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2012/12/28

お題「昨日の続きの積りで書いたら昨日の追補版になってしましましたぞなもし」

モーサテ今年の締めは吉崎さんとな(^^)。

うむ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121228/k10014490381000.html
NY市場 1ドル86円台に 12月28日 0時27分

『27日のニューヨーク外国為替市場は、安倍内閣が発足し、日銀が一段の金融緩和に踏み切るのではないかという見方から、円を売ってドルを買う動きが強まり、円相場はおよそ2年4か月ぶりに1ドル=86円台をつけました。』(上記URLより)

これね、何でこういう時に日銀の名前が受動的になっているのかと思うのですけれども・・・・・って何でもへったくれもなくていわゆるコメントする人たちとそれを受けて報道する人たちのレベルを反映しているだけではあるのですが、昨日ああだこうだ書きましたように、11月の日銀金融政策決定会合議事要旨に示されているように「11月の時点から日銀は円安を促して物価を上昇させようという姿勢が強まっている」という事が明確になった(だから議事要旨の出たタイミングで為替が84円台から85円台に上昇した)訳でして、未だに「安倍さんの圧力ガー」とか言っている方は以下悪態。

ということで、大ネタが最後に出た上に今週は月曜が休みだったので金曜日気分ですらない年末週末でございます(あたくしだけですかそうですか^^)ので今日も平壌運転のこのあたくしで昨日の続きで11月決定会合議事要旨ネタです。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf

そして実はマニア向け(ではありませんので念の為^^)にはこのようなものも出ているのでして・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf

○しつこく昨日と同じ部分を今度は英文議事要旨を踏まえながら再確認してみる

ということで昨日は『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分を引用してああだこうだ書きましたが、「為替市場への働きかけ」云々の部分を改めて英文版で読みますとこれが更に味わいがあります。ちなみにその部分は『III. Summary of Discussions on Monetary Policy for the Immediate Future』です(以下議事要旨の引用部分ですが、基本的に日本文は日本語版、英文は英語版からの引用となります)。

『Some members raised the point that it might be necessary for the Bank to improve its policy measures further to enhance the influence of monetary policy on foreign exchange rates. 』

>policy measures further to enhance the influence of monetary policy on foreign exchange rates.

ふむこっちの方が判りやすいですなという所ですが、まあマニアと申しましてもこのあたくし、マニアレベルから言えばまだまだカルトレベルに全然達していない(世の中の一番の中銀カルトは多分麿だと思われます^^)あたくしでございますので普段の英文書き振りに慣れていないのでございますが、この先の文章を見ると・・・・・・・

『A few of these members expressed the recognition that misunderstanding and suspicions about the Bank's monetary easing stance existed in, for example, the foreign exchange market.』

ということで(当たり前ですが)a fewとsomeを使い分けておりまして、昨日引用した時には明らかに文章の流れと12月会合の石田さんの提案から勘案するに3名が為替の働きかけという話をしましたが、もしかしたら3名だけではないかもしれませんな。つーかまあ日本語の方の議事要旨でもあれだけああだこうだ書いてあったという所から勘案すると相当の議論があったはずで、3名だけの話だとここまでああだこうだ書かないという事も実は想定されるので、想定の話かもしれないですけど3名超なのかもとか思いつつ。

ただし、日銀の場合はFRBのミニッツと違うので、たぶん「2名の」という表記を英語ではしていない(日本語で2名という記述をしていないので英文表記でも避ける筈)ので、まあa fewが2名でsomeが3名の可能性もあるんですけどね。

でまあそれはそれと致しまして。

『In view of the need to dispel such misunderstanding and suspicions, thereby encouraging further permeation of monetary easing effects, as well as to influence market expectations, these members then raised the issue, as in the previous meeting, of whether it would be effective to change the current wording of the Bank's policy commitment -- namely, that the Bank aimed to achieve its goal of 1 percent for the time being in terms of the year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and implementing the Program mainly through the purchase of financial assets, and would continue with this powerful easing until it judged the 1 percent goal to be in sight.』

一文がなげえよと思いますが、こちらはコミットメント文言の変更というか明確化の話で、10月30日の会合で佐藤さんが提案して木内さんが賛成した件です。


○オープンエンドの部分に関して

『One of these members said that an option for the Bank would be to clearly present in the statement, which was to be released immediately after the meeting, that it would continue powerful monetary easing mainly through the virtually zero interest rate policy and the purchase of financial assets, without setting any timeframe, until it achieved a CPI inflation rate of 1 percent.』

『このうちの一人の委員は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を通じた強力な金融緩和について、消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンドとすることを対外公表文に明記することが考えられると述べた。』

ということで日本文(ちなみに日本文がMPMの承認を経た正本で英文は日本文を底本に日銀スタッフが作成したものですので念の為)で「消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンド」とありますが、英文の方がより判りやすくなっているのがチャーミングでして「時間的なフレームを設定しないで」となっている訳で、まあつまり(APPの枠組みを変更しない事を前提に考えた場合)APPについて「2013年12月まで幾らの達成」に上乗せするとすれば、「その後についても一定額の購入を行い、基金買入の償還分については再投資を行う」というような言い方になるのかねとゆー所でしょうかね。

で、ここは英文を読んでいてもあまり確信できなかったのですが、「消費者物価の1%を達成」という所が現在の物価安定の目途に示されている「見通し」ベースのものなのか、「実際に達成すべき数値」なのかがワカランチ会長なのですが、何となくこの書き方のニュアンスは実績ベースのような希ガス。

まあ勝手に想像しますと、実績ベースで1%達成するまで緩和継続という言い方ですと、これは失業率を低下させようとしてロンガーランの5.2-6.0%ゴールの手前である「実績値6.5%」の所に閾値を置いてガイダンス文言を設定したFRBに似たフレームでもあるなあとか思った訳ですけれどもどうでしょうかね(^^)。


○石田さん失礼しましたすいませんでもあの見せ方をされますと・・・・・・・・・

でまあその後の多くの委員の指摘とそれに対するツッコミの部分はスルーしまして、石田審議委員と思われる方の付利撤廃に関する指摘。

『One member -- noting that the shorter-end government bond yields in some countries with high creditworthiness were in negative territory -- said that, although the abolishment of the payment of interest on excess reserve balances at the Bank would pose various problems, such as a decline in the functioning of financial markets, if such abolishment could bring down yields further on T-Bills in Japan, this might reduce the attractiveness of the yen as a safe-haven currency and exert influence on foreign exchange rates.』

『一人の委員は、信用力の高い一部の国の短めの国債利回りがマイナス圏にあることを指摘したうえで、超過準備への付利の廃止には金融市場の機能低下等の様々な問題があるものの、これによりわが国の短期国債の利回りを一段と引き下げることができれば、退避通貨としての円の魅力を減ずることになり、為替相場にも働きかける可能性があると述べた。』

ということで、こちらも英文の説明の方がニュアンスが伝わりやすい(まあ日本文でも判るちゃあ判るのですが)訳で、石田審議委員としては「付利撤廃を行う事によって短期市場金利がゼロ(下手したら国債の金利などはマイナス)になって短期市場が壊滅状態になったとしても、市場金利の低下で為替市場の円安誘導が図れるのであればそれも止む無し」という認識を示しているというのが英語の方がより判りやすいのですが、つまりはそれだけの危機意識を認識として示したうえで付利金利の撤廃の議論を11月の時点から行っていて、その結果が12月の提案として出た、とまあそういう事だった訳ですよね。

まあ何ですな、そういう背景とかが予め判っていれば12月会合の時に一部市場関係者の間に衝撃と共にブーイングが巻き起こる事も少なかったと思われる次第で、石田さん向けに言い訳を致しますと、何も前振り無しであの提案だけポコッと出され、その理由についての声明文注釈が「為替市場により働きかけるため」だけですとナンジャソラと思うのが市場の中の人的に普通の反応になるのですよ。まあ麿の会見では「金利の引き下げで為替市場に働きかける」という話だけあったのですが、これだけでもやはりポコッと出た感を受けて思いつきっぽく見えてしまうので、そういう反応になって(二日酔いの勢いもありますが^^)しまう訳ですなうんうん。

然るに、実は前振りとしてこのような背景がありましたと言う事ですと、石田さんの提案の背景に対する外野のワタクシ達の認識が全然違ってくる訳で、実務家出身者として大きなデメリットも認識した上で、そのデメリットを背負ってまでも為替市場をどげんとせんといかんとゆーお話をしているってえ事ですので、そらまあ悪態をつくような話とは違いますがなって所ですぞなもしという所で。

ただし、付利撤廃という事になればAPPの残高積み上げは実務上困難(はっきり言って現時点では目標があるからオペ参加者も超過準備積み上げながら対応している面があって、超過準備を積むメリットが無くなって単にバランスシートが拡大(対日銀だからリスク資産は拡大しないと思いますけど)するだけの超過準備をそんなに積む人は居なくなりますし、超過準備持っているよりも国債の形で持っていた方がバランスシート的に美しいからそんなにホイホイと買入オペ(単なる資金供給オペでは無い点に注意)に札入れてこないでしょう)になるでしょうし、そもそも成長基盤強化やら今回の貸出増加支援策などのフレームワークに参加する意味が無くなる(上に従来の固定金利貸出が全部やられになってしまうので、参加した分馬鹿を見た格好になりますので金融機関的にはナンジャソラ状態)ので、それらの枠組みを全面的に入れ替えないといけないという事で、その辺の制度再設計も含めてガラガラポンしないといかんぞなもしというのは連日申し上げている通り。つーかだいたいこういう流れを見て思うのだが、日銀はこの手の仕組みを緻密というか堅牢に作り過ぎで、その後の変化に対応しにくくて現場のオペレーション担当が複雑骨折状態になりながら対応するという残念な事案が良く見られるぞなと思いますので、もうちょっとこの辺の設計をラフにするというのも(FRBなんて前後矛盾をモノともせずにホイホイ変えていまして、あれはあれでいい加減過ぎると思いますが)考慮されたいと思いますけどね。

ちと話が逸れましたが、まあそういう事で、今回の石田さんの提案に関して実は既に前回の会合から問題提起があって、その辺りの議論を経て今回石田さんの提案に至った、というような話が全然伝わらないでいきなり結果だけ出されたのはコミュニケーションポリシーとして実に残念でありまして、まあ連続緩和した翌月だったからあまりその手の話をして市場を煽りたく無かったのだろうなあとは想像できるのですが、11月会見で特に為替市場への働きかけについて様々な議論があったというような話が全然なかったですし、12月会見での石田審議委員の提案に関する説明も金利を下げて為替に影響というだけのあっさり味説明でして、何と申しますか非常に勿体ない話で、別に安倍さんだけじゃなくて日銀だって既に強い問題意識を持って取り組んでいるという部分をアピールできたんじゃないのと思うのですよね。

そのアピール足りないから85円乗せからの円安に関しても未だに一般的な報道が安倍内閣発足云々の方で安倍さんが完全に主体のようになっているように認知されてしまい、日銀の取り組みがアピールされないとか、これはもう見せ方が残念にも程があるとしか申し上げようがございません訳ですな。

#まあ議事要旨のニュアンスを見ると為替云々については執行部サイドじゃなくて審議委員サイド(特に民間企業出身の4名と思われますが)が主導しているので麿的にアレなのかもしれませんけれども

なお、金利市場の中の人的に申し上げると付利撤廃で金利ゼロとかになるとやはり色々な面でのデメリットがありまして、それをするなら「絶対に」円安と株高に持って行って頂かないと、中期ゾーン以下大体短期からやや長めの短期の金利を扱う人間にとっては金利という糧食が無くなってしまってアラカン山脈白骨街道状態になるだけでありまして、従来のオペ拡大の無駄打ちとはレベルの違う何やってるんだ状態になる訳でございますので、それなりの覚悟と用意を持って頂かないとまさに金利のインパール作戦となるという点は全力で指摘させていただきたいと思います。


○やはり短国買入については「確信犯で金利押し下げ」の狙いがあった訳で

さて話が全力で逸れましたが先ほどの続きが残っておりますのでちと引用します。

『On this point, a different member commented that another measure to encourage a decline in yields on T-Bills would be to increase the Bank's outright purchases of T-Bills while continuing with the payment of interest on excess reserve balances.』

『この点に関し、別の一人の委員は、短期国債利回りの低下を図る手法として、現状の超過準備への付利を維持したまま、短期国債買入れを増額することも考えられるとコメントした。』

まあここは日本文で読んでも判りますが、「安全通貨としての円の魅力を下げる」という観点であれば、付利撤廃で短期市場壊滅させなくてもそもそもTBの金利を下げてしまえば良かろうという論点で、これはこれでまあ有り得る話ですし、この手段で確信犯で短国金利を押し下げるというのであればTBの買入枠をもっと増やせますがなという話にはなりますな。

しかしこの点に関しても声明文や会見での説明ではスルーしておりまして、この部分だって「市場金利の一段の低下を促す為に短期国債も含めて買入を拡大する」というような見せ方をしてくれれば、MPMの当日に為替市場がちゃんと反応してくれていた可能性がある訳で、これも見せ方が勿体ないにも程があるわと思うのですが。

ちなみに今回の声明文ではこんな書き方になっていたのですが・・・・・・

『「資産買入等の基金」を91 兆円程度から101 兆円程度に10 兆円程度増額する。基金増額の対象については、別紙2のとおり、短期国債を5兆円程度、長期国債を5兆円程度とする。「資産買入等の基金」を通じた今後1年間の追加的な資産買入れ額は、既に決定したものと合わせ、36 兆円程度となる。このほかに、日本銀行は、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。』(12月決定会合声明文より)

『以上の景気・物価情勢を踏まえ、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏みはずさないようにするため、日本銀行は、金融緩和を一段と強化することが適当と判断した。』(12月決定会合声明文より)

この辺りのどこにもその辺のニュアンスが出ていないというのが残念で、まあ現状で「為替市場へのより積極的な働きかけ」というのが全員の認識になるまで至っていないという事の反映(だから先ほども昨日も書きましたように、12月の決定は「審議委員からの積極的な」という感を受けた訳ですが)なのかも知れないので、そういう出し方をしていない、と言ってしまえばそれまでかも知れませんけど、まあ一事が万事で結果として行っている「オペレーション」そのものはそれこそびた1ユーロたりともOMT買入を実行していないECBと比べたら飛んでも無い勢いで行っているというのに「見劣りがする」だの「緩和が足りない」だの言われる訳ですな。実に残念。

まあ今さら麿がどうのこうの言ってもシャーナイのですが、金融危機における国際協調とか対応とかに関しては麿大活躍(まあ大活躍は麿一人だけではないですが)なのですし、例えば成長基盤強化に類するものをBOEがやっているとかのように、金融政策のあるべき枠組みとか方向性を示す制度設計とかに関しても麿(というか日銀全体)の技量って卓越していると思うのですけれども、ドラギの大爆笑先生のような「ハッタリかまして宝刀見せるけど抜かずに済まして実はタダ」的な非伝統的政策とか、逆さ絵おじさんのように「ストックビューで始めた筈の資産買入の説明がいつの間にかフロービューになっている」というようなインチキ成分が悲しいほど欠如しておられるのがこの辺りの残念な見せ方に反映されているんでしょうなあとは思う所でございます、はい。

・・・・・・・えーっと、何か昨日の繰り返しで景気の現状認識と見通しがエライ弱いという話はどこに逝ったんだというツッコミが聞こえそうな気がしますが、まあ年末ですのでそういう事はツッコまない方向でよろしくお願いいたします。


○年末のご挨拶

ということで年末のようでございますが、あたくしのしょうも無い駄文をお読み頂きました皆様に良い来年がありますようにと祈念させていただきたく存じます。まあ来年もよろしくお願いいたしますと共に、ご意見ご感想やネタ提供など頂きました皆様にはこの場をお借り致しまして感謝の意を表させて頂きたいと存じますm(__)m

皆様良いお年を!




2012/12/27

お題「これは大ネタだった11月会合議事要旨/年の瀬に素敵な電波浴」

年の瀬も押し詰まる中にも大ネタが出るので全然年末気分にならないのですが・・・・・・

ということで本日の大ネタは昨日公表になった11月会合議事要旨であることは皆様ご案内の通りでありまする。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf

○11月会合で思いっ切り追加緩和やら為替市場への働きかけやらの話があったのですね

つーかね、不思議でしょうがないのですけれども、昨日の為替市場で朝9時ちょっと前にドル円が85円台に乗ったのに対して(さっきのモーサテのコメントもそうですけど)「安倍内閣への期待が云々」という後講釈が見られるのですけれども、それよりもこの時間帯にあった材料というのはどー見てもこちらの議事要旨だと思うのですよね。

で、この議事要旨が出たタイミングでは中身にあった「為替により強く働き掛ける工夫が必要」「付利撤廃の検討も」「オープンエンド方式の資産買入の検討も」「コミットメント文言の変更も」など、これは(追加緩和決定の)12月決定会合議事要旨ですかと思ってしまうような政策委員の論点が次々にヘッドラインとして出て参りまして、まあ11月会合後の会見では麿の金融政策に関する丁寧な説明(がメディアによって無駄に「安倍VS白川」みたいにフレームアップされた結果として日銀にとっては災難な事になった訳でメディアは全く困ったもんだと思いますがそれは兎も角)の方ばかりになっていまして、この手の論議があったという事はスルー(まあ議事要旨で公表される訳ですから質問されなきゃ答えなくても良いのですけど・・・・・・)という状況だったので、正直これは金融政策動向に注目する人たち的にはかなりのサプライズな内容だったと思うのですよね。

もちろん他の理由もあったとは思いますが、タイミング的に昨日為替がどどーんと動いた時にあった材料はこの議事要旨であって、しかも議事要旨の内容が実は日銀が既に「チェンジ」をしつつあることを示唆するのではないかという物である、という評価になると思う(以下で説明しますけど)のでありまして、普段日銀の姿勢ガーとか言いながらエエカゲンにも程がある講釈をしておられる一部の為替系何とかストやコメンテーターの皆様がこの議事要旨に言及しないのが不思議で仕方ありませんなあという所ではございます。

つーかですな、毎度思うのですけれども、決定会合の議事要旨内容について決定会合での承認事項になっているという今の日銀法の作りってこういう時に非常に残念な事態を招くのでありまして、もしこの議事要旨がもう少し早く出ていたら、まるで1から10まで総選挙と安倍総裁発言(というか殆ど恫喝モード)を受けたかのように報道される12月決定会合の結果も、実は11月の時点で既に政策委員(たぶん執行部系では無くて審議委員の皆さんでしょと思いますけど)の間では「日銀のチェンジが必要である」という議論が醸成されてきていて、その結果として12月の決定があったという事もあったのではないか(即ち実は追加緩和の流れは既に始まっていた)、とまあそういう認識になると思うのですよね。

BOEとかFRBとか、ポリシーミーティングのミニッツを公開している所では次回の決定会合の前にミニッツを公開しておりまして、正直日本の場合MPMのペースが早いのでロジ的にしんどい(特に2回会合の時と盆暮れが絡む時)というのもあるのですが、政策決定関数についての考察をしやすくするという点から言えば、ミニッツは次回のMPMの前に出した方が吉であって、コミュニケーションポリシー上も有益ではないかと思う所でありまして、日銀法改正するならその手のテクニカルな問題点についても改善の余地があると思いますので何卒よろしく。

・・・・・・・・うむ、話が逸れましたな。


○『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』を読むべしということですな

ということですが、最初の方はまあいつもの話なのですけどね。

『当面の金融政策運営について、委員は、日本経済がデフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると確認したうえで、この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであるとの認識を共有した。こうした認識のもとで、金融機関による成長基盤強化の取り組みおよび貸出の増加を支援するとともに、実質的なゼロ金利政策と資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて、強力な金融緩和を間断なく推進していくとの方針で一致した。そのうえで、委員は、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していくとの方針を共有した。』

まあいつもの話である。

『前回会合における金融緩和の強化について、委員は、景気・物価見通しの下振れと先行きのリスクを踏まえて果断に対応したことは、オーソドックスな政策運営として受け止められたのではないかとの認識を共有した。』

それはどちらかというと9月の話で10月は前原・・・・いや何でも無いです。

『そのうえで、何人かの委員は、今後も適切な情報発信を通じ、日本銀行の政策に対する信認を確保していくことは、金融政策の波及効果を高めるうえで、きわめて重要であるとの認識を改めて示した。』

ということでこの辺から論点が面白くなってまいります!

『何人かの委員は、景気や物価の見通しが更に下振れたり、見通しを巡るリスクが大きく高まるような場合には、様々な選択肢をあらかじめ排除することなく、その効果とリスクを十分検討したうえで、適切な措置を果断に講じていく必要があると述べた。』

ほほう。


・為替市場への働きかけ:コミュニケーションポリシー

『何人かの委員は、金融政策による為替相場への働きかけを強める観点から、一段の工夫が必要ではないかとの問題意識を示した。』

何人かの委員キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーー!!

『このうち複数の委員は、為替市場などでは日本銀行の金融緩和姿勢に誤解や疑念が存在するとの認識を示したうえで、それらを払拭し、金融緩和効果の一層の浸透を図る観点から、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」とのコミットメントの文言を変更することが市場の予想に働きかけるうえで有効ではないかと、前回会合と同様の問題提起を行った。』

佐藤委員と木内委員ですねわかります。

『このうちの一人の委員は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を通じた強力な金融緩和について、消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンドとすることを対外公表文に明記することが考えられると述べた。』

オープンエンドキタコレという所ですが、まあそもそも物価安定の目途についてはその性質は本来目標達成するまでオープンエンドとなる物でございまして、何でオープンエンドの書き方になっていないかと言うと資産買入等基金という「ストックの量で勝負」をしているから、そのストックの額について幾らですよという話をする為には「何時何時までに幾らの残高にする」という見せ方を採用しているというだけの話ではあるのですが、確かに金融政策が非伝統的な領域に入っているという事を考えますと、さきほどの複数の委員による指摘にありますように、金融政策効果の浸透という意味では「市場の予想(=期待)に働きかける」ための「見せ方」について、金融政策を普段から見ていてそういう点でミスコミュニケーションが発生しにくい金利市場(の一部の・・・・)人に伝わればそれで十分という訳にはいかないのではないか、という論点がここでは提示されていると読みましたが、確かにこれは重要ではあります。

『これに対して、多くの委員は、仮に日本銀行の金融緩和姿勢に誤解や疑念が存在しているのであれば、それは丁寧な説明を通じて解消していくべきものであると指摘した。』

そらまあ本来はそうなのですが、とにかくメディアがあの有様で、他市場から見た場合にどうですねんという話は同様に蒟蒻問答化しやすくなるというややこしい説明になっている上に、これはまあそう言われても麿的に酷な話ではあるものの、一々全部丁寧に説明を尽くした結果としてベースの知識が不足している人たちにとっては却って判りにくくなってしまってませんかという現状も踏まえるべきではないかというのはあたくしも思うのでございまする。

『このうちの複数の委員は、イールドカーブが現状きわめて低位で安定していることを踏まえると、たとえコミットメントの文言を変更しても追加的な長めの金利の低下効果は殆ど期待できないとみられ、そうした意味では日本銀行の金融緩和姿勢は金融市場にしっかりと浸透している、との見解を表明した。』

でまあこの辺が一面では仰る通りなのですが、最初にこの話をした委員からしたら、金利市場の方よりもより幅広い市場の期待に対する働きかけという話をしているのですから、お前それは違うだろというか何を今さら寝ぼけた話してるんだとかそういう言い合いになっていたら非常に面白いのですがそれはさすがに無いですかそうですか(^^)。

『別の一人の委員は、長期金利の低下には、@コミットメント政策により実質的なゼロ金利の予想継続期間が長期化する場合と、A景気・物価見通しの悪化により実質的なゼロ金利の予想継続期間が長期化する場合の2種類あり、両者を明確に識別することは難しいため、注意深く議論していく必要があるとコメントした。』

イイシテキダナー(;∀;)


・為替市場への働きかけ:短期市場金利の低位誘導方策

で、ここで付利撤廃の話が出るのでした。

『一人の委員は、信用力の高い一部の国の短めの国債利回りがマイナス圏にあることを指摘したうえで、超過準備への付利の廃止には金融市場の機能低下等の様々な問題があるものの、これによりわが国の短期国債の利回りを一段と引き下げることができれば、退避通貨としての円の魅力を減ずることになり、為替相場にも働きかける可能性があると述べた。』

石田委員キタコレ(・∀・)という所ですが、先月からこの話をしているのであるならば、直近会合での超過準備付利撤廃提案の際には現在のAPPの枠組みとの整合性を取った形での提案をして頂きたかった訳で、市場機能低下云々以前にそもそも技術論的に整合性の取れない提案を出したのは誠に残念としか申し上げようが無く、あれが出た時にそこらじゅうで「何を考えているんだ」という声が続出して、一部の二日酔い駄文書きからアホだの馬鹿だのという発言が飛び出したのはご案内の通りであります。

『この点に関し、別の一人の委員は、短期国債利回りの低下を図る手法として、現状の超過準備への付利を維持したまま、短期国債買入れを増額することも考えられるとコメントした。』

これも地味だけど重要な話で、直近の追加緩和の際に長期国債の買入5兆円拡大が来年の前半と後半に2.5兆円ずつ割り振られているのですが、短期国債買入の5兆円は来年の前半に全部突っ込まれている、というのはこの「別の一人の委員」の論点を反映したものではないかとゆー話でございます。


・最後の所はまあそらそうなのですがという話

でまあここまで盛り上がったの所で最後の論点ははあそうですかという話ですがせっかく引用しているので一応引用しておく。

『ある委員は、日本を含めた主要先進国では、きわめて積極的な金融緩和政策が講じられているにもかかわらず、各国の景気が本格的な回復に至っていない背景をどのように考えるべきかとの論点提示を行った。この委員は、@米欧経済はバブル崩壊後のわが国と同様、バランスシート調整過程にあり、過剰債務を抱えた経済主体の金利感応度は低下していること、A将来の支出を現在に繰り上げるという低金利の需要創出効果は、低金利の長期化に伴い次第に低減してくること、などを指摘した。』

そらそうなのですが、まあそこは丁寧に説明する所では無い、というのが逆さ絵先生とか俊ちゃんとかの行動を見ると判るような気がするんですけどね。


○安倍さんの押し込みだけではなくて「審議委員の押し込み」もあったのではないかという件

・・・・・・・という事で今日は今回の議事要旨に関して思いっきり1つのコーナーを重点的に攻めて(?)みましたが、少なくとも「為替に積極的に働きかけるべき」という論点について、当初一番強く主張していた佐藤審議委員だけでは無く、少なくともこの議事要旨では(前回展望レポートに反対した)木内さんに加えて石田さんも11月会合の時点で加勢している、というのが明らかになったというのが今回の議事要旨の興味深いというか重要な点。

つまりですな、この会合11月19〜20日の実施ですので、安倍さんの一連の発言第一弾が出た所ではありましたので安倍さん発言の影響も勿論あるのでしょうし、「より物価上昇に強く働き掛けるルートについて積極的にならないといけない」というこの辺の審議委員の皆さんの危機意識が強く示されている、という意味でも見所のある議事要旨であったと思うのですよ。

安倍さんなどによる圧力チックな話がどうもフレームアップされやすいのですけれども、11月会合での(少なくとも3名の)審議委員による危機意識表明というのが12月会合での追加緩和実施の伏線にあるというのはまあ見やすい所でありまして、そう考えますと安倍さん云々だけでは無い意味で、審議委員の方からの日本銀行の「チェンジ」の可能性というのが実はあるんじゃネーノと思わせるのが11月の決定会合議事要旨の金融政策論議に関する部分から読み取れるのでありまして、そういう意味ではこの議事要旨は非常に面白かったと思いますです、はい。

なお、この議事要旨ですけれども、他に景気見通しなどが結構弱いじゃネーノとかそういうのもあったりしますので、それはネタが無ければ明日続きを投入の所存でございます。

ということで11月決定会合議事要旨ネタはここまでね。



○年の瀬に電波浴をしばし堪能というお話

金融政策決定会合議事要旨という大ネタによってこちらの話が霞んでしまいましたが、実は昨日の朝はもう一丁面白怪電波浴ネタがございまして、これがこれで盛大な怪電波を発していたのであります。

で、このネタ元は金融ファクシミリ新聞という金融業界でもかなーりマニアというか濃いというか一部の方御用達メディアでして、名前の通り基本はファックスでして、一応Web版というのもあるのですが一般向けには出しておりませんです。

金融ファクシミリ新聞社さんのWebはこちら
http://www.fng-net.co.jp/

んでまあ昨日(12月26日)の朝刊1面(というか1ページというか)トップ記事の題名が『2年内に2%以上 インフレ目標で自民党筋』(以下『』で書いておりますのは12月26日水曜日の金融ファクシミリ新聞朝刊の当該記事部分の記載となりますのでよろしくです)となっていまして、『安倍自民党総裁の経済ブレーン』へのインタビューを基にした内容となっていまして、まあ要するに安倍自民党総裁の「経済ブレーン」様のお話をまとめたものとなっておりますが、これがもう中々のテイストで頭がクラクラとしてきた次第というお話なのですな。

#ちなみに頭がクラクラするのは金ファクさんに対してでは無く、当然ながらこのインタビュー元の「経済ブレーン」様に対してですので念のため

かいつまんで(詳しくは昨日の金ファク見てくんなまし)ご紹介すると、この「経済ブレーン」様におかれましては・・・・・

『インフレ率を遅くとも2年以内に2%以上にすべき』

とのお考えのようでございまして、そらまた随分と豪快な話だと思うのですが、その根拠として最初に挙げているのが『2年は多くの国が金融政策のメドとしている期間である』との事なのですが、既にその時点で事実関係として如何なものかと思う次第。

つまりですよ、こちらのブレーン様(主張の内容からして該当しそうなのが2名、というか恐らくその中の1名しか思い浮かばないのですけど)におかれましては「2年で目標は達成するもんだろグローバルに考えて」との事のようですが、FRB様におかれましてはそもそもこれらの目標に関して今年の1月に「longer-run goals」として金融政策のゴールとしての数値を「長期的な期間のゴール」として示しておりますよねえ。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20120125c.htm
January 25, 2012
Federal Reserve issues FOMC statement of longer-run goals and policy strategy

さらに付け加えますと、FRBは直近の「Summary of Economic Projections」(要するに経済見通し)に置きまして、そのデュアルマンデートの一方であります所の失業率につきまして、先行き見通しを・・・・・・・

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20121212.pdf

Unemployment rate
2012:7.8 to 7.9
2013:7.4 to 7.7
2014:6.8 to 7.3
2015:6.0 to 6.6
Longer Run:5.2 to 6.0

という形で出しておりまして、いわゆる長期的に達成すべき目標である失業率5.2%〜6.0%というレンジに対しまして、向こう2年どころか向こう3年経っても達成できませんぞなもしという見通しを堂々とお出しになっている訳でございまして、『2年は多くの国が金融政策のメドとしている期間である』との事ですと、FRBは逆さ絵議長を筆頭に全員クビというお話になりそうなものですが、寡聞にして安倍総裁(今は自民党総裁でもありますが総理と言った方が良いのでしょうけれども)の経済ブレーン様と言われる方々の口から「FRBの金融政策運営はダメである」という評価を聞いた覚えがない訳でございまして、これはどのような理屈を繰り出すとこういう話になるのかという点をとっくりとご説明頂きたいと思うのであります。

#つーか昨日ご紹介した公明党の石井さんの「物価目標は2年で達成」の出所もこのブレーン様なんですかね

でまあその程度で済めば怪電波呼ばわりをしないのでありまして、更に素晴らしいのはこの2%目標の根拠として、『インフレ率が2%以上の場合、失業率が低下することが過去の経済データに基づくフィリップス曲線によって示されていることを挙げている。』との事なのですが、物価が上昇したから失業率が低下するんというような相関じゃなくて、経済成長をする中で物価上昇が適正な資源配分を促すような水準で推移していれば失業率が低下するとかそういうような含意を示す文脈としての相関を指しているんでしょフィリップス曲線云々ってという風に突っ込みたくなるわけですよ。

大体からして何でもいいから物価を上昇させれば失業率が改善するかといえば、世の中にはコストプッシュのインフレだってスタグフレーションだってジンバブエ(は極端ですが)だってある訳ですし、最近で言えば英国のCPIがこの3年程度の間に3%近辺から5%台まで上昇して今度は2%台前半まで低下(して最近はまた2%後半になってますが)と盛大に上がったり下がったりしておりますが、一方で失業率って8%近辺で高止まったまま(リーマンショック以降5%台から8%レベルに上昇してそのままという推移だった筈)ですが、そのような事案があるのにフィリップス曲線ガーで物価さえ上がれば失業が減るんだとかこらまたお洒落なお話。


しかしその程度で済まないのか電波浴の極意でありまして、『同筋によると、インフレ率2%が達成できれば、日経平均株価が1万1300円程度、円相場は1ドル=98円程度となると予測される。』との事ですが、1980年代後半の資産バブル最末期の時でCPIが前年比2%にやっと乗ったとかいうことから勘案致しますと、2%インフレで日経平均株価が11300円とか何処をどう計算するとそういう数値になるのかと言うか、その物価水準になる位の経済状況だったら常識的に日経平均2万円以上無かったらそれはデフレは脱却しているかも知れないですけどどう見てもスタグフレーションでしょうがそれという所でございますわ。

ちなみに日経平均11300円だったら2010年の4月頃にその位の水準でドル円90円台前半ですし、ついでにその時期のCPIって前年比マイナス推移しておりますが、CPIの2%と0.2%を間違えているのではないかと思う位の凄まじい水準感の予測なのですが、金ファクさんによれば誤植でも何でも無いとの事でございますので、その盛大な怪電波に何か壮大なものを感じざるを得ませんという大変に頭のクラクラ来る怪電波をついうっかり受信致しました。ちなみにあともう一文素晴らしい電波浴部分があるのですが、それは皆様におかれまして昨日の金ファクをご確認頂く事をオヌヌメ致したいと思います。

つーことで、昨日の朝の金融ファクシミリ新聞の同インタビュー記事を読み流した方は再度金ファクをご覧になり怪電波の接受をして年の瀬の電波浴をお楽しみいただければと斯様思うのでございますが、そらまあ安倍さんの金融政策関連の話が細かい部分でツッコミどころ多くて時に総叩きにはなる罠という所でありますので、安倍ちゃんにおかれましてはブレーン様とやらの換装を全力で推奨させて頂きたく存じますです、はい。


2012/12/26

お題「どうもニュース雑談の方が多くていけませんなあorz」

党役員人事とか組閣人事とかを見ておりますと大丈夫か安倍ちゃんとしか思えないのですが、その辺の話をどう書くべえかと考えるまでも無くやまもといちろう氏が解説をしていましたのであたくしが何か申し上げる必要が無いのでURLを貼っておくのだ^^;

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/12/post-12f9.html
我が国の政治がエンターテイメントすぎるんですが

#モーサテのゲスト解説者様におかれましては、この人事を見て何が「気配り」となるのかさっぱりわからんですが、どうも安倍ちゃんにおかれましてはその内容が普通に建設的であっても批判をすると自分の事を全否定されたと感じるというのが仕様になっているっぽいのでそら内閣が短命になる罠とか思うのですけどね

#で解説のおじさん「世界中に投機マネーが余っていてそれが流れてくるから円安株高」という謎説明をしているのですが投機マネーが海外から入ってきたら円安じゃないんじゃないですか??オープンなら日本買いだしヘッジ付でも為替とは別じゃん・・・・・・


○物価に関する認識が色々と根本的な部分でアレなのではないかという雑談

ということで今日も最初はニュース悪態と申しますか何と申しますか。

正直申し上げましてここで申し上げますように、そもそも冷静に論理的な会話が出来るような状態になってねえだろこの人たちという風に思いますので、そういう意味では悪態申し上げても何か残念モードではあるのですけれども、かといっても脊髄反射で悪態ネタが出てくるのがドラめもんクオリティ。

まあ小見出しの通りなのですが、最近のニュースフローを見ておりますとそういう感を益々強くする次第なのでありまして・・・・・・・


・人に厳しく自分に甘くですねわかります

http://mainichi.jp/select/news/20121226k0000m010024000c.html
自公党首会談:連立政権合意の要旨
毎日新聞 2012年12月25日 18時20分

『・経済財政諮問会議と日本経済再生本部を設置。物価目標2%を設定し、大胆な金融緩和を断行してデフレからの脱却を図る

・エネルギー・環境、健康・医療などの成長分野で大胆な規制緩和や新たな需要喚起をし、名目3%以上の経済成長を実現する』(上記URLより)

・・・・・・・・・・えーっと、現在の潜在成長率が(推計の方法にもよるが)大体1%弱の水準とか言われていると思いますが、日銀に対して物価目標2%に罰則付きでコミットさせようとしている訳ですから、当然ながら名目3%を分解すると物価部分が2%になって実質成長率が1%という計算になると存じますが、そらまた随分と甘い目標で、日銀に対しては80年代バブルの最後の最後の時代での水準というようなハードルを設定しているのと比較してちょっと差がありますなあ。

人に厳しく自分に甘くっていうのが上司にぶち当たりますと宮仕えとしては不幸中の最悪の世界でございますが、その上仲間以外からの批判を受け付けないと来たらまあ碌でもありませんなあとしか言う所で、他の安倍カラーを封印しているだけに「日銀叩き」に拍車が掛かって殆どイジメの世界になっているのがオソロシスという所ではございます。

というかですよ、それ以前の問題として実態の伴った意義のある物価上昇(単なる交易条件とか購買力の悪化となるような誰得物価上昇では無いという意味の物価上昇)をしながら物価上昇率が2%になっている頃には当然ながら潜在成長率が少なくとも今の米国並みの水準(2.5%程度と言われている)とかになっていそうなもんで、そうなると名目GDPってもっと高くなってないとおかしい筈でして、そもそもやる気があるのかと申しますか、政策目標としての整合性が全くないわ何考えてるんだと小一時間問い詰めたい所ではありますという話で。


でまあ偶々自公連立合意とかで検索してたら昔の自公連立合意のニュースが出てきたのですが。

http://www.47news.jp/CN/200311/CN2003111801000443.html
自公連立政権合意の要旨 
2003/11/18 13:04 【共同通信】

『一、デフレを早期に克服し、2006年度に名目国内総生産(GDP)の2%成長を実現。』(上記URLより)

・・・・・・ということでして、この時は当然ながら物価目標云々という話は無かった訳ですが、まあとりあえずデフレ脱却という話でしたからベースの物価がちょっとプラスとかそういう話だと思われます(当時2%とかいう話をしてもそもそも非現実的にも程があるという感じで、まずはプラスにどう持って行けるでしょうかという話をしていた時代)ので、この時の方が実質的に自分たちに課している目標高くなかったかねとか思う次第で、9年経過したら自民党の経済政策に関する根本的な認識が劣化しているのではないかという疑惑が持ち上がってくる所がオソロシスとゆー話。


・そもそも物価という物に関する認識がアレなのではないかというさっきの小見出しの件

つーかですね、

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121224/wlf12122419090010-n1.htm
生活保護費、数%ずつ段階削減へ 自民政権復帰
2012.12.24 19:08

このニュース話題になっていたからご案内の方も多いと思うのですが、日銀に物価目標2%を課してしかもそれをとっとと達成しないと総裁クビだ位の勢いでの話をする中で生活保護費を数%ずつ段階削減とか、そもそも政策としての整合性はどうなっているのだよと申し上げたい次第でして、格差ガーみたいな話をするのってあたくしあまり好きでは無いのですが、セーフティーネットはどんどん外して経済成長させようとか、どうしてそうなったというお話ではございますなあという所で。

それとかですよ、

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012122400130&g=pol
2%達成「2年間で」=公明・石井氏(2012/12/24-15:36)

『公明党の石井啓一政調会長は24日のBS朝日の番組で、自民党の安倍晋三総裁が日銀に対し2%の物価目標の導入を要請していることに関し、新政権と日銀のアコード(政策協定)に達成期限が盛り込まれるとの見方を示した。実現の見通しについては「これからの議論だと思うが、2年間ぐらいではないか」と語った。』(上記URLより)

2年間で2%達成とかどんだけ日銀が万能なんだよという所でございまして、一方でさっきの連立合意では『公務員の総人件費を縮減する』などという表示もあって、それはどう見てもデフレ政策です本当にありがとうございましたというのをやって物価上昇の足を引っ張りながら日銀には2年で物価上昇2%達成とか、とりあえずどうやって達成するのかその方法と政策の波及パスを具体的に説明して頂きたい物だと小一時間なのですが、やはりどうもこの辺りの人たちにおかれましては物価ってホイホイと中央銀行が操作できて、しかも物価が上がると景気が良くなるという普通に考えて因果関係が逆ではないでしょうかというような認識でおられるのではないか疑惑がますます高まるのです。

さらにこれもえーと思ったのですが、

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012122500766
自民執行部の会見要旨(2012/12/25-19:39)

『安倍晋三総裁 衆院選でわが党は大きな勝利を得たが、来年の参院選に勝って初めて衆参のねじれを解消し、中長期的な大きな目的に進むことができる。』(上記URLより)

・・・・・・・・デフレ脱却は中長期的な大きな目標では無く目先の目標ですかそうですかという事で、喫緊の課題だから先にやるというのは判りますが、そもそも日銀が一言言ったらホイホイと物価が短期的に上昇するのであればそんなの(日銀だってバカアホ言われたくはないんだから)とっくの昔にやってますがなという風に思うのですが、どうもこの辺りの物価目標導入論を唱える政治方面の各位におかれましては、物価は中央銀行の操作で簡単にホイホイ上昇するものであり、日銀のケツを叩けば物価は上がるだけの話で政府の長期的な取り組みとかとそんなに関係ないだろと認識されているのではないかと疑いたくなる次第ではございます。

つまりですな、この人たちったら「物価上昇」と「経済成長」の因果関係を逆に取ってて、物価上昇が景気対策になると思いっきり認識しているんじゃないのと思いっきり疑いたくなる訳でして、仮に「何でもいいから物価が上昇すれば景気は良くなるんです」とかいうような仰天理論を信奉しておられるのであったりすると、そもそもそういう人たちが出してくる金融政策への「要望」とかについて考察しようにも根本的に論理的じゃない話が出てくる訳でして、そうなりますと議論どころか会話が成立しない訳で、これはまた碌でも無いカウンターパートが出てきましたなという極めてオソロシスな事態になったとしか思えませんぞなもし。

ということで、そもそもの前提認識がアレという方々がカウンターパートとは日銀もご愁傷様としか申し上げようがございませんが、とにかく論理的かつ冷静な議論ができそうもないという状況でありますと、自称ヲチャーであります所のあたくしと致しましても次の金融政策決定会合で何が起きますねんとか言われても兎に角ロジカルな答えを出してもカウンターパートがロジカルじゃない時点で予想不能ですかなという所でございますぞな。



・結局は財政ファイナンス懸念が起きるかどうかという話なのでして・・・・・・

共同通信のニュースを探すつもりが検索に引っかかったのがこちらだったのでまあどうせニュース元は共同通信だと思いますので西日本新聞から。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/340616
経団連会長、新政権に協力表明 金融緩和に不安ない
2012年12月25日 20:06

『経団連の米倉弘昌会長は25日の定例記者会見で、自民党の安倍晋三総裁の経済政策について「金融緩和とともに財政規律は堅持すると言っているので何も心配することはない」と述べ、新政権の政策運営に協力する意向を表明した。』(上記URLより)

最初に安倍ちゃんが言ってたのは「財政を出しますけど財源の国債は日銀買ってくださいね、あそうそう前例のない金融緩和もして輪転機回して市場に金を流してください」だった訳で、そういう財政ファイナンス全開&中央銀行への脅しみたいな近代国家とは思えない文脈が報道されたから総叩きだった訳で、後から「そう言った訳では無い」という風になって、財政規律を堅持という話になったらまあ話が違うがなという事になりますわな。

でもまあニュース報道する方としてはフレームアップした方が面白いでしょうから、これも経団連VS安倍ちゃんみたいなネタになって、米倉さん全面屈服みたいな書き方(そういうフレームアップ報道が最近目立つので共同通信様におかれましては汐留のビル諸共アレして頂きたいと存じます次第なのですがそれは兎も角)になるんでしょうけれども、そうじゃないですわな。

大体からしてですな、そもそも大胆な金融緩和で国債買う云々だって極端に言えば財政の方が均衡財政やっているのなら別にホイホイ買っても財政ファイナンスどうのこうのという話にはならないのですから通貨の信認がどうのこうのとかなる訳は無いですが、どこからどう見てもそういう文脈と全然違う話をしていたから最初総叩きだった訳ですし、PBベースで真っ赤っ赤な上に累積債務も真っ赤っ赤な所にGDPギャップ埋めるのに財政支出するとか言ってるから、いやあのそれは財政ファイナンスがどうのこうのという話になって財政インフレが間違って起きたら止めるの困難を極めるし誰得インフレ何ですけどという話をしているのでございますけど、またその辺のロジックをスルーして「だから無限に緩和しても大丈夫」とか「はい論破」とか言い出すブレーン(笑)の皆様のドヤ顔が目に浮かびたくないので画像処理はしませんが浮かんでまいりますなあという所で実に頭が痛くなりますの。



・どうでも良いですが某マンガのシーンを思い出したので

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49945650U2A221C1MM8000/
安倍総裁、物価目標来月見送りなら「日銀法改正」
2012/12/24付

どう見ても恫喝です本当にありがとうございましたと申しますか、そうなら日銀も敢えてスルーして物価目標設定を政治のせいにしたらどないですかとまで思ってしまいますが、どうも過激な発言をして為替とか株が反応するのに安倍ちゃん酔ってるんじゃネーノとか心配でして、まあ杞憂であれば結構なのですが、そんなあたくしは平野耕太さんの著名かつ名作マンガ(とあたくしは思ってます)で有ります所の「ヘルシング」の中にあった会話を思い出すのよ。

主人公の敵方の「最後の大隊」総帥と部下の会話部分です(漫画につき句読点がございませんので引用者が趣旨を損なわないような積りで句読点を補記しております)。

少佐:すばらしい能力だね、リップヴァーン中尉、さすがは「魔弾」、まさしく伝説の魔の猟師だ
中尉:はッ、はい、少佐殿ッ!!
少佐:「魔弾の射手」か、まるでまさしく魔の所業そのものだ、しかし心に留めておいた方がよいぞ中尉
中尉:は、はい?
少佐:「魔弾の射手」の終幕(ラスト)を知っているかね中尉、歌劇の最後、狩りの魔王ザミエルをもて遊んだカスパールは、ザミエルによって地獄へと連れ去られ、その骸(むくろ)は谷底へと投げ捨てられる。亡霊を装いてたわむれなば、汝(なんじ)・亡霊となるべし。中尉、心せよ、君の前にも魔王(ザミエル)が現れよう

(以上の会話は平野耕太「ヘルシング」第5巻第5話「DF」(83p9より:少年画報社YOUNG KING COMICS )

何かね、自分の発言が市場に評価されて(評価されたというのも何だかなあという感じですがまあそこは措きまして)おられてすっかりご機嫌で日銀叩けば円安株高でハッピーとか思ってるのではないかとか考えておられたりすると、これまた相場という魔王はいつまでも思うとおりに動いてくれる物では無いのですけれどもねえとか思ってしまうのですが、まあ何度も申し上げておりますように、あたくしの杞憂であることを強く祈念する所ではございまする。


○気が付いたら悪態オンパレードで肝心の市場ネタがががが

・どう見てもリスク性資産の2つが未達です本当にありがとうございました

営業毎旬報告(平成24年12月20日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121220.htm/

(別表2)
長期国債:23,368,435,259
国庫短期証券:9,812,842,982
コマーシャル・ペーパー等:2,327,231,997
社債:2,931,668,140
指数連動型上場投資信託:1,468,785,640
不動産投資信託:110,771,051
共通担保資金供給オペレーション:26,895,400,000
合計:66,915,135,072

ということで、ここから短国CP社債などの償還があったりしますので数字がぶれますけれども、目標がこうなっておりましたので・・・・・

長期国債:24.0兆円
国庫短期証券:9.5兆円
CP:2.1兆円
社債:2.9兆円
ETF:1.6兆円
REIT:120億円
固定金利オペ:25兆円
合計:65兆円程度

合計の帳尻は固定金利オペを2兆円近く上積みしたので合っているのですが、どこからどう見てもETFとREITが未達、というか12月から1銭も購入していない訳で、市況が良くなったから買わなかったけど大体行ってるからエエヤンという理屈だとは思うのですが、そもそも物価により強力に働きかけるという点ではリスク性資産に働きかける方が有効で以下いつもの話になるので割愛という所ですけど、安倍ちゃんの物価目標云々ですっかり話が飛んでしまいましたけれども、本当は今回のMPM後の会見で資産買入等基金積み上げの進捗状況についての話をしてああだこうだという風になる所で、その場でリスク性資産買入の中でもシンボリックな存在である株式市場および不動産市場向けというETFとREITの数値が未達なのはどうなのかよとかいう話をする予定でしたが、最早そのような話がすっ飛ぶ状態でございますので、日銀的には良かったのか悪かったのかという所でしょうかねえ。

なお、株式の受渡ベースでの年内は既におしマイケルとなっておりますので、昨日も買っておられないようなので普通に未達確定でしょうな。


・当座預金残高が物凄く拡大しておりますが碌に話題にならない件について

20日が定例の国債大量償還デーだったのですが、MPMで大騒ぎという事もあってすっかりスルー状態になっているので(私もですが)忘れる前に備忘録。

20日の日銀当座預金残高増減確報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd121220.htm
当座預金残高 481,700

21日の日銀当座預金残高増減確報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd121221.htm
当座預金残高 485,200

ヒャッハーという所でしてそら短国の金利が0.09%台前半に沈む罠という所でございますが、今年の3月4月に震災要因の反動で減った当座預金残高を捕まえて「日銀の金融引き締めガー」とか言ってた本職何とかストの皆様におかれましてはこの状況に関するコメントという物を頂戴したいと思うのですが、リサーチレポートを頂こうにも一部では以下自粛な方も散見されるようで誠に世の無常という物を感じる今日この頃でございまする。

しかしですよ、半年後にここから国債の買入残高が10兆増えて短期国債の買入残高が10兆増えるのですから、国債のネット市中消化額が前年比変わらなかった場合(そうはならないが)単純計算で日銀当座預金残高が20兆円増えるとかそういうおそロシアな話になるんですかそうですかその時の3か月TBの利回り幾らになりますねんという話ですぞな。

ちなみにMPMの直後にワタクシが思ったのは第一感で0.08%か若干割れるか程度という所ではあるのですが(ネット市中消化はプラスの筈なので20兆は増えないですし)、何となくその後有識者(ただのワタクシのお友達)各位に聞いて回った感じでも似たようなもんですかねえとゆー所ではあったのですが、こればっかりは短期市場のビックプレーヤー各位の投資(というかポートフォリオのお家の事情による配分という世界だが)行動次第なので何とも言えませんぞなもしという所です。


・今日出る11月議事要旨を注目するのがマニアの基本的在り方である(かもしれない)という件

ということで、MPM声明文と月報のネタをスルーするうちに気が付けば11月MPMの議事要旨が出る頃になって参りました(本日公表されます)が、今回に関しては直近の声明文や月報分析(自称)よりも前回の議事要旨の方が面白そうな予感がします。

と申しますのは、つまり前回の議事要旨を見ることによって、今回の決定との断絶がどのくらいあるのか、という事を見ることが出来る訳でして、それによって今回の追加金融緩和決定における政策関数、というと格好が良いが要するにアレの事ですが、まあそのアレを読むことが出来るのではないかという事でございまして、いつもだと次の政策決定で特に変更が出た後の議事要旨ってスルー気味になるのですけれども、今回の議事要旨は実はスルーをしないで読むのがオモシロスではあろうかと存じます。

#しかし日銀法改正するなら議事要旨は通常会合での議決事項という風に変更して次回MPM前に議事要旨発行して欲しいと思うのですけどね

なお、これは今回の声明文比較と月報比較のネタを連日華麗にスルーしている件の言い訳ではございませんので念の為申し添えます(^^)。




2012/12/25

お題「決定会合レビューの続き(ただし悪態無し)」

そういや日曜には某公共放送スペシャルで日本国債の番組があったので出遅れながらも見たのですが、どこぞの海外の「敏腕トレーダー」様が日本売りで勝負というのでほほうと思ったら「日本国債が1.8%になると儲けが出始め、3%になると巨額の利益が得られるポジションを作って云々」という所で爆笑の発作のあまりいつの間にか風呂に入っている自分がおりましたが最後まで見た方が良かったですかねえ。

#もしかして1.8%というのは20年国債の事だったとかいう話???

ところで、浪速のルーピー状態ですかそうですか。何でこの人の馬鹿発言とか支離滅裂発言とかがもっと突っ込まれないのかと不思議に思うのですが。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/12/post-77ff.html
『浪速のルーピー』こと橋下徹さん、今日もツイッターで馬鹿にされる

まあワタクシがワロタのは皆様ご案内のこの流れですけど。ブレを批判された鳩左ブレこと元祖ルーピー先生も裸足で逃げ出しそうな勢いオソロシス。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121216-00000638-san-pol
維新・橋下氏「独自候補ばかげている」 首相指名選挙で安倍氏投票示唆
産経新聞 12月16日(日)22時29分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00001233-yom-pol
自公に対抗、民主・維新・みんな結集で…橋下氏
読売新聞 12月20日(木)21時37分配信


○為替により働きかけるという論点の雑談を少々

金曜日はその提案があまりにも唐突だったという衝撃および前日都内某所で摂取したスペインワインが抜けていなかった勢いで一部不穏当な表現で石田審議委員の提案について評価致しまして、一部の不穏当な表現については遺憾の意を表明致しますが、まあ趣旨的に「実務家出身というカテゴリーで役割期待されている審議委員が実務上(オペレーション技術上)のフィージビリティー丸無視の政策提案をするというのは如何なものかと思われるので出すならもっとフィージビリティーを練り込んで頂きたい」という事でございまして、それに衝撃の怒り成分と二日酔い成分を入れるとあんな感じになるという事で一つご勘弁願いたい所でございます。

・・・・・・・と、とりあえず詫び証文を入れた訳ですがそれは兎も角として石田さんの提案についてトサカ成分を排して愚考するとこれはこれで重要かもしれない論点を含んでいるとは思います。

つまりですね、総裁会見の中にあるのですが、『石田委員は、金利水準の一段の低下を促すとともに、それを通じて為替相場に働き掛ける観点から、補完当座預金制度における適用利率をゼロ%とする議案を提出しました。詳細は、議事要旨を参照して頂ければと思います。』という風にございますので、為替市場に働き掛ける為に短期市場金利の低下を促すという論点はある訳ですよ。

#ただし現在のAPPおよび成長基盤強化、貸出増加支援制度などの枠組みと付利撤廃がマッコウクジラで矛盾するので制度設計という観点からして付利撤廃がダメダメ提案であるというのは金曜の悪態の通り

そもそも「為替により直接的に働きかけよう」という話が政策委員会的に堂々と出るようになったのは佐藤審議委員の就任会見での外債購入云々発言からと存じますが、暫く前に出ていた10月議事要旨でも為替市場への働きかけがどうのこうのとございますし、そーゆー意味では「為替市場に働きかける」という金融政策の波及ルートについてより直接的な方策は無いか、という観点からの話が佐藤さんだけでは無く他の審議委員からも出ている、という事の表れであると今回の提案を解釈するとまあほほうという所でもございます。

つまりですね、金曜は実務上のフィージビリティーの解説というよりは先ほどの詫び証文のようなもの(遺憾の意だけしか表明しておりませんけどね)にありますように悪態説明をしておりましたが、より物価に強く働き掛ける金融政策のルートというのを考えたら為替コースか資産価格コースという事になる(財政インフレは国民厚生的に誰得インフレなので除外)訳でして、今後アコードだインフレ目標だという話を持ち込まれるという事を考えますと、麿会見では麿が『また、金融政策と並んで、政府の果たすべき役割についても深い議論が必要と考えています。』などと仰せでございましたが、それよりも「高い目標張るならもっと強力なツールを寄越しやがれコノヤロー」という論点もあって然るべきですし、まあ金利ルートからの金融緩和がろくすっぽ効きませんぞなもしという状況下において、金融政策の有効な波及効果は何ぞやという事を考えれば、こういう話になって行きますぞなもしという話。

ただまあここでその道具寄越せという問題につきまして、日銀法の話が出てくるとゆーのはお馴染みの話ではありますが、この際俺様備忘録としてこちらに書いて置きますぞなという事で。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html
日本銀行法(平成九年六月十八日法律第八十九号)

『(他業の禁止)
第四十三条  日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。』

でまあこの43条認可で為替市場の操作を目的にする取引が出来るのかという論点について、白川総裁はどこかの会見で40条2項の条文を引き合いに出しまして、こちらが上位規定になるだろ常識的に考えて、という説明をしておられますにゃ。

『(外国為替の売買)
第四十条 (前項の引用割愛)
2  日本銀行は、その行う外国為替の売買であって本邦通貨の外国為替相場の安定を目的とするものについては、第三十六条第一項の規定により国の事務の取扱いをする者として行うものとする。』

ということでございます(36条は日銀が通貨および金融に関する国の事務の取り扱いを行うという規定)ので、外国為替平衡操作をするのは財務省であって、日銀はその事務取扱いを行うという解釈になっていますし、まあ当然ながら財務省との調整という問題が有る上に通貨外交をするのが中銀なのかトレジャリーなのかという話とかありますし、今の状況に日銀の為替操作を入れるとそもそも通貨外交が二元外交にならないかとか、まあ色々とネックがあるのは確かなのですが、それはそれとしてこの40条2項と43条との関係に関しては何か法解釈の問題(なので現行法上でも43条認可で行けそうな気がするんだが)のような気もせんでもないのですがどうでしょうかねえ。

2%目標というのを作れだの、より拘束力のある目標を作れだのという話をされるならば、そらまあ日銀の方でも「じゃあもっと強力な政策ツールを寄越せ」というのは自然な話でございますので、今後は為替市場に対するツールをどうしましょうか的な話が更に議論を深めていく事を想定するこのあたくしなのでございました。

・・・・・まあそういう文脈で考えた場合、今回の会見で(他のネタが重かったので)すっかりスルーされていましたが、もう一つのツール足りえる資産価格ルートのETFが月末時点での目標に未達となりそうな件って「ツール使ってねえじゃねーか」と逆ねじくらわされる原因になる訳でして、やはり目標未達如何なものかと思いますが、どう見ても未達間違いなし状態ではございますなとまあそういうことで。


ということでまあ要するに今後高めの目標をどうするかという話になった場合、「より直接的に物価に影響を与えるツールをどう考えるか」というのが重要な論点になるんじゃネーノとまあそういうお話を悪態を交えずに書いてみたのでございましたという事です。


以下まずは総裁会見から(さっきの石田さんの部分も会見ですが)。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1212b.pdf

○安倍さんェ・・・・・・・・・・・

例の電話云々の質疑は備忘録で残して置く。6ページと18ページにあるだよ。

『(問) 安倍総裁が、本日午後の会合の挨拶で、本日の朝に、白川総裁からお電話を受け、決定会合の内容についてご説明を受けたとおっしゃっておられます。まず、このことが事実なのかどうか、内容も含めてお話し下さい。(2点目割愛)』

『(答) まず1 問目です。本日の金融政策決定会合終了後――あくまで終了後ですが――、野田総理と安倍総裁に、本日の金融政策決定会合の決定内容を電話でお伝えしました。安倍総裁にお電話したのは、13 時30 分頃です。従って、午前中に電話をしたということは、もちろんありません。(2点目割愛)』

ふむ。

『(問) 決定会合が終わった後、総理や次期総理候補に電話で報告するということは、毎回されているのでしょうか。もし、毎回ではないとしたら、本日は何故、直接お話ししたかったのかを教えて下さい。(2点目割愛)』

『(答) まず、1 点目ですが、従来から、金融政策決定会合において重要な政策決定がなされたときには、総理を始め、関係する大臣に私から直接連絡を差し上げています。今回、安倍総裁については、野党の総裁ではいらっしゃいますが、次期政権を担う方ということでご連絡をしました。従来から、金融政策上の重要な決定がなされたときには、決定後ですが、私から連絡を差し上げています。(2点目割愛)』

ということで、そもそも決定会合前云々というのは安倍ちゃんの記憶違いかフカシっぽい(つーかまあ冷静に考えて決定会合がそもそも合議制なのに決定も糞も言えないし、あの麿がそういうのを事前に言うタイプとは到底思えない上に、従来より決定会合後の報告は何か変化があった時には行っていると考えるとまあそうだ罠という所で)訳ですが、それ以前の問題として「決定会合前に政策決定をどうする的な電話が掛かってくる」という解釈をされそうな発言をする時点で物事のイロハをお判りになっていないという誠に遺憾に存じますという所がある訳でして、いいからお前は喋るなとか思いますし、何かもう周りが「ここで自民党中心の政権がコケると大変な事になるから何とか参議院選挙で安定政権作って欲しい」とか思いながら必死に段取りしたり、海外とかの反応でもそんな雰囲気を感じないわけでもないという状況が垣間見れるような気がするという今日この頃において、実に困ったもんだという所ではございまする。

#つーか閣僚人事とか党役員人事とかでも一部アレなのが散見されるようなので益々アレなんですけど

しかしこの質問ヒドス(ちなみにブルームバーグ提供の録画を見ると実際の質疑は以下自粛)。17ページからの質問で18ページ部分になりますけど。

『(問)(前段割愛)また、安倍さんは総裁選の時から、よく日銀を批判するようなことを言っていたと記憶しているのですが、日銀法改正等も含めて、安倍総裁の金融・経済に対する知識に関して、どのような理解をしていらっしゃいますか。』

『(答) 最後の質問については、発言を控えます。(以下割愛)』

誰だよこんな質問するアホウは・・・・・・・・(ってまあ録画見ると判るのですけどね)


○いやその話ってもう説明してるだろう的な質問が堂々と登場する件

質疑応答読んでいて正直呆れたのは9ページの質疑(つーか質問)である。

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、色々なワーディングが飛び交っているのを少し整理させて頂ければと思います。1 つは、総裁がこれまでおっしゃっていた「物価安定の目途」というのは、「インフレーション・ターゲティング」とは別のものなのか、あるいは同じと考えていらっしゃるのか、違うとすれば何が違うとお考えになっているのかお聞かせ下さい。(2点目割愛)』

だからそれは物価安定の目途を導入した時にも説明してるだろうが・・・・・・・・・・

『(答) まず、最初の用語の話についてです。「中長期的な物価安定の目途」は、中央銀行の金融政策の使命と整合的な物価上昇率を数値的に示していく、それを中長期的に目指していくという点では、「目標」という表現を使っている国の中央銀行の考え方と違いはありません。日本銀行が本年2 月に「目途」という言葉を使ったのは――記者会見あるいは講演でも申し上げましたが――、わが国では、「インフレ目標」という言葉が、一定の物価上昇率と関係付けて機械的に金融政策を運営することとほぼ同義に使われているケースが少なくないという実情を踏まえたものです。』

『海外のインフレーション・ターゲティング採用国でも、当初は、実際にそうした機械的な運営がなされていましたが、そうした機械的な運営が、却って経済の変動を大きくしてしまうことを経験し、現在では、「インフレーション・ターゲティング」とは、中長期的にみて物価や経済の安定を重視していく、いわゆる「フレキシブル・インフレーション・ターゲティング」であるということが共通理解になっています。』

『金融危機後、この数年間、例えばニュージーランドあるいはカナダもそうですが、インフレーション・ターゲティングを採用している国で、枠組みの再点検を行った際、いずれも金融システムの安定も重視するという方向に変わってきています。いずれにせよ、フレキシブルな体系であるということは、ほぼ共通の理解になっています。』

『確か記者会見の席だったと思いますが、日本銀行が本年2 月に発表した枠組みについて、「インフレーション・ターゲティングと呼ぶのか」というご質問を受けました。直前1 月に、FRBが「インフレーション・ゴール」を発表し、バーナンキ議長が記者会見で「これはインフレーション・ターゲティングではない」と明確に否定されました。ただ、FRBの政策の枠組みをインフレーション・ターゲティングであると呼ぶ議論が多かったわけですが、もしFRBの政策について、本人の否定にもかかわらず「インフレーション・ターゲティング」と呼ぶのであれば、日本銀行の今回の金融政策の枠組みは、FRBの金融政策運営の枠組みに近いということを私は申し上げました。』

『要は、フレキシブルな運営であるという理解が――今、日本でもそうした理解が徐々に拡がってきていますが――、さらに深まっていくと、「目途」か「目標」かといった議論は意味がなくなってきます。従って、この問題のポイントは、柔軟に対応していく枠組みであるのか、あるいは物価上昇率が目標より低い限り金融緩和政策をどんどん強化していくことを「インフレーション・ターゲティング」と呼ぶのかです。海外のインフレーション・ターゲティングは、柔軟な政策の枠組みであり、あくまでも金融政策を遂行していくための枠組みであるということが大事です。(2点目割愛)』

まあこの話以前もしてるがなという感じなのですが、結局質問する方の理解がこういう状況だから金融政策の説明が中々一般に伝わらず、お蔭でナンジャソリャな電波金融政策説明が飛び交う状況が改善されないと考えますと、メディアの責任というのは大きいです罠と思うのであります。

でまあ声明文と金融経済月報の比較をしている時間が無くなってしまって甚だ遺憾の極みなのですけれどもそういう事で。ちなみに声明文と月報を見ると「あれ何で追加緩和したのよ」というのがイマイチ伝わらないという仕様になっているのがこれまた味わいのある所でございまする。



2012/12/21

お題「決定会合レビュー悪態(え?)」

今回の決定会合ですが、とにかく衝撃というかアレというかな「こりゃダメだ」な事案が2件ほどございまして、約2名に関しまして如何なものかと思ってしまうという大変に頭の痛い決定会合であったという所でございまする。

○付利金利撤廃提案とかアホかと馬鹿かというか出身母体まで心配になるわという悪態

(後日(1/3)追記:実はこの後11月議事要旨が出まして、石田審議委員の提案がポッと出でも何でも無く、以前からの問題意識および危機意識を表したものであった、という事が判明したのですが、この時はその手の情報が無かったので悪口大会になってしまいました)

ということで声明文。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121220a.pdf

さてまあご案内の通り今回は資産買入拡大が決まりまして、あたくしと致しましてはAPP拡大は次回の決定会合、即ち新政権の経済対策および補正予算策定にぶつける形でインフレ目標のようなものの設定に加えて追加緩和打ち込みというような形で次回会合で出来るだけたくさんのメニューを並べて「チェンジ」的な雰囲気を出した方が見せ方としてビューテホーではないかと思ってましたし、まあ今でもその方が良かったとは思いますが、資産買入拡大が打ち込まれたのは予想を外してこりゃ失礼いたしましたとゆー所ですが、何せ昨日の決定会合で金利市場の中で金融政策にそれなりに認識のある一部の皆様の間で話題沸騰になったのは声明文の本文における資産買入等基金拡大でも貸出促進制度の決定でも物価安定の理解見直し指示でもなく、1ページ目の脚注なのでありました。

『(注)これらとは別に、石田委員より、補完当座預金制度における適用利率をゼロ%とする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:石田委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、佐藤委員、木内委員)。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

どの位衝撃だったかと言いますと、この提案の提案者がまさか銀行出身の方とは思わず、このような感じの会話があたくしとお友達の間で展開される次第。

人:えーっと、(他の人の名前)さんって何でこんな提案するの実務知らないんじゃないの?
私:いやあのアタクシも信じがたいが提案してるのSMBC出身の石田さんぞな
人:・・・・・・・・・・・・・・・(;゚д゚)

何せこういう会話が1例だけではなく複数例発生したという状況でして、恐らく市場のあちこちで似たような会話が展開されていたと勘案しますと、金融政策をきちんと理解している人と申しますかマニア筋と申しますか綺麗に言えば玄人筋と申しますか、まあその手の人たちでは余りと言えば余りの事案発生に最早10兆円とか2%検討指示とかどうでも良いという状態で騒ぎになっておったのですが、その割には昨日の債券市場や金利先物市場が反応しないのを見ての感想。

人:ユーロ円金先も中期債も反応しませんなあ
私:付利撤廃提案って衝撃の提案なんだけどねえ
人:もしかして私たちって市場の超マイナー筋だったの???
私:・・・・・・・・・・・・・・orz

まあ「8対1で否決されたから関係ないじゃん」ということなのかも知れませんが、何はともあれこの提案をしたのが市場の素人衆ではなく、住友銀行資金為替部長や企画部長を歴任された銀行出身の方というのが一部の市場関係者の間で腰を激しく抜かすというか椅子から転げ落ちそうになった事案でございまして、簡単に申し上げますと「何アホウな提案しているんだこのオッサン何考えているんだおいおいおい」という所でございまして、「このオッサン資金為替部長や企画部長やってて何も理解してないとか大丈夫か」という話でもあり、更には「緑の銀行ってこんなのが役員やってるのか大丈夫か」とそこまで話が及ぶ次第でございまして(もはやただのコジツケの域ですかそうですか)、もう皆さん(ただし一部の人々ですが)大騒ぎですよ奥様という所でございます。


えーっとですな、何回かこちらの駄文で申し上げておりますが再度申し上げますと、資産買入の積み上げを行うという事は、その買入に対応して当座預金残高が積みあがるという形になる訳でございまして、その結果として超過準備預金額も積みあがる、とまあそのような形になりますがな(もちろん経済が絶賛急拡大した結果として所要準備額が急拡大すれば積みあがりませんが、どこからどう見ても資産買入基金の増え方がそんなチンケな話を超越する勢いなのは皆様ご案内の通り)という話。

即ち、資産買入等基金(めんどいのでAPPの略称使いますが)の大幅な積み上げにおいては超過準備の大幅な拡大がセットで付いてくる訳でございまして、その超過準備の付利金利をゼロに下げるという事は、超過準備が積みあがりにくくなるという事を意味している訳で、短期市場の金利は下がるかも知れない(というか下がる)のですが、超過準備が積みあがりにくくなるような措置を取るというのは資産買入等基金の残高を積み上げて行くという現在の金融緩和政策のフレームワークに真っ向から矛盾する話でございます。

更に申し上げますと、今回の声明文の5ページになりますが、(別紙3)に『貸出増加を支援するための資金供給の概要』にございますように、今回決定された貸出増加促進スキームにおいて、

『5.貸付利率
貸付けの通知日における無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準(現在は、年0.1%とする)。』

ということで、この貸出金利が現状では0.10%の固定金利になっているのですが、付利金利が下がるというような話になれば市場金利がその水準まで低下(だから撤廃したら金利がゼロになる)することが想定される訳でして、そんな事が想定される状況下でどこの誰が0.10%などという高金利固定金利での1年とか2年とか3年とかのファンディングをするのだという話になる訳で、貸出増加促進スキームもワークしませんですし、既に実施している成長基盤強化貸出とか、被災地金融機関支援貸出も1年固定金利での貸出を行っている訳でして、これらの貸出がワークしなくなるというのは即ち日銀が重視する成長基盤強化の取り組みを否定するとか、まあそういう話になる訳ですよ。


もちろん、これら貸出制度の枠組みを変更するとか、APPの枠組みを変更して買入残高で勝負するの止めて毎月の買入オファー額だけコミットするとか(市場金利がゼロになってしまうと資産買入だって応じる人が減るのは自明で一定以上の残高積み上げは困難になる)、その辺りの枠組みを全面的に入れ替えるというのとセットであれば付利金利撤廃というのも話としてはアリエール(ただしそれは量的引き締めをもたらしますし、ただでなくさえ開店休業の短期金融市場がどう見ても閉店です本当にありがとうございましたとなるのでそもそも完全ゼロ金利自体が有り得ないとは思いますが)ではあるのですが、このおじちゃん今回の決定においてAPP拡大とか貸出増加支援制度については賛成票を投じている訳で、つまり金融政策運営における提案内容が支離滅裂であるとまあそういう話になりますぞなもしという話。

市場に関して全くのど素人の方が良く判らずに提案しているのなら兎も角、この石田審議委員様におかれましては住友銀行の資金為替部長や企画部長、三井住友銀行でも経営企画部長など歴任されている方でして、いわゆるマーケット出身のカテゴリとは違いますけれども、当然ながら市場のメカニズムなどは熟知されているお方であると理解しておりましたが、石田審議委員におかれましてはもしかして貴殿は馬鹿でいらっしゃいますかとお問い合わせ申し上げたい次第でございまして、今回の提案で市場(ただし一部の金利関係の玄人筋^^)の方々から呆れ果てられたという事はご報告申し上げたい所であります。


つーかですな、こんな提案して付利金利引き下げあるいは撤廃の可能性について本当に可能性が論じられるようになりますと、APPにおける固定金利オペに応札する人がゼロ名に接近してくる(将来の市場金利低下の可能性があるのに0.10%での5か月だの6か月だのの固定金利オペの資金供給に応じる人はいないという意味)のでありまして、早速年明けからの固定金利オペの応札動向が注目されるとまあそういう話になりますぞなもしという所でございます。

#いかん悪態が長くなってしまった


○今回買入拡大ねえ・・・・・・・

新政権の経済対策および大型補正予算策定にぶつけてという形を取って、かつ物価安定の目途の見直しとのセットで資産買入拡大を打ち出した方が「日銀も大型対策」で「チェンジ」というのを見せられたように思えまして、今回は貸出増加支援策と物価安定の目途見直しの議長指示だけに留めても良かったのではないかとあたしゃ思っておったというのは先ほども申し上げましたが、結果出た後の市場の反応が株も為替も債券も「はてこれどう反応したら良いのやら」という感じで上がったり下がったりしたのがチャーミング。

でまあ結果として何だかワカランチ会長ですが、円高に振れたせいもあったのか株が下落して引けてしまいまして、あたくし的には「折角追加緩和したんだから株価前日比プラスで引けろよ」と念じながら画面を見ておったのですが(本当^^)日経平均はずっとマイナスでしたが、引けに掛けてプラスだったトピックスもマイナスになってしまいまして、これなら次回でも良かったんじゃネーノとか残念に思うあたくし。

つーか株式市場あれだけクレクレ言ってたんだから反応してやれよと思う次第で、どうみてもチンピラのカツアゲ状態です本当にありがとうございましたという所ではありますが、まあ買入拡大しなかったらもっと残念な動きになったのかも知れませんし、あたくし的には残念な気もしますが仕方なかったのかも知れずという所ですな。


○短国買入拡大も地味にビックリである

『(1)「資産買入等の基金」の増額決定(全員一致)

「資産買入等の基金」を91 兆円程度から101 兆円程度に10 兆円程度増額する。基金増額の対象については、別紙2のとおり、短期国債を5兆円程度、長期国債を5兆円程度とする。「資産買入等の基金」を通じた今後1年間の追加的な資産買入れ額は、既に決定したものと合わせ、36 兆円程度となる。このほかに、日本銀行は、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。』

ということでAPPの拡大が行われたのですが、10兆円の内訳が短期国債5兆円で長期国債5兆円、しかも別紙2を見ますと、長期国債の増額は来年の前半後半で各2.5兆円の割り振りとなっているのに、短期国債の増額は前倒しで来年の前半で実施というのが目に付きます。

もともと短期国債市場においては、季節的な資金余剰要因(12月は年金と国債償還で月後半に掛けて大幅な資金余剰になる)に加えて日銀買入効果もありまして、短国レートの低下がここへ来て顕著になっていまして、ご案内の方も多いとは存じますが、今月のTB入札は回を追うごとに落札金利が低下していまして、現状では3か月TBが0.09%台前半とかそういう水準感。

現在9.5兆円の買入という状況において既にこの有様なのに、来年前半にはこの残高を19.5兆円にするという事でして、買入の短期国債が概ね3か月TBになっているという現状を勘案しますと、ターンオーバーを考えると(少なくとも後半3カ月は)月に6兆円ペースで短国を買わないと残高の達成が出来ないという状態になりますので、超過準備の付利云々が無い場合でも短期国債の需給がかなりタイトになる事が想定され、金利は来年の6月に向けて一段低下するでしょという事は容易に想定できるお話。

いやまあこれだけ短国を日銀が市場から吸い上げるのであれば、この際財務省様におかれましては大規模に為替介入を実施して頂きまして円安誘導しますと、不胎化介入がどうのこうのとかいうようなチンケな話では無く、何と「為替市場介入資金の国債を日銀が買切しますぞな」という事になる訳で、実質的には日銀の外債購入に近い話になるという大変にファンタスティックな状況となりますので、この際麻生財務大臣(になるという前提で書いておりますが)におかれましては内閣成立と同時に為替介入を名刺代わりにどどーんと打って頂きまして、政府日銀の一体感と為替誘導に関する決意を示すというのは如何でございましょうかと思ったのですがどうっすかねえ^^;



○しかし貸出増加支援制度の所が読みにくいぞな

引用するのが七面倒、というのは言い訳でして単に表組みのコピペとかの能力があたくしに欠如しているだけの事ですが、(別紙1)の所で『各基金の規模と今後の追加資金供給』というのがございまして、ここの表示が最終系の部分での時期が揃ってなかたり、(別紙3)の制度の詳細の部分が2ページに渡っていてこれが一読すると何が何やらという感じで読みにくいのはうーむと思いましたがまあ多くは悪態をつきますまい。


○今回は時間を随分節約しましたなというお話

今回の発表時間は13時01分でございましたが、ご案内の通り今回の声明文は別紙が沢山あって7ページ組でして、議決事項も2つ(否決された提案があったので3つですかね)あったのですが、これを13時01分に終了させるということで前回のアコードとか追加緩和とかの措置で妙に時間が長引いてしまって市場に余計な思惑を起こしたり、残り時間の関係で市場が消化しきれなかったりという悪事例があったのですが、今回はこの前の時間かかり過ぎを反省したのかやたら迅速に処理した観がございまして、これはロジを行っている事務方の皆様大変お疲れ様でしたというのと共に、議事の仕切りも大変だったのではないかと議長であります総裁様お疲れ様でしたという所です。


・・・・・・・・・ということで、決定会合そのもののレビューについては今朝の所はここまでで勘弁ということでした、声明文での景気認識とかの話はどうなっているのかというツッコミはしないように。


以下その他ネタ。

○やっぱり不安だわ・・・・・・・・・・・・・・・

決定会合後に話題になっていたネタはやはりこれ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL200KV_Q2A221C1000000/
日銀総裁の電話「会合終了後」 安倍氏が訂正
2012/12/20 16:43

『自民党の安倍晋三総裁は20日午後、日銀の金融政策決定会合の結果に関する白川方明総裁の電話について「連絡を受けたのは午後だ。(会合が)終わってからだ」と訂正した。党本部で記者団の質問に答えた。安倍氏は同日の党の政調正副会長・部会長合同会議で「けさ白川総裁から電話で報告を受けた」と話していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URLより)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000134-jij-pol
「朝」か「午後」かで一騒動=日銀総裁との電話時刻訂正―安倍自民総裁
時事通信 12月20日(木)19時12分配信

『白川方明日銀総裁が20日、金融政策決定会合の決定内容を説明するために安倍晋三自民党総裁にかけた電話の時刻が「朝」か「午後」かをめぐり、両者の説明が食い違う騒動があった。安倍氏は同日午後、自民党本部での会合あいさつで「きょう朝、白川日銀総裁から電話をいただいた。金融政策決定会合の結果を含めて報告いただいた」と発言した。』

『決定会合終了は午後0時56分。「朝」が本当なら、安倍氏にだけ白川総裁が決定内容を事前通告していたことになり大問題に発展する。記者会見で事実関係を問われた白川総裁は、安倍氏に電話した時刻を「午後1時30分ごろ」とし、午前中ではないと説明。夕方になって安倍氏も記者団に対し「午後だ」と訂正し、ようやく騒動は落ち着いた。』(以上上記URLより)


もうね、この人困ったもんだという事でございまして、仮に総裁からの電話が朝にあった(決定会合は合議制ですから、決定内容の話とか事前にするのはそもそも無理ですからまあご挨拶の電話でしょと思いますけど・・・・・・)にしてもそんな話は絶対にしないのがお作法というものでありまして、口が軽いにも程がある上に、こんなプロトコル丸無視な言動をするとカウンターパートの顔を思いっきり潰す話でありまして、ダメダメにも程があるわと思うのでした。

これね、日本国内だと内閣総理大臣様ですから顔を潰された方は不満があっても飲みこむでしょうけれども、対外交渉もこの調子でやってプロトコル無視で相手の顔を潰して回ると決まるものも決まらなくなりますし、そこらじゅうで敵を作って回るだけの話でありまして、この人の前回政権が短命に終わったのも何となく判るわという風に思うのでありました。

と思ったら要を得た解説記事がこちらにございましたのでご紹介。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL200KA_Q2A221C1000000/
安倍氏「日銀総裁から電話」 口の軽さにため息も
2012/12/20 16:15
〔日経QUICKニュース(NQN) 大谷篤〕

『安倍氏はこの日午後の党本部の会合で、日銀が金融政策決定会合で追加金融緩和や物価上昇率目標の検討を決めたことを巡り「けさ日銀の白川方明総裁から電話で報告を受けた。我々が選挙で訴えてきたことが一つ一つ実現してきている」と述べた。言葉通りなら日銀が午後に追加緩和と物価目標の検討を決める予定だということについて事前に報告があったと受け止めることができる。』

しかしまあ何ですな、この記事にありましたように「我々が選挙で訴えてきたことが一つ一つ実現してきている」とか言っちゃう所もケツの穴が小さいと申しますか狭量と申しますかという所でございまして、こんなのは相手に花を持たせて「日銀もデフレ脱却の重要性に鑑みて重要な決定をした事に感謝したい」とか言っておけば相手も気分が良くなる訳で、「俺様の手柄だ」みたいな言い方をしたら経緯や背景事情はどうであっても相手は顔を潰されたとか思うかもしれませんし、少なくとも良い印象は受けない訳でございまして、先ほども申し上げましたが、こうやって一々そこらじゅうで味方を無くすような言動をしちゃうのが安倍さんのダメな所じゃネーノと思いますとやはり組閣前から不安が募る今日この頃。

『市場には戸惑いの声が広がった。安倍氏は18日に白川総裁と会談し、2%の物価上昇率目標の設定を要請したばかり。「結局、安倍氏の圧力で金融政策が決まった」との印象が拭えない。「これまでも日銀から政府に対して事前に報告はあっただろうが、それを手柄のように公言するのは問題」(国内証券)。「日銀と水面下で交渉するのが政治家の腕の見せどころのはずだ」(国内銀行)と、市場関係者は次期首相と目される安倍氏の口の軽さにため息を漏らしていた。』(以上上記URLより)

ということで、「こりゃダメだ」の2件目はこの安倍さんの事案でございましたとさ。


○その他少々

・他に悪態事案があったのですが

まあどこぞの汐留通信社様が「民意の反映で」みたいな解説記事を書いていたのにまたまたこのあたくし釣られるはずだったのですが、肝心の汐留通信社様の記事URLがうまくヒットしなかったので悪態をそんなに書けないのが残念。

えーっとですな、その「民意ガー」で煽られた事にも影響されたのか「バブル退治」を過剰にやり過ぎ、しかもその間民意ガーの皆様拍手喝采していたら、その結果大変な事になりましたぞなという事案がつい最近(つーても20年前とかですが)どこぞの国で行われていた訳でして、民意ガーとかで金融政策の話するんじゃねえよと存じます次第。

その民意ガーが今度実際に物価がそれなりに上昇した場合に、当初賃金などの上昇の前に物価が上昇するであろうことが想像できる訳で、民意ガーが今度は不必要な引き締め政策を求めるようになって、金融政策がそれに引き摺られたら元も子も無いじゃんというのは先般来申し上げている通りでありまする。


・公共放送の解説

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121221/t10014340971000.html
日銀 適切な物価目標設定など検討へ
12月21日 4時59分

公共放送ニュースの本チャンの方では「物価上昇→企業収益増加→賃金上昇」という循環の図の説明と共に、「賃金が上昇せずに物価のみが上昇する懸念も」みたいな説明がありまして、ふーんと思いながら見ておりましたです、はい。





2012/12/20

お題「MPMプレビューという名のただの雑談/FEDの資産買入政策は既に「無期限無制限」モードでは無いという件」

FNNによりますと日銀物価目標2%を受け入れる方向との事で、インフレターゲット云々の説明をしていましたが、物価が上がると企業収益が上がって賃金が上がるので消費が増えるという虫の良い説明な上に現状がデフレスパイラルという説明をしててはあそうですかと思いましたがそのニュース映像のURLは無さそうなので華麗にスルー。

つーかですな、賃金も年金も上がらなかったら云々という説明をしているのですが、年金は物価スライドするので実は給与所得者の方がアレだったりしてorzorz

しかしまあ何ですな。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121220/t10014310911000.html
自民 谷垣前総裁を入閣の方向で検討
12月20日 5時8分

民主党のグダグダ振りを見ますと、野党時代の運営を行っていた谷垣さん入閣とは良かったですねと思うのですが、あまりイロモノ系を出すとかどこぞの明智光秀を出すのはどうなのかという気はします。ただまあここもとの動きを見ていると安倍さんさすがに当初から憲法だの国防軍だのというアレな話は避ける方向になっているようでいきなりズッコケは無さそうだなと安心感が徐々に高まるのでありまして(^^)。

#でまあその分日銀への圧力が掛かるというのがこれまたアレな話ですが。


○決定会合プレビュー雑談もへったくれもありませんが

何か株式市場の方が異様にクレクレで盛り上がっているのですが、その国債買入が増えることによってどのような波及効果で株式市場に効果が出るのかサパーリワカランチ会長ではございますが、何か米国でも量で勝負の世界から金利ガイダンスの政策運営になっているという中でそんなに国債の買入量でどうのこうのという話なのかいなと国債を吸い上げられて特に中短期ゾーンについては金利が沈んで収益ますます下がってオッペケペーな無力市場参加者としては思うのですが。

つーかクレクレ言って更に「材料出尽くしになるか」とかいうコメントをモーサテの株式電話コメントのお方が仰せでしたが何が何やら良く判らん、つーかおまいらETFとREITの買入が未達なの何で気にしないんだよと思う訳で、何でそっちを全然見ないんだと。

国債買入で金利潰してもご覧の有様でありまして、それよりも為替ルートや資産価格ルートから物価に働き掛けるような方向性で考える方が(国債買入そのものがオペレーション的に無理気味になっているので)まだ費用対効果があるんじゃネーノと思う訳でして、その点から先日来ETFとREITの買入が未達(どうせ中間目標なので少々の未達は細けぇこたあいいんだよ基金の総残高はオーバーしてるだろとか言い訳するのでしょうけれども)というのに悪態を申し上げておる次第でございますが、国債買うよりもETFとか買った方が良い(しかし問題は相場が下がらないと買わないという今のパターンだと押し上げ介入的な効果が無い事で、国債市場は金利押し下げ介入するのにリスク資産はそうしないのねという所ですが)とは思うのですが、インフレ目標論議でその辺りがすっかりスルーされているのが誠に不思議ちゃんではございます。

基本的にはMPMの前の日に次期首相ほぼ確定候補と会談してその次期首相候補様が「要請した」とかいう話をしている中でいきなりその通りに実施とかさすがにアレにも程がありますので、昨日申し上げましたように「物価安定の目途の表現についてより明確化する為の検討を執行部に指示」とかいう所(そもそもアコードとやらを締結しようにもカウンターパートいませんし)でしょうし、買入拡大が物理的に少々アレな中(という意味では補正で国債増発されると中短期ゾーン的には干天の慈雨なのですが、増発が中短期オンリーで行われる訳でも無いでしょうからねえ)でそんなにホイホイと基金の額を増やせない(大体からして3か月TB金利が0.09%台前半という状態の中で6か月固定金利0.10%ファンディングのニーズがどれだけあるんですかとか考えると固定金利オペの目標も益々大変でしょうし)とか考えますと、やはり出すタマは1月決定会合でどどーんとまとめて景気よく出した方が良いとは思いますけどね。

#麻生内閣の時に経済対策とタイアップした形の政策を打ったという前例もありますからして、今回は財務大臣に麻生さんなのですから同じように見せてくるとか思うのですけれども

つーかさ、今急に思ったのですけど、毎月のようにクレクレ攻撃をするのに「小出しはケシカラン」とか「材料出尽くし感が出ないように」とか抜かしやがる方々って良く考えたらどこのチンピラ当たり屋だよと思いますけどにゃあ。今回基金拡大をやっちゃうと1月に打つ実弾の方が無くなる訳で・・・・・・・

ま、今月基金拡大して来月2%がどうのこうのというのもアリエールではありますけれども、安倍白川会談が余りにも露骨過ぎるのでどうなのかねとは思いますけど。それが「貸しを作る」という認識になってもらうなら先にやる意味もあるのですけれども、追加出しても「貸し」にならないで却って「脅せば出てくる」というカツアゲモードを促進するだけというプロトコルもへったくれも無い昨今の傾向でございますからねえとは思いますけど。

#ただまあ今回貸出制度の内容発表と「検討を指示」という形での決定をする場合、ヘッドラインで「検討を指示」を最初に打たせるような発表方法を考えないと外野が五月蝿いとは思いますけれどもね

しかしまあ何ですな、今回でも次回でもどうせ追加の基金拡大という話になるとは思いますけれども、基金拡大を今月実施するかしないかという予想についてのレポートを適当に読んだり、人の話を適当に聞いたりしておりますと、金融政策のロジックとかプロトコルとかを重視するタイプ、というと格好は良いですが、まあ悪口言えば日銀に発想が近い人ほど別に12月にやる必要ないじゃんという答えになっているのが(まあ当然なのかも知れませんが)オモシロスという所でもございますなあとか思うこのあたくしは日銀に毒されていますかそうですか。

ちなみに以前も多分引用させていただいた気がするのですが、日銀の独立性云々に関してはbewaadさんのこの辺の解説が詳しいのでご覧あれ。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100810/p1
2010-08-10 アリフレ政策の政

なお、とりあえず公共放送では追加緩和というニュースフローは出ておりませんようでございますが・・・・・・・・

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL190HY_Z11C12A2000000/
自民党本部に山口日銀副総裁 石破幹事長と面会
2012/12/19 11:52

前日に麿先生がご訪問したのに昨日もMPM当日だというのに(MPMは午後からなので午前中に訪問は可能)山口副総裁がご訪問という事で、そのニュースを見て「来月の補正予算に合わせて我々も景気よくぶち上げますから今月は一つご勘弁」という話をつけに逝ったのではないかと邪推するあたくしは陰謀論ですかそうですか^^;

どうせアコードみたいなのを出すとかいうのであれば政府についても長期的な財政維持可能性に対するコミットとか、物価上昇に向けた経済政策運営に対するコミットとか、そういうのを引っ張り出さないと全部日銀に責任おっかぶされる事になる訳ですが・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MF9SXO6K50XT01.html
安倍自民総裁:金融・財政、成長戦略の3本柱で−デフレ・円高対策
更新日時: 2012/12/19 18:33 JST

『12月19日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は19日夕、関西テレビの番組に出演し、新政権の経済・金融政策について、デフレ脱却と円高是正には「金融政策だけやれば必要十分条件ではない」と述べた上で、「金融政策と財政政策と成長戦略の3本柱でいきたい」との方針を示した。』(上記URLより)

ということで、日銀が金融政策やれば全てバラ色的な(ある意味日銀全能論で金利市場の中の人的にはそら日銀への過大評価にも程があるわともいえる話ですけどね)話から、まあ段々普通の話になってきて、「前例のない金融緩和」みたいな話から徐々に常識の範囲内に寄ってきている(プロトコル無視なのは常識の範囲外ですが)ように見えるのがちょっとマシになってきてる罠とは思うのでございますけど。


それから蛇足ですが、円安誘導に関しては貿易収支が燃料費要因で赤字の中でバンバン実施すると物価には上昇要因として働くかも知れんが、それはコストプッシュによる誰得物価上昇と誰得円安になってしまいますので、セットとして原発再稼働で電力コスト上昇要因を是正していく(そうすると円安要因の大きいのが一つなくなるのですが)っつー動きをしてくれないと当初は輸出企業の収益拡大に効くけど国内コストプッシュで更に製造業が海外に流出とかそっちの方から悪影響とかになったらトンマにも程があると思いますけどね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MF94YE6JIJVC01.html
貿易収支は5カ月連続の赤字、額は予想下回るー11月では過去最大 (1)
更新日時: 2012/12/19 10:57 JST

#なお念のため申し上げますと、公共放送様におかれましては本日のMPMでの追加緩和がというニュースは5時台でも6時台でも7時台でも言及がございませんでしたことをご報告させていただきます


○バーナンキ会見ネタのまたまた続き(小出しですかそうですか)

引き続きこのネタで恐縮ですが。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20121212.pdf

・昨日の続きでオモシロ質疑登場

19ページの後段の辺りから始まるオモシロというか辛辣質疑。

『BINYAMIN APPLEBAUM. Sir, you've articulated more clearly than ever your commitment to reduce unemployment, but you've also said that you're not actually doing anything more to achieve that goal; that you still expect it to be three years away; that you're disappointed with the pace of progress; and that inflation is not the limiting factor. What is the limiting factor? Why is the Fed not announcing today additional measures to reduce unemployment? What would it take for you to get that?』

こらまた素敵なツッコミですが・・・・・・・

失業低下に対してより明確に今回コミットしてたのに、現時点での見通しは3年近くそれに掛かるとかゆうとりまして、さらに逆さ絵先生におかれましては先般来改善ペースに失望していると仰せでございますが、インフレ上昇について懸念してないというのならば何で今回失業率を押し下げるために追加の緩和を行わないのでしょうか????

とか何とか質問しているように見えますが、こらまた嫌味にも程がありますがそれに対しての逆さ絵先生のご回答。

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, we took--the question was whether this was something new relative to September, I think September was the date where we did do a substantial increase in accommodation. At that point, we announced our dissatisfaction with the state of labor market and the outlook for jobs and said we would take further action if the outlook didn't improve. And what we've done today is really just following through what we said. So, I would say that, you know, looking at it from the perspective of September, that we have, in fact, taken significant additional action to provide support for the recovery and for job creation.』

(先日引用しましたが)前の質疑の方ではおなじフォロースルーと言いながら今回の国債買入について「顕著(substantial)な追加緩和を行ってはいませんが何か」と説明していまして、こちらでは「9月に緩和を顕著に実施しまして今回はそのフォロースルー」と説明しておりまして、何が何やらワカランチ会長にも程がある説明。

『The reason--one of the considerations though as I've talked about is that, you know, given that we are now in the world of unconventional policy that has both uncertain cost and uncertain efficacy or uncertain benefits, you know, that creates a more--somewhat more complicated policy decision than the old style of just changing the federal funds rate.』

資産買入という非伝統的な政策はその効果とコストが未だに判り難い部分があるので、そうバンバンと威勢よく顕著な緩和拡大をする訳にはいかないのですよとか逆さ絵先生のこの説明を拝読するとどこがどう「無期限無制限の緩和」なのかと小一時間問い詰めたい訳でございますがそれは兎も角。

『You know, there are concerns that I've talked about in these briefings before that if the balance sheet gets indefinitely large that there would be potential risks in terms of financial stability, in terms of market functioning. And the committee takes these risks very seriously.』

おーおーおーという感じですが、ついに第二の柱キターという所で、この辺は麿が憑依しているのではないかというようなお話をしている訳でして、今回の会見の印象が従来と思いっきり違うなあとあたくしが思う所でございます。

『And they impose a certain cost on policy that doesn't exist when you're dealing only with the federal funds rate. And so what we're trying to do here is balance the potential benefits in terms of lower unemployment and inflation at target against the reality that as the balance sheet gets bigger that there's greater cost that might be associated with that, and those have to be taken to account.』

ということで、非伝統的な政策を実施する中ではその弊害も考えながらバランスアプローチとか思いっきり資産買入政策の限界と副作用についての説明を(ここだけではなく)している訳でございまして、日銀ガーの皆様、特にどこぞのウォッチマン先生やどこぞの内閣参与先生辺りにおかれましてはこの辺の逆さ絵先生の説明を目ん玉よく開けて読めやとゆー所でございます。


でまあそれで納得しないAPPLEBAUM記者は更に嫌がらせのような質問をするのだ。

『BINYAMIN APPLEBAUM. Sir, if I can just follow so, these forecasts presumably incorporate the actions taken into account, and so [inaudible] given those actions, it will still be three years until you achieve your goals. Is the message to people who are unemployed basically, "We are doing all we can?" Is this the conclusion that given that balance of factors, this is the most we can expect?』

金融政策の効果も含めてのSEPでの見通しをが「3年間たっても失業率のゴールに達しない」となっているとようですが、お前ら今の失業者に向けて失業率のゴールに達するのに3年じゃきかなく掛かりますよテペヘロとか言いながら「我々は出来る事をやっております」とかどういう事やボケナス、というような質問ですかそうですか。

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, first of all, again, these--the projections that you're looking at are based on each individual--this is not a committee collective projection. What they are, of course, is 19 separate participants making their own projections based on their own views of optimal policy. So, for example, it includes those folks who think that we shouldn't be doing any more purchases and their forecasts are included in there as well.』

さあ説明が苦しくなってまいりました!!!!

『So, it's not exactly an apples to apples comparison, but it is true that if we could wave a magic wand and get unemployment down to 5 percent tomorrow, obviously we would do that, but there are constraints in terms of the dynamics of the economy, in terms of the power of these tools, and in terms of the fact that we do need to take into account, you know, the possibility of other costs and risks that might be associated with a large expansion of our balance sheet.』

ワロタというか何というかで、説明がだいぶヤケクソ気味になっているように見えますが、そんな失業率が急に5%に下がるような魔法の杖はないんじゃヴォケ今やってるバランスシート政策は色々と良く解明されていないリスクがあるから慎重にやっていく必要があるんじゃドアホウと勝手に脳内変換して読んで一人でニヤニヤしていたのはここだけの話です。

#ということで今日はMPMですので残りは年末までのネタとしますが、その間に趣味人必読のBOE議事要旨もございますので週末は忙しいですなあという所で







2012/12/19

お題「物価目標がどうのこうのの雑感/バーナンキ会見ネタ(その2)」

「政策の実行力が問われます」と言いながら何で日銀の金融政策の話を言い出すんだこの株屋はんそれは安倍政権の実行力ちゃいますがな恫喝力ですがな(表に出さないで日銀にやらせるのは実行力かもしれんが^^)肝心なのは財政出す時にしょうもない使い方をしないで有効に使うこと(の他にTPPとかその辺りも)で、その為の実行力が問われるんじゃねえかこのオッサンは何をゆうとるんだよと朝からモーサテ見てトサカに来るこのあたくし。そういう事言うから株屋は目先の金の話しかしないとか言われるんだよと過去に株屋でもあったあたくしは思うのでした。

○タイミングが何ともアレでしたな&物価目標関連雑感(安倍さんと麿の会談関連)

これは結果の方のニュースですけどね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121218-00000068-jij-pol
2%物価目標の検討要請=政策協定も―安倍氏と白川総裁が初会談
時事通信 12月18日(火)15時47分配信

『自民党の安倍晋三総裁は18日午後、党本部で白川方明日銀総裁と約20分間会談し、新政権発足後、消費者物価の2%上昇を目指すインフレ(物価)目標を柱とするアコード(政策協定)を締結したいとの意向を伝え、検討を求めた。衆院選後に、安倍氏が白川総裁と会談するのは初めて。』(上記URLより、以下同様)

ということでしたが、「白川総裁が安倍さんの所にこれから訪問する」というニュースが出たのが超長期国債入札の落札結果が出たちょっと後(確か12時50分前後)という時間でございまして、しかも超長期国債入札がやや流れた後でしたので、このヘッドライン見て債券先物売られてその直後に先物が当日安値の143円80銭(前日比▲43銭)をマークするという大変素敵な展開に。

ちょうど昨日はオバマさんの財政の崖に向けた前向きな話が前場の時間帯に出てきたのもあって売りモードになっていたのであちゃーという感じでしたが、その後下がった所で投資家買いもあって持ち直した訳ですが、先物がやや売りモードっぽくて(一方で超長期などは比較的底堅い)結局144円割れで終了の巻となったようでございますな。

まあ入札が超長期だったというのもありますが、追加金融緩和を連想させるニュースで先物売りでの反応となるのが、ここまでの流れからしたら債券市場の中の人的にはそうでしょうなあという所ですが、追加緩和必ずしも長期債買いになるのかが怪しいという展開になってきているのがニヤニヤという所ですの。

『次期首相に選出される予定の安倍氏からの要請を受け、日銀は19、20の両日開く金融政策決定会合で2%物価目標やアコードの検討に着手。早ければ来月にも結論を出す。ただ、金融政策に対する政府関与を強める内容になれば、日銀の独立性への懸念が浮上する恐れもある。』

基本的には1月に安倍政権が総合経済対策を出してそこにセットで追加金融緩和に加えてアコードとやらを設定という話になるんでしょうな。で、今回の会合では「物価上昇の目途についてより表現を改善するなどの方法についての検討を執行部に指示」というような感じで次回会合への期待を持たせておけばヨロシとまあそういう話になるんでしょ。日銀の独立性の懸念云々はまあ今さら何の話ですねんという所ではあるのですけど。

しかしまあ何ですな、2%物価目標やらアコードやらという事ですが、そもそも今日銀が出している「物価安定の目途」に関しても別に1%を目標にしている訳では無くて、「2%以下のプラス」が本当の目途ですが、そもそも足元がゼロとかマイナスとかをウロウロしている状態ですし、大体からして過去の経緯を見ると資産バブル経済で超バブル時代の後期にやっと2%とかに乗ったという位の状況だった訳でして、そんな状態でいきなり2%と言っても話が遠すぎるからまずは1%を目指して、それが経済の実力に見合っている上昇だったら更に上を目指しましょう、という話になって居た筈。

ただまあそーゆー説明じゃなくて(それこそモーサテですら)「目標1%」みたいな表現の方が先行しているという事ですから、まあその意味では表現方法の見直しとかゆーのもシャーナイナイ所ではあるのですが、これ報道各社に対するちゃんとした教育もしないといかんという話でしょうし、まあそれ以前の問題として何を言ってるのか一般に判りにくい表現をする日銀も残念ですねという話になるんでしょうな。

でまあ2%目標は目標ではあそうですかという感じですが、従来の物価安定の目途は「偏差値30の成績を70位まで持って行きたいですが何せ長年30でしたのでとりあえずは50位には持って行きましょう」という話だったのが、今度はいきなり70を目指すという話になるのか大変ですなあという所ではあります。

『安倍氏は会談後、記者団に対し、消費増税ができるよう経済を安定させる必要があると指摘。その上で衆院選で訴えてきた2%の物価目標とアコードについて「検討をいただきたい」と述べたことを明らかにした。』

まあブラックアウトルールは日銀のルールですから安倍さんが喋る事までは規制できないのですけれども、翌日にMPMを控えている中で、日銀が喋る事が出来ないという状況でありますので、プロトコルというのは尊重して頂きたいと思う次第で、この辺りにも安倍さんのアレな香りと申しますか、どこの民主党政権だよという風情を漂わせるのは野党期間中に自民党劣化しちゃいましたねえと思うのでありまする。


そらまあ物価上昇率2%を目指して延々と金融緩和が続くという話で、更に補正予算をどどーんと打ちます財政出しますという話に加えて円安誘導しますとゆーのがセットになってその辺の政策がワークするかもしれないと思えば長期金利の均衡水準が変わるのも当然という話になりますが、金融経済政策がワークするという認識になると長期金利が上昇しやすくなるという事になりまして、それはそれで世の中的にも金利低下による収益性悪化に困り果てている金利市場関係者的にも結構なお話ではありますが、短期的には金利上昇の方が先に来る可能性があるので財務省的にはうーむという所になるんですかね、よー知らんけど。

#想定する金利は今の所より思いっきり高い所にあるので少々の金利上昇はキニシナイのでしょうが



○更に目標とかアコードに関する雑談は続く

ところでですな、そのインフレ目標2%でアコードがどうのこうのでより拘束力のある目標がどうのこうのという話でございますが、先日来ネタにしておりますFOMC後の逆さ絵おじさんの会見では「閾値」型のフォワードガイダンスを設定したものの、その内容がどうにも裁量型という感じになっておりまして、市場の皆様も今回のFRBの政策変更を「裁量が高まった」との評価が一般的になっていると理解しております。さらにインフレターゲットの先進国(?)の英国に関してはご案内の状況な上に、そもそもターゲット政策このままで良いのか的な問題提起があったりする訳で、そんな中で「拘束力のあるインフレ目標」って今さら2周回位遅れた議論をしてどうするねんとは思いますけどとは思いますがそれは兎も角。

毎度申し上げておりますように、実際に物価が上昇しだすと当然ながら物価上昇の方が名目賃金上昇の前に来る事が想定されまして、インフレフォビアが根付いておりますこのジャパンにおかれましては文句出まくって、その結果として日銀に対して引き締めろやみたいな話が出て来る方が正直オソロシスであって、んな事になったら洒落にならんなあとは思います。

でまあその世論ガーという件ですが、インフレフォビア丸出しの世論様が実際にCPIベースで1%位の物価上昇を目の当たりにするとどういう話になるかというしょうもない事を妄想してみたのですが、恐らくは「品質向上で物価が低下するという物価統計のあり方がおかしい」とかいうような話になってくるのではないかと妄想。即ち庶民ガーの世論様が言い出す屁理屈としては、「家電製品の性能が向上したからと言っても支払の額が変わる訳でも無いのに物価が統計上下がるというのはおかしい!!実際に生活者の支出実態に即した物価統計を参考にすべき!!」とか何とか言いだしてヘドニック推計の方式が変えられるまたは参考とする物価統計が変わってしまうという素敵な結果が起こるに1万ジンバブエドルという風に妄想していますがどうでしょうかねえ(^^)。

もちろん景気が良くなって物価が上昇するのが結構なお話なのですが、前回の景気拡大期でも物価の状況ってあの程度だった事を勘案しますと、(物価統計の鉛筆をいじるという荒業を使う以外で^^)中々簡単に物価アガランチ会長になって、第二の柱の方が炸裂するのか、はたまた世論ガーのバックラッシュが起こって更に問題がこじれるかのどちらかになりそうな悪寒がするのはあたくしが心配性だからですかそうですか。何か物価を無理くり上げる方が目的化しちゃうとそれはそれで誰得物価上昇になるんですがねえとは思いますけど。


ま、いずれにせよ2%の目標でしたら(その拘束力の内容次第ですが)そんなに無茶苦茶な話でも無いですし、政策協定がこれまたどういう内容になるのかという所がアレなのですけれども、物価目標達成の為に政府も政策対応で頑張りますという話であれば(まあその一方で公務員給与減額とか絶賛デフレ政策実施するなよと思いますが)当初安倍さんがぶち上げていた過激な話が現実的な所に修正されるというのであれば結構な方向性ではないかなあとは思いますけど。


更にどうでも良いですが、このアコード話って元はと言えばどこぞの前ナントカさんがおっぱじめた事で、「この人がドヤ顔でしゃしゃり出てくるとその後碌な事が起きない」という前原デスノートの法則(今勝手に命名した^^)は今回も健在という所ではあろうかと存じます。まあ良い方向になればいいんですけどね。


ということで大型補正ですが、

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121218-00000069-jij-pol
大型補正編成で一致=自公党首、連立協議入り
時事通信 12月18日(火)15時47分配信

『自民党の安倍晋三総裁は18日午後、公明党の山口那津男代表と国会内で会談し、低迷する景気を立て直すため、大型の2012年度補正予算案を編成することで合意した。新政権発足後、速やかに検討を開始する。両党は今後、連立政権に向けた政策協議に入り、週内の合意を目指す。』(上記URLより)

兎に角、ここで安倍さんにコケられますと次の参議院選挙がまたまたリセット志向で維新が伸びて本当に日本リセットになるというのが杞憂レベルから危機感レベルにと今回の選挙結果を見て思ってしまう次第でございますので、何としてもコケないで頂きたいと存じます。

とゆー事ですので、この補正が出たからと言ってどこぞの誰かさんのように道路建設ヒャッハーとかいうような長期的な経済効果がそんなに出ないでその場で終了するわその後のメンテコストが掛かるわというような費消のされかた(なお、道路建設のすべてが悪いと言ってる積りは1ミリもありませんので念のため)しちゃうと誠に残念な展開というか、昔と同じ話になってしまいますので、本来「実行力が問われる」のはそっちの方だろと思うのですけどねえ。



○バーナンキ会見ネタの続きである(会見ネタその2)

今回の会見は中々読んでいてヲチャー的にはオモロイが逆さ絵苦渋の会見という風情もあるのです。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20121212.pdf

先日は「今回の米国長期債買入450億ドルは従来の政策の延長で顕著な追加緩和ではない」というええええええ!!!という部分と、「資産買入はバランスシートの大きさがメインのテーマでは無く、その内容が重要である」というこれまたえええええええええ!!!!!!!という部分まで引用しましたが、その辺の関連質問がその後にありましたので今日はその辺りを。

・ロンガーランのFFレートと出口政策の整合性に関して

上記PDFは12月19日日本時間の朝現在では初稿版となっていますので、初稿版ベースのページで申し上げますが、上記URLの13ページ中段の質問から。

『JON HILSENRATH. Jon Hilsenrath from the Wall Street Journal. Mr. Chairman, I just--I want to try to square up some numbers, the threshold that you announced today for when rate hikes might start at 6-1/2 percent. The Committee's assessment of the longer-run unemployment rate is 6 percent or perhaps a bit lower and the longer-run equilibrium fed funds rate is around 4 percent according to these projections.』

6.5%になったら利上げ開始されるであろうという事が示唆されていますが、SEPで示している長期的な失業率の望ましい水準が6%またはそれより若干低い(示されている数値は5.2-6.0です)となっていて、一方で長期均衡水準としてのFFレートについてはSEPで4%近辺とされておりますが・・・・・・・・

『It suggests that when the Fed does start raising interest rates down the road, it might have to move fairly quickly to get to some equilibrium fed funds rate. Is that, specifically, is that the case and more generally, can you talk about what this framework that you set up today says about the exit strategy that you had laid out some time ago and whether that's evolving or changing?』

そうなりますと金利引き上げのペースって早くやらないとおかしくねえか???とまあそういう趣旨の質問でございますな。

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, it’s a good question.』

今回の会見では逆さ絵先生のこの返しが何回も出ているのが目立つのですが(^^)。

『So first of all, we don't have a precise estimate of the long-run sustainable unemployment rate. The estimates that were provided in the summary of economic projections today, as has been the case for a while, is 5.2 to 6.0 percent. So, it could be well less than 6-1/2 percent, so that gives us some time.』

実際に長期均衡の失業率を正確に推計することは難しく、5.2-6.0は今のFOMCの推測ではありますが、とりあえず6.5%だと少し上なので時間的余裕ありますよねという説明。

『My anticipation is that the removal of accommodation after the takeoff point, wherever that occurs, would be relatively gradual. I don't think we're looking at a rapid increase. Of course, that depends on where inflation is and other conditions. But it's--the path that we're basing these numbers on is one that assumes, first of all, as you anticipated, assumes a[n] increase in the funds rate first occurring some time after unemployment goes below 6-1/2 percent, but does not necessarily assume a rapid increase after that. And I--what we said in our statement is that we would take a balanced approach.』

どう見ても煙に巻いているのですが、この辺りの説明は「物価状況を見ながらバランスの取れたアプローチをします」という事で、物価がアガランチ会長であるという事を前提に置いた場合、この辺の説明はハト風味を漂わせているという内容になっておりまして、先日ネタにした部分がタカ風味であるのに対してハト風味部分がある、というのはこれすなわち今回の決定がハト派とタカ派の間の最大公約数をとりあえず纏めてみましたという代物であって、内容的にまだまだ詰めないといけない生煮え状態である、というのを示唆していると思いますがどうでしょうか。

『In other words, you know, once we get to that point, we may or may not raise rates at that point. We'll look at the situation. But assuming that inflation remains well controlled, which I fully anticipate, I think that the rate of increase in rates would be moderate.』

ということで、物価がコントロールされているならば利上げペースはモデレートという話ですが、実際問題としてNAIRUがFEDの想定より高かった場合はどこかの時点で物価が吹くリスクはございますなあという所ですけど、その辺はスルーしますとハトな話ですわな。

『This is consistent--the exit strategy that we put out is consistent with our statement today, because the exit strategy was primarily about how we would normalize the balance sheet over time. And at this time we have not made any changes in that, and we believe that some increase in the size of our balance sheet is consistent still with that general sequence that we laid out in the minutes a year and a half ago.』

バランスシートの縮小が出口政策の最初に来るとの事ですが、あれだけバカスカ長期債買っておいてどうやってスムーズなバランスシートの縮小が出来るのかは正直謎というか何も考えていないだろと思いますが。

『That being said, if the balance sheet grows by enough, we may have to reconsider the pace or timing of that, but I don't see any changes that would, you know, radically change the time to normalization or the time to exit.』

ということでここではいきなりタカ風味になっているのがこれまたチャーミングなのですが、「バランスシートの拡大が十分になってきた場合、我々はバランスシート拡大のペースやタイミングを再考しないといけないかもしれないということが言えます」とか仰せでして、どこがどう「無期限無制限の緩和」なのかと無期限無制限がどうのこうのと論評している何とかストの皆様におかれましてはちょっとお前らこっちに来いやと小一時間問い詰めたい所でございます。

ま、But以下にあるように「とは言いましても今のところはそこまでの考慮をするような状態にはございません」という現状認識は示しておりますが、この質疑以外でもそうなのですが、資産買入に関して従来よく言われている「無期限無制限」などというのとは全然違う話になっているというのに、QE3とかOMTのアナウンス当時に「無期限無制限の欧米に対して日銀ガー」とか仰せになっていた何とかストの皆さんは全力でその辺の話を訂正して、安倍さんの周囲にちゃんと聞こえるように宣伝して頂きたい物である、と斯様思うのでございますが如何でしょうか。


で、一つ飛ばして19ページ以降にBINYAMIN APPLEBAUMさんと逆さ絵先生の問答がございまして、この質疑が中々辛辣で面白いのでこれをネタにする予定だったのですが、引用している間にあたくしがせっせと余計な事を書いたせいで時間が無くなってしまいましたので明日にでも(おい)。

ちなみに19ページの後段から21ページの中段まで続く質疑なのですが、こちらでも「資産買入政策のメリットとコストを検討して」というような話が出ておりまして、明らかにFRBの政策フレームから「量で勝負」の発想が外れ、どちらかと言うと「量を増やしても効きが悪い」上に「量を闇雲に増やす事の弊害」というような視点が強くなっている訳で、量的緩和政策の転換点に来ているなあとか感じた会見でございます事よ、という風に思うのでありました。

#まあそんな中で相変わらずバランスシートガーとか言って金融政策批判が行われているジャパンの皆様って何なんでしょうと思うのではございますけどね






2012/12/18

お題「床屋政談雑談/短観雑談・・・・・まあ要するに全部雑談ですが」

日曜はリアルに開票速報15分しか見なかったので昨日の朝は選挙結果をあーだこーだという程読めなかったのですが、早速色々とオモシロニュースも出ておりましたので悪態がてら雑談でも^^;

○選挙も終わり色々とニュースがアレなので雑談

・しかし比例の票が維新>民主なのかよ・・・・・・・・・

選挙結果見て何が絶望したって比例の票が上記の通りってゆー相変わらずの「リセット志向」とでも申しますか、シバキアゲを主張する素人集団に「一回やらせてみよう」思考が変わっていないとか民主党への政権交代の時から全然勉強していないとかあたくし何ぞはおもってしまうのですが、まあ投票する人たちの発想としては恐らく「民主党に政権交代させて期待したのに従来通りの政治しか出来なかったので今度は維新」というような発想なんでしょうねえと類推する次第でございまして。

・・・・・・・・・・・・となりますと、何がオソロシスと申しましても、安倍ちゃんが相変わらず危なっかしいぞなと思うあたくしと致しましては、次の参議院選挙までに安倍ちゃんがコケて支持率下げた日には維新が伸びるとかいうリセット攻撃になって本当に日本がリセットされるんじゃネーノというのを恐れる訳でございまして、まあ悪態は多分これからもつくのですけれども、そうは申しましても安倍さん兎に角変に突っ走ってコケないで下さいお願いしますお願いしますとゆー所で、これが安倍さんじゃなければここまでビクビクする事も無いのにねえとか思うと実にアレ。

でまあその維新様でございますが、馬鹿ネタには事欠きませんなあ。

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/20121216-OYT1T00704.htm
橋下氏「安倍総裁に投票」、石原氏は「論外」
(2012年12月17日10時31分 読売新聞)

『橋下代表代行はテレビ朝日の番組で、特別国会での首相指名選挙の対応について「自公でこれだけの議席を得ているのに独自候補を出すのは、ばかげている」とし、自民党の安倍総裁への投票が「多数決の原理原則だ」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・「自民公明でこれだけの議席があったのでそれに従う」ってお前さんどこの民主集中制だよという所でございまして、そのような決定を是とするのであればたぶん別のお国に逝かれた方が宜しいかと存じます。民主集中制なのか国家社会主義なのか存じませんが、まあ無茶苦茶なのが集まっておりますので来年の参議院選挙までに空中分解される事を心から願って止まない所でございます。


・是非数か月でデフレ脱却をして頂きたく存じますが

http://mainichi.jp/select/news/20121218k0000m010099000c.html
内閣官房参与:緩和支持の浜田氏、安倍氏が起用へ
毎日新聞 2012年12月18日 00時37分(最終更新 12月18日 00時40分)

『自民党の安倍件晋三総裁は17日、新内閣の内閣官房参与に米エール大の浜田宏一名誉教授(元内閣府経済社会総合研究所長)を起用する意向を固めた。党幹部が取材に明らかにした。』(上記URLより)

まあそう来るかと思いましたが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

先日ネタにしたのでご案内の通り、浜田大先生におかれましては「数か月以内のデフレ脱却が可能」との画期的な金融政策理論をお持ちの事という話でございますので、そこまで大口を叩くなら4月から日銀総裁に就任して頂いて、「数か月以内のデフレ脱却」とやらを是非お見せ頂きたい物であると存じます。

あ、コストプッシュで物価が上がるとか、財政インフレで物価が上がるとか、そういう国民厚生的に誰得にも程がある物価上昇になってそれはただのスタグフレーションだろというような「デフレ脱却」をされても困るのですが、当然イェール大学の大先生でございますのでそういう事は先刻ご承知と存じますので、まあ是非ともデフレ脱却を実践して頂きたく、当然ですがこれだけ大口叩いてるんでしたら来年4月から計算して数か月以上もある来年末にデフレ脱却して無かったらドラム缶で逝く日本海溝海底片道クルーズの旅にお出掛け頂くという事で何卒よろしくお願い申し上げます。

まあ無責任に時の権力者に勝手放題吹き込んで猟官活動ウッシッシというだけで実際に責任取る気も無いとかいうような事はまさかございませんと信じておりますので内閣参与なんてケチな事は言わずに是非「数か月でのデフレ脱却」とやらを実践して頂きたい物でありますなあ(棒読み)。


・どうしてこの人は一言多いのか&「民意ガー」スキームはいい加減にして欲しいという悪態

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012121701353
安倍自民総裁、緩和圧力強める=日銀判断に影響も
(2012/12/17-20:26)

『衆院選で圧勝した自民党の安倍晋三総裁は17日の記者会見で、日銀が19、20日に開く金融政策決定会合について「(選挙の)結果を十分に受け止め、適切に判断してもらえると期待している」と述べた。安倍氏は選挙戦を通じて日銀に大胆な金融緩和を求めており、圧勝を背景に早くも緩和圧力を強めた形だ。日銀の判断に影響を与える可能性がある。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・・orz

だから真正面から相手の顔を潰しながら圧力掛けたら却って相手がやりにくくなるのであって、本当に何かをやりたいというのがあるのならそういう表立った形じゃなくて色々とやりようがあるじゃろと思うのでありますが、まあそれは兎も角として脱力したのは「選挙の結果」云々する部分ですな。

いやあのですね、そもそも中央銀行の政治家らの独立性って「政治は短期的な利益追求に走りやすい傾向にあり、その結果として通貨価値の長期的な安定を損なう事から経済の長期的な安定を損なうリスクがあるので、中央銀行に独立性を付与する」というのが前提にある訳ですからして、「選挙結果で民意ガー」という理屈を持ち出すのはお前何も判ってないだろというツッコミを食らうぞなもしという話。

その手の「民意ガー」の話で金融緩和圧力とか言うのが色々な意味で筋悪の話でして、その「民意ガー」のロジックで行くと、実際に物価がちょっと上昇した際にインフレフォビア炸裂して「何とか値下げ隊」みたいなのが練り歩くようになってしまった時(当然ながらこの状況で物価が上昇するなら賃金とかが上昇する前に物価が上昇するでしょうし、コストプッシュで上昇するなら更にその方向でしょ)に今度はその「民意ガー」が逆に作用したらそれこそ悲劇になる訳でございます。

つまりですな、安倍さんにおかれましては「民意ガー」の話をするのではなくて、経済政策運営として堂々と自分の考えがどう見ても正しいという話をすれば良いだけの事で、そこで「民意ガー」を持ち出すと「中央銀行の独立性の意味を全然理解して無いだろ」とツッコまれる隙を作っているだけじゃんという事でございます。

つーかね、「民意ガー」のネタって東電関連で枝野とかいう人が無茶苦茶な無法スキームの話をした時に連発していたロジックでございまして、「民意が通れば道理引っ込む」じゃあ政治の責任放棄にも程があるわと思うのですけどどうでしょうかね。

#民意を丸無視しろという意味ではありませんので念の為。民意を盾に責任放棄するなという意味ですよ


いやまあここで安倍さんの発言を最大限好意的に解釈すると、「経済問題やデフレ脱却を前面に打ち出した選挙で自公が圧勝したという選挙結果は、経済の状態がそれだけ悪いという事を意味している訳で、経済の浮揚のために日銀の金融緩和を更に積極化したほうが良いのではないか」とまあそんな感じになるのでしょうが、報道されているこの発言(他の通信社でも同じように報道してますからそういう物言いだったんでしょ)だけ見たら「選挙結果を受けて緩和圧力」という解釈を普通にされますし、とにかく首相になるのですから金融政策関連の発言であまりナイーブ(って英語の方のニュアンスね^^)な物言いをされますと、市場は馬鹿反応を示すか、呆れて相手にしなくなるかのどっちかになると思いますので、発言はもうちょっと慎重にして頂きたいと斯様思うのでございまする。


・一方で石破さんの安定感が^^;

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012121701427
日銀法改正に慎重=安倍総裁と温度差も−自民幹事長
(2012/12/18-00:44)

『自民党の石破茂幹事長は17日夜、テレビ東京の報道番組に出演し、日銀法改正について「必ずしも賛成しない」と語った。政府・日銀の連携を強化するために日銀法改正も辞さない構えの安倍晋三同党総裁との温度差が出た形だ。石破氏は日銀法改正に関連して「言うことを聞かないと(日銀)総裁を代えるというのは相当に行き過ぎ。そこまで考えている人はいない」と述べ、総裁解任権には否定的な見解を示した。』(上記URLより)

公明党の山口代表も「別に日銀法改正しなくても色々とやれることはある」と先般発言していまして、まあこういうスマートな出方の方が余程オソロシスであるとゆーのは皆様も身に覚えがあるかとは存じますが(^^)、結局本件ってあまりギャースカやって本当に長期金利が上昇しちゃうとか、物価がちゃんと上がる前からインフレフォビアに火がついてしまうとか、そういう風になった場合のバックラッシュが怖い訳でございます。

つーかさ、昨日からネタにしだしている(のですが今日は時間がなさそうなのでパス)直近FOMCでの会見を見ていますと、米国の金融緩和政策についても低金利については引っ張りそうですけれども、資産買入に関しては段々及び腰な雰囲気も見える中で日銀はせっせとAPP拡大して市場金利は沈むわCP社債スプレッドはぶっ潰れるわという誠にアレな事をしておられる訳で、まあどっからどう見ても麿の見せ方が麿なのでアレという面もある訳で、追加緩和と言っても変に無理筋の話をしないでまずは「見せ方」の工夫から入ればとは思うのですけどね。 

まー安倍ちゃんが変に眦決して突っ走る時には石破さんやらそれこそ公明党なんかがブレーキを掛けてくれる事を期待するしかないですなあとか思うのでありまする。


・閣僚人事とか雑談

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012121701443
官房長官に菅氏=経済再生相を創設−安倍内閣
(2012/12/18-00:44)

こちらにはないですが報道ベースだと麻生さんが副総理財務相ということらしいので、まあ麻生さんも積極財政&金融緩和論者ではありますが、日銀法改正ガーとか強引な振りをしてくるとも思えませんのでこちらも安定感に期待したい所でございます。で、経済再生相って何しますねんというか経済財政諮問会議復活させるなら別に経済企画庁長官でいいじゃねえのと思うのですが、まあ甘利さんが財務大臣や官房長官やらないなら順当(経済産業大臣の方が良いような気もしますが)という所ですかそうですか。

#菅さんの官房長官というのが少々アレな気もするのですが・・・・・・・・・・・

しかし安定感と言えばやはりこの安定のクオリティにはワロタとしか言いようがありません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121217-00000011-san-l30
自民・二階氏、貫禄&笑顔の10選 和歌山3区
産経新聞 12月17日(月)7時55分配信

『二階氏は「郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する」と力強く抱負を語った。』(上記URLより)

>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する
>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する
>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する

・・・・・・・・・・・これはまた二階先生まさに貫録のクオリティ^^;


#いかん雑談が長くなった


○ということで短観であるが

昨日スルーした短観ですが
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1212.pdf


・前回の先行き予測DIの達成状況

            (9月時点)     (12月時点)
          現状→12月予測    現状→3月予測
製造業大企業   ▲3→▲3       ▲12→▲10 
製造業中堅企業  ▲6→▲13      ▲12→▲20        
製造業中小企業 ▲12→▲14     ▲18→▲26

非製造業大企業   +8→+5      +4→+3
非製造業中堅企業  +2→▲3      ▲1→▲7
非製造業中小企業  ▲9→▲16    ▲11→▲19

前回は製造業がヘロヘロで非製造業が妙に底堅いという所でしたが、今回に関しては中小などの非製造業にもちょっとヘロヘロ感という所。しかし先行き見通しの達成度合いで見ると実は大企業製造業以外はそんなに大外しをしていないというのが不思議な展開。

先行き見通しに関しては製造業が特に悪く出ているのですが、大企業の方がそれほど悪く出ていないのに中小が悪く出ているというのが何ともでして、また中小に皺寄せが行くのですかそうですかというイメージががががが。

ちなみにめんどいから引用しませんが、前回対比でDIがどどーんと落ちている業種が鉄鋼とか金属とか機会とか造船とかでうーむという所ですの。


・雇用判断DI

        (9月時点)      (12月時点)
        現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業   +7→+9       +10→+10
製造業中堅企業 +10→+8       +10→+12
製造業中小企業 +11→+11      +14→+14

非製造業大企業   ▲3→▲3      ▲3→▲3
非製造業中堅企業  ▲5→▲6      ▲7→▲9
非製造業中小企業  ▲5→▲5      ▲7→▲8

毎回製造業と非製造業の二極化がアレなのですが、その傾向がますます拡大しているってどうよとは思います・・・・・・・・・・・


・想定為替レート

(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)

(円/ドル)   2011年度全体 (上期)(下期)    2012年度全体(上期)(下期)

2011年6月調査   82.59  82.59  82.59            −   −   −
2011年9月調査   81.15  81.26  81.06            −   −   −
2011年12月調査  79.02  80.26  77.90            −   −   −
2012年3月調査   78.93  80.20  77.69           78.14   78.04  78.24
2012年6月調査   79.27   80.18  78.35           78.95  78.98  78.93
2012年9月調査   −     −   −              79.06  79.16  78.97
2012年12月調査   −     −   −            78.90   79.09  78.73

前から取っているので今回も引用しますが、これを見ますと想定為替レート的にはこのままの水準でしたら輸出企業の収益的には伸びしろがあるということですかそうですか。



・金融商品取引業クオリティを今回も鑑賞、なのですが・・・・・・・

いつも見込みが華麗に外れるのが仕様の金融商品取引業業況判断DIですが。

        (9月時点)       (12月時点)
        現状→12月予測      現状→3月予測
金融商品取引業 ▲38→▲24      ▲28→▲15

め、珍しく当たっているのですが、これが何かのフラグでない事を祈ります・・・・・・


その他として真面目に見る場合は、やはり設備投資計画の詳細を見るのが正しいあり方でございまして、土地なども含む投資状況を見つつ、その修正状況のグラフなどを鑑賞するという(上記URLの11ページ)のが吉ではないかと存じます次第。



2012/12/17

お題「逆さ絵会見が従来のトーンとだいぶ違っている件について(その1)」

えーっと、開票速報は最初の15分だけ見て明らかにどうでも良くなったので、ジャパンがまだ将来の希望があった頃を思い出しながらユーミンのベストを聴いておりましたが何か??

#歳がばれますかそうですか

○選挙結果雑感というか何というか

備忘録なので結果だけ書いておく。

自民:294
民主:57
維新:54
公明:31
みんな:18
未来:9
共産:8
社民:2
その他諸々:7

・・・・・・・・・まあ事前に言われていたような数字なのではあそうですかという所なのですけれども、あたくし的には前回の選挙で「特段問題も起こさず、というか海外の信用バブル崩壊に対して割と的確に対応していた」麻生政権が不信任を食らい、今回は今回で、「やっと政権党としてマシになってきた」野田政権が不信任を食らうという構図に絶望以外の感慨が起きないのですが、まあ絶望した!とか言っててもシャーナイので、今度は自民党が前の民主党よりはもっとマシにやって頂ければと思うのですが、何せ党首の言動がアレな上に、維新とかいう超有象無象連中が絶賛当選とかもう大丈夫かという感じです(が、維新はどうせ全力で空中分解するでしょうけれども)。

しかし野田さんに関してはここ数代の首相の中では一番マシだったとあたしゃ思うのですけれども、さすがにこの負けっぷりはちとカワイソスですが、これで民主もまた何のためらいもなく嫌がらせ路線に戻るのでしょうなあと思うとこれまた頭が痛くなって参りますな。

金融政策への圧力云々に関しては、今まで吹き込まれている無茶苦茶な話を安倍さんが排除して正確な現状認識の下で改めて判断して頂ければマシになるでしょうとは思うのですけれどもね。


ということで今日の本ネタは逆さ絵会見でありまして、まあそちらのフルテキストが出たのが金曜でしたという事で週末の読書の成果(?)をドヤ顔でご披露するというのもあるのですけれども、今回の会見を見ますと従来路線とは一線を画した話があちこちで出ているという意味では結構あれれれれな会見であります。

つまりね、安倍さんが選挙前に言ってた「無期限、無制限の緩和」という(吹き込み元はこの前ネタにしたロイターインタビュー辺りを見ておりますと佐藤ゆかり議員辺りと思われますが、元本職ならちゃんと教えればと思うのですが、そもそも本職時代も金融政策のプロと豪語しながら以下自主規制)ような言葉から想像されるような話とは全然違う話を逆さ絵のおじさんは展開しているのでございます。

更にどうでも良いですが、安倍さん途中から「目標達成するまでは無期限、無制限の緩和をする」という風に言いかえた見たいですが、それは普通無期限無制限とは言わないでしょうし、それなら既に日銀はドンドン基金の目標を拡大しております訳で、同じじゃねえの(確かに白川総裁の麿発言および麿スタンスによってそう見えていない、という問題点はあるのですが、実際に行っている事という意味では十分に同じなんですよねえ)などとも思うのですが、安倍さんも実際に首相という立場になって、変な取り巻きではない所から正確な事実認識を学んで頂ければ従来の無茶振りは緩和されるのではないかという期待だけは表明しておきますです。というかその位期待しないと金融政策だけじゃなくても発言が暴走気味でオソロシスにも程があるのですが、カオスになるリスクとしては大勝によって調子に乗った安倍さんが早速アホウな方の政策をバンバンおっぱじめる事ですかねえ。安倍さん自身の言動はど〜見ても「一部には受けるけど一般には受けない」政策ですからねえ。

#まあ公明党が自民党(というか安倍さん)の暴走のブレーキ役として期待されますが


でまあ12月FOMC後のバーナンキ会見は色々な所で「新たな展開」があってオソロシスという件になりますが・・・・・・・・

今朝現在では初稿版です。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20121212.pdf


○冒頭説明部分を再読

木曜は朝慌てて読んで慌てて流したのでサラサラ状態でしたが、もう一度読んでみる。

・資産買入の「見直し」は主に縮小方向の話が多い件

『Although the Committee’s announcement today specified the initial monthly pace and composition of asset purchases, it did not give specific dates at which the program may be modified or ended. Instead, the pattern of future asset purchases will depend on the Committee’s evaluation of incoming information, in two respects.』

ということで資産買入に関してなのですが、2つの点のうち1つめの点は「物価安定の下で労働市場が十分に改善するまで継続します」という話をしてそちらはまあ緩和的な話なのですけれども・・・・・・・・・・

『Second, the Committee will be monitoring economic and financial developments to assess both the efficacy and possible drawbacks of its asset purchase program.』

ということで、資産買入の「メリットデメリットを比較考慮して常にモニターする」という話をおっぱじめているのですな。

『The Federal Reserve’s asset purchases over the past few years have provided important support to the economy, for example, by helping to keep mortgage rates historically low. The Committee expects this policy tool to continue to be effective and the costs and risks to remain manageable, but as the program continues, we will be regularly updating those assessments.』

ということで、従来の資産買入は効果を発揮し、今後も効果を発揮するしコストは制御可能であると期待しているが、このプロコン比較の検討は定期的に行うという事で・・・・・・・

『If future evidence suggests that the program’s effectiveness has declined, or if potential unintended side effects or risks become apparent as the balance sheet grows, we will modify the program as appropriate.』

で、資産買入プログラムの効果が減って来たり、バランスシート拡大による潜在的な望まざるリスクが拡大した場合には資産買入プログラムを適切に修正する、と来ておりましてつまり減らす系の話ですぞなという所ですが。

『More generally, the Committee intends to be flexible in varying the pace of securities purchases in response to information bearing on the outlook or on the perceived benefits and costs of the program.』


・資産買入見直しの判断は「数字的判断ではなくて総合的判断」

次のパラグラフから。

『Unlike the explicitly quantitative criteria associated with the Committee’s forward guidance about the federal funds rate, which I will discuss in a moment, the criteria the Committee will use to make decisions about the pace and extent of its asset purchase program are qualitative; in particular, continuation of asset purchases is tied to our seeing “substantial improvement in the outlook for the labor market.”』

資産買入の判断については「我々が労働市場の顕著な改善を見るまで」という定性的な判断に紐がついているという話ですが・・・・・・・

『Because we expect to learn more over time about the efficacy and potential costs of asset purchases in the current economic context, we believe that qualitative guidance is more appropriate at this time.』

ということで、この文言が「定性的なガイダンス」ということらしいです。何かかなーりファジーな話ではあるのですが。


・ということで資産買入と金利ガイダンスを分離したという話

これまた引用しましたが質疑応答でより詳しくなるので再掲。

『It is worth noting that the goals of the FOMC’s asset purchases and of its federal funds rate guidance are somewhat different. The goal of the asset purchase program is to increase the near-term momentum of the economy by fostering more accommodative financial conditions, while the purpose of the rate guidance is to provide information about the future circumstances under which the Committee would contemplate reducing accommodation.』

ということで、資産買入は「金融環境を緩和する事によって近いタームの経済モメンタムを引き上げる」、となっていまして、金利ガイダンスは「将来の政策金利パスについての経路を提供する」となっております。しかしここでも緩和を減らす話とかしていまして、声明文だけ見ると割とハトにみえるのですけれども、会見の方ではトーンがタカ丸出しとなっておりまして、これまでどちらかと言えば会見での逆さ絵おじさんはやたらハトっぽくて議事要旨を見ると拍子抜け、というパターンが多かったので、本人バランス取りながら発言しているという可能性はあるのですが、従来と違うパターンでこの会見議事録を見ておりますと「えー!」という感じを物凄く受ける訳ですな。

それはともかく。

『I would emphasize that a decision by the Committee to end asset purchases, whenever that point is reached, would not be a turn to tighter policy.』

資産買入を終了する事は政策の引き締めを意味する訳では無い、という話をしているのですが。

『While in that circumstance the Committee would no longer be increasing policy accommodation, its policy stance would remain highly supportive of growth.』

資産買入を止めるのは追加の金融緩和を意味しないが、そうなったとしてもそもそもの金融政策は極めて緩和的でありますという話。まあそんな器用な事が出来るのかとは思いますが。

『Only at some later point would the Committee begin actually removing accommodation through rate increases. Moreover, as I have discussed today, the decisions to modify the asset purchase program and to undertake rate increases are tied to different criteria.』

ということで、資産買入を止めるでなくてもその規模の変更は金利ガイダンスとは別の観点から実施されるものである、というナンジャソラな理屈なのですな。


・フィスカルクリフに関して

『In conclusion, the FOMC’s actions today are part of our ongoing efforts to support economic recovery and job creation while maintaining price stability. As I have often stressed, however, monetary policy has its limits; only the private and public sectors working together can get the U.S. economy fully back on track. In particular, it will be critical that fiscal policymakers come together soon to achieve longer-term fiscal sustainability without adopting policies that could derail the ongoing recovery.』

でまあこのフィスカルクリフですけれども、質疑でも延々とこの件の話はあったのですが、金融政策運営的には如何ともし難い部分があるので何の質疑してますねんとは思うのですが、「金融政策だけでフィスカルクリフの影響をオフセットできない」という説明を受けて水曜のNY株式市場がしょぼーんとしてしまったのはご案内の通り。

あと、面白かったのは質疑の中で「そもそもFiscal Cliffという崖から真っ逆さま的な表現ってどうなんでしょう逆さ絵おじさん」というのがあったのですが、その質問に対しても「いやこれは重大な問題」としてその後の質疑応答でも逆さ絵の先生は延々と「Fiscal Cliff」という言葉を使い続けておりまして、財政の崖問題についての問題提起を思いっきりしているというのがほほうという感じでした。

ということで質疑に参りますが、のっけから結構凄い質疑になっているのですな。


○資産買入と金利ガイダンスの整理および資産買入に対する自信満々モードがどこかに行った話

冒頭の質問である。CNBCのSTEVE LIESMAN記者から。

『STEVE LIESMAN. Mr. Chairman, Steve Liesman from CNBC. I guess I have a lot of questions but I'll just offer up two here. Why are there different targets for QE and for the funds rate? What does that achieve? Secondly, what good is a target if you have to reference to calendar dates in the statement itself, which is the thing you got away from. You have to point out in the statement that it's not substantially different from the calendar dates we set back in October. Do you have to keep doing that from now on to make it clear that--and then just thirdly, I guess I know I said two.』

『CHAIRMAN BERNANKE. I'm going to forget.』

『STEVE LIESMAN. But then you have another paragraph after that that says it's not just target it’s something else. So, it's unclear to me what good these targets are if you have to reference to calendar date, and then you kind of say in the next paragraph it's not really targets.』

ということで質問の趣旨ですが、何でQEと金利ガイダンスのターゲットが違うのか、というのと、カレンダーベースの表示を外した利点は何ですか、というのと、日付ベースのガイダンスと今回のガイダンス文言の意味する政策金利パスについて変化が無いのなら何で導入したのかという話をしておりますな。

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, so first, the--as I said--the asset purchases and the rate increases have different objectives. The asset purchases are about creating some near-term momentum in the economy trying to strengthen growth and job creation in the near term, and the increases in the federal funds rate target when they ultimately occur are about reducing accommodations. Two very different objectives.』

これは先ほどの説明部分にもありましたように、資産買入政策と金利ガイダンス政策は「very different objectives」という風に言っております。

『Secondly, the asset purchases are a less well understood tool. We have--we'll be learning over time about how efficacious they are, about what costs they may carry with them in terms of unintended consequences that they might create, and we'll be seeing how--what else happens in the economy that can affect, you know, the level of unemployment, for example, that we hope to achieve.』

という所がこれまた「へー」という感じなのですが、資産買入に関して「これはあまり理解が深まっていない政策」であり「我々は資産買入政策の効果やコストに関して従来および今後も学んでいく状態である」という話をしていまして、従来の自信満々モードからちょっと後退しているがなというのがちょっと印象の違う所でして、資産買入をやってみたものの中々顕著な改善に至らないという状況に対して逆さ絵おじさん的な話は兎も角として、委員会の方でも色々と見解がという所なのではないかと思いましたがどうなんでしょ。

しかしまあ何ですな、話逸れちゃいますけどこういう説明を逆さ絵のおじさんがしているのを見て「無期限、無制限の金融緩和を実施している」と解釈するとか無理解にも程がある話でございまして、その調子での理解で安倍さんが突き進むとどう見てもオソロシスではございますぞな。

『And so, for that reason, as I discussed in my opening remarks, we decided to make the criteria for asset purchases qualitative at this time because we have a number of different things that we need to look at as we go forward.』

で、金利政策についての話になる。

『Rate increases by contrast are well understood, and we understand the relationship between those rate increases and the state of the economy. And so we've been able to give somewhat more quantitative, more specific guidance in that respect.』

金利政策の効果については良く理解されているので、質的ではなく数字的なガイダンスが適切と。

『With respect to the date, in the transition today, we wanted to make clear that the change in guidance did not--it happens to be the case that it doesn't change our mid-2015 expectation. Going forward, we'll drop the date and rely on the conditionality, and that has, I think, a very important advantage which is that if news comes in that the economy is stronger or weaker, then financial markets and the public will be able to adjust their expectations when policy tightening will occur without the Committee having to go through a process of changing its date in a nontransparent way, so I think that's beneficial. Does that cover your--okay.』

フォワードガイダンスを日付ベースから経済状況ベースにしたのは、日付を一々提示するのではなく経済状況によって市場などが金融緩和政策の引き締め時期を自動的に予測して反応するというロジックでございましてまあこれはその通りですなあという説明。



○失業率ターゲットや雇用重視シフトでは無いという説明

次の質疑から。

『MARCY GORDON. Mr. Chairman, what prompted the Committee to make the decision at this particular time to specify targets? And by taking an unemployment rate that is quite low compared to currently, does that shift the balance of priorities in terms of your dual mandate, closer more in the direction of reducing unemployment rather than inflationary pressures?』

このタイミングでガイダンス文言を変更したのは何故ですか?金融政策のプライオリティーに変更があったのですか?ということで、失業率ターゲットになったのかという質問ですが・・・・・・・

『CHAIRMAN BERNANKE. That’s a very good question.』

ほほう。

『We took the change today after a good bit of discussion. We had a very substantial discussion of the threshold approach at our last meeting. And we felt it was ready to go, ready to put out.』

前回の議事要旨を見ると意見百出でまとまっているように見えませんでしたが・・・・・・・

『We--while there are different views and aspects of the threshold approach, there was a lot of agreement that having a more explicit connection between rate policy and the state of the economy was more transparent and more helpful to the markets, and to the public than our date-based guidance, and therefore, there was a general view that, at some point at least, that we should switch to that kind of guidance. So we do hope that it'll be more helpful and give markets more information about how we're going to respond going forward.』

というガイダンス変更の説明は先ほどと同様。

『It is not a change in our relative balance, weights, towards inflation and unemployment by no means. First of all, with respect to inflation, we remain completely committed to our 2 percent longer-run objective. Moreover, we expect our forecast, as you can see from the summary of economic projections; our forecasts are that inflation will actually remain despite this threshold of 2-1/2 that inflation will actually remain at or below 2 percent going forward. And so--and finally, the thresholds that we have put out are entirely consistent with our longstanding views on what the rate path has to be, what the path of interest rates has to be in order to achieve improvement in the labor market while keeping inflation close to target.』

『So we--I think both sides of the mandate are well-served here. There is no real change in policy. What it is instead is an attempt to clarify the relationship between policy and economic conditions.』

ということで、今回のガイダンス文言変更はデュアルマンデートのバランス変更を意味しないという事ですな。



○今回の国債買入は「追加金融緩和では無い」という話および「量での勝負から降りつつある」件

これがあたくし的に結構びっくりの質疑応答だったのですが・・・・・・・・・・

質疑を1つ飛ばします。初稿版34ページ組の10ページ目になります。

『ALISTER BULL. Alister Bull from Reuters. Thanks very much Mr. Chairman. Could you talk about whether the decision to maintain the monthly bond purchases at 85 billion a month represents a ramping up or additional easing to Fed policy, because you're now going to be adding a little bit more to the size of balance sheet? And also, you know, you've talked about maintaining the asset purchases until you see a substantial improvement in the outlook of labor market and you've said that you want to take a qualitative approach but you've also got this 6-1/2 percent inflation threshold out there as well. So, could you talk about what sort of evidence you'd see to sort of make you change the pace or slow the pace of purchases?』

今回のツイストオペに代わる国債買入は追加の緩和でしょうかという質問で、バランスシートの拡大ペースが若干拡大したのですから追加ですよねという雰囲気を漂わせながらの質問で、後段は資産買入の見直しをどのような基準で行うのかとかいう質問ですが・・・・・・・

『CHAIRMAN BERNANKE. The first part of your question was?』
『ALISTER BULL. Is this an additional stimulus or are you--』

で、それに対する答えがえーという感じでして・・・・・・・・

『CHAIRMAN BERNANKE. No, I think this is really a continuation of what we said in September.』

え??

『You recall in September we expressed a satisfaction with progress in the labor market. We, at that point, we began the 40 billion dollars per month of MBS purchases and we said that unless we saw substantial improvement in the outlook for labor market that we would undertake additional asset purchases or other actions.』

それはそうですが。

『And that's what we've done today is simply follow through on what we said we would do in September. I don't think that we have, relative to last month, I don't think we have significantly added to accommodation.』

ということで今回のツイストに替わる国債買入は従来のフォロースルーで「顕著な緩和を加えた訳では無い」とな。

『The reason is that at least in my view and I think many of my colleagues, that what matters primarily is the mix of assets on the balance sheet, on the asset side of the balance sheet. So what's important is the fact that we're acquiring Treasury securities and MBS, taking those out of the market, you know, forcing investors into other closely related assets and that's where the stimulus comes from, not so much in the size of the balance sheet per se.』

ということで何か凄い理屈になっているのですが、バランスシートポリシーは中銀ポートフォリオで何を持っているかとかそちらの方で効くのであって、バランスシートの量に関してはそれに対しては大きなファクターではありませんとかナンジャソラという感じです。

『So, in my judgment the amount of stimulus is more or less the same, it's being continued. It's a follow through from what we saw in September. In terms of criteria, again, what we've done is we've announced an initial amount of 85 billion a month of purchases.』

ということでストックビューの話をしているのかフロービューの話になっているのかワケワカランとゆー話になっていますが、少なくとも「量で勝負」という話では無くなっている訳で、ここでも無期限無制限とか未だに言っている一部の論者は目ん玉よく開けて読めやと思うのでありました。

『We are prepared to vary that as new information comes in. For example, if the economy's outlook gets noticeably stronger, we would presumably begin to ramp down the level of purchases.』

経済状況を見て資産買入の判断をするという話はまあ当然。

『But again, the problem with giving a specific number is that there are multiple criteria in which we make the decision. We'll be looking at the outlook for labor market which is very important but we'll also be looking at other factors that may be affecting the outlook for the economy.』

こちらではしらっと労働市場ターゲットではないという部分をアピールしてますな。

『For example, I hope it won't happen but if the fiscal cliff occurs, as I've said many times,I don't think the Federal Reserve has the tools to offset that event and in that case, we obviously have to temper our expectations about what we can accomplish.』

ここがフィスカルクリフに対する話。似たような言及は他の所でもございます。

『Likewise, as I said, we'll also be looking at the efficacy and costs of our program and if, you know, we find, we expect it to be efficacious but if we find that it's not working as well as we hoped or the various costs are emerging that we have not anticipated then that would also have to be taken into account as we think about it.』

『So, we thought it was not constructive because we ourselves don't know precisely what would define substantial improvement but obviously, as long as the costs and other concerns do not emerge, we'll be looking for, you know, something that is substantial in terms of a better job market. 』

まあこの辺はそらそうだという話ですな。

という所で時間も参りましたので続きは明日以降。


#短観に関する書き物をすっかりスルーしているのは気のせいでございます(汗)



2012/12/14

お題「FOMCレビューの続き/基金ETF買入が引き続き未達の香りですけど悪態/貸出スキーム云々」

日曜の選挙は開票速報10分見たら睡眠タイムになりそうですが、毎回アホのようにスイングする結果が出る今の選挙制度は改善した方が宜しいのではないか(というか中選挙区に戻せよ)と思うのですけどねえ。

#えーっと、冬の天気の表現で「(日差しがあるので)日中は”しのぎやすい”」というのは違和感あるんですが>もえお嬢

#普通に使う表現だったらすいません

○FOMC雑考

昨日は声明文と会見の冒頭コメント読みに追われてしまいましたが、適宜引用しながら何となく感想も入れてみましたがもうちょっと整理してみる。

・正直今回のFOMCは解釈が難しいというか困る

http://www.bloomberg.co.jp/markets/index_americas.html

米国10年国債 1.725 0.027 99.094
米国30年国債 2.901 0.012 96.984
(日本時間で14日朝5時半くらいの数字)

NY株式はダウも茄子も昨日は大体横近辺で今朝はマイナス(フィスカルクリフ関連らしいが)となっていますがその間に米国長期金利は貫録の2日上昇の巻。

・・・・・・・・実際にポジションを持ってないで市場後講釈を読むというのは正直言って後講釈に騙される事も多々あるというか下手したら騙される方が多いのですけれども(汗)、そこを割り引いて考えるとして今回の米金利の上昇は「インフレ懸念の高まり」とゆーことらしいです、本当かねとは思いますが。

でまあ今回の「閾値」導入なんですけど、これがそもそもタカ派バイアスなのかハト派バイアスなのかというのがワカランチ会長というのが解釈が困る最大の要因であります。

もちろん逆さ絵先生のプレコン冒頭での説明では昨日引用致しましたように、『The change in the form of the Committee’s forward guidance does not in itself imply any change in the Committee’s expectations about the likely future path of the federal funds rate since the October meeting.』(プレコンの4ページ目から)とゆうてますので、公式には今回のフォワードガイダンス変更はタカ派バイアスでもハト派バイアスでも無い、という事になっているのですが、現象面で言えばフォワードガイダンス変更によって金融政策運営に関して「総合判断」の部分が増えてしまって益々不透明感が増しているというのが今回の変更の特色でありまして(だから解説でも「時間軸が揺らぎやすくなる」という人が多いぞな)、正直このフォワードガイダンス変更のどこがどう透明性の強化なのか意味不明としか申し上げようがありません。

つまりですね、

『In particular, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee’s 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored. 』(声明文より)

という今回の閾値設定の特色として、失業率の閾値がアクチュアルな数値で、物価の閾値が「1年〜2年程度の見通し数値」となっているのを見ますと、まあ趣味の中銀ヲチャーが最初に思うのは「見通し数値が2%になるからと言って物価が5%になっても緩和を継続したBOE」であるのは恐らく衆目の一致する所ではないかと存じます次第で、失業率がサガランチ会長だと物価が少々上振れても金融緩和を続けるでしょうなあという解釈になり、物価上振れ懸念ということで長期金利が上昇とかそういう事になったのかねという風にまあ声明文を素直に読むとそうなりますわな。

ただその一方でこれまた声明文にあった、

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.』(声明文より)

にある「ガイダンス文言のタイミングと資産買入継続のタイミングは別で、先に買入を止めるかもしれませんよ」という部分(これを昨日あたしゃ謎部分と申し上げました後、詳しい説明がプレコンにあったよねという話をしましたな)とか、

『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.』

にある部分に示される「総合判断」を示している部分(最初のセンテンス)に加え、しらっと出口政策に関して言及している部分(2番目のセンテンス)などがございまして、この辺りの色々な総合判断の話とか出口政策を前提にした話をしている部分とか、時間軸が手前に寄るような表現も埋め込まれているという代物(SEPのではなく市場の人の想定する失業率推移を見ると失業率だけで言えば来年中には出口という話になるようですな)になっています。

更にプレコンでの説明では昨日延々と引用しましたように、妙に「総合的判断」を強調して、6.5%はゴールでもトリガーでも無く、金融政策運営が6.5%失業率と2.5%物価での自動運転状態になった訳でも無いというのを強調した上に、資産買入とガイダンス文言を切り離してみたりとなっていまして、FOMCの政策決定における政策関数がより判りにくくなっているとしか申し上げようがございません。

まあもとより委員会の構成によってタカ派にもハト派にもなり得るのではありますが、政策決定における「総合判断」部分が広がったというのが今回のフォワードガイダンス変更のポイントだったりするのがあたくしの解釈でございまして、タカともハトとも取れる内容の中でFRBの場合は委員会のメンバーが好き勝手言うのが仕様なので、まあ今くらいの水準なら問題は無いでしょうけれども、失業率6.5%の閾値が見えてくる段階、たぶん失業率が7.0%辺りになってくると「さあ出口政策」という感じで市場が浮足立ってきて、その時にタカ派委員がタカ発言を連発とかになってくると市場の素敵なゲロゲロマーライオンが見られるかもしれませんねえとかそういう話ですし、物価上昇率にしてもPCEインフレ率が2.1%とか2.2%とかになってくると「さあ出口政策」という感じで以下同文となるリスクがありまして、こらまあ却って話がややこしくなったでしょと思われます。


・なぜこのタイミング???

プレコンでの質疑応答でもあるようですがそこを見ずに考えてみた、というか有識者の皆様とああでもないこうでもないと話を捏ね繰り回しておりましたが、ま〜タイミングが今回だったのはワカランチ会長。

そもそも今回のフォワードガイダンスの変更ですが、ここまで申し上げましたようにどこからどうみても「政策の透明性の強化」に逆行している「総合判断強調のファジー政策に数字だけ一応つけてみた」という代物であって、何でこんな中途半端な物を出すのか良く判らんのですけれども、ハトにもタカにも取れるという事は、要はタカ派もハト派も反対しないで済む案という事ですので、メンバーの反対票を最小化(ラッカー怒りの反対は如何ともし難いので)するのを重視した結果こうなりましたと言う事なんでしょう。

というのはまずわかるのですが、じゃあ今である必要は何でしょというのは正直謎なのですけれども、延々と「検討しています」というのを引っ張り続けているのと、カレンダーデートのガイダンス文言については都合が悪いというコンセンサスがあるから、そろそろエイヤで決めないと不味かろうという話になったんですかねえというのが第一の想像。

あと、今回QE3.5みたいな感じでツイストオペを長期国債買入にリプレースしたのですが、そのタイミングでこのフォワードガイダンス変更を打ち込み、フォワードガイダンスと資産買入を切り離したというのがあるのかなとも思いました。つまり、QE2までは期間を切っていたからフォワードガイダンスは金利ガイダンス、資産買入は資産買入というのが明確だったのですが、QE3の時にはオープンエンドで実施したことから、フォワードガイダンスとの区別が曖昧になるリスクが当然存在している訳で、そこを分離したかったのかなあというのもあるかねと。

それからもっと重要な論点がありまして・・・・・・・・・・・・小見出しを変えますね(^^)


・「量で勝負」政策からの転換(つまりQEから金利ガイダンスへの転換)の可能性

今回はご案内の通りで実際のアクションはQE3.5なのですが、注目されているのはフォワードガイダンス変更ですし、実際に逆さ絵のおじちゃんの説明もフォワードガイダンスの話を中心にしております。

つまりですね、従来のFRBの金融政策枠組みはまず最初に「バランスシート政策」があって、その効果がどうしたこうしたというようなロジックで攻めていた訳ですが、ご案内のようにバランスシート政策の量で勝負をしても景気が顕著な改善をする訳でも無くという風になる中で、じゃあ金利ガイダンスでやっていきますかという風になりつつあるなあというように読めるのですよ。

今回資産買入拡大に金利ガイダンス文言の変更をぶつけてきて、しかもガイダンスと資産買入は別で資産買入の方は先に縮小したり止めたりすることが有り得る(日本の時間軸政策の経験からしてそれは実務的にワークせず、縮小しただけで「出口政策キター」となって市場がゲロゲロマーライオンの阿鼻叫喚相場になって大変にワンダホーな事になるのは確実なのですがそれは兎も角として)というような説明をする事によって、「量で勝負」という従来のスタンスからの転換の可能性がありますなと思うのです。

まあ現状ではバランスシート政策(ちなみに逆さ絵おじさんはバランスシート政策の信奉者というか提唱者なのでバランスシート政策に固執すると思いますが)と金利ガイダンスによる政策がどっちもどっちというか、そもそも金利ガイダンス政策の中に「裁量部分」をむやみやたらと入れているが為に、ガイダンス政策が時間軸政策としての機能をあまりしなさそうな中途半端な状態にありますから、色々と中途半端な状態にあるのですけれども、ガイダンス文言の紐の付け方をもう少し強くするとかすれば、過去の日銀方式によるガイダンス政策により近づきますなあと思われるのであります。

これからどうなるか判りませんけどね。



○SEPに関して

SEPである。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20121212.pdf

・中期的な経済見通しは微修正程度だが相変わらずアレなのはアレ

1ページ目がGDPと失業率と物価の見通しですが、こちらの数値を見ると2015年のGDP見通しの中心的傾向が3.0-3.7になっていて前回が3.0-3.8なのでまあほぼ同じという感じ。失業率と物価も同様で、失業率が6.0-6.6(前回6.0-6.8)、PCE総合インフレは1.7-2.0(前回1.8-2.0)となっています。

でまあそれは良いのですが、見通しの数値を見ますとGDPのロンガーランの数値が2.3-2.5となっているのに対して、2013年、2014年、2015年の見通しがそれぞれ2.3-3.0、3.0-3.5、3.0-3.7ということで、ロンガーランの望ましいGDP成長率水準に対して来年がほぼ同水準から少々上、その後2年は上振れた状態が続くという見通しになっているのに、失業率の低下速度と物価の上昇速度、特に物価の上昇速度遅くねえかと思うのですが、SEPの見通しっていつもこうなんですよね。


・金融政策見通しは手前の利上げ予想が息をしていないの!状態とな

2ページ目が金融政策見通しになりますが、適切な利上げタイミングを2013年に想定しているのが2名(前回は2012年も含めると4名)、2014年に想定しているのが3名(前回は2名)となっていまして、2014年までの利上げ予想が6票から5票に減っておりますし、来年の利上げ予想は4名から2名ですからまあ滅亡寸前という所ですので、金融政策見通しは手前の利上げ予想をしている人が後ろに倒してきましたよねという感じ。

一方で2015年の所は13名(前回13名)2016年が1名(前回1名)となっておりまして、この辺りは前回と変わっていませんので、そういう意味では委員会の金融政策見通しの大勢見解には変化がなく、タカ派ちゃんが弱っているだけという結果になろうかと思います。

でまあ金利水準に関する部分とかファンチャートの比較とかは今回はパスということで。

#プレコンのQ&Aについては週明けにでも


○オペ雑談など

本当は昨日書いておくネタなのですが遅れましてサーセン。

営業毎旬報告(平成24年12月10日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121210.htm/

前回はこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/

基金オペのETFとJ−REITの残高が全然増えていないんですけど・・・・・・・・・・・ってまあ判ってはおりましたけど。

でまああたくしがネタにするようなことは当然皆様も気が付く訳でございまして、最近では基金オペのETF未達の可能性に関する記事もありまして、人様のコメントなども拝読したり拝聴したりするのですが、実は短期市場系というか日銀政策を年中見てああだこうだ言ってる人たちの方がこの未達を気にしている節があって、肝心の株式市場とか「株が上がってるからキニシナイ」とかなっている傾向があるのがオモシロス。

でまああたくしとしては先日申し上げた通りでして、リスク性資産買入の象徴であり、物価に対する資産価格ルートによる効果という意味でも象徴的ではないかとあたくし的には思っておるのですが、まあそのETFとREITの買入が未達で終了するというのは、いずれものこりちょっとという所まで来ているだけに勿体ないとしか申し上げようがありません。

つまり、資産買入等基金ということで残高の数値目標を設定して買入を推進する中で、他の物は達成するのにETFとREITという買入をするときに「これは額は小さいけれどもリスク量的に言えば国債の13倍です(キリッ)」とか言って(13倍だったかは忘れたが)買入を開始した訳でして、それが未達と言う事はつまり国債買入で言えば1400億円×13倍ですから国債買入未達1.8兆円にも相当するというエライコッチャな話であるということですがそれで良いのでしょうかというお話でもありますし、大体からして他が達成してリスク性資産の象徴的存在だけ達成しないとかなると「日銀はリスク性資産の購入を本当はやりたくないから「概ねこの位という意味です」とか言いながらサボタージュしている」という風に言われて、折角リスク性資産を買っているのに「日銀はやる気がない」とか言われるネタを作るだけであって、頑張っているのに批判のネタを投下するとか間抜けというかトンマというか。

でまあ「株価が上がっているのでちょっと届きませんでしたねえ」という話をするのかもしれませんが、そんな事言った日には「日銀は日経平均1万円割れトピックス900も遠いという状態の今の株価が満足する水準と思っているのですか、米国の株価と比較して考えないんですか」となって更に「日銀は株価などの資産価格に対して無頓着、というかこいつらこの価格でバブル警戒とかしてるのかよ!」と言う風に叩かれるネタを提供するだけのお話でありまして、まあガードの甘い事よと思うのですけどね。「残高行かなくなりそうになったら上を買っても良いからとりあえず目標必達」という握りになっていないように思われる節がある訳ですが、何という間抜けな話かと。

大体からしてここで資産買入等基金が終了する訳では無く、来年になったらまた買入目標がETFにしろREITにしろ拡大される訳でして、それを考えたら少し前倒しになっちゃいましたえへへのへというのなら判るのですが、足りないとか何考えてるんだとゆー風に思うのですけれども、先ほど申し上げましたように割と金融政策に対してああだこうだ気にしている人たちの方が、日銀批判のロジックが見えているだけに日銀のガードの甘さに呆れるという所でしょうか。


でまあ一昨日一部のマニアの間で話題を提供したのはこれ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of121212.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年12月14日 2013年6月17日

固定金利オペに関しては既に目標25兆円をオーバーして26兆2千億円での着地が確定しているのに、何故か14日の資金余剰日に先日打ち込んだ1カ月物の固定金利オペのロールを6か月で実施。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121212.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(12月14日スタート分) 6,608 6,608

このオペ入ると予定していた人は普通居ないと思いますので、まあ当然の如く札が入らない訳ですし、この日の2か月と昨日の3か月TB入札の金利が絶賛大低下して(昨日の3か月に至っては応札の刻みで言うと0.10%水準の3つ(0.15銭)上になる99.9745円の足きりになってレート水準は0.095%をちょっと切るというアチャーな水準)おりまして、そんな中で0.10%の資金いるのかよ大体麿が居るのは来年の4月の1回目会合までじゃろと考えたりしますとそら札が入らん罠という所。つーかよく6600億円も入ったとそっちに感心しましたが。

もうね、別にニーズも大して無さそうな所に固定オペ打ち込むとか、資産買入等基金の残高をとりあえず固定オペで嵩上げして総額が目標よりも上振れましたよ凄いでしょうと言ってETFが未達な部分の目くらましをしようという風にあたくしは性格が非常に悪いので解釈してしまうのですが、そういうのはもちろん邪な考えによる間違った憶測であって、このオペって市場の資金ニーズに応じて実施したんですよね!!!!!!


○そういやこんなのがありましたが

こんなニュースがございましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEW5KE6KLVTC01.html
ヘッジファンド向け融資もOK、円押し下げ狙う−日銀が20日に新制度

『12月13日(ブルームバーグ):日本銀行は近く詳細を発表する新たな貸出支援制度について、外国金融機関の日本法人・支店を対象に加えるほか、貸出増加額を算出する融資先として、ヘッジファンドを含む国内外のノンバンクも加える。国内での貸出増加だけでなく、円で資金調達して外貨に転換する円キャリー取引や、対外M&A(企業の合併・買収)の増加を狙う。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

まあそもそも何でこういうのが事前にメディアに漏れるのかと小一時間問い詰めたい訳ですが、それは兎も角としてこの制度、一瞬インパクトがあるのですが、冷静に考えてみればそもそも優良担保があれば市場で何ぼでもファンディングできるという状態にありますので、この制度を使うメリットは「0.10%固定金利で3年借りれまっせ旦那さん」という所になりますということで、ファンディングサイドの金利を3年間固められるのがメリット。

・・・・・・・・・・ではあるのですが、追加金融緩和圧力ガーとかいう思惑がある中で(まあ下がらないとあたくしは思っていますが)付利金利の引き下げへの警戒がある(そらあるでしょ)中で0.1%の固定金利で長めのファンディングを固めるメリットがあるのかという話もある訳で、まーしばらくは苦戦するんじゃないのとは思います。(固定金利オペも来年になると同じ問題が生じる)

まあこの手の政策が効くのってどちらかというと金利が上がりそうな雰囲気が漂うような時でありまして、そういう時には3年固定0.10%のこうかはばつぐんだ状態になると思いますので、もうキャリートレードでも何でもやってくれという話になるんでしょうなあとは思うのでありまする。

つーことで、即効性はどうかとは思いますが、金利見通しなどに変化が起きた時にはこのスキームは中々の効果を出す事になるかもしれないなあとは思っているのですけどね。




2012/12/13

お題「FOMC:フォワードガイダンスも変更するとな」

ということでFOMCですが、資産買入に関しては市場の想定通りで(ただし買入の配分はどうなんでしょ、ちょっと短い気もしますが)、ミーの予想外だったのはフォワードガイダンスをいじってきたことでありまして、色々と見解ある中で無理矢理纏めましたなあという感じです。ブラードさんとか入ってくると話がややこしくなるからですかね?

#なお、本当は日銀のオペ関連のネタ雑談があるのですがたぶん時間が無いのでそこまで回らないと思いますすいませんすいません(昨日書けというツッコミはしないように)


○声明文である

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20121212a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20121024a.htm(前回)

・第1パラグラフ:労働市場と住宅市場の認識を引き上げ

『Information received since the Federal Open Market Committee met in October suggests that economic activity and employment have continued to expand at a moderate pace in recent months, apart from weather-related disruptions. Although the unemployment rate has declined somewhat since the summer, it remains elevated.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity has continued to expand at a moderate pace in recent months. Growth in employment has been slow, and the unemployment rate remains elevated.』(前回)

雇用に関する認識が今回「have continued to expand at a moderate pace」となり、従来の「Growth in employment has been slow」から改善されていまして、失業率に関しても「has declined somewhat since the summer」という文言が入っていますが、失業率は高い状態にあるというのは同じですな。

『Household spending has continued to advance, and the housing sector has shown further signs of improvement, but growth in business fixed investment has slowed.』(今回)

『Household spending has advanced a bit more quickly, but growth in business fixed investment has slowed. The housing sector has shown some further signs of improvement, albeit from a depressed level.』(前回)

家計支出に関しては引き続き改善という認識、企業の固定資産投資はスローという認識に変化はなく、住宅セクターに関しては「albeit from a depressed level」という文言が抜けて来たのがほほうという感じですな。

『Inflation has been running somewhat below the Committee’s longer-run objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)

『Inflation recently picked up somewhat, reflecting higher energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)

物価については今回は「has been running somewhat below the Committee’s longer-run objective」という表現になっておりますが、まあこれは後に出てくるフォワードガイダンス変更も意識しているのかなとか思いましたけどどうですかね。もちろんその中でエネルギー価格要因による変動という話もしておりまして、ロンガータームのインフレ期待が安定というのはいつも通り、というか安定しなくなったらエライコッチャですけど。


・第2パラグラフ:ここは全文一致です

見通しに関する部分は全文一致ですので今回分だけ引用。

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee remains concerned that, without sufficient policy accommodation, economic growth might not be strong enough to generate sustained improvement in labor market conditions. Furthermore, strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook. The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely will run at or below its 2 percent objective.』(今回)

「充分な金融の緩和が無ければ、経済の成長が労働市場の持続的な改善にとって十分に強くならない」とか「グローバル金融市場の緊張が引き続き経済の見通しに対して顕著な下振れリスクをもたらしている」というような文言、「中期的なインフレは委員会の2%の目標に対してその水準またはそれよりも低い水準で推移するでしょう」という文言が入っていまして、これは前回と全文一致ですが、引き続き極めて緩和的な金融政策を継続するのが適切であるという事の根拠としての部分になっておりますな。


・第3パラグラフ:長期債の買入$45Bil/月を導入

『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee will continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month.』(今回)

『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee will continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month.』(前回)

MBSの部分は当たり前ですが同じ文言で、この次が追加部分。

『The Committee also will purchase longer-term Treasury securities after its program to extend the average maturity of its holdings of Treasury securities is completed at the end of the year, initially at a pace of $45 billion per month.』(今回)

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and, in January, will resume rolling over maturing Treasury securities at auction. 』(今回)

『The Committee also will continue through the end of the year its program to extend the average maturity of its holdings of Treasury securities, and it is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities.』(前回)

まあこの辺りを前回と比較してもしょーがないのですが(汗)、今回は長期国債の購入を$45Bil/月で実施すると同時に、償還する国債に関しては償還分の買入も行うようですな。

『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative.』(今回)

『These actions, which together will increase the Committee’s holdings of longer-term securities by about $85 billion each month through the end of the year, should put downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative.』(前回)

でもってこれらの買入効果に関しては「長期金利に低下圧力を与え」「モーゲージ市場をサポートし」「幅広い金融環境をより緩和的にする」という所は同様ですな、まあ当たり前ですけど。


・第4パラグラフ:追加緩和のおかわりに関して「資産買入」を削除とな

資産購入のおかわりに関しての表現を削ったのはまあそうだろうなと思いつつもほほうという感じです。

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months. If the outlook for the labor market does not improve substantially, the Committee will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until such improvement is achieved in a context of price stability. 』(今回)

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months. If the outlook for the labor market does not improve substantially, the Committee will continue its purchases of agency mortgage-backed securities, undertake additional asset purchases, and employ its other policy tools as appropriate until such improvement is achieved in a context of price stability.』(前回)

ということで、買入を継続するものに関してはモーゲージの他にUSTが入っているのは今回買入を追加したのですから当たり前ですが、「改善が顕著では無かった場合」という更に追加の必要があった場合に関して、前回は「undertake additional asset purchases」というのがありましたが今回は無しというお話。勿論MBS買入とUST買入の額の調整をする余地はありますが、これ以外の資産に関して買入をするという選択肢はあまりないという事なんでしょうな、うんうん。でまあ一方で今回景気の現状判断が上がっているのに何で追加緩和?という説もあるのですが、その辺は第2パラグラフの部分がエクスキューズになっているという話です罠。

『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases, the Committee will, as always, take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases.』(今回)

『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases, the Committee will, as always, take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases.』(前回)

コストとベネフィットを勘案して判断するという話は当たり前ですが従来通り。


・第5パラグラフ:フォワードガイダンス文言の変更キタコレということで

正直今回これをやるとは思いませんでしたが・・・・・・・・・・・

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens. 』(今回)

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the economic recovery strengthens. 』(前回)

実は読んでいて謎なのがこの部分で、「after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens」っていうのは何やそらという所。前回の「経済の回復が強くなったとしても、相当の期間に渡っての高度に緩和的な金融政策スタンスが依然として適切であると想定する」というのは判るのですが、そこに「資産買入プログラムが終了しても」というのがしらっと入っているのがはてこれは??という所で、もしかしてこれフォワードガイダンス文言は「FFレートの誘導目標」には紐が付いているけれども「資産買入プログラム」には紐が付いていないという事を意味するのではないでしょうかと思ったのだが・・・・・・・・・・

つまり状況に応じて資産買入プログラムの方は終了してもFFレートのゼロ金利は継続するとかそういう器用な事をするというのかもしれないですけれども、何かそれはだいぶ違和感のある政策スタンスで、買入止めたら普通に近いうちの利上げ宣言と取られると思うのですけどこれの意味がどうもワカランチ会長。ちなみに会見のオープニングステートメントは一応とばしとばしで音読したのですが、その辺の解説は見当たらなかった希ガス(読み落としがあるかも知れんが)。

『In particular, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee’s 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored. The Committee views these thresholds as consistent with its earlier date-based guidance.』(今回)

『In particular, the Committee also decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted at least through mid-2015.』(前回)

まあ前回までのガイダンスを変更していると思いっきり書いてありますので前回と比較しても仕方ないのですが(大汗)、今回のガイダンス文言に関しては会見での冒頭の説明でもう少し詳しい解説があるのですが、「失業率6.5%」に関しては実際のアクチュアルな経済指標に紐がついていまして、「物価上昇率2.5%」に関しては足元の数字ではなく、「between one and two years ahead is projected to be」とありますように、「向こう1年から2年の見通し」の数字になっていまして、まあこれはある意味当たり前なのですが一時的要因での物価上昇の場合は物価目標からの逸脱と見なさないというお話ではあります。

ただし、このような決めをした場合にはBOEのように先行き見通しを無理矢理2%にしてインフレが5%でも資産買入継続とかいう荒業(綺麗な言い方をすれば「バランスアプローチ」となりますが^^)も可能になりますので、そういう意味では物価に関する部分はファジーな点が残りますがなというのはありまして、会見での冒頭説明でも「これは金融政策を自動運転にするという意味ではありません」ともありまして、いわゆる厳格なターゲットのようなものではなくて、綺麗に言えばフレキシブルな閾値、まあぶっちゃけれは閾値なんだけど裁量部分が残りますという話です。

なお、これまた会見での冒頭説明で逆さ絵のおじさんが説明しているのですが、「今回のフォワードガイダンス文言の変更は金融政策が緩和的や引締め的になった訳ではありません」という風になっておりますが、この辺のファジー部分がある故に少なくとも今の体制だと緩和的な政策が長期化しやすいように思えますがどうでしょうかね。

以下の部分今回のみの説明です。

『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.』(今回)

高度に緩和的な金融政策をどの程度継続するかを判断するにあたって、FOMCは(単に失業率と物価指数の数値だけでは無く)労働市場における失業率以外の指標、インフレ圧力やインフレ期待に関する指標、金融市場の動向などを含めた他の情報も考慮します。緩和的な金融政策を取り除く際には、最大雇用及び2%の物価上昇率という我々の長期的なゴールと整合的なバランスのとれたアプローチをします。(拙訳)

という事で、しらっと第2の柱みたいな文言が入ってみたりするのがチャーミングですが、単に失業率と物価上昇率だけを見る訳では無く総合的なアプローチをするとしていまして、会見でも「総合的な判断」について強調しておりましたので、現体制ではどう見ても総合アプローチと称してスタンスがより緩和的になりそうなのですが、まあ総合的判断という事や、最近のFOMC議事要旨で一部の参加者から指摘されている「金融市場のインバランスや不適切なリスクテイクへの懸念」に対する文言も入れるという形で、色々な意味でファジーな部分を突っ込むことによってタカ派も納得するように配慮を入れてるなあという感じではございますし、しらっと「出口の際には」というのも入れるとゆーのもタカ派に配慮という所ですか。


・第6パラグラフ:最後までラッカー怒りの反対票

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who opposed the asset purchase program and the characterization of the conditions under which an exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who opposed additional asset purchases and disagreed with the description of the time period over which a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate and exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted.』(前回)

ということで最後までラッカー怒りの反対票でした^^;


○資産買入の内訳について

先ほどのステートメントのケツの所に「Statement Regarding Purchases of Treasury Securities and Agency Mortgage-Backed Securities」と書いてあるリンクが親切に貼っていますので、そこを踏むとNY連銀のサイトに飛びます。

http://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_121212.html
Statement Regarding Purchases of Treasury Securities and Agency Mortgage-Backed Securities

『The FOMC also directed the Desk to maintain its existing policy of reinvesting principal payments from the Federal Reserve’s holdings of agency debt and agency MBS in agency MBS, and, in January, to resume rolling over maturing Treasury securities into new issues at auction.』

おじちゃん頭が悪いので良くワカランチ会長なのですが、さっきのFOMC声明文では「resume rolling over maturing Treasury securities at auction」と書いてあるのですが、こちらでは「resume rolling over maturing Treasury securities into new issues at auction」とありまして、「新発債」という文言があるということは市場で買うのではなくて償還乗換で買うと言っているのでしょうか。

『Beginning in January, the purchases of longer-term Treasury securities will be distributed across 7 sectors based on the following approximate weights:』

で、その内訳は以下の通り(行組みとフォントを改変しています)

Nominal Coupon Securities by Maturity Range

4〜4-3/4 Years 11%
4-3/4〜5-3/4 Years 12%
5-3/4〜7 Years 16%
7〜10 Years 29%
10〜20 Years 2%
20〜30 Years 27%

TIPS
4〜30 Years 3% 

『Under this distribution, the Desk anticipates that the Treasury securities purchased will have an average duration of approximately 9 years, roughly the same as the net of the duration of the securities purchased and sold under the maturity extension program. The distribution of Treasury securities purchased could change if market conditions warrant.』

ということで、ツイストオペの時と同様に購入する国債の平均デュレーションは9年程度になる事を想定してこのプログラムにしましたとの事です。その他詳しくは上記URLで宜しくと手抜きの巻。


○会見の冒頭発言部分と言いたい所ですがどう見ても時間切れです本当にありがとうございました

http://www.federalreserve.gov/files/FOMCpresconf20121212.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
December 12, 2012

あたくしが朝見た時は冒頭発言部分の初稿になっていて7ページ組になっていましたが、皆様がご覧になるころにどういう風になっているのかはその時しだいです(^^)。


・資産買入に関して

あたくしの見ているバージョンベースで2ページ目のあたりから資産買入の説明が始まります。

『Although the Committee’s announcement today specified the initial monthly pace and composition of asset purchases, it did not give specific dates at which the program may be modified or ended. Instead, the pattern of future asset purchases will depend on the Committee’s evaluation of incoming information, in two respects.』

今回は「買入額は決めましたがプログラムが終了または変わる具体的な時期は決めていません」という言い方をしていて、あまり「無期限無制限」的な言われ方をしないように気を使っている感があるようなないような。

『First, we expect to continue asset purchases until we see a substantial improvement in the outlook for the labor market, in a context of price stability. In assessing the extent of progress, the Committee will be evaluating a range of labor market indicators, including the unemployment rate, payroll employment, hours worked, and labor force participation, among others. Because increases in demand and production are normally precursors to improvements in labor market conditions, we will also be looking carefully at the pace of economic activity more broadly.』

というのは声明文の通り。

『Second, the Committee will be monitoring economic and financial developments to assess both the efficacy and possible drawbacks of its asset purchase program.』

まあこれも書いてありますけどね。

『The Federal Reserve’s asset purchases over the past few years have provided important support to the economy, for example, by helping to keep mortgage rates historically low. The Committee expects this policy tool to continue to be effective and the costs and risks to remain manageable, but as the program continues, we will be regularly updating those assessments.』

これまでの資産買入の効果についての話をしていますが、政策の有効性とコストとリスクの勘案とかいう話をきっちりしているのね。

『If future evidence suggests that the program’s effectiveness has declined, or if potential unintended side effects or risks become apparent as the balance sheet grows, we will modify the program as appropriate. More generally, the Committee intends to be flexible in varying the pace of securities purchases in response to information bearing on the outlook or on the perceived benefits and costs of the program.』

ということで、今回は何か「デメリットが高まった場合」というような話をしてみたりしてて、QE2くらいの頃までの「資産の買入ワッショイワッショイ」感がだいぶ後退しているようにも見えるのですが、まあその分がフォワードガイダンスにシフトしているという話なんでしょうなあというのはちと思った。


・フォワードガイダンスについて

まあ今回はフォワードガイダンスの説明が長いのが当たり前(というかSEPの説明が殆ど無い)のですけれども、あたくしの見ているバージョンですと3ページ目から始まります。

『In today’s statement, the Committee also recast its forward guidance to clarify how it expects its target for the federal funds rate to depend on future economic developments.』

でまあそこからズラズラと説明が始まるのですが詳しくは後日ということで勘弁。

『The change in the form of the Committee’s forward guidance does not in itself imply any change in the Committee’s expectations about the likely future path of the federal funds rate since the October meeting.』

ということで、今回のガイダンス文言変更は今のFOMCの予想する将来の金融政策パスに対する変更を意味するものではありませんだそうです。

『In particular, the Committee expects that the stated threshold for unemployment will not be reached before mid-2015 and projects that inflation will remain close to 2 percent over that period. Thus, given the Committee’s current outlook, the guidance introduced today is consistent with the Committee’s earlier statements that exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted at least through mid-2015.』

この辺にSEPと絡めた話がありますな。2015年半ばまでの経済状況は新しい閾値を突破するものではありませんので従来のカレンダーデートのガイダンスの期間が短くなった訳ではありませんと。

んでもって冒頭説明って7ページありまして、3ページ目の途中からほぼこの話ということで、冒頭説明の過半をフォワードガイダンス文言の説明に費やしているので本当は全部精読したいのですが時間の関係でパスしてとばしとばし引用である。

『Let me emphasize that the 6-1/2 percent threshold for the unemployment rate should not be interpreted as the Committee’s longer-term objective for unemployment. Indeed, in the economic projections submitted in conjunction with today’s meeting, the central tendency of participants’ estimates of the longer-run normal rate of unemployment is 5.2 to 6.0 percent.』

6.5%の数値は目標じゃないよ望ましい水準はは5.2%〜6.0%だよと。

『However, because changes in monetary policy affect the economy with a lag, the Committee believes that it likely will need to begin moving away from a highly accommodative policy stance before the economy reaches maximum employment. Waiting until maximum employment is achieved before beginning the process of removing policy accommodation could lead to an undesirable overshooting of potential output and compromise the FOMC’s longer-term inflation objective of 2 percent.』

『As the FOMC statement makes clear, the Committee anticipates that policy under the new guidance will be fully consistent with continued progress against unemployment and with inflation remaining close to the Committee’s 2 percent objective over the longer term.』

ご丁寧に説明していますが、金融政策の効果にはラグが生じるのだから、5.2-6.0%まで下がる間金融緩和を続けたら高インフレが起こるリスクがあるから閾値はその手前にしているぞなもしとか、物価目標に整合的なガイダンスですよという話もしていますな。

『Although the modified guidance should provide greater clarity about how the Committee expects to respond to incoming data, it by no means puts monetary policy on autopilot. In this regard, let me make several points.』

つーことで、このフォワードガイダンスは金融政策の自動運転ではありませんよということで、幾つかのポイントを説明しますという所であたくしの時間が惜しくも無くなってしまいましたので超要約で勘弁。

『First, as the statement notes, the Committee views its current low-rate policy as likely to be appropriate at least until the specified thresholds are met. Reaching one of those thresholds, however, will not automatically trigger immediate reduction in policy accommodation. For example, if unemployment were to decline to slightly below 6-1/2 percent at a time when inflation and inflation expectations were subdued and were projected to remain so, the Committee might judge an immediate increase in its target for the federal funds rate to be inappropriate. Ultimately, in deciding when and how quickly to reduce policy accommodation, the Committee will follow a balanced approach in seeking to mitigate deviations of inflation from its longer-run 2 percent goal and deviations of employment from its estimated maximum level.』

バランスアプローチということで、閾値に達したからといって直ぐに出口政策に向かう訳では無いという事ですな。

『Second, the Committee recognizes that no single indicator provides a complete assessment of the state of the labor market and therefore will consider changes in the unemployment rate within the broader context of labor market conditions. For example, in evaluating a given decline in the unemployment rate, the Committee will also take into account the extent to which that decline was associated with increases in employment and hours worked, as opposed to (say) increases in the number of discouraged workers and falling labor participation. The Committee will also consider whether the improvement in the unemployment rate appears sustainable.』

労働市場の状況を見るときには失業率じゃなくて色々な指標を総合的に判断しますよと。

『Third, the Committee chose to express the inflation threshold in terms of projected inflation between one and two years ahead, rather than in terms of current inflation. The Committee took this approach to make clear that it intends to look through purely transitory fluctuations in inflation, such as those induced by short-term variations in the prices of internationally traded commodities, and to focus instead on the underlying inflation trend. In making its collective judgment about the underlying inflation trend, the Committee will consider a variety of indicators, including measures such as median, trimmed mean, and core inflation; the views of outside forecasters; and the predictions of econometric and statistical models of inflation. Also, the Committee will pay close attention to measures of inflation expectations to ensure that those expectations remain well anchored.』

こっちはインフレの方の話で、閾値に関しては「見通し数値」であることの説明に加えて、失業率と同じ話ですが単にヘッドラインのインフレ数値(の見通し)だけを見るのではなく、コアだの刈込平均物価だのを見るとか、インフレ期待動向を見るとか、これまた総合的に判断するとかそんな話ですな。

『Finally, the Committee will continue to monitor a wide range of information on economic and financial developments to ensure that policy is conducted in a manner consistent with our dual mandate.』

まあこれも総合判断を強調ということですな。


・フォワードガイダンスと資産買入の違いについて

その次にこんなのが。

『It is worth noting that the goals of the FOMC’s asset purchases and of its federal funds rate guidance are somewhat different.』

ほほうという所ですが、これは先ほどあたくしが「謎」と申し上げた声明文の部分の答えのようです。

『The goal of the asset purchase program is to increase the near-term momentum of the economy by fostering more accommodative financial conditions, while the purpose of the rate guidance is to provide information about the future circumstances under which the Committee would contemplate reducing accommodation. I would emphasize that a decision by the Committee to end asset purchases, whenever that point is reached, would not be a turn to tighter policy.』

『While in that circumstance the Committee would no longer be increasing policy accommodation, its policy stance would remain highly supportive of growth. Only at some later point would the Committee begin actually removing accommodation through rate increases. Moreover, as I have discussed today, the decisions to modify the asset purchase program and to undertake rate increases are tied to different criteria.』

ということで「フォワードガイダンスの閾値に達する前に資産買入を止める可能性がありますが、それでも金融政策は緩和的ですよ」という話をしらっとしておりまして、やはり先ほどの謎部分というのは資産買入をフォワードガイダンスとは一致させない(フォワードガイダンスでお約束しているのは「低金利」だけであって「資産買入」ではないという事)という話なのですが、まあそれが実務的にみてワークするのかというのは正直甚だ疑問を感じますな。


ということでSEPに関してとか質疑応答に関してとかは多分明日は間に合わず週明けになると思いますすいませんすいません。








2012/12/12

お題「まあ大体雑談です(マイナス金利関連再び/市場雑談/ニュース雑談/電波浴シリーズ)」

12年12月12日ですな、だからどうしたと言われても困りますが。

そういえばペニーオークションがやっとタイーホされていましたが、これ消費者庁が注意喚起とかしている中でモーサテで思いっきり話題にしてて如何なものかとか書いた覚えがあったなあと思ったのですが、買いてたの2010年9月13日でしたわ(なのでその日のモーサテの話題でしたな)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121207-00000814-yom-soci

○まずは先日の間違いの訂正であります

月曜日にマイナス金利雑考についてああだこうだと書いたのですが、その中でドヤ顔で説明した部分に大間違いのトンチキ部分がございまして、まあ実は書いている本人も書きながら「あれこれ大丈夫かな??」と思って書いていた(最初に書いたのを消して直したのが間違い、という蟻がチーな事案です)のですが、ツッコミ&ご教授賜りまして謹んで訂正させて頂きたく存じます。

ということでその間違い部分を再掲致します。

(以下月曜の間違い部分)『大体からして銀行が貸出を実施してもその貸出の代わり金というのは融資先企業の預金に化けるのでありまして、融資先企業の預金が増えた場合はその企業の取引先である融資元銀行の預金が拡大している訳で、それは結局元の銀行の中銀当座預金勘定になっておりまして、つまり中銀当座預金という意味では変化は無いどころか貸出増えたらその分当該銀行の中銀当座預金勘定が増えるぞなという話に。』(以上月曜の駄文より)

でまあこのどこがどう間違いかと申しますと、「中銀当座預金勘定が増える」という部分が全力で間違えておりますというのが結論です。

さて、それでは何がどうなるのやらという話ですが・・・・・・・・・

銀行が企業に貸出をしました、という行為が起きた場合には、貸出を実行した銀行から見た場合、「貸出金」という資産と、「預金」という負債(借入を行った企業の預金残高が増えるので)という両建てが発生するのですが、この時点では銀行の資産負債構成に変化が生じるだけで、中銀の当座預金勘定に関しては変化は起きません。

つまりですな、中銀の当座預金勘定の増減が発生するのは(1)銀行券の増減、(2)財政要因、(3)中央銀行による資金供給/吸収オペレーション(現先方式でも売買方式でも)、のケースにのみよるものであり、中銀の当座預金勘定は動かないというのが正しいのです。

・・・・・・・・・・というかですね、あたくしも最初実は「中銀の当座預金は動かない」と書いていたのですけれども、恥を忍んで申し上げますと、書いているうちに「あれ?企業の預金が増えたらその銀行の預金残高が増えるのだから中央銀行当座預金勘定増えないか???」などと頭の中が混乱して「当該銀行の中銀当座預金勘定が増える」などと書いてしまった次第です。

でも良く良く考えてみますと、というよりは師匠からツッコミを受けて質問しながら「あれ?あれ??」となりながら話をしているうちにクリアになった訳ですが、「銀行の預金残高が増える増えないは中銀当座預金勘定とは別問題」というのがそもそも基本にございまして、先ほど申し上げたようにこの場合は貸出を行った銀行の「資産負債構成の変化」は起きますが、あくまでも計理上の変化であるという形になります。

ではどうなると中銀当座預金勘定が動くかと言いますと、この企業が貸出代わり金を何らかの支払いの為に他行に仕向送金をした場合、内国為替決済尻の調整のために仕向銀行の中銀当座預金勘定から被仕向銀行の中銀当座預金勘定への振替が行われますので、その時点では貸出を行った銀行の中銀当座預金勘定が減りますが、この場合だとその資金を受け取った被仕向銀行の中銀当座預金勘定が同額増えるので、インターバンク市場における資金需給トータルで見た場合というのはやっぱり中立ということになります。

これまた表現の使い方が微妙なのですが、民間銀行の貸出が増えても別に「ベースマネー」が増える訳では無く、この場合に増えるのは「マネーサプライ」の部分が増えるけどベースマネーは増えません、とまあそういう話になるのですな。んでまあ民間銀行の貸出が増えるとそれと同額の民間銀行の預金が増えます(のでマネーサプライは増える)が、それは瞬間的にはベースマネー中立であるというのは今説明した通りですけれども、もうちょっと長い目で見た場合、民間銀行の預金が増えるという事は、預金準備率を所与とした場合、将来(というか翌月というか)の法定準備預金残高の増加要因になりますので、その分は将来のベースマネー需要拡大要因になる(その分は理念的に言えば中央銀行が資金供給オペで供給することになる)ので、まあ1ミリも影響がない訳では無いですが、あくまでもそれは元の貸出金増加から比べたら屁のようなもんですがな。

・・・・・・・・・・てな現象の話をああだこうだ申し上げますと、「積みあがった超過準備を貸出に回すようにする為に超過準備付利金利をマイナスにする」という構想が全くのナンセンスであるというのがお判りになろうかと存じます次第でございます。


○では改めてマイナス金利導入したらどうなるかという話

月曜日にあたくしこんな事を申し上げました。

(月曜の駄文から)『つまりですね、中銀デポに関してマイナス金利をチャージしますと、当然ながら域内の金融機関は中銀のデポのうち余計なものは減らしましょうという動きになりますので、その分だけ市場でもっている流動性が減ることになりますし、逆に流動性を確保しないといけない微妙なクレジットの金融機関に取ってみたら、安全の為に確保する流動性に対してマイナス金利チャージというコストが掛かるとか泣きっ面に蜂にも程がある訳ですよ』(以上月曜のあたくしの駄文より)


ここも話を端折り気味なので補足しますと、中銀デポにマイナス金利をチャージする(法定準備にマイナスチャージしたら鬼畜にも程があるのでまあ普通は超過準備にマイナスチャージになるでしょう)場合にどういう事が起きるかと申しますと、当然ながら「超過準備を持っているとリアル損失(機会費用とかそんなチャチなもんでは無くて何せリアル損失)が発生するならば、超過準備の保有を減らそう」という金融機関が増えるでしょうという話は月曜の駄文の通りでありまする。

ではその超過準備の減らし方ですが、(1)超過準備を銀行券に振り替える、(2)中央銀行の資金吸収オペへの参加、あるいは現先方式の資金供給オペの期落ち分をロールしない事によって中央銀行に「お返し」する、(3)何らかの資産購入を行って(この場合銀行が取引先企業に貸出をする、というスキームだと超過準備が減らない)資金を他の金融機関に流出させる、というような方式が考えられます。

このうち(1)は銀行券現物の保管や維持管理に掛かる費用を考えると基本的にパスとなると思われます(ただし日本みたいに銀行券がうじゃうじゃ流通している国ではそのコストが比較的意識されないかもしれませんが)でしょうから、(2)か(3)ということになります。で、(2)がインターバンクで広がるとインターバンクにおける流動性資金が絞り込まれる事になりますので、これは量的緩和政策の推進とは逆方向の話になります。

とは言いましても、ECBの場合は既に預金ファシリティーがゼロで一方のLTROやMROでは0.75%での資金供給が行われていまして、既にそういう意味ではオペで調達した場合は超過準備保有機会が費用は75bpとなっておりますので、スライドで下げたからと言ってそこまで金をお返しするのが出ないのかもしれませんし、たぶんまあECBもそのようなイメージを持っている(ここの金利差が相変わらず大きくあるのが日米とは違っている部分ですな)のかもとは思うのですけれども、機会費用が75bpのままであっても恐らく「付利金利がゼロ」というのと「チャージされる」というのの差というのはあるようにも思えますし、その辺をECBは安易に考えているように思えるのですがどうですかね。

でまあ超過準備をお返しするという方策よりも手っ取り早いのは(3)にありますように何らかの資産購入をするというのがありまして、これがまあ資産価格ルートを通じて景気にプラスになれば結構な話なのですが、そもそも超過準備で持っているような性格の資金がいきなり株式とか不動産とかに行くとは到底思えず、まー普通に考えて買うのは換金するにも担保にするにも流動性の高い国債ですよねとなりまして、この場合は預金ファシリティーがマイナスならそのマイナス金利よりもマシなら買いますかという事になり得るので、どこまでの期間までそれが進むかは良く判りませんが、短い所の国債金利がマイナスになるでしょうなあというのは想定できます。

ちなみに、この場合って資産を買った金融機関は超過準備が減りますけれども、その資産を売った相手方には売却代わり金が入ってきますので、ババ抜きのババの如く同じような現象が起きるのでして、その結果として国債などの市場金利がマイナスになって、それが何がしかの効果を出すかもしれませんが、ここまで散々申し上げましたように「積みあがった超過準備を貸出に回すために超過準備にマイナスチャージをする」という観点からの効果とは全然違う話でありまして、月曜の駄文で申し上げた全体としての結論、即ち「超過準備を貸し出しに回すためのマイナス金利というのは物事を理解していないだけ」というのはカワランチ会長なのでございました。

でもまあうっかりすると中銀の人間とかでも平気でそういう趣旨の発言が出てしまう位ですし、大体からして自称マニアのあたくしも良く頭を整理しないで書いていると書きながら頭が混乱して間違えますがなという残念な代物ですので、そらまあ「超過準備が積みあがっていて貸出に回らないのはケシカラン」とか全力で勘違いする人たちが発生する(=中央銀行が資産買入やら資金供給の無理矢理拡大やらを実施してベースマネーを増やそうとすると超過準備が積みあがってしまいますがなという事の裏側として発生することなので、超過準備を減らせというのは資金供給を減らせと言っているのに等しい)のは仕方ないかなとも思いつつ、まあこういうのをちゃんと解説するのがメディアの役割だと思うのですが、どう見てもそんな解説能力あるのは片手で数えるほどしか居なさそうですよねという所です。


以上、クソ長くなってしまいましたがあたくしの間違い晒しと共に再度能書きを垂れてみました。



○債券先物が高値を更新した件やCPオペの金利がまた低下した件について

・債券先物当限が2文新値とな

昨日の債券市場様におかれましては、前場は流動性供給入札があるから超長期弱いのかと思ったら妙に強くなりやがりまして、ついでに輪番も入りまして(今月は営業日が19日しか無い上に20日に利払いと償還があるので多くの銘柄の振替停止期間があって、ついでにMPMと国債入札があって、MPM前に基金買入を終わらせておくと日程を詰めていくと、昨日輪番が入るのはスケジュール上仕方なかったのですが、流動性供給入札に輪番とか中々アレでしたな)、債券先物の12月限はしらっと145円30銭をマーク。

これで流動性供給入札が強くなって後場更にワッショイ相場になったら完全に上抜けだったのですけれども、そういう時に限って流動性入札が弱くて後場失速という事で、高値更新したのかチャートポイントで跳ね返されたのかさっぱりワカランチ会長ではございますが、とりあえず債券先物の最高値をさらに更新しましたなという所です。12月限は昨日が売買最終日なので、限月交代でカレンダースプレッド分だけ値段が落ちてしまいましたので、先物高値再更新まではちょっと遠くなりましたな、うんうん。


・CP買入オペ金利がアレ

昨日のオペ結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121211.htm

米ドル資金供給(固定金利方式)(12月20日エンド分) 1 1
米ドル資金供給(固定金利方式)(3月7日エンド分) 0 0
国債買入(残存期間1年以下) 14,126 3,100 0.009 0.009 93.4
国債買入(残存期間1年超10年以下) 10,995 2,506 0.001 0.002 0.6
CP等買入(資産買入等基金) 5,675 3,852 0.096 0.101 27.1

ということでCP買入の足切り金利が0.096%まで低下しやがりまして、昨日は短国の金利とかも業者間でアヒャヒャヒャヒャ状態になっておられたようで、既にこの時点で短期市場金利が0.10%を割って沈んできているというアチャーな状態になっている訳で、付利下げとかする必要ねえわと申しますか、さらにここから短国とか国債の買入を拡大するとかする訳でして、もう何だか勘弁という感じではございます。


○LIBOR関連メモ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121211-00000090-mai-int
<LIBOR不正>関与で英国人の男3人逮捕 初の逮捕者
毎日新聞 12月11日(火)23時19分配信

『【ロンドン坂井隆之】英国で経済犯罪などを担当する重大不正捜査局(SFO)とロンドン市警察は11日、短期金利の国際的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR、ライボー)の不正操作に関与したとして、30〜40歳代の英国人の男3人を逮捕し、同国内の3人の自宅を家宅捜索した。3人は年齢がそれぞれ33歳、41歳、47歳の金融トレーダー経験者。共謀してLIBORを不正に操作した疑いがあるが、SFOは3人が所属した金融機関名や容疑の詳細などは明らかにしていない。』(上記URLより)

はあそうですかという所ですが、こういうのってそもそも取引が無い物に対してリファレンスレート出せというような場合にうっかり変なレート出したらタイーホとか言われた日にはそのうち「それだったら別にウチはウチの基準金利でやりますんでそんなの知らんがな」というような流れになってしまうと角を矯めて牛を殺すという事になりかねませんので、この手の「取引所取引では無い物に関するリファレンス価格呈示」という件については良く良く考えて進めていく方が良いと思います。

つまりですな、そもそも店頭取引での価格ってのはそのブローカーに取ってみたら業者の玉支配力と営業基盤によって得られた貴重な取引情報な訳でして、大体からしてそれをタダで出せという時点で業者目線で言えばどういう事やという話でありますからして、それに対して参考価格を呈示させられてしょうがないから出したら談合だケシカランのでタイーホとか言われましても困りますぞなという話もありますが・・・・・というのはLIBORじゃなくて他の店頭取引に関する論点ですのでまあその話はそのうちするかもしれませんししないかも知れません。

ちなみにこんなのもありますが英文なので読んでおりません。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/wp12e10.htm/
インターバンク市場におけるレファレンス・レートの役割に関する理論的考察

本文はこちらですが英語です。
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12e10.pdf
A Simple Interest Rate Model with Unobserved Components: The Role of the Interbank Reference Rate



○ニュース雑談等

・いやだから聞く人がですなあ・・・・・・

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012121100003
安倍氏、金融専門家と会談=「お墨付き」狙う?【12衆院選】(2012/12/11-00:02)

ということで「金融専門家」ってどこの市場関係者だよと思って記事を見たら全力で脱力。

『自民党の安倍晋三総裁は10日夜、日銀の金融政策に批判的な米エール大学の浜田宏一名誉教授と党本部で意見交換した。』(上記URLより)

いやだから日銀法の条文とFederal Reserve Actの条文の違いの読みこなしも出来ない人が金融専門家ってそれ違うだろと思うのですけどねえ。まあやったら色々とアレな事になるんでしょうなあ。


・公明党キタコレ

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121000790
連立離脱の可能性も=集団的自衛権行使なら−山口公明代表【12衆院選】(2012/12/10-21:28)

『公明党の山口那津男代表は10日のTBSラジオ番組で、自民党が衆院選公約に基づき集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈を変更したり、憲法9条改正に動いたりした場合、衆院選後に自公両党で連立政権を組んだとしても、連立離脱があり得るとの見解を示し、けん制した。』(上記URLより)

うーむ、自民党のいわゆるハト派系列の役割を公明党が担う日が来ることになるとは・・・・・・・


○ロイターで電波浴とな

一部の電波浴マニア(?)の間では既に知られていた記事なんですけど(^^)。

http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPTK057007920121209
再送:〔総選挙こうみる〕財政危機説は嘘、アベノミクスで株価急騰
2012年 12月 10日 07:57 JST

まあURL先見れば誰でも気が付きますが、敢えて今回はコメントをしている人の名前を引用割愛して起きましょう。何かああだこうだ仰せで全般的にアレ感が漂うのですが、拝読しておりましてこれは本物のアレだと思ったのはこちらの部分です。

『──国債を大量発行すれば財政が悪化するとの懸念も多い。

「世間一般で言われている財政危機説は嘘だ。国債を発行しても財政は悪化しない。例えば政府債務残1000兆円、GDP500兆円の場合、政府債務残高のGDP比率は200%だが、国債を10兆円発行(債務残高1010兆円)し、全て公共投資などに用いればGDPは510兆円に増加、債務残GDP比率は198%に低下する。GDPが増加することで税収も増えるため、債務残高GDP比率の低下はさらに加速する」』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・・・(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)

こっち見んなと言われそうですが、こんな斬新な解決策があるんだったらギリシャ政府の債務GDP比率問題もポルトガル政府の債務GDPも財政削減策不要で解決するんですから今すぐこの理論をEU首脳会議でプレゼンしてきたら如何でございましょうか。

つーかロイター社さんってえのは一般的には金融経済関連の専門性が高いメディアとして世間に認知されている訳でございまして、そういうメディアがネットで一般人も見れるような所にこのような珍理論を堂々掲載するというのは晒し上げの積りなのかもしれませんが、編集機能どうなってるんだというのは気になりましたですよ。

メディアの機能ってゴミ情報をフィルタリングする機能だとあたしゃ思っていまして、ネットで検索するといくらでも「ぼくのかんがえたさいきょうの○○」が飛び交うこの世の中で、電波浴情報は別に幾らでも拾えるのでございますし、大体からしてこうやって電波浴とか言ってネタにする分には無害ですけれども、予備知識の無い善男善女が電波浴に当たって電波感染してしまうとマイナス以外の何物でも無いのでありまして、メディア様におかれましてはちゃんとフィルタリング機能を果たして頂きたいと思うのですが、肝心のメディアが良く判っていなくて堂々電波発信しているというのは良くネタにする産経などに見られるような状況でございますので困ったもんだという所でございますな。

ということで今日も雑談シリーズで恐縮至極。








2012/12/11

お題「セントルイス連銀ブラード総裁の今後の金融政策に関する論点整理、というか解説スライドを鑑賞」

ほほう。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2012121000824
「優勢」自民、取りこぼし警戒=民主、80選挙区をてこ入れ【12衆院選】
(2012/12/11-00:16)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121000879
橋下氏、早くも敗北宣言?=「維新は完全に負けている」【12衆院選】
(2012/12/10-21:29)


・・・・・・・自民党は調子に乗り過ぎるのがリスクですかね。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/12/post-c1b9.html
2012.12.07 自民党安倍晋三総裁、維新の会の梯子を容赦なく外す

前半の話は兎も角として後半の話が何ともですなあ。リンクされている先のtogetherも読むと誠にアレでございますことでorz


○FOMCの今後の金融政策に関するポイント整理をしている講演があったぞな(ただしブラードフィルター入り)

講演なのですが今回はセントルイス連銀のページにあるのはこちらのプレゼンテーション資料(PPTをPDF形式にしたものと思われる)のみでサマリーが無いのですけど、まあ今回は論点整理の回なのでこれはこれで判りやすい。

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/BullardLittleRockChamberOfCommerce3December2012Final.pdf
Making Sense of Thresholds, Triggers, Twists, and Timelines

でまあスライドを順に見ていくとヨロシアルので見るぞな。今回のお題は2ページ目のプレゼンにありますように「フォワードガイダンス文言の改善について」というのと「年末にオペレーションツイストが終了するけれどどうよ」という事でありますが、まあ大体の話はフォワードガイダンスの文言で期限を切って表現しているのを「経済の閾値を用いたフォワードガイダンス」に変更する事に関する論点整理でございますけれども、今回のプレゼンはその辺が判りやすいですのでお勧め。

・最初に何となくまとめのようなのがあるが

3ページ目と4ページ目ですが。

『Thresholds』ということで3ページ目が閾値方式に関するまとめ。

『The Committee currently uses a given date to indicate when the first increase in the policy rate will likely occur.
・This approach has some problems.』

『A possible alternative is to use “thresholds,” values for inflation and unemployment that would give an indication that the time for a rate increase may have arrived.』

『However, thresholds present a new set of six distinct challenges for the FOMC.』

ということで、現在の「カレンダーデート」方式には問題があるので、これに対して閾値方式にするというのが新たなアプローチですが、6つの挑戦がありますとゆーお話ですな。

んでもって『The end of “Operation Twist”』ということでオペレーションツイスト終了後の金融政策に関してですが、論点はここの纏めの部分で大体説明されています。

『Operation Twist can be replaced with outright purchases of Treasury securities.』

ということで市場の皆様織り込み済みの「ツイストオペ終了後はUSTの購入になるでしょう」てな結論になるのですけどね。

『This is an advantage of the “state contingent” approach to the balance sheet policy adopted in September.

Outright purchases are likely more potent than twist operations.

This suggests somewhat less than one-for-one replacement if the Committee’s intent is to keep policy unchanged.

I interpret a one-for-one replacement of twist operations with outright purchases as more accommodating than the current policy.』

ということで、アウトライトの国債購入になるのですが、その方式はオープンエンド方式で実施することによって経済の状況に対応しやすくする(state contingentというのはそういう意味というのが後の方のスライドにある)という話。

でもって今回の措置はツイストと違って債券の売りが伴わないので、その分だけ緩和的な政策となるため、買入額ベースで従来の額を維持した場合に、従来のツイストオペよりも緩和的な政策になりますぞな、という説明をしています。


・閾値方式のフォワードガイダンスについて:従来の方式の問題点

5ページ目が題名だけでどどーんと『Thresholds: Advantages Come With New Challenges』とあるのですけれども、今回はこの件についての説明が大体メインとなっています。

まずは従来の方式の問題点ということで『The pessimism problem』というのを出していて、これ時々FOMCの議事要旨でも出てくる指摘なのでブラードさんが言ってるんですかそうですかという所ですが、よーは「2015年半ばまで異例の緩和的政策が継続すると予想される」というフォワードガイダンスは、「そのような残念な経済状況が長期間続くというFOMCのメッセージ」と取られるリスクがあるという話ですな。スライドの文言引用しておくだよ。

『The Committee currently states that the policy rate will likely remain near zero until “mid-2015.”』

『This creates a “pessimism problem” for the Committee.

・The date can be interpreted as a statement that the U.S. economy is likely to perform poorly until that time.
・I have called this an “unwarranted pessimistic signal.”
・Michael Woodford of Columbia University has called it potentially “counter-productive.”
・The Committee does not intend to send such a signal.』

Woodfordの話ってジャクソンホールでの講演で論点整理していた筈なのですが、中々これを精読するヒマと根性が無いあたくし(汗)。


次のページでも問題点の話をしていまして、「より実務的な問題」として「景気が良くなったらガイダンス文言における「日付」を変えないと行けなくなる事も有り得る」けれども「基本的にFOMCはこの手の文言を一度決めたら変更したがらない(後倒しはするけど前倒しというのは更にやりにくいでしょうな)ので、その結果として「FOMCの想定する(前倒しになった)利上げ時期と、市場の認識する(変更されないガイダンス文言のままの)利上げ時期に齟齬が生じる」というリスクがあるという指摘。

『A second problem is more practical:

・When the outlook for the U.S. economy changes, in principle the Committee should change the date associated with the likely first increase in the policy rate.』

『However, the Committee has been reluctant to change the date unless the change in the outlook has been substantial.』

『This means that markets at times have a somewhat different date in mind than in the Committee statement.』

でまあその辺の問題を閾値方式は解決しますという話がその次。


・閾値方式のフォワードガイダンスについて:利点について、具体的にどうするのか、など

次のページが『The use of thresholds may help』ということで。

『The Committee may wish to eliminate the date in the statement in favor of a description of economic conditions at the time of the first rate increase.』

ということで、まあFOMCとしてはカレンダーデート方式は閾値方式に変えたいようです。

『Then, as data arrive on U.S. economic performance, private sector expectations concerning the timing of the first rate increase would automatically adjust.

・Vice Chair Janet Yellen has called this an “automatic stabilizer.”』

まあこれは良く言われるように、市場の経済見通しによって時間軸が自動的に動いてくれるという利点ですな。

『The Committee would no longer be sending the pessimistic signal, because the stated threshold conditions could be met at any time.』

これはさっき説明していた問題点の話。

んでもって次のページが『Some specific proposals』ということでブラード総裁の提案。

『The proposals that have been put forward often begin with an unemployment threshold, such as 6.5 percent, and add an inflation threshold, such as 2.5 percent.』

ブラードさんの提案は失業率6.5%に到達するまで物価が2.5%を超えなければ緩和を継続するという方式。ちなみにこの数字が「見通し」数字なのか「実際の」数字なのかという話が後で出てくるのですが、ブラード総裁の出した答えは「実際の」数字となっています。この「見通し」なのか「実際の」なのかという件についてはFOMC内部でも意見が思いっきり割れているようですが。

『A threshold-style statement by the FOMC would not have a date, but would instead emphasize these economic conditions.』

『The intent would be to communicate that the policy rate will remain near zero at least as long as unemployment remains high and inflation remains near target.』

で、次のページ(さっきから次の、で済ませてますがここで10ページです)。

『Switching to a threshold strategy does not necessarily mean that policy would be easier or tighter.』

『The 6.5 value for the unemployment rate is broadly consistent with mainstream analysis of the likely value of the unemployment rate at the time of the first increase in the policy rate.

・Likewise, many expect inflation to remain low.』

『The intent is to change the approach to policy, but keep the policy itself about as easy as it is today.』

これらの変更はアプローチの変更ではあるが、金融政策の引き締めでも緩和でもありませんと。


・閾値方式のフォワードガイダンスについて:6つのチャレンジングな点について

ということで項目があるのですが。

『1. Not the 1960s』とあるのが12ページなのですが、ナンジャソラとか思って読んだ所、どうも「1960年代のような失業率重視の政策をしているのかというとこれはさにあらず」という事を仰せのようですな。

『Care needs to be taken that this does not represent a return to 1960s-style macroeconomics, in which many thought unemployment could be meaningfully targeted by the central bank.』

『That approach to policy was badly discredited in the 1970s.』

『The Committee’s January 2012 statement makes it clear that the FOMC cannot meaningfully target unemployment.』

13ページは『2. Maintaining a balanced approach to policy』ということで物価と雇用のバランスアプローチに関してですが、実際の数値を使うのか見通し数値を使うのかという点もここで触れられています。

『Many proposals suggest considering the forecast for inflation but the actual value of unemployment.』

『In order to maintain a balanced approach to policy, the two variables should be treated symmetrically.』

『My preference is for a statement in terms of actual values for both inflation and unemployment.』

ということで、バランスアプローチをする際には、見通し数値を使うよりも実際の数値を使う方がシステマティックにバランスアプローチをするのに吉と指摘しています。

15ページ目では『3. The Committee considers all aspects of the data』ということで、「必ずしも単一の数値(まあこの場合2つの数値ですけど)のみに依拠した金融政策をやる訳では無い」というのが3つ目のチャンレンジとしています。次のページにもまあそんな感じの話があるのですけど、こちらのページの方がキタコレって感じでして・・・・・・・

『Care should be taken that the Committee does not leave the impression that only these two variables matter for monetary policy.』

『That would greatly oversimplify any reasonable judgment concerning the state of the U.S. economy.』

ということで単純化するのはいかんぞなという話ですが、その後が中々。

『There may be reasons other than high inflation that could lead to an increase in the policy rate.
・Example: low rates fuel asset price bubbles.』

>low rates fuel asset price bubbles
>low rates fuel asset price bubbles
>low rates fuel asset price bubbles

・・・・・・・・・どう見ても第二の柱です本当にありがとうございました。

で、労働市場に関しても失業率だけでは無くて色々な物を見ていますよというのがその次の『4. The health of the labor market is multi-faceted』。

『The Committee needs to stress that the unemployment rate is only one aspect of the health of the labor market.

・The Committee weighs labor market outcomes from a broader perspective.
・A key metric is the payroll employment reading each month.
・The labor force participation rate has been a very important factor during the last several years.
・Measures of hours worked help us to understand the full-time versus part-time aspects of labor market outcomes.
・Other measures, including turnover data, have also been important.』

ということで色々なデータを見ていますよというのはまあ当然ちゃあ当然の話ですな。

その次が失業率が高い話をしていまして、その中でユーロ圏の失業との比較の話がありますが、まあこれは自然失業率がどう推移しているのかも考えないといけませんねと言いたいのでしょうか。

『5. Unemployment can remain high』というのが17ページ。

『The Committee needs to emphasize that unemployment can remain elevated for reasons unrelated to monetary policy.』

『In particular, elevated European unemployment over the last several decades provides a stark warning that this variable does not always behave as one might expect.』

『An unemployment threshold of 6.5 percent would never have been breached in the Euro zone over the last twenty years.

・Despite this, the ECB did raise the policy rate at times during this period and did keep the Euro-area inflation rate near two percent.』

で、最後の問題は「閾値がトリガーとして見られる」という件でして、19ページの『6. Thresholds will be viewed as triggers』というお題に。

『The Committee may need to recognize that thresholds will likely be treated as “triggers for action” in financial markets.』

しかも実際の数値をという事になったらまあ市場は「その数値に達したら金融政策が変わる」と見ますわな。

『In essence, the effect of a threshold announcement is to draw a line in the sand.

・Crossing the threshold means something significant has occurred.
・Even if policy action is not required right at that moment, the probability of action is increased.』

『Markets will react to the probability of policy action.』

ということで、この辺はまあ難しい話になる訳ですが、閾値を設定したけれども、「総合的判断」でその閾値超えたけどスルーとかした場合の金融市場の反応はどうなのよというのは実際に起きた場合には結構問題になるかもとは思いますけど。


・ツイストオペ終了後の政策に関しては先ほどの纏めと大体同じ

21ページ目と22ページ目なのですが、まあ先ほど申し上げた通りの話なので引用だけ。

『“Operation Twist” has been continuing during the second half of 2011 and all of 2012.』

『The program includes sales of shorter-term Treasury securities in conjunction with purchases of longer-term Treasury securities.』

『Outright purchases of longer-dated Treasuries with newly created reserves eliminates the sale of short-term securities and so may be viewed as somewhat more stimulative.』

ということで買入オンリーだと買入額ベースを変えないとより緩和的になるという話で、そらまあストックアプローチを取るとそうなるのは当たり前なのですが、市場ちゃんの方は「買入額が維持される」という期待を持っていて、そういう意味ではフローアプローチ的なイメージを持っていたりする訳で、この辺については色々と今後も混乱しそうです罠。

『Analysis of the effects of the twist program in comparison to the QE programs yields mixed results.

・Still, on balance I think it is reasonable to think that an outright purchase program has more impact on inflation and inflation expectations than a twist program.』

『Replacing the expiring twist program one-for-one with outright purchases of longer-dated Treasuries is likely a more accommodating policy.

・If the goal is to keep policy on its present course, the replacement rate should be less than one-for-one.』

ということで、今回のFOMCではブラード総裁票決権無いのですが(1月から発生する)、従来の政策ロジックからしたら「政策を現状維持したいのであれば買入額を減らすべき」という事になりますなあと存じますので、これはブラード総裁の話の方が筋は通っていますが、恐らく市場様が450億ドル買入クレクレ攻撃をしているのでその言う事聞くだろうなあと思うのでございました。

以下の部分は『Conclusions』ということで重複になるので割愛します。

#なお、基金国債買入がまた金利が下がった件や、日銀からこれはまたというペーパーが出ていた(ただし英文)件については本日は華麗にスルーの方向で





2012/12/10

お題「昨日の訂正/基金オペ雑談(ETFに関して)/改めてしつこくマイナス金利雑考とかその他ECB関連」

月曜なので調子も出ませんという事で(月曜関係ないでしょというツッコミは却下)本日は雑談シリーズで勘弁(本日もではないかという以下同文)ということで、まずは金曜の訂正から(すいません)。

○金曜の訂正ですすいませんすいません

えーっと、金曜日の駄文の訂正だったりしますが、長期国債先物2003年6月限の高値に関する話で、中心限月最高値の「限月交代翌々日」に2003年6月限としての最高値をつけたと申し上げましたが、「翌日」というのが正解でありましたので謹んで訂正させて頂きます。

事実関係としましては、長期国債先物6月限が中心限月であった時のザラバ最高値をつけたのが2003/6/9でして、その翌日に9月限に中心限月が交代しまして、6月限の最高値をつけたのが最終売買日のザラバでその日が2003/6/11なので、「限月交代の翌日」というのが正解、とまあそういう事になりまして、9日と11日の関係が丁度翌々日だったので筆(キーボード)が滑ってしまいましたと言う事で誠に恐縮。


○やはりETF買入が未達になりそうなのが気になる件について

先日の駄文で基金オペの進捗状況について申し上げましたが、11月30日現在の基金EFT残高(別表2の指数連動型上場投資信託の所ね)が『1,468,785,640千円』ということで目標1兆6000億円に対して1400億円程足りませんがどうなんでしょうかと申し上げましたが(11月30日現在の数字はこちら→http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/)、その後の日銀当座預金残高の実績および見込み数値を見ますと(日々の動きはこちら→http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htmをご覧あれ)、受渡日ベースで今月に入ってからETFの買入が行われた形跡なしという状態。

約定ベースであと14営業日残っていますので帳尻オペを実施するのかも知れませんけれども、「株価が下がるとオペ実施で100億円か200億円購入」攻撃をしていると目標到達に間に合わないように思えるので(たぶん誰も話題にしていませんが)あたくし勝手に気にしているのでありまする。

いやですね、これもこの前も申し上げていますが、CPとかが未達の分には別にまあシャーナイかという話だと思うのですが(CP金利は散々下がっているのでまあ効果は思いっきり出ていますし)、ETFが未達ということになると「やっぱり日銀はETFの購入をやりたくないから目標に不足する買入しかしなかった」とか何とかいう話になって、これまで散々リスク資産の購入をやって、ETFも1兆4600億円買っているのに最後の着地1400億円の所で「日銀のやる気」が問われる事態になるとかになったら勿体ないというか大間抜けにも程がある(まあ日銀らしいと言ってしまえば日銀らしいのですが・・・・・・・)そなということで。

大体からしてデフレ脱却という観点からしたら一般的な金利ルートだけではなくて為替ルートとか資産価格ルートというのの効果も考えた方が良いでしょと思う訳でして、まあ日銀的にはあまり為替ルートとか資産価格ルートとかを前面に出したくないというのも何となく判らんでも無いのですが、折角リスク資産の買入をして、この前も買入拡大をしているという形で動いているのに、わざわざ未達になって逆方向のアナウンスメント効果を出す必要は無いと思いますので、受託している信託銀行との握りがどうなっているのか判らんので何ともというのはございますが、信託銀行のケツを叩いて目標残高必達させた方が良いと思うのですけどどうなんでしょ。

まー何ですな、そんなこんなであたくし的には物凄く心配しているのですが、もしかしてこれ実は12月末になると評価替えで残高行くとかそういうオチが待っているのでしょうかと思う位に月初からのETF残高目標に対する余裕ぶっかましぶりが気になるという雑談でした。


○本当は詳しく行く所ですがとりあえず「マイナス金利の検討」部分だけ

http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is121206.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 December 2012

金曜のニュースでは例えばこんな感じで、マイナス金利の検討がどうのこうのという記事が出ていたのですけれども・・・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8B500S20121206
ECB、中銀預金金利のマイナス金利含む利下げ討議
2012年 12月 7日 04:33 JST

該当する質疑を読むとこうなります。

『Question: (最初の質問割愛)And my second question is: Did you discuss interest rate cuts today and, in that respect, what - in your view - are the greatest downside risks associated with a negative deposit rate in the euro area? 』

ということでその部分に関する答えですけれども、

『Draghi: (最初の部分割愛)Did we discuss interest rate cuts? That was your second question. There was a wide discussion but, in the end, the prevailing consensus was to leave the rates unchanged. On the issue of negative interest rates on the deposit facility, there is nothing new to report. As Mr Praet recently has said we are operationally ready, but the discussions in this respect did not go into any depth. We briefly touched upon the complexities that such measure would involve and on possible unintended consequences. But we did not elaborate on this any further.』

利下げに関しては「幅広い意見の交換がありましたが今回は金利を据え置きました」という話になっているので、まあ確かに利下げ討議もありましたという事になるのですが、マイナス金利に関しては「オペレーショナルには可能ですが特段議論が深まった訳では無い」「我々はマイナス金利が含む複雑性や、それによって発生する可能性のある意図しない結果について言及している」とゆー話をしていて、これを捕まえてどこがどう預金ファシリティー金利のマイナス金利検討という話になるのかがイマイチワカランチ会長なのですが、これ出た後ドイツ国債とか金利さがってたみたいでございますし、まあ向こうの市場はそーゆー反応をした(そーゆー反応をしたからこそ上記のような記事になったんでしょうし)という事なんでしょうか、良くわかりません。

毎度申し上げておりますように、『同金利をマイナス圏に引き下げれば、銀行がECBに資金を預け入れる際にECBに利子を支払うことになるため、銀行融資促進効果があるとされている。』(先ほどのロイター記事による解説より)というようなアホアホ解説が相変わらず人口に膾炙しておりまして、(さすがに最近債券の人からは質問来ないのですがそれ以外の人から)質問されたりもするのですけれども、そもそも預金ファシリティーにマイナス金利をチャージしたら貸出が増えるというのが間違いにも程がある話で、預金ファシリティーにマイナスチャージしたら各銀行のやる事は預金ファシリティーの残高を減らす事であります。大体からして銀行が貸出を実施してもその貸出の代わり金というのは融資先企業の預金に化けるのでありまして、融資先企業の預金が増えた場合はその企業の取引先である融資元銀行の預金が拡大している訳で、それは結局元の銀行の中銀当座預金勘定になっておりまして、つまり中銀当座預金という意味では変化は無いどころか貸出増えたらその分当該銀行の中銀当座預金勘定が増えるぞなという話に。(12月12日追記:間違いがありましたので訂正をしています

じゃあその企業が金を使えばという話になりますが、その企業が金を使ってもその金を受け取った取引先の銀行預金が増える勘定になりますので、他行の中銀当座預金が拡大するという事になって、結局は同じ話ですがなとまあそういう話になります。という感じで説明しているのですが、中々口で説明してもその場では判ったつもりになっていても理解できておられない模様で、そらまあ金融調節とか元々1ミリも興味が無かったら判らん罠と思いますし、貸出実行って要するに銀行の中での勘定振替みたいなもんですがなというような話って実際に銀行実務をやっていないと感覚として判らんだろうなあとも思います次第。

まあ物凄く厳密に言えば取引先の預金勘定が増えた分だけ中銀当座預金勘定を減らして中銀当座預金勘定のバランスを取るという形を取れば、超過準備と取引先預金の勘定移動になるので、何となく「超過準備が貸し出しに回る」というような絵になりますけれども中銀当座預金勘定の総額には変化がなく、預金が増えた分だけ所要準備が拡大するのでその限界的な部分で超過準備は減りますけれども、それは(1−準備預金率)という屁のような部分だけの話であって、そんな事している暇があったら超過準備部分を中央銀行に「お返し」するのが手っ取り早い訳です。


とまあ書いている本人もこの説明だと何か煙に巻いている感はするのですが、この手の「中銀デポに関するマイナスチャージ」というのは一般的には「資本流入対策」として行われるものであって、つまりどういう事かと言いますと、ペッグ制を取っている国の為替市場で自国通貨が何らかの理由で買われてペッグ維持が困難になった場合に、元通貨よりも中銀デポの金利を下げる事によって、その通貨買いを止めさせる効果を狙って実施するというものだと理解しております。

つまりですね、中銀デポに関してマイナス金利をチャージしますと、当然ながら域内の金融機関は中銀のデポのうち余計なものは減らしましょうという動きになりますので、その分だけ市場でもっている流動性が減ることになりますし、逆に流動性を確保しないといけない微妙なクレジットの金融機関に取ってみたら、安全の為に確保する流動性に対してマイナス金利チャージというコストが掛かるとか泣きっ面に蜂にも程がある訳ですよ。

ということで、実は中銀デポのマイナス金利チャージというのは貸出推進になるどころか短期金融市場における金融環境を引き締める効果がありまして、そもそも未だにその議論をしているECBも何考えてますねんという風に思うのです(中銀デポマイナスにしたらLTROの金とか余力のある金融機関から順にご返済が始まってしまうので潤沢な流動性の供給という施策に反する)けれども、どうなっているのやら・・・・・・


○ECBついでに景気に関する部分を

ちなみに景気に関する認識については最初のステートメント朗読部分の方にこんな感じで記述がございます。

『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis. Following a contraction of 0.2%, quarter on quarter, in the second quarter of 2012, euro area real GDP declined by 0.1% in the third quarter. Available statistics and survey indicators continue to signal further weakness in activity in the last quarter of the year, although more recently some indicators have stabilised at low levels and financial market confidence has improved further.』

ということでユーロ圏の経済状況に関しては「経済指標は今年4Qの更なる悪化を示している」と経済状況に関する見立てについては厳しい見方を。

『Over the shorter term, weak activity is expected to extend into next year, reflecting the adverse impact on domestic expenditure of weak consumer and investor sentiment and subdued foreign demand.』

短期的には、と最初に入れていますが、この活動の弱さは来年にも継続する事が予想されるとのお話で、その背景として「国内の消費支出の弱さおよび投資家のセンチメントの弱さ」と「抑制された海外の需要」を挙げています。

『A gradual recovery should start later in 2013 as our accommodative monetary policy stance and significant improvement in financial market confidence work their way through to private domestic expenditure, and a strengthening of foreign demand should support export growth.』

でまあここ見ても微苦笑してしまうのですが、2013年後半には徐々に回復するでしょうという残念な見通しなのは良いとしまして、その見通しの背景にあるのが「緩和的な金融政策スタンス」「金融市場のコンフィデンスが顕著に改善して民間消費が拡大する」というのがあって、その最後にあるのが「海外の需要が強くなって輸出が伸びる」というのでありまして、いやもうあちこちの中銀で来年の経済の牽引を「海外の需要が拡大して」という話になっているのを見ると何とも残念感が漂うのでありました。


ということで何か雑談系ばかりでどうもすいません。





2012/12/07

お題「さあ盛り上がってまいりました!!!(ただの相場備忘録)/その他クリップ少々」

ということで久々に先物が20銭も動くわ見事にフラットニングするわだったのでこういう時に相場備忘録をつけておかないで何時付けますねんという事ですな。

○30年国債入札でウヒョーとな

・先物も高値更新したので後々の為にメモをおいておく

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJPWK6K50XT01.html
債券続伸、先物は過去最高値を更新−30年債の入札結果順調で
更新日時: 2012/12/06 16:19 JST

『12月6日(ブルームバーグ):債券相場は続伸。先物中心限月は9年半ぶりに過去最高値を更新した。午後発表の30年債入札結果が順調となったことで買い安心感が広がったほか、日本銀行による追加金融緩和の観測も相場を押し上げた。三井住友海上あいおい生命保険経理財務部の堀川真一部長は、総選挙で自民党が勝利するとの観測報道を受け、金融緩和圧力が高まるとの見方から買いが優勢だと指摘した。30年債入札については「需要が入り、強い結果。超長期債も買われている」と話した。』(上記URLより)

ということですが、昨日は上記にもありますように朝の新聞各紙による衆議院選挙の序盤情勢で各紙とも「自民党単独過半数」という見通し記事が出ておりまして、

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEKY2U6KLVRV01.html
【主要朝刊】自民過半数の勢い、旧長銀ビル建て替え、先発薬価格下げ
更新日時: 2012/12/06 07:48 JST

先週末の各種調査では比例の投票先調査で自民党が盛大にドロップしていたので、その辺りの流れからしますと若干意外感があったというのもございまして、自民党単独過半数→安倍さん大勝利→安倍さん発言力高まる→金融緩和圧力高まる、というような事で相場様が強くなってしまいましたとゆーことですかね、よー知らんが。

本当は安倍さんの発言力が高まると例のアレな金融政策の話とか出るんじゃネーノ的な話もある筈なのですが、そっちの方に関しては為替市場や株式市場の方では盛り上がるものの、債券市場の方では「結局無茶振りは出来ないでしょうから金融緩和圧力の方だけ来るんでしょ」という認識にでもなっておられるのでしょうかにゃあ。


ということで30年国債入札が行われましたが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul058.htm
30年利付国債(第37回)の入札結果

(3)募入最低価格 99円35銭
(募入最高利回り) (1.934%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.1819%
(5)募入平均価格 99円40銭
(募入平均利回り) (1.931%)

・・・・・・・・ということで前場引けが確か先物6銭高の143.06円で30年が5糸強とか1毛強とかの辺りだったと思うのですが、オファーサイドの向こう側の落札結果になるわ不明玉は(発行予定が7000億円中の)2900億円程度だわという事で、その後先物の位置はあまりカワランチ会長な中で超長期が堅調になって、先物の位置が前場引けと同じなのに30年の位置が2毛位強くなってますなあとか思っているうちに2時前位からイールドカーブ更にフラットニングするわ先物は高値を抜けるわとやっておりまして、2時半前位からはさらに一段高で引け近くには先物が22銭高で20年4毛強で30年6毛強とかまさに盛り上がって参りましたの巻。

ということで日本相互証券さんの引けは10年2.5毛強で20年4毛強で30年が5.5毛強ということになりまして先物ちゃんは145円22銭と、中心限月の最高値の確か145.09円を楽勝で抜いて幻の最高値(というか幻では無いのですが、先物当限が限月交代した翌日(訂正:中心限月最高値が2003/6/9で当限最高値が2003/6/11でして、限月交代が2003/6/10でしたので翌々日ではなくて翌日が正解でした)に付けた高値)の145.28円も抜くかと思ったら惜しくもそちらは抜きませんでした。

しかしまあ何ですな、昨日お友達から言われてしまったのですが、「お前が超長期がこの上げに着いて行かないとか変なフラグを立てるから超長期がフラットしちまったじゃないか謝罪と賠(ry」と言われてこれはこれはという所ですが、ここもとの相場様って「まあ安倍トレードとか抜かしてるけどどうせ過激な金融政策は無いので緩和圧力がうじゃうじゃって所でしょ2%インフレ何それおいしいの?」という感じではあるものの、そうは言っても財政とか出るだろうしとかゆーことで、超長期は中々買いにくいので先物から10年がやたら堅調という展開でしたが、昨日はそういうことで30年入札をネタにして超長期一段高二段高という感じになりまして、先物も高値更新しましたしさあ盛り上がって参りましたという風情であります。


・先物が最高値更新と言われますと改めて確認したくなるのですが

ということで先物様が最高値更新とかしたので2003年当時のノートを引っ張り出して見たのですが、まあ2003年の時のノートは結構雑なので大した事は書いて無かったりしますけど、6月9日に中心限月のザラ場高値145.05円を付けて、2003年6月限先物最終日の6月限高値が145.28円だったりしますが、惜しくもノートに現物のザラ場高値とか買いてないので引値(日本相互証券さんの引値)しか見れないのですが、引値ベースしかも単利表示な上にあたくしの手控えベースという惜しい代物で見ますとこの近辺の最低金利ってこんな感じみたいです。内容は全力で無保証ですが、まあ大体この近辺というレベル感だけでもご鑑賞くらはい。

5年26回0.145%(6/6と6/9)
10年250回0.440%(6/12)
20年61回0.755%(6/11)

ちなみに何故か30年の引値は書いていないので数値欠測状態ですすいませんすいません。

でまあどうでも良いですがドル円が118円とかで日経平均がこの週にザラ場9000円回復とか仰せだった訳ですが、この時ご案内の通りコールレートはゼロだったのでベース金利が違うのですが、今と違ってベースレートゼロでも2年金利は0.03〜0.04%が付いておりまして、残存3年までベースレート金利となっているという短期ゾーンのイールドカーブの潰れっぷりは2003年を凌駕する勢い。

ですから当たり前なのですが、その当時に比べて中短期のカーブが潰れていて長い所のカーブが立っているという形に。昨日の日本相互証券さんの引値(全部単利表示ですすいません)が、

5年106回0.155%
10年326回0.685%
20年140回1.640%
30年37回1.890%
40年5回2.080%

ということで、過去最高値と比較すると20年とか80毛以上遠い所にありまして、そらまあこの当時と発行量が全然違って需給全然違いますがなというのも当然ある訳で単純比較するとか無謀にも程があるのですが、相場様が盛り上がって参りますと「2003年と比較すると長期以降にまだまだ金利低下余地」という話が盛り上がってきてウヒョヒョヒョヒョとなるというのが相場の常という物でありまして、まあ大真面目にそういう話が広がって来てこそ真に盛り上がってまいりましたという事になりますぞなということで。

ま、昨日はようやく「さあ盛り上がって参りました!!!」という言葉がしっくりくる流れという物を見せてもらいましたが、まー正直言って金利下がって誰得展開という気はしますので、誰得状態のうちは・・・・・・・・・・(^^)


・そう言えば超長期62回がオーバーパーになっていた件について

不覚にもどこぞの誰かさんの金融政策論議ネタなどで多忙(?)のためにネタにしないままスルーしておりましたが、2003年6月に入札が行われて0.8%クーポンで平均100円20銭足切り100円15銭で確か按分が7割5分位だった(というのはあたくしこの時にどこぞの証券会社で中短期債のディーラーだというのに何故か入札で落札したので覚えているつもりなのですが、平均とか按分とかの数字は怪しいので記憶違いだったらスマソ)というもので、その日の引け後に100円(0.80%)が業者間で出合って翌日からは絶賛アンダーパーとなり、これがオーバーパーになるのは短期になってからでしょうかとか思っていたあの超長期62回ですけれども(前振りが長い)、先月29日の引値ベースで貫録の0.795%になって昨日の引けは0.735%で既に単価も100円60銭台まで上昇していて入札時の価格をとっくに上回っておりましたです。

この債券が短期債になるころには短期金利がゼロって事はないだろうからもしかしたら一生オーバーパーにならないのではとか思っていたのですが、まさか残存10年半を残したこの時期にオーバーパーになるとはとか感動するのはジジイの証明ですかそうですか。



○CP買入まで0.10%割れとか短国入札とか

これは参りました。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121206.htm
CP等買入(資産買入等基金) 6,045 3,817 0.099 0.102 92.0

ちょwwwwwwwwww

CPのレート自体はまあもうちょっと高いので発行されているものとかも散見されるのですが、買入オペに入れられるものがこちらも物無芳一状態になっておられるという事は把握致しました。


んでもって昨日の3か月短国入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20121206.htm

(3)募入最低価格 99円97銭4厘0毛
(募入最高利回り) (0.0968%)

(4)募入最低価格における案分比率 54.4630%

(5)募入平均価格 99円97銭4厘0毛
(募入平均利回り )(0.0968%)

・・・・・・・・orz

ということでこちらも貫録の足切り0.10%割れということで、短期市場全般に既に物無芳一の香りが漂っているという状態でございまして、まあ要するに高格付けの銘柄を買おうと思ったら0.10%では買わせてくれないという残念な状況である、ということをこの2つの結果は示している訳でございまして、日銀当座預金制度の内側の人は超過準備付利という攻撃がありますが、それが無い人にしてみますとアチャーというかウヒョーというかという風情になっておりますです。

しかしまあ何ですな、日銀当座預金だって各銀行さんそんなにアホのように積んで決算の見せ方的にどうなのかとかそういう話になりだすと更におそロシアな事になってしまう訳でございまして、まあさすがに信用リスクのあるCPがそう無茶な金利の沈みはしないでしょとは思いますが、日銀当座預金と信用力的に同じで、決算の見栄え上どう見てもこっちの方が美しい短期国債に関しては更にアチャーな香りが。

勿論足元では白川総裁の任期切れ以降に付利がどうなるとかその手のリスクを意識した動きというのもある(まあ普通に考えると付利は下がらないのですが、何せ政治方面が普通じゃないですからねえ)ので、全部が全部物無芳一要因ではないのかもしれませんが、今でこの調子であと資産買入等基金で国債15兆に短国10兆円を積み増すとか、先行きに悪い予感しかしないすけど。



○その他少々

・公明党山口代表のインタビュー記事

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEL9VH6K50YA01.html
山口公明代表:日銀との政策協定は現行法下で−物価目標1−2%(1)

『12月6日(ブルームバーグ):自民党と協力して政権奪還を目指す公明党は、政府と日本銀行が共通の物価上昇率の目標を設定する政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能として、自民党などで検討されている日銀法改正には慎重に対応する姿勢だ。』(上記URLより)

>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能
>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能
>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能

・・・・・・・・・・まあ何ですな、どこかの誰かさんのように平場で思いっきり声を上げてあからさまに圧力掛けるよりはどう見ても山口代表の方がスマートだし効果的でしょと思うのですが。


・ECBもBOEも据え置きですかそうですか

ECBである。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2012/html/pr121206.en.html
PRESS RELEASE
6 December 2012 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.75%, 1.50% and 0.00% respectively.』

会見については既にQ&A部分までリリースされているが読んでる時間が無かったので週末読む(かもしれない)。

http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is121206.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 December 2012


BOEはこちら。そういえば先月のMinuteネタが途中で終わっていましたすいませんすいません。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/154.aspx
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £375 billion

『The Bank of England’s Monetary Policy Committee today voted to maintain the official Bank Rate paid on commercial bank reserves at 0.5%. The Committee also voted to maintain the stock of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves at £375 billion.

The minutes of the meeting will be published at 9.30am on Wednesday 19 December.』

こちらも据え置きですが、BOEに関してはインフレがサガランチ会長なのにいつまでたっても景気が上向かないという政策運営的に苦しい展開が続いており、FLSもMPCは効果が出て来ている云々という自画自賛はするものの、本当に効果出ているのか怪しい所はありますし、はてさてどうなるのかというのは好事家(?)の間では今後益々目が離せなくなっております。


・そういえば日銀の緩和が12月か1月かという話ですが(考え方のメモだけ)

来週もうちょっと真面目に考察しますが、まあ来週のFOMCで為替がドル安円高にぶっ飛んだら仕方ないと思いますし、短観がうんこのように悪ければ追加緩和する口実もできるのですが、足元鉱工業とか数字良かったりしますし、大体からして選挙終わった直後に追加緩和とか何というか露骨にも程があるという所で、何だかなという所。

本来的に言えば、1月に出るであろう新政権の総合経済対策と称した補正予算のタイミングで日銀は展望レポートの中間点検をして、点検の結果として緩和を強化すると共に政府の経済対策と相まって一体となって景気浮揚に貢献する、という姿が美しいので、まああたくしは1月じゃネーノとは思うのですが、あとは出たとこ勝負ですなあという所ですが、追加緩和観測ガーとか最近妙にアレなので書いてみましたが詳しくはまた考察してみます。

ということで今日は雑談メモばっかりでどうもすいません。






2012/12/06

お題「市場雑談とかその他/西村副総裁講演なのですがこれで為替市場が反応した理由がワカランチ会長」

まあこういうのを日本株終了のお知らせと言ってしまえば簡単なのですが、安倍政権成立後の動きへの期待が市場(※)の中でとんでもなく膨らんでいる気がしますなあ。

http://www.musha.co.jp/4258
2012年12月3日ストラテジーブレティン (84号) 2013年の経済と市場展望、高まる日本株大復活の可能性 (文章編)

※ただし国内債券市場を除く


○各種市場雑談

・先物145円ェ・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEHY7J6JTSF501.html
債券上昇、先物は9年半ぶり145円台乗せ−10年入札で需要の強さ確認

『12月5日(ブルームバーグ):債券相場は上昇。先物は9年半ぶりに一時145円台に乗せた。前日実施の10年債入札が順調な結果となり、投資家需要の強さがあらためて確認されたことが支えとなった。』(上記URLより)

ということで火曜日は10年国債入札あって何か知らんが不明玉も多くて入札堅調の巻で10年までは前日比変わらずで超長期は前日比甘という展開でしたが、昨日は昨日で前場は145円寸止めの微妙な所でうだうだしていると思ったら後場になってもう一発上昇して目出度く145円台。先週金曜に引け後先物が144円94銭に上昇して10年325回が0.695%になった訳ですが、イブニングセッション(昔ならLIFFE)で付いた高値は更新するの法則(?)が今回も適用されまして目出度く先週末の高値を更新いたしました(ちなみに325回の引けは0.680%である)と言う事で。

いやもう株式市場とか為替市場の動きとはまるで関係なく日々10年辺りが引っ張って金利低下するけど超長期が微妙において行かれるという判で押したような展開が毎日続いて中々お洒落な感じになっておりますが、何か過熱感があるのか無いのかワカランチ会長なのですけど、超長期が置いて行かれているから過熱感無いという事になるんでしょうかねえ・・・・・・・・・(・・?)


・基金国債買入ェ・・・・・・・・・

昨日の基金国債買入の結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121205.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 13,874 7,011 0.096 0.097 68.1

基金国債買入は前回が11/29のオファーで0.098/0.097の結果、前々回が11/14のオファーで0.099/0.098の結果とゆーことで着実に落札金利が低下しておりまして、基金短国買入もそうですけれども短い所は物無し芳一モードが更に進んでいるという所でありまして金利で飯を食うあたくし共と致しましては甚だ遺憾な展開なのでもっと国債増発して下さいという風情ですが、まあシャーナイナイという所ですの。

ちなみに昨日の6か月TB入札の落札結果ですが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20121205.htm

(3)募入最低価格 99円95銭2厘
(募入最高利回り)(0.0963%)

(4)募入最低価格における案分比率 18.8633%

(5)募入平均価格 99円95銭3厘
(募入平均利回り)(0.0943%)

ということで0.10%を大きく(これを大きいと言うのかとゆー議論はありますが)割っての落札結果と相成りましてすっかり0.10%割れが定着の図という感じですが、はてさて今日の3か月TB入札はどうなるのやらという所ですな、ナムナム。


○これはまた何と申しますか・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能

『12月5日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人である米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(76)は4日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、来年4月に任期満了を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した。 』(上記URLより)

>今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した
>今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した
>今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した

・・・・・・・・・・( ゚д゚) ポカーン

えーっと、物価ってそんなにビビットに反応するもんじゃないと思うのですが、そんな簡単な方法でもあるなら先生日銀総裁やって「数か月以内でデフレ脱却を実現」出来なかったら切腹でもして詫びて頂きたいと申し上げたくなるの所でございますわな。

まあ数か月のデフレ脱却とか何しますねんと考えますと、まあ単に物価だけ上げたいというのなら何か経済にショックを与えて誰得物価上昇をするとかそういう話なんでしょうかと小一時間問い詰めたいのでございますが、何つーか先日の日銀法の目的がどうのこうのの話もそうなんですけれども、ちょっと先生以下自主規制という風情が漂うのですが大丈夫っすかねえ。


でまあ国内債券市場的にはこの手の話を見れば見るほど、いわゆる過激な金融緩和政策をぶちあげている人の話があまりにも荒唐無稽にも程があるという所から「どう見ても最初に言われていたような過激な金融政策は実施されず、単に追加金融緩和圧力が高まるだけになって、財政がそこに出てくるという毎度おなじみのその場しのぎ政策になるんでしょ」という認識となって、為替市場や株式市場の期待している「チェンジゲーム」との認識との乖離が絶賛拡大するというお話になるんでしょうなあとゆーことでしょうな。


○西村副総裁講演なのですがこれで何で為替市場が動くのかさっぱりわからんぞなもし

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8B403L20121205
ドル82円前半、上海株高や日銀緩和期待で円全面安
2012年 12月 5日 15:57 JST

『[東京 5日 ロイター] 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の82円前半。午後、円は全面安となった。中国市場での上海総合指数の大幅高に加え、西村清彦日銀副総裁の発言で追加緩和への期待が高まり、円買いポジションの解消が進行した。』(上記URLより)

・・・・・・・・とまあそういう事で、昨日の昼休み時間に上海株が上昇したのはまあ兎も角として、何故か西村副総裁講演が「追加緩和期待高まる」という話になっているのですが、これ正直言って別に凄くインパクトのある話があるとも思えないのですが、まあ為替市場の「チェンジゲーム」への期待がアホのように高まっていて、はてさて本当に政権交代した時にどうなるんでしょうかねえとか思うのですけどね。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko121205a.pdf
デフレからの早期脱却と日本銀行の2つの基金
── 新潟県金融経済懇談会における挨拶 ──


でまあ何でこれで為替市場が動くのかワカランチ会長であるこのあたくしと致しましては、どこのどの部分で為替市場が反応したのか当然ながら判らないという事でございますので、もしかして引用がピントを外すかもしれませんが(汗)、まあそれらしいところを引用してみますだよ。


・景気認識と見通しは確かに弱めではありますが

『まず海外経済の現状ですが、昨年後半以降、欧州債務問題の悪影響が貿易や企業マインドのルートを通じて世界的に拡がり、多くの国や地域で、製造業部門を中心に減速した状態が続いています。日本銀行では、4月と10月に、経済・物価情勢についての点検結果を展望レポートとして取り纏め、1月と7月にその中間評価を行っています。今年7月の中間評価では、海外経済の不確実性を景気のリスク要因として織り込んでいましたが、これが短期間のうちに表面化したというのが、本年夏場以降の金融経済動向に対する私の率直な印象です。』

というかそもそものメインシナリオが強かったのではないかという話はあるがそれは兎も角として、ポイントになりそうな米国と中国に関して。まずは中国への認識。

『これに加えて、世界経済の牽引役として期待が寄せられてきた新興国経済も、勢いを欠いています。中国経済は、一部経済指標にごく足もと改善の兆しがみられるものの、ウエイトの高い欧州向け輸出が落ち込んでいることに加え、リーマン・ショック後の過剰投資の影響が顕在化し、素材産業など幅広い分野で在庫調整局面が予想以上に長引いています。』


で先行き見通しですが。

『海外経済の先行きについては、当面減速した状態が続くとみられますが、その後は、米国の持続的な回復や中国の持ち直しを背景に減速した状態から次第に脱し、緩やかな回復に転じていくと考えています。』

ということですが・・・・・・・

『もっとも、海外経済の先行きについては、回復時期を含めて不確実性が小さくありません。欧州債務問題がさらに深刻化する可能性は、引き続き意識しておく必要があります。米国経済については、緩やかな回復基調を続けていますが、いわゆる「財政の崖」の問題など財政政策の先行き不透明感が強い状態が続いており、その回復力には注意が必要です。中国経済では、過剰設備を抱える素材業種を中心に、需給バランスの改善に時間がかかる可能性があります。また、日中関係の影響が既に各所で顕在化していますが、日本経済にとっては、その広がりが懸念されるところです。』

まあ慎重は慎重です。んでもって日本経済。

『わが国経済の先行きについては、先ほど申し上げた海外経済の見通しを前提とすると、当面、輸出や鉱工業生産は減少を続け、景気全体も「弱めに推移する」と考えています。』

『海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、輸出や鉱工業生産は持ち直しに転じ、経済全体として前向きな支出活動も徐々に強まっていくと予想しています。10月の展望レポートにおける成長率見通しの中央値は、2012年度が+1.5%、2013年度が+1.6%、2014年度が+0.6%となっています。この成長率見通しには、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響が反映されていますが、その分を調整すると、2013年度、2014年度ともに1%台前半という見通しになります。』

というのは展望レポートの見通しですが、消費税引き上げはネット増税になるのですから2014年度は2013年度よりも弱い見通しを出す方が妥当な気がするんですけどまあそれは兎も角。

『こうした見通しを巡っては様々な不確実性が存在することも事実です。上振れ要因・下振れ要因の双方がありますが、現下の局面では、下振れ要因により注意すべきと思います。とりわけ、海外経済の減速が一段と長引くことで、わが国の輸出や鉱工業生産の持ち直しが遅れ、ひいては内需への悪影響が一段と強まることがないかという点については、今後も丹念に点検していくつもりです。』

ということで、まあ慎重は慎重なのですが為替市場がどどーんと反応するほどの事かという所。


・この部分は注目すべき論点でしてね

物価に関する部分ですけれども、この論点は注目すべき所ではございますので引用。

『この物価見通しは、景気見通しの下方修正を反映したマクロ的な需給バランスの改善の遅れや、原油価格下振れの影響を織り込んでいるため、7月の中間評価時点と比較すると下振れています。それでも、日本銀行の消費者物価見通しは、民間エコノミストの見通し対比、なお高めです。』

『両者の違いは、景気動向、言い換えればマクロ的な需給バランスが物価変動にどう影響を与えるか、見方が違っているためだと私は解釈しています。』

という所から始まる部分なのですけど・・・・・・・・

『民間エコノミストの方々は、景気の緩やかな拡大が続いた2000年代半ば頃、マクロ的な需給バランスの改善に比べ、消費者物価の上昇が抑制されていたことを強く意識されていると思います。実は、この時期は景気の緩やかな拡大にもかかわらず物価が上がりにくい状況にありました。』

つまり経済に物価への負のショックがあったという論点でございます。

『供給力の過剰はなかなか解消されないうえ、少子高齢化の影響で国内市場の伸びが抑制され価格競争が激しさを増しましたし、国内製品と競合する中国など新興国からの安値輸入品の増加が目立ちました。国際的な競争激化を背景とした賃金抑制の動きも、製品価格の上昇を抑えたと考えられます。加えて地価の大幅な下落が続いたことから、生鮮食品を除く消費者物価の構成品目の2割という大きな比重を占める家賃が上昇から下落に転じ、消費者物価全体の上昇を抑えました。』

で、この辺りが今はかなり解消されているのではないか、という話でありまして・・・・・・・・

『当時と比較すると現在では、中国からの安値輸入品は目立たなくなっているほか、供給過剰の解消も少しずつですが進んでいます。また少子高齢化に対応し製品やサービスの差別化に成功した事例も増え、消費者が高付加価値の高価格商品にも関心を示すなど、企業が価格を引き上げやすくなる方向に働く要因が散見されます。加えて地価の下落基調にもようやく歯止めがかかり、ラグを伴いながらも家賃も下げ止まることが予想されます。』

ということでその結果として・・・・・・・

『こうした最近の変化も踏まえ、展望レポートの中心的な見通しでは、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して緩やかに上昇していくと想定しています。ただ以上申し上げた変化はまだ力強いものとはいえず、外からのショックには依然として脆弱であり、下振れリスクには注意する必要があると思っています。』

つー話で、まあ確かに負の価格ショックの方は改善されていると思うのですけれども、一方で名目賃金のアガランチ会長状態というのは一層強固になっていると思われますので、そっちの方から物価はやはり上がりにくいと考える方が妥当なように思えますけどどうなんでしょうかねえ。


・で、金融政策の所なのですけど

例によって例の如く金融緩和政策が効果を生むメカニズムとしての「第一段階」「第二段階」の二段階論の説明がありまして、第一段階に関しては資産等買入基金、第二段階への効果を期待するのが今回の貸出支援基金と、まあそういう話をしているのですがその辺は華麗にスルーします。

でまあ資産等買入基金に関しては、よく言われる「無期限じゃないのでケシカラン」というまあそれは思いっきり的を外した批判なのですが、それを意識してこんな話をしています。

『この資産買入等の基金は、強力な金融緩和政策の継続期間に関する約束、いわゆる時間軸政策のもとで運営しています。すなわち、「当面、消費者物価が前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力な金融緩和を推進していく」ということです。』

ただまあ厳密に言えばこの1%の数値が「見通せるようになるまで」という見通しベースの物になっているという点で、かつての日本でのCPIコミットメントのような時間軸政策とは異なっているとゆー所だと思います。FRBのガイダンス文言よりは明らかにこちらの方が時間軸政策に近いのですけれども、ファクトとしての景気遅行指標への紐付けであったかつてのCPIコミットメントよりは時間軸政策という意味では弱い(実際はそのコミットメントの物価水準で置いている数値が今の方が上なのでその点の違いがありますので念の為)という事になろうかと思います。

『先ほど申し上げたとおり、10月に公表した展望レポートでは、消費者物価の前年比について、2014年度には「1%に着実に近づいていく」という見通しを立てていますが、「1%が見通せる」という判断には至っていません。資産買入等の基金の増額は2013年末に完了しますが、その後も、この約束にしたがって基金の運営を行っていきます。』

ということで、いや別に2013年末に完了したらそれで終わりというものではないですよ、という説明をしているのですが、これが為替市場を反応させるとも思えん。


でもって貸出支援基金に関してですが。

『最近1年間をみると、日本銀行の取引先である銀行および信用金庫のうち、貸出が増加した先の貸出残高の合計額は約15兆円増加しています。これをそのまま当てはめると、新たな枠組みのもとで金融機関が資金供給を受けられる額は、15兆円程度となります。成長基盤強化支援の5.5兆円と合わせると、貸出支援基金の規模は20兆円程度となります。金融機関の貸出がこれまで以上のペースで増加すれば、貸出支援基金の残高は20兆円を超えて拡大していきます。さらに、第1の「資産買入等の基金」と第2の「貸出支援基金」を合わせれば、優に110兆円を超えます。日本の2011年名目GDPは468兆円ですから、実にその四分の一という資金規模になります。日本銀行の現在の金融緩和が、かってない規模になっていることをご理解頂けると思います。』

とまあそういう景気の良い話をしていて、もしかしてこれに反応したのかいなという気もせんでもないのですが、そもそも貸出支援基金が拡大すると益々金融機関の資金ニーズが無くなって資産買入等基金の積み上げの方が大変になるとかいう論点をスルーしてバナナの叩き売りモードで威勢の良い話をするというのも如何なものかという気はせんでもない。

『私どもとしては、貸出増加に向けた金融機関の取り組みにより、新たな資金供給の総額が拡大していくことを強く期待しています。このため、制度設計に当たっては、金融機関にとって使い勝手が良いものになるよう検討しているところです。年内には詳細を固め、出来るだけ早期に実施に移したいと考えています。』

はあそうですか。


でまあ最後の所ですがね。

『本日は時間に限りがありますので、2つの基金に絞って、日本銀行の金融政策運営についてご説明しました。ここで改めて強調しておきたいポイントは、日本銀行は、これまでも、そしてこれからも、経済・物価見通しの実現が難しくなったり、見通しを巡るリスクが大きく高まる場合には、適切かつ果断な対応をとる用意があるということです。今後も、当面の物価安定の目途の達成に向けて、新しい手法も駆使しながら、強力に金融緩和を推進していく所存です。』

・・・・・・・・・・うーむ、これで反応したのかもしれませんけれども、こんなの普通に言う事なんですけどねえ。

ということで、不肖このあたくし、西村副総裁講演のどこをどう捕まえると「追加金融緩和期待が高まる」という話になるのかさっぱりワカランチ会長でしたが、まーつまり地合いがそっちに行きたがっていると申しますか、「チェンジゲーム」への期待がアホほど高まっている証拠なんでしょうなあと、まあ斯様に思ったのでありました。





2012/12/05

お題「『特例公債買いオペ』なら可能というどうでも良い与太ネタ/営業毎旬報告と保有残高を見ながらのマニア向け集計ネタ」

さあ盛り上がって参・・・・・・・って無いような気もしますが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121205/k10013961211000.html
選挙戦本格化 各党首が全国遊説へ
12月5日 4時0分

『今回の選挙は、民主党中心の政権が継続するのか、それとも自民・公明両党が政権に復帰するのか、2大政党に対抗する第3極が勢力を伸ばすのか、選挙後の「政権の枠組み」が焦点です。また、政策課題では、消費税増税の是非、原発を含む今後のエネルギー政策の在り方、それにTPP=環太平洋パートナーシップ協定への対応などが主な争点となっています。』(上記URLより)

き、きんゆうせいさくは????

#個別具体的に党名を出すのも何なので控えますが、どこぞの政党の偉い人が「日本を衰弱させている1つの原因に憲法があると思う」と仰せなのを公共放送ニュースで見てしまったのですが、おじいちゃんにしつもんなんですけど、今の憲法の体制下で焼け野原から日本が大復活してたんじゃなかったでしたっけ?????

#「時代の変化と共に変化すべきもの」位にしておけば良いのに何であの手の方々は一々いう事が大袈裟なんでしょ

#更にどうでも良いのですが、今日の某モーサテのコメントしてる人、リスクオンリスクオフの判断するのに「欧米中国と比較して日本の株価だけ上昇」という例を出しているのですけれども、その期間が11月14日〜11月16日ってサンプルにもならん短期間比較を出してお前視聴者全員ど素人だと思ってんのかと小一時間

・・・・・・でまあお題がクソ長いのですが、ここの所日銀とか海外中銀とかの講演ネタが多くてアレでございますので、本来の市場雑談をしようと思ったのですが気が付けば市場雑談では無くマニア向けマニア雑談となっているのが誠に遺憾なこのあたくしでございますので、以下はマニアの方向けの話題となっている点にご留意下さいm(__)m

#と申しましても普段は一般向けネタを書いているとかそんな認識はありませんけど(自爆)


○「建設国債買いオペ」は出来ないけれども・・・・・・・・・・

昨日の10年国債入札は償還が伸びたので何となく誤魔化していますが、何気に前日までの10年カレントは引値が貫録の0.695%(前日比5糸強)と0.7%割れの威風堂々たる相場となっておりまして誠にアレでございましたが、その10年入札に関するどうでも良い雑談を朝からドヤ顔で騙るこのあたくし(^^)。

昨日の10年国債入札落札結果はこちら

10年利付国債(第326回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul057.htm

でまあ普通の場合ここの平均落札だの最低落札だの按分比率だのを見て、その次に応札倍率を見るのがいつもの市場参加者の仕様なのですが、マニアは見るところが違うのでございます(ドヤ顔)、でその場所とは・・・・・・・・

『2. 発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第2条第1項 』

どう見ても特例公債法です本当にありがとうございました。

・・・・・・・でまあこの中長期国債の発行根拠法なのですが、だいたいいつもの場合どういう風になっているかと申しますと、先月発行の中長期国債入札で例えば20年140回の入札時の発行根拠法を見ますとこうなっています。

20年利付国債(第140回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul054.htm

『2. 発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第47条及び第62条第1項 』

ということで、まあ大体色々な根拠法が入り混じって発行されているのですが、今回の10年だけではなく、今月発行の2年債(11月27日に入札を行いました)でも発行根拠法が特例公債法になっておりまして、特例公債法案が成立して良かったですねという所でございます。

・・・・・・・・・・・・でまあ何でそんなマニアな話をしているかと申しますと、どこぞの政党の偉い人がつい先日「建設国債をできればオペで日銀に全部買って欲しい」とゆうとりましたが、実は「建設国債買いオペ」というのは物理的なフィージビリティ皆無の残念な提案ではございましたけれども、この結果を見た所「特例公債だけを買いオペ」することが可能(ただし今だと2年323回と10年326回という事になるんですかねえ、笑)という誠にワンダホーな事実を見つけてしまって一人で勝手にウケて盛り上がってしまいましたから、マニアネタのドヤ顔自慢をしたくなった、とまあそういう事にしておいてください。

ということで是非どこぞの政党の偉い人は思いっきり勘違いしていただいて「特例公債を買いオペで日銀にできれば全額買って・・・・・」という話をして頂きますと誠に香ばしい事になりますので(大嘘)。



○基金短国買入の金利がまた低下している件について

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of121204.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 8,000 2012年12月6日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年12月6日 2012年12月13日 0.660

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121204.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 36,165 8,004 0.097 0.097 76.1
米ドル資金供給(固定金利方式)(12月6日スタート分) 0 0

ということで基金短国買入の金利ですが、前回の11月28日オファー分が平均足切りともに0.098%となっておりまして、ついでに言えばその前が11月22日オファー分で平均足切りがともに0.099%となっておりまして、ここの所3回連続で国庫短期証券買入の買入金利が低下したでござるの巻。

他の買入系オペの金利もしらっと低下していますねえという話を先日しましたけれども、まあ足元ではもしかして付利下げあったらオッペケペーなので買入にそうそう突っ込みませんがなというのがあるのかも知れませんし、そうじゃないかもしれませんけれども、何はともあれ短国市場そのものが物無し芳一状態になっておりまして、よーは突っ込む玉が業者にもございませんし投資家にしても全てスッカラカンになるまで突っ込むかというとさにあらずという辺りが背景にあって、買入系のオペ金利がじり安シーザーになっておられるとまあそういう事なんでしょうな。オソロシス。

でまあ何がどうおそロシアなのかという話に続くのでありまして、まあこれは話のマクラみたいなもんであります・・・・・・・・・


○12月になったので基金オペの進捗状況と着地までの距離をもさもさとチェックしてみる

使うのは毎度おなじみの営業毎旬報告と月末営業日時点の計数が公表される「日銀の銘柄別保有状況」の資料であります。どちらも基準日の2営業日後に公表されますな。

営業毎旬報告(平成24年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(2012年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1211.pdf

でまあ基金オペ相当分に関しては営業毎旬報告の『(別表2)「資産買入等の基金」の内訳』の所と、銘柄別残高の『2.資産買入等基金』という所にありますので、まあそこの数字を拾って足し算引き算をするだけの電卓があれば大体できる作業なので、まあここでドヤ顔で申し上げるほどでもございませんが(汗)。

そして誰もが知っているけれども中々細かく暗記できていない(のはあたくしだけですかそうですか)各資産の買入残高目標はこの辺でも見れば宜しいかと。

10月30日決定会合声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030a.pdf

こちらの3ページの『「資産買入等の基金」の規模』がちょうど前回拡大した後の結果ですのでまあこの辺を毎度見るあるヨロシアル。


・基金長期国債買入:残り2兆円少々の買入が必要で基金オペはあと2回

んでまあ長期国債買入ですけれども、営業毎旬報告の数字を拾いますと11月末の買入残高が『22,129,675,433千円』ということで22兆1296.75億円とまあそういう数字になります。んでもって目標値が24兆円ですので、これだけを見ると残り買入額は1.87兆円という計算になりますけれども、さっきURL付けた国債の銘柄別残高の中から12月中に償還の来る銘柄(2年299、5年68〜69回、10年244〜246回)の額面(こちらは時価ベースでは無くて額面ベースで公表されています)が1720億円ありますので、残高達成のためには1.87兆円+1720億円ということで、2兆600億円の買入が必要という事になります。

うち、今月に入っては基金国債買入が受渡ベースで1回(11月29日オファーの12月3日受渡分)オファーされていて、7006億円の購入となっております。前回のオファーが7000億円でしたが、残り2回を各7000億円オファーしてちゃんと札が入れば(入りますが)額面合計で2.1兆円の買入となるのでちょうど着地となりますな。


・基金短期国債買入:残り5500億円に見えるが実は2兆3400億円の買入が必要とな

短期国債買入は残高の走りが『8,962,839,997千円』で目標9.5兆円なので一見楽勝に見えるのですけれども、こちらに関しても実は(わざと先ほどスルーしたのですが)このような数字が取れるのでございましてですな、

日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額(2012年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/release/2012/tmei1211.pdf

こちらの右側に『2.資産買入等基金』というのがございまして、この中で12月中に償還の来る銘柄の残高額面を足し合わせますと(償還の近い順に306、316、309、285、308、246、311の各銘柄)その合計が貫録の18021億円、つまり1兆8021億円の償還が来るという事で、つまり着地の為には5380億円+1兆8021億円で結局2兆3400億円の買入が必要になります。

でもって基金国庫短期証券買入は今月になって打ち込まれたのが昨日(つまりさっきネタにしたオペ)の分が8004億円となっておりまして、8000億円ペースとすると3回買入を実施すれば2兆4000億円になりますので、あと2回(ただし12月償還物を打ち込まれた場合は残念ながらその分未達になるので未達分の帳尻オペを実施しないといけませんが)各8000億円の国庫短期証券買入で着地です。


・CP買入:これは償還が読みにくいのだがとりあえずスケジュール通りで着地でしょう

CP買入は残高の走りが『1,932,661,625千円』で目標が2.1兆円なので楽勝そうに見えますが、これまた短期物商品の為に償還が結構なペースでドカドカ来るのですな。でもってCPについては買入銘柄の明細とか償還スケジュールとか惜しくも公表されていない(というか公表されると個別発行体企業のネームが出るので公表はされる筈が無いです)ので、償還については適当に辺りを付けて考える次第。

あたくしもそこまでマメではないのでざっくりですけれども、営業毎旬報告の基金オペ勘定でのCP残高増減と、オペ実施時の落札結果から差分を取れば償還額が計算上は出てくるということで、これを計算すると10月の償還が5911億円、11月の償還が6649億円になりますけど、どうせ12月なのでCPのエンドはやや多いと思って償還を8000億円に仮置きすると、着地までの残りは1700億円+8000億円で9700億円。CP買入と社債社債の直近からのオファー日程は、

CP・社債等買入(資産買入等基金)オペレーションのオファー日程について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel121130c.pdf

というのがありまして(基本的に月末更新)、今月は4000億円×3回の買入が予定されていまして、そのうち年内償還(12月28日エンドとか)物がどのくらい打ち込まれるかによってやや流動的ではありますが、まあさすがに1.2兆の買入オファーすれば札割れしない限り着地するんでしょうとは思いますが、CP買入については発行銘柄の制約があるのは留意が必要ということですな。


・社債買入:まあ普通に着地でしょう

社債買入の残高は『3,003,322,871千円』で目標の2.9兆円を既にオーバー。ただし社債はこれから償還があるのでその分落ちもありますが、上記URL先にありますように、というか既にオペは実施されたのですが社債買入が1222億円実施されていますので、まあ普通に着地ですな。


・ETF、J−REIT:ETFって意外に進んでないんですね

ETFが『1,468,785,640千円』で目標の1.6兆円に対して何気に1320億円も未達になっておりまして、1日100億買うとしても14営業日とか掛かる話でして、巷で言われている「1%下がったら後場から買い出動」とか悠長な事をしている場合でも無さそうな感じがするんですけどどうでしょうか。

REITについては『110,771,051千円』で目標の1200億円に対して残り100億円を買えば目出度く着地となります。まあ何とかなるんでしょと思いますが。


・固定金利オペ:これは目標オーバーで達成

固定金利オペに関してはオペ結果を集計すれば計算が出来るのですけれども、あたくしの手控えベースとなりますが、固定金利オペに関しては今年の年末は26兆2346億円近辺(オペ落札結果をあたくしが手元で集計したベースなので多少の差はある)になる筈でして、こちらは目標が25兆円ですのでオペ1回分ちょいの余裕を残して目標オーバーで達成となっています。

つーかそもそも今週実施された基金共担オペのロールが少々意外だったのですが、これはまあ何かの拍子でCPオペ辺りが未達になった場合のヘッジ(資産買入等基金の総額65兆円の達成)なのでしょうかね。まあオペの期落ちは今月まだちょっとだけありますけれどもこれは普通に考えてロールしないという事になるんでしょう。


○今後の基金長期国債買入の展望について

とか何とかエラソーに言わなくても足し算引き算ができれば計算可能な話なのですけれども(汗)。

先ほどURL付けた日銀保有長期国債の銘柄別残高を償還毎に整理すれば判るのですが、あたくしがだいたい手計算でヘコヘコ計算した所、来年の前半以降半年ごとの償還額の額面は以下の通りになります(あたくしの計算ベースなので本人はちゃんと計算している積りですが内容無保証なのは念の為)。

2013年前半:1兆2529億円
2013年後半:5兆0839億円
2014年前半:8兆3460億円
2014年後半:2兆8579億円
2015年前半:3兆8566億円
2015年後半:7256億円

でもって今後の基金積み上げ目標ですけれども、2013年前半が31.5兆円なので7.5兆円拡大、2013年後半が39.0兆円なので7.5兆円更に拡大という事ですが、こちらに関しては償還分の購入を考えると、来年前半が月に1.5兆円、来年後半が月に2.1兆円、というペースはまあ以前から言われている通り。

んでもって2014年の前半ですけれどもここの償還が8.3兆円あって、基金長期国債買入は1年以上3年以下を購入という建付けになっていますので、もう少しこの償還が増える可能性は若干あります。まあその分ネグって考えても残高維持するだけで月に1.4兆円の買入が必要という事ですな。

つまりですよ、買入残高を維持するだけでも結構な買入を行わないといけないという状況になる中で、基金オペの買入期間を仮に半年延長したとしても実は10兆円更に積み増しとかになると買入のペースがトンデモナイ状況になるという訳であります。

大体からして購入ペースの問題もさることながら、基金買入を拡大すると反対サイドの日銀当座預金残高が積みあがって行くわけですが、その日銀当座預金残高の方も本当に積めるのかいなという話もある訳でして、この辺のフィージビリティーを具体的に計算した場合に、バナナの叩き売りよろしく10兆だ20兆だと簡単に言うのは如何なものかとまあそういう話になりますわな。


○実は基金短国買入が今後スノーボール状態になってくる件について

でまあそれはそれとして実は短国買入の方がアレというのがございましてですな・・・・・・

同じくさっき出したURL先にありますように、日銀保有国庫短期証券残高を集計するとこれがまたおそロシアな事実が判るのでございます。と申しますのは、まあある意味当たり前ではあるのですが、基金国庫短期証券買入に関しては買入下限金利があるうちはまあ1年とかの物が主に入っていたような感じですが、それでは札がハイランチ会長なので下限金利撤廃した結果、その時の入札状況にも依存しますが、新発に近い3か月物が入り易くなる傾向になっているようです。

となるとど〜ゆ〜事になるかと申しますと、基金短国買入の買入国債のデュレーションがびっくりするほど短いという状況になる訳でして、あたくしが計算した所、来年前半の償還額が6兆9758億円というお洒落な状態になるのですが、もっとお洒落なのは来年後半の償還額が1882億円しか無い事であります。

つまりですな、基金短国買入で購入する分は大体3か月程度で償還食らうのが殆どで、基金残高の達成の為には償還分をロールしないといけないとか考えますと、今の時点で既に来年前半に購入しないといけない額が増額分の5兆円プラス償還額7兆円で12兆円となるのですが、恐らく来年前半のうち第1四半期に購入したものは6月までに償還が来る3か月TB中心になってしまいますので、歩留まり次第にもよりますが、同ペースでの買入を前提にすると買入ペースが20兆を超えるとかいう話になりそうな勢い恐るべし。

まあ残高着地を前提に考えれば、第1四半期に買ったものはどうせ償還で落ちてしまうから第2四半期になってから買入ペースを加速させるという風になると思うのですけれども、それにしてもかなり大変な話なのに、来年後半には残高目標が更に5兆円乗るので、これはまたケージの中のハムスターもビックリの買入コマネズミ状態になるのがこれまたオソロシスでございます。まあ財務省様におかれましてはこの国庫短期証券買入の為にもぜひ為替市場に介入して頂いてFBの発行をバカスカ増やして頂きますと甚だ幸いというものでございます(違)。


・・・・・・・・・とまあそういうことで、さっきも申しあげましたが、基金買入の残高を10兆20兆増やすと簡単に言うのってどうなのよというのがありますなあというお話でございますわな。期間の延長と買入拡大をセットで話す人も多いのですが、まあ良く良く考えますと基金買入については「途中の買入ペース」ではなく「残高」にコミットするもので、かつ償還というものも来るとか考えますと、そう話は単純じゃないですよねえというのが本日の結論になろうかと思います。

いやー何か特に短国買入とかそうですけれども、これオペの調整して基金残高目標に着地をさせる為にどういうペースでのオペするのかとか金融市場局の調節課の中の人たちの苦労には涙してしまいます。まあ12月の基金残高は無事着地しそうですが、来年の方が更に大変になるとかナムナムとしか申し上げようがございませんです、はい。


#ということで一般的には極めてどうでも良いがマニア的には大ネタであります所の超越マニア向け雑談で誠に恐縮でございました







2012/12/04

お題「一部雑談で大体白井審議委員講演ですが会見の方が駄文ネタ的には面白い(すいません)」

さあ衆議院選挙公示で盛り上がって参りました・・・・・と言いたいのだが何が何やらカオスな上にあたくし的にはどこも何だかなあ状態で、プラス思考でも消去法でもさてどうしたもんかと悩みが尽きませんな。

コメンテーターの某菅野さんが今後の金融政策スケジュールの想定を話をしているのですが、結論が「危険な賭け」なのにそれがそのまま進行するもんなんでしょうか????????


○ニュース雑談

・安倍先生恐るべし

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20121202-OYT1T00671.htm
自民19%、民主・維新13%…衆院比例投票先(2012年12月2日21時21分 読売新聞)

比例投票先調査で1週間の間に6ポイント下げるとかさすが安倍先生力あるわと感心する訳ですが、そらまあ金融関連ではあの調子ですし、イデオロギー丸出し部分が政権公約で目立ってしまうとどうなのよと。階級政党とかイデオロギー政党というのは一定の支持を得ても政権を担うにはやはり(とりあえず中身はともあれ見せ方としての)国民政党というスタンスを維持しないとねえと。まああと2週間でどうなるのでしょうかね。


・特に賃金とかそうなのですが日銀にいうことと政策の整合性ががががが

まあどこぞの諸派の話ではありますが、つーか政策どころか人事面でも人によって言ってることがバラバラなこの政党の支持率が二桁あるのが信じられないのですけどそれは兎も角。

http://www.asahi.com/politics/update/1130/OSK201211300068.html
「賃金足りない部分は公が面倒みる」橋下・維新代表代行
朝日新聞デジタル2012年11月30日12時30分

『今は企業に最低賃金というハードルを課して、それを出せない企業とかは、本当ならあと2人も3人も雇えるのに1人しか雇えない、となってしまう。企業活動の中で、出せる賃金、雇える人数をきちんと決めてもらって、できるかぎり多くの雇用を生み出してもらいたい。』(上記URLより)

言いたいことは判るのですが、残念ながら雇用の調整を名目賃金で行うという状況が続き、名目賃金がアガランチ会長になっている状況が続く中で物価上昇期待とかそもそも持てない(というか名目賃金が上昇する期待が起きないのに物価上昇期待が起きるとか単なる地獄の一丁目だわ)訳で、デフレ脱却だの(この党も仰せでしたが)言う側からデフレ推進政策を政治サイドで取っていき、そのケツは全部日銀ガーとか何という無責任極まりないマルナゲータ精神。

昨日引用した日銀法にもありますが、大体からして日銀は政府の経済政策に整合的な金融政策を取りましょうってのは既にある訳で、政治サイドが普通にデフレ推進政策を賃金政策とかで実施しながらデフレ脱却は日銀やれとか、日銀に財政ファイナンスやれと言わんばかりの勢いの話をして財政インフレ懸念を起こしそうな事(ただまあその内容があまりにも支離滅裂かつ言ってることがコロコロ変わるので実際に財政インフレ懸念が起きないのが救いですけど)を言いながら「インフレターゲットを設定すればインフレは制御できるから問題ない(キリッ)」とか言われましても政治の無責任ぶりに呆れてしまうだけでございます。

#ということで今日は安倍さんに釣られなかったですぞ(キリッ)


○欧州は進展時期のようで

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8B200U20121203
スペインがEUに銀行支援を正式要請、融資は12月12日近辺
2012年 12月 4日 01:03 JST

ということで、先般のギリシャ融資もそうですが、年末になってきて帳尻のようにスペインについても駆け込み寺へのご訪問第一弾という所でございます。ま〜欧州に関しては問題が進展する時期があって一段落するとその後が進まず、そろそろ何とかしやがれコノヤローという流れになるとまた進展するというやる気があるんだか無いんだか判らない、というかまあ普通に当事者の皆様やる気起きる訳ないわなとゆー話。

スペインに関してはカタランの州議会選挙が終わって一応選挙シーズンが一服しましたし、カタランに関してはCiUが何故かボロ負けしたもののより尖鋭な独立主張をしているERCが大勝利して、そうは言っても連立をどう組むかでまた話が変わる(ちなみに前回の州議会選挙では国民党系政党が伸びるというそれはそれでビックリの展開だったのですが)みたいですし、経済がアレになってくると色々と不満が出てきて意見が割れるという現象なんですかねえとか、日本の小政党乱立も重ね合わせて思ったのですが、これを貧すりゃ鈍すと言うべきなのか、「勝っている時は一丸となれるが負けが混むと内紛が起こる」というどこぞの縦縞ユニフォームの職業野球球団じゃないですけど、まあそういう事なのかなどつらつらと思うあたくしでございました。

いずれにせよ、スペインは大物の選挙モード一服ですからとりあえず暫くは進展モードになるんでしょうな。ギリシャはカオス過ぎて何が何だかわからないですが。


○白井審議委員講演は正直会見の方が(あたくしの駄文ネタ的な意味では)オモロイが講演から

先週の講演ネタを成敗している側から西村副総裁と白川総裁の講演はあるわ、それよりも来週にFOMCという大物がある中でFED高官の講演などの読み込みができている物と出来ていないものがあるとか中々遺憾にも程があります。

#でまあ今年もカレンダーを見ますと最後の1週間がネタが無さそうな悪寒もしますが、うまく行くと政治ネタ(揉めなければ年内に組閣間に合うのではないかと思料)が出るかもしれませんな

ということで白井審議委員講演と会見ですが、講演はどうみても白井さんの力作だと思うのですけれども、罪深いこのあたくしは会見の方がオモロイとか言ってしまう訳で誠に相済みませんという次第でございます。いやまあ講演も面白いですけどね。

講演はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko121129a1.pdf
少子高齢化を迎えるアジア地域と我が国の金融経済情勢
── 熊本県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──


講演は資料編がやたら多くて全部で29ページ(表紙含む)もあるのですが、内容としてはこれはこれで面白いのですが、お題にありますように人口動態に関する話という大きなネタになっておりますので、足元の金融政策的にどうよという話ではない(後半に金融政策に関する話はありますが、基本的に現在の日銀がどうやっております関連の話)ですな。


・人口動態関連でここの部分がオモロスでした

まずは講演からでここから暫くの引用元は講演になります。

『2.経済成長と人口動態の変化──人口動態の変化を迎えるアジア──』というのが実質最初のお題部分になりますが。

『それでは、我が国を含むアジア地域の人口動態の変化、すなわち「少子高齢化」の実態について、これまでの傾向並びに今後の見通しを中心にお話していきます。』

ということでそこの小見出しが『(1)人口のボーナス期とオーナス期』ということで、人口動態の変化、主に生産者人口あるいは従属人口比率の推移などを見ながら人口ボーナス期と人口オーナス期(逆ボーナスとは言わないのね^^)がどうのこうのという話をしていますが、まあその辺は皆様もご案内の通りのお話。

でまあその次の小見出しが『(2)人口オーナス期に移行している日本』という事で、内容を引用すると悲しくなってきますので大体割愛しますが、日本の人口動態は

『こうした出生率の急速な低下と高齢化を背景に、出生率の低下で従属人口比率が低下を始めた1955年頃に人口ボーナス期が始まり、生産年齢人口が減少を始めた1995年頃に人口オーナス期に移行したと考えられ、人口オーナス期に入ってから既に15年以上の年数が経過しています(図表4、図表5)。』

という事のようですが、まあ日本の事はどうでも良くて、アジアの話が興味深かったので以下引用。

『(3)アジアでも進行する人口動態の変化』以下から引用。

『しかし、最近では、アジア地域のなかでも人口動態の変化において違いが際立つようになっています。大雑把に言うと、アジア諸国・地域を人口ボーナス期の終焉を近く迎える「先発グループ」と今後さらに数十年にわたって人口ボーナス期を享受する「後発グループ」に分けられると思います。』

ふむ。

『先発グループには、韓国、シンガポール、台湾、香港等のいわゆる早くから工業化し高い成長率を実現した「新興工業経済地域(NIEs)」が入ります。その他には、中国やタイ等が含まれています。NIEsは1970年代に出生率の低下とともに年少人口の人口比率(年少人口比率)が急速に低下し、香港ではグループのなかでは最も早い1965年に、韓国とシンガポールは1970年に、タイは1975年に、台湾と中国は最も遅い1980年頃に人口ボーナス期に移行しています(前掲図表5、図表6)。そして、香港と韓国は2010年頃に人口ボーナス期を終了し、2015年頃には人口オーナス期に移行することが見込まれています。中国、シンガポール、台湾、タイは少し遅れて2015年頃に人口ボーナス期を終了し、2020年頃には人口オーナス期に移行すると予想されています。』

というのは良く言われる話ですが。

『我が国が人口ボーナス期の終焉を迎えた1990年の一人あたり年間所得はおよそ2万7000ドルで既に高所得国の所得水準に達していましたが、NIEsも同様に既に一人あたり年間所得が2万ドル以上の高い所得水準を達成している段階で、人口ボーナス期の終焉を迎えることができるようです。』

ということで、人口動態と国民所得水準との関連の話がほほうという所なのですが・・・・・

『これに対して、中国では1979年からの一人っ子政策の開始により少子化が進行しており、1980年頃から年少人口比率が急速に低下しています(前掲図表6)。一方で、高齢化も急速に進み、2000年には高齢人口が7%を突破しており、他のアジア諸国と比べても短い期間で人口動態の変化が生じています。人口オーナス期に移行すると予想される2020年頃には、国際通貨基金(IMF)の推計によると、まだ一人あたり年間所得水準が8千〜1万ドル程度の中所得国の段階ですが、この時点で人口ボーナス期を終えてしまうことになります。つまり、社会資本インフラや社会保障制度が十分に整備されていない段階で、高齢化を迎えることになるため、高齢になっても働く労働者を増やすことができない限り、高齢化の負担が政府や社会に急速に重くのしかかる可能性があります。しかも、中国の場合、高齢者の人口比率が現在はまだ10%弱と、我が国(2011年時点で23%)、香港(2010年時点で13%)、韓国(同11%)と比べて低いのですが、高齢人口が既に約1億人と人数が非常に大きいという特徴があります(前掲図表6)。タイも中国と同程度の中所得水準の段階で、人口ボーナス期を終える可能性があります。』

でまあそのインプリケーションがどうよという話は何となくは見通しの所であるのですが、どうもこの部分を拝読いたしますと「中国は人口動態が変化するまでにより高い成長を達成しないと構造的にオワコン化するリスクがある」というように読める訳で何という残念な話と。


・中国の見通しはでも何となく威勢が良いとな

でまあ人口ボーナス期のアジア新興国がどうのこうのの部分とかバッサリ割愛しまして中国の今後に関する白井さんの説明部分をちと長いですが引用。『(3)中国:所得増加と拡大する消費市場』ということで何となく景気が良さそうに見えますがまあその通り。

『中国では、アジア地域の生産拠点として、これまでは低賃金の労働者が農村部から都市部の生産活動に向けて供給されてきました。このため、賃金の伸びは労働生産性の伸びを下回り、家計消費支出は伸びているとはいえGDPの伸びを大きく下回ってきました(前掲図表14)。しかし、農村部からの低コストの労働供給は少しずつ限界に近づいており、賃金上昇が各地で見られるようになっています。』

『しだいに労働力の需給関係がタイト化していけば賃金上昇傾向が加速し、一人当たり可処分所得水準がさらに上昇して中間層が増えていくと考えられます。また金融資本市場も規制緩和等で発展していけば家計の金融資産も増えて、消費の一層の拡大を促すことも予想されます。』

『そうなると、まずは所得上昇に合わせて所得弾力性が高い家電や乗用車等の耐久財消費が拡大し、同時に住宅投資も増えていく可能性があります。世界銀行が中国国務院開発研究センターと共同で2012年に発表した『中国2030』と題する報告書によれば、今後、中国では、内陸部を含めて都市化がさらに進んでいくと予想されており、都市部に居住する人口の総人口に占める割合は、2009年時点の50%から2030年には70%近くと東京並みになると見込まれています。また、最も成長が早い20都市は内陸部に位置し、一人当たり所得は沿岸部に追いつきつつあります。こうした都市化に合わせてインフラ整備が進めば、現時点で世帯当たり乗用車の普及率が低い中国ではさらに需要が拡大していくほか、サービスについても、より質の高い公共サービス、娯楽活動、教育、金融保険等への需要が高まっていくと考えられます。』

何か威勢の良い話になっておりますな。

『前述の世界銀行等による報告書によれば、GDPに占める産業別の付加価値の割合は製造業を中心とする第二次産業が、2010年時点の47%から2015年には44%、2020年には41%、2025年には38%、2030年には35%へ段階的に低下するとの予測を示しています。このことは、生産拠点が今後もボーナス期を長く享受する他のアジア諸国に部分的に移転する可能性を示唆しているように思います。』

『中国では、現在、社会資本インフラの整備と社会保障制度改革が進行中であることから、高齢化が進展していても、しばらくは緩やかなペースで消費比率が上昇を続ける可能性が高いと考えられます。実際、前述の報告書では、より大きな賃金上昇圧力とその結果としての家計所得(の対GDPシェア)の増加に伴い、過去にみられた消費比率の減少傾向が逆転すると予想しています。この結果、サービス産業を中心とする第三次産業は2010年時点の43%から2015年には48%、2020年には52%、2025年には56%、2030年には61%にまで拡大する見込みです。』

『ただし、こうした見通しは、中国で生産年齢人口が減少に転じても、高付加価値産業への転換や構造改革を通じて、比較的高い生産性を維持して成長力を維持できることが前提となっていることには注意が必要です。また、現在は退職年齢が男性は60歳、女性は55歳となっていますが、退職年齢の引き上げ、高齢者の就業促進とスキルアップ、一人っ子政策のさらなる調整といった対応を急ぐ必要もありそうです。我が国では65歳以上の人口比率が7%から14%に転換するまでに要した期間は約25年と欧州と比べてかなり短期間でしたが、中国の場合はそれに近い25年程度と予想されていますが、それ以上に短くなるとの見解も聞かれます。以上を踏まえると、中国政府は急速に進む高齢化に向けた対応という大きな課題に直面しているといえます。』

・・・・・・・・前提条件がどうよというのがあるのですが、実際に中国がそのような産業転換できるのでしょうかというのは激しく????ではあるのですけど、そこがコケると盛大にコケるの図になりそうな悪寒もしますし、そうは言っても今まではコケるコケると思わせながら何とかなっておりましたのでこれからも何とかなるのかも知れませんし、どうも中国は不思議ですな。



○でまあ面白い方の会見ですが・・・・・・・・

会見はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1211d.pdf

・景気は今の所見通し範囲内だが下振れ警戒

『(問) 金融政策と景気判断に関してお伺いします。今年の9月、10月と連続して金融緩和を行い、先行きの経済・物価もある程度悪化することを想定していたかと思いますが、本日午前中の講演をお伺いすると結構弱めの発言があり、物価にしろ経済にしろ下振れの話をされていました。この現状の悪化というのは、10月に金融緩和を決めた時に想定していた範囲なのか、それよりもちょっと下振れているのかをお伺いします。』

でまあその答え。

『(答) 現状では、景気は減速していると判断しています。展望レポートの時でも景気は厳しいと申し上げていましたが、下振れリスクも含めまして、現在はその範囲内で推移しているとみています。いずれにしても、今の日本経済が置かれている状況、特に海外の経済が減速している状況は事実ですので、その下振れリスクが顕在していくかどうかを含めて、今後慎重にみていきたいと思っています。』

ということで今のところは見通し通りだが、下振れ状況を注意ということで、下振れリスクについての質問があったのですがこれに対する答えは以下の通り。

『(答) (前半割愛)それから、どのような点について下振れリスクを意識しているかということですが、生産と輸出に関しては、減少を始めてしばらく経っていますが、私が今注目しているのは、先程も申し上げた通り、製造業を中心に、設備投資の一部に先送りがみられており、これが今しばらく続くのかということです。』

設備投資とな。

『もう1つは、消費です。現在、エコカー補助金が終了して、明らかに自動車の需要が減少していますが、このエコカー補助金の終了による反動減がどの程度続くのかということ、また、最近では、生産と輸出の減少などによって、製造業を中心に労働時間の減少と新規雇用の減少がみられますから、それが続いてしまいますと、消費マインドに影響していくように思います。こうした観点から、設備投資と消費に関しては、しっかりと下振れリスクをみていきたいと思っています。』

消費とそれを支える雇用ということですが、元は製造業の設備投資および生産ということのようですな。


・大人の対応キタコレ

『(問) 自民党の安倍晋三総裁や要人から、日銀の金融政策に関する発言が相次いでいます。これらをどのように受け止め、どのように考えたらよいのでしょうか。中央銀行としての一般論に即してでも構いませんのでご教示下さい。』

一般論で構わないですキタコレ。

『(答) 非常に大きな質問ですので、少し答え難いですが、安倍総裁のご発言について発言することは差し控えたいと思います。』

まあそらそうだ。

『ただ、金融政策について様々な発言があるというのは、日本経済の景気回復の現状がそれだけ厳しいということを認識されているのだと思います。本年前半の成長率は比較的高かったのですが、半ば以降からは海外の経済を中心に減速が続いており、生産・輸出も減少し、設備投資も一部先送りの兆しがあります。そういう厳しい景気認識の中で、日本銀行に対する期待を反映した発言ではないかと思っています。』

>日本銀行に対する期待を反映した発言ではないかと思っています
>日本銀行に対する期待を反映した発言ではないかと思っています
>日本銀行に対する期待を反映した発言ではないかと思っています

・・・・・・・・・・・(;∀;)イイコタエダナー

『私自身も経済の厳しさというのは共有しています。日本銀行として、何ができるかということは常に考え、これまでも対策をしていますし、今後もきっちりと慎重に見極めていきたいと思っています。』

でまあ次の質問でもそんな感じ。

『(問) 今の質問に関連しますが、自民党の安倍総裁がかなり細かいことを金融政策について指摘しています。将来総理になると思われる人がここまで細かいことを言うことに対して、中央銀行の独立性が脅かされているという感触をお持ちかどうか、お伺いします。それから、白井委員は本日午前中の講演で、10月に日銀と政府で出された共同文書について、非常に大きな意義がある旨、指摘されています。他方で、いわゆる政策協定(アコード)を結ぼうという話が出ていますが、アコードを結ぶ意味はあるのかどうかということをお伺いします。』

『(答) まず、1点目の独立性が脅かされているかということですが、私自身は、独立性は維持されていると思っていますし、今後も維持されていくべきであると思っています。ただ、中央銀行に対して、景気が厳しい局面で色々な期待が起きるということは、これは日本だけのことではありません。他の国でも同様に起きていることだと思います。私としては、金融政策を決定する立場の者として、私どもが行っている金融政策や現状認識を、時間を掛けて丁寧に説明していきたい、また、そういう形でお互いに理解を深める努力をしていきたい、と思っています。(アコードの話は躱して以下別の演説が始まるので以下割愛)』

ということで、さすがメディア慣れしているだけの事はあって何という大人の対応という所ですが、まあ冷静に思い起こせばこの前の定例会見での白川総裁様(麿とは言わない)のあの懇切丁寧にも程がある「一般論」で安倍さんが発言したとして報道された色々な論点に思いっきり直接的に(笑)お答えする方が普通じゃないのでありまして、ああいう時は日銀は余計な軋轢を避けるためにノーコメント地蔵になるのが通常の仕様である所を踏まえると、この前の白川大総裁様の丁寧な説明というのは(いくらあと半年以内で任期終了だからとはいえ)良くあれだけ言ったですなあという所なのでしょうけれども。


・時間軸政策の論点

これは重要な所なのですがスルーされやすいので引用しておく。

『(問) 2点お伺いします。(前半割愛)もう1点は、展望リポートを決めた決定会合で、物価上昇率を巡る表現について委員の間で意見が分かれたところがありました。白井委員は、金融緩和の期限を、1%を「安定的に達成するまで」というのではなく、1%を「見通せるようになるまで」という表現を支持されたと思います。また、達成の時期についても、2014年度には「徐々に緩やかな上昇に転じていく」にとどめるのではなく、2014年度に「1%に着実に近づいていく」という表現を支持されたと思います。その理由について教えて頂けますか。』

支持したのは白井さんじゃなくて佐藤さん(提案者)と木内さんだったと思いますがそれは兎も角として。

『(答) まず、1%を安定的に達成するまで、というのと、1%を目指してそれが見通せるようになるまで、というところで意見が分かれました。私が、その中のどの意見かということは申し上げられませんが、一般論として申し上げると、これは『時間軸政策』といわれる政策に関するものだと思います。』

ということでこの先の論点は重要なのでまあ忘れないように引用しておく。

『『時間軸政策』というのは、その考え方が生まれてきたアカデミックな背景をみると、元々は政策金利に対して、本来なら出口戦略が起こるタイミングよりももう少し長く伸ばし、それによってインフレ期待を起こすという考え方にあると思います。そうした『時間軸政策』は、いつ効果があるかといえば、まず導入時です。これはデータをみても確認できます。もう1つは、いわゆる経済がよくなって、そろそろ出口に近くなっている時に効果がある、といわれているようです。』

これ重要な論点でして、米国のガイダンス文言変更を巡る議論の中でもこの部分を意識した話が展開されている筈でして(だからこそ意見がバラバラでとても12月FOMCで纏まるとは思えないのですが・・・・・・・で、手ぶらは何なのでその代わりにQE3にトッピングサービスを入れるというのが来週のFOMC予想ですがコンセンサス過ぎて面白くないですかそうですか)、ガイダンス文言の変更がどうのこうのの時に、閾値の経済数値を「実データ」におくのか「コレクティブジャッジメント」におくのかというのは物凄く政策インプリケーションが異なってくる話になるので、そらまあ何時まで経っても議論が収束せんわな(ミニッツ見てて全然話が収束する気配が感じられない)と思うのであります。

まあ以下の部分は今の金融政策運営スタンスに関する普通の話なので割愛しておきます。


・インフレ期待の低下に注意

これはほほうと思いましたが。

『(問) 今までの質問と若干重複するところがあるかと思いますが、講演の中で、中長期的な予想物価上昇率について、「幾分弱めの動きがみられる点には注意していきたい」とおっしゃっていましたが、これは具体的には何をおっしゃっているのでしょうか。』

『(答) エコノミストの見方、あるいは市場のデータで、やや長期のインフレ期待が少し下がっているというデータがあります。これを踏まえて、こうした傾向が長く続くかどうかをみたいということです。私自身は、中長期のインフレ期待を注視したいと思っています。実は、特に日本の場合、インフレ期待は中長期の成長期待と非常に深い関係があります。』

ほっほー。

『従って、日本の民間資金需要や経済活動を活発にするような成長力強化策等が行われていくと、日本銀行の金融緩和措置も非常に活用される状況になりますし、そうすると、人口減少で縮小しつつあるマーケットであっても、「日本はこういう分野で成長できる」と企業が成長期待を持つことができます。こうしたことが、中長期のインフレ予想の引き上げにもつながってきます。そういう意味で、物価安定の目途を実現するためにも、まずは成長力強化が大事ですし、成長力強化によって「成長する」という期待が中長期的に生まれれば、それがまたインフレ期待にもプラスに働くようになります。そういう意味で非常に注視しています。』

まあ後半は願望の話ですが、最初の所はへーと思ったので引用。


・まあこれは永遠の課題なんでしょうなあ

金融政策と直接関係ないですが最後の質疑から。まあ引用だけですけどご覧くらはい。答えよりも質問の方が重くてですなあ・・・・・・・・

『(問) 質問が熊本県の情勢に戻りますが、当県では、熊本市が政令指定都市になったということもあって、一極集中化が進んでおり、特に県南では疲弊が目立つといわれています。今後、一極集中のままでよいのか、また、経済を面的に発展させるためには、若干のギャップと言うか、都市部と郡部で発展・成長にズレが生じるのは仕方ないのか、といった点をお伺いします。』

『(答) 非常に難しいご質問です。もちろん、可能であれば域内全体が発展していくのが一番よいわけですが、人口減少が起きている状況下、例えば、高齢の方々についてみると、病院に行きたい、買い物に行きたいということになると、都市に住む方が多くなるかもしれません。少子高齢化の影響は、色々な点で考えていかなければならないと思います。こうした影響は、おそらく、各県、各市によっても違ってくると思います。仮に、人口が都市に──熊本県なら熊本市に──集中したとしても、その都市以外の場所をどう活用するかということを考える必要があるわけです。農業にしても製造業にしても、大きな視点で少子高齢化をプラスに捉えながら、各地域の利点を活かして、成長戦略を考えて頂きたいと思います。熊本県の場合は、人の行き来をもっと拡大したい、すなわち、他県からも、世界からも人を呼び込みたいと思っておられますが、そういう形で経済が活発化する可能性もあります。熊本県は素晴らしい可能性を持っています。熊本県は、自然資源・観光資源が豊富で、食べ物も美味しい。こういうところをもっともっと活用できると思っています。』







2012/12/03

お題「今さらですが先週の総裁講演ネタ/生産性も無くまたも安倍さんに釣られるあたくしorz」

どこぞのニュース画像見てましたら「全く具体的プランがない」「バーゲンセールじゃないですかこれじゃあいったもの勝ちですよ」と人の政権公約を批判している人がいたのですが、批判するのは良いがお前が言うなとどこぞの市長に小一時間問い詰めたい訳だがorz

ということで安倍さんに釣られてスルーしていた麿講演ネタを簡単に。

○名古屋での総裁講演は場所柄円高の話が多い訳で

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko121126a1.pdf
デフレ脱却の道筋
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──

・海外経済と為替市場のレビュー

冒頭のあいさつの次の小見出しがいきなり『2.海外経済および為替レートの動向』となっているのは場所が名古屋だという事もありましてその辺いつもながら(名古屋での講演は毎度でございます)為替の話が多いのですな。

『当地には毎年ほぼ11 月のこの時期にお邪魔していますが、最初にこの1年間の日本経済を取り巻く外的経済環境、とりわけ、海外経済と為替レートの動向を振り返ることから話を始めたいと思います。』

ということでレビューをしていますが、海外経済に関しては中国に関してのコメントがまあその通りなのですがほほうという所です。

『この1年間という点で、地域別に最も変化が大きかったのは中国経済でした(図表3)。成長率はなお高水準であるとはいえ、実質GDPの前年比は昨年第1四半期以降7期連続で低下しており、欧州向け輸出の減少や素材産業における在庫調整などから減速が長引いています。また、そうした短期的な動きとは別に、高度成長から中程度の成長軌道へ円滑な移行ができるかどうかが、政策運営を巡る大きな関心事項になってきているように思います。』

まあ要するに見通しを大きく下振れたのが中国経済です、という事なのですがそこは言わないのがチャーミングというか往生際が悪いというか。

『次に、為替レートの動向です(図表4)。この1年間に限ってみれば、円の為替レートは対ユーロで2%の円高となった一方、対米ドルで4%、対韓国ウォンで8%の円安方向の動きとなっており、それらの動きを貿易額で加重平均した為替レートは4%の円安となっています。』

確かに事実はそうなのですが、それは語順として後にすれば良いのにとか思うのは余計なお節介ですかそうですか。

『もちろん、最近1年間の動きはともかくとして、輸出製造業の多い当地の企業経営者の皆さまの実感としては、為替レートはリーマン・ショック以降、急速に円高化した水準で高止まっており、引き続き厳しい状況に直面しているというものであることは十分承知しています。』

「引き続き厳しい円高が高止まり状態ですが、この1年は若干程度改善していますがまだまだ円高是正には遠いです」という文脈で話を進めれば印象違うような気もしますがね。

『この点、わが国企業の設備投資の状況をみますと、近年、一段と海外の比率が高まっており、企業の海外進出の動きが強まっています(図表5、6)。これは、基本的には相対的に高い海外の成長力を取り込む動きとみられますが、根強い円高傾向がそうした動きを加速させている面もあるように窺われます。』

という話をしておりまして、まあ話のニュアンスとしたら円高に対して随分と配慮した進め方になっておりますので、字面で見るのと講演を実際に聞くのとではイメージが違うのかもしれませんな。

『より長い目でみると、為替レートは大きなスイングを示しています。振り返ってみると、2000 年代半ばにかけては、円キャリー・トレードを背景に、対ユーロを中心に、かなりの円安が進行しました(前出図表4)。リーマン・ショック後は、米欧と日本の金利差が縮小したことに伴い、円キャリー・トレードが巻き戻されたことや、欧州債務問題が進行する中で円が安全な通貨とみなされたことなどを背景に、一転して急速な円高が進行しました。こうした為替レートの大きなスイングは、皆さまの企業経営に大きな影響を与えるものであり、為替レートの安定は政策上の強い要望であると思います。日本銀行としても、現在のように海外経済の先行きを巡る不確実性が大きい局面において、円高が、輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じ、わが国経済に負の影響を与える可能性があると懸念しています。企業の海外シフトの加速や中長期的な成長期待の低下につながる惧れという観点からも注意が必要と考えています。この後ご説明しますように、日本銀行ではそうした点も念頭に置いたうえで景気・物価情勢を点検し、強力な金融緩和を推進してきています。』

ということで、為替円高に対する配慮を相当見せたサービス成分の高いセクションを最初に持ってきておりまして、まあ一部ツッコミどころはあるにせよこれはこれで相当に気を使った講演であるという感じですな。


・先行き見通しも弱めですな

『次に、以上申し上げた海外経済や為替レートの動向も踏まえながら、日本経済の現状と先行きについてお話しします。』

『わが国の景気は、本年前半は先進国の中では最も高い成長率を記録しましたが、夏場以降は急速に変化し、現在は「弱含み」となっています。景気が弱含みに転じた最大の理由は、海外経済の減速が長引いていることです。』

ふむ。

『7〜9月に続き10 月も輸出は減少し、鉱工業生産も2四半期連続で減少しています(図表7)。10〜12 月については、日中関係の影響が輸出にも明確に出てくると予想され、注意が必要です。』

>日中関係の影響が輸出にも明確に出てくると予想され

ふむふむ。

『一方、国内需要は、最近までは、復興関連需要の増加などを背景に相対的には堅調に推移してきましたが、足もとでは、内需にも徐々にその影響が及び始めています。個人消費は、エコカー補助金終了に伴う反動もあって、勢いが鈍っています。設備投資は緩やかな増加基調にあるものの、海外経済減速の影響から製造業に弱めの動きがみられます。』

ということで、内需にも悪影響と。

『こうした外需の動きを前提にすると、先行きの景気については、当面は弱めに推移するとみています。しかし、その後は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと判断しています。この間、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられますが、景気の持ち直しに伴い需給バランスが改善するにつれて、徐々に緩やかな上昇に転じるとみられます。2014 年度には、日本銀行が当面の「中長期的な物価安定の目途」としている「1%」へと着実に近づいていくというのが我々の見通しです。』

これは毎度の見通しですが。

『ただし、こうした見通し通りの展開となるかどうかは、海外経済の動向に大きく依存しています。私が出席する国際会議では、米国も欧州も中国も、それぞれにとっての海外経済の動向を自国の経済に大きな影響を与える要因として指摘していますが、世界全体で考えれば、「海外要因」は存在しません。』

まあ最近のあちこちの中銀のミニッツ見ると「ウチはアレだが海外要因は何とかなりそうですな」的なのが多くて誠にアレ。

『言い換えますと、経済のグローバル化の進展が著しいもとでは、世界経済をひと括りにして捉えるという見方も重要です。この点では、改めて、2000 年代半ば、特に2004 年から2007 年にかけての世界経済の拡大が未曾有の信用バブルに支えられた空前の好景気であったことを思い起こさざるを得ません(図表8)。このバブル崩壊の帰結として、世界経済は米国の住宅バブル崩壊から6年、リーマン・ショック発生から既に4年も経過しているにもかかわらず、また、先進各国の積極的な金融緩和政策にもかかわらず、景気回復のテンポは非常に緩やかです(図表9)。このことは、バブル崩壊後の過剰債務の調整が完了するまでは世界経済が高い成長軌道に復帰することが難しいことを示しています。』

という毎度の話なのですが、いつも思うのだが白川さんの(かどうか知らんが)名言「偽りの夜明け」はまさに大当たりでここまで推移しているのに、何でそれが日銀の海外経済見通しに反映されていないのかと小一時間・・・・・・・・

つーことで、まあ景気に関しては下方修正含みなのは把握した。


○でまあ会見ですが珍しくツッコまれて「水準」にも事実上言及

でまあ会見ですが。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1211c.pdf

さすがに今回は安倍さん関連の質問は「この前答えたから勘弁」という流れになりましたが(^^)。

・円高に対して

『(問) 中経連の三田会長と名古屋商工会議所の木村副会頭から、円高が続くことによる産業の空洞化への懸念が改めて強く示されましたが、東海地方の今後の経済を考える上で、日銀として、三田会長や木村副会頭等のご要望に対してどのように応えられるのかという部分をお聞かせ願えればと思います。』

『(答) 自動車関連企業を始めとする当地の企業が、円高の問題を始め厳しい競争環境に直面しており、産業の空洞化を懸念されていることはこれまでも認識していましたが、本日の懇談会においても、改めてそうした懸念が表明されたところです。』

でまあその途中部分は華麗にスルーしまして。

『それと同時に、政府が規制等を柔軟に見直すことなどを通じて、企業の前向きな取組みを支援していくことも重要です。日本銀行としても、様々なことに取り組んでいます。海外経済の減速が長引くこの局面での円高というものが、輸出や収益の減少、あるいは企業マインドの悪化を通じて日本経済に負の影響を与えているということは、日本銀行としても十分認識しており、このことは講演の席でも申し上げた通りです。』

ということで円高に関しての強い言及は講演と同様ですな。

『日本銀行は、この9 月、10 月と金融緩和の強化を実施したわけですが、そうした円高の影響も含めて、景気・物価情勢を入念に点検し、そうした措置を採ったわけです。日本銀行としては、金融機関による成長基盤強化の取組みや貸出の増加を支援するとともに、実質的なゼロ金利政策や資産買入等の基金の着実な積上げを通じて、強力な金融緩和を間断なく推進していくことで、中央銀行としての使命をしっかりと果たしていく方針です。』


でまあ他の質問でこれは良いツッコミ。

『(問) また円高関係の質問ですが、先程、講演の中で円相場の高止まりについて企業が引き続き厳しい状況にあることは十分に認識していると指摘されておられましたが、これは今までの一方的な円高の進行ということではなく、高止まりの状況が続く中で、いわゆる相場の変動よりも水準自体を意識しなければならない局面に変化しているという理解なのかどうかということと、そういった変動よりも水準を意識しなければならない変化の中で、日本経済に対する影響の仕方も変わり得るのか、この辺についてお聞かせ下さい。』

『(答) 当地には毎年11 月のこの時期に訪問しています。本日、地元経済界の方に当地経済にとって最大の関心事項である円相場の話をする際に、この1 年間の円相場の動き、これをまず振り返るところから始めたわけです。』

『そこで申し上げたことは、円の対ドル、対ユーロあるいは対ウォンなど、様々な通貨を加重平均した、いわゆる名目の実効為替レートベースでみると、この1 年間では、円高ではなく円安方向になっているけれども、企業経営者にとって、現在の円高化した水準が大変厳しいということは十分に認識しています、ということをまずお伝えしたかったということです。』

ほほう。

『従って、今、記者の方がおっしゃった、水準か、変動か、ということを意識して言葉を使ったのではなく、要は、中央銀行として、経済の厳しい状況について、しっかり認識しているということをお伝えすることが、まず、経営者からの日本銀行への信頼感につながってくると思い、そう申し上げたという趣旨です。』

ということで、まあ立場上「為替市場の水準」について言及するのは避けたという所ではあるのですが、そこは避けながらも麿的には精一杯のアピールをしているというのは把握しました。そして次にこんな質問がありましてね。

『(問) また円高の話で恐縮ですが、午前中の懇談会では、円高に対する懸念が出たものの、今、おっしゃったように1 年前と比べれば、あるいは最近の足許だけをみると、結構円安になっているわけです。これに対して、これが経済に対してどういったインパクトを及ぼすのかということをまず1 点お伺いします。また、金融政策によって、直接的に為替に働き掛けることはできないにしても、何らかの間接的に円安に働き掛ける政策というのは、まだ手段としてあるのかどうか、お伺いしたいと思います。』

『(答) この1 年間に限ってみると、若干円安方向ではありますが、多くの企業経営者がおっしゃっているように、この円高化した水準が続いていることが、企業経営に様々な影響を及ぼしていることは十分認識しています。この9 月、10 月の金融緩和の強化も、そうした影響も含めて決定したものです。何か、足許は楽になっているということを申し上げたいわけではもちろんありません。』

うむ、これは麿にしては結構なサービス発言をしているぞなもしという所です。

『次に、金融政策の為替レートへの影響ですが――講演の席でも申し上げましたが――、日本銀行が強力な金融緩和政策を続け、先行きも消費者物価と関連付けて強力な緩和政策を続けていくことを約束していることは、為替相場には相応の影響があると思っています。』

まあこちらはどうでも良いですが。


・物価目標の2%とか1%とか

『(問) 先日の会見では、3%の物価目標については現実的でないとおっしゃっていましたが、2%の物価目標については如何でしょうか。』

『(答) これも、先日の記者会見でかなり丁寧にお答えしたつもりです。その時のお答えを要約する形でお答えしたいと思います。』

丁寧だけどかなり直球ストレートにお答えしていましたな(^^)。

『日本銀行が「中長期的な物価安定の目途」としているのは、2%以下のプラスの領域であり、当面は1%を目指すことを明らかにしています。これは、成長力強化の取組みが実を結んでいけば、つまり、民間による取組み、それから政府による規制緩和等の取組み、こうしたものが実を結んでいけば、1%よりも少しずつ上がってくる可能性はあります。』

>1%よりも少しずつ上がってくる可能性はあります
>1%よりも少しずつ上がってくる可能性はあります
>1%よりも少しずつ上がってくる可能性はあります

・・・・・・・まあこれ前から(というか最初から)言ってるんですけど、どうも1%達成すればそれで目出度く終了と日銀が認識しているという風に解釈されている節がありますが、まあそういう解釈されても仕方ない面はあるなあとも思いつつ。

『日本銀行は、そうした可能性も意識して、原則として年1 回、この中長期的な物価安定の目途の数字を点検していくということを言っています。いずれにせよ――いつも申し上げていますが――、金融面からの後押しと成長力強化、この2つが揃って初めてデフレからの脱却が実現するということを改めて申し上げたいと思います。』

引用しなかったのですが、講演の方で「デフレ脱却には名目賃金上がらないと」という話をしていまして、まあそらそうですがなとも思うのでありまする。


#ということで、この講演&会見は「円高への配慮を強く出す」というのと、「先行きの下振れ懸念を強く出す」というのが主眼だというのは把握しました



○だんだんどうでも良くなっておりますがあまりにもアレなのでクリップ

・安倍さん言えば言うほどボロが出るので金融政策については・・・・・・

金曜日に腰を抜かしそうになったあの人の発言。
http://jp.reuters.com/article/jpmarket/idJPTK056492320121130?sp=true
WRAPUP1: 金融政策で論戦、安倍氏「首相になれば手段言わない」・首相「ばらまきより種まき」=党首討論
2012年 11月 30日 16:57 JST

『[東京 30日 ロイター] 来月4日の衆議院選公示を前に30日午後、日本記者クラブで党首討論が行われ、自民党の安倍晋三総裁は、日銀の金融政策をめぐる自身の発言について、首相になったら手段は申し上げないとし、金融政策の手段は日銀が決めていくとの考えを示した。』(上記URLより、以下同様)

>首相になったら手段は申し上げない
>首相になったら手段は申し上げない
>首相になったら手段は申し上げない

・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)

えーっと、確か「出来る事しか言わない」というのを売り文句にして政権公約を出して選挙に臨もうとしているとゆーことで、安倍様におかれましては首相になった時のお話を今まさにしておられると理解しているのですが、何を仰っているのかさっぱり理解致しかねるのですが・・・・・・・・・・・・

『また、建設国債を買い入れるとの発言の意図について、建設国債の範囲で買いオペを進めることが必要だと説明した。』

・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)ナニガナンダカワカラナイ

『安倍総裁はデフレ脱却と円高是正に向けた金融政策について「伝統的な緩和でなく、2%のインフレターゲットを設けて、ありとあらゆる手段をとっていく。財政政策も行う」との考えを示した。』

物価安定の目途って「当面の目途」が1%なのであって、さっきの麿会見での質疑にありましたように、実際に1%が見えてくる時点での状況によってはそれよりも上を目指すという話になる可能性もあるんですけど、まあ確かにそれを日銀の過去の実績から見て信用しろと言われても中々信用できないのは判りますが、党首討論で(この先にあるけど引用しない)1%か2%かでああだこうだとか何だかなあという感じではありますが。

『その上で、建設国債を日銀が買い入れるべきとの発言について、直接引き受けとは言ってない、とあらためて否定。「建設国債といったのは、赤字国債ではないという意味だ。建設国債というと、いきなりコンクリートというイメージがあることを、その時は気づかなかった」と説明した。』

何を仰っておられるのかがよく判りませんが、そもそも「直接引受」という「(安倍さんによれば)「誤報」も大きく影響して金融市場が反応した訳ですが、その反応を捕まえて「勝負あった」とか勝手に勝利宣言していたのは何だったんでしょうかねえ。

『さらに「金融緩和ということでは、外債を買っていくこともそうだし、FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていくこともやっていくべきだろう」と緩和の具体的手法に言及した。』

>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく
>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく
>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく

・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)

どうも安倍さんのブレーン(笑)様におかれましては現実把握能力が絶望的に欠如しておられるようで、FRBは株式市場に直接影響を及ぼすような政策なんぞリーマンショック以来一度も実施しておりませんのですが、何の政策を捕まえてこのような認識になるのか、その政策とやらはブレーン様の妄想の産物ではないでしょうかと小一時間。

大体からして株式市場ターゲットで金融政策とかそんな政策どこにありますねんという所ですが、FRBの場合は金融緩和政策の効果として「結果としての株価上昇」という話は確かにしておりますけど、それを言うなら総合指数型ETFを買っている日銀がまさに「株式市場に直接」となるオペを既に実施している(厳密に言えば「株を上げる」のではなくて「資産市場のリスクプレミアムの縮小」をしますと言っているので「株式市場に直接影響を及ぼす」というのではないので念のため)訳で、最早何が何だか。

外債購入に関しては要するに為替介入であって、介入するにはその相手国様とのネゴが必要になるのでありまして、まさか安倍様におかれましては「そのネゴは下々の人間が行う事」とでも思っておられるのではないかと甚だ心配でございますがそれは兎も角。

『ただ、「私が首相になったら、手段は申し上げない。日銀が手段を決めていく。今、野党の立場だから、たとえばということで手段にも言及している」と明言した。』

もうさっき呆れた通りでございます。


・これもまたポカーンな

まあ大体ここは電波浴御用達メディアなのでネタにするのも何ですけどつい釣られクマー。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34188
浜田宏一(イェール大学教授)×安倍晋三(自民党総裁)「官邸で感じた日銀、財務省への疑問。経済成長なしに財政再建などありえない」

まあ経済成長しないで財政再建するのが大変というお題は判るのですが・・・・・・・・・

そこの4ページ目より。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34188?page=4

『浜田:それが日銀法の問題点だと思うのです。日銀法ができたのは、大蔵省不祥事とかいろんな政治的きっかけがある。中央銀行の独立性がある国のほうが上手くマクロ政策をやっていたような例もありました。独立性自体はいいんでしょうが、困ったことに、日銀法では手段の独立性だけではなくて、目的の独立性まで日本銀行に与えてしまった。ですから、国民に対して政治責任を負っている政府が考えるべき、国民生活の雇用とか国民所得などに対して、どの辺まで政策が努力したらいいのかを日本銀行が決めるかのようになってしまったのです。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)

日本銀行法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html

『(目的)
第一条  日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2  日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。

(通貨及び金融の調節の理念)
第二条  日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

(第3条引用割愛)

(政府との関係)
第四条  日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。』


Federal Reserve Act
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/fract.htm

2A Monetary Policy Objectives
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/section2a.htm
Section 2A. Monetary Policy Objectives

『The Board of Governors of the Federal Reserve System and the Federal Open Market Committee shall maintain long run growth of the monetary and credit aggregates commensurate with the economy's long run potential to increase production, so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.』

・・・・・・・・・・・・・・・うーむ、日銀法と連邦準備制度法で示している「目的」はどちらも設定されております(日本の場合は銀行券の発行、決済システムの円滑、信用秩序の維持、物価の安定とならんでいて、米国の場合はご案内のように「the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates」ですな)が、このどこをどう読むと「日銀法では目的の独立性がある」という話になるのかさっぱりわからないのですが、もしかしたらイェール大学の教授ってえのはご本人の母国語で書かれた文章が読めなくても務まるものなんでしょうか?????

ということで、何かさっきの安倍さんの話でそもそも前提となる理解に事実誤認がございますが大丈夫ですかというツッコミが(今日だけじゃなくて)成立することの原因って結局ブレーンとやらの方々のアレっぷりがそのまま出ているという風情でありまして・・・・・・

これまた電波浴御用達メディアですがちょっと前の記事。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121121/plt1211211825010-n1.htm
自民・安倍総裁「突破する政治」特別インタビュー デフレ脱却、尖閣防衛を大いに語る
2012.11.21

安倍さん曰く『野田首相が、財務省・日銀に操られたパペット(人形)であることを証明している』(上記URLより)との事ですが以下自粛。


#しかしいい加減このネタに釣られるのも生産性が無いのでスルーしたいのですが、次から次へとツッコミの釣り餌を提供してくれるもんだから困ったもんです