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2017/11/20

お題「1-3輪番減額で来年の国債残高拡大ペースは40兆円割れに/金曜頭出ししたFED高官発言のフォロー」

ほほー
https://jp.reuters.com/article/government-bonds-low-interest-idJPKBN1DH0XK
2017年11月17日 / 17:54
超長期債の発行減額に反対、低金利下でも需要はある=生保協会長

https://jp.reuters.com/article/japanpostbk-interview-idJPKBN1DH07F
2017年11月17日 / 11:13
インタビュー:クレジット投資、パッシブ比率高めている=ゆうちょ銀副社長

まあ何だ、おとなのじじょうというのも無いことも無さそうなのでツッコミはしないでおく(^^)。


○輪番減額で来年の長期国債買入拡大は明確に40兆割れ(当方試算)とな

昨日の輪番と短国買入オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of171117.htm
国庫短期証券買入 5,000 2017年11月21日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2017年11月21日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2017年11月21日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2017年11月21日
国債買入(残存期間25年超) 1,000 2017年11月21日

ということで昨日は短国買入の方は需給が相変わらずタイトだと思うのだがしらっと5000億も実施(なお応札は14321億円ですが6糸強平均の8糸強足切とかにしていて、そんなに買入をする必要があるのかという気はだいぶする)していつのですが、その一方で1-3の輪番を2800→2500に減額。

結果(輪番と短国買入)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba171117.htm
国庫短期証券買入 14,321 5,002 -0.008 -0.006 78.3
国債買入(残存期間1年超3年以下) 8,802 2,501 -0.002 0.000 76.1
国債買入(残存期間3年超5年以下) 11,414 3,004 0.000 0.001 72.7
国債買入(残存期間10年超25年以下) 5,011 2,003 0.001 0.003 80.2
国債買入(残存期間25年超) 2,863 1,006 0.003 0.005 64.4

短国も強いのですが2年とかもここもと強めに推移して(一旦強くなって緩んできたかなと思ったら先週後半にまた強くなってくるの巻)いたので減額されても屁でもない(短国買入が5000になっているのがどの程度影響しているのかは良く分からんが)ということのようで短い所は引き続き確り。

念のためロイターさんの相場後講釈ですが、
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NN2AD
2017年11月17日 / 15:15
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.035%に低下

『<15:11> 国債先物は続伸、長期金利0.035%に低下

長期国債先物は続伸して引けた。前日の米債安を手掛かりに、朝方は売りが先行したが、良好な需給環境を背景に売り一巡後は切り返して、プラス圏に浮上した。激しい値動きとなっている日経平均株価の推移も材料視された。

現物債は底堅い。長期ゾーンは先物に連動して強含み。中期ゾーンも横ばい圏にとどまったが、マイナス幅は深い状況が続いている。日銀は「残存1年超3年以下」のオペでオファーを減額したが影響は限られた。超長期ゾーンは高安まちまち。

長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比15銭高の150円95銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.035%。』(上記URL先より)

ってどこの仕手株だと言いたくなるような勢いの値動きだった日経平均先物とかにそんなに影響されていたかな??という感じもせんでもないですが、まあ短い所の輪番減額しても特に影響もなく推移していました。まあここもとすっかり短い所強いですな。


・・・・・・・・てな訳で中期の輪番を300億円減額した訳ですが、この調子で長期国債の買入を続けますと、何せ中期の300億円って月額で1800億円になって年間になると2兆1600億円になる、ということで結構な額になりますので、アタクシの試算が合っていればの話になりますが、2018年暦年での長期国債買入って、1年以内をノーカウントで計算した場合、買入の額面が88兆3200億円となるのですが、2018年暦年での償還額ってのが今のところですが51兆3140億円になると思われます(10月末時点での国債買入残高を償還日ベースで計算したものなので、たぶん本人的には計算合っていると思うのだが、何せ償還日を売買参考統計値のエクセルから引っ張ってきているだけなので参照とか間違えているリスクはあるのでそこは各自ご確認を)ので、2018年暦年の長期国債残高拡大は37兆と60億円という計算になります。この前まではそれに2兆1600億円乗っかっていたので概ね40兆円という感じでしたので、今回の減額で明確に40兆円割れということになっておりまして、木内さんの提案に反対し続けた金融政策決定会合とは何だったのかというか、もはや木内さんの提案をも上回るペース削減となっているのが味わいがあります。

というか80兆円が大事でどうのこうの言っている人たちとか他市場とかお前ら何で放置プレイなのかよとも言いたくなりますが、まーしかしYCC入れた時に「長期国債買入残高年間80兆円をめどに拡大」とか入れていたのをすっかり時間の経過とともに誤魔化してしまう、というこれって今までの日銀のインチキの中でも究極のインチキでございまして、いやこういうのって結果オーライちゃあ結果オーライってことになるんでしょうけれども、本当にそれで良いのかというのはあって、「コミットメントとは何なのか」という話にもなると思うのですよね。

でまあそういう国債買入残高を有耶無耶の中でドンドン誤魔化していくという技を使っている中で先般のチューリッヒでの黒田総裁の講演ではやたらと「フォワードガイダンスの有効性」というのをお話している訳でして、分かってて言っているのか分かってないで言っているのか知りませんが、YCCに変わったその瞬間には「量」も重視するような説明をしておいて1年ちょっと経過したらこんな事になっている、というような政策運営をする人のガイダンス文言って本当にあてになるんかいなとゆーツッコミには黒田総裁ってどうこたえるのでしょうかねえ。

いやまあ長期国債の馬鹿買入なんぞとっとと止めて(とは言えオーバーシュートコミットメントとかいう下らんものがあるので年間5兆円位は残高増やさないと全体としての帳尻問題が発生するのでゼロって訳にも行かないけど)頂きたいので、あまり事を荒立てるのもどうなのか、というのは勿論思うのですが、それにしてもここまでインチキを堂々とやられてしまいますと、将来において日銀が「こういう政策をやります」という話をした時に、総裁会見などでの説明を額面通りに受け止めたらあとで有耶無耶のうちに話が変わっていた、ということになってしまいますと、そもそもの政策説明を信用して良いのでしょうか、ってな話に繋がってしまいます。

いやまあFRBも大概にイカサマな説明で押し通している面は多々ありますし、そういうのを真正直に受け止める方がどうなのよと言われてしまうとそれもそうなのですけれども、とは言いましても日銀の場合は何せ前の体制を石持て追い出してやってきた方々が大言壮語通りの結果を全然出せないでいるという現実がある訳で、そこで断絶を行った以上はきちんとした総括(総括的検証以外の意味での「総括」という気もせんでもない^^)をして頂かないと困りますが、もしかすると今度は「リバーサルレート」とか言い出してマイナス金利撤回を何故か金融緩和(金融仲介機能の強化)と言い出しそうな勢いなのでついまた輪番と関係ない悪態が続くのでありました。


○念のため先週末の続きでカプランさんとメスターさんの金融政策スタンス確認

カプランさん
https://www.dallasfed.org/news/speeches/kaplan/2017/rsk171017.aspx
Essay by President Robert S. Kaplan
Impact of Hurricane Harvey and a Discussion of Key Structural Drivers Affecting U.S. Monetary Policy
October 17, 2017

最後の所に『The Current Stance of Monetary Policy』というのがある。

『I believe that we are making good progress in reaching our full-employment objective. The U.S. consumer is healthy, and business activity continues to strengthen. Global growth has been stronger than expected in 2017. While our estimate of 2.4 percent U.S. GDP growth in 2017 is sluggish by historical standards, it should be sufficient to continue to remove slack from the labor market.』

セキュラートレンド的にどうのこうのみたいな話をする割にはカプラン総裁は目先の経済に関しては強気の話をするのが仕様です。

『Normally, at this stage in the recovery and with a tightening labor market, we would expect to see increasing evidence of inflation pressures. I believe that cyclical inflationary pressures are building as we remove slack from the labor market and approach full employment.』

よって循環的には物価上昇のプレッシャーが高まっているとのお告げ。

『However, I also believe that these cyclical forces are being at least partially offset by secular forces (described earlier in this essay), particularly an intensifying rate of technology-enabled disruption and, to a lesser extent, globalization. These secular forces are likely limiting the pricing power of businesses and muting inflationary pressures.』

でもって(めんどいから引用してませんが)構造的な要因としての物価上昇圧力の弱さというのがあって(ここにもありますように技術進歩の話ですが、技術進歩によって製造業でもサービス業でも労働力の余剰が起きやすくなってスラックが出やすくなっている。という指摘になっています)、それによって物価はそんなにホイホイ上がらんと。

『From a risk-management point of view, I am mindful that if we wait too long to see signs of greater inflation, we may get “behind the curve” and have to play catch up by increasing rates more rapidly. Historically, this has increased the likelihood of recession.』

リスクマネジメントの観点からあまりビハインドするのはイクナイのですが、と来まして・・・・・・・

『However, I believe that structural forces, particularly slowing workforce growth due to an aging population, will continue to pose challenges for future economic growth. As a result, my view is that the neutral rate, the interest rate at which we are neither accommodative nor restrictive, is likely to be much lower than we are historically accustomed. Therefore, I have argued that future removals of accommodation should be done in a gradual and patient manner.』

セキュラーな要因があるんだったら政策が多少ビハインドしても問題なかろうという話になるという説明なので、まあこの流れ自体は順当なのですが、ただまあわざわざさっきの「ビハインドの場合の問題」を入れて来る辺りはカプラン総裁はハトに振りきれるほどにもなっていないという事を示していると思うの。

『Based on these considerations, I intend to keep an open mind about removing accommodation in upcoming FOMC meetings. In the months ahead, I will continue to assess the economy’s progress in removing labor slack, and I will be looking for evidence that building cyclical forces have the prospect of offsetting structural headwinds, such that we can expect to make progress toward meeting our 2 percent inflation objective in the medium term.』

次回はオープンマインド、とは言っていますが・・・・・・・・

『Given the strength of the U.S. economy, I think it is likely we will see greater evidence of this progress and, as a consequence, it will be appropriate to continue the process of gradually removing monetary accommodation.』

って言ってるんですからまあ普通に12月利上げ派でしょ。


でもってメスター総裁
https://www.clevelandfed.org/newsroom%20and%20events/speeches/sp%2020171116%20demographics%20and%20their%20implications%20for%20the%20economy%20and%20policy
Demographics and Their Implications for the Economy and Policy
11.16.17 Loretta J. Mester
Cato Institute's 35th Annual Monetary Conference: The Future of Monetary Policy, Washington, DC

『Demographic Implications for Fiscal and Other Government Policies』というのもあるのですが、そこは華麗にパスして『Summary』をば。

『In summary, demographic change will result in a slower-growing and older population. This transition will likely put downward pressure on the growth rate of potential output, the natural rate of unemployment, and the long-term equilibrium interest rate. The magnitude of these effects and the timing are uncertain because they depend on complicated dynamics and the behavior of consumers and businesses. Demographic change may also affect the business cycle and the monetary policy transmission mechanism.』

この辺までは人口高齢化の影響の話ですが、要は経済のダイナミズムが落ちますねという話。

『Monetary policymakers will need to continually evaluate these structural and cyclical effects in determining appropriate policy.』

ほうほうそれでそれで?

『Demographic trends present challenges for fiscal policymakers as well. Rising fiscal imbalances are projected to lead to higher government debt-to-GDP levels, potentially putting upward pressure on interest rates, and crowding out productive investment.』

財政政策の話になっておりますが、財政が拡張的になるのでクラウディングアウトとか金利上昇圧力とかそういう話をしておりますがジャパンの場合そうならないという例もあるのでうーむこのという感じもする。

『But steps can be taken to offset some of the negative consequences of demographic change for the economy. These include policies that focus on increasing productivity and labor force growth and that address growing fiscal imbalances.』

てなわけで(その前の部分でもそうなのですが)人口高齢化で経済のダイナミズムが落ちて自然利子率が下がるというような話はあるのですが、特に今回目先の金融政策に関しての話は無い、というのが一応のオチなのでした(オチが無くてすいません)。

一応頭出ししたので念のためという所ですが、多分両名ともに基本的なスタンスに変更は無いと思います。




2017/11/17

お題「市場雑談/リバーサルレートという魔法のことばは・・・・・/構造要因に言及する地区連銀総裁ズ」

ほほう。
https://jp.reuters.com/article/zimbabwe-politics-breakingviews-idJPKBN1DG0DP
2017年11月16日 / 13:20
コラム:軍掌握のジンバブエ、ムガベ大統領失脚でも残る課題


○市場メモ雑談

・短国ェ・・・・・・・・

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NM29K
2017年11月16日 / 15:23
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、長期金利0.045%に上昇

長期債の話は後にして、短国ちゃんですけど。

『 短期金融市場では、無担保コール翌日物がマイナス0.040─マイナス0.060%を中心に取引された。準備預金の新積み期に入り、取り急ぐ動きはみられない。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.100%とマイナス幅を拡大。TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.063%と横ばい。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札は、海外勢を主体にした需要でしっかりした結果になった。業者間取引で3カ月物TB(720回)は強含み。日銀の共通担保資金供給オペは札割れ。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。』(上記URL先より)

てなわけで今週は水曜1Y昨日が3Mとあったのですが、

1年
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20171115.htm
(3)募入最低価格 100円19銭4厘(募入最高利回り)(-0.1936%)
(4)募入最低価格における案分比率 25.4000%
(5)募入平均価格 100円21銭5厘(募入平均利回り)(-0.2145%)

3M
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20171116.htm
(3)募入最低価格 100円06銭1厘0毛(募入最高利回り)(-0.2270%)
(4)募入最低価格における案分比率 5.0225%
(5)募入平均価格 100円06銭4厘0毛(募入平均利回り)(-0.2382%)

ということで短国買入を今月に入って1000億円しかオファーしない攻撃を連発しているというのに堂々の▲20bp台の推移となっておりまして、しかも昨日引けの売買参考統計値の平均値単利を見ますと(つまり今日付発表となっている奴)1Y新発(721回)の引けが▲21.2bp、3M新発(722回)の引けが▲23.7bpということで、微妙に平均価格に及ばないのではありますがまるでコケる気配がないという状態で、短国買入を減らしてもこれってのは季節要因的にドル調達コスト絡みのなんちゃらとかそういう話なんでしょうけれども、まー海外ニーズとか強いですがなってなお話。短期の特に短国の市場とかマイナス金利によって市場が壊れている(っつーか国内の実需筋を壊滅させてしまっているというか)状態になってしまっているので何が何やらという感じなのですが、そこそこ短国買入の残高が減っているというのにまるで委細構わず▲20bp台というYCC的にその金利はどうなのかという水準で堂々と推移しておりまして、まーこの調子だと短国買入もっと削減できるんでしょうなあと思いますけど、たぶんドル調達絡みの構造が変わるといきなり変わってしまうので、壊したの日銀だから自業自得とは言え、コントロールはどこかで無茶苦茶難易度が上がるんでしょうなあ
とは思います。


・20年入札とか

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20171116.htm
6.価格競争入札について
(1)応募額 3兆3,048億円
(2)募入決定額 8,000億円
(3)募入最低価格 100円45銭(募入最高利回り)(0.574%)
(4)募入最低価格における案分比率 80.8990%
(5)募入平均価格 100円48銭(募入平均利回り)(0.573%)

でもってさっきのロイターさんのを再掲すると、

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NM29K
2017年11月16日 / 15:23
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、長期金利0.045%に上昇

『 <15:16> 国債先物は小幅続伸、長期金利0.045%に上昇

長期国債先物は小幅続伸して引けた。前日の海外市場で、米原油先物の下落などを受けてリスクオフの流れとなり、安全資産とされる米債が買われた流れを引き継ぎ強含みで始まった。ただ、日経平均株価が売り一巡後に反転し大幅高となったことが上値を抑えた。現物債は、株高が影響して先物が伸び悩むと、長期金利に上昇圧力がかかった。超長期ゾーンは、強めの20年利付国債入札の結果を受けて強含む場面があったが、長期ゾーンが軟化すると売りがやや優勢になった。一方で、あす予定されている日銀オペへの期待から中期ゾーンは強含みで推移した。』(上記URL先より)

って言ってますが今月入って株がホイホイ上がるな中で債券だってホイホイ金利低下していたんですから株高で上値が抑えられたとか多分他に言いようがないから尤もらしく後講釈しているだけで、どうせ20年入札を確り目にしたのは良いけど後続が無かったから伸びきれませんでしたとかそういう話ではないかと思いますが(ちなみに売買参考統計値の単利だと新発超長期の引けの単利は0.580%と出ておりますな)、しかしまあ月初とその次の月曜の上げ上げは一体全体なんだったのか未だに良く分からんでして、今月は何か株式にしろ債券にしろ何が何だかよー分からんというか、だれかどこかでお家の事情でもあったのかと言いたくなるような脈絡のない展開ですから、こういうベンダーさんも困るでしょうなあと思います(まあ短期の方は完全に需給だけで話ができるからまだマシかも知れませんけれども)。

という単なる自分用備忘録でしたすいませんすいません。


○魔法のことば「リバーサルレート」が微妙に盛り上がっているようで

https://jp.reuters.com/article/hirano-boj-bankers-association-idJPKBN1DG1AB
2017年11月16日 / 19:25
金融緩和効果反転リスク、近い将来起きてもおかしくない=全銀協会長

『[東京 16日 ロイター] - 全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャルグループ(8306.T)社長)は16日の定例会見で、日銀の黒田東彦総裁が指摘した金利を下げ過ぎると金融仲介機能に悪影響を与え、緩和効果が反転するリスクについて、「その状況が姿を見せつつある。近い将来起こってもおかしくない」との認識を示した。』

『日銀の黒田総裁は13日、スイスのチューリッヒでの講演で、金利を下げ過ぎると預貸金利ざやの縮小によって金融仲介機能に悪影響を与える「リバーサル・レート」の議論に言及した。』

『平野会長は、大規模緩和について日本経済や産業の競争力などを改善するために必要としたものの、年金基金や金融機関への影響を考えると「恒常化することは望ましくない」と指摘。「今は問題ないかもしれないが、長く続くと社会インフラとしての金融機関や金融システムに大きな影響が出てくる可能性がある」との懸念を示した。』(以上上記URL先より)

ということで何気にこの前のチューリッヒ大学での講演が話題になっているようで、ミーも2回シリーズでケチョンケチョン(の積りでは無く淡々と悪態ついた積りだったのだがどうも客観的にケチョンケチョンだったらしい)に悪態を申し上げた訳ですが、あの話は読み方として「副作用に言及して反省の色が見られる」と読むのか「副作用を新しい理論とか言ってあくまでも意地汚く往生際の悪さを見せている」と読むのかは読む人の解釈次第になる訳ですな。

でもってこの解釈ですけれども、先行きの政策の読み筋という話になりますと、前者で読んでいる場合は「反省しているのでリバーサルレートとかの概念を持ち出して割と近いうちにマイナス金利とか無駄に低い長期金利目標とかと調整してくるんじゃないか」という読み筋になりますし、後者で読んでいる場合は「こりゃダメだ黒田さん理論の負けを全然認めないからうっかり再任でもした日にはマイナス金利まだまだ続くわ」という読み筋になってくるのではと思います。ちなみにアタクシは後者の読み筋です。

でまあそういう読みですので、今回の黒田さんの講演を見まして「ああ全然反省していないわ」というのと、「これは次の総裁(黒田さんじゃない場合ですけど)は金融政策の収拾もさることながら黒田節のロジックの収拾しないといけないからマジで大変だろ」とか思ってしまいます。


そんな中で「副作用」を「最新の理論に基づくリバーサルレートという概念」とか言い出す面の皮の厚さにはホトホト感心するしかありませんが、一応この概念を持ち出すと「現時点で既に金利水準がリバーサルレートを下回っていることから、金融仲介機能の強化という金融環境の緩和のためには市場金利を引き上げる必要がある(キリッ)」というもはや意味不明な理屈(それはただの「やり過ぎて副作用が強くなったので撤収します」なのですが)で追加緩和を強弁できるという魔法のことばでポポポポーンになってしまう理屈ではありますので、まあ一応金利調整をする可能性もワンチャンあるでと期待する向きが出てもそれはまあおかしくないと思います。つーことでやや盛り上がっているようですが、ただまあ市場の状況見るとやはり「そんな事言って金利調整するのはさすがに無理筋にも程があるので黒田さん居るうちにそういう話にはならんでしょ」と思っているんじゃないかなーという値動きになっておりまして、まあアタクシもそう思っております、今のところは、って感じですけどね。

もし変わるんだったらどういう所から話が出てくるのか、というのは本当は第2の柱の点検作業だと思うのですが、たぶんいきなりタマが飛んで来るみたいなことになるようには思えるので、そうなると後任人事で黒田さん以外が来た時にどうなるかというのが一番早くその話が来るときじゃないの(と考えると今年度の話じゃないですなあっはっは)と思いますがどうでしょうかね???


○12月利上げ云々の話より構造的な話をしている2名の地区連銀総裁

こんなヘッドラインがありましたが。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-idJPKBN1DG2X7
2017年11月17日 / 05:16
12月利上げに先入観なし、労働市場はFRBの目標以上に改善へ=ダラス連銀総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-idJPKBN1DG2AD
2017年11月17日 / 00:58
低インフレに困惑せず、加速確信=米クリーブランド連銀総裁


カプラン総裁(ダラス)
https://www.dallasfed.org/news/speeches/kaplan/2017/rsk171017.aspx
Essay by President Robert S. Kaplan
Impact of Hurricane Harvey and a Discussion of Key Structural Drivers Affecting U.S. Monetary Policy
October 17, 2017

メスター総裁(クリーブランド)
https://www.clevelandfed.org/newsroom%20and%20events/speeches/sp%2020171116%20demographics%20and%20their%20implications%20for%20the%20economy%20and%20policy
Demographics and Their Implications for the Economy and Policy
11.16.17 Loretta J. Mester
Cato Institute's 35th Annual Monetary Conference: The Future of Monetary Policy, Washington, DC

というのがございまして、ここで講演だのエッセイだのをじっくり鑑賞しようと思ったのですがうっかり朝から眺めている(読んでいるとは言っていない)うちに時間切れになってしまうという相変わらずの時間配分の悪さを露呈してしまっているので後日ネタにできたらしようかと思うのですが簡単に。


カプラン総裁の奴ですが、
https://www.dallasfed.org/news/speeches/kaplan/2017/rsk171017.aspx
Essay by President Robert S. Kaplan
Impact of Hurricane Harvey and a Discussion of Key Structural Drivers Affecting U.S. Monetary Policy
October 17, 2017

ハリケーンの話はダラス連銀だから話をするのは当然ですけど「これは大災厄だが経済のトレンドを変えるものではありません」という話をしていまして、メインはその後の「Discussion of Key Structural Drivers Affecting U.S. Monetary Policy」となっています。

でまあ以前もカプランさんその話をしていたと思うのですが、今回も小見出しは

Unemployment and the Impact of Demographic Trends
Educational Attainment and the Skills Gap in the U.S.
Inflation
Non-U.S.
Broader Secular Trends
・Aging-workforce demographics in the U.S. and across major economies.
・Limits to the sustainability of the so-called global debt super cycle.
・Globalization.
・Technology-enabled disruption. I

と来て最後に
The Current Stance of Monetary Policy

が来ているので、多分言っていることはあまり変わらなくて、構造的に金利ってそんなにホイホイ上げなくても良い世の中になっているね、というお話の繰り返し。


メスター総裁については
https://www.clevelandfed.org/newsroom%20and%20events/speeches/sp%2020171116%20demographics%20and%20their%20implications%20for%20the%20economy%20and%20policy
Demographics and Their Implications for the Economy and Policy
11.16.17 Loretta J. Mester
Cato Institute's 35th Annual Monetary Conference: The Future of Monetary Policy, Washington, DC

こちらの小見出しは、

Demographic Trends
Demographic Implications for Labor Markets
Demographic Implications for Economic Growth
Demographic Implications for Monetary Policy
Demographic Implications for Fiscal and Other Government Policies

と来て最後に、
Summary

となっていまして、見事なまでに人口動態攻めになっているので、まあだいたいお察しの内容でして、恐らく12月利上げに関しては普通に行われたとしましても、来年の利上げペースをどうするのかという話は今後議論を呼びそうですし、パウエル総裁になってどうなるのかというのも面白い所になるんでしょうなあ、と何となく思いながら眺めておりました次第です(結局ちゃんとネタにしてない)。






2017/11/16

お題「エバンス総裁の物価水準目標に関する講演を斜め読み鑑賞」

また取れるところから取るという発想ですがこれやっていると
個人所得が何時まで経っても伸びてこないデフレ政策なんすけどねえ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171115-00000010-mai-bus_all
<所得税改革>基礎控除の拡大検討 低所得層の負担減
11/15(水) 6:40配信

『働き方の多様化で、企業に属さないものの請負契約などで会社員と同様の働き方をしている個人が増えている。ただこれらの人は現在、給与所得控除を受けられず、不公平感が指摘されている。』(上記URL先から)

ってお前ナメトンノカという理屈で、だったら請負契約で会社員と同様の働き方をしている個人に対して新しい控除の制度を設けるという話になる筈で、もうちょっとまともな言い訳は出来ないんですかねえ。何か無知蒙昧人民への説明はこの程度で良いと馬鹿にされたとしか思えんのだが(つーかその説明をそのまま垂れ流すんじゃなくて記者レクの時に突っ込めよ)。

まあ何ですな、そんなに言うなら給与所得控除形式じゃなくて広範に必要経費を認めて全部申告させるようにすれば「使っても税金が戻って来る!」とか言ってホイホイと消費する向きも増えるでしょうし、税務申告の業務が物凄い勢いで煩雑になるから関連業界の方々も潤うし職員も増員できるのではないしょうか。

ちなみにこれ「低所得者の負担減」とかいうのもミスリードで、こんなの給与所得控除のいじり方によってどこのポイントから控除減になるかまるで読めないんだから、高所得だけ負担増みたいな書き方したらダメだろ毎日新聞。


○物価が思うようにアガランチ会長でさてどうしましょうという話ですな(物価水準ターゲットの話)

昨日頭出しだけしたエバンス総裁の講演。
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2017/11-14-2017-future-odyssean-and-delphic-guidance-charles-evans-frankfurt-ecb
ast Updated: 11/14/17
The Future of Odyssean and Delphic Guidance
A speech delivered on November 14, 2017, before the European Central Bank Conference in Frankfurt, Germany.

ギリシャ神話だの神託だのとか詳しくないジャパンドメスティックおじさんとしてはオデッセイだのデルファイだのというワードを使われましてもいきなり目眩がするのですが、

・理屈は物凄く謎なのだが物価水準目標はかっちりしたフレームワークらしい

『Today, in discussing “Delphic” and “Odyssean” forward guidance, I am going to expand a bit beyond narrow, technical definitions.2』

ということでそういう命名でコミュニケーションを定義している人がいるそうな。『2 The terms “Delphic” and “Odyssean” are used to describe different types of monetary policy communications. For more details, see Campbell et al. (2012).』だそうだが。

『In a recent NBER Macroeconomics Annual Conference paper, my colleagues Jeffrey Campbell, Jonas Fisher, Alejandro Justiniano, and Leonardo Melosi developed an empirical framework to assess Delphic versus Odyssean contributions for post-financial-crisis Fed actions (Campbell et al., 2017). They found important roles for both.』

ということで中々説明が出て来ない(実は最初にサマリーというのがあるのだがこれがプレゼンテーション画像で貼ってあるのでコピペができない)のですが、

『I want to relate this language to some broader issues regarding monetary policy frameworks. Specifically, I will talk about Delphic communications as those associated with a well-functioning, well-understood monetary policy framework. A foundation for these communications is a variety of state-contingent responses to economic developments that are well understood and well expected by the public.』

『I’ll refer to Odyssean communications as those arising when unexpected events expose weaknesses and shortcomings in a Delphic framework. In such times, the need for outcome-based policies is paramount, and policymakers may be compelled to take less-well-understood actions to meet their mandated goals. These actions may dispense with usual norms and could entail entirely new commitments about future central bank behavior. As such, these Odyssean policies might be difficult to communicate and might lack strong credibility. These shortcomings could dilute their effectiveness.』

Delphic communicationsってのが(このテキスト途中途中にプレゼンテーションのスライド画像が入っているので引用しにくくて困るのですがその中の一つのスライドにあるんですけど)例としてはテイラールールみたいなのが一つ入っていまして、要はルールベースに近い金融政策で、ただまあルールガチガチいう訳でもないのですが、基本的には政策反応関数をかっちり決めて、それを周知せせてやっていくということで、「well-functioning, well-understood monetary policy framework」とか言っている時点で説明が偏ってるだろオイなどというツッコミをしてはいけません。

でもってOdyssean communicationsというのは「outcome-based policies」って言ってまして、ルールベースの枠組みをかっちり作るのではなくて、結果を見ながら調整していく系の政策運営ということでございますが、そこに対して「less-well-understood actions to meet their mandated goals」だの「difficult to communicate and might lack strong credibility」と仰せな時点でお察しという感じですが、じゃあ「Delphic communications」って具体的に何よというお話がこの先に。


『Well, you do so by strengthening your current monetary policy framework. Ben Bernanke’s recent proposal at the Peterson Institute for International Economics regarding temporary price-level targeting (PLT) is one such example.3』

『Furthermore, the journey from the Fed’s 2010 policy debates about temporary price-level targeting at the zero lower bound (ZLB) to Bernanke’s recent proposal illustrates the challenges in transforming Odyssean policies into Delphic ones. I will get to this story momentarily, but let me develop the Delphic and Odyssean issues a bit more first.』

てな訳で

『So my question is this: How do you convert nonstandard Odyssean policies into a better-understood and more effective Delphic framework?』

と言っとるのですが、ではどういうのがOdysseanでDelphicなのか、ということですが・・・・・・・・


・フォワードガイダンス政策はOdysseanなコミュニケーションなんですと

『Central bank communications-Delphic and Odyssean』って小見出しのちょっと下の方に飛びますとこんな話が。

『Let me use the Fed’s recent experiences at the ZLB to illustrate what I mean.』

でもって図表があるのですがまたパスしてその説明を。

『In March 2009, the FOMC initiated QE1 that expanded its balance sheet by nearly $2 trillion.5 The hope was that $2 trillion would be sufficient to support a strong rebound in activity. But in the summer of 2010, the core PCE inflation rate6 in the U.S. was below 1.5 percent and the unemployment rate was near 10 percent. Moreover, no significant improvements were projected in the near term.』

2009年のQE1ってQEって言ってるけど実際はバジョット的なLLR政策の一環だし、資産価格ショックからファンディングに来るという波及経路できているからそりゃ効果が思ったほど出ません罠とは思うのですけど。

『As a result, the Taylor rule at that time prescribed setting the U.S. policy rate roughly at ?5 percent.7 Clearly, such a negative rate was far beyond the scope of the existing monetary policy framework.』

テイラールールで考えたら▲5%位の金利が適切ということになってしまいましたと。

『Nonetheless, more stimulus was needed. In the fall of 2010, the consensus of the FOMC was to initiate another $600 billion of asset purchases (QE2).8 Economic and inflation improvements through mid-2011 gave rise, once again, to the hope that this additional $600 billion would be sufficient. Indeed, the FOMC began to publicly plan for unwinding the stimulus, publishing a set of “Exit Strategy Principles” following the June 2011 meeting.9』

『But only a month later, it became clearer that more action was needed to achieve our policy goals of maximum employment and price stability.』

でもってQE2やってその間に途中で「出口政策の考え」を出したものの、やっぱり追加が必要という話になりましたよね、というエバンスの説明なんですけど・・・・・・・・・

『From this point on, the FOMC undertook several additional actions. In August 2011, the FOMC used calendar-date forward guidance to communicate that it anticipated keeping the funds rate at zero at least until mid-2013.10 And shortly afterward we announced the Maturity Extension Program, or Operation Twist, both to further support the credibility of the calendar-date forward guidance and to extend the portfolio balance effect.11』

『Even though these policies were nominally conditional on economic outcomes, the first-order inference was that-like Odysseus-we had bound ourselves to the mast of a time-inconsistent policy to keep rates on hold until mid-2013. But if inflation and activity accelerated in 2012, would the public really believe that we would follow through on our promise? As we all know, such doubts about credibility dilute the effects of any policy, but they are particularly damaging for Odyssean actions.』

つーことで、その後にも追加をやったけどそのガイダンスがカレンダーベースで日を切ったやり方であったり、最後のQE3だと「雇用状況が十分に改善するまで」みたいな話をしていたけれども、それって結局最後は時間的不整合の問題が起きたんじゃないの?というような批判をしているのですが、何つーか色々と無理筋な批判をしているような感じで、最初の割と早い時点で達成した後の出口の話をしたのってのはアタクシ的には先を見た慧眼だったと思うし、時間的不整合に関してはこれもうどうしようもないというか、そもそも政策の利き方が常に同じように出るわけではないというのが金融政策だと思いますし、しかもあの時点では今までの経験値が乏しい政策だったのですから、元々ルールベースの金融政策みたいなのをやる方が(金融政策のラグを考えると)リスクある、という考え方でやる方が妥当だったように見えます。

『In the end, more actions were needed-and were taken. I strongly believe our unconventional policy moves at the ZLB were effective. But there is no doubt that they were challenging to communicate. And I have little doubt that the policy actions might have been even more effective if they were part of a previously established, well-understood, and credible framework.』

っていうことで、「previously established, well-understood, and credible framework」でこの政策をやっていたらより上手く機能したんじゃないか、という指摘をしていて、そのフレームワークが「state-contingent price-level targeting」だというお話に展開されていくのですな。


・ただまあ最終的に決定版のようなものは無いらしい

先の方に行って『Turning Odyssean policies into Delphic ones』という小見出しの途中から。

『Developing a new framework prior to the next ZLB episode allows time for a shift in the nature of forward guidance-and communications more generally. Suppose, for example, the FOMC were to adopt Bernanke’s proposal today. If we then hit the ZLB, the contours of the unconventional PLT policy would already be known. All that would be left is communication of its technical parameters. In other words, the policy would be essentially Delphic instead of Odyssean.』

とは言っているがプライスレベルターゲットが何で適切なのかというのの理由は(飛ばしたところを読んでも)結局良く分からん。

『Adopting this policy in the fall of 2010 was asking a great deal. The forward guidance needed to communicate the brand-new state-contingent price-level targeting would have been a lot for the public to absorb without any credible prior experience. We need to prepare the public ahead of time for implementing unconventional policies in unconventional times. The policies would then be better understood ex ante, better studied, and better critiqued and refined; they would, therefore, likely be more effective.』

『Furthermore, policymakers need to prepare themselves. Delphic forward guidance is the most likely strategy that can garner a consensus position because it is close to a standard operating procedure and because it largely entails technical, quantitative guidance. Of course, adequate policy flexibility and reach requires a robust framework with many state-contingent branches worked out ahead of time. A number of policies could fit into the mix, but you need to get agreement on them ex ante. With regard to price-level targeting, it may be possible to implement now following careful analysis and deliberative discussions; but in 2010, it was just too hard.』

2010年にワシの言うとおりにプライスレベルターゲット入れておけばと思うがまあ難しかったねとか言ってますが、フォワードガイダンス政策に関してはコミュニケーションとして宜しくないという話を繰り返しておりまして、おなじシンポジウムに参加していたジャパンの方々はどういう印象を受けたのでしょうかねえとは思う。

『Let me be very clear: My aim today is not to argue for state-contingent price-level targeting. That may be a good way to go, but at this point I just don’t know.』

プライスレベルターゲットは決定版かどうかは分からんよと。

『My point is that we should be planning for these inevitable future situations today. A good starting point may be to consider nonstandard policies that are not very far from our familiar operating framework. The thresholds-based forward guidance the FOMC adopted in December 2012 was one such example;18 so was the optimal-control-based “lower-for-longer” policy path that Chair Yellen discussed in a June 2012 speech.19 Still, the new quantitative commitments in even such less radical policies may be difficult to grasp. But a key to success is keeping any nonstandard policies outcome-based. This is crucial to guiding policymakers and informing the public about where we aim to go.』

『Finally, for new policies to have a chance of succeeding, at a minimum, it’s essential to ensure policy remains credible in more normal circumstances. I’ve spoken on this many times elsewhere. I believe our credibility challenge in the U.S. today is delivering on the FOMC’s symmetric 2 percent inflation target. If we fail to do so under our current relatively normal circumstances, why then would the public believe us in the future when we try again to implement unconventional policies? And what if the circumstances are so large that they require Odyssean efforts? Where would we be then?』

というのが締めになっているのですが、結局のところ「いつまでたっても何か2%に届きそうにない」という状況の中で、インフレ目標2%というのがどうなのか、という議論になった所で行きつく話として、本来だったらインフレ目標2%というのが妥当なのか(高すぎないのか)という話になってもおかしくないと思うのですが、何故かこの「2%」というのは公理の如く正当になるので、そっちに政策を合わせるということで「物価目標を上げれば2%に行きやすくなるのでは」という方向に話が行ってしまうのが謎のクオリティなんですけど大体そうなるのよね。

てな訳で、どうもガイダンス政策よりもプライスレベル的なルールベースの方が良いという話をしているのですが、それは正直どうなのかと思う、と申しますか、やはりこの物価目標全然行かんというパズルが発生するなかで、元々考えていた公理の如き2%というのをどうするかという話になって、公理を崩すとそもそも自分らの経済学説の足元がおかしくなるので・・・・というのがあるんでしょうなあというような事なんでしょうな、良く最近言われるようになってきたと思うけど。

#という殆どヒマネタで誠に恐縮至極




2017/11/15

お題「黒田さんの講演に再度ツッコミをいれてみる(だいたい昨日の続き)」

手に入れたオモチャが自分の思い通りに動かないので投げ出すようで。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23459220U7A111C1000000/
小池希望の党代表が辞意表明 両院議員総会で
政治
2017/11/14 17:16

○黒田総裁講演鑑賞の続きで勘弁

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171114a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko171114a1.pdf

昨日は全体的な構成の所でツッコミを入れてみましたが、この講演って基本線が「ワシの信奉する理論(主にニューケインジアンベースのお話)通りに進まない世の中が悪い」という話になっていますが、そもそも論として経済理論とか言いましても前提となる話(例えば合理的個人みたいなの)があって、実際問題その前提っていうのが本当に万古不易なのかというとそういう訳でもない面もあるのに、何故か前提が万古不易になってしまうので、理論から入っているせいでどうしても「理論ではこうなる筈なので現実はこれから理論通りに行く」という説明になってしまうんでしょうな、とか何とか申し上げた積りです。

でまあ昨日はつい朝方ツッコミを入れながら読んでいたら時間の方が無くなる(出たの前日なのですが夕方とかだったと思うので気が付かなかった)の巻でございましたので折角の講演なので続き(途中から)とか一部端折った辺りを。


・長期国債買入に関する話にネチネチツッコミを入れてみる

『3.「量的・質的金融緩和」の理論と実践』のガイダンスの所(これがまたあとでネタにするのですが面白いネタが打ち込まれていた模様)の次に『(2)大規模な長期国債の買入れ』という実践があった訳ですがそちらについての説明は以下のようになっています。

『次に、「量的・質的金融緩和」の第二の柱である「大規模な長期国債の買入れ」についてご説明します。グローバル金融危機以降、多くの中央銀行は、ゼロ金利制約の問題を回避するため、金利引き下げ余地が残る長めのゾーンを金融政策の対象とすることで、さらなる実質金利の低下効果を追求してきました。』

しれっと実質金利の低下効果という話になっていますが、米国のQQE2って入れた時には「インフレ期待の低下を防ぐ」的な話をしていて、いつの間にやらその辺は有耶無耶にするという技を使っていましたし、大体からして日銀だって大規模な長期国債の買入は「インフレ期待に直接働きかけるために行ったコミットメントを裏付けするための大規模国債買入」であって、特に日銀の場合はインフレ期待の引き上げ余地がある(ことになっている)ので、実質金利の引き下げというのはインフレ期待の引き上げによって主にもたらされるもの(既に名目長期金利の引き下げ余地が米国や欧州に対して見ると非常に乏しかったのですから)というお話だったはずなので、そもそもここからの説明がベースとしてインチキなのです。

『そのためのもっとも直接的な方法は、中央銀行による長めの貸出や長期国債の買入れによって、長期金利そのものに働きかけることです。』

って言ってますが、インフレ期待を引き上げる必要のない国であればこういう話になりますが、ジャパンの場合はインフレ期待を上げた方が思いっきり実質金利が下がるんんですけど、結局上げられなかったらこういう説明になってしまいますし、この点で言えば諸外国との比較は意味をなさない。

『ただ、中央銀行が長めの金利を押し下げることができるかどうかについて、経済理論では、これが可能であるとの見方と可能ではないとの見方に分かれてきました。ケインズやその流れを汲むトービンは、金融資産間の代替が不完全な状況を想定したうえで、中央銀行による長期国債の買入れが長期金利を押し下げると主張しましたし、1960年代頃まではそうした考え方が主流でした。もっとも、金融市場が高度に発達し、またケインジアンの影響力が後退していく中で、金融市場での裁定が完全に働くことを前提に、中央銀行による資産買入れのオペレーションは資産価格形成に対して中立的であるという、「Wallaceの定理」も有力な理論となっていました6。』

『このように理論面では2つの見方があったわけですが、中央銀行は、金融政策運営の責務を果たすため、理論が示唆する限界や問題点を理解したうえで、様々な工夫を行いながら挑戦するメリットを比較考量して、新しい政策手段を実践しました。』

ヤケクソで実施した割には偉そうですな。

『実際、グローバル金融危機以降、FRBをはじめとする主要な中央銀行が大規模な長期国債の買入れを実施し、長めの金利を引き下げることに成功しました。最近の実証分析でも、中央銀行による国債買入れは、長期金利を有意に押し下げることができるとの見方が支配的となっています7。』

だいたいからしてこの手の実証分析もあてにならん。

現実問題としてQQEぶっこんだ当初って初日と翌日の前場(というか寄り付き直後)こそ長期金利は下がりましたが、市場が「正しく」反応して「これだけ派手派手な政策をやったら物価上昇目標ってもしかして行けるんじゃないか」と市場が考えた結果、フィッシャー効果で思いっきり長期金利上がった訳ですよ。

でもって金利が下がりだしたのって株高一服して一頃の興奮も冷めてきて、段々冷静に考えるとやっぱり物価って上がりにくいんじゃないのかねえとか、消費税要因の後はどうなるんでしょうみたいな考えになってきて金利ダダ下がりになってきた訳でして、中央銀行がバカスカ買うのは需給をおかしくするからそれはそれで効果あるんだが、もうちょっと考えた場合にはやはり市場の考えるインフレと成長とリスクプレミアムの部分で金利って決まるもんだと思う。馬鹿買いしてリスクプレミアムをマイナスにすることはできるようには見えるけど。

『こうした事実に関する理論的な基礎付けはなお道半ばではありますが、最近では、国債には担保としての根強い需要があることや、特定の投資家が長期国債による運用を特に選好することなどに着目した、市場の不完全性や分断に関する分析に再び焦点があたっています。』

って話なのですがこの話ってのは金融規制などの変化によって安全資産需要が高まるとかそっちの文脈(数年前にパウエルさんが米国債券市場に関する講演してたのがあってそこで市場の構造変化に関して言及をしていた)で話をしているのですが、それって金融政策の外で金利の決定要因があるという話になるので金融政策万能的な黒田さんには不都合な話のように思えます。

『日本銀行も、主要中央銀行を大きく上回る規模の国債買入れを実施しています。現在の日本銀行のバランスシートの規模は約500兆円ですが、これは日本の名目GDPにほぼ匹敵します。FRBやECBのバランスシートは、名目GDPの2〜4割程度ですので、日本銀行の国債買入れがいかに大規模なものであるかがご理解頂けると思います(図表4)。具体的な買入れの方法も、この4年半で進化してきています。』

そう言えば置物副総裁も「私の考え方が進化した(キリッ)」って寝言を言ってたような気がしますが、国債買入の目方でドン!が厳しくなって撤退してYCCになった筈なのですが、転進どころか「進化」とは大きく出ましたな。いや別に大きく出るのは出ても良いのですけれども、こういう言い方をして良いのは後年ちゃんと反省レビューを出してくれる事が前提であって、この「理論通りに行くはずなのですが現実が違っていましたが理論は正しかった」みたいな強弁で通されますと、将来似たような状況になった時にまたまた間違い理論で変な事をおっぱじめられますと甚だ迷惑なので、きちんとレビューはして頂きたいものだと思う(全然話は違いますが、そう考えると「次の王朝が前の王朝の正史を編纂する」という昔の中国ってのは「失敗を強弁で誤魔化すシステムの排除」がビルトインされているとゆー点で優秀なシステムなんですね、と突如思いました)のであります。

『当初は、イールドカーブ全体の低下を促すため、1年間に買入れる国債の「量」を設定しました。この方法は、実務的な運営方法がシンプルなこともあって、日本銀行だけでなく、他の主要な中央銀行でも、広く採用されています。もっとも、この方法には、同じ金額の国債買入れであっても、どの程度の長期金利の引き下げにつながるかは、経済・物価情勢や金融市場の動向次第で異なるという問題があります。望ましいイールドカーブに比べて、金利の引き下げが不十分なものに止まったり、逆に過度な引き下げをもたらす可能性がありました。』

これまた酷い話で、QQE始まった超直後に金利が上がった時は「下げるのは実質金利だから名目金利が上がっていてもインフレ期待がそれ以上に上がっていればおっけー」だったのがそのうち「金利は下がれば下がるほどよい」「だから補完措置でもっと長いの買うよ」「もっと金利下げるからマイナス金利にするよ」とやっていた訳で、その辺を「進化」の一言で誤魔化すとは何事ぞという感じです。

『この問題を解決するため、日本銀行は、昨年9月、10年物国債金利の水準を目標とする「イールドカーブ・コントロール」を導入しました。数年にわたる大規模な国債買入れにより、日本銀行は、国債市場で大きなプレゼンスをもっていたことから、相応の長期金利のコントロール力を有していました。さらに、より精緻な金利調整手段として、特定の金利水準で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」という強力なツールも実装することにしました。実際、この1年間、日本銀行は、10年物金利を、目標どおりの水準にコントロールし、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブを安定的に実現することができています。』

それは物価目標の達成期待が全然ない事と、インフレ期待自体も全然上がっていないから超緩和状態を前提とした金利水準がコントロールできていることでありますし、大体からして政策が成功して経済の状態が良く成っているのであれば、均衡イールドカーブの水準が上方シフトしている筈で、1年間に渡って誘導目標が変わっていないというのは均衡イールドカーブが少なくとも有意に上方シフトするような経済物価情勢の好転が見られて居ないことを示すものであって、政策の効果が乏しいことを意味するだけの話ではないでしょうか。つーかQQENYCCの目的ってインフレ目標達成であって、長期金利を上手に制御するのは手段に過ぎないのでして、手段が上手く行っているから我々は最新の理論を実践できているとか威張るのは筋違いにも程がある。



・昨日駆け足で引用した辺りにも何か良く見ると凄い記述がありましたな

昨日引用した『4.「量的・質的金融緩和」の成果と見えてきた課題』ですけれども、最初の『(1)デフレマインドの払拭』のところでしらっと変な記述がありましたな。

『15年間にわたるデフレによって形成されたデフレマインドを一気に払拭することは容易ではありません。しかし、第一の経験から明らかなように、日本においても、「負の価格ショック」の影響を回避できれば、理論どおり、フォワード・ガイダンスによって人々のインフレ予想に影響を与えることが可能です。2%の「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢と粘り強い取り組みが重要と考えています。』

ってのがあって、いやそもそもインフレ期待が合理的期待形成で上がっていれば負の価格ショックに耐えられる筈で、インフレ期待が上がったように見えたのは正の価格ショックで適合的期待形成でインフレ期待が一時的に上がっただけなので、そもそもフォワードガイダンスやコミットメントによってインフレ期待を上げる力はきわめて乏しかったんじゃないか、というツッコミをしたのですが、改めて読んでみますと、この部分って「「負の価格ショック」の影響を回避できれば、理論どおり、」ってかなり無理矢理な発想で、「理論は正しかった、でも想定外の事が起きました」と言ってるのと同じなのですが、それは一般的に理論に欠陥があるとか机上の空論というものだと思うのですが、言ってて恥ずかしくならないのかねと思うのですが、経済学者のクオリティってそんなもんだったりするんでしょうな。


あとですね、『(2)最適なイールドカーブの把握』のところですが。

『このほか、金融仲介機能への影響という点では、最近、「リバーサル・レート」の議論が注目を集めています11。これは、金利を下げすぎると、預貸金利鞘の縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性があるという考え方です。』

ってそんな議論注目集めてましたっけと思いますし、それはリバーサルレート云々の問題を出すまでもなく、元々金融緩和政策の副作用として言われている話をもっともらしく言い出すためのギミックに過ぎない訳で、本来FSRで示されているような「第二の柱」での点検をキチンと行えば『最近、「リバーサル・レート」の議論が注目を集めています。』とか今になって新しく出てきた新理論みたいな話をする必要は1ミリも存在しない訳で、お前ナメトンノカとしか申し上げようがない。


・最後の所もせっかくなので

『5.おわりに』から。

『そろそろ時間がなくなってきましたので、本日の話を締め括ろうと思います。2013年に導入した「量的・質的金融緩和」は、それまでよりも遥かに強力な政策であるため、「異次元」の金融緩和と呼ばれています。しかし、もしこの「異次元」という言葉に、理論を超越した単なる「思い切りの良さ」や、「無鉄砲さ」といったニュアンスを投影するのであれば、それは間違いです。』

置物理論がそもそも「理論を超越した」理論にもならない馬鹿理論だったのですけど・・・・・・・・・

『言うまでもなく、理論と実践は対極にあるものではなく、互いを高め合うものです。「良い理論ほど、実践的なものはない」12という有名なフレーズは、金融政策の理論と実践にも当てはまります。』

お前が言うとヘソで茶が湧くんだが。

『中央銀行は、政策当局として、常に実践の世界で行動する存在ですが、政策の効果や成否は、経済や社会に大きな影響を及ぼすため、常にしっかりとした理論的裏付けを求めます。例えば、オーバーシュート型コミットメントは、従来のどのフォワード・ガイダンスよりも強力で、世界に前例のないものですが、それだけに、この間に発展した期待形成に関する経済理論に立脚しています。』

「MBを増やし続けるとインフレ期待が上がる」という理論に立脚しているのがオーバーシュート型コミットメント(なぜなら途中で金利は上げられるから)なのですが、そもそもその理論って「この間に発展した期待形成に関する経済理論」と言えるものなのでしょうか????

『一方、中央銀行は、常に変化する現実の世界と対峙するため、実践の過程で、既存の理論では説明できない困難に直面することも少なくありません。大規模な国債買入れやイールドカーブ・コントロールを導入した際には、理論が示唆する限界や問題点を理解したうえで、それに挑戦するメリットを比較考量し、冷静な判断を行いました。こうした実践の世界の新たな一歩が、将来の新たな理論の構築に繋がることもあるように思います。』

理論が欠陥品だったとは言わないのが理論から入る黒田さんらしいですな。まあ最後の所はどうでもいいけど締めなので引用だけしておくわ。

『日本では、2%の「物価安定の目標」に向けて取り組むべき課題はなお残されていますが、それでも、物価を巡る環境は、5年前に比べて、着実に改善しています。「量的・質的金融緩和」を支える経済理論や、それに基づく日本銀行の挑戦に間違いはなかったと確信しています。先行きについても、マクロ的な需給ギャップが着実に改善していくなか、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみています。実際に価格引き上げの動きが拡がれば、人々のインフレ予想も着実に上昇していくと考えられます。日本銀行としては、こうした前向きの動きが途切れることがないよう、今後とも、強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針です。』


○時間が無くなったので(汗)メモだけ

ここもと色々な話があって、これ以外にもあるのですが面白そうと目をつけているのをならべておく。

http://jp.reuters.com/article/usa-fed-evans-idJPKBN1DE11J
2017年11月14日 / 18:21
米FRB、新たな金利設定手法で将来の危機に備えを=シカゴ連銀総裁

また出たプライスレベルターゲット。
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2017/11-14-2017-future-odyssean-and-delphic-guidance-charles-evans-frankfurt-ecb
Last Updated: 11/14/17
The Future of Odyssean and Delphic Guidance
A speech delivered on November 14, 2017, before the European Central Bank Conference in Frankfurt, Germany.


一方でこれはワロタ
http://jp.reuters.com/article/fed-policy-forwardguidance-idJPKBN1DE1E2
2017年11月14日 / 20:10
政策ガイダンスは有益、経済情勢次第と認識すべき=FRB議長

講演テキストらしいのが無いのでアレなのですが。




2017/11/14

お題「黒田さんらしい講演ですのうというのがあったので」

ゲラゲラゲラ
https://this.kiji.is/302676310110602337
都民ファ、5人中4人が葛飾区議選で落選
2017/11/13 14:27 一般社団法人共同通信社

実に心温まる展開になりましたが、だいたいこの手の持て囃され系に碌なもんが無い訳ですが、アタクシ的にこりゃマズイと思っているのは某シンジローさんなんですけど賛同されないでしょうなあ。

○昨日も株安債券安とな

http://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NJ2BX
2017年11月13日 / 15:08
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続落で引け、長期金利0.045%に上昇

『<15:04> 国債先物が続落で引け、長期金利0.045%に上昇

国債先物中心限月12月限は前営業日比13銭安の150円71銭と続落して引けた。前週末の海外市場で米債が下落したことを受けて売りが先行。高値警戒感が浮上する中、14日に5年債、16日に20年債と国債入札が相次ぐことも上値を重くした。先物12月限は一時150円69銭と1週ぶりの水準に下落したが、日経平均株価が一時同300円を超す下落となり株価の先行きに不透明感が出ていることから、下値で買い戻しも入り、下げ渋った。現物市場は軟調。入札を見据えた持ち高調整主体の動きとなったが、超長期ゾーンは前週に利回りが低下した反動から短期筋の利益確定売りが出た。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高い0.045%に上昇した。』(上記URL先より)

てな訳でまあ今週は5年と20年もありますしというのはございますが、それはそれとしてここの所株高債券高とか株安債券安とかいうようなのが目につく(米債もそうですけど)次第で、それはそれでそういう事もありますかなとは思うのですが、アセットクラス間の従来的な相関というのがコケるというのが続いてきた場合に気になるのはリスク管理的な面から相関がワークしなくなっている為にポジションクローズみたいな事が起きたりしたら思わぬところから変なタマ飛んで来るかもね、というような事だったりするのですが、まあこの程度のプライスアクションで一々リスク管理の閾値跨ぐような事は起きるとは到底思えないのでそこまで気にすることではないのかも知れませんが、株安債券安とかいうことになると何となく「どっちも食らいましたぜウギャー」という感じはするのであまり気持ちは宜しくないなあという所でメモだけ。


○黒田総裁講演だがまあ何というか黒田さんらしい

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171114a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko171114a1.pdf
「量的・質的金融緩和」と経済理論
スイス・チューリッヒ大学における講演の邦訳

ということでこんなん投下されていたので鑑賞するの巻ですが、まあ黒田さんらしいですなとゆーところで。

つーのはですね、黒田さんって中央銀行の現場から金融政策に入っている人じゃないから当たり前っちゃあ当たり前なのですが、政策運営が「理論」から入ってくるという色合いが無茶苦茶濃厚なお方で、これが経済の困ったところで自然科学(でも大規模なのだと難しいですけど)と違って再現性のある追試とか出来ないもんだから「理論」が実態に合うか合わないかとかいうのの前に美しい理論が出来上がってしまって、しかも理論を試しても反応条件のパラメーターを一つづつ変えて実験を行うことによって最適な反応条件を確認するみたいなのが出来ない訳ですから、理論への信頼が強固であればあるだけ現実と乖離しても「理論的にこうだからこうなる筈」的な事になってしまうってのがまー見事に具現化されている講演ですなあとか何とか思いながらサラッと鑑賞しておった次第。

・金融緩和余地が無かったからどうのこうのという話ですが・・・・・・・・

最初は『2.「量的・質的金融緩和」に至るデフレの経験』という話でして、

『それでは、15年間にわたって続いた日本のデフレから話を始めます。日本では、1980年代末から90年代初めにかけて、大規模な資産バブルが発生しました。この資産バブルが破裂する過程で、経済の大幅な減速とインフレ率の低下が続き、1990年代末には、消費者物価の前年比がマイナスの領域に落ち込みました。その後、15年間にわたり、例外的な一時期を除いて、物価はマイナス圏から抜け出すことができませんでした(図表1)。』

『デフレが長期間にわたって継続する要因について、経済理論は2つの可能性を指摘しています。第一の仮説は自然利子率の低下1であり、第二の仮説はインフレ予想の低下2です。自然利子率とは、ある国の経済にとって、景気を加速も減速もさせない中立的な実質金利の水準のことです。学術的にも様々な議論がありますが、その水準は、潜在成長率によって概ね規定されると考えられています。名目政策金利にはゼロ%という下限3がありますので、潜在成長率やインフレ予想が低下すると、自然利子率に比べて実質金利が高止まりしてしまい、十分緩和的な金融環境を実現できなくなります。その結果、デフレからの脱却が困難になるというわけです。』

てなお話は毎度のことで、

『デフレ期の日本では、自然利子率とインフレ予想の双方が低下していたと考えられます。企業や金融機関など、多くの経済主体がバブル崩壊の後始末に追われる中、グローバリゼーションやIT化の進展などの大きな環境変化への対応が遅れ、1990年代初めには4%程度であった日本の潜在成長率は、1990年代末に1%程度まで低下しました。2000年代も、主要国に先駆けて少子高齢化が進行するもとで、潜在成長率の低下に歯止めがかかりませんでした(図表2)。この間、インフレ予想も、実際の物価上昇率が小幅のマイナスを続ける中、趨勢的に低下していったものとみられます。』

ということなのですが、でもこの間経済成長してたりしたよねというのはあって、そこの中で小幅のマイナスと小幅のプラスの物価の間にどんだけ差があるのかという気もだいぶするところではあり、今だってコアコアCPIは殆どゼロ近傍なのに今の政策は物凄い勢いで効果があって過去のは全然ダメというのも何だかなあという感じはだいぶするのでございますがそれはさておき小見出し『(2)政策対応力の低下』ですが。

『2008年のグローバル金融危機は、伝統的な金融緩和手段をほぼ使い切っていた日本経済に対し、大きな打撃となりました。当時の日本において、短期政策金利の引き下げ余地は、僅か0.5%でした。この時期3〜4%の追加的な利下げが可能であった欧米とは大きな違いです。インフレ予想が低いうえに、名目金利の引き下げ余地も殆どない中で、日本銀行の政策対応力は限られていました。金融機関や金融システムの健全性が維持されていたにもかかわらず、日本経済の落ち込みが危機の震源地である欧米を大きく上回ったのは、政策対応力の乏しさも一因だったと考えられます(図表3)。』

てな話なのですが、そうは言っても結局短期金利の下げ余地が5%もあった米国だってあの有様になった訳でして、経済が外的ショックに見舞われた際にはバジョット的なLLRの発動の方は重要なのですが、金利政策にそんなに力があるのかとも捉える事ができる訳でございますし、大体からして日本が盛大に食らったのって当時の日本が外需しかも輸送用機械などの依存が高かったから海外の影響をモロに食らったというのがあって、金利の下げ余地が無かったのがそんなに問題だったのか、というと、ハチャメチャな金融緩和政策をこれだけやってもこの程度の効果しか出ない、という事を考えるに、本当に金利の下げ余地が無かったのが大問題だったのか、という点は留保すべきじゃないかと思うの。

ただ、そういう話をすると金融政策万能的な話ではなくなってしまいまして、黒田さんが現在信奉していると思われる金融政策の美しい理論からするといきなり前提のちゃぶ台をひっくり返す話になってしまうからまー受入れないでしょうなあというのもありますので、精々最後まで理論を信奉しといてくれという感じではあります。まあそういう理論なので中央銀行の金融政策をやる人からみたら魅力的(自分が万能だから)な理論でもあると思いますけどね。


・理論と実践というが結局理論なのですよね

次が『3.「量的・質的金融緩和」の理論と実践』という見出しでして、小見出しの『(1)強力なコミットメント(フォワード・ガイダンス)』に参ります。

最初の部分がもう黒田さんったらという感じなので鑑賞だけ。

『まず、強力なコミットメントについて、少し詳しくお話しします。将来へのコミットメントによって、人々の予想ないし期待に働きかけるという考え方は、経済理論では「フォワード・ガイダンス」として整理されています。「期待に働きかける」ことの重要性は、経済学界において早くから認識されてきました。例えば、20世紀前半に英国で活躍したエコノミスト、ラルフ・ジョージ・ホートレーや、20世紀を代表する経済学者の一人であるジョン・リチャード・ヒックスは、「フォワード・ルッキングな金融政策」や「アナウンスメント効果」といった概念の本質を指摘しています。この考え方は、フリードマンやルーカス、ニューケインジアン等に引き継がれ、具体的に定式化、精緻化されてきました。現在、「中央銀行が物価安定に向けた強い意志を示すことが、人々の期待に働きかけ、金融政策の効果を高める」という考え方は、「インフレーション・ターゲティング」を始め、多くの国の金融政策の理論的支柱となっています4。』

『さらに近年では、中央銀行が「先行き経済・物価情勢が改善した場合でも、金融緩和を続ける」ことを予め約束することで、ゼロ金利制約に直面するもとでも、将来の緩和効果を前借りできるというメカニズムが精力的に研究されてきました。1998年、クルーグマン教授は、日本のデフレ克服には、マネーサプライを大幅に増加させ、インフレ予想を高めることにより実質金利を十分にマイナスにすることが必要と主張しました。2003年にウッドフォード教授と当時IMFのエコノミストであったエガートソン教授は、デフレとゼロ金利制約に対処するためには、「民間主体の期待形成に働きかけること(expectation management)」が重要であり、そのためには、将来の金融政策を十分緩和的にするというコミットメントが不可欠である点を強調しています5。』

ということですが、まあそのニューケインジアン的な理論に基づいて実践して結局この有様という事になっている訳でして、NK自体の理屈に無理が無かったのかという反省にはならないのが黒田さん(だけではなくて経済学の人たちにもそういう傾向はあると思うけど)の仕様。

『一方、実践の世界では、日本銀行が、こうしたフォワード・ガイダンスの先駆者です。1999年に「ゼロ金利政策」を導入した際、日本銀行は、「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで」、ゼロ金利政策を継続することを対外的にコミットしました。これが世界で初めて実践されたフォワード・ガイダンスだと理解しています。また、2001年から2006年にかけて実施された「量的緩和」の時期には、「消費者物価の前年比が安定的にゼロ%以上となるまで」、量的緩和を継続することを約束しました。しかしながら、先ほど述べたように、結果だけをみれば、これらの政策によってデフレを克服することはできませんでした。自然利子率が想定していた以上に低下していたことも一つの要因だと思いますが、当時のコミットメントがやや曖昧であったことや、目標とするインフレ率の数字が低かったことが、人々のインフレ予想を引き上げるには、力不足だったのかもしれません。』

という整理になっているのですが、実際問題としてはそうじゃなくてそもそも金融政策で期待をアンカーさせるというのではなくてあくまでも適合的な期待形成を行う事と、高インフレを金融引き締めで抑えに行くことはできても(つまり景気を抑制することはできても)押し上げに関しては金融政策は未来から力を前借りするのと時間を稼ぐ効果程度しかない(かつての成長経済下では前借する未来の力がたくさんあったが成熟経済では前借する未来の力が少ないとか)とかそういう可能性って無いのかね、とは思う。

『2013年に「量的・質的金融緩和」を導入したとき、日本銀行は、最新の経済理論を十分に踏まえたうえで、インフレ予想をしっかりと引き上げるため、「日本銀行が2%の目標を責任を持って実現する」ことを強く、明確にコミットすることに力を注ぎました。加えて、昨年9月には、さらに強力なフォワード・ガイダンスである「オーバーシュート型コミットメント」を導入しています。これは、消費者物価上昇率の「実績値」が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束するものです。一般的に、金融政策は、経済・物価に影響を及ぼすまでに相応の時間を要することから、先行きの見通しを踏まえつつ、早め早めに舵を切っていくことが望ましいと考えられています。そうした観点からは、目標のインフレ率が実際に実現するまで継続することを明示した現在のコミットメントは、中央銀行として異例な対応であり、より強力な措置であると考えています。』

でもQQE入れて4年以上、オーバーシュートコミットメント入れて1年以上経過するのにインフレ期待って碌すっぽ上がっていない、という事実があるので、実はフォワードガイダンスに関してもこれは成長経済下では十分に成り立つけれども、成熟経済で低成長になった時にはワークしにくいとか、そういう事なのではないか、という話にはならんもんでしょうかねえ。


・消費増税がセットだったから仕方ないのですがやはり消費増税が話をややこしくしたと思う

ということで長期国債の話の方もツッコミどころはある気がしますが、インフレ期待の話ということで盛大に話を飛ばして『4.「量的・質的金融緩和」の成果と見えてきた課題』に参ります。小見出しの『(1)デフレマインドの払拭』ですけどね。

『第一の課題は、人々に根付いたデフレマインドを、どのように払拭していくかということです。日本銀行の経験から言えることは、2つあります。』

『第一に、理論が示唆するとおり、中央銀行は人々のインフレ予想に働きかけることができるということです。このことは、「量的・質的金融緩和」の導入後、最初の1年間で明確となりました。2%の実現に向けた日本銀行の強く明確なコミットメントと、それを裏打ちする大規模な金融緩和策に対して、人々のインフレ予想はポジティブに反応し、多くの指標は、比較的短期間ではっきりと上昇しました(図表8)。』

結局ここが問題であって、これって消費増税の駆け込みとかの問題があるし、QQEの効果と言えば効果かもしれないけれども為替が円安になってその結果として輸入物価が上昇して「適合的な期待形成」の方に影響を与えただけの話であって、QQE政策による「合理的期待形成」は大して起きていなかったと思うの。

『第二に、日本銀行によるフォワード・ガイダンスが、他国よりも遥かに強力であるにもかかわらず、インフレ予想の上昇は緩やかであるということです。中央銀行のフォワード・ガイダンスに対して、インフレ予想などの経済変数が理論モデルよりも緩やかにしか反応しない状況については、学界でも、「フォワード・ガイダンス・パズル」として研究が進められています8。日本の場合、この間の分析により、人々のインフレ予想が、「負の価格ショック」に対して脆弱であることが、改めて明らかになりました9。2014年の夏以降、原油価格の大幅な下落などによって実際のインフレ率が低下すると、それまで順調に上昇していたインフレ予想は、これに引きずられる形で頭打ちから弱含みに転じました。日本のように、インフレ予想がインフレ目標にアンカーされていない経済では、予想の形成が過去のインフレ率に引きずられる、いわゆる「適合的な期待形成」が強く、中央銀行のフォワード・ガイダンスにインフレ予想が即座に反応しないと考えられます。』

ということですが、そもそもQQEの枠組みで合理的期待形成に成功していれば、その後の物価低下であっさりインフレ期待が下がるという事は無い筈なのであって、適合的期待形成と合理的期待形成の組み合わせみたいな形で日本は特殊みたいな話でお茶を濁してしまっているのですが、本当の本当にそうなのか、というのはその後更に時間が経過してもこのテイタラクというのを軸にして再考した方が良いんじゃないかと思うのですが・・・・・・・・

『15年間にわたるデフレによって形成されたデフレマインドを一気に払拭することは容易ではありません。しかし、第一の経験から明らかなように、日本においても、「負の価格ショック」の影響を回避できれば、理論どおり、フォワード・ガイダンスによって人々のインフレ予想に影響を与えることが可能です。2%の「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢と粘り強い取り組みが重要と考えています。』

って言ってるけど、最初に期待インフレが上がったように見えるのは「正の価格ショック」の影響だったのではないでしょうかという話は無いのね。


・均衡イールドカーブの話また来ました

最近この話が多いですな。『(2)最適なイールドカーブの把握』ですけど。

『第二の課題は、2%の「物価安定の目標」に向けて最も適切と考えられるイールドカーブの形状を、どのように把握するかということです。』

キタコレ。

『伝統的な金融政策の世界では、望ましい短期金利水準を判定するためのベンチマークが数多く考案されてきました。自然利子率と実質短期金利の相対的な関係は金融緩和の度合いを評価するうえで重要ですし、テイラー・ルールは、望ましい短期政策金利を直接計測しようとする試みです。「量的・質的金融緩和」のもとでは、こうした方法を、短期金利からイールドカーブ全体に拡張して、新たな判断基準を構築していく必要があります。この点、日本銀行では、「均衡イールドカーブ」の概念を整理し、計測するという形で、理論的・実証的な取り組みを始めています。研究途上ではありますが、今後とも、その成果について学界・実務界の方々と議論していきたいと思います10。』

おうだからその計測値早く出せや。

『また、金利の年限によって金利低下の効果が異なることも、最適なイールドカーブを考えるうえで考慮すべき一つのポイントです。経済や物価への影響という点では、一般的に、短期から中期の金利低下による効果が大きいと考えられます。企業や家計の資金調達に占めるこのゾーンのウエイトが大きいためです。一方、より長めの金利については、保険や年金といった金融の社会インフラの機能と強い関連があると考えられます。このため、長期・超長期金利の過度な低下は、これらの運用利回りに対する不安感などを惹起し、マインド面を通じて経済に影響を及ぼす可能性に留意する必要があります。このほか、金融仲介機能への影響という点では、最近、「リバーサル・レート」の議論が注目を集めています11。これは、金利を下げすぎると、預貸金利鞘の縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性があるという考え方です。日本の場合、日本の金融機関は充実した資本基盤を備えているほか、信用コストも大幅に低下しており、現時点で、金融仲介機能は阻害されていません。ただし、低金利環境が金融機関の経営体力に及ぼす影響は累積的なものであるため、引き続き、こうしたリスクにも注意していきたいと思います。』

という話で、これはこれで美しい理論ではあるのですが、そもそも均衡金利自体が幅のある概念な所にきて、その均衡金利に対して適正な緩和や引締めの度合いがどの程度かという話だって幅があって、しかも金融政策は実体経済にラグを持って効いてくる、という話になりますので、この話を前面に持ち出してくるのは話としては美しいのですけれども、結局のところ「鉛筆なめなめ」に悪用(?)されてしまう懸念があって中々こう黒田さんの好きそうな美しい話ではあるのですが、うーんこのという気はする。

ただまあ市場分析とかするのにあたっては面白いのですけどね。

ということでこれを寝起きについ読みふけってしまったので最後の所もうーむという感じがするのでネタにしたいのですが時間が無くなったので本日はこの辺で勘弁(大汗)。



2017/11/13

お題「布野審議委員の見解は政策委員会に重みがありそうに見えますな/その他少々」

ATMが普及したら富裕層向きの対応が増えたとか何かリテール金融分かっとるのかという解説をしていた人がいたような気がした>モーサテ

#正直あの某W先生は物価指数以外の話をすると(ETF買入もそうだが)素っ頓狂な話が簡単に飛び出してくる浮世離れ系の方にしか見えないので、あまりゲスト解説にホイホイ引っ張り出さない方が良いと思う。このままだと電波解説芸人一直線やで

○謎の東京都プログラムにツッコミメモを入れて置く

マクラのつもりでいたら長くなってしまったので。

えーっとなんですかこれは・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-09/OZ36LY6S972801
運用業者育成でファンド設立、東京都が300億円規模、減税も−関係者
萩原ゆき、伊藤小巻
2017年11月9日 15:38 JST

『東京都は、資産運用業者の育成プログラム(EMP)を創設し、来年度にも300億円規模でのファンドの運用開始を目指す。東京都が10日に発表する「国際金融都市・東京」構想に基本方針を盛り込む。構想内容に詳しい関係者が明らかにした。』

『非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、EMPでは国内の政府系金融機関や公的年金など機関投資家から資金を集め、ファンド・オブ・ファンズを設定。新興運用業社にシード資金として提供する。東京都は、経費や手数料などにかかる約3億円を補助をする。資金調達面で不安を抱える新興資産運用業者の独立や運営を支援することで、1800兆円にのぼる国内の個人金融資産を有効に活用し、市場活性化の仕組みを作る。』(ここまで上記URL先より)

えーっとすいません、何で東京都がそんなことをしないといけないのか全く意味が分からない。「資金調達面で不安を抱える新興資産運用業者の独立や運営を支援することで」って金も集められないんだったら独立するなよ馬鹿としか思えないし、金も集められないでどうしようもないというのが独立して碌な事にならんじゃろうからそこにシードマネー出すとか大丈夫か。しかもそれ東京都が金集めるってだれが責任取るの(おい小池が責任取るの?)という風情でございまして、ここにタカリが喜んでやってくる姿しか思い浮かばないし、都知事のゆかいなお仲間がやってきておいしくいただきましたとかまさかそんな阿呆なことにはならないと思いたいもんですな。


○短国買入はまたも1000億円とな

http://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NG2O7
2017年11月10日 / 15:18
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利0.035%に上昇

ということですが先に短い方を。

『<15:15> 国債先物は続落、長期金利0.035%に上昇

(途中割愛) 短期金融市場では、無担保コール翌日物がマイナス0.035─マイナス0.055%付近を中心に取引された。週末を迎えたが、中心レートは前日比でほぼ同水準。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.100%とマイナス幅を縮小。TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.063%と横ばい。日銀の国庫短期証券(TB)買い入れは、想定内の結果に収まったが、3カ月物のTB(720回)は弱含みとなった。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。』

『<11:42> 日銀の短国買入、想定内の結果に収まる

日銀の国庫短期証券(TB)買い入れの結果は、買入予定額1000億円に対して、応札額は5984億円、落札額は1000億円。案分利回り格差はプラス0.030%、平均落札利回り格差はプラス0.035%。市場では「応札倍率が5.98倍と高くなったが、オファー額が1000億円と少ない額だったことから判断して、さほど気にすることはないだろう。利回り格差の水準を加味すると、ほぼ想定内の結果に収まった」(国内金融機関)との見方がある。』(以上上記URL先より)

てな訳で金曜の短国買入ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba171110.htm
国庫短期証券買入 5,984 1,000 0.030 0.035 40.0

ということで短国買入は2週連続で1000億円というミニマムな額にしてきましたが、ご案内の通りで短国3Mの金利水準が▲20bp以下の所で推移しているという強い状態になっている訳でして、2年とかも先週は▲20bp水準以下になるところもあったりしておりましたということで、短国の買入自体を削減するのは割と順当ちゃあ順当ではありますが、今週は水曜に1Y,木曜に3Mの入札があって、従来ですと1Yとか6Mの入札あった時には買入を多めにとか入れていましたけれども、そもそも短国買入自体はMB目標そのものを無くした(オーバーシュートコミットメントは残っているので全くなくなっている訳ではない)ので別に頑張って買入を維持する必要はない訳ですな。

元々のQQEの時にはMB増価目標の帳尻で短国があったので、はっきり言ってJGBの金利水準と全然関係ない所で短国だけ買い上げという状態になったりして、まあそうなるとJGBの短い所にも影響が来るという事になっておりましたが、YCCってことになって全体とのイールドカーブとの整合性を考えるという運営になっているのかどうかが微妙ではあるのですが、まあ今週も買入をそんなに打って来ない(その前に今週の短国入札が崩れていきなり▲10bp台前半とかになると話がまた変わるけど)という風になると「ああ短国もYCCとの整合性で何となく想定レンジみたいなのもあるのね」という事になるかなあと思いますがどうですかね。

ただ、水準が水準なだけに仕方ないですし、大体からしてマイナス金利政策などというのをやっているのがイカンのでこればかりはどうしようも無い所ですが、本来マイナス金利水準の短国買いってポートの残高調整の都合か、担保ニーズか、当座預金マイナスチャージ逃れニーズしか無い筈なのですが、ドル円ベーシスの関係での海外ニーズ(と海外中銀ニーズ)があって読みにくい一方で、短国買入自体は一応継続しているし週1だしということで、需給調節が難しいから中々読めません罠。

今月はまだ2000億円しか買入をしていなくて、先月末が230,411億円の残高、今月の償還が47,763億円(どちらも10末付の日銀保有短国の残高から自力で計算)なので、今の時点で月末見込み残高が184,648億円となり、今月受渡の短国買入はあと2回(再来週は来月)になるので、まあ普通に考えてこれだと月末には20兆円割れになりそうですね。というか20兆円割ってもこの金利水準を維持しちゃっているというのは中々凄いなと思う所で、QQEで短国買入をおっぱじめた時には残高もうちょっと上になってからありゃりゃという事になっていましたので、マイナス金利政策の効果なのか日本の円投ヘッジ付外債投資の残高増加効果なのか何だか知りませんけどほほーという感じですな。


#なお長い所はわけわからん


○布野審議委員会見である(遅れました)

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2017/kk1711c.pdf
布野審議委員記者会見要旨


・やたらめったらETF

まあタイミング的にはそういう話題になりますなとは思う物の。

『(問) 株価について伺います。昨日、日経平均株価が約 26 年振りの高値をつけました。一部では過熱感を指摘する声もありますけれども、最近の株価上昇についてどのようにご覧になっているのか、委員のご見解をお聞かせ下さい。併せて、ETFの購入について伺います。こちらは 2%の「物価安定の目標」の達成のための手立てという位置づけになっていると思いますけれども、2%を達成するまで、金額の変更も含めて見直しはないということなのか、それとも 2%を達成する前であっても、何らかの事情で見直すこともあり得るのか、もし見直すとすればどういった要素が判断材料になってくるのか、その辺りをお聞かせ下さい。』

聞く方も整理が出来ていないのだが、まあこれはETF買入に関して「リスクプレミアム縮小の為に買っている」とか言っている割にはそのリスクプレミアムに対するアセスメントが一度たりとも出た事が無く、しかも「パッケージで行っている」などという説明もするという有様で説明する方もハチャメチャというかその場その場でお為ごかしの説明をしているのが要因。

『(答) 株価についてですが、私としては、こういった高いレベルにまで株価が至ったということについては、非常に好ましいことだと思っています。色々な指標がありますから過熱しているというご意見もあるとは思いますが、私の観察するところでは、PERが低いレベルにとどまっていることなどに表されているように、過熱状態にはないと思っています。』

ほほう。

『ETF買入れについては、物価上昇率が 2%に到達するまで何も見直さないのかという趣旨のご質問であれば、現段階で私は変更の必要性を感じていません。様々な施策――長期金利、短期金利、量、質――について、物価上昇率が2%に達するまで全て変更しないといったようなことではありませんので、金融政策決定会合で変更の必要性が高まったという意見が大勢を占めるようになれば何らかの変更はあり得るのですけれども、今の段階ではそういう状況にはないと思っています。』

じゃあどういう状況になると変更の必要が出てくるのでしょうかねえ。

なおETFの質問にこの回答はまあ想定問答なのでしょうがちょっと・・・・・・・・・

『(問) 最近の株高について、日本銀行のETF買入れが一因だとみているのか、それともETF買入れとは全く無関係なのか、なかなか定量的な判断は難しいと思うのですが、その辺りのご認識をお願いします。』

『(答) ETF買入れはあくまでもリスクプレミアムに働き掛ける観点から行っています。最近株価が上昇していく中で、色々と巷間で指摘されているとおり日本銀行は殆どETFを買っていないわけですので、日本銀行が株を買って株価を上げたというのは事実としてないと思っています。』

ってひっかけ質問に引っ掛かった感がある(ひっかけた積りじゃないのかも知れないですが)ところでして、「バーナンキプット」とか懐かしの言葉を出すまでもなく、「下がったら日銀が買うんだから大丈夫」と言って買いを入れてくる動きというのはあるのですから「足もと日銀が買っていないからこの上げには日銀の買いは関係ない」的な言い方をするのはシロウトっぽくなるのであまり宜しくないと思います。

『私は今のような株価の動きというのは、世界全体の経済状況や資金の流れに加え、特にわが国企業の業績が強く反映されたものではないのかと思っています。 』

という部分だけお答えすれば良いだけの話で、もしそこに加えるのであれば「日銀の買入が市場に安心感を与えている面はあると思うが、今の株価上昇の背景は上述の通りで、日銀買入によって株式市場に何らかの過熱が生じているという状況にはなっていないと考えられる」という想定問答にしておいた方が無難だと思います。


・2%達成前に調整云々

もともとそれは出来る建付けになっているのですが・・・・・・・・・・・・

『(問) 先程のお話では、物価目標の 2%に達する前に政策の調整を行うこともあり得るということだったと思います。今の物価上昇率はコアで 0.7%ですが、少なくともこれが 1%台に定着する状況でなければ、ETF買入れに関する調整にしても、長期金利の調整にしても行うことは難しいとお考えかどうかをお聞かせ下さい。』

まあ具体的な数字を出して聞く方が聞きやすいんですよね。ただそうやって聞くと・・・・・

『(答) 将来どのような議論が金融政策決定会合でなされるかによりますので、今のご質問のように物価上昇率が 1%に至ったら政策変更するとか、機械的な話にはならないと私は思っています。』

といっていますが、その後の説明が中々。

『繰り返しになりますが、物価を中核にしながらも、経済や金融情勢も踏まえたうえで、話し合いがなされていくとみています。私自身が政策を考える際には、そのようにしています。』

この「繰り返しになりますが」は引用順序が逆になってしまいましたが、このあと引用する部分でも話をしていまして・・・・・・・・・・

『そのうえで申し上げますと、2%の「物価安定の目標」を達成するまで、政策は固定的だという見方が多いとすれば、私は必ずしもそうではないと思っています。「オーバーシュート型コミットメント」におけるマネタリーベース残高の拡大方針では 2%がポイントになっていますが、他の政策ツールについては、あくまでも経済・物価・金融情勢を踏まえたうえで、それぞれの委員が考え、意見を持ち寄って議論し、その結果が政策となると私は考えています。』

ということで、思いっきり政策の調整の可能性の話をしております。ETFの話は具体的に行うのを避けてますけどね。


・追加緩和に否定&副作用にも言及とな

そのちょっと前の質疑から。

『(問) 午前中の講演の中で、緩和的な金融環境を息長く継続していくことが重要だと述べられていたと思います。一方で、一部の審議委員からは追加緩和の主張が出ています。この追加緩和の必要性について、現状どうお考えでしょうか。またその追加緩和に伴う副作用についてどうお考えでしょうか。』

キタコレ。

『(答) 私は、ご存じのように、先の会合において現状の政策を継続する案に賛成しました。金融政策に限らず、行政や企業の施策でも作用と副作用の両面があると私は認識しています。副作用のない薬はないと思っています。』

イェーイジンバブエ先生息してるぅ〜♪

『そのような意味で、現在の金融政策についても、副作用の動きについて常に注視して進めていかなくてはならないと思っています。作用と副作用をみながらバランスをきっちり取っていくことが必要だと思っています。』

(;∀;)イイハナシダナー

『そのようなバランスを取るという観点から、現時点において追加緩和が必要かというと、私は必要ではないと思っています。物価については、多少遅れがあるという話も聞かれますけれども、上昇基調にあると私は思っています。この基調がよい方向に展開して予想物価上昇率も上がっていけば、現在の枠組みの中での金融政策の作用が強くなっていくわけですから、その辺りもみながら、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくことになると考えています。』

ということで、思いっきり副作用に言及するとか、バランスを取ってとか、金融政策決定会合で「主な意見」の中で副作用論とかバランスの話が出てきていて、それが増えているというのは布野さんのこの見解が重みをもって金融政策決定会合の各政策委員に響いてきている(なおどんな良い話を聞いても馬の耳に念仏というのが約2名いるように見える)という所なのかも知れないな〜と今回の会見質疑応答(と講演のほうでの「2%達成に無理はしないでやっていく」というのと)を見て思うのでありました。




2017/11/10

お題「市場メモ(ただのメモ)/本田さんのブルームバーグインタビューとな/主な意見に少々ツッコミを」

ほほう。
http://jp.reuters.com/article/usa-tax-cassidy-1109-idJPKBN1D92PF
2017年11月10日 / 03:13
米法人減税先送り、上院共和党の改革法案に=議員

○材料らしきものがあったとも思えんのだが

・株式が何せ凄かったのでメモを記念に置いておく

http://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-idJPL3N1NF3M4
2017年11月9日 / 17:11
〔マーケットアイ〕株式:日経平均・日足は「小陰線」、高値波乱

まあ何ですな、時系列で見出しを並べ直してみると・・・・・・・・・・

『<09:44> 日経平均は堅調、TOPIX節目突破・裁定買い残高水準で先高観
<11:00> 日経平均は300円超高、ボラティリティ―指数は2カ月ぶり高水準
<11:42> 前場の日経平均は急反発、454円高 騰勢続き2万3300円台
<12:44> 日経平均は上げ幅縮小、ランチタイム中に先物が伸び悩む
<14:08> 日経平均は2万3000円割れ、利益確定売りに押され下げ転換
<14:25> 日経平均は350円超安、オプションSQ算出前でポジション調整
<14:55> 日経平均は急速に持ち直す、アルゴ取引が乱高下に拍車か
<16:43> 新興株はまちまち、好業績株への買いが継続
<17:06> 日経平均・日足は「小陰線」、高値波乱』(上記URL先の小見出し、一部省略)

って動きでしたが、何か要人発言的な外部材料でも出て動いたというのでも何でもなさそうな所がワンダホーな値動きでして、日中高安850円とかだわ上がって下がってまた戻っているのですから移動距離(?)は大変なもんでございましたな。

為替は株が下がっている時に円高になっていて、戻っても戻らんという謎展開になっておりましてこっちもまたナンジャラホイという感じですがさっぱり分からんけどメモだけ後の為においておくということで勘弁。


・でもって円債ちゃんですが

http://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NF2S7
2017年11月9日 / 15:17
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.030%に上昇

『<15:13> 国債先物は反落、長期金利0.030%に上昇

長期国債先物は反落で引けた。基本的に好需給を反映して底堅さをみせたが、30年債入札が低調な結果になると、下落幅を拡大する場面があった。日経平均株価が乱高下したことから強弱感が交錯する展開になった。

現物債市場では、過熱気味に推移してきた超長期ゾーンの金利低下が30年債入札結果確認後に一服した。一時30年債利回りは6月23日以来の0.785%、40年債利回りは6月22日以来の0.950%にそれぞれ低下した。中期ゾーンも終盤にかけて軟化。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札が市場想定より弱い結果となったことが少なからず影響したもよう。一時2年債利回りは4月24日以来のマイナス0.220%、5年債利回りは9月11日以来のマイナス0.145%にそれぞれ低下していた。

長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比4銭安の150円95銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp上昇の0.030%。先物安に連動する格好で金利に上昇圧力がかかった。』(上記URL先より)

ってことで、前場は引き続きという感じで2年が強かったのですが、より凶悪な感じなのが30年で入札に向けた前場引けに向けてホイホイ強くして、1.5毛強/1毛強とかやっていて、しかも20年カレントはその間引けから5糸強程度というこの超長期の後ろの強さとかやっておったら入札滑ってあちゃーとなって失速。3Mに関しても入札が事前の気配よりイマイチという感じで中短期も失速という感じですが、時間的に入札コケてズルリといういう感じでしたが、株式市場とは関係あるのかないのかよくわかりませんけれども、時間的には似ていたのが笑ってしまいますが。

つーことでまあ良く分からんでござるにも程がありますが、昨日は色々と上げ下げしてひえーという感じでした、というただの月並みな感想を書いているだけというグダグダメモなのでありました(汗)。


○本田センセイェ・・・・・・・・・・・・・・・

ロイターだけではなくてブルームバーグニュースにもアピールとな。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-08/OZ1I296JIJUO01
日銀執行部は退任を、体制転換なくデフレ脱却ない−本田スイス大使
天野高志、藤岡徹
2017年11月9日 05:00 JST

まあ何というかですが、こんなに全力でアピールするというのは次期総裁云々という点で言いますと少々どころかだいぶアレという事だから盛大に吹いているのでしょうなあとは妄想するのですけれども、ロイターの方はまあスルーした訳ですがこちらのブルームバーグに関してはツッコミどころがさすがにアレなのでそんな餌に俺様がクマーとなって釣られてみる。

『本田氏は総裁・副総裁の任期が来春に迫ってもデフレ脱却への成果が出ておらず、日銀執行部の退任は当然だと話した。さらに物価上昇の水準を考えると、なぜ「続投できるのか」と述べ、「レジーム(体制)を再構築しない限り、デフレから完全に脱却することは無理」と主張した。』(上記URL先より、以下同様)

ということなのですが、大先生のご意見を同記事の下の方を見ますと・・・・・・・・・・

『13年1月の政府と日銀の共同声明の全面改定も主張。政府・日銀の協力関係を再確認し、名目国内総生産(GDP)水準目標や賃金上昇目標などの明記も有効だという。デフレ脱却には金融緩和に加えて財政支出が必要と指摘。日銀も財政を金融緩和で支えていく姿勢を示し、「少なくとも日常的に意見交換をして、いかにしてデフレ脱却をするということを真剣に議論しないといけない」という考えだ。』

>デフレ脱却には金融緩和に加えて財政支出が必要
>デフレ脱却には金融緩和に加えて財政支出が必要
>デフレ脱却には金融緩和に加えて財政支出が必要

・・・・・・・んーっとですな、アタクシ頭が悪くて良く分からないのですが、金融緩和に加えて財政支出が必要なのにデフレ脱却できていないから日銀執行部の退任は当然、というのが謎理屈にしか見えない訳で、財政支出が足りないからデフレ脱却できていないのであれば、責めを負うのは日銀じゃなくて政府になりますし、そうなりますと総理の経済ブレーンなどという方々も責められて然るべきなのではないかと思うのですが、どういう理屈でこのような話になるのでしょうか?まさか自分の猟(以下自主規制)。

でまあ記事の最初の方の続きに戻しますと、

『デフレ脱却が達成できない根本的な原因としては「理論を日銀の執行部が理解していない」ことを挙げ、「現状を総括してきちんと責任を取る必要がある」と批判。』

この件に関しては置物副総裁のご見解を是非拝聴致したいところです。

『総裁就任の申し出があった場合は「命を懸ける」と前向きな姿勢を示した。』

置物師匠の「最高の責任の取り方は辞任」を上回る決意表明が来ましたよ!!!!

『19年10月には消費増税が控えている。本田氏は、消費増税前には2%を超える物価上昇率を確保しなければ「非常に危険」との見解を示した。足元の経済環境で増税した場合、日本経済の「息の根が止まるかもしれない」とまで考えており、「危機感を感じている」と話した。』

そんなにまで消費増税に破壊力があるんだったらVATの税率が2ケタの国は今頃全部滅びているんじゃないでしょうかとかいうツッコミもあるのですが、しかしまあ今の経済が2%消費増税に耐えられないとは随分とダメダメな経済でして、それはアベノミクスが全然効果を現していない、ということに他ならないって結論になると思うのですがどういう理屈になるのやら。

まあしかし何ですな、2019年10月の前には2%物価行かないと日本経済の息の根が止まるそうなので、日銀総裁に間違ってご就任された際には当然ながら2019年前半位までには2%物価に行かせるのを命を懸けて取り組んで頂けるということになるのでしょうから、2019年の10月に物価が行ってなかった時にはバンクオブジャパンのサムライガバナーによるリアルハラキリショーが世界に向けて発信されるとかクールジャパンってレベルじゃねえぞというのが見られるということでしょうかね。

そういうの全部確約して頂けるんでしたらぜひ総裁をお引き受けになられたら如何でございましょうか、ああそれから2%物価目標達成ったって悪性インフレを発生させて物価2%行きましたみたいなインチキはダメですし行かなかったのを言い訳するのもダメですからね。

てなわけでついうっかり釣られてしまいましたが、ブルームバーグニュースのインタビューアーが話を盛るとはさすがに考えにくいのでリアルにこういう話してるのかよとかさすがに頭がクラクラするのですが。


○決定会合主な意見が色々と面白かったのですが頭のクラクラするものも混じる

つーことで先日の方が来ましたよ!
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2017/opi171031.pdf
金融政策決定会合における主な意見(2017年 10月 30、31日開催分)1


以下の部分では他の文書からの引用がありますが、個別に何処から引用と無いものは上記URL先の「主な意見」からの引用ということで宜しくお願い致します。


・片岡さんの「15年0.2%」が目を覆う残念なご意見のようで

いきなり『U.金融政策運営に関する意見』の片岡さんの提言を確認するので、念のため声明文の脚注を再度確認しましょう(^^)。

『(注1)片岡委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。

(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:片岡委員。片岡委員は、イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15 年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』(この部分10/31公表のMPM声明文脚注より)

でまあ今回主な意見の『U.金融政策運営に関する意見』の一番最後に2つ片岡さんの反対理由にあったお話があるのですな。注1に対応する方が最後にあって、

『「展望レポートにおける消費者物価指数の政策委員見通し中央値について、国内要因により『物価安定の目標』の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じる」というコミットメントを導入すべきである。』

となっているのですが、「追加緩和手段を講じるというコミットメント」ってなっていまして、声明文脚注だと「追加緩和手段を講じることが適当」という表現だったので、実際はもっと強いコミットメントを入れろ、というお話。

でもってこれは元々のQQEの時でも途中から達成後ずれと追加緩和がリンクしていなかった上に総括検証では「経済・物価・金融」面から判断する、となっているので、これは総括検証の否定になっている(15年金利の方もそうですけど)ので、それを覆す骨太の議論をお願いしたいですな。

さらに言いますと、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)

の方でも、『日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』(この部分上記URLの共同声明から)

となっていまして、そもそも論として政府との共同声明においても金融面での不均衡などの問題も点検する、となっているので、物価目標の達成時期の後ずれ即追加緩和というのをコミットする、というのは実は政府との共同声明に対してもおかしくねえか、ということになるのでしが、まあ追加緩和する宣言するなら具体策考えろという事になるのですが、例の15年金利の部分は・・・・・・・・



『『より長期の金利を引き下げる観点から、長期の金利操作対象として、10 年物国債金利に代えて、15 年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう長期国債の買入れを行う追加緩和策を講じる ことで、GDPギャップや予想インフレ率の上昇、消費者物価への波及を強化し、「物価安定の目標」の早期達成への確度を高めるべきである。』

となっていまして、この提案ってマイナス金利の深堀とか10年目標金利のマイナス化とかを伴わないどころか、10年目標金利は外してしまって15年金利を何故か20bp未満という意味不明(当時の水準から10bp程度下がれば20bpになるので)な水準に設定したのがなぜか「追加緩和策」(今回は枠組みを変えるだけなので金利水準は大きく動かさないことを念頭に置いて20bpというのならまだ意味は通じるのだが)になるのかというお話。

まーこちらも「超長期などの金利よりも長期以下の金利が実際の経済活動に対して影響が大きいのに加え、超長期などの金利はあまり下がり過ぎると長期的な年金運用などのような資産形成など悪影響を与える面もありますなあ」という総括的検証とは別の話をしておりますので、そちらについてもご意見を頂きたいのですが、まあそれ以前の問題として、「15年の金利を10bpちょっと下げると何故物価目標達成が早期化できるのか」という点についてのご説明を賜りたい訳ですよ(つーか15年20bp未満とか以前そういう金利なってた時もあったんですけどねえ)。

つーことで片岡大先生におかれましては緩和提案大喜利芸人としての地位をこの一発で確立されてしまいましたので、以降まあどうでも良いという事にはなるのですが、次回の決定会合の時に15年の金利水準が動いていた時に提案内容がどうなるのか乞うご期待という所でしょうな。


・これはまた香ばしい方が

同じく『U.金融政策運営に関する意見』ですが、まあ大体この2つはジンバブエ先生じゃろと思うのがありまして、

『米欧の中央銀行が出口に向かっているので、日本銀行も同様に出口に向かうべきだという意見があるが、これらの国に比べて、金融緩和の開始時期が遅いため、出口に向かう時期が遅くなることについても不思議はない。』

「これらの国に比べて、金融緩和の開始時期が遅いため」っていう所でこりゃジンバブエ大先生じゃろと思いますが、そもそも金融緩和の開始時期が遅いとか何をゆうてますやらという感じで、サブプライム云々の前って米国の短期金利は5%台でしてその時の日本の短期金利幾らだと思ってるんだというのはありますし、まあそれよりも「金融緩和の開始時期が遅いから出口に向かう時期が遅くなるのも不思議ではない」ってそれは実施した金融緩和の規模にもよるでしょうし、各国の経済状況の違いにもよる話で、そんな子供のような理屈をこういう所で開陳されても困るのですが・・・・・・・・・・

でもってその次もワロタ。

『金融緩和の出口では、日本銀行が赤字を計上して大変なことになるという議論があるが、これは木を見て森を見ない議論である。金融緩和の過程では、日本銀行の収益増加で納付金が増え、税収が増大して財政赤字の対GDP比も減少する。出口の後でも長期的には、金利上昇に伴う日本銀行の収益の増加が見込まれる。』

正直これは読んでて声を出して笑ってしまったのですが、いや前半の「これは木を見て森を見ない議論である。」というのは良いんですよ、しかしその後半で話をしているのは結局収益の話をしている訳で、「木を見て森を見ない議論である(キリッ)」というのであったら、本来は「2%物価目標達成という目標達成の方が重要」という話で締めて欲しい訳で、木を見て森を見ない議論である(キリッ)の後で結局お前も木の話をしてるじゃんとしか言いようのない説明が続くのはさすがにウケる。

つーかですね、大体からして「出口で日銀が赤字」云々ってそんなのは出口の時の状況にもよる訳で、定量的に今からどうのこうのという話は出来ないですが、バランスシートを馬鹿拡大させると出口の時に定量的に問題が出るリスクが高まるのですが全然達成しない中でドンドン馬鹿拡大させて良いんですかとかそういう話なのであって、上記のような雑な話(纏めているから雑になっている面は同情の余地はあるけど)してもシャーナイというか、いまさらこんな話をわざわざしなくても良いのですけど、とは思う訳で、どうも大先生に置かれましては何か金融緩和に対する懸念について物凄い斜め上の話ばかり見えているのか脳内で勝手に変換しているのか分からんですが実に不思議な反論をしてくる人ですなあと思うのでした。


・お笑いだけではなくて少し真面目に読むと今回はやたら副作用論とかが

『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』ですけど。

『労働力率や労働生産性の上昇は、短期的には、物価の下押しに作用するが、スラックの縮小につれてそうした影響はいずれ減衰するほか、長期的には、潜在成長率を引き上げ、人々の将来不安の後退等を通じて物価の押し上げに寄与すると考えられる。』

という最近良く出てくる「良い押し下げ圧力もある」が出ていたり・・・・・・・

『U.金融政策運営に関する意見』の方ですと、

『現在の金融政策は、企業が不断の生産性向上に取り組むことができる環境を整えるうえで、政策効果の不確実性が最も小さく、最適な金融政策である。仮に政策を変更する場合には、「物価安定の目標」の達成を早め、持続可能性を高めることがより確実なものでなければならない。政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切である。』

>政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切である
>政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切である
>政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切である

とか片岡さんを全力で叩きに行っているのがあったり・・・・・・・・

『2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されており、当面は現行の政策の効果を見守ることが肝要である。目標達成を急ぐあまり極端な政策をとると、金融不均衡の蓄積や金融仲介機能の低下といった副作用が生じる恐れもある。』

『追加緩和に関しては、市場や金融機関への影響、政策の持続性等の観点から、プラスの効果より副作用の方が大きいとみている。』

『国債市場の流動性に加え、国内外投資家の動向や金融機関の保有有価証券ポートフォリオの中身について一層注視する必要がある。』

とか金融不均衡ネタがあったり・・・・・・・

『ETFをはじめ各種リスク資産の買入れについては、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から点検すべきである。』

とかETFネタがあったりしまして、やたら副作用論が出ているのも今回目につくところでありまして、まあこの分量だと数名の方が指摘している感じがあって誰だろうかと思ってしまうのです。


・ところでおまけ

でまあおまけですけど、『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』に少々????なのがあったのだがこれどういう意味か教えて欲しいのだが。

『企業の内部留保が過度に積み上がれば、経済全体として過剰貯蓄の状態となり、自然利子率が低下する可能性がある。企業の貯蓄・投資・労働者への配分のバランスが重要である。


内部留保って資本の部の話で、現預金の話とは必ずしもリンクしない(自己資本が厚いからと言って現預金が必ずしも多い訳ではないんじゃないの)と思うのだが。いやまあ言いたいことの趣旨は分かるのだが何か気になったので。

#ということで時間の都合で布野さんの会見がパスになってしまいました(昨日の市場と変なツッコミをしたのが悪い)







2017/11/09

お題「市場雑談備忘メモ/布野審議委員宮崎金懇挨拶はまあ手堅いですが」

まあ何だ、これだけ盛大にアピールするということは逆に考えると・・・・
http://jp.reuters.com/article/boj-governor-idJPKBN1D823C
2017年11月9日 / 00:10 /
日銀総裁に就任すれば、全力でデフレ脱却実現する=本田・駐スイス大使

『[東京 8日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済アドバイザーとして知られる本田悦朗・駐スイス大使は8日、ロイターとのインタビューに応じ、次期日銀総裁に指名され就任が決まれば、2%の物価目標実現によるデフレ脱却を全力で実現すると述べ、ポストに強い意欲を示した。』(上記URL先より)

デフレ脱却宣言がそろそろ次のGDP速報辺りで行けるかもというのに水を差してどうする。

『「デフレ脱却後の(金融緩和からの)出口では、金融機関の規制に詳しい副総裁が必要で、結果的に日銀出身者になるのではないか」とした。加えて「現在の岩田規久男副総裁のように政策の理論的支柱も必要」と説明した。』(上記URL先より)

この短い中でも2回も椅子から転げ落ちてしまうのですが、「金融機関の規制に詳しい」じゃなくて「金融市場に詳しい」だろ何言ってるんだよと言う話だし、置物のどこが今の政策の理論的支柱なのかということで、このおじさんの話は色々と絶望的でありまして、しかも総裁ともなるとどこぞの置物のように国内に幽閉しておく(一度だけ韓国中銀のコンファレンスに行ったっきりですな)訳にも行かず、海外の金融政策当局と渡り合わないと行けないのですけれども、この調子で外に行ったらさすがに恥ずかしいにも程がありますけど大丈夫ですかねえ。


○それまで平穏だった債券市場が11月になってからアレということで

まあ。
http://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NE3OB
2017年11月8日 / 17:59
〔マーケットアイ〕金利:30年債利回り急低下、ショートの巻き戻し観測

てな題名がついておりますように・・・・・・・

『<17:53> 30年債利回り急低下、ショートの巻き戻し観測

夕方の取引に入り30年債利回りが急低下。足元の30年債利回りは6月23日以来となる0.790%で推移している。市場では「ショートを巻き戻す動きが活発化している。加えて、来年度の発行減額への思惑も交錯しているようだ」(国内証券)という。30年債はあす入札を控えているため、持ち高調整を期待する市場参加者もいたが、「一定需要を喚起できるとみていた節目の0.8%を割り込んだことで、入札への警戒が高まりそうだ」(同)との指摘がある。』(上記URL先より)

ということでここもと30年がソイヤソイヤと債券先物がホイホイ上げている位の勢いとなっている訳ですが、発行減額ネタで買うというのも何か筋悪感はあって、発行減額したらすかさず輪番減額されるだけの話だと思うんだが。

『 <15:15> 国債先物は反発、40年債4カ月半ぶりに節目1%割る

(途中割愛)現物債は中期ゾーンを中心にしっかり。海外勢とみられる買いが入り、2年債利回りは5月2日以来となるマイナス0.205%に低下。超長期ゾーンでも利回り確保の動きが続いており、40年債利回りは0.985%と6月27日以来、約4カ月半ぶりに節目の1%を割り込んだ。』(上記URL先より)

てな訳で2年とかの短い所も強くて、昨日の6M短国は、

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20171108.htm

(3)募入最低価格 100円11銭3厘(募入最高利回り)(-0.2276%)
(4)募入最低価格における案分比率 9.4171%
(5)募入平均価格 100円11銭8厘(募入平均利回り)(-0.2376%)

とこちらも▲20台で、6Mと3Mだから単純比較するのも何ですが、先週の3Mが▲18.97平均、▲18.42足切だったので益々確りで、昨日引け(今日付)の売買参考統計値見ますとこの新発6M719回が▲23.9、カレント3M718回が▲22.0(平均値単利ね)と華麗に強い状態になっておりまして、何かこの30年と短期が強いのですが、10月はそれまでろくすっぽ動かなかった(9月月末から10月月初に動いてその後見事なウゴカンチ会長)のですが、いやあの大体国内外の金融政策当局の動きってほぼメインシナリオ通りだと思いますし、別にどこかで変な事が起きた訳でもないですし、(株が強いのを変な事というかは微妙だけど)海外金利の居場所もそんなに変わった訳でもないのですが、急に冬眠から覚めたかのようにホイホイと強くなるとはって風情で、「買いが入りだしたから金利が下がりましたなあ」以外の後講釈がちょっとしにくいのですが誰か達人の方どうなっているのか教えてジェネラルという所でございまする。

30年の方は誰かがアロケーション変更でもして急に買いだすとか、金利上がらないからランボー怒りの買いとかなのかなあとしか愚考できませんし、短い所はどうせ海外とか国債残高上のニーズとかあるんでしょうが、こちらに関しては追加緩和の可能性がまず無いというのに何をここで突っ込んで金利下がって行くのよというのも・・・・・・・

と、状況だけ書いて結局何の回答も無いというダメダメなメモなのでした(恥)。

そう言えばどうでもよいのですが、片岡大先生の提唱された15年金利を見ますと、昨日引けの売買参考統計値を見ますと、超長期141回と142回の平均値単利はともに0.270%となっているのであと7bpとなるのですが、ちょうど9月決定会合の時の水準と同じになってきたのでやはり7bpでも追加緩和が必要という事になるんでしょうね(棒読み)。



○布野審議委員宮崎金懇とな

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171108a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko171108a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 宮崎県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

先般ネタにした9月の金融政策決定会合議事要旨では『このほか、何人かの委員は、強力な金融緩和が金融市場や金融機関に与える影響にも十分に注視すべきとしたうえで、金融仲介機能が損なわれ、結果的に2%の実現時期が遠ざかる状況は避ける必要があるとの認識を示した。』(9月決定会合議事要旨から)というのがありまして、「何人か」なので3名以上の方がこの指摘をしている訳で、ここの中に布野さんが含まれているかも知れませんな、とか考えたりする訳ですよ。

ただ基本的に布野さんは金懇挨拶のような所では手堅く来るのでこちらの方は割と普通の物に仕上がっていると思いますがさて・・・・・・・・・・・・・

・手堅い説明ですがとにかくシャカリキになって2%という話ではなくなっているようで

最初の『2.最近の経済・物価情勢』は現状の数字の話なので割愛しまして、『3.わが国経済の特徴と経済・物価見通しを巡る留意点』から。

『以下では、こうした経済・物価見通しが実現していくにあたって、足もとにおけるわが国経済の特徴を私なりに整理し、そのうえで、私が留意している点をお話ししたいと思います。』

ほほう。で小見出し『(1)足もとにおけるわが国経済の特徴』に入る。

『足もとにおけるわが国経済の特徴として、様々な項目がバランスよく景気を牽引していることを指摘できます(図表5)。外需の面では、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、輸出は増加基調にあります。また、国内の民間需要においても、企業収益や業況感が改善するなかで設備投資は緩やかな増加基調にあり、雇用・所得環境の着実な改善を背景に個人消費は底堅さを増しています。加えて、公的需要においては、2016年度の経済対策の効果が顕在化したことにより、公共投資も増加しています。このように複数の項目がバランスよく景気拡大に貢献している最近の環境は、わが国経済が今後も緩やかな拡大を続けるために必要なものでもあります。特に、所得から支出への好循環や、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まるという好循環が作用するうえでは、重要な要素だと考えています。』

つまり好循環はこれから作用するという事でして、確かに今回はバランスが良くて何かが強力に引っ張って他がダラダラ付いてくるという感じでもないので形として良いというのは分かるのですが、肝心の所得からの好循環の方なのですが、以前からもずーっと何だかんだ言って「この調子だからこれから好循環だぜヒャッハー」という説明をしながら中々そうは行かない、というのを見ているだけに(つーか個人所得に跳ねないのがアカンし社会保障費負担とかしらっと上がっているし)どうもホンマカイナという懸念は拭えない。

『続いて、留意点として雇用・所得環境についてお話しします。労働需給は着実な引き締まりを続けています。雇用者数が1%台半ばの伸びを続けているもとで、着実な上昇傾向をたどっている有効求人倍率は1970年代前半以来の高い水準にあります。また、失業率も足もとでは2%台後半となっており、人手不足感も強まっています(図表6)。先行きも、雇用者数は引き続き増加し、労働需給は一段と引き締まっていくとみています。賃金面をみると、一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも、緩やかに上昇しています。労働需給の状況に感応的なパートの時給は、足もとではプラス2%台半ばと高めの伸びとなっています(図表7)。』

パートタイムは上がってるんですよね〜、とじっと手を見る(号泣)。

『先行きは、インフレ予想の高まりが明確になるにつれてベースアップが伸びを高めるもとで、一般労働者の給与も緩やかに伸び率を高めていくと想定しています。』

そのインフレ予想の高まりがですなあ・・・・・・・・・・・

『このような雇用・賃金情勢を反映して、雇用者所得は、振れを伴いつつも、緩やかに増加しています(図表8)。先行きも雇用者所得は緩やかに増加していくとみていますが、一般労働者とパート労働者では賃金決定メカニズムが異なり、企業における賃金設定スタンスが慎重なものにとどまるリスクもあることから、今後の企業の動きに注目しています。』

という話なのですが、ここらあたりの話に関しては昨日ネタにした総裁の名古屋経済界での会見とかでもそうなのですが、以前だったら「おう賃金上昇しねえと2%行かないんじゃとっとと上げやがれゴルァ」というニュアンスが強めだったのですが、最近はもうすっかり「今後上がって欲しいですなあ」というほのぼの(?)とした感じになっておりまして、この辺りからも「2%達成を急ぐのではなく、緩和政策を継続するなかで徐々に上がって行くということで宜しいのではないか」的なものを感じますな。

『次に、物価上昇率を規定する主な要因である需給ギャップと予想物価上昇率についてお話しします。第1に、マクロ的な需給ギャップは、着実に改善しており、4〜6月に1%台前半のプラスとなっています。7〜9月の需給ギャップは、各種指標の改善を踏まえると、プラス幅を幾分拡大した可能性が高いとみています(図表9)。先行きは、2017年度はプラス幅を一段と拡大し、その後も、内外需要の増加を反映して、資本・労働の両面でプラス幅の緩やかな拡大が続くと見込んでいます。2019年度下期には、消費増税の影響から、プラス幅の拡大は一服するものの、比較的大幅なプラスを維持すると予想しています。』

『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、弱含みの局面が続いています。先行きについては、先ず(1)「適合的な期待形成」の面において、マクロ的な需給ギャップが改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化していくと予想されること、また(2)「フォワードルッキングな期待形成」の面において、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことから、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向をたどるとみています。』

『もっとも、企業における価格設定スタンスの動向によっては、需給ギャップに対する価格の動きが鈍い商品が存在したり、予想物価上昇率の高まりが遅れたりする可能性については留意が必要だと考えています。』

先程の部分もそうでしたが、物価の所も含めて執行部見解を踏襲していてこの辺は布野さん手堅いにも程があってネタ的には面白くない(すいません)ですな。


でもって小見出しの『4.金融政策運営』。

『次に、金融政策についてお話しします。日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」として、これをできるだけ早期に実現することを目指して金融政策の運営をしています。この2%の物価上昇を目指す理由は3つあります。』

以下割愛という感じですが(ボスキンバイアスと糊代と海外が同じだからといういつもの理由なので今更引用するまでもない)、2%の物価目標をおっぱじめてもう4年以上経過しているのに相変わらずこの説明が入る、というか最近金懇とか総裁講演とかでよく触れるようになっている感じはするのですが何でなのかは気になる。

でまあその理由はいつも通りですが、この次がこの前の櫻井審議委員の金懇と同じなのですけれども、キタコレという説明。

『ここで重要なことは、日本銀行は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念として金融政策を運営している点です。単純に物価の上昇を目指しているわけではなく、物価上昇率2%という物価の安定が実現するもとで、所得もしっかりと増加し好循環が働く経済を目指しているということです。』

何が何でも2%とか、2%インフレ目標で世の中が変わって皆さんウハウハ的なお話はどこに行ったのでしょうかという風情ですが、櫻井さんに続いて布野さんもこういう話を強調していまして、まあ路線は変わりましたなあとしみじみ思うのでありました。

『物価が安定的に上昇して企業や家計がこれを前提に行動するようになれば、商品やサービス価格の上昇により、企業の売上げや収益の増加を通じて賃金も上昇して、消費も活発化していきます。日本銀行は、このような経済の好循環が働く、持続可能な物価安定の実現を目指しています。』

「持続可能な物価安定」ですから、需給ギャップがプラスで2%だぜヒャッハーというのもそれはサステイナブルではありませんので時間が掛かるんですよね〜。

ということでYCCとオーバーシュートコミットメントの説明がありますがそこは飛ばしまして、

『足もとにおいて、2%の「物価安定の目標」の実現に向けたモメンタムはしっかりと維持されており、消費者物価の前年比は、今後、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられますが、目標の実現までにはなお距離があります。こうした現在の経済・物価・金融情勢を踏まえると、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが重要であると考えています。』

という話で別に変った話をしている訳ではないですが、まあそういうことで。


・金融政策で物価を頑張って上げましょう的なニュアンスが無いお話が

次の小見出しが『5.日本経済の課題』ですが・・・・・

『次に、私なりに、より長期的な視点から、日本経済が置かれている状況を考えてみたいと思います。』

てなわけですが、

『日本銀行の推計によると、わが国の潜在成長率は1980年代後半に4%程度であったものが、最近は0%台後半となっています(図表11)。近年は上昇傾向にあるものの、人口減少や生産性の低下などを背景として、趨勢的に下降してきたと言えます。このため、わが国における成長期待は低下し、将来の経済に対して悲観的な見方も聞かれています。』

『しかし、人口減少による影響が大きく、生産性の向上には時間がかかるとはいえ、私はわが国経済を必要以上に過小評価する必要はなく、潜在成長率の底上げは可能だと考えています。また、日本銀行が目指している持続的な物価安定に向けても、潜在成長率の引き上げは重要で、幅広い主体の取組みが求められます。』

ということで「金融政策だけでやる」という感じの話ではないですよね。

『企業経営の観点からみると、潜在成長率の引き上げに向けて、供給体制の合理化や高度化だけではなく、消費者の需要が多様化し変化を続けるような現代においては、新たな需要を掘り起こして、これに合わせた供給体制を整えることが重要となります。すなわち、まだ姿を現していない潜在的な需要を見つけ、付加価値の高い差別化された新しい商品を開発・提供していくプロダクト・イノベーションに、長期的かつ持続的に取組むことが求められます。』

『それに際しては、新しい商品を生み出す人材とその商品を求めるような環境の二つが特に重要であると考えています。時代を変革するような開発から、既存製品の改良に至るまで、大小を問わずイノベーションを起こすためには、これを発想し開発する人材の確保が必要なのは言うまでもありません。これに加えて重要なことは、新しい商品を求めるような環境です。わが国において多くのイノベーションを起こすには、需要が適度に刺激されることによって、需要とイノベーションとの間の好循環を継続することが重要です。』

ほほう。

『「必要は発明の母」とも言われます。消費者の多くが従来の商品以上のものを求めない心理状態は、イノベーションが起きにくい状態です。』

ほう。

『一方で、日本銀行の緩和的な金融政策が適度に需要を刺激している現在の環境は、イノベーションを誘発するという観点からも良い影響を与えていると言えます。潜在的な需要を見つけ、これを実際の需要につなげていくには時間がかかります。したがって、イノベーションを推進していくうえでも、緩和的な金融環境を息長く継続していくことが重要だと考えています。』

ということで微妙に強引な感じもしますが、まあ言いたいことは分かるのと、この説明だと「強力な金融緩和で物価を頑張ってあげましょう」というのとはニュアンスがだいぶ違いますな、とまあそんな風に思うのでありました。










2017/11/08

お題「名古屋の総裁記者会見に微妙に味わいがあったので少々」

ナムナム
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20171107-OYT1T50007.html
希望に不協和音、供託金の返還「落選者を優先」
2017年11月07日 08時48分

○名古屋講演での総裁記者会見があったので少々

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2017/kk1711b.pdf

・片岡さんの提案に対するコメントがありました

『(問)本日日銀が公表した 9 月の金融政策決定会合の議事要旨ですけれども、一部、反対した委員の意見として、今のイールドカーブの水準が 2%の達成のために十分に緩和的ではないと、更に需要を増やすために、もっと刺激すべきだという趣旨の意見が紹介されました。それに対する他の委員の反論も一部紹介されてはいるのですが、黒田総裁のその意見に対するお考えがどういうものか教えて下さい。』

でもって答え。

『(答) 本日、この間の決定会合で承認された議事要旨が出ました。こちらには議事の流れが出ていますので、どういう流れで最終的な金融政策についての決定が行われたのかが、よく分かるようになっています。』

いや分かりやすくは無いと思うけどそれは兎も角。

『ご指摘のように、ある委員は、今の「イールドカーブ・コントロール」では、2019 年度頃までに 2%に達するような展望レポートの見通しに沿った形にならないのではないか、従って、今の「イールドカーブ・コントロール」をより強化する必要がある、ということで、金融政策、調節方針に対する反対意見、つまり具体的に「イールドカーブ・コントロール」についてこのようにしてはどうかという提案ではなくて、意見を述べられました。』

「具体的な提案ではなくて」と言わなくてもわかっとるがなと思うのですがわざわざ言うのは丁寧に説明しているのかイヤミを言っているのか。

『それに対しては、他の委員の方が色々反論をされて、議事の流れの通りとなり、そして、その回の金融政策決定会合で決めた通り、政策を維持するということが決まったということで、そこに書いてある通りです。それについて何か特別に意見を述べる立場にはないのですが、私自身は、他の多くの委員と同じく、現在の「イールドカーブ・コントロール」で十分適切なイールドカーブが形成されており、これを粘り強く続けることによって、2%の「物価安定の目標」も達成されると考えていますので、ご指摘のような意見には賛成はしておりません。そういう意味では、議長として提案したものに賛成、つまり現状の「イールドカーブ・コントロール」で適切であるという意見を持っています。』

「他の委員の方々が色々反論」とか「他の多くの委員と同じく」とか文章にされて読みますとものの言い方が突き放したような言い方というか、超少数のマイナーなノイズでしたねというような言い方になっておりまして、確かに昨日ネタにした9月会合議事要旨でも片岡さんフルボッコみたいな印象を文面から受けたのですが、黒田さんによる扱いも随分とこりゃまた冷淡な感じですなあ、と思うのでした。

しかしまあ何ですな、昨日も申しあげていてしつこくて恐縮なのですが、「これを粘り強く続けることによって、2%の「物価安定の目標」も達成される」ので問題ないという理論になっているのですけれども、本来は黒田さん自らが「2年を念頭に出来るだけ早期に」って言ってたんだからより早期に実現する方法があるんだったらその手段を取らないといけないのではないかというお話だった筈。もちろんそれを散々やって遂にはマイナス金利までやって短期決戦は華麗に失敗に終わったので塹壕戦に切り替えたのが総括検証YCCなのですが、そこのところを塹壕戦だと言わないで有耶無耶のうちに誤魔化そうというのも如何なものかとは思うので、今度会見で質問する記者様におかれましては、どなたでも結構なのですが「粘り強く緩和を続けると言いながら2%到達見込み時期が後倒しになっていますが元々2年を念頭に出来るだけ早期に達成するために必要な緩和をするということだった筈で、そこについては変わったのでしょうか」と詰めていただければと思いますのでお願いしますお願いします。


・企業のケツを叩くような高揚感も無いようで

こんな質疑が。

『(問) 総裁の午前中の挨拶では、物価を押し上げる力が徐々に強まっているというお話の中で、最近の変化として 3 点をご指摘していらっしゃって、中でも、値上げに対する消費者の許容度が増してきているということと、投資家も前向きに評価しているということを、例として挙げていらっしゃいました。』

多分それは幻想ですけどね。

『そのうえで、東海地方というのは景気拡大のフロントランナーであるということで、価格設定スタンスを積極化させる好環境が整っているということもご指摘されており、これは、総裁としても、やはり特に経済が好調な東海地方の企業の皆さんに、値上げというものに対してもうちょっと積極的になってほしいという要請というか、意識の変化をお求めになったのか、その辺の狙い、お考えを伺いたいと思います。』

うむ。

『(答) 全国的に事業を展開している企業や幅広い地域で流通・販売される商品も多く存在しますので、地域間ではある程度裁定が働くと思います。そういう意味では、国内の特定地域における物価が他の地域に先行して上昇するとか、上昇しなければならないということは考えにくいと思います。』

質問者はそういう質問をしているのではないのですが。

『ただ、全体として、ご指摘のように、東海地区は景気拡大が続き、労働市場が極めてタイトな状況にありますので、東海地区の企業では、賃金や価格の設定スタンスに変化が起こりやすい環境にあるとは考えられると思います。その意味では、特に注目されることだと思います。ただし、物価、価格が地方毎に違って動く、動くべきだと思っているわけではなく、むしろ、東海地区の景気拡大が全国の中で最も強く、全国の景気の状況を牽引している、その中で労働需給も極めてタイトですので、賃金や価格の設定スタンスの変化が起こりやすい環境にあると思っているということです。』

凄まじく同じことを繰り返している答えでまるで答えになっていないのが味わいがあるのですけれども、別に「東海地区は景気のフロントランナーで全国屈指の好景気ですので価格上昇に対する消費者の皆様の許容度も高いのではないでしょうか」くらい威勢の良いことを言ってもバチは当たらないようにも思えるのですが、やたら慎重な言い方になっていまして、以前だと寧ろ黒田総裁の鼻息が荒かった時だと「企業の皆さんもヨロシク」みたいな話をして鼓舞する司令官みたいな感じだったと思うので、何かこう「早期達成の為に使うものは何でも使って進軍ラッパを吹いていかないと」みたいな高揚した感じがすっかり無いじゃんこれじゃあとか思ったりもする訳でして、何かここにきて昨日ネタにした9月決定会合議事要旨やら先日の展望レポートやらでも見られました「早期達成への強い執着を完全に諦めたんですかねえ」というのがこーゆー所にも出ている気が。

まー事実上は総括検証YCCの時にアカンとはなっていたと思いますが、それでも早期達成への意欲は変わっていないというような意気込みと言えば格好が良いですが要は往生際悪くその辺は執着していた感じがまだ残っていた感じもあったように見えますが、ここ2回の展望レポートでは7月にだいぶトーンが落ちたと思ったら今回はすっかり諦めの境地になって片岡さんの提案も皆でフルボッコという事になっておりまして、いやはや2年で2%とは何だったのかという風情になっているように見えますがどうでしょうかね。


・となると春闘の事を聞くのも酷ということですなあ(詠嘆)

この次に春闘についての質疑がありましたが・・・・・・・・・

『(問) 先月の経済財政諮問会議で、来年の春闘に関して、安倍総理が 3%の賃上げを期待する発言をされました。先程から出ているお話の中で、好循環のメカニズムにとっても大変重要な話だと思いますが、総裁は来年の春闘をどのように見通していらっしゃいますか。また、この 3%の賃上げという具体的な数字について、特に当地は自動車産業が活発ですし、春闘相場への影響が大きな企業もありますので、どのようにこの 3%という数字の妥当性をお考えなのか、併せて教えて下さい。』

『(答) 私自身、安倍総理が来年の春闘での 3%の賃上げに対する期待を述べられた経済財政諮問会議に出席しておりましたので、よくその発言を承知していますし、政府全体としても、賃上げの環境が整備されるように、様々な政策を進めるというご発言もあったと記憶しています。日本銀行としては、強力な金融緩和政策によって、企業収益の増加や賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環を作り出していくことを目指しています。実際、企業収益は過去最高水準で推移し、失業率も 2%台後半まで低下するなど労働需給が一段と引き締まっていますので、賃金上昇圧力が着実に高まっているとみています。ただ、具体的な賃金引上げ率などについて、中央銀行の立場でコメントするというのはやや僭越だと思います。日本銀行としては、現在のこうした経済環境を活かしながら、労使双方で好循環の実現に向けた前向きな取組みが行われることを期待しています。


とまあ威勢は全然よくない答えが返ってきたので追加の質問が来る。

『(問) 例えば、今年の春闘並みの結果で、2019 年度に 2%という目標は十分達成可能でしょうか。』

これはイヤミ。

『(答) 色々な評価があると思いますが、今年の春闘の結果は、概ね昨年の春闘と近かったわけです。大企業の賃金上昇は昨年よりもやや低く、むしろ中小企業の方は全体として今年の方が良かったのではないかと思います。企業規模での広がりが出てきたことはプラスだったと思いますが、全体としては、昨年より今年が良かったというわけではありませんでした。』

ほうほうそれでそれで?

『ただ、その場合に一つ考慮すべきなのは、わが国の場合は、春闘の交渉を 12 か月毎にやっていますので、どうしても、それまでの 12 か月の物価上昇率にある程度引きずられる傾向があるということです。』

しらっとそんな話をしているのですが、QQE2を実施するときには追加緩和をしてマインドを上げないと価格設定や賃金設定に影響するという話をしていましたなあ。

『そこからみると、今年の春闘の前の 12 か月の物価は実はマイナスでした。昨年の春闘の前の 12 か月の物価上昇と比べると、原油価格の下落その他により、良くありませんでした。にもかかわらず、今年の春闘は昨年とほぼ近いというところまできました。』

何という屁理屈。

『来年の春闘はどうかといわれると、先程申し上げたように、更に企業収益は改善していますし、労働需給は更にタイトになっている中で、足許、消費者物価の上昇率もプラスの領域で少しずつ上がってきています。そうした色々な状況を考えると、来年の春闘は今年の春闘よりも更に良くなる、賃上げ率が高まってもおかしくないと思いますが、それは私の期待であり、あくまでもその時点での労使の交渉で前向きな取組みがなされることを期待しています。』

ってことで、肝心の2019年度に2%達成に必要なのかという話は無い訳で、これって最近の政策運営の理屈になっているように見える「モメンタムが確りしていて経済状況が良いのだから無問題」というトーンと同じで、2019年度に達成の見込みとか言いながらも、その見込みは見込みなので行くかどうかまでは執着していませんよ、って話に完全になっていますなあとゆーところで、何で佐藤さんと木内さんが退任した途端に佐藤さん木内さんが主張していた「フォーキャストターゲット」あるいは「中長期的な目標」にトーンが変わってしまうのやらとは思うのですが、まあそんなニュアンスを感じましたので(講演は殆どスルーしましたが)ネタにした次第。


○政策ネタで計数関連をパスしまくっていたので少々

・長期国債の買入はともかく短国どうなの

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/rel171031d.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

いまさらにも程があって恐縮ですが書き忘れる前に書く。

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、当面、残高を概ね20兆円台前半とすることをめどとしつつ、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』

ちょっと不覚にも詳しいリリース出ていたかどうかの確認してないのですが、短国買入って従来だったら例えば22〜24兆円程度みたいなアバウトレンジで示していたのですが、この「20兆円台前半をめどとしつつ」というのは、精密になったのか更にアバウトになったのかがイマイチ分からんのですが・・・・・・・・・・

ちなみに先月末の短国残高が23.04兆円で、4.78兆円償還があるので、20兆円を維持するには、とりあえず1.8兆円は買わないと帳尻が合わない事になりますが「をめどとしつつ」としているのは短国市場がタイトで推移した場合(年末近いからタイトになりやすい)にもっと減額するかもしれない(過去のレンジ表記の時も実例あり)でしょうな。


ちなみに先月末の短国残高が23.04兆円で、4.78兆円償還があるので、20兆円を維持するには、とりあえず1.8兆円は買わないと帳尻が合わない事になりますが従来通りですけれども「をめどとしつつ」としているのは短国市場がタイトで推移した場合(年末近いからタイトになりやすい)にもっと減額するかもしれないしもうそこは適当ですよ適当(ただし多分ですけど短国の金利が上がる方向で盛大に跳ねるのは抑えると思う)という話でしょうな。


・基調的な物価ですけど

http://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
http://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf

まあ何ですな、データの方を見ると・・・・・・・

刈込平均値(前年比、%)0.6%→0.5%
加重中央値(前年比、%)0.1%→0.1%
最頻値(前年比、%)0.3%→0.2%
上昇品目比率(%)57.7%→55.3%
下落品目比率(%)34.8%→36.5%
上昇品目比率−下落品目比率(%ポイント)22.9%→18.7%

となっていまして、どうもこちらの指標は頭打ち感が満載になっているのですがさて・・・・・・・・・







2017/11/07

お題「9月決定会合議事要旨が意外に面白かったです/債券先物40銭高とな/その他少々」

はあそうですか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23142680W7A101C1EE8000/
冬のボーナス5年ぶり減少 背景に労組のベア重視
経済
2017/11/6 16:44

えーっとですな「ベアが今年も出た」とか言って政策当局の方々が大勝利であるかの如くお話をしていましたが、ベアのバーターで賞与削られたらそれは全然所得の向上に繋がらないんんですが。臨時給与よりも定例給与の方が良いという理屈はあるけど物価2%に行くための所得の向上という文脈では無力にも程があるというお話ですし、だいたいからして減ったという時点で盛り上がらないじゃろ個人は、と思うのだが。


○NYダドリー総裁退任のアナウンスですな(メモ)

あらそうですか。
https://www.newyorkfed.org/aboutthefed/presidential-search
On November 6, 2017, New York Fed President and CEO William C. Dudley announced his plans to retire in mid-2018. The search for his successor is underway.

Selecting a New President for the New York Fed

The responsibility for selecting a new president is held by the Class C and eligible Class B directors of the New York Fed’s Board of Directors. Those eligible directors have formed a committee to run a nationwide search to identify a broad, diverse, and highly qualified candidate pool for the next president and CEO.

まあ議長が実務家オブ実務家のパウエルですから何とかするでしょう。


○金融政策ネタを追っかけていたら円債ェ・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1NC2FX
2017年11月6日 / 15:26 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が大幅続伸で引け、長期金利は1カ月半ぶり0.025%

『15:13> 国債先物が大幅続伸で引け、長期金利は1カ月半ぶり0.025%

国債先物中心限月12月限は前営業日比40銭高の150円92銭と大幅続伸して引けた。米連邦準備理事会(FRB)の次期議長の指名、10月米雇用統計といったリスクイベントをこなしたことで、買い安心感が広がり、買いが先行した。前引け後に発表された中期対象の日銀買い入れ結果が堅調となったことから、午後に入ると一段高の展開。株が上値を重くしたことから、これまでポジションをショートに傾けていた短期筋が損失覚悟で先物を買い戻す動きも見られ、一時150円93銭と9月22日以来の水準まで買われた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで色々と後付講釈はあるのですが、まー10月はろくすっぽ動かないでいた債券市場ちゃんなのですが、今月入って何か突如動きまして、なにせ先物の終値対比で1日5銭以内しか動かないというのにすっかり目が慣れてしまっていたので、そこで静かに寝ていた筈の子が突如猛然と起きて物凄い勢いで庭に向かってハイハイしだした位にはビックリするのでありました(大汗)。

つーことで一応色々と講釈はするものの、米債の位置が大して変わった訳でもないですし、株価インデックスは相変わらずヒャッハーとなっておりますし、為替も113円から4円の辺りに居る、という最中にいきなり割と何の脈絡もなく債券先物40銭高とかやらかしてくれましてナンジャソラという所ですが、まあこういう風に何の脈絡もない(雇用統計は一応ありましたが別に米債がそこまで過激に反応した訳ではないし)動きをしているという事は誰かのお家の事情(綺麗に言えばアロケーション変更とかですかねえ〜何が何やらという感じですが)での動きがあってその煽りが来たとかそういう話じゃないの(月初だし)と勝手に妄想しております。

しかしまあ誰かのお家の事情としても、それが入っただけで他市場の動きと何の脈絡もなくそれまで止まっていた債券先物が1日で40銭も動くのかよというお話でもあって、いやー市場の厚みが無いですなあという所ではあります。

『現物市場はしっかり。朝方の取引で10年ゾーンに短期筋からまとまった買いを観測。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時前営業日比2.5bp低い0.025%と9月26日以来の水準に低下した。また、中短期ゾーンにも海外勢とみられる買いが入り、2年債利回りは同2bp低いマイナス0.185%と5月10日以来、5年債利回りは同2bp低いマイナス0.120%と9月15日以来の水準に低下した。』(上記URL先より)

超長期の言及が無いのがアカンですが、まあだいたい9月の半ばから後半にかけてウダウダとしていた水準に戻ってきた感じで、9月末も何か知らんが突如スルスルと20年0.600%の水準に割とワープっぽい感じで居所を変えて来ましたが、今回はその逆パターンということで、まーたここで膠着しちまうんじゃないかという気はだいぶせんでもなくて、上がらないロングをじとーっと持っていた人だけ大勝利なのですが、今からキャッチしに行って追撃買いになるのかジャンピングキャッチになるのかは神の味噌汁という所ですな。

『黒田東彦日銀総裁が名古屋市内で行った講演・会見内容は特段材料視されなかった。市場では「黒田総裁は物価2%目標達成まで力な金融緩和を進めていく姿勢を示す一方で、低金利継続による副作用にも言及している。日欧当局と同様に、金融正常化に向け、今後政策の微調整を視野に入れているかもしれない」(証券)との声も聞かれた。』(上記URL先より)

さてはこの(証券)は踏まれているな、御愁傷様です。

・・・・・・・ということで後講釈をしようと思っても全くもって何が何やらということで誠に申し訳ございませんのですが、40銭も動いたので備忘メモは取っておかないとということで備忘にもなっていないメモなのでありました。


○黒田総裁名古屋講演は読むべきものが碌に無い件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171106a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko171106a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──

ってのがあったのですが、これがまたいつも通りの話にも程があるのでちょっとだけ備忘代わりに引用しておくだけにしておきます。

『3.物価の現状と先行き』の途中からです。

『日本銀行の物価見通しについては、今後の企業の価格設定スタンスが重要な鍵を握っています。労働需給の引き締まりにより、人件費の上昇に直面した企業は、賃金コストの上昇分を自社の製品やサービスの価格に転嫁することを検討します。同時に、ITなどを利用した省力化・効率化投資などにより、賃金コストの上昇を吸収し、価格を維持しようとすることも少なくありません。実際、中小企業における本年度のソフトウェア投資計画は、前年比2割強の大幅な増加となりました(図表8)。このほか、最近では、既存のビジネス・プロセスを見直すことで、賃金コストの上昇を吸収しようとする企業も少なくありません。これまで提供していたサービスのうち、人件費との兼ね合いで採算の合わないものを削減していくといった取り組みです。いずれも、労働者の時給は上がっても、総労働コストを節約することができ、製品価格への転嫁は抑制されます。こうした取り組みは、個々の企業の生産性を高める合理的な経営判断によるものですが、物価の面からみれば、少なくとも短期的には、物価上昇圧力を弱める方向で作用します。』

ということで企業の価格設定スタンスという話をしつつも、途中から「生産性向上の為に物価上昇圧力が一時的に弱まるのは批判する話ではない」という最近連呼される理論を登場させておりまして、何が何でも2年を念頭に出来るだけ早期に実施すると言っていたのは何だったのかと小一時間。

『もっとも、日本銀行では、こうした状況がいつまでも続くことは想定していません。むしろ、物価を押し上げる力は徐々に強まってきているとみています。最近の変化として、以下の3点を指摘したいと思います。』

というのはいつもの話だが、まあついでに引用しておきます。この説明が今後どう変わるのかというのを見るために備忘録として置いておきましょう。

『第1に、労働需給がきわめて引き締まっており、パートの時給が前年比2%台半ばまで伸びを高めるなど、企業のコスト面からみた価格上昇圧力は着実に高まっています。こうした中にあって、先ほど述べた各種の合理化努力と並行して、吸収しきれなくなってきた賃金コストの上昇分を価格に転嫁していく動きが拡がっています(図表9)。この春、人手不足が大きな課題となっている運輸業界において、業界大手が宅配サービス料金の引き上げを打ち出し、競合他社もこれに続いたことは、賃金コストの上昇を起点とする価格上昇圧力が相当高まってきていることの表れだと考えています。』

ただのコストプッシュだしさっきあったように賞与削減ですがな。

『第2に、消費者や顧客の受け止め方も変化してきています。家計の雇用・所得環境が改善してきたことで、消費者サイドの値上げに対する許容度も少しずつ増してきていると思われます。最近、飲食業などで、久方ぶりの値上げに踏み切ったとの報道が増えてきていますが、消費者側の購買意欲の高まりが、長年、値上げを躊躇してきた企業の背中を押している面もあると考えています。』

そうなのかというのは眉唾な気はだいぶする。

『第3に、投資家も、最近の値上げの動きを前向きに評価し始めているように見受けられます。上場企業である外食チェーン店の中には、値上げの発表が好感され、株価が大きく上昇したケースがみられています。以前であれば、値上げの決定は客足の鈍化を招き、売上減少リスクが懸念されることが少なくなかったように思いますが、最近は、むしろ採算改善効果が期待されているようです。企業の価格設定スタンスや消費者の受け止め方が変化してくる中、こうした動きを、投資家がポジティブに評価する流れが生まれつつあるように思います。』

これ最近良く言うようになったけど良く良く考えたら株価が上がったから何なの??

『もちろん、個々の企業の価格設定スタンスが積極化してくる具体的なタイミングは、それぞれの企業や業種が直面する需要動向や賃金コスト上昇の程度によって差があるとみられます。この点、企業の価格設定スタンスが積極化してくるまでに時間がかかり、物価が弱めの推移を続けた場合には、予想物価上昇率の高まりが遅れるリスクがあります。なお、こうした文脈でも、景気拡大のフロントランナーである東海地区は、有効求人倍率が1.8倍まで上昇するなど、労働需給のひっ迫度合いは全国平均を大きく上回っています。その意味では、賃金の上昇が、消費者の購買意欲を刺激し、企業の価格設定スタンスを積極化させるという好環境が整っているように思います。』

だそうです。まあいつもの話ではありますがメモということで。



○9月決定会合議事要旨が意外に掘り出し物だった件について

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2017/g170921.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨
(2017年9月20、21日開催分)

途中まではまあどうでも良いのでサラサラ流しますけどね。

・労働市場には過大なスラックがあるという人の説明を拝見

いきなり本文8ページまでワープするのですが(その前はまあどうでも良い)『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要 』の雇用所得環境に関するところから参ります。

『先行きの雇用者所得について、委員は、労働需給の着実な引き締まりが続き、企業収益も改善するもとで、緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。』

『ある委員は、これまで、女性や高齢者を含む労働力率の上昇が労働需給の緩和要因として働いてきたが、こうした追加的な供給余力にも限界があることから、いずれ賃金上昇圧力が高まってくるとの見解を示した。』

というのに対してたぶん片岡さんの議論。

『この点に関し、一人の委員は、1990年代に比べて就業率が低下していることや、非労働力人口の中でも就業を希望している人数が多いことを指摘したうえで、労働市場には過大な供給余力が残存しており、当面、賃金上昇圧力は限られると見込まれると述べた。』

『これに対して、ある委員は、就業率の低下については、高齢化の進展という構造要因の影響も踏まえたうえで評価する必要があると指摘した。』

ということで何かまあ議論が行われているようですが、賃金上昇圧力に繋がるのかというと繋がる繋がると言って全然繋がっていないのですが、過大な供給圧力が残存しているのではなくて成長期待の方ではないかという気がせんでもないのと、そもそも1990年代と比較した場合、やれ資本効率だ株主還元だとか言ってて、90年台と言っても頭とケツでは全然違うからどこと比較するんだよという話はあるけど、まあ90年台の頭の方だと思えば、当時は日本的経営が偉大なので世界を席巻したという話がまだ残っている頃ですから、労働分配に関する考え方も今とはだいぶ違っているんジャマイカと思うのですが、まあこの辺はまた半年もすれば結果が出てくるでしょうからね。


・物価面の議論を見ると7月対比で随分と開き直っている9月会合ェ・・・・・・・・

ちょっと先に行きまして既に本文9ページになるのですが物価に関して。

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は0%台半ばとなっているほか、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比については、引き続き、企業の価格引き上げの動きが限定的であることなどから、0%程度で推移しているとの見方で一致した。』

いやはや。

『大方の委員は、わが国の景気が緩やかに拡大するもとで、労働需給が着実に引き締まっていることと比べれば、物価は弱めの動きとなっているとの認識を共有した。その背景について、ある委員は、携帯電話機や通信料の下落に加え、電子商取引の拡大などから小売業の競争が激化していることを指摘した。また、何人かの委員は、企業において、省力化投資や深夜営業の取り止めといったビジネス・プロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を価格に転嫁することを避ける動きが広くみられていると指摘した。』

『この点に関し、何人かの委員は、人々の間にデフレマインドが根強く残っているため、企業は、総じて慎重な価格設定スタンスを維持しているとの見方を示した。』

電子商取引云々ってホンマカイナという感じはするけど。

『先行きについて、大方の委員は、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとの見方を共有した。』

はあそうですか。

『何人かの委員は、労働需給が一段と引き締まっていくことを踏まえると、企業における賃金コストの吸収は一段と難しくなるため、これを価格に転嫁していく動きが徐々に拡がってくるとの認識を示した。』

ふーん。

『一人の委員は、雇用・所得環境が改善する中、消費者サイドの値上げに対する許容度も次第に増していくとの見方を示した。』

んなこたあない。代替商品に逃げるだけ。

『これらの点に関し、複数の委員は、このところ宅配サービスや飲食といった労働集約的な業種や都心の不動産賃貸業を中心に、値上げに向けた取り組みや、それに追随する動きが、少しずつであるが着実に拡がってきていると指摘した。』

都心の不動産賃貸業????

『なお、多くの委員は、省力化投資やビジネス・プロセスの見直しは、企業の生産性向上や経済全体の成長力強化につながる前向きな動きとして評価すべきとの認識を示した。そのうえで、これらの委員は、こうした企業の取り組みは、一時的に物価を抑制する方向に作用するが、やや長い目でみれば、先行きの成長期待の強まりなどを通じて、物価上昇圧力として働いていくことも期待されると述べた。』

ここですけれども7月決定会合の議事要旨での同様の指摘部分を見ますと、

『なお、別の一人の委員は、労働生産性の向上は、長い目でみれば、経済全体の潜在成長率を高め、いずれ実質賃金の上昇や雇用者所得の増加をもたらし、需要面から物価上昇圧力につながっていくと指摘した。』(この部分は7月決定会合議事要旨から)

となっていまして、この2か月(7月→9月)の間に随分と開き直って来やがったという感じでして、どさくさに紛れて物価上昇の遅れの要因をここまで前向きな表現に変化させるというのが何ともまあという所です。

『複数の委員は、人々の成長期待を更に高めていくには、政府による成長戦略も重要になると指摘した。』

というのは良いとしまして次。

『この間、委員は、前回会合以降に得られたインフレ予想に関する指標をみると、短期的なインフレ予想が総じて下げ止まりの動きとなっているほか、中長期的なインフレ予想は概ね横ばいもしくは幾分低下しているとしたうえで、予想物価上昇率については、弱含みの局面が続いているとの認識を共有した。』

ということで思いっきり中長期的なインフレ予想が横ばいもしくは低下ってそれは追加緩和じゃねえのかと小一時間問い詰めたくなる表記になっているのですが、同じ議論の部分をさきほどと同様に7月決定会合の議事要旨を見ますと、

『この間、予想物価上昇率について、委員は、現実の物価上昇率がこのところ幾分弱めの動きとなっていることなどから、「適合的な期待形成」の要素が強く作用し、弱含みの局面が続いているとの認識を共有した。』(この部分は7月決定会合議事要旨から)

となっておりまして、明らかに9月議事要旨の方が「予想物価上昇率が下がっているようにも見えますが何か?」状態になっているのが見て取れると思います。まあこの背景として考えられるのは、週末にネタにした展望レポート基本的見解全文読み読みでも見られましたのと同じことになりますが、「インフレ期待に直接働きかけることによってフィリップスカーブの上方シフトを促して早期に2%物価安定を実現する」というQQE始まって以来の説明をすっかりゴミ箱に捨ててしまって「経済の状況が良ければそのうち物価は上がりますよガハハハハ」とがっつり開き直ってしまっているという流れがここもとの所で確立されてきた、ということでしょう。

てな訳ですので、物価がそう簡単に上がらんがなといっているのは片岡さんと思われますが、9月会合というデビュー戦(鈴木さんもデビュー戦ですが大型新人片岡さんの陰にこっそりと隠れておりますな)の片岡さんがこのように仰せで。

『こうした議論に対し、一人の委員は、消費者物価の前年比は、原油価格や為替の影響により、当面1%程度まで上昇すると見込まれるものの、その動きは一時的であり、2018 年以降、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとの意見を述べた。その背景として、この委員は、現在、資本・労働市場のいずれにおいても、大きな供給余力が残存しているとみられることを指摘した。』

とまあそんな指摘になっていまして、物価が上がらないんじゃネーノという話は話として分かるのですが、そんなに大きなスラックがあるってのもナンジャソラという話で、だとしたらそもそもアベノミクスとか大規模金融緩和とかを4年以上もやっているのですからそれだけやってまだ物価が全然上昇できないような巨大なスラックが解消できていないというのは、すなわち効果が碌すっぽ無い政策を堂々やっていましたという結論になって自分で自分の首を絞める話になるのではないかという気もせんでもない訳ですがどうなんでしょうかねえ。まあどうでもいいけど。


・金融政策運営に関する議論の部分が意外に掘り出し物というか読み物として楽しい

ということでその先の『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』に参ります。

『金融政策運営にあたって、大方の委員は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているとの認識を共有した。』

「なお慎重なものにとどまっている」というのはつまりインフレ期待が上がっていないということなのですが、インフレ期待が上がっていなくてもモメンタムは維持という事になっておりますので、先ほどと同様に期待に働きかけるとかいう置物大先生謹製の風が吹けば桶屋が儲かるQQEの波及メカニズムの一丁目一番地は無かったことになっている訳です。

『この背景として、多くの委員は、@マクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、A中長期的な予想物価上昇率についても、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に上昇すると考えられること、の2点を挙げた。』

最近の説明はいつもこうなります。

『なお、何人かの委員は、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくる時期や「適合的な期待形成」を通じた予想物価上昇率の上昇ペースについて不確実性があることには、留意を要すると述べた。』

と「2年を念頭に出来るだけ速やかに」とは何だったのかという話になりますが、既にQQEの一番最初の導入時点で政策委員会にいたのは実は総裁副総裁だけ(審議委員の先任がジンバブエ先生なのでそもそもQQE2ですら当事者の審議委員はいない)という事実があるので総裁副総裁が知らんぷりしてしまえば後の人は知らんがなというオソロシスな事になる訳でして・・・・・・


・完全に長期戦の構えになっている意見が続々と

上記に続く記述はこうなります。

『そのうえで、ある委員は、こうした状況下では、現在のきわめて緩和的な金融環境を息長く維持していくことが重要であると指摘した。また、別のある委員は、「物価安定の目標」の達成には相応の時間がかかる可能性があるため、今後は、政策の持続性を確保することがより重要性を増してくると考えられるほか、時間がかかるほど外部環境の不確実性が高まることについても意識しておく必要があると述べた。』

って明らかに長期化という話になっていまして、

『こうした議論を踏まえ、大方の委員は、現在の金融市場調節方針のもと、強力な金融緩和を粘り強く推進し、経済・物価の改善をサポートしていくことが適切であるとの認識を共有した。』

となっていますが、この「粘り強く」というのも元々はYCCになっても出口政策が直ぐ来る訳じゃないよ的なニュアンスで話をしていた筈なのですが、ここにきて明らかに「政策の長期化」という文脈で読んだ方が自然な姿になっている訳でして、だったら短期決戦を企図したマイナス金利はとっとと撤回しろと思うのですが、まあとにもかくにも長期戦モードのようで。


・YCCに関する議論の部分ですが・・・・・・・・・・

でもって更に続き。

『長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、委員は、前回会合以降、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑に形成されているとの認識を共有した。国債買入れについて、委員は、現行の政策枠組みのもとでは、長期金利の操作目標を実現するように運営しており、買入れ額は、金融市場の状況に応じて、ある程度の幅を持って変動することを改めて確認した。』

というのは兎も角として、

『このほか、委員は、市場の一部において、長短金利操作には、米欧の長期金利が低下する局面で内外金利差の縮小を通じて為替円高を招きやすいなど、政策の枠組みとして問題があると指摘されていることについて議論を行った。』

そんなん本当に不味かったら追加緩和すれば良いだけの話だから議論することも無いように思えるのですが、そういう議論をするというのは、@意外にこの人たち悪態に弱い、A追加金融緩和の手段が実は無いと思っている、のいずれかまたは合わせ技なんですかねえ。

『一人の委員は、日々の調節運営にあたっては「ゼロ%程度」の範囲についてあらかじめ固定的な目線を持っておらず、長期金利がマイナスになることを排除しているわけではないと述べた。』

そらそうよ。

『また、ある委員は、金融政策の枠組みとしての長短金利操作は、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促す仕組みであり、海外金利の動向に応じて、機械的に目標を動かすものではないとの認識を示した。』

いやそのりくつはおかしい。

・・・・・というのはですよ、海外金利が低下するだけなら金融環境がどうなっているのかは微妙ですけれども、その結果円高が進行した場合、国内的には金融環境が引き締まっているのですから、その場合同じ金融緩和度合いを長期金利の上げ下げで維持しようと思ったら長期金利を下げるように促さないと行けない筈なので、海外金利の動向によって機械的には動かさないかもしれないけれども、外部環境が変わったら金融緩和度合いを同様に維持する為には名目金利の位置を変えないと行けなくなる筈、ということになります。

もちろん長期金利の目標をホイホイ変える必要がない、というのは同意なのですが、その場合の理屈は「最も適切と考えられるイールドカーブ」と言っても幅を見て考える必要があるものなので、少々の外部環境の変化に対して一々反応すると却って金融市場の不安定化をもたらすリスクの方が大きい、とかそういう文脈で語るべきお話なのでこの委員の指摘は微妙にポイントのズレが残念。

『複数の委員は、仮に内外金利差の縮小や地政学的リスクの高まりなどによる円高の進行がわが国経済に大きな影響を及ぼし、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが維持できなくなる場合には、必要に応じて金融市場調節方針を変更することになるとしたうえで、長短金利操作の枠組み自体に問題はなく、むしろ柔軟な対応を可能とするものであると述べた。』

まあ要するに誘導目標水準はそのような大きな問題の時に変える、という話ですからこれはその通り。


・片岡さんの追加緩和話が均衡イールドカーブの話を踏まえているとな

でもってまあ決定したのはご案内の通り従来の調節方針を維持ですが、最後に反対意見がありましてどう見ても片岡さんです本当にありがとうございましたというのは良いのですが・・・・・・・・・

『これに対し、ある委員は、現在のイールドカーブのもとでの金融緩和効果は、2019 年度頃に2%の物価上昇率を達成するためには不十分であると主張した。その背景として、この委員は、@資本・労働市場に過大な供給余力が残存していると見込まれる中にあって、2019年 10 月に消費税率の引き上げが予定されていることも踏まえると、物価を十分に高めるためには、一段の需要拡大が必要であること、Aそうした需要を生み出す観点からは、実質でみた現在のイールドカーブは、均衡イールドカーブとの比較でみて、十分に緩和的かどうか疑問であることを指摘した。』

ということで、まあ先ほど来の話と実際の反対票というのを考えれば検討するまでもなく片岡さんの意見なのですが、ここで色々とオモロイジャンと思ったのは・・・・・・・・・・

「実質でみた現在のイールドカーブは、均衡イールドカーブとの比較でみて、十分に緩和的かどうか疑問である」という部分。片岡さんが量ではなくて均衡イールドカーブの概念を持ち出しているのは、9月反対の時点で『片岡委員は、資本・労働市場に過大な供給余力が残存しているため、現在のイールドカーブのもとでの金融緩和効果は、2019 年度頃に2%の物価上昇率を達成するには不十分であるとして反対した。』という形で反対していたのと、10月反対の時に15年金利がどうのこうのという話をしていたので、たぶん金利の話を持ち出したんだろうなあというのは想像できたのですが、それを確認できたなあというのが第一のオモシロポイント。

でもって第2のオモシロポイントとしては、この均衡イールドカーブの概念を持ち出してくるのはまあ良いとしまして、そこから1か月後の先日行われた金融政策決定会合で持ち出してきたのが、例の「15年国債金利を0.2%未満にするのが適切」という意見でして、えーっとあのそのすいません、「十分に緩和的であるかどうか疑問」と言った結論が15年金利を10bpちょっと下げるという事かよそれって誤差じゃないか、というのもございますが、更に驚愕の事実を申し上げますと、上記のように「実質でみた現在のイールドカーブは、均衡イールドカーブとの比較でみて、十分に緩和的かどうか疑問」と指摘していた9月決定会合時点の金利ですが、20年カレントの超長期162回の売買参考統計値の単利平均は9/20の引け(9/21発表分)が0.550%で9/21の引け(9/22発表分)が0.545%となっておりますので、その時点で15年ゾーンの金利水準がお察しだと思いますが、残存15年ちょうどというのがありませんのでこの前と同様に2032年12月償還の超長期141回、142回の引けを確認いたしますと、9/20の引けは141回、142回ともに平均値単利で0.270%、9/21の引けは141回、142回ともに平均値単利で0.265%となっておりまして、一方で先日の金融政策決定会合での反対理由として述べていたのが先ほどから申し上げておりますが「0.2%未満が適切」となっておりまして、つまりは9月の時点から見たら10bpも無い水準という話なのですが、6〜7bp下げただけで「十分に緩和的かどうか疑問」が解消されるとは(そらもちろん株価とかの位置は違いますが)どんだけ細かい話なのかと小一時間問い詰めたい、というようなお話になる訳でして、まあこれは凄いとしか申し上げようがありません。やはり鬼才現るとしか申し上げようがないのですが、赤リサーチさんにおかれましては製造物責任(以下自粛)。

ということで均衡イールドカーブの議論がいきなり登場している訳ですが、その続きも中々オモロイ。

『この委員の意見に対し、ある委員は、現在の実質イールドカーブの水準は、全ての年限で均衡イールドカーブを大きく下回っているほか、過去の金融緩和局面と比較しても、十分に緩和的であるとの意見を述べた。』

ここの部分については読みようが2通りくらいありまして・・・・・・・・・・・・・

まあ文字通りに読みますと、片岡さんの見解に対して同様に均衡イールドカーブの話が出て来るということは実はMPMでの議論の中でたたき台のように均衡イールドカーブ推計値(調査統計局試算)みたいなのがあって、それとの比較で緩和度合いがこの位なので現在の政策では足りてる足りてない、という話をしているというのがまあ文字通りの読み方で、最初は普通にそうかなとは思った。

ただ、この部分行間を読んだばあい「全ての年限で均衡イールドカーブを大きく下回っている」とかいきなりフルボッコに叩いていまして、実は均衡イールドカーブもへったくれもなくて単に「お前この水準が緩和不足って寝言は寝て言えヴォケ」というのを丁寧な形で表現しているだけではないかという気もするのですが、何ぼ何でも執行部がそこまでマッコウクジラ勝負で新任政策委員をdisるというのも妙ですから、そうなるとこの発言は・・・・・・。

まあしかし何ですな、均衡イールドカーブを前提にした議論をやっているのでしたらそのベースとなる均衡イールドカーブについて、執行部案でも各委員のコレクティブビューのファンチャート形式でもなんでも良いのですが、議論の拠って立つ数値を外野にも示して頂きませんと、この間どういう事を念頭において議論が進んでいたのかがさっぱり分からんので、いいから出せよ均衡イールドカーブおうはやくしろよという所ですな。

・・・・・・・とまあここまで申し上げておいていきなり水を差すようですが、実は9月決定会合の「主な意見」の方では均衡イールドカーブからの緩和度合いがどうのこうのみたいな話は全然出ておりませんで、先般(10/18)のNYでの中曽副総裁の講演で久々に思いっきり均衡イールドカーブの話が出てきたなあという感じだったので、ここで議事要旨に思いっきり出ているのに「主な意見」の方では均衡イールドカーブの文言が全然見当たらないとか、主な意見を出すなら出すでもうちょっと決定会合の議論を踏まえてくれよと正直思った次第でもあります。

ご参考までに9月会合の主な意見のURLを貼っておきます。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2017/opi170921.pdf
金融政策決定会合における主な意見(2017年 9月 20、21日開催分)


ということでこの部分が白眉だと思うので再度纏めますと、(まあヒマな方は上記URL先の主な意見の方を確認して頂けたかと存じますが)均衡イールドカーブの話が先般の中曽講演以降急にこの話が復活した感があるのでちと不自然というか唐突なのですが、まあそれにしても実際に均衡イールドカーブの考え方を持ち出して具体的な水準の議論を行っているのかよ(しかも短期政策金利の均衡水準みたいな話ではなくてイールドカーブで、というのが凄い)というのと、片岡さんも均衡イールドカーブからのアプローチでイールドカーブ水準をもっと下げないといけない、という話をしたのは理解したのですが、それと今月の提案(議案ではない)にありました「15年金利を0.2%未満」というのが、何で15年というのも相当疑問なのですけれども、9月の決定会合時点から6bp程度引き下げただけでいきなり緩和の程度が適切になるとかどんだけ細かい話をしているのかワケワカランというか片岡さんってもしかしてマジモンのアレなのではないかと心配してしまうレベルである、というのが判明したってのが今回の最大の拾い物という事です。



・9月会合時点で片岡さんの追加緩和意見はフルボッコ&副作用懸念が複数の委員から出ているとな

さらに話は続く。

『また、何人かの委員は、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みには、景気の緩やかな拡大が続き、物価上昇率や潜在成長率が高まってくれば、実質金利の低下や自然利子率の上昇を通じて、金融緩和の効果が一段と強まる仕組みが内在していると述べた。』

『このほか、何人かの委員は、強力な金融緩和が金融市場や金融機関に与える影響にも十分に注視すべきとしたうえで、金融仲介機能が損なわれ、結果的に2%の実現時期が遠ざかる状況は避ける必要があるとの認識を示した。』

とありまして、さきほどの片岡さんの緩和適切という意見に対して、均衡イールドカーブの話で思いっきり反論を受けた上に、追い打ちを掛けるように片岡さんの追加緩和は適切ではありませんですなあという感じで、一人→何人か→他の何人か、という感じで追加緩和に反対というのが畳みかけられていくような書き方になってて、「片岡さんデビュー戦からいきなりのフルボッコキタコレ」という風な印象を読む者に与える編集にワロタです。

でもって最後の部分の「強力な金融緩和が金融市場や金融機関に与える影響にも十分に注視すべき」というのもしらっと入っているのですが、これを「何人かの委員」が主張している、という点もナンジャソラでして、えーっとすいません佐藤さんと木内さんは退任しているのでそれ以外で何人かの委員かよ!という風に思うのでこれもまた随分とトーンが変わったなという感じではありまして、だったら佐藤さん木内さんが居る時に同調しろよという気もするのですが、それはそれとして今回はトーン随分変えてきたなあという感じです。

しかしまあ何ですな、元々のQQEでの「期待に直接働きかけて2年を念頭に出来るだけ早期に物価安定目標を達成」という話の理屈から言えば片岡さんの追加緩和が必要ではないかという議論の方が本来は正統派の筈だったのですが、議事要旨だけみれば異端尋問でも食らっているかのようなフルボッコ振りになっていまして、他のリフレ派は助け舟を出さないのかよと思うのですけれども、今回の決定会合議事要旨は何気に拾い物で、従来のトーンをすっかり変えて来やがったじゃねえかよ、と思うのでありました。

#つーことで最後の所だけではありますが中々味わいがありましたということで







2017/11/06

お題「総裁会見から少々」

ナンジャソラ
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-twitter-idJPKBN1D30E3
2017年11月3日 / 15:36
トランプ氏のツイッターアカウント、社員により一時無効に

#本日やたらフンドシのように長いのは3日に更新した分(多い)を下につけているからです

○決定会合後の総裁会見から

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2017/kk1711a.pdf

・やはり展望レポートの先行き見通しに反対ですがこちらも別に反対しただけとな

最初の説明のところ。

『なお、展望レポートについては、片岡委員が、物価の前年比について、来年以降、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして、先行きの物価見通しに関する記述に反対されました。』

というのはありました。なお政策決定事項に関する反対は声明文の方で記述されるので、説明する必要が無いということで最初の所の総裁説明では割愛しているのは仕様になっている(木内さんや佐藤さんの時も同じ)のでこれはこういうもん。

つーことですので、まーこれは前回からそういう話をしているから当然ではあるのですけれども、2019年度に2%行かない見通しなのでしたら追加緩和の提案をして頂きたいのでが、惜しくも「15年金利を0.2%」という3重位にツッコミどころがあるというツッコミの練習にもってこいの提案もどきが出ただけだったので、ここは片岡大先生におかれましては12月の決定会合で渾身の具体的提案を出して頂きませんと、早期達成する為に追加緩和が必要という大先生の理論と実践が合わなくなってしまいますので、伏してよろしくお願い申し上げますm(__)m

しかしまあ何ですな、展望レポートの記述に関してですが、直近だと佐藤さんや木内さんの最後の金融政策決定会合の総裁定例記者会見を見ますと、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2017/kk1707a.pdf

『なお、展望レポートについては、佐藤委員、木内委員から、消費者物価が見通し期間中には 2%程度に達しないことを前提とする記述の案が提出され、否決されました。』(2017/07/20総裁会見より)

とありますので、今回片岡さんに関しては展望レポートの記述に反対して政策も現状維持に反対するけれども単に反対しているだけという微妙な仕上がりになっているということで、いやまあ反対は反対でイイのですけれども、何で反対で何をどうしたくて、そのやりたい政策の意義はどういう所にあるのか、というような話をして頂きませんと何考えているか中途半端にも程がある「15年金利を今の位置から10bpぽっち引き下げる」という謎見解だけが歩いてしまうのでアチャーという感じが何時まで経っても否めないという事になりますなあ。


・政府との共同文書というワード

『(問) 衆院選の争点の 1 つであった消費税増税の是非については、与党の勝利により増税が決まりました。一方、2020 年度としていた財政健全化目標は先送りが決まり、財政規律の緩みも警戒されています。目標の再設定、健全化に向けた取組みについてどうお考えになるか、改めてお聞かせ下さい。』

財政に関する質問を飛ばしておくのは良い傾向。

『(答) 財政運営については、政府・国会の責任において行なわれるものであり、具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。そのうえで一般論として申し上げますと、わが国の政府債務残高が極めて高い水準となっていることを踏まえると、政府が、中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要であると考えています。』

一般論として申し上げると、と言って財政の話をしたがるのは黒田さんの仕様。

『2013 年 1 月に公表した政府・日本銀行の「共同声明」においても、政府は、「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」こととされています。』

共同文書の話を入れているのもいつも通りではあるのものの、ここの文書によって日銀は2%を出来るだけ早く達成とやっているのですからその辺りは微妙な話でもある。

『なお、財政健全化目標については、安倍総理も、「プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持する」としたうえで、「今後、達成に向けた具体的な計画を策定する」と述べられていると承知しています。日本銀行としては、持続可能な財政構造の確立に向けて、こうした取組みが進められていくことを期待しています。


ということで財政についてはいつも通りですのう。


・ETFについては色々と質問ありまして・・・・・・・・・・・・

以下ちょっとETFの質疑をまとめてみる。

『(問) ETF購入についてお伺いします。日銀は、ETFの購入を今月はまだ 1 度しかされていません。市場の中では日銀が、年間 6 兆円としているペースを本当に守っていくのかという見方もでています。もちろん日銀は 1 月から12 月にかけて 6 兆円買うと言ったことはありませんが、この 12 月にかけて、約 6 兆円を買うべきなのかどうか、まずお伺いします。』

『また、日本の株式市場は、21 年振りの高値や過去最長の連騰記録を今月記録しています。リスクプレミアムに働きかけるという観点から、まだ日銀は 6 兆円ものETFを購入していく必要があるとお考えなのかどうか、改めてお伺いします。』

まあこういう質問の仕方になってしまうのは仕方ないのですが、もし質問するのであれば前者は「年間約6兆円」と声明文にありますが、ここで「年間」というのは特定の時期を念頭に置いているのか、また約6兆円という中で例えばある1年間を区切って3兆円となるような期間があっても良いのか、とか詰めて聞いた方が良いと思いますし、後者については株価の話を例に出すと必ず「特定の株価をターゲットにしている訳ではない」と言われますので、「リスクプレミアムに働きかけるとのことですが、具体的に現在の株式市場のリスクプレミアムはどのように計測されて、そのプレミアムがどの程度だから現在の買入が適切と考えているのか、という定量的な根拠について何の説明もないのだが示す事は出来ないのか」とか聞くのが良いんじゃないかと思うので次回の会合では記者の方にぜひ質問をそういう感じでして頂きたいものです。

『(答) 従来から申し上げている通り、ETFの買入れは、全体の金融緩和の枠組みの中で、株式市場におけるリスクプレミアムに働きかける観点から実施していますが、実際の買入れ額は市場の状況に応じて変動することはあります。従って、金融政策決定会合において決定された資産買入れ方針においても、ETFの残高増加目標は「約 6 兆円」と幅のある表現となっていますし、目標の達成期間について特定の時点を定めているわけではありません。いずれにしても、日本銀行としては、ETF買入れの趣旨や買入れ方針を踏まえつつ、今後とも適切に買入れを進めてまいりたいと思っています。』

とは言いましても昨年は12月に帳尻買いのようなものが飛んできた訳でして、さて今年はどうしますねんというお話ですが、まあこの言い方だと帳尻合わせで狂ったように買うとかいうのはさすがにという感じでしょうかね、昨年と違って今年に入ってからはさすがにこのETFの買入に関しては批判も集まって来ていますので、日銀としてもここで謎の帳尻力を出して悪目立ちはしたくないでしょう。

『 2 点目の株価の動向につきましては、今申し上げたように、あくまでもリスクプレミアムに働きかけることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくという観点から実施しています。特定の株価水準を念頭に置いて、そうした水準を実現するために行っているわけではありませんので、あくまでもリスクプレミアムに働きかけるという趣旨を踏まえて、今後とも市場の状況に応じて、買入れを進めていく所存です。(この先まだクソ長い説明があるのですが割愛)』


いやリスクプレミアムに働きかけるってんですからそれは本来リスクプレミアムが過大に存在して市場の価格形成がおかしくなっているので買入を行うことによって正常化する、ということで買入をしている訳でして、今や経済のリスクバランスまで下振れじゃなくなって居る中で株式市場に潰すべきリスクプレミアムが存在しているのかという点についてはお前は何を言っているんだという感じが非常に強いのですが、そこは説明しないというか説明できないというか説明したくないというのが説明する度胸も無いというのかというそんな感じなんでしょうな。


ということでETFの質問が多くてアカンという感じの会見ですが先の方のETFネタを。


『(問) (前半割愛)2 点目はETFについてですが、どういう場合にETF買入れを見直す可能性があるのでしょうか。パッケージというのは重々承知しているのですが、「イールドカーブ・コントロール」と切り離してETFだけを見直すことがあるのか、それとも見直す場合はパッケージを総括的に見直すのか、その辺のご見解をお願いします。』

まあどちらとも決め打ちできないのは分かっているのですが質問はしますわな。

『(答)(前半割愛)ETFの買入れにつきましては、先程来申し上げている通りです。全体の金融緩和のパッケージの中にある一要素であることはその通りですし、今回も全体の検討の中で、ETFの買入れは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の一環として、「イールドカーブ・コントロール」とともに決定されました。』

という説明なんですがここがインチキでして、ETF買入はQQE(1兆だがその直前の麿時代最後の資産買入基金は年間5000億円でした)とQQE2(1兆→3兆)、2016年7月(なのでYCC導入前で3兆(銀行保有株の外し分との調整があるからETF自体は3.3兆)→6兆)とYCC導入と全然関係なくバカスカ拡大しているのですよね。

でもってETFにメディアから質問が来るのは株だから話がネタとして使いやすい、というのもあると思いますが、この質問している方々の中でどの程度の方が意識して認識しているのかは分かりませんけれども、無意識的にも何となく思うんじゃないかな〜と思いますけれども、総括検証してYCC導入してから、徐々に(インチキではありますが)80兆円の文言形骸化とか、2%目標達成時期への早期という拘りを徐々にトーンダウンしていくとか、今回の展望レポートにありますように「インフレ期待の早期引き上げ」というような話をこれまた意図的にトーンダウンする、というような形でQQEそのものでやっていた「短期決戦」「過大なまでの大規模緩和で勝負」というスタンスを徐々にフェードアウトしているんですよね。然るにETFに関しては(特に昨年7月の拡大は何のためにやったのかさっぱり分からんのですが)QQEの当初状態から阿呆のように拡大(当初から6倍ですよ6倍)しておりまして、ここだけ何故か「短期決戦」の時の枠組みのままで走っているのですよ。

となりますと、塹壕掘って戦線の長期化を図ろうとしている戦場の一角だけ何故かそれを無視して銃剣突撃で歩兵がヒャッハーと進撃しているというワケワカラン状態になっておりまして、しかもそのヒャッハー進撃やっても効率が悪いがなという分析は終わっている筈なのになぜかヒャッハーヒャッハーとやっている訳で、そら違和感大いに出るから質問もしますがな、という話になると思うのよ。

でもってそこは突かれると微妙にアレですので、(まあ7月にETFヤケクソ倍増して9月の総括検証でさっきのやっぱり無しとか出来ないから仕方ないのは分かるけれども、だったら何故あそこで倍増したのかという話で胆力なさすぎたということでしょうかねえ)上記の説明のように歴史修正作戦が飛び出してYCCとのセットのような振りをしていますが、どう見てもYCCとETF6兆円は成り立ちが違うだろとしか思えんので、やはりこれは真剣に検討をして欲しい所ではあります。

『ただ、将来の時点で何らかの調整を行う場合に、全体の要素全てが同時に調整される必要はありません。ETFの買入れはリスクプレミアムに対する働きかけですので、それはそれとして、全体のパッケージの中で、必要性について検討されていくことになると思います。全体のパッケージとして、常に毎回の金融政策決定会合において議論され、決定されていくということに変わりはありません。』

ということでしたら本来は株式市場のリスクプレミアムをどう考えているのかというのを示して頂かないと困る訳で、政策運営において経済物価情勢に関しては声明文やら展望レポートやらで説明しているからこれからどういう政策をやっていこうとするのかの基本的な考え方を我々のような凡下でも分かるように説明しているというのに、リスク性資産のリスクプレミアムに関する部分が完全にブラックボックスのままでは何か政策変更を行う際にデジタルに動くことになってしまいますのでそれは宜しくないのではないかと思いますがどうでしょうかね。


などと申し上げておりますが、まあそもそもそれ以前の認識である、というのが示されたのが最後の質疑応答でさすがにこれは聞いていて顎が外れた。


『(問)(前半割愛)もう 1 つはETFの買入れについてです。効果と狙いについては先程ご説明頂いた通りだと思いますが、買うことのリスクや副作用についてどういう認識をお持ちか教えて下さい。』

『(答) (前半割愛)ETFの買入れについては、現時点で株式市場の時価総額の 3%程度を買い入れたところですが、従来から申し上げているように、リスクプレミアムを縮減して経済・物価にプラスの影響を及ぼすことを目的にしており、株価をターゲットにしてやっているわけではありません。』

そのリスクプレミアムの考え方を早く出して下さい。

『そうしたもとでどういったリスクがあるかですが、ETF自体はご承知のようにパッシブな運用の1 つであり、他の一般の方や企業もETFを買って何ら差支えないわけですので、ETF自体に何か大きな問題があるとは思っていません。』

無茶苦茶な理屈ですな。パッシブだったら良くてアクティブだったら悪いんだったらケチャップインデックスとか作ったらお前はパッシブ運用だからケチャップでも買うのかと小一時間であって、アセットクラスとしてそもそリスク性資産を長期間に渡って継続して購入して保有し続けることの問題について聞いているのにこの答えの厚かましさよ。

『仮に問題があるとすれば、株式市場の相当部分を日本銀行が買うことになると、マーケットの価格に非常に大きな影響を与えているのではないかということになるかもしれませんが、先程申し上げたように、3%程度の保有であり、現時点では何か大きなリスクがあるとは考えていません。』

とりあえず何だ、3%保有する株主のいわゆる少数株主権って奴を読んでからそういう話をしろと言う次第で、3%しか持ってないとかいう認識がそもそもこの人株式市場に興味ないだろというのが良く分かる発言ではございますし、まあこういう斜め上の答えしか出来ないというのは、そもそも論としてやっていること自体の説明がつかないからこういう変な説明しか出来ないということでしょうから、本当の本当にETFに関してはこれ将来どうするんだよとしか申し上げ用がありませんな。


・金利の調整に関して

『(問) 「イールドカーブ・コントロール」について 2 点お伺いします。昨年9 月に「イールドカーブ・コントロール」を導入してから、かれこれ 1 年以上にわたって現在の金利操作目標を維持しているわけですが、この間、需給ギャップがプラスに転換するなど、着実に経済情勢は改善していると思います。』

物価ェ・・・・・・・

『そこで改めて伺うのですが、日銀が今示しているような見通しに沿って経済・物価情勢が今後も改善を続ける場合、2%達成前にイールドカーブを調整するということはあり得るのか、それとも物価 2%の達成が確実になるまでゼロ%というイールドカーブを維持しながら、緩和効果の強まりをとことん追求していくというお考えなのか、これが 1 点目です。(後半は本質的に同じ質問なので割愛)』

『(答) ご指摘の通り、昨年の 9 月に現在のような「イールドカーブ・コントロール」、そのもとでの政策金利−0.1%、そして 10 年物国債金利の操作目標ゼロ%程度というものを決めて、1 年以上経っています。その間、経済が順調に改善してきたということは、様々な指標が示している通りです。ただ、残念ながら物価の方は、もちろん 1 年前に比べるとかなりよくなってはいますが、まだ生鮮食品を除くベースでみると+0.7%程度、更にエネルギー品目も除くと+0.2%程度ということで、2%の「物価安定の目標」にまだまだ遠いところにありますので、現時点で今の「イールドカーブ・コントロール」を変更する必要があるとは思っていません。』

そんな事は言われんでもわかっとる。

『ゼロ%程度あるいは政策金利の−0.1%を 2%の「物価安定の目標」を達成する前に調整するのか、達成した後に調整するのかについては、その時の経済・物価・金融情勢によると思います。目標はあくまでも 2%の「物価安定の目標」を達成し、これを安定的に維持することであり、これとの関係で常に金融政策を考えていくということに全く変わりはありません。(後半も同じ話なので割愛)』

一応建付け上は2%の物価目標に対してひもがついているのはオーバーシュート型コミットメントというMB拡大の方であって、金利水準は別に変更可能なのですが、まあ実際に物価が上がってみないとどうなるか分からん、というのはその通り。

ただ、一応この話というのはある程度きっちりと説明しておかないと、いざ物価が上がってきた時にどういう風になっていくかというのが急に問題になるとその時に混乱するんじゃないのという危惧はありますが、まあそもそも物価が上がらないので問題がおきませんですかそうですか。

#本日はこの辺で勘弁



2017/11/03

お題「展望レポート基本的見解の鑑賞」

今日は無慈悲な目覚まし時計の鉄槌により目が覚めましたので、かなーりのんびりですが午前中に作成するのでありました。

○展望レポート基本的見解である(暇なので全部比較してみるの巻なので長いよ)

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1710a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1707a.pdf(前回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/k170921a.pdf(9月声明文)

展望レポート基本的見解の文章に参ります。あと基本的認識の部分は前回の決定会合声明文と比較した方が良いので最初の方だけ前回の決定会合声明文との比較もします。

・現状認識は9月と同じ

『1.わが国の経済・物価の現状 』から。

『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(9月声明文)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)

へいへいそうですかということで総括判断は文言変わらず。

『海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。』(今回)
『海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。』(9月声明文)
『海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。』(前回)

ここも同じ。

『国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅さを増している。この間、公共投資は増加しており、住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回)

『国内需要の面では、設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅さを増している。この間、公共投資は増加しており、住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(9月声明文)

『国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が業種の拡がりを伴いつつ改善するなかで、緩やかな増加基調にある。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅さを増している。この間、公共投資は増加に転じつつあり、住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回)

業況感云々は短観直後じゃないと出て来ないので9月声明文のところでは言及がありませんけれども、他の表現は9月声明文と同じ。7月と比較すると9月声明文の所で上げている(業種の広がりを伴いつつ云々というのがスッキリした表現に変わっている)ので7月対比では上がって
います。

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。』(今回)

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。』(9月声明文)

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台前半となっている。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。』(前回)

現実の数字に起因した所以外は同じ、ということで現状認識は9月声明文と同じとなります。


・先行き見通しの成長はまあ同じ、7月よりは若干強め

『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(1)経済の中心的な見通し 』に参ります。

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018 年度までの期間を展望すると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(9月声明文)

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018 年度までの期間を展望すると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回)

うーんこの不変モード。

『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境や成長期待の高まり、オリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加などから、緩やかな増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、経済対策の効果などから 2017 年度に増加した後、2018 年度は、経済対策効果の減衰に伴い減少に転じるものの、オリンピック関連需要もあって高めの水準を維持すると考えられる。』(今回)

『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境や成長期待の高まり、オリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加などから、緩やかな増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、経済対策の効果などから 2017 年度にかけて増加し、その後は、オリンピック関連需要もあって高めの水準で推移すると考えられる。』(前回)

公共投資のところでちょっといじっていますが基本的に同じ話をしていますな。

『この間、海外経済は、先進国の着実な成長に加え、その好影響の波及や各国の政策効果によって、新興国経済の回復もしっかりとしたものになっていくとみられることから、緩やかな成長を続けると予想している。こうした海外経済の成長を背景として、輸出も、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(今回)

『輸出も、海外経済の改善を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(9月声明文)

『この間、海外経済は、先進国の着実な成長に加え、その好影響の波及や各国の政策効果によって、新興国経済の回復もしっかりとしたものになっていくとみられることから、緩やかに成長率を高めていくと予想している。こうした海外経済の改善を背景として、輸出も、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(前回)

輸出の結論は同じですが、海外経済見通しそのものに関しては前回→9月→今回と匍匐前進している感じです。

『2019 年度については、内需の減速から成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気拡大が続くと予想される。すなわち、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、設備投資が減速すると見込まれる。また、家計支出も、下期には消費税率引き上げの影響から減少に転じると予想される3。もっとも、海外経済の成長を背景とした輸出の増加が景気を下支えするとみられる。』(今回)

『019 年度については、内需の減速から成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気拡大が続くと予想される。すなわち、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、設備投資が減速すると見込まれる。また、家計支出も、下期には消費税率引き上げの影響から減少に転じると予想される3。もっとも、海外経済の成長を背景とした輸出の増加が景気を下支えするとみられる。』(前回)

思いっきり同じですな。

『以上のもとで、わが国経済は、2018 年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる4。今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。』(今回)

『以上のもとで、わが国経済は、2018 年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる4。今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、幾分上振れている』(前回)

ということで不変は不変なのですが、以下にあるリスク認識もそうですし、9月の所で若干判断が少しずつ上がっているのもあって、まあニュアンス的には若干強くなっているという感じだと思いますよ。

なお脚注4の部分は『4 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、「0%台後半」と計算される。(以下割愛)』となっていまして、今回も同じということになっています。

『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると予想される5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(今回)

『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると予想される5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(前回)

ここは同じ事しか書かないのでどうでも良い。

『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続くもとで、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。それに伴い、自然利子率も上昇し、金融緩和の効果を高めると考えられる。』(今回)

『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続くもとで、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。それに伴い、自然利子率も上昇し、金融緩和の効果を高めると考えられる。』(前回)

という説明なのですが、まあそれでしたら潜在成長率ってもっとホイホイ上がっていると思うのですが、この「0%台後半」だってGDPの改訂で変わったようなもんで、別に経済の成長力が高まったという認識を示して上がった訳でも無かったりするので、まあこの潜在成長率の説明も前と比較してどうよとかなると色々とヤヤコシイことになると思うのですが。


・先行き見通しの物価ではインフレ期待に関する表現変化に注目してみた

続きまして『(2)物価の中心的な見通し 』です。

『前回展望レポート以降、消費者物価の前年比はプラス幅を拡大しているが、エネルギー価格の影響を除くと小幅のプラスにとどまっており、なお弱めの動きが続いている』(今回)

『前回展望レポート以降の消費者物価の前年比の動きをみると、エネルギー価格が押し上げに寄与するもとで、上昇率が高まってきている。しかし、こうした影響を除くと、年度初の価格引き上げの動きが限定的となるなど、弱めの動きとなっている。』(前回)

何か今回は言い訳じみたものが無くなって堂々の弱め認識という感じですな。

『この背景としては、携帯電話機や通信料の値下げといった一時的要因もあるが、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることが影響している。』(今回)
『この背景としては、携帯電話機や通信料の値下げといった一時的要因もあるが、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることも影響している。』(前回)

前回は「も」だったのですが今回は「が」になっていまして、その前に書いてあることって要するにインフレ期待が上がっていないということでありまして、それはつまり前回の時点ではインフレ期待があがっていないこと「も」影響していますと言っていたのに、今回は堂々とインフレ期待が上がっていない事「が」影響しています、とインフレ期待が上がらないのをすっかり開き直ってしまっているという事になっています。

でもってこれって昨日ネタにしました鏡の部分に繋がるような気がするのですが、すなわち前回の展望レポート基本的見解の鏡(概要)の部分には『これ(=エネルギー生鮮除くCPIの上昇力が弱い状況)に伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている。』と適合的期待形成の部分からインフレ期待の上昇が遅れているというのが言い訳として入っていたのですが、今回はその言い訳をさっくりと削除しているというのがありまして、しかもこの部分では「インフレ期待の上昇が中々起きませんので物価が上がりませんが何か?」という堂々の認識を示しているということでして、昨日も申しあげましたように、本来のQQEにおける政策波及効果の一丁目一番地だったり、フィリップスカーブの上方シフトに必要なインフレ期待の上昇については早期に行かなくても別に物価の基調が腰折れしなくて、インフレ期待が下がるのではない限りにおいて知らんがなというスタンスになっているのではないか、というのをこちらからも示しているように見えますが深読みのし過ぎでしょうかね。

『企業は、人手不足に見合った賃金上昇をパート等にとどめる一方で、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を吸収しようとしている。このように、労働需給の着実な引き締まりや高水準の企業収益に比べ、企業の賃金・価格設定スタンスはなお慎重なものにとどまっている。もっとも、パート時給がはっきりとした上昇基調を続けているほか、既往の為替円安による仕入価格の上昇などもあって、企業のコスト面からみた価格上昇圧力は着実に高まっている。』(今回)

『企業は、人手不足に見合った賃金上昇をパート等にとどめる一方で、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を吸収しようとしている。このように、労働需給の着実な引き締まりや高水準の企業収益に比べ、企業の賃金・価格設定スタンスはなお慎重なものにとどまっている。実際の物価上昇率の影響を強く受けるため、中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている。』(前回)

ということで、ここでも予想物価上昇率の高まりの後ずれに関しての文言が堂々削除されています。ただこちらに関しては今回の表現でしらっと入ったように「円安によるコストプッシュでも物価上昇圧力が掛かるので、そっちから物価が上がって適合的期待形成にも繋がると見込んでいるので今回文言削除した」という説明は可能になっていると思うのですが、いずれにせよここにある書き方の中で、インフレ期待の上昇というキーワードがフェードアウトしている、というのが気になりますが、これは「インフレ期待はそのうち上がるでしょう」という話になった、すなわち「2年を念頭に出来るだけ速やかに」「何が何でも早期に達成」というスタンスからの脱却を徐々に進めている結果として、インフレ期待に関する記述のウェイトが下がった、とまあそういう事でしょうと勝手に想像するのでした。


『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)』(9月声明文)

『もっとも、先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

これは同じですが・・・・・・・


従来の見通しと比べると、携帯電話通信料の値下げの影響等から 2017 年度について幾分下振れているが、2018 年度、2019 年度については概ね不変である。2%程度に達する時期は、2019 年度頃になる可能性が高い6。』(今回)

『従来の見通しと比べると、見通し期間の前半を中心に下振れるとみられるが、見通し期間の終盤にかけては、賃金の上昇を伴いながら、物価上昇率が緩やかに高まるという好循環が次第に作用すると考えられる。2%程度に達する時期は、2019 年度頃になる可能性が高い6。』(前回)

ということで、結論は同じなのですが途中の言い訳じみた説明が無くなっておりまして、徐々に物価目標達成が後ずれしても知らんがなという風にQQE当初の説明からこっそり足抜けを図っているというのが見て取れるのではないかと思います。


・でもって物価上昇のメカニズム

『消費者物価の前年比が2%に向けて上昇率を高めていくメカニズムについて、物価上昇率を規定する主たる要因に基づいて整理すると、』(今回)
『好循環が作用していくメカニズムについて、物価上昇率を規定する主たる要因に基づいて整理すると、』(前回)

好循環が作用していくメカニズムだったのがそこはスルーしているのね。

『第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは着実に改善している。特に、有効求人倍率がバブル期ピークを上回っているほか、失業率も2%台後半まで低下するなど、労働需給は一段と引き締まっている。先行きについても、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは 2018 年度にかけてプラス幅を拡大し、2019 年度も比較的大幅なプラスで推移するとみられる。』(今回)

『第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは着実に改善している。特に、有効求人倍率がバブル期ピークを上回っているほか、失業率も3%程度まで低下するなど、労働需給の引き締まりは一段と明確になっている。先行きについても、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは 2018 年度にかけてプラス幅を拡大し、2019 年度も比較的大幅なプラスで推移するとみられる。』(前回)

労働需給の引き締まりからの需給ギャップ拡大という説明がまた強化されておる。

『第 2 に、中長期的な予想物価上昇率は、2015 年春以降、実際の消費者物価の前年比が0%程度ないし小幅のマイナスで推移してきたことから、弱含みの局面が続いているが、このところ、一部に上昇を示す指標もみられている。』(今回)

『第 2 に、中長期的な予想物価上昇率は、一部には昨年の夏頃をボトムに上昇傾向を示す指標もみられているが、弱含みの局面が続いている。』(前回)

「一部に上昇を示す指標もみられている」ですが、今回は一部に上昇云々が独立していまして、前回は主文が弱含みの中に一部に上昇云々を入れているので上方修正チックになっています。

『先行きについては、@「適合的な期待形成」7の面では、当面、後述のように輸入物価の動向などが現実の物価上昇率を押し上げるとみられるほか、その後も、マクロ的な需給ギャップが改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化してくると考えられること、A「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことから、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向をたどり、2%程度に向けて次第に収斂していくとみられる。』(今回)

『先行きについては、@「適合的な期待形成」7の面では、当面、後述のように輸入物価の動向などが現実の物価上昇率を押し上げるとみられるほか、その後も、マクロ的な需給ギャップが改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化してくると考えられること、A「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことから、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向をたどり、2%程度に向けて次第に収斂していくとみられる。』(前回)

はいはい同じ文言同じ文言。

『第3に、輸入物価についてみると、原油価格など国際商品市況の昨年春から本年初にかけての持ち直しは、2017 年度の消費者物価のエネルギー価格の前年比を押し上げると予想される。また、為替相場が輸入物価を通じて消費者物価にもたらす影響については、既往の為替相場の円安方向への動きが、2017年度を中心に、価格上昇圧力を高める方向に作用すると考えられる。』(今回)

『第3に、輸入物価についてみると、原油価格など国際商品市況の昨年春から本年初にかけての持ち直しは、2017 年度の消費者物価のエネルギー価格の前年比を押し上げると予想される。また、為替相場が輸入物価を通じて消費者物価にもたらす影響については、既往の為替相場の円安方向への動きが、2017年度を中心に、価格上昇圧力を高める方向に作用すると考えられる。』(前回)

ということでここも同じというこの変わっていなさなのですが、元々経済の所が何となく強くなっているのに物価の見通しが変わらないのって本当は物価の上昇力が相対的に弱くなっていることを示すはずなのですがその辺はスルーというのがニャンとも。


・上振れ下振れ要因ですが経済は同じ

『3.経済・物価の上振れ要因・下振れ要因』の『(1)経済の上振れ・下振れ要因 』です。

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。具体的には、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開、地政学的リスクなどが挙げられる。いずれも経済の下押し要因となる可能性がある。一方で、市場や経済主体がそうしたリスクをある程度意識していることを踏まえると、展開によっては上振れにつながる可能性もある。』(今回)

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。具体的には、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開、地政学的リスクなどが挙げられる。いずれも経済の下押し要因となる可能性がある。一方で、市場や経済主体がそうしたリスクをある程度意識していることを踏まえると、展開によっては上振れにつながる可能性もある。』(前回)

なんつーかまあ全文一致になっているのですが、海外のリスク要因も微妙にウェイト変わっているとは思うのだが、その辺は誤差の範囲ということなんですかねえ。

『第2に、企業や家計の中長期的な成長期待は、少子高齢化など中長期的な課題への取組みや労働市場をはじめとする規制・制度改革の動向に加え、企業のイノベーション、雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。第3に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する場合、人々の将来不安の強まりやそれに伴う長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(今回)

『第2に、企業や家計の中長期的な成長期待は、少子高齢化など中長期的な課題への取組みや労働市場をはじめとする規制・制度改革の動向に加え、企業のイノベーション、雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。第3に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する場合、人々の将来不安の強まりやそれに伴う長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(前回)

この辺も全然変えていないのですが、本来で言えば財政の所とかPB達成目標を後ろ倒しにしたり変化は起きている筈なんですけど、まあ文言を変える気が全然無いというのは把握した。


・物価の下振れ要因のところがこれまた微妙にアレなのですよ

『(2)物価の上振れ・下振れ要因 』である。

『以上の要因のほか、物価の上振れ、下振れをもたらす固有の要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。予想物価上昇率は、先行き上昇傾向をたどるとみているが、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくるまでに時間がかかり、物価が弱めの推移を続ける場合には、予想物価上昇率の高まりが遅れるリスクがある。』(今回)

『以上の要因のほか、物価の上振れ、下振れをもたらす固有の要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。予想物価上昇率は、先行き上昇傾向をたどるとみているが、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくるまでに時間がかかり、物価が弱めの推移を続ける場合には、予想物価上昇率の高まりがさらに遅れるリスクがある。』(前回)

まずここなのですが、前回は「予想物価上昇率の高まりがさらに遅れるリスク」としていた表現から「さらに」がしらっと外れていまして、こちらに関しても前回だとこの「さらに遅れるリスク」ということで何となく遅れるのが由々しき事態的なニュアンスを含んでいたのですが、今回はしれっと「遅れるリスク」だけになっていまして、「さらに」に含まれていた焦燥感というか危機感みたいなのが外れておりまして、予想物価上昇率の上昇の遅れもまあそういうこともありますがな位の感じになっているような気がする(さっきまでの部分と合わせて)のは気のせいでしょうかねえ。

そして更にその思いを強くするのがその次。

『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目があることが挙げられる。公共料金や一部のサービス価格、家賃などは依然鈍い動きを続けており、先行きも消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。また、差別化の難しい財・サービスの価格についても、流通形態の変化や規制緩和等によって競争環境が一段と厳しくなる場合には、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。』(今回)

『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目があることが挙げられる。とくに、公共料金や一部のサービス価格、家賃などは依然鈍い動きを続けており、先行きも消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。』(前回)

ということで、今回「差別化の難しい財・サービスの価格についても、流通形態の変化や規制緩和等によって競争環境が一段と厳しくなる場合には、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある」というのが入って、下振れリスク認識が更に強まった、と言えるのですが、この部分を良く良く読んでみると「流通形態の変化や規制緩和等」という要因によっての物価下押し圧力というのは、最近櫻井審議委員の金懇挨拶でも出ていた「成長力の強化によって起きる物価下押し圧力」でして、それは物価下押しのリスクではあるものの、長期的に見たら成長力が上がるので問題ありません(キリッ)という事になっておりましたので、つまりここの部分は「一時的に下押しするリスクがありますが、それは成長力の強化に繋がっている下押しですから現象面として物価の伸びが鈍化しても無問題」という話に持って行く布石にもなっているというこの諸葛孔明の罠という文言ですぞ、と思ったわけですがどうでしょうかね。

『第3に、今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向およびその輸入物価や国内価格への波及の状況は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(今回)
『第3に、今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向およびその輸入物価や国内価格への波及の状況は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(前回)

ここは同じです。ということで物価に関する表現で、インフレ期待が上がらない事や、物価に下押し圧力が掛かることに関して、前者についてはしらっと問題視するウェイトを下げていますし、後者は場合によっては問題視しなくてもよいのもあるよというのを仄めかしするトラップがあるので、アタクシも最初下振れリスク追加キタコレと思ったのですが、実はそういう言い逃れができるということで、まてあわてるなこれは孔明の罠だという奴だということで、物価目標達成に関するスタンスが益々「いそがなくてもいいじゃないかこうけいきでこようがよいんだもの」という方向にこっそり舵を向けているという感じでしょうか。


・金融政策については相変わらずというのも何とも

最後の『4.金融政策運営 』だが、第二の柱のうち金融面に関して言えばどう見たって最近のリスク資産動向的にはリスクプレミアムの縮小を促す政策の意味はあるのかとか、マイナス金利YCC政策の時間経過とともに発生している金融システムへの影響拡大とかあるじゃろうと言いたくなるのですけどね。、

『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する8。まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。これは、@マクロ的な需給ギャップが着実に改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、A中長期的な予想物価上昇率は、下げ止まりから一部に上昇傾向を示す指標もみられており、先行きも、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に上昇すると考えられること、が背景である。』(今回)

『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する8。まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。これは、@マクロ的な需給ギャップが着実に改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、A中長期的な予想物価上昇率は、下げ止まりから一部に上昇する指標もみられているもと、先行きも、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に上昇すると考えられること、が背景である。』(前回)

ここですが、今回は「A中長期的な予想物価上昇率は、下げ止まりから一部に上昇傾向を示す指標もみられており」で、前回が「下げ止まりから一部に上昇する指標もみられている」になっていて、「上昇傾向」というのと「上昇する」というのとだと何か前者の方が弱いように見えるのだがどうなっているんだか。

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、リスクは概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(今回)

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(前回)

ということで成長率のリスクがバランスになっていて物価の見通しは変わっていないので、実質的には上昇力が弱くなっているということになりますな。

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。また、低金利環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるが、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、そのリスクは大きくないと判断している9。』(今回)

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。また、低金利環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるが、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、そのリスクは大きくないと判断している。』(前回)

とか言ってますが、最近大手行で住宅ローンの取り組みについて一部ないし全面的に縮小の方向で検討みたいな報道も出ておりまして、それは金融仲介が停滞方向に向かう兆候の一つという観点(どうせ当局的に言えば不採算部門の縮小なので結構とか言い出すでしょうけれども)からの見解はないのですかねえとは思う。

『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う』(今回)

『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)

まあここもいつも通り、ということで天気もよろしく何か妙に暖かい(東京では、ですが)祝日の午前中にあたしゃ何をやっているんでしょうかとか考えてはいけないのでさっさと投下致します(笑)。




2017/11/02

お題「既に次回利上げ織り込んでいるからおとなしいFOMC/展望レポート基本的見解から」

そういやFOMCでした(汗)。いや一応認識してるのですがどうせ何もないと思っているとそういやそうジャンという事になる。

○FOMC声明文:12月利上げは織り込まれているから無理に予告ホームランをしないと

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20171101a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20170920a.htm(前回)

・第1パラグラフ:経済の現状認識は基本的に引き上げ

『Information received since the Federal Open Market Committee met in September indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a solid rate despite hurricane-related disruptions.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in July indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising moderately so far this year.』(前回)

景気の現状に関しての全体判断が「rising moderately」から「rising at a solid rate」となっておりまして判断引き上げキタコレであります。

『Although the hurricanes caused a drop in payroll employment in September, the unemployment rate declined further. Household spending has been expanding at a moderate rate, and growth in business fixed investment has picked up in recent quarters.』(今回)

『Job gains have remained solid in recent months, and the unemployment rate has stayed low. Household spending has been expanding at a moderate rate, and growth in business fixed investment has picked up in recent quarters.』(前回)

雇用に関してはハリケーンの影響があるけどそれはそれとして堅調という話をしていまして、家計とか企業固定資産投資とかの判断は同じ。

『Gasoline prices rose in the aftermath of the hurricanes, boosting overall inflation in September; however, inflation for items other than food and energy remained soft. On a 12-month basis, both inflation measures have declined this year and are running below 2 percent. Market-based measures of inflation compensation remain low; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(今回)

『On a 12-month basis, overall inflation and the measure excluding food and energy prices have declined this year and are running below 2 percent. Market-based measures of inflation compensation remain low; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(前回)

ガソリンがどうのこうのというのはこの後に出てきますが前回の見通しの時に指摘されていたことで、これについてはその時の見通しと同じ話になっています。でもってそれはそれとしてというインフレの状況ですが、エネルギー除く要因で見た場合でも、こちらは相変わらずの「inflation measures have declined this year and are running below 2 percent」で通していまして、物価の方は中々アガランチ会長となっております。あと現状についてはガソリン価格の影響で含むエネルギーのインフレに影響があるけれども、除く食料エネルギーの物価については「soft」としていますな。


・第2パラグラフ:先行き見通しは同じ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

これはいつものお約束。

『Hurricane-related disruptions and rebuilding will continue to affect economic activity, employment, and inflation in the near term, but past experience suggests that the storms are unlikely to materially alter the course of the national economy over the medium term. Consequently, the Committee continues to expect that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace, and labor market conditions will strengthen somewhat further.』(今回)

『Hurricanes Harvey, Irma, and Maria have devastated many communities, inflicting severe hardship. Storm-related disruptions and rebuilding will affect economic activity in the near term, but past experience suggests that the storms are unlikely to materially alter the course of the national economy over the medium term. Consequently, the Committee continues to expect that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace, and labor market conditions will strengthen somewhat further.』(前回)

ハリケーンの影響については一時的には大きく、暫くその影響はあるものの、中長期的に経済に影響を与えるということではないので、引き続きグラデュアルな緩和政策の調整によって経済のモデレートな拡大と労働市場の幾分かの拡大を促すことができます、と結論はいつも通り。

『Inflation on a 12-month basis is expected to remain somewhat below 2 percent in the near term but to stabilize around the Committee's 2 percent objective over the medium term. Near-term risks to the economic outlook appear roughly balanced, but the Committee is monitoring inflation developments closely.』(今回)

『Higher prices for gasoline and some other items in the aftermath of the hurricanes will likely boost inflation temporarily; apart from that effect, inflation on a 12-month basis is expected to remain somewhat below 2 percent in the near term but to stabilize around the Committee's 2 percent objective over the medium term. Near-term risks to the economic outlook appear roughly balanced, but the Committee is monitoring inflation developments closely.』(前回)

ガソリン価格云々という部分は今回は第1パラの方に移っておりまして、それ以外のお話に関しては前回とこれまた同じ、ということで要するに基本的に言ってる事は同じですな。


・第3パラグラフ:現状維持なので同じ

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1 to 1-1/4 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting some further strengthening in labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(今回)

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1 to 1-1/4 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting some further strengthening in labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(前回)

ということでここは同じ文言。


・第4パラグラフ:特段の予告ホームランは無しと

第4パラグラフが将来の金利政策の見通しの話になるのですが・・・・・・・・・・

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(今回)

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(前回)

ここまで全文一致。


『The Committee will carefully monitor actual and expected inflation developments relative to its symmetric inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(今回)

『The Committee will carefully monitor actual and expected inflation developments relative to its symmetric inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(前回)

とか思っていたらこちらも全文一致ということで、予告ホームランするならここで予告する筈なのですが、今回は特に予告なしと相成りました。まあ今回に関しては市場に対して色々な情報発信でさんざん12月利上げを織り込ませてしまいましたので、3月に利上げしたときのように直前で無理やり織り込ませに行く必要もなく、直近FOMC声明文で予告ホームランを出す必要もなく、というような状況だからこそなんでしょうね。

これが足元の経済状況について全体的なアセスメントを引き上げている、というのが無くて文言変更無しで打ち込まれると少々ビビるのですが、足元の経済アセスメント上げているんだから分かるでしょ、という事だと思いますし、多分市場もそういう反応を示している(反応していないのが反応)と思われますので、まあ今回は事前の織り込ませが効いているのと、そもそも株式市場がヒャッハーヒャッハーと上がり続けているのでそら織り込まれるわというのもあるとおもいますです。


・第5、第6パラグラフ:今回は当然ながら全員一致

『The balance sheet normalization program initiated in October 2017 is proceeding.』(今回)
『In October, the Committee will initiate the balance sheet normalization program described in the June 2017 Addendum to the Committee's Policy Normalization Principles and Plans.』(前回)

第5はバランスシートの話。

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Charles L. Evans; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Neel Kashkari; Jerome H. Powell; and Randal K. Quarles.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Charles L. Evans; Stanley Fischer; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Neel Kashkari; and Jerome H. Powell.』(前回)

フィッシャーからクォールズに変わっていますが票決は一致と。


○会見とどっちをするのか3秒考えたが展望レポート基本的見解

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1710a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1707a.pdf(前回)

・成長見通しを引き上げて物価見通しが据え置きなのですから・・・・・・・・・(概要)

まずは『<概要>』から。 ちなみに多分同じフォントを使っているはずなのに、何故か展望レポートの方はキチンとMS標準装備のテキストに文字化けせずに落とせるのですので、FSRに関しては金融機構局だか金融システム調査課だかで使っているエディターか何かが宜しくないのではと思ったりする。

『わが国経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、景気の拡大が続き、2018 年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を維持するとみられる。2019年度は、設備投資の循環的な減速に加え、消費税率引き上げの影響もあって、成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれる2。』(今回

『わが国経済は、海外経済の成長率が緩やかに高まるもとで、きわめて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、景気の拡大が続き、2018 年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を維持するとみられる。2019年度は、設備投資の循環的な減速に加え、消費税率引き上げの影響もあって、成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれる2。』(前回)

海外経済が「緩やかに高まる」→「緩やかな成長を続ける」と判断を引き上げていますが、確かIMFとかも世界経済の判断を強めていた筈なので、まあだいたいそこと整合的に上げてきている感じ。

『消費者物価(除く生鮮食品)は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格上昇の影響を除くと弱めの動きが続いている。もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も上昇するとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『消費者物価(除く生鮮食品)は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格上昇の影響を除くと弱めの動きとなっている。これに伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている。もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も上昇するとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

ここなんですけど、今回しらっと「中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている」というのを外して来たのは地味ながらも緩和政策のスタンスをこっそりと少しずつずらしていくという流れの一環じゃないかなって思うのですよ。

つまりですね、今となっては貴重な黒歴史になりつつある置物大師匠謹製のQQE政策の波及経路の図表、すなわち2013年8月28日に行われた京都商工会議所での師匠の講演『「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム -「第一の矢」の考え方』の図表でありますところの下記URL先の7枚目(表紙があるので振ってあるページは6ページ)になりますが・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム
ー 第一の矢」の考え方ー京都商工会議所における講演
日本銀行 副総裁 岩田規久男

元々は「予想インフレ率上昇」がQQE政策の波及効果における一丁目一番地みたいな扱いになっていた訳でして、これが遅れていたら置物師匠の理論が正しいのであれば、予想インフレ率上昇が何時まで経っても進まんという事ですと、そもそもQQE政策の波及効果が始まっていないということになる(それでも経済が拡大したり雇用が改善したりしているのは海外経済とかの外的要因で、まあ円高是正位は効いているかもしれないけれどもそれも予想インフレ上昇とは別問題かも知れないですよねー)ので、まああまり宜しくないお話な訳ですよ。

とは言いましても予想インフレ上昇率が上がってこないとそもそも論としての物価安定の目標になってこない(一時的に2%になるのではなくて、概念的に言えば需給ギャップがゼロの時に適合する物価上昇率が2%である状態が物価安定の目標になるのだから、いまのままではアカンという話)のですが、金融政策でそこのところを早期に引き上げるのは無理があるという事になりましたので、「モメンタム」という言葉を駆使して、要は経済物価情勢がコケない状況を緩和的な金融政策でサポートしてやればそのうち物価が上がって適合的な期待形成にも高影響出てくるでしょうからそれで勘弁、という話になってきたんでしょう総括検証って。

ということになりますと、そのモメンタムさえ維持されていれば、予想インフレ率上昇が早期に来ればそれは良いのですが別に遅れてもそこはそこで拘らない、という話をより明確化させるためにもこの部分をそんなに強調する必要はない、となって鏡になりますこの概要の所でしらっと期待インフレの所を削除したんじゃないのかね、と勝手読みしましたがどうでしょうかね。

『従来の見通しと比べると、成長率については、概ね不変である。物価については、2017 年度について幾分下振れているが、2018 年度、2019 年度については概ね不変である。』(今回)

『従来の見通しと比べると、成長率については幾分上振れている。物価については、見通し期間の前半を中心に下振れている。』(前回)

実際は成長についてリスク認識が以下にあるように変わっているので、やはり今回も成長に関して事実上上方修正になっています。

『リスクバランスをみると、経済については概ね上下にバランスしているが、物価については下振れリスクの方が大きい。物価面では、マクロ的な需給ギャップが改善を続け、中長期的な予想物価上昇率も次第に上昇するとみられるもとで、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(今回)

『リスクバランスをみると、経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい。物価面では、マクロ的な需給ギャップが改善を続け、中長期的な予想物価上昇率も次第に上昇するとみられるもとで、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(前回)

ということでリスクバランスで成長を引き上げなので、実際には物価上昇力はまたも弱まっているんですよねー。

『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回)

『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)

まあここは一致です。

・・・・・・・とかやっていたら肝心の本文やっている暇が無くなってしまいましたが、まあ10月の展望レポートネタは文化の日に帳尻を合わせるのが例年のパターンなので明日ちゃんと起きてやる気があったら更新しますが期待しないでください。



2017/11/01

お題「決定会合レビューだが片岡提案ネタで終わってしまいました(すいません)」

いやー11月ですよ11月。

○逸材登場のようですなこれは(当然ながらネタは片岡審議委員)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/k171031a.pdf
当面の金融政策運営について

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した(注1)。』

ということで議決事項自体は「前回と同じです」なのでどうでも良いのですけれども、前回反対だけした片岡審議委員が何か議案を出すのか(出すなら追加緩和提案ですが)どうかがネタ(注目される、というコメントもありましたが櫻井審議委員の先般の函館金懇によって追加緩和を出しても影響ないというのは分かっていたのでその時点で勝負付けはついているので提案をしても無視されるだけ、つーことで興味としては単なるネタとしての興味なのですが・・・・・・・)でしたが、12時5分ごろに終了しやがりましたので、これは何かあまり議論になっていないなというのは把握したのですけれどもさて脚注1。

『(注1)片岡委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。』

うーんこの。「国内要因により」「達成時期が後ずれ」した場合には追加緩和をしろ、ということですが、ここで前回決定会合での片岡審議委員の反対理由を確認してみましょう。

前回決定会合
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/k170921a.pdf

『3.先行きのわが国経済は、(途中割愛)消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。


『(注2)片岡委員は、物価の前年比は、原油価格や為替の影響により当面上昇すると見込まれるものの、来年以降、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。』(この部分のみ9月決定会合声明文より)

という見通しで反対しているのでしたら、「本文中に記述することが必要なので反対」なのではなくて、「追加緩和措置が必要なので反対、追加緩和措置は別途提案します」となると思うのですけれども次にありますように別に追加緩和の議案提出はしていないというこの事実があってナンジャソラという感は否めません。ああそれから展望レポートの記述に関しての賛否はこちらの鏡の方には出て来ないので、議事要旨を見れば恐らく今回の展望レポート基本的見解の物価見通しの部分に片岡さんの反対意見というのが記述されていると思います。


というのは前座でして、逸材現ると債券金利市場の皆様の顎を盛大に外して下さったのが次の部分。


『(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注2)』

『(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。』

まあこれはよい。

『反対:片岡委員。片岡委員は、イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15 年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

まあこれが出て債券金利市場の中の人のうち10人中15人くらいが思ったのは「3か月一生懸命考えた結果がこれかよ!!!!!!!!!」という事ではないかと愚考する訳ですが、もう何が何だか分からない。

ということで以下悪態になるのですが、ただまあ一応可能性として、この「15年国債金利が0.2%未満」というのは全体の話の一部であって、単独でこの話が出てきたという訳ではない、というのは考えられない訳ではないのですが、公表文の脚注としてこういう書き方をされますと、前回決定会合からの1か月待ちという間に色々な期待を持たせた市場の中の人からしたら本格派の馬さん鹿さんが登場しやがったと呆れられるのではないか、という点に顧慮が行かない、という時点でこれはジンバブエ大先生という逸材をも凌駕しそうなレベルの逸材ではなかろうか、とまあそういう風に考える訳ですよ。

・15年という意味は何でしょうか

えーっとですね、どうも「より長期の金利を引き下げる」という事なので15年金利という話になっていると思うのですが、その「15年」という所に何の意味があるのかというのがさっぱり分からん。20年とか30年とかならば(別に賛成はしないけど)話の筋として分かるのですけれども、10年→15年というその中途半端にも程がある年限延長の理論的な根拠はどうなっているのかというのを説明してくれないと、黄色い着物の人が大喜利で駄洒落を言っているレベルの話にしか聞こえないのですけれども。

10年を15年にすることによって、実際の貸出金利などにどのような影響があって、それが経済の拡大にどうつながって、それによって物価目標達成時期がどう短くなるのか(そらまあ10年だってナンジャラホイといってしまえばそれまでですけれども一応総括検証をした結果を受けているので)という説明無しにこの結論だけ出されても困るので、主な意見の所でもう少しちゃんとしたものを出して頂くか、金懇を早くやってちょという感じ(大体慣例だと半年くらいしないと金懇デビューは無いので無理です)ではあります。


・だいたいフィージビリティ考えてるのかと小一時間

まず最初に債券市場の中の人が真っ先に思うのはこれでして、残存15年のゾーンって新発国債は無い(なお今や黒歴史の15年変動利付国債というのはあったがあれはフローターなので通常の固定利付とは別)のでカレント銘柄というのも存在せず、基本的に品薄ゾーンで流動性が低いところになっているので、そこのゾーンを狙って指値オペとかやったらそらまあその銘柄は効率よく金利下げられるちゃあ下げられますけれども、恐らく現物国債の需給が滅茶苦茶歪む(しかも新発は無いけれども流動性供給入札で出てきたりするからそのたびごとに需給が歪んで価格形成がハチャメチャになりそう)訳でして、そんなところでわざわざ止めに行かなくても、20年とか30年なら新発債もありますし、現時点で指値オペの用意もあるので、フィージビリティーが格段に違ってくると思うのだが、3か月考えてフィージビリティの検討も出来ていないとかこれは本格的なアレとしか思えん。


・水準の意味が凄まじく不明なのだが

まあそれに加えまして市場の皆様が(゚д゚)となったのは「0.2%未満」という意味不明な水準の設定でありましょう。

http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
売買参考統計値/格付マトリクス ダウンロード

公社債売買参考統計値で確認して頂ければと思いますが、現状ですと残存15年相当の国債となると超長期141回と142回(2032/12/20償還)が該当するのかな、と思うのですが、こちらの昨日の時点での前日引値(10/31公表分になります)って単利で共に0.304%(クーポンがお高いので複利は若干違う)という引けになっておりまして、「0.2%未満」ってことはここの金利を10bp下げましょうとかそういう話になるのですが、その10bp引き下げっていうのに何の意味合いがあって、10bp下げることによって何で物価目標達成が短期化できるのかというメカニズムの説明をして頂きたいというお話になる訳ですよ。

いやですね、これが例えば「15年もの国債金利を0%程度に引き下げる」とかいうのであれば、今の状態から30bpほど金利が下がるという話なのでまだ話の筋として言いたいことは分かる(それなら20年金利が、とした方がフィージブルだけど)のですが、現在でもYCCとは言いましても10年金利に関しては0%程度の中で10bp位動くのは誤差の範囲内という扱いになっている訳ですし、金融政策変更で金利を上げ下げする時って基本的に今だったら25bpとか動かすのが普通になっている中で、何ですかその10bpというお話で、小手先感があまりにも強くて泣けて来ます。というか泣けてくるので債券部門のフロアの皆様からは「お前は何を言ってるんだ」という声が沸き起こったのではないかと愚考するところであります。


・利下げしたいなら10年と短期の金利を下げる提案の方が筋じゃないの

まあそういうお話になる訳でして、15年の金利を下げる云々とかワケワカラン話にするくらいなら、マイナス金利深堀と10年誘導目標金利のマイナス金利導入という形にした方が(賛同はしませんけど)もっとストレートに「金利を引き下げて緩和を強化」という意図が分かりますし、誘導目標の変更だから話としてはフィージブルな話で提案だって出来るのですけれども、何で今のフレームワークからの利下げ提案にしなかったのかさっぱり分からん。


・大体からして量はどうしたというのと総括検証との整合性は

まーそれ以前の問題として、片岡さんって量を出せ派じゃなかったのかと小一時間な訳で、例えば「100兆出せ」というような話なら(賛同はしないけど)これまた話の筋は通ったお話ですが、何で量の方に話が行かないのでしょうか????

というのと、総括検証との整合性という意味ではまあナンジャソラというのと面白い論点というのがありまして、ナンジャソラというのは「より長い金利を下げて効果」という片岡さんの主張と総括検証での「より短い金利の引き下げの方が効果が大きめ」という検証結果が割とマッコウクジラで対立するところで、片岡さんは当然その部分を踏まえているでしょう(元々片岡さんは総括検証の時には審議委員じゃないのだから別にマッコウクジラを出して来てもそれはそれでおかしくない)から、そうなってくると総括検証との整合性という問題で「より長い金利の引き下げを重視」という理屈でしたらば、その辺りをどういう風に政策の波及メカニズムとして考えているのか、という辺りについて片岡さんの説明をお伺いしたいと思うのです。


・まあいずれにせよ「3か月検討してこんな小手先の意見かよ」という所です

いやホント、最終的にはここに尽きるのですが、今回のこの小手先感丸出しの提案ですらない意見なのですが、3か月考えた後に何か出てくるのでしたら、もっとこう今のYCC政策に対する骨太の提案みたいなのが出てくるのではないかと期待するところも無くは無かった(そんなの出す能力あるとは思ってなかったけど)のですが、もう出た瞬間椅子からズッコケ三銃士という感じでございまして、いや本当にこんなのを主席主任研究員(しかも経済「政策」部)でございとしておられました某リサーチ&コンサルティング社さんは製造物責任を取って即刻リコールの処置を取って頂きたく存じます次第。

つーかさ、 時代はまさにMiFIDUとか言っている中で、この程度の方が主席主任研究員で通ってしまう所のリサーチに(以下の部分は自粛措置が取られました^^)。


○まあ一応何となくフォロー

とまあそうやって悪態ばかりついているのも何なのでちと観点を変えますと、そもそもQQEをぶち込んで追加緩和してマイナス金利を特攻する、という流れの中において基本としていたコンセプトは「2年を念頭に出来るだけ早期に、何が何でも達成するという強い意志を持って強力緩和を行う」というものでした。でまあそういう事を踏まえますと、「中々2%達成に時間が掛かっているのだから追加緩和が必要」という片岡さんの提案の根底の部分というのはQQEの当初のコンセプトからしたら筋の通った話(出している提案らしきものはゴミクズですが)になる訳でして、それが全然賛同得られていなさそう、という時点で「出来るだけ早期に達成」というのは実際には捨てているという事を示す訳ですよね。そらまあ「出来るだけ早期に達成したいという気持ち」は標榜するでしょうが、その為にジャンジャン強力緩和をして無理にでも2%を早期にやる訳ではない、という建付けに明らかに変わってきた、というのがこの片岡さんの反対表明によってより鮮明になってきた訳です。

然るに、今の日銀執行部サイドというのは、総括検証で何となくそれらしいことも入れてはいるものの、当初のQQEのコンセプトが残っている(80兆円と出来るだけ早期に達成という部分に示されています)ような非常に中途半端な状態に陥っている訳でして、そうなりますと債券市場の中の人たちはまあ阿吽の呼吸で実質的に短期的な目標達成は骨抜きになっていると理解していても、他の市場や一般の皆様の所でそうなっているかというと極めて怪しい訳で、てな事になりますと、「2%物価目標達成が何度も先送りされて日銀の政策は失敗しているのではないか」という話の中で物価目標未達がやたらフォーカスされることによって不都合が生じやすくなると思うのよ。

実際は「モメンタム」という謎の言葉によって、たぶん方向性として物価が上昇するという見通しが立てられるような情勢であれば良し、達成時期はそこまでこだわらない、という形になっているとみられる訳ですが、元々のQQE時代の話がそこれきちんと総括されていないこと、そもそも今の政策の枠組みに関しても「持続性を高めた」とは言っても、マイナス金利政策や10年までの金利の過度なフラット化など、元々の短期決戦型の政策枠組みが残っている訳でして、そういうのをこれから何とかしていかないと、やはり今後の金融政策運営が非常に中途半端というか何をやりたいのかが分からない(緩和をしたいのは分かるが何のためにどういう狙いでやっているのかとかそういう話ね)という事態になると思います(てかもう成っている)ので、とにかく執行部の任期も来ることですから、再検討していかないければならないのではないか、と斯様思うのでした。

・・・・・・・などと書いていたら展望レポートの過去比較とか全然できませんでしたすいません。総裁会見と共に明日頑張って投下しますし投下しきれなかったら3連休があるみたいなのでそこで何とか(大汗)。