお答えは、現実的ではない、ということですし、また、経済に対する悪影響が大きい、と判断しています。』

>現実的ではない
>現実的ではない
>現実的ではない

これはまあニュースヘッドラインに出た通りであります。

『このように判断する理由ですが、いつも申し上げている通り、わが国においては、バブル期で景気が最も過熱した時期、すなわち1980 年代後半においても、海外の物価上昇率よりも低く、平均1.3%でした。1986 年、87 年、88 年には、1%以下、つまりゼロ%台の物価上昇率でした。そうした状況を踏まえると、日本の家計や企業が「物価が安定している」と考える物価上昇率は、欧米の場合よりは幾分低いと判断されます。』

そうなんですよね〜。

『こうしたもとで、例えば、3%という物価上昇率を、国民の皆さんが「物価が安定している」と感じられるのかどうか、これは慎重に検討する必要があると思っています。国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却というのは、単に物価だけが上昇する状態ではないと思います。』

>国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却というのは、単に物価だけが上昇する状態ではないと思います
>国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却というのは、単に物価だけが上昇する状態ではないと思います
>国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却というのは、単に物価だけが上昇する状態ではないと思います

名目賃金が上がらないで物価だけ上昇しても意味は無いですからねえ。

『これは先般の講演でも触れましたが、国民の皆さんに対して行っているアンケート調査をみると、物価の上昇について「望ましい」と答える方は少ないという結果になっています。これは、結局、国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却とは、単に物価だけが上昇する状態ではなく、企業収益や雇用の増加、賃金の上昇などを伴って、経済が全体として改善し、その結果として物価が緩やかに上昇していく状態であると思います。』

全く仰せの通り。

『仮に、今まで経験したことのない物価上昇率を掲げ、それに向けて政策を総動員していくということで、その物価上昇率だけが信じられた場合には、長期金利がまず上がってしまいます。そうすると、財政再建にも悪影響が出ますし、実体経済にも悪影響が出ます。特に、日本の場合には、金融機関が国債を大量に保有しているわけですから、保有している国債のキャピタルロスを通じて、金融機関が実体経済を支える力も低下していくと思います。私が申し上げている意味で経済全体の底力を上げていく結果として、少しずつ体温を上げていく、物価が上昇していく、という状況を実現するために、日本銀行は最大限の努力を行っていくし、また政府も最大限の努力を行っていく必要があるということです。』

まあそうなんですけど早期の結果を求めるという動きは強まるでしょうなあとは思います。


・当座預金付利について

『(問) 日銀の当座預金の金利を、仮にマイナスにするということを行った場合に、貸出が増えて経済が活性化するという効果が見込み得るのか、また、仮にそのようなことを行った場合にどのような弊害ないし副作用があるとお考えでしょうか。』

ということで説明があるのですが。

『(答) マイナス金利は、エコノミストの議論としては、時折行われているわけですが、先進国で大規模に実施に移したというケースはありません。従って、ご質問の通り、そのあり得る効果なりコストを、想像を巡らせて考えていくことになると思います。これまでの金融経済に関する経験を踏まえて、マイナス金利については、大きく4 つの論点が指摘されることが多いと思います。』

ということなのですが、これは短期金融市場の人間じゃないと中々難しいだろうなあと思う説明が以下続く。

『第1 は、金利をゼロないしマイナスまで引き下げていった場合に、市場参加者がいざ必要というときに市場から資金調達ができるという安心感がなくなってしまうわけです。そうすると、経済に何かショックが加わった場合に、流動性調達に不安が生じるという問題があると思います。』

特にマイナスにした場合がそうですけれども、ゼロにした場合でも似たような問題が生じます。つまり、当座預金付利がゼロになってしまいますと資金供給オペに応じるインセンティブが無くなってしまうので、今のように当座預金残高をジャンジャン積み上げるという事が困難になります。かつての量的緩和ゼロ金利政策の場合、当座預金残高目標を設定していましたけれども、結構途中から目標達成に四苦八苦状態になって、市場の「ご協力」によって何とか回っていたという面がございます。

つまりですね、まあその当座預金残高に積みあがっているマネーに意味があるのかという話は兎も角としまして、付利金利をゼロとかにした場合資金供給オペが円滑に進まない可能性があるという話でございますわな。

『第2 に、金融機関からの預け金である中央銀行の当座預金に大幅なマイナス金利を適用すると、額面価値が保証され、かつマイナス金利が付かない銀行券に大規模なシフトが生じることになります。』

うむ、これでは一般的には判りにくいぞな。これまたその通りなのですが、だからどうしたと言われるとうーむなのだが。

『第3 に、金融機関がマイナス金利のコストを貸出金利に上乗せすることになり、結果的に企業が直面する金融環境が引き締まるという指摘もなされています。』

それは可能性としてはあるが金融機関がそもそもそういう事するのは世間が許さんだろうと思うのでございまして、(今日はネタにしませんが)先般のBOEの11月MPC議事要旨で利下げのメリットデメリットに関しての議論があった部分がありまして、「金融機関の収益性が悪化する事によって金融機関の貸出体力を弱め、その結果としてクレジット環境が悪化して経済に悪影響となる恐れがある」と思いっきり指摘しています。

まあ日本の場合は英国と違いましてそもそもクレジット環境は緩和的という話になっておりますので、英国の議論をそのまま持ち込むのも如何なものかというのはあるのですが、もうちょっと判りやすい言い方をした方が良さそうな希ガス。


『第4 に、金融機関は、中央銀行のオペに応じて資金を調達して当座預金に置くとコストがかかるわけですから、むしろオペに応じなくなるということになってくると思います。』

まあ要するにこの話がまずは第一であって、もう一つの指摘として「日銀当座預金に積みあがっている資金を活用」というのは一瞬尤もらしい話なのですが、そもそもどこかの銀行が貸出を行うと、その貸出代わり金というのは当該融資先企業の預金残高に化ける訳でございまして、その預金残高というのは結局金融機関経由で日銀当座預金残高として反映するのであって、日銀当座預金残高的には中立要因でございますぞなもしという単純な話をした方が良い希ガス。

ちなみに当該融資先企業が設備投資をした場合、当然ながらその企業さんの預金残高は減りますが、設備を購入する先の企業なりの預金残高が増えるのでありまして、これまた日銀当座預金残高的には中立要因という事になるので、そもそも「日銀当座預金に積みあがっている資金を活用する為に金利をどうのこうの」というのは話の筋がおかしいですがなという所です。

勿論金利引き下げは経済に対して刺激効果がありますという話ではありますので、そっちの筋からの議論だったらまあ判るのですけれども、じゃあ0.10%の金利を0.00%に下げて期待される効果ってどんなもんじゃろという事を考えた場合に、メリットよりもデメリットの方が大きい、とまあそんな話になるんじゃネーノと思うのでありました。

『いずれにせよ、日本銀行としては、マイナス金利を巡る様々な議論を踏まえた上で、現在日本の置かれた状況に即して最適な金融緩和政策を模索しようということです。先般、貸出増加支援のスキームについて検討することを発表しましたが、私どもは、日本の置かれた状況に即して、一番、金融緩和の効果がある政策を考えていきたいという姿勢です。』


#引用大会で大増量企画になってしまいましたorzなので他の論点はもはやスルーで勘弁


○安倍さんネタが尽きませんなあorzorzorz

金曜の朝の時点ではちょっとトーンダウンしたのかと思いきやこれはまた・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDVMGI0UQVI901.html
安倍総裁:日銀は円安を謙虚に受け止めよ−自民政策発表で80円台 (1)

『11月22日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は22日午後、東京都内で開かれた商工会全国大会であいさつし、自らの政策発表を受け、外為市場で円安が進んでいることを日本銀行は謙虚に受け止めるべきだとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・・・・・・・・中央銀行に財政ファイナンスを要請した発言をして円安が進行したのを捕まえて「謙虚に受け止めるべき」とは大きく出ましたなと申しますか、そもそも政府の責任で実行する政策について市場が好感したなら百歩譲ってドヤ顔するのも判らんでも無いが、そうじゃない筋違いの話を受けて市場が反応したからドヤ顔とかやはり事の重大性を全然認識しておりませんぞなという所で。

つーかさ、「自分の発言でこのように市場が反応したぞどうだエライだろ」とかそういうのは自分の心の中で思っていたとしても口に出したら「自分の発言で市場をマニュピレートしようとしている」と受け止められ兼ねない話であって、いいからそういうのは本人は口にするなというか、ドヤ顔(これがまたアレな事に安倍さんのドヤ顔が想像できてしまう所があたくし的にはアレなのですが^^)で言わない方が良いと思うのですけどねえ。

まあそれ以前の問題として、安倍さんの言うとおりになって期待インフレが上昇するのであれば債券市場は長期債超長期債中心に絶賛大暴落になっている筈でして、当初はまあ反応したものの結局の所反応は限定的(全く金利上昇していないとは言わない)でして、ソイヤソイヤとやっているのは政治ネタ大好きの海外投資家(投機筋?)メインの為替市場のようにも思えますがね。

『その上で、「われわれが政策を発表しただけで、なかなか80円台に戻らなかった円は下がった。下がったことによって一体、何人の雇用が守られたか。このことも日銀にも、ちゃんと謙虚に考え直してもらいたい」と語った。』

ふーん、為替が2円位動くと雇用がビビットに動くんですねえ(棒読み)、ていうか為替介入するなら財務省に介入させればよいだけの話じゃないの??


でまあ公明党の反応が冷静なのですよね。

http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012112201001698.html
公明の山口氏、「国防軍」否定的 日銀法改正も不要
2012/11/22 20:15 【共同通信】

『公明党の山口代表は22日、自民党が衆院選政権公約で掲げた憲法改正による「国防軍」保持に否定的な見解を表明、金融緩和実現に向けた日銀法改正についても不要だとの考えを示した。自民党が公約で保守色の強い「安倍カラー」を前面に出したことに対し、政権復帰後をにらみブレーキをかけた格好だ。』(上記URLより)

そういや超どうでも良いのですが、わざわざ国防軍とか名前を変えるのも周辺諸国の批判ネタを提供するような気もしますが、自民党政権公約の項番96で「中国・韓国・ロシアとの関係を改善」すると仰せの割には他の項番でアレな項目があったりしるような気もして大体からして政権公約に328項目とか盛り込み過ぎにも程があるわと思いますがそれは兎も角。

山口代表は既にこのような発言をしておられましてですね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LAAC6J1A74E901.html
公明党・山口代表:日銀法改正論に賛同できず、独立性に影響

『10月15日(ブルームバーグ):公明党の山口那津男代表は、政府と日銀によるインフレ目標政策の共有を目指す日本銀行法の改正論は、日銀の独立性に影響を与えかねないとして同党としては賛同できないとの考えを明らかにした。ブルームバーグ・ニュースとの14日のインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)

10月に既にこのような話をしていた次第。

『山口氏は日銀法改正について「にわかに賛同しない」と言明。その理由としては「政治の多数決原理に委ねてしまうということは日銀の独立性に影響を与える。独立性が必ずしもなくなるという意味ではないが、やはり、政治の介入が強くなってまずい」と指摘した。』

仰る通り。

『山口氏は物価目標政策について「仮に法律をつくらなくても、政府と日銀の大きな意味での連携は図れる」と指摘し、法改正なしでも政府・日銀がデフレ脱却に向けた共通の政策目標を設定することは可能との認識を強調。日銀が5日の金融政策決定会合で決めた包括的な金融緩和策について「実質的にはわれわれの言っている政策に近いものがある。一応、評価している」と明言した。』

直近の山口代表の発言でもあたくしがどこかのベンダーで見た時には「日銀法改正なしでも運用次第で出来る」という趣旨の発言を山口代表がしていたというのを拝読しておりますが、肝心のニュースがネットで拾えなかったので10月のインタビューを拾ってみました。

『また、民主党議員有志で作る「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)が検討している、日銀の政策目標の一つに「雇用の最大化」を日銀法上に明記する案に関しても、「にわかにこれも賛成できない。物価の安定というのが日銀の本来の使命だから、雇用をどうつくり出すかというのは産業政策や、財政政策、税制、規制緩和等の手段によるべきであって、これはまさに行政のサイドの話だ」と否定的な見解を示した。』

誠に仰る通りで、一方で為替が数円動くと雇用が何人守られるとかドヤ顔で仰せのどこかの誰かさんには山口代表の爪の垢を煎じて飲んで頂きたい物であります。

『一方、政府・日銀による再度の為替介入については「急激な円高が進むということは、現実に厳しい影響を受ける国民や企業がいるということ。為替介入が一定の効果があると見込めれば、それは果断にやるべしというのが政治家の務めではないか」と語った。』

ただまあ物価目標の話もそうですが、公明党の方が極端な話をしてこないだけに緩和に関するプレッシャーはこれはこれであるようにも思えますにゃ(^^)。




2012/11/22

お題「月報レビュー/自民党政権公約とかその辺」

ほほう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121122/k10013674851000.html
「国民会議」30日に初会合 11月22日 5時18分

権丈先生も国民会議の専門委員にご就任とのことで大いに期待。

先におわび:本日は本当は総裁会見ネタと月報ネタをやる積りだったのですが、おまけのつもりのニュース雑談の方がクソ長くなってしまいまして、処理時間を考慮した結果泣く泣く総裁会見ネタがスルーされる方向になってしまうという誠にケシカラン結果に。

でまあその総裁会見ネタですが、総評だけ先に書いておきますと「一般論ですが」攻撃で話をする方も質問をする方も延々とやっている所が実にオモロスでございますけれども、総じて総裁の説明は文章に落としてみると丁寧にやっておりますが、まあ報道のヘッドライン的にはあんな感じでしたので、アレを見て白川VS安倍みたいな構図でフレームアップして考えるのであれば、まずは会見の質疑応答を精読して頂きたいものだと思うのでありますよってURLだけ付けとくぞなもし。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1211b.pdf


○ということで先に自民党公約関連その他

・自民党政権公約来ました

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121121/stt12112122520013-n1.htm
自民党公約要旨
2012.11.21 22:51 (1/3ページ)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20121122-00000000-nnn-pol
自民党、衆院選の政権公約を発表
日本テレビ系(NNN) 11月22日(木)1時17分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121122-00000825-fnn-pol
自民党政権公約発表 安倍総裁「『次元の違う』政策を」
フジテレビ系(FNN) 11月22日(木)1時7分配信

ということですが、本チャンは自民党のサイトにアップされていますので、それを見るのが吉なんですけど・・・・・・・・・

http://www.jimin.jp/policy/manifest/
公約関連
自民党がみなさんにお約束する公約を掲載しています。自民党では、実現できる約束こそが、本当の公約と考えます。
第46回衆議院議員選挙(平成24年度)

とのことで、詳細はこちら
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012.pdf(1M以上あるのでご注意)

何せ1MB以上あるという代物でして、貫録の54ページ組(ファイルは表紙と目次入れて56ページ)で公約の項目が328項目もあって、ざっと斜め読みするだけでも死ねるので週末にのんびり読みたいとは思いますが、何か実行するのに色々と重そうな件があると思えば「建国記念の日の式典を政府主催で実施します」とかまあその手のイデオロギーの方的には重要なのかも知らんが何かわざわざ政権公約でいう話かというのもあって、色々な物をここぞとばかりに突っ込んでいる感はするのですけど。

ちなみに金融屋御用達のニュースベンダーとかではこちらの政権公約の項番40については報道されていましてですな。

『40 アジアNo.1の金融・資本市場の構築』(上記自民党政権公約ファイル本文7ページ、ファイルの9ページ目)

『日本をアジアの金融・運用の中心地にするべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築します。まずは金融セクターの対GDP比を英国並みの10%台に押し上げ、「業」としての金融を育成します。』

『そのために、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への見直しや東証「グローバル30社」インデックスの創設、「日本総合取引所」の創設、外資誘致のための新たな金融特区の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を行います。その際、国民にとって健全な経済と成長に結びつく企業法制と資本市場法制を統合したガバナンス構築を目指します。』

まあその制度改革の方は良いとしまして、金融特区の話とか金融育成の話とかってリーマンショック前の話の蒸し返しにも程がありまして、今や世界的に金融がシュリンクしますぞなという状況下において外資誘致だの金融特区だの、そらまあ金融屋的には金融振興して頂いて金融業に財政支出の恩恵でも頂ければアリガタヤではありますけれども、海外金融機関がグローバルに縮小という中で外資融資の為の新たな金融特区ですかそうですかという風に思いましたが。

懐かしの東京金融街構想につきましては本石町日記さんの過去ログでも(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7020034/
金融街構想はマジなんですかね by bank.of.japan | 2007-06-25 22:08

・・・・・・・うむ、2007年6月と言えば安倍政権ですかそうですか。


・安倍さんトーンダウンとな

そらまあ昨日の朝刊では日経まで社説でケチョンケチョンに批判に回ると来たらさすがにトーンダウンしますわなと思いながら。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121121-00000152-jij-pol
安倍総裁の「日銀」発言を修正=物価目標、2%で決着―自民党公約【12衆院選】
時事通信 11月21日(水)19時44分配信

『自民党は、21日発表した衆院選の政権公約に、デフレ・円高脱却を最優先として日銀に「大胆な金融緩和」を迫ることを盛り込んだ。しかし、日銀による国債引き受けなど異例の金融政策を求めた安倍晋三自民党総裁の発言について、事実上修正。目指す物価上昇率の目標も2%に落ち着き、「選挙向けのアドバルーンから現実路線への軌道修正」(大手証券ストラテジスト)を図った形だ。』(上記URLより、以下同様)

『安倍総裁は「次元の違う政策」を合言葉に、政権交代を織り込む株式・為替市場の期待をあおってきた。(1)物価目標3%(2)無制限の金融緩和(3)日銀法改正や日銀による建設国債引き受け―を矢継ぎ早に提唱。円安・株高が進行する「安倍相場」を演出した。』

『ただ、日銀が目指す物価目標は当面1%であり、日銀の国債引き受けは財政法で原則禁止されている。このため与野党幹部だけでなく、白川方明日銀総裁も「現実的ではない」と反論。国際金融界に影響力のある英経済紙フィナンシャル・タイムズは「賢明でない」と批判し、反響の大きさに慌てた石破茂幹事長ら自民党幹部が「火消し」に回る事態に発展した。』

この辺の書き方に微妙に悪意を感じますが・・・・・・

『安倍総裁は21日の記者会見で、物価目標について「私は3%がいいと思っているが、2%か3%かは専門家に任せる」と発言。批判が集中した国債引き受けでは「市場から日銀が(国債を)買う。直接買うと言ってはいない」と述べ、事実上トーンダウンした。』

ということでほとんど引用になってしまって甚だ申し訳ございませんが、一応話が現実的なものになるという動きになるのは結構ですが、そもそも安倍さん経済政策で勝負するタイプの人じゃないですし、その上更に細かい話までああだこうだ言いだしてドンドン突っ込み所を増やして盛大に墓穴を掘っているという風に見える訳でございまして、正直この手の経済ネタは甘利さんにスポークスマンやってもらって堅実な話をしておけば良いのにと思う次第。

大体からして民主党政権になって一番アレだったのは「安定感が無い」という所だったのですからして、もっとどっしり構えれば良いのに何でまた得意分野でも無い経済の所で大騒ぎを起こして何か安定感無いなあ的な雰囲気を出すんだか安倍さんわざわざ自分を不利な状況に持って行ってどうしますねんとは思いますがの。


ちょっとワロタのはこの辺りのニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121121/k10013671831000.html
安倍総裁“直接買い受けと言わず”
11月21日 23時20分

『これについて、安倍総裁は、21日の記者会見で、「私の発言が正確に伝えられていない。私は、日銀がいわゆる『買いオペレーション』により市場から建設国債を買うと言ったのであって、『日銀が、政府から直接買い受ける』とは言っていない」と述べ、財政規律の観点からの懸念は当たらないという考えを示しました。』(上記URLより)

という事ですが、「全部買ってもらいたい」とか「輪転機を回してお金を刷って」とか言いながらそういう話をしたら世間は「引受による財政ファイナンス」という文脈でしか受け取りませんし、大体からして昨日の日経新聞によれば安倍さんの知恵袋らしいどこぞのウォッチマン先生とかも普通に日銀引受の正当性を主張していたりしてましたぞなもし。

だいたいからして「そのような意味で申し上げた訳では無い」とか後から言っても、特に金融政策のように市場が相手で、その市場は過敏に反応しやすく、事と次第によっては取り返しのつかないような動きをその場の勢いで平気でやってしまうようなものでありますので、発言は慎重にして頂きたい訳で、変な生兵法で聞きかじりの事を適当に言うのが一番危ないので本当に勘弁して頂きたい物だと存じます。

#つーか、「建設国債の買いオペ」って物理的フィージビリティーが無いのですが詳しくはめんどいので割愛

つーか、いつも日銀批判する人たちが単に国会の質問で質問されたから答えただけの「低金利の影響で家計の収入は幾ら減ったと計算されます」というのを捕まえて「日銀はトンデモ主張で金利を上げようとしている」とか批判したりとか、「日銀はデフレターゲットをしている」というような悪意のすりかえ主張(あくまでも日銀の目標はデフレ脱却であって、それに向かって金融緩和をしている訳ですから、それが出来ない事を批判するならともかく、日銀が意図的にデフレ誘導している訳では無いでしょ)をしたりしてますが、こういう時に急にこういう話になる辺りが実にまあアレですなあとかある意味微苦笑という所でもありましたとさ。


・佐藤ゆかり議員のアレな認識

関連してこんな所にもツッコミどころが。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK055917920121121
〔アングル〕公明党が「日銀の国債引き受け」発言に待った、自民党も現実路線に軌道修正
2012年 11月 21日 21:48 JST

『[東京 21日 ロイター] 政府・民主、日銀に次いで、公明党も安倍晋三自民党総裁が主張する「日銀の国債引き受け」に待ったをかけた。中央銀行の独立性と財政の信認をゆるがし、経済への悪影響が懸念される強硬論に慎重な対応を求めた。こうした動きを察知してか、安倍総裁は政権公約発表の記者会見で自身の発言を軌道修正した。』(上記URL先から、以下同様)

というのは良いのですが、最後の方に何か思いっきりアレな発言が。

『佐藤氏は「米連邦準備理事会(FRB)も欧州中銀(ECB)も金融政策の主要な考え方は、無制限緩和、無期限緩和が主流になりつつあり、日銀は逸脱している。日銀は基金は増加させるというが、輪番オペによって保有した国債の償還分を乗り換えですべて買い入れていない」と指摘した。』

・・・・・・・この佐藤氏というのは佐藤ゆかり議員のことなのですが、別にFEDもECBも無制限無期限緩和とかいう言葉でイメージされるような政策フレームは採用しておらず、「政策目的を達成するまでの政策継続」であって、単にその期間やそれまでの額が「事前に決定できないから額や期間の期限を切らない」というだけの話ですし、ECBに至ってはそもそもOMTは条件付き発動だし未だに1ユーロも購入してませんし、OMTで買った国債は不胎化するって宣言しているのですけれども、「無制限緩和、無期限緩和が主流」とか都合のいい曲解にも程がある訳で、これで良く「金融政策の専門家」を名乗って何とかストやってたわと呆れる次第、つーか無期限無制限とかの安倍さんの話ってこの辺からも吹き込まれているのかと思うとorz感が更に高まるのでありました。


・・・・・・・いかん、悪態書いてたら肝心のネタががががが


○金融経済月報比較

まあ大体声明文比較の所で概ねやりましたので手抜きバージョンでお送りします。

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2012/gp1211.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2012/gp1210.pdf(前回)

前回は追加緩和実施前の10月5日会合の物ですので念のため。

・現状判断は輸出生産と設備投資の一部と自動車関連の需要を下げる

『わが国の景気は、弱含みとなっている。』(今回)
『わが国の景気は、横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

というのは昨日の声明文比較の通りです。

『輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速した状態が続いていることなどから、減少している。設備投資は、緩やかな増加基調にあるものの、海外経済減速の影響などから製造業に弱めの動きがみられている。個人消費は、底堅さを維持しているが、足もとでは、乗用車購入において需要刺激策の一部終了に伴う反動減がみられている。この間、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。』(今回)

『輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速した状態がやや強まるもとで、弱めとなっている。一方、国内需要は、復興関連需要などから底堅く推移している。すなわち、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、雇用環境が改善傾向にあるなかで、底堅く推移している。設備投資は、企業収益が総じて改善するもとで、緩やかな増加基調にある。この間、企業の業況感は、海外経済減速の影響などを背景に、幾分慎重化している。』(前回)

輸出と生産は「弱め」から「減少」と引き下げ、国内需要に関しては昨日の声明文比較と同様で設備投資にヘッジクローズが入ったのとエコカー補助金打ち切りに関連する記述の部分が入っています。


・先行き見通しは細々と需要項目の見通しが下がる

『先行きのわが国経済は、当面弱めに推移するとみられるが、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

ここは総裁会見の所でも質問があって、かなり苦しげな答弁を総裁がしていた訳ですが(^^)、当面弱めという風に見通しを下げながらも中期的な部分では緩やかな回復経路に復するというのを入れているという形で、一応「足もとで一時的にソフトパッチ」というような見通しとしておりますがさてどうなんでしょうな。国内需要の所で「全体としてみれば」というヘッジクローズが入ったのは昨日の声明文比較で確認済みですよね。

『輸出や鉱工業生産は、当面減少を続けるとみられるが、その後は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、持ち直しに転じていくと考えられる。国内需要については、復興関連需要などから、公共投資は、伸びを鈍化させつつも当面は増加を続け、住宅投資も持ち直し傾向をたどると考えられる。設備投資は、当面は海外経済減速の影響などを受けつつも、企業収益が総じて改善傾向を維持するもとで、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費は、当面は乗用車購入の反動減などから弱めの動きとなるものの、基調的には底堅く推移していくと考えられる。』(今回)

『輸出や鉱工業生産は、当面弱めに推移するとみられるが、その後は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、復興関連需要などから、引き続き、公共投資は増加し、住宅投資も持ち直し傾向をたどると考えられる。設備投資は、当面海外経済減速の影響を受けつつも、企業収益が総じて改善を続けるもとで、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費は、当面エコカー補助金の終了に伴う乗用車購入の反動減が見込まれるものの、雇用環境の改善傾向が維持されるもとで、引き続き底堅く推移するとみられる。』(前回)

思いっきり長く引用して比較しにくくてすいません(手抜きバージョンですので)が、表現が変わっているのは以下の通り。

輸出生産に関しては「弱めに推移」→「減少を続ける」、その後について「緩やかに増加」→「持ち直しに転じていく」と全体的にトーンを下げています。

公共投資については先行きの伸びが「伸びを鈍化させつつ」というのが入りました。

企業収益に関しては「総じて改善を続ける」→「総じて改善傾向を維持する」とこれまた若干のトーンダウン。

個人消費に関しては目先については「弱めの動き」という認識になっていますが、まあこれはエコカー補助金関連要因もあるのである程度想定内。先行きに関しては「基調的には」という毎度のヘッジクローズが入りましてこれまた若干トーンダウン。

ということで、需要項目のあちこちを細々とトーンダウン(輸出と生産に関しては明らかにトーンダウン)しておりますが、実は今回読んでて最大の謎だったのはこの部分。

『設備投資は、当面は海外経済減速の影響などを受けつつも、』(今回)
『設備投資は、当面海外経済減速の影響を受けつつも、』(前回)

・・・・・・・・・・この「など」は何を指しているのかがワカランチ会長なのですが、どういうニュアンスなのでございましょう。あたくしの日銀文学解釈的に申し上げると、「など」というのが入った分だけこの文脈で言えば設備投資に悪影響を与える項目が増えているので、そのぶんだけここでもトーンダウンしているという事にはなるのですが、この「など」が何を指すのかが興味津々でございます。


なお、リスク要因は前回と同じ、物価や金融環境部分は特段の政策インプリケーションは無さそうですので割愛します。




2012/11/21

お題「決定会合レビュー/例によって例の如くの雑談/新手の金融緩和じゃないよね〜」

何とこれは野田さんに追い風(^^)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012112000997
鳩山元首相、衆院選不出馬=消費税、TPPで首相と対立−民主

しかしここで来週辺りに「国民の皆様からの辞めないで欲しいとの声を受け止めた」などと言い出して、おもむろに「そのような意味で申し上げたわけでは無い」と撤回するとか、来年の参議院選挙で国民の生活が第一から貫録の出馬とか炸裂するに1万ドラクマ(^^)。

#休載中にどこぞの精霊界(嘘)でCNBCとか毎日見てたのですが(東京でそのまんまCNBC放送してくれるならケーブルでもCSでも加入して見たいのですけど)連日フィスカルクリフとチャイナの連呼でして、QE何とかって日本で何とかストの皆さんが言うほど注目されてるのかなあという印象がございましたが、まあCNBCは株式市場向け番組でもありますからよくワカランチ会長


○決定会合レビュー:先行き見通しを若干引き下げとな

例によって声明文比較ですが、前回決定会合は追加緩和を行っております関係上声明文における経済需要項目の説明などがやや簡潔になっておりまして、10月4〜5日決定会合で出ました金融経済月報(概要)部分との比較も入れながら参ります。ただまあ10月5日対比で引き下げになっているのはある意味当たり前(30日に追加緩和しているのだから)というのもありますのでその辺は比較する際に考慮してくらはい。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121120a.pdf(今回声明文)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030a.pdf(前回10/30声明文)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2012/gp1210.pdf(10/5会合の月報、月報が出るのはMPM翌営業日なので月報日付は9日です)


・海外経済の現状認識は同じ(10/30対比)

『海外経済は、減速した状態が続いている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。』(今回)

『海外経済は、減速した状態が強まっている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。』(10/30声明文)

減速した状態が強まっている→続いているということで、まあ基本的には現状認識は同じですの。


・国内景気の現状認識はヘッジクローズがあちこちに

『わが国の景気は、弱含みとなっている。』(今回)
『このため、景気は弱含みとなっている』(10/30声明文)
『わが国の景気は、横ばい圏内の動きとなっている。』(10/5月報)

ということで、全体感に関しては前回決定会合で引き下げを行ったものを継続しております。

『輸出や鉱工業生産は、上述の海外経済の状況などから、減少している。設備投資は、緩やかな増加基調にあるものの、海外経済減速の影響などから製造業に弱めの動きがみられている。個人消費は、底堅さを維持しているが、足もとでは、乗用車購入において需要刺激策の一部終了に伴う反動減がみられている。この間、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。』(今回)

『こうした状況のもとで、わが国の輸出や鉱工業生産は減少し、これまで堅調に推移してきた内需にもその影響が一部及び始めている。』(10/30声明文)

『輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速した状態がやや強まるもとで、弱めとなっている。一方、国内需要は、復興関連需要などから底堅く推移している。すなわち、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、雇用環境が改善傾向にあるなかで、底堅く推移している。設備投資は、企業収益が総じて改善するもとで、緩やかな増加基調にある。この間、企業の業況感は、海外経済減速の影響などを背景に、幾分慎重化している。』(10/5月報)

とまあ前回声明文が簡潔バージョンになっているので歯抜け部分を補う為に前々回会合の月報を補足しておりますが、今回声明文での需要項目順に比較しますと・・・・・・

まず輸出や鉱工業生産に関しては前回と同様に「減少」となっていまして判断維持。

設備投資に関しては前回声明文ではスルーしていましたので月報と比較してみると「緩やかな増加基調」という所は同じですけれども、その後に「海外経済減速の影響などから〜」とヘッジクローズが入っておりまして、まあこれは前回声明文にある「内需にもその影響が一部及び始めている」という部分がシンクロしそうな気がしますが、いずれにせよ「海外経済減速の影響が及んできている」という認識を示しているのでこれは判断引き下げ。

個人消費に関してはこれまた月報との比較になりますが、「底堅さを維持」としているものの、エコカー補助金終了の影響について言及しているので、これはこれで判断が下がっておりますが、前回月報の先行き見通し部分でこの点については『当面エコカー補助金の終了に伴う乗用車購入の反動減が見込まれるものの』となっておりますので、まあ想定の範囲内の下げではあります。

公共投資、住宅投資に関しては前回月報と同じですね。


『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)

『この間、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(10/30声明文)

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(10/5月報)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(10/5月報)

ということで、こちらに関しては現状認識に変化なしです。


・先行き見通しは若干引き下げとな

『先行きのわが国経済についてみると、当面弱めに推移するとみられるが、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(10/5月報)

前回会合声明文では先行き見通しの部分はリスク要因の記述だけでしたので(展望レポートは中長期的な話がメインになるのでスルーの方向で)月報との比較になりますが、「海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していく」という部分は同じなのですが、前回月報と比較しますと「当面弱めに推移」と下げておりまして、国内需要の見通しに関しても「全体として」という毎度おなじみのヘッジクローズが入りまして、まあ国内需要の先行き見通しも微妙に下げているという所であります。

消費者物価の見通しは前回月報と同じです。念の為引用。

『消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(10/5月報)


・リスク認識は前回声明文と同じ

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響の広がりなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。金融・為替市場動向の景気・物価への影響にも、引き続き注意が必要である。』(今回)

『先行きについては、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響の広がりなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。金融・為替市場動向の景気・物価への影響にも、引き続き注意が必要である。』(10/30声明文)

『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きいほか、金融・為替市場動向の景気・物価への影響には注意が必要である。』(10/5月報)

前回声明文とリスク認識は同じで、ここでは前回会合時点で付け加えられた日中関係の影響というのもリスクとして維持していますな。


・決意表明みたいな部分は良く良く見るとこの2回の会合で緩和推進とデフレ脱却への決意表現が強くなっています

以下の部分に関してはまあ毎度の決意表明みたいな部分ですが。

『日本銀行は、日本経済がデフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものである。こうした認識のもとで、日本銀行は、金融機関による成長基盤強化の取り組みおよび貸出の増加を支援するとともに、実質的なゼロ金利政策と資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて、強力な金融緩和を間断なく推進していく。日本銀行としては、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく方針である。』(今回)

『日本銀行は、日本経済がデフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。この課題は、民間企業、金融機関等の幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものである。』(10/30声明文)

『政府と日本銀行は、この課題を達成するために、それぞれの役割を果たしていく必要がある。日本銀行は、上述の認識に立って、強力な金融緩和を推進していく。(以下前回会合で出た例の「紙」に関連する説明なので割愛)』(10/30声明文)

念の為10月5日会合での声明文の該当部分も引用してみます。

『日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しを通じて実現されていくものである。こうした認識のもとで、成長基盤強化を支援するとともに、強力な金融緩和を推進している。今後とも、資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて間断なく金融緩和を進めていく。日本銀行としては、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく方針である。』(10/5声明文)

ということで引用が長くなってしまいましたが、前回うっかり見落としておりましたが、デフレからの脱却という部分に前回から「早期に」という文言を入れてやる気元気井脇を強化しているのですね(汗)。でまあそれはそれとして、ワーディング的に言うと引用した部分の真ん中あたりになりますが、「間断なく推進していく」のが従来は「金融緩和を進めていく」だったのが、「強力な金融緩和を間断なく推進」という言い方になって、これまた表現が強くなっているというのが中々お洒落でして、まあ追加金融緩和のおかわりに関してもやる気を見せているとゆー所でございますな。

#以上引用が多目なのと長めなので読みにくいかもしれませんすいませんすいません


○引き続き安倍総裁発言関連の続き

色々とクリップだけしておく。

・自民党の公約案はトーンダウン???

昨日の日経新聞朝刊にもアウトラインが出ていて、今日も公共放送でさらっと案について触れていましたが。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112000674
日銀法改正視野に金融緩和=物価上昇2%目標−自民経済公約案

『自民党がまとめた衆院選の政権公約のうち、経済政策の最終案が20日、分かった。デフレ・円高からの脱却を最優先と位置付け、2%の物価上昇率の目標を設定。目標達成に向けて「日銀法改正も視野に政府・日銀の連携強化の仕組みをつくり、大胆な金融緩和を行う」と明記した。政権を奪還すれば速やかに「第1弾緊急経済対策」を断行し、「本格的大型補正予算」を編成することも盛り込んだ。』(上記URLより)

3%じゃなくて2%なの??しかも日銀法改正を「視野に」ってそれ随分とトーンダウンしてますね。

・・・・・・・というのもあった上に、安倍さんの発言がエスカレートしていくうちに元々現実的と言えば現実的ですが冷ややかというかシラケ鳥的なメンタリティーのある債券市場様におかれましては、安倍さんの話って結局実現性低いですかそうですか的な認識が強まったのか昨日は貫録のブルフラット(先物は結局1銭安でしたが)となっておりましてオソロシス。


・公明党も日銀の国債直接引受には反対とな

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012112001027&rel=j&g=pol
日銀国債引き受けは問題=公明・斉藤氏(2012/11/20-23:00)

『公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は20日夜のBSフジの番組で、自民党の安倍晋三総裁が日銀による建設国債の引き受けを提案したことについて「財政規律の面で非常に問題がある」と指摘した』(上記URLより)

ほっほー、これはこれは(^^)。


・中塚さんとか岡田さんとかの発言

中塚金融相
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20121120-00000043-jnn-bus_all
金融相「軍事独裁政権じゃあるまいし」
TBS系(JNN) 11月20日(火)18時29分配信

『自民党の安倍総裁が日銀に対し、大胆な金融緩和を求めると発言していることについて、中塚金融担当大臣は「軍事独裁政権じゃあるまいし」と述べて、強く批判しました。「日本銀行に無制限の緩和をさせるとか、建設国債は全部引き受けさせるとか、発展途上国の軍事独裁政権じゃあるまいし。一国のリーダーとしてはふさわしくない」(中塚一宏 金融相)』(上記URLより)

・・・・・・・・・(^^)。

岡田副総理
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112000844
「安倍氏は慎重に発言を」=日銀の金融政策−岡田氏(2012/11/20-18:44)

『岡田克也副総理は20日午後の記者会見で、日銀の金融政策をめぐる安倍晋三自民党総裁の一連の発言に関し、「マーケットで円安、株高といい反応が出ていると思っているかもしれないが、野党の総裁だから許されるもので、首相が同じ発言をすれば、国債の金利高騰を招きかねない」と批判した。その上で「永遠の野党ならいいが、政権交代を目指すなら、慎重に発言を」と述べた。』(上記URLより)

>政権交代を目指すなら、慎重に発言を
>政権交代を目指すなら、慎重に発言を
>政権交代を目指すなら、慎重に発言を

・・・・・・・・・・いやお前がその口で言うかという気はしますが、それよりも昨日市場に乾いた笑いを巻き起こしたのはいつものあの方でした。


・前原先生貫録のクオリティ

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121120/fnc12112011560010-n1.htm
前原経財相が自民・安倍氏発言を批判 日銀の独立性担保を強調
2012.11.20 11:54

『前原誠司経済財政担当相は20日の閣議後の記者会見で、自民党の安倍晋三総裁が日銀にさらなる金融緩和を求め、日銀法の改正にも言及していることについて、「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判。「日銀の独立性は担保されないといけない」と述べ、日銀法改正には慎重な姿勢を示した。』(上記URLより)

>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判

・・・・・・・・・・・・・・さすが前原さん!俺たちに言えない事を平然と言ってのける!そこにシビれる憧れるぅ!(AA略)


・安倍さんの反応

一方の安倍さん。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112001011
安倍氏、野田首相の批判に反論=金融政策、学者の「お墨付き」(2012/11/20-22:31)

『自民党の安倍晋三総裁は20日、都内の会合で、自身が提唱した日銀による建設国債引き受けを「禁じ手だ」などと野田佳彦首相が批判したことに対し、「エール大学の浜田宏一教授から『非常識なのは野田さんの方だ』とのファクスが来た」と述べた。さらに、自らの金融政策について「金融の泰斗(権威)にお墨付きを頂いた」と強調したが、これ以上の反論はなかった。浜田氏は日銀の金融政策を批判している経済学者として知られる。』(上記URLより)

何かこの記事の書き方には微妙に悪意があるような気がするのだが・・・・・・・


以上、ただのネタクリップでした。



○英国の「新手の金融緩和」ってのがありましてですな

いやまあこれあたくしもうっかりスルーしていたので、ロイターさんの記事で色々と調べる機会が出来てそれはそれで良かったんですけど。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/article/topNews/idJPTYE8AJ05520121120
アングル:英中銀が「新手」の金融緩和、マネタイゼーション議論に一石
2012年 11月 20日 18:02 JST

まずは上記URL先の記事を読んでくらはい(長いけど)。

・・・・・・・でまあこれ読んで「何でマネタイゼーション論議と関係あるのか判らん」という感想を持つほうがまあ普通でして、ここで「単なる国庫納付の話じゃネーノ」と思うのはまあ短期市場や資金繰り実務への理解がある方ではないかと思います。


でまあこの施策の元ネタは実はこの辺にあるのですな。英国財務省のサイトから。

http://www.hm-treasury.gov.uk/press_109_12.htm
09 November 2012
Changes to cash management operations

『On 9 November 2012 the Government agreed with the Bank of England to transfer to the Exchequer the excess cash held in the Bank’s Quantitative Easing (QE) facility. 』

『This will align the cash management arrangements for the facility with normal government practice and with the approach followed by other countries undertaking QE. On the 9 November 2012 the Chancellor of the Exchequer and the Governor of the Bank of England exchanged letters agreeing the cash management arrangements. 』

『Since 2009 the Bank of England has operated QE by buying gilts and holding them in a dedicated facility called the Asset Purchase Facility (APF). These gilts attract regular coupon payments from the Exchequer. With the purchases of the APF having reached £375 billion, this Facility has now accumulated a large cash balance. As the scale and likely duration of the scheme has increased significantly since its inception, it makes sense to normalise the cash management arrangements for the APF. 』

『From now on this excess cash will be transferred to the Exchequer on a regular basis. This will improve transparency and align our practices with those of major central banks like the United States Federal Reserve and the Bank of Japan. 』

・・・・・・そういやこの辺に関連する話題として以前某大師匠様と「そういやBOEのAPFって何か変な会計してたような気がしますなあ」という話をしておりまして、この記事見て英国財務省のページを探したら見落としていた物が見つかったので感謝ということで。

えーっとですね、BOEの資産買入(APF)の場合、購入した債券の利金収入についてこれまで実はわざわざAPFの中のポジションとして管理している格好になっていまして、その為にAPFの中でキャッシュ勘定をしこたま抱え込んでいる状態だったのを、FEDや日銀のように、利子収入に関しては国庫にお返しする形にしましたよというのが今回の動きでして、ここのリリース文のどこをどう読むと「新手の金融緩和」という事になるのか小一時間問い詰めたいのですが、実はまあ確かに記事にあるような話もあるのですがそれは後ほど。

でまあその後の方を読むとこんな事が書いてあるのだ。

『At some point in the future, as monetary conditions normalise, it is likely that the cash flows will need to be reversed. Return payments from the Government to the APF may be necessary to meet shortfalls in the APF’s net income as the Bank Rate rises, or capital losses on its gilt holdings as the Monetary Policy Committee unwinds QE. The previous Government agreed that any future losses incurred by the APF will be met in full by the Government. For this reason, any net coupon income transferred from the APF to the Exchequer should be used solely to pay down government debt.』

『These changes will have no effect on the Monetary Policy Committee’s ability to set monetary policy: the APF remains fully indemnified by the Treasury and all future gains or losses are due to the Treasury. 』

つまり、金融正常化の過程では当然短期金利が引き上げられることになるのですが、この場合APFはキャッシュポジションが払い超になって資金ショートになるという説明になっているので、どうもAPFはその勘定として、保有する債券のファンディングコストを政策金利だか何だかこれだけ見ても判らないのですが、まあチャージするような会計になっているようで、その結果として今持っている長期国債の利回りよりも短期金利が高くなったら逆鞘になるという話のようでして、その場合は財務省が面倒を見るという握りになりましたということのようですな。

この辺に関しては厳密な理解はあたくしもあまり自信は無いのですが、FEDや日銀の場合は資産買入や通常のオペレーションなどによる利息収入については(もちろん個別には認識しているでしょうけれども)まとめて全体として収益がこれだけだから国庫納付がこれだけですよというような形になっていると理解しておりますので、例えば長期国債買いが嵩んで急に利上げが来たのでという事になった場合、全体としての国庫納付金が減る(とか場合によっては赤字決算になるとか)という結果になると思うのですが、BOEの場合は出口政策以降における期間収益問題に関してもAPFはAPF単体として認識して言ってみれば勘定分離するような形を取っていたのですね、というのは把握しました。

ちなみにBOEのAPFの説明のページが
http://www.bankofengland.co.uk/markets/Pages/apf/default.aspx
にあって色々と説明があるのですが、ドキュメントが大杉で実はあまり精読した事がないぞな(汗)


さてさて、ロイターも釣られた「新手の金融緩和」云々ですが、実はこの件BOEのサイトにそんな記述がありましてですな。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/104.aspx
Transfer of cash from the Asset Purchase Facility to HM Treasury

http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/Documents/pdf/govletter121109.pdf(BOEからHMTresuaryへの書簡)
http://www.hm-treasury.gov.uk/d/chx_letter_091112.pdf(HMTresuaryからBOEへの書簡)

でまあ上の方のBOEからの書簡の1ページ目の下の辺りから2ページ目に掛けてこんな記載があるのよ。

『During its meeting of 7-8 November I briefed the MPC on the agreement we have reached. The Committee was content that its ability to set the appropriate stance of monetary policy would not be affected by this action.』

これはさっきの財務省の説明と同じ。

『But the Committee noted that its policy setting would need to take account of the effect of this action, which amounts to a small loosening of monetary conditions.』

どう見てもただの両建て解消にしか見えないのですけれども・・・・・・・・・

『This is because, as the Committee noted, your intention is to use any funds transferred to the Exchequer to reduce the stock of outstanding government debt. As a result the private sector will hold fewer gilts and more money than otherwise. That implies an easing in monetary conditions relative to the present position in which the coupon payments are held on deposit by the APF. The Committee therefore views the use of coupon income to reduce the stock of outstanding gilts as having an effect similar to the MPC purchasing gilts of the same value.』

まあ正直言って物凄い細かい話でして、これをもうちょっと判りやすくする為に日本の政府のキャッシュマネジメント効率化に例えてみれば良いと思うのですが(って言ったら更に判りにくくなりますかそうですか)、財政収支が真っ黒でも無い限り、普通に考えれば政府の資金繰りって国債(長期なり短期なり)とキャッシュがバランスの左右にある訳で、その中でキャッシュマネジメントを効率化して政府預金のキャッシュを圧縮すると、その分だけ見合いとなる国債による資金調達が減りますよというお話なのですが、本質的には単なる両建て解消ですし、元々APFで持っているキャッシュというのは国債の利息即ち国から払われたキャッシュでございますので、まあハナクソ程度の意味合いだと思うのですけどねえとは思います。

BOEが「an easing in monetary conditions」って盛大に言ってますからロイターの記者さんが釣られるのは致し方ない罠とは思いますけれども、これは広義の政府部門におけるキャッシュマネジメントの効率化というだけの話でありまして、これを捕まえて「金融環境緩和」というのはかなり強弁にも程があるように思えますので、最初記事読んだときにロイター何ゆうとるんじゃと思いました(明らかにマネタイゼーションとは関係ないですし、国債発行が減る方なのですからむしろ逆ですぞな)が、これは怪しげな説明を繰り広げるBOEの方が悪いわと思いました。

以上超越マニアネタですが、面白い話だったのでメモメモという事で。




2012/11/20

お題「引き続き財政マネタイズ関連雑談/FOMC議事要旨ネタ続き」

肝心の先週1週間プライスアクションを見ていなかったせいかあたくしの市場雑談が市場の中の人の今のイメージとずれているのではないかという気がするのですが、あたくしの備忘ですのでその辺お含み置きをm(__)m

・・・・モーサテで米国選挙礼賛しているオッサンがやかましいのだがマイクの音量をコントロールしてくれテレ東、つーか日本の選挙制度って「金権選挙防止」という設計思想がある訳で、金権選挙そのものの米国選挙制度と比較するならまずはその米国金権モードが良いのかという所から話をせんと始まらんと思うのはひねくれ者ですかそうですか

という悪態は兎も角として。

○安倍さん発言関連昨日のニュースフローとか市場雑談とか

・債券市場の反応について1週間プライスアクション見てなかったあたくしが感想

ふむふむ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDPFZM6JIJXL01.html
債券は下落、円安・株高や安倍自民党総裁発言を警戒−日銀会合見極め

『11月19日(ブルームバーグ):債券相場は下落。為替市場で円安基調が続く中、国内株価が続伸したことが重しとなった。自民党の安倍晋三総裁が建設国債の日銀引き受けに言及したことへの警戒感も強まり、売りが優勢となった。』(上記URLより)

ということですが、次期首相最有力候補が「中央銀行による財政マネタイズ」を堂々と発言した割にはそんなに反応しませんでしたねという風にあたしゃ思った(話が逸れるけど目の前のモーサテとかで「踏み込んだ金融政策が期待される」とか為替の人がゆうとるのだが「中銀の財政マネタイズ」って最早金融政策じゃねえだろそれと思うのですけどねえ・・・・・)次第で、ついでにイールドカーブ的には昨日は先物から10年が弱めで20年とかまあ確り目(というほど極端に変化があった訳でも無いが)とかでしたので、まあ債券市場的には「ど〜せ選挙対策で威勢の良い事言ってるだけで実際にやる訳ねえだろ」という風に高を括っているという所でしょうかね。それから15日以降に特にスティープが進行しました(何せあたくしが更新さぼっている間に5年が1.5毛強くなっている間に30年が4毛甘くなっていましたからにゃあ)のでその反動分もあるでしょうなとは思いました。

先物も一時そこそこ下がったのですが終わってみれば7年10年5糸甘で超長期は5糸強ということではあそうですかという結果ですが、まあ債券市場的にはまだ高括っているモードだという所(もともと安倍さんの場合は前回の首相時代にそれまで言っていた威勢の良い事(外交関連とかで)をそんなに実行しなかったですよねというのがあるのが大きいと思う)でしょうなあとは思いました。


・安倍さんが益々絶好調なのは兎も角自民党自体も有頂天モードになってねえかこれ

http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1900F_Z11C12A1EB2000/
金融政策で舌戦 自民に無制限緩和論、民主は警戒
前原氏、20日に日銀会合出席 2012/11/19付

『安倍氏は19日昼、党本部で開いた会合で「かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している。大胆な金融緩和をするために日銀と協調し、インフレ目標を設定する」と述べた。2〜3%の消費者物価上昇や無制限の金融緩和に加え、積極的な財政出動が必要だとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)

>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している
>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している
>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している

・・・・・・・・・そら中央銀行に財政マネタイズさせるとか「次元が違う」わなとしか申し上げようがございませんが、どうも市場の反応を見てすっかり有頂天モードになっているんじゃネーノと言うのがオソロシス。


『これに先立ち、自民党の菅義偉幹事長代行は同日午前、地元の横浜市内で街頭演説し「安倍総裁が日銀法改正と無制限の金融緩和に言及したことで、円が7カ月ぶりに1ドル=81円台になった」と訴えた。』

・・・・・・・・・・うーむ、「中央銀行に財政マネタイズさせて積極財政政策」という普通に有り得ないレベルの発言を止めるどころか党幹部までが円安株高を見て盛り上がってしまっているとかどうなってるんだ自民党はorzorzという所。

#しかし前原さん日銀会合出席とかもうお前は以下悪態につき自主規制


公共放送ニュースでもこんな感じ

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121119/k10013599601000.html
安倍総裁“デフレ脱却が最優先”
11月19日 20時10分

『自民党の安倍総裁は党の地方議員の会合であいさつし、デフレからの脱却が最優先の課題だとして、政権に復帰した場合には2%か3%の物価上昇の目標を設定し、日銀にさらなる金融緩和を行うよう求めていく考えを改めて示しました』(上記URLより)

朝の公共放送ニュースでは「デフレ脱却」の方じゃなくて「日銀への金融緩和を求める」というのがヘッドラインになっていたのですが、それに該当するニュース記事がNHKのサイトにございませんでしたのでその前のニュースURLを付けておきましたが、まあいずれにせよ今日も今日とて安倍さんの金融政策関連発言が公共放送のニュースヘッドラインを飾る形になりましたとな。


・まあさすがに反動も

http://mainichi.jp/select/news/20121120k0000m020056000c.html
経済同友会:財政規律言及を…代表幹事、安倍氏発言に苦言
毎日新聞 2012年11月19日 19時54分

『経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は19日の記者会見で、自民党の安倍晋三総裁が建設国債の日銀引き受けなどを提唱していることについて「財政規律の問題もバランスを取って言わないと(市場に)間違った捉え方をされる」と苦言を呈した。「財政規律が緩んだまま金融緩和をじゃぶじゃぶやりますと言うだけでは規律が効かない」と指摘。財政不信が国債金利急騰など弊害を招く事態に懸念を示した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・まあ仰る通りですが積極財政をすると思いっきり言っている中ですからそれは無い物ねだりだと思います。

つーかね、別に日銀に国債引受させなくたって市中消化可能だし、日銀の金融緩和は物価安定の目途があるのだから当面延々と継続しますし、今でも新発2年債を市場から全力で吸収する勢いでの基金買入ペースになっているのですから、そこまで露骨に言わなくても別に黙って復興名目で公共事業出して国債増発すれば良いじゃんと思う訳で、そこに日銀への政治圧力を絡めるとか財政マネタイズを絡めるとか筋悪も筋悪の話を絡める必要はねえだろとゆー所で、どんだけ筋の悪いブレーンがついてるんだかと残念無念に思う所であります。


・お告げキタコレ

どうもね、あたくしの場合途中を割愛していきなり安倍さん発言連発の結果から入っているからその分だけインパクトがデカイのかもしれませんけど、ちょっとお前さん方それは幾らなんでも有り得ないだろうという話を見て頭が痛いこのあたくしにお告げキタコレ。

http://www.musha.co.jp/4248

・・・・・・・・・・・・ほほー

『創造的金融緩和を試す意義はあるのに、なぜトライしないのだろうか。』(上記URLより)との事ですが、積極財政するから「無制限の」金融緩和しろとか財政マネタイズしろとかいうのってどこがどう「創造的」な金融緩和なのかおじちゃんさっぱり意味が分からないのですけど、単にそれは破壊的な金融緩和(というか破壊的な財政政策という方が正しいのでは??)ではないかと思うのですが、次の小見出しを拝読すると『臨界点に来たデフレの災禍』とのことですが、もしや臨界点なのは(以下禿しく自主規制)。


#うむ、創造性の無い悪態を書いてしまったぞな


○んでもってFOMC議事要旨ネタの続き

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20121024.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20121023.pdf(PDF)

まあ今日はサラサラと参りますが。

・金融環境に関して:さっそく追加緩和の効果の話がががが

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のラスト1パラか2パラを見るのがミニッツ早読みの際には重要ですのでケツ2パラ分から参ります。

『In their discussion of financial developments over the intermeeting period, participants commented on the effects of the policy actions taken at the September meeting to strengthen the Committee's forward guidance and to purchase additional MBS.』

ということで前回の追加緩和措置の効果についての議論ってこらまた随分と気の早い議論をしているなあと思ったのですけど。

『The initial effects were generally viewed as consistent with a marked easing in financial conditions. For example, yields on MBS dropped noticeably, leading to a decline in mortgage interest rates, and corporate bond yields generally moved lower. Yields on nominal Treasury securities were little changed.』

早速各種金利やスプレッドの低下という初期の効果が出ているとか気が早過ぎ。

『Some participants suggested that more time would be required to assess the ultimate effects of the additional MBS purchases on primary mortgage rates and on financial conditions more broadly.』

もうちょっと見て行きたいってまあそらそうよ。

『The stability in nominal Treasury yields, paired with a decline in TIPS yields, implied a modest increase in inflation compensation, on net, over the intermeeting period. A couple of participants saw this increase as a sign that the open-ended asset purchases posed a risk to the stability of longer-term inflation expectations. However, others saw the effect on expected inflation as relatively muted or likely the result of reduced risks of undesirably
low inflation.』

長期金利の安定とTIPS金利の低下(つまりBEIの拡大)について2名の委員(ラッカーと誰か^^)がオープンエンドの資産買入がインフレ期待の安定に対するリスクを示したものと懸念を示すものの、他の人たちはまあ気にせんでよろしいという見解。

『Participants remained concerned about risks to financial markets associated with the situation in the euro area and uncertain U.S. fiscal prospects, but a couple noted that measures of financial market uncertainty were still relatively low. Several participants pointed out that recent policy announcements by the European Central Bank were received favorably in markets.』

『A number of participants mentioned other signs of greater optimism in financial markets, including a rise in merger and acquisition activity and a moderation in pressures on large U.S. financial institutions.』

この辺は欧州問題とかフィスカルクリフ関連の市場への影響の話。

『A few participants observed that low interest rates had increased demand for riskier financial products, and a couple of participants saw a risk that holding interest rates low for a prolonged period could lead to financial imbalances and imprudent risk-taking. One participant, however, commented that risk aversion still seemed quite high, citing the very low yields on longer-term TIPS and a large estimated risk premium in equity markets.』

第2の柱キタコレという議論もされていまして、少数名の人が低金利でリスクの過大選好が起きているという指摘をする一方で、株式市場などを見たらリスクオフは続いているでしょという指摘をする人が1名。


・資産買入の効果とコストの話

んで次のパラグラフ。

『Participants also discussed the efficacy and potential costs of the Committee's asset purchases.』

ほう。

『A number of participants offered the assessment that the Committee's policy actions, to date, had been effective in making financial conditions more accommodative and that lower interest rates were providing support to aggregate spending, most notably in areas such as housing, autos, and other consumer durables.』

金融環境をより改善し、低金利は消費全般、特に住宅や自動車、その他の耐久消費財の需要に好影響を与えている、という認識を示しておりまして、前段とか(今日はネタにしませんが)その前の住宅市場とMBS市場の改善の議論とかも含めますと、今回のFOMC議事要旨ではやたらめったら追加金融緩和政策の消費への効果というのを強調しているなあと思うのでありました。

『In particular, some pointed out that the favorable developments in mortgage markets over the intermeeting period suggested that the MBS purchases were likely to reinforce the nascent recovery in the housing market. Several added that, based on the experience with earlier asset purchases, the broader effects on economic activity from more-accommodative financial conditions were likely to accrue over time.』

特に〜ということで更に追加していて、何かアピール成分高いですね今回の議事要旨と思ったのは単にあたくしの性格が悪いからですかそうですか。

『Looking ahead, a number of participants indicated that additional asset purchases would likely be appropriate next year after the conclusion of the maturity extension program in order to achieve a substantial improvement in the labor market. In that regard, a couple of participants noted the likely usefulness of clarifying the range of indicators that would be evaluated in assessing the outlook for the labor market.』

という辺りが「年末のツイストオペ終了後も資産買入を継続すべき」という見解ですが、ここまでの流れを読みながらここの文を読みますと、「ああ普通に買入するんですよね今までの議論ってそれを正当化するための話ですよね」と素直に読めると思いますがどうでしょう。

『Participants generally agreed that in determining the appropriate size, pace, and composition of further purchases, they would need to carefully assess the efficacy of asset purchases in fostering stronger economic activity and consider the potential risks and costs of such purchases.』

でまああたくしはここを見てオープンエンドみたいな形でやるのかな、と思いましたが、しかしまあオープンエンドって本来は「止めようと思ったら何時でも止められるように事前コミットを先の方までしないで慎重に買入を行う」というのがここの文章を見ても見え見えなのですけれども、それを「無期限無制限買入」と見せるという逆さ絵プレゼンテーション恐るべしという所ですな。

#というかタカもハトも納得させる為の方法としてはこれが一番ということなのでしょうが

『Several participants questioned the effectiveness of the current purchases or whether a continuation of them would be warranted if the recent moderate pace of economic recovery were sustained.』

一方で効果について疑問を呈する人も複数名いますぞな。

『In addition, several participants expressed concerns that sizable asset purchases might eventually have adverse consequences for the functioning of asset markets or that they might complicate the Committee's ability to remove policy accommodation at the appropriate time and normalize the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet. A couple of participants noted that an extended period of policy accommodation posed an upside risk to inflation.』

でまあ追加買入の懸念として、金融市場機能低下の論点と出口政策を困難にするという論点と、インフレ期待を高めるリスク(これは2名なのでさっきのBEIの話をした人と同じでしょ)というのが出るのは今回も同様なのでございましたとさ。

ということで本日はお手軽読みシリーズ(別名手抜きシリーズ)でどうもすいません。



2012/11/19

お題「自民党安倍総裁の国債引受発言キタコレなので休み中の時系列整理/FOMC議事要旨から」

どもどもご無沙汰しております。何かあたくしが更新をお休みしている間に色々とございましたようで誠にアレでございますが・・・・・・・

#岩田規久男先生の金融政策解説ですがFRBは4年分のフィリップス曲線だけ出してパフォーマンス評価とかFEDが100点でECBが70点で日銀が0点とかまあいつもの話だなあとか思ったのですが何だこの「超過準備指数」って??

つーか岩菊先生によると日本銀行法の規定通りに忠実に日銀が行動しているという事なのに何で0点扱いになるのか判りませんし、物価の目標達成時期を明示してないからケシカランとか言ってるけど他の中銀だって時期は明示してないんですけどとか、数分のコーナーで言ってることが支離滅裂にも程がある上に具体的政策論は無しとかもう何と申しますか以下自粛という所で。

・・・・・・・・しかし昔はもうちょっと興味のある論点も示してくれていたのに(一応一冊だけ先生の本も持っているのですけど)何だか岩菊先生すっかり残念になってしまいましたなあという所です。

#ま、中原伸之さんの著書によれば審議委員の打診受けた時に「70まで学習院の教授やっていたい」と仰ってお断りしたそうで、それが事実だとしたら「責任を求める」とかお前が言うなにも程があるのですけどねえ

という悪態は兎も角として安倍さんネタから。


○まずは安倍さん関連のニュース時系列整理をしておくぞな

衆議院解散します発言が党首討論で出た辺りから安倍さんがアレということで、とりあえず休載中の時系列メモね。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8AE02H20121115
安倍自民党総裁、無制限な金融緩和や景気刺激型予算を提唱
2012年 11月 15日 17:08 JST

『[東京 15日 ロイター] 自民党の安倍晋三総裁は15日、政権を奪還した際の経済運営に関して、これまでの自民党政権の対応とは次元の違う政策で対応するとの決意を語った。総裁は、デフレと円高が最大の問題だと指摘。』(上記URLより、以下同様)

『政策の実効性をあげるには「一番良いのはインフレ目標をもつことだ。2%がいいのか3%がいいのかは専門家に議論して判断してもらいたい。この達成のためには、無制限に緩和をしてもらう。』

インフレ目標って今の物価安定の目途と何がどう違うのかまず説明して頂きたいですな。

『日銀の政策手法の「まずさ」にも言及し、「たとえば、最も安全な日本銀行に0.1%で預けられるのでは日銀に預けることになる。逆にゼロにするかマイナス(金利)にするくらいにして、貸出圧力を高めてもらわなければならない」としたほか、国債の買いオペに関して短期債のローリングでは不十分だとも指摘。「無制限にやって、それを続けてやることでインフレ期待が起こる」と注文を付けた。』

・・・・・・・・・・orz

えーっと、日銀当座預金付利をマイナスにしたら量的緩和が出来なくなる(資金供給オペの金利もよりマイナスにするなら出来ますけどそれやっても意味は無いでしょ)りますし、大体からして市中の金は何ぼ回っても最終的には日銀当座預金の形で戻ってくるのですからそこの金利をマイナスにしたから貸出伸びるとか考えている時点でアレですぞなもし。

ついでにですな、「インフレ目標達成まで無制限に緩和」ということですが、物価というのは遅行指標ですからして無制限緩和で長期債バカバカ買うと今度は目標達成後の正常化オペが物凄く大変な事になって市中金利を乱高下(というか急騰)させることになるのですけれども大丈夫ですかいなとか、まあ何とも穴だらけの話をしておりまして、どういう人から金融政策のレクを受けているのか大丈夫かよ自民党という所ですが・・・・・


でまあ次期首相候補最右翼の方がそんな事言うから市場は反応します罠。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121115-00000212-jij-int
円、半年ぶり81円台=安倍氏の「無制限緩和」発言で―ロンドン市場
時事通信 11月15日(木)23時1分配信

『【ロンドン時事】15日午前のロンドン外国為替市場は、自民党の安倍晋三総裁がこの日の講演で「無制限の金融緩和」を求める発言をしたことで円売りが加速、円相場は4月27日以来約6カ月半ぶりに1ドル=81円台まで下落した。』(上記URL先より)

となりました所で、市場が反応したので更に安倍先生調子に乗って週末にはこんな発言が出たようでございますな。

http://www.asahi.com/politics/update/1117/TKY201211170629.html
2012年11月17日21時54分
「建設国債は日銀に買ってもらう」 自民・安倍総裁

『自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、「建設国債はできれば日本銀行に全部買ってもらう。これによって新しいマネーが強制的に市場に出て行く」と語り、政権に返り咲けば日銀に建設国債の引き受けを促す考えを示した。』(上記URL先より)

・・・・・・・・・・えーっと、中央銀行に新規財源債の引受をさせますとかOECD加盟国でG7国の内閣総理大臣最有力候補者が発言とか何を仰る兎さんという話がそもそも論としてある訳で、どこのロバートムガベ先生ですかという所で、週明けの本日の債券市場様はどのくらい反応するのやらと思うのですが、本当の本当にそんな話を堂々するのが政権公約ですよという事になりますとマジで景気も吹かないのに長期金利上昇とかいう素敵な事になって株価にも良いとも思えないのですけどねえ。

まあその他どうでも良いのですが、そもそも「これによって新しいマネーガー」とか言う話と15日講演での日銀当座マイナス金利の話が思いっきり整合性が取れないのでありまして、日銀当座預金金利マイナスとかにしたら当座預金残高急減要因なんですよね、と思ったらこんな話もしていたのか安倍先生。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121115-OYT1T01105.htm
安倍総裁、「タンス預金」の活用に前向き
(2012年11月16日11時11分 読売新聞)

との事でございますが、タンス預金を使うとこれまたマネーが減る話になるのですけど、どうも金融政策に関する話について、一つ一つに関しては一応纏まった見解になっているのですが、話を通してみるとあちこちで矛盾が生じるという誠に素敵な状態になっておられるようで、いやあの選挙までにもうちょっと何とかして頂きたいと存じますが自民党本部様におかれましてはそれなりに優秀なスタッフの方々も居た筈なのですがどうなってしまってるのよという所でございますわな。


しかし他の記事を拝読いたしますと・・・・・・

http://mainichi.jp/select/news/20121118k0000m020037000c.html
安倍総裁:建設国債の全額日銀引き受け検討 独立性懸念
毎日新聞 2012年11月17日 20時01分(最終更新 11月17日 22時16分)

『自民党の政権復帰が有力視される中、安倍氏が衆院選後の一段の金融緩和に言及した14日以降、円相場は対ドルで2円近くも円安が進行した。この日の講演では「私が講演しただけで円安になり株価は上がり続けた。市場は私たちの実行を望んでいる」とも述べたが、政府・民主党内からは「日銀の独立性を度外視したような発言だ」(前原誠司経済財政担当相)との批判が出ている。』(上記URL先より)

・・・・・・・・・えーっと、債券市場は日本に対して特にコミットしている訳でも無い売り豚以外は国債市場そのものがあじゃぱーになり兼ねない国債引受の実行は望んでいないでしょうし、大体からして国債引受で財政サステイナビリティの信認低下で円安になったらそらまあ市場の一部は大喜びしますけど、どうみても誰得な円安になるだけの話なんですけど、すっかり市場が動いたのでご機嫌上得意のドヤ顔になっておられるようで勘違いに拍車が掛かっていそうでオソロシスとしか申し上げようがございません。


・・・・・・・というのをとりあえず時系列(一部順序違いますが)でまとめておきましたが、まあ週末のコメントは日経新聞夕刊(土曜日)にも出ていましたようですので皆様におかれましては当然ながら先刻ご承知の介だと存じますが。


でまあ「中央銀行に国債引受」というさすがにアレな発言に野田さんがしっかり反応したようで、公共放送の朝6時台と7時台のトップニュースがこれでございましたぞなもし。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121119/t10013588551000.html
選挙戦で金融緩和と日銀の役割も論点に
11月19日 5時9分

『野田総理大臣は、自民党の安倍総裁が、公共事業の財源に充てるために発行される建設国債を日銀が引き受けることを検討する考えを示していることについて、「財政規律が緩むことになる」などと批判しました。衆議院が解散され、各党が事実上の選挙戦に入るなかで、デフレからの脱却に向けて、金融緩和と日銀の役割も、今後、論点の1つになりそうです。』(上記URLより、以下同様)

『自民党の安倍総裁は、17日の講演で、「やるべき公共投資を行い、そのための建設国債を、できれば日銀に全部買ってもらうことで、新しいマネーが強制的に市場に出ていく。景気にもよい影響がある」と述べ、政権に復帰した場合、公共事業の財源に充てるために発行される建設国債を日銀に引き受けさせることを検討する考えを示しました。』

『これに対し野田総理大臣は、イギリスのフィナンシャル・タイムズのインタビューに答え、「日銀による建設国債の直接買い入れを実施すれば財政規律が緩む。財政の観点からおかしい」と批判しました。』

と思いっきり公共放送は安倍さんの発言に関して「中央銀行の国債引受」という文脈で報道しています罠キタコレという所でございます。


しかしまあ何ですな、最後から2番目の記事にございました前原大先生様の発言ですが・・・・・・・

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121115-00000129-reut-bus_all
前原経財相が安倍自民総裁の日銀発言を批判、「独立性を度外視」
ロイター 11月15日(木)22時56分配信

『[東京 15日 ロイター] 前原誠司経済財政担当相は15日夜の会見で、自民党の安倍晋三総裁が最近の講演などで、日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し「日銀の独立性をまったく度外視したような発言をしている」と批判した。』(上記URL先より)

>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し

・・・・・・・・・・・・・いやとりあえずお前が言うなというかブーメランというか。某偽メール問題と言い、どこぞのダム問題と言い、この人がドヤ顔でしゃしゃり出てくると碌な事にならないの法則がこんなに早くに炸裂するとかさすがとしか申し上げようがございませんな。



○FOMC議事要旨ネタから少々

10月FOMC議事要旨ですが、政策決定とかは無かったですけれども政策論点が中々オモロス。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20121024.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20121023.pdf(PDF)

・フォワードガイダンスに関して

今回の議事要旨の冒頭に『Thresholds and Forward Guidance』という事で「閾値とフォワードガイダンス」という小見出しの部分があるのですな。

『A staff presentation focused on the potential effects of using specific threshold values of inflation and the unemployment rate to provide forward guidance regarding the timing of the initial increase in the federal funds rate.』

今回は連銀スタッフからのプレゼンテーションとして「利上げを開始する時期に関して特定のインフレ指標や失業率を示す事の潜在的な効果について」というのがあったそうで。

『The presentation reviewed simulations from a staff macroeconomic model to illustrate the implications for policy and the economy of announcing various threshold values that would need to be attained before the Federal Open Market Committee (FOMC) would consider increasing its target for the federal funds rate.』

ということなのですが、この問題って「マクロエコノミックモデルによるシミュレーション」というよりも、市場金利への作用とかそっち方面の話のような気もするんで、実際にどういうシミュレーションをしたのかというのは当然ながら議事要旨では見せてくれませんけど、その内容がまあ気になる所でして、何か物凄い机上の空論的な話をしているのか、その辺りに関する市場金利への影響とか言うような話をきちんとしているのかとか興味は尽きませんがまあそれは兎も角として。

『Meeting participants discussed whether such thresholds might usefully replace or perhaps augment the date-based guidance that had been provided in the policy statements since August 2011.』

ということで、カレンダーベースのフォワードガイダンス(現在の方式)を特定の経済指標に置き換えるまたは特定の経済指標ベースの話を付け加えるという事に関しての効用などについて議論しましたということで以下鑑賞。

『Participants generally favored the use of economic variables, in place of or in conjunction with a calendar date, in the Committee's forward guidance, but they offered different views on whether quantitative or qualitative thresholds would be most effective.』

ほほーという感じですが、特定の経済指標に関して「量的」なものを示すのか、「質的」なものを示すのかという点についても意見が色々と分かれているというのがあるとな。

『Many participants were of the view that adopting quantitative thresholds could, under the right conditions, help the Committee more clearly communicate its thinking about how the likely timing of an eventual increase in the federal funds rate would shift in response to unanticipated changes in economic conditions and the outlook. Accordingly, thresholds could increase the probability that market reactions to economic developments would move longer-term interest rates in a manner consistent with the Committee's view regarding the likely future path of short-term rates.』

つーことで、「Many participants」は利上げのタイミングに関して「量的な閾値」を示すことによって、コミュニケーションポリシーを改善させるというのと、市場が経済状況の変化に応じて政策金利の先行き予想をするという動きをしやすくなるのではないかとの指摘をしています。

『A number of other participants judged that communicating a careful qualitative description of the indicators influencing the Committee's thinking about current and future monetary policy, or providing more information about the Committee's policy reaction function, would be more informative than either quantitative thresholds or date-based forward guidance.』

一方で量的な指標を出す事よりも「FOMCが足元および先行きの金融政策に関してどのような指標を参考にしながら考えているのかという事に関して注意深い記述をする」とか「FOMCの政策反応関数に対してより多くの情報を示す」というような「質的な情報」を示す方が量的な閾値を示すよりは有効ではないかというのが、さっきの人たち以外の中の多くの人が指摘しているとな。

『Several participants were concerned that quantitative thresholds could confuse the public by giving the impression that the FOMC focuses on a small number of economic variables in setting monetary policy, when the Committee in fact uses a wide range of information. Some other participants worried that the public might mistakenly interpret quantitative thresholds as equivalent to the Committee's longer-run objectives or as triggers that, when reached, would prompt an immediate rate increase; but it was noted that the Chairman's postmeeting press conference and other venues could be used to explain the distinction between thresholds and these other concepts. 』

ということで、「質的な情報」派の人たちの意見という事になるのでしょうが、「量的な閾値」を示す事についての懸念として、数名(Several)の参加者は「FOMCが経済の総合判断にあたって特定の経済指標に過度にフォーカスしているのではないかとの誤解を与える」という点を指摘し、他の複数名(Some)の参加者は「閾値そのものの数値がFOMCの長期的な目標であるとか、利上げをするタイミングとして自動的なものであるなどとの誤解を与える」という点を指摘しております。ただまあそれと同時に議長のFOMC後の会見やら他の機会などを用いてその辺りに関する誤解をさせないようにすることは出来るでしょうとの指摘もあるようですな。


ということで、まあ結局結論は出ていないのですがその次のパラグラフ。

『Participants generally agreed that the Committee would need to resolve a number of practical issues before deciding whether to adopt quantitative thresholds to communicate its thinking about the timing of the initial increase in the federal funds rate.』

FF金利引き上げに着手するタイミングについてFOMCがどのように考えているのかという事をコミュニケートするために「量的な閾値」を設定するかどうかという事を決定するためには、多くの実務的な論点についての解決を図る事が必要であるという事で参加者は概ね合意したとの事ですな。その後がじゃあその論点とは何ぞやという話なのですが。

『These issues included whether to specify such thresholds in terms of realized or projected values of inflation and the unemployment rate and, in either case, what values for those thresholds would best balance the Committee's objectives of promoting maximum employment and price stability.』

インフレ率や失業率を示すというのは良いとして、実際の経済指標そのものに紐をつけるのか、それとも見通し数値に紐をつけるのかという問題や、出す数値はどのレベルに置くべきなのかというのがまずは結論の出ていない第一の論点、つーかかなりのそもそも論ですぞな。

『Another open question was whether to supplement thresholds expressed in terms of the unemployment rate and inflation with additional indicators of economic and financial conditions that might signal a need either to raise the federal funds rate before a threshold is crossed or to delay until well afterward.』

次の論点としては「量的な閾値」だけではなく、利上げを開始する経済や金融環境に関して追加の情報を出して、閾値に達する前に利上げする必要性がある事や、閾値に達しても利上げしない必要性がある事を示すべきかどうかという点だそうですが、これあまり詳しくやってしまうと閾値の意味が弱くなっちゃいますし、かといってその辺をスルーしますとこの手が2度と使えなくなってしまうのでまあさじ加減は確かに難しい。

『A final question was whether the statement should also provide forward guidance about the likely path of the federal funds rate after the initial increase. It was noted that such guidance could have significant effects on financial conditions and the economy.』

最後の論点としては声明文で「利上げ開始後の政策金利パス」について示すべきかどうかという話で、これを示す事によって金融環境や経済に対して顕著な効果を与えるのではないかという話ですな。しかしまあこれも意見が分かれそうな話すし、大体からしてその時の状況によって全然違う事を事前に示すというのは難しいんじゃネーノと思いますけど。

『At the conclusion of the discussion, the Chairman asked the staff to provide additional background material, taking into account the range of participants' views.』

ということで、結局議長から連銀スタッフに対してこれらの点についての論点整理をしてくんなましという指示が出たというのが結論となりましたようで、これ次回のSEPに間に合うのかどうかは微妙な気もしますがどうなるやらという所ですな。


・SEPの見せ方について

今日は最初と最後をネタにするという変則攻撃ですが(^^)、票決の後に『Discussion of Communications regarding Economic Projections』というコーナーがありましたのでそちらもネタに。

『A staff presentation reviewed the results of the consensus forecast experiments that the Committee conducted in conjunction with its August and September meetings.』

コンセンサスフォーキャストの出し方についての議論も続いているようで。

『The briefing highlighted the important role of the assumed path for monetary policy in constructing a consensus forecast and reviewed several alternative approaches for setting such a path. As a possible alternative to a consensus forecast, the staff presentation also discussed potential enhancements to the SEP.』

コンセンサスフォーキャストとしての政策金利パスを示すとか、それ以外の方法などによってSEPの説明成分を更に増やすという話なのですが、あたくし思いまするに既にSEPの内容とFOMCのステートメント内容が必ずしも一致していない(SEPは全員参加の一方でFOMC自体は投票権のある人と無い人がいるのだから当たり前なのですけど)時点でSEPが余計な情報出し過ぎだと思うので、これ以上いじるのもどうかとは思いますけどね。

『In their discussion, participants agreed that FOMC communications could be enhanced by clarifying the linkage between participants' economic forecasts, including the underlying policy assumptions, and the Committee's policy decision as expressed in the postmeeting statement. However, most participants judged that, given the diversity of their views about the economy's structure and dynamics, it would be difficult for the Committee to agree on a fully specified longer-term path for monetary policy to incorporate into a quantitative consensus forecast in a timely manner, especially under present conditions in which the policy decision comprises several elements.』

ということで、まあSEP充実のメリットは認めつつも、殆ど(most)の参加者は参加者間のビューに多様性がある状況を踏まえると、ロンガータームの金融政策パスなどをSEPで特定の形で示すのは難しいのではないかということですわな。

『Participants agreed to continue to explore ways to increase transparency and clarity in the Committee's policy communications, and they indicated a willingness to look into modifications to the SEP. At the end of the discussion, the Chairman asked the subcommittee on communications to explore potential approaches to providing more information about the Committee's collective judgment regarding the economic outlook and appropriate monetary policy through the SEP.』

でまあ結論はこっちも「今後も検討を続けます」という話なのでどこかでSEPに追加のネタが出るときもあるでしょうというか、なんちゃって追加緩和のネタに温存するのかもしれませんなという所でございました。



(11/12〜11/16までお休みしておりました)



2012/11/09

お題「BOEとかECBとか/その他少々」

気温変化が禿しいので風邪引きさんが続出しているようですが皆様におかれましてもご自愛くらはい。

○でまあその他少々の方から

・ここでブルフラットとな

昨日の債券市場様におかれましては平壌運転どころか40年国債入札前から超長期が堅調で入札結果も前場引けのオファーサイドよりも強い結果で、たぶん市場の事前予想よりも1毛近く強かったんじゃネーノという事になりまして、先物は何か微妙にうだうだする間に超長期がいい感じでフラットニング。引けに掛けては先物が強くなったのか置いてかれ中期が若干買われたっぽいからなのかは知らんですが先物ホイホイ上昇して終了して10年カレントは久々の0.75割れで引けは2毛強の0.74%だわ20年カレントの引けは3毛強の1.660%だわと。

まー何ですな、アメリカ大統領選挙&議会選挙ちゃんは元々の想定通りにねじれで終了しましたし、特例公債法案は審議入りして来週には目出度く成立と散々待たせやがりましたがこちらも片付くという事で、まあテールリスク的な位置づけではあったものの踏むと地雷な政治リスク案件のうち大きいのが2丁片付いたとゆーことで買わない言い訳が無くなって来ましたなあとゆーのは何となく判らんでも無いが、何ともまあな昨日の相場ちゃんでございました。つーか先物と関係なく(というのは今に始まった事ではないですが)超長期が勝手に旅に出ておられたという感じですかそうですか。


・次は衆院選挙ですかねえ

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121108-OYT1T00817.htm
特例公債法案審議入り…13日の衆院通過目指す
(2012年11月8日13時20分 読売新聞)

まあ本当に衆参両院を通過しないと安心は出来ないとは言え、さすがに今回は他の重要法案を通す話も進んでいるようですし、更に早期解散に関する話も今朝になったらホイホイ出てくるという事で、まー何とかなるでしょ。

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20121108-OYT1T01763.htm
首相、年内解散を検討…TPP参加表明の直後に
(2012年11月9日03時06分 読売新聞)

TPPを選挙の争点にするだの何だのというのがニュース番組の報道ベースでは出てたと思うのですが、これまた地雷臭のするネタで、何か野田さんって地雷を踏む趣味でもあるのかと毎度毎度不思議に思うのでありました。

ま、どうせ安倍さんの事ですから政権に就くとそれまで言ってた派手な話のうちちょっとさすがにそれはどうよという話は急に現実的になるとは思うのですが、選挙後に安倍さんが本当にインフレ目標3%だとか言い出すと話がこれまたヤヤコシヤな事になるのでそれはそれでリスクかなあとは思いますが、ど〜せ早くて年末の話ですからね。

#朝の公共放送ニュースによると15日に成立の見込みだそうですな


・ユーロ紙幣が新しくなるようで

ECBの政策決定云々のチェックをしようと思ったらこんなのが。

http://www.ecb.int/press/pr/date/2012/html/pr121108_1.en.html
PRESS RELEASE
8 November 2012 - Eurosystem to introduce second series of euro banknotes - the “Europa” series

『The European Central Bank (ECB) and the national central banks (NCBs) of the Eurosystem are to introduce a second series of euro banknotes. Called the “Europa” series, it will include a portrait of Europa - a figure from Greek mythology and the origin of the name of our continent - in the watermark and the hologram. The new banknotes will be introduced gradually over several years, starting with the 5ユーロ banknote in May 2013.』(あたくしのPC環境の都合上ユーロはカタカナで補記してます)

ということでエウロパシリーズということで来年以降数年かけて新しいユーロ紙幣が出るとなという事ですが。

『The first series will initially circulate alongside the new banknotes, but will gradually be withdrawn and eventually cease to be legal tender. The date when this occurs will be announced well in advance. However, the banknotes of the first series will retain their value indefinitely and can be exchanged at the Eurosystem NCBs at any time.』

ということですので暫くは前の紙幣も問題なく流通するようですがいずれユーロシステムの中銀に行って交換しないと使えませんぞなもし(ちなみにユーロ統合前の旧通貨に関しては各国の中銀に行くと交換してくれる仕切りになっている筈)ということでユーロ安で預金じゃなくて通貨を仕込んだ人や、ユーロ紙幣が手元に残っている方はご注意を。だいぶ先の話になると思いますが。

『The Europa series 5ユーロ banknote will be unveiled in full on 10 January 2013 and credit institutions will start to issue the new notes over the counter or via cash dispensers in May next year.』

5ユーロ紙幣のデザインは来年の1月10日にお披露目だそうな。

『In order to raise public awareness of the Europa series, the ECB and the NCBs of the Eurosystem will be conducting a multi-channel information campaign across the euro area in 2013. Preparations are currently under way, supported by two agencies chosen by the ECB following a public tender.』

という事でこれからのお知らせをお待ちくらはいとの事。


○BOEは資産買入拡大を行わず

市場予想も拡大せずだったと思いますけど。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/103.aspx
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £375 billion

『The Bank of England’s Monetary Policy Committee today voted to maintain the official Bank Rate paid on commercial bank reserves at 0.5%. The Committee also voted to maintain the stock of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves at £375 billion.』

ということで、今回のMPCちょい前に前回拡大した資産買入分の拡大が終了したのですが、前回の議事要旨をこの前ネタにしました通りで、追加の拡大に関しては「そもそも拡大しても効果的にどうよ」というそもそも論的な意見が有ったり、昨日ネタにした(MPCがあるので慌てて昨日駆け込みでネタにしたとかいうツッコミはしないように)ように、経済の問題点として「クレジットチャネル」や「キャピタルチャネル」の話を強調するようになっている、という事で従来の「純粋量的緩和攻撃」からの転換っぽい話が出ておりましたので、まあ今回買入拡大を行わないで様子見モードになったのは順当っちゃあ順当。

『The Committee’s latest inflation and output projections will appear in the Inflation Report to be published at 10.30am on Wednesday 14 November. The minutes of the meeting will be published at 9.30am on Wednesday 21 November.』

今回のインフレーションレポートはちょっと読みたいがあれは量が多いので中々精読する気にならん
ので、21日に出る議事要旨で勘弁ですかね。


報道はこんな感じになるのね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD643B6S972801.html
英中銀:資産購入枠拡大せず、量的緩和いったん停止−金利維持

『11月8日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)は8日の金融政策委員会(MPC)で、資産買い取りプログラムの規模を3750億ポンド(約47兆8600億円)で据え置くことを決めた。景気回復は引き続き鈍く、委員の一部から下支え効果が疑問視された量的緩和(QE)をいったん停止する。』(上記URLより)

一旦停止という表現ってストックビュー的に言うとどうなのという気もするのですが、フロービューで言えばまあ一旦停止ではございます。プログラム規模は維持されているので緩和継続という言い方になるのがロジック的には正しいと思いますが、まあ市場がそう取るということなのかね、よー判らんが。

『今回の決定により、英中銀は「融資のための資金調達スキーム」(FLS)など与信拡大を目指す計画に注力することを示唆した。インフレ圧力の高まりが政策維持を促した可能性もある。英経済は7−9月(第3四半期)に国内総生産(GDP)が前期比1%増加。ただ、各種調査 では依然として脆弱(ぜいじゃく)性が示されている。』

まあ示唆の方は既にネタにしたように前回MPCの議事要旨の中で全力で示唆されているのですが、それは兎も角として、インフレ圧力のくだりはこれまた昨日ネタにしましたように、英国の生産性の弱さによって物価上昇となる要因に対しての感応度が高いままで推移しているというスタグフレーション的な状況になっているという所に英国の悩みが続くという所ではございます。

・・・・・・・その一方でどこぞの国の次期首相最有力候補様におかれましては以下割愛orz


○ECBもとりあえずウゴカンチ会長

まあそうでしょうな。

http://www.ecb.int/press/pr/date/2012/html/pr121108.en.html
PRESS RELEASE
8 November 2012 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.75%, 1.50% and 0.00% respectively.』

『The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』

で、最近は何かこの記者会見の内容リリースがやたら速くなってまして、以前は会見での総裁の落語部分だけが当日にリリースされて、質疑応答部分は翌営業日のしかも向こうの時間の午後とかになってのんびりと出るのが仕様だったのですが、最近は朝起きたら既にQ&A付になっているとかはえええよ(ちなみに日本時間で昨日の夜(日付が変わる前)に見た時にはIntroductory statementだけしか出てませんでした^^)という感じです。

http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is121108.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 8 November 2012

Q&Aまで読んでる時間(じゃなくて能力だろうというツッコミは却下^^)は無いので冒頭部分だけ。

『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged.』

それはリリースの通り。

『Owing to high energy prices and increases in indirect taxes in some euro area countries, inflation rates are likely to remain above 2% for the remainder of 2012. They are expected to fall below that level in the course of next year and to remain in line with price stability over the policy-relevant horizon.』

この辺の物価に関する現状認識と見通し(足元は2%超だけれども来年には低下して2%を若干切る状態になるでしょう)は前回の理事会と同じです。

『Consistent with this picture, the underlying pace of monetary expansion continues to be subdued. Inflation expectations for the euro area remain firmly anchored in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2% over the medium term.』

まあここも同じです。

『Economic activity in the euro area is expected to remain weak, although it continues to be supported by our monetary policy stance and financial market confidence has visibly improved on the back of our decisions as regards Outright Monetary Transactions (OMTs). At the same time, the necessary process of balance sheet adjustment in large parts of the financial and non-financial sectors as well as high uncertainty continue to weigh on the economic outlook. It is essential for governments to support confidence by forcefully implementing the necessary steps to reduce both fiscal and structural imbalances and to proceed with financial sector restructuring.』

ちなみに、ここに該当する部分について前回10月4日の理事会後の会見ではこういってます。(内容はこちら→http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is121004.en.html

『Economic growth in the euro area is expected to remain weak, with ongoing tensions in some euro area financial markets and high uncertainty still weighing on confidence and sentiment. Our decisions as regards Outright Monetary Transactions (OMTs) have helped to alleviate such tensions over the past few weeks, thereby reducing concerns about the materialisation of destructive scenarios. It is now essential that governments continue to implement the necessary steps to reduce both fiscal and structural imbalances and proceed with financial sector restructuring measures.』(前回理事会後の会見から)

ということで、前回からの変化としてはOMT導入によって市場の緊張が更に緩和されましたっつー認識を示しておりまして、そこから先はまあ前回は「政府による財政構造改革や金融セクターの資産リストラが必要」という話をしていましたが、今回も似たような話ではありますが、「金融および非金融セクターのバランスシート調整プロセスが進むことが重要」という風にバランスシート調整の必要性についてより広い範囲を示して指摘していますなという所です。

まあいずれにせよ、今回も「ウチとしてはやる事は万全にやっている&準備しているので、あとは皆様のバランスシートや構造改革が必要ですよん」というのを最初に持ってkるという所でございますな。

『The Governing Council remains firmly committed to preserving the singleness of its monetary policy and to ensuring the proper transmission of the policy stance to the real economy throughout the euro area. As we said before, we are ready to undertake OMTs, which will help to avoid extreme scenarios, thereby clearly reducing concerns about the materialisation of destructive forces.』

まあこの辺も同じような話ではありますが、ECBは域内の金融政策の一体化と金融政策効果の一体的な波及を確保する事をコミットしますよという毎度の話をしておりまして、OMTに関してもユーロに対する破壊的なシナリオの具現化を避けるために実施する用意はできておりまっせウッシッシという話をしておりますな。


・・・・・・・でまあそこから先が経済の見立てについての部分になるのですが今日はパスという事で(汗)。


○ところでお知らせ

毎度あたくしの駄文にお付き合い頂きまして誠に有り難く存じますが、来週は筆者事情によりまして(というかまあ休みなのですが)書き物の更新を1週間お休みさせて頂きます(気が向いたら更新しますがと書いて更新した事はありませんのでまあお休みでしょう)ので、その間は過去ログでも見て笑ってやって下さいませm(__)m




2012/11/08

お題「またまた虫干しネタでございますが」

大屋先生が例の大学認可の件で追加のエントリー。
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000894.html
大学の人事とスケジュール(2.5) おおや (2012年11月 6日 23:06)

と思ったら結局認可の方向になった挙句に意味不明の供述をしている大臣がいるとな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121107-00000618-san-pol
大学不認可問題 田中文科相「3大学はいい宣伝になった」
産経新聞 11月7日(水)22時4分配信

・・・・・・・・もうさ、頭おかしいとしか思えないんですけどこの人。

○ニュース雑談

・結局順当な結果となりましたが・・・・・・

でまあオバマ再選で上院が民主党で下院が共和党という順当な結果になったのですけれどもダウだうーんとか。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121108/k10013335031000.html
ウォール街 オバマ氏再選に失望の声
11月8日 4時35分

ということで、公共放送はいきなりオバマ再選の市場の受け止め方とか言って「悲しい事だ」とかいう街頭インタビューを放映するとか「財政の崖問題が急に浮上した」というファンドのオッサンのインタビューを放映するとか予想通りの選挙結果で何でそうなるんじゃと小一時間。と申しますか今朝これだけ下げるなら何で前日に「結果がどうなっても不安材料一掃で買い」という話になったのやら・・・・・・・ワケワカラン。

東京時間ではオバマ勝ちそうですなあとなった(と思うのだが)後場寄りに株下げ債券上げになったのですが、その後引けに掛けては結局どっちも前日比ほぼ変わらずという動きになりまして、こらまあ海外の様子見ですなあとか思ったら今朝は盛大にダウだうーんとか雨市場の後講釈を聞いても意味がさっぱりワカランチ会長なので教えてくんなまし。


・CPI3%の世界にインフレフォビアのこの国が耐えられるのかと小一時間

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5176098.html
自民・安倍総裁 日銀に“プレッシャー” (07日18:36)

『自民党の安倍総裁は講演で、次の総選挙で政権を取った場合、日銀に対し物価上昇率の目標である「インフレターゲット」を年率3%に設定させ、達成するまでは無制限に金融緩和を行うよう求める考えを示しました。「(物価上昇率)3%達成するまでは、基本的に無制限で金融緩和していくという発表をしていただく必要がある」(自民党・安倍晋三総裁)』(上記URLより)

ふむ、この前は「無期限、無制限で」とかゆうとったが、さすがにそれは誤認と気が付いたようで何よりですが、ヘドニック掛けた後の状態で物価上昇率が3%とかいう状況に日本の世論様が耐えられるとは到底思えないのですが。

大体からしてそれならまず雇用者所得が毎年上昇するような世の中になってくれないとインフレ期待もへったくれも無い訳でして、公務員給与下げるだの電力料金値上げするならリストラして賃下げしろだの賃金上げない話ばっかり熱心にするこの国でCPI3%どころか1%でも世論様が大騒ぎして大変な事になると思いますけどというのは毎度申し上げている通り。

『また、安倍総裁は、日銀の政策目標に「物価安定」だけでなく、アメリカの中央銀行にならって「雇用の最大化」も加える日銀法の改正を明言しました。』

これまた誰が吹き込んでいるのか知らんけど、デュアルマンデートにすると政策の裁量余地が上がってしまうので本当は望ましくないと思うのですけどね。

まあいずれにせよ今の状況でインフレターゲットだけ高く設定しても、市場的には「はあ?」となりそうですけれども、このインフレターゲット3%が本当に効くという認識になったら物価が上昇する前に市場金利が盛大に上昇するでしょうし、給与が上がらないという認識の下で物価が上がるという話になったら更に消費に悪影響でただのスタグフレーションになって誰得な展開になると思うのですが、何かどうも別の意味で某文部科学大臣的なアレなものを感じざるを得ないのが誠に遺憾ですが、他の選択肢はもっとどうしようも無いというのが日本の
残念な状況orz


・ところで特例公債法案とか解散とか

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5176680.html
特例公債法案、8日から審議入り (08日00:28)

『国会では、8日から、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案の審議に入ります。法案は、来週13日にも衆議院を通過する見通しです。衆議院の議院運営委員会の理事会は、8日の本会議に、野田総理と城島財務大臣が出席し、特例公債法案の審議に入ることで合意しました。委員会での質疑を経て、13日にも衆議院を通過する見通しです。』(上記URLより)

いやーやっと成立の方向ですなあという事で。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121108/t10013335001000.html
首相 年内も視野に解散時期探る
11月8日 5時7分

『野田総理大臣は、政府・民主党内から、赤字国債発行法案の成立などに向けて、自民・公明両党の参議院側も含めた協力が確実に得られるならば、衆議院の解散もやむをえないという意見が出ていることを踏まえ、年内も視野に、解散の具体的な時期を探っています。』(上記URLより)

だそうですので、まあ無事に特例公債も通って衆議院解散ということで、じゃあ安倍政権ですねさて前原さんの作ったあの「紙」が禍根を残しそうですなあとか色々と気になるご時世ではあるのですけれども、今のところはニポーンの債券市場様は平壌運転で推移するんでしょうなあとは思いますが、金融政策に関しては何か頭痛と悪態の絶えない展開が待っているような悪寒だけは全力でするのでございまして、はてさて平壌運転で宜しいのでしょうかねえという気もせんではないがどうせ早くても年末で基本的に来年の話ですかそうですか。

#まあ安倍さんの場合、前回の例を勘案すると政権入りすると急に言う事やる事が現実的になるという不思議な仕様になっているような気もするのでそこまで気にせんでも良いのかもしれませんが、デフレがイクナイの認識は結構なのですが処方薬が無茶振りにならない事を希望いたします


○虫干しネタシリーズ:BOE議事要旨ネタの放置分追補

暫く前に政策決定の部分(追加資産買入の効果が低いのではないかという指摘があったという意味で中々アチャーだったという部分など)を引用しましたが。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2012/mpc1210.pdf

その時にさらっと書くだけ書いたのですが、引用をしてなかったのであたくしの備忘も兼ねて虫干しネタでご勘弁。この回(10月4日)のMPCでは『Supply, costs and prices』の部分で「生産性」に関する議論が延々と行われておりまして、英国の悩みがどの辺にございますかというのが論点として示されているのでマニアとしては要クリップである。

つーことで第19パラグラフから第24パラグラフまでの部分になります。

『It was unlikely that any one factor could explain all of the remaining productivity shortfall.』

つーことで、引き続き生産性が低下した状態となっている事についての考察が始まります。

『Indeed different factors had probably been in play at different times. In the initial stages of the recession, productivity had fallen sharply as employment fell less than output. But since mid-2010, productivity had fallen back a little with employment rising despite virtually no growth in output. Some of that initial weakness in productivity was likely to reflect spare capacity within companies that had been holding on to staff in anticipation of a recovery. But, taken at face value, more recent survey readings had been consistent with limited spare capacity remaining, suggesting that underlying productivity might have weakened alongside demand.』

リセッションの初期の生産性低下は主に景気後退による生産の落ち込みが主因でしたが、2010年半ば以降は生産が伸びない中で雇用が伸びている事が生産性低下の要因。つまり最初の生産性低下は経済の余剰生産力を反映したものだが、最近は経済の余剰生産力ではなく需要が伸びない事を反映していると。

『The international evidence suggested that past financial crises had been associated with pronounced and persistent reductions in productivity. One likely channel was via tighter credit conditions. Constraints on the cost and availability of working capital could have reduced the efficiency of production processes. And tighter credit, as well as general economic uncertainty, was likely to have borne down on productivity via lower investment in physical and intangible capital, training and innovation.』

この辺の考察は英国で導入されたFLS(貸出促進の為の新貸出制度)の背景とも被りそうな話ではありますが、まず「世界的に見て今回の金融危機で生産性が落ちている」という認識を示して、その可能性として「One likely channel was via tighter credit conditions.」とクレジットコンディションのタイト化というのを示しています。まあ要するにクレジット環境がタイトになっているので生産性向上などの投資が進まないという話ですが、散々金融緩和をやっている中でこの考察はどうなのよという気もせんでもない論点。つーか貸出の需要自体がどうなのかというのは細かく英国の統計を見ている訳でも無いので(すいません)よくワカランチ会長ではありますが、たぶん貸出環境を緩和してもあまり効かないのではというのが日本の例のような希ガス。

『Firm-level data from company accounts suggested that the reduction in productivity had been largely centred in small and medium-sized companies. That could have been because of the reliance of smaller companies on bank finance for growth, coupled with the impaired flow of bank credit. 』

その証拠として、生産性の低下が主に(クレジット環境がタイトな)中小企業に集中しているというのを挙げていますが・・・・・

『But there could be other factors depressing their measured productivity. For instance, it was likely that it was impractical for small firms to reduce their workforce below a certain level in the face of weak demand.』

ただまあ中小企業の場合は需要が落ちたからと言っても雇用者をそれに応じて極端に減らす事ができないとか、そういう理由もあるよね、との考察もあります。

『It was also possible that the disruption to the flow of credit, or some other factor, had hindered the reallocation of capital towards more productive sectors.』

何かホンマカイナという考察が続くのですが、クレジットフローが混乱している事によって、資本が生産性の高い分野への配分が進まなくなっているという考察もあるという事で、まあこの辺の話を見ますとFLSもそうですが、今後の英国金融政策としては、まあ一応量的緩和自体は下支えとして継続とか拡大とかもあるのかも知れませんが、クレジットチャネルやキャピタルチャネルにどうやって作用させるかというのがメインメニューになるでしょうなあというのは把握した。

『The rate of new company formation was low. And recent company exit rates had been below those in the 1990s recession, despite the proportion of companies running at a loss being higher. Some companies may have been able to remain in operation during the recession as a result of forbearance from their lenders, the low level of interest rates and initiatives such as HMRC’s Time to Pay Scheme. This, in turn, might have limited job losses and reduced measured productivity.』

でまあその結果として企業の新規開業や退出のペースが下がっており、そのために雇用はあまり減らないけれども生産性がアガランチ会長とな。

『It was particularly difficult to explain the recent strength of job creation.』

でまあ生産性の話に関連して雇用の話もありまして、最近の雇用創出の強さがこれまた説明に困りますぞなもしという話です。

『But evidence from the Bank’s Agents suggested that there had been a wide variety of experiences across companies. Companies that had been expanding may have been doing so primarily via increasing headcount rather than physical capital, possibly because the latter was more costly to reverse and the outlook was unusually uncertain. It was also possible that a lack of bank credit had limited investment.』

企業サーベイなどを見ると、先行きが不透明かつ銀行の貸出態度がタイトな中で企業はよりコストの掛かる設備投資をするよりも人員増で対応する傾向があるとの話で、英国ってそういう感じなのか〜と「へー」という感じでございました。

『Overall, there were many factors that could help explain the weakness of productivity growth. The key questions facing the Committee were how persistent that weakness would be and the extent to which productivity would pick up as demand recovered, such that the economy could grow without generating inflationary pressure.』

ということでこのコーナーの結論なのですが、「色々なファクターによって生産性が弱い状態が続いている」ものの「MPCにとって鍵となる問題は、この生産性の弱さがどの程度継続し、需要の拡大によって生産性がどの程度強くなるのかという点であり、なぜならば生産性が上昇すれば需要が拡大してもインフレ圧力が高まらないからです」という結論なのですが、これは裏を返しますと、各種ファクターによって英国の場合はリセッションで落ちた生産性が落ちっ放しとなっているのですが、この生産性が回復しない場合は、インフレ(というか場合によってはこれスタグフレーションのような気もするが)が上に振れやすい状況が続くという金融政策運営的に色々と悩みが尽きませんなあという事を示している、とまあそんな話になるのかと思います。

ということで、そういや一時「日銀ガー」の皆さんがBOEのインフレ目標政策あんど国債買入拡大について成功例として引っ張っていたような気もするのですが、最近はすっかりその話が無くなりましたねえどうしたんでしょうかねえという所でございまして、まあ話はそう単純では無いですよねとゆー話なのではないでしょうかというのが完全趣味のコーナーのあたくし的愚考でございました。

#あたくしの趣味のコーナーにお付き合いいただきまして恐縮至極



2012/11/07

お題「10月頭の決定会合議事要旨:景気物価見通し、資産買入のフロービューVSストックビューなど」

モーサテのNY後付講釈が「結果がどちらになっても不透明感が無くなるので買い」だそうですが、いやあの大統領選挙は大昔から日程決まっているのですから前日までに売ってた人はただのアホウという事になるような気がするんですけど・・・・・・・不思議な理屈ではある。

#雨2年債がまた0.30%とか何なんでしょうね。

○G20での総裁会見はしっかり麿節

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1211a.pdf

『【問】金融緩和の施策を説明したということですが、日銀もしくは先進国の金融緩和について、新興国側から意見または質問はあったのでしょうか。』

もうね、思いっきりこういう答えをしてちょという質問が飛んでいるのですが。

『【答】先進国の金融緩和に対する新興国からの声ということですが、これは今回の会議に限らず、新興国に対して資本の流入をもたらし、それが当該国における景気の過熱あるいは自国通貨の為替高という問題を引き起こすという意味での問題意識の表明がありました。』

キタコレ。

『そうした議論に対しては、今回の会議に限りませんが、資本流入を規定する要因として、もちろん先進国との金利差もあるわけですが、基本的な経済の成長率の差が大きな要因として存在するという有力な反論もあります。いずれにしても、この問題を考えていく上では――別の席で申し上げましたが――、自らが行う政策が他国へどのように影響し、それがまた自国にどのように影響してくるのかを再度考えた上で政策をしていくという一般的な政策運営姿勢が、先進国についても新興国についても、ともに要ると思います。』

「一般的な政策運営姿勢」とまで大きく出ましたが、米国ってその辺はしっかり俺様モードでやっているのでして、最後に言いたい事を言うモードになっておりますのおと思うのでありました。

『そういう意味で、G20のような場で、世界的な金融経済の相互依存関係を確認していくことは、大変に意義の大きいことだと思っています。』

とまあこの辺だけ見てほーと思ったのでクリップでした。


○10月1回目の決定会合では微妙に幾つかの論点が

先週金曜に出ていた議事要旨ネタで出遅れすいませんすいません。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121005.pdf

執行部の報告部分も微妙にツッコミ所はあるのですが、まあそれはスルー致しまして『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から。


・回復軌道に復するまでの時間

『景気の先行きについて、委員は、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくとの見方で一致した。』

まあその時間軸がどうなっているのかという話は展望レポートであった通りですが・・・・・・・

『何人かの委員は、企業からのヒアリング情報などを踏まえると、海外経済の減速を背景に、本年10〜12 月の生産も弱めの動きにとどまる可能性が高いと述べた。』

ということですが・・・・・・・・

『緩やかな回復経路に復していく時期について、何人かの委員は、4月の展望レポートで示した回復時期から半年程度後ずれし、年明け以降になるとの見方を示した。』

というのがこの前まで総裁が会見で言及していた「半年程度」なのですが、良く良くこの部分を読みますと半年程度後ずれというのは「何人かの委員」の見通しでして、全員の意見だとか大勢見解だとかいう話では無かったというお話。

でまあ9月(この前10月とか書いたのですが間違いですすいませんすいません)の決定会合(=追加緩和実施した時)の記者会見では回復時期が「半年程度後ずれ」という話を総裁がしていた訳ですが、その翌月には展望レポートでその時間があっさり伸びてしまうというのは残念と申しますか何と申しますか。いやまあ質問来たので答えたにしても、10月1回目会合(前回会合から2週間)の時点でこういう話になって、6週間後には1年近く後ずれになったというのを見ますと、その前に「半年程度」とか思いっきり数字をピンポイントで出しちゃったのってどうなのよという所ではございます。

『多くの委員は、復興関連の公共投資が徐々にピークアウトしていくとみられる中、輸出や生産の動きが、企業の収益動向や雇用情勢を通じて、設備投資や個人消費にどのような影響を与えるかが、今後の重要なポイントになると指摘した。』

でまあその輸出と生産の判断を下げたので10月30日に追加緩和を実施、という流れですので、その辺のロジックはちゃっかり整合性が取れているという事実。


・物価に関して

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比について、委員は、概ねゼロ%となっており、先行きは、当面、ゼロ%近傍で推移するとの見方で一致した。』

とまあこれはこれで良いとしまして、

『多くの委員は、基調的な物価がどのように推移するかは慎重に見極める必要があるが、この先数か月は、石油製品価格の動向が物価の前年比押し上げに働くとみられると述べた。』

ふーん。

『何人かの委員は、このところ、製造業を中心とする総労働時間の減少などからみて労働稼働率が低下している可能性があることや、当面、景気が横ばい圏内の動きにとどまるとみられることを踏まえると、その分、需給ギャップの改善ペースは緩やかとなり、物価の先行きパスも下振れることになるとの認識を示した。』

4月展望レポートの物価見通しのメインシナリオを踏まえますと、当然ながらこういうロジックになる訳ですな。

『このうち一人の委員は、2014 年度以降、遠からず1%に達するという、4月の展望レポートで示した見通しが実現する蓋然性はこれまでより低下してきていると述べた。』

キタコレ。

『ある委員は、大手スーパーにおける低価格戦略の拡がりが、消費者物価に及ぼす影響に注意する必要があると述べた。別の一人の委員は、企業の価格設定行動が変わっていくには、企業や家計の成長期待が高まり、そのもとで賃金や物価の上昇予想が強まっていく必要があるため、相応の時間を要すると指摘した。』

という事なのですが、相変わらず賃金が上がるような風潮にならないどころか下がる話ばかりは多いという状況で本当に物価が上がるのかという感もしますし、そういう中で物価が上昇するとしたら為替ルートのようにも思えるのですが、為替ルートで物価が上昇した時に賃金動向が相変わらずとなりますとただのスタグフレーションになるんじゃネーノとか暗い事を考えてしまいましたとさ。


・不動産の話とな

『複数の委員は、最近、大都市圏や被災地周辺において、地価の下げ止まり傾向が明確化してきていることを指摘した。一人の委員は、東京地区の良質な商業用不動産への関心が高まってきていることなどを紹介したうえで、不動産分野の動向は経済全体のマインドにも大きな影響を与え得ることから、引き続きしっかり点検していく必要があるとコメントした。』

ほほうという所ですが、複数の委員ということで大勢見解では無いとは言え、こんな話が合ったのねという事でメモ。


・先行きリスクの部分から少々

『何人かの委員は、今後、海外経済の減速が更に長期化するようなことがあれば、内需への影響を含め、わが国の景気回復の時期が一段と後ずれする可能性があると指摘し、このうち複数の委員は、生産や景気動向指数の動きなどを踏まえると、事後的に、景気の後退局面入りが認定される可能性も排除できないと述べた。』

『こうした点に関連し、多くの委員は、9月短観における2012 年度の設備投資計画をみると、例年のこの時期に比べて高めの伸びを維持しており、6月短観からも上方修正となるなど、今のところ、企業の投資スタンスは引き続きしっかりとしているとの認識を示したが、何人かの委員は、最近の資本財総供給の弱さなども併せて指摘した。一人の委員は、こうした動きに内需変調の兆しも窺われると述べた。そのうえで多くの委員は、今後、投資先送りの動きが拡がることがないか、企業の収益見通しと合わせ、十分注意してみていく必要があると述べた。』

ふむ。まあこの辺に関してもリスクが具現化しているという感じがしますが。

『ある委員は、震災以降のわが国のLNG依存度の高まりなどを踏まえると、今後、中東情勢が更に緊迫化した場合には、わが国の景気や物価に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘した。』

ほほう。

『物価の先行きについて、別の一人の委員は、短期的なインフレ予想がなかなか上昇しない中、インフレ率が中長期的にみて安定的な水準(アンカー)に収束していくペースが遅くなる可能性については、十分な注意が必要であると述べた。』

物価については1名の委員が特にアガランチ会長リスクを意識してるという感じですが、何となく誰なのかが透けて見える気がします(^^)。


・フロービューとストックビュー

続きまして『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』からこの話。

『包括的な金融緩和政策の効果について、委員は、包括緩和が実体経済に及ぼす影響のうち、第1段階である金融環境への波及という点では、企業や家計が直面する金融環境は緩和した状態にあるとの認識で一致した。』

でまあこの第1段階第2段階の話は前回会合で打ち込まれた新貸出制度導入に繋がる話なのでございますが、まあそれはそれとしてここでの論点は「資産買入の効果に関するストックビューとフロービュー」でございます。

『こうした緩和効果の波及に関連し、一人の委員は、市場の中ではフローの資産買入れペースを重視している向きも少なくなく、前回会合において基金の残高目標が10 兆円程度増額されたものの、本年末までの資産買入れペースには変更がなかったことで、市場の反応が限定的となっている面はないかとの問題意識を示した。』

この論点、米国のQE実施以来延々とFEDの中の人たちが講演でお話をしておりましたが、一応米国的には「資産買入のストックを維持するとそれで効果がある」というような感じの説明になって、ストックビューの論点での話をしていた訳ですが、今回のQE3打ち込みの際には月の買入額を決めるものの、いつまで買入するか、即ち買入によって増加するストックの量については決めないで打ち込んでいるという意味でフロービューに近い話になっているというのが何とも梯子外され感が漂うのでございますが。

ちなみに、じゃあQE3(とその前から実施しているツイストオペ)に関してはストックビューを放棄しているのかというとそういう訳でも無く、資産買入の資産構成を変化させることによって効果を出しましょうという話をしておりますので、あくまでも注目は資産サイドの部分にあるとゆー所は変わらないのですけれども、従来の単純な「量で勝負」では無くなっているという点は何度も申し上げていますが注意したいですの。

でまあ一方で日銀の場合は資産等買入基金に関してはあくまでも「量で勝負」というストックビューの話をしているのですが、確かにまあ9月会合での買入拡大とか見るとフロービューにも配慮して要る部分もありますなあとか思ったのですが、こういう指摘もあったのねという所です。

実際問題としては「本年末までの買入ペースに変更が無かったから市場の反応が限定的」という事は特段無いとは思いますが、ただまあ9月の基金拡大後に皆さんがせっせと買入フローを計算して、「来年の前半に月当たり買入額がドカンと落ちるのは如何なものか」という指摘があちこちから上がったというのはその通りではございます。

ちなみに更に横になりますが、来年の前半の買入額が落ちる云々の指摘をしていた人たちって来年の後半に買入額が再拡大する話をあまり強調してなかったなあというのも片手落ち感が漂う話ではございまして、9月の買入拡大+基金期限の延長を行った時に、わざわざ来年後半に買入拡大しているのって、「来年後半に買入ペースが拡大しますので緩和は来年後半まで強化されるんですよ」というメッセージを出そうとしていたと思いますので、ちょっとその落ちだけの指摘というのも何だかなあとか思ったのですが、というのはまあ余談です。

『この点に関し、複数の委員は、金融緩和の効果については、基金の目標残高を増やすことに伴うストック効果が大きく、フロー効果はそれを補完するものとみておくべきではないかとの見解を示した。そのうち一人の委員は、ストック効果については、基金増額の決定と同時に出尽くす訳ではなく、その後、増額された目標残高に向けて、そのペースはともかく、実際に残高を積み上げていくことにより、日本銀行の政策姿勢に対する信認が徐々に高まっていく点にも効果を見出すことが出来ると述べた。』

ということで、まあ基本的にはストックビューの話をしているのですが、これって突き詰めて話をすると「じゃあ白川総裁時代に行った過去の輪番オペの「月当たり買入額の拡大」において緩和強化と言っていたロジックはどうなりますねん」というロジカルハラスメントが出来るという意味で日銀的にはこのストックビューとフロービューの話をゴリゴリ詰めて藪蛇にならないように願いたい物でございます(ちなみに俊ちゃんの時は「当座預金残高目標」は拡大しましたけれども、輪番の増額は1円もしてないのよね)。


・新貸出制度の布石

まあ先ほどありますように金融緩和の第1段階から第2段階へみたいな話がありましたが。

『続いて、包括緩和が及ぼす影響のうち、第2段階である金融環境から実体経済への波及について、議論が行われた。多くの委員は、金融環境はきわめて緩和的であるが、企業の投資や支出の積極化に十分繋がっていないとの認識を示した。』

ということで議論があるのですがそこはスルーしまして。

『何人かの委員は、第1段階から第2段階への波及を強めていくために、現在、日本銀行は、成長基盤強化支援資金供給などを通じて、中央銀行としての貢献を続けているが、今後は、企業向け貸出が実際に増加していくよう、金融機関の活動をより直接的に後押しする工夫を検討していく必要もあるのではないかとの見解を示した。』

ということで引用だけメモしておきます。


・前原さんキター

ということで前原さん登場の『X.政府からの出席者の発言』ですが、まあ折角なので全部引用しておきましょう。。

『・本日、委員も指摘されていた人口の減少や少子高齢化の問題は、日本経済の最大の制約要因だと認識している。政府としても、これだけ財政赤字が多い中で、予算の使い道を工夫しながら、少子化対策や社会保障の安定・充実に取り組んでいる。日本の経済を良くしていくためには、金融のみならず、政策や予算の使い道の変更、経済の体質を改善するための規制緩和など、様々な施策を総動員して日本の国力を如何に上げていくかが大事なポイントになると思う。

・わが国の景気は 、世界景気の減速等を背景として、輸出・生産が弱含むなど、回復の動きに足踏みがみられる。先行きも、当面は弱めの動きが見込まれ、世界景気の更なる下振れなど景気下押しリスクがあるため、警戒レベルを引き上げて注視する必要がある。物価は、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。

・そうした中、先日発足した野田第三次改造内閣は、デフレからの早期脱却、経済再生、中長期的な経済成長の実現を重要課題として位置付けている。政府は、デフレ脱却に向けた政策を強力に推進し、成長力を強化していく。

・デフレからの早期脱却に向け、政府と日本銀行は意思疎通を更に深め、密接に連携していくことが重要である。日本銀行には、政府の取り組みと歩調を合わせ、金融政策面からの最大限の努力をお願いする。まずは、日本銀行が当面目指すこととしている消費者物価上昇率1%をできる限り早期に実現し、結果を出すことがきわめて重要である。デフレ脱却が確実となるまで、強力な金融緩和を継続するよう期待する。また、米欧や新興国など海外の金融政策等の影響を含め、わが国の景気下振れリスクに対して、適切に対応頂くようお願いする。』

・・・・・・・まあこれ要旨ですし、事務局は日銀ですからアレですけど、しかし何か普通の話ですな。


・一方で財務省オソロシス

財務省からの出席者の発言というのもあるのですが、その中でこれはオソロシスというのが。

『・わが国経済は、これまで緩やかながらも回復を続けてきたが、足もと、世界景気の減速等を背景として、回復の動きに足踏みがみられる。世界景気の更なる下振れや、急速な円高の進行・高止まりを含む金融資本市場の変動等、景気を下押しするリスクも無視できない。特に、政府としては、昨今の急速な円高の進行・高止まりは、景気を下振れさせる重大なリスクと考えている。』

>昨今の急速な円高の進行・高止まりは、景気を下振れさせる重大なリスクと考えている
>昨今の急速な円高の進行・高止まりは、景気を下振れさせる重大なリスクと考えている
>昨今の急速な円高の進行・高止まりは、景気を下振れさせる重大なリスクと考えている

・・・・・・・・・・いやそういう風に考えているなら為替介入なんでしないのよとツッコミを入れたくなるのでございますが、返す刀でこういう話。

『・政府・日銀は、デフレ脱却がわが国における重要課題であるとの認識を共有し、これまでも緊密な情報交換・連携を図りつつ、政策努力を続けてきた。日本銀行は、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、強力に金融緩和を推進していく」との基本方針に従って、金融政策を運営していると承知しているが、物価上昇率は未だ1%に届いていない。引き続き、金融政策の姿勢が伝わるようコミュニケーションを十分図りながら、内外の経済・金融資本市場等の動向を見極めつつ、1%の早期実現に向け、継続的かつ、積極・果断な金融政策運営に取り組んで頂きたい。』

>1%の早期実現に向け、継続的かつ、積極・果断な金融政策運営に取り組んで頂きたい
>1%の早期実現に向け、継続的かつ、積極・果断な金融政策運営に取り組んで頂きたい
>1%の早期実現に向け、継続的かつ、積極・果断な金融政策運営に取り組んで頂きたい

と、こちらを軸に迫るというのがまあ正攻法なのですが、為替介入とかの部分はスルーしてきっちり攻める方だけ攻めるのが中々巧妙なロジックではございますな。オソロシス。


・麿の声???

でまあ何故か最後にこんなのが。

『これらの発言を受け、ある委員は、日本銀行としては、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するよう、現在の緩和的な金融環境を最大限活用して欲しいと考えており、そのためにも、先般政府が策定した「日本再生戦略」の着実な実現を強く期待していると述べた。そのうえで、この委員は、日本銀行としても、政府と十分な意思疎通を図りながら、デフレからの脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けて、しっかりと使命を果たしていきたいと述べた。』

>「日本再生戦略」の着実な実現を強く期待している
>「日本再生戦略」の着実な実現を強く期待している
>「日本再生戦略」の着実な実現を強く期待している

まあ誰の発言だか判りませんが、麿が言い返してみたということでしょうかねえ(^^)。




2012/11/06

お題「展望レポートの景気見通し部分の変化っぷりを鑑賞するでござるの巻」

田中文部科学大臣の大学新設不認可問題。また毎度お馴染みの民主党クオリティという所ですが、おまいら何年政府運営してるんだよとゆー所で。

ということで名古屋大学の大屋先生(法哲学)のブログを参考のために勝手に貼っておきます(恐縮です)。

http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000892.html
大学の人事とスケジュール(1)
おおや (2012年11月 4日 23:06)

http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000893.html
大学の人事とスケジュール(2)
おおや (2012年11月 5日 00:10)

(2)の最後の所を引用させていただきます。

『もちろん「現在783校ある4年制大学について「競争が激化していて、質や運営に問題があるところがある」とも指摘」(同asahi.com)するのは理解できるし同意するところもあるが、そういうのはまず審議会の構成とか審査基準を変えるところから手を付けて結果的に実現すべきことで、これまで正統とされてきたプロセスを経て出た結果だけを潰してやるべきことではない。八ッ場ダム問題と同じで、およそ民主党の政治家というのは行政から政治への意思決定プロセスを理解できていないから結果だけをいじって失敗するのだなあとか、そう思ったことである。』(上記(2)の方から引用)

・・・・・・・・そういえば金融政策という分野でも結果だけをいじって失敗しそうな人が動いているというのが物凄い勢いで不安感高まるのでありますがorz


雑談ついでに(マクラが長いですかそうですか)このニュース見出しを見た時はちょっとさすがに何だこの偉そうな態度はと思ってしまう公共放送のニュースヘッドライン(ヘッドラインを書いている方がバイアス掛けている可能性があるから野田さんを一方的に罵るのは留保しますが)。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121105/k10013270301000.html
首相 自民は赤字国債法案に協力を
11月5日 23時35分

いやあの自民党と公明党がカチンと来ないかどうかひじょーにアレなのですけど・・・・・・・


ということでございますが、債券市場はと言えば昨日は先物出来高が12000枚弱だわ先物の高安は7銭だわと大変に素敵な市場でございますが、先般の金融政策決定会合で色々と紙が出たせいで意外に成敗に時間が掛かっておりますのでその辺の成敗モードで。


○展望レポート(ただし基本的見解)再び参りますです(汗)

展望レポート(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1204a.pdf(前回)

・回復メカニズムがどの程度遅れるのかという件

まずは『2.国際金融資本市場および海外経済』の海外経済見通し部分を読む。

『海外経済の先行きに関する中心的な見通しとしては、当面減速した状態が続くとみられるが、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの想定のもと、減速した状態から次第に脱し、緩やかな回復に転じていくと考えられる3。』(今回)

『海外経済の先行きに関する中心的な見通しとしては、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの想定のもとで、新興国・資源国に牽引されるかたちで、徐々に成長率が高まっていき、見通し期間中の年平均成長率は、過去の長期平均との比較で高めになると見込まれる2。』(前回)

ケツについている3だの2だのという脚注はURL先を見てちょという所ですが、IMFの経済見通しを参考につけている、という格好ですがまあそれは兎も角としまして、前回の展望レポートでは「見通し期間中の年平均成長率は、過去の長期平均との比較で高めになると見込まれる」と見通し期間中(2013年度まで)に高めの成長という見通しになっていますので、まあ普通に考えて海外経済が早期に立ち上がって平均を上回るペースで拡大することによって景気のドライバーになるという見込みになっている訳ですが、今回はその辺の時間軸的認識は華麗にスルーという内容になっています。

でもってその辺に関して国内景気の見通し部分である『4.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(1)経済情勢』を見るとこうなります。

『わが国経済の先行きを展望すると、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。この間、企業による内外の潜在需要の掘り起こしや政府による成長戦略の実行など成長力強化への取り組みの成果が徐々にあがり、企業や家計の中長期的な成長期待が見通し期間終盤にかけて緩やかながら高まっていくもとで、景気回復の持続性も増していくと想定している。』(今回)

『こうした足もとの状況も踏まえつつ、わが国経済の先行きを展望すると、新興国・資源国に牽引されるかたちで海外経済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、2012 年度前半には緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

まずこの展望レポートの目先の見通しが「当面横ばい圏内」というのが(MPM声明文では目先の見通しの記述が無く、ここに記述されています)いやあのそうですかという気がするのですがそこのツッコミは兎も角として。

まあ大体説明が長くなっている時というのは(皆様の身に覚えがありますように^^)一般的に言っている事が苦しい場合というのが仕様でありますが、日銀文学を鑑賞する際もその辺は基本中の基本でございまして、「この間〜」以下の部分が所謂「政策効果を織り込んだ部分」という話ですが、まあ綺麗に言えば皆さんの政策効果で回復の持続性が高まるでしょうという話ですが、悪態をつくと鉛筆舐め舐めの余地が入る部分ですなという事で。

で、ここでも時間軸の話(前回は2012年度前半に緩やかな回復経路入り)が抜けていまして、いつ回復軌道に戻るのかの時期が明示されない上に、政策効果が高まって成長期待が高まるのが見通し期間終盤とか中々微妙なお話になっています。

で、その景気展開の説明なのですが・・・・・・・・

『以下やや詳しく述べると、2012年度下期から2013年度にかけての景気展開については、輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速が長引くもとで、当面弱めに推移するとみられる。こうした輸出・鉱工業生産の弱さは、製造業部門の支出活動を幾分抑制する方向に作用すると考えられる。国内需要については、防災・エネルギー関連の投資を含めた広い意味での復興関連需要などに支えられて、全体としてみれば底堅さを維持するとみられるが、エコカー補助金の終了に伴う乗用車購入の反動減が見込まれるほか、震災後のペントアップ需要も徐々に減衰していくとみられる。このため、国内需要が輸出の弱さを補うほどの増加を続けるとは考え難く、景気は当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられる。』(今回)

これで横ばいで止まるのかよという気もしますがそれはそれとしまして。

『もっとも、その後は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、輸出や鉱工業生産は持ち直しに転じ、経済全体で前向きの支出活動も徐々に強まっていくと予想される。2013年度の成長率は、復興関連需要による景気押し上げ効果が公的需要中心に徐々に減衰していくものの、海外経済の持ち直しが次第に明確になるにつれて、企業収益や雇用者所得の増加を伴いながら国内民間需要がしっかりとした伸びとなるため、潜在成長率をはっきりと上回ると考えられる。』(今回)

ということで、まあ2013年度中のどこかで海外経済の持ち直しが明確になってくる、というのが今回の展望レポートで示された海外経済の見通しという話になりますが、先ほどの4月展望レポートでの経済先行き見通しの全体感説明部分と比較しますと、2012年度前半には緩やかな回復軌道入り、となっておりましたので、つまりは海外経済の拡大軌道入りするまでの見通し期間は前々回の決定会合後の総裁会見での説明では「半年程度」とのコメントがあったのですけれども、ここの見通しを見ますと普通に考えて半年では効かず、1年近く遅れるという見通しになりますぞなもしという話と見えますがどうでしょう。



・消費税増税の影響についての記述には配慮が欠けているような気がするのだがどうでしょうかねえ

『2013年度下期には、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が相応の規模で発生すると予想されるため、一時的にかなり高めの成長となると考えられる7。』(今回)

そういやここの部分で日銀ケシカランとか噴き上がっている人がいるとかいないとか聞いたような気もしないでも無いですが、7番とありますように脚注がございますのでそれを読まないといけません。

『7 消費税率の引き上げは、経済に対して、主として税率の引き上げ前後の駆け込み需要の発生とその反動(異時点間の代替効果)を通じて、影響を及ぼすと考えられる。物価上昇に伴う実質所得の低下を通じた影響も考えられるが、やや長い目でみて家計はわが国の厳しい財政事情を踏まえ、将来の消費税率引き上げをある程度織り込んで行動しているとみられることを勘案すると、その影響は所得の減少から機械的に計算されるほどには大きくならないと予想される。以上を踏まえて、今回の消費税率引き上げが実質GDPに及ぼす影響について定量的に試算すると、2013年度の成長率を0.3%ポイント程度押し上げる一方、2014年度の成長率を0.7%ポイント程度押し下げると見込まれる。なお、今回の引き上げにおいては、自動車や住宅に関する激変緩和措置の取扱いなどの詳細が現時点で固まっていないこともあり、経済への影響は不確実性が大きく、上記の試算も相当な幅をもってみる必要がある。』(今回)

ということですので、トータルすると影響はマイナスですよと思いっきり書いてあるのですが、そういう所を読まないで「日銀はデフレ増税派な上に消費税増税が経済にプラスというトンデモを唱える馬鹿」とか噴き上がる人が発生するのは困ったもんですな。

『2014年度については、海外経済が過去の長期平均を上回る成長を実現するほか、企業収益の改善や成長期待の高まりを背景に低金利の持つ景気刺激効果も強まっていき、これが国内民間需要を下支えするとみられることなどから、消費税率引き上げに伴う変動を除いた基調でみれば、潜在成長率を幾分上回る成長経路をたどると考えられる。ただし、年度の成長率は、上期を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が出ることから、小幅のプラスにとどまる可能性が高い。』(今回)

ただまあ何ですな、展望レポートであまり暗い話を書くのも如何なものかというのは判らんでも無いのですが、消費税引き上げ前の駆け込み反動云々の話は確かにこの部分に記述があるのですけれども、脚注にあるように「トータルするとマイナス」というのを何で本文の方に記載しないのかと思うのですよね。

つまり、まあこの記載自体は仰る通りではあるのですが、大体からしてあたくしのような(本職ではない)マニアでも例えば背景説明含めた全文とか中々読むヒマ無い(まあ海外系の英文ドキュメント読みに時間が掛かっているからというあたくしの語学力の問題があるのだが、汗)訳でして、そこまでのマニアじゃない人とか、それ以前の問題として原文に当たらずに報道ベースで見て反応するだけの人とかの方が世の中では圧倒的に多いと思われる、とまあ斯様な点を勘案致しますと、何で本文中の記載で「消費税増税の影響はトータルすると実質GDPにマイナス寄与」というのを入れておかないのだと思うのですよ。2013年度のプラス寄与部分は「一時的に高めの成長」という目立つ説明をしているのに対して、それより大きいマイナス寄与部分が「駆け込み需要の反動」で済ませてしまうというのは、明るい見通しを書きたいという気持ちは判るものの、やはりこの展望レポートを精読しない人とかに対して誤認を与える(消費税増税の影響を日銀がプラスであるとしている、と誤解されるという意味)のではないかと思います。

つーことで、まあ毎度の事なのですし、人間心理として判らんでも無いのですが、自分たちの都合の良いというか景気の良い材料に関してはプラスで書くけどマイナスの方はあまり目立たないように書く、というのもまあ程々にしないといかんのじゃないかと思いますけどどうでしょうかね。

#以上ちょっと話が逸れましたが元に戻りまして・・・・


・まあ結局回復の時間軸は「時期が遅れるがその時期はワカランチ会長」とのことで

とまあそんな感じで今回の見通しの期間中の展開が進むのですが、最後にこのような記述が。

『なお、わが国経済が横ばい圏内を脱し、回復に向かう時期については、前述のとおり海外経済の減速した状態が強まっていることなどを受けて、従来の想定よりも後ずれする見込みである。今回の見通しでは、こうした回復時期の後ずれを織り込んだことにより、2012年度の成長率は、7月の中間評価時点の見通しと比べると、下振れしている。2013年度の見通しについても、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響を除いて考えると、幾分下振れとなる。』(今回)

ということで、その時期については記載はないものの、先ほど引用した部分と前回分を比較して見ると、まあ半年は超えまして1年弱(下手したら1年)という事のようですが、遅れるとはいえ一応回復シナリオは維持となっておりますぞなもしというところです。

でまあこの記述に相当する前回の展望レポートを引用してみましょう。

『すなわち、輸出が増加基調に復するほか、復興需要の増加が公的需要・民間需要の両面で、年度を通じて景気の押し上げに寄与すると考えられる。こうしたもとで、生産から所得・支出への波及メカニズムも徐々に強まるため、2012 年度全体をみると、比較的高い成長率となることが予想される。2013 年度については、復興需要による景気押し上げ効果が徐々に減衰していくことなどから、成長率は、2012 年度対比では幾分鈍化するものの、海外経済が高めの成長を続けるもとで、潜在成長率をはっきりと上回る成長が続くと考えられる4。』(前回)

ちなみに脚注4は潜在成長率の話で、0%台半ばという置きになっています(これは前回も今回も同じ)。

『1月の中間評価時点の見通しと比べると、2012 年度および2013 年度の成長率は、欧州債務問題が金融市場に大きな混乱をもたらすリスクは低下し、市場環境がやや改善したことなどから、2012 年度を中心に、幾分上振れて推移すると考えられる5。』(前回)

・・・・・・・何が凄いと申しましても、今回と前回でこの見通しの展開部分の説明量が全然違っている事でございます。つまり、今回は景気見通しの期間中の展開部分につきまして、丸々1ページ分少々(脚注が多いので稼いでいる分もありますが、消費税の話とかは見通しに直結しているのでその部分も含めると軽く1ページ半を費やしています)となっておりまして、前回はページの半分も使っていないとう説明。

まあ先ほども申し上げましたように、前回と比較してここまで説明がクソ長くなるというのも中々アレなケースでございまして、まあつまり回復シナリオに関してかなり厳しいですなあと見ているとゆーのは把握致しましたが、一方でお先真っ暗物価はアガランチ会長というシナリオをメインとして出すのも如何なものかというのも判らんでもない(それ言い出したら大体世界の中銀含め政策当局の皆さんその傾向はあるのですから)という苦悩が長々とした説明部分に反映されている、とまあそんな話になるんでしょうな。


#10月1回目のMPM議事要旨ネタも一部に滋味があるのですが時間ががががの為本日はこれにて勘弁

追伸:こんなのが出てましたが、本文は英語なのでいつ読めるやらorz

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/wp12e09.htm/
少子・高齢化がわが国に与えるマクロ経済的インパクト:世代重複モデルによる分析

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12e09.pdf
Macroeconomic Impact of Population Aging in Japan: A Perspective from an Overlapping Generations Model




2012/11/05

お題「総裁会見から論点2つ(追加緩和の理由&謎の文書について)/その他雑談ネタ少々」

まずは雑談ネタから。

○これは何と申しますか・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/article/topNews/idJPTYE8A006J20121101
日銀の決定は「歴史的」、政府は成長力向上にコミット=財務副大臣
2012年 11月 1日 18:00 JST

ということで民主党の中では金融通の先端を行く事になっている大久保副大臣のロイターインタビューでして、ほうあの紙が歴史的ですかそうですか、というのはさて置きまして、顎が外れそうになったのはこの部分。

『追加緩和策についても、資産購入基金の11兆円増額を「いわゆる量的緩和は10兆円で、1兆円は質的な緩和」として、指数連動型上場投資信託(ETF)や社債などの増額に踏み込んだ点を評価。「日本経済のボトルネックとなるものがあれば、日銀が支えて風通しをよくする決意が見られる」と述べた。』(上記URLより、以下同様)

とまあここまでは良いのですが・・・・・・・・

『同時に、個人的な要望としながら「一番弱い金融、社債セクターで影響力が大きいのは電力債。電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば」と期待を示した。』

>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば

・・・・・・・・・・・・・えーっと、電力債を買いにくい状態にしたのはどこのどなたでございましょうかという所でございまして、てめえらの政策で電力債ズタボロにしておいて日銀に買えとかもう無責任にも程があるわと呆れる次第ですが、この他人事感溢れる発言を見ますとお前ら何年政権与党やっているんだと小一時間問い詰めたい所でございます。


○月末の数字が出たので再集計^^;

営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121031.htm/

日銀の保有長期国債銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1210.pdf

別表2を見ますと、

長期国債 20,881,308,148

ということで、目標24兆円まであと3.2兆円弱となりましたが、償還が3366億円ありますので3.5兆円という所で、今月と来月で1.8兆円ずつの買入。先月は3.1兆円ペースで追い込みモードの買入となっていたのでここから買入のペースはやや遅くなるのですが、まあ良く良く考えてみますと特例公債法案成立が遅延すると日銀の買入がスクイーズ効果を出してしまうという本来の趣旨と全然違う残念なことになり兼ねないので少し前倒しで買入をしたのかなというのもありますし、来年頭からの買入フローが若干落ちる(そして年後半にフローが再加速するという謎状態なのだが)のでペースがここで事前調整されるとゆー効果もあったりするのですが。

でまあ銘柄別残高をあたくしの手元で集計してみた(あたくしの集計ベースなので一応確認はしましたが正確性無保証)償還ペースですが、以下の通り。

2013年6月まで:12529億円
2013年12月まで:49852億円
2014年6月まで:82136億円
2014年12月まで:20562億円
2015年6月まで:32771億円
2015年12月まで:6467億円

んでもって今後の残高積み上げは2013年6月までと12月までに各+7.5兆円ですので、来年前半の買入が8.7兆円(月1.5兆円弱)、後半の買入が12.5兆円(月2.1兆円弱)、おまけに言えば残高を維持するという前提で再来年前半は残高維持するだけで8.2兆円(月1.4兆円弱)とまあ盛大な買入になりますなあという感じです。

つーかこれ追加で国債買入増やそうとした場合、来年の後半の買入額を5兆とか増やすと毎月の買入額が2年債の毎月の発行額を超えるとか凄まじい事になってしまう訳で、もはやフィージビリティー的にどうなのかという話でございますし、どう見ても財政マネタイズです本当にありがとうございましたというのも有りますし、大体からして市場がそんな買い受けきれませんぞなもしと申しますか、そういう買入をしておいて金融システムレポート(そういや詳細ネタにするのを忘れてましたorz)で「銀行の国債保有で金利リスクガー」とかどこのマッチポンプだという話になりますな。

・・・・・・・・まあ今回の買入拡大分を来年前半に全部振っておくと月割りで0.4兆円分がさっきの計算上後半から前半にシフトするのでもうちょっと違う形になりますけれども、いずれにせよ5兆円増やした結果としてその後の事を考えますとかなりの盛大な市場からの吸い上げ状態になるという事を勘案しますと、先般の金融政策決定会合前にどうせどこぞの政治家方面から出たんでしょうなあという「20兆円拡大を政府が要望」の電波浴新聞記事でございますが、そもそもお前20兆円という数字にフィージビリティーがあるのかと小一時間問い詰めたいという所でございまして、だからこそ「いやその数字はおかしい」という悪態を書いたと思うのでございますよね。

でまあ2013年12月までの償還分はまあここからそんなに増えないと思います(買うの1年超だから)けれども、ここからせっせと買入をすると償還予定額もホイホイ積みあがるのでございまして、基金増額ガーと割と安易にお話をする人もいるのですが、そんなこんなで償還分のロールという事を考えて物事を語って頂きたい物だと考える所でございます。


○総裁会見ネタの続きである

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1210b.pdf


・追加緩和の背景となっているもの

今回の追加緩和はメニューがてんこ盛りで、そもそも何で追加緩和をしたのかという話がスルー気味なのでございますが、まあこれは重要な質問。

『(問) これまで、金融緩和を一度実施した場合、何か月か効果を見極めるケースが多かったと思いますが、今回、2か月連続の緩和に至りました。その理由についてお尋ねしたいのですが、これまで想定していなかったような、想定していたシナリオになかったような変化があったとすれば、それは、どういった点なのか教えて頂けますか。』

で、その答えなのですが・・・・・・・・

『(答) この間の一番大きな変化は、やはり海外経済の減速が強まっていることだと思います。そのことは、9月の段階でも認識していましたが、その後の経済の展開をみても、減速はやはり強まっていると思います。』

はあそうですか(棒)。

『これまでも、海外経済の減速が日本の輸出・生産の減少を通じ、やがて内需にも波及してくることは、頭の中では十分に想定しており、データで確認していこうと思っていましたが、例えば、ごく最近の製造業の新規求人あるいは製造業における所定外労働時間等をみても、そうした動きが少しずつ出てきていると思います。』

ほほう。

『そういう意味で、ご質問へのお答えに戻ると、一番大きかったのは、やはり海外経済の減速が強まったということです。』

ということで、今回の追加金融緩和なのですが、声明文比較した(と言っても先行き見通しの所がリスク要因の説明だけでウニャウニャ状態なのが少々アレですが)時に申し上げましたように、景気の現状認識を引き下げたという形になっております。

でまあそれはそれで良いのですけれども、そこで微妙にアレだなあと思ったのは、今回はどちらかと言えばメインが展望レポートで中長期の見通しおよび経済物価情勢の点検を行う、というのが趣旨なのですからして、今回追加緩和を実施する際には「中長期的なシナリオを点検した結果として、物価安定の目途達成までに更に時間が掛かる事が示されたので追加金融緩和を実施する」というロジックで来ると思っておりましたが、今回の追加緩和のロジックが(少なくとも白川総裁のこの説明によれば)「海外経済の減速が強まった」という足元の経済状況に即した話になっておりまして、何かこの部分は少々引っ掛かるなあと思ったのはマニアのあたくしだけですかそうですか。


・謎の文書に関して

まあ既に皆様ご案内の通りかとは存じますが念の為。

『(問) 今ご発言のあった「デフレ脱却に向けた取組について」という政府・日銀の共同文書についてですが、これはいわゆる、政府・日銀の「アコード」に相当するものでしょうか。また、これまでも、政府・日銀でデフレ脱却に向けて連携を取ってきたと思いますが、これを「共通理解」として明確化することによって、今後、どのような変化というか、取組みを強化したということが期待できるのか、という実質的な変化について教えて下さい。』

でまあこの答が延々と続きまして、どのくらい延々かと言いますと1ページ越えになるという代物。

『(答) 先程の説明と多少重複する部分があることはお許し頂きたいと思いますが、まず、今回の文書を発表した趣旨からご説明したいと思います。本日、日本銀行は、金融政策決定会合において、わが国経済のデフレ脱却に向けた当面の取組みについて、政府と日本銀行がこれまでも共有している認識を改めて明確に示すため、政府とともに、「デフレ脱却に向けた取組について」を公表することを決定しました。これは、両者のいわば「共通理解」とも言うべきものです。』

「これまでも共有している認識を改めて明確に示す」という時点で「これはただの紙です」という気が満々でございます。

『そこで示されているように、政府と日本銀行は、わが国経済にとって、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるとの認識を共有しています。かねて申し上げている通り、この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しが相俟って実現されていくものです。』

というのは毎度毎度の声明文で主張しているが皆様にスルーされている話。

『このうち、金融面からの後押しという点について、今回のこの文書では、日本銀行は、金融面での不均衡の蓄積などの問題が生じていないことを確認した上で、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していくことを改めて示しています。』

この「見通せるようになるまで」というのがあって、その一方で政策効果を織り込んでこのような〜みたいな願望じゃなかった展望レポートの数字を出しますと、そのセット結果として金融政策のコミットメントなどに関してミスコミュニケーションが起きるリスクが本当はあるのですが、つーかFEDがこのような感じの物言いをすると経済指標がちょっと良くなると直ぐに時間軸が短期化するのですが、まあ日本の場合は金利市場の参加者が平然と高を括っているのでそう簡単に時間軸が短期化しないというのは先日来申し上げている通りでございます。

『また、成長力強化の努力という点について、今回、政府は、「デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠である」という認識をはっきり示されています。このように、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的成長経路への復帰という課題の達成に向けて、政府と日本銀行が最大限の努力を行うことや、それぞれが果たすべき役割について、改めて明確に示すことは、先程申し上げた通り、それぞれの政策をより効果的なものとしていくと考えています。』

『日本銀行としては、政府との十分な意思疎通を図りながら、引き続き、自らの判断と責任のもとで、その使命をしっかりと果たして参りたいと思っています。』

『また、政府におかれては、繰返しになりますが、デフレを生みやすい経済構造を変革するという観点から、思い切った規制緩和を含め、日本経済の成長力強化に向けた取組みを強力に推進していくことを強く期待しています。』

まああの紙みても政府が何かやります系のコミットが強いようには見えませんで一方的に日銀がやります頑張りますという風情にしか見えませんがね。

『それから、「アコード」に関するご質問についてです。』

ということでやっと質問のお題に。

『「アコード」の定義は定かではありませんが、いわゆる「アコード」としてよく知られているのは、中央銀行の独立性に対する意識が高まる中、円滑な戦費調達のためにFRBが行ってきた国債金利上限維持政策の終了を宣言するため、1951年に米国財務省とFRBが公表した共同声明文です。要するに、FRBの独立性を回復した共同声明文がいわゆる「アコード」です。』

『本日発表した文書については、再三申し上げている通り、わが国経済のデフレ脱却に向けた当面の取組みについて、政府と日本銀行がこれまで共有している認識を改めて明確に示すものであり、いわば、両者の「共通理解」であるということです。日本銀行としては、もちろん、これまでもこういう認識を共有していますが、物価安定のもとでの持続的成長の実現に向けて、これからも努力をしていきたいと考えています。』

つまり紙だよアコード何ですかそれということですね、わかります。

・・・・・・・・でまあ他にも質問があったのですが、拘束力はどうなのよという話からの質問が最後にあったのでそれを引用します。

『(問) 本日、公表された「デフレ脱却に向けた取組について」という文書の性質について教えて下さい。まず、「共通理解」とおっしゃったのですが、これは、日銀もこの内容を達成するように拘束されるということでよろしいのでしょうか。2点目は、この文書は、今回の日銀の決定会合の中で決められたわけですが、政府側は財務大臣と経済財政担当大臣の署名があるだけです。日銀としては、政府側のこの文書の実現に向けた担保というものは、どのように取れたとお考えなのでしょうか。3点目は、決定会合後にこのような文書を出されるというやり方で、今後も日銀と政府とのコミュニケーションをされていくのか、状況が変われば、新たな文書を出してコミュニケーションをされるのか、要するに、この文書を出したことで、1つの前例ができてしまったと考えるのですが、それについてどうお考えでしょうか。』

中々鋭いというか厳しい質問ですな。

『(答) まず、1点目についてです。これは、従来、日本銀行が対外的にも、それから政府にも申し上げている認識を文書に落としたものです。政府も、これまで、日本銀行に述べ、あるいは対外的にも述べていることを文書にしているものです。従って、従来と何か違う認識をここに込めたというものではありません。あくまでも、これまで共有している認識を改めて明確に示したというものです。「拘束される」という言葉の語感ですが、日本銀行が物価安定のもとでの持続的成長の実現に向けて政策を行っていくということは、私どもの意識としては、「拘束」ではなく、それはまさに日本銀行法に定められたことを忠実に行っていくということです。』

ということで、全力で「従来と何か違う認識をここに込めたというものではありません」と主張していますが、さっき引用した大久保副大臣のロイターインタビュー記事や、決定会合後の前原大臣の会見などにありますように、まあ政治家サイドとしては別の意味があるという時点でもう何だかねという「紙」ではございます。

『2点目は、政府の措置について、これを実行する担保は何かというご質問です。こうした文書を共同で発表するというのは、もちろん日本銀行にとっても、改めて認識を明確にするという意味で重いものですが、政府にとっても非常に重たいものです。従って、政府は、これについて強力に取り組んでいくということを政府自身が明らかにしているわけですから、このことの持つ意味は非常に重たいと私は受け止めています。』

これはまあこう答えるしか無いので仕方ない面はございますが、政権変わったらどうなるとかまあそういう話(第3の質問にも通じますが)で、前の政権がこういうのを出したというのが後の政権を拘束するのかという事を考えた場合、まあ普通に拘束せんわなという話ですからねえ。

『3点目の前例云々ということについてです。今回、海外経済の減速や、先程この「共通理解」をなぜこのタイミングで発表したのかについてかなり詳しく説明したつもりですが、そこで申し上げたような状況の中で、今回、両者の考え方を改めて明確に示すことは、それぞれの持つ政策の有効性を高めていくと判断したということです。従って、今後、こういう方法を毎回行っていくということでは必ずしもありません。このタイミングで改めて出すことが有効であると判断したということです。』

>今後、こういう方法を毎回行っていくということでは必ずしもありません
>今後、こういう方法を毎回行っていくということでは必ずしもありません
>今後、こういう方法を毎回行っていくということでは必ずしもありません

・・・・・・・・・つまりこの「紙」は前原さんがうるせーから出したけれども今後はフェードアウトしたいとまあそういう事なのは把握致しましたが、自民党におかれましては安倍総裁がより無茶な紙をださせようとか言い出している感があり、まあ大丈夫かねという気は思いっきりしますけどね。


・どうでも良い雑ネタですが

今回の会見では麿先生しらっと『2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします。』と、FEDをdisってんのかというフレーズがありましたが、実は他の質疑ではこんなのが。

『それから、2点目の「オープンエンド」という話ですが、日本銀行は、第一義的には、日本の国民に対して説明責任を有しています。もちろん、最終的には、内外の市場参加者も含めて説明責任を有していますが、第一義的には、日本の国民に対して語りかけなければならないという立場です。「オープンエンド」という概念自体、そもそも曖昧ですし、ごく普通の国民からみて「オープンエンド」というものが何を意味するのか、分かり難いと思います。そういう意味で、「オープンエンド」という言葉に違和感はないかというご質問でしたが、私としては、日本語で正確に表現したいと思っています。』

>私としては、日本語で正確に表現したいと思っています
>私としては、日本語で正確に表現したいと思っています
>私としては、日本語で正確に表現したいと思っています

・・・・・・・・・・俊ちゃんをdisってるんですね、わかります(^^)。

#ということで引用大会で恐縮至極でした




2012/11/02

お題「市場雑談/しつこく展望レポートの物価1%絡みのワーディングの考察」

これは結構なお話。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121101-00000038-asahi-pol
特例公債法案の審議入り容認 安倍氏が方針転換表明
朝日新聞デジタル 11月1日(木)21時20分配信

・・・・・などと言いつつまたモーサテに悪態だが「ECBの国債”無制限”買入プログラム」と日経系のメディアが率先して報道しやがるから世の中の金融政策に対する誤解が拡大してこの前悪態ついた安倍総裁インタビュー記事での話みたいになるのであって、どこぞの電波浴新聞とか電波浴夕刊紙並みの事を日経とあろうものが報道するとかなんだかねえという所であります。


○市場雑談

・今回の緩和では低下ですかそうですか

つーことで市場雑談なのですが、昨日は日本円TIBORが0.32500%となりまして、前日の0.32833%から低下致しました。ちなみにレートについては全銀協のサイトのこのへん(→http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/)で公表されています。

2012年先月までのレート
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYEN2012.pdf

今月のレート
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYENTIBOR.pdf

リファレンス銀行ごとのレートとかは多分情報ベンダーの方を見た方が良いと思うのですけれども、都銀さんなどの数行が0.33%の提示レートを0.32%に下げるという動き。

ちなみにユーロ円TIBORは30日の0.32727%から31日に0.32636%、1日に0.32182%と低下しておりまして、まあ今回の金融緩和に敬意を表した格好でございまして、その一連の流れを受けてかどうか知りませんが、ユーロ円金先は緩和を打ち込んだ日には何故か金利上昇の巻だったのですが、その後は金利低下の巻となっておりますな。

だからどうしたと言われると困りますが、まあそういうことで。


・謎の後場寄付きとか

昨日は10年国債入札だったのですが、前場引けた後後場の寄りに先物謎の急落、と思ったらさっくり戻った上に入札はやや強めで更に確りとなったものの、結局先物レベルは前場の引け近辺での推移とかになってましたが、入札が強かった10年ではなくて超長期の方が堅調という謎展開。

誰が何で先物叩いたのか存じませんが、まあそれはそれと致しまして、最近の債券市場は他市場との関連で動くという形がやや崩れている感があって、米国がスティープするのに日本はフラットとか、株が上がっても債券サガランチ会長とか、何か不思議ちゃんな展開がここの所続いているのが何か不気味っちゃあ不気味でございますな。


○展望レポート関連である

今日は基本的見解部分で勘弁。

日本語版
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1204a.pdf(前回)

英語版
http://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor1210a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor1204a.pdf(前回)

ということで展望レポート基本的見解でございますが。

・物は試しに佐藤さんと木内さんが反対した部分の英文を読んでみる

物価が「着実に近づいて行く(前回が「遠からず達する」)」と金融政策のセット部分については『VI. Conduct of Monetary Policy』の所になります。

『The year-on-year rate of change in the CPI, excluding the effects of the consumption tax hike, is expected to hover around 0 percent for the time being and start rising gradually thereafter as the aggregate supply and demand balance improves. In fiscal 2014, it appears likely that it will move steadily closer toward the Bank's "price stability goal in the medium to long term" of 1 percent for the time being.』(今回)

『On the assumption that medium- to long-term inflation expectations remain stable, the year-on-year rate of change in the CPI is expected to gradually rise to a range of above 0.5 percent and less than 1 percent toward the latter half of the projection period as the aggregate supply and demand balance improves. Thereafter, it will likely be not too long before the rate reaches the Bank's "price stability goal in the medium to long term" of 1 percent for the time being.』(前回)

これね、まあ前回と比較という話とは別にしまして考えますと、英語の表現と日本語の表現って同じなのは間違いないのですが、ワーディングを見ると日本語よりも英語の方が明瞭になっているのがチャーミングというか何というか。

つまりですね、英語の表現だと上記のように、1%の定義が「足元の数字」じゃなくて「中長期的な物価としての1%」という言い方を明瞭にしているのですが、日本語の表現はご案内の通りでございまして、今回分の該当箇所はこうなっています。

『消費税率引き上げの直接的な影響を除いた消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとみられる。』(今回)

これと、物価見通しとしての2014年度平均+0.8%という数字を出されると、ここでの1%という表現が普通に足元の数値としての1%であるとしか読めない訳でございまして、ロンガーランの物価数値なのか足元の物価数値なのか判らんぞなもしというか、普通に読んだらこれロンガーランの1%とは読めないでしょと思うのですよ。

だからこそ昨日引用したように、総裁記者会見での物価に関する質疑でも2014年平均が+0.8%で「着実に近づいて行く」のだったら2015年は1%ですよねという質問が飛んできて、それって中長期的な物価安定の目途を達成ですかそうですか、という風に解釈されやすいと思うので、ここのワーディングってもう少し工夫の余地があるのではないかと思うのですよ。このまままともに解釈すると時間軸が全然長くないという話になっちゃいますし、日銀は中長期的な物価安定の目途達成とか直ぐに言い出すんじゃないかとか思われるリスクを高めているだけのように思えます。

で、1%云々の英文表現を見ると前回が「it will likely be not too long before the rate reaches the Bank's "price stability goal in the medium to long term" of 1 percent for the time being.」で今回が「it will move steadily closer toward the Bank's "price stability goal in the medium to long term" of 1 percent for the time being.」なので、確かに英文で見ると1%に達するまでの見通しが明言状態から近づくでしょう状態になっているので、表現としては後退しているというのがまあ判るのですが、日本語の表現の場合はそもそもそこが判りにくい上に、昨日も申し上げておりますように数値としての見通しが2014年度で+0.8%中心という置きをされると、2014年度後半には+1%乗せですよね物価安定の目途達成ですよねという解釈をされやすいでしょとゆー話。

どうもここのワーディングに連日拘っておる訳ですが、やはりこの辺りの書きっぷりをもうちょっと工夫した方が良いのではないかと思うのでああだこうだ書くあたくし。昨日会見ネタの所で申し上げましたように、この2014年度+0.8%という数値に「政策効果を織り込む」成分が強く入ったりしてるんじゃネーノというのがあるせいか、どうも展望レポートの中の見通しも随所に微妙にそれ強いんじゃねえのというのが見受けられるような気もせんでもないですし、何かねえ感がするという一環でこの辺りのワーディングも気になる、とまあそういう事ですな。


でまあ強力な緩和を推進云々ですが。

『First, the Bank aims to achieve its "price stability goal in the medium to long term" of 1 percent for the time being in terms of the year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and implementing the Asset Purchase Program mainly through the purchase of financial assets.』(今回)

『First, the Bank aims to achieve its "price stability goal in the medium to long term" of 1percent for the time being in terms of the year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and implementing the Asset Purchase Program mainly through the purchase of financial assets.』(前回)

ということで、前回と表現に変化は無く、さっきの部分とセットでみると「ロンガーランの1%」は2014年度ではまだ達することがなく、その先は「着実に近づく」とは言っているものの、前回のように「not too long」とかいう表現が抜けているので、したがって2014年度一杯は強力な金融緩和を推進しますという結論になる(はずなのに買入のコミットメントをしているのは2013年末までというのも微妙にアレですし、まあそういう質問も総裁会見でありました)のですが、日本語の表現では前段の1%云々の部分が足元の数字なのかロンガーランの数字なのかが判りにくい事から、想定される時間軸が英文と日本文で微妙にこれ違いませんかという気がしますがどうなんでしょ。

でもって総裁会見での説明を通して読む(といいつつまだ成敗してませんなすいませんすいません)、どうも日本語の正本よりも参考扱いの英文の方のニュアンスで総裁は話をしているようにも読めますし、微妙にそうじゃなさそうな部分もあったりしてわけわかんねーという感じなのですが、ここは時間軸に関する部分なので、もう少し全体として判りやすい言い方をした方が良いと思うのですが如何なもんでしょうかねえ。

#まあ曖昧にしておいてフリーハンドを確保したいという気持ちも判らんでも無いが、今はそんな事言ってる場合じゃないでしょと思いますので・・・・・


・リスクバランスチャートがしらっと変更

図なので磔の刑が出来ないという事で、基本的見解の最終頁を見てちょという所ですが・・・・・・

ご覧になると判るように、リスクバランスチャートが今回若干BOEのファンチャートっぽくなっております。で、上位○%とかの分布で色を塗っていますので、例えばCPIに関しての2014年度の予想ですが、全体のレンジが+0.2〜+1.0で上下1名控除後の大勢見通しが+0.4〜+1.0となっていますが、そこに分布が見えるので途中の票の入り方が何となく透けて見える感じです。

で見ると、リスク認識は明らかに下なのですが、政策効果とやらを織り込んだ人が結構いやがるなあとか思うのでございますが、見通しのレンジに対して中央値が+0.8%というのは、そらまあ投票集計的にはそういう事になるんでしょうが、分布をみるとうーむという感じではございます。


とか何とか書いていたら時間が無くなったので、景気見通しだのその辺の話と総裁会見ネタの続きは来週でご勘弁くらはい。





2012/11/01

お題「総裁会見のうち物価に関する部分と麿節の考察(ただの悪態)で終了してしまいましたorz」

カテゴリー1の台風で洪水だわ停電だわ立会2日停止だわ地下鉄水没だわとゆーのを見ると日本のインフラの強すぎさに感心するのだが何でそういうことをニュースでやらないのでしょうかねえ。

それはそれとして、一昨日の金融政策決定会合後の反応を見て「日銀の緩和が足りない」と仰せの方が沢山おられましたが、昨日の引けとか今日のニューヨークとか見てますとすっかり元に戻っていますがそれに対するコメントは???

つーか、謎の文書作成で会合時間がクソ長くなり、その結果変な日計りポジションが溜まった反動と考えると、結局どこぞの大臣はひたすら市場と日銀の足を引っ張るだけのナントカな働き者であるという事でしょうなあ。

という悪態は兎も角まずは総裁会見から。


○総裁会見である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1210b.pdf

まあツッコミ所とかネタとかございますのでその辺を鑑賞しつつということで、まずは冒頭の説明部分から。

・新貸出措置について・・・・・というよりは単に麿節に関する考察

『第2に、今回新たな措置として、「貸出増加を支援するための資金供給」の枠組みの創設を全員一致で決定しました。この枠組みは、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給するもので、資金供給の総額の上限は設定せず、無制限としています。本日の決定会合では、執行部に対し、この新たな資金供給の枠組みについて具体的な検討を行い、改めて決定会合に報告するよう指示しました。資金供給の規模は、貸出の増加に向けた金融機関の今後の取組み姿勢に依存します。』

>金融機関の今後の取組み姿勢に依存します

・・・・・・・・なんつーかね、まあ仰る通りではあるのですが、こういう所が麿節だなと思う訳でして、何でこう木で鼻を括ったような言い方になるのやらと毎度思うのでございますよ。確かに資金供給の規模については金融機関の申請ベースになるのですけれども、「取り組み姿勢に依存する」とかいう言い方をすると言われた金融機関サイドからすると責任転嫁されているみたいに感じますし、そうじゃなくても何か「制度は作ったので後は金融機関のせいです」みたいな感じが漂ってしまう訳ですよ。

じゃあどう言えば良いかというと難しいですけれども、この次にある昨年の金融機関の貸出実績の数字だけ出して置けば良い訳で、丁寧に説明したいのは判るのですが、一々余計なんですよねえ・・・・・・・


・麿節の考察ついでに「金融緩和のフロントランナー」発言に関する考察

質疑応答の中でFRBとの比較とかの中で毎度お馴染みの「フロントランナー」発言が出ておりますので、麿節考察ついでにツッコミを。

『それからもう1つ、私自身がこういう質問を聞きながら感じることですが、日本銀行は、この10数年間、金融緩和政策の面で常に世界の中央銀行の先頭を走ってきたという自負があります。もちろん、これは日本経済の厳しい状況に対応する必要から生まれてきた様々な政策です。今、海外の多くの中央銀行が採用している政策の中で、日本銀行が採用してこなかった政策はほとんどないという感じがします。それにも関わらず、日本の政策を議論するときに、常に米国の議論があり、それから米国に照らして日本の政策を議論していくというのは、非常に寂しい構図だと思います。私どもとしては、私どもがフロンティアであるという思いを持って、政策を行う者も、あるいは政策にコメントする者も、そういう気持ちで政策を考えていきたいという思いです。』

・・・・・・・・・・一応ご本人も「厳しい経済状況」ってのは断りいれていますが、当然ながらニュースとかで報道される時には「フロントランナー」の方だけがヘッドラインになるし、記事だってまあ普通にそっちだけの話になる訳ですよね。

となりますと、まあ総裁会見の報道記事を見たら「そもそも経済が悪くなければ金融緩和をしなくても良いのだから、金融緩和のフロントランナーとか全然自慢にもならない話でしょ」という事にちょっと考えれば気が付く訳でして、まあ上記のように発言を全部読むとそういう言い方してるけど、一般的に総裁会見要旨のテキストまで細々読む人とか金融市場の中でもたぶん多数派じゃないと思う訳ですよね。従いまして、まあ麿の言いたいこともよー判りますし、火消しスキルというのは非常に重要なので火消しスキルの高さというのは地味で評価されにくいだけに評価すべきである、とまあそ―ゆー事も勿論わかるのですが、まあやはりこのネタってあまり強調すべき話では無いような気がするんですよね。

何か「フロンティア」っていうと物凄い前向きな語感があって、まあ麿的にも前向きな語感なのですが、結果として火消しが中々出来ない(対処療法の火消しはできても肝心のデフレ脱却は出来ないという意味で)ので新たな火消しツールを投入しておりますという状況で、まあ確かに自分たちが言わないと誰も褒めてくれないという状況も残念なのではございますが、あまり前向きっぽく自慢されてもいわゆる引かれ者の小唄にしか聞こえないので、もうちょっとサラッと「大きな資産バブル崩壊後に起きる経済の問題というのは似るので、最近は海外主要国の金融政策がかつての日本の政策を参考に後追いのようになっていますね(ニヤニヤ)」程度に留めておけば良いのにと思うのですよ。

つまりですな、麿の言いたいことも十分理解はできるのですが、この「フロントランナー」という発言がヘッドラインに出ると「また出たよ」というげんなり感の方が恐らく日銀に対してそれなりに理解しようと努めておりますあたくしでも出てしまうという事を勘案しますと、日銀ケシカランとか言ってる人たちの神経を盛大に逆撫でする効果が絶大な気がするんで、もうちょっとこれ何とかならんのかとか思いますが時既にお寿司ですかそうですか。

もちろん、麿の言うように「今、海外の多くの中央銀行が採用している政策の中で、日本銀行が採用してこなかった政策はほとんどないという感じがします。それにも関わらず、日本の政策を議論するときに、常に米国の議論があり、それから米国に照らして日本の政策を議論していくというのは、非常に寂しい構図だと思います。」というのは全くその通りだと思いますが、物は言い様という事で、もうちょっと言い様を考えて頂ければそういう話も日本でもう少し盛り上がると思いますし、大体からしてあたくしがこの前の自民党安倍総裁の時事インタビューに突っ込んだような論点ってもう少し共有されるんじゃないかなとか思うのでして、とにかく日銀が折角色々な事をやっているのに勿体ないと思うのですよね。


・・・・・・・・ありゃ、悪態が長くなってしまいましたよorz


・物価見通しに関して

まずは冒頭の説明に戻りまして、展望レポート反対理由の部分から。

『次に、こうした決定の背景となる経済・物価情勢について、展望レポートの内容を含めて、ご説明します。なお、この展望レポートの記述を巡っては、佐藤委員、木内委員のお二人から反対意見が示されました。お二人の委員は、「消費者物価の前年比が、2014年度には1%に着実に近づいていく」との記述に反対の意を示されるとともに、コミットメントの文言を変更すべきとのご意見でした。その詳細については次回決定会合後に公表される議事要旨をご覧下さい。』

まあ詳しくは議事要旨という所でしょうが、確かに昨日あたくしがちょっと申し上げましたように、物価見通しの数値に加えて「着実に近づいて行く」という表現をセットにしたうえでコミットメントの文言があれだと、うっかりすると次の展望レポート位に「物価安定の目途達成が展望できる」というような事になるんじゃネーノとかいうような話になっちゃいますぞなもしという話です罠。

これね、そもそも日本でそんなに物価が上がるかヴォケとか市場参加者の100人中150人くらいが高を括っているのと、実際に物価がご案内の通りという状況だから時間軸が1ミリも変化しないのですけれども、本来は時間軸が短期化されてもおかしくないようなセットになっていて、やはりコミュニケーションポリシー的に間違ったメッセージを与える惧れがありますなと思います。


『先行きの中心的な見通しについては、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられますが、本日決定した金融緩和措置も踏まえれば、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられます。すなわち、2013年度の成長率に関する政策委員見通しの中央値は1.6%と、消費税率引上げ前の駆込み需要の影響を除いても、潜在成長率をはっきりと上回るとみられます。2014年度についても、0.6%と駆込み需要の反動から成長率が低下すると見込まれますが、この影響を除いてみれば、引き続き潜在成長率を上回る成長経路を辿ると考えられます。』

『先行きの物価情勢を展望すると、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとみられます。』

潜在成長を上回る成長が続くので需給ギャップが縮小して徐々に上昇するというロジックなのですが、そもそも足元の景気認識を引き下げており(目先的な先行きの見通しは今回声明文に記載が無いのでよく判らんですが)、更に海外経済の回復が遅れるでしょうという話(展望レポートを前回と比較して読むとこの前会見で麿が言ってた半年どころでは無く、1年近く遅れるようなニュアンスの書き方になっているように見えますがそのネタまで今日時間が回ら無さそうなので(すいません)それは明日に)で、何がどうすると需給ギャップがホイホイ改善するのか謎なのですが、まあそういう見込みと。


でまあその見通しに鉛筆舐め舐め要因が入っているのではないかと思わせる応答があったので(^^)、そこを引用。

『(問) 資産買入等の基金の11兆円増額は、2013年末までに全て完了することになっていますが、消費者物価の前年比上昇率1%が2014年に見通せないという中で、2014年に完了するという考え方はなかったのでしょうか。』

まあこの質問はかなり頓珍漢の抜作先生なのですがそれは兎も角として。

『(答) まず、基金に限らず、金融政策の効果が表れるには少し時間が掛かります。1年、1年半から2年というように、大変長い時間が掛かってきます。また、今回、検討するよう決定した「貸出増加を支援するための資金供給」は、まだ制度の細目が決まっているわけではありません。もちろん、各委員の予測の中には、この貸出増加支援のための資金供給の効果もある程度織り込んでいると思いますが、完全に織り込めているかというと、これはなかなか織り込みにくい性質のものだろうと思います。それからもう1つ、今回の「共通理解」の文書にも示されているように、消費者物価上昇率1%という目指すべき姿は、日本銀行だけで実現できるものではないということを、政府自身も認識している通りであり、政府もこの間、強力に「日本再生戦略」に取り組んでいくということも謳われています。こうした政府の取組みは、具体的には既に決まっているものもありますが、これから決めていくものもあります。そうした取組みによるプラス効果をどの程度織り込むかについて――もちろん委員によって差があると思いますが――、仮にそうしたものが実現していけば、むしろ上振れ要因にもなってくると思います。』

>そうした取組みによるプラス効果をどの程度織り込むかについて
>そうした取組みによるプラス効果をどの程度織り込むかについて
>そうした取組みによるプラス効果をどの程度織り込むかについて

・・・・・・・・・つまり願望レポートということですねわかります。

などという悪態は兎も角として、今回の展望レポートでの表現変化に関してはこんな質疑が。

『(問) 物価安定の目途である1%について、今回の展望レポートでは、2014年度に「近づいていく」という表現になっています。4月の展望レポートでは「遠からず達する」というように、到達する時期について言及していたと思いますが、なぜ今回は「近づいていく」という表現に止まり、1%に到達する時期を示せないのかについてご説明をお願いします。また、2014年度に「近づいていく」ということは、論理的に考えると、2015年度には達成できるという見通しだと考えてよいのでしょうか。』

確かにこういう見方も出来るなあとは思ったのですが、実際問題として2014年度が+0.8%平均で出しているという事は実は到達する時期については今回の方が表現として強くなっているようにも読めますなというのは昨日からあたくしが申し上げている通り。

とまあどっちとも取れる表現になっているという時点でコミュニケーションポリシー的に如何なものかという感じがするので、反対が入るのも何となくわかるのですが。

『(答) まず、物価上昇率が2014年度に1%に「近づいていく」という点です。2014年は、かなり先のことですから、もちろん委員によって多少のニュアンスの差はあります。その辺の見方の違いは、今回お示しした分布図に出ていますが、全体としては、1%に「着実に近づいていく」というイメージだと判断しています。今回の見通しは2014年度までですから、2015年度がどうかということでは、もちろん各委員の頭の中にイメージはあると思いますが、2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします。』

>2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします
>2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします
>2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします
>2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします
>2015年という3年後について、確度の高い見通しを持つことの方こそ、やや不自然な感じがします

FRBを盛大にdisる麿ワロタ。

『先になればなるほど、当然、その不確実性は高まっていくわけですが、大事なことは、経済・物価がどういう方向に向かっているかということです。私どもの基本的な想定としては、世界経済の減速がいずれは終息し、 IMF等の見通しと同じように、その成長率が次第に高まっていくというものです。これにより、日本の輸出にも当然相応の影響が出てくる中で、ゼロ%台半ばの潜在成長率を上回る成長率が実現していくわけで、そうして需給ギャップが解消していくとなると、それは、物価上昇率に少しずつ反映されていくことになります。』

え??

『経済が、そうした軌道を踏み外しているのかどうかということについては、今回は、このような政策措置も採り、政府も対策を採っていく中で、そうした軌道に乗っているという判断です。』

はあそうですか・・・・・・

とまあそーゆーことで何と申しますか、まあ物価見通しが相変わらず強めの物が出て、そこから経済見通しの基本的な絵が往生際悪く強いとか、どうもねという感じです。

更に文言の定義に関して。

『(問) 消費者物価上昇率1%が見通せるようになるまで実質ゼロ金利、緩和を続けるということですが、その「見通せる」という言葉の定義を確認させて下さい。展望レポートに書かれている「1%に着実に近づいていく」という状態が、この「見通せる」という状態には達していないということなのか、もしそうだとすれば、その「見通せる」という状態になるのは、どのような状況に変化した時なのか、ご説明をお願いします。』

これは良い質問。

『(答) まず、今回の展望レポートの「1%に着実に近づいていく」という判断ですが、「1%が見通せる」という判断には至っていません。どういう状況になれば「見通せる」のか、ということですが、もちろん、物価に限らず景気もそうですが、「見通せる」ための何か機械的なフォーミュラがあるわけではありません。いつも申し上げていますが、物価の先行きを規定するのは需給ギャップであり、あるいは予想インフレ率や輸入コストの動向です。私どもとしては、そうした変数に影響を与えていく様々な要素を入念に点検しながら、毎回の決定会合で点検していくことになります。』

例によって蒟蒻問答に持ち込んでおりますが、要するに「見通せる」ではないというのが結論ですな。


ということで、物価に関する質疑応答を色々と見ていたら気が付けば時間ががががなので総裁会見ネタの後半となる予定の「アコード」とかの所と、展望レポートネタに関してはすいませんが明日という事でよろしゅうに。


・・・・・・・・で、最後にこれはワロタという質疑を一発。

・これは爆笑

『(問) 今回の金融政策決定会合の前に、いくつかのメディアでは「金融緩和10兆円規模」という報道があったと思うのですが、この数字が出たというのは、日銀に取材した事実があった上で出たのでしょうか。それとも、日銀は全く預かり知らずに、こういう報道が出たのでしょうか。(後半割愛)』

>この数字が出たというのは、日銀に取材した事実があった上で出たのでしょうか
>この数字が出たというのは、日銀に取材した事実があった上で出たのでしょうか
>この数字が出たというのは、日銀に取材した事実があった上で出たのでしょうか

・・・・・・・・・・(^o^)/~~~

『(答) まず、買入基金の規模ですが、メディアの方がどのように取材をされているのか私は知りませんから、むしろ、ここにおられるメディアの方に聞いて頂きたいというのが私の答えになります。』

・・・・・・・・・・・とりあえず蕎麦茶吹いたわwwwww

『日本銀行自身は、先程、決定会合の時間が長引いたということを申し上げましたが、決定会合の場で真剣に議論を行っています。従って、これを決めたのはまさに本日です。そういう意味で、先程の日本銀行への取材云々ということについて、私が直接お答えすることは避けますが、日本銀行としては、本日、真剣な議論を行って決めたということです。(後半割愛)』