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(各日付の最初にラベルを「180301」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)


2018/03/30

お題「師匠のインタビュー記事やはり関連雑談をしたくなりました/期末市場雑談など/今更のFOMCネタ続き」

今日は一般的には期末ですが期初でもあります(^^)。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180330/k10011384911000.html
プロ野球 きょうセ・パ両リーグが同時に開幕
3月30日 5時07分

〇例の師匠のインタビュー関連で雑談

例のこれですけどね。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28642670X20C18A3EE8000/
緩和推進「単純すぎた」 岩田・前日銀副総裁 物価2%目標実現できず
2018/3/28付日本経済新聞 朝刊

『日銀が異次元の金融緩和を始めて5年。積極策を主導した「リフレ派」の岩田規久男・前副総裁が19日の退任後、日本経済新聞の取材に応じた。国債の大量買いによるマネー供給で物価上昇2%が実現するという5年前の就任時の考えを「単純すぎた」と語った。積極的な財政政策をめざして政府と日銀の共同声明を見直す考えにも触れた。』(上記URL先より)

昨日の日経では後付け解説みたいなのがあって、

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28689590Y8A320C1000000/
リフレ緩和は考察なき実験か
2018/3/29 5:30日本経済新聞 電子版

『この5年間、積極的な金融緩和策でデフレ脱却を目指す「リフレ派」の発言は高い関心を呼んだ。日銀が国債を大量に買ってマネーを供給すれば物価が上がるとの考えは安倍晋三首相にも届き、日銀もついに金融政策として採用した。だが、もくろみ通りに物価は上がっていない。当のリフレ派の間でも、5年前に提唱したマネー量に着目したリフレ政策への評価は少しずつ異なっている。』(上記URL先より)

ってな訳で例によって本チャンのお話は有料会員向け(または本紙を見てちょ)ということなのですが、なにはともあれ5年間の「盛大な実験」に関しては、当初から多くの方々が懐疑していたように「マネタリーベースを増やして長期国債を買うことが直接的にインフレ期待を引き上げたり物価をダイレクトに引き上げるようなものではない」という結論となったのはそらもう事実と言っていいんじゃネーノと思う訳よ。

然るに盗人モーモーしいと申しますか往生際が悪いと申しますか睾丸もとい厚顔無知と申しますか、退任したと思ったらあっという間にいけしゃあしゃあと日経に出てきてインタビューで能天気な講釈を垂れるとか学究の徒として以前に人間として恥ずかしくないのかねと思うのですが恥ずかしくないからあんな政策を提唱して2年で達成できなかったら辞任するとか豪語しておいて生きながらえるとか、部下に特攻を命じて後から自分も特攻するると言いながら最後はホイホイと逃げ出してしまう将軍の図みたいで実に見苦しいですな。

本来は置物リフレ理論があまりにもナイーブすぎて自分たちは机上の空論しか言えないのに簡単に問題を解決させる秘密兵器みたいに権力者に吹き込んで(って詐〇師やん)やった政策のナイーブさについて告解しながら托鉢行脚でもして頂きたい所です。


・・・・・・とまあ置物師匠の個人的資質の話をしてもいつもの悪態になるのですが、やはり日本銀行におかれましては再度「QQE政策の本来の目論見およびそのメカニズムのどこがどうおかしくて効かなかったのか」という話を、大本営発表のような他の要因無視して何でも良いのは金融政策の効果悪いのは外部要因とするのではなく、もっと科学的に分析をして頂かないと同じ失敗を何度も繰り返すことになりますし、政策の導入過程、という意味で言えばそもそも少なからぬ人たちが「そんなに物事単純に行く訳ねえだろ」と思っている政策がホイホイと導入されることになってしまったのはどこに問題があったのか、というのを考察しないと、金融政策以外でも同じようなことが起きてしまうのではないかと思いますな。

でまあこの辺の説明はちょうどはてなブログの『Think outside the box』でprof_nemuroさんがこんなエントリーをしています。まあさよですなという感じで。

http://totb.hatenablog.com/entry/2018/03/29/072842
2018-03-29
岩田規久男のリフレ史改竄

『予想通りですが、日本銀行副総裁を退任した岩田規久男がリフレ史の改竄を始めています。』(上記URL先より)


〇月末期末ネタ

#そういえば皆さん今日はプレミアムフライデーですよ!

昨日の補完供給の結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180329.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 306 306 -0.600 -0.600
(注5) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却銘柄は、10年利付国債304回です

304回とか割とけったいな銘柄が出ておりますが、2019年9月償還で今の時価単価が102円台ということでお察しの銘柄ということで、カレント辺りがSLFでドバドバ出ているという状態では今の所無いということですがさて本日はどうなるのやら。

http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

直近の数字とか時系列とか拾ってくると、

2018/3/16 -0.138 -0.129
2018/3/19 -0.101 -0.127
2018/3/20 -0.154 -0.164
2018/3/22 -0.119 -0.283
2018/3/23 -0.103 -0.325
2018/3/26 -0.114 -0.345
2018/3/27 -0.114 -0.353
2018/3/28 -0.118 -0.351
2018/3/29 -0.439 -0.124


左が翌日スタートの1日もので右がスポットスタートの1週間な訳ですが、昨日の時点での末初が▲43.9となっていまして物なし芳一なのは期末だから仕方ない(昨年の末初は▲66.5なのだが去年は末初が1営業日なのに対して今年は3営業日あるので単純比較はしにくい)としましても、大体平常時の1wのTKRRを▲15くらいで置いてみたとしても、末初▲44bpに対して途中が▲15bpで平均すると▲27くらいになるので、まあ末に向けて急に盛り上がったり盛り下がったり、というのは去年ほどではないという所ですな。

ちなみに去年は末のGCが超カラカラになっているのに3月途中まで平然と短国買入をやっていたためナンジャソラ状態になって、3/23のTKRR1Wが▲78.8とかいう凄まじいのをマークして日銀による期末お助け措置が出て、というバタバタ状態でございました。


あと今日は「4月の輪番予定」が出るのですが、その前に今日は中期と長期の輪番があって、おういい加減減額しろよはあくしろよとは思うのですが、マイナスに突っ込むかという勢いもないではなかった10年もここにきて惜しくも力尽きておりますし、中期は中期でイマイチぱっとしないので、減額するにも微妙な所ではあるのですが、ほら今日は復活祭ですからキリスト教圏のお国がそろって休場だったりすることでもありますし、海外が気が付かないうちにしれっと減額するならチャンスですよチャンス(ただの無責任トーク)。



〇流動性指標キタコレ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180329a.htm/
2018年3月29日
日本銀行金融市場局

『日本銀行金融市場局は、国債の市場流動性をより詳細に把握する観点から、「国債市場の流動性指標」の内容を拡充することとしました※。「国債市場の流動性指標」は、引き続き、概ね四半期に一度程度の頻度で定期的に更新します。

※「債券市場サーベイ」および「国債市場の流動性指標」の拡充について(2018年2月2日)

掲載場所は、下記の通りです。

国債市場の流動性指標』

ということで掲載場所に行ってみるとこんなのがある。
http://www.boj.or.jp/paym/bond/index.htm/#p02
国債市場の流動性指標
2018年 3月29日 国債市場の流動性指標(2月) [PDF 765KB]

http://www.boj.or.jp/paym/bond/ryudo.pdf

これ前回のが残っていないから(もしかしたら調べるとどこかに転がっているかもしれないけど)
初見でどこが変わったか分かりにくいのですが、

図表7の『ディーラー間取引のビッド・アスク提示時間(tightness)』
図表9の『ディーラー間取引のビッド・アスク提示時間に応じた銘柄数の構成比(depth)』

とか読み方によっては味わいがありそうなのだがとりあえず感想はパス。


〇きえーまた時間配分間違えたFOMC会見ェ・・・・・・・・・

まいどすいません。

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180321.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference March 21, 2018

・直接の政策インプリケーションではないのだがSEPの限界に関して

今回はSEPの見通しで出てくる特にメディアンと、声明文での経済物価見通しのだいたい上方修正(経済の方は威勢良く上方修正)というのがよく分からん、という質疑が続出しているので、その辺を並べてみますね。

『MARTY CRUTSINGER. Marty Crutsinger with the Associated Press. You talked about the fact that the Summary of Economic Projections is based on the outlook of all the members of the FOMC. Can you tell us anything, though, about the staff forecast and how that was impacted by the, we had a one and a half trillion dollar tax cut? We've had $300 billion in increased government spending. The staff forecast that you're working with, are those reflected, how were they impacted by that? And, how did that impact the discussions? 』

財政支出の影響で上方修正と言ってる割にSEPの見通しが上がっていませんがという質問に対して、

『CHAIRIMAN POWELL. We look at the staff forecasts and the Board forecasts, and by the way, they're 12 excellent Reserve Bank staffs who have their own views and do their own work. We look at those as informing the decisions of the policy makers. So, and it's really the policy makers' views that we talk about in the SEP. We don't, we don't, you know, talk about the staff forecast. It's a particular thing under, done under particular rules and circumstances, and really, it's the policy makers that, then, take that as input and create their forecasts which are what drives policy. 』

いやこれは皆さんの数字を集めたもので一つのビューではないですよ、って先日も紹介した説明をするしかないのですが・・・・・・・・・

『MARTY CRUTSINGER. That had no impact, though? Such a, that's a major increase in government stimulus that you're, that had to had an impact on the discussions, I would think, though. 』

『CHAIRMAN POWELL. Well, the, you're right. So, fiscal stimulus is a, you know, a meaningful input into, you know, into the SEP and particularly in the changes over the course of last year and this year. And, individual policy makers went through with their staffs, a range of estimates, a range of literature, and did their own thinking and came up with their own estimates and submitted those as their Summary of Economic Projections, as their projections. Those are not the staff's projections. Those are our projections. 』

えーじゃあインパクトって無いの変じゃんという質問には、そら財政要因はインパクトありますよ、と説明していまして、FEDに関しても「見通しの見せ方」についてもしかしたら再考すべき時に来ているのかもしれませんな、と思いました。なお日銀はあの大本営発表見通し(以下爆発音の為聞き取れず)。


・2020年って金融政策引き締め的になるの???

これはSEP見た瞬間にアタクシも気になった話。2020年末の政策金利が3%を超えていると思うのだが、という話。

『JONATHAN SPICER. Chairman Powell, Jonathan Spicer with Reuters. I take your caveats on the dot plot as it were, but I'll ask another question. In 2020, it shows the policy makers expect the policy rate to get up almost to three and a half percent which is quite a ways or definitively anyways above the neutral rate. Does that increase the risk of a Fed-induced recession and decrease the risk of a soft landing? Which is asking in a way about the fiscal policy, and as a follow up, is that fiscal stimulus starting to lead to questions within the fed around this narrative of secular stagnation and the economy entering a new, sort of, low rates environment? Thanks. 』

ちなみに質問にありますが、たぶんFEDの中心見解としてはsecular stagnationの説は取っていないと思います。

『CHAIRMAN POWELL. You know, I would say that--remember that forecasts three years out--so, you're right, 2020 there's a, I think, 3.4 percent is the median of the SEP dots for 2020, which is 40 basis points above the estimates of the neutral rate, which I would characterize as, you know, modestly restrictive, modestly tightening policy, but that's three years in the future.』

中立金利よりも高いという見込みなのは仰せの通りだそうな。

『It's highly uncertain. You know, we don't have the ability to see that far into the future, so I really wouldn't put a lot in that. It could make sense. You could imagine narratives in which that would make sense, but I, honestly, I wouldn't put too much on that. Sorry, your second question was? 』

いやまあでも3年もさきのことだから分からんですよ、と逃げていて、そこまで重要視しないでちょとそこは誤魔化しマンになっていますな。

『[Inaudible comment] 』ですが長期停滞論に関するコメントは?という話ですね。

『CHAIRMAN POWELL. You know, we've been through many years of growth around 2 percent, and I've given a number of public remarks where I've called on, you know, the country to focus more on potential growth and productivity and labor force participation, which drive potential growth. So, you know, I think it's really important that we do something, do what we can as a country to increase our potential growth rate.』

成長力強化のために我々も何かできることはあるかも知れないというのは重要なことですよ、と学者というよりは政治家っぽく説明しますね。

『I would say in the bill that passed Congress, the Tax Cuts and Jobs Act, there were elements that should encourage productivity, as I mentioned--sorry, encourage investment, which should help productivity, encourage labor force participation. We don't know how big those effects are going to be. We don't know what the timing would be. I think as you look around the table at the FOMC, there's a wide range of views on the amount and the timing of those. I think all of us would agree that we hope that they will be large.』

ちなみに他の質問でも同じ回答をしているのですが、ホンマカイナとは思いますけど、トランプ減税によって投資が促進されたり労働参加率が上がったりする効果が期待できて、それによって米国の生産性が上がってウマーになるかもしれません程度はよくわからんけど、というそ、そうなのか??という説明をしているのは今回気になったところではあります。


#時間配分間違えたので今日はこの2問で勘弁










2018/03/29

お題「市場世間話(スポ末とかその他)/相変わらずFOMCパウエル会見鑑賞」

たまちゃん・・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032801058&g=pol
「誘導尋問してない」=自民・丸川氏
(2018/03/28-19:03)

『28日の参院予算委員会で、質疑者の自民党・丸川珠代氏が27日の佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問での質問に関し、「答えを誘導したのではないかという指摘があるが、そのような趣旨ではない」と釈明する場面があった。』(上記URL先より)

いやまあ一昨日の証人喚問での質疑は和田某さんみたいなやらかしが無かったのは良かったのですけれども、今度はあまりにも想定問答チックになり過ぎてしまって却って霞んでしまったというのがなんとも残念でしたな。

まあアレです。朝日とか追っていくよりもベンチマークで見るのにNHKとか読売とかの論調見た方がベンチマークになるし、昨日の日経の社説が

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO28662230X20C18A3EA1000/
佐川氏喚問でも文書改ざんの謎は解けぬ
社説 2018/3/28付

でして、だいたい日経が一番手の安部ちゃんバンザイモード(除く産経で)なので、このあたりでこういう感じかなるほどねえとかまったりと見るのでした。


〇相場雑談

・輪番減額しませんでしたなあ(順当だけど)

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180328.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年3月30日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年3月30日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年3月30日

ということで昨日は超長期の輪番でしたが、超長期の輪番は減額されずに来まして、まあこちらは別に増額した方の年限じゃないから何も減額せんでもというのもあるでしょうが、20年カレントが0.5%に近づいてきていますがさてどうでしょうかねと思ったものの減額なし。

そらまあ年初の超長期輪番減額から2月頭まで色々と迷走してしまったので、超長期の減額は慎重にならざるを得ないという所なのでしょうが、実際問題としてはYCCで政策を長持ちさせようとすれば、基本的な流れとして買入のトータルの減額と、イールドカーブのフラット化を避けるというのが必要になりますので、ネタが海外貿易何とかとかそういう話だから対処のしようが無いというのはあるのですが、本当はどこかでフラットニングを牽制できるもんなら牽制しておいた方が後々の事を考えると楽になるので、運営難しいところですの。

ただまあ基本的には達観して放置プレイというのでも良いのかも知れませんし、たぶん超長期減額するよりはこの前無駄に(かどうかは判断分かれるけど)増額した中期と長期のオペを元に戻すようにすれば超長期もそんなにホイホイ金利さがらんのじゃないかとか何の根拠もなく予想してみる。



・そういやスポ末だった訳ですが

ということで昨日はスポ末でしたので、レギュラーの国債受渡は今日から来年度という事になりますな。でまあ問題は今日になって末のレポとかGCとかどのくらいまで手当が終わっているのか、というか寝転んでいる(インターバンクの業界用語を転用してます)人がいるのかというお話で、いきなり阿鼻叫喚になっているのか淡々と落ち着いているのかというのは、まあそこがどうなったから大変なことになるというわけでもないのですが、T+1以降ということを考えると気にはなりますな。

と申しますのは、いや今って別に払うコスト払えば期末越えとか手当がまるで出来ないということは無いみたいですし、ある日突然GCのオファーが無くなるみたいな(以前四半期末でそんな事案があって結構不意打ちでびっくりしましたが)ことが起きている訳でもなさそう(詳しくは詳しい人に聞いてちょ)なので、その辺のコスト払えば別にまあ決済の所であばばばばーみたいなことにはならんと思われるのですよ。

ただ、その辺のコストをやたらとケチりたがる人、というのが世の中に一定量居て、そういう人がだいたい期末になるとあばばばばーとか始めて市場が荒れる、というのがレポ周りの仕様みたいになっているというのは従来も今も似たようなもんだと思う(詳しくは以下同文)ので、そのあたりがどういう風に動くのか、というのを今日明日の市場状況見てると分かるかなあと思うのですよ。

でもって5月から国債決済T+1を結局やりやがりますので、そうなると寝転び系の人が相変わらず寝転びまくるという状態が続くと、T+2の時よりも巻き込みで貰い事故みたいな人が増えやすくなる、というのは予想が付きますので、T+1始まった時にどの程度市場の流動性に影響が出るのかという事への1つの目安になるかもしれませんね、と思うのでした。

#などとわかったようなわからんような雑談

なおSLFは

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180327.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 44,686 2018年3月27日 2018年3月28日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180328.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 69,072 2018年3月28日 2018年3月29日

とかオファー額だけは派手ですが、実際の落札の方は火曜日が10億円(10Y345)、水曜日が180億円((注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、10年利付国債328回(36億円)、10年利付国債332回(5億円)、10年利付国債340回(127億円)、30年利付国債34回(12億円)です。)なので、まあ今日明日のSLFでも眺めてみましょうという感じですな。


〇リスクフリーレート関連雑談

http://www.boj.or.jp/paym/market/sg/rfr1710b.pdf
「リスク・フリー・レートに関する勉強会」第18回議事要旨
(平成29年10月6日(金)書面開催)

まあ書面開催という辺りでお察しではあるのですが、一応鑑賞。

『・「リスク・フリー・レートの利用拡大に向けたワーキング・グループ」から、2017年6 月および9月に開催された第2回および第3回ワーキング・グループにおける議論の概要 が報告された。具体的には、OIS取引の利用を活性化するためのヘッジ手段としてのOIS 取引の会計面の取扱いについて、ワーキング・グループでの議論のハードルは高いとの 認識が共有された、と報告された。また、OIS の清算対象取引の拡大に向けた検討状況 について、日本証券クリアリング機構(JSCC)より、現状の年1回利払いに加え、金利 支払い頻度の異なるものを清算対象に追加することに多くの清算参加者の賛同が得ら れたとの報告があった、と報告された。』

ほほうという感じですがそもそもアタクシが残念なことにOISをまともに取り扱ったことが無いので、アレなのですが、OISでヘッジするくらいなら別の手段あるじゃろとかつい思ってしまいますし、OISのリファレンスレートが例えばベーシススワップのアンダーライングになっているみたいな感じだと思いっきりヘッジニーズ存在しますけど、そうじゃないと完全ヘッジにならないものをわざわざ手をかけてやるのかね、というのはありますので中々普及は難しそうな希ガス。

『・ 同ワーキング・グループから、今後の活動方針について勉強会に報告し、了承された。 具体的には、これまでOIS取引を行っていない金融機関等向けに、OISに関する基礎的な 知識や活用事例を纏めた資料を作成することについて検討していく予定であることを 報告し、了承された。』

まあお気持ちは分かるのだがそもそもポートフォリオの何のヘッジになるのかという部分で、今申し上げましたように既存手段で代替が効かない部分があれば黙っていてもヘッジニーズ出てくるし、そうじゃないと結局のところ「金融政策の先行き見通しの当てっこゲームのゲーム盤」以上の役割って中々出てこないんじゃないのかねえとか思ってしまうのでした。

それはそれとして、リスクフリーレートに関しては実レート主義を主張していた欧州がいきなりやっぱLIBOR止めましょかとか言い出す始末で、FSBとかバーゼルとかIOSCOとかが微妙に市場を中途半端に知っていて無理ゲーを挑んでくる的なサムシングがあるのですが、そのあたり是非日銀や金融庁には頑張って無理ゲーを減らす方向でお願いしたいものです。


〇てなわけでFOMC会見ネタ(遅々として進まず(汗))

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180321.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference March 21, 2018

・ワーディングベースの見通しとSEPの数値ベースの見通しの整合性とかが割と突っ込まれる

昨日までちょろっと引用したのが大体そんな感じだったと思いますが、今回は割とそのあたりしつこくツッコまれています。まあ議長代わったという要因もあると思うけど。

『JEANNA SMIALEK. Hi, Jeanna Smialek with Bloomberg News. So, obviously, you guys reduced your [inaudible] estimates late today, but if you continue to see job gains around 200,000 a month, primary labor participation rising slightly, pretty sustainably, you know, moderate wage increases, at what point are you guys going to start to question whether you're actually overshooting full employment? And, if you start to question that, how is that going to impact policy? 』

物凄く要約すると完全雇用以上の状態が長くなるという良そうなのに物価上振れの懸念は無いの?という質問で、先日引用した質問を手を変えて質問したらこんな答え。

『CHAIRMAN POWELL. So, I guess, I'd start by saying that the natural rate of unemployment is not something that we can observe directly. We look at a wide range of indicators on that. You know, 15 or 20 of them at least, and also, I think we all understand that any point estimate is surrounded by very wide uncertainty events. So, as the, as the actual unemployment rate has declined from 10 percent to 4.1 percent, the Committee's median estimate of the natural rate of unemployment has also declined by a full percentage point.』

今般の景気回復局面においてSEPで示された自然失業率も実は1%くらい下がっていますとな。

『So, the Committee, and I think, people are generally influenced by data. As they see unemployment going lower, they're looking at a variety of aspects of the labor market, including wage inflation and price inflation. So, I don't think we, we, we're mindful of the uncertainty of that, and we'll be looking at that. So, as, if inflation, if unemployment does continue to go down, we'll continue to do that. As I mentioned earlier, there is no, there's no sense in the data that we're on the cusp of an acceleration of inflation. We have seen moderate increases in wages and price inflation, and we seem to be seeing more of that. We'll be alert to that. I guess the idea, the theory would be that if you get below the sustainable rate of unemployment for a sustained period, you would see an acceleration of inflation. So, we would know that, then. And, we're very alert to it, but it's not something we observe at the present. 』

「there is no, there's no sense in the data that we're on the cusp of an acceleration of inflation. We have seen moderate increases in wages and price inflation,」ってありますように、そもそもインフレが加速するという兆候は無いし、賃金もモデレートにしか上昇していませんがな、という認識になっていて、もちろんそこが変わる可能性は注意して認識しないと行けませんが、そんなに慌てる場面じゃない、という説明になっています。

ただですね、だからハト派ヒャッハーというのも早計な気がするわけでして、そもそも物価上昇圧力がある、という認識でいるんだったら、コアPCEインデックスが現状+1.5%とかまで上昇している中ですから、ここから1年半とか2年かけて中立金利に戻すとか言ってたらそれは遅すぎですがな、という話になるのでして、中立金利が3%じゃないというのなら話は別ですが、まあ中立金利3%で見ている訳ですから、物価上昇圧力や賃金上昇圧力かかったら寧ろ利上げが更に早まる話が出てくるんじゃないのかと思うのですが(金融政策は波及にラグがあるということになっているのでプリエンティブな対応が必要)どうでしょうかね。


次の質疑。

『SAM FLEMING. Thanks very much. This is Sam Fleming from Financial Times. You and other policy makers have talked about headwinds turning into tailwinds recently. Does that imply that you think now in a higher neutral rate of interest is operative in the U.S. economy, and how would you assess the implications for monetary policy? Second question, this obviously your first press conference, so it's a little early to ask this question, but would you like to do this more often? Thanks. 』

前半は自然利子率の話で後半は会見回数の話ですな。

『CHAIRMAN POWELL. Longer-run values like the neutral rate of interest, the natural rate of unemployment, the potential growth rate of the economy are pinned down by slow moving forces over time. So, they don't move around very much. So, I wouldn't expect the Committee's, you know, predictions or projections or estimates of those values to move quickly. They'll move slowly.』

経済の向かい風が追い風になったからと言ってそんなに中立金利とか自然失業率とかが変わるものではないとな。

『So, is it possible that the neutral rate of interest would move up because of, for example, greater fiscal expansion? There's literature that says that. There are reasons that that might be the case. In fact, it did take up 1/10, as you will know, in the, in the median at this time. But, it's, I think, generally speaking, the Committee sees the neutral rate of interest as still quite low and is not, is not seeing it as having moved you and is open to the possibility that it will. 』

財政拡大によって中立金利水準が上がるか、という話だが、それは理屈として上がることはあり得るかもしれないけどケースバイケース。今回のSEPでの中心値は0.1%だけ上がりましたけど、一般的にみて言えば低水準のままだしそんなに簡単にホイホイ上がるとも思えない、と言っているので、まあさすがにターミナルレートがじゃんじゃん上がる感じではなくて、3%の最終着地に向けた時間をどうするのかという話が議論になると思われるのですがどうでしょうかね。

『Press conferences. So, that's something that I'm going to be carefully considering. I have not made a decision about it. My colleagues and I are committed to communicating as clearly as possible about what we're doing and why we're doing it. I would want to think very carefully about it and make sure that no one would take more frequent press conferences as a signal of the path of policy. And so, it'll something that I'll be thinking about. 』

会見回数は増やすかもしれないそうです。

・・・・・・ということで、まだ21ページ中8ページ目までしか進んでいないのですが、あのアレだ、期末期初とか春眠暁を覚えずとか(おい)色々な事情もあってテンポがのろくてすいませんすいませんすいません。


#なお、置物師匠の日経インタビューは読むと血圧に悪いと聞きましたので読まずにスルーということで






2018/03/28

お題「刈込平均が堅調ですな/パウエル議長の会見は躱し方上手そう/日経朝刊に何があるようですな」

ふむふむ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2863461027032018PP8000/
霞が関が見た佐川氏喚問 国会が不安、答弁拒否に違和感
2018/3/27 16:15日本経済新聞 電子版

『佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を、霞が関の現役官僚たちは固唾をのんで見守った。答弁拒否を繰り返す対応に理解を示す一方で、安倍晋三首相ら官邸の関与は明確に否定する姿に違和感を抱く声も上がった。共通の感想は、国会運営に不安を残したことだった。』(上記URL先より)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180327/k10011381311000.html
自民 石破元幹事長「一体何だったんだろう」
3月27日 17時14分

『自民党の石破・元幹事長は、記者団に対し「佐川氏自身も、『誰が、なぜ』ということが一切分からないと認める、極めて異例な尋問だった。安倍総理大臣や夫人の昭恵氏らの関与は全くなかったと証言しながら、他のことが全部わからないのでは、全体が明らかになっていない。『一体何だったんだろう』という思いが極めて強まった」と述べました。』(上記URL先より)

取引などは適切に行われましたっていう従来の説明をそのまま継承した上に肝心の所は証言拒否になっているとなっているので、これって佐川さんが指示しましたと鉄砲玉になってひっかぶるのかと思うとそうでもないという話になってしまうのが微妙な感じでございまして、佐川さんの指示じゃないんだったら誰が何で改ざんする必要があったのかがさっぱり分からんのであまり乗り切った感が出ないんですけど。


〇基調的物価なのですが刈込平均辺りが順調に見えますな

http://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

こちらの直近のグラフを見ますと、
http://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf

(1)総合(除く生鮮食品・エネルギー)・総合(除く食料・エネルギー)
(2)刈込平均値・加重中央値・最頻値
(3)上昇・下落品目比率

のうち、総合の部分と刈込平均部分が特に直近の所で良い感じに上がっているようにビジュアル的に見えますので、データの方も貼っておきましょう。

刈込平均値(前年比、%)

Sep-17 0.5
Oct-17 0.5
Nov-17 0.6
Dec-17 0.7
Jan-18 0.8
Feb-18 0.8

加重中央値(前年比、%)

Sep-17 0.1
Oct-17 0.1
Nov-17 0.2
Dec-17 0.2
Jan-18 0.2
Feb-18 0.2

最頻値(前年比、%)

Sep-17 0.2
Oct-17 0.3
Nov-17 0.3
Dec-17 0.2
Jan-18 0.3
Feb-18 0.3

上昇品目比率−下落品目比率(%ポイント)

Sep-17 18.7
Oct-17 24.1
Nov-17 25.4
Dec-17 23.1
Jan-18 26.8
Feb-18 25.2

刈込平均に関しては上記URL先の所にもリンクがありますが、

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j11.htm/
消費者物価コア指標とその特性
景気変動との関係を中心に
2015年11月20日
調査統計局 川本卓司、中浜萌、法眼吉彦

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j12.htm/
消費者物価コア指標のパフォーマンスについて
2015年11月20日
企画局 白塚重典(ちなみに今は金融研究所所長)

とあって、もっと以前に
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/rev06j07.htm/
消費者物価指数のコア指標
2006年4月24日
企画局 白塚重典

というのがありまして、10%刈込平均指数が物価基調を見る上でパフォーマンスが良いという説明はこの頃から人口に膾炙(ただしマニアに限る)していたと思うのですが、まあいずれにせよ刈込平均値がここもと下がらなくなってきたステージから徐々に上がりだしている、というのは日銀的にはウマーという展開。

とは言いましても所詮は1%割れ水準なので今すぐどうのこうのというわけにもいかないのは事実としてあると思うんですが、この調子でじりじりと堅調に推移していく、というのは「物価の基調は確りしていて2%の目標に向けて順調に推移している」という説明を大いに補強するネタに使えるのでオイチイですな。

・・・・・などと申しますのは、つまり今の政策をあと5年間更に漫然と継続する、というわけにもいかないし、かといって2%までホイホイと上がっていくのかというのも中々厳しい中、超越緩和政策に関しては現実的に対応するのならば出口とは関係なくどこかでスケールバックしたうえで時間軸政策のような形に持っていって、政策の持続性を高めておかないと2%行くまでに政策の方が持たないだろと思うんですよ普通に考えて。でもって量に関して言えばYCCの枠組み作ったので(今みたいな微妙な時に輪番減額できない(やるかもしらんが)のはちと痛いちゃあ痛いのですが)、基本的には持続性が確保できる程度、すなわち新規発行分以下の水準に国債買入拡大を抑えればそこそこ持つ可能性が高まると思うのですが、マイナス金利とETF買入はどちらも長期化してろくなことは無いので、ここをもう少しマイルドにしないと先々面倒だと思いますし、しかも向こう5年とか考えるとその間に面倒なことになって自分に降りかかってくるかも知れないと思うと何も考えずに継続って訳にもいかんと思うのですよね。

しかしながら、循環的に景気が落ちていくとか、海外要因が逆風になってくるとかになりますとその辺の調整もしにくくなってくるので、特に海外経済がどこまで持って、米国の利上げサイクルと欧州の緩和縮小サイクルがどの程度持つのかというのとの兼ね合いで、まあその通りになるかどうかは兎も角としても既にSEPで示されているのは2020年には米国金利は中立水準まで上がっているというものですから、そんなに時間的余裕はない筈(そもそも日本は消費再増税が控えているし)で、ここを逃すと今の政策を続けたまま特攻しないといけなくなるのは辛いでしょ、と思うの。

でまあそんなことを考えますと、この刈込平均辺りが確りしているのは、まあ大勝利宣言とは言えないにしても、金融政策の力点を「持続的に長期的な緩和環境の維持とそのコミットメント」という形に微修正(YCCに続く第2の修正になりますな)する時にやりやすいという事になるとは思うのですが、もちろんここまでの読み筋というかほとんど妄想ですけれども、それって日銀が今の政策枠組みであと何年も継続したら副作用が色々と、という問題意識を持っているという前提に立っているので、その意識が無いなら知らんがなという話ではあるのですが、先般出ていた「主な意見」でも(最後の最後のジンバブエ先生の認知的不協和で全部持っていかれて内容が頭に入らないという方が多かったと思いますが実は)緩和政策の力点を変えるような感じの副作用論とかの意見がジリッと増えている感がありましたので、まああまり注目されてないと思いますが注目してみました。


〇引き続きちんたらとFOMC記者会見(その2)

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180321.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference March 21, 2018

・パウエルさんはしらっと答弁を躱すタイプなのかも知れない

『NICK TIMIRAOS. Thanks. I'm Nick Timiraos of the Wall Street Journal. Chair Powell, I want to ask about the symmetric inflation target, what you outlined in your remarks as preventing persistent deviations.』

持続的に2%から乖離するのはケシカラン、という件についての質問です。

『I want to understand what symmetry means in the context of inflation being allowed to run above the 2 percent target now that that's part of the projection for, at least for core PCE next year. How do you define symmetric relative to the experience of the past five years? Would the Fed be willing to accept the type of overshoot of its target as it has seen during the undershoot? And, how high above 2 percent is too high to maintain a target that is symmetric? Is it 2-1/4, 2-1/2, 2-3/4? And also, for how long? 』

インフレが持続的に2%から乖離するのがケシカランと言っているけど過去5年ずっとしただったじゃないですかという質問で、これは物価が2%からもうちょっと上に振れるという見通しでもないのに正常化の方はジャンジャン進んでいるってのはsymmetric inflation targetとチャウんじゃないのというツッコミと思われるのですが・・・・・・・・・

『CHAIRMAN POWELL. You know, so as you noted, the, what we've said in the longer run statement of goals and monetary policy strategy is that we would be concerned with sustained or persistent deviations of inflation either above or below. We've also said in minutes and in speeches and in things like that that that is a symmetric objective. So, that's how we think of it.』

で?

『And, I think it's, I wouldn't characterize what we've done over the last five years as tolerating, you know, an undershoot of inflation. We were always pushing toward 2 percent.』

過去5年間は別に2%以下の状態を容認していたわけではなくて物価2%に向けて常に金融緩和政策をしておりましたがな、という切り返しをしているのはうまい言葉尻の捕まえ方ですな。

『And, I think that is how we look at it. I can't give you an exact number. It just, you know, it, we haven't agreed on that. It just is that we're always going to be seeking 2 percent inflation. And, in doing that, we're going to be considering, by the way, the other side of the mandate. You know, we have to balance that against the deviation of employment from, unemployment from its goal. And, and, also just the duration of it as well. 』

でもってまあ結局幾らオーバーシュートするのを容認するのかとかぜんぜん回答しないのですが、その中でしらっと「失業がロンガーランの水準よりもオーバーシュートする点も考えないと」とかしらっと入れておりまして、正常化政策過程中だから当たり前ちゃあ当たり前ですが、少なくともパウエルさんは利上げペースを遅らせて物価の上昇をもっと促そうとかそういう発想には立っていないというのが示されているのではないかと思うのですがどうでしょうかね。

『JIM PUZZANGHERA. Hi, Mr. Chairman. Jim Puzzanghera with the L.A. Times. Even with the extra fiscal stimulus of the tax cuts, your median growth projection is just up to 2.7 percent, and then this year, and then drops back down to 2 percent by 2020. Is the continued talk in Washington about tax cuts brining growth to 3 percent or higher on a sustained basis overselling their potential impact? 』

次の質問はタックスカットの影響が見通しにあまり反映されてないんじゃないのという質問ですが、

『CHAIRMAN POWELL. You know, let me say what that really is. So, it, the Summary of Economic Projections is really a compilation of the individual rate forecasts.』

SEPの見通し数値のメディアンは個人の見通しの集合体であって、一つのビューとして出したものではありません、って説明は中央銀行の経済見通しに関するツッコミに対する躱しの定番です。

『The committee made really one decision at this meeting, and that was to raise the federal funds rate by 25 basis points. The Summary of Economic Projections is individual forecasts compiled and written down. And, you've identified the median as 2.7 percent.』

全員の見解を集計した結果として出ているのが一つのものになっている、ということであって、一つの経済物価シナリオを作っている訳ではない(ので整合性が微妙な場合があるのは致し方ない)、という説明ってまあ中央銀行の政策委員会見通しみたいなのがコレクティブビューの形式で出している場合どうしてもそうなるのですけども、そういう答えがサラッと出てくる辺りは中央銀行練達のおじちゃんという感じはします(これがスタッフビューだと1つのシナリオとして出てくるので整合性取りに行くということになる)。

『I would, and that's an interesting statistic I would also say that the central tendency is interesting. The full range is interesting. So, you have a range of views around the table. One of the great benefits of our system is that we do have reserve banks with their own staffs and governors with different views.』

『And so, we discuss these things. So, the committee doesn't vote or agree upon the medians, so you're going to have a range of views. That's really all I can say. 2.7 just happens to be the median for '18, but it doesn't really say, you know, what we think is possible. 』

というのがコレクティブビューの説明ですな。[Inaudible comment] というのが続いて、

『CHAIRMAN POWELL. You know, I would say it's hard to say, but it would take, you know, that is well above almost all estimates, current estimates of potential long run growth. It would take, you know, significant increases in productivity and labor force participation to get there.』

見通しは上昇していますよ、という感じで返していまして、まあ何ちゅうか突っ込んでくる刀をまともには受けないで華麗にスルーするスキルがイエレンさんよりも高い感じはしますな。

#何か小出しですいません(小出しにする気はないので今週中に成敗します)


〇どうせ全然反省してないんでしょうなという想像は付く記事が日経朝刊にあるようです

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28642670X20C18A3EE8000/
緩和推進「単純すぎた」 岩田・前日銀副総裁 物価2%目標実現できず
2018/3/28付日本経済新聞 朝刊

『日銀が異次元の金融緩和を始めて5年。積極策を主導した「リフレ派」の岩田規久男・前副総裁が19日の退任後、日本経済新聞の取材に応じた。国債の大量買いによるマネー供給で物価上昇2%が実現するという5年前の就任時の考えを「単純すぎた」と語った。積極的な財政政策をめざして政府と日銀の共同声明を見直す考えにも触れた。主なやり取りは以下。』(上記URL先より、なおこの先は有料会員向けページじゃないと読めませんので念のため)

ということで主なやり取りは読めないのですが、お前は何を言ってるんだという内容になっているんだろうなあ、って想像は大体つくのですが、手元に日経本紙もございませんので朝から血圧を上げることもなく過ごせるというものです。









2018/03/27

お題「さて国内政治イベント(になるかどうかは知らん)/FOMC会見ですが基本強いと思うのだが(その1)」

ゲラゲラゲラ。
https://mainichi.jp/articles/20180326/ddm/041/010/187000c
福井沖縄・北方相
釈明も誤る 色丹島「昔は斜古丹島」
毎日新聞2018年3月26日 東京朝刊

『福井照沖縄・北方担当相は25日、北海道根室市での要望・懇談会で、2月の就任記者会見で北方領土・色丹(しこたん)島を「しゃこたんとう」と言い誤ったことについて「昭和8(1933)年まで斜古丹島(しゃこたんとう)と呼ばれていた」と誤った釈明をした。』

『会合に出席した色丹島の元島民、得能(とくのう)宏さん(84)=根室市=は「斜古丹島と呼ばれたことは、どれだけさかのぼってもない。いいかげんで分かっていない人だと思った」と話した。』(以上上記URL先より)

言い間違えましたとか勘違いしましたと素直に謝れば大した話にもならないのを間違えましたと言いたくないが為に言い訳をして問題を大きくする、というのは相当にトンチキなチョンボ対応ですけれども(「斜古丹村が島内に以前あったと聞いていたのでその名前を意識してしまって言い間違えました」と言えば逆に詳しいじゃんとなったかもしれないのに・・・・・・・)、まあこういうのを見てゲラゲラゲラとか言ってますけど自分も注意しないといけませんな。特に年寄りになればなるほど「間違えましたすんません」を言うと死ぬ病になってきますからねえ。

てか森友学園の国有地売却問題だって最初の時点で「不適切な処置でした関係者の処分と再発防止に努めます」で済まないことは無かったと思うのですが、ああでもないこうでもないと話を繕っているうちに話がこじれて前と違う話がジャンジャン出てくるわ公文書の書き換えしたものを行政が立法府に提出するわというような大問題になっているように思えますがねえ。

〇さて本日は証人喚問

という訳で。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180327/k10011379851000.html
佐川氏 きょう証人喚問 政治家の影響や関与あったのか
3月27日 4時28分

『財務省の決裁文書の書き換え問題をめぐり、国会では27日、佐川前国税庁長官の証人喚問が行われます。書き換えが、なぜ、誰の指示で行われたのかや、国有地売却も含め政治家の影響や関与があったのかなど、一連の経緯がどこまで明らかになるのかが焦点です。』(上記URL先より)

しかしまあ何ですな、今日の衆院の自民党のお方(石田真敏さん)はアタクシ不勉強にしてイマイチよく分からんのですが、参院の方は丸川たまちゃんが質問30分(往復)となっているのですが悪い予感しかしないのですよね。

この前の参院予算委員会での和田さんの質疑もそうなのですが、国会審議の場において野党の質問時間削ってウマーとか(与党が)思っていたらまさかの与党議員の行う質疑で墓穴を掘るとかどんだけ間抜けな展開なんだよと思ったりしますが、

でまあ何か昨日は昨日でこんな発言も出ているのですがえーっとそれはちとマズくねえか。

https://this.kiji.is/350913519656928353
首相「森友の信頼向上」が目的
昭恵氏の小学校名誉校長就任
2018/3/26 19:263/26 19:32updated
コピーライト 一般社団法人共同通信社

『安倍晋三首相は26日午後の参院予算委員会で、森友学園が建設を予定した小学校の名誉校長に夫人の昭恵氏が一時就任したことに関し、学園の信用度を向上させるのが目的だったとの認識を示した。「学園の信頼性を高める。妻もそのように理解していた」と述べた。』(上記URL先より)

いやあの信用補完するというのはそれは国有地の売却に対して有利に働くことに繋がるとツッコまれたときに大丈夫なんでしょうかねえこの説明・・・・・・・・

・・・・・と一応イベント前なので柄にもなく雑感などをメモしておきました。


〇FOMCパウエル会見から(たぶん終わらないので明日以降に続く)

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180321.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference March 21, 2018

・説明自体は結構やる気満々に見えるのだが

まあ目先は保護主義問題とかそっちの方があるのと、事前に相当強いのが出るのを警戒していたからあのFOMCでもハトチックな反応になったのかなーとは思うのですが、これ基本的に結構やる気満々モードに見えるんですよね、ということで今回結構長いのと、イエレンさんやバーナンキさんの時と違ってパウエルさんって割とホイホイ喋っているのですがえーっとあのそのみたいな感じの喋りをするので今読めるPRELIMINARY版は割と面白いちゃあ面白いと思います。

・冒頭説明部分ですが出だしからいきなり出オチのごとく強い

『CHAIRMAN POWELL. Good afternoon. I have a brief statement and then I’ll be happy to respond to your questions.

The job market remains strong, the economy continues to expand, and inflation appears to be moving toward the FOMC’s 2 percent longer-run goal. As you already know, we decided today to raise the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point, bringing it to 1-1/2 to 1-3/4 percent. This decision marks another step in the ongoing process of gradually scaling back monetary policy accommodation--a process that has been under way for several years now.』

ということで、いきなりのっけから「The job market remains strong, the economy continues to expand, and inflation appears to be moving toward the FOMC’s 2 percent longer-run goal.」って威勢の良い話をかましてきておりまして、いやこれ普通に強い話をしていると思うんだけどなあ、って感じます。


・労働参加率改善に注目とな

この全体的な情勢判断の次に労働市場の話が来ます。

『Job gains averaged 240,000 per month over the past three months, well above the pace needed in the longer run to absorb new entrants into the labor force. The unemployment rate remained low in February at 4.1 percent, while the labor force participation rate moved higher. 』

労働参加率が高まる中でも2月失業率は4.1%と低水準。

『Over the past four years, the participation rate has remained roughly unchanged. That’s a sign of improvement, given that the aging of our population is putting downward pressure on the participation rate, and we expect that the job market will remain strong.』

でもってこれまでの回復期においては労働参加率が中々アガランチ会長であるというのが特徴で、人口動態の関係上労働参加率に下押し圧力が掛かる中なのに最近労働参加率が改善しながら失業が低水準というのは「That’s a sign of improvement」だそうな。


・経済見通しは改善

『Although the growth rates of household spending and business investment appear to have moderated early this year, gains in the fourth quarter were strong and the fundamentals underpinning demand remain solid. Indeed, the economic outlook has strengthened in recent months. Several factors are supporting the outlook: fiscal policy has become more stimulative, ongoing job gains are boosting incomes and confidence, foreign growth is on a firm trajectory, and overall financial conditions remain accommodative.』

改善の背景は追加財政措置と雇用の改善と所得およびコンフィデンスの改善、海外経済の先行きがより堅調な見通しな事と金融環境が依然として緩和的であることだそうで。


・物価に関してはそこまでの大自信ニキではないものの言ってることは強め

『Against this backdrop, inflation remains below our 2 percent longer-run objective. Overall consumer prices, as measured by the price index for personal consumption expenditures, increased 1.7 percent in the 12 months ending in January. The core price index, which excludes the prices of energy and food and is typically a better indicator of future inflation, rose 1.5 percent over the same period.』

ここは直近の物価指標の数字、PCE物価指数でヘッドラインが前年比+1.7%のコアが+1.5%とな。

『However, as we have noted for some time, the shortfall of inflation from 2 percent reflects, at least partly, some unusual price declines that occurred nearly a year ago. In coming months, as those earlier declines drop out of the calculation, inflation should move up closer to 2 percent and stabilize around that level over the medium term. Of course, various forces will continue to affect inflation; at times it may be above 2 percent just as at times it may be below.』

物価押し下げ要因のうちいくつかは特殊要因でこちらの前年比効果は向こう数カ月で解消に向かうから物価は2%に向かって上がっていくでしょう、ただし他にもいろいろな要因ありますがね、という説明で、声明文の方でも物価の見通しの表現が強くなっていたのと同じ説明じゃなこれは。

『Our inflation objective is symmetric in the sense that we are trying to prevent persistent deviations from 2 percent in either direction.』

というのを最後に入れてタカを中和している感じがします。


・SEPの見通し数字(経済物価見通し)

でもってSEPの説明になりますがここは数字の話なので引用だけ。

『Based on the projections that Committee participants submitted for this meeting, the median projection for the growth of inflation-adjusted GDP is 2.7 percent this year, 2.4 percent next year, and 2 percent in 2020, a bit above its estimated longer-run rate. The median projection for the unemployment rate stands at 3.8 percent in the fourth quarter of this year and runs at 3.6 percent over the next two years, almost a percentage point below the median estimate of its longer-run normal rate. Finally, the median inflation projection is 1.9 percent this year, 2 percent next year, and 2.1 percent in 2020. Compared with the projections made in December, real GDP growth is stronger, the unemployment rate is lower, and inflation is slightly higher.』


・金融政策判断について

『As I noted earlier, today’s decision to raise the federal funds rate is another step in the process of gradually scaling back monetary policy accommodation as the economic expansion continues. This gradual process has been under way for more than two years and it has served-and should continue to serve--the economy well. 』

ここは利上げしましたよでもグラデュアルですよ政策的には「緩和のスケールバック」で引き締めではないですよという話。

『In making our policy decisions over the next few years, we will continue to aim for inflation of 2 percent while sustaining the economic expansion and a strong labor market. In the Committee’s view, further gradual increases in the federal funds rate will best promote these goals.』

今後も利上げをするのが適切と考えています、ってまあそらそうよという話ですが。

『By contrast, raising rates too slowly would raise the risk that monetary policy would need to tighten abruptly down the road, which could jeopardize the economic expansion.』

『At the same time, we want to avoid inflation running persistently below our objective, which could leave us with less scope to counter an economic downturn in the future. 』

深い意味はないと思いますが、利上げが遅れると問題だが、物価が目標よりも継続的に低いことも避けないといけない、という説明になっていて、プレマチュアな利上げの問題点という言い方ではない辺りが何となく味わいを感じました、まあ勝手読みではありますけど。

『Participants’ projections of the appropriate path for the federal funds rate reflect our gradual approach.』

SEPのドットチャートの話になる。

『The median projection for the federal funds rate is 2.1 percent at the end of this year, 2.9 percent at the end of 2019, and 3.4 percent at the end of 2020. By 2020, the median federal funds rate is modestly above its estimated longer-run level trend.』

2020年末の政策金利見通しの中央値は3.4%で、ロンガーランの金利水準として考えている水準よりもモデストリーに高い、という点も説明に入っていましたな、うんうん。

『Most participants revised up their projections since December, although the median projection for this year did not change. The medians for 2019 and 2020 are somewhat higher than in December.』

多くの参加者は見通しを上方修正しましたが、メディアンに関して2019年の数値は変わりませんでした、ということですので、まあそこの部分が当時の市場反応的にハト(というのか警戒していたタカではなかった、というべきなのか知らんが)という見方になったんでしょうな。

『Of course, we’ll be watching how the economy evolves in the months and years ahead relative to our maximum employment and price stability objectives. If the outlook changes, we will adjust monetary policy appropriately. 』

データディペンデントですよ、といういつものお話。

『Finally, I’ll note that our program for reducing our balance sheet, which began in October, is proceeding smoothly. Barring a very significant and unexpected weakening in the outlook, we do not intend to alter this program. As we’ve said, changing the target range for the federal funds rate is our primary means of adjusting the stance of monetary policy. As always, the Committee would be prepared to use its full range of tools if future economic conditions were to warrant a more accommodative monetary policy than can be achieved solely by reducing the federal funds rate.』

最後にバランスシートのランオフの話をしていますが、ランオフは順調で今後も減らしますよよほどとんでもない悪化がない限りランオフ継続ですよだって金融政策は金利でやりますからね。

『Thank you, and I’ll be happy to take your questions now. 』

ということで、こちらのプレコンの最初の説明部分、バランスシートの話が大幅に減ったせいもあるのですけれども、いまやきっちりPDF3枚分で収まるというあっさり味のものになってきておりまして、だんだん説明がシンプルになっているな、というのが見て取れます。


・質疑の一発目でフィリップスカーブの平たん化の話が来ていますな

でもって質疑ですがこちらは長いので徐々にやっていきますけど、今日は時間の関係で最初のところだけで勘弁なのですが割とポイントな質問がのっけからキタコレです。

『STEVE LIESMAN. Mr. Chairman, welcome. Interesting changes in the forecast. A higher growth forecast a full point above the long run. Lower unemployment, 7/10 below the long run. And yet, very little change in inflation. What does that say about what you and the Committee believe about the inflation dynamic, and how is it that in that context, you justify three rate hikes this year, and I sense will be three next year and a full $600 billion, I guess, annual rate decline in the balance sheet? Where's your biggest concern here? Is it in overkill when it comes to rates or underkill? 』

SEP見通しの中で成長率を大きく上方修正し、失業率はロンガーランよりも大きく低い状況が続くとなっているのに物価の上方修正が大したことないのはナンデヤネンという至極ごもっともなツッコミが前半にあります。

『CHAIRMAN POWELL. So, you’re right that the outlook did improve, as I mentioned and as you was in your question. The Committee's estimates of growth went up. The Committee's estimates of unemployment went down, and it was a very light increase in inflation. And, I think that reflects, essentially, if you think back to the air after the crisis, unemployment was 10 percent. It's now 4.1 percent. You've only seen very gradual upward pressures on inflation and wages despite that very large increase.』

失業率が10%から4.1%に大きくこれまで下がったけど物価って上昇圧力そんなにかかってないよねって何ちゅう理屈じゃという感じで、いやだからNAIRUより下がったら物価上がるんじゃないのという話ではあるのですがそこについては・・・・・・・

『And, that suggests that the relationship between changes in slack and inflation is not so tight. But, it has diminished, but it's still there. So, I think when you see those small changes in unemployment, that simply reflects the, you know, the flatness of the Phillip's curve, if you will. 』

フィリップスカーブが平たん化した、という説明をしているのですが、その前段の所で「経済のスラックとインフレの関係がそんなにタイトじゃなくなっていることを示唆する」というのがありまして、まあ現実そういう感じになっているということでしょうし、別にパウエルさんが日銀を意識はしていないと思いますが、これ「需給ギャップがプラスから上がっていくと物価に上昇圧力が掛かる」と言い続けている日銀に対して多分期せずして大砲撃になっているのがワロタという所ですな。

『STEVE LIESMAN. And, your biggest concern or your biggest risk here, is it doing too much, doing too little? 』

質問後半の聞きなおし。

『CHAIRMAN POWELL. You know, I think we're trying to, we're trying to be, to take the middle ground there. So, you know, on one hand, the risk would be that we wait too long, and then we have to raise rates quickly. And, that foreshortens the expansion. We don't want to do that. The, on the other side, if we, if we raise rates too quickly, inflation, then, really doesn't get sustainably up to 2 percent. And, that will hurt us going forward. We need that, and it's, you know, we need to make sure that inflation expectations are anchored at 2 percent. So, we're trying to take that middle ground, and the Committee continues to believe that the middle ground consists of further, gradual increases in the federal funds rate as long as the economy is broadly on this path. 』

って長く説明しているのですが、結局「緩和縮小が遅れるリスクと早まるリスクに関してはどちらも問題ですなあ」というような説明を丁寧にしているだけで、どっちともいわない辺りは順当ながらまあパウエルさん方向性出さないですなあ、という感じです。

#以下後日に続く





2018/03/26

お題「そろそろ15年が0.2%近くですが/副総裁就任会見」

あっそう。
https://jp.reuters.com/article/idJP2018032501001034?il=0
主要ニュース(共同通信)2018年3月25日 / 17:30
安倍首相「違憲論争に終止符」

『安倍晋三首相(自民党総裁)は25日、東京都内のホテルで開いた第85回党大会で演説し、憲法9条に自衛隊を明記する改憲の実現へ意欲を表明した。「憲法にしっかりと自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう」と呼び掛けた。』(上記URL先より)

えーっとすいません、論点になっているのは戦力不保持云々よりも、個別防衛による専守防衛の活動と集団安保による米国の世界軍事戦略の一環での活動の閾値をどう取るのかという話であって、単に自衛隊明記だったら今の時点で合憲って判断になっているのだから何も憲法改正する必要ないんですけど、ここの話しかしない安倍ちゃんって(爆発音)。

〇そういえば益々金利が下がってきておりますが

まあ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1R52TP
2018年3月23日 / 15:16 / 3日前
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸で大引け、イールドカーブ平坦化

『<15:10> 国債先物は続伸で大引け、イールドカーブ平坦化

長期国債先物は続伸して引けた。前日の米国市場では、貿易摩擦への不安が広がり米国株が急落する中、安全資産とされる米国債に対する需要が増大した。東京市場でも急速な円高・株安が進行したため、国債先物への逃避買いが優勢になった。

現物債市場では金利に低下圧力がかかった。超長期ゾーンへの需要が強まり、20年債利回りが2016年12月8日以来の0.510%、30年債利回りが2017年4月17日以来の0.735%にそれぞれ低下した。イールドカーブは平坦化した。日銀オペは「残存3年超5年以下」が強めの結果になったため、5年債が強含みで推移した。

日銀の前田栄治理事(企画局などを担当)は23日、参院経済産業委員会で、現在の物価は弱めの動きが続いていると述べ、国債と上場投資信託(ETF)の買い入れを含めて金融緩和政策からの出口のタイミングや対応を検討する局面にはない、との見解を示した。積極的に材料視されるまでには至らなかった。

長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比9銭高の150円99銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp低下の0.020%と2017年11月22日以来の低水準を付けた。』(上記URL先より)

横の字数が決まっているから仕方ないけど元のロイターのインターネット版を見ると2か所も行の頭に読点が入っていて微妙に違和感がありますがそれは兎も角(どこの校閲だというツッコミはパス)。

ええもう雨公は利上げするからヘッジコスト高いし(ジャパンの期末でもあるし)オープンは為替がこの動きだと手を出しにくいし、株式市場はアガランチ会長というか年初気持ちよく上げ過ぎた分から1割以上落ちているし、ということでしゃーないから円債となるのか、しゃーないから円債という事になるだろうからそれを見越して、ということなのかは知らん(まあどっちもあるでしょ)のですが、何はともあれここもと相場ネタスルーしている隙に円債ちゃんの金利下がって10年も徐々にゼロに近くなってきましたし20年は0.5%が指呼の間に迫って参りました。

となりますとここは輪番減額あるかという話になってくるのですが、金曜は中期輪番据え置き。今週は超長期の輪番が水曜で中期と長期の輪番が月末だったと思ったんだが、さて今週輪番減らすことができるのでしょうかというのが軽くみものちゃあ見もの。特に中期と長期はこの前指値云々の時に増額をしてしまいましたが、4月以降は国債のカレンダーベース市中消化が減るので、YCCという観点で考えますと、減額をしないと実質買入増額みたいなとらえ方になってしまう(本当はここに償還だの何だの色々と考える必要があるような気もするし無いような気もする)のですがさてどうするんでしょ。

もしかしたら今のテーマって金融政策の出口がどうのこうのではなくてトランプご乱心とかそっちの方で動いているからあんまり関係ないというのと、FOMCもECBもとりあえずそんなにタカイベントにならなかった(のですがどっちも普通にやる気満々だと思うのですけど、市場がそれ以上に極端なのを織り込んでいたのか、単に毒を中和するために一部入れ込んでいるハト的な部分に希望的観測として反応しているのかがよく分からん)ので、まあ減らし時ちゃあ減らし時かも知れませんが、ドル円が105円割れだのとか言っているときだと難しいですかねえ。やっぱ10年マイナス行くくらいまでは放置になるのかね、と思うと指値は良かったのですが増額は余計でしたわマッタクモウ。

さてここで売買参考統計値を確認しましょう。
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
売買参考統計値/格付マトリクス ダウンロード

本日付け(金曜日の引値)で残存15年近辺の超長期の引値がいくらか確認しますと・・・・・・・・

超長期国債 141 2032/12/20 1.7 121.13 +17 0.240 0.220
超長期国債 142 2032/12/20 1.8 122.56 +17 0.241 0.220
超長期国債 143 2033/03/20 1.6 119.76 +17 0.255 0.235
超長期国債 144 2033/03/20 1.5 118.31 +16 0.254 0.235

12月償還を入れているのは提案芸人大先生が提案した時期の残存15年という意味で参考に入れていますが、例によって最後の二つのレートのうち左が複利で右が単利でして、輪番実施するときに複利で買入って訳にもいかない(そもそも複利って再投資レートが最終レートという計算になっているので概念上のお話って面があってどうも何だかねとは思うのだが計算処理がこっちの方が楽なのとクーポン差を反映しやすいから使われるのですけど微妙に何だかな感はあるがそれは兎も角)でしょうから、単利で輪番をするとして、もう「残存15年が0.2%」にかなり接近しておりますので、この調子だと片岡大先生による理論に則れば物価上昇がここから加速して2%の物価が来年の消費増税を前に達成する勢いになるんでしょうね!!!!(棒読み)



〇副総裁就任記者会見ネタの続き

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180322b.pdf

てな訳で金曜の続き。

・結局マネタリーベース直線一気理論か・・・・・・・・・・・・・・・・

まあ順当な質疑ではあったが頭が痛い。

『(問) 若田部副総裁に伺います。これまでは、教授というお立場で積極的な金融緩和の推進を訴えてこられたと思います。リフレ派と呼ばれることがありますが、立場が変わってこれから金融政策の担い手となった今、スタンスをこれまでと変えずにいくのか、それとももっと客観性を持っていくことになるのか、ご自身として今どうありたいと考えていらっしゃるのか教えて下さい。』

『(若田部副総裁) 私は、よくリフレ派と呼ばれるのですが、これは自著でも書きましたが、リフレ派と呼ばれることには躊躇、内心ちょっと居心地が悪いものを感じます。』

世の中全てがリフレ派と豪語するジンバブエ先生が何か言いたそうにこっちを見ています(嘘)。

『どうしてかというと、私は経済政策というのは、全てある種の応病与薬であると考えています。つまり、病気があればその病気にあわせて薬を投与するということです。』

という発言の時点でアレなものを感じますが続きを見ればまさにその通り。

『デフレに対する処方箋はマネーを増やすことであって、リフレ政策ですし、非常に高いインフレであるならば、それに対して処方すべきはマネーの量を減らすことです。』

まず第一にマネタリーベース直線一気理論のままで話をしているのがダメなうえに、「病気があればその病気にあわせて」云々という部分が「部分最適」しか考えていないということを示していまして、実際の経済はそんな単純な話ではないんですけど学者ちゅうのは(なおこのあたりの方々が学者と言えるのかという論点は無かったことにしておく)どうしてこう単純な話しかしないんでしょと思ってしまいますの。よって・・・・・・・

『全てはこれに尽きるわけなので、何か特定の集団がいて、それが何か特定の政策を独自の理論で推進しているかの如き印象を与えるリフレ派という言い方は、あまり好きではありません。』

いやお前ら徒党組んでるだろ。

『標準的な経済理論からすればデフレの時にやるべきなのはリフレ政策であって、その意味でのリフレ政策の推進者として私はリフレ派と呼ばれても構いませんが、何かレッテルがあるということには違和感があるということです。』

デフレの時にやるのは金融緩和だったら別に昔から金融緩和は実施しているのであって、それがマネタリーベース直線一気理論で解消していないわけですから、問題は具体的な実践論の話であって、そこの戦略も戦術も無くて金融緩和を何倍にとか能天気に言ってるのは理論の名に値しないのではないでしょうかね。

『そのうえで申し上げますと、確かに経済学者としてこれまで積極的な金融緩和を唱えてきたというのは事実です。ただ、これからは副総裁として日本銀行の内部に入っていきますので、そこで得られる新しいデータや情報、あるいは他の委員の方々との議論等がありますので、そういったことを踏まえたうえで、今自分が考えていることをアップデートする、モディファイするということは当然あろうかと思います。』

これ新しいデータって言ったって公表データだけでも十分に色々と分かると思うのだが、BEIとか普通に調べれば公開情報だけでも見れるものをどこぞの初代置物師匠は初めて見たみたいない言い方をしていたのが頭クラクラ来るんですよね。

『副総裁になったということのみをもって意見を変えるということはありませんが、副総裁ということにおいて、先程申し上げたような色々なこと、あるいは金融の実務知識を得ることによって、私の知識がアップデートされる、判断がアップデートされていくということは期待されているし、私自身も期待しているところです。 』

>金融の実務知識を得ることによって、私の知識がアップデートされる

・・・・・・・・・という人が何を根拠に金融緩和政策が必要とか主張できるの?????


・副作用の比較衡量について雨宮さんはきっちりと説明

『(問) 金融政策の副作用について伺います。この先も現状の金融緩和が続いた場合、その効果と副作用のバランスというのがどうなっていくのか気になるところです。副作用の方が大きくなる可能性というのをどう考えていらっしゃるでしょうか。また、副作用として具体的にどのようなことを考えていらっしゃるでしょうか。 』

『(雨宮副総裁) 副作用としてどういうことがあるかということで申し上げますと、しばしば金融緩和の副作用として議論される項目として、例えば資産価 格の行き過ぎた高騰、金融機関経営に対するマイナスの影響、市場機能の低下、あるいは家計等利子所得者に対するマイナスの影響といったようなことが議論されているように思います。私は常に申し上げていますが、あらゆる政策は常に効果と副作用の比較衡量をして適切な判断をしていくべきだと考えています。』

比較衡量キタコレ。

『先程、若田部副総裁から投薬という比喩がありましたが、その意味では医者の投薬と同じです。 常に効果と副作用の点検をしながら、適切な投薬を考えていくことが基本ですので、』

しらっとさっきの若田部さんの投薬に関する説明について「効果と副作用の点検をしながら」と入れていますが、これは若田部さんの例えが超単純というかナイーブに過ぎるというのを暗に砲撃しているように見えるのですが気のせいでしょうか(^^)。

『現段階でも私どもは、例えば今申し上げたような項目それぞれについて常に研究を行い、金融政策決定会合でも議論を行っています。私どもの金融システムレポートでも、ヒートマップという形で行き過ぎがあるかどうかの点検を行って公表しています。全ての点について申し述べるのは控えますが、例えば金融機関経営に対するマイナスの影響等をとっても、確かにこの低金利が金融機関経営の負担になっていることは認識していますが、今のところ日本の金融機関は非常に厚い健全な資本を有し、かつ信用コストも低下しているという状況の中で、積極的な貸出態度を維持していますので、金融緩和の結果、金融仲介機能が損なわれ始めているという段階には至っていないことから、全体として考えれば金融緩和の効果が副作用を上回っている状況であると判断して います。』


・一方若田部さんの説明は浅くて話になりませんな

『(若田部副総裁) 私は国会の所信表明では、金融緩和の副作用についてこれまで顕現化していないと述べました。その時の文脈というのは、よく金融緩和の副作用として、長期金利が急騰するとか、あるいは日本銀行がインフレ目標を導入するとハイパーインフレになるとか、あるいは金利生活者の収入が大変になる、と色々なことがいわれたわけです。』

まずこの時点で今問題視されている副作用論と全然関係ない超通俗的な話を持ってきていて、藁人形論法にも程があるし、大体からしてこの前実施した総括的検証の中での副作用に関する話ってお前まだ読んでないのと小一時間問い詰めたい。

『金利生活者の金利収入が下がっているのは事実ですが、世上色々と金融緩和の副作用等がいわれる時に 1 番最初に挙がるようなことは起きなかったということです。』

論点が浅すぎる。

『これから先、金融機関や市場に当然影響は及び得るわけで、そうした副作用が、金融政策がこれまでもたらしてきた企業収益を増やす、雇用状況をよくする、そして各種社会経済データをよくする、雇用者総報酬も増えている、 といった効果を覆すに至るようなものであるならば、やはり点検すべきであろうと考えます。』

そもそもそれ金融政策の効果がどこまでなのかという議論があるんだが。

『ただ、金利収入の話でも、一般論として付け加えさせて頂きますが、経済がよくなると、今度は金利収入以外の収入が増えるということが起 きますので、 1 つのところだけをとるのではなくて、経済が全体としてどうなっているのかをみることが、金融政策を運営するうえでの最大のポイントだと思います。』

お前は何を言ってるんだ。

『ですから、1 つのところだけをとり上げて、それが副作用だというのは、やはり金融政策を与る中央銀行の人間としては警戒すべきであって、むし ろマクロ政策としては経済全体がどうなっているのかをみて、そのもとで政策の是非を判断すべきだと考えています。』

お前さっきから金利収入の話しかしてないじゃん、ということで実に浅くて、先代置物師匠よりも論点の置き方が浅いというか甘いというかナイーブって感じですな。


・達成時期に関しては華麗にするーする雨宮さん

『(問) 先程、雨宮副総裁は、2%の実現に対して具体的な年限を区切っては いないというようにおっしゃっていましたが、黒田総裁は今回の国会の所信聴取において、2019 年度には確実に出口の検討に着手しているだろうというようなことをおっしゃられていました。実質的には、来年度ということだと思うのですが、この時間軸の実現可能性に関して、両副総裁はどのようにお考えでしょうか。』

達成していれば、ですけどね。

『(雨宮副総裁) 時間軸といいますか、今の見通しということで申し上げますと、直近の 1 月の金融政策決定会合において議論して決定された、私どもの展望レポートにおいては、2%程度を実現する時期について 2019 年度頃とし、ただし下方リスクがある、という判断をお示ししました。その後のデータ、あるいは経済情勢の展開で、この判断が変わるのか変わらないのかについては、次回の 4 月の金融政策決定会合は展望レポートを検討する回ですから、そこで入手可能な内外の様々な情勢やデータを十分点検して、他の委員方と議論して判断していきたいと思っています。』

完全にそれはこれから考える状態。まあ仕方ないけど。


・おまえ時間軸の意味わかって喋ってるの??

『(若田部副総裁) 「イールドカーブ・コントロール」は確かに持続性のある政策であり、その意味ではある種の時間軸政策に近いとも評価できるとは思うのですが、』

?????????????????????????

『ただ実際に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって 2019 年度頃に目標を達成できるのかということについては、まさに金融政策決定会合で議論したいと思います。』

ナンジャソラ。

『先程申し上げたことですが、私は経済学者として色々な主張をしてきましたが、日本銀行に入ったところで、今度は様々なデータをみて、また謙虚に自分の知識、判断をアップデートしたいと考えています。』

つまり今までデータも見ないで好き勝手に言ってたということですかそうですか。


・先代置物師匠への評価

『(問) 若田部副総裁に伺います。同じリフレ派という言葉でくくられるのは本意ではないというお話がありましたが、岩田前副総裁、リフレ派の象徴ともいわれた方の評価なのですが、日本銀行のマインドを変えたというようにおっしゃる方もいれば、最終的に考え方が進化したというお話をされて変節したというような指摘もあるのですけれども、どのように評価されていますでしょうか。』

誰だよこの質問したのは(褒めてます)。

『(若田部副総裁) 岩田先生は私の尊敬する大先生でして、その先生を評価するとはまたおこがましい話とは思いますが、ただ実績をみれば、それは一目瞭然です。』

日銀を散々口を極めて罵倒して導入した世界標準の理論(そういやさっき若田部さんも世界標準とか言ってましたな頭が痛い)によって物価目標が2年で達成とか言ってたのが全然達成しなかった実績ですねわかります。

『日本銀行内部での議論は私にも詳らかではありませんが、岩田前副総裁も加わった日本銀行の執行部である、黒田総裁、中曽前副総裁、岩田前副総裁のもとで、日本銀行がここまでの業績を上げていることは事実だと思います。』

物価上がってないんですけど。

『物価に関しては、日本銀行が参照している基調的なインフレ率でも、CPIを色々な形でみても、デフレの基調があった時代はもはや終わり、デフレではないというところまできた、』

そもそも継続的に物価が低下するという程の状況だったのかという質疑もありましたな。

『その過程において、これまで色々と問題のあった雇用の面でも非常にいい成果を出している、といった実績を上げたことは第 1 に特筆すべきだと思います。』

雇用における人口要因はどうなっているんでしょうかね。なんかここをうやむやにして成功したことにしてしまうと、それこそ台湾沖航空戦じゃないけど(あれはそもそも勝っていないから話にならんけど)政策の効果を間違えたまま(過大評価したまま)でいると、次の時に処方箋間違えて政策を実施して、それが今度は取り返しのつかない失敗を招くということだってあり得るのだから、もっときちんと総括をして頂きたいと思うのでありました。

ということでこの辺で勘弁。





2018/03/23

お題「副総裁就任会見を鑑賞するの巻(その1)」

おはぎゃあございますorz
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180323/k10011375411000.html
NYダウ 700ドル以上値下がり 対中制裁の影響懸念
3月23日 5時28分

『22日のニューヨーク株式市場は、アメリカのトランプ政権が発動を決めた中国からの輸入品に高い関税を課す制裁措置が世界経済に悪影響を及ぼすという見方から売り注文が膨らみ、ダウ平均株価は700ドル以上値下がりしました。』(上記URL先より)

ほらあれですよ、元々「トランプが大統領になったらリスクオフ」って言ってたじゃないですか(白目)。

しかしまあ何ですな、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032300052&g=eco
米輸入制限、日本には適用=除外は7カ国・地域−通商代表

『ライトハイザー代表は、カナダ、メキシコ、欧州連合(EU)、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルと韓国が一時的に関税の適用が除外されると説明。今後の協議で、最終的に確定する考えを示した。(2018/03/23-01:13)』(上記URL先より)

って韓国は適用除外で日本は適用ということだがトランプに対して対等に物が言える安部ちゃんとか安倍政権で大活躍の経産省とは何なのかと小一時間。


なお全然別件ですが、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032201376&g=int
フランスで大規模公務員スト=政府改革案に抗議
(2018/03/22-21:59)

とかやはり2%物価目標達成というくらい行くにはこうじゃなきゃという事だと思うのですが、それで2%達成するのが良いことなのかというのはまた別の話ですにゃあ。


〇副総裁就任会見を鑑賞するの巻

なお総裁の任期はまだ残っていますので今回は副総裁のみの就任会見なのですがそれでも長い。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180322b.pdf

えーっとですね、まず最初に何を注目するのやという話をしますと、雨宮副総裁は当然ながら今後の政策運営(運営というのは「具体的にこんなことを実施していく」という話ね)に関して全面に出てああでもないこうでもないとやっていくことになるであろうお方で、そらまあ説明するのは黒田さんですがそこは二人羽織状態ですからポイントは雨宮さんという事になるでしょうな。でもって若田部さんに関しては如何に早期に無害化処理されて床の間の人形ケースに収まってくれるかという話であって、今回の会見要旨見ていてもわかりますが、そもそも今の政策枠組みをきちんと理解できているかどうかも怪しくて、金融市場に関する知識が碌すっぽ無い(前任の逃げ切りやがって怪しからん置物は一応金融論でしたがあの有様でしたし、何とかストで金融系シンクタンクにいた片岡さんが15年0.2%以下という珍提案をして債券市場の爆笑を巻き起こした挙句に恥ずかしくなったのか次回から別の提案をする有様ですから経済学史(経済史ではない)の若田部さんに知識があるとは期待してないが)ので具体的な政策論を何かできるかといえば何もないので、政策運営的にはまあどうでも良くて鑑賞物として面白がるという物件。

ただまあ若田部さんに関してはどの程度までこじらせて行くのかが注目でして、ジンバブエ化したり提案芸人化したりするとそれはそれでノイズにはなり得るので、その辺の見極めも徐々にしていかないとですね。


・「金融システム面の課題」をしらっと挙げる雨宮さん

『(雨宮副総裁) 雨宮でございます。どうぞよろしくお願いします。抱負ですが、今後取り組むべき課題として、3 つのことを肝に銘じていますので、そのことについて申し上げたいと思います。』

ということで始まりますが・・・・・・・・・・・・・・・

『第 1 に、金融政策運営です。私は、日本銀行におけるキャリアの約半分、20 年近くにわたってデフレとの戦いの最前線に身を置いてきました。日本 経済は、デフレではないという状況にはなりましたが、2%の「物価安定の目標」は実現できていません。これからの 5 年間、積年の課題である物価安定という使命達成の総仕上げのために、全力を尽くす覚悟です。もちろん、歴史的にも世界的にも類例をみない大規模な政策ですので、その効果と副作用の評価や、将来の出口戦略のあり方など、検討課題は多岐にわたります。これまで築き上げた中央銀行員としての実務知識もフルに活かしつつ、適切な政策運営に 努めていきたいと考えています。』

ちゃんと出口の話もしている。

『第2に、金融システム面の課題です。金融機関経営を取り巻く環境は、人口や企業数の減少、あるいは長引く低金利など、厳しさを増しています。こ うした環境変化に対する金融機関の対応を的確に把握し、サポートしていきた いと考えています。また、金融取引の市場化やグローバル化が進展する中で、日本銀行が持っている最後の貸し手機能についても、市場への流動性供給や、 外貨の流動性供給といった新しい機能の重要性が増しています。このほか、 FinTech の発展に対応していくことも、中央銀行、民間金融機関ともに重要な課題です。このように、金融を取り巻く環境が大きく変革していく中においても、日本銀行の機能や能力を十分に発揮して、金融システムの安定を図り、金融仲介機能の向上に貢献していきたいと考えています。』

ということで、ここで思いっきり金融システムの課題というのが出ていて、まあ別にだから出口とかそういう話ではないのですが、金融システムは安定して問題ありませんの一点張りで来ていた(FSRとかではせっせと指摘しているにしても)パターンにちょっとだけ変化を入れたような感じはあります。まーそうは言いましてもこの前まで企画担当理事だったんですから金融システムは安定しております(キリッ)ってのも雨宮さんは理事としてそういう建付けで走るのに協力していた訳ですが、こうやって副総裁就任という形で目先が若干変わる所を狙ってちょっと七色の変化球を打ち込んでいる(ただし本格的な妖刀は抜かないでジャブ程度)ということなのかなと勝手に希望的観測込みで読んでしまいました。まあ頭が黒田さんのままだからあまり変わらないのですけどね。

『第 3 に、約 40 年にわたり日本銀行で現場経験を積んできた者として、円滑な業務組織運営に努めることが、私に課せられた最も大事な役割と考えて います。日本銀行の使命達成の基盤は、銀行券の発行と流通、決済システムの 運営など、日々の業務遂行です。日本銀行の本支店、事務所、約 5 千人の職員は、高い士気を持ってそうした業務を日々遂行するとともに、災害時などの緊 急時にも、わが国の金融インフラをしっかり守るという強い決意を持って臨んでいます。こうした職員一人一人の持てる力を引き出し、日本銀行の組織力をフルに発揮させていきたいと考えています。』

『これまで日本銀行で得られた経験と知見を活かして、職員の力を束ねつつ、若田部副総裁と力をあわせ、黒田総裁をお支えし、使命の達成に全力をあげて取り組んでいきたいと考えています。』

内部管理に関しては副総裁が2回連続で置物だわ実務の役に立たないわで大変でしょうな。


・若田部さん現状はスクラッチ状態のようで

『(若田部副総裁) 若田部でございます。日本銀行に入るのは、本日が第 1 日目です。これからは、雨宮副総裁とともに、黒田総裁をお支えして、日本銀行の金融政策と業務の運営に貢献していきたいと考えています。』

寧ろ貢献すると邪魔なんだが。

『現在、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を達成すべく、大規模な金融緩和政策を実施しています。その成果は、企業の収益・雇用状況、総雇用者所得、自殺率や貧困率といった各種の経済社会データを素直にみれば、明らかだと思います。』

相関していてもそれが疑似相関の場合は因果関係が成立しないのですが・・・・・・・・・・・・

『2%の「物価安定の目標」には達していませんが、物価が継続的に下落するという意味でのデフレとはいえない状況にまで漕ぎつけました。この成果は、私は素直に評価したいと考えています。 』

この「物価が継続的に下落するデフレ」ってそんなのあったかよ、というツッコミは後程出てくる。

『今後の抱負ですが、1 点目は金融政策についてです。金融政策については、デフレからの完全脱却、すなわち 2%の「物価安定の目標」の安定的達成を目指して、淡々粛々と金融政策の策定に関わっていきたいと考えています。 金融政策の効果は、既に各種のデータによって明らかですが、まだその果実が国民全体に及んでいるとまではいえません。政策の基礎となる理論・モデルを吟味し、データと予想を精査し、金融政策決定会合の議論に積極的に参加して まいりたい、というのが私の第 1 の抱負です。』

つまりこれから考えるということですが、そもそもこの「成果があった」という話になっている部分なのですが、もともとQQE導入当初には置物師匠のあの例の波及メカニズムの図があった訳でして、それに対して実際はどうだったのか、という話からきちんと精査したうえで、効果が本当にあったのか、実は海外要因じゃなかったのかとか、人口動態要因だったんじゃなかったのかとか、消費増税前の駆け込み需要による神風部分がどの程度あったのかとか、そういうのをもっときちんと確認しないままで、「効果があった」という事にしてしまうと、結局今後も間違えた処方箋を作り続けることになるんじゃないでしょうか、と思うのですよね。

『第 2 に、金融の世界には大きな変化が押し寄せてきています。いわゆる仮想通貨と暗号技術、あるいは人工知能の可能性が、昨今取沙汰されています。それらの中には、やや可能性を過大評価している感もなきにしもあらずで すが、技術の変化そのものはリアルでして、これが既存の金融の姿を大きく変革しつつあります。殊に、FinTech がその可能性を発揮する過程では、既存の金融機関の変革が不可欠となるでしょう。また、日本銀行の業務に直接関わるところでは、サイバー危機・サイバー攻撃の危険性があります。これは米国な どでは、例えばサイバー攻撃がきっかけとなって次の金融危機が起きるのではないかといった懸念も取沙汰されています。そうした技術の変化、それが金融市場、組織にいかなる変化をもたらすかについては、目を凝らし、研究をしていきたいと考えています。』

何かとりあえず聞いた言葉を一生懸命並べた感が漂いますが、サイバー攻撃云々という意味ではファイヤーウォールなどと関係なく表門から政策委員会とかいう所にウィルスが注入されているのですがとか咄嗟に思ってしまったのですが。

『3 番目は、これは日本銀行に入ってからの課題ですが、あらゆる組織同様、日本銀行も、そこで働いている人間の集まりです。日本銀行の役職員の方々は、高いプロフェッショナル意識を持って活動されていると思いますが、私にとっての課題は、そうした一人一人の日本銀行の方々と、できる限り直接お会いして、日本銀行を人の側面からよりよく理解することです。 』

置物一派という点で言えばジンバブエ大先生なんぞは4年やっておられますが決定会合関連とか金懇とか拝見するにどんどんとこじらせが悪化しておられて、日本銀行を人の側面からよく理解すると普通ああはならんだろうと思いますので、若田部さんにおかれましてはきちんと勉強をして頂きたいと思うのですが、後の方での質疑見ると大丈夫か感はある。


・若田部さんの追加緩和論には特に強固なものはない

『(問) 金融政策上、最大の課題は 2%の「物価安定の目標」の実現だと思いますが、数ある要因の中で、2%の実現のために最も重要なファクターをどう いうふうにみておられるか、お伺いします。』

雨宮さんの答えは通常の日銀公式見解通りなのでパスして、

『(若田部副総裁) 国会での所信表明の際にも申し上げましたが、2%の「物価安定の目標」を実現するために、デフレからの完全脱却を目指し、デフレへと逆戻りしないという決意のもとで始まったのが、過去 5 年間の金融政策のス タンスだったと思います。この金融政策のスタンスあるいはレジームを堅持すること、そしてそれを可能であれば強化することが、最も大事なことだと考えています。(以下割愛)』

だそうですが・・・・・(以下の部分は色々と話をしているが内容は別にどうということもないので割愛)

『(問) 若田部副総裁にお伺いします。国会の所信聴取の中で、必要ならば追加緩和を行う、その際に、新たな手段も検討すると言及されていたと思うのですが、どのようなことを頭の中においてお話しされていたのか、もしお話しできることがあればお聞かせ下さい。』

『(若田部副総裁) 現段階でどのような手段を考えているのかということについては、基本的には、金融政策決定会合で議論し決定するものですので、コメントを差し控えさせて頂きたいと思います。』

しかしこう見ますと就任記者会見で1つの考え方として外債購入とか思いっきり発言した佐藤さんって(リフレ一派のスットコドッコイと比較するとはケシカランと言われそうですが^^)まるで格が違いますなと思ってしまうのでした。


・2%目標に関する説明が中々面白い

これは良い質問。

『(問) お二人にお伺いします。国会の所信聴取では、議員の方々から 2%の 「物価安定の目標」がそもそも妥当なのかという質問が多かったと思います。 2%の「物価安定の目標」および 2013 年の政府と日本銀行の「共同声明」について、見直しをする必要があるのかないのか、お考えをお聞かせ下さい。』

ということで雨宮さんですが、中々味わいのある説明になっています。

『(雨宮副総裁) まず 2%の「物価安定の目標」の妥当性について、時々誤解があるように思うのですが、2%の「物価安定の目標」というのは、人為的にインフレを起こして、インフレによって経済問題を解決しようということではないと、私は理解しています。』

黒田1期では何が何でも目標達成という話でしたし、置物リフレ理論というのはマイルドインフレにすれば経済諸問題解決して万々歳というものだったはずなのですが、こうやってしれっと話が変わってきている(今変わったわけではなくてここんとこそういう感じですが)のがチャーミング。

『中央銀行の目的は、あくまでも「物価の安定」 ですが、この「物価の安定」を具体的な数値で実践的に定義してみると、ちょっ とプラスがよいというのが共通の理解になっているわけです。これは色々なところでご説明していますが、CPIという物価統計には強めに出るという上方 バイアスがあるとか、デフレにならないようなのりしろを持っていた方がいいというようなことがあります。こうした統計上のバイアスやのりしろを踏まえて、「物価の安定」ということを実践的に定義しようと思うと、ぴったりゼロ ではなくて、ちょっとプラスがよいというのが、先進国の共通の理解です。』

ほほう。

『ではそのちょっとプラスが 1%か 2%か 3%かというのは、先験的に自動的に答えが出る問題ではないのですが、今は、先進国で共通して 2%を目標としています。』

これまた元々のQQE黒田1期の時は潜在成長率がどうのとか経済の基礎的状態がどうのとかそういうのとは独立的に2%が正しい(キリッ)というような感じでの説明に終始していた筈なのですが、「ちょっとプラスが良い」という事を言ってるのは中々これも味わいがあります。もちろん今それを変えるとかそういう話ではないというのはこの先の方で説明していてこの部分に含まれる埋伏の毒を中和しているのですが、これって「2%はまだ行ってないけどちょっとプラスだしこの先2%行く蓋然性も高いという見通しですから・・・・・」という理屈を繰り出すための伏線をしらっと張っているようにも見えますので中々。

『これは何も、単に他にあわせておこうということではなくて、関係国が物価安定目標を共有することによって同じような物価情勢が成立すれば、長い目でみた為替市場の安定、為替市場のトレンドの安定につながり、それが金融資本市場や企業活動の安定につながるという非常に重要な意味を持っています。』

出たな為替。

『従って、やはり 2%の物価安定目標、これはご案内の通りECBは物価安定の定義と呼んでいますが、非常に重要だと思っていますし、現在の政府と日本銀行の「共同声明」を現時点で見直す必要もないと考えています。』

結論ではいつもの話なのだが途中に色々と七色の変化球を織り込んでいるのが雨宮さんという感じですな。


一方の若田部さん。

『(若田部副総裁) 雨宮副総裁がおっしゃったことに加えてという形になりますが、現状で色々と研究があることは事実です。例えば、働きたい人がほぼ全員働けるという意味での完全雇用、あるいは経済学的にはインフレを加速させない失業率はどのくらいかという研究では、例えば 2%の半ばから前半であるという研究があります。この数字そのものは色々とばらつきがあると思います が、その失業率を達成するのにふさわしい目標インフレ率はどのくらいかという形で逆算していく、つまり雇用の側から望ましい物価上昇率を逆算していくと、大体それが 2%ではないかという研究が諸々あります。』

これはまた斬新な理論が来ましたが、だったら物価2%じゃなくてNAIRUの達成を目標にすればよいのではないでしょうかと思いますし、まあ人によって考える水準は違うとはいえ、NAIRU近くまで失業率が低下しているという状況であれば別にそこからの物価上昇を促す必要ってあるんですかと小一時間問い詰めたい。

『従って、グローバ ルスタンダード的なもの、あるいは統計上の振れ、あるいは金融政策のある種の余地を残すというような、そういった理由だけではなくて、やはり 2%そのものに根拠があるのではないかという感触を私自身は持っています。』

ということでここは雨宮さんと一線を画しているのだが、じゃあ2%は分かったけどどの物価統計を取るのか、国によって統計の取り方違ってるんだがそれなのに何で万国共通で2%が正しくなるのかの根拠を提示して頂きたい。

『その意味では、次の見直しの議論につながるのですが、私は 2%の「物価安定の目標」 は、日本銀行と政府の「共同声明」で定められたことですので、日本銀行副総裁としては、まずはこの 2%を達成するということに全力を傾けたいと考えています。』

まあこれは良いんだが。

『そのうえで、一般論として申し上げますと、もちろん 2%を 1%にす るとか、そういった議論というのは考えられないし、望ましくないと考えていますが、世界の中央銀行、例えばBOEやFRBなどでは、危機に対応する経験なども踏まえたうえで、物価安定目標は何%にすべきなのか、あるいは物価だけではなくて、他に色々なものをみるべきではないかというような研究が進んでいるのは事実です。学会や中央銀行において、そのような研究は進んでいますので、日本銀行としても、そのような議論や研究をすることは、現状でも可能なのではないかと思います。ただし、今申し上げた通り、日本銀行としてなすべきことは、まずは2%を達成するということであり、公式に見直しを考えているということではないということだけは申し添えさせて頂きます。』

えーっとすいません、そういう研究が進んだ結果例えば1%が良くて2%は過大という結論になった時に2%達成して喜んでいたら実は国民厚生上望ましくなかった、というのだと間抜けにもほどがあるんですが・・・・・・・

まあね、つまりこの2%というのはもっとフワッとした話であって、若干のインフレの方が実質ゼロの時にも名目がプラスになるので、経済主体における色々な調整がやりやすくなるので、そのためにも経済が安定的かつ持続的に成長をしていくのに若干のプラスの物価上昇だと運営しやすい、という(雨宮さんの説明が実はそんな感じに思えるのですが)話じゃネーノという話にもっていく方が日銀もやりやすいのですが、まあリフレ一派がのさばっている上に安部ちゃんが信奉しているだけに中々ねえとは思う。

#後半の見どころは政策調整に関する部分なのだが量が多いので時間が無くなってしまったの巻で週明けにでも(もしかしたら土日に更新するかもしれないけど月曜の更新時にそのまま残しておくのでスルーして無問題です)






2018/03/22

お題「寝起きでFOMC」

何だよ削除するのかよ。
https://www.asahi.com/articles/ASL3N4JWWL3NUTFK00T.html
自民・和田氏の「政権おとしめる」発言、会議録から削除
2018年3月20日19時30分

珍しく現時点だと全文読めるのですが。

『自民党は20日、参院予算委員会理事会で、和田政宗参院議員が19日の委員会で、財務省の太田充理財局長について「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのか」と述べた発言の一部を会議録から削除するよう求め、了承された。』

『自民党は、渡辺美樹参院議員が過労死の遺族が出席した13日の予算委中央公聴会で、「週休7日が人間にとって幸せなのか」などと述べた発言についても削除を求め、了承された。渡辺氏は遺族から抗議を受け、謝罪。自ら会議録からの削除を
求めたという。』(以上上記URL先より)

こういう愚劣な発言は後世に残しておくべきだと思うのですけどねえ。

あと、
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018032101001453.html
政府、日朝首脳会談への意欲伝達 北朝鮮側に
2018年3月22日 02時03分

あっそうと思うのですが、この前まで河野外相無茶苦茶強硬姿勢だったと思うんだが、威勢よくやった後にノコノコ行くってのも何かアレですなあ。



〇FOMC声明文

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180321a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180131a.htm(前回)


・第1パラグラフ:現状認識は若干弱くしているのですが・・・・・・・・

『Information received since the Federal Open Market Committee met in January indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a moderate rate.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in December indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a solid rate.』(前回)

経済活動が前回ソリッドだったのに今回モデレートに下がっているというのに利上げとな!というお話なのがチャーミング。


『Job gains have been strong in recent months, and the unemployment rate has stayed low. Recent data suggest that growth rates of household spending and business fixed investment have moderated from their strong fourth-quarter readings.』(今回)

『Gains in employment, household spending, and business fixed investment have been solid, and the unemployment rate has stayed low.』(前回)

経済活動の現状認識が下がった理由は家計と企業の活動がモデレートになったから。


『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy have continued to run below 2 percent. Market-based measures of inflation compensation have increased in recent months but remain low; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(今回)

『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy have continued to run below 2 percent. Market-based measures of inflation compensation have increased in recent months but remain low; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(前回)

インフレとインフレ期待に関する認識は前回と全文一致。


・第2パラグラフ:しかしながら「先行き見通しが強まっているので利上げ」キタコレ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

これはいつものマクラ。

『The economic outlook has strengthened in recent months. The Committee expects that, with further gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace in the medium term and labor market conditions will remain strong. 』(今回)

『The Committee expects that, with further gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace and labor market conditions will remain strong.』(前回)

今回思いっきり「The economic outlook has strengthened in recent months.」というのをぶち込んでいるのはおお頑張ってるじゃんという感じなのでこれは強いのと、徐々に金融緩和の調整をする中で経済活動が今後もモデレートに拡大、という説明の中に「in the medium term」ってのがはいったのが何か微妙に意味があるように見えるがイマイチよく分からんので誰か教えてジェネラル。

『Inflation on a 12-month basis is expected to move up in coming months and to stabilize around the Committee's 2 percent objective over the medium term.』(今回)
『Inflation on a 12-month basis is expected to move up this year and to stabilize around the Committee's 2 percent objective over the medium term.』(前回)

何気に2%物価到達の見込み時期が早まっていまして、こうなると確かに政策調整必要ですわという話になる。

『Near-term risks to the economic outlook appear roughly balanced, but the Committee is monitoring inflation developments closely.』(今回)
『Near-term risks to the economic outlook appear roughly balanced, but the Committee is monitoring inflation developments closely.』(前回)

リスク認識バランスというのは同じ。


・第3パラグラフ:市場織り込み済みですが政策金利1.25-1.5→1.5-1.75に引上げ

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 1-1/2 to 1-3/4 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(今回)

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1-1/4 to 1-1/2 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(前回)

利上げの実施というのは前回と違いますが、利上げ後も金融政策は緩和的でどうのこうのというのは同じ表現。


・第4パラグラフ:今後の政策スタンスの話は全文一致

こちらは全文一致です。

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments. The Committee will carefully monitor actual and expected inflation developments relative to its symmetric inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant further gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(今回)

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments. The Committee will carefully monitor actual and expected inflation developments relative to its symmetric inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant further gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(前回)

前回と全文一致でここの話は毎度の通り。


・第5パラグラフ:票決は全員一致

『Voting for the FOMC monetary policy action were Jerome H. Powell, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Loretta J. Mester; Randal K. Quarles; and John C. Williams.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; Randal K. Quarles; and John C. Williams.』(前回)

反対しそうなの今の投票メンバーにいませんからね。


〇SEPは案の定だが利上げ見通しが強くなっている

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180321b.htm
March 21, 2018
Federal Reserve Board and Federal Open Market Committee release economic projections from the March 20-21 FOMC meeting

てな訳でSEPですけれども。

PDF版
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20180321.pdf(今回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20171213.pdf(前回

HTML版
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20180321.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20171213.htm(前回)

・経済物価見通しは順当に上方修正

左から順に2018、2019、2020、ロンガーランで手抜きなのでメディアンだけ貼っておく。

Change in real GDP
2.7 2.4 2.0 1.8
December projection
2.5 2.1 2.0 1.8


Unemployment rate
3.8 3.6 3.6 4.5
December projection
3.9 3.9 4.0 4.6


PCE inflation
1.9 2.0 2.1 2.0
December projection
1.9 2.0 2.0 2.0

ということですのでまあ普通に上方修正ですが、成長と雇用を上方修正しているほどには物価は上方修正していないという内容。PDFの方だとファンチャートもどきがありまして、そちらを見ますとざっくりとした印象では成長見通しに関して下振れリスクが減っているのと、雇用に関しては上方修正(失業率の数字は下方修正)かなという感じです。


・2020年には明確にロンガーランよりも高い金利になっているという見通し

世の中的には2019年のドットも気にされるらしいのですが、アタクシの場合通常は足元とロンガーランだけ注目するようにしていて、ただ今回は2020年の数値が特徴的だったので、そちらも見るという感じでしょうか。

PDFのドットを見てちょという感じですけれども、まず今年。

2018年の利上げ回数(1回はもうやってしまいましたが)

12月時点での予想
無し:2名(この回2名利上げ反対ドットが入っていて、そのうちの1名は2018年度も1.0-1.25にドットを置いているという剛の者がいた)
1回:1名
2回:3名
3回:6名
4回:3名
5回:1名

3月(今回)の予想(1回、とあるのは年間ベースなので既に1回は実施済みからスタートしています、1回というのはここからの利上げなし)
1回:2名
2回:0名
3回:6名
4回:6名
5回:1名

5回とかいう変態仮面はさておきまして、これはどう見ても年4回コースが見えてくる上方修正ですが、まあこの程度強いのが出てくるのは織り込んでいるかなという感じですけど。

2019年はあまりキニシナイのですが、今年利上げしないとかいう人たちと5回の変態をスルーすると、分布が2.50-2.75から3.25-3.50になっていて3回少々の利上げとなっていまして、この先に出てくるロンガーランの数字がまあ3%に上昇しているので、2019年末はほぼ中立金利近辺にFFを引き上げておきます(つまり金利的には正常化)という内容だと思う。

でもって2020年ですが、こちらはドットの多くが3%を明確に上回っている水準となっていまして、これはロンガーランのレートが概ね3%になっているのから勘案すると「2020年は若干中立金利よりも高い水準にFF金利がある」という話になりまして、こいつは上方修正だぜという感じです。

そういう訳で肝心のロンガーランですけれども。

2.25:1名→1名
2.50:2名→1名
2.50-2.75:0名→1名
2.75:6名→4名
3.00:6名→5名
3.25:0名→1名
3.50:0名→1名

#ちなみにこれ全体的にそうなのですが総数1減ってます

ということで、まあ2.75%か3%かという感じですが、3%に近い方で見た方が良い感じでこれは上昇です。ちなみにさっき申し上げた2020年が中立金利より明確に高い件ですが、前回のドットチャートですと2019年はロンガーランの金利よりも若干低いところにいて、2020年がロンガーランの金利と大体同じ気持ち上という感じでして、今回は先ほど申し上げた通りに2019年がほぼ中立金利、2020年は中立金利よりも上となっているので、スタンスとしては利上げが前に倒れましたという解釈で合っていると思うのですがどうでしょうかね。


〇会見のオープニングステートメントから少々(時間が・・・・・・・)

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180321.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference Opening Remarks March 21, 2018

・出オチ感甚だしい最初のぶっこみ

『CHAIRMAN POWELL. Good afternoon. I have a brief statement and then I’ll be happy to respond to your questions.

The job market remains strong, the economy continues to expand, and inflation appears to be moving toward the FOMC’s 2 percent longer-run goal. As you already know, we decided today to raise the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point, bringing it to 1 1/2 to 1-3/4 percent. This decision marks another step in the ongoing process of gradually scaling back monetar
policy accommodation--a process that has been under way for several years now.』

ということでいきなり最初に強い言い方キタコレという感じです。労働市場に関しては・・・・・・・・

・パーティシペーションレートの拡大を評価

『Job gains averaged 240,000 per month over the past three months, well above the pace needed in the longer run to absorb new entrants into the labor force. The unemployment rate remained low in February at 4.1 percent, while the labor force participation rate moved higher. Over the past four years, the participation rate has remained roughly unchanged. That’s a sign of improvement, given that the aging of our population is putting downward pressure on the participation rate, and we expect that the job market will remain strong.

労働参加率が上がっていることを「That’s a sign of improvement」と評価。


・足元のアセスメントを下げても先行きを強くしているのはまずは財政

『Although the growth rates of household spending and business investment appear to have moderated early this year, gains in the fourth quarter were strong and the fundamentals underpinning demand remain solid. Indeed, the economic outlook has strengthened in recent months. Several factors are supporting the outlook: fiscal policy has become more stimulative, ongoing job gains are boosting incomes and confidence, foreign growth is on a firm trajectory, and overall financial conditions remain accommodative. 』

声明文と同じくで家計と企業が昨年4Qのやたら強いのからモデレートされたけれども、先行きに関してはこの数カ月で見通しを強めたということで、財政に関して思いっきり最初に入れてますな。その他は雇用と海外。


・物価はここ数カ月で2%に近づくそうな

『Against this backdrop, inflation remains below our 2 percent longer-run objective. Overall consumer prices, as measured by the price index for personal consumption expenditures, increased 1.7 percent in the 12 months ending in January. The core price index, which excludes the prices of energy and food and is typically a better indicator of future inflation, rose 1.5 percent over the same period.』

ここまでは現象面の話。

『However, as we have noted for some time, the shortfall of inflation from 2 percent reflects, at least partly, some unusual price declines that occurred nearly a year ago. In coming months, as those earlier declines drop out of the calculation, inflation should move up closer to 2 percent and stabilize around that level over the medium term.』

今後数カ月と来ました。

『Of course, various forces will continue to affect inflation; at times it may be above 2 percent just as at times it may be below. Our inflation objective is symmetric in the sense that we are trying to prevent persistent deviations from 2 percent in either direction. 』

ということで、以下続くのですが時間が無くなってしまったので以下明日ということでご勘弁ください。一応この先について簡単に申し上げると、まあ要するに威勢の良い話が多くて、ただし物価が2%を下回って推移するのが長くなるのはどうかという話は一応入れているという感じです。バランスシートのランオフに関しては順調に推移しているので今後も続けます、というお話でした。







2018/03/20

お題「3月決定会合主な意見は政策の微修正ネタが幾つかあるのだが最後の意見で全部持っていかれるの巻/その他少々」

でたな後出しじゃんけん。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180318/k10011370001000.html
自民 小泉氏 “佐川前長官を証人喚問すべき”
3月18日 18時08分

自分から流れを作るんじゃなくて明らかに尻馬に乗るタイプとか、ちょっと前だと渡辺ヨッシーや河野太郎などと同様でこういうのはよろしくないタイプとアタクシ的には判断。

〇国会ネタ雑談メモ

昨日の国会だが。
https://this.kiji.is/348413671623672929
太田理財局長、自民質問に怒り
予算委、「安倍政権敵対」で反論
2018/3/19 19:31
(コピーライト)一般社団法人共同通信社

『財務省の太田充理財局長が19日、森友学園に関する決裁文書改ざんを巡る参院予算委員会での答弁で、自民党議員の質問に怒りをあらわにする場面があった。太田氏は民主党政権時に野田佳彦首相(当時)の秘書官を務めていたことから「安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのではないか」と問われ「そんなつもりは全くない」と反論した。太田氏は、自民党の和田政宗氏に対し「公務員として、仕えた方に一生懸命仕えている。いくら何でも(そうした質問は)ご容赦ください」と声を震わせて訴えた。』(上記URL先より)

いやこれは幾らなんでもそれは酷いという質問ですが、まあ昨日は参院予算委員会での自民からの質問者2名のメンバー構成が自爆しに行っているとしか思えない人選(前半の人はあまり何もなく終わりましたが)で大丈夫かと思ったらこの発言。

まーこういう陰謀論が国会の場で出てくるとか頭痛いというか嘆かわしいというかではございますが、こんな陰謀論が出てくると自己紹介お疲れ様ですというお話であって、自分が誰かを批判というより貶めるために無茶苦茶な話をするのが仕様ですって宣伝しているようなもんで、実に残念な品位の質問でございましたな。

#そういえば日銀入りする前の置物リフレ一派の方々も数々の陰謀論を用いて日銀を批判していましたなあ・・・・・・・・・・


でもってこっちはちと前の方で既に話題になっているのでご案内でしょうが。

https://www.asahi.com/articles/ASL3J460DL3JULFA00G.html
過労死遺族に「週休7日が幸せ?」 ワタミ渡辺氏が謝罪
村上晃一
2018年3月16日19時45分

『過労死遺族に配慮のない発言を国会でしたとして、東京過労死を考える家族の会が16日、大手居酒屋チェーン、ワタミグループの創業者で、自民党参院議員の渡辺美樹氏と面会し、発言の撤回と謝罪を求めた。渡辺氏は家族の会の代表らに謝罪した。』

『ワタミグループでは2008年6月、居酒屋で働いていた新入社員が過労自殺し、12年に労災認定されている。渡辺氏は中原氏への質問の中で、「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者。過労死のない社会を何としても実現したい」としたうえで、「国会の議論を聞いていますと、働くことが悪いことであるかのような議論に聞こえてきます。お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」と発言した。中原氏は16日に記者会見し、「週休7日がいいと言ったことはない。国会で遺族の思いをねじ曲げることは看過できない」とこの発言を批判。その後、渡辺氏の事務所を訪問し、発言の撤回と謝罪を求めた。』(以上上記URL先より)

いやあの「働き方改革法案」の法案審議のための公聴会で、過労死したかたのご遺族相手に渡辺さんを質問にぶつけるというのが、そもそも自爆願望としか思えない運営だし、渡辺さんのスタンスが変わっていたのならそれはアリだったでしょうが、「お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」とか言っちゃう辺り変わったという形跡もない訳でして、ただでなくさえ働き方改革法案が「働かせ放題プラン」とか批判されている中でわざわざ渡辺さんを公聴会の質問者に抜擢するという自民党のセンスはどうなっているんだと思うわけでして、森友問題の対応もそうなのですけれども、気が緩んでいるのか頭のネジが緩んでいるのか、安部ちゃん飛ぶくらいで止めていただかないとこの調子だと安部ちゃん飛んだら自公政権そのものが飛ぶんじゃないかという勢いなのマジ勘弁なんだが。

#個人の感想です(キリッ)


〇ジンバブエ大先生の意見で全部持っていかれる3月決定会合主な意見

最近の「決定会合主な意見」では一々ジンバブエ師匠のありがたいお言葉が全部を持って行ってしまう、という華麗な芸風を披露しているのですが、さすがに今回のはちょっと・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180309.pdf
金融政策決定会合における主な意見 (2018 年 3 月 8、9 日開催分)1

なお念のため申し上げますと、脚注にありますように、

1 「金融政策決定会合における主な意見」は、@各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、A議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。

とありますように、こちらは基本的に助詞や接続詞の使い方程度の編集が掛かることはあっても、内容に関しては政策委員の皆様のオリジナル爆裂という事になっておりまして、金融政策決定会合議事要旨のようにそのまま地の議事録だと恥ずかしくて表に出せない(と言っても10年後には出ますが)ような場合には事務方が趣旨を損なわないように綺麗に丸めて文章に落とし込む、というような編集プロセスが存在しないという建付けになっております。

・まあどうでも良いが金融経済情勢に関する見解の一部を確認

『T.金融経済情勢に関する意見 』から参りますがそんなに見るものもない。

『(経済情勢) 』から。

『わが国の経済は、需要と供給の両面でバランス良く成長してい る。需要の拡大に伴い、過去長期にわたる需要不足とデフレの もとで定着した企業の非効率なビジネス・プロセスや投資抑制姿勢、非労働力人口の増加といったヒステリシス(履歴効果)が希薄化しつつある。』

別にまあどうでも良いのですが、非労働力人口の増加って履歴効果で起きてるんじゃなくてそれは人口動態で起きているものではないでしょうか??なお、毎度毎度この履歴効果の話を入れてくるお方が1名いましてさて誰なんでしょという感じではありますが。

『「量的・質的金融緩和」は、物価だけでなく、生産や雇用など経済全般を改善させる政策である。構造失業率は、かつては 3.5%程度と言われていたが、現実の失業率は低下を続け、足もと 2.4%となるなど大きな成果を上げている。』

えーっとすいませんQQEで物価目標が全然達成できてないんですけどと思いますし、「構造失業率は、かつては 3.5%程度と言われていたが、現実の失業率は低下を続け、足もと 2.4%となるなど大きな成果を上げている」って言ってるんですが、だったら構想失業率よりも1%も低い現実の失業率という状態で何で物価上昇が加速しないのかさっぱり分からなくて、それって実は構造失業率がかなり低下しているということを意味するのであって、構造失業率が低下しているので失業率も自然体で下げ余地があって下がりました、となると(別にマイナス効果があった訳ではないのはその通りとしても)QQEの改善効果なのかそれ以外の効果なのか、またQQEの寄与っていう程大きかったのか???という話になると思うんですけど、とツッコミを入れてみる。

『 足もとの円高・株安が長引けば、逆資産効果や家計・企業のバランスシート悪化により、設備投資や消費が抑制されるほか、 輸出への悪影響により輸出産業の収益が悪化する。これらは賃金・物価の抑制につながるため、「物価安定の目標」の達成が遅れるリスクがある。 』

だったらここまでの所でも猛烈な資産効果が出ていないと話の整合性が取れないんんですけど、ここまで個人消費の資産効果部分というのは何となくあるようには見えますけれども、物価2%目標達成に向けた動きになるような効果もここまで出ていないのに下がったら物価抑制ってナンジャソラ。

『(物価)』から。

『企業の賃上げ率はここ数年2%程度で推移しているものの、昨年の実質賃金は前年比マイナスとなっている。賞与を含めた賃 上げ率が、実質賃金を前年比プラスに押し上げられるかどうか を注視している。』

これは仰せの通りでイイシテキダナーではございます。なお今年の賃金上昇も結局のところ・・・・・・・・・orzorz

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2%に向けて緩やかに上昇していくとみられる。しかし、値上げの動きは顕著では なく、デフレマインドの払拭に時間がかかると見込まれる。』

『インフレ率上昇の勢いは、2%の「物価安定の目標」を早期に達成するに足るほど力強いものではない。』

最後のは片岡さんかなと思いますが、物価そう簡単にいかねーよというのが3名は居そうだというのは把握した。


・金融政策に関する部分では微修正論が割とポコポコ出ているようで

『U.金融政策運営に関する意見 』から鑑賞。

『デフレ脱却の意義について人々のコンセンサスを得つつ、「物価 安定の目標」の実現を図るべきである。』

最初に見てて「お?」と思ったのこの意見でして、「デフレ脱却の意義について人々のコンセンサスを得つつ」という言葉に何を含意しているのかが中々これ禅の公案みたいで味わいが深いのですが、なんとなくアタクシが思ったのは「ここから物価がもう一段上がりだすと、また前回のように「物価が上がって生活が苦しくなる」みたいな話が出てくると何のために日銀が2%目標やっているのか、という話になってきてしまうリスクがある」という事を指摘しているのかなあと思ったりしました。中々味わいのある意見。

『今後、2%に向けて物価が上昇し、潜在成長率が高まるもとでは、金融緩和政策の効果は強まることになる。そうした環境変化や副作用も考慮しながら、適切な政策運営について検討していくことが必要である。』

副作用考慮キタコレですが、金融緩和の程度を調整して政策調整理論ですな。

『足もとの国債や社債、銀行貸出の動向をみると、経済・物価への影響という観点では、長期の実質金利の低下が及ぼす影響は 想定よりも小さくなってきている可能性がある。こうした点も 踏まえつつ、望ましいイールドカーブの形状について検証を進 めていくことが重要である。』

>長期の実質金利の低下が及ぼす影響は 想定よりも小さくなってきている可能性がある
>長期の実質金利の低下が及ぼす影響は 想定よりも小さくなってきている可能性がある
>長期の実質金利の低下が及ぼす影響は 想定よりも小さくなってきている可能性がある

・・・・・・どう見ても片岡さんの提案に対して全面砲撃をかましておりまして実に心がほっこりします。

『「量的・質的金融緩和」の導入以降、経済はデフレではない状況を維持する状態に到達した。その過程で生じた好循環の勢い を、10 年以上の幅広い国債金利の一段の引き下げとコミットメント強化による追加緩和によってさらに強め、デフレから完全に決別することが重要である。』

その直後に片岡さんの意見を並べるとか黒田さんもチャーミングですな。

『ETFなどリスク性資産の買入れは、「物価安定の目標」を実現するための政策パッケージの一要素として行っているが、政策効果と考え得る副作用についてあらゆる角度から検討を続けるべきである。 』

そもそもリスクプレミアムが拡大しすぎるのを抑制する政策だったんですから。

『現在は、2%の実現までにはなお距離があり、金融緩和の度合いが次第に縮小していくという意味での「正常化」を具体的に検討する局面にはない。もっとも、将来、「正常化」をスムーズ に進めるためにも、それがなお金融緩和の領域にあり、需給ギャップの縮小を狙った「金融引き締め」とはまったく別物であることが、市場参加者にきちんと理解されるよう説明していくことが必要である。』

そらそうなのだが、現状の枠組みに関しても説明が必ずしも整合的になっていないでその場その場で説明しやすい理屈で走っているのを何とかした方が良いと思います。

『「物価安定の目標」の達成が遅れるリスクが高まれば追加緩和が必要になるが、金融緩和の余地はそれほど大きくないため、 デフレ脱却のためには財政政策の協力が必要になる。その際、プライマリー・バランスの黒字化は、経済・物価・金融状況を 踏まえつつ、適切な定量的目標を定めて目指すことが望ましい。』

これは誰じゃろうという感じで、「金融緩和の余地はそれほど大きくないため」なので片岡さんじゃないのですが、まあ財政政策云々よりもトレンドグロース上げる話にもっていった方が日銀的には筋が良いようには思えます。財政出すなというわけじゃないけど、PB黒字化云々の部分が読みようによっては地雷化するので注意した方が良いと思う(がそういう注意をしない人が書いているのであればしょうがない)。


・本日のメインイベントは意見の最後に・・・・・・・・・・・

とまあございましたが、これらの意見を全部前座にしてしまう破壊力抜群の意見がどう見てもジンバブエ大先生としか思えない書きっぷりで、まさしく大先生がリングサイドから颯爽と登場という図で、とか書いたらさっきからアタクシの頭の中で某プロレス選手の某著名テーマソングが頭の中をグルグル回って止まらなくなってしまったんですが勘弁してください。♪ハラダ!!ジンバブエ!!(繰り返し)♪

#しょうもないダシに使ってしまい某レスラーのファンの皆様すいませんすいませんすいません

『「量的・質的金融緩和」への反対意見の中には、心理学で認知的不協和と言われるものがある。これは、自分の認識と新しい事実が矛盾することを快く思わないことである。「量的・質的金融緩和」で経済は良くならないという自分の認識に対し、経済が改善しているという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとしている。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

・・・・・・えーっとすいません、どこにそのような方がおいでになるのでしょうか??すくなくとも金融市場とか普通の経済主体の方々でジンバブエ先生のご指摘になるような批判が出ているとは寡聞にして存じませんので、ぜひそのような方をこの屏風の中から出してください一休さんとゆー感じがするんですけどねえ。

「経済の改善にQQEがそんなに寄与したわけでもなくて、寧ろここから先は累積する副作用の方が効いてくるからマズーではないか」という意見ならだいぶあると思うのですが、何せ大先生の場合は効いたってのがアプリオリに設定されているので議論にならんですな。

まあそれよりも上記のご意見の後半ですけれども、

「量的・質的金融緩和」で物価は2%になるという自分の認識に対し、物価が2%に達成しないという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず達成すると主張して、不快感を軽減しようとしている。」って表現を書き換えるとまんま自己紹介になってしまうという辺りがまた実に悲しいところではあるのですが、なんちゅうかこの「心理学で認知的不協和と言われるものがある」という辺りを見ていますと、ジンバブエ大先生大丈夫かよと心配したくなってくるレベルでして、何をどうこじらせるとこういう意見が出てくる次第。いや12月の韓国を例に出したのも正直ビビったのですがそれの遥か斜め上の成層圏まで飛んでしまっているんですが・・・・・・・・・・


〇面白いのでネタにしようとしたら時間切れのため後日

これは面白い素材。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/ron180319a.htm/
現物国債市場の流動性:高粒度データによる検証
(HTMLページはアブストラクト)

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/data/ron180319a.pdf

ということで分析しているのですが、まあこの前もちょっと申し上げましたが、将来の出口政策を円滑に行うために、という意味ではこの検証分析の中で一番重要で正直他の分析どうでも良いくらいのウェイトになるのが、『(5)市場の弾力性(resiliency)』のところだと思いますし、サーベイ調査でも見えていると思いますが、今の市場ってレジリアントっぽいサーベイ数値も出ないわけではないのですが、本当に重要なのはロットがさばけるマーケットか否かという所ですからね!!!







2018/03/19

お題「政治が風雲急なのでメモ雑談/T+1は予定通り実施ですかそうですか(という雑談シリーズ)」

厭債害債さん最新エントリー
http://ensaigaisai.at.webry.info/201803/article_2.html
頭の悪い人

何という味わいのある文章でしょう・・・・・・・・(^^)


ところでまあ政治ネタがアレなので(これでも貼りきれてない感がある)政治雑談貼っておきます。

〇政治ネタを淡々と貼っておく

・内閣支持率

https://this.kiji.is/348012280446960737?c=39546741839462401
共同通信世論調査
内閣支持9ポイント急落、38%
改ざん、首相に責任66%

『共同通信社が17、18両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は3、4両日の前回調査から9.4ポイント急落し、38.7%に落ち込んだ。不支持率は9.2ポイント増の48.2%で逆転した。森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんで「首相に責任がある」との回答は66.1%に上り「責任はない」の25.8%を大きく上回った。』

『決裁文書改ざんが安倍政権への不信感となって直撃した格好。麻生太郎副総理兼財務相の責任に関し「辞任すべきだ」が52.0%で「辞任する必要はない」は40.4%となった。』(以上上記URL先より)



https://mainichi.jp/articles/20180319/ddm/001/010/183000c
毎日新聞世論調査
内閣支持急落33% 文書改ざん「首相に責任」68%
会員限定有料記事 毎日新聞2018年3月19日 東京朝刊

『毎日新聞は17、18両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は33%で2月の前回調査から12ポイント下落、不支持率は47%で同15ポイント上昇した。不支持が支持を上回ったのは、昨年9月の衆院解散直前の調査以来。学校法人「森友学園」に関する財務省の決裁文書改ざん問題で安倍晋三首相に「責任がある」との回答は68%で、「責任はない」は20%。内閣支持率の急落で首相は当面、厳しい政権運営を強いられる。(3面にクローズアップと「質問と回答」) 』(上記URL先より)



http://www.ntv.co.jp/yoron/201803/soku-index.html
日本テレビ世論調査
2018年3月定例世論調査

[ 安 倍 内 閣 支 持 率 ]
     支持する 支持しない わからない
今 回 (3月) 30.3% 53.0% 16.7%
前 回 (2月) 44.0% 37.3% 18.7%
前々回 (1月) 36.9% 43.8% 19.2%



https://www.asahi.com/articles/ASL3L4JWZL3LUZPS005.html
内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査
2018年3月18日21時40分

『朝日新聞社が17、18両日に実施した全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は31%で、前回調査(2月17、18日)の44%から急落、第2次安倍内閣の発足以降で最低となった。不支持率は48%(前回37%)だった。学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて、安倍晋三首相にどの程度責任があると思うかを尋ねると、「大いに」と「ある程度」を合わせ、「責任がある」は82%に上った。』(上記URL先より)


つーことでまとめると、

共同通信
(3月17〜18日実施)
内閣支持率 38.7%(▲9.4)
不支持率  48.2%(+9.2)

毎日新聞
(3月17〜18日実施)
内閣支持率 33%(▲12)
不支持率  47%(+15)

日本テレビ系列(NNN)
(3月16〜18日実施)
内閣支持率 30.3%(▲13.7)
不支持率  53.0%(+15.7)

朝日新聞
(3月17〜18日実施)
内閣支持率 31%(▲13)
不支持率  48%(+11)

ということですな。


・てな中ですが正副総裁無事に承認されたのですけど・・・・・・・・・・・

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28208180W8A310C1MM0000/
黒田総裁再任を承認 国会 副総裁に雨宮・若田部氏
2018/3/16付日本経済新聞 夕刊

『国会は16日の衆参両院の本会議で、4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を可決、承認した。3月19日に任期満了を迎える中曽宏、岩田規久男両副総裁の後任には日銀の雨宮正佳理事と早大の若田部昌澄教授を充てる。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の柱である大規模な金融緩和は継続される見通しで、デフレ脱却の達成が焦点となる。』(上記URL先より)

ということで昨日は衆院だけじゃなくて参院でもあっさり同意人事の採決が行われていまして(汗)、普通に先週末のところで新人事承認になったのですが、決まってしまったものは仕方ないのですけれども、これなんかの拍子に安部ちゃんもろともコケた場合に黒田さんどうするのよ途中で放り出すんじゃないの(世の中には「健康上の理由」という便利なものがある)となる中、もう少し様子見てもよかったような気がせんでもない。

そういや念のため極個人的な感想を申し上げておきますと、権力の行使というのは抑制的に行うべきものだし、代表制民主主義においてはプロセスというのが非常に重要なものであるにも関わらず、そういうのが壊れてきている感が強いのですが、そういうの壊れていくのを看過しながら金儲け出来てるからいいじゃん的なスタンスはアタクシはほぼ絶対取らないよう心がける人ですので、まあこれまでの話と今後の話に関するアタクシの見解はご想像の通りという事になります。

でまあそういうアタクシ的なのってそうは言いましても金融市場屋さんの中でメジャーな考えかというとたぶん違う(昔話になりますが、渡辺ヨッシー先生が出てきてた時に周囲の評判が高い中で一々ケチョンケチョンに申し上げていましたが、あれは別に熊手云々という話ではなく、あのお方の一知半解で強権的に行政の方向を振り回そうというスタンスを嫌っていたわけですが、まああの時分も変わった奴扱いされていましたなあ)ので、たぶん見解が皆さんのと飛んでいる自信はあるのですけれども、一応読み筋。

まあ何ですな、本件何もなかったことになって片付くというのはさすがにありうべからざる事だと思っていますので、まあ何とかなるにしましても(ちなみにズルズル引っ張って自公政権枠組みまで飛ぶのは勘弁)、すくなくとも黒田総裁2期目(厳密にいえば3期目だが)を政治方面から強力にバックアップしてくれるはずの人が死に体となってしまいますと、ただでなくさえ再任渋ったとか言われている(実際どうなのかは知らん)黒田さん益々しんどくなる訳でして、まさかの黒田さん置物化とかになって、総裁が置物になるとここを先途と博多人形がガラスケースをぶち破って勇壮に大盃と槍を持って踊りだしちゃったりすると困りますので、そうなると雨宮さんが博多人形をケースから出さないようにしっかり固めておいて、黒田総裁に二人羽織状態で何とかやっていく、とかそういう大変なことをしないと行けなくなるんでしょうなあ、と思う。

まあそういう状況の中で威勢よく追加緩和ヒャッハーというよりは、やはりやることは「今の政策のうち余計な過激部分を削って、政策をもう少しマイルドにしてから緩和政策を無理なく継続するにはどうしたらよいのか」という事になってくるんじゃないか、と思うのですが、まあいずれにせよ就任記者会見が今週行われますが、黒田さんとか博多人形とかに質問するヒマがあったら雨宮さんに質問の雨を降らせるべきであるし、雨宮さんしか実効的な答えが出てこないでしょと思うのでありました。



・しかし政治ネタといえばこっちもひどいですな

メモだけ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180319/k10011370401000.html
前川氏の講演 自民議員が文科省に問い合わせ 野党「圧力か」
3月19日 5時04分

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180316/k10011368131000.html
文科省職員からも疑問の声 前川氏授業で報告要求
3月16日 18時50分


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180316/k10011368121000.html
文科省と市教委の「授業調査」メール その中身は
3月16日 19時09分

なお、名古屋市教育委員会が「お前は何を言ってるんだ」と瞬殺しているのがワロスという感じではありますし、大体からして本省が個別のこういう話に介入する権限って大臣権限ではありませんでしたっけという気がするんだが(地域の教育委員会が自分の地域の問題に個別に介入するのは当然ありなんですが、本省の場合は大臣権限だったはず)。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180316/k10011367391000.html
前川氏授業の調査「誤解招きかねない面あったが適切」文科相
3月16日 12時34分教育

『文部科学省が前川前事務次官を授業の講師に招いた公立中学校に内容の確認や録音の提出を求めていた問題で、林文部科学大臣はメールでの指示については「誤解を招きかねない面もあった」として、担当者を注意したことを明らかにしました。ただ、調査自体は法令に基づき適切だったと主張しました。』(上記URL先より)

根拠法令は何かを明示した方が良いのではないでしょうか。というか「適切」とか言っちゃうんだ林さんってそういう方だったのか残念なことです。



〇誰得プロジェクトは止まらずに進むのだ

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kentou/index.html
国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ

『我が国金融・資本市場の競争力強化には証券決済システムの一層の利便性の向上及びリスク管理の強化等が必要であり、証券決済システム改革の主要課題である国債の決済期間の短縮化について様々な課題の整理・検討を行うため、2009年9月から「証券決済制度改革推進会議」の下に「国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」を設置しております。ここでは、ワーキング・グループの検討状況や報告書などを公開しております。 なお、国債取引の決済期間T+1化につきましては、平成30年5月1日(火)約定分から実施することを予定しております。』

ということで国債決済をT+1にするという話ですが、まあどうせ延期などということはないだろうと思っていましたが予想通りの実施という事になりました。

これによって約定未決済残高の削減ができるから証券決済のリスクが一段と軽減する、という触れ込みがあるのと、あまりそこが前面に出ていない(のとどう見てもそうならないのが確定的だから誰も言わなくなった)T+0のGCレポ取引市場という無担保コール翌日物市場に代わる新しいリスクフリーの翌日物資金取引市場ができますよ、というのが大体の2大眼目で、おまけに言えば決済の迅速化はこれからの流れ的なお話でいざ実施と相成りました。

・・・・・・・・とは言いましても、そもそも約定未決済材高の積み上がりがどの程度問題になるのか、という話ってそれはDVP化によって殆どの国内の国債証券決済に関してはヘルシュタットリスクのようなものは存在しないですし、約定未決済残高の問題ってカウンターパーティーとの取引規模の管理をすれば良い話だし、それよりも内外における金融資本規制によって金融機関の資本力が高まっている、というのもありますし、おまけにCCPもありますし、ということで、そこの積み上がりを懸念してT+1にする意味ってありましたっけ?という話で、それに対して事務コストが超余計にかかることになりますので、そっちの方がよっぽどリスクじゃネーノという感じではありますな。

おまけに、T+0のGC市場という割と当局者の皆様が期待していたと思われる取引市場ですが、そもそも現状で短期市場金利がマイナスなのでわざわざ事務手当して資金を出しに来る最終投資家はいない(いるのはGCで自分がファンディング側に回る場合もあるという人と、レポ信託でSCの裏側でGCやり必要があるばあい)うえに、そもそもがこの銘柄後決めGCの使い勝手が悪く、この市場も(形として市場はできると思うけど)まあワークしないというか、本来の価格発見機能的な市場としての役には立たないでしょうなあ、と思うのだ。

まーアウトライト自体今も低調だから始まった途端に取引が縮小するというような事にはならないと思います(元々縮小しているから)が、これによってただでなくさえ無い市場の流動性が一段と下がってしまう、ということになり、債券市場の市場としてのアベイラビリティ、というと尤もらしいですが、要するに市場が投資家の売買のタマをきちんとさばける程度の流動性を持っているのか、という問題に関しまして、もとより取引高少ない中で、このT+1決済によってレポ制約が厳しくなって、さらに流動性が低下する、なんてことになりますと、村の古老はしっている運用部ショックのような「全然ポジション捌けないまま金利が急騰」みたいな出口が起きるようなことも気にしないといけないのではないでしょうか、と思うのでした。

大本営発表を一応確認。
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/180315_t1jisshibi.pdf
日本証券業協会

『国債取引の決済期間T+1化の実施日延期の要否判断結果について

国債取引の決済期間T+1化(以下「T+1化」という。)については、実施予定日を平成30 年5月1日(火)(約定分)としており、T+1化移行時に円滑な事務を行えるようにするため、平成 29 年 10 月から三段階(フェーズ1からフェーズ3)に分けて総合運転試験(RT)を実施したところでございます。

今般、本協会においては、RTフェーズ3が無事完了したことを踏まえ、平成 30 年5月1日(火)のT+1化実施予定日の延期を「不要」と判断いたしましたのでお知らせいたします。』

はいはい大本営大本営。


http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/180315_rt3_kekka.pdf
日本証券業協会

『 国債取引の決済期間T+1化に係る総合運転試験(RT)フェーズ3 の成否判断結果について

国債取引の決済期間T+1化等(以下「T+1化」という。)については、実施予定日を平成 30 年5月1日(火)(約定分)と決定しており、T+1化移行時に円滑な事務を行えるようにするため、平成 29 年 10 月から三段階(フェーズ1からフェーズ3)に分けて総合運転試験(RT)を実施しておりました。

今般、RTフェーズ3の結果(注)を踏まえ、国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループにおいて審議を行った結果、RTフェーズ3の成否判断結果を「成」とすることが決定され、全てのRT(フェーズ1からフェーズ3)が完結いたしました。』

はいはい大本営大本営。








2018/03/16

お題「政治関連ネタ雑談備忘メモと虫干しネタで1月会合議事要旨メモ」

ほほう。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-subpoena-idJPKCN1GR2UP
2018年3月16日 / 03:50
モラー米特別検察官、トランプ氏一族事業に召喚状 文書提出を要請=報道

〇政治ネタ(米国のは知らん)もメモはしておかないとと思うのでメモ雑談

ワタクシがコメントするといつもながらとりとめが無くなってしまうのですが、厭債害債さんのコメントがほぼ同意なのでURLを貼っておく。

http://ensaigaisai.at.webry.info/201803/article_1.html
決裁文書の改竄

『しかし事後的な文書の改竄あるいは書き換えがあったという部分については、それがなぜ行われたか、誰に忖度したのか、何を恐れたのかについて突き詰めていけば、今回が特別なのか、一般的に行われていることなのか、そういう結果を含めて安倍首相をトップとする行政組織のガバナンスの問題を判断する材料となります。仮に隠ぺい体質を持つ組織だとすると、上に立つものの責任は問われざるを得ない。』(上記URL先より)

ということですわなあと思いますが、実際の文書というのも皆様ご案内とは存じますが、後日自分で見るときのために貼っておくと・・・・・・・

https://www3.nhk.or.jp/news/special/moritomo_kakikae/?utm_int=news_contents_news-closeup_001
全文書掲載 「森友」文書書き換え 財務省調査結果

政治とのつながり部分はすべて削除

『書き換え前の文書には安倍総理大臣の妻の昭恵氏など政治家やその家族の名前が数多く書かれていて、財務省や近畿財務局が森友学園と政治家などとのつながりを意識していたことがうかがえます。そして、こうした名前が書かれていた部分はこれまで開示されていた文書ではすべて削られていました。(青のラインが削除された記述)』(上記URL先より、以下同様)

ってあって、

『削除される前は平成26年4月28日に行われた打ち合わせでの学園側の発言として、(ここから削除対象)打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)(ここまで削除対象)と書かれていました。』

『さらに平成27年1月8日に森友学園が小学校の運営に乗り出すことを伝える新聞社の記事がインターネットに掲載されたとしたうえで、(ここから削除対象)記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される(ここまで削除対象)と書かれていました。』

『また「森友学園の概要」をまとめた文書では、理事長だった籠池泰典氏が「日本会議大阪」に関与しているとしたうえで、この団体を説明する注意書きとして、(ここから削除対象)国会においては、日本会議と連携する組織として超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任(ここまで削除対象)と書かれていました。』

てな感じで紹介が延々とあって(NHKではサイトの記事を永久に載せてくれるわけでもないので貼っておりまふ)最後に実際の文書のPDFへのリンクがある(12本もあるので一々URL引用するのめんどいのでパスしますがこちらも必要ならDLしておいた方が良いと思われ)のですが、まあさすがにそちらを熟読しているわけでもないのでアレですが、上記のNHKサイトに出ている紹介部分を見た雑感を。

えーっとですな、アタクシお役所に奉職したことないからさっぱり分からんところではありますが、この手の大人の事情によるあれやこれやって背景説明ってここまで露骨に記載するもんかいなというところは少々気になっているところではありまして、勿論こうやって経緯を正確に記載して頂きますとさっきの害債さんのコメントになりますけれども、行政の行為に関して将来何らかの評価を下すという時に大変に参考になって誠に結構な話だからジャンジャン書いてちょとは思うのですけれども、それにしてもここまで思いっきり露骨に記載する(しかも1文書とかではなく)というのは、これらの文書を作成したサイドがまあ相当に思う所があったんじゃネーノかという風に思ってしまう次第でございまして、しかもそれが担当者メモとかじゃなくて正式文書で残っているということですから、こうなった背景にはどういうことがあったのやらとか思ってしまうのですけれどもどうなんでしょうかね(いやまあアタクシの想像がおかしくて、元々公的機関での文書ではこういう風に思いっきり記載されているのが当然、という事であれば平常運転なのかと思いますが)。


とまあそういう状況下ではあるのですが、

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15HF6_V10C18A3000000/
日銀の新執行部人事、衆院で同意へ 16日に本会議開催
経済・政治
2018/3/15 14:12

『衆院議院運営委員会は15日午後、理事会を開き、16日午後1時に衆院本会議を開くと決めた。本会議では日銀の新執行部として黒田東彦総裁の再任や若田部昌澄早大教授と雨宮正佳日銀理事を副総裁に起用する政府の人事案が同意可決される見通し。参院でも人事案が同意可決されれば、政府が日銀の新しい正副総裁を任命することになる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URL先より)

ってあるのですが、置物化が予想される博多人形先生ってどこからどう見ても安部ちゃんの趣味嗜好が思いっきり入っていて、黒田さんだって安部ちゃんのたっての要請で引き受けました的なのがある中で、別に副総裁の任期に間に合わせなきゃいけないもんじゃないような気がするんですが、というか総裁の任期がそもそも

http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/gv_kuroda.htm/
総裁:黒田東彦(くろだはるひこ)
任期平成25(2013)年4月9日〜平成30(2018)年4月8日

と4/8になっていることでもありますし(お縄先生が日銀総裁人事を政局の道具に使った結果として麿総裁の就任時期がずれたのの後遺症)、どうせMPMも無いし緊急案件も別にあるわけではないし、総裁の任期は残っているんだからこの際4月8日まで副総裁空席でいいじゃんとか思いっきり暴論を申し上げたくなるのですけど。いや決裁文書云々の問題ってさすがにそれは議会制民主制度というか代表制民主制度というかの根幹の問題で、ヘッドを替えてガバガバガバナンスの立て直しをしないと、自公政権の枠組み自体に及んでくる話になり兼ねないと思うので、安部ちゃん飛ばないにしても政権が死に体になってくるとかそういうことになってしまいますと、黒田さん余りといえば余りの展開(置物予定先生はどうでも良いが)なんですが大丈夫かいなとは思うのですがさてどうなるのやら、とは思います。まあそうは申しましても院として候補の聴取も行ったし、それとこれとは別問題と言ってしまえばその通りだし、別に4/8まで待つ意味はないし差し替え候補も出しにくいでしょうし、というのはあるのは分かりますが。

まー順当に行けば衆院を今日承認されたら週明け月曜には参院とかそんな段取りなんでしょうけれども・・・・・・


しかしまあ話戻りますけど、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366461000.html
書き換えの可能性の事前把握 官房長官「問題なし」
3月15日 18時03分

『これについて、菅官房長官は午後の記者会見で「今月5日に国土交通省より、杉田官房副長官に報告された際、森友関係の財務省の文書の一部が国土交通省に保存されており、その文章は書き換え前のものである可能性があるという報告だった」と述べました。そのうえで、菅官房長官は「検察当局の協力を得て、書き換え前の決裁文書を財務省が入手したのが10日であって、それまでは最終的に文章を確認できる状況ではなかった。対応には問題はなかった」と述べ、財務省で事実関係が確認できるまで公表を控えた対応に問題はなかったという認識を示しました。』(上記URL先より)

ってのも無理がある話で、そこだけ見たら言っていることはそうですなとは思いますけど、その間に先週木曜日(8日)に財務省に書き換え後の文書を「これでございますが」と出しているのは何なんですかという話でございまして、事実関係が判明するまで財務省からの提出待たせれば良かったということでして、堂々と嘘八百を出してあっという間にさっきの違いましたとなっているとか、それってばれなきゃ嘘出したまま頬かむりですかとツッコまれたらどう答えるのやらという次第で、色々とグチャグチャというかネジが数本どころか数十本飛んでいるような動きになっていて誠に嘆かわしいところではあります。

などと柄にもなく政治ネタメモ(個人的見解を思いっきり含む)でございました。


〇虫干しネタで1月決定会合議事要旨

とまあそんなメモをしているうちにECBネタが放置されていますが週末に追いついて月曜日にはドバーという予定ということでご勘弁いただいて1月MPM議事要旨から少々。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180123.pdf

・貸出支援基金延長に関して

いきなり本文5ページ目までワープするのだが『U.貸出支援基金等の今後の取扱い 』について。

『1.執行部からの説明

貸出増加や成長基盤の強化に向け、金融機関と企業・家計の前向きな行動を引き続き促していくとともに、復興に向けた被災地金融機関 の取り組みへの支援を継続する観点から、「貸出増加を支援するための資金供給」 、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、東日本大震災および熊本地震にかかる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」等の措置について、受付期間を1年間延長することとしたい。ついては、「貸出支援基金運営基本要領」の一部改正等を行うこととしたい。』

とあるんですが、これで貸出本当に伸びてるの実はただの金利ダンピングになっているだけではないのとか、その金利ダンピングで経済に波及効果ちゃんと出てるのとか、どうもこう微妙感が漂う物件になっているような気がせんでもないのだが。

『2.委員会の検討・採決

採決の結果、上記案件について全員一致で決定された。本件については、その骨子を対外公表文に記載することとされた。また、その詳 細については、会合終了後、執行部より適宜の方法で公表することとされた。』

って検討してるのかと小一時間問い詰めたいところではあるのですが、昨日引用したように一方で金融機関の収益力がどうのこうの言っている中で、貸出に関してもリスクや資金の性格に見合った適正なスプレッドというのが形成されるようにならないと、金融機関収益という話だけではなくて、資源の適正配分という観点から考えた場合でもやっぱり中長期的に見て望ましくないんじゃないでしょうかとも思ったりはするのだが、これ漫然と延長していねえかという気はする。もともと麿時代からの遺産なんですけど導入当初と今とでは経済情勢違うだろとも思いますし・・・・・・・・・


・予想物価上昇率の判断を上げているのに物価の見通しは変わらんとな

という話はこの展望レポートが出た時にもあちこちからツッコミがはいっていましたが、

『V.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』の経済情勢分析の物価のパートまで思いっきりワープ。

『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は1%程度のプラスとなっている一方、消費者物価(除く生鮮食品・エ ネルギー)の前年比については、引き続き、企業の価格引き上げの動きが限定的であることなどから、小幅のプラスにとどまっているとの見方で一致した。こうした弱めの動きについて、委員は、携帯電話通 信料の値下げといった一時的要因もあるが、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることが影響しているとの認識を共有した。』

期待に働きかける政策とは何だったのかとは申しませんけど。

『この間、委員は、予想物価上昇率について、これまでの「弱含みの局面が続いている」との判断を一歩進め、「横ばい圏内で推移している」と評価することが適当との認識で一致した。』

そう出ていましたな。

『その理由として、何人かの委員は、企業や家計のインフレ予想がこのところ下げ止まり傾向にあるほか、市場参加者のインフレ予想も上向いてきていることを指摘した。』

あらそうですかという感じですが、その先の『2.経済・物価情勢の展望』の物価のパートでは、

『委員は、物価情勢の先行きについて議論を行った。大方の委員は、消費者物価の前年比は、エネルギー価格上昇の影響を除くとなお弱めの動きが続いているが、先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとの見方を共有した。これらの委員は、2017 年 10 月の展望レポートでの見通しと比べると、見通し期間の物価上昇率は、概ね不変であるとの見方で一致した。そのうえで、これらの委員は、消費者物価の前年比が2%程度に達する時期は、2019 年度頃になる可能性が高いとの認識を共有した。』

ということで、予想物価上昇率の判断が変わったことが何か反映されているのかというとまるで反映されていない。

『さらに、委員は、消費者物価の前年比が2%に向けて上昇率を高めていくメカニズムについて具体的に議論した。まず、大方の委員は、 労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、マクロ的な需給ギャップは着実にプラス幅を拡大しているとの見方で一致した。先行きについても、大方の委員は、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは 2018 年度にかけてプラス幅をさらに拡大し、2019 年度も比較的大幅なプラスで推移するとの 認識を共有した。次に、大方の委員は、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向を辿り、2%程度に向けて次第に収斂していくとの認識を共有した。これらの委員は、その背景として、@「適合的な期待形成」 の面では、マクロ的な需給ギャップが改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化し、現実の物価上昇率も着実に伸びを高めると考えられること、A「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことを指摘した。 』

とまあいつもの屁理屈が展開されているのですが、予想物価上昇率に関しての現状判断に変化が起きるというのは物価上昇メカニズムの話の中では大きな話だと思うのですが、そこの判断が上向きになったことが、従来の各委員の見通しと概ね整合的なのか、早くなっているのか、遅くなっているのか、というような話がまあ全然記載されていないというのはどういう事やと思うわけでして、きちんとその辺をリンクして先行きの見通しを立てているのであれば、当然ながら見通しを設定する際にそのあたりを踏まえた議論というか見解の交換が行われて、それが議事要旨に反映されて然るべきだと思うのですが、そういうのが全然記載されている雰囲気が無いというのは、まさかとは思いますが先行きの物価見通しに関しては結論が先にあって(爆発音)。

なお、片岡さんの意見は当然別で、

『これらの議論に対し、一人の委員は、資本・労働市場ともに供給余力が残存しており、いずれも2%の「物価安定の目標」を達成するに 足る状況はまだ遠いとの見解を示した。そのうえで、この委員は、需給ギャップや予想インフレ率が物価を押し上げる動きが十分に働い ているとは言い難く、依然低水準にとどまっている中長期の予想インフレ率の動きを踏まえると、トレンドインフレ率が2%に向けて明確に上昇するとの確信を持てる状況にはないとの見解を示した。』

とあるのですが、需給ギャップがまだ回復していないのが問題という議論がメインになっているようですけれども、寧ろインフレ期待を引き上げるためにコミットメント強化、という線で追加緩和を提案した方が話の筋が通しやすいと思うのですがどうなんでしょうかね。


・金融政策スタンスに関する部分では政策の微修正的なお話が目立ちますがさて・・・・・・・・

『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』ですけれども。

『委員は、金融政策の基本的な運営スタンスについても議論を行った。 何人かの委員は、現在の金融緩和政策の効果と副作用について、金融 仲介機能や金融システムに及ぼす影響も含めて、多面的な点検・評価を継続していくことが重要であると指摘した。』

効果と副作用キタコレ。

『このうちの一人の委員 は、現時点では、金融システムや金融機関の金融仲介機能に支障は生じていないが、米国債のイールドカーブのフラット化や外貨調達コストの上昇などの国内外の市場環境の変化と、これが金融機関の収益や 金融システムに及ぼす影響には留意が必要であるとの見方を示した。』

ほほう。

『ある委員は、やや長い目でみて、銀行セクターの収益と貸出態度の間 には正の相関があることを踏まえると、低金利環境が続くもとでの金融機関の貸出運営スタンスにも意識を向けていく必要があると述べた。』

ほうほうほう。

『これに対して、別の一人の委員は、金利を引き下げると銀行の貸出意欲が低下し、金融緩和効果が阻害するというリバーサル・レートの議論は、資金調達手段の一部を供給側からのみとらえたものであり、 企業の他の代替的資金調達手段や借入需要の増加を十分に考慮していない議論であると指摘した。』

ジンバブエ先生キタコレでございますが、これもまあお前は何を言ってるんだという話で、そもそも論として金利が下がったら借り入れ需要が有意に増える、という状態であればリバーサルレートの議論が起きる余地ってあまりない訳で、ゼロ金利状態が長期化して借り入れ需要の金利弾力性が金利下がる方に対してほとんどなくなってしまっているからこそリバーサルレートの論点が発生するんじゃないでしょうかと思うのだがなんかこの人相変わらず一部の論点で反論する人だなあと思うのでありました。

『また、ある委員は、今後、2%に向けて物価が上昇していき、経済の中長期的な成長力が高まっていく過程では、金融緩和政策の効果が強まることになるため、そうした環境変化や政策の副作用も考慮しながら、先行き、望ましい政策運営のあり方について、検討していくことも必要となり得るとの見解を述べた。』

これもキタコレな指摘。

『一人の委員は、現時点では、現在の金融市場調節方針を維持することが適切であるとしつつ、先行き、経済・物価情勢の改善が続くと見込 まれる場合には、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、その持続性を強化する観点も含め、金利水準の調整を検討することが必要になる可能性もあると述べた。』

前の人と同じだがこっちの方が露骨。

『別のある委員は、現在の金融市場調節方針を続けることで、物価上昇率が2%に向けて上昇するとの確信が持てない以上、現在の政策の枠組みのもとで、さらな る金融緩和策を講じることにより、需給ギャップや予想インフレ率への波及効果を一段と強め、「物価安定の目標」の早期達成への確度を高めるべきであるとの見解を示した。 』

これは片岡さんだが、で強まるの?というツッコミにこたえる必要があると思うがそもそもツッコミすら来ていないのが悲しいですね!!!

『この間、ある委員は、このところ、海外投資家を中心に、金融緩和 が早期に微修正されるとの声が聞かれているが、2%の「物価安定の目標」の実現まで距離がある現状では、そうした期待が高まることは好ましくないとの見解を示した。この点に関し、多くの委員は、米欧 において金融政策が正常化に向かう中、市場は、日本銀行の金融政策 運営に関して、従来より敏感になっていると指摘した。そのうえで、これらの委員は、引き続き、丁寧な情報発信に努めていくことが重要 であるとの認識を示した。 』

まあ何つーか知らんがなという感じですが、そもそも説明がコロコロとその時々で変わるというのも母国の日本の方では分かってもそら海外は分かりにくいわというのもあると思いますので、丁寧な情報発信言いましてもはあそうですかという感じではありますな。

#ということで虫干しネタで恐縮至極ですが来週からは平常運転の所存(汗)








2018/03/15

お題「虫干し日本ネタで3月決定会合関連」

どもども、金融政策の方では概ね見通しからそんなに変な話が出たわけでも無いと思いますが、内外政治面はアタクシが休んでいる間に色々あり過ぎて整理できないんですが勘弁してください。

しかしまあ何ですな、
http://www.boj.or.jp/finsys/exam_monit/exampolicy/kpolicy18.pdf

5ページの辺りに、

『一方、国内預貸業務を事業の中核とする地域金融機関については、構造問題に起因する「慢性的なストレス」の影響も勘案のうえ、先行きの収益力シミュレーションを実施し、中長期的に持続性の高い利益を獲得できる力を有しているかを把握・評価する。その上で、経営陣に対し、地域経済・営業基盤の展望も踏まえ、収益力に関する課題認識やその向上に向けた対応方針を確認する。その結果、将来の収益力に懸念が認められる先との間では、収益管理の適切性、収益向上策や経営効率化策の実現可能性などの幅広い観点から、収益力の向上を促す対話を深める。』

「だったらマイナス金利止めろやこのスットコドッコイ」というツッコミを回避するために『「慢性的なストレス」の影響も勘案のうえ』って入れてるんだが、そもそも慢性的なストレスって原因が低成長だの人口動態だのっていう政府部門の政策の失敗によるものでして、そらまあ金融機構局様的には自分の目の前のお掃除が大事かも知らんが、慢性的なストレスが軽減できるような政策の遂行に関して全然進まない中でこういう話ばかりが先行すると、ぐちゃぐちゃ言われる方としては政府部門は自分らは何もしないのに政策の失敗のケツばかり押し付けて民間いじめに励んでますなあとかイヤミの1つでも言いたくなるんですけどねえ。

などと休み明けなので調子が出ませんが(^^)、お休み中のネタなどから参りますね。まずは日銀ネタで参ります。

〇3月決定会合レビュー(3/9)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180309a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1801a.pdf(前回展望レポート基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1801a.htm/(HTML版)

#前回の展望レポートから基本的見解のHTML版が出来ているとな

・景気認識は海外を上げて住宅を下げ

『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)

基本的なのは同じ。

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。』(今回)
『海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。』(前回)

海外経済判断上げと。

『国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状 態にある。』(今回)

『国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(前回)

住宅投資に関する表現が下方修正。あとは同じ。


『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回)

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回)

物価は同じ。


・先行き見通しは全部同じ

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度までの期間を展望すると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回)

同じじゃな。

『輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(今回)
『こうした海外経済の成長を背景として、輸出も、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(前回)

これまた同じ。

『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。』(今回)

『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

ということでこちらも同じです。


・片岡さんの提案芸に捻りがなくて面白くないので考え直してください

決定会合声明文脚注であるが。

『(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:片岡委員。片岡委員は、消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018 年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10 年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』

それは分かったがでは何で10年以上の国債金利を下げると物価上昇が加速するのかがこの前の金懇を見てもさっぱりわからないんですけど。

『(注2)片岡委員は、消費者物価の前年比は、先行き、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。』

まあこれは良い。

『(注3)片岡委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。』

毎度のこの提案芸も何を言ってるんだかと思う訳でして、「国内要因により」とか訳分らん理由をつける意味がまるでなくて、単純に「次回展望レポート時に物価安定の目標の達成時期が後ずれするなら追加緩和を行う」と本文中に示すべきものじゃないでしょうかと思いますが、まあそれ以前の問題として、「追加緩和したら物価上昇が加速する」という事に関する説得的な説明ができない時点で片岡さんの提案は話にならないのでありますし、だいたいからしてその説得的な説明ができるようであれば、そら2%達成をわざわざ遅らせる意味はないのだから全員追加緩和に賛成するわ、という単純なお話であって、「追加緩和しても追加的な効果が低そうで、うっかりしたら累積的に高まる副作用の方が一気に高まってしまうかもしれない」という状態になっている、という総括的検証の結果を覆すだけの説得をすれば追加緩和提案はホイホイと通る訳ですから、一生懸命何かよく分からない高度な計算式を駆使して15年金利を0.2%未満にすると良いとかそういう計算している暇があったら金融政策の波及メカニズムの説明を堅固にした方がよいのではないでしょうか。

ちなみに休み明けですので先ほど売買参考統計値確認したら残存15年となりますとこの辺の銘柄が該当すると思いますが、最後の所の左が複利で右が単利なのですけど、既に単利で見たら0.2%台半ばになっておられますのでさぞかしここから物価上昇の勢いが増すことでしょう(棒読み)

(売買参考統計値より)
超長期国債 141 2032/12/20 1.7 120.72 +8 0.268 0.246
超長期国債 142 2032/12/20 1.8 122.16 +8 0.268 0.245
超長期国債 143 2033/03/20 1.6 119.43 +8 0.277 0.256
超長期国債 144 2033/03/20 1.5 117.90 +8 0.281 0.261


〇総裁会見はこの前の国会答弁を反省して気を使っているけれども微妙な面もありますな

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180312a.pdf

5年間の最後なんですが次がある上に政策的な面で言えば何も新規ネタがないので長い割には中身の乏しい会見になっているのは致し方なし。

・期待の転換に失敗しましたと

『(問) 今回の決定会合は、今の任期としては最後の会合となりました。この 5 年間の評価、そして残された課題についてお伺いします。 』

まあそういう質問だから答えが長くなるのは否めないが、それにしても言い訳が多すぎる。

『(答) ご案内の通り、2013 年当時、日本経済は長年のデフレにより経済の劣化が進んでおり、デフレからの早期脱却が最大の課題となっていました。』

経済の「劣化」ってネットスラングは良く言われますけど、きちんとした場の日本語としてその言葉をこういうのに使うのはどうかと思うのですが。経年劣化みたいな場合に使う言葉であって、こういう言い方は誤用だと思う、というどこの校閲だというツッコミ。

『そうした認識から、日本銀行は、同年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入し、その後も経済・物価情勢の変化に応じて、必要な政策対応を行ってまいりました。』

『こうしたもとで、この 5 年間、日本経済は大きく改善しました。企業収益は、過去最高水準まで増加しているほか、労働市場は、ほぼ完全雇用となっています。賃金も、緩やかながら着実に上昇しています。物価についても、エ ネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、2013 年秋以降、4 年以上にわたってプラス基調を続けており、既にわが国は、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなっています。 このように、経済・物価情勢は大幅に改善したものの、現時点で、2%の「物価安定の目標」は、なお実現できていません。原油価格の大幅な下落な ども影響しましたが、より大きな要因は、長年にわたるデフレの経験から、人々の間にデフレマインドが根付いてしまい、その転換に時間がかかっていることもあると思います。(以下言い訳が続くがどうでも良いので割愛)』

>その転換に時間がかかっていることもあると思います
>その転換に時間がかかっていることもあると思います
>その転換に時間がかかっていることもあると思います

ではここで『同年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入し』た時の説明を確認してみましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf
総裁記者会見要旨
―― 2013年4月4日(木) 午後3時半から約60分

冒頭のQQE導入の説明の最後の方(3ページ目の頭)ではこのように仰せでした。

『日本銀行は、1 月の「共同声明」において、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束しました。今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルート―― 長めの金利や資産価格のプレミアムへの働きかけ――、さらには、リスク資産運用や貸出を増やすいわゆる「ポートフォリオ・リバランス効果」とともに、 市場・経済主体の期待を抜本的に転換させる効果も期待できると思います。これらは、実体経済や金融市場に現れ始めた前向きの動きを後押しするとともに、 高まりつつある予想物価上昇率を上昇させて、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えています。』(2013年4月4日定例記者会見から)

>市場・経済主体の期待を抜本的に転換させる効果も期待できると思います
>市場・経済主体の期待を抜本的に転換させる効果も期待できると思います
>市場・経済主体の期待を抜本的に転換させる効果も期待できると思います

まずはここが根本的に見込み違いだった、というか間違っていた、というべきなのですが、そりゃまあやってみないと分からない面があるから見込み違いくらいで勘弁してやるけど、元々QQEやる前から置物リフレ理論で期待が飴細工のように簡単に転換する訳ねえだろ、という批判はあったのに対して「世界標準の金融政策」とか言っていたのだからその辺は反省して黒田総裁は勘弁するとしてもリフレ一派は可及的速やかに天寿を全うして頂きたいものです。


・市場とのコミュニケーションとかヘソが茶を沸かすわ

『(問) この 5 年間の評価は先程伺いましたが、金融政策の進め方やコミュニ ケーションのあり方について、もっとこうすればよかったとか、反省したり悔いたりしていることが、結果論も含めて何かおありかどうか教えて下さい。』

まあこの人は偉大なる俺様の言うことを聞かない市場が悪いとしか思わないでしょう・・・・って実際にそうではないかも知れないが、特に金利系という金融政策の波及メカニズムの一丁目一番地方面で生息している人たちの印象は普通に「この人市場とのコミュニケーションやる気ないでしょ」であって、そう思う人が10人中10人いる自信はある。マイナス金利突っ込んで成果が逆噴射したのは反省しているかも知れないけど。

『(答) 中央銀行のコミュニケーションのあり方については、私自身も先頃 ヨーロッパであったコンファレンスに参加して、当時のジャネット・イエレンFRB議長、マリオ・ドラギECB総裁、マーク・カーニーBOE総裁とともに、パネルディスカッションを行いました。皆さん、基本的に同じ意見で、市場あるいは国民一般とのコミュニケーションが、金融政策においては極めて重要である、という点は、本当に一致していたと思います。』

お前が何を言うという感じなのだが、よくよくこの続きを読むとやはりこの人着眼点がずれている。

『というのは、財政政 策の場合は、具体的に医療費の支出など、国民から政策がよくみえる形で分かるわけです。しかし、金融政策の場合は、中央銀行が様々な政策を行うことによって、金融市場を通じて経済全体に波及していくというメカニズムをとります。具体的な個々の支出項目がみえるのではないため、金融市場を通じてマクロ経済全体にどのように影響が及び、それがどのようにそれぞれの人の生活や 経済状況に反映されていくかということが、やや間接的でみえにくいところがあります。』

いやいやいやQQEの最初にお前さんどういう説明していたかよ。

『ですから、できるだけはっきりと、こういう波及経路で、こういうことを目標にして、現在こういう政策を行っています、とコミュニケートする ことが、経済政策としての金融政策の効果をしっかり発揮させるためにも重要だと思います。 』

それがコロコロと説明変わっているから分からないだけの話なんですけどねえ・・・・・・・・・・


・フォワードガイダンスに関する何か微妙にきな臭い発言

上記答弁の続きになるのですが。

『ただ、例えば 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する、 など、金融政策全体の目標を提示し、それを目指して金融政策を行っていくことを明確にすることは非常によいと思うのですが、具体的な金融政策の手段を 将来について明示して、いわばフォワードガイダンスという形で市場を誘導していくことが有効かどうか、あるいは必要かどうか、適切かどうかについては、色々な意見があると思います。』

何故唐突に聞かれもしない質問に答えているのかが謎でして、これは物凄い勢いで裏読みをすると、再任後に金融政策の枠組みをフォワードガイダンスを中心とした金利フレームワークにして、早期達成に関しても願望としての早期達成、見通しに関しても願望込みでの見通しということで、例えば2%目標到達見込み時期を明示しない代わりに金融緩和政策のガイダンスを強化して対応する、みたいな形にすることによって、「2019年度に2%達成するならそのころ出口じゃないですか」みたいなツッコミを食らってややこしいことにならないようにしながら、達成時期を何回先送りという非難もされなくなる、というような仕組みを考えていて、そのあたりがポロリしたのではないかとか(会見見てないからよくわからんけど)勝手に妄想しておりますがどうなんでしょうかね。

『基本的にはやはり、中央銀行としての目標、そしてそれを実現するための政策、そしてその政策が目標に向かって波及してい くチャネルといったものを、明確にコミュニケートすることが、最も重要だと思っています。』

明確にコロコロ変えていますのでいい加減立て直してください。


・ステルステーパーに関しては金利ですで誤魔化すしかないですな

『(問) 2 点お伺いします。1 点は長期国債の買入れペースです。今、80 兆円をめどとされていますが、実際には、国会答弁でおっしゃっていたのは 50 兆 円程度だとお伺いしています。結構乖離があるところなので、市場関係者から はステルステーパリングだというような指摘もあります。乖離があること自体について、黒田総裁はどのようにご覧になっているのか、改めてお聞かせ下さい。(後半割愛) 』

『(答) 前段につきましては、2016 年 9 月に現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みを決めた時に申し上げましたし、現在も申し上げてい ますが、金融政策の操作目標はかつてのような国債の買入れ額ではなく、現時点でいえば、短期金利が−0.1%、10 年物国債金利がゼロ%程度という金利目標になっています。国債の買入れペースは、あくまでも「イールドカーブ・コ ントロール」の金利目標を達成するために、必要にして十分なことを行っているということです。概ね現状程度の買入れのペースをめどとしつつということであって、目標は2つの点の金利を設定することによって、適切なイールドカーブを実現することです。目標自体が今は金利になっているということです。(後半割愛)』

ここに関してはまあこういう答えだけど、だったらこの前指値やった時に何で別に買入増やしたのとか、時々やっていることが訳分らなくなって一貫していないし、だいたいからして海外がそういう反応するのってさっき言ってたコミュニケーションがぐちゃぐちゃであることの弊害なんですけどね。



・長期間に渡って政策を続けるVS2%早期達成の矛盾はどうしようもない

『(問) コミュニケーションのあり方について、先程の質問の延長でお伺いし ます。2016 年 9 月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が導入された後 に、マーケットで起きたのは、国債の買入れの量が減ったことと、マイナスに行き過ぎてしまった長期金利が上がったことです。量が減る方向と金利が上がる方向ということで、どちらかといえば正常化の方向に向かったのだと思うのですが、当時は、金融緩和の強化という公表のされ方をされたと思います。』

さよですな。

『この分かりにくさというのが、市場の正常化観測、日銀に対する疑心暗鬼につながっているという指摘もあると思います。「長短金利操作付き量的・質的金融 緩和」の導入を緩和強化としたコミュニケーションが、本当に正しかったのかということについて、どう思っていらっしゃいますか。(後半割愛) 』

結局のところ、「長期間に渡って政策を続ける」のが「早期達成」と矛盾しているからどうしようもない訳でございまして、ドラギ大先生のように「800億ユーロ×6か月より600億ユーロ×9か月のほうが緩和強化」とか堂々とあのインチキ臭い満面の笑みで説明できれば(あれで当時市場が好感したのも頭に虫が沸いてるとしか思えませんでしたがそれはともかく)良いのですが、政策期間延長と言えないのが困る訳でして、さきほどポロリしたのかもしれないガイダンスを使って立て直すしかありませんな。

『(答) まず、前段についてですが、強力な金融緩和を持続するという意味では、明らかに強い金融緩和だと思います。』

は?????

『「総括的な検証」の中でもかなり詳 しく示していますが、経済・物価、貸出や社債の金利などに非常に大きな影響を与えるのは、実は超長期の金利というよりは、むしろ短期・中期から長期に かけての金利です。他方で超長期の金利については、それが下がることによっ て、経済活動に大きくプラスに効くことはあまり期待できません。逆に、超長期の金利があまりにも下がってしまうと、年金や生保などの超長期の運用をし ている投資家の利回りが下がって、将来の年金受給について心配するような声が出てきたりするなど、却ってマインド面でマイナスになるおそれもあります。』

『「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」では、短期金利を−0.1%、10 年物 国債金利の操作目標をゼロ%程度と決めて、全体として適切なイールドカーブ になるようにしており、それによって金融緩和は非常に強く効いていると思っています。』

って説明をするならば、それは「金融緩和の行き過ぎによる副作用を考えた結果政策を調整した」と本来説明すべきなのを緩和の強化とか言ってごまかしていることに他ならないのですな。だから質問者のようなコメントが来るのは当然。

『また、予想物価上昇率が上がっていけば、名目金利から予想物価上昇率を引いた実質金利は更に下がっていきますので、金融の緩和効果は更に強 まっていきます。このような点は、「総括的な検証」を踏まえて「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入した時に、かなり詳しくご説明しました。 名称が少し長くて、一言で言えないと言われたこともあるのですが、この名称 はその内容をよく表していて、しかも金融緩和の強化であることは間違いないと思います。』

その予想物価上昇率が思ったように上がらなかったのでは?

『なお、操作目標が国債の買入れ額ではなく、金利になっていると いうことは、重要な変更点だと思います。(後半割愛)』

とまあ説明がもう無理がありますな。


・ひっかけ質問には慎重に対処もさすがに・・・・・・・・・

『(問) 先程の質問とも重なるのですが、出口戦略の中で総裁が先程おっ しゃった通り、「イールドカーブ・コントロール」自体は、緩和、引締め両方の方向性を内包していると考えています。その中で、例えば予想物価上昇率が上がれば、名目の誘導目標を上げたとしても緩和効果は変わらないということ になると思うのですが、例えば、金利の誘導目標を多少微修正して、上げたからといって、緩和効果は変わらないので出口ではない、というようなロジックや考え方は成り立つのかどうか、総裁のお考えをお願いします。』

まあひっかけ系ですが、これは当然政策の中にそういう要素が含まれているだけに頭ごなしには否定できないなと思ったら・・・・・・

『(答) それは理屈としては成り立つとは思うのですが、今、そのようなことを考えているわけではありません。これまでも申し上げている通り、予想物価 上昇率が上がっていけば、むしろ緩和効果が更に強化され、それによって2% に向けた道筋をより確実なものにするということを狙っていますので、今の時点でそのようなことは全く考えていません。』

と模範解答をしましたが、これは本来政策が内包するものなのですし、逆に物価目標達成が無理ということになれば金利水準を下げないといけない話になるのですが、さてどうなるやら。



〇1月決定会合議事要旨・・・・・・のつもりでしたが時間切れorz

お前休んでいたんだから下準備しておけやと言われますとぐうの音も出ませんすいませんすいません(汗)。






2018/03/09〜2018/03/14は筆者都合によりお休み

2018/03/08

お題「市場および所信表明世間話/中曾副総裁のドイツ講演(金融政策ネタというよりは鑑賞物です)/お知らせ」

そらそうよ
https://mainichi.jp/articles/20180307/k00/00e/010/229000c
森友文書
自公、財務省に資料提出を要求 8日期限
毎日新聞2018年3月7日 11時33分(最終更新 3月7日 12時59分)

と思ったらさっそく本日は
https://www.asahi.com/articles/ASL374SMRL37UTFK00M.html
森友問題、決裁文書のコピー提示へ 8日の参院委理事会
中崎太郎、久永隆一
2018年3月8日03時01分

ということで参院予算委員会実施されるようですが、一方で既にこんな話が出ている中で・・・・・・・・・
https://this.kiji.is/344019992351900769
手書きの書き込みある写しも存在
2018/3/7 16:32(コピーライト)一般社団法人共同通信社

『財務省は7日、「原本」の写しは、手書きの書き込みが入っているものと、ないものの二つが存在していると述べた。「どうしてそういう状況で保存されているかを確認している」と説明した。』(上記URL先より)

というちょっと何言ってるんだか分からない状態だと「決裁文書のコピー」じゃなくて原本ださないと収まりつかないんじゃないかと、だいたい1日前には無いって言ってたコピーが次の日に出てくるとか(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。

しかしまあ何ですな、もともと最初の時点で経緯をきちんと公開して問題のある対応があったのならその点については必要な処分をしていればこんな事にはなるような案件じゃない筈で、この話って些細な瑕疵を取り繕おうとしてドンドン事が大きくなるわ収拾に変な事しなければいけなくなるわというような典型的な悪事例と二重写しに見えてしまっている状況(実際はそのような事案ではないと信じたい)っぽいのがなんとも(だいたい対応がグダグダになったポイントの想像は付くが)です。

#それから朝日新聞は気合入れて報道するなら関連ニュース全部無料で見れるようにしておいた方が(上記のは今の所全文無料で読めますが)より盛り上がると思うのですけれどもねえ


〇市場メモとか所信聴取とかを見ながら世間話

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1QP2LG
2018年3月7日 / 15:19
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反発、超長期ゾーンは底堅い

『<15:13> 国債先物が小反発、超長期ゾーンは底堅い

長期国債先物は小反発して引けた。コーン米国家経済会議(NEC)委員長の辞任報道でアジア時間早朝の為替市場でドル安/円高が進行したことを受けて、買いが先行。日経平均株価が反転して一時プラス圏に浮上すると、上値を重くする場面があったが、再び株式相場が軟化すると、下値に買いが入った。中心限月交代へ向けた6月限へのロールは進んでいる。

現物債市場は高安まちまち。中期ゾーンは日銀オペの結果が弱めと判断されて軟調地合い。超長期ゾーンは底堅く推移し40年債利回りは低下した。年度末を意識した最終投資家の需要が引き続き強い。

政府が日銀の副総裁候補に提示した若田部昌澄・早稲田大学教授は参院議院運営委員会で所信の表明を行い、「国債の直接引き受けは禁じられているが、ヘリマネの本質は財政・金融シナジー」、「マイナス0.1%の付利は上げることも下げることも技術的に可能」と述べた。追加緩和手段については「今の日銀政策でも国債・多様な資産の買い入れ・金利の3つある」としたうえで、「3つに限定しない」と発言した。市場が積極的に材料視するには至らなかった。

長期国債先物中心限月3月限の大引けは、前営業日比4銭高の151円03銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比横ばいの0.050%。』(上記URL先より)

つーことで昨日はNY引け後の朝っぱらという時間にコーン委員長辞任しかもネタがトランプ関税反対のためというリスクオフでお願いします的なネタが投下されるの巻と来ましたが、ドル円ちゃんの方が105円台であちゃーというのはさておきましてまあ度肝を抜くほどでもなかったかいなとは思ったものの、円高継続あるでという話になりますと輪番減額もしにくくなるし、益々何で2月の頭に指値オペとセットで(中期は前日ですが)輪番増やしましたねんという結果論な感は強まりますけれどもやっちまったものは仕方ない。

でまあ2月末に超長期後半の輪番って100億減らしたのですが、その前日のカレント30年の引けが単利で75.5bpでして、火曜日は新発30年出たところなのでカレント銘柄が3カ月後ろに倒れましたので新発じゃない方だと単利で74.0bpとかになっていまして、ついでに1月頭に超長期輪番減額した時には前日の1/5の30年カレントは単利で81.5bpだったりしますので、金利水準だけを単純に見ると超長期の輪番をいじるということにもなるのですが、まあ当然のごとくこの円高状態で変に目立つプレイは避けると考えるのが順当と思ったら普通に輪番は同額でオファーされるの巻となっていました。

もとよりアタクシは輪番の上げ下げに関してはもっとザックリと行うもので、細かいところで上げ下げをするのは市場との腹の探り合いゲームになってしまって日銀にメリット無い(腹の探り合いモードになるとそこでボラが出てトレーダーニッコリですし、レポートのネタが出来て何とかストもニッコリとなったりするようにも思えますが・・・・・・・^^)と思っているクチなのですが、この前の黒田総裁による国会発言が思わぬプチ波乱になったように、YCCにおける金利操作に関しても(多分意図的に)曖昧になっている部分があって、時にそれが都合よく出てくるもんだから困る訳でして、超長期の金利が下がり過ぎていて、望ましい程度の緩和水準を逸脱する可能性があると思って輪番下げているんだったら、本当はそろそろ超長期輪番更に下げるという話になるんですが、(昨日下げない方が明らかに順当ではあるものの)昨日は普通にオペやってきたとなると、えーっとすいません28日の超長期輪番減額の意味は何でしたっけというような話になる訳で(もちろんさっきからので分かりますように、アタクシは別にこんな水準で輪番減額する必要ないでしょという見解です、念のため)、話がややこしくて適わんという感じではございます。

でもってつらつらこの話がややこしくなる原因を考えたのですが、まーよくよく考えてみれば「80兆円」というのを残しているのが話をややこしくするそもそもの原因で、YCCって端的に言って金利操作に切り替えて量の馬鹿拡大の呪縛から逃れることによって緩和政策を長期間実施できるようにする(と思ったらマイナス金利とYCCの水準が低すぎる(こっちは導入時の発射台が低かったから致し方ない面は多分にあるけど)ので長期間実施できるかが怪しいのですが物理的(=副作用をスルーすれば)には長期間維持可能な枠組み)いうものなのですから、必然的に国債買入ペースは鈍化する訳で、その辺を「ストック効果」を持ち出して説明したりしていますが、ただ正面切って「買入ペースは鈍化します」というと「量」のフレームが残っているので緩和後退と言われる訳ですよ(ってまあ緩和後退ではありますけど・・・・)。よって買入ペースが減っていくのも正面切って言えない、とかありますが、本来買入ペースがストック効果(まあそれは怪しいのだか方便として使われるものです)で徐々に逓減していっても緩和的な金利水準は維持できるし寧ろ逓減しないと金利が下がってしまってイクナイ、という説明を正面切ってすれば別に買入減額も全部テクニカル対応で緩和度合いは変わっていないと説明できちゃうのですが、そこが言えないのが80兆円文言の存在ではあります。

円債村の皆さんはすっかり80兆円忘れてるし今更どうでも良いのですが、他市場の方々の反応がイマイチ読み切れないというか多分海外とか緩和縮小と喚きだすのが見え見えなだけに問題なのではありますが、まー総括検証2、と言ってしまうとすわ緩和縮小と言われてしまうのでやりにくいのは分かるのですが、ロジックがもう増築に増築を重ねてダンジョンになってしまっているような平成バブル時代の温泉旅館か渋谷の西武か苗場スキー場か(年がばれますかそうですか)というような状態になっているのは何とかしないとそのうち動くに動けなくなるか、毎日市場との腹の探り合いゲーム(それは市場との対話ではない)になるかという懸念がございますので、別に政策の枠組み変えなくても良いのですが、政策ロジックの整理を新執行部の早いうちにやっていただきたいと願います。


ところで所信聴取で重要な方のお方の記事ですけどね。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-07/P57NQM6TTDS001
雨宮日銀理事:政策のサプライズ効果は長続きせず、丁寧な対話が基本
日高正裕
2018年3月7日 17:45 JST

このヘッドラインを見て「QQE2とかマイナス金利政策とかは何だったのか」と血圧を大いに上げる市場の中の人がいるかも知れませんが、日銀の公式見解的に言えば、QQE2もマイナス金利もサプライズ効果を狙ったとか騙し討ちしたとかそんな考えは毛頭ない、という事になっております、という時点で更に血圧が上がって健康に悪いのですけどね!!!!

『日本銀行の副総裁候補、雨宮正佳理事は7日、参院議院運営委員会の所信聴取と質疑で、市場の驚きを狙った政策は効果が長続きせず、丁寧な対話により政策意図を理解してもらうことが基本との見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

そらもうサプライズ狙ったマイナス金利政策が思いっきり逆噴射になってしまいましたからねえ、などというようなことを言ってはいけません。なぜなら・・・・・・・

『雨宮氏は「サプライズで生じた政策効果は恐らく長続きしない」と言明。市場に「日銀の政策意図をきちんと伝え、理解してもらうことが基本」と語った。また「少なくとも私は、何かサプライズ狙いで政策を作ったことはない」と述べた。』

>少なくとも私は、何かサプライズ狙いで政策を作ったことはない
>少なくとも私は、何かサプライズ狙いで政策を作ったことはない
>少なくとも私は、何かサプライズ狙いで政策を作ったことはない

ほうほうなるほどそうですかそうですか。

なお、記事のクレジットに日高さんがございますので、いちいち嫌味を入れるのに余念がないため、上記記事の先の方では、

『黒田東彦総裁が2013年4月に異次元緩和を導入して以降、14年10月の追加緩和、16年1月のマイナス金利導入など、市場の意表を突く政策が繰り返された。雨宮氏は理事として、政策の企画・立案を担ってきた。』

としらっと加えているのがチャーミング。


でまあ過去の話に関してはやっちまったもんは仕方ないのですが、じゃあ今後の政策調整にあたって「事前織り込ませ」が可能なのかという事なのですけど、追加緩和する方だったらまあそんなに難しくはないのでしょうが、金利水準を引き上げるような調整って事前織り込ませは無理だと思うの。

何故かといえば、YCCの建付け上長期金利の上昇を抑えないといけないので、事前織り込ませを意図して指値オペの水準をいじってしまうと、今度は「次の水準はどこなの」となって却って売りに拍車がかかることになって、結果的に金利水準の維持自体がオペレーション的に無理になる(最終系はカレントの指値対象銘柄だけイールドカーブを引くと低いところに突出するという昔の指標銘柄(何のことか知らない人はそこらにいる村の古老(なんて格好いい表現よりもクソジジイとか老害とかの方が適切ですかそうですか)に質問してください)みたいなお洒落なことになるという話ですし、その時って今よりも買入残高増えているから当然ながら市場の流動性もその分落ちているでしょうから金利上昇圧力掛かった時の「止め役」がいなくてあばばばばーとなるでしょうし、まあ「事前に織り込ませる」ってのできないと思うんですよ。

これが長期金利の誘導をしていないとか、そうじゃなくて誘導しているにしても指値オペじゃなくて輪番の上げ下げで対応している、というのであれば、レンジを広めに構えているうちにある程度市場に織り込ませるのは可能だったかもしれないのですが、何せ指値水準が11bpでもうガッツリと債券市場の皆さんの認識が揃ってしまって、この数字を変えることはとんでもないアナウンスメント効果を出すことになってしまいますし、しかも水準が20だの30だのであればしらっと実レンジを20bpくらい上方シフトさせてから現状追認で利上げもできるかもしれないけど、11bp(しかも長期金利)ではそもそも金融政策変更で使うような金利幅ではございませんので、しらっと市場のレンジを変えて現状追認という荒業もできないと来ているので、利上げするのであればサプライズになるか、そもそもの政策枠組みを全面改訂するかの2択だと思います。

という中で雨宮副総裁(まだ正式承認じゃないけど承認されるでしょうということで)がここの所をどうハンドリングしようと考えているのかが楽しみというかガクガクブルブルというか、な感じではあります。

#なお若田部さんの聴取ですが、アタクシの印象ではああ今日も従来路線に妥協的で博多人形一直線と見ましたが異論はあると思う


〇昨日の続きで中曾さんの卒業旅行(違)講演から

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2018/ko180302a.htm/
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2018/data/ko180302a1.pdf

まあ今の政策云々というより読み物としてって感じになりますが。

・80年代からのバブル経済の崩壊が試練の始まり

『III. Origins of Japan's Economic Ordeal』ってことで試練の元はなんですかという話です。

『The two central banks, the Bundesbank and the Bank of Japan, have had the reputation as tough inflation fighters. However, the policy priority started to diverge in the 1990s. Our mission became focused on ending deflation and bringing Japan's economy back on track to sustained growth.』

『This is the topic that I now want to talk about. Let me begin with the background to the difficulties that Japan has faced.』

ということで話が始まる。

『I think the root cause of Japan's economic ordeal is the bursting of asset bubbles in the early 1990s. Slide 1 looks at the magnitude of the bursting of asset bubbles. As you see in the left panel, the cumulative capital gains during the bubble years in Japan amounted to more than 450 percent of nominal GDP.』

『The bursting of the bubble resulted in a brutally large swing in the opposite direction, with the cumulative capital losses equivalent to almost minus 230 percent of nominal GDP.』

PDFの方では図表のスライドがあるので見ると泣ける。

『In the United States, which was the epicenter of the Global Financial Crisis, the corresponding numbers were 300 percent and minus 100 percent, respectively. In both cases, the economic impacts were destructive.』

そらそうよということで。

『In Japan's case, the toll was almost exclusively on the banking sector, which often had been compared to the Invincible Armada during the bubble era. Slide 2 shows the cumulative credit losses experienced by Japanese banks. This figure climbed constantly until it reached almost 100 trillion yen, which corresponds to about 20 percent of Japan's nominal GDP.』

まあ凄かったですな。

『During the decade of Japan's financial crisis, more than 180 financial institutions, including internationally active ones, went under. The banking sector was broken. This meant the loss of the credit intermediary function, which was badly needed at the time to support economic recovery.』

ということでまあ皆様ご案内の状況のお話をしています。

『When Japan's economy overcame the aftermath of the homegrown financial crisis of the 1990s, it was struck by another major shock, triggered by the U.S. subprime loans problem and accentuated by the collapse of Lehman Brothers: the Global Financial Crisis.』

でもって折角回復してきたと思ったらリーマンショックですよ、だそうな。

『The left panel in Slide 3 shows that the parallel shift of GDP to the downside took place in Japan. This also was the case for other major economies, including the U.S. economy. Although the GDP recovered to pre-crisis levels, for reasons we do not precisely know, it has not returned to the original trends in the Japanese economy and many other advanced economies.』

『On the contrary, the German economy, which you see in the right panel, was exceptional in that it reverted to the original trend rather quickly with higher growth rates. The difference may be an interesting topic to be further explored.』

リーマンショック後の戻りにおいて日本はパッとしない中でドイツは過去のトレンド線に戻っているのだがその違いや如何に?ということで・・・・・・・・・

『Therefore, the financial crisis was the root cause for Japan's ordeal. But the country's problem was compounded by other factors; namely, deflation and demography.』


・トレンドグロースと労働人口の動態

元はバブル崩壊だけど実際の経済の問題はデフレーションと人口動態だと。

『Slide 4 shows Japan's potential growth rate with a solid red line and its determinants in bars of different colors. The protracted period of deflation that lasted for almost 15 years after the homegrown financial crisis in the 1990s prevented firms from investing in capital, and capital input remained sluggish because the corporate strategy under deflation was to sit on cash. Meanwhile, labor input has negatively contributed since the 1990s as a result of the shift in demographics. This has much to do with Japan's aging society, where the birth rates remained low and the baby boomers reached their retirement age.』

ということで図表4では1985年以降のトレンドグロースの低下における寄与を分解していて、その中で90年以降労働投入量が常にマイナスで推移していたという点を指摘していますな。

『As the solid red line in the graph shows, the potential growth rate in Japan has been on a declining trend, coming down from around 4 percent in the late 1980s to almost 0 percent before bouncing back to 0.8 percent recently. What this chart implies is that, in order to elevate Japan's potential growth rate, we need to raise all three determinants: total factor productivity (TFP), labor input, and capital input.』

トレンドグロースを上げるためには、全要素生産性、労働投入、資本投入を引き上げないといけませんよ。

『Another way of expressing this is that we need to raise labor productivity and labor input in order to elevate Japan's potential growth rate.』

あるいは労働生産性の引き上げと労働投入の引き上げをするということです、という事で、

『Slide 5 provides a decomposition of Japan's GDP growth rates into labor productivity growth and rate of change in the number of employed persons. It is quite obvious from the chart that the decline in labor force forecast for the next decades must be more than offset by improvement in labor productivity if the Japanese economy is to maintain positive growth.』

スライド7は実質成長率の分解なのですが、労働者一人当たりのGDP(労働生産性)と労働人口に分解して見ますと、これから労働人口はさらに減少傾向に拍車がかかるので労働者一人当たりのGDPを上げないと従来の成長すら維持できませんという実に暗い話ががががが。

『What this chart suggests is that, for a country like Japan, or any country with a shrinking population, improving labor productivity is the number one policy priority.』

でもってオマエラモナーという話で・・・・・・・・

『An interesting question in this regard is how Japan's situation compares with Germany, the economy of which is known to face similar demographic challenges sooner or later.』

おまいらも労働人口これから減るからマズーになるでよ、という話が以下スライド6〜8で無慈悲に示されます。

『Slide 6 compares the economic performances of Japan and Germany over the last decade, from 2006 through 2016, and the contributing factors. The average annual economic growth rate in Germany was 1.5 percent, which was more than twice as high as Japan's growth rate of 0.6 percent during the same period. The improvement in labor productivity was more or less equivalent in both economies. The major difference appears to be in terms of labor input. While labor input declined in Japan, it has shown positive growth in Germany.』

『Slide 7 shows why this is the case. While the hours worked by an employed person declined in both economies, falls in the unemployment rate and increases in the labor force participation rate have been more pronounced in Germany than in Japan as far as this period is concerned. But challenges lie ahead for both economies. The right panel in Slide 8 shows that Japan has already turned into what is called a "population onus society," in which the working age population declined at a faster pace than the total population. As the left panel suggests, this is forecast to be followed by Germany, albeit in a less conspicuous manner, in the coming decades.』

ドイツはこれから日本の後を追って人口オーナス期に入るようで。

『The decline in the working age population may be partially offset by an increase in the number of foreign workers. This seems to typically have been the case with Germany, which you see in the panel of Slide 9.』

移民労働者で補充のネタキタコレ。

『Even for Japan, the number of foreign workers has climbed in recent years by more than one million against the backdrop of an acute labor shortage.』

とは言いましても、外国人労働者で補うというのがエコノミカリーに正しくてもポリティカリーにどうなのかという話に関しては盛大にスルーされていますな、まあこういう場なので当然ですが。

『Even if a decline in the working age population is inevitable, the negative impact on labor input can be mitigated by raising labor participation rates. In this regard, Japan has made tangible achievements in recent years.』

労働人口が減るなら労働参加率を上げればいいじゃない、とマリーアントワネットも仰っていました(とは中曾さんは言ってません^^)。

『Slide 10 offers an international comparison of labor force participation rates. The lower left panel shows Japan's labor participation rate for women by age group over the past two decades. You see that more women in the age group of 25-34 years (typically young working mothers) work today than ever before, offsetting the overall decline in the working age population. The labor participation rate for this age group has climbed to 77 percent in 2016, and as a result, the notorious M-shaped curve largely has been corrected.』

『An international comparison shown in the lower right panel reveals that Japan's participation rates for women in 2016 are generally higher than in the United States, although not as high as in Germany or Sweden.』

てな訳で日本の労働参加状況というのと他国との比較というのがスライド10に出ているのは興味深いのですが、女性や高齢者の労働参加率が近年高まっているのと、国際的にみると女性の労働参加率が米国よりは上でドイツやスイスよりは下という話をしています。

・・・・・・・ただまあこちらもエコノミカリーなお話にとどめていて(そらそうよではありますが)現実にミクロというか自分個人の問題として考えた時に、アタクシのような金融市場老害ジジイの世代だといわゆるサザエさんやちびまる子ちゃんみたいな家庭も多かったわけなのですが、今や働ける者は皆働いて食い扶持を稼がないといけないって話だったりするのかも知れない訳でして、何が悲しゅうて一家総出で働きにいかないといけないのかと小一時間問い詰めたかったりするので、こうなって成長しているから世の中幸せなのかということについては判断を個人的には留保したいなあとは思うが、成長しないと色々と問題があるというのが所与であれば、人口動態的に人口オーナス期に入っている国の人たちは一家総出で働いて成長を維持しないといけない、というのが運命であるということなのかも知れませんな、トホホ。

『Thus, of the two supply-side determinants of economic growth, labor input can be upheld by raising labor participation rates. What about the other determinant, labor productivity? Slide 11 provides us with some insight.』

でもってこのコーナーの最後になりますが、

『The left panel compares the level of labor productivity in the G7 countries. If you place the U.S. productivity level as the benchmark at 100, Japan's productivity level is around 70 percent of the U.S. level. The German productivity level stands highest in the G7 economies. Thus, for Japan to catch up to the U.S. productivity level, it has to close a gap that amounts to 30 percent. As a matter of fact, the right panel shows that Japan achieved one of the highest productivity growth rates among the G7 countries between 2000 and 2015. This suggests that there does remain room to catch up, and it is actually catching up. We know that our manufacturing companies are competitive on a global standard. So, it is mainly the services industries that need to accelerate their catch-up process, possibly through a wider use of information and communication technologies.』

サービス業の労働生産性向上において日本には改善余地がある、というお話で締めています。


・日本の教訓

『IV. Bank of Japan's Monetary Policy』はどうでも良いので飛ばして次の『V. Lessons from the Japanese Experience』

『What lessons, if any, does the Japanese experience have for the Euro area, which now faces similar challenges ranging from low inflation to demographics? I wish I could offer you a full answer, but our own mission to overcome deflation and bring the economy back on track toward sustained growth is not fully completed. So, what I'll offer here are three interim suggestions.』

はい。

『First, you definitely need to avoid a financial crisis.』

デフレーション、とこないで金融危機と来るのが中曾さん真骨頂。

『We have learned that a financial crisis inflicts lasting damage on the economy. Therefore, it is essential that the soundness of the financial system is maintained through adequate regulation and supervision. It is just as important to have an operational safety net, including a deposit insurance system and resolution framework that prevents a failure of a financial institution from developing into a systemic crisis.』

『In this regard, the completion of the Basel III regulatory reforms that began following the onset of the global financial crisis is a significant achievement.』

でもってバーゼル3出てくるのも中曾さんだけのことはあります。

『Second, monetary policy alone cannot achieve the ultimate goal of overcoming deflation and bringing the economy back on track to sustained growth.』

しらっと置物リフレ理論における金融政策で万事解決理論(相変わらず安部ちゃん辺りは信奉してそうですが)を否定しているのが物凄くチャーミング。

『Monetary policy must be pursued in tandem with the growth strategy, or structural policies more broadly.』

全くですな。

『Monetary easing raises potential GDP through an increase in the capital stock as well as labor input, thus affecting the supply side. Moreover, accommodative monetary conditions should mitigate any frictional costs that might otherwise accompany the necessary structural reforms. What we in Japan and the Euro area have in our hands is a golden opportunity to upgrade our economies. We should not miss this chance to promote much needed structural reforms.』

「What we in Japan and the Euro area have in our hands is a golden opportunity to upgrade our economies. We should not miss this chance to promote much needed structural reforms.」ってのに中曾さんの主張が思いっきり出ていて中々結構。

『I am sure that the policy makers in the Euro area, including the Bundesbank, recognize precisely these points and therefore require no advice from me. The cumulative wisdom we have built up over the years in addressing the challenges should collectively and fully be utilized in guiding our economies in the right direction.』

ということで、あとは最後の所なのですが折角の講演ですので引用しておきます。


・ドイツでの思い出やドイツへの思い、時代の変化への感慨など

『Closing Remarks』ですがこちらはコメントするのも僭越な気がするので引用だけ。

『One summer day in the late 1960s, when I lived in Hamburg, my father drove me to the border of what was then the Deutsche Demokratische Republik (DDR). At the border in the middle of a meadow, a Bundeswehr border guard approached me and said ''Look boy, also beyond here is Germany - auch druben( ist Deutschland.'' What Germany has achieved since then is a truly admirable Wirtschaftswunder (economic wonder). I understand it has embarked on the ''Industrie 4.0'' initiative to create yet another Wirtschaftswunder.』(途中のdrubenのuはウムラウト付きです)

『In the five decades since my boyhood in Germany, the social and economic environments in both countries have changed quite dramatically. Today, an average Japanese person has a life expectancy that is 15 years longer than people did in 1960. An average Japanese worker today works 50 hours less per month compared with 1960. Similarly, in Germany, life expectancy today is 13 years longer and a German worker works 70 hours less compared with 1960. This is a big change for the people in the two countries, whose common virtue used to be diligence in the 1960s. But this is not necessary a bad thing, because people have more time to enjoy life. It also means that we have more time to get to know each other even better.』


『I have a father, who is now fully retired and is one of those enjoying longer life. When I visited him over the New Year holiday, he told me he still regularly exchanges updated family history with his alten Kameraden (old comrades) fifty years on since his days in Germany. Old friendship never dies. I now know it is the responsibility of our generation to not just inherit the friendship with Germany, but foster it and pass it on to the generations to come.』

『Thanks to technological innovation, we can learn a lot more easily about each other's history and culture these days. In addition, traveling has become far easier, enabling ''seeing is believing'' for many people. Thus, I believe the relationship between Germany and Japan is entering a new stage beyond the traditional sphere, where economic and cultural interaction has become an everyday affair, making geographical distance less meaningful. I would like to conclude my speech this evening by expressing my sincere hope that our friendship develops from Ferne Gefahrten (distant companions) to what can be called Enge Gefahrten (close companions). This concludes my speech this evening.』

『Ich danke Ihnen fur Ihre Aufmerksamkeit. (I thank you for your attention.)』(途中のfurのuはウムラウト付きです)


〇お知らせ

筆者個人的都合によりまして、金曜日から来週の水曜日くらいまで更新をお休みします。なお、今日からECBと日銀なので復帰は木曜のつもりですが気が向いたら水曜くらいに復帰するかも知れません。










2018/03/07

お題「引き続き所信聴取ですが結局路線転換はしないけど量だけでもステルス足抜けは続くのでしょう」

そう来ましたたか。
https://www.asahi.com/articles/ASL364W7QL36UTFK00Y.html
森友文書問題「与党にも疑問点はある」 自民・吉田氏
2018年3月6日16時57分

『吉田博美・自民党参院幹事長(発言録)

 「(森友学園との国有地取引をめぐる決裁文書が書き換えられた疑いで財務省が捜査を理由に説明していないことについて)与党にも疑問点はある。与党もしっかりとした質疑を財務省に対してすべきじゃないかなと思います」(6日、記者会見で)』(上記URL先より)

そら国会に提出した公文書が実は決済したものじゃなくて国会答弁に合わせて後日書き換えたものですって話がマジだったら(マジではないと思いたい)国会は何のために存在しているのかという話になりますから与党も調査しろと言いますわなあと思った。

ついでに話は違いますが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180307/k10011354101000.html
政府 北朝鮮への圧力維持しながら対応検討
3月7日 5時10分

南北首脳会談に関してラジオニュースでやっていたのだが、

『これについて小野寺防衛大臣は6日夜、記者団に対し、「北朝鮮が対話を求める動きに出たのは、圧力をしっかりかけた表れだ」と述べるなど、政府は、北朝鮮が対話に積極的になっているのは、各国による制裁の効果が出始めているためだと分析しています。』(上記URL先より)

って小野寺さんがコメントするのは兎も角としてお調子者の外務大臣は何やっているんだよ、と思いましたぞな。

・・・・・・と柄にもなくニュースネタでマクラ2発恐縮至極。


〇黒田総裁2回目の聴取は安全運転でしたな

国会が公文書書き換え疑惑ネタで幾つかの委員会が空転する中でも昨日は参議院議員運営委員会の方は無事に実施されておりましたし、今日の参議院も他は止まってますけど議院運営委員会は行われるようですので雨宮さんと若田部さんの話は聞けそうですな。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
参議院インターネット中継

2018年3月7日の審議中継
中継予定 会議名 議院運営委員会 公報掲載時刻 13:00

ということですので、本日は13時から議院運営委員会で所信聴取やるんでしょうな。


・その前に昨日の補足

昨日の補足はともかくとして、昨日は作成中にロイターとブルームバーグニュースをブラウザーでいくつも開けていたら、あれっていちいち勝手にリロードするという仕様がある(ブラウザーはIE11です)ので、6本くらい開けたまま駄文書きしていたら時々PCがハングしてしまい、漢字かな変換が変なことになったり、入力が乱れたりして通常比誤字が多かったなあと反省しきりではございましたがそれは兎も角。

https://jp.reuters.com/article/boj-amemiya-idJPKBN1GH16E?il=0
2018年3月5日 / 19:03 /
政策運営では副作用も注視、出口手段など検討=雨宮・日銀副総裁候補

昨日はロイターさんの記事がみつからんとか申し上げていたら、実際には上記のような記事があったとのご連絡をいただきまして誠にありがたく存じます。いやまあインターネット版のロイターさんでもブルームバーグさんでもそこは似たような問題なのですが、インターネット版でサイト内の検索機能はあるのですが、検索機能の出来が微妙に悪くて、(傾向としてはブルームバーグさんの方が精度落ちるように経験的には思う)どちらのベンダーさんでも特に何故か最新記事が拾いにくくて、昨日の朝は「雨宮」で検索かけると昔の記事しか出て来なかったんですよ(ロイターブルームバーグ両方とも)。ブルームバーグはたまたまトップページに雨宮さんの記事のリンクがあったから見つけたのです。

という言い訳は兎も角としまして記事に参ります。

『[東京 5日 ロイター] - 日銀の次期副総裁候補に指名された雨宮正佳・日銀理事は5日午後、衆院議院運営委員会で所信表明を行い、これまでの大規模な金融緩和の推進によって経済・物価情勢は大きく改善したとの認識を示し、金融政策運営にあたっては、引き続き効果と副作用を注意深く点検していきたい、と語った。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『もっとも、「歴史的にも世界的にも類例をみない大規模な政策」を推進している中で、「その効果や副作用の評価、あるいは将来の出口戦略のあり方など検討課題は多岐にわたる」と語った。課題を踏まえ、金融政策運営においては「効果と副作用の両方の比較が重要」と強調し、副作用として資産価格の行き過ぎや金融機関経営に与えるマイナスの影響、個人の利子所得の減少などを挙げた。現時点では「副作用はあるが、全体として経済の改善、雇用・賃金情勢の改善という格好で政策効果が上回っている」と評価しつつ、「こうした効果と副作用の評価ということについては、引き続き注意深く検討していきたい」と語った。』

てな訳で、昨日も申し上げましたが、言っていること自体は最近の日銀執行部路線の継続(そらまあ企画局担当筆頭理事なんだからそれを引っくり返す発言はせんわな)ではあるのですが、それは別の言い方をすれば「リバーサルレート論」などの話に関しても依然として継続中、という事でもありまして、あのリバーサルレート云々はあまりにもキャッチー過ぎたので無駄に悪目立ちしてしまいましたので最近はトーンを抑え気味とは言え、先般の輪番で指値オペ+輪番増額をして一段トーンダウンをしてきたのか、と思わせる場面もあったのですが、その後またまた超長期後半の買入を100億円しらっと減らすというプレイに出ていまして、流れとして今の政策を(物価が勢いよく上がらない以上は)長続きさせないといけなくて、延命措置を講じるには少なくとも量の方で物理的に限界を招き寄せて大爆発とならないようにするのは必須ですから、そうなると物理的にはストック効果が効いてきて買入少なくしても金利は維持されやすいという整理になりますので、買入のフローは減らせるもんなら減らす(ただしオーバーシュート型コミットメントやっているし、量的質的金融緩和というお題目も残っているので買入残高は拡大しないといけない)ことによって、少なくとも物理的な限界を手前に寄せないようにする、という考えがきっちりと残っていることは先月末の超長期輪番減額で把握できました。

なおYCCとマイナス金利によって金融機関の体力を削いで行っているので、そういう観点からするといわゆるリバーサルレートは上昇(と言っても良いですし、均衡イールドカーブに対して適正な規模の緩和、という意味での適正規模の水準が変わってくる、と言っても良さそう)しますが、こちらに関しては最終的に金融機関の方にしわ寄せをしてしまえば、そうは言っても今日の明日に金融機関が揃って規制資本足りなくなるとかそういう話では全然ございませんので、こっちはゴマの油と金融機関は絞れば絞るほど出るとの江戸時代の言葉(違)通りにもう少し粘れるでしょうな、ということだとは思いますが、とりあえずそちらに関しても買入が減った方が少しは正の効果になるでしょうから、そういう意味からするとちょっと今回ノイズが出たものの、ステルステーパリングの方向性とか、リバーサルレート的な発想というのは変わらないで進んでいる(ただし政策金利水準の変更のハードルは山のように高い)訳ですし、若田部さんがあの程度に妥協的で、3月1日の片岡さんの金懇も結局のところ追加緩和に対して、具体的な緩和策による政策効果の理論的バックボーンも弱いですし、そんなこんなで路線って別にハト化するでもなく、誤魔化し誤魔化し少なくとも量の方では大騒ぎにならない程度に収拾を進めていく、ということになるのではないでしょうか。


・昨日の黒田さんはさすがに反省して安全運転

ということで同じくロイターさんから。
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-speech-idJPKCN1GI0EC
2018年3月6日 / 14:30 /
黒田日銀総裁、市場の出口観測けん制 目標未達の緩和縮小を否定

『[東京 6日 ロイター] - 日銀の次期総裁候補に指名された黒田東彦・現総裁は6日午後、参院議院運営委員会で所信表明と質疑を行った。2日の衆院での所信聴取で、金融緩和を縮小する出口戦略を2019年度ごろに「検討していることは間違いない」とした発言について、19年度に直ちに出口を迎えるわけではないなどと説明。実際の出口局面では経済や金融情勢に悪影響が出ないよう、慎重に進めていく考えも示した。』(上記URL先より、以下同様)

そらそうよという感じですが、

『また、物価2%目標の実現に自信を示しながらも、現状は「かなり距離がある」との認識を示し、目標未達の段階で緩和を弱めることは「考えられない」と語った。』

結局ですな、これ先日も申し上げたように、当初の置物リフレ理論で「金融政策単体でMB増やして強力なコミットメントを実施すれば2年で2%なんぞ楽勝」というのがあって、「金融政策単体」というのと「早期に達成可能」という、従来の日銀にはなかった宣言が後後まで問題になっている訳でして、このニュース記事やブルームバーグ(あとでURL貼ります)の記事では出てなくて残念なのですが、ニュースワイヤーのヘッドラインを昨日見ていた限りにおいては、今回の所信聴取で「金融政策単体で2%達成するわけではない」というような発言があったように見えたのですけれども、そこってもっと強調してニュースにされるべきじゃないかと思うのですよね。

でもって今回の2019年度云々の話だって、「早期に達成する」というのがあって、しかもだいぶトーンダウンしたとはいえ、結局のところ「金融政策で責任を持って達成」という建付けそのものは相変わらず変わっていないようになっているし、黒田さんもそういう話をしている(今回の所信表明でもそういう話になっていた筈)ので、そうなると日銀としてはどうしても「中期の経済物価見通しを出している期間中に2%達成しないという図は出しにくい」という事になってしまいますし、そうなると見通しとして怪しい上に実際も全然成果出ていなくても〇〇年度に2%達成自信ニキとならざるを得なくなるから必然的に今回のような話になる。

そして2019年度に2%達成なのに出口政策との整合性を問われると急に「かなり距離がある」と説明しないと行けなくなる訳でして、ここの所の話に無理があるのは置物リフレ理論の2年で達成というのが悪い訳でして、まずはここをどうやって誤魔化すかが今後の課題になるでしょう。

一応ブルームバーグさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-06/P55KPH6S972O01
黒田総裁:物価2%を実現するまで適切な金融緩和を続けていく
日高正裕
2018年3月6日 14:14 JST 更新日時 2018年3月6日 17:55 JST

『金融緩和からの出口を巡る発言が円高を招いたことを受け、日本銀行の黒田東彦総裁は6日、参院議院運営委員会の所信聴取後の質疑で、「2019年度に直ちに出口を迎えると申し上げたわけではない」と述べ、自ら火消しを図った。黒田総裁は「2%の物価目標が19年度ごろ達成される可能性が高いというのが私どもの考え方」とした上で、「そういうことであれば、そのころには出口をどう進めていくか議論になっているだろうと申し上げただけ」だと説明した。』(上記URL先より)

最初からそういう話をしていると思うのですが、まあ先日も申し上げましたように、このあたりの関係をたぶん意図的に曖昧な形で説明して誤魔化して来ているから他市場が盛大に反応するような事が起こるんですよね。

あと、「目標未達の縮小は考えられない」なのはその通りなのですが、村全体が兵糧攻め状態になっておりまして蔵に残った兵糧米の数を勘定している債券村の村民一同といたしましては、「目標未達のままいつまでも政策が続く」「目標達成のメドもないのに状況が悪化して一段の追加緩和に追い込まれる」というのを懸念しているのですよね・・・・・・・・・・(涙)

でまあ本日の参院の議運って他が止まる中やるくらいだから雨宮さんと若田部さんの所信聴取だと思うのですが、若田部さんは提案芸人化しないで置物化しそうという風情ですので、今日の所は雨宮さんに注目したい(ご本人は注目されないでスルーされて欲しそうな気がしますが^^)というところではございまする。


〇中曾副総裁の1月の講演ですが読み物として面白い(のだが時間がないので続きは明日)

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2018/ko180302a.htm/
[Speech]
Germany and Japan
A Central Banker's Perspective on their Past and Future Relationship
Speech at the Dinner meeting hosted by Deutsche Bundesbank Regional Office in Berlin and Brandenburg

Hiroshi Nakaso
Deputy Governor of the Bank of Japan
January 9, 2018

図表を含む全文PDFはこちら
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2018/data/ko180302a1.pdf

卒業旅行キタコレと思いましたが講演は1月の頭なので、卒業旅行になるのか次期総裁になるのかは分からんという状態の時だったと思いますが、まあお話はどちらかというとまとめチックになっていますなという感じで(機会が機会だけにというのはありますけど)。

『Introduction』がドイツ語でおっぱじまるという中々お洒落な挨拶ではありますが、ドイツとの関係が云々の所は飛ばしまして・・・・・・・・・・・

・前川春雄さんの思い出

『II. Mr. Mayekawa's Extraordinary Experience』というのがまあご存知の方はご存知の話なのでしょうけれども面白かった。

『In the very early part of my career at the Bank of Japan, I worked for Mr. Haruo Mayekawa. He was a legendary central banker who served as the 24th Governor of the Bank of Japan, from 1979-84. He passed away in 1989 but is still remembered as the man who brought the Bank of Japan back into the international central banking community during the post-war era. His long international experience, which dated back to the prewar period, won the trust of his fellow central bankers. In October 1988, I had a chance to dine with Mr. Mayekawa and his wife at a traditional German restaurant in Berlin. He was invited as a special guest to the International Monetary Fund (IMF) Annual Meeting held here in Berlin that year. Over a good wine, he became a little more eloquent than usual and started to tell us the following story.』

ということで、中曾さん若かりし日(1988年だから30年前ですね)にベルリンで行われたIMFの年次総会に前川さん(元日銀総裁ですが、アタクシの年代だといわゆる「前川レポート」の方が印象に強いです)が特別ゲストとして呼ばれた際に、前川夫妻とディナーをする機会があって、その時にディナーとワインを楽しみながらお話しされた前川さんのお話は・・・・・・・・・・・

『Berlin was a special place, he began. The Bank of Japan, after its foundation in 1882, had established several overseas offices. In 1941, Mr. Mayekawa was assigned to the Bank of Japan's Rome Office. World War II had broken out. After the surrender of Italy, he moved to the Bank of Japan's Berlin Office, where he stayed until the final days of the war in Europe. He described to us what life was like in the bunkers of Berlin in those days.』

『Then, after the fall of Berlin, he fled via the Siberian Railway to Manchuria, a part of China under Japanese control at the time. From there he took a ship back to Japan. Had he decided to remain in Manchuria, he might have been caught up in the military offensive by the Soviet Union following its declaration of war on Japan in August 1945.』

お、おぅ・・・・・・・・・・

『When Mr. Mayekawa finally returned home and stood in his doorway, Mrs. Mayekawa told us, she was so surprised that she first looked to see whether he had feet -- because in Japan it is thought that ghosts do not have feet. She had assumed he was no longer alive, because he had been reported missing.』

アタクシのじいちゃん世代(歳がばれますかそうですか)の話なので辛うじてアタクシも似たような事例の話は聞いたりしました。

『Mr. Mayekawa is probably the only governor in the history of central banking who experienced three unconditional surrenders in wartime; in Italy, Germany, and then in Japan.』

おう・・・・・・・

『At the restaurant, looking at the colorful and prosperous lights of the Kurfurstendamm, he concluded his story by telling us how much he cherished peace and how much he thought sound economic development mattered.』

ですなあ・・・・・・(ちなみにKurfurstendammのuはウムラウトが付きます)。


ということで続きは明日(汗)。







2018/03/06

お題「他にネタがあった気がするが副総裁候補の所信表明聴取ネタで時間が無くなってしまいました(超大汗)」

https://jp.reuters.com/article/ryan-no-limit-idJPKBN1GH324
2018年3月6日 / 05:39 /
ライアン米下院議長、政権に鉄鋼・アルミ輸入制限控えるよう呼び掛け

というような流れでやっぱ無茶ぶりしないじゃん→リスクオンアゲインってことになっているようでして、これはつまりトランプ大先生がオリジナルに何かやると碌なことにならんので口だけ番長だけやっとけという事ですな。

〇副総裁候補の国会所信表明聴取はあんまりハトハトしなかったですなあ

いやまあ従来路線だから当たり前ちゃあ当たり前なのですが、もうちょっとハト派チックにでてくるのかと思ったら平常運転っぽくてつまらん(無責任)。

・若田部さん

まずはロイター記事
https://jp.reuters.com/article/boj-wakatabe-idJPKBN1GH0LW
2018年3月5日 / 15:18 /
金融政策に限界ない、時期尚早な調整ならデフレ逆戻り=若田部・日銀副総裁候補

『[東京 5日 ロイター] - 日銀の次期副総裁候補に指名された若田部昌澄・早大教授は5日午後、衆院議院運営委員会における所信表明で「時期尚早な政策変更で、デフレに後戻りするリスクを避けなければいけない」と述べ、金利目標の早期引き上げなど緩和縮小方向への政策変更をけん制した。』(上記URL先より、以下同様)

それはいいんだがこんなハチャメチャな政策5年やってまだデフレに逆戻りするリスクを避けないといけないとかいう状況にしかなっていない、という現在の金融政策の評価についてお伺いしたい。

『次期総裁候補に指名されている黒田東彦総裁は2日の所信表明で、物価が日銀見通し通り2019年度に目標の2%に達成すれば、金融緩和からの出口戦略を議論していると発言した。これに対して若田部氏は「出口には2%目標の安定的な達成が必要。目標達成以前の出口戦略発動はありえない。達成直後の出口もありえない」と、早期の緩和縮小観測をけん制した。』

置物リフレ一派って金融政策効果のタイムラグってのを知らんのかと小一時間問い詰めたい訳で、長きにわたってゼロ近傍だった物価を「年2%程度まで押し上げるような強力な金融緩和政策」を実施しているのであれば、金融政策の効果発動までのタイムラグを考えたら、ビハインド・ザ・カーブで金融政策の出口に出たらその時はインフレが高進しているので今度は威勢よく引き締めないといけない、という事になる訳です。つまり、金融政策によって2%への「引き上げ」を行うような「強力な金融緩和」をやっている以上、2%の物価目標達成後は残念ながら安定はしないで、その強力な金融緩和の効果によってインフレが高進していないとおかしいので、「安定的に達成したあとに出口」というのはそもそも理屈としておかしいし、よく置物リフレ一派が「物価が上がってきたらインフレ目標があるから止まるし政策でも止める」と言ってますが、そんなことをしたら今度はオーバーキルが発生しやすくなって元に戻る、となるからFEDはビハインドにならないように正常化みたいな話をしているのであって、上振れしてもインフレ目標があるからへーきへーきというのはナイーブにも程がある机上の空論なので、出口が物価目標達成後とかいうのは「それだけ強力な金融緩和政策をやっている以上」議論としては危うい筈、ということになりますわな。


・・・・・・・とは言いましても、現実問題としてゼロ金利制約に陥って、おまけに潜在成長力も弱く、ここまでの段階で「未来の需要を前倒しする」という金融緩和政策の効果を散々使い切ってしまい、金融緩和しても実体経済には時間稼ぎ程度しか効かず、効くのは資産価格ですかなあみたいな状態になっているのであれば、物価目標達成に向けた動きというのは時間が掛かる話であって、その場合は、今の日銀シナリオにあるようなどこかの閾値で金融緩和効果がドカンと出て物価上昇加速(としないと展望レポートの数字が整合性取れない)というような美しい絵は期待できないのですが、その一方で超金融緩和政策が、資産価格は別としても実体の物価面に及ぼす影響は「マイナスじゃないけど大したパワーもありませんなあ」であったとすれば、別に慌てて金融緩和政策の程度を大いに調整するような必要は1ミリも存在しないという事になりますが、その場合はそもそも今の金融政策の効果が限定的で、物価上昇への環境整備はできるけど物価上昇のドライバーとして金融政策がワークしている訳ではないので、元々置物一派大先生が提唱していた2倍のMB拡大で2年で2%達成、というのが絵空事でありましたというお話になるので、そこの反省とレビューを欠いた説明をされてもヘソが茶を沸かすってなもんですな。


『<国債、まだ6割残っている>

若田部氏は、大胆な金融緩和を経済政策の根幹として重視するリフレ派の代表的な論客。これまでもメディアでのインタビューなどを通じて、年間40─50兆円程度(残額ベース)に減少している日銀の国債買い入れを90兆円程度に増やすべき、などと提言してきた経緯がある。』

ということでこの「国債、まだ6割残っている」というのがベンダーのヘッドラインに出た瞬間に金利市場の皆様におかれましては、(置物リフレ一派だからそう来るのは想像するに難くないとは言え)あーあ言っちゃったよと汚いものでも見るような目つきになられたのではないかと存じます。

『日銀が5年間にわたり巨額の国債買い入れを続けたことで、日銀はすでに国債の4割を保有しているが、
若田部氏は「金融政策に限界はない」と明言。「日銀が買うことの出来る国債は、考え方によってはまだ6割残っている」と指摘し、「金融政策の持続性には問題はない」「金融政策には限界がない」との見解を強調した。』

持続性に問題が起きそうになったから80兆円の買入減らしたんですけどねえという所でして、まあこう出るだろうなあというのは予想されましたが、改めて言われるとまた馬さん鹿さんが来やがったかとゆー所ではあります。


念のためブルームバーグも
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-05/P53AWD6TTDS301
若田部氏:時期尚早な政策変更は回避−必要なら追加緩和の提案も
日高正裕
2018年3月5日 14:42 JST 更新日時 2018年3月5日 17:21 JST

『若田部氏は「時期尚早に政策を変更してデフレに逆戻りするリスクは避けないといけない。デフレからの完全脱却を達成するために日銀はあらゆる政策を駆使すべきだ」と言明。「金融政策には基本的に限界がない」との認識も示した。一方で、追加緩和について「必要であれば検討すると言っており、追加緩和ありきで議論しているわけではない」とも述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、まあ同じような報道ですが(って元ネタが同じなんだから同じだわな)、さっきのロイターさんにも(引用してないけど)ありましたけど、追加緩和に関してはベンダーヘッドラインなどには仰々しく追加緩和の文言が踊っていますが、ゆうて所詮は「必要であれば検討」なのであって、政策が無限に実行できて出口政策時期尚早っていう位の状態だったら今すぐ追加緩和提案しろやゴルァという所なのにも関わらず、「必要であれば」とか日和見オブ日和見発言をしている時点で、提案芸人化するよりはむしろ置物一直線といった風情でして、今の置物は功成り名を遂げて(マイナスの功と晩節をすっかり汚した気がように見えるのは気のせいです^^)置物化しているのでそれはそれで良いのですが、まだお若い大先生が今から床の間の博多人形ケースに収まってしまってどうするんだろうなあとは思います(棒読み)。

でまあ一々サルベージしてくるブルームバーグ日高さんって素敵なのですが同ニュースには、

『昨年12月のインタビューでは、2019年10月の消費税10%への引き上げを考慮した場合、追加緩和が必要だとの見解を示していた。具体的な緩和策としては、年間80兆円をめどとする長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の90兆円への引き上げや物価上昇目標の2%から3%への変更を挙げた。』

ってございますが、そもそも2%行ってないし達成時期を散々先送りしているのにそれを3%にして何の意味が発生するのかという話で、ブランシャール辺りが提唱する物価目標の引き上げって、プライスレベルターゲット的な考え方もありますが、政策の技術論として考えた場合、緩和政策のフォワードガイダンスを後ろに倒して緩和効果を出しましょうというものでありますが、それはそもそも論として物価目標達成が実感を持ってイメージするようなステージに経済物価情勢があるから意味があるのであって、そもそもが2%の到達時期をズルズル先送りしているような状況で2%を3%にしても、それはまんねん赤点の生徒が急に東大現役合格とか言い出すようなもんでして、ガイダンスの強化にならないどころかうっかりするとクレディビリティの喪失に繋がりますがなというだけのお話なのですが、まあその程度の話しかできない状態で追加緩和をどうのこうの言ってもそれは落語にもなっていないというお話な訳ですな。80兆円→90兆円とかああそうですか以外の評価のしようがないし。


・・・・・・・・とまあそういう訳でして、若田部先生だいたい想像はついていましたが、やはりそんなもんですかという感じで、最初から大暴れというわけではないようです。


・雨宮さん

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-05/P53BY56K50ZF01
雨宮日銀理事:現行の金融政策だけで全てが実現するわけではない
日高正裕
2018年3月5日 14:52 JST 更新日時 2018年3月5日 17:56 JST

→効果と副作用の比較考量必要−不老不死の薬ない限り全てに限界ある
→金利安定させながら出口調整は十分可能−出口の手段は持っている

ということですので、まあ結果からしたら寧ろ若田部さんどうでも良くて雨宮さんの方が圧倒的に重要なので、今だとネット版のほうではどちらも若田部さんの話の方がどどーんと出ていて、雨宮さんの方はブルームバーグの方だと見れますがロイターだと見つからん、という事になっていますが、若田部さんの置物的発言が目立つという結果から見たらこっちの方がどう見ても重要。

でもって最初の所で上記のように副作用との考量の話とか、出口の話とかしらっとありますように・・・・・・

『日本銀行の副総裁候補の雨宮正佳理事は5日、衆院議院運営委員会の所信聴取とその後の質疑で、「日本経済は物価2%実現に向け着実に歩みを進めている」とする一方で、一つの政策だけで全ての目標が実現するわけではないと述べ、現行の金融政策の「効果と副作用の比較考量」が必要との認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)

>一つの政策だけで全ての目標が実現するわけではない
>一つの政策だけで全ての目標が実現するわけではない
>一つの政策だけで全ての目標が実現するわけではない

ほほう。

『先に答弁した副総裁候補の若田部昌澄早稲田大学教授が「金融政策には基本的に限界がない」との認識を示したのに対し、雨宮氏は「不老不死の薬がない限り、世の中の現象、政策、やることすべては限界がある」と言明。「経済や物価という現象の複雑さ」を考えると、「単純にある政策だけで全てのことが実現できるわけではないと改めて認識している」と語った。』

>単純にある政策だけで全てのことが実現できるわけではないと改めて認識している
>単純にある政策だけで全てのことが実現できるわけではないと改めて認識している
>単純にある政策だけで全てのことが実現できるわけではないと改めて認識している

ほほう。

『雨宮氏は、長短金利操作付き量的・質的緩和について「効果、副作用、出口を含め検討課題は多岐にわたる」と指摘。マイナス金利を含む超低金利政策の副作用については「金融機関に負担をかけていることは十分に認識している」としながらも、「全体として金融仲介機能が損なわれている状況には至っていない」と述べた。ただ副作用は累積的に積み上がるとし、「十分に注意深く検討していきたい」と語った。』

まーここは従来の日銀の話と同じではあるのですが、そうは言いましてもこれはリバーサルレート論などの一連の流れに通じる話をキャッチーな言葉を入れずにしらっと打ち込んでいるものでありますので、これはこれで雨宮さん中々いうじゃないですかという感じではある。

『副総裁としての役割にも言及し、冒頭の所信表明で「経験と知見を生かし全力で総裁を支える」と発言した。質疑でも、漢から元時代の中国の官名「諌議(かんぎ)大夫」を引用し、天子に物言う役割を担い、「総裁を補佐しつつ、自分の意見を持って議論を活発化したい」と強調した。』

>天子に物言う役割
>天子に物言う役割
>天子に物言う役割

でもって「自分の意見を持って議論を活発化したい」と来ていますので、若田部さんの陰に隠れてあまりベンダーネタになっていませんが、福井の俊ちゃんの狸金融政策の姿が何となく目に浮かんだような浮かばなかったような。


〇とかなんとか書いていたら時間が無くなったのだがメモだけおいとく

http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/2018/20180302.html
黒田総裁の出口発言の意図
2018年03月02日

毎度の木内さんの論評がございました。でもって木内さんの論評とはちと関係ないかもしれませんけれども、ブルームバーグさんがブルームバーグテレビで英語でやっている海外のニュース報道だと、相変わらず「黒田日銀は海外中銀が今作っている「出口への行列」に加わってくるようだ」というような感じのニュアンスのヘッドラインで放送されていたりするようなので、まあご参考ということで。





2018/03/05

お題「黒田さん国会であちゃーだが致し方ない面もあって/片岡さん金懇は質問が面白い」

ほほう。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018030401001838.html
村田内野手、BC栃木に入団へ 巨人から自由契約
2018年3月4日 23時16分

どうしたこうなった感は拭えないがとりあえず決まりましたな。


〇黒田総裁衆議院所信表明でキタコレの巻

金曜日の黒田総裁の衆議院所信表明および聴取(ちなみに行われるのは議院運営委員会)でございますが、皆様ご案内の通りのオモシロ発言が登場して久々に債先が40銭安とかを瞬間見るようなオモシロ相場をやって、ここ2週間くらいの上げをお返しする、というプレーをやっていただきました。

・債券市場の反応

まずは市場の反応から(と言ってもロイターさんから)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1QK2WO
2018年3月2日 / 15:41
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が急反落、日銀総裁発言で出口論警戒 長期金利一時3週ぶり0.080%

『<15:27> 国債先物が急反落、日銀総裁発言で出口論警戒 長期金利一時3週ぶり0.080%

国債先物中心限月3月限は前日比24銭安の150円71銭と急反落で引けた。前日の米国市場がリスク回避となった流れを引き継いで朝方から買いが先行。中期・長期を対象にした日銀の国債買い入れで需給引き締まりを反映した結果となったことを受けて、一時151円15銭と中心限月ベースで昨年11月22日以来の水準に上昇した。もっとも、急激な相場上昇に対する警戒感が意識される中、引けにかけて投機筋の売りをきっかけに急落し、一時150円55銭と2月15日以来、約2週ぶりの水準に下落した。

急落のきっかけとなったのは、日銀の黒田東彦総裁の発言。黒田総裁は、衆院議院運営委員会で所信の表明と質疑の中で、金融緩和を縮小するいわゆる出口政策については、現時点で見通している「2019年度ごろ」に物価が目標とする2%に達すれば、「出口を検討、議論していくことは間違いない」と述べた。

市場では「黒田総裁の発言は目新しい内容ではなかったが、いったん沈静化していた出口論への警戒感が浮上。投機筋の売り材料に使われたようだ」(国内金融機関の債券担当者)との見方が出ている。

現物市場はこれまで買われてきた長期・超長期ゾーンを中心に軟調。一時0.040%まで低下していた10年最長期国債利回り(長期金利)は、日銀総裁発言を受けて0.080%と2月8日以来3週ぶりの水準まで上昇した。』(上記URL先より)

ということで10年8bpはご愛嬌としましても、実は債券の方はその後冷静になってイブニングとかで戻したのですが、問題は為替とか株価ちゃんの方が逝ったきりになってカムバックしてくれないところでして、あちゃーという風情ではありまする。株は105円台に突入しちゃいました(それまで106円カツカツでずっと粘っていたというか動いてなかった)。



・発言をめぐる報道を確認

でまあネタになったのはご案内のこれ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-02/P4Y43X6JTSE801
黒田日銀総裁:19年度ごろに出口を検討していること間違いない
日高正裕
2018年3月2日 13:25 JST 更新日時 2018年3月2日 17:45 JST

これ最初のが13:25になっていますが、実際にこのヘッドラインに該当する部分がでたのって14:40前後だったと思うのですが(日本語ので最初ちょっと反応してそのうちどうも英語のが出たみたいで反応した)、この国会での答弁って発言を一々切り取ってヘッドラインにするもんだから、最初の方から「急いで2%に達しないといけないわけではない」「物価目標は早期に達成したい」という感じで、バラバラのパーツで出てくるら、これが黒田さんの国会答弁のヘッドラインじゃなかったらはいはいおじいちゃん満州の話はさっきしたでしょお薬のお時間ですよ状態だったりしていたのよ。

でね、その中で「今の政策は効果がある」とか「2%達成は2019年後ごろになる可能性が高いと確信している」とかいうようなヘッドラインもその前に出ていましたので、そら2019年度に2%達成するなら出口政策はそこで検討しないとおかしいだろ、ということでこの発言自体は政策の枠組みにビルトインされているものなので(言い方の工夫のしようはあったかも知れないけど)出てくるのはまったくもって順当な訳ですよ。

ブルームバーグの上記記事URL先より。

『日本銀行の黒田東彦総裁は2日、再任に向けた衆院議院運営委員会での所信聴取後の質疑で、物価目標2%の達成時期について「2019年度ごろには2%に達成する可能性が高いと確信している」と述べるとともに、19年度ごろに出口を検討していることは間違いないとの見通しを示した。』(上記URL先より、以下同様)

『黒田総裁は「現時点では私も含め政策委員は19年度ごろ2%程度に達するとみている」とし、「当然のことながら、出口というものをそのころ検討し、議論しているということは間違いない」と語った。日銀は1月の経済・物価情勢の展望で物価が「2%程度に達する時期は、19年度ごろになる可能性が高い」としている。』

とまあこういう流れなら(あとでロイターが記事だしているのも参照しませう、まあ最終的にはこの辺のやりとりは国会会議録で出てきますので最終的には会議録も見ましょう)趣旨としては順当な発言であったりするのですが、まあこういう言い方は今まで避けてきたのでちと黒田さんお疲れかな、というのは正直思う。

『一方で、「今の時点で出口戦略をうんぬんすると、市場を混乱させる恐れもある」と述べ、「出口に差し掛かったところで、出口戦略についての議論を始め、必要な市場とのコミュニケーションを図っていくことになる」との認識を示した。』

とあって平常運転ではありますけど、ということでロイターさんから。

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1QK37R
2018年3月2日 / 17:52
WRAPUP 1-物価2%「総仕上げ」に全力、必要なら追加緩和=黒田日銀総裁

ちなみに確かに必要なら追加緩和という発言もあるのですが、ブルームバーグの記事で動いてクヤシイということでこちらを強調するのも如何なものかという感じでして、追加緩和するにしたって目くらまし手段ですらやることなさそうな感じという状況なのに何をせえちゅうねんと思うのでして、黒田総裁の国会発言をタカ派登場とかいってヒャッハーするのは早とちりにもほどがあって、ヘッドライン詐欺につられるまた〇〇か!というのはあるのですが、かといってそこを否定するあまりに追加緩和の所を注目するのはこれまたトンチキにも程がある話なので、「従来路線は元々こういうもので、何でこんなややこしいことになっているのかという根本を考えた方が良いのですな」という風には思いますです、はい。

ではロイターさんの詳報を確認。

『*「2019年度ごろ」に物価が目標とする2%に達すれば、「出口を検討、議論していくことは間違いない」と述べた部分について、具体的な質問と答えは、以下の通り。』(上記ロイター記事URL先より、以下同様)

『 質問:2期目の役割は出口でないか、いつ検討するのか。

黒田総裁:2019年度ごろには、2%程度に達すると物価の動向をみているので、当然ながら、出口というものをそのころ、検討、議論していることは間違いないと思う。ただ、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価は小幅のプラスにとどまっており、今の時点で出口戦略を云々すると、市場を混乱させるおそれもあり、あくまで出口に差し掛かったところで出口戦略についての議論を進め、市場とのコミュニケーションを図っていくことになると思う。』

『質問:そうであれば、今までの話も物価上昇率2%達成時点が、出口戦略に入るということか。

黒田総裁:長短金利操作付き量的・質的金融緩和(YCC)を2016年9月に導入したが、1つは長短金利操作ということで現時点では短期金利をマイナス0.1%、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の下で、毎回の金融政策決定会合で2%の物価安定目標に向けたモメンタムが維持されているかどうか、よく点検していくことになっている。もう1つが実際の物価上昇率が2%を安定的に維持するようになるまで、マネタリーベースの拡大を続けると言っている。マネタリーベースの拡大が続くという意味では、2%になって、それがある程度、安定的に続かない限り、マネタリーベースの拡大は続く。

ただ、YCCは毎回の金融政策決定会合でモメンタムが維持されているかどうかをみて検討されるので、より弾力的になっている。このため、すべてのことがマイナス0.1%の政策金利やゼロ%程度の10年物国債の操作目標がずっと2%が実現されるまで一切、変わらないといっているわけではない。 ただ、そういうこともあり得るかも知れない。そこは毎回の金融政決定会合で議論することになっている。』

ということで、現状の展望レポートで示した経済物価見通しと今の政策の枠組みを整合的に説明すると明らかにこのような説明になるのであって、そもそもおかしい話をしている訳ではない、ということになりますね。


・そもそもこれは今の枠組みからしたら順当ではあるのですが・・・・・・・・・・・・

えーっとですな、さっきから何回か申し上げておりますように、この黒田さんの発言って今の政策枠組みと今の日銀の中心的な見通し(展望レポートの鏡にある見通し)を合算すれば何らおかしい話をしている訳ではなく、寧ろこれで反応する方が勉強不足にも程があるわという話ではあるのですよ。

つまり、「今の政策は盛大に効果を発揮する強力な金融緩和なので2019年度には物価の水準は2%に達成しまずぜウェーッハッハhッハ」という説明であるならば、政策が強力なだけに2%達成が視野に入ったところでは政策の何らかの調整を行わないと強力な金融政策のパワーで物価が上に爆発してしまうので、そうならないようにYCCの水準調整を行うような出口的な調整が必要になる、ただしオーバーシュート型コミットメントをしているからMBの前年比は2%達成後しばらくはプラス傾向で推移させるので、そうなりますとYCCでの調整はその時の物価上昇の角度にもよりますけれども行わないといけませんよね、というのはロジカルに考えたらどう見たってそうなるのですよ。

ただし、通常の総裁記者会見というのは同じ記者が何度も食い下がって質問するというわけにもいかない上に、ECBやFRBの会見のように記者が前の質問のフォローとして別の記者にバトンタッチしながらツッコミを繰り替えずというのが中々見られないという残念なクオリティがあり、そのうえもっとケシカランことに黒田総裁が政策の中にあるこのあたりの矛盾に関しての質問に対しては端から回答をしようとしない、という不誠実な態度で一貫しているので、残念ながら総裁会見でこのようなまとまった説明が行われないのですな。

そのため、普段から日銀の事を一々気にして文書など読み込んでおります限界集落市場で息も絶え絶えになって居りますところの円債市場の生き残りの古老の皆様であれば文書を読み込んでこういう仕組みですよねというのは分かっていても、他市場の皆さんがそこまで理解している訳でもなく、というよりむしろ日銀ってその辺の説明を対外的に誤魔化し誤魔化しで来ている面が多々あって、だからこそ「円債村としては別に反応するネタでも何でもないのに他市場が盛大に反応しちゃう輪番オペ」とかそういうことが発生しちゃうわけですよ。


・そもそも誤魔化し誤魔化しでここまで引っ張っているのでこういうミスコミュニケーションが起きる

まあ何ですな、今回の例によって例のごとく某B社のヘッドライン詐欺とか文句を垂れるのも分かるのですけれども、そもそも論から言えば黒田さんの説明って今の政策枠組みをゴリゴリとロジカルに詰めるとさっきのような答えになるはずなのであって、じゃあ普段何でそういう話にならないのか、といえば会見では記者さんがどうのこうの言う前に(もうちょっと何とかしてほしいとは思うけど)黒田さんが端からまともに答えてくれないから、今回の国会のような展開になりえないですが、さすがに相手が国会となりますと、質問者が答えに応じてさらに質問をしてきますし、記者会見みたいな答えをしていたら国会軽視と言われてこれまた大問題(そういえばQQE2の時に直前の国会発言(追加緩和する気は全然ないみたいな国会発言しておいて舌の根も乾かぬうちに追加緩和)に関して後から国会軽視とゴリゴリと詰められましたな)になるでしょうから、ロジカルに詰められてロジカルに答えるとこうなるのよ。

でもってですね、元々置物リフレ理論に則ってQQEを打ち込んでみたものの、一瞬消費増税駆け込みやその前の財政で行ったように見えたけれども実際はあのテイタラクだった訳で、つまりは「置物リフレ理論で2年で2%というのは幻想だった」というのが明らかになって、「今の政策は物価や期待インフレを上げるのに対して必ずしも強力は政策ではない」、「一方で物価目標達成に向けては金融緩和政策は必要」、「つまり物価目標達成については早くできるに越したことはないけど時間が掛かりそう」、「だからYCC政策を使って低金利環境を長期間に渡って継続できる(マイナス金利やっているのと設定している金利水準に問題があるので長期間できないんだがそれはさておく)ようにする」という風に、総括検証の時に「ゴメンナサイ」をすれば最初の国会答弁のようなことはおきなくて、「2%達成は今の所2019年度中を見込みにしているけど完全に確信しているかといえばそうでもないので、出口政策についてどうのこうのというのはちょっと先の話ですねえ」で話が終われるはずなんですが、「早期達成」だの「今の強力な金融緩和により金融政策で達成」みたいな置物リフレ理論の残骸があるから、こういうことになるのですよね。

もちろん、鳴り物入りで投下した置物リフレ理論は机上の空論で現実に即した政策じゃありませんでしたゴメンナサイ、というのは大人の事情というのがあって引くに引けない、というのがあるのも承知しておりますが、しかしながらここの所をきちんと整理しないといつまでたっても政策枠組みの中に無理と矛盾を抱えながら走っていかなければならないことになりますので、この辺の整理は副総裁候補のカカシじゃないお方の力量を期待したいところではあります、ってかそうしないと5年持たんと思うのだが。



〇片岡審議委員金懇会見はまさかの「質問の方が面白い」という前代未聞のデビュー戦

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180302a.pdf

これは久々にいいもん見せてもらいました。時間30分で最初の幹事社質問に対する答えで2ページと3分の1まで来ているのでなんじゃこりゃ(なおあまり質疑がニュースヘッドラインになっていなかったのですが見たら納得)という感じでしたが。


・これは無慈悲な質問wwww

『(問) 講演では、予想インフレ率が上昇していないということを言われ、4 つの波及経路を示されていました。一方で追加緩和の話をされて、更に金利を下げることによって設備投資や住宅投資を促すということですが、現状では企業は潤沢な資金を持っています。このため金利は問題ではなく、需要があれば積極的な設備投資をするでしょう。住宅投資に関しても、金利が下がればメリットはあると思います。しかし、我々消費者からみると、将来の雇用不安というか、所得等が恒常的に上がらない限りは、金利が下がっても追加的な効果があるのか分かりません。この点をお伺いしたいと思います。』

金利が下がったら何で設備投資や住宅投資が出るんですか??というメカニズムの根本に迫る!!!

『(答) 私自身は、決定会合のステートメントや主な意見にも記載されている通り、かつ本日の懇談会でもお話しをさせて頂いた通り、10 年以上の幅広い国 債金利の一段の引き下げと、コミットメント強化の必要性を申し上げています。ご質問の点については、追加緩和策として、金利を下げることに加えて、日本銀行が 2%の「物価安定の目標」に向けて明確な意思表示をしていくことも相俟って、緩和効果が発揮されると考えています。』

????

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180301a2.pdf
今回の金懇の図表集

『図表6 金融緩和策の物価への波及経路 』の絵だとコミットメントの強化は設備投資が出るのとは別のルートでの話に見えますが・・・・・・・・・・・・・・

『懇談会でも申し上げましたが、10 年以上の国債金利の幅広い引き下げは、設備投資や住宅投資を刺激すると考えています。』

だからそれは何故と聞いているんだが。

『また、政府は、賃上げ等 に前向きな企業を税制面から支援することを決めていますので、こうした財政政策との相乗効果も期待されます。』

追加緩和と関係ないですが。

『これらは、需給ギャップの改善を通じて、 物価上昇率を押し上げることになります。それが懇談会でも申し上げた 4 つの 波及経路に繋がっていきます。』

と。全く答えになっていないのですが、さらにダメ押しのように答えが続きます。

『コミットメントの強化については、2%の「物価安定の目標」への信 認を強めることを通じて、予想インフレ率の上昇につながると考えています。 もう少し具体的に申し上げると、予想インフレ率が上昇すると、実質金利――これは名目金利から予想インフレ率を差し引いたものですが――が低下しま すので、金融緩和の効果が一段と強まり、それが現実の物価上昇率を押し上げ て、適合的な期待形成を通じて予想インフレ率が更に押し上げられるという形で相乗的に物価上昇圧力が強まると考えています。2%の「物価安定の目標」 の達成は途半ばですが、その過程で生じている好循環の勢いを更に強め、「物 価安定の目標」の早期達成を通じて、失われた 20 年から完全に決別することが求められています。そのために、私も含む政策委員の皆で全力を尽くしていきたいと考えています。』

完全に質問と違う演説を始めるとか金懇実質最初の質疑からこれでは頭が痛い。


・対案出せやゴルァ

この会見は無慈悲な質問を鑑賞するのが見どころではあります。ということで次。

『(問) 先程、追加緩和のお話がありましたが、確かに今回の講演にもありますし、これまでの会合でもおっしゃっているとおり、現行の政策には反対され ています。一方、決定会合では、対案という形では、こういった考えはお示しになっていませんが、これはどういう意図があるのでしょうか。具体的なアクションを示すことは、反対する時に必要かと思います。今後そういう対案をご 提示するお考えがあるのかどうかを、可能性も含めてお伺いします。 』

「これはどういう意図があるのでしょうか」とは無慈悲にもほどがあるwwwww

『(答) 私自身は、審議委員として足許の経済動向を虚心坦懐にみながら、今 必要な金融政策はどうあるべきかについて、政策提言も含めて議論していくのが最大のミッションだと思っています。こうした中で、現状は、対案を出さず に現行の政策について反対という形で意思表明をしているということです。』

???????

『今後については、具体的な話をこの場で申し上げるのは差し控えたいと思います。いずれにしても、毎回の決定会合までの経済・物価・金融情勢を 十分に見極めたうえで、今後の決定会合に臨んでまいりたいと考えています。』

要するに具体案立ててもその案だと物価上昇が加速するという説得的な説明ができないし、フィージブルな提案をする能力もないんでしょ。


・これまたひどい筆問(褒めている)

次。

『(問) 今後の政策提案についてですが、9 票のうちどうやって 5 票取るかに ついてのストラテジーを教えて下さい。具体的には、副総裁に今度、若田部教 授が来られますが、これをどうチャンスと捉えられているのか、お話し頂ける範囲でお願いします。』

「9 票のうちどうやって 5 票取るかに ついてのストラテジーを教えて下さい」に吹いた。

『2 点目は、追加緩和の手段についてですが、今日の懇談会でも、今のところは 10年よりも長いところを潰すのが最適というご判断だと思いますが、 例えば若田部教授は「量」にフォーカスされていますし、より経済の状況が厳 しい時には、色々な手段が考えられるのではないかと思います。浜田教授も最近、外債に触れていらっしゃいますし、どういう選択肢があるのかお伺いします。』

何故か知らんのですが、PDFからコピペしてくると「最」の字が認識されないで文字化けすらせずに飛ばされてしまうのですが何の仕様ですか???(引用時に補完していますが補完できてなかったらすいません)

『(答) 1 点目のご質問は、先程のお話とも関連しますが、私自身は、色々な 専門分野やバックボーンを備えた政策委員が、足許の情勢を踏まえて最適な金融政策を考えて、金融政策決定会合で議論するというのが金融政策のあり方だと思っています。そういう意味では、それ以上のことをするよりは、むしろ自らの政策判断を磨くことの方が重要だと理解しています。』

いやはや。

『 2 点目の人事につきましては、日本銀行法でも定められていますが、政府・国会で判断されることだと思いますので、私から申し上げることはござ いません。それから政策の選択肢については、今後の経済・物価・金融情勢を踏まえながら、その時々の最適な金融政策を提案ないしは議論していくことを、これまでと変わらず続けていくことが重要だと思っています。』

追加緩和の手段の質問なのに「人事につきましては」ってどんな返しだよ。


・容赦ありません

『(問) 初の質問とも関連しますが、10 年以上の国債金利を下げるべきだと いうのは、具体的にどれくらい下げることを想定しているのでしょうか。また、それによる効果として、19 年度頃までに 2%にいくと想定しているのでしょうか。』

もうやめて差し上げろwwwwwww

『(答) どれくらい下げればいいと考えているかについて、ここで申し上げる のは適当ではないと判断しています。』

分からないんでしょ?

『19 年度までに 2%という点については、 展望レポートの中で、私を含む政策委員の大勢見通しですので、これが後ずれするような状況はできれば避けたい、というのが、私自身が考えていることで す。そうした前提のもとでお考え頂ければ、今、私が主張していることがどのような意味合いを持つか、ご理解頂けると思います。 』

理解できません。


・置物リフレ理論破れたりに関しては・・・・・・・・

『(問) 先程の質問と関連しますが、若田部教授についてお伺いします。若田 部教授も財政・金融の緩和に積極的な方だと思いますが、お考えとしては片岡委員に近いという気がします。今回、副総裁に指名され、実際就任された場合 には、どんなところに期待されているでしょうか。』

まあこっちはさっきと同じ質問なので。

『 また、黒田総裁も再任される見通しですけれども、この 5 年間を振り返って、2%の目標を達成できなかったことについて、どのようにお考えかお 聞かせ下さい。 』


『(答) 初のご質問ですが、仮定のお話にはお答えできませんので、ご理解 頂きたいと思います。』

これは仕方ない。

『 2013 年以降の 5 年間の日本銀行の政策については、懇談会でも申し上げたように、日本の物価状況は、15 年近くデフレが続いた後、デフレではない 状況を作り出すことが今のところできているという意味で、成果はあったと思います。ただ、懇談会でも繰り返し申し上げている通り、まだ物価が 2%に到達し、安定化する段階ではないという意味においては、途半ばの状況にありま す。このため、今後も、私自身、日本銀行が 2%の「物価安定の目標」を達成・維持できるように全力を尽くして、色々な議論を進めていくための一翼を担えればと考えています。』

道半ばなんじゃなくて最初の目論見通りに行っていないのに対する反省はまあ予想通りありませんな。


・ここまで順調だったが一部惜しい部分のある質問

『(問) 講演では、16 年 9 月までの量的・質的金融緩和のもとでは、需給ギャップと物価上昇率の関係を示したフィリップスカーブが、それなりに急角度で右 肩上がりになっていたが、長短金利操作導入以降は、寝てしまって、フラット に近い状況になっていると示して、期待インフレ率に働きかける力があまりないのではないかというお話をされています。』

『そのご指摘自体には、あまり違和 感はありませんが、図表7のチャートにおいて、量的・質的金融緩和導入後から長短金利操作導入までの赤い線が随分立っていることについては、トレンドを見るのであれば、コアCPIではなく、エネルギーを除いたコアコアCPI で見る方が適当ではないでしょうか。コアコアCPIでこの図を描けば、全く違った絵になるのではないか、円安その他の影響が、一時的な影響も含めてここに反映され過ぎているのではないか、というのが 1 点目の質問です。』

これはコアコアで出ているので質問がちと失敗。でも後半は良い質問ですよ。

『 2 点目の質問は、長短金利操作導入後のフィリップスカーブがすごく 寝ているのは、講演中にも指摘されているように、サンプル数が少ないことが決定的に大きな要因だと思います。四半期に 1 度しか発表されないGDPギャップを使って 5 つのサンプルだけでこういうチャートを描くのは、いくらでも操作が可能と言うか、色々な絵が描けてしまい、それによって本当に正し い結論が得られるのか、という疑問も生じます。この 2 点について、ご意見を お聞かせ下さい。 』

後半のは「適当に話をしやすい期間で切る攻撃」は置物リフレ一派の得意技。

『(答) 1 点目のご質問ですが、図表7左図の(注)をご覧頂きますと、生鮮 食品とエネルギーを除いていますので、コア指数ではなく、コアコア指数になっています。これを前提に、為替市場を通じたパス・スルーの効果を考慮に入れても、私自身は、この左側の図で示している結論は、大きく変わらないのではないかと認識しています。』

まあここは良いとして、

『2 点目の、イールドカーブ・コントロール導入後のサンプルが 5 つし かないためミスリードではないか、というご指摘ですが、懇談会でもサンプル 数が少ないので結果は幅をもって見る必要がある旨を申し上げています。また、そういうご指摘を念頭に置いて右側の参考の図をお示ししました。これは、テ クニカルな話で恐縮ですが、左側が散布図で、ある期間の関係をトレンド線で 示しているのに対し、右側では、期間毎に区切ってしまうとトレンド線や傾きの評価が恣意的になるのではないかというご指摘があり得ることを念頭に置いて、全期間で推計しつつも、切片や傾きを可変とする計量的な方法を使って 推計したものです。これをご覧頂いても、イールドカーブ・コントロール導入後、切片がやや低下してきていることが分かりますし、傾きについては、緩やかに上がってきていますが、全体としては、期待するほどの効果は出てきていないと私自身は理解しています。』

図表7を見てくださいなという所ですが何だかねえと思う。


・為替の質問2つ+財政に関して

『(問) 10 年以上の幅広い国債金利の引き下げについてですが、これを仮に 行った場合、仮に円安が進まなくても物価には効果があるというご認識でしょうか。』

『(答) 先ほども少し申し上げたとおり、長期の金利を引き下げると、設備投資や住宅投資も含めて、実体経済に寄与すると考えています。 』

というのは前座で、

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、近少し円高が進んでいますが、企業の想定為替レートを短観ベースでみると、その水準より少し円高気味になって います。企業マインドや企業収益を通じて日本経済にどういう悪影響を及ぼすのかについて、どの程度懸念されていますでしょうか。 』

『2 点目は、講演の中で、物価安定の目標達成に向けた政府との政策連 携をお互いの行動を伴う形で担保されることが不可欠としていますが、これはすなわち財政についてもっと拡張的な政策をすべきという趣旨でしょうか。 』

『(答) 初に、2 点目のご質問ですが、2012 年末からアベノミクスが始まって以降、大胆な金融緩和政策と機動的な財政政策、そして設備投資を押し上げ る成長戦略という三本の矢の政策を行っています。その中で、日本銀行が定め た 2%の「物価安定の目標」をともに達成していこうということで、日銀と政府は共同声明を結んでおり、その流れの中で今の政策を行っていますので、今 も政策協調をやっていると私自身は認識しています。政府は、ご自身の判断で 適切な政策運営をされると思っています。』

は??という感じですがまあこういう答えかね。

『1 点目のご質問ですが、為替相場の動向については、私が申し上げる ことではないと思いますので、コメントは差し控えさせて頂きます。』

いやいやいやいや、企業が想定している為替レートより円高だったら企業にどういう影響が出るかって質問なんですけど・・・・・・・・・・・


・てなわけで最後まで引用する破目に(大汗)

『(問) イールドカーブ・コントロールの導入前後で需給ギャップの改善が物 価上昇率を押し上げる効果について検証されていますが、今提案されている 10 年以上の金利の引き下げで、この 2 から 4 のルート、特に期待形成について、どのように修復できるのかをお伺いします。 それから、80 兆円のめどがまだ残されていますが、今日の講演からすると、量の効果を評価されているようにもお見受けしますが、このめどはまだ必要だと考えているのか、そしてその理由も教えて下さい。 』

また10年金利下げるとどういう効果か攻撃来た。

『(答) 1 点目の長めの金利を下げることによる効果についてですが、私自身が申し上げているのは、それに加えてコミットメントを強化するという話です。』

はい??

『まず、長めの金利を引き下げる効果についてお話しますと、設備投資や住宅投資など、金利を下げることで直接的に影響を受ける投資が増えると、それによって総需要が高まります。総需要が高まると、それによってGDPギャップが改善するので、GDPギャップの改善を通じた物価へのプラスの影響――こ れは懇談会で申し上げた 1 つ目の波及経路です――があると考えています。』

風が吹けば桶屋が儲かると、なるほど。

『物価が上がると、適合的な期待形成を通じて、物価そのものが上がったことによって先行きの物価が上がるパスが出てきます。これは予想インフレ率にも好影響をもたらすと思います。それに加えて、2%の「物価安定の目標」が達成できない場合には追加緩和を行うことにコミットすることによって、予想インフレ率そのものに働きかける経路もあり、それらを一体的に運営していくことが重要というのが、私が考えている趣旨です。』

今でも必要ならば政策の修正は行うってしているのだが、追加緩和と書くことによって何でコミットメントが強化されるのかの説明はありませんね。

『 2 点目のご質問ですが、現状では、80 兆円をめどにしていますが、イー ルドカーブ・コントロールを導入してからは、金利をターゲットにして政策運営をしていますので、量的な部分はあくまでも参考ということだと思います。80 兆円というめどをなぜ撤廃しないのかについては、色々なパターンが想定されるところもありますし、あえて撤廃する必要性も現状では見当たらないので、そのままであるということだと思っています。 』

って片岡さん量の人じゃないのかよ・・・・・・・・・・・・





2018/03/02

お題「片岡審議委員金懇初戦ですがまあ予想通りに案の定のお話ですなあ」

福田さん・・・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018022800866&g=pol
9条改憲、当面は不要=福田元首相
(2018/02/28-15:50)

『福田氏は改憲論議を主導する安倍晋三首相について「改憲(への意欲)は分かった。しかし、それ以外は何を考えているか分からない」と指摘。経済政策「アベノミクス」に関しては「行き詰まっている」との認識を示した。』(上記URL先より)

意欲は分かったが改憲がただの自己目的化していて思想が無いとはこれはまた中々。

〇片岡さんの金懇初戦は案の定残念な仕上がりに

しかしまあ期待を裏切らずに微妙な物件が来ましたな。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180301a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180301a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 岡山県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

・・・・・ではあるのですが、実は今回の金懇の見どころは図表の方にあったりするので、図表のURL(上記URLのうちPDFの方でも最後の方が図表ですけど)も貼っておきますね。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180301a2.pdf


・金融政策の波及パスは分かったが何でそうなるのかの話が無いですな

『2.経済・物価情勢』の『(1)内外経済の現状と先行き』と『(2)わが国の物価動向の現状と先行き』の殆どは展望レポートベースで説明しているのでここは片岡さんの見解ではないということでパスしまして、

『しかし、私はこうした見通しとは異なり、物価上昇率が19年度にかけて2%まで高まる蓋然性は現時点では低いと考えています。この違いは、現状の金融緩和策の全体的な力強さや波及経路の機能度に対する見方の違いによるものです。これについては、次に金融政策運営と絡めてご説明します。』

とあって、『3.金融政策運営』になるのですが、

『まず、現在の金融政策の枠組みについてご説明します。続いて、「物価安定の目標」達成のために必要な政策について、私の考えをお話ししたいと存じます。』

ってなっていまして、これがまた最初の方は今の政策に関する説明をしているのでそこはパスしまして(という時点でPDFだと5ページ目まで行ってしまうので半分片付いてしまっているのですけど)政策の波及経路に関しての部分から参りましょう。

『こうした金融政策の枠組みは、大きく4つの波及経路を通じて物価上昇率を高めると考えています(図表6)。』

でもって『図表6 金融緩和策の物価への波及経路』ってのが図表の方にあるのでそちらを見ていただきたい訳ですが、

『具体的には、名目金利の低下を通じた実質金利の低下やリスクプレミアムの縮小が促された、きわめて緩和的な金融環境が需給ギャップを改善させるという第1の経路、需給ギャップの改善が物価上昇率を高めるという第2の経路、物価上昇率の高まりが、適合的な期待形成を通じて予想インフレ率を上昇させ、それが物価上昇率をさらに高めるという第3の経路、そして、2%の「物価安定の目標」に対する強いコミットメントが予想インフレ率そのものを高め、それが物価上昇率を上昇させる第4の経路があると考えられます。』

とありまして、図表を見ますと上の方に並列して

『名目金利の低下 リスクプレミアムの縮小 』
『コミットメントの強化』

というのがあるのですが、「名目金利の低下 リスクプレミアムの低下」というのの下に

『名目金利低下を通じた実質金利の低下 』
『設備投資、住宅投資の促進』
『金融市場の安定』
『財政政策との相乗効果 』

となって、それが『需給ギャップの改善 』になる、という話をしていますが、そもそも金利が下がって設備投資や住宅投資出ていましたっけとか、金融市場の安定とかワケワカンネというのがある上に、しらっと「財政政策」とかあって、それ置物師匠が当初絶賛提唱していた元々のリフレ理論である所の量の効果はどこに行ってしまったのというのと、財政関係なく金融政策で2%達成するんじゃなかったでしたっけ???という話で、金利ルートになっているのは何ですねんという感じではありますが、問題はこの後にありますので先に進みましょう。

・・・・あ、その前に折角ですので置物大師匠の波及効果の図表ですが、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」の トランスミッション・メカニズム ー 「第一の矢」の考え方 ー

の6枚目の図表『「量的・質的金融緩和」の波及経路』でして、こちらですとコミットメントはまあ同じとしまして「マネタリーベースの増加」がインフレ期待の引き上げになる、という華麗な図表がございますのでよろしくご査収の程お願いいたします(^^)。


でもって何で2%早期に行かないかという話になるのですが、

『先程、物価見通しを述べた際、私は、物価上昇率が19年度にかけて2%まで高まる蓋然性は低いと考えていると申し上げました。この理由は、イールドカーブ・コントロールを採用してから1年以上が経過した現在においても、先程の4つの経路が、物価上昇率を2%に押し上げるほど十分に機能していると確信を持てないことにあります。』

ほほう。

『もちろん、需給ギャップは改善を続けていますので、今後、金融緩和の効果は段階的に強まっていくと考えられますが、19年度にかけて物価上昇率が2%に到達するほどの勢いはない、と現時点では考えています2。』

ということなのですが・・・・・・・・・・・・


・今回の見どころは「図表7」である

でもってこの続きですけど。

『やや詳しくみるために、需給ギャップと物価上昇率の関係をプロットしてみます。「量的・質的金融緩和」を採用してからイールドカーブ・コントロールを導入する前の時期には、トレンド線の傾きはそれ以前(図表7左図<黒>)と比べて幾分急になり、水準は上方にシフトしています(図表7左図<赤>)。』

『これは、需給ギャップの改善が物価上昇率を押し上げる第2の経路が強化されるとともに、予想インフレ率が上昇したことで第3、第4の経路も働き始めていたことを示唆しており、望ましい変化が生じていたことが分かります。しかし、イールドカーブ・コントロールに切り替えた16年10〜12月期以降の動きをみると、サンプル数が少ないため幅をもってみる必要がありますが、トレンド線の傾きは緩やかになり、水準はやや低下しています。』

『すなわち、第1の経路は機能しているものの、第2、第3、第4の経路はまだ十分に機能していない可能性があります(図表7左図<緑>)3。』

とまあこういう説明になっていまして、図表7というのはPDFの方にありまして題名が『図表7 需給ギャップと物価上昇率の関係 』というものになっています。でもって左側のグラフ『需給ギャップと物価上昇率 』というのがその説明になっているのですが、まあ色々とこれがツッコミどころが多い訳ですな。

でまず図表行く前に本文の方の脚注にツッコミなのですが、

『2予想インフレ率、物価上昇率、需給ギャップ、消費税ダミーを説明変数とするハイブリッド型ニューケインジアン・フィリップスカーブを推計した上で、日本銀行政策委員のGDPに対する大勢見通しから類推した需給ギャップと、予想インフレ率の見通しを与えて、先行きの物価動向を試算した結果から判断すると、物価上昇率が先行き2%に到達するには、+2%を上回る需給ギャップの拡大に加え、13〜14年のペースを上回る予想インフレ率の上昇が必要と考えられます。』

って話なのだが、そもそも物価目標は安定的に達成しないといけないんですが、と思うのですが、

『4日本銀行調査統計局が推計している需給ギャップは、16年10〜12月期以降プラスとなり、17年7〜9月期に+1.35%まで拡大しています。ただし、過去、消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー、消費税率引き上げの影響除く)前年比が2%以上となった時期の需給ギャップの平均値が2%台後半であることを踏まえると、企業の価格設定スタンスを全般的に強めていくには、需給ギャップのさらなる拡大が必要です。』

となっていて、いやまあまずは2%行かないとフィードバック効果も糞もないというのはあるのですが、そもそもが現状のフィリップスカーブを所与として、そこから物価が上がらないと無理って話ですと、当初の「インフレ期待を押し上げる」という置物理論と違うじゃんというか、それで安定的に2%が維持できるのかよ(景気を散々吹かして2%行ってもそれは物価安定目標達成じゃないんですが)とゆー話で、2%に到達する話だけではなくてその後安定推移する展望を見せてくれとは思うのです。



まあそれはおまけみたいな話なんですが、それよりも図表7なんですけど、脚注を見ますと、

『(注)1. トレンド線の推計式は物価上昇率=切片+傾き×需給ギャップ(-3)。
2. 物価上昇率(縦軸)は消費者物価(生鮮食品とエネルギーを除く)の 前年比。
3. 需給ギャップ(横軸)は日本銀行調査統計局の推計値、物価上昇率 (縦軸)から3四半期後の値(ラグは時差相関から決定)。』

とありまして、プロットを見ますと四半期ごとにプロットしています(16/10月〜17/12月のプロットが5点あるので)ようですな。


・・・・・・でですね、最初のツッコミとしては、そもそも『量的・質的金融緩和導入後から イールドカーブ・コントロール導入前 13/4月〜16/9月』、『イールドカーブ・コントロール導入後 16/10月〜17/12月』って形で分ける意味があるのかというのがあって、単純にこれを見たら「YCCを導入したらフィリップスカーブの傾き(とY切片だが何ぼ何でもサンプル5個というのは・・・・・)がフラット化した」という事ですから、それならば片岡さんの提案すべき追加金融政策は「YCC政策から元のQQE政策に戻す」となるのではないでしょうか何で変な提案を繰り返しているんでしょうか、というのがありますな。

とは言いましても、そもそも論といたしまして、片岡さんの示している図表6の金融政策波及効果を是としますと、金利の引き下げが需給ギャップの改善につながって、それが実際の物価上昇につながって適合的期待形成にプラス寄与する、というルートになっているのですが、このフィリップスカーブのプロットの際に使っている需給ギャップって3四半期前の数字な訳でして、金融政策が何をどうすると3四半期前の需給ギャップに影響を与えるのかさっぱり分からないのですが、フィリップスカーブのプロットをそういうとり方をされますとナンジャラホイと思ってしまうわけですよ。

※ちなみに展望レポートではこのフィリップスカーブでの需給ギャップは2四半期前でプロットしています

あと、需給ギャップが3四半期ラグ持って物価に効いてきて、その相関のフィリップスカーブがフラット化したということは、それってマイナス金利の導入辺りが期待にマイナスに働いてフィリップスカーブのフラット化と下方シフトを促してしまったということで、実はYCCの本領はここから発揮(導入後6四半期ですから)という話じゃネーノとかも思ってしまいますな。


つーかですね、さっきの図表6に戻ってみると、名目金利低下の効果が『名目金利低下を通じた実質金利の低下』から始まっているのですが、だったらマイナス金利導入した後2四半期に渡って金利が思いっきり低下して、寧ろYCC導入後に金利って上がっているのですけれども、そこと需給ギャップの改善の整合性ってどうなっているのでしょうかとか、なんかもうどこをどう突っ込んで良いのか訳分らん分析になっていまして、なんかこう自分の主張に合いそうなデータを見つけてきて線形補完してみましたって感じが非常に強いんですよね。


ついでに申し上げると、図表7の右側に『(参考)フィリップスカーブの 傾きと切片の推計値 』ってあるのですけれども、このY切片の方って何かエライ勢いで上がったり下がったりしていて何だよこの推計値というのはありますが、それにしても2014年に向けて上がって2014年の所から下がりだしているのって、これどこからどう見ても消費増税の駆け込みと反動の影響が思いっきり入っているだろうという所で、その辺の分析が全然なくて、消費増税とセットでQQEが入ってきた分の駆け込み需要(ついでに言えば増税前って財政も増税対策とか言って拡張していましたからねえ)がどう見ても有意に効いていて、その分除外しないと金融政策の効果測れないだろうと思うのですが、そこらへんは盛大にスルーするのですよね。

まあしかし何ですな、金融政策効果の説明が結局のところこの図表7だけになっていて、これだけを根拠にして「イールドカーブ・コントロールに切り替えた16年10〜12月期以降の動きをみると、サンプル数が少ないため幅をもってみる必要がありますが、トレンド線の傾きは緩やかになり、水準はやや低下しています。すなわち、第1の経路は機能しているものの、第2、第3、第4の経路はまだ十分に機能していない可能性があります(図表7左図<緑>)3。」ってどんだけ雑な話をしているのかと小一時間問い詰めたいですし、図表7だと何度も言いますが「需給ギャップ」は3四半期前なのですから需給ギャップとの関係の話が無いですし、一応脚注4の方に「日本銀行調査統計局が推計している需給ギャップは、16年10〜12月期以降プラスとなり、17年7〜9月期に+1.35%まで拡大しています。」というのはあるけど、そもそも論として需給ギャップが改善した要因分解も無くて(なお図表3に需要項目別の成長率寄与度の分解はあるけど、それを見ると直近2四半期は輸出がでかくてお前それ金融緩和の効果なのと小一時間問い詰めたい結果になっている)、根拠になってないと思うの。

でもってしつこく申し上げていますように、何だか粗雑にもほどがあるけどとりあえず「最近の金融政策だと需給ギャップを大きく上げないと物価2%行きませんので追加緩和」というのに対して尤もらしいのを拾ってきて尤もらしい線形補完をしてみた、的な要素が満載のこの図表7というのに片岡さんもまた同じかという大変に残念だが順当なものを感じるのでした。

#そもそもQQE政策自体は継続的に行われているのだから、図表7で示しているのって「QQE政策を継続しているうちに副作用が発生してきてフィリップスカーブがフラット化してきた」という解釈だってできちゃう訳で、もとよりYCC導入前と後で切る意味がないし、大体からして金融政策の効果にラグがあるんだからそのラグも考慮して期間の分析しないといかんのじゃないですかねえ



・というわけで追加緩和の根拠の話だが

てな悪態を申し上げたところでその続き。

『以上の認識から、私は、「物価安定の目標」の早期達成に向けて、もう一段の追加緩和が必要であると考えています。』

はあそうですか。

『具体的には、10年以上の幅広い期間にわたる国債金利を一段と引き下げるよう長期国債の買入れを行うこと、およびオーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、「今後、展望レポートにおける政策委員の見通しの中央値において、国内要因により『物価安定の目標』の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じる」というコミットメントを新たに加えるべきだと考えています。』

んーっとですね、そもそも片岡大先生の波及経路の表を見ますと「金利が下がって投資が出る」というのがアプリオリに設定されていますが、マイナス金利政策を導入したときに物凄い勢いで金利が低下した訳でございますが、今回10年以上の金利を下げると投資が出るという根拠はどうなっているんでしょうかねえ、というのと、需給ギャップが3四半期ラグで物価上昇率に相関しているんでしたら、達成時期が後ずれする場合に追加緩和を講じるとか言ってたらぬるいですし、図表7の説明が正しいのであれば(恣意的なデータの使い方だと思うので正しいとは思わないけど)やることはQQEの量的レジームへの回帰じゃないのかね、と思う。

それに「国内要因により物価安定の目標の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じるというコミットメントを新たに加えるべき」ってのも何だよという所で、政策の副作用を考慮してないというのもありますが片岡さん的にはそこはスルーするんでしょうけど、「国内要因により」ってのが曖昧で何のことやらという話で、それがコミットメント強化に繋がるという理屈も弱いんだよなーと思う。

『10年以上の幅広い国債金利の一段の引き下げは、設備投資や住宅投資を金融面から更に後押しすることになるほか、設備投資や賃上げに前向きな企業を税制面から支援する政府の財政政策との相乗効果も期待されます。』

既にマイナス金利政策を導入した時に実証結果出ていると思うのですがそれを覆すエビデンスに基づく根拠はありますか????

『これは需給ギャップの改善ペースをより強めることになるため、先程説明した第1、第2の経路を通じた物価上昇のダイナミズムを強化することになります。』

強めればな。

『イールドカーブ・コントロールのもとでの追加緩和手段に関しては様々ありますが、効果と副作用のバランスを考えると、これが現時点で最適だと考えています。』

というのも何だか中途半端な話で、「副作用はあるけれどもこの政策をやると物価目標達成が早期に行くのは確実なので、まずは物価目標を早期に達成して、達成後に副作用に対する対処を行っていきます」というのであれば、まあコミットメント強化でも追加緩和でも何でもジャンジャンやって頂きたい訳ですが、目標達成後ずれしたら何が何でも追加緩和という割には「効果と副作用のバランス」とか言い出すし、大体からして図表7の説明が是ならどう見たってYCCから純粋QQE(?)で量的な方に戻した方が効くという話になると思う(なお図表7の補助線がそもそもインチキだと思う「ので量の政策にしても早期達成はできないと見込みますけどね)のですが、何故か「イールドカーブ・コントロールのもとでの追加緩和手段に関しては様々ありますが」とYCCを所与にして話をしているのは何なんでしょ・・・・・・・・・・・


『オーバーシュート型コミットメントの強化は、予想インフレ率の上昇を通じた物価への波及効果、すなわち第3、第4の波及経路を強化することを意図しています。』

それは良いんだがご提案のが何でコミットメントの強化になるんでしょうかね。

『13年以降の予想インフレ率上昇の背景には、日本銀行がインフレ目標政策の採用を決定し、その実現に当たり政府との政策連携の強化を「共同声明」の形で公表するとともに、機動的な財政政策と大胆な金融政策、および成長戦略の実行という形で具体的に行動したことがあります。』

消費増税の駆け込みと反動、その前の財政、マネタリーショックによる為替市場への影響とかそういうのはどうなんでしょうかねえ。

『予想インフレ率に働きかけるには、「物価安定の目標」達成に向けた政府との政策連携が、お互いの行動を伴う形でしっかりと担保されていることが不可欠です。』

ということですが、最初は初めてやったことだから上手くいくかも知れないってことで期待が上がったものの、やっぱりダメじゃんという事になって期待が下がったのではないでしょうかねえ。そうすると期待を上げる方法というのは別のアプローチが適切ってことで、それは中長期的に達成していくために漸進的であっても金融環境を緩和的にしながら潜在成長率を引き上げるような施策をする、という話であって、そうなるとメインは金融政策じゃないんですよね、と思うのですが結論は順当に。

『日本銀行としては、「物価安定の目標」の達成に向けた明確かつ力強いコミットメントに裏打ちされた強力な金融緩和をさらに進めていく必要があります。』

となっておりまして、いやまあ現在の政策に反対している人が審議委員になるというのもそれはそれで意見の多様化によってより良い政策を目指す、という意味において重要なので別に反対だからケシカランというつもりは1ミリも無いのですが、追加緩和して早期達成を目指す、という話をする割にはその説明の根拠が説得的じゃないというか薄弱というか分析が浅いというか、ってな感じしか受けない訳でございまして、10年後に議事録が公開されたときに「このような底の浅い愚劣な議論で貴重な時間を空費した日銀は戦犯指名」とかいうようなことになっていないことを切に願いたいものだと思います。


・以下の話ははっきり言ってどうでも良い

『4.「物価安定の目標」の達成・維持がなぜ重要か』という小見出しがあって、

『世界経済が緩やかに成長するもとで、米欧主要中央銀行は、政策金利の引き上げや金融緩和の解除に向かっています。こうした中、わが国においても、金融政策が遠からず引き締めに転換するのではないか、あるいは少なくとも金融緩和解除に向けた微修正が行われるのではないか、といった憶測が、海外を中心に一部で聞かれます。しかし、米欧主要国とわが国の物価を巡る状況はかなり異なり、わが国では、政策転換を検討する状況からは、まだかなり遠いと私は考えています。』

って言ってるんですが、そんなの物価の状況見たら当たり前で、問題なのは政策の効果と副作用を天秤に掛けつつ、政策目標達成までの時間を考えた時に、政策目標達成前に副作用の方が大きくなってしまったらダメだからそれを回避するために政策の調整が必要にならないのかね、というのが本来の論点(よって単純に海外金利が上がっているから日本も上げても良いみたいな議論はゴミかポジショントーク)。

まあ同じ論点の中ですが、達成時期はどうせ時間を要するし、2%物価安定目標を達成して維持するために必要なのは成長力を高めることなので、という話であれば、やはり金融政策は主演俳優じゃなくて舞台設定係であって、そうなると長期的に持続可能な緩和政策とは何か?という観点から政策の見直しが必要、という話をするのであって、「物価がまだ全然2%見えていないので修正の論議をする必要はない」というのは単体ではその話で合っているのですが、元々修正したらといっている国内の人たち(米国金利が上がったから日本金利も当然上がるみたいな馬鹿海外は論外なので無視)の論点提供に対する答えにならないのですよね。ということで上記引用部分以下の話はお前に言われんでもわかっとるわという話しかないので引用しません。

ああそれから念のため申し添えますと、今の日銀の説明によりますと「2%物価安定は潜在成長率云々とは関係なくアプリオリに正しい数字なので潜在成長率が上がらないから物価目標の達成時期が遅くなってもよい、という議論は違います」という立場を取っているはず(はず、というのは最近そこのポイントでの正面切っての執行部メンバーによる質疑や講演が無いので)で、ここを変えないと2%を下げるという話にはならない(別に今下げる必要はないと思うけど)し、中長期的達成というのも2%が絶対的に目指す数字なので中長期というのはその点からすると微妙ってことになると思います。


ということで片岡さんの金懇講演、もうちょっと深い議論が出ることを期待した(というわけではなくて、まあこの程度の話しか出ないだろうと思っていましたけどね!)のですが案の定の浅さしかなかったですかそうですか、という金懇ではありました。会見のヘッドラインは無視していたので本日要旨出てから読むと致します。


〇おお時間が無くなってしまったではないか(その他ネタメモ)

・証券決済制度に分散台帳技術ってどうなのかねとは思うのだが

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j01.htm/
証券決済制度と分散台帳技術

リサーチラボシリーズなので頭の悪いアタクシにも優しい作りになっています。

でまあこのネタなんですが、証券決済って決済のファイナリティーを担保するのは集中管理じゃないととアタシャ思う口でして、何かあった時に真正権利者が一義的に確定するような状態こそが安心して取引できる状況で、今って振替決済制度を電子化することによって真正権利者が常に確定している状態だと思う(実際違っているのかも知れないので間違ってたらゴメンやで)ので、それをわざわざ分散台帳にする意味って何なのかがさっぱり分からないなあと思ったりします。

それ以上の感想については後日また。


・債券市場サーベイ

http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1802.pdf

もはや惨状を確認するためのものとなっていますが、一部改善されたように見える数字がありまして、まーたこの改善されたように見える数字を持ち出して偉い人たちが「債券市場の市場機能はあるどころか改善しております!」とか言い出して離村者も相次ぐのではないかと懸念される債券村の残された村民の皆さんの血圧をあげることの無いように願いたいものですな。

という悪態はともかく中身に関しては後日また。





2018/03/01

お題「輪番減額世間話」

何かモーサテのNY解説が頭クラクラするんですが、「市場が見る来年の利上げペースが加速しないのはFRBの示す長期的なFF金利が2.75%に留まっているからです(キリッ)」ってSEPは四半期に1回しか出てないから変わるも変わらないも直近のは出ていないだけなのですが、テレビで話をするのにあんまり雑な話をするのも如何なものかと・・・・・・・・・・・


〇超長期後半の輪番減額ですかそうですか

昨日の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180228.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年3月2日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,300 2018年3月2日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年3月2日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年3月2日

はいはい減額減額、ということで超長期後半の輪番が800→700になりましたが、直近で超長期の金利低下したから減額した、というのは分かるのですが、昨日の駄文で「やらない方が良いと思うんだけどなあ」と申し上げたのですがまあやって来やがりましたなという所ですので追加の雑感という名の悪態を。

でもってその前に市場サマリーを例によってロイターさんから。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1QI39C
2018年2月28日 / 15:22
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落、超長期債は押し目買い優勢

『東京 28日 ロイター] -

<15:12> 国債先物が反落、超長期債は押し目買い優勢

長期国債先物は反落して引けた。27日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言はややタカ派的と受け止められて米債市場が軟化した流れを引き継いだ。日銀オペで「残存25年超」のオファーが減額されると、下落幅を拡大する場面があった。ただ、ショートポジションにある海外勢の買い戻しが続いており、一方的に売り込まれることはなかった。』(上記URL先より、以下同様)

海外の買戻しとな。

『現物債市場では、超長期債が底堅く推移した。日銀買い入れ減額の影響は限定的で、オペ結果が無難な範囲に収まると、午後の取引では押し目買いが優勢になった。月末特有の年限長期化需要も意識された。長期ゾーンは弱含みとなった国債先物に連動して売りが優勢。あすの10年債入札を控えた調整も観測されていた。』

まあそこまでが強かったのと減額意識してかどうか知らんが今週に入って超長期相対的に伸びなくなっていたので25年超だけの減額だとそこまで動くような話ではなかったですねということでございましょうかね。

『衆院は28日、議院運営委員会の理事会を開き、政府が16日に提示した日銀の正副総裁の国会同意人事について、再任の黒田東彦総裁の所信聴取を3月2日午後1時から、副総裁候補の若田部昌澄・早稲田大学教授、雨宮正佳・日銀理事の所信聴取を3月5日午後2時15分から行うことを決めた。市場の注目度が高い。』

ってのはおまけですが、市場の注目度が高いってどういう意味じゃろと思うのだが、そんなの従来路線を継続していきますああ出口に関しては時期尚早ですよで話おしマイケルだと思うんだが、若田部先生がどのような落語を展開してリフレタコ踊りをしてくれるかが注目される、というのであれば注目なのかも知れませんけど。

とまあ債券の方は大して反応せず、というか寧ろ20年カレントとか1甘までやってたと思ったら後場には引けまで戻すとかで債券市場の方はああそうですかってなもんだったのですけど・・・・・・・・・・

為替市場
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-lateaft-idJPKCN1GC0MR
2018年2月28日 / 15:37 /
ドル107円前半、上昇は早くも一服

『[東京 28日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点からやや円高の107円前半。前日海外市場でドルが広範に買われた反動で、小幅ながら売りが先行した。日銀が国債の買い入れオペを減額したことも、円買い手がかりとなった。』(上記URL先より、以下同様)

ということで為替ちゃんは輪番減額に反応して30銭〜40銭くらいで済んでいるのでまあ大した事は無くて良かったのですが反応の巻。

『ただ、市場では政府が黒田東彦総裁の続投を提示していることなどから「年初以降に海外勢を中心に広がった(日銀の)緩和縮小観測は後退している」(みずほ証券)といい、円高進行は限定的だった。』

なお蛇足のような気がしますが上記の後講釈もナンジャソラという感じで、寧ろ黒田総裁の続投が事実上決まっている(最終決定ではないけど)状態になってからあっという間にまた超長期輪番減額をしているんだから、「オペ減額を緩和縮小観測に結び付けるんだったら」黒田続投が決まって間もないこの時期にさっくりとオペ減額したという事に対して警戒しないといかんじゃろ為替市場よ、と思うのですがまあそれは兎も角として、昨日はオペ減額で為替動いていましたが、とりあえず東京時間ではドル円107円台をギリギリ維持していたからそこまで大騒ぎにならなくて良かったとはいえるのですが、結局海外要因もあって106円台に戻されて帰ってきているんですけど。

株式市場
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-idJPL4N1QI3EP
2018年2月28日 / 15:42 /
〔マーケットアイ〕株式:日経平均・日足は「小陰線」、25日線上抜けられず

『 <11:35> 前場の日経平均は4日ぶり反落、米株大幅安が重し

前場の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比80円81銭安の2万2309円05銭となり4日ぶりに反落した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言後の米金利上昇を受け、米株価が大幅反落したことが重しとなった。朝方は円相場が1ドル107円台半ばまで弱含み、日経平均も下げ渋ったが、日銀が午前10時10分に国債買い入れオペを通告。「残存25年超」を100億円減額したことで為替が若干円高に傾き、日経平均も先物主導で売り直された。』(上記URL先より)

15時のじゃなくて前場概況で恐縮ですが、まあ為替動いて株価指数も動いていまして、まー度肝を抜くほど反応したわけではないから不幸中の幸いではあったのですが・・・・・・・・・・・


・超長期減額するなら何でその前に中期と長期を増額したのか(量と金利の関係に一貫性が無い件について)

これは昨日だけじゃなくてしつこく申し上げていますが、先般の10年金利上昇の時って10年の指値をバシッと入れれば普通に止まった(何だったら中期の輪番の日に中期増額じゃなくて10年指値でも良かったわけですし)話だった訳で、そこでわざわざ中期の増額とご丁寧に指値のセットで長期の増額までやった訳ですよ。

でまあその前を考えてみますと、年初の超長期減額がちょうど「今年の市場のテーマって米国の正常化ペースと欧州の緩和縮小開始の可能性だよね、日本も総裁変わった時に注目かもね」ってな感じの所に輪番減額をぶつけた格好になりまして、それまでってストック効果もあるから淡々と減額しても金利水準維持されているし隙あらば減額で良いじゃん、として淡々と減額して債券市場の方も普通にそれを消化していたのですが、間が悪いところでの減額で俄かに輪番に注目が集まってしまった訳ですな。

とまあそういう背景の中だったので、10年金利の上昇を止める、という所で別にそこまですることもない中期と長期の輪番増額を打ち込んできた、というのであればそれはそれで「いやいや別にテーパリングありきでやっている訳ではなくて増額だってしますよ」ってなメッセージになっている訳ですよ。アタクシはこの前申し上げたように「不必要な増額すると後で首絞めるから指値だけでメッセージにしておけ」という人でして、つまりは政策調整は金利でやっていて10年10bpを上回らないようにするために指値はバシッと打ちますけど量は金利水準維持可能なところからの逆算ですよ、というスタンスを一貫してほしかったわけですよ。然るにこの前の中期と長期の増額っていうのは円債村以外の人たちからすれば「テーパリングで緩和縮小と言われないために量を出した」と受け止めてしまう方が普通の反応だし、日銀だってそれ期待してわざわざ要りもしない輪番増額したんでしょ、と思うわけですよ。

そーなりますと、今回超長期を減額したのって、そらまあ円債村の村民からしますと超長期金利ここもと下がっていやこれは参加者しょぼーんだよな、という状況なので減額という話は分かるのですが、金利水準がびっくりするほど超長期が突出して低下している、というのならともかく、別に他市場で大いなる話題になるようなレベルに金利が下がっているでもなし、そもそも10年金利の水準がマイナスどころかプラスの水準に留まっている訳で、円債村以外からみたら何が何だかよく分からんところで減額しているんですよ。

つーことで、2月の頭では他市場の反応を気にして輪番増額しておいて、今度は円債村しか分からんような減額をしてくる、というのがやっていることに一貫性が無い訳でして、なんちゅう場当たりオペレーションという感じではあるんですよね。マッタクモウ。


・しかも何で金融政策の注目度が高いタイミングでいじるのかと

でまあ昨日ってパウエルさんの議会証言の翌日だし、足元ってECBの緩和縮小ネタでああでもないこうでもないとやっている訳ですよ。でもってそのように金融政策が相場ネタにされやすい時間帯に何も超長期100億如きの減額を急いでやらなければならないほどの状況だったのか、という話であって、注目度が低い時なら去年の輪番バシバシ減額タイムの時のように反応はしないですが、注目が集まっているときに超長期100億如きの為にわざわざヘッドラインを市場に放流するというプレイをするというのがこの間の悪さよと思うのですが、まーこういう間の悪さは日銀の伝統芸能と言っても過言ではないのでまた伝統芸が出やがったかとゆー所ではあります。


・金利操作に関しても2点なのかカーブ全体なのかが分からんのだが

それからですな、量の話はさておきまして金利の話を致しますと、今のYCC政策ってディレクティブでは「足元(政策金利残高部分適用金利)と10年(ゼロ%程度)」が設定されているのですが、YCCを投下したときに同時に行われてYCC政策の根拠になっている「総括的検証」によると「金利は上げ過ぎが良くないのはもちろん、下げ過ぎもよくなくて、しかもその水準って年限によって違いますよね」という話をしていて、言ってみれば均衡イールドカーブに対しての緩和度合いを一定(レンジはあるけど)の水準程度に維持するような名目金利のイールドカーブ水準を維持するような政策をとるのが適切、という話をしているんですよね。

つーことですので、超長期の後ろだけ減額ってのをやるとこれは「イールドカーブのフラットニングが過度に進んでいる(ってほどの水準かよ、という話はさておきまして)ので超長期の後ろを減額しました」という話になりまして、それはそれで良いのですけれども、問題は「だったら均衡イールドカーブを出せや」という話になることでしょうな。

つまりですね、「足元と10年をピン止めしてあとは経済物価情勢を反映しながら金利が動いていれば10年がピン止めされているのだから自ずと金利は引き締め的な水準まで上がるようなこともない」という風に政策運営をしているのか、「均衡イールドカーブとそれに対する適正な緩和度合いのイメージがあって、それによって導出されるイールドカーブのレンジを抜けそうになると輪番の上げ下げなどを行う」のかが分からんわけですよ。

まあこの前の中期増額に関しては、百歩譲ると「これ以上中期(まあ中期に近い所で先物、という感じだったですけど、あの時には)の金利上昇を放置プレイしておくと長期の金利コントロールに悪影響が出る可能性があるから増額」というのは分からんでもなかった訳ですが、今回の超長期の後ろって、別にそこの金利低下を放置したら10年金利がドカドカ下がってマイナスに突っ込むというような状況とは到底思えない訳で、そんな中で25年超だけを減額する(超長期全部減額するならまだしも)という事になるとイールドカーブのロンガーエンドの所に対するイメージがありますって言ってるようなもんなので、この減額で何をやりたかったのかというのが謎という話になるのよ。


・まあ枠組みが枠組みだから仕方ないけど

てな訳で輪番100億減額如きでこれだけ理屈こねて粘着するアタクシも大概だと思いますが(汗)、去年の後半はそうでもなかったのに、今年に入って年初の超長期輪番減額で反応が出てしまって以降の輪番運営が「その場その場で対応しているというのは分かるのだがやっていることが首尾一貫していないので傍から見ていて何を考えているのか分からん」というプレイになってきている感がありますな、というのが本日の悪態の結論になる訳です。

まあ今の政策の枠組み自体がそもそも論として過去のQQE政策が物価目標達成に向けた効果が出ていませんしこの先も怪しいですなあというのに対してYCC政策で緩和政策を延命しながら事態の好転を待つ、というような風情を醸し出しているのであって、金利とか量とか、イールドカーブについてもどういうコンセプトでコントロールするのか、というようなのが全部揃って曖昧になっていて、背景に一貫した思想が無いのだから仕方ないといえば仕方ないのですが、一々目先の状況に反応して対応をすると輪をかけて訳分らない状態になってしまうので、もうちょっとこうオペはどっしりと構えて変にちょこまか動かない方が良いと思うんですよね。

いやこれ海外要因もあるからなんですけど、ドル円ちゃんがまーた106円台になってしまって、ここから円高進んでまたぞろ輪番増額とかになってしまうと何が何だかますますわからなくなってしまう複雑骨折になりますので、まあ怪我したときには大人しく包帯で動かさないようにしておいた方がよろしいんじゃないですかね、と思うのでした。


〇短国のレンジやっと撤廃しましたな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180228c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営するこ ととしました(2018年3月1日より適用)。 ── 次回公表は2018年3月30日17時を予定。』

次が期末のプレ金の17時かよ!というのはさておきまして、

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。 』

ということでキタコレでありますが短国のレンジを撤廃。先ほど来散々悪態つきましたが、こちらに関しては良かったですな、と思いますが、これを見て「80兆円も撤廃へ向かうのではないか」という話を大声ですると若田部大先生が反応してしまいますのでそれとこれは別問題、ということにしておきましょう(笑)。

しかし輪番日程ですがなんか超長期の日程が特に後ろに寄っている気がするんだが気のせい??