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2018/06/20

お題「総裁会見ネタ補足/物価目標0%の提言とはそれはさすがにちょっと・・・・・・・」

これは狙ったわけではないのはわかりますが結果的にお見事。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180619a.htm/
(7月25日)金融高度化セミナー「金融機関の働き方」の開催について
2018年6月19日
日本銀行金融機構局
金融高度化センター

『日本銀行 金融機構局 金融高度化センターでは、「金融機関の働き方」と題するセミナーを下記の要領で開催します。』

ということですが、その中を見ますと・・・・・・・・

『経済環境にそぐわない数値目標は、「プロダクト・アウト」的な行動を強め、中長期的な顧客本位の姿勢や「カスタマー・イン」的な発想を失わせています。』

「経済環境にそぐわない数値目標は良くない」とはまったく仰る通りですな(−−;


#本来はFEDとECBのネタがあって、そろそろシントラ(ポルトガル)でやってるECBの中央銀行フォーラムがあって、ドラギ先生の「シントラショック」が記憶に新しいくらいですので、まーた誰かが何かやらかしてくれるかもしれませんという海外中銀ネタを全部積読になっておりまして誠に恐縮なのですが、今日も今日とて国内ネタなのでありました



〇総裁会見ネタですが見落としがありましたので補足を(超大汗)

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180618a.pdf

・出口の説明に微妙なトラップがあるとのご指摘をいただきまして補足を

見落としがありましたので、じゃなくてお前指摘されてから補足しているんだろうと言われると全くその通りで、今回は複数の読者様から「ここもポイントになりうるのでは」とご指摘賜りまして汗顔至極。ご指摘誠にありがたく伏して御礼申し上げますm(__)m


こんな質問がありました。

『(問) 今週はFRBもECBも正常化に向けて一歩踏み出しました。そういう中で、改めてなのですが、今、現時点でお考えはないとおっしゃるとは思うのですが、出口戦略についての日本銀行としての考え方について、例えば、まだ出口ではないとお考えでも事前に色々市場との対話という形で説明していかれるのか、もう少し詳しくご説明頂けたらと思います。』

『(答) 出口戦略については、何も語っていないということはなく、出口での課題には 2 つのことがあると申し上げています。それは、短期の政策金利をどのようにしていくかということと、拡大したバランスシートをどうするか、という 2 つです。FRBの金融政策の正常化をみても、あるいはECBが今後正常化していく際のポイントについても、この 2 つが具体的な課題になると思います。私どもが正常化する際にもそうなると思いますが、どのような手段で、どのような手順で、いつ具体的にそのようなことをするかは、あくまでもその時の経済・物価・金融情勢を踏まえたものになります。 』

『現時点では、今回の公表文にも示している通り、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が 0%台後半という状況で、まだ 2%の目標には距離がありますので、正常化あるいは出口の具体的な手法やプロセスについて語るのは時期尚早であり、あくまでも 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために、最大限の努力をする時期だと思います。適切な時期に市場とのコミュニケーションを取ることは必要だと思いますが、そういう時期に差し掛かっていない中で具体的な話をするのは、却って市場を混乱させるおそれがありますので、適切な時期にそういったコミュニケーションを行うことになると 思います。』

ということで、後半部分はいつも通りなのですが、前半にトラップが仕込んであります。つまり、出口政策において、

「出口での課題には 2 つのことがあると申し上げています。それは、短期の政策金利をどのようにしていくかということと、拡大したバランスシートをどうするか、という 2 つです。」

ということで、「短期の政策金利正常化(引き上げ)」と「バランスシートの正常化(縮小)」という話をしておりまして、そこにはよく見るとYCCのもう片方にある「長期金利目標」の文言がしらっとスルーされているんですな。

まあ勿論今すぐどうこうという話にはなり得ない(物価の伸びが鈍化している中では今の延長線上の理屈では言い訳がしにくい)のですが、これは正常化論において、長期金利目標の引き上げに関しては正常化と切り離した「YCC政策の中における水準調整」というカテゴリーでの変更が可能、というトラップでして、「長短金利水準」と言ってないのがチャーミング。

まあ実際問題として昨日も申し上げた通りで、総括検証の結果としてのYCCってのは均衡イールドカーブに対する適度な緩和度合いを維持するためのものなので、均衡イールドカーブの水準自体がインフレ目標や物価水準によって変化しうるものと考えますと(幅が相当ある概念なのであくまでもお話の上なんですけど)、別に正常化と関係なく金利水準を上げることは可能、という建付けに(実際にそれができるかはともかくとして)概念上はなっているので、正常化の説明の中で「長短金利目標水準」と言わずに「短期の政策金利」と言っているのは、長期金利目標水準を切り離す場合に使えますし、まあこの「短期の政策金利」ってのは出口だからYCC終了後の話という拡大解釈をすると、マイナス金利の所の調整だってスコープにいれられる、という点で、YCC継続の元での金利水準変更の可能性を残すような言い方になっていますね、というのは指摘されてみますと全くそうですな、と思いますので追加させていただきました。




〇学者って・・・・・・・・・(東大渡辺先生の物価目標0%論???)

昨日の朝はブルームバーグさんのこのニュースヘッドラインに吹いた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-18/P9W6FH6JIJUR01
物価統計の第一人者も2%を断念、日銀は金融正常化を−目標0%適当
日高正裕、藤岡徹、竹生悠子
2018年6月19日 5:00 JST

いきなりこのヘッドラインを見てナンジャソラと思いましたが、インタビューを元に構成した記事みたいで見ると何とも。

『物価研究の第一人者で、1990年代後半から物価目標の導入を主張してきた渡辺努東大大学院教授が、てこでも上がらぬ物価にしびれを切らし、ついに2%目標の断念を日本銀行に提唱した。異次元緩和に物価を押し上げる効果はないとして、日銀は物価目標を2%から0%に引き下げ、金利引き上げなど金融政策の正常化に向かうべきだと訴える。』(上記URL先より、以下同様)

はあああああああ(語尾の口調が裏返りながら)????????

『今月のインタビューで、日銀は量的・質的金融緩和やマイナス金利により需要を逼迫(ひっぱく)させて物価を上げようとしてきたが、「全然効かないことはこの5年で確認できた」との見解を示した。異次元緩和の延長線上にデフレ脱却はなく、「どこかでやめなければならない」と語った。』

うーんこの。

『渡辺教授は日銀出身で、物価と金融政策が専門。2013年に速報性の高い東大日次物価指数を開発し、15年にビックデータの分析・提供を行うナウキャストを創業した。長く物価目標を提唱し、最近は賃金目標の導入を主張していたが、2%の物価目標は支持してきた。』

とまあこの記事内容にありますように、ついこの前までは賃金目標とか仰せだったのに突如0%にしろとか何ですかそれは。

でもって途中を飛ばして、

『渡辺教授は、効果のない異次元緩和は手じまいが必要だと指摘する。2%物価目標の旗を降ろして0%にすれば、現在の物価上昇率で達成されるため「さらに緩和が必要という理屈」も生じず、超低金利政策を「続ける理由はない」と語る。』

いやあの目標0%で本当に良いんですかそれだったら別に「中長期的な目標」にして緩和の規模を副作用が出にくいけれども緩和は緩和というような状態(マイナス金利やリスク性資産の買入などを中止して、中長期的な緩和政策にコミットして長期金利の上昇を抑制するけれどもYCCのような極端な介入政策は行わない)で済む話で、これ「0%」というのは何かたとえ話みたいなのでヒョロっと出たのをブルームバーグの方で盛って書いたんだったらまだ分からんでもないのですが、もしまともに渡辺先生が仰せだったら、さすがにこれは置物大師匠と同等程度にヤバイじゃろと思います。

まあ何ですな、このブルームバーグのインターネット版のサイトでもサイト内検索というのが出来るのですが、そこの検索窓に先生のフルネームをぶっこむと過去記事がサルベージ出来ますので(嫌な世の中ですなあ)それを見るだけでもなかなか腰が砕けますが確認してみましょう。



つい最近、と言ってももう2016年の頭ですから2年前になるのですが大先生の「賃金目標」ネタ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-01-25/--iju3ovuj
黒田日銀は賃金目標にくら替えを、「天と地ほど違う」−渡辺東大院教授
野沢茂樹、Kevin Buckland
2016年1月26日 0:00 JST 更新日時 2016年1月26日 15:42 JST

『渡辺教授(56)は21日のインタビューで、「サービス分野を中心に、約5割のウエートを占める品目がゼロ%前後で動かない。物価が2%上昇するには他が4−5%も上がらないといけないので、仮に達成しても持続性がない」と指摘。人件費の割合が高いサービス分野の価格を上げてデフレを完全に脱却するには、物価目標から「賃金目標」に切り替える意義があると語った。』(上記URL先2016年1月26日記事より)

意義があるのは分かるのですが、何をどうすると日本銀行の金融政策で民間企業の設定する賃金を引き上げることができるのでしょうかその具体的な手法とメカニズムをディスカッション用のたたき台だけでも良いですから何か出していただけませんかねえという所でして、いやまあ貴殿がおとぎ話の語り手さんとかなら別にそれでも結構なのですが、最初のブルームバーグ記事の方で思いっきり「物価研究の第一人者」と称している(第一人者は他にいるのではなどというツッコミは行わないけど)「東大大学院教授」様な訳で、しかも「日銀出身で、物価と金融政策が専門」だそうなのですが、具体的にどうやったら良いのかというような考えもなしに政策提言って何なんでしょうね、と当時も思った次第。

ちなみにロイターさんの記事ですと、
https://jp.reuters.com/article/boj-watanabe-tokyo-univ-idJPKCN0V012I
2016年1月22日 / 19:23 / 2年前
金融政策に4%の賃上げ目標を、物価目標より利点=渡辺・東大教授

ということで同じ話ですが「4%賃上げ」って金融政策の何がどうするとそのようにできるのでしょうかというお話だし、だいたいからして4%の賃上げがサステイナブルに継続するとかこの成熟経済で出来るのかと小一時間で、MB直線一気理論も裸足で逃げ出すお話ではあります。


・・・さてここでその1年前の2015年の説明をブルームバーグさんの検索窓で出てきた記事で確認してみましょう。、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2015-03-27/--i7qwj1ta
【クレジット市場】黒田目標あと2−3年、価格ギャップ鍵−渡辺教授
野沢茂樹、Chikako Mogi
2015年3月27日 9:03 JST 更新日時 2015年3月27日 11:11 JST

『日本銀行の黒田東彦総裁が目指す2%の物価 目標はあと2−3年で達成。消費者物価の実証分析で知られる東京大学大学院の渡辺努教授は、その鍵を本来あるべき水準と高止まりした価格とのギャップ縮小にあるとみている。』(上記URL先2015年3月27日記事より、以下同様)

ということで説明があるのですがそこは飛ばしまして、

『同時に渡辺教授は、価格ギャップは異次元緩和によって「それなり に埋まってきている」とも指摘。消費者物価が上昇する中で「予想インフレ率が持続的に2−3%にアンカーされるには、あと2−3年はかかる」と読む。「金融政策では価格ギャップのほうが需給ギャップより重要」であり、「解消するまで辛抱強く待つしかない」と語る。』

なるほど。ところで直近の説明(一番最初のブルームバーグ記事ですな)だと「価格ギャップ」というユニークな分析についての言及が一言半句とも無いように見受けられますが、「金融政策では価格ギャップのほうが需給ギャップより重要」とまで仰っていたのはどちらに行かれたのでございましょうか??????


・・・でまあ何と申しましても大先生におかれまして白眉なのは黒田日銀の1年前の2012年3月のお話。ちなみにブルームバーグの検索窓でもヘッドラインは出てくるのですが、URL先がリンク切れになっていまして、記事のお題あたりを適当に別の検索エンジンにぶっこむと過去記事のサルベージができましたので貼っておく。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2012-03-29/M1MDTO07SXKX01
日銀の物価上昇1%達成でも真のデフレ脱却と言えず−渡辺努東大教授
日高正裕
2012年3月29日 9:10 JST

>物価上昇1%達成でも真のデフレ脱却と言えず
>物価上昇1%達成でも真のデフレ脱却と言えず
>物価上昇1%達成でも真のデフレ脱却と言えず

そのまえに「日銀の」とありますが(記事にもあるけど)当時は日銀が当面の物価安定の目途というのを出して、「最終的には2%を目標にするけど当面は1%を目指す」ってなのがあった訳でして、日銀ご出身の大先生様はこれを受けて華麗に白川日銀を砲撃しておられた訳ですな、ということで記事を確認。

『東京大学大学院の渡辺努教授はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、真の物価は総務省の消費者物価指数(CPI)前年比上昇率より1ポイント以上低い可能性があるとし、日本銀行が目標として掲げる1%に達しても、デフレから脱していないという事態が起こり得ると述べた。』(上記URL先2012年3月29日記事より、以下同様)

とまあそのように仰せだったのでして、そうなりますと一番最近に仰せになっておられる0%目標に変更すべきというのは敗戦思想をも超越してデフレ容認という事になりますな。おー凄い凄い。

しかしまあこの過去記事を見ると色々と味わいがありますな(めんどいのでごく一部しか引用しないけど)。

『渡辺教授は「1%の根拠は何かをもっと明確にすべきだ。誤差と言っても、私たち以上に踏み込んだ研究をしている例は、私の知る限りない。日銀は何を根拠に、どの数字を見て、どの程度の誤差があるかという説明を一切していない」と語る。』

物価目標を0%に変更する根拠は何かをもっと明確にすべきだ、ということですね!!!!!


・・・・・・・とまあそういうことでして、いやあのすいませんこれはもう岩田木久扇置物大師匠とかなりの好勝負を演ずることができそうですが、ジャパンにおかれましては金融政策に絡んでくるような経済学の学者先生ってのはこういうのしか居ないのかよ!!!!!と泣きたくなる(先般のタカ&トシ大先生の「全然現実を踏まえない計算」にも腰が砕けましたなそういや)訳でございまして、もう情けないったらありゃしないという所ですな。全員がそうだと言っている訳ではないけど、こういうの淘汰のメカニズム働かないのかねと思ってしまいますわ。

いやまあ別に0%の物価目標を提唱して頂いてもそれはそれで1つの主張ですから一向に構わないのですが、学者として偉そうに白川日銀に砲撃を散々加えておきながら、白川日銀時代よりも低い物価目標を良しとするのであれば、「全然効かないことはこの5年で確認できた」とか日銀のせいにするんじゃなくて、自分だってリフレ理論っぽい話をしていたし、政策は効くとか(しかも導入当初ではなく2015年に)言ってたわけですから、まずはその理論のどこに問題があったのかという自己批判と総括をしていただきたいですし、それは無しでいきなり最初の話ということになると、置物大師匠の別バージョンにしか見えないんですよねえ・・・・・・・・・

つーことで、何だかなあというヘッドラインを見つけてしまったのでついついイカって日銀の政策委員とかでもない人に向けて強めに悪態入れてしまいましたな(大汗)。







2018/06/19

お題「債券先物値幅4銭&1兆円割れとな/総裁会見から少々とその他」

ドイツのこれはマジもんの展開になるんでしょうか(全然詳しくない)。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-18/PAHWM86JTSE801
メルケル独首相、連立政権崩壊の危機に直面−移民政策で内相が造反
Brian Parkin、Arne Delfs、Patrick Donahue
2018年6月18日 11:44 JST

『CSU党首のゼーホーファー内相、難民送還を促す措置を要求
首相は6月28、29両日開催のEU首脳会議までに欧州の合意を模索

ドイツの移民政策を巡る危機が今週、重大な局面を迎える。メルケル首相の政治生命を危険にさらすもので、既に欧州全般に波紋を広げている。メルケル首相は17日遅く、キリスト教民主同盟(CDU)の上級幹部とベルリンにある党本部で会談し、ゼーホーファー内相が首相の意向に反して難民を元登録国に送還する措置を求めた件についての対応を協議した。』(上記URL先より)

#地震で鉄筋がちゃんと入っていないコンクリブロック塀が倒れてくるとかそういう話は昭和のころのお話だと思っていたのに・・・・・・・・(涙)


〇債券市場が相変わらずウゴカンチ会長なようでして

絶望した!!
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 18年9月限

2018/06/18 日中取引

150.77(08:45)
150.80(09:22)
150.76(08:49)
150.77(15:02)
0.00(0.00%)
8,742

数字の方は上から順に始値、高値、安値、終値、前日比、売買高でございますが、何ですかこの値幅4銭(しかも前日終値対比で3銭高1銭安で4銭)で売買高8742枚ってどういう事やというこの有様。

いやまあカレントも前場に20年の5糸甘(0.505%)が出合っただけで後場に10年の5糸甘(0.035%)が出合っておりましたなあ位だったと思うのですが、そらまあ先物の日中値幅が5糸無かったら動きようがありませんなあとは思う(なお引けは引けになってた)次第で、材料一巡したら閉店ガラガラにも程があるこの市場でして、輪番とか入札とかそういうものに対してもしばらく前ならそれでも輪番前にこの辺買いあがってとか、入札前にこの辺ヘッジで叩いてとかあったのですが、日銀買入でオフザランの流動性が締めあがってしまっている(カレントも締めあがっていますが)所に来て国債決済T+1になって現物の受渡が忙しくなってレポめんどくなってという辺りでさらに止めを刺したのかどうかはよー知りませんけれども、ただまあウゴカンチ会長になっているのはT+1になってから一段と来てますな感はない訳ではない。

でまあこれが日銀のYCCの大勝利で金利コントロールの賜物とか言っている奴は素人で、こんな市場にしたら将来的に即死するのは日銀であり国債発行している財務省だったりするので、ひいてはそれって国民厚生的に如何なものかという話になるんですけどまあその話はおじいちゃんこの前もしたでしょう朝から毎日同じ話してますよ大丈夫ですかと言われるので止めとく。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1TK27W
2018年6月18日 / 15:20
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が横ばい、長期金利0.035%に小幅上昇

『 <15:10> 国債先物が横ばい、長期金利0.035%に小幅上昇

長期国債先物は横ばいで引けた。中心限月9月限の取引値幅はわずか4銭で、出来高は昨年12月25日以来となる1兆円割れとなった。オペ減額への思惑がくすぶるなか、高値警戒感もあり、ポジションを積極的に傾けることができない投資家が多くなった。米中貿易摩擦を巡る懸念から前週末の米国市場がリスク回避となったが、積極的に材料視されなかった。現物債は閑散。18日午前7時58分ごろ、近畿地方を中心に強い地震があったが、相場への影響はみられなかった。』(上記URL先より)

「オペ減額への思惑がくすぶるなか、高値警戒感もあり、ポジションを積極的に傾けることができない投資家が多くなった」って表現すると割と格好が良いのですが、オペを減額しても唐突感の高かった月初のでは相場動きましたが、先週の中期減額(増額したの戻しただけですが)の時は別の要因だと思いますが寧ろ債券先物が上昇する有様ですし、大体からしてウゴカンチ会長とか思っている(水準としてこれではどうしようもないのでちょっと上がってくれませんかと思っているのはあるでしょうけれども現実を考えれば動かんわなと諦観の巻)ので高値警戒感とかいうような洒落た感じではありませんで、ただのナマコ相場になっているだけなのを綺麗に言い換えると上記のようになるという感じですな、南無南無。

しかし初夏の中銀イベントを通過致しまして、FEDは次やっても9月ですし、ECBは方向性を示しただけに当分何も出てこないし、次の日銀展望レポートは7月末という事になりましたが、さて何をネタに動けば良いのでしょうか・・・・・・・・・


〇総裁記者会見である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180618a.pdf

・冒頭質疑のところから盛大に腰が砕けるのですが・・・・・・・・

実質冒頭の質疑がワロタというか酷いというかおじいちゃんすっかり枯れちゃいましたねというか。

『(問) 物価動向について、直近のCPI等をみると、物価上昇の勢いが弱くなって、伸びが足許落ちている状況にあります。現状の物価認識と、物価上昇に向けたモメンタムはまだ維持されているのか、目標とする 2%はいつ頃到達するとお考えなのか、お願いします。』

モメンタムの話は「維持されている」と答えるのは明白なのですが・・・・・・・・・

『(答) わが国の消費者物価の動向をみると、このところ、いわゆる「除く生鮮食品」、「除く生鮮食品・エネルギー」のいずれも、前年比伸び率が幾分縮小しています。これについては、春先までの円高の動きが耐久消費財等の価格下押し圧力として作用したほか、振れの大きい宿泊料の下落などが影響していると考えられます。』

で?

『もっとも、サービス業を中心に、企業が賃金コストの上昇を販売価格 に反映させる動きもみられており、外食などでは前年比プラス幅が着実に拡大しています。このように、マクロ的な需給ギャップの改善を背景に、企業の価格設定スタンスは積極化する方向にあり、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えています。』

えーっとすいません、4月5月の辺りって年度替わりになって価格改定ってのがジャパンの場合はありがちなお話ですし、そうそうホイホイと変更するとメニュー変更コストもかかりますから年度替わりでメニュー変更というのはよくある話と認識しているのですが、その時期において物価の伸びが鈍化したというのは結構致命的だと思うんですけどねえ・・・・・・・・・

『なお、先行きの物価見通しについては、展望レポートを取りまとめる次回の金融政策決定会合において、改めて、政策委員の間で十分に議論していくことになります。 』

いやいやいやいや、先行きの物価見通しについて毎回点検しているから声明文で先行きの物価見通しに関する文言があるんでしょと思いますし、大体からして金融政策決定会合で点検した結果物価のモメンタムが悪化しているとかになったら追加措置を取るし、それは展望レポートどうのこうのと関係なく毎回がライブミーティングでしょおじいちゃん忘れちゃったのというこのお答え。

もし答えるのであれば、「今回も通常通り先行きの見通しについて点検しましたが、大勢の見解としては特に大きく見通しを変えるような状況ではありませんでした。なお次回の金融政策決定会合では改めて詳細な点検を行い、展望レポートでお示しすることになります」とかいうもんじゃないのと思うが、2%達成時期に関して前回展望レポートで関連文言を引っ込めただけに、黒田総裁というか執行部系の皆さまの気分がすっかり緩んでおられますなあという所です。

でもってまあこの質疑応答を見ますと、昨日ネタにしましたように、提案大芸人の片岡大先生が反対意見の中で今まで言及していた『「物価安定の目標」の達成時期を明記するとともに』という文言を削除したのも、まあMPM全体がそういう感じになっていて、目標時期を明記して早期達成ムッキー!と怒っても暖簾に腕押し糠に釘という状態なので、その空気に押されてしまって別の言い方を考えた、ということなのだろうなあとは想像がつくわけですよ。でもそこは片岡さん「連帯を求めて孤立を恐れず」と突っ張っていただかないと、緩和提案芸と同じくただの反対芸になってしまうだけなので、反対し続けるなら一本筋通して反対して頂かないと、などと片岡さんに思わぬ悪態の飛び火をしてしまいました。


・まあ昔よりは木で鼻をくくった対応成分が下がっているのだがゼロ回答なのはシャーナイナイ

次の質疑。

『(問) 副作用についてお伺いします。先月発表された 2018 年 3 月期の地域金融機関の決算をみると、一部赤字行がでるなど非常に厳しい決算になったかと思います。現行の緩和政策が地域金融機関に与える影響について、総裁の現状認識と、これが今後、金融システム全体に悪影響を及ぼすことがないのかについて、お願いします。 』

まあこれ自体の想定問答的な意味での答えは明らかなんですけどね。

『(答) 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、わが国の長期金利は安定的に推移し、貸出金利も極めて低い水準となっています。これが、貸出利ざやの縮小などを通じて、金融機関の収益力低下につながり得ることは承知しています。また、そうした収益動向が、金融機関の経営体力に及ぼす影響は累積的なものであるため、低金利環境が長期化すれば、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあることにも注意が必要だと考えています。』

本来貸出しがちゃんと伸びるんだったら利鞘減っても量で稼げるんですけどそもそもの利鞘がアレな上に貸出しが本来の意味で伸びているのかというのが更にアレな訳で。

『もっとも、わが国の金融機関は、地域金融機関を含めて、充実した資本基盤と潤沢な流動性を有しています。また、短観などの各種調査をみると、 金融機関の貸出態度は引き続き積極的です。こうした点を踏まえると、現時点で、収益の悪化に伴う金融仲介機能への大きな問題は生じておらず、金融システムの安定性も、しっかりと確保されていると考えています。いずれにしろ、 こうしたことについては引き続き十分に注視していく所存です。』

まあ一応ちったあ丁寧に説明している訳ですけど、「金融機関の貸し出し態度が積極的」なのに資金利ザヤが全然上がらないどころか益々金融機関の収益動向が厳しい、というのはそれはまさに副作用なのではないでしょうか(鼻ホジホジ)。

この次にも同じようなツッコミがありますがめんどいので割愛。


・物価の点検に関しては微妙な言い方をする

『(問) なぜ物価がなかなか上がらないのかという分析を、改めて 2 年前の総括的検証のような形で検証することは考えていらっしゃらないのでしょうか。』

「総括的検証」って言ったら刺激的だからダメでしょ!!!!!(笑)

『(答) このところ消費者物価の前年比伸び率が幾分縮小していることは事実ですが、他方でマクロ的な需給ギャップの改善を背景にして、サービス業などで賃金コストの上昇を販売価格に反映させる動きなどもみられていますので、 2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えています。』

引かれ者の小唄。

『また、現在の「イールドカーブ・コントロール」は、予想物価上昇率が高まるとその分実質金利が低下して金融緩和の効果が強まる、という仕組みも内在していますので、前向きなモメンタムが今後とも持続するよう、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当であると考えています。』

えーっとですね、これこの前も駄文で申し上げましたが、総括的検証を経てYCCを導入した時の説明では(というか今でもそうなのですが)「金利を下げれば下げるだけ効くというものではなくて、金利を下げ過ぎることによる金融面からの副作用も勘案しないといけない」というコンセプトになっている(から超長期の金利などが上がるように買入を調整したし短期のJGBやビルの金利が馬鹿低下しないように運営している)のでありまして、「均衡イールドカーブのようなもの」に対して適正な緩和度合いを保つような名目イールドカーブを維持することによって、物価目標の達成に対して最も適切な緩和政策を行います、というのがYCCの基本コンセプトで、その適切な緩和度合いは現状「長期0%程度」と、当座預金政策金利残高部分への▲10bpの付利(チャージ)な訳ですよ。

となりますと、この「予想物価上昇率が高まるとその分実質金利が低下して金融緩和の効果が強まる、という仕組みも内在しています」というのは昔のQQEでは内在していたかもしれないですが、YCCでは本来内在しないもので、金融緩和度合いをあまり強くし過ぎてはいけないのだから金利調整をしないといけないのですけれども、この説明でずっと通しているのっておかしくねえかと毎回のように突っ込んでおじいちゃんYCCの話はさっきもしたでしょほら朝ごはん食べないと体に悪いですよとか言われそうですのでこの辺で止めておく。

『なお、こういった物価動向と、一方で世界経済が極めて順調に推移しているわりには、物価がなかなか上がっていかないという状況については、従 来から金融政策決定会合の場でも議論し、スタッフも様々な分析を行っていま す。7 月の展望レポートに向けて更に議論を深めていく必要があると考えていますが、「総括的な検証」をもう 1 回やる必要があるとは考えていません。 』

つまり物価の点検はするよという話、スタッフ云々は後程ちょっとだけ触れます。


・ピーターパン云々

まあ何だ、キャッチーな言葉を使って「うまいこと言う」のは滑った時に末代まで語りづがれるから、よほど注意しないといかんということですな。

『(問) 2015 年、3 年前に黒田総裁は、飛べると信じなくなった瞬間に飛べなくなってしまう、とピーターパンを引用して、物価上昇に大変意欲をみせられたと思うのですが、今も同じように物価上昇に自信を持っていらっしゃるのか、黒田総裁だけではなくて、本日の公表文には片岡委員は「2%に向けて上昇率 を高めていく可能性は現時点では低い」と言っているのですが、委員会の中でも物価上昇に対してモメンタム自体に自信を持っていらっしゃるのか、ちょっと自信を失っていらっしゃるのかなという気もするのですが、その辺りについてお聞かせ下さい。 』

片岡さんを捕まえて自信を失っているとするのはちとカワイソス。

『(答) その点は、公表文に示してある通りです。大多数の委員は 2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているとの考えであり、私自身もそう思っています。2%の「物価安定の目標」の実現に向けて最大限の努力を行っていますし、今後とも行うことにも全く変わりありません。 』

でまあ最後の方にツッコミが飛んでまた格好のネタになってしまうのでしたということで記録がてら引用。

『(問) 先程のピーターパン発言に戻るのですが、総裁は 2015 年のスピーチの中で、簡単に言うと、信じればできるということでしょうか、信じれば物価 も上がるということだったと思うのですが、今現時点でもそういったお考えをお持ちでしょうか。それともやはり日本の物価というのはもうちょっと複雑だなというように感じてらっしゃるのでしょうか。 』

もうやめて!!黒田総裁のライフはゼロよ!!!!

『(答) 信ぜよさらば救われん、というつもりもないのですが、信じないのではなかなか物価も上がらないのではないかと思っています。』

・・・・・・・いやはやなんとも。


・優しい助け舟も出ていたりする

これまた最後の方の質疑っすけど。

『(問) 物価が上がりにくい理由について、日本独自の理由についていくらか質疑がありましたけれども、一方でグローバルにみても、ヨーロッパは 2%の 上昇になかなか時間が掛かっていますし、アメリカも足許では 2%ですけれども、去年もイエレン議長がミステリーと言うように少し物価が上がるのに時間が掛かっているという議論もありました。総裁も 5 月末のコンファランスで、 失われたインフレーションという言葉を使っていらっしゃいますけれども、何か先進国で共通した構造的な要因のようなものが働いているのか、もし仮説みたいなものをいくつかお持ちであれば、お考えをお聞かせ頂ければと思います。』

これは優しい助け舟。

『(答) それについては、従来から各国でも随分と議論され、BISの会議などでも議論されています。先程もお話が出ましたが、労働市場について、必ずしも通常の失業率だけでなく、もっと色々な雇用情勢をみていかないとなかなか本当のスラックが分からない、逆にいうと、失業率が示すよりも実はもっとスラックが残っているのではないか、そのために賃金がそれほど上がっていかない、そして物価も失業率が示すほどには上がっていかないという議論があります。』

だったら追加緩和しないといけないような気がしますが・・・・・・・・

『また、国際的な競争が非常に熾烈になっていまして、色々なモノだけでなくサービスについても、ある程度国際的な取引が行われるようになり、中国その他の新興国も国際的なマーケットに参入してきているので、一国だけの事情で賃金や物価が上がるのではなく、もっとグローバルな労働市場や需給ギャップのようなものを考えないといけないのではないかという議論もあります。』

一般物価と個別物価を混同するなとか昔は置物一派が言ってましたが、最近はこれに対抗して「グローバルな需給ギャップ」という新しい理屈があるのか・・・・・・・・・・

『それから、もう 1 つ最近流行っているのが、Eコマースとかインターネットによって、消費者が、地域的に制約されているマーケットの中で財や サービスを購入するのと違い、インターネット上で一国全体、あるいは全世界の価格をみて購入できるということになって、なかなかモノやサービスの価格が上がりにくくなっているのではないかという議論です。』

昔「中国発の価格下落圧力(100円ショップとかを例にして)」という話をすると必ず個別物価と一般物価がという話があったもんんですが、グローバルな需給ギャップってすごい理屈ですが、そうなると世界的に常にデフレ圧力が掛かるはずなのですがそうはなっていないので詭弁、という形で置物一派はかみついていましたが、この辺りに関してジンバブエ先生や置物2世はどうお考えなのでしょうか聞いてみたいですな。

『今申し上げた、労働市場のスラックの問題、グローバリゼーションの問題、そして技術革新の問題は、欧米のみならず日本でも当てはまるところがあるのではないかと思います。 その他にも色々な議論があります。例えば、賃金の下方硬直性があるために、それが上方硬直性にもなるのではないか、つまり企業は、景気が悪い時に賃金をなかなか下げられないと、その結果として景気が良くなってきた時 も賃金をなかなか上げないというか上げられない、という議論があります。ただ、これはどこまで立証されているかよく分かりません。 』

とりあえず助け舟が来たので盛大に乗ってみましたという感じですが、まあ本当は「目標行かなかったら他のせいにしないで責任を取る」じゃなかったんでしたっけねえと思いっきり思うわけで、麿体制に対してありとあらゆる侮蔑の言葉を浴びせかけていたおじいちゃんが言う言い訳じゃねえだろという感は拭えない。


#まあそんな感じで


〇時間が無くなったのでメモだけですが物価が上がらない言い訳の理論的背景シリーズが出てきていますね!!!!!

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j05.htm/
インターネット通販の拡大が物価に与える影響

要旨から引用。

『近年、消費者の購買経路は多様化しており、インターネット通販も拡大している。こうしたインターネット通販の拡大は、競争環境の変化を促しながら、スーパーなど既存の小売企業の価格設定行動にも影響を与えてきたと考えられる。この点について確認するため、わが国の消費と物価のデータを分析すると、インターネット通販の拡大は、既存の小売企業との競合関係が強まっているとみられる財を中心に、わが国の物価下押しに作用してきたことが示唆された。』

>わが国の物価下押しに作用してきたことが示唆された
>わが国の物価下押しに作用してきたことが示唆された
>わが国の物価下押しに作用してきたことが示唆された

ということで本文はこちらです(レビューシリーズなので重くはない)が今日は貼ってみただけで勘弁。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j05.pdf






2016/06/18

お題「MPMレビューを簡単にやるつもりが無駄に長くなってしまいました」

こんなんあります。日銀守備範囲広いっすねえ!
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j03.htm/
新たな事業形態の登場と法制度の対応について:ライドシェア・サービスに関する労働法上の論点を中心に

『要旨

近年、シェアリング・エコノミーと呼ばれる新たな事業形態が急速に発展している。中でも、ライドシェアは、シェアリング・エコノミーの中核を占めており、市場規模が拡大している。これに伴い、欧州や米国では、ライドシェアに従事するドライバーが労働法の適用対象となる「労働者」と位置付けられるのか否かについて活発な議論がなされている。杉浦(2017) [PDF 853KB]では、ライドシェア市場の発展が著しい米国における労働法上の問題に関する議論を紹介している。そのうえで、わが国でライドシェアが普及した場合には、一定範囲で米国における対応が参考になりうるものの、従来の労働者概念の再考の必要性や日米の労働法制全体の枠組みの相違に留意する必要があることを指摘している。』

ということで中身は以下読んでちょということでネタにはしませんけど、日銀のリサーチで法務関係って金融取引に関する物件法絡みの話はちょくちょく見るのですけれども、労働法が出てきたとはこれはこれは。

なお個人的にはウーバーとかエアビーとか既存インフラにタダ乗りした挙句(以下の部分には罵倒文言が大量に含まれるので自主規制)。


〇MPMはどこぞのベンダーのヘッドラインに一瞬慌てたわwww

今回の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180615a.pdf(今回)

前回の声明文と展望レポート基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2018/k180427a.htm/(前回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180427a.pdf

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/(前回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.pdf

「一覧」を見に行った場合、以前はPDF版がリストになっていたのですが、声明文と展望レポート基本的見解については最近はHTML版がリストになっていて、そこのページに行くとPDFはこちらってな感じになっているのですが、HTMLの方がヘコヘコとコピーしやすいので助かる面はある(関連図表とかを見たいときはPDFになりますけど)。

ということで声明文比較は「前回」とあるばあい、通常は展望レポート基本的緩解から取りますけれども、政策提案の部分とかは声明文から引用します。


・現状認識部分に特に変化はないのですが・・・・・・・・・・・

前回比較しているのは展望レポート基本的見解の『1.わが国の経済・物価の現状』です。

『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)

へいへいそうだっか。

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況 感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回)

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回)

そうでしたっけと思いながらも展望レポート基本的見解とここまで全文一致。

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(前回)

緩和しすぎだけどな。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回)

こちらの物価の現状の話なんですが、これは直近のCPIの伸びが下がって1%程度というのは無理があるので0%台後半という表現にしたという代物なのですが、どこぞのベンダーが「日銀、物価の見方を下方修正」とかいうような感じで(細かい表現覚えてない)フラッシュを打つというプレイがあったりしまして、ナンジャソラと思って確認するとどこからどう見てもこの部分しか変更箇所がないので、この部分を指してヘッドラインにしたように見られます。

確かにこちらの声明文で書かれているうち、需要項目に関するようなアセスメントには「評価」成分が入っているので、そこの評価が変わったということになると変化としては意味があるのですけれども、CPIの実数値に関する部分は、実数値に対応した表現を自動的に使うことになっているので、確かに表現は変わっているのですけれども、先行き評価の文言と合わせてみないとここはアセスメントの変化とかそういう話にはならないですし、現実問題としてこの後の部分は変更がないので、この物価の現状数値を捕まえて「下方修正」とヘッドラインを打つのはかなり如何なものかと断ぜざるを得ません。


・先行き見通しも不変

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめ て緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回)

先行きの方の展望レポートは『(1)経済の中心的な見通し』からの引用になります。

『輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(今回)
『輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(前回)

書いてあることは実質的にここまで全文一致ですな。消費者物価に関しては展望レポートの方では『(2)物価の中心的な見通し』からの引用になります。

『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続 け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。』(今回)

『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

今回も「マクロ的な需給ギャップの改善」と「中長期的な予想物価上昇率の高まり」が物価上昇のメカニズム、ということですが、それでは4月5月の物価上昇が期待外れ(市場予想よりも弱め弱めで来ている)となっているのは何ででしょうかねえということで、どうも会見でもツッコミは飛んでいたようですが会見要旨は本日出るのでそちらが出てからということで。


・リスク要因

『リスク要因としては、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、 新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが挙げられる。 』(今回)

『第1に、海外経済の動向である。具体的には、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが考えられる。』(前回)

こちらは展望レポート基本的見解の『(1)経済のリスク要因』の最初の所だけとの比較になるのですが、まあここも変化はなくてそんなもんじゃろというお話。


・最後のお経はまあどうでも良くて・・・・・・・・

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注3)。 』(今回)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注2)。 』(前回)

はいはいお経お経という所ですな。


・提案芸人様が「期限にコミットした物価目標達成」の看板を下ろすという

ということで今回の提案芸人大先生の提案にはなかなかの味わいが感じられますし、木枯らしの吹く秋の夕暮れといった蕭条とした風情を感じる今日この頃(季節と合いませんが^^)。


YCCへの反対理由を確認:

『(注1)賛成(途中割愛)反対:片岡委員。片岡委員は、消費税増税や米国景気後退など 2020年度までのリスク要因を考慮すると、金融緩和を一段と強化することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』(今回)

『(注1)賛成(途中割愛)反対:片岡委員。片岡委員は、消費税増税や米国景気後退など2020年度までのリスク要因を考慮すると、金融緩和を一段と強化することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』(前回)

ということなのですが、これしかしイマイチ分からんのは「じゃあどういう風に金利を持っていくのですか」という政策の具体的手法と、「そうなった時に何で物価が早期に上がるんですか」という政策のメカニズムの説明がよー分からんところでして、まあよく考えてみたらもう暫くしたら金懇があると思うので、そこで片岡大先生渾身の提案芸を示してくれることを手ぐすね引いてじゃなかったすいません勉強させて頂きたいので心の底よりお待ち申し上げております。


追加緩和云々の方を確認:

『(注3)片岡委員は、コミットメントを強化し、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。』(今回)

『(注2)片岡委員は、「物価安定の目標」の達成時期を明記するとともに、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。』(前回)

ここの変化が中々味わいがありまして(注の番号が違うのは物価の見通し文言が前回は展望レポートの方に含まれるためです)、一番ワロタのは今回『「物価安定の目標」の達成時期を明記するとともに』という文言が無くなっておりまして、その代わりに『2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から』という風に言い方が変わっている訳ですな。

これはつまり何を意味するかと申しますと、初代置物によりますリフレ理論は、マネタリーベース直線一気理論もさることながら、期限を定めて達成する、というのが置物大先生の説明で「非常に大事なことです」と言っていた訳でして、まあ皆さん何度も見たかもしれませんが、粘着性悪態の一環という事で岩田木久扇師匠の副総裁就任記者会見から引用致しますと、

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf

『私は、2%のインフレを達成するため、あるいはデフレを脱却するためには、2つの条件が必要だと思っています。1 つは、2%のインフレ目標を大体いつ頃までに責任をもって達成するのかということに日本銀行がコミットするということです。これにコミットすることが、非常に大事なことです。大体いつ頃までに達成するかということについては、主要国の中央銀行は、大体、「中期的」とか「ミディアムターム」という言葉で表現しています。その「ミディアムターム」というのが実際何年くらいなのか、色々な研究者が調べたところ、大体 2 年くらいということになっています。平均すると 2 年くらいでインフレターゲットの中に入っているので、そういう経験から言っているわけです。 2 つ目は、そういう意味で、2 年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、「自分達のせいではない。 他の要因によるものだ」と、あまり言い訳をしないということです。そういう 立場に立っていないと、市場が、その金融政策を信用しないということになってしまいます。市場が金融政策を信用しない状況で、いくら金利を下げたり、 量的緩和をしても、あまり効き目がないというのが私の立場です。』(2013年3月21日岩田副総裁就任記者会見、会見要旨5ページにある岩田副総裁の発言)

達成できなかった時云々は面倒なのでまた引用しましたが(^^)、それは兎も角として、「達成時期に関してコミットすることが非常に大事」な訳ですよ。でまあ初代置物理論によれば2年で2%行かなかったのは言い訳をしたという事になっております。まあそれが全然言い訳になってないという重大な話を1無量大数歩ほと譲って言い訳を認定したとしましても、置物理論によりますと引き続き「達成時期のコミットメント」が非常に大事であることには変わりない筈なんですよね。


とまあそういう事でありますので、今回片岡さんの反対理由から「達成時期の明記」が抜けてしまったのは、遂に日銀リフレ政策委員までもが置物リフレ理論の「非常に大事なこと」を捨て去ってしまった、という事でございまして、落日の置物理論(というかそもそも日の出にもなっていなかったゴミクズカスのウンコ理論ではあるのですけれども)という事なのですが、元々先代置物大先生が「非常に重要なことです」としていた、という点を意識していて敢えて外してきた、というよりは、この片岡提案芸人先生におかれましては、前回の展望レポートにおける2%到達見込み時期文言削除プレイによって、「達成時期の明記」について他の政策委員(そこにはリフレ派が含まれる筈なのですが)が全員知らんがな、という態度を示したので、その空気を読んで軟化したんじゃネーノかという疑惑はだいぶある。

と申しますのも、大先生の提案芸の推移を就任当初から見ると「片岡:何かよくわからないけど緩和しましょう」→「外野:緩和提案中身なしの反対とな」→「片:15年の金利を0.2%未満に引き下げる(ドヤァ)」→「外:まるで市場を理解していない・・・・・・・」→「片:10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げる、でどうだ!」、とまあそんな感じで来ていまして、追加緩和しろというのは継続しているのですが、どうもこう骨太の構想みたいなのがあるように見えないこの変遷っぷりという感じで、意外にどうでも良い所(というか読む必要もないかもしれないところ)で「空気を読んでくる」というひとなんじゃネーノとゆーのもありまして、いやあの空気読むのはそらそれでご随意になのですが、「達成時期への明確なコミットメント」を政策委員会の反対芸人までが捨て去るという事になってしまうと、元々の政策はどうなっているんだと小一時間ですし、当初の政策からなし崩し的にどんどん変質している点についての落とし前というのをつけていただきたいものである、と斯様思うのですけどどうなんでしょうかね。


と達成時期に関する悪態が長くなりましたが、今回もう1つ???????なのは、前回まであった「オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から」という部分でして、このコミットメントって一応MB直線一気理論に少しだけ顔を立てて残してある「MBの量が期待インフレに影響する」という屁理屈もとい理屈に沿ったものでして、このコミットメント自体は残っているのでことさらいう必要は無いのかもしれませんけれども、やはり置物MB直線一気理論の香りを残したオーバーシュート型コミットメントを強化するという文言が外れていくのも味わいが深いですなあ、としみじみと思うのでありました。



#本当はFOMCレビューもしないといけないのですがついうっかりMPMの方で時間を掛けてしまいましたので本日はパスしますが、一つだけ申し上げますと「何か急に今回のFOMC通過したら「利上げサイクルのゴール地点が見えてきた」って雰囲気にがらっと変わってませんか???」ということで(明日以降その話をば)




2018/06/15

お題「ざっくりとECB/しらっと中期輪番減額とな/FRBメモメモ」

中銀ウィーク、あとは肝心のMPMがあるのだがすっかり忘れそうになりますな(−−;

〇ECB利上げは来年の夏以降とな

・ステートメント

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2018/html/ecb.mp180614.en.html
Monetary policy decisions
14 June 2018

『At today’s meeting, which was held in Riga, the Governing Council of the ECB undertook a careful review of the progress towards a sustained adjustment in the path of inflation, also taking into account the latest Eurosystem staff macroeconomic projections, measures of price and wage pressures, and uncertainties surrounding the inflation outlook.』

と前振りまでありまして、前回の
http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2018/html/ecb.mp180426.en.html
Monetary policy decisions
26 April 2018

と比較すると分かると思いますが、最初から書き方が違う。

『Based on this review the Governing Council made the following decisions: 』

『First, as regards non-standard monetary policy measures, the Governing Council will continue to make net purchases under the asset purchase programme (APP) at the current monthly pace of ユーロ30 billion until the end of September 2018. The Governing Council anticipates that, after September 2018, subject to incoming data confirming the Governing Council’s medium-term inflation outlook, the monthly pace of the net asset purchases will be reduced to ユーロ15 billion until the end of December 2018 and that net purchases will then end.』

9月以降の買入について、年末までの買入を月額150億ユーロ分のバランスシート拡大とし、バランスシートの拡大は年末で打ち切りとする、ということですが「今の経済物価見通しに沿って経済が推移した場合に以下のようになると予想する(anticipates)」ってんですから一応逃げは打てるようにはなっていますが、まー誰が見てもこりゃアカンという時以外に反故にするというのはよーやらんでしょうから予告ホームランはしたということになるんでしょ。

『Second, the Governing Council intends to maintain its policy of reinvesting the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time after the end of the net asset purchases, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

償還再投資については、「an extended period of time after the end of the net asset purchases」の間継続することを企図します(intends)、と言っているので、バランスシートのランオフに関してはまだ先でっせというお話ですし、さっきのanticipatesよりは意思が出ているのがチャーミング。


『Third, the Governing Council decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.40% respectively. The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their present levels at least through the summer of 2019 and in any case for as long as necessary to ensure that the evolution of inflation remains aligned with the current expectations of a sustained adjustment path.』

金利に関しては現在の金利(MROが0.00%で預金ファシリティが▲0.40%で貸出ファシリティが+0.25%)の状況を「at least through the summer of 2019」まで続けることを期待する(expects)ってなっていまして、これまた最初のanticipatesとは動詞を変えているのがなんともお洒落。

『Today’s monetary policy decisions maintain the current ample degree of monetary accommodation that will ensure the continued sustained convergence of inflation towards levels that are below, but close to, 2% over the medium term.』

『The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 14:30 CET today.』

とまあこの辺は良いとしまして、年末にバランスシート拡大停止する(償還再投資があるからフローの買入は継続する)のは大方の予想通りとして、金利の部分が「少なくとも来年夏まで利上げしないもんねー」と来たのはちょっとハトだったんじゃないかなあ(とりあえず「当面の間は」みたいな感じで曖昧なままにしておくような感じになるのかと)と。

資産買入に関する所はだいたい予告ホームランだし、再投資に関してはやる気満々として、金利に関する部分は結果的にはそんな感じになるのかも知れない(上にもっと後になる可能性も示している)のですけれども、ただまあこちらは物価情勢によって変わってくる可能性はあるでしょうし、この記述部分を「何となくフォワードガイダンス」みたいに扱って緩和効果を出そうとするんだろうなあ、というのは何となく把握した。


・会見の冒頭説明

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180614.en.html
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Riga, 14 June 2018

今回はフランクフルトではなくてリガでの開催。

『INTRODUCTORY STATEMENT』

『Ladies and gentlemen, the Vice-President and I are very pleased to welcome you to our press conference. I would like to thank Deputy Governor Razmusa for her kind hospitality and express our special gratitude to her staff for the excellent organisation of today’s meeting of the Governing Council. We will now report on the outcome of our meeting.』

これはただの挨拶。

『Since the start of our asset purchase programme (APP) in January 2015, the Governing Council has made net asset purchases under the APP conditional on the extent of progress towards a sustained adjustment in the path of inflation to levels below, but close to, 2% in the medium term. Today, the Governing Council undertook a careful review of the progress made, also taking into account the latest Eurosystem staff macroeconomic projections, measures of price and wage pressures, and uncertainties surrounding the inflation outlook.』

とありますので、まあ今回の決定に関して先々どうなるかという件に関しては、もちろんのこと総合判断って奴になりますけど、「物価動向と賃金動向、および物価見通しに関する不確実性」を一番気にしながら考えていく、ということでしょうなこりゃ。

『As a result of this assessment, the Governing Council concluded that progress towards a sustained adjustment in inflation has been substantial so far. With longer-term inflation expectations well anchored, the underlying strength of the euro area economy and the continuing ample degree of monetary accommodation provide grounds to be confident that the sustained convergence of inflation towards our aim will continue in the period ahead, and will be maintained even after a gradual winding-down of our net asset purchases.』

資産買入拡大を徐々に停止していくものの緩和的な金融環境は今後も必要、という説明をしていて、金融緩和政策の正常化路線に対する前のめり感を全然出さないっすな。まあ元々ドラギのおじちゃんなので出さないのが仕様、と言ってしまえばそれまでなのかも知れませんが、そのあたりのニュアンスはQ&Aを見た方が良いのかも知れませんね。

『Accordingly, the Governing Council today made the following decisions:』

以下の部分はさっきのプレスリリースと同じだが引用だけはしておく。

『First, as regards non-standard monetary policy measures, we will continue to make net purchases under the APP at the current monthly pace of ユーロ30 billion until the end of September 2018. We anticipate that, after September 2018, subject to incoming data confirming our medium-term inflation outlook, we will reduce the monthly pace of the net asset purchases to ユーロ15 billion until the end of December 2018 and then end net purchases.』

『Second, we intend to maintain our policy of reinvesting the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time after the end of our net asset purchases, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

『Third, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged and we expect them to remain at their present levels at least through the summer of 2019 and in any case for as long as necessary to ensure that the evolution of inflation remains aligned with our current expectations of a sustained adjustment path.』

でもって、

『Today’s monetary policy decisions maintain the current ample degree of monetary accommodation that will ensure the continued sustained convergence of inflation towards levels that are below, but close to, 2% over the medium term. Significant monetary policy stimulus is still needed to support the further build-up of domestic price pressures and headline inflation developments over the medium term.』

「Significant monetary policy stimulus is still needed」とハト派な言い方頂きました。

『This support will continue to be provided by the net asset purchases until the end of the year, by the sizeable stock of acquired assets and the associated reinvestments, and by our enhanced forward guidance on the key ECB interest rates.』

>by our enhanced forward guidance on the key ECB interest rates.
>by our enhanced forward guidance on the key ECB interest rates.
>by our enhanced forward guidance on the key ECB interest rates.

ということで、今回の決定における金利に関する書き方は「強化された金利に関するフォワードガイダンス」だそうなのですが、この部分に関しては例のドラギおじちゃんのインチキ成分が入っているというか、タカ派のドイツ辺りとの同床異夢的なものがあると思う。つまり、先ほどの声明文の所でも申し上げましたが、この金利ガイダンスに関しては別にコミットメントではなくて、「現時点での将来の予想」という書き方になっているので、あまりこの部分をフォワードガイダンスヒャッハーと喜んでいると、タカ派のバイトおじさんあたりから「あれはコミットメントではなくてただの予想なのでsubject to changeじゃコノヤロー」とかいうような発言が出てくる、という所までがECBの芸風ではなかろうか、とまあ斯様思うわけです。

『In any event, the Governing Council stands ready to adjust all of its instruments as appropriate to ensure that inflation continues to move towards the Governing Council’s inflation aim in a sustained manner.』

これは「必要があれば必要な対処をします」というだけの話。

『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』

普段ここはスルーしますが、現時点での見通しを確認しておくためにメモメモ。

『Quarterly real GDP growth moderated to 0.4% in the first quarter of 2018, following growth of 0.7% in the previous quarters. This moderation reflects a pull-back from the very high levels of growth in 2017, compounded by an increase in uncertainty and some temporary and supply-side factors at both the domestic and the global level, as well as weaker impetus from external trade. The latest economic indicators and survey results are weaker, but remain consistent with ongoing solid and broad-based economic growth.』

この辺は直近までの経済データのレビュー。

『Our monetary policy measures, which have facilitated the deleveraging process, continue to underpin domestic demand. Private consumption is supported by ongoing employment gains, which, in turn, partly reflect past labour market reforms, and by growing household wealth. Business investment is fostered by the favourable financing conditions, rising corporate profitability and solid demand. Housing investment remains robust. In addition, the broad-based expansion in global demand is expected to continue, thus providing impetus to euro area exports.』

域内における需要項目の説明中(まあ毎度そうなのですが)金融政策の効果による緩和されたファイナンシャルコンディションの寄与を強調するのがドラギクオリティ。

『This assessment is broadly reflected in the June 2018 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area. These projections foresee annual real GDP increasing by 2.1% in 2018, 1.9% in 2019 and 1.7% in 2020. Compared with the March 2018 ECB staff macroeconomic projections, the outlook for real GDP growth has been revised down for 2018 and remains unchanged for 2019 and 2020.』

2018年の見通しを今回若干下げているようですが、実質GDP成長率は今年から順に2.1%、1.9%、1.7%だそうな。

『The risks surrounding the euro area growth outlook remain broadly balanced. Nevertheless, uncertainties related to global factors, including the threat of increased protectionism, have become more prominent. Moreover, the risk of persistent heightened financial market volatility warrants monitoring.』

貿易問題の進展と市場のボラが高まる可能性については要注意だがリスクはバランス。

『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation increased to 1.9% in May 2018, from 1.2% in April. This reflected higher contributions from energy, food and services price inflation. On the basis of current futures prices for oil, annual rates of headline inflation are likely to hover around the current level for the remainder of the year. While measures of underlying inflation remain generally muted, they have been increasing from earlier lows.』

物価の現状に関する話と原油要因の先行き見通しですな。

『Domestic cost pressures are strengthening amid high levels of capacity utilisation, tightening labour markets and rising wages. Uncertainty around the inflation outlook is receding.』

その前の所でエネルギー以外でもサービスと食品の要因での物価上昇に言及していましたが、域内でのコスト上昇圧力が高まっていて、稼働率も上がってきているのでお賃金が上がってくるとみられるので、その結果物価に関して下振れの不透明性はだいぶなくなってきているというような認識にはなっていますな。

『Looking ahead, underlying inflation is expected to pick up towards the end of the year and thereafter to increase gradually over the medium term, supported by our monetary policy measures, the continuing economic expansion, the corresponding absorption of economic slack and rising wage growth.』

ということで・・・・・・・

『This assessment is also broadly reflected in the June 2018 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area, which foresee annual HICP inflation at 1.7% in 2018, 2019 and 2020. Compared with the March 2018 ECB staff macroeconomic projections, the outlook for headline HICP inflation has been revised up notably for 2018 and 2019, mainly reflecting higher oil prices.』

物価見通しは2018年以降1.7%での推移を見込んでいますので、これがある程度の幅をもって上振れまたは下振れてくるようになれば金利引き上げの時期が前後にずれてくるという事になるんじゃないでしょうか。

ということで甚だ簡単ではございますがそんな感じで。


〇中期輪番減額キタコレ

昨日の輪番オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180614.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年6月15日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年6月15日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年6月15日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年6月15日

>国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000

ほほうという所でして、中期輪番減額するなら今週のイベント通過してから(来週再来週にかけて中期輪番あと3回残っている)かなあと思っていたのですが、今回はFED利上げのどさくさに紛れて中期輪番の減額を打ち込むという新プレイに打って出ました。

まーそもそも論としてこの中期輪番って例の1月のあばばばばーの時に何で打ちますねんという感じで中期輪番の増額が行われて、それまで3000だったのを3300にしやがったという経緯があるので、それを元に戻しましたというだけのお話ではあるのですが、このように輪番に関しては増やすのは簡単なのですけれども、減らすとなると一々タイミングを考えたりインパクト出ないようにしないといけない、と来たもんですから、もう指値オペというスーパー飛び道具をホイホイと使えますし市場も飛んでくる覚悟はある(金利が上がった時には、ですけど)のですから、変な増額とかしないで指値でズバッと止めるという方が良いのではないかと。

でまあここで一番間抜けなのは、本日のMPM後の会見で黒田総裁がうっかり誘導尋問に引っ掛かって、今回の減額と絡められてしまうことになるのですが、なんか再任以降の黒田総裁の会見って覇気が感じられなくて、とりあえず想定問答棒読み感が高まっておられますので、オペレーションとか出口とかに関する想定問答をきちんと作りこんでおけば大丈夫なんじゃないですかねえ(てきとう)。

なお市場ちゃんの方ですが、
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1TG2PD
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続伸で引け、長期金利0.040%に小幅低下
2018年6月14日 / 15:11 /

『 <15:06> 国債先物が続伸で引け、長期金利0.040%に小幅低下

国債先物中心限月9月限は前日比15銭高の150円76銭と続伸で引けた。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%の利上げが決定されたことを受けて、米債市場はいったん下落。しかし、売り一巡後に買い戻しが入った流れを引き継いで、円債は買いが先行した。日経平均株価が軟調に推移する中、FOMCを警戒して金利上昇局面を想定していた一部参加者からの買いを巻き込んで、一時150円78銭まで買われた。

日銀は午前、中期・超長期を対象に通告した4本の国債買い入れのうち、「残存3年超5年以下」のオファー額を前回に比べて300億円減らし、3000億円とした。減額は1日の「残存5年超10年以下」に続き、6月に入り2回目。減額は需給ひっ迫に配慮したとみられているが、事前に市場の減額観測が出ていたため、相場への影響は限られた。』(上記URL先より)

ってなもんで、債券強いの別にオペ減額関係ないと思いますが、何故か1日と逆でオペ減額しているのに債券先物は華麗に値幅を取って上昇となっておりますな、ナンジャソラではありますがこれはオペ部隊ニッコリの展開ですが「事前に減額観測」って最近何かオペの日の度に減額がどうのこうのみたいなレポートやらベンダーコメントを見る気がするのだが、ほかに話すことはないのかという感じは大いにありますけど、まあそんなんですから減額観測とかそういう話になるんでしょうかね。

まーこの調子なら月末辺りの長期輪番で4300→4100に減らすとか、どうせなら4000とかに減らして頂きたい訳で、長期と中期の輪番に関しては減ったといってもそもそもが増やした分を減らしただけ(しかも長期はまだ減らし切っていない)というだけなのではよ減らせやというのはある。


〇FEDメモ

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180613.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference Opening Statement June 13, 2018

こちらの方のネタもやらないといけませんが、今回の冒頭ステートメントの最後に

『And finally, as discussed in the minutes of our May meeting, we are making a small technical adjustment in one of our tools for implementing monetary policy. To keep the federal funds rate in the target range, we rely on the rate of interest on excess reserves, or the IOER rate. Up until now, we have set the IOER rate at the top of the target range for the federal funds rate. In recent months, the federal funds rate has moved up toward the IOER rate as short-term interest rates have risen more generally. So to move the federal funds rate closer to the middle of the target range, we are now setting the IOER rate 5 basis points below the upper end of the target range. This minor technical adjustment has no bearing on the appropriate path for the federal funds rate or financial conditions more generally. 』

とありまして、IOERとRRPのコリドアに関して、短期金利がIOERを上回ることが出てきたので、IOERの金利を誘導レンジ上限から5bp下にしたようですな。





2018/06/14

お題「寝起きでFOMC/日銀からペーパーが出ている件をメモメモ」

大差がつくのは想定されていたようですが・・・・・・
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2018/06/14/0900000000AJP20180614000100882.HTML
韓国統一地方選・国会議員補選で与党圧勝 文政権に追い風
2018/06/14 01:43

本日は寝起きのFOMCの他に日銀が怒涛のスタッフペーパー攻撃をしているのでそのメモをFOMCネタの後に投下しておきました。

〇FOMC声明文:ついに1枚紙に収まる声明文へ

まずは声明文

今回
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180613a.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20180613a1.pdf

前回
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180502a.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20180502a1.pdf

小見出しの方でも申し上げましたが、今回の声明文を印刷して「おー」と思ったのは、PDF版の方を印刷した場合に(HTML版の方は知らん)今回の声明文が1枚紙に収まる分量になっていることでして、いや昔はFOMC声明文って基本1枚紙だったのですけれども徐々にふんどしが長くなってきて2枚紙になるの巻だったのですが、中銀文学鑑賞のお作法として「文章が短い方が自信ニキ」(良い方でも悪い方でも見通しに自信がという事なので、「確度が高い」という感じですかね)というのがありますので、ここで1枚にまとめてきたのはまあ普通に今後の政策運営に関しても自信満々ですよというお話なんでしょう。

などと分量だけで話をするのも何なので声明文比較をしましょう。


・第1パラグラフ:現状判断がだいぶ強くなっています

『Information received since the Federal Open Market Committee met in May indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a solid rate.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a moderate rate.』(前回)

もうね、この総括判断部分のところで上がっているのがキタコレになっておりまして、経済の活動はモデレートな拡大からソリッドな拡大に引き上げですわよ奥様。

『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has declined. Recent data suggest that growth of household spending has picked up, while business fixed investment has continued to grow strongly.』(今回)

『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has stayed low. Recent data suggest that growth of household spending moderated from its strong fourth-quarter pace, while business fixed investment continued to grow strongly.』(前回)

この辺でも失業率に再度「低下」の認識を示し、家計の消費支出に関しての判断も引き上げています。

『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy have moved close to 2 percent.』(今回)
『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy have moved close to 2 percent.』(前回)

物価の現状数値に関しては「have moved close to 2 percent」の表現同じ。

『Indicators of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(今回)
『Market-based measures of inflation compensation remain low; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(前回)

インフレ期待に関する表現ですが、「債券市場から見るインフレ期待が依然として低いけどサーベイで見るインフレ期待は全般的に見た場合にあまり変わっていません」という表現だったのが、思いっきりシンプルになってきまして、インフレ期待に関する表現がこうなっているのは地味にデカいかなと思う。

ということで第1パラグラフを見て既におーという感じではある。


・第2パラグラフ:「先行きの政策スタンスの調整」ではなくて「先行きの金利引き上げ」ですかそうですか

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

ここはいつも通り。

『The Committee expects that further gradual increases in the target range for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term.』(今回)

『The Committee expects that, with further gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace in the medium term and labor market conditions will remain strong. Inflation on a 12-month basis is expected to run near the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term.』(前回)

たぶん誰か会見で聞いている(あるいはオープニングリマークで説明しているかもですがそこまでまだ読み切っていない)のではと思うのですが、今回は「さらなる政策金利の引き上げを行うことによって強い労働市場と物価2%のシンメトリックな目標に向けて適切な政策運営と見込む」というような書き方になっていまして、前回まではこの部分が「さらなる政策運営スタンスの調整」という形でしたので、ここは何ぞというのはだいぶある。

この部分の変化をタカ派バイアスかけて読むと、政策スタンスの調整というのは緩和→中立というのを徐々にやっていく、という話ですが、利上げと書いてあるので、将来中立以上に金利を引き上げるという可能性というのをより示唆している、という風にも読めるのですが、まあSEPの方で2020年ではロンガーランよりも高い金利水準になるという見通しを既に出している(今回若干上がったがもとよりそういうのが出ていた訳で)のでそこまでバイアスかけて読む必要はないかも知れません。

なおハト派に読む場合は「symmetric 2 percent objective」に着目して考える訳でして、従来物価上昇がマンデート未達の所だったことを勘案すると、物価が多少上振れしても政策スタンスが急に引き締め的になることはないぜヒャッハーということになるのですが、今申し上げたSEPでの政策金利見通し見ると別にそういう訳でもないということになりますな。

あとね、今回って物価の先行きが云々というのを文言から外していまして、SEPの見通しのメディアンを見ますと(このあとやります)2018年の見通し(日銀と違ってFEDは暦年末値、日銀は会計年度平均値)時点でコアもヘッドラインも引きあがって2%に乗っているからかなとは思いますが、まあそういう辺りにも自信の風格が。

『Risks to the economic outlook appear roughly balanced.』(今回)
『Risks to the economic outlook appear roughly balanced.』(前回)

先行きのリスク認識は「概ねバランス」で同じ。


・第3パラグラフ:利上げのところは数値以外同じ

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 1-3/4 to 2 percent.』(今回)
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1-1/2 to 1-3/4 percent.』(前回)

はいはい利上げ利上げ。

『The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(今回)
『The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(前回)

金融政策スタンスは引き続き緩和的で云々というのは前回と文言一致です。


・第4パラグラフ:ここで文章をザックリ削除している&シンメトリックをここでも入れてきているの巻

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its maximum employment objective and its symmetric 2 percent inflation objective.』(今回)

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation.』(前回)

今回はこのパラグラフ、すなわち先行きの金利水準をどうしていきますかというお話の部分が大きく手が入っていまして、ここってこれまであんまり動かしていない部分だったので、普段動いていないのが動くというのは好事家的に言えば「クララが立った!」みたいな話になるので珍しくこのパラグラフをぶちぶち切りながら確認。

でここですけれども、前のパラグラフには既に入っているのですが、今回このパラグラフにも「symmetric 2 percent inflation objective」ということでシンメトリックを入れて来まして、さっきの2パラの所で申し上げたハト派(正確にはそれ長期的に見たハト派なのかどうかは微妙っすけど)バイアスの方で使った「シンメトリックというのが入っているのは少々の物価上振れを容認」理論を使いますと、インフレ水準目標とかそっちの議論を意識して入れてきている、という可能性も考えようと思えば考えられるところですが、物価上振れ容認の物価水準目標派の方って基本的に将来の金融政策での緩和糊代論で来ているので、実は長期的な目で見ると金利が高くなるという話なので一概にハト派とするのもどうかと思う。

『This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(今回)

『This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(前回)

と、ここまでは同じなのですが、今回はここで文章を切っていまして、前回切られる前にあった文章は何ですねんと申しますと・・・・・・・・・・・・・

『The Committee will carefully monitor actual and expected inflation developments relative to its symmetric inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant further gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.』(前回)

という割と長い部分でして、「物価動向及びインフレ期待の動向を注意深く見る」というのが抜けたのはSEPと合わせてみれば2%達成に自信ニキという話でしょうが、恐らく(市場の講釈と反応を今日は実は全然見ていないのだ、時間がもったいないから^^)その次の文の後半、「the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run」の所を引っこ抜いた辺りは市場が反応するとすれば反応する部分で、ここって「FF金利は暫くの間は中立金利水準とみられる水準よりも低いレベルにとどまることになるでしょう」というのを抜いているので、強めに言ってしまえばガイダンス文言の削除になるんですけど、まあそもそもがここの部分をガイダンスとして読むのはちょっとバイアス入ってますなという感じはしますけど、あえてぶっこ抜いてきたのはほほーという感じです。最後の「将来のパスは状況によって変わります」ってのは本来当たり前の話なのでぶっこ抜いても問題ないちゃあ問題ないのですが、そもそもがこの文言って「オートパイロットで利上げしていくんじゃないか」という思惑を中和するために入れた文言ですので、その裏側をやっているというのはオートパイロットキタコレという読み筋を入れる人がいてもおかしくない。

まあいずれにせよ、この辺のぶっこ抜いた部分って緩和継続的な雰囲気を示す文言ではあったので、そのあたりを外してシンプルにしてきたのは先行き中立金利水準まで利上げしていくというスタンスと、マンデート達成への自信を示したという解釈は出来ると思います。


・第5パラグラフ:全員一致で賛成とな

『Voting for the FOMC monetary policy action were Jerome H. Powell, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Loretta J. Mester; Randal K. Quarles; and John C. Williams.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were Jerome H. Powell, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Loretta J. Mester; Randal K. Quarles; and John C. Williams.』(前回)

ほほう。


〇SEPは声明文のストロングさを中和する穏当な内容になっておると思うのですが

今回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20180613.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20180613.htm

前回3月
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20180321.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20180321.htm

・見通しは全般的に上がっていて2018年の物価は2%キタコレ

声明文の方をああでもないこうでもない書いていたら時間が押してきたので簡単に(大汗)。

メディアンの所だけ見るという手抜きにも程がある見通し確認ですけど。数値は左から2018〜2020とロンガーラン(コアPCEはロンガーランなし)

Change in real GDP
2.8 2.4 2.0 1.8
March projection
2.7 2.4 2.0 1.8

Unemployment rate
3.6 3.5 3.5 4.5
March projection
3.8 3.6 3.6 4.5

とありますように、足元の所を若干上方修正していて、先の所はあんまり変えていません。

PCE inflation
2.1 2.1 2.1 2.0
March projection
1.9 2.0 2.1 2.0

Core PCE inflation4
2.0 2.1 2.1
March projection
1.9 2.1 2.1

とありまして、物価も足元だけ上げているのですが、メディアンが2.1%になるとおーという感じはしますな。ただまあメディアンはメディアンであって、これがビューな訳ではないので要注意。


・政策金利見通しはメディアン動いたけど実質的に見た場合ほぼ動いていない

Memo: Projected appropriate policy path

Federal funds rate
2.4 3.1 3.4 2.9
March projection
2.1 2.9 3.4 2.9

となっているのでメディアンが動いた、という話なのですが、皆様既にご承知の通り、そもそもこのメディアンって1人動くとずれてしまうような状態に前回ありまして、実際のドットプロットを見ましても、

年5回利上げ:1名→1名
年4回利上げ:6名→7名
年3回利上げ:6名→5名
利上げするんじゃねえよこのヴォケ:2名→2名

となっておりまして、単に年3回の人が一人年4回に転んだだけでして、FOMC声明文の自信ニキに比べて別にそんなにがっつり上がっている訳でもない。

2019年に関しても
3.25-3.50:3名→3名
3.00-3.25:2名→4名
2.75-3.00:6名→4名
2.50-2.75:1名→1名
(上下の外れた人は割愛、2.75%ピンポイントの人が前回居たので便宜的に2.75-3.00に入れた)

なのでびっくりするほど上方シフトしている訳ではないですし、ロンガーランに至ってはプロットが前回と全く同じとなっているので、SEPに関しては声明文がやたら強い(ようにアタクシには見える)のをだいぶ中和している感isあるという感じです。

#案の定オープニングステートメントをやる時間は無かった

〇英文が先行して出ていた例の自然利子率レポート登場の巻

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j03.htm/
わが国の自然利子率
―DSGEモデルに基づく水準の計測と決定要因の識別―

ということで『要旨』を引用しておくとですな、

『本稿では、わが国の自然利子率の水準とその決定要因について推計している。具体的には、先行研究において自然利子率の変動に寄与すると考えられている複数の要因について、それぞれの定量的な重要性を計測・比較することに主眼を置いた動学的確率的一般均衡モデルを構築し、1980年から2017年のデータを用いて推計を行った。分析結果は以下の3点である。』

『第1に、わが国の自然利子率は趨勢的な低下傾向にあり、1980年代の約4%の水準から、直近5年間では約0.3%の水準まで低下した。こうした自然利子率の低下の多くは、中立技術の変化に起因するものであった。この間、投資特殊技術や人口動態、需要要因の変化も自然利子率の下押しに寄与していたものの、その定量的な大きさは限定的であった。』

『第2に、将来に亘る自然利子率の予想値についても、趨勢的な低下傾向や、その変動に占める中立技術の重要性が観察された。この結果は、経済主体の間で、自然利子率の変化が一時的なものではなく、持続的なものとして受け止められてきたことを示している。』

『第3に、自然利子率の変動に対する定量的な寄与という観点から決定要因を比較すると、金融仲介活動の機能度の寄与は中立技術に次いで2番目に大きく、とりわけ、1990年代に始まった銀行危機時においては、自然利子率を大きく押し下げていた。こうした結果は、自然利子率の動向を分析する際には、中立技術の推移のみならず、金融仲介活動の機能度についても注視する必要があるということを示唆している。』

とまあそういう話になっているのですが、本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j03.pdf

でもってHTMLの方には脚注があって、

『本稿は、日本銀行ワーキングペーパーシリーズNo.18-E-6「Natural Rate of Interest in Japan -- Measuring its size and identifying drivers based on a DSGE model --」の日本語訳版である。』(ここまでは上記URLのうちHTML版(要旨説明版)から引用しています。

とありますように、英文の方は
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/wp18e06.htm/
Natural Rate of Interest in Japan
-- Measuring its size and identifying drivers based on a DSGE model --
March 14, 2018

ちなみに要旨は上のが英語になっているのでパスしますが、本文は
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18e06.pdf

となっています。


・・・・・・だけではなく、今回はご丁寧にもほどがあるのですが(^^)、

(リサーチラボ)わが国の自然利子率の決定要因
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j02.htm/
わが国の自然利子率の決定要因―DSGEモデルとOGモデルによる接近―
須藤直、岡崎陽介、瀧塚寧孝(日本銀行)

というのが出ていましてとりあえず書いてあることが分からなくても図表を追ってみると、浅学菲才でありますところのアタクシであっても直観的に何となく分かるような作りになっております。

てな訳で途中から引用しますと(以下の部分は直上のURL先になります(リサーチラボ)わが国の自然利子率の決定要因から引用しています)、

『図4では、DSGEモデルで推計された自然利子率と「総括的な検証」で用いた手法により推計された自然利子率を示している。何れの推計値も、1990年代から趨勢的に低下し、2000年代以降0〜1%程度の水準で推移している点は共通している。最近数年については、DSGEモデルやLaubach and Williams (2003)の手法を用いた推計値が0%台後半まで上昇してきている潜在成長率に向けて上向いてきている一方、今久保ほか(2015)の手法やHPフィルターを用いた推計値は、若干のマイナスないしマイナス幅を拡大する方向で推移している。このように推計手法によって、推計値には相応の幅があるが、これらを踏まえて総合的に判断すると、最近の自然利子率は、概ね0%程度の範囲内で推移していると考えられる。』

つーことで、確かこの英文ペーパーが出ていた時は、NK−DSGE型モデルで計算した数値の結論が「1%程度」だった上に、スタッフペーパーなのですが書いているスタッフの所属が調査統計局(経済調査課方面)ではなくて企画局ということもありまして、一部の好事家にキタコレと話題になったという代物なのですが、今回は図4を示すことによって、別に自然利子率の新たな解釈を出して1%とか言い出したんじゃないんですよ!!!!!というのをアピっておられる、という所に味わいがある訳ですな。

でまあそのあとに『図5. DSGEモデルを用いた自然利子率の要因分解』というのがあって、以降が『OGモデルでみた先行きの自然利子率への人口動態要因の影響』という小見出しからの、

『先行きの自然利子率も、技術進歩率や金融仲介活動の機能度をはじめとする経済構造の変化に大きく依存して推移する可能性が高い。これら経済構造の先行きを予測することは容易ではないが、経済構造のうち人口動態については、相対的に予見しやすいと考えられる。わが国の場合、他国と比べて顕著な少子高齢化が今後も進展していくことが確実視されており(図6)、こうした人口動態要因が先行きの自然利子率に及ぼす影響を評価しておく意義は大きい。』

という話なのですが、

『そこで、以下では、OGモデルを用いた自然利子率のシミュレーション結果を紹介する。OGモデルとは、家計の経済行動が年齢ごとに異なることに着目して、年齢が異なる複数の世代を明示的にモデル化したものであり、人口動態の変化とマクロ経済変数の関係性について含意を有することから、社会保障制度の分析などに広く用いられる。ここで紹介する須藤・瀧塚(2018)のモデルは、わが国の家計のライフサイクルをできるだけ再現する形でモデル化された80世代からなる家計部門と、わが国の実際の制度と整合的となるようにモデル化された社会保障部門、政府部門から構成されており、経済全体の人口分布の変化が、自然利子率に与える影響について詳細に分析することができると考えられる。とりわけ、少子高齢化の自然利子率への影響は、理論的には押し上げと押し下げ双方があり得るため(図7)、ネットでみた評価については、こうした精緻なモデルを用いることが必要になる。』

という話になっておりまして、図7の方はHTMLの方を見ていただきたい訳ですが、その結論は、

『図8は、国立社会保障・人口問題研究所による人口動態予測を用いて、先行き2060年までの自然利子率の推移を計算したものである4。ここで、技術進歩率などの経済構造については、直近と同水準で推移するとの想定を置いている。これによれば自然利子率は、今後、2040年代にかけてごく緩やかに低下するものの、0%以下まで落ち込むことはなく、長い目でみれば近年と概ね同水準で推移する。』

ホンマカイナ。

『こうした自然利子率の推移に関して、今後の少子高齢化の進行が如何に作用しているかを明らかにするため、前述の人口問題研究所の推計値に沿って少子高齢化が進展した場合(ベースライン)に加え、出生率と寿命の先行きが2015年時点の値から不変であった場合(仮想的なシミュレーション)についても自然利子率を計算し5、両者の乖離を要因分解したものが図9である。ここからは、人口動態要因はネットでみて自然利子率を押し下げる方向に寄与していること、また、押し下げ寄与の主因は、寿命要因であることが確認できる。これは、長寿化を予想した家計が将来に備えて貯蓄を増加させることで、マクロ経済全体でみた資本ストック量が労働供給量対比で過剰になり、自然利子率が低下するというメカニズムが働いた結果であると考えられる。』

つーことなので、

『もちろん、実際の先行きの自然利子率の動向は、このシミュレーションで一定とした人口動態以外の経済構造の変化にも大きく依存することに改めて留意する必要がある。例えば、技術進歩率の先行きが、図9のシミュレーションで用いた直近時点の値の1.1%から2%に上振れたケースと、逆に0%へ下振れたケースについてシミュレーションを行うと、前者では自然利子率が2%近くまで上昇する一方、後者では自然利子率が明確なマイナスで推移するなど、結果は顕著に変化する(図10)。』

だそうで、結論的には人口動態要因が必ずしも自然利子率の低下に一方的に寄与する訳ではないですよ、という話なのですが、何となく丸め込まれている感isある。

すなわち結論の『おわりに』では、

『本稿では、構造型アプローチを用いてわが国の自然利子率を分析した岡崎・須藤(2018)と須藤・瀧塚(2018)の結果を基に、自然利子率の動向や変動要因、先行きの自然利子率への人口動態要因の影響について整理した。これら構造型アプローチおよび他の手法によるそれぞれ異なる推計結果を総合的に判断すると、わが国の自然利子率は、1990年代から趨勢的に低下し、最近は概ね0%程度の範囲内にあるとみられる。構造型アプローチによれば、趨勢的な低下の主因は、技術進歩率の変化である。また、1990年代半ば以降の銀行危機時や近年など時期によっては、金融仲介活動の機能度も自然利子率の変動に相応に寄与したとみられる。』

『自然利子率は、今後もこれらの要因を含む経済構造の変化に大きく依存して推移すると考えられる。わが国の場合、少子高齢化の一段の進展が確実視されている。こうした人口動態の変化は自然利子率の下押し圧力となるが、自然利子率の水準をはっきりと押し下げるものではないとみられる。』

ということでして、NK−DSGEモデルで計算した1%の話で盛り上がられても困りますんで解説を入れてみましたよ、というのと、人口動態の問題から自然利子率って下がりっぱなしだよねというのには反論しておく、というのは把握しました。

しかしまあ何ですな、自然利子率に関しての図表4とかはまさに仰せの通りではあるのですが、こうやって自然利子率の計測誤差が1%じゃ効かなくありますよ、というような話になると、それは事実としてそうではありますけど、その点を前面に出してしまいますと何が問題なのかって言いますと、YCC政策における誘導水準に関する説明で微妙に困る話になる訳でして、当初の総括的検証およびYCC導入時の説明を振り返りますと、なんとなくフワッとはしていましたけど、非伝統的政策を行う中において、いわゆる中立金利の概念を短期金利だけではなく長期金利にも敷衍し、その一方で副作用なども勘案して考えた場合、中立金利を長期金利まで引っ張ったイールドカーブ(均衡イールドカーブ)に対して「適切な緩和度合い(=金融政策による名目金利の引き下げ度合い)」がイールドカーブのグリッドによって異なってくるのだが、その適切な緩和度合いを達成するような政策を行うことによって物価目標の早期達成に対して最適な政策を行うことができますよ、という話になっている訳ですよ。

もとより中立金利の計測には誤差がある、という話ではあるのですが、それにしても幅が1%超とか言う事になりますと、そもそも論としてYCCという政策運営のコンセプト自体が実務的に使えないんじゃないのとか、そもそも10年0%で置いてる根拠は何なのよ、というようなお話になってきて、結構これYCC政策の説明との整合性をゴリゴリ突っ込まれると(答えは用意していると思うが)難しいと思うの。

いや勿論実際問題としては「とりあえずエイヤ!で金利を置いて誘導してみました」→「経済物価状況という形で出たレスポンスから政策の緩和度合いを判断する」→「緩和が足りないなら金利下げ、やり過ぎなら上げ」という形でのフィードバックループによって金融政策運営をしていく、ということになるのでしょうが、そうなってくるとそもそもYCC政策って従来の金利政策の運営とどこがどう違うの、という話になるし、10年0%の水準も本来は経済物価情勢(主に物価情勢になると思いますが)の進捗度合いを見ながら常に修正をしていくという話になって、今の政策枠組みとイマイチ親和性がない、という事になると思うのですが、その辺を詰められそうになると手を変え品を変え色々な小道具が出てきて何となくその場はスルーしてしまうというのが総括検証以降の動きのような気がするんですよね、いやはや。


ところで、人口動態と自然利子率に関する話は同時に出ているペーパーに

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j04.htm/
人口動態の変化と実質金利の趨勢的な関係
―世代重複モデルに基づく分析―

というのがあって、さっきのリサーチラボの内容の詳しいのが本文
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j04.pdf

にあります。『要旨』の後半では

『一方で、先行き50年間に予想される人口動態の変化については、実質金利を現在の水準から大きく乖離させる程の効果は持たないこともわかった。これは、今後、出生率低下の鈍化と長寿化の頭打ちによって、実質金利への追加的な下押し圧力は弱まるものの、これまでの長寿化に起因する予期的貯蓄は引き続き継続することで、足許までの人口動態要因の影響は残存することによる。国によって時期のずれはあるものの、過去と将来についてのこうした人口動態の変化のパターンは、先進各国で共通に観察されることから、当分析の結果は、今後、他の国々においても、人口動態の変化による実質金利の低下が終息に向かう可能性を示唆している。』(この部分は上記URL2つある中の「要旨」記載(ちなみに本文にも冒頭に要旨はあります)となるHTML先から引用しています)

となっていますな。


#ということでFOMCの方は寝起きですが、後半部分は夜なべをしてザックリと書いております




2018/06/13

お題「金融政策ネタ前の虫干しネタで日銀のスタッフペーパーの鑑賞でも」

まあだいたい国営放送が否定気味のニュアンスで報道したくなるのは分かる。(この内容でラジオニュースやってたが言い方にネガティブ臭が漂っていた)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180613/k10011475721000.html
米国 北朝鮮非核化へ高官レベル協議急ぐ
2018年6月13日 4時52分

『アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と史上初の米朝首脳会談を行い、朝鮮半島の完全な非核化への決意を確認したとする一方、その具体的な行動や検証方法では合意できませんでした。トランプ大統領は今後、北朝鮮と高官レベルで非核化をめぐる協議を急ぎ、成果につなげたい考えです。』(上記URL先より)

ってなっているけど、共同声明の前に「things are going better than expected」とか「(共同声明を)very important document」と言ってみたり、金委員長を「very talented man」と言ってみたりしていたトランプおじさんのコメント(ブルームバーグテレビのヘッドラインによります)を見たらトランプさん的には大成功だぜガハハハハハってなもんでしょうな。

まーこれから時間が掛かるだろうなというのだけは把握したのと、決裂になってドンパチとかいうような事には(将来は知らんが今の所は)ならなくてとりあえずホッと一息、くらいの知見しかアタクシにはないけど。


〇しばらく前に手を付けただけで放置しておりましたので(国債社債買入の効果に関して)

しばらく前に頭のところだけ引用して放置プレイでしたのでまた政策ネタが来る前に。

http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/18-E-04.html
Discussion Paper Series 2018-E-4
The Effects of the Bank of Japan's Corporate and Government Bond Purchases on Credit Spreads

本文はこちら
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/18-E-04.pdf

以下本文の方から鑑賞しますが、何分にもアタクシ頭の出来がアレでございますので、ご興味を持たれた場合は上記URL先にあります本チャンの文章を読んでいただければとは存じます(大汗)。

『1. Introduction 』の3パラグラフ目から参りますが。

・先行研究のご紹介とどうやって分析するのかというお話など

『Studies on U.S. firms’ credit spreads such as Gilchrist and Zakraj?ek (2012), referred to as GZ hereafter, Longstaff, Mithal, and Neis (2005) and Mahanti et al. (2008) show that firm-specific default risk and a vector of bond-specific variables including the liquidity measures of corporate bonds are determinants of credit spreads. In addition to these variables, Nakashima and Saito (2009) argue that economy-wide variables affecting all bonds, for instance, high-powered money, also play an important role in determining credit spreads in Japan.』

『Following these studies, we build a regression model of credit spreads that extends GZ’s model and estimate it using a micro dataset covering 5,614 bonds issued by 383 firms over the period from 1997 to 2016. We regress credit spreads on novel market-wide variables such as the relative scarcity measures of corporate bonds to government bonds and FIs’ risk appetite measures in addition to conventional measures including firms’ default risk.』

つーことで、1997-2016の社債スプレッドを使って分析しているそうなのですが、「国債に対する社債の希少性」というのと「金融機関のリスクアペタイト」っつーのはまあ分からんでもないのですが、「企業のデフォルトリスク」に関してどうやって分析しますねんというのは正直ナンジャソラ的な感はありますけど、そういやこの前だか1つ前だかのFSRでマイナス金利政策ぶっこんでみたら株式市場から観測される金融機関のデフォルトリスクが上がりました、という分析があったわいなと思ってこの先のほうにある説明を見てみたら、どうもそういう理屈で、株式市場からインプライしたものを企業のデフォルトリスクみたいな感じで扱っているっぽい(ように読めた)。

でまあそれはそれで理屈としては分からんでもないのだが、そうなってくると最早それ社債買入関係ないんじゃネーノという感はだいぶしてくる話であって、しかもジャパンの場合はこの間に日銀の株式買入というイベントが発生しているので、そっちの部分も加味して考えなきゃいけないんじゃないの?とは思いましたし、大体からして株式市場って企業のデフォルトリスク云々でプライシングするのは、(あくまでも直感的な話なので全然根拠はないけど)何らかの閾値を超えた時であって、通常はデフォルトリスクまで考えてプライシングせんじゃろという風にも思えるので、まあ「市場が考える個別企業のデフォルトリスク」に株価を入れて、そこから社債のスプレッドの要因分解をするというのは分からんでもないですけれども、なんかそれは違うんじゃないのかなあという感は拭えない。

『Our focus on the market-wide variables is based on the studies on the effects of central bank asset purchases. These studies include D’Amico and King (2013), Greenwood, Hanson, and Liao (2017), Greenwood and Vayanos (2014), He and Krishnamurthy (2013), Krishnamurthy and Vissing-Jorgensen (2011), and Vayanos and Vila (2009). While these lines of studies mainly examine government bond purchases, few studies investigate corporate bond purchases.』

とは言え、そもそも社債買入まで含めた形での金融政策による効果を分析した、という先行研究も少ない(そら買入している所が少ないんだから当たり前だわな)ですわな。

『Vayanos and Vila (2009), D’Amico and King (2013) and Greenwood and Vayanos (2014), using preferred habitat models, show that government bond purchases by the central bank, by reducing the supply of bonds, reduce the yields of bonds with similar maturities (the local supply channel) as well as the entire yield curve (the global supply channel). Greenwood, Hanson, and Liao (2017) develop a theoretical model of preferred habitat investors in multiple asset markets and show that a positive shock to the supply of government bonds increases the yield of government bonds through the local supply channel and the yield of corporate bonds through the global supply channel. Moreover, the response of government bond yields to the shock is greater than that of corporate bond yields. As a result, a positive shock to the supply of government bonds reduces credit spreads. Another important theoretical prediction of the preferred habitat models is that the local supply effect declines as FIs become aggressive toward taking arbitrage opportunities arising from the supply effect. 』

特定期間選好理論モデルを使って分析するそうですけれども、先行研究によりますと国債の買入によって国債の需給に影響を与えて金利が低下すると社債のスプレッド縮小に効く、とか、社債そのものの需給効果や金融機関のリスクアペタイトが活発化すると社債のスプレッドに効く、だそうですが、まあこれは何となく直感的にはそうかなとは思う(単にデフォルトコストをカバーするスプレッドを要求するというだけの話だったら、金利が低くなると金利収入が減る分だけデフォルト食らった分のカバーするのが大変になるからスプレッド拡大とか言いたくなるけど、金利が低いということは利回り追求の動きを強めることになるのでスプレッドは縮小しやすくなる)けど、頭が悪いからよくわからん。


・でもって分析の結果

『As a natural experiment for investigating the multiple markets preferred habitat model, the case of the BOJ’s bond purchases is quite appealing since a notable feature of the BOJ’s corporate bond purchases enables us to identify the effect of the bond purchases on credit spreads. The BOJ’s corporate bond purchases target only bonds with a high credit rating and short-term maturities, while the government bond purchases are not limited to certain maturities.』

『By examining the difference in credit spreads between corporate bonds within and outside the BOJ purchase criteria, we can identify the local supply effect within corporate bond market. Table 1 overviews the BOJ’s corporate bond purchase program and further details of the BOJ’s corporate bond purchase program are shown in Appendix A.』

日銀の社債買入は格付け縛り(原則A格相当以上)と残存期間縛り(1年から3年)があるので、その社債買入の対象の範囲と、それ以外の所で分かれたデータが取れるから分析ができまっせということで、

『In addition to the supply effect within corporate bond market, we provide evidence of the supply effect across corporate and government bond markets. Our empirical results suggest that the BOJ’s corporate bond purchases reduced overall credit spreads by increasing the scarcity of corporate bonds, while the BOJ’s government bond purchases exerted upward pressure on credit spreads by increasing the scarcity of government bonds.』

日銀の社債買入は社債の国債に対する希少性を高める(買うから)ことによってスプレッド縮小効果があります、なお国債買入で社債対比の国債の希少性を高めるというのもあるけど、社債買入の方の効果が大きいとな。

『Moreover, we show that the effect of BOJ bond purchases is larger when FIs are more risk averse.』

さらに金融機関のリスクアペタイトが強くなった時にこの効果が高まるとな。

『Regarding the effect of central bank bond purchases on firms’ default risk and credit spreads, Krishnamurthy and Vissing-Jorgensen (2011) argue that central bank bond purchases change financial market participants’ views on the macro economy and, as a result, improve perceptions regarding firms’ default risk. Consequently, the bond purchases result in reducing credit spreads (the default risk channel).2 』

でまあここから先の話が微妙に唸るのですが、企業のデフォルトリスクに関しては、金融緩和政策によってマクロ経済が強まる(あるいはマクロ経済見通しが強まる)ことによって、その結果として企業のデフォルトリスクに関しても好影響を与えるのでクレジットスプレッド縮小の効果がある、というお話(これは先行研究の紹介ですけど)になっておりまして、いやまあ話としては確かにそうではあるのですが、ここまでくると「そもそも中央銀行の資産買入政策が金融緩和政策として機能するのかどうか」という話になってくると思う訳でして、まあ社債の方はまだ話分かりますけど、国債買入の残高水準がドカンと残っていても、今のFEDみたいにその国債買入を不胎化してしまって金利を引き上げるようなことをする中において、その積みあがった国債残高というのはどのような金融緩和効果があるのか、というようなそもそも論の方に話が行くような気がするのですよ。

つまり、このあたりの話まで中央銀行の資産買入という形で分析する、ということになりますと、資産買入すなわち金融緩和みたいな説明になると思うのですが、それって量的緩和してゼロ金利になっている時ならそらそうかも知れませんが、かならずしもイコールフィッティングしないと思うので、そこまで全部資産買入効果にしてしまうのもどうなのかなという風に直感的には思うのですけれどもアタクシ頭が悪いから分からない。

『Turning to the connection of central bank bond purchases with FIs’ risk appetite and credit spreads, He and Krishnamurthy (2013) examine the risk-taking channel. Their intermediary asset pricing theory implies that central bank bond purchases can ease FIs’ equity capital constraint and eventually increase FIs’ willingness to invest in risky assets.』

これも先行研究の分析の紹介になっているのですが、中央銀行が社債買入を行うと、金融機関の資本制約を緩和することになるのでリスクアペタイトが上がる、という線からの分析も先行研究ではしているとのことなのですが、さすがにそれってどうなのよという感はある。金融機関が資本制約がある時に中央銀行が社債買うからと言ってそれでリスクアペタイトが向上するというのはちょっと違うんじゃないかなあと。

『A theoretical prediction of the theory is that by relaxing FIs’ capital constraint, government and corporate bond purchases reduce credit spreads, especially of particular lower-grade corporate bonds.3』

ただまあそうだという事になっているので国債や社債買入は金融機関のリスクアペタイトを向上させてスプレッド縮小になる、という先行研究の結論になっているようだが、少なくとも前回のサブプライム問題以降の金融機関行動というのを考えるに、国債や社債買入でそこまでの結論を持っていくのってちょっと微妙ではないかと思う。まあ単に市場がビビりになっていて機能不全とか、カウンターパーティーリスクがどうのこうのみたいなので無駄にリスクプレミアムが拡大しているという局面ならそうなのかもしれないけれども、なんかこれはケースバイケースのような気がする(危機対応と平常時の話ってその間にデジタルな遷移があると思うの)。

『We define the risk-taking channel following He and Krishnamurthy (2013) as a channel to transmit corporate and government bond purchases to credit spreads through changes in FIs’ risk appetite. In line with He and Krishnamurthy (2013), GZ and Adrian and Shin (2011) argue that the fluctuations in FIs’ risk appetite are mainly due to constraints faced by the FIs rather than their preferences. 』

とは言いましてもまあ先行研究を参考にして分析しているようでして、

『To clarify a causal link between the BOJ’s bond purchases and credit spreads, we investigate the impact of the bond purchases on the future values of firms’ default risk measure and FIs’ risk appetite measure using univariate forecasting specification employed in GZ.』

『Meanwhile, we can easily quantify the impact of the bond purchases on the relative scarcity of corporate bonds to government bonds based on the total outstanding amount of corporate and government bonds available to the public.』

『By combining the estimated elasticity of credit spreads with respect to firms’ default risk, FIs’ risk appetite and the relative scarcity of corporate bonds with the estimated impact of the bond purchases on three variables, we quantitatively evaluate the effects of the BOJ’s bond purchases on credit spreads.』

『We also decompose the effects into the local and global supply effects, the default risk effect, and the risk-taking effect.』

デフォルトリスクに対する期待値、金融機関のリスクアペタイト、社債の希少性という要因を分析して、買入の効果を計測したそうな。

『Our quantitative assessment focusing on the effects through the local and global supply channels shows that an increase of 10 percent in the BOJ’s government and corporate bond holdings from the averages of these values in 2016 is associated with a change in credit spreads of bonds within the BOJ purchase criteria of -0.6 to 1.5 percent over the subsequent quarter.』

『We use two different specifications for the assessment. The effect estimated using one specification is negative, i.e. -0.6 percent, since the downward pressure by corporate bond purchases is larger than the upward pressure by government bond purchases.』

『Meanwhile, when using the other specification, the total effect is positive, i.e., 1.5 percent, since the effect of corporate bond purchases is smaller than that of government bond purchases. Outside the purchase criteria, credit spreads increase by 2 percent over the same period.』

『The difference of the effects between within and outside the purchase criteria shows that the increase of the relative scarcity of corporate bonds within the criteria for the corporate bond purchases causes the reduction of credit spreads by 0.4 to 2.7 percent. 』

国債買入と社債買入のバランス(買入による希少性はどっちも上がるので)なども考えますと、10%の買入拡大によってスプレッドは0.4-2.7%(ベーシスポイントではないっぽい)下がるそうな。

『We also find that the BOJ’s bond purchases have significantly suppressed credit spreads through the default risk channel and the risk-taking channel. Our simulation exercise of an increase of 10 percent in the BOJ’s government and corporate bond holdings from their averages in 2016 indicates that over the subsequent quarter, the decline in overall credit spreads reaches around 7 percent through the default risk channel and ranges from 2 to 8 percent through the risk-taking channel.』

2016年の残高から10%の買入拡大をすると、その次の四半期くらいにはクレジットスプレッドの縮小は市場のデフォルトリスク推計から見ると7%引き下げて、金融機関のリスクテイク効果から見ると2−8%引き下げるそうな。

『Overall, an increase of 10 percent in the BOJ’s government and corporate bond holdings leads to a decline in credit spreads of around 6 to 14 percent over the subsequent quarter. Of the different effects, the effect through the default risk channel is the largest in terms of reducing credit spreads. 』

つーことで、日銀が国債と社債の買入(残高)を10%拡大すると、次の四半期にクレジットスプレッドを6-14%(BPではない)縮小する効果がある、ということのようでホンマカイナと思うけどそんな結論になっております。

『The remainder of this paper is organized as follows. Section 2 provides our credit spread model and data sources. Section 3 then presents the estimation results of our credit spread regressions. Section 4 shows our empirical results regarding the effects of the BOJ’s corporate and government bond purchases on credit spreads. Section 5 concludes. 』

つーことで以下は分析をどうやっているのかという話になって最後の所でまたまとめがあるのですが、セクション4はほほーと思いながら読んだものの、計算式については頭が悪いのでワカランチ会長ということで飛ばしているので以下はパスということで。


#まあ「何故か英文だけ」分析シリーズって奴ですな


〇その他日銀から出ているペーパーなのですけど

・これまた「英文だけ」ペーパーだがきな臭い物件かどうかはイマイチよくわからん

http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/18-E-05.html
A Survey-based Shadow Rate and Unconventional Monetary Policy Effects

『Many studies estimate a shadow interest rate, which can be negative when the short-term rate is at the effective lower bound, and use it as the monetary policy indicator. This study proposes a novel method to estimate the shadow rate using survey forecasts of macroeconomic variables and allowing the shadow rate to be negative even when the short-term rate is positive. The estimated U.S. shadow rate remained negative in 2015-17, when the Federal Reserve continued to hike its policy rate but kept its holdings of assets at sizable levels. The shadow spread, which is defined as the shadow rate minus the short-term rate, is negatively correlated with the Federal Reserve's holdings of assets, particularly mortgage-backed securities. The impact of the unconventional monetary policy on inflation was 0.5 percentage points at its peak.』

実質金利とかではなくてシャドウレートだそうで、うーんこの話はと思うがちゃんと読んでないのでよくわからん、きな臭いものなのかどうかの判断はつきかねる。

本文はこちら
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/18-E-05.pdf


・これはなかなかの判じ物

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j05.htm/
「分からない」という回答から分かること?
―短観「物価見通し」における無回答バイアス―

『本稿は、短観の「物価見通し」における「分からない」という回答の中から、真の意味では「分かる」と推察される回答を機械学習の手法を用いて識別する。』

ナンジャソラ(なお本文読むと説明がありますので本文を読んでちょ)。

『そのうえで、真の意味では「分かる」と識別された企業について、何らかの理由で回答されなかった反実仮想的な「物価見通し」を推定する。そして、その推定結果にもとづいて、無回答バイアスの大きさを評価する。』

ほほう。

『分析の結果として、次の四点を指摘することができる。第一に、真の意味では「分かる」が、何らかの理由で「分からない」と回答した企業は、きわめて少ない。第二に、真の意味では「分かる」と識別された企業は、真の意味でも「分からない」と識別された企業に比べて、相対的に企業規模が小さく非製造業に多い。第三に、真の意味では「分かる」と識別された企業の反実仮想的な「物価見通し」は、公表集計値と統計的に有意に異ならない。第四に、以上を踏まえると、短観の「物価見通し」の無回答バイアスは、統計的には無視できる。』

無回答が多いのは無視可能というのが結論なのですが、その間の分析がオモロイっちゃあオモロイし、なんちゅうかこれは味わいがあるわ(別にけなしている訳ではないので念のため)と思いました。

ということで本文はこちら。ネタにしたかったが読み込み不足なのでパス。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j05.pdf



2018/06/12

お題「材料ウィークを前に虫干しネタとか雑談ネタで」

昨日の債券先物もまーた日中値幅一桁だわ2、5、10のカレントは出合いがないわでして、日中値幅10銭以上ついたの今月って1回(輪番減額)か2回くらいだったような気がする次第なので虫干しネタと雑談ネタ。


〇久々にタカ&トシ先生のありがたい言説を見たら頭が痛くなった件について

いやね、この前の置物大師匠の妄言でも見て闘志でも燃やそうかと思ったら例の連載の最近号バージョンで「2%目標行くんだからそれに向けたポートを作れ」と言うだけ言って後はコロンビア大学にスタコラ行かれた大先生のコーナーになっていたんですよ。

https://www.weekly-economist.com/20180619bojexit/
19日 6月 2018
逆ザヤはかじ取りで抑えられる=伊藤隆敏 [出口の迷路] 金融政策を問う(35)

『出口の金利を上げれば、保有国籍の金利収入と超過準備への利払いが逆ザヤとなる。四つのシナリオで損益を推計した。』

おお!タカ&トシ先生!!と思った訳ですが、何せ最近あまりにも面白くないのでモーサテそのものを見なくなっているこのアタクシ(別に為替とNY引けだけならNHKのAMラジオニュースでもわかるので大きく動いた時に一応チェックするくらいでございますがな)と致しましてはタカ&トシ先生お久しぶりなのですけど。

でまあ先生は基本どマクロ屋さんだと理解しているので、あんまり金融政策の細かい話は苦手だと思うのですが、ちょっと前の記憶によりますとモーサテ辺りにも米国金融政策の専門家みたいな顔をしてご登場しておられまして、金融政策にお詳しい方というカテゴリーに最近は入れられているのかどうか知らんけど、まあこんなお話をするだけにどういう分析でお題のような結論になっておられるかを見たわけですが・・・・・・・・・・・

・いやあのすいませんそもそもの現状認識大丈夫かと

ということで冒頭の方を見ますとですね、

『日銀は2016年9月に「イールドカーブ・コントロール」(長短金利操作)を導入して以来、2年近くにわたって金融政策を変更していない。一方には、できるだけ早く2%のインフレ目標の達成を目指すべきだという意見(リフレ派)の人たちがいて、他方には低金利と緩和の長期化に伴う「副作用」に留意すべきだという意見(出口派)の人が、日銀審議委員にも、有識者にも存在する。その間で動きづらくなっている。』

何かのっけから言っていることの意味が分からんのですが、2%を早期に達成できれば何も問題は無くて、問題なのはリフレとか出口とかいう問題の前に2%をどうやって達成するのかというお話なんですが、まあ出口の逆ザヤシミュレーションをするって話のマクラなんでしょと思うが、どうもこうよくわかってないなと思うのはその次。

『「副作用」には大きく二つが挙げられており、出口派も一枚岩ではない。第一の副作用は、金融機関の経営悪化である。第二の副作用は、実際に出口に向かって金利を引き上げ始めた時に起きる日銀の「損失」の問題である。』

そもそも「出口」というのは2%の物価達成あるいは物価達成が展望出来るときの話であって、副作用があるから出口というのが既に話がおかしくて、副作用があるから今の緩和政策をもっとマイルドにしろ、というだけの話なのに、ジャーナリスティックに出口というと面白いからという理由で出口というのがおかしいのだが学者先生がそういう使い方するかねとは思う。

まあそこはスルーしたとして次の説明が既にダメ。

『日銀の損失という時には、保有国債の「評価損」の問題と、主に国債から構成される資産の受取利子と、主に超過準備からなる負債への支払利子の「逆ザヤ」の問題を峻別(しゅんべつ)して議論する必要がある。』

それはまだいいのだが。

『前者の評価損は、低いクーポンレート(表面金利)の国債を大量に購入してきたことから、今後、市場金利が上昇する時に生じると予測される。しかし、日銀は国債を満期まで保有できるので、評価損が実現損になる(評価損の国債をあえて売却する)可能性はほぼ皆無である。会計上、評価損を計上する必要もない。評価損の問題は無意味なので、議論の対象から外す。』

そもそもクーポンレートじゃなくて「購入時利回り」なんですがとツッコミをしたくなりますが、まあどマクロの学者先生だから勘弁してもいいけど、この先生大昔には日銀副総裁にノミネートされるということもあった位なのですから、せめて「クーポンと利回り」とか、個人向け国債が出来る前における国債窓販の窓口担当者の基本のキ位知っててよと情けなくなってきますな。

でもって頭がクラクラするのは「日銀は国債を満期まで保有できるので、評価損が実現損になる(評価損の国債をあえて売却する)可能性はほぼ皆無である。」という所でして、もちろん基本はそうなんですが、そもそも論として「日銀保有国債の赤字」が問題になるのって何でおきますかという話を考えた場合、インフレが高進した場合に超過準備を急速に回収しないと行けなくなる、という事態に立ち至る訳でして、その際に保有国債を売却して超過準備を急速に回収しようとすると日銀が大きな損失を出すことになるから超過準備吸収できねえだろ、となってインフレ高進ウギャーとなってシマウマ。というのが問題なので、いきなり「皆無」とか言い出すのは何ぼ何でも話が乱暴。

まあ先生が出しているシミュレーションでインフレ高進シナリオが無いのでそもそもそれを考えていないだけ、と言ってしまえばそれまでなのですが、全く問題にしなくて良い、という話ではないということになります。

でもってこの日銀の損失ってのは結局のところ統合政府の財政問題と絡んでくるのでありまして、別にまあインフレが高進しないとか、財政懸念が生じないとかいうような状態で日銀が赤字を出しても長期的にはシニョレッジで回収できるから別に知らんがなと言っておけば良いのですけれども、問題なのは先ほどのように「インフレが高進してきたときに赤字をドカンと顕在化させてインフレ止めることが出来るのか」というインフレコントロールへの懸念とか、「統合政府がこんなに真っ赤っ赤で日本財政大丈夫か」となって円安大爆発したときにやはりインフレをどうするのか、というような大概にろくでもない時に問題になるのであって、別に今の米国みたいに出口になっていって、それがサステイナブルに続く(とは言え10年スパンでサステイナブルである必要があるけど)ならば期間収益が少々赤字ろうが知らんがなだし問題にもならんでしょ、というお話な訳ですがな。

・・・・・・などと思いながら、そのちょっと先のシミュレーションを見たら物凄い勢いで絶望した!!!


・とても世界に著名な学者様の分析とは思えないシミュレーションなのですがこれは

ということで『◇物価1%で金利引き上げと仮定』という小見出しを見るのですが、そこには衝撃の記述がございます。

『まず、次のような仮定を置く。19年3月までにインフレ率1%を達成し、金利引き上げを開始する。マイナス金利を解消し、19年度は政策金利(コールレート)を0%とする。長期金利は0・1%に引き上げる。』

誠に申し訳ございませんが何をどうすると来年の3月にインフレ率1%を達成するのかがよく分かりませんし、マイナス金利解除した時の10年金利0.1%ってどう見ても無理なんでございますが・・・・・・・・・・・・

『18年度の購入額は30兆円、19年度は新規購入額をゼロとし、償還国債はすべて再投資する。』

あのーすいません、今年度の購入額なんですが既に30兆円を超えているんですけれども・・・・・・・・

『計算を簡単にするため、保有する長期国債はすべて固定金利10年国債で、満期までの残存期間構造は、1年から10年まで均等と仮定する。』

えーっとすいません、今日銀が保有している長期国債については毎月3回銘柄別の残高を出しておりまして、大変に恐縮なのですが20年とか30年とか40年の国債も保有していますし、そういうの全部日銀が公表していますし、そういう数字は別に経済学の学士すら持っておりません不肖このアタクシでも取れるんですが・・・・・・・・・


ということで、以下の文章は読む価値が1ミリもないのでネタにしませんが、よくもまあこんなのを恥ずかしげもなく出すわなと思いますし、大先生のところに助手なり学生なり居ないのか(居ないのかもしれませんね)チェックできねえのかよと思いますし、大体からしてエコノミスト誌も何ぼ何でも「大変恐縮ですが先生、今の日銀の保有国債はもっと長い年限の物もございますので実際の日銀のポートフォリオにあわせてシミュレーションを作り直していただけませんでしょうか」と示唆して差し上げろと思うわけですよ。

でまあ著者紹介の最後の所を見たら『著書に『インフレ目標と金融政策』など。』とかあるのが更に泣ける訳でして、もしかしてこの大先生は机上の空論にすらなり得ない脳内妄想で一時は年金資金の投資に対してご意見をしておられたのかと思いますとちょっと物凄い勢いで情けなくなってくるのですが、ニッポン大丈夫かと小一時間。


もしやエコノミスト誌さんの方では前回の初代置物師匠の妄言もそうなのですが、もしかして馬鹿の晒し上げを目的としてこのコーナーを作っておられるのかと思いましたが、バックナンバーを見ますとそういう訳でもなさそうなので、真面目な話だとアクセス狙えないから炎上商法に来たのではないかとマジで疑ってしまうのでありました。

・・・・・・・いやさすがにここまでくると血圧上がるよりも寒気のほうがしてくるわ。

#ということで置物師匠の世迷い言をネタにするつもりが思わぬ釣果だったのでそっちをネタにしてしまいました(置物のは何で辞任しなかったのかという見苦しい言い訳部分)


〇実は今年の調節年報はマニア分析の解説が勉強になるという話の続き(だいぶ飛びましたが)
だいぶ飛んでしまってすいませんすいません。

紹介ページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/ron180528a.htm/
本文
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/data/ron180528a1.pdf
概要
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/data/ron180528a2.pdf

例によって本文をネタにしますが、今回の調節年報は債券市場の流動性とかのように突かれると困る部分に関してはお手盛り大本営発表感満載のアレ感が漂いますが、短期の方に関してはそのような配慮をするような余地がないほど市場が死んでしまってますし、まあ元々短期の方は日銀が翌日物をコントロールする、という意味で統制市場の面があるので、ただのマイナス金利の押し付け合いであっても取引が動けば市場じゃん位の割り切りからか、市場流動性とか市場機能とかの話をしなくて済む、というのがありまして、そんな訳で今の市場の構造解説みたいなののオンパレードになっていて、これは中々勉強になるという感じです。

#まあ問題なのはこの内容勉強しても使い場所がないことなんですけど


とまあそういう訳で分析シリーズの虫干しになりますが、ここからは本文記載事項を引用しながら鑑賞します。


・金利平価あるいはカバー為替の基本的な確認

本文20ページの『BOX4 為替スワップ市場の円転コストが国庫短期証券の利回りに与える影響』は短国なので債券市場といえば債券市場ですけどまずはそこ。

『国庫短期証券(以下、本 BOXでは「短国」)に対する海外投資家の需要は、本文で指摘したとおり、@金利水準にかかわらず一定程度存在する需要(海外中央銀行等による外貨準備の運用需要)と、Aドル投円転コストを加味した利回り妙味に応じて変動する需要がある。』

さいですな。

『ここで、Aの利回り妙味について整理すると、例えばドル保有者は、ドルを米国T-Bill に投資することで得られる利回りと、為替スワップ市場等でドルを円に交換し、そこで得た円を本邦短国に投資することで得られる利回りを比較し、後者が上回る場合に本邦短国投資を行うものと考えられる(BOX 図表 4-1)。』

金利平価とかカバー為替とか言われるものの基本。図表はURL先を見てちょ。

『ドル保有者からみた利回り妙味を式で表すと、次のとおりとなる。』

『利回り妙味 =(ドル LIBOR−米国 T-Bill 利回り)+ドル調達プレミアム −(円 LIBOR−本邦短国利回り)
= ドル TED スプレッド+ドル調達プレミアム−円 TED スプレッド 』

TEDスプレッドとか断りなしに書いちゃう辺りが読者層を考えているちゃあ考えているのでチャーミング。

『すなわち、ドル保有者は、その時々の「ドル TED スプレッド+ドル調達プレミアム」の水準を眺め、一定程度の利回り妙味を確保できるよう、円 TED スプレッドの目線(円 LIBOR が概ねゼロ%程度で推移している現状では、概ね本邦短国利回りの目線と一致する)を定めることになる。こうした観点から、ここ数年の利回り妙味の推移を確認すると(BOX 図表 4-2)、』

でもって図表は例によって貼れないので見てください。

『 2016 年度は、米国 MMF 規制改革の本格施行を10 月に控えて、米国プライム MMF の資金運用残高が減少し、ドル資金の需給タイト化に対する市場参加者の警戒感が高まり、「ドル TED スプレッド+ドル調達プレミアム」が拡大したことから、ドル保有者からみた本邦短国投資の利回り妙味が恒常的に高い状況にあった。』

『このため、日本銀行が多額の短国買入れを続け、短国利回りが深めのマイナスレートで推移する中にあっても、海外投資家は積極的に本邦短国投資を行った。』

という話になっているのだがそこは他の要因無かったかという気がするんだが。

『他方、2017 年度は、「ドル TED スプレッド+ドル調達プレミアム」が前年度に比べて縮小した状態が続いたことから、海外投資家は本邦短国投資にかかるレート目線を引き上げた。このため、日本銀行による短国保有残高の減少と相まって、短国利回りに上昇圧力がかかる場面がみられた。このように、海外投資家は、2017 年度中、利回り妙味を確保するために、短国利回りを一段と意識して本邦短国投資を行ったとみられることから、「ドル TED スプレッド+ドル調達プレミアム」と短国利回りの相関関係も前年度に比べて強まっている(BOX 図表 4-3)。』

という分析になっております。


・MB目標が実質無くなっているのにどうやってマクロ加算比率を調整しているのかというマニアネタ

本文34ページに『BOX6 基準比率の見直しプロセスと 2017 年度における見直しの背景 』というのがあります。

元々マクロ加算比率は「だいたいマイナス金利適用残高がマクロ的に10兆円程度になるように調整する」ということで始まりまして、最初はMBの拡大ペースが目標になっていたから調整もわかりやすかったのですけれども、最近はMB目標が実質的になくなっている(オーバーシュート型コミットメントだけは残っているけど)のでどうやって計算するんじゃろ、というのはあった訳ですが、その説明というマニアしか興味のないネタである。まあ今の当座預金3層構造やっているときには重要な話なのですが、普通の金融政策やっている時には使いようの無い精緻なノウハウというのがなんともチャーミング。

『本文で述べたとおり、日本銀行は、当座預金残高のマクロ的な増加に応じて、原則として3か月に1回、基準比率の見直しを行うことで、ゼロ金利を適用するマクロ加算残高を定期的に増加させ、「完全裁定後の政策金利残高」が一定の範囲内で推移するようにしている。ここで、あらためて基準比率の見直しの具体的なプロセスを説明すると、以下のとおりである。』

ほうほうそれでそれで??

『(1)日銀当座預金の増減に外生的な影響を与える銀行券要因および財政等要因の先行きの動きを、季節性や特殊要因を含めてできるだけ精緻に予想するとともに、先行きの金融市場調節運営を勘案し、当座預金残高の見通しを作成する。』

>先行きの金融市場調節運営を勘案し
>先行きの金融市場調節運営を勘案し
>先行きの金融市場調節運営を勘案し

これは(^^)。

『(2)貸出支援基金等の平均残高やMRF特則の適用対象預金残高の変動を予想し、マクロ加算残高のうち、マクロ加算額(すなわち、基準平残×基準比率)以外の部分の見通しを作成する。』

>貸出支援基金等の平均残高やMRF特則の適用対象預金残高の変動を予想し
>貸出支援基金等の平均残高やMRF特則の適用対象預金残高の変動を予想し
>貸出支援基金等の平均残高やMRF特則の適用対象預金残高の変動を予想し

貸出支援基金はヒアリングすれば読めるでしょうがMRF特則って受動的に動く(とは言えまあ全体のマックスが10兆程度なのでそこまで激しく影響はしないとと思うけど)ものなのにどう予想するのでしょうか(^^)。

『(3)上記(1)、(2)の見通しを基に、 「完全裁定後の政策金利残高」が概ね 10兆円程度となるよう、マクロ加算額(ひいては基準比率)を設定する。』

とりあえず変態(褒めている)がやっているという事は把握した。

『日本銀行が大規模な資産買入れを通じた資金供給を続けるもとで、日銀当座預金残高は趨勢的に増加している。従って、基準比率も、趨勢的に引き上げられてきている(BOX 図表 6-1)。』

そらそうよ。

『もっとも、引き上げの幅やタイミングについては、@銀行券要因や財政等要因の季節性等の影響から日銀当座預金の増加ペースには振れがあること(BOX 図表 6-2)、 A貸出支援基金等の平均残高などの、マクロ加算残高のうちマクロ加算額以外の部分の増減は区々であること(BOX 図表 6-3)、などから、必ずしも一定にはならない。』

さいですな。

『例えば、2017 年 12 月〜2018 年2月積み期間については、財政等要因や銀行券要因が季節的に当座預金残高を下押す方向で作用しやすいことに加えて、2017 年 12月は、国債の対民償還額が前年に比べて大幅に減少することもあって、当座預金残高が前3積み期間からほとんど増加しないと予想されたため、基準比率を前3積み期間から据え置きとした。』

『なお、2018 年3〜5月積み期間については、4月中旬までに公共事業費や地方交付税交付金等の支払いが重なり、3月積み期間から4月積み期間にかけて、当座預金残高が大きく増加すると予想されたため、「完全裁定後の政策金利残高」が積み期間毎にあまり大きく変動しないよう、3月積み期間と4〜5月積み期間で異なる基準比率を設定することとした(基準比率:3月積み期間 23.5%→4〜5月積み期間 27.0%)。』

どう見ても変態です本当にありがとうございました(褒めている)。

#ええまあただのマニアネタなのですが、マニアのマニアっぷり(仕事だから仕方ないけど)に敬意を表して紹介するのでありました


2018/06/11

お題「金融庁長官と財務次官人事とな/物価が上がらない理由の点検??/社債買入オペ雑考」

これは接戦。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180610/k10011471741000.html
新潟県知事選 自民・公明支援の花角氏が初当選
2018年6月11日 5時00分

『新潟県知事選挙の結果です。

▼花角英世(無所属・新)当選、54万6670票
▼池田千賀子(無所属・新)50万9568票
▼安中聡(無所属・新)4万5628票』(上記URL先より)


〇二つのトップ人事(メモメモ)

週末にこんなのがあったので備忘代わりにメモメモ。

・金融庁長官に遠藤局長とな

何故か河北新報から(理由は後程)
https://www.kahoku.co.jp/naigainews/201806/2018061001001776.html
金融庁長官に遠藤俊英氏が就任へ 森信親氏は就任3年で交代
2018年06月10日日曜日

『政府が、金融庁の森信親長官(61)が退任し、後任に遠藤俊英監督局長(59)を昇格させる人事を固めたことが10日、分かった。』(上記URL先より)

共同からの転電になりますので元記事は共同なんですけど、最近「this.kiji.is」のサイトに行くとサイトの運営会社の規約に同意して情報取得に同意しろ云々のポップアップが出てきて正直甚だうざいので共同のニュースは内容を見に行くと基本は「this.kiji.is」のページに内容がある、となっているので共同から転電してる
であろう地方紙を見に行くようにしております。

なお共同の元記事はこちらです(直リンしないよ)
https://this.kiji.is/378484597480359009

まー物凄く偉い人の事なのでアタクシのような下々の者としてはよー知らんのではありますが、変な理想を振りかざしてマシンガン振り回すような方ではないのではなかろうか、というような下馬評になっておられるようでございますので、強力な監督権限を持っている官庁のトップの方には適任なんじゃないかな、と思います。

そらまあ大きく何かを変えないといけないような非常時の場合、何らかの理想形を持ってそれに対して突き進むことによって状況が劇的に改善することができる、というようなステージも局面によってはあるのかも知れませんが、だいたい理想論で突き進もうとしましても、当初その論は一定の意味があったとしても、(万機公論系ではなく、という意味の)上からの改革という場合、権力を持っているものが改革を行うことになるので、チェック機能が働かないことになりますし、そうなってくると人間のやることなのでどこかで理想が変にこじらせていくことになりがちで、そうなると始まった時の当初の理想は時間の経過とともに何だか全然違う話になって美しい理想のはずがアカンヤツになる、というようなことは歴史のあちこちで発生したお話だと思うのですよね。

中野正剛の戦時宰相論じゃないですが、「誠忠に謹慎に廉潔に、しかして気宇広大」な「強い」金融行政(いや金融庁長官は宰相でも何でもないですけど)を期待したいですな。

・・・・・・・なおここ大事なのですけれども、いま持ち出した理想で云々という話に関してはあくまでも一般論、あくまでも一般論でありまして、特定の方や組織を指して何かを申し上げている訳ではなく、あくまでも一般論を申し上げておりますので誤解のないようにお願い申し上げます。


・財務次官に浅川財務官とな

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31584560Z00C18A6MM8000/
財務次官に浅川財務官 財務相が方針
経済 2018/6/10 2:00日本経済新聞 電子版

『麻生太郎財務相は9日、空席となっている財務次官に浅川雅嗣財務官(60)を充てる方針を固めた。次官級ポストで国際業務を指揮する財務官からの登用は異例。学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんなど不祥事で揺らぐ組織の立て直しを急ぐ。首相官邸の人事検討会議を経て発令する。』(上記URL先より)

経緯が経緯だけにしょうがないのでしょうが財務官からの横滑りとなという感じですけど、これで黒田さんの後任の日銀総裁も浅川さんっつーことでどうでしょうか(^^)。


〇金曜はこんなのが出ていましたが市場は無慈悲に無反応

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31502100X00C18A6EA1000/
日銀、上がらぬ物価を再点検 6・7月会合、見通し引き下げ検討
2018/6/8付日本経済新聞 朝刊

『日銀は6月と7月の金融政策決定会合で、物価の動向を集中的に点検する。値上げの動きが乏しく、企業が価格を見直すことが多い4月も物価の伸びが鈍っていたためだ。従来はデフレ心理と賃金の弱さから物価が上がりにくいとみていたが、構造的な問題も含め、他に押し下げの要因がないかを分析する。2018年度以降の物価見通しの引き下げも検討するが、現行の金融緩和策は粘り強く続ける方向だ。』(上記URL先より)

以下の部分は有料会員用のページか金曜の日経本紙を見てちょという話になりますのですが、一瞬「総括検証第2弾でもやるのか」とか「物価が行かないことを前提に政策枠組みを長期戦向け、つまりマイナス金利とか過度なYCCは外して、一方で金利は大きく上げないようにする方策を考える」とか、まあそんな話もよぎらないことはないのですが、まー金曜も見事にこのニュースに反応しないナマコ相場を継続しておりまして、ここまでナマコ状態だと却ってすがすがしい(訳はない)というものでありますな、いやもうなんとも。


・・・・・・・でですね、なんとなく記事見ただけの感想なのでただの妄想おじさんの妄想に過ぎないんで1つの妄想と思って流していただければ結構なのですが、まあ物凄く身も蓋もない言い方をしてしまえば、こちらの日経さんの記事にあるような話をした場合、「物価がアガランチ会長であることの言い訳を探す」というお話だ、というのは大体皆さん気が付くと思います。

でもってですよ、現状に日銀の説明というのは、足元からその先の物価を形成するメカニズムとして需給ギャップと期待インフレを持ち出していています。なおQQE当初の話も今もそうなのですが、中長期的な物価安定が達成されている場合は期待インフレが物価安定目標の水準近くで強力にアンカーされている、という状態になるというのが概念的な話になるので、最終的に重要なのはインフレ期待であって、QQEの当初は置物理論によるマネタリーベース直線一気大作戦によってインフレ期待に直接働きかけて行く、というのをやったのですが、結局上手くいかずで総括検証をした結果、期待形成のメカニズムに関して「適合的期待形成」「合理的期待形成」という形に分離して、でもってその合理的期待形成(中央銀行が強力なコミットメントとそれを裏付けする金融政策を実施することによって世の中の経済主体の皆さんがそのコミットメントを信用して期待が形成されていくというお話)が日本ではまだワークしなくて、「適合的期待形成」(インフレ期待は直近の物価動向の延長線上として考えられる)に軸足を置いたわけですよね。

でもって適合的期待形成に軸足を置いたのですが、適合的期待形成ということですから実際の物価が上昇してくれば期待に影響が出るので、じゃあ期待に直接じゃなくても物価が上がるようにすれば期待も上がってくるんじゃないかというのが今の説明で、具体的に物価が上がるには需給ギャップをプラスにすることによって、需要超過の世界であれば物価が上がって調整するという理屈に則って需給ギャップに働きかけるために緩和的な金融環境を維持して需給ギャップの改善に寄与していきましょう、という期待に直接攻撃から2段階チックになった訳ですな。

ところが足元の状況は特に労働需給が盛大にひっ迫している(ということになっている)のに笛吹けど踊らずで、そもそも勤労者の所得が物価上昇来るから先にホイホイ買わないと的な消費行動を生み出すほどの改善をしないんだから仕方ないのですが、物価上昇に対する企業のスタンスも弱いと来たもんだというような感じで、需給ギャップのプラスが拡大すれども物価が思ったほどアガランチ会長というお話になって、まあそこのところを点検して華麗に言い訳を考えるという話になるんでしょう。


そうなりますと、どのような結論が出るのかはまるで存じ上げる訳でもなく知りようが無いのですが、その結論が「金融政策で何とかなる」話なのか、「金融政策ではちょっと直接操作するの難しいけど間接操作なら何とか」なのか、「金融政策の出番ではないので知らんがな」となるのかによって話はだいぶ違ってくる訳で、金融政策で何とかできるならば、その何とかに作用するような金融緩和政策を追加で実施しますという話になりますし、間接的に何とかという話ならどうせ「今の政策をまだ続けて事態の好転を待ちます」になるのですが、知らんがなという話になりますと、これはもう金融政策の限界論という話になって参りますので、政府との役割分担をさだめた共同声明の内容を手直ししないといけないのか、とかいうような話まで発展する(なお現状から考えて政府から持ち出さない限り共同声明の見直しは無理)ような変化もあるのですな。

ただまあこの話、単に毎回の展望レポートでの点検作業と同じ話のようにも見えまして、その中で、物価についてはどうも下方修正だし、申し開きが全然つかないから新たな申し開きをすることによって、時間を稼いでいるだけ、というしょうもない結果になるような気もするので、過大評価する必要は今のところないのではないかと思われます(こんなタイミングで日銀が「政策の総合的見直し」とか言い出して勝負するメリットがない)、って印象ですがどうでしょうかね。


しかしまあ何ですな、この記事のトップとリードを読みながら、アタクシが小僧だった時代にはそういえば営業会議などというようなところで「言い訳探しとかほんとぉぉぉぉぉぉにどうでも良いんで早く実績上げてくださいよ先輩今何月だとおもってるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(語尾が上がりつつ机をドンと叩く音)」などと項目推進担当の後輩に詰められるパイセンの図というのを思い出して何故か目から汗が出てきましたし、目標達成時期から3年以上経っているのに詰められるどころか大新聞社の出す経済雑誌で歴史改竄までして自分の決定に関して言い訳をしているのに誰からもお咎めがない元構成員の方がいるとか、日銀ってのは太平楽なところで良いですなあとか思うのでありました。


〇地味に社債オペの話でも

そういえば読みかけの英文レポートがございますが(超大汗)、社債買入という意味で言えば最近の社債買入オペはどうなってるんだよと思うわけですよ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menuold_o_2018.htm
オペレーション(日次公表分)
過去のデータ 2018年

今年に入ってからの社債買入ですけど、オファー日ベースで並べますと・・・・・・・・・・

1/22:+0.001%/▲0.020%
2/20:▲0.049%/▲0.097%
3/19:▲0.078%/▲0.158%
4/19:▲0.179%/▲0.235%
5/22:▲0.186%/▲0.224%

ということで(アタクシが日銀のページから数字をヘコヘコ拾ってきたので正確性は保証しかねますが、たぶん3回チェックしているのであっていると思う)落札のレート(このオペの場合は前日比利回り較差ではなくて出来上がり利回りの価格競争になるので上記のは絶対値水準)の左が平均落札利回り、右が足切り(最低落札)利回りになりますぞな。

でもってこの時期の国債の金利ちゃんですが、まあ2月まではともかくとして、マイナス決着の利回りが深くなってきた3月以降でみますと、前日の引けに公表される売買参考統計値(つまり上記のオファー日日付の売買参考統計値)を見ますとですよ、

3月(以下の利回りは全部平均値単利)
1年金利:2Y374で▲15.0(短国の一番長いのが▲16.2)
2年金利:2Yカレントで▲15.0
3年金利:5Y127で▲12.5

4月
1年金利:2Y375で▲15.5(短国の一番長いのが▲18.4)
2年金利:2Yカレントで▲15.5
3年金利:5Y127で▲12.5、5Y128で▲12.5

5月
1年金利:2Y376で▲14.0(短国の一番長いのが▲14.4)
2年金利:2Yカレントで▲14.0
3年金利:5Y127で▲12.0、5Y128で▲12.0


とまあそんな利回りになっております。社債買入に関しては残存1年から3年までの社債(格付制限と1発行体当たりの購入制限等細かいのがある)を対象にした買入でして、まあだいたい上記の推移を見ていただければわかりますように、ここもと1−3年くらいの金利は(短国の買入残高が減ったのが効きまして)そんなに突拍子もなく下がったりするようなわけでもないというような推移をしているので、ございますな。

でですよ、見ていただければ明明白白なのですが、3月の時は足切りが突っ込みましたが平均まだ社債買入対象年限と同年限の国債の利回りを上回っているのですけれども、4月5月と立て続けに社債買入の平均落札利回りが明確に国債利回り対比マイナスになっていて、足切り(最低落札)金利に至っては国債マイナス10bpにならんとするような水準で2カ月連続推移している訳ですよ。


でもってですね、そもそも社債買入って何のためにやっているのかというと、銀行貸し出しチャネルやら金融市場のクレジットチャネルなどにおいて、クレジットスプレッドを構成するリスクプレミアムが不当に高い状態になっていると、金融緩和政策の効果がそのリスクプレミアムの所で消えてしまう(リーマンショック後には短期金融市場において、カウンターパーティーリスクへのプレミアムが非常に高くなったため、利下げをしているのにGCレポ市場の金利が中銀貸出ファシリティ(ロンバード金利)に張り付いてしまい、その結果利下げしてるのに短国金利が上昇して、CP金利も上昇し、その影響で社債のスプレッドも拡大、というのがあったのでCP買入や社債買入が投下された訳ですよ)ので、金融緩和効果を波及させるチャネルの修復を行うために実施している訳ですよね、本来的に言えば。

ですから、そもそも国債並み(スプレッドゼロ)で買うのもなんだよそれという話ではあるのですが、マイナススプレッドで買うというのが継続する、というのは何ぼ何でもおかしいし、そもそもマクロプルーデンス的に言った場合、それこそ今回のFSRの特集にもありましたような「クレジットスプレッドの必要以上の縮小」という話になって、金融不均衡を日銀が自ら生み出している、ということになりませんですかね、という事になると思う。

まあ1回だけなら誤射かもしれないじゃあありませんが、決算期とか何とかのような特殊事情で玉がなくて急にレートがどマイナスに突っ込んだ、というのでしたらまだしも、さすがにこれが3、4回と連続してどマイナスレートになるというのでありましたら、何ぼ何でも社債買入に関してはあり方を見直す時期に来ているという判断は働かないものかねえ、と社債買入効果のレポートの話の前に何故かこっちの話をツッコんでしまうアタクシなのでありました。


2018/06/08

お題「初代置物大先生の妄言に思わず湯気ポッポーの巻」

ほっほー。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018060701002088.html
ZTEに罰金1100億円 米商務省発表、操業再開へ
2018年6月8日 00時13分

『【ワシントン共同】ロス米商務長官は7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁解除に向け、10億ドル(約1100億円)の罰金支払いなどで合意したと発表した。ZTEは米企業からの部品調達が可能となり、操業再開に動きだす。』(上記URL先より)

〇初代置物大先生が何やら妄言を放っておられるようです

週刊エコノミスト(毎日新聞社の方ね)さん
https://www.weekly-economist.com/

最近号で初代置物先生が妄言を放っておられるとは聞いていたのですが、ネットの方でも記事が読めるというアリガタヤアリガタヤな仕様になっておられるため妄言を確認することが出来まして、お蔭様でアタクシの血圧は上昇するわ湯気は出るわでエライことになってしまいました(−−;

「出口の迷路 金融政策を問う」って特集で実はもう多くの人が登場しておられるようでして全然ノーケアーでしたすいませんすいません(なお基本的に雑誌類はノーケアーなのが仕様のアタクシですけど)。

https://www.weekly-economist.com/20180612bojexit34/
12日 6月 2018
「リフレ理論も政策も正しい、だが逆風で時間がかかる」=岩田規久男[出口の迷路]金融政策を問う(34)

・・・・・・・・もう題名はどうせそう来るだろうなと思いましたが、こちらの妄言につきまして念のため確認いたしまして、どの程度の妄言度なのかを確認するとこれがまた頭がクラクラする次第で。


以下の引用は他に注釈がある場合は講演等のアーカイブより、注釈の無い場合は直上のURL先になります「エコノミスト」誌ホームページに掲載されている『「出口の迷路 金融政策を問う」(34)』の岩田前副総裁インタビュー記事からの引用になります。

・最初の質疑の時点で歴史の改竄現場を見ることができますよ!!!!!

『── 当初、「2年でインフレ率2%」を掲げたが、現時点では達成時期も見通せていない。

岩田 一番の問題は、日銀の金融政策は完全にリフレのレジーム(枠組み)に転換したのに、財政政策は2014年4月の消費税率引き上げで緊縮的になってしまい、リフレレジームが壊れたことだ。』

えーっと、デフレは貨幣的現象なので金融政策で脱却する必要があって、それをしない白川日銀は無能の極みなので俺様の置物マネタリーベース直線一気理論でデフレ脱却インフレ目標達成というのではなかったでしたっけ???????

『リフレレジームとは、物の値段が下がり続けるデフレを止めて、2%程度の緩やかな物価上昇をもたらすような政策を指す。金融政策が中心だが、財政政策など需要に影響する政策を含めて、全体として物価を上げるような枠組みになっていなければならない。』

さてここで副総裁ノミネートされたときの2013年3月12日における参議院議院運営委員会での初代置物大先生のご高説を確認してみましょう。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/183/0017/18303120017013a.html
第183回国会 議院運営委員会 第13号
平成二十五年三月十二日(火曜日)

まずは冒頭の説明の中で、

『その三本の矢の中で、私は、要になるのは金融政策ではないかというふうに思っております。金融政策というのはデフレ予想をもたらす要因にもなりますが、それをひっくり返して人々や企業の間にインフレ予想に形成を促すという機能も持っております。そうしますと、そのようなデフレ予想をインフレ予想に転換するということを金融政策がやっていくための、第一に金融政策がやるべきことは、市場に対して消費者物価の上昇率を、これは二%を一応約束していますが、これは必ず達成するという、これは全責任を持って日本銀行が達成するんだということを家計や企業あるいはマーケットに信用してもらうということが一番大事であります。これを金融政策が例えば二%のインフレ目標にコミットするといいます。今までは、日本銀行はそのコミットメントが足りないということが市場の期待形成にうまく働きかけることができなかったのではないかというのが私の持論であります。』
(この部分上記URL先の2013年3月12日参議院議員運営会会議録より)

また、少々下の方になりますが、中西健治委員からの質疑ではこのようにご説明です。

『○中西健治君 これも確認に近いことということになるのかもしれませんが、安倍総理は国会答弁でデフレは貨幣的現象であるということをおっしゃられております。岩田参考人も近い考え方なんじゃないかなというふうに思いますが、貨幣的現象かどうかという言葉はともかく、金融政策だけで物価目標二%は達成し得るということでよろしいでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 物価に影響するのは金融政策以外でも確かにございます、先ほど言った輸入物価とかそういうのありますが。結局、いろんなところで、ほかの要因で上げ過ぎる要因があった場合には、金融政策のやり方を変えれば結局は二%のインフレになるということで、あるいはデフレ要因がほかにあったとしても、金融政策が結局しっかりしていれば二%のインフレはできるということで、最終的には金融政策が決めることができるということだと思います。』(同じく上記URL先の2013年3月12日参議院議員運営会会議録より)

・・・・・・・どう見ても財政の話が出ていませんなあということで、勝手に歴史が改竄される現場をいまここに見ましたという所ですが、この先にはもっと凄い歴史改竄があるので乞うご期待。


ということで初代置物大先生のさっきのお答えの続き行きます。

『最初の1年目は想定通りの展開だった。まず、「リフレレジーム」に転換した日銀による大量の長期国債を中心とする資産買い入れが、株高を引き起こし、為替市場では円安をもたらした。株や外貨建て資産を持っている人に対して、資産効果が働き、消費が大きく伸びたのが
1年目の特色だ。』

えーっとすいません、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko130828a.htm/
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム -「第一の矢」の考え方-
京都商工会議所における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男
2013年8月28日

にあります図表
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf

の6ページ目にある『「量的・質的金融緩和」の波及経路』というスライドによりますと、資産買入はインフレ期待に効いてから間接的に資産価格に聞く話になっているのですが、なんかインフレ期待の話が後になっていて、現象として事実発生した資産価格の方を先に話をしているのは何なんでしょうね。それに大体からして「株や外貨建て資産を持っている人に対して、資産効果が働き、消費が大きく伸びた」ってそれだけで景気全体を思いっきり高揚させるほどの消費になるかよという話も大いにあったりするんですけどねえ。

・・・・・・・というようなツッコミもありますが、より重要な問題として、この時って消費増税前の駆け込みがあったのと、消費増税の影響を緩和するとか言って補正予算打ったり、住宅エコポイントとかあったりしてませんでしたっけというお話であって、落ちた方は消費増税、直前の上げは金融政策効果というのは、余りにも説明に衡平を失した話なのですが、これ置物辺りが言うのは兎も角、日銀QQEの説明で執行部が堂々と言い訳に使うのはさすがに恥を知るべきではないかと思うのですが。

さらに妄言は続く。

『我々が重視していた予想インフレ率も順調に上がり、消費者物価(除く生鮮食品)前年比は、13年3月のマイナス0・5%から、14年4月には1・5%まで2ポイントも上がった。遅くとも14年8月には2%に達するスピードで、2年以内に目標を達成できると思った。』

出たな直線番長という所ですが、この次に驚愕の歴史改竄発言が登場します。

『消費増税について、安倍晋三首相は自民党総裁選に出る前に、「デフレから脱却しない限りやらない」と述べていたので、私はそのつもりでいた。ところが結局実施され、財政政策が需要を圧縮したため、とたんに物価が上がりにくくなってしまった。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

さてここで2014年2月6日の宮崎金懇での置物大師匠の発言を確認してみましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1402a.pdf

質疑応答の最後の部分になります。

『(問) 先程、消費増税の影響について、リスクは低下しているという考えを聞かせていただきましたが、安倍政権はこの年末にかけて今度は 8%から 10%へ上げるかどうかを検討する考えです。現時点で副総裁のお考えとしては、リスクは低下しているので順調に予定通り上げるべきかとお考えなのかどうかを確認させて下さい。

(答) もともと昨年4月4日に現在の政策を導入した時は、消費税の増税が 2段階で行われることは織り込み済みです。その場合には、この程度の金融緩和政策、量的金融緩和が必要だと思って打ち出したものです。その時の考えに今も変わりはありません。 』
(この部分上記URL先の2014年2月6日宮崎金懇における岩田副総裁会見より)

> もともと昨年4月4日に現在の政策を導入した時は、消費税の増税が2段階で行われることは織り込み済みです。
> もともと昨年4月4日に現在の政策を導入した時は、消費税の増税が2段階で行われることは織り込み済みです。
> もともと昨年4月4日に現在の政策を導入した時は、消費税の増税が2段階で行われることは織り込み済みです。

えーっとすいません、1回どころか2回の増税を織り込んで政策を実施したとご説明になっておられるのに、何が「私はそのつもり(デフレ脱却するまで消費税上げない)でいた」だよお前の頭どうなってるんだということでございまして、一応アタクシも大学というのは出たのでちょっとだけアカデミズムの片鱗の匂いくらいはかいだと思うのですが、このようなデータ改竄のようなことをするとか普通に切腹モノの話になりますし、大体からしてセントラルバンカーとしてみたって、過去の政策を評価するのに当時どのような認識をしていたのかというようなものをキチンと整理してからでないと、政策の評価はできないし、むしろ誤った分析を行うことによって将来の政策判断を間違えてしまう危険性を高める話になるだろ、という所ですが、まあ単にこのおじいちゃん加齢の影響で昔のことが記憶の中で自分に都合よく改竄されているだけなのかも知れませんが、まあそういうおじいちゃんをこういう権威のあるちゃんとしたメディアに出すというのはそれはそれで宜しくない、という話になると思いますが如何なものでしょうかねえ>このジジイのインタビュー記事をホイホイ出しているメディア諸兄

なお、過去の改竄は最近のトレンド(爆発音の為以下聴取不能)。


・根拠のない説明キタコレ

ちょっと先に行きまして、同じく質疑応答から。

『── 金融政策がリフレレジームに占める割合は、考えていたより小さかったということか。

岩田 いや、小さくはなかった。13年4月からの5年間(60カ月間)で、消費者物価(除く生鮮食品)前年比が0%以下になった月数は18カ月間しかなく、70%に当たる42カ月間は0%超のプラスだ。それに対して、13年4月以前の15年間は、74%の月数が0%以下のマイナスだった。つまり、以前の日銀の金融政策を続けていたら、今でもインフレ率がマイナスのデフレが続いていたということだ。』

・・・・・・・えーっとすいません、財政の影響でリフレレジームがコケた、という説明をしているのに、何で前の政策をやっていたらどうこうという説明の時は前のデータから直線で引っ張った話をするんでしょうか、というかその根拠はとしか言いようがない(どうせ直線理論なんだが)。


・やるべき時にやらないで後から言い訳というのが一番見苦しいんですけどね

そのちょっと先になりますけどこれは見苦しい。

『── さらなる緩和は考えなかったのか。

岩田(途中割愛)

 追加緩和の手段として、私は日銀の国債買い入れ額を年間80兆円から100兆円台に拡大することを考えた。だが、必ずしも私の思う通りの政策ができるわけではない。金融政策を決める政策委員会メンバーのなかにはいろいろな意見がある。金融政策決定会合で賛成多数となるものが日銀の金融政策になる。

 そこで出てきた案がマイナス金利だ。日銀の企画局を中心に欧州での導入事例を研究していて、理論的にも実証的にも効果があると考えられた。ところが、日本では庶民の銀行預金の金利もマイナスになるというような誤解もあって、非常にマイナスイメージで捉えられた。理論的には円安・株高になるはずだったが、数日後から逆方向に進んでしまった。これはコミュニケーションの失敗だった。』

庶民の金利がマイナスになる誤解だけでそんなに行く訳ねえだろと思いますが、それは兎も角として、「私は日銀の国債買い入れ額を年間80兆円から100兆円台に拡大することを考えた」って言うんだったらその時にちゃんと提案しろよという所でして、「私はあの戦争に反対だった」とか当時の責任があって政策動かせるような立場にいる人間が戦争に負けてから言い出すくらいの見苦しい所業でありまして、マイナス金利政策失敗したけど私は導入すべきと思っていなかったとか日銀副総裁が言い出すのはさすがに罪万死に値するとしか申し上げようがない。


・これは凄い説明

さらに次になりますが、

『── 16年9月、日銀は金融政策の目標を量から金利に切り替えるイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入した。岩田さんも賛成し、国会での答弁で「私の考えも進化した」と述べた。進化とはどういう意味か。


岩田 「リフレレジームへのチェンジ」は人々の物価予想をデフレからインフレに変えようとするものだ。既に、消費増税で「リフレレジーム」は毀損(きそん)されていたから、量を拡大しても、人々の予想インフレ率を引き上げる力はあまり期待できない。量と2%達成への強いコミットメント(約束)だけではなかなか予想インフレ率が上がらないなか、需給ギャップを改善して足元の物価を上げるというように思考が変わった。』

えーっと、リフレレジームは1回上手くいかなかったらもう次は使えないとか、お前の置物リフレ政策は1回使い切りのジェット風船か何かかと小一時間問い詰めたい。単にお前の置物リフレ理論が机上の空論で実現制約の多い代物だったとかそういう話だろいい加減にしろという所ですな。


もうちょっと先にはこんなのが、

『── リフレ派からは変節したとも捉えられた。

岩田 日銀内リフレ派と、日銀外リフレ派では情報量に差がある。日銀の外にいるリフレ派がイールドカーブ・コントロールの研究を独自に進めるのは難しい。日銀には研究能力が高いスタッフが大勢いる。世界のトップレベルの論文を読み、さまざまな計量分析の手段を持っている。説得力や信頼性が高い。日銀の執行部が替わって「できるだけ早く2%目標を達成する」ことが最重要課題になったから、そのための研究が盛んになった。その成果がマイナス金利とイールドカーブ・コントロールだ。』

その成果でやった政策ですがマイナス金利から2年、YCCから1年9カ月経つんですが全然物価上がりませんですねえ、というのは兎も角として、

>日銀の外にいるリフレ派がイールドカーブ・コントロールの研究を独自に進めるのは難しい。
>日銀の外にいるリフレ派がイールドカーブ・コントロールの研究を独自に進めるのは難しい。
>日銀の外にいるリフレ派がイールドカーブ・コントロールの研究を独自に進めるのは難しい。

・・・・・・・えーっとすいません、日銀以外でも学術的な見地から金融政策の理論や効果に関して研究されて色々なペーパーを「ちゃんとした学究の徒の皆様は」お出しになっておられると存じますが、もしかして「リフレ派」の皆様はそのような研究をするためのデータ取得もしたことがないということなのでしょうか?????それは即ち「リフレ派は馬(爆発音の為聴取不能)」というご説明をしておられるだけというようにも見えてしまいますが大丈夫でしょうか???????

まあこの大先生、BEIのデータすらちゃんと取ったことがないという説明をしていたくらいで、(んなもんBBとかでもあるし、それよりも売買参考統計値あるんだからそこから利付国債と物価連動国債の価格取ってきてBEI計算できるわ(多少手間かかるけど公開データだけでいける)ございまして、せっかくなのでサルベージついでに2015年2月4日の宮城金懇の会見をご覧あれ。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1502a.pdf

こちらの4ページから6ページの辺りにBEIが連呼されていますが、その中で一番吹いたのは、

『実際、BEIもなかなか手に入らないもので、研究者としては手が縛られていました。』(上記URL先の2015年2月4日の宮城金懇の会見での岩田副総裁のお言葉)

という所ではございますな。


なお、この先に2年で云々というのの言い訳があるのですが、つい興奮して色々と書いていたら不覚にも時間が無くなってしまったということで、大体からして今日は他のネタも考えていたのに残念無念という事でただの悪態デーになってしまいましたすいませんすいませんすいません(平伏)。



2018/06/07

お題「市場メモと計数雑談/日銀社債買入の効果に関するペーパーネタ(の頭出しだけ)」

ほうほう。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-praet-idJPKCN1J20TM
2018年6月6日 / 17:10
ECB、来週の理事会で債券購入策終了巡り議論=プラート専務理事

『[ベルリン 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のプラート専務理事は6日、ECBはインフレが目標に向けて上昇していくことへの自信を深めており、来週の理事会で債券買い入れ策を年内に終了させるかどうか討議すると述べた。』(上記URL先より)


〇市場メモと久々に月初計数雑談

・いやーしかし動かんですのう

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1T82H3
2018年6月6日 / 15:34
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、限月交代に絡む調整入る

『 <15:15> 国債先物は小反落、限月交代に絡む調整入る

長期国債先物は小反落で引けた。前日の海外市場で、イタリアの財政悪化懸念からリスク回避となった流れを引き継いで買いが先行。しかし、日銀オペで「残存5年超10年以下」の応札倍率が前回を上回って4倍台に乗せ、長期ゾーンの需給の緩みが意識されたことで戻り売りが出た。6月限の取引最終日を13日に控えて、限月交代に絡む持ち高調整の動きも入った。』(上記URL先より、以下同様)

いやいやいや、新発出た翌日だし新発出た時よりも利回り下がってるんだからそら札が多いのシャーナイやろと思うのですが。しかも昨日書いていた時に10年カレント5bpとか言ってましたが、一昨日の売買参考統計値は華麗に4.5bpで引かせているのでそらもう札が入るじゃろと思うし前場の先物スライド位で入っているんですがそれは。

『現物債市場では、超長期債利回りが上昇した。あすの流動性供給(対象:残存15.5年超39年未満)入札を前にした調整がみられた。長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比1銭安の150円83銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比横ばいの0.045%。』

つーことですが、まあ昨日も先物の値幅ございませんし、だいたいからしてカレントが1毛動くと動いた気になってしまうという相場ちゃんでして、月初に華麗に輪番を減額したのでちったあ動くのかと思ったら、まーた動かなくなってしまいましたなというところで。

しかしまあ昨日も「輪番の減額ガー」みたいな解説がベンダーヘッドラインに毎日のように出ていて、何とかストの皆さんおまいらどんだけネタがないのかと思いつつも半分同情しておりますが、そうやって「減額警戒」とか言うよりはむしろ「いやここは普通に減額するべきところ」みたいな話をするのか、または先般のようにいきなり無警戒というか輪番予定の変更なしで出した翌日に減額という不意打ち(しかも折角の不意打ちなのに結局生体反応はその一瞬だけでした・・・・・・)をしているのを見ますと、真逆になりますけれども、「なぜあそこで輪番を減らさない?減らせないのか?減らしたくないのか?減らす度胸もないのか?」という椎野四段活用方式で煽る方が良いのかも知れませんな(白目)。


・計数ネタである

用意するのはこの辺
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/index.htm/
営業毎旬報告

各銘柄の償還日を取得するには売買参考統計値をエクセルでダウンロードするのが一番便利かと
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
売買参考統計値/格付マトリクス ダウンロード


でもってまあ計算してみたのですが、アタクシが人力でエクセルの数字をヘコヘコと集計しているもので(自分で確認は一応しましたが)内容は無担保無保証ということでお含みおき頂きますと幸いです(つまり自分で計算してちょという話ですな)。


長期国債ですけれども、
今年(暦年)の償還が額面で残り35兆0412億円。
現在(この前の長期国債減額後)の買入が残存1年未満を除いて月平均で7兆4600億円
(面倒なので変国は月500億円で計算しています)

昨年末の買入残高が額面ベースで407兆5794億円
5月末の買入残高が額面ベースで429兆3742億円

となっているので、残り7か月(実際は変国の分を手抜きで計算してるのと1年未満でもやや長めのものが入る可能性がないでもない点は割愛しています)のペースがこのままですと、

今年の年末での長期国債買入残高の増加は額面ベースで38兆9736億円

となるという計算になりますな。

ちなみに2019年に関しては

償還が額面で50兆4296億円なので、今のペースで買入をしていると
年間の長期国債増加が額面で30兆0904億円
という計算になります。

なお、去年の5月末時点での買入と償還のバランスだと、2018年は45兆2306億円増加する予定だったので、買入ペースは去年から今年にかけてそこそこ落としたのですなあというのを改めて思うのでありました。

・・・・・・とは言いましても、そもそも現時点でもカレンダーベースの国債市中発行額から見た場合に、5−10年輪番とか4300×6=25800で、10年債発行額2.2兆円を上回っている訳でして、おうもっと減らせやということで、例えばゾーンごとの月の買入合計をそのゾーンで出てくる新発債のカレンダーベース市中発行額の90%を上限にするように、とか言って計算すると、あたくしの置きが間違っていなければですけれども、中期3-5が3000億円(▲300億円)、長期5-10が3300億円(▲1000億円)、超長期10-25が1800億円(▲100億円)とかになって、月額買入額が6兆6300億円までへるので。そうすると年間の長期国債買入残高の増加が29.1兆円になる、という計算が出来ましたので、やっぱり年間30兆円程度の増加までは減らさんと話にも何にもならんぞなという感じなのではないでしょうか。

ちなみに、今から買入を全部停止したとしても、長期国債保有額が発行銀行券残高を下回るのは10年後という数字(保有国債の中で2029年以降に償還が来るのが91兆4938億円もあります)ということで、真面目な話これ出口ということになったらバランスシートの適正化だけでも相当な時間が掛かるという話なんですが、という事ですな。


ついでなので短期国債ですが、買入分の残高が16兆4891億円まできていまして、まあその結果売買参考統計値とか見ますと現状って短国のレートが▲13bp辺りにいる訳ですが、短国の場合は何せマイナス一桁台に金利が上昇するとマイナス金利適用残高の当座預金からそれなりに資金シフトが起きると思われます(ってこの前一瞬そうなったときには金利が下がるまで時間が少々あったので実際にどうなのかは微妙な面はあるけど)ので、まあこれはこんなもんかもしれませんが、時々マイナス深いところにまだ突撃することがあるので、まだまだ残高は減らせるんでしょうなあと思いますし、現に今月は3兆償還の所実質第1週目の買入は5000億円なので、まあこちらは徐々に残高減らして最終的にはゼロで良いんじゃないでしょうかと思うのでした。


〇数字の話をしていたら時間がアレになったのですがちょっとだけこの前紹介したペーパーに関して

一昨日URLだけ貼り付けた
http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/18-E-04.html
Discussion Paper Series 2018-E-4
The Effects of the Bank of Japan's Corporate and Government Bond Purchases on Credit Spreads

ですな。本文はこちら
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/18-E-04.pdf

でもってアブストラクトを再掲すると

『We examine the effects of corporate and government bond purchases by the Bank of Japan (BOJ) on Japanese firms' credit spreads. Using a micro dataset covering 5,614 corporate bonds over the period from 1997 to 2016, we empirically show that credit spreads are explained by the risk-taking channel and the local and global supply channels, in addition to the conventional default risk channel. We quantify the effects of the BOJ's bond purchases on credit spreads through these three channels. In so doing, we emphasize that policy effects through the local and global supply channels crucially depend on the degree of risk appetite at the financial institutions.』

ってなっていまして、本文の方は泡を吹きながら解読という感じですが、以下本文から。

最初のアブストラクトはHTMLの方にも書いてありますように、日銀の資産買入(国債買入と社債買入)がクレジットスプレッドをどう縮小したかという話ですが、クレジットスプレッド自体は(1)リスクテイキングチャネル(2)国内およびグローバルのクレジットものの供給量(需給)チャネルと、(3)元々から言われる企業のデフォルトリスク、で説明できますという話になっておりまして、でもってそれに対して日銀の社債買入と国債買入がどういう効果をだしているか、というようなお話なのですな。

本文1ページ目が『1. Introduction』でして、

『Central banks such as the Bank of Japan (BOJ), the European Central Bank, and the Bank of England have relied on both corporate and government bond purchases as accommodative policy measures in the aftermath of the global financial crisis. Yet, while there is a wide body of literature examining the effects of government bond purchases and their transmission channels, there is a very small literature on the effects of corporate bond purchases.1 To deepen our understanding of bond purchases as a monetary policy tool, this study empirically investigates the effects of the BOJ’s corporate and government bond purchases on Japanese firms’ credit spreads. 』

とありまして、いや別に社債買入とかしなくて良いんで理解深めないで頂きたいんですがとか思うのですがそういうのは兎も角としまして、

『For the assessment of the effects of the BOJ’s corporate and government bond purchases on credit spreads, we attempt to unravel causal connection between central bank bond purchases and credit spreads. As the key variables of the causality, we focus on firms’ default risk, the relative scarcity of corporate bonds to government bonds, and the risk appetite of financial intermediaries (FIs) following the recent literature reviewed below.』

つーことで、企業の固有の信用リスク要因のほかにある、社債の希少性(需給)とか、金融機関のリスクアペタイトというような要因に社債買入がどのような効果を出したかの分析を社債のスプレッドデータを使って解明しますよというのをしているんですな。

『We empirically show that the three key variables are significant determinants of credit spreads, and at the same time that the BOJ’s bond purchases influence the three variables.』

ということで本当はもうちょっとお話があって何となく結論っぽいのがこの先にあるのですが、ちと時間が無くなったので続きは後日。

でまあアブストラクトにありますけれども、基本的な話としては(1)社債買入は社債の需給に跳ねるのでその需給効果はある(2)実は国債買入で金利が低下するとクレジットスプレッドも低下するので国債買入も効いている(3)金融機関のリスクアペタイトの向上に社債買入や国債買入が効果を出すので、そちらからも効く、というような話が展開されるっぽく読めました。


でもって余談ですけど
http://www.nationalbanken.dk/en/publications/Pages/2018/05/WP126.aspx
Working Paper: Can Central Banks Boost Corporate Investment: Evidence from the ECB Liquidity Injections
Working Paper - May 2018 - No. 126

別の調べものでたまたま見つけたのですが、デンマーク中銀でLTROの効果というののペーパーがあって、そこのアブストラクトに

『Can monetary stimulus boost corporate investment? We answer this question by studying ECB's 2011-2012 Longer-Term Refinancing Operations (LTROs). While we find that the LTROs helped to decelerate the declined in Eurozone firms' investment our results also show that banks' use of LTRO funds is negatively associated with their clients' investment. Overall, the paper highlights the difficulty of boosting investment by injecting liquidity into the banking system.』

ってありまして、金融システムに不具合があるばあい(資本制約的な面で)にはない時に対して効果が小さくなる、というようなお話があって、この「金融機関のリスクアペタイト」ってのは買入効果がより効くか効かないかという話になった時に重要なポイントになる、という直感的には何となくそうだろうなというのがあって、中々味わい深く感じました。

ということでただの頭出しだけですいませんすいません。

2018/06/06

お題「市場雑談/麿の発言とな/人手不足によるボトルネックと言いつつ賃金問題ではという確認/超久々に読書室」

何故か高知新聞ですが元は共同通信の奴です。
https://www.kochinews.co.jp/article/188903/
2018.06.05 15:41
スバルの「取り組み姿勢に疑問」と国交相

『SUBARU(スバル)で新たに判明した不適切な検査に関し、石井啓一国土交通相は「4カ月も調査を行ったにもかかわらず、新たな事案が判明したことは、全容解明に対する取り組み姿勢に疑問を抱かざるを得ない」とのコメントを出した。』 (上記URL先より)

「4カ月も調査を行ったにもかかわらず、新たな事案が判明したことは、全容解明に対する取り組み姿勢に疑問を抱かざるを得ない」

民間企業は4か月でも大目玉、一方で財務省や防衛庁は・・・・・・・・・

と思ったらこのひとこの数時間前には

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018060501001755.html
国交相、財務省に抗議せず 「社会的制裁受けている」
2018年6月5日 10時35分

って言ってるんですね(白目)。いやー美しい国を取り戻していますなあ。


〇輪番減額で調整したからやりやすくなった10年入札って話になるんすかねえ

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1T72M0
2018年6月5日 / 15:20
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、若田部日銀副総裁の発言に動意薄

『 <15:14> 国債先物は小反発、若田部日銀副総裁の発言に動意薄

長期国債先物は小反発で引けた。前日の海外市場で、欧州懸念の後退や米利上げ加速の思惑などから米債が下落した流れを引き継ぎ売りが先行。前半は10年債入札を前にしたヘッジもみられた。入札を無難に通過したことで、終盤にかけては買い戻しが入り、底堅く推移した。現物債は動意薄。手掛かり材料が乏しく、模様眺めとなる市場参加者が多くなった。』(上記URL先より、以下同様)

ということで先週の輪番減額の効果によって、かどうかは知らんが無事に前場引けのところで10年カレント5bpの所で入札を迎えて頂きましたので、足切りは事前予想とされているのよりも1銭強くてまあ普通という感じの結果ということでですかねえ。

『日銀の若田部昌澄副総裁は5日午後の参院財政金融委員会に出席。「追加緩和手段として資産購入は有力な選択肢だが、米国債を念頭に置いているわけではない」「日本の財政に対する市場の信認、非常に厚い」「緩和出口には様々な手段があり、実行する準備はある」などと述べたが、マーケットへの影響は限られた。長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比4銭高の150円84銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.050%。』

置物2世が何か言っていたようですが、ブルームバーグの方のヘッドライン見ると出口の話に関する質疑が多かったような印象を受けるので(そもそもアタクシ見てないから分からん)すけれども、そこはもっと「本来積極緩和論者として入ってきたはずなのにすっかり執行部に取り込まれているようですが、それだと何で置物2世がノミネートされたのか意味が分からなくなるのですが、就任前までの積極緩和論は副総裁ポスト猟官の為の嘘八百だったということでしょうか、もしそうでないというのであれば過去の発言と今の説明の整合性を取った明快な説明を頂きたい」くらいに煽って頂かないと面白くもなんともない訳で、今の日銀の公式見解を説明させるだけだったら理事でも局長でも課長でも良い訳で、もっと面白い質問をしていただきませんと、貴重な税金の無駄遣いになりますがなという所で。

でまあしかし何ですな、そらまあ10年カレントって日銀様の強力な買い(減額したとはいえ4200億円×6があるのですからねえ)があるし、マジノ線もびっくりの防衛ラインが11bpに引かれている(マジノ線を迂回するのは今のところ難しいし)ので、5bpとかだったらレンジの中心っぽいし、寧ろここまで金利低い所ですーっときているので押し目ポイントっぽく見えるので買い安心感isあるという感じなのかもしれませんが、なんぼプラス金利と言いましても絶対水準がこの有様なのを本格的にポートに沈める訳にもいかんでしょうから、まあ輪番と、ALMマッチングとか、債券インデックス対比で勝負する人へのニーズとかで捌いていくんでしょうな。


そういや昨日はうっかりネタにし忘れていましたが(超大汗)。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180605.htm
1. 名称及び記号 利付国庫債券(10年)(第350回)

2. 発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3. 表面利率 年0.1パーセント
4. 発行日 平成30年6月6日
5. 償還期限 平成40年3月20日

6. 価格競争入札について
(1)応募額 7兆8,819億円
(2)募入決定額 1兆8,014億円
(3)募入最低価格 100円49銭 (募入最高利回り) (0.049%)
(4)募入最低価格における案分比率 94.4896%
(5)募入平均価格 100円50銭 (募入平均利回り) (0.048%)

ということでして、国債決済期間短縮にあわせて、国債発行日を原則入札日のT+1にするついでに、四半期末月の発行に関して、一律20日発行(2年以外の通常の利付国債の償還日が四半期末月20日なので)にしていたのですが、今回からT+1になるんでしたな(汗)。

でもってT+1発行にして従来通りの償還日の設定をすると、例えば昨日の10年利付は償還が2028/6/20だと「発行日から起算して残存年数が10年超」になってしまうので、それを避けるために償還日が3カ月手前になって結果350回のリオープンになるのでした。

ということですが、これによるメリットで普通の人が最初に思いつくのは輪番プレイに速攻で入れられる(今日は長期輪番)ということですが、アタクシが最初に思いつくのはは四半期末の月に新回号で発行されると、四半期末越えの新発SCレポがタイトになってアカンがなという方になります(^^)。「償還が伸びるから見た目レートがお得になったように見える(見えるだけでイールドカーブ考えたら残念ながら当然のレートだしカレントプレミアム乗って寧ろ割高な事が多いんですがそれは)ので買いやすい」というのもありますが、「決算絡みで既発の売却を行った時の受け入れ玉(簿価通算の対象がないから)」というのもありまして、期末の新回号というのは微妙にニーズがあったりしますので、四半期末月リオープンというのは地味に国債流通市場の流動性確保という意味ではヒット作品だと思います(ただし今は輪番で日銀が根こそぎ持って行ってしまって流動性が無いのは同じだし、輪番であまり持っていかれない仕様になっていたというのはもちろんあるのだが)。

でまあ「20日の償還見合いで20日発行にニーズがある」というのがどの位の規模なのかが正直あたくし不案内でございまして(すいませんすいません)、世の中には償還まで持っていないで残存超短くなると売り飛ばすとか、そもそも債券インデックスだと1年切るとインデックスから外れるから売り飛ばすとかもありますし、20日着金確認してから購入というのもありそうなのですけど、それは兎も角として今回からは「償還日が20日に集中しているのですが発行日はバラバラで来る」というプレイになりますので、今みたいに資金がじゃぶじゃぶで唸りを上げている状態だと特段どうという事もないのでしょうが、これまた将来はこのあたりの資金ギャップがどのように入札時のニーズや短期金融市場の金利形成に影響を与えるのかがよくわからんですな(始まってみないと分からん)という感じです。

でもってメリットの「早速輪番に入れられる」というのは今日のお楽しみではありますが、昨日って先物と10年の関係で言えば前場引けが150.80で入札を0.048%/0.049%でやって、先物の引けが84銭なのでしらっと担がれている格好にはなっている(まあ全部を先物でフルヘッジしているという事もないでしょうし、どうせ今日の輪番に放り込む分はデルタでドンが多いでしょうけど)のが落札結果が市場予想よりも1銭上でも盛り上がらん円債市場という感じで滋味深いものを感じます。


〇これはどこで拾えるのでせうか

珍しくブルームバーグから。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-04/P9SJ926KLVR401
白川前日銀総裁:金融不均衡の直視を、セントラルバンカーに呼び掛け
2018年6月4日 18:19 JST

『日本銀行の白川方明前総裁は4日、長期にわたる金融緩和局面においては物価安定と金融安定の双方を維持する上での矛盾をセントラルバンカーは直視する必要があるとの認識を示した。白川氏はソウルでの会議で、これまで金融政策はインフレ目標を通じて物価の安定を達成してきたが、金融の不均衡に起因する大きな経済危機を阻止することはできなかったと指摘。債務増大と潜在成長率の低下の組み合わせを踏まえれば、金融安定について懸念せざるを得ないと英語で話した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで超久々に(といいましてもつい先日には香西先生の訃報に対しての麿のコメントが日経にあったようですが)麿のお話キタコレなのですが、基本的にメディアはシャットアウトあるいは厳重なオフレコで話をすると思ったのですが、こうやって話がベンダーに出てくるというのは珍しい。

『白川氏によれば、金融不均衡は規制で対処すべき問題だと見なされてきたほか、金融の不安定を計測し監視することは一層難しく、当局間での協力が求められた。各国の潜在成長率低下と金融政策への過度の依存は、債務が増大するにつれ、物価安定と金融安定とのつながりが一段と重要になりつつあることを意味するという。』

訳がへぼいのでなんとなくニュアンスは分かるが実際に何を言っていたのかは見たいのだがどこで調べるとテキストとかが出てくるでしょうかねえ(出てこない可能性の方が高いが)。

『青山学院大学の教授を現在務める白川氏は、2008年から13年まで日銀を率いた。会議では、インフレを正確に測ることが一段と難しくなっているとも語った。』

>インフレを正確に測ることが一段と難しくなっている

これは助け船ですね!!!!!!!


〇さくらレポート別冊の本文も念のため確認

昨日の補足みたいなもんでメモメモ。

http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb180604.htm/
地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)
高水準の収益対比で控えめな企業の支出スタンスの背景 ──中小企業を中心に──
2018年6月4日
日本銀行

本文
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604a.pdf
本文別紙(細かい結果)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604b.pdf
概要(概要なのだがプレゼン紙芝居なので本文より重い)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604c.pdf

昨日は最初のHTMLの方に書いてあります「要旨」を引用しましたが、まあ論点の方は要旨で基本的に尽きていまして、アブストラクトとして優秀にもほどがあるのですが、それはそれとして本文とか本文別紙とかにはやや詳しい具体的なヒアリング結果とかがあったりするので、本文の方にありますヒアリングの中で1つ思いっきり引っ掛かっている『(4)人手不足によるボトルネック 』を中心に鑑賞しようかと。

ということで以下は上記URL並んでいるうち、「本文」のところから引用しています。

以下本文7ページ以降になります。

『(4)人手不足によるボトルネック』

『人手不足がボトルネックとなり、設備投資などが遅れたり、計画自体を断念せざるを得ないケースがみられる(図表10)。例えば、製造業からは、「現場の技術者を含む人手不足が深刻で、老朽化した設備の更新さえ、ままならない」との声(事例23)が、また非製造業からは、「薬剤師不足から新規出店を断念せざるを得ないケースが発生している」との声(事例24)が聞かれている。』

ふーん。

『もっとも、人手不足については、他方で省力化投資を活発化させている面もあり、全体として設備投資などを抑制する方向に働いている訳ではない点に留意する必要がある。』

というよりむしろ人手不足の省力化投資が出るから設備投資はさらに拡大するぜヒャッハー!っていう展望レポートの見通しだったような気がするが。

でもって具体事例を引用します。

『23 輸送用機械 (静岡) 人手不足がネックとなり、老朽化した設備の更新さえ遅延
老朽化した設備を早く更新したいが、それに必要な現場の技術者も含め人手不足が深刻なため、投資計画に遅れが生じている。』

『24 小売 (広島) 薬剤師不足から新規出店を断念
当地でのシェア拡大に向けて新規出店のペースを加速したいが、薬剤師の不足がボトルネックとなり、出店を断念せざるを得ないケースが発生している。』

『25 飲食 (長崎) 人手不足から新規出店を抑制
積極的に新規出店したいと考えているものの、人手が集まらないため計画の半分程度しか出店できていない。』

『26 業界団体による見方 (松山)
ドライバー不足から車両投資を抑制 輸送需要の増加からトラックを増台したいとする企業が多いが、ドライバーの不足から大半の先では実現できていない。さらに、離退職者の補充が間に合わず、 不稼働となっているトラックも増えている。』

『27 運輸 (福島)
IT人材の不足から効率化投資に踏み切れない 業務効率化に向け、現在、FAXや伝票で管理している荷物を電子的に管理するシステムを導入したいが、ITに詳しい人材がおらず、投資に踏み切れない。 』

・・・・・・・何ちゅうかこの最後のはちと微妙かもしれないですけれども、特に前半の方とか「労働賃金を引き上げれば人は来るんじゃないですかねえ」という感じの話なのですが、賃金を上げて募集しようとかすると一気にそれは損益分岐点が上がるので間尺に合わないとかいう話なのでしょうかねえと思うのですが。

でまあスキルの高い労働者が不足している、というのであれば、政策として取り組むのは海外から労働者を引っ張ってくるとか残業定額使いたいホーダイ法案の推進とかではなくて、職業訓練プログラムの充実とか、技能系専門教育の充実とかという話にならんのかね、とは思うのでした。


〇唐突ですがたまには読書室

読書室ほとんど開店休業ですが、本を読んでいないわけでもないので最近読んだ本を2冊出してみた。なお債券市場と1ミリも関係ない(1ミクロンくらいは関係あるかもしれない)。

・モンゴル帝国と長いその後(杉山正明著 講談社学術文庫)

「世界史の中でユーラシアを東西に繋ぐ空間を創り出したモンゴル帝国」ということでモンゴル時代とそれ以降の歴史の説明と評価を行っているのですが、後世からの評価が不当に低い(キリスト教圏から見た場合の「恐怖のモンゴル」とかロシアから見た場合の「タタールのくびき」とか)ことに対する反論のやりすぎでモンゴルの評価に妙なロマン成分が入っているのが鼻につくのですけれども、内容そのものは興味深く読めましたし、海洋国家視点(マハンの海洋権力史論)に対抗した形での内陸国家視点での話でまとまったものを読めたのは面白かったです。

ISBN978-4-06-292352-1 C0122 \1150E
(手元にあるのは2016年9月1日 第3刷)


・シーア派とスンニ派(池内恵著 新潮選書)

中東問題で言われるよく言われる「宗派対立」というのは著者の言葉を借りれば話を単純化して説明する「マジックワード」なのですが、実際問題としてはそのような単純なものではない、ということで、シーア派の成立に関する簡単な説明を最初に置き、イラン革命から現在に至る中東情勢の変化に関しての解説をしています。新書形式なんでまあ基本的にサラサラと読めます(と思います)が、ちょうどアタクシが年代的にイラン革命でパフラヴィー王朝(当時は「パーレビ」と表記されていましたのでそっちの方が記憶にあるのですが)が倒れたのは無茶苦茶印象が強かったので、その時点から話が始まるのが取っ掛かりとして分かりやすい、というのがあるかも知れません(当時は小学生とか中学生とかそういう時期でしたがあれはインパクトあったんですよ)。実はシリーズ第一弾でサイクス=ピコ協定に関する著書があるそうなので、今度はそれでも読んでみようかなと。

ISBN978-4-10-603825-9 C0331 \1000E
(手元にあるのは2018年5月25日 第1刷)

ということで(^^)/



2018/06/05

お題「気が付けば今日もオペ雑談(すいません)/日銀から色々なペーパーが出ています」

この題名の付け方は・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180604/k10011464571000.html
首相「私や妻が関係していたら議員辞める」のあと記録廃棄
6月4日 20時26分


〇次は月末くらいにご期待ですか(と言いつつ雑談三昧)

さすがに連続輪番減額はありませんでしたな。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180604.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年6月5日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,300 2018年6月5日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年6月5日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年6月5日
(輪番のみ引用)

ということでさすがに昨日の今日なので注目されていた輪番オファーですけれども、まあ大体穏当な線という事で前回と同額でのオファーになりました。

てな訳で、
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1T62FB
2018年6月4日 / 15:30 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、現物は全ゾーンで金利上昇

『<15:13> 国債先物は続落、現物は全ゾーンで金利上昇

長期国債先物は続落で引けた。前週末の海外市場で、5月米雇用統計が堅調な内容で利上げ加速の思惑から米債が下落したことを受けて売りが先行した。南欧リスクがいったん和らいだことも売りを誘った。日銀が午前10時10分、予定通りに中期・超長期を対象に国債買い入れを通告すると、国債先物は下げ幅を縮小。買入額が据え置かれたことで、1日に続く減額を警戒していた短期筋から買い戻しが入った。』(上記URL先より)

っていう程戻ったかという気はだいぶするのだが、輪番減額のオファーが出て7銭だか8銭だか動いたら急落とか言ってしまう国内債券市場クオリティなのでこれはこれでそういうもんですか。

『終盤にかけては、日経平均株価が大幅に上昇したことから再び売り圧力が強まる場面があった。日銀オペは中期ゾーンの需給の緩みが意識される結果になったが、相場への影響は限られた。現物債市場では、全ゾーンで金利が上昇した。中長期ゾーンは先物に連動して軟化。10年債は翌日に入札を控えていることから持ち高調整もみられた。超長期ゾーンもさえない。長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比5銭安の150円80銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.045%。』(上記URL先より)

まあ金利が上昇言いましても20年とか相変わらず50bp台前半というか50に近い所に鎮座ましましている状態でして、全ゾーンで金利上昇したのはその通りなのですが、もうちょっと達観してみるとまー金利低めの所で張り付いているなという感じもするという状態ではございます。


まあ順当(?)に昨日は中期超長期の輪番減額は無かった訳ですが、(全部見て回っている訳では無いしそういうリソースもないのでベンダーヘッドラインくらいのしか見てないですけど)昨日は案の定と言う感じで何とかストの皆さんが輪番減額のネタについてああでもないこうでもないという講釈をしていて鑑賞しておった訳ですが、まー昨日とかその前に申し上げた調節年報にある「買入額を調節する判断材料のリスト」みたいなのが日銀の方からああいう形で出されますと、当然ながら講釈する講釈師の方々からしますと、その中の何に今回は当てはまるかみたいな話をおっぱじめて、ああでもないこうでもないという説明をしていますな。

・・・・・・ということでまあ昨日とか年報出た時に申し上げたような不毛なゲームがまた始まりそうな感じで甚だ遺憾なのでして、まあ出しちまったもん今更引っ込めるわけに行かないから調節年報の例の要素が当分使われるんだろうなあとは思うのですが、正直ああいうのは内部(調節の細かい話をよく分かっていなさそうな政策委員会の皆さん)向けの説明に使うにとどめておいていただいて、外部には本来は「総合判断です」で済ませて済む話なんですよね。

然るに、そういうわけにいかない状況、と少なくとも調節年報作っていた日銀金融市場局が思っているからああいうのが出てきたんじゃなかろうか(実は現場は要らんと思っていたら鶴の一声攻撃という可能性もあるので決め打ちはできませんが)と思う訳でして、まあ「総合判断」で説明が苦しいというのは、その背景としての話は非常に簡単でして、ここまでの政策運営が継ぎはぎで整合的な説明ができないもんだから「総合判断」で済ませると市場が日銀の動きを解釈するときに色々なものが発生して、場合によっては望ましくない方向に特攻してしまう、という事に他ならない訳ですな。

輪番減額にしたって本来は量から金利にターゲットを変化させました→それはそれと致しまして買入残高が増えてきたのでだんだんストック効果が効いてきてより少ない買入フローでも既存のストック効果と相まって金利抑制効果が強くなっています(というのも調節年報にありましたのでネタにしましたな)→「結果として」買入のフローは減っていますが金利が抑制された状態のままなので何も問題はございませんなあウハハハハハ、という話の展開になるはずなのですが、もともと「量に効果がある」「MB2年で2倍で国債買入と平均残存2倍で物価2%」とかいう触れ込みでやっていて、今でも80兆円の文言が残っているのもさることながら、オーバーシュート型コミットメントという事で量の拡大は緩和の拡大という説明もしているので、そりゃ拡大ペースが下がったら緩和ペースの縮小になります、というように、要は「過去との説明の整合性が全然取れないのに過去の看板は下げていない」というんだから、そら説明も苦しくなりますわなというお話だということですな。


と気が付いたらいつもの悪態になって恐縮ですが、まあしかし思いまするに、何でこのタイミングで輪番減額をしたのかというのは正直今もって謎でして、こんなん海外のリスクオフネタが瞬間芸で終わってくれて、米国の雇用統計も強かったから事なきを得ていますが、逆の目が出ていたら今頃なんで国債買入を減らしたのかみたいな話になってもおかしくない所で、単にこれは調節部隊の皆様が強運に恵まれているだけという結果だったのよね。

本来だったら、市場が「減額あるかも」と待ち構えているところでサクッと減額を入れておけば皆でびっくりしたり皆で後付け講釈合戦をしなくて良い訳でして、本来は4月の頭だと国債市中消化の減少が始まるタイミングだったし別にあってもおかしくないと皆さんが思っているタイミングなので、特に物議をかもすことも無かったと思いますけれども、あのあたり(まあ3月下旬でもできたとは思うのですけれども決算期末直前だから避けるのは分からんでもない)で輪番下げそこなったのでここまで引っ張る破目になりましたって感じでして、まあ短期金融市場と違って参加者全員の札読みが精緻にできるような市場じゃないから債券の場合は完全な読み筋というのは無理無理無理なのですけれども、それにしても市場がやるかなあとか思っているときに輪番減額パスして、なんだやらないじゃんとすっかり無警戒の時に減額をするというのは、作戦としてはあまり良くはない(市場に一々サプライズを与えるのが目的だと開き直れば話は別ですが)と思うのですよね。でもまあイマイチその辺の呼吸が市場と半歩ずれている気は昔からします。

あとついでに思うのですが、やっぱりこのナマコ相場があまりにもナマコなのって輪番日程までアナウンスしているのが効いていまして、まあ何でそうなったかといえば例の中期輪番スキップ以降のせいなのですが、YCCも早いもので1年9カ月近くになってきている中でオペ運営もこなれてきました、というよりは「指値砲」が10年11bpで入るという認識が共有されていますので、そろそろ輪番に関しては前に戻して「来月初回の買入額」と「回数」方式にして、ただし回数はレンジにしないでピンポイントにして、必要ならば回数を増やすことはあっても減らしはしない、回数増やすか指値入れるかは見てのお楽しみ、というのに戻した方が少しは相場らしくなると思うのですけれどもどうでしょうかね、とはさすがに思います。

とまあ変な雑談ばっかりですが、まあこの感じですと中期に手を付けるのは月末になるんじゃないですかねえ(そして翌月もその減額を継承)。本当は長期だってもっと減らしてくれないと全然追いつかないのですけれども、様子見して特に問題が無かったからと言っていきなり矢継ぎ早に減額するとそれはそれで目立ちますから。


〇何か日銀からドバドバとペーパーがでているのだが

6月といえば人事異動の季節になります(筈です)が、その前に集大成というか帳尻というかな感じでドバドバとペーパーが出てくるのですが、話が難しくてワカランチ会長シリーズがおおくてかなわん(大汗)。

・もはやアタクシの脳みそでは何が何だか分からんシリーズ

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j04.htm/
量子コンピュータが金融サービスのセキュリティに与える影響とその対策

要旨を引用してみる。

『金融分野では、金融サービスの安全性を確保するための基盤技術として暗号が利用されている。現在、広く利用されている暗号は、既存のコンピュータ(スーパーコンピュータ)を用いても解読が困難なように設計されている。しかし、近年研究開発が活発化している量子コンピュータの処理性能が向上すると、これらの暗号の安全性が低下しうることが知られている。本稿では、量子コンピュータが暗号の安全性低下を通じて金融サービスのセキュリティに与える影響と、金融機関が今後検討すべき事項について整理する。』

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j04.pdf

そもそも量子コンピュータとか言われましても何のことやら(なお上記の本文の中に従来のコンピュータとの違いを概念的な部分で解説しているのだがだから何なのかはさっぱりわからん)という感じですが、とにかくすごい難しいことをしているのは把握した。


http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j03.htm/
金融分野におけるオープンAPIの活用〜セキュリティへの影響と対策〜

『近年、情報技術を活用した新しい金融サービスとしてFinTechが注目を集めている。FinTechを推進する柱の1つといわれているAPI(Application Programming Interface)を公開する動きが、官民を挙げて加速している。本稿では、国内外におけるAPIの公開の動きを紹介するとともに、公開されたAPI(オープンAPI)の安全な利用に向けた取組みと今後の課題を説明する。』

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j03.pdf

セキュリティが気になるならクローズドにすればいいじゃないかとかいうのは利便性を考えない素人以下の発言なので発言しませんが(−−:解説の方は技術的なお話を説明しているので、まあアタクシの知能ではちょっと(汗)。


・これは解読しておかないといけないが全文英語なのでそのうち

http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/18-E-04.html
Discussion Paper Series 2018-E-4
The Effects of the Bank of Japan's Corporate and Government Bond Purchases on Credit Spreads

『We examine the effects of corporate and government bond purchases by the Bank of Japan (BOJ) on Japanese firms' credit spreads. Using a micro dataset covering 5,614 corporate bonds over the period from 1997 to 2016, we empirically show that credit spreads are explained by the risk-taking channel and the local and global supply channels, in addition to the conventional default risk channel. We quantify the effects of the BOJ's bond purchases on credit spreads through these three channels. In so doing, we emphasize that policy effects through the local and global supply channels crucially depend on the degree of risk appetite at the financial institutions.』

本文はこちら
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/18-E-04.pdf

ということでどう見てもこれは解読しておく必要がありそうなのですがご覧のように全部英語なのでこれはさすがに唸らざるを得ない(超大汗)。


・さくらレポート別冊キタコレ

http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb180604.htm/
地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)
高水準の収益対比で控えめな企業の支出スタンスの背景 ──中小企業を中心に──
2018年6月4日
日本銀行

ということですが時間がないので(すいません)本文とかはまた後日ネタにできそうだったらするとしまして上記URL先の要旨だけ引用します。

『企業収益は、内外経済の成長が続く中で改善傾向にあり、その水準は、企業間のばらつきを残しつつも、中小企業も含めて既往最高圏内にある。この間、設備投資も増加傾向を続けているが、企業収益と比べると、なお控えめなものにとどまっている。こうした中で、中堅・中小企業、中でも特に非製造業を中心に、内部留保が増加するとともに、資産サイドでは現預金が積み上がっている。』

さいですな。

『こうした状況が今後も続くのか、それとも近いうちに企業の支出スタンスがより前傾化してくるのかは、今後のわが国経済を見通すうえで重要である。』

そらそうよ。

『こうした問題意識のもと、日本銀行では、本支店・事務所でのヒアリング調査等をもとに、企業が高水準の収益対比でみて設備投資など(研究開発投資、M&Aも含む)の前向きな支出に慎重な背景のほか、今後の見通しと課題について、中小企業を中心に取りまとめた。ポイントは以下のとおりである。

ほうほうそれでそれで?

『・企業が高水準の収益対比でみて設備投資などに慎重な背景としては、(1)リーマン・ショック等のトラウマ、(2)人口減少による中長期的な内需の先細り懸念、(3)中小企業経営者の高齢化と事業承継問題、を指摘する声が特に多かった。』

それはわかる。

『また、(4)人手不足によるボトルネック、(5)機動的なM&A等に備えた手元資金の積み上げ、(6)技術革新の方向性やタイミングを巡る不透明感、(7)タイムラグ(収益改善に設備投資などが追い付いていない)、を指摘する声も少なからず聞かれた。』

4番はそもそも賃金を上げれば人集まるだろという話で、単に労働分配がおかしくて適正化したら収益が減るんじゃないでしょうかという感じだし、5番から7番はだいたいやろうとおもっているけどやらないとかいいながら永遠にやらないパターンだと思う(個人の感想です)のだが、まあそれは兎も角。

『このうち(2)、(3)は、中堅・中小企業、(2)はその中でも内需依存度の高い非製造業を中心に聞かれている。』

『・先行きを展望すると、上記の要因のうち、(1)の影響は、新たな経済ショック等がない限り、ごく緩慢ながらも和らいでいくと期待される。また、近年、緩和的な金融環境のもとで、トラウマ経験のない新興企業が台頭してきている点も見逃せない。(3)も、政府による時限的な事業承継支援策を含めた官民の支援強化により、状況改善が期待される。このほか、(7)などの影響も、時間の経過に伴い、和らいでいくとみられる。』

ホンマカイナ。

『一方で、(2)については、今後、人口減少が進む中で、下押し圧力として働き続ける可能性が高い。』

たぶんこれが本線だと思うのですがそう言ってしまうと身も蓋もなくなる。

『・今後、全体として、企業の設備投資などのスタンスがどうなるかは、各要因の影響の持続性や度合いにより、変わってくると考えられる。その際、留意すべきは、(2)によるマイナスの影響をどうやって抑えるかである。この点、政府による成長戦略の着実な実行や企業による新たな需要の創出・開拓の取り組み、こうした取り組みに対する金融機関や経済団体等によるサポートの一段の充実などが重要と考えられる。』

と言ってるのだが、賃金上げたくないだの低賃金労働者を海外から引っ張ってくるだの年寄りを低賃金で活用しようだの、だいたい碌な話が出ていないいや何でもないです。


本文等はこちら

本文
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604a.pdf

本文別紙(細かい結果)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604b.pdf

概要(概要なのだがプレゼン紙芝居なので本文より重い)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb180604c.pdf



2018/06/04

お題「輪番オペ減額キタコレの雑談大会」

まあ現実問題としてそういう課題があるのでそういう話になるというのは分かるけど。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31305690S8A600C1EA3000/
島根銀への業務改善命令検討 金融庁、収益改善求める
金融機関 2018/6/2 20:00日本経済新聞 電子版

『金融庁は島根銀行に業務改善命令を出す検討に入った。法令違反への処分ではなく収益構造の改善を求めるための措置。人口減や低金利で地銀の経営環境が厳しくなるなか、持続的に収益をあげる体制づくりに照準を絞った新しい検査を実施している。2日までに福島銀行に同様の改善命令を発動済みで、再建の着実な実行を求める。』(上記URL先より)

ということなんですが、そこにある「人口減や低金利」ってどっちも政府部門の政策の失敗(人口動態に対して何の手も打たないのと低金利政策が延々と続くような経済運営しかできなかったのは誰のせいかと小一時間)な所へ来て、金融機関ってあれやれとかこれやるなとか色々と(業種の性質上しょうがないけど)手枷足枷掛けられているのに後付けで言われるのもなんだかねえという感じはしますが、きっとス(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。


〇どう見てもフラグ建築士です本当にありがとうございました(輪番減額)

金曜は月末の輪番日程公表に対して「政策が地蔵でオペ運営も地蔵モードなのでリリースされるものも地蔵」などとお地蔵さんコール3連発を行いましたが、まあ別にアタクシが煽ったわけではなく(煽ってますが^^)、債券村的にも「何か全然動かさないよ輪番どうするんだよこのまま引っ張るのかよオイ」と言いながらもまーた動かなかったのでこりゃ中々動かんな、という感じで思っていたのではなかろうか、と愚考した結果手が勝手に地蔵連呼をするということになりました。

でもって輪番オファー(輪番のみ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180601.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年6月4日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,300 2018年6月4日
国債買入(物価連動債) 250 2018年6月4日

>国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,300 2018年6月4日

!!!!!

ということでいきなり月初に輪番減額、と言いましてもよくよく考えてみればこの前輪番増額(と指値)をしたときに4100→4500に拡大しているので、4300への減額だと増やした分丸々にはなっていないのが匍匐前進感があって素敵なのですが、まあ減額は減額ということですな。

まあ実を言えばオペのオファー時間に珍しく目を皿のようにしてベンダーを見ていたには見ていたのですが、まさかの地蔵三連発で盛大にフラグを立ててしまったということでございますので(多分関係ないけど^^)、これはもう輪番全廃(無理)に向けて毎日ジャンジャンフラグを立てた方が良いのかも知れませんが、この手の縁起物ネタというのは意識してフラグにしようなどという浅ましい心でネタにしても効果はありませんので、先週金曜の朝のアタクシのように「あーどーせ日銀動かねえし動けないし動く度胸もねえだろ(鼻ホジホジ)」とか心から思って建てないとフラグにはならないのが惜しい所です。


でまあ為替ちゃんの反応
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-mid-1-idJPKCN1IX3IM
2018年6月1日 / 12:32 /
正午のドルは109円前半、日銀オペ減額後に買い戻し

『[東京 1日 ロイター] - 正午のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の109.15/17円だった。日銀の国債買い入れオペ減額でいったん下落したものの、そこから下げが強まらなかったことで買い戻しが入った。イタリアの政局混迷に対する懸念がやや後退し、ドル/円に買い戻しが入りやすい地合い。朝方にきょうの安値108.72円を付けた後、仲値通過後にかけて108.98円まで上昇した。午前10時10分、日銀が「残存5年超10年以下」の国債買い入れを前回から200億円減額すると通告したことで、ドルは108.73円まで下落した。』(上記URL先より)

とまあそういうことで、輪番減額出て英文ベンダーのフラッシュが出たあたりで為替は一旦円高に振れた、と言っても振れたの精々30銭かその辺という水準でして、まあそんなに動かなかったうえに、何か知らんけどその後はドル高の方に振れるという展開になりまして、雇用統計も特にイベント化することも無かったので為替は輪番減額を無事に消化したということで大勝利大勝利。


そして本命の債券ちゃんの反応
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1T32OA
2018年6月1日 / 15:25 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続落で引け、長期金利は0.045%に上昇

『 <15:16> 国債先物が続落で引け、長期金利は0.045%に上昇

国債先物中心限月6月限は前日比12銭安の150円85銭と続落して引けた。前日の米国市場が米関税措置導入の発表を受けてリスク回避となった流れを引き継いで、朝方は買いが先行した。高値警戒感が意識される中、日銀が「残存5年超10年以下」を対象にした国債買い入れでオファー額を前回から200億円減額し金利低下をけん制したことをきっかけに国債先物は下げに転換し、一時150円81銭まで売られた。』(上記URL先より、以下同様)

いやいや10年が2.5bpくらいの時も全然減額しないんだし確かに減額警戒は常にあるにしても、ここで減額するのはちと予想外だったんじゃないですかねえ。むしろやるなら30日のところで減額するか、それとも13日あるいは20日(20日なら金融政策インベントの大きいのは一通り終わっている)ですかなあとか、寧ろ今月は様子見で何もなければ来月あたり(なので今月29日)とかそういう感じで、輪番4500は明らかに買いすぎじゃろというのはあっても、まあ色々とあるので減らせんでしょと高を括っていたと思うのですが、アタクシだけですかね(大汗)。

『オペの減額は2月28日以来。市場では「日銀としては、大規模な国債買い入れの副作用を無視できなくなってきたのではないか。4日には中期と超長期の買い入れが予定されているが、再減額の可能性を見極めていきたい」(国内金融機関)との見方が出ている。現物市場は長期ゾーンを中心に下落。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp高い0.045%に上昇した。』

うーんこのポジショントーク。「大規模な国債買い入れの副作用を無視できなくなってきたのではないか」ってそんな殊勝な態度だったらとっくの昔に政策に関して総括検証の総括検証とかおっぱじめますって。これ単に「この前10年金利が10bpを狙いに来たから止めるために増額した」分の調整で、しかも全部戻しじゃなくて増額前からみたらまだ増額状態ですから、残念ながらそんな殊勝な話ではないと思う。

しかしまあ何ですな、上記ロイターさんの記事でもありますが、「日銀が「残存5年超10年以下」を対象にした国債買い入れでオファー額を前回から200億円減額し金利低下をけん制したことをきっかけに」ってなっているのはまあ一般向けにはそういう説明になってしまうのですが、金利低下を牽制するなら寧ろ先週だったらイタリア大爆発でヒャッハーとかやっているときにしらっと減額しちゃうというようなプレイだって十分に可能な訳ですし、「金利水準」を純粋に見ればそっちの時の方が当たり前のように金利が低かったので、今回の減額って「イタリアで新政権が結局まあ何とか出来て、ユーロ懐疑派のオッサンがEU問題担当相とかお前の方が問題ではみたいなツッコミがあるものの、そうは言いましても急激な事態の流動化が避けられましたなあ」というのが明らかになったタイミングでの打ち込み、となった訳ですよ。

そうしますと、リスクオフの時には輪番減額しないで、それが一巡して減額ということですから、イベントと為替を見てオペここなら減らしても行ける!って時に減らしましたというのが中々こう露骨に分かってしまうプレイに見えてしまいまして(しかも今後イタリアにしろ朝鮮半島にしろ、貿易戦争にしろまたリスクオフが復活する恐れはあるのであんまり引っ張っているのはイクナイ。と思ったというのもわかってしまう)、まあそうやって考えているとすれば(あくまでもアタクシの妄想ですので念のため)、このイタリア小休止のうちに減額しなきゃとなったという事なのでしょうねえ、という想像は付くので、金利低下をけん制したという感じもあんまり漂わないですな。


・・・・・・まあアレです。金曜に関してはイタリア一段落とは言えイタリアクオリティなのでこれからまたオモシロ事案が出てくるかも知れないし、米国では雇用統計があるし、というようなタイミングでございましたので、運が悪いとその手の要因で円高に振れてしまって、まあ直後の市場の反応を見れば瞬間芸の反応だった、ということが分かるにしても、後付けで別の要因だった円高を日銀オペ減額に結び付けられてネタにされると結構日銀にしてもリスクはあるので、今回のオペはタイミング的に何かもう「イベントリスクのリスクオフが一服したこのタイミングで行くしかない!」という以外の理由が考えられないという意味では不明瞭なタイミングではありますな。

つまり、今年の調節年報に記載されていてネタにしましたが、オペに関して『そのうえで、毎回の買入れ額は、その時々の市場動向に応じて柔軟に調整している。具体的には、金利水準や金利変動の方向のほか、金利変動のスピード、ボラティリティ、あるいは金利変動が一時的なものなのか傾向的なもの なのか、また、国債需給の状況やそれまでのオペの結果9など、幅広い要素を総合的に勘案して決定している。』(今年の調節年報(BOX8 日本銀行の国債保有比率の上昇と国債買入れ額)より)とありますが、えーっとすいません今回のってここの要素のどこが当てはまるのでしょうかという話になる訳でして、まあ先週申し上げましたように、アタクシ的には別にこういうの細かい定義付けてやらない方が良くて、寧ろ壺振りでもエエンチャウカくらいの発想はあるのですが、調節年報の中で上記のように要素を並べて(ちなみにこれだんだん要素が増えている気がするので、そういう意味では曖昧さに向かって有耶無耶にするモードに入っているようには見えるけど)いると、その要素のどれで判断しましたか?とかいう話になってコミュニケーションが訳分らないゲーム化しますな、と思う。

しかしまあ何ですな、増額の方は金利水準が上がってくると、というのは分かるのだが、増額の時に2月のように無駄に増額して来て、減額の時には為替が反応しなさそうなタイミングを狙って来るということで、まあ大体パターンが為替だというのが見え見えになってしまっているというのも、気持ちは非常によくわかるのだが政策本来の説明とかから考えてどうなのかなあ、とは思うのでありました。


しかしいきなり本丸の長期に手を付けてくるとはという感じで、正直盛大に増やしたの中期もなので中期減額が先に来るかと思ったのだが、まあ結果オーライっぽいので無事でよかったねとは思いますけれども、ちょっとやった時はヒヤリとしました。さすがに今の所これで出口とか言い出している何とかストは居ないようなので安心安心。

#なお、地蔵地蔵と煽ると輪番が減るならばもっとフラグ建築芸を極めて世のため人のため(寧ろ金利商売のアタクシの為なんですがそれは^^)にもフラグを立て続けなければいかんのかなと思う金曜日bの昼下がりなのでありました

これで今日中期を減額したら男度胸の特攻隊(超長期減額したらもっと痺れてビリビリですよ先生)なのですが、まあそれをやるとさすがに刺激が強いのでやるにしても月末近辺になるんでしょうが、元々オペのサステイナビリティを考えたら減額をもっとしないと追いつかないので、いいからもっと減額しろとは思うものの、イベントリスクにしてしまうとそれはそれで問題というのが痛しかゆし。


〇債券市場サーベイと思ったが時間がないので一発ネタ

http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1805.pdf
債券市場サーベイ <2018年5月調査>
回答期間:2018年5月9日〜5月16日 調査対象先数:67先

もうこの回答期間が思いっきり味わいのある期間(T+1だよ)なのですが、

『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)    
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい。』

『(現状)』の方の機能度DIは▲46→▲45と改善(例によって「高い」はゼロなので、そもそもの状況としてダメかダメダメかくらいの中での改善ですけれども)していますが、クソワロタのは『(3か月前と比べた変化)』の法でして、「改善した」が0で「さほど改善していない」「悪化した」が増えてDI悪化(▲8→▲10)というのがもうねという所ですな。

あとまあ順当だなと思ったのは『A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。』って奴に関しても3カ月前との比較ってところが盛大に悪化していて大変に微笑ましいものを感じました、まる。

#もはや市場機能とか言われましても、という所だとおもいますけどね



〇一応雑メモ

中立金利大好きおじさんことウィリアムス総裁
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKCN1IX609
2018年6月2日 / 06:48 /
米金利、中立金利上回る可能性=サンフランシスコ連銀総裁

『[サンフランシスコ 1日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は1日、金利が中立金利に達すれば、利上げを一時停止する必要は必ずしもなく、景気が堅調さを維持すれば、金利が一定期間中立金利を上回る可能性があるとの認識を示した。ロイターのインタビューで発言した。あと3回の利上げで金利が中立金利付近に達すると見通した。』(上記URL先より)

一瞬このヘッドラインを見ると「今の米国金利が中立金利を上回っている」といっているのかと誤認するような日本語になっているので、とりあえずヘッドラインを書いた人は豆腐の角に頭をぶつけてきてください。内容は普通にいつも通りでした、一瞬ビビったのでメモしておきます。




2018/06/01

お題「買入は例によって変化なし/調節年報より/ブレイナード講演(備忘用メモ)」

ほうほうとりあえず落着と。
https://jp.reuters.com/article/italy-politics-ministers-idJPKCN1IW2OP
2018年6月1日 / 03:04 /
イタリア2党が連立政権合意、首相にコンテ氏再指名

やれ再選挙だとかいう話になると勢い付いて瓢箪から駒になりかねなかったのでこれはこれで不安材料軽減ということで良いのかな??

〇政策が地蔵でオペ運営も地蔵モードなのでリリースされるものも地蔵なのは順当

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180531c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2018年6月1日より適用)。 ── 次回公表は2018年6月29日17時を予定。』

ということでこちらなのですが、何せここもとは輪番の上げ下げが全然ないこともありまして、昔のように匍匐前進で徐々に輪番が減っていた時と違いましてレンジの上下(というか下)に引っ掛かってくるようなこともないのですから、そらレンジ動かさんわなと。

てな訳で最近はすっかり日程の組み方の方が注目されるようになっておりまして、と申しますかそこしか注目するところがないのですが、まあそれによって月中の需給で入札のタイミングで重くなっているか軽くなっているかを見て、マーケットメーカーだったら入札ヘッジと玉の捌き方を考えるし、投資家だったら入札前後のどこで買いタイミングを取るのが良いのかというような、まあ重要は重要なのですが、でもそれって朝三暮四のエテ公とどこがどう違うんだといわれるとぐうの音も出ない話しかすることなし。

まーそんな訳でレンジの方もすっかり形骸化したことですし、この際YCCもワークして市場も安定してきたことですし、輪番日程出すの再度止めたらもう少しボラが出て面白くなりませんかねえとも思ったのだが、しかしまあそれをやると今度は輪番日程当てっこ大会で市場の皆さんがエネルギーを使うという、これはこれであまり本質的ではない生産性に欠けるゲーム大会になるので(将来的にはこんな細かい日程とか出すのは変だと思うけど)それはそれでダメダメ感強いんだろうなあとか思うのでした。

いやまあ元々この形式にしたのって、昨年1月の「中期輪番スキップ事件」から以降に輪番が不意打ちで動くようになっていやあの一番大きな買い主体がそれやると市場が無駄に荒れてしまうんですけどという所からおっぱじまっておりますので、今みたいにオペ運営が地蔵状態になっていると最早この予告自体が注目されない、というだけの話ではございますな。

何と申しますか、オペ運営に政策的意図を入れないで、かつ柔軟に運営するってえのは非常に難しい話ですし、運営の予見可能性に関して言えば今って地蔵モードだし先般の展望レポート以降の流れは地蔵モードを続けますと言っているのに等しいから超予見可能性が高まってしまうのですが、これあまりにも動かないのが定着すると、今度は動かそうとしたときに(金利が上がっているときの指値オペは問題ないのですが下がった時の対処という意味です)物凄い勢いで市場の予見可能性を下げることになるのですな。かといって毎日壺降りしてオペ決めてたらトータルは最終的に帳尻合わせてくるから予見できても、月前半とか何が来るか分からんから予見できずにボラ上昇とかになるので、予見可能性と曖昧さの間のバランスをどう取ればよいのかは難しい所としか言いようがない。

いま円債ちゃんが全然動いていない(訳でもなくてさすがに今週とか先物2万枚台ペースで来ているし、取引自体はあって単に値動きが重いだけだし超長期の後ろは動いているので、「先生!うちの円債ちゃんが息をしていないの!!」状態ではないとは思いますが、とは言いましても10年どころか最近は20年くらいまでも値幅取らなくなっているのって、輪番があまりにも予見可能性が高すぎている弊害なのか、輪番がそもそも多すぎなのか、はたまた単に地蔵政策見通しを反映しているのか、というのはたぶん要因分解不能な話で、それこそトレーダーと投資家の各個人的見解を聞いて回るしかないのですが、たぶん聞いて出てきた答えも本当にそうなのかはワカランチ会長、というのが相場様の訳分らんところではなかろうか、などと地蔵輪番スケジュールを見て思うのでした。


・・・・・・ところで日程とは話が全然違うのですが、量の目標があってディレクティブ変えないといけない案件だから金融市場局的には知らんがななのでしょうが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180531a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程について

物凄くまじめに政策委員会の方々に聞きたいのだが、このオペ何のためにやっていると思うの???

#そのうちもうちょっと悪態並べてみる


〇これは懐かしの財政季節要因ネタ(調節年報ネタというより雑談)

ちょこちょこ出してくる調節年報ちゃんですが、

紹介ページ
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/ron180528a.htm/
本文
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/data/ron180528a1.pdf
概要
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2018/data/ron180528a2.pdf


例によって例のごとく本文のBOXって奴をネタにする訳ですが、先般来債券市場をネタにしたBOXを鑑賞してみましたが、今度は短期の方でもと思ってBOX2を見たらそこにはどう見ても教科書です本当にありがとうございましたという解説コラムがございましてですな・・・・・・・・・

本文14ページに『BOX2 地銀・第二地銀の資金調達の季節的な変動 』というのがあるのですよ。でもってそちらですけれども、

『2017 年度中の無担保コール市場残高を、資金調達サイドに着目してやや仔細にみると、地銀・第二地銀以外の業態では年度を通じて概ね横ばいとなっている一方で、地銀・第二地銀では年度初にやや大きめに減少し、年度後半にかけて増加している(BOX 図表 2-1、2-2)。これには、一般財政の受払いの季節性の影響を受けた地銀・第二地銀の日銀当座預金残高の増加ペースの季節性が関係していると考えられる。』

とありまして、15ページに図表『(BOX 図表 2-1)業態別の無担保コール市場残高 』というのがあるので(例によって貼れないから見てちょ)鑑賞すると仰せの通りのグラフが見れます。

・・・・・・というのでピンと来る方はインターバンクまたはそこに近い短期やってた方か、金利市場に生き残っている債券市場老人会の皆さまという事になりますが、財政資金に関しては年間の過不足パターンというのがあって、量的緩和をした上に超過準備への付利まで行うようになってしまって以降財政資金の季節的過不足でコール市場がどうのこうのとか債券市場への影響をかそういうのすっかりなくなってしまった(短国金利がIOERよりも高い時代だったら短国の需給に跳ねるので全く関係ない訳でもないけど)ので、教科書(東京マネー・マーケットな、アタクシの本棚見たら第5版(1996年4月)というのがあってドヤ顔しそうになったが、債券市場老人会としては第4版が出てこないと素人^^)で見ても知らんがなという感じだったのかもですね。

『日銀当座預金残高は、マネタリーベースの拡大が続くもとで、全業態でみると、年間を通して増加トレンドを有している。こうした中、地銀・第二地銀では、年度前半は全業態を上回るペースで日銀当座預金残高が増加し、年度後半は下回るという季節性がみられる(BOX 図表 2-3)。』

これまた15ページをご覧あれ。

『2016 年度の金融市場調節』の BOX2 で指摘したとおり、日銀当座預金残高は、公共事業や社会保障費の年度末支払いなどの大口の払い要因が重なる3〜5月積み期間や、年金が2回給付されるほか地方交付税交付金の支払いも重なる6〜8月積み期間に大きく増加する一方、9〜翌2月積み期間の増加幅は小さくなる。』

去年の調節年報では本文16ページに「BOX2 日本銀行当座預金増加額の季節性」というのがあるのですが、去年の場合はマクロ加算の掛け目を調節したりするときにここの状況も(当然国債買入償還のバランスも大きい)勘案してやっておりますよ(ドヤァ)というのがありましたが、今年の場合は・・・・・・・・・・・

『こうした一般財政の受払いの中には、地方交付税交付金や公共事業費など、地銀・第二地銀に大きく影響するものが多い。そのため、地銀・第二地銀の日銀当座預金残高は、一般財政の受払いの季節性の影響を他業態より強く受けていると考えられる。』

というのもありますが、MB拡大ペースが鈍化したのが影響していて、以前だったら季節性云々の前にMB増えるから結局増えるじゃんみたいな事だったのでそこまで注目じゃなかったということとか、あとはマクロ加算の枠の使い方とかの問題でしょうかねとか勝手に妄想するのですが。

『この結果、地銀・第二地銀は、日銀当座預金残高の増加ペースが高まる年度前半には、無担保コール市場における資金調達を少なめにし、日銀当座預金残高の増加ペースが鈍化する年度後半には、無担保コール市場における資金調達を多めにするという行動をとっている。また、こうした地銀・第二地銀の無担保コール市場における資金調達行動が、市場残高全体の季節的な変動を作り出している。』

ということですが、財政資金の季節要因とか最近(ここ数年のターム)そういう話をすっかり聞かなくなった(アタクシの感度が下がっているだけだったらゴメンチャイなのですが)ので、おおこれは懐かしいと思った次第で、別に何か政策インプリケーションがあるという話ではございませんので念のため。


〇ブレイナード理事キタコレと思ったが時間ががががが(ネタ予定メモ)

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20180531a.htm
May 31, 2018
Sustaining Full Employment and Inflation around Target
Governor Lael Brainard
At the Forecasters Club of New York, New York, New York

ほほうと思って斜め読みだけはしたのですが、斜め読み過ぎて精読が必要なので時間もないので忘れないようにリンクだけしておくというお粗末さんですいません。


小見出しを並べますと、

Growing above Trend
Risks and Uncertainties
Sustaining Full Employment
Sustainably Achieving Our Inflation Objective
The Yield Curve
The Path of Policy
Conclusion

とございまして、イールドカーブの話割とやっていて、タームプレミアムがなぜ縮小しているのかみたいなネタも打ち込んでいます。まあ何人かのFED高官がこの話していますし、議論として盛り上がっているのは分かるのですが、ただまあブラードに典型的に示されていますけど、FEDの高官さんって学者チックな方が多いので(連銀叩き上げもいるけど)、つい学者的に見て美しい話になると議論が無駄な方向に盛り上がるんじゃないのか、とか勝手に思うのよね(個人の感想です)。

つまり、市場現場叩き上げ(そもそも叩かれているが上がっていないというツッコミもあるけど)なアタクシとしては、しょせんイールドカーブ形成とか「市場の皆さんの見通しとお家の事情による需給関係を集約したもの」であって、それは先行きの経済に関しての「予想」は示すけれども、「結果」については何のコミットもしていないものなのに、ブラード大先生みたいに「イールドカーブがフルフラットとかインバートになったら景気が後退する」とか言われましても市場にそこまでの予見機能があるかというと知らんがなと思うので、この議論をあまり熱心にするのは生産的ではないと思う、と極東の片隅で日本人が日本語で話をしていても何の意味もないですかそうですか。

ちなみに最後の方の『The Path of Policy』だけ引用しますね。

『In the median outlook in the FOMC's Summary of Economic Projections (SEP), the federal funds rate is projected to reach its longer-run value by 2019 and exceed it in 2020. If the 10-year term premium were to stay very low, that path would likely imply a yield curve inversion. But for the reasons I just noted, if the term premium remains low by historical standards, there would probably be less adverse signal from any given yield curve spread.』

その前にタームプレミアムの話があってその続きなのですが、プレミアム変わらなければそのうち2020年にはカーブがインバートするでしょうとな。

『It is important to emphasize that the flattening yield curve suggested by the SEP median is associated with a policy path calibrated to sustain full employment and inflation around target. So while I will keep a close watch on the yield curve as an important signal on how tight financial conditions are becoming, I consider it as just one among several important indicators.』

そら(イールドカーブは重要だけど)そう(それは数多くある一つのシグナルに過ぎない)よ。

『Yield curve movements will need to be interpreted within the broader context of financial conditions and the outlook and will be one of many considerations informing my assessment of appropriate policy.』

ですな。

『As suggested by the SEP median path, I believe that the forward-guidance language in the Committee statement that was introduced a few years ago that "the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run" is growing stale and may no longer serve its original purpose.』

ほほう!

『For purposes of comparison, in March 2016, the median of SEP projections for the federal funds rate path had the funds rate rising to 3.0 percent and remaining below the longer run value that was projected to be 3.3 percent. A year later, the median projection of the longer-run federal funds rate fell. In the March 2018 SEP, the median projection of the federal funds rate peaks at 3.4 percent in 2020--1/2 percentage point above the median projection of its longer-run value of 2.9 percent. It is worth noting that this progression reflects a decrease in the long-run federal funds rate as much as an increase in the medium-run federal funds rate.』

SEPの見通し範囲内の中でロンガーランのFFを突き抜けるようになったので「the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run」という文言はもう古臭いのでは、となっていて、そのうちこの辺の文言を工夫するのかもしれませんな。