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2016/09/30

お題「さて月末/今更ネタですが7月決定会合議事要旨より」

ほほう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160930/k10010712001000.html
外食各社 定番メニュー値下げなどの動き広がる
9月30日 5時15分

まーでもそんな感じじゃろうなあと思う。

○内田局長が日経経済教室で政策枠組み説明とな(とは言え雑感だけ)

・・・・・・・ということで昨日の日経「経済教室」で内田企画局長による金融政策枠組みの説明という割と斬新な取り組みが実施されるの巻。日経本紙の方なので引用とかは一応差し控えますが、まあ大体MPM以降の会見での説明、大阪金懇とその後の会見での説明、『目で見る金融緩和の「総括的な検証」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』での説明にある話ではあるのですが、まああの資料だけだと正直言って相当頑張って行間を読まないと表面上の「イールドカーブコントロール」とか「80兆円」とか「1年強で500兆円のMB」とか散りばめられる威勢の良い文言やらギミックやらに目が行ってしまうので、こういうのが出るのは有りがたい(のだが先程も申しあげたように日経本紙なので引用は控える)。

でまあそういう点ではアリガタヤと思うのですが、つまりは今回総括検証と新フレームを一気にぶち込んだ結果、一見しただけでは何が何だか良く分からんからどうなるのか分からん、という代物に出来上がってしまった、というのも事実であって、現実問題として、円の金利を稼業にしている人たちは吹きながら内容を理解した(しつつある?)と思うのですが、これ普段から日銀の理屈に付き合っていない人たちからしたら何が何やらワカランチ会長だと思うのですよ。だからこそ内田局長がわざわざこういうのを出して宣伝(?)するに至ったという話なんでしょうし。


つーことはですな、そもそもそういう難しい枠組みを打ち込んでいるのに、本当に「フォワードルッキングなインフレ期待の形成」に資する政策になっているのでしょうかというのはヒジョーにこうアレなものが有る訳でして、シンプルに出すとか、出すにしても全部まとめてゴテゴテ出すのは避けるとか、もうちょっとこの政策枠組みの打ち込み方にやり方があったんじゃないの急にぶち込んだ感が・・・・・・・と思うのでした。


○さて月末ですな(市場雑談と輪番雑談)

「本日の注目材料」とかモーサテの為替コメントでもまさかの紹介になっている本日17時公表の翌月の長期国債と今回から短期国債の買入予定(短国は概ねの額が出るようですが)でございますよという事ですが昨日の債券市場はまたまたロイターさんから。

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1C527Z
Markets | 2016年 09月 29日 15:14 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利は-0.085%に上昇

『<15:10> 国債先物が反落で引け、長期金利は-0.085%に上昇

国債先物中心限月12月限は前日比5銭安の152円31銭と反落して引けた。前日の米債安や原油高を受けて、売りが先行した。2年債入札結果はやや弱めの内容となったが、下値は限定的。期末要因に加えて、日銀が30日夕方に公表する当面の長期国債買い入れの運営方針で、10月の年限別買い入れ額に調整が入るとの見方から全般に様子見ムードが広がった。』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういうことで、「10年0%」という長期金利操作目標が設定される中で、とりあえず10年カレント▲10bpの手前で止まるという中々美しい(?)展開になっているようでして、▲10bpから先に突っ込んでいくには本日どう出るかがさっぱり分からん中で無理があるというお話のようで。

『現物市場は超長期ゾーンがしっかり。超長期は30日に予想される超長期を対象にした日銀買い入れに備えた持ち高調整や期末を控えた一部国内勢の買いが入った。一方、中長期ゾーンは、2年・マイナス0.3%、10年・マイナス0.1%といった節目水準が意識され、高値警戒感から上値が重かった。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高いマイナス0.085%。』

『短期金融市場で、無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.03%後半からマイナス0.04%程度と前日(マイナス0.043%)を上回る見通し。前日に引き続き、一部金融機関からの資金調達意欲がしっかりと示された。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.3407%と9月15日以来2週ぶりに過去最低を更新した。日銀買い入れを前提にした応札に加えて、海外勢からの需要に支えられた。』

ということで3M短国は発行日は期末跨いでいるのですが、年末跨ぎの銘柄でもあったりしますので短国の相変わらずの需給の強さを反映して入札堅調で引けも▲37.8bpとかにされていまして入札が▲35.47bp/▲34.07bpに対して強い所での引値にしておりまして、一方で2年の新発は既発対比で甘めになっているということですので、まー利下げ期待がどうのこうのというよりは足元での短い所への国債需要がやたら強いということ(2年新発は発行日が15日なので今買っても受渡ベースの残高を確保できない)って話でよろしいのでしょうかねえ、よー知らんけど。


つーことで、長い方では「10年金利の誘導水準」があって、短期政策金利が▲10bpなので10年のカレント金利についても▲10bpの所を意識したくなるとか、まあその辺りは売ってみたくなるとか色々とあるのでしょうが、何せ本日の買入をどう出してくるのかによって話が変わってくるというのは事実なのでとりあえず止まるという事なのでしょう。


まー昨日までに大体申し上げましたが、MPM以降の金利低下を受けて今回輪番を調整してくる、という可能性は勿論あるのですが、うっかりこの程度のプライスアクションを受けて輪番を調整しだしますと、「精密誘導」をしようとしている、という話になるので今は良いのですが、あとあと日銀の方が面倒なことになるからやらない方が吉に見えるんですよね。つまりですな、今回のスキームってそれこそ輪番のオファーを思いっきりぶらしたり、輪番の札を途中で切って買入金利水準を思いっきり出せば「精密誘導」とは言わないけれども結構誘導できると思うのですよ。

ただしですな、そこで問題になるのはその誘導水準が何でそこで妥当なのかという話について、先般引用した総裁会見などでもありましたように、そもそも均衡イールドカーブとか均衡中立金利に関するイメージ図とか出て来ない(それ以前の問題としてどういう計算したらそうなるのかというのだって今出ているのはあくまでもスタッフペーパーだしまだ鋭意研究中の世界)中で「この年限をここの金利に誘導するのが妥当です(キリッ)」とか言われましても何が何やらというお話。しかも中立金利の水準って概念的に言えば外部環境が変化すれば変化するものであって、この前のMPMで示した金利水準で永遠にピン止めするという訳にも行かないですし、そうなったら次の金利水準が何故妥当なのかというような話を一々していかないとアカンという話になると思うの。


とまあそういう風に考えますと、そんなに狭いレンジで細々と輪番の額を調整していくというのは却ってやりにくくなるし、市場の方だって全て日銀の出方次第みたいになって、市場が日銀のオペ当てっこ大会(まあこの政策枠組みの前からその節はありますがもっとひどいことに)になってしまいますなあとか、弊害の方が大きいんじゃないのと思います。一応10年0%とか言ってますからそら50bpとかズレたら誘導してねえじゃんという話になるでしょうが、たぶん普段1bpの世界でああでもないこうでもないとやっている(そういうものなので仕方ないのだが)金利市場の中の人たちと、政策運営という文脈で考える人との幅の感覚はだいぶ違うでしょと。


それから、今年の3月以降輪番って7月末公表分までの間ってやたらチマチマと動かしていて、8月末公表分の所ではさすがにいじってこなかった(総括検証中に下手に弄って政策メッセージみたいに言われたら困るからだと思います)のですが、前半にやたら細かく弄ってきたことの残像は強いので、今回も微調整あるでという説も有力視されていると思いますが、従来は輪番に関して「80兆円」と「平均7-12年」という縛りがあったので、買入の調整に関してはその範囲内での微調整(時価ブレによるものとか何とか)というような言い方ができて、そんなに政策的なメッセージを強く意識させないでも済んだ(とは言えまあ途中ではフラットニング牽制とか言われてましたけど)のですが、今回からはその辺の縛りが「メド80兆円」だけになってしまい、しかも「イールドカーブコントロール」(って吹きすぎのような気がしますが)って言っているんで、微調整と言えども政策メッセージが強く意識されやすくなる(現にモーサテで為替の人が思いっきり今日の注目材料とか言ってたし)ので、まーこれまでみたいな微調整ってやると自分の手足を無用に縛ることになって後々のオペ運営で死ぬと思うので放置になると思うのです。まーあくまでもアタクシの妄想だけど。


なお、短国買入の概ねの方針が出るというのもあって、従来は日銀保有国債および短国の買入償還バランスと財政要因を見ながらMB帳尻的に予想していたのですが、今回は償還見合いとかで出してくるのか(それとも3か月平均位の償還見合いにするのか)どういう出し方してくるのか良く分からん。ただまあ足元では短国の需給が強かったりしますように、そもそも論として買入の札が足りないとかいう事も多々ある中ですので、そんなに計画的に数字出せるのかというのも良く分からん所です、はい。


○遅くなりましたが7月会合議事要旨

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2016/g160729.pdf

まあそんなに見どころがあるような感じでもないのでちょっとだけ。

・物価見通しに関して

『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』の物価のパートから。

『物価情勢の先行きを展望すると、大方の委員は、消費者物価の前年比は、@物価の基調が着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていく、A2%程度に達する時期は、中心的な見通しとしては 2017 年度中になるとみられるが、先行きの海外経済に関する不透明感などから不確実性が大きい、Bその後は、平均的にみて、2%程度で推移する、との見方を共有した。』

ちなみにこの部分は直近のMPM公表文章でも継続してこうなっているのですが、「オーバーシュート型コミットメント」やるにしては随分と物価上昇の確度が急ですなあ(棒読み)。

『これらの委員は、本年4月の展望レポートでの見通しと比べると、成長率が上振れる一方、為替円高や中長期的な予想物価上昇率の改善が後ずれしていることなどにより、物価上昇率の見通しは、2016 年度について下振れるが、2017 年度、2018 年度は概ね不変であるとの見方で一致した。』

政府の経済対策で盛ったんでしたなそういえば。

『ある委員は、需給ギャップは改善方向で、予想物価上昇率もやや長い目でみれば上昇トレンドを維持していることから、物価上昇率は徐々に高まっていくが、2%程度の水準に達するのは 2017 年度後半頃の見通しであると述べた。』

白井さんは退任済みですがこの微妙な「後半頃」という微調整的な見通しは白井さんチックでぐぬぬという感じ。

『一方、別の複数の委員は、見通し期間中には2%程度に達しないとの認識を示した。このうちある委員は、予想物価上昇率が先行き急速に上向く蓋然性は低いとの見方を示した。 』

佐藤さんと木内さんですな。

『委員は、物価の基調を規定する主たる要因である需給ギャップと中長期的な予想物価上昇率について議論した。まず、需給ギャップについて、委員は、新興国経済の減速を背景に製造業の設備稼働率の改善が遅れる一方、労働需給の引き締まりは続いており、全体として横ばい圏内の動きとなっているとの見方で一致した。先行きについて、委員は、経済対策の効果もあって、失業率が低下するなど、労働需給の引き締まりは続き、設備稼働率も、輸出・生産が持ち直していくに伴い、再び上昇していくと考えられることから、需給ギャップは、2016年度末にかけてプラスに転じ、その後は、着実にプラス幅を拡大していくとの認識を共有した。』

まあこの辺は展望レポートで公表されたとおり。

『次に、中長期的な予想物価上昇率について、委員は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいるとの見方を共有した。委員は、この背景として、実際の消費者物価がエネルギー価格の下落などから1年以上にわたって前年比0%程度で推移したため、その影響を受ける形で予想物価上昇率が低下したことや、このところの個人消費の弱めの動きを背景に、新年度入り後の価格改定においては、食料工業製品や耐久消費財など「財」を中心に改定を見送る動きがみられたことがある、との認識を共有した。』

これ前者の方は適合的期待形成で弱まったという話なのですが、後者の方って現実の価格設定ということなのですから、「やや長い目でみれば全体として上昇している」というメカニズムが壊れているという話にならないのが不思議ですが、まあそれが壊れていると認めると400兆円積み上げたMBとは何だったのかという議論になるから今更認めることはできませんかそうですか。


・追加緩和でETFを拡大するロジックが大変に飛躍しているように見えますが

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』のところですけどね。

『議長は、英国のEU離脱問題等に伴う世界経済の不透明感の高まりなどを踏まえ、企業や金融機関の外貨資金調達環境の安定に役立つような方策としてどのようなものが考えられるか、説明するよう執行部に指示した。』

ということで出てきたのがドル特則拡大でして、まあこれはこれで良い話なので細かい部分はパス。

『委員は、金融政策を運営するうえでの物価動向の判断について、物価の基調的な動きが重要であるとの認識を共有した。委員は、経済・物価情勢の展望に関して議論したとおり、需給ギャップは、2016 年度末にかけてプラスに転じ、その後は、着実にプラス幅を拡大していくとの認識を共有した。また、予想物価上昇率について、委員は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいるとの認識を共有した。』

さっきと同じなのでツッコミ割愛。

『この点について、何人かの委員は、日本における予想物価上昇率の形成過程は、米国などとは異なって、引き続き「適合的」な部分が大きく、原油価格の下落や海外経済の減速といった外生的なショックに脆弱であるとの認識を示した。』

という話なら適合的期待形成に資する為にはもう直接物価上がるための円安政策しか無いんじゃないの、と思うのですが何故かETFの拡大になるのかというがこの後の論理展開なのだが正直良く分からん。

あとですね、まあそれは認める訳には行かないというのも分からんでもないのだが、先ほど申し上げたように、そもそも企業の価格設定行動自体がインフレ期待上昇のメカニズムが壊れていることを示しているのでは、という認識を前提にした政策って話が出て来ないというのも何とも(佐藤さんと木内さんは期待形成の方のメカニズムには悲観していると思うけどそもそものアプローチが出来るだけ早期にではないのでそういう議論が出て来ないのは仕様です)。

『執行部から提案のあった「企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置」について、委員は、英国のEU離脱問題や新興国経済の減速を背景に、海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場では不安定な動きが続いている中で、わが国企業および金融機関の外貨資金調達環境の安定に万全を期し、企業の海外展開等の前向きな経済活動を支援する観点から、導入が望ましいとの見解で一致した。ある委員は、「成長支援資金供給・米ドル特則」については、企業による長期・安定的なドル資金調達を補う手段として潜在的なニーズが強いため、これを満たすために、本行保有外貨資産の規模なども勘案して貸付額を現行の2倍まで引き上げることは適当であると述べた。また、この委員は、執行部より提案された「米ドル資金供給オペに関する担保の拡充」策は、実質的な現金担保とすることで金融機関の担保制約を緩和し、バックストップとしての米ドル資金供給オペの有効性を一段と高めるだろうと述べた。別のある委員は、米国のMMF規制の影響などから邦銀のドル調達環境がさらにタイト化していることを懸念しており、適切な措置であると述べた。さらに、一人の委員は、英国のEU離脱問題の発生を受けて、バックストップとしての米ドル資金供給オペの重要性が改めて認識されたところであり、米ドル資金供給オペの有効性を高める今回の執行部の提案に賛成であると述べた。』

まあこの辺はよいとして。

『そのうえで、多くの委員は、最近の海外経済の不確実性の高まりを踏まえると、「企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置」に加えて、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の枠組みの中で金融緩和を強化すべきであるとの認識で一致した。これらの委員は、現在直面しているリスクは、海外発の不確実性が企業や家計のコンフィデンスに影響するというリスクであることを考慮すると、最も有効な手段はETFの買入れ増額であるとの認識を共有した。さらに、これらの委員は、ETF買入れ額の増額幅について、約6兆円までほぼ倍増させることが適当であるとの認識で一致した。』

・・・・・・・・ここのロジックの飛躍がさっぱり分からんのですが、まあそもそも背景として(銃声)。



・ジンバブェ・・・・・・・・・・・・・

まあ何ですな、これ「主な意見」の方にもあったのですが1か月超を経て改めて見ると頭がクラクラする。木内さん提案への反対意見ですけど・・・・・・・・・

『この間、別の一人の委員は、金融緩和の限界、副作用という考えを否定することが必要であると述べた。』

と、このように威勢の良い事を言ったんですけど今回の総括検証結果に何で賛成してるんでしょ???????

『そのうえで、この委員は、金融緩和の「量」の限界は、あえて言えば、国債の発行残高であると述べたほか、金融緩和の出口局面で、金利の上昇により日本銀行の収益がマイナスになることが金融緩和の制約になるという議論について、日本銀行のバランスシートの拡大局面では日本銀行の収益は拡大していること、金利の上昇は長期的には日本銀行の収益増加要因となることを指摘した。』

まあ前回突っ込んだのでもういいです。


・総括検証が明らかに執行部から降ってきている件

でまあ最後の最後(木内さんの提案と誰かさんの反対意見の後)に唐突にこういうのがある。

『委員は、海外経済・国際金融市場を巡る不透明感などを背景に、物価見通しに関する不確実性が高まっている現在の状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する観点から、次回の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」・「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うことが適当であるとの認識で一致した。』

いきなりの唐突攻撃。

『何人かの委員は、この3年で経済・物価は大きく好転したが、「物価安定の目標」は達成できていないとしたうえで、2%の早期実現に何が必要かという視点から、この3年間の経済・物価動向や政策効果を政策委員会レベルで総括的に検証することが、今後の政策運営を適切に進めていくうえで不可欠であるとの見解を示した。また、複数の委員は、「総括的な検証」は、あくまでも2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために何が必要かを検証するものであり、2%の「物価安定の目標」を見直すということではないと付け加えた。これを受けて、議長は、執行部に対し、総括的な検証の準備を指示した。』

というので締められていまして、まーどう考えてもこれはそういうことでしたな、というのはおもな意見の時点で想像は出来ていましたが確認できたという感じです。



2016/09/29

お題「市場備忘メモ少々/決定会合レビューで会見ネタ続き(というかファイナル)」

増産凍結合意キター!!
http://jp.reuters.com/article/opec-agree-cut-idJPKCN11Y2SP
World | 2016年 09月 29日 04:24 JST
OPECが2008年以来の減産で合意、サウジ態度軟化=関係筋

○市場備忘録メモである

・2年と超長期が強いとな

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1C42AL
Markets | 2016年 09月 28日 15:42 JST
〔マーケットアイ〕金利:2年債利回り一時-0.305%に低下、需給締まる方向

『<15:40> 2年債利回り一時-0.305%に低下、需給締まる方向

2年債利回りに低下圧力。一時7月29日以来となるマイナス0.305%と節目のマイナス0.300%を下回った。市場では「日銀の追加緩和が仮にあるとすれば、マイナス金利の深掘りを想定する一部の投資家が買い進んでいるようだ。日銀オペの結果もしっかりしていたことから需給が締まる方向にあるとの判断も見られたもよう」(国内金融機関)という。』

『<15:17> 国債先物は続伸、2年債利回り7月29日以来の-0.300%に低下

長期国債先物は続伸。27日の欧米市場で欧州銀をめぐる懸念から安全資産の国債が買われた流れを引き継いで買いが先行。日銀が中期・超長期を対象にした国債買い入れオペが通告されると、上値追いの展開になった。後場はオペ結果がしっかりだったため、上昇幅を拡大する場面があったが、日銀の許容範囲を意識する売りも出たことから次第に上値が重くなった。

現物債もほぼ先物の流れに沿った動きになった。日銀オペの結果が強かったことで、金利の低下余地を模索するとの見方も出ていたが、10年債利回りが節目となるマイナス0.100%に迫ると市場は日銀のイールドカーブ・コントロールを意識して冷静に対応した。もっとも、終盤には好需給を反映して押し目買いがやや優勢になった。』(以上上記URL先より)

なお昨日の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of160928.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,000 2016年9月30日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,200 2016年9月30日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2016年9月30日
国債買入(残存期間25年超) 1,200 2016年9月30日

とまあそういうことで昨日の前場は引き続きで超長期イマイチだったのですが、輪番が案の定別に減額されることもなく普通にオファーされまして、超長期輪番の結果が特に25年超の方が強めになったのでそのまま強い輪番結果にさや寄せされる形で超長期強くなって中期以降でみるとブルフラットの巻となりまして20年引けが0.345%(3.5強)だの30年引けが0.455%(4.5強)だのというお洒落な展開となっておりましたな。

でもって2年の方が相変わらず何か強くて上記URL先にありますような有様で2年カレントの引けは▲30bp(3毛強)なんぞになっておりまして、期末需給とかの要因だとは思うのですけれども(ちなみに期末需給なのか短期ゾーンが利下げ期待とかで金利が低いのかは今日の2年入札が期末跨ぎの半月先渡し発行で出てくるので既発との温度差みれば何となくわかるかもしれない)、それにしてもちょうど先日の黒田総裁大阪講演でわざわざ「追加緩和をするときは長短金利の引き下げ」とか言った所とタイミングが重なってしまっているので、それはもう余計に「マイナス金利の一段の引き下げ期待」というようなトークが出てくる(というか多分国内の金利の人でマイナス拡大がいきなり来ると思っているのは少ないと思うけど、海外辺りは引き続き黒田節に煽られやすいし、需給要因入りとは言えこういう動きがタイミングよく入ると市場のプライスアクションによるフィードバック効果が出てしまいますよね、というお話。

まー何ですな、この勢いが10月入ってまだ続くのか(期末需給ネタって期末抜けたら即座に解消するかというと余波が続く場合も多々ある)見ていきましょうという感じではあるのですが、あまりにも続いていると債券市場がこの状況だから利下げ期待とかいうバンドワゴン効果が出てくると、何のことは無い市場からの追加緩和クレクレと日銀の戦いという毎度のパターンが何も変わらずで、何のために金利レジームにシフトしたのかという残念な事になるかもしれません。


・超長期よりも中短期の輪番減らす方が過度な金利低下抑制できないかという与太話

まー今回は期末需給要因ですね仕方がないですねという話だとは思うのですが、そもそも論として中短期の輪番って絶対量が多くなっている訳でして、その中で金利水準が日銀当座預金マイナスチャージを盛大に下回って推移しているから国内最終投資家の実需が抑制されていて、その結果として輪番が回っているという節がだいぶあると思うのよ。だからこそ金利水準関係ない期末実需が入ってきたり、ドル調達絡みでの需要が増えたりするというような状況になるとホイホイと金利が下がりますし、まあ7月相場のように「付利下げ織り込み」みたいな相場をやっても同じくホイホイと金利が下がりますし、というようなバランスになっていて、大体からして中短期買い過ぎじゃヴォケというのは(今に始まった話ではないが)再認識という感じがだいぶするのでありまする。

でまあ昨日も申しあげたとおりで輪番については今月特に調整してこないとは思うのですが、少なくとも直ぐにテーパリングとか言われるような事のないようにするためには超長期輪番を調整してくるときには中短期の輪番で帳尻を合わせに行くような事になって、まあ超長期と中期では買入の絶対額が違うので超長期の需給インパクトと中期の需給インパクトは違うとは言え、もともと買入が過大な所の中期の金利を一段と下げるようなプレイをするのもどうなのよ、というのと、そもそも中期がアホほど強くなると結局後ろの金利にも影響する話なので、カーブ形状云々の前に中期の金利をもう少し持ち上げるようにする方がオペレーションを長持ちさせるためには良いような気がしてきた(中期の金利が上がると後ろにも波及するし)のですが、ただまあ中短期の輪番って減らすときには超長期の1回200だの300だのというようなロットではなくてもっと大きくなるから量という意味では目立つというのもあるのが問題なのですが。

まあ何ですな、つまり年間80兆円ペースのMBやら国債買入やらの拡大ってえのは元々投資家実需を排除して日銀が買うような形ではないとサステイナブルに維持することは難しくて、そうは言っても以前からの発行分があるので最初のうちはとりあえず回っていたものの、時間の経過とともにだんだん無理が生じてきましたよ、ということではないかと思われますな。


○引き続き決定会合レビューと大阪講演ネタをボコボコ混ぜて突っ込みますが

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609b.pdf(MPM後の定例会見)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160926a1.pdf(大阪講演)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609c.pdf(大阪講演での会見)


・説明は分かったが効果はどうなのかという質問が来るとこうなる

まあ何ですな、今回の決定って「サプライズ路線からの脱却」っぽい雰囲気で進んでいたのですが、結局政策発表がサプライズみたいになってしまい、まーアタクシ的には「別に今回は総括検証の結果だけ出して、その後の事は皆さんこれ見て考えてね」で良かったと思うのですが、長短金利操作とか打ち込まざるを得ないほど追いつめられていたという事でしょうなとは解釈したのですけれども、何もこういう政策転換を急に打ち込むという1月のマイナス金利と同じことをせんでもええじゃろという所ですが、そんな訳で記者の方々もややトサカに来ているのか微妙に面白い質問が入っているのが鑑賞物として楽しい、という定例会見。

『(問) まず、今回の政策の枠組みの変更によって 2%を達成できるのかという市場の懸念は残ると思いますので、どのような道筋を描いていらっしゃるのかをご説明頂きたいと思います。特に、適合的なインフレ期待という話もありましたが、賃上げなどの要因もあると思いますので、政府との連携、財政面なども含めて、ご所見を伺いたいのが 1 点目です。2 点目ですが、今回の一連の「総括的な検証」に関しては、市場との対話を重視されてきたと思います。ただし、今回新しく長期金利目標が加わることによって、いわゆる政策反応関数は複雑になると思うのですが、今後そうした面での対話について、どういった姿勢をとっていかれるのか、お伺いします。』(定例会見より、以下同様)

『(答) 2%達成に向けた道筋についてですが、従来申し上げているように、実質金利の引下げによって、景気を刺激し、失業率を引き下げる、あるいはGDPギャップを縮小することを通じて賃金や物価が上昇していくというメカニズムは基本的に変わっていません。』

でもそれが全然ワークしていないから今の状態なのでは・・・・・・・・と言いたくなる訳ですが。

『むしろ、そういったメカニズムをより明確にしっかりと働かせるためにも、今回の「イールドカーブ・コントロール」という形で適正なイールドカーブを実現し、経済に最も望ましい実質金利の引下げを実現していくとともに、新しく「オーバーシュート型コミットメント」によって予想物価上昇率の引上げを図る、この両面で従来の政策の枠組みをさらに強化したということです。』

マイナス金利政策の中で量を買って金利を既にバカスカ下げていたのですが、それで半年くらいやっても効果が全然出て来ないという状態なのにイールドカーブコントロールをすると何で効果が出てくるのかという事に関しての明確な説明は無いですな。

でもってオーバーシュート型コミットメントですけれども、これによってフォワードルッキング的な期待形成(適合的に対して合理的でしたな)に働きかけてインフレ期待を高める、というお話で、その理屈自体は「コミットメントを強化したからフォワードルッキングな期待形成を強化できる」という事なのかもしれませんが、だったら今回の政策決定の時に何で金利操作とコミットメントを同時に投下したのかと小一時間問い詰めたい訳で、政策決定に関する報道って全部見ている訳ではありませんが、どこからどうみても「長期金利操作」の所ばかりが注目されて(そら超新機軸なのだから当たり前)おりまして、コミットメントを強化した話って長期金利操作の陰に入ってしまう形になってろくすっぽ注目されていないわけで、コミットメント強化しても注目されないのであれば、合理的期待形成に対して働きかける効果が減殺されているとしか思えませんので間抜けにも程があって、だったら今回はコミットメント強化しておいて後から長期金利操作をうちこめば一粒で2度美味しかったんじゃないですかねえ、とイヤミの一つでも言ってみる。

まーそれ以前の問題として、2年で2%のコミットメントに加えてマネタリーショックを打ち込むことによって一時的には合理的期待形成によるインフレ期待の上昇が起きたものの、結局それがコケてしまった訳で、それが原油ガーとか円高ガーだけなのか、そもそもその程度では実際は合理的期待形成を動かせていないのかというのが結局総括検証を見ても良く分からんという中で、何だか一般ピープルが見て分かったような分からんようなオーバーシュート型コミットメントというので(しかもマネタリーショックを伴わない)効くんですかねえというのもあるが、まあヤケクソでやっているのでその辺は仕方ない(つーかヤケクソでマイナス金利入れたら却ってインフレ期待が下がった説もあるくらいなのでヤケクソも方向性を間違えるとあばばばばー)。

『なお、政府の様々な政策との関連については、公表文の最後にも述べていますが、2013 年 1 月の共同声明を引用しながら、日本銀行はこの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進して、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現し、政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果によって、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導くことを考えています。』(ここまで定例会見より)

もうちょっと「金融政策一本足打法ではイカン」という説明をした方が良いのでは。

でもって後半の質問。

『2 番目のご質問の市場との対話ですが、これは従来常に心がけているところでして、様々なチャネルを通じて市場との対話を続けています。今回の新しい枠組み、これは従来の「量的・質的金融緩和」あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」といった政策枠組みを強化する形で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」にしたわけですので、当然その内容等については、引き続き市場との対話を強化し、その趣旨、効果をよく理解してもらうように努めていきたいと思っています。』

発言はしているものの全く持って意味の無い説明という時点でまあ市場との対話とか政策反応関数の明確化とかそういう事に関してはお察しという事です。


でもって「結局物価は行くのか」という質問は大阪講演後でも行われていまして、

『(問) 2 点あります。1 点目は、2%の「物価安定の目標」の達成時期は「2017年度中」で今も変わらないのでしょうか。今回、コミットメントを、「2%を超えるまで」に変えたわけですが、これで見通しは変わってくるのでしょうか。(後半割愛)』(大阪会見より、以下同様)

この答えが中々こう鑑賞物としては笑えるので引用。

『(答) できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を達成するということは、2013年 1 月に決めて、政府との共同声明に明記して以来、一貫してはっきりしている日本銀行としてのコミットメントであります。そのもとで、今回、そのコミットメントをさらに強化し、実績値が安定的に 2%を超えた状況がある程度続くことを目指し、マネタリーベースの拡大方針を続けていくということまで、強くコミットしたわけです。また、今は年に 4 回、展望レポートで、経済見通し、物価見通しについて、政策委員の方々の見通しの幅と中央値を示しています。最新の展望レポートでは、物価見通しの中央値でいえば、来年度中に 2%に達する可能性が高いが、そこには不確実性もあると言っているわけです。毎回、展望レポートで議論し、その時の経済・物価情勢を踏まえて、見通しを示すことになると思います。その前提として、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するとコミットしており、さらに今回の「オーバーシュート型コミットメント」では、より強いコミットメントとしています。それによって物価上昇期待を押し上げると共に、景気の回復を促進して、失業率やGDPギャップを改善し、それを通じて物価上昇率を押し上げていくという両面を狙っていることは変わっていません。』

ここまで延々としゃべって実質的に何も言っていないというのが凄い。

『今の時点の最新の見通しは、2017 年度中に 2%に達する可能性が高い、ということです。(後半割愛)』(ここまで大阪会見より)

って結局答えはこれだけなのですが、まあ途中の部分も少し入れるにしても二言位で話が終わりそうなものをああでもないこうでもないと延々と説明する、というのは大体説明が出来ないからそういう展開になる、というのは皆様にも身に覚えがあるかと存じますが(と書いている本人が一番冷や汗が出てきた)、まー要するに今回の政策枠組み変更って「このままでは物価が行かない中で追加緩和要求が無限に来るのでどうしようもないし、要求躱して行ってもそのうち政策が物理的に厳しくなる」とか色々(金融機関の問題とかもあるでしょう)とあって政策転換しないと行けなかったという事なんでしょうな。ですから総括検証の過去の話はできても未来の話になると急にこのように怪しげになると。


ですからまあ定例会見の方にも戻りますけれども、

『(問) 今回、従来の枠組みをさらに強化したということで、当然総裁任期中のデフレ脱却が十分可能だと考えるのか、これが 1 点です。(後半割愛)』(定例会見より、以下同様)

『(答) 2%の「物価安定の目標」がいつ達成されるかということは、展望レポートで毎四半期示しており、最新の展望レポートでは、2017 年度中ということになっていますが、同時に様々な不確実性が大きいということも示しています。』

『(問) 総裁の任期中にデフレ脱却ができるかどうかについては、不透明と言うか、はっきり分からないということでしょうか。』

『(答) 現在の展望レポートでは、2017 年度中に 2%程度に達する見通しであると書いています。ただ、不確実性が大きいということは言っています。


となっていまして明らかにこれ自分の任期中無理ですと言ってるようなもんですから、きわめて意地の悪い言い方をすれば「自分の任期中に2%は行かないし、どういう政策をやってもそこを何とかするのは無理と分かったので、とりあえず残り1年半の間政策を維持できるような枠組みに切り替えて、後は後任に丸投げしてしまえ」という決断をしたんですかねえとか言いたくなるんですけどねえ。


・なお定例会見での質問は割と容赦ないですな

特に後半で(^^)。

『(問) 「総括的な検証」について 2 点お伺いします。(前半割愛)もう 1 点は、「適合的な期待形成」という言葉をお使いですが、要はデフレマインドが思ったより根強くて、なかなか先々まで物価が上がらないと人々が思うということだと思いますが、総裁は就任会見でもデフレマインドを払拭するという強い意志を掲げて「量的・質的金融緩和」を導入したわけで、それができなかったことについて、結果を出せなかったと考えていらっしゃるかどうかコメントをお願いします。』

ちなみに答えは物凄い勢いで言い逃れになっているのですがあまりにも長いので引用を躊躇するレベルだが引用する。

『(答) (前半割愛)「適合的な期待形成」については、これも「総括的な検証」の中で、各国と比較すると日本は予想物価上昇率が足許の実際のインフレ率により強く引きずられる傾向があることを、計量的な分析で示しています。これはおそらく、15 年以上続いたデフレのもとで――色々な計算があると思いますが、1998 年から 2013 年までデフレが続いて―─、デフレマインドがかなり企業や家計の間に染み付いているということがあるとは思いますが、予想物価上昇率の形成について適合的なものが多いということは、計量分析が示している通りです。もちろんその場合でも、大幅な原油価格の下落などの外的要因で実際の物価上昇率が下がるということがなければ、順調に予想物価上昇率も上がっていったと思います。』

負け犬のオーボエ。

『現に、「量的・質的金融緩和」を導入して、2014 年には物価上昇率が 1.5%までいったわけです。その後、原油価格の下落その他によって、実際の物価上昇率が下がっていくという過程で、「適合的な期待形成」が大きく影響したということは否めないと思います。』

ふーん。

『足許では、潜在成長率を上回る成長が基調として続き、失業率はどんどん下がって 3%まできていますし、GDPギャップもどんどん縮小しています。そうしたもとで、物価の基調は上昇していくと思いますし、原油価格もいつまでも下がるわけではなくて、その影響は次第に剥落していくと思います。実際の物価上昇率が次第に上昇していけば、「適合的な期待形成」のもとで予想物価上昇率も次第に上がっていくと思いますが、やはりこの際、フォワード・ルッキングな予想物価上昇率の形成を後押しするために、「オーバーシュート型コミットメント」によって、より強く日本銀行として 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという決意を示したわけです。』

だったら先に物価を円安ショックで上げてからコミットメントの強化をした方が良いのでは(ニヤニヤ)。

『フォワード・ルッキング型と適合型の予想物価上昇率の形成が、双方相俟って、予想物価上昇率が次第に上がっていくことは、是非とも必要なことです。これは展望レポートでも、2%の「物価安定の目標」を実現することにより、予想物価上昇率自体も 2%に向けて押し上げられると言っています。それは 2%の「物価安定の目標」を持続的に実現するために不可欠であると思っています。』

とまあ長い長い。


この質問もワロタ。

『(問) 今の点にも関連するのですが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入された直後、総裁はこれは世界の中銀史上で最も強力な枠組みであるとおっしゃっていたと思います。今回の枠組み修正は、半年強経って、今おっしゃったような悪影響がみえてきた中で、それを踏まえて修正を図るということですので、もともと最強の枠組みでもなかったということなのかというのが1 点です。(後半割愛)』

『(答) まず第 1 点につきましては、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が「量的・質的金融緩和」を超えて、金利という次元を追加して 3 次元の極めて強力な金融緩和の枠組みであるということはその通りであると今でも思っております。その上で、先程来申し上げている通り、経済に対する最も大きな刺激効果というのは実質金利の引下げであることは事実なわけです。そういった面では、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は強力な効果を持ったわけです。ただ、その一方で、先程来申し上げているような論点もあるのは事実であり、従って今回の「イールドカーブ・コントロール」、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって、これをさらに強化したということです。(後半割愛)』

政策が金利操作に転換しているのにさらに強化とは物は言いようにも程がある。


他にはこんなのも。

『(問) 量の部分で 1 点だけなのですが、今後金利調節をしながら、柔軟に量を増減させるということになると思うのですが、それを考えると、今まで機械的に年間 80 兆円ずつ増やしてきたということ自体が無駄玉だったというか、やりすぎたのではないかと、そのような思いはありますでしょうか。』

イイハナシダナー。

『(答) そういう思いは全くありません。国債を大量に購入してきましたが、市中に残っている国債は総発行高の 3 分の 2 くらいあり、そういう意味ではまだまだ量的に限界に達しているということは全くありません。他方で、どんどん市中の国債が減っていって、その中で 80 兆円を、毎月――その 12 分の 1 というわけではないのですが――購入していきますと、いわば 1 単位の国債を買入れることによる金利の引下げ効果というのは、より強くなってくる可能性はあると思います。ですから、そういう意味では、適切なイールドカーブ、まさに経済にとって成長を促すための最も適切なイールドカーブの実現のために必要な国債の買入れというのは、経済や金融市場の状況に変わってくるわけですので、80 兆円をまず固定するよりも、むしろ経済にとって 1 番好ましいイールドカーブを考え、それを実現できるような国債買入れをするということだと思います。』

量的ターゲットから完全に脱却してるのですがそれは。

『現時点においては、現時点のイールドカーブは概ね妥当ではないかと考えています。80 兆円という国債買入れをめどとして維持しています。しかし、将来こういったイールドカーブを実現するために必要な国債の額は、その時々の経済、物価あるいは金融情勢によって上下すると思いますので、あくまでも「イールドカーブ・コントロール」、「長短金利付き量的・質的金融緩和」というフレームワークに則して、イールドカーブが最も適切な形になるように、国債の買入れを続けていきます。その場合には、柔軟にしかし幅広く国債を買って、適切なイールドカーブを実現していくということだと思います。』(ここまで定例会見より)

ということで、まあ連日申し上げていますが、そもそもこの時の「現時点のイールドカーブ」というのが本当に年間80兆円の今のペースが延々と続くことを前提にしているのかというと全然そうじゃないですし、大体からしてそのペースで購入したら金利が下がるというのを完全に誤魔化しながら(置物リフレ三銃士を黙らせるために誤魔化すしかなかったという点には同情の余地はあるものの)説明をしているので、更に市場との対話がワケワカメになってきているのではないか、という所は大いに危惧されます。



しかしこの定例会見最後の、

『(問) 国債買入れのペースに増減があるということですが、これはテーパリングに向けた動きなのでしょうか。(後半割愛)』(定例会見より)

『(答) テーパリングではありません。テーパリングの定義は色々あると思いますが、米国での議論を踏まえれば、QEの目的が果たされて 2%の物価安定目標が実現されるのであれば、国債の買入れを次第に減らしていくという話だったと思います。私どもはまだ 2%が達成されていませんし、公表文にもある通り「オーバーシュート型コミットメント」のもとで消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に 2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると言っていますので、テーパリングでは全くありません。(後半割愛)』

ってそれをテーパリングと言うんですがとしか言いようがないとか、まあ置物マネタリーベース直線一気理論の呪縛は大きいという事でしょうな、うんうん。

#とまあバラバラで7月議事要旨やFOMCレビューも途中ですが明日も頑張って打ち込んでいきます






2016/09/28

お題「引き続きMPMレビュー関連である」

引き続き色々とネタが投下されていて全然追いついていないのですが、アタクシも期末モードだったりしましてこの書き溜めしておいてどばーっと投下するという作戦ができなくて誠に申し訳ございません。

○まずは市場世間話メモ

・ツイストスティープニングとな

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1C326T
Markets | 2016年 09月 27日 15:24 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が大幅続伸、長期金利は1カ月ぶり-0.080%に低下

『<15:15> 国債先物が大幅続伸、長期金利は1カ月ぶり-0.080%に低下

国債先物中心限月12月限は前日比29銭高の152円15銭と大幅続伸で引けた。前日の米債高を受けて買いが先行。40年債入札結果が順調だったことも買いを誘った。また、欧州市場で銀行不安が再浮上したことを受けて、海外勢からリスク回避を目的にした買いを観測。先物12月限は一時152円17銭と中心限月ベースで8月1日以来の水準に上昇した。

現物市場は、海外勢の買いで中短期ゾーンが堅調。2年利付国債利回りは一時同5bp低いマイナス0.280%と9月15日以来、5年利付国債利回りは同3.5bp低いマイナス0.235%と8月1日以来の水準に低下した。一方、40年債入札をこなした超長期ゾーンは上値の重い展開。利回り低下を追いかけて買い進む動きは見られず、あすにも予想される日銀買い入れを控えて様子見ムードが広がった。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp低いマイナス0.080%と8月31日以来の水準に低下した。』(上記URL先より)

ちゅーことでまあ昨日は2年が4毛強の▲27bpとかなのですが、そもそも短国の3Mが▲36bpの引け(カレントの635回は12月26日償還で海外の休みにぶち当たっているので若干甘いけど▲34bp水準)とかになっていまして、短国の水準が総括検証の結果が出る前に強かった訳ですが、引き続きその水準のままで推移していまして、まあ強かったりしますな。

ちなみに先週金曜の短国買入が
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160923.htm
国庫短期証券買入 9,863 7,500 -0.035 -0.008 87.0

で応札も少なくて(どうせ635回が入っているのでしょうが)期末要因もあって需給は締まっている感じを受ける次第でありまして、まあこの辺強くて利付の短期ゾーンが強くなると更に短期の方が強いという印象を与えますな。別に利下げ観測が急に高まるような話でもないとは思うのですが、2年が▲27bpで5年が▲24bpとかこれも期末要因とかが強かったりするまーた威勢よく下がってくると後付で追加利下げ観測ネタとか言われそうなのが何とも。

あと昨日のCP買入
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160927.htm
CP等買入 11,357 5,500 -0.067 -0.032 80.0

ここもとCP買入ってゼロ張り付き状態からマイナス方面になっているのですが、まー元々CP買入の対象になりそうな銘柄の発行が少なくなっている(と思う)のと期末要因もあって(この買入は受渡日が期末)レートの方は下がる(その割には応札はある印象だが)の巻となっていまして、そらまあMBがドンドン増えているのだからそうなるわという所ではあるのですが、CPも需給相変わらずのタイトさという状況になっていまして、まあ短国も含めて短い所がやたら確りの印象になっている次第。


でもってその一方で(40年入札は確りでしたけど)今週に入って超長期はカーブ的にパッとしないというのが続いておりまして、まー超長期(特に25年超)の輪番減額への警戒が強い(というか減るのがだいぶコンセンサスみたい)ようで、うーんそうかなあという感じがせんでもない。


・まあそもそも「80兆円拡大」と「金利を現水準近辺で誘導」の両立に無理があるのだが

でまあ以下雑談なのですが、そもそも論として小見出しの通りでして、80兆円規模での買入拡大を行おうとしますと金利というのは需給でホイホイと下がっていく訳でございまして、「金利ターゲット」にしたのに妙な所で量の数字を入れているのが話をややこしくしているのですが、まあこれはリフレ三銃士の賛成を取るのと、他市場、特に為替市場がMB拡大ペースを落とすと緩和縮小とか言い出して(日銀的に)ネガティブな反応をしそうなので、露骨にMBから脱却できないという問題があるのが困りものだったりすると推察されるのよ。

でまあこのMB拡大ペースというか要は国債買入ペースなのでしょうが、このペースについては金利ターゲットで特に下げに行かないというのであればどこかで拡大ペースを落とさないといけないのは明らかなのですが、いきなりそれをやると為替が円高に振れるリスクがあり、その辺は慣れてくるまで様子を見ないとさすがにマズーだろというのと、まあそうは言いましても米国様の要因で暫くは動く方がでかいと思うので辛抱しておいた方が無難という話になるように思える訳ですよ。

とまあ考えますと、市場コンセンサスらしいのですが超長期の後ろの輪番減額っていきなりやるのってどうなのかねえという気はだいぶする(まあ答えは金曜に出ますが)次第で、超長期輪番減らすとレジームを事実上金利にシフトしたとは言え、明示的に変化させたというよりは時間を掛けてなし崩し的に金利にシフトしつつ量の軛から足抜けしていこうとしている感じでやっていると思うのよ。

でもって恐らくこれまでだと超長期の輪番を少々動かしても「80兆円」というのがあるからあまり他市場も気にしなかったと思うのですが、今回は政策枠組みを変更した直後になるので、いきなり量をいじってくるのは、超長期25年超とかだと一発200億円下げても月間1000億円とかだから誤差なのですが、「テーパリングが早速始まりました」とか言われると為替が円高に振れるリスクもありそうでやりにくいし、かと言って超長期とか減らして短い所を増やすのも「短期化」とか言われて緩和の後退みたいにみられるリスクがあるし、まー為替の事を気にすると様子見して我慢するしかないようにも思えるのですけどね。いずれ買入ペースは落としていかないと国債買入MB拡大を長続きさせることは出来ないのですが、その買入ペースを落とすのって月1000億円とかそういうしょぼいレベルではなくてもっと減らさないと恐らく金利ターゲットからの逸脱がでかくなってくる話なので、何も月1000億円ほどの話でケチをつけるリスクはとってくるのかねという気が。

まあ所詮誤差なので大丈夫という考えもあるのでその辺は分からんがフラットニングするのと円高に振れるのとどっちが困ると言えば物価目標やっているし、しかもコミットメントが「実績値」になったし、インフレ期待に適合的期待形成が強いって検証しちゃったんですから、円高に振れてしまうのはそもそもの政策の成立を揺るがすことになるからそっちのリスクが取れないと思うんですが、80兆円の数字をメドに残しておいて徐々に形骸化を図るという作戦を取っている(と思われるのだが)となると債券市場が期待するほど日銀が直ぐに動いてくるイメージも無いんですが、まあこれが死亡フラグになってあっさり味で超長期輪番減るかもしれませんので知らんがなということでただの独り言でありました。


○MPMでの総裁会見と大阪講演など見ながら雑談

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609b.pdf(MPM後の定例会見)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160926a1.pdf(大阪講演)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609c.pdf(大阪講演での会見)

ということでちと鑑賞する訳ですが。

・毎回発生する追加緩和期待からの脱却が図れるか

定例会見で良い質問がある。

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、今の市場との対話とも関わるのですが、できるだけ早く 2%の「物価安定の目標」の達成を目指すという姿勢は変えないとおっしゃいました。これまで決定会合が近づいて、特に展望レポートで 2%の達成時期を先送りするタイミングで、マーケットで過度な金融緩和期待が高まり、金融市場を不安定化させる状況を招いてきたと思います。今後、そういった状況を再び招いてしまうおそれがあるのではないか、何かそこで対話の工夫というものを考えていらっしゃるのか、というのが 1 点目の質問です。(後半割愛)』(定例会見より、以下同様)

『(答) 先程申し上げたように、日本銀行は 2013 年 1 月に 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するということを決定し、さらに政府との共同声明でもそれを明示しました。それを踏まえて、「量的・質的金融緩和」、あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、そして今回の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」というように、次第に金融緩和の枠組みを強化してきました。そういう意味で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメントは一貫していますし、変わっていません。』

まあ金利にレジームチェンジしているから強化なのかよという話はあるがそれはさておき。

『なお、展望レポートで 2%の達成時期の見通しというものを毎回示しているわけですが、これはあくまでも見通しであり、その変化と政策変更が機械的に結びついているわけではありません。見通しの後ずれによって政策変更を行った場合も行っていない場合もあります。私どものコミットメントは、できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を達成することです。そしてさらに今回、「オーバーシュート型コミットメント」によって、そのコミットメントをより明確に強いものにしたということです』(定例会見より)

ということで、理念的には「金利誘導によって適切な緩和度合いを作ることによって2%の早期達成を図ります」ということで、その適切な緩和度合いというのは金利を下げれば下げる程良いという物ではない、ということなので、中立的と政策委員会が考えるイールドカーブに対して現実のイールドカーブを適切な緩和度合いと思われる水準に誘導するように、短期金利と10年金利の誘導値を置く(ただし10年はピンポイント誘導をするのではなくある程度の変動は容認)、という話になりますので、中立的と考える金利水準が(ある程度の幅をもって)変化するような経済物価情勢とインフレ期待の変化が無ければ誘導値の変更はしない、というお話になるので、そういう変化が無い中で2%達成時期の変化があったとしても(ただそこで適合的期待形成の話がネックになるけど理念的には)別に金利をいじる必要はない筈、となって無限追加緩和クレクレモードからの脱却をする筈なのですよね。


同じく定例会見での質問で、

『(問) 2%への道筋について、改めてお伺いします。金融機関からは、マイナス金利になっても資金需要が伸びていかないとか、企業あるいは家計においてもイールドカーブがフラット化し過ぎてマインド面での不安感があったという話が聞かれます。今後、ターゲットを金利にした場合、イールドカーブがより?しスティープ化することによって、予想物価上昇率が、例えば日本の場合、適合的なところからフォワード・ルッキングなところへの転換が図れるのか、どういうメカニズムなのか、金利を主軸にしたことによって 2%への道筋がより描かれやすくなるとみているのかどうか、もう一度、教えて下さい。』(定例会見より、以下同様)

という質問に対する回答の前半部分で、

『(答) 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」については、「総括的な検証」の中で、かなり詳しくその効果と影響を述べています。特に、金融機関への影響については、かなり詳しく述べています。そこで、今ご指摘になった点につきましては、まず、イールドカーブが全体として非常に下がった結果として、貸出金利あるいは社債の金利等も明確に低下しています。そうした中で、社債の発行等は増えていますし、銀行の貸出も引き続き 2%台で伸びており、伸びが止まったとか効果がないということではないと思いますが、他方で、ご指摘のイールドカーブが過度にフラット化することになると、広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらしたり、マインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があることは、「総括的な検証」の中でも述べられているところです。』

『そうしたことも踏まえて、さらに柔軟性、持続性を確保するためにも、従来の緩和の枠組みをさらに強化して、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって、一方で経済に引き続き刺激効果を与えるような実質金利の低下を確保しつつ、他方でイールドカーブが過度にフラット化したり、マインド面の影響が出る可能性を排除するために、適切なイールドカーブの確保を図る「イールドカーブ・コントロール」という形にしたわけです。(以下割愛)』

と割と丁寧に説明しているのですよ。


ただまあ定例会見でもそうですが、

『(問) 1 点だけお伺いします。これまで、2%の「物価安定の目標」に向けて、黒田総裁は強気の政策を進めてこられたと思いますが、今回大きく舵を切られたということは、量を重視した金融緩和策に手詰まり感があったということでしょうか。』(定例会見より、以下同様)

とか挑発されると、

『(答) 先程来申し上げている通り、今回の新しい枠組みは、従来の「量的・質的金融緩和」あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、この 2 つの枠組みを踏まえて、それをさらに強化したものです。「量」の面でも「質」の面でも、また「金利」の面でも今後とも十分対応できると思っており、なにか手詰まりになったということはないと考えています。(以下割愛)』

とか言い出す訳で、これが大阪講演ですと、

『具体的な追加緩和の手段としては、マイナス金利の深掘りと長期金利操作目標の引き下げが中心的な手段になります。また、「質」の面、資産買入れの拡大も引き続き選択肢です。さらに、状況によっては、「量」の面、すなわちマネタリーベースの拡大ペースの加速も考えられます。その場合は、金利の大幅な低下を伴う可能性が高いとみられますが、経済・物価情勢や金融市場の状況などによって、そうした強力な金融緩和が必要な場面もあり得ます。目的達成のために必要と判断すれば、日本銀行は、あらゆる政策手段を活用します。』(大阪講演より)

と説明しちゃう訳で、これは定例会見の時に「量の上下はあり得る」と言ったら為替の方が反応したのでまあこの辺をわざわざ説明した(この文章のある小見出しが『(イールドカーブの形成と追加緩和)
』と
なっているのがもうねという感じ)という風にしか見えないのがチャーミングでございまして、いやまあ勿論声明文の方でもわざわざ追加緩和の場合はどうのこうの書いているのですから別に説明するなとは言いませんけれども、せっかく毎回のMPMでの追加緩和クレクレから脱却できる仕掛けを作ったというのに、わざわざ自分から追加緩和クレクレを煽りに行ってどうするという感じがあります。

でもって期末要因もあって債券の短い所が盛大に強いと来ていますので、そら後付で外野方面からは利下げ期待とかも言われたりする(さすがにそれは大げさだと思うのだが債券以外からだとそういう指摘も飛んでくる)わなと見られるところではありまして、この辺りの黒田節に関しましては黒田さん表に出るとどうしてもこうなってしまうので、そろそろ「長期塹壕戦シフト」なのですから黒田さんも塹壕に籠ってもらうようにした方が良いんじゃないのという風にも思ったりするのでありました。


・イールドカーブをどの程度コントロールするのか

これまた定例会見から。

『(問) 2 つ伺います。イールドカーブの適切な水準については、口頭で毎回説明するだけなのか、均衡イールドカーブのようなものを見せるのか、均衡イールドカーブより若干下めのレンジを示されるのか、教えて下さい。2 つ目は、国債買入れの量ですが、増減すると思いますが、毎回のディレクティブで 80 兆円とか 70 兆円とか書くのか、おそらくそんなにたくさん買わなくても維持できると思いますが、30、40 兆円と書くと厳しい見方をされ藪蛇になるような気もしますが、その辺りのご見解をお願いします。』(定例会見より、以下同様)

後半の質問はさっきアタクシが申し上げた量との関係になりますが。

『(答) イールドカーブについては、公表文にも書いてある通り、あくまでも金融市場調節方針としては、当座預金に対する政策金利――今回は−0.1%――と 10 年物国債金利――今回は現状程度、0%程度――をイールドカーブの2 つの起点として示しています。その間にどういうイールドカーブの具体的な形が出るかは、バランスよく短期・中期・長期・超長期と買っていくので、今のイールドカーブと非常にかけ離れたものになるとは思っていませんが、イールドカーブの形状を、2 年・3 年・4 年・5 年とずっと曲線を決めていく必要もないですし、2 つの起点を決めることによって全体として適切なイールドカーブになるように国債買入れを進めていくということです。』

とありまして、まあガチガチにカーブを決めるという感じの話ではないというのは把握したのですが、中立金利のカーブのようなものについては答えを華麗にスルーしていまして、ただまあ「イールドカーブの形状を、2 年・3 年・4 年・5 年とずっと曲線を決めていく必要もないですし」とか言っている時点でそもそも中立金利のカーブを出すとか、それに対して望ましい緩和度合いを出すとかいう気が無いのは分かりますな。

ちなみにこの中立金利との間で適切な緩和度合いというのって運営するサイドとしては明示的な数字を事前に出さない方がどう見ても楽だし、説明するにしても幾らでも話を誤魔化せる、というと語弊がありますが、何ぼでも物は言いようモードで行ける話なので、そらまあ数字出さんわなという風に思いますが、物は言いようモードになってしまうのでイメージ固まるまでは市場は混乱するか動きにくいか良く分からんがまあ困惑モードでしょうし、外部環境が変化した時の対処は非常に難しい。

『国債の買入れ額については、経済・物価あるいは金融市場との関係もありますので増減すると思いますが、今のところ、80 兆円のペースで買っているもとで、今のようなイールドカーブで適切ではないかと考えています。大きく増加したり減?したりすることは見込んでいませんが、今後ずっと固定するということではなく、実際の買入れ額は上下に変動することになると思います。』

まあここらはインチキ説明をするしか無いのですが、本当はこのMPM前のカーブって政策見直しでマイナス深堀とテーパリングとかを幾分か織り込みに行っていた水準で、そのまま淡々と80兆円拡大ぺーすだったらこんなカーブになってねえだろという感が強いので、まーここは当面誤魔化しながら足抜けを図りに行くという事になって、そういう意味で最初の買入減額までは金利の低下方向への容認幅は大きくなる(「こんなに金利が下がったんですからそらまあ買入が減るのは仕方ないですね」と他の市場(特に為替)の方々が納得するような水準にならないとテーパリング言われた時に困るから)と思うんですけどどうなんでしょうかね。


#とか何とかやっていたら時間が無くなったのでまだ色々とあるのですが続きは明日で勘弁

あと、7月会合議事要旨も出ていましたが、総括検証については野党からの提案とかそんな殊勝なものではなくて、明らかに執行部から降りてきていた(まあ主な意見の時点でそうだろうなあとは思ったしそういう駄文を書きましたが)ネタだったなあというのは把握しました(^^)。


2016/09/27

お題「会見と総裁大阪講演を並列してイールドカーブコントロールとオーバーシュート型コミットメントの内容を確認するの巻」

とりあえず決定会合レビュー状態が続く。

総裁定例会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609b.pdf

何せ昨日はイールドカーブコントロールの所だけで終了してしまうということでそもそも質疑に入っていないというあばばばばーで面目ないけどまだまだ冒頭の総裁説明である。

そんな中で黒田総裁の大阪講演が入りましたので、政策枠組みに関する部分での説明がより詳しくなるかなあと思いつつ(なお大体いつも通りでぶっつけ本番になりますので、こちらを参考にソフィスティェイトしたら良いのではないでしょうかねえ)。

ということで黒田総裁大阪講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160926a1.pdf

以下引用時に(会見より)(講演より)とあったらそれぞれ上記URL先ということで。


・オーバーシュート型コミットメントについて

昨日はイールドカーブコントロールの説明の行間をヒーヒー言いながら読むとこうなるのではないでしょうか的なネタをやりましたので、とりあえずはオーバーシュート型コミットメントに関しての部分をネタにしますが、どうせイールドカーブコントロールの話も後で再掲することになるでしょう。

まずは会見から。

『次に、「オーバーシュート型コミットメント」について説明します。日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に 2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという新しいコミットメントを導入しました。』

ここで総合ではなくてコアを使っているのは「実績値ベース」のコミットメントを行う際にはデコボコのある(とされる)総合よりもコアの方がトレンド的である(とされる)からで、かつての福井の俊ちゃんの量的緩和の際にも終了条件としてコアCPIが安定的に0%に達するというのがありましたので、その数値が2%という全然行ったことのない数値になっているのは「MB拡大は継続しますよ」というお話。

『2%の「物価安定の目標」を実現するためには、人々のデフレマインドを抜本的に転換し、予想物価上昇率を引き上げる必要があります。この点、「総括的な検証」でも示したように、わが国における予想物価上昇率の形成は依然としてかなりの程度「適合的」であり、足許の物価上昇率に強く引きずられる傾向があります。こうしたことを踏まえ、予想物価上昇率をさらに引き上げていくためには、金融緩和の継続に関する極めて強力なコミットメントを導入することによって、「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢を改めて示すことが必要であると判断しました。』

『もともと 2%の目標を実現するということは、景気変動などを均して平均的に 2%を実現するということですから、2%をオーバーシュートする局面は想定されています。しかし、金融政策には効果が現れるまでにラグがあることを踏まえると、実際に 2%を超えるまで金融緩和を続ける、というのは極めて強いコミットメントです。』(ここまで会見より)

という説明をしていて「強いんです」とは言っているものの、この説明だと「適合的にインフレ期待が上昇する」という中で目先暫くは為替要因とかで実際の物価が上がりにくい状況が続く中で、特に為替介入みたいなこともやらないし、マネタリーショックみたいなのも起こさないのであれば「適合的なインフレ期待」が上がらんのでは??と突っ込まれそうですし、そもそもこれまでQQEやっていてその間期待インフレが上がったり下がったりしたけど結局そんなに上がっていないのに今回のコミットメントで何でインフレ期待が上がるのか分からん、という辺りですわな。


大阪講演でのこの辺りの話ですけれどもね、

『(オーバーシュート型コミットメント)』という小見出しの所になりますが。

『まず誤解のないように申し上げますが、これは2%の「物価安定の目標」を引き上げたということではありません。“Secular stagnation”などと呼ばれる長期的な成長トレンドの低下への対応として、2%より高い物価目標が必要ではないかという議論は、国際的な学界や中央銀行間では盛んに語られていますが、現時点では主として中長期的な課題と位置づけられています。その問題意識は私も共有しますが、今回の対応は、あくまでも「2%目標」を前提としたものです。』(講演より、以下同様)

従来が「2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」ということで「必要な時点」というジャッジメンタルな部分があった訳ですが、今回「コアCPIの実績値で2%を安定的に超えるまで」なので、そういう意味では政策の継続期間がのびているようにも見えるし、それよりも実績値という縛りが出来たので、実際の物価が2%に到達する前にジャッジメンタルにフォワードルッキングな緩和終了ということはできなくなっています。

#ただしここには一つ仕掛けがあるのですがそれは後で出で来る

ということですので、まあ事実上はインフレ目標値の引き上げではないか、という言い方(SF連銀のウィリアムスとかは「長期停滞の中で金利政策のフリーハンドを高める為には中立金利を上げる努力が必要(長期停滞して潜在成長やインフレ期待が下がったら中立金利が下がってゼロ制約に直ぐ引っ掛かるようになるから)で、そのためにインフレ目標を上げた方が良い」という話をしているのですが、日銀のこのコミットメントは「ジャッジメンタルな部分から実績値へのコミットメントなので緩和政策期間の長さに対する確信度が高まる」という意味でのコミットメント強化になるということですな。

『ではどうして「2%を超える」という基準なのか、ということですが、2%の目標を実現するということの意味は、景気変動を均してみて、平均的に2%程度で推移するということです。したがって、消費者物価前年比の実績値が2%を上回って推移する局面があることは、もともと想定されているということです。』

これはその通り。

『とはいえ、これは極めて強いコミットメントです。消費者物価上昇率の「見通し」ではなく、「実績値」に基づいて金融緩和の継続を約束しているからです。一般的に、金融政策が経済・物価に影響を及ぼすには相応の時間がかかることから、経済・物価の先行き見通しを踏まえつつ、フォワード・ルッキングに運営することが望ましいと考えられています。この点、実績値をベースとしたバックワード・ルッキングなコミットメントは、中央銀行として異例の対応と言えます。』

ジャッジメンタルであれば、状況の変化に応じてフォワードルッキングに緩和の終了が可能で、それは即ちどういう事かと言えば、経済物価やインフレ期待がモメンタムを持って上昇しだしたら、緩和縮小が後手に回った場合に急速にインフレが高まるリスクというのは理屈の上ではあるわけですから、そういうケースが想定されるような外部環境の変化が起きると、ジャッジメンタルな対応をするという枠組みであれば、途中の時点でジャッジメンタルな政策対応が行われることを市場が想定し、ビルトインスタビライザー的に市場金利が引締め的な方に動き出します。

一方で実績値紐つけのビハインド・ザ・カーブ型の場合、何が一番まずいっていってビハインドした結果インフレが止められなくなることなのですが・・・・・・・・・・・・・

ちょっと途中飛ばしてますが同じ流れの説明の中です。

『皆様の中でただちに浮かぶであろう疑問は、これほど「大胆な」コミットメントをして、金融引き締めが後手にまわり、インフレが加速する危険はないのかということでしょう。』(講演より、以下暫く講演です)

おおちゃんとお答え頂いているではないか。しかもこれ「金融引き締めが後手に回る」という点以上に懸念されるのは今回って「長期国債の無制限指値オペ」というのが入っているので、マーケットが本当の本当に金利先高観が出た時に、長期国債無制限指値オペでバカスカ長期国債が入ってしまい、その結果として「財政ファイナンスの為に国債価格を無理やり支えているのではないか」となって、信認の方のスパイラルが起きるというのもあるのよね。

『私の答えのひとつは、誰もが「穏当」と思う約束では効果に乏しいということです。「量的・質的金融緩和」がマインドの転換と経済・物価の好転につながったのは、誰にとっても「これまでにない大胆なもの」と感じられたからでしょう。』

これは「衝撃と畏怖」作戦って奴ですが、総括検証の方を見ると期待インフレが上がったのってQQE導入の時と最初の追加緩和の時、という事になっていて、その時ってどちらもマネタリーベースの拡大ペースを引き上げるというマネタリーショックがあったので効いたんですが、今回これが本当に効くのかね、という疑問は大分ある。

それはさておきましても、この辺の時間軸政策的なコミットメントに関しては「時間的不整合」の問題が必ず発生する訳でして、そらまあジリジリと横ばいに毛が生えたような勢いで物価とインフレ期待が2%に向けて収斂していくのであれば少々のビハインド政策でも無問題ですけれども、そうじゃない場合って結局直前になったら「そうは言いましたが約束通りに大規模緩和を継続したら誰得インフレになってしまうから皆さんこれこの辺で止めといたほうが良いですよね」となって、それに対して「インフレ高進してでも約束を守るのが重要」という話にもならないのですから、そういう時には反故になっちゃうでしょという時間的不整合の問題はあるのですよ。

ただまあこの時間的不整合の問題ですれども、あまりここを強調しちゃうと何のためのコミットメントだか分からんし、かと言ってそこを全部否定して裸踊りしながら敵陣に特攻したらそれもまたマズイ訳ですから、政策継続期間に関するコミットメントというのはその辺の間合いが難しい。

でもってこの政策の「間合い」なのですが・・・・・・・・・・・・・・・

『二つ目の答えは、現時点の見通しでは、先行きの物価上昇率は2%に向けて緩やかに高まっていくとみていることです。このケースでは、マネタリーベースの拡大と低いイールドカーブによる金融緩和を続けても、物価が2%から大きくかい離して戻れなくなるということはないと予想できます。』

今申し上げたように、物価やインフレ期待が強いモメンタムを持って上昇するのではなければこのコミットメントが時間的不整合の問題で悩むことはあまりないのです。ただ、足もと当面物価がホイホイ上がら無さそうという中で、日銀は今回物価見通しを下げていなくて、「2017年度中に2%の物価上昇を達成」と言っている訳で、どう見てもその見通しは「緩やかに高まっていく」というような角度じゃないだろと小一時間問い詰めたい。

これは即ちどういう事かとアタクシが考えまするに、まあ身も蓋もない言い方をすれば日銀はこのオーバーシュート型コミットメント政策を打ち込んできた時点で、物価がモメンタムを持って上昇するような物価パスをメインで見ていない、ということを示している訳です。そしてそこから出てくる政策インプリケーションとしては、次回展望レポート(11/1)で物価見通しが下げられたとしても、その背景にインフレ期待の低下だの需給ギャップの悪化が続くだのみたいな、中立金利水準を下げるような事象が観測される(観測されるも蜂の頭も中立金利水準自体が置きの世界なので、明らかに経済物価が悪化しているような事でもない限りは置きは勝手に置ける)のでなければ、追加金融緩和措置を実施する必要は特に無い、ということでもあるのですよ。だって今の時点でモメンタム持って物価がホイホイ上昇していく絵を描いてないって言ってるんですから。

『最後に、三つ目の答えは、万一何らかの理由で急速に物価上昇率が高まるような場合には、長短金利の操作によって2%の「物価安定の目標」を安定的に実現することは十分可能であると考えています。三つ目の可能性はあくまで万一の場合ということであって、基本的には2%を安定的に超えるまで、大規模な金融緩和が続くと考えていただいて結構です。』(ここまで講演より)

ということですので、財政ファイナンス懸念で悪い円安みたいな話になった場合は、「操作目標金利」はホイホイと引き上げていくし、恐らくその時に国債無制限買いオペなんぞをやったら地獄に拍車を掛けるだけなのでオペもやらんよというお話。まあ基本的に財政ファイナンス懸念になるような極端な話だったらそもそもどうしようも無いのですが。

でもってもうちょっと穏当にホイホイと物価が上昇するような事になった時ですが、今回の政策って手段としてはノミナルの10年金利の上限を決めることによって金利操作をしていますが、理念的に言えば操作しているのは名目金利なのではなくて中立金利(イールドカーブ全般の)に対して実際の長期金利水準の水準をある程度の緩和的水準に維持するとしているので、ノミナルの誘導目標は変化しうるというお話ですな。まあそう簡単に発動はしてこないと思いますが、ひとたび発動されると物凄い勢いで「次はどうなる」ということになるんでしょうなあと思います。


・講演からイールドカーブコントロールの部分を読みましょう

会見の質疑応答が中々始まりませんが(すいません)講演のイールドカーブコントロールの説明から。

『これまでの政策枠組みとの違いについて説明します。従来は、長期国債の買入れ方針は、日本銀行の国債保有残高の増加額で示してきました。この方法は、実務的な運営方法が明確なこともあって、日本銀行だけでなく、米国のFRBや欧州中央銀行、イングランド銀行などでも、広く採用されてきました。』(講演から、以下同様)

さいですな。

『ただ、この方法の場合、同じ金額の国債買入れであっても、それがどの程度の長期金利の引き下げにつながるかは、経済・物価情勢や金融市場の動向によっても異なります。』

そらそうよ。つーかお前が「必要ならば躊躇なく3方向で追加緩和(キリッ)」ってやったから追加緩和期待がドンドン盛り上がって10年が▲30bpだ20年が0%だとかやりやがったんじゃこのスットコドッコイ。

『このため、望ましいイールドカーブとの対比でみて、金利の引き下げが不十分なものに止まったり、逆に過度な引き下げをもたらす可能性があります。』

>過度な引き下げをもたらす可能性があります
>過度な引き下げをもたらす可能性があります
>過度な引き下げをもたらす可能性があります
>過度な引き下げをもたらす可能性があります
>過度な引き下げをもたらす可能性があります

ついこの前まで「マイナス金利を導入して大きく金利が低下したことは大きな政策効果(キリリッ)」とか言っていた同じ口から出てくるとは思えない辺りに黒田総裁ってかなり面の皮は厚いですなあという所で、これが麿辺りだと思いっきり苦しそうな顔をしながら済まないという顔をして説明するのが目に浮かんで参りますが、いつものようにニヤニヤしながら(なお黒田総裁が会見でニヤニヤしている時は大体質疑応答に困っているのかトサカに来ている時の場合が多いように見受けられますがどうでしょうか)こういう事を平然と言うその図々しさにしびれるけど憧れないですな。


でもって「過度な引き下げ」とか言う位ですから、当然ながら金利が馬鹿低下した時には輪番を減らすか、最終兵器としては輪番の買入出来上がり最低レートを設定して、それ以下の金利は買わんとするということで、その時にはMBの拡大ペースが落ちるけど重要なのは金利、という話が次に来ます。

『「イールドカーブ・コントロール」においては、国債買入れは、その時々における金利操作方針を実現するために実施します。今回は、概ね現状程度の金利水準を操作目標とすることから、買入れ額も現状程度(年間約 80 兆円のペース)をめどとしますが、金利操作方針を実現するためにある程度上下に変動することは想定されています。仮に買入れ額が増減しても、政策的な意味合いを有するものではありません。』

まあここの説明も大概にインチキで、今回示された「現状程度の金利」ってたぶん9/16辺りのカーブがベースになっているのですが、9/16時点ってMPMでは一定量「マイナス金利深堀+長期国債買入のTaperingに近いサムシング」を想定する人がいて、市場もそちらに対する警戒シフトをしながら現状維持の可能性もという感じで価格形成されていた訳で、実際問題として「80兆円の買入だからこのカーブ」という話ではない(大体からしてその前に自分らでも言ってるように、外部環境違えば水準だって変わるんだし)のであって、そういう状態なのに謎の「現状程度の水準」というのをメルクマールであるような言い方をするのも混乱を招くような気がせんでもない。と言って何もないと益々訳分からなくなるし、ガチガチの物を出されたら本当のペッグになってしまうし、まー間合いは難しいですな。

ただ、

>仮に買入れ額が増減しても、政策的な意味合いを有するものではありません
>仮に買入れ額が増減しても、政策的な意味合いを有するものではありません
>仮に買入れ額が増減しても、政策的な意味合いを有するものではありません

とありまして、買入額減る場合って基本的に金利が以前よりも下がっている場合、買入額が増えている場合って基本的に金利が以前よりも上がっている場合なので、今後は買入に伴うMB増加は(全体的な大枠としての買入額ではなくて短期的なペースの上げ下げという意味で言えば)受動的に推移するという話ですから、明らかにMB目標からは脱却していて、ただまあ最初からいきなりペースを落とすと物議を醸すから、最初は80兆円の従来ペースでの買入を行う(月末の輪番も調整しない)という感じでやっていって、またぞろ調子に乗って金利が下がったところでどこで日銀の介入が来るかという話でしょうな(ちなみにアタクシのイメージは恐らく市場の今の何となくのイメージと比較して金利が下がった場合の介入って割と無いんじゃ無いのという風に思っていますが当たるも八卦当たらぬも八卦)。でもってその辺りのテクニカル含めた見通しとかも考えて行かないといけませんな。


#結局本日も会見ネタなのに質疑応答を華麗にスルーしてしまうま




2016/09/26

お題「声明文の経済見通しが全然変わっていないのに緩和強化とは/イールドカーブコントロールは「実質金利」コントロール」

本日はFOMCネタを25日版として作っていますのでお題が2個あるような感じでダラダラと長く成って居たりします。

○決定係合声明文での経済見通しを前回展望レポートと確認する

今回声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf

前回展望レポート基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1607a.pdf

今回の声明文では経済物価に関するアセスメントの記述は「別紙」扱いになっておりまして、まあ色々な施策を打ち込んだ結果アセスメントが押し出された格好ですな。

『経済・物価の現状と見通し』という別紙が有る訳だが。


・現状認識に変化がございませんが・・・・・・・・・・・


『わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。』(今回)

展望レポートでは『1.わが国の経済・物価の現状』に当たります。

『わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。』(前回)

ということで、景気認識には変化が無いのですよね。

『海外経済は、緩やかな成長が続いているが、新興国を中心に幾分減速している。そうしたもとで、輸出は横ばい圏内の動きとなっている。国内需要の面では、設備投資は、企業収益が高水準で推移するなかで、緩やかな増加基調にある。』(今回)

『海外経済は、緩やかな成長が続いているが、新興国を中心に幾分減速している。そうしたもとで、輸出は横ばい圏内の動きとなっている。国内需要の面では、設備投資は、企業収益が高水準で推移するなかで、緩やかな増加基調にある。』(前回)

海外経済、国内設備投資の見方に変化はありません。

『個人消費は、一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移している。住宅投資は持ち直しを続けており、公共投資は下げ止まっている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は横ばい圏内の動きを続けている。』(今回)

『個人消費は、一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移している。住宅投資は再び持ち直しており、公共投資は下げ止まっている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、地震による影響もあって、横ばい圏内の動きを続けている。企業の業況感は、総じて良好な水準を維持しているが、このところ慎重化している。』(前回)

ということで需要面に関する見通しも同じなので生産も横ばい圏内と同じです。企業の業況感に関しては短観の直後というタイミングなので入っているだけですな。


『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のマイナスとなっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいる。』(今回)

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、小幅のマイナスとなっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいる。』(前回)

・・・・・・・・・・・・・・全然現状認識が変わっていないんですがそれは。


・先行き見通しは同じです

先行き見通しが項番2になります。

『先行きのわが国経済を展望すると、暫くの間、輸出・生産面に鈍さが残り、景気回復ペースの鈍化した状態が続くとみられる。その後は、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、海外経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな増加に向かうことから、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。』(今回)

前回分は『(1)経済情勢』になります。

『先行きのわが国経済を展望すると、暫くの間、輸出・生産面に鈍さが残り、景気回復ペースの鈍化した状態が続くとみられる。その後は、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、海外経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな増加に向かうことから、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。見通し期間中の成長率は、潜在成長率を上回って推移すると予想される4。』(前回)

見通し期間の成長率云々は展望レポートの方が期間が長いのでこういう記述が入っているのですけれども、それ以外を見ますとこれがまた基本的な部分は同じとなっています。


『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅のマイナスないし0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注6)。』(今回)

物価の前回分は『(2)物価情勢』です。

『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅のマイナスないし0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

同じですなあ。

『リスク要因としては、英国のEU離脱問題を巡る不透明感が国際金融資本市場や世界経済に及ぼす影響に加え、中国をはじめとする新興国や資源国に関する不透明感、米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、地政学的リスクなどが挙げられる。』(今回)

リスク要因は展望レポートだと比較にしにくいので6月声明文と比較します。

『リスク要因としては、中国をはじめとする新興国や資源国に関する不透明感に加え、米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、地政学的リスクなどが挙げられる。こうしたもとで、金融市場は世界的に不安定な動きが続いており、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクには引き続き注意する必要がある。』(6月)

何でしょうねえ、まあここのところはもうちょっと詳しく聞かないと分からないのですが、リスクバランスってちょっと改善したことになっているのかねえ。物価の基調に悪影響が云々というのが抜けているから。


と、淡々と比較した後に総裁会見である。


○総裁会見も行間を読まないといけないとか困った政策ですなあ(なお全然会見の本文に踏み込めず明日に続く)

はいはい会見会見。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609b.pdf

・最初の説明から

『新しい政策枠組みは、2 つの要素から成り立っています。第 1 に、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第 2 に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に 2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。』

ということで説明はじまりはじまりー。

『 まず、「イールドカーブ・コントロール」です。「総括的な検証」で示した通り、「量的・質的金融緩和」は、経済・物価の好転をもたらし、その結果、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。』

声明文にもありましたね。

『その主たるメカニズムは、実質金利低下の効果です。これを長短金利の操作によって追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな政策枠組みの中心に据えることとしました。』

つまり、MBが直接的に改善に影響した訳ではなく、金利コントロールになったということでありますが、ここで重要なのは「実質金利低下の効果」という話をしていることです。

『今後は、毎回の決定会合で決定・公表する「金融市場調節方針」において、日本銀行当座預金に適用する短期金利、および 10 年物国債金利の操作目標、の 2 つの金利水準を示します。日本銀行の国債買入れは、買入れ額の「めど」を示したうえで、長期金利の操作方針を実現するように運営いたします。』


簡単に整理されていますが、ここの部分では「あくまでも政策で置くのは超過準備付利金利(プラス適用とマクロ加算以外の部分)の▲0.1%と、10年金利の0.0%」が日銀が操作しようとするものであって、実は他の年限についてはディレクティブに書かれている訳ではないので、これは「イールドカーブコントロール」ではなくて、あくまでも「短期と10年金利の誘導」ということにしか読めないという訳で、声明文だと2年〜40年のカレントに指値買入を入れるようになっているけれども、実際にはそこはディレクティブじゃないのであまりにも素っ頓狂に動かない限りは放置プレイになりそうな悪寒。

あとですね、、「今後は、毎回の決定会合で決定・公表する「金融市場調節方針」において、日本銀行当座預金に適用する短期金利、および 10 年物国債金利の操作目標、の 2 つの金利水準を示します。」とありますように、この金利水準って変わりうるものなので、必要が有れば上げ下げが出来るという事になっています。まあ(特に短期は)そうホイホイ変えるようなものではないという事ですが、では何で変わるのかという話をすると、ここに先ほどの説明であった「その主たるメカニズムは、実質金利低下の効果です」という所に掛かってくるのだ。

・・・・・・つまりですね、今回の政策で日銀が理念的にコントロールしようとしているのは、「実質金利の緩和度合いを必要な水準に保つことによって緩和政策の効果を出して、これまで効いた(ことになっている)経済物価への働きかけを行う」ということなのですよ。

と書きますとお察しの方も多いと存じますが、経済物価情勢やインフレ期待が現時点からあまり変わらない場合は、(現状の名目金利水準のイールドカーブがほぼ適切であるという評価をしめしている事から)特段誘導金利をいじる必要というのは無いのですが、経済物価情勢やインフレ期待が現時点から大きく変化してきた際には、中立的な金利水準というのは変化していきまして、仮に経済物価情勢が好転したら中立金利水準ってのもホイホイ上昇するから「10年0%」という名目値固定の誘導水準が不適切になる場合もあるんですよ。まあそんな有りがたい話はそう簡単に起きませんでしょうが。

ということですので、つまりはイールドカーブコントロールとか言っていますが、実際はカーブの全部にバカスカ介入しろというディレクティブでもない上に、そもそもコントロールするのは実は「実質金利水準ターゲット」だったりする訳で、その実質金利を計算するためのベースとなる中立金利とか均衡イールドカーブとかは計測によって色々と計算が出来るもので、本当の中立金利というのはビシッとしたものが有る訳でも無し、ということ。

つまりですな、この政策って一応長持ちする政策のつもりで打ち込んでいると思うのですが、問題が生じるとしたら経済物価情勢やインフレ期待がそれなりに動くような事が起きた場合に、金利の部分をどうやっていくのか、その間にMBのコントロールはどうなっていくのか(基本的に金利がメインなのでMBのコントロールは結果であるとはいえ、長期的なMB拡大、というのにはコミットしているという事実もある)とか真価が問われる局面がやってくるのです。


とは申しましても、残り1年半弱となりました黒田総裁の任期中に経済物価情勢が急角度で改善する、というのでもない限りは、経済物価情勢が現状程度でニヨニヨと推移する分だけ考えたら非常に良くできている施策で、皮肉な話ですが目標達成に向かって経済物価情勢が進んでいかなければ政策運営は何の問題もなく淡々と進められるという諸葛孔明の罠のような施策になっているので、どうせお前ら「もうこの調子だと1年半くらい今程度でウダウダしているしかないので後は野となれ山となれ後任に全部丸投げしちまえ!!!」とか思ってるんだろと。


悪態が長くなりましたがその続き。

『今回の決定会合では、概ね現状程度のイールドカーブをイメージして、短期政策金利を−0.1%とするとともに、10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債の買入れを行うこととしました。また、買入れ額は、年間増加額約 80 兆円をめどとしました。』

とありますが、ディレクティブの方にあるのはあくまでも10年金利だけで、こちらにも10年とだけありますので、とりあえず10年の0%から上昇方向で大きく逸脱した場合には指値オペが入るという事になる訳でしょうな。ただまあどの程度逸脱したら指値オペが入るのか、というのは実際にその金利になってみないと分からなくて、通常時にそれをチャレンジしに行く人はいないでしょうから、それなりに強力な金利先高観があった場合にという事でしょう。

でもってMBですが、金利を中心に行う上に、今回から金利が過度に低下した場合、ただしそれは実質金利が大きく低下して緩和効果と副作用を考えた場合にそこまで実質金利が下がっているのも不適切、ちゅう認識の時でしょうが、まあそういう場合には通常の輪番の量を減らしてみたり、買入銘柄の買入出来上がりレートの下限を設定するということで対応になります。

つまり、当面は「金利が大きく下がった場合にMBの拡大ペースが落ちる」という事になるという仕掛けになっていまして、この部分はMB至上主義者とそうじゃない人の間ではこの「MB増加ペース減少VS金利低下」の評価が綺麗に正反対に分かれる事になって実に味わい深い事になりますな。まあ為替市場は「これひょっとして金利低下が進むとMB減るんじゃないか」ということでMB減る方で引締めという感じの見解が見られるような値動きですし、日銀としては「実質金利が大きく低下しているので低下度合いを調整しただけで、もともと実質金利が低下しているのだから緩和拡大状態」という話だが、ここは完全に宗教論争の世界になってしまうので最早ギャップの埋めようは無いなあという所で、このギャップがあることを認識して今後の市場について考えないといけません。


次に打ち込んだオペの話をしています。

『「イールドカーブ・コントロール」を実現する手段としては、主として「政策金利残高に対するマイナス金利の適用」と「長期国債の買入れ」を使っていきます。この 2 つの組み合わせがイールドカーブ全般に影響を与えるうえで有効であることは、マイナス金利導入以降の経験で明らかになっています。』

本当は「追加緩和するぞー」というアナウンスメント効果だったような気がするが。

『加えて、金利操作を円滑に行うため、新しいオペレーション手段を導入しました。すなわち、日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ、いわゆる「指値オペ」を導入するほか、固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を現在の 1 年から 10 年に延長します。金利が現状程度のイールドカーブの水準から大きく変動することを防止するため、金利が上昇した場合などには、10 年金利、20 年金利などを対象とした指値オペを直ちに実施する用意があります。』

となっていまして、今回「長短金利操作」とはしているが「マイナス金利」と書いていないというのがあるので、まー本当に物価がジャンジャン上がれば短期の方も上げる可能性もありそうですが、「マイナス金利の適用」がイールドカーブをマニュピレートできると言っているので、基本的にはマイナス金利の撤回の方がハードルが高くて、物価がジャンジャン上がった場合には当初は10年の0%の所を引き上げるという事になるのでしょうが、無制限オペとセットになると金利の先高観が急速に高まって、うっかり無制限オペを実施すると「財政ファイナンス懸念」が拡大して、スパイラルな悪い金利上昇を呼ぶリスクが全くない訳ではない(その時は利上げもするし指値無制限も実施しないし誘導水準は臨時MPMやってあげるんでしょうが)、というか間違って金利が上がるのそのネタ位のような気がする。

まーいずれにせよ「経済物価情勢とインフレ期待の変化」があると結構運営が難しくなるのは把握した。

『「イールドカーブ・コントロール」を中心とする新しい枠組みでは、マネタリーベースや国債保有残高の増加ペースを操作目標とする従来の枠組みに比べて、経済・物価・金融情勢の変化に応じてより柔軟に対応することが可能です。結果として、政策の持続性も高まるものと考えています。


ということで、MBや国債買入額は「当面年間80兆円」ではありまして、通常はそのペースで実施しますが、金利が中心なので知らんがなということです、政策の持続性が高まるとか柔軟に対応とか言っていますが、これは変化に対して本当に説得力のある対応をすることが出来るのか、非常に難しいと思いますし、オペやる金融市場局には同情を禁じえません。


#総裁会見ネタをやるつもりが最初の一言に関して色々と説明をしていたら時間が無くなるというこの時間配分の失敗で話は明日に続くのであった(申し訳ない)





2016/09/25

お題「遅れましたがFOMCネタ」

FOMCは日銀の逆で「声明文だけタカ派」ですな(^^)。

○声明文はタカ派っぽいのですが・・・・・・・・・・・・

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20160921a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20160727a.htm(前回)

・第1パラグラフ:現状判断は強くなっているというほど強くはなっていないけど

『Information received since the Federal Open Market Committee met in July indicates that the labor market has continued to strengthen and growth of economic activity has picked up from the modest pace seen in the first half of this year.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in June indicates that the labor market strengthened and that economic activity has been expanding at a moderate rate.』(前回)

今年前半の緩やかなペースから経済回復ペースがピックアップしたとな。

『Although the unemployment rate is little changed in recent months, job gains have been solid, on average.』(今回)

『Job gains were strong in June following weak growth in May. On balance, payrolls and other labor market indicators point to some increase in labor utilization in recent months.』(前回)

strongとsolidってどっちが強いんだという感じですが、on averageとかヘッジクローズが入っている代わりに今回は現在完了形とかもう芸術の世界。

『Household spending has been growing strongly but business fixed investment has remained soft.』(今回)
『Household spending has been growing strongly but business fixed investment has been soft.』(前回)

家計と企業の固定資産投資に関しては判断変わっていなくて、家計が強いけど企業は弱いままと。

『Inflation has continued to run below the Committee's 2 percent longer-run objective, partly reflecting earlier declines in energy prices and in prices of non-energy imports. Market-based measures of inflation compensation remain low; most survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance, in recent months.』(今回)

『Inflation has continued to run below the Committee's 2 percent longer-run objective, partly reflecting earlier declines in energy prices and in prices of non-energy imports. Market-based measures of inflation compensation remain low; most survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance, in recent months.』(前回)

インフレとインフレ期待に関する部分は同じですの。


・第2パラグラフ:

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace and labor market conditions will strengthen somewhat further.』(今回)

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee currently expects that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace and labor market indicators will strengthen.』(前回)

currentlyが抜けているのはナンジャラホイという感じですが、これは後の方で「利上げしようかという事も考えましたぜウヘヘヘヘ」というのがありますので、まあ要するにヘッジクローズを外してみたという感じでしょうかね。

『Inflation is expected to remain low in the near term, in part because of earlier declines in energy prices, but to rise to 2 percent over the medium term as the transitory effects of past declines in energy and import prices dissipate and the labor market strengthens further.』(今回)

『Inflation is expected to remain low in the near term, in part because of earlier declines in energy prices, but to rise to 2 percent over the medium term as the transitory effects of past declines in energy and import prices dissipate and the labor market strengthens further.』(前回)

一時的な要因が片付けべ物価は2%に向かって上がるでしょうという毎度の見通し。

『Near-term risks to the economic outlook appear roughly balanced. The Committee continues to closely monitor inflation indicators and global economic and financial developments.』(今回)

『Near-term risks to the economic outlook have diminished. The Committee continues to closely monitor inflation indicators and global economic and financial developments.』(前回)

今回の声明文だけタカ派の第一弾はここのリスクバランス認識が下からバランスになったことですな。


・第3パラグラフ:予告ホームランキタコレ

『Against this backdrop, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1/4 to 1/2 percent. The Committee judges that the case for an increase in the federal funds rate has strengthened but decided, for the time being, to wait for further evidence of continued progress toward its objectives. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting further improvement in labor market conditions and a return to 2 percent inflation.』(今回)

『Against this backdrop, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1/4 to 1/2 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting further improvement in labor market conditions and a return to 2 percent inflation.』(前回)

ということで、今回は思いっきり「The Committee judges that the case for an increase in the federal funds rate has strengthened but decided, for the time being, to wait for further evidence of continued progress toward its objectives.」という「利上げしようかと思ったのですけれどもとりあえず見送りました」という謎文言というか予告ホームランを入れてるのがタカ派第2弾。


・第4パラグラフ:今後の利上げに関しては云々は全文一致

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments. In light of the current shortfall of inflation from 2 percent, the Committee will carefully monitor actual and expected progress toward its inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant only gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(今回)

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments. In light of the current shortfall of inflation from 2 percent, the Committee will carefully monitor actual and expected progress toward its inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant only gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(前回)

全文一致なので手抜きしまして全部一気に引用しちゃいましたが、先行きに関しては諸々の経済状況を総合的に見ながらゆっくりと利上げしますという毎度の文言は同じ。


・第5パラグラフ:今後のバランスシート政策に関しても文言一致

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction, and it anticipates doing so until normalization of the level of the federal funds rate is well under way. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(今回)

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction, and it anticipates doing so until normalization of the level of the federal funds rate is well under way. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(前回)

これまた全文一致ですな。


・第6パラグラフ:地区連銀総裁の利上げ提案が実質3対1とな

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; James Bullard; Stanley Fischer; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; James Bullard; Stanley Fischer; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; Eric Rosengren; and Daniel K. Tarullo.』(前回)

ということで・・・・・・・・・・・・・

『Voting against the action were: Esther L. George, Loretta J. Mester, and Eric Rosengren, each of whom preferred at this meeting to raise the target range for the federal funds rate to 1/2 to 3/4 percent.』(今回)

『Voting against the action was Esther L. George, who preferred at this meeting to raise the target range for the federal funds rate to 1/2 to 3/4 percent.』(前回)

今回は利上げ提案している地区連銀総裁が3人で提案してない地区連銀総裁が2名ですが、1名はダドリーさんになるので地区連銀総裁4人中3人が利上げ提案とか中々お洒落で、まあここがタカ派声明文第3弾という感じでございますわな。


○SEPはどう見ても腰砕けというのがまた味わいがある

今回
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20160921.pdf
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20160921.htm

前回(6月)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20160615.pdf
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20160615.htm

最初にサマリーの表があるのでこれが一覧性がありますな。

・メディアンの経済見通し数値

ロンガーランの実質GDPが2.0%→1.8%というのがもう落涙を禁じ得ない訳で、失業率のロンガーランとPCEインフレーションのロンガーランは同じ(インフレのロンガーランが動いたらまずいが)ですが、何せこの実質GDPのロンガーランが下がっているというのは当然ながらロンガーランの中立金利が低下したという事を意味する訳でして・・・・・・・・・・

金利の推移はドットチャートじゃなくても『Memo: Projected appropriate policy path』というのがあるのでそこの数値を見てみる。

FF金利の年末値のメディアン
2016年末:0.9%→0.6%
2017年末:1.6%→1.1%
2018年末:2.4%→1.9%
2019年末:集計無し→2.6%
ロンガーラン:3.0%→2.9%

とまあロンガーランのメディアンが遂に3%割れ(これは実際は2.75と3.0が中心の所にあって、この2つの数値を平均したので2.875%で2.9%という表示になっているのですが)とか非常に残念な数値が読めます。

上下3つずつを外した「Central tendency」だと、
2016年末:0.6-0.9%→0.6-0.9%
2017年末:1.4-1.9%→1.1-1.8%
2018年末:2.1-2.9%→1.9-2.8%
2019年末:集計無し→2.4-3.1%
ロンガーラン:2.8-3.0%→3.0-3.3%

となっているので、Central tendencyのイメージとしては中立金利までの引き上げが半年以上伸びたようなイメージになっております。

しかしまあ何ですな、ドットチャートの方が分かりやすいですが、2016年末のFF金利見通しというのが

0.25-0.50(年内現状維持):3名
0.50-0.75(1回利上げ):10名
0.75-1.00(2回利上げ):3名
1.00-1.25(3回利上げ):1名

となっていて、相変わらず先の方まで0.50-0.75にしている(1回利上げしておしまい)というブラードとかいう変態仮面の方がいるのですが、それにもまして年3回利上げ予想をこの期に及んで打ち込んでいるという変態仮面(ジョージ総裁ですかねえ)がいるというのも中々微笑ましい。

しかしこれ一番分厚いところ(モード)のドットを2018年まで見ていくと、

2016年末:0.50-0.75
2017年末:1.00-1.25
2018年末:1.75-2.00

となっているのですが、前回はモードがそもそもあまり厚くなかった(2016年末の時点で利上げ2回と1回に分かれていて2回の方がちょっと多かったという分布)のですが、今回はここのところのモードが厚くなっていて、しかも利上げペースがこれですと今年1回、来年2回、再来年3回となっていて、何ちゅうのんびりしたペースで上げるんでしょと言う感じで、SEPを見るとどう見てもこのヘロヘロという感じになっていて、まるでどこぞの政策決定声明文でマネタリーベース置物直線一気理論の方々向けに懐柔的な文書を声明文で作ったかのような趣があって実に味わい深いというか、利上げの予告ホームランしておいて実はそのホームランは打つけれどもその後が続かない、という追いつかない程度の反撃のようなこのSEPでございますので、総合的に見たら「利上げは一発だけやるけど後はヘロヘロ」という事になりますよね。




2016/09/23

お題「本日は日本MPMネタ」

何で昨日更新しないのと言われそうですがショパンの事情ということでまあFOMCに関しては別途。

しかしまあ検証だけかと思ったら「金利政策へのレジームチェンジ」を行うとはねえ・・・・・・

○まずは政策の概要

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf

『金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』

まず題名が何ですかという感じで、「金融緩和強化のための新しい枠組み」って金融緩和を強化したのか強化してないのかも書いていないというのが実にもう禅問答状態になっておりましておりますが、これが英文になりますと・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2016/k160921a.pdf

『New Framework for Strengthening Monetary Easing: "Quantitative and Qualitative Monetary Easing with Yield Curve Control" 』

何ちゅうか「お、おぅ・・・・・・」としか申し上げようがないこの題名ですが・・・・・・・・・・

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」および「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向と政策効果について総括的な検証を行い、その基本的見解を別紙1のとおり取りまとめた。また、経済・物価の現状と見通しは、別紙2のとおりである。』

これは後程。

『2.これらを踏まえ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。』

というのですから今回は緩和の強化だそうな。

『その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。』


となっているのですが、この次の金利の話にありますように、肝心のその金利のポイントは長期は0%となっていて、それはマイナス金利導入して一旦マイナスに突っ込んだ後には0%よりもアガランチ会長だった水準だったので、別に金利を現状から下げる話ではないのと、先程の題名を良く良く見ますとどさくさに紛れて「マイナス金利」のアピールが無くなっているという事実を考えますと、「こりゃマイナス金利深堀りって当面ないじゃん」となっておりまして、市場の金利も上昇の巻となっていて、コントロール分かったけど金利下げに行っている訳じゃないから緩和とは言い難い面もありますな。

でもってこのオーバーシュート型コミットメントの方が「緩和の強化」というお話なのでしょうが、

『消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。』(今回)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する。』(前回まで)

ということでして、まあ前回までの書き方の実績値ではなくて見通しベースにしたということですが、従来の表現でも「安定的に持続するために必要な時点」となっているので見通しベースと言っても実際は物価の上昇がモメンタム持ってスパイラル的な上昇を起こすような事でもない限り少々実績値が上振れしても継続するような書き方にはなっていましたが、これはこれで「定義の明確化」みたいな奴で明確化して強化しましたよ。ということでしょう。

でもって他に指値無制限オペが入っているので、そらもうこのコミットメントと合わせると一瞬財政ファイナンスとかインフレスパイラルとか気になってしまうのですが、良く良く見るとそういう訳でも無さそう、という話は後程。


○まずはイールドカーブコントロールと指値オペ実施に関して

『(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)

@ 金融市場調節方針(賛成7反対2)(注1)
金融市場調節方針は、長短金利の操作についての方針を示すこととする。次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。』

『(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員。反対:佐藤委員、木内委員。佐藤委員は、短期政策金利を▲0.1%、10 年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間 10 年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利は+0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した。


まあ短期の▲10bpは従来通りなのですが、10年を0%程度で推移するように長期国債の買い入れを行うって何をどうするんじゃろという感じではあります。

でもってですな、次の指値オペだの固定金利オペだのの飛び道具があるから、金利上昇方向に関しては日銀の金利コントロールってその気になれば出来る(ただし後で述べるように落とし穴もありそうだが基本的には落とし穴に落ちることは起きないと思う)のですが、金利低下方向に関してはどうやって対応するのかが中々難しいと思う。

まー基本的に言えば緩和政策の実施中なので金利が低下することは別に問題が無いと言ってしまえば良いのですけれども、今回は総括検証の結果を受けてイールドカーブ全体を操作するよう(長短金利は操作するがイールドカーブはコントロールであり操作するとは言ってない)な政策を実施する訳で・・・・・・・・・

総括検証の出た後に
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921c.pdf
目で見る金融緩和の「総括的な検証」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

というまた壮大に面白い題名の説明があります(ただし中身に関してはこの前の5分で読めるのような喧嘩売っとるんかというものよりは相応にマシで会見の想定問答みたいな感じですよ、まーこういうのを出さないといけないような政策を打っている時点で「政策はシンプルに」という基本を逸脱してるけど)が、ここの『6.マイナス金利の金融機関への影響は?』『7.どの年限の金利を下げると、経済や物価に効果があるのか?』にあるように、今回は「金利を下げれば下げるほど良いというものでもない」ということになった訳で、「効果と副作用を比較衡量した結果として最適な緩和度合いの水準となるイールドカーブのイメージ」を持って金融政策に望む、となっておりますので、金利がジャンジャン下がった場合にさてどうなるんでしょという疑問isある所。

ディレクティブ相当の英文部分ですけれども(英文は参考資料扱いなので為念)、

『The long-term interest rate:

The Bank will purchase Japanese government bonds (JGBs) so that 10-year JGB yields will remain more or less at the current level (around zero percent). With regard to the amount of JGBs to be purchased, the Bank will conduct purchases more or less in line with the current pace -- an annual pace of increase in the amount outstanding of its JGB holdings at about 80 trillion yen -- aiming to achieve the target level of a long-term interest rate specified by the guideline. JGBs with a wide range of maturities will continue to be eligible for purchase, while the guideline for average remaining maturity of the Bank's JGB purchases will be abolished. 』

まあ同じことですけれども、ディレクティブが「10年金利を概ね現状水準、具体的にはaround zero percentとしましょう」となっていますが、一方で年間80兆円のペースというのも入っているのが話をややこしくしますが、あくまでも「長期金利」が操作対象になるので、「around zero percent」から大きく逸脱した場合には買入のオファー量を減らすとか(今回新たに導入された)買入金利の下限金利を設定するとかになる筈です。

何故なら、従来のディレクティブは、

『(1)「量」:金融市場調節方針(賛成8反対1)(注2)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』(前回まで)

となっていたのでまず最初がMBの量だった訳で、今回はMB目標をしらっと撤廃(そらまあ撤廃しないと金利の目標とかできないですから)している訳で、これよくリフレ3馬じゃなかったったリフレトリオが賛成したなと思ったのですが・・・・・・・・・・・・・

まあ何ですな、この声明文って(後の方でも書いていますけど)「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」とか、「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。」とか入れていて、量の目標が外れているのが一見して分かる人は達人とまでは言いませんが通常の初心者には分からないような書き方になっていまして、まあこれは3バじゃ無かったトリオ・ザ・リフレを賛成させるためのギミックみたいなもんですよね。


次に指値オペ等。

『A 長短金利操作のための新型オペレーションの導入(賛成8反対1)(注2)

長短金利操作を円滑に行うため、以下の新しいオペレーション手段を導入する。
(i)日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ(指値オペ)1
(ii)固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を 10 年に延長(現在は1年)


『(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員。反対:木内委員。木内委員は、国債市場の機能を損ね、金融市場全体の価格体系を歪めかねないとして反対した。』

まあ木内さんの反対のお気持ちは分かるが、これ入れないとコントロールできないから仕方ないなあとは思います。最初の方はオペのお知らせがあって後程参ります。固定金利オペ10年ってこれ何ちゅうか無茶なオペだなあとは思いますけれども、精々シグナル程度にしか使えない(確かにALM的には負債デュレーション長くなるからマッチング買いも出来るのかもしれませんが、これヘッジ会計使えるんだったらまあ良いのですが、完全紐つけでヘッジ会計にしないと鞘抜いたは良いけれども途中で金利上昇したら国債のやられだけ出てしまうのですよねえ)なあとは思います。


ということでオペのお知らせ。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160921b.pdf
2016 年9月中の長期国債買入れ等の運営について

『1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました。これを踏まえ、日本銀行は、既存の長期国債買入れ、および、新たに導入された「日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ」(指値オペ)のそれぞれについて、本日以降、9月中は、以下のとおり運営することとします(詳細は次頁)。』

『【既存の長期国債買入れ<利回り入札方式>】

・ 基本的に、8月 31 日に公表した「当面の長期国債買入れの運営について」のとおり運営します。

・ 1回当たりの具体的なオファー金額は、いずれの国債種類・残存期間ともに、直近のオファー金額をベースに決定します。ただし、金利操作方針を実現するため、市場の動向等を踏まえて、オファー金額を変更することがあります。

・ 買入利回りについて、今後は、金利操作方針を実現するため、市場の動向等を踏まえて、買入利回りに下限を設けて入札を行う場合があります。』


とありまして、とりあえず輪番オペに関しては目先従来通りの買入ペースで実施するという事になるのでしょうが、金利低下アタックが来た場合にどうするのかというのはちょっと見てみたい(自分がアタックするとは言ってない)ところではあります。でまあこの金利水準をどうするのかという話なんですが、今今の状況であれば「現状程度」というようなまあ謎ちゃあ謎ですけれども何となくイメージを持って臨めるのですが、これ実は将来的に安定運用できる枠組みなのかというとそれもまた怪しいという話は後程行います。

また、金利が上がった場合は輪番を増やすのか次の指値オペをするのかという事になると思いますが、これについてもどこで発動するのかというのはまー始まってみないと分からんですな。ただまあ「現状程度」という話をしていて、この程度という数字ってワシらのような市場現場労務者が考えるような程度と、政策当局の方々が考える「程度」って自ずと違っている訳ですし、大体からして短期金利であっても「望ましい金利水準」みたいなのってテイラールールみたいな感じで出すとしても使うパラメーターによって異なって出てくるわけだから幅をもって見る必要がある、ということなのに、長期金利なんて思いっきり幅を持って見ないといけない話しになる筈ですから、そらもう0%から引値が1bp2bp下がったから輪番減らすとか、上がったから固定オペ打ち込むとか、そういう話にはならんでしょ、というお話だと思いますが、まあ上下ともどもお手並み拝見。

『【指値オペ<固定利回り方式>】

・ 買入対象国債は利付国債(2年債、5年債、10 年債、20 年債、30 年債、40 年債)とします。具体的には、これらのうち、各年限のカレント銘柄を中心に買入れを実施します。

・ 1回当たりのオファー金額については、市場の動向等に応じて、これを定めて買入れを行う場合と、これを定めず、金額を無制限として買入れを行う場合があります。

・ 買入利回りは、オファーの都度、日本銀行が別に定める基準利回りからの利回較差を示すことによって指定します。』

項番3がややこしいのですが、つまり買入利回りに関しては10年に関しては0%と書いてあるけれども、他の年限に関しては何も書いていないので、絶対金利水準を決めて行うということなのでしょうが、基準利回りからの利回り較差って多分日銀ネットの技術上の問題で実際は何らかの金利でということだと思われます。


あとおまけなのですが、

『2.金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、当初は、概ね現状程度の残高を維持するよう運営することとします。』

と来ました。従来はMB目標があって、しかもMBを概ね前月から落とさないように財政要因などでの変動を短国買入で帳尻していたという流れだったのですが、MB目標が無くなったので短国買入で帳尻プレイをやる必要が無くなったということでしょうな。

『3.日本銀行では、今後とも、原則として、毎月の最終営業日に、翌月以降の長期国債買入れの運営方針を公表します。また、今後は、国庫短期証券買入れに関する大まかな運営方針も、同時に公表します。次回は、2016 年9月 30 日17 時に、10 月以降に適用する運営方針を公表する予定です。』

短国に関しては「大まかな」となっているのは、実務面を考えた場合にそもそも海外要因や期末要因などで短国人気絶頂とかいうような時にはそもそも札が無い場合があって、今でも応札する札の状況をヒアリングしてそこから買入オファーを決めるような事もあるので、まあ大まかなって書き方にしているんでしょうな。



○リスク性資産に関してはもう技術的調整しかしないんでしょうな

『(2)資産買入れ方針(賛成7反対2)(注3)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
@ ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。

A CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。』

でもって今回はETFに関して

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160921c.pdf
ETFの銘柄別の買入限度にかかる見直しについて

にありますように、日経225型の買い過ぎなのでTOPIX型にシフトしますよというのが出て水曜はNTが思いっきり動いていましたが、もうこの辺はバカスカ増やすというよりは技術的な調整しかしないんでしょうなあと思います。

なお、

『(注3)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員。反対:佐藤委員、木内委員。佐藤委員は、約6兆円のETF買入れは、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大であるとして反対した。なお、木内委員より、資産買入れ額を操作目標とする枠組みとしたうえで、長期国債保有残高が年間約 45 兆円、ETFが約1兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うなどの議案が提出され、反対多数で否決された。』

なんとMB目標スキームを最後まで提案していたのが木内さん(減らしてますけどね)というのが皮肉ですな。


○オーバーシュート型コミットメントとな

『(3)オーバーシュート型コミットメント(注4)

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースの残高は、上記イールドカーブ・コントロールのもとで短期的には変動しうるが、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。この方針により、あと1年強で、マネタリーベースの対名目GDP比率は 100%(約 500 兆円)を超える見込みである(現在、日本は約 80%、米国・ユーロエリアは約 20%)。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』

これがまた色々とややこしくて・・・・・・・・・・・・・・

良く良く見ますと「MBを長期的に拡大することにコミットする」というコミットメントになっていて、何か知らんがここだけMBコミットメントが残っているというのが話をややこしくしているにも程があるのですが、

別紙1の『「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証』によりますと、そこの『(3)予想物価上昇率の期待形成メカニズム』の中に、

『マネタリーベースの拡大は、「物価安定の目標」に対するコミットメントや国債買入れとあわせて、金融政策レジームの変化をもたらすことにより、人々の物価観に働きかけ、予想物価上昇率の押し上げに寄与したと考えられる。一方、マネタリーベースと予想物価上昇率は、短期的というよりも、長期的な関係を持つものと考えられる。したがって、マネタリーベースの長期的な増加へのコミットメントが重要である。』

という結論になっている(ちなみに『佐藤委員は、マネタリーベースと予想物価上昇率は長期的な関係を持つとの記述などについて反対した。』というイイハナシダナーな記述が欄外にあります)ので、MBを長期的に拡大するコミットをするらしいのですが、上記にあるように1年後の話は何となく書いてあるけれどもその先については「増える」とは言っているがその額は書いていないというのがまあアレ。

まあ何ですな、ここのところでMBの置物リフレレジームを残している感じではあるのですが、まあこれも例の置物三銃士を黙らせるためのギミックみたいなもんじゃネーノと勝手に思っているのですが、ギミックであると思いっきり言ってしまうと置物三銃士が暴れ出すといけないので大人の皆さんはそういう事をあからさまに指摘してはいけませんということですね。


でもってこの書き方の凄まじいまでの諸葛孔明の罠なのは、長期的にコミットしているのは「MBを拡大していきます」というだけであって、別に金利水準を維持するとコミットしている訳ではないというのが良くできているというかおまいらどんだけ作文能力高いんだという所。

つまりですね、総括検証の別紙1のところですけれども、『2.示唆される政策の方向性』の中で、

『(4)イールドカーブの適切な形成を促すにあたっては、@貸出・社債金利への波及、A経済への影響、B金融機能への影響など、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断することが適当である。』

って書いてありまして、「経済・物価・金融情勢を踏まえて判断することが適当である」ってあるので、実際には金利の名目水準について将来に渡ってコミットしている訳でもなんでもなく、たとえばの話で急に威勢よくセイヤセイヤと物価が上がってきてインフレ期待もセイヤセイヤと上昇してくるような場合って、当然ながら自然利子率とか中立金利水準が上昇していくので、(短期はさておき長期の)名目金利の誘導水準を0%のままにしておくのが適切なのか(緩和度合いが加速するのでインフレスパイラルになる恐れがあるし、そこに無制限買入があるのだから財政ファイナンス懸念まで出ると更にスパイラルが止められなくなる)という話になる訳ですよ。

でもってこのオーバーシュート型コミットメントでコミットしているのは金利水準ではなくてMBを拡大しますよーというだけの話で、しかも方向性の中で上記のような記述があるということは、それは即ちたぶん10年の方の誘導水準は経済物価が大幅に好転した時には変わりうる(逆もありうるでしょうが、たぶん緩和は短期の下げで行うんじゃないの)ということですな。恐ろしい孔明の罠。


なお中立的な金利に関することを含めた話をもうちょっと詳しく書いているのが

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921b.pdf
「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証【背景説明】(注)


のPDF25枚目の所にありますけど、『(補論8)イールドカーブの形状による経済への影響』というところでいわゆる均衡イールドカーブの考え方を入れた話がございます。


○以上のまとめが最後の所でありますが・・・・・・・・・・・

『3.「総括的な検証」の内容を踏まえて、新たな枠組み導入の考え方を説明すると、以下の通りである。

(1)「イールドカーブ・コントロール」導入の背景
「総括的な検証」で記したとおり、「量的・質的金融緩和」は、主として実質金利低下の効果により経済・物価の好転をもたらし、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなった。この実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな枠組みの中心に据えることとした。

その手段としては、マイナス金利導入以降の経験により、日本銀行当座預金へのマイナス金利適用と長期国債の買入れの組み合わせが有効であることが明らかになった。これに加えて、長短金利操作を円滑に行うための新しいオペレーション手段を導入することとした。』

デフレ脱却宣言キター!!!!

『(2)予想物価上昇率の引き上げのための方策

一方で、2%の「物価安定の目標」は実現できていない。これは、@予想物価上昇率を2%に向けて引き上げる過程で、原油価格の下落などの外的要因によって実際の物価上昇率が低下し、Aこれがわが国ではもともと「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率の下押しに作用したことが、主因と考えられる。

この状況に対応するため、予想物価上昇率をより強力な方法で高めていくことが必要であると判断した。』

はいはい原油のせい原油のせいは良いのだが、以下の施策で何で予想物価上昇率が上がるのかは結局謎でございます。じゃあ他に何かあるのかと開き直られると困るのだが、中長期的にやればいいじゃんというスタンスでもっと緩和度合いをチンタラすればというのは敗戦思想らしい。

『具体的には、第1に、「フォワード・ルッキングな期待形成」を強めるため、オーバーシュート型コミットメントを採用することとした。「物価安定の目標」の実現とは、物価上昇率が、景気の変動などを均してみて、平均的に2%となることを意味する。現在の実績および予想の物価上昇率が2%よりも低いことを考えれば、「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」と約束することで、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることが適当であると判断した。』

『第2に、長年続いたデフレから人々のマインドを転換するためには、モメンタムが必要であり、「できるだけ早期に」2%を実現するとのコミットメントは堅持する。一方、「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率を引き上げていくことには不確実性があり、時間がかかる可能性もある。こうした点を踏まえ、枠組みの中心にイールドカーブ・コントロールを据えることで、経済・物価・金融情勢に応じたより柔軟な対応を可能とし、政策の持続性を高めることが適当であると判断した。』

この辺はお経ですが、政策の持続性ってやっと認めたかくやしいのうくやしいのう。

『(3)追加緩和手段

具体的な追加緩和の手段としては、「イールドカーブ・コントロール」の2つの要素である@短期政策金利の引き下げとA長期金利操作目標の引き下げを行うほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきたB資産買入れの拡大が考えられる。また、状況に応じて、Cマネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもある。


まあここも「緩和の後退」と言われたくないためのギミックでしょうが、ただまあここであるように今までは3方向にボンボンぶっ放すという話だったのに対して、優先順位が決まっているということになり、あくまでも金利をいじるのが基本でMBとか買入は後という事になりました。


『4.政府と日本銀行は、2013 年1月に共同声明を公表し、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政策連携を強化し、一体となって取り組むこととしている。日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進し、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する。政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果により、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導くものと考えている(注4)。』

ということで早期に達成というのは変わっていませんな。何だかなあという感じですが、

『(注4)佐藤委員は、マネタリーベースの拡大に関するオーバーシュート型コミットメントについて、現実的な目標設定でなく効果も期待できないなどとして反対した。』

(;∀;)イイシテキダナー


『木内委員より、2.(3)を削除するとともに、今後の金融政策運営方針について、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すことなどとする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員)。』

とまあそんな感じで案の定声明文(しかも経済物価のアセスメント部分を除く)で量と時間がいっぱいに・・・・・・・・


○だが一応メモを書く:この政策今はワークすると思うけど・・・・・・・・・・・・・

ということでして、この政策って今足元では多分普通にワークする(ただししばらくは日銀の介入レベルの間合いを測る動きとかで短期的にはボラが上がるかもしれんし、もう最初から無抵抗でうごかなくなるのかもしれないが始まって見ないと分からん)と思うのですが・・・・・・・・・・・

色々とややこしくなるのは「経済物価情勢に変化が生じた場合」でして、目先的に言えば円高アタックからの金利低下アタックの時に日銀の対処はどうなるのか(円高になった分だけ中立金利が下がっているのだから金利の低下を容認するのか、それともケシカランと介入するのか、とか)という話でしょうし、その際に政策金利をどうするのかという問題もある。逆に経済物価情勢が好転した場合に日銀は余程慎重にやらないと変なスパイラルが起こる可能性があるので中長期的に見た場合は「政策が上手く行った場合に運営上のリスクが高まる」という何というかなものがあると思う。

ということで、これたぶん黒田総裁の任期中は延命して何とかしましょうという事だと思うのですが、本当にそうなのかというのは結構ムツカシイかも、などと思いつつ続きは週末にやるかな?と思います。色々と考えないと良く整理できないので少々お時間が掛かるなあという感じです。

なおFOMCネタをスルーしているのはすいません。



2016/09/21

お題「決定会合プレビュー雑談大会」

日本の長期金利に注目(キリッ)とかモーサテのNY為替コメントの人がゆうとるのだが、だったら超長期の金利が7月のボトムから散々上昇したのにドル円結局全然動いてないのですが・・・・・・・・・・・・・・・・

○ということでMPMプレビュー雑談雑感

まあ折角のお祭りですので最後は雑談雑感を申し上げますが当たるも八卦当たらぬも八卦ということで(当て物をしている訳ではないが)一つ宜しく。

・政策アクションの有無は5分5分(昨日の金利低下見ると気持ち現状維持よりかもとは思うけど)

先週金曜にこんなん出てました。
http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/04-infofl/topicsPDF/MPM20160916.pdf
第6回上田八木・金融政策サーベイ

http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/04-infofl/topicsPDF/MPM20160916-2.pdf
「第6回上田八木・金融政策サーベイ」の結果について〜追加緩和予想50%(その7割が利下げ予想)。長期金利の見通しはミックス。

【調査の概要】
調査方法 弊社と取引のある銀行、証券会社、保険会社、事業法人などの市場取引関係者(204先)
調査方法 日本銀行の金融政策決定会合における結果予想と、3か月先の金利見通し
調査方法 2016年9月13日〜15日の3営業日間、電話等によるヒアリングにより実施
回答率 93.1 % (回答者数190 先<Q1における回答者数>)


ってことですので、どこぞのベンダーのお前聞く相手まちごうとるじゃろ(具体的に誰を示すかは申し上げませんが)というようなサーベイよりも市場イメージ知るのには良さそうな訳ですが、これがまた何かやるかどうかが綺麗に5分5分(引締め予想が皆無なのは当たり前)になるという結果でしたが、だいたい木曜日以降って概ね金利が下がって特に昨日とかは超長期が何でそうなるという感じ(単に板がスカスカの中で超長期輪番があったからで、別に何かを予想して新規ポジション構築を行っている動きではないと思いますが)でフラットニングしているので、もしかしたら何も無し派が気持ちもう少し多いのかもしれません(というのはアタクシが何も無しだと思っているから)けどよー分かりませんな。

とは言いましても、これがまた短国とか海外の注目とかの感じだと「利下げと買入の何らかの柔軟化セット」みたいな方が注目みたいなイメージになっているらしく(正直「そういう感じのようです」という話を聞いているというだけで実際問題として海外投資家に聞いて回った結果どういうイメージなのというコンセンサスを把握している訳ではないです・・・・・・・・・)、たぶん国内円債については現状維持で極端な動きはしないと思うのですが、為替が気になるという話をする人は多い感じですかねえ、よー知らんけど。


・でもって色々な手段の話がありますが

つーことでまあ色々な手段の話がホイホイ出てきて実にこうあれなのですが、各手段に関しては色々とハードルがあって、多分今回総括検証で手一杯だし、次回に展望レポートがあって経済物価見通しの修正を行うのですから仮に何かやるにしても経済物価見通しに合わせるじゃろと思うのでございますが、まー巷間言われる手段について考えるとですなあ・・・・・・・・・・・・・

政策金利引き下げ:為替を意識すると利下げじゃろという話は結構多いのですが、預金金利をある程度明確な形でマイナスに出来ないのに政策金利のマイナスを30やら50やらに下げるのって相当無理あると思いますし、貸出金利がマイナスになりようがないのに政策金利だけバンバン下げてもそれはさすがに中曽副総裁の講演(だったか黒田さんのきさらぎだったか)にありますように、利下げの効果が実体経済に行くのではなくて金融仲介機関の所でマイナス金利を負担することになって行くだけの話。

つーことで、政策金利の引き下げって本来は国債買入政策の出口におけるTaperingの際に長期金利上昇を抑制するためにテンポラリーに行うような政策であって、順序として「国債買入政策を撤収するための利下げ」はあっても「利下げ先にありき」という話には本来なりえない筈だと思うのですが、そうは申しましても円高攻撃になった場合に残念ながら日銀的には利下げ位しか手段がないのでそういう意味で「利下げ先行」はあるけど、そんなにバカスカ利下げが拡大できない(正直あと1回10bp下げたら限界でそれ以上やったら色々な弊害がもっとひどくなると思うのだが)のに今打ったってしょうがないでしょ、と思うのだ。

国債買入のレンジ化:一時このネタがだいぶ流行ったんですが、「それは実務的に無理じゃろ」というツッコミを受けていくうちに最近ちょっとこのネタが下火になった感じですが、輪番オペの額について毎月いくらか分からんとかいう状況の中で誰がポジション取るんだよという感じでして、量以外の明確なディレクティブが無いと買入の量を幾らにするとか決められないでしょとしか申し上げようが無い(今のやり方も大概に丸投げ感は強いがもっとひどい事になる)。それにレンジ化するならその時にマネタリーベースの拡大額に関してもレンジ化しないと、MB80兆円の数値を残してしまいますと最後の帳尻で地獄を見る事になるので、MBのレンジ化が必要ですが、そうなるともはや金融政策のディレクティブが何なんだか訳分からなくなります。

国債買入の年限短期化:これは事前報道で随分盛り上がって超長期30年とかの金利がバカスカ上昇するネタになりましたが、良く良く考えてみますと昨年12月に補完措置として国債買入の年限長期化を行った(この時は緩和とは言っていない)のは、このままだと中短期ゾーンの国債買入が大爆発(札が無くなって金利が盛大なマイナス金利になる)するから長い所を買っても回るようにしましょうという話(だから緩和ではない)だった訳で、国債買入拡大年間80兆円を減らさないで短期化をするとそれはどう見ても中短期のオペが回らなくなるので意味がないですな。

国債買入のテーパリング:・・・・・・・・・いやまあこれやるんだったら素晴らしいとアタクシ的には思うのですけれども、まーどう考えてもそれは緩和の後退だという事になりますので、出口政策が屁理屈でもできるようなタイミングじゃないと単体では無理だし、今の時点でやるほどの勝負できないでしょうと思います。買入も今のところは回っているので冒険するのはできないにしても、どうせ今の買入とて1年持つか持たないかとかそういうレベル感だと思いますので、いずれはテーパリングをしないといけない(当然ですがその時にMB目標も撤回して金利中心の政策になる)のでしょうが今じゃない感が強いですよね。

フォワードガイダンス:まあこれもお話としてはあるのですが、そもそも論として「出来るだけ早期に達成」というのを撤回しない(2年で達成は撤回というような事前報道は多いのですが、前回の決定会合での黒田総裁の説明およびその後の講演などでも「出来るだけ早期に」「2%物価安定目標」を達成するという話は繰り返し行われておりますので、2年云々が外れても「出来るだけ早期に」は今回は(将来は別だが)残る点を忘れてないかというツッコミをしたいのですよ)のですから、「緩和政策を長期間継続する」と今回ガイダンスを入れるのは「出来るだけ早期に達成する」というのを引っ込めない限りは話が矛盾するのですな。

とは言いましてもまーどう逆立ちしても2%なんぞそう簡単に達成できないのですから、「出来るだけ早期に達成する」と言いながら長期持続性可能性が極めて低い今の超越緩和政策を続けるわけには行かないので、展望レポートのタイミングのどこか(恥ずかしいので直ぐではないのでは)では長期的に維持可能な政策に転換しないと間に合わない(これで買入のペースが前のままでマイナス金利じゃなかったらもしかしたら黒田総裁の任期まで持たせて後はマルナゲータという無責任スキームも可能だったと思いますが、今となってはどう見てもこの政策あと1年半は持たないじゃろとしか思えんし、持っても明らかに無理状態になってるじゃろ)ので、そういう政策転換の所でそういう話になると思われます。

でまあその他資産ですけれども、ETFは既にあの状態でこれ以上無理じゃろと思いますし、REITとか社債とかCPとかそもそも量も稼げないしリスクプレミアム圧縮以上の買入をいつまで続けるんだという感じですし、政府保証債とか財投機関債とかもそれ何の意味あるのという感じで、まあ全般的に無くは無いのでしょうが、小手先感満載の政策なので今すぐどうのこうのという感じではないような気がします。

あと、外債に関しては為替介入もできそうもないのに外債購入できるわけないじゃんとしか申し上げようがありませんのでこれまた論外。

とまあそんな感じですが、とにかく今回の時点で「緩和政策の縮小」と取られるような政策は実施できない(もちろん総括検証でゴメンナサイ私が悪うございましたと言い出したら別でそんなん出たら北門前で土下座しますわ)ので、単体での買入系MB系柔軟化策は出て来ない(マイナス金利撤回も同様)のですが、アタクシは先程申し上げたようにそもそもマイナス金利拡大事態も切れるカードはあと1枚だと思っています(2枚以上うっかり切ると後で起きる副作用で死ねる)ので、マイナス金利拡大がそうホイホイと実施できないとなりますと、今回なけなしのカードを切る訳もなく、そうなりますと買入柔軟化とか短期化とかも無理でしょという事になると思いますので結局何もなしと。


・そんな事より重要なのは「毎回のMPMがイベントリスク化状態になっているのを止める」ことですけどね

とまあそういうことでございますが、まともな(とアタクシが考えている)方々はほぼ共通してコメントしていると思うのですが、今回の総括検証によって今後変わって欲しいのは、足元の「毎回のMPMがイベントリスク化」してしまい、毎回がお祭りといっても町内会の盆踊り位なら兎も角、どう見てもリオのカーニバル(って行ったことないので妄想で例えてますが)かというような状態になってる訳で、カーニバルというのはありゃ年に1回だから良い訳で、年に8回もやったらどんなタフな人でも死んでしまいますやめてくださいという事ではなかろうかと思うのですが、1月のマイナス金利以降(か12月の補完措置以降)、特に最近のMPMは毎回カーニバル状態になっておりまして、今回に関してももうちょっと静かに総括検証やれば良いのになんか知らんがああだこうだと色々と事前の前夜祭やり過ぎという感じで、全然落ち着く気配がないのが遺憾の極み。

でまあ何でそうなっているかと言えば、そんなのはもう日銀のコミュニケーションがアホウにも程があって、追加緩和しているのに「必要になったら躊躇なく3方向で追加緩和」とか強気を吹きまくっているのに物価は全然上がらんとか、それまで「より長い期間の金利低下が起きていてマイナス金利の効果が大きい」とか言っていたと思ったら今度は腹話術人形にイールドカーブとかいう言葉を言わせて変な地均しあるいはマニュピレーションみたいなことをしようとしたりとか、「期待に働きかける政策」というのは本来はインフレ期待に働きかける筈の物なのに、市場の期待をマニュピレーションしようとして自分で自分の罠に嵌って毎回緩和催促されたり、総括検証で政策のセット打ち込みを思いっきり期待されたりと、市場の期待をコントロールしようとして、オーバーシュートする市場に対してまた反応するみたいな「自分の尾を追う犬」状態ここに極まれりとなっている状態な訳ですよ。

でもって総括検証でちったあ落ち着いて欲しいのですが、どうもここまでの感じですとそういうのが期待できないような感じもだいぶしてきて(そういう意味では期待値下がっているから少々マシでも評価する気になるのかもしれませんが)、なんかこの悪い流れをちゃんと止められるのか、というのは危惧される状況ではありまして、本日の総括検証の内容とかその後の会見の説明(どうせ想定問答棒読みでしょうが)がどうなるのかというのは期待しないけど楽しみではあります。なお、MPMがイベントリスク状態になっているのを断ち切らないと、ってなコメントをしないで技術論の話ばっかりするのは気持ちは分かるがそうじゃねえだろと申し上げたい。別に特定の誰がどうだという話ではないけど。


・総括検証で「今後の話」は難しいのではないでしょうかねえ

まあ総括検証で「これまでの政策はこのような所で効果がありました」「でもこれこれの要因があってこの部分では期待ほど効果が出ていません」という話をするのは良いとしまして、どうせその政策が実は無駄でしたとか、そもそもMB拡大すると2年以内に楽勝で期待インフレが2%になるとかいう理論が間違えていましたとかいう話が出る訳もない(リフレ派が駆逐されてないんだから出る訳が無い)と来た上に、今後の政策の話に関してまでどうも今回の総括検証で出るのを期待するのは厳しいような感じがします(あくまでもアタクシの勘ですが、政策の決め打ち報道が全然出て来ないし、政策に関しても出ている話がバラバラという時点で何らかの方向性すら出ていないんだろうなあと思う)ので、検証が出ても何か「うーむ」というのになりそうな。

でもって会見での想定されるネタとしては、「今後も2%の早期実現に向けて必要な政策を実施します」「ただしその際にはここまでの政策検証で確認できた効果とデメリットが今後どうなっていくかを考えながら政策手段の使い方を考えていきます」「なお金利の引き下げ、量の拡大など、3次元の緩和に関してはいずれの次元でも緩和の余地があります」という風な話になるんでしょとしか思えませんが、この時にまた同じような黒田節で「3次元バンバンやりまっせー」となると何の意味もなくなってしまいますけど、まージャクソンホールの方は黒田節でしたが、きさらぎでもその後の中曽さんのでも、さすがに正調黒田節ではなくなっていましたので、きちんと情報発信すれば毎回のクレクレカーニバルは沈静化してくれる、と期待したいところです。ただの願望ですけど。


・そういや輪番って当面変にいじらない方が良いのではないでしょうか

先月末の時は久々に輪番いじらなかったのですが、今回のMPMで輪番の短期化でも決めるなら兎も角、そうでもないのであったら、輪番オペに関しては当面変にいじらない事と、もうちょっと買入額の決定方法がシステマティックに分かるようにして欲しい訳で、世の中的にはMPMがカーニバルですけれども、債券市場的には月末公表される来月の輪番予定額もカーニバル程ではないものの、サプライズがぶち込まれるとイールドカーブが変に暴れるのでサンフェルミンの牛追いくらいの勢いはありますのであまりちまちま調整しない方が(やるなら四半期に1回くらいで十分じゃろ)良いと思うのですが、はてさてどうなることやら。


#という訳でカーニバルですからこのビックウェーブに乗って雑談大会で短国入札とかカーブのフラットとか全てスルーでどうもすいませんでした。FOMCはどうせ年1回利上げの線でしょうから今回パスで12月に期待とかなんでしょうね。

#それからこれは中々
http://jp.reuters.com/article/britain-boe-saunders-qe-idJPKCN11Q2MR
Business | 2016年 09月 21日 04:43 JST
英中銀になお緩和余地、副作用警戒必要=金融政策委員

>副作用警戒必要
>副作用警戒必要
>副作用警戒必要

イイハナシダナーという所で(中身は見てないので知らん)




2016/09/20

お題「オペとか業態別当座預金残高とかのメモ/BOEの議事要旨を久々に鑑賞(ただし超駆け足)」

長短金利がフラットしたり逆イールドになると景気が後退するが、立っていると景気が後退しないという新説をモーサテで聞くことになるとは長生きしてみるもんですなあ。ちなみにNYの人からのお告げだったんですけどね。

でもって日経は
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07418270Z10C16A9NN1000/?dg=1
黒田緩和、枠組み修正へ 日銀20日から「総括検証」
2016/9/20 1:31日本経済新聞 電子版

で中身の方(日経本紙)を見ないと自信満々なのか単に適当に書いているだけなのか分からんので判断保留。


○市場メモ

・短期系オペ関連

金曜日の短国買入
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160916.htm
国庫短期証券買入 21,772 12,502 -0.016 -0.001 11.7

ということで1.25兆円の買入だったのですが(ほぼ順当)足切は1.6強まではいっているので売買参考統計値の16日分(木曜の引け)だと新発3Mの平均値単利が-0.366%となっているので、▲38bp辺りで売れている場合もあるという事で、入札が▲35.49bp/▲33.63bpなのできっちりと強く売れていますし、大体からして3M強かったのに応札が2.2兆円弱しかない、という辺りで短国の需給が強いですよねえという感じです。

まあ何ですな、期末要因とか海外要因とかその手の話ではあるのでしょうが、より海外要因での動きが要因として大きい短国に関しては需給がよろしいというこの状況ですので、海外の方が今回の総括緩和で見直しついでにアクション(利下げと買入の何らかの変更)あるでという予想をしているのか、単に宝くじ感覚のオプションなのかはよー知らんですが、それなりに海外って何らかの追加措置と称したサムシングを期待してるんですかねえ、などとこの木曜金曜の短国を見ていて思う次第。

ちなみに火曜のCP買入は足切りが▲3.8bpになっていまして、こちらは単に日銀買入適格のCP発行が落ちてきていると話で、いやだからこの買入ってもう何でやっているのかさっぱり分からんのですけどという感じですが、一頃無茶苦茶金利になったCP買入の方はまあ落ち着いているというか何というか色々と味わいがあるのですけれども大人の配慮でコメント割愛。


金曜は短国だけではなくて社債の買入も実施されていまして、

社債等買入 2,371 1,250 -0.215 -0.171 24.0

という結果なのですが、いやまあ確かに残存この辺りの国債金利って▲25〜▲30bpの水準だから国債よりも金利高い水準での買入にはなっているのですが、社債ってして国債とは違いましてそもそも社債としてのクレジットリスクもそうですが、流動性とか使い勝手が国債対比で全然違う訳で、リスクフリーレートとしての超過準備マイナスチャージ水準が▲10bpという所に厳然として存在する以上、何ぼ何でもこれよりも低い利回りを特攻して購入するという意味は基本的に無い訳で、現実問題としても社債の利回りってそこまでドマイナスになっている訳でもないのですけれどもこの買入水準ェ・・・・・・


○業態別当座預金残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/

例によって例のごとくですが。

・マイナス金利適用残高の推移

2月:223,034
3月:297,238
4月:212,002
5月:204,428
6月:256,880
7月:208,090
8月:227,740

当預平残は3.8兆円増えているのですが、マイナス適用残高の方はほぼ2兆円しか増えていないということで、未使用部分を減らそうという動き、というよりは当座預金残高が増えるので未使用部分が勝手に減っているだけなのかも知れません(特にその辺の枠を利用して裁定取引していなくても金が入ってくれば勝手に減るから)。ちなみにマイナス金利適用残高が減っているのは地方銀行、第二地銀、信託、外銀と来ています(なお都銀は元々マイナスの適用残高はゼロで相変わらずゼロのまま推移させている)。

プラス金利適用残高のうち使い切れていない分

2月:20,089
3月:12,607
4月:17,429
5月:20,854
6月:25,840
7月:20,230
8月:19,710

ゼロ金利適用残高のうち使い切れていない分

2月:166,314
3月:122,941
4月:72,563
5月:61,804
6月:94,890
7月:90,310
8月:75,640

となっていまして、単に当座預金残高の拡大が進んでいるから使い切れていない分も蜂の頭も無いということですかねえ。なお、信託銀行の場合はMRFで受けているキャッシュ部分が昨年の平残に到達するまで(正確には昨年平残対比積み期間中の積数で計算するので瞬間芸で超えても平残以内なら全額マクロ加算)マクロ加算扱いになるので、ゼロ金利適用残高はその分だけ増減する(MRFで受けているキャッシュが減るとその分マクロ加算適用が減る)のでその分のブレが信託銀行のゼロ金利残高適用部分の増減に影響してきます。

・補完当座預金残高非適用先残高

2月:40,512
3月:53,841
4月:65,971
5月:73,093
6月:78,697
7月:83,310
8月:84,710

若干程度増えていますな。こちらはあまり増えるとマイナス金利政策の尻抜けみたいになるような気もする(実際問題としては推移見ないと何ともですが、極端な動きをしている訳でも無さそうなので非適用先も残高コントロールはしているように見えますので問題はなさそうではありますが)ので一々チェックはしております。


○BOEの議事要旨を見てみたが

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2016/sep.pdf
Monetary Policy Summary and minutes of the Monetary Policy Committee meeting ending on 14 September 2016

ということで最初のサマリーは先般ネタにしたのですが、議事要旨の方を見ても何が何だかという感じで、特に今回のように「何でそうなったのか」というのが知りたい時にこの速攻で出す議事要旨って出来が悪いなあと思うのでした。つーか翌日にホイホイ議事要旨出すようになってただでなくさえ雑なBOEの議事要旨が益々雑になった感がありますので改善を願いたいなどと日本の人が日本語で悪態ついても負け犬のオーボエなんですけどね。

・8月追加緩和策の市場反応に関して

『Financial markets』のところですが、スタッフ報告的な事実の羅列が長いのでポイントだけ。

『On the day of the MPC announcement, gilt yields had fallen by 10-20 basis points across maturities, with the largest falls in the five to fifteen year sector. Swap rates had also fallen across maturities, although by less than the gilt curve, possibly indicating that the inclusion of £60 billion of gilt purchases in the policy package had not been fully anticipated by the market.』

『The announcement of the Corporate Bond Purchase Scheme had been less anticipated by financial market participants. Consistent with this, in the period immediately following the announcement, spreads relative to government bond yields on sterling investment grade and high yield non-financial corporate bonds had fallen sharply. 』


『The long-term wholesale funding spreads of major UK banks had fallen by around 20 basis points following the announcement of the Term Funding Scheme, broadly in line with the Committee’s expectations over the period since the August Inflation Report. 』

『Equity prices had risen following the MPC announcement. On the day, the FTSE 100, 250, and All-Share indices rose around 1.5%, with the UK-focused equity index up 1.2%.』

『Sterling had depreciated immediately following the announcement of the August package, with the sterling ERI falling 1.3% on the day, and by more than could be explained by interest rate differentials alone. Over the period since the Committee’s previous meeting, the sterling ERI had also depreciated slightly.』

ということで、市場想定よりもやや多めのパッケージ(利下げだけは予想通りのもの)を打ち込んだので反応が想定よりも大きかった、という話ですな。


・世界的な長期金利の状況について

『Announcements by central banks and expectations of their policies appeared to have been important factors behind movements in global bond yields since the Committee’s previous meeting. In particular, the ECB’s decision not to change policy at its September meeting, and market participants’ interpretation of the accompanying communications, had been followed by widespread increases in global government bond yields, including in the United States. There had also been a steepening in the Japanese yield curve, possibly related to market expectations of a change in the composition of the Bank of Japan’s policy stimulus.』

金融市場の動きのコーナーではECBと日銀の政策に関する動き(というか動かないというか)が市場の長期金利を引き上げる結果になったという話をしているものの、海外経済のパートの最後で、

『The Committee had discussed again the low levels of global long-term interest rates. Very long-term structural factors, such as trends in productivity growth and demography, appeared to have had a depressing impact on long-term real interest rates over an extended period.』

『It was difficult to believe that these factors had changed sufficiently to explain the further fall in yields since the start of the year. It was possible that long-term equilibrium real interest rates had been further depressed by persistent cyclical influences, such as heightened uncertainty and the weakness of growth since the financial crisis. Such factors would tend to lead to a fall in investment, or a rise in desired savings, both of which could depress long-term bond yields.』

『It was unclear, however, how long these factors would persist. In addition, structural reforms or more expansionary fiscal policy in major economies could act to push up equilibrium interest rates, and therefore long-term bond yields, in the future.』

ということで、長期金利が全体として低い件についての議論もあるのですが、ポテンシャルアウトプットがどうしたとか人口動態がどうしたというような構造的な問題についても言及しているものの、シクリカルなファクターが長期化しているのではないかというもうちょっと明るい趣旨の話になっているのはほほーという感じですし、結論の所でシクリカルなファクターが長期化しているなら財政を出せばいいじゃないかとなっているのがさらにほほーという感じ。


・経済物価見通しはあまり変わっていない

『Money, credit, demand and output』の所ですが。

『At the time of the August Inflation Report, the best collective judgement of the Committee was that the UK economy was likely to see little growth in the second half of 2016. The focus of the Committee’s discussion was therefore on whether the latest data had been in line with their expectations in the August Inflation Report and the impact so far of the package of measures announced by the Committee at its August meeting.』

となっていまして、見通しの所も引用するとこれまた長くなるのでアレですが、消費がやや良くて企業投資もやや良いものの、住宅投資がやや悪く、企業のテンションはブリクジットで下がって以来あまり良くない、というような感じになっています。

『Supply, costs and prices』では、

『Data released since the August Inflation Report had contained relatively little news for the Committee’s projections for supply, costs and prices, although the increase in CPI inflation over the rest of 2016 was now likely to be slightly more gradual. 』

『Domestic labour cost pressures had remained subdued. Total annual pay growth in the whole economy and in the private sector was 2.3% and 2.4% in the three months to July. The headline rate of unemployment had remained at 4.9%.』

『Surveys of employment intentions from the REC and CIPS had declined immediately following the referendum, but they had recovered in the latest data and were now at levels consistent with fairly flat employment.』

『Taken together, these data suggested that there had not been a deterioration in labour market conditions following the referendum. But it was too soon to tell how businesses would adjust to the longer-run impact of the vote to leave the European Union and the Committee would continue to monitor closely the prospects for employment and unemployment. 』

つーことで、賃金上昇圧力が弱いという話ですが、やはりブリクジットの影響がどうでるかを懸念している模様。


・でもって政策決定なんですけどね

物凄い飛ばしておりますので『The immediate policy decision』に行くのですが、そこの最初のパラグラフ(28パラ)に

『At the time of the August Inflation Report, the best collective judgement of the Committee had been that the United Kingdom’s vote to leave the European Union would lead, over the forecast horizon, to a materially lower path for growth and a notably higher path for inflation than would otherwise have been the case.』

ブリクジットのせいで見通しは大きく下がったと8月には申し上げましたと。

『The Committee had announced a package of policy measures aimed at reducing the amount of spare capacity in the economy and thus ensuring that inflation returned sustainably to the target over time. As set out in the August Report, conditional on this package of measures, the MPC had expected that by the three-year forecast horizon unemployment would have begun to fall back; much of the economy’s spare capacity would have been re-absorbed; and that inflation would be a little above the 2% target.』

『In preparing those projections, the Committee had only a limited amount of data to inform its assessment of how the vote to leave the European Union would affect the underlying momentum and medium-term prospects of the UK economy.』

見通しを下げた割にはまだブリクジットの影響があまり出ていなくて、今後のデータをもっと見ていく必要があります、という理屈になっておりまして・・・・・・・・・・・・・

『The focus of the Committee’s September discussion had been on the immediate impact of the policy package and whether the latest economic data had been in line with their projections in the August Inflation Report.』

となっていまして、今回のMPCでは8月に実施した施策のインパクトと、足元までの推移が8月のインフレーションレポートの見通し通りに行っているかどうかが主な議論であった、と政策決定の頭の部分で盛大な出オチ状態になっておりまして、この後ああでもないこうでもないとあるのは「政策の影響」と「経済が見通し通りに推移しているかどうか」という話になっていまして、その前の部分と同じ話を延々1ページ半位続けているという代物。

でもって最後の方(39パラ)では、

『The Committee’s view of the contours of the economic outlook following the EU referendum had not changed. News on the near-term momentum of the UK economy had, however, been slightly to the upside relative to the August Inflation Report projections.』

見通し変わらんが若干良いデータが出ていると。

『The Committee would assess that news, along with other forthcoming indicators, during its November forecast round. If, in light of that full updated assessment, the outlook at that time was judged to be broadly consistent with the August Inflation Report projections, a majority of members expected to support a further cut in Bank Rate to its effective lower bound at one of the MPC’s forthcoming meetings during the course of the year. The MPC currently judged this bound to be close to, but a little above, zero』

となっているのだが、これが何の為になのかがさっぱりワケワカランです。まあ引用の所で話の流れで飛ばしてしまいましたが、8月の追加緩和策に関しては「次の緩和を期待しているから効果が出ている」という認識はさすがに示しているのと、緩和策の投下によってインフレ期待が上がっている(のか海外の金利上昇が効いているのか、単にデータが良かっただけのかは判断を回避していますが)というのがあって、追加緩和をしないで済ますというのも余程の強いデータが出ないとキツイんだろうなというのと、足元少し良く成って居るので若干様子は見たいんだろうなという程度は想像できるのと、次回インフレレポートの所で経済物価見通しとセットで施策をする、ということなのでしょうけれども・・・・・・・・・・・・






2016/09/16

お題「MPM前に短国3Mがしらっと入札の高値更新/BOE据え置きで11月予告ホームランとな」

ブラックアウト期間に入って急に観測記事が静かになっているようですが・・・・・・・・・・・・・

○市場雑談系メモ

・短国3Mが盛大な金利低下とな

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20160915.htm

(3)募入最低価格 100円08銭3厘0毛(募入最高利回り)(-0.3363%)
(4)募入最低価格における案分比率 14.9302%
(5)募入平均価格 100円08銭7厘6毛(募入平均利回り)(-0.3549%)

先週の3Mが▲28.17bp/▲26.45bpでしたが、水曜の1Yが▲24.80bp/▲24.10bpで入札をやってからさっくりと▲35.4bpの引けとか大変強くなっていましたので、まー強いのでしょうかねえという感じでしたが足切▲33.63bpとか来週の利下げを織り込んでいるのかというような水準に低下していますし、そもそも入札段階で▲30bpレベルって7月の最初の3Mでそんなのがありましたが、その時よりも金利が低いとか中々お洒落。

ちなみにこの銘柄11/28償還なので今回利下げが無いと次回の利下げチャンスって11/1のMPMになるから即日適用されない限り11/16からの金利適用になるのでどう見ても盛大な逆鞘です本当にありがとうございましたという水準(GCは低めの所とは言いましても▲10bp水準ですので)になりますな。まあ元々短国の水準自体は▲20bp台から高い金利にはよーならんという感じになっているのは元々オペに叩き込めば良いというのに加え、海外需要とかその他モノとしての需要とかの実需もあるのでシャーナイのですが、それにしてもMPM直前で盛大に金利が下がるとおーという感じです。

なおJGBの方では1年以内の短い方が2年カレント辺りよりも金利が低い(大差がある訳ではないけれども)という現象に成って居たりするので、そんなのと合わせると一部では今回MPMでの利下げ期待(ちなみに基本的には利下げしたとしても即日適用じゃなくて次回積み期間開始の所から適用だと思うのだがどうなるんでしょ)が強まっているのでは、という解釈もできたりして、何か茲許MPMに向けてイールドカーブがどうのこうのとかいう報道が飛び交ううちに「長期以降のイールドカーブを上げる代わりに短い所のマイナスを強化する」というネタが多くなって、短い所ではマイナス強化の刑が来た時の備えも入るの巻となって、これネタとして地味だからあんまり騒動にならないというのと、そもそも利下げされても市場的には誰得利下げという感じ(債券市場ってトータルで見たらクーポン(ビルの場合は割引料)が発行体から保有者に払われる分が市場のプラスサムになるのですから、そらマイナス強化されたら市場全体で見たらリターンのマイナスが拡大するだけの話じゃの、今は日銀がより高値でマイナスのビルを購入するから何とかなっているけど)なので、「市場が利下げを催促する催促相場になっている」という昂揚感が無いので盛り上がりに欠けるのかも知れませんが(−−;


・報道が一段落でいったん戻しですかそうですか

毎度の如くロイターから(大汗)
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1BR1XP
Markets | 2016年 09月 15日 15:21 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、フラット化の形状

『<15:16> 国債先物は続伸、フラット化の形状

長期国債先物は続伸。前日の海外市場で欧米金利の上昇に一服感が出たことを受けて買いが先行。円高・株安も買いを誘った。現物債は長いゾーンの利回りに低下圧力がかかった。超長期債利回りは前日の反動や来週の日銀金融政策決定会合をめぐる不透明感があるものの、年間80兆円の国債購入を減額しない公算が出てきたことを材料視した買いが優勢になった。国内銀行勢主体の需要が観測されていた。長期ゾーンも堅調。一方、中期ゾーンは小動き。イールドカーブはフラット化の形状で長短期金利の差は縮小した。流動性供給(対象は残存1年超5年以下)入札はしっかり。』(上記URL先より)

ということで、水曜の朝刊ではエライ勢いで総括検証とその後の政策アクションに関する報道が追い打ちのように出て(でも良く良く見ると書いてある内容が従来色々と言われている話の焼き直しと編集に過ぎなかったりするのだが)債券市場もヒャッハーヒャッハーとなっていた訳ですが、昨日に入りましてMPMに向けたヘッドライン乱舞が急に一段落したような感じがします。

でもってヘッドライン乱舞が一段落すると「まーここまでやったんですからねえ」攻撃が入るというもので、長期以降堅調に金利低下でござるの巻(って言ったってそこまでバカスカ投資家が動いている訳でも無くて結局板が薄い中での話でしょうが)となっておりまして、とりあえずはここからは固唾を飲んで見守るという事なのでしょうか、とか書いているとまた金曜の夕方とか○高砲が出たりするので変なフラグを立てないようにしておきますが。


○引き続きネタも無い(訳ではないが)のでMPMプレビュー雑談

しかしまあ何ですな、昨日になって急にMPM直前憶測報道が静かになった(ような気がする)ということは、まー憶測報道打っている方もそこまで自信満々という訳でもないんでしょというふうに思う訳でして、従来この手の奴で自信満々に打ってくる場合ってブラックアウト入った初日に堂々断言系で打ち込んでくる、というのがメディアの仕様になっておりまして、ブラックアウト入った途端にシーンという感じになっているのは今回面白い現象で、なんか今回の総括検証に関する流れというのは従来のパターンと微妙に違って見えるので面白いなあと思うのでした。

ただ、もし報道の通りに日銀がイールドカーブのフラット化が行き過ぎなのでちと戻って欲しいとか考えて一連の講演とかインタビューを設定しました、というのでしたら、そらまあ認識としてイールドカーブがフラット化し過ぎだったら色々と困る人多いというのはその通りなのですが、そこの是正をしようとするのに一連の話を不規則な形で打ち込んできているというのもちょっと違和感がありますな。

などと思っていたらこういう観測記事があったのを見落としていた(汗)。

http://jp.reuters.com/article/boj-qqe-idJPKCN11K111?sp=true
Business | 2016年 09月 14日 19:25 JST
日銀、緩和度合いの目安で金利重視の手法検討へ=関係筋

『[東京 14日 ロイター] - 日銀は20、21日の金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)政策の枠組みを修正する可能性がある。複数の関係筋が明らかにした。具体的には、金利のゾーン別の下がり具合で緩和度合いを示す手法が検討対象の1つになっているもよう。合わせてマイナス金利の深掘りや、購入する国債年限の調整などで利回り曲線(イールドカーブ)の修正を促す見通しだ。』(上記URL先より)

金利重視という話ですが、ここでの観測っていわゆる均衡イールドカーブの概念を使って金融政策の緩和度合いを考えるみたいなお話でして、

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab15j03.htm/
均衡イールドカーブの概念と推移

というのが昨年出ていまして、まあ詳しくは上記URL先をみてちょという話になるのですが、ただまあこれってどちらかと言えば出口戦略みたいな時に「均衡イールドカーブに対してこれだけ実際のカーブが推移しているので今の政策はまだ緩和的ですよー」みたいな話をする方で使うような話ではなかろうかと思ったりするのですよ。

まあ確かにマイナス金利政策突っ込んだので名目金利のゼロ制約は取り払われた、という見方もできるのですけれども、市場のイールドカーブのショートエンドがマイナスになっていますと言いましても、預金や貸金の金利に関しては今のところ名目ゼロ制約がありまして、この実質均衡金利が意味を出すのって単に市場の金利がこれだから効果というだけではなくて、実際の経済活動の方で均衡金利に対して実際の金利がどうなっているかというところで金融政策のトランスミッションメカニズムが働くとか考えますと、「マイナス金利を深堀りして均衡金利よりも金利を下げるから効果が出るぜヒャッハー」という話をするのも、途中で金融仲介機能の収益力をスクイーズするだけに終わっているのだったらそれは意味のある話なのかという事になると思うのよ。

でまあもっと話として難しいのは、上記URL先の記事にありますように、均衡イールドカーブに対して市場のイールドカーブをマニュピレートしよう、というような考え方で日銀が動き出すとまた話がややこしくなる訳で、今回の総括検証前の超長期金利のそれなりの上昇を見ればお察しの通りで、イールドカーブの水準をそう簡単にマニュピレートできるものでもない上に、大体からして均衡イールドカーブ自体が概念として正確にだせるものでもない以上、日銀が何らかの意図を持ってオペをホイホイ弄る、ということになりますと市場のボラが無茶苦茶大きくなる(均衡カーブがどうなっているかさっぱり分からんままホイホイオペがいじられるケース)か、それとも全然動かなくなる(明示的にカーブの水準を示してそこで指値オペみたいになってしまって市場が完全死亡するケース)かの両極端になりそうなお話。

ということで、イールドカーブって結局のところ結果だろと思っている不肖このアタクシからしますと、均衡カーブの概念を緩和度合いの計測として見るのは別にまあどうぞどうぞとは思うのですが、そこをターゲットにしてオペレーションを行うというのは何ぼ何でも実務上無茶な話だし、たぶん混乱しか起きないと思うのですが、どうもマイナス金利導入以降ここまでの日銀執行部系からの情報発信を見ると、イールドカーブをマニュピレート可能と思っている節がありそうでちと懸念されるところではあります。


○BOEの概要の部分を引用メモだけで勘弁

うむ。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2016/009.aspx

最初のサマリー。

『The Bank of England’s Monetary Policy Committee (MPC) sets monetary policy to meet the 2% inflation target and in a way that helps to sustain growth and employment.』

知ってた。

『At its meeting ending on 14 September 2016, the MPC voted unanimously to maintain Bank Rate at 0.25%. The Committee voted unanimously to continue with the programme of sterling non-financial investment-grade corporate bond purchases totalling up to £10 billion, financed by the issuance of central bank reserves. The Committee also voted unanimously to continue with the programme of £60 billion of UK government bond purchases to take the total stock of these purchases to £435 billion, financed by the issuance of central bank reserves.』

現状維持とな、でその先。

『The package of measures announced by the Committee at its August meeting led to a greater than anticipated boost to UK asset prices. Short and long-term market interest rates fell notably following the announcement; corporate bond spreads narrowed, and issuance was strong; and equity prices rose.』

『Since then, some of the falls in yields have reversed, driven by somewhat stronger-than-expected UK data and a generalised rise in global yields.』

資産価格が想定以上にあがりましたぜヒャッハーということですが、これ日銀のマイナス金利の時もそうなのですが「おう追加緩和したけどまだ追加緩和やったるぜヒャッハー」とするとそら先の緩和まで織り込みに行くので、だいたい「greater than anticipated」ってな話になってしまうので、そこらの効果というか兼ね合いについて中央銀行って口で言っているのは兎も角として、実態面でどういう評価(定量評価が難しいのだが)しているのかっていうのは最近の「緩和が資産市場にこんなに効きましたぜ」という中銀のアナウンスを見ていて気になる所です。

結局ですな、ここのところの効果を過小評価しちゃうと、市場とのコミュニケーションの中で発言が威勢が良く成ったり悪くなったりするとホイホイ動いてしまう市場の反応を、なんか別の要因と取り違えて解釈してしまい、そこから得られたインプリケーションを元に次のコミュニケーションをする、とかいう事になりますと、相場の振幅を無駄に中銀が加速するというアホウな事態になり兼ねなくて、どうも最近主要中銀のコミュニケーションが「上手くやろう」として却ってボラを高める結果を生んでいるような気がせんでもないのですけどどうでしょうかね。

『Many banks announced cuts in Standard Variable Rate and Tracker mortgage rates in line with the cut in Bank Rate. Deposit rates fell in August, although on average these falls were slightly smaller than the cut in Bank Rate. Fixed rates on new mortgage lending also fell.』

この辺は「金利引き下げが実体経済に向けた金利にはこのように効いています」って話。

『Overall, while the evidence on the initial impact of the policy package is encouraging, the Committee will monitor closely changes in asset prices and in interest rates facing households and firms and their effect on economic activity.』

最初のインパクトは心強いそうな。

『The MPC set out its most recent detailed assessment of the economic outlook in the August Inflation Report. Based on the data available at that time, the Committee judged that the UK economy was likely to see little growth in the second half of 2016. In light of the tendency for survey indicators to overreact to unexpected events, the Committee expected some bounce-back in surveys of business and consumer sentiment following the sharp falls in the immediate aftermath of the vote to leave the European Union.』

『Nevertheless, since the August Inflation Report, a number of indicators of near-term economic activity have been somewhat stronger than expected. The Committee now expect less of a slowing in UK GDP growth in the second half of 2016.』

経済のデータは予想よりも良くなっているとな。

『It was more difficult to draw a strong inference from these data about the Committee’s projections for 2017 and beyond. Moreover, there had been no new information since the August Inflation Report relevant for longer-term prospects for the UK economy.』

つーてもこの程度では先行きの見通しが強くなる程ではない。

『In the August Inflation Report, the Committee judged that some parts of the economy would be more sensitive than others to heightened uncertainty. Business and housing investment were expected to decline in the second half of 2016, while consumption growth was expected to slow more gradually, alongside households’ real disposable incomes. While most business investment intentions surveys weakened further since the August Inflation Report, the near-term outlook for the housing market is less negative than expected and the indicators of consumption have been a little stronger than expected.』

『Overall, these data remain consistent with the Committee’s judgement in the August Inflation Report that business spending would slow more sharply than consumer spending in response to the uncertainty associated with the United Kingdom’s vote to leave the European Union.』

つーことで、先行きに関しては不確実性(元はブリクジット)への懸念があって、マインド系が悪化している辺りを強調しておりまして段々威勢が良くない話になってくるのだ。

『Data on global economic activity have generally been in line with the Committee’s August Inflation Report projections, with growth in the United Kingdom’s major trading partners expected to continue at a modest pace over the next three years.』

海外は想定通りだが成長は緩やか。

『Twelve-month CPI inflation remained at 0.6% in August, lower than projected at the time of the August Inflation Report, and well below the 2% inflation target. As the unusually large drags from energy and food prices attenuate, CPI inflation is expected to rise to around its 2% target in the first half of 2017, consistent with the August Inflation Report, albeit with the projection a little lower over the remainder of 2016 than had been anticipated in August. 』

でまあ物価の方が想定よりも上がり方が弱いというのもBOEとしては追加緩和やる口実にはなりますぞなという感じで、BOEの場合は緩和ホイホイやって物価がホイホイ上がってとなって詫び状書く姿をよく見るので、物価がそんなに上がらんとなった方が政策やりやすいかも(ただ利下げ余地がすくないけど)。

『The Committee’s view of the contours of the economic outlook following the EU referendum had not changed. News on the near-term momentum of the UK economy had, however, been slightly to the upside relative to the August Inflation Report projections. The Committee will assess that news, along with other forthcoming indicators, during its November forecast round.』

まあ若干強いかも知らんが基本的な見方は変わらんと。

『If, in light of that full updated assessment, the outlook at that time is judged to be broadly consistent with the August Inflation Report projections, a majority of members expect to support a further cut in Bank Rate to its effective lower bound at one of the MPC’s forthcoming meetings during the course of this year. The MPC currently judges this bound to be close to, but a little above, zero.』

ということで、11月インフレレポートの時点で今の見通し通りに推移しているのであれば、政策金利をもう一発下げてゼロに近い下限まで下げますよとやるやる詐欺になるのかどうかは知らんけど予告ホームラン。

『Against that backdrop, at its meeting ending on 14 September, MPC members judged it appropriate to leave the stance of monetary policy unchanged.』

つーことで、ミニッツとかは折角連休もあるので色々と読んでみようと思います。


○ちなみに色々読む中でこんなのがありますな

http://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4.html
平成27事務年度 金融レポートについて

『金融庁では、金融行政において何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、平成27事務年度においていかなる方針で金融行政を行っていくかについて、昨年9月に「金融行政方針」として公表しました。

今般、「金融行政方針」の進捗状況や実績等の評価を「金融レポート」としてとりまとめましたので、公表いたします。』


上記URL先に資料へのリンクがありまして、

http://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4/01.pdf(全文:カラー128枚あります)
http://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4/02.pdf(概要:11枚あります)

というのがあるがこんなのも読んでみようかなと。






2016/09/15

お題「報道相次ぎカーブはツイストスティープとかもうね/ブレイナード講演鑑賞のつづき」

ほうほう。
http://jp.reuters.com/article/knot-idJPKCN11K1BL
Business | 2016年 09月 14日 23:00 JST
インフレ目標の解釈に柔軟性必要=オランダ中銀総裁

『[ウィーン 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は14日、インフレに関する責務について、より柔軟な解釈が必要だとの見解を示した。ウィーンでの会議で述べた。またECBが乗り越えようとしている衝撃は過去80年間で最大だとし、一段の刺激策は効果を弱め、副作用を増幅するとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

『前日にはラウテンシュレーガー専務理事が、ECBはこれまで実施した金融緩和策の効果を見極める必要があるとし、新たな刺激策を打ち出すべきではないとの認識を表明した。ドラギECB総裁は資産買い入れを見直す可能性を示唆しているが、ECB内でタカ派とされる2人が金融政策スタンスの見直しに相次いで慎重な姿勢を示したことで、市場の緩和期待がしぼむ可能性がある。』

ということでタカ派の人なので追い風参考記録ではありますが、ECBでも「そもそもこれをバンバンやったからと言って物価がホイホイ上昇する訳でもないのにバンバン実施して拡大拡大をやって行って良いのか」という話になってきているというのは実に心温まるものがございますが、まあECBの場合は日銀ほど派手にやっていないので(特に量)、たとえば量的拡大するときに足切マイナス金利(政策金利よりも低い利回りの債券は買わない)というのを外せば買入だけはもうちょっと進めることが出来るでしょ(発行額まで買うようにしないとキツイかもですが)とか、見直しと言いましてもヤケクソ特攻方向での見直しはまだ行ける筈。

・・・・・・・・・という状況ではあるものの、すぐそこで日銀が広げ過ぎた大風呂敷をここからどうするの、という話をする状況になっている訳でございまして、ECBとしてもまだ特攻の余地があるのは日銀を見れば分かるでしょうが、それによって何か良い事が起こるかというとそういう訳でもなく、「総括検証」に追い込まれる事になったら日本での検証よりも遥かに面倒な事になるんじゃないっすかね。

という前置きですがうっかりしてたが週末3連休みたいだから色々読み物して確認しないと(キリッ)。


○ちょっとこのバタバタはやり過ぎというか日銀調子に乗り過ぎ

昨日の日経朝刊再掲である(例によって有料会員じゃないと全部読めません)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF13H0M_T10C16A9MM8000/
日銀、緩和拡大はマイナス金利軸に 総括検証
2016/9/14 2:00日本経済新聞 電子版

でまあこれなんですが、結局これまで出てきた話を整理つけないままで並べている、という感じの本紙記事だったのですが、何かその内容を吟味して反応したというよりは、それより「またマイナス金利拡大とイールドカーブスティープ化の話かよ」ってなもんで反応している訳ですが、記事を見ますとどうも「マイナス金利拡大」に「買入年限の短期化」をセットにしているのですが、マイナス金利拡大の方は兎も角、そもそも論として昨年12月の補完措置導入って中短期の買入が市場のキャパ対比キツクなってきたから買入平均年限のレンジの上を上げてくる、という施策を取った訳でございますので、「単純な短期化」ってのをやるとその分のしわ寄せが長期以下の年限の買入に負担が強まる話で、買入の爆発時期を早めるだけの結果になると思うのよね。

ということで年間80兆円のペースを減らして最終的にバランスシート拡大を止める位のレベルでの見直しをする、というような時において、単体だと金利が上がるからとりあえず政策金利を下げてイールドカーブの手前のアンカーを強くします、というのは勿論普通にアリなのですが、これって基本的に「テーパリングするときの副次的な手段で利下げ」という話になるのですから、物価がこの水準の時にやるというのはちょっと・・・・・・・・・

ただまあ何ですな、屁理屈を繰り出すのが得意な日銀の事ですから、マイナス金利拡大をメインに置いてしらっと買入規模の縮小をするという理屈を繰り出すのは可能で、「マイナス金利政策は資産買入政策よりも金利に働きかける効果が強い(という説明がどうせ検証で出ると思うのですけれども、実際問題としてはマイナス金利が効いたというのもさることながら、マイナス金利と資産買入の一段の拡大を強力に示唆した効果が物凄く大きいと思うので、おそらくマイナス金利政策の市場金利への効果は「定量的に」だすと無駄に大きく出ると思うの)ので、その強い効果に対して調整を行う意味もあって買入の年間ペースを縮小しようと思います」とか言い出すことはできるのかもしれませんね。

などということで何か9月にも登場するのではないか位の勢いでまたまた超長期の金利が上昇していた訳で、30年6.5甘で0.575%とかになっている一方で中短期の方が強くなってきて2年や5年が3毛強とかになって2年カレント▲27.5bpで5年カレント▲20.5bpとかで、短い所と長い所がきっちりと反応しているのは、日経報道だけではなくて、マコト君人形のロイターインタビュー以降色々とノイズが出ているというのが一連の流れの背景にあるという感じであります。

でですな、まあ以下はアタクシの脳内に浮かんでいる妄想を文字化したものでありますので事実かどうかは全く保証致しかねる憶測ではあるのですが、どうも今回の総括検証の結果として3方向ガンガン緩和、の方向からの脱却を図るというのになるでしょうというのは多分そうなんでしょうとは思う(そうじゃなかったら総括検証やらんじゃろ)のですし、恐らくはここ数か月に見られた「際限なき追加緩和トークと追加緩和手段ネタの過激化」を鎮静化させようと思っていて、ついでに散々文句の出ているイールドカーブの極端なフラット化がもうちょっと是正されればとか思ったんじゃネーノという妄想する訳ですよ。

ただ、この総括検証を最初に打ち出した時でも「追加緩和をするために理屈を立て直してまたまた特攻」という見解をだしていた何とかストの皆さんが結構多かったように、従来の延長線上という話が多かったので、必ずしもそうではありませんよ的な話を入れていかないと、総括検証を行った途端に「ひえー」となって金利が上がる、という形にされるのもマズーじゃろ、ということで織り込ませに行ったんだと思うのですよね。

でもね、解釈は分かれると思いますけど、元々金利が馬鹿下がりしてフラットしまくったのって、「次回MPMで3方向緩和追加ぶち込まれたらマズイマズイ」ってな感じで、黒田さん以下がやたらめったら「緩和に限界が無い」「3方向で躊躇なく追加緩和して対応」とか言っていたファクターって無茶苦茶高くて、元々が「2年を念頭に出来るだけ早期に達成」ということで出来るだけ早期の達成というのを示している以上は追加緩和で3方向でやるって言ってるんだから国債買入拡大とマイナス金利拡大でしょ、という風に市場が考えざるを得なくしているのがイールドカーブを盛大にフラットさせていると市場の体感的には思うのですよ。

つまりですね、日銀が「勿論これからも必要ならば緩和はするけど、3方向でガシガシやる訳ではないし、物理的に可能な緩和でも適切でないケースで実施したらメリットデメリットが合わないからこれまでの検証を参考にしながら考えていきますよー」とでも言っておけば、取りあえずは毎度毎度の過激な緩和催促が一段落して、イールドカーブも自然に立ってくると思うのですよあたしゃ。

然るに、日銀が総括検証に向けて「うまいこと市場に事前に織り込ませよう」とかスケベな事を考えるもんだから、イールドカーブの形状に直接言及するというプレイになりまして、しかもそんなの何度も言う必要は無いのに追い打ちを掛けるように何度もその点について言及するもんだから報道の方も喜んでしまって、連日超長期の金利が上がるかのような「トーク」が繰り広げられるの巻。

いやね、イールドカーブが思いっきり寝られると色々と不具合が大きいから適当に立っている方が良い面は多々あるのはその通りなのですが、統制金利をしているのでない限り、イールドカーブって市場による取引の「結果」だと思うのですが、どうも今の日銀の情報発信を見ていると、その「結果」の方をどうにかしてマニュピレーションしようとして一連のイールドカーブが寝過ぎだのフラット化促進的な話をしているようで、まー危うさを感じますの。

本来そういうのは市場にゆだねれば良い話ではあるのですが、まあこの件って元を辿ってみるとマイナス金利導入してイールドカーブがどフラットした時に「政策の効果」と吹聴した黒田総裁以下執行部に問題がある訳で、これイールドカーブに関する発言は総括検証後も色々とやるようですと、総括検証して市場の認識するプラットフォームを共通化して、市場を落ち着かせて行くというような日銀が考えていそうな意図(本当に意図かは知らんけど想像ね)と違って、総括検証で「これまでの話」だけでない「これからの話」について相当バシッとした話でも出て来ない限り、特にイールドカーブのロンガーエンドの所って全然落ち着かないんじゃないの(日銀がカーブの形状にこれからも言及するリスクが高そうだから)という気がだいぶするのでありましたとさ。


#とまあ相場が動くので毎日似たような悪態で申し訳ありませんが後でこの時点で何考えていたか分からなくなると困るので、という超アタクシ的事情により総括検証雑談が続くのでありました


しかしあの日経の記事ですが、「25年超の輪番がどうのこうの」とか何か無駄に細かい所とエライ雑な所が混じっていて、何ちゅうかこの何とかストとかから取材したの継ぎはぎしているなあ感が満載なのですが、他のベンダーのも最近そんな感じなのもナンデジャロと思うのでした。



○地道にブレイナード講演の続き(汗)

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20160912a.htm

『Key Features of the "New Normal"』の中身を見るという地味な作業は続く。


・雇用は完全雇用じゃないよーというハト派系説明

『2. Labor Market Slack Has Been Greater than Anticipated』という見たまんまの小見出しから。

『Second, and related, although we have seen important progress on employment, this improvement has been accompanied by evidence of greater slack than previously anticipated. This uncertainty about the true state of the economy suggests we should be open to the possibility of material further progress in the labor market. Indeed, with payroll employment growth averaging 180,000 per month this year, many observers would have expected the unemployment rate to drop noticeably rather than moving sideways, as it has done. It is true that today's unemployment rate of 4.9 percent is only 0.1 percentage point from the median SEP participant's estimate of the longer-run level of unemployment.』

SEPで示されているロンガーランの失業率並みになっているのは事実ですが・・・・・・・・・

『However, the natural rate of unemployment is uncertain and can vary over time. Indeed, in the SEP, the central tendency of the projection for the longer-run natural rate of unemployment has come down significantly, from a range of 5.2 to 6.0 percent in June 2012 to 4.7 to 5.0 percent in June 2016--a reduction of 1/2 to 1 percentage point.5 We cannot rule out that estimates of the natural unemployment rate may move even lower.』

そもそもSEPのロンガーラン失業率だって下がっている訳で、自然失業率も下がっているとみるのが妥当と。

『In addition, the unemployment rate is not the only gauge of labor market slack, and other measures have been suggesting there is some room to go. The share of employees working part time for economic reasons, for example, has remained noticeably above its pre-crisis level. Of particular significance, the prime-age labor force participation rate, despite improvement this year, remains about 1?1/2 percentage points below its pre-crisis level, suggesting room for further gains. While it is possible that the current low level of prime-age participation reflects ongoing pre-crisis trends, we cannot rule out that it reflects a lagged and still incomplete response to a very slow recovery in ?job opportunities and wages.6 』

まあこの辺はいつもハト系の人が言う話と同じで、他の指標をみたり賃金みたりしたらまだ完全雇用とは言い難いでしょという指摘でハト派全開なのだ。


『This possibility is reinforced by the continued muted recovery in wage growth. Although wage growth has picked up to about a 2-1/2 percent pace in recent quarters, this pace is only modestly above that which prevailed over much of the recovery and well below growth rates seen prior to the financial crisis.7 』

『My main point here is that in the presence of uncertainty and the absence of accelerating inflationary pressures, it would be unwise for policy to foreclose on the possibility of making further gains in the labor market.』

最後の所出た日に引用しましたが、要は賃金あがって物価があがるというポジティブフィードバックが働いてきたとみられない限りにおいてブレイナードさんは利上げに対してとーーーーーーーっても慎重であるという事でしょう。


・海外が悪いよ海外が

『3. Foreign Markets Matter, Especially because Financial Transmission is Strong』である。

『Third, disinflation pressure and weak demand from abroad will likely weigh on the U.S. outlook for some time, and fragility in global markets could again pose risks here at home.8』

海外が悪いよ海外が。

『In Europe, recovery continues, but growth is slow and inflation is very low. Low growth and a flat yield curve are contributing to reduced profitability and a higher cost of equity financing for banks, which in turn could impair bank lending, one of the main transmission channels of monetary policy in the euro area's bank-centric financial system.』

欧州の話でしらっと「低成長とフラットなイールドカーブが金融機関の収益性を下げて、資本コストを上げることによって貸し出しというユーロ圏の金融政策の重要なトランスミッションチャネルへの障害となっている」とあるのがお洒落。

『A low growth, low inflation environment also makes progress on fiscal sustainability difficult and leaves countries with high debt-to-gross domestic product (GDP) ratios vulnerable to adverse demand shocks. Against this backdrop, uncertainty about Britain's future relationship with the European Union could damp business sentiment and investment in Europe.』

うむ。

『Japan remains greatly challenged by weak growth and low inflation. Indeed, it is striking that despite active and creative monetary policies in both the euro area and Japan, inflation remains below target levels. The experiences of these economies highlight the risk of becoming trapped in a low-growth, low-inflation, low-inflation-expectations environment and suggest that policy should be oriented toward minimizing the risk of the U.S. economy slipping into such a situation.』

欧州と日本に対してはいわゆる(SF連銀のウィリアムスのおっちゃんとかが言うような)ニューノーマル的な状況になっている認定来ました。

『Downside risks are also present in emerging market economies, where growth has slowed rapidly in recent years.9 Most importantly, China is undergoing a challenging transition from a growth model based on investment, exports, and debt-fueled state-owned enterprises to one driven by consumption, services, and dynamic private businesses. Because of the adjustment costs along this transition path and demographic trends, Chinese growth will likely continue to slow. Given that China has experienced very high growth in corporate debt, this downshift could pose risks. Importantly, Chinese authorities have made some progress on clarifying their policy stance, and capital outflows have slowed in recent months. Nonetheless, considerable uncertainty remains, and further volatility cannot be ruled out. The importance of Chinese growth and stability to many emerging market economies and to global markets more broadly implies that these risks have global implications.』

EMの話と言いつつ中国の話ばかり延々としていますが、まあそんなに変わった話をしている訳ではないのでとりあえず引用だけ。

『Headwinds from abroad should matter to U.S. policymakers because recent experience suggests global financial markets are tightly integrated, such that disturbances emanating from Chinese or euro-area financial markets quickly spill over to U.S. financial markets.』

海外からのショックもあるでーとのご指摘。

『The fallout from adverse foreign shocks appears to be more powerfully transmitted to the U.S. than previously. Indeed, recent research suggests that changes in expectations regarding the path of policy in the United States relative to other major economies lead to exchange rate movements that appear to be several times bigger than they were several years ago.10』

昔より海外の影響が大きいんですってよ奥様。

『The fact that many advanced economies are suffering from deficient demand and have policy rates at or near the zero bound and that the U.S. dollar is a favored safe-haven asset may imply that adverse foreign demand shocks have a particularly strong effect on the value of the dollar, effectively transmitting the weakness to the U.S. economy.11』

でもってその海外の弱さから米国に資金流入→米ドル高→米国輸出企業にマズー、ということでこれは最初に引用した時にも書きましたが、とにかく為替の言及がそこそこ重要な部分でポコポコ出てくるというのもこのブレイナードハト派全開講演の見どころであります。


・自然利子率低下の話はまあ普通

『4. The Neutral Rate Is Likely to Remain Very Low for Some Time』とまた小見出しだけでハト派満開。


『Fourth, perhaps most salient for monetary policy, it appears increasingly clear that the neutral rate of interest remains considerably and persistently lower than it was before the crisis.』

自然利子率の低下キタコレ。

『Over the current expansion, with a federal funds rate at, or near, zero and the additional support provided by asset purchases and reinvestment, GDP growth has averaged a very modest rate upward of 2 percent, and inflation has averaged only 1?1/2 percent. Ten years ago, based on the underlying economic relationships that prevailed at the time, it would have seemed inconceivable that real activity and inflation would be so subdued given the stance of monetary policy. To reconcile these developments, it is difficult not to conclude that the current level of the federal funds rate is less accommodative today than it would have been 10 years ago.』

これだけ積極的な緩和をしているのに成長やインフレがこの程度なのだからそいつは緩和の度合いが見た目よりも小さいちゅうことやだそうで。

『Put differently, the amount of aggregate demand associated with a given level of the interest rate is now much lower than before the crisis.』

つまりそれは同じ金利における需要の総量というのが金融危機前の時と今の時では違う、という事に言い換えることもできますよと。

『In the early stages of the recovery, most observers thought that the cyclical headwinds restraining demand and lowering the neutral rate would dissipate, and that the neutral rate would move gradually back to the pre-crisis norm of 2 percent. But seven years into the expansion and with little sign of a significant acceleration in activity, the low neutral rate looks likely to persist. Indeed, developments over the past year confirm that the underlying causes will be with us for some time.12 Foreign consumption and investment are weak, while foreign demand for savings is high, along with an elevated demand for safe assets. Productivity growth, which increased at an average annual rate of nearly 2-1/2 percent from 1950 to 2000, has increased only 1/2 percent on average over the past five years, and demographics also suggest a persistent slowing of the labor force.』

数字とかも入っていますが、思いっきり要約するとシクリカルな向かい風が一段落したら自然利子率上がるという声も多かったけど、結局そうはなってないですなという指摘ですか。

『Recognition of the reduction in the long-run neutral federal funds rate is perhaps the most consequential change in the SEP forecasts. In the four years between June 2012 and June 2016, the estimate of the long-run federal funds rate has declined from 4.25 percent to 3.0 percent--nearly one-third. Over one-third of that adjustment has occurred between December 2015 and June 2016. It is notable that this recent step-down in the SEP estimate has coincided with a period of easing in financial conditions and a stabilization in the exchange rate as market participants have taken into account changes in the perceived FOMC policy reaction function.』

ここから先は先日引用しましたが、この先行きの話の中で為替に言及しているというのも目につきます。

『Several econometric models and estimates from market participants suggest the current real neutral rate is at or close to zero, and any increase is likely to be shallow and slow.13 These estimates imply that it may require a relatively more modest adjustment in the policy rate to return to neutral over time than previously anticipated.』

一部のエコノミストの指摘としていますが、まあここでも金融緩和長期化万歳という感じの話をしていますな、というのも先般引用した通りです。なお『5. Policy Options Are Asymmetric』は確か前回引用した筈なので割愛しますが、要するに「自然利子率が低下しており、労働市場にもスラックがあって、インフレが加速するリスクの少ない中では、海外からのリスク等への対応も考えれば金融政策の緩和的状態は引っ張るべきである」というハト派の通常運転であります。


ということで虫干しネタ状態ですいません。





2016/09/14

お題「総括検証の思惑報道がボコボコとでますのう/その他メモ」

また白井さんがモーサテで喋っているのだが、マイナス金利と資産買入の減額って佐藤審議委員の持ちネタまんまだと思うのだが、だったら何で佐藤さんの提案に寄るようなことをまるでしなかったのかと小一時間。

○報道がボコボコ出てきてノイズ以外の何物でもないですのう

・昨日の引け後には日高砲が出ていましたが市場は反応してなかったようで。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-13/ODF8886JIJUQ01
日銀:長期国債買い入れ年限の柔軟化を検討、総括的検証−関係者
日高正裕、藤岡徹
2016年9月13日 16:49 JST 更新日時 2016年9月13日 16:58 JST

『日本銀行が金融緩和の一環として買い入れている長期国債の平均残存期間の柔軟化を検討していることが、事情に詳しい関係者への取材で分かった。複数の関係者によると、20、21の両日開く金融政策決定会合で行う総括的な検証の一環として検討している。現在7−12年としている平均残存期間の撤廃などが選択肢とて浮上、年限が長い国債と短い国債の利回りの差が縮まり、フラット化し過ぎたイールドカーブ(利回り曲線)を調整する手段の1つとすることが狙いという。』(上記URL先より、原文ママ)

ただまあこの記事良く見ますと某エコノミストのコメントだけでして、確かに事情に詳しいお方なのですが、例によって日銀ソースみたいな書かれ方をされて迷惑でしょうなあと同情の念を禁じえませんが、さすがに国内の方は(火曜日引け後という中途半端なタイミングだったせいもあるでしょうが)また日高かという感じで反応していなかったのが実に心温まる展開となっておりますが、真の日高砲はブラックアウト期間中の金曜引け後辺りじゃネーノという気もしますけど。


・・・・・・・・・でまあ平均残存期間の撤廃という話なのですが、これは現実問題としては非常に難しい話で、買入平均残存年限を市場動向に応じてホイホイと変更しようという事になりますと、もはや金融政策決定会合よりも「翌月の国債買入方針について」の方が債券市場に対する影響が大きい、という事になってしまう訳で、それって金融緩和の度合いを決定するのが事務方となってしまうので建付けとしてやはり宜しくないでしょうなあと。

次にネタにする日経新聞1面の方でも買入額のレンジ化みたいなのが出ているみたいですけれども、買入年限ですらそういう問題があるのに、買入額のレンジ化とか、それは机上で考える分には御尤もな話かも知れませんが、全く同じ話で「翌月の国債買入方針について」もそうですし、あと月内の買入がちょっとずれたりしただけでもう大騒ぎ、という事になる訳で、それを調節担当部局の事務方の一存でやらせるというのはちょっと無理じゃないですかねえ。

つまりですな、政策委員会からの指示として「年間80兆円拡大するように国債購入しろ」というのであれば買入がスムーズに行くようにどうしたら良いかということで手段を考えますが、「買入年限」とか「買入額」とかを大きな幅のレンジにしてあんじょうようやっといてやみたいなことを言われましても、何らかの目安というのが無いとそらオペレーション出来んじゃろうし責任もてんじゃろと思うので、「レンジ化」というのはちょっとしっくりこないなあと思うのであります。


・てなわけで日経

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF13H0M_T10C16A9MM8000/?dg=1
日銀、緩和拡大はマイナス金利軸に 総括検証
2016/9/14 2:00日本経済新聞 電子版

『日銀は20〜21日に開く金融政策決定会合でまとめる異次元緩和の「総括的な検証」で、今後の金融緩和の軸にマイナス金利政策の深掘りを据える方針だ。経済・物価の下振れリスクが依然大きいため、現在は年マイナス0.1%の金利をさらに下げることを検討する。超長期の国債利回りが大幅に低下するなどの副作用を抑えるため、国債購入では長期と短期の金利差を広げるように促すことも協議する。』(上記URL先より)

以下の記事は例によって例のごとく有料会員向けなのでここまでしか引用しません(モーサテではもうちょっと詳しく説明していました)ので日経本紙見てちょというところですが、まあジャクソンホールの黒田総裁の進軍ラッパが余計でしたけど、ここまでの置物先生、黒田総裁、中曽副総裁、腹話術先生などから出てくるお話を総合するとこうなりますという話でもあるので一応まあそんなもんかなとは思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・・・・・・

ただですね、元々「マネタリーベースの量拡大が重要」という話をしていた置物やらジンバブエ先生やら(桜井さんもそっちの筈だがどの程度その理論に固執するのかは良く分からん)として、買入ペースの縮小というのは理屈として緩和の縮小という話になるので、「緩和の縮小をしない」と言っている事との整合性をどう取るのかという話になると思うので調整は難しいから、ここのURL先の記述だと9月早々でもその次の会合でもやる気満々みたいな書きっぷりに見えますけど、そう簡単に折り合えるものではないと思う。

一方で何かこう総括検証が出てからの動きによって検証の結果こんなに悪化したとか言われたくないから、という下心があるのでしょうが、わざわざマコト君人形まで使って政策の方向性みたいなのをこれだけ織り込ませにいっているというのがまあ小賢しいわなあと思う所で、世の中必ずしもその通りに動いてくれる訳でもないのに、あまりにもサービス(?)し過ぎのように思われます。


なお、気になる所としてはこの「マイナス金利」の所でして、恐らくは「名目金利の低下に効果があった」という話をしてくるのだと思いますが、その一方でイールドが盛大にフラットニングしたのは、単純にマイナス金利の効果な訳ではなく、大きかったのは「追加緩和期待(懸念ともいえるが)の有無」だったりすると思うのですよ。つまり「必要ならば3方向で追加緩和」とあれだけ物凄い勢いで総裁が吹き上がってしまい、そういう状況の中で為替は円高になるわ物価は弱含みだわという風に推移すればそらもう追加緩和待ったなしという思惑が強まる訳で、イールドカーブが盛大にフラットしたのはその辺の効果の方がでかかった、ということだと思うの。

ということで、その「追加緩和期待の有無」の部分ですが、結局マイナス金利をもう一段下げるという話になった場合、その利下げが最後の利下げになるという見通しにならない限りにおいて、追加緩和期待がいつまで経っても盛り上がってしまうような流れになってくるので、それだと超長期の輪番を全部ゼロにする位の勢いでもない限り(なおそんな事をしたら年間80兆円やるために長期から手前の買入が無茶苦茶な事になってしまうのでやはり話にならん)、追加緩和期待(というか懸念によるヘッジ的な買い圧力)の方が効いてくる局面が直ぐ来るんじゃネーカという疑問があったりもします。


とまあそういう訳でして、なんかこう技術論の話がやたら盛り上がってしまって、まあそれはそれで面白い話だし色々な話ができるから何とかストの飯のタネ的には今日もネタが発生してメシウマ状態となりますが、もっと重要なのって「そもそも今の枠組みでは追加緩和も厳しいし、政策が長期化すると副作用の累積効果が強くなってくる」という問題のある中で今の政策をどうするか、ということであって、まず立て直しの中で重要なのってマイナス金利導入以来ドンドン盛り上がり続けてヒャッハー状態になってしまった「無限追加緩和期待」「とにかく金融政策頼み」という風潮を何とか沈静化させないと同じことの繰り返しで政策の拡大による弊害の方がドンドン大きくなってくる訳ですから、もちろん追加緩和を打ち止めにするとか言う必要はどこにも無いのですが、あまりこう「追加緩和」がホイホイ出てくるようなトークをする(日経が勝手に書いているから知らんがなと日銀としては言いたいでしょうけど)ようになってくると、総括検証後直ぐに追加緩和催促相場になって元の木阿弥という懸念もあるなあとか思うのでした。


○CP買入とか

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160913.htm
CP等買入 8,599 4,998 -0.038 -0.009 55.6

ということでCP買入の足切レートが久々にちゃんとした(?)マイナス金利になって参りまして、期末モードというのとそもそも日銀買入になるような銘柄の発行が引き続き低調というのが背景にあるんでしょとは思いますが、今月はあと1回27日オファーで5500億円という増額オファーがあって、いやーこのオペどうなるんだという感じではあります。

つーてもCP発行レートって他の金利市場と隔絶されてなんかゼロ利回りの所でベターっと張り付いている感じでして、債券なんかよりも圧倒的に市場の参加者に厚みが無い(額自体はまああるのですけど)上に、金利水準が金利水準なのでMMFみたいな人がマイナス金利という訳にも行かない(とか言ってるうちにMMFって殆ど繰上償還の刑になってしまいましたが)とかでより一層市場参加者の厚みがなくなっていまして、いつの日になるか分からん金利正常化の時に市場が無事に機能できていることを祈りたいと思います。


○ブレイナード講演ネタ続き少々

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20160912a.htm

昨日飛ばした所から少々。『Key Features of the "New Normal"』の小見出しの所です。

『1. Inflation Has Been Undershooting, and the Phillips Curve Has Flattened』

『First, for the past several decades, policymakers relied on the empirical relationship between unemployment and inflation embodied in the Phillips curve as a key guidepost for monetary policy. The Phillips curve implied that as labor market slack diminished and the economy approached full employment, upward pressure on inflation would result. However, since 2012, inflation has tended to change relatively little--both absolutely and relative to earlier decades--as the unemployment rate has fallen considerably.2』

フィリップスカーブがフラット化した状態になっているとな。

『At a time when the unemployment rate has fallen from 8.2 percent to 4.9 percent, inflation has undershot our 2 percent target now for 51 straight months.3 In other words, the Phillips curve appears to be flatter today than it was previously.』

ということで・・・・・・・・・・

『With the Phillips curve appearing to be a less reliable guidepost than it has been in the past, the anchoring role of inflation expectations remains critically important.』

それはそれとしてもインフレ期待のアンカーは重要と。

『On expected similar to realized inflation, recent developments suggest some reasons to be concerned more about undershooting than overshooting. Although some survey measures have remained well anchored at 2 percent, consumer surveys have moved to the lower end of their historical ranges and have not risen sustainably.4 Meanwhile, market?based measures of inflation compensation have declined noticeably over the past two years at longer-term horizons, and have shown little improvement despite the recent stabilization in the price of oil and the exchange rate. Thus, we cannot rule out that the sustained period of undershooting the inflation target along with global disinflationary pressures are weighing on inflation expectations.』

でまあそのインフレ期待についても弱めの状態が続いている(アンカーされていないとは言ってない)ので、グローバルなディスインフレ圧力ガーだけで済ますのも如何な物かと。

『Recognition of these developments is reflected in the evolution of the forecasts of Federal Open Market Committee (FOMC) participants in the Summary of Economic Projections (SEP) from June 2012 to June 2016. The SEP forecasts have shown repeated mark downs of the central tendency of the projection for core PCE (personal consumption expenditures) inflation, and the attainment of 2 percent at the upper end of the range has been pushed out repeatedly from 2012 initially to 2017 most recently.』

物価に関してはSEPでも物価見通し(ロンガーランじゃない方)は毎度の如く引き下げられてますがなと。

『The apparent flatness of the Phillips curve together with evidence that inflation expectations may have softened on the downside and the persistent undershooting of inflation relative to our target should be important considerations in our policy deliberations. In particular, to the extent that the effect on inflation of further gradual tightening in labor market conditions is likely to be moderate and gradual, the case to tighten policy preemptively is less compelling.』

でもって昨日引用した部分になりますが、政策インプリケーションとして、物価上昇率の低い状態が長引くのは懸念すべきというのと、インフレのオーバーシュートのリスクは小さいから金融政策は緩和的なようにしておくべき、というお話なのでした。

でもって以下続くのですが、不覚にも時間が足りないので続きは明日(すいませんすいません)。










2016/09/13

お題「寝起きでブレイナード理事講演/ちょとだけ市場備忘メモ」

寝起きなので手抜きモードになりますが面白そうなので飛ばした分も後日確認しようかと。

○利上げ時期は明示せずに慎重な対応を強調でハト派&先行きファクターの中にドルの安定があるのね

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20160912a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20160912a.pdf
Governor Lael Brainard
At the Chicago Council on Global Affairs, Chicago, Illinois
September 12, 2016
The "New Normal" and What It Means for Monetary Policy


・ニューノーマル下における金融政策とな

『In the months ahead, my colleagues and I will continue to assess what policy path will best promote the sustained attainment of our goals. With that in mind, I would like to start by describing the contours of today's economy that will be particularly important in shaping the appropriate path of policy before reviewing recent developments. These contours represent noteworthy departures from the "old normal" that prevailed in the decades prior to the financial crisis. I would argue that policy today must rely less on the old normal as a guidepost and instead be sensitive to the contours that shape today's "new normal."1 』

ということで講演が始まりますが、この手のニューノーマル云々ってのも要は構造変化が起きました系の前提になっていまして、以下箇条書きになっていて分かりやすくなっているのですけれども、実際にこれがニューノーマルな世界なのでしょうか、というのって割と安易に使われ過ぎのような気もせんでもないですがまあ以下の話はFEDの他の高官も指摘しているネタになります。

しかしまあ何ですな、本当にニューノーマルなのであるなら、金融政策のゴールについてもニューノーマルにふさわしい状態というのを考えないのかねとか思ってしまう訳で、これらのニューノーマルに対応した金融政策云々の中でマンデートの妥当性についての議論が出ないというのも何だかなあとは思うのです。まあ実質均衡金利とか中立金利って議論ってアカデミア的に受けが良いのと、政策やる方の実務者的な発想で考えた場合には「使いやすい」概念でして、実質の中立金利だの均衡金利って概念は仰せの通りでも計測がリアルタイムで出来ないものなので、均衡金利と比較して金融政策の緩和度合いがどうのこうのという説明(って中曽さんもこの前していましたが)はありゃ中央銀行の人が自分に都合のよい説明をするのに便利な概念であって、便利な概念だけにもろ刃の剣みたいなものでもあって、その場での説明には良いのだが通した場合にグダグダになりやすくなるとう素人にはお勧めできない概念。

なお、SF連銀のウィリアムス総裁は名目GDP目標とか高めのインフレ目標とかを出しているが、あれは経済の状態にとって適切なものを出すというよりは、均衡金利を高めの所において金融政策の機動性を確保しよう、という金融政策ドリブンの考え方で、ニューノーマルにおける経済厚生上望ましい水準がという話ではない。


・ニューノーマルの特色

次の小見出しが『Key Features of the "New Normal"』でありまして、

『Because monetary policy is forward looking, policymakers must assess how key features of the economic environment are most likely to influence the future path of the economy and shape policy accordingly. At a time when our assessment of the economy is evolving, several features of the "new normal"--some of which are interrelated--appear particularly noteworthy for our policy deliberations:』

ということで以下5つの項目がありまして、

『1. Inflation Has Been Undershooting, and the Phillips Curve Has Flattened』
『2. Labor Market Slack Has Been Greater than Anticipated』
『3. Foreign Markets Matter, Especially because Financial Transmission is Strong』
『4. The Neutral Rate Is Likely to Remain Very Low for Some Time』
『5. Policy Options Are Asymmetric』

でまあこの項目についての説明部分もほほーという感じ(ただし速攻斜め読みですけど、汗)でございまして、その部分はまたネタにでもしようかと思うのですが本日はパスの巻ということで勘弁頂きまして、各項目の概要ですが、

1の所ではフィリップスカーブがフラット化しているという話をしていまして、その政策インプリケーションとしては、上記小見出しの中の最後の所に、

『The apparent flatness of the Phillips curve together with evidence that inflation expectations may have softened on the downside and the persistent undershooting of inflation relative to our target should be important considerations in our policy deliberations. In particular, to the extent that the effect on inflation of further gradual tightening in labor market conditions is likely to be moderate and gradual, the case to tighten policy preemptively is less compelling.』

とありまして、フィリップスカーブがフラット化しているということは、労働市場が今後徐々にタイト化した場合でも物価の反応はそれほどでも無い筈なので、プリエンティブな引締めは急がれるものではない。

2.の所は見ての通りですが、そこの結論でも、

『My main point here is that in the presence of uncertainty and the absence of accelerating inflationary pressures, it would be unwise for policy to foreclose on the possibility of making further gains in the labor market.』

ということで、先行きの不透明感に加え物価が加速する状況でもないのだから、労働市場が強いぜヒャッハーと言って金融政策を引き締めに転じさせるのは適切ではないとハト派連呼の巻。でもって3はご覧のとおりということですがまた詳しくネタにするときにでもでして、4の自然利子率の話では結論部分で、

『Recognition of the reduction in the long-run neutral federal funds rate is perhaps the most consequential change in the SEP forecasts. In the four years between June 2012 and June 2016, the estimate of the long-run federal funds rate has declined from 4.25 percent to 3.0 percent--nearly one-third. Over one-third of that adjustment has occurred between December 2015 and June 2016. It is notable that this recent step-down in the SEP estimate has coincided with a period of easing in financial conditions and a stabilization in the exchange rate as market participants have taken into account changes in the perceived FOMC policy reaction function.』

自然利子率の低下はSEPの金利パスに示されていますという毎度の話。

『Several econometric models and estimates from market participants suggest the current real neutral rate is at or close to zero, and any increase is likely to be shallow and slow.13 These estimates imply that it may require a relatively more modest adjustment in the policy rate to return to neutral over time than previously anticipated.』

そこに一部の計算によれば今の実質自然利子率がほぼゼロではないかというような推計もある、とか加えるところがハト風味全開という感じでございまして、ブレイナード理事の平常運転ではありますがハトキタコレではあります。


でもって金融政策が非対称という話はこれまた毎度ハト系の方から出されている話でして、

『Because a persistently low neutral rate implies less room for conventional monetary policy to adjust to adverse developments, it will be important to assess whether our current policy tools are adequate to respond to negative shocks and, if not, what adjustments would be most appropriate.』

ウィリアムスの話と同じネタ。

『There is a growing literature on such policy alternatives, such as raising the inflation target, moving to a nominal income target, or deploying negative interest rates.15 These options merit further assessment. However, they are largely untested and would take some time to assess and prepare.』

他の手段としてインフレ目標の引き上げなどなどの手段というのも言われるが、これはお試しした事の無い政策なのでいきなり特攻という訳にも行かないし、メリットについて良く検討する必要があります、と慎重姿勢。

『For the time being, the most effective way to address these concerns is to ensure that our policy actions align with our commitment to achieving the existing inflation target, which the Committee has recently clarified is symmetric around 2 percent--and not a ceiling--along with maximum employment.』

これは正論ということで、それよりも2%物価目標に着実に到達させることの方が重要であり、そうなれば政策発動余地の小ささというような問題が正常化している筈、というお話はほほーと思いましたが、まあそういう説明ですと当然ながら物価がそんなに強く上がりだそうというのでもないときにプリエンティブな金融政策対応とかそらやりたがらんなという印象です。


・経済物価の先行きは見通し原油市場とドル市場の安定化が続くことが前提の模様

『Recent Developments Suggest Gradual Progress』に参ります。

『Against the backdrop of these five features of the new normal that are most salient for conditioning policy, I will briefly summarize my take on recent economic developments and their implications for policy. The economy has seen welcome progress on some fronts in recent months, supported by the cautious approach taken by the Committee and a corresponding easing in financial conditions: The labor market has continued to improve, consumer confidence has remained high, and we have navigated past near-term risks from abroad.』

ということで・・・・・・・・・

『Overall, the recent data on the labor market and aggregate spending suggest that we are continuing to move toward full employment, but that progress has been, and likely will be, somewhat gradual.』

雇用は強くて完全雇用に着実に向かっているが、完全雇用に向かう道のりは緩やかであると。

『This year, monthly job gains have averaged 180,000, below last year's pace but still sufficient to reduce labor market slack. The slowing pace of job gains has been associated with a flattening out in the unemployment rate over the past year, along with a heartening 1/2 percentage point increase in the prime-age labor force participation rate. These developments suggest that an improving job market has made joining, or remaining in, the labor force increasingly attractive, and may imply that the labor market has room for further improvement.』

この辺は数詞hの評価ですが、要するに「market has room for further improvement」ってことなので完全雇用じゃのうという人とは温度差がある。

『Recent spending data suggest a pickup in third-quarter growth. In particular, real consumer spending increased at nearly a 4 percent annual pace over the three months ending in July, driven by continued job growth, buoyant consumer sentiment, and rising household wealth. Nonetheless, spending in other sectors has been disappointing. Weak foreign growth and the net appreciation of the dollar over the past two years have weighed heavily on net exports, corporate profitability, business investment, and manufacturing production. Business investment has declined in each of the past three quarters, and the latest data on housing permits suggest that residential investment slowed noticeably in the middle of this year.』

めんどいので全部まとめて引用していますが、米国経済の各需要項目に関しては、家計消費が強いものの他の支出はアカンガナというお話で、特に海外経済がダメダメな上にドルが高いと来ているのので輸出が伸びなくて企業収益だの設備投資だのがパッとしませんと。

『As a result, economic activity over the past three quarters has been disappointing, with growth in GDP and gross domestic income each averaging less than 1 percent, a significant step-down from the same period in 2015.』

ということでこの3四半期の経済活動はdisappointingだと。

『Looking ahead, the stabilization of the dollar and oil prices suggests that growth in these components should move higher over the second half of the year. Indeed, exports, which have declined since the end of 2014, moved slightly higher last quarter, and the number of oil drilling rigs in operation has begun to edge up after sharp declines over the past two years, a positive sign for business investment. In addition, inventory investment, which edged lower last quarter, should step up over the second half of the year to a level more in line with continued moderate increases in final sales.』

先行きについてはまあ少し元気な話をしているのですが、結局のところ「ドル市場の安定と原油価格の安定」という状態をベースにして、それが続いてくれれば海外経済が拡大したりエネルギー関連企業が息を吹き返したりという話をしているので、見通しそこまで強い訳ではない。

『We have also seen signs of progress on our inflation mandate. In July, the 12?month change in core PCE prices was 1.6 percent, higher than a year ago, but still noticeably below our 2 percent target.』

物価に関して改善の兆候キターと思うのですが。

『The stabilization of the dollar and oil prices should lead inflation to move back toward our target in coming quarters.』

またこれですかそうですか、と申しますか、巷間言われているようにブレイナードさんがヒラリー姐さん人脈で大変に影響力が強い、というのでありましたら、こんな説明をブレイナードさんがしている中で為替介入とか無理だし外債購入とかもっての外という話になりますわなこりゃまた。

『Non-oil import prices, which fell steadily from the end of 2014 through the first quarter of this year, edged up in the second quarter and, if the dollar remains steady, should continue to rise going forward. Continued progress in inflation will also depend on inflation expectations remaining well anchored and not drifting lower. The evidence here is mixed, as I noted earlier.』

そらまあThe evidence here is mixedですわ。


・ということで金融政策の結論はお察し

最後が『Policy Implications』

『The five features of the current economic landscape that I have highlighted lean roughly in the same direction: In today's new normal, the costs to the economy of greater-than-expected strength in demand are likely to be lower than the costs of significant unexpected weakness.』

需要が上振れした時に発生する問題よりも、需要が下振れした時に発生する問題の方が大きいというのが先程指摘した5つの点から導き出せるとかもうハト派全開。

『In the case of unexpected strength, we have well-tried and tested tools and ample policy space in which to react. Moreover, because of Phillips curve flattening, the possibility of remaining labor market slack, the likely substantial response of the exchange rate and its depressing effect on inflation, the low neutral rate, and the fact that inflation expectations are well anchored to the upside, the response of inflation to unexpected strength in demand will likely be modest and gradual, requiring a correspondingly moderate policy response and implying relatively slight costs to the economy.』

『In the face of an adverse shock, however, our conventional policy toolkit is more limited, and thus the risk of being unable to adequately respond to unexpected weakness is greater. The experience of the Japanese and euro-area economies suggest that prolonged weakness in demand is very difficult to correct, leading to economic costs that can be considerable.』

という部分は前の5か条の説明(引用飛ばしたところね)の繰り返しみたいなもんです。

『This asymmetry in risk management in today's new normal counsels prudence in the removal of policy accommodation. I believe this approach has served us well in recent months, helping to support continued gains in employment and progress on inflation. I look forward to assessing the evolution of the data in the months ahead for signs of further progress toward our goals, bearing in mind these considerations.』

ということで、利上げしないとかいつすべきとかそういう言質は全く与えていませんが、とにかく利上げは慎重にやって行きます、というハト派丸出しの講演ということで予想通りというか、一部でちょっとビビられていた「もしかしてこの姐さんが利上げ示唆したらあばばばばー」というのは無事(?)に無かったということで順当は順当でしたが、もしかして財務長官になるかも知れないブレイナードさんがドル市場の安定に関しては何回も話のネタ(つまり経済物価見通しのファクター)に使っていたというのは個人的にはちょっとツボった感じです。


○一応市場メモ(本当にメモ)

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1BO24Q
Markets | 2016年 09月 12日 15:16 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反発で引け、長期金利は一時-0.010%に上昇

『<15:08> 国債先物が反発で引け、長期金利は一時-0.010%に上昇

国債先物中心限月12月限は前営業日比6銭高の151円45銭と反発して引けた。前週末の海外市場で、欧米債が下落した流れを受けて売りが先行し、一時151円30銭まで水準を下げた。その後は日経平均が大幅安となったほか、日銀が国債買い入れを通告したことを手掛かりにいったん買い戻しが入り、一時151円75銭に上昇したが、13日に20年債入札前に買い上がる動きは見られず伸び悩んだ。

現物市場は中短期ゾーンがしっかり。日銀が中短期金利重視の緩和強化策を検討するとのロイター報道が買い手掛かり。2年債利回りは一時同5.5bp低いマイナス0.260%と7月29日以来、5年債利回りは一時同4bp低いマイナス0.200%と8月2日以来の水準に低下。一方、13日に20年債入札を控え、超長期ゾーンが軟調。20年債利回りは一時前営業日比4.5bp高い0.475%と3月16日以来、30年債利回りは同5.5bp高い0.565%と3月17日以来の水準にそれぞれ上昇した。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時同1bp高いマイナス0.010%に上昇。』(上記URL先より)

ロイターが「ロイター報道が買い手掛かり」とか書いているとムカツクのですが、「イールドカーブの過度なフラット化はマイナス金利政策とも合わせて色々と弊害が大きいですねえ」という話が、段々と「イールドカーブの過度なフラット化警戒」→「イールドカーブが若干スティープした方がよろしい」→「イールド立つ分中短期は下がらないと全体として緩和強化にならないですなあ」みたいに話が段々発展(???)するの巻となって、昨日の引けは2年が何と▲25bpで前日比4.5毛強とか何やってるんだ(金曜も0.5毛強とかやってましたが)という展開だし、中期は1.5強で超長期は2.5甘とかこらまた何だかなあという展開。

まあ何ですな、板の無い中で金融政策総括検証に関する妄想が色々と出てくるので動くにしてもいやあの何ですかこれはという感じで、これ総括検証で今市場の皆さんが想像していると思われるようなレベルよりも淡々としたものが出てきたときの方が嫌なのと、先行きの政策が9月に出れば別ですけれども、出なかった場合って延々と妄想大会が続くのかもという気がしてきたりする今日この頃という感じなのでメモっておきましたとさ。









2016/09/12

お題「週明けにつき(?)だいたい総括検証ネタの雑談である」

広島優勝が25年ぶりですのでこれで失われた25年は終了と言いたいところですが、見事に優勝を達成して胴上げの黒田投手に対してどこぞの黒田は大口叩いた挙句に目標全然達成してないし当分する見通しが無いというこの事実ェ・・・・・・・・・・・

○まあ板が無いちゅうことなのでしょうが・・・・・・・・

・イールドカーブがまたまたスティープモードになっているのだが動きが不安定過ぎる

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1BL2U0
Markets | 2016年 09月 9日 16:02 JST
〔マーケットアイ〕金利:超長期債利回りに上昇圧力、20年債3月31日以来の高水準

『<16:01> 超長期債利回りに上昇圧力、20年債3月31日以来の高水準

超長期ゾーンの金利に上昇圧力。足元の20年債利回りは前営業日比5bp上昇の0.435%と3月31日以来の高水準で推移している。市場では「新たな材料が出たわけではなく、来週の20年債入札が意識されていることに加え、国債買い入れの枠組み修正に対する思惑もあり、ポジションを調整する動きが強まっている」(国内証券)とみている。30年債、40年債各利回りにも上昇圧力がかかっている。』(上記URL先より)

ということで先週は30年入札がそこそこ強くて戻った後に20年とかに売りが出て叩かれていましたが、その後に30年がモリモリ強くなって終了し、その翌日も超長期強くて盛大にブルフラットとかしていた訳ですな。

ところが中曽副総裁の講演(と直接関係あったのかが微妙に謎ですが)でまたイールドカーブが立つ話への意識強まると超長期外す動きが入って一転してヘロヘロの巻となり、金曜は(そんなものに反応する必要は本来ないのでただの後付理屈だが)ECBが追加緩和見送りましたネタとか売りやすいネタのある中で、一部で期待してた人もいるらしい超長期輪番がパスになって一段のヘロヘロで、1週間で盛大に行って来いをやらかす超長期相場であります。

総括検証を前にポジション取り難い(というか取る言い訳が無いというか^^)というのは分かるのですが、まー見事なまでにスカスカな中でちょっと動きがあるとそっちにホイホイという展開となっていて、基本的に10年とかの所までってアンカーされているような感じになっているというコンセンサスらしきものがある中で、超長期だけ糸の切れた凧ですな。

でもってそんな中で金曜の引け後とかに狙ってヘッドライン打ち込んでいるロイター登場となっておりましてもう何だかねという所です。



・ロイターの金融政策観測記事は何ちゅうかもうねという内容なのだが

金曜の引け後の板が一番無い時に観測記事ヘッドラインを打つ、というのはついこの前まではブルームバーグが得意技としていましたが、最近急にロイターがハッスルしていて何考えてるんだか、つーかロイターってもう20世紀の時の話ですけど、格付け会社のセミナーで「日本国債の格下げに対する懸念」という説明があった件を、リアルタイムではなくてわざわざ10年国債入札結果発表数分前に打ち込んできて相場を大荒れにさせるという大いなる前科があるので、(やった方はすっかり忘れているでしょうが食らった方は良く覚えているというものです)まあこの手のヘッドラインはそういうセンセーショナル狙いのネタですからねえ。

http://jp.reuters.com/article/boj-policy-idJPKCN11F12K
Business | 2016年 09月 9日 18:07 JST
日銀、中短期金利重視の緩和強化検討へ 具体策も議論=関係筋

『[東京 9日 ロイター] - 日銀は9月20─21日に議論する総括検証を踏まえ、金融機関の収益減や生保・年金の運用難など副作用の要因になっている利回り曲線(イールドカーブ)の平たん(フラット)化の修正策を検討する。』(上記URL先より、以下同様)

というのに反応して金曜引け後に一段と超長期がヘロヘロになっておりましたがさて本日はどうなるやら。

『弊害が目立つ超長期金利の大幅低下に比べ、景気刺激効果の高い中期金利などの抑制を重視。緩和強化を前提に国債買い入れ手法の工夫や、マイナス金利の深掘りなどが議論の対象になるもようだ。複数の関係筋が明らかにした。』

これはまたどこからそういう話になるんだろうかねえという風に思うのですが、総括検証がこの通りに出てくるというのであればそらそうかも知れませんが、色々と考えるとこういう線をモロに出してくるような総括緩和を出すのは難しいんじゃないかと思う。

つまりですな、元々「イールドカーブ全体に影響を与える」と言って金融政策をおっぱじめている上に、マイナス金利政策を突っ込んだ挙句にイールドカーブがジャンジャン沈んだという状況になった時に「金利の低下は政策効果(ドヤァ)」と黒田さん満面のドヤ顔で話をしていた訳で、今更超長期金利の上昇が望ましいというような話をするのは相当無理がありますし、それは間違いを認めた事になるのでこんな綺麗な形で検証結果が出てくるようには見えない。


『イールドカーブ・フラット化の修正を目指すのは、今年1月のマイナス金利政策導入以降、量的・質的金融緩和(QQE)による国債買い入れとの組み合わせによって、想定以上にフラット化が進行。期間によっては副作用も顕在化し始めたためだ。』

でまあこの話って基本的に前週金曜日に報道された桜井審議委員のロイターインタビューの内容を蒸し返して書いているような感じでして、桜井さんのインタビューでは「想定以上にフラットした」という風に言わされてじゃなかった発言していまいたので、その辺を絡めてこういう話になっていますよねーという所ですし、まあこれって基本的に桜井さんのインタビューをちょっとアレンジしましたよという感じのような。

・・・・・・・・でまあヘッドライン的にはこの辺までで反応しちゃうのが仕様なのですが、記事のもうちょっと先を見ますとですね。

『日銀内では、期間に応じた利回り押し下げの効果と副作用の分析も進んでいるもよう。景気を過熱も引き締めもしない中立金利(均衡実質金利)の水準と比べて押し下げる場合、金融機関の貸し出し期間や需給ギャップへの影響などの観点から、年限1年や3─5年など10年以下の短期・中期金利の引き下げが相対的に効果的で、超長期債の買い入れによる景気刺激効果が限定的との意見に傾きつつある。』

均衡イールドカーブの概念については
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab15j03.htm/
均衡イールドカーブの概念と推移
今久保圭、小島治樹、中島上智(日本銀行)
Research LAB No.15-J-3, 2015年5月1日

というようなのがありますが、話としてはありなのですが、これを金融政策運営に使うということになると、それはかなりフワフワした感じになってしまって、最終的には使う時にかなーりの恣意性が入ってしまう、つまり「適切な水準がどこかを探る」ものではなくて、「今の政策が適切であるという理屈の後付に使う」というものになってしまうのではないかといういやーな予感しかしません。

話の上では均衡金利の議論とかの一環で均衡イールドカーブを使って考える、というような考えはあるのですが、実務上としてはちょっとねえと思うので、この辺りの分析って相当ピュアにやらないとまーた変な屁理屈グッズ登場となって益々コミュニケーションポリシーが訳分からなくなると思うのでお勧めはしないし、日銀も幾らなんでもこの概念で金融政策運営をやって行こうとは思っていないと思いますが、ピュアな意味ではなくインチキ説明道具に使うという下心があれば投下されるリスクもありますのでご注意されたい。

『桜井真審議委員は2日のロイターとのインタビューで、イールドカーブのフラット化によって「いろいろなコストも出てきた。それも踏まえて今後の政策の組み合わせを考えていきたい」とし、「本来、教科書的なイールドカーブの姿はあるわけであり、それを含めていろいろなことを考えていく」と述べている。』

『だが、イールドカーブの形状修正をどのように実現するかは難題だ。技術的な対応を含めた国債買い入れの修正や、短期金利のさらなる低下を促すマイナス金利の深掘りなどが検討対象になるもよう。ただ、現実にこうした手法でイールドカーブが、スティープ化するのか日銀内にも様々な見通しが併存しているもようだ。また、イールドカーブの形状修正は、国債買い入れのあり方全般に直結する可能性があり、9人の政策委員の間で見解の相違が大きいとみられている。』

ということでして、先般来申し上げておりますが、この一連の話を見ていて最も懸念されるのが、「日銀執行部はイールドカーブの形状を自由にマニュピレートできると勘違いしている」という所であります。そらまあ確かに一時的なマニュピレートをするとかは出来るかもしれないけど、どうもそこに関して過大評価している感があって、そういうのもあるから桜井さんが満を持して登場の巻とかでイールドカーブに対してメッセージ出してやろうという所なんでしょうな。

その結果として確かにカーブは立っているのですが、その間に先週途中のような戻りが入ったりして、市場はドンドン不安定になってしまいますし、ロイター記事の最後の所にありますように、現実問題としてイールドカーブが明示的に立つようなメッセージを出すという線でボードが纏まるのかというのも実は怪しい訳で、桜井さん、きさらぎ会、中曽さんとネタ打ち込みがちょっと調子に乗り過ぎのようには思えますし、その間にジャクソンホールでは超威勢の良い話をしている黒田総裁って要は国内向けと海外向けで二枚舌使っているとしか市場で見ている方としては読めない、とまあ21日の総括検証に向けて執行部は「うまいことやっていこう」と色々と策を弄して直球変化球を織り交ぜているようではありますが、却ってグチャグチャになる悪寒が漂うのであります。


・ちなみに明示的にイールドカーブを立たせる政策は緩和縮小扱いになるから単品では無理

まあ金曜の場合は引け後ということもあって超長期が飛んでしまいましたが、もとよりこんな感じでの情報発信が多いですよね、という認識で債券市場は動いていた(ものの「そうは行ってもこの辺まで来れば買ってもヨロシカバイなのでは」という感じで戻りだすと戻りも早い)訳でして、最近はこのイールドカーブを立たせる系の施策アイデアが多いですなという所です。

ただ、先ほども申しあげておりますように、金利が低下したことを盛大に「政策効果」と唄った以上、単品でイールドカーブが立つような政策を実施するとそれはただの金融引締めになってしまうので、木内さんや佐藤さんは賛成するでしょうが、岩田さんは微妙ですがジンバブエ原田大先生が当然反対するような政策ではありますなこれ。

でもって総括検証もそうなのですが、今回って(先般の産経新聞での観測記事も指摘していましたが)、意見がジンバブエサイドと佐藤木内サイドの両方から反対が飛んできそうな流れになっているので、調整が非常に難しいと思うのですよね。つまり何でかと言いますと、たとえば2%達成時期の柔軟化とかマネタリーベース目標の柔軟化(金利政策への以降)とかをする、というような今の政策の過激度を下げる政策手法をするとなりますと、反対が原田と来て賛成が木内佐藤と来るというような事態になり兼ねない訳です。

仮にそうなった場合ってそらもう事案自体は全然問題なく通りますが、出てきた結果をみて「佐藤木内委員が賛成して原田委員が反対している」というのが出てしまうと、「黒田日銀はついに降参宣言をしました」という風なメッセージとして受止められるのは1000%間違いないと思われる訳です。

かと言って原田さんがすんなり賛成する方向の政策に関しては今後やっていくのに明らかに無理があるってんで総括検証を開始している訳なのですから、原田さんが大喜びで乗れるようなネタというのも総括検証の後に出しに行くのも無いでしょうからどうするんでしょうね〜。

などと考えますと、とてもじゃないですが総括検証して何か施策が出るというのはちょっと無理があって、今回は普通に考えて現状維持になると思うのですけどねえ。


○その他少々メモ

・米国連銀高官発言とな

http://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-rates-idJPKCN11F2HG
Business | 2016年 09月 10日 02:49 JST
米利上げの根拠、ここ数カ月で強まった=ダラス連銀総裁

『[オースティン(米テキサス州) 9日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は、米利上げの根拠はここ数カ月で強まったとの認識を示した。一方で、経済に対する長期的な逆風を踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)は極めてゆっくりと利上げを進める余地があるとも述べた。』(上記URL先より)


http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1BL4D0
Markets | 2016年 09月 9日 23:51 JST
米インフレ率の上昇示すより多くの証拠見極めたい=タルーロFRB理事

『[ワシントン 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のタルーロ理事は9日、米国のインフレ率がFRBが目標とする2%に向け上昇していることを示す、より多くの証拠を見極めたいとの考えを示した。同理事はCNBCのインタビューに対し、「インフレ率はこれまでに何度も上昇と低下を繰り返してきたため、インフレ率が継続的に上昇しFRBが目標とする水準近辺で持続的に推移するとの実際の証拠を見極めることが、自身の観点から現時点で最も適切なことだと考えている」と述べた。』(上記URL先より)

ということで、まあ大体タカ派の人がタカ発言しているなあという感じなのですが、茲許はFOMC近いから仕方ないかもしれないですけれども、タカ派の方に妙に反応しますなあ。



・マクロ加算掛け目変更

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160909a.pdf

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2016 年 9 月〜11 月積み期間:10.0%(注)

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して概ね 10 兆円台となる見込みです。次回は、2016 年 12 月〜2017 年 2 月積み期間に適用する基準比率を 12 月 9 日17 時に公表する予定です。』

ということで順当に7.5%→10.0%として来まして、「平均して概ね 10 兆円台」というマクロ的な数字については同じになるようにしてきているのはまあそうでしょうなあという所で。

ただまあ「使い切れていないマイナス適用対象外」がありまして、前回の掛け目変更以降では5月積み期間:82,658→(掛け目変更)6月積み期間:120,730→7月積み期間:110,540となっておりますので、まあ今回に関しても一旦「使い切れていないマイナス適用外」が増えるようなイメージでおります。

なお、この間のマイナス適用残高ですが、5月積み期間:204,428→(掛け目変更)6月積み期間:256,880 →7月積み期間:208,090となりますので、国債償還分が四半期末の時点では掛け目変更に伴うマクロ的な調整はできても、個別金融機関の間での調整には少々時間が掛かる、ということを示していますし、個別をアグリゲートした場合はマイナス金利適用がその時点から大幅に増えて、それが徐々にこなれていくという事になるんでしょうな。




2016/09/09

お題「寝起きでECB/中曽講演は概ねきさらぎ会ですが副作用の説明に半歩は踏み込んでいるかな?」

さて総括検証まであと2週間弱となりましたよ。

○その前にECBを少々

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2016/html/pr160908.en.html
Monetary policy decisions
8 September 2016

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.40% respectively. The Governing Council continues to expect the key ECB interest rates to remain at present or lower levels for an extended period of time, and well past the horizon of the net asset purchases.』

現状維持とな。

『Regarding non-standard monetary policy measures, the Governing Council confirms that the monthly asset purchases of ユーロ80 billion are intended to run until the end of March 2017, or beyond, if necessary, and in any case until it sees a sustained adjustment in the path of inflation consistent with its inflation aim.』

ということで資産買入の額と期間も現状維持。


http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2016/html/is160908.en.html
Introductory statement to the press conference

Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 8 September 2016

『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. We continue to expect them to remain at present or lower levels for an extended period of time, and well past the horizon of our net asset purchases. Regarding non-standard monetary policy measures, we confirm that the monthly asset purchases of ユーロ80 billion are intended to run until the end of March 2017, or beyond, if necessary, and in any case until the Governing Council sees a sustained adjustment in the path of inflation consistent with its inflation aim.』

一々引用していると長くなるのでパスしますがこの政策決定部分は(現状維持だから当たり前ちゃあそれまでですが)前回と文言一致。

『Today, we assessed the economic and monetary data which had become available since our last meeting and discussed the new ECB staff macroeconomic projections. Overall, while the available evidence so far suggests resilience of the euro area economy to the continuing global economic and political uncertainty, our baseline scenario remains subject to downside risks.』

前回7月の時はブレクジットの影響がどうのこうのとか色々と記載されていましたが、リスクは下方というのは変わらないものの内容はあっさり味。

『Our comprehensive policy measures continue to ensure supportive financing conditions and underpin the momentum of the euro area economic recovery. As a result, we continue to expect real GDP to grow at a moderate but steady pace and euro area inflation to rise gradually over the coming months, in line with the path already implied in our June 2016 staff projections.』

この回はスタッフ見通しのリバイスが行われていますが、6月見通しと比べて

GDP
2016年1.6→1.7
2017年1.7→1.7
2018年1.7→1.6

HICPインフレーション
2016年0.2→0.2
2017年1.3→1.2
2018年1.6→1.6

でもって、

『Compared with the June 2016 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for real GDP growth has been revised downwards slightly.』

『In comparison with the June 2016 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for HICP inflation is broadly unchanged.』

となっていますな。

『The Governing Council will continue to monitor economic and financial market developments very closely. We will preserve the very substantial amount of monetary support that is embedded in our staff projections and that is necessary to secure a return of inflation to levels below, but close to, 2% over the medium term. If warranted, we will act by using all the instruments available within our mandate.』

という辺りまでは毎度のお話ですが今回はこの次に、

『Meanwhile, the Governing Council tasked the relevant committees to evaluate the options that ensure a smooth implementation of our purchase programme.』

ということで毎度おなじみの「検討指示」キタコレということで、「資産買入プログラムの円滑な進捗を行うような施策を検討しろ」という話なのですが、んなもんそもそも論としてマイナス金利政策と大規模なAPP政策は相性が悪いのですからして、金利政策をやろうとするのか、APPの量を重視しようとするのか、というのは重点の置き場所をちゃんと決めないと碌な事にはならない、というのは日銀が今まさに盛大に身を切って世界に示しているのですが、その辺のご教訓というのがECBが分かっているのかわかっていないのかがよー見えてきませんなと思うのでした。



○中曽副総裁講演は全般的に説明が長いのだが政策の副作用について詳しく言及

・・・・・・・・・と素直に読むとそうなると思うのですが、マイナス金利の深堀りを示唆とか追加緩和を強調とかそういうヘッドラインもあったりするのでうーむという感じですな、たとえばちょっと見つけた奴なのですがこんなのとか。

http://jp.reuters.com/article/boj-analysis-idJPKCN11E15B
Business | 2016年 09月 8日 19:20 JST
焦点:日銀副総裁は検証後の「緩和強化」強調、枠組み修正視野

えーっとですな、さすがにまあ茲許の流れで「3方向に今後もバズーカぶっ放してドンドン進軍するというのは無いでしょ」という風にはなったと思う(一部まだそういう人もいるっぽいが)のですが、確かにここの記事でもありますし、そもそも講演でも指摘していますが、「緩和の後退ではありません」というのはそうだと思うのですよ。

何でかと言えば「物価安定目標を未だに達成していない」のですから、何らかの政策への修正が行われた場合は「物価安定目標の達成に向けた金融政策の修正」であって、金融引き締めをして物価が上がるという絵はさすがに描けない以上その行為は金融緩和の「後退」にはならないんですよね。それが「転進」であったにしても。

ですから日銀の次のアクションがあればそれは定義上「緩和の強化」になるのは当然であって、問題はその「緩和の強化」が現実問題としては「転進」すなわち一部作戦方面における戦略的撤退になっているか否かというのがポジション持っている方としては重要な訳で、次回の日銀アクションについて内容についての考察がグチャグチャなままで緩和か緩和じゃないかとかいう話は言葉遊びの世界であって、不毛にも程があるのですが、ベンダーとかがサーベイ取ると「次のアクションは緩和か?」みたいなあまり意味のない設問になるのは実に遺憾としか申し上げようがありませんな。

・・・・・・・などと下らん前置きを入れてしまいましたが中曽さんの講演を。


http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160908a1.pdf
金融緩和政策の「総括的な検証」に向けて
在日米国商工会議所主催講演会における講演の邦訳

例によって手抜きマンで邦訳のほうですが、最初の『1.はじめに』では前回の追加緩和についての説明があって、ETF買入の説明が、

『企業や家計のコンフィデンスの悪化を防止し、前向きなリスクテイクを後押しすることを狙いとしたものです。この規模は、アベノミクス開始から最初の3年間で、外国の投資家が株を買い越した金額が約 16 兆円であったことを考えても、きわめて大きなものだと思います(図表2)。』

ってまんま株式市場支えますって言ってるの何なんだと思いますが、まあ総括検証の方に参りますが何で検証するかとかいう部分の所はどうでも良いのでスルーして検証している感じの部分に入りましょう。

・・・・・・・とは言いましても、概ね黒田総裁のきさらぎ会での講演から大きく外れたものではないので、きさらぎ会と同様の部分は適当にスルーしながら参ります(手抜き)。


・メカニズムがどうみても実質金利一本槍

『3.「量的・質的金融緩和」のメカニズム』の小見出しが、『(自然利子率と実質金利)』、『(「量的・質的金融緩和」のメカニズム)』ってなっていまして、どう見てもMBの話が無いというこの事実。

『まず、第一の点について、「金融政策の波及メカニズム」という大上段の議論から話をはじめようと思います。実は、伝統的な金融政策も非伝統的な金融政策も、主たる効果波及のメカニズムは同じです。それは、実質金利効果、すなわち、景気や物価に中立的な金利水準(自然利子率)に対して、実質金利を上げ下げすることです。その差が大きいほど金融緩和や引締めの効果は大きくなります。』

・・・・・・・・あの岩田大師匠が堂々示した風が吹けば桶屋が儲かる政策波及経路図はどこに????????


『そこで、2013 年に、2%の「物価安定の目標」を定め、これをできるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入しました。「量的・質的金融緩和」で想定していた効果波及のメカニズムも実質金利効果です。その出発点は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントのもとで大規模な金融緩和を実施することによって、人々の予想物価上昇率を引き上げることにあります。同時に、長期国債の買入れによって、イールドカーブ全体にわたって名目金利に下押し圧力を加え、これら2つによって実質金利を押し下げます。実質金利が低下すれば、企業や家計の経済活動が刺激され、予想物価上昇率の上昇とあいまって、実際の物価上昇率を押し上げます。そして、人々が実際に物価上昇を経験すれば、予想物価上昇率がさらに上昇する、というメカニズムを想定していました(図表4)。』

ということなのですが、そもそも出発点の所が全然行っていないという事実に加え、強引に名目金利下げることによって実質金利下げてみたものの、企業や家計の経済活動が刺激されたとは到底見えないというこの事実をどう捉えるのかというお話で、これ財政ファクター入れないで分析すると消費増税の前後の駆け込み需要とその反動とか、増税前に行われた経済対策の部分とか、この間に社会保険などの負担などがしらっと上がっている件とかが全部金融政策の効果(副作用)として出て訳わからん、というか日銀事務方が勝手にファクターを取捨選択してお手盛り評価になるんじゃネーノ疑惑は未だに思いっきり有る次第。


・予想物価上昇率については前から言ってただろうよ&負けは認めないと

でその辺の説明の中で引っ掛かったのがここ。

『それまでの日本銀行の政策や他の中央銀行の政策と比べた「イノベーション」は、予想物価上昇率に注目したことです。「名目金利=予想物価上昇率+実質金利」というフィッシャー方程式に基づき、名目金利を抑えつつ、予想物価上昇率を引き上げることによって、実質金利の低下を実現しようとしたということです。』

って言ってるけど予想物価上昇率については昔から着目してるだろおいこらという感じですし、大体からしててめえらも認めているようにその予想物価上昇率が引きあがっていないだろこのスットコドッコイという所でございまして、まあこういう辺りを見ますと「レトリック駆使して負けを絶対認めない」という香りが大変に強く匂って参りますな。

でもその次の『(「量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向)』では、

『このメカニズムはしっかり機能しました。「量的・質的金融緩和」は、予想物価上昇率の押し上げと名目金利の押し下げにより、実質金利を低下させました。先ほど述べたとおり自然利子率は趨勢的に低下していますが、実質金利はその水準を十分下回って推移し、金融環境は改善しました。』

って話をしているんだから、まあどう考えても自分たちの理論が間違っていたというような反省の弁が総括検証で出る訳が無い、というのが分かると思います。

でもってここの部分もうだうだと説明があるのですが長いので全部飛ばして(バンバン飛ばす)、『(2%の「物価安定の目標」を実現できていない理由)』に参りますが・・・・・・・・・・

『しかしながら、2%の「物価安定の目標」は実現できていないこともまた事実です。その点も、実質金利効果のカギである「予想物価上昇率」の動向によるものです。』

????????????????

『振り返りますと、「量的・質的金融緩和」を導入して1年程度は、想定通りに、あるいは想定以上に強く、メカニズムが働きました。しかし、2014 年度に入ると、原油価格の下落や消費税率引き上げ後の需要の弱さ、さらに 2015 年夏場以降は、新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動きといった外的な要因が相次いで発生しました。この結果、実際の物価上昇率が低下し、これと適合的に形成される予想物価上昇率が横ばいから弱含みに転じたことが、2%の「物価安定の目標」を実現できていない主な要因と考えられます(図表6)。』

物凄い言い訳になっているのだが、そもそも当初1年程度は循環的に景気が上向きだった時期にあたるし、消費増税に向けた経済対策があり、消費増税に向けた駆け込み需要があったりしたのですが、その辺のファクターを全無視して「効いた」とか言われましても困る訳で、だったら実はインフレ期待を引き上げる効果はそんなに無かったんじゃないんですかねえという話にならんのかね、とは思いますがどうせそれを認めるとお前らの3年半は何だったんだという話(どう見てもそうだろと思うけど)になって、執行部揃って壇ノ浦から入水でもした方がよろしいんじゃないでしょうかという話になるので死んでも認めないんでしょうな。

ということで適合的予想形成ガーという毎度の話になるのですが、それは即ち「何らかの外的ショックによって物価が上がらないとインフレ期待が上がりません」と言っているのに等しく、それであれば金融政策以外のファクターではないでしょうかねえという話になるんですけどね。

でもってこの部分、

『先行きについては、実際の消費者物価上昇率が次第に高まっていくにしたがって、「適合的な予想形成」の面では、予想物価上昇率を押し上げる方向に作用すると考えられます。ただ、この点は、消費者物価上昇率が当面小幅のマイナスかゼロ%程度で推移すると見込まれることを踏まえると、不確実性がある点にも留意しておく必要があります。また、そうであるからこそ、「フォワード・ルッキングな予想形成」の観点から、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメントを堅持していくことが重要だと考えています。今回の「総括的な検証」は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する観点から行います。この点は、誤解があってもいけないので、7月の決定会合の公表文でも明記しました。2%の早期実現のために何をすべきか、という議論であり、緩和の縮小という方向の議論ではありません。』

ということで締めていまして、この辺が黒日銀部分ですな。


・マイナス金利の副作用説明部分が何ちゅうか微妙な踏み込みをしつつ黒い話もあるというこの間合い

次が『4.「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の効果と影響』でして・・・・・・・・・

『(半年間の経験でわかったこと)』という所ですが、

『「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入から半年間の経験でわかったことを、私なりに整理すると、以下の6点です。』

『第一に、イールドカーブ全体に低下圧力を加えるという意味で、マイナス金利と長期国債買入れとの組み合わせは、きわめて強力だということです。そのメカニズムとしては、@当座預金へのマイナス金利適用は、短期金利の低下をもたらしたほか、A金融機関が国債を売却して当座預金を持つインセンティブを減じ、長期国債買入れによるリスクプレミアムの低下とともに、長期金利を押し下げたと考えられます。またいわゆる search for positive yield という投資行動により、プラスの金利のついている資産への需要を高め、超長期の国債金利を大幅に引き下げました。こうしたメカニズムを通じて、イールドカーブは低下し、かつフラット化したと考えられます。この点は金融政策ツールとしての有効性が確認できました(図表7)。』

てな感じで話をしているのですが、話の基本はきさらぎ会での黒田総裁講演で指摘した件と同じですので、以下途中の説明を割愛します。 第五の所まで飛んでですな、

『一方で、第五に、以上のようなポジティブな動きは、金融機関の収益を圧縮する形で実現しているということです。預金金利がそれほど低下していない中にあって、貸出金利が大きく低下したということが、この点を表しています。』

なお引用していませんがその点は最初は「第二の効果」に含まれているのだが。

『わが国の金融機関の場合、預金残高が貸出残高を大幅に上回っていること、長期間にわたって金融機関間の競争が続いたため、預貸金利鞘が既にきわめて低水準となっていることなどから、マイナス金利が金融機関の収益に与える影響は相対的に大きいと考えられます。また、収益の金融機関体力への影響は累積的なものであることを踏まえると、このことは政策が継続する期間によっても変わりうるということもしっかりと意識しておかなければいけないと思っています。』

早期達成するんだったら別に問題ないのだがどう見ても長引くと思われているから問題なんだし、現実問題として全然達成しそうもないから文句がタラタラというか長引いたら死活問題って激おこぷんぷん丸になる訳ですが、この先が爆笑物。

『「日本銀行は金融セクターの金融仲介機能を軽視しているのではないか」という見方には全く根拠がありません。』

盛大に吹いたお茶を返せ!!!!!

『実際、1990 年代のわが国金融危機以降、日本銀行は、日銀法に定められた使命であるわが国金融システムの安定に全力を尽くしてきました。』

黒日銀になってからは違うようにしか見えませんけれどもねえ。

『しかも、金融システムは、金融政策にとってキーとなる効果波及経路です。』

ただまあこういうのを入れたのもまあデメリットについての説明トーンは上がった感じですかね。

『第六に、長期金利や超長期金利の大幅な低下が、保険や年金の運用利回りの低下や貯蓄性の商品の一部販売停止、割引現在価値でみた退職給付債務の増加などにつながっていることです。こうした現象が直接的にマクロ経済に及ぼす影響はそれほど大きなものではないかもしれませんが、マインドという面で、人々の間に広い意味での金融機能の持続性に対する不安をもたらし、経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意する必要があります。』

これもきさらぎ会での説明と同じです。


・副作用への説明はきさらぎ会より半歩位は踏み込んでいると思う

『(政策運営の考え方)』の所に参ります。

『「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を推進していくに当たっては、第一から第四の点のような強力な政策効果が期待できる一方で、第五、第六のような金融仲介機能に与える影響にも配慮しながら、マクロ経済政策として、最も適切なものとしていかなければならないと思います。』

きさらぎ会でも勿論この辺の話はあるのですが・・・・・・・・・

『この2つの考慮は、通常トレードオフの関係になると思いますが、そのバランスの取り方は動態的であるべきです。例えば、「金融機関収益への影響を考えれば、マイナス金利の深掘りはできない」という静態的、一律の考えは採りえないと思います。経済・物価や金融市場の状況によっては、金融仲介の面へのコストを考えたうえでもなおそうした手段を必要とすることは十分ありうるからです。私は、民間金融機関幹部の方々と重ねてきた対話を通じ、大規模な金融緩和が金融機関や金融市場に与えている影響や今後与えうる影響について十分認識しているつもりです。そのことを認識したうえで、日本経済全体のために必要と判断する政策を、実行していきます。


ということで、まあ「マイナス金利の深堀は可能」とヘッドラインになるのですが、出来上がりの文章を全部読むとこれは必要ならばやるということであっても結構留保条件入ってるだろと思われる訳で・・・・・・・

『次回決定会合では、私は、以上のような問題意識を持って「総括的な検証」の議論に臨みたいと思います。虚心坦懐に行った検証に基づき、現在の政策の枠組みに修正が必要か否か、必要な場合どのような修正が適当か、といった点について判断していきたいと考えています。』

という締めになっている訳でして、昨日の債券市場はこの最後の「必要な場合どのような修正が適当か」という「修正」という文言(これはきさらぎ会では入っていなかった)に反応してそれまで前日までの流れを引いてブルフラットな感じだったのが一転してベアスティープっぽくなるという中々な反応を示していましたが、まあここの部分の文章(ちなみにこの節は全文引用しています)を読むと追加緩和じゃヒャッハーというような書き方にはなってないじゃろとしか申し上げようがない訳で、この辺りは白日銀的な要素が強くてシマウマのうちの白い方という感じでしょうかねえ。



・ちなみに最後の所ですが

『5.おわりに』なのですが、金融政策と成長戦略の所ではもっと政府の役割について話をしろよと思う内容で、なんだか全然踏み込んでねえなという感じなので極めて残念ですが、そのまた最後にはこんなのが。

『私が日本銀行に入ってから38年になります。この間、わが国をとりまく経済金融環境は激変しました。これに伴い、中央銀行の政策課題も大きく変わってきました。伝統的にインフレ・ファイターとして認識していた中央銀行で、デフレ克服にこれほど苦闘することになるとは新人時代には想像していませんでした。そうした変化は止まるところを知りません。より近年、リーマン破綻後の世界においても、成長力の趨勢的な低下に対する政策対応を巡る議論や、そうした状況下での金融政策のあり方を巡る議論は、サマーズの長期停滞論などに触発されて、近年盛んに論じられてきました。私の考え方は、以前ニューヨークでまとめてお話ししましたので、本日は繰り返しません。ただ、感想として思うことは、この文脈の中で、かつては学術的な興味で語られてきたことが、中長期の課題とはいえ実践的な政策選択肢として論じられるようになってきたということです。国際的な会議やコンファレンスに出ていてもそれを実感します。』

ほうほう。

『もちろん各国の出す答えは、それぞれの事情によって様々ですし、教科書に書いているような直截なものではありませんが、今日、そうした議論や実践の中で各国の政策担当者にとって共通の課題となっていると感じます。中央銀行や政府の政策担当者がおかれている環境変化の速さとダイナミックさに的確に対処していくためには、ある時点の常識に止まっていてはいけないということを自省させられるものです。』

置物リフレ理論という自称「世界標準の金融政策」「金融政策の教科書通り」の机上の空論を実践したくもなかったのに実践する破目になった中曽さんの白成分が懺悔告解しているんですね!!!!!!!!!!!!

『自分達は、「理論と調査に基づいた政策実践」という中央銀行のDNAを大切にしつつ、同時に、時代や環境とともに自らも「進化」を遂げていくことに勇気を持たなくてはならない、と最近よく思います。』

どう見ても進化の失敗あるいは退化だったような気がしますが、これは「総括検証で進化する」という決意表明でしょうか??????????

『最後の点は、やや蛇足になりました。さすがに今回の検証のスコープを大きくはみ出すもので、単なる私の感想にすぎないということをお断りして講演を終えたいと思います。』

まあ何ですな、途中に含まれる副作用の所での金融機関向けエス久キューズ文言とか、この辺の部分とか、従来どちらかというと思いっきり真っ黒くろすけの説明ばかりして、市場への配慮とか金融システムへの配慮とか全然無いわダメダコリャとなっていた中曽さんでしたが、今回は一部白系懺悔成分が入っているなあという感じで、そこは変化としては小さいけど重要かも知れませんな。





2016/09/08

お題「市場メモ雑談等/ウィリアムス総裁講演は目先の利上げに関してはエライ鼻息荒いですの」

ついに「アベノミクスが上手く行かないのはヘッジファンドのせい」と来ましたか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47783
日本と投機家たちの戦い
為替市場への積極的な介入を
2016.9.7(水) 浜田 宏一

つーか何かJBpressって久々に見たが人気記事とかお勧め記事がアレなんですが、やはりPV稼ぎに行くとこうなってしまうんでしょうかねえ(ため息)。

○市場メモ等

・ブルフラットとな

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1BJ28V
Markets | 2016年 09月 7日 15:19 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅上昇、ブル・フラット化の形状

『<15:14> 国債先物は大幅上昇、ブル・フラット化の形状

長期国債先物は大幅上昇。前日の海外市場で、8月非製造業部門総合指数(NMI)が51.4と、市場予想(55.0)を大きく下回ったことを受けて、9月米利上げ観測が後退。米債が買われた流れを引き継いで買いが先行した。長いゾーンを対象にした国債買い入れオペが3本ともしっかりした結果になったことから上昇幅を大きく広げた。円高・株安も買いを誘った。

現物債は超長期ゾーンを中心に金利に強い低下圧力がかかった。日銀オペ結果で需給の引き締まりを確認したことで、最終投資家を含めた押し目買いが観測されていた。20年債、30年債、40年債の各利回りは前営業日比5bp以上の低下。長期ゾーンも先物に連動性を強めて堅調。5年債入札をあすに控えているが調整を入れず中期ゾーンもしっかり。国内銀行勢を主体にした需要とみられている。イールドカーブはブル・フラット化の形状。』(上記URLより)

つーことで火曜に30年入札があって入札前から先回り買いがあって入札は強めの所で切れてキタコレと思ったら20年中心に強くなったところで失速した、と思ったら30年が更にしっかりして終了し、水曜は米国受けたんだか何だかという感じで朝から20銭位上がって始まったものの、その後はうだうだやっていたものの、輪番超長期後半が強くて30年がモリモリ強くなって盛大にブルフラットの図。

つーても毎度のことですが別にこう皆さんがドカドカ参加して市場が盛り上がっている訳でも無くて、板がスッカスカの中で輪番スケジュール見ながらやっている中である程度の踏み投げみたいなのが入るとそっちにどどどーんと動くの図で、こう値を飛ばされてしまうと益々やりにくくて敵わんですなマッタクモウ。

ちなみに短国とかもセカンダリーって盛り下がりにも程がありますが、GCレートとか現先レートとかが延々と低位水準で推移していて、全然上がってくる気配がないのを見ると、短い所でも別に需給が悪い訳ではなくむしろ良いんでしょうなあという感じがするのだが気のせいかもしれません。

・CP買入とかコール市場残高とか

そういやすっかり忘れていましたが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160906.htm
CP等買入 8,357 4,990 -0.002 -0.001 36.4

となっていて足切マイナスですかと思いつつ毎度毎度結局この辺かよというレートですが、相変わらずこのCP買入って何のために続いているのか分からん(いやまあやってる理由は分かるけどもう継続する意味は無いんじゃないのということね)という所ですの。

あとコール市場残高ですが、
http://www.boj.or.jp/statistics/market/short/call/call1608.htm/
http://www.boj.or.jp/statistics/market/short/call/call1607.htm/

前月の数字と比較したのですが、都銀の取りの末残が増えていたので一瞬おーと思ったのですけれども、平残の方をみたら別に増えている訳では無かったのでまあ引き続きコール市場はこんなもんっつー所ですかの。

平残出し手ベース
その他とも計 19,102 58,371 (8月)
その他とも計 19,846 53,861 (7月)

平残取り手ベース
その他とも計 5,610 58,371 (8月)
その他とも計 4,231 53,861 (7月)

左が有担保コール、右が無担保コールで、有担の出し取りが合致しないのは短資のDD分(投資家出しの短資取り)があるからですな。


○こんなんで反応するの??????

昨日はこんなの出てましたが
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160906-00000003-fsi-bus_all
日銀「統一見解」集約が難航 政策委員に3つの立場、意見併記も
SankeiBiz 9月7日(水)8時15分配信

まあ論評するほどの話でもないなあと思っていたらこれですよ。

http://jp.reuters.com/article/forex-yen-idJPKCN11D20R
Business | 2016年 09月 8日 00:42 JST
円が対ドルで上昇、日銀政策委内の意見不一致報道受け=NY市場

ホンマカイナという感じもしますが(米国の利上げ絡みの要因のような希ガス)、まあ何ちゅうかあの程度の記事(しょうもないので引用する気にもならん)で反応するとかお前ら日銀政策委員の発言チェックとか全然しないでベンダー報道だけ鵜呑みにしてるんじゃねえのかと思ったりする訳ですが、良く良く考えると総括検証で何が出るとかいう話でも何だよそれというようなレポートが本職という看板の筈の方から出たりしているのが散見されるのでシャーナイナイという事かも知れませんし、そうならば「乗るしかない、このビックウェーブ!」ということで何か出せばそれはもう注目されてPV集めてウハウハですよ(と言いながらPVにアタクシも貢献するのがシャクですが)ということでしょうかねえ。

そもそもですな、「意見集約が難航」って言いましても黒田日銀になってからというものの、時間の経過および追加措置を打ち込んでいく過程と共に政策委員会の見解ってドンドン乖離が拡大している訳で、しかも議事要旨と主な意見という事務方で丸めたものと各委員が素で出しているものを並べてみれば、意見集約なんぞ元よりやらずに総裁副総裁が与党委員の数揃えて突破しているだけの経過じゃんとしか読めない訳で、それを今更政策委員会の意見不一致が材料になるとか意味わからん。

まあ敢えてネタにするとすれば置物ジンバブエの置物理論コンビという所でしょうが、置物先生におかれましては先般の横浜金懇にて中の人が変わったのではないかという位の穏当な話をしているという時点で別に強硬派に回るとは思えない訳で、まあそういう意味では「副作用などを考えるのがおかしい」という神風特攻理論もビックリのジンバブエ大先生が何を言い出すかという面はあると思いますが、所詮1名の見解って事になるんじゃろとしか思えんのではあそうですかってなもんじゃないですかねえ。つーか総括検証に堂々反対して3方向追加緩和提案するほどの理論があるとも思えんのだが、何でこれが材料扱いされるんだよと何か残念感が強いのでつい書いてみましたという奴です。

まー総括検証に関しては色々と皆さん楽しいので想像はドンドン出てくるのですが、最近は第4の柱ネタをどう想像するのかというのがネタのメインストリームのようでして色々と拝見するのですが、外債購入とかできる位の政治力あるんだったら最初から介入しろよとか、時間軸政策の導入って「出来るだけ早期に達成」というのと矛盾するし、総括検証ではそこは見直さないって言ってるんだからいきなり出てくる訳ねえだろ(将来的に政策が持たないので達成時期を柔軟化するときに時間軸というのなら意味は分かるが)とか、色々と鑑賞していると楽しいのでそのうちプレビュー雑談と称して整理しないといけませんな。



○ウィリアムス総裁講演が注目とか言われていたみたいなので注目してみた訳だが

とか言ってるうちに
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-lacker-idJPKCN11D2DS
Business | 2016年 09月 8日 03:15 JST
米9月利上げの論拠は強い=米リッチモンド連銀総裁

http://jp.reuters.com/article/usa-fed-governance-idJPKCN11D2D3
Business | 2016年 09月 8日 02:52 JST
米労働市場、ほぼ完全雇用の状況=カンザスシティー連銀総裁

ラッカーさんとかジョージさんとか、スタンレーフィッシャー副議長と並んでタカ派三銃士(今勝手に命名した)の風情のある方々の発言が来ていますが、とりあえずウィリアムスさんの講演注目だったらしいので注目してみましたよ。

でもってこれURLが長い・・・・・・・・・
http://www.frbsf.org/our-district/press/presidents-speeches/williams-speeches/2016/september/whither-inflation-targeting/
Whither Inflation Targeting?

PDFはこちら
http://www.frbsf.org/our-district/files/Williams-Speech-Whither-Inflation-Targeting.pdf

9ページあるけど説明がややくどいので途中を盛大に飛ばしながら確認。


・雇用はマンデート達成状態で物価も問題ないという説明

というのについては最初に出てくる小見出しの『The economic outlook viewed through the lens of the dual mandate』というそのまんまズバリの所にある。

雇用については、

『I’ll start with maximum employment. Our goal is not to have an unemployment rate of zero. Instead, it’s to be near the “natural rate” of unemployment: That’s the rate we can expect in a healthy economy. It’s impossible to know exactly what that number is, but economists generally put it between 4-3/4 and 5 percent today.1 With the unemployment rate at 4.9 percent, we’re right on target.』

ということで、一々自然失業率とはみたいなのを入れて説明しているので全般的に長いのだが、雇用についてはその他の指標を見ても完全雇用状態に達している、という認識を示していまして、物価に関しては、

『Turning to the other side of the ledger, the Fed’s monetary policy committee-the Federal Open Market Committee, or FOMC for short-has set a long-run goal of 2 percent inflation.4 Inflation has been running persistently below that goal for several years. Over the past couple of years, the strengthening of the dollar and declines in energy prices have pushed inflation down, but these influences should fade over time. To cut through some of the noise, it’s useful to look at measures of inflation that strip out volatile prices and provide a clearer view of the underlying trend. These suggest that underlying inflation is in the 1-1/2 to 1-3/4 percent range. We’re not quite at our target yet, but the combination of fading transitory factors and a strong economy should help us get back to our 2 percent goal in the next year or two.』

どの数字で基調的な物価がという話をしているのかが微妙に分からんのですが、基調的な物価は1.5-1.75位にあって、実際の物価に関しても今後一時的要因(エネルギー価格と為替)が弱まれば2%に向けて来年か再来年には達するでしょうと。

『To sum up, I remain confident about the road we are on. Consumer spending is strong, the labor market is running apace, and household balance sheets are improving. All in all, I see a solid domestic economy with good momentum going forward.』

ということで経済については強い見解を示すの図。


・何か利上げはやりたがっているようです

という話は今に始まっていませんけれどもせっかくなので改めて確認。『What it means for interest rates』という小見出し。

『So, what does this mean for interest rates? In the context of a strong economy with good momentum, it makes sense to get back to a pace of gradual rate increases, preferably sooner rather than later.』

早めに緩やかな利上げに着手した方が良いんですってよ。

『Let me be clear: In arguing for an increase in interest rates, I’m not trying to stall the economic expansion. It’s just the opposite: My aim is to keep it on a sound footing so it can be sustained for a long time.5』

ふーん(棒読み)。

『History teaches us that an economy that runs too hot for too long can generate imbalances, potentially leading to excessive inflation, asset market bubbles, and ultimately economic correction and recession. A gradual process of raising rates reduces the risks of such an outcome.』

ということでフィッシャー副議長的な観点での利上げの話まで出る有様。

『It also allows a smoother, more calibrated process of normalization that gives us space to adjust our responses to any surprise changes in economic conditions. If we wait too long to remove monetary accommodation, we hazard allowing imbalances to grow, requiring us to play catch-up, and not leaving much room to maneuver. Not to mention, a sudden reversal of policy could be disruptive and slow the economy in unintended ways.』

つー話をしておりまして、利上げを早期に行わないと金融のインバランスが起きてその後は碌な事にならない、というBISビュー的なお話までして正常化(ただしペースはのろい)というのをやれとのお話なので、結構強硬ですなあという感じで、確かにこの勢いだと12月どころか9月に利上げしてもおかしくない位の鼻息の荒さ(ただし9月と12月というような事にはならないでしょうな)ではあります。



・あとは均衡利子率が低下している件の話になる

目先の政策に関する話はここで大体おしまいという所ですが(なおこの先の話に関してもウィリアムスさんは今こそ政策手段をどうのこうの的な言い方はしております)、この先は今流行(?)の長期均衡金利が低下している云々の話になる。『What is normal monetary policy?』って小見出しでは、

『Even after the present problems are overcome, new realities pose significant challenges for the conduct of monetary policy in the United States and elsewhere. Foremost is the significant decline in the natural rate of interest, or r* (r-star), over the past quarter-century to historically low levels.』

と来まして、

『The daunting challenge for central banks is how to deliver stable inflation in a low r-star world. This conundrum shares some characteristics and common roots with the theory of secular stagnation; in both scenarios, interest rates, growth, and inflation are persistently low.6』

ということで、以下は均衡利子率が低下している中でどういう金融政策が適切なのかという論点になります。次の『How low can rates stay?』という所では均衡利子率が低下している要因(人口動態、生産性の低下、グローバルな安全資産指向による市場要因など、昨日ネタにしたシカゴ連銀エバンス総裁の講演と同じ様な話、つーかエバンスさんが先般のウィリアムスさんなどのペーパーをリファレンスにしているから同じ話になるのが順当なのですが)を述べていて、それが金融政策に対して与えるインプリケーションは、

『The critical implication of a lower natural rate of interest is that conventional monetary policy has less room to stimulate the economy during an economic downturn, owing to a lower bound on how low interest rates can go. This will necessitate a greater reliance on unconventional tools like central bank balance sheets, forward guidance, and potentially even negative policy rates.10 』

ということで、伝統的な短期金利操作の金融政策だけでは(均衡金利が低いから必然的に)ゼロ金利制約に達するまでの距離が短くなって、政策発動余地の制限が以前より厳しくなるというお話。


・だからと言ってインフレ目標上げるとプライスレベルターゲットやGDP目標を入れるというのはちょっと・・・・・・・・

でもって『Low r-star and strategies for mitigation』の所でそういう話をしているということで、先般のペーパーみたいな説明をしている訳ですが。

『There are actions that central banks and governments can undertake to avoid this fate. These include fiscal and other policies aimed at raising the natural interest rate, as well as alternative monetary, fiscal, and other policies that are more likely to succeed in maintaining a strong economy and stable inflation in the face of a low natural rate.』

ということで、最初の所で金融政策以外の経済政策などにより自然利子率を上げる方が適切、という話をしておりますので、まあそれはそれで当然だと思います。

『In these remarks, I will focus on options related to monetary policy.12』

となりまして、以下最近のウィリアムスさんお得意の話になります。

『The most direct attack on low r-star would be for central banks to pursue a somewhat higher inflation target. This would imply a higher average level of interest rates and thereby give monetary policy more room to maneuver.14』

『A second alternative would be to replace the inflation target with a flexible price-level or nominal GDP target, where the central bank targets a steadily growing level of prices or nominal GDP, rather than the rate of inflation. These approaches have a number of potential advantages over standard inflation targeting. For one, they may be better suited to periods when the lower bound constrains interest rates because they automatically deliver the “lower for longer” policy prescription the situation calls for.15 』

ということですが、伝統的な金融政策の余地を高める為により高いインフレ目標を設定するってえのはさすがにそれ「手段の為の目的」みたいなもんで、話の上ではそれはアリかもしれないけれども如何なものなのかという感じで、このネタが出る時に必ず引き合いにだしているのでご案内の通りかもしれませんけれども、こういう論点も有る訳で、

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab16j03.htm/
ライフサイクル経済における最適インフレ率
(ちなみに要旨ではなくてその下をちゃんと読むべし)

金融政策手段の為により高いインフレをというのはどうかという感じですし、プライスレベルターゲットってフォワードルッキングなインフレ期待のアンカーが本当にそれで出来るのかという実務上の問題が大きいように見える(ブランシャールが以前プライスレベルターゲットの話をした時に当時のイエレン副議長はそういうロジックで実用的ではないと切り捨ててた)し、名目GDPターゲットというのは要はそれによって時間軸効果を出そうというものかも知れませんが、そもそも論としてそのターゲットが中々達成できない、ということになると中央銀行のクレディビリティーの問題が発生するという大いなる難点がある上に、名目GDPなんて中銀が直接間接でも影響与えられるファクターは限定的にも程があるのですが、ここでのウィリアムスさんの話では(以下の部分は引用しませんが)その点についての考察が抜けている(ようにしか見えなかったのだが違ったらゴメンよ)というのが何だかなあという感じです。

まあいずれの方策にせよ、均衡利子率の低下によって狭くなる筈の伝統的な短期金利操作の発動余地を大きくしたい、という発想に立っているというお話ですな。


・一応まとめを引用

『Conclusion』から。

『Although it has been a long, hard road back from the recession, the American economy is finally back in good shape and headed in the right direction. We’re at full employment, and inflation is well within sight of and on track to reach our target. Given the progress we have made and signs of continued solid momentum in the economy, and consistent with our agreed-upon monetary policy approach, it makes sense for the Fed to gradually move interest rates toward more normal levels.』

経済については強気と。

『Looking toward the future, I have stressed the need to study and consider new approaches to monetary policy better suited for a low r-star world. Any shift in monetary policy strategy requires extensive analysis, consideration, and debate. But, time is not on our side. We have witnessed the extreme difficulties of achieving price stability and full employment with a low r-star. I firmly believe that now is the time for experts and policymakers around the world to actively study and assess the pros and cons of alternative proposals, so that we are better prepared for the challenges related to persistently low natural real rates of interest.』

で、均衡金利が低い状態での金融政策については真剣に検討すべきと。

『Finally, thoroughly reviewing the key aspects of inflation targeting is certainly necessary, and could go a long way towards mitigating the obstructions posed by low r-star. But that is where monetary policy meets the boundaries of its influence. We’ve come to the point on the path where central banks must share responsibilities.』

『There are limits to what monetary policy can and, indeed, should do. The burden must also fall on fiscal and other policies to do their part to help create conditions conducive to economic stability. Thank you.』

つーことですが、金融政策に限界があるってんだったらあまり金融政策発動余地の為の金融政策みたいなことは考えない方が良いのではないかとツッコミを入れたくなったりしますな。






2016/09/07

お題「きさらぎ会講演はシマウマ日銀だったのかな/エバンス総裁が指摘する米国の低金利均衡構造の可能性」

ふーん。
http://jp.reuters.com/article/global-forex-idJPKCN11C20L
Business | 2016年 09月 7日 01:51
ドル急落し102円近辺、弱い米ISM非製造業指数で利上げ観測後退

いやあの急落ったってついこの前まで101円とかだったじゃんと思うのですが、昨日のこれはワロタというかワロエナイ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD21OK6K50XT01
浜田内閣官房参与:日銀はFOMC決定前の追加緩和は控えるべきだ
日高正裕、藤岡徹
2016年9月6日 11:30 JST


○黒田総裁きさらぎ会講演の解釈が割れているようですのう

月曜のきさらぎ会ですけれども、昨日はとりあえず殆ど引用マンとなって適宜イヤミを突っ込んだら時間切れという感じでしたが、きさらぎ会の読み方が結構割れているなあという現象が生じていて中々味わいがあるという感じ。

例えばこんなのとかですけどね。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO06917130W6A900C1000000/
黒田総裁が「総括」のヒント 4次元緩和はあるか
経済部 浜美佐
2016/9/6 12:43日本経済新聞 電子版

『日銀の黒田東彦総裁が5日の「きさらぎ会」で講演した内容が市場に波紋を広げている。市場の一部で限界論がささやかれていた現行の金融緩和策について、量・質・金利の3次元での拡大は「まだ十分可能」との認識を示しただけではない。「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」と4次元緩和もにおわせる発言も飛び出した。』(上記URL先より)


きさらぎ会の講演のポイントとしては、ジャクソンホールの講演と比較するのが吉という感じでして、ジャクソンホールの講演ではマイナス金利政策のメリットの話ばかり延々として、デメリットの話を全然しないという毎度の勇ましい内容だったのに対して、きさらぎ会ではご案内のように、

『そして、これらのことをより一般化していえば、この政策の効果を考えるうえで、金融機関収益を通じて、金融仲介機能に与える影響についても考慮する必要があるということです。』

『金融政策で意識すべきは「限界」ではなく、どのような公共政策においても考慮すべき「ベネフィット」と「コスト」の比較です。』(以上9/5きさらぎ会講演より)

という話が飛び出している訳で、こういう白日銀的な発言って今までは殆どでなかったし、(除く野党審議委員)出てもお為ごかしにしか触れなかった訳でして、今回は兎に角その辺りの「マイナス金利政策を継続した場合の悪影響」とか「政策の効果とデメリット」の話をおっぱじめている訳でして、こんなのどこからどう見ても「従来のなんでもバズーカ撃ちまくり作戦からの撤収」以外の何物でもないでしょう、と思う訳ですよ。

・・・・・・・とは申しましても、昨日も引用しながら申し上げたと思いますが、きさらぎ会講演では従来の威勢の良い話や、今までの政策は効いているという話を続けている訳でして、4次元云々の部分になりますと・・・・・・・・・・

『しかし、先程述べたとおり、例えば、今の枠組みの中だけで考えても、「量」・「質」・「金利」の各次元での拡大は、まだ十分可能だと考えていますし、それ以外のアイデアも議論の俎上からはずすべきではありません。』

『機動性を旨とする金融政策においては、経済・物価あるいは金融の状況によっては、「コスト」を考えたうえでなお思い切った措置が必要になることは十分考えられます。そうした対応の選択肢は、いつも準備しておかなければなりません。 』(以上9/5きさらぎ会講演より)

という感じになりますので、こちらに注目すれば黒日銀健在という感じになる訳でございまして、今回のきさらぎ会講演ってジャクソンホールの黒日銀全開状態からは大幅にトーンダウンした上に、マイナス金利政策のデメリットや、政策運営に関するメリットデメリットの比較衡量という話があったりという白成分はあるものの、このように見る部分によっては相変わらずの黒日銀全開という感じになっておりまして、混在した状態になっているという感じですが、どうもこの黒と白が融合している感じがしなくて、黒になってみたり白になってみたりというシマウマ状態になっているので、そらまあ読む方も黒いのを見るか白いのを見るか悩みますなという所だと思います。

つーことで、アタクシ的にはまあさすがに黒日銀全開モードからの転換(と言っても白くなる訳では無いので政策が転換するとか考えるのはさすがに気が早すぎでしょう)という流れは割と明確に示されたなあ(したがってここから先に3次元緩和を3方向に全力バズーカというのは無くなった)という風に読んだのですが、昨日色々なコメントを拝見しているとまだまだ見解が割れているなあと思うのでした。

でもってさっきマクラにした4次元ですけれども、そもそも3次元で今後ぶっ放す訳ではなく、しかも「政策のベネフィットとコストを勘案する」と言っている中で、4次元目の緩和をぶっ放す場合には、前回のマイナス金利政策導入時のように「取りあえずヤケクソで導入」みたいな事はさすがに出来ないでしょうと想定する方が普通であって、あの別の政策云々っていうのは「政策の限界と言われるのがムカつくから言っている」だけの話だし、そもそもそれ以前に現状の3次元の緩和がまだ余地があると言っている中ですから、そら4次元とかそう簡単に派手な物は出て来ないでしょう。

そらまあお為ごかしみたいな追加政策が出てくる可能性はあると思いますが、黒田総裁の今までの行動から考えるとそういうものは「4次元目の政策」とは言わないと思われます(ただし黒田さんが漂白されて麿状態になるとお為ごかしなのを追加緩和と称してやったふりをするという小賢しい策に出る可能性はあるけど)ので、まー期待するような4次元目ってのは出て来ないんじゃないですかねえそう簡単には。


あとこれも昨日申し上げましたが、桜井さんのロイターインタビューに加えてきさらぎ会講演でも、

『次に、本年1月に導入を決定したマイナス金利政策についてです。マイナス金利政策は、国債買入れとの組み合わせによって、イールドカーブ全体にわたって国債金利の一段の低下に大きな効果をもたらしました(図表5)。このことは、両者を適切に組み合わせることによって、日本銀行がイールドカーブ全体に影響を与えることができることを示唆しています。この枠組みはきわめて強力であることがはっきりしました。 』(9/5きさらぎ会講演より)

という話をしているのが気がかりでございます。

えーっとですな、そもそも何でマイナス金利以降金利がバカスカ下がったかと言えば、マイナス金利突っ込んだ後に為替は円高に振れるわ株価は下がるわという中で黒田総裁が意地を張るかのように「3方向で追加緩和」と連発した結果、追加緩和期待が毎度の如く盛り上がるというアホウな展開になったというのも大きい訳で、更にその間に物価も下がるので金利の方の方々としても「2年で2%と言ってて必要なら3方向で追加緩和だったらヤケクソ特攻あるで」という風になりますからそら金利過剰に下がるわなというお話だと思うのですよ。

大体からして2013年当初にQQE導入した時って導入した翌日の前場途中まではそらもうエライコッチャと金利が下がりましたが、株は上がるわ為替は円安に振れるわとなる中でいったん(その前に追加緩和期待が死ぬほどありましたから)ロングの外しが出たと思ったらその後も「もしかしてこれ結構物価とか行くんじゃないのか」となって長期金利って盛大に上昇した訳でして、本来マイナス金利政策に物価目標を達成する強力な効果があると皆さんが思っていれば長期とか超長期の金利って上がって然るべきだし、それこそが「期待の転換」の筈な訳でして、日銀は「イールドカーブに強力に影響を与えた」とか言って喜んでいる場合ではなくて、本当は「期待形成の転換ができた」と言って喜ばないといけない訳で、こういう説明をしていること自体が第一にトンチキ。

でもって今申し上げたように、無慈悲な追加緩和期待(もはやそれは懸念だが)で超長期の金利がバカスカ低下したという事からすると、今回の総括検証で少なくとも3方向バズーカぶっ放しとか、威勢よくドンドン緩和を拡大していくとかいう方向性が見られなくなる、となる中で桜井さんのような「イールドカーブがフラットし過ぎ」みたいなことを言い出すと今度は余計にイールドカーブが立つリスクがあり、それを受けて日銀がまた反応する、とかおっぱじめるとイールドカーブのロンガーエンドの部分が無茶苦茶にぶれるようになって相場的には面白いかも知れんがどう見てもアカンという事になると思うの。

ですから、まー日銀におかれましてはあまりイールドカーブがどうのこうのとか言うのもどうかと思いますし、それをやりだすと一々が「自分の尾を追う犬」になって更に酷い事になりますからして、イールドカーブの長い部分は色々な物を含めた結果であるという感じで見る(勿論買入による需給締め上げ効果というのは強力なのですが、それ以上に口先介入するのはドツボに嵌るよという意味ね)のがよろしいのではないかと存じます、はい。


○シカゴ連銀エバンス総裁の低金利環境に関するコメントというか何というか

先日こんなのがあったのですが。
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2016/08-31-are-low-monetary-policy-rates-the-new-normal-beijing
Are Low Monetary Policy Rates the New Normal?
Last Updated: 08/31/16

何か延々と箇条書きになっているのが却って微妙に読みにくいという妙な代物(プレゼンスライドでもあれば分かるのですけど見た感じそれが見当たらないのがアカン)ですが、お題はご覧のとおりという奴でして、ちょっと鑑賞してみるという感じですが。

・長期停滞論については「細けえこたあいいんだよそれより重要なのはだなあ・・・・・」というお話

『I. In the late 1990s, Paul Krugman analyzed the Japanese economy’s early experience with deflationary forces, and concluded that the Bank of Japan should provide extraordinary amounts of monetary accommodation in order to push inflation several percentage points above its perceived inflation objective.』

と最初にクルーグマンの日本に対する考察の話があって、

『A. Krugman’s policy prescription was bold, but it was a straightforward and sensible consequence of his mainstream analysis. 』

『B. A bit unfortunately, his clever rhetoric describing the optimal policy response was distracting: He described it as the central bank “credibly promis[ing] to be irresponsible.”[1] I suspect this characterization didn’t sit well with many monetary policy analysts.』

日銀に対して「責任もって無責任になることによってデフレ脱却」というのに対しては「his clever rhetoric」とか言いながら結局全体的には嫌味たらたら感が強くてワロタ。

『II. Why do I bring this up now? Well, several years ago, Larry Summers described the global economic environment of low growth and low interest rates. He speculated that we were likely experiencing what he dubbed “secular stagnation.”[2]』

でもってその次にサマーズの長期停滞論の話になるのですが、その点に関しては、

『B. Well, similar to Krugman’s analysis about Japan, Summers’ analysis is standing the test of time. Today, the world economy is still in a low-growth, low-market-interest-rate regime. And more and more economists see the essential characteristics of this state as likely persisting for some time to come, as shown in their analytical perspectives and baseline forecasts.』

ということで、長期停滞かどうかは兎も角として低成長で市場金利が低い状態のレジームになっているというのは事実ですよね、という指摘をしていまして、

『III. As a mainstream, time-series oriented macroeconomic researcher, I know all of the baggage that comes with terms like “secular” and “permanent.』

『B. Whether the current weakness is a permanent new regime or a very persistent deviation from the norm is not the point.』

ということで、というのは、現在起こっている事象として、低成長で低金利状態になっている、という事が長期停滞なのか一時的現象なのかというのがポイントではない、と来ました。

『C.The task of identifying changes in fundamentals and the persistence of those changes is indeed formidable. 』

それより背景として何が原因なのかが重要でしょ、とのお話。


・低成長低金利状態になっている要因

でまあ以下まあ大体言われている話がポイントになります。

『1.Remember back to the late 1990s. Quite some time was required before the productivity surge was commonly recognized as something sufficiently long-lasting to be incorporated into baseline economic projections.』

『2.OK? And now think how difficult it has been recently to digest the persistence in the decline in productivity that has occurred since the mid-2000s.』

90年代後半に大きく高まった生産性が低迷しているという毎度のお話で、これによって長期の成長見通しも下がっている(SEPでも下げている)という指摘がありますが引用割愛。

『IV.By now, we should all be aware of the factors contributing to lower long-run growth.』

つーことで、

『A.Demographics are playing an essential role. In the U.S., growth in the workforce is slowing due to both the movement of the baby-boom cohort into retirement age and lower labor force participation rates, particularly among the youth. Also, a plateauing in educational achievement and the retirement of highly experienced workers mean that improvements in the quality of the work force are already contributing less to productivity growth than they have in the past.』

人口構成の変化と労働者スキルの低下ですな。

『B.Furthermore, the underlying trends in total factor productivity (TFP) growth do not look good. John Fernald at the San Francisco Fed and his co-authors estimate that the current trend in TFP growth is about one-half of 1 percent; that compares with 1-3/4 percent during the heady days of the mid-1990s productivity surge.[3] 』

全要素生産性の低下とな。

『C.Productivity and potential output growth are also influenced by the quantity and quality of the capital stock that workers employ in the production of goods and services.』

生産性と潜在的な生産が資本ストックの質と量に影響されるということで・・・・・・・

『1.Business investment in structures, equipment and intellectual property declined sharply during the recession, and has grown only modestly during the recovery. This has left the level of capital spending quite low, and capital deepening has been weak.』

『2.This reduced pace of capital formation translates directly into lower growth in potential output.』

『3.I would note that one persistent theme I hear from business executives is that they feel their productive capacity is about right-sized to the current level of demand and their modest baseline expectations for growth in sales. So the sluggish capital spending may itself in large part reflect low expectations for growth over the longer run.』

リセッションの影響によって成長期待とかが下がって資本ストックの充実を行わないようになっている傾向にあるとかまるでどこかで聞いたようなお話キタコレというのが味わいがあります。

『D.In addition to the supply-side factors that I have noted, the secular stagnation argument also typically envisions insufficient aggregate demand support from fiscal and monetary policy.』

でもって長期停滞論を言う人の場合はサプライサイドのファクターだけではなく需要が弱くて金融財政政策のサポートが必要という話がありまして・・・・・・

『1.That is, with weak supply-side factors, low inflation, and little appetite for fiscal expansion, negative demand shocks of all varieties are more likely to bring economies to the effective lower bound on interest rates. And at this bound, monetary policy is less efficient at mitigating headwinds and boosting activity.』

金融財政政策の制約が財政制約やらゼロ金利制約で起きているのでその問題もあると。


・つーことで均衡金利は下がるわ長期金利は下がるわ

『V.This setting has strong implications for interest rates and monetary policy. All else being equal, weaker long-run growth fundamentals imply lower equilibrium real interest rates over the longer run. This is a straightforward implication of our standard macroeconomic models.』

ということで長期の実質均衡金利が下がりますよねというのは順当ですが、

『A.There are other factors that will likely keep market interest rates low for quite a while in the U.S. and other advanced economies as well. 』

他にも金利が下がる要因がありましてというのは・・・・・・・

『B.High on this list is the enormous worldwide demand for safe assets. 』

世界的な安全資産需要とな。

でもってこれはマーケットだけではないということで、

『VI.Beyond just economists’ consensus forecasts, I have recently heard more commentary that the lower-for-longer interest rate scenario is being built into business plans.』

ということだそうで、事業会社などでも低金利環境継続という見通しが強まっているという指摘があってこれまたどこかの国で聞いた話っぽくてアレ。

『A.I recently had a meeting with a number of executives from the life insurance industry, whose business models rely on investing funds to cover anticipated long-term liabilities.』

『1.They talked about how they and other real money investors - such as pension funds - are reassessing the yield-curve environment and increasingly coming to the view that persistently slow output growth in the U.S. and abroad may keep real interest rates low for a long period of time; longer than they likely thought one, two or certainly three years ago.』

米国でも同じですのう(日本の方がもっとひどいが)。

『2.As a result, these long-horizon investors are developing strategies to manage their business operations based, in part, on the yields that are currently achievable on longer-term safe fixed-income instruments. 』

涙なしには読めない。

『3.I have also heard complementary reports from those on the other side of the market. In particular, issuers of high-quality corporate debt are finding markets receptive to their offerings, and new issues are routinely being oversubscribed.』

そら高格付け債券は人気だろ。

『B.Let me be very clear on why this is important. This comes back to the “secular” component of secular stagnation. 』

ということで、これが自己実現的に長期停滞のような構造的なコンポーネントになるのがアカンと指摘しているのはごもっともではああるのですが、では何をすべきか、という話は惜しくも無いので、いやまあ米国も構造的にあばばばばー感isある(ただしエバンスはハト派なのでその分は割り引いて読む必要がある)という事でしょうか。

ちなみに最後の所に、

『VII. Now, how does this all inform my assessment of the degree of accommodation that U.S. monetary policy is currently providing?』

というのがあるのですが、そんなにすごい話をしている訳ではなくて、慎重に利上げを行って問題ありませんぞなという話なのだが時間が無くなったのでその辺はパスして、最後の最後のところを引用しておきます。


・政策運営が難しいですね、というのが結論だったりします

『VIII. To conclude, let me say: 』

『A.There are many challenges for monetary economists in judging long-run growth prospects and discerning what they mean for financial conditions and the implementation of monetary policy.』

『B.I see good arguments for believing that we are in for a protracted period of low equilibrium real interest rates. I also think many long-term investors are taking this view as well.』

『C.We still need to remain on guard for market vulnerabilities in case this analysis is wrong. But the scenario I’ve outlined today suggests fewer financial stability concerns than if low long-term interest rates were being driven solely by unusual declines in term premia that could leave markets more exposed to sharp swings in risk sentiment or speculative unwinding of carry trades.』

ということで、実はあっという間に昔に戻るリスクというのはあって、引用飛ばしましたが、インフレが急に上がりだすのと、長期金利のタームプレミアムが何らかの事情でスパイクするのがリスクという認識を示しています(逆にそれ以外は気にしなくて良いという話でもあります)。

『D.Still, the low-growth, low-interest-rate world we find ourselves in today is a difficult situation.』

ということで、

『1.Whether we call this secular stagnation or simply a persistent period of low market interest rates is not the point. Both interpretations present strong challenges for policymakers. 』

『2.Addressing downside shocks near the zero lower bound is much, much harder than if we had a comfortable buffer against the equilibrium real rate. And we must stay attuned to the difficulties in delivering additional monetary policy accommodation if the need ever arises before this environment changes.』

てな話をしていますので、まあハト派のエバンスさんだから順当ではあるのですが、利上げ慎重(ただしやらないと言ってる訳ではない)という事なのですが、ちょこちょこ指摘されている長期停滞になりそうなファクターの話が日本チックだったのでネタにしてみた次第でありまする。







2016/09/06

お題「注目のきさらぎ会は従来路線との違いと変わらない部分を列挙しましたな」

ということできさらぎ会。

○とりあえず「ガンガン3方向で追加緩和砲撃」ではないのは把握したが・・・・・・・・

つーことできさらぎ会でございます。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160905a1.pdf
金融緩和政策の「総括的な検証」
─ 考え方とアプローチ ─
「きさらぎ会」における講演

もうお題がそのまんまという内容で、皆様注目物件につき既にご確認済みの方も多いと存じますが、こちらアタクシの備忘録でもありますので、まあお付き合いください。


・最初の部分で「緩和の縮小はしない」というお話と「2年」がこっそりと無かった事に

基本的に今回の総括検証って今の「2%物価目標を、2年程度を念頭に(というのはすっかり無かった事になっていますが)出来るだけ早期に達成する」というのについては見直しをしません(なお2年については無かった事になるでしょうな)。

となりますと、物価が運よく上昇しだしてこない限り、次に日銀が行う政策はあくまでも「緩和政策の強化」になるというのはこれはバイ・デフィニションの世界であって、問題はその「強化」の中身がどうなるかというお話。つまり日銀が「追加緩和の強化」と言っても実際問題としては長期金利(というより多分超長期金利)が上がるような施策というのも存在する(巷間言われているので一番このケースになるのは政策金利の引き下げと国債買入拡大ペースの緩和を行って、MB目標から金利目標に変更して、金利+黙示的な時間軸でイールドカーブの手前を安定させるような感じかなあ)ので、「次に日銀が行うのは緩和なのだから金利は全部下がるぜヒャッハー」というのが必ずしもそうではない、という辺りの方向転換を今回示唆した内容になっております。というのはここから追々読んでいくとしませう。

1ページ(PDFだと2ページ目)『2.問題意識 』から。

『日本銀行は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。その後3年余りの間、わが国の経済・物価情勢は大きく改善し、デフレではないという状況になりました。一方で、これだけ大規模な金融緩和を行っても2%の「物価安定の目標」は実現できていません。』

2年で達成する筈なんですから本当は2年で検証しないと行けなかったのではないでしょうか。

『この間に金融政策がどのように機能し、何が2%の実現を阻害したのか、この点が検証の第1のポイントです。そして第2の検証ポイントは、導入から半年が経過した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」についてです。この政策のもとで、国債や貸出・社債などの金利は大きく低下し、その面で顕著な効果を発揮しています。ただ同時に、金融市場の流動性や金融機関の収益などにも影響を及ぼしています。この政策の効果と影響についても検証する必要があると考えています。 』

という説明なのだが、そもそも考えるべきは「何が阻害したのか」ではなくて、「当初考えていたトランスミッションメカニズムのどこがワークして、どこがワークしなかったのか」というメカニズムの点では無いでしょうか。すなわち、元々置物リフレ理論だと一時的な要因による動きは除いて中長期的な物価は金融政策によって決定できる、という話をしていた訳で、その時想定していたトランスミッションメカニズムがあるのですから、そのメカニズムについて検証を加えることによって、「戦略の誤り」を見出すべきではないかと思うのですけどねえ。

という悪態は兎も角。

『これらの点について、事実と理論に基づいて客観的な分析を行ったうえで、政策面で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために何をすべきか、議論したいと思います。あくまで2%の早期実現のために行う検証ですから、市場の一部でいわれているような緩和の縮小という方向の議論ではありません。』

となっていますので、戦略の間違いについては基本的に認めないという面の皮の厚い検証になるのではないかと思われますが、後半の方で副作用だの言いだしているという注目材料がありますのでそっちに気を取られてしまいがちですけど、ここの物言いですと「戦略は正しかったのですがちょっと敵軍の状況や戦場の地理が想定外にタフでしたわあっはっは」みたいな反省感の無い検証が出てくる懸念も無い訳ではない、。


・効果のレビューは都合の良さそうなところだけ出してますなあい

『3.「量的・質的金融緩和」導入以降の日本経済と政策効果 』ですが、最初に成果物の御自慢たる(3年間の経済・物価動向)のお手盛り満載状態に全米が泣いた。

『議論の出発点として、まず、「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向について振り返っておきたいと思います。』

『第一に、企業部門では、中小企業を含めて企業収益が大幅に改善しました(図表1)。売上高との対比でみた利益率は、2015 年度には史上最高水準に達しました。今年度は、前年度との比較では、製造業を中心に幾分減益となる見込みですが、なお高い収益水準を維持しています。』

まあそれが国内の設備投資や労働分配に回らないといけませんがいよいよこれからですかねえ。

『第二に、家計部門では、雇用・所得環境が大幅に改善しました。雇用者数は着実に増加しています。失業率は、直近では3%まで低下しており、ほぼ「完全雇用」の状態にあります。賃金については、一昨年の春闘において約20 年振りにベースアップが復活し、今年に至るまで3年連続で実現しています。 』

ところで完全雇用だったら2%物価上昇に向けてガンガン賃金あがってくれないですかねえ。

『第三に、物価の基調も明確に改善しています(図表2)。』

???????

『一昨年夏以降本年初にかけて、原油価格が 70%以上も下落したため、生鮮食品を除くベースでみた消費者物価指数の前年比は、直近では−0.5%となっています。もっとも、生鮮食品のほかエネルギー価格を除いたベースでみると、消費者物価の前年比は、「量的・質的金融緩和」導入前は−0.5%から−1.0%程度で推移していましたが、2013 年秋にプラスに転じた後、2年 10 か月連続でプラスで推移しています。このような長い期間にわたって消費者物価の前年比がプラスで推移したのは、1990 年代後半に日本経済がデフレに陥って以来、初めてのことです。日本経済は、既に「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなっています。』

まあ日銀コアコアもこれから下がるんですけどね。


『もちろん、このような変化は、日本銀行の金融緩和のみによってもたらされた訳ではありません。政府の機動的な財政運営や成長力の強化に向けた構造改革の取り組みも景気の後押しに貢献しているほか、民間企業におけるイノベーションの努力も大きな役割を果たしています。とはいえ、日本銀行の「量的・質的金融緩和」やそれに続く「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」といった過去に例のない大規模な金融緩和が、日本経済の好転に大きな役割を果たしていることは間違いないと思います。』

そんなに効いているんだったらその後の逆風も全部金融政策で吹き飛ばせる訳でして、金融政策が全く効かないとは別にアタクシも申しあげる気はありませんが、そもそも2013年って景気サイクルとかから上げモードで、その上消費増税が決定したのでその前の駆け込み需要が発生したり、増税前に補正予算なんかで財政打ったとか、そういう効果もあったんじゃないですかねえそこまで言うほど金融政策にパワーがあったのかねえ、というような検証はどうも行われないようですな。はーお手盛りお手盛り(つーても「金融政策はちょっとしか効いてませんでしたから」という結論を出す訳にも行かないというのは分かりますけどね!!!!!)。


・阻害要因の話で消費増税があるのに効果ではスルーとは相変わらずのインチキ

(2%の実現を阻害した要因) という小見出しの所から。

『一方、こうした大規模な金融緩和にもかかわらず、2%の「物価安定の目標」は実現できていません。この間、外的な要因として、第一に、原油価格が 14 年夏以降大幅かつ数度にわたって下落したこと、第二に、14 年4月の消費税率の引き上げ後の個人消費を中心とする需要の弱さ、第三に、15 年夏以降の新興国経済の減速やそのもとでの国際金融市場の不安定な動きなどが、影響したことは明らかです。 』

ここでお手盛り感大爆発の予感がするのですが、「14 年4月の消費税率の引き上げ後の個人消費を中心とする需要の弱さ」ってのを阻害要因にするのであれば、当然ながら消費増税前の駆け込み需要や、この駆け込み需要を当て込んだり消費増税のどさくさに行なわれたりした販売価格の引き上げという行動がある訳で、そちらについて金融政策の効果からは除外して考えるべきであるし、考えないならインチキ検証にも程があるという事になります。

でも、前半の効果の話の中ではそういう説明を想像させる記述は当然のごとく一切存在しないという状態になっている訳で、消費増税に向けた駆け込み需要とその前に行われた財政支出分の効果を「金融政策の効果」という時点で検証はお手盛り感満載。



『ただ、より重要なことは、そうした外的要因がどのようなメカニズムで、2%の実現を阻害したのかという点です。』

えーっとですね、そういうのは重要なのは良いのですが、メカニズム言いますけれどもそもそもの金融政策の波及メカニズムに関して「このような施策を取る」→「このような作用が金融市場に起こる(または人々のマインドに起こる)」→「実体経済にこのような効果がある」という明快なご説明を全然頂いていない(風が吹けば桶屋が儲かるような置物理論しか聞いておりませんが何か??)のでございますが何でこっちだけメカニズムの話???????


『この点でカギとなる要素は「予想物価上昇率」、つまり、企業や家計の物価の先行きに対する見方です。そこで「量的・質的金融緩和」で想定していた効果波及のメカニズムを振り返りますと、その出発点は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントのもとで大規模な金融緩和を実施することによって、人々の予想物価上昇率を引き上げることにあります(図表3)。同時に、長期国債の買入れによって、イールドカーブ全体にわたって名目金利に下押し圧力を加え、これら2つによって実質金利を押し下げます。実質金利が低下すれば、企業や家計の経済活動が刺激され、予想物価上昇率の上昇とあいまって、実際の物価上昇率を押し上げます。そして、人々が実際に物価上昇を経験すれば、予想物価上昇率がさらに上昇する、というメカニズムを想定していました。』

そもそもそれが風が吹けば桶屋が儲かる置物理論なのですが。

『このメカニズムの中核にある「予想物価上昇率」が政策効果によってどのように押し上げられ、また阻害要因によってどのような影響を受けたか、これが検証の第 1 のポイントになります。 』

ということでメカニズムの話が来ますよ!!!!


・予想物価上昇率動向の説明がのっけからアレ

(予想物価上昇率の動向)という小見出しですが・・・・・・・・・・・・

『そこで以下では、予想物価上昇率の推移をみていきます(図表4)。その動向を把握するための手段としては、物価連動国債の利回りなどから推計されるマーケット関連指標や、家計、企業、専門家を対象とするアンケート調査に基づく指標があります。各種の指標は、それぞれの特性を反映して幾分異なった動きとなっていますが、「量的・質的金融緩和」導入以降の予想物価上昇率の動きは、概ね以下のような3つのフェーズに分けることができるように思います。』

ということで図表4を見るのですが、ここを見ますとこの前ジャクソンホール講演で「日本の中長期インフレ期待が安定していない」というのを示すために使った「コンセンサス・フォーキャスト」のドットプロットが無いという中々見事な図表になっておりまして(ちなみに展望レポートとかみるとコンセンサス・フォーキャストの方が調査期間が多いのですが・・・・・・・・)、先日のジャクソンホールでの説明と、国内での説明が違うとか馬鹿にしとんのかと小一時間。

『第一のフェーズは、「量的・質的金融緩和」導入以降、2014 年夏にかけての 1 年強の期間です。この時期は、各種の予想物価上昇率指標は、いずれもはっきりと上昇しました。「量的・質的金融緩和」の導入が、予想物価上昇率の上昇に大きな影響を与えたと考えられます。』

消費増税の影響を完全にスルーしている時点でインチキ確定。

『第二のフェーズは、14 年夏から 15 年夏までの1年間です。この時期は、多くの予想物価上昇率指標が横ばいとなっています。14 年夏以降の原油価格の下落と同年4月の消費税率引き上げ後の需要の弱さが、予想物価上昇率の下押しに寄与したものとみられます。』

そもそも14年の所が消費増税に伴う仮需要と便乗値上げで下駄を履いていただけという発想が無いのがアレで、敵が戦争準備していない所に奇襲を仕掛けて大戦果だったのを全て自分の実力だと勘違いして敵が戦時体制になっているのに同じような奇襲で上手く行くと思ったからこの惨状なんじゃないですかねえと申し上げたくなるこの雑な検証ェ・・・・・・・・・・

『日本銀行は、14 年 10 月末に、それまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクの顕現を未然に防ぎ、期待形成のモメンタムを維持するために「量的・質的金融緩和」の拡大を行いました。この政策対応によって、大きな逆風にもかかわらず、予想物価上昇率は何とか横ばいを保ったということかと思います。』

はあそうですか。

『第三のフェーズは、その後、足もとにかけての約1年間です。この時期は、多くの予想物価上昇率指標が弱含んでいます。新興国経済が減速し、そうしたもとで国際金融市場の不安定な動きが続くとともに、原油価格が一段と下落しました。日本銀行は、本年 1 月にマイナス金利政策を導入しましたが、国際金融市場の不安定性が続く中で、その悪影響を跳ね返すには至っておらず、予想物価上昇率は弱含んだものとみられます。』

悪影響を助長したような気がしますがそういう事ではない、というこの説明はアホラシカとは思うけどまあこういう説明をしてくるだろうなあという点で順当順当。


・適合的予想形成が強いんだったらここから物価下がるのに手を拱いていて良いのでしょうかねえ

次が(予想物価上昇率の形成メカニズム) である。

『こうした経験を踏まえて分かることは、わが国においては、予想物価上昇率の形成は、依然としてかなりの程度「適合的」であり、原油価格の下落や一時的な需要の弱さなどによって実際の物価上昇率が伸び悩む場合には、予想物価上昇率もこれにつられて低下する傾向があるという点です。』

(キリッ)って感じで言ってますが、だったらさっきの所にあった

『その出発点は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントのもとで大規模な金融緩和を実施することによって、人々の予想物価上昇率を引き上げることにあります』

というのがそもそもイリュージョン、とまで言うと酷かもしれませんので言い換えますと、金融政策のコミットメント効果を過大に評価しすぎている、ということであり、それであれば金融政策の効きが当初想定していたよりも弱かったということ(最初の時点では「必要な施策を全部投下した」と言ってましたもんね)ではないか、という話じゃないの??????????????と思うのだが・・・・・・・・

『一般的に、人々の予想物価上昇率は、「フォワード・ルッキングな予想形成」と「適合的な予想形成」の2つの要素によって形成されると考えられます。「フォワード・ルッキングな予想形成」とは、物価上昇率は、その時々で様々な理由によって変化しても、いずれは中央銀行が設定した目標、多くの国では2%ですが、そこに収束していくという見方です。一方、「適合的な予想形成」とは、実際に経験している物価上昇率と同程度の物価上昇率が先行きも続いていくという見方です。例えば、実際の物価上昇率がゼロ%程度であれば、先行きもゼロ%程度で推移するだろうと考えるということです。 』

『「フォワード・ルッキングな予想形成」が十分強く働いている場合には、何らかの要因で実際の物価が目標から上下に外れたとしても、人々はいずれ2%といった目標近くに戻ると考えるため、価格や賃金の設定もそうした考え方を前提に行われます。このため、実際の物価についても、目標に向けて戻る力が働きます。このような状態を、予想物価上昇率が「アンカーされている」と表現しますが、物価の安定を目標とする中央銀行にとっては望ましい状態です。』

はいはい泣き言泣き言。

『米国などでは、予想物価上昇率が2%程度にアンカーされていますが、日本の場合は、長期にわたるデフレのもとで目標となる物価上昇率が実現できていないこともあって、「適合的な予想形成」の影響が大きいことが知られています。「これまで長年にわたって物価が上がってこなかったのだから、今後も物価は上がらないだろう」との見方が人々の間に根付いているということです。日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を推進することによって、「フォワード・ルッキングな予想形成」を強化し、人々の予想物価上昇率を2%の「物価安定の目標」にアンカーさせることを目指して来ました。』

でもそれは金融政策のコミットメントだけでは効かないのだったら、2年で達成とかできるだけ早期に達成とかそういうのを掲げるのは無理筋だし、そういう大口叩いてその期限に達成できないのであればコミットメントへの信頼が無くなるので、更にフォワードルッキングの期待形成に悪影響を与えますよねー。

『しかしながら、「フォワード・ルッキングな予想形成」が十分に定着する前に、原油価格の大幅下落などの諸要因によって実際の物価上昇率が低下したため、「適合的な予想形成」を通じる形で、予想物価上昇率が再び低下したものと考えられます。』

と、凄まじい理由をだしていますが、そもそも物価の上昇自体がコストプッシュ的なのと間接税増税となっている中で実質所得が下がり続け(今は物価がコケてるから実質所得上がってるけど)消費が落ちたことによって物価下がったという流れについての考察はどちらに????

『先行きについては、潜在成長率を上回る成長が続くもとで基調としての物価上昇率が高まると同時に、原油価格下落の影響も剥落していくため、実際の消費者物価上昇率は次第に高まっていくと予想されます。したがって、「適合的な予想形成」の面では、予想物価上昇率を押し上げる方向に作用すると考えられます。』

凄い説明だな。

『ただ、当面は、消費者物価上昇率が小幅のマイナスかゼロ%程度で推移すると見込まれ、物価がはっきりと上昇しにくい状況が続くとみられます。したがって、「適合的な予想形成」による予想物価上昇率の引き上げには不確実性がある点にも留意しておく必要があります。また、そうであるからこそ、「フォワード・ルッキングな予想形成」の観点から、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメントを堅持していくことが重要だと考えています。』

できないのに堅持すると信頼落とすんですけどねえ・・・・・・・・・・・・・


・マイナス金利の評価の部分では急に副作用とか言い出して中の人が変わったのかというような状態

後半は『4.マイナス金利の効果と影響 』である。

『次に、本年1月に導入を決定したマイナス金利政策についてです。マイナス金利政策は、国債買入れとの組み合わせによって、イールドカーブ全体にわたって国債金利の一段の低下に大きな効果をもたらしました(図表5)。このことは、両者を適切に組み合わせることによって、日本銀行がイールドカーブ全体に影響を与えることができることを示唆しています。この枠組みはきわめて強力であることがはっきりしました。』

金曜報道の腹話術人形審議委員の会見もそうなのですが、この辺りの話で毎度気になるというか懸念しているのは、日銀がここで示されているように「イールドカーブ全体を制御できる能力がある」と過大評価しているとみられるところです。

『また、マイナス金利政策について、当初、リスクフリー金利である国債金利が低下しても、金融機関における主たる調達手段である預金金利の低下余地が乏しいため、貸出金利や社債・CP金利の低下につながらないのではないかとの見方もありました。しかしながら、マイナス金利導入後の各種金利の動向をみると、貸出、社債・CPの金利は大幅に低下しており、いずれも過去最低水準にあります。』

社債とCPの金利って国債ほど下がっていないですけどねえ。

『また、これらの金利の低下幅と国債金利の低下幅を比較すると、波及の程度は概ね過去の利下げ局面並みとなっています。』

何をどう計算してるんだ?????

『さらに、最近では、期間が 10 年を超える超長期社債の発行や劣後ローンによる借入れが増加するなど、企業金融を巡る新たな動きも生じています。このように、これまでのところ、マイナス金利政策は、企業や家計の資金調達コストの低下にしっかりとつながっていることが窺えます。』

それが国内の実体経済に回らないと意味がないのですけどね。

『また、短観、主要銀行貸出動向アンケート調査(ローン・サーベイ)などの調査によると、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であり、マイナス金利による収益圧迫によって金融仲介機能がかえって悪化するというような事態にはなっていません。』

って足元いきなり悪化するとか反論している奴はいなくて、長期化すると将来そういう事になるからいい加減にしろという批判なのでこれは藁人形論法。

・・・・・・などと言っていたらここで急に珍しい発言が

『もっとも、これらの点については、留意すべき事項が2つあります。ひとつは、あくまで、「これまでのところ」であって、この先、貸出等の金利の低下にどの程度波及するかは、一概にはいえないということです。そして第2に、預金金利がそれほど低下していない中にあって、貸出金利が大きく低下したということは、それが金融機関の収益を圧縮する形で実現しているということです。このことは、第 1 の点と密接につながっています。今後の貸出金利への波及は、金融機関の貸出運営スタンスにも影響される面があるということです。』

将来の話についてはご批判頂いている内容についても一理あると認めている訳で、平場でこんなしおらしいお言葉が黒田総裁から出てくるとか変な物でも食ったか黒田総裁。



・さらに金融政策の長期化に関する問題やイールドカーブの話など

(金融仲介機能に与える影響) という小見出しから。

『そして、これらのことをより一般化していえば、この政策の効果を考えるうえで、金融機関収益を通じて、金融仲介機能に与える影響についても考慮する必要があるということです。また、収益の金融機関体力への影響は累積的なものであることを踏まえると、このことは政策が継続する期間によっても変わりうることを意味しています。』

こ、これは!!!!!!!!!!!!!!!!!

『一般的に、金融機関は、「短期調達・長期運用」を基本構造としているほか、調達の主な手段である預金金利がマイナスとなりにくいため、イールドカーブ全体にわたって金利水準が低下したり、短期金利と長期金利の差が小さくなることは、預貸金利鞘の縮小をもたらし、収益にマイナスの影響を及ぼします。特に、わが国の場合、預金残高が貸出残高を大幅に上回っていること、長期間にわたって金融機関間の競争が続いたため、預貸金利鞘が既にきわめて低水準となっていることなどから、マイナス金利が金融機関の収益に与える影響が相対的に大きいと考えられます。』

マイナス金利はグローバルに行われている政策でその意義を分からない金融機関の馬鹿共は顔洗って出直してこい位の威勢のよい発言からこの発言、つーか本来政策やるのにこういうの考えろや今更何を言うんだ遅いわMMFとかあちこちで繰上げ償還になったわという感じでもありますが。

『また、マイナス金利導入後、長期金利や超長期金利の水準が大幅に低下していますが、こうしたもとで、保険や年金の運用利回りの低下が見込まれており、貯蓄性の商品の一部で販売停止などの動きがみられています。一部には、割引現在価値でみた退職給付債務が増加し、減益要因となっている企業もみられています。こうした現象が直接的にマクロ経済に及ぼす影響はそれほど大きなものではないかもしれませんが、マインドという面で、人々の間に広い意味での金融機能の持続性に対する不安をもたらし、経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意する必要があります。 』

既に悪影響与えたような気もしますが、まあこういうことを言い出すだけマシですが、MMFとかがあちこちで償還という面で言えば時既にお寿司な所も多々ある。


『以上のように、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を推進していくに当たっては、その強力なイールドカーブへの影響力と、一方で広い意味での金融仲介機能への影響を踏まえながら、判断していく必要があると思います。もちろん、マイナス金利の深堀りも、「量」の拡大も、まだ十分可能であり、政策手段の面では幅広い選択肢があると思っています。その中で、経済・物価・金融の状況に応じて、最も適切な政策対応を検討していくことになります。


ということで、共同通信とかは相変わらずこの「3方向可能」に食いついていましたが、この内容ってまるで麿総裁が黒田総裁の着ぐるみ着て現れたのではないかというようなトーンで、いやどこからどう見てもこの白日銀での政策運営における配慮というのが正しいだろと思いますが、まー今回は漂白されている感じが大きいですの。


・メカニズムの説明をみると「金利政策へのシフト」でしょうなあ

最後が『5.おわりに:金融政策のメカニズム 』です。

『以上、「総括的な検証」の論点について説明しました。これらは、あくまで次回決定会合に向けての検討の視点のうち、いくつかを述べたものです。次回会合では、こうした論点を踏まえつつ、それ以外の問題提起も含め、委員の間で議論を深めていきたいと思います。』

それ以外とは?????????????????というのは若干怪しいが多分そんなものを入れる余裕が9月にはないと思う。


『最後に、全体をまとめる観点から、金融政策の課題に関し、私が考えていることを述べて、講演の結びとしたいと思います。』

ほほう。

『金融政策の基本的なメカニズムは、伝統的であれ、非伝統的であれ、「自然利子率」、すなわち景気や物価に中立的な実質金利の水準に比べて、実質金利をそれより高くしたり低くしたりすることです。』

マネタリーベースの話と全然違っているんですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『通常それは、短期金利の操作、つまりその上げ下げによって実現します。しかし、短期金利がゼロになっても十分な緩和効果が得られないとき、様々な形でこの「ゼロ制約」を超える非伝統的な政策が、各国の中央銀行によって考案されてきました。中長期の名目金利を引き下げるための「フォワード・ガイダンス」と「長期国債の買入れ」は、日本銀行を含め日米欧の中央銀行が実施しました。「マイナス金利」は欧州で始まり、日本銀行が続きました。金融政策によって予想物価上昇率に直接働き掛け、これを引き上げることによって実質ベースでみた金利を下げるという手段は、予想物価上昇率が低かった日本で「量的・質的金融緩和」として実施されました。 』

予想物価上昇率があがってないけどな!!!!

『金融政策運営にあたって、どういう手段を採るか、どのように推進していくかは、各国の経済や金融の状況によります。例えば、米国では金融市場におけるMMMF(Money Market Mutual Fund)の役割が大きい中でマイナス金利という手段は採られず、長期国債買入れによる長期金利の押し下げが中心手段になりました。』

MRF「・・・・・・・・・・」

『また、予想物価上昇率がアンカーされていたため、金融緩和は予想物価上昇率には影響しないことが強調されました。』


『一方で、実際に長期間にわたるデフレに陥った日本では、先進国の中でも、最も強い金融緩和政策が必要となり、これらのすべてが実施されたということです。』

グローバルスタンダードから脱却しているのかと思うとこういう言い方で世界の真似っ子みたいな話をする辺りに漂白が足りないというか「世界標準の金融政策」に対する未練が感じられますなあ。

『この結果、わが国では内外に例をみないようなきわめて緩和的な金融環境が実現しています。』

足もとでは金融機関にコスト掛けているから緩和度合いって変わってこないか???まあいいけど。

『こうした金融環境を企業や家計が前向きな経済活動に活用してほしいと願っていますが、そのためにも、先程申し述べた「自然利子率」を高めること、すなわち、構造改革の取り組みを通じて潜在成長率を高める必要があることを改めて指摘しておきたいと思います。』

もうちょっとこれをアピールしてください。


・金融政策のプロコン比較だと!!!!!

『なお、金融政策の運営について、その「限界」が指摘されることがありますが、私は、そうした考えには距離を置いています。もちろん、例えば国債の引き受けや財政ファイナンスのように、「法律的にできない」あるいは「やるべきではない」という意味での限界は存在します。しかし、先程述べたとおり、例えば、今の枠組みの中だけで考えても、「量」・「質」・「金利」の各次元での拡大は、まだ十分可能だと考えていますし、それ以外のアイデアも議論の俎上からはずすべきではありません。』

まあここも怪しいちゃあ怪しいのですが、冷静に読み直してみると単にこれは今の3次元の拡大が仮に物理的な限界に達する場合でも他の手段を用いれば緩和政策はできますよ、という話をしているだけのような気がして参りました。あまり具体的な手段を念頭に置いている感じではないように思える。


で、今回の講演の白眉キタコレの所です。

『金融政策で意識すべきは「限界」ではなく、どのような公共政策においても考慮すべき「ベネフィット」と「コスト」の比較です。』

な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

という「副作用を考えてはいけない」とか仰せのジンバブエ先生梯子盛大に外されてワロタとしか申し上げようが無いですし、そういやあの決定会合見解を見て「これは黒田総裁の考えに近いのでは」とか言ってた何とかストが複数散見されていましたがとりあえずお前ら頭丸めて出直してこい。

『どんな政策にもフリーランチはありません。ここまで大規模な緩和を行っている以上、当然に、追加措置の「コスト」はありますし、それによって不利益を受ける主体も出てきます。しかし、それが日本経済全体にとって必要なのであれば、つまり「ベネフィット」が上回るのであれば、躊躇するべきではありません。』

微妙にいつもの金融機関に喧嘩売る感じはありますが、まあこれはそうでしょと誰もが思う訳で、問題は今の政策拡大がコストの方が大きいだけだったら不利益受けた挙句に死んでしまったら犬死にもほどがあるからちゃんと考えて追加緩和やってねというお話なんですよね。ということで・・・・・・・・・・・・

『そして、大事なことは、この「ベネフィット」と「コスト」の比較衡量は、状況によって異なるということです。機動性を旨とする金融政策においては、経済・物価あるいは金融の状況によっては、「コスト」を考えたうえでなお思い切った措置が必要になることは十分考えられます。そうした対応の選択肢は、いつも準備しておかなければなりません。』

という訳で、まあ円高株安あばばばばーとかになった時には追加とかもあるんでしょうが、この先の金融政策の拡大については色々とプロコン比較してやっていく(のでハードルはある)という事になるんでしょうなあと解釈して置きます。

『最後にもう一言だけ付け加えますと、長年のデフレからようやく抜け出そうとしている日本経済にとって、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することの「ベネフィット」は大変大きいと思っています。日本銀行は、その実現のために、今後とも最大限の努力を続けてまいります。』

ということで、漂白されているかというとやはり黒い成分も入っているという中々微妙な出来具合になっておりますが、21日でどういうのが出るのか楽しみですな。





2016/09/05

お題「桜井審議委員インタビューと輪番オペで超長期あばばばばーできさらぎ会に注目ですね」

こういうヘッドラインになっているものの・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/aug-us-payroll-idJPKCN1181Q3
Business | 2016年 09月 3日 04:26 JST
米8月雇用者数は15.1万人増で予想割れ、月内利上げの可能性後退

まあやろうと思えばやれるでしょという数字でもある、というこの中途半端な結果ですが、糊代利上げをしたいんなら早めにやってくるという所でしょうかねえ、良く分からんけど。

http://jp.reuters.com/article/usa-fed-lacker-idJPKCN1182L7
Business | 2016年 09月 3日 05:17 JST
米経済、一層高い金利必要の可能性=リッチモンド連銀総裁

こちらは毎度お馴染みタカ派芸人のラッカー先生ですのでまあご参考程度。


○本日のきさらぎ会が妙に大注目になってしまう金曜のあれこれ

・輪番超長期見送りェ・・・・・・・・・

金曜のオペオファー

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of160902.htm

国庫短期証券買入 7,500 2016年9月6日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,000 2016年9月6日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,200 2016年9月6日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,300 2016年9月6日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 30,000 2016年9月2日 2016年9月5日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4)

短国の話はあとでしますが、今回は中期と長期で輪番を打ってきまして、超長期輪番が入るかと思っていたところだったので市場ションボリ、というかそれだけではないのですが、これをきっかけに超長期ヘロヘロになって引けは30年カレント0.505%(+6.5)に20年カレント0.395%(+4.0)ですよ先生という盛大なベアスティープ。

まあ元々ここもと超長期が打たれ気味、というか板の無い中でちょっと売りがでると直ぐにコケるような不安定な感じだった訳ですが、そこへきて輪番攻撃キタコレというのと、その次に桜井審議委員インタビュー報道が出まして、超長期がヘロヘロになった次第。


ということで桜井さんのインタビューですが。


・桜井審議委員ロイターインタビューねえ・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/boj-sakurai-idJPKCN1180CM
Business | 2016年 09月 2日 14:57 JST
インタビュー:日銀の3次元緩和に限界ない=桜井審議委員

というヘッドラインになっているのですが、債券市場の方はヘッドラインではなくて記事のこちらの方に反応している訳ですな。

『[東京 2日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員はロイターとの単独インタビューで、量・質・金利の3つの次元の金融緩和策に限界はないと述べ、今後も現行の枠組みの下で緩和を継続していく考えを示した。緩和手段の技術的な工夫や状況に応じた比重変更の可能性にも言及した。』(上記URL先より、以下同様)

「緩和手段の技術的な工夫や状況に応じた比重変更」キタコレな訳ですが。

『利回り曲線(イールドカーブ)の平たん(フラット)化の進行は予想以上とし、曲線の形状を変化させることも政策の選択肢と語った。インタビューは1日に行った。』

というのが来た上に超長期の輪番スキップ(と言いましても輪番自体は月内での買入予定の合計は事前にアナウンスされているので、それこそ朝三暮四の世界ではあるのですけれども、現在の債券市場は兎に角流動性が皆無で、輪番スケジュールがちょっと市場想定よりもズレた所に実弾の売りとか来るとそれだけで足もとの需給的に相場が大コケになるというようなスカスカ市場なので致し方なし)が前場にあったところに来て午後早めに追い打ちをかけるように(このニュースは上記URLのタイムスタンプだと3時とかですが、実際にニュースヘッドラインとしてベンダーとロイターのインターネットサイトに出てきたのは昼の1時位だった筈です)この記事ということで、先ほど申し上げたように超長期がプチゲロゲロ状態に成って居るの図となっています。


一問一答がそのちょっと後に出ていたぞな。
http://jp.reuters.com/article/boj-sakurai-interview-idJPKCN1180DK?sp=true
Business | 2016年 09月 2日 13:27 JST
桜井日銀審議委員インタビューの一問一答

『━━量的・質的金融緩和(QQE)の導入から3年余りが経過した。この間、QQE拡大やマイナス金利の導入にもかかわらず、2%の物価安定目標は達成できていない。』(上記URL先より、以下同様)

『「2014年夏場以降に原油価格が大きく下落し、今年に入って世界経済の不透明感の強まりを背景に、日本の企業、消費者のマインドが慎重化した。現実の物価がほぼ横ばいとなる中で、過去の物価に影響され、予想インフレ率が下がってしまったことが一番大きな原因だ。物価情勢は現在、その評価が非常に難しい状態にあると認識している」

「エネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価はプラスであり、日本経済をデフレではない状態にした成果は大きいと思う。ただ、2%目標には道半ばという状況だ」』

ということで、この前のジャクソンホールでの黒田講演でも「予想物価上昇率が低下している」というのを示していましたが、ついこの前まで声明文や展望レポートでは「弱含みもの部分も見られるが全体として上昇している」となっていたのは何なんでしょう(まあ現実をやっと直視したという事ではありますが)とは思いますけれども、とにかくここに来て「予想物価上昇率が下がった」という話になっています。

でもってこの予想物価上昇率が下がった原因が適合的な期待形成によるものが大きいという理屈を展望レポートでもジャクソンホールでも上記の桜井さんでもしているので、結局は「原油が下がったから予想物価上昇率が下がった」という原油が悪いよ原油がという攻撃になるんでしょうなあとは思うものの、じゃあ今後2%を早期達成するってんだったらその予想物価上昇率を引き上げるための施策が必要になるのですが、総括検証の結果何をどうすると予想物価上昇率の引き上げができるのかという話をぜひ見せていただきたいものでございます。

『━━9月会合で行う金融政策の総括的な検証のポイントと、3つの次元の金融緩和策の効果と影響。』

『「2%の物価目標はそのまま維持すべきと考えている。一番大切なのは、この3年半のレビュー。目標をなぜ実現できていないかを予断を持たず分析し、3つの次元の緩和策が、どのような効果をもたらしてきたのか、情報の分析を含めて政策委員が共有する。3つの手段を一つひとつ丁寧に検証したうえで、せっかく揃っている手段を維持して、どのように有効に活用していくかを考える。それが次の政策展開につながっていく」』

という話をしているのですが・・・・・・・・・(ちなみにマイナス金利導入以降ってインフレ予想も実際の物価も下がりっぱなしなのですが何をどう検証すると効果があったという話になるんでしょうかねえ)


『━━マイナス金利政策導入後の急速な利回り曲線の平たん化の効果と影響。』

『「国債だけでなく貸出金利も下がり、住宅投資が増えるなど実体経済への効果も出ている。長期の起債もかなり増えている。金融機関の収益などに影響があり、さまざまな意見があるのは承知しているが、現時点で特段、金融仲介機能に問題が生じているとは思っていない」

「イールドカーブの形状をどう変えていくかも、可能性としては政策の選択肢に入る。検証作業の中でいろいろな議論が出てくるだろう。イールドカーブが予想を超えて下がったのは事実である。それによって効果はあったが、いろいろなコストも出てきた。それも踏まえて今後の政策の組み合わせを考えていきたい」

「イールドカーブのフラット化についても、本来、教科書的なイールドカーブの姿はあるわけであり、それを含めていろいろなことを考えていくということだと思う」』

ということで、このようにイールドカーブが大きくフラット化して事に対して「いろいろなコストも出てきた」とか言い出している上に、「それを踏まえて今後の政策の組み合わせを」という話が出ていればそらもう次の政策は国債買入の縮小か短期化であって、それだけだと緩和縮小になってしまうから、マネタリーベース拡大ペースについては「ストックが効果」という話をして拡大のペースを柔軟化というか抑制するものの、金利政策に移行していって、マイナス金利に関しては若干の深堀を行う事によって、「量」の目標から「マイナス金利政策を起点にして長期的に維持可能な緩和政策への方向転換を徐々に行う」という風に読むわなあと思うのでした。

なにせこの先生ETF買入に関しては、

『「いろいろなリスクを伴うため、十分考慮して対応した。今のところ特段大きな問題はないと判断している。ETF買い入れは株価上昇圧力になるが、今の程度であれば、(株価上昇圧力は)それほど大きくないのではないか」』

とか訳分からん答えになっている位ですので、そもそもこのオッチャンがイールドカーブがフラット化して弊害がどうのこうのとかまともに理解しているような気が全然しない、などというと甚だ失礼な話で実はご存じだったら伏してお詫びという事になりますが、そもそもが市場的な評価として桜井さんってこの人どなた様でしたっけ的な状態である上に、しかもこんなタイミングで特定ベンダーへのインタビューを実施っていうのを勝手にやるとは思えない、とか何とか考えますと、桜井さんには誠に不躾な妄想を起こしますと、「えーっとこれはつまり桜井さんを使って執行部が言わせていますよね〜」という風に市場が妄想をするのは極めて順当過ぎる事案な訳ですよ。


でまあ現状の債券市場ってマイナス金利でも酷い事になっていますが、それに輪を掛けているのがイールドカーブがこの前まで盛大にフラット化してしまったことで、そら黒田さんがあの威勢の良い勢いで「躊躇なく3方向で追加緩和」とか黒田節を盛大に唄いだしたら債券市場はビビッて中短期国債の利回りは下げてくるし、長いところだってその間に物価が全然上がらないどころか下がるし、株や為替はあの有様だし、となればそらブルフラットしますということなのですが、この超長期までブルフラット化によって長期的な運用をどうしますねんという誠にアレな事態になっている次第なのはご案内の通り。


でもって今回の腹話術じゃなかった桜井審議委員インタビューが来る中で超長期輪番が市場の予想に反してスキップされる、と来ればそらもう日銀が総括検証後の世界として超長期の金利はさすがに立っていないと色々とやばいので何とかしなきゃと考えています、という意思みたいなのが一体として出てきているという風に市場が捉えるのは致し方ないという所でしょう。


・・・・・・・でですね、別にまあ地均しするなとは言わないんですけれども、なんかこう今回の地ならしチックなやり方って品が無いと申しますか策士策に溺れるリスクがありませんかねえと申しますかなサムシングを感じる訳でして、どうせ政策の方向性を何等か変化させる時というのは市場にそれなりのフリクションが発生する(マイナス金利政策+3方向追加緩和上等スタンスで盛大にブルフラットしたように)のですけれども、それって政策の移行時には仕方ない所でもありますし、寧ろ市場に価格形成をゆだねて行けば適宜落ち着きどころを市場が探すと思うのですよ。

然るに、足元でやっているのって岩田副総裁金懇で抑制的な話→黒田総裁産経インタビューとジャクソンホールで威勢の良い緩和拡大ラッパ→桜井審議委員インタビューで威勢は良いもののイールドカーブが立つような話を入れてくる、ってな感じで市場(為替とかも含めて)の反応に一々反応してドタバタと後だしで別の物を出しに逝っている、という感じがして、非常に安定感に欠ける状態だし、出し方が如何にも小賢しいというか何というかで、細々出さないで総括検証できっちり説明した方が何ぼかマシだろと思うのですが、言ってしまったものは仕方ない。


とまあそういうことで、今日のきさらぎ会が無茶苦茶無駄に注目が高まる講演になってしまいましたので、羽織袴で(大嘘)ベンダーの前で待機したいと存じます。

ただまあここもと一連の日銀の情報発信については(輪番が示し合わせているのか単に総括検証後に超長期買い余力残しておこうと考えたらたまたまそうなってしまって勝手に市場が政策インプリケーション読んでいるのかは謎ですけど)小賢しさとドタバタ感を感じてしまって何だかまあパッとしませんなあと思いますし、確かに政策が長期金利をマニュピレートするようなものだからそうなるのも順当なのかもしれませんけど、自分で市場をマニュピレートしようとして鏡に映った自分の姿を見ながらタコ踊りしているようにも見えるので、あまり宜しくないのではないかと思うのでした。

#おまけ:過去ログの方だけ残しておくが
http://jp.reuters.com/article/sakurai-interview-idJPKCN1180LC?sp=true
って「識者」に聴いているんだが聞く相手がちょっとそれは・・・・・・・・・


○その他少々メモだけ

とか何とか悪態申し上げていたら時間が無くなってきたのでその他少々メモ。

・短国買入が札無しモードとな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba160902.htm
国庫短期証券買入 13,570 7,501 -0.018 -0.008 50.3

短国買入のオペ結果ですけれども、応札1.36兆でして、前回が1兆円の買入に対して1.52兆円の応札で平均が1糸甘で足切は6糸強だったのですが、今回は平均、足切ともに前回よりも強い結果になっておりますし、大体からして札が1.36兆円しか無いのかよという感じで、短国の引けが軒並み強くなって参りまして、3MカレントのBB引けが▲27.2と1.5bp金利低下の巻となっておりますな。

まあそろそろ期末でございますので、期末モードキタコレという事なのかどうかは存じませんが、茲許GCレートが短国発行日でも全然アガランチ会長になっていますし、まあ超短い所は超長期と打って変わって堅調堅調ということですかねえ。


・日銀からこんなのが出ております

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/rev16j16.htm/

『要旨』

『わが国の資産運用ビジネスは変革期を迎えている。投資信託市場では、従来、定期的な収入が見込める毎月分配型が投資信託残高全体の過半を占めていたが、最近では、家計の資産形成ニーズが多様化するなか、トータルリターンを重視した様々な商品が開発され、それぞれ残高を伸ばしている。なかでも、アクティブ運用ファンドの一種である対話型(株主エンゲージメント)ファンドは、中長期的な視点から投資先企業との対話を重ね、企業価値の向上を図るものであり、家計の中長期的な資産形成ニーズに応える金融商品のひとつと目されている。アクティブ運用ファンドの台頭は、これまで相対的に手薄だったエクイティ・ガバナンスの強化にも資すると考えられる。』

ということで本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j16.pdf

なのだが中身の話は本日はパス。








2016/09/02

お題「債券市場サーベイ等/布野審議委員会見より」

米国の経済指標好調を受けて株高、経済指標を受けて利上げ観測が後退すると株高、とは威勢の良いお話ですの。

○市場世間話

・債券市場サーベイ・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1608.pdf

なお前回はこちら
http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1605.pdf(前回は5月)

いやもう今回は中々悲惨な結果ですなあと思ったらさすがにあちこちのベンダーでも市場の流動性などで過去最悪の結果との報道が出ていてワロタです。


『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい』

ということで鑑賞するのですが・・・・・・・・・・・

機能度判断DI(現状)▲33→▲46
(3か月前と比べた変化)▲18→▲31

となっていますが、何が凄いって前回5月調査の時にはこの機能度DIの中で「(機能度が)高い」とか「(機能度が)改善した」という提灯回答がそれぞれ2社と3社あった訳ですが、今回は遂にその提灯回答も無くなりまして堂々の「0先」というのが実に香ばしい展開。

まあ何ですな、回答期間が『回答期間:2016年8月8日〜8月17日』ですので、総括検証が入るというのが分かっている時期に回答している訳ですから、そらもう皆さん債券市場の機能不全という政策の副作用をここぞとばかりにアピールしたくなりますよね!

・・・・・・・・というのは8割くらい冗談ですが、総括検証が入ることになって債券市場としても何がどう出てくるのかワカランチ会長という状態になっている中ですから只でなくさえ流動性無い所に加えて更に流動性落ちているよねというのもありますし、そもそも論としてマイナス金利政策が続く中で買入が拡大すれば流動性はドンドン落ちてくるぞなそれはという事で。

内訳で見ますと・・・・・・・・・

『@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい。』

現状が▲13→▲28、3か月前対比が▲5→▲28と悪化していますが、そのうち『1. タイトである』という回答が5月の6先→4先となっているののですが、更に前回対比で縮小したとしているのが5月の5先→「0先」となっておりまして、まあ当然とは言えますがこれは悲惨な結果。

『A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。』

同様に現状が▲44→▲56と悪化していて、3か月前比は▲31→▲28と改善しているとかナンジャラホイという感じですが、現状の所では板が『2. さほど多くない』が5月対比で22先→17先、『3. 少ない』が17先→22先となっていまして(なお「多い」は前回から変わらずの0先)中々悲しい結果。


でもって以下の質問の

『B貴行(庫・社)の取引頻度の変化についてご回答下さい。』(3か月前と比べた変化)
『C貴行(庫・社)の実際に取引した相手の数の変化についてご回答下さい。』(3か月前と比べた変化)
『D貴行(庫・社)の取引ロット(1回あたりの取引金額)の変化についてご回答下さい。』(3か月前と比べた変化)

の辺りが改善していたりするのですが、これってその前の部分から見ますとどこからどう見ても「取引そのものが大きく落ち込んでこれ以上悪化しないレベルになっているので3か月前対比で見た場合の数値が少しマシになりました」というだけの話で、改善とは言わんわなと思う次第。

『E貴行(庫・社)の概ね意図した価格で取引ができているかご回答下さい。』
はしらっとマイナスになっていますし(前々回から5→2→▲3と着実に悪化)、

『F貴行(庫・社)の概ね意図した取引ロット(1回当たりの取引金額)で取引ができているかご回答下さい』は前々回の5→0→0となっていますが、そもそも「意図した取引価格」にしろ「意図した取引ロット」にしろ低位水準状態だろと思う(注文量減っているんですから)訳で、これは中々壊滅的な結果。


・・・・・・・・というのは分かったのですが、こういうサーベイをせっせとやっても肝心の金融政策運営の方でこの知見が生かされているのかと言えば、別に市場機能が壊滅的になっても問題が無いかのような言説が政策委員会の除く野党政策委員の皆様からホイホイと飛び出してくるというのはナンナンデショと毎度思うのであります。

まあ何ですな、市場機能がどうしたこうしたという話って定量的には中々説明できなくて、定性的に説明するしか無いという代物なのですが、お話が定性的になってしまいますと、円債なら円債の現場であれこれやった人以外に定性的な話を幾ら行っても中々リーチしない、という問題点が有る訳でして、そういう意味ではこの手の機能度分析をして行くというのも(あまり凝り過ぎると却って本来の定性的な部分が見えなくなるという問題点があるのが直感的に読めるのだがそれはともかくとして)試みとしては悪くは無いとは思うのですよね。

ただまあ問題なのは、先ほども申しあげましたように、こういう機能度調査をやっても肝心の政策委員会の方が全然そういうのを気にしているように見えないというのが大問題でありまして、金融市場の機能度って金融政策のトランスミッションメカニズムという意味でも政策を効かせにいくルートの最初の部分でありますし、金融政策運営の第2の柱的に見ても市場機能低下は市場による資源配分機能を弱めることによって金融不均衡をもたらすリスクがある、とかそういう話であって、これは政策の副作用、というと何か「副作用は無い」とか言い出す阿呆がいるので、金融政策効果を抑制する要素とでも言った方が良いのかもしれませんが、とにもかくにも折角こういう機能度分析を行って、どう見ても機能度低下していて金融政策運営上の問題点になってくるリスクが一段と高まっているのですが、このような前線における戦局の悪化を、参謀本部や大本営が握り潰して無かった事にしてしまいますと、何のためにわざわざ手間暇掛けてサーベイとかやってるんだという話ですな。

ということで、総括検証って総括的に検証するんですから、金融政策運営における副作用についても考える、というのは本来的に金融政策運営第2の柱でまさにその考察をする、となっているので、通常からやっていないといけないのですが、きちんと検証をして頂きたいと思いますし、そういうのじゃなくて「全体として効いていた」みたいなゴミ検証が出るような事は無いと信頼していますけどね(棒読み)。



・3M短国がウゴカンチ会長ですのう

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20160901.htm

(3)募入最低価格 100円05銭7厘5毛(募入最高利回り)(-0.2304%)
(4)募入最低価格における案分比率 26.9783%
(5)募入平均価格 100円06銭0厘5毛(募入平均利回り)(-0.2425%)
   

前回が▲22.80/▲21.14、前々回が▲23.41/▲21.24、その前が▲22.24/▲18.44となっていて、今回は若干マイナス金利が拡大していますが、大体▲20bp台前半での推移な訳ですが、何ちゅうかこうやたらドタバタ動いていた時代が懐かしい(遠い目)という感じです。

そらまあ市場参加者が盛大に駆逐されて、日銀政策金利よりも低くて、仮に一発付利下げされたとしてもワークするかどうか怪しい水準の残存3か月とか思惑買いの入る余地も乏しい(思惑買いするならもっと長い所買う罠)という状態になっていると、そらまあそうだわなと思いながら、この毎度の結果を眺めるのでありました。まあそろそろ期末なので特殊ニーズもあるでしょうが。

○布野審議委員会見である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609a.pdf

・政策限界論では最初に味わいのあるコメント

『(問) 日銀は 7 月の会合でETFの買入れ額を倍増したのですが、それについて 2 つ伺います。まず 1 つ目ですが、7 月金融政策決定会合における主な意見の中に以下のような発言がありました。「ETF買入れ増額は、政策の限界を一層明確に意識させるほか、政策の逐次投入とみられ、際限ない催促相場に陥るリスクがある」。このような意見に対して、委員はどのようにお考えになるのか。賛同するところもあるとお考えになるのか、あるいは、いやそんなところはないとお考えになるのか、これがまず 1 点です。(後半割愛) 』

これって「議事要旨出るまで議事要旨の内容になる話には言及しない」という点に対して非常に微妙なので、質問する方は確かにこういう聞き方をしたくなるのは分かるが、あまり多用しない方が良いように思える。

布野さんの答えって中々真意が読みにくいというか、説明する中に微妙なインプリケーションがあるような気もするし単に説明しているだけのような気もするし、という非常に微妙な答え方をしてくるのが面白いというか味わいがあるというか。

『(答) 「量」・「質」・「金利」の3次元の金融緩和政策を展開するに当たって、おっしゃるように 7 月の会合においては、「質」の面であるETF買入れ額を年間 3.3 兆円から 6 兆円に増やしたわけですけれども、私はこれが限界を示すというようには全く思っていません。限界論としては、「ETFにおいて限界」とか、「量が限界なのでETFに」とか、いろいろな指摘があるように思われますが、私は、「量」・「質」・「金利」ともに、今の段階で限界がみえているのかと問われれば、私はみえていないと思っています。』

そら今の時点では限界あるとは言わんわな(野党審議委員は別)。

『その下で、それぞれの施策を何処まで進めていけるかということについては、毎回の会合で、いわゆるPDCAを回しつつ行っていくということと認識していますので、今日現在で、それぞれ3次元の施策の方向性について限界が間近にあるとは思っていません。』

というのがこれまた味わいがある訳でして、黒田総裁のように「限界はありません」とかどこぞのジンバブエ師匠のように「国債発行残高全部買えば良い」とか実務的な知見がマイナス無限大なのではないかという頭の悪い見解もある中で、布野さんのこの回答は「限界については毎回点検している」という話をしているわけで、それはとりもなおさず「無限に出来るという認識をアプリオリに置くものではない」という事を話しているのと同じだとも読めるし、そういう意味合いを込めているのかもしれない(単にPDCAやるのは基本でしょという話をしているだけかも知れないけど)とか、微妙な味わいがあります。


・国債買入の限界について

『(問) 今、限界はまだみえていないというお話でしたが、その中で特に「量」について、国債を年間約 80 兆円ずつ残高が増加するように買い続ければ、今日明日に限界というわけではないとはいえ、いずれは買えなくなるときが来るはずですけれども、今のところですね、その「量」の限界というものをどれくらいのスパンで考えてらっしゃるのか、この 1〜2 年位は大丈夫とみていらっしゃるのか、相当先の問題と考えていらっしゃるのか、その辺りについての見解を頂きたいということと、限界のどの程度手前で、修正なり方向性の転換なりを考える必要があるのか、ぎりぎりまでやれば良いというお考えであるのか、その辺りのお考えをお聞かせ頂ければと思います。』

まあ答えて欲しい内容ではありますが、中々答えにくい質問だわさ。

『(答) どれだけ現行の政策を推進できるかという事については、学者の方々や研究機関が試算や意見を出しておられるのは認識しているのですけれども、』

本当は日銀も事務方が計算していない訳が無いのですがそこを触れて藪蛇にならないのが手堅いわ。

『私自身は今行われているオペレーションの中で、毎回のオファーの度にどの程度の応札倍率になったのかを常にウォッチしています。』

ほほう。本当は事前予想との乖離とかテールとかも見ていただきたいのですがそこまでくるとそれを本業にしているマニアの世界になるので(^^)。

『このほかにも、金融機関との意見交換が行われていますので、そういう意味では、アプリオリにというか、予めこのくらいが限界だと定めるよりも、その時点時点で、色々なところ――例えば流動性の観点であるとか――を真摯にみながら進めていくことでよろしいのではないかと思っています。どこまでいけるかというのはそれらの結果として自ずから明らかになってくる、そういう意味で、先入観を持って限界論を考える必要はないのではないのかというのが私の考えです。 』

ということで「流動性の観点」とかいみじくも入っていまして、ちょうど債券市場サーベイも出ている辺りがタイムリー(当然先にこの内容は把握しておられたと思いますので)だったりする訳で、単純に「限界が無いからドンドンやろうぜヒャッハー」という事ではないというのは把握した。


・政策の副作用論

『(問) 限界論のお話、3次元の緩和に関して、手法についてはまだ限界はみえないというところだったと思うのですけれども、効果について、もう 3 年以上大規模金融緩和を続けているものの、2%の「物価安定の目標」が非常に遠いという中で、金融緩和の効果に限界があるのではないかという見方に対してはどのようにお考えかということと、マイナス金利を含めて金融緩和の副作用について、金融機関から非常に厳しい意見が出たり、年金の運用も厳しくなってきているという問題がありますけれども、こうした副作用についてのお考えと、2 点お願いします。 』

うむ。

『(答) 2%の「物価安定の目標」を掲げて、それを実現すべく政策展開していますが、その実現に向けては、日本銀行の金融政策だけではなく、財政ファクター、民間企業の戦略、消費者心理等、ありとあらゆる要因が影響しています。原油価格を持ち出すまでもなく、要因は多岐にわたる中で、2%に今日現在達していないから、そこから単純に金融緩和は効果が無いという結論は導き出せないと思います。』

誰も効果が無いとは行ってなくて、政策の費用(副作用とか将来のコストとか)対効果について疑問を呈しているんですけどね。

『振り返って、効果があったのかどうかという点についてですが、1 月のマイナス金利導入時には、リスクの顕現化を未然に防止すること、そして 7 月会合でも、特に英国のEU離脱問題が背景となってコンフィデンスが失われ、経済の好循環の停止ないし逆回転に繋がることを防止すること、こうした観点から政策を打ったわけですが、そこに限定してみますと、私はそれなりの効果が出ていると思っています。』

それなりの効果とな。

『今日現在においても、経済の好循環が、ゆっくりとではあっても続いていることに対して、私は自信を持って、金融政策がそれなりの貢献をしてきたとみています。』

ほう。

『副作用というのは、どのような政策にも当然あるもので、』

ジンバブエ原田涙目。

『実はあまり言われていないことですが、成長戦略にも副作用がみられます。具体的には、成長戦略は構造変革ですから、会社の中で構造変革が起きれば社員の中には職場が変わらざるをえない人がでてくるかもしれないし、仮に別の会社に移るということになると、転職のための一時的な失業が生じます。経済を前進させる政策について、メリットと副作用の両方を睨みながら取り組んでいく必要があるという整理の仕方を私はしています。』

そらそうですな。

『それに基づいて金融政策をみると、副作用よりプラス効果の方が大きいと私は評価しています。 』

というまあ穏当な説明になっていますな。結局「金融機関収益ガー」だけではやはりこういうロジックに対してはヒットしない訳で、政策の長期化で金融仲介機能を弱めることになるとかいうような話じゃないと金融市場の人たち以外では通じない話でしょうなあとは思うのでありました。


・総括検証に関してとか物価のアンコントローラブルファクターとか

『(問) 今の流れのところで、中央銀行としても、金融仲介機能が果たせなくなることについて危惧するところがあったのではないかと思うのですが、一方で、今日の挨拶でも述べられているとおり、「量」・「質」・「金利」の 3 つの次元の緩和手段を全て動員して、確りと金融緩和を推進していきたいということを述べておられます。今回聞かれた声を、来月の検証の中で、どのように反映させていきたいと考えていらっしゃいますか。』

という質問は割とどうでも良いのだが回答が中々。

『(答) 来月の検証では、何をやるのかということについて申し上げますと、3 年前に、2%の「物価安定の目標」を 2 年以内に実現するという旗印を掲げて出発したわけですが、今現在 3 年経って目標を実現できていないので、そこについて、どういうファクターがどういう形で作用したのかを洗い出すということです。』

うむうむ。

『事業経営に携わった者の観点から言いますと、物価の動向に影響を与えるファクターには、アンコントローラブル・ファクターとコントローラブル・ファクターがあります。』

短期的な振れは別として中長期的な物価水準は金融政策でコントローラブルという話をしているのがジンバブエ原田先生で、最近その話の威勢が弱くなっているけれども、もともとそういう置物リフレ理論を引っ提げて前任者を石もて追い出したのが置物大師匠岩田副総裁ですなあ。

『アンコントローラブル・ファクターの代表的なものは原油価格でして、これを日本銀行は上下に動かすことはできない。金利をはじめとする 3 つの次元は、コントローラブル・ファクターです。』

ほうほう。

『物価を取り巻く要因をコントローラブル・ファクターとアンコントローラブル・ファクターに分け、その中で日本銀行のツールでこれまで行ってきたことの効果とかその度合いとか、そういったものを虚心坦懐に分析し検証する、過去に学んで将来に資する、ということに尽きると思います。』

という説明だと「金利水準の形成には効いたぜヒャッハー」というのでコントローラブルとかいう結論を出してこられそうな非常に嫌な悪寒が漂ってくるのがちょっとここで引っ掛かったところなのですし、さらに言えば「アンコントローラブル・ファクター」があるのに「2年で達成」とか最初からできるかどうかがそのアンコントローラブル・ファクター次第じゃんという事になるような気がするのですががががが。

『その際に、一言申し上げておきますと、方法論として、2%の「物価安定の目標」を取り下げたほうが良いのではないかというご意見をお持ちの方もいらっしゃるというのは認識していますが、私はむしろ、過去を振り返って、将来に向けて 2%の「物価安定の目標」を達成すべく、どのような政策が最も効果的かといった観点で検証していく方向であろうと思っています。 』

つーことで、将来「どのような政策が最も効果的か」という話が出てくることは期待されている訳でございますが、そことこの物価のファクターの話がどう繋がるのかが謎ですな。


・目標の数値は柔軟化しないようですがさて・・・・・・・・

『(問) 本日の挨拶要旨の中で、「企業収益から雇用者所得への波及は維持されており、賃金の上昇を伴いながら、物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは引き続き作用している」とおっしゃっていますが、ちょうど今おっしゃっていた日銀がコントロールできない要因として賃金が挙げられます。以前は、インフレ期待に影響を与えるということが言われていましたが、結局、日本のインフレ期待は実際の物価の影響を受けており、実際の物価が弱いと期待のところもなかなか上がってこない状況です。そうした中で、2%の「物価安定の目標」を諦めるということではなく柔軟化することに関して、委員はどのように思われているのか。また、先ほどおっしゃっていた、日銀としてコントロールできない要因が例えば賃金等いろいろみられる中で、柔軟に2%を目指す姿勢について現状どう思っているかお伺いします。』

『(答) 私はその柔軟化の中身が、どういうことになるのかということについて、ご指摘のような観点も含めて検証すべきであるというご意見を否定するものではありません。ただ、「物価安定の目標」を2%の代わりに 3%にするとか、2%の代わりに 1%にするといった議論はないだろうなというように思っています。』

ということで回答は模範解答なのですが、目標水準の数字に関してと、「出来るだけ早期に達成」というのは変わらないにしても「2年」とか時期を切るのについてはさすがにある程度弾力化して、その中で徐々に「出来るだけ早期に」というのも(アンコントローラブル・ファクターがあるんだから)精神として早期に達成するような政策はするけれども、実際の物価はそのファクターががががががみたいな話になし崩し的に持って行くしかなさそうに見えますし、その逃げ道は作っている感is有るという所でしょうかね、まあ読み間違いだったらゴメンやでですが。








2016/09/01

お題「布野審議委員金懇を読みながら政策情報発信について少々/その他メモ」

何ちゅうか色々と頭がクラクラするんですが・・・・・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-31/OCRKWY6TTDSB01
浜田内閣官房参与:リーガルには許されている−為替介入、外債購入
2016年8月31日 17:27 JST

まずリードで(ベンダーヘッドラインになっていしたが)で腰が砕ける。

『・アベノミクスがうまくいかない可能性もあると思った−この半年ほど
 ・物価目標はコアコア2%に−上田ハーローのセミナーで発言』(上記URL先より、以下同様)

・・・・・・・・・・・・(−_−メ

『浜田宏一内閣官房参与は31日午後、上田ハーローがウェブサイト上で開いた特別セミナーで、財務省の為替市場介入や日銀による外債購入は「リーガルには許されている」と述べながらも、「問題は相手がどれほど報復してくるか」だと述べ、政策の実現には米国との関係が重要になるとの見方を示した。』

・・・・・・・学者って気楽でいいですねえ。

『日銀の外債購入に関しては「制限はない」と述べたが、米国の反発が避けられないため、「経済外交としての根回しが必要になる」と述べた。』

先生が根回しをしたら如何でしょうか。

・・・・・・・という感じのヘッドラインが乱れ打ちで出てくる昨日の昼下がりではありましたとさ。

という話は兎も角と致しまして布野審議委員金懇ですのでまずはその辺から。


○布野審議委員金懇挨拶は金融政策関連は執行部ベースの話だけですが・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko160831a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 新潟県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──


・経済物価情勢の話は展望レポートベースなので基本的にはスルーの方向で

経済物価情勢と先行き見通しに関する話は執行部ベース(展望レポートベース)の話になっていますのでその辺は全部飛ばしまして、『3.経済・物価見通しを巡る主な留意点』から。

『以下では、こうした経済・物価見通しが実現していくにあたって、私自身が留意している点をお話ししたいと思います。』

うむ。

『まず、雇用・所得環境ですが、労働需給は着実な改善を続けており、雇用者所得も緩やかに増加しています(図表6、7)。雇用面では、労働力調査の雇用者数は伸びを高めており、女性や高齢者層を中心として労働参加の高まりが続いています。そのもとで有効求人倍率は着実な上昇を続けているほか、短観の雇用人員判断DIにおける人手不足感も基調的に強まっており、これらの指標はいずれも1991〜92年頃と同程度となっています。失業率も、振れを伴いつつも緩やかな改善傾向を続けており、3%台前半で推移しています。先行きも、労働需給は一段と引き締まっていくとみています。賃金面では、特に、労働需給の影響を受けやすいパートの時間当たり名目賃金が、1%台後半の高めの伸びを続けています。先行きは、予想物価上昇率の高まりや労働需給の引き締まりの明確化を背景に、賃金は緩やかに上昇していくと想定しています。』

ということなのですが、前半の部分での説明だとほぼ完全雇用に達していて、労働市場のスラックが無いという状態になっている中で、一段と先行き雇用情勢が引き締まる、という話になっているのに何で賃金って物価目標2%達成と整合的な上昇を示すようになっていく雰囲気が毛ほども無いのでしょうか、というのが疑問なのですが、たまたまなのか狙っているのかは知りませんが、賃金に関する日銀レビューが出ているので後程。

いずれにしても、雇用がこれだけ強い事になっているのに賃金の上げが全然パッとしないという事実がある訳ですが、まあミスマッチとか言うと格好いいですけれども、どうせ「人手不足」とか言ってる事業者の方は「低賃金で働く人手が足りない」という状態なんじゃネーノということでしょとか思ったりもしますけどまあそれは兎も角として。

『このような雇用面・賃金面の見通しのもとで、先行きの雇用者所得は緩やかな増加を続けるとみています。もっとも、ベースアップは3年連続のプラス改定となったものの、その伸びは昨年よりも小幅に低下しております。企業部門における収益からの資金の循環が今後どのように推移していくかは留意が必要です。』

そもそも何で上がらんのか、という所が問題で、この部分は日銀が物価目標達成に向けたメカニズムとしてみていたところなのですから、このボトルネックをどう解消するのか、金融政策だけで行かないのであれば、「2年で達成」のような目標設定はそもそも無理なのではないか、という辺りを総括検証できちんとレビューして頂きたいものです。


『次に、個人消費についてお話しします。個人消費は、一部に弱めの動きがみられておりますが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、基調的な底堅さを維持しています。』

実質所得は物価が下がってますから改善していますな。

『消費活動指数をみますと、振れを伴いつつも、足もとでは耐久財や非耐久財を中心に持ち直しに向かっています(図表8)。消費関連のマインド指標では、消費者態度指数は横這い圏内の動きを続ける一方、景気ウォッチャーや短観の個人消費関連業種の業況感は、富裕層の高額消費意欲の減退や訪日外国人需要の伸び悩みなどの影響もあって、このところ慎重化しています。先行きは、実質雇用者所得の改善や各種の政策効果に支えられて次第に底堅さを増していくと予想しています。』

『但し、足もとにおいて緩慢な動きとなっている所得から消費への循環が今後どのように進展していくかについて、注意が必要であると考えています。』

ということで、結局この辺の説明も展望レポートでの見通しベースの話になっていますので、この次に『(3)設備投資動向』『(4)物価動向』の辺りも留保条項も含めて展望レポートと同じ話になっておりますので、七面倒になってきたので割愛します。

しかしまあ何ですな、「私自身が留意している点をお話ししたいと思います」という事なのですから、何かしらのオリジナルな部分がある筈で、特に布野さんは事業会社の方ですからその事業会社からの視点って非常に重要な所だと思うので、金融政策運営の細かい技術的な話とかは比較的どうでも良いのですが、それよりも経済の見立ての部分でもう少し出て欲しいなあと思います。いやまあ展望レポートにその辺が全部織り込まれているんだったらそれでも良いのですけど。


・金融政策運営の所も執行部ベースの説明なのだが従来の説明を続けるにしても言い方というのが・・・・・・・

『4.金融政策運営』の所も執行部ベースのお話。

『また、海外経済・国際金融市場を巡る不透明感などを背景に、物価見通しに関する不確実性が高まっていることを踏まえ、「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する観点から、次回の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」・「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うこととしました(図表13)。』

って話ですけれども、直近のCPI見ていると「海外経済・国際金融市場を巡る不透明感などを背景に、物価見通しに関する不確実性が高まっている」という状態なのかというのが????な訳でして、そもそも論として総括検証の際に今のところ表向きこういう風になっている現状についての解釈をこのまま押し通すのでしたら、最初から検証の意味あるのかよという気がだいぶするんだが大丈夫なのでしょうかねえ。

『日本経済の将来のためには、長きにわたりデフレが続いてきたなかで定着してしまったデフレマインドの転換を進める必要があり、「物価安定の目標」の実現への道筋はなお道半ばにあります。日本銀行は、今後ともプラス2%の「物価安定の目標」の早期実現を目指し、「量」・「質」・「金利」の3つの次元の緩和手段をすべて動員して、しっかりと金融緩和を推進していきたいと思います。』

という説明って要は総括検証前の説明文言と同じで、まあ布野さんが言ってるというよりは総括検証が終わって公表になる前に従来と別の話をしてノイズを出さないようにということをしているんでしょうなあとは思うのですが、この発言を受けて早速・・・・・・・・・・・

http://this.kiji.is/143556256104120323?c=39546741839462401
追加の金融緩和に意欲
日銀の布野審議委員
2016/8/31 12:21
 
『日銀の布野幸利審議委員は31日、新潟市内で講演し、2%の物価上昇目標の早期実現に向け「量、質、金利の三つの緩和手段を全て動員し、金融緩和を推進したい」と述べ、追加緩和への意欲を示した。』(上記URL先より)

とまあこういうヘッドラインが出る訳ですよ。先般のジャクソンホールでの総裁講演もマイナス金利政策のメリットの話ばかりして政策のデメリットとかの話を全然しないという全ツッパリ状態になっているような書き方になっていましたが、ジャクソンホールを受けてから特に海外とかみたいですけれども、またぞろ利下げトレードみたいなのが入ってみたり、為替とかは(米国要因が大きいと思いますが)日本の追加緩和期待みたいなトークも入ってきている訳ですよね。

でもってですよ、まあ総括検証やった結果最後にヤケのヤンパチで坊ノ岬沖海戦3方向追加緩和特攻に向けて地均ししようとしているんだったら別に良い(坊ノ岬沖海戦へ特攻自体が全然よくないけど)のですが、そういう明確な意図が無くてこの路線での説明を行うというのは、総括検証に向けて債券市場は分からんけれども特に為替市場の追加緩和期待を無駄に高めるだけの事になる訳でございまして、総括検証の結果として特攻緩和をしないのであれば、その時点で失望売りとかかまされる(なお天の助けパターンはその夜に米国が利上げすること^^)訳でして、何でここで追加緩和期待を煽るような文言を使っちゃうのかなあと。


つまりですね、昨年12月の補完措置導入以降の流れって、政策の限界を意識みたいな観測が出てくる事に対して「政策に限界は無い」という風に突っ張って新しい政策入れたものの、そのマイナス金利が色々と弊害もあってやっぱり限界とか、買入の方はマイナス金利併存させたら益々変な事になっちゃうとかになる上、政策の限界が無いというのをアピールする余りに「政策の限界は無い、3方向で追加緩和の余地がある」というトークを連発した結果として際限のない追加緩和要求になるわ、その要求がエスカレートするわという状態になってやれヘリマネだとかいうような極端な所まで進んでいったのが7月MPMまでの動きだったと思うのですよね。

でもってね、総括検証ってそういう追加緩和要求の際限ないスパイラルに「水入り」をさせるために一旦政策について冷静に検証しましょうってお話をするための機会であるとあたしゃ理解していましたし、先般の置物副総裁の横浜金懇でも割とそういう抑制的な話をしていたと思うのですけれども、その後の産経インタビュー→ジャクソンホールと説明のトーンが7月MPM前の黒田節に戻ってしまっているし、今回の布野さんの説明でも「3方向での追加緩和」とか言わせてしまって、これじゃあ何のために総括検証するのかさっぱり分からんがなという事になる訳で、大丈夫かというかセンスが無いというか。

政策についてのコメントをさせるにしても、物は言いようというのものがあって、別に今までの言い方を全部変えろという話ではなくて、本来は岩田副総裁の金懇がベストだがそれはちょっとというのであれば、「2%物価目標をできるだけ早期に達成するために必要な措置を今後も行っていきます」と言えば良いだけの話で、何も3方向で追加緩和とかジャクソンホールみたいなマイナス金利のメリットの話だけ延々として政策の副作用の話はスルーというような進軍ラッパ情報発信を何でするんでしょうか勿体ないとしか申し上げようがない。


だいたいですな、ここから先も総括検証前に為替市場なんかに対して追加緩和を煽ると(ちなみに債券の方では「そうは言ったってこれで従来路線に戻るんだったら7月に追加緩和やるだろ常識的に考えて」という常識論の方が強いのでそんなに反応していないと思う)、仮に総括検証で3方向で特攻する姿勢を再確認したとしても、その時には為替市場は次の特攻、その次の特攻を催促しに行く訳で、総括検証と同時に相当の特攻を繰り出さないと失望という形になって出した政策が不発になると思うのよ。だから特攻やるにしろ、いったん市場の追加緩和期待を下げてからやった方が(特攻しないならなおの事一層ですからね〜)政策打ち込んだときの市場の反応が良く成る訳で、折角沈静化していた過度な追加緩和期待に再点火しに行くとか作戦が下手にも程があって泣きたくなるんですけど。

とまあそんな悪態をついていたら時間が無くなってきましたのでその次。


・ここは布野さんの主張が出ているような感じがするのですが・・・・・・・・

最後の小見出し『5.日本経済の課題』は中々。改行を一部省略しています。

『次に、私なりに、より長期的な視点から、日本経済が置かれている状況を考えてみたいと思います。わが国の潜在成長率は日本銀行の推計によると、「0%台前半」程度にまで落ち込んでおり、長きにわたりデフレが続いてきた影響が出ています(図表14)。最近は特に、人口減少などの理由から日本経済の将来は暗いという話をよく聞きます。こうした不安心理を掻き立てる意見が毎日の様に多くの場で流れていますので、社会全体に「漠とした不安」が漂っています。』

『しかし、私はもっと前向きに考えてよいと思います。人口減少による地域や国への影響が大変なことは当然とはいえ、それでも今の時代は前向きに未来を考える余地が十分にあると思っています。』

おー。

『現在は物流も販売も地域や国を越えて広域的に考えることが出来る時代です。例えば、インバウンドのお客様は海外からです。新潟県で県内だけでなく県外も相手に商売をしている会社は多いと思います。ネットを使えば県外はもちろん海外のお客様ともビジネスが出来るかもしれません。実は、日本にはアジアという世界で最も急成長をしている市場が背後に控えています。この成長を取り込むことが出来れば、需要サイドでの人口減少による需要不足の問題を薄めることが十分可能です。』

新潟とあるのは新潟でのあいさつなので。

『目を転じて、供給サイドはどうでしょうか。確かに若者の人口が減っていきます。しかし、一方で女性や高齢者の活用が増えていくでしょう。また人の活用という面では、欧米に比べて日本はまだまだ余裕のある人の使い方をしているのも事実ですので、生産性の「伸びしろ」が十分残っているとも言えます。』

「欧米に比べて日本はまだまだ余裕のある人の使い方をしているのも事実ですので」とさらっと言われておりますが何故このアタクシは貧乏ヒマなしなのかと小一時間(涙)。

『さらに、様々な分野で徐々に外国人労働者を受け入れるのも選択肢の一つだと思われます。工場などではロボットの活用などの省力化が今後急速に進むと思います。日本は世界トップレベルのロボット大国であることは忘れるべきではありません。この様に、人口動態の問題も因数分解して詳しく見ていきますと、悲観的にばかりなってしまうことは不要ではないでしょうか。』

うむ。

『そこで、将来のために、どう取り組むべきかですが、現在の政府、日本銀行による大胆な経済対策と緩和的な金融環境の下にあって、民間部門としてはこのチャンスを活用して積極的に構造改革を推し進めるべきではないでしょうか。』

民間出身の方が言うというのがポイントです。

『構造改革では、製造業、非製造業を問わず、生産や販売など様々な部門でのプロセスの変革、すなわちスクラップアンドビルドを推進することになります。従って、新規投資や従業員再教育、退職のための費用等が多額に上りますので、財務面の手当ても併せて必要でしょう。そこで、事業会社と金融機関との連携も大変重要になってくると思われます。』

なるほど。

『以上のような課題への取り組みには企業の努力がまず重要です。一方、日本銀行としても、緩和的な金融環境を最大限に活かして貰えるように、「貸出支援基金」を設けて、低利かつ長めの資金供給を行っています。さらに、日本銀行では、昨年12月の会合において「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポート」に関する措置も決定しました。既に設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業も増えていますが、本措置によりそうした動きがさらに拡がっていくことを期待しています。』

と、最後日銀の施策に話がリンクしましたが、この「中長期的な課題」の部分って思いっきり金融政策関係ないやん!!!というお話であって、布野さんの主張としては実はこの「金融政策や政府の施策だけに依存するだけでは結局サステイナブルな成長力の強化には繋がらない」ということで、金融政策ばかりをガンガンやれば皆はっぴーとかそういう単純なものではない、という事を言いたかったのかも知れないなあとかちょっと思うのでありました。



○布野さん金懇挨拶ネタで色々書いて時間が無いので以下メモだけ

・輪番変更しなかったですね

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160831e.pdf

(注5)2016 年 9 月 1 日以降の最初のオファー金額は、

残存期間 1 年以下 700 億円、
残存期間 1 年超 3 年以下 4,000 億円、
残存期間 3 年超 5 年以下 4,200 億円、
残存期間 5年超 10 年以下 4,300 億円、
残存期間 10 年超 25 年以下 2,000 億円、
残存期間 25 年超 1,200 億円、
物価連動債 250 億円、
変動利付債 1,000 億円とする予定です。


でもって回数も一緒で、今回は輪番の変更は無しという久々の結果になりました。まあ今回なんか調整したらしたで「総括検証の結果として買入を拡大(逆なら縮小)する流れが見えたぜヒャッハー!」とかいう騒ぎになるのは必定なだけに、超長期の価格が下がって額面と買入予定簿価金額の乖離が小さくなったから額面調整出来るぜという状態であったとしても、それはいじるなよなあとか思っていましたので、順当と言えば順当ですが、無邪気なテクニカル変更をするような間抜けプレイが出るかとちょっとだけ身構えていたので安心しました。とりあえずそこまで無思慮では無かったということで。



・賃金に関する日銀レビュー

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/rev16j15.htm/(要旨)
雇用形態別にみて基本給はどのように決まるのか

『要旨』ですと、

『本稿では、雇用形態別(一般労働者とパート労働者)にみて、基本給がどのような要因によって決まるのかについて分析を行う。一般労働者の基本給の決定要因は、特に企業規模別に異なる。すなわち、大企業については、製造業を中心に、物価の変動(特に過去の一般物価のインフレ率の実績)が、ベースアップの労使交渉プロセスを通じて影響を与えている。中小企業については、労働需給や交易条件の変動が大きな影響を与えている。一方、パート労働者の基本給(時給)には、労働需給が大きく影響するほか、最低賃金の動向も相応の影響を与える。』

ってありまして、えーっとそうなりますと需給ギャップが縮小して労働需給が引き締まって賃金がホイホイ上がってくれると単純に割り切れないのではないかという話になるような気もせんでもないですし、こういうのはもっと早くに出て来ないととか思ったりしますが、まあ本文の方を読むのが吉です。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j15.pdf(本文)


・基調的なインフレェ・・・・・・・・・・

追加の図表来ました。

http://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf

1ページ目は先日出ていましたが、2ページ目が追加されていまして、そこの『(2)各種コア指標』のグラフを見ると落涙を禁じえませんが、1ページ目の日銀コア推移と合わせて、浜田先生がコアコア2%と仰せのようですがいやあの何でもないです。