トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「131202」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)


2013/12/30

お題「市場雑談少々/逆さ絵先生のFOMCプレコンQ&Aから少々」

まあどうでもいい話ちゃあどうでも良いのですが・・・・・・・・・・・

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122902000105.html
「安倍政権の暴走止める」 都知事選 宇都宮氏が出馬表明 2013年12月29日 朝刊

国政を変えるとか特定秘密保護法がとか言いましてもあのすいません都政の話はどうなってるんでしょという所で、そういう身内向けの話で盛り上がっちゃうから代々木関連の皆さん所は支持が一時的に拡大しても持続しないで階級政党のままで国民政党にならないのですがねえ。しかも誰向けの階級なのかも判らんし。

しかしこちらの身内向けの話は凄いというか何というかで年の瀬に強力なアレががが。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131228/plc13122803080003-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131228/plc13122803080003-n2.htm
[産経抄]12月28日 2013.12.28 03:07

最初の方から色々とクラクラ来るのだが、最後の締めがもう何かね。

『心ある日本人が「嫌米」にならぬようケネディ駐日大使はぜひ、靖国神社にお参りいただきたい。』(上記URLより)

えーっとこの前ケリー国務長官がですなあ・・・・・・・・・・

元々そういう傾向はあるものの、最近は右や左の旦那様が身内向け主張で盛り上がって先鋭化するという傾向が強くなっているような希ガス。

・・・・・・・などという柄にもない雑談は兎も角としまして。


○市場雑談メモ

・MB目標達成で着地ですかそうですか

まあ既に読めている話ですが記念に備忘メモ。

27日速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx131227.htm
当座預金残高 1,063,600

30日予想
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp131230.htm
当座預金増減 +6,800

ということで、当座預金残高が107兆円で着地という見込みになりまして、26日時点で当座預金残高106.4兆円でMB200.3兆円になっている(というのは今時点での日銀トップページに表示されている数値)のですが、この数値から当座預金が6000億円程度拡大して、銀行券が9000億円程度増発(というのは上記速報と予想の数値を拾って合計)しているので、末残のMB着地が大体202兆円という事になりまして目出度くMB目標達成ですな、うんうん。


・1月の短国買入は2兆円×5ですかそうですか

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131227.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年1月6日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年1月6日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2014年1月6日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年1月6日 2014年4月2日

輪番は予想通りの実施で、固定オペはロールなのですが、短国買入がいきなり年初渡しで入るというのがほほうという感じです。

1月は国債発行と日銀保有の短国償還などの要因で盛大に資金不足になるので、その分に対応して短国買入のペースが上がるとは予想されていたのですが、アタクシ的には8日の資金不足にぶつけて6日に短国買入一発目を実施するのかと思ったのですが、年始早々の受渡で短国買入2兆円打ち込み。

その結果年始スタートのレポとか短国とかの金利はきっちり低下でござるの巻と相成りまして、1月からの短国買入攻撃で短国市場がまたピャーとなってしまうのを年末から見せられるという大変に夢の無い事案が発生しておりますが(−−)、これは1月の短国買入が2兆円×5となるようで、さて1月中にどの程度短国金利が沈むのやらという話ですな。まあ2.5兆円×5だったらもっと悶絶するので2兆円でぶーたれてもシャーナイナイなのですけどね。

なお結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131227.htm
国庫短期証券買入 43,037 20,004 -0.005 0.000 6.7
国債買入(残存期間5年超10年以下) 8,119 4,005 0.000 0.003 12.6
国債買入(残存期間10年超) 5,270 2,002 0.007 0.016 86.7
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(1月6日スタート分) 3,200 3,200



○CPIキタコレとか関連世間話

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE9BP09020131227
訂正:消費者物価が5年ぶり1%超え、食料・エネルギー除く指数15年ぶりの上昇
2013年 12月 27日 12:36 JST

『[東京 27日 ロイター] -総務省が27日発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.7となり前年同月比で1.2%上昇した。6カ月連続で前年を上回り5年ぶりに1%台に乗せた。振れの大きい食料(酒類を除く)やエネルギーを除いた指数は、前年比0.6%のプラスで15年3カ月ぶりの上昇となった。円安とエネルギー価格の上昇を背景に、値上げがテレビやパソコン、缶詰など幅広い品目に波及しつつある。来春以降は消費税の引き上げも物価上昇要因となりそうだ。』(上記URLより)

ということで+1.2%ですよ来ましたねえ〜という所ですが、何かどう見てもコストプッシュでこれって本当に国民厚生的にグッドインフレーションなのかよと盛大にツッコミをしたい所ではありますし、物価に関しても目先上昇は鈍化の見込みとはなりそうなのですが、消費税増税でとりあえず表面上の物価は更に上昇するという形になりますので、この流れで物価観が変わるとなりますと正しく期待の転換とかなり兼ねないのがオソロシス。

ま、その前に実質所得低下の方が先に影響してあばばばばーとか、物価が上昇するのに所得の増加が追いつかなくてそもそも2%インフレ目標ケシカランとかそんなお洒落な事態になるような気もせんでも無いですが、何はともあれ日銀の中ではまたまた「ESPフォーキャストにまた勝った」ということで提灯行列が執り行われていたのではないか(ウソ)と存じます次第で年始からも黒田総裁のドヤ顔講演が全力で見られることでしょう。

・・・・・・・・・という状況の中で早期追加緩和とかどこからどう考えてもあり得ない話でございますし、まあこの前ヘコヘコ計算しましたように、追加緩和のようなものをという話になるとすれば、来年のMB拡大において「その他」の部分の積み上げがかなり難しい訳ですよね。

ちなみに先日は一応「その他」で15兆拡大という計算でも死ねるという結果が出た訳ですけれども、実際問題として4月4日の声明文で出していたポンチ絵によりますと2014年末のMBは270兆円で出しておりましたので、多分アレを出しているという事は本来的に言えば来年末はMB270兆円になるように事務方は努力してくると思いますので、その場合「その他」で20兆円拡大というオソロシスな事態になるので今の市場環境だとかなーり厳しいのですよ。

なので、この調子の市場環境が継続という事であれば、短国買入が回らなくなる(札割れかマイナス金利か)可能性が高く、そうなるとマリーアントワネットよろしく(違)短国が買えないのなら長国を買えばいいじゃないとなる可能性が高い、とまあそういう予想になり、つまりはこれが技術的要因による追加緩和みたいなもんになるでしょうとなるのです。

ただし、これは「今の市場環境」を前提としておりますので、まさかの物価目標達成が見えてきましたよとかいう話になると、当然ながら貸出支援の最大3年固定金利とか急に掴み金モードになりますし、その時にここぞとばかりに1年固定金利オペ(今は基本3か月で実施)をバンバン打てばバンバン札が入ってしまう可能性もあるので、今の時点では予想として「短期オペが行かなくなるので長国買入が拡大されるでしょう」というのは順当なのですけれども、だからと言ってそれに張るのもご注意あれという事ですな。


○FOMCバーナンキ会見ネタである

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20131218.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference December 18, 2013

まあ当然ながら今回はTaperingと利上げに関する今後のスケジュールがどうなのとかその手の質疑が連発するのですが・・・・・・・・・・・・・

・基本的なスケジュール感ですが

最初から2番目の質問から。

『STEVE LIESMAN. Steve Liesman, CNBC. Mr. Chairman, thank you. When you say “similar moderate steps going forward,” is $10 billion an increment that people should anticipate? And is equal amounts of mortgage-backed securities and Treasuries also what one should anticipate? Finally, when you say “well past” the unemployment rate of 6-1/2 percent, why not pick a number? Why say “well past”? Thank you.』

説明によると毎回100億ドルでUSTとモーゲージを半分づつ縮小するという風に聞こえますけどそれで良いのでしょうかというのと、今回フォワードガイダンスに追加された「失業率が6.5%に達しても実質ゼロ金利政策は暫く継続する」という部分ですが何で具体的な数値(失業率スレッショルドの数値変更という意味ですな)を出さないで定性的な言い方にしたのでしょうか、という質問で最初の所で良くまとまっている質問なので丁度良いですな。

逆さ絵先生曰く。

『CHAIRMAN BERNANKE. Sure. On the first issue of $10 billion, again, we say we are going to take further modest steps subsequently, so that would be the general range. But again, I want to emphasize that we are going to be data-dependent. We could stop purchases if the economy disappoints. We could pick them up somewhat if the economy is stronger.1』

最初の質問でも「今後の買入拡大規模縮小ペースはデータディペンデント」という話をしておりまして、ここでもその話をまず行っています。で、ワロタのは質疑応答で初めて見た脚注。

『1 The Chairman meant to say: “We could stop the reductions in the pace of purchases if the economy disappoints. We could reduce the pace of purchases somewhat more quickly if the economy is stronger.”』

思いっ切り逆さ絵先生逆に言っていたので脚注が入っておりますな。この応答って長かったのでツッコミが飛ばずにこの後推移したのですが(^^)、まあこれは聞いている方も勝手に脳内補正して聞く話。

でまあその続き。

『In terms of MBS versus Treasuries, we discussed that issue. I think that the general sense of the Committee was that equal reductions, or approximately equal reductions, was the simpler way to do this. It obviously doesn’t make a great deal of difference in the end to how much we hold. So that was going to be our strategy.』

USTとMBSを同規模で減らすのはシンプルで結構という事なのですが、従来資産買入の保有額が重要みたいな話をしていたのに「It obviously doesn’t make a great deal of difference in the end to how much we hold. 」ってナンジャソラという所ですが、さらに後の方でもっとナンジャソラな話が資産買入に関して出てくるので乞うご期待。

『On the issue of another number, the unemployment rate-let’s talk first about the labor market condition. The unemployment rate is a good indicator of the labor market. It’s probably the best single indicator that we have. And so we were comfortable setting a 6.5 percent unemployment rate as the point at which we would begin to look at a more broad set of labor market indicators. However, precisely because we don’t want to look just at the unemployment rate, we want to-once we get to 6-1/2-we want to look at hiring, quits, vacancies, participation, long-term unemployment, et cetera, wages. We couldn’t put it in terms of another unemployment rate level, specifically.』

ああだこうだと言ってますが、要するに失業率だけではなく労働市場に関しては他の指標なども総合判断しますよという話ですな。

『So, I expect there will be some time past the 6-1/2 percent before all of the other variables that we’ll be looking at will line up in a way that will give us confidence that the labor market is strong enough to withstand the beginning of increases in rates.』

で、6.5%になっても現在の金利政策が継続しますよという事に関してですが、「I expect」という言い方をしておりまして、FOMCのコミットメントでも何でも無くて、単に今時点での予想であることについては注意しておかないと後で足元掬われると思うのですが、どうもこう雨国株式市場辺りにおかれましてはヒャッハー状態になっているのがワケワカランっつーか昔からこの手の目先凌ぎの説明に(何度梯子外されても)素直にヒャッハーと乗るのが雨公の面白いといえば面白い所ですな。

『The SEP, the Survey of Economic Projections, which were distributed, obviously that’s individual assessments and not the Committee’s collective view.』

でまあSEPを見ても6.5%到達と利上げ予想時期にズレがありますよねという話が続くのですが、それにしてもその最初に「SEPは皆さんの個人的見解を示したものでFOMCとして纏めて決定した見解ではありません」とかいやその通りではあるのですが何という身も蓋も無い話。

『But nevertheless, it gives you some sense of current expectations about the length of time. The SEP shows that the 6.5 percent is expected by a large number of people to be reached about at the end of next year, end of 2014. And then the first rate increases, according to the so-called dots chart, take place near the end of 2015.』

SEPでの集計を説明してます。

『So that’s the order of the magnitude, I think, that people are currently expecting, but again I emphasize that it will depend on our being persuaded that-over, across a broad range of indicators-the labor market is sufficiently strong that we could begin to withdraw accommodation.』

ということで、6.5%になっても利上げしませんというのはあくまでも「現在の予想」なのですよね〜。


・資産買入は「補完的なツール」とな

ちょっとワープしまして14ページ辺りから始まる質疑応答。

『JASON LANGE. Jason Lange with Reuters. Chairman Bernanke, today, with one hand, you’re giving the economy something by telling us that or signaling that you may keep interest rates lower for longer than we previously thought. But with the other hand, you’re taking something away by reducing the large-scale asset purchases. If you think that, overall, this is maintaining the level of monetary accommodation steady, is that a sign that the decision to reduce the asset purchases is relatively less about an improved outlook for the economy and perhaps more about the concern that the asset purchases are less effective or might be fueling bubbles? Thank you.』

今回Taperingを開始した背景には資産買入が経済を改善する効果が弱く、一方でアセットバブルの発生のような警戒をしたという事でしょうかというLSAPのプロコン的質問キタコレなのですが・・・・・・・・

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, as I said before, asset purchases are a supplementary tool. Our main tool is interest rate policy.』

まあこの前辺りからこういう説明しておりましたけど、全力でLSAPは補完的ツールで金利政策がメインのツールってQE2とは何だったのかという話は華麗にスルーするこのスタンスに痺れます。

『The reason that asset purchases are a supplementary tool is because it’s a much less familiar tool. We have less ability to calibrate how big the effects are, for example.』

資産買入の効果についての計測が難しいそうですが、高度な計算式によって当座預金残高を80兆円だかにすると2%達成とか言っていた師匠とかマッカラムルールガーとか言ってる皆さんご覧になっていますかあ。

『And it’s also true that, as the balance sheet of the Federal Reserve gets large, managing that balance sheet, exiting from that balance sheet become more difficult.』

(;∀;)イイハナシダナー

『And there are concerns about effects on asset prices, although, I would have to say that’s another thing that future monetary economists will want to be looking at very carefully.』

ほほう。

『So, our view was-in September 2012-was that we had interest rates already low, and they were expected to stay low for a good long time. The economy, though, was faltering. We needed an additional boost.』

2012年9月は経済がふらついていたので追加のブーストをしたと。

『And so we brought in the asset purchase program again. We put in a specific objective, which is substantial improvement in the outlook for the labor market.』

追加資産買入は労働市場の見通しの顕著な改善を目指す為に投下したというのは良いのですけれども、その資産買入が何をどうするとそういう効果になるのかの説明を完全にスルーしているのがお洒落というか面の皮が厚いというか・・・・・・・・

『Our sense was once that intermediate objective was attained-that is, when the economy had grown and was moving forward-that, at that point, we could begin to wind down the secondary tool, the supplementary tool, and achieve essentially the same amount of accommodation using interest rates and forward guidance.』

で、その労働市場の見通しの顕著な改善という意味では、その経済が回復をし、先行きも回復傾向が続く見通しでもあることから、中間目標が達成されて、買入拡大ペースの縮小に着手できるようになったという判断になったのですよという話で、またまた「資産買入はセカンダリーツール」とか資産買入で勝負しているジャパンに喧嘩売っとるのかという所ですな。

で、この後まだ続くのですが、資産買入拡大ペースの縮小というのは金融政策のタイトニングではなく、今後も著しい緩和拡大をしているのですよ、というのをウダウダと説明していて、まあ他の質疑でもそんな感じなのですけれども「タイトニングではない」をやたら強調して、Taperingを「金利の」正常化政策と分断しようという逆さ絵先生の意図はよく判りましたという所で。まあ引用だけしておく。

『And so, I do want to reiterate that this is not intended to be a tightening. We don’t think that there’s an inflation problem or anything like that. On the one hand, asset purchases are still going to be continuing, we’re still going to be building our balance sheet. The total amount of assets that we acquire are probably more than was-certainly more than what was expected in September 2012 or in June 2013. So we’ll have a very substantial balance sheet, which we’ll continue to hold.』

ここまでがバランスシートの話。

『And now we’ve also clarified our guidance that we will be keeping rates low well past unemployment of 6.5 percent. So we’re trying here to get a high level of accommodation. It is true that the purchases are-we view as supplementary to the interest rate policy. But, again, the action today is intended to keep the level of accommodation more or less the same overall and enough to push the economy forward.』

フォワードガイダンスを強化しましたよという話と改めて今回の政策でも緩和拡大しているよという話ですな。


#その他ネタについてはまた後ほど♪





2013/12/27

お題「スポ末だったので市場メモ/11月MPM議事要旨から/予想物価上昇率上昇の説明@総裁講演」

うーむ。
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20131226-01.html

『We take note of the Prime Minister’s expression of remorse for the past and his reaffirmation of Japan's commitment to peace.』(上記URLより)

まあこのリリースがトップページからリンク貼っていないのに救いを感じますけど(プレスリリースの方を見ると上記リンクがある)、これって所謂村山談話(1995)とか小泉談話(2005)に相当するものを出せって話でしょうが、下手な物を出して火にガソリン持って特攻する事の無いように願いたい物ですが、昨日の談話を見るとねえ・・・・・


話は違いますが、某先生が出ているので血圧の為にあまり見ておりませんでした今朝のモーサテをちょっと見たら、「キャピタルゲイン課税を強化すると利食い売りのポイントが高まるので理論的には株価が上昇します!実際に米国の過去事例でも上昇しました(ドヤァ)」と超理論を展開している人がいましたが、じゃあ思い切って株式譲渡益課税の税率を99%にすれば株価が大暴騰になりそうですね!!!!いやあ税収が増えるわ株価対策になるわで大変に素晴らしいじゃないですか(棒読み)


○昨日がスポ末だったので市場メモ:見事に末残調整とか末初GCとか

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131226.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年12月30日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2013年12月30日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,500 2013年12月30日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年12月30日 2014年3月31日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2013年12月26日 2013年12月27日

まあ輪番と補完供給は良いとしまして、昨日はまたまた新規で末スタート(しかしエンドが期末かよという感じですが)の固定金利オペ実施。昨日はスポ末だったので末初GCとかやっていてスタートはここまでの流れを受けてやや強め(つーても0.10ですけど)で推移していたのでここぞとばかりに新規で固定金利入れてきたんですかねと思いましたがどうでしょう。


なおオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131226.htm
国債買入(残存期間1年以下) 5,890 1,104 0.006 0.008 5.8
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,681 2,505 0.005 0.006 59.4
国債買入(残存期間3年超5年以下) 9,537 2,502 0.015 0.018 29.9
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月30日スタート分) 6,874 6,874
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 21 21 -0.400 -0.400

按分にはなりませんでしたが6800億も入りましたかという所で、見事に末残調整の止めをさしましたなという所です。

つまりですな、上田八木さんの予想(http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html)ではこの固定オペの追加で年末の当座預金残高が108兆円弱となりますが、25日の時点で当預が106.5兆円弱でMBが199兆8500億円となっておりまして(日銀のトップページをご参照あれ)、輪番などの買入で数字を稼いで200兆円ちょいという所でしたが、抜け目なく固定金利オペを追加して更に6800億円のおかわりをして財政要因のブレのヘッジをしましたな(銀行券要因で当座預金減る分にはMBには中立)という事で、相変わらず芸術的な着地で見事な末残調整にも程があるわという所です。

なお、短期(というか資金繰り絡み)やっているとこの手の数値を綺麗に着地させるのには妙に情熱を燃やしてしまうのは別に日銀だけじゃなくて市場関係者の仕様のような気がするのですがどうですかね(^^)。


あと、年の瀬にこんなレポートががががが

http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2013/data/ron131226a.pdf
わが国短期金融市場の動向
東京短期金融市場サーベイ(13/8月)の結果

とりあえず超斜め読みしかしていないのでもうちょっと読み込んでネタになるならします。



○11月決定会合議事要旨:2年で2%って大丈夫かという委員が明確に3名とな

つまり宮尾さんと佐藤さんと木内さんですねわかりますという所ですが、他の見どころも含めて少々という所ですが。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g131121.pdf

・経済情勢に関しての表現を見ながらつらつらと

まあ別にこれ今回に始まった事じゃないのですが、経済物価情勢に関する政策委員の討議の中で意見が概ね一致している部分とか、意見に幅がある部分とか当然ある訳なのですが、そこをどう表現するのかというのを見ておりますと、今回は「見方を共有」「認識を共有」「見方で一致」「認識で一致」の4つが混在して出てくるのでふーんと思いながら読むのでありました。

#なお、毎回この表現を適宜使っているのですが、何かこう使い分けをしているのがちょっと目に止まったので書いただけなのですけど、ちょっとへーと思っただけですが、この4つの表現の用語はどういうニュアンスの違いを指しているのか早見表でも作って欲しいものです(−−;

でまあ海外の所とかもありますがあまりややこしい議論はなさそうなので国内の方から参ります。『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の議事要旨本文8ページから。

『わが国の景気について、委員は、緩やかに回復しているとの見方を共有した。』

見方を共有とな。

『委員は、家計部門では、雇用・所得環境が改善する中で、個人消費や住宅投資は堅調に推移しており、企業部門でも、収益が増加する中で、設備投資が持ち直しているなど、引き続き、生産から所得、支出へという前向きの循環メカニズムが働いているとの認識で一致した。』

前向きの循環メカニズムという認識では一致なのですね。

『7〜9月の実質GDPについて、多くの委員が、前期比年率4%程度の高成長が続いた本年前半からは減速したものの、内需を中心に景気の前向きな動きが続いていることを示すものであったと述べた。一方、一人の委員は、在庫寄与度の大きさや、雇用者報酬が前期比マイナスとなったことを踏まえると、内容は不芳だったとの見解を示した。また、ある委員は、これは一時的な減速ではなく、成長率の基調が下方シフトしたことの表れではないかと述べた。』

まあ恐らく意見が明確に大きく割れた場合に、このように「こんな意見がある一方でこんな意見がありました」という書き方になるんでしょうなと思いますが、「成長率の基調が下方シフト」ってこら中々厳しめの指摘ですな。

『景気の先行きについて、委員は、生産・所得・支出の好循環が持続するもとで、緩やかな回復を続けていくとの見方で一致した。』

こちらは見方で一致ですかそうですか。


・雇用所得環境について

でまあ需要項目の所の前半は飛ばして雇用所得環境以降をば。

『雇用・所得環境について、委員は、労働需給は緩やかな改善を続けており、雇用者所得にも持ち直しの動きがみられているとの認識を共有した。先行きの雇用者所得について、委員は、経済活動や企業業績の回復がはっきりするにつれて、持ち直しの動きが次第に明確になっていくとの見方で一致した。』

ふむふむ。

『ある委員は、来春の賃上げについて、現時点で経営者の反応は区々だが、企業業績の回復が明確になるにつれて前向きの対応が増加するとの見方を示した。一人の委員は、東京商工会議所の調査などをみると、中小企業でも、収益が改善する中で賃上げに前向きな姿勢を示す先も現れていると指摘した。』

『別のある委員は、「政労使会議」のような仕組みは、経済主体が、合成の誤謬に陥ることなく、安心して賃金や物価を上げられるようにする効果を持つとの見方を示した。』

合成の誤謬云々って一昨日の経団連での総裁講演でも話をしていましたな(^^)。もしかして総裁??

『一方、一人の委員は、大企業で賃上げが実現しても、中小企業への波及は限定的であり、マクロでの影響は限られる可能性があると述べた。ある委員は、人口減少などの構造問題を抱えるもとで、デフレ解消の観測だけで、企業が内需の成長期待を高め、大幅な賃上げに踏み切るとは考えにくいと述べ、従って、賃金の上昇が実現するためには、外需の動向が重要であるとの見方を示した。』

と、前半では威勢の良い話がありましたが、少なくとも2名の委員がそもそもの持続的な雇用者所得の上昇に懐疑的ということですねわかります。

『来年4月の消費税率引き上げについて、一人の委員は、実質賃金にはマイナスに作用するが、それが経済全体にどの程度の影響を及ぼすかは、やや長い目でみた賃金の上昇期待などによっても変わり得ると述べた。この点に関し、ある委員は、家計において消費税率引き上げの影響は以前から相応に織り込まれていること、また、財政や社会保障に関する家計の将来不安を和らげる効果も期待できることなどから、消費へのマイナスの影響はある程度減殺されると指摘した。』

消費増税の影響に関する記述については微妙な意見を並べているだけで全体の認識に関する記述が無いのが気になるちゃあ気になりますな。そらまあやっぱりヤバイですとはここで出せませんけど。


・個人消費について

『個人消費について、委員は、雇用・所得環境に改善の動きがみられる中で、引き続き底堅く推移しているとの認識を共有した。』

ほうほうそうですか。

『複数の委員は、GDPベースの7〜9月の実質個人消費の伸びは鈍化したが、10 月の新車登録台数は明確に増加しているほか、百貨店販売も悪天候の影響を考慮すると比較的堅調に推移しているなど、個人消費の底堅さは維持されていると述べた。』

つ駆け込み需要

『先行きの個人消費について、委員は、雇用・所得環境の改善に支えられて、引き続き底堅く推移するとの見方で一致した。』

ほうほう一致ですかそうですか。

『10 月の消費者態度指数が下落したことについて、何人かの委員が、消費税率引き上げの決定が影響している可能性を指摘しつつ、一時的なものかどうか注視する必要があると述べた。』

何人かの委員ですかそうですか。

『この点について、複数の委員は、最近、株価が上昇していること、景気ウォッチャー調査の季節調整値でみると10 月は上昇していることから、消費者マインドが一段と落ち込む可能性は高くないとの見方を示した。』

うーん何かそれは・・・・・・

『また、別のある委員は、雇用・所得環境の改善が進むにつれ、消費者マインドは好転していくとの考えを示した。住宅投資について、委員は、増加しており、先行きも、増加傾向を続けるとの認識で一致した。』

だそうです。


・物価に関して3名が先行きに懐疑的キタコレ

今回のメインイベントは多分こちらです。

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっており、先行きも、需給ギャップが縮小し、予想物価上昇率が上昇していくもとで、プラス幅を次第に拡大していくとの認識で一致した。』

『複数の委員が、7〜9月のGDPにおける内需デフレーターが前年比で5年振りにプラスとなったことを指摘し、個人消費をはじめとする内需の底堅さが物価上昇に寄与しているとの認識を示した。また、別の複数の委員は、消費者物価については、エネルギー関連だけでなく、幅広い品目において改善がみられていると述べた。』

とまあここまでは前座でして。

『この間、一人の委員は、需給ギャップの縮小が物価に反映されるまでにある程度の時間がかかり、また、先行きの予想物価上昇率の上昇ペースが緩やかなものとなる可能性を指摘した。』

『ある委員は、世界的なディスインフレ傾向の中で、日本の物価が国内独自の要因で伸び率を高めていくかどうか注視しているとの見方を示した。』

『また、一人の委員は、消費者物価の前年比の上昇ペースは、今後次第に鈍化するとみていると述べた。』

真ん中の方が指摘する世界的なディスインフレは前から指摘されていた件なのですが、物価の先行き上昇基調が目標に向かって進むのかという件についてはこのように3名の政策委員(つーか審議委員)が懐疑的というのがきっちりと示されましたな、というのが多分今回の議事要旨の見どころですな。

『物価と賃金の関係について、ある委員は、予想物価上昇率の上昇を通じて物価が上昇するためには、マクロの雇用者所得よりも一人当たり賃金が上昇することが重要との見方を示した。』

なるほど。

『この点に関して、複数の委員は、パート比率の上昇は、一人当たり賃金の上昇の観点からはマイナスの要因だが、世帯あたりの可処分所得が増加すれば、物価上昇圧力は強まるのではないかと述べた。』

そ、そうなのか????

『予想物価上昇率について、委員は、各種の調査などを踏まえると、全体として上昇しているとみられるとの認識を共有した。』

まあこれはいつもの話なので良いとしまして。

『ある委員は、住宅金融支援機構の調査によると、本年入り後、住宅ローン借入に占める変動金利型の比率が低下していることを指摘しつつ、こうした動きは家計の中長期の予想物価上昇率の上昇を示唆している可能性があるとの認識を示した。』

物価が上昇すると金利が上がるという話ってそんなに人口に膾炙しているものなのでしょうか??


・先行きの金融政策についての部分から少々

『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ということで議事要旨本文11ページから。

『先行きの金融政策運営について、大方の委員は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続すること、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うとの認識を共有した。』

というのはまあ良いとしまして。

『このうちの複数の委員は、人々のデフレマインドを払拭するためには、2%の「物価安定の目標」を掲げ、その実現を目指すことが重要である点を改めて強調した。』

気合キタコレ。

『ある委員は、インフレーション・ターゲットという発想の前提には、適正な物価上昇率という考え方があり、多くの国でそれは2%であると述べた。』

何か前回の会合でもそうなのですが、時に微妙に微妙なフレーズが一発必ず入るようになってきているのは何なんでしょうかねえ(すっとぼけ)。

『これらに対し、一人の委員は、中長期の予想物価上昇率は、生産性上昇率など経済のファンダメンタルズで決まる側面が強いため、2年程度でその水準を2%に収斂させて「物価安定の目標」を達成するのは難しいとみられると述べた。』

ということですが、この後の部分を見れば判るのですがこれは木内審議委員の提案につながる話なので、これ自体は木内さんの意見となります。提案内容は毎回同じなので引用割愛。


ちょっと飛びまして予想物価上昇率の上昇メカニズムに関しての部分を鑑賞。

『予想物価上昇率が上昇していくメカニズムについて、複数の委員は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」の早期実現を明確に示し、これを裏打ちする大胆な金融緩和を実行することで、人々の期待の転換が促されるという、フォワード・ルッキングなメカニズムと、実質金利の低下による需給ギャップの縮小を通じて、現実の物価が上昇することで、適応的に予想物価上昇率が上昇するというバックワード・ルッキングなメカニズムの双方が働くとの見方を示した。』

つまり気合で引き上げるのと、コストプッシュでも何でもいいからまずは実際に物価が上昇すればマインドセットが変わるんだよというヤケクソの香りもしますがまあそういう話。

『そのうえで、これらの委員は、この二つのメカニズムを通じて、2%の「物価安定の目標」に到達することができると述べた。』

ほうほうそうですかそうですか。

『ある委員は、フォワード・ルッキングなメカニズムについて、景気の持続的な改善が続くとの見通しによって人々の期待の転換が促される点に言及した。』

気合にしても景気が持続しないとダメですよねという話はまあそうですな。

『何人かの委員は、2%の「物価安定の目標」に到達する経路、特に、予想物価上昇率の上昇という点については、市場などの一部に懐疑的な見方もあることから、対外的により丁寧に説明していく必要があると付け加えた。』

市場などの一部の皆さんは信心が足りないとのことですが、はてさてどういう「丁寧な説明」をするのでしょうかという所ですな^^


○ということで経団連での総裁講演ネタ続き

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131225a1.pdf

こちらの講演ですが、昨日ネタにした続きにまさに『4.インフレ予想の引き上げ』というコーナーがあるのですわよ奥様。

『このように、「量的・質的金融緩和」は、インフレ予想を引き上げることを重視していますが、政策的にインフレ予想を引き上げることの実現可能性については、市場関係者やエコノミストの方々の中にも、依然として懐疑的な見方が少なくないように思われます。もとより、中央銀行が人々や市場の期待を意のままに動かせるものではないことは十分に承知していますが、ここでは、2つの点を指摘しておきたいと思います。』

丁寧な説明が来ましたよ!!!!って別にこういう流れになる事を狙ってやっていた訳ではないがちょうどこうなるとはラッキーバルボア(^^)。

『第1に、内外の歴史を振り返ると、人々のインフレ予想が短期間で大きく変化した事例は多くはないのは事実ですが、それらはいずれも、政策当局が強い覚悟で行った大胆な政策転換に裏付けられているということです。』

ほほう。

『例えば、1930 年代の米国の大恐慌では、ルーズベルト大統領は、デフレ脱却に向けた強い決意を明確に示し、「ニュー・ディール政策」を実行しました(図表13)。これにより、比較的短期間のうちにインフレ予想はシフトアップし、大恐慌に伴う激しいデフレは収束しました。同時期のわが国でも、「高橋財政」と呼ばれる、拡張的な為替・財政・金融政策の組み合わせが、昭和恐慌からの脱却に大きな成果をあげました。』

ということで例を挙げているのですが、実際問題としてはこの間に通貨政策の大規模な転換(金本位制度からの離脱とか)が起きている訳で、「強い覚悟」も大事ですが中身も大事だということでつまり為替の大規模な修正が必要ということですかそうですか(とはポリティカリーインコレクトなので言えないですけどね)。

『デフレとは逆のインフレ抑制の例になりますが、ボルカーFRB議長が、70 年代末から80 年代初にかけて強力な金融引き締めを行うことによってインフレ予想の引き下げに成功し、その後の低インフレ下での米国経済の繁栄の基礎を築いたことは、よく知られています(前掲図表13)。』

まあ締める方に関しては金利をバンバン上げて貸出とかを絞らせまくれば良いのですけど。


『第2に、インフレ予想の形成に当たっては、日本銀行の約束と行動という「フォワード・ルッキング」な要素に加え、金融緩和の進捗に伴って、実際のインフレ率も高まってくるという実績の積み重ね――つまり「適合的」ないしは「バックワード・ルッキング」な要素も重要であるという点です。』

気合に加えてコストプッシュも辞さずですねわかります。

『消費者物価の前年比上昇率は、本年10 月には+0.9%まで拡大しており、来年前半にかけて+1%を若干上回る水準で推移するものと見込まれます。15 年近くにわたってデフレが続いたことを踏まえると、これ自体、重要な変化です。人々が実際に物価上昇を経験すれば、インフレ予想も、大きく変わってくるはずです。』

どう見てもコストプッシュ歓迎です本当にありがとうございました。

『日本銀行としては、フォワード・ルッキング、バックワード・ルッキング双方の要素が相俟って、予想物価上昇率が上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくと考えています。』

ほうほう。

『なお、これまで、「物価が緩やかに上昇する」と申し上げてきましたが、日本銀行が目指しているのは、あくまでも「物価の安定」であり、人為的にインフレを起こそうとしている訳ではありません。』

いや人為的にインフレ率変えようとしてるでしょうよ。まあ別の意味で言ってるのは判るが。

『日本銀行の考える「物価の安定」を具体的な物価指数に即して数値的に定義すれば、消費者物価の前年比上昇率で2%であるということです。2%が望ましいと考える理由は、いくつかあります。』

つーことでボスキンバイアスの話と、景気悪化時の糊代確保という話をしているのですが、まあそこは普通の話なので引用割愛してこのコーナーの最後の部分。

『海外でも、同様の理由から、インフレ目標を2%程度に設定している国が多く、2%がグローバル・スタンダードになっているのです。』

ということなのですが、ただまあ主要国に関しては世界的に潜在成長率が下がっていて実は望ましい物価上昇率水準に変化が生じているんじゃネーノという議論って今後ネタにはなると思うのですが、何せ各国とも最初にそれを言い出すと為替調整の刑を食らってしまうので手を出しにくいネタでもありまして、もし経済のロンガーランから導き出される本来あるべき物価上昇率水準が2%よりも低いという話になった場合に、2%のターゲット政策を継続した場合ってそれは緩和のやり過ぎになって金融経済の不均衡を招くリスクが高まるという絵も見えますなというのが来年以降徐々に中銀のネタになってくる(まあ中心的な人は言及しないと思いますけど)かも知れませんなと思ったりするのでした。





2013/12/26

お題「来年は短国オペが厳しくなるリスクありとな/総裁講演はドヤ顔モードと気合モードが更に強化」

成長戦略国会とは何だったのか
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25032_V21C13A2MM8000/?dg=1
新成長戦略、来年6月に 首相「構造改革進める」
2013/12/26 2:05 情報元 日本経済新聞 電子版

つまりアレですね、いわゆる一つのやるやる(銃声)。

#話は違うが日米地位協定の見直しキタコレと思ったら犯罪人引渡じゃなくて環境分野ってナンジャソラ

○来年のMB目標達成に必要な「短国買入」残高をてきとうに計算してみるの巻

昨日は来年末までに買入を行う中長期国債の額についててきとうに計算してみました(なお本人は結構ちゃんと計算した積りですが内容に関しては無担保無保証無利子でございますので念の為申し添えます)けれども、物は試しに短期市場注目(というか戦々恐々)の短国買入はどうなりますねんというのを計算してみた。一応計算過程を書いてみたので誰でも計算可能です(ドヤァ)・・・・って実は単に自分の計算過程を後で検証したいから書いているだけなのですが(^^)


・そもそもの前提条件

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

の4ページ目にありますが、公表文ですと「MBを年60〜70兆円拡大」で、「うち長期国債で50兆円」となっていて、残りの10〜20兆円を「その他」で稼がないといけませんという計算になりますが、そもそも20兆円拡大で置くと目も当てられないのでとりあえず間を取って15兆円で見るとしましょう。


・まずオペで短国何ぼ買ってますねんという話

11月末の短国保有明細
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

でまあここからZIPで落として計算すると27兆6853億円という数字が出てきますが、ここから12月渡しの短国買入が全部で3兆円あって、一方で年内償還の短国(333、371、392、393、395、397の各回号)の残高を足すと6兆4842億円という数字になりますので、(このまま年内受け渡しで短国買入が実施されなければ)12月末の短国買入残高は大体24.2兆円という数字が出てきます。(または20日の営業毎旬からこの後で出てくる対政府取引分を引いて、397回の残高を引いても良いかと思います)


・主な増減要因:償還乗換分

これは月末の数値が取れるので、先ほどのオペでの保有残高と対政府取引分を念の為照合してみましょう。

11月末の営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131130.htm/
国庫短期証券 43,755,889,688

一方で11月末の短国保有明細から出てくる数値が27兆6853億円でしたので、差分が16兆円となるのですが、短国保有明細の方の注記にありますように、この差分は「対政府取引等」となります。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tseifu/release/2013/seifu1311.pdf
日本銀行の対政府取引 (2013年11月)

こちらのストックの数値にある

政府短期証券引受残高 (1)8,500
割引短期国債借換引受残高 (2)152,386

(1)政府短期証券の引受残高。引受の累計額から償還分を控除したもの。額面金額ベース。
(2)長期国債・割引短期国債の借換のための割引短期国債の引受残高。借換引受の累計額から償還分等を控除したもの。額面金額ベース。

が同じく16兆円ということで、めでたく突合するのですが(当たり前)、この額は基本的に項番2の償還乗換という事になりますして、でまあその額が11月末現在15.2兆円。償還乗換の額は会計年度で出していて、償還分は基本的に1年物割引短期国債を引き受けているのですが、直近各年度の償還乗換額は・・・・・・・

平成24年度が16.7兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel111226b.htm/

平成25年度が11.7兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/

となっているので、恐らく会計年度とのズレの関係で11月末現在では15.2兆円となっているとかそういう事なんでしょう(厳密には過去の日銀保有長期国債償還を割ってみれば判ると思うのですがめんどいのでパス)。

なお、1番その他の取引に関してはこちらをご参照あれ。
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exseifu01.htm/
「日本銀行の対政府取引」について

でですね、来年の償還乗換なのですが・・・・・・・

平成26年度が11.1兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131224a.htm/

となっておりますので、恐らく来年の末の時点では償還乗換額が現在よりもやや減っている可能性がありまして、つまりは日銀の保有する短期国債残高が減るのですから、その分MB達成のためには短国を買う必要があるのかと思うと必ずしもそうではありませんというのが第一の不確定要素です。

つまり、償還乗換が減るという事は、当然の如く日銀の資産サイドが減る話なのですが、ではMB的にどうよという事になりますと、ついこの前までアタクシも勘違いしていたのですが、償還乗換減った分だけ国庫資金繰りに穴が開くので、その分については国債(蔵券とかの政府短期証券だと思う)を発行して埋めないといけなくて、その分民間からのマネー吸い上げになってMB減るから日銀が短国買入を市中から行って埋めるんでしょとか思ったのですが、良く良く考えますと、国庫資金繰りの範囲内で日銀保有国債の現金償還を行うのであれば、この時に日銀のバランスシートは落ちるのですが、落ちるのは日銀保有の国債と政府預金(または対政府売現先勘定)になり、対民間では資金中立要因であって、MBに対しても中立要因になるのでした。

つーことで、償還乗換額はストックベースのカレンダーイヤーでは(12月の償還乗換分のネット償還額を計算していないので何ともですが)恐らく減るのですが、この分については国庫(国債整理基金ですかね)の方でどういう資金繰りをしてくるかによってズレるという話です。

でもって国庫資金繰りの関係で政府短期証券が何ぼの市中消化になるかという話は国債発行計画の中での市中消化ベースの発行額がどうのこうのの所には出てこない(資金繰りの世界ですから)ので、まあこの部分に関わるブレの可能性が4兆とか5兆とかある訳ですな。


・主な増減要因:固定金利オペと貸出支援基金

固定金利オペの残高は例えば上田八木短資さんの集計を見ますと・・・・・・
http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html

右の方にある「共通担保(全店)」の残高が固定金利オペでして、現在17.4兆円あるのですが、これに関してはひじょーに不確実性が高い部分になります。

まずは来年4月から5月に掛けて今年のQQE実施後に盛大に金利が上昇した時にバンバン実施したシグナルオペの足がバカスカ来るのですが、直近2回のオペは別にして、その前は固定金利オペのロールで残高が毎回減るという大変に素敵な状態になっていまして、さてこれが今年どんだけ落ちるかというのは正直謎ですが、GCが高止まりでもしない限りは残高は減る方向でしょうな。

ただまあ最終的に固定金利オペがゼロになるとかいう事はなく、共通担保の中でも市場ファンディングがしにくい物がありますので、その分に対しては固定金利オペのニーズが発生するので、ある程度は残るんじゃないですか。

貸出支援基金は結局9兆円程度で着地していまして、こちらに関してはそもそも4月の見通しから4兆円下振れの結果になっていのですが、この残高がどの程度来年伸びるのかも不確定要素の世界です。


ちなみに、固定金利オペに関してはまあ中々伸びるという訳にも行かないでしょうが、もしかして本当の本当に物価が上昇してQQE大勝利という思惑が出てきた場合は、当然ながら将来の金利先高観という話になりますので、この場合貸出支援基金での固定金利貸出が盛大に伸びる(つーてそもそも貸出が伸びていないと枠がががの世界だが)可能性はあります。


・ということで足し算引き算

つーことで、結論としては来年末の短国買入の残高には相当の幅を見る必要はあるのですが、とりあえず言えるのは「その他」で稼がないといけない10兆円から20兆円(というのも相当に幅のある話だが)の数字ですが、

MB拡大「その他」部分の増分=(短国買入の拡大額)+(銀行券増発額)+(ETF買入拡大額)+(貸出支援基金の増加分)▲(償還乗換のFB市中消化増発分)▲(固定金利オペの減少分)

概ねこの数字になる筈です。(間違っていたらご指摘プリーズ)

MB拡大に必要な額を間の15兆円で見ると、15兆円のうちETFで1兆円の残高拡大があって、まあ銀行券がそんなに莫大にはぶれないので精々1兆円とか2兆円の世界ですので両方合わせて2兆円程度。貸出支援基金が今年並みで6兆と置くと8兆円そこで稼げるのですが、何せ固定金利がドカドカ落ちるリスクが有り、固定金利が7兆落ち(もっと落ちるかも)で見て、償還乗換の分は半分FB増発として償還乗換要因2兆円とすると、結局短国買入以外の要因はチャラとかいう計算になってしまいます。

となりますと結局の所MB拡大に必要な「その他」分って短国で稼がざるを得なくなりますので、今年末の買入オペ残の24兆円に15兆円オンした場合39兆円という数字になりまして、短国買入が全部新発3か月で回ったとすると13週間で割って週に3兆円の買入が必要とかいうオソロシスな状態になります。

これがどの位オソロシスかと言いますと、週に2兆円の買入を1か月コンスタントに実施すると、今年の11月のように月初0.08%台だった短国の利回りが月末に0.04%台に低下するという位の破壊力でありますので、本当に週3兆円の3か月間コンスタント買入をしたらあっという間にマイナス金利が見えて来そうな市場破壊力を持っていると思われます。つーか札割れするんじゃないですかねえ。

ただまあ銘柄別買入残高を見て頂くと判るのですが、何気に1年物の短国も毎回5000億円から1兆円前後入っているので、その分が滞留するともう少し楽になりますが、そうは言ってもMB拡大に必要な部分は残高増やす話になりますので、短国買入の方でオペが回らなくなるリスクというのは結構ありますよね来年は、というのが結論でした。


・となりますと・・・・・・・・

「その他」部分での10兆円〜20兆円のMB拡大が困難になりますな、という話になりますと、現在の政策建付けから考えてMB拡大必須ですからして、じゃあ他の所でMB拡大しないといけませんねという話になります罠となります。その場合は結局の所で増やせるものと言えばどう見ても長期国債です本当にありがとうございました。という事になる可能性もございますよね、ただし今の話って相当幅のある話ですから内容は無利子無担保無保証無催促ですので念の為という事で。


#うーむ簡単にするつもりがゴテゴテになって読みにくいですねすいませんすいません


○総裁講演はまたまた自信満々モード

総裁経団連で講演の巻
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131225a1.pdf
デフレ脱却の目指すもの
──日本経済団体連合会審議員会における講演 ──

『日本銀行は、早期のデフレ脱却を目指し、本年4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。本日は、今年の締めくくりに当たって、やや中長期的な観点から、わが国経済の歩みを振り返りつつ、デフレ脱却によってどのような経済・社会を目指していくのかについて、私の考え方を申し述べたいと思います。』

と大きく出ましたが、デフレが長期化するとデフレ均衡になるので云々の話がここぞとばかりに説明されていて、まあ最近はQQEの説明でマネーを増やすことの定量的な話はすっかりスルーとなり定性的な「期待の転換」の方に説明の重点を置いているのが良く判ります。まあ相手が経団連だからさらに気合だ気合だハッスルハッスルという話なのかもしれませんが。


・デフレ均衡キタコレ

冒頭部分の次の小見出しが『2.デフレの問題』という所でして、結構その部分ああだこうだと説明しているのですが華麗にスルーしまして(すいません)この項の結論部分をば。

『以上のように、デフレが長引くもとで、わが国の経済・社会システムは、物価が上がらないことを前提とした仕組みが定着していきました。先ほども申し上げた通り、個々の経済主体は合理的に行動しており、行動様式を変えるインセンティブを持たないという意味で、このデフレの状態は、ある種の均衡状態にあります。これが、「デフレ均衡」とも呼ばれる所以です。』

デフレ均衡キタコレ!!!ですがきさらぎ会の時は「デフレは、それが長く続くことにより、克服するのが一層難しい課題となっていきました。」(これはきさらぎ会での総裁講演から)という説明をしていましたが、今回の講演ではそこの表現を一歩踏み込んで「デフレ均衡」という言葉を使っているのがマニア的にはほっほーと思いましたです、はい。

『デフレ均衡は安定しているからこそ、長期化し、克服するのがますます難しくなってきたと言えます。しかし、このような均衡状態は、いつまでも続けられるものではありません。何より、新たなビジネスを創造していく企業の積極的なチャレンジがなければ、日本経済の長期的な発展は望めません。日本経済の将来のために、出来るだけ早くデフレから脱却し、「縮小均衡」を「拡大均衡」に転換していくことが必要なのです。』


・ドヤ顔キタコレ

で、その次の小見出しが『3.「量的・質的金融緩和」の考え方──「期待」の抜本的転換』なのですが、そこの冒頭読んでて思わず胡麻麦茶吹いてしまいましたすいませんすいません。

『それでは、どのようにすれば、デフレから脱却できるのでしょうか。これに対する日本銀行の答えが、本年4月に導入した「量的・質的金融緩和」に他なりません。』

どう見てもドヤ顔満艦飾です本当にありがとうございました。この辺の自信満々っぷりは俊ちゃんを彷彿させるというか何というか(^^)。


・つーことで説明が全力で「期待の転換」になっとる訳で

その続き。

『先ほど申し上げたように、デフレ問題の本質は、「物価が上がらない」ことを前提に行動することが、企業や家計にとって合理的となっている点にあります。こうした「デフレ均衡」から抜け出すためには、「物価が緩やかに上昇する」ことを前提に行動する方が、より合理的な選択となるような経済環境に転換する必要があります。』

ふむ。

『「合成の誤謬」によるデフレのもとでは、一社だけで価格や賃金の引き上げを実施することは不利益になりますが、多くの企業が同時に価格や賃金の引き上げを行えば、経済全体にプラスに働く訳ですから、政策当局としては、そのように人々のマインドセットを転換できるような大胆な政策を打ち出さなければなりません。要するに、「デフレ均衡」下のゲームのルールを打ち破る必要があるのです。』

おまいら(聴衆は経団連)がインフレ目標を信じてその通りに行動してくれないと期待が転換せんのじゃヴォケと言っているような気がしないでも無いですが、とにかく期待の転換を説法して回っているということでありますな、うんうん。

『そのために、日本銀行は、消費者物価上昇率2%という「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すると、強く明確にコミットしました。あわせて、こうした強く明確なコミットメントを裏打ちするために、量・質ともに従来とは次元の異なった大胆な金融緩和を行うことにしました(図表11)。』

『さらに、この「量的・質的金融緩和」は、2%の目標を安定的に持続するために必要な時点まで、継続することを約束しています。その過程においては、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うこととしています。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現に対して、全面的にコミットしているのです。』

ということでコミットとか2年とかそういうアピールに余念がないのですが、今回は前回のきさらぎ会で説明していた「長期化するデフレからの脱却には短期間でのシフトが必要」というような説明が若干弱い気がしますな。先ほど「デフレ均衡」という話をして、「均衡を破る」という話はしているのですから、その異次元には「短期間で行うのが重要」という部分の説明ももうちょっと加えても良かったんじゃないかと思うのですけどね。大体からして「短期間で遷移するんですよ皆さん大丈夫ですかオラオラオラ」という感じにしないとマインドセットが中々変わらんちゃいますかねえ。


・思いっきり「期待の転換」の話が続いていますが・・・・・・・・

ちょっと飛ばしてその先。

『「量的・質的金融緩和」は、様々な波及経路を想定していますが、日本銀行のこれまでの金融緩和政策や、海外の主要中央銀行で実施されている金融緩和政策と大きく異なるのは、「期待の転換」を特に重視している点です。「量的・質的金融緩和」は、強く明確なコミットメントとそれを裏打ちする異次元の金融緩和によって、市場や経済主体の期待を抜本的に転換し、インフレ予想を直接的に引き上げることを目指しています。インフレ予想が高まり、「先行き物価が上がっていく」との認識が定着すれば、実質金利の低下やポートフォリオ・リバランスといったチャネルに伴う景気刺激効果も強化されます。』

ということで、もう思いっきり波及経路が「期待の転換」経由になっていまして、定量的な話が無いという大変に素敵な政策ルートですが、この先の方で「ではインフレ期待が上昇するルートとは何ぞや」という説明があるのですが年末でネタが枯渇するリスクを勘案して(というのはウソで単に時間の問題)続きはネタが無かったら明日投下します。

まあ結論としますと、今回の講演もどう見ても自信満々という内容でありまして、一方であの金融経済月報や声明文の先行き見通し謎のヘッジクローズてんこもりは何なんだと?????感を強める年の瀬なのでありました。






2013/12/25

お題「金融経済月報(概要)のトーンと総裁会見のトーンが違うように見える件について/その他少々」

ほう雨金利2.98%ですか。つーか中期の方が気になりますがね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MYBSKE6VDKHY01.html
米国債:10年債利回りが3カ月ぶり高水準、縮小観測強まる
更新日時: 2013/12/25 04:39 JST


○国債発行計画

キタコレ
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/20131224.htm
平成26年度国債発行計画の策定等を行いました

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/gaiyou131224.pdf
平成26年度国債管理政策の概要

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/yoteigaku131224.pdf
平成26年度国債発行予定額

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/calendar131224.pdf
カレンダーベース市中発行額

でもって平均年限が結構伸びたのですが、カレンダーベース市中発行額を見ると2年と1年を削って超長期と流動性供給を増やしたという格好になっているように見えますが、そもそもこの1年短国の所は3MのFBを削ってチャラにするので、実際はここの3Mが減るのか減らないのかがワカランチ会長(単純に2.5兆円を3Mから振るのだったら13回の入札が1回2000億円減る勘定になるけど、そこは他の資金繰り諸々の問題があるから外から見ていると謎のブラックボックスで、そもそもFB部分は国債発行計画のカレンダーベース市中発行額と別件バウアー)ではありますな、うんうん。


http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131224a.htm/
平成26年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受け
および平成26年度における国債買入消却への対応に関する件

『平成26年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、償還期限到来国債のうち、利付国債額面総額11兆1,000億円について、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。』

『平成26年度中に財政投融資特別会計が国債整理基金特別会計を通じて行う財政投融資特別会計国債の買入消却において、本行保有国債に関し、次のとおり取扱うこと。

(1) 本行保有国債額面総額2,000億円を上限に、現金を対価として買入消却に応じ得る扱いとすること。
(2) (1)の国債買入消却への対応方針に基づき、「平成26年度において財政投融資特別会計が行う買入消却に現金を対価として応じるための国債売却実施要領」を別紙のとおり制定すること。』

ということですが、来年は麿時代の包括緩和(懐かしいね)の名残で日銀保有国債の償還が11月末の日銀保有残高ベースで計算すると額面で25.54兆円ありまして(あと12月に輪番で買う残存1年以内2200億円(うち1100億円はオペ実施済)のうち年内償還物以外の部分が加わります)、これを全部償還乗換すると今年はウハウハですけれども来年になると乗換分の償還が来てあじゃぱーになりますので、まあ償還乗換はほぼ前年並みにして平準化したんですな分かります。

あと、国債整理基金による日銀保有国債買入が2000億円ですがこれは前年度並みですな。

ちなみに本年度はこうなっていました。(本年度分は予算の遅れがあったので1月29日公表)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/

今年度は償還乗換の再乗換が行われていましたが、来年度は償還乗換の再乗換はやらないということですので、じゃあ再乗換幾らやったのかとか何処の計数見ると判るのかがイマイチ判っていませんが(たぶん営業毎旬と対政府取引の辺りを目を皿のようにして見ると判るような気がしますが)、償還乗換は再乗換を含めやや減るんですかね、良くわかりませんが。

#詳しい人教えてジェネラル


○金融経済月報概要も謎のヘッジクローズ状態

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1312.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1311.pdf(前回)

・現状判断部分は当然ですが声明文と同様

『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(前回)

ということで総括判断は同じでして、以下項目別に関しては声明文での表現と同じなのでめんどいからそのまま比較引用。

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けており、住宅投資も増加している。個人消費は、雇用・所得環境が改善するなかで、引き続き底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。企業の業況感は、広がりを伴いつつ改善を続けている。』(今回)

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けており、住宅投資も増加している。個人消費は、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなかで、引き続き底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(前回)

変化した点は声明文と同様で、雇用所得環境の判断を前進させたことと、短観を受けた表現の部分で企業の業況感について「広がりを伴いつつ」という威勢の良い文言が入っていることです。


・先行き見通しはやはり微妙なヘッジ文言が入る

『先行きのわが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復を続けていくとみられる。』(前回)

というのは声明文にもありました通りですが、まあこうやって比較すると今回の表現がだいぶ見苦しくなっているのが良く判りますわという所でして、以下項目別展開は声明文に無いので良く確認しませう。

『輸出は、海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。』(今回)
『輸出は、海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。』(前回)

輸出と海外経済は変わらずと。

『国内需要については、公共投資は、当面増加傾向をたどったあと、高水準で横ばい圏内の動きとなっていくとみられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(今回)

『国内需要については、公共投資や住宅投資は増加傾向を続けるとみられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(前回)

公共投資に関しては「当面」増加傾向をたどったあと高水準で横ばい圏内という何か微妙な説明になっていまして、水準は高いけど前年比の伸びは止まるという事でしょうかよくわかりません><;

設備投資に関しては見通し同じで、住宅投資については次の個人消費の方に移っていますので次。

『個人消費や住宅投資は、振れを伴いつつも、基調的には、雇用・所得環境の改善などに支えられて、底堅く推移するとみられる。』(今回)
『個人消費も、雇用・所得環境の改善に支えられて、引き続き底堅く推移するとみられる。』(前回)

基本的に文章が長くなっている時というのは碌なもんじゃないのですが、今回はご覧のように「振れを伴いつつ」という消費税増税を意識したんですかねえという部分があり、さらに「基調的には」というヘッジクローズも入るという書き方になっています。

あと気になったのは今回は「雇用・所得環境の改善など」と謎の「など」が入っている事でして、これは何ですねんという所で駆け込み需要の事でも言いたいのですかよくわかりません(本文読んでもイマイチ判らなかった)。

『こうしたもとで、鉱工業生産は緩やかな増加基調をたどると考えられる。』(今回)
『こうしたもとで、鉱工業生産は緩やかな増加を続けると考えられる。』(前回)

生産に関しても増加「基調」とここでヘッジクローズ文言が入るという有様でして、いやまあ消費税増税の影響について書いてみましたという事なのかもしれませんが、この次にネタにする総裁会見でございますが、会見の方では総裁様におかれましてはQQEはもうウハウハで物価安定目標に向けて順風満帆ですわウェーハッハッハという威勢の良い話を連発しているようにしか見えないので、このやたら「当面」「基調」「など」とかのヘッジクローズが目立つ概要が出てくるのが全くもってイメージに合わないので違和感がががががという所でありまする。


・不確実性に関する部分は同じ

これは声明文と同様。

『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)
『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(前回)


・物価に関する謎部分は謎のまま+さらに謎

『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きなどを背景に、緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる』(今回)

『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きを背景に、緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

声明文では消費者物価の事しか書いていないので国内企業物価に関してはこちらで読めるのですが、ここでも国内企業物価に関して謎の「など」というのが入っていますがこれは何でしょうか消費税増税に向けた値上げとかを意味しているのでしょうか??

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、緩やかな上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面、プラス幅を拡大するとみられる。』(今回)

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇幅が縮小するとみられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(前回)

ということで国内企業物価の見通しは強くなっていまして、消費者物価の「当面」はこちらにも入っていますが、本文読んでもこのまんましか書いていないので結局この「当面」とは何ぞねというのは謎のままです。

なお、ここに該当する話で昨日声明文英文比較をしたのをご紹介しましたが、ドメドメのアタクシは「is likely to rise for the time being」と「is likely to rise gradually」のニュアンス差がワカランチ会長だったので詳しそうな人をとっ捕まえて聞いたら、前者(12月声明文)の方が上昇するというニュアンスが弱くなっていて、これ「当面」で示される時間の概念というよりは上昇角度の概念じゃネーノという説明を賜りましたが、アタクシが聞いた人による説明につきそれが本当に本当かの保証は致しかねますので念のため申し添えます(アタクシの備忘で書いておきますです、はい)。


・金融環境では企業の資金繰りの部分が判断前進キタコレ!

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回)

から先のファイナンシャルコンディションに関しては、基本的に現状に関するデータを基にした説明になっているので、前回比の変化と言ってもそれは数値とかで出ている話なので基本はスルーなのですが、今回はおーという変化がががが。

『企業の資金繰りは、改善した状態にある。』(今回)
『企業の資金繰りは、総じてみれば、改善した状態にある。』(前回)

ということで、キタコレという話ですが、まあこれは短観の資金繰り判断DIの変化なんかを受けてやっと言い切り型にしましたねという所です。

ただまあ全体的なトーンを見ますと、前半の経済物価に関する部分で色々とヘッジ文言が入っていて、なぜこのタイミングでヒョコヒョコとヘッジクローズが入ったのよという謎展開な月報(ただし概要)でございましたという所です。


○総裁会見:ニュースヘッドラインは微妙にハトっぽく流されていましたが・・・・・・・・・

総裁会見である。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1312c.pdf

・冒頭の説明を見るとどう見ても強気です本当にありがとうございました

総裁定例会見の場合、最初の質問は幹事社が「ではお願いします」という趣旨で始めるので基本的には最初のお答えは説明部分になりますが・・・・・・・・・

『先日公表した12月短観の結果をみますと、企業の業況感は、広がりを伴いつつ改善を続けています。製造業・非製造業、大企業・中堅企業・中小企業と、どの区分でみても業況判断が「良い」超となったのは、91年11月以来のことです。2013年度の事業計画についても、経常利益が大幅に上方修正される中で、設備投資をしっかりと増加させる計画となっています。雇用人員判断をみると、非製造業を中心に雇用の不足感は一段と強まっています。』

短観の評価は強いですな。

『先行きのわが国経済については、消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられます。物価面では、消費者物価の前年比は、当面、プラス幅を拡大し、年内には+1%を若干上回る可能性が高いとみています。』

>年内には+1%を若干上回る可能性が高いとみています
>年内には+1%を若干上回る可能性が高いとみています
>年内には+1%を若干上回る可能性が高いとみています

(;∀;)イイハナシダナー

『以上のように、「量的・質的金融緩和」のもとで、実体経済や金融市場、人々のマインドや期待など、好転の動きが幅広くみられており、わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調に辿っています。』

ということで今回も平常運転の強気モードなのですが、何せベンダーは追加緩和ネタでヒャッハーとやりたいもんですからどうもそっちの方ばかりヘッドラインに出てくるというバイアスが掛かっていて敵わんですな。


・QQEの中間レビューも当然自信満々

1年間を振り返ってどうですかという質問に対してもお約束の答えです。

『(答) ご指摘のように、私が3月に日銀総裁に就任した後、日本銀行は4月早々に、デフレからの脱却を早期に実現するために従来の金融緩和政策とは量的にも質的にも異なったいわゆる異次元の金融緩和である「量的・質的金融緩和」を決定し、その後着実に実行してまいりました。8か月ぐらい経ったところですが、これまでの経済・物価の動向をみると、私どもが想定していた線に沿って、経済は着実に回復し、物価上昇率も消費者物価(除く生鮮食品)でみて6月にプラスに転じた後、10月には+0.9%までプラス幅を拡大してきています。そうした意味で、これまでの経済・物価の動向は極めて順調に「量的・質的金融緩和」が想定している動きとなっていると思いますので、来年も引き続き、「量的・質的金融緩和」をしっかり実施していきたいと思っています。』

どう見ても自信満々です本当にカムサハムニダ。


・来年のポイントは輸出、設備投資、賃金とな

今回の質疑応答って特に経済物価情勢に関する質問に対する答えがいつもよりも長めに見える(厳密には確認していないのでイメージ)のですが、ただまあその内容を見ると基本的に自信満々でもう凄いでしょという話をしたがっているような雰囲気なんですけどね。

ということで来年のポイントに関する質問に対する答え(途中から引用します)。

『2番目の2014年に向けた課題については、経済関係者の方々も、政府の経済政策の担当者の方々もおっしゃっていますように、いくつかポイントがあると思いますが、輸出と設備投資が1つのポイントになると思います。』

ほう。

『最近の動向をみると、世界経済の持ち直しがだんだん明確になってくるにつれて、輸出も少しずつ緩やかに持ち直してきていますので、今後、世界経済が回復していくにつれて、輸出も緩やかに増加していくと思います。設備投資は、足許では全般的に持ち直していますが、製造業の大企業ではやや弱く、輸出がこれまで予想よりやや弱めに出ていたということも影響しているかもしれませんので、その関連で、設備投資がどう伸びていくかがポイントです。』

『先行指標である機械受注等は、今後、製造業を含めて設備投資が増えていくことを示しているので、私自身はそれほど心配していません。』

キタコレ!

『いずれにせよ輸出との関連もあって設備投資の動向をどうみるかということが1つのポイントであり、今後の日本経済の成長が続いていく上で、有力な助けになるであろうと思っています。』

で、次が賃金。

『もう1つは賃金の問題です。ご案内の通り、雇用情勢は改善しており、失業率も有効求人倍率もリーマンショック前の水準までほとんど戻っています。このように雇用情勢は改善しているのですが、所定外賃金やボーナスは大きく伸びている一方、所定内賃金がなかなか伸びていません。日本では、特に所定内賃金のベースアップなどについては「春闘」という形で春先に労使の交渉が行われることが慣行になっていますので、それを注視しています。』

ふむふむ。

『様々な指標からみると、ベースアップも含めて所定内賃金はプラスになっていくと思っていますが、それがどの程度のプラスになるのか、全体として雇用そして雇用者所得がどの程度伸びていくかが、非常に重要なポイントであると思います。私どもとしては、雇用者所得の伸びは次第に高まっていくとみていますが、いずれにしても「政・労・使」の動きも含めて、名目賃金がどう上昇していくか注目しております。』

とのことです。


・消費税に関して

消費税増税の駆け込みと反動に関する質問ですが、これもまた説明が長いので途中から引用します。基本的に住宅投資と個人消費が増税の駆け込みと反動の影響が大きいという説明をしまして・・・・・・

『全体として、住宅投資が比較的順調に伸びている背景には、むしろ金融緩和の状況等の様々な要因があり、10月以降の反動減はそれほど大きくないようです。もちろん今後、3月まで何らかの形で動きがあり得るとは思いますが、むしろ住宅投資自体が趨勢的に伸びているように感じます。』

ほっほー。

『個人消費については、耐久財と非耐久財があります。耐久財については、ある程度駆け込みが起きている可能性はありますが、その辺りはもう少しよくみていかなければならないと思っています。また過去の色々な例等をみても、非耐久財は、本当に間際に駆け込みが起きるので、もう少し先にならないと分からないと思います。』

ほうほうそれでそれで?

『いずれにしても、その動向は注視していかなければならないと思いますが、反動減によって4〜6月の成長率がかなり低下する可能性は十分あるものの、駆け込みと反動減はいわばそれ自体として相殺されるので、むしろ重要なことは、その後、消費税負担が増えたことによる個人消費に対する影響がどの程度あるかということです。この点については、多くの研究ではそれほど大きくないように言われていますが、その辺りはよく注視していく必要があると思っています。』

注視していくとは言ってますが、駆け込みと反動減はそれ自体として相殺とあっさり味で纏めていますな。まあ見通しは堅調ということです。


・追加緩和に関する質問

2つほどあったのですが、どちらも「消費税の反動でコケたらどうしますねん」という感じでして、またまた答えが長いので途中から。

『いずれにせよ、駆け込みが非常に大きければ、確かに、反動減も大きくなりますが、住宅については、政府が様々な対応策を採っていることもあってか、あまり大きな駆け込みもないようです。耐久消費財のうち、自動車についても、一定の対応策が採られていますので、駆け込みはそれほど大きくないかもしれません。何がしかの駆け込みはあろうと思いますので、その反動減として4〜6月に落ち込むことは予想しておいた方がいいとは思いますが、今の時点では、もう少し、駆け込みと反動減がどの程度になるかを注視していかなければならないと思っています。この点については、今回の公表文でも触れていますが、今の時点で何か大きな問題が起きるとは思っていません。』

その後の別の質問では4−6の落ち込みを見て判断するのかその前に判断するのかという質問でして・・・・・・

『(答) 常に申し上げていますが、金融政策決定会合は毎月開催され、毎回経済・物価情勢を点検し、金融政策を決定しています。公表文にもある通り、常に上下双方向のリスクを点検し、必要に応じて調整を行うという点には全く変わりはありません。』

とまあ言ってるのですが・・・・・・・・

『ただ、先程申し上げたように、駆け込みと反動減その他の動きがあることは、一定程度予想しています。そのもとでも基調的に潜在成長率をかなり上回る成長が続いて、GDPギャップが次第に縮小しいずれプラスになっていくということであり、2%の「物価安定の目標」の実現に向かって、着実に──もちろん一本調子ではなく一定の振れは伴うと思いますが──進んでいくという見通しには全く変わりがありません。』

うーん何という自信満々。


・金融政策運営に関して:オープンエンドですとな

これは良い質疑。

『(問) 先程の質問に少し重なるのですが、名古屋でのご講演で図表をみせながら、「来年末に270兆円で終わるものではない」とおっしゃいました。あれは、外国人に誤解があるということですが、2%を目指すオープンエンドであることが理解されていないと、オープンエンドですよと、そういう意味でのメッセージだったと理解してよいでしょうか。』

『(答) はい、そうです。これは、4月4日に「量的・質的金融緩和」を決定した時から、「『量的・質的金融緩和』は、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」と言っており、今、申し上げた点には全く変わりがありません。』

とは言いましても、実際問題としては「2年で達成」と言っていますので、本来は政策が目論見通りに進展すれば2年程度で買入の拡大は終了方向になる訳で、そもそも論として「期日を決めたターゲット政策」をしている中で「オープンエンドの金融緩和」というのはその時点で相互矛盾しているんですよね。変に広げたこの風呂敷どう畳む事になるのやら(ニヤニヤ)。


・金融政策運営に関して:長期国債買入

何か最近妙に来年の月間買入額が減るので云々というのがネタになりますが、んなの保有明細が公表されているんだから足し算割り算で計算できるじゃんと思うのですけど・・・・・・・・・・

『(問) 「量的・質的金融緩和」のディレクティブにおける「長期国債について、保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加」という部分に関連してお聞きしたいのですが、今、日銀の保有する国債の残存年限が長くなっていることに伴い償還が来年以降減るため、「このディレクティブ通りにやっていると、フローベースの購入額が減るのではないか」という議論がマーケットでされています。そういったマーケットトークは意味のないものだと日銀はご認識されていると側聞していますが、そうは言ってもフローベースの購入額が減ることには何がしかの意味があるとも言えると思います。その辺りはどのようにお考えでしょうか。また、この政策では国債のストックベースの積み上がりに主たる意味があるのであって、フローベースは副次的なものだと捉えておられるのか、ご所見をお聞かせ下さい。』

で、そのお答え。

『(答) この点については、以前から何度も申し上げていますが、日本銀行は、「長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う」ということであり、実際の買入れ額については、日銀の保有する国債の償還額や金融市場の動向などを踏まえて弾力的に運用することとしており、ある程度幅を持ってみる必要があるわけです。現在の買入れのペースが大きく変わるとは考えていません。』

つーことで「大きく変わるとは考えていません」とはゆうとりますが、あくまでもディレクティブは「年間約50兆円の長国保有残高拡大」であり「買い入れる国債の平均残存年限は7年程度」であるという極めてその通りの話をしているのでして・・・・・・・・・

『後段のご質問は、アカデミックなご質問だと思いますが、おそらく金融論の学者の方に聞かれると、「当然ストックに意味があって、フローは全く意味がない」とおっしゃると思います。理論モデルのどれをみてもそうなっているわけです。私どもはアカデミクスではありませんので、皆さんのおっしゃることをよく聞いて対応していきますが、ストックが重要であるということは、学者の方のおっしゃる通りではあるとは思っています。』

>ストックが重要であるということは、学者の方のおっしゃる通りではあるとは思っています
>ストックが重要であるということは、学者の方のおっしゃる通りではあるとは思っています
>ストックが重要であるということは、学者の方のおっしゃる通りではあるとは思っています

まあそういうことですな。



○おまけ:ちなみに今計算するとこうなる筈

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(11月末)

こちらからZIPで落としてきて各回号の償還を見ながら来年1年の間に償還が来る銘柄の額面合計を計算すればほぼ償還額が読める筈です罠。ちなみに来年償還が来るのは2年は323回まで、5年は87回まで、10年は267回まで、20年は27回までになりまして、11月の計数なので12月償還が入っている事に注意して計算すると、あたくしの計算が間違って居なければ来年に償還が来る中長期国債の残高は25兆5398億円になりまして、これに12月に買入をする1年以内の輪番が入るのですが、11日に行った輪番は足切りがクソ流れしているので20日償還銘柄を打ち込んでいる可能性がありまして微妙なのですが、まあ2200億円おかわりして25兆7598億円。

これに拡大予定額の50兆円を加えると75兆7598億円を年間で買入するという話になり、もっと言えば2000億円分国債整理基金の買入で日銀保有分が減るので結局の所76兆円という計算になります罠。

でもってこの76兆円を12で割りますと6.3から6.4兆円という事になりますので、現在の7兆円強という数字からするとまあ減るには減りますが・・・・・・・という事です罠。

なお、その他要因が本当に行くのかという考察がありまして、それが行かないのなら最終的に長期国債に寄せるしか無いんじゃないですかねえという論点もあるがその話はまた後日(考察の途中なので)。





2013/12/24

お題「日銀決定会合声明文比較/FOMCプレコンの説明部分から」

休眠預金召し上げ法案キタコレ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131224/t10014054501000.html
“休眠預金”活用 自公が法案提出目指す
12月24日 4時43分

『また、事業に必要な資金は、預金保険機構から新たに設置する「資金分配団体」を経て事業の実施主体に分配され、「資金分配団体」は資金が適正に使用されているかチェックし、実施報告を行うとしています。』(上記URLより)

・・・・・・・・えーっと、公益に資するという趣旨だったら単純に預金者の権利放棄と見なして国庫納付扱い(まあ確かにここが微妙は微妙で後から請求来た場合にどうするのという問題がありそうな気がせんでもないが)にすれば良いんじゃないですかねえわざわざ資金分配団体を作るなんてあまくだゲフンゲフン。

○金融政策決定会合は声明文に謎変化

つーことで金融政策決定会合声明文。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k131220a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k131121a.pdf(前回)

決定内容は同じなのでスルーしまして経済物価情勢に関する部分から参ります。

・現状判断がやたら強くなっています

『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(前回)

という総括判断は同じ。

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けており、住宅投資も増加している。』(今回)

『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けており、住宅投資も増加している。』(前回)

と、ここまでは同じです。強くなっているのはこの先。

『個人消費は、雇用・所得環境が改善するなかで、引き続き底堅く推移している。』(今回)
『個人消費は、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなかで、引き続き底堅く推移している。』(前回)

個人消費自体の判断は同じなのですが、雇用・所得環境の部分の記述が強くなっていますな。

『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。企業の業況感は、広がりを伴いつつ改善を続けている。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(前回)

業況感の所は短観の時に出てくる物なので比較しませんが、まあ「広がりを伴いつつ」という時点でつええわなという所で。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回)

これは同じ。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

もうね、ここがキターーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー!!な訳でございまして、コアCPIが一度目の+0.9%の時には「0%台後半」という表現だった訳でして、直近のコアCPIの動きと、まあ目先も強めに推移しそうな状態というのを受けて堂々の「1%程度」攻撃でありまして、これはどう見ても日銀ウハウハモードという事でございますな。


・先行き見通しには妙にヘッジが入る

という事で、まあ声明文を最初から順に読みますとこの項番3の所で日銀勝利モードキタコレ状態の風情を感じてウヒョーと思うのですが、その次の項番4になると急にヘッジ入りになるのがワケワカメ。

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、当面、プラス幅を拡大するとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる。』(前回)

見れば分かりますように、前回のスッキリ表現からヘッジクローズのコテコテ入った美しくない表現になっております。つまり「消費税率引き上げ〜」というのは見れば直ぐに分かりますが、そのほかにも「基調的には」だの「当面」だのヘッジクローズが入る(しかも「次第に」という拡大方向の表現が抜ける)という流れになっていて、手前の勝利宣言待ったなし(とまで言いますと大袈裟ですが)と言うような流れに対してこのヘッジクローズ満載は何なんでしょという感じです。

しかも何かこのタイミングで急に「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動」といういまさら何を仰る兎さんな表現が入るとか、今まで自信満々だったものの先行きに不安感を持ったんですかねえとか思いたくもなるのですが、それにしては手前がやたら威勢が良いとなっているとかバランスを取った積りなのか誰かに配慮したのかというのが謎でございますにゃ。まあ一つの仮定として考えられるのは手前の物価に関する表現あたりを更に自信満々の強い物にしたので、そうは言っても2年で2%行くかよという懐疑派の審議委員が4人ほどおいでですので、そちらの皆さんへの気を使ったんでしょうかねえなどと仮定(というか邪推)してみますけど正直良く判らん。

こういう時には英文を見るのも吉。

『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to continue a moderate recovery as a trend, while it will be affected by the front-loaded increase and subsequent decline in demand prior to and after the consumption tax hike. The year-on-year rate of increase in the CPI is likely to rise for the time being.』(今回)

『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to continue a moderate recovery. The year-on-year rate of increase in the CPI is likely to rise gradually.』(前回)

英文見ると更に分かりやすいのですが、「as a trend」だの「for the time being」だの何かまあ弱い表現になっていまして、英文で見た方が先行き見通し部分が随分弱くなったねえというのが更に分かりやすい(そもそも2文しかなくて2行だったのが分量倍になっているという時点で見苦しくなっています罠)のですが、はてさてこの英文部分の変化を受けて「日銀が先行きの経済物価情勢の自信がなくなってきている」→「追加緩和待ったなし」という話が出てくるかどうかがお楽しみというのは細かすぎですかそうですか。


・リスク要因とか先行きの所は同じ

項番5と6は前回と全文一致ですので今回分だけ引用。

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペースなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(今回)

なお(注)は例によって例の如くの木内審議委員の「物価安定目標は中長期的に目指す」という提案で残り全員が反対して否決されるという部分です。

『(注)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(今回)

しかしまあ何ですな、この前どこぞのヴェリタスだか何だかで2年の文言が消えたとかいうネタの蒸し返しをしておりましたが、あーたQQEローンチしてほぼ9か月経過しているんだからそら2年を入れっぱなしにせんじゃろ常識的に考えてと思うのですが、とりあえずきさらぎ会の講演テキストを100回音読される事をオヌヌメしたいと思います。

『このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

つーことで、今回の金融政策決定会合は無風は無風なのですが、声明文で「現状判断を益々強気にしているのに先行き見通しに妙にヘッジクロースが入りまくる」という謎の変化を示しておりまして、別にどっちもヨコで良かったと思うのにどうしたんでしょというのが不可思議な声明文という所ではございました。会見要旨は今日出ると思いますので金融経済月報と合わせて鑑賞という事で。


○FOMCの会見オープニングステートメントから

逆さ絵会見である。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20131218.pdf

会見要旨は冒頭の逆さ絵先生の説明+質疑応答という構成になるのですが、今回のFOMCでは冒頭説明に関してはあっと云う間にアップされたのですが、Q&Aの方が中々アップされないという謎展開になりまして、結局アップされたのが月曜日(日本時間で昨日の夜見た時はまだ出ていなくて、今朝になったらアップされていました)という動きになりました。

普通だと金曜にはアップされる筈なので甚だ謎でして、妙にQ&Aのアップが遅かったのは内容を精査する必要でもあったのかと???ではあるのですが、まあそんな事で今回は最初のステートメントというか説明の部分から参ります。

・フォワードガイダンスを強化したとな

『Good afternoon. The Federal Open Market Committee (FOMC) concluded a two-day meeting earlier today. As you already know from our statement, the Committee decided, starting next month, to modestly reduce the pace at which it is increasing the size of the Federal Reserve’s balance sheet.』

LSAPの増額ペース縮小は「モデストリー」ですな。


『The Committee also clarified its guidance on interest rates, emphasizing that the current near-zero range for the federal funds rate target likely will remain appropriate well past the time that the unemployment rate declines below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below the Committee’s 2 percent longer-run goal.』

声明文にもございましてその時に申し上げましたが、あたしゃこれサービスフレーズじゃんとか思ってしまう次第でして、確かにまあ今時点では「6.5%スレッショルドに到達してもゼロ金利政策は続くでしょう」という説明なのでフォワードガイダンス強化と言えば強化なのですが、これあくまでも「現時点での」将来予測という話なんですよね〜。


・声明文では威勢が良いのですがプレコンでの説明は微妙とな

声明文ネタにした時に申し上げましたが、今回のFOMCは声明文単体を見ると経済の現状認識にしろ先行き見通しにしろやたら強くなっていまして(特に重要なのは先行きのリスクがダウンサイドリスクからバランスになった所)、何じゃこりゃと思ったのですが、一方でプレコンでの説明は微妙にヘッジクローズを入れてきているという謎のバランス感覚。

『Today’s policy actions reflect the Committee’s assessment that the economy is continuing to make progress, but that it also has much farther to travel before conditions can be judged normal.』

ノーマルまでには非常に遠い、という言い方をしていて、まあ先行きの金融政策正常化までの時間が長いという事を言いたいのかも知れないなあとは思いますが、声明文での威勢の良さに比べてまあこんな感じで微妙に微妙な言い方をしているのがほほうという感じ。

『Notably, despite significant fiscal headwinds, the economy has been expanding at a moderate pace, and we expect that growth will pick up somewhat in coming quarters, helped by highly accommodative monetary policy and waning fiscal drag. The job market has continued to improve, with the unemployment rate having declined further.』

とまあこの辺は威勢が良いのですが・・・・・・・・・

『At the same time, the recovery clearly remains far from complete, with unemployment still elevated and with both underemployment and long-term unemployment still major concerns. We have also seen ongoing declines in labor force participation, which likely reflect not only longer-term influences such as the aging of the population but also discouragement on the part of potential workers.』

労働市場の改善についてまだまだ色々と問題がありますよんという説明をしておりまして、これまた金融政策正常化までには時間があります系の話をしています。


・資産買入の累積的な効果が出てきましたよ奥様!という話&リスクはバランスという話

その後に物価の話とSEPの話がありますがそこは公表された声明文の話とSEPの話をしているので割愛致しまして、2ページ目のケツの辺りからが資産買入に関する部分。

『Let me now return to our decision to reduce the pace of asset purchases.』

へえへえそうだっか。

『When we began the asset purchase program in September 2012, we said that we would continue purchases until the outlook for the labor market had improved substantially in a context of price stability. Since then, we have seen meaningful cumulative progress in the labor market.』

昨年9月から開始した資産買入政策に累積的な効果ですってよ奥様。

『For example, since we began the current purchase program, the economy has added about 2.9 million jobs and the unemployment rate has fallen by more than a percentage point, to 7 percent. For comparison, when we started the program, many forecasters saw the unemployment rate remaining near 8 percent throughout 2014. Recent economic indicators have increased our confidence that the job market gains will continue.』

QE3を始めた時には多くのフォーキャスターの見通しは2014年半ばの失業率見通しは8%でしたぜドヤァ!という事ですねわかります。

『For example, nonfarm payrolls have recently been increasing at a pace of about 200,000 jobs per month, and the unemployment rate has fallen by 0.6 percentage point since June. With fiscal restraint likely diminishing and with signs that household spending is picking up, we expect economic growth to be strong enough to support further job gains.』

ふむ。

『Further, FOMC participants now see the risks around their forecasts of growth and unemployment as having become more nearly balanced, rather than tilted in an unfavorable direction as they were at the inception of the asset purchase program.』

ということでしらっとここに「リスクはダウンサイドからバランス」というのが入っていますが、つまりはTaperingの決め手になったのはこの部分という事を示したいんでしょうなあというのは把握しました。


・更に資産買入に関して

今回どうしますという話ですが、ちとくどいのですが引用しておきます。

『As you know, we have been purchasing $85 billion a month in longer-term Treasury and agency mortgage-backed securities. Starting in January, we will be purchasing $75 billion of securities a month, reducing purchases of Treasuries and mortgage-backed securities by $5 billion each.』

とまあ今回そうしますよという話ですが。

『It is important to note though that, even after this reduction, we will be still be expanding our holdings of longer-term securities at a rapid pace.』

これ声明文でも入っていますが、Taperingしてもバランスシートは拡大を続けるんですよというのを言及しているのもチャーミング。

『We will also continue to roll over maturing Treasury securities and reinvest principal payments from the Federal Reserve’s holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities into agency mortgage-backed securities. Our sizable and still-increasing holdings will continue to put downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and make financial conditions more accommodative, which in turn should promote further progress in the labor market and help move inflation back toward the Committee’s objective of 2 percent.』

まあこの辺はどうでも良い。さらに続き。

『Our modest reduction in the pace of asset purchases reflects the Committee’s belief that progress toward its economic objectives will be sustained.』

ここでまたまたmodestと強調しているのですが、経済の回復がサステイナブルなので資産買入ペースの減額もおっけーという判断ですと。

『If the incoming data broadly support the Committee’s outlook for employment and inflation, we will likely reduce the pace of securities purchases in further measured steps at future meetings. Of course, continued progress is by no means certain; consequently, future adjustments to the pace of asset purchases will be deliberate and dependent on incoming information.』

つーことで、今後の資産買入縮小ペースはデータディペンデントという話はしているものの、そう言いつつも基本は最初の文にあるように「in further measured steps at future meetings」ですので、まあ常識的に考えると今回減らした100億ドルが毎回のFOMCで減らされていくという話っすわな。

『Asset purchases remain a useful tool that we are prepared to deploy as needed to meet our objectives.』

ここがへーという感じなのですが、先ほどから出ておりますように、今回のTaper決定はあくまでも「経済情勢、特に労働市場の動向と先行きリスクを受けての判断」という説明になっていまして、プロコン分析によるTaper、即ちこれ以上の資産買入は効果よりも弊害が大きい、というような説明になっていないのもお洒落です。


つまりですね、今回プロコン分析の話をしないで、資産買入は依然として有用なツールという話をしているのは、将来的にイエレン体制になった後にやっぱり資産買入をしないといけないでしょうという話になった場合に、手を無くさせないという事を考慮しているとは思うのですが、一方で今回のTaperがプロコン分析よりも経済情勢分析によるものである、という説明になっているのは、将来的な金融政策正常化(要するに出口政策)への距離が短くなっているという事になってしまいますので、つまりはその辺を緩和するためにフォワードガイダンスを強化したという話なんでしょうな。


・フォワードガイダンスの説明

その次。本文4ページ目の頭の方から。

『With unemployment still well above its longer-run normal rate, which Committee participants currently estimate to be between 5.2 and 5.8 percent, and with inflation continuing to run below the Committee’s 2 percent longer-term objective, highly accommodative monetary policy remains appropriate.』

さいですな。

『To emphasize its commitment to provide a high level of monetary accommodation for as long as needed, the FOMC today also enhanced its forward guidance.』

ということで、エンハンスという事ですから今回のフォワードガイダンスは「強化」という扱いになっているようです。まあそらそうだ罠と思いますが、ただしアタクシ思いまするにこれ良く考えて作ってあって、「現時点で予想する」という表現ですのでいつでもひっくり返す事は可能というのは後任にフリーハンドを与えてるんでしょうな。

『For the past year, the Committee has said that the current low target range for the federal funds rate would be appropriate at least as long as the unemployment rate remained above 6-1/2 percent, inflation was projected to be no more than 1/2 percentage point above our 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations remained well anchored.』

これは元々のフォワードガイダンス。

『We have emphasized that these numbers are thresholds, not triggers, meaning that crossing a threshold would not lead automatically to an increase in the federal funds rate but would indicate only that it was appropriate for the Committee to consider whether the broader economic outlook justified such an increase.』

ほうほうそれでそれで??

『With many FOMC participants now projecting that the 6-1/2 percent unemployment threshold will be reached by the end of 2014, the Committee decided to provide additional information about how it expects its policies to evolve after that threshold is crossed.』

うーんつまり(さっき引用割愛しましたが)SEPで示されているのは「2014年中に失業率スレッショルドに行くけれども利上げはしない」という絵なのですが、要はこの部分を文章化したという事です罠。

『Based on its assessment of current conditions and the outlook, which is informed by a range of indicators, including measures of labor market conditions, financial conditions, and inflation pressures, the Committee now anticipates it will likely be appropriate to maintain the current federal funds rate target well past the time that the unemployment rate declines to below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below its 2 percent goal.』

つまりあくまでもこれコミットメントでも何でも無くて(まあそもそも物価2%の方がフォーキャストターゲットなので鉛筆舐めれば良い話なのですが)現状での見通しなのですよね。

『In part this expectation reflects our assessment, based on a comprehensive set of indicators, that there will still be a substantial amount of slack in the labor market when the unemployment rate falls to 6-1/2 percent.』

ここもほほうという感じなのですが、あくまでもexpectationという話をしているのもへーと思いますし、失業率6.5%でも労働市場には顕著な量のスラックがあるという話をしているのもほほうという感じです。

『This continuing job market slack imposes heavy costs on the unemployed and the underemployed and their families and reduces our nation’s productive capacity, warranting our ongoing highly accommodative policy. But, as the last phrase of the enhanced guidance underscores, the prospects for inflation provide another reason to keep policy accommodative.』

『The Committee is determined to avoid inflation that is too low as well as inflation that is too high, and it anticipates keeping rates low at least until it sees inflation clearly moving back toward its 2 percent objective.』

つーことで最後の方に物価の話が来ておりますが、そこまでの説明を見ますと要するに「失業率が6.5%になっても利上げ着手しません」というのを今回言いたかったという事で、フォワードガイダンスの説明をする中で殆ど労働市場の話をしていて、最後に物価の話をしているという事で、つまりはこれ6.5%のスレッショルドの形骸化、というかちょっと押して言えば雇用に関する目標について数値化した形の定量目標からの脱却を図っている、というような話をしているんですなあと思ったのですがどうでしょうかね。

しかしまあこれストリートの方では2%が物価のフロアになったぜ低金利ゴルディロックスヒャッハーとかやってたりする訳で、何というかこうFOMCとのコミュニケーションという意味では今後何か難しくなりそうな悪寒がします。


・フォワードガイダンス関連で金利引き上げペースを示唆とな

『Our forward guidance is reflected in Committee participants’ latest projections for the path of the federal funds rate. Although the central tendency of the projected unemployment rate for the fourth quarter of next year encompasses 6-1/2 percent, 15 of 17 FOMC participants do not expect a rate increase before 2015. Most see our target for the federal funds rate as rising only modestly in 2015, while three do not see an increase until 2016. For all participants, the median projection for the federal funds rate is 75 basis points at the end of 2015 and 1.75 percent at the end of 2016.』

フォワードガイダンスはFOMCメンバーの見解を反映していますがという事で経済物価情勢の見通しの話をしていますが、最後の所で金利のパスの話をしていまして、2015年末のメディアンが0.75%で2016年末のメディアンが1.75%とわざわざ説明しているのが中々チャーミングでして、これはつまり「利上げするにしても年間1%のペース程度ですからそんなに利上げヒャッハーとかやらないでちょ」というメッセージを意味しております。まあそんなペースで利上げしてたら逆に政策金利引き上げ局面がクソ長くなるのでそれはそれでどうかと思うのですが・・・・・・・・・


・ここまで来たからヤケクソで最後も引用

最後はまとめです。まあ別に同じなのですがついでに引用するぞな(増量企画ではありません)。

『In summary, reflecting cumulative progress and an improved outlook for the job market, the Committee decided today to modestly reduce the monthly pace at which it is adding to the longer-term securities to its balance sheet. If incoming information supports the Committee’s expectation of further progress toward its objectives, the Committee is likely to reduce the pace of monthly purchases in further measured steps at future meetings. However, this process will be deliberate and data-dependent; asset purchases are not on a preset course.』

Taperは資産買入の効果と経済見通しによります先行きはデータディペンデントだよと。

『The FOMC also provided additional guidance on future short-term interest rates, stating that it expects to maintain the federal funds rate target in its current near-zero range well past the time that the unemployment rate falls below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below 2 percent. The Federal Reserve’s enhanced guidance about its policy intentions and its substantial and still-increasing holdings of longer-term securities will ensure that monetary policy remains highly accommodative, consistent with the pursuit of its mandated objectives of maximum employment and price stability.』

フォワードガイダンスの強化と、Taperしても買入残高は増えていますよあっはっはという話。

『Thank you. I’ll be glad to take your questions.』

以下質疑は後日。




2013/12/20

お題「FOMCレビュー関連少々/昨日書き損なった各種雑談等」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131220/k10013980971000.html
来年度予算編成 きょうから閣僚折衝
12月20日 4時58分

『一方、来年度予算案の税収に関わる来年度の経済成長率の見通しについて政府は、物価の変動を除いた実質をプラス1.3%程度とすることで調整していましたが、最終的にプラス1.4%程度とする方針を固めました。物価の上昇を反映した名目は変わらずプラス3.3%程度とする方針です。』(上記URLより)

実質成長率は良いのだが名目成長率の方が低いようですが、ニャンコ先生によると政府日銀どころか公的年金までもが共有して行動せよと仰せになっておられます「2%物価目標の共有」はどうなっておられるのでせうか(棒読み)。

○FOMCレビューでSEPとかその他少々

・2016年の見通し数値は引き続き「ロンガーラン水準」

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20131218.pdf
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20131218.htm

一覧性が高いのはPDFバージョンですが、ペタペタと数値を磔刑にするのはHTMLが便利。

PDF1ページ目の経済物価見通しですけれども、今回は2016年の見通し数値が盛大にロンガーランとほぼ一致となっているというのがお洒落。基本的にPDFのページベースでああだこうだ申し上げますが数値はHTMLの方から貼っております。

                2013     2014    2015    2016     ロンガーラン       
Change in real GDP   2.2 to 2.3  2.8 to 3.2  3.0 to 3.4  2.5 to 3.2    2.2 to 2.4
September projection 2.0 to 2.3   2.9 to 3.1  3.0 to 3.5  2.5 to 3.3    2.2 to 2.5

Unemployment rate   7.0 to 7.1  6.3 to 6.6   5.8 to 6.1  5.3 to 5.8    5.2 to 5.8
September projection  7.1 to 7.3  6.4 to 6.8   5.9 to 6.2  5.4 to 5.9    5.2 to 5.8

PCE inflation        0.9 to 1.0   1.4 to 1.6  1.5 to 2.0   1.7 to 2.0     2.0
September projection  1.1 to 1.2   1.3 to 1.8  1.6 to 2.0   1.7 to 2.0     2.0

実質GDPの見通し数値は微妙に上がったり下がったりしていますが、ロンガーラン水準の数値自体がちょっと下がっているので結論からしたらこの出来上がりは9月見通しとあんまりカワランチ会長で、失業率の見通しについては全体的にこれまた微調整ながら若干の低下になっていて、2016年の見通しはどう見ても経済成長、雇用についてはロンガーラン水準。

物価に関してはさすがに足元の低下を反映して2013年の数値は下がっているのですが、2014年の数値が上昇していて結局2016年の見通しは変わっておらず、つまり「声明文では盛大に物価警戒コメントを入れているけれども特段の物価見通しの変化はありませんぞなもし」という話になったりするような気がします。

Appropriate timing of policy firming

                  2014   2015   2016
Number of participants     2     12      3
(9月時点の数値)       3     12      2

まあ何ですな、恐らくメジャードペースでのTaperingという事になりますと、1回のFOMC毎に「じゃあ次から買入は100億ドル減額ね」と言ってきて、年間8回のFOMCがあるから丁度12月のFOMCミーティングで買入拡大が終わりますとかそういう話ですかそうですか。

でもって2016年に経済物価雇用情勢が中立水準になるという事だったらそらまあ2015年からは利上げ着手という話になります罠。


Appropriate pace of policy firming
Number of participants with projected targets

Target federal funds rate at year-end
(Percent)


      2015   2016   ロンガーラン
0.25     3
0.50     3     1
0.75     4
1.00     2     1
1.25      1     1
1.50     1     2
1.75     4
2.00     1     1
2.25
2.50          2
2.75     1     1
3.00          1
3.25      1    1
3.50                   4
3.75                    2
4.00           1         9
4.25           1         2


これはまあ2014年の所を見てもしょうがないので2015年と2016年とロンガーランを読むわけですが、(めんどいので前回のは割愛)今回もまたまたなのですが、2014年利上げ派の2名(と思われるのだが次に申し上げる理由により若干微妙)以外はそろいもそろって2016年末のFF誘導金利見通しがロンガーランの数値に行っていないという状況になっておりますな。

ちょっとオモロイのは2015年からの利上げが12人いるのですが、そのうち1名が2015年末時点でのFF誘導金利を2%に置いている事でして、これすなわち「1年間で2%のFF金利引き上げ」を展望している(のでもしかしたらこの人2016年の4%なのかも知れない)という話ですな。

ただまあそういうオモシロケースをさて置いて考えますと、2015年からの利上げを展望している12名の中でも2015年末のFF誘導水準が0.50%と0.75%で7名とこの時点で過半数になっているのがほほうという所でありまする。さっき引用した経済見通しの方では失業率見通しの中心的見解が2014年時点で「6.3 to 6.6」となっておりましたので、つまりどう見てもスレッショルドに突入です本当にカムサハムニダという状況な訳ですからして、これ即ち(1)失業率スレッショルドに突入しても直ぐに利上げしませんぞなもし、(2)当初の利上げペースはかなりゆっくりになりますぞなもし、という事を意味しておりますなとなりますにゃ。

まあ2015年の所で数値がそこそこばらけているので、恐らく利上げ開始着手時期を2015年に置いている人の中でもそのスタート時期が早い人と遅い人の間では結構な差があるのかなあとは思います。



・ところで2%物価の部分がすっかりフロアみたいな言われ方になっているのは何でですねん

えーっとですね、これ昨日の朝も申し上げたのですが、その後色々とレポートみたいなのを見たり、今朝のモーサテでの米国市場コメントとか聞いてもそうなのですが、何か今回のFOMCにおけるフォワードガイダンス強化でインフレフロアが2%になったかの如き解説がやたらめったら多くて?????なのであります。

とは申しましても、不肖このアタクシまだ会見テキストを通読しておりません(週末に絶賛精読しますすいませんすいません)ので会見の方で何らかのその手の話でもあったのかも知れませんが、昨日も申し上げましたように少なくとも声明文の方の金利ガイダンス部分ではこの文言が追加されただけだと思うのですよね。

『The Committee now anticipates, based on its assessment of these factors, that it likely will be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate well past the time that the unemployment rate declines below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal. 』(今回FOMC声明文から)

つーことでここの文言を再掲しましたが、まず最初の所に「The Committee now anticipates」とわざわざnowというのを入れているのが曲者でして、FEDのこの手の文言ではnowとかわざわざ入れないケースも多々ありますからして、nowというのが入っているのには意味があって、「今こう予想しているだけですよ」という話で、コミットメントでも何でも無いと思いますし。インフレ2%の部分は「projected inflation」でありまずぞなもしという話。つーか大体からして2015年の利上げ着手が適切と考える人がほぼ大勢見通しになっていますが、その時点でのPCEインフレーション大勢見通しが1.5-2.0になっているのですから、そこから見たら何で「実際の2%物価が下限スレッショルドになったので物凄いハトだヒャッハー」という解釈が出来るのかさっぱりワカランチ会長です。

でまあこの「projected inflation」の期間を書いていないのがこれまた微妙にFEDのイカサマ文学な所なのですが、物価の上限スレッショルドの方では従来から『inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored』って言ってますので、まあ恐らくは1−2年先の見通し物価数値という事でして、まあこういうのってはっきり言って鉛筆舐めの世界ですからねえ・・・・・・・・

確かにまあ「失業率6.5%のスレッショルドを越えても暫くは緩和的政策が適切」というのはスレッショルドどこに逝きましたねんという所でもあるのですが、これは単に失業率の方が(パーティシペーションの問題などもあり)当初よりも威勢よく下がる状況にあって、上記見通しにあるように2014年には大方の予想が既にスレッショルド到達になる中で圧倒的多数は2015年からの利上げ着手を予想しているのですから、そらまあそうなる罠という話でしょという所ですにゃ。

いずれにせよ物価が上昇しにくい状況であれば正常化着手には相当慎重になると思いますので、そういう意味では別に今から利上げヒャッハーとかそういう話になる訳でも何でも無いのですが、あまりにも(特に株式市場や為替市場が)必要以上にハト派解釈をしているのではないかという気が致しまして、このギャップが埋まりに行く時に話がヤヤコシヤになるような気もせんでも無いです。まあFRBとしては物価上昇がそう簡単に起きそうもないという中なので、じっくり構えているうちに経済物価情勢に見合った先行きの金融政策への認識がマイルドに形成されるという図を考えているのでしょうが、これゴルディロックスヒャッハーとか言って資産価格が無駄にスパークした際に物価がホイホイ上昇してくると話の前提が大崩壊してしまうリスクもありますので注意した方が良いんじゃネーノとは思うのでありました。

つまりまあ今後の米国金融政策を占うのは雇用よりも物価の方が重要視される話ですが、金利で勝負の世界になったからやはり物価に注目とかそういう事になるんでしょうなあうんうんとか思うのでありましたです、はい。


○市場雑談少々

・3MTB入札

昨日の新発が24日に発行(なので24日に償還するTBがあるのだが)なのですけれども、今年はカレンダーの関係で次のTB償還が1月9日まで来ない(ので次の短国入札は1月7日)という割と日数のある展開だったのですが・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131219.htm

(3)募入最低価格 99円98銭4厘0毛 (募入最高利回り) (0.0621%)
(4)募入最低価格における案分比率 19.8044%
(5)募入平均価格 99円98銭5厘2毛 (募入平均利回り) (0.0574%)

暫く新発が無いということでニーズもあるでしょという事だったのか平均は強めの水準でしたが、足きりの方は下の方になりまして、これはニーズ読み間違えの巻というか実際問題そんなにニーズあったんですかねとかそういう話ですかよくわかりません。

まあ年内に関してはCPのレートが年内と年末越えで華麗に逆転(年末越えでも足が短いのと長いのでは逆転気味)してたり、GCレートが0.10近辺でウロウロしてたり(今日は20日の償還が着金する日なので今日の約定ベースからはまた状況が変わるような気もしますが)ということで、微妙に足元の需給が宜しくないといかそういう事ですかねえという所ですが、前日の1YTB入札では事前予想よりもやや強い0.6%割れの所で切れるわ殆どが所謂不明玉だわでニーズキタコレという感じだったので落差ががががという感じ。

ま、1年と3か月では色々とニーズの源泉が違ってくるというのが背景にあると思いますけど、まあロングでの運用ニーズはあるけどショートの運用は来年に入ってMB積み上げが進む中で徐々に再投資リスク高まるからロングで運用できるもんならロングで運用したいという所なんですかねえ良くわかりません(ちなみに短期市場的な長い短いの話な)。再投資リスク以外のファクターもあるようですけどね。


・固定金利オペ

これは一昨日のオペ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131218.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2013年12月20日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年12月20日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年12月20日 2014年3月24日

輪番は兎も角として、20日には固定金利オペの期落ちが無いのに何故か華麗にオペオファー。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131218.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 10,096 4,005 -0.009 -0.007 15.8
国債買入(残存期間10年超) 5,096 2,003 -0.019 -0.016 50.9
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月20日スタート分) 10,200 8,006 78.5

まあ当然ながら期落ちも無いのにオペオファーする位だからニーズがある事を把握してオペをオファーしている訳で、前回の固定金利オペ(これはロール)に続き堂々の按分。

何がどうなってニーズがあるのかよくわかりませんが、GC堅調だったりしますので在庫ファイナンスの関係があるのか、そうじゃなくて別の担保繰りとか資金繰りの問題とかなのかも知れませんな。


○金融緩和ニュースをしたい気持ちも判らんでは無いが・・・・・・・

今日はMPMですがその関連で一昨日の悪態ネタというか雑談ネタ。

一昨日は昼過ぎ(ベンダー端末だと12時40分近辺だったのですが)にこんな記事が出ておりましてですなあ・・・・・・・・・・

ネット版だとこちら(本当は以下に述べる理由で直リンするのもアレなのですが)。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXZ9076JIJXM01.html
日銀は長期国債大量買い増し辞さず、物価下振れなら異次元第2弾 (1)
更新日時: 2013/12/18 13:56 JST

『12月18日(ブルームバーグ):日本銀行は2%の物価安定目標の早期実現のため、必要であれば長期国債のさらなる大規模な買い増しを辞さない構えだ。関係者への取材で明らかになった。』
(上記URLより、以下同様)

ということでその続きですが・・・・・・・・・・

『日銀は生鮮食品を除く消費者物価 (コアCPI、消費増税の影響を除く)の前年比が「2015年度までの見通し期間の後半にかけて2%程度に達する」としている。関係者によると、こうした見通しが大きく下振れした場合、現在の長期国債の買い入れペースを一段と上回る大規模な購入を検討する構えだ。』

・・・・・・・・・えーっと「見通しが大きく下振れたら追加緩和」って別にそれ今に始まった話じゃないですし当たり前の話なんですがががが。

『一方、関係者によると、足元の景気・物価が見通し通りに推移していることから、日銀は当面、静観を続け、来年4月の消費税率引き上げ後の駆け込みの反動を見極める構えだ。』

んーっとですね、そういう趣旨の話は関係者への取材で明らかになるもへったくれもなくて誰でも見通せる話だと思う次第で、何じゃこのニュースはという感じとゆーか、スクープ記事でも何でもない話を何でまたスクープ記事みたいな書き方してるんでしょう????という感じ。

実際には後場寄り直後の時間帯にベンダー向けヘッドラインで日本語英語で見出しが盛大に踊っておられまして、甚だ?????感が有ったのですが、何となく引け後の記事を見て背景を理解した気がせんでも無い。ネット版はこちら。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXZ4J16JIJVK01.html
円全面安、国内株上昇で売り優勢−日銀の金融強化報道も影響
更新日時: 2013/12/18 15:32 JST

『12月18日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円が全面安となった。国内株が上昇したのに伴って、円への売り圧力が強まった。市場関係者によれば、日本銀行が物価下振れなら金融緩和の強化を辞さないとする報道も影響した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・えーっとですな、実際にこの日のドル円なのですが、先ほどのニュースが出る前に既に円安に振れていまして、昼以降と15時までの値動きって大して変化ありませんでして、どう見てもブルームバーグのニュース影響してねえだろと思うのでして、ああそうですか自分のニュースが相場を動かしたとアピール(以下盛大に自粛)。


ということでして、その前は謎の貸出支援延長ネタが突如ニュースになっていたりしてまして、当初は日銀何やってるんだと思ったのですが、これ単に前からそういう話がある(そらまあ貸出支援等のオペは延長されても全く不思議では無いので)件をわざわざブラックアウト期間という日銀が文句が言えない時期にぶつけてわざと書いたんでちゅかねえとか意地と性格と顔の悪い不肖このアタクシなんぞは邪推したくなってしまう今日この頃。

まあ確かに海外投資家中心に日銀の追加緩和ネタでヒャッハーとかクレクレとかしているという背景はありまして、何か最近一部のベンダーさんで妙に追加緩和バイアスを掛けたニュースの書き方が目につく所ではありますが、ブルームバーグさんが今回のように「取材で明らかになった」と称して既にそれは皆さん分かり切っていますがなというネタをことさらセンセーショナルっぽいヘッドラインでブラックアウト期間中に記事を出すとか随分と「らしくない」品の無いお話でございまして、この一連の記事を見て失望したという所でございますので悪態というか苦言というかなのでありました。



2013/12/19

お題「Taperキタコレでしたなあということで寝起きでFOMC声明文」

昨日はジャパンの方も微妙に悪態ネタがあったりしたのですが、まあ逆さ絵先生が見事に花道を飾るの巻のFOMCネタがキタコレですので寝起きでFOMCネタでごじゃる。

#ジャパンの悪態系はたぶん明日

○FOMC声明文:MBSのTaperはするわガイダンス文言はそんなに変えてこないわ

声明文今回
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20131218a.htm

声明文前回
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20131030a.htm

・第1パラグラフ:景気認識に関する文言を色々と強くしています

『Information received since the Federal Open Market Committee met in October indicates that economic activity is expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in September generally suggests that economic activity has continued to expand at a moderate pace.』(前回)

経済活動のモデレートペース拡大に関して、その認識が「has continued to expand」から「is expanding」という進行形方に戻ったのですが、今年前半は「has been expanding」という現在完了進行形だったのが今回は現在進行形に変わったという変化がありまして、より言い切り方になりましたなというのは判るのですが、実際にこの現在完了進行形と現在進行形のどちらの方が言い方として強いのかはネイティブの人に聞いて下さいませ(汗)。

んでもってこのパラグラフですけれども、この部分で示されたような言い切り方モードになってきているのが特徴的で、表現がすっきりしたために行数も1行減っている(文字サイズ普通でA4に印刷した場合)のですが、基本的に表現がすっきりするというのは自信度が上がったという話ですな、うんうん。

『Labor market conditions have shown further improvement; the unemployment rate has declined but remains elevated.』(今回)

『Indicators of labor market conditions have shown some further improvement, but the unemployment rate remains elevated.』(前回)

労働市場の表現も前回から比較してスッキリとした言い方になっているのが判るかと思います。


『Household spending and business fixed investment advanced, while the recovery in the housing sector slowed somewhat in recent months.』(今回)
『Available data suggest that household spending and business fixed investment advanced, while the recovery in the housing sector slowed somewhat in recent months.』(前回)

家計消費や企業の固定資産投資に関する表現も言い切り方になっていますな。

『Fiscal policy is restraining economic growth, although the extent of restraint may be diminishing.』(今回)
『Fiscal policy is restraining economic growth.』(前回)

財政政策問題に関しては逆に経済成長に対しての阻害要因としての度合いが弱まっていると。

『Inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Apart from fluctuations due to changes in energy prices, inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)

物価に関してはエネルギー価格の変動要因がどうのこうのという話を削除ですな。


・第2パラグラフ:リスクをややダウンサイドから概ねバランスへと変更キタコレ&物価に関する文言キタコレ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)

この辺の文言は全文一致ですな。

『The Committee sees the risks to the outlook for the economy and the labor market as having become more nearly balanced.』(今回)
『The Committee sees the downside risks to the outlook for the economy and the labor market as having diminished, on net, since last fall.』(前回)

いやあこれ結構ビックリだったのですが、今までは「去年の秋からのダウンサイドリスクは徐々に低下してきているものの」というようなフワフワな言い方をしながらリスクは下という認識を示していましたけれども、遂にニアリーバランストですよ奥様!!

『The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, and it is monitoring inflation developments carefully for evidence that inflation will move back toward its objective over the medium term.』(今回)

『The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, but it anticipates that inflation will move back toward its objective over the medium term.』(前回)

逆にこちらはハト方面追加キタコレという話ではございますが、従来は「中期的には物価は2%目標に向かって上昇するでしょう」という表現だったのが、今回は「インフレが中期的に2%目標に向けて戻るかどうか今後の状況を注意深く観察するでしょう」と慎重な言い方になっております。


・第3パラグラフ:MBSもTaperとな

『Taking into account the extent of federal fiscal retrenchment since the inception of its current asset purchase program, the Committee sees the improvement in economic activity and labor market conditions over that period as consistent with growing underlying strength in the broader economy.』(今回)

『Taking into account the extent of federal fiscal retrenchment over the past year, the Committee sees the improvement in economic activity and labor market conditions since it began its asset purchase program as consistent with growing underlying strength in the broader economy.』(前回)

「over the past year」という部分の表現が何かややこしくなっていますが、基本的に言ってる事同じのような気がしますけど。

『In light of the cumulative progress toward maximum employment and the improvement in the outlook for labor market conditions, the Committee decided to modestly reduce the pace of its asset purchases.』(今回)
『However, the Committee decided to await more evidence that progress will be sustained before adjusting the pace of its purchases.』(前回)

ということで「モデストリーに買入を減額していくことを決定」キタコレであります。

『Beginning in January, the Committee will add to its holdings of agency mortgage-backed securities at a pace of $35 billion per month rather than $40 billion per month, and will add to its holdings of longer-term Treasury securities at a pace of $40 billion per month rather than $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.』(今回)

『Accordingly, the Committee decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities at a pace of $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.』(前回)

まあここは前回と比較してもシャーナイナイですけど(^^)、今回の決定はMBSの買入と国債の買入をそれぞれ50億ドルずつ減額して実施します1月分からですよという事で、エージェンシー関連債券の償還再投資は継続実施です。

『The Committee's sizable and still-increasing holdings of longer-term securities should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.』(今回)

『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.』(前回)

これもまあ前回と比較するかというと微妙ですが(^^)、今回は買入を減額したこともありまして、従来より説明している資産買入政策の効果に関して「FRBが莫大な額を保有し、今後も拡大を続ける長期債券」の効果を再度強調しておりまして、まあ買入減額に対してエクスキューズというか何というかの文言を加えつつ説明キタコレという所ですな。


・第4パラグラフ:資産買入は今後も徐々に縮小

第3と第4が資産買入の話で、第5が金利ガイダンスの話というのは今回も同様です。

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability.』(今回)

『The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability.』(前回)

状況の変化を注視しながら物価安定のコンテクストの元で労働市場がsubstantiallyに改善するまで資産買入を継続しますぞなもしという文言は同じですな。

『If incoming information broadly supports the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective, the Committee will likely reduce the pace of asset purchases in further measured steps at future meetings.』(今回)

『In judging when to moderate the pace of asset purchases, the Committee will, at its coming meetings, assess whether incoming information continues to support the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective.』(前回)

まあここは前回と違うの当たり前ですが(^^)、今後の資産買入に関しては「今後のFOMCミーティングで経済や労働市場の環境が改善を続ければ買入のペースを更にメジャードステップ(in further measured steps)で行いますという事ですな。

でまあ基本的には前のパラグラフで「modestly reduce the pace」って言ってるから基本的にペースをそう極端に急激には下げてはこないと思いますが、この「measured steps」ってのはかつての「メジャードペースでの利上げ」という言葉を思い出して微妙にアレでして、改善が続くのであれば極端にペースは下げないものの割とホイホイ下げてくるかも知れませんな、その辺は会見の方で何かの話があったかもしれませんがそこまで読んでいる時間は無かったりしますので会見ネタは週明けにでも。

『However, asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's outlook for the labor market and inflation as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases. 』(今回)

『Asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's economic outlook as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.』(前回)

今後の買入に関しては事前に特段の計画を立てている訳ではありませんで、ペースの上げ下げに関しては経済状況次第で調整いたしますというのは従来からの説明通り。


・第5パラグラフ:ガイダンス文言が強化されてねえええええええ(と思うのだが)

えーっとですね、何かモーサテちゃんを見ていたら「物価が2%になるまで利上げをしないということを好感して」とか雨市場の方々が仰せになっていて、最初にまず変な先入観持ちたくないので真っ先にFRBのページに行って印刷してからネットもテレビも見ないで声明文比較するのが仕様のあたくしはテレビを見ながら「???」と思ってしまうまなのですがががががもしかして米国市場何か勘違いしているのかワシが勘違いしているのか・・・・・・・・

ということで金利ガイダンスを含む第5パラグラフ。

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens. 』(今回)

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.』(前回)

資産買入が終了して経済の回復が力強くなってもも緩和的な政策は「considerable time」に適切であることを今回も確認いたしましたという文言は同じですな。

『The Committee also reaffirmed its expectation that the current exceptionally low target range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)

『In particular, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(前回)

ガイダンス文言の基本部分がこれになるのですが、物価に関する何らかのスレッショルド(下限の方)を入れるのかと思ったら入れてこなかったですな。まあ確かにこの前ネタにしたブラード総裁の講演でも何かあまり余計なものを付け加える気が無さそうではあったのですが。

でもってちょっと気になったのは、「decided to keep」という表現が「reaffirmed its expectation」になっている部分でして、これ質疑応答で誰か質問しているとアリガタヤなのですが、何かどさくさに紛れて「維持すると決定」だったのが「適切であるという認識を確認した」となっているのは、あまり今から大騒ぎするネタでは無いとは思うのですが、これ後任のイエレンおばちゃんの手足を無駄に縛らないようにする為の諸葛孔明の罠のような気もしないでもないのがちょっとだけ引っ掛かったので書いておきます。勿論今すぐどうしたこうしたの話では無いのですが。


『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. 』(今回)

『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. 』(前回)

でまあ高度に緩和的な政策の継続にあたっては色々と考慮しますぞなもしという文言も同じ。


『The Committee now anticipates, based on its assessment of these factors, that it likely will be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate well past the time that the unemployment rate declines below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal. 』(今回)

今回純粋に新しく入った文言でして、まあそら配慮するために入れるわなと思いますが、ここの文言を読んで「物価が2%になるまでFF金利が上がらない」と解釈するのは何ぼ何でも無理筋だと思う訳でございまして、そもそもアクチュアルの物価じゃなくて「プロジェクテッド」のインフレの話をしておりますし、大体からして「The Committee now anticipates」であってコミットでも無ければ将来に渡る見通しでも無くて、単に「現在の所以下のように予想しておりますが」という話でありまして、これは特段の将来を約束した話では無くて単なるサービス文言にしか読めないのですがどうでしょうか。


『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.』(今回)
『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.』(前回)

この部分の文言も同じでして、確かにサービスフレーズは入ったものの、フォワードガイダンスは特段強化されたようには思えない次第で、勿論会見の方ではサービスフレーズを連発して「いや6.5%になったからと言って即座に利上げサイクルに入る訳ではありませんよウェーハッハッハ」というような逆さ絵劇場は展開されていると想像しますが、少なくとも声明文ベースでは後任を縛りたくないという逆さ絵先生の配慮が入ってガイダンスの複雑化を避けて、イエレンおばちゃんの自由度を確保しているように見えるのですけれどもあたくしの勘違いでしょうか????????

なお会見は全く見ていない(時間がががが)のでそこで漏れがあるのかもしれませんので念の為。


・第6パラグラフ:ローゼングレンさんが反対とな

確かこの前「大勢順応派」扱いしてしまったような気がするのですがすいませんでした。

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Charles L. Evans; Esther L. George; Jerome H. Powell; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Charles L. Evans; Jerome H. Powell; Eric S. Rosengren; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(前回)

ジョージおばちゃんVotingメンバーになって初の賛成に草不可避wwww

『Voting against the action was Eric S. Rosengren, who believes that, with the unemployment rate still elevated and the inflation rate well below the target, changes in the purchase program are premature until incoming data more clearly indicate that economic growth is likely to be sustained above its potential rate.』(今回)

『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that the continued high level of monetary accommodation increased the risks of future economic and financial imbalances and, over time, could cause an increase in long-term inflation expectations.』(前回)

ローゼングレン総裁は今回のTaper決定が時期尚早で、更なる経済の回復を確認すべきとの認識で反対しております。


#なお、SEPネタと会見ネタまで手が回りませんでしたが本職の人が何か解説するでしょう^^;




2013/12/18

お題「リクスバンクの物価低下対応/PD懇と投資家懇雑談/その他少々雑談とか悪態とか」

何ですかこのやる気を感じさせない党名は。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131217/t10013903551000.html
江田氏ら 新党名称は「結いの党」に
12月17日 17時54分

なお、新垣結衣さんでもけいおん!でもなく浅香唯さんの方を先に思い出すあたくしはどう見てもジジイです本当にありがとうございましたorz

○スウェーデン利下げとな

リクスバンクである(最後の/en/をカットすればスウェーデン語サイトである)
http://www.riksbank.se/en/

で、利下げ公表ということで、真ん中あたりの所をクリックすれば良いのですが、HTMLサイトのURLがアホのように長いのでURL置くのは割愛しまして、PDFの方のリンクを貼っておきます(HTMLへのリンクはしておきますが)。

17/12/2013 - Press release
Repo rate cut by 0.25 percentage points to 0.75 per cent (←こちらHTMLサイトの方のリンク)


PDFの方はこちら
http://www.riksbank.se/Documents/Pressmeddelanden/2013/prm_131217_eng.pdf

HTMLでもPDFでも同じ事が書いてありますのでどちら見ても同じなのですが、「経済は見通し通り推移しているが物価が弱いので利下げします」との事。

『Economic activity is developing largely as the Riksbank had forecast earlier. However, inflation has been unexpectedly low and, despite the recovery, inflationary pressures over the coming year are expected to be much lower than in the most recent forecast in October.』

経済は見通し通りに推移しているがインフレが予想外に弱く、経済の回復にも関わらず来年のインフレ圧力が直近の政策決定を行った10月(ちなみに次回の決定は2月)に想定していたよりも大幅に低いとな。

『To contribute to inflation rising towards 2 per cent, the Executive Board of the Riksbank has decided to cut the repo rate by 0.25 percentage points, to 0.75 per cent, and to make a downward adjustment in the repo-rate path for the entire forecast period.』

インフレを2%のターゲットに上昇させる事に貢献する為に、政策委員会はレポレートの25bp引き下げと、今後の見通し期間におけるレポレートの見通しパスについての下方修正を行いました。ということですので、フォワードガイダンス付き利下げみたいなもんですな。

『Slow increases in the repo rate are not expected to begin until the start of 2015.』

ガイダンスの期間はカレンダーベースになっていて、しかもレポレートの引き上げが行われるにしてもそのパスは緩やかになるでしょうという言い方をしているのですが、ただし「expected」であってコミットでは無いのが微妙にお洒落。

んでもって下の方に経済見通しとレポ金利のパスがあるのですが。

Forecasts for Swedish inflation, GDP, unemployment and the repo rate
Annual percentage change, annual average

見通し期間は2016年まででして、

        2012  2013    2014    2015    2016
CPI  :   0.9  -0.1(0.0) 0.6(1.2)  2.5(2.7)  3.0(2.9)
CPIF :   1.0  0.8(0.9)  0.8(0.9)  1.8(1.9)  2.0(2.0)
GDP  :  0.9  0.9(0.7)  0.9(0.7)  3.7(3.5)  2.8(2.7)
失業率  :  6.0  8.0(8.0) 8.0(8.0)  7.1(7.2) 6.5(6.6)
レポレート:  1.5  1.0(1.0) 1.0(1.0)  1.4(1.8) 2.4(2.7)

レポレートはこんな表示もあり。

Forecast for the repo rate
Per cent, quarterly averages

2013Q3:1.00
2013Q4:0.96(0.99)
2014Q4:0.71(1.15)
2015Q4:1.88(2.24)
2016Q4:2.60(2.88)

ということで、結構長い見通し期間を出していて、そら見通し期間がまる3年も取ったら最後の所はロンガーランの数値に収束するぞなというか、まあガイダンス政策とかやりだすとこういう出し方にどうしてもなってしまうのでシャーナイナイな面はあるのですが、良く良く考えてみますと基本的にこの手の「政策委員会の見通し」って必要以上に長い期間の見通しを出すとロンガーランの数字が絶対に出てくる(出てこないのであれば金融政策が不適切という話になるから政策変更が必要になります罠)仕様になるので、何か意味が無いような気がするんですよねえ。まあどうでも良いけど。

んでまあ利下げの効果に関してはこのような説明がありますな。

『Repo-rate cut contributes to higher inflation』って小見出しがありまして(ちなみにさっきの見通し数値と金利パスの予測に関してはこの部分の最後にあります)。

『Given the unexpectedly low inflation and that inflationary pressures are expected to be lower in the coming period, the Executive Board of the Riksbank has decided to cut the repo rate by 0.25 percentage points to 0.75 per cent and to adjust the repo-rate path downwards for the entire forecast period.』

これは最初と同じ。

『In this way, monetary policy will contribute to CPIF inflation rising towards 2 per cent. The Executive Board now assesses it is appropriate to begin raising the repo rate at the start of 2015. The recovery is then expected to be on firmer ground and inflation is expected to be on the way up. At the end of the forecast period, the repo rate will be 2.6 per cent.』

2015年の頭から利上げするのが適切で、その上昇パスは前回想定よりも緩やかになりますということで先ほどの数値が最後にどどーんと出ています。

『For some time now, monetary policy has involved balancing how low the repo rate needs to be for inflation to approach the target soon enough against the increased risks linked to households' high indebtedness that can stem from a low interest rate.』

低金利によって起こされる可能性のある家計部門の高負債にリンクした拡大するリスクはございますが、それよりも利下げによる物価の上昇が必要ですぞなというのは、実はさっき引用でスルーしちゃいましたけれども、冒頭部分の最後(見通し表の直前の部分の続き)でも述べられています。

『Inflation has been low for a long time, and the unexpectedly low outcomes in recent months regarding in particular service prices imply that it may take longer than anticipated for inflation to rise. Without a more expansionary monetary policy, there is a risk that inflation would not reach 2 per cent in the coming years, and there is thus good reason to cut the repo rate by 0.25 percentage points and to adjust the repo-rate path downwards. At the same time, households' high indebtedness remains a risk to sustainable long-run development. Several policy areas need to cooperate to manage these risks.』

ということで、緩和的な金融政策の拡大を行わないと物価の上昇が遅れるリスクが高まるという事なのですが、経済が見通し通りに行っていて物価がサービス分野中心に弱いですという中での利下げがどういう形で物価上昇に寄与して、リスクはどこにあるのよという議論がどうなっているのか気になりますが、来年の1月8日にミニッツ出るみたいで、その時に暇だったら読もうかなという感じです(が多分ヒマでは無い)。

まあこの金利水準ですので量的緩和という話にはならないのでしょうけれども、物価低下に対応して利下げにフォワードガイダンスのセット、というのはすっかり最近のトレンドになっていて、何かこう「量で勝負」というのは何処に逝ったんでしょうかねえという気がするのでありました。


○PD懇とか投資家懇とか

PD懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/131216.html

投資家懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/131216.html

・物価連動国債について

PD懇の方では割とスルー気味でしたが、さすがに投資家懇の方では物価連動国債に関する意見が色々と出ていましたな。

皆様ご案内のように先週金曜にこんなの出てましたけえのお。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131213-00000025-reut-bus_all
GPIF、4000億円超の物価連動国債を購入へ=関係筋
ロイター 12月13日(金)7時8分配信

何せこの前発行再開になったばかりで今年度は3000億円×2回の発行という(なおこれグロスではこの発行ですが、既発のバイバックがあるので物価連動国債全体のネット増額はもっと少ない)状況の中でいきなりこんなでかい数字だされますといやまあ買うのはヨロシのですが量ががががががと思ってたらまあさすがにその手の見解が色々と。


『・平成26年度発行計画について、公的年金が物価連動債の購入を検討するという話があるが、その場合は玉不足になる可能性があるため増額する方が望ましい。

・来年度の発行計画について、公的年金等が物価連動債を運用対象とするのであれば、物価連動債の更なる増額は可能。

・物価連動債について発行量を増やしてマーケットの流動性を高める方向には賛成。ただし、現時点では公的年金の投資方針が明確ではないため、当社の投資がどの程度になるかは明確に判断できない。』(投資家懇要旨)

んでまあちと長い意見がありまして、

『・平成26年度発行計画については、公的年金が物価連動債に参入する件について、物価連動債を投資対象とする投資家の立場として、以下の2点の理由により、投資判断が難しくなっている。まず1点目は、公的年金の購入規模がいくらか、また、それに対応して、発行サイドの反応がどうなるかわからず、購入規模の影響が判断できないことである。2点目は、公的年金は価格が安くなれば買いたいというアクティブなバイヤーなのか、日本銀行のようなパッシブなバイヤーとなるのかによって、市場への影響が異なることである。例えば、現状の社債市場は、パッシブな運用によってファンダメンタルズよりもリスクプレミアムが極めて低く抑えられ、投資しにくくなっている。社債市場のように物価連動債がファンダメンタルズよりもリスクプレミアムが極めて低く抑えられ、割高な水準に押し上げられるリスクを懸念している。』(投資家懇要旨)

うーむ。パッシブ運用でリスクプレミアムがファンメタよりも低くなる、というのはつまり市場規模が小さいという事なのですかなって思いましたが、社債と違って物価連動国債ならば発行体が発行額をコントロールできるからニーズがある分ホイホイ出せば割高になってもそれは一時的になるような気もしますしどうなんでしょ良くわかりません。


・流動性供給入札について

リオープンの話もありまして、まあどう見ても今回一番長く議論されている話だと思うのですが、これについては簿価分散や銘柄分散やカレントへのニーズVS個別銘柄の流動性確保のニーズというのがマッコウクジラでありまして、まあ前者に関しては会計上の規制があるのでシャーナイナイでありますし、後者についてはそらそうよという話で、結局の所何ともかんともの世界だったりするのでごじゃります。

つーことでこれは結局どこに落とすかという話で、その落としどころが実際の需給にどういう影響を与えて価格形成にどういう影響を与えるかという話で、まあ論点に関しては正直出尽くしている話で問題は会計上のニーズと流通円滑化のニーズをどの辺で落とすか(流動性ばかり考えて投資家のニーズが無くなるような方式にしたら元も子もない訳だから)という所なので鑑賞物としては見るもののまあいつもの話だなあという感じです。

#もう面倒だから4半期入札にしたらというと恐らく業者も投資家もブーイングになりそうですがががががが

ということでそこはスルーして流動性供給入札の部分なのですが・・・・・・・・

これは事務局からの説明部分ね。

『・また、26年4月以降の流動性供給入札においては、資料3-5のとおり、対象銘柄をさらに拡大し、カレント銘柄以外の全ての銘柄を対象とすることや、流通市場における国債市場特別参加者の役割に鑑み、応札義務の設定を検討することを提案したい。

・こうした点について、事前にご意見を伺った際には、対象銘柄の拡大については特段異論がなく、また、落札義務は困難であるが、応札義務の設定については、強く反対する先はなかったように思う。』(PD懇要旨から)

でまあPD懇でも投資家懇でも落札義務は勘弁という話になっていましたが、応札義務に関してはまあシャーナイナイという話もある中でこういう見解も。

『・応札義務の設定はやむなしと考えるが、落札義務は将来的にもなるべく課さないでほしい。

・応札義務については、そもそもの流動性供給入札の趣旨からすれば義務化するようなものではないと考える。札の集まりに懸念がある場合は、金額で調整すべきものと考える。

・落札義務を課さないのであれば概ね問題はないと思うが、補完的位置付けであるとの観点からすれば、応札義務を課すのもいかがなものかと思う。』(PD懇要旨から)

まあそうじゃネーノと思う次第でして、恐らく事務局サイドでは特にそこまでの意図はないと思うのですけれども、そもそもこれってあくまでも「補完的措置」であって「流動性が逼迫した既発銘柄に関して追加発行を行って国債流通市場の円滑化に寄与する」というものである以上、そもそも論として落札義務もそうですが応札義務も要らんだろと思う訳で、何かわざわざこういう補完的措置に応札義務を課そうとしているという動きを見ますと、もしかして先行きの国債管理政策に何か不安でもあるんじゃネーノとか要らぬ妄想をするのは妄想がすぎますかそうですか。

ま、今申し上げたように事務方にそういう意図がある訳ではなくて、恐らくは発行規模が小さい筈の流動性供給入札が妙に流れたりした時に市場が結構ぶれたりするのを見ているから、何でそうなるねん(より発行の禿上がるほど多い通常の入札のよりも相場が動く事も多々ありますからねえ)という問題意識があるからなんだとは思うのですけどね。


○株式関連雑談というか何というか

・株式売却の延期ですかそうですか

金融機関から購入した株式の件は元々が通常の政策委員会での決定で、大引け直前にその話が出て大騒ぎになったという事案がありましたなあ(遠い目)。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131217a.pdf
2013年12月17日
日本銀行が金融機関から買入れた株式の売却延期について

『日本銀行は、本日開催した政策委員会において、「株式買入等基本要領」の一部改正等について別紙のとおり決定しました。』

へえへえさいだっか。

『日本銀行が金融機関から買入れた株式については、2014年3月末までは原則として売却を行わない扱いとしてきました。今回の決定では、内外金融資本市場の動向等を踏まえ、その期限を2年間延長し、2016年3月末とすることとしました。あわせて、従来と同じ売却期間を確保する観点から、売却を完了する期限についても、2019年9月末から、2021年9月末まで2年間延長することとしました。』

ほうほうそうですかいい感じで株式市場上昇してますけどねえ。いやあのETF買入と矛盾するから延長と言うのでしたら判るのですが、この「内外金融資本市場の動向等」というのを見ると昔むかしその昔に国鉄清算事業団が汐留の土地の売却を不動産価格高騰を煽るとか言って延期しているうちに不動産市場があじゃぱーとなった事案が頭に浮かぶのはジジイですかそうですか。


・武者先生ェ・・・・・・・・・・・・

株式市場が軟調になるとレポートの更新がパタリと止まり好調になると連投が始まるという大変に分かりやすいムーシャ先生。

http://www.musha.co.jp/5124
2013年12月17日ストラテジーブレティン (110号)
2014年の投資戦略、高レバレッジを
〜危機克服、米日欧主導のグローバル繁栄、日本株一段高へ〜

えーっとすいませんボルカールールががががなのですがという話は兎も角としまして、『アベノミクス期待から現実へ』って所でムーシャ先生は2%インフレ達成が困難と見られるので来年春先にも日銀の追加緩和と仰せになっておられますが・・・・・・・・・・

http://www.musha.co.jp/5107
2013年12月10日ストラテジーブレティン (109号)
年金運用思想転換、2014年日経平均22,000円へ

えーっとですね、こちらにありますように1週間前にはムーシャ大先生様におかれましてはニャンコ先生の仰ることについて「至極妥当」と仰せになっておられましたが、そのニャンコ先生の主張というのは「2%物価目標が達成されることを前提にポートフォリオを今すぐ作れ」という話でございまして、ちゃんとその部分も引いた上でお話をされているというのに1週間後には2%インフレ達成が困難なので追加緩和とかもしかして先生は馬鹿の人でいらっしゃいますでしょうかと小一時間問い詰めたいと申しますか、てめえのポジショントークの為でしたら年金資産がどうなろうと知った事かとでも仰りたいのか、下々の頭の悪いアタクシのような下賤の者にはこの辺りの話の繋がりが分かりかねますなあというところでありまする。

つーてまあ別にどうでも良い話なのですが余りにもワロタのでちょっと書いただけです。


○えーっとすいませんブラックアウト期間中なのですが・・・・・・・・・

昨日の夕方こんなのが出ててアチャーである。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXY58Q6TTDS201.html
日銀が成長基盤強化の資金供給拡大を検討、1兆円が柱−早ければ1月
更新日時: 2013/12/18 00:01 JST

こちらの更新日時は18日になっていますが、最初に出たのは確か昨日の夕方過ぎ位だったと思う。

『12月18日(ブルームバーグ):日本銀行は来年3月末に期限が来る「成長基盤強化を支援するための資金供給」を1−2年間延長し、供給枠を拡大することを検討する。増額規模は1兆円が柱。併せて、「貸出増加を支援するための資金供給」と「被災地金融機関を支援するための資金供給」の延長も検討する。早ければ来年1月の金融政策決定会合で決める。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・えーっとですね、まあマーケットインパクトという意味ではあまり関係ない話ですし、まあこの話は今回の議事議案とは関係ない話みたいですけれども、この成長基盤強化や貸出支援オペに関してだって金融政策決定会合議決事項なのですから、何でMPM直前にこういうのが出て来るんですかという話です罠。

そもそも日銀って昔から議決事項の事前リークガーでメディアとの癒着ガーとか言われて国会でもいちゃもんつけられた事案があったりする訳でして(実際はそんなトンチキな話は無いでしょと思いますけどね)、何もこういう事前に出て別にどこかの市場が好転反応するような話でも無いようなネタをブラックアウト期間中にニュースネタになるとか、全然得しない(市場が好反応する訳でも無いという意味で)のに批判の種だけ撒くとか間抜けというか何というかで、何もこのタイミングで書く事もねえだろブルームバーグはと思う訳なのですががががが。

まあこの「関係者」がどこの誰なのか分かりません(なお英文ヘッドラインでは思いっきり「BOJ SAID」になっていましたけどね)ですし、もしかして異次元緩和が今の所順調で経済物価情勢が超強気の見通しに割と沿って推移しているからちょっと緊張感が緩んでるんじゃないのとか思っちゃいましたよという悪態でございましたとさ。






2013/12/17

お題「短観とオペ関連と当座預金関連の雑談でおじゃる」

何と申しますか甚だ論評致しかねますなこりゃ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131214-00000058-jijp-pol.view-000&pos=1
「ガラディナー」で歌うAKB48
時事通信 12月14日(土)22時17分配信


○短観である

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1312.pdf

・前回の先行き予測DIの達成状況

         (9月時点)     (12月時点)
         現状→12月予測    現状→3月予測
製造業大企業   +12→+11    +16→+14 
製造業中堅企業   0→+2       +6→+3        
製造業中小企業  ▲9→▲5       +1→▲1

非製造業大企業   +14→+14   +20→+17
非製造業中堅企業  +8→+7     +11→+10
非製造業中小企業  ▲1→▲2      +4→+1

何と9月に引き続きで達成状況という意味では全セクターに渡って9月時点での見通しを上振れて推移するわ、全セクターの現状判断DIがプラスに転換するわと引き続きの強い結果となりまして、先行き見通しは下がっていますなというのはありますけど、9月の時も概ね同様の傾向がありまして先行きの改善はあまり見ていなかったという図になっておりますので、ベース水準が上昇したからそらまあ先行き見通しは足元対比下がる罠と。

まあしかし何ですな、今回の3月予測の数値をみると全てのセクターにおいて3月予測の数値が9月時点の現状判断、先行き判断DIよりも上な訳ですから、まあ若干頭打ち感はあるかも知れんが水準自体悪くなる雰囲気じゃないですな。


・雇用判断DI

          (9月時点)      (12月時点)
          現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業  +4→+4       +3→+3
製造業中堅企業 +4→+3       +0→+1
製造業中小企業 +6→+2       +0→▲2

非製造業大企業   ▲7→▲9      ▲11→▲11
非製造業中堅企業  ▲11→▲14    ▲13→▲14
非製造業中小企業  ▲13→▲16    ▲19→▲21

毎度の事なのですが業況感の改善ほど改善していないですな。前回の予測対比で見た場合に状況改善しているとは言うもののこんなもんですかねえ・・・・・・・・


・想定為替レート

(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)

(円/ドル)   2011年度全体(上期)(下期) 2012年度全体(上期)(下期)

2012年12月調査   −     −   −    78.90   79.09  78.73

(円/ドル)   2012年度全体(上期)(下期) 2013年度全体(上期)(下期)
2013年3月調査   80.56   79.15  81.94   85.22   85.10  85.33
2013年6月調査   82.21   79.25  85.11   91.20   91.25  91.16
2013年9月調査    −    −    −    94.45   94.77  94.14
2013年12月調査   −    −     −    96.78   97.60  95.97

古いのは12月の以外割愛してみましたが、まあこんなもんですかそうですか。


・価格判断DI

9月短観からしらっと投下された物件ですが、『2.需給・在庫・価格判断』にございますな。

販売価格判断(「上昇」-「下落」)

        (9月時点)         (12月時点)
        現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業  ▲2→▲3        ▲4→▲3
製造業中小企業 ▲10→▲6       ▲7→▲5

非製造業大企業  +1→+2      +1→+3
非製造業中小企業 ▲7→▲4      ▲5→▲2


仕入価格判断(「上昇」-「下落」)

         (9月時点)         (12月時点)
         現状→12月予測      現状→3月予測
製造業大企業  +22→+22       +21→+20
製造業中小企業 +36→+45       +37→+44


・・・・・・・・・えーっとですな、こういうのをコストプッシュというのではないでしょうかと思うのですけれども、まあアンケートなので基本的にこの辺は仕入の方は実際よりも高めの数字が出て販売の方は実際よりも低めの数字が出てくるだろうなあ(答える人たちの心理を考えると)と思われますので実際にここまでなのかというのは???ではある(だったら業況判断がそこまで上がるか??と思う訳で)のですが、ただまあ販売価格判断DIが前回の予測指数程の改善を示していないのは頭打ち感が漂う気がするのは気のせいですかそうですか。


・金融商品取引業の業況判断DIェ・・・・・・・

毎度お馴染み金融商品取引業業況判断DIですが。

          (9月時点)       (12月時点)
         現状→12月予測     現状→3月予測
金融商品取引業 +39→+50     +68→+64

前回は企業規模別産業別計数で前回対比最大のDI悪化(28悪化)を示した金融商品取引業ですが、今回はまた華麗に上昇とかワロスワロスなのですが、何かのフラグにしか見えないのは実は6月短観の時もDIが現状判断+67で先行き見通しDIが+60と、まるで今回と同じような水準になっていることでございまして、このジンクスが再発すると3月短観では全業種中最悪の落ち込みを金融商品取引業が華麗に示すのではないかとか変なフラグに気が付いてしまいましたorzorz


・資金繰り判断DI

そういや資金繰り判断DIで前回までDIマイナスだった中小企業が遂にプラス転換しましたというのは(;∀;)イイハナシダナーなのでしょうかね。


なお、一応真面目な話もしますと、設備投資計画は下方修正になっているけれども、これはいつもの仕様でして、グラフの方(貼れないので本チャンを見てちょ)を見ますとまあ無茶苦茶良いという程では無いですが、別に悪い数字でも無く巡航速度で推移という感じに見えますな。どうも価格判断の所が怪しげなのですが、別に悲観する数字でもないでしょという所ですよね。



○市場雑談

・輪番見送りとな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131216.htm
CP等買入 5,000 2013年12月19日

・・・・・・・・・・・ということで、昨日は輪番オペのオファーが行われなくて瞬間先物が20銭位下がるという日銀オペの依存度の高い債券市場らしい堂々の反応を示したのですが、短国買入もそうなのですが、MBの中間目標達成や国債買入残高積み上げに楽勝感が漂う状況になった所でオペのペースがちと鈍ったというかゴール前に調整してますなというか、目標達成が見えてきた営業担当者が来期に向けての隠し玉を温存すべく貯金モードに入ってきたというか、まあそんな感じがしますなあっはっは。

そんだったら何でまた11月に短国の需給を結構逼迫させる買入するねんとか思う訳ですが、そもそも論と致しまして日銀金融市場局におかれましてやれと言われているのは「MBを年間60兆円から70兆円程度拡大する」「長期国債残高を年間50兆円程度拡大する」「なお購入する長期国債の平均残存年限は6年から8年辺りで着地させる」というモノでありまして、そらまあ杓子定規に適用して市場が荒れてしまうと困ります、というか市場から文句が大量に出て収拾がつかなくなりますからというのが正しいでしょうけれども、それなりに市場に配慮するでしょうけれども、そもそも論として与えられているマンデートからしますと、それ以上に何でもかんでも配慮する訳ではありませんぞなもしという話になるんでしょ、よー知らんけど。

まあ今までのMB着地のさせ方を見ていると、月次で前月より大きくMBが落ちこむ事は無いようにするというのは把握しましたが、その結果として短国の買入規模がイマイチ落ち着きませんなあとかいうのがありますけれども、長期国債に関しても来年は来年で償還額+残高拡大目標額というのがあるので、概ねそれを月割りして買いましょうとかそういう話になるんでしょうなとは思います。その額自体は計算すればほぼほぼ判る(基本的には今持っている銘柄のうち償還来るものを計算して、あとは来年実施する1年以内対象の輪番がどの位歩留まりになるのかをこの1年の買入結果を見れば大体想定できますが、基本的に1年以内の買入はそんなに多くないので誤差の範囲内と想定する)のでまあてめえら計算しろやという話ですかね。

ただまあ以前出した5月30日バージョンの「当面の長期国債買入の運営について」というのは特段取り消しの刑になっていないということですから、足元で生きている格好になりますので、一応回数とか額とかを従来のペースからいじるのであれば何らかのアナウンスをするか、それとも5月30日のはありゃ無しねというアナウンスをするかした方が変な思惑を呼ばないと思います。

ちなみにこれが5月30日バージョン
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130530b.pdf


・なおCP市場がががが

先ほどは話がCPオペの話になりませんでしたが(^^)オペ結果はこの通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131216.htm
CP等買入 7,918 4,600 0.043 0.067 75.0

前回のCP買入は12月5日オファー分で、同じく5000億円の買入予定だったのですが、落札利回りは0.077%/0.072%という結果でして、今回は0.067%/0.043%ですかそうですか相変わらず低いですなあという結果ですし、応札は前回が11,688億円だったので4000億円近く減ってやがりますし、まあ順当な結果ではあるのですがうーむこのという所で。

ま、そんなこんなで新発CP利回りも特に年末越えの高格付け銘柄では相変わらずの低さで推移して、GCとか微妙に高めで短国のレートはオペ減額効果でサガランチ会長になっている中で貫録の低位安定となっているとか見事な状況になっておりますな、日銀効果恐るべし。



・業態別当座預金残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/
業態別の日銀当座預金残高(11月)

えーっとですね、容量節約とかデータ処理しやすいようにという事なのか知らんですが、今月から形式がZIPになったのはそらまあそれでも良いのですが、機種環境に依存しないで閲覧可能なPDF形式はそれでそれとして残して頂きたく存じますのですがががが。

#まあ表計算ソフトなどの無いPCで作業していたあたくしがこのせいで表計算ソフトを仕入れる破目になったからという個人的事情を反映しているだけという気もしますけど

ということでそちらにあるZIPから表計算ソフトに落として数値を拝見します。

(1)証券というコーナーが追加されてますな

カテゴリーで『その他の当座預金取引先』の中に『うち証券』というコーナーが出来ていますな。このカテゴリーって主に証券と短資になると思いますので残りが概ね短資ですかそうですか。

(2)11月積み期間の平残は減っていますが11月末残はきっちりと前月比増加なのですね

基本的にいつも平残の数字を見るのですが、ふと気が付いて末残見たら計ったように(というか着地を計ってオペをやっているのですが)前月対比の当座預金残高が拡大するような形になっているんですね。

(3)超過準備が順調に増えているのは大手行と外銀と信託とな

平残の数字の方を見ますと、大体最近の傾向としてはそんな感じですかね。平残ベースだと11月は前月比減少になっているので減少している所あり増加している所有りなのですが、まあ大体この銀行業態のうち地銀などではなく主に大手行と外銀、信託の所で超過準備を稼いでいる形。

でまあ12月は四半期恒例の中長期国債償還月でもありますので、12月積み期間での業態別当座預金残高がどのように推移するのか、というのが注目される所ですがそれが出るのは1月16日ですので乞うご期待。


#などとうだうだ書いていたらプロッサー講演ネタをやる時間が微妙に無くなってしまったので昨日の続きはパスでございますすいませんすいません(まあ布団の魔力が悪いのですがががが)






2013/12/16

お題「プロッサー総裁のちょっと前の講演から:金融政策は物価安定にのみ注力すべきという原理主義キタコレ」

残り10営業日でまあ今週がネタの宝庫ですが月曜なので雑談系です。

○フィラデルフィア連銀プロッサー総裁は「タカ派」というより「ガチガチのインタゲ派」ですな

ちょっと古いネタで11月14日の講演なのですけどね。
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2013/11-13-13_cato-institute.cfm
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2013/11-13-13_cato-institute.pdf

A Limited Central Bank
Cato Institute’s 31st Annual Monetary Conference
WAS THE FED A GOOD IDEA?
Washington, D.C.

題名からして面白そうかなと思いつつも、プロッサー総裁と言えばタカ派なので、タカ派の人がTaperingとかに関してタカ派の発言をしているのを読むのもなあとか思って積読になっていたのですが、念のため読んでみたらやはりマニア的には面白かったのでこちらのネタを少々。

・金融政策をより限定的に使うべきという話だが要はガチガチのインフレ目標派である

プロッサー総裁と言えば先ほども申し上げたようにFOMCではMBSの買入に盛大に反対するようなタカ派の人として名をはせているのですが、今回のこの講演を見ますとベースにあるのは単なるタカ派という訳では無くて、それよりも「中央銀行は物価安定にのみ注力すべし」という話を展開しておりまして、一部あんさんそれはエキセントリックですがなという部分もありまして、ちょっとそれは市場的にどうなのよという気はだいぶする部分はあるのですが、これはこれで話の筋自体は通っているという内容。まあ話の筋が通っている人だからこそFOMCで貫録の反対票とか投入しちゃうんでしょうけど。

ということで最初に『Highlights』ってのがあって主張の超まとめがあります。

『・President Charles Plosser discusses what he believes is the Federal Reserve’s essential role and proposes how this institution might be improved to better fulfill that role.

・President Plosser proposes four limits on the central bank that would limit discretion and improve outcomes and accountability.』

中銀の4つのリミットとな。

『・First, limit the Fed’s monetary policy goals to a narrow mandate in which price stability is the sole, or at least the primary, objective;

・Second, limit the types of assets that the Fed can hold on its balance sheet to Treasury securities;

・Third, limit the Fed’s discretion in monetary policymaking by requiring a systematic, rule-like approach;

・And fourth, limit the boundaries of its lender-of-last-resort credit extension.』

『・These steps would yield a more limited central bank. In doing so, they would help preserve the central bank’s independence, thereby improving the effectiveness of monetary policy, and they would make it easier for the public to hold the Fed accountable for its policy decisions.』

非伝統的政策やら金融危機対応やらで金融政策の機能が拡大している中での強烈なアンチテーゼキタコレという所ですが、4つのリミットとして(1)金融政策の目標は物価安定のみに限定すべき(2)FEDの購入資産は国債に限定すべき(3)金融政策のアプローチは自由裁量を限定して基本的にルールベースのシステマティックなアプローチにすべき(4)LLRの機能を限定してクレジットアロケーションに対して中央銀行が影響を与えないようにすべき、とまあ結構なエキセントリックな主張。

で、エキセントリックなだけにイイハナシダナーな部分が色々とあって味わい深いのですが・・・・・・・


・物価安定に注力、というか「短期的な雇用変化におまいら一々バタバタするなコノヤロー」という話

ちょっと飛ばして『Goals and Objectives』から。

そもそも何で今のマンデートになったかという話から始まります。

『Let me begin by addressing the goals and objectives for the Federal Reserve. These have evolved over time. When the Fed was first established in 1913, the U.S. and the world were operating under a classical gold standard. Therefore, price stability was not among the stated goals in the original Federal Reserve Act. Indeed, the primary objective in the preamble was to provide an “elastic currency.”』

FRBが出来た時は金本位制でこの時は「“elastic currency.”」(弾力のある通貨とでも言うの?)が課せされていましたと。

『The gold standard had some desirable features. Domestic and international legal commitments regarding convertibility were important disciplining devices that were essential to the regime’s ability to deliver general price stability. The gold standard was a de facto rule that most people understood, and it allowed markets to function more efficiently because the price level was mostly stable.』

『But, the international gold standard began to unravel and was abandoned during World War I. After the war, efforts to reestablish parity proved disruptive and costly in both economic and political terms. Attempts to reestablish a gold standard ultimately fell apart in the 1930s. As a result, most of the world now operates under a fiat money regime, which has made price stability an important priority for those central banks charged with ensuring the purchasing power of the currency.』

金本位制が崩壊して管理通貨制度になってから物価の安定が重要になりましたと。

『Congress established the current set of monetary policy goals in 1978. The amended Federal Reserve Act specifies the Fed “shall maintain long run growth of the monetary and credit aggregates commensurate with the economy's long run potential to increase production, so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.” Since moderate long-term interest rates generally result when prices are stable and the economy is operating at full employment, many have interpreted these goals as a dual mandate with price stability and maximum employment as the focus.』

で、1978年に改訂された連邦準備法にFEDのマンデートとして「“shall maintain long run growth of the monetary and credit aggregates commensurate with the economy's long run potential to increase production, so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.”」というのが入って、長期金利の安定は前の二つが達成されていれば達成されるのでデュアルマンデートですよ。

とまあここまで前座。

『Let me point out that the instructions from Congress call for the FOMC to stress the “long run growth” of money and credit commensurate with the economy’s “long run potential.” There are many other things that Congress could have specified, but it chose not to do so. The act doesn’t talk about managing short-term credit allocation across sectors; it doesn’t mention inflating housing prices or other asset prices. It also doesn’t mention reducing short-term fluctuations in employment. 』

そもそも法律ではロングランの安定を求めているのであって、ショートタームの雇用の安定をしろとはゆうとらんし、ショートタームのクレジットアロケーションに影響与えろとはゆうとりませんぞなと。

『Many discussions about the Fed’s mandate seem to forget the emphasis on the long run.』

で、FEDのマンデートはロングランに重きをおくべきという事を忘れた議論が横行していると原理主義者キタコレ。

『The public, and perhaps even some within the Fed, have come to accept as an axiom that monetary policy can and should attempt to manage fluctuations in employment.』

>even some within the Fed
>even some within the Fed
>even some within the Fed

ショートランの雇用のブレに関して対応しようとする人が公衆だけではなくFEDの中にもいるとかもういい感じで千人斬りモードキタコレ。

『Rather than simply set a monetary environment “commensurate” with the “long run potential to increase production,” these individuals seek policies that attempt to manage fluctuations in employment over the short run.』

斬る斬る。

『The active pursuit of employment objectives has been and continues to be problematic for the Fed.』

そもそもFEDが雇用のマンデートに対してアクティブに動くのが問題が多いとか絶好調です。

『Most economists are dubious of the ability of monetary policy to predictably and precisely control employment in the short run, and there is a strong consensus that, in the long run, monetary policy cannot determine employment.』

大体からして金融政策で短期的な雇用をどうのこうのとか出来ねえわと。

『As the FOMC noted in its statement on longer-run goals adopted in 2012, “the maximum level of employment is largely determined by nonmonetary factors that affect the structure and dynamics of the labor market.” In my view, focusing on short-run control of employment weakens the credibility and effectiveness of the Fed in achieving its price stability objective.』

FRBが2012年に出したデュアルマンデートの話だって「最大雇用のレベルはマネタリー以外のファクターで決まる部分が大きい」って言ってるのに何でおまいら短期的な雇用に一々金融政策が反応しないといかんのじゃコノヤローとな。

『We learned this lesson most dramatically during the 1970s when, despite the extensive efforts to reduce unemployment, the Fed essentially failed, and the nation experienced a prolonged period of high unemployment and high inflation. The economy paid the price in the form of a deep recession, as the Fed sought to restore the credibility of its commitment to price stability.』

大体からして1970年代に雇用を気にしすぎて金融政策をした結果物価がスパークして長く高インフレが続いて苦しんだじゃねえかこのボケナスがと(ボケナスとは言ってませんが^^)プロッサー先生絶好調。


・できもしない目標を設定するのは中央銀行の信頼を失わせることになる

色々と(;∀;)イイハナシダナーという部分がこの次。

『When establishing the longer-term goals and objectives for any organization, and particularly one that serves the public, it is important that the goals be achievable. Assigning unachievable goals to organizations is a recipe for failure. 』

気合でフィリップスカーブを引き上げて2年で物価目標達成でハッスルハッスルとかやってるどこぞの中央銀行の執行や企画局(主に某課)の皆さんご覧になってますか〜(^^)。

『For the Fed, it could mean a loss of public confidence. I fear that the public has come to expect too much from its central bank and too much from monetary policy, in particular. We need to heed the words of another Nobel Prize winner, Milton Friedman. In his 1967 presidential address to the American Economic Association, he said, “…we are in danger of assigning to monetary policy a larger role than it can perform, in danger of asking it to accomplish tasks that it cannot achieve, and as a result, in danger of preventing it from making the contribution that it is capable of making.”』

『In the 1970s we saw the truth in Friedman’s earlier admonitions. I think that over the past 40 years,
with the exception of the Paul Volcker era, we failed to heed this warning. We have assigned an ever-expanding role for monetary policy, and we expect our central bank to solve all manner of economic woes for which it is ill-suited to address.』

ここでフリードマンの言葉が出てきますが、先ほどの70年代の話を再掲して、金融政策で何でもやろうとするなという話キタコレでして、金融政策を実施したら何でもハッピーとか吹き込んでいた皆さんのご感想は如何(どうせ「俺たちはそんな話はしていない」と言うでしょうが^^)。

『We need to better align the expectations of monetary policy with what it is actually capable of achieving.』

で、金融政策で実施可能な物のみに注力して目標とすべきという事で。


・ということでデュアルマンデートでは無くて「実施可能な」長期的な物価安定に注力すべきと

これはオモロイ。

『The so-called dual mandate has contributed to this expansionary view of the powers of monetary policy. Even though the 2012 statement of objectives acknowledged that it is inappropriate to set a fixed goal for employment and that maximum employment is influenced by many factors, the FOMC’s recent policy statements have increasingly given the impression that it wants to achieve an employment goal as quickly as possible.』

段々最近のFOMCステートメントが雇用に対してより短期的に目標を達成しようという印象が強くなっているとか仰せですな。

『I believe that the aggressive pursuit of broad and expansive objectives is quite risky and could have very undesirable repercussions down the road, including undermining the public’s confidence in the institution, its legitimacy, and its independence.』

短期的に雇用について何とかしようとアクティブに動くのはリスキーキタコレ。

『To put this in different terms, assigning multiple objectives for the central bank opens the door to highly discretionary policies, which can be justified by shifting the focus or rationale for action from goal to goal.』

そもそもデュアルマンデートが問題があるという話ですが、一方で日本では相変わらず「FRBのように雇用の目標を設定すべきだ」という人がわらわらと湧いておりますがご感想を伺いたい物です。

『I have concluded that it would be appropriate to redefine the Fed’s monetary policy goals to focus solely, or at least primarily, on price stability.』

ということで最初に示されていた「一つ目のリミット」になるのでした。

『I base this on two facts: Monetary policy has very limited ability to influence real variables, such as employment. And, in a regime with fiat currency, only the central bank can ensure price stability. Indeed, it is the one goal that the central bank can achieve over the longer run.』

出来ない事を目指すなという話で一瞬麿もニッコリなのですが、こちらにありますようにプロッサー総裁は「長期的な物価安定を達成できるのは中央銀行だけである」という話をしておりますので念の為申し添えます。まあ極東のどこぞの国の場合も2年というのが無ければ普通に普通の話だったのですが、何せ異次元じゃないといけませんですからねえ(棒読み)。

その2以降に関してはまた後日やるかもしれませんしやらないかも知れません。


○ちょっとだけニュース雑談

・債券下落ですかそうですか

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXOJXC6JTSF901.html
債券は下落、円安や米金利上昇を警戒−長期金利は2カ月半ぶり高水準
更新日時: 2013/12/13 15:51 JST

ということで先週も金曜朝から売り物という2週連続の展開となりまして、相場下落の巻となりましたが、先々週の場合は後場にニャンコ先生の暴言ニュースなどが出まして先物叩かれた後に待ってましたの買いでもあったのか反発して終了したのですが、先週の場合は結局ヘロヘロモードのまま終了。まあ円安が効いたんですかねえとは思うのですけれども、GPIF関連のニュースがまたまた出ていまして(朝からロイターに出ていましたが関連雑談は割愛しておくわ)何か債券ウェイト削減待ったなしみたいなえーっと年金財政これから払い超じゃなかったっけとか思いますがまあいいですというようなニュースも心理的に(週末だし)買う元気を無くしましたかねえという所で。

まあいずれにせよ今週のFOMCの結果が出るのが日本時間的には水曜の夜中というか早朝で、それ以降の米債と為替の動き次第だとは思うのですが、しかし3月までのTapering開始を織り込んでいたら後はタイミングだけのじゃネーノと思うのですけれども、それが12月なのか1月なのか3月なのかでそんなに市場のプライスアクションがあるのかねと思いますと、まあ理屈ではどの時点でやっても達観したら大差ないでしょとか思う所なのですけれども、12月だという話になるとUSTの金利が上昇して為替がドル高に振れてというような動きを見せられますと、ネタとしてヒャッハーとやっているだけなのか、それともTaperによる需給の変化についてマジで懸念しているのかが良く判らんというものでございまする。


・だから政治資源は第三の矢にですなあ

ちょっと前のニュースだがこの報道通りだったらこれはひどい
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131211-00000128-jij-pol
「マスコミ報道に問題」=支持率低下で礒崎補佐官
時事通信 12月11日(水)19時5分配信

『礒崎陽輔首相補佐官は11日のTBSラジオで、特定秘密保護法の成立後、各種世論調査で安倍内閣の支持率が低下していることについて「マスコミの報道に問題がある。非常に不正確なことが伝わったのではないか」と述べ、同法の内容や与党の国会運営への懸念を報じたメディアに責任を転嫁した。同法では、特定秘密の範囲が行政に拡大解釈される恐れが指摘されているが、礒崎氏は「皆さんが勝手な解釈を言っているだけ。悪い役人は出てこない」と持論を展開し、懸念を否定した。一方、情報公開の在り方に関しては、「次の(通常)国会でぜひ情報公開法の議論はしたい」と語った。』(上記URLより)

>悪い役人は出てこない
>悪い役人は出てこない
>悪い役人は出てこない

・・・・・・・・・・・えーっとだったらそもそも特定秘密保護法が要らないと思うのですが。つーかゲルの報道自粛発言もそうなのですが、この法律で一番懸念されている件についてこうも無神経な発言がポンポン飛び出すというのは何か大丈夫ですかねという所ですが。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20131213-00000001-ann-pol
自民・高市氏 「共謀罪」創設の法改正に前向き
テレビ朝日系(ANN) 12月13日(金)0時6分配信

まあ何ですな、政治資源は第三の矢に発揮して頂きたいと思う訳で、設立当初莫大な政治資源があった筈の第一次内閣が何で急にコケることになったのかという件についてのレビューが足りてないんと違いますかとゆー懸念はあるのですけどね。




2013/12/13

お題「オペ関連雑談/ブラード総裁講演ネタの続き(遅くてスイマセン)」

13日の金曜日でメジャーSQですかそうですか・・・・・・・・・・・・

○市場雑談メモ

・3M入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131212.htm

(3)募入最低価格 99円98銭3厘5毛 (募入最高利回り)(0.0614%)
(4)募入最低価格における案分比率 49.7830%
(5)募入平均価格 99円98銭3厘6毛 (募入平均利回り)(0.0610%)

つーことで前場引けが6bpのオファーでしたから順当な結果で、上にも突っ込まず下にも流れずということで、前日の2Mが比較的確り目でその後も一部ショートカバーっぽい動きになったせいか流れるようなイメージでも無く、でも全部の札が5bp台に特攻するほど強くも無いというひじょーに普通の結果でしたな、うんうん。

昨日も申し上げましたが、需給が緩むから金利が上がるだろうとか皆さんが思っていると全員でそれに向けたポジションになってしまいますので思ったほど金利が上がらないとゆーありがちな展開になってはおりますが、だからと言いましてさすがに上に突っ込んでまで行くには日銀買入のパワーが足りません(まあこのパワー余っても困るが)というお話ですな。


・固定金利オペ按分とな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131212.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年12月16日 2014年3月17日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131212.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月16日スタート分) 11,450 8,002 69.9

何と久々の按分となりまして、しかもこのオペは9月9日にオファーされた9/11〜12/16の折り返し分になるのですが、この時の落札が5050億円でしたので、何と今回共通担保オペ残高が3000億円も増えるという調節課もニッコリの展開。

何せ期間は3か月ですし、来年になればなったでまたまた短国買入は順調に積み上がって行くことになりますから、ど〜せ短期市場金利はアガランチ会長になると想定される訳でして、このオペの応札そのものに足元のGCが微妙に高めとかゆーのはあんまり関係ない気がするのですが、何か年末で市場ファンディングがしにくい共通担保のファンディングでもしようという事情でもあったのでしょうかねえ。相場観やGCの需給云々というのは関係ないでしょうから、その手のお家の事情系だとは思いますが良く判りません。

しかし固定金利オペなんぞドカドカ減るものというイメージで先行きのMB積み上げ予定を置いているでしょうからこれはニッコリですね。なお固定金利オペに関しては来年4月になりますと今年のQQE実施後の債券市場暴騰後の盛大な大暴落時にせっせと行った1年物シグナルオペの足が盛大にやって参りますので、ここでオペ残が落ちてその分MB積み上げを短国で穴埋めしないといけませんなあという素敵な展開が想定されるので、来年の4月以降がオモシロ展開の可能性がありますので念の為申し添えます。


・貸出支援オペ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131212a.pdf

上記URL先の中にありますように、今回は10,528億円の実行になって、これで貸出増加支援オペの年末の着地が50,843億円となる見込みっすな。

ちょうど10日の営業毎旬が出ておりましたが、
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131210.htm/

『「貸出支援基金」の内訳(単位:千円)
成長基盤強化を支援するための資金供給 4,081,281,055
貸出増加を支援するための資金供給 4,031,500,000
合計 8,112,781,055 』

となっておりましたので、昨日の分を含めて貸出支援基金は9.2兆円となりまして、元々の13年末での見込みが13兆円で置いていましたので4兆円ショートとなりましたが、まあその辺は既に織り込み済みで短国買入の調整が行われているのでこれはこれという感じです。

この貸出支援基金は何せ3年までは固定金利の貸付可能となっておりますので、本当の本当に物価安定目標の達成が見えそうになってきた時にはそらもう金利上昇した所でウハウハですよ先生となりますので、実は景気絶賛拡大モードになるとニーズが大発生するという仕掛けになっていて、今のところは金利関係の皆さんど〜せ物価目標簡単に逝かないし従って金利もそんなにアガランチ会長でしょウェーハッハッハとなっていると思いますので、この基金残高も見込みを下回って推移しているのですが、実は出口をマジで意識するとかなーりオイチイオペなんですよね、うんうん。


ということで市場雑談と言いつつただのオペ雑談でごじゃりました(汗)。


○ブラード総裁の金融政策講演ネタの続き:慎重派ではあるがTaperingそのものには反対し無さそうですな

火曜にネタにした件の続きとか誠に申し訳ございませんが(汗)。

http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=2016
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard-CFA-St-Louis-December-9-2013-Final.pdf

寝起きでサマリーの最初の部分だけ読んでご紹介して放置プレイでしたが、フォワードガイダンスに関してブラード総裁どういう見解なのかねというのは微妙に個人的興味があったのですが・・・・・・・・・

サマリー(上の方のURLです、以下引用は断りの無い限り上記URLのうち上の方からです)の小見出し部分を順に読んで行きますとこんな感じ。

・「労働市場の改善はTaperingを正当化」とな

『Cumulative Progress in Labor Markets』ってのが最初です。

『When the FOMC began the current asset purchase program, the stated goal was substantial improvement in labor market outcomes. Bullard noted that two key labor market indicators-unemployment and nonfarm payroll employment-have shown clear improvement over the past year. “Cumulative progress in labor market outcomes since September 2012 provides the most powerful part of the case for tapering,” he said.』

でまあ米債はこの辺に反応してたようですな。プレゼン資料の方を見ても概ね似たような感じのトーンのポンチ絵が展開されています。

『“To the extent that key labor market indicators continue to show cumulative improvement, the likelihood of tapering asset purchases will continue to rise,” Bullard said. “The Committee’s 2012 criterion of substantial improvement in labor markets gets easier and easier to satisfy on a cumulative basis as labor markets continue to heal.”』

どう見てもTapering開始容認です本当にありがとうございました。

『He noted that it is possible that the pace of labor market improvement will slow down in coming months or quarters. “For this reason the Committee also needs to assess whether progress made in labor markets will continue into the future,” he said. However, he added that recent labor market results seem to suggest that coming months will show continued labor market improvement.』

『“Based on labor market data alone, the probability of a reduction in the pace of asset purchases has increased,” Bullard said.』

ただま最後の所にありますように、「労働市場データ”単体”を見れば」と言っているのですよね・・・・・・


・低インフレの言及はあるのですが

次の小見出しが『Low Inflation』なのですが・・・・・・・・・・

『While labor market outcomes have been considerably better than those predicted at the time of the September 2012 decision, Bullard noted that inflation has surprised to the downside.』

キタコレ。

『“There is no widely accepted reason why inflation is running as low as it is in the face of extraordinarily accommodative policy from the Fed,” he said.』

プレゼンの方には書いてあるのですが、ここの文脈では「資産買入を拡大すると将来のいずれかの時点でインフレが爆発するリスクを高めるという指摘が多いですが・・・・・」というマクラがありまして、つまり資産買入拡大によるインフレ爆発リスクってそんなにありませんよね(=だからリスク認識でのTaperingという議論には与しない)という話にもなっています。

『“A small taper might recognize labor market improvement while still providing the Committee the opportunity to carefully monitor inflation during the first half of 2014,” Bullard said. “Should inflation not return toward target, the Committee could pause tapering at subsequent meetings,” he added.』

インフレの状況を見ながら慎重にTaperingを行うべきで、物価が戻らないようならTaperingを止めることも必要ですと。

つーことで何かごくごく普通の話をしておりまして、かつてブラード総裁はQE2実施の正当性を主張する際に「望ましくない水準の低インフレと低金利政策の長期化はデフレ均衡のリスクを高めるから、低金利政策の長期化よりも資産買入の拡大を行うべきである」という話をしていたのですが、今回のサマリーおよびプレゼン資料では惜しくもその辺の過去の話との整合性が取れていませんな。つーか買入拡大のし過ぎによる将来のインフレ爆発の弊害に関してそんなに大したことない(まあ現実問題として今の所そうなっているからブラードさんサプライズとか言っている訳ですが)というような文脈で話を展開しますと、かつてのQE2実施に向けた理論はナンダッタンダという事になるのですけれども、ブラード総裁って新たな視点を繰り出してくる時に過去との整合性を時々平然とネグるケースがあるように見えるのですな。

従来ピュアウォーター派という形での主張が目立っていて、しかもインフレの計測に関しても「コア指数でみるのは必ずしも正しくない(ヘッドラインが重要)」というような中々オモシロネタを投下しているブラード総裁なのですが、低インフレの状況をサプライズと言ってる割には小規模なTaperは容認というのはちょっとえーという感じなのですが、ピュアウォーターだったり理論的武闘派だったりのブラード総裁がこういう感じでTaper容認論を繰り出してくるというのは、恐らくFOMCでの議論がTapering待ったなしという感じになっているのではないかと思わせるのですがどうでしょうかね。


・フォワードガイダンス強化に関して

次の小見出しが『Changes to Forward Guidance』ですな。

『Bullard also addressed the “taper talk” this past June and September and the spillovers to forward guidance. He noted that in June and September, changes in perceived tapering scenarios led to large movements in key financial market variables. “Perhaps surprisingly, the perception of the expected path of the policy rate also changed sharply in response to these events-that is, tapering was clearly linked to forward guidance,” he added.』

前回のTaperingトークの時に市場の将来のFF金利の予想パスまで上昇したのがサプライジングリーであって、Taperと金利政策が一体として受け止められたのが問題でしたとな。

『“The Committee needs to either convince markets that the two tools are separate, or learn to live with the joint effects of tapering on both the pace of asset purchases and the perception of future policy rates,” Bullard said.』

でまあ資産買入と金利は独立であるということを認識させるべき、という話もこらまた多くのFED高官から言われていますが、そもそも資産買入の縮小に関してのトリガーが「労働市場の顕著な改善」であるところからして完全に独立して考えられる訳ねえだろヴォケという話でして、そういう点ではブラード総裁のこのロジックもちょっとどうかという感じはします。

もし完全に分離したかったら、もっと資産買入のメリットデメリット論の方に説明のスタンスを置いて、「資産買入のこれ以上の拡大を行っても限界的にあまり効かなくなっている」という話をした方が分離をしやすくなるのですが、そうまで言い切っていないので、結局の所フォワードガイダンスを強化したからと言ってFEDの思惑通りに展開するのかは正直出たところ菖蒲だと思う。

『“To clarify the independence of the asset purchase program from forward guidance, the Committee may consider changes to forward guidance,” he said, noting that the current guidance states that the FOMC will not raise rates as long as unemployment is above 6.5 percent and inflation remains below 2.5 percent.』

でどう改善するのでしょうかといいますと・・・・・・・・

『He discussed three possible options for altering forward guidance, including lowering the unemployment threshold. However, Bullard cautioned, this “puts the credibility of the thresholds approach at risk.” 』

『He said another option would be to establish an inflation floor at 1.5 percent, which would be symmetric with the current forward guidance on inflation and which could be helpful if inflation continues to behave in an unusual manner.』

『The third option would be to state verbally that the FOMC is unlikely to raise rates even after the 6.5 percent unemployment threshold is crossed, which Chairman Ben Bernanke has already done. This option is “less complicated and possibly just as effective,” Bullard said.』

ポンチ絵の方の22ページ目を見た方が分かりやすいと思いますので、そちらを見ればと思いますが、3つの可能性として(1)スレッショルドを変更する、(2)1.5%のインフレフロア値を設けて、それよりも低いインフレの際には利上げをしないと説明、(3)とりあえず口頭で「6.5%に失業率が下がっても利上げを自動的に実施するのではない」というのを繰り返し説明。というのを挙げています。

んでもって(1)に関しては一度作ったスレッショルドを変更するのは将来またスレッショルドが変更されるのではないかというような疑念を持たれるリスクが有り、コミットメント政策のクレディビリティーに悪影響を与えると割と否定的で、(2)については有用だと評価、(3)についてはより単純で多分効果があるでしょう、まあ逆さ絵おじさんが既に説明してるけどさ、という事でして、どうもあまりスレッショルドをややこしくするのはお好きではない模様。

しかしながら、市場は既に「Taperingにはフォワードガイダンスの強化がセット待ったなし」というクレクレモードになっておりますので、(3)の選択肢を選定するというのは実際にやったら米債市場があばばばばばーになってしまうような悪寒がするのだが大丈夫かとゆー気がする。

さすがにFOMCメンバーは市場のクレクレは認識していると思うので、もうちょっと何か出るでしょと思われて、まあ順当に(2)にするのか、それとも(3)の変化技でフォワードガイダンスの中に「6.5%に達しても直ぐに利上げするかどうかはその時の状況次第で、今は直ぐに利上げが必要とは想定していない」というような文言を思いっきり突っ込むかというような所になるんでしょうかね。スレッショルドの数値をいじるのは確かにコミットメントの信頼性というか堅確性に対する悪影響があると思うのでいじらないという意見が多そうな気がします。


・プレコンの定例化

最後の小見出しが『Press Conferences』である。

『Regarding Fed communications, Bullard repeated his call for press conferences to be held after every FOMC meeting instead of only some meetings. “Markets have suggested that meetings without press conferences are unlikely to be situations where the Committee can take important action,” Bullard noted.』

会見のあるFOMCと無いFOMCというのも宜しくないので毎回プレコンやれと。

『“The FOMC needs to keep its options open,” he said, adding that one way to do so is to include a press conference after every meeting. “A press conference at every meeting would likely improve Fed communications,” Bullard concluded.』

毎回実施するのがコミュニケーションの改善につながるという事ですが、現実問題としてはそれが逆にノイズになる可能性もあり(その点からすると黒田総裁の一貫した強気姿勢崩さずモードのオートリバースカセットテープ状態というのはコミュニケーション戦略として正しいと思うのよね)、どうなんでしょという所ですが、ブラード総裁的にはコミュニケーションで切り抜けるというイメージなのかも知れないというのが少々気になる所ではあります。

ま、いずれにせよ来週ですな来週。



2013/12/12

お題「2M入札とか短期雑談/ECBは追加の具体的な手がなさそうな悪寒/その他少々」

多分来年早々にも実施されるであろう出直し東京都知事選挙ですが誰が出るのかとか考えているうちに頭がクラクラしてきたのでこの際華麗に剛力彩芽候補でどうだと思ったが被選挙権がありませんな(ヤケクソ)。

○市場雑談(というか短期雑談)

・2M入札でございましたが

昨日は2M入札で今日は3M入札でございますな。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131211.htm

(3)募入最低価格 99円99銭1厘0毛 (募入最高利回り)(0.0619%)
(4)募入最低価格における案分比率 23.4566%
(5)募入平均価格 99円99銭1厘4毛 (募入平均利回り)(0.0592%)

ということで足切りは6bp台に乗ったには乗ったのですが、朝の時点ではもうちょっと安い所で決着するんじゃネーノという話でしたし、セカンダリーではショートカバーらしき動きもあって結局5bp台に入って終了の巻となっておりましたですな。

今回の2Mについてはそもそもが期落ちロール分じゃないし、どうせ短国買入に入らないだろうしという事でニーズどうなのという話もあったと思うのですが、やはり年末越える運用に関してはニーズがあるという所ですかね。

あとまあ良くありがちな話ではあるのですが、今月に関してはMB積み上げの着地から逆算すると短国買入が1兆円×4本程度になります罠という点が今月入って資金需給見込みとかを確認した時点でコンセンサスになっていましたので、短国買入が前月対比減る→短国の需給が前月対比緩和される→金利が上昇したら買おうじゃないのウッシッシ、とまあそういう事を誰もが考えますので、その結果としてその前に運用を抑えて金利が上昇したらさあ買いましょうという人が続出する結果として、思ったほど金利がアガランチ会長になるという楽しい展開になる。とまあそんな感じなんですかね、よー知らんけど。

ちなみに、今年の場合は年末年始の翌日物取引が実質1週間物となってしまいますが、資金不足の時代と違いまして今は資金はジャブジャブになっていますから最後の最後になると金利には低下圧力がかかりやすくなるという仕様になっておりますので、年末越えの余裕資金に関しては例年以上に前倒しで運用しておきたいというニーズがある一方で、逆に年内に期日が来る運用をして年末にその運用資金が戻って来ましても再投資リスクが高くなるという事ですから、年内モノに関しては運用ニーズが低いという傾向が例年よりも強くなっていると思われます。

まあその結果新発CPとか年内物の方が金利高かったりする(調達側もそんなに長いの要らないという状況でしょうし)というような例年ありがちな現象になっているようですが、今年は何せ当座預金残高積み上げ攻撃で付利金利よりも低い金利の短国やらCPというのが恒常現象化しておりますので、この傾向がちょっと目立つかなあなどと思うのでありました。



○ECBの次の手は難しいぞなという件(ドラギ総裁会見ネタの続き)

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is131205.en.html

今更ですがドラギ総裁会見の続きを見つつ確認をば。

・預金ファシリティーのマイナス金利について

先日引用した質疑応答では「マイナス金利についてはどうですか」というのに対してドラギのおっちゃんが「ご覧のとおり11月の利下げは効果がありました(キリッ)」という返しをするという素敵なのがありまして、こりゃ相当答えに苦労しているなという風情だったのですが、後から当然の如く突っ込まれた時はこう答えています。

『Question: You said before that you briefly discussed the negative deposit rate, since when I have heard some voices here in this house saying that if you go into this negative territory, then, in parallel with a rate cut, both main interest rates will be lowered simultaneously with entry into this negative territory. So, my question is: did today’s decision about this include both decisions at the same time? Was there a discussion about a rate cut?(後半割愛)』

『Draghi: My answer to your first question is no, meaning that we had a brief discussion which was not in any great depth and did not touch on any technical aspect of this possible measure.(後半割愛)』

ということで、マイナス金利や利下げに関しては「ちょっとした議論はありましたが深い話はしておりませんぞなもし」という答えをしています。


・為替レートについてと議事要旨の公表の件

金利は下げたもののユーロは強くて物価に対してどう見ても低下圧力です本当にカムサハムニダという話になるのですが、為替介入せんのかという質問も飛んでいました。その質疑でミニッツの話もありましたのでまとめて引用。

『Question: I have got two questions for you. Number one, earlier this year you said you would update us with news on a potential release of minutes or summaries of your deliberations in the Governing Council. As you pointed out, this is the last meeting this year, and we still did not hear anything - or can you actually enlighten us on whether there has been a decision?』

というのが議事要旨公表の検討どうなってますねんという質問。

『My second question is: the ECB Governing Council members have cited a number of possible policy measures, including negative interest rates and quantitative easing, some of which would be seen as very extreme, especially in the context of the euro area. Nobody has ever mentioned the option of FOREX interventions though - does that mean that is not a tool the ECB would be ready to consider?』

あらゆる手段を用いる(キリッ)という話の中には為替介入がありませんがその点如何??という事ですな。

『Draghi: On the first question about the minutes, we have started working in the Executive Board and we are continuing to work. It is a very complex issue, it has many dimensions. The one that is most popular is whether the names or “who does what” ought to be there, and there are many other issues. Especially for an institution that never had minutes before. So, we are preparing our proposal for the Governing Council, which, by the way, has already discussed this issue to some extent today. We are moving forward. We are slightly late, and the delay is justified by the complexity of the issue, frankly.』

まあ何度か指摘されていますが、各国から来ている人たちの発言ということで、ミニッツ形式にしても誰が何を言ったのかが見え見えで、さらにそれが構成各国の利害と全体の利害をどう折り合いつけるのかという部分で政治的に物議を醸す可能性があるので難しいんじゃないですかねえ、とは思います。検討中です(キリッ)って下手な出前のような状態ですな。

『On the second point, you know what the policy of the ECB and the other major central banks is. Exchange rates are a matter of common concern. And they are not a policy target by the way. I have said this many times. So they are not a policy target. Our policy target is price stability in the medium term. However, the exchange rates are important for price stability, as we are seeing today, and for growth. So, we take this into account in our monetary policy decisions. The experience of what you are saying - unilateral FOREX intervention - is not contemplated by the current G20 agreements.』

為替介入に関してはG20での合意の通り皆さん行いませんぞなという原則論ですな。なお、先ほど引用した質疑の後半で為替に関する質問が別途ありましてですね。

『(質問の前半割愛)The second question is about exchange rates. In February 2013 exchange rates were mentioned in the statement as a downside risk for growth. This has not been the case since then. Should we consider that exchange rates are not really a risk, although at the time in February the USD/EUR exchange rate was 1.35, nearly the same as today? Does the euro area have to accept this high exchange rate? Is it not really a risk?』

ユーロ高は物価のリスクじゃねえのかオラオラオラと質問。

『(回答の前半部分割愛)On the second point, the fact that the statement is not there does not mean anything. The exchange rate is, as I said, important for price stability and growth. And the levels are by and large the ones that were there when the statement was included. So, we are watching the exchange rate, but you must always keep in mind that it is not a policy target. It is part of the information set that leads us to take monetary policy decisions, the objective of which is price stability in the medium term.』

まあこうしか答えようがない所ではあるのですが、「為替レートは経済物価に重要な影響を与えるので重大な関心を持って見ているがターゲットにするものではない」という話をしておりまして、まあさすがに為替介入しにくいとなると益々ジャパン化ですなあという所っすね。


・新しいLTROとかFLSとか

『Question: My first question would be on the potential new LTRO, or if you would consider something like the Bank of England’s programme “Funding for Lending”, above all looking at the ever-decreasing lending activities. And my second question would be: you are always saying that you are watching money markets very carefully and you have all available instruments in your hands. What has to happen to use those instruments?』

ニューLTROとかFLSみたいなスキームを考えないのでしょうかというのが前半の質問で、後半の質問はマネーマーケットに関して「必要な手段は用意している」と言っていますが何も出てきませんなあという事ですなニヤニヤ。

『Draghi: I think I can respond to both questions with one answer. Basically, the message the Governing Council sends today is that we are ready and able to act, within the forward guidance framework.』

まさに「キリッ」という答えではあるのですが、まあ質問の飛び方が具体的な政策はどうしたオラオラオラとなっている中では中々空しい香りも漂ってくる訳でして、何か段々ドラギマジックの気合回答だけでは厳しくなっていますなあと思うと同時に、現在の気合だ気合だ気合だの日銀様におかれましても、2年で2%の物価上昇目標の達成の可能性が江田けんじ先生の毛ほどはあるという現在の状況(一見すると沢山あるようですが以下自主規制という事ですので念の為)からこれから1年とか経過するとどうなるんでしょうなあとふとそんな事を思ってしまいました。

『Forward guidance is there. We did not identify, amongst the various, numerous instruments we have, one specific instrument in the discussion we had today. We had a brief discussion about negative deposit rates, but it was brief.』

『That is one point I want to make: readiness to act; ability to act within the framework of forward guidance; but a variety of instruments ready - technically ready, they have been worked out, they are there. And we had a brief discussion on negative deposit rates.』

具体的にもあるんですよと言ってマイナス預金金利の話をしていますが、最初の方で引用した質問はここの説明を受けての質問でござりましたです。ご覧のとおり「ちょっとだけ話をしましたよ、ええちょっとですけどね」という状況なのですが・・・・・・・・・・

『On the LTRO - as you mentioned specifically - I would take this opportunity to make a point here. When we conducted the LTROs two years ago, the level of uncertainty was very high. And therefore the long-term liquidity, three-year liquidity, was justified by that level of uncertainty. Furthermore, we view the LTRO as a very successful monetary policy measure: it did avoid severe further credit contractions arising from lack of funding at the time. The funding situation was extremely stressed. You remember - I have told you several times - we had EUR 250 billion of bank bonds due within one term, within one quarter, and we had more than EUR 300 billion of government bonds coming due within the same quarter. This was coming after the second part of 2011, which had been a period of dramatically increasing stress.』

LTROに関する説明がおっぱじまっておりますが、ここの辺りまでがLTRO実施の効果ですな。

『Now, today the situation is fortunately substantially different. The level of uncertainty is considerably lower, and that is one consideration to keep in mind. The second consideration is that the use that these banks have made of this liquidity has been mostly to buy government bonds. And I think it is basically a fact of this experience that not much of this actually found its way through the economy. So, if we are to do an operation similar to the LTRO, we will want to make sure that this is being used for the economy. And we will want to make sure that this operation is not going to be used for subsidising capital formation by the banking system under these carry trade operations.』

で、現在の状況は3年LTROを突っ込んだ時と違っているでしょという話をして、その後に考える点として、もしそのような措置を実施するならば国債購入のキャリートレードのネタに使われるようなスキームではなくて、もし実施するなら実体経済に回るような形が必要ですよねというような話をしていて、何か3年LTRO復活というようなコースは考えにくそうな気がしますがどうでしょうかね。


・資産買入に関して

『Question: I want to get back to this point about all these numerous policy options you have. Maybe you could give us some verbal meeting minutes and just run down them and give us a sense of what the state of play is on the thinking on, for example, negative deposit rates. You talked about it briefly - what did you talk about? Asset purchases. What kind of discussion do you have about these things, why are they good ideas and why aren’t you really implementing some of these yet?(後半割愛)』

この質疑後半のネタも面白いのですが時間と量の関係でパスします(単なる面白ネタなだけなので)。

『Draghi: On the first question, I really have to say again what I said before: no specific instruments were identified in our discussion and I would say the level of preparedness is pretty high on all of them. So we don’t need any further analysis on that, but then the key question is whether or not any further use of these instruments would be justified by the current medium-term assessment and medium-term outlook for inflation. I think that is the key question. As I said after our decision in November, we have seen that markets have responded. The impact of our forward guidance has been quite strong. This has worked and inflation expectations are firmly anchored. However, having said that, we will certainly monitor any developments closely and let me say that we are fully aware of the downside risks that a protracted period of low inflation does imply.(後半割愛)』

えーっとですな、ああだこうだと話をしておりますが、資産買入についてはどうですかという質問に関して直接答える訳ではなく、「先ほども申し上げた通り色々な手段を考えていてテクニカルには発射可能です(キリリッ)」と言うだけで、その後は11月の利下げの効果だのフォワードガイダンスの効果だのという話をおっぱじめて全然質問に答えていない、という格好になっております。

ということで、大体この辺りが具体的追加政策に関するいう質問とその答えの主要部分という感じになるのですけれども、結局の所「手段はあります(キリッ)」とは言う物の、本当に具体的な検討段階に入っているのかとかコンセンサス取れているのかという点については極めて??????な状況では無かろうか、とまあそんな印象を受ける質疑応答でございました。



○ニュース雑談

・なんじゃこりゃ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BA04W20131211
東電、金融機関に一般担保の解除を要請=関係筋
2013年 12月 11日 15:26 JST

『[東京 11日 ロイター] -東京電力と政府の原子力損害賠償機構が取引金融機関に対して、来年1月以降、新たに借り換えを迎える融資や追加融資について、一般担保を解除して実行するように要請していることが分かった。福島第1原発事故の処理に国費が投入されるなかで金融機関も相応の負担をすべきとの国会の議論に配慮したかたちだ。複数の関係筋が11日、明らかにした。』(上記URLより)

えーっとですね、そういう無理筋の話というのは菅だの枝野だのという方々の専売特許だと思っていたのですが、何でまた今になってこういう話が出るのかと。

「金融機関も相応の負担をすべきなので無担保融資しろ」って見方によっちゃあ返済しない気満々で融資依頼を持ち込んでいるように見えます次第で、それ借金じゃなくてカツアゲですかと申し上げたくなる豪気なスタンスに腰が砕けざるを得ませんが、そもそも銀行の融資の原資は預貯金でありますからして、「金融機関も相応の負担をすべき」というのは要するに「預金者に負担させろ」という話になるのですけどねえ。

つーか何か別の保証措置でも付くから無担保でも融資の保全が確保できますというようなスキームがセットになっているのなら兎も角、「金融機関も相応の負担をすべき」とか正面切って言われて担保解除したらそれは株主や預金者から怒鳴り込まれるレベルの話でありまして、まあ本件は報道の方が話を端折って紹介しているだけで、何ぼ何でも正面切ってそんな話をしているようなスットコドッコイな事案ではないと信じたい所ではありますが、これじゃ民主党政権時代の枝野無法スキームを思い出す話じゃネーノと存じます次第で、どこの統制経済だよという話っすけどねえ。

#こんな事正面切って言われたら「ロールには応じません」で終了するだけではないかと


・相変わらずの特定秘密保護法案関連

あちゃーという感じですな。

http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013121101001960.html
石破氏、報道機関の処罰に言及 直ちに撤回
2013/12/11 19:08 【共同通信】

えーっとですね、法律の運用の根幹にかかわる部分で与党の幹事長の発言が出たと思ったらいきなり撤回とか、単にゲル幹事長の能力の問題なのか法律の建付けの問題なのかと考えますとまあ普通に考えて前者じゃなくて後者だろと思う訳で、そんなフワフワ法を施行できるのですか大丈夫ですかという話。

しかしどういう話の流れでそういう言及になっているのか知らんが、報道への制限がどうのこうのとか懸念されている中でど真ん中ストレートの話をするとか、ゲル先生もっと手堅い人だと思っていたのだが、この案件に関連してはボロがボロボロ出てきておりましてどうなってしまってるんでしょうねえという所ですな。





2013/12/11

お題「日銀執行部方面からは威勢の良いメッセージでありますなという雑談系ネタ」

昨日はこんなのが。
http://www.musha.co.jp/5107
2013年12月10日ストラテジーブレティン (109号)
年金運用思想転換、2014年日経平均22,000円へ

ニャンコ先生のご発言が『明快かつ至極妥当』(上記URLより)との事で何を仰せなのかさっぱりワカランチ会長っつーか基礎年金はおまいのポジショントークの燃料じゃねえんじゃこのヴォケと申しますかという所ですが、2まん2せんえんですかそうですか。


さてさて、何か知らんが今朝のモーサテによりますと来週のMPMで追加緩和を示す発言が出るかどうか注目しているという為替市場の方がおいでのようですが、一般論でよろしければ何ぼでも出ると思いますが、ここもと審議委員の皆様が色々と話していましたが、ここにきて執行部方面からは威勢の良いメッセージが出ているという流れになっているように思えますので、まあその辺りを見ながら雑談モードでございますわよ奥様。


○それにしても日銀がノリノリである

日銀のトップページ
http://www.boj.or.jp/

・・・・・・・・・・えーっとですね、あたくし気が付いたのが昨日の昼過ぎなのですが、毎日(除く週末)だいたい欠かさずにこのページを見ている変人のあたくしこちらを見て「???」な違和感を受けてふと見ると上段に赤い枠が二つ。うち左の方は前からある震災関連情報のコーナーなのですが、いつの間にか(というか多分昨日の昼だと思うのですが)その右に『2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」』という謎のリンクが発生しております。

ということで早速見に行くアタクシ。

http://www.boj.or.jp/mopo/outline/qqe.htm/
2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」

ということで、『2%の「物価安定の目標」』というのと『「量的・質的金融緩和」 』という小見出しのコーナーがあって何か説明を展開しております。

んでもってふーんと思ったのは後半の「量的・質的金融緩和」の説明部分で『(4)「量的・質的金融緩和」の継続』というのを明記している部分でして、まあもとより建付け上資産買入はオープンエンド状態になっているのですが、一応その部分を明記したのねという所。

『(4)「量的・質的金融緩和」の継続

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』

とありますように、QQE実施時の声明文をそのまま書いているだけではあるのですけど。

なお、ご丁寧に英文のページもあります(当然だが)。

http://www.boj.or.jp/en/mopo/outline/qqe.htm/
"Price Stability Target" of 2 Percent and "Quantitative and Qualitative Monetary Easing"

・・・・・・・・まあ何ですな。ここにきてこんなページが新設されるというのは、追加緩和ガーとかいう外野が喧しいから説明文入れるかというのもあるでしょうが、それよりも足元で物価水準がコアCPIで1%近くになってきて来年1Qでは1%乗せも見えて来ているという状況になり、QQEローンチ当初は雲をつかむような話だった本件も(ただの円安や燃料費コストプッシュ要因のような気もだいぶしますが)数字の上では順調に進んでいる(ように見える)という状況になり、日銀の中の人がノリノリになって出してきましたねえという印象を受けるのは気のせいですかそうですか。

しかも昨日ネタにした黒田総裁講演にもありますように、最近はすっかりもう日銀様におかれましては「マンデートでやれと言われてるんだからやるんだよ」「フィリップスカーブを気合で上げるんだよ」「そのためには良い物価上昇でも悪い物価上昇でも何でもいいから現実の物価が上昇するのが大事なんだよ」という大変にノリノリの気合モードになっておられるようにしか見えませんので、その気合モードの一貫でこのようなページがQQE突っ込んでから半年経過という妙なタイミングで新設されるという事であると勝手に解釈致しましたが如何でしょうかねえ(ニヤニヤ)。

・・・・・・・・てな訳で、どう見ても日銀ノリノリであるという状況なのに、消費税増税で景気が落ち込んであばばばばーになるでしょうとかそういう話が出て予防的追加緩和ガーとかいう話になると思う方が無理があると思うのですがねえ。


○昨日引用した黒田総裁講演ネタの続き

ということでQQEの説明部分をば。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131207a1.pdf

・何回か紹介しているけれどもこれ重要な

『4. 「量的・質的金融緩和」の考え方』の所から参りますが、最初の所にQQEのポイントの一つ(とアタクシが勝手に解釈している部分)がございます。何回か出ている話ではあるのですけれども、未だに「プリエンティブに追加緩和ガー」という話が出るのを見ますとおまいらいいからここの部分を百回嫁と申し上げたくなる次第で。

『現在、日本経済が直面している問題は、デフレが長く続く中で、人々の予想物価上昇率が低下し、「物価は上がらない」という感覚、デフレ・マインドが定着してしまったことです。こうしたもとで、予想物価上昇率を引き上げることが政策課題となっています。』

であるからこそ「2年間で達成」と期間を区切って「思い切った施策」を「逐次投入ではなく全部一度に投入」しているのがQQEなのでございまして、この組み合わせが期待の転換に寄与するという話ですので、新しい問題が発生して対応するというのであれば仕方ないですが、少なくとも見通しの中に入っている消費税増税に対応してプリエンティブに対応というのはあり得んロジックになるという話ですよね。まあ何度も申し上げていますが。

『これまでの中央銀行の歴史を振り返ってみても、低すぎる予想物価上昇率を政策的に引き上げるというのは、大きな挑戦です。しかも、日本の場合、短期金利は既にゼロ近傍まで低下し、長期金利も1%を割る水準まで低下しています。「名目金利の引き下げ余地が乏しい中で、どうやって予想物価上昇率を政策的に引き上げるか」──これが我々の直面する課題です。そして、「量的・質的金融緩和」がその処方箋なのです。』


・QQEの構成要素が全部気合な件について

まあ元々「期待に直接働きかける」という時点で気合と大和魂の世界ではあるのですが、今回の講演テキスト(ただし邦訳版)の方ではこの部分を割と開き直って説明しているのがワロエます。

『具体的には、「量的・質的金融緩和」は、2つの要素から構成されています。』

ふむ。

『第1に、企業や家計に定着した「デフレ期待」を払拭するため、必ずデフレから脱却するという日本銀行の意志を、強く明確なコミットメントで示すことです。そこで、「消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と明確に表明し、目標達成までの期限をはっきり区切りました。』

どう見てもただの大和魂です本当にありがとうございました。

『第2に、長期間にわたってデフレが継続していることを考えると、どんなに強いコミットメントを示しても、それを裏打ちするものがなければ、人々に日本銀行の強い意志を信じてもらうことはできません。』

そらそうよ。

『とくに、「できるだけ早期に」という観点からは、これまでの延長線上ではないことが国民にはっきりとわかるような、従来とは次元が異なる大胆な金融緩和を行う必要がありました。そこで、日本銀行が直接供給する通貨であるマネタリーベースを2年間で2倍に拡大することとし、これを実現するため、残存期間の長いものを含めて巨額の国債買入れを行うことを決定しました。そして、これまで日本銀行は、この決定通りにマネタリーベースの供給と国債の買入れを進めています(図表3)。』

ということで、つまり構成要素は全部気合だという割と清々しい開き直り方をしている訳で。


・政策の波及ルートは??

気合だけの話ではさすがにアレですのでその直後にはこのような説明が。

『この「量的・質的金融緩和」は、巨額の国債買入れによってイールドカーブ全体に下方圧力を加えるとともに、ポートフォリオ・リバランスを通じてリスク資産への投資を促進し、さらに経済主体の期待に働きかけることを意図しています。』

これはまあ最初のQQE導入時に言っていた説明なのですが・・・・・・・・・・・・

『とくに、主たる波及メカニズムとしては、経済主体の期待を変化させ予想物価上昇率を引き上げる一方で、巨額の国債買入れによって長期金利を抑制することにより、実質金利を低下させ、経済を刺激する効果を狙っています。』

ということで、「主たる波及メカニズム」というのが堂々掲載されているのですが、ポートフォリオリバランスがどうのこうのとかその辺の話は盛大にスルーしまして、基本的に「期待に直接働きかける」という部分と、「経済物価情勢に対して適正と見られる水準から国債買入効果でその金利を下げる」という部分をメインにしておりまして、まあこれも今に始まった訳ではなく最近ずーっとこの説明で通していますが、この辺の説明も明確になりましたな。

『また、こうした経済への刺激の結果として現実の物価上昇率が上昇すれば、さらなる予想物価上昇率の上昇につながるという、好循環が発生することにも期待できます。』

で、これまた毎度指摘していますが、最近は悪い物価上昇がどうのこうのという話をすっかりしなくなりまして、白でも黒でも物価が上がれば良いんだよ!というある種の開き直りモードになっているのもポイントでして、でまあ足元でコストプッシュだろうがなんだろうが現実の物価が上昇すれば期待の転換に寄与するでしょうという話になっている次第。


・こちらでもノリノリである

んでもってその続き。

『この政策の導入から8か月程度経過しましたが、これまでのところ、金融市場、実体経済および物価、期待のいずれもが好転しており、所期の効果を発揮していると考えています。』

ノリノリである。

『まず、金融市場をみると、株価は年初来で約5割上昇しました(図表4)。一方で、長期金利は、先進主要国の長期金利が軒並み上昇する中にあっても、日本銀行による巨額の国債買入れによって強力に抑制されています。10 年物の国債金利をみると、年初の0.8%程度から、最近では0.6%台まで低下しています。』

『このような中、各種のアンケート調査の結果などをみると、「物価が上昇する」と考える人の割合が増加するなど、予想物価上昇率は、全体として上昇しています。この結果、実質金利は低下しており、民間需要をしっかりと刺激しています。』

『こうしたもとで、わが国の景気は、家計・企業の両部門で所得から支出へという前向きな循環メカニズムが働いており、緩やかに回復しています。』

どう見てもノリノリである。

『実質GDP成長率をみると、本年前半に年率4%程度の成長が続いた後、7〜9月もさらに年率2%程度の伸びとなっています(図表5)。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比が、6月にプラスに転じたあと、10 月は0.9%までプラス幅を拡大しています(図表6)。その中身をみても、石油製品などのエネルギー関連の押し上げだけでなく、個人消費が底堅く推移するなど景気が緩やかに回復を続けるもとで、幅広い品目に改善の動きがみられるようになっています。』

最近この物価上昇の中身についてエクスキューズが良く出てきますが、一応白い心というのものがあるのかツッコミ予防なのか・・・・・


・この先行き見通しで追加緩和の話は出んだろ

『先行きについても、日本銀行が1か月ほど前に公表した最新の「展望レポート」で示したように、今後、消費税率が予定通り2014 年4月に3%、2015年10 月に2%引き上げられることを前提にしても、基調として潜在成長率を上回る2%前後の成長が続くと考えています(図表7)。そのもとで、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は徐々に上昇していき、2015 年度までの見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いと考えています。』

4月に追加緩和ガーという話をしている人たちに逆に「何でこの見通しで4月に追加緩和をする事になるのか」ということをお伺いしたいのですが、来年の1−3に何かとんでもない落ち込みがあるとかそういう話なんでしょうかねえ???いやまあ武者フラグとかそういうのはありますけど。

『このように「量的・質的金融緩和」は、想定したとおりの効果を発揮しており、わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調に辿っています。今後も、日本銀行は、「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続します。また、その際には、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因をしっかりと点検し、「物価安定の目標」実現のために必要であれば、調整を行っていく方針です。』

って文章を通して読めばどこからどうみてもただの「不測の事態が起きた場合は対応するよ」という超当たり前の一般論を述べているだけなのですが、まあこれで為替の何とかストの皆様とかが喜んで頂くのであれば安いもんですなあという所っすな。

と考えますと、同じ事を恐らく麿が言うと貧乏くさく伝わってしまいまた出し惜しみかと言われるでしょうなあとか思いまするに、イメージ戦略というのも重要ですぞなもしとゆー話になるのですが、それはまた年末年始モードになってから考えてみたいと思います。


・最後にここでもノリノリというか自信満々

最後の部分にこれまたしらっと威勢の良い事が書いてあるのです。

『冒頭に申し上げましたように、経済政策において、学問的知識と実務的知識は密接不可分のものであり、両者の架け橋となる公共政策研究は極めて重要なものとなっています。こうした事情はどこの国でも共通ですし、各国の経済政策の相互関連が深まる中にあっては、グローバルなネットワークの持つ重要性が増しているのは間違いありません。』

ほほう。

『したがって、各国の公共政策大学院が、共同研究や交換教授・学生の拡充を通じて、公共政策研究を推進することが望まれています。中央銀行としても、その成果を存分に活かしながら、適切に金融政策を運営していきたいと、大いなる期待を持っております。』

ほうほう。

『現在、「量的・質的金融緩和(QQE)」でヒットする論文は、まだ多くありません。しかし、何年か後には、日本と日本銀行の経験が、経済学や公共政策研究に新しい1ページを提供しているのではないかと思います。そして、そこで練り上げられた理論が、その後の中央銀行にとって、デフレという現象と戦うための力強い武器のひとつとなっていることを願ってやみません。』

こらまた威勢よく来ましたなという所で、何というノリノリと存じますが、良く良く考えますとここもと政権内野党審議委員の皆さんの講演が続いておりましたので、ここで一発ぶちかましという所だと存じますが、(たぶん)昨日の日銀サイト新コーナー作成とか、こちらでの黒田総裁ノリノリ講演とかで、野党審議委員の皆さんのメッセージをぶちかましておきましょうという事ですかそうですかと勝手に妄想はたくましくなりますが、まあノリノリすぎて滑って怪我しないように願ってやみませんという所ですな、うんうん。


○ニュース雑談メモ

・通常国会大丈夫かね

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013121000668
委員長2ポスト、返還に慎重=自民・脇氏(2013/12/10-16:50)

いや常任委員長のポスト野党に戻さないって通常国会始まった途端に空転じゃねえかと思いますし、大体からして『「政局的に国会を運営するのが民主党の価値判断だ。中立、公正な委員長ポストを渡すことに大きな疑問がある」』(上記URLより)ってお前が言うなの世界だし更に『脇氏は、国土交通委など民主党が現在就いている別の3委員長ポストに関しても、「場合によっては取らねばならないのではないかという気すらする」と語った。』(上記URLより)ってそんな強引な運営今まで見たことないぞおい。

でまあ安倍ちゃん経済の安倍からまた毎度の方向になって来てるような気ががががが。

http://www.asahi.com/articles/TKY201312100267.html
安全保障戦略に「愛国心」明記へ 自公が了承
2013年12月10日19時55分


・こちらは想定通りの展開ですなあ

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013121000055
江田氏らの勉強会発足=野党再編へ細野、松野氏と(2013/12/10-13:26)

もうね、この勉強会の名前が上記記事によりますと「既得権益を打破する会」だそうで、そのネーミングが想定通りではありますが大体こういう事を言い出すのに碌なのはいないとあたしゃ認識しておりますので。人々にはこれまで培った生活というのが有る訳で、その培った中での利害というのがあって、その利害をどう上手に調整して多くの人々のためになるような動きをするのというのが政治の役割でしょと思うのでして、そういうのを打破とかってヨシフおじさんの民族集団強制移住的な発想か、はたまた俺様に権益を寄越せという発想か、まあそのどちらかとしか思っていないのでこりゃまた碌でも無いですなあと存じます。

でまあ野党方面と言えばこのハゲは有権者を舐めとるんかと思うのだが、まあ当選しちゃうから図に乗るんですよねえ。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013121000986&g=pol
維新・東国原氏が辞職意向(2013/12/11-00:30)




2013/12/10

お題「ニュース雑談/ブラード総裁のTaperingトーク/オペ雑談/総裁講演はアプローチが味わいあり」

クソワロタ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013687031000.html
猪瀬知事 1年間給与返上を表明
12月9日 15時17分

・・・・・・・・・・・・・お前元々落選した後の生活に不安があるから5000万円を無利子無担保無催促で借りたんじゃねえのかと思うのですが、しょうもない言い訳の数々に整合性の全然とれない発言と、この方は馬鹿のホームラン王どころかメジャーリーグ殿堂級の馬鹿なのではないかと大変に感心することしきりでございますし、その馬鹿振りを教えてあげる人が誰も周囲にいないという大変に素晴らしい人徳に腰が砕けてしまいますな。

○備忘ということでニュースメモ

・政治資源は経済政策に使って頂きたいものです

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013695191000.html
安倍内閣支持率 50%に下がる
12月9日 19時17分

最近すっかり提灯(銃声)な公共放送でこの数字ですかそうですか。JNNが13.9%下げの54.6%で共同通信が10.3%下げの47.6%となっておりましたな。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013694281000.html
首相「国民の懸念払拭に努める」
12月9日 18時42分

『安倍総理大臣は、臨時国会の閉会を受けて総理大臣官邸で記者会見し、特定秘密保護法について、秘密の範囲が際限なく広がることはないとしたうえで、「通常の生活が脅かされるようなことは断じてありえない」と強調しました。』(上記URLより)

いやだからそれは法案の建付けで担保するものでして国会通す時に政府が口で言っても屁の突っ張りにもならないですし、大体からしてこの法案に関する元々の趣旨自体はそんなに反対が猛然と起こるような代物にならないで作れる筈で、この法案でこんなに政治資源を使う必要は本来無かったと思うのですけどねえ。

つーことで確か成長戦略国会だった筈の国会なのにすっかり政治資源が安倍ちゃんの趣味(つーかこの法案を変に運用すると特定秘密の名の元に政治家でも情報アクセスが出来なくなると思うので自分で自分の首を絞めているようにしか見えんのだが)に浪費されまして誠に遺憾の極みという所ですな。

んでもってTPP
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131210/t10013703971000.html
TPP 年内の実質的妥結は困難か
12月10日 4時0分

ほうほうそうですかそうですか。そういや法人減税も結局復興特別部分の終了前倒しだけでお茶を濁されそうですし何だかねえという所で。


・見世物として見物すべき事案と思われます

殿堂級の馬鹿知事もワロタがこちらもワロタ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013688081000.html
14人が離党届 みんなの党 分裂へ
12月9日 15時46分

2〜3人程度が辞めて無所属と合わせて辛うじて5人の要件確保位かと思ってたら35打数14安打とはこれはまた猛打でございまして(柿沢さんがその前に辞めてるので36打数15安打とも言えるが)ヨッシー先生の人望の無さに敬服する次第ですが、何せ昔からあたくしの駄文をご覧の皆様におかれましては私メがヨッシー先生に対しては金融担当大臣の頃からヨッシー先生は中途半端に知識のあるただのエエカッコウシイという評価だったというのをご存知かと思いますが、そんなこんなですのであたしゃーやっとそうなりましたかそうですかと生温かく見守るのでありました。

しかし何かこの事案の場合、ヨッシー先生もズラ先生(あくまでも仮称)も正直言ってどっちもどっちのレベルにしか見えませんのでさっそくうんこの投げ合いが開始されているとかエンターテイメントとしては楽しめますが、野党結集して間違って多数派形成しても形成した途端に民主党よりも悲惨な事になるだけの結果が今から見え見えではありますな。合掌。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013696171000.html
渡辺代表「当選1回の議員をマインドコントロール」
12月9日 19時51分


○FED高官発言とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXK0J46S973M01.html
セントルイス連銀総裁:量的緩和縮小の可能性高まる
更新日時: 2013/12/10 04:43 JST

昨日は他にラッカー総裁とかフィッシャー総裁とか名うてのタカ派先生が話をしていたようですが、まあタカ派の人がTaper話をするのは仕様なのでこちらは正直どうでも良く、ブラードさんの場合は物価重視タイプでピュアウォーターに近い方の人なので、こういう方がどう出るかというのが重要。

『12月9日(ブルームバーグ):米セントルイス連銀のブラード総裁は、労働市場の改善に伴い債券購入縮小の可能性が高まっているとの認識を示した。その上で低インフレの状況を考慮し、縮小する場合でも小幅にとどめるべきだと指摘した。』(上記URLより)

ということでセントルイス連銀のサイトに行くとブラードさんの講演要旨とプレゼン資料がございますぞなもし。

http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=2016
DECEMBER 09
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Tapering, Forward Guidance and Fed Communications

プレゼン資料(PPTをPDFにしたもの)はこちら(重いので注意)
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard-CFA-St-Louis-December-9-2013-Final.pdf

でまあ要旨の方から簡単に。

『ST. LOUIS - Federal Reserve Bank of St. Louis President James Bullard discussed “Some Issues in Current U.S. Monetary Policy” at a meeting of the CFA Society of St. Louis on Monday.』

ほうほうそれでそれで?

『During his presentation, Bullard reiterated that current U.S. monetary policy has two components: 1) a short-term policy rate, which has been near zero since December 2008, and its associated forward guidance, and 2) an “open-ended” asset purchase program that began in September 2012, with purchases currently at a pace of $85 billion per month.』

政策のコンポーネントは(1)金利政策(2)オープンエンドの資産買入の二つですとな。

『In regard to the asset purchase program, he emphasized that any Federal Open Market Committee (FOMC) decision on tapering is data dependent, where tapering refers to reducing the pace of purchases. “Data dependence encompasses both cumulative progress in labor markets since September 2012 and a judgment concerning the sustainability of that progress,” Bullard explained. He also noted that “inflation continues to surprise to the downside.”』

これその後の部分(引用しないけど)でも説明してるのですが、資産買入に関しては「累積的な効果」というのを強調していまして、いやまあそれはそれで判るのだが、「データディペンデント」と言った場合にそういう話を持ってくるのって何かイカサマのような気がせんでも無い。

でまあ物価に関してはダウンサイドとな。

『Bullard discussed other current U.S. monetary policy issues, including possible changes to forward guidance and the idea of holding a press conference after all FOMC meetings.』

つーことで、じゃあ結局そのTaperingはどうなのよというとその先にある『Cumulative Progress in Labor Markets』って小見出しの所と、『Low Inflation』って小見出しの所にございます。

『“Cumulative progress in labor market outcomes since September 2012 provides the most powerful part of the case for tapering,” he said.』

『Based on labor market data alone, the probability of a reduction in the pace of asset purchases has increased,” Bullard said.』

『“There is no widely accepted reason why inflation is running as low as it is in the face of extraordinarily accommodative policy from the Fed,” he said.』

『“A small taper might recognize labor market improvement while still providing the Committee the opportunity to carefully monitor inflation during the first half of 2014,” Bullard said. “Should inflation not return toward target, the Committee could pause tapering at subsequent meetings,” he added.』

・・・・・・・・・・・ということでまあ要するにTaperingを実施するなら実施するで宜しいけど、ペースは極めてゆっくり行うべきであって、その間の物価の上昇が遅いようだとTaperingを停止(ややこしいな)するという判断も必要になるでしょう。ということなのでTaperは容認するけどかなーりグラデュアルな話ですなという所。

で、本来はブラード総裁と言えば「低金利政策の長期化と望ましくない低インフレは「好ましくないデフレ均衡」に陥るリスクが有る」という主張を日本の事案を例にとって説明してQE2実施の理屈を展開したという実績がございますので、目先の金融政策運営的には今引用した部分がポイントではあるのですけれども、マニア的に興味があるのは後半のフォワードガイダンスに関する説明が過去の説明とどういう整合性を持って(あるいは転向して)いるのかという部分になるのですが、話がややこしくなるのと読み込むのに寝起きではさすがにしんどいのがございますので今日の所はパスということで勘弁。


○ちょっとURL置いておきます

これは面白そうな気がするのでURLだけ置いておく

蟹総裁の講演
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/184.aspx
News Release - The spirit of the season - speech by Mark Carney

本文はこちら
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech696.pdf


○オペ雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131209.htm
国庫短期証券買入 10,000 2013年12月11日

短国買入が月曜になったのは先週金曜に6Mの入札があったからで、1兆円というのもMB着地から逆算するとまあそうなりますわなという感じなのですが、輪番が無かった方がちょっと意外感があって、いやまあ確かに買入の目標自体はそこまでシャカリキに買わなくても達成できますし、買入の回数自体についても柔軟性があるという建付けではあるのですが、これうっかり今月輪番の買入回数が減ると無駄に変な思惑を呼ぶことになりますので如何なものかという感じはします(ここから大納会以外の営業日に買入ぶつければ良い筈なのですが受渡しが年末越えをやるのかね)。

どうせMB目標の数値に関しては幅のある話ですし、大体からしてMBの着地は下にぶれるよりは上にぶれた方が文句や思惑が出ることも少ない(まあ市場の中の人的にはバカスカ買われて民業圧迫という面はありますが)のでありますし、まあ短国は最初から調整玉扱いですけれども長期国債の方は一応色々と買入ペースに関して物議をかもしたという経緯もあるので、変に思惑呼ばないようにした方が吉のような気もするんだがどうですかねえ。

なおオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131209.htm
国庫短期証券買入 47,575 10,004 0.005 0.006 34.1

まあしかし短国も調整玉とは言え、11月にホイホイペースを上げて週2兆の盛大なペースで買入を実施して短国のレートが新発で3bp台まで低下してしまい、着地が見えてきたのでペースをいきなり週1兆のペースで下げるとか(着地以外に月次の走りも重視しているからそうなるのでしょうが)、日銀様の買入で需給自由自在という状態で相場観もへったくれもないというのは今に始まった話ではございませんがまあそういう展開でございますなあという所です。


○黒田総裁講演はこれまた味わいがありますが時間ががががが

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131207a1.pdf
公共政策研究と金融政策運営
−東京大学公共政策大学院における黒田総裁講演の邦訳

という事は元は英文講演ですな。しかしめんどいので邦訳しか読まない手抜きのアタクシです。


・エコノミスト的ビューではございませんなこらまた

木内さんと佐藤さんがここもと講演を行ってエコノミスト的な視点(そらまあ市場のエコノミストだったのですから当然ですが)で金融政策運営の論点について説明していてどちらの講演も興味深い面白い内容であった訳ですが、今回の黒田さんの講演はこらまた別角度ですの。

『3. 金融政策運営の変遷』の部分が中々味わいがある上に参考にもなるのでこのパート全部引用します。

『欧米でも、日本でも、長らく中央銀行の主たる使命は、物価の安定や経済の安定というよりも、金融システムが円滑に機能するのを確保することにありました。例えば、19 世紀後半の英国では、度重なる金融危機を経験したこともあり、中央銀行であるイングランド銀行に対して、「最後の貸し手」として、破たんに瀕した金融機関に流動性を供給し金融システム全体の動揺を防ぐという役割が期待されていました。』

なお話の本筋とは違いますがバジョットの「ロンバード街」はとりあえず読むのが吉です。

『また、米国において、19 世紀終盤から20 世紀初頭にかけて金融危機が続いた反省から、金融システムの不安定性を解消することを狙って連邦準備制度(Federal Reserve System)が設立されたという事実も、中央銀行が金融システム面で果たすべき使命に対する当時の考え方をよく示していると思われます。』

『1882 年に設立された日本銀行については、大量に発行された政府紙幣の整理という目的に加えて、中央銀行を中核とする近代的な金融システムを構築するという狙いが挙げられていました。このように、金融システムの安定性を確保することによって金融恐慌の発生を防止し、経済発展に資することがこの時期の中央銀行の目標だったといえます。』

ふむ。

『こうした状況は、20 世紀に入って徐々に変化しました。とくに、1930 年代に国際金本位制が崩壊し、各国で不換紙幣制度に移行した結果、中央銀行による通貨発行量は金の保有量という制約から解放され、金融政策の自由度が大幅に増しました。そうしたこともあり、主要国では、金融政策によって積極的に経済の安定、なかんずく物価の安定を図るという考え方が拡がっていきました。第二次世界大戦中こそ、多くの国の中央銀行に、財政支出が拡大する中で国債価格を支持する役割が課せられましたが、戦後、金融政策は国債管理政策から分離され、自律性を回復していきました。』

ですです。

『その後、2度のオイル・ショックによる世界的な資源価格高騰と物価高騰を乗り越え、1980 年代半ば以降は、米国など主要先進国では、物価が安定するとともに、景気循環もなだらかになりました。例えば、先進国をみると、1980 年代から、2000 年代のリーマン・ショック直前までの間に、経済成長率はほとんど変化がない中で、物価上昇率は6.5%から2.1%まで低下しています(図表1)。このように、世界経済が過去に例のない良好なパフォーマンスを示すもとで、中央銀行が果たすべき役割についても、「中央銀行が物価上昇率を一定の水準に収斂させることに集中すべき」という考え方が次第に定着していきました。』

『また、こうした変化を背景にした中央銀行に関する制度的な枠組みも整っていきました。すなわち、中央銀行法の改正などにより、中央銀行に独立性を付与するとともに、物価の安定に特化することを明確にするケースが相次ぎました。さらに、金融政策の運営の面では、主要中央銀行による物価安定目標──インフレーション・ターゲティング──の採用につながっていきました。』

キタコレ!

『こうした世界的な潮流のもと、1997 年には現在の日本銀行法が成立しますが、日本の場合は他国とはやや異なる状況も生じていました。1990 年代以降、日本経済は、バブル崩壊に伴う不良債権問題を背景に金融システムが不安定化し、長年にわたる低成長とデフレに苦しむことになります。日本銀行は、世界に先駆けてゼロ金利政策、量的緩和政策など、過去に例のない様々な「非伝統的な金融緩和策」を実施しました。政府は、何度となく大規模な財政支出を行いました。その結果、1930 年代のような恐慌は回避され、景気回復局面もみられましたが、デフレからは15 年たっても脱却することはできませんでした。』

ですなあ。

『長期にわたるデフレの原因としては、低成長の継続、金融システムの不安定化、新興国の台頭、労働市場の構造変化など、様々なものが考えられます。しかしながら、原因は何であれ、私は、日本の中央銀行である日本銀行にはそれを止め、物価の安定を実現する責任があると思っていました。言い換えれば、物価安定に対する日本銀行のコミットメントが弱かったため、金融政策の重要な経路である経済主体の期待に対して十分に働きかけることができていなかったと考えていました。そうした思いが、「量的・質的金融緩和」につながることになります。』

(・∀・)キタコレ!!!

ということでして、アプローチがモロに制度面、法的マンデートという面から来ておりまして、いわゆる麿ドクトリン的な「これは可能なのかどうなのか」という話ではありませんで、「法的にやれって言われているんだから先ずはやらないと存在意義ねえだろ」っつー方向から話がおっぱじまっております所はこれはこれで理屈としては一つのロジックでありますのでよーく判るのですけれども、このアプローチだとエコノミスト的なアプローチとは場面場面では一致する部分も結構あるでしょうが、本質的な部分では水と油な話でもあって、そらまあ最近とみに日銀執行部のアプローチが気合だ気合だ気合だのアニマル浜口状態になっている罠というのが伝わるお話ではありましたという所でこのパート引用しました。


・期待は本当に引き上げられるのでしょうかねえ

『4. 「量的・質的金融緩和」の考え方』の所ではこういう話をしているのですがね。

『現在、日本経済が直面している問題は、デフレが長く続く中で、人々の予想物価上昇率が低下し、「物価は上がらない」という感覚、デフレ・マインドが定着してしまったことです。こうしたもとで、予想物価上昇率を引き上げることが政策課題となっています。』

『これまでの中央銀行の歴史を振り返ってみても、低すぎる予想物価上昇率を政策的に引き上げるというのは、大きな挑戦です。しかも、日本の場合、短期金利は既にゼロ近傍まで低下し、長期金利も1%を割る水準まで低下しています。「名目金利の引き下げ余地が乏しい中で、どうやって予想物価上昇率を政策的に引き上げるか」──これが我々の直面する課題です。そして、「量的・質的金融緩和」がその処方箋なのです。』

ということでああだこうだと説明部分は割愛しますが、最後の所でさっきの「法的マンデートとしてのアプローチ」の話を再度しているのでそこも引用しますね。

『すなわち、第1に、私は、日本銀行は、中央銀行という公共主体として、「物価の安定」という法律で与えられたマンデートに忠実な政策を行うべきだと強く思います。まず、そのことに明確にコミットすべきです。また、第2に、「量的・質的金融緩和」では、中央銀行の明確なコミットメントとそれを裏打ちする大規模な緩和策によって、経済主体の予想物価上昇率を上昇させるというアプローチを採りました。これは、「期待」の重要性を説く経済学の実践です。「量的・質的金融緩和」は、こうした大きな骨組みのもとで、中央銀行の経験や金融実務などの実践的な要素を取り入れて設計したものです。これによって、デフレからの脱却を成し遂げることができると思っています。』

とまあこの辺は威勢が良いのですが、ちとワロタのはこの先の部分の『5. 公共政策研究の将来』の中のトピック部分。

『第2に、政策主体はいかにして「期待」に働きかけることが可能かという点についての研究の深化です。前節でお話ししたとおり、経済主体の期待への働きかけは、金融政策にとって極めて重要なものです。最近の主要中央銀行の政策運営をみても、期待への働きかけが一層重視されるようになってきています。例えば、FRB、欧州中央銀行、イングランド銀行などで、いわゆる「フォワード・ガイダンス」の採用が相次いでいます。』

ふむ。

『この政策手法は、金融政策運営の先行きを明示することにより、不確実性を低下させたり、金利のゼロ制約のもとでのさらなる金融緩和効果を狙うものですが、中央銀行の意図したとおりに市場参加者が期待を形成するように働きかけること(Expectation Management)は簡単ではありません。』

(;∀;)イイハナシダナー

・・・・・・・・・って市場参加者の期待よりも一般的なインフレ期待の働きかけの方が更に難しい気がするんだがしらっとゆうとりますな黒田総裁。

『市場参加者の期待形成は、金融経済情勢に対する見方や過去の経験、あるいは構築しているポジションなど様々な状況に規定されるからです。このように、多様な社会経済状況の下における期待形成の分析は、引き続き公共政策研究の重要な課題であり、その成果は、金融政策運営に資するところが大きいと思われます。』

とまあ綺麗にまとめてはいますが、基本的に自信満々講演の中で珍しく微妙につつかれる穴がありやがったですなあというのが今回の講演のちとワロタ所でありまする。

まあ何ですな、この講演のお題目が公共政策研究というテーマなので、説明の内容が政策運営機関としての法的マンデートに則った政策運営とは何ぞやというようなアプローチになってしまいますねというのは勿論あるのですが、ちょうどここもと木内さんと佐藤さんというエコノミスト的なアプローチでの金融政策運営の論点についての講演が続いた後というタイミングだったこともあって、結構対照的な話を執行部から聞く(読む)ことができましたなというのが味わいの深い所でございました。

なお金融政策の波及効果とかその辺の話についてはネタにするかもしれませんししないかもしれません。先ほども申し上げたように内容のトーンとしては例によって例の如く自信満々モードであります。


2013/12/09

お題「ECBが微妙に手詰まり/さすがにこれは無いわ(伊藤隆敏先生発言)」

月曜なので雑談でおじゃる。

○色々とこれは酷いというニャンコ発言

金曜の債券市場はまあ何か知らんが前場から売りっぽくて昼過ぎに一段下がったと思ったら例のニャンコ発言の英文ヘッドラインが出た辺りで先物下がってうひょーと思ったらそこで買いでも入ったかやや戻るの巻、とまあそんな感じで推移していた訳でありますが・・・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXDA7V6K50Y001.html
GPIF理事長こそ誤解、国内債売却すぐ着手を−伊藤隆敏教授 (3)
更新日時: 2013/12/06 16:55 JST

実際はインタビュー記事全部が出る前に13時半くらいからヘッドラインがブルームバーグに出ていたのですが、まあしかしこれはさすがに酷いっつーか公的な立場で発言するという事の意味が分かっていないという意味で可及的速やかに心を洗いに聖なる川で沐浴などをされてこられた方が宜しいのではないかとしか申し上げようがないご発言の数々に大変に敬服の念を禁じ得ない所ではございました。ちなみに三(自粛)あたりオヌヌメしておくんですかよくわかりません><

色々と面白いので週初の雑談代わりにツッコんでみますが。

『伊藤教授は満期保有なので名目上は損失が生じないとしても、消費者物価や市場金利の上昇に見劣りする機会損失を被れば「受託者責任を果たしていない」ことになるとけん制。』(上記URLより、以下同様)

んーっとですね、逆にニャンコ先生の仰るように経済物価情勢や市場金利が動かなかった場合なのですけれども、ニャンコ先生の仰る通りにポートフォリオを動かして発生した機会損失についてはニャンコ先生が全財産投げ出した程度じゃ足りないと思うのですけれども、人様に対して機会損失で受託者責任をどうのこうのとかそもそもあんさんが委託者な訳でもないのに何様の積りで仰せなのかさっぱりワカランチ会長なのですが、まあ当然ながらそうならなかった場合は伊藤大先生におかれましては全財産投げ出してリアル切腹でもして頂くというご覚悟の元でご発言されていると思いますと大変に素晴らしい発言と敬服せざるを得ませんな。

『平常時なら巨額の売却は国債市場の波乱要因となりかねない。だが、黒田東彦日銀総裁が「量的・質的金融緩和」を推進しているとし、「今なら大丈夫だ。市場もGPIFの売りを歓迎する。物価と予想インフレ率、市場金利が上がってからでは危険だ」と語った。』

色々な意味で良く判らんのですが、まあ金曜の債券市場の動きを見たら歓迎せんだろと思いますし、大体からして異次元緩和の実施で国債を大量に購入して経済物価情勢よりも金利水準を低い状態にしようとしている側からその買入効果を全力で減殺するような売りを入れるとか、アベノミクス第一の矢を後ろから撃ってどうするのでしょうかねえ。

てかね、確か今回の改革ガーの話をしている中で専門家をもっと登用してどうのこうのというのがあった筈なのですが、そもそも運用部隊と全然関係の無い外部の素人な外野の人間がホイホイしゃしゃり出てきて偉そうな能書きを垂れて受託者責任ガーとか言い出すような姑小姑付きの状態になっている組織で大先生様の仰せになる専門家のモチベーションをどうやって保つのかという点について小一時間問い詰めたいのですがボクちゃん頭が悪いのでさっぱりワカランチ会長でございますわ。

ちなみに最後にその辺の専門家ガーという話をしているのですが色々と意味不明。

『政府の有識者会議が中期的な課題に挙げたGPIFの組織改革に関しては、行財政改革の観点で歴代内閣が進めてきた独立行政法人全体の改革を待たずに「GPIFから独法のくびきを外すべきだ」と主張。「これだけ重要な問題なので、GPIFを例外化する閣議決定を明日にでもしてほしい」と述べ、予算・人員・給与に関する制約が緩めば常勤の専門家の採用は「今すぐにも可能だ」と述べた。その後に法改正を進め、日銀のような自由度の高い特殊法人にすべきだと強調した。』

色々と意味が分からないのですが、「独法のくびきを外すべきだ」と仰せになる同じ口でアセットアロケーションに対して好き勝手に発言されるという豪気さに頭が下がりますし、日銀が自由度の高い特殊法人ですかそうですかふーんという所ではございます。

なお、そういう話をする一方でこのようなご発言も。

『公的年金であるGPIFは安倍晋三内閣と日銀が目指す2%の物価目標を「共有しなくてはならない立場だ。達成が困難だと公言すれば、海外投資家はアベノミクスとGPIFのどちらが間違っているのかと混乱する」とも、伊藤教授は指摘。』

運用の専門家を採用して自由度の高い特殊法人にすべきだと言いながら「物価目標を共有すべき」というその間の理屈がどういう構成になっているのか頭の悪いアタクシにはさっぱり理解致しかねるので、大先生におかれましてはその辺りのロジック構成についてもう少し下々の者に判るようにご説明を賜りたいと存じますが、そもそも「目標を共有しろ」とか言われましてもその目標が行かなかったり行くのに時間がかかるという事は別にアベノミクスが正しい正しくない云々と関係なく発生し得る問題でありまして、政策実施という意味で物価目標行かなかったら次善の策がどうのこうのとかそういう話になりますが、経済政策の話と運用の話は別だろというか、ポートフォリオをいきなり2%物価目標前提で作るというのは全くの別問題であって、仮に物価目標の達成が想定以上に時間がかかるとなった場合に「現実問題として機会損失(うっかりしたら実損)が発生する」という行為を基礎年金で取らせようという発想そのものが頭の悪い下々のアタクシと致しましては理解致しかねる次第でございます。

『消費者物価と予想インフレ率が2%前後に高まれば長期金利は将来的には3%程度に上昇するのが自然な姿だと述べ、デフレからインフレに転換した経済・物価見通しに基づき、利益を追求すべきだと話した。』

まあ計画経済かよというツッコミまでしたくなる訳で、どこのソ連かマルクスボーイですかと大変に頭の下がる思いでございますが、それ以前の問題として内閣府参与であります所の浜田先生などは「2%に仮に行かなくても経済が好調に推移してデフレのリスクが無ければ良い」という(それはそれで単体ではそうですよねという話ですが)お話をされておられたりしてましたので、三谷理事長にああだこうだ言う前に浜田先生の所に2%の物価目標を共有しないのはケシカランという話をされに逝かれた方が宜しいのではないかと存じますが如何でございましょうか(棒読み)。

てかね、そもそも何とか諮問会議で機関決定した話を超える話を勝手気ままに吹きまくるというのがお前何様だよとゆーか(この件については)公的立場にある人として如何なものかと思われる訳でございまして、まあこの前のモーサテの話っぷりでまたやるだろうなあとは思っておりましたので、この手の話を吹くだろうなあとは想像できましたが、勝手に機関決定以上だわ権限以上だわの話を座長が個人的に行うとかちょっと立場を弁えないんじゃないですかねえと申し上げたい次第で、いやあこの人日銀副総裁じゃなくて良かったですなあという所でございますし、勝手気ままに吹く座長を放置プレイする他の委員はカカシかよと思うのですけどね。

#とまあそんなツッコミでありましたとさ


○ECBドラギ会見では追加緩和の手段質問VS利下げの効果自賛に味わいが

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is131205.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 5 December 2013

・冒頭説明部分で特段のサービスなし

というのは金曜に引用しましたところで大体理解できましたが念の為熟読したが早期追加緩和を示唆するような説明は無かった次第です。冒頭説明部分のまとめを引用しますね。

『To sum up, the economic analysis indicates that we may experience a prolonged period of low inflation, to be followed by a gradual upward movement towards inflation rates below, but close to, 2% later on. A cross-check with the signals from the monetary analysis confirms this picture.』

ということで、まあサービスが全然無かったのですが、会見の方では「次に何をやりますの」という質問が飛ぶわけで・・・・・・・・・・・・・・


・物価見通しが下がっていますがという質問に対して延々と「11月利下げの効果」の話をするドラギおじちゃん

最初の質疑応答が色々な意味で味わいがある。

『Question: Mr Draghi, you said that you expect inflation to be 1.3% in 2015. Recently, you talked about the need to act in November to create an inflation buffer. Do you now think that you have enough of a buffer to render the threat of deflation less acute? In relation to that forecast, you said that you expect inflation to climb to the ECB’s target of below, but close to, 2%. However, the highest forecast we have is 1.3% in 2015. Is that good enough for you?

Second, Mr Constancio has said that negative deposit rates would be only used in extreme circumstances. Could one of you maybe give us a better idea of what constitutes extreme circumstances?』

最初の質問は物価見通しが下がっているのだが(金曜に引用した部分ね)それで大丈夫なのかとつまりは追加緩和として何か考えていないのかという意味を込めた質問でして、その次の質問はその流れでマイナス金利の導入に関する質問なのですが・・・・・・・・・・・・

『Draghi: First of all, our decision to cut rates in November has proved to be fully justified.』

いきなり「11月の利下げは正しかったという事が示された」と言い出すドラギ総裁。

『The message I would like you to take home with you today is that our forward guidance is working.』

フォワードガイダンスがワークしているというメッセージをお持ち帰り頂きたいだそうですよ奥様。

『The rate cut, as well as our commitment to conduct the main refinancing operations as fixed rate tender procedures with full allotment extending into 2015, have led markets to conclude that our monetary policy stance will remain accommodative for an extended period of time.』

ほうほうそれでそれで?

『The forward curve is now back where it was in May. We are pleased with this development, which is fully justified given the subdued outlook for inflation in the medium term.』

フォワードがーぶが5月の水準に戻ったのが目出度いと仰せなのだが、そもそも物価見通しが下がっているのだから目出度いもへったくれもないと思うのですが・・・・・・・・

『It has also shown greater clarity in our reaction function.』

いや多分反応関数が分かりにくくなっていると思うぞ。

『Other positive consequences of this set of decisions include an impact on the EONIA curve and a slope in the EURIBOR curve, a decline in the yields of many non-core government bonds and senior unsecure bank bonds, and a pick-up in bank bond issuance, even for stressed countries such as Portugal and Ireland - and all this has had no impact on equity markets.』

『We have also seen a slight reduction in fragmentation and, after two months of stabilisation, today’s data show a renewed decline in TARGET2 balances. Cross-border flows have also stabilised at pre-crisis levels. All in all, we have seen positive developments both before, and in particular after, our decision in November. For example, there has been a negative net issuance of government bonds, but this has had no appreciable impact on the yields of these bonds.』

ああだこうだと11月の決定によって起きた市場の変化に対して自画自賛しているの巻。

『All this has happened against the background of inflation expectations remaining firmly anchored in the medium to long term. As not only markets but also survey indicators show, the second consideration is that while the HICP path is what it is, as I have just discussed with you a moment ago, inflation excluding food and energy drifts slightly higher over the forecast horizon.』

ふーん。

『The final point I would like to make is that it would be wrong to think that we determine our monetary policy on the basis of a single figure for inflation. It would also be wrong to think that the effects of our monetary policy are instantaneous. They are anything but that. It takes time for the full effects to materialise and the amount of time it takes depends on many factors, in particular two. What is the state of banks’ balance sheets? And what is the state of the private sector’s balance sheets? The greater the deleveraging process that needs to be undertaken by both banks and corporates, the longer it will take for our monetary policy to have its full impact. That is why the asset quality review is so important, because it could actually shorten this period of time.』

さっき政策反応関数に透明性を与えたとか言っていたのに「インフレに関する単一の数値のみを基に政策を判断する訳では無い(キリッ)」と、まあそれはそれで正しい話ではあるのだがそういう講釈を垂れられましてもじゃあ政策反応関数は何ですねんという所ですが、話がSSMに向けた金融機関の資産査定という所にまで拡散するという有様。

・・・・・・・・・でですね、このドラギ先生の講釈なのですが、先ほどの質問に対してのお答えはここで終了しておりまして、恐るべきことに質問に対する答えにろくすっぽなっていない所か、後半のマイナス金利に関する質問にはそもそも触れてもいないという大変に素敵な大演説モード。

ということで、11月の決定に関する正当化の話とかすら聞かれもしない話を延々とすることによってお答えをする、という時点でまあ何か具体的な政策手段に関する質問されると困るモードになっているというのが判ると思うのですが、当然聞く方も判ったようで、この後は具体的な手段に関する質問と、それに対する事実上のゼロ回答という応酬が暫く続くのであります。

つまりですね、よーは今回の会見(のうち大体前半が今書いたような感じなのですが)を見るに、「後続の手段が全然コンセンサス取れない中でとりあえず11月はヤケクソで単発のサプライズ利下げをしてみました」というのが見え見えで、先の手段ねえわこりゃと思われてしまうだろうなあと、まあそういうのが総評でありますが、時間が無いのでこの先の質疑はネタが無かったら明日にでも続きを。



2013/12/06

お題「佐藤審議委員会見/ECB据え置きですな/その他ニュース雑談」

さあ皆さん12月も実働あと3週間ですよ〜っと言いますか、曜日の並びのせいで今月も20営業日しかないから忙しいですなマッタクモウ。

#なお、引用で増量になっておりましてすいませんすいません

○ニュース雑感

・あまりん・・・・・・・

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120501002098.html
甘利氏が治療でTPP会合欠席へ 早期の舌がん、一時辞意も慰留 
2013年12月5日 22時35分

何はともあれ無事にご快復される事をお祈りするのですが、がんで辞任をしようとする人を慰留ってそらあまりんが余人をもって代えがたいというのは判らんでもないけどあまりんカワイソス。

・特定秘密保護法案

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120501001664.html
秘密法案、成立強行は6日に 野党は問責決議提出 
2013年12月6日 01時27分

そもそもこの法案って民主党政権でも必要性がどうのこうのとか出ていた話なのですから、法案をもっときちんと作り込めばこんなに突っ張って(一昨日の与党からの常任委員長解任とか無茶にも程があるわ)通しに行かなくても済む話だったと思うのですけどねえ。赤点再履修レベルのフワフワ法案じゃなくて内容をちゃんと作れば経緯から考えて反対するの代々木と三宅坂(は引っ越しましたっけ)くらいだったと思うのだが、何でこんな状態で突っ張る事になったのかがさっぱりワカランチ会長。

#うーん第一次内閣の・・・・・・・

・経済対策である

詳しい内容はこちら
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/131205_koujyunkan.pdf

概要はこちら
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/131205_koujyunkan_gaiyo.pdf

でまあめんどいので概要の結論部分だけ引用という手抜き。

『本対策の規模 合計 5.5兆円程度(注) 18.6兆円程度
(注)このほか、地方交付税交付金の増1.2兆円、公共事業等の国庫債務負担行為0.3兆円、財政融資0.1兆円。』

『本対策の効果

○予算措置による経済効果(現時点での概算)実質GDP比概ね1%程度、雇用創出25万人程度

○盛り込まれた成長力底上げに資する施策に加えて、経済の好循環の実現に向けた取組、さらには、経済政策パッケージで決定された1兆円規模の税制措置等の実行⇒民間投資、消費の喚起や生産性向上につながり、所得・雇用の増大を伴う経済成長』

はあそうですかという所ですが、まあその内容がどうのこうのという詳しい話は本職の方が分析して下さるとは思うのですけど、よーするに消費税増税というイベントに経済対策をがっつりとぶつけてくるという財政運営スタンスが維持されているっつー事で、つまりは10%への増税に向けて経済対策は続くでしょ、という所だけ確認。



○佐藤審議委員会見から少々

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1312b.pdf

・追加緩和に関する質疑

質問が長いよ。

『(問) 本日の講演に関していくつか質問します。まず1 点目は、講演の中で、「追加的な緩和手段は仮にあるとしても期待の転換を図るという点においては逆効果となりかねない」とおっしゃっています。「あるとしても」という言い方で、何となくニュアンスは伝わってくるのですが、佐藤委員ご自身は、仮に手段があっても限定的で、しかも効果も限定的だとお考えなのか、それとも2 年で2%の物価目標の実現を確かなものにするために、有効な追加的な手段があるとお考えなのか、教えて下さい。』

『2 点目は、「上下双方向のリスクを点検し、必要な調整を行う」とおっしゃった点です。黒田総裁もこれを何度も繰り返しておられますが、佐藤委員の想定する下振れリスクというのは、リーマン・ショック級のショックであって、経済物価見通しが小幅修正されるといった些細な話ではないとおっしゃっています。つまりこれは、リーマン級のショックでなければ追加緩和は想定できないし、仮にそういうショックでない時に追加緩和が提案された場合には、反対するというお考えなのかどうかというのが2 点目です。(以下割愛)』

この後実は3点目もあるのだが話題がちょっと変わるので後ほど。いやあの丁寧に質問していて質問の趣旨が分かりやすいのだが質問を3回(または2回)に分けるというのはダメなのか??

おかげで答えも長い。

『(答) 1 点目の質問は、講演の中で、「追加的な緩和手段は仮にあるとしても期待の転換を図るという点では逆効果になりかねない」と申し上げた点に関してですが、若干補足させて頂きたいと思います。』

4月追加緩和と連呼している何とかストの皆様におかれましては目を皿のようにご確認いただきたい。

『まず、私どもとしては、そもそも4 月4 日に「量的・質的金融緩和」を打ち出すことによって、相当思い切った措置をとったつもりです。よく知られているように、日本銀行は国債の新規発行量の7 割超を買入れるということを行っていますが、その際、ある程度のフィージビリティーを確認し、これ以上買えるかどうかというギリギリの判断をした上で、今の買入れ額を決めています。そういう点では、総裁も申し上げている通り、打つべき手は全て打ったというのが、4 月4 日時点の判断です。その時点での判断は、足許も特に変わっているとは思いません。』

そういうことですな。

『追加緩和手段ということが、最近マーケットでよく取り沙汰されていますが、ここから先、例えば4 月4 日に打ち出したような政策を新たに打ち出すことによって、マーケットや経済全般、あるいは人々の予想形成に与えたものと同規模のショック、ないしはそれを凌駕するようなショックを与えることができるかというと、それはやはり、私としては難しいのではないかと思っています。そういう意味で、追加緩和手段の効果は限られるのではないかと申し上げたわけです。』

次に追加を実施すると結局いつもの「逐次投入」に戻ってしまうでしょという事ですし、大体からして消費税増税の影響について検討した上での「必要な政策は全て投入」なのですから、増税の影響が意外に大きくて見通しが大きく下振れるという話になったら追加措置はアリエールでしょうが、増税の影響に対してプリエンティブに対応するというのは「異次元緩和実施前の日銀ドクトリンに戻る」ということになる訳で「期待に直接働きかける」という異次元緩和政策のポイントからずれているんですよねえ。

『もちろん、これは、効果が限られるからといって、あらゆる追加緩和手段を排除するということを申し上げているわけではありませんので、念のため付言します。』

一方で初めからやらないというとそれはそれで期待に働きかける政策という意味では何となくプットオプションがありますよ的な見せ方も必要だからこういう話になる、っつーことです罠。

『2 点目のご質問は、必要な調整を行う際の下振れリスクの程度に関して、この下振れリスクというのは、例えばリーマン・ショックや欧州債務危機に匹敵する、国際金融資本市場を揺るがすような大きなショックでなければならないかという点についてです。』

ふむ。

『もちろん、下方リスクの大きさや波及の程度をどう評価するかということは重要な問題だと思いますが、それ以上に重要なことは、2 年程度で2%の「物価安定の目標」を実現していく上で障害になるような下振れリスクが出てくれば、何らかの対応を行う必要が出てくる可能性はあるということです。』

『重要なことは、2 年程度で2%が見通せる状態になるかということを判断基準にしたいということであって、そこが揺るがされるような事態になれば、何かを考えなければいけないということです。(以下割愛)』

仰せのとおりですな。つまり現状では「2年程度で2%が見通せる状態」に向けて順調に経済物価情勢が推移している、というのが(佐藤審議委員の見解は別ですけれども)日銀の中心的な見解になっている訳でして、その状況の中で何の必要があってプリエンティブに対応しないといけないのか全くもって意味が分からないですな。いやまあ追加緩和ガーと言っている何とかストの皆さんの経済物価見通しとして、ここから来年の1−3で世界経済が大コケしてもうエライコッチャなので追加緩和が必要になるでしょうというのであればそれはそれで筋が通っているのですが・・・・・・・・・・

#まあそういう点では気になるリスクも無い訳でないが


・日銀資産の積み上げに関して

先ほどのクソ長い質問の後半部分。

『(問) (前半割愛)3 点目は、「マネタリー・ベースの積み上げには相応の不確実性がある」とおっしゃった点です。マネタリー・ベースの積み上げが困難になった時には、どのように対応するのでしょうか。黒田総裁は、2 日前の名古屋での講演で、マネタリー・ベースの本年末、来年末の見通しというのは期限ではないと、先行きもこのペースで増やしていくということを示唆されています。マネタリー・ベースを積み上げていく上で、長期国債の買入れで札割れが起こって資金供給が難しくなる可能性は低いと思いますが、短期国債の買入れで資金供給が困難になる可能性は十分あると思います。その場合に、短期国債でマイナス金利での買入れを行うとか、長期国債の買入れを今以上のペースで増やすとか、あるいは量的・質的金融緩和の枠組みそのものを見直すとか、いくつかの対応があると思いますが、その点をどのようにお考えか、教えて下さい。』

で、そのお答え。

『(答) (前半割愛)3 番目のご質問は、マネタリー・ベースの積み上げに関して、不確実性があるのではないかということです。これはその通りだと思います。』

キタコレ。

『本年に関しては、年末の見通しである200 兆円はほぼ射程圏内に入ってきていますが、来年に関しては、年末に向けて270 兆円を積み上げるわけです。これは、講演でも述べたように、マネタリー・ベースの規模が大きくなればなるほど、その時々の金利情勢や応札する金融機関の金利観などによって色々と影響は出てくるので、積み上げの不確実性は高まるだろうと思います。』

つまり・・・・・・

『そういう点で、マネタリー・ベースの水準が高まれば高まるほど、この達成に向けた不確実性は出てくると思いますが、ご指摘のように、短期の資金供給は、9 月に一時期、期末要因ということもあって短期金利が急低下した際、持続性が危ぶまれるような局面もありました。』

10月1回目の決定会合議事要旨では「一時的」ということで片付けられていた短期国債市場の金利ヒャッハー低下でございますが、このように「持続性が危ぶまれるような局面もありました」という認識を示して頂いているのは心強いですな。

『今後の対応方針について、マイナス金利で買い入れることや、長期と短期の資金供給のアロケーションを変えることがあり得るかというご質問だったと思いますが、私どもとしては、先行きの金利情勢等々を睨みつつ、その場その場で柔軟にオペレーションを考えていくということに尽きるのではないかと思います。既に、執行部には、ある程度のオペレーションの柔軟性を授権していますので、とりあえずは、その柔軟性の範囲内で執行部に考えてもらうということですし、もしその柔軟性を超えるような範疇のことが出てくれば、政策委員会の中で何らかの議論が必要になってくる可能性もあると思います。まずは、オペレーション面における色々な工夫の中で対応していけばよいのではないかと思います。』

金融市場局と調節課が頑張ってくださいと言うことですねわかります(><;

・・・・・・・てかまあこういう風にオペレーションのフィージビリティーに対して認識を示している方が政策委員会の中にきちんといるというのが把握できた点でまあヨロシですなという所でして、どうもこう全体的にはフィージビリティー本当に考えているのかというのが怪しげな感じしか漂ってこないのは来年以降の政策どうなりますねんというのを考えた際に色々と気になる部分ではあります。


・物価安定目標の定義に関する話

この質疑も幾つかあったのですがその中から2つ引用します。

『(問) 「現在の金融政策は、様子をみる段階である」というご見解と、先日の展望レポートについて、「目標設定は正しいけれども、見通しとして2%というのは難しい」というご見解との整合性ですが、佐藤委員は、端的に言って「政策効果の波及には、もうちょっと時間がかかるだろう」というお考えなのでしょうか。』

という質問なのですが、物価安定目標の定義に関する話になっているので答えを引用。

『(答) 私は展望レポートの物価の見通しの記述には反対票を投じましたが、その一方で、政策に関しては、とりあえず足許はwait&see のスタンスで、現状の「量的・質的金融緩和」の効果波及・浸透を見守っていくべきだと考えています。両者は特に矛盾するとは考えていません。』

ほう。

『なぜならば、2%の「物価安定の目標」は、私自身の理解としては、先程も申し上げたように、リジッドに目指すのではなくて、ある程度の幅をもってみるべきだということです。また、もう1 つは、2%という「物価安定の目標」を、実際の統計の結果で評価するのか、あるいは、そういった状況が見通せるという状況であればよい、すなわち「フォーキャスト・ターゲティング」の考え方で評価するのかという問題もあります。』

でまあ現状の物価安定の目標に関してはその辺が微妙に曖昧になったままだったりします罠。

『私としては、リジッドに、実際の統計の結果として2%がピンポイントで出てくるということが、政策の究極の目標であるとは考えていません。実際、仮に2%がピンポイントで出たとしても、それを持続させることは不可能です。そういう点では、何よりまず、全般的な経済状況として2%を見通せるかどうか、あるいは2%のパスに乗っているかどうか、というところの見極めが重要であって、今はその見極めをしている段階ということです。』

基本的には「フォーキャスト・ターゲティング」ですな。

『展望レポートについては、確かに物価に関してより慎重な見方であるということで反対票を投じましたが、それと現在の私どもの政策スタンスとは、特に矛盾するものとは考えていません。』

なるほど。で、次の質疑から。

『(問) 2 点お聞きします。先程、2%の物価目標の上下に一定のアローアンスがあるということについて、「政策委員の間でもある程度の共通認識がある」とおっしゃいました。ただ、アローアンスの幅についても共通認識があるのかどうか。想像するに、岩田副総裁などは極めて狭いレンジで、広くてもプラスマイナス0.5%ぐらいであれば許容範囲ではないかと思っているのではないかと想像するのですが、佐藤委員はその程度なのか、それともちょっと大きいとお考えなのか、それから他の方はどうなのか、これが最初の質問です。(以下割愛)』

『(答) まず、1 点目の質問は、アローアンスについての共通認識があるかどうかということですが、アローアンスの幅に関して、現時点で政策委員会の中で認識の擦り合わせを行っているということはありません。』

ふむ。

『ただ、それ以上に重要なことですが、実際に統計として観測されたインフレ率に基づいて政策を評価していくのか、あるいは2%を目指すパスに乗っていればよいと判断するのかどうかというところは、委員によって意見の違いがあると感じています。』

つまり実は物価安定の目標の定義部分で微妙にフワフワした部分があるというのが現状だったりするっつーことで。

『これはやはり、アローアンスの議論と密接に関連してくると思いますが、今は敢えてそうしたコンセンサスを形成する必要はないと考えています。すなわち、4 月4 日の「量的・質的金融緩和」が始まってから、そもそもまだ8 か月ということで、政策を評価するにはまだ早すぎるということです。将来的には、こういった物価安定目標の考え方を――それぞれの委員でおそらく幅を持って同意していることだと思いますので――、擦り合わせることが必要になってくる、あるいは違いが表面化してくるという可能性はあると思います。(以下割愛)』

ということでして、まあ来年のどこかの時点でこの問題で話がややこしくなる罠と思うのでした。


・海外のディスインフレがどうのこうの

先ほどの質問の後半から。

『(問)(前半割愛)もう1 つは、欧米のディスインフレの話ですが、もし欧米でも、2%を下回る低い水準の物価が定着したような場合には、それでもなお日本だけが2%を目指すということが正しいのかどうか。これは大きな議論になってくると思いますが、その点はどうお考えでしょうか。』

で、その答えですが・・・・・・・・・

『(答)(前半割愛)次に2 点目の質問は、欧米諸国のディスインフレ傾向が持続した場合には、ということですが、これは仮定のご質問ですので、なかなかお答えするのは難しいと思います。ただ、私としては――これは就任会見でも申し上げたことですが――、まずは1%を目指すということが基本であって、1%を目指せばその上で2%を目指すかどうかということを改めて考えればよいのではないかと思っています。』

ほほう。

『足許は、消費者物価指数のコアが前年比で既に0.9%まできており、おそらく1%台乗せは時間の問題となってきているのではないかという状況です。そういう意味では、1%というのは、理由はともあれ十分見通せるようになってきている状況です。』

(・∀・)キタコレ!

『そういう中で、さらに上を目指していくと、先程も申し上げたように、基本的にはリジッドに2%ということではなく、2%を目指すパスに乗っているのかどうか、つまり先行きの物価の経路が望ましいパスに乗っているのかどうかということを判断していけばよいのではないかと思っています。』

なるほど。

『その際、欧米のディスインフレ傾向というのは、当然考慮に入れるべき変数の1 つです。ただ、FRBもさることながら、特にECBに関して、先行きの物価見通しを引き下げた上で一段の金融緩和を行っていますので、こうした物価の下落を長期化させないという意思が感じられます。仮定の質問にお答えするのは難しいですが、いずれにしても、日本銀行としては、引き続き、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、邁進していくということに尽きるのではないかと思います。』

まあ期待に働きかける政策を実施しているからここは大人の対応的な説明になっていますなあ(^^)という感じでございまして、今の所海外の中央銀行は2%の物価目標に対してミートさせるような政策運営を行っているし、従来物価の弱含みをどちらかというと放置プレイ的だった欧州、米国の中銀が最近は物価に関する注目度を引き上げ(特にECBはその為に利下げを実施した訳で)ているのは、引き続き2%水準を目指すべき水準と認識しているという事ですね!!!というような感じで話を纏めていますな、うんうん。

しかしその場合に実は欧米の目標とする物価水準が経済の実力に対して過大だった時にどういう事になるのか、というのも中長期的には考えておく必要があるかもしれませんな、市場の中の人的には。



○ECBから少々というか斜め読みだが今回はあっさり味のような気がします

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2013/html/pr131205.en.html
5 December 2013 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.25%, 0.75% and 0.00% respectively.』

ということで据え置き。


http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2013/html/is131205.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 5 December 2013

ステートメントの最初の方だけ。

『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. Incoming information and analysis have confirmed our assessment and monetary policy decisions of last month. Underlying price pressures in the euro area are expected to remain subdued over the medium term. In keeping with this picture, monetary and credit dynamics remain subdued. At the same time, inflation expectations for the euro area over the medium to long term continue to be firmly anchored in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2%. Such a constellation suggests that we may experience a prolonged period of low inflation, to be followed by a gradual upward movement towards inflation rates below, but close to, 2% later on.』

と、ここまでが経済物価に関する全体的な部分というかざっくりの見通し部分ですけれども、大体書いてあること前回と大きく変わっていないようですな。

『Our monetary policy stance will remain accommodative for as long as necessary, and will thereby continue to assist the gradual economic recovery in the euro area. In this context, the Governing Council confirmed its forward guidance that it continues to expect the key ECB interest rates to remain at present or lower levels for an extended period of time.』

ここも同じなのですが、読んでて若干個人的に引っ掛かるのは毎回「フォワードガイダンスをコンファームした」という言い方をしている部分で、いやまあそういう意味では無いのは判るのだが、これだと何かの拍子にいきなり反故にすることが可能(そもそも中期的物価見通し以外の何にも紐がついていないから)なので、結局ドラギ先生のベシャリーヌで何とかしているだけという気もせんでもない。

『This expectation continues to be based on an overall subdued outlook for inflation extending into the medium term, given the broad-based weakness of the economy and subdued monetary dynamics. With regard to money market conditions and their potential impact on our monetary policy stance, we are monitoring developments closely and are ready to consider all available instruments.』

モニタークロースリーというのは相変わらず継続していますが、冒頭部分を見ますと全般的に今回は「変更がありませんなあ」という感じがしますのでちょっと市場は拍子抜けなんでしょうね。

ちょっと飛ばして物価に関する部分。

『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation increased in November 2013 to 0.9%, from 0.7% in October. The increase was broadly as expected and reflected, in particular, an upward base effect in energy prices and higher services price inflation. On the basis of prevailing futures prices for energy, annual inflation rates are expected to remain at around current levels in the coming months.』

今後数か月も現状程度の水準で推移と想定。

『Over the medium term, underlying price pressures in the euro area are expected to remain subdued. At the same time, inflation expectations for the euro area over the medium to long term continue to be firmly anchored in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2%.』

中期的にも物価上昇圧力は抑制されていて、中長期のインフレ期待は確りアンカーされた状態が継続しているとな。

『Broadly in line with this assessment, the December 2013 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area foresee annual HICP inflation at 1.4% in 2013, at 1.1% in 2014 and at 1.3% in 2015. In comparison with the September 2013 ECB staff macroeconomic projections, the projection for inflation for 2013 has been revised downwards by 0.1 percentage point and for 2014 it has been revised downwards by 0.2 percentage point.』

2013年と2014年の物価見通しをそれぞれ0.1%、0.2%引き下げています。

『The risks to the outlook for price developments are seen to be broadly balanced over the medium term. Upside risks relate to higher commodity prices and stronger than expected increases in administered prices and indirect taxes, while downside risks stem from weaker than expected economic activity.』

リスク認識が概ねバランスしているという認識は特段の変更はありません。

『Concerning the staff macroeconomic projections, let me inform you that the Governing Council has decided to publish more details as of December 2013. You will receive this material today after the press conference.』

詳しくは後ほどということですね。読んでる暇ないけど。

・・・・・・・・とまあそんな感じで、質疑応答は見てないですし超斜め読みしかしていませんが、全体的に冒頭の声明部分を見ますとそんなに下振れ警戒でも無いしデフレ警戒でも無いし、そらまあ前回利下げしてまた直ぐに何かやったらクレクレの刑になるだけだからやらんだろとは思いましたが、割とあっさり味の冒頭声明だったように思えます(ので市場が失望気味だったということでしょ)。




2013/12/05

お題「佐藤審議委員講演は多岐にわたる論点を示していて実に興味深い件について」

知る権利ガーとか吹きあがる(公聴会実力阻止とか無駄な所で頑張る皆さんは資源の無駄遣いだわと思うのだが)以前に、この法案審議してる中で後から法案の骨格が変わるような話がコロコロ出てくるザル状態ってゆーのは法案そのものが赤点再履修レベルだろと思うのだが何でここまで強引に通そうとするのですかねえ。安倍ちゃんの政治資源は第三の矢に使っていただきたいのですが・・・・・・・・・・・

http://mainichi.jp/select/news/20131205k0000m040100000c.html
秘密保護法案:ドタバタぶり露呈…参院委審議
毎日新聞 2013年12月04日 23時33分(最終更新 12月05日 00時39分)

そもそも「次官級会議」が何で第三者機関になるんだよという気がするが。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2013120500059
与党、きょう午後成立の構え=民主、森担当相問責検討−秘密法案
(2013/12/05-04:54)

金曜じゃなくて今日の参本でやるとな。第一次安倍内閣いやまあどうでもいいです。

・・・・・という微妙にどうもねえという話はさておきまして。


佐藤審議委員の講演が面白かったというか、論点が色々と呈示されていて非常に興味深いという感じでして、これまた素晴らしい講演でありました。ただ今回の講演論点大杉じゃわという所でして(^^)、一回で全部読めるのかと今から恐れるのでありました(ってまあ前日から書き出せば良いのですが師走ですから汗)。

#なお結局間に合った模様^^;

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131204a1.pdf
わが国の経済・金融情勢と金融政策
── 函館市金融経済懇談会における挨拶要旨 ──


○多くの論点を呈示した講演(挨拶)である

ということでまあ金融政策に関する話と経済に関する話について多岐にわたって論点を呈示しているというのが今回の講演なのですが、物価見通しの所では執行部ベースの見解とマッコウクジラでございますし、良く良く見ると経済見通しの所や金融政策の論点部分では木内さんともマッコウクジラな部分がありまして、こらまた佐藤さんも独自論点で突っ張って行きそうな悪寒がするのでした(^^)。

ちなみに講演テキスト本文は13ページ(最初と最後の挨拶みたいな部分を除くと実質12ページ)なのでどこかの誰かさんの講演などよりは相当短いのですが、興味深い論点の量では圧倒しているのは何故なんでしょうか。

ということで順繰りに読みつつ論点を見て参りませう。


○海外経済見通しそのものはそんなに弱い訳では無かったりする

最初が『2.最近の経済・金融情勢』ということで経済物価情勢のパートなのですが、海外経済に関する最初の小見出し『(世界経済見通し)』からもう論点満載ですよ奥様(^^)。


『世界経済の見通しは、本年夏場にかけて国際金融資本市場が不安定化したことから一時やや慎重化したが、国際金融資本市場もなお神経質ながらもひと頃に比べて落ち着いてきており、足許では徐々に改善しつつある。』

ふむ。

『やや詳しくみると、本年5 月下旬頃より、米国の金融政策を巡り、投資家の間で、米国連邦準備制度理事会(FRB)による資産買入れの早期縮小観測が強まったことを契機に、一部の新興国でトリプル安が進展するなど国際金融資本市場は不安定化し、このところ下方修正が続いていたIMF の世界経済見通しは新興国を中心に10 月に一段と引き下げられた(図表1)。見通しの引き下げが新興国中心で、先進国は全体として据え置かれた点は、先行きの世界経済の姿について、リスク面を中心に一定の示唆があるように思われる。』

ということで、IMFの世界経済見通しの引き下げについては先日木内審議委員も講演で指摘していましたが、木内さんはこの点について警戒的な説明をしていましたが、割と佐藤さんの説明は普通な説明になっておりまして、下振れ全力警戒という格好では無く読めますの。

『すなわち、目先の世界経済の見通しについてみると、米国経済は家計のバランス・シート(B/S)調整の進捗や住宅市場の改善を背景に緩やかながらも回復経路を辿っており、欧州経済は財政緊縮路線の修正や企業・家計マインドの底入れにより景気は持ち直しに転じつつある(図表2)。中国経済も、当局が経済成長の質を追求しつつも、景気の底割れを防ぐため小規模な経済対策で景気下支えの姿勢を示していることから、景気拡大ペースは、夏場以降、安定してきている(図表3)。』

『新興国市場をみても、概してなお神経質な展開が続いているものの、FRB の資産買入れ規模の縮小の後ずれから、ひと頃に比べれば落ち着いている(図表4)。米国や欧州景気の改善、中国の安定成長の範囲内での上向きな景気などは、韓国や台湾などにも徐々に好影響を及ぼしつつあることもあって、目先の世界経済の見通しにやや明るさをもたらしている。』

先般の木内さんの説明だと新興国がオッペケペーな点を全力警戒している感じでしたが、佐藤さんは先進国が比較的堅調に推移する中で新興国のあばばばばーがカバーされるんじゃないですかね的なニュアンスで、そもそも経済のリスク認識部分でニュアンスが違いますなと。


○佐藤さんの問題意識は物価の構造的な部分ですな

で、その海外経済に関する話の続きで早速論点キタコレであります。まあ小見出しの通り。

『また、中期的には米欧の最近のディスインフレ傾向や潜在成長率低下の可能性を懸念している。』

ディスインフレに潜在成長率低下の可能性と来ましたよ!!

『前者のディスインフレ傾向は、足許欧州でとりわけ目立ってきた(図表5)。背景として、一般に昨年のエネルギー価格上昇や付加価値税増税の影響剥落が指摘されるが、それ以外にも、周縁国の一部にみられる賃金の下落、金融機関などのバランス・シート調整、資産価格低下を映じた資金仲介機能の低下やそれらの影響も含めた実体経済の低迷など、90 年代以降の日本のデフレーションと共通する要因も見受けられる。』

>90 年代以降の日本のデフレーションと共通する要因も見受けられる
>90 年代以降の日本のデフレーションと共通する要因も見受けられる
>90 年代以降の日本のデフレーションと共通する要因も見受けられる

さらにこの次の部分も重要でして・・・・・・・・・

『こうしたディスインフレ傾向は今のところ短期の予想インフレ率に幾分影響を及ぼしてきてはいるものの中長期の予想インフレ率には影響せず、中長期の予想インフレ率は、米欧ともに2%程度で安定しているとされる(図表6)。』

で、この次の一文重要ね。

『しかし、日本の経験に照らせば、低いインフレ率が長く続くことで人々の予想が変化し、中長期の予想インフレ率も適合的に低下するリスクがあるように思われる。』

キタコレ!!!!!

『米国では、今のところ欧州ほどデフレ懸念は強くないようだが、シェールガス革命によるエネルギー価格の低下もあり、インフレ率はこのところFRBの見通しを下振れ続けているだけに、同様のリスクを念頭に置く必要性を感じている。』


でもって潜在成長率低下の論点ですが。

『後者の潜在成長率について、先進国では労働投入や技術革新のテンポ鈍化を背景に90 年代以前より幾分低下した可能性が各方面から指摘されている1。』

ほうほう。

『新興国でもリーマン・ショック以前との対比で足許の成長が見劣りする点について、単に循環的なものか、あるいは構造要因に根差すものなのか様々な議論のあるところである。仮に潜在成長率がさほど低下していないのであれば、足許の米欧のディスインフレ傾向は設備ストックや労働市場に残存するslackを反映したもので、先行きslackがなくなっていくとともに、ディスインフレ圧力は縮小に向かうことになる。』

『一方で、足許、潜在成長率が低下したことで自然利子率が低下し、それと整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る。』

>整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る
>整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る
>整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る
>整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る
>整合的なインフレ率の水準も低下したとの見方もあり得る

ということでここもキタコレでありまして、まあその先の説明ではそこまでの話はしていないですが(ま、今2年で2%をやろうという中でその話をすべきではないという事でしょうけれども)、これってつまりそもそもという目標設定がグローバルに考えても妥当なのかという論点につながる部分でありまして、一方で実は昨日長くなるのと時間が無かったのでネタにしなかった一昨日の黒田総裁会見での総裁の話がありましてですね・・・・・・・・・・・・・

以下3日の黒田総裁名古屋での記者会見の発言を引用しますね。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1312a.pdf

『(答) 政策委員会9人のメンバーの中で、それぞれの経済の見通しなど色々な意見があることは、常にそうです。その中で、大勢見通しは、3か月に1回示していますが、それを見て頂くと分るように、4月、7月、10月とあまり変わっていません。従って、何か特別に全体として物価見通しについて、2%を2年程度での達成が難しくなったとか、その達成は難しいのではないかという意見が増えたとは思っていません。』

>その達成は難しいのではないかという意見が増えたとは思っていません

『なお、2年程度で2%という「物価安定の目標」を修正する必要もありませんし、そのつもりもありません。ちなみに、ご案内の通り、2%という「物価安定の目標」は、ほとんどの先進国が採っており、日本銀行が本年の1月に2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することを決定したのは、ある意味で、遅きに失したとまでは言いませんが、各国からみて、遅かったわけです。2%の「物価安定の目標」は、いわばもうグローバルスタンダードになっています。』(前段とここまで上記URLの総裁会見より)

>2%の「物価安定の目標」は、いわばもうグローバルスタンダードになっています

・・・・・・・・・もうね、黒田総裁がこういう話をしている一方で佐藤さんは結構なマッコウクジラな論点を堂々呈示しておりまして、まあその現在の日銀執行部の社畜系と申しますか何と申しますかなやれと言うならやるんだよ的なアプローチでは無く、エコノミストとして考えた場合にどうなのよというアプローチで迫る佐藤審議委員(木内さんもそうですけど)という図でありまして、これってそもそもの思想背景がだいぶ違いますので、中々こう足並みが揃うという風にはならないなあと思うのでありました。

で、この次の段落が微妙に端折った書き方になっているので結局どういう「興味深い」なのかがイマイチワカランチ会長なのだが誰か判ったら教えてジェネラル!

『このように、潜在成長率の見方次第ではインフレの先行き、ひいてはマクロ政策への含意は変わり得る。その意味では、先述のFRB による資産買入れ縮小を巡る一連の情報発信の変遷は注目に値する。』

ふむ。

『FRB は失業率とインフレ率を主要なベンチマークとしながら、実際のインフレ率が長期的な目標水準に達していないにも拘らず、このことに当初あまり重きを置いていないように見えた。もっとも、その後9 月の資産買入れ縮小見送りの理由として、全般的な経済状況や財政問題と並び、長期的な目標水準に達していないインフレ率を挙げていたことは興味深い。』

『また、欧州中央銀行が11 月の政策理事会でインフレ率の想定以上の低下と物価見通しの引き下げなどを理由に、利下げに踏み切ったことも同様の文脈で興味深い。』

『先進国の中央銀行は、低インフレ下の最適な政策ミックスの模索過程にあるが、それは今日に至るまで日本銀行が辿った道筋に似てきているように思われる。』

これは構造的に適切なインフレ率が低下している可能性についてなのか、それともそうでは無くて潜在成長率の低下は大きくないという認識を持っているという事なのかが微妙なのですが、最後の一文を見ると「現在主要国の中央銀行が潜在成長率の低下に伴う経済に整合的なインフレ率の低下の可能性を考えている」という意味なのかちょっとワカランチ会長であったぞなもし。


○国内経済見通しはごく普通の説明

次が『(日本経済見通し)』ですが、ここのパートは基本的に展望レポートに沿った説明です。

『日本経済は緩やかに回復している。先行きも世界経済が緩やかな成長軌道を辿るもとで、2 度の消費税率引き上げの影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長パスを描くと想定している(図表7)。』

でもってちょっと飛ばして消費税増税の影響について。

『2014 年度は、当初4-6 月期は駆け込み需要の反動で一時的に経済は落ち込むと見込まれるが、前回1997 年の税率引き上げ時と幾つかの点で環境が異なり、景気の底割れは想定していない。すなわち、@政府が総額約5 兆円規模の景気対策を発動する予定であること、A一部で今年トリプル安に見舞われた新興国は外貨準備の積み上げなどバックストップを整備してきており、アジア通貨危機が起きた97 年当時に比べて負のショックへの耐性を高めていること、Bわが国の金融システムは全体として安定性を維持していることなどもあって、内需が堅調さを維持するなかで、外需も増加していくと見込まれる。』

ということですな。でさらに飛ばしてリスク認識。

『ただし、以上の見通しは国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するという前提に基づく。すなわち、@一旦先送りされたFRB の資産買入れ縮小は先行きスムーズに実施され国際金融資本市場の混乱には繋がらない、A中東では地政学的リスクが燻り続けるが国際商品市況の高騰には至らない、B欧州債務問題も燻ぶり続けるが市場の動揺には繋がらない、C米国は長期間の政府閉鎖や債務不履行などの混乱には至らない、といった点である。以上の前提の一角が崩れれば、国際金融資本市場の混乱などを通じて日本経済に相応の影響が及び得る。』

なるほろ。

『また、個人的には、前述のように米国をはじめ主要国・地域の潜在成長率が近年低下している可能性があるほか、それとの関連で米欧のディスインフレ傾向が続いていることも留意点としたい。』

で、最後の所で個人的にはという先ほどの論点キタコレ!!ですな。


○物価見通しの部分で様々な論点が提示されている件について

次が『(物価見通し)』です。

『既に10 月末の金融政策決定会合の議事要旨などで明らかになっているとおり、私は10 月の展望レポートにおける物価見通しの記述に反対票を投じたので、中心的な見通しをこの場で述べるのは微妙な立場にある。以下では中心的な見通しとの相違点に触れつつ、私自身の見方に即して申し述べる。』

と、こちらの冒頭で思いっ切り話をしていますが、10月2回目の決定会合議事要旨にありましたように、佐藤さんの展望レポートに対する反対部分って物価の所にフォーカスしておりまして、そういう意味では「経済見通しはそれほど変わらないのに物価見通しが違う」という話でありますので、さて何でそういう事になるのか、というのが重要ですな、うんうん。

『まず足許までの動向だが、円安やエネルギー価格上昇のほか、デジタル家電類の下げ止まり等を映じて消費者物価(除く生鮮食品)の前年比(以下、物価)は中心的な見通しに沿う形でこれまで推移しており、既に1%前後に達している。』


・足元物価上昇の持続性

『ただし、為替・エネルギー価格等の前提を横ばいと置くと、この種の物価押し上げ影響は直近7-9 月期をピークに先行き減衰するため、仮に本年前半の高成長による需給ギャップ改善の影響が2014 年度の物価に現れるとしても、フラット化した最近のフィリップス曲線を前提とすれば、物価が1%を大きく超えて推移し続けるとの想定は無理があるように思われる(図表8)。よって、私自身は2014-15 年度の物価見通しについて、政策委員見通しの中央値対比で慎重にみている。』

ということで、そもそもフィリップスカーブが上方シフトしたりスティープするもんかいなというのが足元物価上昇の持続性に関する見方の違いになりますよね、とまあそういう話ですな。



・滞空時間の長い物価上昇が実際の予想物価上昇率を引き上げる可能性に関して

『無論、私の慎重な物価見通しに上振れリスクがないわけではない。すなわち、バブル経済崩壊以降、物価が前年比で1%を超えたのは2008 年の一時期だけで「滞空期間」はほとんどなかった。1%を超えたのも、円安・エネルギー高によるコストプッシュ・インフレによる一時的なものであったため、当時は予想インフレ率も上方にシフトしなかった。』

ですな。

『仮に先行き1%前後の物価上昇率がある程度続けば、家計・企業・市場の期待形成に変化が生じ、予想インフレ率が大きく上方にシフトすることもあり得ない話ではなかろう。これは、先述のように予想インフレ率は実際のインフレ率に応じて適合的に形成される傾向があるとみられるためだ。』

この部分を思いっきり見ているのが現在の執行部である。

『もっとも、それも比較的短期の予想インフレ率のケースであって、中長期的な予想インフレ率が短期間の物価上昇により影響を受けるかどうかは不確実性が高い(図表9)。しかも、過去15 年近く続いたデフレのもとで短期の予想インフレ率も粘着性が高まっている可能性があることを踏まえると、長期はなおさらである。』

ということで、そもそも少々持続した程度で粘着性の高い予想インフレ率が上昇するのかという点について執行部は楽観的にも程があるわヴォケという事ですねわかります。


・BEIの推移について

その続き。

『家計、企業やエコノミスト、債券市場参加者等を対象とする各種サーベイからは全体として予想インフレ率の上昇を読み取れるが、これらの多くは消費税率引き上げの蓋然性の高まりとの厳密な識別が困難である。』

キタコレ。

『固定利付国債と物価連動国債の利回り較差から求められるブレークイーブン・インフレ率(以下、BEI)についても、上述の消費税率の問題があるほか、物価連動国債の市場流動性の低さから流動性プレミアムの変動が無視できない影響を及ぼしているとみられること、インフレ上昇を期待する一部の海外投資家の期待値も反映していること、から経済・市場全般の予想インフレ率を代表する指標として必ずしも適当でないと個人的には考える(図表10)。』

師匠に砲撃を加えておられるようです。

『なお、10 月から発行が開始された償還時の元本保証(フロア)付の物価連動国債のBEI は100bps 程度で推移している。向こう10 年間で計5%の消費税率引き上げを勘案したうえで、BEI がこの程度の水準にとどまっていることは興味深い。』

返す刀で10年物BEIが1%程度にいる件について華麗にスルーしている執行部に砲撃を加えておられるようです。


・賃金が恒常的に上昇する社会においては・・・・・・・・・・

この次の賃金に関する説明がこれまた興味深いのです。

『物価見通しの上振れリスクという点では賃金の動向にも着目している。労働組合がどちらかと言えば賃上げよりも雇用維持を重視するとみられるなかにあって、政労使協議の進展に見られるように政府の後押しで産業界に影響力を有する一部の経営者がこのところベア実施に前向きな姿勢を示し始めたことは特筆すべき変化である。「賃金は上がらないもの」という消極的な期待が前向きに変化するカタリストとして貴重な一歩であろう。』

ということですが・・・・・・・・

『ただし、期待の変化が生じるには、こうしたベアが来春の単年度限りでなく複数年にわたり実施されること、あるいはそうした期待形成がなされることが重要である。』

まあそうですな。でちょっと飛ばしましてこの先の部分が中々興味深いっすよ。

『仮に、大企業中心とはいえ相応の賃上げが実現した場合に起こり得る労働市場の姿についてもテイクノートしておきたい。縦軸に賃金上昇率、横軸に失業率をとった日米の賃金版フィリップスカーブは、仮に日本で相応の賃金上昇が実現した時に労働市場に起こり得る変化を示唆しているようにも見える(図表13)。』

これは佐藤さん以前の講演でも示していましたが、日米の賃金版フィリップスカーブの形状が大きく異なるという話で、今回の指摘はその違いが示す「将来の姿」でありまして・・・・・・・・・・・・

『一般に、米国では、雇用調整を行う際は賃金ではなく労働者を削減し、不採算部門からの撤退を比較的迅速に行う。結果的に、名目賃金は景気循環にかかわらず2〜4%前後の伸びを保ち、経済に超過供給力が温存されにくいためデフレになりにくい構図となっているとされる。一方、これまで日本では解雇による雇用調整は限定的で、人件費の調整は主に賃金の削減によりなされる傾向があった。結果的に、日本では非効率な部門の整理・再編が遅れ、労働分配率が高止まりし、経済の新陳代謝が進まず、超過供給力が温存されやすい構造となっている。このように雇用調整のコストを広く薄く負担しあうことが緩やかなデフレの一因であったとみられる。』

とまあここまでが賃金版フィリップスカーブの形状が異なる含意でして、

『しかし、仮に景気の状態如何に拘らず、日本で持続的なベアを実現していくとすると、企業経営者は特に不況期においては将来の固定費負担増大を意識せざるを得ない。ベアを実現すると同時に、固定費負担の増大を防ぐためには、米国ほどドラスティックではないにせよ、人員削減のインセンティブが高まり、それが結果的に失業率のボラティリティ増大として反映される可能性がある。これは賃金版フィリップスカーブが米国のようにフラット化する(即ち、固定費の増大を賃金ではなく雇用者数で調整するようになる)可能性を示唆する。』

つまりそれはどういう事かと言いますと・・・・・・・・・

『このように考えると、名目賃金の持続的な上昇が実現すれば、家計・企業・市場参加者の予想インフレ率に好影響が及び、人々のデフレ予想が前向きなインフレ予想に変化する、すなわちデフレ脱却の蓋然性が高まる可能性があるのと同時に、失業率の変動も大きくなることによって、雇用調整の社会的コストも高まる可能性がある点には注意する必要がある。』

なるほど。

『賃上げ問題が国民所得のうち雇用者報酬と営業余剰の分配問題に帰着する以上、社会全体での賃上げ実現は相応の経済成長の実現が前提で、フリーランチは存在しないのである(図表14)。』

>社会全体での賃上げ実現は相応の経済成長の実現が前提で、フリーランチは存在しないのである
>社会全体での賃上げ実現は相応の経済成長の実現が前提で、フリーランチは存在しないのである
>社会全体での賃上げ実現は相応の経済成長の実現が前提で、フリーランチは存在しないのである

全くもってご尤もで、デフレを脱却すれば何でもハッピーとか言ってた師匠にしらっと砲撃を加えているような気もしますが、その砲撃云々は別として、確かにまあこういう構造変化が出来るのかというのも大きな問題であって、つまりは気合だけで物価目標達成して適切なインフレ均衡への遷移が出来るのかという点についての課題も提示しているように見えますな。



○金融政策運営の論点について:追加緩和云々とかそれに関連して

・プリエンティブに追加を実施という見通しではありませんが何か?

『経済見通しと政策の関係では、10 月の展望レポートで示した政策委員見通しの中央値をみると、2 回の消費税率引き上げを織り込んでおり、税率引き上げによる経済の一時的な落ち込みを勘案しても2014-15 年度にかけて潜在成長率を上回る高めの伸びを続けることが見込まれる。税率引き上げによる実体経済への影響が需要の一時的なスウィングに過ぎず、かつそれが想定の範囲内に収まると見通せる限りは、それに対してpreemptiveに追加的な政策を発動する必要性は乏しいということになろう。』

ということでまあ話は尽きているのですが、何故か4月に大規模緩和実施とかその手のレポートがホイホイ出てくるのは何なんでしょうかね。

『物価見通しとの関連では、展望レポートの中心的な見通しと市場の見方との乖離は大きく、多くの市場関係者は、将来的な政策委員の見通し引き下げが一段の金融緩和強化のトリガーになるとの見解のようだ。』

だすなあ。

『市場関係者の見方に対して政策当局者が一つひとつコメントすることには若干の逡巡はあるが、誤解を避けるために一言申し上げると、日本銀行としては2%の物価上昇に至るのにリニアな経路を特段想定している訳ではない。』

これ重要ね。そもそも日銀が物価安定目標を達成するパスは従来のグラデュアルなものだけではなく、期待に直接働きかけて結果としてのフィリップスカーブをシフトアップ(スティープも含め)させるものであって、その経過というのはリニアではなく、どこかでジャンプアップが起きるという事になるのですから。

『例えば、展望レポートにおける2014 年度の政策委員見通しの中央値1.3%は2%に至るまでの中間目標ではない。』

ここの所も恐らく何とかストの皆様の中でも市場の中の人でも誤解があるように見えますけど重要ですよん。

『また、そもそも「量的・質的金融緩和」は最初に大胆な政策変更を行うことで期待の転換を図ること、また政策変更の後はwait & see のスタンスでその効果の浸透をじっくり見守ることを意図しており、日本銀行は「包括的な金融緩和」時のような戦力の逐次投入から決別することを明確にしている。』

先ほどあたくしも申し上げましたがそゆこと。

『その点、今は先行きの経済・物価の姿を見据えて政策効果の発現をじっくり見守る局面ということに尽きるのではないかと個人的には考える。』

さらに追い打ち。

『また、我々は4 月4 日に当面打てる限りの政策手段を打ち出したのであり、追加的な緩和手段は仮にあるとしても期待の転換を図るという点では逆効果となりかねない。』

グラデュアリズムからは脱却しているのです。

『無論、日本銀行は「経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」ことを金融政策決定会合後の対外公表文に繰り返し明記しているが、ここでいう下振れリスクとは、私の理解では、リーマン・ショックや欧州債務危機に匹敵する国際金融資本市場の著しい不安定化等、テイル・リスクの示現を意味するのであって、経済・物価見通しが小幅修正されるといった些細な話ではないと思う。』

>経済・物価見通しが小幅修正されるといった些細な話ではない

ということでありまする。


○金融政策運営の論点:物価安定目標に関して

これまた重要な話。

『私は本年1 月の金融政策決定会合で「物価安定の目標」の導入に反対票を投じる一方、4 月以降は展望レポートにおける物価見通しの記述を除き賛成票を投じてきた。これは「物価安定の目標」は柔軟な枠組みであるべきとの理解に基づき、2%を字義通り硬直的に捉える必要はないと考えているためである。』

ふむ。

『この点を敷衍すると、日本銀行は2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する、としている。この「実現を目指し、これを安定的に持続する」ことの意味だが、金融政策の効果発現の不確実性や波及ラグ等を考慮すると、物価の伸びをピンポイントで2%で安定させることは不可能であり、物価目標の枠組みを持つ他の中央銀行と同様、2%の「物価安定の目標」は上下にアローアンスのある柔軟な概念とみるべきである。』

この辺り微妙な表現をしていますが、まあ期待に働きかける政策を遂行している以上、あまり現時点でこの物価安定目標に関する定義でゴシャゴシャするのは望ましくないという事でしょうが、ここの上下にアローアンスがあってピンポイントに着地させる話では無いという辺りは、フォーキャストターゲットという見方を示唆しているように見えますな、うんうん。

『その点、日本銀行は2%の物価上昇を表面的に達成するためにあらゆる犠牲を払うのではなく、国民経済が健全に発展し、雇用情勢の改善が賃金の上昇をもたらすなかでバランス良く緩やかに物価が上昇する状況を目指している。2%の「物価安定の目標」はそうした好ましい状況を示すものとして捉えるべき性質のものと私は理解している。』

まあ本来そうなのですが、最近の執行部はどちらかと言うと(露骨に言うと物議を醸すので明確には言いませんけど)とりあえず足元に関しては良い物価上昇とか悪い物価上昇とかキニシナイ!という感じで、コストプッシュだろうが何だろうがコアコアプラス転換でシンガポール陥落奉祝大提灯行列実施という勢いになっているような説明になっているように見えるのは気のせいですかそうですか。


○金融政策運営の論点:「2年で2%とフォワードガイダンスは本来矛盾する」および気合に関する論点

これまた重要な論点。

『あらゆる政策には効果とともに副作用(コスト)が伴うが、政策効果がコストを上回るとの判断の下で政策は実行される。同様に、「量的・質的金融緩和」は4 月3、4 日の金融政策決定会合議事要旨に示されるように、効果と副作用を慎重に比較考量して決定された。もっとも、効果と副作用の比較考量は主観的な価値判断を含むため、副作用をより重視する立場からは出口の検討なしの政策発動は無謀との批判も聞かれる。あるいは、出口に向かう道筋、すなわちフォワード・ガイダンスをより分かりやすい形で示すべきとの意見も聞かれる。』

さいですな。

『こうした批判や意見は一理あるが、「量的・質的金融緩和」の目的の一つは長期のデフレで委縮した期待の転換を図ることであり、現時点での出口の議論はそうした戦略と矛盾する、いわばマッチ・ポンプ状態を自ら演出することになりかねない。』

確かにそれは仰る通りですが、一応あのそのフィージビリティーとかそういう話は考えて・・・・という話は佐藤さんはさすがに市場にいましたのでその話後で出てきますのでご安心(何を?)くらはい(^^)。

『また、9 月のFRB の資産買入れ縮小見送りに典型的に示されるように、政策の透明性向上の試みと柔軟性の確保はトレードオフの関係にあり、透明性を高めることが必ずしも好ましい結果をもたらすとは限らない。むしろ、中央銀行が発信する情報量が多すぎると受け手がそれらを消化しきれなくなったり、経済・物価情勢が変化したときに中央銀行が臨機応変に対応する機動性が失われることもあり得る。このような考え方から、私の考えでは、日本銀行としては、先行きの経済・物価情勢の変化に応じ、ガイダンスを柔軟かつ適切に示していけばよいと考える。』

とりあえず今はその手の話をするのは時期尚早というのは把握しましたが、先ほどの物価安定の理解に関する論点など、まあ来年は金融政策運営の論点でややこしい事になりそうですな、というかそもそも物価が執行部の見通し通りに上昇しなかったらややこしい事にならないのですが(−−;

で、フォワードガイダンスと「2年で2%」の関係。

『そもそも、日本銀行が現在行っていることはデフレ脱却に向け、2 年程度で2%の「物価安定の目標」実現を目指すという前例のない取組みである。このようにカレンダー・ベースの期限付きで物価を押し上げるという試みは、将来もはや金融緩和が必要でない時点まで緩和を続けることにコミットし、長めのゾーンの金利に働きかけることで、将来の需要を前倒しするという従来のフォワード・ガイダンスの理念とは相容れない。現在の日本銀行の政策はFRB や欧州中央銀行等の採る「伝統的な」フォワード・ガイダンスの概念には馴染まないと考える(図表16)。』

そうなんですよね。これ重要ですので理解するまで良く読むのが吉ですぜダンナ。

『また、フォワード・ガイダンスは、たとえ中央銀行がその政策が必要なくなる時点まで政策を継続すると約束しても、約束はどこかの時点で破られるという動学的非整合性(あるいは時間的非整合性)の問題をはらんでいる。本年5月下旬にFRBバーナンキ議長が資産買入れの縮小の具体的なスケジュールを示した後に国際金融資本市場が不安定化したことは、その端的な一例であろう。』

ですな。

『その点、非伝統的金融政策を採用する主要国の中央銀行はフォワード・ガイダンスの有効性をいかにして確保するかという新たな課題に直面している。果たしてどこまでの範囲で約束すれば、中央銀行はその約束を守ると国民や市場参加者に信じてもらえるか、主要国の中央銀行は模索し続けるであろう。』

ということです。


○金融政策運営の論点:異次元資産買入のフィージビリティーについて

金融政策パートの最後が『(マネタリー・ベース積み上げに向けて)』という小見出し。

『日本銀行は2 年程度で「物価安定の目標」の実現を目指すに当たり、2014 年末までのマネタリー・ベースとバランス・シートの見通しを示している。それによれば、2014 年末のマネタリー・ベース及び長期国債残高の見通しはそれぞれ約270 兆円、約190 兆円である。足許までは見通しに沿う推移となっており、この年末の見通し(それぞれ200 兆円、140 兆円)は射程圏内にある(図表17)。』

とまあこれは行けそうですが・・・・・・・・・・

『ただし、先行きも見通しに沿い順調にマネタリー・ベースを積み上げることができるかどうかは日本銀行のオペレーションに対する金融機関の応札姿勢次第であり、それは経済・金融情勢や現在や将来の金利水準のほか、金融機関のIR 政策上、バランス・シート中でどこまで日銀当座預金の増加を許容するかといった非経済的要因等によって変化し得る。』

ですな。たぶん金融機関が超過準備を決算上アホほど積み上げると「この金融機関は日銀に資金を置いているだけで企業や家計へ資金を流そうとしないのでケシカラン」とか全力で筋違いだわ勘違いだわ間違いだわの批判をする馬鹿のホームラン王が大量に現れるリスクが高いっすからねえ。

『その点、金融機関が既に巨額の超過準備を保有するなかで、先行きのマネタリー・ベース積み上げには相応の不確実性があるし、その水準が高まるにつれ不確実性は高まるであろう。言い換えれば、こうした政策は永遠に続けられる性質のものではない。』

(;∀;)イイシテキダナー

『そうした困難を踏まえつつ、日本銀行は、本年4 月4 日に示したコミットメント達成に向け、万難を排してマネタリー・ベースを積み上げていく所存である。日本銀行の努力を暖かく見守って頂ければ幸いである。』

お、おう・・・・・・・・ナンデサイゴガキアイナノ^^

#おお何とか全部(金懇だから最後に会場の道南経済に関する話があるので全部じゃないが)紹介できましたわ






2013/12/04

お題「黒田総裁会見から少々雑感を/月初の日銀文書関連備忘メモ」

答弁がころころ変わる状態というのはねえ・・・・・・・
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131202-00000147-jij-pol
「未必の故意」で処罰も=森担当相 時事通信 12月2日(月)21時54分配信

○いくつか日銀から出ているのでメモ代わりに並べておきます

・これは面白そう

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/wp13j13.htm/
グローバル化と日本経済の対応力

全文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/data/wp13j13.pdf

最初のURLにある要旨の方からちょっとだけ。

『本稿は、主に1990年代以降に加速したとされる世界経済――特に貿易、「モノ」の流れ――のグローバル化について概観しつつ、世界の貿易ネットワークにおける日本経済の立ち位置の変遷について考察することを第一の主題とする。』

『本稿の第二の主題は、グローバル化が進展するもとで、日本の国内経済に生じた変化の特徴点を、特に労働市場の質的変容に焦点を当てつつ整理することにある。第二の主題に関する議論においては、因果関係の方向性に十分注意しつつ、(1)グローバル化が国内経済――特に労働市場――に及ぼした影響と、(2)国内経済の変化が、日本の「国際競争力」に与えた影響、という双方向のメカニズムについて、同時に考察を行う。』

ちなみに要旨はもうちょっと詳しいのですが、まあそれよりも本文読むのが面白そうで、一度とりあえず目は通したものの、ネタにするほど読みこめていないのでとりあえずご紹介だけ。


・日銀の女性登用とな

この前(一昨日)ニュースベンダーの方で「日銀が女性管理職の比率を増やす」というのが報道されていまして、はてさて報道されたのは分かったがどこにそのリリースあるんじゃろと思ったら何とこんな所にございました。

http://www.boj.or.jp/about/recruit/fresh/women/index.htm
新卒採用情報2015 女性の活躍に向けて

そちらに書いてあるのですが、もしかすると読者の皆様におかれましては上記URLがキーワードで引っかかって会社のPCだと見えないかもしれませんな、うんうん。


・あと10兆円キタコレ

11月までのMB公表
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1311.pdf

MBの数値に関しては今度の年末が一応中間目標になっておりますが、当然ながら12月末のピンポイントの数字では無くて基本的には12月の月平が200兆円というのがメドになりますので、11月平残が189.7兆円でございますので、まあ大体あと10兆円ですかそうですか。

で、12月の資金過不足要因がこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1312.htm/

この分に対して国債の買入と短国の買入が入って着地で前月から平残10兆円増やすという話ですかそうですか。

あと、国債と短国の銘柄別残高があって、また国債はカレントばかりはいってやがるとかその辺の話もあるのですが、その辺りに関しては時間のある時にじっくりと異次元緩和以降の数値を検証してみたいと思っております(と年末年始の休みを潰すような発言をするアタクシ)。


○総裁会見である

全部で8ページですがまあ普通はこういう分量ですよね。この前の某審議委員のあれはなんだったんでしょうか(棒読み)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1312a.pdf

・異次元緩和の建付けに関する質疑

まあ長い質問だが質問が分かりやすいので引用。

『(問) 本日の講演で、マネタリーベースと長期国債の保有額の残高について、本年末と来年末の残高を示されていることについて、これは見通しであって、政策運営について何ら期限を示したものではないとおっしゃっていますが、その点について何点か質問します。

1点目は、なぜ14年末までしか示していないのかということです。

2点目は、14年末に近付いていくと15年末の見通しも示されることになると思いますが、今の「量的・質的金融緩和」の方針のもとで、マネタリーベースが60〜70兆円のペースで、保有長期国債が50兆円のペースで増やすという、従来の延長線上の数字、つまりマネタリーベースで340兆円、長期国債の保有額で240兆円という数字を示すだけだとすると、これは「追加の緩和」という位置付けになるのかということです。

最後に、2年程度で2%程度という「物価安定の目標」が、今後この1年くらいの間に達成困難であることが判明した場合――つまり、展望レポートその他で見通しを下げられるということだと思いますが――、従来の延長線の数字を示すだけでは、何としても2年で2%を達成するために必要な調整を行うという観点からすると、本当に必要な調整にならないと思うのですが、この点について、どうお考えですか。』

ということで論点整理の質問である。

『(答) そもそも、4月4日に決めた「量的・質的金融緩和」は、今ご指摘の通り、マネタリーベースを年間約60〜70兆円増やす、長期国債の保有残高を年間50兆円増やすことを示したわけです。なぜ、そういうことをするかといえば、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の「物価安定の目標」を達成するために導入したわけです。』

『ただ、4月4日の金融政策運営に関するステートメントでも、その後、毎月の金融政策決定会合後に発表している「当面の金融政策運営について」のステートメントでも申し上げている通り、「量的・質的金融緩和」は2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで続けると言っていますので、別に、14年末とか時間的に切られているものではありません。』

つまりオープンエンドという建付けになっているという事ですが、一方で「2年で達成」と言っている訳でして、じゃあ異次元緩和って2年で達成した後どうなるの?という話については華麗にスルーしているのがまあこの説明のインチキ成分であります。

ちなみにこの「2年程度の期間を念頭に置いて」云々の文言ってQQE導入時の声明文冒頭の所の「何でこの政策を突っ込んだか」という説明部分にはございましたが、その後の声明文や展望レポートではこの「2年程度の期間を念頭に置いて」という文言は出ていないのがこれまたややこしい所で、2年で達成を目指すというのはQQEの重要なコンポーネントではあるのですが、そうなると政策がオープンエンドであって行かなかった場合に資産買入が継続されるという点についての認識が広がらないというのがこれまたコミュニケーションムツカシヤという話。

つーかまあそもそも「2年で達成します」って言ってるのに建付けがオープンエンドというのが政策として矛盾のある所なのでコミュニケーションがややこしくなるのは当たり前なのですけどね。

『懇談会でお配りした資料の12ページ(図表12)にあるように、そのトレンドを示し、その中で13年末と14年末の数字について、12年末あるいは13年3月末の数字と比較できる形でお示ししたということです。』

図表は皆さんでご確認くらはい。更に回答の続き。

『物価は、これまでのところ、順調に「物価安定の目標」に向けた道筋をたどっていますので、現時点で、2年程度で「物価安定の目標」を達成できるとみています。実際問題として、政策委員会見通しの中央値についても、13年度の平均で+0.7%、14年度の平均で+1.3%、15年度の平均で+1.9%と、消費税率の変化に伴って直接的に影響される部分を除いた、トレンドとしての物価上昇率は、こういう経路をたどるとみています。言い換えると、14年度後半から15年度前半くらいにかけて、2%に近付くとみていますので、そういうことでお答えになると思います。』

現状の物価情勢は2年で達成する道筋にオントラックですよ(キリッ)との事です。

『つまり、15年末の見通しを示すかどうかとか、2年程度で物価上昇率が2%に達しないような状況になった場合、どういうことをやるかということは、常に申し上げているように、上下双方向にリスクがありますので、上方あるいは下方のそれぞれのリスクが顕在化しようとする、あるいは顕在化する事態になれば、それに対応した適切かつ十分な措置は採るということに尽きると思います。』

まあ何ですな、期待に直接働きかけるという政策を実施しているだけに、その期待を変に壊さないというのも重要な話であって、まあそれを非常に身も蓋も無い言い方をすれば「丁寧な説明をすれば良いというもんじゃない」という事になる訳ですな。ここがもしどこぞの麿とかだったら「2年で達成するとの見通しですので達成したら当然徐々に通常の政策に戻して行く必要があります(キリッ)」とか丁寧な説明をおっぱじめてしまい(というか本来そういうもんですが)台無しモードになってしまうのですが、そういう台無し発言はしない一方で「一般論としての政策対応のありかた」について言及する事によって追加緩和期待を全否定はしないという攻撃に出ておりますな。

これ回答部分を全部読めば分かりますが、2年で達成する見通しだから追加とかする訳ねえだろとその前の部分で説明していて、後段の適切な措置はあくまでも本行の見通しが外れた場合ですからねえあっはっはという話をしていて単なる一般論の話なのですが、当然ながらニュースワイヤーのヘッドラインで反応する市場の動きというのを考えますと、まあその辺のヘッドラインをどう打たれるかということを念頭に置いた説明をしているなあという所です。まあ何ですな、黒田総裁発言と言えば5月に色々と梯子外しやがってコノヤローというようなプレイがありましたけれども、恐らくあの辺りの市場での反応を受けて説明のやり方に修正を加えたんじゃないかねとかそんな事も思ったのでありました。実際どうかは知らんけど。


・物価安定の定義に関する話って微妙にファジーなのよね

『(問) 今の点に関してですが、本日の講演の中で、あえて何らかの期限を示したものではないと言及されており、図表をみると、まさにおっしゃっている通り、点線が14年末以降も描かれていますが、この点について、今回の講演で言及した理由、換言すると、この点について、市場の方でまだ誤解があると総裁の方でみておられるのかということが1点。

もう1点は、「15年度前半にかけて2%程度に近づいていく」という、その先の話になってしまいますが、2%にタッチした後、安定的な状態で実現するまでにかかる時間はどれくらいを念頭に置いているのかについて、お聞かせ下さい。』

小見出しの件に関しては主に後段の方になるのですけれども、折角なので前段の部分の答えから先に。


『(答) 前段のご質問については、そういう誤解はあまりないとは思いますが、東京を訪問された外国の方とお会いした時、2年というカレンダーで切っているように誤解している人がいたものですから――日本では、あまり誤解されていないと思っているのですが――、「4月4日のステートメントも見て下さい。毎月毎月の決定会合後に公表しているステートメントも見て下さい」と申し上げています。「それらは常に、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、現在の『量的・質的金融緩和』を続ける、と言っており、さらに、当然ですが、上下双方向のリスクもよく点検して必要な調整を行うと言っています」ということを強調しています。』

ここの所少し減ったかもしれないけれども、今でも2015年以降の資産買入に関しての決定をするのを追加緩和として説明している本職の何とかストの方がジャパンにもおいでのようですけどね!!!

『先程申し上げたように、日本国内で特に誤解があるとは思いませんが、4月4日から申し上げていることを、より正確に申し上げたということです。』

(・∀・)

では後段。

『2点目は、今申し上げたステートメントに書いてあることですが――これをフォワードガイダンスというかどうかは別として――、その具体的な解釈は、実際、2%に瞬間タッチして、すぐにまた物価上昇率が下がるという状況であれば、それは「安定的に持続する」という状況には至っていないわけです。逆に、まだ2%になっていなくても、その後、すぐに2%を超えて、その後も安定的に持続することがはっきり見通せるような状況もあるかもしれません。』

ということで、この説明部分がこう実にファジーにも程があるのですが、「安定的に持続する」という定義に関してですが、概念的には以前の講演でもありましたように「需給ギャップがゼロの時にCPIが2%となっている状態」という話であり、フィリップスカーブで言えばそのy切片が2%とかそういう話になると思うのですが、そもそもその需給ギャップというのはリアルタイムで分かる物件ではなく、フィリップスカーブの推計にしたって結局の所後出しで分かるという話なので、じゃあ実際に「安定的に2%が持続する」という事をどう判定するのかという部分って実は解釈に幅が出来得る部分なんですよね。

でもってここの部分でもしらっと話をしていますが「2%になっていなくてもその後すぐに2%を超えて安定的に2%を持続することがはっきりしている」のであれば、実際の物価が2%に達する前に「安定的に持続する」という判定をできるケースだってあり得る訳ですわな。

つーことで実はこの部分をゴリゴリ詰めようとするとかなり話がややこしくなるのですが、まあ現実問題としてCPIが1%にもなっていない状態でその話をするのは混乱の元になるだけなので話をしていませんとそんな状態だと思うのですが、これどこからどう考えましても実際に物価が上昇するというのであれば、来年のどこかのタイミングで話を詰めないといけない部分(不幸にも物価が上昇しないのなら不要)でありまして、実際の物価動向についての2%なのか、フォーキャストターゲットとしての2%なのか、仮にフォーキャストであるならその期間は短期なのか中期なのかロンガーランなのか、というような定義問題っていうのはQQEの継続期間に対する考え方につながる話なのでまあややこしくなるなと思うのでありました。

更に回答は続く。

『いずれにせよ、まさに、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、それが安定的に持続するということは、図解的にいえば、物価上昇率が2%の「物価安定の目標」の周りを安定的に動くような状況になっているかどうかということなので、どのくらいの期間が必要かとか、どこまで上がったらそうなるかとか、一概に数字でいうということは難しいと思います。』

『その局面になった際の具体的な判断は、日本銀行の政策委員会メンバーの判断ということも当然ですが、皆さんがみても――予測の話は、皆さんも色々な意見があると思いますが――、そういう状況になった時の足許の判断は、それ程難しいものではないと思います。ただ、数量的に、どこまでいって何か月経ったらどうとか、そういうことは一概には言えないと思います。』

とまあとりあえずしらっと説明はしているものの、これから先って消費税増税部分とかの特殊要因もある中でそんなに「難しいものではない」と言い切れるのかねというのはひじょーに疑問だと思うのだが、この辺のややこしいい論点を一々説明すると話が混乱してまたまた台無しモードになる可能性があるので敢えてその辺りは触れずにその時になったら考えるという作戦ですな。


つーことで、まあ期待に直接働きかける金融政策って言うと格好良いですけれども、そのためにはある程度のハッタリ成分というかインチキ成分も必要という話でありまして、本来丁寧に説明するなら経済の下振れリスクも丁寧に説明した方が良いんじゃないですかとかゆー話になる筈なのですが、それこそどこぞのドラギ先生のビリーブミーじゃないですけれども、一貫して(キリッ)というスタンスでハッタリをかまして期待を鼓舞するという辺りはドラギ先生もニッコリという所ですなあと思うのですよね。まあこれが「期待に直接働きかける」という真骨頂ですなあと思うのですが、これ逆に逝きだしたら目も当てられないという意味ではそれはそれで痺れる運営でもございまして、最近はビリーブミーの先生も微妙に難しい運営に追い込まれているようですが、本邦ではそうならない事を祈念したいと存じます(・∀・)。






2013/12/03

お題「黒田総裁講演だがこのテキストが何故追加緩和示唆になるのかさっぱりワカランチ会長」

ドル103円だのユーロ140円だの見て思うのだが、外貨MMFの為替差損益は来年から課税所得扱いになるんじゃなかったでしたっけ??(詳しくは専門の方にご確認を)


さて黒田総裁講演である。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131202a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──

まあ毎度のように「そーれ我々のシナリオ通りに展開しとるがな」という説明をしているのですが、何せ講演にしろ会見にしろ最近はとにかくヘッドラインが「追加緩和」を煽るような書き方をするのが待ったなしという状態で、その結果今朝のモーサテ辺りでは為替のコメントの人が「日銀が具体的な追加緩和策を検討しているとの見方も広まり」というような話をおっぱじめる始末。

この自信満々モードからすると来年の早い時期に何か追加策をやる必要性を感じているようには全く見えないですし、大体からして先週末のCPIだって確り強めの数字が出ていまして、それこそ日銀の中では「勝った勝ったまた勝った♪ESPフォーキャストにまた勝った♪♪」とばかりに提灯行列をしてそうな状況(某局某課とか^^)な訳ですが、まあ市場が勝手に勘違いして円安に振れる分には(反動が起きて困るような状態にならない範囲内において)放置プレイという事なんでしょうな。黒田さんの説明を全部読むと追加緩和が何で必要になるんですか今の状況でという風にしか思えませんけどねえ。


ということで中身をサラサラと鑑賞するのだ。

○のっけから自信満々モードなのですが

つーことで最初のマクラ部分から。

『これまでのところ、実体経済や金融市場、人々の期待やマインドは改善するなど、「量的・質的金融緩和」は所期の効果をしっかりと発揮してきており、日本経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっています。そこで本日は、皆様との意見交換に先立ち、日本銀行の経済・物価の現状・先行きに対する見方や「量的・質的金融緩和」の効果について、10 月末に日本銀行が公表した「展望レポート」にも触れながら、お話したいと思います。』

マクラの部分で思いっきり「順調にたどっています」って言ってて、そもそも当初の政策ローンチ時に「逐次投入をせず必要な政策を全て投入した」って言ってるのに何で「追加緩和待ったなし」みたいな見方になるのかおまいらベンダーヘッドラインしか見てねえだろと小一時間問い詰めたいのですが、まあ「金融政策は特に動きも無く」とやってしまうと相場でヒャッハーとやるネタになりませんし、何とかストの皆様におかれましてはレポートのネタも無くなりまして困るという所でしょうけれどもね!!!

でもって現状と先行きのメインシナリオの説明部分となります『2.わが国経済の現状と展望』という部分ですが、基本的には展望レポートの説明になっておりますが、一部アップデートされた部分もありますのでその辺をば。

『こうした中での物価情勢に目を転じると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、6月にプラスに転じた後、プラス幅を拡大しており、10 月は+0.9%となっています(図表2)。この背景をみると、石油製品や電気代といったエネルギー関連が押し上げ方向に寄与していることは事実ですが、個人消費など内需が堅調に推移する中で、幅広い品目に改善の動きが拡がってきています。こうした動きは、食料・エネルギーを除く消費者物価がプラスに転じたことや、下落品目よりも上昇品目の方が多くなってきたことでも確認できます(図表3)。』

ということで、出たばかりの10月CPIが思いっきりここに出ておりまして、もう鼻息の荒さがうかがえる訳で、日銀某局あたりで提灯行列が盛大に展開されていた(大嘘)のではないかと存じます次第ですな。この調子で来年1−3月で1%近辺とかで推移すると4月以降は消費税増税の影響が入るので表面上の数字は上がりますし転嫁の影響云々は少々鉛筆舐めても良いでしょうしもうウハウハですよ先生という所ですか、わかりません><;

従って先行きに関しては展望レポートの強気見通しがそのまんま。

『先行きについては、景気回復によるマクロ的な需給バランスの改善が物価押し上げに寄与するほか、実際の物価上昇率の高まりもあって人々の中長期的な予想インフレ率も上がってくることから、消費者物価の前年比は上昇傾向をたどると考えています。政策委員の中央値を申し上げると、消費税率引き上げの直接的な影響を除くと、2013 年度は0.7%、2014 年度は1.3%、2015年度は1.9%です(前掲図表1)。すなわち、2015 年度までの見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。』

>実際の物価上昇率の高まりもあって人々の中長期的な予想インフレ率も上がってくることから
>実際の物価上昇率の高まりもあって人々の中長期的な予想インフレ率も上がってくることから
>実際の物価上昇率の高まりもあって人々の中長期的な予想インフレ率も上がってくることから

最近すっかりこのフレーズが定番化しておりますが、実際に物価が上昇していくのを見ると人々の物価観って案外簡単にバックワードルッキングで変われる物なのか、はたまたそうはならないのかというのは実際に今後の動きを見ないと何ともですけれども、2008年の時と比較して賃金の状況とかその辺りの問題に加え、そもそも消費税増税で強制的にその分上がるというのもありまして、はてさてどうなるんでしょうかね。でまあ毎度申し上げておりますが、こういう「まあとにかく現実の物価が上がるのが効くのよ悪い物価上昇って何でしたっけ良くわかりません」というような開き直りモードになっているのがある意味マンデートに忠実なんだが本当にそれでいいのかという気もせんでもない話っすな。


○回復の持続性についてということで海外の話だが別に下振れは強調してませんぞなもし

次の小見出しは『3.わが国経済の先行きとデフレからの脱却』である。

『次に、今回の景気回復の特徴について確認した上で、今申し上げた経済見通しが実現していくにあたって、注目しているポイントをお話します。』

ほいな。

『まず、今回の景気回復については、輸出や製造業大企業が牽引役となる景気回復の典型的なパターンとは異なり、個人消費や公共投資が牽引役となって、非製造業が先に改善していることが特徴として挙げられます。実際、非製造業の活動水準を示す第3次産業活動指数はリーマン・ショック前の水準近くまで回復してきているのに対し、製造業の生産はリーマン・ショック前のピークの約8割にとどまっています。また、短観の業況判断DIでみても、非製造業は製造業に先行して改善してきています(図表4)。』

まあそうですな。

『こうした今回の景気回復パターンを踏まえると、先行きの景気回復の持続性をみていく上では、これまで景気を牽引してきた内需の堅調さの持続性がポイントとなります。その上で、内需が景気を支えている間に、海外経済が回復して輸出が順調に増加してくるかどうかが、もう一つのポイントです。そこで以下では、このうち、まず海外経済の動向についてお話した後、内需の持続性に関連して家計の雇用・所得動向、企業の設備投資動向についてお話します。』

ということで海外の話が始まるが、後半の内需に関してはどうせ強い見通しと自画自賛が出てくるでしょと思ったらまあその通りでしたのでそれは後ほど。

『海外経済の現状については、一部に緩慢な動きもみられていますが、全体として緩やかに持ち直していると判断しています。先行きについては、先進国を中心に、持ち直しを続けていくとみています。』

『IMFの世界経済見通しでも、世界経済の成長率は、2013 年は2.9%にとどまるとの予測ですが、2014 年は3.6%、2015 年は4.0%と、緩やかに伸び率を高めていく姿となっています(図表5)。』

だいたい展望レポートのベースの数値もIMFの見通しとそんなに変わっていない筈です。なお木内審議委員はこのIMF見通しが連続して下方修正されている事を先日の講演で盛大に指摘して、そもそもこの見通し通りに行くのかの不確実性というのをかなり厳しいトーンで説明していましたが、当然の如くそういう懸念は華麗にスルーするのが執行部クオリティ。

『地域別にみると、米国経済は、財政面からの景気下押し圧力が次第に和らいでいく中、民需を中心に回復テンポが徐々に増していくと予想しています。また、欧州経済は、内需の持ち直しに加え、輸出の回復も加わることを背景に、先行き次第に持ち直していくと考えています。中国経済についても、当局が構造問題への取り組みを進めるとともに、景気にも配慮した政策運営を進める中、安定した成長を維持するとみています。』

まあ素敵!

『中国以外の新興国・資源国については、現在一部に弱めの動きがみられており、当面は成長に勢いを欠く状態が続きますが、やや長い目でみれば、再び持ち直していくと考えています。』

ほほう。

『勿論、先行きの海外経済については、米国における政府債務問題の帰趨、欧州での債務問題や金融システム健全化への取り組み、中国における製造業の過剰設備問題をはじめとする構造改革の行方、そして新興国・資源国における構造問題への取り組みなど、不確実性が大きいことには注意が必要です。』

『しかし、こうした不確実性は念頭におきながらも、中心的な見通しとしては、海外経済は持ち直しを続けていき、それに伴ってわが国の輸出も緩やかに増加していくと予想しています。』

この文章構成だと海外経済の下振れリスク言及部分ってど〜見ても軽い扱いにしか見えませんけどね。


○雇用所得動向と設備投資動向について

雇用所得動向は所定内給与の上昇に期待という所で。

『次に、内需の持続的な回復という観点から、雇用・所得動向についてお話したいと思います。先ほどもお話した通り、わが国経済は先行き、生産・所得・支出の好循環を伴いながら緩やかに回復し、2%の「物価安定の目標」を実現できるとみていますが、そのためには所得の改善が個人消費を支えることが重要です。』

つーことで現状と先行きの話をしていますが、基本的に展望レポートに書いてある威勢の良い話が展開されているので割愛、と申しますかまあ強めの数字が出てますからねえ所定内給与以外は。

『先行きについては、労働需給の改善が続く中で、名目賃金には次第に上昇圧力がかかってくるとみています。このうち所定内給与は、パート比率の上昇もあって、未だ前年比マイナスとなっていますが、安定した給与である所定内給与が増加してくれば、家計支出の持続的な増加に寄与すると考えられます。現在、「政・労・使」の連携による取り組みも行われており、企業収益が増加する中で、ベースアップも含めた所定内給与の上昇が実現することを期待しています。』

ワタクシも期待しております(違)。

設備投資の先行きの中では「実質金利の低下」ネタがありますな。

『次に、企業部門に目を転じますと、生産・所得・支出の好循環を伴う景気回復のためには、企業収益の増加が設備投資に繋がっていくことが重要です。企業収益は円高修正もあって回復が続いていますが(図表8)、設備投資についても、これまで底堅く推移してきた非製造業に加え、出遅れていた製造業にも改善の動きがみられています(図表9)。』

『先行きについては、企業収益の改善に加え、金融緩和効果もあって、設備投資は緩やかな増加基調を続けるとみています。』

ほう。

『すなわち、投資採算の観点からみると、景気回復に伴い資本収益率が上昇していくとともに、後で述べるように、「量的・質的金融緩和」のもとで実質金利が低下方向にあるため、設備投資の採算性が改善し、金融緩和の効果が強まっていくと考えています。』

キタコレで、まあ前からこの話自体はしているのですが、実際問題として物価が上昇してきてこの実質金利ガーの話の鼻息が荒くなっている(というか麿と違って黒田さんって鼻息フンガーというイメージじゃなくて根拠があるのか無いのかは兎も角堂々の自信満々で話しそうなイメージですが^^)という感じがするのは気のせいですかそうですか。

『また、これまでの投資抑制姿勢を反映して、設備投資のペントアップ需要も期待できます(図表10)。さらに、政府の規制・制度改革や減税措置、企業の事業再構築など競争力・成長力強化に向けた前向きな取り組みなどもあって、企業の中長期的な成長期待は緩やかに高まっていくと考えられます。』

設備のヴィンテージが高まったまま、というのは以前から指摘されている話で、第三の矢はどこに行ったのかさっぱりワカランですがまあこの辺も定番の説明ですな。

『こうした設備投資を取り巻く環境を踏まえると、今後経済活動の水準が高まるにつれて、設備投資が増加しやすい状況にあると思います。』


○今回の講演(挨拶)で一番訴えたかった話はここなのではないかと思うので引用

んでもってこのコーナーなのですがその後にこんな話がありますが、恐らくこの部分に関しては今回の講演(というか懇談会だが)の会場が名古屋である事を鑑みると、実際には出席している企業の経営者に聞いて欲しい話なんじゃないのと思う部分なので、まあ政策インプリケーション的にはどうでも良いのだが多分思い入れがありそうなので引用しとくわ。

『振り返ってみると、15 年近いデフレが続く中で、企業は、キャッシュフロー対比で設備投資を抑制するなど(図表11)、いざという時に備えて現金を積み上げていきました。その結果、企業の手元現金は230 兆円とGDPの50%近くにまで達しています。デフレ経済を前提とすれば、相対的に有利な投資である現金を増やすことは、個々の企業としては合理的な行動だったと思いますが、せっかくの資金が有効に活用されない結果として、日本経済全体としては活力を失ってきました。』

『デフレから脱却した経済では、これまでとは異なり、お金は貯めておくのではなく、設備投資や研究開発、人材確保などの形で有効に活用する方が有利になります。企業の方々には、是非こうした環境変化をビジネスチャンスとして捉え、前向きな経済活動に繋げていって頂きたいと思います。』

気合で期待を転換しようとしているのだから企業の皆様におかれましてもここは一発その気合を受け止めてレジームチェンジして頂きたいということですねわかります(^^)。

というのが経済物価に関する話でこの後が注目(とはあまり思わんが)の金融政策パート。


○金融政策運営:誤解しないでね!!別に2014年末で切っているんじゃないからね!!!

つい手が滑ってツンデレ小見出しになったが後悔していない。

『最後に、金融政策運営についてお話します。』

つーことで市場の皆様注目パートじゃ。

『日本銀行は今年の4月、消費者物価上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現することを約束した上で、これを裏打ちする政策として「量的・質的金融緩和」を導入しました。具体的には、マネタリーベースを年間約60〜70 兆円増加させ、2年間で2倍に拡大させます。また、これを実現するために、長期国債の保有額が年間約50 兆円増加するように買入れを行っています(図表12)。』

『なお、図表上で本年末や来年末の残高を示していますが、これは現在の政策のもとで、それぞれの時点に実現する残高の見通しであり、政策運営についての何らかの期限を示したものではありません。』

>政策運営についての何らかの期限を示したものではありません
>政策運営についての何らかの期限を示したものではありません
>政策運営についての何らかの期限を示したものではありません
>政策運営についての何らかの期限を示したものではありません
>政策運営についての何らかの期限を示したものではありません

キタコレ!!!

『「量的・質的金融緩和」は、後ほど申し上げるとおり、あくまで、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続することとしています。』

ということでして、そもそも論としてこの政策の建付け上、「物価安定の目標が安定的に持続する時点に達していないと判断された場合には自動的にMB年間60〜70兆円の拡大が継続される」というオープンエンド政策状態になっている(例えば米国のQE2の場合は最初に総額6000億ドルで約8か月という期間を切っていましたわな)ので、そもそも最初から2年で切れる訳ではありませんとまあそういう話だと改めて説明しておりますな。

でまあその辺を追加緩和示唆と言ってヒャッハーとなって円安になる分には日銀ニッコリという所なのでしょうけれども、前段にありますように、そもそも目標達成に向けて順調に進んでいるというメッセージをこれでもかと送っているのですからこれを持って追加緩和ガーと盛り上がるのもどうなのかねとは思います。

しかも運営に関する話ってここで終了なのよね。以下は波及ルートの話。


○金融政策の波及ルートに関して:ルートは実質金利攻撃ですがそのコンポーネントは幾つかに分解できます

『「量的・質的金融緩和」では、効果波及ルートをいくつか想定していますが、そのうち最も重要なルートは実質金利の引き下げです。』

一番最初は名目の話をしていたように見えますが、まあ最近はこの「実質」の話で統一してますな黒田さんは。

『具体的に申し上げますと、まず第1に、2%の「物価安定の目標」の早期実現を掲げ、それを裏打ちする異次元の緩和策を先々まで行うことを表明することにより、人々の期待を抜本的に転換し、予想インフレ率の引き上げを図ります。』

ここの部分が「異次元政策によってデフレ均衡からインフレ均衡に持って行き、その間にフィリップスカーブが上方にシフトアップする」という話でありまして、均衡から次の均衡(というのが正しいのかどうかは分からんが)に遷移させるということはそこのどこかでグラデュアリズムではない状況というのが必要になる可能性が高いという事でして、グラデュアリズムがベースのESPフォーキャストめ参ったか、とは黒田さん表立っては言ってないとは思いますが、まあ話を勝手に面白おかしく翻訳するとそういう事になるんでしょ。

『第2に、巨額の国債買入れにより、名目の長期金利に強力な低下圧力を加えます。この結果、予想インフレ率の上がり方に比べて、名目金利の上昇を少なめに抑えることができれば、その分実質金利を引き下げることができます。』

こちらがもう一つのコンポーネントで、何度か書いていますが重要なので繰り返しますと、これはまあつまり「経済物価情勢から見て適正と思われる長期金利水準に対して、実際の市場金利を日銀による買入効果で押し下げます」という話ですので、まあこれ今は良いのですがどう見ても出口でドヒャーとなる話であり、先ほどはこの政策自体がオープンエンドだと申し上げましたが、どこからどう見てもこの政策をそのままリニアに長期化したら弊害無茶苦茶高まるだろと思いますけどまあそんな事を考えている余裕はございませんですわウェーッハッハッハということですねわかります。

『そして、実質金利の低下には、設備投資や家計支出を刺激する効果を期待できます。』

という結論なのである。でまあ現状の走りに関する説明が最後に来ますが、まあ読む前から提灯行列モードとなっているのはお判りだと存じますが引用。

『この8か月、こうした取り組みは成功しています。家計やエコノミストのアンケート調査などをみると、予想インフレ率は全体として上昇しているとみられます(図表13)。一方で、長期金利は、グローバルに長期金利が上昇する中でも、0.6%程度で安定的に推移しています(図表14)。したがって、実質金利は低下しています。』

物価連動国債17回債のBEI推移(BEIは消費税上昇による影響分も普通に反映するのにあの数字というのも大概に日銀に喧嘩売ってるとは思うがそれはさておき)の話をしない上に図表の方でも当然の如くネグるということで、いいかおまいらそれは突っ込むなよ突っ込むなよ絶対突っ込むなよということですねわかります(ってツッコんでいるが^^)。市場動向に関しては金利が低い件について「成果」という話をしているのですが、物国17回のBEIにありますように、そもそも2年で2%なんぞ行くかよヴォケと思っているからこその金利水準ではないかという論点をも華麗にスルーしている辺りの自画自賛オソロシスという所で、この辺の図々しさは福井の俊ちゃんもニッコリという所でありまする。

『その景気刺激効果のもとで、日本経済は緩やかな回復過程にあり、消費者物価の前年比はプラスに転じました。「日本銀行が2%の物価上昇率を実現すると言っている」だけでなく、「実際に物価が上昇している」ことは、人々の予想インフレ率をさらに引き上げ、実質金利を低下させる効果があると考えています。このように、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮してきています。』

どう見ても満面のドヤ顔です本当にありがとうございました。


○金融政策運営について:いやまあ確かに「必要なら調整」とは言ってるけどさあ・・・・・・・・・・

んでもってその続き。

『以上、申し上げてきたとおり、日本経済は、2%の「物価安定の目標」実現に向けた道筋を順調にたどっています。今後とも、日本銀行は「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するため必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続します。また、その際には、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、「物価安定の目標」実現のために必要であれば、調整を行っていく方針です。』

えーっとですな、確かにヘッドラインではこの「リスク要因を点検して必要なら調整」というのが大々的に出ていまして、追加緩和について言及ヒャッハーとか盛り上がっておられる早とちりさんもおいでのようなのですが、こうやって前後(というか最後なので後は殆ど無いが)の文脈を見た場合にどこがどう早期追加緩和の示唆に読めるのか小一時間問い詰めたいのであります。

『こうした金融政策運営によって、日本経済にとって最大の課題であるデフレからの脱却を必ず実現させることをお約束して、ご挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。』

なお、会見もあったようですので会見要旨も出るでしょう。しかし全然話は違うがこの前の白井さんの前代未聞の会見要旨って何か発言を全然丸めないで白井さんがムキーってなっているのがモロに表現されている辺り、市中晒し者の刑的なアレを感じたのは気のせいですかそうですか^^;




2013/12/02

お題「微妙に柄にもなく財政要因的な話の雑談をしてみる(が滑ったらすいません)」

法案の運用面に懸念があるって批判のある中にこういう発言(しかもブログで書くって口が滑るというレベルじゃねえだろ)するとかゲルもその程度のお方でしたか・・・・・・・・・・・

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131201/plc13120119040007-n1.htm
「本音出た」「反対抑圧」 石破氏の「テロ行為」発言に厳しい批判
2013.12.1 19:02

で早速撤回。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20131202-00000000-nnn-pol
石破幹事長、“テロ”表現撤回の考え示す
日本テレビ系(NNN) 12月2日(月)0時47分配信

この前はこんな撤回案件もありましたし、んなグダグダ状態で包括条項の多い法案を慌てて通さなくてもエエジャン継続審議にしろよ・・・・・・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131129/plc13112912190011-n1.htm
秘密保護法案「規範新設」発言を撤回 公務員と記者接触で森担当相
2013.11.29 12:16


○短国買入とか資金需給的な雑談

金曜の短国買入
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131129.htm
国庫短期証券買入 10,000 2013年12月3日

おや1兆円とな。

落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131129.htm
国庫短期証券買入 36,145 10,002 0.002 0.003 37.1

金曜日付の売買参考統計値は償還間近の銘柄を除きますと新発既発関係なくほぼ軒並み4.5bpの引けになっておりました(1年ゾーンがそれより若干低い)ので、つまり0.048%辺りで新発の打ち込みが入りましたという話になった訳ですが、大流れへっぽこ入札の翌営業日に前週までの2兆円がいきなり1兆円に減額したにしてはこんなもんですかそうですかという所で、やはりその前の2兆円4連発攻撃が随分と吸い上げて来ましたなという所で。

でまあご案内の通り12月に入っておりますので、ここからの短国買入は他の資金需給とオペ動向(固定金利と成長基盤系が大玉でしょうけど)を着地を見ながらどうやって行きますかという話になるので、つまり月初に公表される銘柄別残高を良く良く確認して(つーても基本的に最近の短国買入はカレント近辺が入るので12月の償還予定は先月末の数字見てても無問題なのだが)さてどうなるでしょうということを考えるのでしょうかねえ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・という所で実はこれが素人だと良く判らないのが「政府資金繰り」の部門であります。

今でている直近の営業毎旬報告は11月20日
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131120.htm/

9月末の営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130930.htm/

これを見ると分かりますが、日銀が目標にしているMBのうちの最大コンポーネントとなる「銀行券+日銀当座預金」は自体は9月末対比で見た場合にざっくり2.5兆円ちょっとしか増えておりませんで、長期国債短期国債の買入はその下の方を見れば分かりますように当然の如く増えていますので、日銀のバランス全体で見た場合はざっくり12兆円程度拡大しています。

じゃあその分どこに逝ってるのかと申しますとこれ「売現先勘定」が増えている勘定になっていて、この売現先勘定というのは基本的に対政府売現先となりまして、ちょっと前の数字になりますが10月末の数字だとここに内訳がございます。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tseifu/release/2013/seifu1310.pdf

ストックベースだと10月末で(以下単位は億円)

対国債整理基金 長期国債売現先残高 136,996
対財政融資資金 長期国債売現先残高 58,929

フローベースだと10月の実績が

対国債整理基金

長期国債売現先残高月中増減額 56,474
買戻条件付売却額 163,599
買戻額(−) -107,125

対財政融資資金

長期国債売現先残高月中増減額 -23,006
買戻条件付売却額 46,931
買戻額(−) -69,937

となっておりまして、まあ要するに主に国債整理基金と財政融資基金の部分がどうなりますねんという財政要因でもぶれるという話ではございまして、この財政要因に関して本当は掘り下げて分析すると大変に結構な話になるのですが、それはもはや普段そこまで見ていない人の手に負えない奥の細道の世界でありますので正直詳しい人に一度とっくりと講義を頂かないとワカランチ会長というか、そもそも一度で分かるのかよというレベルの世界になるので分析不能であります><;

まあ幸いにして月初には資金需給見込みというのが日銀から出ていまして、当然ながらこういう諸々も含めまして加味した物件が公表されますし、短資会社でも見込み計数を計算して公表したりしています(昔だったら銀行の資金部とかも予想してたんですかねえ)ので、まあ素人のアタクシとしては出てきた見込み計数見ながら計算する位しか能が無いのですが、まあそんな事でここもと対政府現先の額が増えてますなあとか思った次第ですが、この辺の季節性とか(しかも昨年は財政の出入りが国会要因でぶれているので季節性がそもそもおかしくなっている)まで勘案した場合にどうなのよとか、そういう話は最早さっぱりワカランチ会長orzorz

なお、念のため申し添えますが、基本的にこの売現先勘定って今は対政府の売現先取引でして、日銀が調節によって能動的にぶらしている物件ではありませんので、この数字が増えたのを見て「日銀が吸収オペを密かに実施している日銀の陰謀ガー」とか言い出すと(まあ言い出す奴も居ないと思うが)大変に恥ずかしい思いをするのでご注意ください。

ついでにもう一つ申し添えますと、これってご覧のとおりで国債整理基金と財政融資基金の金になりますので、これらの資金が減った場合というのは形としては財政部門の払い超要因になりまして、その分というのは日銀当座預金の残高増加要因になりますので念の為。

#だから最後の短国オペの帳尻部分に財政要因も効くという話をする為に対政府売現先の話を持ち出したということでありました


○債務の在り方懇とか市場懇とか投資家懇とかその辺の関連雑談

金曜も債務管理の在り方懇が実施とな。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/index.html

でまあ何故か議事要旨が後日で配布資料が先に公表されるのですが、たぶん財務省様ご作成と思われる資料が資料3−1と3−2なのですが、資料3−1の題名が思いっきり『平均償還年限長期化について』とまあやる気満々なのは把握した。

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20131129-3-1.pdf

でまあ前回会合の議事要旨も出ておりますが・・・・・・・・
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/outline/d20131115.htm

こちらの議事要旨を拝読いたしますと、過去の在り方懇と全然違いまして随分とまあ細かい技術的な話がテーマになっているなあという所ですが、まあつまり「国債償還年限の長期化を実施するからテクニカルな問題が起きないようにするにはどうしたらよいでしょう」というのが基本的なベースにあってはてさてどうしましょ的な話ですな。

でもって前回の議事要旨を読んでニヨニヨしたのはこの辺り。

『・取引にあたっては発行残高に占める自社の保有比率を考慮して行うため、銘柄ごとの残高が一定程度ないと流動性が低下するが、リオープン制度はこのような問題の解決につながる。流動性供給入札について、現在の緩和環境下では、特にオフザラン銘柄を業者間気配値で売買することができないことが多いと聞くので、金額や銘柄の面で拡充していくべき。

・足元の市場動向について、まだまだ異例な事態が続いているという実感があり、いざという時に市場機能を発揮できるか心配。今できる措置として、流動性を確保する政策は重要。そのための手段として、リオープンと流動性供給入札という制度があるが、リオープンについては、現在の金融政策の下では、20年債は暫定措置である必要はなく、また、10年債の0.15%の基準は広げることができるか議論してはどうか。

 流動性供給入札については、今まで以上に柔軟性を確保し対応していくことが大事。流動性の観点から、本来は、銘柄当たりの規模を増やすリオープンが重要だが、時間がかかるため、当面は、流動性供給入札によって足りない国債を発行する政策が重要ではないか。』

まあ昔は逆に「流通額なども勘案しながら発生しているイールドカーブの歪みが超過収益機会になっている中で流動性供給入札がいきなり行われると取引の前提が崩れる」とかいうおいおいというような見解が堂々と市場懇だか投資家懇だかで出ていたりしていた時代もありましたが、日銀の馬鹿買いによって流動性枯渇モードとなって初めて気が付く流動性の有り難さという所でございまして実にこう心が温まるものがございますが、これ逆に言えば今流動性向上がどうのこうのと言ってるのって「日銀の一手馬鹿買いによって流動性が無い」からこういう話になっているという事も言えるのでありまして、実際にこれで流動性向上とやらがバンバン進んだ場合に本当に財務省の意図するような結果が起きるのかというと別問題のような気がします。


でまあ先週は市場懇と投資家懇が行われていましたが。

直近のPD懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/131122.html

直近の投資家懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/131125.html

投資家懇要旨にある財務省からの説明によりますと、

『・「発行根拠法別発行額」としては、建設・特例国債については「前年度を上回らないよう、最大限努力する」とした中期財政計画に沿って、予算編成作業が進められている。借換債については、26年度概算要求では約120兆円を要求しており、現時点では、今年度より約8兆円上回る見込みである。財投債については、26年度財投計画の規模等により、今後決まることとなる。しかし、平成15年度から16年度にかけて約5兆円増加した10年債の財投債が償還を迎えるため、その分は自然体で増加する点に留意が必要である。なお、年金特例国債(24・25年度:2.6兆円)は、来年度は発行しない。また、復興債については現時点で申し上げられる点はない。

・一方、「消化方式別発行額」としては、今年度に発行した国債のうち約5兆円は前年度補正予算のために発行したものであるが、来年度はこのような特殊要因がないことから、その分余計に消化余力が生じることとなる。さらに、足元では第U非価格競争入札が好調であることなどにより、25年度中に発行する前倒債が発行予定額より上振れており、限度額(20兆円)一杯まで発行される見込みである。この上振れ額の大半は26年度の消化余力となる。日銀乗換については、最終的には日本銀行の決定によるものではあるが、今後、当局として要請内容を検討していきたい。個人向け販売分については、足元では堅調に推移していることなどを踏まえて、来年度の発行予定額を検討していきたい。』

ということで、恐らく市中消化に関しては日銀乗換分がどう転ぶかが謎ですが、基本的に中長期国債に関しては前年と大差なくて、一方で平均年限長期化はどう考えてもやる気満々なので20年以外の長期超長期が増えて中短期が減るという話になるというのはまあ市場のコンセンサス。つーかそれもネタにして先週木曜の入札では2年がフィーバーしておった訳ですが。


さてここで4月4日の金融政策決定会合声明文をご覧ください。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

えーっとですな、そもそも日銀の国債馬鹿買いの平均残存年限なのですが、現在の「7年程度」というのは一応根拠として『また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。』(上記4月4日の決定会合声明文から)となっておりまして、そーゆー意味では財務省の方が平均残存年限を長期化しようとなりますと、日銀の方も実はこの「7年程度」の前提が変わってしまうのでそれに合わせる必要が出て来ませんか大丈夫ですかとなるのですよ。

まあそうなった場合に統合政府としての金利リスク管理とかどうなのよという話はさて置きますと、現在の建付けの場合は、結局の所市中消化の国債発行分の年限が長期化された分の一部(日銀が見ているのは「発行残高全体」なので全部ではない)が日銀に吸収されるという話になって、これつまり日銀もそのうち買入年限の内訳をいじる可能性もあるという話ですが、問題はこの「7年程度」の文言をいじるとするとMPMで決定しないといけないので、そう簡単にいじれない事。

とは言いましても、そもそも7年程度という中には幅があるという話をしていますし、財務省が平均残存年限を長期化すると言いましても極端に振らせる訳では無いので、恐らくは日銀が今示している輪番オペの年限別内訳の運用範囲内で何とかなるでしょという気もしますが、どうも市場の方では現状財務省の発行の方だけ見て「この年限が減る、増える」の話だけでヒャッハーと言ってる気がするので念の為申し添えてみましたという所でただの雑談でした。


#ということで雑談をしてみましたが、何となく話に大穴があいているような気もするので勘違い部分については絶賛ツッコミを希望いたしたく存じます