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2018/04/27

お題「寝起きで簡単にECB/FSRで無差別砲撃の状況を鑑賞」

ほほう。
https://jp.reuters.com/article/japan-post-bank-idJPKBN1HX0FA
2018年4月26日 / 13:52 /
ゆうちょ銀、佐護副社長が退任 26日午後取締役会で了承へ=関係筋

この前のインタビューではそんな感じでもなかったように思えますが
https://jp.reuters.com/article/japanpostbk-interview-idJPKBN1DH07F
2017年11月17日 / 11:13
インタビュー:クレジット投資、パッシブ比率高めている=ゆうちょ銀副社長


#超ハイパーどうでもよいのですが「若田部副総裁就任初回の決定会合なので注目されています」とかモーサテ為替解説が流れてきた気がするんだがお前は何を言ってるんだと


〇ECBを超手抜きモードで

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180426.en.html
PRESS CONFERENCE
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 26 April 2018

前回はこちら
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180308.en.html

INTRODUCTORY STATEMENTの一番最初のところだけ(なおご挨拶は割愛)の比較という超手抜きで勘弁ですが。

『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. We continue to expect them to remain at their present levels for an extended period of time, and well past the horizon of our net asset purchases.』(今回)

『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. We continue to expect them to remain at their present levels for an extended period of time, and well past the horizon of our net asset purchases.』(前回)

まずは全文一致でしたな。

『Regarding non-standard monetary policy measures, we confirm that our net asset purchases, at the current monthly pace of ユーロ30 billion, are intended to run until the end of September 2018, or beyond, if necessary, and in any case until the Governing Council sees a sustained adjustment in the path of inflation consistent with its inflation aim. The Eurosystem will continue to reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the asset purchase programme for an extended period of time after the end of its net asset purchases, and in any case for as long as necessary. This will contribute both to favourable liquidity conditions and to an appropriate monetary policy stance.』(今回)

『Regarding non-standard monetary policy measures, we confirm that our net asset purchases, at the current monthly pace of ユーロ30 billion, are intended to run until the end of September 2018, or beyond, if necessary, and in any case until the Governing ouncil sees a sustained adjustment in the path of inflation consistent with its inflation aim. The Eurosystem will continue to reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the asset purchase programme for an extended period of time after the end of its net asset purchases, and in any case for as long as necessary. This will contribute both to favourable liquidity conditions and to an appropriate monetary policy stance.』(前回)

こちらも全文一致ということで、政策に変更無いのは当然として、スタンスとかの文言に関しても変化はなし、ということになりましたな。

『Following several quarters of higher than expected growth, incoming information since our meeting in early March points towards some moderation, while remaining consistent with a solid and broad-based expansion of the euro area economy.』(今回)

『Incoming information, including our new staff projections, confirms the strong and broad-based growth momentum in the euro area economy, which is projected to expand in the near term at a somewhat faster pace than previously expected.』(前回)

つーことでステートメント3パラグラフ目(最初に挨拶があるから文章的には4パラ目)の所は概要の解説コーナーなのでさすがに文言変化を鑑賞できるというもので、前回は絶賛自信ニキという感じでしたが、今回は「points towards some moderation」ということで若干のションボリーヌ感があるものの、しかし気を取り直して「remaining consistent with a solid and broad-based expansion of the euro area economy」って言ってますのでつまりは「やー全然強気っすよ(若干の震え声)」って感じですかね、よー分からんけど。


『The underlying strength of the euro area economy continues to support our confidence that inflation will converge towards our inflation aim of below, but close to, 2% over the medium term. 』(今回)

『This outlook for growth confirms our confidence that inflation will converge towards our inflation aim of below, but close to, 2% over the medium term.』(前回)

この「今後は2%に向かっていきますよ」の部分にしましても、前回の方が書き方がスッキリしていまして、まあ大体中央銀行文学というのはスッキリしているのからやや長めのものになる、という時は自信ニキの声がだんだん震え声になってくる事を意味するのでまあお察し。


『At the same time, measures of underlying inflation remain subdued and have yet to show convincing signs of a sustained upward trend. In this context, the Governing Council will continue to monitor developments in the exchange rate and other financial conditions with regard to their possible implications for the inflation outlook.』(今回)

『At the same time, measures of underlying inflation remain subdued and have yet to show convincing signs of a sustained upward trend. In this context, the Governing Council will continue to monitor developments in the exchange rate and financial conditions with regard to their possible implications for the inflation outlook.』(前回)

「とは言いましても今の所は物価の基調が上昇トレンドに入っているという明確な状況ではないので、政策委員会としては今後も為替レートや金融環境のインフレ見通しに与える影響を注視していきます」という所なのですが、今回この中の文言が「the Governing Council will continue to monitor developments in the exchange rate and ”other” financial conditions」(強調は引用者)とotherってのが急に入ってきて、このotherとは何ぞ??と思うのですが会見で誰か質問してるかなとは思うので(そこまでちゃんと見れてない)質疑部分で確認したい。

『Overall, an ample degree of monetary stimulus remains necessary for underlying inflation pressures to continue to build up and support headline inflation developments over the medium term. This continued monetary support is provided by the net asset purchases, by the sizeable stock of acquired assets and the ongoing and forthcoming reinvestments, and by our forward guidance on interest rates. 』(今回)

『Overall, an ample degree of monetary stimulus remains necessary for underlying inflation pressures to continue to build up and support headline inflation developments over the medium term. This continued monetary support is provided by the net asset purchases, by the sizeable stock of acquired assets and the forthcoming reinvestments, and by our forward guidance on interest rates.』(前回)

金融緩和の効果は買入のストックと今後の償還再投資、および政策金利に対するフォワードガイダンスによって現れますよという説明なのだが、今回この償還再投資に関する部分でも「by the sizeable stock of acquired assets and the ”ongoing and” forthcoming reinvestments,」(強調は引用者)と謎の文言追加になっていて、こちらも何ぞそれという感がありますな。

とまあそういう訳で、足元の弱さに関しては認めていますので、タカ的でないという事にはなると思いますが、今のところは震え声成分が入っているような感じではあるものの、先行きのスタンスを変更しましたというようなこともありませんので、次回まで様子見でその間の要人発言次第、というまあ順当な結果になったのではないでしょうか、と思います。



〇FSR鑑賞会(しつこく)

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/
概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf
全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf

昨日の続きで、『Y.金融機関の信用面のリスクテイクと金融システムの潜在的な脆弱性 』で全文の方から引用します。本文61ページから始まりまして、昨日は『1.企業財務のばらつきと貸出金利体系の歪み』という小見出しの部分をネタにしたところで力尽きたのですが、まああれは現状認識の分析ということでマクラみたいなもんでその次からの鑑賞が色々と味わいがある。


小見出し『2.低採算先貸出比率の上昇の背景』は本文66ページからになります。

『このように、低採算先貸出比率が 2010 年頃から?貫して上昇を続けているが、その構成比をみると、2000年代初頭は、低採算先の中でもとりわけ収益性が低くレバレッジの高い下位グループ向けの貸出比率が高かったのに対し、近年は、低採算先の中でも相対的に財務内容が上位に位置するグループ向けの貸出が増加している(図表Y-1-7)。』

ほほう!

『低採算先のうち、 上位グループと下位グループでは、財務内容に大きな開きがあるうえ、2000年代初頭は、下位グループの借入金(とそれによりファイナンスされた不稼働資産)が非常に大きかった (図表Y-2-1)。これに対して、近年は、上位グループの借入金(とそれによりファイナンスされた設備資産等)の拡大が顕著となっている41。このことは、近年の低採算先貸出の増加の背景には、過去のわが国の金融危機時とは本質的に異なるメカニズムが働いている可能性を示唆している。』

ほうほう。

『すなわち、2000 年代初頭までは、不良債権問題による金融機関の資本不足が意識されるなか、貸倒損失を回避する目的から、金融機関は金融支援が無ければデフォルトする可能性の高い企業(ハイリスク企業)にいわゆる「追い貸し」を増やしていたとみられる42。これに対し、最近の低採算先貸出の増加は、金融緩和の長期化に加え、金融機関同士の貸出競争激化もあって貸出利鞘の縮小圧力が強まるもとで、経営体力のある金融機関が、いわゆる「ミドルリスク企業」向けを中心に信用面のリスクテイクを積極化させていることが影響していると考えられる(BOX4)。 』

ということでBOX4が巻末にあるのだがそこはスルーする。でもってこの事象ってのはFSR的には確かにリスクの拡大というカテゴリーの話になりますけれども、一方で金融政策としてそういうの促していませんでしたっけとは思うので、やはりこういう話というのは金融政策のプロコン分析のカテゴリーの中で問題提起してほしいなあとは思うのでした。

つーことで要因その1は小見出し『金融機関間競争の影響』ですが、これは先般のFSRでも結構やっていましたよね。

『前回の本レポートで詳しく分析したとおり、企業数や人口の減少を背景に金融仲介サービス需要が減少傾向を辿るなか、金融機関間の競争は貸出面を中心に激化している43。金融機関店舗数と企業数の相対比をもとに算出した金融機関の競争指数は、2010年前後から上昇に転じており、店舗間の競合が近年?段と激化していることが窺われる(図表Y-2-2)。こうしたもとで、金融機関の各店舗は、新たな取引機会を求めて法人営業を強化してきており、 特に自らの営業エリア内にあるミドルリスクの地元企業向けに、貸出先を拡大しているとみられる。』

『実際、中小企業の取引金融機関数をみると、この 5年間で増加しているが、特に低採算先において、取引金融機関数の増加が顕著となっている(図表Y-2-3、Y-2-4)。』

前回のFSRで思いっきり夢も希望もない分析が出ていました通りですが、ここからおもむろに全方位砲撃というか、全方位にかみつくマッドドック現るというかという風情の分析が登場。

『さらに、政府系金融機関の存在も、金融機関同士の貸出競争を強める方向に作用したとみられる。』

>政府系金融機関の存在も
>政府系金融機関の存在も
>政府系金融機関の存在も

・・・・・・・・・・・・・これはまた来ましたな。

『民間金融機関と政府系金融機関の双方と取引関係を持つ企業の比率は、長期的に緩やかな上昇トレンドにあり、最近の景気の改善を受けても、低下に転じる兆候は窺われない (図表Y-2-5)。政府系金融機関が民間金融機関の機能を補完している面もあるが、企業別の借入金利をみると、金融面での各種政策措置の影響もあってか、政府系金融機関と取引関係を持つ企業の方が、民間金融機関としか取引関係を持たない企業よりも、金利の低下幅が大きくなっている。』

アチャー。

『したがって、政府系金融機関との競争も含め、貸出金利の引き下げ競争が激化している可能性がある(図表Y-2-6)。 』

制度融資と政府系金融機関に砲撃頂きました。

『なお、公的金融という観点では、リーマンショック後に導入された金融面の各種政策措置 ――金融円滑化法の施行や信用保証制度の拡充等――も、低採算先貸出の増加に、何がしか 寄与した可能性も考えられる。』

そこまでツッコむとは金融機構局恐ろしい子。

『もっとも、信用保証債権や条件緩和債権の残高をみると、リ ーマンショック後のピークから足もとにかけていずれも低下傾向を辿っているため、これら の金融面の政策措置が、2010 年以降の低採算先貸出比率の上昇トレンドを説明する主因であるとは考えにくい(図表Y-2-7)』

さいですか。


でもって次が『金融緩和の影響』という小見出しですが味方陣地への盛大な砲撃モードになるのでしょうか鑑賞してみましょう(^^)。

『金融機関同士の貸出競争の激化に加えて、長期にわたる金融緩和も、ポートフォリオ・リバランス・チャネルを通じて、低採算先、特にミドルリスク企業向けの貸出増加を後押ししてきたと考えられる。』

「ポートフォリオリバランスにも副作用があります」と言っているのですが、いままでこれを面と向かっては中々言ってこなかっただけにこれはまた恐ろしい子キタコレです。

『2010 年から足もとまでの貸出金利の低下を企業属性別にみると(図 表Y-2-8)、2013年頃までは、財務が相対的に良好な企業(ROAが高く、レバレッジが低い先)で金利の低下幅が相対的に大きくなっており、金融緩和効果は当初、比較的リスクの低いゾーンでまず顕在化していたことが分かる。』

ということでこの先の分析が想像できると思いますが・・・・・・・・・・

『その後、金融緩和が長期化するなかで、低リスクゾーンの貸出金利の低下幅が次第に小さくなるとともに、もう少しリスクの高いミドル リスクゾーンの金利の低下幅が大きくなってきている。この間、ハイリスクゾーン(ROAが 最も低く、レバレッジが最も高い企業向け)の金利の低下幅は限定的なものにとどまっている。』

ほうほうそれでそれで?

『ミドルリスク企業は、優良企業に比べ内部資金が少ないため、銀行借入依存度がもともと高い。しかし、収益性が相対的に低いため借入返済能力も低く、したがって、利益拡大を目指して設備投資を行おうとしても、金利が高いと借入増加には踏み切れない。逆に言えば、 内部資金の少ないミドルリスク企業は、内部資金の潤沢な優良企業とは異なり、借入の金利感応度が高いため、金融機関が低金利を提?すれば、潜在的な借入需要が顕在化しやすいと考えられる。』

ホンマカイナと思うがまあそこは気にしないで次。

『金融緩和や銀行間競争は、こうしたメカニズムを通して、ミドルリスク企業を中心とする低採算先の借入増加を促してきたと考えられる。』

・・・・・・ということで金融緩和長期化の影響が、という話になっているのですが、この部分の最初の方にしらっと「2013年頃までは、財務が相対的に良好な企業(ROAが高く、レバレッジが低い先)で金利の低下幅が相対的に大きくなっており、金融緩和効果は当初、比較的リスクの低いゾーンでまず顕在化していたことが分かる。」って書いてありまして、つまりは2013年以降に貸出資産の質が悪化というか、ここでいう不採算貸出が増えてくるようになっていますね、という説明になっていて、いやまあ勿論貸出ルートでの金融緩和効果(あるいは副作用)ってラグを伴って出てくるもんなのですけれども、区切りを「2013年頃」とするのはこれはもう味方陣地に着弾しましたというFSR砲恐ろしい子という味わいがある訳ですな。

・・・・・・・とは言いましても、次の小見出しが『景気改善長期化の影響』となっていて、そもそも債務者属性的に若干アレな債務者にホイホイと資金が貸せたり、そもそも債務者の方に資金需要が発生するようになったのは景気改善が長期化したからですよね、という話がこの次に続いているので、味方陣地まで砲弾を着弾させているようなここまでの書きっぷりですが、金融政策の効果の話も入ってくるので、別に味方陣地を無慈悲な砲撃で火の海にするという訳でもない、という点を付け加えておきまして、残念ながらここでアタクシの力が尽きたというか時間が足りないので、残りの部分は皆さん読んでちょと思いますが、まあ連休の合間にネタにするかもしれません。



2018/04/26

お題「今日も市場雑談メモとFSR鑑賞会というワンパターンですいませんすいません」

昨日の日経新聞の記事は色々とアレだった訳ですが、
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29463210X10C18A4EA1000/
地銀揺るがす「素人運用」
外債で損失拡大、前期は赤字か 金融庁は改善命令も検討
2018/4/25付日本経済新聞 朝刊

でまあ「赤字か」で「改善命令も検討」とか言われてしまいますと、一昨日ネタにしたFSRでのこの指摘もむなしくなってしまうのですな。

『また、運用計画に沿わない無理な益出しと配当の継続は、有価証券の利息・配当収益を減少させるほか、将来の損失吸収力の低下も招くことに留意する必要がある。金融機関は、先々の人口や企業数の減少も織り込んだ収益の中長期予測を踏まえたうえで、持続性の高い収益の確保に向けた取り組みを強化するとともに、株主還元のあり方も含め、望ましい収益配分について検討を進めていくことが重要である。』(2018年4月金融システムレポートより)

つーかさ、有価証券運用やってて「購入した瞬間から償還までずっと含み益の状態で金利収入も入る」などというようなことが恒常的に起きる訳ないんだし、ポートフォリオ全体のバランスを考えたらこっちで益が出ていてこっちで損が出ているっていうのがポートフォリオにおけるALMとかリスク管理とかいうものなのであって、外債の含み損(もしかしたらこれまでの金利収入が円債よりも大きかったかもしれないのに)を取り上げて素人だのなんだのという方が(以下の部分はルビヤンカの方から来た方々により削除されました)。


〇米国金利が順調(?)に上昇中とな

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1S25UC
2018年4月26日 / 05:32
米金融・債券市場=10年債利回り3%台で上昇継続、国債増発懸念で

30年債(指標銘柄) 16時00分 3.2068% 前営業日終値 3.1690%
10年債(指標銘柄) 16時00分 3.0259% 前営業日終値 2.9830%
5年債(指標銘柄) 16時00分 2.8383% 前営業日終値 2.8110%
2年債(指標銘柄)  16時00分 2.4919% 前営業日終値 2.4810%

いやあの国債増発懸念って別に今に始まったネタじゃないんですけどというところでして、まあ要するに金利上昇の背景がイマイチ分からんってえことなんでしょうかねえとか思いつつ眺める訳ですが、まーなんだかんだ言っても「FEDってそんなにホイホイ利上げできないでしょ」と高を括っていたのの反動なんじゃないかねえとは思いますが、この水準になって来ると、米国10年3%で日本の10年0.1%(は無いのだがまあそうしておく)だと、10年気を失ってホールディングカンパニーになっていると方や130ドル、方や101円ですかそうですかいや勿論ドルの方は為替リスクありますけど、ブレークイーブンする水準って何ぼですかいなと考えると・・・・・・とか言いたくなる(個人の感想です)のですが、一方で最初のURL先のような『外債で損失拡大、前期は赤字か 金融庁は改善命令も検討』とかいうのが出ると途中の含みの部分でああでもないこうでもない言われるのも困るしねーなどと手が止まるのもあるでしょうなーとか、まあ色々と考えるところではあります。

ただまあ昨日の債券市場ちゃんもまあゆうてそんなに金利ホイホイ上がらず(後場ちょっと金利上がりましたけど先物が売られたって感じでしたかねえ)で別に20年が55bpとかになるでもなく推移という図になっておりましたが、はてさて本日はどうなるんでしょうかねえと他人事のように言っておりますが、10年の10bpとか20年の60bp超えとかにならない限りは「オラぁワクワクして来ただ!」というのは無いのでまあこの辺はレンジちゅうことで。

なお、ロイターさんのインターネット版記事のヘッドライン見ててこれはワロタ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-idJPL3N1S212R
2018年4月25日 / 10:06
〔マーケットアイ〕外為:ドル108円後半、日銀オペ減額の有無に注目

ご覧の通り昨日のオペ通告前のヘッドラインですけれども、いやいやいやいやだから金利が下がった時に輪番減額していないのに金利が上がってしかも米国10年金利3%到達なんて思いっきり象徴的な日に輪番を減額するとかあり得ないから、というお話なのでございますが、こういうコメントがしれっと出てきてしまうのが中々泣けてくる。

まー今回に関してはどこからどう見ても「輪番減額のタイミングを逃してしまいましたな」以外の何物でも無いのですが、いまさらここで減額できないですし、したらYCCじゃなくて為替見てやっているんですね、ということになるので、政策ロジックが破綻してしまうので出来ない訳ですな。もちろん金利下がっているときに減額をしていたのならば「いやー淡々と減額ですよ減額」と言えるんですが、金利下がったところで減額しなかったのでここでは減額が出来ません、という結果になりますが、そのくらい為替市場も筋道立てて考えるじゃろとは思うので、まあ外れ値コメントだとは思いますけどね。


〇FSR鑑賞会は今日も続く

鑑賞会ネタで手抜きをしてないかというツッコミはしないように(もうすぐ海外中銀ネタも出ますし!)

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/
概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf
全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf

昨日申し上げました今回のスペシャルコーナー、『Y.金融機関の信用面のリスクテイクと金融システムの潜在的な脆弱性 』ですので全文の方から引用します。本文61ページ以降になります。

最初は『1.企業財務のばらつきと貸出金利体系の歪み』という小見出しから。

『W章で示したとおり、金融機関の信用コストは、歴史的な低水準で推移している(図表W -1-3)。これは、長期にわたる景気の改善を反映して、企業収益が史上最高水準まで改善する なか(図表Y-1-1)、金融緩和に伴う金利水準の低下にも支えられて、企業の利払い能力が向 上し、デフォルト率が低下しているためである。』

『実際、企業の倒産件数は、1980 年代後半 のバブル期並みまで減少するとともに、「3か月以上の延滞ないし破綻懸念先以下へのランクダウン」として定義されるデフォルト率も、2000年代以降の最低水準まで低下している(図 表Y-1-2)。』

はい。

『もっとも、企業収益の改善は、企業間で一様ではなく、相応のばらつきを伴っている。中小企業の営業利益ROAの分布をみると、直近の5年間で、分布の右裾の厚みの増加により、 平均値は−0.7%(2011年度)から+2.8%(2016年度)へと上昇している(図表Y-1-3) 。 しかし、長期にわたる景気回復の中にあっても、収益性の改善が捗々しくなく、分布の左裾に滞留し続けている企業も相応に存在する。』

ほう。

『こうした低収益企業の長期低迷の背景としては、 グローバル化や為替レートの変動に伴うグローバルなサプライチェーンの構造変化に適応できていない可能性や、地域の高齢化・人口減など構造的な下押し圧力が相対的に強く作用し続けている可能性などが考えられる。』

ほうほうそれでそれで?

『このように収益性をはじめとする企業財務の内容には相応のばらつきがある一方、企業財務と貸出金利との対応関係をみると、企業の信用リスクに見合わない事例も存在する。』

ってしらっと言うのですが、だったら今仰せになっておられるような状況にあるのに、何で社債買入だのCP買入だのという信用リスクプレミアムを圧縮どころかマイナスにするような政策を継続しているのかと小一時間問い詰めても金融機構局は知らんがなという話ではあるのですが、だったら政策委員会にそういう現状ですよというのを伝えて、信用緩和政策の類に入る政策の今後の在り方について検討をさせるように促すのがお仕事なんじゃないですかねえと無理難題を投げてみる。

『一般 に、銀行の貸出金利は、企業の信用リスクの大きさを反映して決定され、企業の信用リスクが高ほど、上乗せされるプレミアムも大きくなると考えられる。しかし、実際には、@収益性(営業利益 ROA)やA財務レバレッジ(負債/総資産)、B(これら以外の様々な財務 変数やマクロ経済環境も勘案して推計した)デフォルト確率(PD)のいずれをみても、それらの指標から判断される信用リスクの高さに比べて、相対的に貸出金利が低位に設定されている例がみられる(図表Y-1-4)35。』

やれ目利き力だ担保に依存しない融資だというような意識の高い方々にこの説明をして頂きたい。

『例えば、通常、デフォルト確率が高くなるほど、貸出金利の水準は高くなることが想定されるが、デフォルト確率がある?定水準以上になると、 そうした関係が崩れ、むしろデフォルト確率の上昇に伴って金利水準は逓減していることが 確認できる。これには、金融機関がデフォルト確率の高い企業に対して、資金回収の不確実性が高い長期貸出を抑制し、主に短期貸出で対応していることも影響しているとみられる(図 表Y-1-5)。しかし、長期借入比率が金利水準に及ぼす影響はさほど大きいものではなく、これを調整しても、信用リスク(デフォルト確率)の上昇に伴って借入金利が逓増していく姿にはならない36。』

これ次の説明を見るとまあそうなんですかねとは思うのですが、なんか貸出競争の要因の話だけにもっていっているけど、担保を徴求すれば回収確率がその分上がるんでとか、そういう担保カバーの話とかはどうなってるんじゃろとは思うのと、データ自体がどこら辺までカバーした話なのか(どの程度の規模の貸出まで対象にしているのか、とかだが帝国データバンクのデータがどの程度の規模の企業をカバーしているのかというのもあったり無かったりする)というのがよく分からんので、バックグラウンドとしてどの程度のデータを見ているのかなというのは興味があります。

『財務内容の悪い企業に対して、金融機関が企業の要請に応じて、約定金利を低位に設定したり、金利減免に応じているケースは従来からみられる。しかし近年は、それだけではなく、貸出競争が激化するなかで、金融機関側から、貸出金利を信用リスク対比で圧縮しながら積極的に信用供与を増やしている――金利を低めに設定することで金利感応度が高い企業の資金需要を掘り起こしている――可能性がある。』

アタクシも昔は金貸しの手先をやっていたことがあるのですが大昔だから参考にも何にもならないと思いますが、昔は金融機関が新店舗出してきて特攻キャンペーンとかおっぱじめるといきなり借り換え話が出てくるというのはあったようななかったような(あくまでも個人の追憶の世界です!)でありまして、まあ日銀のレポートだからそんな品の無い書き方はしないのかもしれませんが、『金利を低めに設定することで金利感応度が高い企業の資金需要を掘り起こしている』というのは何か上品すぎてちょっと実態と合わない表現になってるような気がしますけど(^^)。

なお、アタクシのさっきのツッコミの担保部分ですが、脚注に説明がありまして、

『36 この他に、可能性としては、金融機関が信用リスクの高い先に対し、優良担保や保証による保全を行うことで、金利を低めに設定していることも考えられる。データの制約により、担保による保全の影響を検証することは難しいが、中小企業信用リスク情報データベース(CRD)を用いれば、信用保証の有無が、企業財務と借入金利の関係にどのような影響を及ぼしているかを定量的に検証できる。』

ほほう。

『これによれば、@信用保証が有る場合、保証料 の分だけ、実効ベースの貸出金利が上昇するが、A信用保証の有無は、ROA・レバレッジと借入金利の関係の形状(図表Y-1-4)には大きな変化をもたらさないことが確認できる。したがって、信用保証による保全が、図表 Y-1-4で観察されるような金利体系の歪みをもたらす主因とは考えにくい。 』

だそうです。まあ融資ってその前に「出すか出さないか」の所がデジタルであって、リスクに応じてスプレッドがリニア(か指数関数か知らんが)にどうのこうのというものでもないというのはありますが、


『以下では、財務内容の相対的に悪い貸出先企業のうち、銀行が貸出金利の水準を信用リス ク対比で低めに設定している先を、「銀行にとって採算が低い貸出先(低採算先)」と呼ぶ。 分析においては、(銀行にとって将来の信用コストにつながる)デフォルト確率を左右する企業の財務変数のうち、営業利益ROAと財務レバレッジを取り上げ、それらと借入金利水準の関係に着?する。具体的には、次の 2 つの基準のうち、どちらかを 2 年連続で満たす場合、 「低採算先」と定義する。また、それ以外の企業は、本レポートでは「通常の貸出先(通常先)」と呼んで区分することにする37。 』

『@ ROA基準:営業利益ROAが企業分布の中央値を下回っているにもかかわらず、借入金利が信用力の最も高い企業向けの金利(ROA の上位 10%の企業の借入金利)を下回る。

A レバレッジ基準:財務レバレッジが企業分布の中央値を上回っているにもかかわらず、借入金利が信用力の高い企業向けの金利(財務レバレッジの下位50%の企業の借入金利)を下回る。』

ということで分析した結果(しんどくなったので途中は飛ばす^^)は以下の通り。

『このように定義された低採算先が中小企業全体に占める比率(低採算先比率)は、リーマンショック以降、振れを伴いつつも、ごく緩やかに上昇している(図表Y-1-6)39。また、 低採算先貸出が中小企業向け貸出全体に占める比率をみると、2010 年をボトムに、低採算先比率を上回るペースで上昇している40。』

『足もとは、金融危機後の不良債権処理問題に直面していた2000年代初とほぼ同水準となっている(図表Y-1-7)。こうした低採算先貸出比率 の上昇には、低採算先率自体の緩やかな上昇に加えて、低採算先 1 社当たりの借入金が増加していることが影響している(図表Y-1-8)。 』

でもってその要因分析が次の所になりまして、そこで色々な砲撃が見られるのですが、何せこのFSRは引用するときに一々文字化け修正をしないといけないので時間が掛かってしまってどうにもこうにも(事前に下準備しておかないと話にならんので今度の展望レポートもそうなのですが、連休中に下準備しておきますけど)ということで勘弁。




2018/04/25

お題「今日もまた市場世間話とFSR雑談でございまする」

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3350319.html
福田財務次官の辞任を閣議決定、退職金は当面支払わず
24日11時16分

本人の辞任は認めるけど退職金は保留とか支離滅裂にも程があるし、

『「(Q.一旦、官房付にして、調査結果が出て、必要に応じて処分をしてから辞任を認めるべきではないかといった意見も出ているが?)野党がそう言っているのは分かったんだけど、そのときの給料は誰が払うのかって聞いているんだ、野党が払ってくれるのか?」(麻生太郎 財務相)』(上記URL先より)

ってお前は何を言ってるんだという話で、結果がどうあれ処分するのかというのだったらそういう扱いにするのが当然だし、処分とか関係なくて辞任を認めるならさっさと退職金満額だすもんでしょってなもんで、どうも麻生さん完全に頭のネジ外れているようで大丈夫かと。

#まあそれよりもこの調子でドンドン与党の地盤がおかしくなるのがアカンのだが


〇米国10年3%ですかそうですか・・・・からのMPMプレビュー雑談なども含め

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1S15ZS?il=0
2018年4月25日 / 05:30 /
米金融・債券市場=10年債利回りが3%突破、景気底堅く

『 30年債(指標銘柄)16時15分 3.1758%  前営業日終値 3.1430%
10年債(指標銘柄) 16時11分 2.9958%  前営業日終値 2.9730%
5年債(指標銘柄) 16時12分 2.8226% 前営業日終値 2.8190%
2年債(指標銘柄) 16時00分  2.4746% 前営業日終値  2.4740%

米金融・債券市場は、国内景気が底堅さを見せる中、10年債利回りが4年強ぶりに3%を突破した。この日公表された4月の米コンファレンス・ボード(CB)消費者信頼感指数や、3月の新築住宅販売戸数が底堅さを示し、今後数四半期も経済成長が続くという見方が強まった。10年債利回りが一時3%を突破したことで、米国株式市場の下落に拍車が掛かり、終盤の取引で主要3指数が1%超下落した。』(上記URL先より)

ということで米国10年3%になったり戻ったりして結局3%乗せっぽいのですが、確かにまあここもと北朝鮮の方が明るい感じになってみたり、そのどさくさに紛れて貿易戦争ネタでの暴れ馬の暴れネタが一巡していたりとかいうのでリスクオフモードじゃないですよね、というのはあるのですけれども、今年あと3回利上げするんじゃネーノとか、景気確りですよねとか、その手の話って今に始まったネタじゃないと思うんだが何がどうなっているんだかという所ではございますな。


でもって、
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N1S166V?il=0
2018年4月25日 / 05:20 /
米国株式市場=下落、国債利回り上昇で企業の資金調達コスト懸念台頭

ダウ茄子が1.7%下げとかやっておりますが、某モーサテの方では「長期金利上昇よりもCATなどの決算があーでもないこーでもない」と説明していたりするので、まあ要するにヘイヘイ米国株式市場ビビってるビビってるぅ、ということでしょうかよくわかりません(まあ高々1.7%の下げですからそれでビビってるという程のもんでもないでしょうが)。


となっておりますので、今日の円債ちゃんがどう反応するのかというのが楽しみとは言いたいのですけれども、

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1S12ND
2018年4月24日 / 15:14
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅続伸で引け、長期金利が横ばいの0.055%

『 <15:07> 国債先物が小幅続伸で引け、長期金利が横ばいの0.055%

国債先物中心限月6月限は前日比4銭高の150円67銭と小幅続伸で引けた。前日の米債安を手掛かりに、朝方は短期筋からの売りが先行した。ただ、追随した売りはみられず好需給を支えに切り返した。2年債入札は、内外投資家からの買い需要に支えられて順調な結果になると、買い戻しが入り強含んだ。現物市場は入札をこなした中長期ゾーンがしっかり。一方で、超長期ゾーンは軟調に推移した。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばいの0.055%。』(上記URL先より)

ってなもんで、昨日に関しても米国金利上がってましたが中短期とか寧ろ前日比金利低下でござるの巻という展開になっていまして、20年カレントとかも引け変わらずとなっていましたけど、30年とかは昨日も弱いでござるの巻という展開ですが、そもそも論として30年とかここもとずーっとフラットニングしていたものの反動ですよねってなもんで、恐らく今って昔の10年カレントが20年カレントみたいな感じだと思うんで20年カレントをベースに考えると大体最終投資家というか実需ベースの買いの流れが読めそうな感じだと思うんですが、そっちで見ると単利0.5%の所で何回か跳ね返されて戻るも0.55%の所で一旦買いが入るのを確認したところ、という感じで、米国金利様が上昇する中で今回はどう反応するのかというのを楽しみに(?)確認したいかな、とは思ったりする。


そういえば(伏字)砲を今回まだ見ていない気がするんですが(いや実は昨日の夜に出てましたとかだったらすいません)米国長期金利が上昇した今日こそ(伏字)砲の絶好のタイミングではないかと思いますが、何せ今回のMPMに関してはどこからどう見ても新しいネタの出ようがないタイミングなので、砲撃の出しようもないというこの事実ってな所かなと。

つまりですね、まあ仮に何かやりたいのであれば、ちょうど体制も変わったのと、うまい具合に今まさに米国長期金利がホイホイと上昇して為替円高リスクも軽減されているタイミングですので、このドサクサに紛れて毎度おなじみの無意味文言「80兆円」をしれっと削除するというのはやるタイミングではあるのですよ。つーかまあそれくらいしか今回新機軸出すところはない。

ただですね、今って内外情勢も内外金融政策情勢も微妙にどっちに転ぶのやら、とやっている時ではありますので、そういう時に日銀がヒャッハーと言いながらわざわざ目立ったあとに、日銀と関係ない理由であっても市場が良からぬ方向(円高とか株安)に行った場合、日銀は何やってるんだこのスットコドッコイと言われて貴重な日銀の政治資源を無駄遣いすることになってしまいますし、おまけに現状では日銀を一番擁護してくれそうな財務省があの有様になっているし、黒田総裁の一番の擁護者の安倍ちゃんも支持率があばばばばーとなっている訳で、そんな中で日銀が自分から動きに行くとか、事態が切迫でもしない限りあり得んと考えるのが順当だと思うのよね。

ですから、上が変わった(と言っても黒田さん、日銀、置物という体制が同じなので変わった感は少ないが)からと言って新機軸を出さないといけないという義理はないのであって、まあ今回はどこからどう見ても無風で、さて経済物価見通しどうしますかねというお話はあるにせよ、QQE初期のころと違いまして、2%達成時期と追加緩和判断がリンクしないことが明らかになっているので、そこが少々修正されたからと言っても政策インプリケーションが無いと来たもんだということで、無風オブ無風になるので、まあどこぞのベンダーからの(伏字)砲も撃ちにくいという所でしょうな(仮に出ても反応するだけ時間の無駄だと思う)。


〇またまたFSR鑑賞コーナー

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/
概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf
全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf

・割と全方位に向けて砲撃をしまくっているコーナーis有る

昨日ネタにした部分の次のコーナーが、『Y.金融機関の信用面のリスクテイクと金融システムの潜在的な脆弱性 』というお題でして、全文の方だと本文60ページ以降で、概要だと14ページ以降になるのですが、この部分は色々な方面に砲撃をしている上に、自分の所の金融政策にも砲撃を加えておりまして大変に味わいが深いのですが、長いので一度にネタにしにくくてかなわん(笑)。

ということで以下全文の方から引用します。

『V章で確認したとおり、金融機関が積極的な融資姿勢を維持するもとで、貸出は中小企業の設備資金向けを中心に増加を続けている。貸出の積極化による金融機関のポートフォリオ・リバランスは、これまでの経済情勢の改善に寄与している34。こうした前向きな動きが 一段と広がり、経済・物価情勢のさらなる改善へと結びついていけば、金融機関の収益力の 回復にもつながっていくと考えられる。』

と最初だけは書いてあるのですな。ちなみに脚注34は『34 FSR(2017年4月号、BOX2)では、日銀短観の個票データを用いて、金融機関の貸出スタンスの積極化が企業の業況感改善に寄与していることを確認した。』って奴です。

しかしそのあとが味わい深い。

『もっとも、ポートフォリオ・リバランスに際し、金融機関が過度なリスクテイクに向かうことになれば、金融面での不均衡が蓄積し、やや長い目でみて金融システムの安定性が損なわれる可能性がある。実際、景気改善と低金利という良好なマクロ経済環境が続いているため、金融機関による信用リスクの評価は緩む傾向にある(図表Y-1)。』

まあそうなのだがそういう政策をとっている訳なので、そういう点では「過度な低金利政策によるリスクテイクの活発化による弊害」と「金融機関のリスクテイクによる経済への好影響度合いの進み方」というプロコンを並べて比較していく、という事が重要だと思うのですが、現在のMPMでそんな話をまともにしているとは思えない(このように日銀スタッフからは出てくるし、もちろん政策委員の皆様の中でそういう事への理解がある方もいるように見えますが、少なくともリフレ3馬鹿とか理解できる訳無い上に変な反論までしてくるジンバブエとかいるので議論が成立しないだろうなあ、と思う)のが惜しいですな。

『行き過ぎたリスクテイクの動きは、社債等に代表される市場性取引であれば、信用スプレッドなどの価格情報から比較的容易に観察することができる。しかし、相対取引を基本とする金融機関貸出については、債務者の信用力のばらつきを勘案していない貸出量ギャップ(総与信・GDP比率のトレ ンドからの乖離)などのマクロ指標では、貸出債権の質の変化を十分に捕捉しきれないという問題がある。このため、貸出を通じた信用面のリスクテイクに伴う脆弱性を点検するには、 粒度の高い企業別・金融機関別のミクロデータを用いて、債務者の診療力と貸出金利の水準、貸出量などの関係をきめ細かく分析・評価する必要がある。』

『本章では、こうした問題意識のもと、貸出市場における金融機関の信用面のリスクテイクが、貸出債権の質の劣化を通じて、中長期的な金融システムの安定性に悪影響を及ぼすことがないかどうかを点検する。』

ということで、 これはもう最近のFSRのお得意分野でありますところのミクロデータからの超分析って奴でして、これが延々と本文76ページまでなので16ページにわたって延々と繰り広げられていまして、最初の方は現状の認識みたいな話なのですが、そのあとに各種要因との関係みたいなところに来ると中々いい感じで全方位砲撃という感じなのが味わいがありますよね、というお話。

でもってこの中の章立ての小見出しを並べますとですな、

1.企業財務のばらつきと貸出金利体系の歪み
2.低採算先貸出比率の上昇の背景
   金融機関間競争の影響
   金融緩和の影響
   景気改善長期化の影響
   金融機関のリスクテイク
3.低採算先貸出の信用リスクとデットガバナンス
   金融機関の信用リスク管理の強化
   金融機関によるデットガバナンスの強化

ってなっていまして、分析に関しましては仰せの通りという感じではありますし、いろいろ砲撃しているなあというのもありますが、「いやそこはそういわれましてもそれって金融政策とか金融行政からの必然として起きているので金融機関にケツ持ちさせるのってご無体な」みたいな部分もありまして、まあ読みようによっては「ご無体な」感を強く受ける人もいるでしょうなあと思いますし、まあそこのところは読み方次第。

でもってこの中身の鑑賞に入ろうかと思うのですが、中々面白いのは良いのですが、導入部分の1が結構長くて、今朝のアタクシの時間配分上問題がある(このFSRは先般来申し上げておりますように、フォントがUnicodeになっているため、プレーンテキストに落として(落とさないと多分FTPの時に不具合が生じるような気がするのですが回避策があるのかも知れん)見ると、結構多くの漢字が文字化け対象になってしまうので、PDFからコピペしながらANSIフォントに対応していない漢字を一々手で直さないといけないので通常の何倍も時間を食うのです)ので、残念ながらネタにするのは明日と明後日(それ以降はMPMネタですな)という所で勘弁頂くとしまして(汗)愚感想をば少々。

えーっとですね、この話自体はまあご無体な成分はあるにせよゆうてることはいやはやごもっとも成分が強いお話ですし、このFSRって全編にわたって「過度な金融緩和政策長期化の副作用」って題名にしてもおかしくないという位の全方位砲撃振りを発揮していまして、中々なのですけれども、まあFSRだから仕方ないのと、今回は貸出に関する細かい分析が初回ですからというのもあると思うのですが、どうせなら『本章では、こうした問題意識のもと、貸出市場における金融機関の信用面のリスクテイクが、貸出債権の質の劣化を通じて、中長期的な金融システムの安定性に悪影響を及ぼすことがないかどうかを点検する。』という観点だけではなく、金融緩和政策による貸出ルートの経済への好影響の度合いと、この金融システム安定化の観点からのリスクの拡大の度合い、というようなプロコン分析に関して踏み込んでいただくと更に面白いんじゃないかなあとは思います。まあそれってFSRの範疇を超えているし、スタッフ分析として行うのは良いけど、それはMPMの中とかでは出すけれども一般公衆には出すもんじゃないって物かも知れず、実はもうこのFSRを踏まえてプロコン分析に内部的には踏み込んでいるのかもしれませんけれども(なお踏み込むと地雷感は強いので取り扱い注意ってところですかね、笑)。


ということで超中途半端ですいませんすいません。




2018/04/24

お題「またも市場世間話(押し目買いとかT+1とか)/今日もFSRネタを少々」

昨日は先代置物(今回のが二代目置物になるかは決定会合次第)がQUICKのインタビューか何かでお前は何を言ってるんだという世迷い言を並べていたみたいなヘッドラインを見たのだが、日経のページ見てもイマイチ見当たらないので惜しくも悪態がつけませんな。

まあしかしヘッドラインだけ見ますと消費増税は知らなかったみたいなジンバブエ先生が罵倒する認知不協和もビックリな認知し・・・いやなんでもないですよーな言い訳をしているように見えたのだが、それマジで言ってたら頭がおかしいのを5年間日銀副総裁にしていたという話になるんで日本の恥だからインタビューとか表に出すなよ(出す方も日本の恥を宣伝しているので同罪)と思うし、先代置物師匠に置かれましては可及的速やかに(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。

ところでまた久々にこの話をしているんだが、
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20HPL_T20C18A4000000/
「2期目の黒田日銀、外債購入検討すべき」浜田内閣官房参与
2018/4/23 10:38日本経済新聞 電子版

いやだからそんなに言うならイエール大学の偉い大先生で米国にも居住しておられる浜田大先生が米国の要路に説いて下さいよという所でして、やろうと思えばできない立場でもないのに何もしようとしないで勝手な話だけするとは、若者を戦争に行かせて自分は内地でのうのうとしているクソジジイですかという感想しかない。

#というかそれ以前の問題として、円安誘導すれば経済が本当によくなるのかとか国民厚生的に良いのか、というのも見直す必要があるんじゃないかと思うのだが


〇一旦押し目買いだったのですかねえという市場雑談メモ

例によって芸もなくロイターさんから
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1S02OR
2018年4月23日 / 15:18 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利変わらず0.055%

『 <15:08> 国債先物は反発、長期金利変わらず0.055%

長期国債先物は反発で引けた。前週末の海外市場で、インフレ懸念の高まりやFRB当局者が利上げに前向きな姿勢を示したことを手掛かりに、米債金利に強い上昇圧力がかかった流れを中盤までは引き継いだ。短期筋の売りを巻き込んで、一時150円43銭と中心限月ベースで2月8日以来、約2カ月半ぶりの水準に下落した。終盤にかけては、日銀オペが想定通り通告されたことに加え、中期のオペ結果が売り急ぐ内容ではなかったことから、買い戻し動きが徐々に優勢になった。

現物市場は底堅い。午前の取引では広いゾーンで金利に強い上昇圧力がかかった。5年債利回りは一時前営業日比1bp高いマイナス0.085%と2月9日以来、10年最長期国債利回りは一時同1bp高い0.065%と3月2日以来、20年債利回りは一時同2bp高い0.550%と3月5日以来、30年債利回りは一時同2.5bp高い0.750%と3月22日以来、40年債利回りは一時同2.5bp高い0.880%と4月6日以来の水準に上昇した。

午後の取引では国債先物がプラス圏に浮上すると、中長期ゾーンを中心に押し目買いが入り、金利上昇が抑制された。北朝鮮は21日、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験を停止すると発表したが、相場への影響は限られた。

長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比5銭高の150円63銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比変わらず0.055%。』(上記URL先より)

ということでさすがに話題があると記事も長くなりますなという所ですが、昨日は上記URL先の記事にもありますように、朝っぱらから5年10年1毛甘なんぞをやらかしている間に20年カレントが0.55%ということで2毛甘という水準になっておりまして、先週木曜日の入札日朝一の0.495%とは何だったのかと無の心境になってしまう所ではございますが、まあよー上がりますわという図式。

でもって暫くはあじゃぱーという感じで推移していましたけど、20年カレントで言いますと前場途中に1.5甘になって、後場になって13時半くらいとかになったら1甘とかになって、という感じで戻っていくの巻となっておりました。

まあ何ですな、入札の時分には「キャリー取れなくなるからもう買わないとアレですよ」的な感じだった訳ですからして、そこから5bpも金利水準上がったらそらもう押し目買いでしょ、という話にはなると思うのですが、これがまた金利上昇が急に来ますと、「何でこんなに金利が威勢よく上がるんじゃろ、もしかして今まで考えていた前提が崩れているんじゃないか、もしそうなら今買っても押し目でもなんでもなくまだ金利あがるんでは」みたいな心境になる人が世の中多い訳でして、そうなりますと押し目買いが来る筈のポイントで何か来なかったりする訳ですな。

一方で、ディーラポジションって物凄く足が速いし、たぶん昔に比べるとロスカットポイントも早くなっているように思える(個人の感想です)ので、いやおまえそこまで叩かんでええじゃろというような水準までホイホイと投げ踏みが入って、しかもその速度が速いときたもんだとなるので、突如アヒャーと動いて動くと思った投資家動かんみたいなのがあるのかねえとか思ったりもしましたですよ、はい。

たぶんもっと昔(だいぶ前の話ですが)だと、投資家の方でも短期売買狙いでのポジションがもっと多くとる余裕があったし、ディーラーの方でもそれなりに長い時間もっていられる余裕があるポジションが多くあったと思う(個人の感想です)んで、このように全然動かないで突如動くみたいな生きてるんだか死んでるんだかよくわからん生体反応をするのではないような相場ってのがあったと思うのですが、まあ大規模緩和に加えて輪番で市場を押さえつけた上にYCCまでやるわ、水準の方はマイナス金利だのとやってキャリー取りにくくするわで、市場のリスクアペタイトがそもそも全体として下がっているんだろうなあと思うのでありました。

まーそうは言いましても昨日は途中から戻ったので、そらまあさすがに押し目買いが入ったんじゃろうなあというのは想像できますが、しかしまあナンジャソラな木曜以降の値動きでありましたことよとゆー所で、って米金利も今更謎に上昇しているのでもう少し動くのかも知れませんがよくわからん。



〇SLFの前日受付とな

ほほう。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180423a.pdf
国債の決済期間短縮化(T+1 化)後の国債補完供給の一時的な運用変更について
2018年4月23日 日本銀行金融市場局

『本年 5 月 1 日(火)に予定されている「国債の決済期間短縮化(T+1 化)」後、新たな市場慣行のもとでの取引が定着するまでの間、レポ市場の国債需給がタイト化する可能性があります。』

まあそもそもT+1になったりならなかったりするし、カットオフタイムをどこに置くかとかでも色々なのがあって定着しても面倒さが何倍速かになるんですけどね。

『日本銀行では、市場参加者の T+1 化への円滑な移行を支援する観点から、レポ市場の国債需給のタイト化に備えた一時的な措置として、5 月 1 日(火)から11 日(金)までの間に実施する国債補完供給について、以下のとおり 1 日 3 回の入札の実施を可能とする扱いとします。』

ほほう。

『午前入札@ (新設)

オファー実施希望受付時間
前営業日 16:00〜18:00

オファー 10:25
応募締切時刻 10:50
オファーバック(注1) 11:05 頃
スタート日の決済締切時刻 13:15
エンド日の決済締切時刻 15:00 』

決済時間は従来の午前中バージョンと同じだけど、前日の時点で翌日のショートが見えているものに関してSLFの受付を行いますってお話のようですな。

まあやるのは結構なのですが、何故かこの実質1週間程度の臨時措置ってのが微妙感溢れる措置で、だったら常設ファシリティ(国債大規模買入で銀行券ルール停止中の時限措置でも良いので)にしてよという思いは毎度あるのですが、まあ常設ファシリティ化しないという理屈は日銀の方には用意されていて、何だかなあと思う面はあるものの、一応話として日銀の理屈じゃろそれはとは思うけど分からんでもないのはある。

でもって、まあもしかしたら「やっぱりこの措置延長」となるのかも知れないのですが、1週間程度しかやらない臨時措置というのであれば、もとよりファイル上等でやらない方がよろしいんじゃないのでしょうかとも思うのですが、それともこれは1回だとオーダーを捌ききれないとかそういう単純な話だとしたら、1週間というのはちょっと仮置きだとしても期間短くねえかという感じではあります。


まあしかし何ですな、こーゆーのをこんなギリギリのタイミングでぶち込みにいかなければイカン、という事自体がそもそも論としてT+1決済に突撃するための環境が進んでいなかったのではなかろうかという話でもありまして、まーT+1の話だって実際に実務回しているサイドからしたら何でやるんじゃヴォケというような感じ(あくまでも個人の感想ですので念のため申し添えます!)の中において、そもそもやりましょうと言っていた時と比較して前提となる条件の変化(未決済残高削減の必要性が金融機関の資本増強やCCPによって変化したんじゃネーノとか、日銀の大規模買入で国債の流動玉が大きく減っているとか)が起きているはずなのに、意識が高いんだか一旦始めると止めることのできない昭和軍人なんだか知らんですけど、とにかくT+1実施先にありきで話を進めていくもんだから準備進んでなくても進んでいるみたいな話でドンドン進んでしまって現在に至るみたいな、ジャパンのアレな所を佃煮にしたような話になっていないかと心配するところではございますな、うんうん。

銘柄後決めGCとか新現先方式とかの定着も微妙なのですが、まあこいつに関してはT+1になったら進まざるを得なくなるんじゃないかくらいの勢いで突撃している感はありまして(個人の感想です)、さてどうなるんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・


〇FSRネタを少々

またまたFSR

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/
概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf
全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf

全文の方から引用しますが、本文56ページに『X.金融システムのストレス耐性に関する評価 』の『2.金融機関の収益力の評価 』というのがあるのよ。でもってそこを鑑賞の巻。

『金融機関の収益は、長期的にみれば、相応に高い水準を維持しているが、国内預貸業務を 中心に基礎的収益力に対する下押し圧力は強まっている。2017 年度第 3 四半期までの当期純利益は、株式売却益や貸倒引当金の戻入益に?えられて増益となったものの、資金利益は 減益となった(図表X-2-1、X-2-2)。金融機関の年度計画によれば、2017年度通期の当期純利益は小幅の減益が見込まれている。低金利環境の継続や金融機関間の競争激化の影響による預貸利鞘の縮小が、資金利益の大きな下押し要因となっており、貸出の増加は預貸利鞘の縮小の影響を相殺するには至っていない。』

しらっと低金利政策長期化の弊害の話を混ぜ込んでいますな。

『こうした厳しい収益環境を踏まえ、大手金融グループでは、@グループの一体運営の加速、 A人員・店舗戦略の見直し、Bデジタル戦略推進を軸に、経営効率化に向けた取り組みを本格化させつつある。』

『また、地域銀行においても、経営効率化への取り組みから経費が減少しているほか、証券子会社を設立したり32、振込・送金手数料をはじめとする各種手数料の体系を見直したりするなど、非資金利益の拡充による収益源の多様化に向けた取り組みが進められている(BOX1)。こうした取り組みの一方で、地域金融機関の中には、コア業務純益の減少を多額の有価証券売却益(益出し)で補うことで当期純利益の水準を維持している先も相応にみられる。』

益出しキタコレですが、その前にこれ前回のFSRネタの時も話しましたが、収益源の多様ガーという話をする中において、そもそも金融機関の業態別すみわけみたいなのとか、証取法65条みたいなのってのを施策としてやっていた背景がある中で、いきなりこの期に及んで収益源が多様化されていないのはケシカランとか地域銀行に言われてもナンジャソラという話になる(前回のFSRではそのあたりは踏まえた説明になっていたのでそこは良かった)なあとは思いますが。

『最終利益に占める益出しの割合も近年高まっている(図表X-2-3)。また、 コア業務純益が減少しているなかでも、高い配当性向を維持するために、益出しを行っている先もみられる(図表X-2-4、BOX2)。特に、そうした傾向は、外国機関投資家の株主構成比が高い銀行においてみられる。 』

ということで・・・・・・・

『有価証券の含み益は、自己資本比率規制上、国内基準行では資本に算入されないが、経済価値ベースでは資本バッファーとして機能する面がある。実際、過去のレポートで示したように、含み益の多い金融機関はリスク性資産の積み増しに積極的である一方、含み益の少ない金融機関はリスク性資産の積み増しには慎重な傾向がある33。』

これは脚注にもありますように前々回にありました。でもっていよいよマズくなると最後は特攻する場合もこれありというような感じでしたっけ。

『人口や企業数の継続的な減少は、金融機関の預貸利鞘を構造的に下押しし続けるとみられるが(図表X-2-5)、金融機関 が従来の当期純利益や配当の水準を維持するために、有価証券の益出しを続けることには限界がある。』

そらそうよ。

『また、運用計画に沿わない無理な益出しと配当の継続は、有価証券の利息・配当収益を減少させるほか、将来の損失吸収力の低下も招くことに留意する必要がある。金融機関は、先々の人口や企業数の減少も織り込んだ収益の中長期予測を踏まえたうえで、持続性の高い収益の確保に向けた取り組みを強化するとともに、株主還元のあり方も含め、望ましい収益配分について検討を進めていくことが重要である。』

言いたいことは分かるのだが、最後のまとめが他人事感なのが惜しいところで、そんなこと言ったって中長期的に大変だという話してるじゃんと思いますし、BOX2のネタ(今日はパス)にもあるけど、外国人株主比率が高いと配当性向を高めに維持しようという動きが起きて、それが持続性の無い益出し行為に繋がるとか分析しているのですが、そもそも金融機関の株式持ち合いによる長期安定株主という構造に関して文句言いまくっていたのってまさに日本銀行金融機構局であって、FSRの前身のころからそれこそ10年どころじゃなく持ち合い解消しろ持ち合い解消しろと金融機関に言いまくっておいて、いまさらしれっと「外国人株主比率が高いと無理な益出ししてますね」とかお前は何を言ってるんだというのはだいぶある。

いやもちろん日銀的に言えば、それは安定株主がどうのこうのの問題じゃなくて単に配当政策の問題であって、株主政策の話とは別だから知らんがな、という理屈もわかるのですけれども、昔から話をずーっと聞いていた側からすると、散々持ち合い解消させておいて急にこういうの出されると、日銀のご指摘に則って持ち合いをせっせと解消していた金融機関の経営の皆様が何となく釈然としない思いはするんじゃないでしょうか(経営でも何でもないイチ個人の感想なので実際はそんなこと思わないのかも知れないけど)とか思ったりしましたですよ、はい。

#FSRネタはちょいちょい入れていきます




2018/04/23

お題「何か金利の上がった市場と輪番雑談/FSR雑談」

本人は面白いつもりで言ってるんだろうがどう見ても「聞く耳を持たない」以外の何物でもないの発言ですな。

「本人は面白いつもり」とか「本人は指導のつもり」でいる言動というのがハラスメントに繋がるということを考えると。全く持ってこのジジイはセンスないしとっとと大臣も議員も辞めた方が良いわさすがに。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180420-00050029-yom-bus_all
麻生氏、抗議を茶化す?「もう少し大きな字で」
4/20(金) 11:43配信

『ただ、一方で、「(抗議文が)もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った程度に読んだ」と、抗議を茶化(ちゃか)したとも受け取れる言葉を口にした。』(上記URL先より)

読売新聞に言われているというのが割と致命的だと思いますよ。


〇20年0.495%に下がって入札したぜとか言ったら金利が上昇するの巻

何というフラグ建築士orz

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1RX2TE
2018年4月20日 / 15:25
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、長期金利3月9日以来の0.055%に上昇

『<15:14> 国債先物は大幅続落、長期金利3月9日以来の0.055%に上昇

長期国債先物は大幅続落で引けた。高値警戒感が意識される中、益出しが優勢になった。足元のドル/円が円安方向に傾いており、来週の日銀国債買い入れオペでオファー減額があるのではないかとの思惑が一部で浮上したことも影響した。

現物債市場の金利は軒並み上昇した。長期ゾーンは先物に連動して弱含みで推移。超長期ゾーンは前日の20年債入札が弱めの結果となりポジションを調整する動きが優勢になった。中期ゾーンも軟化。日銀オペでは需給の底堅さが示された。

長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比27銭安の150円58銭と安値引け。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比2bp上昇の0.055%と3月9日以来の高水準で引けた。』(上記URL先より)

まあ何ですな、よー分からんけど何か金利上昇しましたわグエーという風情が漂ってくるのは、
(別にロイターさんに悪態ついている訳ではないので念のため申し添えますが)相場後講釈の中で『来週の日銀国債買い入れオペでオファー減額があるのではないかとの思惑が一部で浮上したことも影響した』ってのが出ている辺りでして、いやあの金利上昇しちゃったら輪番減額しないんだから、そら20年が朝からモリモリと0.5%割れを突っかけに行くとか、10年の金利がモリモリ下がって0%をスコープに行くとか、そういう展開なら「輪番減額」の思惑で戻り売りドカーンとかいうのは分かるのですが、金利上がったら輪番減らさない(というか減らせない)ので何も下をバシバシ叩いて売りに行かなくてもエエジャロ、という話だと思うのでありまして、まあでもそういう後講釈が出てくるくらいには訳分らん下げでございました、という解釈でよろしいんでしょうかよー分からんけど。

まあ何ですな、こいつは金曜引け後の方のお話になりますが、

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1RX5XF
2018年4月21日 / 06:11
米金融・債券市場=10年債利回り上昇、長短金利差拡大 一時的との見方

『 30年債(指標銘柄) 3.1468% 前営業日終値 3.1050%
10年債(指標銘柄) 2.9602% 前営業日終値 2.9140%
5年債(指標銘柄)   2.8016% 前営業日終値 2.7600%
2年債(指標銘柄)   2.4615% 前営業日終値 2.4360%

米金融・債券市場では、債券売りが継続する中、指標10年債利回りが3月21日以来の水準に上昇。これに伴い、過去2週間ほど縮小していた長短利回り格差は前日に続き拡大した。』(上記URL先より)

先週木曜の時点でも海外金利上昇していて、米国10年2.9とか久々じゃんとかいいつつ動いていたわけですが、こいつに関しても一応「原油価格が上がった」だのなんだのと言われてはおりましたけれども、原油価格自体ここもとずーっと堅調に推移していて、何でまた急に原油ガーとか言い出して反応しているのかも訳分らん(社債の起債ガーとかいう話もあるとかないとかですけどそんなだけでホイホイ売り叩くというのも訳分らん)というものでして(個人の感想であって、本当はちゃんとした理由があるのにアタクシが気が付いていないだけだと情けないんで誰かご存知でしたら教えてくださいお願いしますお願いします(平伏))、まあ何ちゅうかよくわからん海外金利の上昇が、ちょうど超長期入札通過して市場にデルタが残っているとき(本当の本当に瞬間蒸発でもしない限り普通入札直後は世の中ロングになっているはず)に起きたのと、その前に20年0.5%割れワッショイとかやってしまったので、入札前にワッショイ感のある中で残ったロングに海外金利上昇という所なんでしょうが。

ということで何かまーた上でしこりロングが残ったような感じになってしまいましたので、20年50bp割ってソイヤソイヤというのをやるには日柄調整が必要になりましたな残念無念(別に残念ではないが)という風情ではございます。


・・・・・・・さて先ほどは「金利が上がったら輪番減らせないじゃろ」とは申し上げましたものの、意地悪な見方をすれば海外金利がしらっと上昇して円相場が何となく海外金利上昇につられて円弱含み、となっている今こそが輪番の減額時、という考えもあります。もとより輪番ってある程度は減らしていかないと政策が長持ちしないというのがありますので、輪番減らしていくというのは理にかなっているものの、一方で輪番減らした結果円高に進まれても困る、というのがあるので円高地合いの時に輪番減らしにくい、とまあそういう考えで行けば、米国10年金利が何かよー分からんけど3%突っかけそうな勢いでホイホイ上昇して為替が円弱含みの今こそ輪番減額ですなあ、という話になるし、まあ「輪番減額リスク」の説明をする場合、そういうストーリーになると思うの。

でもってですね、まあアタクシはここでの輪番減額というのは何だかなーとは思いますが、為替見ながら隙あらば輪番減額、というスタンスでやっているんだったら、まさに今週は輪番の減らし時という話なので、可能性無いとは思いませんけれども、金利水準がより下がっているときに輪番減額を行わないで、金利が上がってきてから、為替市場を見てじゃあ減らしましょとやりますと、そもそもYCCって何でしたっけという話になると思うの。イールドカーブじゃなくて為替見ながらの政策でしたっけ??ということですと、何が何やらというお話ではございます。

まーだいたい為替水準見て今減額すると円高行きそうだから止めとくかみたいな感じで運営しているだろうなあ、というのは債券市場(以外もそうだと思うけど)方面ではコンセンサスになっているようには見えますけど(今回の金利低下局面で減額を全然しなかった訳ですし)、結局のところおまいらのオペレーションが何をどういう基準でやっているのかが、時には為替になり、時には10年金利になり、時には10年以外の他年限まで持ち出して着たり、という風にその時々でかなりテキトーにやっているのにもかかわらず、「イールドカーブコントロール」とか言って運営するのがこの政策の行かんところでして、何がどうなっているのかという話をアタクシだって整合的に他の市場とかガイジンとかに説明しろと言われたら困るもん、というような運営をするもんだから、突如為替が反応してみたり、突如出口ガーという話になったりすると思うの。

いやまあその辺適当にその場その場を凌いで説明しながら時間を稼いで外部環境の好転を待つ、という感じでやっているんだろうなあというのもわかるのですが、先般来の学校認可問題での財務省のアレやら、海外派兵時の記録に関連する防衛省のアレやら、というテイタラクを見まするに、その場その場でテキトーに言い逃れをして誤魔化す、ということの「後になって発生するコスト」の高さというのをまざまざと見せつけられるような事案となった訳でして、日銀もそろそろロジック立て直しておかないと後で大変なことになるリスクというのはやはりあると思ったりしました。

という雑談ですいません。


それからブレイナード理事。
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1RX5XF
2018年4月21日 / 04:11
米経済、短期的な追加利上げに耐え得る=ブレイナードFRB理事

『[ワシントン 20日 ロイター] - ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事は20日、米経済は短期的な追加利上げに耐え得るもようとの見解を示した。理事はCNBCとのインタビューで「個人的に持続的かつ底堅い成長を予想している」とし、「見通しはフェデラル・ファンド(FF)金利の継続的かつ段階的な引き上げと一致すると思われる」と語った。』(上記URL先より)

てかまあ普通に考えて今年ってあと3回利上げというのが自然(正しいかどうかは知らんけど)だと思うわけでして、寧ろあと3回だグエーみたいな反応を米国市場がしている、というような講釈が出てくるのがホンマカイナという感じはある。



〇FSRネタと思ったらあまり時間がない(大汗)

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/

概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf

全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf


・今回は「超強力金融緩和政策の副作用について」という副題が入るような書き方ではある

概要のスライドショーの方をチラ見しますと、

『第一部. 金融循環と金融システムのストレス耐性』

ってところでのっけからいきなり

『ヒートマップ』

が登場しまして、その次に、

『金融ギャップ』
『「赤」に近い「緑」の金融活動指標』

ということで、思いっきり「緩和的な政策の下で金融環境が緩和しすぎている部分が見られつつあるんですが何か」というお題目が並んでいるのがチャーミング。そしてその次からのスライドも、

『国内貸出市場の動向』
『海外クレジット市場の過熱感』

というスライドが並んだあとに、『海外エクスポージャー』『金融機関の自己資本充実度』『マクロ・ストレステスト』となります。


そしてそのあとですけれども、

『金融機関の収益力』の次にしらっと出ている第一部の最後が

『地域銀行の益出しと配当還元』というスライドでして、こちらのスライドを見ますと、

『・地域金融機関の中には、コア業務純益の減少を多額の有価証券売却益(益出し)で補うことで当期純利益の水準を維持している先も相応にある。』

キタコレ。

『・外国機関投資家の株主構成比が高い銀行の中には、コア業務純益が減少するなかでも、高い配当性向を維持するために、 益出しを行っている先がみられる。有価証券の含み益は、経済価値ベースでは資本バッファーとして機能する面がある ため、無理な益出しと配当の継続は、有価証券の利息・配当収益を減少させるほか、将来の損失吸収力の低下も招く』

と、益出しダメみたいな話がしれっと出ていまして、まあ言われる方からしたらちょっともにょる所ではありますなとゆー感じはしないでも無いのですけれども、最後の部分がこういう話ということで、詳しくは本文見ながらまたやりたいとは思いますが、まず最初の部分だけでも説明が割と「超金融緩和政策長期化の副作用ですがな」みたいな話をずらっと並べている辺りは中々味わいが深いと思うのでした。

#なお明日以降もボチボチ成敗していく所存




2018/04/20

お題「20年ぶち抜けるかと思ったが抜けずに50bpで足踏みとな/FSR出てきましたよ」

いやもうだんだん感覚マヒしてきて驚かなくなっているのが怖い。
https://www.asahi.com/articles/ASL4M4W0ML4MUTFK016.html
「加計で愛媛県職員ら官邸訪問予定」文科省にメール残る
2018年4月19日18時15分

話を誤魔化そうとして嘘つくというのの恐ろしさというのをまざまざとこのトシになってみるとはという感じだが、国の屋台骨が外れてると申し上げたくなる次第ですわ、悲しい。

ああそれからテレビ朝日が公表した後になってみますと(ついでに新潮読んだ)、この文章を財務省がわざわざ掲載したのって勇み足だったような気がしますがさて・・・・・・・・・・

https://www.mof.go.jp/public_relations/ohter/20180416B.pdf
福田事務次官に関する報道に係る調査について

の2ページ目。

『(別紙)福田事務次官からの聴取結果

【@週刊誌報道・音声データにある女性記者とのやりとりの真偽】 』

ってのが思いっきり否認されたじゃん(だいたいからして本人が「全体的に聞いた場合はハラスメントじゃない」に言い訳切り替えてるみたいだけどここの紙だと「覚えがない」なんですよねえ)ということで慌てて生煮えの料理を出すと逆効果とは恐るべきことです。



〇前場50bp割ってみたものの・・・・・・・・・・・

ということでロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1RW2XG
2018年4月19日 / 15:19 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で大引け、長期金利0.040%に上昇

『<15:12> 国債先物は反落で大引け、長期金利0.040%に上昇

長期国債先物は反落で引けた。高値警戒感が意識される中、20年債入札が弱めの結果となったことで、売りが優勢になった。日米首脳会談は、通商問題で首相訪米前から大きな変化がなかったため、ニュートラルな材料と受け止められた。

現物債市場は弱含み。超長期ゾーンが20年債入札を受け軟化。この流れは中長期ゾーンにも波及して金利に上昇圧力がかかった。

長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比5銭安の150円85銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp上昇の0.040%。』(上記URL先より)

日米首脳会談って何かトランプ先生がお好きなバイラテラルの枠組みみたいなのが一部出てくるような話があったような気がしてアカンタレの香りがするようにも思えるのですけれどもまあそれは兎も角として。

昨日は20年カレントが最初0.495%で出合っていて、おー入札前に頑張ってるじゃんという付け値はしていたものの、結局前場引けにかけては0.500%レベルに押し戻されて入札を迎えるの巻。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180419.htm
6. 価格競争入札について

(1)応募額 2兆9,722億円
(2)募入決定額 8,044億円
(3)募入最低価格 99円90銭  (募入最高利回り) (0.505%)
(4)募入最低価格における案分比率 3.4926%
(5)募入平均価格 100円00銭  (募入平均利回り) (0.500%)

ということで入札は最終出来値(だけどビットではなくて大体オファーの方だったと思うが違ってたら教えてくんなまし)平均で足切りは0.505%とあるけど薄い按分だし普通にやっていると100円平均の方になると思うので、ああそうですかという感じではあるのですが、前場引けの先物が3銭安で引かせていて、10年5糸甘20年引けとかだったと思うので、引けて見ますと20年新発の売買参考統計値が平均値単利0.505%になっているので、本日の輪番で新発処理するとなると、デルタでドンでロングだったら5糸強以上で新発を入れないと間尺に合わないですし、先物でデルタ落としてたら先物2銭下がっている間に20年新発5糸甘くされてしまったので先物対比だったらざっくり3糸以上先物対比で強くてギリギリですから本当は多分もうちょっと強くないととかそういう話ですな。

まあ来週も超長期輪番がありますし、どうせ放っておけばそのうち渋々言いながら買いも来るでしょうから良いんでしょうが、さて本日の輪番でどうやって超長期をさばいていくのか(別に新発だけ捌くわけでもないですし)という所ですかねえ、よー知らんけど。


しかしまあ何ですな、前場は0.495%出合いとかやっていたので、これはもう入札後引けは0.500%とかうっかりしたら0.495%で引かせて輪番ドウスルドウスルというのをやるのかと楽しみに(??)したのですが、まーさすがにそこまでワッショイとやるほどの盛り上がりというのも無かったということですかね。

ま、冷静に考えますと政治状況がこのあばばばばー振りで、安倍ちゃん大丈夫なのかというのがありまして(というか寧ろこのまま引っ張って自公政権枠組み自体が倒れたらさすがにマズイと思うのですけどね)、なんぼ何でも出てくるのが末期症状というか血の池地獄という感じで、出てくるニュースが毎日手を替え品を変え地獄(あまりにも大ネタ出すぎて追加が出てこないですけれども、職業軍人が民選議員を捕まえて(しかも自分から名乗って15分に渡って公道上で、らしいですな)国民の敵と言い出すとかいうのもかなり問題のある話でしょうよ)が出てくる別府温泉地獄めぐりもビックリの展開な訳でして、でまあ安倍ちゃんがどないかなった場合ってそらもうマイナス金利撤回とか10年0%撤回とかいうのもあり得ない話ではないとなると、ちょいと手が止まるのかも知れませんけど、どうせ緩和政策自体は続くし、「2年程度を念頭に出来るだけ早期に」ってのが完全に外れると永久緩和という話をしやすくなるので、その場合って短いところとか10年の金利が上がっても超長期ってそんなに上がるんかいな(そういう時に一番跳ねるのは政策的に押さえつけていた10年だったり、売り買いしやすい先物だったりするんでしょ??)と思うので、まあ特攻して買う人が存外いないのは確認できたとして、押し目買いが無いかというのはまた別問題のような気がしますけどどうなんでしょうかね(個人の感想です)。


〇FSRキタコレ

はいはい来ましたよFSR。

紹介のページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/

概要(スライドショー形式)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419b.pdf

全文(4Mありますので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr180419a.pdf

ちなみに本文のフォントなのですが、日銀様がエディターにどういうソフトを使っているのかよく分からないのですが、全文の方をコピペしようとすると、一部の文字がWindows付属のテキストエディタだと文字化けしてしまうという事案が今回もまた発生してやがりまして(通常の記者会見などでのPDFでも何故か「少」の文字だけピンポイントで文字化けするんですが、今回のはちょっと多くて、しかも「日」だの「行」だのという明らかに使用頻度の高いので来るのでキツイ。ほかには「方」「立」「言」「用」とかですね、すぐに気が付くのは。

これ回避方法って無いのかね(ちなみにMSワードなら持ってる)と思うのだがPCスキルが低いので何とも(涙)。前回は泣きながら手打ちで文字化け修正したが超めんどい。


〇まずは紹介のページから

まあFSRに関しては斜め読みしてから熟読を何度もしてそのあと精読をするくらいにせっせと読まないと、表面だけサラサラ読んでベンダーのコメントとかだけ見て納得した気になってはいかん、という代物なので、出たのが昨日の午後でございまして、そらもよう読むには読んでいるのですがまだまだ熟読第一段階くらいなので表面的な話しか今日の所はできませんが(すいません)。

紹介のページ(再掲)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/

紹介のページにはご丁寧に『2018年4月号の特徴と問題意識』ということで、源平合戦で武将が名乗りを上げるかの如く自分から説明しているのでまずはここを確認すべし。

『今回のレポートでは、金融機関が近年積極化させている貸出について、特に金利と信用リスクの関係に焦点を当てている。』

ということで、概要のスライドショー見ると後ろの方その分析がズラズラと並んでいます。

『世界的な低金利環境が続くなか、社債などのクレジット市場では、多くの先進国において信用スプレッドが歴史的な低水準にまで縮小し、投資家によるリスク認識の緩みやリスクのリプライシングに関する懸念が指摘されるようになっている。』

へいへい。

『これと似た事象や問題が銀行貸出市場でも起きていないかというのが、今回の問題意識である。』

・・・・・・・・うーんこのという感じで、いや勿論この分析仰せの通りだとは思うのですが、一方で霞ヶ関の方から来ましたな方々がやれ担保に依存しない目利き融資だ(それは当然担保カバー率の下がる話)とか、有価証券運用(というか外債運用)で含み損が出ていて怪しからんとか、金融機関の役割だから融資推進しろだとか言われる中でこういう分析をしらっと出されると何ちゅうご無体なという印象は第一印象として出てしまうのは否めません。

『景気改善が長く続き、企業のデフォルト率が低下した結果、金融機関の信用コストは既往最低水準で推移している。しかし、信用コストの算出が過去のデフォルト率に基づいている場合、経済のボラティリティが低下した局面が長く続くと、金融機関が潜在的に抱えている信用リスク量を過少に評価してしまう可能性がある。』

その通りですが、引当を増やそうとすると東京国税庁の方から来ました的なサムシングもありまあ色々と難しい面もこれまたあったりする、もちろん管理会計と税務会計は別もんだから管理会計上ちゃんと認識していれば宜しいとかそういう話かもしれないですけど。

『金融機関が十分なリスク耐性を備えているかどうかをみるには、将来起こり得るマクロ経済環境の悪化に対して、企業財務がどのように変化し、ひいては金融機関の損失吸収力にどのような影響が及び得るか検証しておくことが重要となる。企業の信用リスクは、財務内容の違いを反映しばらつきも大きいため、金融機関はそれぞれの企業の信用リスクに見合った貸出金利を設定する必要がある。』

それは全くの正論なのだが、とりあえず貸出支援関連の超低利融資オペレーションを何とかしてから仰っていただきたい、ってツッコミはFSR部隊としては先刻ご承知だと思いますが、先般のMPMでの期間延長もなんかこう漫然と期間延長しただけのような感じで、信用リスクや信用コストに見合った適正な貸出金利の設定(それは資源配分の効率化も促すので経済の基礎体力を高める効果もあると思うんだが)のためにすること、という話を政策委員会の方に強くお伝えいただきたいものです。

『その重要性は、ミドルリスク企業向け貸出に注力する金融機関が近年増えていることを踏まえると、一層高まっているといえる。』

でたなミドルリスク企業。

『そこで、今回のレポートでは、ミドルリスク企業を中心に、その財務内容や行動特性を明らかにするとともに、それらに対する金融機関の(金利設定を含む)融資スタンスとリスク耐性について掘り下げた分析を行う。そのうえで、金融システムの潜在的な脆弱性に関する評価を行い、金融機関の信用リスク管理の課題等について指摘する。』

ということで、こちらの内容に関しては本文とかスライドショーとかの所で色々と分析しているのですけれども、まだ精読できている訳でもないので読んでいって追々ネタにするかもしれません。


なおその他の定点観測の部分ですが・・・・・・・・

『要旨』から。

『金融仲介の現状と金融循環の評価』

『日本銀行の金融緩和を背景に、金融仲介活動は引き続き積極的な状況にあり、景気の緩やかな拡大を支えている。国内貸出市場では、貸出金利が長短ともに既往ボトム圏で推移し、残高は前年比2%程度のペースで増加している。特に、地域金融機関間の貸出競争が激化するなかで、中小企業向けの設備関連貸出が幅広い業種で増加している。CP・社債市場でも、発行レートがきわめて低い水準で推移するなか、大企業の資金調達額は高めの伸びを続けている。この間、国際金融市場は、米国の長期金利がインフレ予想の上振れを受けて上昇し、先進国の株価が大幅に下落するといった動きもみられるが、全体としては落ち着いている。海外経済が成長を続けるもとで、本邦金融機関の海外向け投融資は増勢を維持している。』

『民間非銀行部門の資金調達環境はきわめて緩和した状態にあるが、金融循環の面で、目立った過熱感は窺われない。株価は、本年初までの上昇ペースがやや急だったが、企業収益の改善見通しに概ね沿った動きとなっている。金融機関や企業はバランスシートの規模を拡大させているが、GDP対比で過大な水準には至っていない。不動産業向け貸出残高は高めの伸びを続けてきたが、金融機関の間では、不動産市場の調整リスクや与信の業種集中などを意識し、貸出スタンスを慎重化させる動きが広がってきているほか、国内投資家も、不動産価格の高値警戒感から物件取得を慎重化させている。ただし、金融機関のバランスシートの規模が過大でないとしても、金融機関の貸出や有価証券投資において、リスク対比で適正なリターンが確保されていない場合には、金融システムの脆弱性を高め得ることに留意が必要である。』

ヒートマップの話とか本文の方であってまあオモロイ。

『金融システムの安定性』

『金融機関は、リーマンショックのようなテールイベントの発生に対して、資本と流動性の両面で相応の耐性を備えており、全体として、わが国の金融システムは安定性を維持していると判断される。もっとも、金融機関のストレス耐性についてはばらつきがあるほか、金融取引需要を規定する人口や企業数が継続的に減少するという慢性ストレスを考慮すると、現時点の資本の十分性は、将来の金融システムの安定を必ずしも保証する訳ではない。リーマンショックのような急性ストレスに対する損失吸収力があっても、慢性ストレスによって金融機関の基礎的収益力が下押しされる場合には、いずれ自己資本が毀損される状況に至る可能性があるためである。地域金融機関の中には、コア業務純益が減少するなかで、当期純利益の水準や高い配当性向を維持するために、有価証券の益出しを行う先も相応にみられる。無理な益出しの継続は、有価証券の利息・配当収益を減少させるほか、有価証券の含み益は、経済価値ベースでは資本バッファーとして機能する面があることから、株主還元のあり方も含め、収益配分について検討を進めていくことが重要である。』

ということで、慢性ストレスの話は昨年度色々とやっていまして、マイナス金利の影響深化という話で一席やってもよかったのではないかという気はだいぶするのだが。


『金融機関の信用面のリスクテイクに伴う脆弱性』

『慢性ストレス下での貸出競争の激化や金融緩和の影響から、金融機関は、いわゆる「ミドルリスク企業」向けを中心に、低利による貸出を積極化させている。こうした動きの背景には、ミドルリスク企業は、優良企業に比べ内部資金が少なく借入の金利感応度が高いため、金融機関が低金利を提示すれば、潜在的な借入需要が顕在化しやすいことがある。ミドルリスク企業向け貸出の増加は、自己資本比率が高く、リスクテイク能力が相対的に高い金融機関で生じているが、同時に、基礎的収益力が低く、リスクテイクのインセンティブが相対的に強い金融機関で生じている傾向がある。景気改善と低金利という良好なマクロ経済環境が長期化しているため、金融機関による信用リスクの評価は緩む傾向がみられる。金融機関や企業が良好なマクロ経済環境の継続を前提に行動するようになると、マクロ経済環境が反転した際に、予想外の損失からバランスシートを毀損する可能性も考えられる。金融機関の正常先債権全体の引当率は、リーマンショック前を下回る既往最低水準で推移しているが、景気悪化や金利上昇など負のショックが発生した場合、収益性や借入返済能力の低いミドルリスク企業を中心にランクダウンが発生し、信用コストが急激に上昇する可能性も考えられる。』

こいつが今回の特集ですな。


『マクロプルーデンスの視点からみた金融機関の課題』

『金融機関が収益維持の観点から過度なリスクテイクに向かうことになれば、金融面の不均衡が蓄積する可能性がある一方で、基礎的収益力の低迷が続き損失吸収力も失われれば、金融仲介機能が低下する可能性がある。こうした過熱・停滞両方向のリスクがあるなかで、金融システムが将来にわたって安定性を維持していくためには、金融機関は、持続性の高い収益の確保に向けた取り組みを加速するとともに、内外貸出や株式・外債などへの投資といった積極的にリスクテイクを進めている分野においてリスク対応力を強化することが重要である。この点、ミドルリスク貸出を積極化させている金融機関は、先行きのマクロ経済環境の変化も念頭に置いて、リスクに応じた適正な金利設定を行うとともに、引当の適切性を検証するなど信用リスク管理の実効性を向上させていく必要がある。特に、貸出債権の引当にあたっては、足もとの良好なマクロ経済環境に過度に引き摺られることのないよう、中長期的な視点から循環的な影響を十分に勘案する必要がある。同時に、金融機関は、顧客企業とのリレーションシップを強化し、企業の生産性向上を積極的に支援していくことが望まれる。日本銀行としても、考査・モニタリング等を通じてこれらの金融機関の取り組みを後押しするとともに、マクロプルーデンスの視点から、金融機関による多様なリスクテイクが金融システムに及ぼす影響について引き続き注視していく。』

まあマイナス金利撤回してYCCの10年金利を「上限50bp」にすると無駄なリスクテイクは減ると思いますけど。

ということでこのネタは次回以降に続く。





2018/04/19

お題「ニュースネタで柄にもなく色々と雑感/ECB議事要旨はやたら慎重姿勢を強調するような作りこみ」

さすがにマクラでサラッと流すネタではなくなっているから・・・・・・・

〇ニュース雑談(財務次官の例のアレ)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180418/k10011408571000.html
財務省の福田事務次官が辞任へ 「セクハラ発言」報道受け
4月18日 20時46分

『複数の女性記者にセクハラと受け取られる発言を繰り返していたと報じられた財務省の福田事務次官が辞任することになりました。福田次官は18日夜、記者団に対し、「報道は事実と異なり裁判で争うが、財務省が厳しい状況の中、報道が出たこと自体が不徳の致すところで、職責を果たすことが困難と考えた」と辞任の理由を述べました。』(上記URL先より)

事実関係は否認するのに辞任ってナンジャラホイだが。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180419/k10011409081000.html
「女性社員が財務次官のセクハラ被害」テレビ朝日
4月19日 0時42分

『財務省の福田淳一事務次官が女性記者へのセクハラ発言の報道で辞任を表明したことに関連してテレビ朝日が記者会見を開きました。この中で篠塚浩報道局長は「セクハラを受けたとされる記者の中に当社の社員が含まれ、調査の結果、セクハラ被害があったと判断した」と発表しました。』(上記URL先より、以下同様)

ってのも色々と闇成分が高くてクラクラ来る。

『また「社員からセクハラの情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことは深く反省している。また社員が取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為で遺憾に思っている」という認識を示しました。』

って言ってるんですが、その次の経緯の部分を見ますと、

『篠塚報道局長は女性社員については「1年半ほど前から、取材目的で福田氏と数回、会食をした。そのたびにセクハラ発言があり、みずからの身を守るために録音を始めた」と述べました。』

っていう状態の中で、

『そして「今月4日に呼び出しを受け、1対1での飲食の機会があったが、その際にもセクハラ発言があり、途中から録音をした。後日、上司にセクハラの事実を報じるべきではないかと相談したが上司は『本人が特定され、2次被害が心配される』ことを理由に『報道は難しい』と伝えた」と述べ、自社での報道を見送った経緯を明らかにしました。』

って要するにテレビ朝日はハラスメントの被害訴えを握り潰しましたって話で、2次被害云々とか言ってるけど自社の社員を取材対象から守る意思がサラサラ無かったという話になるというこの地獄感。

『そのうえで「この社員は、財務事務次官という社会的に責任の重い立場にある人物の不適切な行為が表に出なければセクハラ被害が黙認されてしまう、という強い思いから週刊新潮に連絡し、取材を受けた」と述べました。』

っていうことでして、これって週刊新潮が無かったら告発のしようが無かったという事なのに、テレビ朝日サイドって最初の引用部分で『また社員が取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為で遺憾に思っている』とか言ってるの話ずれまくりにも程があるだろと思う。そもそもテレビ朝日が握りつぶそうとしたから新潮にという話になったんだし、まあ報道機関であってもこの程度、というのがなんともですけれども、週刊新潮の報じるところによれば当該女性記者以外にも該当者いるという話で、他の報道機関がだんまりなのは、報道機関が同じような対応で握りつぶしていたらひどい話だし、そもそも記者の方が会社に話をしても無駄とか思っているような会社の体質だとすればそれも悲惨。

まー大体からして「そのたびにセクハラ発言があり、みずからの身を守るために録音を始めた」ってあるんだから取材じゃなくてハラスメントからの護身のために録音って話で、取材活動で得た情報云々という指摘自体が失当で、ハラスメント告発した社員に対する姿勢としてダメにも程があるだろと思うし、その辺を経営とかが理解できてないんだろうなあと思うし。

・・・・・・とかなんとか考えていくと、この問題って論点がグチャグチャあり過ぎて最早どこの何に問題があって、その原因って何なのとか考えると一個人の問題とか一企業の問題だけではなくて、まあ社会の色々な問題として考えないといかんのだろうなあと思ったりもします。


でまあ次官辞任とテレビ朝日の名乗り出でこの辺の話は過去ネタになりましたけど、

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180417/k10011406721000.html
財務次官セクハラ報道 麻生氏「調査の進め方問題ない」
4月17日 11時52分

『一方、麻生副総理は女性記者から連絡がなければセクハラの事実を認定しないつもりなのかという質問に対して「相手の女性が申し出てこないとどうしようもない」と述べて、女性記者の話を聞けなければセクハラがあったかどうか認定できないという認識を示しました。』(上記URL先より)

この対応も論外オブ論外で、いやマジで頭沸いてるんちゃいますかという話で、任命責任云々よりも事後の対応が色々な意味でひどすぎる。まあ何ちゅうかそういうのも含めた、本件って色々と闇にボンボンスポットライト当たってみるのがつらくなるような展開ですけど、まーこの話ってゴリゴリと詰めだすと更に色々な論点が出て来そうですが、まあハラスメント問題に関してはこの駄文の中の人って男性だしジジイなので、こうやって他人の目で見ているとナンジャソラと思うけど、自分はどうなのという話になるとやはり常に自戒の念をもっていかねばと思ったりもしますですよ、はい。

ちなみに、むかしむかしの事ですが、福井の俊ちゃんが総裁の時に阪神タイガースの快進撃について質問するというしょうもない質問をしに(定例会見という公開の場ですけど)テレビ朝日のアナウンサーがわざわざ出張ってきたことがありましたな、そのお方は今どこぞで国会議員やっていると思いますが。


〇そういえば別件ニュース

こちらもあちゃー。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180418c.pdf
平成30年4月18日
日本銀行

『日本銀行が保管する記念貨に関する職員の不祥事について』


『日本銀行発券局が保管している記念貨に関して、同局職員(1 名)がその一部を窃取した可能性が高いことが判明しましたので、本日、警察署に被害届を提出しました。被害の内容等は、下記の通りです。

日本銀行としては、政府が発行する貨幣の流通に関する業務を担う立場にあるもとで、今回の不祥事が生じたことを極めて重く受け止めています。このような事態は、誠に遺憾であり、国民の皆様に深くお詫び申し上げます。』

あちゃーとしか申し上げようがございません。


〇ということでECB議事要旨ネタの続き

ということでもへったくれもないのだが。

http://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2018/html/ecb.mg180412.en.html
Account of the monetary policy meeting
of the Governing Council of the European Central Bank, held in Frankfurt am Main on Wednesday and Thursday, 7-8 March 2018

・読む順としては若干雑ですが

『2. Governing Council’s discussion and monetary policy decisions 』の『Monetary policy stance and policy considerations』を鑑賞。

『With regard to the monetary policy stance, members widely shared the assessment provided by Mr Praet in his introduction that the incoming information, including the new staff projections, corroborated the strong and broad-based growth momentum in the euro area economy.』

という感じで最初にあるので、じゃあ執行部(プラート理事)報告読むかという話になるのだが、まあそこは今回スルーして要するに景気は強いし見通しは上方修正ってお話から始まる。

『This outlook for growth confirmed the increased confidence that inflation would converge to the Governing Council’s inflation aim of below, but close to, 2% over the medium term. At the same time, measures of underlying inflation remained subdued and had yet to show convincing signs of a sustained upward trend. Overall, while the increased confidence called for a gradual adjustment in the Governing Council’s communication, prudence, patience and persistence with regard to monetary policy remained warranted for underlying inflation pressures to continue to build up and support headline inflation developments over the medium term.』

つーことで昨日も申し上げましたが、この「prudence, patience and persistence with regard to monetary policy remained warranted」的なのがとにかく連呼されているのが今回目に付く、というか目につくように作りこまれていて、経済物価見通しは引き上げているし、追加緩和方向のバイアス文言は外して先行きは正常化方向というのは出しているものの、それによってヒャッハーと言って金利がスコーンと上昇することに対してどんだけ警戒してるんだよおまいら、というのが今回の議事要旨の書きっぷりだと思うの。

『Members also broadly concurred with the assessment by Mr Praet that financial conditions remained very favourable but had tightened somewhat since the January monetary policy meeting on account of weaker equity markets, an appreciation of the euro and an uptick in market interest rates.』

金融環境の話もこれまた執行部報告の方でありますが、それを確認しました、という話で、1月対比で見れば株が下がったりユーロが上がったり金利が若干上がったりというのはあるけれでども全体的には極めて緩和的。

『It was remarked that the tightening in financial conditions also had to be seen against the background of improvements in macroeconomic conditions and, hence, may not necessarily imply a more restrictive monetary policy stance.』

って話は(ネタにしてませんが)最近ECB高官からも似たような趣旨の指摘していて、景況感が改善して金融環境が名目値でタイト化するのは別に問題ないじゃろということで、正常化による金利上昇は当然起こりうるもの、でもヒャッハーと上昇するのは勘弁、という虫のいい(中央銀行政策担当者としてはそう願うのは当然ですけど)話というのが基本にあるんでしょ。

『Moreover, the pass-through of the ECB’s monetary policy measures continued to provide significant support to borrowing conditions for firms and households. At the same time, some caution was voiced, as the more recent developments in the euro exchange rate and in financial conditions in part reflected changing perceptions about monetary and fiscal policies, domestically and globally, as well as rising risks of protectionism and heightened market sensitivity to communication, rather than further improvements in domestic economic fundamentals.』

『Against this background, developments in the exchange rate and financial conditions required monitoring with regard to their possible implications for the inflation outlook.』

ということで為替市場に関してはちょこちょこと警戒モードを示しています。あと貿易戦争(このECB会合は3月7-8なのでトランプの鉄鋼アルミ関税砲が出た後ですな)への警戒も。

『There was broad agreement among members that the incoming information indicated ongoing progress on a sustained adjustment in the path of inflation towards the Governing Council’s inflation aim. The view was put forward that the Governing Council’s criteria for a sustained adjustment in the path of inflation could be assessed as close to being satisfied over a medium-term horizon. However, the broadly agreed conclusion was that the evidence for a sustained rise in inflation towards levels consistent with the Governing Council’s inflation aim was still not sufficient.』

『In this context, the point was also made that the assessment regarding the achievement of a sustained adjustment in inflation was not binary, but rather multifaceted and probabilistic in nature.』

先行きの自信は深めているけど大丈夫というにはエビデンスはまだ不足しているということでそらそうよという所ですな。

『It was seen as encouraging that the latest ECB staff projections appeared to remain consistent with inflation converging to levels below, but close to, 2% over the medium term, also confirming the outlook contained in previous projection exercises. Moreover, growth rates well above current estimates of potential growth and the corresponding increase in capacity utilisation were seen as strengthening confidence in the currently expected inflation path.』

ECBでもグロースポテンシャルよりも高い成長が続くと経済のスラックが解消されて資本の稼働が高まって、物価上昇のパスが確りしてくる、という理屈で足元の景気の強さにニッコリという図を出しています。

『At the same time, recent inflation outturns had remained some distance away from the Governing Council’s inflation aim and the incoming information continued to point to muted price pressures overall.』

『Moreover, while confidence in the inflation outlook had increased, it was still seen as subject to a number of uncertainties, related mainly to the degree of remaining economic slack and risks emanating from the global environment as well as developments in foreign exchange and other financial markets.』

ということで自信ニキは深まっているもののあくまでも慎重。


『With regard to the criterion of resilience, which called for a self-sustaining adjustment in the path of inflation even after the end of the net asset purchases, it was widely agreed that an ample degree of monetary policy accommodation remained necessary to accompany the economic expansion and for price pressures to continue to build up and support a rise in inflation to the Governing Council’s medium-term inflation aim.』

資産買入終了後に持続的な物価上昇パスを続けるには金融政策のサポートが必要、とまあ慎重。

『All in all, remaining uncertainties and muted underlying inflation pressures called for caution and underlined the need to maintain the prevailing policy posture of prudence, patience and persistence.』

まーたprudence, patience and persistenceが出てきましたな。足元物価ちゃんがちょっと弱めに推移しているのも慎重になるべき理由とな。

『This suggested that the monetary policy decisions taken at the meeting in late October 2017 on net asset purchases, reinvestments and policy interest rates should be reconfirmed.』

よって現状維持が適切でしょうと。

『Against the backdrop of the ongoing improvements in economic prospects and the corresponding greater confidence in the inflation outlook, all members agreed with Mr Praet’s proposal to remove the “easing bias” on the APP from the Governing Council’s forward guidance. It was recalled that this language had been introduced at the time when net purchases had been scaled back from a monthly pace of ユーロ80 billion to ユーロ60 billion and that the economic environment had changed notably since then. In particular, its removal was seen as justified as the economic expansion had become more robust and scenarios of large negative economic surprises, leading to renewed deflationary risks, had become less likely. In this sense, the removal of the APP easing bias was consistent with the Governing Council’s data-dependent approach to policy and communication.』

つーことで、今回の決定の中に追加緩和バイアス文言外すというのがありますが、これは経済物価情勢の好転を受けたものなので、まさにdata-dependent approach to policy and communicationなのだそうだ。

『As regards communication, there was broad agreement with Mr Praet’s proposal to highlight increased confidence in the inflation outlook while reiterating the importance of patience and persistence in monetary policy to support inflation convergence towards levels below, but close to, 2% over the medium term. It was widely stressed that the Governing Council’s communication needed to reflect the progressively improving economic environment and the corresponding greater confidence in the path of inflation.』

『Accordingly, a further adjustment in communication in the form of removing the APP easing bias was seen as a natural step.』

まーた「while reiterating the importance of patience and persistence in monetary policy to support inflation convergence」ですよもうねという感じですが、経済自信ニキの話とこの慎重姿勢の連呼というのも目先は良いのだが後でめんどいことになるかもしれませんなあとは思います。

『Members also agreed that alongside the elimination of the easing bias, emphasis needed to be placed on the Governing Council’s firm commitment to its price stability objective, particularly as inflation had fallen short of its stated aim for a considerable period of time.』

緩和バイアス文言を外すからと言って2%達成に対する意思を弱めたのではないことを強調すべきとな。

『Prudence, patience and persistence remained warranted and the key elements of the Governing Council’s forward guidance on policy rates and the APP needed to be confirmed, including the open-endedness of the APP. In this context, it was also remarked that the removal of the easing bias should not be misunderstood as restricting the Governing Council’s capacity to react to shocks and contingencies, if necessary.』

Prudence, patience and persistenceであって、資産買入はopen-endednessなのを強調すべしだで、必要な事態が起きたら緩和もしますよというのも重要なスタンスだそうな。

『At the same time, it was reiterated that the monetary policy stimulus continued to be provided by the full set of policy instruments, namely the level of policy rates, the net asset purchases, the sizeable stock of acquired assets and the current and forthcoming reinvestments, and the forward guidance on interest rates.』

『Finally, there was broad agreement on stressing the need for continued monitoring of developments in the exchange rate and financial conditions with regard to their possible implications for the inflation outlook. 』

エライハト派的な言い方ですな。

『Looking ahead, there was broad agreement on the main elements put forward by Mr Praet in his introduction. The course of monetary policy would remain firmly guided by the Governing Council’s continuous assessment of the progress made towards a sustained adjustment in the path of inflation based on the three criteria of convergence, confidence and resilience. In particular, once the Governing Council judged that the criteria for a sustained adjustment were met, the net asset purchases would expire in line with the conditionality expressed in the forward guidance on the APP.』

と言いつつも、見通し通りに推移したら資産買入は期限来たら終了ですなあとかしらっと入ってくるのがなんとも。

『It was recalled, as on previous occasions, that, beyond the horizon of the net asset purchases, the monetary policy support still necessary for inflation to converge to the inflation aim would be provided by the stock of acquired assets, by reinvestments continuing for an extended period of time, and by policy rates remaining at their present levels well past the end of the net asset purchases.』

でもって追加の買入が終わっても再投資はするのでそらもう緩和効果出ますよという話で、以下は決定事項の話になって現状維持で文言削除だけなので割愛します。






2018/04/18

お題「市場雑談少々/ECB3月議事要旨より」

次から次へと頭抱えるようなニュースが出てくるのですが、職業軍人が議員に(身分をお互い分かったうえで)こんな発言するとかここは5.15事件でも起きる国でしたっけ???
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180417-OYT1T50091.html
「国民の敵だ」3等空佐、路上で小西議員に暴言
2018年04月17日 19時40分

#などと毎日言っていると「ルビヤンカの方から来ました〜」とか玄関をノックされそうですわ

そういや厭債害債さん
http://ensaigaisai.at.webry.info/201804/article_1.html
さまざまな意味での信頼の崩壊

まあ大体同意なんですけど、そもそも官邸担当の記者さんとか大臣付きの記者さんとかのような重要なところにいる記者さんがテレビなどの画面に映ったりするのをチラ見しますと、メディア企業サイドの方が意図的に美人のおねいさんを重要なところに担当させるというような如何にもな体質がメディアの方にもあるので、そもそもこれ記者さんが自社から訴え出るというのが有り得ん、みたいな一段と深い闇があるんじゃないのとも思うわけでして、ただのハメ手なので裏口使って表ざたにしたというのなら話は簡単ですが、報道機関の体質みたいなもう少し問題は根深いところにあるような気するのがこれまたややこしいことだと思います。


〇色々とネタがあり過ぎて却って消化できないとかですかねえ

・超長期のオペをどこで減額するのかしないのかという世間話

よー知らんけど。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1RU2VU
2018年4月17日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅続落で引け、長期金利は横ばい0.035%

『 <15:10> 国債先物が小幅続落で引け、長期金利は横ばい0.035%

国債先物中心限月6月限は前日比1銭安の150円86銭と小幅続落で引けた。17─18日の日米首脳会談を控えて全般に様子見ムード。手掛かり難で前日終値付近の狭いレンジでの値動きに終始した。5年債入札は好需給を反映して順調な結果だったが、相場への影響は限られた。現物市場は、入札を順調にこなした5年ゾーンがしっかり。5年債利回りは一時同1bp低いマイナス0.120%に低下。10年最長期国債利回り(長期金利)は同変わらずの0.035%で推移。一方、19日に20年債入札を控えている超長期ゾーンは軟調に推移した。』(上記URL先より)

ってなもんで、5年入札は堅調でしたが相場そのものは前場から長期とか超長期5糸甘とかになっていて、20年カレントって単利の0.500%まではやるんですがその先踏み込むかと思うと微妙に上値が重くなって1毛とか少々甘くなるだけど、別に売り込むこともないので結局戻ってきてみたいな感じでイラっとする推移が続きますの。

まあ何だ、これ20年カレントが引けの単利ベースで50bp切ってくると輪番減額が来るのかどうかというのがネタになりそうで、もちろんその時の10年の位置次第ではあるんですが、10年金利が今くらいか精々1毛くらいしか進んでいない時に20年カレント49.5とかにされると、さてどうなるやら。

いやですね、この前の2月に指値と輪番増額やった時に、10年の指値だけやっておけば話がややこしくならなかったのですが、中期の輪番を増額しちゃっているもんだから、それが中期の金利を止めに掛かっているのか10年金利をサポートしようとしているのかがよく分からなくなっていますし、大体からしてそれ以前にYCCでの今の枠組みが「10年金利ピンポイント」なのか。「均衡イールドカーブとして想定する水準から見て、市場での各年限の名目金利が適正と思われる緩和度合いにあるようにする」なのかが相変わらず(意図的に、なんでしょうが)不明確なまま走っているので、もし後者だとすればそろそろ超長期って全般的にフラット化進んでいるから減額だよねとなりますし、10年ピンポイントで見るなら0%というにはちと金利が高めなのでうーんこのという状態。

まーいずれにしましても、0.5%割れの20年になった時に輪番が減額されないと今度こそ債券買いでソイヤソイヤとやってくるんじゃネーノとは思いますし、まー普通に放置プレイして金利がソイヤッサと下がったところで無慈悲に減額をスパッと入れてしまうのも手なのですが、そうするとまたマーケットメーカー方面に怪我人が出て市場に喧嘩売るオペという事になってくる悪寒もするのでどうなんでしょうね。

#それからT+1も気になるんですがど〜なるんすかねえ


・物価見通しは往生際悪く出てきますかそうですか

https://jp.reuters.com/article/april-boj-report-idJPKBN1HO1AY
2018年4月17日 / 19:11 /
日銀4月展望リポート、物価2%到達「19年度ごろ」維持の公算=関係筋

ただの観測記事ではありますが、ロイターさんの場合、どこぞのベンダーとは違いましてポジション片方に振り切ったような観測にはなっていないのでまあ普通に読める。

『東京 17日 ロイター] - 日銀は26、27日の金融政策決定会合で、物価上昇率が目標の2%程度に達する時期について、現在の「2019年度ごろ」との見通しを据え置く公算が大きい。引き続き、好調な景気にもかかわらず、物価は弱めの状況にあるが、日本経済の需給引き締まりを背景に、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)は維持されているとみている。』(上記URL先より)

現状の日銀の理屈だと、需給ギャップの改善によって実際の物価が上昇(あとしばらく前までだと特殊要因の前年比効果の剥落もあった)していくことによって適合的なインフレ期待形成にプラスの影響を与えるからインフレ期待も上がっていくので2019年度中に2%に達する(安定するとは言っていない)というお話になっておりまして、上記URL先の記事の引用していないところにもありますが、直近のさくらレポートにおける地域経済のボトムアップで考えた場合も、需給ギャップの改善傾向が続いており、今後も継続するでしょうという見立てになっているので、物価見通しを変えるという話にならないのはまあ理屈の上では分かる。

ただまあ何ですな、そもそも期待形成の方がちゃんと進んでいるのかねとか考えますと、理屈的にはインフレ期待が上がるというのは将来の需要を前倒しする効果があるはずで、したがって消費の所にもっとそういうのが出てこないとイカンと思うのだが、野菜の値段が上がったから消費が仕方なく増えたみたいなのは観測されても、インフレ期待が上がって将来の需要を先取りするような消費が盛り上がっているというのはついぞお目にかかっていない(お目にかかったのは2013年の消費増税駆け込み需要である)し、そういう兆候も見られないのに、ここからインフレ期待がホイホイと上がるという図式そのものに無理があると思うのですが、何せ置物リフレ理論で期待に直接働きかけるという所からスタートして誤魔化し誤魔化ししながらこの辺りまで何とか話をすり替えてきただけに、まだまだ「いやーインフレ期待はじっくりとしかあがりませんなーあっはっは」という話に一段勧めるには時間が必要なんでしょうな。

#問題はその時間の間に今やっている無茶政策の副作用が顕在化するリスクである

まあ特に何か出るという話ではないと思いますが、理屈をどうやって回していくのかというのが注目される今回の展望レポートではあります。


・米国は引き続き発言タイムのようで

きちんとフォローできていないのでニュースヘッドラインだけ。

https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N1RU5OL
2018年4月18日 / 04:37
米FRB、インフレ率2.25%に達しても動揺せず=シカゴ連銀総裁

『[シカゴ 17日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は17日、米国のインフレ率が持続的に2%の水準になるには1年かかるとの見方を示し、インフレ率がオーバーシュートしたとしてもそれほど大きな懸念にはならないとの見方を示した。』(上記URL先より)


https://jp.reuters.com/article/us-infl-fed-sf-0417-idJPKBN1HO27E
2018年4月17日 / 23:46
米インフレ率、FRB目標を数年間上回る可能性=SF連銀総裁

『[マドリード 17日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は17日、米インフレ率は連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に向け上昇していくと予想しているとし、FRBが利上げを継続する中でも「数年間」は同水準、もしくはこれを上回る水準で推移するとの見方を示した。同総裁は「世界的な要因によりインフレが抑制されていると考えているため、現時点ではインフレについてそれほど懸念していない」と述べた。ただ、FRBは景気の過熱を防ぐために利上げを継続する必要があるとの考えを示した。』(上記URL先より)


まあ何ですな、この話って「水準」よりも「方向性」と「その時の経済環境」というのが効いてくる話であって、今上記のような感じでハト派なエバンスもややタカなウィリアムスも話をしていますが、実際問題として物価指数が例えば1.9→2.0→2.1→2.2とか上がってくると2.2%でも十分にビビって来ると思います(なお昔の英国のように高失業で不良債権絶賛処理中なのに物価が上がっているなら話は別レベル)し、その時に引き続きbelow potencialな水準で失業率が推移していたら、まあ普通にこの人たち浮足立って来ると思います。単に今そういうのがなさそうに見えるからこうやって余裕ぶっかましているだけの話でしょ。

特にエバンスの場合は、ハト派ではあるものの「物価重視派」なので、構造問題を持ち出してFFレート上げる必要なしとか言い出す変態仮面のブラード総裁とは違って、実際に物価が上がってくるとあっさりハトを引っ込めて来る、ということで、ハト派の中にも構造重視と物価重視がいるので、まあ実際の物価動向次第では変化起きるでしょうが、目先すぐにそういう話が来るものでもないので、気にして置く程度で問題ないでしょうな。


〇ECB3月会合議事要旨を今更鑑賞(ただし今日は間に合わないので継続シリーズの予定)

http://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2018/html/ecb.mg180412.en.html
Account of the monetary policy meeting
of the Governing Council of the European Central Bank, held in Frankfurt am Main on Wednesday and Thursday, 7-8 March 2018

・執行部的に金融政策運営に関してどうよという部分をば

この議事要旨なんですが、「執行部(クーレ理事とプラート理事)の報告」→「委員会の検討」という作りになっているんですが、執行部の報告に対して委員会が「いや仰せの通りですなあそうしましょう」みたいな感じになっている回が最近多い(最初のころからそうなんですが)内容で、ECBって意思決定プロセスどうなっとるんじゃと思うのと、そういう感じの書き方になっているもんだから、同じ話が前半と後半に出てくるような構成になっていて何のこっちゃと思いながら読むのですけど、まあそんなもんだと割り切って読むようにはなっています。

ということなので、他の議事要旨の場合は基本的にスタッフ報告の方は時間がなければ(あるいはその間のトピックとしてスタッフ報告を確認したいネタがなければ)飛ばして後から読む、というのが普通の(かどうかは知らんがアタクシ的に思う効率の良い)読み方になるのですが、ECBの場合は委員会の検討の所でいきなり『With regard to the economic analysis, members broadly shared the assessment of the outlook and risks for economic activity in the euro area provided by Mr Praet in his introduction.』とか出ちゃうので、寧ろ最初の方から読んだ方が話が読みやすい(ただし速読向きではない)というこのECB議事要旨の謎仕様。

・・・・・・などと言っている場合ではなく、そうは言っても手抜きマンなので『1. Review of financial, economic and monetary developments and policy options 』のうち最後の『Monetary policy considerations and policy options』を読むのだ。つまりこれは委員会の議論ではなくてプラート理事のまとめである。


『Summing up, Mr Praet remarked that financial conditions had tightened somewhat amid volatility in equity and foreign exchange markets. Nonetheless, borrowing conditions for firms and households remained very favourable, in particular in the light of the improved macroeconomic prospects.』

この辺の経済と金融環境のレビューはその前の所でクーレ理事とプラート理事が報告している部分です。

『The March ECB staff projections pointed to continued growth above potential, with an upward revision for 2018. Incoming information confirmed the strong and broad-based economic upswing.』

経済に関する見通しは今回のスタッフ見通しで上方修正されていますが、内容については結構な強気化になっている、という説明もこれまた前の方で説明されています(手抜きですいません)。

『As regards inflation, the March projections confirmed the previous baseline outlook of headline inflation increasing gradually to the Governing Council’s inflation aim. However, measures of underlying inflation remained subdued and had yet to show convincing signs of a sustained upward trend.』

物価も上昇して目標近辺に向かう、という見通しを強める内容となっておりますだそうで自信ニキとなっています。

『The cyclical momentum and the ongoing reduction of economic slack confirmed the confidence that euro area HICP inflation would converge towards the inflation aim. Yet inflation convergence was proceeding only gradually and remained dependent on an ample degree of monetary accommodation.』

つーことで物価が上がる見通しではあるのだが、上昇ペースが中々勢い付かないので緩和は必要。

『On the basis of this assessment, Mr Praet proposed to convey the Governing Council’s improving confidence by removing the “easing bias” attached to the APP, i.e. the reference to increasing the asset purchase programme in terms of size and/or duration should the outlook become less favourable, or should financial conditions become inconsistent with further progress towards a sustained adjustment in the path of inflation.』

ということでご存知の通りですが、3月会合の会合後ステートメントでは「緩和バイアス(easing bias)」を取り除いて宜しいですわな、というお話。

『This was a further step that followed earlier adjustments in the ECB’s policy stance, namely the past reductions in the pace of purchases and the removal of the easing bias on policy rates. At the same time, patience and persistence in monetary policy remained essential for inflation pressures to build up. Accordingly, Mr Praet also proposed reconfirming the earlier decisions on asset purchases and policy rates.』

でもってこれは正常化ステップの一歩ではあるんですが、一方で政策そのものは現状維持ということにもありますように、やたらと「patience and persistence」みたいなのを連発しているのが今回の議事要旨の特徴。


『Regarding communication, the Governing Council needed to reiterate its confidence that the economic expansion would eventually lead inflation to converge to its medium-term aim. It was also important to highlight prudence, patience and persistence in monetary policy for inflation pressures to build up and support the convergence of inflation to levels below, but close to, 2% over the medium term, as well as to stress that the Governing Council would continue monitoring developments in financial conditions with regard to their possible implications for the medium-term outlook for price stability.』

こっちでは「prudence, patience and persistence」と来たもんだということで、経済物価の先行きに自信ニキなのだが、緩和縮小ヒャッハーとやってバックラッシュが起きるのがまあ怖いという事でございますわな。米国のテーパータントラム見てるから皆さんそう思うのはそらそうよという感じでございますが。

『Looking ahead, the Governing Council would continue to assess progress towards a sustained adjustment in the path of inflation. In line with its forward guidance on the APP, net asset purchases would expire once the Governing Council judged that the criteria for a sustained adjustment were met.』

しらっと資産買入の停止に関する考えも入っていますが、

『The Governing Council’s assessment would continue to be based on three criteria: first, convergence of headline inflation to the medium-term aim; second, confidence in the materialisation of the expected inflation path; and, third, resilience of inflation convergence even after the end of the net asset purchases.』

判断基準としてはヘッドラインの物価が中期的にどうなのか、期待インフレのパスがアンカーされる確信が高いのか、資産買入止めても物価のパスとかがレジリアントか、というようなのがあるので、まあこの辺って物価の数値以外の所は鉛筆舐め舐めの世界だから要は自信ありやナシやの話になるでしょ。

『Beyond the horizon of the net asset purchases, the monetary policy support still necessary for inflation to converge to the Governing Council’s aim would continue to be provided by reinvestments of principal continuing for an extended period of time and by policy rates remaining at their present levels well past the end of the net asset purchases.』

ただまあ買入停止しても当面は償還債投資するとか、最初のうちは慎重な話をせざるを得ないですわな、テーパータントラム見てきただけに。

#以下明日に続く(かもしれない)








2018/04/17

お題「雨宮副総裁講演は特に目先の金融政策に関係なし/ローゼングレン総裁相変わらずのタカ派」

これ(真意はともかくとしても)圧力掛けてるように思いっきり見えるのですけれども、まさかとは思いますが「名乗り出なかった人がいなかったので・・・・・・・おっとこんな時間に玄関にノックの音がするのだが。

https://www.mof.go.jp/public_relations/ohter/20180416A.pdf
福田事務次官に関する報道に係る調査について
平成30年4月16日

標記の件について、以下のとおり公表します。

https://www.mof.go.jp/public_relations/ohter/20180416A.pdf
福田事務次官に関する報道に係る調査について
https://www.mof.go.jp/public_relations/ohter/20180416B.pdf
福田事務次官に関する報道に係る調査への協力のお願い


〇雨宮副総裁講演は金融政策とは直接関係なしのネタ

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180416a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180416a.pdf
デジタル時代と中央銀行
IMF・金融庁・日本銀行共催 FinTechコンファレンスにおける挨拶の邦訳
日本銀行副総裁 雨宮 正佳

めんどいので邦訳の方で勘弁ということですが、まあ題名の通りで特段今の金融政策に直接関係する話ではありませんが、副総裁になって対外講演一発目がこれということでございますので記念に鑑賞。

・まずは前振り

『情報技術革新と金融経済の変化』から参ります。

『今から10年前の2008年、IMFや世界の金融当局が直面する最大の課題は、グローバル金融危機への対応でした。一方で、当時スマートフォンは生まれたばかりであり、仮想通貨はまだ登場もしていませんでした。』

『その後の10年間で、世界は大きく変わりました。金融危機からの脱却が進み、世界経済は再び成長の歩みを取り戻しています。この間、急速な情報技術革新に伴い、「情報革命」、「データ革命」とも呼ぶべき動きがグローバルに進行し、金融や経済に新たな発展の機会をもたらしています。とりわけアジアは、その影響を強く受けています。』

ということで・・・・・・・

『例えば、銀行口座が持てない等の理由で金融サービスを受けられない人々の「金融包摂」をいかに進めるかは、10年前でも、すでに世界的に大きな社会問題となっていました。その後、スマートフォンは各国で爆発的に普及し、今やアジアの新興国を含め、多くの人々がこれを経由した金融サービスを利用できるようになっています。すなわち、技術革新により、10年前には想像しなかった形で、「金融包摂」が大きく進んだ訳です。このことは、新たな経済活動の刺激にもつながっています。』

という話だがグラミン銀行ってもうちょっと前だったような気がするんだが、あれは決済じゃなくて融資だという話ですかいの。

『また、人々が生活のさまざまな局面でスマートフォンを操作する度に、SNSへの発信や位置情報、ウェブサイトの検索履歴など、巨大な量のデータが刻々生産されています。こうして生み出されるビッグデータは、広範な経済活動において、付加価値を生む新たなアセットとしての性格をますます強めています。この中で、近年急速な成長を遂げたデータ・ジャイアント企業は、ビッグデータを活用しながら、金融サービスを含むさまざまなサービスを、しばしば無料で提供しています。さらに、情報技術の進歩は、経済社会の隅々にある遊休資源と需要とを結び付ける「シェアリングエコノミー」などの新しいビジネスも生み出しています。』

スマホ経由でデータ筒抜けってのがどうもアタクシには性に合わないんですが、まあそのような個人的感情とは関係なくそういうことになっておる、というか中国が進んでいる訳で。


・政策に与える影響とな

『新たな政策面でのチャレンジ』ということで4つの課題を並べています。

『(1)情報技術革新が市場の価格形成などに及ぼす影響』

『まず第一に、現在、広範な金融市場において、アルゴリズムやAIを用いた高速・高頻度取引が一段と大きなシェアを占めるに至っています。このことが、市場価格の形成やボラティリティ、市場流動性などにどのような影響を及ぼすのかは、市場の安定や金融政策のトランスミッション・メカニズム等にも関わる問題であり、金融当局にとって重要な論点です。また、このような市場環境の変化を背景に、中央銀行の「Market Maker of Last Resort」の役割に新たな脚光があたっています。』

表面的に言えばそうだと思いますが、恐らく高速取引とかそういうのは本質的な問題にはなり得なくて、それってフラッシュクラッシュのようなものにはなり得てもそれ自体で問題が起きるのではなく、寧ろ今の市場で言えば問題になるのは「何でもインデックス」化しちゃうことによって、「平常時は流動性のあるように見える金融商品が乱発されていること」だと思う訳で、それってIT云々があるから何でもインデックスになるというのはありますけれども、何でもインデックス化したのに乗っかって行く市場参加者の行動というのは情報技術革新とは別の所であって、それは経済の成熟による年金みたいな資金の拡大だとか、金融規制によるパッシブ化の流れだとか、人間の要素になると思うの。

でもってまあ勿論雨宮さんも日銀もそういうのは分かっておられると思うのでだから何とかという悪態をつく話ではないのですが、ただまあ最先端のフィンテックでございと言って最先端をやっている頭のよろしい方々というのは最先端の方ばかり注目して部分最適ちっくになって分析するとやたら精緻な分析をしてくるんですがそもそも問題がおきるのはそこじゃないみたいなところを一所懸命に分析してきたりされましてもあちゃーというのも思ったりするので、市場の分析するときにフィンテックだかビックデータだか知らんですが、そういう頭の良い方面ばかりに偏らないようにしていただきたいなあと思うのでした。

『(2)情報技術革新が経済・物価に及ぼす影響の把握』

『第二に、情報技術革新や、この下で発展を遂げているeコマース、シェアリングエコノミーといった新たな経済活動などが実体経済や物価動向に及ぼす影響を、いかに把握していくのかが課題となります。これは、「eコマースの拡大により小売売上高が把握しにくくなる」というような、単なる統計カバレッジの問題にとどまるものではありません。』

ほほう。

『例えば、データ・ジャイアント企業などによる各種サービスの無料での提供は、企業側がこれらのサービス提供を「データ収集の手段」と捉え、獲得したデータをさまざまな用途に利用することで可能となっています。また、ユーザー側は、サービス利用の対価を、おかねの代わりに「データの供出」という形で支払っているとみることもできます。伝統的な価格・数量平面における需要曲線と供給曲線という道具建てでは、このような経済活動を捉えることは難しくなっています。』

なるほど。これを利用すればCPIの底上げ(違)。


『(3)サイバーセキュリティやデータ保護の重要性の高まり』

『第三に、金融安定を確保していく上で、サイバーセキュリティやデータ保護の重要性が、一段と高まっていることです。近年のデータ・ジャイアント企業の金融分野への参入や、金融におけるビッグデータ活用の進展、さらに、インターネットやスマートフォンといった金融へのアクセス媒体の多様化は、いずれもこれらの重要性を高める方向に働いています。』

さいですな。

『(4)情報技術革新の通貨・支払決済への影響』

『第四に、情報技術革新がマネーや支払決済に及ぼす影響です。これは、「仮想通貨」や「中央銀行デジタル通貨」も含め、近年、国際的にも注目が集まっている分野です。これに関連し、中央銀行が経済社会にどこまで踏み込んで決済インフラを提供すべきかといった議論も活発化しています。以下ではこの問題について、やや詳しく述べさせて頂きます。』


ということで以下『イノベーションと通貨制度』『日本銀行の取り組み』というのがありますが長くなるので(というほどでもないがこのままだとただの全文引用になるので)以下割愛しますが、中央銀行のデジタル通貨というのは中銀当座預金という形の通貨以外で出すというのもナンジャラホイと思いますし、ブロックチェーンみたいなのってアタクシ頭が悪くてよく分からないのですが、決済のファイナリティがどこでどう確保できるのかというのが分からなくて、一義的にファイナリティーが決まらない台帳って何なのよと不思議なままなので誰か教えてジェネラル。



〇ローゼングレン総裁は毎度のタカ派なのですが

https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2018/us-economy-an-optimistic-outlook.aspx(概要)
The U.S. Economy: An Optimistic Outlook, But With Some Important Risks The U.S. Economy:
An Optimistic Outlook, But With Some Important Risks
By Eric S. Rosengren
April 13, 2018

本文
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/041318text.pdf
プレゼン資料と図表
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/041318figuresandcomments.pdf

まずは概要の方から引用します。

『Boston Fed President Eric Rosengren said Friday that his own economic forecast and the forecasts of his colleagues on the Fed's policy committee are "quite positive" - citing fairly strong economic growth, job creation, falling unemployment, and inflation rising close to the Federal Reserve's 2 percent target.』

「his own economic forecast and the forecasts of his colleagues on the Fed's policy committee are "quite positive"」ときたもんだという感じですが、ローゼングレン総裁はさらに強気の見通しになっています。そこは後程。

『But Rosengren detailed both short-run and longer-run risks to that positive outlook.』

ではそのリスクとは。

『On short-run risks, Rosengren is not forecasting significant trade disruptions or substantial boom-bust problems, but said "I think it is important to identify risks worth thinking about and watching for."』

つーことで、貿易戦争問題の拡大というのが1つ、もう1つは資産市場におけるバブル発生と崩壊を目先のリスクとして考えていて、特に今それが顕在化するとは考えていないものの、注意すべき問題であるとの見解を示していますな。

『"It would take a significantly broader set of trade actions than those reported to date to materially reduce the roughly $2.4 trillion in annual U.S. exports," Rosengren said. "Still, spillover effects are possible." He added that concerns about these possible disruptions likely explain some of the heightened volatility in stock prices of late.』

特に顕在化するとは想定していないと言っている割には結構慎重。

『Also, an overheated "boom-bust" scenario could become more likely if unemployment moves far below where policymakers expect labor markets to settle in the long-run, Rosengren said. He noted that today's unemployment rate is below the Congressional Budget Office's estimate of the natural rate.』

キタコレですけれども、この前の3月FOMC議事要旨でも2か所に渡ってこれでもかと記載されていた「完全失業率を大きく下回るような経済の中で大規模金融緩和を放置した場合に資産市場にインバランスが発生してバブル発生からの崩壊になる」(ちなみにこの理屈ですが、放置した場合には物価がどこかで急に吹くのか資産バブルが起きるのか、という話でして、そのまま均衡する訳ないじゃん、という理屈なので、実はこれが新しい均衡点でした、という可能性があった場合に話が別になるのですが)って話がここぞとばかりに出てきているし、このままだと could become more likely だとか言ってるし、まあローゼングレン総裁がこっちのリスクを気にしているのは分かる。

『"Periods in which unemployment dipped significantly and persistently below the estimated natural rate historically have tended to generate conditions that resulted in a recession," Rosengren said, showing the relevant historical charts.』

図表集の図表6(11ページ目)にありまして、お題が『Figure 6: Unemployment Rate minus CBO Natural Rate of Unemployment 1970:Q1 - 2018:Q1』とあって、ロンガーランの失業率から失業率がマイナスに大きく乖離した後にリセッションがドカンと起きるようなこと(バブル崩壊じゃな)が起きまっせというのが出ています。まあ面白いちゃあ面白い。

『Turning to longer-run risks to the economic outlook, Rosengren said that the current status of fiscal and monetary policy buffers "call into question" their ability to work against a shock or downturn.』

長期的なリスクとしては今財政吹かしているけど、そんなことしたら経済下向きになった時に対処するバッファーなくなりませんかとのお告げ。

『"By using up so much fiscal capacity now ? by which I mean the ability to lower tax rates or boost federal spending to offset economic weakness ? the country risks not having sufficient fiscal capacity in the future when it might be needed," Rosengren said.』

『Additionally, there is "some reason" to be concerned about how aggressively monetary policy can respond to a large adverse shock, noting the median forecast among FOMC members for longer-run interest rates is 2.9 percent - "quite low" by historical standards, resulting from slow labor force growth coupled with slow growth in productivity.』

でもってキタコレですが、返す刀で政策発動の糊代確保のために利上げを加速すべきとの説明。

『"Since in many recessions we lower rates by as much as 5 percentage points, it is quite likely that interest rates would reach zero again in a downturn," Rosengren said.』

つーてあんた5%までFFあげられんじゃろ・・・・・・・・・・

『Rosengren is, in sum, hopeful these risks can be avoided. "The economic outlook is good, but we all must be attuned to what could go wrong in the short term and in the long term, and what that implies for appropriate monetary policy."』

最後ははいはいそうですかという感じですが、本文の最後の最後だけ確認します。(以下は本文より引用、10ページ以降になります)

『Concluding Observations 』

『The outlook for the economy projected by participants in the March FOMC meeting is quite positive. My own forecast is somewhat stronger in terms of unemployment rates and inflation outcomes than the SEP forecast, which is why I am in favor of somewhat more tightening than the median FOMC member.』

元々見通しが強い人です。

『However, a forecast of the most likely outcome is not a promise, and there are important potential risks to that forecast. Disruptive international trade actions or increasing the risk of a boom-bust economy by overextending could, in my view, prove problematic for the economy. And the status of fiscal and monetary “buffers” call into question their ability to work against a shock or downturn. 』

『I am hopeful that the risks I have discussed can be avoided. Assuming these near term risks are avoided, my own forecast is somewhat stronger than the SEP forecast. Of course, I would support a somewhat faster increase in the federal funds rates if that stronger growth does indeed occur.』

ということで年4回(あと3回)利上げを支持です。

『In sum, the economic outlook is good, but we must all be attuned to what could go wrong in the short term and in the long term, and what that implies for appropriate monetary policy. 』

ということでまあまとめと同じですが、引用しておきました。






2018/04/16

お題「さくらレポート関連(遅くてすいません)」

https://this.kiji.is/358168827752039521
小池知事与党の質問、作成者名に都顧問
2018/4/15 17:34 コピーライト 一般社団法人共同通信社

『東京都の小池百合子知事の与党会派「都民ファーストの会」の議員が昨年9月の委員会での質問案として事前に都にメールで送ったファイルの作成者名が、小池氏に近い当時の都特別顧問となっていたことが15日、関係者への取材で分かった。』(上記URL先より)

ゲラゲラゲラ。


〇1日出遅れネタですがさくらレポート関連

・総裁挨拶要旨は3月会合声明文通り

まあ基本これ直近のMPMか展望レポートと違うというのは見ないんですけど。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/siten1804.htm/
支店長会議総裁開会挨拶要旨(2018年4月)

『(1)わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。

(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。

(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融環境は、きわめて緩和した状態にある。

(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』

でまあこいつを3月会合声明文と念のため比較してみる。(HTML版が復活(というか寧ろ昔はHTML版しか出てなかった)して見やすい使いやすいのは地味ながら非常にありがたいです情報サービス局さんに感謝感謝)。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2018/k180309a.htm/
当面の金融政策運営について

『2.わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。(途中盛大に割愛)わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』


『3.先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。(途中盛大に割愛)消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。』

『5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注3)。』

・・・・・・・・・ということでこれは順当は順当なのですが同じでしたな。


・さくらレポート

http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer180412.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer180412.pdf(本文)

なお前回はこちら
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer180115.htm/(前回)

概要のHTMLの方からネタにします(手抜き)。

『I.各地域の景気判断の概要』の『(1)各地域の景気の総括判断』である。

『各地域の景気の総括判断をみると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、「拡大している」、「緩やかに拡大している」としているほか、3地域(北海道、東北、四国)では、「緩やかな回復を続けている」等としている。この背景をみると、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。』(今回)

なお前回は、

『各地域の景気の総括判断をみると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、「拡大している」、「緩やかに拡大している」としているほか、3地域(北海道、東北、四国)では、「緩やかな回復を続けている」等としている。この背景をみると、海外経済の緩やかな成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。』(前回)

と思いっきり同じになっておりまして、

『前回(2018年1月時点)と比較すると、四国、九州・沖縄で、個人消費の改善を踏まえ、総括判断を引き上げている。一方、北海道では、一昨年の台風被害後の復旧工事の一巡から、公共投資が減少に転じていることを主因に、総括判断を引き下げている。残り6地域では、総括判断に変更はないとしている。』(今回)

『前回(2017年10月時点)と比較すると、3地域(東北、北陸、近畿)で総括判断を引き上げている。東北では、内外企業の設備投資の積極化に伴う、はん用・生産用・業務用機械の増産から、また、北陸では、能力増強や省力化を目的とした設備投資の増勢の強まりなどから、判断を引き上げている。近畿では、輸出の増勢の強まりや個人消費の改善を踏まえ、判断を引き上げている。一方、残り6地域では、総括判断に変更はないとしている。』(前回)

前回は3地域引き上げになっていますが、今回は1地域引き下げの2地域上げ。と言っても内容に関しては前回は生産の増加、今回は消費の増加をメインの理由にしており、一方での北海道の下げは公共事業要因となっていますので、景気のベースの部分としては地域経済から見た判断は一段と強まっている、という評価になりますので強いという結果。


『(2)各地域の需要項目等別の判断 』は前回との比較表になっていないので人力で比較表もどきにしてみませう。(前回)→(今回)です。なお全項目やっていると面倒なので設備投資と生産と消費にしておきます(雇用はどうせ強いのでキニシナイ)。

設備投資

北海道:増加している→緩やかに増加している
東北:緩やかな増加基調にある→緩やかな増加基調にある
北陸:増加している→増加している
関東甲信越:増加している→増加している
東海:着実に増加を続けている→企業規模の広がりを伴って増加を続けている
近畿:増加基調にある→増加基調にある
中国:増加している→増加している
四国:緩やかに増加している→緩やかに増加している
九州・沖縄:増加している→増加している

北海道下げの東海上げ。

個人消費

北海道:雇用・所得環境が着実に改善していることを背景に、回復している→
このところ一部に弱めの動きがみられているものの、基調としては回復している

東北:底堅く推移している→底堅く推移している

北陸:雇用・所得環境の着実な改善が続くもと、着実に持ち直している→
雇用・所得環境の着実な改善が続くもと、着実に持ち直している

関東甲信越:振れを伴いながらも、緩やかに増加している→
振れを伴いながらも、緩やかに増加している

東海:緩やかに回復している→緩やかに回復している

近畿:良好な雇用・所得環境等を背景とした家計の支出スタンス改善を伴いつつ、総じてみれば緩やかに増加している→
良好な雇用・所得環境等を背景とした家計の支出スタンス改善を伴いつつ、総じてみれば緩やかに増加している

中国:持ち直している→持ち直している

四国:緩やかに持ち直している→持ち直している

九州・沖縄:耐久財の買い替え需要が堅調なほか、飲食料品や衣料品に動意がみられるなど、全体として回復している→
雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかに増加している

北海道が下げ、四国が上げ、九州は回復が増加になっているのでこれまた上げ、なのですが全体的にコメントが堅調というものの微妙な留保付きになっているのは変わらんですな。


生産

北海道:横ばい圏内の動きとなっている→横ばい圏内の動きとなっている
東北:横ばい圏内の動きとなっている→緩やかに増加している
北陸:増勢が続いている→高水準で横ばい圏内の動きとなっている
関東甲信越:増加基調にある→増加基調にある
東海:増加している→増加基調にある
近畿:増加基調にある→増加基調にある
中国:増加している→増加している
四国:振れを伴いつつも、持ち直しの動きが続いている→振れを伴いつつも、持ち直しの動きが続いている
九州・沖縄:旺盛な海外需要を背景に高水準で推移しているが、一部に弱めの動きがみられている→
旺盛な海外需要を背景に高水準で推移している

うーんこのという感じですが、東北と九州が上がっていて東海が下がっていますな。個別コンポーネントでの判断を並べるとまあ前回並みですなあという感じではあります。


・大阪支店長会見

衛藤理事の会見ニュースをロイターさんより。

https://jp.reuters.com/article/boj-osaka-idJPKBN1HJ108
2018年4月12日 / 17:17 /
企業は円高に耐性、105円前後では動じず=日銀大阪支店長

『[東京 12日 ロイター] - 日銀の衛藤公洋大阪支店長(理事)は12日、都内の本店で行われた支店長会議の終了後に会見し、今年に入って米国の経済・通商政策などを巡って為替市場で円高が進行する局面がみられたことに関し、日本企業の収益力は着実に高まっており、105円前後の円高で動じることはないとの認識を示した。現時点で米通商政策の不透明感に伴う関西企業への影響は出ていないと語った。』(上記URL先より、以下同様)

ほほう。

『衛藤支店長は、今年に入って1ドル105円前後まで円高が進行する局面がみられたことについて、関西圏の企業では「これぐらいであれば収益等々に及ぼす影響は、それほど大きくないとの見方が中心だと思う」との見解を示した。さらなる円高進行に対する警戒感はあるものの、日本企業は「2−3年前に比べて為替に対する抵抗力が確実に強まっている。1ドル120円程度のころよりも、昨年度は高い収益を上げており、収益力は着実に高まっている」とし、「105円程度ではおそらくビクともしない程度の強さを持っていると思う」と述べた。』

なるほどそれなら輪番の減額もできますね(違)。

『米国の通商政策の行方について「(企業は)先々の事業リスクとして意識しているということだと思う」としながらも、鉄鋼とアルミニウムへの輸入制限だけであれば「関西の経済、輸出の中に占める割合は非常に小さい。関西景気に悪影響を及ぼすことはない」との見方を示した。事態が米中間の貿易摩擦や世界的な保護主義の強まりなどに発展すれば、外需を通じて「具体的な形で負の影響が出てくることはある」と懸念を示したが、「現時点でそれを懸念して、事業意欲が萎縮するなどの影響はまったく出ていない」と強調した。』

あまりにも突拍子無さすぎなので予想するのも無駄というのはあると思う。

『また、全国的に進行する労働需給の引き締まりについて、賃金・所得の増加を通じて景気改善に資する面と事業制約につながる両面があると指摘。現在の良好な経済状況において、現段階では「プラスの側面の方が大きい」との見解を示した。』

ということなのですが、そんなに賃金をびっくりするほど上げている訳でもない(単価の安いのは上げたり、臨時工的なのは上げてるけど正社員はそこまで上げてこないし)ので、本当の本当に事業制約になるような状態だったら物価も上がらないとおかしいとかそういう話のような気がする。

しかし関連別件の先週のこのニュースは腰が砕けましたな。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180413-00000004-asahi-bus_all
正社員の待遇下げ、格差是正 日本郵政が異例の手当廃止
4/13(金) 3:09配信

ベースアップしておいて手当をしらっと廃止して総人件費は同じとかいうようなネタがあったり、給与テーブルは引き上げるけど昇進昇格を従来から抑えて総人件費は同じみたいな、中の人にしかよくわからんというネタはあったりしますが、これはまた正直者現るという感じでして、いやあのこんなニュース出ると一企業の問題だけじゃなくて世の中の給与所得者のマインド思いっきり下げるんでマジで勘弁してほしいんだが。


・・・・・・・と最後は全然違う話になりましたが、まあつまりさくらレポートでも示されているように、一部微妙感はあってもまあゆうて良さげな景況感に対して、何で物価が上がらんのよというお話を考えると、所得の増加期待の無さとか将来不安とかの話になるんじゃないのかね、この前のこれもそうだし。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180411-00000108-jij-pol
財務省が年金支給68歳開始案=高齢化対策で審議会に提示―実現には曲折も
4/11(水) 18:56配信


〇ローゼングレン総裁講演ネタのつもりが時間がないのでパス

備忘のためURLをはっておく
https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2018/us-economy-an-optimistic-outlook.aspx
The U.S. Economy: An Optimistic Outlook, But With Some Important Risks
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/041318text.pdf






2018/04/13

お題「今更虫干し系で総裁記者会見」

うーんこの。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018041101104&g=eco
財務省が年金支給68歳開始案=高齢化対策で審議会に提示−実現には曲折も
(2018/04/11-18:58)

まあスケジュールがあってスケジュール通りに出したんでしょうけれども、自分の所を取り巻く外部環境というのを少し考慮に入れた方がよろしいんじゃないでしょうか、昨日の軽い風邪云々の話もそうなんだが。

てか年金の話はこうやって支給遅らせるだの減らすだのの話をするとドンドン現役層の生活防衛意識が高まって経済にマイナス効果をもたらすだろと思うんだが。


〇遅くなりましたが総裁就任会見

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180410a.pdf
総裁再任記者会見要旨
―― 2018年4月9日(月) 午後7時から約40分

再任記者会見っていうんだ・・・・・・・・・・

・出口の話について少しだけするようになりましたが・・・・・・・・

一発目の質問がいきなりこれ。

『(問) 出口戦略についてお伺いします。現状の 2019 年度頃に 2%に達するというめどが変わらないとすれば、総裁の再任任期 5 年間の間に出口戦略を策定する可能性が高いと思われるのですが、出口についての考え方を教えて下さい。』

質問する方もイヤミ成分をぶち込んで質問していますが、QQE導入当初からそうなのですが「2年を念頭にできるだけ早期に物価目標を達成する為の強力な金融緩和を行う」のだったら、そんな強力な金融緩和だったらオーバーシュートの対策を最初から考えておかないといけないというのが論理的に成立するのですが、実際問題として単なるマネタリーベース直線一気理論でぶち込んでみただけという勢いだけの政策だったので、先のことなど何も考えておりませんでした、というのが後々になって強烈に効いてしまっている訳ですよ。

ということで答えを見ますと・・・・・・・・

『(答) 一般論として申し上げると、将来の出口の局面では、金利水準の調整と拡大したバランスシートの扱いが課題となります。その際には、保有国債の償還や各種の資金吸収オペレーションのほか、超過準備に対する付利金利の引上げなどの手段を活用することで、市場の安定を確保しながら、適切な政策運営を行うことが十分可能であると考えています。』

まあ本当に十分可能なのかは謎だがとりあえず米国という手本が今回はあるのでそこは説明しやすい。

『一方、出口の局面で、実際にどの手段をどの順序で用いるかについては、その際の経済・物価・金融情勢によって変わり得るわけです。現在、FRBが、かつて公表した出口戦略とは異なる形で正常化を進めていることは、 重要な教訓ではないかと思います。こうした点を踏まえると、あまり早い段階で、出口の進め方を具体的に説明することは難しく、市場との対話という観点からも、却って混乱を招くおそれが高いのではないかと思います。』

との仰せですが一番最初に出口の云々を出した時には別に混乱起きたわけではなく、「そらまあやるならそうだろうけどそもそもいつになったら出口なんでしょうね」という所で最初のを打ち込んでいるのであって、市場が混乱したのはテーパータントラムなのであって、それはそこまで追加緩和一辺倒であった方向性を盛大に転換したから、であって、出口政策の手段がどうのこうのという話とは別問題なのでこの説明は詭弁。


でもって、日銀の場合何が問題かというと、相変わらず物価目標達成時期が先送りされながらも2年程度を念頭に達成するとい見通しになっていて、日銀の言う事を額面通りに受け止めると(受け止める奴はいませんが)出口政策の話をすると実施時期がいつになる的な具体的な発想が出てしまう(出てしまうのではないが、次に申し上げる理由もあって、出口政策の具体化という話を材料にしやすいのだ)というのが1点目。

そしてもっと問題な2点目なのだが、マイナス金利政策とかYCCとかの政策運営自体が長期化しても物価押し上げ効果の前に金融機関の首を絞める効果の方が顕著になってきているという政策のプロコン問題があって、これがただのゼロ金利政策程度だったらまだマシなのですが、最初のQQEからそうな上にマイナス金利入れて凶悪化しているんですけど、元々のMB超拡大方針だって途中で短国が回らなくなって長国に振替になったように、ガチで「設計上2年少々しかガチで持たない(のでその後色々と手直しをした訳ですな)」物件に仕上がっているため、政策の長期化というのが最初の時点で想定されておらず、YCC導入で一応長期化を想定した設計はしているとは言え、マイナス金利政策とYCCの10年の金利設定水準がやはり長期的継続に向かない設計になっているのが問題だと思うの。

つまり、さすがに「今の政策を長期的に同じように継続するのは無理がある」という認識が他市場はよー知らんが債券の方ではさすがに認識している訳でして、そうなるとどうしても政策長期化のために調整は必要じゃろという話は円債市場の方からは出やすくなり、そこのところが他の市場から見たら出口政策の話とリンクしやすくなるので、それこそ「リバーサルレート論」とか出口というよりは追加緩和をしない&政策微調整向けの論点に近い話でも他市場からすわ出口(および出口になってほしい債券市場の願望トークも含め)ということになってしまうので、まあコミュニケーションが複雑骨折する訳ですよ。

ですから、「達成年限の柔軟化」と「長期的に維持可能な緩和政策のデザイン」というのを前面に出していき、「2年程度を念頭にできるだけ早期に達成させるための強力な金融緩和」という最初の馬鹿置物理論を否認しないといかん、ちゅうことになりますな、コミュニケーションの複雑骨折なおすには。


雑談長くなりましたがさっきの続き。

『足許、エネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、0%台 半ばにとどまっており、2%の「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があります。やはり現在は、先行きの経済・物価動向を注意深く点検していくことが必要な情勢であって、出口のタイミングやその際の対応の手順等を検討す る局面には至っていないと考えています。』

別の逃げ方として、なんかこう適当に誤魔化しながら大勝利宣言というのもあるとは思うのですけれども、こうやっていきなりコアコアの話を持ち出しちゃうとコアコア上がらないと何もできないという話になって後で自分の首を絞めないかという気は少々する。


・追加緩和はありませんな

ちょっと先の質疑。

『(問) 2 問お願いします。(前半割愛)2 問目は、先程の質問にも重なるのですが、先程安倍首相や麻生大臣との会談の冒頭挨拶で、安倍首相は、消費増税を踏まえて 3 本の矢を強化していく必要があるというような趣旨の発言をされたかと思います。1 本目の矢はどのようにしたら強化になるのでしょうか。 』

追加緩和催促キタコレ。

『(答)(前半割愛) 第 2 の質問については、先程、総理から、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、しっかりとした金融政策の舵取りをしてほしいということを言われました。私自身も、「共同声明」の中にしっかりと日本銀行及び政府のそれぞれの役割が記されていますので、これを堅持して 2%の「物価安定の目 標」をできるだけ早期に達成すべく、全力を挙げたいということを申し上げま した。ご指摘の点についても、「共同声明」自体にかなり詳細に記されていますので、日本銀行としては、それに従って、物価の安定をできるだけ早期に実 現するという観点から、必要な政策調整も含めて、状況を正確に認識して対応 していきたいと思っています。』


なお財政への質問もありまして・・・・・

『(問) 先程の首相との会談の話ですが、3 本の矢の強化の話がありました。 この中で、1 本目の矢で金融政策について、首相から追加緩和等の具体的な要請があったのかどうかが1つ。また、 2 本目の矢である財政ですが、総裁自身、今後の安定のために財政政策が果たすべき役割についてどのようにお考えなのか、お願いします。』

『(答) 具体的な追加緩和について、総理が話されたということはないと思います。』

そらそうよっつーことで追加緩和は無し。

『それから、財政については、いつも申し上げている通り、政府、国会で決めるべきことですので、私から何かいうことは適切でないと思いますが、「共同声明」自体にかなりはっきりと、弾力的な財政運営と、中長期的に財政の持続可能性を確保することが書かれていますので、当然、必要に応じて財政政策の対応があり得ると思いますし、他方でやはり、中長期的に財政の健全化や持続可能性を高める努力を引き続き政府は行っていかれるだろうと思っています。』

回答は避けましたが一応先に「必要に応じて財政政策の対応があり得る」が入っているのね、と思いました。


・ド直球質問には回答ができないようで

これはまた直球質問。

『(問) 5 年間の総括について改めて伺います。5 年間政策をやって結果が出ないということは、一般的に考えると、目標が間違っていたか、あるいは手法 が間違っていたか、どちらかだと思うのですが、なぜそのような考え方に総裁は立たれないのでしょうか。』

正確には「最初の時点で2年程度を念頭にできるだけ早期に達成する」と言っていたのに5年も掛かっている挙句にその間に緩和を強化しているのに結果が出ない、だと思いますが普通に直球キタコレ。

『(答) 2013 年 4 月の「量的・質的金融緩和」の導入以降、企業収益や労働市場、賃金をみると日本経済は大きく改善していますし、エネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価の前年比も、2013年の秋以降、4 年以上にわたってプラス 基調を続けており、既にわが国経済は、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていると思います。』

『その意味で、この間の強力な金融緩和は、経済・物価を大きく改善させる効果があったと考えています。』

って毎回言っているんだが、日銀のお手盛り分析では必ず金融政策の中で例えば金利とかMBとか、そういうコンポーネントとの相関で話をしているので、効果があったことになっているんだけど、実際問題としては別の要因(人口動態とか海外経済とか)に関する方が大きくて、緩和政策自体が別に改善の邪魔はしていないのは確かでしょうけれども、改善自体は実際は別のファクターだったんじゃないの、という話は華麗にスルーしていますわな。

つまりですね、この政策のコミュニケーション的にアレなのは「効果は出ている」という話をするのはいいんだが、そもそも何がどういう波及経路を持って効いているのがという話に説得力が弱いことで、波及効果のメカニズムがふわっとしたファジーな状態だからそら何を追加緩和すりゃいいかも何を調整可能なのかもわからんわな、ということになるんだと思うの。

『ただ、2%の「物価安定の目標」は、なお実現できていないことは事実で、これは、2016 年 9 月の「総括的な検証」でも示した通り、原油価格の下落などによって実際 の物価上昇率が低下し、もともと実際の物価上昇率に引きずられやすい予想物価上昇率が横ばいから弱含みに転じたということが主な原因です。その背景には、いわゆるデフレマインドの転換に時間が掛っているということがあると思います。』

『米国やユーロ圏においても、120 ドルぐらいから 30 ドルを割るくらいまで原油価格が低下したことを受けて、やはり物価上昇率も大きく低下して、 一時的には、殆どゼロないしマイナスになったわけですが、その後、原油価格 が半値くらいまで戻す中で、物価上昇率も 1%台から1%半ばくらいまでは戻ってきています。より重要な点は、特に米国において明確ですが、物価上昇期待 が 2%の物価安定目標によくアンカーされていて、そうした中で比較的スムー ズに、まだ 2%には達していませんが、物価上昇率は戻ってきています。他方で日本の場合は、原油価格の下落に伴って予想物価上昇率自体も下がってしま い、それがなかなか戻らない状況にあり、物価上昇率もまだ 1%、生鮮食品と エネルギーを除くと 0%台半ばにとどまっています。』

いつもの言い訳ですが、結局のところ期待に働きかけられていないという話だし、この説明を是とするなら無理矢理円安にして実際の物価を上げるとかしないとインフレ期待が上がらんという話になるんだが。

『こうしたことは、 2%の「物価安定の目標」が間違っているということでもありませんし、また、その目標をできるだけ早期に達成するために行ってきた金融政策も適切なものであったと思いますが、先程申したような事情で、まだ 2%には到達していないということだと思います。』

いや適切だったら早期に目標達成できているだろうよ。


・追加緩和の話アゲイン

『(問) 先程、物価 2%目標の早期実現に向けて必要な措置は採る、とご発言 されましたが、現在、例えば 2019 年度頃としている 2%の達成時期が更に後ずれするような事態になった場合に、それ自体が追加措置を検討する要因になり 得るのかどうか、お考えをお願いします。』

『(答) これは、従来申し上げている通り、2%の「物価安定の目標」に向けて、経済・物価等がしっかりしたモメンタムを維持しているかどうかにより追 加的な措置を検討する、ということであり、その点は従来と全く変わりはありません。』

つまり見通しの先送りは追加緩和とリンクしないそうです。


・謎の問答と微妙な説明

『(問) 緩和の副作用についてお伺いします。緩和が長期化を余儀なくされていることはその通りだと思いますが、それ相応に、副作用もまた大きくなって いるという認識でいらっしゃいますか。また、この先も緩和を長く続けることにより無視できない状況に、例えば金融機関の収益力の問題、それから日銀の財務が将来的に出口にあたり毀損する可能性が大きくなる問題、そうしたもの が将来的に無視し得ないほど大きくなる蓋然性について、どのようにみていますか。』

この質問の回答が微妙に謎。

『(答) 伝統的金融政策も、非常に大幅な金融緩和を長く続けた後に引き締めに転換した時には、過去において、日本だけでなく諸外国でも、金融システムに影響が出たり、副作用が顕在化した例はありますので、非伝統的金融政策に だけ副作用があって、伝統的金融政策には副作用がないということではありません。』

という最初の部分がマジで謎で、別に非伝統的政策だからという質問ではないと思うんだが(日銀の財務ってのはあるけどさ)何でこういう答えをしているの????

『それぞれの政策によって、若干異なる影響は出るとしても、常に、その副作用がどういうもので、どのように影響するか考えていく必要があると思っ ています。』

そらそうよ。

『特に、中央銀行が伝統的あるいは非伝統的な金融政策を執行した場合、金融資本市場を通じて実体経済に影響していきますので、当然、金融資本 市場が金融仲介機能を十分発揮できる状況にあるかどうかは、金融政策を行う 中央銀行として重要な関心事項であり、十分みていく必要があると思います。』

QQEの画期的なのは「期待に直接働きかける」ということだった筈なのですがどうしちゃったの??

『伝統的金融政策においても、大規模な緩和を長く続けた時の副作用は十分考慮 しなくてはいけませんので、伝統的であろうと非伝統的であろうと同じだと 思っています。その意味では、金融仲介機能に対する影響は、十分注視していかなければならないと思います。従来申し上げている通り、現時点で金融仲介機能にマイナスの影響が出ているとは思っていませんが、大幅な緩和を非常に長い期間にわたって続けた場合の金融仲介への影響は、金融の行き過ぎという面と、逆に金融仲介機能が低下するという両面のリスクがあるということは、 金融システムレポートで示している通りであり、私どもも十分注視し、必要に応じて対応していかなければならないと思っています。』

ということでたぶん来週には出るFSRは注目したいですな。

『ですから、定性的にはおっしゃる通りですが、今の時点で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」 が何か大きな影響を及ぼしているということはないと思います。』

まあ今あるとは認めないのは当然ですから結論はこうなるのが仕様ですけれどもなんかね。


#支店長会議ネタスルーですいません








2018/04/12

お題「寝起きでFOMC議事要旨インスタント読みで勘弁」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180411/k10011399291000.html
軽いかぜは患者の自己負担上乗せ 医療費など抑制へ提案
4月11日 18時54分

『見直し案は、11日開かれた財務省の審議会で示されました。このうち医療の分野では、患者が病院などの窓口で支払う自己負担について、軽いかぜなど少額の外来受診の場合は、負担を上乗せするよう提案しました。』(上記URL先より)

軽い風邪を放置して重症化してから通院した方がよっぽど医療費が掛かることになるとおもうんだが、その間に感染症に掛かって周囲に移したりしたらどうするんでしょ、インフルエンザとか。


今朝は本当は一昨日の黒田さんの就任記者会見がアップされていたのでそっちをやらないとという感じなのですが、出枯らし感が高まりから急がなくてもよいのではないかとの勝手な判断、というのはだいぶ言い訳で、ここもとアタクシ花粉症が凶悪に悪化して体調があばばばばなーなのでFOMC議事要旨ネタで力が尽きた模様。

〇寝起きでヒーヒー言いながらFOMC議事要旨を斜め読み

基本的な読み方のお作法てきにいえば、今回の議事要旨よりも次回の議事要旨の方がその後の利上げに関しての示唆はおおいかもしれませんがまあそれはそれと致しまして。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180321.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180321.pdf

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツの方から逆順で読んでいくという超手抜き版でご勘弁ありたし(なので引用順序がパラグラフ単位の逆順になっています)。


『With regard to the medium-term outlook for monetary policy, all participants saw some further firming of the stance of monetary policy as likely to be warranted.』

こちらは上記コーナーの最後のパラグラフで、先行きの金融政策に関する話なのだが、some further firmingに関してall participantsが見ているとはこれ如何にとちょいと思った次第で、利上げの必要がないとかブラード言ってませんでしたっけと思いながら改めてSEPみたんですけれども、2020年まで利上げ後の金利で横ばいってのがいまして、たぶんこれが変態仮面ブラード大先生だと思うのですが、そことsome further firming of the stance of monetary policy as likely to be warrantedの整合性ってどうなってるんだかよくわからんですな。まあ金融政策運営に影響のある話じゃないからどうでも良いと言ってしまえばそれまでなのですが、マニア的にこの屁理屈には興味がある。

『Almost all participants agreed that it remained appropriate to follow a gradual approach to raising the target range for the federal funds rate.』

このAlmost allがたぶんブラード以外全員という意味なので、バランスシートのランオフをしているのがsome further firmingって意味なんでしょうかねえ。よくわからん。

『Several participants commented that this gradual approach was most likely to be conducive to maintaining strong labor market conditions and returning inflation to 2 percent on a sustained basis without resulting in conditions that would eventually require an abrupt policy tightening.』

『A number of participants indicated that the stronger outlook for economic activity, along with their increased confidence that inflation would return to 2 percent over the medium term, implied that the appropriate path for the federal funds rate over the next few years would likely be slightly steeper than they had previously expected.』

複数(Several)の参加者が現状のアプローチが適切とし、何人か(A number of)の参加者は経済物価情勢の見通しが改善したので想定する利上げペースはやや早まると指摘。

『Participants agreed that the longer-run normal federal funds rate was likely lower than in the past, in part because of secular forces that had put downward pressure on real interest rates.』

ロンガーランのFF金利に関しては構造要因によって以前より下がっているでしょうという事については合意。

『Several participants expressed the judgment that it would likely become appropriate at some point for the Committee to set the federal funds rate above its longer-run normal value for a time.』

2020年末のSEPによるFF金利水準の見通しが既にドットチャートで出ていたので特にサプライズになる話ではないのですが、これドットチャートなしでこの話がしらっと出たらその瞬間インパクトあるでしょうなあというお話。いずれかの時点でFF金利はロンガーランよりも高くするという話ね。

『Some participants suggested that, at some point, it might become necessary to revise statement language to acknowledge that, in pursuit of the Committee's statutory mandate and consistent with the median of participants' policy rate projections in the SEP, monetary policy eventually would likely gradually move from an accommodative stance to being a neutral or restraining factor for economic activity.』

色々と予告を埋め込んでらあと思いますが、複数(Some)の参加者からはいずれ声明文などに先行きの金融政策の見込みとして、緩和的云々だけではなく、マンデート達成維持のために先行きは中立的あるいは引き締め的になる場合もありうる的な表現を検討すべきではないか、との指摘キタコレではございます。

『However, participants expressed a range of views on the amount of policy tightening that would likely be required over the medium term to achieve the Committee's goals. Participants agreed that the actual path of the federal funds rate would depend on the economic outlook as informed by incoming data.』

ただ先行きの政策タイトニングの可能性に関してはまだ見解が分かれていて、実際には今後の経済物価情勢を勘案しながら、ということになるでしょう、と穏当な結論にしている(のは当たり前だが)のですが、遂にスタンスが中立から引き締め的という言葉来たか〜とは思うのでした。


つーことでその前のパラ。

『Based on their current assessments, almost all participants expressed the view that it would be appropriate for the Committee to raise the target range for the federal funds rate 25 basis points at this meeting.』

利上げ決定の件。

『These participants agreed that, even after such an increase in the target range, the stance of monetary policy would remain accommodative, supporting strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』

声明文にもある利上げっても緩和的の件。

『A couple of participants pointed to possible benefits of postponing an increase in the target range for the federal funds rate until a subsequent meeting; these participants suggested that waiting for additional data to provide more evidence of a sustained return of the 12-month inflation rate to 2 percent might more clearly demonstrate the data dependence of the Committee's decisions and its resolve to achieve the price-stability component of its dual mandate.』

投票権の無い2名の参加者が反対を表明したようで、この2名は12カ月ベースのCPIの上昇を確認するデータを見るまでは上げつ必要はないとの見解。


逆順で恐縮ですがその前のパラグラフ。

『In their consideration of monetary policy, participants discussed the implications of recent economic and financial developments for the appropriate path of the federal funds rate.』

金融政策運営に直結している話はここを含めた3パラという事ですな。

『All participants agreed that the outlook for the economy beyond the current quarter had strengthened in recent months. In addition, all participants expected inflation on a 12-month basis to move up in coming months. This expectation partly reflected the arithmetic effect of the soft readings on inflation in early 2017 dropping out of the calculation; it was noted that the increase in the inflation rate arising from this source was widely expected and, by itself, would not justify a change in the projected path for the federal funds rate.』

前年比物価の最近の強含みに関しては前年比効果で去年落ちた分の裏が出ている面があって、それ自体は先行きの利上げペース加速を意味しないとの多くの見解。

『Most participants commented that the stronger economic outlook and the somewhat higher inflation readings in recent months had increased the likelihood of progress toward the Committee's 2 percent inflation objective.』

なのですが、多くの参加者は見通しよりも強い物価とインフレの最近の状況は2%物価目標達成への地震を深めるものであるとコメント。

『A few participants suggested that a modest inflation overshoot might help push up longer-term inflation expectations and anchor them at a level consistent with the Committee's 2 percent inflation objective.』

数名(A few)の参加者は2%を若干程度オーバーシュートした物価水準を容認することは、長期インフレ期待形成を強くすることに寄与し、結果として2%の物価目標への期待のアンカーが強化される、といういう事は分かるのですが、そんな器用な真似ができるのかはよくわからんところではあります。

『A number of participants offered their views on the potential benefits and costs associated with an economy operating well above potential for a prolonged period while inflation remained low. On the one hand, the associated tightness in the labor market might help speed the return of inflation to the Committee's 2 percent goal and induce a further increase in labor force participation; on the other hand, an overheated economy could result in significant inflation pressures or lead to financial instability.』

何名か(A number of)の参加者は、失業率が自然失業率を大きく下回っている状況を物価が低いからと言って長期間継続することのプロコンについてしてきしていて、一方ではそのようなスタンスによって2%物価目標達成が確実になるのは良いとして、物価が大きく上振れするリスクや、経済の過熱によって金融安定を阻害することはないのか、という指摘をしています。


さらにその前に行きますね。

『In their discussion of developments in financial markets, some participants observed that financial conditions remained accommodative despite the rise in market volatility and repricing of assets that had occurred in February.』

金融安定化の話、2月の市場の動揺によっても金融環境は緩和的でしたねと。

『Many participants reported that their contacts had taken the previous month's turbulence in stride, although a few participants suggested that financial developments over the intermeeting period highlighted some downside risks associated with still-high valuations for equities or from market volatility more generally. A few participants expressed concern that a lengthy period in which the economy operates beyond potential and financial conditions remain highly accommodative could, over time, pose risks to financial stability.』

さっきの所でも同じ話ありましたが、金融安定に関しては株価とかボラが低いことに関しては懸念があって、ポテンシャル以上の経済状況(労働市場)の中で大規模緩和を継続することは、金融安定化に対してリスクじゃ無かろうかとの指摘でして、経済がトレンド以上に成長する中での大規模緩和に関する金融の不安定化リスクが連発で出ているのはほほうという感じ。


でもってこの前は経済物価情勢に関する議論になって、この前2つが各地区連銀からのアネクドータルな話も含めての(だと思う)お話で、賃金設定動向と価格設定動向の話になっていて、いずれの話もまあ割と強気チックになっているように見えます。

まあアレですな、利上げした回のFOMC議事要旨だから、というのはありますが、今回は明確に経済のポテンシャルを上回る状況の元で大規模緩和をしている、という認識を強く出していて、その結果としての金融不安定化リスクへの言及もそこそこあるので、いろいろなノイズを乗り越えて淡々と金利を上げていくという意識は強いんじゃネーノとは思いましたがそれは個人の感想という事で。








2018/04/11

お題「本日も海外ネタで簡単版で勘弁でござる」

何か凄いですな。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180411/k10011398221000.html
森友問題 財務相側が学園側に繰り返し口裏合わせ求めたか
4月11日 5時02分

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180410/k10011397681000.html
加計学園文書「県職員が報告のため作成」愛媛県知事
4月10日 19時03分

ちょっと何ぼ何でも色々と出すぎなんですけどほんとにもう。


〇まだ両方のアドバルーンが出る時期だとは思いますが海外中銀ニュース雑談

ほほう。
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1RN55Y
2018年4月11日 / 02:05 /
ユーロ圏金融・債券市場=利回り上昇、オーストリア中銀総裁発言受け

でもって中銀総裁発言とはこちら
https://jp.reuters.com/article/nowotny-ecb-idJPKBN1HH136
2018年4月10日 / 18:04 /
段階的に金融政策正常化を始める時=ECBのノボトニー氏

『[ロンドン 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は10日、ECBは金融政策の正常化を始めるべき時だとの見解を明らかにした。』

『同氏は経済会議での講演で「金融政策の段階的な正常化を行うべき時だと考える。この正常化には、時宜を得た注意深い優先順位付けとともに、各施策の微妙なバランスを取ることが求められる」と述べた。その上で、正常化を過度に積極的に行うことと、開始時期が過度に遅れることの双方にリスクが存在すると主張した。

ノボトニー氏は、過去の「例外的な規模」での金融政策対応で、金融引き締めプロセスは通常より複雑になったとし、「現在のユーロ圏経済は明らかに、強力で広範な循環的上昇のさなかにある」と話した。』(以上上記URL先より)

ということで肝心の本文をまだあたっていないのですが(アカン)、ロイターさんがインタビューしているようで、

https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-nowotny-idJPKBN1HH2A4
2018年4月10日 / 23:20 /
ECB利上げ、まずは預金金利引き上げか=ノボトニー氏

『ロンドン 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は10日、利上げプロセスに当たり、中銀預金金利を現在のマイナス0.4%から同0.2%に引き上げる可能性を指摘した。

その後、主要政策金利のリファイナンス金利を引き上げることに違和感は無いとの認識を示した。ただ、利上げ開始時期に言及するのは時期尚早との認識を示した。

ロイターのインタビューに応じた。債券購入プログラムは年内に終了すると見通した。』(上記URL先より)

まあ順当なプロセスではあると思うのですが、債券購入プログラムの終了までまだ時期があるうちからこの手の話がちょこちょこで出しているのは、もしこの辺りの発言に関して暗黙でも仲間内での合意でも良いのですが、何らかのブックみたいな感じで役割分担しているんだったら、ちと早めの気もせんでもないですが、緩和政策モードから正常化政策モードへの転換をする半年前くらいから徐々に話を出していって市場を慣れさせる、というのは割と様式美の世界ではありますので、まーしゃーないかなとも思います。

ただし、ECBの場合はそのようなブックによって発言をしているのではなくて、勝手に皆さんが好き放題言っていて統制もへったくれも無い、という可能性が存在するのでよーワカランチ会長な所はありますけど、まあノボトニーとかプラートとかコンスタンシオとかあのあたりが喋る分にはそれなりにブックがあるようには思える(バイトマンはアカン)のですがどうでしょうかね。



一方の米国。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-fed-idJPKBN1HH1G9
2018年4月10日 / 19:24 /
米中の応酬沈静化を期待、今年3回利上げ想定変わらず=ダラス連銀総裁

『[北京 10日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は10日、最近の米中間の貿易摩擦をめぐるレトリックの応酬は、いずれ沈静化するとの期待を示した。

総裁は訪問先の北京での講演で、米中の貿易問題に関する協議は水面下で進むとみられ、公にはならないだろうと予想。さらに、問題解決には時間を要するかもしれないとの見方を示した。

貿易をめぐる懸念は妥当で、協議すべき問題だと指摘。ただ貿易をめぐる言葉の応酬が米国経済に与える影響を判断するのは時期尚早とし、今年3回利上げするとの基本シナリオに変わりはないと述べた。』(上記URL先より)

ということで相変わらず中国とのアレというかトランプダイン先生のツイッター芸が懸念材料とかいうトンチキなことが続いておりますが、とは言えここで何か決め打ちする訳にもいかないし、まあ次の次のFOMCまでは時間があるし(逆に3月利上げ出来ててよかったですねという感は強い)何か新機軸が出てくるのには時間が掛かりそう(というか多分出ないで普通に6月利上げだと思うんだが)。

それはそれとして、

https://jp.reuters.com/article/frb-dbt-idJPKBN1HH358
2018年4月11日 / 04:31
米FRBの保有債券、当初予想ほど縮小しない可能性=NY連銀

『[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米ニューヨーク(NY)連銀は10日、連邦準備理事会(FRB)がバランスシート上に保有する4兆4000億ドルの債券について、規模は当初予想されたほど縮小せず、2021年初頭までに3兆ドル近辺に落ち着く可能性があるとの見方を示した。 昨年時点の予想中央値は2021年末までに2兆8000億ドル近辺に縮小するというものだった。2007─09年の金融危機前のFRBのバランスシートの規模は約9000億ドル。利上げ、市場の動き、政策担当者のコンセンサスの変化などのさまざまな要因により、FRBのバランスシートは恒常的に膨れ上がった状態になる可能性があることが示唆されている。』(上記URL先より)

金利シナリオによってMBSの償還が想定からずれるとかそういう話っぽいのですが、

https://www.newyorkfed.org/markets/annual_reports.html
Annual Reports
Prepared for the Federal Open Market Committee by the Markets Group of the Federal Reserve Bank of New York.

Open Market Operations during 2017

『This report reviews the conduct of open market operations and other developments that influenced the System Open Market Account (SOMA) of the Federal Reserve in 2017. The report provides an overview of the Federal Reserve’s current monetary policy implementation framework, and describes operations conducted at the direction of the Federal Open Market Committee (FOMC), associated policies, and resulting characteristics of the portfolio of domestic and foreign securities.』

ってあって、

Full report PDF
Released April 2018


Data for charts EXCEL
Released April 2018

Note: Worksheets include only that data that the New York Fed has the data suppliers’ permission to publish.

ってありまして、このData for chartsの所をクリックするとエクセルのワークシートが落とせまして、チャート31以降が今後のバランスシート構成の見通しに関するチャートになっていまして、そこに
上記記事のお話があります。


〇結局昨日の続きでパウエル講演

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20180406a.htm
April 06, 2018
The Outlook for the U.S. Economy
Chairman Jerome H. Powell
At The Economic Club of Chicago, Chicago, Illinois

昨日すっ飛ばした経済認識関連を少々。

『Recent Developments and the State of the Economy』から。

『After what at times has been a slow recovery from the financial crisis and the Great Recession, growth has picked up. Unemployment has fallen from 10 percent at its peak in October 2009 to 4.1 percent, the lowest level in nearly two decades (figure 1). Seventeen million jobs have been created in this expansion, and the monthly pace of job growth remains more than sufficient to employ new entrants to the labor force (figure 2).』

はいはい成果のアピール成果のアピール。

『The labor market has been strong, and my colleagues and I on the Federal Open Market Committee (FOMC) expect it to remain strong. Inflation has continued to run below the FOMC's 2 percent objective but we expect it to move up in coming months and to stabilize around 2 percent over the medium term.』

物価も数カ月で2%行くんですってよ奥様(FOMCのステートメントにありましたけど)。

『Beyond the labor market, there are other signs of economic strength. Steady income gains, rising household wealth, and elevated consumer confidence continue to support consumer spending, which accounts for about two thirds of economic output.』

労働市場が強いから消費も強くなってきました。

『Business investment improved markedly last year following two subpar years, and both business surveys and profit expectations point to further gains ahead.』

企業支出も企業の態度も改善。

『Fiscal stimulus and continued accommodative financial conditions are supporting both household spending and business investment, while strong global growth has boosted U.S. exports.』

財政刺激も緩和効果。

『As many of you know, each quarter FOMC participants--the members of the Board of Governors and the presidents of the Reserve Banks--submit their individual projections for growth, unemployment, and inflation, as well as their forecasts of the appropriate path of the federal funds rate, which the Committee uses as the primary tool of monetary policy.』

はい。

『These individual projections are compiled and published in the Summary of Economic Projections, or SEP. FOMC participants submitted their most recent forecasts three weeks ago, and those forecasts show a strengthening in the medium-term economic outlook (table 1). As you can see, participants generally raised their forecasts for growth in inflation-adjusted gross domestic product (GDP) and lowered their forecasts for unemployment. In addition, many participants expressed increased confidence that inflation would move up toward our 2 percent target. The FOMC sees the risks to the economic outlook as roughly balanced.』

見通しはつよくなりました、とこの部分3月FOMCと同じ話ではありますが強い。


次が『The State of the Labor Market』。

『As I mentioned, the headline unemployment rate has declined to levels not seen since 2000. The median projection in the March SEP calls for unemployment to fall well below 4 percent for a sustained period, something that has not happened since the late 1960s. This strong labor market forecast has important implications for the fulfillment of both sides of the dual mandate, and thus for the path of monetary policy. So I will spend a few minutes exploring the state of the job market in some detail.』

労働市場は金融政策のマンデートを既に達成だそうな。

『A good place to begin is with the term "maximum employment," which the Committee takes to mean the highest utilization of labor resources that is sustainable over time. In the long run, the level of maximum employment is not determined by monetary policy, but rather by factors affecting the structure and dynamics of the labor market.1』

なおmaximum employmentの水準については金融政策でどうこうするのではなくて構造問題ですぞ、とな。

『Also, the level of maximum employment is not directly measureable, and it changes over time. Real-time estimates of maximum employment are highly uncertain.2 Recognizing this uncertainty, the FOMC does not set a fixed goal for maximum employment. Instead, we look at a wide range of indicators to assess how close the economy is to maximum employment.』

なお最大雇用は総合的に判断されるべきもの。

『The headline unemployment rate is arguably the best single indicator of labor market conditions. In addition, it is widely known and updated each month. As I noted, the unemployment rate is currently at 4.1 percent, which is a bit below the FOMC's median estimate of the longer-run normal rate of unemployment.』

『However, the unemployment rate does not paint a complete picture. For example, to be counted in the official measure as unemployed, a person must have actively looked for a job in the past four weeks.3 People who have not looked for work as recently are counted not as unemployed, but as out of the labor force, even though some of them actually want a job and are available to work. Others working part time may want a full-time job. And still others who say that they do not want a job right now might be pulled into the job market if the right opportunity came along. So, in judging tightness in the labor market, we also look at a range of other statistics, including alternative measures of unemployment, as well as measures of vacancies and job flows, surveys of households' and businesses' perceptions of the job market, and, of course, data on wages and prices.』

失業率以外の数字も見ますよと。

『Figure 3 shows the headline unemployment rate and two broader measures of unemployment, known as U-5 and U-6.4 U-5 includes the unemployed plus people who say they want a job and have looked for one in the past year (though not in the past four weeks). U-6 includes all those counted in U-5 plus people who are working part time but would like full-time work. Like the headline unemployment rate, both U-5 and U-6 have declined significantly in recent years. They are now at levels seen before the financial crisis, though not quite as low as they were in 1999 to 2000, a period of very tight job market conditions.』

U-5とかU-6の数字も宜しい。

『The left panel of the next chart shows that employers are having about as much difficulty now attracting qualified workers as they did 20 years ago (figure 4). Likewise, the job vacancy rate, shown on the right, is close to its all-time high, as is the average number of weeks it takes to fill a job opening.5 Households also are increasingly reporting that jobs are plentiful (figure 5), which is consistent with the high level of job postings reported by firms. In addition, the proportion of workers quitting their jobs is high, suggesting that workers are being hired away from their current employers and that others are confident enough about their prospects to leave jobs voluntarily--even before they have landed their next job.』

より良い職場への転職なども活発で誠に結構。

『While the data I have discussed thus far do point to a tight labor market, other data are less definitive. The labor force participation rate, which measures the percentage of working age individuals who are either working or actively looking for a job, has remained steady for about four years (figure 6). This flat performance is actually a sign of improvement, since increased retirements as our population ages have been putting downward pressure on participation and will continue to do so. However, the participation rate of prime-age workers (those between the ages of 25 and 54) has not recovered fully to its pre-recession level, suggesting that there might still be room to pull more people into the labor force (figure 7). Indeed, the strong job market does appear to be drawing back some people who have been out of the labor force for a significant time. For example, the percentage of adults returning to the labor force after previously reporting that they were not working because of a disability has increased over the past couple of years, and anecdotal reports indicate that employers are increasingly willing to take on and train workers they would not have considered in the past.6』

エライ丁寧に説明する人ですが、労働参加率とか求職者のトレーニングとかに関しては改善してるけどイマイチ感ありだそうな。

『Wage growth has also remained moderate, though it has picked up compared with its pace in the early part of this recovery (figure 8). Weak productivity growth is an important reason why we have not seen larger wage gains in recent years. At the same time, the absence of a sharper acceleration in wages suggests that the labor market is not excessively tight. I will be looking for an additional pickup in wage growth as the labor market strengthens further.』

お賃金の上げもイマイチだがここから上がるでしょうだそうで。

『Taking all of these measures of labor utilization on board, what can we say about the state of the labor market relative to our statutory goal of maximum employment? While uncertainty around the long run level of these indicators is substantial, many of them suggest a labor market that is in the neighborhood of maximum employment. A few other measures continue to suggest some remaining slack. Assessments of the maximum level of employment are uncertain, however, and subject to revision. As we seek the highest sustainable utilization of labor resources, the Committee will be guided by incoming data across all of these measures.』

ということで総合すればやっぱり雇用は完全雇用でマンデート達成水準。


でもって次が『Inflation』

『That brings me to inflation--the other leg of our dual mandate. The substantial improvement in the labor market has been accompanied by low inflation. Indeed, inflation has continued to run below our 2 percent longer-run objective (figure 9). Consumer prices, as measured by the price index for personal consumption expenditures, increased 1.8 percent over the 12 months ending in February. The core price index, which excludes the prices of energy and food and is typically a better indicator of future inflation, rose 1.6 percent over the same period.』

コアCPIで1.6%程度で推移中。

『In fact, both of these indexes have been below 2 percent consistently for the past half-dozen years. This persistent shortfall in inflation from our target has led some to question the traditional relationship between inflation and the unemployment rate, also known as the Phillips curve. Given how low the unemployment rate is, why aren't we seeing higher inflation now?』

こんなに雇用が良いのに物価がアガランチ会長とは雇用と物価の関係が変ちゅうことでしょうかねえ、ということで、

『As those of you who carefully read the minutes of each FOMC meeting are aware--and I know there are some of you out there--we had a thorough discussion of inflation dynamics at our January meeting.』

1月FOMCでその議論をしたんだが。

『Almost all of the participants in that discussion thought that the Phillips curve remained a useful basis for understanding inflation. They also acknowledged, however, that the link between labor market tightness and changes in inflation has become weaker and more difficult to estimate, reflecting in part the extended period of low and stable inflation in the United States and in other advanced economies. Participants also noted that other factors, including inflation expectations and transitory changes in energy and import prices, can affect inflation.』

結論としては今は一時的要因で物価押し下げがあるけれどもいずれこの関係が復活するので物価はあがるぞなということで。

『My view is that the data continue to show a relationship between the overall state of the labor market and the change in inflation over time. That connection has weakened over the past couple of decades, but it still persists, and I believe it continues to be meaningful for monetary policy. Much of the shortfall in inflation in recent years is well explained by high unemployment during the early years of the recovery and by falling energy prices and the rise in the dollar in 2015 and 2016. But the decline in inflation last year, as labor market conditions improved significantly, was a bit of a surprise. The 2017 shortfall from our 2 percent goal appears to reflect, at least partly, some unusual price declines, such as for mobile phone plans, that occurred nearly a year ago. In fact, monthly inflation readings have been firmer over the past several months, and the 12-month change should move up notably this spring as last spring's soft readings drop out of the 12-month calculation. Consistent with this view, the median of FOMC participants' projections in our March survey shows inflation moving up to 1.9 percent this year and to 2 percent in 2019.』

何ちゅうかここまでの間2%に届いていない要因を一々特殊要因上げているんだが、さて実はどうなんでしょ、というのは結果が示すので、そういう意味ではこの前のFOMC声明文からしたら年内に2%ぎりぎりくらいまで上がらないとあららという話になると思われます。また特殊要因探し出すのかもしれないけど。





2018/04/10

お題「輪番減らさないですかねいう雑談/海外中銀が利上げ前傾じゃないでしょということでパウエル講演」

本日はショパンの事情につき簡略モードで勘弁。

ここもと次から次へと色々とボロがボロボロと出てきていて遂に財務省からは口裏合わせの依頼したの認めるわ防衛省の日報はボロボロ出てくるわ(そもそも日報が無いという方がおかしいのだが)ですが、こんなん「忖度しないと出世の道がなくなる」とかいう状態になって忖度合戦するところにきて、その場を取り繕うためにエクストリームな説明を繰り広げるトップがいるからそれに合わせようとする結果として後からしょうもないものが出てくる訳ですから、役人が勝手にやったという話で済ますもんじゃないと思うの。

〇輪番が中々減額されてこないのだが

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180409.htm
国庫短期証券買入 5,000 2018年4月11日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年4月11日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年4月11日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年4月11日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 65,000 2018年4月9日 2018年4月10日

先週金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180406.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年4月10日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年4月10日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,300 2018年4月10日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 11,000 2018年4月6日 2018年4月9日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 26,816 2018年4月6日 2018年4月9日

てな訳で相変わらず輪番は2月に3−5と5−10を増額して以降同規模でのオファーが
続いておりまして、おういつ減額するんだよはあくしろよゴルァァァァという感じに
円債方面ではなっていて他の市場の方々は興味なしモードになっているのではないかと
存じます。

でまあ中銀イベント一巡してどうせ米国の次の利上げはどんなに早くても6月(5月にやったら全身白塗りして常盤公園で暗黒舞踏踊るわ)だし、ECBも今からバシバシ決め打ちするこたあ無いし、トランプと中国の謎の貿易戦争やってるんだか喧嘩の三文芝居やってるのかよく分からない状態は継続するわで、足元で海外から金利がピャーと上がるようなネタは無いわという今日この頃でございますので債券市場はこんな感じ。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1RM1OY
2018年4月9日 / 15:12 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発で大引け、長期金利変わらず0.035%

『 <15:08> 国債先物は反発で大引け、長期金利変わらず0.035%

長期国債先物は反発で引けた。前週末の米国市場は米中通商問題の緊張激化により、ダウ平均株価が570ドル強値を下げ、米10年債利回りが低下した。このリスク回避の流れを引き継ぎ買いが先行した。終盤にかけては、強含みとなった日経平均株価をにらんだ売りと長期を対象にした日銀オペが需給の引き締まりを意識させる結果になったことによる買いが交錯する展開となった。
 
現物債市場では、超長期ゾーンが日銀国債買い入れオペ通告を手掛かりに買いが優勢になった。中期ゾーンも小じっかり。米3月雇用統計は積極的に材料視されなかった。

長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比5銭高の150円90銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比横ばいの0.035%。』(上記URL先より)

てな訳で増えた輪番がそのままで推移しているのがどの位効いているのかとか定量的に質問されてもよくわからんぞなというのはありますけれども、金利が上がった時に増額した中期と長期の輪番が金利下がってきても一向に減額する気配無いし超長期もそのままでオペ続いてるって所に来て、期末を通過してしまいまして、さて今年度どうしましょうという話になると大体金利が下がりやすいという気分になるのってただのイメージ定性な話ですいませんがまあそんなもんじゃろうの。

とは言いましても期末前みたいに急に何かよくわからんけど金利があがる(期末1週前の金曜に10年1.5bpの引けだったのが翌週に4bpとかになっているとか)という事象も起こるので(期末抜けたので状況が違うかもしれんが)、なんかこう輪番減額催促相場で金利低下ソイヤソイヤという盛り上がりもなく、何ともこの期初早々から何とも言えない展開に。

でもってですな、たぶん輪番減額するかどうかで(基本は金利に上昇圧力が掛からないのだったら輪番は減額するし低下圧力掛かったらなお減額のはず)為替の絶対水準を見ていて、このあたりの水準だとやりにくいなーとか思っているのではないかと勝手に妄想するのですが、最近の為替ってトランプ大先生のツイッターで誰かの首飛ばしたとか中国に関税ぶっこんだとかそういう話で動いているだけの話ですし、海外中銀の正常化ネタというのも次に話題になるのは米国が6月に利上げするかどうかというのが話題になってくるころまでは無いのですからして、そうなると日銀が輪番減らしてすわ正常化みたいな話にもならんとは(願望成分が入っていますが)思うので、本来この辺で輪番減額しておかないと、欧米中銀の金融緩和正常化ネタに巻き込まれてしまうので減額しにくくなる時期に突入しちゃうんじゃないかと思うんですけどどうでしょうかね。

つまりですな、1月の頭に超長期輪番減額してあんだけ話題になった(それまでバシバシ輪番を減額していたのに話題にならなかったのに)のってガイジン的に年度の頭で今年の金利市場の相場のテーマはナンジャラホイとやっている中に燃料を投下した格好になっているのと、時あたかもその前からそんな感じでしたが欧米中銀の金融政策正常化ネタというのが燻っていた上にリバーサルレートみたいな謎のサービス発言の伏線回収みたいなとらえられ方までされるという割と不幸が重なってしまった点がありましたので、海外中銀が今の所そこまで前傾姿勢になっていない時にこっそりと輪番減額(増やした分減らすのが妥当なんでしょうが、セコく増やした分の一部を減額するとか)しとかないと減らしそこなって政策の持続性を損なうようには思いますな、という世間話でした。


〇先週のパウエル講演は金融政策に関してはだいたいノーコメントという感じですな

海外中銀が前傾姿勢になっていないっつーことでパウエル議長の講演ネタが1日遅れて恐縮ですが。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20180406a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20180406a.pdf
April 06, 2018
The Outlook for the U.S. Economy
Chairman Jerome H. Powell
At The Economic Club of Chicago, Chicago, Illinois

小見出しが

Recent Developments and the State of the Economy→3パラグラフ
The State of the Labor Market→8パラグラフ
Inflation→3パラグラフ
Longer-Run Challenges→10パラグラフ
Monetary Policy→6パラグラフ

となっておりまして、この講演でしれっと量があるのが「Longer-Run Challenges」となっている時点で大所高所のお話をメインにして目先の話はまあアレだ、という感じに持っていこうとしていますなあ、という感じではございました。

でもって本日は簡略手抜きモードで申し訳ありませんが金融政策の所だけ鑑賞しますが、これがまた基本ノーコメントモードなんですけど、まあ強いて言えば「目先に振り回されずに淡々とやりますが何か?」的な感じのノーコメントかなあとは思いますけど、その辺は解釈次第だと思いますので引用をしつつ鑑賞。『Monetary Policy』の小見出しから。

『Let me turn now to monetary policy. In the aftermath of the financial crisis, the FOMC went to extraordinary lengths to promote the recovery, support job growth, and prevent inflation from falling too low. As the recovery advanced, it became appropriate to begin reducing monetary policy support.』

これは前振り。

『Since monetary policy affects the economy with a lag, waiting until inflation and employment hit our goals before reducing policy support could have led to a rise in inflation to unwelcome levels.』

一応この部分はメッセージ性を読もうと思えば読めないことはないかな、という下りでして、金融政策は実体経済に対してラグを持って反応するから目標達成する前に緩和政策を減らすのは当然ですが何か、という事ですから、「これからも目先の細かい動きに一々振らされることなく淡々と緩和縮小を継続します」と読めないことは無いし、一方で「このフレーズは既に緩和縮小を開始していることの説明であり、今後の話をしている訳でもない」と読むのも可能ちゃあ可能なので、解釈の仕方次第のような気がしますがどうでしょうかね。

『In such circumstances, monetary policy might need to tighten abruptly, which could disrupt the economy or even trigger a recession.』

In such circumstancesというのは金融政策の縮小を金融政策のゴールに達したときから開始する、という読み方なのか、ゴールに来ているのに金融政策の縮小が不足しているというのかは前段の読み方次第。

『As a result, to sustain the expansion, the FOMC adopted a gradual approach to reducing monetary policy support.』

まあto sustain the expansionっていうくらいですからそんなにバカスカ金利を上げるわけではないですよというのは分かる。

『We began in December 2015 by raising our target for the federal funds rate for the first time in nearly a decade. Since then, with the economy improving but inflation still below target and some slack remaining, the Committee has continued to gradually raise interest rates. This patient approach also reduced the risk that an unforeseen blow to the economy might push the federal funds rate back near zero--its effective lower bound--thus limiting our ability to provide appropriate monetary accommodation.』

やってきたことの説明をしつつ正常化政策による糊代稼ぎの話も入れるとな。

『In addition, after careful planning and public communication, last October the FOMC began to gradually and predictably reduce the size of the Fed's balance sheet. Reducing our securities holdings is another way to move the stance of monetary policy toward neutral. The balance sheet reduction process is going smoothly and is expected to contribute over time to a gradual tightening of financial conditions. Over the next few years, the size of our balance sheet is expected to shrink significantly.』

バランスシート正常化の話も単に説明しているだけという感じ。

『At our meeting last month, the FOMC raised the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point, bringing it to 1-1/2 to 1-3/4 percent. This decision marked another step in the ongoing process of gradually scaling back monetary policy accommodation. The FOMC's patient approach has paid dividends and contributed to the strong economy we have today.』

直近の利上げの説明は会見での冒頭のコメントと同様に「another step in the ongoing process of gradually scaling back monetary policy accommodation.」としているので今後も利上げはしますよという話はしているがこれも従来通りの説明。

『Over the next few years, we will continue to aim for 2 percent inflation and for a sustained economic expansion with a strong labor market. As I mentioned, my FOMC colleagues and I believe that, as long as the economy continues broadly on its current path, further gradual increases in the federal funds rate will best promote these goals.』

ここもいつも通り。

『It remains the case that raising rates too slowly would make it necessary for monetary policy to tighten abruptly down the road, which could jeopardize the economic expansion. But raising rates too quickly would increase the risk that inflation would remain persistently below our 2 percent objective. Our path of gradual rate increases is intended to balance these two risks.』

今に始まった話ではないのですが、パウエルさんの説明の仕方は必ず「遅すぎる利上げの弊害」を先に持っていきます。

『Of course, our views about appropriate monetary policy in the months and years ahead will be informed by incoming economic data and the evolving outlook. If the outlook changes, so too will monetary policy. Our overarching objective will remain the same: fostering a strong economy for all Americans--one that provides plentiful jobs and low and stable inflation.』

ということで、金融政策に関して新たに何らかの方向性を強く打ち出す、という話ではない(まあ6月に利上げするんだとしても今から威勢の良い話をする必要はないですな、5月にやるなら(5月は1−2日)今から利上げ進軍ラッパを吹き鳴らさないと間に合いませんが、5月にやる可能性はまあ無いに等しいでしょうからこんなもんでしょう。


#ということで肝心の経済の部分は全スルーで勘弁



2018/04/09

お題「RFR関連とインフレ予想ネタという足元の市場に全然関係ない世間話」

なんというお前が言うな案件。
https://mainichi.jp/articles/20180406/dyo/00m/200/013000c
池上彰 有働由美子に厳しいエール 「簡単にジャーナリストを自称してほしくない」
2018年4月6日

表面なぞった解説コメントと選挙特番で相手が反撃できないのをいいことに晒し者にするのがお仕事ではなかったでしたっけ。


〇OIS推進の解説書が出ておりますが

ほほう。
http://www.boj.or.jp/paym/market/sg/rfr1804c.htm/
日本円OIS(Overnight Index Swap)
─取引の概要と活用事例─
2018年4月6日
日本銀行金融市場局

本文の前に説明書きのHTMLの方を拝見。『この資料の位置付け』という小見出しがありましてですな、

『この資料は、これまで日本円OISを利用した経験のない金融機関等の関係者が、日本円OISの概要や活用イメージを把握するためのものとして、2018年3月時点の情報をもとに取りまとめたものです。実際に日本円OISを行う場合には、取引先金融機関等との間で、具体的な取引内容を協議したうえで実行することが想定されますが、日本円OISの理解を深める一助となれば幸いです。』

ほうほう。『要旨』を見ますと、

『OISは、固定金利と変動金利を交換するスワップの一種で、変動金利として、LIBOR(London Interbank Offered Rate)ではなく翌日物金利を参照するものです。わが国においては、固定金利と、変動金利として一定期間の無担保コールO/N物レート(複利計算)を交換する取引が行われています。』

さいですな。

『OISの固定金利であるOISレートは、参照金利である無担保コールO/N物レートと同様に、含まれる銀行の信用リスクはごく限定的であるほか、翌日物金利に対する市場見通しを強く反映する、変動金利の受払額が金利計算期間の満期日に確定するといった性質があります。このような性質に適した形で、OISは、ヘッジや裁定取引の目的で広く用いることが可能です。』

ホンマカイナ。

『金融機関が日本円OISを利用するに当たっては、自らの資産・負債構造等に応じて適切な手法を採用する必要があるほか、事務・システムや会計処理等について、準備が必要です。』

ということで『照会先』が『金融市場局市場企画課(リスク・フリー・レートに関する勉強会事務局)』でして、RFR普及ということでOISがどうのこうのという施策があったからそういう事なんですかね。

でもって本文ですけど、
http://www.boj.or.jp/paym/market/sg/data/rfr1804c.pdf
日本円OIS(Overnight Index Swap) ─取引の概要と活用事例─

ということでURLにRFRという文字列が入っているのがチャーミングですが本文を見て参りましょう。

最初に『1.はじめに 』なんてのがありまして、

『LIBOR や TIBOR 等の主要な金利指標は、多くの金融取引の参照金利として使わ れており、グローバルな金融システムにおいて非常に重要な役割を担っています。』

さいですな。

『金融安定理事会(FSB)は、金利指標の頑健性や信頼性を向上させるため、2014 年に「主要な金利指標の改革」と題する報告書(FSB 報告書)を公表し、金利指標の改革を提言しました。』

ということで、『FSB 報告書の提言のポイント』なんですが、

『FSB 報告書は、@主要な金利指標(IBOR)について、可能な限り実取引データに基づくものとする改革を行うこと(提言@)とともに、A銀行の信用リスク を含まないリスク・フリーに近い金利指標(リスク・フリー・レート)を構築すること(提言A)を提言しました。この2つの改革を実現するとともに、それぞれの金利指標を、その性質を踏まえて金融商品に適用していくことが望ましいとし、そうしたアプローチを「マルチプル・レート・アプローチ」と呼んでいます。 提言Aにあるリスク・フリー・レートは、信用リスクを含む参照金利を必ずしも必要としていない金融商品であるデリバティブ取引に主に利用されることが想定されています。』

まあ何ですな、ここでFSB報告書に悪態ついても仕方ないのですが、そもそも「実取引データに基づく」のに「信用リスクを含まないレート」というのに話の根本的な無理がありまして、だったら信用リスクを勘案しないリファレンス方式にするか、それと信用リスク値を含むのは上等としてレート形成をするか、というののいずれか(もちろん超二択という程でもなくてそこは程度問題といのはあると思いますけど)を使わんと、短期市場ってのは究極的には個別金融機関の資金繰りという部分に帰着するものなのですから、それこそ「3か月ものの資金取引で信用リスクを勘案しない数値」などというのが実取引でホイホイと出てくるのかというと無理じゃろというお話。まあジャパンの場合は発行規模の大きい3カ月もの短国というのがあるのですが、これとて最近はやれマイナス金利政策だ、やれ日銀の買入だ、やれモノとしての需要だという話になって全然金利観を示した価格形成になっていないのはご案内の通り。


でもって本文に戻ってちょっと先の方に行きますと、『(金利指標の存続に関する不透明感の高まり)』ってのがありまして、

『こうしたなか、2017 年 7 月末に、英 FCA(金融行為規制機構)のベイリー長官が、評価対象であるホールセールの無担保取引市場が十分に活発でないことが LIBOR の継続性に重大な疑念を生じさせていると述べるとともに、2021 年末以降 は、LIBOR 維持のための権限行使は行わない旨を表明しました。こうした発言を受けて、LIBOR が将来にわたって利用可能なのか、不透明感が高まっています。 このため、従来、円 LIBOR が適用されていた金融商品について、その性質上、 リスク・フリー・レートの参照が適切な場合には、日本円のリスク・フリー・レー ト(無担保コール O/N 物レート)を原資産とする OIS レートを、ターム物金利と して利用できる態勢を整えることが急務となっています。』

要は実データドリブンでやろうとしたらいやそのレートはおかしいという話になってきて、一番実データ主義とかごちゃごちゃ言ってた欧州(ここでは英国ですけど)がいきなり開き直るとかお前馬鹿にしてんのという風になっている、というのは確かに色々とアレである、というのはその通りではあります。


ということで次の『2.OIS とは何か 』については商品概要の説明になっているのですが、アタクシは別にOISの紹介をしようってんじゃないのでそこはバッサリとパスしまして、『3.OIS の活用事例』
に参ります。

最初のボックスにはこんな説明が。

『OIS レートは、LIBOR や TIBOR といった IBOR と異なる性質を持ってい ます。OIS レートは、参照金利である無担保コール O/N 物レートと同様に、 含まれる銀行の信用リスクはごく限定的であるほか、翌日物金利に対する 市場見通しを強く反映する、変動金利の受払額が金利計算期間の満期日に 確定するといった性質があります。 このような性質に適した形で、OIS は、ヘッジや裁定取引の目的で広く用いることが可能です。具体的には、保有国債等の価格変動に対するリスクヘッジ目的のアセット・スワップや資産と負債の金利感応度におけるミスマッチ解消目的のスワップ、先行きの金融政策の見通しに基づく裁定取引等、様々な目的で用いることができます。 なお、以下の事例は、特定の取引を推奨するものではありません。OIS の望ましい活用方法は、個々の金融機関等における資産・負債等によって 異なりますので、取引先金融機関等と相談のうえ、取引を行う必要があります。』

ってあって次を見ると、『(1)IBOR と OIS レートの性質の違い』ってのがある。

『 @IBOR の性質』

『 (信用リスクを含む)

IBOR は、銀行が他の銀行に無担保で貸付を行う際のターム物の金利であるため、銀行の信用リスクを含んでいます。すなわち、各期間(例えば 6 ヶ月)における、銀行の信用リスクプレミアムも含めた金利の市場見通しを示しています。 このため、銀行の信用リスクを反映することが望ましい金融商品については、 IBOR を参照することが適切と考えられます。』

ということなのですが、そもそも論として「銀行の信用リスクを含んでいます」ではあるのですが、それは個別銀行の話ではなくて。短期金融市場全体の中において銀行の信用リスクが全体としてどうなっているか、というのがIBORには反映するもの、というか理念的にはそうやってリファレンスレート出すもんじゃろと存じまして、リーマンショック後の短期金融市場を思い出していただければ、と言ってももう10年選手とかになるのかよと今愕然としましたが、まあIBORが金融機関の信用リスクを勘案したレート形成になるようなときってOISのベースになる無担保コール翌日物の金利とオープン市場のGCレポとかの金利水準って盛大に乖離していると思うの。でもって恐らくそういう時って短期商品の価格形成も色々とややこしいことになるのだが、銀行主体のところと、証券会社がマーケットメークをするところでの金利の乖離とかも生じると思うので、要はIBORベースとOISベースとどっちを使うかってのは何のヘッジをしようかという事に掛かっている話ではあると思う。


『(変動金利の受払額も金利計算期間の前に決定)

IBOR は、変動金利の受払額も、金利計算期間の前に決まっています。利息支払額が金利計算期間の前
決まる点が評価される一方、金利決定日の市況を反映したレートが参照されることになるという留意点もあります。』

これなんですけど、OISの場合は期中のコールレートの累積になる一方で、例えば金利スワップで変動サイドが半年リセットだと、普段は「長期金利のヘッジ」のつもりでいても、実はこの変動サイドが半年リセットになっていると、例えばディーラーのファンディングコストがGCレポ翌日物になっているとすれば、半年の期間ミスマッチが生じていて、政策金利に対する思惑が出るようなときになったら、思わぬところで金利リスクを抱えているという事になりますというお話だと思うんですけどそういう理解でよろしいのかな。



ということで、『(2)OIS の活用事例 』というのがあるんだが、今申し上げたように、スワップ取引自体が実は変動と固定の交換と言いつつも6カ月の金利リセット期間ギャップがあるので、ファンディングがGCレポになっているような調達構造になっている場合(たぶん証券ディーラー)は厳密にミスマッチを抑えに行こうとすると、本当はOISでIOBR金利更改のヘッジを入れにいかないといけませんな、というような話になると思います。

・・・・・・とは言いましても、そもそも昔みたいにオーバーローンの中で債券ポート持っていたような銀行ポートとかならともかくとして、本当の本当に短期金融市場で調達しないといけないという訳ではなく(そらまあ資金繰り調整で短期市場の調達はしますけど基本が預金超過ですから)、そうだとするとポートフォリオのヘッジにオーバーナイト金利の所までブレークダウンする必要があるんですかという疑問が多々あったりしまして、まあこれって大手金融機関がオーバーローンにでもならない限りは、ディーラーブックのヘッジとかアーブが主体になっちゃうんじゃネーノとは思ってしまうのですけれども、そうは言いましてもRFRとか言って推進しようってんですからこういうの頑張らないといけないという大人の事情については一応理解(爆発音)。


〇ちなみに米国のRFRネタ

https://jp.reuters.com/article/sofr-idJPKCN1HB15Q
2018年4月6日 / 10:16
アングル:LIBORに代わるドル金利指標、SOFRとは何か

『[3日 ロイター] - ニューヨーク連銀は3日から、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に代わるドル金利の指標と位置付ける「担保付翌日物調達金利(SOFR)」の公表を始めた。この金利の詳細をまとめた。』(上記URL先より)

以下は上記ロイターさんの記事でも見てちょという所ですが、出遅れまくっていますけどNY連銀のページにはこんな説明isある。

https://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_180403
Statement Introducing the Treasury Repo Reference Rates
April 3, 2018
(思いっきり先週のネタですいません)

『Today, the Federal Reserve Bank of New York (New York Fed), in cooperation with the U.S. Office of Financial Research, began publishing three reference rates based on overnight repurchase agreement (repo) transactions collateralized by Treasury securities. These rates are the Secured Overnight Financing Rate (SOFR), the Broad General Collateral Rate (BGCR), and the Tri-Party General Collateral Rate (TGCR). The SOFR was identified by the Alternative Reference Rates Committee in June 2017 as its recommended alternative to U.S. dollar LIBOR for use in certain new U.S. dollar derivatives and other financial contracts.』

ということで、いちいち謎の略称をつけるのが好きな雨人なのですが、担保付翌日物借入金利、GCレポ金利、トライパーティーレポ金利、の3つを公表しているそうな。

でもって、

『In the production of these three Treasury repo reference rates, the New York Fed has adopted policies and procedures consistent with best practices for financial benchmarks, including the IOSCO Principles for Financial Benchmarks.』

ということで出たよIOSCO Principles for Financial Benchmarksという話だが、こやつらが実取引データ実取引データうるさいから色々と面倒な話になっとるんじゃとは思う。

『During the second quarter of 2018, the New York Fed intends to update its IOSCO Statement of Compliance, which currently covers the Effective Federal Funds Rate (EFFR) and the Overnight Bank Funding Rate (OBFR), to also cover the three Treasury repo reference rates.』

『Additional information about policies and procedures for the administration of the reference rates is now available, including contingency plans related to data availability, the revision policy, and oversight of the reference rates. Potential users of these reference rates can subscribe here for updates.』

でもってご使用の際には説明書をよく読んで、だそうで、

『In addition, potential users should refer to the Terms of Use, which establish the terms governing use of the rates by parties external to the New York Fed. Any use of the reference rates is subject to the Terms of Use.』

『Lastly, the New York Fed has previously released indicative historical rates for the three Treasury repo reference rates for the period extending from August 2014 to October 2017. The remainder of the time series for these rates (extending through to the end of March 2018) is expected to be published in the coming weeks.』

過去データも計算して出すそうな。


でもって担保付翌日物借入金利に関して

https://apps.newyorkfed.org/markets/autorates/sofr
Secured Overnight Financing Rate Data

『The Secured Overnight Financing Rate (SOFR) is a broad measure of the cost of borrowing cash overnight collateralized by Treasury securities. The SOFR includes all trades in the Broad General Collateral Rate plus bilateral Treasury repurchase agreement (repo) transactions cleared through the Delivery-versus-Payment (DVP) service offered by the Fixed Income Clearing Corporation (FICC), which is filtered to remove a portion of transactions considered “specials”.a』

『The SOFR is calculated as a volume-weighted median of transaction-level tri-party repo data collected from the Bank of New York Mellon (BNYM) as well as GCF Repo transaction data and data on bilateral Treasury repo transactions cleared through FICC's DVP service, which are obtained from DTCC Solutions LLC, an affiliate of the Depository Trust & Clearing Corporation. Each business day, the New York Fed publishes the SOFR on the New York Fed website at approximately 8:00 a.m.b』

GCレポレートとトライパーティーレポ取引のクリアリング経由の取引について加重平均をしたレートですよ、というような話をしているように見えます。

つーことでこれを利用していきましょうという話になるのかどうか知らんですけれども、この金利って翌日物金利であってIBORのタームと違うんですが今後従来の取引とかどうするつもりなんじゃろと思いますし、じゃあって言ってIBORからSOFRに短期金利のリファレンス変更したら金利リセットのタームが変わってしまうんですがそれは、とは思うのですけどどうなるんでしょうかね。

なお、
https://apps.newyorkfed.org/markets/autorates/bgcr
Broad General Collateral Rate Data

https://apps.newyorkfed.org/markets/autorates/tgcr
Tri-Party General Collateral Rate Data

もご参照あれ。





〇インフレ予想のペーパーがまたもぶっこまれるの巻

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j01.htm/
日本におけるインフレ予想のアンカー:ラーニング・アプローチ

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j01.pdf
日本におけるインフレ予想のアンカー: ラーニング・アプローチ

最初の『【要旨】』を拝見。

『本稿では、ラーニングによって長期インフレの予想形成を行う経済理論モデルを用いて、過去半世紀の日本の長期インフレ予想を推計するとともに、同予想の 2%へのアンカー度合いを計測する。推定されたモデルによれば、日本の長 期インフレ予想は、1980 年代後半に2%程度まで低下し、1990 年代半ばまで2% にアンカーされていた。ところが、1990 年代後半に 2%を下回って低下し、2010 年代の初め頃までアンカー度合いは低い状況が続いた。2013 年前半における 2% の「物価安定の目標」や量的・質的金融緩和の導入を契機に、長期インフレ予 想は 2015年前半まで上昇したが、同目標へのアンカーは途半ばにある。さらに、 ベクトル自己回帰分析によれば、国内の財・サービス市場におけるマークアップ要因が、1990 年代後半以降の長期インフレ予想のアンカーを阻害してきた重要な原因のひとつであることが分かった。』

ほうほうそうですか(何だかわかっていない)。

『1.はじめに 』の所を読むと何となく話がちったあ分からんでもない。

『各国の中央銀行は、インフレ目標政策やインフレ率に関する参照値の採用、そしてその普及とともに、「民間経済主体のインフレ予想を目標値あるいは参照値にアンカーさせることは、物価の安定にとって不可欠である」という考えを広く共有するようになった1。』

さいですな。

『インフレ予想はインフレ動学において重要な役割を果たしており、インフレ予想がアンカーされていれば、経済に加わった様々なショックのインフレ予想に与える影響が限定されることから、インフレ率へ の影響も軽減される。それゆえに、黒田 (2016) が指摘するように、インフレ予想をアンカーすることは、金融政策の強靭な枠組みのための前提条件といえる。』

そらそうなんだが、そもそもそのインフレ予想自体が物凄くふわっとした概念なのが困る。

『こうしたインフレ予想のアンカーの重要性にも関わらず、先行研究によれば、 過去 20年間において物価の弱い動きを経験してきた日本では、インフレ予想が アンカーされたという証左は得られていない。』

むし0%近辺でアンカーされている気もするんだが。

『Gasper et al. (2010) は、サーベイ・データを用いて、日本の長期インフレ予想だけが他の先進国と比べて 2%か ら大きくかい離していることを指摘している。また、 Castelnuovo et al. (2003) は、日本では長期インフレ予想は短期インフレ予想の動きに振られやすく、アンカーされていないと述べている。さらに、より近年の研究である Ehrmann (2015) は、 インフレ率を目標よりも低い水準から引き上げることに伴う様々な困難を挙げたほか、日本ではインフレ予想のアンカーが弱いことから、インフレ動学がバックワードルッキングになっていると報告している。これらの結果は、いずれも日本銀行 (2016) による「総括的検証」においても確認されている。』

バックワード云々の話も言いたいことは分からんでもないが単純に0%近辺にアンカーされていたとした方が話が分かりやすいようにも思えるのですが・・・・・・・

『しかしながら、日本の長期インフレ予想のアンカー度合いが、どう変遷してきたかについてはほとんど知られていない。そこで、本稿では、Carvalho et al. (2017) に倣って、ラーニング(learning)により長期インフレの予想形成を行う 経済理論モデルを用いて、過去半世紀の日本の長期インフレ予想を推計するとともに、同予想の 2%へのアンカー度合いを計測する。さらに、ベクトル自己回帰(VAR)分析により、2%へのアンカーを阻害する要因を検証する。2%程度 のインフレ目標は、1990 年代以降、主要国の中央銀行によって採用され、様々な国でのこれまでの長い経験に基づいてグローバルに共有された考え方になっている。そこで本稿では、アンカー水準を 2%と仮定したときに、長期インフレ予想およびそのアンカー度合いがどのように推移してきたか、という視点で考察する。』

ということで何が何だかよくわかりませんが考察とその結果があるのですが、本文10ページの『3.1. 推定方法とデータ 』ってのを見ますと、

『日本について、インフレ率のデータ(本当はここにややこしい数学の記号がある)は消費者物価(総合除く生鮮食品) の四半期前期比である。短期インフレ予測のデータ(本当はここにややこしい数学の記号がある)は、1966:2Q〜 1989:3Qの期間の日本経済研究センターのデータと、1989:4Q〜2017:2Qの期間の コンセンサス・フォーキャストのデータを接続して作成した14,15。インフレ率と短期インフレ予測のデータの動向は図表1(1)に示されている。需給ギャップの データ(本当はここにややこしい数学の記号がある)は、1966:2Q〜1982:4Qの期間の実質GDPのデータとそれにHPフィルターをかけたものとから算出される系列と、1983:1Q〜2017:2Qの期間の日本銀行調査統計局による推計値を接続して作成した16。 』

『米国のモデル推定は、日本とほぼ同様であるが、需給ギャップは潜在変数として扱っている。インフレ率(本当はここにややこしい数学の記号がある)は、消費者物価(総合)の四半期前期比である。短期インフレ予測(本当はここにややこしい数学の記号がある)は、1966:2Q〜1981:2Qの期間のLivingston Survey のデータと、1981:3Q〜2017:2Qの期間のSurvey of Professional Forecasters(SPF) のデータを接続して作成した17。これらのデータは図表1(2)にプロットされている。』

ってありまして、その次の『3.2. 推計結果』ってのを拝読すると、

『図表2、3は、米国と日本のモデル・パラメーターの事後分布を各々示して いる。米国の事後分布は、Carvalho et al. (2017) の推計結果と近いものになって いる。とくに、過去のインフレ率への相対ウェイトγはゼロに近く、Cogley and Sbordone (2008) の推計結果とも整合的である。彼らは、ランダム・ウォーク過程に従うトレンド・インフレをニューケインジアン・フィッリプス曲線に導入 して米国のデータで推計した結果、インフレ動学における慣性がほとんど存在 しないことを示している。』

『日本の事後分布では、過去のインフレ率への相対ウェイト γが 0.4 程度であり、 これはインフレ動学において慣性が存在する証左といえる。こうした結果は、 日本のインフレ率の慣性が他国よりも高いことを報告している Levin and Piger (2003) や Benati (2008) と整合的である。』

という結論になっていて、これまた考察がうじゃーっと並んでいまして、まあそういうもんですかなあとか思いながら読んではみたものの、微妙に腑に落ちない面もなくは無いのだがアタクシが無学なだけなのでまあ誰か教えてジェネラルとは思うのですけどね。

えーっとどういうことかと言いますと、元データで出してきたインフレ予想の数字って、日本の場合は日経センターとコンセンサス・フォーキャスト、米国のLivingston Surveyってのは以下URL先にあるフィラデルフィア連銀による

https://www.philadelphiafed.org/research-and-data/real-time-center/livingston-survey
Livingston Survey

Livingston Survey
The Livingston Survey was started in 1946 by the late columnist Joseph Livingston. It is the oldest continuous survey of economists' expectations. It summarizes the forecasts of economists from industry, government, banking, and academia. The Federal Reserve Bank of Philadelphia took responsibility for the survey in 1990.

The Livingston Survey's web page offers the actual releases, documentation, mean and median forecasts of all the respondents as well as the individual responses from each economist. The individual responses are kept confidential by using identification numbers.

って奴なのですが、問題はここで出てくるインフレ予想というのが金融政策運営というか経済主体の行動に意味を持っている数字なのかというのが微妙に良く分からんところで、特に日本の長期インフレ予想って他にデータがないから仕方ないのは分かるのですが、コンセンサスフォーキャスト使っているんですけど、これって企業や家計の行動とリンクしているのかと考えるとうーんこのとしか申し上げにくいところでして、おそらく「1990年代後半からインフレ予想がアンカーされにくくなった」というのは分析結果通りではあるのですが、直近の動きに関しては日銀のQQE導入とその直前の2%物価安定目標の公表によるフォワードルッキングなのが入っていて、しかもそれはコンセンサスフォーキャストの人たちはそうであっても、現実問題としての社会における経済主体の行動に反映してるのでしょうか、というのは気になるところ。つまり、サーベイデータ的にインフレ期待がアンカーされていないとなればそもそも話の土俵に上がらないのは言うまでもないのですが、直近の長期インフレ期待がバックワードルッキング的に上がって下がって、それが経済主体の行動に何らかの効果をもたらしているのか、という点ってホンマカイナという感覚はあるのでして、確かにインフレ期待重要といえばそうなのですが、実際問題として企業や家計の行動に対して影響を与えるのってインフレ期待と成長(というか収入増加)期待の両方がセットになっていないと、収入増加の期待もないのにインフレ期待だけホイホイ上がったら家計は超防衛的になってしまいますがな、みたいなのが起きたのが2014年からの話じゃなかったのかね、とかなんとか思ったりもする。

とは言いましても、そこまで話をそもそも論にもっていってしまうと何をもって政策をするの的な話になってしまいますので、せっかくの分析以前の問題になってしうようにも思えるのですが、物凄く無学でど素人のアタクシがど素人なりに思いまするに、インフレ期待のアンカーというのはその前段階に成長期待というのが無いと意味がないんじゃネーノみたいなのがあって、その辺の考察を頭の良い皆様に伏してお願い申し上げたいなあとか思ったりしますし、金融政策運営に関しても資するようには思えたりするんですよ。つまり金融政策で飴細工のようにインフレ期待を押し上げればめでたしという話ではなくて、成長期待を取り戻すために少々時間が掛かるのかも知れないけど、その間は妥当なレベルの緩和的な金融政策を実施、みたいな話。財政出すなとは言わないですが、財政ホイホイだしたからと言ってそれが持続的な成長につながらないんだったらやっぱダメじゃん的なのも含めまして。








2018/04/06

お題「生活意識アンケートは微妙に味わいがあるものの結局期待の変化が起きていないのではと/その他メモ程度に」

なんかもう色々とアレ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180404/k10011390911000.html
財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で
4月4日 19時21分

でもって防衛省の日報が後からホイホイ出てきて当時の担当大臣が他人事感覚の発言しかしない(軍事組織の文民統制が出来ないとか万死に値する事案なのに「こんなでたらめなことがあってよいのか」とかのんびりした発言をする当時の防衛大臣(前職)がいるようでして・・・・・・)とか、一々URL引っ張ってくるのが面倒なくらいにネジがぶっ飛ぶガバガバガバナンスで頭がクラクラ来るんですけど。


〇生活意識アンケート

最近HTMLでも内容を出すようになった(ある意味先祖返りした)のはいいことだと思います(PDF形式のコピペがうまくいかないことがあったりするもんで、という個人的な理由ですけど、汗)。

http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1804.htm/
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki1804.pdf(図表含む詳細)

でまあ本当はこれ単回でチマチマみるんじゃなくて長期時系列でみるものだと思いますし、日銀では当然そういうのも詳しく見ていると思いますけど、アタクシそこまでのマメさは今の事無いので(すいません)微妙な読書感想文みたいな感じになっちゃいますけどまあ鑑賞である。

・両方が拡大とは味わいがある

なお以下はPDF(全文)の方から引用していますので念のため申し添えます。

『1.要 旨』の『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』ですけどね。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が増加したものの、「悪くなった」との回答も増加したことから、景況感D.I.は 若干悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が増加した ことから、景況感D.I.は若干改善した。』

『なお、現在の景気水準については、「良い」、「どちらかと言えば、良い」との回答の合計が増加し、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計も増加した。』

というのが味わいがありまして、そのしたの棒グラフを見ると確かに「どちらでもない」がここの所減ってきて両端が増えているという味わいのある展開。長期時系列は差分のDIしか無いので、ちょっと残念なのですが、この「両端増えて中間減る」ってのが意味のあるものなのか単なる綾なのかはそこまで突っ込んでみていないので(すいません)良く分からんけど何か味わいがありそうな気がします。


・暮らし向きDIが頭打ちだったり支出関係の結果が貧乏感漂ったり

『1-2. 暮らし向き、消費意識』の『1-2-1. 現在の暮らし向き』に参ります。

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答 が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向 きD.I.は悪化した。』

まあ全体の数字で「ゆとりがなくなってきた」がやたら多いというのは別に気にする必要はない(この手のアンケートってだいたいコンサバな回答が出てくる傾向にあるので)のですが、相対感として傾向がどっちなのという話で、その下にある長期時系列グラフを見ますと、改善傾向が頭打ちになって来ているという図式になっていまして、たぶんこれって実質可処分所得の推移に若干遅行して動いているんジャマイカと思われるのですが(単に見た印象だから本当にどうなのかは本職の方に聞いてちょ)、もしこの後総合のCPIが確りと推移する中で徐々に暮らし向きDIが悪化傾向となった場合って、2%の物価安定目標とは何だったのかという議論になるんじゃネーノとかそんなことをちらっと思いましたです。


でもって次の『1-2-2. 収入・支出 』は、

『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が減少したものの、「増えた」との回答も減少したことから、現在の収入D.I.は横ばいとなった。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少し、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。』

例によって水準は気にしないとしましても、先行きの見通しが徐々に悪化傾向にあるというのが何ともかんともではございます。

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き (1年後)は、「増やす」との回答が増加したことから、1年後の支出D.I. はマイナス幅が若干縮小した。』

3カ月前の調査ではこの逆になっていて、実績の方が若干プラス拡大、先行きが若干プラス縮小となっているのでトレンドがあるのかないのかよく分からん。

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「家電」、「保健医療サービス」が多かった。』

そらそうよというあからさまな結果。

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「旅行」、「衣服、履物類」が多かった。』

増やした項目と減らした項目を並べると残念な貧乏感が出る。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「収入の増減」との回答が最も多く、次いで「今後の物価の動向」、「余暇・休暇の増減」といった 回答が多かった。商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最 も多く、次いで、「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」、「機能が良い」といった回答が多かった。』

おまけにこの部分で「価格が安い」が徐々に増えているのが何とも。


・物価は結局期待が変わっていないようで

そしていつものメインイベント『1-3. 物価に対する実感』なんですけど、まずは『1-3-1. 現在の物価』です。

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が増加した。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』

適合的期待形成に資する結果ですね!!!!!

『1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+5.8%(前回:+4.5%)、中央値は+5.0% (前回:+3.0%)となった。』

でもってその下にある棒グラフを見ると、

『(図表12)現在の物価に対する実感〔Q12、13〕 <現在を1年前と比べると>』

の『[かなり 上がった]』が直近盛大に増えていまして(7.6→14.8)、しかも

『<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか>』の直近時系列を見ますと、

    平均値   中央値
17/ 9月 + 4.2 % + 2.5 %
17/12月 + 4.5 % + 3.0 %
18/ 3月 + 5.8 % + 5.0 %

とか実に素敵な勢いで体感物価が上昇している(まあ言うまでもなく生鮮関連が中心のドリブンなのでしょうけれども)というこの事実。

ところが、『1-3-2. 1年後の物価 』を見ますと、

『1年後の物価については、『上がる』(注)との回答が減少した。
(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

まあ。

『1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.5%(前回:+4.3%)、中央値 は+3.0%(前回:+3.0%)となった。』

大して上がっとらんやんけ!

『<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか> 』の直近時系列を見ますと、

    平均値   中央値
17/ 9月 + 3.8 % + 2.0 %
17/12月 + 4.3 % + 3.0 %
18/ 3月 + 4.5 % + 3.0 %

ということで微妙な仕上がりに出来上がっています。でまあ問題の『1-3-3. 5年後の物価 』ですけど、

『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。

(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

うーんこの。

『これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.0%(前回: +3.9%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。』

『<5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか>』では、

   平均値   中央値
17/ 9月 + 3.7 % + 2.0 %
17/12月 + 3.9 % + 2.0 %
18/ 3月 + 4.0 % + 2.0 %

ってなってまして、まあこれはこれで安定してますなあとは思うのですが、ただまあこの水準で安定している結果として現実問題としてコアコアCPIとかまだ0%台な訳ですよね。まー家計の物価見通しよりも企業とかの見通しの方が物価影響度は高いのかも知れませんけれども、このあたりの水準で安定している間は物価安定目標2%に整合的なインフレ期待が発生しているとは言い難い水準なんじゃなかろうか、とかなんとかそんなことを思う。


つーことで結局のところ、さらっと流し読みしただけだと「生鮮の上昇で目先の物価上昇感は出ているものの、それが家計の期待を抜本的に変化させたり行動を抜本的に変化させたりというのが起きている訳ではないし、家計の行動的には生鮮上がった分代替消費を落として対応しているだけで、生鮮下がったらその逆になるのが期待されますなあ」程度の話になるんですかね、よー知らんけど。


・いつもニコニコ現金払い

毎回ネタを微妙に変えながら質問している最後の方の質問項目なんですが、今回は現金決済とそれ以外の決済のお話ですが、半年前もペイジーの質問しているんだが、まあ何というか質問しなくてエエンチャウノという感はあります。

というわけでその次の『1-8. 家計の決済行動 』。

『日常生活の支払いに現金を使う理由については、「その場で支払いが完了する」、「多くの場所で利用できる」との回答が多かった。』

と言いつつそのあとの多い回答項目が『使い過ぎる心配が少ない』と来ているのはよくわかる。

なお、『匿名性が高い』という回答は回答率低くてまあそうだろうなと思いますが、「自分の支出の詳細を他人に知られたくない」とするとどういう回答になるんだろうな、というのは興味があったりします。


〇そういえばT+1でオペも変更

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180404a.pdf
国債の決済期間の短縮化(T+1 化)後における金融調節取引について
2018 年 4月 4日
日本銀行金融市場局

一昨日出ておりましたが、まあこれ自体はT+1になるので順当ではありますけど(国債入札の方はこの前財務省から出てましたな)。

『日本銀行では、国債の決済期間の短縮化(T+1 化)に伴い、国債買入オペおよび国庫短期証券買入オペのオファー日からスタート日までの日数を、現行の T+2 から T+1 に短縮することとし、現在のオペタイムテーブルを別紙のとおり変更しますので、お知らせします。』

でまあ別紙があるのだがパス。

『また、別紙のオペタイムテーブルに変更はありませんが、先日付オペのうち、 現在、オファー日からスタート日までの日数を T+2 で実施している共通担保資金供給オペ(固定金利方式)については、同日数を T+1 に短縮しますので、併 せて、お知らせします。』

そらそうよ。

『上記については、国債の決済期間の短縮化(T+1 化)の実施予定日である 5 月 1 日以降のオファー分から適用することとします。』

ということなんですが、T+1決済になってSCの時間もタイトになることですし、フェイル慣行の定着という観点から日銀のオペに関しても国債受渡のフェイルをジャンジャン容認(ペナルティ金利はもちろん取るんですが)するというのはどうでしょうか(棒読み)。



〇これはまたオモロイのがぶっこまれております

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j01.htm/
最近のプライベート・エクイティ・ファンドの増勢について

これはまた凄い方面のネタをぶっこんできました。

上記URL先は要旨なのですが要旨だけでも。

『世界のプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)-非上場企業の株式を主な投資対象とするファンド-の増勢については、投資家からの資金流入が金融危機以前の水準を上回るなど、金融市場参加者の間で注目されている。』

ほうほうそうですか。

『資金流入増加の背景としては、世界的に低金利環境が長期化したことから、内外機関投資家が利回り追求姿勢を前傾化し、比較的リターンの高いPEファンドへの投資を選好したことが挙げられる。』

ひょっとしてそれはバブルというのではないでしょうか????

『こうした活発な資金流入に裏付けされ、PEファンドによる企業への投資活動は世界的に拡がりをみせており、企業の円滑な資金調達の一助となっている。』

と思ったらこのレッツポジティブシンキングな話の持って行きようェ・・・・・・・・・

『もっとも、今後、PEファンドがリターンを高めるためにレバレッジを拡大する場合は、金融システムにとってのリスクとなり得るため、その動向を点検していく必要がある。』

ということで本文の方はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j01.pdf

でまあ説明があるのですが、円債市場の中の人と致しましてはあまりおなじみではない世界の話になりますので、詳しいお方のコメントをお伺いしたいと存じます(低姿勢)。



〇URLだけ置いておきますが・・・・・・・・いつもの芸風だと思うのだが一昨日は反応したというのも(ブラード総裁)

ブラード総裁が利上げすんなよというのは仕様だと思うのですが、一昨日ってそれに反応したみたいな後講釈コメントが多くて、それは単に米債を買いたいのかショートを閉じたいのか知らんけど、言い訳に使われている、つまり市場がそういう状況なのね、とは思ったのですが、せっかくなので直近のブラード大先生の講演URLだけ自分の備忘用に貼っておきます。

https://www.stlouisfed.org/from-the-president/speeches-and-presentations/2018/us-economy-three-months-into-2018
The U.S. Economy Three Months into 2018

講演内容の要旨はこちら
https://www.stlouisfed.org/news-releases/2018/04/04/bullard-economy-three-months-into-2018
St. Louis Fed's Bullard Discusses the U.S. Economy Three Months into 2018
4/4/2018

プレゼンテーションはこちら
https://www.stlouisfed.org/~/media/Files/PDFs/Bullard/remarks/2018/Bullard_Ark_Day_with_Bank_Commissioner_4_April_2018.pdf?la=en

(なおリンクが途中までしか貼っていないように見えますがちゃんと飛ぶはず(あまりハイパーリンクを長くするとブラウザで見た時の画面表示がおかしくなると思うので勝手に調整しています)






2018/04/05

お題「輪番は全部同額ですな/短観物価見通し関連/需給ギャップ」

出たな出来レース調査。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180330-OYT1T50114.html
新元号の公表、来年2月24日以降に…政府検討
2018年03月31日 07時06分

『元号の発表時期を巡っては、政府は当初、官民のシステム改修など国民生活への影響を考慮し、改元の半年前をめどに公表する方向だった。しかし、調査した結果、システム改修が想定より短期間で対応できることが判明した。』(上記URL先より)

何かそうやって結論ありきで特攻するのってよくありますよね、債券村方面でもT(以下の部分は聞き取れませんでした)。

しかしまあこういう結論ありきの出来レース調査みたいなのって最近とみに増えてる気がして国として大丈夫なのかとも思うんですが出来レース調査じゃない?これまたしんつれいいたしました。


〇順当だが輪番はすべて同額維持の巻で足元見られだすコース

月曜の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180402.htm
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年4月4日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年4月4日
国債買入(物価連動債) 250 2018年4月4日

水曜の輪番オファー(と短国買入)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180404.htm
国庫短期証券買入 5,000 2018年4月6日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年4月6日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,300 2018年4月6日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年4月6日

ということで中期、長期、超長期ともに輪番オファー額維持。中期と長期は2月に増額してから減額をしないままに4月を迎えてしまいましたが、やはり1月の超長期減額が出口ネタとして騒がれたので輪番いじるのがかなり慎重になってきたという感じですな。

一方で相場様の方はと言いますと・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1RH2IF
2018年4月4日 / 15:07
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反落で引け、長期金利0.030%に上昇

『 <15:03> 国債先物が小反落で引け、長期金利0.030%に上昇

国債先物中心限月6月限は前日比4銭安の150円93銭と小反落して引けた。前日の米債安を受けて売りが先行。中期・長期を対象にした日銀の国債買い入れが一時的な需給の緩みを映す弱めの結果となり、一時下げ幅を広げる場面もあったが、日経平均株価も上値の重い展開となったほか、下値で買い期待が根強く、小幅安水準での推移が続いた。現物市場は先物安を受けて中長期ゾーンが軟調。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高い0.030%に上昇した。一方、超長期ゾーンはしっかり。潤沢な運用資金を抱える一部国内勢から小口の買いが入った。』(上記URL先より)

微妙に肝心なネタの記述が少ないのが惜しい(前日のは結構言及していましたが)のですが、昨日も昨日とて超長期の特に後ろの方が堅調に推移していて、先物下がっているのに平気な顔をして引け強とかやらかしておられまして、「潤沢な運用資金を抱える一部国内勢から小口の買いが入った」ってあるけどうーんこのという感じではありますな。

まー昨年度のレビューを踏まえて今年度、って話になると、昨年度って米国金利上昇ネタの余韻(とリバーサルレートネタ)があった最初の方と、米国の利上げペースが案外しっかりではないかとなった夏前くらいと秋口くらい(物凄く雑な言い方をすればSEP付きFOMCを挟んだ時期)にはちょろっと金利上がったですけれども、まあゆうて「押し目待ってたら押し目がこねえよ」的な感じが強くて特に1−3とか超長期輪番減額キタコレとか10年指値キタコレとかやってはいたものの、超長期に関しては別に期中の安値を切ってくるような感じは全然なかったというのがありまして、まーそんなこと考えると押し目が来たら行きましょうとかあんまり悠長な話をしていると帳尻買いが面倒なことに(ある程度は帳尻そのものを調整できるにしても2年連続で帳尻を調整していると結構厳しいと思うの)なるかねえ、とかなんとか言いまして、おまけにUSは短期金利が利上げ局面だから円投からの為替ヘッジとかしているとあんまりワークしないし、ということで消去法と昨年の結局本格的に押さなかったよねからの買い、というのはまああるのかも知れませんけど人の懐具合は知らん。

でまあそういうのもあると思いますが、足元の金利水準が水準なだけに、絶対収益でこんだけ無いとアカンですねんという人が期初から盛大に来るのかというと、まあ全員が特攻してくるような水準ではないようにも思えるところですけど、動かん、となると債券インデックス対比の相対勝負をしている人からしますと、動かん→ボラ低い→そらもうそのうち長いところ買いが来るでしょう→長いところOWにしておかないと厳しいんとチャウか、の図でカーブの後ろって買いが出やすくなると思うの(ボラが高いと長いところはリスクでかいと言って敬遠されがちになると思うんだが)。

まあ何がどうなっているのかは市場全体の手口を全部見ることもできる訳がない(などと大口叩く以前の問題でワカランチ会長ですすいませんすいません)のであくまでも適当な妄想に基づいて後日自分で参照にするためにああでもないこうでもないと書いておりますが、ここもとって為替もひところの更に円高ウギャー的な感じから新しいレンジを形成している感が(今の所)あるし、雨株に関しては連日上がったり下がったりご苦労なこったという所ですが、そうは言いましても別にどっちかにトレンド持ってという感じでも(今の所)あるし、となると、どうしてもQQEだのQEだののストック効果が効いてきてボラ落ち着く中で債券の長い方って金利がアガランチ会長の図になりやすくなるんじゃネーノと思いますので、トランプ大先生の貿易戦争がリスクですなあとか言っているうちって株高ドル高からの債券アチャーというような動きにはなりにくいかなとも(貿易戦争の結果無駄なインフレが起こると方程式が複雑になる気がするけど)。

とまあそんな中なので、輪番って本当はしらっと減らしてしまった方が後々の運営が楽になると思いますし、特に超長期の後ろの方はせっせとフラットニング状態になってきているので、超長期輪番でもしらっと減らせないかなとは思わんでもないのですが、1月のアレがあるから慎重ということだと思いますし、まあ輪番減額砲が飛んできて一気に雰囲気が変わるというリスクが低いとみれば相対バイヤーとか買いやすくなりますなあってところでしょうか、よくわかりませんけど。

しかしまあ何ですな、輪番に関しては多分そんなに話題になる時間帯でもないとは思いますし、一々為替とリンクしているように思われると著しく自由度が下がってしまいますので、どこかで為替とのリンクを切りに行く(ずーっと切れていた筈だったのですが1月ェ・・・・・)ようにしないといかんでしょうな。



〇短観の価格判断関連

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2016/tkc1803.pdf
短観(「企業の物価見通し」の概要)―2018年3月―

今回は回答ベースが変わっているので一応その分加味しますと、

1.販売価格の見通し(現在の水準と比較した変化率)

「全規模合計 全産業」で見た場合、

(旧ベース)
1年後:前々回+0.5%→前回+0.6%
3年後:前々回+1.0%→前回+1.1%
5年後:前々回+1.2%→前回+1.3%

(新ベース)
1年後:前回+0.6%→今回+0.7%
3年後:前回+1.1%→今回+1.2%
5年後:前回+1.3%→今回+1.4%

となっていて、そもそもサンプル変わった時点で何だか知らんけど販売価格判断があがっているのですが、まあそこを気にしなければ前回と同様に0.1%ぽっちの上昇となりまして、まあ短観の仕入価格判断とかも上がっているのですからこっちも上がるもんでしょうかね、というようなお話かな。

2.物価全般の見通し(前年比)

これまた「全規模合計 全産業」で見た場合、

(旧ベース)
1年後:前々回+0.7%→前回+0.8%
3年後:前々回+1.1%→前回+1.1%
5年後:前々回+1.1%→前回+1.1%

(新ベース)
1年後:前回+0.8%→今回+0.8%
3年後:前回+1.1%→今回+1.1%
5年後:前回+1.1%→今回+1.1%

どう見ても横ばいです本当にありがとうございました。

そしてすっかりその話をしなくなった「中小企業や個人のサーベイの方がより世間の物価観を反映している、大企業は足元の経済状況に振らされやすい」という理屈を尊重しまして中小を見ますとこうなる。


中小企業製造業
(旧ベース)
1年後:前々回+0.8%→前回+0.9%
3年後:前々回+1.1%→前回+1.2%
5年後:前々回+1.2%→前回+1.2%

(新ベース)
1年後:前回+0.9%→今回+1.0%
3年後:前回+1.2%→今回+1.2%
5年後:前回+1.2%→今回+1.3%


中小企業非製造業
(旧ベース)
1年後:前々回+0.8%→前回+0.9%
3年後:前々回+1.2%→前回+1.2%
5年後:前々回+1.2%→前回+1.3%

(新ベース)
1年後:前回+0.9%→今回+0.9%
3年後:前回+1.2%→今回+1.2%
5年後:前回+1.3%→今回+1.3%

まあ中小製造業が上がっていないこともないという感じですが、非製造業が上がらんとなっておりまして、まあ価格判断と物価観は別物(コストプッシュされたら価格は上げないといかんでしょうから)とは言いましても物価観の方が結局のところずーっとこの調子で碌すっぽアガランチ会長となっている中で、強気の価格設定できますかと言われたらそら無理だわとなりますし、その間にコストプッシュの刑を食らった日にはよーしパパマージン確保のために何かを削減しちゃうぞみたいな話になるでしょうし、サービスの価格が割とホイホイと上がって賃上げ余力に繋がって、という循環が起きないと中々お賃金からの好循環っていうのが動き出さないんじゃないでしょうかねえ、などと思いつつ、なんとも残念な物価見通しを拝読するのでありました。


〇需給ギャップは改善しているのですが・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm/
需給ギャップと潜在成長率

図表
http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf

図表の方を見ますとこちらは1983年からの長期時系列になっているので、イマイチ改善感に乏しい絵柄になってしまうのは致し方ない(平成バブルの6%近い数字がある、というかあの時ですら6%の需給ギャップにあの下駄を履きまくった資産価格の結果のCPIがあの程度、という時点で2%物価目標の2%は良いとして計測とか考え方どうにかしないと非現実的な数字の話になり続けるのではないかと思ってしまうがその話はもっと詳しい人に教えを乞いたいです)ので、エクセルでダウンロードできる方で見た方が吉かと。

(左から 需給ギャップ 資本投入ギャップ 労働投入ギャップの順)
2017.1Q 0.67    0.50    0.17
2017.2Q 1.05    0.70    0.36
2017.3Q 1.14    0.72    0.42
2017.4Q 1.50    1.14    0.36
  
(左から 潜在成長率 TFP 資本ストック 労働時間 就業者数の順)
2014.1 : 2014.2Q-2014.3Q 0.87 0.57 0.22 -0.22 0.30
2014.2 : 2014.4Q-2015.1Q 0.89 0.50 0.29 -0.22 0.32
2015.1 : 2015.2Q-2015.3Q 0.87 0.44 0.35 -0.23 0.32
2015.2 : 2015.4Q-2016.1Q 0.87 0.38 0.41 -0.23 0.31
2016.1 : 2016.2Q-2016.3Q 0.82 0.33 0.40 -0.24 0.32
2016.2 : 2016.4Q-2017.1Q 0.80 0.28 0.43 -0.24 0.33
2017.1 : 2017.2Q-2017.3Q 0.84 0.26 0.49 -0.23 0.32
2017.2 : 2017.4Q        0.88 0.25 0.53 -0.22 0.31

つーことで需給ギャップの方は改善しているという話ではあるのですが、肝心のコアコア物価ェ・・・・・・であって、需給ギャップがどんだけ改善したら2%になるんだよというお話なのだが肝心のインフレ期待がさっきの通りなのでお察しの状況ということでしょうな。


〇内田さんリターンズとな

って月曜のネタですが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180402b.htm/
理事の発令について

内田 眞一
日本銀行理事に任命する

平成30年4月1日
財務大臣 麻生 太郎

でご案内のように、
http://www.boj.or.jp/about/organization/tanto.htm/
総裁・副総裁・理事の担当

理事
宮野谷篤 金融機構局、発券局、情報サービス局
桑原茂裕 決済機構局、調査統計局、業務局
前田栄治 企画局、金融市場局、金融研究所
衛藤公洋 大阪支店
吉岡伸泰 政策委員会室、システム情報局、総務人事局、文書局
内田眞一 国際局、国際関係統括

との担当になっております。まあ先刻ご案内の話ですがメモ残しておかないと。








2018/04/04

お題「置物インタビュー記事を見て朝から血管ブチブチ湯気ポッポーの巻/その他メモ」

河野外相ェ・・・・・・・

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018040300164&g=prk
米研究所、河野外相発言に反論=北朝鮮核施設の活動減少

『【ワシントン時事】米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は2日、河野太郎外相が3月31日、「(北朝鮮が)次の核実験の用意を一生懸命やっているというのも見える」などと述べたことについて、最新の人工衛星画像を基に、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場では「過去数カ月に比べて活動は大幅に減少している」と反論した。(2018/04/03-06:04)』(上記URL先より)

からの・・・・・・・・

https://www.asahi.com/articles/ASL433GXRL43UTFK006.html
河野外相、米研究グループに反論 北朝鮮の核実験兆候
2018年4月3日13時14分

からの・・・・・・・・

https://this.kiji.is/353882232122917985
中国、河野外相発言に不快感示す
北朝鮮情勢で「足引っ張るな」
2018/4/3 21:41 コピーライト一般社団法人共同通信社

まあ何ですな、一連の流れが高度なプロレスだったらそれはそれで結構な話なのですが、どう見てもこの流れって「お前これから話し合いするのに何横からぶち壊そうとしてるんだよ余計な話を平場でするなこのバカチンが」という流れに見えますがね(この時期にそういう話をするなら平場じゃなくて水面下の外交ルートで話をするもんでしょ)。

ま、このエエカッコシイで二世(二世以上)代議士ってのが言う事が意識高い系で人気は高いんで更に頭が痛いところであります。なお具体名はいつも通りな。

#うーん最近柄にもないネタばかりマクラにしていますな(反省)


〇いろいろな意味で血管がブチ切れて脳溢血でも起こしそうなインタビューキタコレ(置物)

色々とふざけるなこのヴォケジジイとしか申し上げようがないインタビューで日経新聞に続いて時事通信がアタクシの健康を損ねるの巻とかもうね。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018040300816&g=eco
岩田前副総裁、増税でシナリオ崩れた=日銀・異次元緩和5年−インタビュー
(2018/04/03-16:37)

色々とふざけたインタビューで、少しは勉強したのかと思ったが全く勉強していないどころか副総裁っつーか政策委員会メンバーとしての仕事も果たしていなかったという事を示すような発言をするという不見識ぶりに頭がクラクラとして参ります。

ということで以下上記URL先からの記事を鑑賞してプチプチと血管が切れる訳ですが。

『任期満了で退任した岩田規久男前日銀副総裁(75)は3日までに時事通信のインタビューに応じた。2013年4月の導入から5年を迎えた「異次元緩和」について、消費税増税でデフレ脱却のシナリオが崩れたとの見方を示した。』(上記URL先より、以下「冒頭の時事通信インタビュー記事URL先より」とします)

とか抜かしやがっているのですが、そもそもの政策見通しが消費税込みなのに「シナリオが崩れた」も蜂の頭もあるかという話でして、例えば2013年10月の展望レポートですと、

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1310a.pdf
展望レポート基本的見解2013年10月

『先行きは、内需が堅調さを維持する中で、外需も緩やかながら増加していくと見込まれ、生産・所得・支出の好循環は持続すると考えられる。このため、わが国経済は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される2。』(2013年10月展望レポートより)

こんなんもあります。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko140324a.htm/
【講演】「量的・質的金融緩和」とわが国の金融経済情勢
国際東アジア研究センターにおける講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男 2014年3月24日

『(4)2015年度までの見通し

わが国経済の先行きについての、具体的な見通しとしては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善により、基調的には緩やかな回復を続けていくと考えています。

物価面では、消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみています。その後は、次第に上昇傾向に復し、2014 年度の終わり頃から2015 年度にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています(図表17)。』(2014年3月24日岩田副総裁講演より)

もともと見通しを消費増税込みで見ていて、その間に駆け込みもあれば反動もあるはずという計算をしていたのに、駆け込みの分を全部金融政策の効果だって威張っていたからこうなったんではないでしょうけねえ、といういつものツッコミがまず来る訳ですな。

『−異次元緩和を続けても、2%物価目標は達成できていない。

 当初は円安や株高が進むなど効果がきちんと出ていた。物価も順調に上がり、そのままいけば14年夏ごろには2%は実現できていた。しかし同年4月の消費税増税でそのシナリオが崩れた。』(冒頭の時事通信インタビュー記事URL先より)

というのは今申し上げた通りですが、この次に言語道断の発言が登場する。

『−日銀は現在「19年度ごろ」の2%達成を見込んでいる。

 財政緊縮のペースを落とさない限り、達成は非常に困難だろう。19年10月には消費税再増税もあり、なおさらだ。ただ、すでに十分な金融緩和を行っている。達成時期を先送りしても追加緩和の効果にかなりの確信を持てなければ、現行政策を続ける方がいい。』(冒頭の時事通信インタビュー記事URL先より)

>(「19年度ごろ」の2%)達成は非常に困難だろう
>(「19年度ごろ」の2%)達成は非常に困難だろう
>(「19年度ごろ」の2%)達成は非常に困難だろう

・・・・・・・それはひょっとしてギャグで言っているのか(AA略)。

えーっとですね、ついこの前の1月終わりに展望レポートってのが出ていたと思うんですが、

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1801a.htm/
経済・物価情勢の展望(2018年1月) 基本的見解 1

そこの『(2)物価の中心的な見通し』の所に、

『今回の物価の見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い6。』(2018年1月展望レポート基本的見解より)

ってありますよね。でもってその時の決定会合の議事要旨出ていますけど、

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180123.htm/
政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨
(2018年1月22、23日開催分)

そこの『VII.「経済・物価情勢の展望」の検討』という票決の所で、

『採決の結果、賛成多数で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、1月24日に公表することとされた。なお、片岡委員は、消費者物価の前年比について、先行き、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとの理由から、物価の見通しに関する記述に反対した。

採決の結果

賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員
反対:片岡委員』(2018年1月金融政策決定会合議事要旨から)

ってあるんですから、岩田大師匠様はこの時「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い」ってのに賛成していますよね。

そこからほんの2カ月(決定会合は1月の22、23日)少々しか経過していないのに、何で今になって「達成は非常に困難だろう」とか平気な顔して言えるんでしょうかだったらその間に大幅なシナリオ変更があったと思うんですがその根拠とか説明して頂かないと困るので、ちゃんとインタビューの時にきちんとその背景を説明する、ということをしないといけないのではないでしょうか。

それとも何でしょうか、まさかとは思いますが、このお方は金融政策決定会合では自分の考えを何ら披歴することなく、思ってもいないことについて唯々諾々と賛成するという行為を行っておられた、という事なのでしょうか。もしそうなのであれば、この人は日本銀行政策委員会の政策委員として為すべきことをしていなかった、ということですからこれはもう職務怠慢にも程がある懲戒事案レベルの話であって、退職金やら在職中の給与やら全部返納して頂いたり、二度と公的な立場やら審議会みたいなのに出てこないようにして頂きたい、という話になると思います。

もしそうなのであればですよ、
https://jp.reuters.com/article/boj-iwata-idJPKBN1FP0JO
2018年2月5日 / 15:25
「再任されない」発言は不適切、説明責任果たしてきた=岩田日銀副総裁

『[東京 5日 ロイター] - 日銀の岩田規久男副総裁は5日午後の衆議院予算委員会で、1月31日の大分市における講演で「(次期副総裁に)私は再任されない」と発言したことについて、「適切ではなかった」と語った。同副総裁は3月に任期満了を迎えるが、5年間で「説明責任を果たしてきた」とし、物価2%が実現できていない原因について、原油価格の大幅下落と2014年の消費増税による需要減少などを挙げた。津村啓介委員(希望)の質問に対する答弁。』(上記ロイター記事URL先より)

ってあるのですが、金融政策政策決定プロセスにおける重要な「展望レポート」において、自分の考えてもいない見通しに反対の意思表明すらしない(片岡さんはしている)のでしたらば、そもそも説明責任も蜂の頭もあったものではなくて、そういう意味でこのジジイ、国会で「説明責任果たしてきた」というのも嘘八百という事になる訳でして、ちょっと国会に呼んで吊るし上げた方が良いんじゃないでしょうかと申し上げたいのですよ。


だいたいからして、「決定権のある立場の人間が思ってもいない経済物価見通しに賛成して政策運営」とか公僕としてあるまじき話(下っ端だったらまた話は別ですよね)であって、日本銀行政策委員ってそんな態度でやられたら話にならんし、それって公文書改ざんを超越した酷い話じゃないのかと思うので、国会の承認を得て就任した公職を冒涜するにも程がある話ですなあと思いますし、展望レポートの見通しがそういう風に出ているんだったら端から日銀の出す見通しがテキトーにへのへのもへじでも書いたもの見たいなことになって日銀の権威も失墜させるという重大な話で看過できないと思うのですけどねえ。


しかしまあ何ですな、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180322b.pdf
副総裁就任記者会見要旨
―― 2018年3月20日(火) 午後5時半から約60分

『(若田部副総裁) 岩田先生は私の尊敬する大先生でして、その先生を評価するとはまたおこがましい話とは思いますが、ただ実績をみれば、それは一目瞭然です。』(2018年3月若田部副総裁就任会見より)

だそうなのですが、若田部さんこのような置物を「尊敬する大先生」って時点でアチャーとしか思えませんが、まあ若田部さんはまさか岩田さんがこのような態度で金融政策決定会合に臨んでおられたとはご存じなかったのでこのよう発言をされたのであろう、と解釈しておくとしまして態度を留保したいと存じます。

#てな訳で期初から頭から湯気ポッポーで血圧上がって血管切れて健康に悪いので岩田某の寝言はメディアに出てこないで頂きたいというか何でしたら永遠に(以下自主規制)

そういやちょっと替え歌の替え歌を考えてみたのだが、改善の余地がだいぶあるので誰か改善してくらはい。

ポスト惜しさに 岩菊が
辞めずに逃げた その後にゃ
今日も飛ぶ飛ぶ 円高砲
上がらぬ物価に 身が縮む

#えーっと、元歌の元歌は「若鷲の歌」ですけどこちらの元歌はその替え歌の方で、「富永恭次」とか「今日も飛ぶ飛ぶロッキード」とかで検索かけてちょ


〇蛍光灯相場キタコレ

昨日の債券市場@ロイターさん
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1RG2VW
2018年4月3日 / 15:48
〔マーケットアイ〕金利:超長期債利回りに強い低下圧力、イールドカーブはフラット化の形状

『<15:08> 国債先物は続伸で大引け、長期金利0.025%に低下

長期国債先物は続伸で引けた。前日の海外市場で米中貿易戦争への懸念からリスク回避となった流れを引き継いだ。日経平均株価が軟調に推移したことも買いを誘った。現物債は強含み。長期ゾーンは10年債入札を順調にこなすと、金利に強い低下圧力がかかった。中期ゾーンもしっかり。前日に調整した超長期ゾーンは押し目買いから堅調に推移した。生損保や年金勢の需要が観測されていた。長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比16銭高の150円97銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1.5bp低下の0.025%。』(上記URL先より)

・・・・・・って月末近辺現物重そうにしていて月曜も重そうにしていたのですが、いきなり昨日は1日ずれて期初の買いみたいな古い蛍光灯のような反応をする債券市場って何なのそれという動きで、まあ何だかなあという感想しか沸かないのですがメモメモ。


〇ウィリアムスさんNY連銀とな

キタコレ。
https://www.newyorkfed.org/newsevents/news/aboutthefed/2018/oa180403
John C. Williams Named President and CEO of New York Fed
April 03, 2018

『NEW YORK-The Federal Reserve Bank of New York today announced that John C. Williams has been named president and chief executive officer. His appointment by the eligible members of the New York Fed’s Board of Directors was approved by the Board of Governors of the Federal Reserve System. Mr. Williams will begin on June 18, 2018. Current president William C. Dudley’s last day will be June 17.』

ということでダドリーさんの後任がウィリアムスさんとな。

『Mr. Williams is currently the president and chief executive officer of the Federal Reserve Bank of San Francisco, a role he has had since March 1, 2011, when he succeeded former Federal Reserve Chair Janet Yellen.』

とありますようにウィリアムスさんはイエレンさんがSF連銀総裁やってた後の総裁ですな。

『The San Francisco Fed is responsible for the Twelfth Federal Reserve District, the largest by geography and population. Among the unique roles of the San Francisco Fed is oversight of the Federal Reserve System’s Cash Product Office, which is responsible for nationwide cash distribution processes. It also sponsors the Center for Pacific Basin Studies, which promotes cooperation among central banks in the Asia-Pacific region, and the Center for Community Development Investments, which serves as a national clearinghouse for Community
Reinvestment Act investment opportunities across the country and promotes research and dialogue in the field.』

まあこの辺はどうでも良いのだが、イエレンさんの後任、というのもあるのか、SF連銀って基本的に与党連銀で、タカ派ハト派という感じではなかったのと、SF連銀の出すエコノミックレターとか見ると基本的にヨイショ系のレポートが多かった印象(個人の感想あるいは偏見です)。

ちょっと飛ばして、

『Mr. Williams is widely seen as an influential voice on the Federal Open Market Committee (FOMC) and was a strong advocate for policies to stimulate the economy and get Americans back to work in the wake of the Great Recession. He has produced seminal research on such critical monetary policy issues as the Zero Lower Bound and the neutral rate of interest. As CEO of the San Francisco Fed, Mr. Williams has focused on the development of the next generation of Federal Reserve leaders and fostered a culture of innovation, continuous learning, collaboration and mutual respect. He has been a steadfast champion of creating a diverse workforce as well as an inclusive culture at the Federal Reserve Bank of San Francisco. Under his leadership, the bank has made significant strides in achieving greater diversity at all levels, most notably among its senior leadership team.』

ほほうそうですか。以下ウィリアムスアニキ歓迎というヨイショが続くので割愛します(^^)。


#短観の物価ネタがあるのだが時間切れですいません、まあ上がってませんけどねえ・・・・・・・・・・



2018/04/03

お題「短観私家版確認/入行式挨拶が味わいがあったついでに過去のもサルベージして回るの巻」

労働局の中の人がこの感覚では働き方改革も蜂の頭も無いんですけど。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180402-OYT1T50087.html
口滑った…是正勧告巡る発言、東京労働局長陳謝
2018年04月02日 19時16分

『厚生労働省東京労働局の勝田智明局長は2日、是正勧告に関する自身の発言について、記者団に対し、「わかりやすく言おうと思って口が滑った」と釈明し、「不適切な発言で申し訳ない」と陳謝した。勝田氏は3月30日の記者会見で、裁量労働制を不当に適用していた野村不動産への是正勧告の経緯などについての質問の際、「皆さんのところ(に)行って是正勧告してあげてもいいんだけど」などと述べ、その後に撤回していた。』(上記URL先より)

「わかりやすく言おうとした」というのはつまり「行政を恣意的に運用しています」というのをわかりやすく言おうとしたように読み取れてしまうので益々問題発言のように思えますが統治システム全体としてネジが外れてませんですかねえ大丈夫ですかねえ。

話は違いますがこっちの方面では、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180403/k10011388691000.html
授業内容調査問題 「法令に基づいて行った」と文科省が回答
4月3日 4時41分前川氏授業調査

『この中で、前川前事務次官を招いた授業については、「前川氏が天下り問題で停職相当とされたことを校長が十分調べることなく講師に招いたことは必ずしも適切だったといえず、もう少し慎重な検討が必要でなかったかと考えている」と記しています。』(上記URL先より)

とのことですがどこぞの大学教授で安部ちゃんの経済アドバイザーの一人という事になっておられる方の中で確かとし(大爆発音の為以下聞き取り不可能)。


〇毎度やってる短観私家版クイックウォッチ(斜め読みともいう)

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan03a.htm/
短観(2018年3月)

概要はこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1803.pdf

今回は概要1ページ(業況判断総括表)のところに『計表中の計数は、2018年3月の調査対象企業見直し後の新ベース。』とあるように調査対象企業の見直しを行っているので、今回の調査で前回数値と出ているのは補正が入っています。


・先行きDIの達成度合い(12月時点は新ベース(つまり鏡にある通り)にしています)

         (12月時点)     (3月時点)
         現状→3月予測    現状→6月予測
製造業大企業   +26→+21     +24→+20 
製造業中堅企業  +20→+15     +19→+14        
製造業中小企業  +15→+11     +15→+12

非製造業大企業   +25→+20    +23→+20
非製造業中堅企業  +20→+14    +21→+16
非製造業中小企業  +9→+4      +10→+5

前回12月短観ではこんなことを書きました。

でもって今回ですけれども、今回もまたまた製造業大企業以外のDIが前回よりも水準が上昇しているという素敵な展開になっている訳でございます。先行き見通しが堅めに出てくるのは上昇時の仕様なのでまあこんなもんですが、気持ち前回の先行き見通しよりもよくなっていて、これはもう絶好調オブ絶好調という企業の業況判断、という結果になっております。(前回短観の時に書いた駄文、この先に何で賃金が上がらんのじゃヴォケェェェェェェ!という感想も付けましたが)

今回なんですが、「2年ぶりに改善とまる」みたいな書き方もされていたりしますし、2017年度の想定為替レートが下期でも110.40になっていて、それだと業績確定時に下方修正にならんかねとかいうツッコミもあったり、2018年度の想定為替レートも109円後半ってそれで良いのかとか、まあそんなツッコミどころはあって微妙な評価だとは思うのですが、まあでも水準が水準な訳ですからこれはこれで強いんでしょと思いますし、先行きDIは相変わらず達成(ただしこの辺りの水準にある時は先行きDIが堅めに出てくるのが仕様なので達成して当たり前という感じはする)しておりますので、要はここから次回更に下向きって感じになってくるとそらもう天井感出てくるけど、今回だけでは判断付きかねるという所ではないかと思います。

ちなみに調査対象見直し前のベース(つまり12月短観発表時の数字)から見ると、12月短観の業況判断DIの数値は+1〜+2程度ですが製造業中小企業以外のカテゴリーで上方修正されています(製造業中小企業は修正なし)。


・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)

        (12月時点)      (3月時点)
        現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業  ▲13→▲14      ▲18→▲15
製造業中堅企業 ▲27→▲26      ▲29→▲26
製造業中小企業 ▲27→▲30      ▲28→▲27

非製造業大企業   ▲26→▲26    ▲28→▲27
非製造業中堅企業  ▲36→▲39    ▲37→▲40
非製造業中小企業  ▲37→▲40    ▲41→▲45

まあ何ですな、ここの数字相変わらず絶好調オブ絶好調で(なお遡及改定の影響は全般的にDIが▲1程度修正される感じ)おう賃金上昇はあくしろよという風情の数字なのですけど、まあ逆に言えば「人手が足りない足りない」と言いながら延々と推移した上に賃金の上げは鈍いってことなのですから、どんだけ企業が人増やすのに慎重になっているんだよ、と考えると何かこの数字が毎度毎度ドンドン強くなるってのも眉に唾つけて読んだ方が良いのかもしれませんね。


・販売価格判断(「上昇」-「下落」)

        (12月時点)      (3月時点)
        現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業  +1→▲1        +4→+4
製造業中小企業 +0→+2        +3→+6

非製造業大企業  +4→+3       +4→+4
非製造業中小企業 +0→+2       +1→+2



仕入価格判断(「上昇」-「下落」)

        (12月時点)        (3月時点)
        現状→3月予測       現状→6月予測
製造業大企業   +19→+18       +26→+22
製造業中小企業  +32→+37       +39→+42

非製造業大企業  +14→+15       +16→+16

価格判断DIが上がっているし先行き強気だやったねパパ!明日はホームランだ!!と言いたいのですが、一方で仕入価格判断が盛大に上がっていて、まあこれアンケート調査だから恐らく仕入価格判断って高め高めに出るし販売価格判断って低め低めに出ると思う(つーかずっとそう)ので本当はこういうの補正処理しないといけないのですが、この数字だけ見るとまたまた仕入価格上昇に販売価格上昇が追いついていないという図になるのですが、本当にそうなのか単に統計の癖なのかはよく分からん。(遡及改定の影響はさっきと同様で若干強い方にずれたが言う程の事はない)

ただまあここもと価格判断のうち販売の方の数字って0近辺で安定していたのが若干とは言え浮いて来たので日銀ニッコリという風には思ったんですがどうでしょうかね。


・需給判断DI

国内需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)

        (12月時点)        (3月時点)
        現状→3月予測       現状→6月予測
製造業大企業  ▲1→▲3         +0→▲2
製造業中小企業 ▲13→▲14       ▲9→▲12


海外需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)

        (12月時点)      (3月時点)
        現状→3月予測      現状→6月予測
製造業大企業  +3→+1        +4→+4
製造業中小企業 ▲7→▲7        ▲3→▲4

需給判断しらっと改善してるやん!しかも中小企業!という(なお非製造業についてはスルーしてます)のは地味に良い内容に見えます。


・金融商品取引業ェ・・・・・・・・・・・

金融商品取引業の業況判断は毎度笑うしかない。

        (12月時点)        (3月時点)
        現状→3月予測       現状→6月予測
金融商品取引業  +42→+28       +24→+38

12月短観の時は盛大に9月予測より上振れし、今回はきっちり下振れとか笑ってしまうしかありません。あと今回から『 * 2018年3月調査より、従来の「信用金庫・系統金融機関等」は「協同組織金融業」に公表区分の名称を変更。』だそうですがだからどうしたといわれると多分何もないと思います。

以上短観私家版チェックというか、自分が毎度ヘロヘロ見る数字自体そらまあここから改善するという図には成り難いとは思いますが、別に悪い数字ではないし、中小の改善になっているから、この短観データだけを見れば「回復のすそ野が広がっている」ということになるんだが何でアタクシの懐具合(爆発音)。


〇入行式総裁挨拶の変遷を振り返って感慨にふけってみましょう

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/nyukou18.htm/
平成30年度入行式における黒田総裁挨拶
2018年4月2日 日本銀行

ちなみに変遷を振り返るとなると当然黒田さん就任以降になりますので過去はこうなります。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/nyukou17.htm/(2017)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/nyukou16.htm/(2016)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/nyukou15.htm/(2015)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/nyukou14.htm/(2014)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/nyukou13.htm/(2013)

・冒頭の次の話に何と・・・・・・・

『皆さん、おはようございます。日本銀行への入行、おめでとうございます。今年も、本店と支店で合わせて147名の新入行員の皆さんを迎えることができ、大変嬉しく思います。日本銀行の役職員を代表して心から歓迎します。』

ここはそらそうよという話で毎年同じ(人数は違うが)ですがその次。

『皆さんが社会人として第一歩を踏み出す2018年は、明治元年、すなわち1868年から、ちょうど150年に当たります。この150年の間に、日本は近代国家として目覚ましい発展を遂げ、高度成長を実現して、今日のように世界の中でも大変豊かな国となりました。こうした発展の出発点となった明治初期は、欧米列強が国際的な競争を強めるもとで、国内的には、廃藩置県、地租改正、海外の先端技術導入による殖産興業、学制公布による人材育成など、わが国の経済力の向上につながる大きな変革が相次いで行われた時期でした。こうした中で、日本銀行も、西南戦争以降、政府紙幣や各地の国立銀行が発行する紙幣の増発により進行したインフレーションに対応するため、銀行券を一元的に発行するわが国の中央銀行として、1882年、明治15年に創設されました。』

近代国家として目覚ましい発展と高度成長の間にちょっと消えてるのがありますが、というのも何だかなーと思うのでそこもツッコミたいですがまあスルーしまして、今回は何と「インフレーションに対応」というお話に。

ちなみにこの冒頭の次に出てくる話、2013年から2015年は

『皆さんもご存知のように、日本経済は約15年にわたってデフレが続き、根強い閉塞感に覆われています。米国や欧州でも、深刻な金融危機の影響から、景気の低迷が長引いていますが、日本のような物価下落には至っていません。わが国のデフレは、世界的にもきわめて異例なものです。「物価の安定」を使命とする日本銀行は、これに果敢に立ち向かって行かなければなりません。』(2013年入行式挨拶より)

ということで「デフレ脱却・物価安定目標の達成」という話が出ているのですが、2016年からは歴史的な話をおっぱじめまして、ついに今回はその歴史背景に「インフレに対応」とまで話が変わってきているのは中々味わいがあるのではないでしょうか(^^)。


・どう見ても反省の弁です本当にありがとうございました

でもって挨拶は続く。

『このように歴史を振り返ると、時代により事情は大きく異なるものの、国の経済の潜在力を高め、それを発揮できるようにする取り組みは、長い目でみて、その国の発展のために大変重要であると改めて感じます。そして、いつの時代においても、こうした課題に果敢に挑戦し、新たな取り組みを模索した人たちがいたのです。』

例えば昨年(この前の部分の話から繋がっているので免震工事を例えにしているが気にしなくて良い)はこうなっています。

『このように日本銀行本店を巡る歴史を振り返りますと、その時々で時代背景や金融経済情勢は大きく異なっていても、「通貨価値の安定」――現在の日本銀行法のもとでは、「物価の安定」とそれと密接に関係する「金融システムの安定」と言うのがより相応しいのですが――を通じて経済の発展に努めていくことの重要性は、どの時代においても全く変わりがない、ということを改めて強く感じます。日本銀行は、わが国の中央銀行として、この責務に応えていかなければなりません。同時に、時代によって日本銀行を取り巻く環境が大きく変化する中で、いつの時代にも変わらぬ責務を果たすためには、本館の免震化が象徴するように、最新の知見と技術を駆使して、常に新たな挑戦を続けていくことが求められます。』(2017年入行式挨拶より)

今回しらっと「国の経済の潜在力を高め、それを発揮できるようにする取り組み」という文言が出てきたのが最初の「キタコレ」の部分(インフレ云々もほほーという感じはしたがキタコレとはならなかった^^)でございまして、つまりこれは「成長力を高めるために金融政策は長期間の緩和政策でサポートします。え?日銀の金融政策単独で物価目標を早期達成??そんなこと言いましたっけウフフ」って話の伏線ではないかと思って読むと味わいが深くなります(勝手読みではありますが)。

その次。

『皆さんが、日本銀行で仕事をしていく間には――明治初期の時点では今日の日本経済の姿を予想できなかったのと同様に――現時点で私たちが予想できる範囲を大きく超えて、世界経済、日本経済ともに変化していくでしょう。こうした変化に適切に対応し、中央銀行の使命を全うしていくためには、これまでの経験・知見を十分に踏まえたうえで、「常に課題に挑戦し、新たな取り組みを行っていく」という意識を持ち続けることが大変重要です。』

>現時点で私たちが予想できる範囲を大きく超えて、世界経済、日本経済ともに変化していくでしょう
>現時点で私たちが予想できる範囲を大きく超えて、世界経済、日本経済ともに変化していくでしょう
>現時点で私たちが予想できる範囲を大きく超えて、世界経済、日本経済ともに変化していくでしょう

・・・・・・・どう見ても置物リフレ理論によるQQEスキームが「予想していた範囲を超えた」という事の言い訳に見えるのですがこれは見ているアタクシの心が濁っているからそういう風に見えるのでしょうか、ということで、濁った心で見るとここでまたキタコレになるのでした(^^)。

しかし置物リフレ理論は世界標準の理論だし、「外部要因のせいにしたら政策の信頼性が無くなるのでそういう時にはきっぱり辞任する」んじゃなかったでしたっけねえ、とは思いますけどにゃあ。


・という流れの中で最後に物価目標達成が来る

次が、

『日本銀行も、創設以来、外部環境の様々な変化に対応しながら、「物価の安定」と「金融システムの安定」を通じて、わが国経済の潜在力が発揮され、持続的な経済成長が実現していくように、絶えず努めてきました。足もとでは、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもと、強力な金融緩和を続けています。「金融システムの安定」についても、グローバル金融危機を踏まえた国際金融規制を巡る議論への参画など、国内外の金融システム安定化に取り組んでいます。また、情報通信技術や金融イノベーションの世界的な進展を踏まえて、FinTechがわが国金融インフラの効率化や金融サービスの向上に資するよう、様々な調査・研究も行っています。これらはいずれも、日本銀行が創意工夫を最大限に凝らしながら、常に新たな取り組みを続けてきた結果です。』

となっていまして、物価目標達成の話はあるものの、それ以外の話がてんこ盛りという感じで、物価目標達成を強くコミットして力強く人々の期待に働きかけるとは何だったのかと小一時間問い詰めたい。


・新入行員にお願いすることの変遷

『皆さんは、本日から日本銀行の一員となりますが、今申し上げたことを実現していくためにも、心掛けてほしいことが3点あります。』

これも定番。

『1点目は、「社会人としての自覚をしっかりと持ってほしい」ということです。社会人になると、学生時代と比べて、接する世界は大きく広がります。現実の経済や社会への関わりが格段に大きくなるとともに、これに伴う責任も大きくなります。皆さんは、本日からセントラルバンカーとして、「物価の安定」と「金融システムの安定」という、日本経済のために大変重要で責任の重い仕事を担っていくことになります。このことを自覚しながら、日々の仕事に取り組んでほしいと思います。』

『2点目は、「中央銀行業務のエキスパートを目指して、理論と実務の両面で研鑽を積んでほしい」ということです。
世界経済や日本経済が大きく変化していく中で、現状を的確に把握し、その背景を分析して、将来を見通していくことは容易ではありませんが、これを行ううえで理論的な考察は大変有益です。皆さんには、内外の様々な理論を参考にしながら、自ら考える姿勢を身に着けてほしいと思います。また、日本銀行の最大の強みの1つは、理論的な分析に基づく政策を、市場オペレーションや貸出などの業務を通じて、機動的かつ確実に実施できることです。日本銀行にとって、理論と実務はまさに車の両輪と言えるでしょう。一つひとつの実務は地道なものがほとんどですが、取り組んでいくうちに、個々の仕事の重要性や全体の中での位置付けが少しずつ理解できるようになっていきます。中央銀行業務のエキスパートを目指して、まずは実務の基本をしっかりと習得してください。』

『3点目は、「周囲の人の意見によく耳を傾け、力を合わせて仕事に取り組んでほしい」ということです。日本銀行の業務は、幅が広く、互いに密接に関連していることから、多くの職員が力を合わせて行っています。金融機関や企業の協力を頂いているものも数多くあります。皆さんには、上司・先輩をはじめ周囲の人の意見によく耳を傾け、チームワークよく仕事に取り組むことを心掛けてほしいと思います。』

>周囲の人の意見によく耳を傾け、力を合わせて仕事に取り組んでほしい
>周囲の人の意見によく耳を傾け、力を合わせて仕事に取り組んでほしい
>周囲の人の意見によく耳を傾け、力を合わせて仕事に取り組んでほしい


新入行員よりもむしろボードメンバーに100回音読して頂きたい内容となっているのが実に味わいがありますけれども、今回は3点目の「周囲の人の意見によく耳を傾け」ってのがこれまたキタコレでして、つまりは人の言うこと聞かないでぶっこんだQQEは修正しないといけません(YCC入れて一部修正は入っていますけれども)という事で、これまた大変に滋味深く、黒田体制実質2期目になって随分と変遷したなあという感じでございます。

でまあここの変遷を時系列に並べますと、

2013年

『一つ目は、どんどん視野を広げ、多様な価値観を積極的に受け入れていく「たくましさ」を身につけて欲しい、ということです。』
『二つ目は、プロの自覚を持ち、中央銀行員としての専門性を貪欲に身につけていって欲しい、ということです。』

2014年

『一つ目は、新たな課題に積極的にチャレンジしていって欲しい、ということです。』
『二つ目は、「プロフェッショナリズム」と「チームワーク」を大事にして欲しい、ということです。』
『三つ目は、社会人としての「自己管理力」を養って欲しい、ということです。』

2015年

『第一に、中央銀行業務のプロになれるように理論と実践の両面で研鑽を積んで欲しい、ということです。』
『第二に、日々の仕事には外部から見えやすいものと、そうでないものがありますが、皆さんが担う全ての仕事が「物価の安定と金融システムの安定」という日本銀行の使命達成に結びついていることを忘れないで欲しい、ということです。』
『第三に、環境変化を的確に捉えながら、チャレンジ精神を持ち、日々新たな気持ちで仕事に取り組んで欲しい、ということです。』

2016年

『1つ目は、「セントラルバンカーとしての専門性を磨き、それを公的な目的に活かすというパブリック・マインドを強く持ち続けること」です。』
『2つ目は、「理論と実践の両面を大事にすること」です。』
『3つ目は、「自分の考えをしっかり持ち、これを内外に示しながらコミュニケーションを的確に行う力を養うこと」です。』

2017年

『1点目は、「幅広い視野で物事を考えてほしい」ということです。』
『2点目は、「日々の仕事にしっかりと取り組んでほしい」ということです。』
『3点目は、「周囲の人に信頼される人になってほしい」ということです。』

そして2018年(再掲)

『1点目は、「社会人としての自覚をしっかりと持ってほしい」ということです。』
『2点目は、「中央銀行業務のエキスパートを目指して、理論と実務の両面で研鑽を積んでほしい」ということです。』
『3点目は、「周囲の人の意見によく耳を傾け、力を合わせて仕事に取り組んでほしい」ということです。』


#なお新社会人の皆様におかれましてはこんなにせっせとサルベージして回って楽しむような変な社会人にならないようにして下さい




2018/04/02

お題「期末のオペネタは順当な輪番と穏当なSLF/銘柄後決めT+0GCェ・・・・・・・・」

新年度になりまして新しい業務や新しい生活になられたかたもそうでないかたもボチボチ頑張って参りましょう。

#と思ったらモーサテに期待の大型新人登場(^^)

〇輪番は動かさずで来ましたなとかその辺の話

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180330.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年4月3日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,300 2018年4月3日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年4月3日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 100,742 2018年3月30日 2018年4月2日

とまあそういうことで金曜の輪番も同額できやがりまして、まあ何となく重そうな中期の方は兎も角として10年っていつまでこの増額したのでやっていきますねんとは思うのですが、まあこういう出し方をしてくるということですので、

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180330c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

先月はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180228c.pdf

ということで、まー元々広めにおいているレンジですけれども今回も増減なしで来ましたので、とりあえずこのまま暫くのらりくらりと同額で行くのか、それとも1月パターンで4月になってしらっと減額はあるのか、という話ですけれども、この前1月にそれをやってやらかしましたのでまあやらんでしょとは思うので、そう考えると意外に減額タイミングが難しいのだが10年マイナスに突撃するまでは放置プレイなのかもしれませんね。

あとSLFですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180330.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 3,006 3,006 -0.600 -0.600

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
2年利付国債376回(213億円)、2年利付国債386回(1億円)、5年利付国債131回(583億円)、
5年利付国債134回(978億円)、10年利付国債335回(4億円)、10年利付国債340回(115億円)、
10年利付国債341回(217億円)、10年利付国債342回(724億円)、20年利付国債98回(8億円)、
20年利付国債144回(69億円)、30年利付国債2回(2億円)、40年利付国債6回(92億円)です。

とまあそういうことで3000億円くらい出ましても17年度末には大変素敵なロットでSLFが出ていたのでまあ少ないとか思っちゃいますが、逆に言えばそれだけセカンダリーの取引自体が手控えモードだったりするのねということで。


〇後決めGCアンケートとな

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kentou/index.html
国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ

というのを見ますと、

銘柄後決め方式GCレポ取引の利用予定に係るアンケート調査結果について(2018年3月)
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/atogimerepo_anketo.pdf
後決めレポの利用予定に係る アンケート調査結果
平成30年3月29日 日本証券業協会

2ページ目を見ますと

『調査対象先 総合運転試験(RT)フェーズ2参加先(JSCC国債店頭取引清算参加者等41社)』
『市場カバー率※1 98.5%(資金運用)、99.8%(資金調達)』

ってあって次の3ページ目の結果概要を見ますと、その最初に

『調査対象先のうち、約98%(取引量基準)の金融機関が、「T+1化実施当初(T+1化実施から1か月以内 程度)から後決めレポを利用する予定(又は可能性)がある」※1と回答』

『上記先のうち、約94% (取引量基準)の金融機関が、「T+1化実施後のGCレポ取引については積極的に後決めレポを利用したい」※2と回答』

とあってホンマカイナと思ってしまうわけですが、よくよく見ますと

『※1 取引相手方等(信託銀行においてはファンドの運用者・委託者等を含む)からの同意が得られる範囲での利用を想定』
『※2 資金の調達・運用以外を目的とする取引(担保玉調達等)やT+1化対象外の非居住者取引等の後決めレポの利用が適さない取引を除く。』

ってありまして、これは「参加するけど客の了解取れないと無理ですな」ってな話が前提になった数字な上に、海外も除外になっている(時差の関係上最初から無理なのは明らかですが)ところに来て、担保玉も(そもそも担保玉調達に銘柄後決めは基本的に使い物にならないのではないかと思うので最初から入らないのですが)除外した挙句に「取引量基準で94%でございます(ドヤァ)」とか言われましてもはいはい大本営大本営としか申し上げようがない実に残念なお話。

まあ証券(国債)ディーラーが仕方ないのでアウトライトT+1をやるから、最終的にどうしてもそのケツでT+0のGCが発生する、というのはまーそうなのですけれども、この市場に対して純粋に資金運用目的で入ってきて恒常的に安定的な資金の出し手、というのが出てくれないと(ちなみに額だけではなくて参加者のバリエーションも必要ですからね)、そもそも論として市場の厚みができないので当局の皆様が昔期待していた(最近はあまり期待していないようだなとか思っていたのですが、今回出てきたこのアンケートを見るに「T+0の後決めGC市場が出来て無担保コール翌日物取引に代わる有担保のリスクフリーの大きな流動性のあるマネーマーケットができる」という希望は諦めておられないようで中々味わいがあります。

9ページ目に『3−6.後決めレポの利用促進のための提案事項』ってのがありまして、

『証券・仲介等』からは、

『・T+1決済への円滑な移行のため、市場全体が後決めレポを積極的に利用することが必要

・協会からの情宣のほか、ファンドを受託している信託銀行から運用者・委託者に対し、後決めレポの更なる利用促進について情宣して頂きたい

・ 今後も定期的に市場情報(後決めレポの各回における利用状況、決済状況を含む)についての調査を行い市場関係者と共有して頂きたい

・JSCCを中心とした制度面等に関する提案事項
  先決めレポ等とのネッティング、金利スワップ等とのクロスマージン、手数料逓減化、銘柄割当てにおける利払銘柄の利用拡大、フォワード物(先日付スタートの後決めレポ)への対応、作業迅速化等』


『銀行・信託等』

『・現在T+0取引を行っているコール市場参加者にも積極的な後決めレポ利用を促してはどうか

・ システム開発等に係る導入コストの削減のための諸施策(例:後決めレポ用システムのパッケージ化等)を検討してはどうか』

ってあって、最後の所に意味あるのがあんじゃんと思いましたが(他のは何かもう取って付けた感が強いんですが何となくアンケートに向かった方々の気持ちがいやなんでもないです)、コール取引に対して後決めGCレポをやるとなると手間暇かかるしJSCC清算に新しく入るとなるとこれがですねえ・・・・・・・・

https://www.jpx.co.jp/jscc/
ここの清算サービスの国債店頭取引ってのを見ますと、

https://www.jpx.co.jp/jscc/kisoku/tentou.html
国債店頭取引清算業務に関する規則

ってありまして、最初の

国債店頭取引清算業務に関する業務方法書

というのをクリックしますと業務方法書が出てくる(うまくPDFへのリンクが張れなかった)のですけど、そこの52ページ見ますと、

『第5節 他の清算参加者による損失の負担

(損失負担方式の区分)
第82条 破綻清算参加者の当社に対する金銭支払返還債務及び国債証券引渡返還債務について第79条の規定により一の債務となることによっても、又は当社が第80条の規定による相殺を行っても、なお残った当該破綻清算参加者の未履行債務により当社が損失を受けた場合の当該損失(以下「破綻処理損失」という。)の破綻清算参加者以外の清算参加者による補填は、次の各号に定める方式に区分して行う。』(JSCCの『国債店頭取引清算業務に関する業務方法書』 より引用)

ってあって、具体的には次のページに

『(国債店頭取引清算基金及び第二階層国債店頭取引決済保証準備金による損失の補填)

第83条の2 破綻処理損失について、前条に定めるところによってもなお補填することができない損失がある場合には、当社は、当該損失を、破綻清算参加者以外の各清算参加者が当社に預託した国債店頭取引清算基金及び第二階層国債店頭取引決済保証準備金の取崩しにより補填する。この場合における破綻清算参加者以外の各清算参加者が当社に預託した国債店頭取引清算基金及び第二階層国債店頭取引決済保証準備金から取崩しをする額は、次に定めるとおりとする。 』

ってありますように、JSCCって参加するのに証拠金と国債店頭取引清算基金が掛かるということになっていまして、さっきのページの中に、

国債店頭取引に係る当初証拠金所要額に関する規則

というのもあると思いますが、こいつをクリックすると『国債店頭取引清算基金所要額に関する規則』ってのがあって、そこの第2条に、

『(国債店頭取引清算基金所要額)

第2条 各清算参加者の国債店頭取引清算基金所要額は、清算参加者ごとに別表「国債店頭取引清算基金所要額の算出に関する表」により算出される額(以下「国債店頭取引清算基金基礎所要額」という。)と1億円のいずれか大きい額とする。』

ということで小さい金融機関が参加しても1億円の清算基金負担が発生しますが、まあレアケースになるとは思いますけれども、それにしても清算基金が何らかの拍子に取り崩しの刑になることがあり得る、という仕組みな訳ですよ。

そら証券ディーラーは取引を業としてやるからJSCCやらん訳にもいかんでしょうし、ディーリングみたいに動きが大きければJSCCでのネッティングというのにメリットがあると思うのですが、債券ポートフォリオ組むのは組むけどそんなにバタバタ動かさないという人だっている(というか取引高はバタバタ動かす人が大きくなるから当然シェア的に大きくなるのだが、一般的な投資家という意味ではそこまでJGBバタバタやるかよという話ですな)訳で、JSCCを新たに使うという事になった場合にうっかりすると他責でも目減りするかもしれない清算基金を億円単位で投下しないといけないとか何でそんなことしますねん、ということだと思うのよね。

JSCCで取引を行った場合には確かにカウンターパーティーリスクは削減されるのですけれども、証券ディーラーの場合は幅広く売買をあちこちとしないといけないからそれ重要という話になりますけれども、投資家の場合はそもそもカウンターパーティーを管理して、ここの取引先とはやりませんがな(いや勿論証券も見境いなく取引先増やすわけではないけど立場的にまあ、という奴ですな)とかそういう形で管理すれば良い話ですし、そもそも論として国内投資家が国内証券と取引する分には基本的にDVP決済になっているので、アゲインストペイメントが行かなくて元本行かれる、という事にはならなくて、基本は取引再構築コストだし、その取引再構築コストって投資家側の場合にそんなにバタバタやっている訳ではないのですよね。

ということですので、そもそもJSCCを使うメリットに対して費用が、という問題だし、メリットあるじゃんとかいう向きも勿論あるのですが、それって大規模ポートをバカスカ動かしている人視点にも程があるし、他人勘定とかだったらさらに他責で決済不履行で事故った時に清算基金から請求書着てさてどうするのよとか、まーなんちゅうかもう少し何とかならんのと思うのでした。

1つ元の資料を戻って『3−5.後決めレポの利用が進まない場合の懸念事項』というページがあるんだが。

『証券・仲介等』

『・GCレポのパターンが複数になるため、それぞれのパターンに応じたプロセスが必要となり、プロセス時間の絶対量と負担が増える(同意見多数)

・ 同じくT+1決済となるアウトライト・SCレポ取引がある程度確定した後にGCレポの銘柄が確定するため、T日中のフロント照合・バック照合(保振照合)・ネッティング照合の事務処理時間が非常にタイトになる

・ 国債市場における流動性の分断・低下(同意見多数)

・ 現物価格・レポレートのボラティリティ拡大

・ 国債補完供給の件数・金額の増加』

まあそうだなと思いますし、

『銀行・信託等』

『・ ファンディングに苦慮する証券会社、短資会社が増加する可能性がある

・ 相対取引(非JSCC取引)が膨らむとJSCC内での決済待ちが生じる恐れがあることから、後続取引におけるフェイルの発生及び連鎖が懸念される

・ SCレポT+1決済の取引量を限定する可能性や、SCレポT+2決済を継続せざるを得ない可能性がある』

とありますが、結局のところ多くのGCは先決めが残ってしまって、そうなるとT+1である程度の所まではやっていって、最後の帳尻部分が後決めのT+0になっていくという事にならざるを得ないんじゃないかと思うのですが、なんかこのアンケート見せ方が大本営発表チックで正直気に食わない。

なお、このネタに関してはアタクシもきちんと把握できていない部分が多々あると思うので詳しい方教えてジェネラル!


#FOMCがどうしたという話を忘れている気がするが気が付かなかったことにする(汗)