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2015/01/30

お題「溶鉱炉に沈んでいた金利が徐々に水面に来たので今日の短国買入に注目/その他雑談&電波浴」

しかしまあ年初から波乱の連発だった1月相場でしたな。

#なお諸般の事情で本日は雑談大会で恐縮至極

○2年入札とか短国とかの市場ネタ

・2年入札はマイナスから浮上とな

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul077.htm

(1)応募額 10兆8,718億円
(2)募入決定額 2兆5,580億円
(3)募入最低価格 100円18銭0厘(募入最高利回り)(0.009%)
(4)募入最低価格における案分比率 57.6529%
(5)募入平均価格 100円18銭6厘(募入平均利回り)(0.006%)

とまあそういうことで昨日の2年は前場引けの時点で気配がプラスの0.5bpから0.8bp辺りのところにいたのでプラス入札だぜヤッホーと思っておりましたが、応札の方も前回よりは少なくて結果もまあこんなもんという所ですし、いわゆる不明玉も1.3兆円程度なのでまず普通の入札となりましたな。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul077a.htm
本日の2年利付国債(第349回)の第U非価格競争入札に対する応募はありませんでした。

でまあBBの引けは0.5bpになっているのですが、第U非価格はボウズでしたので引け水準は完ぺきなオファーサイドという所で、2年債ヒャッハーマイナス金利からようやく脱却となっていて誠に結構としか申し上げようがない(マイナスだと市場が死んで困るので)ですな、うんうん。

でまあ足元そんな訳で追加緩和ネタがいったん後退したところから全般的に債券市場が調整しているようにも見えるのですが、実際問題としては昨日の債券市場だって先物30銭近い上からスタートしているのに前場から10年辺りにブチカマシが来て失速するとか、後場にも謎の債券ジャッジメントタイムだか何だかしらんですけどここの所連日後場途中で謎の債券売りとか、まあタイミング的には1月展望レポート中間レビューで目先の金融政策に対する見通しが変化した後からではあるのですが、なんだかよー分からん債券売りモードのほうが効いている悪寒もするが誠に謎の極み。

しかしまあ何ですな、昨日も申しあげましたが年初以降の「もう投資家が売るに売れないし買うのも無理という水準になったから日銀オペの成行買いにぶつけてパラダイス銀河だヒャッハー」という相場は何か知らんけど売りが来て、その際に普通の投資家が買えない水準にいるとそらまあ支えのビットがないのだからボラ上がるわなというお話ではあるのですが、しかしながら日銀の無慈悲買入の残高は今後も拡大傾向であることを鑑みると目先はともかくその先どうなのとかを考えるのも難しいですのーと存じます。

てかまあここまでの結果から見ますと「日銀の市場キャパシティーを無視した国債買入が足元では市場に対して相当規模の無駄な仮需要を発生させていた」という金融政策へのインプリケーションを読むことができる訳で、この買入拡大をいつまでも続けてよいのかという話になるでしょと。つまり買入拡大するうちに無駄な仮需を発生させる規模が更に壮大になる訳で、その一方で目標達成を(まあしないと思うけど)するとか、そうじゃなくても金融政策の見直しとかになった時への反動圧力が今回の謎展開なんぞ目じゃない事になりかねませんので、そういう意味からもバランスシートの無理な拡大は先のリスクを高めますなあとか最早2年国債入札と全然関係ない話になるのでした。

一応毎度のロイターさんの記事を置いておきますね。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0V830A20150129
〔金利マーケットアイ〕国債先物は小幅反発、長期金利0.290%に上昇
2015年 01月 29日 15:19 JST

『<15:12> 国債先物は小幅反発、長期金利0.290%に上昇

長期国債先物は小幅反発。前日の海外市場で、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米債が買われた流れを引き継いで、買い戻しが先行した。買い一巡後は戻り売りが優勢になる場面もあり、相場は乱高下した。後場も方向感が出にくかったが、日経平均株価が大幅に軟化したことを材料に終盤に再び短期筋からの買い戻しが優勢になった。現物債も荒い動きになった。長期ゾーンは調整売りと押し目買いが交錯。超長期ゾーンの金利も振れ幅が比較的大きくなった。業者のほか、海外勢を巻き込み一部銀行勢の動きが活発化した。2年債はさえない。ただ、2年債入札は事前の調整が奏功し無難な入札結果となった。最高・平均落札利回りに関しては、ともにプラス水準となり、過度な利回りの低下が修正された。長期国債先物中心限月3月限の大引けは、前営業日比6銭高の147円94銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.290%。』(上記URL先から)


・3M入札は100円足切で本日の短国買入に注目

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150129.htm

(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 7.8136%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘7毛(募入平均利回り)(-0.0027%)

つーことで100円足切になりましたが、いわゆる不明玉も1.8兆円弱と割と普通にディーラーの懐に入っておりますようですので、本日の短国買入ってまあ札はたくさんあるように思えますが、本来的に言えば今月は償還よりも3兆円ほど買入を超過させているところでありますし、来月は10兆円償還がありますけれども、短国残高維持という話だけでいえばよーしパパ3兆円買入しちゃうぞーとかやる必要はなさそうにも見えますな。

つーかですな、まあいろいろな要因があるから決め打ちで講釈するのも微妙ちゃあ微妙なのですけれども、短国金利がどマイナスで推移する中で短国買えないから利付みたいな話になり、その年限がドンドン拡大して債券市場があばばばばばーとなったのの巻き戻しみたいな展開になっている訳でして、ここまでイールドカーブが親指を立てて溶鉱炉に沈む事態になった大きな原因として「短国買入がマイナス金利を維持するようなオペの打ち方で推移して短国のマイナス状態を長期化させて短国市場を殺した」(短国は主要銘柄が13週間物なのですから1か月以上もマイナスが維持されると市場は自動的に死ぬ)というのがあるとしか思えない訳でして、そういう認識も広まる中でよーしパパ札があるから短国買入をたくさんしちゃうぞーとなるかどうかが注目というか日銀の調節スタンスが注目というかでありますな。

なお、売買参考統計値を見ますと本日の場合は507回1年カレントが-2.0bp、昨日の509回が0.0bp、先週の508回が-0.1bp、その前の506回が-2.5bpとなっておりますが、506回は先週の短国買入で軽くなっているので507回が一番入りやすくて、ただまあ1年は発行が2.5兆円ですからオペに打ち込まれるのって経験的に1兆円台後半のはずだから残りの札がどうなるのかという所でしょうし、そうなるとたぶん在庫残っていそうな508と509の引けがあまり強くないから平均と足切の差が出るような結果になるんですかねえよくわかりませんけど。

ちなみに先週金曜の売参を見ますと507回が-2.5bp、508回が-0.1bp、506回が-5.8bpでついでに言えば504回(506の前の3M)が-5.0bpで、その前の月曜の売参を見ると507回が-2.0bpで506回が-3.9bp、504回が-5.5bpで505回(6M)が-2.9bpとなっておりまして、オペが売参からの利回り較差競争方式なので売参が低いものから順に入りやすいというのが仕様ですから旬報の短国残高と比較してみるとなかなか味わいがあるというものです。


○タオルキターというかなんじゃこのニュースは

ぽかーん。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L21JY20150129/?sp=true
日銀の追加緩和は当面不要、政府見解固まる=関係筋
2015年 01月 29日 22:13 JST

『[東京 29日 ロイター] - 政府が、日銀の実施している量的・質的金融緩和(QQE)について、当面は追加緩和の必要性がないと見解を固めていたことが明らかになった。複数の関係筋が明らかにした。原油価格の下落は日本経済にとって大きなチャンスであり、追加緩和で円安が進めば、メリットが減殺されるとみているためだ。』(上記URLより)

ナンジャソラというか、そういうのは政府は思っていても口には出さないし、こういう記事を書かれるような隙は出さないのが金融政策の独立性云々という意味で政府のたしなみだと思うのですが、さすがは「私の金融緩和」というところですかそうですかという所。

しかしまあ何ですな、この前のあまりん発言といい、こういうのが出てくるとかいう風になると、「無理して物価目標を推進しなくても良いじゃないかでふれだっきゃくだもの」という話になってきて、さて金融政策どうするのという話が先般も申しあげたように意外に早い時期で投下されてくるのかもしれませんね。

となりますと、矢折れ刀尽きる(物価的に)10月よりも「2年」の期限からあまり遠くない時期とかでタオルが飛んでくる可能性も無きにしも非ず、というかもっと意地の悪い言い方をすると「そもそも強引に2%達成させるようにするよりも原油安で天の助けで地方も助かっているからこの際日銀の梯子を軽く外して日銀だけ屋根の上にあげておくか」状態になるのかもしれず、ちょうど統一地方選挙も近くなってきてという政治状況の中では暫くこの辺に関する思惑というのも出やすくなるのかねえとか思うのでした。


○この連載はおもろいのでオヌヌメ

http://www.asahi.com/topics/word/金融政策 私の視点.html
http://www.asahi.com/topics/word/%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%80%80%E7%A7%81%E3%81%AE%E8%A6%96%E7%82%B9.html

同じなのですけど、朝日新聞デジタルで最近この連載がなかなか面白いのでオヌヌメであります。いろいろなのがあって面白いのですが今朝は軽く毒電波浴をしておきましょう!!!

この前もロイターで毒電波を放出しておられたので繰り返しみたいなもんですが。

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之
2015年1月21日11時34分

いろいろとおかしいので月末の締めは電波浴で。

『――2013年春から2年程度で物価上昇率2%を目指す日本銀行の物価目標は、達成できるでしょうか。

 「2%まではなかなかいかないかもしれない。最終目標の雇用がよくなっているなら、そんなにこだわらなくてもいい。大事なのは景気が良くなることで、2%というのは金融政策でそのくらいにしたほうが雇用が良くなるという経験則があるからだ」』(直上のURL先のインタビュー記事より、以下同様)

えーっとすいません、リフレの皆さんは「2%物価目標達成で世の中がよくなる」という話をしていた筈で、そのような簡単な世界標準政策をやろうとしない日銀は無能の巣窟なので置物大先生が堂々と副総裁で乗り込んできたんじゃなかったでしたっけ??いつの間に最終目標が雇用になっているんでしょうか???

『――日銀も期限を定めず緩和すると言っていますが、それでは国債購入の際限がなくなりませんか。

 「さすがにいつかは2%の物価上昇を迎えるだろう。そのときに静かに金融緩和を縮小すればいい。2%の物価目標は金融緩和の行き過ぎを抑える歯止めにもなる」』

えーっとすいません、米国のTaperingトークでの市場の動きはご覧にならなかったのでしょうか???

『――金融緩和の結果、円安が進んでも、期待していたような輸出増につながっていません。

 「期待していた効果は出ていない。ただ、金融緩和に反対していた人たちは、円安になったら世界貿易戦争が起きると言っていたが起きていない。確かに私も輸出は増えると思っていて間違えたが金融緩和の反対派はもっと間違えている」』

ほうほう、大きく出ましたなあ。ああそれから最近の世界の金融政策の動向は「通貨安競争」とか市場で言われたりもしてますけどねえ。

『「効果が出ない主要な原因はリーマン・ショック後の日銀の対応だ。他の国がものすごい金融緩和をしていたのに、日本はしていなかったから円高になった。工場が海外に移転してしまって空洞化が進んだのが原因だ。もう一つの原因として、輸出先の海外の景気が良くないという点もある」』

えーっとすいません、そんな昔の政策が原因だったらそもそも円安にしても効かないという話になると思うのですが・・・・・・・・・

『「円安になって輸入品が高くなっているが、その輸入品を加工することで、従業員への賃金を上乗せして売るのだから、この分は円安による値上がり分より基本的に大きいはずなので問題はない」』

最早何を仰っているのかがさっぱりわかりませんが、この特集インタビュー記事を見ますと聞き手の方が原田大先生の説明を下手に端折った結果意味不明になったというような可能性は低いと思いますので、大先生の大先生理論が上記のようになっていると思われます。

『――仮に日銀が物価目標を達成して、国債を買う量を減らせば、日銀が持っている国債価格も理論的には含み損を抱えます。時価評価しないとはいえ、財務の健全性は大丈夫ですか。

 「日銀は国債をコストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損してももうけは8兆円ある。日銀の利益は国庫に渡ってきた。国債の価格が下がっても、財務省が埋めればそれでいいだけだ」』

大先生理論キタコレ!!

ということで、相変わらず日銀はタダで国債を買っている理論でこれで早大の教授が務まる世の中というのは一体全体どうなっているのかと思うし、このゼミの卒業生がいるのかどうか知らんが人生の貴重な時間をこのような電波浴で費やすとか不憫で不憫で。

『――仮に損を出したら、日銀の信認が傷つきませんか。

 「日銀のバランスシートが傷んだと思われても、信用が失われることはありえない。国はすでに1千兆円もの国債を発行して、バランスシートを傷めているのだから、日銀のバランスシートが傷もうが関係ない。制度上、日銀が財務省に補?(ほてん)を頼むのがいやというのはあるのかも
しれないが」

「円の信認は日本の経済力に対する信認であって、日銀の信認とは関係ない」』

・・・・・・・・・えーっとすいません、国債発行は借金なのでその時点ではただの債務で別にバランスシートは傷まない一方で損失というのはそのものズバリなのでバランスシートの資本の部が毀損する形になるのですが、国債をタダで買っている理論を先般拝読した時に複式簿記の基本がわかっていないのかと申し上げましたが、そもそも貸借対照表と損益計算書の区別もつかなくても早稲田大学では経済学の教授をやって、超ドマクロの話をしているだけならまあそれでも実害はなさそうですけど事もあろうに金融政策の話をしたり提言をしたりするとか、都の西北大丈夫か状態でございまして、今回もなかなかの電波浴を楽しむことができましたとさ。

#今朝は諸般の事情により雑談大会版でどうもすいません



2015/01/29

お題「FOMC声明文のトーンは強いですの/市場雑談等」

もう今年も12分の1が終わろうとしていますよ皆さん!!!!!

○寝起きでFOMC声明文

今回は声明文のみですにゃ。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20150128a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141217a.htm(前回)

・第1パラグラフ:景気認識を結構引き上げるし物価の弱含みは一時的とな

このパラグラフは結構強くなっておりますよ。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in December suggests that economic activity has been expanding at a solid pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in October suggests that economic activity is expanding at a moderate pace.』(前回)

いきなりの出オチで強い総括判断である。solidですよsolid。

『Labor market conditions have improved further, with strong job gains and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators suggests that underutilization of labor resources continues to diminish.』(今回)

『Labor market conditions improved further, with solid job gains and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators suggests that underutilization of labor resources continues to diminish.』(前回)

労働市場の現状に関しても全体の改善という表現が現在完了形に変わっておりまして、雇用の拡大に関する文言も強くなっております。労働市場のスラック縮小云々の文言は同じですな。

『Household spending is rising moderately; recent declines in energy prices have boosted household purchasing power. Business fixed investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow. 』(今回)

『Household spending is rising moderately and business fixed investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow.』(前回)

企業の固定資産投資云々とか住宅セクターとか個人消費に関する総括判断文言は同じなのですけれども、「最近のエネルギー価格は家計の購買力を高めている」(キリッ)というのが入っているのが実にチャーミングで、ようは物価が下がっている要因は本質的に景気にプラスの事だから反応せんわヴォケという話をしているわけですな。

『Inflation has declined further below the Committee’s longer-run objective, largely reflecting declines in energy prices.』(今回)
『Inflation has continued to run below the Committee's longer-run objective, partly reflecting declines in energy prices.』(前回)

物価に対する現状判断はより伸び率鈍化という話をしているのですが、その要因に関して従来は「その要因の一部はエネルギー価格の下落」だったのが、今回は「その要因の多くはエネルギー価格の下落」となっていて、その前の部分で説明している「家計にとって良いことであるエネルギー価格の低下によって物価が下がっているのだからヘーキヘーキ」というのをより強調した形になっているのがこれまたお洒落ですね。

『Market-based measures of inflation compensation have declined substantially in recent months; survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Market-based measures of inflation compensation have declined somewhat further; survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)

BEIの低下に関しては「顕著」としたもののサーベイベースの長期的なインフレ期待は安定と。


・第2パラグラフ:先行きのところは物価の一段の弱含みに言及もあんまり変わらんぞな

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

ここはいつもの文言。

『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators continuing to move toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators moving toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)

今後も適切な緩和政策のもとでマンデート達成に向けて経済が拡大するでしょうというのは同じですけれども、労働市場の指標が改善する云々のところがmovingからcontinuing to moveと昇格しておりますな。

『The Committee continues to see the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.』(今回)
『The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.』(前回)

先行きのリスクはおおむねバランスという表現なのですが、なぜか今回はcontinues to seeとなっておりまして、これは「物価が足元弱いですけれどもリスクバランスに変化はありません」(キリッ)というのをより強調したかったんでしょうかね。

『Inflation is anticipated to decline further in the near term, but the Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent over the medium term as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate. The Committee continues to monitor inflation developments closely.』(今回)

『The Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate. The Committee continues to monitor inflation developments closely.』(前回)

つーことで先ほどの表現変更に対応するように物価の見通しに関しては「近いタームではさらに弱含む」という説明になっておりますが、それを除いてみますと先行き見通しに変化はないですな。


・第3パラグラフ:海外情勢を注視というのがしらっと入ったの巻&ガイダンス文言は維持だが余計なの削除

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. In determining how long to maintain this target range, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(今回)

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. In determining how long to maintain this target range, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.』(前回)

ここの文言ですが、途中まで思いっきり全文一致ですけれども、最後のところで「今後も政策判断においては労働市場や物価およびインフレ期待の動向に加え、readings on financial and international developmentsを注目する」という表現になっておりますが、前回は「readings on financial developments」となっていまして、海外情勢を注視しますというのが入っているのが今回声明文の中の(だいたい唯一の)ハト方面への表現変化部分という感じですな。

『Based on its current assessment, the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy.』(今回)

『Based on its current assessment, the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy. The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program in October, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored.』(前回)

ガイダンス文言のpatientを維持しましたので次回とその次の利上げ着手は無しという事のようですが、後半の「この文言は従来の文言に沿っているもの」というインチキ説明(沿っているなら変えないだろ)部分は削除されていますがまあ順当。

『However, if incoming information indicates faster progress toward the Committee’s employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.』(今回)

『However, if incoming information indicates faster progress toward the Committee's employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.』(前回)

「状況次第で正常化着手の時期とかはデータ次第」というdata-dependentの部分の表現が変わっていませんがまあこれも一般的文言ではあるので継続しているのは順当。


・第4パラグラフ、第5パラグラフは文言に変化なしです

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee’s holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(今回)

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(前回)

同じですな。

『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(今回)

『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(前回)

ということで資産買入の話と利上げプロセス着手後の金利上昇ペースに関する説明部分となる第4、第5パラグラフは全文一致でございました。

・第6パラグラフ:全員賛成とな

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Charles L. Evans; Stanley Fischer; Jeffrey M. Lacker; Dennis P. Lockhart; Jerome H. Powell; Daniel K. Tarullo; and John C. Williams.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.(この後に反対3名の反対内容の説明があるが長くなるので割愛)』(前回)

ということで、タカ派のラッカー先生もハト派のエバンス先生もコウモリのウィリアムス先生も揃って賛成というのがなかなか味わいがありますなという所で。

つーことでまあ声明文だけ出すと今回は割とタカっぽく見えるという作戦で、前回はどちらかというと「声明文はハトっぽくて会見の冒頭説明はタカっぽい」という作りになっていましたので、まあ今回は会見の冒頭説明に合わせたんでしょうなあというか、12月に急にやるんじゃなくてタカ的な話を瀬踏みしてから今回声明文に反映させたとかそんな感じなんでしょうかね。


○市場雑談である

・今度は10年に売りとか中短期が徐々に水面に戻ってきましたよとか

毎度のロイターニュースで恐縮ですが。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0V72NW20150128
〔金利マーケットアイ〕国債先物は続落、長期金利一時0.300%に上昇
2015年 01月 28日 15:19 JST

『<15:14> 国債先物は続落、長期金利一時0.300%に上昇

長期国債先物は続落。前日の米国市場で、12月耐久財受注が市場予想に反して減少したことや企業決算のさえない内容を材料に株安・債券高となった流れを受けて、東京でも買い戻しが先行した。後場は一転、短期筋からの戻り売りに押され、国債先物は節目の148円を割り込んで一時147円80銭まで下落した。現物債も午後の取引から、各ゾーンに強い金利への上昇圧力がかかった。先物に連動性を強めた流れとなり、FOMCの結果を意識した業者中心のポジション調整がみられた。日銀が3本建てでオファーした国債買い入れオペは、市場実勢の範囲内の結果に収まった。2年債利回りは前日比1bp高い0%を付けた。マイナス利回り解消は、昨年12月16日以来、約1カ月ぶり。29日の新発2年債入札を控えて調整圧力がかかった。』

ついこの前0.20%割れドイヒーとか言ってたのが昨日は一時0.300%とかもうね(なお引けは0.285%)という所ですが、昨日は先物が18銭安で10年が2.5甘となっておりまして(なお20年が1強で30年が2.5強というのもなかなかおしゃれですが)、5年も2甘(の0.055%)ですので10年が特に売り攻撃という事ですねわかりますということで。

ついでにここもとの動きですと中短期のところも徐々に水面に戻ってきておりまして、2年カレントがゼロ%まで戻ってきましたし、利付のマイナス金利の引けとなっている部分がだいぶなくなってきておりましてほほーという所ですな。

まー何が何だかという所ではあるのですが、短いところに関してはそんなに付利下げ系のポジションがあったのかねとイマイチワカランチ会長ではあるのですが、いずれにせよ12月中盤以降、特に1月になってからというもの、売る人がいないのを良い事に日銀のレートを問わずに成り行き買いという輪番とか短国買入にぶつけてヒャッハーヒャッハーとやりながら普通の投資家が普通に参加できない水準まで持ち上げてしまったものの、追加緩和観測が後ろに倒れた途端にポジションの維持がしんどくなってきたとかそういう話ですかねえ、なんだかよくわかりませんけど。

あと短国の過激なマイナス状態が気持ち改善しているのも短期のところでは影響があるような気もしますが、単に2年入札前の調整かもしれませんのでよくわからんです、はい。


・本日は3M短国入札(と2年入札)でありますが

さて本日は昨日申し上げたように3Mの短国入札。足元では何か知らんですけれどもやや3Mカレント近辺の引値がやや甘くなってきていて、GCレートはちと下がっているから需給そのものは若干改善しているようにも見えるのですが訳分からん。つーて下がってもGCレートは別に市場の玉がスッカラカンになった時のような水準ではないので、まあ玉はあるんでしょうかね。

てな訳で本日の3M入札は毎度おなじみのマイナス足切りになるのか100円まで足が伸びるのか(アンダーパーは期待してませんけど)という風情なのですが、今日の結果と明日の短国買入の入り方がどうなるのかに注目したいと思います。

しかしまあ何ですな、短国の引けのマイナス金利が徐々に緩和してきている中で2年とかの利付の金利も徐々に水面に復活しつつある、とかいうのを見ますと、そもそも論として短国買入で投資家を排除してマイナス金利を維持するという日銀の調節スタンスが短国のみならず債券市場を壊すのに大変に有意義な貢献をしておりますなというのが示されていると推測される所でして、まーもうちょっと短国買入の実施において札集めるのを重視するだけではない運営というのができませんですかねえと思う今日この頃でございました。

つーことでまあ2年もさすがにマイナスにはならないんでしょ?よくわからないけど。


○アリバイ屋上屋を架すの巻

昨日の夕方こんなのが出ていました。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/rel150128a.pdf
2015年1月28日
日本銀行金融市場局
市場参加者との対話の場の拡充について

ほうほう。

『本銀行は、「量的・質的金融緩和」のもと、国債や各種のリスク性資産など、広範な金融資産を買い入れています。こうしたもとで、日本銀行金融市場局では、市場参加者との対話の強化に向け、「市場参加者との意見交換会」の開催や「東京短期金融市場サーベイ」の公表早期化など、さまざまな取り組みを進めてきています。さらに、四半期毎の「債券市場サーベイ」を、新たに2015年2月調査から開始することとしています。』

そうですね。

『そのうえで、日本銀行金融市場局では今般、さらに以下のような方策を通じて、市場参加者との対話の場を一段と拡充していくこととしました1。』

ほうほうそれでそれで??

『1.「債券市場参加者会合」の創設』

ほっほー。

『日本銀行金融市場局は、本年から開始する「債券市場サーベイ」を有益に活用し、市場参加者との対話を一段と強化する場として、「債券市場サーベイ」や「市場参加者との意見交換会」にご参加頂いている金融機関を対象とする「債券市場参加者会合」を、新たに開催することとしました。』

ちょwwwおまwwwwww

えーっとすでにこういうのあるんですが・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141125c.pdf
「市場参加者との意見交換会」の開催について

えーっとすいませんこれとどこがどう違うのでしょうかという所ですが、どうもその先にある説明によると人数を減らしてスモールミーティングにして意見交換がどうのこうのという事のようですが、そもそも聞く耳持ってないと思われている状態だと別に意見交換しても意見出てこないと思いますし、どうせオペ先にはいろいろとヒアリングしてるでしょうからわざわざこういうのやるのはアリバイ会合としか思えんのだがまあ機能すると良いですね(棒読み)。


『2.「市場調節に関する懇談会」の拡充』

ほえ??

『オペレーション対象先との間で原則として年2回2開催してきた「市場調節に関する懇談会」について、今後は開催日時を事前に公表するとともに、対話の強化を進める観点から、時間も若干拡大して開催する方針です。開催頻度は従来通り原則年2回とし、次回会合は2月25日に開催する予定です(詳細は別紙参照)。』

いわゆるオペ懇について開催を公表する(中身が公表される訳ではないでしょうが)うえに時間を延ばすと言う事のようですがso whatという所でして、まあそれよりも唐突にこういう施策が出てきたのはなんででっしゃろとか考えるほうが味わいがあるかもしれませんね!!!!!

まあなんですな、今回のアナウンスとか見てても思うのですが、そもそも短期のインターバンク部分の調節が伝統的金融政策のメインだったから仕方のない面はあるにせよ、どうも日銀におかれましては「金利の市場はオペ先」という認識が抜きがたくあるように思えるわけでして、いやあの実際に金融市場での金利商品を実体経済と繋いでいるのはディーリングルームの中だけではないですし、たとえば毎度申し上げております「名目プラス金利とマイナス金利の非対称性」という話にしたって、市場の中だけ見ていると見えにくいものがあったりするとか思うので、市場との対話という中であまり狭いところばかり見られても困るなあとか思ったりもしますけどね、うんうん。




2015/01/28

お題「総裁会見ネタ補足/市場雑談/あまりんからタオル??/置物講演で自己紹介とな」

○総裁定例会見ネタの積み残し部分について少々

ネタの積み残しが多くてどうもすいませんすいません。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1501a.pdf

先般は2年で2%の件を聞かれてブチ切れのところと、原油価格は経済にプラスです(キリッ)の部分をPC慣らし運転しながら(って今もまだ慣熟運転中だが)あわてて引用しましたがそれ以外について少々。

・10月ロジックとの整合性について

質問が大演説状態でほほえましい。

『(問) 昨年10月に追加緩和をされた時、「実際の物価上昇率の伸び悩みが続けばそれがどのような理由によるものであれ、予想物価上昇率の好転のモメンタムが弱まる可能性がある。そうなれば、せっかくここまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅れてしまうリスクがあります」とおっしゃっています。「どのような理由によるものであれ」という場合、10月は、消費増税による影響と、より大きなものとして原油価格の下落があったと思いますが、今回の決定会合における局面においては、「どのような理由によるもの」という中から、原油は除外するという理解だったのでしょうか。』

(;∀;)イイシツモンダナー

『先程、ドバイで1バレル55ドル、いずれ70ドルという想定のもとでも、なお「2015年度を中心とする期間」に2%程度を達成することは可能であるとおっしゃいましたが、一方で原油価格次第では多?前後する可能性があるのも事実とおっしゃっています。もともと「2015年度を中心という期間」に、先程おっしゃったように多?幅があって、そこからまた多?前後するということであれば、原油価格次第で、例えば2016年度の半ば、後半になったとしてもそれは構わないと、追加緩和をするような状況ではないとお考えなのかどうかまずお伺いします。(以下割愛、というか次に)』

そらそうよ、で後半の質問が関連して(割と関連している)続くのですがそれは次に。

『(答) いずれも私が従来から申し上げている通りです。』

さっそくムッとしていますね!!!!

『まず1点目の原油の問題については、昨年10月31日に「量的・質的金融緩和」を拡大した時に詳しく申し上げたように、消費の弱めの状況とか原油価格が下落したということで、消費者物価の上昇率がだんだん下がってきていました。どういった理由であれ、それが期待インフレ率にマイナスの影響を与え、将来の賃金上昇にも影響を与えることになれば、物価に影響が出てくるということであり、そういう懸念があったので、懸念を払拭し、転換しつつあるデフレマインドが戻らないようにするために、「量的・質的金融緩和」の拡大を決定したわけです。』

前回は期待インフレが下がるリスクがあったが今回はそのリスクがないとはどういう事でしょうか??

『これまでの状況をみますと、BEIは別として、企業や家計の予想物価上昇率、あるいは先程申し上げたように賃上げの交渉に向けた動きをみても、デフレマインドにまた戻ってしまうという懸念は、現在のところは、幸いに払拭されていて、生じていないということです。』

低下しているBEIは期待インフレの低下リスクを示しているものではないとかもう勝手極まる話ですけど、FRBのBEIの低下を捕まえて「市場のリスク認識の変化であってインフレ期待の変化ではない(キリッ)」とか言い出すし、一方でECBはBEIの低下に言及してソブリンAPP投下ということで、もうカオスですなカオス。

『今後とも、原油であれ何であれ、物価上昇率の動きを十分注視して、そうした中で予想物価上昇率の様々な指標、動きを検証して、それが将来の賃金や物価の上昇率に大きく影響して、2%の「物価安定の目標」の達成が難しくなるというような状況になれば、当然、躊躇なく金融政策を調整すると言っていることは、従来の言い方と全く変わりません。(後半割愛)』

どう見てもやりたいことに合わせて都合の良い数字を持ち出しているだけにしか見えないのですけどね。


・賃上げに関して

さっきの続きね。

『(問)(前半割愛)2点目は、昨年末以来、黒田総裁を始め、日本銀行の皆様はとにかく賃上げ一点張りというか、金融政策の目標が賃上げになったのではないかと思われるような状況ですが、先程具体的な数字については、おっしゃいませんでした。ただ、日銀の色々な方と話をしていると、この1年間の物価上昇率ぐらいは、やはり賃上げ、ベアがあるのが望ましいということを言っています。具体的数字はともかくとして、望ましいというか、あるべき賃上げが行われなかった場合には、やはり10月の追加緩和にもかかわらず期待インフレは下がっているということで、追加緩和をしなければいけないということになるのでしょうか。』

これまたオモローな質問ですな。

『(答)(前半割愛)2点目の賃上げについても、一貫して、物価だけ上がって賃金が上がらないとか、賃金だけ上がって物価が上がらないというようなことは長続きしないのであって、過去の何十年かのデータをみても、物価が若干先行したり、賃金が若干先行したりすることもありますけど、基本的に物価上昇と賃金上昇というのは、全く同時でないにしても、同じような動きをしているということからしても、やはり賃金の上昇というものは、物価の上昇を持続可能なものにする非常に重要な要素です。』

ふむ。

『当然、物価が上がっていく中で賃金も上がっていく、賃金が上がっていく中で物価も上がっていくという好循環が望ましいし、かつ実際問題として両者は相まって動いていますので、当然賃上げの状況については十分注視します。』

ということでしたら、そもそも論としてそれを2年とか時間を区切って強引に進める意味is何処??

『そういうことから言って、先程申し上げたような予想物価上昇率、企業や家計の物価観までも含めたところで、2%の「物価安定の目標」に向けて着実に進んでいる状況であれば、別に追加的な措置はいらないでしょうが、そうでないと進んでいかない、というような状況になれば、当然、躊躇なく調整するということに全く変わりはありません。』

はあそうですかという所ですな。


・緩和やりすぎの弊害は予想通りの知らんがな状態

『(問) 一連の金融政策が、特に債券市場を中心として市場の価格機能を歪めていないかということについて、ご見解をお聞きしたいと思います。』

待ってました!!

『昨日は、5年物国債が流通市場で初めてマイナスになりました。また、落札では0%での落札がありました。そういう影響があって、本日、5年物の個人向け国債の募集を取りやめることが起きています。市場関係者、あるいは私は、金融政策の影響で価格機能が歪んでいる、あるいは弊害が大きくなっているのではないか、と感じています。質問は2点です。』

うむ。

『1点目は、弊害が生じていると感じておられるかということ。2点目は、もし弊害やコストを?しは感じておられるのであれば、それをはるかに上回るメリットがこの金融政策にあるということなのか、お聞きしたいと思います。』

でまあ答えですけどね。

『(答) そもそも「量的・質的金融緩和」という政策は、イールドカーブ全体に働きかけて、実質金利を押し下げていくものです。実質金利を押し下げる面では、名目金利の押し下げと予想物価上昇率が上がっていく両面があると思います。その意味では、名目金利が下がっていくことは政策の効果であって、弊害ではないと思っています。』

ゼロ回答キタコレ!!!

・・・・・・・ということでまあ予想通りなのでそれ自体は驚かないのですが、本来QQEで目指すのは物価安定目標であって、そのために必要なのは「インフレ期待が2%水準でアンカーされる状態を作ること」なのであって、実質金利を押し下げるときにインフレ期待が下がらないで名目金利が下がっているのを捕まえて「政策の効果」というのはそもそも本末転倒にも程があると思いますが。あくまでも「中期や長期の金利がインフレ期待およびリスクプレミアムから考えて適正と思われる水準よりも低い状態にする」というのが国債買入による実質金利押し下げという話で、リスクプレミアムを圧縮するのはそういう意味では買入効果として適切ですが、そのリスクプレミアムをマイナス方向に持って行ってどんどん深堀していくという状況を捕まえて「政策効果です(キリッ)」とかもうアホかと。

でまあ名目プラス金利を下げることとマイナス金利を深堀することの政策効果には非対称性があるという話は昨日申し上げたので繰り返しませんが、まあ結局置物理論のベースがハチャメチャで、戦略として適切でない(MBを増やすと何とかの置物理論とかマッカラムルールとかの通りに動いていましたっけ)から戦術レベル(短国買入や輪番)で何をやっているのかという状態になっているという所なのでしょうな。

『現実問題として、「量的・質的金融緩和」が始まって以来、市場関係者とは色々な形で意見交換、対話をし、オペレーションがスムースにいくようにしていますし、これまでのところ何か重大な問題が起こっているとは考えていません。』

オペレーションがスムースに行く事しか念頭になくて、オペさえ回っていれば弊害などないというような認識というのがもう机上の空論っぽくて大変に頭の下がる思いでございまして、机上の空論の弊害は元が机上の空論だけにそもそも存在しません(キリッ)という所なんでしょうなあ。


てなことでとりあえず積み残し分消化でした(汗)。まだ積み残しが多いのだが市場が大暴れしているので今日も後入先出状態で以下のネタである。



○市場雑談であるが債券市場がいろいろとあばばばばーな件について

・連日の債券大暴れ市場

昨日の債券市場はやや安い位のところで前場は推移していましたが、その間に超長期が一転して(というか前日の終盤に確りしてきたのですけど)強くて盛大にツイストフラットするという展開になりやがりましてナンジャソラ状態。

で、流動性供給もまあ普通に確りで後場さらに超長期堅調になって後場13時近くには超長期がさらに値を飛ばして強くなって20年カレントと30年カレントが最大風速7毛強まで強くなったりしていたのですいが、なんか知らんが13時半くらいから超長期は失速するわ債券先物は下げだすわという謎展開になり、その後中期まで売りでもあったのか弱くなりまして、終わってみれば先物は47銭安の安値引けだわ5年カレントは2.5甘の0.035%だわ10年カレントは4甘の0.260%だわと派手な展開。

まあなんですな、一昨日の引けの時点で超長期は追加緩和前の水準近辺に戻っているのに長期や中期は強いままというのはナンデスカソレという感じだったので朝っぱらからフラットナーが入ったんでしょうかねえというのは想像できますが、途中からの下げはナンデスカコレ状態でございまして、アウトライト的にみたら昨日も超長期は20年カレントで高値7毛強とかやっていたのに引けは5糸甘(引け後に1毛甘)とかで、しかもそれを両方後場にやっているので、後場の高安が8毛あるとかもう何だかねという超長期のチョッピーさですな。昨日の場合は先週金曜のように日中にカーブの方向性が盛大に変わるまでの事ではなかったとは言え、日中にもカーブの形状が大きく動くの巻でありまして、マーケットメーカーの体力が落ちていてちょっとした売買で大暴れという状態になっているなあと思うのでした。

ここまで特に中期ゾーン中心に日銀オペ狙いヒャッハーとかやりすぎている上に、追加緩和の付利下げ等のネタにも反応していたのかねえとも思ったりもしますが、いずれにせよ思いのほかポジションが積みあがっていたものが巻き戻される中でボラが上がるわマーケットのポジションが傷むわという事になったのでしょうかねえと。で、今回のMPMで追加緩和に対する思惑が思いっきり後退(何せ不肖このアタクシも4月展望レポートまでに追加緩和なり焼き土下座なりに追い込まれるのは必至という予想から10月まで意地汚く粘る(ただし豹変リスクあり)に変更しましたからねえ)したので巻き戻しが禿しくなったと。

・・・・・・・などと偉そうに後講釈していますが、本当にそうなのかはよくわからんがとりあえず備忘で書いておかないと後になると益々訳分からなくなりそうなので書いておきますよ。


・今週の短国は入札1本オペ1回

明日は木曜ですので毎度の3M短国入札でして、今回の入札分は大型連休明け直後の償還となりますが、カレンダーの関係上ロールの入札が連休前の4月28日に行われますので、まあ使いやすいっちゃあ使いやすい入札ですな、うんうん。

一方で2月って日銀保有国債の償還が10兆円と多いのですけれども、これは3か月前に短国金利がマイナスヒャッハーとなっていて、投資家に嵌らないで日銀に盛大に打ち込まれていたので、その裏で2月って投資家の償還ロールのニーズが少ないんですけど、それはそれとしてどうせ短国マイナス状態とか中短期の利付がマイナスとかの困ったちゃん状態は継続する中でございますので、金利が付けばニーズはあるんでしょうねえという所です。

でまあ金曜がどうせ短国買入なのですが、ここもとはアタクシが悪態をついておりますように、オペのペースを落とせばマイナス金利維持状態が解消されてもおかしくない所にご丁寧にも日銀が3兆円買入3連発攻撃をしてマイナス金利維持オペレーションを実施している訳で、まだ札があるのでよーしパパ短国また3兆円買っちゃうぞーとかやるのかどうかを注目というか呆れて眺めたいと思います。

・・・・・・ところで短国市場に関してですが、ブルームバーグプロフェッショナル(端末のほうね)の12時28分に大変に興味深い記事が掲載されておりまして、味わいがあるのですがこれは味わいながら舌の上がピリピリと痺れる感もありまして(なおいちゃもんつけているのではなくほめておりますのでお間違えの無いように)、実に勇猛な出来上がりに仕上がっておりますのでご覧になれる方は鑑賞されることをオヌヌメしておきたいと存じます。



○あまりんキター!!!

最初のヘッドラインだと『日銀物価目標、具体的期限にコミットしていない=甘利経済再生相 』となっておりまして(ちなみにロイターのネット版で「甘利」で検索かけると元のヘッドラインだけは読めるのですが、記事のヘッドラインは下記のほうになっております)、ナンジャコリャという話題を攫っておりましたが、アップデートを見るとタオルなんだか何だか微妙なテイストを。

http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0V61AB20150127
UPDATE 1-日銀物価目標、2年の中心線より余裕があっていい=甘利経済再生相
2015年 01月 27日 11:44 JST

『[東京 27日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は27日、閣議後の会見で、日銀の2%の物価安定目標について、具体的にいつまでという厳格な期限を政府も日銀もコミットしているわけではない、と述べた。』(上記URLより、以下同様)

ということでこれは「2年でどう見ても行かない件に対する助け舟」の話をしているのか、それともついにタオルを投げたのかというのが謎にも程がありますし、これが安倍ちゃんの発言だとだいぶビビるのですが、まあゆうたらあまりんですからねえとは思いつつ。

さてここで岩田副総裁の就任記者会見での師匠の名言を鑑賞しましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf

『私は、2%のインフレを達成するため、あるいはデフレを脱却するためには、2 つの条件が必要だと思っています。1 つは、2%のインフレ目標を大体いつ頃までに責任をもって達成するのかということに日本銀行がコミットするということです。これにコミットすることが、非常に大事なことです。大体いつ頃までに達成するかということについては、主要国の中央銀行は、大体、「中期的」とか「ミディアムターム」という言葉で表現しています。その「ミディアムターム」というのが実際何年くらいなのか、色々な研究者が調べたところ、大体2 年くらいということになっています。平均すると2 年くらいでインフレターゲットの中に入っているので、そういう経験から言っているわけです。』(上記2013年3月21日の岩田副総裁記者会見から)


ついでにQQE導入時の総裁会見も鑑賞してみましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf

『第2 に、政策を分かりやすく伝えるように、枠組みを見直したということです。まず、2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現することを明確にコミットし、そのための枠組みとして、操作目標を「マネタリーベース」とする新しい金融調節方式を導入しました。』(上記2013年4月4日の総裁記者会見から)

・・・・・・・・えーっとですな、まあ別に2%なんぞ中長期に達成すれば良くて経済の実力丸無視して為替とかを使って物価を無理繰り振ろうとしても無駄にコンフリクトが起きるだけの話ではないかと思いますので、別に2年である必要もないし、そのために強引な緩和をする必要もないと思いますけれども、白川日銀をケチョンケチョンに貶して石もて追い出して「2年で2%」と大口を叩いて強引な緩和政策を拡大して先ほど申し上げたように足元では遂に市場が本格的に変になってきているという弊害まで出てきたところで急に言い訳をするんでしたらまずは落とし前をつけて頂きたいと思うのですけどねえ。

なお、先ほどのあまりん発言ですがしらっとこんなのも(ヘッドラインにあるやつです)。

『さらに、現状の原油安を勘案すると、物価目標の達成は日銀がメドとしている2年の中心線より余裕をとってもいいのではないか、との認識を示した。』(上記ロイター記事より)

原油安は一時的な話なのに目標達成の数値をその一時的な話を背景に変えるのはおかしくねえかと思うのですけれども、これって単なる言い訳のつもりなのか、それとも物価上昇で生活が苦しくなる系の選挙区からの話(あまりんのところだとどうなのかなとは思うけど)を受けて2%物価目標そのものを急にヒットさせに行かなくても系の話になっているのかがよくわからんところではございます。

まあしかし何ですな、このニュース見てて思ったのですが、良く良く考えますと「タオルを投げる」のは2年の期限の前にした方が格好がつくというもので、今の日銀の理屈ですと(それがどこまで豹変しないで持つのかが微妙ですけど)10月の展望レポートの頃におそらく焼け野原状態になって矢折れ刀尽きた状態で追加緩和なのか降参なのか枠組み変更なのか知らんですけど、まあボロボロの状態になってしまう可能性もあります(まあ見通しが正しければそうはならないのですけどね!!)が、そうなる前にタオル投げてしまう方がボロボロにならずに済むと考えれば合理的かもしれませんな!!!

とまあそういう訳で、もしかしたら政府からのタオル投入への瀬踏みの可能性もやや存在するような気もせんでもないという所ですが、あまりん先生の事ですからそんなことを特段考えずに単に助け舟のつもりでいつもの不規則発言モードなのかも知れず、なんだかよくワカランチ会長という所ではあります。

ただまあ先ほど申し上げましたように、債券市場がちとここもと不安定という事もあって、後付では債券市場の下げとあまりん発言をある程度関連つける(ちなみに下がったのもあまりん発言よりも後ですのでそういう言い方は可能)という話も出そうですねと思ったのでメモメモ。


○師匠の金融教育に関する講演は途中にまさかの自己紹介(違)という小ネタ

内容自体は金融広報中央委員会(知るぽると)マターだと思うので師匠がお出になるものなのかねという感じですけどね。

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2015/ko150123a.htm/
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2015/data/ko150123a.pdf

Financial Education in Japan: Challenges Presented by the Aging Population and Declining Birthrate
Special Address at the ADBI-Japan-OECD High-Level Global Symposium in Tokyo
Kikuo Iwata
Deputy Governor of the Bank of Japan
January 23, 2015

最初の『I. Need for Financial Literacy Arising from Demographic Changes』から。

『In other words, each individual's efforts to achieve financial independence in their retirement period have become more important. Encouraging elderly people to work longer is one important factor, but so is improving financial literacy. Starting lifetime planning while still young and reserving assets for retirement will help.』

はあそうですかという所ですが、そのリタイヤメントした方々の資産をどうするという所でマイナス金利を思いっきり発生させているのに「リタイヤ後の金融面での独立性を各々の人々が確保するのが重要」とか言われましてもお前は何を言ってるんだと小一時間。


・・・・・・という所にはすぐに気が付いたのですが、昨日TL界隈で某識者の方が実に的確なツッコミをしておりましたので、アタクシがオリジナルで見つけた訳ではないので恐縮にもほどがあるのですけれども、折角ではありますのでこの講演の白眉となる部分をご紹介したいと思います。

『II. Changes in Financial Behavior and Challenges Presented by the Aging Population and Declining Birthrate』ということで、幾つかの話をしているのですが、その最後の部分に高齢者の金融リテラシーがどうのこうのというトピックに触れている部分がありましてですな、

『Another issue that warrants attention is the rapid increase in financial fraud targeted at elderly people. I feel very sorry for the victims of such crimes.』

高齢者を狙ったイカサマ金融商品とかそういう事案とかですな。オレオレ系もこの一種になるのかね。

『At the same time, the increase in financial fraud suggests that we need to strengthen the financial literacy of elderly people. The victims of financial fraud might have been caught off-guard. If they had had a little more financial literacy, they might not have been deceived.』

金融リテラシーを高めることによってこれらの詐欺的な被害を減らすことができるかもしれませんとはまさに仰せのとおりでございますが・・・・・・・・・・

『On the basis of our survey, we deem that elderly people generally have more confidence in their own financial literacy compared to other age groups. But in fact, they tend to have insufficient literacy.』

高齢者の方は自分の金融リテラシーが高いと思っているが実際は不十分な知識しかない傾向にあるとな!!


・・・・・さてここでちょっと話を変えてロイターの過去記事を鑑賞いたしましょう。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE95N01G20130624?sp=true
岩田日銀副総裁インタビューの一問一答
2013年 06月 24日 23:09 JST

『──副総裁として実務を担ってみての感想。

「(前半割愛)例えばオペについても、外部にいたときは簡単だと思っていたが、実務はそのような簡単なものではないとわかった。日本銀行の実務に対する理解を深めつつある状況だ」』(上記2013年6月24日ロイター記事URLより)

・・・・・・・・・いやあ実にこう味わいが深いですなあ(棒読み)と思いますが、もちろん先ほどの部分を自己紹介乙などというような失礼なことを申し上げる気は1ミリもございませんので念のため申し添えます(棒読み)。

#しかし上記ロイター記事を見ますと追加緩和がなくても今年の4-6には2%目標達成なんですね、そう言えばマッカラムルールとか何だったのでしょうかねえ


というのはともかくとして気を取り直して読みますとこの部分はこのような締めになっております。

『We should close the gap between high confidence and low literacy.』

ご自身の金融政策に関する(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。




2015/01/27

お題「ネタの後入先出法適用は会計じゃないから大丈夫だよねということで12月議事要旨ネタである」

シリザ大勝利なのにユーロ上昇という結果を見ると「ギリシャリスクガー」というのは一体全体なんだったのかと小一時間(まあ1日だけの動きでは何とも言えませんが)。

あと、昨日申し上げた置物講演ですけれども、なんと英語での講演になっていまして日本語訳がないという状態であるという事を読者様からご指摘いただきまして気が付きましたのできょうはとりあえずURLだけ置いておきますね。

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2015/ko150123a.htm/
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2015/data/ko150123a.pdf
Financial Education in Japan: Challenges Presented by the Aging Population and Declining Birthrate
Special Address at the ADBI-Japan-OECD High-Level Global Symposium in Tokyo
Kikuo Iwata
Deputy Governor of the Bank of Japan
January 23, 2015


○後入先出で12月決定会合議事要旨ネタ

1月会合ネタの残りを片付ける前にこちらですいませんすいません。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2014/g141219.pdf

まずは『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から。

・海外経済に関して

『海外経済について、委員は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復しているとの見方で一致した。先行きについても、委員は、先進国を中心に、緩やかな回復が続くとの認識を共有した。』

てな感じで基本的に経済情勢に関しては強いですよ。以下ちょっと鑑賞。

『地域毎にみると、米国経済について、委員は、民間需要を中心に着実な回復を続けているとの認識で一致した。委員は、雇用の改善やガソリン価格の下落を背景に個人消費が堅調に増加し、そのことが企業活動にも好影響をもたらしているとの見方を共有した。』

米国に関しては強いです、というか世界経済が米国一本足打法みたいなもんだが。

『ある委員は、景気回復が続くもとでアジアなど新興国からの輸入が増加しており他地域にも好影響が及んでいると指摘した。先行きについて、委員は、家計部門の堅調さが企業部門に引き続き波及していくもとで、しっかりとした回復を続けるとの認識を共有した。複数の委員は、雇用環境の改善が急速に進んでいることなどを踏まえると、回復テンポが上振れる可能性もあると付け加えた。』

どう見ても米国には超強気です本当にありがとうございました。

『ユーロエリア経済について、委員は、このところ回復のモメンタムが弱まっているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、企業マインドの慎重化の拡がりなどから当面回復がもたつく可能性が高いものの、個人消費の底堅さや輸出の増加などに支えられ、基調的には緩やかながらも回復を続けるとの見方で一致した。同時に、委員は、低インフレが長引く可能性やロシア情勢の影響には注意が必要であるとの認識を共有した。何人かの委員は、ギリシャにおける政局混乱がマイナスの影響を及ぼす可能性があると付け加えた。』

そこまで下は見ていないと。

『中国経済について、委員は、引き続き構造調整に伴う下押し圧力がかかっているが、外需の改善や景気下支え策もあって、総じて安定した成長を維持しているとの認識で一致した。先行きについて、委員は、当局が構造改革と景気下支え策に同時に取り組んでいく中で、成長ペースを幾分鈍化させながらも、総じて安定した成長を続けるとの見方を共有した。』

『新興国経済について、委員は、先進国向け輸出の増加を起点に景気が持ち直している国・地域が徐々に増えている一方で、ASEANの一部、ブラジル、ロシアなどでは依然弱めの動きが残っており、全体として成長に勢いを欠く状態が続いているとの認識で一致した。』

中国は強くはないが弱いという感じでもないですな、新興国が弱いのはまあそうですねと。

『ロシア経済について、多くの委員は、原油価格の下落を背景に通貨ルーブルの下落が加速し、これに対して利上げが実施され金融環境がタイト化するもとで、内需を中心に景気が停滞しているとの見方を示した。』

ほう。

『新興国経済の先行きについて、委員は、国・地域毎に差は残るものの、米国を中心とする先進国の景気回復の波及と、それを起点とした内需の持ち直しから、成長率を徐々に高めていくとの認識を共有した。』

ということで結論は米国一本足打法ですが、まあその米国が強いですからこんなもんでしょうかね。


・すでに12月会合の時点でだいぶ理屈の立て直し(またの名をすり替え)が起きていますな

で国内経済物価情勢部分。

『わが国の景気について、委員は、家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと作用し続ける中で、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいるとの見方で一致した。』

『景気の先行きについても、委員は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も収束していくとの認識を共有した。』

ほうほう。

『何人かの委員は、このところの原油価格下落は企業収益や家計の実質所得を通じて景気の押し上げ要因になると付け加えた。』

で、以下需要項目に関して個別の話がいろいろとあるのですが、まあ基本的に強めの話が並んでおりまして、読んでいて下振れ警戒の強さみたいなニュアンスを感じさせないような作りになっているのはやはり1月会合の展望レポート中間レビューで成長率見通しを上ブレさせたこともあって議事要旨の出来上がりがそんな感じになっているんですねなどという事は良い子のみんなは言ってはいけませんですかそうですか。

でもって肝心の物価部分。

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、+1%程度となっており、当面現状程度のプラス幅で推移するとの認識で一致した。』

ほうほう。

『多くの委員は、既往の原油価格の下落が、今後しばらく、物価の下押し圧力として働くとの見方を示した。このうちの何人かの委員は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみた消費者物価の前年比が、来年前半にかけて1%を下回って推移する可能性があると指摘した。』

それですと追加緩和ではないのかと小一時間なのですが後程もうちょっと詳しいのが出てくる。

『ただし、多くの委員は、原油価格の下落は経済活動に対してプラスに作用するため、やや長い目でみれば、需給ギャップの改善を通じて基調的な物価の押し上げ要因になるとの認識を示した。』

10月の議論is何処??

『予想物価上昇率について、委員は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとの見方を共有した。』

これずーっと上昇上昇言い続けているのですからそろそろ2%くらいになってもおかしくないと思うんですけれども(ゲス顔)。

ということで『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の最初にこんなのが。

『多くの委員は、「量的・質的金融緩和」は、10 月末の金融政策決定会合で拡大を決定した後も、引き続き所期の効果を発揮しているとの判断を共有した。すなわち、これらの委員は、わが国の長期金利は緩やかに低下しており、やや長い目でみた予想物価上昇率の高まりともあいまって、実質金利は低下方向にあり、そのことが企業・家計の支出行動を支えているとの認識を示した。』

実質金利低下で支出行動を支えるという置物理論もしらっと入っているのがチャーミング。

『原油価格の下落と金融政策運営の関係について、何人かの委員は、「量的・質的金融緩和」の拡大が原油価格の下落そのものへの対応と市場の一部では受け止められており、その後の原油価格下落を受けて追加緩和を予想する声も聞かれると指摘した。』

一部じゃなくて全部ですが何か??????

『大方の委員は、「量的・質的金融緩和」の拡大は、原油価格の下落そのものに対応したものではなく、需要面の弱めの動きや原油価格の下落から物価上昇率が短期的に伸び悩む中で、デフレマインドの転換が遅延するリスクの顕現化を未然に防ぐために実施したものであるとの認識を示した。』

同じことだろうがオイ。

『ある委員は、今後の金融政策運営を考えるうえで重要なのはあくまで物価の基調的な動きであり、広い意味での予想物価上昇率の動向がポイントになると述べた。』

ということで、1月会合後に大手を振って登場した「基調的な動きが良いと”判断されるのであれば”どこに問題があるのでしょうか足元の物価?んなもん一時的だったら知らん」という話の片鱗がここに出ているのですが、なんかさっきのところからそうなのですが、今回の決定会合議事要旨って1月決定会合でのロジック豹変を意識してロジック豹変につながる部分を強調して掲載してねえかという気がするのはアタクシが良い子じゃないからですね!!!!!!111

ちなみにちょっと飛ばしますけど先のほうにこんなお話も。

『先行きの金融政策運営の考え方について、(途中割愛)委員は、金融政策運営に関して、原油価格の下落による下押し圧力が続くもとで月々の消費者物価指数の動きに注目が集まる傾向があるが、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金などの動向をよく点検しながら物価の基調を見極めていくことが重要であるとの認識で一致した。』

ということで、すっかり「基調的な物価が重要」という話に12月会合の時点ですり替わっているのですけれども、それでは10月追加緩和時の総裁会見での冒頭説明を改めて鑑賞しましょう。

実際の物価上昇率の伸び悩みが続けば、それがどのような理由によるものであれ、予想物価上昇率の好転のモメンタムが弱まる可能性があります。そうなれば、せっかくここまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅れてしまうリスクがあります。その意味では、わが国経済は、デフレ脱却に向けたプロセスにおいて、今まさに正念場、critical momentにあると言えます。今回、追加緩和を決定したのは、こうした考え方に基づくものです。』(これは10月31日総裁定例記者会見より、赤字は引用者によります)

で、そもそも予想物価上昇率自体が鉛筆なめなめの世界であるという事を勘案すると、10月追加緩和を決定した時の予想物価上昇率に関する考え方と足元での予想物価上昇率に関する考え方のどこがどう変わっているのかについて小一時間問い詰めたい(なお屁理屈が返ってくる模様)というところではあります。


・予想物価上昇率に関してはどう見ても鉛筆なめなめです本当にありがとうございました

で先ほどの続きに戻りまして。

『予想物価上昇率について、委員は、市場の指標やエコノミストなどの調査をみるだけではなく、企業や家計の物価観やそのもとでの行動の変化を捉えることが重要であるとの認識を示した。』

鉛筆なめなめキタコレ!

『そのうえで、「量的・質的金融緩和」拡大後の予想物価上昇率の動向について、多くの委員は、原油価格が一段と下落し、物価上昇率が低下する中でも、デフレマインドの転換が着実に進んでいるとの見方を示した。』

これまた1月会合における説明と同じで、「追加緩和をした結果実際の物価が下がっても予想インフレが下がらないので効果が出ました(ドヤァァァ)」というインチキ理屈になっておりますが、その間のBEIの低下に関しては「なんだか世界的にBEIって下がっているけどマインドなどを見ると下がっていませんから」という説明で済ますところが鉛筆なめクオリティ。

#つーかそもそも生活意識アンケートって昔から似たような数字しか出てねえじゃんと思うのだが・・・・・・

『何人かの委員は、来春の賃金交渉に向けて連合では2%以上のベースアップを要求する方針を示しているほか、先日公表された「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」においても、「経済界は、賃金の引上げに向けた最大限の努力を図る」方針が明記されるなど、企業や家計の行動に変化がみられ始めているとの認識を述べた。』

お賃金キタコレ!

『他方、ある委員は、今年の経験も踏まえると、主要企業における賃金交渉の結果が先行きの物価に与える影響に強く期待すべきでないと述べた。』

これはどの野党審議委員か存じませんが見事な水ぶっかけ発言(^^)。

『ブレーク・イーブン・インフレ率などマーケットの指標について、複数の委員は、原油価格下落を受けた世界的な低下傾向の中でこのところ若干低下しているが、「量的・質的金融緩和」の拡大の効果もあり、欧米に比べれば低下幅は小さいとの見方を示した。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいません、欧米と比較してどうするんでしょうか??????????????????

『何人かの委員は、家計や企業、エコノミストなどのサーベイ調査では、中長期的な予想物価上昇率は総じて維持されており、12 月短観でも企業が引き続き物価上昇率の高まりを予想していることが示されたと述べた。』

ということで鉛筆なめなめですなあというところで実にこうアレな味わい。


・原油価格の下落の影響はプラスという情報発信が重要とな

『原油価格下落の物価に対する影響について、委員は、@短期的には押し下げ要因になる、A一方、やや長い目でみれば、経済活動に好影響を与え、基調的な押し上げ要因になる、B前年比でみた短期的な物価押し下げ要因はいずれ剥落する、との認識を共有した。』

はあそうですか。

『そのうえで、多くの委員は、デフレマインドの転換が続くのであれば、原油価格の下落はいずれ物価上昇率に対して押し上げ方向に作用するとの見方を述べた。』

でもこの「マインドの転換」という部分で使っている予想インフレ率について市場のBEIは華麗にスルーするとかやっているのですけどね!!!!

『以上のような考え方について、委員は、引き続き丁寧に情報発信していく必要があるとの認識を示した。』

いやあ10月追加緩和の時にあんな話(さっき引用したやつ)をしておいて何が情報発信だか・・・・・


・物価指数に関する部分でしらっと大きな論点が書かれていました

「先行きの金融政策運営の考え方」の部分にしらっとこんな話が。

『複数の委員は、幾つかの公的統計では賃金などを実質化する際に帰属家賃を除く消費者物価を用いていると指摘したうえで、物価情勢を判断する際には、このところ住宅市場を巡る環境変化などを背景に帰属家賃が消費者物価の押し下げに寄与している点に留意すべきとの見方を示した。』

・・・・・・・ということでしらっと一文が挿入されているのですが、これって石田審議委員がだいぶ前から指摘していますし(昨年の2月でしたな)、佐藤審議委員も言及していたと思いますが、そもそも論として適切な物価指数は何ぞや的な話にもつながることで、この点についてこのタイミングの議事要旨にしらっと掲載されているのが味わいがあるように思えますがどうでしょうかね。


・これは良い指摘

さらにその直後に良い指摘が。

『この間、ある委員は、「量的・質的金融緩和」のイールドカーブ全体に対する下押し圧力が一段と強まっており、リスク要因の点検にあたっては、金融機関経営や広義の決済システムへの影響などについて、これまで以上に注視していく必要があると述べた。』

(;∀;)イイハナシダナー

市場の中だけの視点だったり経済学者的な視点だったりすると名目マイナス金利ってあまり弊害と思わないみたいで、だからまあマイナス金利に関して日銀(まあ何だかんだ言っても日銀の政策やってたり調節やってたりする所はリテール金融とは無縁ですからね)も市場の何とかストとかでもあまり気にしない人が多いなあとは思うのですよね。

でも実際問題として「マイナスの貸出金利」なるものは存在しえない訳であるという事を考えますと(金融市場の中ではご案内の通り存在しますが)、プラスの金利を低下させていくことの実体経済に対する効果とマイナスの金利を深堀していくことの実体経済に対する効果は非対称であるし、そもそも名目ゼロ金利制約といっても金融仲介業務をするのにタダでは仕事できないのですから、そういう意味ではその非対称となる閾値というのはおそらく金融システム全体を維持するためのコストが賄える所に相当する位置ではないと(一時的にコスト割れでのビジネス継続が容認できても永遠には容認できないのと同じ理屈で)長期的な意味でのサステイナブルに意図した政策効果を起こすことが難しいのではないかと思いますし、その辺を軽視する向きのレポートとか便所紙にもならん机上の空論だわと思うアタクシなのでありました。

・・・・・・とまあ話がそれましたが、この視点を指摘する審議委員の方もおいでになる(大体誰かの想像はつきますが^^)というのは心強いのですが、逆に言うとほかの審議委員の方はどうなのよというのと(まあ市場の実務関連に近い3名は危機感もっていると思いますけど)、そもそもそういう話は黒田さん置物さんはさておき、ほかの執行部は認識してるはずの話なのに全然スルー(中曽さんの「短国マイナス金利は政策効果(キリッ)」というのはその意味でショックが大きい梯子外しでおそらく日銀の市場に対するスタンスという意味では相当信用なくしたと思う)しているようにしか見えない(どころか調節スタンス的に短国マイナス金利を維持しようとしているとしか思えない打ち方なのはなんなんでしょ)のはなんだかねえという感じです。


・木内さんの提案そろそろ内容を変えて「QQEを見直した結果こうなので」にすべきでは

毎度の木内さんの見解部分。

『別の一人の委員は、「物価安定の目標」を2年程度で達成するのが難しいとみられる中で、「量的・質的金融緩和」が長期間継続される、あるいは極端な追加措置が実施されるという観測が市場で高まれば、金融面での不均衡の蓄積など中長期的な経済の不安定化に繋がる懸念があるとの見方を示した。』

ということで以下毎度の提案になるのですが、それよりも現状がまさに「QQEが長期間継続される」とか「次の追加緩和でさらにヤケクソ攻撃が炸裂する可能性が」というような市場の認識になっていると思いますので、その辺に対するアセスメントを出していただきたいと思います。

『そのうえで、この委員は、@金融市場調節方針および資産買入れ方針については「量的・質的金融緩和」の拡大前に戻すこと、また、A先行きの金融政策運営については、「物価安定の目標」の達成期間を見直すとともに、「量的・質的金融緩和」の継続期間を2年程度に限定し、その後柔軟に見直すとの表現に変更することを主張した。』

2年程度云々は貫禄の安定クオリティなのですが、もうすぐ2年なので「見直した結果こうすべき」という提案に次回あたりからは切り替えていただきたいものです。


#ということでほかのネタの前に後入先出恐縮至極





2015/01/26

お題「債券市場が更に壊れておりますな/ECBの買入って継続可能なのかね/岩田副総裁講演と思ったらテキスト無し(追記:実は英文がありました)」

BCPの状況に関する調査は決済システムの維持という面で重要ですな。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2015/ron150123a.htm/
業務継続体制の整備状況に関するアンケート(2014年9月)調査結果

本文はこちら(量が多いので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2015/data/ron150123a.pdf

・・・・・・・・と機構局ではチェックを入れるものの、自分のところでは資産買入政策の継続がいつまで可能なのかが問題になりますけどね!!!!!

しかしネタは打ち込まれるというのにPCは整備中(大体終わったが)でどうもアレという状況でして中々ネタの千本ノック(および積み残し)がもう涙ですよ。ネタがなくて困る時も多いというのにこの極端さ。


○市場雑談である

・債券市場が何か盛大に壊れておるのですが(なお引用増量)

こちらは22日木曜日
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0V12AM20150122
〔金利マーケットアイ〕国債先物は大幅続落、長期金利一時0.320%に上昇
2015年 01月 22日 15:16 JST

『[東京 22日 ロイター] -〔金利マーケットアイ〕

<15:10> 国債先物は大幅続落、長期金利一時0.320%に上昇

長期国債先物は大幅続落。前場は調整一巡後に値ごろ感からくる短期筋の買い戻しが優勢となる場面があったが、後場は急落した。中心限月3月限は1月9日以来の148円割れとなった。ECB理事会の結果を控える状況で、ロングポジションの調整が入ったとの見方が出ていた。主体は海外勢とみられている。現物債は利回りに強い上昇圧力がかかった。とくに超長期ゾーンは投げが出たもようで、20年債、30年債利回りともに前営業日比10bp以上の大幅な上昇になった。20年債入札そのものは無難な結果に収まっていた。5年債利回りも昨年12月に付けた高水準に上昇。

長期国債先物中心限月3月限の大引けは、前営業日比52銭安の147円65銭。一時は147円41銭まで下落した。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比7bp上昇の0.315%。一時は1月5日以来の高水準となる0.320%を付けた。』(上記URLより)


で23日金曜日
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0V22I520150123
〔金利マーケットアイ〕国債先物は大幅反発、長期金利一時0.220%に低下
2015年 01月 23日 15:19 JST

『[東京 23日 ロイター] -〔金利マーケットアイ〕

<15:15> 国債先物は大幅反発、長期金利一時0.220%に低下

長期国債先物は大幅反発。前場は欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(QE)実施決定を受け、欧米債が堅調に推移した流れを引き継いだ。日銀オペへの期待があったことも、需給面で相場を下支えした。後場は日銀オペで超長期ゾーンの需給の引き締まりを確認すると、上場幅を拡大。一時は148円51銭まで買われた。現物債は高安まちまち。中盤までは、各ゾーンの利回りに強い低下圧力がかかった。前日にロングポジションの調整により金利が急上昇(価格は急落)したため、絶好の押し目を提供した格好。銀行勢を主体にした買いが入っていた。日銀オペ確認後は利回りの低下圧力が強まる場面があった。後半に先物が伸び悩む局面では、長期ゾーン利回りの低下幅をやや縮小した。2年債、30年債の各利回りは上昇基調になった。

長期国債先物中心限月3月限の大引けは、前営業日比75銭高の148円40銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比7.5bp低下の0.240%。一時は0.220%を付けた。』(上記URLより)

とまあロイターの記事をべたべた貼ってしまいましたが、特に金曜日は輪番の後に超長期が大復活したと思ったらその後いきなり誰が売ったのか知らんですが超長期にブチカマシが来たようで、何か後場ピークから引け近くまでの間に20年が10毛甘くなるとかもうねという状況でして、その前段で言えば前場は超長期ヘロヘロで推移していたので、超長期はカーブ的にスティープ→大復活して何とフラット→売りで崩れて一気にスティープとかもうグチャグチャにも程がある展開となっておりましてもうねという所です。


まあ追加緩和以降色々と市場が壊れモードではあるのですが、追加緩和→12月入り以降の金利低下ヒャッハー相場→1月になって更にヒャッハー状態、とまあヒャッハーヒャッハーモードとなっていた債券市場ですが、SNBの動きでボラが盛大に上がったとか、木曜夜のECBの動きとかもあるのですが、日銀が今回の展望レポート中間レビューのところで急に10月のロジックが無かったことになるというのが炸裂したのも債券相場の壊れ加速に寄与していると思いますがね。

10月には「2年で2%達成に拘る」という姿勢を出しながら追加緩和を実施した訳でして、その流れからしたら誰がどう見ても2%の早期達成に拘る為には緩和政策を早めに拡大しないと今の物価情勢だと厳しいですよね、という認識だったからこそ不肖このアタクシも追加緩和は遅くとも4月とか思っていた訳ですが、今回いきなり「原油が下がって物価が下がるのは知らんがな」状態になるという凄まじいまでのロジック変化(というか10月に飛んだロジックが元に戻ってきたと言えばそうなのですが)ですので、まあ普通に考えますと「日銀は何を言い出して次のアクションをしてくるのか分からん」という認識が非常に強まったわけで、まあ金融政策に思いっきり振らされる債券市場なだけに、金融政策の予測可能性が低下するというのは市場のぶっ壊れっぷりに寄与しているように思えるのですよね。

てな訳でしばらくボラが高いというかカーブが暴れるというかな相場が続くのかもしれませんが、金融政策のロジックが訳分からん状態になっているのが背景にあると考えると、結構根が深くなるかもしれませんな、うんうん。


・短国買入はまた3兆円かよ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150123.htm
国庫短期証券買入 30,000 2015年1月27日
(短国買入分のみ引用しています)

・・・・・・・・とまあそういうことで短国買入が3兆円の打ち込みとなりまして、結果はといいますと。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150123.htm
国庫短期証券買入 73,892 30,000 0.023 0.023
(短国買入分のみ引用しています)

またまた7.4兆円ほどの応札があったので、「応札する玉があるようだから3兆円打ち込みました」という毎度のパターンなのですが、そもそも今月は日銀保有の短国は8兆円だというのに結局今月は11.5兆円の短国買入を打ち込んで来やがりまして、財政要因での資金不足が10.5兆円で国債買入要因での増加が9.3兆円で計算すると、どう見てもマネタリーベースを前月比積み上げにかかった格好になっております。

えーっとですね、10月の追加緩和によって基本的にMB拡大の目標については長期国債の買入で達成するという形になった筈で、しかもその理由は「短期オペに過重負担をかけない」というものだった筈ですよね。

然るに、今のオペの打ち方って「とにかく買える時に残高積みたい」というのが見え見えでして、しかも1月だと資金不足月だからMBの帳尻も考えてみたいな打ち方になっている結果、このオペの応札額や現先レポ金利の動向からして、どこからどう見ても短国を業者が結構抱えているだろうという状態になっているにもかかわらず、短国のレートは延々とマイナス水準で推移している訳でして、どこからどう見てもオペの打ち方自体が結果として在庫を抱えた業者が日銀に売るまで粘る動機を与えているとしか見えない状態になっておりましてもうアホかと。

大体からしてですな、日銀の短国買入残高を財政要因に合わせて一々ぶらされると、その度に短国のセカンダリーの需給が日銀要因でぶれる訳で、イールドカーブの起点となりうる短国の部分の価格形成をもう少しマシにしないといかんというか、そもそも短国のマイナスを放置して(というよりは1月相場では日銀の買入が積極的に短国マイナスを後押ししている格好)いるから中短期の国債市場の価格形成もおかしくなっている訳で、オペの運営があまりといえばあまりなので債券市場の壊れも早く来たと思われますがなんともねえという所です。

ちなみに、例によって例のごとく売買参考統計値を見ますと金曜の短国買入の基準利回りとなる23日付けですと新発の1つ前の銘柄の506回債の平均値単利が-0.058%となっておりまして、これが一番レート低いのでこの銘柄が主に打ち込まれたのでしょうなあという所でございますし、1年新発だと平均値単利が-0.025%ですので、上記の結果(2.3甘の一本値)では入札レベルから見ると投げになるのでまたも入っていませんな、うんうん。

・・・・・となりますと、この応札額からして今週金曜の短国買入もまた札があるぜヒャッハーといって日銀がたくさん買入をオファーしてきて日銀短国買入で打ち込みたい人たちニンマリという流れになりそうで実にこうアレでございますな。


ちなみにネット版だとたぶん見れないと思うのですが、ブルームバーグプロフェッショナルの方では市場講釈の記事がございまして、今回の短国オペに関して中々こう味わいの深い(ほめ言葉です^^)解説が掲載されていたのですが、ご覧になりたい方は金曜の15:50配信の記事でありますのでオヌヌメしておきますね。なお味わいが深いといえば昨日大量に打ち込まれたと思われる短国506回債ですが、日銀の買入によって需給が引き締まるとその後の(以下自粛)。



○ECB追加緩和雑談

いろいろとネタがあるのですが先ほどの市場雑談で時間を浪費してしまったので簡単に。

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2015/html/pr150122_1.en.html
PRESS RELEASE
22 January 2015 - ECB announces expanded asset purchase programme


『・ECB expands purchases to include bonds issued by euro area central governments, agencies and European institutions
・Combined monthly asset purchases to amount to ユーロ60 billion
・Purchases intended to be carried out until at least September 2016
・Programme designed to fulfil price stability mandate』

っていうのは冒頭ステートメントのところにもありましたが、よくよく考えるとこの買入プログラムって2016年9月までの実施を確約しているわけではなくて、「Programme designed to fulfil price stability mandate」って言ってるんですから物価安定目標が達成できるということになったら途中でも買入プログラム停止する可能性がありますよね。そもそも「Purchases intended to be carried out」だから確約じゃないし。


まあそれはそれとして質疑応答の一番最初にありますように・・・・・・・・

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2015/html/is150122.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 22 January 2015

『Question: Two questions. You said that you’ll keep buying bonds until inflation is back on track. So basically, you have an open-ended programme. Do you see anything in terms of the percentage of outstanding debt that you can buy before you start overly influencing price formation on the secondary market, as the European Court of Justice suggested that you should avoid?(後半割愛)』

『Draghi: The answer to the first question, yes we will buy government debt up to the percentage that will allow a proper market price formation. Therefore, we have two limits. The first one is an issuer limit, which is 33%, and another one is an issue limit, which is 25%. In other words, we won’t buy more than 25% of each issue, and not more than 33% of each issuer’s debt. The 25% limit, by the way, is the one foreseen in order not to be a blocking minority in the collective action clause assemblies, basically, bond holders’ assemblies, and it’s the basis for us to be able to say, there is going to be pari passu.(後半割愛)』

という説明でして、無慈悲買入を実施している日銀様におかれましてはドラギ先生の爪の垢を煎じていただきたい所ではありますが、「1銘柄の25%、発行体の負債総額の33%」を超えないように買入を行うという説明になっておりまして、しかも「市場の価格形成に悪影響を与えないようにする」とか泣かせてくれる説明ではあるのですが、そのリミットをつけるのはまあそのとおりだとは思いますけれども、それで物理的に資産買入が維持できるのかよという気がだいぶします。

というか計算すると早晩行き詰る(ドイツ国債があっという間にリミットに達するはず)ような気がしますのでそもそも来年の9月までとか真面目にやる気があったらもっと実現可能なデザインを作るだろと思いまするに、またドラギの大風呂敷か!!という感じはだいぶしますな。

つーかマイナス20の預金ファシリティ残しておいて国債をホイホイECB(というか各国中銀だが)に売りに行く人がいるのかねという問題とか、何か細かいところの制度設計が相当ザル(まあこれでもだいぶ頑張って作っているとは思いますが)だと思われますので、とりあえずサプライズには成功しましたっぽいですが、この後どうなるんでしょ(どうせ細かいのは次回のECB定例理事会で出るので暫く粘れる)というのは気になりますし、化けの皮が剥がれたらまたややこしいことになりそうでございますな、うんうん。


○焼き土下座マダー

http://www.boj.or.jp/announcements/calendar/index.htm/
公表予定

先週分を保存しておくのを忘れてしまったので惜しくも既に予定から消えていますが、金曜日は都内で岩田副総裁の講演があったはずなのですけれども・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/whatsnew/index.htm/
更新情報一覧

・・・・・・・・とまあそういうことで、ついに日銀様におかれましては置物先生の講演内容の公開をしないという荒業に打って出たようでその味わいの深さに誠に頭の下がる思いでありますな(ニヤニヤ)。(追記:英文のテキストだけありました)

でまあ就任当時の会見を鑑賞すると味わいが深いという指摘もありましたので、せっかくですのでこの機会に鑑賞してみましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf
総裁・副総裁就任記者会見要旨―― 2013年3月21日(木)
午後6時から約1時間45分

5ページの辺りに実に素晴らしい説明がございますな。

『私は、2%のインフレを達成するため、あるいはデフレを脱却するためには、2 つの条件が必要だと思っています。1 つは、2%のインフレ目標を大体いつ頃までに責任をもって達成するのかということに日本銀行がコミットするということです。これにコミットすることが、非常に大事なことです。』
(上記URL先の2013年3月21日の就任会見より、以下同様)

(;∀;)イイハナシダナー

『大体いつ頃までに達成するかということについては、主要国の中央銀行は、大体、「中期的」とか「ミディアムターム」という言葉で表現しています。その「ミディアムターム」というのが実際何年くらいなのか、色々な研究者が調べたところ、大体2 年くらいということになっています。平均すると2 年くらいでインフレターゲットの中に入っているので、そういう経験から言っているわけです。』

2年ですよ2年。

『2 つ目は、そういう意味で、2 年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、「自分達のせいではない。他の要因によるものだ」と、あまり言い訳をしないということです。』

全く仰せのとおりですね!!!!!!!!

『そういう立場に立っていないと、市場が、その金融政策を信用しないということになってしまいます。市場が金融政策を信用しない状況で、いくら金利を下げたり、量的緩和をしても、あまり効き目がないというのが私の立場です。』

(・∀・)ニヤニヤ


ついでに18ページですけどね。

『 先程申し上げた「中期的」とは、大体2 年ぐらいであり、2%は2 年ぐらいで達成しなければいけないということです。』

>2%は2 年ぐらいで達成しなければいけないということです
>2%は2 年ぐらいで達成しなければいけないということです
>2%は2 年ぐらいで達成しなければいけないということです

『2 年経って、2%がまだ達成できない、2%近くになってもまだ達成できていない場合には、まず果たすべきは説明責任だと思います。ただ、その説明責任を自分で果たせないということ、単なる自分のミスジャッジだったということであれば、最高の責任の取り方は、やはり辞任だと思っています。まずは説明責任を果たせるかどうかが基本だと思います。』

・・・・・ということですので、2月の宮城金懇での「説明責任」をぜひ宜しくお願いいたします。

#総裁会見とか月報ネタとかドラギ会見ネタが後回しですいませんすいません




2015/01/23

お題「マイナス預金ファシリティを維持して大規模バランスシート政策とな/日銀総裁会見ネタ(たぶんその1)」

最初にM1対比の買入がどうのといいながら効果に関して「既に長期金利が下がっている状態なので」とか言い出すモーサテ米国のコメンテーターはお前は何を言ってるんだ状態ですな。

#だいぶPCが修復というか整備されてきましたがまだ慣らし運転中でふ

○ECBである

最初の政策発表
http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2015/html/pr150122.en.html
PRESS RELEASE
22 January 2015 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.05%, 0.30% and -0.20% respectively.』

『Further monetary policy measures will be communicated by the President of the ECB at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』

最初のステートメントでは説明がなくて「会見で説明するのでお楽しみに」とか何じゃそらなのですが、マイナス預金ファシリティ残しておいて大規模国債購入とかできるのかねえと心配なアタクシ。

会見
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2015/html/is150122.en.html
Introductory statement to the press conference

Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 22 January 2015

最初の能書きの辺りをインスタント読み(経済物価情勢の説明の前のところまでね)

『Ladies and gentlemen, the Vice-President and I are very pleased to welcome you to our press conference. Let me wish you all a Happy New Year. I would also like to take this opportunity to welcome Lithuania as the nineteenth country to adopt the euro as its currency. Accordingly, Mr Vasiliauskas, the Chairman of the Board of Lietuvos bankas, became a member of the Governing Council on 1 January 2015. The accession of Lithuania to the euro area on 1 January 2015 triggered a system under which NCB governors take turns holding voting rights on the Governing Council. The details on this rotation system are available on the ECB’s website. We will now report on the outcome of today’s meeting of the Governing Council, which was also attended by the Commission Vice-President, Mr Dombrovskis.』

リトアニアもユーロに入りましたという件の話がありますな。

『Based on our regular economic and monetary analyses, we conducted a thorough reassessment of the outlook for price developments and of the monetary stimulus achieved. As a result, the Governing Council took the following decisions:』

ということで決定事項。

『First, it decided to launch an expanded asset purchase programme, encompassing the existing purchase programmes for asset-backed securities and covered bonds. Under this expanded programme, the combined monthly purchases of public and private sector securities will amount to ユーロ60 billion. They are intended to be carried out until end-September 2016 and will in any case be conducted until we see a sustained adjustment in the path of inflation which is consistent with our aim of achieving inflation rates below, but close to, 2% over the medium term.』

資産買入の規模を拡大して月に600億ユーロの資産買入を行い、それを少なくとも2016年9月末まで実施しますが、2016年9月以降に関しては「中期的に2%以下で2%近い水準というインフレ目標の達成へのパスが安定的に実現される状況と整合的な時点まで」行います。という説明で、これは従来のプログラムの拡大なのでもともとの買入にオンした全体額ですな。

・・・・・・・・でですね、これを捕まえて「オープンエンド」というのであれば、昔むかしの日銀のゼロ金利政策だって「デフレ脱却が展望できるまで」とか言ってたのですが、あれをオープンエンドという人がいないでドラギのおっちゃんが言う場合はこれでもオープンエンドとなるというのは何なんでしょうね。

『In March 2015 the Eurosystem will start to purchase euro-denominated investment-grade securities issued by euro area governments and agencies and European institutions in the secondary market. The purchases of securities issued by euro area governments and agencies will be based on the Eurosystem NCBs’ shares in the ECB’s capital key.』

3月から買入を実施します。購入するのはユーロ建ての投資適格債券で、ユーロエリアの政府および政府関係機関が発行したもので、セカンダリーマーケットで購入します。で、その買入に関しては各国のECBの出資割合に応じた額とします。

『Some additional eligibility criteria will be applied in the case of countries under an EU/IMF adjustment programme.』

EU/IMFのご指導プログラムを受けている国の場合は追加して別途の適格要件がございますと。

・・・・・・・でまあそれはよいのですけれども、預金ファシリティ金利をマイナス20bpに据え置いたままで国債購入してそもそも札が集まるのかという疑問が物凄くあるわけで、札が集まらなかったらどうするのでしょうかというのと、そもそもとんでもないマイナス金利になった場合に色々な問題が出ないのかという所でありまして。

『Second, the Governing Council decided to change the pricing of the six remaining targeted longer-term refinancing operations (TLTROs). Accordingly , the interest rate applicable to future TLTRO operations will be equal to the rate on the Eurosystem’s main refinancing operations prevailing at the time when each TLTRO is conducted, thereby removing the 10 basis point spread over the MRO rate that applied to the first two TLTROs.』

今後実施予定(既に2回やって残り6回)のTLTRO金利について従来は「オペ実施時におけるMRO金利+10bp」としていたが、このスプレッドを撤廃して「オペ実施時におけるMRO金利」とするので10bp下げますぜというお話。

『Third, in line with our forward guidance, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged.』

政策金利据え置きがイミフなのでして、資産買入をするのはよいのですけれどもマイナス20bpという重い預金ファシリティのペナルティを置いたままで資産がつみあがるのかねとは思うのですが、よく考えたらマネタリーベースターゲットではないのですから、MROとかがせっせと返済されるまではワークするのかも知れません。その後返済するものが無くなった時点でワークしないようになって着そうなので、まーいずれにせよどこかの時点で買入が札割れするのかトンでもない金利での買入をすることになって弊害が発生するのかとなりそうですな。ナムナム。

『As regards the additional asset purchases, the Governing Council retains control over all the design features of the programme and the ECB will coordinate the purchases, thereby safeguarding the singleness of the Eurosystem’s monetary policy. The Eurosystem will make use of decentralised implementation to mobilise its resources. With regard to the sharing of hypothetical losses, the Governing Council decided that purchases of securities of European institutions (which will be 12% of the additional asset purchases, and which will be purchased by NCBs) will be subject to loss sharing. The rest of the NCBs’ additional asset purchases will not be subject to loss sharing. The ECB will hold 8% of the additional asset purchases. This implies that 20% of the additional asset purchases will be subject to a regime of risk sharing.』

この辺が各国中銀が購入して損失出た場合のリスク負担はECBが2割という話ですな。

でまあそれはそれで良いのですが、本来は通貨統合の次に金融監督の統合(っぽいこと)をしつつある中で、財政統合の方向性に反するような「各国のリスク負担でどうぞ」というのってどうなのよという風にも思うんだがまあいいです。

『Separate press releases with more detailed information on the expanded asset purchase programme and the pricing of the TLTROs will be published this afternoon at 3.30 p.m.』

ということで・・・・・・・

『Today’s monetary policy decision on additional asset purchases was taken to counter two unfavourable developments.』

2つのけしからん状態に対応した措置ですとな。

『First, inflation dynamics have continued to be weaker than expected. While the sharp fall in oil prices over recent months remains the dominant factor driving current headline inflation, the potential for second-round effects on wage and price-setting has increased and could adversely affect medium-term price developments.』

原油価格の影響で物価が予想よりも弱く推移していて、その物価推移が2次的な波及効果をおこして更に中期的な物価推移に悪影響を与えることを懸念してます。

『This assessment is underpinned by a further fall in market-based measures of inflation expectations over all horizons and the fact that most indicators of actual or expected inflation stand at, or close to, their historical lows.』

ここが次にネタにする日銀総裁会見と比較してワロタなのですが、全般的なインフレ期待の低下という話の中で市場のインフレ期待の低下についても言及しているのがチャーミング。

『At the same time, economic slack in the euro area remains sizeable and money and credit developments continue to be subdued.』

経済のスラックが依然として大きく、マネーやクレジットが抑制されていることもありますと。

『Second, while the monetary policy measures adopted between June and September last year resulted in a material improvement in terms of financial market prices, this was not the case for the quantitative results.』

この説明していて預金ファシリティをマイナス20bpという懲罰金利にしているのはあほじゃねーかと思うのだが、利下げによって金融市場に顕著な効果があったが量的な面が不足している(キリッ)とか知ってていってるなら相当の悪党ですし、知らないで言ってるんだったらもしかしてECBは馬鹿の人の集まりなのかと小一時間問い詰めたい。

『As a consequence, the prevailing degree of monetary accommodation was insufficient to adequately address heightened risks of too prolonged a period of low inflation. Thus, today the adoption of further balance sheet measures has become warranted to achieve our price stability objective, given that the key ECB interest rates have reached their lower bound.』

だから大規模資産買入を実施したらその裏側で超過準備がつみあがるんだから懲罰金利の預金ファシリティを放置するとか頭沸いてるのかとしか思えないので、まああっという間に限界とか弊害が出るでしょ。

『Looking ahead, today’s measures will decisively underpin the firm anchoring of medium to long-term inflation expectations. The sizeable increase in our balance sheet will further ease the monetary policy stance. In particular, financing conditions for firms and households in the euro area will continue to improve. Moreover, today’s decisions will support our forward guidance on the key ECB interest rates and reinforce the fact that there are significant and increasing differences in the monetary policy cycle between major advanced economies. Taken together, these factors should strengthen demand, increase capacity utilisation and support money and credit growth, and thereby contribute to a return of inflation rates towards 2%.』

バランスシート政策で効果が出て云々という話だが預金ファシリティ(以下同文)。


なお詳しい施策のリリースはこちら。

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2015/html/pr150122_1.en.html
PRESS RELEASE
22 January 2015 - ECB announces expanded asset purchase programme

でまあ色々と書いてあるのですが、ジャパンネタに間に合わなくなるので引用はパスしますが、後半のほうに詳しい技術的な話がありますので必要ならば後日投下します。一応説明文の途中にありますが、買入そのものの全体的なコントロールはECBが行うと言っていますので、ブンデスバンクが順法闘争と称して買入ストライキをするということは無いようですな(当たり前か)。なお順法闘争という用語が何のことかワカランチ会長なあなたはジジイではありませんのでご安心くらはい。



・・・・・・ということで、マイナス預金ファシリティ残して大規模国債買入プログラムをローンチするというかなり実務的に意味不明なプレイに出たのですが、まあ買入が円滑に進まないことに気が付いて預金ファシリティに手をつけに逝くのか、それとも札割れが発生した場合に「市場のニーズ以上に買入をオファーしているという積極的な政策を実施していますので札割れしても問題ない」(キリッ)とか言い出すに100ジンバブエドル。



○日銀決定会合レビューで総裁会見ネタである

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1501a.pdf

まあ何ですな。会見の中継見てたのですが、特に冒頭はグダグダだったしとある質問では急にぶちきれ状態になるしと、非常にアレな会見でございましたが・・・・・・・・

・原油価格はプラスです(キリッ)

冒頭の質疑。

『(問) 前回会合以降、一段の原油価格の下落が続いています。これを受けて、世界の金融市場ではリスク回避の面から長期金利の一段の低下や株価の下落といった不安定な動きがみられています。原油安が当面の世界経済に与える影響をどのようにみているか、また、日本経済にとっての影響をどのようにみているかをお聞かせ下さい。』

『(答) 原油価格の下落が世界経済に与える影響をみると、全体として原油消費国では実質購買力の上昇から経済にプラスに働く一方、産油国では原油収入の減?からマイナスに働くと思いますが、世界経済全体としてみると成長率を押し上げる方向に働くとみています。』

ほう。

『また、わが国は原油の輸入国です――ほとんどの原油を輸入しています――から、原油価格の下落は、企業収益の改善や家計の実質購買力の上昇につながるため、わが国経済にとってプラスに働くと考えています。物価面では、エネルギー価格の低下を通じて目先は物価の押し下げ要因として働く一方、やや長い目でみると、経済活動の改善を通じて物価の押し上げ要因として働くと考えています。』

それはそうですが、10月の追加緩和のときにはその原油価格下落による影響を問題視して追加緩和しましたわけで、「やや長い目で見て物価の押し上げ要因」なのに何で追加緩和を実施したと言われたら、そらまあ世の中的には「日銀は足元の物価に対応して追加緩和をしました」という解釈になるし、じゃあ何で今回追加は無いのとなるわけで・・・・・・・


・「2年で2%」に関連する質疑が2つありましてこれがオモロイ

次の質問。

『(問) 原油価格に関連して伺います。先程も総裁は、原油価格の下落は、やや長い目でみて、物価を押し上げる要因になる、との見解を示されています。先程の話では、原油価格が上昇するとの見通しでしたが、このまま反転しなくても、2年程度での物価目標達成が可能だと考えているか、判断の根拠も含めてお聞かせ下さい。また、2年程度とは「2015年度を中心とする期間」と説明していたと思いますが、2016年度に入っても2年程度と言えるのかどうか改めて確認させて下さい。』

でまあこの答えが会見ライブを聞いていると何を言ってるのかわからんというか、酔っ払いの説明のような状態になっていて、聞いている人たちがそろいもそろって「大丈夫か総裁」となったのですが、事務方はその答えをどう綺麗にまとめたでしょう。

『(答) 先程申し上げたように、消費者物価の見通しは、昨年10月の展望レポートと比べると、原油価格の大幅な下落の影響から、2015年度にかけて下振れています。もっとも、需給ギャップや中長期の予想物価上昇率に規定される物価の基調的な動きについての見通しに変化はありません。また、原油価格の下落については、前年比でみた影響はいずれ剥落する性質のものですし、経済活動に好影響を与えて、やや長い目でみれば物価の上昇要因になると考えています。』

基調的な見通しに変化が無いので大丈夫という10月の説明is何処?状態。

『物価の基調的な動きを規定する要因についてみると、従来から申し上げているように、需給ギャップと予想物価上昇率が大きな要因になるわけですが、需給ギャップは、潜在成長率を上回る成長が続くもとで、改善傾向を辿ると考えられます。今回の中間見通しでも、成長率は上振れています。』

そうそう成長率見通し上方修正してるのよね。原油が下がったのがプラスとかいう話なのでしょうが。

『また、予想物価上昇率については、市場のブレーク・イーブン・インフレ率は、各国とも低下している中でわが国でも低下していますが、家計・企業・エコノミストなどのサーベイ調査でみた中長期的な予想物価上昇率は総じて維持されていると思います。』

BEIが上昇したときはBEIの上昇を捕まえて説明していませんでしたっけ???

『また、企業・家計の物価観やそのもとでの行動の変化をみても、今春の賃金交渉に向けて、連合では2%以上のベースアップを要求するという方針を示しているほか、先月公表された政労使の取り組みにおいても、「経済界は、賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」という方針が明記されています。』

お賃金キター!

『このように、人々のデフレマインドの転換は引き続き着実に進んでいるのではないかと考えています。』

なんという手前味噌。

『こうしたもとで、基調的な物価の上昇率は今後着実に高まっていくと見込まれており、その上で、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに ――1バレル55ドルくらいから見通し期間の最終時点にかけて70ドルくらいまで――上昇していくとの前提にたつと、消費者物価の前年比は、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高めていき、「2015年度を中心とする期間」に2%に達するとみているわけです。』

QQE投下時点では「2年程度を念頭にできるだけ早期」だったのですがどう見ても後ずれです本当にありがとうございました。

『ただ、何度も申し上げます通り、原油価格はこのところ大幅に変動しており、消費者物価指数が2%に達する時期が原油価格の動向によって多?前後する可能性があるのは事実だと思います。』

「すべて原油のせいだ」とは昨シーズンのどこぞの鉄道会社のスキーツアー宣伝のようですね!!!!!


・・・・・・でまあもうちょっと後のほうでの質疑を見ましょう。

『(問) 先程複数の方が質問されて総裁がお答えになってない部分ですが、これまでCPIの2%上昇という目標について言ってきた2年程度もしくは「2015年度を中心とした期間」という中に、2016年度が含まれるのかどうか、これについて明確にお答えを頂きたいと思います。』

ニヤニヤ(ここに複数とあるように途中でもあったのですがそこは割愛しました)。

『(答)「2015年度を中心とする期間」と言っていますので、その前後に若干はみ出る部分はあることは、「2015年度を中心とする期間」という言い方が始まって以来、その通りだと思いますが、何か月はみ出るのかとかそうしたことは、当面や当分と同じように、常識的に判断して頂くしかないと思います。』

そらまあ常識的に判断したらそうでしょうが、そもそも「2年を念頭にできるだけ早期に達成」という日銀の最初の声名はなんだったのかとか、そもそも置物副総裁におかれましては「2年で達成するのが当然」というような発言を繰り返して、それによって前の執行部を石持て追い出して副総裁に座ったはずなのですが、そちらに関しては「常識的に判断」した場合にどういう解釈になるのかという点について小一時間問い詰めたいのですが、それについてはちょっと後のほうに今回の会見の白眉部分がございますのでお楽しみに。というか会見ライブ見た人たちがおそらく全員のけぞっている場面ね。

『(問) 2016年度に多?はみ出ることはあり得る、という受け止め方でよろしいのでしょうか。』

『(答) それは、「2015年度を中心とする期間」と言っており、「2015年度中に」とは言っていませんので、若干の余地はあると思いますが、わざわざ2016年度に入りますということを言っているわけでもありません。「2015年度を中心とする期間」に2%程度に達する可能性が高いと言っています。』

屁理屈キター!!

『ただ、今回も強調していますが、原油価格の動向がどうなるかは今のところ分かりません――先程申し上げた共通の前提は、色々な状況からみて可能な前提だとは思いますが、その通りにいくかどうか分かりません――ので、ある程度、前後の幅があり得ることは申し上げておきます。』

つまり「やる気はあるのですが原油価格のせいで上手くいかないかもしれません(キリッ)」ということで、営業マン&ウーマンが営業会議で上席を激怒させそうな説明に感心することしきりというものです!!!


でまあもうちょっと後のところで今回の会見での白眉が登場しますよ!!!!!!

『(問) 2013年4月4日に日銀が「量的・質的金融緩和」を導入した時に、大きな衝撃がマーケットに走ったと思うのですが、その1つの理由として、今までとは違って2年に拘ったというところがあります。』

全くでございますし、置物とか置物一派の皆さん皆で言ってましたよね〜!!!

『その後も総裁は講演で2年に拘ったということをおっしゃっていたと思うのですが、先程の発言をお伺いすると、2016年度にかかっても仕方がない、要するに3年かかるということになると思います。』

(;∀;)イイシテキダナー

『そうすると、日銀のコミットメントというのは、2013年4月に発表したときよりも弱まっているのか、それとも始めからそういう意図だったのか、その点についてお伺いします。』

実に当然な質問ですが、これに対する黒田総裁の答弁が今回の会見での白眉ですよ!!!!

『(答) それは始めから、そう申し上げていました。』

逆ギレヒャッハー!!!!

『2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の物価安定目標を達成する、そのために必要なことをするということですし、その後の展望レポートで、一貫して、「2015年度を中心とする期間」に2%に達する可能性が高いという見通しも申し上げていましたので、全く変更はありません。』

えーっと常識的に判断すると「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の物価安定目標を達成する」といわれたら「Two years or sooner」だと思いますが、どうみてもヤケクソの開き直りです本当にありがとうございました。

『2013年4月に導入したので、2015年4月に2%になるとか、ならないといけないと言ったことは全くありません。』

これは酷いとしか申し上げようがありませんが、まあそもそもこの理論的背景は置物副総裁様でいらっしゃいますので、本日もどこぞで講演があるようですし、2月4日には宮城で金懇があるようですので、詳しい申し開きと白川さんの前で焼き土下座ショーの実施が挙行されるものと楽しみにお待ちしたいと存じます。


しかしまあ何ですな、これ会見放送聞いていましたが、最初のほうの説明は変な葉っぱでもキメながら酒でも飲んだんじゃねえかというような説明ぶりで正直何言ってるのかわからん状態(事務方は良くまとめた!感動した!!)でしたし、ここの白眉部分は明確にぶちきれ状態になっていましたということで、まあ「2年で2%の落とし前はどうなっているんだ」というのは聞かれると一番困る点である、というのは把握いたしましたので、日銀記者クラブの皆様に置かれましては今後とも「2年で2%の落とし前マダー」と粘着して質問されると大変に吉(ただし不毛かもしれませんが・・・・・)かと存じますので宜しくお願い申し上げたいですな。特に与党審議委員や置物さんあたりには(野党のかたがたがどう説明するのかも面白いかもしれませんが)。


・・・・ということで会見ネタはもうちょっとあるのですがECBで時間食ったのとPC慣らし運転中につき本日はこの白眉部分で勘弁してちょという所です。







2015/01/22

お題「決定会合レビューだがPC復旧中にてやや簡単バージョンです」

しかしまあ何ですな、このタイミングで愛機があばばばばーというのは、「悪態を何度も書いていると負のオーラでパソコンがいかれる」っていう水の伝説みたいなオカルトですか(だいぶ違う)。

#業務連絡:メーラーが復活していないのでメール対応が暫時とまっております

○決定会合:市場の期待(?)を盛大に外した上に実質的にはロジックも修正

まあ何ですな、丁度昨日の朝に金ファクさんの水曜コラムで「ハト派タカ派と言った次元ではなく日銀はヤケクソになっているので何が出てもおかしくない」というような趣旨の指摘がありましたように、実際問題としては10月に追加緩和した後に3ヶ月で更に追加に追い込まれたらどこからどう見ても逐次投入ですし、失敗を認めたようなもんだから追加は無い、とは思いましてもやはり金ファクさんの指摘にはアタクシなんぞも頷く所が大でしたから、ここで追加緩和打たれたらほかの人たちはともかくとして債券市場は更に死亡だわとか頭を抱えておりましたですよ。

ということで今回は市場の期待(というか事前の煽り)を盛大に外してくれて市場破壊が進んで虫の息でありますところの債券市場的なところの人としてはホッと一息でございましたが・・・・・・・・・・

でまあ昨日申し上げたような事情で本日もちょっと簡略バージョンなのでいつもとややパターンを変えましてみます(今晩ECBあるから早めに修復したいところではありますな)。

・資産買入に変化なし(あっても債券市場的にはもはや困るが)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k150121a.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注1)。

マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』

『2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する(賛成8反対1)(注2)。

@ 長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間は7年〜10年程度とする。

A ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。

B CP等、社債等について、それぞれ約2.2 兆円、約3.2 兆円の残高を維持する。』

・・・・・ということで買入に特段の変更はなしですな、つーかここでやられたら死ぬのでホッと一息ですな。なお反対は木内さんの「追加緩和前のペースに戻せ」です。

まあ何ですな、会見ネタは明日投下予定ですが、会見聞いた感じ&展望レポートの中間レビューを見ますと「追加緩和に関して結構なゼロ回答」であったなあという所で、もしかしてサプライズ好きの黒田日銀なので「ここまで期待されたら外すしかない」としたのかも知れませんね!!!!

#たぶん政策ロジックを立て直しにかかったからなのですが


・成長基盤は「額や期間の拡大」ではなくて「対象先の拡大」で来た上に拡大した先が画期的

『3.近く期限の到来する「貸出増加を支援するための資金供給」(以下「貸出増加支援」)、「成長基盤強化を支援するための資金供給」(以下「成長基盤強化支援」)、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」および「被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置」について、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)1。

@ 期限を1年間延長する。

A 「成長基盤強化支援」(本則)の対象金融機関毎の上限を1兆円から2兆円へ、総枠を7兆円から10兆円にそれぞれ引き上げる。

B 「貸出増加支援」および「成長基盤強化支援」について、日本銀行の非取引先金融機関が各々の系統中央機関を通じて制度を利用し得る枠組みを導入する。』

「貸出増加額の2倍」の部分とか「4年」の部分とかを増やすのではないかという予想をしてたような気がしますが(やるなら額かなとか)、そのような方向での変更は無しという結論となりました。本則とか総枠とかは増やしましたが、これに関してはそもそも論として受動的に決まる額なのでここを増やしたからといって成長基盤や貸出増加支援がそのとおりに増える訳でもありません。

ただし、今回「おー」と思ったのはBの部分で、これは結構な画期的な変更。

つまりですね、今回のBは「日銀考査対象ではない所に与信をしますよん」という話ですし、「日銀考査対象じゃない所に日銀取引を開放しますよん」という話でもありまして、かなーり画期的ですわなあとか思いつつ、これ何ぼ担保付貸出と言っても考査しない所への貸出とか従来の個別プルーデンスな建付からだいぶ踏み込んだ感じです。

まあ「非取引先金融機関」ではあるけれども取引先としての適格性に関するモニタリングは制度利用に当たって仲介をすることになる系統中央機関が行うので、という整理になるものだと思います。実際の主な対象は信用組合と日銀当座預金口座を持っていない信用金庫とかですかねえ(後は労金とか農林系とか)という所ですので、MB拡大的な意味でのインパクトは2倍のところをいじるよりは小さいでしょうが、地域金融機関への門戸拡大というのは質的な意味では大きな話だと思いますので、これ自体はマクロ的に地味でも意味は大きいっすな、うんうん。

なお、脚注にある『1 基本要領等の所要の改正は次回以降の金融政策決定会合で行う。』というのは、決定事項のB部分に関しての詳細を詰めるのにそこそこ時間がかかる(事務面とか手続面とか)ということで、これはまあ2月には間に合わないで3月になるんでしょうかねと思います。


・・・・・・・・・でですな、当座預金非取引先に対して日銀の貸出増加支援とか成長基盤強化支援の貸出制度を開放するという施策を行いまして、日銀の考査先でもないところに与信を出すという施策が出たわけですから、与信ですらないことでもありますし「補完当座預金制度」について日銀当座預金非取引先に開放するのも検討すべきではないでしょうかねえ(ニヤニヤ)。

ええ別に非取引先が決済システムに参加したいと言っている訳ではありませんから、別に補完当座預金制度に非取引先が入ったからと言って決済システムにリスクが増える訳でもありませんし、これだと別に与信でもないですから今回の決定よりも信用機構的な意味でのハードルは低いと思いますがねえウヘヘヘヘヘ。


・展望レポート中間レビュー:ロジックが元に戻るというかなんと言うか

声明文の景気物価認識および見通しの部分は本日は簡略版のためパス(金融経済月報での前回比較で代用する予定です、基本的にそちらに包含されますので)しまして、展望レポート中間レビューにワープします(^^)。

まずは声明文の記述から。

『6.10月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率は、2014年度について下振れる一方、2015年度、2016年度はともに上振れるとみられる。消費者物価は、基調的な動きに変化はないが、原油価格の大幅下落の影響から、2015年度にかけて下振れると予想される。2016年度については概ね不変である2。』

『2 今回の中間評価では、原油価格が大幅に変動していることを踏まえ、政策委員は、見通し作成に当たって、原油価格の前提を次の通りとした。すなわち、原油価格(ドバイ)は、1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて70ドル程度に緩やかに上昇していくと想定している。その場合の消費者物価指数(除く生鮮食品)におけるエネルギー価格の寄与度は、2015年度で−0.7〜−0.8%ポイント程度、2016年度で+0.1〜+0.2%ポイント程度と試算される。』

原油の置きの方とか物価の方とかを先に見てしまいますが、何気に力強いのは今回の見通しって「2015年度、2016年度ともに成長率見通しが上振れ」なことですな。「物価見通し(の2015年度)が下がったのに追加緩和しないとはこれ如何に」という話が多いですし、そもそも10月の追加緩和の時には足元の原油価格下落を受けた物価低下に思いっきり反応した形で追加緩和を実施したのですから、足元の物価見通しが下がった(しかも盛大に)のに追加緩和をしないのは何ですねんとなりますわな。

でですね、それに対するお答えというのが総裁会見でも出ていたので詳しくは明日なのですけれども、今回はそもそも論として「成長率見通しは上振れ」なわけですから普通に経済見通しをベースにした金融政策という意味では追加緩和するほうが変ですし、総裁会見でのお答えは10月の説明はいったい全体なんだったんですかというような感じで「原油価格の下落による影響はそれが2次的な効果を出してインフレ期待の低下に繋がらなければ無問題だしむしろプラス」(キリッ)という説明になっていまして、お前は何を言ってるんだというところですが、まあそういうロジックに盛大に摩り替えてきた(いやまあ日銀執行部に言わせれば「別にぶれていませんが何か」という所でしょうが、外野からしたらロジックを思いっきり都合よくカメレオンしているとなるわな)という所ですな。


・・・・・・となりますと、脚注の原油価格の置きですけれども、10月ロジックを踏まえますと「1バレル55ドル」という出発点の数値ですけど、それこそ4月に40ドルくらいにでもなっていた日にはもう出オチにも程がある状態ですから次回展望レポートで追加緩和待ったなしとなるはずですが、上記のようなロジックを前面に出してきた(どう見ても傍から見たら変更だが変更でないと言い張るみたいなので一応そういう風に書いておく)ので、次の展望レポートのときに状況が違っても平然としていると思いますし、これだと4月にコアCPIがマイ転しても平気な顔して「メカニズムに変化がないですし更に成長見通しは上昇しています、追加緩和?何ですかそれ??」と言い出しそうな勢いですな。


それから物価のところではわざわざ「基調的な動きに変化はないが」と入れている辺りがカメレオンロジックで七色の変化球キタコレとしか申し上げようが無いところで、基調的な動きに変化が無いので原油価格が下がってもヘーキヘーキという説明であって、ロジックのレインボーマン状態の日銀執行部(というか企画局というか)恐るべしという所ではございますな、うんうん。

でまあその辺の背景となるレインボーロジックに関しては会見ネタのところで更に確認するということで見通し数値の変化に参ります。



・見通し数値もご案内のとおりでして

コアCPI(除く消費税)

2015年度:+0.4〜+1.3<+1.0>
前回見通し:+1.1〜+1.9<+1.7>

2016年度:+1.5〜+2.3<+2.2>
前回見通し:+1.2〜+2.3<+2.1>

ということでクソワロタという所ですが、手前の見通しをここまで盛大に下げた上で「2015年度を中心とする期間に2%達成」とか抜かしておられますので、これは即ち15年度の頭であります所の4月分CPIが相当低くても(後ろに向けて盛大に上昇すれば)+1.0%の年度平均は達成できるからヘーキヘーキという話ができますし、そうなると3月の全国CPIと4月の東京CPIが確認できるであろう時期でありますところの次回の展望レポート時点で「見通し変わったから政策変更」というのは(物価推移を受けた形では、ということで外的ショックがあったら別でしょうけど)無いですなという所です。


実質GDP

2014年度:−0.6〜−0.4<−0.5>
前回見通し:+0.2〜+0.7<+0.5>

2015年度:+1.8〜+2.3<+2.1>
前回見通し:+1.2〜+1.7<+1.5>

2016年度:+1.5〜+1.7<+1.6>
前回見通し:+1.0〜+1.4<+1.2>

こちらは2015年度が盛大にあがっていますが、足元を下げているので下駄の部分がありますからそれはそれなのですけれども、基調的な話としては上方修正ということになっておりまして、潜在成長率を上回る実質成長の続く中で需給ギャップはプラスで推移して物価が上昇しますぜウェーハッハッハというお話ですな。


○ということで追加緩和が出るのは10月に延びましたがオペの手直しにも注意

つーことで簡略版につき簡単におさらい状態でどうもすいませんという所ですが、今回はここまで見ましたように、10月の追加緩和はなんだったんですかというような感じで「基調的な物価の動きは維持されている」(キリッ)というのに戻して来まして、原油価格の一時的な低下の影響は知らんがな状態になりましたし、上記のように来年度の見通しを下げましたので、「えーっとすいません2015年4月ってQQE導入から2年ですよね」というツッコミに対しては盛大にスルーしつつレインボー屁理屈を繰り出す準備が万端になりましたから、こら4月追加緩和はねえわとしか思えませんですな。従来はアクチュアルの物価がだめだったら4月に申し開きできないでしょとなっていましたが、「原油の影響はどうしようも無いのでそれは知らん」と開き直って2015年4月近辺のはずの達成時期をスルーすることに成功したので、まあタイムリミットは延びましたなとしか申し上げようが無い。

でまあ会見での説明とかも含めまして考えますと、結局のところお賃金の動向とかの話とか原油価格下落の2次的な効果が出るのかどうかとか、まあその手の話って明確になってくるのが夏以降でしょうなあ、ということになることが想定されますので、まあ次の政策どうするのという話は10月展望レポートまで引っ張れるとなるでしょうなあと思われまして、4月までに追加緩和に追い込まれる予想は撤回ですなこりゃという所です。

ただここで落とし穴がありまして、ご案内のように債券市場があばばばばーとなっている訳で、昨日の追加緩和無ししかもどう見ても10月まで追加緩和こねえだろ(というのが普通に読むと読み取れると思うのだが)となりましたせいかどうか知らんけど債券市場がちょっと調整しましたが、それはそれとしまして、別に国債買入ペースは無慈悲ペースのままなのですから、日銀の描いている絵のとおりに行くかよヴォケとなったらまたまた債券市場がヒャッハーになってオペがヒャッハーになっていくでしょと思われますので、そうなった場合には輪番夢の札割れまたはとんでもないマイナス金利での購入とかいうのも相変わらずアリエールですな。

で、そうなりますと「そもそもの金融政策の持続可能性」という話が出てきますので、それはそれでどう見てもマズーという話になりますから、そういう意味では輪番に関してはオペが爆発しないように注意しながら運営しないと思わぬところで日銀も足を掬われる結果になりますから注意しましょうね
という所でありますな、うんうん。

#ということでやや簡略版で恐縮至極





2015/01/21

お題「MPMですがPC不調につき更新が暫時止まるかもしれません」

いやあどうもすいませんすいません。状況としてはPCの調子がおかしくなっておりまして。といってもこうやっているので動いているのですが、設定の一部が壊れるというプレイが炸裂しておりますので、まあこれはどう見てもPCの寿命キタコレ状態になっておりまして、PC各種作業でしばらく時間を食うと思いますので、せっかくのMPM展望レポート中間レビュー&ECB間近という状況ですが更新が暫時止まるかもしれませんが、たぶん中の人は元気に生きておりますのでよろしくお願いいたします。

○つーことでメモだけ箇条書きしておきます

・10年は瞬間0.2%割るわ5年はマイナスを瞬間マークするわ

まあご案内の通りという感じですが、昨日の債券市場では5年入札の札入れが終わった後場の寄り前から5年新発がマイナス出合いというヒャッハー展開になり、10年は10年で前場から0.2%割れとかやらかしますし、もうなんだかねという感じでしたが、途中から一転して7年−10年が売りでも出たのかヘロヘロに。

でまあそれはそれなのですが、何がオソロシスって7-10に売りが出ているけどほかの年限が盤石どころか5年とか強いという状態で結局5年新発の引けは0%とかになっておりまして、いやあのその中期何とかならんのかというところでございますし、短国は短国でGCや現先レートがサガランチ会長なのに絶賛マイナスとか何をやってるんですかという状態。

まあいずれにせよ短国のマイナス放置、というか明らかに最近はヤケクソにでもなっているのか短国をわざとマイナスでキープしようとしているだろうというオペの打ち方が絶大なる効果を発揮しているって形ですが、短期金融市場を殺して債券市場の中期までマイナス金利にされると銀行業態とかどうするんでしょ、というかどうもこうもないとゆー状況になってこれは困りますなというところで。

でまあその困る状況を作って何の政策効果があるんでしょ、という話については今回の総裁会見でぜひご質問してほしいなあと思うのでありますが(どうせ10月緩和との整合性についての質問がメインでしょうなあ)、メリットデメリットの勘案とかその辺すっ飛ばして置物先生と一蓮托生の置物理論状態になっているんでしょうなあというところで。


・イエレン会見とFOMC議事要旨

すっとぼけてこのネタを放置している(わけではないのだが)状態になっていますが、12月のイエレン議長会見を議事要旨と見比べて読みますと、「イエレンさん慣れて来ましたなあ」という風に思います。

つまりですね、会見の質疑応答を見ておりますと、同じ趣旨のものが思いっきり議事要旨に出ているというような部分がそこそこありまして、イエレン「議長」としての受け答えが堅実にできているなあという風に思うのですよ。

まあこの会見時のステートメントもそうでしたが、イエレンさんは会見でかなり詳細にポイントを話しますなあというのに加えて、イエレンさんの個人的見解を披歴するのではなく、委員会のコンセンサスを丁寧に伝えているなあと思いますと、イエレンさんになってからは会見をより重視したコミュニケーションポリシーをしているなあと思うのでした。

ということでお家の事情で今日は勘弁でこの辺の話とかMPMの話とかできるだけ早期に平常運転に復帰させようと思いますのでよろしくなのです。



2015/01/20

お題「市場雑談とMPMプレビュー雑談(付利とか貸出支援とか)の追加雑談と雑談大会」

うむ。
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPL4N0UY00F20150119
シャープ、15年3月期業績が予想下回る見通し 為替変動などで
2015年 01月 19日 09:10 JST

『[東京 19日 ロイター] - シャープは19日、2015年3月期の業績について、急激な為替変動による国内販売の採算悪化や、液晶事業の競争激化などを受け、昨年10月に発表した通期の連結業績予想を下回る見通しだと明らかにした。』(上記URLより)

>急激な為替変動による国内販売の採算悪化

とのことですが日銀ガーの皆様におかれましてはこの件に関してご感想を賜りたいものです。

#話は全然違いますが需給関係が全然違うし採掘コストも違うはずなのに過去100年の平均価格から適正価格を持ち出すことに意味があるんでしょうか中原センセイ>モーサテ

#もっと全然違うが「日銀はコアCPIにコミットしている」とか「外貨建て資産じゃないし時価評価しないから日銀のバランスで国債を大量に持っても損は出ない」とか妄言レポートを昨日見た気がするのだが、金融政策の話で事実誤認だろという記述が(今に始まった訳では無いレベルで)多すぎるお方がいるのだが本職として如何なものかと、どこの誰とは言いませんが


○市場雑談というか金利が更に溶鉱炉な件について

・またも糸の切れた凧状態

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0UY24Y20150119
〔金利マーケットアイ〕国債先物が一時最高値、長期金利は0.205%と5日連続で最低更新
2015年 01月 19日 15:17 JST

『<15:10> 国債先物が一時最高値、長期金利は0.205%と5日連続で最低更新

国債先物中心限月3月限は前営業日比22銭高の148円62銭と続伸で引けた。前週末の米債安に加えて、日経平均株価の反発など外部環境からの逆風で、朝方は売りが先行したが、売り一巡後は下げ渋った。午後に入ると、日銀買い入れ結果で残存5年超10年以下を中心に一段の現物需給引き締まりが意識されると上昇に転じ、1月14日の夜間取引で付けた史上最高(148円58銭)を更新して、一時148円65銭まで買われた。現物市場は長期・超長期ゾーンを中心に堅調。10年最長期国債利回り(長期金利)は5営業日連続して過去最低を更新して、同3bp低い0.205%に低下。20年超長期国債利回りは一時同4bp低い0.865%と2013年4月5日以来の水準に低下した。急激な金利低下への警戒感から国内投資家の動意が鈍かったが、海外勢からの買いが観測された。』(上記URLより)

ということでまあロイターのネット版さんで説明がある通りではございますが、輪番の長期ゾーンが結果が強かったのと応札が少なかったのがあって長期がヒャッハーとなり、この後4時過ぎには0.200%までマークする有様。中期とかに関してはユーロ円金先が珍しく盛り上がって金利低下して(ユーロ円TIBORとかが下がっていたり付利がどうのの思惑があったりということのようですが)という事でもう大変な事に。

昨日のオペ結果(短国買入に関しては後ほど)

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150119.htm
国庫短期証券買入 76,064 30,000 0.020 0.025 77.3
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,915 4,001 -0.007 -0.001 15.0
国債買入(残存期間10年超25年以下) 4,608 2,406 0.012 0.014 64.4
国債買入(残存期間25年超) 3,822 1,405 0.013 0.016 44.3

ということで、長期輪番の応札が6915億円と少ないのと足切りがやや流れたことから後場にヒャッハー相場になりましたぞなという展開だった訳ですが、この調子ですと(もとより新発債の供給に対して買入が過大と言われている)長期ゾーンが夢の輪番札割れまたは輪番が盛大に流れてとんでもない金利まで日銀様お買い上げというようなお洒落な話に来月にでもなるんじゃネーノと申し上げたくなるこの展開ヒドスとしか申し上げようがございませんな。

しかしまあ何ですな、輪番札割れとかになると「国債買入のオペレーションとしての限界」ってな話が出てきて、盛大にMB積み上げまくったのに全然CPIが伸びていませんがマッカラムルールだの何だのとは何だったのかと置物先生を小一時間問い詰めたい状態の中でそういう事態が起きますと、「金融政策の目標が達成できない中でオペレーションに限界」とかどこぞのスイッツアランドみたいな連想が働くと日銀としてもマズーだと思うのですけど大丈夫ですかねえ(ニヤニヤ)。


・短国買入は相変わらずの3兆円

はいはい3兆円3兆円
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150119.htm
国庫短期証券買入 30,000 2015年1月21日

だいたい昨日なんぞ売買参考統計値的に3か月のカレントしか札が入らないのが予想されるのですから1年TB買って残高の安定的な積み上げ&ロールオーバーの頻度を減らして買入できなくなるリスク回避、という視点で考えたらここで3兆買わないで減らしてオペ先に緊張感ださせればエエヤンなどと思うのですが、そんな事をするのであればそもそも延々と短国金利がマイナスになるようなオペの打ち方をしていないので文句を言うだけ時間の無駄というものです。

で結果はさっきの通りですけど。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150119.htm
国庫短期証券買入 76,064 30,000 0.020 0.025 77.3

まあこんなもんでしょという所ですが、昨日付の売参で突出して利回りが低いのは3Mのうち年初1発目と2発目の分になる503回と504回(近い償還の1年短国も同じくですがそもそもそんな銘柄は流通玉が無いのでどうでもよい)で両銘柄ともマイナス5.5bpとなっております(なお1年新発507回はマイナス2.0bp)ので、まあ2甘だの2.5甘だので放り込んでも入札レベルから見たら鼻歌混じりでワークするレートですな(一方1年新発507回だとゼロ以上の金利になるから入札レベル対比負けになるのでこれは入っていない筈)。

なお、その次に入札があった3Mの506回はマイナス3.9bpだったのでまあワークするにはワークするけどちと微妙かなという所ではありましたが、いずれにせよこの落札結果ですと1年TBは入っていませんので、これだけの札がある上に1年TBを買いたいという日銀の意向は強いでしょうとか思うと、今週金曜も3兆で短国買入を打ちやがる可能性があるなあと思う訳で、そうやって国内の普通の投資家をマイナス金利で排除することに何の意味があるのかと小一時間問い詰めたい所ではありますな。

長期国債買入の場合は買入の回数も多いし、銘柄も多いので「どの銘柄がどのレートで入ったか」とか類推するのがかなり面倒ですけれども、短国買入の場合は基本的に買入が週1で買入銘柄の方は10日毎に公表されますし、そもそも流通玉のある銘柄がカレント近辺に限られている(四半期末通過後は残高調整玉の売りが出る場合もありますが)し、買入対象銘柄も2Mよりも長い所になるので銘柄数も少ない、という事で、まあオペ結果と売買参考統計値を見ながら出来上がりレートとかまで想像できますので、売買参考統計値(売参見るの面倒でしたら日本相互証券さんの引けでも良いけど)の推移を鑑賞しながらオペ結果の鑑賞をすると味わいが深いというものでございます。


・という事でユーロ円金先が強かったりしましたが・・・・・・・・・

いやまあ昨日はユーロ円金先強くて、短い所のレシーブとかも強くてまた金利が下がるネタが意識されているようですがその話はプレビュー雑談コーナーに続くのだ。


○今日もプレビュー雑談の続き

・日銀の超過準備付利金利に関して

つーことで付利金利ガーみたいな話が(欧州がマイナス金利攻撃しているのもあって)またまた浮上という所ですが、これに関しては「MB拡大にコミットするという政策を放棄すれば可能ではないですかね」というのが答えになると思います。

資産買入の積み上げをするためには、複式簿記で考えれば判りますが資産積み上げた分だけ日銀当座預金が拡大しないと間尺に合わないので、超過準備の積み上げにある程度のインセンティブを与えないと超過準備の積み上げが厳しくなります。でまあ最近ですと昨日ネタにしましたが都銀さんが最近超過準備を積み上げなくなっているのは、バランスシートのご都合とかそういう話になっているんでしょうかねえとか思いますと、まあそんなように「超過準備に付利しているからと言ってもバランスシートを無限に積み上げられるかどうか判らん」という状態なので、付利下げはMB拡大の政策を実務的に困難にするので普通に考えると選択肢にはなりません。

そもそもですね、今の日銀の金融政策の枠組みは「マネタリーベースターゲット(のようなもの)」を基本的な建付けにしていて、別に金利レジームで政策を組んでいる訳ではない訳ですよ。つまり「マネタリーベースの拡大によって期待インフレの引き上げを行い」(実際にワークしているのかは別として)、そのMB拡大を行うツールとして国債の買入を行うのですが、その際に国債の買入を実施することによって、「長期国債の買入によって期待インフレ率の上昇に伴って起きるフィッシャー効果を抑制して実質金利を下げる」というセットになっている訳ですよ。

でまあその実質金利が低下することによって消費は伸びるわ設備投資は増えるわ爺さんのリューマチは治るわ(嘘)でウハウハですよ奥様!!というフレームな訳で、別に名目金利レジームな訳ではないので、ここで付利下げて金利レジームに切り替えるというのはちょっと無いんじゃないですかね。というか置物の首飛ばさないとレジーム変えられないでしょうし、それは政治的なコンフリクトが大きすぎるので難しいんじゃないですかねえ。

なお、理屈を全部すっ飛ばして付利下げる可能性も無くは無い(昨年10月の追加緩和で従来のロジックがだいぶ崩壊しましたからねえ、最近少し立て直していますが)のですが、その場合輪番での買入が更に厳しくなってきて、それこそとんでもない金利での購入やら夢の札割れやらというのが早くにやって来るだけで、それは国債大量購入でMB拡大政策の限界点を手前に手繰り寄せるだけの効果しかないので、アホじゃなかったらやらないと思います。いきなりそれをやらかしたらそこまで追い詰められて居るという事でしょうな。



・貸出支援関連の大幅増強は色々とできそう

ということでまあ普通に考えて事前報道の通りで貸出支援の増強となりますが、0.1%4年固定というのは今の国債市場の金利体系を考えると高利貸しにも程があると言いたい所ですが、この借入を取り入れる事によってALM的に言えば負債のデュレーションを長くすることが出来るのはメリットですな。

特に足元では4年以下の金利が軒並みマイナスになっていますので、商品有価証券ならともかく、投資有価証券的にマイナス金利の債券買えますかという事を考えますと、実はポートのデュレーション調整が直近では難しい状態になっている(ストラテジックなイールドカーブ戦略でマイナス買うとか値上がり狙いでマイナス買うとかいう理屈は立てられるとは思いますがポートのコアポジションでマイナス金利って訳にも逝かんでしょ)ので、そういう意味でも使い勝手が良くなっているように思えますがどうでしょうかねえ。

てな訳ですから、まあ貸出支援ならば大義名分もありますし、「貸出した分の5倍」でも何でも良いですけれども威勢の良い数字を出して、ついでに4年というのも伸ばすという手はあるんでしょうなと思います。ただまあオッズをあまり増やすと銀行優遇批判に繋がり兼ねませんし、期間をあまり長くすると「そもそもお前ら2年で達成と言っていたのにそんなに長い期間の固定金利貸出をするとか達成への意欲が本当にあるのか」と言われかねないので、そこら辺の屁理屈の整合性を取らないといけませんな。


・展望レポートの物価見通しって今年度下げて来年度上げになるんでしょうなあ

まあさすがに今回追加緩和だと麿もビックリの逐次投入スキームになってしまいますので普通に考えて追加緩和はしない(貸出支援の方を鉦や太鼓で宣伝するのはあり得る)と思われますが、10月の追加緩和との整合性を取るという追及は来る罠と思います。

そこでどういう話になるかというと、「本年度の前半は原油価格などの影響で物価の伸びが弱いですが、後半になりますと原油価格の前年比辺りの物価指数の影響は徐々に剥落しますし、そのころになると原油価格低下のメリットが出るわ今年の春闘でお賃金は上がるわ設備投資も出てくるわでもうウハウハですよ先生」という話になって「したがって物価目標達成時期については変わりません」(キリッ)となる筈ですな。

・・・・・・・となりますと、この屁理屈を先に持って逝きますと、恐ろしい事に2016年度の物価見通しは上方修正必至という事になってしまいますので、それこそ2%台半ばくらいの中間的な数値が出てきても何らおかしくないというのが大本営発表クオリティオソロシスという所ですが、展望レポートの見通し数値というのは特に黒田日銀になってからその傾向が高まりましたが、純粋にエコノミスト的にこうだという予想なだけではなく、「現行の政策目的が達成されます(キリッ)」という前提を置いた威勢の良い気合成分の入った数値というのも加わるものである、というのが仕様となっておりますので、真面目な話大本営軍団が先の物価見通し上げてくるんじゃないのかと思いまするに、実は2016年度の物価見通しの方が鑑賞物としては面白いのかもしれませんぜウヘヘヘヘ。


○更にニュース雑談というか何というか

今日は雑談ばっかでどうもすいません。

・オランドのお漏らしキターーーーーーーー(・∀・)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H8T_Z10C15A1MM8000/?dg=1
仏大統領「欧州中銀、22日に国債購入決定する」
2015/1/20 1:05

『【パリ=竹内康雄】フランスのオランド大統領は19日、欧州中央銀行(ECB)が22日に予定する理事会で「国債を購入する決定をするだろう」と述べ、量的金融緩和策に踏み切るとの見通しを明らかにした。景気の低迷によりデフレの懸念が強まる欧州経済を金融面から後押しする狙いにも言及した。パリで開かれた企業経営者らとの会合で語った。』(上記URLより)

日銀ガーの皆様におかれましてはこのお漏らしに関する感想を賜りたい所ですが、それはそれと致しましてもこういうのが出てしまうとブンデスバンクが盛大にヘソを曲げて国債購入が3月に先送りされるに1マルク。


・山本幸三先生ェ・・・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KS0NE20150119
インタビュー:当面、追加緩和は必要ない=自民・山本幸三氏
2015年 01月 19日 20:29 JST

『[東京 19日 ロイター] - 「アベノミクス」の仕掛け人である自民党の山本幸三衆議院議員は19日、ロイターのインタビューに応じ、当面、追加緩和の必要はないとの認識を示した。 日銀が掲げる「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果だとして十分説明可能と述べた。』(上記URLより)

>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果
>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果
>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果

・・・・・・・えーっとすいません金融政策で2%物価目標達成は可能で、適切な政策を実施すれば早期に達成できるという話をしていたのはどこのどなたでしたっけ。

『その後「(16年)秋口にはデフレ脱却宣言ができるのではないか」と見通す一方、17年4月に予定される消費税率10%への引き上げで「再びマイナスショックが出る可能性がある」と述べ、出口論は時期尚早だとし、「消費税引き上げの影響を見極めて、大丈夫と思えるまでは緩和スタンスを続けるべきだ」と述べた』(上記URLより)

>消費税引き上げの影響を見極めて、大丈夫と思えるまでは緩和スタンスを続けるべきだ

・・・・・・・えーっとすいません、そんなに消費増税に効果があるんだったらそもそも金融緩和をする前に消費税引き下げ(とか撤廃)すれば良かったんじゃないですかね。それで消費税分減収になってもそれだけの効果絶大の政策を実施した日には景気が盛大に浮上するからそっちの効果で思いっきり増収になって、最終的にはネットでプラスになるんじゃないですか、というかリフレの皆様って大体そういう打ち出の小づち的な説明しますよねえ税収に関しては(なお同じリフレでも山本先生は微妙にこの辺の話が違っているのはそうなのですけど)。

ということで、もう少し悪態を奉呈申し上げようかと思ったのですが、時間が無くなったので本日はこの辺で勘弁、つーか全部雑談でどうもすいませんすいません。



2015/01/19

お題「SNBの降参を受けて決定会合プレビュー雑談/業態別当座預金とか1年短国入札とか」

さて今週は決定会合にECB理事会ですの。

○決定会合とかECB関連のプレビュー雑談とかSNB雑談とか

まー今週は日銀は単に「前向きのメカニズムはあります」で終わってECBはソブリンQEやるのかやるやる詐欺で引っ張るのかどうなんでしょうねとかいう感じではあったのですが、SNBのアレで色々と風雲急を告げている感じで誠にアレではございます。

ということで厭債害債さんの解説を置いときますね。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201501/article_5.html
スイス中銀(SNB)からのサプライズ

金曜はとりあえず決定内容&声明文と、総裁のオープニングステートメントを見て「何か判ったような判らんような説明なのだが要するにギブアップなのですかねえ」とか申し上げましたが、色々と解説などを見ますとやはりギブアップという所で、理論上自国通貨売り介入は無制限に可能、とは言ってもやはり限界というのがあるってえ話ですし、そもそも論として自国通貨売り介入で盛大にバランスシート拡大しているのに絶賛物価低迷というスイスの状況を見ますとそらまあ出口無しという状況でしてから、結局の所「出口の見えない政策をいつまでも続ける訳には行かない」という話だったんでしょうかねえというのと、SNBのユーロ建て資産が通貨バスケット的に見た時に食らっているし、この先ECBが追加緩和すると更に食らうわ介入は増やさないといけないわという状態が見えているのでギブアップだったという事のようですの。

#そういやこの前スイスでは中銀に「ついに買いました!金!!」をやらせようなんて国民投票があったりしましたし

しかしまあ何ですな、スイス中銀ギブアップというのを見せつけられますと「そもそも無理のある金融政策を出口なしの状態で続ける訳には行かない」という話がこれからの金融政策の論点としてのテーマに浮上してくる訳でございまして、火の粉はいずれ日銀にもやってくるでしょうという素敵な話になるかとは思われますな。

つまりですな、置物MB直線一気理論でMBバンバン拡大ということで国債をバカスカ買ってもはや金利の水準が合理的な説明できませんぞな(特に中期以下)な状況になっているのですけれども、MB拡大して債券市場を叩き壊しながら金利を無理矢理下げている状態になっているものの、この政策自体がどこまで維持可能なのか(まあ年内持たないでしょ常識的に考えて)という中で、物価の方はご案内の通りとなりますと「QQEは何時出口に行けるのか」と考えた場合に現状では出口どころか追加緩和待ったなしみたいな状態(実際は今月は粘って4月の展望レポートどうするのという所でしょ)になっている訳で、そうなりますと現行QQEの継続可能期間と政策が効果発揮して出口が展望できそうな時期とのギャップにオペレーションが耐えられなくなるのでさてどうするんでしょ。

とか何とか考えますと、まあ政策の爆発時期を速めることになった追加緩和って悪手にも程があったのではないかとも思いますが、そもそも論として先般来悪態を申し上げておりますように、オペレーションの所でもうちょっと金利の下げをマイルドにしていく方策も有った筈で、短国買入の運営なんて日銀が好んでマイナス金利を維持しようとしているとしか思えないのだが、そもそもここのマイナスが恒常化するから中期に波及している訳で、QQEの継続時間が長くなりそうという状態なのだから政策をもう少し長く続けられるようにするには中短期の金利の恒常的なマイナス化を避けるようなオペ運営をした方が吉だと思いますな(事務方がわざとQQEのオペレーショナルな爆発時期を早めようとして無言の抵抗をしているのだったら笑いますが)。

つーことで、まあQQEのオペレーショナルな限界が最近の市場動向を見るとあからさまにも程があると思う中で、SNBのご教訓として「無理のある金融政策は長期的には継続できない」というのが出てきた訳ですし、そもそもQQE自体が「2年で達成」という意気込みで投下された訳ですからあれだけの規模のバランスシート拡大になった訳で、元の建付けから考えたら3年も4年も続けられるような代物ではない政策ですし、そんなに時間がかかるという想定にもなっていなかった事を踏まえますと、さてQQEの落とし前はどういう付け方になるのやら、というのが今年前半か後半か知らんが(今の買入方法だと後半に来る辺りでは既にオペレーションが爆発していると思われますが。短国金利をプラスに持って逝けばもう少し延命しそうだけど)のテーマになりそうですな。いやはや。


でまあECBですけれども、これは今回やるのか次回(3月)やるのか知らんけどさすがにソブリンQEを実施するんでしょという所なのですが、「資産買入」に重点を置くのか「バランスシート拡大というかMB方面」に重点を置くのかが良く判らん所。

つまり、今のマイナス20という預金ファシリティ残したままですと、ソブリンQEやってもそんなに札が入らないでしょ(余程とんでもないマイナス金利まで買入をすればある程度は買えるかもしれないけど)と思われますし、そうなると何の為にうちこんでいるのか良く判らんという話になりますけどどうするのやらと。まあ最終兵器として「このように買入をしようとしましたが応札が集まらないですなあ(棒読み)」という市場のせいにする攻撃でお茶を濁すみたいなイカサマスキームは無いではないと思いますが、さすがにインチキにも程があるような気はします。


話戻って日銀ですけど。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPL3N0UU5CH20150115
日銀、次回会合で貸出支援制度を延長・拡充へ
2015年 01月 16日 08:40 JST

『[東京 16日 ロイター] - 日銀は20─21日に開く金融政策決定会合で、今年3月に期限を迎える貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの融資制度を1年間延長するとともに、貸出額増額などの拡充策を決める。デフレ脱却に向けて量的・質的金融緩和を強力に推進している中で、大規模な資金供給が金融機関の貸し出し増加につながるよう引き続き後押ししていくことが適当と判断した。』(上記URLより)

ロイター以外からも報道されていますので、まあこれは打ち込まれると思いますが、4年の国債金利がマイナスという状態になると固定4年の10bpというのが高利貸しに見えてくる所がオソロシスという所ですな。まあそもそも国債金利の方がおかしいと思えば札はそれなりに集まるのでしょうが。

ただまあ固定4年10bpの貸出を延長しかも拡大って良く考えたら執行部はQQEの出口時期をいつだと思ってるんだと小一時間問い詰めたい所ではありますし、この拡大と拡充するとなりますと益々超過準備付利って下げにくくなる(そもそも超過準備付利を下げると資産買入拡大の困難性が高まってオペレーションの爆発時期が早くなる)でしょうなという所で。



○市場雑談である

・業態別日銀当座預金残高である

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/

例によって例のごとくここからダウンロードして数字を見ますと、12月積み期間の数値になるので12月の国債償還要因があるよねと思いつつ鑑賞しますと、「都市銀行」が増えるどころか減っている(平残の方で話をしていますので念の為)というのがほえ?という所です。

つーかまあ都市銀行の超過準備って段々伸びが鈍化してきていまして、さすがにバランスシート制約の問題が出てきているのではないかと思われるところで、それはつまり「都市銀行(とかの投資家)が手持ちの国債を輪番に打ち込んで日銀のバランスシート拡大政策が持続する」という状態では無く、「発行された国債が業者経由で右から左に日銀輪番に打ち込まれることによって日銀のバランスシート拡大政策が持続する」というステージに完全に変貌しているという状況をこの動きも示しているんじゃネーノとか適当な屁理屈を考えてみましたがどうでしょうかね。

#ちょうど12月の途中から輪番効果の金利低下が過激になってきていましたし

なお、地方銀行とかその他準備預金制度適用先とかの超過準備が積み上がっていまして、まあ国債償還要因はこの辺に出ているのかなという所で。


・1年短国入札・・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150116.htm
(3)募入最低価格 100円01銭2厘 (募入最高利回り)(-0.0119%)
(4)募入最低価格における案分比率 5.4545%
(5)募入平均価格 100円01銭7厘 (募入平均利回り)(-0.0169%)

ということで平均がマイナス1.7bpという事で毎度の入札でございましたが最早知らんがなという感じではありますな(−−;

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0UV1LF20150116
〔金利マーケットアイ〕新発1年物TB入札しっかり、最高落札利回り過去最低更新
2015年 01月 16日 12:45 JST

『<12:38> 新発1年物TB入札しっかり、最高落札利回り過去最低更新

新発1年物国庫短期証券(TB/507回)の入札で、最高落札利回りはマイナス0.0119%と1年物として過去最低を記録した前回(マイナス0.0040%)を下回った。平均落札利回りはマイナス0.0169%。入札について市場では「しっかりした結果だ。週明け19日にも予想される日銀買い入れの期待や前日入札の3カ月物が事前予想より強かったことが影響した。オペ見合いの需要と思われる」(国内金融機関)との見方が出ていた。』(上記URLより)

てなわけで、まあ本日は恐らく短国買入がオファーされると思うのですが、本日付(金曜に公表される奴)の売買参考統計値を見ますと直近の3Mの引けの方が1Yよりもマイナスが深くなっておりまして、落札時の利回りから本日付の売買参考統計値までの距離を考えると本日の短国買入は3Mの方が入れやすいという事になるんでしょうかよくわかりません。

しかしまあ何ですな、

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UV2FF20150116
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.073─0.075%中心、ユーロ円金先は強含み
2015年 01月 16日 15:23 JST

『<15:20> 翌日物0.073─0.075%中心、ユーロ円金先は強含み

無担保コール翌日物は0.073─0.075%中心での取引。主な取り手は地銀・信託で、取引レンジは0.071─0.077%付近とやや幅広くなった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レート(平均)は0.098%と高止まり。国債売現先オペの応札額は2億円にとどまった。新発1年物国庫短期証券(TB/507回)の入札で、最高落札利回りはマイナス0.0119%と、1年物として過去最低を記録した前回(マイナス0.0040%)を下回った。オペ見合いの需要とみられている。業者間取引で新発債の利回りはマイナス0.02%近辺、3カ月物(506回)はマイナス0.040%での出合い。ユーロ円3カ月金利先物は株安・債券高で強含み。』(上記URLより)

レポGCレートは相変わらず高止まりという記載がありますが、現状の短国マイナス金利状態ってもともと昨年9月に発生した時とは状況が違っていまして、昨年9月の時には日銀買入の残高も多かったというのもありますが、期末ニーズだの海外ニーズだの色々とあって、マイナス金利状態の中でレポGCとか特に短国現先市場とかでも玉がスッカラカンで、特に短国現先に関してはうっかりするとプラスの金利が出ないような状態になっていた訳でして、そういう意味では「日銀と投資家に玉がズッポリ嵌っていて流通玉がそもそも存在しない」という状態の中でのマイナス金利状態だった訳ですよ。

然るに、足元ではここもとの短国買入のオファー額でもそうですし、レポGCや現先利回りを見てもそうですし、普通に流通玉があるのだけれども、その流通レートがマイナスのまま維持されているという状態になっておりまして、昨年9月辺りのマイナス金利状態が投資家需要と日銀買入を背景にしたものという言い方をした場合、足元のマイナス金利状態って「玉がある時に日銀が投資家を押しのけて買ってくるのが見えているので相場が維持されている」という状態にしか見えないのでございまして、もうちょっと短国買入の打ち方を考えた方が資産買入政策の維持可能期間を長く出来るのではないかとか先ほど申し上げたのは、この辺りの状況を勘案して申し上げている次第とゆー所ではありますが、まあ日銀が確信犯的に市場から投資家を排除しようとしているのであればシャーナイナイでもありますな。

つーかですな、売参の引値状況から見ると今日の短国買入って3Mの方が入りやすいと思うのですが、そういう結果になると日銀的には1年物を買いたいでしょうから今週金曜(に多分短国買入が入って受渡ベースの1月分は終了、来週金曜も勿論短国買入ありますがこれは受渡ベースで2月分)の短国買入もうっかりすると盛大に打ってくる可能性が今の「買入が全てに優先するので市場なんぞ死んでも知らんがな主義」のオペレーションだとアリエールなのかも知れませんな、オソロシス。


○さくらレポートネタの筈が時間が無くなったので「地域の視点」ネタだけ

http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer150115.htm/
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer150115.pdf
地域経済報告 ―さくらレポート― (2015年1月)

景気判断の部分は後日ということで(汗)『II.地域の視点』のところから。

今回のお題は『各地域における中小企業の現状と活力ある企業の特徴』ということで、中小企業に回復の恩恵が来ていませんですな的な話が出ているのを受けておりますなこりゃという所で。

『1.中小企業の現状等』
(1)中小企業を取り巻く経営環境と足もとの収益動向』

ほうほう。

『各地域の中小企業の収益動向をみると、人口減少・少子高齢化や大企業の海外拠点拡充等が進んでいる環境下で、企業規模が相対的に小さく、製品・サービスの差別化を図れていない先を中心に、厳しい状況にある企業が少なくないが、近年は、内外需要が持ち直すもとで、全体としては緩やかながらも改善傾向をたどっている。ただし、2014年度入り後は、消費税率引き上げ後の需要面における弱めの動きや円安等に伴うコスト負担の増加等から、業種や企業間でのばらつきが広がっているとの声が聞かれている。』

>円安等に伴うコスト負担の増加等

等を沢山入れていますが一応言及してますな。

『すなわち、海外需要の増加が波及している業種(自動車・電気機械・航空機関連部品等)や、設備投資関連の業種(産業用機械等)、公共・建設投資関連の業種(建設等)、大企業の業績改善効果が及んでいる業種(運輸、人材派遣等)、円安のメリットが顕れている業種(造船、訪日外国人観光客関連の宿泊等)等では、収益の改善が続いている先が多い。』

『こうした一方で、内需依存度の高い業種(食料品、小売、飲食等)や、住宅投資関連の業種(建材、工務店等)等では、収益環境が悪化しているとの声が増加している。その要因としては、消費増税に伴う反動減の長期化や天候不順、実質所得の減少を反映した消費者マインドの悪化等による売上の減少に加え、円安等に伴う原材料価格の上昇、電力料金の負担増、人手不足を背景とした人件費の増加等に直面するもとで、販売価格への転嫁が進まない点も挙げられている。この間、足もとの原油安のプラス効果は、既に実感している先がみられる一方、これまでのところ十分に浸透していないとの声も聞かれている。』

>足もとの原油安のプラス効果
>足もとの原油安のプラス効果
>足もとの原油安のプラス効果

ほうほうそうですかそうですか、10月の追加緩和は何だったんでしょうかねえ。

『(2)中小企業の設備投資、雇用・賃金スタンス』

キタコレ!

『中小企業の設備投資、雇用・賃金スタンスをみると、先行きの需要減少に対する懸念や足もと厳しい収益状況等に直面している先では、依然として抑制的な姿勢を続けている。その一方で、業況堅調先を中心に前向きなスタンスを取る動きもみられている。具体的には、設備投資に関しては、政府の補助金や緩和的な金融環境等の後押しもあって、これまで先送りしてきた老朽化設備の維持・更新や効率化・省力化に向けた投資を実施する先に加え、需要増加を見込んだ能力増強投資に踏み切る先もみられている。』

>需要増加を見込んだ能力増強投資に踏み切る先もみられている

ほほう。

『また、雇用・賃金面に関しても、人手不足への対応の観点を含め、新規・中途採用の積極化による人員増強を図ったり、賃金水準の引き上げや賞与増額など処遇改善を進めているとの声が聞かれている。』

ということで、どうもこの辺の纏め部分だけを見ますと、今回の「地域の視点」に関しては威勢の良い話になっているという辺りが中々味わいの深い所ではないかとも思ったりします。

なお以下の部分は皆さん見てくらはい。



2015/01/16

お題「昨日の訂正(補完供給関連)/スイス中銀ェ・・・・・/短国入札雑談/支店長会議の総裁挨拶要旨が妙に短い件」

バイトマン先生貫録のクオリティ。
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPKBN0KO2LI20150115
独連銀総裁「ECBの行動には法的限界」、QE反対変わらず
2015年 01月 16日 06:30 JST

『[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は15日、欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れを条件付きで合法とした欧州司法裁判所の法務官の見解について、ECBの行動には法的な限界があることも示したとの認識を示した。経済界首脳を前にした講演で述べた。』(上記URLより)

平常運転にも程がありますなこのおじちゃんは。


○昨日の訂正を(補完供給関連)

昨日の駄文で国債補完供給に関する話をざくざくっと申し上げましたが、その中で国債補完供給に関して「日銀保有残高の50%/2000億円の少ない方」という風に書いたのですが、50%ではなくて100%の間違いでしたので謹んでお詫びして訂正させて頂きます。以前はロール時のループ抑止みたいな感じで50%だったのですが、100%となるにあたって事務的な建付変更とかあるようなのですがその辺は超テクニカルなのでパス。

なお補完供給オペ自体の建付けについては「このファシリティをジャンジャン使ってドンドンマーケットメイクして下さい」というものではなくて、「債券ショートセールの玉手当はマーケットメーカーが一義的に実施するものだけど日銀も玉持っているから本当に困ったら一時的に貸してやるわ」というような、名前通りの「補完的な措置」という建付けなのは同じでございますな。まあどちらが良いのかというのは立場によって見方が違ってくると思うが、これだけ馬鹿買入する中ではもうちょっと利用はウェルカムみたいな感じになって頂かないと現物債市場の流動性ががががとは思ったりもしますが、ここの価値判断は難しいのでアタクシの考えが正しいかと言われるとちょっともにょりますな(汗)。

でまあついでに昨日はこんなのが出てました。

http://www.boj.or.jp/statistics/set/bffail/sjgb1412.pdf
フェイルの発生状況(2014年12月分)

12月は前月から盛大に拡大しているのが味わいが深いですが、まあ過去の推移を見ますと3月に盛大にフェイルが発生するというように、期末要因があったり、(これは12月の話ではないですが)3連休明けの火曜に突如補完供給が盛大に申し込まれるみたいに、まあ事務対応面におけるサムシングが国内海外の銀行休業日が錯綜する12月だと起きやすそうだったりしますから鬼の首を取ったように「国債市場の流動性低下ガー」とは申しませんけれども、まー金利水準低下で事務コスト削らないととなって色々とチョンボが発生したりSCレポ出すにしても収益碌に出ないのにやるのメンドクセとかその手の話ってどの位あるんでしょうかね。



○スイス中銀の一件を置いておきますね

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI7R1V6JIJV201.html
スイス・フラン上昇、対ユーロで最高値−中銀がフラン上限撤廃
更新日時: 2015/01/15 19:20 JST

『ブルームバーグがまとめたデータによれば、フランの対ユーロ相場はロンドン時間午前9時53分(日本時間午後6時53分)現在、前日比30%高の1ユーロ=0.92フラン。一時は0.8517フランまで上げ、過去最高値を記録した。ドルに対しては26%上昇の1ドル=0.81フラン。』(上記URLより)

>前日比30%高の

・・・・・(;゚д゚)

ということでご案内の通りの措置ですが確認確認。

http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20150115/source/pre_20150115.en.pdf
Swiss National Bank discontinues minimum exchange rate and lowers interest rate to -0.75%
Target range moved further into negative territory

対ユーロの為替上限撤廃とマイナス75bpへの利下げを同時投下した訳ですが、そらまあ上限撤廃(ということは無制限介入はしませんという話ですわな)の方が思いっきり効くわなそりゃという所で。

『The Swiss National Bank (SNB) is discontinuing the minimum exchange rate of CHF 1.20 per euro. At the same time, it is lowering the interest rate on sight deposit account balances that exceed a given exemption threshold by 0.5 percentage points, to -0.75%.』

フランの対ユーロでの1.20の為替上限撤廃と同時に預金ファシリティ金利を50bp引き下げ実施。

『It is moving the target range for the three-month Libor further into negative territory, to between -1.25% and -0.25%, from the current range of between -0.75% and 0.25%.』

3MLiborのターゲットレンジ(が所謂政策金利でしたな)がマイナス75〜プラス25のレンジからマイナス125〜マイナス25のレンジに変更となりましたとさ。

『The minimum exchange rate was introduced during a period of exceptional overvaluation of the Swiss franc and an extremely high level of uncertainty on the financial markets. This exceptional and temporary measure protected the Swiss economy from serious harm.』

それはいいのだが結局無制限介入停止の方が全力で効いて30%飛んだのだが大丈夫か???

『While the Swiss franc is still high, the overvaluation has decreased as a whole since the introduction of the minimum exchange rate. The economy was able to take advantage of this phase to adjust to the new situation.』

スイスフランはまだ高いがオーバーバリュエーションは全体として緩和されて来ましたので介入止めますという話ですが対ユーロで3割飛んだらまた過大評価のような希ガス。

『Recently, divergences between the monetary policies of the major currency areas have increased significantly - a trend that is likely to become even more pronounced.』

ちょっと待てお前「主要国の金融政策の方向性が異なってきているので云々」ってユーロ圏は緩和拡大方向じゃねえか。

『The euro has depreciated considerably against the US dollar and this, in turn, has caused the Swiss franc to weaken against the US dollar. In these circumstances, the SNB concluded that enforcing and maintaining the minimum exchange rate for the Swiss franc against the euro is no longer justified.』

ユーロが下がって対ドルで安くなったので対ユーロでの上限が正当化されないっていう言い訳なのだが、さすがにスイス中銀の関連ドキュメントとか普段読み込んでいる訳ではないので、何がどういう理屈でこうなったのかさっぱり判らんのだが、2011年9月に無制限介入を投下した時には確かに「スイスフラン上昇が問題」という言い方をする中でどこの通貨に対してみたいは話はしていなかったけど、そんなに明確に通貨バスケット対比でどうのこうの的な話もしてなかったぞ。

『The SNB is lowering interest rates significantly to ensure that the discontinuation of the minimum exchange rate does not lead to an inappropriate tightening of monetary conditions.』

為替上限撤廃した時に金融環境が引き締まるのを防ぐために利下げをする、という話をしているのですが、市場のマイナス金利と実体経済のゼロ金利制約という間で生じるコストを誰が負担するのか、という問題が生じる、というのが実際にマイナス金利状態に直面しているアタクシ共も思いっ切り感じている(なお欧州は預金ファシリティマイナス20でやはり色々とその問題が生じているとの話だけは話として聞いていますけどねえ)次第で、マイナス金利を深くするというのは金融仲介機能としての金融システムに負荷を掛けますし、最終的にその負荷に耐えられなくなって実体経済に対してその負荷を転嫁する動きが生じた場合に、本当にそれってファイナンシャルコンディションの緩和なのですかと疑問が全力で発生するのですがねえ・・・・・・・・・・・

『The SNB will continue to take account of the exchange rate situation in formulating its monetary policy in future. If necessary, it will therefore remain active in the foreign exchange market to influence monetary conditions.』

為替介入は今後も行うとのことなので、どこかの場面でまた介入が投下されるのでしょうが、自国通貨売り介入を盛大に実施したのが一瞬にして30%食らってしまった状態になってスイス中銀の介入って今後どの程度アクティブにできるんでしょう・・・・・・・・


なお2011年9月のスイスフランの対ユーロ為替水準設定と無制限介入決定時のリリースと総裁のコメントをこちらに置いておきますね。

http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20110906/source/pre_20110906.en.pdf(当時のリリース)
http://www.snb.ch/en/mmr/speeches/id/ref_20110906_pmh/source/ref_20110906_pmh.en.pdf(総裁会見)

引用していると長くなるのでパスしますが、当時の説明だと「為替が強いのでデフレ―ショナルなプレッシャーが掛かって云々」という話になっていたものの、スイスの物価って相変わらずお察しで今回何で急に無制限介入と為替上限を諦めたのかが良く判らん。


総裁会見ステートメントはこちら。
http://www.snb.ch/en/mmr/speeches/id/ref_20150115_tjn/source/ref_20150115_tjn.en.pdf
Introductory remarks by Thomas Jordan

説明は概ね上記声明文の話をなぞっていて、付加情報はこの辺くらい。

『Discontinuation of the minimum exchange rate

The Swiss National Bank (SNB) has decided to discontinue the minimum exchange rate of CHF 1.20 per euro with immediate effect and to cease foreign currency purchases associated with enforcing it.』

介入は今後もアクティブに行うとは書いてありましたが、やはり無制限介入はしないようですね。

『Outlook for inflation and the economy

The inflation outlook for Switzerland is low. In December we presented a conditional inflation forecast, which predicts inflation of -0.1% for this year. Since this forecast was published, the oil price has once again fallen significantly, which will further dampen the inflation outlook for a time.』

足元マイナス0.1%で原油下がるので更に下がると。

『However, lower oil prices will stimulate growth globally, and this will influence economic developments in Switzerland positively.』

でも原油価格低下は世界的に成長にポジティブと。

『Swiss franc exchange rate movements also impact inflation and the economic situation.』

それは判ったがこの措置で為替が・・・・・・・・

『The SNB remains committed to its mandate of ensuring medium-term price stability while taking account of economic developments. In concluding, let me emphasise that the SNB will continue to take account of the exchange rate situation in formulating its monetary policy in future. If necessary, it will therefore remain active in the foreign exchange market to influence monetary conditions.』

インフレと経済の見通しというコーナーの割には全然見通しの説明になっていませんが、これ為替がぶっ飛んだのを受けてどういう話になるのかねとか、まあ色々と興味は尽きませんが、そもそも何で急に無制限介入を止めたのか先ほども申し上げた通り良く判らんですけど、政策の効果と副作用を勘案してギブアップしましたという気がだいぶするのだがどうなんしょうかねえ。



○短国入札ェ・・・・・・・・・・・・・

ヒャッハー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150115.htm
(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛 (募入最高利回り) (-0.0020%)
(4)募入最低価格における案分比率 11.8277%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘2毛 (募入平均利回り)(-0.0048%)

・・・・・・・・えーっと昨日は「どうせ100円按分でしょ」と申し上げたのですが、アタクシの妄言を打ち破る盛大にオーバーパーの足きりになっておりましてナンジャソラという所ですが、

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UU2QY20150115
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.073─0.075%中心、新発3カ月TBマイナス0.017%
2015年 01月 15日 15:24 JST

『[東京 15日 ロイター] -〔金利マーケットアイ〕

<15:20> 翌日物0.073─0.075%中心、新発3カ月TBマイナス0.017%

無担保コール翌日物は0.073─0.075%中心での取引。主な取り手は地銀、信託など。大手行は0.070%で一部出合いを付けた。準備預金の積み最終日、源泉税揚げ日だが、取引金利水準は前日と大きく変わっていない。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レート(平均)は0.098%と強含み。共通担保資金供給オペは札割れ。国債売現先オペの応札額は70億円だった。新発3カ月物国庫短期証券(TB/506回)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.0020%、平均落札利回りはマイナス0.0048%となった。事前予想よりも強めで、0%近辺では銀行勢などの需要がしっかりとあることが確認できた。業者間取引で新発3カ月物国庫短期証券利回りはマイナス0.017%、504回証券はマイナス0.055%での出合い。ユーロ円3カ月金利先物は閑散小動き。』(上記URLより)

ということでセカンダリーではまたまた平均落札(マイナス0.48bp)よりも強い所(マイナス1.7bp)での取引となっておられるようですが、一方で上記記事にも記載されておりますようにGCレポの金利は上昇って辺りにジャパン債券市場の大変に滋味に富んだ風情を感じる次第でございます。

でまあ本日は1年TBの入札がある訳ですが、もう面倒だから2.5兆円の発行分のうち5000億円だけ価格競争入札して残りは平均で日銀が直接購入しろやゴルァと申し上げたくなりますが、今の建付け上そういう訳には参りませんので今日も今日とて盛大に強い入札となって国内の運用目的の投資家は置き去りになるんですね分かりますという所ですな。

なお、19日月曜に短国買入が実施されますが、何せ「投資家に買われる前に俺が買う」という餓鬼道のような日銀の今の買入スタンスを勘案すると玉があると思えば買入が盛大に打ち込まれて(そもそも論として1年TB(と6MTB)入札後は1年TB(要するに足が長い物を買った方がロールで四苦八苦しなくて済むという理屈)を買いたいから買入の打ち込みが積極化しやすい)という流れですね分かりますという所で。


○支店長会議の挨拶要旨の量が微妙に減っている件について

うむ。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/siten1501.htm/
支店長会議総裁開会挨拶要旨(2015年1月)

『わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる。わが国の金融システムは、安定性を維持している。そうしたもとで、金融環境は、緩和した状態にある。』

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』

まあこの挨拶要旨はそれこそ思いっきりの要旨ですけどね。

10月の支店長会議での挨拶要旨はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/siten1410.htm/

『(1)わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。先行きについては、緩やかな回復基調を続け、駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくとみられる。

(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となっている。先行きについては、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。

(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。そうしたもとで、金融環境は、緩和した状態にある。

(4)「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(これは10月の挨拶)


・・・・・・ということで、随分とあっさり味になっているのですが、これ趣旨自体は毎度のクオリティと致しましても、今回見ていて「おー」と思ったのは2点あって、(1)物価に関する部分が記載されていない、(2)先行き見通しに関する部分が記載されていない、という所です。

でまあそれをどう解釈するのかは勝手な所ではありますが(そもそも挨拶がこんなに短い訳ではないので)、こうやって表に出して来る「要旨」の中で物価に関する記載と、先行き見通しに関する記載が削除されている、というのは、来週直ぐにやってくる展望レポート中間レビューがあって、そこで何らかの下方修正をしないと行けないから、ここで10月展望レポートを踏まえた話をそのまますると、そこから1週間も経過しないうちに下方修正が来るとか結果的に黒ちゃんウソツキにも程がある、という批判が飛んでくるのもさすがにマズーでしょうなあとか、まあそんな配慮をしてるんじゃないですかねえ(ニヤニヤ)。

てな事を考えますと、まあ既にそういう報道もありますけど来週のMPMでは中間レビューでの下方修正が打ち込まれるという所で、その程度がどのあたりになるのかはここからの鉛筆の舐め具合政策委員会での議論に依存するので下手な事をここで書けないという話で、とりあえず執行部的には下方修正待ったなしという認識なんでしょうなあというのは把握した。


なお、念のため昨年7月の支店長会議挨拶のURLも置いておきますが、中間レビュー前だからと言っても昨年7月は物価の言及も先行き見通しの言及もありましたので一応ご確認ください。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/siten1407.htm/

#さくらレポート本チャンの方に関しては時間の関係で今朝はパスで勘弁(週末更新待ったなしですかね)




2015/01/15

お題「市場メモ雑談/短国買入残高を分析というマニアネタ/債券市場サーベイですかそうですか(というのも雑談)」

ということで雑談大会ですいませんすいません。

#米国小売売上ェ・・・・・・・・

○30年とか今日の短国とか補完供給とか

・30年入札はやや弱めでも結局ブルフラットとな

うむ。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul072.htm
(1)応募額 2兆2,947億円
(2)募入決定額 6,432億円
(3)募入最低価格 108円25銭(募入最高利回り)(1.131%)
(4)募入最低価格における案分比率 32.8638%
(5)募入平均価格 108円42銭(募入平均利回り)(1.123%)

ということで30年入札は前場からちと重めで、というかそれ以前の所でフラットしておりましたけどそれはそれとして、落札結果は予想より若干弱めだったけどその後結局切り返して前場遅れていた筈の超長期ゾーンは気が付けば先物長期を追い越してブルフラットウマーという展開だわ10年0.25%だわとか(25という数字を見ると公定歩合2.5%VS10年89回債2.55%というのがありましたとか申しましてもあたしゃライブでそれは見ていない)もう何をやっておられるのかという所ですな、ナムナム。


・本日は3MTB入札で明日は1YTB入札

でまあ毎度の短期の方ですけれども、昨日のGCとか現先とかは別に金利が下がるでもなく、先般の短国買入オペ後に別に需給が締まったような感じでもない(まあ日銀が3兆買った分だけは需給が締まったようだが)という中で3M入札を迎える訳で、GCもそれなりの水準だし、この先でネタにしますが先週の短国買入では1年物ばかり打ち込まれていたようで(火曜に何が打ち込まれたのかは22日に判る)、年始一発目から玉が出ていたっぽい年度内償還物はあまり消化されていないという結果になっておりまして、そうなるとまだ重い筈なんですけどねえ(3月半ば以降に償還の来る銘柄は3月時点での日銀短国買入がどういう入り方をするかによるが、そもそも論として決算ニーズが入るので需給が盛大に締まりやすく、そこで出る予定の資金の運用なら使えるけど再投資を考えると手を出しにくいからそもそも売れにくい筈)。

でも火曜日の短国買入増額を見ますと「重いなら買ってあげよう日銀が」という短国買入残高積み上げ命のためにオペ先ウハウハ国内の普通の投資家排除の姿勢を明確に示して頂きましたので、そらまあ入札はまたまた強い(さすがにオーバーで切れないとは思うのだが)でしょうし、1年TBなんてもっとすごい事になるんでしょうなとしか申し上げようがありません。

しかもご案内のように利付国債の方が5年近くまでマイナス金利になっていますので、マイナス金利を買うのは投資という意味でどうよというニーズが短国プラスになると流れ込んでくる(ただし利付と短国だとまた別モノ的な仕切りもあったりする(クーポンが入らないとか債券インデックスに入っていないとか)のでこれまた完全代替にはならないのだが)でしょうなあと思いますと、ゼロ金利以下をキープしていてもなんとかなるでしょう的なお話になるんでしょうな、ナムナム。


・昨日も補完供給

30年国債入札とスワップおよび債券ブルフラットヒャッハーに隠れておりましたがこんなのも。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150114.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 5,462 2015年1月14日 2015年1月15日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 6,000 2015年1月14日 2015年1月15日

午前の部と午後の部で補完供給のオファーですかそうですか。

(注3) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却対象銘柄は、20年利付国債100回、20年利付国債144回、30年利付国債16回、30年利付国債45回です。
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却対象銘柄は、10年利付国債313回、20年利付国債108回、30年利付国債40回です。

午前の部が4銘柄で午後の部が3銘柄で、前日の堂々16銘柄には敵いませんが、何かまたも補完供給かよという所で。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150114.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 72 72 -0.400 -0.400
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注5) 4 4 -0.400 -0.400

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、20年利付国債100回(30億円)、20年利付国債144回(10億円)、30年利付国債16回(2億円)、30年利付国債45回(30億円)です。
(注5) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却銘柄は、10年利付国債313回です。

まあ何ですな、落札額が上記のような話ですが、そもそもSCで玉が手当厳しいという状態になっている時にSCレポできますかって話になると、大玉なら別にSCレポすれば良いのでしょうが、ロットの少ない端物とかになると投資家の方に借りに逝くにしたって貸す投資家だって事務コストが掛かる(伝票切ったり日銀ネット回したり照合したり)話ですし、大体からして金イラネ状態になっている訳ですから、そらまあ端物のT+0なんて中々手当できませんなという事で補完供給の出番という事になりますが、実際には補完供給オペのリクエストをした後に手当が出来たりしている分もあるので後場のようにオファー3銘柄あったのに落札1銘柄みたいな話になるんでしょうな。

あと、この補完供給ですが、
http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo30.htm/
補完供給を目的として行う国債の買戻条件付売却基本要領

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140414b.pdf
国債補完供給の実務運用の変更について

こちらにもありますように、そもそも「日銀保有額の半分/2000億円」のうち少ない方しか補完供給をしないわ、ロールは5営業日しかできないわとかとなっておりまして、補完供給の建付け自体が「補完供給を自由に使って国債売買の時にスクイーズとかを気にしないで下さいね」的な物に全くなっていないという代物(本格的にスクイーズ掛ったら5営業日しかロール出来ないのは業者的に見たら1週間しかレポが続かんので実質的に無いのと変わらんわ)になっておりまして、一方で国債は盛大に買入を行ってカレント銘柄をドンドン吸い上げるわ、そんな中で国債決済T+1化を推進とか何処からどう見てもSCレポ市場に盛大なストレスが掛かる(特に今の状況では)話は相変わらず進めようとしているわと、何ちゅうかおまいらその各セクションで自分の庭だけ綺麗にしてるんじゃNEEEEEEEEE!!!!と思うのですけど・・・・・・・・・

#うむ気が付いたら全然関係ない悪態になっていて正直スマンカッタ


○1回分の結果なので短国買入残高の分析(?)でも

どうせ長期国債買入銘柄の分析は本職どころかバイセル両サイドで現場の皆様もせっせと分析していると思いますので、ここでアタクシはニッチ狙い(??)で短国買入残高の分析(のようなもの)でも。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

ということで今回は12月30日から1月9日までの間に受け渡しベースで(つーか約定ベースでもそうですが)短国買入は7日オファーの2.5兆円分しか無かったので、7日の買入で何が入ったのかを見るのにちょうどよいので物は試しに見てみましょう。

・どの銘柄が入ったのか

これはもう12/30との差分を単純に取れば良いのですが、そうしますと500回(3/23償還の3M)が1772億円、501回(12/21償還の1Y)が18652億円、502回(3/30償還の3M)が266億円、503回(4/6償還の3M)が4311億円となっておりまして、合計が25001億円なので7日の短国買入結果と同じ(当たり前)ですな。

ということで、12月に入札が実施されて、まあ普通にマイナス金利で落札してその後も延々とマイナス状態になっていて国内の普通の投資家が排除されまくっている1年短国が大きく入っているのと、入札で所謂不明玉が4.5兆円以上あってショートカバーヒャッハー状態となっていた直前に入札があった503回がその次に入っていて、他の銘柄は誤差の範囲内という結果になっておりまして、確か年初に打ち込みがあった筈(じゃなかったらあの金利にならん)なのだがそっちと思しき銘柄の日銀買入は誤差の範囲内とはこれ如何にという所ですな、うんうん。


・これで日銀保有銘柄の償還バランスどうなるのか

1/9残高を償還順に並べますと、2月償還が10.0兆円で12/30時点と変化なし(って2月償還物は買入対象外だから当たり前)で、3月償還は5.5兆円で、500回と502回が入った分だけ償還が増えましたので、短国買入残高維持の観点からすると3月の要買入額がその分増えている(前倒しで買っているので別に3月に5.5兆円買わないといけない訳ではないが)という事になりますが、まあ大して増えていないなという所で。

上記のように1/7は1年物短国が盛大に打ち込まれておりますので、その分だけ償還ロールの負担は軽くなりますから1年物打ち込み上等という感じですが、今回は2.5兆円のうち1.87兆円が日銀の保有って何ちゅうかもうねという所ですな。


・人の懐具合とか計算するなよ!!絶対するなよ!!!

今回は対象になる買入が1回しかないので計算がしやすいのでつい手が滑って計算をしてしまった。反省はしていない。

7日のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150107.htm
国庫短期証券買入 66,130 25,001 0.014 0.021 26.5

つまり7日付の売買参考統計値(は6日の引け後に出る)の平均値単利からの利回り較差で+2.1bpの所が平均落札、+1.4bpの所が足切り(利回り較差で一番小さい数値=一番お高い価格という意味ですな)という事ですかそうですか。

売買参考統計値
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
売買参考統計値/格付マトリクス ダウンロード

ここで過去の数値も出せますので1月7日付の短国501回債の平均値単利を見るとマイナス7.7bpという数字が拾えますので、501回債に関しては平均落札利回り較差で日銀がお買入をしたと考えますと日銀のお買い上げとなった利回りはマイナス5.6bpという素敵な利回りとなりますな。

・・・・・・でまあこのマイナス5.6bpの1/9渡での売買価格は普通に計算すると100円5銭3厘1毛とかだいたいそんな数字になる筈で、入札時の平均落札価格はこれまた財務省のページから拾ってこれますぞなということで、おまいら人の懐具合とか計算するなよ!絶対するなよ!!という所で以下は興味のある方が勝手に計算してちょという事にしておく(棒読み)。

なお、短国の場合割引債だから当たり前なのですが、保有期間中のクーポン収入に相当するものがございませんので(利付なら利払いとか経過利息の受け払いで調整されますな)、価格差=収入なのではなくて、その間のファンディングコストを計算しないといけませんが、それはまあ債券現先またはGC利回りで計算するのが妥当ですが、面倒な場合は高めに見積もって0.1%として、今回の501回の場合12/21の発行日から短国買入の受渡日1/9までのファンディングが必要になっていると考えますが、18日間10bpでして、10bpって年間で10銭に相当しますから10銭を365で割って18を掛ければ0.5銭とかそんな感じですかね。

まあ今回はちょうど1回分の短国買入が反映されていましたし、ちょうど1年物がドカンと打ち込まれていたのでつい興味本位で下世話な計算をしてしまったが、公表資料を拾うだけでも色々と味わいが深いという雑談でもあるのでした。


○このタイミングのアレさが日銀伝統の間の悪さクオリティで様式美すら感じますな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/rel150114a.htm/
「債券市場サーベイ」の開始について

いやあ5年の金利が間もなく溶鉱炉に沈もう(なお5年の入札が来週なので溶鉱炉に沈むのは何ぼ何でも入札の後だと信じたい)としているわ、生命保険会社さんでは貯蓄性保険商品の販売を金利環境の為に停止しようとしているわというこのご時世に「債券市場サーベイ」の実施とはこれは投資家に喧嘩を盛大に売っているのかという素敵にも程があるタイミングでの発表に落涙を禁じ得ない。

『日本銀行金融市場局は、昨年11月5日、「市場参加者との対話の強化に向けた取り組みについて」の中で、「債券市場サーベイ」の導入について公表しておりましたが、今般、「債券市場サーベイ」の準備が整ったことから、2015年2月調査から開始することとしました。』

ニヤニヤ。

『なお、2015年2月調査の結果は、3月9日に公表する予定です。』

ということですが、こちらの「取り組みについて」にありますように・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141105b.pdf

(参考)「債券市場サーベイ」の概要
【調査対象先】国債売買オペ先のうち、サーベイにご協力頂ける先
【調査項目】債券市場の機能度や金利見通しなど
【調査頻度】四半期毎(2月、5月、8月、11月に調査実施)
【公表時期】原則として調査月翌月の金融政策決定会合初日の5営業日前
【公表方法】日本銀行ホームページに掲載

とありますので、つまりはオペ先対象のアンケートでございまして、日銀の国債および短国の買入オペが投資家を排除してでも買う(まあポートフォリオリバランス促進したいのだから投資家を排除するのは当然と言われてしまうと「私の金融緩和」を理解しておりませんで誠に申し訳ございませんとなるのが残念ですが)という中ですし、大体からしてこの手のサーベイでケチョンケチョンなお返事をするのは(内務省検閲により削除されました)。

でまあこちらにありますように、元々2月に調査して3月に公表するというのは予め決まっている予定表通りに実施しているので、債券投資家に喧嘩売っとんのかゴルァなどと言われましても言われた方が困ってしまうでしょうなあとゆー所ですな。


つーことでまーこれ自体は取り組みの方のペーパーにありますように「2014年11月5日」に公表されたもので、これは追加緩和を実施した直後に打ち込んだもので、この時には確か短国買入について市場の動向を勘案してMB積み上げに対する短国買入の比重を落とすことによって短国市場に掛かるストレスを軽減するとかいう触れ込みだったりして、追加緩和をする中でも市場機能に対しても配慮しましょう的な雰囲気だけは醸し出していたのですが、いざこのペーパーに書かれた施策を実施しましょうというタイミングになった所では既に短期にしても長期にしても市場がぶっ壊れ状態になっているわ、短国買入は結局国内の普通の運用目的の投資家を排除して日銀が買入を積み上げる気満々というスタンスを明確に示してくれるわという状況になっており、「サーベイの実施について」というのが出た瞬間に「ナメトンノカゴルァ!」と血圧が急上昇なされた投資家の皆様が多数発生されたのではないかと思いますと、この日銀の芸術的なまでの間の悪さというのに、もはや様式美を感じてしまうのでありましたとさ、という所ですな。




2015/01/14

お題「市場メモ/物価見通しとかの関連雑談/日銀が国債購入すると債務が消滅するという珍理論再び」

そういや最近何とかストのレポートを見ていると「金利低下して銀行が困るという話だが国債売って日銀当座預金の超過準備にすれば良いじゃないか」とか「超長期と日銀当座預金のバーベルポジション推奨」とかその手の話が幾つも散見されるのですが、そもそも日銀当座預金(超過準備)と国債が完全に代替可能な財だったらもっと金利裁定が働くからこんな国債金利の状況にならないのでとりあえずおまいらは顔を洗って出直して来いと小一時間。

○例によって市場メモ

・5年ゼロ金利ですかそうですか(ただし昨日は瞬間風速ちっく)

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0US01V20150113
〔金利マーケットアイ〕国債先物は一時最高値更新、5年債利回りは初の0%に低下
2015年 01月 13日 09:18 JST

『[東京 13日 ロイター] -〔金利マーケットアイ〕

<09:10> 国債先物は一時最高値更新、5年債利回りは初の0%に低下

国債先物中心限月3月限は前営業日比12銭高の148円32銭と続伸して寄り付いた。その後、148円38銭まで水準を切り上げ、1月9日の夜間取引で付けた最高値(148円30銭)を更新した。国内連休中の海外市場で、米債が買われた流れを引き継いだ。現物市場はしっかり10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp低い0.265%と1月7日の過去最低に並んだ。また、5年利付国債利回りは同1bp低い0.000%と1月9日の過去最低(0.010%)を更新した。14日にも発表される2015年度国債発行計画で、中期債の発行額が予想対比で減るとの見方から、 一段の需給引き締まりが意識された。』(上記URLより)

ということで朝の早めの時間に5年カレントゼロ%が出合うというお洒落な事案が発生しておりましたが、どうも板の薄い中でお祭りヒャッハーという感じで付けたっぽくて(昨日の主戦場は超長期方面)その後はゼロ%水準はオファーになって引けは0.005%、と書くと何か実感が出ないので0.5bpと書きますが、一応プラスだけどもうすぐ溶鉱炉状態という所で、2年もマイナス3.5bpとかやっていましたし、まあ利付の方はどうなってますねんという状況となっていまして、2年は兎も角5年までゼロだのマイナスだのにされると調達の基本的な年限が中期以下の業態ってどうやって運用しますねん(まあゼロになる前からその悩みは深いのですけれどもマイナスだとそもそもそれを買って良いのかという話になるので問題は更に深刻化)というお話ですが、何せ売る人居ない中で日銀の無慈悲買入は続くので如何ともし難いですなあ。

なお、昨日はブルームバーグニュースがゼロ%出合いの後「マイナス0.01%出合いで過去最低更新」というフラッシュの予定稿と思われるものを慌てたのかゼロ出合いの数分後に間違えて投下して目の前に業者間スクリーンが無い人たちの寿命を3時間ほど縮めてしまったのではないかという事案があったのがご愛嬌でしたな(^^)。


・短国買入3兆円かよ・・・・・・・・・・・・・

昨日のオペオファー(のうち短国買入だけ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150113.htm
国庫短期証券買入 30,000 2015年1月15日

・・・・・・・という事で昨日は短国買入デーでしたが、オファーが3兆円で投下されまして、まあ先週の短国買入が2.5兆円のオファーに対して6.6兆円の応札がありましたし、その後3Mと6Mの入札がありましたが、金曜の6M入札後引けに向けて短国の金利がどどーんと低下しておりました(というのは昨日ネタにしました)ので増額オファーとはどういうことですねん(超棒読み)と思いつつ(ウルトラ棒読み)結果を待機したところ・・・・・・・・

オペ結果(のうち短国買入だけ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150113.htm
国庫短期証券買入 86,453 30,000 0.020 0.022 17.0

8.6兆円の応札って中々見ない盛大な応札額でして、先週の短国買入が66130/25001だったので41129億円の空振り札があって、それに45324億円をオンすると86453億円になるということで、つまり木曜の3Mと金曜の6Mで日銀買入に打ち込み可能玉が4.5兆円増えましたという実にこうアレな結果となっておりまして、金曜の金利低下とは何だったのか(棒読み)という所ではありますが、まあさすがに3兆円吸い上げが入ったから現先とかレポのレートもちったあ下がるの巻ですから需給は好転したでしょという所で増額効果恐るべしですな。

・・・・・・・つーかですな、まあ需要調査するまでも無くGCや現先レートから勘案して昨日は短国買入の応札可能玉があった(というか多かった)というのは見えていたでしょうが、今月の短国償還は8兆円程度なので、償還見合いで買うのであれば別に3兆に増額する必然性は無くて、単にこれ「買える玉があるなら玉があるうちに買う」という日銀の姿勢を露骨に示したものでありますがなという所で、何だかなあという感じですわ。

つまりですね、需給が緩んでも「金利が上がって国内の普通の投資家に買わせる前に日銀が買ってしまえ」という日銀の基本スタンスが今回確認できた、という解釈が思いっきり出来るのが今回の短国買入増額でありまして、そうなりますと日銀がホイホイと買ってくれるというのが見えますから頑張っていればそのうち日銀のお助け買入増額が来るでしょうから頑張る人が頑張った結果マイナス金利が普通に恒常化するという状況は結局1月になっても変わらないのかよという残念な話になりますぞなという所で(日銀買入対象外の短いゾーンは別かも知らんがそもそもそこは売りが出ないと需給が変わらないので恒常的にどうというのは中々考えにくい)。


もうここまでくると日銀は短国買入を維持するために国内の普通の投資家に買わせないようにマイナス金利を維持するようなオペレーションをしているいうような穿った見方しか出来なくなる次第(それはアタクシの心が濁っているからですかそうですか)でございまして、日銀の買入で普通の投資家を排除するとか何のための政策だよと言いたくなりますけれども(しかもその効果がさっぱりよく判らん)、ポートフォリオリバランスの促進のためには投資家を市場から追い出して寒風吹きすさぶ中に放り出すのがマンデートという事ですねわかりますという所でございます。

まあそこまでやるなら「日本銀行としてはQQEの推進によって資産価格に効果を出そうとしている中で、投資家が国債なんぞを買うのはケシカランので腹を切って死ぬべきである」という風に正面切ってアナウンスして頂いた方が潔いのですけどねえ(棒読み)という所ですが、それって国債流通市場の活性化とか国債投資家層の拡大とかを推進している霞が関の方から来ましたな人たち的にどうなんでしょうかね。



・補完供給16銘柄クソワロタ

こんなんありました
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150113.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注3) 30,674 2015年1月13日 2015年1月14日

なんじゃこのオファー額と思ったら16銘柄もあったのね。

(注3) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却対象銘柄は、5年利付国債120回、5年利付国債121回、10年利付国債310回、10年利付国債313回、10年利付国債315回、10年利付国債316回、10年利付国債317回、10年利付国債318回、10年利付国債320回、10年利付国債323回、10年利付国債329回、10年利付国債334回、20年利付国債105回、20年利付国債149回、20年利付国債151回、30年利付国債44回です。

まあどこかの誰かがチョンボしてフェイルになったんだろうなあと思いましたが結果は・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150113.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 324 324 -0.400 -0.400

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却銘柄は、5年利付国債120回(6億円)、5年利付国債121回(42億円)、10年利付国債310回(5億円)、10年利付国債320回(74億円)、10年利付国債323回(50億円)、10年利付国債329回(101億円)、20年利付国債105回(24億円)、20年利付国債149回(12億円)、20年利付国債151回(10億円)です。

まあ実際の所は良く判らんですけど、このロットだとチョンボしたのか何かという所だと思われますので特段のインプリケーションは無いのでしょうなあとは思いましたが、しかし流動性が枯渇する(超長期が連日馬鹿動きをして頭が痛いのですが)という話のある中でこういうのが出ると大いに人騒がせではありますな、うんうん。


○決定会合プレビュー雑談のようなもの

展望レポート中間レビューを前に思惑記事キタコレですが、あまりこの手のしょうもない飛ばしチックな記事のアクセスを稼がせるのも業腹ではある。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM1FP20150113
日銀が15年度物価見通し下方修正へ、1%前半から半ばに=関係筋
2015年 01月 13日 22:53 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI43KG6S972N01.html
15年度中の物価2%実現は不透明感増す、政策は維持−関係者
更新日時: 2015/01/13 21:05 JST

この関係筋とか関係者って何なんでしょうねと毎度思いますが、中間レビューでもう見通し下げて2015年度の達成は無理という話になりますと、物価目標達成時期がまたまた先送りになる訳で、「2年で2%」は完全に無かった話になってしまいますし、大体からして2%達成の為には何でもするという主張の中で物価目標達成時期の見通しが遅れるとなると10月の追加緩和と同じ理屈を出せは追加緩和待ったなしという話になるのですが大丈夫ですかねえと。

つまり、「2年で2%達成の為に頑張る」という姿勢を示しているのに目標達成見込み時期が遅れるのに何もしないとなりますと、そもそも日銀はやる気あるんですかという話になる訳ですし、そういう風に言われたくないから昨年10月に追加緩和したんじゃなかったでしたっけという所で、今回の展望レポート中間見直しで来年度中の物価目標達成見通し困難となりますと前任者をケチョンケチョンに貶して「2年で達成も2%目標もグローバルスタンダード」(キリッ)で「金融政策で達成できる」(キリッ)と大口叩いた落とし前というのを付けて頂かないと困りますなあと。

まあ何ですな、今回の中間レビューに関しては「基本的なメカニズムは維持されている」という理屈で突っ張るしかない(10月に追加緩和投下して早速1月に追加緩和だったら逐次投入にも程がある)とは思いますが、物価見通しをあっさり下げてくるとなりますとどういう屁理屈を繰り出して来るのかが中々興味深いので楽しみにお待ち申し上げたいと存じます。

なお、物価見通しに関しては「年度平均値」を出すという建付けになっておりますので、一番簡単な屁理屈は「手前の物価が原油価格などの影響で下がった為に年度平均の見通しが下がりましたが、原油価格下落は家計などの実質購買力の引上げになるので、年度後半の物価上昇圧力が従来より高まりますからヘーキヘーキ」ということで「年度見通しの数値は下がるが物価目標達成時期については変化ありません」という代物になりますので、恐らくその線で屁理屈が展開されるものと見ておりますので念の為申し添えます。

なお、そういう屁理屈を出して今回は追加緩和回避だと思いますし、ここで追加緩和投入となると逐次投入にも程があるし、そもそも5年金利が間もなく溶鉱炉に沈もうとしている中で追加緩和って何やりますねん(国債5兆でETF5兆ですかねえ^^)というのもありますので、常識的に考えたら追加緩和カードは最後まで引っ張ると思います。

ただまあそもそも論として現状の債券市場金利の状態を鑑みると今の国債買入は今年度どころか今年中にサステイナブルに運営できるのかも怪しい訳で、いずれにせよ年内には今の国債買入の枠組み自体が回らなくなると考えればヤケクソで早めに追加緩和を投下してサプライズ起こして円安株高に振れば一発逆転もアリエールとか言ってヤケクソ特攻緩和拡大の絶賛投下スキームも無い訳ではないのが恐ろしい所ではありますな、ナムナム。


○でまあ物価見通しと言えば物価目標ネタ関連でこんなのも

・あまりん発言はどっちの意味だ???

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM07W20150113
来年度物価上昇2%達成なかなか困難、日銀判断みたい=経済再生相
2015年 01月 13日 12:37 JST

ヘッドラインだけ見ると「2%が困難だから追加緩和しろ」と言ってるのか「2%困難だから2年で達成を取り下げて現実的に達成可能な時点にしましょう」と言っているのかがワカランチ会長。

ということで記事を見る訳だが。

『[東京 13日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は13日午前の会見で、来年度(15年度)の政府の物価上昇率見通しが1.4%になっていることに触れ、来年度に2%に達するのはなかなか難しいという見通しになっていると述べた。そのうえで、15年度を中心とする期間に2%を達成するとの日銀の物価安定目標に関して「日銀は日銀としての見方がある。日銀の判断を見たい」との考えを示した。』(上記URLより、以下同様)

これは「追加緩和しろやゴルァ」と言っているのかと思ってしまうのですがこの次を見ると甚だ真意が不明だったりする。

『甘利経済再生相は、原油価格下落は日本経済にとってはプラスとの考えを改めて示したうえで、日銀の物価安定目標達成にはマイナス要因だと指摘。「(物価上昇率を)コアコアで見れば状況は変わるかもしれないが、日銀の物価安定目標は総合だ。原油価格の下落を織り込んだCPIになる」と述べた。』

原油価格下落は日本経済にプラスだが云々もそうですし、「コアコアだと状況が変わるかもしれない」というのも微妙で、これはつまり2年で2%達成しなくても良いじゃないか景気にプラスだものとゆー話をして日銀にもう頑張らなくて良いよという話をしているようにも読める訳で、いやまあ何だかよく判りませんな。

ちなみにあまりんちゃんと理解してるなと思いましたが、日銀の物価安定目標は総合でして、というか普通どこの中央銀行も物価安定目標は総合指数を使っていまして、ただし総合は季節要因などで振れる要素が入っているので、トレンドを見る為にコアなども見ますという話ですので、まあそういう意味でもコアCPI2%にやたらリジットにこだわる今の置物理論の方が元々違和感が大きいのですが、今さらそんな事を言うと置物を処分しないといけなくなって、そうなると影響する所が大きいので置物理論は引っ込められませんなという所ですね。



・景気ウォッチャー調査の総合判断部分の内閣府のコメントが凄まじい梯子外しな件について

昨日は内閣府様から毎度お馴染み景気ウォッチャーが投下。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0113watcher/menu.html
平成26年12月調査(平成27年1月13日公表):景気ウォッチャー調査

でまあ中身を色々と見ると実は相当面白いのだが本日は手抜きで「平成26年12月調査結果(抜粋)」を引用するがここの表現が実に味わい深い。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0113watcher/bassui.html
平成26年12月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査

『今月の動き(12月)』って奴だな。

『12月の現状判断DIは、前月比3.7ポイント上昇の45.2となった。家計動向関連DIは、小売関連などが上昇したこと等から上昇した。企業動向関連DIは、製造業及び非製造業が上昇したことから上昇した。雇用関連DIは、求人の増加がみられたこと等から上昇した。』

ほうほう。

『12月の先行き判断DIは、前月比2.7ポイント上昇の46.7となった。』

まだ50割れですが前月対比改善改善(^^)。

『先行き判断DIについては、物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの、経済対策や燃料価格低下への期待等から、家計動向部門、企業動向部門及び雇用部門で上昇した。』

なるほど上昇しましたか・・・・・・・ってえーっと???

『今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの、経済対策や燃料価格低下への期待等がみられる」とまとめられる。』

>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの
>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの
>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの

>燃料価格低下への期待等がみられる
>燃料価格低下への期待等がみられる
>燃料価格低下への期待等がみられる

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

・・・・・・・・・いやあーたそこまで日銀の梯子を外さんでも良いでしょうにとは思いますし、大体からして2%物価目標達成に向けて政府と日銀が共同文書作った筈なのに、その2%物価目標どころか足元で1%割れ(除く消費税分)水準になんなんとしている状況だというのに、内閣府様がいきなり「物価上昇への懸念等が見られる」だの「燃料価格低下への期待党が見られる」だの言い出したら2%物価目標達成に向けた日銀の取り組みはそもそも経済に対してマイナスであると鉦や太鼓で宣伝しているようなもんで、何もそんな露骨に言わなくても良いのにとは思うのです。

まあ超超超超超超うがった見方をしますと、さきほどのあまりんの会見も含めまして「無理に2%の物価を短期間で目指す必要が本当にあるのかという問題意識に政府の方は目覚めつつあるのですが日銀さんどうでございましょうかねえ」というメッセージが込められているのかも知れませんなという事になりますが、たぶんそんな事を考えているのではなく、単にアンケート内容を分析するとどこからどう見てもそういう結論になるからそこはフラットに記載しただけなのかなあとは思いますけど、なんちゅうかこう意味深な総括判断ですなあという所です。

4月展望レポートの時点では明らかにどうしようもなくなるので、その時点に向けて政府からタオルが投げ込まれる準備だったりすると中々素敵なのですけどさてどうなるのやら(ただタオル飛んできても置物理論を継続して「MB275兆で足りないならMB550兆円にすれば良いじゃないか」と言い出しそうな所がオソロシスなのだが)。


○ロイターインタビューで電波浴

なおロイターが電波な訳では無くてインタビューでコメントしているのが電波なのですけどね。

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM0FA20150113
インタビュー:日銀は景気重視を、国債買入増も選択肢=早大教授
2015年 01月 13日 15:31 JST

・・・・・・マジでこれは頭沸いてるのかレベルにしか思えないのだが

『[東京 13日 ロイター] - 大胆な金融政策を主張するリフレ派の論客で知られる早稲田大学・政治経済学術院の原田泰教授はロイターの取材に応じ、金融政策は景気をよくするのが主眼で、物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では、景気をみて政策判断すればよいと指摘した。』(上記URLより、以下同様)

リフレ派ですかそうですかという所ですが、リフレな諸氏におかれましては2%物価目標を達成すれば景気が良くなって万々歳という説明をしていて、それをしようとしない日銀(当時)は屑の無能みたいな宣伝していました筈ですが、何時の間に「物価目標はあくまでも手段」となったのかさっぱり分かりかねますが、「物価動向が見えにくい局面では景気を見て政策判断」ってその「物価動向が見えにくい局面」というのはどうやって判断するのでしょうかねえそこに裁量を入れると良くないってのが「インフレ目標政策」だったんじゃないですかねえ。

なおご参考にこんなのがあるので「インフレ目標で全て上手く行くとなんてことは言ってませんが」とは言わせませんよ(^^)。
http://seesaawiki.jp/w/reflation/

まあその後も何だかなあというのが続きますが、白眉はこの辺りですかね。

『一方、国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」とした。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)

えーっとあのすいません、国債を日銀が買ったら国の債務が消滅するとはこれまた斬新な話ですが、最近のリフレ派諸氏はそういう与太話をするのが仕様になっているのでしょうか会計とか分かっていますかとしか思えませんし、そんな認識で政策提言するとか変な葉っぱをキメてラリっている人にダンプカー運転させるようなもんですがなと小一時間。

この前も人が突っ込んでいるURLをご紹介した気がしますが、日銀が国債を購入すると、確かに統合政府の中で国債は減りますけれども、減った国債の分だけ日銀当座預金(=日銀の負債)が増えますので、それって単に国が国債発行して長期調達した資金を統合政府の中で短期調達に変換しているだけなんですけどね。

で、日銀当座預金の超過準備相当額への付利金利は10bpだし、いざとなったら付利しなければ調達金利がゼロになるじゃないかというツッコミがどうせ来るのでついでに説明しておきますと、そらまあゼロ金利政策を続ける内はそういう事になりますが、当然ながら国債買入を行って緩和政策を実施することによって、いずれかの時点で経済が上向いて物価安定目標が達成されるということになる(ならないのならそもそもそんな政策を実行する意味がないですよね)のですが、物価安定目標が達成された時には当然その物価目標に対する中立金利水準まで金利が上がっていくようにしないと今度は物価が上にオーバーシュートして望ましくないインフレになってしまうので、政策金利を上げる必要が生じる訳ですな。

で、ここで問題になるのが超過準備の存在でして、金融機関の予備的資金需要を大きく超える水準の超過準備の存在を放置しておきますと、短期市場金利が常に超過準備に付利をしていなければゼロ金利、付利していれば超過準備付利金利水準(あまりにも超過準備が多いと今のように超過準備付利金利を市場金利が平気で下回る事も起きますので)あるいはそれよりも下に突きぬけてしまい、上げないといけない政策金利を上げそこなって望ましくないインフレが発生する恐れが高まります。

となりますと、当たり前ですが国債買入を実施した見合いの日銀当座預金が、所要準備の範囲内に入っているなら兎も角、盛大に突き抜けている状態の中で物価安定目標が達成できるような状態になれば、超過準備部分に対して中立金利水準に向けて付利を行う必要がありますし、そうでないならば保有国債を売却して当座預金残高と保有国債の両建てを解消しないといけません。

てな訳で、日銀が国債購入してもそれは単に政府の長期調達を日銀が短期化しているだけで、短期化した結果として金融緩和政策が所期の効果を発揮して中立金利に向けて金融政策を正常化する必要が発生した場合、その時点で急に短期化した負債の利払い負担が顕在化するという話になる訳ですな。

・・・・・・まあ何ですな、基本的にあたくしの駄文の読者の皆様におかれましては先刻ご承知の助だとは存じますが、そういうことで『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』とか基本的な事も踏まえないお方が『リフレ派の論客で知られる』人というのは何なんですかもしかして置物副総裁も同じ認識だったらどうしようとか不安になる今日この頃ではございますな。


『さらに「金融政策には経済を刺激する効果がある。財政政策の効果は小さいから、金融政策のみ実施して、財政発動をしなければ、金融政策の効果で税収が増大し、結果的に財政再建につながる」と主張した。』

これはまあリフレ派の皆様が現在の状況に立ち至る前には良く主張されていた話ですので、説明がここだけは一貫してますねと思いますが、最近のリフレ派の皆さんって「消費増税ガー」という話で今の問題を説明するのが仕様になっているように見受けられますし、ご説明のような感じですとリフレ金融政策を打ち込めば消費増税如き跳ね返すことが出来そうにしか見えないですし、そもそもこれだけの政策をやっておいて3%の消費増税に耐えられないのであれば、一体全体どの位の金融政策を打たないといけないのでしょうかと小一時間問い詰めたいですな。

『原田教授は「米国の代表的な金融論の教科書には、金利政策が効かない場合には量的緩和が有効と書かれている。教科書を理解していることが必要だ」との見解を示した。』

大体からしてゼロ金利制約になった時に非伝統的政策をするしかなくて、非伝統的政策が1から100まで全く効果が無いという人は普通居ないと思いますが、効果と副作用を天秤に掛けて意味が無いとか、毒にも薬にもならないような時間稼ぎにしかならない手段もあるとか、その手の話はあるでしょうし、そういう点を指摘しているだけなのに何で量的緩和が全部無効と言ってるような宣伝になるのか良くわかりませんですなあという所ですが、『教科書を理解していることが必要だ』と(キリッ)と締めているご本人がそもそも複式簿記の基本を理解していないとしか思えない『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』(キリッ)と妄言をお述べになられるというのが実に味わいが深いので物は試しにツッコミを入れてみましたです。というかこんな先生が早大大学院で教鞭を取っておられるというのが早大の学生さんに不憫で不憫でと思いますがねえ。

#原田泰さんってこんなホームラン級の馬さん鹿さんではないと思っていたのですが・・・・・・・・




2015/01/13

お題「短国が強かったり5年が1bpだったり/ニュース雑談/引き続きイエレン会見ネタですいませんすいません」

これは底打ちのシグナルですねわかります。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI2I136VDKI001.html
ゴールドマンが原油予想下げ、40ドル視野−OPEC減産なく
更新日時: 2015/01/12 23:32 JST



○市場雑談メモ

・6M入札は順当(?)にオーバーパー決着

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150109.htm
(3)募入最低価格 100円00銭3厘 (募入最高利回り)(-0.0061%)
(4)募入最低価格における案分比率 77.6897%
(5)募入平均価格 100円00銭4厘 (募入平均利回り)(-0.0082%)

金曜に申し上げたように6M短国は発行量がそもそも少なめなので、元より四半期末を2回越えるから投資家にもニーズあるけど、日銀短国買入にも入れやすくなりますからまあ3Mより強いでしょと思ったら順当にオーバーパーの決着に。

とは申しましても良く良く考えたら3Mと逆イールドな訳でございまして、強くなる理由は需給で簡単に説明が出来るのですが、ではその需給って何なんですかと言いますと日銀の短国買入で盛大に作られているものだったりしますので、まあ要するに中長期もそうですけどイールドカーブが日銀買入で盛大に歪んでいるといういつもの話ではありますが・・・・・

しかしまあ何ですな、
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UO2GC20150109
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.075─0.078%中心、TB軒並みマイナス幅を拡大
2015年 01月 9日 15:26 JST

『[東京 9日 ロイター] -〔金利マーケットアイ〕

<15:22> 翌日物0.075─0.078%中心、TB軒並みマイナス幅を拡大

無担保コール翌日物は3連休を前にした調達意欲がしっかりと示された。地銀・信託を主な取り手に、0.075─0.078%を中心に取引された。大手行は0.07%、もしくは0.07%をわずかに上回る水準で調達した。調達一巡後は0.070─0.073%付近にやや水準が切り下がった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レート(平均)は0.100%で高止まり。新発6カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果は事前予想よりも強くなった。海外勢などの需要が引き続き強いとの観測が出ていた。入札結果を受け、3カ月物、6カ月物のTB利回りは軒並みマイナス幅を拡大した。ユーロ円3カ月金利先物は閑散。』(上記URLより)

ということで引けに掛けて短国の気配がやたらと強くなって、新発の6Mがマイナス4.5bpで出合うとか言うのはまだしも、前日の入札後に100円のオファーとかになっていた筈の3Mカレントがマイナス6bp出合いとかになっていてナンジャソラという所ですけれども、一方でGCとか現先とかの利回りが急低下したという話でも無い(のは上記記事にある通り)訳でして不思議な展開ではございますなあ(棒)という所です。なおブルームバーグでも解説あるのですが端末叩かないと判らんのよね(ちなみに9日のは15時31分配信)。


・なお債券市場は一転してツイストスティープだが5年1bpだと・・・・・

金曜の債券市場ちゃんは年初からやたら強くて相場が上がっても下がってもフラットしていた超長期が一転してヘロヘロになるという訳のわからん展開(まあ水曜に30年入札がありますけれどもね)になりましたが、一方で先物がやたら強くて、ついでに中期も強くて5年カレントは1bpの出合いとかやらかしておりまして、いやー遂に5年の0%が見えてきましたようはははははという所ですな。

だからどうしたと言われましても困りますが、何ちゅうか入札日程とオペ日程を睨みながらというのと、ちょっとした投資家の売買で思いっきりイールドカーブが派手派手に動くようになっておりまして、まあそれ自体は今に始まった事ではないのですが、昨年の12月辺りからその動きが凶悪化してきて、年初になって更にその凶悪さが拡大している感がありますな、ナムナムナム。


○ニュース雑談というか何というか

・また知事選負けですかそうですか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150112-00000029-mai-pol
<佐賀県知事選>山口氏が初当選 樋渡流政治手法は届かず
毎日新聞 1月12日(月)15時43分配信

滋賀沖縄に続いて3連敗とはという所ですが、農協改革云々よりも単に候補者のタマが悪すぎるだけの話だったように思えるのですが、逆にこのタマを公認しようという動きになる自民党の感覚(あまり詳しくないが中央が押し切ったみたいですね)が大丈夫かという気がするのですけれども。

色々と解説がありますがやまもといちろうさんのこの辺でもご参照あれ。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2015/01/post-e6ff.html


・低金利の弊害キタコレ!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150113/t10014623181000.html
低金利で貯蓄性保険の販売停止など相次ぐ
1月13日 4時43分

『日銀の大規模な金融緩和を背景に歴史的な低金利が続いていることで、生命保険会社の間では、運用利回りの確保が難しくなったとして、貯蓄性のある一時払いタイプの保険の販売停止などに踏み切る動きが相次いでいます』(上記URLより)

ということで一般ニュースネタになっておりまして実にこうキタコレなのでございますけれども、日銀置物理論によりますと、このような事が起きるのは別に低金利の弊害でも何でも無くて、当該商品に回る一般個人の運用資金がより高い利回りを求めて別の運用商品に向かう事によってポートフォリオリバランス効果が出て、資産価格が上昇することによって経済に対して好影響を与える(キリッ)という建付けになっております。

てな訳ですので、日銀置物理論によりますとこのような状況が起きるのは金融政策の副作用でも何でも無い訳で、低金利長期化によって商品が提供できなくなるなどという泣き言は、それこそ非効率不採算部門からの転業をしないお前らが悪いという話になりますので、まあこのような悪態を百万回申し上げても馬耳東風ということですな、うんうん。

まあそれはそれで理屈は通っているのですが、しかしながら金利を叩き潰すことによって個人などにもリスク性資産の購入を促すというのは、一方で金融システムレポートを出して金融機関の資産の健全性に関してどうのこうのとか言ってる日銀プルーデンス(つーか金融庁も含めてのプルーデンス)的にどうなのかという風に思う訳で、その辺の整合性をどう考えているのかという話をついぞ聞いた事が無いのが何ともという所ですな。


・審議委員人事に関連してなのですがまあニュース雑談である

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHUBYU6K50XX01.html
浜田氏:業界の利益代表は日銀審議委員にふさわしくない
更新日時: 2015/01/09 06:00 JST

『浜田氏は日銀審議委員の人事についてのブルームバーグ・ニュースの問い合わせに対し、電子メールで「日銀の審議委員は経済学、金融論の高度な知見を必要とする職」と指摘した上で、「業界の利益代表のような審議委員の選び方は好ましくないと思う」と述べた。』(上記URLより、以下同様)

「業界代表のような形で固定して出るのは如何なものか」というなら兎も角、「利益代表」という表現をするのは第1に日銀政策委員会の建付けと関係ないですし、第2に今の政策委員や過去の政策委員に対して随分と失礼な話でして、少なくともそのような「業界利益代表」というような言動をした政策委員というのは過去にも別に居ませんがなと思いますので、まあ相変わらず浜田先生一言余計な言い方をして無駄に攻撃的なんですよねえと思う訳で。

『農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「長引く停滞を終わらせる上で金融政策はかつてないほど重要になっている。黒田総裁が大規模緩和を進めやすいよう新しい審議委員は総裁と同じ考えを共有する人物になる可能性が高い」との見方を示した。』

これべき論で「総裁と同じ考えを共有する人物」とか言い出したら顎が外れるのですが、まあそこは寸止めしているなあとは思いますけど、「金融政策がかつてないほど重要」というのであれば、まさに色々な意見を政策委員会の中で戦わせて金融政策運営を検討すべきじゃないですかねえと思う訳で総裁の意見に唯々諾々と従うロボットを政策委員会に入れる事は、そもそも今行っている政策の建付けがアプリオリに正しいのかというのは後になってみないと判らないという事を考えますと、将来に大きな禍根を残すリスクがあると思うんですけどねえ浜田先生・・・・・と思ったら浜田先生の指摘じゃないのかこの部分www

『南氏は「離任する審議委員と同じ分野、業界出身だからという理由で後任を選ぶのは間違っている。日銀はこれまでの古い伝統を続ける必要はない。能力ベースで選ぶことが重要だ」と述べた。』

しかしまあ何ですな、では人物本位だか何だか知らんけど能力ベースとやらで選任されているという事になるんでしょうと思われる今の学識経験者の政策委員が何をやっているかと言えば、執行部の意向に唯々諾々と従うもうすぐ任期切れの人とか、アタシがアタシがのスタンドプレーだけに熱心で、しかも執行部が変わると急に次の執行部に媚を売る提案をするのは熱心だが講演などでの話は全く持って意味不明な上に不勉強にも程がある人とか、前執行部を無能人非人呼ばわりして置物理論を引っ提げて登場したにも関わらずその理論が全然その通りに逝ってない置物副総裁とか、そんなのしか居ない訳でして、学者の方がよっぽど使い物にならんわとしか申し上げようが無いですな。

その一方で10月の結果的にどう見ても悪手だろとしか思えない追加金融緩和に対して反対したのが実業界および実務家の政策委員の皆様であり、実業界での見識とか金融実務からの知見とかの方がよっぽど大事だろと思いますし、大体からしてこのコメント言ってる人の「これまでの古い伝統」っておまえ新法の日銀政策委員会になってからまだ20年も経っていないのに古い伝統も糞もあるかよと小一時間問い詰めたい所ではありますな。

ということで、ちょうど現在読み中(時間を掛けてじっくり読めば良いのだが細切れ読書なのと同じところを何度も読むのでまだ明治時代が終わった所なのだが、汗)の講談社学術文庫でこの前の12月に復刊された吉野俊彦さんの「歴代日本銀行総裁論」(ISBN978-4-06-292272-2 C0133 \1430E)の岩崎彌之助論に良い記述がありますので折角だから引用しましょう。

同書第4章「岩崎彌之助論」72〜73ページより引用しますね。

『明治時代の有名な経済学者田口卯吉博士は、担保品制度が見返品制度に改められた直後に、つぎのようなおもしろい論評を加えている。(論評部分割愛)日本郵船会社の株式は担保品の時代には、比較的高い掛目で貸出しの担保にとられたのが、見返品となるにおよんで掛目がいちじるしく低くなったのである。田口卯吉博士が「猿の如く泣けること」といった意味は、ここにあるのではないかと思う。それにしても三菱に関係の深い企業について例外を認めなかった岩崎総裁の態度は立派であった。』(講談社学術文庫 吉野俊彦「歴代日本銀行総裁論」第四章72〜73ページより引用)

これは川田前総裁の時に便法として行われた株式担保貸付を株式担保の掛目を大幅に下げて見返品貸付制度に変更する、という実業界的には自分たちの日銀貸出上の株式担保掛目の大幅引き下げですから明らかに不利な施策なのですが、金融(というか担保政策というか)の健全化を図る為に岩崎総裁が断行した件に関する説明でございますな。

とまあ普通は出身母体だの利益誘導だのという事にはならないと思うのですが、逆に「利益代表」とか「業界代表」とか言い切ってしまわれますと何だかなあというか、逆にこういうコメントをする皆様がそういう発想なんじゃネーノとか邪推したくなりますがなもしという所ですな、うんうん。

ちなみに第4代総裁の岩崎彌之助さんの超簡単なご紹介は日銀のページにもありますよ。
http://www.boj.or.jp/about/outline/history/pre_gov/sousai04.htm/


○イエレン議長会見ネタ(FOMC議事要旨の前のネタですいませんすいません)から少々

細切れだわFOMC議事要旨ネタはまだ始まらないわで誠に面目ない。

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20141217.pdf
Transcript of Chair Yellen’s FOMC Press Conference
December 17, 2014

・利上げペースに関連する説明がありますが

『MICHAEL FLAHERTY. Michael Flaherty, Reuters News. Chair Yellen, a lot of attention has been focused on liftoff. But, I wonder, has the Committee discussed what happens after that liftoff and what, you know, the rate path would be after you make the first move?』

利上げ後はどうなるのという質問がありましてですね。

『CHAIR YELLEN. So, I think you raise a very important point because, although there is a great deal of market focus on the timing of liftoff, what to matter in thinking about the stance of policy is what the entire path of interest rates will look like.』

グッドクエスチョンキタコレ。

『And I really don’t have much for you other than to say that they will be data dependent-that, over time, the stance of policy will be adjusted to try to keep the economy on a track where we see continuing progress toward achieving our goals of maximum employment and price stability. There’s-you know, the federal funds rate has been sitting in the 0 to 1/4 percent range now for six years. This is-and we have a very large balance sheet. We are providing a very highly accommodative monetary policy.』

『And even as we begin to normalize the stance of monetary policy, when that becomes appropriate, it’s important to remember that monetary policy will still be very accommodative for a long time. And as we begin to normalize policy, we will be looking at unfolding economic developments. And as the economy strengthens, and we come closer to achieving our objectives, I think it’s very likely that we will, you know, progress on the path of normalizing policy. But I can’t tell you, specifically, other than saying it will depend on progress, and moves will be data dependent. I can’t say much more than that.』

やたらめったらデータディペンデントという話が出てきますが、利上げを開始しても金融政策は充分に緩和的だし、利上げペースはデータディペンデントですという話をしております。

でですな・・・・・・

『PETER COOK. Madame Chair, Peter Cook of Bloomberg Television. I want to follow up, if I could, on firming going forward, on the normalization once liftoff takes place. I know you said this is going to be data dependent. Does that suggest to markets, to those watching, that the measured pace we’ve seen in a previous tightening cycle, those quarter-point increments, that that’s not something markets should expect? And what’s your own takeaway from how effective that measured pace was back in that previous tightening cycle?(後半割愛)』

ということで利上げ開始後はメジャードペース(FOMCごとに25bpずつの利上げ)じゃないのかねって質問がちょっと後に飛んできますが・・・・・・・・

『CHAIR YELLEN. -measured pace. There certainly has been no, you know, decision on the part of the Committee to move at a measured pace or to use language like that. I think quite a few people, looking back on the use of that language in the-I can’t remember if it was 12 or 16 meetings, where there were 25 basis point moves. We’d probably not like to repeat a sequence in which there was a measured pace and 25 basis point moves at every meeting. So I certainly don’t want to encourage you to think that there will be a repeat of that.』

25bpのメジャードペースというのを繰り返すかというと多分そうではないという話をここでは思いっきりしております。

『Many members of the Committee, participants, have said that they think policy should be based on the actual evolution of economic activity and inflation, which tends to be variable over time, and that’s why I say I anticipate it will be data dependent.』

状況によって変化し得るからデータディペンデントと申しております。との事なのですが、まあよく考えてみますとTaperingの時にも同じように「プリセットコースでは無くてデータ次第で速くしたりおそくしたりする」という話をしながら結局のところは普通にメジャードペースのTaperingを実施していた訳ですので、ここでこういう話をしているから必ずしもそうなるとはあたしゃ思ってませんけどにゃ。

『We have continued to provide guidance, the same guidance that we have for some time, that says the Committee “anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.”』

それとメジャードペースは矛盾しないと思うが。

『I know that’s a mouthful, but it says, in effect, that the Committee believes that the economic conditions that have made recovery difficult, we’re getting beyond them. They are optimistic that those conditions will lift. They see the longer-run normal level of interest rates as around 3-3/4 percent. So there’s no view in the Committee that there is secular stagnation in the sense that we won’t eventually get back to pretty historically normal levels of interest rates. But they have said, it’ll, you know, the economy has required to get where it is a good deal of monetary policy accommodation; we expect to be able to normalize policy. But, until those conditions have lifted that have held back economic activity, monetary policy will need to stay accommodative. So, in that sense, perhaps that’s equivalent to saying that the path of normalization is anticipated to be relatively gradual. But, again, the path of rates will depend on how economic conditions actually evolve, and that’s nothing more than an expectation on the part of the Committee.』

ということで、最初の方では「メジャードペースでは行いません」という話をしているのですが、こちらでは「中立金利である3.75%まで直ぐに上げる訳ではないですし、金融政策はその間緩和的だし、FOMCも緩和的な金融政策を継続することを必要と考えている」というような説明にはなっているのですけれども、結局の所データディペンデントの話ではあっても「結果的にメジャードペース」というのとは矛盾していないんですよね。

つまりですね、一度利上げ着手した後にしばらく様子を見るみたいな形で延々と利上げをするというのは、恐らく市場の期待を不安定化させるだけの話になるので、中立金利が3.75%(個人的にはそんなに高くないと思うが)というゴールを考える中で25bp上げる度に一々様子見をしていたら何時まで経っても中立金利に達しないで景気サイクル回転しちゃいますから、まあ普通に「これなら大丈夫」となったら実質メジャードペースになると思いますし、だからこそ初回の利上げはビハインド気味になると思いますから9月FOMCを予想しているんですけどねあたしゃ。


・BEIに関する斬新な解釈キタコレ

ひええ時間が無い。

『GREG IP. Chair Yellen, the Committee’s projections show unemployment running below your own views on where full employment should be for the next several years. Does that reflect a desire on the part of the Committee that the economy run somewhat above potential for a while? And, if so, can you elaborate on why it wants that and what purpose it achieves?』

失業率がロンガーランよりも低いという見通しなのですが、それは願望レポートでしょうかとな。

『And, related to the question that Jon Hilsenrath asked earlier, you’ve called the decline in inflation-and market-based measures of inflation expectations-transitory. But this decline has been very pronounced in the five-year-forward range. So we’re talking about expectations that inflation many years from now will be below target.』

インフレや市場のインフレ期待の低下は一時的とのことだが、市場のBEIはかなり長期の所まで期待が下がっていると思うのだが大丈夫かというツッコミキタコレ。

『And some market participants see that as evidence of declining credibility in the Committee’s long-term objective. Why do you still view that as transitory?』

これはまた嫌がらせ質問ワロタ。

『CHAIR YELLEN. So you-your first question is: Why is it that the Committee sees unemployment as declining slightly below its estimate of the longer-run natural rate? And, I think, in part, the reason for that is that inflation is running below our objective, and the Committee wants to see inflation move back toward our objective over time. And a short period of a very slight undershoot of unemployment below the natural rate will facilitate a slightly faster return of inflation to our objective.』

失業率がロンガーランよりも低いのは「very slight undershoot」ですとな。

『It is, I should say, a very small undershoot in a situation where there is great uncertainty about exactly what constitutes maximum employment or a longer-run normal rate of unemployment. We also do see the different measures of slack in the labor market point to different assessments of just what maximum employment is. The standard unemployment rate, for quite some time now, has been signaling a little bit less slack in the labor market than measures that are somewhat broader that, for example, include the unusually large number of people who were part-time employed but would prefer full-time jobs. And the portion of the decline we’ve seen in labor force participation, that looks like it would disappear in a-or be eroded in a stronger economy. And so it may be that with a very small undershoot of this longer-run normal level of the unemployment rate, as measured by the standard unemployment rate, we’ll be seeing some further progress on those other margins of slack. But it’s important to point out that the Committee is not anticipating an overshoot of its 2 percent inflation objective.』

でまあああだこうだと説明していますが、失業率自体はロンガーランよりも低い水準が続くけれども失業率以外の指標で示されるようにスラックがあるので、失業率がロンガーランよりも低い水準が続いたとしてもインフレが急に高進する訳ではない、という見通しになっていまして、まあ妥当な説明ですが、先ほどのメジャードペースの否定部分と合わせまして、質疑応答の方では(前の方でも紹介しましたが)説明にハト風味を結構混ぜている感じでして、声明文はハトで会見の冒頭説明はタカで質疑はややハトとか実にややこしいですな(議事要旨はよ出せというツッコミが来そうですが)。

で、BEIに関してが中々斬新。

『Oh, and longer-dated expectations.』

なんですかこの「Oh」は^^

『Well, what I would say, we refer to this in the statement as “inflation compensation” rather than “inflation expectations.”』

ほえ???

『The gap between the nominal yields on 10-year Treasuries, for example, and TIPS have declined-that’s inflation compensation. And five-year, five-year-forwards, as you’ve said, have also declined. That could reflect a change in inflation expectations, but it could also reflect changes in assessment of inflation risks.』

これは斬新な解釈。

『The risk premium that’s necessary to compensate for inflation, that might especially have fallen if the probabilities attached to very high inflation have come down. And it can also reflect liquidity effects in markets. And, for example, it’s sometimes the case that-when there is a flight to safety, that flight tends to be concentrated in nominal Treasuries and could also serve to compress that spread. So I think the jury is out about exactly how to interpret that downward move in inflation compensation. And we indicated that we are monitoring inflation developments carefully.』

つまりですな、市場のBEIで示されるインフレ期待は、実際はインフレ期待だけではなくて、将来のインフレに関するリスク認識(メインシナリオでは無いリスクシナリオ認識という意味)や、TIPS市場の流動性、あるいはFTQによって発生する普通の国債債への過剰な需要など、色々なファクターが加味されていて、純粋に市場のインフレ期待を示しているのかというと必ずしもそうではないので、その辺りのファクターも十分に分析して解釈します(キリッ)という説明。

いやーこれはなかなか斬新というかですけれども、結局インフレ期待云々という話ってこうやって鉛筆舐め舐めの世界で色々と出来るんですよねえ、という話でございましたとさ。








2015/01/09

お題「市場雑談/生活意識アンケートが色々と日銀涙目な結果が出ている件について」

またモーサテにアレ一派が出ておりますので早速チャンネル変更。

ところで安倍ちゃんのこれですけど。
http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KG0MH20150107
賃上げ実現すれば、デフレではないと宣言できる=安倍首相
2015年 01月 7日 17:41 JST

・・・・・・だったら将来の出口政策大丈夫かというような金融政策をやらせる前に最初から賃金引き上げた企業に補助金でも出した方が手っ取り早かったとおもいますし、大体からして「金融政策でデフレから脱却」という話はどこに逝ってしまわれたのでしょうか置物副総裁様の所感をお伺いしたいものでありますなあ(棒読み)。


○短国とか物国とかのメモ

・3M入札は100円薄め按分もその後は伸びずとな

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150108.htm

(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 5.5362%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘1毛 (募入平均利回り)(-0.0044%)

ということで通常運転クオリティで100円薄め按分という毎度おなじみの結果になってしまいましたが、市場推計の落札分布を見ますと前回の不明4.5兆円以上という空振り続出でショートカバー待ったなしという展開ではなくて、いわゆる不明玉が2.5兆円弱となっていたようで、まあさすがに前回の入札で上で切られた(なお100円厚め按分で上で切られたというのもちょっとそもそも見通しがどうよという気はするのだが)ので今回はオーバーパーから札を入れましたぞなという所ですな、うんうん。

ただまあ毎度のことですがマイナス利回りでも買う人というのは海外投資家と決算需要と担保需要と日銀短国買入でございますので、海外の需要がそこまで来てない中だとそう簡単にホイホイと捌ける訳でも無しという事のようで、新発504回の引けは売参もBB引けも0.000%になっておりますようですし、GCや現先の利回りも相変わらず高めで推移していますし、まー別に売れ売れで玉が無くてというような状況でも無くとゆー所のようですな、うんうん。

まあ四半期末要因剥落分の売りと海外がちょっと足元で買いが弱いというのと、年末に向けて一旦短国買入のペースが落ちた(MB着地したから)ということで需給がやや緩和されているという所のようで、日銀買入に入らないと見られる既発ゾーンでもBB引けはプラス金利になっておりますので、毎度お馴染みの四半期頭束の間の需給緩和ですかそうですかというか、では火曜の3Mは何だったのかという話でしょうが、あれはあれで「3月末越え決算ニーズの前倒しキター!」って奴でしょうし、3月末越え決算ニーズについてはあの一発で終わる筈も勿論なく、今後も決算の着地を考えながら動きが入ってくる上に、恐らくある程度の所は早めに固めておかないと3月期末までのどこかのタイミングで海外ニーズが飛んで来たりすると一気に需給が締まって買えないリスクは出るでしょうし、そもそも日銀の買入が進む分だけ担保需要と決算用国債残高調整ニーズは累積的に高まりますから、どうせ需給が緩んでも別に金利が普通(何をもって普通というかは突っ込まないで^^)になるとは思えませんですな、うんうん。

でまあ今日は6M短国の入札がありますが、短国買入のスケジュール的に多分週明けの火曜に短国買入がありまして、新発6Mも当然買入の対象になる筈ですが、まー6Mは3Mよりbpv大きいし、発行は3.5兆円しかない(3Mは5.7兆円)しという事で、オペ狙いの札が相対的に入りやすくなりますので、7月償還だから3月末と6月末の四半期2回越えでニーズアリアリという投資家を蹴散らして良くて100円按分とかそんな事になるんでしょうかね良く判らんけど。

・・・・・・・しかしまあ何ですな、レートを問わずに成行で購入する日銀買入攻撃によって投資家を蹴散らして市場を壊すというのが起きているのが短期から中長期にも波及しているのですけれども、まあそれによってポートフォリオリバランスが起きるのが政策目的です(キリッ)と言われてしまうので市場破壊ガーとか言われても知らんがなというのが日銀様のお立場なのは重々承知しておりますが、じゃあそのリバランスを金融仲介機能の所でそう簡単にホイホイ出来るのかというと、債券買う為にお預かりしている資金で株を買う訳にも逝かないでしょうし、貸出増やせって言われても相手のあることですし、不良貸出になるの分かってホイホイ貸出増やすアホウは居ない訳ですし、まあ困る訳でございますよね。ま、その辺に理解を示すような話をすると日銀執行部的にはスタンスの揺らぎとか言われてしまうから負けという事で、「マイナス金利は政策効果(キリッ)」とか開き直るしかないんでしょうが。


・固定金利オペは減額ロール

昨日のオペ結果(補完供給の結果は引用割愛)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150108.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(1月13日スタート分) 910 910

こちらは折り返し元が1541億円の固定金利オペでしたので、3分の2弱の減額ロールという結果になりまして、そらまあ固定オペは減額になるわなという所ですが、今月は固定金利オペの足が来るのが残り2本で5700億円程度ですので、残りも6割ロールだとすると固定金利オペは3000億円程度の落ちになりますな、うんうん。


・物国入札はまあこんなもんでしょうかねえ

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul071.htm
6. 応募額 1兆4,868億円
7. 募入決定額 4,998億円
8. 発行価格(募入最低価格) 106円10銭
9. 募入最高利回り -0.501%
10. 募入最低価格における案分比率 83.0708%

足元でご案内の原油価格アチャーがあってBEIが絶賛弱含みだったので入札は事前警戒モードが強かったようですが、事前警戒が強かったので「そんなに弱いなら買うわ」攻撃で結局警戒した程弱くならないというありがちなパターンで入札レベルのBEIが80割れ水準程度でございましたな。

#足元弱いのは判るけど中長期的に見てBEI80ってゆーのもちょっとえーという気はするんですけど


○生活意識アンケートの結果が非常に味わいが深いのでじっくり(?)鑑賞

今回のこれは面白かった。
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1501.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第60回)の結果 ―― 2014年12月調査 ――

でまあ結果をビジュアルに見るのは前半部分をじっくりと鑑賞するのがオヌヌメですけれども、数字を拾ってコピペするのは最後の所を使うのが良いので、引用関連は「説明は前半、数字は後ろのページ」から引っ張って参ります。

・景況感悪化キタコレ

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』の解説から。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』

『なお、現在の景気水準については、「どちらかと言えば、良い」が減少した一方、「どちらかと言えば、悪い」、「悪い」との回答の合計が増加した。』

まあグラフ見れば思いっ切り分かりますが、盛大に悪化していますなあ株価は上がってるんですけどね!!

『Q1.1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。
1良くなった5.9(11.1)
2変わらない54.7(56.9)
3悪くなった38.8(31.5)』

『Q2.Q1のご回答について、そのようにお考えになるのは、主にどのようなことからですか。【2つまでの複数回答】

1マスコミ報道を通じて21.5(18.6)
2景気関連指標、経済統計をみて11.0(9.1)
3勤め先や自分の店の経営状況から31.4(32.1)
4自分や家族の収入の状況から57.7(60.4)
5商店街、繁華街などの混み具合をみて26.7(24.1)
6その他3.8(4.5)』

実は収入状況とか経営状況とかで悪化している訳ではないのがお洒落ですが・・・・・・・


・収入は増えているけど支出が更に増えていて暮らし向き悪化キタコレ

『1-2. 暮らし向き、消費意識』の所が更に味わいが深い。

『1-2-1. 現在の暮らし向き』

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』

まあこれはグラフの方を鑑賞すればよろしかバイと思います。

『1-2-2. 収入・支出』

『収入の増減については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅を縮小した。先行き(1年後)は、「減る」との回答が増加したことから1年後の収入D.I.はマイナス幅を拡大した。』

『支出の増減については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅を拡大した。1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。』

・・・・・・・・ということで、この先に雇用環境の部分もあるのですが、それも含めましてマインドとして見た場合に雇用環境は改善して収入も増えているのですが、それ以上に支出が増えている結果として暮らし向きの判断が悪化しているのはまあ仕方ないとしまして、実に味わいがあるのは将来の支出に関する部分でして、

>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。
>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。
>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。

・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

というか全然イイハナシダナーでも何でも無いですが(涙)、この後に出てくる物価に関する結果を見ますと実感としてのアクチュアルな物価上昇傾向は更に高まっており、先行きの物価上昇期待に関してもおおむね横ばい(ヘッドラインでは下がった下がったと出ていますが、良く見ると概ね横ばいと読むほうが妥当ではないかと思うのですが)と思われる訳でして、「デフレマインドが払拭されてインフレ期待が定着すると現金を持っているのが損になるので消費や投資が活発になる」というリフレ置物理論とは一体全体何だったのかと小一時間問い詰めたいのですが、どう見ても「収入は増えて雇用マインドが改善しており、インフレ期待もそれなりにあるという中で消費者が将来の消費を減らすと言ってます」って結果はその置物理論を盛大に打ち砕いておられるので、それはつまりQQEの根本的な理論に欠陥があったという話になりませんかねえ(ニヤニヤ)。


・雇用マインドは改善しているのが更にタチが悪い

『1-2-3. 雇用環境』

『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少したことから、雇用環境D.I.は改善した。(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

ということでこれまたグラフの方を見るとマインドは改善するの巻なのは先ほど申し上げた通り。


・物価マインドは恐らく横ばいだし足元の上昇意識は更に高まっていると思う

『1-3. 物価に対する実感』の所ですけどね。

『1-3-1. 現在の物価』

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が減少した。
また、1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+5.3%(前回:+4.8%)、中央値は +5.0%(前回:+5.0%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』



『1-3-2. 1年後の物価』

『1年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。
また、1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.8%(前回:+4.8%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。

(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』



『1-3-3. 5年後の物価』

『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。
また、これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると 思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.0%(前回:+3.8%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。

(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

・・・・・・とまあこうなっていまして、この中では先行きの物価に関しての「上がる」が減少というのがヘッドラインに思いっきり出ていましたけれども、まあ減ったと言ってもグラフを見れば判るように微減にとどまっていまして、それよりも実際の数値を見ると特に5年後の物価に関しては前回よりも平均値が上昇していたりしますので、まあこれって基本的に先行きの物価見通しは概ね横ばい程度(なお数字がやたら高いのはアンケートの仕様)という感じで良いのではないかと思いますし、現在の物価に関する部分は平均値、中央値とも変化した数値が更に高まっておりまして、まあバックワードルッキング的な物価期待は上昇する可能性が思いっきり高いという結果になっておりまして、この点で言えばまあ日銀的にはニッコリの筈。

ではあるのですが、先ほども申し上げましたように物価に対しては上昇したという意識が強まって雇用に関するマインドも改善していて収入も増えているという評価になる中で、実際の物価上昇に伴って景況感は悪化するわ先行きの消費マインドは下がるわでは、そもそもの置物QQE理論の前提のどこか(または全て^^)に欠陥があるということですから全然ニッコリじゃないと思います
けどね!!!


・物価上昇が困ったことだがまた増えるの巻

『1-3-4. 物価上昇・下落についての感想』

『1年前と比べて物価が『上がった』(注1)と答えた人(約8割)に、その感想を聞くと、8割台前半の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。
また、1年前に比べて物価が『下がった』(注2)と答えた人(約2%)に、その感想を聞くと、「どちらかと言えば、困ったことだ」との回答が5割台半ばとなった。

(注1)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。
(注2)『下がった』は「かなり下がった」と「少し下がった」の合計。』

まあこの状況で「下がった」と答えるのは余程の変わり者なので放置するとして、上がった方の「困ったこと」が多いのはいつもの仕様としましても、この回答が結構増えているのが中々こう味わいがあります。


・大変に深い味わいがあるのが日銀に関する部分

『1-6. 日本銀行に関する認知度、信頼度等
(注)原則6月・12月調査において質問。ただし2011年6月は実施していない。』

の所が実にこう味わいがあるのですよ。で、それは何処かというと・・・・・・・・・

『1-6-4. 日本銀行への信頼度』

さあ盛り上がって参りました!!!!

『日本銀行への信頼度を尋ねたところ、『信頼している』(注1)と回答した人の割合は4割台前半となり、『信頼していない』(注2)と回答した人の割合は約1割となった(図表19(1))。

(注1)『信頼している』は「信頼している」と「どちらかと言えば、信頼している」の合計。
(注2)『信頼していない』は「信頼していない」と「どちらかと言えば、信頼していない」の合計。』

『(5)日本銀行を信頼していますか。
1信頼している14.2(13.5)
2どちらかと言えば、信頼している29.0(30.2)
3どちらとも言えない45.3(46.7)
4どちらかと言えば、信頼していない7.7(6.6)
5信頼していない3.0(2.2)』

信頼していないが増えているように見えますが。

『『信頼している』との回答の理由としては、「日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思うから」との回答が最も多く、次いで「中立の立場で政策が行われていると思うから」との回答が多かった(図表19(2))。』

まあこれは良いとして。

『一方、『信頼していない』との回答の理由としては、「中立の立場で政策が行われていると思わないから」、「日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから」、「日本銀行の活動について分かりやすい広報や意見聴取の努力が不足していると思うから」との回答が多かった(図表19(3))。

でまあこのグラフを見ると判りやすい(コピペがしにくいので数字の方はパス)のですが、信頼していないというのの回答で多いのが「中立では無い」「物価や金融システムの安定に役立っていない」というような政策に直結する反対が絶賛増加していて、某福井の俊ちゃんの何とかファンド問題とかの時に盛大に増えた『組織や職員に誠実なイメージを持っていないから』的なイメージの方の反対見解は減っているというのが中々こう深い味わいという物を感じる訳で、このままですと「物価安定目標2%」に対して生活者の方から十字砲火が飛んできて日銀火達磨になるんじゃないですか大丈夫ですかというのが気になる所ではあります。

いやまあ信頼していないの1割を捕まえた部分なので大勢意見は別の所にあるかもしれませんけれども、物価と雇用に関するマインドと先行き景況感や消費マインドの乖離を見ておりますと、今後急速にそういう話になったらそもそも何のための2%目標だという話になって、却ってデフレマインドの強化になってしまう訳で、「2年で2%」という無理ゲーではなくて「中長期的に」とか「フォーキャストターゲット」みたいな話をメインに持っていくようなQQEの戦線縮小を考えた方がいいんじゃないかと思いますが、それは置物の首が飛ぶ(連座して残りの2名も飛ぶかもしらんが)話になるのでまあ無理でしょうね。







2015/01/08

お題「引き続き市場雑談/FOMC議事要旨をインスタント読みつつ微妙に小ネタも」

ユーロ圏CPIキタコレ!
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0UM2XK20150107
UPDATE 2-ユーロ圏CPI、12月は5年ぶりマイナス ECBのQE観測高まる
2015年 01月 7日 22:14 JST

まあQE期待が高まるのは結構なのですが、マイナス金利やっても結局効かずにQEやったら本当に効くのかというと2年で2%と言って驚異の買入をしているどこぞの中銀がこれがまたとか見ますと実際はやるやる詐欺で引っ張ると今回パスすると3月頭まで引っ張れるのでどうせユーロ安なら引っ張る作戦も有りですね。


○ヒャッハーの主戦場はやはり債券市場(のより長い所)に向かうのかという雑談

・前場の超長期が特に酷かった件について

昨日の債券市場ですが、海外市場で米国10年国債2%割れウヒョーとかやっていただけに朝から長い所を中心にヒャッハー相場となって、特に超長期が盛大にあばばばばーとなってしまって朝9時過ぎくらいからの飛び方が凄くて10分ちょいで20年カレントが0.94%(2.5毛強)位からあっという間に値を飛ばして0.88%(8.5毛強)まで盛大にヒャッハー状態となり、その間10年カレントも0.265%(2毛強)と高値更新しましたが、まあ超長期の方がヒャッハー主戦場という図で、「長期金利が低くて収益が出ないなら超長期を買えば良いじゃないかbyマリーアントワネット(嘘)」という状態なのか煽っているのか知らんけどもう何だかねという展開。

と思ったらその後先物が急に下げて超長期も一気にコケて前場引け段階では先物はほぼ変わらず水準まで戻されるわ超長期は2毛強水準に押し戻されるわと大変にチョッピーな展開でしたが、まあ売りの方は本当の本当に実弾出たんでしょうからとりあえず実弾が出て良かったですね(そうなのか?)という所でしたがいやもうねという感じで。

でまあ輪番の方は順当に中期と長期がオファーされて結果がイマイチだったので後場下がったりしていましたが、そこでも実弾出たみたいですし、その一方で甘くなるとその側から買いも入るようで、珍しく売買はそれなりに活況だったようですな、うんうん。

・・・・・・・でまあ今日どういう展開になるのかは知らんですけれども、まあ月初から輪番拡大による流動性の枯渇をネタにしたような相場展開になっておりますが、まあこうやって時々ヒャッハーの行き過ぎみたいな所で実弾が打ち込まれてその瞬間は流動性も高まるし価格が調整するという事になるのでしょうが、実にこう惜しい事に実弾打ち込まれる側から日銀の買入が入ってしまいますので、時間の経過と共に日銀に吸い上げが入ってしまい気が付けば流動性がまた無くなるという展開が予想されるのが実にアレという所ですな、うんうん。


・短国買入は2.5兆円でしたが応札がやたら多かった件について

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150107.htm
国庫短期証券買入 25,000 2015年1月9日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,000 2015年1月9日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2015年1月9日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2015年1月9日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注3) 2,000 2015年1月7日 2015年1月8日


ということで短国買入は2.5兆円で来まして、1月の日銀保有分短国償還が8兆円なので2.5兆円だと償還以上に買入が入るという形になりましたが・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1501.htm/
日銀当座預金増減要因(2015年1月見込み)

こちらは当座預金増減要因ですので、銀行券要因については基本的にMB的にはツーペー(実際は成長通貨分をちゃんと考えないといけないですけど単月で見たらそれほどインパクト無いのでキニシナイ事にしておく)なので財政要因の所を見れば良い訳ですが、1月は財政の不足が大きくて、日銀保有短国買入の落ち分をそのまま戻すとした場合に、財政要因の不足が10.5兆円になりまして、輪番オペでの買入が9.3兆円弱になりますので、短国買入の落ち分を単に埋めるだけだと前月比のMBが減る可能性があるので(というか多分減る)、2.5兆円ペースで入れてくると2兆円上積みになるのでMBは減らない(固定金利オペのロールで落ちがある可能性もあるけど)という形になるのですな。

とまあそんな事を考えると2.5兆円でもシャーナイナイなのかなとは思いましたが、少なくとも短国の金利を一旦プラスにしようとかそういう意図は1ミリも無く(というか投資家に買われる前に日銀が買わないとMB積み上げに困るとか思っているのではないかという邪推も)、普通に1月以降もいつものクオリティで短国買入も財政要因の振れも考慮して帳尻が入ってくるという流れですし、市場から投資家を排除するのはそもそもポートフォリオリバランスの観点からも当然(キリッ)なので投資家が買えないとか文句言っても知らんがなそれよりお前らポートフォリオリバランスをしやがれというようなスタンスは不変という事ですな、うんうん。


でオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150107.htm
国庫短期証券買入 66,130 25,001 0.014 0.021 26.5
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,181 4,000 0.011 0.012
国債買入(残存期間3年超5年以下) 8,063 4,001 0.003 0.008 70.5
国債買入(残存期間5年超10年以下) 12,222 4,011 -0.002 -0.001 13.6
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 1 1 -0.400 -0.400

>国庫短期証券買入 66,130 25,001

いやまあ月曜に売りがあったから2bpまで金利上がったし、火曜の入札は不明4.5兆円以上という結果になったというのは把握しましたが、応札6.6兆円ってそらまた随分札がありましたなと言いますか、そんだけ在庫あるのに火曜日の入札一発で(玉の無い新発は別として)既発まで盛大にマイナスに戻したのは何だったのかと小一時間問い詰めたい所でありますが、まあ日銀買入で捌けるからまずはマイナスで値持ちさせておいてという事ですかそうですか。

しかもオペ入ってもGCとか現先レートとか特に大きく下がった訳でも無いようなので、それなりにまだ持ちはあるようにも見えるのですが、まあ我慢していれば海外と日銀というマイナス金利でも買うコンボがあるからヘーキヘーキという事なのでしょうかねえさっぱり良く判らんがと存じますが、何だよそんなに在庫あるのかよと中々こう謎の応札6兆でしたな。

つーことでまあ札がある内は2.5兆円ペースで短国買入が入ってきて、2月も10兆円の償還があるから札が無くならなければそのままのペースで買入がとかそんな話になるんですかねえとは思いますが、そうなると3月はまた後半に買入ペースが落ちるという流れになるのでしょうかねえとか考えつつも、結局の所途中で買入が出来なくなったりするとまた話がややこしくなるのであまり深く考えないようにしておきます。

まあ何ですな、そもそも財政要因の出入りが大きいと言う日本の短期金融市場における資金需給の特徴がある中で「マネタリーベースをこのペースで拡大」みたいな調節をするとなると、超大規模超過準備状態を前提にしているだけにそもそも買入で最終の帳尻を調節するしかないので、その買入対象資産のどこかにケツ持ちがやってくるというシステムになっております。でまあ「年間このペースで」という表現になっているのですが、1月以降は建付けがオープンエンドになっているので、「年間ペース」と「財政要因による帳尻分をどうするのか」という点があいまいなままになっておりまして、公式には明確なアナウンスが無い状態になっております(ので次回の総裁記者会見で誰か質問して下さいお願いします)が、今回のオペの入れ方を見ると「財政要因の帳尻を全部短国買入に寄せる訳ではない(まあそれは実務上無理だが)」というのは分かりましたが、その一方で「前月対比でマネタリーベースが下がるのも避けに来る」というスタンスであることを確認できましたなという所で、そういう意味では12月以前と概ね同じで、ただ今後はMBの拡大文のケツは回ってこないので概ね(他の要因が一定の場合)短国買入残高は12月末水準を(半期ベースで考えた場合に)維持されますねという事になるというのは把握しました。


・なお今日と明日は短国入札(と今日は物国入札)

物国入札はこのBEIって足元のCPIに引っ張られ過ぎじゃネーノ中長期的に見たらねえという気もしますがまあその辺はパスしておきまして、今日が3Mで明日が6Mの入札ですが、まあ上記のように在庫自体はあるとしても、ニーズがあるのは3月末越えになりますので、ニーズがある方は入札でしか出てこなくて在庫はどうせ全部期内償還でしょうと考えますと普通に堅調入札で100円で切れるとかそんな感じでしょと思います。

まあ間違って今日プラスになったら6Mも期待が持てますが、6月末まで越えてくれる6Mなんてもっとニーズがありますし、日銀だって買いたいでしょうし(たぶん13日に次の短国買入あり)と考えますとどこからどう見ても普通の投資家が買えるレベルでは決着してくれません罠とゆー所で。

まあ何ですな、38兆円の短国買入残高を維持するんだったらもう面倒だから6か月と1年でMB達成に必要な分だけ日銀引受してもらって、残りの分で価格競争入札してその平均落札で引受してくれたら3Mは今よりはだいぶ平和(6Mや1Yのニーズが流れ込んでくるからまあノーマルとはいかないでしょうが)に価格形成が行われて市場も死なないで(オペトレードヒャッハーな人以外は)ハッピーなのですが「マイナス金利は政策効果(キリッ)」だからそうはイカのなんちゃらですかそうですか(−−;


○ちょっとだけFOMC議事要旨をインスタント読書

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20141217.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20141217.pdf

例によってインスタント読書で『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツから。

・ガイダンス文言変更に関して&フォーキャストターゲットの概念がミニッツでも示されている件

ケツ2つのパラグラフはガイダンス文言に関する議論。

『In their discussion of communications regarding the path of the federal funds rate over the medium term, most participants concluded that updating the Committee's forward guidance would be appropriate in light of the conclusion of the asset purchase program in October and the further progress that the economy had made toward the Committee's objectives.』

あくまでも文言アップデートは「資産買入が終了したのでアップデートするだけですよ」という建付けに持ち込んでいますが、これはイエレンさんの会見でも思いっきり強調されていたのでまあ想定の範囲内というか、会見での話って結構この辺の話を忠実に説明していたのねというのがほほうという感じ。

『Most participants agreed that it would be useful to state that the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy; they noted that such language would provide more flexibility to adjust policy in response to incoming information than the previous language, which had tied the beginning of normalization to the end of the asset purchase program.』

とは言いましても「アップデートするだけ」と言いつつも今後のフレキシビリティー確保という話もしておりまして、まあFOMC全体で見た場合には正常化政策を進めることに関しては普通にやる気がありますなという所で、この辺のトーンも(声明文というよりは)この回のFOMC後の記者会見でのトーンに通じているなと思うのでした。

『This approach was seen as consistent, given the Committee's assessment of the economic outlook at the current meeting, with the Committee's previous statement. Most participants thought the reference to patience indicated that the Committee was unlikely to begin the normalization process for at least the next couple of meetings.』

この「the next couple of meetings」というのも「Most participants」に共有されているのかとゆー所で、なるほど会見でのイエレンさんの説明が結構元気な感じがしたのだが、この辺に関する中心的な見解は割と固まっているんですなという感じは受けました(が全部読んでいる訳ではないのでここだけ読んで勘違いしている可能性は存在しますので念の為)。

『Some participants regarded the revised language as risking an unwarranted concentration of market expectations for the timing of the initial increase in the federal funds rate target on a narrow range of dates around mid-2015, and as not adequately allowing for the possibility that economic conditions might evolve in a way that could call for either an earlier or a later liftoff date.』

ここからガイダンス文言に関する反対とか懸念とかで、「Some participants」はこの表現だと今年中盤の正常化開始に市場が1点張りしてくるリスクがあるのではという指摘。

『A few participants suggested that the statement should focus on the economic conditions that would likely accompany the decision to raise rates.』

「A few participants」はステートメント文言にはより経済条件次第という部分を強調すべき(つまり時期を特定するような表現を避けるべきということでしょうな)という指摘。

『Participants generally stressed the need to communicate that the timing of the first increase in the federal funds rate would depend on the incoming data and their implications for the Committee's assessment of progress toward its objectives of maximum employment and inflation of 2 percent.』

で、ここで「正常化着手のタイミングはデータ次第だし、先行きのマンデート達成に向けた経済物価見通しによって決まる事をよりコミュニケートすべき」というのが出ていますが・・・・・・・

『With lower energy prices and the stronger dollar likely to keep inflation below target for some time, it was noted that the Committee might begin normalization at a time when core inflation was near current levels, although in that circumstance participants would want to be reasonably confident that inflation will move back toward 2 percent over time.』

これまたイエレン議長の会見でも思いっきり言及されていましたけれども、「別に足元の物価が2%にならないから利上げ着手しないという事はないですよ」という事で、とにかく2%水準にヒットさせる事をやたら重視している置物が存在するどこぞの国の中央銀行見てるイェーイ!!って感じですし、そもそも置物理論によりますと世界標準のFRB様がこのような「フォーキャストターゲット」的な話をしているのに一方で世界標準を振り回す置物執行部の皆様は野党審議委員の皆様が主張するフォーキャストを全力で否定しているという実にこう味わいの深いものを感じる訳でございまして、置物大先生の所感をお伺いしたい所ではございますな、うんうん。

『A few participants spoke of the importance of explaining to the public how economic and financial conditions would influence the Committee's decisions regarding the appropriate path for the federal funds rate after normalization begins.』

これが次のパラグラフになりますが、利上げ後の政策金利パスに関してのコミュニケーションの重要性を指摘する人もいますという話。

『It was noted that to the extent that such guidance can be effectively communicated, the precise date of liftoff becomes less important for economic outcomes. In this regard, some participants emphasized that policy will still be highly accommodative for a time after the first increase in the federal funds rate target, given the difference between the current setting of the federal funds rate target range and the Committee's view of the longer-run normal rate as well as the Federal Reserve's elevated holdings of longer-term securities.』

正常化着手後の利上げパスが慎重であるという事を示すと実は最初の利上げタイミングはあまり大きな問題にならない、という指摘をしているのですが、実務上とか過去の実績とか考えますと、恐らくFRBの執行部は「中立金利まで正常化を実施できるという自信が出来る」まで初回の利上げを引っ張って、その代わりに利上げを開始するといわゆる「メジャードペース」での利上げを行うとあたしゃ思っていますので、この指摘(まあこの指摘しているのも「A few participants」ですけど)のような感じにはならないのではないかと思っています。

いやまあフォワードルッキング的、というと綺麗ですけれども、ややフライングというかプレマチュア気味に最初の利上げをしてその後様子見みたいな展開だと上記の指摘も当を得たものになるとは思いますが、従来からどちらかというとビハインドする傾向にありますし、いわゆるファイナンシャルスタビリティーとかマクロプルーデンス的な正常化着手(つまりBISビュー的な)というのはFEDの体質から考えて無いと思いますので、ビハインド気味に正常化が始まり、その代わり利上げは割と普通に年間200bp(FOMC1回で25bp引上げ)で行くように思っているのですがどうでしょうかね。





2015/01/07

お題「年初2日目にして債券市場が盛大に壊れているので悪態雑談」

リフレ派の某先生が政府債務から日銀購入分を控除して統合政府の純債務とするというオモシロ計算をしていると聞いて腰が砕けるというかガッカリというか。

面白計算へのツッコミはこちらをご参照あれ。
http://www.anlyznews.com/2015/01/blog-post_6.html
2015年1月6日火曜日
純債務を見ても日本の財政状況は変わらない


○債券市場が色々とあばばばばーとなっておりまして色々と雑談というか何というか

月曜はまだしもでしたが昨日から早速短期市場も債券市場もぶっ飛んでおりましてまあ去年のうちにインフルエンザやっておいて不幸中の幸いかもしれないとか軽口叩いていたら「インフルエンザには幾つか種類あるんですけど・・・・」と言われて俺様涙目の展開orz

・短国がドヒャー

いやまあ落札結果見た時はそんなもんですかねえまあシャーナイナイと思ったのですけどね・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150106.htm
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛(募入最高利回り) (0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 80.5632%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘0毛 (募入平均利回り)(0.0000%)

てな訳で下馬評ではプラスという話だったので100円1本値状態でちと強いですねという所だったのですが、昨日の駄文で申し上げましたようにそもそも論として3月期末越えの短国ニーズは相当にある筈なので、もしかしたら3月償還は2bpでも4月償還はゼロ利回りでもおかしくないとか、まあニーズ的にはそんな感じだろと思ったので、とりあえず1発目が100円厚め按分だったら残念ながら順当かなとは思ったのですが・・・・・・

毎度のロイター金利マーケットアイから。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UL2YN20150106
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.07─0.075%中心、レポGCT+10.1%と高止まり
2015年 01月 6日 15:20 JST

『<15:17>(途中割愛)財務省が実施した新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高・平均落札利回りがともにゼロ%になった。落札利回りがプラス圏に浮上する可能性もあったため、ゼロ%の決着は、強めの入札結果だったが、入札ラッシュとなる中、日銀買い入れの頻度が減っているため、需給はやや緩んだ。ただ、あす日銀オペの期待がある中、セカンダリーマーケットでは、3カ月物(502回、503回)の利回りがマイナス水準で推移した。』(上記URLより)

ということで微妙に新発の出合いが書いていませんが、セカンダリーでいきなりマイナス9bpとかその辺の凄まじいマイナス金利の出合いがあって、その後も強いビットが入ってしまい、前日に2bp水準に上昇して既発の3月償還もマイナス1bpとかの水準に沈むというあばばばばーな展開。

いやまあ最初は「えーっと100円厚め按分だったらやや強いとは言え期末越えのニーズ考えたら仕方ないだろ何でそこまで強くするんだ翌日のオペ狙いかよ」などと思っていたのですが、市場推計落札分布が出たら4.5兆円以上がいわゆる不明玉となっていまして、結構多くの人が入札空振りになったと見られる結果で、ショートカバーなのか空振りの人が多くてどうせ売りが出ないのが分かっているので煽っているのかは知らんけど、まあそういう事ですかという展開に落涙を禁じ得ない所でありまする。

でまあ昨日はつい筆が滑って今日の短国買入実施したらテロとか申し上げましたが、まあ冷静に考えますと今月の日銀保有短国償還が8兆円あるので、2兆円×4回の短国買入が実施されると考えると今日2兆円の短国買入がオファーされると思われます(ので昨日の過去ログは取消線入れて訂正しています)が、今日付けの売買参考統計値を見ますとこの新発503回の平均利回り単利は堂々のマイナス8.7bpとなっているので、まあ今日の短国買入でどこで入れても利食いですなあ(ただし持っていない人は売りようがないので残念でした)というオソロシスな状況になっておりまして、もう何なのこの相場という所ですな。

しかしまあ何ですな、前日に3月償還物が2bp水準まで上昇したのって、まあ売りが出たという事ではありますけれども、そもそも論として四半期末の決算調整ニーズで買いがあったものの売りが出ているのだったら、売った分について次の四半期末越えの短国にニーズがあるのって普通に考えて判らねえかと思いますし、大体からして前日に他から買いがあまり入らなかったのも3月末越えのニーズがあるから購入余力を3月後半に償還が来るような再投資リスクの塊のような銘柄に手を出さないで様子見しているだけでしょと考えますと、オーバーパーで切れているなら兎も角100円厚め按分で何でそんなに空振りが続出するのかさっぱりワカランチ会長なのですが。いやまあ今回は空振りでも別にショートカバーとかしないでただ放置というのなら判らんでも無いけど・・・・・・・・・

とまあそんなわけで月初1日だけ短国金利が一部プラスになった訳ですが、結局1日天下に終わってしまいました(いやまあ今後どうなるか知らんけど)という残念な展開になったのが昨日という事で、アタクシの相場悪態も続くのでありましたとさという所です。


・短国購入分残高は38兆円(営業毎旬報告の数値は償還乗換分が含まれるので異なります)

ということで短国買入残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

例によってこちらからDLしてヘコヘコ計算しますと、1月2月の償還スケジュールは1月:80238億円、2月100065億円となりまして、短国買入残高維持のペースでオペを実施すると考えますと1月の短国買入が8兆円、2月の短国買入が10兆円となります(3月は今の所5.3兆円の償還ですけれども、暫くは3月償還も短国買入の対象になる筈なのでもうちょっと増える可能性がある)。

で、合計を見ますと383650億円ということで、38.3兆円の残高という事になりますとひところ42兆だの43兆だのという残高になってマイナスに突っ込んでしまったという事を考えると、この残高を維持するのであれば期末ニーズは別として通常運転だとそこまでマイナスが恒常化しなくてもよさそうな日銀の買入水準という感じもせんでもない訳ですよ。

しかしですな、ご案内の通り一旦マイナス金利状態が長期化してしまいますと、これを戻すというのは中々大変というのが残高38.3兆円に落ちてもマイナス状態が続いていますよねという現象からも明らかでありまして、まあ結局の所昨年10月にいったん短国金利がプラスに戻った所で3.5兆円の買入とか打ち込んで短国金利をあっさりマイナスに下げてしまったのと、11月に再度買入の見直しをした所で短国金利がまたプラスに戻った所で、またまた買入をドカンと打ち込んでマイナスに下げるという短国買入の意味不明運営(というか要するに市場機能とかそういうのはどうでも良いから兎に角MB目標達成優先というディレクティブに機械的に従っているだけという局名が泣く対応をしているだけの話なので意味は分かるのだが)をしたのが思いっきり効いてしまっていますなとゆー所ですが、まあオペ打つ方としても置物じゃない方の(自粛)モノ副総裁が「マイナス金利は買入効果(キリッ)」と言っているんだから市場のゴキブリが悪態ついても知らんがなというお立場に成らざるを得ないのも理解できますので究極的には総裁副総裁がスットコドッコイなのがイカンのですけど、まあそんな感じでこりゃ中々厳しいですなという所で。

まあ色々な物を円滑に回したいのであれば、一旦金利をプラスに持って行って、あまり金利を過度に下げ過ぎないように運営した方がどう見ても良いと思いますので、本来的には今日の短国買入を2兆では無く減額するとか思い切ってスキップするとか(スキップしても来週火曜、金曜、再来週の金曜に水曜みたいな入れ方すれば月内間に合うと思いますけどね)したらお洒落なのですが、まあそもそもそういう気の使い方を出来るのであれば今の惨状は無かったので今日は普通に短国買入2兆円打ち込まれて、問題はその2兆円の札がどこにあるのかですが、恐らく月曜の打ち込み玉があるので新発で2兆円無くても既発まで入れればあるでしょと思われます(スポネの現先とかレポとかの金利が別に急低下した訳でも何でも無いから玉はどこかにあるでしょう)ので、まー札は普通に入って問題は玉が余るか余らないかとかそんな話ですかね。



・長期金利が・・・・・・・・・・

再掲だが
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UL2YN20150106

『<14:25> 超長期債利回り大幅低下、20年債が節目の1%割る

超長期ゾーンの利回りが大幅に低下。足元の20年151回債利回りは前営業日比7.5bp低下の0.970%と心理的な節目の1%を割り込んで推移している。30年45回債利回りも同7.5bp低下の1.165%で取引されており、一時は1.160%を付けた。20年債、30年ともに2013年4月5日以来の低水準で推移。マーケットでは、低水準の利回りだが、他のゾーンとの相対比較から、年金勢や一部生保などのリアルマネーが入っているとの観測が浮上している。順調に入札をこなした10年最長期国債利回り(長期金利)も前営業日比3.5bp低下の0.285%と過去最低水準を更新。JPモルガン証券・山脇氏は「足元の5年債金利が0.015%まで低下する状況で、中短期ゾーンの金利低下が進み過ぎており、10年債金利もサポートされてしまう流れになっている」と指摘。国債先物も148円台で上値を追っている。』(上記URLより)

・・・・・・・ということで昨日は朝から超長期とか強くて、10年入札も好調で中期の金利も朝から強くてと何でも強いのですがもう強烈にブルフラットする展開となりまして、10年は0.3割るわ20年は1.0割るわ30年は引けで8毛強だわとかもう凄まじい展開。

短国がアレだったのが影響した訳ではなくて勝手に下がっているだけだと思いますが、中期もお洒落な事になっていまして、BB引値ベースでのマイナス金利が2019年6月償還まで伸びてしまっておりまして、日銀の物価安定目標達成時期に対する理解とかはどこに逝ったのでしょうかというような大変に素敵な展開となりまして、5年カレントはBB引値が遂に0.010%(ってこれ最近は引値が毎度結構なオファーサイドなのに翌日になるとしっかり強くなっていくという中期の勢いがオソロシスなのですけど)となってしまいまして、今日は中期輪番があると思われます(月曜が短期と超長期だったから今日は中期と長期ですな)ので、これはもう輪番で5年カレント夢(悪夢)のゼロ金利とかになって5年がマイナス金利になるのも時間の問題という所ですねわかります><;


・・・・・という事で親指を立てながらイールドカーブは今日も今日とて溶鉱炉に沈んで行くのでありましたという所ですが、まあ投資家の売りが枯渇したところからの金利低下の速度が速い速いという話でございまして、そらまあ良く良く考えますと日銀様におかれましては普通の投資家のように調達コストだの経費だのという概念が無いですからブレークイーブンする金利水準よりも低い金利は買えませんわなあみたいな話が皆無でありまして、兎に角その時の市場価格で成行買いするのですから、投資家の売りが枯渇したら相場水準上げ(金利下げ)放題になる罠という所で誠にアレな状況になっておりますな。


でまあ何ですな、実はこの先更に問題が深刻になるのって短国よりも中長期の方でしょというお話でありまして、投資家の売りが枯渇している中で需給バランスどうなのよと考えますと、中長期国債の場合は何せ輪番での購入がフローベースで新発の発行並とかそれ以上とかになっておりますので、先ほど申し上げた理屈で言えば新発が出る⇒日銀が買う、という流れの中で当たり前なのですが、「余りモノ」が出ますとその余りモノ自体をどうさばくかという問題が発生しますので、最終的にはどこかの投資家が買える水準に持って逝かないと最後の余りモノが捌けないという話になりますが、余りモノが出ないのであればそらまあ水準は強くし放題という話になりますよねというお話。

しかも国債はドンドン償還も来ますので、投資家的にも償還分をさてどう再投資するのよという話になる訳で、ネット発行額(除く日銀保有分)のフローと輪番の買入フローの計算とか結果を見たく無いのでしたくないのですがそのうちするかも知れません(ってもしかしたら誰かがレポートでも出してるかね)。

その点で言えば短国の場合は38兆円程度の残高を維持という形であれば、海外の買いが一巡したら期末ニーズの時期はまあどうしようも無いと思いますけど、それ以外の時には実はあまり極端なマイナスにはならないような気もするんで、実は今後無抵抗で金利が溶鉱炉に沈んで行くのは中長超長期(というか中期は既に溶鉱炉状態だが)ではなかろうかという感じがするのですがそんな話は聞きたくないですかそうですか。

なお、日銀の物価目標達成が強く意識されるのであれば、馬鹿買入のフローも収まる訳ですし、別に投資家としても今持っている国債ポートを後生大事に維持する必要はないので売り圧力が発生してくれるのですけれども、何せ足元の状況では「2年で2%」のまさにその2年の所でCPIが0.5%割れどころか下手したら0%になりそうな勢いというナイスジョークとしか申し上げようがない展開であって、買入フローが収まるどころか追加緩和待ったなしという状況の中で、売ったら最後再投資が当分できないという状況の中で売りが出る訳もございませんなというのが更に状況を悪化させているという所ですな。


○展望レポート中間レビューでのリスクアセスメントに期待しないが期待する

ということでまたも市場雑談悪態だけで駄文書きタイムが終了してしまうのでついでに悪態を書いて置きますけれども、今回のMPMでは展望レポートの中間レビュータイムでありまして、まあどうせ「見通し通りに推移」という話になるでしょうし、「この前の追加緩和の効果で期待インフレは全体として上昇している」という話になっておしマイケルだとは思いますけど、リスクアセスメントの所で最近のこの債券市場の惨状についての影響について何らかの言及があったらお洒落というか感心して暗黒舞踏くらい踊っても良いかなとは思いますけど期待はしません。

まあどこからどう見てもこの金利低下状態って低金利のコストが金融仲介機能に悪影響を与えるレベルになっていますから中長期的に見た場合に金融システムに対して悪影響としか思えないのですが、何せ「金利低下は政策効果(キリッ)」と仰せになっておられますように、置物直線一気理論に寄りますとMB拡大して期待インフレを引き上げて、国債買入で名目金利に低下圧力を掛けて、の合わせ技で実質金利を下げると全て上手く行くという話なので、「金利の過度の低下が金融システムに対して中長期的にリスク」などとは口が裂けても言えない(置物のクビを飛ばせば言えるけど)でしょうなと思いますが、少数意見で誰か反対したのを残してほしいなとは思ったりもします。

でまあその手の話が全然でないまま推移となりますと、まー債券市場は死ねという話ではあるのですが、ええまあ別にそれによって実体経済が盛大に復活してノーマルな世界が戻ってくれるのであれば一旦殺されましても別に名誉の戦死ではあるのですが、ドンドン緩和を拡大して結局物価目標もインフレ期待も全然ダメで更に追加緩和という話になりますと、ただの犬死にも程があるので勘弁して欲しい所ですな、うんうん。

つーかまあノーマルな世界が戻ったら溶鉱炉に沈んだはずの人(機械でしたっけ)がまた復活してターミネーター3が始まるのと同様に、死んだはずの債券市場も生き返りますのでその方がありがたいのですが、ただの犬死にされますと永遠に化けて出るしか無いので殺すにしてもきちんと意味のある殺し方をして欲しい物ですな。

しかしまあ最近の現象を見ますとやはり10月の追加緩和が決定的に悪手だったなあと思いますがその悪態雑談はまた追々。



2015/01/06

お題「新年おはぎゃあとな/3M入札とか需給によるイールドカーブの段差とか/SF連銀から小ネタをば」

ほほう。
http://www.mainichi.jp/select/news/20150105k0000e040123000c.html
仕事始め:「不偏不党の姿勢で報道」…NHK会長
毎日新聞 2015年01月05日 11時25分(最終更新 01月05日 11時52分)

新年初笑いなどと言うとこんな時間から何故か宅配便がやってきたりするのですね分かります。

それはそれとして今日も国営放送では食品値上げを困ったことだ系でニュースに。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150106/t10014464211000.html
即席麺や冷凍食品も 相次いで値上げ
1月6日 4時18分

ちなみにこの値上げの話、5時台とかは淡々と説明していましたが7時台になると「家計に負担増です」とかマクラは置くわ、「値上げ相次ぐ」という特設コーナーまで用意して食品上昇困ったという話をしておりまして、しかもその要因に思いっきり「円安」を連呼している訳でして、日銀様が円安で物価上昇目標達成ヒャッハーとかやっていると気が付けば世間から十字砲火という楽しい展開が起きるかもしれませんなあとか(その点で言えば原油下がって超ラッキーですけど)思うのですけどにゃあ。


○市場雑談メモ系

・新年おはぎゃあございます

昨日の株式市場ちゃんですが、
http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KE0FW20150105
初日からボラタイルな「官製相場」、2015年の展開暗示か
2015年 01月 5日 16:29 JST

『[東京 5日 ロイター] - 新年初日の東京市場は、動きの激しいボラタイルな展開となった。ギリシャの政情不安など海外の不透明感が強いにもかかわらず、特段の材料がないまま日本株はマイナス圏から急反転。日銀のETF(上場投資信託)購入を期待した買いが入るなど「官製相場」への期待が株価を押し上げた格好で、ドル/円JPY=EBSも切り返した。緩和マネー主導で大きく振れる今年の相場展開を暗示しているようだとの声も出ている。』(上記URLより)

平均株価で200円以上下げていたと思ったら急に戻ってプラスになって顎が外れそうになったのですが引けに掛けて失速とか何ですかこれはという動きを見ますに、最近すっかりお死にになっている国内債券市場の暫く前のような気もしますが、まあ債券市場みたいに全方面爆撃なのではなくてインデックス中心なのが救いっちゃあ救いでしょうかね。よー知らんけど。

そして今朝はおはぎゃあキタコレ!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150106/t10014464941000.html
NY原油先物 1バレル=50ドル下回る
1月6日 2時41分

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHODCZ6JTSEG01.html
ロンドン外為:ユーロ、対ドルで06年来の安値付近−緩和観測で
更新日時: 2015/01/05 18:24 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHPZIZ6VDKI401.html
米国債:30年債は12年以来の低利回り−原油安がインフレ抑制
更新日時: 2015/01/06 05:12 JST

・・・・・・・ということで何か正月早々お洒落な事になっておりますが、原油下がって日本経済に天の助けとか思ったりするのですが、お賃金の動向ガーとか言いながら春闘の結果まで引っ張るという日銀作戦参謀本部の思惑がある中ではございますが、さすがにCPIが+0.5%を割り込む展開になるとおちんぎんガーで引っ張れるのかねというのは懸念されますな。

でまあその時に何をやるかというのも読めない(この前飲み会で追加緩和予想の雑談をした中で「ついに買いました!金!!」とやったらビール吹かれましたが何か)次第でございますが、置物MB理論を継承すると考えますと「物価が行かないならMBを増やせば良いじゃないか」というマリーアントワネットばりの攻撃になりまして、その場合MBの拡大ペースを増やさないといけませんので、10兆円以上の上積みが必要となります。

でですな、まあ前回だって実質10兆円のMB拡大ペース引上げでしたが、構成的に長期国債を30兆円増やして多く見せるという悪ノリに近い動きをしましたが、今回もしやるとしてもMB拡大10兆円以上は必須とは言え、そもそも11月以降の相場を見ればお察しの通りで長期国債買入だってどこまで続けられるのかという話でありますので、どこからどう見ても10兆円拡大以上は出しにくいでしょうなと思います。

そうなりますと、もうこの際ヤケクソでやるならMB10兆円拡大で長期国債5兆円にETF5兆円増やして、「ETF5兆円」をメインにして「5」を出すとかもう無茶苦茶スキームしか思い浮かばないのですがどうするんでしょうかねえ。

あとですね、実は問題になるのが輪番のオペレーショナル的な限界でして、特にこの1−3月期は来年度の事を考えたら投資家が債券売るニーズが多分無い筈(今売ると目先の収益は上がるけど来期の資金収入を失う訳で、もう目先の収益は要らないし来年度苦しいのは端から分かっている話なので)なので、そらまあ新発を右から左に日銀に放り込む業者の皆様が何とかするとは思いますけれども、償還分の買いとかは投資家から飛んでくる事も勘案すると夢の輪番札割れとかが発生してもおかしくない訳で、それって1−3も危ないですけど買入残高が累増して来れば益々その傾向が高まる訳で、実は国債買入のオペレーショナルな限界到達というのが先になればなるほど可能性高まりますよね。

そう考えますと、まあ追加緩和やるにしても輪番のオペレーショナルな限界が露呈した後だと益々打つ手が無くなるというお洒落な事態になりますし、まあ債券市場の中の人てきに見た場合にどう見ても今の政策1年継続するのも物理的に困難でしょと思われる所ですので、結局追加緩和やらないといけないなら実は早めの時期に実施しないとそもそもの打つ手なし状態になるリスクがあったりするというのがおそロシアな所です。


しかしまあ何ですな、「2年で2%達成するために必要な措置を行った(キリッ)」という話をしたその2年の期日が近づく中で盛大にCPIが低下していくとか中々のナイスジョークではあるのですが、「適切な金融政策で短期間で2%目標達成可能」と大口を叩いて副総裁にご就任なされた置物大師匠の弁明マダーという所ですな、うんうん。


・さて今日は10年と短国3Mの入札ですが引値がオモシロ状態なのでその辺の雑談でも

10年はもうこの金利水準で何をせえちゅうねんという所ですが、3Mに関しては中々味わいがありそうな展開。

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UK1CR20150105
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.07%中心、3カ月物TBプラス圏に浮上
2015年 01月 5日 15:33 JST

『<15:24> 翌日物0.07%中心、3カ月物TBプラス圏に浮上

無担保コール翌日物は0.070%近辺を中心に取引された。主な取り手は地銀、信託、証券で、0.070─0.072%での出合いが多くなった。大手行は0.068%で資金を調達した。レポ(現金担保付債券貸借取引)レートが高止まりしていることが影響したため、総じて強含みで推移した。レポGCT+1レート(平均)は前営業日からは低下したが、0.086%と高め。3カ月物国庫短期証券(502回/TB)利回りは入札ラッシュなどで需給が今後緩むと見た売りが優勢でプラス圏に浮上した。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。』(上記URLより)

・・・・・・ということで四半期末ニーズの分もあったと思われる短国に関してはその四半期末ニーズ終了分の売りでも出たのか先月の新発3M分が珍しくも2bp水準まで金利が上昇するという動きになった訳で、従来ですとここですかさずマイナス金利で飢え死にしそうな人たちが炊き出しキターと群がる所なのですが、何せ今日からの入札3発(今日と木曜が3Mで金曜が6M)は夢の(別に夢ではないが^^)「3月期末越え銘柄」でありまして、どこからどう見てもそっちの方がニーズがアリアリでしょうという事で、期末越え銘柄の購入の為に待ち状態でしょうな、つーか昨日3月償還売った人も今週の新発に来るという所でしょうな、うんうん。

短国買入がどう推移するのかはまだ微妙な所ではあるのですが、まさか財政要因に合わせて短国買入を増減させるような「MBの為に金利が乱高下しても良し」的なオペレーションをしてくるとは思いにくい(これが普通の現先方式での短期資金供給オペだったら財政要因に合わせた帳尻を打っても問題無いけど、買入系のオペで帳尻をするのは市場をおかしくするだけなので普通はやらないと考えるのが妥当)ので、そうなりますと基本は「現在の短国買入残高を維持」という形になるので、短国買入要因で急に需給がおかしくなるという流れには暫くはならないかなと(・・・と普通だと考えるのですが、何せ昨年10月の前科があるだけに今の調節はアホアホオペレーションをやってくるリスクはある。それこそ明日短国買入やったら思いっきりテロだわ←というのはちと言い過ぎでした、まあ普通だと2兆円実施ですね)。

ただ、日銀の国債買入残高が累増するという事になりますと、その分担保不足になりますし、投資家の方の国債残高の帳尻ニーズの方も高まりますから、3月末に掛けてまたまた短国の需給が思いっきり逼迫するであろうというのは見え見えとか考えますと、まあ普通に考えて3月の特に後半に足の来る短国は再投資リスクが高すぎて要らんがなという話になるでしょうし、(逆に1か月程度の日銀買入対象外の方が短い資金ニーズに対応してニーズあるんじゃネーノと思う)3月期末越えの所の残高は早めに積んで置きたいとなるでしょうから、うっかりすると3月末の所で盛大に利回りが逆イールドになって、3月償還2bp越えで4月償還ゼロ利回りとか平気で起きる可能性もありますなという所で。

つーかですな、昨日の日本相互証券の債券引値とか輪番が減額になったうちの1年以内と超長期の後ろが謎に甘くなって、一方で中期はメインの減額対象だったのに何故か全然甘くならないどころか引けで謎の5糸強(つーかそもそも年末の2.5bpの引けも強いだろそれという所でしたが)となって、5年2.5bpで3M(ただし3月償還)2bpとかオモシロ引値になっていますし、利付の所でも残存1年の所で輪番の関係で需給が違うとばかりに2年335回(12月15日償還)がマイナス0.5bpで2年336回(来年1月15日償還)がマイナス3bpとかどんだけインバートしてますねんというオモシロ引値になっておりまして、もう需給だけの末期症状(いやまあだいぶ前から末期症状ではあるのですが)という所で、新年早々何やってるんだかというお話なのでした。


○サンフランシスコ連銀ネタである

いやまあこんなニュースがあったのでSF連銀のサイト見に行ったのですけどね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHPQZP6VDKHU01.html
SF連銀総裁:利上げを急ぐ「理由はどこにもない」
更新日時: 2015/01/06 02:23 JST

『(ブルームバーグ):米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は米経済が依然として金融緩和政策による支援を必要としているため、金融当局は急いで利上げするべきではないとの見解を示した。ウィリアムズ総裁は5日、ボストンで記者団に対し、「引き締めを急ぐ理由はどこにも見当たらない」と発言。「米経済はかなり改善しつつあるものの、トレンドを上回る成長に向けては依然として金融緩和が必要だ」と述べた。総裁はその上で、年内引き締めの可能性を排除しないと付け加えた。』(上記URLより)

・・・・・・・ウィリアムス総裁は割とコウモリ系ですが、そもそもSF連銀と言えばイエレンさんが総裁をやっていただけにSF連銀が出すペーパーとか中々いい感じで現行政策の正当性を主張するような物件が揃っていて(時にそれはちょっと無理ではないかというようなのも出る)、まあコウモリと
言うか単なる万年与党みたいな所ではあります。

で、報道だとバイアスがありまして、と言いますか「急ぐ」という言葉自体の意味が恐らく市場が見る時間軸とFOMC参加者の時間軸が違っていて、SEPでのドットを見れば判りますように、恐らくFEDの高官が「正常化を急ぐ」というのはそれこそプロッサーのオッサンばりの「急ぐ」を意味して発言していて、一方で市場がこの手の「急がない」というのを見ると「もしかしたら年内の利上げ着手もしないのでは」とか「秋に利上げしてもその後は様子見で中々金利が上がらないのでは」的な読み方をするんじゃネーノとかそんな風に感じるのですがどうでしょうかねえ。

てな訳で、SF連銀のサイトに逝って当該講演なり何なりがあるかなと思ったら惜しくも無かったのですけれども、別の物件を査収しましたのでちょっとだけご紹介。

http://www.frbsf.org/economic-research/publications/economic-letter/2015/january/unemployment-wages-labor-market-recession/
http://www.frbsf.org/economic-research/publications/economic-letter/2015/january/unemployment-wages-labor-market-recession/el2015-01.pdf
(URLが長くて画面構成上問題が起きるので途中までの所でリンクにしていますが上記URL先に飛びます)

FRBSF Economic Letter
2015-01 January 5, 2015
Why Is Wage Growth So Slow?
Mary C. Daly and Bart Hobijn

でまあめんどいのでエグゼクティブサマリーから。

『Despite considerable improvement in the labor market, growth in wages continues to be disappointing. One reason is that many firms were unable to reduce wages during the recession, and they must now work off a stockpile of pent-up wage cuts.』

これよく言われますけど、米国の場合は賃金に下方硬直性があって、というか労働需給の調整を賃金ではなくて雇用者数で行う傾向があるので、リセッションおよびその後の経済状況の中で賃金が上昇しすぎた分を今調整している為に賃金が中々上がらんという理屈ですな。

#なお日本の場合は賃金で調整していた筈なのですが戻りがががががが

『This pattern is evident nationwide and explains the variation in wage growth across industries.』

このパターンは幅広く観察されていますという事のようで。

『Industries that were least able to cut wages during the downturn and therefore accrued the most pent-up cuts have experienced relatively slower wage growth during the recovery.』

というペーパーで、中身は寝起きなので超斜め読みしただけ(なおPDFで5枚だし図表もあるのでまあ何となく斜め読みしても大体仰ることは把握できますので斜め読みオヌヌメ。

でまあまとめに『Conclusion』というのがありまして、

『National and cross-industry evidence shows that pent-up wage cuts reflecting downward nominal wage rigidities have been an important force during the Great Recession and subsequent recovery. The rigidity of wages in a number of sectors has shaped the dynamics of unemployment and wage growth and is likely to continue to do so until labor markets have fully returned to normal.』

という事になっていまして、要するに「労働市場が完全にノーマルに戻った時には最近の賃金ペントアップ状況から一気に脱却するでしょう」という結論になっていまして、昨日ご紹介したイエレン議長のFOMC後の会見(すいません今日は続きやってる時間が無いです)で「金融政策はフォワードルッキング」というのがあったと思いますが、恐らくヨイショ系のSF連銀がこういうレポートを出すという事からしますと、一応は物価に注目はしているものの、原油などの商品価格がさがっているのが要因という状況だとしますと、それよりも労働需給が改善していて労働市場が強くなった場合に賃金上昇圧力がその時点で急速に高まるという見方を今のFRB執行部系はしているんじゃネーノと思ったりする次第。

賃金の硬直性に関しては上記ペーパー後半の『Rigidity and wage growth across industries』辺りに説明がありまして、その中で(引用してるとキリが無くなるのでパスしますが)業種別賃金版フィリップスカーブの話があって、そこの『Figure 3 Wage Phillips curves by industry, 2008-14』というのを見ると製造業で賃金のペントアップによって賃金がアガランチ会長となっているとか、『Figure 4 Wage rigidities and the bending of the Phillips curve』という辺りが中々面白いので見てちょという所です。

まあそんな訳で、原油価格の動向よりもやはり賃金とか労働市場のスラックの方がトレンドの物価に影響を与えるという形での注目をしているのかねえとか思いつつこのペーパーを斜め読みしましたが、何がトレンドの物価を押し上げるのかという議論については今週出るFOMC議事要旨も確認したいと思うのでありました。


#てな訳でイエレン会見ネタがパスになってしまいましたすいませんすいません



2015/01/05

お題「MB達成ですねと言いつつ今年の何となく見通しも含めた悪態/今更ですがFOMC会見ネタ続き」

今年もよろしくお願いいたします。債券市場は来年の今頃どうなっているのでしょうか・・・・・・

#なおモーサテでは「新年にふさわしい企画」として相場予想に呼ばれているのは為替と株の人だけで債券の人がスルーされているのがお察しという所ですな

しかし何ですな、「米国利上げがリスク」という話が普通に言われていますが、そもそも利上げは金融政策正常化の一環なのですけど正常化がリスクとはこれ如何に(・∀・)。

#強烈な買い要因で年末日経平均2万円って随分と低いんじゃないの>モーサテ解説

○マネタリーベース目標達成ですねと言いつつ雑談

資金需給月曜の確報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd141229.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (12月29日<月>分)

マネタリーベース 2,758,800

資金需給火曜の速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx141230.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (12月30日<火>分)

銀行券要因(発行超=マイナス) -400
財政等要因(受超=マイナス) -5,700
金融調節 合計         +5,700

ということですので、財政とオペがツーペーですからMBは前日と同じとなる筈なので、12月末のMBは275兆8800億円となる予定で10月の追加緩和で示された

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
(別紙)日本銀行のバランスシートの見通し

の数値275兆円にきっちり着地させるという相変わらず数字の着地はやたら正確な所に収めてくるという金融市場局のオペ帳尻能力の高さを示してくれましたのでおめでとうございますという所ですな。

でまあそれは結構ではございますけれども、誠に遺憾なのはその着地に向けて債券市場は死ぬわ短国利回りは相変わらずのゼロ近傍だわで、年末にも悪態を申し上げましたように過度な金利低下の負担によって金利商品の提供が今後出来かねます的な話が出てくるようになっている(確定ではないようだが)訳で、何の為にマネタリーベースを拡大しているのかというのがよく判らんですなあというお話。

まー市場局はあくまでもオペ実行部隊ですから知らんがなという事ではあると思いますが、MB拡大しても別にインフレ期待が高まるどころかBEIは直近低下するわ、名目金利を盛大に下げた副作用は出てきているのに実質金利低下とやらで出るはずの消費や投資は別に盛大に出てくる訳でも無いわ、そもそもファイナンシャルコンディション自体はとっくの昔に緩和的だわというような状態で、普通に考えて作戦の立て方がおかしいと思われますし、市場局だって市場の状況およびその弊害について大本営に報告すれば良いと思うのに、市場との対話アリバイ会議の開催には熱心ですけれども実際の状況をまともに伝えているとは思えない(まともに伝えていたら先般の中曽さんのスットコドッコイ講演はあり得ん)わとゆー事で、まるで昔のソ連で党のエライ人が農場視察に行くときに行き先の農場同士で生産物を山積みになるように在庫を融通し合っていたような光景が見られるような状況になっているのが実にアレ。

#まあそもそも安倍ちゃんの経済政策がやたら指導が多いという点で(内務省検閲^^)

とまあ毎度の悪態ではあるのですが、何ちゅうかこう元々の戦略が全然当を得ない状態の中で、戦略の間違いを認める訳に行かないので更に間違いを過激に実行していって、最終的に焦土になるまで知らんがなとなるという話で、戦略爆撃で焦土にされるのかソ連の参戦で置き去りにされるのか知らんですが、まあ酷い目にあわさせるのが金利市場ですねえと思いますと早い所終戦(=MB直線一気で2年で2%理論の見直し)をして頂きたいのですが、まあ空襲で焼かれたりシベリア抑留されたりるす訳ではない昔陸軍今日銀の方々にとっては知らんがなという所ですから念仏唱えて待っているしか無いんでしょうなあ我々は。


でまあ債券市場的には輪番オペがどこまで持ちこたえるのかという話になると思いますが、どこからどう見ても1年この調子で継続とか無理としか思えないのですがどうするんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・・・

つーことで、今の国債買入がどこまで続けられるのかというのが今年のテーマなのですが、恐らく日銀作戦本部としてはマイナス金利を拡大していけば買入出来るでしょという考えだと思われます(執行部からの情報発信はそうとしか思えない)ので、債券市場の死にっぷりがどのような形で実体経済に波及するのか、というか波及して問題視されない限りはひたすら馬鹿のようにイールドカーブがおかしくなるという素敵な展開しか想像できないのが誠にアレですな。大体からして「金利低下は買入効果(キリッ)」とか言っている執行部が存在しているけれども、そもそも論として物価目標達成が見込めるという期待が高まれば本来は金利は低下しない筈(一昨年の5月を見よ)であり、追加緩和以降特に12月になって急速に金利が低下した(12月の過去ログ見たら金利が下がった市場が壊れたという話を毎日行っておりましてそらインフルエンザにもなるわと思った^^)のは市場の物価目標達成期待が更に後退しているだけでしょと思うのですが、金利が下がって「政策効果」とか言ってる場合じゃないと思いますけどね。


などといつもの悪態ですいませんが、特に追加緩和以降はロジックがハチャメチャになっている上に、その後の中曽講演やら黒田講演の「『2%』への招待状」(ちなみに英文の題名がもっと舐めくさっておりまして「"Welcome to the '2 Percent' Club" 」とか「2%クラブ」じゃなくて「マイナス金利クラブ」の間違いだろおいこらナメトンノカという題名で、上手い事言った積りだがどう見ても盛大に滑っている素敵な題名ですよ)という講演とか。12月の謎としか言いようがない上方修正とか、まあなんちゅうか経済物価情勢があって政策があるのではなくて、やりたい政策が先にあってそれに整合的なネタを探して屁理屈構成してるだろうという戦争末期的な状態になっているので、この先何が出てくるのかが難しいなあと思うのでありました。


○輪番は中期を減額して超長期の後ろをほんの少しデュレーション調整

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141230b.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

(注4)2015年1月5日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下700億円、残存期間1年超3年以下4,000億円、残存期間3年超5年以下4,000億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,400億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。

ちなみに12月はこの通り(11月末のリリースから引用してますよ)。

(注4)2014年12月1日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下1,100億円、残存期間1年超3年以下4,500億円、残存期間3年超5年以下4,500億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,600億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です

ということで中短期市場が盛大にぶっ壊れておりますので中期と1年以下の買入が減りまして(というか1年以下とか意味ないから買入止めろよと思うが)デュレーション調整で25年超が200億円減っているという構成になっておりますが、レンジの方を見ると超長期のレンジの下限が妙に上がっている(1300億円〜4000億円→2500億円〜4000億円)のは何ですねんという所で、まあ25年超を減らしたので単なる現状追認ではあるのでしょうが、レンジの下を切り上げてリップサービスでもしたつもりなんでしょうかさっぱりよくわかりません。

まあそれはそれとしまして、翌月のイールドカーブに(場合によっては)思いっきり影響を与える可能性が高いこのイベントなのですが、毎度申し上げておりますようにそういう物件でありますので、債券インデックス対応の売買を月末の引け基準で調整されるという事を鑑みまして、月末前日(というか25日位)に出して頂きたいと再度申し上げておきましょうというか、月末当日の引け後に出すという時点で市場局債券市場分かってねえだろ感を債券市場の中の人に強く見せつけてしまいまうので改善してくださいお願いしますお願いします。

なお営業毎旬と国債銘柄別残高を見ながら計数を確認するのは後日。


○超今更化していますがイエレン議長のFOMC記者会見ネタをば

どうもすいませんすいません。

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20141217.pdf
Transcript of Chair Yellen’s FOMC Press Conference
December 17, 2014

・会見の無い時には利上げをしないんですよねという質疑

『MARTIN CRUTSINGER. Marty Crutsinger with the Associated Press. Given the-what’s happening now with the transition with the Fed, there seems to be a pattern developing that the market expects big news to come when you have a press conference and no news to come when you don’t have one. But is that a good expectation? And is there any thought to starting to have a press conference at every meeting?』

会見の無い時に利上げしないと皆さん思っていますが、どうせなら会見毎回実施すれば??という質問ではありまして、まあ会見も毎回やれば良いってもんじゃないとは思ったりもしますけれども、ただまあ今回のFOMCですと「声明文がハト派でプレコンの冒頭説明が普通に利上げをする気が満々」というようになっていますし、大体からして声明文読んだだけだと「フォワードガイダンスの文言が「相当の期間」から変更になった」というのが判りにくいのを会見の説明で補足している、という形になっておりますし、その「patient」の意味に関しても会見の説明で「向こう2回は利上げしないという意味」とか解説しているとか、まあ今回のFOMCの特徴は「コミュニケーションポリシーに会見の冒頭説明を思いっきり使っている」という所だと思うのですよね。

・・・・・とまあ質問している方がそこまで考えて聞いているかどうかは謎なのですが、声明文だけでは説明が不足するというようなコミュニケーションの形を取るとなりますと、逆に言いますと声明文だけのFOMC会合の方が却って話がややこしくなるのではないでしょうかと思いまするに、毎回のFOMCで全部会見やった方が良いのかも知れないなとは思ったりもしますけどどうなんでしょうかね。

ということでイエレンさんのお答え。

『CHAIR YELLEN. So I would really like to discourage that expectation.』

まあそう来る罠。

『Every meeting that we have is a live meeting at which the Committee could make a policy decision. And we will feel free to do so. So I would really like to strongly discourage the expectation that policy moves can only occur when there’s a scheduled press conference.』

プレコンのある回のみ政策変更があるという考えに「strongly discourage」とな。

『And we have long had in place the ability to hold a press conference call, rather than an in-person press conference. And we did do so on a number of occasions in earlier years. So the Committee, clearly, would want to be able to explain its reasoning. As we begin the process of normalizing policy, every meeting is live. And if we were to decide at a meeting to begin to normalize policy, I expect we would hold a press conference call.』

プレコンの無い回で利上げする時には会見を追加しますよとまあ普通のお答えではありました。それ自体は当然ちゃあ当然なのですが、「毎回会見を実施」というのは触れていませんで、今の所その予定は無いようですな。


・原油価格の低下による影響に関する質疑がやはり多かったりする

結構このネタの質疑が多いのですよね。最初の質問もそうでしたが、次は「市場のインフレ期待が下がっていますが」という質問が飛んでいます。

『STEVE LIESMAN. Was there concern-Steve Liesman, CNBC-was there concern expressed at the meeting that the signal coming from markets-and a variety of markets-lower oil prices, lower yields around the world, was one of deflation, and that that risk was one that should, perhaps, overshadow the concern about inflation on the other side?』

世界的に原油価格の下落で金利が低下しているし、デフレ懸念も市場からシグナルが出ていると思いますが本当に大丈夫ですかという質問でこれは王道の質問。

『CHAIR YELLEN. Well, thanks Steve. We’re very attentive to global developments and certainly discuss them in the meeting. The very substantial decline we have seen in oil prices is one of the most important developments shaping the global outlook. It will have different effects in different regions and could well have effects on financial markets, as we are seeing.』

そのような現象は承知しておりますと。

『I think the judgment of the Committee is that, from the standpoint of the United States and the U.S. outlook, that the decline we have seen in oil prices is likely to be, on net, a positive. It’s something that’s certainly good for families, for households. It’s putting more money in their pockets. Having to spend less on gas and energy, and so, in that sense, it’s like a tax cut that boosts their spending power.』

原油価格下落は米国経済にとってポジティブで一種の減税効果であるというのは最初の所(年末にネタにした分)でもまあそういう説明でしたな。

『The United States remains-although our production of oil has increased dramatically, we still remain a net importer of oil. Of course there may be some offset in the form of reduced drilling activity, and possibly some change, some reduction in cap-ex plans in the drilling area. But, on balance, I would see these developments as a positive for the standpoint of the U.S. economy.』

一部にデメリットを受けるセクターもありますと。

『With respect to deflation, we see downward pressure on headline inflation from declining energy prices. We certainly recognize that that is going to be pushing down headline inflation and may even spill over, to some extent, to core inflation.』

でまあ物価の話ですが、コアインフレへのスピルオーバーもありますでよとは言っていますが・・・・・・

『But, at this point, although we indicated we’re monitoring inflation developments carefully, we see these developments as transitory.』

それは一時的です(キリッ)キタコレで、この点に関する質疑が後にあるので次に引用しますね。

『And the Committee continues to believe-especially with the improvement we’re seeing in the labor market, which we expect to continue-that inflation will move back up to our 2 percent objective over time. As I indicated, we will want to feel, I believe, that people will expect to feel reasonably confident about that when they-when the process of normalization begins. But we do expect them to be transitory.』

てな感じで原油価格の低下が物価に与える影響はひたすら「一時的」を連発しているのですが、では何で一時的やねんという質問がちょっと後にありましてですな。

『STEVEN MUFSON. Hi. Steve Mufson from the Washington Post. I was just hoping you could go into a little more detail about the oil effect. Even though you see it as transitory, does that give you a little more room to keep rates low in the next few months? And if-alternately, if prices bounce back, what’s that going to do to your ability to change rates, and how might you react to that?』

一時的とは言いますけどやっぱり原油価格が低迷して居ると利上げ遅れるし逆に原油価格が反発すると利上げって早まりますよね、という中々洒落た質問で、答えの方で良い論点を引き出しているのだ。

『CHAIR YELLEN. Well I-I’d say, you know, that I think what we have seen since the mid-’80s is that, in an environment where inflation expectations are well anchored, that movements in oil and commodity prices and import prices tend to have transitory effects on the inflation outlook.』

「インフレ期待がアンカーされている中においては」原油価格や商品価格の動きは物価に対しては基本的に一時的な効果しかもたらさない傾向にあります、と来ました。

『There were many years in which we had unanticipated increases in oil prices, really beginning in 2004 and 2005, that put upward pressure on headline inflation and sometimes even spilled through into core, and, typically, the Committee looked through those impacts on inflation with the view that they would be transitory. And I think experience bears out that they were transitory.』

前回の原油価格上昇時もコアインフレへのスピルオーバーなどもあったけれども結局の所物価上昇は一時的でした、という話をしていますな。

『And I think that’s the Committee’s expectation here. Inflation, even core inflation, has been running below our inflation objective. Movements in oil, you know, now down and perhaps later up, will move inflation around, certainly headline inflation. But the Committee, at this point, anticipates those impacts to be transitory. So as long as participants feel reasonably confident that the inflation projection is one where we expect to meet our 2 percent objective over time, that’s what I think how they’ll be looking at things as we decide on the path for the funds rate.』

ということで、まあこの辺の説明はBOEの説明(以前の)に似ている面がありますが、「インフレ期待がアンカーされているので一時的な要因による上下はキニシナイ」という説明になっていまして、確かにまあ英国のインフレ動向を見ると結局の所正解だったように(今の所)見えますけど、このインフレ期待自体がかなりあやふやというか鉛筆舐め舐めの余地が生じる所なので、結局の所「結果オーライ」的な部分が強く、そうなりますと、重要なのは経済情勢およびその背景となるメカニズムの判断であり、その際に例えば正常化着手を早くしたいからとか、遅くしたいからとかいうような「やりたい政策が先にあって判断が後から付ける」というようなどこかの中央銀行のような下心があると盛大に判断を間違えてグダグダになるリスクがあって、まあそういう意味では正常化着手にもリスクがあるという事ではあると思います。


・next couple of meetings の確認&物価2%と利上げ着手の関係について

冒頭説明で『we will see conditions for at least the next couple of meetings that will make it appropriate-for us to decide to begin normalization.』とある点の確認質疑が最初にありまして・・・・・

『BINYAMIN APPELBAUM. Binya Appelbaum, New York Times. Does “a couple” mean two? And when you talk about reasonable confidence in inflation expectations, can you elaborate a little bit about what it would take to give you reasonable confidence that inflation is headed back to 2 percent?』

後半はインフレ期待がアンカーされていると大丈夫とはどうですねんという話ですな。

『CHAIR YELLEN. So “a couple”-I believe the dictionary probably says, “a couple”means two. So, “a couple” means two.』

ということでこれはこれで良いのだが、金融政策に関しての説明が中々。

『And with respect to inflation-our forecast for inflation and inflation expectations, let me start by saying I think it’s important that monetary policy be forward looking.』

金融政策はフォワードルッキングである点を強調したいとな。

『The lags in monetary policy are long, and, therefore, the Committee has to base its decisions on how to set the federal funds rate looking into the future.』

標準的なグローバルスタンダードなインフレ目標では2年で達成するという置物理論の人たち見てる〜??

『Theory is important, and theories that are consistent with historical evidence will be something that governs the thinking of many people around the table.』

うむ。

『Typically, we have seen that as long as inflation expectations are well anchored, that as the labor market recovers, we’ll gradually see upward pressure on both wages and prices, and that inflation will tend to move back toward 2 percent.』

労働市場が改善して徐々に賃金も物価も上方圧力が掛かるでしょうとな。

『I think historically we have seen, as the economy strengthens and slack diminishes, that inflation does tend to gradually rise over time. And as long-you know, I-just speaking for myself, I will be looking for evidence that I think strengthens my confidence in that view and, you know, looking at the full range of data that bear on whether or not that’s a reasonable view of how events will unfold. But it’s likely to be a decision that’s based on forecasts and confidence in the forecast.』

でまあスラックが解消されたら物価は徐々にインフレ目標に向けて上昇しますという話だが、先行きの判断については状況を良く見て行きますと言うことで、その辺はデータディペンデントというだけに決め打ち成分をあまり入れないようにしていますけれども、実際に判断する辺りになって「やりたい事が先にありき」となるかどうかが今後の見物という所ですな、うんうん。

#これで概ね質疑の前半半分弱ですが後半はまた後日