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2013/09/30

お題「オペとか2年入札とかのメモ/今さらでスイマセンが木内さんの講演&会見」

なんじゃこりゃwwww
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS29023_Z20C13A9PE8000/
政党支持率 共産2位、6%で民主抜く 日経世論調査
2013/9/29 22:03 情報元 日本経済新聞 電子版

○オペとか短期雑談

・あら短国買入スキップ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm
オペレーション(日次公表分)

9月27日という選択肢が無いのは、27日に短期オペの実施がありませんでしたという話になりますのでまあオペ無しの巻。

ここもとのパターンとしては木曜の3M短国入札の翌営業日にあたる金曜に短国買入が実施される(ただし短国入札とぶつかった場合は週明け)という形でしたので、金曜は普通に短国買入が実施されるでしょうと期待(というか諦観というか^^)されていた訳ですが、何故か短国買入スキップの巻。

金曜に短国買入を実施すると受渡日が10月1日になるので、期末跨ぎを避けたという可能性があるのと、ご案内の通り足元期末要因で短国市場が世紀末ヒャッハー状態になっているのに配慮したとか、その絡みになりますが2年国債入札を前に短国買入を実施して買入レートが低下しまくって2年国債入札が大フィーバーするのを避けようとしたとか、まあ色々と可能性は考えられるのですが、期末跨ぎを避けたのなら今日も短国買入無い筈ですし、2年国債入札にぶつけるのを避けるのであれば今日短国買入の実施ですし、市場のヒャッハー状態への配慮だったら何を今さらという感じではありますな。

まあその辺に関しては中の人しか背景については判らんので何とも言えませんけれども、本来的に言えば先週木曜の3MTBは初の3カ月物TB年末越えになりますので、12月末のMB中間目標がある中で喉から手が出るほど欲しい物件であり、やる気満々モードで買入ヒャッハーとなる筈なんですけど、ここへ来て市場の金利低下が著しいので何ぼ何でもちょっと待てということになった(とはこのアタクシは思っていないが)のであれば、何ちゅうか折角の買いたい銘柄が登場したのにその前に買入攻撃で市場を壊してしまって肝心な時に買入打てないとかプギャーという感じではございますな(ちなみにどこからどこまでが期末要因で、そうじゃなくて単に日銀の買入累積攻撃で需給が締まっているのかは正直良く判らん)。

ちなみに今週は10月1発目のMPMがございますので、MPM2日目になる金曜には短国買入を普通は打ちまずで、木曜日は3M入札がありますので、期末跨ぎを避けるのであれば短国買入をまさか2日連続で打ち込むわけにも行かないでしょうから短国買入が後寄せになる(ので2年国債入札要因でスキップしているなら今日短国買入実施が妥当)ことになりますね。

まあいずれにせよ足元の状況だとちょっと沢山打ち込むと今度こそ夢の出来上がりゼロ落札とかマイナス落札とかの風景も見られるかもしれませんなあ(白目)。


・2年国債入札

お、おう・・・・・・・・
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul044.htm

6. 価格競争入札について
(1)応募額 14兆7,368億円
(2)募入決定額 2兆6,801億円
(3)募入最低価格 100円00銭5厘 (募入最高利回り)(0.097%)
(4)募入最低価格における案分比率 81.8030%
(5)募入平均価格 100円01銭2厘 (募入平均利回り)(0.093%)

ということで2年国債入札貫録の平均も足切りも付利金利割れとなりまして、ご案内の通り付利金利の引き下げに関する思惑が1ミリも発生しえない状態、というよりもこの状況で付利金利を下げたら更に買入オペの運営が困難になるので、付利金利引き下げの可能性が益々なくなってきたという状態(MB目標から金利目標への再転換をしたら話は別だがまあ有り得ん)ですので、つまり利回り云々で考えた場合にはこの水準はちょっとという水準。

でまあ何ぼ何でも今の所は超過準備付利対象外の人たちのニーズだけで2年が付利金利割れまでやるほどの状況では無いと思われますので、担保玉不足とかその辺を見越したり、商品在庫持っておかないと苦しいかもですねとか、まーその手の要因はあったんでしょうなという所ですが、その後新発は0.10%で出合っていたりしたようですので、さすがに短国と2年の間にはまだ差があるという事ですかそうですか。


○先々週のネタで恐縮ですが木内審議委員講演&会見ネタでまずは講演の残りから

今更の虫干し状態で誠に申し訳ございません。先ずは講演ネタの後半から(超大汗)。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130919a1.pdf

・国内経済の下方リスク指摘、というよりはこれ殆ど見通し表明だわ^^;

経済の下方リスクとして新興国を中心とする海外経済が日銀の強気見通し対比で下振れるリスクを指摘していたという話はだいぶ前にネタにした訳ですが、実はまあそれよりも興味深い指摘は国内の方であります。

『日本経済の下方リスクという観点からは、こうした海外経済の下振れリスクのほかに、消費や住宅投資あるいは公共投資に比べるとやや出遅れ感があった設備投資が今後どの程度伸びるか、基本給を中心に賃金がどの程度増加し、消費増加の持続性を高めるかという点を注視しています。』

某師匠の場合はインフレ期待が高まって資産価格が上昇すると必然のように消費が活発化してマインドが好転するので需要が拡大し、それに伴って設備投資も拡大するという大変に都合の良い話になっておりましたが、木内さんはそうじゃねえだろとのご指摘(^^)。

『足もとの国内景気については、雇用増加や設備投資の持ち直しの動きなど、改善傾向にようやく広がりが出てきたと考えられます。しかしその半面、個人的には、これまで個人消費と輸出を押し上げ、景気の回復過程で先導役を果たしてきた円高修正・株高の効果に鈍化の兆しがみられ始めているように思います。』

(;∀;)イイハナシダナー

『その中で、個人消費がけん引役を果たす形で経済が急速に改善するという、従来とはやや異質な景気回復のパターンが、比較的通常の景気回復のパターンへと徐々に変化しつつあるようにも思われます。』

ふむ。

『具体的には、まず、個人消費については、GDP統計ベースや消費者コンフィデンス関連指標でみると、概ね堅調を維持しているようにみえます。ただ、他方で、需要側の統計でみると、家計調査統計の実質消費支出は、1−3月に大きく水準を切り上げた後、7月にはほぼ昨年末の水準まで低下するなど、株高の資産効果等による消費の刺激効果が薄れ始めている兆しも窺われます。この先、消費の拡大傾向に一服感が生じてこないか注視していきたいと思っています。』

『また、輸出についても、持ち直し傾向にあるものの、7月の実質輸出が大きく減少したことや、PMI製造業指数の輸出受注指数における改善の動きが一服していること、さらには先ほど述べました海外経済を巡る不確実性なども踏まえると、この先の輸出環境は従来ほどの改善が期待できない可能性もあると思います。』

『こうした中で、今後、設備投資がどの程度伸びるかが重要になります(図表8)。この点、企業収益が改善する中、4−6月の法人企業統計の設備投資が過去2四半期に比べプラス幅を拡大したほか、6月短観の設備投資計画をみると先行きはしっかりとした増加が見込まれていますが、さらにハードデータを確認していく必要があると考えています。』

ということで、冒頭では「下方リスク」という風に説明していますが、この部分もどう見ても「政策委員会の大勢意見と別の木内さん個人的見通し」であって、リスク認識というよりはメインシナリオじゃねえかこれという所でありますな(^^)。


・物価見通しについては当然ながら弱く、グローバルディスインフレの影響ががががが

『次に、私自身の物価・賃金動向に関する見方について、少し敷衍してご説明します。』

キタコレ。

『現在、日本銀行は、消費者物価上昇率で2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する目標を掲げています。本年2月の金融経済懇談会でも申し上げましたが、私自身、2%の「物価安定の目標」という日本銀行の決定に対する信認を強めることは、デフレ脱却に向けて重要であると考えています。ただ、後述する金融政策運営に関する私の提案とも関連しますが、肝心なのは2年間で2%を達成することではなく、日本銀行の金融政策の最終目標といえる「国民経済の健全な発展」の実現に向けた動きを後押しし、経済が上向いていく結果として、物価の上昇幅が緩やかに拡大していくことだと考えています。』

仰せのとおり。

『足もとの物価上昇には、宿泊料上昇など一部に需要増加を背景とした要素も含まれるものの、これまでのところ、電気料金引き上げや石油製品の上昇など、エネルギー価格上昇や為替相場の変動の影響といったそれ以外の要因を反映している面も大きいと考えられます(図表9)。』

ですなあ。

『しかし、経済の改善と一体で進む持続的な物価上昇を実現するためには、賃金の上昇、とりわけ所定内給与の上昇が鍵を握ると考えています。この点、所定内給与は足もとでも依然として下落を続けています(図表10)。賞与等の一時金の引き上げを実施した大手企業でも、固定費用の性格が強い基本給の引き上げにはなお慎重と見受けられます。今後は大手企業で基本給の引き上げを実施するところが出てくるかもしれませんが、賃金全体の方向性を大きく左右するのは中小企業です。企業部門全体で基本給も含めて賃金を積極的に引き上げる動きが広がり、それが基調的な物価押し上げにつながっていくためには、先行きの成長期待の高まりを通じて、労働需給がさらに改善していくことが必要と考えられます。また、雇用・賃金は景気に遅行するため、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が高まっていくまでには、相応の時間がかかるとみています。』

賃金の話キタコレですな、まあ当然ちゃあ当然ですが。

『ただ、時間の経過とともに賃金と物価がバランス良く上昇していく局面に至っても、現在の海外の物価環境を考え合わせると、私自身は物価の上昇はなお緩やかなペースで進むのではないかとみています。』

ほう。

『OECDのデータによると、日本の物価上昇率は、海外先進国と長期にわたり連動性を維持しながら、一貫して低位で推移してきました(図表11)。日本の消費者物価上昇率は、バブル期を含む1982年から1997年の15年間の年平均でみても、物価の下落時期を含む1998年から直近2013年までの15年間の年平均でみても、G7平均対比でいずれも2%ポイント程度低い水準となっています。また、海外先進国でディスインフレ傾向が現在も続いている点も踏まえると、日本の物価上昇率に下向きの圧力がかかりやすい状況がなお続いている可能性もあると考えています。』

ということで、賃金の上昇も時間がかかるでしょうし、さらにグローバルなディスインフレの影響も物価が上がりにくくなる要因ですよねという説明で、この辺の認識は以前佐藤審議委員もしていましたが、マーケットエコノミスト的にはこういう結論に普通はなる罠という事でしょうね、うんうん。


・中期的に達成すればいいじゃないかという件

次の『5.金融政策運営』の所で木内さんが毎回出して却下されている提案の説明がありますぞな。最初の日銀の現在実施している2年で2%関連の説明はスルーしまして木内さんの説明コーナーに飛びます。

『ところで、私自身は、日本銀行の金融政策の最終目標といえる「国民経済の健全な発展」の実現に向けて、日本経済の流れをゆっくりとでも着実に良い方向へと変えるきっかけを作りだすために、「量的・質的金融緩和」の具体的な施策には賛成しましたが、4月3-4日の金融政策決定会合において賛成多数で決定された「『量的・質的金融緩和』の導入について」と題する対外公表文については、修正を提案しました。』

『決定された対外公表文では、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定の目標』を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」、「『量的・質的金融緩和』は、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」としています。』

『しかし、前述した私自身の物価に関する見方に照らしてみますと、2年程度という短期間で2%という高い水準の「物価安定の目標」を達成することを目指すのは必ずしも最適ではないと考えました。』

まあ先程の見方を持ち出してくるとそうなるという話ですな。


『さらに重要なこととして、以下で説明しますように、2%の「物価安定の目標」について、「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」、「量的・質的金融緩和」は「これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」という、2つのコミットメントの組み合わせには、「量的・質的金融緩和」の副作用を高めてしまう潜在的なリスクが内包されている、とも考えました。』

一方でこのコミットメントを「フォワードガイダンス」と説明をする謎審議委員も居まして、何と申しますかこうカオスなものを感じますな(ニヤニヤ)。

『そのため私は、2%の「物価安定の目標」の達成時期、および「量的・質的金融緩和」の継続期間について修正を提案し、9月4-5日に開かれた直近の会合まで毎回同じ趣旨の修正議案を提出し続けています。』

『修正議案では、「日本銀行は、中長期的に2%の『物価安定の目標』の実現を目指す。そのうえで、『量的・質的金融緩和』を2年間程度の集中対応措置と位置付け、その後柔軟に見直すこととする」と対外公表文を修正することを提案しています。この修正議案のポイントは2点あります。第1に、2%の「物価安定の目標」の達成時期を2年程度と限定していない点、第2に、「量的・質的金融緩和」の継続期間については2年程度を目途とし、その時点で必要に応じて柔軟に見直す、との考えを明確にしている点です。』

この2番目が判りにくいのですが・・・・・・・・・・

『既に4月3-4日会合の議事要旨で明らかにされていますが、このような修正を提案したのは、(1)2%の「物価安定の目標」を2年程度の期間を念頭に置いて達成するには、大きな不確実性がある、(2)そうした中、「量的・質的金融緩和」が長期間にわたって継続するという期待が高まれば、同措置が前例のない規模の資産買入れであるだけに、金融面での不均衡形成などにつながる懸念がある、と考えたためです。』

まあ見通しが2年で2%無理無理無理というのであれば、木内さんの想定する異次元緩和というか年間MB70兆円拡大という政策が延々と続く、という見通しになりますので、それはやりすぎでしょうという話だというのは何か把握しました。

『同会合の議事要旨では、このほかの潜在的なリスクとして、財政ファイナンスの観測を高める可能性のほか、金融機関の収益を圧迫して金融システムの脆弱性を高める可能性、市場機能を大きく損なう可能性なども指摘されています。』

まあ既に市場機能は・・・・・・・・

『こうした潜在的リスクを十分に認識した上でなお、私自身が「量的・質的金融緩和」の具体的な施策に賛成しているのは、政策で生じる経済的なプラス効果の大きさが、それに伴う潜在的なリスクないしは副作用の大きさを僅かでも上回っていると判断しているためです。しかし、仮に現在の大規模な緩和が長期化あるいは強化されれば、逆に副作用がプラス効果を上回る可能性が高まる惧れがあります。この点、現在のコミットメントのもとでは、金融市場の期待等の外部要因に影響されて、日本銀行の政策がそうした対応を余儀なくされる可能性も否定はできません。』

とまあそういう説明になっていまして・・・・・・・・・

『私が修正議案において「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けているのも、こうした点に配慮し、「大規模な金融緩和の副作用が効果を上回ることがないか」ということを一定期間経過した後にしっかりと点検し、経済・金融情勢次第で柔軟に見直す環境を予め確保しておくことが適当、との判断に基づいています。』

何となく木内さんの意図が把握できた気がするのですが、あたくしの解釈が間違って居なければ、つまりは「オープンエンド型のMB拡大継続ではなくて、とりあえず今決めた分だけはやる」という形にしたいという事だと思うのですよね。

そうなりますと、木内さんの提案なのですが、「2年間程度の集中対応措置」という言い方が表現として判りにくくなっていると思うのですよ。それよりも単純に「中長期的に2%を目指す」というのと、「その為にMBを2014年末に270兆円程度に持って行きます」というだけの表現(「集中対応措置」という言い方をしない)にして、ただしその買入の規模やペースについては必要があればState-Contingentで対応しますよという注釈をすればすっきりすると思うのですよね。どうもこの「集中対応措置」というのが却って木内さんの意図を分かりにくくしているように思えますがどうでしょうか。


・市場とのコミュニケーションとな

なお、こんな説明もついております。

『この修正議案は、市場と中央銀行との間のコミュニケーションの改善にも資すると考えています。』

ほほう。

『現時点では、2%の「物価安定の目標」を2年程度で達成するのは難しい、という見方が国内債券市場ではなお有力であると思います。』

有力どころか(^^)。

『このため、「物価安定の目標」の達成時期に関する日本銀行の情報発信との間には少なからぬギャップが存在しており、先行きの金融政策等に関する債券市場の予想を不安定化させる潜在的な要素となっていると私は考えています。この点、2%の「物価安定の目標」の達成時期を「2年程度」と特定せず、「中長期」に変更することで、先行きの景気・物価ならびに金利観に関して債券市場での自発的な期待形成が促され、市場と中央銀行との間のコミュニケーションの改善が図られるのではないかと考えています。これによって、債券市場の安定にも貢献すると考えています。』

まあその前に力技で債券市場の自発的な価格形成機能が潰れつつありますけどね!!!!


○木内さんの会見から少々

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1309c.pdf

・つまり今の金融政策は緩和のやり過ぎという認識ですねわかります

『(問) 午前中の講演の中で、審議委員は、下振れリスクを懸念されていると述べておられますが、そうなると、政策の必要性の議論になりかねません。講演では一方で、強力な金融緩和が長期間続くことによる金融のインバランスとか、副作用をもたらすリスクについても述べられていますが、前者と後者、すなわち、下振れを心配されているということと、現状の金融緩和をさらに強化する際の副作用が生じかねない点のバランスについて、どのようにお考えですか。』

これは良い質問。

『(答) 基本的には、独立した判断ということです。前者については、純粋に経済の判断ということでして、国内経済が緩やかに回復しているという判断自体には違和感はありませんが、先行きについては下振れリスクがあるのではないかと思っています。最大の理由は、海外経済、特に新興国の弱さ、新興国自体が従来の不均衡の調整過程に入っているのではないかと思っています。一方で、先進国経済は、新興国経済の落込みを大きく補うほどの力強さがないだろうという趣旨のことを講演で述べています。』

ふむ。

『一方で、政策については、追加措置が必要かどうかは、現時点では申し上げることはできないですし、今後、予断を持たずに判断していくということだと思います。』

ここの所だけヘッドラインになっていましたが、前後(というか後)の文脈を読むと・・・・・・・・・・

『ただ、4月に「量的・質的金融緩和」を決めた時点では、非常に積極的な政策を行ったわけです。その結果として、仮に追加策をするとしても、追加措置による効果、プラスの面というのは逓減していきやすいということだと思います。非常に大きな政策を決めたわけですので、追加策をとるとしても、追加分のプラスの効果は必ずしも大きくはならない一方で、副作用が次第に大きくなる可能性はあると思います。』

キタコレ。

『特に追加策がなし崩し的に進んでしまう場合には、副作用の方が非常に大きくなるということですから、効果より副作用のほうが大きければ、政策として実行すべきではないということになります。』

つまり現時点の政策が既にやり過ぎでしょという認識ですねわかります。

『ただ、どのような時に効果の方が副作用を上回るのかというと、非常に大きな経済のショック、金融のショックという時には、追加策が必要になってくる、正当化されるということだと思います。中央銀行には、Last Resortという機能があると思います。Lender of Last Resort、すなわち、「最後の貸し手」という意味だけではく、広い意味で、経済が非常に大変な事態になった時には手を差し伸べるといった機能は、絶対に残されていると思います。』

『また、「量的・質的金融緩和」というのは、マクロ経済政策としての枠組みですが、それとは別に、我々には「金融システムの安定」という目的もありますので、「金融システムの安定」が何がしかの理由で揺らぐような場合には、当然追加措置が必要であり、それがもしかすると今の「量的・質的金融緩和」を修正しなければならない事態となることもあり得ると思います。』

まあつまり明確な下方ショックがあれば通常の政策というよりは信用緩和的(というかQE1的というか)な意味での政策発動はありますよと。

『そういう意味で追加の道はあるわけですが、それなりの大きなショックでないと、効果・副作用のバランスから考えて、適切な措置ではないということになるのではないかと思います。』

ということですな。


・非伝統的政策のコミュニケーションと資産買入の運営について執行部に盛大にイヤミを

『(問) 2点あります。1点目は、先程の、FRBが緩和の縮小を見送った件ですが、バーナンキ議長をはじめFRBの、市場との対話とか、メッセージの発信の仕方について、どのような所見をお持ちでしょうか。市場へのシグナルとして、そろそろ始めるよと言っておきながら、9月に縮小を開始しなかったというのは、市場にとってサプライズであったようですので、その辺のコミュニケーションについての所見をお願いします。』

『2点目は、講演の中で、FRBの政策ツールの組み合わせについて、日銀の将来の政策に参考になるのではとお話されている点についてです。これは、資産の買入れで景気拡大のモメンタムが十分に高まったら、今度はゼロ金利政策について今よりも明確な何か政策のメッセージを出していくとか、資産買入れを縮小する段階で今度はゼロ金利政策の効果にフォーカスした政策を採っていくとか、今の枠組みの中での変更、出口を意識した説明なのか、その辺りをお伺いしたいと思います。』

中々良い質問ですな。で、答えがこれまたお洒落。

『(答) 1点目についてですが、印象ということでいうと、非伝統的な政策、資産を大量に買い入れる政策の正常化というのは非常に難しくて、その難しさの1つが、市場とのコミュニケーションであると思います。』

ですなあ。

『資産の買入れの縮小自体は、引締めではなくて、緩和の度合いをやや弱めるということであり、これが短期金利の引上げに直接つながるものではないのですが、市場は先々を読んで判断しますので、この春、思ったよりも長期金利が大きく上がってしまった、あるいは新興国の金融市場が動揺したということだと思います。その結果として、国内での金利の上昇が、例えば消費であるとか、住宅投資にマイナスの影響を及ぼし始めたのではないか、あるいは新興国での金融市場の混乱が回りまわって米国の経済の輸出環境を悪くするのではないか、といったことに配慮した結果であろうと思っています。』

『政策自体は、市場の期待に左右されるのではなく、あくまでも経済データ、経済情勢を基本に判断していくというメッセージを今回FRBは送っていますが、市場とのコミュニケーションの過程で金融市場が大きく動き、それが先行きの経済の見方を変えてしまうということが起こってきているのかなと思っています。』

『どこに原因があるのかといえば、非伝統的な政策が持つ1つの副作用、つまり、金融面でのいわゆる不均衡を作ってしまい、その結果として、正常化のメッセージを送ったときに、市場がやや過剰な反応をしてしまい、経済にマイナスの影響が起こり、正常化の見通し自体がやや修正されてくるということであり、非伝統的な政策の正常化の過程での市場とのコミュニケーションの難しさを象徴しているのかなと思っています。』

うむ、読みようによっては中々いい感じで辛辣。

で、2点目ですが。

『2点目についてですが、講演でも触れましたが、FRBの政策運営は、非伝統的な政策――フォワード・ガイダンスと資産の買入れ――と、伝統的な政策としてのゼロ金利政策との2つのバランスで考えるということです。従って、資産の買入れを縮小するからといって、緩和自体をどんどん一方的に後退させるのではなく、ゼロ金利が残るので、かなり緩和状態が続くのだといった考え方です。』

ふむ。

『あるいは両者の政策について、役割を分けているわけです。つまり、資産の買入れについては、オープンエンドといったメッセージを送ったこともありましたが、基本的な考えとしては、経済のモメンタムに影響を与えて高める一時的な措置であり、副作用について分からない部分もあるので、ある意味であまり長く続けるとリスクが高いという考え方が一般的だと思います。』

どう見ても政策委員会を銃撃しています本当にありがとうございました。

『一方で、金利政策については、従来通りの伝統的な政策なので、もちろん副作用はありますが、ある程度既知のものであると思います。資産の買入れのように短期間で経済のモメンタムを高めることはできませんが、経済が改善し、インフレ率が高まってくると、金利をゼロに据え置くだけで、累積的に金融緩和の効果が高まってくるため、じわじわと経済への刺激効果が出てくると思います。』

つまり・・・・・・・・

『FRBは、資産の買入れからだんだんと金利政策の方に重点が移ってくるというプランで考えていると思います。全く個人的な考えですが、日本銀行でも同じような考え方もできるのではないかと思っています。』

まあ4月に全力で逆方向にエンジンフルスロットルにしたばかりなので無理だと思いますが(−−;

『私自身が、、「量的・質的金融緩和」をとりあえず2年間程度の集中対応措置と位置付け、その後はもう一度冷静に考えましょうと提案している1つの背景には、モメンタムに影響を与えるというのは、それほど長期間続けても、ベネフィットとコストが見合わないのではないかと思っている一方、「量的・質的金融緩和」により、経済のモメンタムが高まる、あるいはインフレ期待が高まるということになれば、金利をゼロに据え置くだけでも、期待インフレ率が上がって実質金利が下がってくる、あるいは期待収益率が上がってくるので、緩和効果が出てくるとの考えがあります。』

つまり買入をやり過ぎじゃヴォケということですねわかります。

『政策は、「量的・質的金融緩和」一本ではなくて、将来は金利も視野に入れて、二本立てで、それぞれの効果と副作用のバランスをみながら、運営していくのがよいのではないかと考えています。そういう点で、米国の政策というのは、参考になる部分があると思っています。』

という感じでしらっと辛辣であります。

ちなみに質疑の引用は時間と量の関係でこんなもんにしておきますが、今回の木内さんの質疑応答って木内さんの説明がやたら長くなっていまして、まあ読みごたえがあると思いますので今さらながらですがオヌヌメでありまする。

#ネタが超おそくなってすいませんでした




2013/09/27

お題「3MTBは結局3bp近辺とな/バーナンキ会見:資産買入と金利政策の反応関数を分けるという説明は難しいですね」

そういや昨日の駄文で「state-contingent」と書くべき所のnが抜けておりました(恥)ので謹んで訂正させていただきたく存じます(超大汗)。

ほほう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130927/t10014847251000.html
設備投資減税など 7千億円規模検討
9月27日 5時10分

『このなかで政府は、法人税に上乗せしている「復興特別法人税」を1年前倒しして撤廃することに加え、企業の設備投資を促す投資減税の拡充や企業の再編を促すための税制上の優遇措置、賃金を増やした企業の法人税を軽減する措置の拡充を行う方針です。』(上記URLより)

「賃金を増やした企業の法人税を軽減」する位なら素直に所得税の戻し税をした方が良いんじゃネーノと思いますが、高額医療費の上限変更案とかを見ますと「取れそうな所からは更に取る」という香りがするのでそういう流れにはならないと思います(−−;

それはそれとして、昨日のこれなんだが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTPE1Y0YHQ0Z01.html
日本株は反発、早期の法人減税やGPIF報道受け−海運や保険に買い
更新日時: 2013/09/26 15:33 JST

『共同通信は、政府が、消費税増税に伴う経済対策で、焦点となっている法人税の実効税率引き下げについて「早急に検討を開始する」と明記する方向で調整に入ったことが分かった、と報じた。』(上記URLより)

というのを見て、あれ「”検討開始”に後退したの?」と思ってしまったのに好感されてしまったので少々ビックラしていたのはあたくしだけですかそうですか。

#公明党が反対というニュースを前日の夜に見たばっかりだったので、配慮して「検討」にバックしたと思ったのですよ


まあそれはそれとして今日も短期メモを置いておきますね。

○短期メモ

・3MTB入札

落札結果である。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130926.htm

(3)募入最低価格 99円99銭1厘5毛 (募入最高利回り) (0.0307%)
(4)募入最低価格における案分比率 29.5726%
(5)募入平均価格 99円99銭3厘6毛 (募入平均利回り) (0.0231%)

まあ前場引けで3bpだの3bp割れだのWI取引で出合ってあちゃーという感じでしたので、空振りリスクを考えたら必札は上の方に入れないといけないけれども何ぼ何でも0.03%割れ水準でどこまでニーズがあるのかワカランチ会長とか考えると最低限在庫部分は上に入れて後はとりあえず下の方に入れておきますか、となってテールが7糸というこの金利水準にしてはデカめの結果になりましたという所で。

でまあセカンダリーは最終的に3bpとかに落ち着いてたみたいですが、これでちったあタイトにも程がある需給が緩和されてマシになるかというとそこにまた本日は日銀短国買入攻撃が堂々のご登場となって流通玉を吸収するんですね判ります(ヤケクソ)。

需給の引き締まりのどの辺までが期末要因なのかよく分かりませんが(期末要因じゃなくて日銀の買入攻撃+超過準備付利の外側の人たちの自動購入攻撃だけでここまで来ているとするともうお手上げ)、期初入りしてから需給に変化があるかどうか確認という所でしょうかね、あまり変化し無さそうな気はするのですが・・・・・・・・・・・


・当座預金残高101兆円キタコレ

昨日も申し上げたので別にどうでも良いが記念に残して置く。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130926.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (9月26日<木>分)

当座預金残高 1,012,400
当座預金残高 1,012,400
当座預金残高 1,012,400

副総裁のコメントマダ〜?(・∀・)っ/凵


・固定金利オペも順調に札割れ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130926.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(9月30日スタート分) 1,441 1,441

昨日は8000億円のオファーに対して1441億円ですが、ここの所固定オペの期落ちが続いていまして、概ね8000億円近く入っていたオペがロールで絶賛減額ロールとなってこの3日のロールの結果で1.2兆円位減額ロールになるという素敵な勢いですが、このオペが減ってくるとMB達成のために他のオペにしわ寄せが来るので短国ェ・・・・・・・・・・



○ということえバーナンキ会見ネタ(大汗)

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130918.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference September 18, 2013

今朝はFINAL版になっておりますので(つーてもほとんど同じだと思います)ページ数などはFINAL版ベースで申し上げます。

冒頭説明部分が更に続きます(まだ冒頭かよというツッコミはしないように)


・フォワードガイダンスの部分では物価が低い見通しだと金利上げないよ文言も

フォワードガイダンスに関する部分では物価への言及が入っているのがほほうという所です。

『Let me turn now to the FOMC’s forward guidance regarding the federal funds rate.』

つーことで。

『The Committee again reaffirmed its expectation that the current exceptionally low range for the funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, so long as inflation and inflation expectations remain well behaved as described in our statement. As I have noted frequently, the economic conditions we have set out as preceding any future rate increase are thresholds, not triggers.』

今回も従来のフォワードガイダンスを確認しましたよガイダンスはトリガーじゃないよといつもの話。

『For example, a decline in the unemployment rate to 6-1/2 percent would not lead automatically to an increase in the federal funds rate target, but would, instead, indicate only that it had become appropriate for the Committee to consider whether the broader economic outlook justified such an increase.』

でまあ労働市場の総合判断をしますよという話ですが・・・・・・・・・

『The Committee would be unlikely to increase rates if inflation were projected to remain below our 2 percent objective for some time, for example; and, in making its assessment, the Committee would also take into account additional measures of labor market conditions, such as job gains.』

『Thus, the first increases in short-term rates might not occur until the unemployment rate is considerably below 6-1/2 percent.』

ここでインフレが当面2%を下回って推移すると予想される場合には利上げはしませんぞなもしという話を入れているのがほほうという所なのですが、ここがまた逆さ絵先生の狸な所で、この物価の話をアセットパーチェスの所ではしないでスレッショルドの所でしているのがコミュニケーションをある意味ややこしくしている部分でして、物価が低い状況であったらLSAPの縮小を開始しないのかというと、そこについては触れないで誤魔化すという技を使うので、コミュニケーションが分かりにくくなる要因でもあったりします。

つまり、LSAPと金利政策の部分でのコンディショナリティーが、それぞれバラバラになっているのか、それとも連続した流れのものになるのか、という肝心の部分が曖昧になっておりまして、まあ説明上では別途のものとして分けて説明している積りなのでしょうが、そもそも経済物価情勢を勘案して金融緩和の度合いを調節するのですから、その中でLASP⇒金利という建付けにしている以上、LSAP縮小の話(つまり今回のTaperingトーク)をすればその先の金利への思惑も自動的に出てくるのは、何ぼFEDが別物と言ってもやはり通じにくい話ですよね、という事になる辺りを軽視していたという事になるんでしょうなあと思うのでありました。


・フォワードガイダンスとSEPの金利見通し

『The projections of the path of the federal funds rate by individual Committee participants are generally consistent with this guidance. Although the central tendency of the projected unemployment rate for the fourth quarter of next year encompasses 6-1/2 percent, 12 of the 17 participants expect the first rate increase to take place in 2015 and two expect it to occur in 2016.』

さいですな。

『Most participants also see the funds rate target rising only very slowly after the process of removing policy accommodation begins. The median projected funds rate for the end of 2015 is 1 percent. And notably, although the central tendencies of the projections for both inflation and the unemployment rate in 2016 are close to the longer-run normal values for those variables, the median projection for the federal funds rate at the end of 2016 is 2 percent, well below the longer-run normal value for the federal funds rate of 4 percent or so projected by most participants.』

ということで、この2016年に完全雇用で潜在成長よりも強い成長なのですが、政策金利の上昇パスは遅くないかという点は質疑でも一応突っ込まれていた(が答えはスルー気味だった)です。

『Committee participants generally believe that, because the headwinds to recovery will abate only gradually, achieving and maintaining maximum employment and price stability will require a patient policy approach that involves keeping the target for the federal funds rate below its longer-run normal value for some time.』

この辺の話もまあ微妙でして、LSAP縮小に関する話をしている時には「経済の下振れリスクに関しては消えてきている」という認識を強調しているのですが、フォワードガイダンスの話のこの部分では「向かい風は引き続きあるので利上げペースは遅くなる」という説明になりまして、いやまあリスク認識の話と構造的な話なので論点として矛盾はしていないのですし、LSAP縮小と金利政策に関しては別物という建付けになっていますので、これはこれで話の筋は通っていますけれども、やはり如何にも分かりにくい説明ですよねと思う訳ですよ。

つまり、この辺りの説明ってやっぱりLSAP縮小の時にも考慮されますよね、とゆー風に認識するのが通常の世間様の反応だと思う訳でして、金融政策の反応関数をLSAPと金利政策の所で微妙に使い分けてしまうと、説明にウェイトが掛かっている方を市場は重視しちゃいますから、結局の所「金融政策判断の反応関数がワケワカラン」という事になると思いますし、説明がこのように融通無碍モードになっているとやはり「ワカンネーヨ」という事になると思うのよね。


・ということでLSAPと金利政策という分け方を説明しています

とまあこのようなツッコミが来る訳ですので説明部分でもこの話は強調していますが、やはり同じ緩和政策をどうするという話の中で反応関数を分離するというのはコミュニケーション的に難しいものがあると思う。

『Let me close by noting that although the FOMC is employing two instruments of policy-asset purchases and forward guidance about short-term interest rates-the overall stance of monetary policy is what matters for growth, jobs, and inflation.』

でまたこういう風にオーバーオールの判断って成長と雇用とインフレがベースですよ(当たり前ですが)となるのでこれがまたコミュニケーションをややこしくしている希ガス。

『Our program of asset purchases was set up a year ago to help achieve a substantial improvement in the outlook for the labor market in the context of price stability, relative to conditions when the program was initiated, and we have made progress toward meeting that criterion. However, even after asset purchases are wound down-which we will do in a manner that is both deliberate and dependent on the incoming economic data-the Federal Reserve’s rates guidance and its ongoing holdings of securities will ensure that monetary policy remains highly accommodative, consistent with an aggressive pursuit of our mandated objectives of maximum employment and price stability.』

とまあいつもの説明なのですが、やはりこのLSAPと金利を分ける、というのが実際にTaperingトークをしてみた時にコミュニケーションが難しいですね、という事になったかと思うのですが、ただまあ今回については逆さ絵先生的に不幸としか申し上げようが無かったのは、オバマ大統領が後任候補にサマーズさんを挙げてきたことでして、その結果本来意図していた(というか今でもそうだが)「LSAP縮小と金利引き上げを分離して2段階方式での正常化を図る」という作戦にいきなり齟齬が生じてしまったという面があり、長期は兎も角中短期の金利上昇で「サマーズリスク」部分がどの位あったのかは今になってみるともはやワカランチ会長でありますので、実は「Taperingトークの失敗」なのか「オバマのアホウが空気を読まないでFRB議長人事を進めたのが悪かった」のかで、もちろん両方の合わせ技ではあるのですが、どこからどこまでが効いていたのかは微妙だと思うのですよね。

でまあ今回のコレで逆にTaperingに慎重になり過ぎてしまって金融不均衡ガーとなってしまうのが次のリスクになってしまっていると思いますので、まあいずれにせよ色々と難しくなったなあと思われます。

『Thank you, and I’d be glad to take your questions.』

質疑応答にも突入しようかと思ったのですが、それをやりだすとオワランチ会長になりそうですし、やってるとキリがなさそうなので、何か別途作ってこっそりアップとか方策を考えたいと思います。

#きさらぎ会の総裁講演(いつもと同じ話ですが)と木内さんの講演残りと素敵な会見ネタも放置プレイですし






2013/09/26

お題「今日の短期雑談^^/師匠の金融政策効果説明は良く見たらこの前と同じ/白井さんの謎講演が謎すぎる件について」

ネタが錯綜しているので逆さ絵会見ネタは今日はパスで勘弁m(__)m

○今日の短期雑談

・さて今日は3M入札ですよ

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20130919.htm
1. 入札予定日 平成25年9月26日
2. 発行予定日 平成25年9月30日
3. 償還予定日 平成26年1月9日

ということで日銀様の絶賛召し上げによりましてすっかり玉が無くなってしまった3MTBの入札が実施される訳ですが、まあ火曜日の短国買入の結果があばばばばーでございましたのでセカンダリーはどうせ2bpから4bpの間位(もはやてきとう)にいるんでしょと類推されますが、はてさてこの入札が幾らになるのかオソロシスという所でございます。

つーか今回の3Mから年末越えになるので、本格的な短国買入は明日からやれば良いじゃネーカという気がだいぶするのですが、その前に水準を下げてしまって入札を迎える状況になって時既にお寿司にも程がありますけれども、まーオペ実施部隊的に言えば「ワシらのディレクティブはMBだから市場機能ガー悪態つかれましても知らんがな」という話だと思いますので、この調子でMB270兆円にして短期だけではなくて長期の市場もあばばばばーになって出口政策どうするのという話に関しては政策委員会の皆様で何か考えて頂くという方向で何卒よろしくお願いいたします。

で、金利水準が前週対比アホほど下がった中でニーズが減るのかも注目されますが、年末越えのビルなのでモノとしてのニーズはあるでしょうからねえ(白目)。


・当座預金残高100兆円キタコレ

昨日の当座預金残高速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130925.htm
当座預金残高 990,400

本日は火曜日の短国買入と輪番要因でこうなる予定
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130926.htm
当座預金増減 +22,400

どう見ても当座預金残高101兆円です本当にありがとうございましたという所ですが、円安は進んでくれませんし株価は何となく足踏みですし、何か金利市場がおかしくなってしまった分だけ損した気分なんですけれどもきっと気のせいですね(すっとぼけ)。


・出口政策とかオペレーションの限界とかその他関連の雑談メモ

最近色々と無い頭を捻ってああだこうだ考えているのですが途中ですがメモ的に(^^)。

えーっとですな、出口政策という事になった場合にそれを受ける市場の流動性が皆無状態というのも困るのですが、良く良く考えると統合政府という意味で考えた場合、日銀の長期国債買入っていうのは財務省の国債発行年限を横から絶賛短期化している事になりますからして、出口政策という事になった場合にどうするのという問題もあるなあと。

つまりですね、2年で2%達成した後は当然ながら中立金利水準に向けて金利を引き上げていかないという状況になる訳ですが、日銀の保有資産の含み損ガーとかいうのは時価会計しなければ良いのでどうにでもなるとしても、日銀はファンディングが銀行券部分はゼロ金利の永久負債みたいなもんだから銀行券残高が急減しない限りそっちは良いとしても、当座預金部分のうち付利対象になる超過準備(およびそれに相当する)部分(だいたい所要準備が6兆円程度しか無いので残り全部が付利対象ですが)は付利金利水準でのファンディングをしている格好になります罠。

となりますと、保有中長期国債の見合い部分が銀行券残高を大幅に超えるような状態になると、その銀行券残高超過部分というのは政策金利水準を正常化(いくらだかわからんけど本当に物価が2%という事になったら2%以下の訳がない)したらその分は絶賛逆鞘になりますぞな。

つーことで、財務省が将来の金利上昇リスクやら再調達リスクやらを勘案して発行年限を長期化しようとしている側から日銀が絶賛オーバーナイトファンディングに切り替えるというのを大々的に実施しているのが現状でして、従来はそれでも銀行券の範囲内に抑えるという事で逆鞘問題が顕在化するリスクは無かったのですが、ここから更にアホのように長期国債買いますよという事になると徐々にこの逆鞘問題がシャレにならなくなりますよねという所で、再調達リスクの方はマネージされているにしても、金利リスク管理を統合政府として考えた場合にこれどういう事になるんでしょうなあというのが気になる次第。

この「短期金利が上がって逆鞘攻撃」というのはそれはそれはオソロシスなものでして、1990年辺りですとその前の低金利状態によってポートには低金利の債券ポートがゴロゴロ転がっているのですが、一方でファンディングが短いというような業態でしかもオーバーローン(要するにかつての都市銀行など)となっていると、ポートに鎮座まします超長期債が3%辺りの利回りで、ファンディングが8%とか素敵な事になり、座っているだけで毎日チャリンチャリンとファンディングコストをチャージされるのですが、持っているものを売るとマーベラス売買損が発生するので毎日が火の国旅情(違)という状態になる訳で、はてさてそうなった時ってどうなるんでしょうね。

まーその時に景気が良ければその辺りは財務省もニッコリ状態ですから日銀の財務的な穴を埋めてよろしいがなという話だとは思うのですが、物価だけ上昇してスタグフレーションですがなとか、財政ガーの悪い金利上昇とかそういう残念無念な状態になって政策金利は上げないとマズーという状態になるというのは想像しない方が良いですかそうですか(白目)。

#という雑談ですが、まあもっと色々と考えて(というかさすがに財務省の中の人や日銀の中の人はそういうの考えている筈)計算する暇があったら計算しませんとね


○師匠ェ・・・・・・・・・・・・・

金融経済懇談会という記者会見付きの企画には中々お出ましにならない師匠ですが、こういうのは出てくるんですね。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130924/fnc13092409310004-n1.htm
実体経済に波及し始めた 日銀副総裁・岩田規久男氏(寄稿)
2013.9.24 09:30 (1/4ページ)

『量的・質的金融緩和は、国債や株式、外国為替を取引する投資家たちが予想する将来のインフレ率(予想インフレ率)を引き上げるように作用する。』(上記URLより、以下同様)

ほほうそうですか投資家ですかそうですかBEIの推移っていやまあどうでもいいです。

『インフレになると、現金や預金、利息が一定の国債などの債券の購買力は減少する。そのため、インフレを予想した投資家たちは、手持ちの現金や預金で、あるいは国債などの債券を売って得た資金で、インフレに強い株(株式投資信託を含む)や土地・住宅(Jリートなどの不動産投資信託を含む)、日本の金利よりも高いドルなどの外貨建て資産を購入しようとする。』

資産価格ルートですかそうですか。マネタリーベースを拡大すると物価に効くという話は????

『その結果、株価が上昇し、円安・外貨高になる。株高と外貨高により、株や外貨建て資産を持っている家計の資産価値は増加する。』

あのーすいません持っていない家計はどうするんでしょうか????

『資産価値が増加した家計は消費を増やす。』

えーっとですね、そこって本当にそうなんでしょうかねえ。

『株価の上昇は家計の気分(マインド)を明るくする。このマインドの改善も家計の消費を増やす要因である。実際に、家計の消費は最近3四半期連続して増加し続けている。』


で、次のページ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130924/fnc13092409310004-n2.htm
実体経済に波及し始めた 日銀副総裁・岩田規久男氏(寄稿)
2013.9.24 09:30 (2/4ページ

『企業は消費の増加に応じて生産を増やし、生産を増やすために雇用を増やす。』(上記URLより、以下同様)

資産価格上昇って永続的に続く期待があればそら消費も永続的に拡大するかも知れないですけれども、ワンタイムエフェクトだと思ったらそう簡単に生産増加のために雇用拡大と単純に進むとは到底思えないのですけれども・・・・・・・・

『平成25年度入り後、雇用者数は毎月前年比1%前後で増え続け、求人倍率が上昇する一方で、失業率は低下している。こうした労働需給の改善により、最近、所定外給与とボーナスがともに増加し、雇用者全体の所得は増加した。これも消費を増やす要因である。』

随分と金融政策の効果が速攻で効きますねえ(棒読み)。

・・・・・・・とまあこんな感じで延々とツッコんでも良いのですが、よくよく考えたらこの前京都の商工会議所でやっていた講演の話と同じものが掲載されているだけという事に気が付きましたので以下ツッコミ割愛でありますが、何だこの資産価格ルート1点張りという話。

で、これ前も申し上げましたけれども、師匠の理論って一つ一つのパートに分けるとその部分部分では幾分かのツッコミどころはあるのですが、そこだけはあまり変な話をしていないので一瞬納得しそうになるのですが、煙に巻く攻撃の訓練を受けております不肖このアタクシに言わせますと、師匠の理論って肝心の元の部分(量的緩和をするとインフレ期待が上昇して、インフレ期待が上昇すると資産価格が上昇する)がもう所与状態になっていまして、要はその所与が本当に所与で良いのか、という検討が無いので師匠理論だと全てが上手く行くように一瞬見えてしまう訳なんですよ。

で、金融経済懇談会で意地の悪い記者の皆様の盛大なツッコミを受ける程のお時間も無いほどに多忙な師匠様におかれましては、何故かこのような質疑応答コーナーが無さそうに思われる所にはホイホイとお出ましになられるようで、来月こんなイベントがあるようですよ!!!!

中央大学さんのページから
http://www.chuo-u.ac.jp/research/institutes/economic/event/2013/09/6203/
公開講演会のお知らせ(経済研究所創立50周年記念)

日程10月18日(金) 15時00分〜16時30分
場所多摩キャンパス 8号館 2階 8206教室
講演者日本銀行副総裁 岩田 規久男氏
内容テーマ:「量的・質的金融緩和」の目的とその達成メカニズム

経済研究所では、創立50周年記念事業として日本銀行副総裁 岩田 規久男氏をお招きし、公開講演会を開催いたします。ぜひご参加ください。



○白井さんの講演だがはっきり言って意味が分からん

先週の土曜にこんなのが出てたんですけどね。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130921a.htm/
我が国の金融政策とフォーワードガイダンス ―金融政策運営についてのコミュニケーション政策―
国際通貨基金(IMF)及び米国連邦準備制度理事会における白井審議委員講演(各9月19日、20日、於ワシントンDC)の邦訳

『国際通貨基金(IMF)及び米国連邦準備制度理事会における白井審議委員講演(各9月19日、20日、於ワシントンDC)の邦訳を本ホームページに掲載しました。』

ということで邦訳版はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130921a1.pdf
我が国の金融政策とフォーワードガイダンス
── 金融政策運営についてのコミュニケーション政策 ──
国際通貨基金(IMF)及び米国連邦準備制度理事会における講演
(各9月19日、20日、於ワシントンDC)の邦訳


でまあ昨日ちょっと申し上げましたが、講演の中で一部先般BOEが非伝統的政策に関する各国比較みたいなペーパーを出していて、これがまた諸般の事情で読んでる暇が無かったもんでどうしたもんかなあと思いましたが、忘れる前にネタにしておこうと思ってとりあえずネタにするのですが・・・・・・


・異次元緩和がフォワードガイダンス????????

いやまあこの講演なのですが、図表込みで38ページ(本文21ページ)も延々と話をしているのですけれども、肝心の日本の金融政策解説部分が全くもって意味不明でありまして、正直何を言ってるのかさっぱりワカランです。

で、その前にフォワードガイダンス云々という定義の話が必要なのですが、そちらについては本文4ページのケツ以降にこういう話をしています。

『フォーワードガイダンスは金融政策の効果を高めるために活用されていますが、目的によって二つに分類できると考えられます。』

ふむ。

『第一の目的は、中央銀行の「通常の」政策反応関数(または通常の金融政策運営)について明確化を図ることです。一方、第二の目的通常の政策スタンスを明確化するためのフォーワードガイダンスは、ゼロ金利制約下の中央銀行が通常の政策反応関数で想定されるよりも「より緩和的な」金融政策を、将来にわたって継続することを約束することです。』

まあその分類というのは理解できます。

『詳細については後で申し上げますが、これら二つの目的の違いを端的に申しますと、長期金利への低下圧力(そして資産価格の上昇)といった金融市場への影響を意図しているかどうかの違いにあります。第一の目的の場合はそうした影響を必ずしも意図している訳ではないのですが、第二の目的の場合には非伝統的な金融政策手段として用いられるため、常にそうした影響の実現を意図しています。ところで、最近のフォーワードガイダンスに関する議論では、米国のように金融緩和を縮小していく出口段階にある国でその解釈について注目されがちですが、本日の私の講演ではむしろフォーワードガイダンスの本来の目的である「金融緩和策の導入及び維持」における役割に注目していきます。』

まあその辺の話も分かるのですが、では日本の政策という事になりますと、本文9ページ目の『量的・質的緩和の下でのフォーワードガイダンス』辺りから説明があるんですけれども・・・・・・・・

『日本銀行は、本年4月4日に量的・質的緩和の導入に伴い、金融緩和の時間軸に関する以下の二つの表現を含む公表文を公表致しました。

(1)日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(これを「第一のフォーワードガイダンス」と呼ぶことにします)。

(2)「量的・質的緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(これを「第二のフォーワードガイダンス」と呼ぶことにします)。』


えーっと、これってガイダンスでも何でも無くて前者は「インフレ目標の達成期間の明確化」であって後者は「State-Contigentに実施しますという当たり前の説明」にしか見えないのですが何がどうフォワードガイダンスなのでしょうか?????????

『これをご覧になって、皆様はこれら二つの表現の関係はどうなっているのだろうと思われるかもしれません。この点について、日本銀行の黒田東彦総裁は、本年4月12日に実施した講演の中で、2%の物価安定目標を2年程度で達成するために必要なことは、量的・質的緩和にすべて盛り込んだと思っていると説明しています。そのうえで、経済には不確実性があり、人々の予想には常に幅があるため、全ての人に金融緩和が十分に実施されると確信してもらうために、日本銀行は2%を安定的に実現するために必要な時点まで、金融緩和を実施していくと述べることが適切であると解説しています。従って、これら二つの表現は一体となって、日本銀行の目標達成に向けたコミットメントに対する信認を高めるものとなっています。』

えーっと、だからそれはただのインフレ目標達成期間の明確化だし、物凄く無理矢理言えば金融政策の反応関数の明確化(白井さんのさっき定義した第一の目的)かもしれないけれども、ゼロ金利制約で更に金利効果を出す(白井さんのさっき定義した第二の目的)ための政策は別途無理矢理買入政策の実施を行うという形で実行するのであって、ここの文言関係ないでしょうが。

『さらにこの点について、これら二つのフォーワードガイダンス各々の役割に注目して私の見解を説明していきたいと思います。なお、以下の内容については、必ずしも日本銀行の政策委員のコンセンサスを映じたものではないことを予め申し上げておきます。』

コンセンサスだったら怖いわ。

『フォーワードガイダンスがこのように二部構成となっているのは、市場や国民のデフレマインドからの転換を図り、しかもインフレ期待を2%程度まで高めてアンカーするというチャレンジングな課題に直面している日本銀行が置かれている環境を踏まえてデザインされているからです。』

だからフォワードガイダンス関係ないんですけどね、まあ続きます。

『第一のフォーワードガイダンスの表現は、公表文の最初の部分で明記されており、これまでとは次元の違う金融緩和を実施するための根拠と位置付けられています(図表4)。』

以下実施した買入の内容の話なので引用割愛して次に。

『この第一のフォーワードガイダンスの目的は、市場や国民に対して、日本銀行が、2%目標を2年程度という期間内――これはインフレーション・ターゲティングを採用している中央銀行が通常想定している期間に相当しますが――に達成するという強い決意を示すためのものです。』

それで話は終了する筈なのですが・・・・・・・・・・・・・・

『このガイダンスは、日付ベース(2年程度)と経済状況ベース(2%)の二つの特徴を兼ね備えています。』

???????????????

『このうち日付ベースの側面は、2%を可能な限り早期に達成するとの日本銀行の強い意図とその可能性についての市場や国民からの信認をできるだけ早く高めるために不可欠だと考えられました。日本銀行の政策に対する市場や国民の信頼が高まるほど中長期インフレ期待が上昇するペースが加速し、そうなれば企業が需給状況に合わせて販売価格を調整するような価格設定行動を強めることにも寄与すると考えられます。』

えーっと、先ほどのフォワードガイダンスの定義ではこういう話は関係ないと思うのですが。

『第二のフォーワードガイダンスは、公表文の中頃の「量的・質的金融緩和の継続」という副題の下で明記されています。これは条件付きのコミットメントであり、経済物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検して金融緩和の継続に関して必要な調整を行うとしています(前掲図表4)。また、これは経済状況ベース(2%を安定的に持続)でもあり、量的・質的緩和の継続に関連付けて、中長期インフレ期待を2%程度に安定化していくうえで、第一のフォーワードガイダンスよりも強力な役割を果たします。』

えーっと、元々「2年で達成する」ということを書いている訳で、何でこれが強力な役割になるのか意味が分からん。

んでもって更に飛ばしましてこのコーナーの結論に近い部分に行きますと・・・・・・・・

『なお、これらの二つのフォーワードガイダンスは相互に矛盾するものではなく、第一のガイダンスは第二のガイダンスを達成するための必要条件と位置付けられます。』

ほえ??

『さらに、第二のガイダンスは、2%目標を安定的に実現するまで量的・質的緩和を継続するとの強いコミットメントを示したものと言えます(前掲図表4)。』

だから2年で達成するんじゃないのですか、物価安定の目標そのものが別に瞬間風速で達成すれば良いという定義じゃない訳で、何か白井さんはその「2年で2%」という定義を勘違いしているのではないかと思うのですが。

まあそもそもそこが曖昧ちゃあ曖昧で、物価安定の目標の細かい定義について元々の麿時代の定義が生きているのかどうかが不明確なのですが変わったという話は今まで出ていなかったので、変わっていませんよというのであれば、そもそもの物価安定の目標自体に「安定的に2%」というのが包含されている筈。

『従って、これらの二つのガイダンスの時間軸は重複するものの、第二のガイダンスの方が幾分より長期的な時間軸を内包することが示唆されています。』

これまたイミフなのですが、物価安定の目標自体にそもそも安定的に2%達成というのが含まれているのであれば、単に後半のガイダンス(と白井さんが言っている部分)は、2年で2%が(上下共に)怪しくなった時のState-Contigentな文言であるという定義にしかならんと思うのですけれども。

『また、第二のガイダンスは、長期金利のボラティリティの低減および過度な上昇の防止に寄与すると考えられます。』

はあそうですか。

『個人的な見解ですが、この第二のガイダンスは、日本銀行が2%を安定的に実現するとの目的に照らして必要があると判断すれば、金融緩和を2年間に限定することなく必要な追加行動を採りうることを示唆しています。』

示唆もへったくれもその通りだと思うが。

『また、この経済状況ベースのガイダンスが達成されるまでは金融緩和を継続し、出口に向かわないことも示していると思います。』

いやそういうことでしょ。でもそれって最初の「2年で2%」とは矛盾している訳で、つまり「2年で2%達成とは言ってるけど、まあ世の中上手く逝かずに上下にぶれた場合に、最初に申し上げた2年先までの資産買入をその通りに実施するかどうかは別問題ですよ」というヘッジ文言であると思うのですが、何か白井さんの理解というか説明が異次元過ぎて良く判らんのですが、異次元緩和だから仕方ないのかもしれませんね!!!!!!!(なげやり)


#という訳で逆さ絵会見ネタは明日集中投下の所存(大汗)



2013/09/25

お題「短期市場ェ・・・・・・・・/逆さ絵先生のTapering日和んぐの説明部分を鑑賞の巻」

情報発信が混乱しちょる混乱しちょる。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTMMDR6TTDSK01.html
NY連銀総裁:年内の緩和縮小開始あり得る、景気次第-CNBC
更新日時: 2013/09/24 23:52 JST

で、どっちなんじゃろうかのう。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTN8RN6TTDSZ01.html
米国債:10年債利回りが6週間ぶり低水準、緩和維持の観測で
更新日時: 2013/09/25 04:16 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTMEFX6TTDSC01.html
NY外為:ドル上昇、米緩和縮小観測が再燃−豪ドルは下落
更新日時: 2013/09/25 05:16 JST

それは兎も角として、昨日の牛熊ブログのエントリーはまあ読んで味噌(人のふんどしキタコレ)。
http://bullbear.exblog.jp/21108664/
私の大胆な金融緩和と安倍首相発言
2013-09-24 09:42


○短国買入1兆5000億でオッペケペー

#川上音二郎状態とか書いてみて念の為検索したら春の波涛って昭和60年の大河ドラマとな。ホンノチョットマエダトオモッテタヨ

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130924.htm
国庫短期証券買入 15,000 2013年9月26日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年9月26日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2013年9月26日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年9月26日 2013年10月3日 0.570
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年9月26日 2014年1月20日

>国庫短期証券買入 15,000
>国庫短期証券買入 15,000
>国庫短期証券買入 15,000

ということで、短国市場が玉無し芳一状態な所でしたが、2か月新発を対象から除外して堂々の1.5兆円のオペオファーということで、つまりMB積み上げのためには短国市場がぐちゃぐちゃになっても知らんがなという意思表示が鮮明になったという解釈をさせて頂きたく存じますオペレーションの打ち方で、何が市場との対話だと小一時間問い詰めたい所ですが、打ってる方はMB積み上げを何とかせにゃならんという所でそんなことまで気に掛けている余裕はないわって話でしょうし、つまりはそもそも「MB2倍」とか言うのが元々の買入規模がそこそこあった中では無茶振りにも程があったという話に帰着するのでしょうがね。

でまあ1.5兆円オファーとか札割れるとか出来上がりマイナスかとか中々びびらせてくれましたが、「いや1.5兆円とかどう見ても無茶振りオファーをするということはそれなりに札が読めているに違いない」という裏読み的希望もありまして結果はさてどうなったかと申しますと・・・・・・・・・

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130924.htm
国庫短期証券買入 33,150 15,003 -0.040 -0.025 11.4
米ドル資金供給(固定金利方式)(9月26日スタート分) 0 0
国債買入(残存期間1年以下) 4,490 1,100 -0.014 -0.009 82.0
国債買入(残存期間5年超10年以下) 14,843 4,003 -0.019 -0.016 30.2
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(9月26日スタート分) 4,749 4,749

>国庫短期証券買入 33,150 15,003 -0.040 -0.025 11.4

札が3兆もあったのですが、まあとりあえずシャレで前日比利回り較差マイナス10bpとか入れてみる人がどの位いたのか存じませんが、3兆あっても当然ながら足切りは流れて前日比利回り較差マイナス4bpまで買われるという結果ですが、24日付の売買参考統計値が6bpか6.5bpでしたので、つまりは出来上がりで2bp辺り(例えば先週の1年カレントは売参が6bpだったので出来上がり2bpで、新発入札レベルから4毛8糸の金利低下だわ)というウヒャーなレベルまで金利水準が低下の巻。

でまあそのウヒョーなレベルとなった短国を受けまして2年の金利も進んでしまいまして、というかオファーが無くなってしまいましてというのが正しいと思うのですが、昨日は2年新発が0.09%の出合いというオソロシスな結果となりまして、債券市場的には後ろも強かったのですが、中短期ゾーンも強くて何ですかこれはという展開。

でまあ再三再四申し上げておりますように、今回の短い所の金利低下のタチの悪いのは政策金利の引き下げ観測とは全く関係なく金利低下が進行していることでして、以前短い所の金利が低下した時には異次元緩和前で、大規模緩和実施は見えていたけれどもそこの行きがけの駄賃で利下げみたいな事を間違ってされたら大変なことになるからヘッジで買っておかないとという仮需が発生していた面があった(から異次元緩和ローンチ後に例えば1年所の金利は0.04〜0.05レベルから0.09〜0.10レベルに戻った訳ですな)のですが、今回は誰も付利下げとか考えていない状態でこの有様というのが(市場機能論的に申し上げた場合の)問題の深刻さを示しておりますな。

つーかですな、こんな状態で付利下げたら更にオペ運営が困難になる訳でして、何でもいいからMB積み上げするなら(ただの本末転倒だが)付利上げた方が良いんじゃネーノという位の話でありまして、MB大量積み上げというオペレーション目標がある中で付利下げがどうのこうのみたいな話をしている方々がおいでだったような気もするのですがちょっとおまいらこの現状を見て物を考えろやと小一時間問い詰めたい所ではございます。


さて当座預金残高ですが、日銀謹製の見込みですと今日の予想数値までしか出てきませんので、本日は上田八木短資さんの所をご紹介。

http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html
デイリー・シグナル

輪番と短国買入が26日渡しで打ち込まれましたので、26日の当座預金残高はこのままで行きますと100兆円突破ですよ100兆円突破!!!!

いやあ木久扇師匠の精緻な理論に基づきますとどう見ても緩和のやりすぎにしか見えませんが、師匠はこの当座預金残高をご覧になってどのようなご感想を持っておられるのか是非ともお伺いしたいものでございますなあ(棒読み)。


しかしまあ何ですな、12月末まで残り3か月になってきましたので、国債と短国の償還に加えてその他短期オペの推移に置きを入れて(多分この調子だと0.10%の固定金利オペとかドンドン残高減るでしょ)資金需給を推測(去年並みと置きたいが財政要因が去年と今年ではだいぶ入り繰りがありそうなのでそこが計算に困る)して逆算すると短期オペの残高が出てくるとかそういうことになるとおもうので(かなりてきとう)ヒマなら計算したいのだが、それ以外のネタも大量投下されている昨今中々追いつかないですなorzorzorz

で、その結果どうみても短国がこのままあばばばばーとなりますと、それこそいつぞやの米国のように財務省からお助けビルの発行とかしてくれないと敵わんわという所ですし、大体からして短国の金利がこれ以上低下された日には短期オペが困難⇒短期が買えないなら長期を買えばいいじゃない、というマリーアントワネット状態になってしまうとか、いやもうこの際円債買うと市場が壊れるから米債買えばバンバン買えるじゃないかとか、オモシロ思惑の世界になってくるので誠に遺憾でございますな、うんうん。

ちなみに、超過準備付利引き上げ以上に本末転倒ですが、秘策として法定準備率の絶賛引上げというのもありまして(ギャグですので念の為)、今の所要準備預金水準を一気に引き上げれば(銃声)。

しかしまあニャンですな、当座預金残高積み上げる為には誰かが超過準備を持たないといけないという事になるのですが、超過準備をどうやって持ってもらうのかという問題が当座預金残高100兆円レベルで大問題になるのにどうやってあと70兆来年積むんでしょうかねえというのと、あともう一つ重要な問題は「そもそも2年で2%の目標を達成する(キリッ)」と言っているのですからして、来年無茶振りして70兆円のMBを追加で積んでしまって短期市場から債券市場から全力で叩き潰してしまった後に、当然ながら出口政策の問題が出てくる筈(そうしないと物価が止まらなくなるでしょ)でして、その際に市場がぶっ壊れ状態になっていて出口政策が円滑に遂行できるのかよと思う訳で、市場が壊れるのも困るが出口の方がもっと巨大なリスクになるだろというのが超オソロシスなんですけど。

#ということでFEDネタに日銀ネタがあるというのにまさかの短期ネタで今日も時間ががががとなるアタクシ


○引き続きちょこちょこと逆さ絵記者会見:・テーパー日和った説明のコーナーから

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130918.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference September 18, 2013

今朝もPRELIMINARY版である。

引き続き冒頭の逆さ絵先生の落語もとい説明で本文3ページ(PDFファイルも同様)から。

『I’ll discuss these tools in turn, beginning with our program of asset purchases.』

で、最初はQE3をどう実施しましたという話。

『In September 2012, the FOMC initiated a program of purchasing $40 billion per month in agency mortgage-backed securities, in addition to the $45 billion per month in longer-term Treasury securities that we were already acquiring as part of our Maturity Extension Program.』

さいですな。

『We stated that, subject to our ongoing assessment of the efficacy and costs of the program, purchases would continue until we saw a substantial improvement in the outlook for the labor market in a context of price stability.』

労働市場の見通しの顕著な改善が物価安定の下で見られるまで継続すると申し上げましたと。

『In December 2012, we announced that we would continue to purchase $45 billion per month in longer-term Treasuries after the Maturity Extension Program ended later that month. Thus, our total purchases of longer-term securities were maintained at $85 billion per month, in addition to the reinvestment or rolling over of maturing securities on our balance sheet.』

で、1月に追加しましたと。

『The Committee agreed today to continue asset purchases at that rate, subject to the same conditions that we laid out a year ago.』

1年前と同じ理由とな!

『Because the Committee tied its asset purchases to the outlook for the labor market, it is important to assess how that outlook has evolved.』

LSAP(ちなみに念の為申し上げますと、QE3以降「ラージスケールオブアセットパーチェス」という言い方をしなくなってるのでよろしゅうに)は労働市場の見通しに紐付けされているとのことですが・・・・・

『As I noted earlier, conditions in the job market today are still far from what all of us would like to see. Nevertheless, meaningful progress has been made in the year since we announced the asset purchase program.』

でこの後実際にどのように改善しているかという話を延々と続けているのですが、「満足する状況からは遠いが改善は進展している」という話と、資産買入政策は上述のように「アウトルック」に紐付けしているのですからして、この「現状が満足する状況からは依然として遠い」というのは本来的に言えば直結しない話でして、そもそも金融政策が雇用に与える影響ってタイムラグがある筈ですからして、現在水準がそうであるから緩和拡大を続けるというのが必ずしも正しい理屈にはならないと思うのですよね。

んでもって今回経済の見通しがそれなりに下がっているというのであれば理屈は通るのですが、SEPの2016年見通しを見れば何と完全雇用で潜在成長を上回る実質GDP成長を達成するというバラ色の未来になっていますし、これ後の方で出てくるのですが「6月FOMC時点の見通しにほぼ同じ」という説明もありまして、そういう中で元々の地均しを何で覆す話になるのかというのが説明不足というか混乱しているにも程があるという所であります。

ちなみに何が改善したかというのも一応引用します。失業率と雇用者数と平均労働時間と失業保険新規申請者数と家計の雇用に関するコンフィデンスの話をしています。

『For example, the unemployment rate has fallen from 8.1 percent at the time of our announcement to 7.3 percent today, and about 2.3 million private-sector jobs have been created over the same period. Over the past 12 months, aggregate hours of work are up by about 2.4 percent, weekly new claims for unemployment insurance have fallen by about 50,000, and surveys suggest that households perceive jobs as more readily available.』

で、ここでまたフィスカルドラッグの話をまじぇまじぇしていまして、まあ要するに逆さ絵先生としては足元のフィスカルドラッグリスクが高まったから日和りましたという事なのでしょうかねと思わせる話。

『Importantly, these gains were achieved despite substantial fiscal headwinds, which are likely slowing economic growth this year by a percentage point or more and reducing employment by hundreds of thousands of jobs.』

わざわざ言わなくても良いのを入れている所に逆さ絵先生の意図を感じますな。

『Not all labor market developments over the past year were positive, however; notably, the labor force participation rate fell by about 0.3 percentage points over the past year, and real wages remained about flat.』

必ずしもすべての雇用関連数値が良い訳ではなく、労働参加率が下がっていることと実質賃金がアガランチ会長な事なんかがございますねという話。


で、次が6月の会見で堂々説明した件の再掲部分みたいなコーナー。

『In light of this cumulative progress, the FOMC concluded at our June meeting that the criterion of “substantial improvement in the outlook for the labor market” might well be met over the subsequent year or so. Accordingly, the Committee sought to provide more guidance on how the pace of purchases might be adjusted over time.』

『The Committee anticipated in June that, subject to certain conditions, it might be appropriate to begin to moderate the pace of purchases later this year, continuing to reduce the pace of purchases in measured steps through the first half of next year, and ending purchases around midyear 2014.』

という説明をしていましたな。

『However, we also made clear at that time that adjustments to the pace of purchases would depend importantly on the evolution of the economic outlook, in particular, on the receipt of evidence supporting the Committee’s expectation that gains in the labor market will be sustained and that inflation is moving back toward its 2 percent objective over time.』

あくまでもデータ次第とこの前言いましたよ(キリッ)とか言いましても、はいはいワロスワロスという所でございまして、だったら何でその前段のような思いっ切り決め打ちみたいな言い方をしたのだと小一時間。


『At the meeting concluded earlier today, the sense of the Committee was that the broad contours of the medium-term economic outlook-including economic growth sufficient to support ongoing gains in the labor market, and inflation moving toward its objective-were close to the views it held in June.』

おい見通しが6月と近いんだったら何で今回見送りになったんだよ、という説明は以下に。

『But in evaluating whether a modest reduction in the pace of asset purchases would be appropriate at this meeting, however, the Committee concluded that the economic data do not yet provide sufficient confirmation of its baseline outlook to warrant such a reduction.』

つまり足元の指標がイマイチなのでヒヨルドになりましたと。

『Moreover, the Committee has some concern that the rapid tightening of financial conditions in recent months could have the effect of slowing growth, as I noted earlier, a concern that would be exacerbated if conditions tightened further.』

お前は何を言ってるんだという所ですが、質疑応答の方でそのものズバリで「あんさんの言った金融市場のタイトニングに対する責任はそもそもあんさんにあると思われますがどうお考えなのでしょうか」というのもありますのでお楽しみに、って今日間に合わないので(つーか質疑応答の2番目、本文8ページにあって質疑ともにオモロイのでお暇な人は読んでくらはい)。

『Finally, the extent of the effects of restrictive fiscal policies remains unclear, and upcoming fiscal debates may involve additional risks to financial markets and to the broader economy.』

まあ結局これなんでしょと思う次第。そもそもアウトルック直結という建付けになっているのに、足元の指標で一々ヒヨルドになるというのもちょっと理屈が通らない訳で、フォワードルッキングに見た場合にフィスカルドラッグがかなり懸念されるのでここで緩和規模の拡大を減らすのはやりたくないというのであればまあ話は分からんでも無い。

『In light of these uncertainties, the Committee decided to await more evidence that the recovery’s progress will be sustained before adjusting the pace of asset purchases.』

ただまあ昨日も申し上げたように、フィスカルポリシーのリスクは年内に全部片が付くのかどうか微妙ですよね本当に「今年の後半に緩和規模縮小」ってのが出来るのですかねという所ですな。

『The Committee will, of course, continue to monitor economic and financial developments closely. As noted in today’s statement, in judging when to moderate the pace of asset purchases, the Committee will, at its coming meetings, assess whether incoming information continues to support the Committee’s expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective.』

まあその毎回点検する云々は理屈としては分かるしその通りなのですが、では元々6月に示した「見通し」とは何だったのだというツッコミをしたいのに加えまして、先行き見通しが顕著に下がって居る訳でも無いのに何で今回ヒヨルドになったかと小一時間という話になる訳で、まあ財政に関する部分を強調しているからその辺が影響してるんだろうなあというのは分かりましたが、じゃあ財政に関する協議が成立したら早速Taperingなのですかとか、LSAPペースの縮小に関する「判断基準」が下手に事前アナウンスすることによって全くもってワカランチ会長になりました罠という話です。

『However, as we have said and as today’s decision underscores, asset purchases are not on a preset course. The Committee’s decisions about their pace will remain contingent on the economic outlook and on the Committee’s ongoing assessment of the likely efficacy and costs of the program.』

まあ大体声明文でも説明している話ですが、資産買入プログラムのパスは事前に決められたコースではありませんとか、今後もメリットデメリットを勘案しながら検討するとかまあそういう話をしておりますな。

で、この次がフォワードガイダンスの話なのですが時間ががががなので以下明日に続く(いつまで引っ張るんだというツッコミは無しの方向で、他のFEDネタも読んだら投下していきます)。


○そういえば日銀の人の講演ネタがスルーですが(もはや備忘メモ)

木内さんの講演ネタが途中な上に会見ネタがスルーされていますが、こちらの会見ネタは中々面白いというか結構辛辣なことも言ってるので観賞用としては中々です。

黒田さんのきさらぎ会での講演はどうせいつもの話と思ってスルーしているのですが(出た時に市場が全くの無反応だったのがアレ^^)面白いツッコミどころがあるかもしれません。

休み中に白井さんの講演があったのですが、何で日銀の現在の政策がフォワードガイダンスの2本立てになっているのかがさっぱりワカランチ会長なのですが、これ恐らく元ネタの一部がBOEがこの前出していた非伝統的金融政策に関するクソ長いペーパーの要素があると思われまして、これがまた出た時に読もうと思っていたのですが物が長いのと諸般の事情で読んでるヒマがあまりなかったので読んでなく、そっちを確認してからツッコミをいれようかという気にはなっております。





2013/09/24

お題「短期およびオペ関連雑談/FOMCのコミュニケーションがグチャグチャになっている件について」

いやあのこの週末にかけてネタ候補が物凄い勢いで投入されて3連休と言えども読むほうが追いつかないんですけどorzorzorz

○2MTB入札でウヒョー&2年が0.10%とな

金曜は2MTBの入札でして、前場途中までは一応WIで0.05%台後半での気配だったのですが、前場引けの時点で0.05%が出合うとか入札前から不穏な雰囲気で落札結果もはいこの通り。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130920.htm

(3)募入最低価格 99円99銭2厘0毛 (募入最高利回り)(0.0478%)
(4)募入最低価格における案分比率 39.2128%
(5)募入平均価格 99円99銭2厘4毛 (募入平均利回り)(0.0454%)

・・・・・・・・・0.05%割れですかそうですかこれはヒドスと思ったら後場になって短期のアホのような強さに引っ張られて2年カレントまで0.10%が出合うわ引けは0.10%がビットサイドになるわ(BB引けは0.10%)とウヒョーとしか申し上げようがない誠に遺憾な展開。

ご案内の通り、先週は実働4日中3日でTBの入札があるという入札連発ウィークだったのですが、最初の1Yから順に平均落札利回りが0.0686%→0.0573%→0.0454%ということでして、回を追うごとに需給が悪化するかと思えばその逆でホップステップ大爆発という爆発オチで締めるという素敵な結果になってしまいましたです。

まあ元はと言えばその前の週の金曜に短国買入を1兆5000億円も打ち込んで落札が2毛も流れて一気に目線が変わったのと需給が良いのがあからさまになったのが点火材料(もっと言えばそのまた前の週に短国買入2兆円打ち込みをして雰囲気が明らかにおかしくなったのはその直後から)だったりしますが、本日はまたまたその短国買入の実施が想定されておりますのがオソロシスな所です。

短期市場のオッペケペー状態を勘案すると見送りでも良いんじゃネーノとは思うのですけれども、何せ短国買入オペは帳尻オペとしてMB積むためにせっせと実施するというのが仕様になっているとしか思えない最近のオペの打ち方(そらまあMBを出すのがディレクティブですから、MB達成に向けて途中の残高積みもしておきたいという事になったら市場との対話も糞も無いというのは分かりますけど)ですので、今日想定される短国買入を何ぼ打ってくるのやらと大変にアレ。

まー何ですな、金曜の新発2Mって通常のパターンですと短国買入の対象銘柄にならないのですが、木曜の新発3Mなんて既に物はスッカラカンだと思われますので、今日は下手な打ち方をすると夢の出来上がりマイナス金利とか夢の札割れとかするんじゃネーノと今からガクブルもんでして、いずれにせよこれはオペレーションの限界キタコレという事では無いでしょうかと思うのでありました。


○どう見てもオペレーションの限界です本当にありがとうございました・・・・・なのかね??

ちなみに、日銀当座預金残高ちゃんのほうですけれどもね。

日銀当座預金増減要因と金融調節 (9月20日<金>分)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130920.htm
当座預金残高 987,600


年末のMB目標はこちらの4ページ目
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
マネタリーベース 200
当座預金 107

ちなみに日銀のトップページの右側の下の方に(ネタにするタイミングを逸したのでネタにしませんでしたが)確か7月位からMBの数値だの日銀当座預金残高の数字だのが出るようになっておりまして、これは19日ベースのですけれども
http://www.boj.or.jp/
マネタリーベース1,811,800億円(2013年9月19日)
日銀当座預金残高934,700億円(2013年9月19日)

つーことで、20日はここに5兆円オンしているのですが、MB200兆円を達成するのに当座預金残高がそのままで計算すると、当座預金残高が112兆円になるのですが、年末は銀行券が増発されるのでもうちょっと少なくて済みまして(昨年末の銀行券残高が86.7兆円で直近の銀行券残高が83.1兆円だから4兆から5兆円程度の糊代がある)さっき引用したように107〜108兆円程度の当座預金残高とかまあそんな話になるんでしょう。

つーことはどう考えてもここから当座預金残高を9兆から10兆円積まないといけないのですけれども、貸出支援基金が伸びず、固定金利オペはロールの度に減っていく(足元での問題は政策金利の変更期待による金利低下ではなく、需給が極端に締まって短期金融市場での「モノ不足」が生じている状態で、まあどう考えてもその状況が解消しそうもない(さらに短国の買入を積みそうな勢いだから)のですから、先行き数か月間(最近の固定金利オペは4か月で実施)の担保繰りが固定化させるわ、GC金利とか下がっているし資金も余剰状態だわという状況の中で固定金利オペの残高は減る一方だわな)ので、さらに短国買入にしわ寄せが来て、短国の物不足が拡大すると益々固定オペの残高が減る(市場でのファンディングがつきにくい一般債などの分もあるのでゼロにはならない)という悪循環になりますので、はてさてこれはどうしたもんかという所っすな。

つーかね、これで短国買入札割れだの出来上がり金利がとんでもなく下がる(まあマイナスは極端にしても)となりますと、「短期オペの限界があってMB目標達成に短期部分が足りない」→「長期国債の買入をもっと拡大しないと目標達成が出来ない」という話になって、ただでなくさえ日銀買入攻撃の結果需給がアチャーになって価格形成があばばばばーになってセカンダリーの売買がスカスカとなっている中長期債券市場の方も誠にアレという話になってくると益々困ったちゃんになるんですけどねえ。

つーかまあ年末のMB200兆円は兎も角として(というか兎も角にならない可能性もあるのですが)来年末のMB270兆円ってどこをどう考えても無理無理無理という話になると思う訳ですが、これはもうMB増やすために何か別の事考えた方が良いんじゃないかというレベルのような気がするんですけれども、ということで与太話のネタになるのですが与太話コーナーはそのうちまたということで(与太にしても一応まとめが必要ですから^^)。

#ということで分かったような判らんような雑談コーナーでした


○早速色々と発言キタコレ

さあ盛り上がってまいりました!!!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTFAG66K50YC01.html
ブラード総裁:見送りはぎりぎりの判断、10月に小幅縮小も
更新日時: 2013/09/20 23:44 JST
(ちなみにブラード総裁は見送り上等派ですので念の為)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTG8FH6TTDSA01.html
カンザスシティー連銀総裁:当局は刺激縮小開始の機会逃した
更新日時: 2013/09/21 09:25 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTL12R6TTDTK01.html
NY連銀総裁:当局は向かい風を「力強く」押し返す必要
更新日時: 2013/09/23 23:44 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTL0WS6TTDTR01.html
アトランタ連銀総裁:米金融当局は景気加速に注力を
更新日時: 2013/09/23 23:38 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTLAPQ6TTDTH01.html
米ダラス連銀総裁:緩和縮小見送り、金融当局の信認損ねた
更新日時: 2013/09/24 03:12 JST

おまいら・・・・・・・・・(−_−メ)

ということで、早速タカハト両方からここぞとばかりにああだこうだというのが出て参りまして、さあ盛り上がって参りましたとしか申し上げようがございませんが、あーた逆さ絵先生の会見&Q&A読む暇を与えずにその先の発言がドバドバ出るとかまさに読む暇なし(というかさすがに読んでない)訳ですが、こらまたカオス状態になっております罠という所です。

まーこの調子ですと資産買入に対する市場の見通しも混乱というかフラフラと振れるだろうなあというのは想像するに難くないのですが、フォローする方も疲れるわという所ではございます。

となると益々逆さ絵会見での説明を確認する必要に迫られるのですけれども・・・・・・・・・・・・・


○FOMC後のバーナンキ議長会見ネタ(その1)

どうせ今日書ききれない&まとめきれないので既に諦めモードで(その1)とか書いていますが(汗)。

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130918.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference September 18, 2013

これ書いている現在公開されているのはPRELIMINARY版になりますのでページ等は初稿版ベースになります。


・先にあたくし的印象を書いておくと・・・・・・・・・・・

どうせご紹介の方が今日ではオワランチ会長な位にネタ満載の会見なので先に私家版まとめを書いておきますが、今回の会見での説明および質疑応答を見てて思ったのは「どう見てもシッチャカメッチャカ」というと余りと言えば余りなので言い換えると「いやあ混乱してますなあ」という所でありまする。

つまりですね、まあ当たり前なんですが質疑の方でゴリゴリとツッコミを受ける中で、ああでもないこうでもないと説明はしているのですが、「何で今回オープンエンドのAPPペースの減額をしなかったのか」という質問が手を変え品を変えて(というよりは同じような質問がゴリゴリと来るという感じでしたが)来るのですが、説明をする中でえーっとそれは前後矛盾していませんですかねえというような答えが結構連発されていて、まあ逆さ絵先生におかれましても相当苦労してますなあというのは把握される所でありまする。

んでもって、今回の質疑応答で妙にクローズアップされている感があるのが「連邦財政に関するリスク」でして、ここの部分に注目して考えた場合、債務上限の再拡大問題とか、放置していると来る予定の自動財政支出削減攻撃問題とか、その辺の懸念っていったん後退した筈だったのに、こらまた急にどうしましたねん(オバマ大統領の求心力低下で従来楽勝だと思っていた本件のリスクが高まったという指摘はございますな)という所ですが、しかしそうなると普通に考えて10月FOMC(と言っても10月末だが)の時点で問題が片ついているとも思えず、そうこう言ってるうちに逆さ絵先生の議長としての任期が切れてしまいますので、まさかイタチの最後っ屁のような12月FOMCでのTaperingねえという風に思いますとやはりこれは・・・・・・という気もします。

が、ハト派のブラード総裁(正確に言えばブラードのおっちゃんは超物価派なので、物価見通し次第でハトになったりタカになったりする)が言っているように、ちょっと経済指標(雇用関連)が良くなるといきなり元に戻るかもしれませんし、何が何やら今から決め打ちはしにくい、というか市場が決め打ちモードになったら逆に逝った時のリスクががががとなるんでしょうね。ってな程度の事は普通に皆さん考えるでしょうから米国債券市場でもポジション繰りは半身の構えになるのかも知れませんが、何せ今回のようなTapering云々というのは米国でも中々前例が無かったからメリケンクオリティで大暴れ相場になるに1万ドラクマという事で(^^)。


#いかん前置きが長くなった


・冒頭説明部分から(その1):現状認識の説明部分

最初の所から引用しますが、ご挨拶と今回の決定事項の部分は割愛してその次から。

『Economic growth has generally been proceeding at a moderate pace, with continued-albeit somewhat uneven-improvement in labor market conditions. Of course, to say that the job market has improved does not imply that current conditions are satisfactory. Notably, at 7.3 percent, the unemployment rate remains well above acceptable levels. Long-term unemployment and underemployment remain high. And we have seen ongoing declines in labor force participation, which likely reflects discouragement on the part of many potential workers, as well as longer-term influences such as the aging of the population.』

経済成長の所にgenerallyとかヘッジクローズが入り、労働市場の改善に関しても「幾分かまちまちですが」と入れて、労働参加率の低下の話をしているのですが、実はこの労働参加率に関する説明が微妙にこの後の質疑でワカランチ会長な話をしていて、結局労働参加率の低下が構造的なのか循環的なのかという部分があります。

ただまあ全体を通して読むと労働参加率の低下は構造的な問題で、この点について金融政策でどうこうというのは難しいけれども、雇用環境を見る上では労働参加率の低下を考慮に入れないといけませんよねというのが主張っぽいのだけは把握しました。ただ途中で微妙に矛盾した話もあるんですよねぇ・・・・・・・・・


『In the Committee’s assessment, the downside risks to growth have diminished, on net, over the past year, reflecting, among other factors, somewhat better economic and financial conditions in Europe and increased confidence on the part of households and firms in the staying power of the U.S. recovery.』

この1年間で成長の下方リスクは全体として消えてきているとしていますが・・・・・・・・

『However, the tightening of financial conditions observed in recent months, if sustained, could slow the pace of improvement in the economy and the labor market.』

声明文であった話をここで繰り返しておりますがよう言うわという所で。

『In addition, federal fiscal policy continues to be an important restraint on growth and a source of downside risk.』

つーことで、まあ確かに従来から財政問題についてはリスク扱いでしたけれども、今回はここの部分が従来よりも強調された感がありますな。

『Apart from some fluctuations due primarily to changes in oil prices, inflation has continued to run below the Committee’s 2 percent longer-term objective. The Committee recognizes that inflation persistently below its objective could pose risks to economic performance, and we will continue to monitor inflation developments closely.』

つーことで物価の話は前回のFOMCステートメントから登場していますが、今回も物価の話をする際に現状認識の次に「インフレが低いリスク」をぶちかましているのがチャーミング。

『However, the unwinding of some transitory factors has led to moderately higher inflation recently, as expected; and, with longer-term inflation expectations well-anchored, the Committee anticipates that inflation will gradually move back toward 2 percent.』

で、ぶちかました後に「でも一時的要因の巻き戻しで物価はターゲットに向けて上昇」という風に締めているという説明になっているのでした。


この次がSEPの説明で、その後「我々の政策は資産買入とフォワードガイダンスですので、まずは資産買入からご説明します」ということでキタコレになるのですが、誠に恐縮なことに時間の関係上続きは明日ということですいませんすいません。


#しかもこの間に積み残しの木内審議委員講演に続いてきさらぎ会での黒田総裁講演、海外では白井審議委員講演とあって全然ネタの消化吸収が追いつかなくて胃酸が必要な今日この頃でありまするorzorzorz



2013/09/20

お題「3M入札が0.05%台とな/FOMCレビュー雑談」

投資減税とかなら分かるのですが「復興目的税の前倒し終了」というのは政治的に筋が悪いように思えるのですけど・・・・・・・・・・
http://www.asahi.com/politics/update/0919/TKY201309180887.html
法人向け復興増税、終了へ 1年前倒し、消費増税に備え
2013年9月19日8時10分


○だいたい市場関連メモ

・3M入札ェ・・・・・・・・・・・

昨日は3MTBの入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130919.htm

(3)募入最低価格 99円98銭5厘5毛(募入最高利回り)(0.0581%)
(4)募入最低価格における案分比率 32.7511%
(5)募入平均価格 99円98銭5厘7毛(募入平均利回り)(0.0573%)

・・・・・・・・・・・・orz

えーっと、先日の短国買入で衝撃の2毛強足切りになってそこから3Mの目線が0.06%(短国買入足切りの出来上がりレート)になった訳ですが、足元の玉無し芳一状態を鑑みますと0.06%目線で札入れて空振りの刑を食らう方がリスクだから上にも札を入れておきますかという展開になったら貫録の0.06%割れですかそうですかという流れ。

まあ本日は2M入札があるのですが、発行額が2.5兆円ぽっちしかない物件ですので、突っ込むときは突っ込むという大変に素敵な仕様となっておりますのでいやもうどうなるんでしょうかねえ・・・・・・・・


・5−10年の輪番

昨日の輪番
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130919.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2013年9月24日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年9月24日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年9月24日 2014年1月8日

ということで、5−10年の輪番ですが、10年カレントが銘柄交代して最初に入れることが可能になった輪番なので従来のお約束水準の4500億円に戻すのかなという見方もあったのですけれども、結局しらっと4000億円継続ということですので、4000億円に減らした時に「カレントの特定銘柄ばかりバカスカ入るから配慮した」説もあったのですが、恐らくそんな配慮はしていないでしょうねえというのは把握したという所ですな。

まあ買入銘柄の平均残存の問題だと思うのですが、この辺の計数に関しては今度じっくり計算してみます(って先週も言ってたような気がしますが)のでまた後日。


・結局ブルフラット

昨日の債券市場はまあお約束のように上昇したのですが、先物主導というよりも現物が強くて、しかも時間の経過と共に超長期が相対的に強くなる(引けにかけて手前が売られて押し込む中で超長期の強さが目立つ格好に)という流れになりました。

まあ何ですな、消費税問題の動向を見極めてからとか、Tapering開始の影響を見極めてからとか、まあそんな感じの毎度お馴染み様子見地蔵先生の言い訳につきまして、どう見ても増税予定通り方向な上に逆さ絵先生まさかのヒヨルド状態になってしまいましたので、買わない言い訳がががががで葉っぱ踏み踏みということですねわかりますという所ですかそうですか。

しかも期末で現物債の需給がーというのもありますし、まあシャーナイナイでした罠。と後で何が起きたか忘れないためにメモだけ置いておきました。



○FOMCレビュー雑談

本当はここで会見ネタを投下するのが正しい姿なのですが、会見ネタを精読している時間ガーでございまして(超大汗)、今日は今回の声明文とSEP関連の追加雑談(昨日時間切れで書けなかったというか、書いているうちに色々と考えが出てきたのだが時間が無かった件なども含め)で勘弁。


・政策の反応関数がワカランチ会長になった件について=経済指標に振らされそうですね

まあ何せ今回の声明文の白眉は「最近の金利上昇による金融環境の引き締まりが持続した場合、景気や労働市場の改善の速度を遅らせるリスクがある」という部分でして、まあどう見ても恥ずかしい文言としか申し上げようがありませんで、言ってみれば髭を全部抜いて頭に植毛した方が良いんじゃないか位の話なのですが、そういうのを平然と記載するメリケンクオリティに感動したと思ったらやはり皆さんここの文言には呆れ果てていたようで自作自演だのマッチポンプだのという声が多かったようで何より(^ω^)。

でまあその文言もそうですけれども、結局の所今回Tapering開始を見送った理由が「経済指標を見た結果の総合判断」以外にさっぱり判らないというのがこの声明文を見た結果の印象でして、そうなりますと今度は「じゃあ何が改善したらTaperingが始まるのか」というのがこれまた全然ワカランチ会長になってしまったというのが今回の決定の最大級の問題であります。

直近なんぞはSF連銀とNY連銀のエコノミストが連名で追加的な資産買入のマージナルなプロコン分析とかしていて、プロコン的にもここから追加するのはメリット小さいみたいな紙をだしていたり、プロコンの話を結構出していた筈なのですが、今回の声明文では第3パラグラフの頭に「昨年来の買入は連邦政府の財政削減の悪影響をオフセットする効果があった」とか急に資産買入政策の効果みたいなものを持ち出して来まして、良くこの文言が声明文に載ったな(これまでのFOMC参加者の講演などを見ると「プロコン分析的に今後の買入拡大って如何なものか」という見解の人もいた訳ですし)と思うのでありまして、5月以来の地均しと全然違う話が声明文であちこち打ち込まれているというのは、どう見てもコミュニケーション政策大失敗の巻という所でしょう。

つーことで、フォワードガイダンスにしろ資産買入に関する「労働市場の顕著な改善」文言にしろ、本来は「金融政策の反応関数を分かりやすくする」ためのものだった筈なのですが、(金利政策に関するスレッショルドの方はともかくとして)資産買入に関する政策反応関数については今回の謎決定によって市場としてはさっぱり訳が判らなくなってしまったというのが今回の結果でしょうねと思います。

となりますとど〜ゆ〜事になりますと言いますと、普通に考えてそんなに急速に雇用関連のデータが劇的に改善する訳でも無い(失業率の低下はパーティシペーションの低下要因も大きいですから)と想定されると存じますので、そうなったら10月のTaperingは無理無理でしょどころか12月のTapering開始も怪しいわという事になります。


でも、それまでの地均しを9月雇用統計一発でひっくり返した(ようにしか見えませんがどうなんですかねえという辺りがさっぱり読めないのが先ほどからウダウダ申し上げているように「政策反応関数が分からなくなった」という事です)ということを勘案すると、雇用関連指標などの経済指標がちょっと好転したらまたコロッとTaperingヒャッハーとなるかも知れませんし、何にせよ「読みにくい」となりますと米国債券市場のボラは高くなる、というよりは経済指標で一々振らされる展開になるんでしょうなあという風に思いますけれどもどうでしょうかね。


・SEPのロンガーラン数値と見通しの整合性が変な件について

昨日駆け足でやったSEPなんですけどね。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130918.pdf

実は2016年の予測数値とロンガーランの数値を並べると????なのですがこれはどう解釈すべきかと。

全員のレンジでも中心的見解でもいいのですが、まあ中心的見解の方を出しますね。

2016年
実質GDP:2.5%〜3.3%
失業率:5.4%〜5.9%
PCE総合物価指数:1.7%〜2.0%

ロンガーラン
実質GDP:2.2%〜2.5%
失業率:5.2%〜5.8%
PCE総合物価指数:2.0%

つまり、ロンガーランというのは要するに均衡水準という概念にほぼ近い数字であると考えられますので、2016年は失業率と物価がほぼ均衡水準の一方で実質GDPは均衡水準(潜在成長率)を1%近く上回る水準で推移する、という話になります罠。

一方でFF誘導目標水準の予測値(これは全員の数字になりますが)ですが、

2016年:全員を算術平均すると2.265%、主に1.75-2.00%と2.50-2.75%の所に予想のかたまりがある
ロンガーラン:ほぼ4%で収斂している

という状態になっていまして、2016年に既に物価と失業率が中立水準にある中でFF誘導目標金利が中立金利の水準から2%近く低い水準にある、というのがこのSEPの見通しを全部足した結果になるのですけれども、そんな事したらどこからどう見ても2017年にはインフレが加速してエライコッチャでございますがなという話になると思うので、そう考えますとどう見てもこのSEPって全体の整合性が全然とれていませんがなという話になると思うのですがどうでしょうか。

いやまあ元々SEPの数値って微妙に全体の整合性が取れていませんなあというのはあったのですが、今回は正常化の姿が見えるような予想が出てくる所までの予想が入り、その結果としてお前それは変じゃねえのかという風になったんだろうなあとは思います。記者会見まで全部読めてないので誰か質問した人がいるのかどうか知らんですけど。


でですな、まあこの整合性問題ですけれども、景気見通しと金利見通しの整合性が取れていないというよりは「ロンガーランで示された数値のどこかの置きがおかしい」という事ではないかと思うのですよ。

つまり、根拠レスなんですけれども(おいおい)「中立FF金利4%」という数字の置きが変であって、潜在成長率が実はもうちょっと低いのか、実はロンガーランの物価水準2%というのが高いのか、何かその辺って実は違うんじゃないかなあと思うのですよ。

そもそもSEPの見通し数値って(これは中央銀行が出すものの一般的傾向でもありますが)景気に対しては威勢の良い数値が出てくる傾向にある(景気の悪い見通しを出してマインドを悪化させる事も無いでしょ、という話ですな)ので、そこでバイアスが掛かっている一方で、実際にはそれで金利先高観が出ても困るからということで政策金利に関する数値が低めに出てくる、というバイアスがあると思われますので、そういう部分の矛盾が盛大に露呈したのが今回のSEPである、と考えますとこれはこれで中々味わいの深いものがあると思います。

つーことでですね、景気見通しの上方バイアスと政策金利見通しの下方バイアスが同時に出た結果こういうオモシロ見通しになったともいえるのですが、ただまあそれにしても中立金利との差が大きいので、中立金利水準の置きがおかしい(つまり潜在成長率の低下とグローバルディスインフレ傾向をスルーしている)という要因もあるんじゃないのかな、と思ったのでメモメモでしたが、あたくし頭が悪いのでこのロジックの組み方がおかしいような気もするのでおかしいようでしたら是非ともご教授頂きたく伏してお願い申し上げますm(__)m


○木内さんの講演をやる時間ががががががが

木内さん渾身(かどうか知らんが)の講演を結果的にパスする結果になりまして誠に申し訳ございません。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130919a1.pdf

時間が無いので(すいません)続きは来週ですけれども、今回の木内さんの講演では景気の見方に関して執行部の中心的見解と比較して「海外経済の先行きに下方リスクを強く感じている」というのが特色だと思います。あと特色は当然の部分ですけれども毎度決定会合で反対&少数提案をしている「2年で2%は無理じゃろ(超意訳)」部分であります。

ということで『3.経済見通しの下方リスク』だけ引用しますね。

『(1)海外経済を巡る不確実性』

キタコレですが。

『以上の経済・物価見通しのメインシナリオに関して、私自身も、日本経済の先行きについては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基本的に景気の前向きな循環が維持されていくと考えています。但し、個人的には、下振れリスクの方をやや大きめに考えています。その主な理由は、海外経済、なかでも新興国経済を巡る不確実性の高まりにあります。』

ふむ。

『IMFの世界経済見通しの最近の修正状況を振り返ってみますと、2012年4月時点で予想されていた成長見通しは、その後、下方修正を続けています(図表5)。当初は十分に予見されていなかった新興国経済の減速が、その背景にあると考えられます。さらに、最近、一部の新興国・資源国において通貨安・株安が長引いている背景には、過大な成長期待を背景にリーマン・ショック後に形成されていった経済・金融面での不均衡の調整という側面があるように思います。こうした不均衡の形成は、新興国・資源国の民間部門における債務の累積に端的に表れていると思います。世界銀行のデータでみると、低中所得国の民間部門向け与信のGDP比率が2009年頃から顕著に水準を切り上げていることが確認できます(図表6)。』

だすなあ。

『他方で、米国経済を中心とした先進国経済が、新興国経済の減速をカバーしつつ、この先世界経済を十分に下支えできるかについても、不確実性が残っています。』

キタコレ!

『この観点から、特に足もとの米国の長期金利や原油価格の動向、米国の労働生産性上昇率の低下に注目しています。米国の本年前半の非農業部門の労働生産性上昇率は前年比ほぼ横ばいにとどまりました(図表7)。これは過去の年間値と比較すると、1993年以来の低水準です。労働生産性上昇率のトレンドが低下している場合には、安定した雇用増加が続いても、先行きの所得増加期待は容易に高まらず、米国経済の先行きを大きく左右する個人消費になかなか力強さが戻らないことも考えられるため、その動向を注視していきたいと思います。』

ということで、もう一つは国内要因なのですが、その辺を含めましてと後半の2年で2%に関する部分は会見テキストと共に週明けにでも、というかBOEのミニッツとFOMCの会見ネタがあって、どうせFOMC終わったのでまたぞろ連銀の皆さんがピーチクパーチク言い出すでしょうし、中々ネタ満載モードではありまする(他にも日銀から信用金庫の経営指標に関するペーパー出てたし)。




2013/09/19

お題「FOMC日和りやがるとはこいつはビックリ」

1年短国入札ェ・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130918.htm

(3)募入最低価格 99円93銭0厘 (募入最高利回り)(0.0696%)
(4)募入最低価格における案分比率 6.4930%
(5)募入平均価格 99円93銭1厘 (募入平均利回り)(0.0686%)

0.07%割れかよおいおいという話もあるのですが、本日の注目は3M入札どの辺でやりますねんというのと、輪番の5年〜10年のオファーが(たぶん今日あるんじゃなかったでしたっけ)4500億円に戻るかどうかですが、それよりも何よりも今日のFOMCでおおビックリという所で。

つーかまあ良く考えたらこの前雇用統計出た時にあたくしも9月Tapering開始の自信がだいぶ減ったとかゆうとったのですが、市場が普通に織り込んでいたのでやっぱり実施ですかそうですかまあFEDは市場が織り込むのに従いますもんねえと思っていたのでいやまあ日和りやがるとはねえという所ですな。

今日はワクワクし過ぎて夜中の2時に目覚めてしまい(ただのジジイじゃねえかとか言わない)、何だまだ2時じゃねえかと寝たら結局いつもの時間になるとか残念なのですが、何せ朝5時の公共放送ニュースがトップの全力でFOMCネタを報道(ちな6時のトップもFOMCで、7時に至ってはトップニュースの上に延々と解説がついて7時7分までこのネタをやっていたわ)していて今朝は瞬間で覚醒しましたわwwww

で、いきなり覚醒して読んだのですが何気に声明文見ているとだいぶアレ感が漂うので声明文等(今回結構書き換わっている)を絶賛鑑賞という所です。

#どうでもいいが「セルインメイは9月に戻って来いというのが入ります(キリッ)」とドヤ顔で説明するのはいいんですけれども既に9月半分過ぎて株価が戻ってるんですがそういうのは後出しと言うんじゃないでしょうか・・・・・・・>モーサテの株解説の人


○あたくし的小まとめ

まず声明文なのですが、まあ前回分と比較して一読した感想は「盛大に日和やがったなおいおい」という所でして、後で申し上げますが、「市場金利の上昇ガー」とかオープンエンド買入を行って緩和を毎月拡大しているものを止めようという話をしたらそら金利は上昇するだろお前は何を言ってるんだというような辺りに盛大な日和っぷりを感じますな。

つーかですな、正直言って今月緩和縮小出来なかったら年内出来るのかよという所で、この前までQE3の拡大の限界的なプロコンがどうのこうのとか言ってたのはどこに逝きやがったのかと思う訳で、ああこりゃマクロプルーデンス的にやらかしの悪寒がするわとゆー気もしますけどまあ今後また話がコロッと変わるかも知れないのでいずれにせよ不安定になるんでしょうな。

んでもってSEPの方も注目していたのですが、こちらは表紙(おもてがみ)を一見すると微妙に整合性が取れて無いんじゃネーノという所なのですが、子細に全体の数値を(ファンチャートなども含めて)確認すると、たぶん全体的な見方として「米国経済の潜在成長率(のような概念のもの)が低下している」というのがあるなあと思いましたですよ。

つまりですね、SEPの中であたくし的に注目しているのって実はロンガーランの数値に変化が起きるかという所なのですけれども、今回見ますとロンガーランのGDP数値が若干下がっていまして、ついでにロンガーランのFF誘導金利(つまり中立金利のような概念のもの)が若干下がっている(ほぼ4%に収斂されているのですが、4%超を出してきた人が降りてきている)というのが目に付きまして、FOMC参加者の皆様の意見をアグリゲートして平均を無理矢理出すとそうなるのね(実際は一部の人が見方を下げた、ということだと思いますが)という話かねと思いましたです。

ただし、今回のSEPは総勢17名になっていて、前回が19名だったので人数単純数値比較をすると全体の数値が必ず減になるのでご注意を^^;

あと、声明文の分量が前回対比長くなっておりまして、まあこういうものはあまりにも短いのもどうかとは思いますが、基本的にA4紙1枚で収まるようにするのが美しい訳でして、文章が長くなってああだこうだとなっているというのは悪文の典型ですな・・・・・・って今そこのあなた!「お前が言うな」と思いましたね!!!!


○ということで声明文である

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130918a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130731a.htm(前回)

・第1パラグラフ:何気に色々と下げてやがる件について

『Information received since the Federal Open Market Committee met in July suggests that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in June suggests that economic activity expanded at a modest pace during the first half of the year.』(前回)

のっけから違うのですが、前回謎の「比較期間を変えて急にmodestに下げる」という訳のわからん
攻撃をしたのですが、今回は普通の比較期間(前回会合から、というのに戻す)にして「moderate」
に表現を戻すというプレイに。

『Some indicators of labor market conditions have shown further improvement in recent months, but the unemployment rate remains elevated.』(今回)
『Labor market conditions have shown further improvement in recent months, on balance, but the unemployment rate remains elevated.』(前回)

何かこの辺にも謎の文学的香りがするのですが、労働市場の改善がどうのこうのという部分に関しては前回が「on balance」になっていて今回は「some indicators」になっているので、たぶんこれは前回よりもやや弱い言い方になっている(改善(キリッ)というのに日和成分が高まるという意味です)感じですかね。

『Household spending and business fixed investment advanced, and the housing sector has been strengthening, but mortgage rates have risen further and fiscal policy is restraining economic growth.』(今回)
『Household spending and business fixed investment advanced, and the housing sector has been strengthening, but mortgage rates have risen somewhat and fiscal policy is restraining economic growth.』(前回)

消費支出と住宅セクターの解説および前回から入ったモーゲージ金利の上昇ガーというのは今回も継続ということでここは同文。

『Apart from fluctuations due to changes in energy prices, inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Partly reflecting transitory influences, inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)

この物価の所が何気にげげげのげという所なのですが、前回までは足元の物価低下について「一部は一時的な要因による影響で」物価がややマンデート水準から低下というような言い方だったのですが、今回は「エネルギー価格の変動要因は別と致しまして」物価がややマンデート水準から低下となっていますので、物価に対する表現が弱まる、というか物価の上昇率が弱くなっていますねという点をより明確に示したというのがおーという所です。

ただし次のパラグラフにあるのでそこでご紹介しますが、物価の先行き見通しは下げていませんので念の為。


・第2パラグラフ:盛大な日和キタコレ!と思ったのだがどうでしょうかね

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

まあこれはお約束の表現。

『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate. 』(今回)

『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)

適切な緩和政策によって失業率が物価の安定を伴いながら徐々に低下していくでしょう云々も同じですが問題はこの先。

『The Committee sees the downside risks to the outlook for the economy and the labor market as having diminished, on net, since last fall, but the tightening of financial conditions observed in recent months, if sustained, could slow the pace of improvement in the economy and labor market.』(今回)

『The Committee sees the downside risks to the outlook for the economy and the labor market as having diminished since the fall.』(前回)

後半に新たな付いたものがアレですが、その前に前半の所で従来無かった「on net」というのが入っているのがチャーミングでして、下方リスクは消えました(キリッ)と言ってたのにヘッジクローズが入っているというのがお洒落ですよね。

でまあそれよりもアチャーなのは今回のbut以下の文言でして、「ここ数か月間に観測された金融市場の引締め傾向が、もし継続するのであれば、経済や労働市場の改善ペースを遅らせる可能性がある」という部分であって、お前は何を言っているんだという位の日和っぷり表現を感じる次第ですわな。

もうね、これは見事なマッチポンプとしか申し上げようがない訳で、正常化着手しようとしたら金利が上がったのでやっぱりそれはリスクですよとかビビリが入りましたと宣言しているようなもんで、これはFOMC足元見透かされますわという所で正直これは今回の声明文の中での最大の見ものというかズッコケポイントというかと思うのですがどうっすかね。


『The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, but it anticipates that inflation will move back toward its objective over the medium term.』(今回)

『The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, but it anticipates that inflation will move back toward its objective over the medium term.』(前回)

見通し部分の物価に関する表現は前回と同様で、2%を持続的に下回る状態はリスク云々というブラード総裁もニッコリの表現も継続しています。


・第3パラグラフ:QE3の効果の話をするとかこの辺も日和成分がががが

このパラグラフは基本的にQEの話なのですが、前回対比で思いっきり文章量が長くなっているのがここで、ああでもないこうでもないみたいな書き方が増えるのは基本的に悪文化している典型(とまた自分にブーメラン^^)。

『Taking into account the extent of federal fiscal retrenchment, the Committee sees the improvement in economic activity and labor market conditions since it began its asset purchase program a year ago as consistent with growing underlying strength in the broader economy. However, the Committee decided to await more evidence that progress will be sustained before adjusting the pace of its purchases.』(今回)

ここの部分は概ね新規導入文言でして、まず最初に「財政削減の影響を考慮にいれますとQE3は(その分をオフセットして)基調的な経済全体の成長に伴う経済活動や労働市場の改善に効果がありました」とか言い訳のような話と財政削減云々の話をしているのは何だかなあという感じです。

で、今回はアセットパーチェスの調整(ここでは増やすとも減らすとも言っていないのもチャーミングですけれども次のパラグラフで減らすという話をしています)を行うのには更にエビデンスが必要ですという日和んぐになりましたとの事。

『Accordingly, the Committee decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities at a pace of $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.』(今回)

『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities at a pace of $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.』(前回)

何を行いますか云々の話はまあ現状維持なのですから表現は同様。

『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.』(今回)

『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative. 』(前回)

今回は後半に余計なものがついていますが、直前で引用したように前回は文章冒頭に「To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate,」とありまして、それが文章構成上後ろに来たという形です。


・第4パラグラフ:一応減らすという話をしていますが

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability. 』(今回)

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months. The Committee will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability. 』(前回)

物価安定の元で労働市場の顕著な改善するまで資産買入を継続します云々については何故か今回従来2文に分かれていたのがandで一文になった以外は同じです。

『In judging when to moderate the pace of asset purchases, the Committee will, at its coming meetings, assess whether incoming information continues to support the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective. Asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's economic outlook as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.』(今回)

『The Committee is prepared to increase or reduce the pace of its purchases to maintain appropriate policy accommodation as the outlook for the labor market or inflation changes. In determining the size, pace, and composition of its asset purchases, the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its economic objectives.』(前回)

今後の調整がどうのこうのという部分ですが、こちらについては前回までは「適切だと認識したら増やしたり減らしたりするのは準備できています(キリッ)」となっていたのが、今回は「In judging when to moderate the pace of asset purchases」となっていますので、「減額」を前面にだした形でして、まあこれ自体は減額に向けた話になってはいるのですが、そこまでの各種表現が腰砕けモードになっているからこの辺で少し腰を立て直さないと急にハト派に転換したのでという風になるからというのはあるんでしょうかねとか勝手に思ったりするあたくしですが、まあ何かあまり統一された意志が無いのかもしれませんね、良く判らん。

でもって今回はその「減額」というのを入れておきながらその直後に「でもそれは事前に決めたコースを取って行う訳では無くて経済状況次第」というのも入れておりまして、まあ全体的にはやはり日和というか腰砕けモードという感じですなあという所です。


・第5パラグラフ:金利に関しては前回と全文一致

フォワードガイダンスなどの表現部分はあたくしが読み間違えていなければ全文一致の筈です。今回分だけ引用します。てきとうにぶつ切りはしておきますが。

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.』(今回)

『In particular, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)

『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.』(今回)


・第6パラグラフ:反対はジョージさんだけとな(理由は同じ)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Charles L. Evans; Jerome H. Powell; Eric S. Rosengren; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(前回)

デューク理事が退任してますがラスキン理事は今回欠席だったのですかね。つーことでSEPは19名から17名にかわっています。

『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that the continued high level of monetary accommodation increased the risks of future economic and financial imbalances and, over time, could cause an increase in long-term inflation expectations.』(今回)

『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that the continued high level of monetary accommodation increased the risks of future economic and financial imbalances and, over time, could cause an increase in long-term inflation expectations. 』(前回)

ということで毎度お馴染みジョージ総裁怒りの反対でした。



○SEP

ヤバイ時間ががががなので駆け足で。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130918.pdf(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130619.pdf(前回)

・中心的見通し

ということでこちらの表紙の中心的な見通しを見ると、

GDP:13年上げ、14年下げ、15年上げ
失業率:13年下げ、14年下げ、15年上げ
インフレ:13年上げ、14年下げ、15年横

という感じですが、そんなに極端な変化はありませんな。

でもって16年の見通しですが、

GDP:ロンガーランの成長率を上回る水準
失業率:5.4-5.9なのでロンガーランの5.2-5.8と概ね同じ
インフレ:1.7-2.0でまあ適正

ということで、16年には正常化していますという感じになっています。


・ロンガーランの数値

んでもってあたくしが気にしているロンガーランの数値なのですが、こちらのGDPの数値が中心的な見通し、全体の数値でみた双方で低下している(中心的なのが2.3-2.5→2.2-2.5、全員の数字が2.0-3.0→2.1-2.5)のがほほうというのは先ほども申し上げた通り。

失業率のロンガーランは中心的な見通しが低下してる(5.2-6.0→5.2-5.8)のですが、全員の数値は上がっている(5.0-6.0→5.2-6.0)なので実はそんなに変わっていないのかもです。ファンチャート見てもそんな感じですし。

物価は変わらないのはお約束。


・FF金利に関して

これは母集団が2減っているので単純比較しにくいのですが、ざっと見た感じですと・・・・・・・

利上げの時期に関して、および2015年末のFF誘導金利水準に関する見方はやや金利低下&利上げ遅れる方向になっております。まあそういう計算の仕方も乱暴なのですが、2015年末の所の全員のプロットを算術平均しますと、前回が1.342%だったのですが、今回は1.250%になっておりまして、まあアグリゲートするとちょっと低下したという感じではないでしょうか。

注目の2016年末のFF誘導金利予想ですが、こちらは1.75-2.00%の所に最初のかたまりがあって、2.5-2.75%の所に次のかたまりがあるという感じ(上の方にはタカ派の先生がおいでですが)です。これまた算術平均するとあたくしの計算が間違えていなければ2.265%になります。

ロンガーランについては2名抜けている分も勘案した方が良いのかもしれませんが、それはそれとして、従来4.5%で見ていた3人が降りてしまったのが目立つ所で、4%にほぼ収斂しているのですが、4%超で見ていた人が従来の6名から3名に減っていまして、FOMCメンバーの中立金利に対する見方はタカ派の人たちが降りてきた感じが致します。


ということで時間配分がというか今回は声明文読書に時間を食ってしまったので後半の方が盛大に駆け足になってしまいまして誠に恐縮至極(いつもなら引用するのですが引用しているヒマが無かった)でありまする。


2013/09/18

お題「消費税は予定通りで決着ですかね/超過準備とEONIAの関係を心配するとはずいぶん正常化しましたなあという雑談」

本日はFOMC2日目で結果待ちなので雑談ですな(汗)。

#しかし最近モーサテに出てくる株系の何とかストさんの進軍ラッパが何ぼなんでもお前それは吹き過ぎだろうというのが多いのですがなどと言ってるから債券屋は辛気臭いんですねわかります

#つーか地価が上がって株価が上がって物価が上がってという期待が盛り上がってこれこそアベノミクスとか6時前に発言した同じ人が6時5分に「実質所得の減少で景気ウオッチャーの数値が下がっています」って話をしてお前さっきの話はどこに逝ったんだよと小一時間問い詰めたいのですが、そういう事ばかり言うから金利屋は暗いだの以下同文(−−;

○さて本日は20日渡しのレギュラーとな

http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

GCトモネ(T+1スタートの翌日物)レートの直近推移は以下の通り。

2013/9/9 0.085
2013/9/10 0.057
2013/9/11 0.040
2013/9/12 0.073
2013/9/13 0.094
2013/9/17 0.069

リファレンスレートのトモネちゃんが先週頭から上がったり下がったり忙しいのですが、まあ基調は金が余って潰さないといけなくてエライコッチャという状況で有る事には変わりがありませんですよねと申しますか、今日はT+2のレギュラーが恐怖の9月20日となっておりまして、はてさて20日渡しの所はどうなりますねんというお話。

つーかですな、当座預金残高90兆円少々のこの時点で短期市場が金余りでエライコッチャで玉無し芳一とかになってしまっておりますと、本当の本当にマネタリーベース2倍ニバーイとか出来るのかよという悪寒も致しますし、大体からして追加緩和するにしたって技術的に困難になるんじゃネーノという話(まあ追加以前に今の枠組みもそうだが)ではなかろうかという気もするんですが、良く考えたら短期に皺寄せしないで長期債もっと買えば技術的には行けるのかなとか鬼のような事を考えてはおりますが考えは纏まりません(^^)。

まーその長期にしたって日銀の買い攻撃でセカンダリーの売買がががががとなっているので、そうホイホイ増やして市場は耐えられるのかという問題もありますからねえ・・・・・・・・

というただのメモでした。


○消費税はようやく予定通りの決着のように見えますけど・・・・・・・

こんなニュースがあったのか。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130914-OYT1T00283.htm
浜田氏「自然な流れ」、本田氏は懸念…消費増税
(2013年9月14日10時03分 読売新聞)

『安倍首相の経済ブレーンの浜田宏一・内閣官房参与(米エール大名誉教授)は13日、首相が来年4月から消費税率を5%から8%へ引き上げ、5兆円規模の経済対策をまとめるとの意向を固めたことについて「適当な方向だ」と一定の理解を示した。』(上記URLより、以下同様)

えーっと先生消費税増税してその分財政打つのは愚の骨頂という話をしていた筈なのに何でまたここで急に転びますねん。

『「政治の自然な流れなのだろう」とも述べた。首相官邸で記者団に語った。』

・・・・・・・・・んーっと、専門家としての知見から考えたらおかしいけれども、政治の流れだから適当であるとかそういう物分かりの良い話をされますと、経済政策の専門家としてわざわざ内閣参与として起用されている意味ががががと思いますし、だったら消費税先送りについてこれだけの大騒ぎにせんでも良かったんじゃないですかと存じますが、まあ浜田先生が土壇場で急にコロッと転ばれてしまいましたので、こらまあ普通に消費税増税は予定通りに実施という事で安倍ちゃんも腹を括ったんでしょうなあというのだけは把握しました(^^)。

ちなみに上記記事の続きには(表題にあるように)本田先生の発言もありまして、

『一方、同じく首相の経済ブレーンの本田悦朗・内閣官房参与(静岡県立大教授)は同日、記者団に「日本の置かれた状況は複雑で深刻だ」として、首相の消費増税に対する懸念を表明した。「15年間のデフレが、半年の実質国内総生産(GDP)で判断できるのか」とも強調した。』

うむ、まあ本田先生の方が話の筋は通している(結論には賛成しないが)なあという所ですね。


なお、本石町日記さんが紹介していたので私も山本幸三先生の主張を張っておきますね。

http://www.yamamotokozo.com/2013/09/130912report/
混乱している有識者会議の議論 2013.9.12 衆議院議員 山本幸三

まあ中身は見て下さいという所ですが、従来の「デフレは貨幣的現象なのでデフレ脱却には金融政策で対応」という主張が爽快なまでに一貫しておりまして、

『増税慎重派の主張のポイントは「消費税増税によって個人消費が落ち込み、需給ギャップが拡大して、デフレ脱却が遠のいてしまう。」という点にあるが、本当にそうだろうか。こうした主張を、これまで日銀に積極的な金融緩和政策を求めてきたリフレ派と呼ばれる経済学者達までが唱え始めていることに私は違和感を覚えるのである。私の結論は、「デフレ脱却と消費税増税は全く関係ない。」ということである。その理由は、「デフレは貨幣現象であるので、金融政策がしっかりしてさえいれば、必ず脱却できる。」という点にある。リフレ派の主張は、正にそこにあったのではないか。それが突然金融政策のことを忘れた議論を始めるのは首尾一貫性に欠けるというものだ。』(上記URLより)

リフレ派の本来の主張を一貫しておられましてさすがとしか申し上げようがございません。まーアタクシ個人としては内容自体にはちょっと賛成致しかねる部分がございますが、主張として一貫しているというのは実に結構なお話でして、山本幸三先生の主張されている理論的背景が実際の経済にマッチするのであれば、こうやって一貫した理論的バックボーンで政策を実施すれば上手くいく、とまあそういう話になると思うのですよね。

然るに一部の方面では「一つ一つの主張自体は見解として有り得る主張」なんですけれども、「前の主張と首尾一貫していない」ということで「その場その場で別の理論的背景を持ってくる」という方々がおいでになるのがアレというものでありまして、結局の所それは政策としての効果が本当に出るのかよという話になる訳ですよねと思うんですけどどうなんでしょうかね。

大体からしてマンデルフレミングだから財政効かないよ金融政策が重要だよと言ってた人たちが何で消費税増税に反対する時になると急に増税で景気が腰折れしてデフレ脱却が遠のくという話になるんだよとゆー所で、って山本先生も上にありますように仰せですが、その場その場で何か自分の主張に合いそうな理屈を繰り出して来るのは結構なのですが、その理屈が首尾一貫していないとアクセルとブレーキを同時に全力で踏むような支離滅裂政策になる訳でして、そういう支離滅裂政策にならないために学識者のバックボーンが必要だという話だと思うのですけどにゃあ。

ま、それは兎も角として結論としては消費税増税は予定通りの実施でファイナルアンサーっぽくなったということでめでたしめでたし・・・・・なのかな????


○いまさらですが明日はFOMCなのでこの前のECBネタを虫干し

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is130905.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 5 September 2013

・超過準備に対する評価

質疑応答の最初にこれがあってほほうと思ったのでご紹介。

『Question: You mentioned that if excess liquidity declines much further, you’d be particularly attentive to developments in that regard. Could you help us by perhaps indicating at what point numerically excess liquidity becomes a concern to you and what then you would do about that?(2番目の質問は中東問題なので割愛)』

ということで超過準備に関する質問ですが、この質問にあります『particularly attentive to developments』の部分ですけれども、冒頭の説明でこのようなのがありまして・・・・・・

『With regard to money market conditions, these have also been influenced by a gradual reduction in excess liquidity. Repayments of funds taken up in the context of the three-year longer-term refinancing operations reflect improvements in financial market confidence, some reduction in financial market fragmentation and the ongoing deleveraging by euro area banks. We will remain particularly attentive to the implications that these developments may have for the stance of monetary policy.』

つーことで、3年LTROの返済が進んで超過準備が減少しているのはマネーマーケットの環境が改善していることを示すとして、最後に「これらの状況の進展が金融政策スタンスに与えるインプリケーションについて引き続き注視する」という話をしておったのですな。


でもってドラギ総裁のお答え。

『Draghi: You are absolutely right to have focused on that sentence “particularly attentive・・・”.』

ほう。

『Right now, we view the current excess liquidity as adequate, but we stand ready to act. Now, we have got to be aware that excess liquidity depends on two factors. The less fragmentation there is, the less is the excess liquidity. The second factor is a reaction to the excess liquidity and to the demand, namely through LTROs.』

更にほほうなのですが、超過準備の減少について2つのファクターとして、超過準備の減少は短期金融市場のフラグメンテーションの減少を意味する、というのはまあそうですねという所ですが、2つ目のファクターとして、超過準備が実体経済に対してどのような影響を与えているのかという点ですというお話。

『So now we are down from ユーロ800 billion to ユーロ250 billion in terms of excess liquidity, and that is all in all good news, because it means that fragmentation has been receding.』

これまでの超過準備減少は良いニュースで、これはフラグメンテーションの減少を意味するとな。

『Now, when we come to the relation between the excess liquidity and the EONIA rates - which is what you are really asking - we have to consider that this relation is unstable, in the sense that there isn’t any precise figure.』

しかしながら、超過準備がある程度以上減少すると、今度は超過準備とEONIA金利の関係(要は従来はジャブジャブだったのでEONIA上昇を気にしないで良かったのが気にする時期が来るよね、という話ですな)という問題が起きるが、超過準備とEONIAの関係については(従来の経験値が無い上に)不安定であり、事前に超過準備がどの位だからEONIAレートがこの辺に落ち着きそうというのがワカランチ会長という問題に至りますなとの指摘。

まあほほーという所ではありまして、この話って思いっきり正常化した市場での話という論点になっていて、まあそういう話を会見で展開するというのがお洒落というかほうほうそうですかと思った所なのですよね。つまり、域内金融問題ヒャッハーでエライコッチャというステージから脱却して、こういう「平常時の話」ができるまで状況が改善している、という認識をECBが持っているからこそ、こんな話になるんですよねと思いまして、いやあ随分と改善したもんですなあと遠い目になるあたくし(^^)。


『I remember some time ago I mentioned a figure of ユーロ200 billion as the threshold, but in fact it is really context-dependent.』

暫く前には超過準備が2000億ユーロを切った所でEONIA上昇という見通しを示したけれども、まあこれは状況次第ですよねということで。

『It depends on the context; it depends on the degree of fragmentation that we have. The ECB’s Monthly Bulletin speaks of a figure between ユーロ200 billion and ユーロ100 billion, but in general the threshold depends on the state of fragmentation. The other note of caution that I would sound is that one should not extrapolate too much from the past repayment pattern of LTROs. As you see from the figures, it has been quite significant for some time, and now it is basically constant. It really depends on who is repaying the LTRO, what is the state of their funding conditions, what is the state of their profitability, what is their general situation. So, I wouldn’t extrapolate too much from this repayment pattern, saying that in a month’s time this figure of ユーロ250 billion would go down to ユーロ200 billion, or whatever. Second, I would say that there isn’t any stable relation between the figure, the threshold and the rates.』

ああだこうだと説明していますが、まあ事前にはどの程度の超過準備縮小でEONIA金利の上昇が起きるのかは良く判らん(2000億なのか1000億なのか判らんみたいな話ですな)という所で、以前言った2000億も本当にそうかはワカランぞなもしと。

『In any event, we would - as I said - stand ready to take appropriate action as needed. Obviously - I already said this several times - we have the fixed rate full allotment policy in place until at least July 2014 and for as long as needed.』

という文脈で「必要ならば適切な行動を取る」と発言していた訳でして、このヘッドラインだけは盛大に報道されていまして、ほうほう利下げの可能性を示唆ですかという印象を与えてくれた訳でして、それを前提にして今回の質疑応答を読むと割と淡々と普通の話をしているし、金融市場に関しても改善してますよという話をしていまして、はて何で利下げ示唆??と思ったのですが、良く良くこの辺を見てみると分かりますよね〜♪

つまりですな、ここでの「必要な場合に適切な処置を取る」というのは、LTROの返済が進み過ぎて超過準備が減少した結果EONIAレートが必要以上に跳ねた場合に「適切な処置を取る」というのがメインにあって、そらまあ利下げをしないと言ってる訳では無いので勿論利下げのような物も含まれるのでしょうけれども、メインで話をしているのは「超過準備減少に伴う意図せざる短期金融市場金利の上昇への備え」という事だと思うのですけれどもどうでしょうかね。

上記の最後の文章にもありますように、そもそも3か月LTROを来年の7月オファー分までフルアロットメントで行う(金利は期間中のMRO金利)ことになっているので、超過準備をうっかり減らし過ぎた場合でもLTROでその分カバーできるのでそんなにEONIAが急騰するとかいう話にはならないとは思うのですが、そうは言っても何か必要な事があった際にはイレギュラーにMROなりLTROなりを入れてきますとかそういう事にはなるかとゆー話だろうなあと思いました。


ということで一つの質疑で延々とネタにしてしまったら時間ががががですし、まあ会見そのものはさっき申し上げましたように割と淡々とした感じだった&景気認識なども淡々としていた(ただし結局海外頼みなのですがorz)という感じですので、虫干しネタはこんな所で。




2013/09/17

お題「暫く振りに短期に細かい所まで注目を開始ですよ!/虫干しネタ:ECB総裁会見から少々」

諸般の事情で出稼ぎなどもしている隙に短期市場から久々に黒煙がプスプスというか香ばしい香りがプンプンというか、まあそんな感じでして・・・・・・・・

その前に訂正。金曜の駄文で残高目標の期日を「年度末」とかうっかり書いてしまいましたが、本当の目標期日は「暦年末」であります(ログは訂正しました)。

何かその期日と「2年で2%」の目標期日の時期が異なる(異次元緩和をローンチしたのは4月だから)ように見えまして、そういう所の作り込みも正直言って今回の異次元緩和って出来的にどうなのかと思いますけどまああれはヤケクソのドタバタでエイヤーでやったからその辺の足ズレとか調整している暇がなかったんですねわかります。


○されにその前にこりはびっくりのサマーズ辞退

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MT7IFG6TTDS801.html
サマーズ氏が米FRB議長候補辞退、民主党上院議員ら強く反対
更新日時: 2013/09/17 03:51 JST

『9月16日(ブルームバーグ):ローレンス・サマーズ氏は米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長の候補を辞退すると表明した。債務上限問題やシリア問題で議会を相手に難しいかじ取りを迫られるオバマ政権を、民主党内の対立回避という形で支援した格好だ。元米財務長官でオバマ政権の国家経済会議(NEC)委員長も務めたサマーズ氏の辞退を受けて、大統領とアドバイザーらは対応を検討している。同氏のFRB議長指名について、何人かの民主党上院議員が反対のキャンペーンを繰り広げていた。』(上記URLより、以下同様)

どんだけ人望が無いんですか先生!という感じですが。

『ジェフ・マークリー(オレゴン州)、シェロッド・ブラウン(オハイオ州)両議員を含む民主党上院議員数名は、金融市場の規制に関するサマーズ氏の姿勢が緩過ぎるとして、指名反対を同党議員らに呼び掛けていた。』

ってのが理由だとすると金融緩和継続ヒャッハーと必ずしも喜んで良いのかというとこれがまた微妙で、金融市場規制でシバキアゲの刑が待っているのであれば量的緩和は続いても規制の方であちゃーになるので喜んで株を買っていて良いのかねえという気もするのでした。

ちなみに金曜はご案内のようにこういう記事が出て市場もやや反応していたのですが・・・・・

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1301K_T10C13A9MM0000/
FRB議長、サマーズ氏指名へ最終調整
副議長にブレイナード氏 2013/9/13 14:00 情報元 日本経済新聞 電子版

『【ワシントン=矢沢俊樹】オバマ米大統領は12日、来年1月に任期切れとなるバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任に、ローレンス・サマーズ元米財務長官(58)を指名する方向で最終調整に入った。副議長には女性のラエル・ブレイナード財務次官(国際担当)を起用する意向。』(上記URLより)

ということで、こちらの日経電子版の記事ですが、毎度の日経クオリティと違うのは今回署名記事で出ていた所で、まあ今回はそれなりに日経新聞渾身の報道だったと思われるので、逆に具体化する中であまりと言えばあまりの反対に下手したらこれでオバマ大統領の求心力が落ちるんじゃネーノ(シリアでも振り上げた拳を降ろしてますし)ということで辞退したという事なのかも知れませんね。

まーしかし重要かも知れないので再度繰り返しますと、別にサマーズがタカ派だから反対された訳では無い、という点をうっかりするとマズーなのではないかと存じます(単に「あのヤローは人間的にダメ」というのであれば政策インプリケーションは無いのだが^^)がね、うんうん。


○金曜の短国買入でウヒョーということで簡単に確認してみた話

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130913.htm
CP等買入 4,000 2013年9月19日
国庫短期証券買入 15,000 2013年9月18日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2013年9月20日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2013年9月20日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年9月20日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 4,000 2013年9月13日 2013年9月20日

つーことで短国買入が1.5兆円でオファーされた訳ですが、そもそも前日の3M入札が強い結果になった上に札が大手の一部の業者さん所に偏在した結果、ショートカバーで0.075%がBBで2500億円(でしたっけ)一発テイクンとかやっているという素敵な結果になったというのにまだ短国買入1.5兆円も打ちやがりますかとゆうとったらこの結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130913.htm
国庫短期証券買入 16,919 15,000 -0.020 -0.012 75.9
国債買入(残存期間1年超3年以下) 11,047 2,506 0.000 0.001 19.6
国債買入(残存期間3年超5年以下) 16,240 3,502 0.007 0.008 29.0
国債買入(残存期間10年超) 7,244 2,004 0.004 0.005 60.2
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 47 47 -0.400 -0.400
CP等買入 6,360 3,610 0.084 0.090 61.1

短国買入は前日比2毛強の足切りとなりまして、どう見ても入れられる札がそれしかないだろという3か月新発の引けが0.080%だったのでつまり3MカレントTBで出来上がり0.06%の札まで入るという有様。

先々週まではまあ需給ひっ迫気味とは言えここまでウヒョーな相場展開ではなかったのですが、先週に入ってレポ金利が華麗に低下してこの週末挟みの所のO/N(翌日物だが3連休なので4日ものになる)のレポや現先のレートがドカドカ低下(直近では東京レポレートのT/Nは水曜の0.040%から0.073%→0.094%と上昇しましたが)して何か素敵なレートになってしまっていたり、市場の玉不足が既に酷い状態になっていますが、20日に利付中長期国債の大量償還があって、当たり前ですけれどもその大量償還分の全部が全部そのまま中長期国債に回る訳ではなく、一部は待機資金となりますので、この待機資金が短国を買うだのGCレポやら現先を買うだのと言い出した日には更にオソロシスな事になりますぞなもしという所。


でですね、いやあの短国買入なんですけれども、今月はそもそも資金需給的には余剰になるのでそんなに親の仇みたいに買わなくても良いと思いますし、大体からして今短国買入をしても基本的に持ち込まれるのは新発3か月カレントが殆どになるので、年末の残高目標には関係ない数値でございますがなという状況でありまする。でまあこれが別に市場を壊さない買いであれば別にどうでも良いのですが、なにせ明らかに市場を壊しにいくような日銀の買いでして、ここでの大量買い継続って単に市場を壊すだけで日銀の政策的にメリットありましたっけ??という気もするので更に確認。


9月の資金需給
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1309.htm/

こちらを見ると短国部分でショートになっているけれども、これは日銀保有の短国の償還分が国債償還要因から資金需給上除外されている(日銀の保有する国債が現金償還されてもそれ単体では民間の資金需給には中立だから)為でして、上記URLにあるように今月の短国償還はカレンダーベースで41500億円ありますな。

なお、正確な数値はこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額(8月末)

からデータを取れば良いのですが、何故ZIPだけでしか提供しないのと思う訳で、HTMLテキストとかPDFとかエクセルとかでもデータくらはいと思うのですががががが。

でまあ正確な数値を拾うのは今回パスしまして、資金需給の方の41500億円を信用しまして今月の短国買入状況を勘案しますと、約定ベースだと今月の買入は35000億円なのですが、月末跨ぎの分が20000億円なので、それも加えると550000億円になるのだが、そもそも9月の資金需給計算の中でこの2兆分が入っているのかいないのかまで計算していないので(汗)そこが微妙なのだが、まあいずれにせよ今月末までに短国買入を一発入れれば楽勝で今月もネット資金供給の巻となっておりますな、うんうん。

んでもって異次元緩和ローンチ時の声明文でありますところのこいつ↓
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
の4ページにございますように、当座預金残高をベースに考えますと昨年末47兆円で今年末が107兆円の数値が目途になっていまして、それを何も考えずに月ごとに進捗させようとすると(107-47)÷12=5兆円となるので、つまりはその辺無視して当座預金残高を進捗させようとすると直近で9月の半ばですので、8.5か月程度の経過となってるので当座預金残高の目安が90兆円弱(89.5兆円とか)になりますが、直近の当座預金残高が91.7兆円ですので進ちょくは順調。

つーかこれ更に真面目に計算しようとすると今後の資金需給動向とかを確認しないといけないのですが、恐らく9月の資金余剰月に当座預金残高の進ちょくをある程度稼いでおきたい(10月11月が不足月になると思うので)というのがあって、まあそんなこんなで短期オペに負担が掛かっているという状況だとは思うのですけれども、それで市場を叩き潰してどうしますねんというのは正直????ではありまする。

あと、この前も申し上げましたが貸出支援関連オペの進ちょくが(まあ予定通り)悪いというのもあって、こちらがリニアに増加するなら今頃10兆円位になっていないといけないのですが、ご案内の通り先般のオペ実施でやっと8兆円(貸出支援基金等にカテゴライズされているものを含む)なのでこの分の帳尻もしないといけないというのもあって短国オペを実施しているというのはあると思いますが・・・・・・・


えーっとですな、「担保玉無し」状態に短期市場を追いこんでしまうと、それってそもそも市場がワークできなくなるという話でありまして、大体からして先月に出ていた業態別当座預金残高を見てて非準備先が増えているのがひじょーにいやーな予感はしていたのですが、つまり現状では非準備先でも金が余っているという状態なので、確かにTKRR見れば判るように足元でレポの金利自体は振れているので活気があるようにも見えますが、これって単に大昔のFF市場の金利が乱高下しやすかったようなもんで、市場そのものがマージナルになってきているので金利がぶれているだけという状態な訳ですよね。

つーことで、GCレポ(や現先)市場まで叩き潰すような買い方で市場を叩き壊してしまいますと、正常化プロセスをやる(2年で2%達成したら正常化プロセスですよねえ棒読み)にしてもGCレポ市場まで壊れた状態でどうしますねんという話ですし、大体からして日本の場合は米国の正常化よりも更に困難な点として国債発行残高が莫大に存在するというのがあって、米国のTapering如きであのプライスアクションをするというのに、受け皿の市場が壊れた状態でジャパンが正常化プロセスに着手しようとしたら膨大な国債発行が耐えられるんですかという所も気になるんですけどね。


まあ何ですな、そもそも論になるのですけれども、今回の短国買入の打ち込み方もそうなのですが、先日から輪番の5-10年について謎の減額を行ったり、何かオペレーションの打ち方が微妙に市場の予想を外す方向外す方向に打たれていまして、まあこうやって細々と計数を確認するとなるほどそういう事ですかねえ(ちなみに輪番の謎の4000億円攻撃の検証も今度やりますけど、多分買入分の平均残存年限の関係だと思います、ざっくり見た感じだとそうなので真面目に計数確認してみますけど)というのは分かるのですが、ど〜もその何と申しますか、計数だけ見て機械的にやってるんじゃないですか市場との対話ってのはどうしましたっけという感が漂ってくるというのはどうなんですかと思うのでありまして、ちょっとここもとの調節とそれに対する市場のリアクションを見ておりますと少々アレなものを感じるのでございました。

ちなみに金曜の買入だって新発3か月を持ちにしている業者がほとんどいない(一部の大手さんの所に偏在している)状態なのに札が集まらねえだろというロットでオファーしたらそらまあ札は流れるわなという所でして、いやまあ札流れても無問題というのであればそれで良いのですけれども、札が流れてしまうと市場の目線が変わってしまってその後さらに運営が厳しくなる訳でして、もうちょっと工夫の余地はありませんかねと思うのでありますが、そもそものディレクティブが無理ゲーであるというのが根本にあるので厳しいっすかねえ・・・・・・・


ということでイマイチ纏まりに欠ける上に一部のマニアの人しかワカランチ会長のような話を延々と展開致しまして誠に恐縮至極でございまする(汗)。


○そういえばECB定例理事会ネタを忘れていましたので(汗)

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is130905.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 5 September 2013

先々週のネタをうっかりスルーしておりましたすいませんすいません。

・質疑は金利の話よりも各国の話が多かったです

今回の質疑応答なのですが、フォワードガイダンスとかの質問も勿論あるのですが、今回については個別国に関する状況の質問とか、銀行監督の一元化に関する質問とかそっちの方が多くなっておりまして、まあ域内的にはその方が注目されているのね、というのが分かりましたです。

引用はしませんけど、具体的に質疑応答で出てきた国はオランダ、アイルランド、ギリシャ、スペイン(とドイツの選挙とシリア情勢)でございましたのでご参考までに。


・フォワードガイダンスは結局単なる目くらましに終わりそうな・・・・・・

フォワードガイダンスの改定はあるのかという質問がありまして・・・・・・

『Question: Was there any discussion today on the Governing Council about a more explicit version of your forward guidance? You seem to be dipping your toes into giving us a fuller account by talking earlier about various governors saying this and that. So, if you could answer the question that way that would be brilliant.(後半の質問割愛)』

そのお答え。

『Draghi:(後半の質問に対する部分割愛)But, on the first question, we have of course reflected on the nature of our forward guidance. And we have asked ourselves what the objectives are of forward guidance. Forward guidance contains an assessment by a central bank of its view of the future and contains information about its policy response for the future. I think that is the essence of forward guidance. It is not a change in our reaction function, but rather an explanation of our reaction function. We wanted to be clear. We do not want to change it.』

つーことで、フォワードガイダンスは「ECBのこれまでの政策反応関数についてより分かりやすく説明したもの」という言い方をしているぞなもし。

『There are two types of forward guidance: one is qualitative and the other one is quantitative, with precise state conditions. Ours is the first type.』

フォワードガイダンスは定量的な物と定性的なものがありますが我々のは定性的なものですとな。

『So, all in all, the Governing Council is fairly united - unanimous, actually - on the wish to maintain this type of forward guidance.』

つーことで数値を入れたパターンの「先行きの行動を縛る」タイプのフォワードガイダンスを実施する気はねえということですねわかります。

『I have previously mentioned the BIS paper which actually compares the results and levels of success of different types of forward guidance. As I have said before, the ECB does not score too badly. It scores very well on having controlled volatility and reduced the uncertainty within the corridor and it scores ok in controlling the levels of rates. But, as I have said, there is a continuous flow of news on rates. So, given our specific institutional set-up, the qualitative forward guidance that we have used is the most appropriate and you can easily see why a different type of forward guidance would create problems within our institutional set-up if we were to be willing to adopt a precise formulation, a quantitative formulation, which we are not.』

でまあああだこうだと説明してはいますが、結局の所「経済指標で縛る」形式のフォワードガイダンスは委員会のコンセンサスが得られないんでしょうなあという所で。


・OMTの質疑が中々面白かったので引用

『Question: My question is on OMTs. Just one year ago, you announced the details of these measures. What is interesting for me is why this measure is so effective without being activated. Other central banks - for example, the Bank of Japan and the Federal Reserve - have introduced similar programmes, but they have needed to be activated in order to be effective. So my question is; why is it that only in the euro area has such a programme been effective without being activated?』

何で抜かずの宝刀のままなのにOMTは効果を発揮しているのですかとはお洒落な質問。

『Draghi: Well, it’s very hard to answer this question without flattering oneself!』

のっけからドヤ顔風味満々でコーヒー吹いた。

『But I suspect that the design of this measure has made it both powerful and credible.』

ほほう。

『It’s powerful because it addresses a realistic objective, namely redenomination risk spreads - the spreads that are derived from redenomination risks. It’s credible because it is accompanied by conditionality.』

目的がリスクスプレッドの縮小にあったという点で現実的であり、また実施に際してコンディショナリティーを課したのが信頼されたのではないかとな。

『In our present situation (and in many others, I suspect), a commitment to buy an infinite amount of bonds in order to keep interest rates at a certain level is often not credible - besides being illegal in our present situation.』

単に「金利をこのレベルに抑える為に無限に買う」というだけの施策は実際問題として信頼に値するコミットメントにはならない場合もありますとは中々の視点。

『So, I think this combination of a realistic target, accompanied by what are in principle unlimited means (but are, in fact, limited by the market’s size) and by conditionality, has made this measure very effective without it needing to be activated. But conditionality is an important ingredient, because it says that once this measure is activated, the country that is on the receiving end will actually be undertaking a series of actions - budgetary consolidation or structural reforms, or both - that will have the effect of increasing the value of the bonds issued by that country, the value of the very bonds that the ECB is buying into it.』

つまり、コンディショナリティーを設けることによって、そのコンディショナリティーを満たすということは購入対象の国債の信頼性が高まるようになっていくという中でOMTが行われる、という形にすることによってOMTが政策ツールとして有効になる(OMTを実施しても肝心の対象国債の発行国がザル財政を実施していたら意味がない、ということですな)とな。

『So, the conditionality, if properly activated, produces an increase in the value - if you want to use that word - of the collateral that the country posts in exchange for ECB action. I think that’s one way to look at this. Thanks for asking!』

何かまあうまい事言われて誤魔化されている観もありますが、(じゃあそもそもコンディショナリティーを満たせないでしょという話になって売り仕掛けされたらどうしようも無いじゃんというツッコミとかですな)まあこういう説明をされると何となくそれらしく聞こえる辺りにドラギ先生のドヤ顔が浮かんでくるというものでありまする。

#まあ後何かありましたら追加します




2013/09/13

お題「市場雑談ネタ/石田審議委員会見と会見でのネタに関連する雑談も含む」

ここもとの消費税関連の報道はどうなってるんですかと。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130911-OYT1T01590.htm
消費税率、来年4月に8%…首相が意向固める
(2013年9月12日04時05分 読売新聞)

『安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り
引き上げる意向を固めた。』(上記URLより)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL120LW_S3A910C1000000/
官房長官、消費増税「首相が決断した事実はない」
2013/9/12 11:34

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091290143414.html
消費税 来年4月8% 首相決断 社会保障目的どこへ
2013年9月12日 14時34分

『安倍晋三首相は十二日、二○一四年四月から予定通り消費税率を5%から8%に引き上げる方針を決めた。』(上記URLより)

最早何が何だかワカランチ会長になっておりますが、とりあえず安倍ちゃんが本当は消費税を上げたくないんだろうなあというのだけは把握しました。


○短国入札とか

・短国入札ェ・・・・・・・

昨日の3M入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130912.htm

(3)募入最低価格 99円98銭0厘5毛
(募入最高利回り)(0.0790%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.3254%
(5)募入平均価格 99円98銭0厘8毛
(募入平均利回り)(0.0778%)

ということで貫録の0.08%割れとなりやがった挙句にセカンダリーでは複数の大手業者さんがドカドカ落札した影響のショートカバーだとは思われますが0.075%でガッツリ出合いとかもう何と申しますかの結果と相成りまして、TKRRの方は昨日は上昇してましたけれども、まー短国もこの有様とか需給ががががという状況ですの、というメモでした。いやはや。


・貸出支援第2回目とな

ふむ。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130912b.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2013 年9 月実施分)

貸付日における貸付予定総額8,812 億円

・・・・・・・前回が堂々の3.1兆円だったのですが今回は9000億円弱ですかそうですかという所でして、重点施策なのに札がこの程度とはケシカラン話ですなあ(棒読み)。

ちなみにこれとその他諸々の何ちゃら支援オペ関連で3月末(昨年末)対比で年度末(年末)には10兆円積むという計算になっていて、足りない場合は短期オペで帳尻攻撃が待っておりますので念の為申し添えます。



○石田審議委員会見

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1309b.pdf

・講演では弱そうな話をしているのに会見では威勢が良いとはワケワカラン

石田さんの会見なのですが、海外経済を注視していて、その海外経済に関しては基本的に回復を見ているものの新興国中心に下振れ注意、という講演をしていた筈なのですが、何故か会見ではトーンが違っているというのが謎である。

いやあの逆のパターンというのは良く見る(講演テキストは執行部ベースのものなのだが会見でフリーダム状態炸裂というパターンですね)のですが、講演テキストが何となく執行部ベースより弱めのものを出しておきながら会見で火消しというのは中々見ないパターンで、かつての付利下げ提案関連もそうでしたけれども、中々こう謎な人である。

『(問) 米国の資産買入れ縮小の話との関連でいうと、新興国への影響はネットプラスかマイナスかという言及があったかと思いますが、プラスとマイナスのどちらが大きいとみているのかということと、ネガティブなインパクトがあった場合にはどれくらいの規模であるとお考えでしょうか。(後半の質問割愛)』

『(答) 新興国に対する影響については、金利が上昇する時に先にネガティブな影響が出てくると思います。というのは、実体経済よりも金融の方が反応が早いですから、新興国では、既に6月頃から資金が流出しています。やはり先にネガティブな影響が出て、その後に、米国経済が復活するのであれば、貿易面を中心にプラスの影響が出てくるのだろうと思います。』

『ネガティブなマグニチュードについては、今のところはコントロールされているようです。一部の人は、外貨準備や海外からの短期借入依存度など、いくつかの指標について、健全性のレベルがアジア危機の時とは格段に高くなっているということを言っていますが、私自身もマグニチュードは世の中がひっくり返るほど大きなものにならないのではないかと思います。挨拶要旨には「注目していきたい」と書いていますが、最終的にはプラスになると思っています。』

え?と記者の人も思ったんでしょう後半の質問の答えを聞く前に合いの手が入ります。

『(問) 新興国でもプラスになるということですか。』

そら入る罠。

『(答) 個別にみればマイナスの影響が出る国もあるかもしれませんが、全ての影響を足し合わせてみれば、プラスと思います。日本にとっても全ての影響を足し合わせてみれば、プラスになるのではないかと思います。(以下最初の質問の後半部分の答えになるので割愛)』


でまあひとしきり質疑があって改めて質問。

『(問) 輸出に関してですが、持ち直しが必要であり、海外経済の動向がカギを握ると考えられている新興国に関して、金融面など様々な面から下押し圧力が働いているということですが、日銀の正式な見解ですと、輸出に関しては「持ち直し傾向」といった表現を使われています。欧州に関しては底打ち感があったり、中国がそれほど大きく下がるような兆候もなくなったりと思いますが、肝心要の新興国が成長率が鈍い中で、輸出の増加の期待がちょっと難しいという感じもしますが、その辺のところを先行き含めてリスクなどをどのように思っていますか。』

と、新興国を絡めて質問しているのですが・・・・・・・・・・・

『(答) 実質輸出の四半期の数字の動きは、配布資料の9ページにあるように、グラフの右端が上を向いています。これを見て回復傾向にあると判断しているわけですが、今日私が申し上げたのは、そうは言っても2011年、2012年のレベルからすればまだ下にあるため、これを超えていかなければならないだろうという意味であり、水準の問題として申し上げているわけです。今は消費や住宅・公共投資が牽引していますが、先行きの持続性を考えると輸出のレベルがもう少し高くなれば、我々としても非常に安心だろうという意味です。』

これは日本経済の見通しの話ですが。

『新興国については、金融的な面でマイナスの影響を受けていますが、貿易の面では、やはりこれまで欧州や中国が悪かった影響を受けてきましたから、足もと欧州で持ち直しの動きがあり、中国も安定してくることであれば、新興国については底上げの可能性が出てくるとみています。少し言葉が足りなかったかもしれませんが、私としてはそのようにみています。』

ということで、講演テキストで受けた印象よりも割と強気な見方じゃねえかという中々の謎質疑応答ではございましたとさ。


・消費税増税で名目的な意味でのシフトアップという話

賃金と物価の話の質疑。

『(問) 講演の中で、来年のベアの重要性について指摘されてましたが、実際どうなるかは来年の春闘次第だとは思いますが、予定通りであれば消費税率が来年4月に上がるわけです。日銀では物価上昇による影響を2%程度見ているということだと思いますが、消費税の増税分も含めて物価上昇分をカバーできるような所得の増加、賃上げが実現しなければ、日銀が想定するような2014、2015年度の経済成長とかデフレ脱却は困難になるとお考えなのかどうか教えてください。』

『(答) そこまでカバーするのは無理だと思います。時間をかけて徐々に行かざるを得ないだろうと思います。』

まあそうでしょうけれども(−−)

『2000年代に入ってからずっとベースアップは見送られてきました。ベースアップはなくなったという人もいるくらいです。物価が上がれば給料が上がるというシグナル効果が非常に重要だと思います。それがデフレマインドを変えていくきっかけになるのではないかと思います。』

これはアタクシもそう思うのでして、マインドの変化というか、物価と賃金の関係に関する「レジームチェンジ」をするのに消費税の引き上げというのは、たとえそれが名目の話であって実質に関係ないという状況であっても、良いきっかけになる可能性があり、そーゆー意味からして何で「物価目標2%で世の中ハッピー」とゆうとる人たちが間接税の引き上げにあそこまで反対論陣を張るのかが良く判らんわと思っていましたが、真正マネタリストの山本幸三先生が消費税賛成の話をしたのでちょっとほっとしましたが。

・・・・・・・すいません話が逸れました。まだ続きます。

『いわゆるフィリップスカーブとの関係では、傾きが緩いから労働需給の改善で給料を上げたり物価を上げたりするには大きなGDPのプラスギャップを積み上げが必要だという意見があります。』

『ただ、それはあくまでもデフレマインドの下での話であって、もし日本銀行が言っているような2%の物価上昇を達成していくのであれば、どこかの段階で物価は上がるけど給料も上がるということで、将来に対する信頼感が個人に出てきて、それで企業の価格設定行動にも大きく影響し、幅広い品目で適切な物価上昇が起こってくるのだろうと思います。』

そのきっかけが消費税増税であったとしても、それによってレジームシフトが起きればという話ですな。

『ただ、その時に、個人は必ずしも実質所得の変化だけで行動するのではなく、将来に対する安心感があるために従来よりも使うということもありますので、消費税が増税されたことによる将来の財政への安心感が高まるということから消費が出てくるということもあります。消費増税分まで所得は上がらないとしても、実質経済成長のある程度の部分が所得として還元され、しかも、物価が上がっていく中で、それが安定的なもので保全されれば、心理的にも非常に経済に対して有効だろうということです。』

将来の財政の安心感云々はちょっと取ってつけたような話に見えますけれども、まあでもこの石田さんの説明の趣旨は辛うじてインフレ時代(例えば国鉄の運賃が毎年上昇するとか、ちなみに国鉄時代って子供運賃の5円以下端数って切り捨て(私鉄は切り上げ)だったんですよ)の記憶があるあたくし的にもそうですなあと思う(歳がばれますかそうですか)ところですが、デフレ時代の申し子の皆様が結構増えているのでこの辺って実際に起きてみないと判らないかもしれないし、逆に言えば起きてみるといきなりマインドセットが変わるかもしれませんね、とこの辺りの石田さんの話を見ていてふと思ったのでありました。


・実際の数値が2%に行かなくっていいじゃないか好景気だもの理論に対する説明

これは良い質問。

『(問) (前半割愛)2問目ですが、量的・質的金融緩和についての説明が講演の中でされていますが、2%というインフレが安定的に持続するということの定義について、石田さんはどう思われているのか。例えば、景気の回復に支えられて物価が2%にいかなくて1.5%程度でもよいと考えるのか、今後2%まで上がると判断できた時点で、緩和を停止することを検討すべきなのか、そのあたりについて考えをお聞かせください。』

2%に行かなくっていいじゃないか好景気だものという話になっていくでしょどう考えても、という指摘はまあジャパンの金融政策をニヤニヤと見物する人の多くが手ぐすね引いて待っている所なのですけれども(^^)。

『(答)(前半割愛)それから2%については、今、消費者物価上昇率が除く生鮮食品でやっと+0.7%となった段階で、これから長い道のりがあると思っています。その間に、経済の情勢も変わっていくと思いますから、今の段階で具体的な状況変化がないまま判断することは難しいと思います。同時に、そういう時点になったら今おっしゃたような意見も含めて色々な意見を集約していく形になりますから、今の段階で方向性を申し上げるのは難しいと思います。』

まあ平場で質問されたらこうこう応えざるを得ませんわなという話ですが、ただまあ一方で「そういう時点になったら色々と集約」というコメントをしている辺り、石田さん的には「アクチュアルに2年、というか1年半後にCPI2%(ただし間接税の影響抜きベース)というのはどうなんでしょ」という意識があるのかなあとは思われる節も無くは無い、という所ですかね。

いやまあ確かに後半とは言え0%台の段階で「2%行かなくったっていいじゃないか好景気だもの」と言うのはちょっと強引過ぎるので、せめて1%台を明確に乗せた状態になってからという話になるとは思いますが、今しばらく時間が経過した辺りではこの議論が出てくるんでしょうなあというのは把握致しました。

で、そのあいだみつを状態をニヤニヤしながら眺めるだけではただの趣味の世界になりますが、市場の中の人としては、実際にそういう話になった時に金融政策のデザインがどうなるか、ということを今から色々と考えておくのは無駄では無いと思いますけどどうですかね。




2013/09/12

お題「レポ金利更に低下/8月決定会合議事要旨から物価に関する部分/石田審議委員は中心的見方よりやや慎重かな?」

バレンティン凄いですな。こうなったら記録更新して60本とは言わず70行ってくれ(^^)。

○レポ金利ェ・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0H64C220130911
〔金利マーケットアイ〕夜間取引で国債先物は強含み、海外勢が買い戻し
2013年 09月 11日 18:35 JST

『<15:12> 翌日物0.06─0.07%付近、レポGCレート一段と低下

無担保コール翌日物金利は0.06─0.07%付近での取引。主な取り手は地銀、信託、証券など。日銀が先日付で実施した国債や国庫短期証券買入などの金融調節で、当座預金残高が6日の過去最高(90兆5800億円)を更新する方向となる中、資金余剰感が強まり、資金ニーズは限られた。前日のような試し取りもみられなかった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCレートが一段と低下。T+1の平均レートは、10日が0.057%だったが、11日はさらに下がり、0.040%を付けた。T+1の平均レートの0.04%台は5月30日の0.048%以来。9日にオファーされた日銀オペが効いており、マーケットに現物、いわゆるモノが出てこない状況で、レポGCの運用サイドが強くなっている。』(上記URLより)

ということで昨日もTKRRは低下するわ現先レート下がるわですけれども、昨日も申し上げておりますように政策金利とかの思惑とかと関係なく需給オンリーで低下しているというのが質が悪い訳で、まあつまり市場機能低下コースですよねという話なのですが、真面目な話、短期市場での担保不足でレポ現先市場が完全に殲滅(瞬間的に悲惨な事になっている分にはまあ何とかなると思いますがそれが恒常化して市場そのものが消滅しちゃうと、という意味である)されてしまうと色々と悪影響が出てくると思うのですけど。

前回の量的緩和の時は何だかんだ言って関係者が市場機能維持のために無理して頑張っていたように見えますが、今回はたぶんそういう無理無理攻撃は出ないと思う(オペのやり方とかに違いがあるので)ので、本当の本当に不味い事になるリスクはあると思うんですけどねえ。

ちなみに当座預金残高は昨日は華麗に91兆円でありまする。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130911.htm
当座預金残高 913,900


○決定会合議事要旨ネタの続き:物価に関連して

昨日の続きです。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g130808.pdf

物価に関する部分が例によって例の如くまあ色々と鑑賞物としてオモシロスというか、そもそも物価目標の政策なのですからまあ読みましょうねということで(^^)。


・予想物価上昇率ェ・・・・・・・・

まずは『T.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要』から。

『物価面では、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きを背景に、上昇幅が縮小している。先行きについては、当面、緩やかに上昇するとみられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じており、先行きは、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』

ほうほう。

『この間、予想物価上昇率については、マーケットの指標に加えて、企業や家計、エコノミストに対する調査なども踏まえると、全体として上昇しているとみられる。』

・・・・・・・・・・・・・・??????????

とまあお約束のような展開がございます。


・海外ディスインフレ傾向の指摘は続くのだが・・・・・・

続いて『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』ですが米国の物価に関する部分でこういう指摘が。

『別のある委員は、ディスインフレ傾向のもと、短期的な予想物価上昇率の低下が、今はアンカーされている中長期的な予想物価上昇率の低下につながらないか、今後注意が必要であると指摘した。』

ここの話ですが、前回まではこういう指摘が入っていまして・・・・・・

『そのうえで、一人の委員は、世界的なディスインフレ傾向の中で、わが国の物価が、わが国独自の要因でプラス幅を拡大していくか注視していると述べた。』(7月の議事要旨から、6月にも同様の記載があります)

この指摘はもうちょっと後の方にある、国内物価情勢の見通しに関する議論部分に記載されていたのですけれども、今回その部分に関する記述はと言いますとですね・・・・・・・


・何か物価見通しが強気になってきていますな

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もとではプラスに転じており、先行きはプラス幅を次第に拡大していくとの見方で一致した。多くの委員は、6月にプラスに転じたことは、エネルギー関連の押し上げだけでなく、幅広い品目に改善の動きがみられたことが影響しているとの見方を示した。』

『ある委員は、個人消費の好調さが続けば、非製造業などの売り上げが幅広く増加し、物価にプラスの影響を及ぼす可能性があると述べた。これに対し複数の委員は、消費者物価の前年比プラス幅は、夏頃までは前年のエネルギー価格下落の反動などから拡大するが、その後、拡大が一服する可能性があるとの認識を示した。予想物価上昇率について、委員は、マーケットの指標に加え、企業や家計、エコノミストに対する調査なども踏まえると、全体として上昇しているとみられるとの認識を共有した。一人の委員は、実績の消費者物価が上昇していることを認識することで、人々の予想物価上昇率がさらに上昇していくことが考えられると指摘した。別のある委員は、消費税率引き上げの蓋然性に対する認識の影響を識別することは、引き続き難しいとの見方を示した。』

ちなみに前回はこういう記述になっています。

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっているとの認識で一致した。予想物価上昇率について、委員は、マーケットの指標などで上昇が一服しているものもあるが、家計やエコノミストに対する調査など全体としては上昇を示唆する指標がみられるとの見方を共有した。複数の委員は、実際の物価指標の上昇基調がはっきりとしてくれば、予想物価上昇率も上昇していくとの見方を示した。』(前回)

『物価の先行きについて、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、5月の東京の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をプラス転化させた要因が全国でも押し上げに働く可能性が高いことから、5月には概ねゼロ%まで明確に改善し、その後についても、マクロ的な需給バランスの改善の影響も加わり、緩やかにプラス幅を拡大していくと考えられるとの見方を共有した。』(前回)

『そのうえで、一人の委員は、世界的なディスインフレ傾向の中で、わが国の物価が、わが国独自の要因でプラス幅を拡大していくか注視していると述べた。別のある委員は、消費者物価の前年比プラス幅は、夏頃までは、前年のエネルギー価格下落の反動などから大きめに拡大するが、その後、拡大ペースが緩やかになる可能性があるとの見方を示した。5月の東京の消費者物価で、テレビの前年比がプラスに転じたことに関連して、ある委員は、海外における賃金上昇や、昨年秋以降の円安方向の動きを受けて、企業の価格設定行動について変化が生じつつあるのではないかという点に注目していると述べた。』(前回)

つーことで並べてみましたが、書いてあるトーンが前回対比で明らかに強気化しているように見えますねというのを鑑賞してみるのでありました。


○石田審議委員は中心的な見方よりもちょっと景気に慎重なんじゃないかと思われます

石田審議委員講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130911a1.pdf

・貸出支援基金の扱い方に微妙な味わいが

最初の『U.日本銀行の金融政策』の小見出しは以下のような構成になっています。

『1.「物価安定の目標」の導入と政府・日本銀行の共同声明
2.量的・質的金融緩和
3.貸出支援基金
4.金融市場の状況』

ほほう貸出支援基金という所ですが、さすがに潜在成長率云々の話を思いっきり出すのはイクナイとゆー話になったのか、それとも石田さん的にんなこたあねえと思っておられるのかどうか知りませんが、貸出支援基金の説明の冒頭には、

『こうした「量的・質的金融緩和」に加えて、日本銀行では、強力な金融緩和の効果を一段と浸透させることを目指して「貸出支援基金」を設定・運営しています(図表4)。』

ということで、この前のジャクソンホールでの話はナンダッタンダという感じでのトーンダウンの巻でござるとなっているのが味わいのある所ですが、しかしながらわざわざ項目を設けて貸出支援基金というのを置いている所を見ると、これを重要施策扱いしてフィリップスカーブの無理矢理上方シフト理論をトーンダウンさせる気は満々なのではないか(まあそもそもその理論自体無理矢理感がないかと思っている審議委員の方が居ても不思議ではないが^^)という所で、この味わいが何ともであります。


・金融政策の効果に関して

買入効果に関してはこのように説明しておりまして、この点については誠に仰せの通りと認めざるを得ません。

『さらに、5月中旬以降は、米国における量的緩和政策の変更への思惑が米国長期金利を上昇させ、わが国の長期金利にも上方への強い圧力を与えてきています。現在、わが国の10 年物国債の金利は0.7%台で推移しており、絶対水準としては4月初の緩和前に比べて上昇しています。しかしながら、米国金利の上昇がドイツや英国の金利を押し上げているのに対し、わが国の金利は足もと横ばい圏内で低位に止まっており、日本銀行による強力な金融緩和が長期金利の上昇圧力を強く抑え込んでいることが分かります(図表6)。』

まあ日本よりも景気がうんこそうな欧州金利の上昇と比較されますとそうですねと言う所ではあります。もちろん日本の債券市場の皆様におかれましては「そうは言っても2年(つーかあと1年半)で2%なんて行くかよヴォケ」と思っている方が殆どだという事情もあると思いますけれどもね。

しかしこのあとははあそうですかという感じですが引用だけ。

『このような極めて緩和的な金融環境のもとで、振れを伴いながらも為替は円安方向で推移し、株価も基調的に上昇してきています。銀行貸出も、大手行の貸出姿勢が積極化してきているなかで、残高の前年比増加率も月を追って拡大してきています(図表7)。』

預金も伸びてますがね。

『また、昨日公表された8月のマネーストックをみると、広義流動性の前年比伸び率が+3.5%と、2007 年3月以来の高い伸びとなっており、特に今年度入り後は、金銭の信託や投資信託の伸びが加速しています。経済主体におけるポートフォリオリバランスの動きはまだ緒に就いたばかりですが、これまでの緩和効果がじわじわと染み出し始めてきている姿もうかがわれ、今後の動向に注目していきたいと考えています。』

ほうほう。


・経済物価情勢に「前向きの循環メカニズム」連呼無しとな!!!

以降が経済物価情勢の話なのですが、見通しの辺りではこんな話を。

『以上が経済・物価情勢の現状ですが、当面の見通しについて見てみますと、まず、景気については、国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に、緩やかな回復を続けていくとみられます。』

9月会合の声明文で従来この背景部分をカットしているのですが、石田さんの説明は8月までの声明文と同じ言い方になっているのがチャーミングではないかと思う訳で、つまり声明文や月報でしめされ、会見で総裁が連呼しまくった「前向きの循環メカニズム」を強調しませんよねというお話ではないかと勝手に邪推しましたが他意は無かったりするかもしれません(^^)。

ちなみに、前向きの循環メカニズム云々については最後から2番目の章の『W.デフレ脱却に向けて』の中で登場しています。

『わが国の経済は、ようやく緩やかに回復しているという状況であり、景気の前向きな循環メカニズムが働き始めている極めて重要な時期にあります。』

ということで、まあ恐らくは9月決定会合後の会見で黒田総裁が示した進軍ラッパ吹きまくりモードと比較して慎重なんじゃないの、とは思ったのですけどどうでしょうかね。


・先行きには輸出の押し上げが必要という認識

先行きに関する話でもこれはほほうという感じでして、どちらかと言うと現在の中心的なビューって進軍ラッパモードで国内の前向き循環メカニズムでヒャッハーですよみたいな感じになっているので、この石田さんのビューはちょっと新鮮でございましたぞな。

『わが国経済がこうした見通しのとおり展開していくためには、生産の水準がしっかりと上昇していくかどうかが課題になるとみています。』

なるなる。

『足もとでは、鉱工業生産のレベルは、依然として前年上期の水準を下回っています。これは、輸出の増加ペースが鈍いことによるとみられますが、その結果として、設備投資の増加に弾みがつきにくく、これがまた生産の伸びを抑えるという構図となっています。』

んだんだ。

『従来、わが国経済の回復は輸出が牽引役となるパターンがほとんどでした。今回の回復局面では、内需に対応する個人消費や住宅投資、公共投資が引っ張っていますが、そろそろ輸出がしっかりと牽引役になる必要があります。』

キタコレ。

『足もと輸出の改善ペースが鈍い背景として、一部業種における競争力の低下や震災以降加速した海外生産移管、部品の現地調達の拡充などの構造要因が影響している面もあると考えられます。しかしながら、今後、わが国経済が安定した回復経路に復していくためには、輸出の持ち直しが必要であり、その点から海外経済の動向がカギになると考えています。』

ということで、その肝心の海外に関しては先行き見通しは兎も角、ここまでは若干下振れて推移しているということで、その海外をこうやって持ち出している辺り、まあ石田さんはやや景気に慎重なんでしょうなあという事になるかと思います。つーかそもそも日銀の見通しがカンカンの強気なのですけれども。


・デフレ脱却に向けてという説明部分が今回の石田さんの一番の強調ポイントと見ましたと

期待でフィリップスカーブが云々という話をしておりませんで、まあ極めて現実的な話をしているのが印象的でございます。この講演の中の『W.デフレ脱却に向けて』の『2.デフレ脱却に向けて』が実にいい感じなのでこの部分全部引用。

『このように、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を実現するため、強力な金融緩和政策を行っているところですが、政府・日銀の共同声明にもあるとおり、それにより物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現していかなければなりません。』

というマクラはさておきまして、

『多くの人々は、デフレから脱却することによって景気が良くなる、暮らしが楽になると考えています。しかしながら、デフレ脱却を目指し、物価が上がっていった時、所得がこれに見合って増えていかなければ、一時的に経済が成長するとしても持続することはできません。家計の実質購買力が低下することで消費が落ち込み、景気は悪くなってしまいます。これではデフレ脱却を目指す意味がありません。』

全くもってその通りでございますが、何かデフレ脱却=景気回復=全て幸せみたいなプロパガンダがありますよねえ。

『わが国の経済は、ようやく緩やかに回復しているという状況であり、景気の前向きな循環メカニズムが働き始めている極めて重要な時期にあります。』

これは先ほど引用した部分です。

『そうしたなか、先行き2014 年度からは消費者物価の上昇幅が大きくなることが見込まれており、足もとの景気回復を安定的な成長軌道に乗せていくためには、名目所得がしっかりと増加していく必要があります(図表16)。』

(;∀;)イイハナシダナー

『それが可能となるためには、まずは、景気の前向きな勢いを保つとともに、企業収益の水準が全体として十分高まっていくことが前提となります。そのうえで、わが国経済の将来に対する懸念を払拭し、成長期待を確保する必要があります。そのためには、共同声明にあるように、日本銀行がしっかりと強力な金融緩和を実施し、「物価安定の目標」の達成を目指す一方、政府においては、機動的な財政出動と成長戦略の確実な実行、財政に対する信認の確保が極めて重要です。』

何せ今回は日銀やることやってる(というか市場壊滅状態で悲鳴状態になりつつある位の勢いだが)ので政府に言う事言わないといけませんね。

『消費支出が安定的に拡大するためには、所得増加の源泉は、元々変動する特別給与よりも、名目賃金の4分の3を占め、変動が少なく安定的とされる所定内賃金の増加がより効果的であり、望ましいと言えます。この観点から、21 世紀に入ってからほとんど実施されなかったベースアップが2014 年度からできる限り幅広く復活・実施されることが極めて意味あるものと考えます。』

是非石田委員の出身母体であります所の金融業界にそれをお願いしたいところですな(^^)。

『わが国では、長年にわたり所得の停滞が続き、物価が上がらないという状況のもとで、デフレマインドが定着してきたのだと思います。この先、経済が成長し、物価が上昇し、それに対して所得がしっかり増加していくという実績が出てくれば、人々のデフレマインドが転換し、真のデフレ脱却に大きく近づくものと考えております。』

つーことで名目の所定内賃金上昇という意味からも消費税上がった方が「消費税上がったんだからベースアップしましょうよ」という話になるので(ただの両建てではあるが)はないかと思いますけどどうなんでしょうか(期待し過ぎ??)。






2013/09/11

お題「市場メモ雑談/山本幸三先生の直球正論/8月会合議事要旨より少々」

あいやー
http://www.musha.co.jp/4958

・・・・・・でも「近づける」というのなら昨日も一昨日も「近づけ」てはいるな(−−)。

○市場メモ雑談

・何故か判らんが急に買いが来たので

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSUHMC6TTDS701.html
債券は続伸、需給良好で投資家の現物買い−30年債入札は波乱なく通過
更新日時: 2013/09/10 16:03 JST

つーことで昨日の債券市場も雨株が上昇しようが日株が上昇しようが知らんがなという貫録の展開を示しまして上昇。しかも昨日はカーブがブルフラット(引けベースでまあ先物から10年がパラで後ろが5糸フラットしているという形だが)ということで、10年カレントで0.7台前半という位置でブルフラットとなという大変に素敵な展開。

いやーしかし何でまたこのタイミングで買いですねんという所で、雇用統計を受けて一旦米債は戻りましたけれども、FEDのTaperingに関しては結局9月実施の市場コンセンサスは動かず(エバンスとウィリアムスが結局Taperingを年内のどこかにやるでしょという見解を示したのもデカイと思う)という事なので、雇用統計で買いが来た訳でもないと思いますが、はてさて何がこの買いのドライバーなのよと。

まー何ですな、大体からして消費税の問題とかTaperingの問題とか、足元においては債券の購入を「様子見」するネタがうじゃうじゃしていましたし、その辺がいつまで経っても不透明だったので、その「様子見」期間が長くなればなるほど皆さん徐々にショートになっていくとゆーことで(ただしこの場合運用対象資産が増減していないのが前提にありますけど)、どこかで買わないと〜という人たちが居て、買いがいったん入ると「俺も俺も」状態になってうひょーとなるの図みたいな所っすかねえ良く判らんけどというお話なんでしょうかね。

でまあ確かにTaperingについては雇用統計見た時にはビビりましたけど(^^)、どうも来週のFOMCで実施の絵が出るという話で落ち着きそうなのと、消費税に関してもGDP2次速報が強い(予想通りだが)し、神風のように東京五輪ネタが投下されたので、まあ大丈夫でしょ(ちなみにアタクシは逆に安倍ちゃんが五輪はワシが育てた状態の高揚感で消費税延期を決めるリスクもあるかなとは思いますけどまあ順当に考えれば延期する理由を作る方が難しいわな)という所で、その辺の不透明感後退で買いの言い訳が出来たという事なのかも知れませんが、その辺の背景については買っている人に聞くしかごじゃりませんな。


・TKRRェ・・・・・・・・・

東京レポレート
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

んーっとですね、日証協さんにお願いなのですが、データはエクセル形式だけではなくてHTMLテキストでもPDFでも良いので、環境に依存しない形式でも見れるようにして欲しいのですけれどもそれは兎も角として。

東京レポレートのT/N取引のリファレンスレートが昨日は0.057%とあちゃーな金利低下となっておりまして、これがどの位あちゃーかと言いますと、今年の3月末に盛大な資金余剰と短国のアウトライト買いニーズの高まり(翌週の追加緩和に対する思惑、というよりは正確には「間違ってベースレートをいじられたらエライコッチャヘッジ」だと思うが)によってレポ市場の玉が盛大に不足した時に、3/22:0.096%→3/25:0.074%→3/26:0.030%という金利の低下をやってくれたのがあったのですが、今回はその再来みたいな金利低下の巻。

20日の国債償還に向けてちったあ短国買入をセーブするのかと思いきやあまりセーブしていなかったりして、只でなくさえ資金余剰なのに買入してどうすんじゃとゆー所ではあるのですけれども、先行きの政策金利見通しとかとはあまり関係が無く低下(前回の場合は先程も申し上げたように「間違って利下げされたら困るのでヘッジ」もあってそもそも短国利回りの方も低かったので政策金利見通しのファクターが無い訳では無かった)しているGCとゆーのは要するに「国債の玉不足状態」という事でもありますし、大体からしてGCレートがこれだけホイホイ下がられると業者のSC取引もやりにくくなるでしょうし、正直言って誰得の展開にしか思えないのですけどねえ・・・・・・・・・


○消費税関連ニュース雑談

・山本幸三先生さすがです

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSV7TQ6K50Y501.html
自民・山本幸三氏:消費増税先送りならアベノミクス吹き飛ぶ (1)
更新日時: 2013/09/10 17:52 JST

『9月10日(ブルームバーグ):自民党の山本幸三元経済産業副大臣(党税制調査会幹事)は「デフレ脱却と消費税率引き上げは関係ない」と述べ、安倍晋三首相は予定通り2014年4月からの税率8%への引き上げを早期に決断するよう求めた。先送りすれば外人投資家が日本株や日本国債の売りに走り、株安・債券安・円高を招いてアベノミクスが市場に与えた効果が「吹き飛んでしまう」
と警鐘を鳴らした。』(上記URLより、以下同様)

ということで山本幸三先生登場ですが、まさかの真正マネタリスト炸裂の巻ですよ!

『9日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。山本氏はデフレ脱却のために日銀が通貨供給量を増やすよう長年主張してきたリフレ派の代表的論客で、安倍首相とは野党時代に金融政策の勉強会を重ねてきた。首相のブレーンである浜田宏一内閣官房参与らはデフレ脱却途上での8%への増税に慎重な発言を繰り返しているが、山本氏がこれに異論を唱えた形だ。』

山本さんがこういう話をするというのは安倍ちゃんに影響あるんじゃネーノとか思うのですけれども、この辺の人たちの力関係(?)がさっぱりワカラン(そもそも興味無いのでとか言ってしまうと身も蓋もないですかそうですか)のですけどね。

『山本氏は「デフレは貨幣現象であり、貨幣を増やせば自動的に脱却する。日銀が一生懸命にやっているのでそれを進めればいい」と増税慎重論をけん制。』

実に首尾一貫したスタンスで、どこかの誰かさんたちの場合のように、一つ一つの理屈はそらまあその通りなのですが、説明とか主張についてあんさんこの前の話と違うじゃねえのというような風情が非常に色濃く漂う人たちとは大違いで、こういう所山本幸三先生の主張って(貨幣的現象だけで済みゃ苦労しねえだろという意味で全く賛成はしないけど)好感持てますなあ。

『その上で、「何かショックが出てきそうだったら日銀の追加緩和、それが基本だ。日銀が十分にお金を出しさえすれば経済が悪くなっていくことはない」とも述べた。同氏は8日、首相に電子メールを送り、早期の増税決断を求めたという。』

>同氏は8日、首相に電子メールを送り、早期の増税決断を求めたという
>同氏は8日、首相に電子メールを送り、早期の増税決断を求めたという
>同氏は8日、首相に電子メールを送り、早期の増税決断を求めたという

増税反対派の皆様のご感想を是非ともお願いいたしたい訳ですが(^^)。

『浜田氏は8月27日に開かれた「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」に提出した資料で「消費増税は障害のきっかけになり得る」と指摘し、増税の1年延期か、引き上げ幅を縮小するよう提案。本田悦郎内閣官房参与も31日、引き上げ幅縮小を求めていた。』

わざわざおまけをつけて面白がってるなブルームバーグニュース^^;


・安倍ちゃんの指示・・・・・・はただの普通の指示だったようで

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSWCS86TTDSN01.html
安倍首相、今月末めどに経済対策取りまとめを指示−消費増税判断控え
更新日時: 2013/09/10 16:51 JST

『9月10日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は10日午後開いた閣議後の閣僚懇談会で、今月末をめどに成長戦略を含めた「経済政策パッケージ」を取りまとめるよう指示した。麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相が閣議後会見で明らかにした。財政規模や内容などは今後、各省からの要望を基に両相を中心に検討する。』(上記URLより)

このニュース共同が速報した時には「消費税増税を前提に」みたいなヘッドラインが思いっきり出ていまして、いやまあ確かに記事にあるように増税した場合の対策も考えてちょというのはあるのですけれども、相変わらず増税が先にありきっぽい報道バイアスが掛かっているのが中々チャーミングでございましたぞな、はい。


○8月決定会合議事要旨である

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g130808.pdf

・木内さんの提案が毎度ボコられている件についてあたくしの感想も含めて

本日はいきなり『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から参りますが、毎度毎度「日本銀行は、中長期的に2%の「物価安定の目標」の実現を目指す。そのうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付け、その後柔軟に見直すこととする。」という提案をして否決されている木内審議委員の議案内容についてこの会合で微妙に皆さんがボコボコとしているの図について鑑賞するの巻。

議事要旨10ページ(ファイルの12枚目)以降になります。

『先行きの金融政策運営について、大方の委員は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続すること、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うとの認識を共有した。』

『このうちのある委員は、2%の「物価安定の目標」の達成には、人々の予想物価上昇率を2%前後にアンカーすることが不可欠であり、2%の「物価安定の目標」の達成が重要であることについての国民の理解が進むように努める必要があると指摘した。』

とまあここまでは良いとしまして、

『これらに対し、一人の委員は、「物価安定の目標」を2年程度で達成するのが難しいとみられる中で、「量的・質的金融緩和」が長期間継続される、あるいは極端な追加措置が実施されるという観測が市場で高まれば、金融面での不均衡累積など中長期的な経済の不安定化につながる懸念があるため、継続期間を2年程度に限定し、その後柔軟に見直すとの表現に変更することが適当であると述べた。』

毎度おなじみの木内さんの提案なんですけどね。

『これに対し、ある委員は、金融面での不均衡蓄積などのリスク要因については、「量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、毎回の金融政策決定会合で点検を行い、必要な調整を行っていくという方針を明確に示していると指摘した。』

『別のある委員は、現行の「量的・質的金融緩和」は2年間の時限措置ではなく、2%の「物価安定の目標」を安定的に維持するまで「量的・質的金融緩和」を継続するとのコミットメントに対する理解が一段と浸透するよう、コミュニケーションを行っていくべきであると述べた。』

『この間、一人の委員は、「量的・質的金融緩和」が、戦力の逐次投入をせずに、初めに大胆に政策を転換するものであることについての市場の理解が進んできたと述べた。』

いやまあ毎回だいたい似たような感じで木内さんの提案がボコられていたりします(前回までは「却って緩和効果を弱める」という指摘をしている人もいたと記録されている)のですが、確かにまあこの木内さんの提案ってちと分かりにくい部分があるなと思うのですよ。

つまりですね、「中長期的に2%を目指す」という部分と「2年間の集中対応期間」という部分が話としての整合性が取れていないのでワカランチ会長になる訳ですが、恐らく木内さん的には足元の2年間でMB2倍2ばーいの図を崩しちゃうと緩和の後退と取られてしまうから、そこを残しながらどうするのと考えた時にこういう提案になっていると思うのですよね。

しかしながら、緩和効果に関してはストックの効果があるんです(キリッ)というビューを持ち出して屁理屈を組んでしまえば、「物価目標2%は中長期的に目指すもの」とか「物価目標2%はアクチュアルにその数字に無理矢理トラックさせるものではなく、フォーキャストのターゲットである」という風にしつつ、「その為に必要と考えられるMB2倍を2年間(つーか残り1年半だが)で達成して、その効果によって中長期的に物価目標に行くんですよ!」という話にしてしまえば良いだけの話で、「集中対応期間」とか言い出すので政策として妙になるんだと思うのですがどうですかね。

つまりですね、方向性としては「2%の物価目標というのはその時点で実際のCPIを2%にトラックさせるものではなく、中長期的な見通しが2%にアンカーされてればいいんです」というような物価目標の定義を持ち出してきてお茶を濁す、という事になると思うので、そういう感じでの提案にした方が良いのかもとは思うのです。でまあAPPの拡大に関しては2年後の状況を見て更に拡大が必要なら拡大するという話で、どうせ今はその辺何も書いていないのですから、下手に明言しないでスルーの方向ということで良いのではないかと思うんですがどうっすか??

いずれにせよ、どこからどう見ても2年で2%がアクチュアルで行くとは到底思えない(除く消費税増税分)中ですから、将来的には(1)ヤケクソで緩和拡大の神風特攻隊(ただしどう見ても現実的には弾なし芳一)、(2)物価安定目標の定義をしらっといじって「中長期的にアンカーされていれば良いじゃないか好況だもの」という風に穏便に収める、という2択が待っていると思うのですけれども、木内さん提案に関してはこの(2)の方向性を示すような形をもう少し目立つようにする(つまり例の集中対応期間云々の部分を削除する)方向で出したらどうなるんだろうなと思うのでありました。



・とにもかくにも前向きの循環メカニズム

8月月報の中でちょっとだけ出ていて、9月月報で大々的に出てきた「前向きの循環メカニズム」ネタですけれども、『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』で盛大にその辺の記載がががが。

本文8ページ(PDFの10枚目)から。

『わが国の景気について、委員は、国内需要の底堅さに輸出の持ち直しも加わって経済活動の水準が緩やかに高まる中で、所得から支出へという前向きの循環メカニズムが次第に働き始めているとみられることから、緩やかに回復しつつあるとの見方で一致した。』

キタコレ!!

『項目別には、輸出について、委員は、米国経済が緩やかに回復する中、為替相場の動きも下支えとなって、持ち直しているとの認識を共有した。』

ほほう為替相場とな(ちなみに8月頭の時点では96円とかでした)。

『設備投資について、委員は、企業収益が改善する中で下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられているとの見方で一致した。個人消費について、委員は、消費者マインドが改善するもとで、引き続き底堅く推移しているとの認識を共有した。』

ふむ。

『複数の委員は、個人消費は株高による資産効果を背景に増加してきたが、最近では雇用・所得環境の改善も加わって底堅さを増していると述べた。』

キタキター!!

『このうちの一人の委員は、恒常的な所得に対する見方が改善していることが消費改善の基調的な要因として考えられ、今後も消費の好調さは続く可能性があると指摘した。』

おいちょっと待て。

『この間、別のある委員は、4〜6月の家計調査は年初来の増勢が鈍化しており、株高による資産効果が減衰している可能性があることから、今後の個人消費の持続性には注意が必要であるとの見方を示した。』

景気ウォッチャー調査ェ・・・・・・・・

『住宅投資について、委員は、持ち直しが明確になっているとの認識で一致した。鉱工業生産について、委員は、国内需要が底堅く推移するもとで、輸出が持ち直していることを反映して、緩やかに増加しているとの見方を共有した。何人かの委員は、6月は低下したが、生産予測指数は7月の増加を見込んでおり、月々の振れを伴いつつも、緩やかに増加していると指摘した。』

ということで威勢の良い話が多いのですが、恒常的な所得に対する見方が改善とか何か飛ばし過ぎじゃネーノという部分もあるのが気になります。

んでもって先行き見通し。

『景気の先行きについて、委員は、国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に、緩やかに回復していくとの見方を共有した。そのうえで、委員は、次第に働き始めている所得から支出への前向きな循環メカニズムの持続性をみるため、設備投資や雇用者所得などの実績を確認したいとの考えを共有した。』

前向きな循環メカニズムでウハウハですねわかります。

『この点、設備投資に関し、何人かの委員は、6月短観に加えて日本政策投資銀行の調査でも今年度の設備投資計画が高めであることが確認されたが、法人季報や基準改定後の資本財総供給などの実績データを確認したいと述べた。これに対し、ある委員は、輸出の鈍い改善ペースの背景が競争力の低下などの構造的な要因である場合には、設備投資の伸びが抑えられる可能性に注意が必要との見方を示した。』

『また、雇用者所得に関し、多くの委員は、6月の特別給与が3年振りに増加となったが、所得環境の改善については、残りの夏季賞与を含めた実績のデータで今後確認したいと述べた。これに対し一人の委員は、特別給与の引き上げがみられても、所定内給与の引き上げには中小企業を中心に慎重であり、所得環境のさらなる改善には雇用環境の一段の改善が必要であると指摘した。別のある委員は、所定内給与を評価する際には、パート比率の趨勢的な上昇を考慮して評価する必要があると述べた。』

という流れを見ると、いやそうじゃないという人もいるのですが、一方で所得環境は改善しているよね大丈夫だよねってな感じの指摘の方が目に付く訳でして、何かこう雇用所得環境に関する見方がエライ強気化してるわなおいおいと思うのですが、この前向きの循環メカニズム連呼となった先日の会合の議事要旨では景気の見立てがどうなっているのかが中々興味深いというかオソロシスというかですな。

#物価に関する部分も少々あったのだが時間の関係で明日にでも(汗)



2013/09/10

お題「景気ウォッチャーとか/ニュース雑談+クリップ/金融経済月報比較である」

引き続き情勢は流動的なようですね・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/idJPTJE98801O20130909
ロシア、シリアに化学兵器の国際管理受け入れ要請
2013年 09月 10日 03:16 JST


○コストプッシュの影響が出ているようにも見えるのですが

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2013/0909watcher/bassui.html
平成25年8月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査

『8月の現状判断DIは、前月比1.1ポイント低下の 51.2となり、依然高水準ながら5か月連続で低下した。』

『家計動向関連DIは、高額品や新型車の販売が好調だったものの、猛暑や豪雨でコンビニエンスストアやサービス関連で客足が減少したこと等から低下した。』

『企業動向関連DIは、夏休みの影響もあって、一部の企業で受注や生産の増加に一服感がみられたこと等から低下した。雇用関連DIは、建設業等で求人が増加したこと等から上昇した。』

『8月の先行き判断DIは、前月比2.4ポイント低下の51.2となり、依然高水準ながら2か月ぶりに低下した。』

『先行き判断DIについては、政策効果に加え、消費税引上げ前の駆込み需要等への期待感がみられるものの、電気料金等の上昇や、消費税引上げによるマインド低下への懸念等から、家計動向部門、企業動向部門及び雇用部門で低下した。以上のことから、今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかに持ち直している」とまとめられる。』

ということで水準は引き続き50越えなのですが、昨年末から一気にマインド改善して今年の3月にピークを迎えてそこからじり安状態になっているというのは何ちゅうか円安株高にデフレ脱却ネタでウヒョーとなってはみたものの、実際問題としてはコストプッシュでの物価上昇が徐々にディマンドに影響を与えてきているとかそういう絵にも見えるだけに微妙にこうアレでございますな。

ちなみに3月調査の抜粋はこんな感じでして、年末からウヒョーとなっていたのは良く判りますな、うんうん。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2013/0408watcher/bassui.html
平成25年3月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査


○来週にTapering実施という方がコンセンサスに近いのですかね

http://jp.reuters.com/article/idJPTJE98802820130909
ロイター調査:今月米QE縮小との見方多数、縮小幅は100億ドル
2013年 09月 10日 03:02 JST

ということで雇用統計を受けても今月Taperingという方が多いみたいですな。


でまあこういうのはベンダーのヘッドライン詐欺の場合があるから本当は講演本文を読まないと何とも言えないのですが、誠に遺憾ながらそこまでの時間が無いので。

エバンスさん
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSP84T6JTSEH01.html
シカゴ連銀総裁:緩和の縮小は物価目標達成へ強い自信が必要
更新日時: 2013/09/07 03:12 JST

というヘッドラインになっているけれども見通しとしては「景気見通しが今後も改善するので今年中にTapering開始するでしょう」という話みたいで。


ウィリアムスさん
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSV7206TTDT501.html
サンフランシスコ連銀総裁、金融政策は資産バブル促す可能性
更新日時: 2013/09/10 02:25 JST

アセットバブルとなという所ですが、まあ方向性として雇用が悪化している訳では無く、さらにQEの規模が拡大していく事によって出口政策の困難性が高まったりするような、まあよーするに「これ以上のQE拡大の効果と副作用を考えた場合に副作用が効果を上回るのではないか」ってな話になっているのであればTapering開始というのは分かりやすいという事になります。

ただまあ昨日も申し上げておりますように、とりあえず「労働市場の顕著な改善」というのをQE政策の拡大停止の判断材料にしているので話がヤヤコシヤとなっている訳で、もし9月にTapering実施するなら「労働市場の改善は継続している」に加えて「これ以上のQE拡大の効果と副作用を考えた場合」というのを入れた方が本当はスッキリするのですが、ただまあこの場合の問題点として「次に何かあった時にもう効かないと言ってしまったのでQEが使えなくなる」という禿しく残念な事になるので、まあ難しいのかもしれませんね。


○こりはびっくり

昨日の債券市場
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSOXGE6JTSEP01.html
債券は上昇、米金利低下や日銀国債買いオペで−先物は中心限月交代
更新日時: 2013/09/09 16:08 JST

どう見ても東京五輪効果で株が盛大に上昇するでしょうという中(まあ指数的に見ると寄りで飛んだけどその後はだらっとしてましたが)でも債券様は貫録の大してサガランチ会長でスタートしてその後何か知らんがじりじりと上昇して後場も上昇の巻となっていました。

まあ確かに為替が100円台乗ったと思ったら結局ドル伸びなくて99円台に戻ったり、株価指数も寄りが天井みたいなプライスアクションだったからというのはあると思いますが、何気に昨日は先物近辺が一番強いものの超長期とかもそこそこ付いて来ていたりするので、まあ引値表的には先物主導ですけれども、先物だけが引っ張った相場というよりはキャッシュも効果あったんでしょよー判らんけど。

まあいずれにせよびっくらの金利低下でありました事よということですが、GDP改定値が予想通りの数値で出てきて消費税も無事に行くでしょうというのもあったのかも知れません(ほとんどコジツケ)けれどもね。


○消費税関連ニュースクリップ

ということで消費税関連ですが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130910/k10014416161000.html
「法律通りに消費増税」広がる
9月10日 4時21分

『9日発表されたことし4月から6月までのGDPの改定値は、年率に換算した伸び率でプラス3.8%となり、先月の速報段階のプラス2.6%から上方修正されました。これは、法律に従って来年4月に消費税率を8%に引き上げるかどうかの判断材料として注目されていた経済指標で、政府内では、「税率の引き上げに向けた好材料が追加された」という指摘や、「引き上げない理由を探すほうが難しい」などという意見が出ています。』(上記URLより)

今朝の公共放送ニュースではまあこういう感じで、一応流れとしては予定通り消費税引き上げでGoという感じなんですかね。


本田内閣参与が早速インタビューに答えています
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE98802P20130909
インタビュー:GDP上方修正はアベノミクス効果=本田内閣官房参与
2013年 09月 9日 11:51 JST

『来年4月に消費税を予定通り3%引き上げればアベノミクスのレジームチェンジ(体制転換)に対する疑念が生じ、白川方明前日銀総裁時代のデフレに戻る可能性がある、との懸念を表明し、持論である毎年1%ずつの小刻み増税を主張した。本田参与は、GDPの上方修正は「アベノミクスの政策効果が効いている証拠」と指摘。「デフレ脱却プロセスにあるが、脱却はしておらず、経済の自律的回復過程にも入ってはいない」とし、「来年4月の3%増税は『金の卵』を壊すようなもの」と強く警戒した。』(上記URLより)

いやあのレジームチェンジするので消費税引き上げ見送りというのであれば最初からその話をして選挙とかやってよなどと思うのですけれども、まあよーするに足元の景気は回復の初期段階なのでまだダメという話で、黒田総裁とは認識全く異なりますねという話っすな、うんうん。

しかしこの方々もアベノミクス大勝利でそれ見たことかと言ってみたり、回復は初期段階だから消費税上げなんぞ持っての他と言ってみたり、その場その場の話はロジカルに完結しているのですが、話を全部繋ぎ合わせると結局どっちですねんと申し上げたくなる所ではございまする。


なお、消費税増税に付随する話ですが・・・・・・・

甘利さん
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE98805B20130909
消費増税対策は2兆円超える、反動減と成長への対応必要=甘利経済再生相
2013年 09月 9日 16:20 JST

なお、皆様もご案内の通り最終的には短観見て判断となりそうですが、東京五輪でヒャッハーという気分の中での短観だったらまあ良い内容出るんじゃないですかね、よー知らんけど(^^)。

そして真打の登場キタコレ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130909/k10014393851000.html
自民・二階氏 消費増税には経済対策必要
9月9日 13時53分

『自民党の二階総務会長代行は、沖縄県で記者団に対し、消費税率の引き上げについて、景気を悪化させてかえって税収が落ち込むことにならないよう、十分な経済対策を講じる必要があるという認識を示しました。』(上記URLより)

・・・・・・・・・うむ、二階先生が仰ると実にこうキターという感じがしますな、うんうん(^^)。


○金融経済月報比較を少々

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1309.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1308.pdf(前回)

例によって「概要」だけで勘弁。

・現状判断

『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復しつつある。』(前回)

だいたいこの辺りは決定会合声明文と同じなのですけどね。

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。』(今回)
『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている。そうしたもとで、輸出は持ち直している。』(前回)

海外経済は変わらないけど輸出の判断は若干低下。

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直しつつある。』(今回)
『設備投資は、企業収益が改善するなかで下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。』(前回)

設備投資判断は引上げ。

『公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直しが明確になっている。個人消費は、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなかで、引き続き底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(今回)

『公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直しが明確になっている。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、引き続き底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(前回)

で、例の「雇用所得環境改善」については声明文と同様にここで書かれています。全体的な結果については変更無いのですが、この「マインド改善」が「前向きの循環」となる「雇用所得環境の改善」になったのはまあ大きい、という話は先日も申し上げた通りであります。


・先行き見通し

『先行きのわが国経済は、緩やかな回復を続けていくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に、緩やかに回復していくと考えられる。』(前回)

ということで表現がすっきり系になったのはこれまた声明文と同様。

『輸出は、海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。』(今回)
『輸出は、海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。』(前回)

輸出は同じ。

『国内需要については、公共投資が各種経済対策の効果から引き続き増加傾向をたどり、住宅投資も増加していくとみられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(今回)

『国内需要については、公共投資が各種経済対策の効果から引き続き増加傾向をたどり、住宅投資も増加していくとみられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるなかで、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(前回)

需要、投資に関しての見通し自体は同じなのですが、こちらでも設備投資の所で従来入っていた「防災エネルギー関連の投資」というのが外れておりまして、これは要するに「こういうものがあるから伸びるんですよ!などと言うまでもなく全般的に投資が伸びるでしょう」という事になりますので、これまた先行きの自信度が上昇しています。

『個人消費も、雇用・所得環境の改善に支えられて、引き続き底堅く推移するとみられる。こうしたもとで、鉱工業生産は緩やかな増加を続けると考えられる。』(今回)
『個人消費も、雇用・所得環境の改善に支えられて、引き続き底堅く推移するとみられる。こうしたもとで、鉱工業生産は緩やかな増加を続けると考えられる。』(前回)

で、こちらを見ると分かりますように、前回の金融経済月報時点で「雇用所得環境の改善」という話をしておりまして、今回はその見通し通りに進行しており、この前向きの循環メカニズムに対して自信を深めたので声明文や会見で進軍ラッパを吹きましたという事になる訳ですね、うんうん。


・リスク要因

『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)
『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(前回)

ということでここは相変わらずのあっさり味。


・物価

『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きを背景に、緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。』(今回)
『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きを背景に、上昇幅が縮小している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じている。』(前回)

ここはまあ数字が出ている話なのであまりどうのこうのというのは無いですな。

『予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

例によって同じなのですが、今回は図表30(PDFの50枚目)で前回は図表28(PDFの47枚目)になりますが、相変わらずグラフの横軸の期間が長くて直近の動きの変化が見にくいったらありゃしないのですが、どうも見てるとクイックのサーベイと物価連動国債のBEIについては前月対比低下しているように見えるのですが全体として上昇ですかそうですか・・・・・・・・・・

なお、例によって例の如くですが、この予想物価上昇率に関しては細かい説明は本文でもございませんでして、本文のほうでは、

『この間、予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる(図表30)。』(今回の本文15ページ)

ということで、これまた毎度毎度の話ですが、細かいブレークダウンの話は華麗にスルーしていますな。


『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、緩やかな上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(今回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、緩やかに上昇するとみられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(前回)

ということで先行きもほぼ同じ見方で、国内企業物価に関して「上昇する」が「上昇を続ける」に変わった位ですにゃ。


・金融環境はアクチュアルの数値部分以外の変更は無いです

金融環境に関する部分ですが、アクチュアルの数値(MBの伸び率とか市場の価格とか)に関する部分がリバイスされていますが、他の部分に関する認識についての文言変更はありませんでしたので、今回分を引用だけしておきますね。

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)

『マネタリーベースは、日本銀行による資産買入れが進捗するなか、大幅に増加しており、前年比は4割台前半の伸びとなっている。企業の資金調達コストは低水準で推移している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、改善傾向が続いている。CP市場では、良好な発行環境が続いている。社債市場の発行環境についても、総じてみれば、良好な状態が続いている。資金需要面をみると、運転資金や企業買収関連を中心に、緩やかに増加している。』(今回)

『以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、銀行貸出残高の前年比は、2%台前半のプラスとなっている。CP・社債の発行残高の前年比は、プラスとなっている。企業の資金繰りは、総じてみれば、改善した状態にある。この間、マネーストックの前年比は、3%台後半の伸びとなっている。』(今回)

『金融市況をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%を下回る水準で推移しており、ターム物金利は横ばい圏内の動きとなっている。前月と比べ、円の対ドル相場は下落している。この間、長期金利および株価は前月と概ね同じ水準となっている。』(今回)

ということで、だいたい声明文比較で確認した事と概ね同じだし、予想物価上昇率の辺りに関しては引き続きの華麗にスルー攻撃は続くの巻という所でございますにゃ。





2013/09/09

お題「総裁会見のキーワードは「前向きの循環メカニズム」&消費税に関して踏み込む踏む込む」

夏の五輪を開催した後景気がコケるというのが最近の仕様だったりしますけれども、まあ7年後の事なぞ知らんのでそれはそれで良いとしまして、前回の東京五輪と同様に東京への投資が拡大して他はおいてきぼりになりそうですが、それではケシカランとか言って均衡的に投資とか言い出して財政支出攻撃という公共投資祭りになると財政ェ・・・・・・

・・・・・などと言うと非国民呼ばわりされそうなメディアの同調圧力は何なんですかというアタクシは空気読めませんですかそうですかorz。まあお祭り気分でウキウキというのは威勢の良い話ではありますけどね。

イスタンブールは気の毒でしたが(1992年にBCNでやったばかりのマドリッドはどうでも良い)東京に決まらなかったらまた招致運動で4年ゼニが出て行く(どう見てもこの調子だと東京になるまで延々とやりそうな勢いだったから)と考えると今回決まって大変に結構でございましたぞな。南関東在住者的にはインフラ整備進んでくれて有り難いですし。

あ、それより何より福島原発に関しては大口叩いた通りに気合を入れてお願いします。


○雇用統計ェ・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSPEY46JTSFO01.html
8月米雇用:予想下回る17万人増−労働人口減で失業率7.3%
更新日時: 2013/09/07 00:00 JST

『米労働省の発表によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比16万9000人増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は18万人増だった。前月は10万4000人増と、速報値の16万2000人増から5万8000人下方修正された。』(上記URLより)

直近の数字が若干市場予想より弱いのは兎も角として、前月分を盛大に下方修正とか何といういい加減な統計という所ではありますが、これがメリケンクオリティなので致し方ないとして、問題はこの結果でさてTaperingのタイミングが9月になるのか後寄せになるのか(年内は実施するでしょうという所でしょうが)微妙ちゃあ微妙になっておりまして、あと1週間ではあるのですがFEDのエライ人が何か言うとそれに反応するというような流れになりそうですな。

市場にここまで織り込ませてしまっていると不確実な状態を続ける方がリスクですし、そもそもTaperingについて文字通りの「雇用改善」すなわち経済の状況が強くなっているので実施というのが本音(表向きのロジックはこれですけど)なのか、「QEのこれ以上の拡大をしたくない」というのが本音(どうもこっちではないかと思うのですけれども)なのかというのによって9月開始かどうかが決まると思いますので、あたくしめは後者にウェイトが掛かっていると思っているので9月じゃないかなあと思うのですが正直これまでは予想に自信満々だったがちょっと微妙ではありまする。

まーいずれにせよ今回は「拡大が止まる方向になる」だけの話で実際問題としては縮小ではないのですが、それでも引締め方向の扱いになってしまうのが「オープンエンド買入政策」の設計が政策技術論上ダメダメであったと存じます。


○総裁会見は消費税質問のオンパレードでした

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1309a.pdf

いやあの消費税の質問をそんなにせんでもという位に消費税関連の質問だったのですが、答える黒田さんは結構踏み込んだ答えをしているのがこれまたへーという感じでございましたな。

・消費税に関する質疑が死ぬほど多いのだが大体こんな感じの答えです

質疑の半分以上が消費税に関するもので、おまえそれ金融政策マターじゃないだろと思うのですけれども、まあ質問が飛ぶわ飛ぶわという所で、引用しているとキリが無いというか単なる反復になるので大体典型的な答えの方を引用するだよ。

まず最初の方での質疑で消費税ネタ一発目があったのですけど、お答えの方だけ引用。

『(答) 以前から申し上げている通り、消費税率の引上げの問題については、政府において、経済状況などを総合的に勘案して判断されると認識しています。』

でまあここからが長い。

『日本銀行では、4 月の展望レポートあるいは7 月の中間評価においても、消費税率が予定通りに引き上げられることを前提に、経済・物価見通しを作成しています。そこでお示しした通り、駆込み需要とその反動といった振れは予想されますが、基本的には、経済の前向きな循環は維持され、基調的に潜在成長率を上回る成長を続ける可能性が高いと考えています。』

ちなみにこの「前向きな循環」が今回のマジックワードなのですがその話は後ほど。

『一方、消費税率の引上げを先送りした場合の金融市場あるいは経済に与える影響は、なかなか見通すことは難しいわけですが、やはり、大切なことは、財政運営に対する市場の信認をしっかりと確保することです。その信認が失われると、国として極めて困難な状況に陥ることになりかねない
わけです。』

財政健全化の重要性という話になると黒田総裁のスイッチが入るようです!

『従って、集中点検会合においても、ご質問があったので、それにお答えし、これを先送りした場合の国債に対する信認への影響を見通すことは非常に難しく、国債価格が大幅に下落するリスクがどれほどあるか分かりませんし、それほど大きくないかもしれませんが、そういうリスクが顕現化した場合の対応は、今申し上げたように、非常に難しくなるとお答えしたわけです。』

キタコレ。

『1 月の共同声明にもある通り、政府において、持続可能な財政構造を確立するための取組みが着実に進められることを強く期待しています。日本銀行としては、常に、上下双方向のリスクをみており、2%の「物価安定の目標」を実現するために必要な施策を行っていくということに尽きると思います。』


でまあ「対応が困難になる」といはどういう事ぞという質問に対してはこの答え。

『(答)(前半は別の話なので後ほど)もう1 点の消費増税を先送りした場合の影響については、マーケットの方は色々なことを言っておられますが、例えば、国債価格がどうなるか、株価がどうなるかは不確実な要素が多いわけです。仮に、そうした状況で財政に対する信認に傷が付き、国債価格が下落することになった場合には、当然ですが、財政を拡張するわけにはいかず、財政政策で対応することは難しいわけですし、金融政策でも、そうした状況では対応することは困難だと思います。』

仰せの通り。

『先程から何度も申し上げている通り、先送りした場合のリスクが顕在化する可能性、確率がどのくらいあるかは、人によって考え方も見方も違いますし、マーケットには「相当ある」と言う方もおられますが、これは、不確実で分からないと思います。ポイントは、仮に、そういうリスクが顕在化した場合には、対応が極めて困難であるということです。』

『それに対して、私どもは、予定通り消費税率を引き上げたもとでも、基調的に潜在成長率を上回る成長が続くと思っており、景気が腰折れするとは思っていません。仮に、景気に大きな影響が出るリスクが顕在化したとすれば、それは、財政政策でも十分対応できるでしょうし、金融政策でも、2%の「物価安定の目標」の実現に対して下方リスクが顕在化すれば、当然、それに対して適切な対応を採ります。これは、4 月4 日の「量的・質的金融緩和」導入時から申し上げている通りです。』

何という分かりやすいプロコン分析という所でありまして、まあ安倍ちゃんにおかれましてはこの黒田さんの説明をご理解頂ければと思います。


でまあ段階的消費税引き上げ論に関しての答えの部分がこれまた踏み込んでいるので観賞鑑賞。

『(答) 段階的引上げについての私の個人的な評価はありますが、どのような税制を採用し、どのような税率にするかは、まさに政府が考え、国会が決定することです。従って、それについて、中央銀行として、何か申し上げることは差し控えたいと思います。』

で、差し控えるのかと思えば全然差し控えないという事で、この件に関してはかつてのどこぞの麿総裁のように一般論として攻撃でこの後スイッチが入ったかのごとく説明が踏み込む踏む込む(^^)。

『ポイントは、要するに、2014 年4 月に3%、2015 年10 月に2%引き上げることは法律で定められており、それと違うことをするということは、新たに法律を出し、国会で可決しなければいけないということです。そのような状況が、市場やその他にどのような影響を及ぼすかは、なかなか予測し難いということです。』

ほうほう。

『私の意見というわけではありませんが、例えば、政府が「一回決めたことを止め、今度は違うことをやります」と言ったとき、「その違うことを100%やる」と市場が本当に信認するかどうかは、少し分からないところがあります。』

私の意見というわけではありませんがとか言いながらこれまた結構手厳しく踏み込んでいます!!!

『小刻みの引上げと2 段階引上げについて、それぞれにどのようなメリット・デメリットがあるかという議論は、今申し上げた点を踏まえ、政府で決めて頂くことと思います。』

と言いつつ最後にまたとどめのように・・・・・・

『ただ、予定通りの引上げを行わない場合の市場やその他の反応というものは、不確実でなかなか予期できないところがありますが、何かあったときの対応は、極めて難しいということに尽きると思います。』

という事で、何かこういい感じで踏み込んでいる黒田さんなのです。


んでもって消費税関連質問ですけれども、「浜田先生や本田先生との主張の隔たりがありますね」という質問に対する答えがこれがまた中々。

『(答)(前半は別の質問なので割愛)次に、浜田先生との考え方の相違は、私はそれほど大きいとは思っていません。』

え????

『そう申しますのは、浜田先生も含め、集中点検会合で意見を述べられたほとんどの方々が、消費税率の引上げが必要とみているわけで、問題は来年4 月に3%、2015 年10 月に2%と予定通りに引き上げることでよいのか、あるいはそれを例えば1%ずつ5 年かけて引き上げるのがよいのか、ということだと思います。』

これは斬新な説明。

『その際、私どもは、先程申し上げた通り、消費税率の引上げと潜在成長率を上回る成長が基調として続くこととは両立し、そういうもとで、当然、マイナスの需給ギャップが徐々に縮小してプラスになっていくことで、消費者物価の上昇率も徐々に2%に向けて高まっていくとみているわけです。確かに、そうではない見方もあることは事実と思いますが、消費税率の引上げそのものについて言えば、基本的には、ほとんどの方が、財政健全化を進める中で社会保障財源を確保するという観点から、不可避・不可欠であるということについて、意見が一致していたように思いました。』

いやあの「財政健全化なんぞしなくて良い」というような変態は責任ある立場で発言する奴ぁいねえだろと思うので、そこを捕まえて「考え方の相違は大きくない」とか言われましても総裁ェ・・・・・と思うのですけれども(重要な相違点は経済の見方でしょ)、こう言い切って大先生方をdisらないというのがさすが財務省出身だけに腹黒政治的配慮のされた説明と感心してしまいました。


・キーワードは「前向きの循環メカニズム」

最初の説明の所でもこういうのがありましてね。

『わが国の景気ですが、企業部門において収益の改善が設備投資にプラスに作用しており、家計部門においても雇用・所得環境の改善の動きが個人消費を支える要因となるなど、企業・家計の両部門で所得から支出へという前向きの循環メカニズムが次第にしっかりと働いてきています。このような情勢を踏まえ、景気の総括判断について、先月の「緩やかに回復しつつある」から「緩やかに回復している」へと前進させました。』

で、この前向きの循環メカニズムですが、「景気の持続力の鍵はどこに見ているのか」という質問がありまして、そこの説明が大変に素敵。

『(答) 最初に申し上げた通り、全体として、経済が回復してきているので、先月に比べ、景気判断を少し前進させました。それが、今後どうなるのかというご質問です。』

『先行きについては、先程申し上げた通り、引き続き海外経済が徐々に持ち直す中で、内需の堅調さを反映して緩やかな回復を続けていくとみています。その場合のポイントは、生産・所得・支出の前向きの循環メカニズムがどのように働いていくかということです。今回、景気判断を少し前進させた背景には、やはり家計と企業の双方で、そういった前向きの循環メカニズムが働いてきていることがあります。家計では、雇用・所得面の改善がみられ、それが底堅い消費を支えるようになってきています。これが、今後どのようになっていくかが一番重要だと思いますが、私どもの見方では、引き続きそうした家計部門での前向きの循環メカニズムが続いていくとみています。一方、企業については設備投資が、色々な先行指標をみて、いずれ出てくるとみていたわけですが、特に最近の法人企業統計で明確に出てきました。この背景には、もちろん、企業の経済に対する見方・マインドの改善があると思いますが、ご承知のように、足許、企業収益が非常に改善しており、また、多くの調査で、こうした企業収益の改善は続くとみられています。従って、企業部門での生産・所得・支出の前向きの循環メカニズムも働いていくだろうとみています。』

『海外経済の動向には、まだリスクがあることは事実ですので、毎期毎期全ての指標がどんどん伸び率を高めていくとは思っていませんが、基本的には、今申し上げたような家計・企業における前向きの循環メカニズムも働き、海外経済も全体としては徐々に改善していく中で、こうした景気の動向が持続できるのではないかと私どもはみています。』

ということで、ここの説明の中で前向きの循環メカニズムが何と5回も出ているという事で、とにもかくにも今回の金融政策決定会合のポイントはこの「前向きの循環メカニズム」の強調(前回の会合時点でも金融経済月報の方では雇用所得環境の改善という指摘が入っていて、今回の布石は打ってあったのですけれどもね)。


・景気と物価に関する質問に対して

こんな質問がありましてね。

『(問) 景気判断を「緩やかに回復している」とされましたが、4 月の段階で「年央頃には、緩やかな回復経路に復していく」と考えていたシナリオがほぼ実現したと考えているのでしょうか。また、これは、一種の日銀による「景気回復宣言」という理解でよいでしょうか。』

『2 点目は、物価動向についての質問です。消費者物価の前年比は0%台後半の伸びで、順調に伸びているという見方もできますが、一方で、中身をみると、コストプッシュ型が中心で、エネルギー価格の上昇や円安を反映しているという見方もあります。庶民はコストプッシュ型の物価上昇では困るという認識も強いと思いますが、「良い物価上昇」に向かうのはいつ頃になるのか、今、脱デフレの道筋はどういうところにあるのか、ご見解をお願いします。』

どっちもさいですなという指摘ですがその答え。

『(答) 4 月に新しい金融政策の枠組みを決め、展望レポートを出し、7 月に展望レポートの中間評価をした過程で考えられていたように、景気は想定通りに回復していると思います。ただ、内外需要別の動向でみると、4 月頃にみていたよりも、外需が少し弱いかもしれません。他方、内需がその時にみていたよりも、少し強いかもしれません。ただ、経済全体としては、いわば想定通りに回復しているということだと思います。』

つまり一種の回復宣言ですねわかります。で、後半。

『物価についても、前々から申し上げている通り、2 年程度の期間を念頭に置いて、2%の「物価安定の目標」を達成するために必要な措置を採るということですので、いきなり物価上昇率が2%になるわけではなく、徐々に物価上昇率が高まっていくということです。そういう意味で、物価上昇率は、私どもが考えていたテンポで徐々に高まってきていると思います。』

ほほう。

『なお、中身については、確かに、ご指摘のように石油製品などのエネルギー関連の押上げが効いている面があることは事実ですが、他方、個人消費がかなり底堅く推移する中で幅広い品目で改善の動きがみられたことも影響しています。』

ほっほー。

『こうした改善の拡がりは、例えば、除く食料・エネルギーでみた消費者物価上昇率でみても、徐々に下げ止まりつつあることからも明らかだと思います。従って、全体として、消費者物価上昇率もいわば想定通りに徐々に高まってきています。』

想定通りキタコレ!

『さらにそうした動きは、経済全体における生産・所得・支出の好循環の中で起きていることですので、当面、エネルギー価格の上昇という面があることは事実ですが、中期的にみて、全体として需給バランスが改善していく中で、2%の物価上昇率へ向けて徐々に高まっていくと思います――需給バランスが改善していかなければ、物価上昇率が持続的に2%に向けて高まっていかないと思いますので、そのようになるだろうと思っています――。実際、雇用・所得の改善がみられており、実質所得もややプラスになっていると思いますので、全体としては、好ましい方向に向けて、徐々に消費者物価の上昇率が高まってきていると思います。』

「経済全体における生産・所得・支出の好循環の中で起きている」とか「雇用・所得の改善がみられており、実質所得もややプラス」とかこれまた大きく出ましたなという所でして、何かやたらと強い話をしている(声明文からしてそうですけれども)という事で、この「前向きの循環メカニズム」攻撃がもう全開モードになっているというのがこちらの質疑でも判ると思います。


・ジャクソンホールでの説明はナンダッタンダという話

いやー質問してくださった方が居まして誠にアリガタヤという所で、あたくしのお願い(というか煽り)が効いていたら(んなこたぁねえ)有り難き幸せ。

『(問) 先般、総裁が米国で講演された内容について1 点お伺いします。講演の中で、総裁は、金融緩和の効果を出すには実質金利を下げることと自然利子率の上昇の両面が必要だとおっしゃいました。後者の自然利子率については、いわば潜在成長率とほぼ同じような概念かと理解していますが、講演によれば、「量的・質的金融緩和」で両面において成果を出しつつあるというご見解を示されました。ということは、「量的・質的金融緩和」は、いわば日本経済の成長力を上げるような効果も狙い、かつその成果を出しつつあるとみておられるのでしょうか。もし、そうであればどのようなメカニズムでそうなっているのか教えて下さい。』

(;∀;)イイシツモンダナー

『(答) ジャクソン・ホールで講演した際、主催者から与えられていたテーマの1 つに自然利子率の話がありました。ご承知のように、自然利子率の概念については、20 世紀の初め頃から延々と議論があり、理論的に考えれば、確かに自然利子率と実質金利のギャップが大きければ大きいだけ投資が促進され、成長が促進される。逆に、自然利子率よりも実質金利が高いと、なかなか投資が出てこない。投資が出てきて経済成長にプラスになるためには、通常は、この実質金利をどのように下げるかということになります。』

ほうほうそれでそれで?

『ただ、自然利子率のことも議論する必要があったので、自然利子率自体にも若干働きかける効果があるのではないかと申し上げ、その関連で、いくつかの日本銀行が採っている政策についても言及しました。』

「若干」働きかける効果が「あるのではないか」とな??

『全体をご覧頂くと分かるように、基本的には、実質金利を下げて投資、消費を促進することにウエイトがかかっており、その点については、従来の考え方と変わっていません。』

うーむ、あの講演の後に森本審議委員の岩手での講演でも貸出支援基金に関する説明のウェイトを増やしていて、従来の考え方は従来の考え方としてあるけれども、一方でフィリップスカーブの上方シフトという話からこっちの方向に話を持って行こうという雰囲気も漂うのですけどねえ。

『中長期的な潜在成長率を上げ、自然利子率を上げていくためには、基本的には、よく言われている成長戦略のようなものが絶対的に必要であって、金融政策でそこを引き上げる余地は極めて限られていると思います。ただ、デフレが長く続き、全体として、やや抑圧されてきた自然利子率を少し回復させる効果は、あり得るとは思っています。』

>金融政策でそこを引き上げる余地は極めて限られていると思います
>金融政策でそこを引き上げる余地は極めて限られていると思います
>金融政策でそこを引き上げる余地は極めて限られていると思います

ということで共同のヘッドラインの方がヘッドライン詐欺だったようですが、それはそれとして、「金融政策でそこを引き上げる余地は極めて限られている」というのであったらあのジャクソンホールでの説明はナンダッタンダという話になるのですけれども、こういう結論になるのだったらあの講演は無いんじゃネーノと思いますし、しかし一方で先ほど申し上げましたように森本さんの講演がああいう感じだったのが気になりますな。

つーこって、この件に関してはもう少し様子を見て10月の展望レポートを鑑賞したいと思います。

#引用大会で増量恐縮至極




2013/09/06

お題「当座預金残高90兆円へ/決定会合レビュー:景気判断を盛大に強くしていますな/BOEのハッタリ成分拡大^^」

日経新聞でも虚構新聞でも無い・・・・・だと!!!!!
http://www.asahi.com/business/update/0906/TKY201309050534.html
ドコモ、iPhone販売へ 早ければ20日から
2013年9月6日2時5分

と思ったら日経も出しているのか、うーむ難しいw
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD260OR_V00C13A9MM8000/
ドコモ、iPhone販売へ 今秋にも新モデル
米アップルと最終調整 2013/9/6 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版

と思いましたら公共放送もリファーしておりますの。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130906/t10014331841000.html
ドコモがiPhone販売へ
9月6日 4時34分

で、米国10年国債ェ・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/markets/index_americas.html
時間によって数値がずれますが(当たり前)3.000とか表示されていた時間もありましたぞなもし。


○今日は当座預金残高が90兆円ですよ!!!!!!

9月5日の当座預金残高速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130905.htm
当座預金残高 891,800

本日の資金需給予定
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130906.htm
当座預金増減 +14,500

89兆1800億円+1兆4500億円ですので遂に当座預金残高が90兆円キタコレという事になりますが、グレートザ岩田大副総裁様の高尚な理論によりますとそろそろ2%達成が目前になっておられる筈なのですがどうなっているのでしょうかねえ。

そういえば昨日ちょっとネタにしました先般の消費税関連の諮問会議の議事要旨ですが、第2回会合で伊藤隆敏先生がこのような発言をしておられましたの。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/02/gijiyoushi.pdf

『それから浜田先生、すみません、非常に尊敬する浜田先生に反論するのは気が引けるのだが、やはり数字を出して議論していただいて、では、その所得効果はどれぐらいだとか、インフレ率は日銀が言っているほど上がらないのだというのであれば、その根拠を示していただいたほうが議論としてはかみ合うかなということが第1点。』(上記URL先の
本文23ページにある伊藤隆敏先生の発言より)

ちなみに浜田先生のお答えが中々正直でチャーミング(上記URL先見てちょ)なのですがそれは兎も角として、鶴光師匠岩田副総裁におかれましては具体的に数字をお出しになられたように実施した結果として、足元では岩田先生お得意の物価連動国債BEIって下がって来てるんですけどこれはどういう事なのかについてご説明を賜りたいものであると存じますけどねえ。


○決定会合レビューである

金融市場調節方針に関する公表文 2013年
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2013/index.htm/

2013年 9月 5日 当面の金融政策運営について(11時42分公表) [PDF 169KB]
2013年 8月 8日 当面の金融政策運営について(11時59分公表) [PDF 170KB]
2013年 7月11日 当面の金融政策運営について(11時47分公表) [PDF 217KB]
2013年 6月11日 当面の金融政策運営について(11時48分公表) [PDF 173KB]
2013年 5月22日 当面の金融政策運営について(12時07分公表) [PDF 174KB]
2013年 4月26日 当面の金融政策運営について(13時35分公表) [PDF 100KB]
2013年 4月 4日 「量的・質的金融緩和」の導入について(13時40分公表) [PDF 282KB]

・・・・・・ということで、ついに今回はリリース時間が11時42分と最短を更に更新するという無風にも程がある結果となった訳ですが、声明文の方では進軍ラッパが吹きまくっているのがまあそうじゃろうなあとゆー所でございまする。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130905a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130808a.pdf(前回)

・現状判断が盛大に上方修正キタコレ!!

『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復しつつある。』(前回)

ということで「つつある」から遂に「回復している」と言い切り系になりましたよ!!!!


んでもって個別需要項目ですが・・・・・・・

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている。』(今回)
『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている。』(前回)

『そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。』(今回)
『そうしたもとで、輸出は持ち直している。』(前回)

海外経済の認識は変わっていませんが、輸出に関しては持ち直しに「傾向」というヘッジクローズが入ってここだけ若干の下方修正でありますな。

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直しつつある。』(今回)
『設備投資は、企業収益が改善するなかで下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。』(前回)

『公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直しが明確になっている。』(今回)
『公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直しが明確になっている。』(前回)

つーことで投資に関しては公共投資と住宅投資は同じですが、設備投資に関して下げ止まりから持ち直しに向かう動き→持ち直しつつある、ということですからこちらは盛大に上方修正とな。

んでもって今回の白眉は冒頭の「言い切り系への変化」もそうなのですが、実はこれではないかと思うのですよ。

『個人消費は、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなかで、引き続き底堅く推移している。』(今回、強調は引用者による)
『個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、引き続き底堅く推移している。』(前回)

従来は消費に関して「マインドの改善」を背景にしていたのですが、何と「雇用・所得環境の改善」が背景になるというどう見ても「前向きの循環メカニズム」攻撃となっておられまして、こりゃまたエライ強気度が上がりましたなあという所です。

引用の際にブチブチ切っているからアレですが、この辺までを通して読めば「企業収益が改善」と「雇用・所得環境の改善」がコンボになっている訳ですからして、これはどこからどう見ても前向きの循環メカニズムだったりダム論だったりする訳で、本格的にサステイナブルな景気回復局面に向かっていますよという進軍ラッパが鳴り響くの巻でございますとゆー事で、ここの部分を見ておーと思ったあたくしなのでありました。

#俺様の雇用所得環境はなどいうツッコミは毛頭入れておりませんので念の為申し添えます(迫真)

『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(前回)

生産の見方は前回と同じです。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じている。』(前回)

ファイナンシャルコンディションに関してはまあ毎度同じですし、物価に関しての部分はまあ基本的に事実の記載なのですが、ここで「0%台後半」と書いてありまして「1%近く」と書かないところはまあ謙虚ですなという所ですけど、まー別にその辺でフカシ表現を入れなくても1%近くにここから上昇するでしょというのも見え見えみたいですから別にここの表現で盛らなくてもヨロシという余裕っぷりを感じるのでありました。


で、吹いたのはこちら。

『予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

・・・・・・・・んーっとですね、物国のBEIはここのところ絶賛低下中だったりするのですが、この「全体として」上昇というのはどこのどの辺にあるのでちゅかねえ(白目)。



・先行き見通しも表現がすっきりとなっているのは自信度の上昇でしょうね

でもって先行き見通し部分ですけどね。

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に、緩やかに回復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(前回)

ということでまあ物価の方は同じなのですが、経済見通しに関しては現状認識の方が引き上げになった関係で表現が「回復していく」→「回復を続けていく」となっていますが、それよりもほほーと思ったのは従来入っていた「国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に」という文言が割愛されていることで、輸出の見通しは若干下がったものの、海外経済の全体としての見通しは(ここの文言で見る限りは)変わっておらず、加えて国内需要に関する表現はどこからどう見ても強くなっている訳で、本来この文言は削除しなくても良い訳ですよ。

しかしながら今回ここの文言が削除されたというのは、「表現がすっきりしている時ほど見通しの確信度が高い」という日銀文学(つーかまあこれは日銀文学だけじゃなくて一般的にこの手の表現では共通だと思いますが)の仕様から致しますと、つまりは「先行きの回復についての自信度が高まっている」ということを示すと解釈するのが妥当であろうとゆー事かと存じますです、はい。


・リスク認識等の文言は前回と全文一致です

一応引用だけはしておきますね。

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペースなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(今回)

『このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

で、(注)にあるのは木内さんの毎度おなじみの提案ですがこれまた引用しておきます。

『(注)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(今回)

ここまで全文一致である(^^)。



○会見ヘッドラインは消費税の話がほとんどだったのですが・・・・・・・・・・

会見テキストが出るのは今日になりますので、そちらを見ないと何ともかんともなのですが、会見では消費税関連の質問がこれでもかと出ていてそんなの日銀の知ったこっちゃねえわヴォケという気もするのですが、それに対する黒田総裁の答えとして報じられている発言が結構頑張った内容になっていて、安倍ちゃんがムッとするんじゃネーノというようなレベル感のヘッドラインおよび発言要旨になっていましたが、実際はどうだったんでしょうかね。

しかしまあ何ですな、消費税に関しては財務省の強力援軍(まあ本人が財務省事務方ナンバー2だった訳ですから当然ちゃあ当然なのですが、元はそんなに財務省財務省してないってのが売りだったような気がする訳で・・・・・)となっている黒田さんという図になっていますね。

あと、例の謎理論「金融政策で潜在成長率を引き上げる」という話についてのヘッドラインもあったので、どなたかが質問して頂いたという事で誠に恐縮至極に存じます(って別にアタクシがお願いしたから質問したわけではなくて普通にヲチャーしてたら質問したくなるので恐縮至極とか自意識過剰にも程がありますかそうですか)が、それに対する答えのヘッドラインがQUICKと共同で違っていて、クイックだとそんなに上がらんみたいなヘッドラインで、共同だとそれなりに効果があるようなヘッドラインだったので、これは質疑応答テキストを読みたいと思います。



○BOEは現状維持だが「盛り芸」が登場しております(^^)

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/009.aspx
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £375 billion

『The Bank of England’s Monetary Policy Committee at its meeting on 4 September voted to maintain the official Bank Rate paid on commercial bank reserves at 0.5%. The Committee also voted to maintain the stock of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves at £375 billion.』

金利、資産買入規模共に据え置きです。

『The Committee reached its decisions in the context of the monetary policy forward guidance announced alongside the publication of the August 2013 Inflation Report.』

先般のインフレレポート公表時に示したフォワードガイダンスに沿った決定ですよと、言われもしないのにフォワードガイダンスの話を出しているのもチャーミングですが・・・・・・・

『Also in the context of that guidance, the Committee agreed to reinvest the £1.9 billion of cash flows associated with the redemption of the September 2013 gilt held in the Asset Purchase Facility.』

償還再投資部分に関しては従来から償還分を再投資しますよという説明をしているのだから、一々こんな事を書く必要は1ミリも無いのですけれども、わざわざ「償還分の19億ポンド分については債券購入を実施します」(キリッ)というのが「盛り芸」彷彿という事で、BOEも蟹総裁になって芸風にハッタリ成分が高まって来ましたなあとニヤニヤしながらここの文言を拝読する次第でありました。

『The minutes of the meeting will be published at 9.30am on Wednesday 18 September.』

だそうです。


○ECBまで読んでる時間は無いので週末の宿題orz

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2013/html/pr130905.en.html
PRESS RELEASE
5 September 2013 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.50%, 1.00% and 0.00% respectively.』

MRO金利、貸出ファシリティ、預金ファシリティ金利ともに据え置き。

『The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』

で、プレコンのQ&A付きが既に公表されているのですが、さすがにここまで読んでいる暇はないのでありましたとさorzorz

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is130905.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 5 September 2013

今回はドラギさんだけで対応したようですな。冒頭説明は今回も何か割とサックリ味のような感じがしますが超斜め読みだけしかしていないので詳しくは来週で勘弁。




2013/09/05

お題「決定会合プレビュー雑談/消費税点検会議が鑑賞物として(お笑い系で)興味深い件についての雑談」

中国経済の指標が妙に堅調な背景にまたあの人のお告げがががが。
http://www.musha.co.jp/4871
http://www.musha.co.jp/4889

【朗報】そして再びお告げは中国経済の堅調さを示すようです!
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE98301B20130904
コラム:中国経済復調という誤ったシグナル=武者陵司氏
2013年 09月 4日 17:38 JST

○つーことで決定会合だが朝日新聞の謎報道&決定会合プレビュー

http://www.asahi.com/business/update/0904/TKY201309030602.html
日銀、消費増税なら追加の金融緩和検討 金利低下促す
2013年9月4日5時51分

『日本銀行は、来年4月に予定通り消費増税されれば、それに合わせて追加の「金融緩和」を検討する方針であることが3日、わかった。増税で景気が落ち込むのを防ぐためで、補正予算や企業減税を検討する安倍政権と足並みをそろえ、追加緩和で金利低下を促して経済を下支えする。』(上記URLより)

つーことですが詳しい話は朝日の本紙じゃないと読めないようで、当然ながらそんなもんを読んでいる訳もないこのアタクシが内容を把握できませんが、まあ聞いた話だと国債の買入拡大かETF買入の拡大をするとかそういう記事のようでやんすな。

・・・・・・・・・んーっとですね、「消費増税の影響が当初見通していたよりも大きそうなことが分かったので、経済物価見通しを変更します」というのであれば追加緩和の実施というのもアリエールなのですが、そうでなくて「予定通りの消費税増税実施」に対してアプリオリに追加金融緩和政策を実施するというのであれば、それはどう見てもロジックの破綻でありますので、常識的に考えて有り得ないだろという事で、朝日新聞の経済関連部署におかれましては論理的推察力において以下自主規制。


一方で共同通信(引用したのは中日新聞ですが)などはこのような報道を。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013090401001723.html
【経済】 日銀、景気判断引き上げ検討 政策決定会合始まる
2013年9月4日 16時42分(共同)

『日銀は4日、2日間の日程で金融政策決定会合を始め、企業の設備投資や賃金をめぐる動向を点検した。改善していると判断すれば、5日の2日目の会合で、国内景気の現状判断を「緩やかに回復している」などと上方修正するか検討する。デフレ脱却を目指し4月に導入した大規模な金融緩和は継続を決める。』(上記URLより)

まあこっちの方は違和感の無い報道でして、景気の現状判断については今回上方修正されるかもしれませんな。まー先行きの方は色々とアレな気もしますが、とりあえず足元の経済指標は堅調に推移していますから、ここら辺りで景気付けに景気現状判断の引き上げをして、「経済物価情勢は展望レポートで示した(超楽観的)見通し通りに推移しています(キリッ)」ってゆー話にして、一方で先行き見通しに関しては(そもそもが超楽観的なので)そのまま今回も維持するという事になるんでしょうな、うんうん。

でですね、そういう訳でそもそも景気(現状)判断について引き下げ方向にあるような状況ではない現時点においてそもそも追加緩和の話が出る事自体有り得ない(そらもちろん一般的に何らかの経済に対する予期せぬ下方ショックが有ったり、下方リスク要因が予想を超えて顕在化したら話は別ですけど)ですし、しかも「来年3月の増税に合わせて半年以上前の今から緩和の話を検討」とかいうお前はノストラダムスの大予言かというような話をおっぱじめる人は普通居ないと思うのだが、朝日新聞はどこをどう思考した結果そういう記事(と言っても全文読んでいる訳では無いのであまり悪態をついてもいかんのだが)を書いているのかと小一時間問い詰めたい所ではございます。


なお、先日来書いておりますように、本来今回の決定会合後の会見でツッコんで頂きたいのは、「2%物価上昇のメカニズム」の方でして、従来はフィリップスカーブを大きく上方シフトさせるようなレジームチェンジを行う事によって2%を達成するという話をしていたのに、直近の(木久扇師匠のはどうでも良いとして)黒田総裁の講演@ジャクソンホールと森本審議委員の講演@岩手での金懇を拝見しますと、「潜在成長力の引き上げを行う」という話にすり替わっておりまして、まあ常識的に考えますと潜在成長力の引き上げなどというのは時間の掛かる話であって、「2年で2%」というのには直接的に貢献しにくい話です罠という所。

つまりですな、「2年で2%」という目標の達成見通しに加え、その「2%」の定義に関して、足元のCPIが(コストプッシュとは言え)上昇してとりあえず年末辺りには1%の水準も見えそうという状況になってくる中で、何か微妙に定義(アクチュアルターゲットなのかフォーキャストターゲットなのかという辺りがメインである)をいじってくる(元々定義自体が微妙に曖昧だったりしてますけど)んですかねえという辺りのツッコミをこう見たいのですけれども、どうせ想定問答は出来ているだろうなあとか思うのですがね(^^)。

#その想定問答の答えの方を見たいのでツッコミをして欲しいわとも思いますが^^;


○消費税引き上げ云々ネタですが・・・・・・・・・・

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/index.html
今後の経済財政動向等についての集中点検会合

何か知らんが大量の人を雁首揃えて行った集中点検会合ですけれども、気が付けば全員の(出して無い人もいますが)出した資料だけではなくて会議の議事要旨まで出ておりまして、この議事要旨が中々鑑賞用としてはオモシロス。

まあ経済全体への影響とか市場への影響みたいなのを話していた第2回の議事要旨を真っ先に鑑賞する訳ですけれども、これがまあ色々と香ばしい箇所が散見されて誠にオモシロスなので、ちょっとだけネタの積りで引用。


・マンデルフレミング突っ込みキタコレ。

22ページの伊藤元重先生の発言から。

『(伊藤(元)議員) 浜田先生と伊藤隆敏さんにお聞きしたいが、消費税の引上げの効果がどれだけあるか。浜田先生とはこのところ何回かいろいろなシンポジウムで一緒になり、そこで私が伺ったメッセージは、やはりデフレのときに金融政策は非常に重要であり、財政政策は効かない。あるいはひょっとしたらマンデル・フレミングということもおっしゃったかもしれないが、そうであるとすると、例えばデフレのときに財政拡張政策が効かないとすると、常識的に考えれば、逆の方向の財政引き締めになるような消費税増加というのも相対的に金融政策に比べて効果が弱いのではないかというふうにも思われる。(以下割愛)』

麿総裁時代に金融政策に対する非難として、「財政やってもマンデルフレミング効果でろくすっぽ効かない。もっと金融政策を実施汁!」というのがよーくあった訳ですが、そういってた方々の多くが足元では消費税増税反対を連呼しているのが実にこう不思議ですなあとか市井の片隅でアタクシのような無力へっぽこゴロツキが申し上げてもトーローの斧な訳ですが、こういう所でこんなツッコミが来たのにはワロタというかキタコレというか(^^)。


ちなみに浜田先生の説明ですが、その前にニャンコ先生の方の伊藤隆敏先生が発言してて、その発言を受けた部分があるので該当部分だけを引用しますが、23ページ以降になりますので全文はそちらから。

『(浜田氏)(冒頭割愛)ただ、理論的に言うと、僕は元重さんの言われたマンデル・フレミングを忠実に考えると、財政支出あるいは財政が上げ調になることの景気に与える影響は、普通の場合よりもかなり弱いという理論的可能性があると思っている。でも、これはやはり実証研究で調べて、ちゃんと確かめてからやらければならない。マンデル・フレミングがあるからそのまま安心だとは言えないのだろう。ただ、日本ではやはりケインズ経済学の影響が強いと思うのは、こういう議論をしたときに、ほとんどある年齢以上の方々は乗ってこなくて、有効需要不足が大変なことだというふうにみんな考える。そういう意味で、理論家として話をするときには、伊藤(元)先生の意見に賛成である。(以下割愛)』

んーっとですね、浜田先生がそうだったかというのは最近の著書とかあたしゃ読んでないので良くワカランのですが、「財政支出より金融緩和」という論者が良くマンデルフレミングを持ち出していたというのは実際にそうであった訳でして、何というかその辺の落とし前が付いてねえなあという気がしますけどまあいいです。


・最後の応酬もなかなか

24ページ目以降ですけど、最初は大和総研の熊谷亮丸さんです。

『(熊谷氏) 私から質問と意見を3点ほど簡潔に申し上げたいと思う。』

これが簡潔&ぐうの音も出ないツッコミなのでご覧あれ。

『1点目としては、消費税の議論をしていると、例えば97年のとき増税で景気が悪くなったかどうか、それから、増税を行った結果税収が落ちたかどうか、イギリスで影響があったかどうか、このあたりの事実関係のところで大きな意見の食い違いがある。私どもは図表やデータを示してそうではないと申し上げたわけであるが、私はこれに対する説得力を有する反論を聞いたことがない。ぜひこの場で言っていただいてもいいし、またどこかの機会で、ぜひこの事実関係のところだけはしっかりと議論をしたい。これは前提条件であるので、そこはぜひ共通の認識を持ちたいと考えている。これが1点目。』

(;∀;)イイハナシダナー

『2つ目は、私は増税の先送りというのは論理的に矛盾しているのではないかと思う。まず、1つ目のファクトとしては、昨年の12月の総選挙の前に、安倍氏は政権をとって消費税をしっかり上げていきたいということをおっしゃっていた。第2のファクトは、政権をとってから経済がどうであったかと言えば、浜田先生がおっしゃったように、想定どおりもしくは想定より上振れているというのが、安倍政権の見解だ。この2つの事実があるときに、増税を先送りするのは非常に矛盾しているのではないだろうか。だから、もし先送りするのであれば、これは相当国民に対して、理由を説明する必要があるのではないか。これが2点目。』

ぐう正論。

『3つ目は、増税先送り派の論拠として、マーケットで今、金利が低いから大丈夫だという議論があるが、どこの国も国債が崩れる直前までマーケットは平静であった。そして、マーケットというのは、非常に移り気でボラタイルなものである。例えば98年末に運用部ショックというのがあった。当時0.8%程度だった長期金利が、翌年の2月には2.4%まで一気に上昇したのだ。加えて将来的に見れば、今まで金余りで経常黒字だったものが、将来的にはISバランスが変わって、経常収支が赤字化する可能性がある。そういうもとで、私はやはり財政の規律をしっかり守ることが極めて重要なポイントなのではないか、こういう考え方をしている。』

でまあその中で1点目に関して国際大学・筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎先生が謎の反論をしているのですが、正直謎すぎて引用できない(どうも「お前らの回している経済モデルがおかしい」という趣旨のようなのだが読み取りにくい)のですが、かの電波浴御用達の大先生のお名前を出して『産経新聞の田村さんに言わせると、政府は狂った羅針盤を使って、中期財政計画を立てておるということで激しく言って批判をされていることがあり、私、その点、今日ちょっとお伺いしようと思ったものであるから、その点は、いかがか。』(25ページ目の宍戸先生の発言から)と仰せになっている辺りを拝読してはあそうですかと思った次第。

ちなみに3点目に関してはそういや先日提出資料が出た時に軽くネタにしましたお方は残念ながら反論されておりませんで誠に残念無念としか申し上げようがございませんです事よ。



・ちなみにどうでも良いのですが・・・・・・・・

そういや(誰とは言いませんが)提出資料の中で「長期金利急騰リスクが本当にあるなら投資家は自分の収益源泉の手の内を明かしませんよね」という謎理論で長期金利は急騰しない(キリッ)という説明をしている面白い人が居ますなあという話を先日しましたが、どうもこの謎理論聞いた事あるなあと思ったらこんなのがありましてですな。

ちょっと前の記事ですが。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE97D02B20130814?sp=true
コラム:消費増税先送りは本当に禁じ手か=嶋津洋樹氏
2013年 08月 14日 16:37 JST

『国内では、国際公約とされる消費増税の延期は金融市場を混乱させるとの見方が多い。筆者も、海外勢のなかにそうしたチャンスを狙っている投機家がいるとは聞いている。しかし、本当のことは良く分からないのが実情だ。そもそも、そうした投機家が日本の政治家やマスコミ、金融関係者などに、収益の源泉である「手の内」をつまびらかにしているとは考えにくい。』(上記URLより)

『ただし、日本と同様に名目国内総生産(GDP)を上回る累積財政赤字を抱えるイタリア政府は6月下旬、付加価値税の引き上げを3カ月延期すると発表。その際、金融市場に目立った混乱はなかった。消費増税の延期が金融市場を混乱させるリスクは否定しないが、それによって日本や世界の経済が壊滅的な打撃を受けるというのは大げさに思える。』(同じく上記URLより)

・・・・・・・・・・・うーむ、この部分で全体を語る謎理論(だいたいイタリアのケースと今回のケースじゃ国内景気の状況が全然違うだろうよ)は著名なのか何だか知らんですが、提出資料ちゃんの方でもこういう説明があった罠と存じます次第で、熊谷さんのツッコミに対してこの辺りの皆様がどうお答えになるのか拝見したい物だと思うのでありました。


○その他少々雑談

・浜田先生消費税引き上げ1年延期を熱心に主張と

http://www.asahi.com/business/update/0904/TKY201309040024.html
消費増税「1年遅らせる方が安全」 首相ブレーン浜田氏
2013年9月4日8時19分

http://mainichi.jp/select/news/20130904k0000m020142000c.html
消費増税:浜田内閣参与、4月8%なら「税収減も」
毎日新聞 2013年09月04日 07時20分

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSLD3U6JTSEG01.html
浜田内閣官房参与:消費税引き上げで「アベノミクス止まる危険も」
更新日時: 2013/09/04 18:05 JST

3日に朝日と毎日のインタビューを受けて、4日にはブルームバーグで講演ということで、引き続き浜田先生が消費税引上げ延期を熱心に主張されていることと、どうも安倍ちゃんの説明が消費税増税をやらないで済むものならやりたくない的な雰囲気をムンムンと醸し出している訳で、こらマジで日銀短観まで結論出ないんじゃネーノという感じですな。つーか悪い指標出てきたら「それ見たことか」と増税延期する悪寒が相変わらず続くのでありますた。


・榊原大先生の黒田緩和謎評価・・・・・・をネタにしようと思ったが検索できなかった件

榊原元財務官が3日にブルームバーグニュースのインタビューで消費増税に関しては予定通り実施すべき云々というお話をしていたというのが昨日記事になっていたのですが、あたくしの探し方が下手なせいか(つーか正直言うとネット版ブルームバーグニュースのニュース検索機能の出来が悪いと思う)見つからなかったので盛大にツッコミ損なったのですがジャストインフォメーションで。

んっとですね、榊原大先生は「黒田緩和は非常に成功」という評価をしているのですが、その一方で「物価目標の達成は難しい、無理矢理2%に押し上げる必要はない」との評価をしておりまして、それのどこがどう「非常に成功」なのかさっぱり判らないので小一時間突っ込もうと思ったのですが、惜しくもインタビューそのものが見つからなかったので断念ということで(^^)。


#つーことで今日は雑談祭りでございました





2013/09/04

お題「市場雑談メモ/シャドウバンキングとデリバ規制関連でFSBとバーゼルから文章が」

ふむ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130903-00000158-jij-pol
消費増税、来月1日にも判断=日銀短観で景気確認―安倍首相
時事通信 9月3日(火)23時22分配信

つまりアンケート結果を最後の決め手にしますよということですかそうですか国会での審議とは何だったのかとゆー気がしますが、つまり短観の回答対象企業の皆様におかれましては業況判断について強めに答えると消費税増税の決め手になりますよ(迫真)ということですねわかります。

○市場雑談メモ

・CPオペェ・・・・・・・

昨日のオペ結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130903.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(9月5日スタート分) 2,805 2,805
CP等買入 7,700 3,862 0.093 0.095 40.7

前回のCPオペも大概だったのですが、前回8月26日はこうなっておりました。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130826.htm
CP等買入 4,288 3,683 0.091 0.096 24.3

足切りレートの方は0.091%→0.093%と上昇しているのですが、応札が前回よりも増えているのに平均レートは0.096%→0.095%と低下していまして、0.10%割れの発行がホイホイ出ている現状を追認するような格好になっておりまして、実にアレな結果ですなあという流れですな、うんうん。

まー短期の所の市場機能って部分ではこのCPが一番特徴的な挙動をしてますのうと引き続き思うのでありました。


・10年入札で割高10年が更に割高とな

昨日は10年入札でしたが、円安とか受けて寄りは押して既発で0.75%位までやってましたがどうせ入札はニーズあるだろうと前場引けに掛けて強くなるわ、超長期は謎の弱さ(って売りがあったんでしょ)で10年入札だと言うのに前場引けでは10年堅調で超長期が弱いという謎展開。

入札結果はまあ順調でその後も10年堅調推移するも、超長期が弱くてついでに引けに掛けては株高のせいなのか何だか知りませんが先物とかも弱くなって、そもそも割高じゃネーノ的な10年カレント更に割高になるの図とか中々遺憾な展開。

つーても昨日グダグダ申し上げましたように輪番の仕様上引けのイールドカーブの形状を是としてそれを基準に買入が行われるので、イールドカーブの割高割安修正が輪番で入りやすいゾーンを中心に進まないという残念無念な話で、しかもこの日銀様の買いが市場での買いきりの中で巨大なシェアを持っているのですからそらまあ日銀買入効果で歪んだ需給とか歪んだカーブは修正されんわな(売らないから)という話。

へっぽこ需給とカーブの修正のために銘柄入れ替えオペでもやって欲しいわと思う位ですけれども、しかし入札で割高なものが更に割高とか何というプレイと思ったのでメモでした。


○今度はレポ取引に関する規制関連ドキュメントが出ております(ただし英文orz)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130903a.htm/
金融安定理事会による「シャドーバンキングの監視と規制の強化:証券貸借・レポ取引のシャドーバンキングリスクに対処するための政策提言」の公表について

でまあ原文(市中協議文書と含む)はこちら。

http://www.financialstabilityboard.org/publications/r_130829b.pdf
Strengthening Oversight and Regulation of Shadow Banking
Policy Framework for Addressing Shadow Banking Risks in Securities Lending and Repos

でまあレポ取引に関する金融安定化に対するリスクがどうのこうのという説明が最初の方に延々とあるのですが、小見出しだけ引用しますと・・・・・・・

『1.1 Pure shadow banking risks』

『(i) Using repo to create short-term, money-like liabilities, facilitating credit growth and maturity/liquidity transformation outside the banking system
(ii) Securities lending cash collateral reinvestment』

『1.2 Risks that span banking and shadow banking

(i) Tendency of securities financing to increase procyclicality of system leverage
(ii) Risk of a fire sale of collateral securities
(iii) Re-hypothecation of unencumbered assets
(iv) Interconnectedness arising from chains of transactions involving the re-use of collateral
(v) Inadequate collateral valuation practices』

中身に関しては本文4p(PDFの8ページ)以降にこの辺の説明があるのですが、よーするにレポ取引によって資金ポジションのレバレッジやクレジットエクスポージャーのレバレッジを拡大し過ぎた場合に、問題が発生した時にレバレッジの解消によるカウンターシクリカルな金融システムへの悪影響とか、対象資産のファイヤーセールによる悪影響の波及とかがリスクですよ云々というような認識を示しているように読めました。

いやまあそうですなとゆー所ではあるのですが、こんなの米国みたいに証券化商品とかのレポがホイホイ行われているケースではそうかも知らんが、日本のレポ取引って多分99.9%は国債の在庫ファイナンスとショートセールのカバーのために行われている国債流通市場の円滑化の為のツールであって、金融安定化へのリスクとか言われてもお前は何を言ってるんだ状態でして、やんちゃやってる所になんでそうじゃない所が合わせないといかんのよとこの手の規制ネタを見ると毎度思うのでありまする。

んでまあ本文6ページ(PDFの10ページ)に『2. Policy recommendations related to improvement in transparency』ってのがあってああだこうだと政策提言が書いてあるのですが、説明部分が付いていて読みにくいので、政策提言の方は本文20ページの『Annex 1: Policy recommendations on securities lending and repos』というのを見るのが吉かもしれません。

で政策提言のうち「集中清算機関で決済されない証券のレポ取引に対するヘアカット規定」に関するパブコメは本文22ページに『Annex 2: Proposed regulatory framework for haircuts on non-centrally cleared securities financing transactions (for public consultation)』というのがありますのでそれを読んでちょという所ですが、どうも見た所、さすがに「格付けの高い国債」についてはこの規制の対象外っぽく読めた(本文25p〜27p辺りをご覧あれ)ので、これでいきなり国債流通市場に影響ががががという話にはならんとは思うのですが良く判らん。

あと、この集中清算機関というのに日本の場合JGBCCが入るのかどうかの定義もよく判らん(入りそうな気がするが)ですなという事で、要するに紹介したものの解説になっていないじゃないかというツッコミはしないようにお願いします(^^)。


じゃあこのFSBのペーパーでどの辺が影響しそうかというのですが、まあ当然ながら不肖このアタクシもザクザクと斜め読みしただけですし、その前の流れをちゃんとわかっている訳では無いので誠に恐縮ではございますが、もっともメンドクサというのは本文40ページ(PDFの44ページ)にあります『Annex 4: Different approaches to data collection (in relation to Policy Recommendations 1-3)』という所にある辺りでしてですな。

『The data that public sector officials need to support their financial stability monitoring needs can be collected in several ways: through (i) regulatory reports, (ii) compulsory market surveys, or (iii) a trade repository (TR). Standardisation of the information collected is important to make it comparable across national markets and get a broad picture of the activity in securities lending and repo markets as they become more global.』

まあ要するに金融安定化のためにという錦の御旗の元、監督当局は市場の状況をより詳しく把握すべきという事で、その結果として何がどうなるかと言いますと、市場参加者が出すべき報告がより一層マンドクサになるという話になりそうなのよね。

具体的には本文46ページ(PDFの50ページ)以降に『Annex 7: Summary of Market Surveys on Securities Lending and Repos』とあって、色塗りの綺麗な表が3ページほど続いているのですが・・・・

『In January 2013, WS5 conducted a stock-taking exercise of the existing official market surveys and other forms of data reporting on securities lending and repos. The following tables summarise the responses received from Australia, Canada, ECB, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Spain, Switzerland, UK and US. The data items are taken from Box 1 of the November 2012 Consultative Document (Proposed information items for enhancing transparency/disclosure in securities lending and repos). The data sources of these jurisdictions are also summarised in Section 4 of this Annex.』

レポや証券貸借取引に関連するどのようなデータサーベイが現在実施されているのか、ということを各国の状況を並べて表示していて、その後のセクションで各国(地域も含む)の状況についての説明文があるのですが、まあ説明文はともかくとして図表をみるとサーベイをすべき(?)項目について色々とありますなあという所でして、FSB肝入りで更に細かく市場モニタリングをしようという話になるのでしょうから市場参加者としては益々事務手間増えますにゃあという所ではあろうかと存じます。

まあシャーナイっちゃあシャーナイ話なのですけどね。

#という雑談ネタでした


○似たような話だがこんなのも

これを出しているのはバーゼルとIOSCOの方ですが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130903c.htm/
バーゼル銀行監督委員会及び証券監督者国際機構による、中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制に関する最終報告書の公表について

公表文仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130903c2.pdf

さっきのレポに関してはレバレッジの監視や野放図な拡大防止という趣旨が最初にあるのですが、まあ規制の趣旨としてはこっちも論点的には似たような話なので、折角日本語があるから引用しておきますにゃ。本文1ページ目(PDFでも同じ)の『背景』から。

『2007年に始まった経済・金融危機は、銀行やその他の市場参加者の金融・経済ショックへの耐性が極めて脆弱であることを明らかにした。特に店頭デリバティブ取引に関し今次金融危機によって明らかとなったことは、これらの取引を通じた不透明かつ過度なリスクテイクを制限し、そのシステミック・リスクを低減するために、店頭デリバティブ市場の透明性向上や、店頭デリバティブ取引やその参加者に対する規制強化が必要になるということである。そこでG20は、2009年に、店頭デリバティブ取引に伴うシステミック・リスクを低減するための改革プログラムを開始した。2009年に当初合意された通り、G20の改革プログラムは、以下の4つの要素から構成されている。』

『・ 標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は、適当な場合には、取引所又は電子取引基盤を通じて取引されるべき。
・ 標準化されたすべての店頭デリバティブ取引は、中央清算機関(CCP)を通じて決済されるべき。
・ 店頭デリバティブ契約は、取引情報蓄積機関(trade repositories)に報告されるべき。
・ 中央清算機関を通じて決済されないデリバティブ契約は、より高い所要自己資本賦課の対象とされるべき。』

ようするにお前らプレーンなデリバはセントラルカウンターパーティーで決済しろやというのはまあ今に始まった話ではありませんがそういうことね。


で、ちょっと飛ばして『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制の目的』という所から。

『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制には、主に以下の2つの効用がある。』

『・ システミック・リスクの低減:』

まあそう来ますな。

『標準化されたデリバティブ取引のみが中央清算に適している。デリバティブ取引の多くは標準化されておらず、中央清算できない。2』

『2 IMFによる「国際金融安定性報告書」(2010年4月)の第3章では、金利スワップ取引の4分の1、クレジット・デフォルト・スワップ取引の3分の1、その他店頭デリバティブ取引の3分の2は、中央清算が可能なほど十分に標準化されたり、高い流動性を有したりしていないと推測している。』

ほっほー。

『これら中央清算されないデリバティブ取引の規模は想定元本でみて数百兆ドルに及び3、今次危機で顕在化したものと同様の、システミックな伝播・波及リスクを有している。』

『3 最近行なわれたBISの調査(デリバティブ取引に関する定例市場報告)によると、2012年6月時点における店頭デリバティブ取引の残高は、想定元本でみて総額639兆米ドルに上る。』

ふむ。

『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制により、デリバティブ取引の相手方が債務不履行となった際の損失を相殺可能な担保資産を確保し、こうした伝播や波及の効果を低減することが期待される。また、証拠金規制には、より広くマクロ・プルーデンス面でも効用があり、不安定化をもたらし得るプロシクリカルな変動に対する金融システムの脆弱性を低減するとともに、金融システム内の無担保エクスポージャーの積み上がりを抑制できる。』

つまり標準的なデリバティブ以外のデリバティブ取引のコストを証拠金規制やバーゼル3での資本賦課によって高めることによって、そういう取引をバカスカ拡大させないでござるとまーそういう事を企図しているということですねわかります。

『・ 中央清算の促進:』

ふむ。

『多くの法域において、今後、ほとんどの標準化されたデリバティブ取引は中央清算が義務付けられることになる。しかしながら、証拠金をCCPに差し入れる必要が生ずることなどから、清算にはコストがかかる。中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制は、そのようなデリバティブ取引に伴う高いリスクを反映することによって中央清算を促進し、G20の2009年当初の改革プログラムをより効果的なものにする。これは、システミック・リスクの低減にも寄与し得る。』

んでもって証拠金規制は主要な金融取引を行う各国が包括的に掛けろという話が続きます。

『仮に証拠金規制が国際的に整合的でなければ、その実効性は損なわれ得る。証拠金規制の緩い法域への取引シフトにより、以下の2つの懸念が生じる。
・ 証拠金規制の実効性が損なわれる(規制の裁定)。
・ 証拠金規制の緩い法域で活動する金融機関が、競争上優位となる(不平等な競争条件)。』

まあそらそうですなという所で、具体的にどういう思想での施策をという話はまあ中身を読んでくらはい。


○読書室別室(^^)

以前、と申しましてもこれがまた相当の以前でして、良く良く見たら2006年9月にご紹介した本なのですが、本が完売になったのを期に絶版扱いにして、著者サイドが全文無料公開する事になりました。ということでタダで読めますので折角なのでご紹介(^^)。

トップページ
http://www.happyengineering.org/

各章の文書はこちらからリンクされています
http://www.happyengineering.org/HappyEngineering/
ハッピィ・エンジニアリング 新しいシステム開発の処方箋

でまあSEの方が読むというよりは、システムの導入とか開発している(ユーザーサイドの)プロマネとかそれより偉い人とかにオヌヌメでございますので、まあ適宜ポチッとご覧なるといかがでしょうか^^;







2013/09/03

お題「国債の課税玉扱い関連が割と変更になる件/政策ロジックが混乱気味というメモなど」

東京五輪で東京の地価が5割上昇(と聞こえたが聞き間違いであって欲しい)とか朝から茶を噴いたわ>モーサテ

#東京五輪の宣伝文句は「コンパクト五輪」だった筈なのですが・・・・・・・・

○源泉徴収の徴収義務者が日銀から変更になるとな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130902c.pdf
債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

2016年1月から債券税制の見直しが行われますよということでこれに対応した変更なのですけれども、振替決済制度の口座とかも変更になるので、まあ源泉徴収適用免除の投資家にはあまり影響ないけど業者とかには影響しますぞなもしという事で。

PDFの4ページ目から概要の説明がありますが、5ページ以降から引用をば。

『1.源泉徴収義務者の変更』

『【現行】発行体である国の代理人として元利金を支払う「日本銀行」が国債の源泉徴収義務者となっています。このため、源泉徴収が適用されるすべての国債の元利金について、日本銀行が源泉徴収税額を控除して参加者に支払います。』

『【税制改正後】「国債権者の直近上位機関」(外国間接参加者を除く)が国債の源泉徴収義務者となります。このため、源泉徴収が適用される国債のうち、参加者が保有する国債の元利金についてのみ、日本銀行が源泉徴収税額を控除して参加者に支払うこととなり、顧客が保有する国債の元利金については、当該顧客の直近上位機関が源泉徴収税額を控除して当該顧客に支払います。』

ほほうという所ですが、基本的に銀行とか証券会社の場合は預金利子や投信収益分配金などの源泉徴収業務をしているから新たに業務が発生と言ってもまあそんなでも無いのかどうかはわかりませんので詳しい人教えてくらはい。


でまあPDF6ページ目がほほうと。

『2.指定金融機関等の通期非課税化』

キタコレ!

『【現行】非課税主体(注)(指定金融機関等、公共法人、非居住者・外国法人等)については、源泉徴収が免除されていますが、非課税主体の所有期間相当分しか免除されません。(注)本資料では、国債の利子について、所得税の源泉徴収が適用される場合には課税主体、そうでない場合には非課税主体といいます(以下同じ)。』

『【税制改正後】利払日の所有者の課税属性で源泉徴収の要否が判断されます。このため、利払日に非課税主体が所有している場合には、その所有期間にかかわらず、源泉徴収が免除(通期非課税化)されます。』

『(注)国債の譲渡所得(国債の売却時に受け取る経過利子を含む)は、税制改正後は申告分離課税により課税されます。』

ということですので、つまり国債売買の場合で課税主体が売買した場合でも経過利子は申告分離課税扱いっちゅうことだとみなし源泉徴収ってどうなるのこれ(直観的に考えると「経過利子が課税扱い」というのが無くなるような気がするのだが良く判らん)。


んでもってこれもジジイには感慨があるのがPDF7ページ目でござる。

『3.償還時源泉徴収の導入』

つまり発行時源泉徴収が無くなるという事ですな。

『【現行】期間1年超の割引国債(現在、発行なし)の償還差益については、発行時に源泉徴収が適用されます。期間1年以下の割引国債(国庫短期証券<T-Bill>)および分離国債の償還差益については、源泉徴収の適用はありません。』

『【税制改正後】個人(特定口座で保有する場合を除く)、一般社団法人、一般財団法人、人格のない社団等が割引国債または分離国債を償還時に保有している場合には、償還差益にかかる源泉徴収が適用されます。――上記の発行時源泉徴収は廃止されます。』

発行時源泉徴収廃止とはこれまた年寄りには感慨がある訳ですが、割引短期国庫債券(昔のTB)に発行時源泉徴収があって償還時に非課税団体(源泉徴収不適用団体ではない)が保有している場合に当該源泉徴収相当額が還付される云々とかで売買計算が色々とヤヤコシヤであったとかご存知の方は殆ど居ませんかそうですか(−−;

と言いつつ何か分離国債の償還差益が源泉徴収になるという扱いだと、償還差益課税部分が総合課税から分離課税になるのか良く判らんというか税制改正の方を真面目に読めですかそうですか(大汗)。

んでまあややこしいのがこれ。

『(注)源泉徴収義務者が国債権者の取得価額を管理していない場合には、償還金額に「みなし割引率」(期間1年以下の割引国債は0.2%、期間1年超の割引国債および分離国債は25%)を乗じて算出した「みなし償還差益」に税率を乗じる方法により源泉徴収税額を計算します。』

うむ、この見なし償還差益だが1年超で全部25%ってこらまた随分とざっくりしてますな。

でまあどうでも良いのですが、こういう制度になるという事はつまり税制改正までの間中期割引国債は事実上発行できないという事になりますな。

最後の『4.担保国債の取扱いの明確化』はあまりにもマニアすぎるのでパス(^^)。


で、国債振替決済制度の中で何が変わるのかという話ですが、『U.国債振替決済制度の主な変更点』という所に、

『1.口座体系の見直し
2.振替制限の廃止
3.課税口自動振替の廃止』

とありますが、そのうちの1番に関して今回は色々と変更点が多いようですが、詳しくはPDFの13枚目と16枚目にありますように、通期課税口と非居住者口が廃止になるんですな。

で、3番の課税口自動振替に関しては以下の通りでして、

『3.課税口自動振替の廃止』

『【現行】非課税主体が利子計算期間の途中で課税主体から国債を取得した後、継続して保有する場合、次の利払日には源泉徴収が適用されますが、その次の利払日以降は源泉徴収は適用されません。このため、非課税主体である参加者の課税口(自己口V)に記録されている国債は、日銀ネットにより、利払日に課税口(自己口V)から非課税口(自己口T)へ自動的に振替えています(「課税口自動振替」)。』

『【税制改正後】非課税主体が課税主体から取得した国債は、その時点で非課税口(自己口T)に記録することとなります。このため、利払日に課税口(自己口V)から非課税口(自己口T)へ自動的に振替える必要はなくなることから、「課税口自動振替」を廃止します。』

ということになりますので、たぶんさっき気にしていた経過利子の源泉徴収相当額のみなし処理というのは国債の場合は無くなる(課税玉の人が売りの場合も買いの場合も)ような気がするのですが、しかしこれ経過利子分が申告分離課税になるとそれはそれで経過利子分に関しての管理をしておかないといかんという事になるんですかな。

つーことで、大本の税制改正の方をちゃんと勉強していないのでアレなのですが(超大汗)、一応出ていたのでメモメモという事で。


○市場雑談メモ

・輪番

まあどうでもいいっちゃあどうでもいいのですが。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130902.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年9月4日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2013年9月4日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2013年9月4日

何故か短期と中期という組み合わせの買入で、これはインデックス長期化対応で短い物が世の中に出てくるからということを鑑みてそれに対して気を使ったような気もするのですが、市場予想では短いのばっかというのには微妙に意外感もあったのかねという感じだったりしたようですな。まあ30日に長期の輪番入れているから2営業日連続長期ちゅう訳にも行かないでしょうけど。

微妙にここの所市場の予想を外すようなプレイが出ているのですが、パターンにちょっと変化があるのかなという辺りとか、この前長期の買入を4000億円という事前アナウンスのレンジの下限を割った件についてどういう意味があったのか、というような話に関しては、もしかしたら日銀保有国債残高の月末分の数値が出るのでその辺を見ると何かヒントがあるのかも知れませんな。


・10年入札である

昨日は何か知らんが10年入札前に10年弱めということで推移しておられましたが、何せ今月は償還が伸びるので見た目のカレント利回りが上昇する(ので何となく絶対水準の利回りが上昇したように見える)というマジックがございますし、新銘柄確定なのでレポががががとか勘案致しますとここの償還カーブ対比でカレントプレミアムなんぼつけるんでしょうなあという所でございます。

日銀買入効果によってカレントにプレミアム付いて手前とのカーブ上割高になっても現在の日銀の輪番の「前日引け対比利回り較差入札」方式の場合は、割高である引値であってもその引値を前提にして買入をして下さるという素敵な仕様になっている以上、カーブ上の細かい所での割高割安が修正されない(ここの引けが割高だから買わない、というプレーをしない人という設定になるので)どころか下手すると更に進むという実に困った話ですので、どうせ10年カレントのカレントプレミアムって付いたら付きっぱなしになるから、カレント近辺のカーブって妙ちくりんな事になるんでしょうなあと思うのでありました。

まあカレントが吸い上げられてレポガーとか言いましてもそもそも輪番に皆で突っ込んでいるのが原因ですからある意味自業自得モードではあるのですけどね。


○決定会合プレビュー雑談とか

決定会合に関してはまあどう見ても無風という事なのですが、今回俄かに注目材料として一部の好事家の間で浮上しているのは「政策ロジックの混乱??」という部分ですにゃ。

つまりですね、昨日ネタにしました森本審議委員の講演の所で申し上げましたが、先般の黒田総裁のジャクソンホール講演と同様に急に日銀が「貸出支援基金」の重要性について話をおっぱじめ、さらには「潜在成長の引き上げ」という話にこの貸出支援基金をかますという話。

QQE突っ込んだ時にはこういう公表文でしてね。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

まあQQEの説明の中では貸出支援基金に関する話って無くて、新設した物ではないから説明が無いというのもありますけれども、もし貸出支援基金が重要な位置づけであればQQEと共に貸出支援基金が効果を上げます(キリッ)みたいな話があって然るべきで、そういう話が華麗にスルーされ、かつ最後の表(4枚目)にあるように貸出支援基金関連の数値がどう見ても帳尻扱いだったという状況から見たら物凄い勢いで復権(??)していますねという事です。

つーことで、まあ声明文でその辺の取り組みみたいなのが出てきたらかなりのお笑いではあるのですけれども、さすがにそれは無いにせよ、今回の記者会見ではどこかの記者様がこの部分についてツッコんで下さると思われますので、そのツッコミに対してどう説明するのかを楽しく拝見したいと思うのでありまする。

つーかですな、まあQQE突っ込んだ時は「2年で2%」ですから貸出支援基金がどうのこうのとか言いましても成長基盤云々が速攻で効果を出す訳では無くて、より中長期的な施策ですよねという話(まあ元々麿総裁時代は「中長期的に成長力強化をしましょう」という話でしたし)なので、そらまあQQEの話と違う罠というのもあったのでああいう扱いになっていた訳でして、それが急にクローズアップされて来たという事は・・・・・・・・・・・(^^)


○BOEネタをやろうと思ったら時間がねえorzorz

こんなんがありましてですな。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/speeches/2013/675.aspx
Mark Carney: Speech and Press Conference, held at the East Midlands Conference Centre

こいつなんですが、何が面白いと申しまして、講演原稿と記者会見がある上にですね・・・・・・・

講演原稿
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech675.pdf
Crossing the threshold to recovery
Speech given by
Mark Carney, Governor of the Bank of England

記者会見一問一答
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/conf280813.pdf

あたしゃ初めてこういうパターンを見たのですが、今回は「講演のスピーチ文字起こしと会場での質疑応答」というのが公表されているんですな。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech675trans.pdf
Mark Carney, Governor - Speech
28th August 2013

ちなみに14ページ(表紙はページは打ってないけど本文の最初が2ページ目としてページを打っているので本文ページ=ファイルのページです)から質疑応答ですが・・・・・・・・

『Alastair Cunningham: So as Governor Carney said we've got time for a little bit of a question and answer session, and just in terms of the logistics about how we'd like this to work, if you can raise your hand and attract the attention of one of the members of the team with a little paddle like that. And then once they arrive at your table I'll call out the number and if you could just stand up, take the roving mic and then everyone will be able to hear the question that you're going to be asking.』

『Mark Carney: And if you could - name and home address, if you can give that ・・・』

『Laughter』

『Alastair Cunningham: Oh name and home address as well apparently.』

『Mark Carney: We've a few of our security people here today.』

とかありますので、ガチでTranscriptですかそうですかという所ですな。

でですな、時間が無いので続きは後日なのですが、この中の質疑応答(講演でもそうなのですが)の冒頭部分でカーニー総裁は「インフレ目標遵守が重要」というのを思いっきり強調しているのがほほうという所だったりするのよ。

つまりですな、最初の質問でスレッショルドの位置づけとかのツッコミがあるのですが、それに対する答えとしてカーニーさんこういう話をば。

『Mark Carney: Yeah, well let me say one word of context and I'll answer the questions. I mean the core responsibility of the Bank is to achieve the 2% inflation target, and obviously we're starting from a position where output is very weak and inflation is above target. And the task for the Monetary Policy Committee is to chart the right path to get inflation down while we're supporting output.』

ということで、色々と新たしい機軸が出そうな話を就任前はしていたのですが、結局の所スレッショルドは導入したもののインフレ目標2%に関しては「コアの責務」というような言い方をして更に強調するという流れになっているのですな。

『And we're using forward guidance as a tool, with other things that the Bank's doing in order to achieve those goals. But we're also using it as a tool to provide as much clarity to citizens and business people about the expected path of policy. So the answer on inflation is a little more than two years, so the third quarter of 2015, inflation - bringing it down to that 2% target.(以下割愛)』

つーことで、何かフォワードガイダンスが「今は経済が強い訳では無いので物価目標2%より高いけど緩和政策継続しますので、物価水準が低下するまで少々お待ちいただけますでしょうか」というエクスキューズのように使われているという位置づけになってしまいまして、これはこれで何と申しますか米国のフォワードガイダンスや日本のかつての時間軸政策とはまた一味違った話になっていますな、というか政策ロジック混乱してるなあ、というような話が講演見ると何となくそんな気がしますという事で。

#すいませんただの雑談モードで申し訳なし





2013/09/02

お題「森本審議委員講演&会見でござる」

最初に訂正なのですが、金曜にネタにした鶴光師匠の落語もとい岩田副総裁の講演ネタですが、師匠の高級な計算に基づく理論であります所の「当座預金残高が10%拡大すると予想物価上昇率が0.44%上昇する」というものを最初にそう引用しておきながら、後段であたくしが愚意見を申し上げる際に0.14%と全力で誤記してしまった事をお詫びして過去ログの方は既に訂正させて頂きました。

だって実際問題当座預金残高って3月末(581300億円)と8月末(886100億円)で比較すると52.4%拡大している訳で、実際のBEIの推移を拝見しますとそら0.44%じゃなくて0.14%と書きたくなる罠(まあ0.14%でも合っていないのだが)ということでございますよあっはっは。

#本当に素で間違えたのだが意識としてえーっと全然上がっていないよねというのがあったからタイポしたんでしょうなあwww


○遅れましたが森本審議委員講演でふ

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130829a.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 岩手県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

・基本的には執行部ベースのお話が延々と続く

まあ何ですな、森本審議委員は最初の講演の時の質疑応答でちょっと言葉尻に不用意な所があってそのヘッドラインを受けて相場が動いて市場がムキーってなってしまったというひじょーに残念な事案があったせいかどうか知らんのですが、その後の講演が段々大人しくなってしまった(出身母体が盛大なやらかしをしたのも影響してるかもですが)のが残念なのですけど。

つーことでまあ基本的に延々と執行部ベースの話が続くのでありまして、「日銀の考え方を伝える」という意味ではさいですなという話なのではありますが、一方で森本さん独自の視点でどうのこうのというのが講演で中々出てこないというのも惜しいなと思います。折角の委員会なのですから、産業界の立場から見た場合にという形で、米国の言い方を使えばウォールストリートとメインストリートを繋ぐ独自見解というのもあっても良いのかなと思うのですけどね。

とは言え、米国の現状のようにもう連銀の人たちが勝手気ままにカオスモードというのもこれまた意見バラバラじゃんという話になるのでその辺の兼ね合いはムツカシヤとは思いまする、はい。


・とはいえ一応引用しておく

でまあそれはそれとして一応景気に関する部分を引用だけしておくが基本執行部と同じ話。

『まず、わが国の経済の先行きを見ていくうえで重要な海外経済の動向についてお話しさせて頂きます。海外経済は、一部に緩慢な動きもみられますが、米国経済の回復の足取りが確かなものになりつつあるなど、全体としては徐々に持ち直しに向かっています。先行きについては、緩やかながらも回復に転じていくとみていますが、新興国経済が伸び悩む中で、景気の回復テンポは総じて緩慢なものに止まると見込んでいます。これらの点について、地域別にもう少し詳しくお話ししたいと思います。』

となりまして地域別の話はありますが、米国経済はこれからも順調に回復、ユーロ圏は最悪期を脱して底入れから回復へ、中国は現状程度の安定成長軌道と来ております。

『海外経済を巡る不確実性として、米国の金融政策を巡る思惑が金融市場や新興国・資源国に与える影響や、中国経済、欧州債務問題の動向に十分な注意が必要だと考えています。』

ほう。

『米国では、連邦準備理事会(FRB)の資産買入れの減額が議論されはじめています。この背景には、米国経済が緩やかながらも着実に回復していることがあり、そのこと自体は、世界経済にとってプラス材料です。また、FRBは雇用情勢の改善が継続することが実際に資産買入れペースを調整していく前提であると繰り返し指摘しています。市場にもそうしたFRBの考え方は徐々に浸透しつつありますが、市場参加者が資産買入れ縮小を意識する中で、これまで投資していた新興国・資源国市場などから資金を引き揚げる動きがみられ、今後もそうしたリスクがあります。世界経済の回復力はなお脆弱であり、急激な資金流出がみられた場合の金融資本市場や実体経済への影響にかかる不確実性は大きいと考えています。』

実際はTaperingは経済の回復力云々よりもこれ以上QEを拡大する事のメリットが殆ど無いのに対して出口政策の困難さが飛躍的に高まるなどのデメリットを重視しているからじゃないかと思うのですけどねえ。確かに「利上げ」は遠い話だけど。

『中国経済については、安定成長を持続させていけるかが大きなポイントです。今後、製造業の過剰設備や格差問題など様々な課題を克服して安定成長を続けるうえで、「シャドーバンキング」などの経済成長を上回るペースでの急速な信用の拡大を抑えながら、構造改革を着実に進め、投資から消費へのリバランスを進めていくことができるか注視していく必要があります。』

『欧州債務問題を巡っては、ひと頃意識されていた「ユーロ崩壊」といった極端なテール・リスクは後退しているものの、不確実性はなお残されています。域内経済・金融の統合強化や財政改革への取り組みが後退するようなことがあれば、市場の緊張が再び高まる可能性も否定できません。当面は、9月のドイツ総選挙の帰趨など加盟国の政治情勢を注視していく必要があります。このほか中東情勢等を巡る地政学リスクにも目配りが必要です。』

とまあ無難にまとめています。


・日本経済の先行き見通し

これまた執行部ベースの話だが執行部ベースの話を確認する意味もあるので引用。

『先行きについては、輸出は海外経済の持ち直しや円高修正効果などにより緩やかに増加していくとみられます。国内需要については、公共投資や住宅投資の増加傾向が続くほか、企業収益や雇用環境の改善を反映して、設備投資が緩やかに増加し、個人消費も引き続き底堅く推移していくと考えられます。そうしたもとで、鉱工業生産も、企業からの聞き取り調査なども踏まえると、緩やかに増加していくことが見込まれています。以上の内外需要や生産面の動きを背景に、わが国経済は緩やかに回復していくと考えられます。』

足元のどう見てもコストプッシュの物価上昇による実質雇用者所得の減についてはスルーというのが現在の執行部クオリティ。

『こうした動きを若干敷衍しますと、昨年末以降の円高修正・株高の動きもあって、マインド面の改善がみられており、これが、当面、個人消費の下支えに寄与するとともに、企業の支出行動にも次第にプラスに作用していくと考えられます。』

ほほう。

『個人消費の増加は、株式の保有率が高い中高年層で目立っています。』

格差拡大ですね!!

『団塊世代は他の世代に比べて消費性向が高いという特徴があり、企業サイドの需要掘り起こしの努力もあって、引き続き消費活動は堅調さを維持するとみられます。』

何かそれって全然サステイナブルに見えないのですけれども・・・・・というのは気のせいですね!!!(白目)

『この間、設備投資については、先送りしてきた機械等の維持・更新投資の再開や防災・エネルギー関連の投資などから、緩やかに増加していくとみられます。公的需要の面からも、先行指標である公共工事請負額は既に大きく増加しており、今後、押し上げ効果が本格化していくと考えられます。』

財政刺激以外って全然サステイナブル以下同文。


・物価が持続的に上昇するには賃金の増加が鍵と

まあそらそうよという話ですが。

『こうした景気回復に向けた動きを持続させ、消費者物価の前年比上昇率で2%の「物価安定の目標」を実現していくうえでは、企業業績の改善が雇用者所得に波及することが鍵となります。』

まあそんな中で消費税増税+法人税減税(するのか知らんが)ですな(白目)。

『最近の雇用所得環境をみると、失業率や有効求人倍率などの労働需給が改善し、雇用者数が前年比プラスで推移するもと、1人当たり名目賃金は、パート比率の趨勢的な上昇による下押し圧力はありますが、夏季賞与が含まれる6月の特別給与は3年振りに増加に転じ、全体で前年比小幅のプラスにまで戻してきています。』

何か上手い事説明して煙に巻いてますけど結局一人当たりって上がってないですよね!!!

『先行きの不確実性はあるものの、こうした動きが所定内賃金の引き上げにもつながっていくか確認していきたいと思います。』

要するにまだ上がっていないと。


・よく消費税増税を実施するなら追加緩和という説を唱える人が居ますけど・・・・・・・・・・

会見等での質疑応答などでも良くこの辺にツッコミが来ていて、「下振れリスクなどが高まったら必要な手段を取る」と言わせてはいまして、どうも債券市場ではそんな期待している人いないと思いますが、他市場で微妙にそういう期待があるようなので(他市場の人が見てるか知らんが^^)念の為。

『これらの点を踏まえて先行き3か年度の日本経済について総括的に申し上げると、予定されている二度の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が維持されるもとで、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています。』

『日本銀行が7月に発表した展望レポート・中間評価における政策委員見通しの中央値では、2013年度の成長率は各種経済対策の効果や駆け込み需要によりやや高めの2.8%、2014年度は駆け込みの反動もあり1.3%、2015年度は1.5%とみています。』

とまあこういう想定をしている訳ですから、ここで「消費税増税の経済に対する影響をかんがみ追加的な緩和措置」みたいなのが実施されるというのは政策ロジック的に有り得ない(それまでの見通しが嘘八百であったという話になるので)のでして、勘違いしている人のために念の為申し添えます。


・貸出支援関連措置が何時の間にやら重要施策に再び格上げになっている件について

これって先般の黒田総裁のジャクソンホール講演でも急に飛び出してきた話で、「金融政策でフィリップスカーブを思いっきり上方シフト」というだけでもアチャーの世界なのに、その上今度は「金融政策で中立金利即ち潜在成長率を引き上げる」という金融政策超万能理論まで登場したのでえーーーーという話を申し上げましたが、森本さんの講演でも貸出支援の辺りの説明ががががが。

金融政策の話の部分を全力でワープして『(2)「貸出支援基金」への取り組み』という所まで飛びます。

『こうした好循環を持続させていくためには、企業や家計が緩和的な金融環境を実際に活用して資金を調達し、これが投資や支出の増加を通じて、マクロ的な需給バランスの改善につながっていくことが大事だと考えています。資金需要面では、このところ前向きな動きがみられはじめていますが、なお多くの企業では設備投資を行う際に借入をせず、手許のキャッシュ・フローの範囲内で対応しています。このため、日本銀行では、強力な金融緩和に加えて、緩和的な金融環境を企業や家計に最大限に活かして頂ける状況を創出するために、「貸出支援基金」を設け、「貸出増加を支援するための資金供給」(貸出増加支援)と「成長基盤強化を支援するための資金供給」(成長基盤強化支援)の二つの措置を講じています。』

ほほう。

『「貸出増加を支援するための資金供給」(貸出増加支援)は、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すことを狙いとして導入した措置です。』

でまあ説明があるのですがそこは飛ばして。

『ネット増加額を計算するうえで対象とする貸出には、円建てのほか、外貨建ても加えています。企業の国際的な業務展開とそれを支える金融機関の融資活動は、グローバルな需要を取り込んでいく観点から重要であり、外貨建ても含めて、海外に所在する企業への貸出や海外店貸出を支援することは、わが国の成長力を強化するうえで有効と考えています。』

>わが国の成長力を強化するうえで有効
>わが国の成長力を強化するうえで有効
>わが国の成長力を強化するうえで有効

ほほう。

『また、「成長基盤強化を支援するための資金供給」(成長基盤強化支援)では、成長分野への資金の流れを後押しすることを目的としています。日本銀行が、こうした資金供給の枠組みを導入したのは、デフレを克服し、物価安定の下での持続的な経済成長を実現するためには、世界に先駆けて少子高齢化が進むもとでわが国経済が直面している趨勢的な成長率低下というトレンドを逆転させ、中長期的な成長期待を高め、その軌道を引き上げていくことが重要と考えているためです。』

まあこれについては導入時からそういう話をしてましたが、めんどい(というのと無駄に長くなるのでというのがありますが)ので以下引用割愛しますけれども、この成長基盤強化支援の話と政府の成長戦略を絡めた説明になっていまして、何気にこの辺の話が壮大になってきているのが最近の説明の特徴でありまする。

つまりですね、先般の黒田総裁の説明も唐突に出てきた感はあったのですが、今回の森本審議委員の説明もQQEに関する説明って実際に実施した事やその効果についての説明も含めまして(引用してないけどまあ説明は執行部ペースです)3ページ半程度の量を割いているのですが、貸出増加支援と成長基盤強化支援の説明パートが2ページ半ございまして、当初QQE打ち込んだ時には完全にスルー状態だったこれらの麿総裁の置き土産ものがいつのまにやらまたウェイト高くなって復活傾向という風になっているのが何というか色々と味わいの深い物を感じるのでありました。


○会見なのですが「説明がやたら長いのに内容が超無難」という珍しいパターン

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1308b.pdf

今回の会見テキスト見ててちょっと珍しいな〜と思ったのは、小見出しの通りの事象であるという話でして、質疑応答の際に森本さんが結構な割合で長広舌を振るっているのですが、その演説の内容を見ると特段こう変わった話が無くて中身が思いっきり展望レポートや金融経済月報の説明のまんまであるという所でして、これは総裁や副総裁よりも執行部ベース(ナンノコッチャ^^)ではないかとまあそんな感じです。

・何が凄いと言ってこの最初の説明がすごく長い事

『(問) 2点質問させて頂きます。1点目は、当地での懇談会は10年振りとなりますが、地元出席者からの声と感想をお聞かせください。また、2点目は、岩手県は震災からの復興に向けて歩んでいる途上にありますが、岩手県経済の先行きについて、どのようにご覧になっているか、お聞かせ下さい。』

ということで、お約束の冒頭の質問があるのですが、この答が何と4ページ目の4分の1辺りの部分まで続いております。まあ岩手ということで震災絡みの話とか色々とお話をするテーマはあるにせよ、エライ説明が長い罠と。長いので引用しませんが。


・やたら消費税増税に関する質問が多かったですが・・・・・・

でまあ後の質疑なのですが、主に消費税増税に関連するものと、海外経済のリスク認識に関連するものが多かった(というかだいたいそればっかり)のですが、消費税関連での質問では「増税とセットで追加緩和はどうよ」というのがまあネタかなと思いますのでその辺でも。

『(問) 消費増税の関連で1点お伺いします。消費増税を行う場合、景気への悪影響を回避するために、財政出動や減税措置等の激変緩和策を求める声が出ております。そうした中で、日本銀行に対しても政府の対策と歩調を合わせて、との思惑が市場内に出ています。』

どこの市場????

『こうした状況の中で、日本銀行としては、2年で2%の「物価安定の目標」が達成できる見通しであれば、そのようなことは必要ないとの考えにあるのでしょうか。また、予定通りに増税が行われなかった場合のリスクについて、どのようなことが想定されるのか、お聞かせ下さい。』

つーことで増税しない場合のリスクに関する質問については「政府の話なので勘弁」という事なので引用割愛して追加緩和に関する部分から。

『(答)(前半割愛)そうした前提で、市場等において、政府と歩調を合わせて日銀がどうかという話ですが、政府の判断自体について、私どもは、どうなるかは分かりません。ただ、私どもとしては、経済の状況は緩やかに回復しつつあると認識しており、実体経済、金融市場にも、前向きな動きが広がっており、所得から支出への好循環もみられ始めている状況にあると思っています。こうした中で、物価も6月には前年比+ 0.4%となっており、私どもが考えているシナリオの中で動いていると思っています。今後も、こうした好循環のもとで、経済がバランス良く持続的に回復し、2%の「物価安定の目標」を達成していきたいと考えています。今は、経済が私どもの考えている状況で進んでおりますので、こうした状況下で、しっかり「物価安定の目標」の達成に向けて引き続き努力していきたいと思います。』

つまり消費税増税とリンクして追加緩和というのは有り得ないというのが結論ですね。

『当然ながら、4月の量的・質的金融緩和を導入した際に、これからも経済の上下のリスク要因をしっかり点検し、必要ならば調整していく方針を出していますので、そうした一般的な対応は考えていますが、現在のところ、私どもが考えているシナリオの中で動いていると考えています。』

ということですからね。


・海外経済のリスクは高まっていないという認識の香りがするのだが・・・・・・

『(問) 追加で質問ですが、日本銀行の海外経済に関する判断が、ここ数か月、若干弱めの判断が続いているかと思いますが、海外経済がさらに落ち込んで日本の輸出が影響を受けるリスクについて、現状認識をお聞かせ下さい。』

という質問があるのだが、これの説明がこれまた長いのよ。

『(答) 海外経済について、米国経済は、ご承知の通り、財政の下押し圧力というか下押し要因はあるものの、堅調な民需、とりわけ個人消費が堅調であるほか、住宅投資等々も堅調です。住宅市場は、強弱の数字が入り混じることがありますが、基本的には、価格、販売戸数についても回復していると評価しています。こうした家計部門が企業部門にも影響して、しっかりと回復していくと考えています。ユーロ圏経済についても、ご承知の通り、後退を続けていましたが、ここのところ、マインド面の改善も徐々に図られてきていますし、この4〜6月の経済も、7四半期振りにプラスに転化していますので、底入れから持ち直しを探る展開に基本的になっていると思います。』

『新興国・資源国についてですが、中国経済については、色々懸念する声がありますが、政府が各種改革に取り組む中で、一頃と比べれば低めではあるものの、安定した成長が続いていると思います。内需は引き続き堅調に推移していますし、中でも個人消費は良好な雇用・所得環境を背景に2桁の伸びが続いているほか、固定資産投資も、インフラ・不動産投資に支えられ、前年比2割増の伸びを続けています。ただ、生産活動をみますと、PMIはやや改善していますが、素材を中心に在庫調整の動きが続いていることなどから、一頃と比べて勢いを欠いていると思います。いずれにしても、中国経済の先行きは、堅調な内需に支えられ、現状程度の安定した成長が続くと思っています。』

『ただ、このような中で、これから中国政策当局が、従来のスピードよりも質を重視した構造改革に取り組んでいく方針を強く打ち出すと同時に、経済成長にも目配りする姿勢も示しています。これから、構造改革を進める過程において不確実性は高いですが、今、申し上げた通り、経済成長にも目配りするという姿勢からすると、現状程度の成長は期待できると思っています。』

『そのほかの新興国・資源国経済については、それぞれ国によって様々、区々であり、ご承知の通りですが、経常収支等々が弱い国については、米国のtapering観測に伴い資金流出等がみられ、これからのリスクも考えられます。もっとも、新興国全体をみますと、中国経済は現状程度の安定、そのほかの国は様々で、注意は必要ですが、全体としてはある程度バランスしているとみています。』

『海外経済全体としては、リスクはあるものの持ち直しに向かって進んでいると評価しています。こうした中で、輸出も、基本的には、海外経済の持ち直しとともに、円高修正が相俟って、基調的には増加していくと思っています。』

とまあこれだけ長い説明なのですが、どこかで見た文章ですなという位に最初の講演での説明内容と同じ話をこれでもかと続けている訳でして、結局どうですねんというのが判らん訳で、ちょっと後の方ではこんな質問がありまして・・・・・・・・・


『(問) 今日の講演の内容などを通して、海外経済が日本経済に与える影響というところで、海外経済の不確実性やリスクというのは、以前にも増して高まっているというような委員のご認識でよろしいでしょうか。』

『(答) 従来から、日本銀行の今の経済・物価情勢を色々見通す中で、やはり最大のリスク要因は、海外経済ということで、これは米国の中では財政の問題がある他、ユーロはテール危機こそ遠のきましたが、そのほかの様々なリスク要因があります。また、新興国・資源国については、足許、米国のtapering観測等々も踏まえたリスク要因というのが考えられるようになってきています。いずれにしても、従来から、海外経済については、私どもの最大のリスク要因というように考えておりましたので、その点について、特に引き続きしっかりウォッチしていきたいという姿勢には、特に変化はないと思っております。』

ということで、結局認識が高まったのか高まってないのか明言していませんが、講演の部分とか見てもそうなのですが、あまり海外経済のリスク認識が高まっているという風には思えない内容ではございますなという所では無いでしょうか。


ということで、まあ引用大会で長くなってしまいましたが、説明と言い質疑応答と言い見事なまでに執行部ベースというか日銀の月報や展望レポート等での説明になっておりますので、そーゆー意味では執行部の考えている説明ロジックが見えますなという所ではあります。

んでもってまあ今回の講演&会見見ててほーと思ったのは「先日の黒田総裁講演と同じように成長基盤強化支援措置を金融政策の効果発揮のロジックに使いだしている(QQE一本槍状態からちょっとした変化が見られる)」というのと、「何だかんだ言って下振れリスクをあまり見ていなくて海外経済にも強気ですよね」という所かなあとあたしゃ思いましたです、はい。

#今日は引用増量企画で誠に恐縮至極