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2018/10/16

お題「黒田総裁の外遊発言にツッコミ少々/短国買入どうするの/今更FOMC会見ネタ(しかもその1)」

https://jp.reuters.com/article/saudi-politics-dissident-report-idJPKCN1MP2F2
2018年10月16日 / 04:56
サウジ、失踪記者の死亡認める報告書を準備=CNN

『[ワシントン 15日 ロイター] - サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコで行方不明になった問題で、サウジ当局は、同氏に取り調べを行ったところ誤って死亡させたとする報告書を準備しているという。米CNNが15日、匿名の関係筋2人の話として伝えた。』(上記URL先より)

「取り調べを行ったところ誤って死亡させた」というのは言い訳になるのか?????


でもって米国市場ですが、

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1WV4RQ?il=0
2018年10月16日 / 05:06 /
米金融・債券市場=利回り上昇、乱高下一服との見方

https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N1WV53E?il=0
2018年10月16日 / 05:31
米国株式市場=下落、ハイテク株に売り 金利上昇・企業業績巡る懸念で

株式市場が落ち着いたとみて金利が上がるとそれを見て株式市場が下落というお洒落なサイクルに入っていますな。


〇海外で口が緩む黒田総裁ですがバリ島ではどうだったでしょうか

・ブルームバーグインタビュー

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-14/PGLY4I6TTDS001
出口の兆候、国債利回り注視を−日銀の黒田総裁
竹生悠子、Kathleen Hays
2018年10月15日 6:24 JST 更新日時 2018年10月15日 11:44 JST

昨日は朝来たらこんなヘッドラインが出ていて(って朝のうちに気が付けよというツッコミはしないで頂きたい)、なんじゃこの謎のヘッドラインと思ったら・・・・・・・・・

『日本銀行の黒田東彦総裁は、長年に及ぶ金融緩和からの出口戦略開始の準備が整ったと示唆する最初の兆候は資産購入ではなく、国債利回りに表れるだろうと述べた。』(上記URL先より、以下同様)

何か一読して何を言いたいのかよく分からんのだが以下記事を読み進めてみるとこれは単に「国債買入のペース縮小は出口政策と関係ない」と言っているだけだと気が付く。

『黒田総裁はインドネシア・バリ島でブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに英語で答えた。日銀が出口に向かうことを知らせる方法について問われ、「2%物価上昇率が達成されたり、達成が近づいたりした場合は当然、金利目標を変更することがありうる」と説明。「現時点では、物価上昇率は1%にすぎず、現行の長短金利水準で金利操作を継続する」とも述べた。』

そらそうだ。

『金利変更が出口戦略の開始の明確な合図になるとする黒田総裁の意図を確認する追加質問に対しては、「その通りだ」と話した。』

そらそうだ。でもって途中を飛ばして

『黒田総裁は出口を示唆する可能性がある兆候を探すなら国債購入額ではなく、イールドカーブコントロールに焦点を絞るべきだと指摘し、「イールドカーブコントロールだけだ」と発言。「国債購入額はもはや金融オペレーションのターゲットではない」と述べた。』

ということで、まあこれをそのまま文字通り解釈すると、「国債買入はバンバン減っても出口でも何でもありませんあくまでも金利ターゲットを達成するための道具ですから」というお話になって、まあ何とかスト方面からは、金利目標の引き上げ=出口政策示唆という事が明確に示されたので、出口の可能性が無ければ金利目標は上がらないというハードルの高さを示した、という講釈がいくつか出ていて、そらまあ今時点で言えば2%いつ行くのかワカランチ会長な状態な訳ですから、別に物価が行くことを理由にして出口政策の方向で金利が上がるとか考える必要はサラサラないのでそれはそうとも言えますが、だったら何で7月に「柔軟化」を行って金利ターゲットは変えていないけれども市場金利の方は実際には10年が恒常的に0.1%に乗った水準で推移させているのを放置プレイにしているのか、と考えますと、「金利が変わると出口戦略の明確な合図(=だから出口戦略になるまで金利を変えない)」という説明をしているけど実際の運用上金利上昇容認してるのはあれ何なんでしょという話になる(ちなみに日銀に聞くと「目標は変わっていません、あまりにも金利を固定化しすぎないように問題ない程度での振れを容認しているだけです」という答えが返ってくる見込み)のですけどね、

つーわけで、これは「金利をそう簡単に変えませんよ」というのはそらまあ現時点で当たり前の話であって、むしろこれって「国債買入バンバン減らすぜヒャッハー」という意味を取りに行った方が良いのではないかと思いますが、国債買入が減るから金利が上がるかというとこれがまたややこしい話で、追加緩和がどうのこうのとかいう置物一派の残滓が3体ほど転がっておりますところの日本銀行政策委員会としては(櫻井さんは置物一派かと思っていたらすっかり執行部の忠実な鉄砲玉になっている)「オペ減らして金利が上がりました」となると残滓どもが五月蠅いので、「海外経済などが好調で市場の金利が上がりました」とか「日本の物価先行きの期待から市場の金利が上がりました」ということにしたいでしょうということで、オペ減額ヒャッハーといって売り込むというのも早計ですし、まあ減額が見えているだけに余程の材料なら別でしょうけれども、多少のネタでは金利をバンバン買い進むというわけにもいかず、となりますとそらもうウゴカンチ会長相場になりますわなという所ですな、ナムナム。


・消費増税の影響が小さいんだったらフォワードガイダンスの文言は何なのかと小一時間問い詰めたい

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20181014-OYT1T50071.html
日銀総裁、消費増税「景気に大きな悪影響ない」
2018年10月14日 18時10分

『【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=山本貴徳】日本銀行の黒田東彦総裁は14日、消費税率10%への引き上げについて、「景気に大きな悪影響があるとは思わない」と述べた。飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率の導入などにより、家計の負担が抑制されるためだ。インドネシアで開かれた金融セミナーで述べた。黒田氏は、軽減税率のほか、増える税収の半分が教育無償化に使われることを挙げ、「悪影響は(5%から8%に引き上げた)前回増税時の4分の1になる」との試算を示した。』(上記URL先より)

>景気に大きな悪影響があるとは思わない
>景気に大きな悪影響があるとは思わない
>景気に大きな悪影響があるとは思わない

さてここで声明文のフォワードガイダンスを確認してみましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180919a.pdf

項番5の一部になりますな。

『政策金利については、2019年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している(注3)。』(8月決定会合声明文より)

となっている訳ですが、景気に大きな影響があるとは思わないのに何で「消費税率引き上げの影響」という文言を含めたのかというのがもうグダグダにもほどがあるわというお話ではございますな。まあどうせ日銀に小一時間質問しても「消費税率引き上げというのは不確実性の具体的に分かりやすい例として出したもので、実際には様々な不確実性が消費税率引き上げ以外にもあって、不確実性が高いと見込まれる状態で軽々しく利上げをすることはない、というのを示した文言です」とか「消費税率引き上げの影響は前回ほど大きいとは考えていないので大きな悪影響があるとは思わないというのは事実。ただし前回は予想外に影響が大きかったように、今回も何らかの要因が重なって大きな影響になるかも知れないのでその点を不確実性として考えている」とか何とか想定問答の理屈が瞬間的にホイホイと浮かんでくるので小一時間問い詰めても何も出てこないのですけれども。

でまあ日銀の理屈(屁理屈)は理屈としましても、フォワードガイダンスの中で消費増税の影響というのを殊更に日銀は示している以上、こういう話をしらっとされてしまうとナンジャソラという話になりますので、そこはせめて「計算上は前回よりも影響が小さいとみられるが、消費者心理などへの影響が大きい可能性もあるので慎重に動向を見ていきたい」とか言っておけよと思うのですけれども、まあ黒田さんがそうは言わないキャラクターなので仕方ありませんな。


〇ところで今日は短国買入やるんかいの

昨日は輪番無し入札無しデーでして、前週および前々週同様に「3M入札の翌営業日(3Mの翌営業日に6Mをやったので前々週は6Mの翌営業日ですが)ではなくその次の営業日に短国買入」を踏襲して月曜の短国買入も行われませんでしたな。

でもって本日なのですが、昨日も申し上げましたように先週の3M短国ちゃんは益々強い結果になっておりまして、更に短国買入する意味あるのかという感じになっているのですが、また1000億円やるのか今回こそパスするのかというのはちょっとだけ気にしています。もしかしたら先週の場合は6Mがあったから買入をしたけれども、今回は3Mしかないから買入をパスして、1Y3Mと続く翌々営業日の23日の時に短国買入を実施するとか、そういうスケジュールでも考えているんですかねえ。

まーいずれにせよ短国買入自体MBの帳尻という意味も薄れているのですからバンバン削減して行っても何ら問題は無いので残高0を目標にしていただきたい(ディレクティブに短国買入の話は無いのだから0にしてもディレクティブ違反ではない)と思う次第。なおマイナス金利政策のせいで短期市場での純粋なキャッシュ運用という種族は滅亡してしまいまして、辛うじて制度上必要なこともあり生かされているのがMRFという状態になっておりまして、覆水盆に返らずとはよく言ったものであります。

あとオペといえば点数表が公開されましたな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel181012b.pdf
金融市場調節取引におけるオファー停止、対象先除外等の措置について




〇いまさらジローなネタですがのんびりとFOMC後の会見でも鑑賞していこうかと(たぶんその1)

実はこの前(10/3)のパウエル講演で結構論点が出てしまっているような気がだいぶ漂っておりまして、なんか今更9月25日の会見ネタってどうなのという気は全力でするのですが、読んだものをお蔵入りさせるのも何なので俺様メモも兼ねて少々。

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018


・言語明瞭意味は明瞭な時と不明瞭な時があるという感じですかね

パウエル議長の会見、だいたいパウエルおじさんのパターンが確立されてきた感がありますが、質問に対して割とノリが良く言語明瞭に返すし、なんかその場で色々と考えてます感が思いっきり漂うのですが、意味に関しては明快に答えている時と明快だけど中身がない時に2分されるという感じに思ったのですがどうなんでしょ。

ということで最初の質問ですけど。

『NICK TIMIRAOS. Thank you. Nick Timiraos, the Wall Street Journal. Chair Powell, given the lags of monetary policy, I want to know how you think about ending the tightening cycle? How will you know when to stop? And do you need to keep going until something in the economy breaks? 』

婉曲に中立金利水準の質問をしたとも読めますがその答えは、

『CHAIRMAN POWELL. So the tightening cycle, as you know, is a reflection of the strength of the economy. And it’s almost three years now that we’ve been gradually raising rates. And I think the fact that we have moved quite gradually, in a way, allows us to carefully watch incoming data in the real economy and in the financial markets to see how the economy is processing higher interest rates. And the fact that we’re moving so gradually-I think it-I think it limits the long and variable lags problem because, you know, we’re being able to raise rates and then wait and see how the economy absorbs these rate increases. And so far, the economy has performed very well and very much in keeping with our expectations. 』

ということで、経済の強さを見ながらやっているが今の所はまだ緩和的という説明にとどめていて、ああでもないこうでもないと説明しているのですが、肝心の「どこで緩和をストップするのか」「政策が引き締めに転じたというのをどう判断するのか」という質問に対してはナマコのような答え(経済を見て判断)しか返って来ませんな。


・さほど政治圧力への質問は無かったのですが政治向きネタにはきっちり返す

その次。

『JIM PUZZANGHERA. Hi, Jim Puzzanghera from the L.A. Times. President Trump has stated publicly he’s not thrilled with the interest rate hikes. His comments didn’t appear to have any impact on you or your colleagues. Were his comments discussed at your meeting? And do you have any concerns about the effect of these types of comments on the perception of the Fed’s independence and your monetary policy?』

もし今日あたりに会見が設定されていたらもっとバシバシ質問されていたかもしれませんね。

『CHAIRMAN POWELL. So we’ve been given a really important job to do on behalf of the American people by Congress, and we’ve been given the tools to do it, and my colleagues and I are focused exclusively on carrying out that mission.』

こういう所は当たり前だがナマコ返答はしない。

『We consider the best thinking, the best theory, and the best evidence. We have disparate points of view, which we debate extensively and come to a perspective and try to set monetary policy to achieve maximum employment in a context of price stability. That’s what we do. We don’t consider political factors or things like that. And so that’s who we are, that’s what we do, and that’s just the way it’s always going to be for us. 』

当然ちゃあ当然の答えですけれども、こちらの職分でベストを尽くしています、という答え。まあこの会見と関係はありませんが、置物一派の皆様におかれましては「We consider the best thinking, the best theory, and the best evidence.」というのを額に飾って10万回くらい復唱して頂きまして、胸に手を当ててよく考えて頂きたいものだと思います。


・金融環境、社債スプレッドや株価に関して&利上げの最終レートに関して

その次の質問です。

『STEVE LIESMAN. Steve Liesman, CNBC. Thank you, Mr. Chairman. Can you explain how-the stock market being at a near all-time high, corporate spreads being very tight-how does the level of the market factor into your decisions to raise interest rates? 』

利上げの際に金融市場の状況をどの位気にしていますかという良い質問だが、オ・スンファンの石直球という所でして、もう少し手加減をした方が良いのでは。

『Is there a concern on your part? And then, as sort of a second and related part, can you tell us whathappens in 2020 and 2021 that-I know you can’t tell us when you’re shaking your head [laughter]-that prompts-that prompts you-the Fed to think that the rates need to still be above neutral in that time period? Thank you. 』

後半がSEPのドットに関してですな。

『CHAIRMAN POWELL. Sure. So in terms of financial markets and monetary policy, we-as we say in our statement every cycle, we do take financial conditions into consideration because financial-broader financial conditions do affect the broader economy, and they’re one of the many things that we take into account. The part of it that we control, though, is what we do with the federal funds rate and that has-that has effects out through, you know, out through the full interest rate curve and into financial asset prices generally. So the answer is, we take everything into account, but, you know, broader financial conditions are just one of the things that we take into account. 』

前半は一般的な答えでスルーしやがりましたな。説明自体は(画像をちゃんとみてないけど)相手の質問を尊重して答えているような言い方をしながらも一般的な説明で逃げるという割とうまいっつーかズルいっつーかな感じっすね。

『In terms of ’20 and ’21, why-your question was why the funds rate needs to be above neutral? So you’re right.』

こんな感じで相手の質問を確認するのが前の人たちよりもかなり目立つのがパウエル流。

『Some of-some of the participants have mostly very modest overshoots of their personal estimates of neutral a couple-three years out. You know, it’s far out into the future. I think it’s hard to be confident that that’s-that that’s the way things are going to be. What we’re going to be doing as we-as we go through time is asking at every meeting whether monetary policy is set to achieve our goals. And I think that that’s an assessment of where policy will need to be some years down the road, and I’ll leave it at that.』

ということで、中立よりもやや高い所まで金利引き上げをするとみているのはその通りです、という話をしているのですが、それに続いて「まあゆうても先の話はよー分からんから今から決め打ち致しかねるので今後変わっていくかもよ」という説明をしていまして、これはSEPにおけるドットチャートの在り方については、特に政策が中立に近くなってきた時には再考の余地があることを示しているようにも読み取れますな。

#全部やっていたら延々と終わらないのですが、まあこの調子で円債のネタも乏しいのでやっていきますこの人はこの人で会見に味があるな、と今の所は思っています(そんなに歴代詳しくないけどイエレンが一番真摯な感じがします)







2018/10/15

お題「櫻井さんの金懇会見は「隙あらばドクトリン変更」もあるかなあとは思うけど・・・・・(バイアス入りの個人の感想です)」

悪いことが起きる予感しかしない・・・・・・・・・
https://www.asahi.com/articles/ASLBF4WW2LBFUTFK007.html
片山さつき氏「地方創生は愛・感動、I can do」
2018年10月13日21時46分

〇櫻井審議委員会見である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk181012a.pdf

最初の2ページくらいが延々と想定問答大会になっているのですが、そのあとからまいります。


・2013年ドクトリンからの変化に関する話をして頂けると大変に楽しくなりそうなのだが

『(問) 本日の懇談会の講演の中で、物価安定目標のみを重視して過大な需要超過を政策的に作り出すことは、金融システム上の不安定性を高める可能性があるというご指摘をされていると思います。これは、2%の物価目標の達成前でも、現在の極めて低い金利水準を引き上げるなり、緩和度合いを調整するべきだというお考えを示したという理解でよいでしょうか。』

まあ何ですな、この質問するなら「ここから調整」という話よりも「枠組み」という形で質問をして頂きたいとは思ったりするのよ。もちろん話の持って行き方が難しいのはそうなのですけど。

つまりですね、櫻井さんのいう「物価安定目標のみを重視して過大な需要超過を政策的に作り出すことは、金融システム上の不安定性を高める可能性がある」という指摘っていうのは、(金曜日も申し上げましたけれども)2013年のQQE導入時点でのアプローチとは異なる訳でして、アプローチが異なっているのに「QQE」の文言に相当する「量的質的金融緩和政策」という表示が適切なのか、QQE時点で重視していたマネタリーベースの大規模な拡大を示す「80兆円」文言やオーバーシュート型コミットメントが適切なのか、という方面でツッコミを入れて頂きたいなあ、とまあ思う訳ですが、そこで櫻井さんのお答え。


『(答) 現段階では、今回の講演でも述べさせて頂きましたが、7月の展望レポートでこれまでの物価動向を分析した結果、需給ギャップ以外の様々な構造的な要因や、履歴効果がかなり効いており、物価上昇に遅れが出ているのだろうと私は理解しています。』

もともと7月は「何で物価が上がらんのかという話をする」回という扱いになっていたのに、そこにフォワードガイダンスとオペの変動幅拡大(本来は解釈論で可能だったのですが指値を連発しちゃったのでこうなった)を入れる方が著名になってしまいましたが、どうも櫻井さんの金懇挨拶の説明と、こちらでの説明を見ますと、ドクトリンがしらっと変更になっているのを例によってダマテンでやっていて、しかも元々の2013年ドクトリンを廃止しないで新ドクトリンを屋上に屋を架すような形でぶっこんでいるからもはや何が何だか分からんという枠組みになっておりますな。

『2%の物価安定の目標の達成には、多少時間が掛かるということが確かなことになってきたわけです。早くに達成できればそれに越したことはないですが、想定していたよりは時間が掛かっています。このため、現在の需給ギャップがプラスになっている状況をなるべく維持して、その効果を待つということではないかと思います。』

これは(あとでも出てきますが)明らかに「物価目標の達成が遅れるというだけの理由では追加緩和をしない」という話ですな。

『時間が掛かるということをもって調整を早めるとか、そういう段階ではまだないと思います。今後、実体経済の動きや物価の動向をじっくりとみていくことが必要な状況なのではないかと考えています。』


・枠組み変更と聞くのも難しいので手を替えて質問が来たら思いっきり2013ドクトリンを否定する答弁が登場の巻

『(問) 講演の最後の方で、不確実性の下での金融政策は慎重に実行することが適当との指摘について、大変示唆に富むと語っていらっしゃいます。これは物価の伸び難い国内環境を考えれば、緩和政策はもう少し抑制的にやっていった方が良いのではないかということなのでしょうか。』

「もう少し抑制的に」ってのが中々味わいのある質問の仕方で良いですな。

『(答) 先程申し上げた通り、物価が2%に向かっていくという、例えば5年前から考えていたことでみると、そのときには考えられなかった不確実性、すなわち構造要因だとか、ヒステリシスの要因だとかが出てきて、物価上昇が遅れてきています。』

だったら2013ドクトリンの検証もした方が良いのでは、という話はさておきここから先の屁理屈展開が中々味わいがある。

『すなわち、金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います。』

>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います
>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います
>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います

マネタリーベース直線一気理論の皆さんに置かれましてはこの説明に対する所感をお伺いしたい。

『不確実性が高くなってきている部分について考えてみると、金融政策と物価との関係には特に不確実性が出てきている一方で、例えば金融政策と需給ギャップとの関係には、それほど高い不確実性はないだろうと考えています。』

金融緩和は需給ギャップの改善には寄与したが、需給ギャップ改善から物価に繋がる波及経路に対して、適合的期待形成による履歴効果があり、構造要因があり、ということのようですが、ここでマネタリーベース置物直線一気理論の巨匠の示したポンチ絵を確認しましょう(しつこい)。

言うまでもありませんが6ページ目のスライド、PDFでは7枚目になります。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム -「第一の矢」の考え方-京都商工会議所における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男
2013年8月28日

需給ギャップって物凄く中間の所に入っているのですが、ここからドクトリン変わったというのは(ダマテンで変えるとか落とし前付けに池やゴルァとかいうのはさておいて考えたとしても)それはそれで分かったのだが、QQEからの需給ギャップに繋がる道というのはどういうものなのか、その効果は何によって来ているのか、というのを改めて説明して頂きたいものだと思う訳ですよ。

すくなくとも(事実上骨抜きとはいえ)「日本銀行副総裁」がポンチ絵もとい図表までつかって説明していたルートって元々「予想インフレ率上昇」という図表の最初の部分でコケている訳でして、では予想インフレ率が上昇しないのに需給ギャップがなぜ改善しているのか、という話はきちんと説明していただきませんと、日銀副総裁様によるこの図表が公的に死んでいる訳ではないのですから、きちんと落とし前をつけていただきたいものだ、と斯様にアタクシは思うのでありまする。

『従って、政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです。』

>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです
>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです
>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです

2%物価目標を早期に達成するために必要な大胆な金融政策を実施した、という話になっていた筈なのですが、これは思いっきり露骨に2013年ドクトリンを否定しておりますな、しかしこれだけ否定しているのにどの面下げて置物一派って置物理論で相変わらずやっているのかというか、これで政策委員会の会話が成立しうるのかと疑問に思ってしまいますな。

『現在でも実はかなり強い金融緩和政策を採っておりますので、これ以上強くする必要はなく、暫くは現在の緩和をしっかりと維持することによって、その動向を見守ることが大事だろうという趣旨です。』

当初はこの方リフレ派繋がりでノミネートされていた筈なのですが、この普通に普通の説明をするというのが何でこうなったのかというのは不思議ちゃんでして、どういう心境なのかお話をトックリとお伺いしたいですいやマジで。


でもってこの直後にこの質問ですがそらそうよという答えですけど、これはどう見てもリフレの方々とは一線を画しまくっているという答え。

『(問) 今言われた「大胆な政策をとる必要がない」というのは、今の時点で追加緩和をやる必要がないと、そういう理解でよろしいでしょうか。』


『(答) 現時点では、もちろん先行きの不確実性は抱えているのですが、実体経済は比較的順調に回復をしてきているということだと思いますので、これ以上に強い緩和をする必要があるかというと、現段階ではないだろうというのが今の考え方です。』

そらそうよ。


・金融不均衡とか副作用の蓄積に関する質疑はそらまああんまり答えんわな

次の質疑。

『(問) 講演の中で、やみくもに物価安定の目標を目指しても不均衡を高めるということを踏まえ、足もとでは需給ギャップのプラスを維持していく、と述べられています。この点について、例えば不均衡が高まったと判断できそうな状況――その判断も難しいとは思うのですけれども――において、金利とか量とか色々ある中で具体的に何をすべきだとお考えでしょうか。』

質問する方も質問が難しい金融不均衡論。

『(答) 不均衡の判断自体、大変難しいと思いますが、現在の需給ギャップはもちろん不均衡ではなく、かなり均衡状態に近いだろうと思っています。すなわち、需給ギャップ自体が推定値、計算値であり、多少の誤差はあるだろうと思っておりますので、ほぼプラスになっているといっても、大きなプラスとは考えていません。従って、今後不均衡が拡大するかということは、需給ギャップがそれ以上に大きく、過大になっていくことを懸念するかどうかということになります。現在はもちろんそういう状況にはないので、今後はその点を慎重にウォッチしていくということだろうと思います。』

そう来たか。

『不均衡が高まったときにどうするかといいますと、不均衡には2種類ありまして、上振れリスク――需給ギャップがかなり過大になっていく場合――もあれば、逆に下振れリスク――需給ギャップが小さくなってマイナスになる場合――もあるので、そのときの状況に応じて、政策の方向を考えていくということだと思います。そのときには、考え得る色々な手段の組み合わせを考えていけば良いと思っています。』

ということで金融面の不均衡という話は華麗にスルー。

よって後の方になりますが別の手からの質問が。

『(問) 本日の講演の中でも、今の金融緩和策の中での金融機関へのリスクに言及されていると思います。今の金融緩和のもとでも、金融機関が収益的に厳しくなっているというご認識はあると思いますが、その点、どこまでであれば耐えられるのか、どこまで長く続けられるとお考えですか。』

とりあえずマイナス金利撤回してもうちょっと金利を立たせないとリームーです(心の叫び)。

『(答) 現時点で、金融システムは、個別行の問題はともかくとして、一般論としていえば健全性は保たれていると基本的に思っています。もちろん、こうした金融情勢の下で、収益が上がりにくいのは事実でして、累積的な効果がたまってくるだろう、このままいけばそういう方向に進むと思います。』

いやいやいやそうのんびりしている場合でもないんだが。

『しかし、現時点では自己資本や流動性は十分にあり、喫緊の対応の必要性は全くなく、その点では安定性は保たれていると考えています。』

日銀の公式もこういう説明になっているのですが、そもそも論として預貸業務中心のビジネスモデルになっておりますところの金融機関というのは、ストック商売なのであって、ストックの上がりというのは過去からの累積によって現に存在する資産がストックなのでありますからして、その過去からの蓄積の上りがどうのこうのという話ですから、「喫緊の対応の必要性」が出るようなときってのは既に金融機関のストックがズタボロになっているということを意味しますので、そこで対応するとか言っても既にストックがズタボロになっているのがそう簡単に改善する訳ではなくて、物凄い時間が掛かることになるんですよね。

つまり、フロー商売だったりその場その場でトレーディング損益って話じゃないところで銀行のビジネスモデルって基本は回っているので、「問題が顕現化したとき」というのはそれはもう手の施しようがない位に悪化していますよという話だし、しかも外的ショックで不良資産がどどーんと発生みたいな急性じゃない中で慢性的に来るとなるとかなり厳しい状態になっているという事ではないか、とまあ思うのでありまして、FSRでどういう説明してくるのかわかりませんけど、「今の指標で大丈夫だから大丈夫」みたいな考え方以外のアプローチをお願いしたいですな。

『ただ、やはり、長くこういう状況が続くことを考えれば、収益が急激に改善することはなかなか考え難いですし、収益確保のためにある程度のリスクも抱えつつあると思いますので、その点も含めて、慎重にウォッチをしていくということが一番重要だろうと思います。モニタリングをしっかりとやっていくということだと思います。』

ということでよろしゅうに。


・目標達成の中長期化に関して

上記の質問にも関連しますが最後の所で。

『(問) 講演の最後のところで、時間を掛けて金融緩和を継続していくことが適当であると述べていますが、その前のところで、金融緩和を続けると金融とか経済の不均衡が蓄積されると述べており、「時間を掛けて」ということになりますと、一層副作用が累積されると思います。』

ですなあ。

『2%の物価安定の目標の達成に時間が掛かるということになると、目標達成に向けて緩和を続ければ、そこから副作用が生じますので、この際、2%という物価目標について、早期にではなく、中長期的な目標としていくということに関して、委員はどのようにお考えですか。』

ということで。

『(答) 2%の目標自体は、私は変える必要は全くないと今でも思っています。』

まあそう来るわな。

『目標達成に時間が掛かるということになりますと、副作用が生じてくるという問題はそのとおりであり、副作用と時間のバランスをしっかりと点検していくということが、金融緩和政策を続ける上で必要だと思います。』

ほほう。

『その点では、多少は今までと違う観点も入れながら、金融緩和を続けていくということだと思います。』

>多少は今までと違う観点も入れながら
>多少は今までと違う観点も入れながら
>多少は今までと違う観点も入れながら

しれっとドクトリン変更を示唆。

『基本はやはり、金融緩和政策を続けながら、2%の目標達成に向けて進んでいくということですが、物価変動プロセスに不確実性があることを踏まえると、目標達成時期がどのようになるかという予測が、なかなか今出来にくいということだろうと思います。当面現在の金融緩和政策を続けながら、副作用への目配りもきちんとしていくことが必要だろうと考えています。』

ということで、ドクトリン変更と言わずにどうやってドクトリンを変更するのか、みたいなインチキ臭いアレではあるのですが、まあそんなこと考えて執行部が鉄砲玉櫻井先生を投下してみました、という雰囲気は思いっきり感じることができました。



〇3MTDBとな(メモだけ)

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181012.htm

(3)募入最低価格 100円07銭3厘0毛(募入最高利回り)(-0.2716%)
(4)募入最低価格における案分比率 40.2500%
(5)募入平均価格 100円07銭9厘1毛(募入平均利回り)(-0.2943%)

先週の3M787回が▲28.47bp/▲26.79bp、その前の3M786回が▲20.31bp/▲18.60bpという事で順調に金利が低下しているんですが、そうなると木曜に短国買入をやった意味がますます分からんということでして、やる必要がない短国買入何で入れたかね〜。

まあ輪番の上げ下げにしろ別に全部予告しろとは言わないのですが、なんかこう市場で「ここはさすがに来るだろう」みたいなもの(それを一般的に「織り込み済み」とかいう訳ですが)がある時にそこを外してみたり、市場があんまりケアーしていない時に奇襲減額してくるとか、いやそういうのでボラを出そうとしなくてもよいんですけど正直言って、とは思うのでありました。


#ということで市場ネタその他ネタ(短期市場サーベイが出ていたりFSBの仮想通貨ネタがでていたりと実は色々とある)をスルーして櫻井さん金懇会見ばっかでどうもすいません




2018/10/12

お題「櫻井審議委員金懇鑑賞/短国買入とな????」

えーっとですな、
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/03/01/kiji/20180301s00001173041000c.html
金本監督、“最強布陣”宣言「これまでのチームでは一番強い」
[ 2018年3月1日 05:30 ]

からの
https://www.asahi.com/articles/ASLBC3T85LBCPTQP006.html
阪神・金本監督が辞任 17年ぶり最下位「結果が全て」
2018年10月11日12時06分

とまあそういう風に展開したベースボール業界ですが、わが金融業界においては・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko141105a.htm/
2%の「物価安定の目標」の実現を確かなものに
きさらぎ会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年11月5日

『最後に昨年4月に言ったことをもう一度繰り返します。「物価安定の目標」を早期に実現するため「できることは何でもやる」。』(上記URL先より)

さてその後はどうなっているでしょうか・・・・・・・・・・・・・・?????


〇櫻井審議委員秋田金懇挨拶は誠に仰せの通りなのだがそれなら枠組みを見直せと小一時間

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko181011a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181011a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策 秋田県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 櫻井 眞 2018年10月11日

・後から出てきたのだがこれは微苦笑

ということで金懇挨拶なのですが、後から見たら最初の所にこんなのが。

『文中に一部誤りがありましたので、次のとおり訂正致しました(2018年10月11日):

2.内外経済の現状と先行き、(国内経済の先行き)の第2段落
(誤)2018年度に+1.6%となった後、
(正)2018年度に+1.5%となった後、』

事後なのはいただけませんが、このように数値の部分とかのチェックはちゃんと入っているというのが金懇挨拶の原稿である、ということは改めて確認できたのですけれども、それならそれでジンバブエ大先生の見るもアレな金懇挨拶に関してどうにかならんのかと思うわけで、「細かいことには正確だが大きなことは間違える」というポンニチクオリティを遺憾なく発揮しておられると思ってしまいました。そういや直近の金融財政事情か何だかにジンバブエ先生のゴミ文章が掲載されていましたがゴミを掲載すんなよと思ってしまいましたがな。


・鉄砲玉先生なので経済の話は割愛します

『日本銀行の櫻井でございます。本日は、秋田県の各界を代表する皆さまとの懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。また、皆さまには、日ごろより日本銀行秋田支店の業務運営に際して様々なご支援を頂いております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。』

『本日は、皆さまから、当地経済に関するお話や、私どもの政策・業務運営についての忌憚のないご意見を承りたく存じます。まず、私から、国内外の経済動向や日本銀行の政策運営等について、私なりの見方も交えながらお話しさせて頂きます。』

ということで経済の話→物価の話→金融政策の話→さらに今後の金融政策の話、と続きますが、最初の所はすっ飛ばして物価の話から。


・物価が上がらん理由に「生産性の向上」を上げているという攻撃に出てきましたな

『3.物価の現状と先行き』の『現時点までの物価動向の変遷』ですけどね、

『続いて物価情勢についてお話しします。消費者物価(除く生鮮食品)は、前年比0%台後半の緩やかな伸びに止まっています(図表9)。消費者物価の上昇の遅れについては、単純な需要不足による物価上昇の遅れとは考えづらく、需要面以外の多様な要因が関係していると思います。』

『現状のわが国の物価を取り巻く環境について、1つの上昇要因と2つの抑制要因、合わせて3つの要因から整理してみます。』

ほほう。

『第1に、需給ギャップのプラス化に伴う物価押上げ圧力です。既に経済動向のパートで述べましたように、2017年以降、需給ギャップがプラスに転じ、足もとそのプラス幅は拡大しています。マクロでみた物価上昇圧力は確かに存在しています。』

『一方、第2の要因として、根強いデフレマインドに基づく物価下押し圧力が挙げられます。わが国経済における長期的なデフレの原因が、基本的に需要不足にあったことは明らかかと思います。需要の停滞に伴い、長期間に亘り需給ギャップのマイナス、すなわち、労働力や設備の過剰状態が長期化しました(前掲図表2)。こうした需要不足の状況が続いたことにより、企業部門では停滞する需要を奪い合うために、価格引き下げで対応しようとし(図表10)、そのために設備投資を抑制したほか、人件費等の固定費削減を進めました。これにより、マクロの供給力(潜在成長力)も低下しました。循環的な景気後退が、供給面への影響を通じて長期的な成長力を低下させる効果をヒステリシス(=履歴効果)と呼びますが、このヒステリシスがわが国経済に根深く定着したことで、企業の価格設定スタンスは慎重なものとなり、家計の値上げ許容度も低くなる、といった形でデフレマインドにも繋がっていると思われます。』

ここまではいつも通りですが、ここからが新境地(新たな屁理屈)の満蒙開拓団登場という風情でして・・・・・・

『さらに、新たに分かってきた第3の要因として、企業の供給面の対応で生産性が向上することで物価が抑制される効果があります。』

新しい屁理屈キタコレ!!!!!!!

『需給ギャップのプラス化により、企業部門が持つ既存の供給力では需要の増加に対応できなくなり、企業は、供給過剰のもとでは成り立っていた採算性の低いビジネスを取りやめ、省力化を企図した設備投資を推進するなど、生産性上昇に向けた積極的な対応を進めています。』

この分かったような分からんような理屈は何なのと思うわけで・・・・・・・・・・

「企業部門が持つ既存の供給力では需要の増加に対応できなくなり」→ここまではわかる
「供給過剰のもとでは成り立っていた採算性の低いビジネスを取りやめ」→???
「省力化を企図した設備投資を推進するなど、生産性上昇に向けた積極的な対応を進めています」→それで需要増加に対応できるの??

いやあの需要増加に対応するんだったら単に設備増強するって話だと思いますし、需給ギャップのプラスがどうのこうのって話が労働需給の話なのであれば話は何となくまだ分かるけど、その時だって本来は賃金が上がって調整されていくので、普通に物価上昇要因になるはずで、そうならないのは成長期待が無くて、労働需給が改善しているのが景気要因よりも人口要因が大きいからとかそういう話になるんでネーノという気がだいぶするんですけど何かよくわからん理屈だ。

でまあいままでも「非製造業を中心に企業の生産性向上の余地が大きいため物価が上がりにくい面がある」というような程度の断片で企業の生産性向上余地を物価上昇に絡めた説明をしていた部分はあったのですが、今回こういう形でまとまって説明が飛んでくるというのは初めてだったと思います(一応前回の展望レポート全文は確認していますが勘違いだったらスイマセン)ので、今回こういう新機軸を鉄砲玉先生が打ち出してきたということは、次回の展望レポートで気を付けよう物価は急に上がらないという屁理屈にまた一つ屁理屈が追加されるという事になるのではないでしょうか。

『このように、生産性を上昇させることで、販売価格に転嫁せずに乗り切っている面があります。この点については、後ほど改めて詳しくご説明します。』

へえ。

『まとめると、現時点における物価動向は、(1)プラスの需給ギャップ、(2)ヒステリシスに基づく根強いデフレマインド、(3)供給面の拡大に伴う生産性上昇、の3つの要因が複合的に影響しているものと考えられます。2017年以降、プラスの需給ギャップが実現する中で、企業部門の対応として、供給面の拡大がみられはじめたことで、当初想定していたよりも、物価上昇の見通しが下振れた面があるかと思います。』

需給ギャップがプラスになったら物価が上がると言っていたのに上がっていかないじゃないか、というツッコミに対する屁理屈である、というのが確認できると思います。


・先行き見通しはどうでも良いのだが一応引用

『物価の先行き』って奴です。

『3つの要因のうち、とくに供給面の拡大については、今後、生産性上昇による物価押し下げ効果がどの程度持続するか、正確に予測することは困難です。生産性上昇の効果が強ければ、ある程度の賃金上昇圧力は十分吸収することが可能で、このようなケースでは販売価格に転嫁されることなく物価上昇にはさらなる時間を要することになります。とはいえ、生産性上昇の余地は無限ではないので、物価抑制効果は徐々に減衰していくと予想しています。経済の緩やかな拡大を持続させ、需給ギャップをプラスに維持することで、物価も徐々に上昇率を高めていくと考えられます。実際に物価上昇がみられるようになれば、企業・家計が将来の物価上昇を期待する、すなわち期待インフレ率が上昇するようになり、デフレマインドが徐々に払しょくされ、最終的には「物価安定の目標」の達成に繋がると思われます。』

ここのポイントは「生産性上昇の効果が強ければ、ある程度の賃金上昇圧力は十分吸収することが可能で、このようなケースでは販売価格に転嫁されることなく物価上昇にはさらなる時間を要することになります。」ってところで、これはつまり次回の展望レポートで物価見通しが下振れする伏線を張っていますという話でしょうし、2%達成時期はとうの昔に出さなくなってしまいましたが、これだと更に先送りになりそうですね。


・金融政策の考え方がどこからどう見ても2013年当初と違うのに2013年当初の枠組みを残すのはどうなのよ

『4.金融政策』ですけど、現状の話はどうでも良いのでパスしてその先の『今後の金融政策』から。

『今後の金融政策は、基本的に「フォワードガイダンス」で示した金融緩和政策の枠組みに沿って進められることになります。』

インチキフォワードガイダンスの枠組みとな。

『当面は、金融システムの安定性や実体経済の状況とその変化にも十分注視しつつ、「物価安定の目標」の達成に向けて強力な金融緩和政策を継続することが適当であると考えます。』

で?

『そのうえで、政策の副作用の状況を不断に点検し、緩和効果と比較衡量しつつ、金融緩和政策の持続可能性を判断していくことが重要です。』

ほう。

『総需要が総供給を上回る良好なマクロ経済環境のもとで、「物価安定の目標」の達成を目指して、緩和的な金融環境を継続していくことは、金融・経済の両面で不均衡の蓄積に繋がるリスクがあり、これまで以上に広範な視点から政策の持続可能性を検討することが重要です。』

早期達成するからそういうのは気にしなくて良いんじゃなかったでしたっけ???

『このうち金融面での不均衡については、副作用の発生経路は、低金利が継続するもとで、(1)金融機関の収益力が低下し、先行きの資本基盤が累積的に劣化すること、あるいは(2)収益確保のためにリスクテイクを進める中で、外部環境の変化に伴いそれが不良化して、経営体力が毀損することで、金融仲介機能が適切に発揮されなくなるリスクが考えられます。』

普通金融面の不均衡って言ったらほかに「長期間の金融緩和を前提にした資産市場における価格形成の歪み(というかバブル化)」が含まれると思いますがまあそれはそれとして。

『金融システムレポートに加え、考査、オフサイト・モニタリングなど複数のチャネルを通じて、金融システムにおけるリスク状況を点検するとともに、必要に応じて、金融機関に対し、こうしたリスクへの対応を促していきたいと考えています。金融政策面でも、こうした金融面の不均衡が蓄積するリスクを点検しつつ、適切に政策判断を行っていくことが大切です。』

早期達成とは??

『強力な金融緩和政策を慎重かつ粘り強く継続することで、マクロの金融・経済のバランスを崩さずに、プラスの需給ギャップを長く維持し、「物価安定の目標」を実現していくことが今後の方向性といえるかと思います。』

ということで、思いっきり「何が何でも早期達成」というのではない、というのはまあ今に始まったことではないのですが分かると思いますが、次のコーナーで更にその説明が続くのだ。


・これでは2013年当時のアプローチと全然違うんだが、という本論がこちら

『5.経済の供給面の変化と金融政策運営について』という所になる。

『先ほど、物価の上昇が遅れている背景について、経済の供給面の拡大にかかる要因を採り上げました。以下では、これまでのお話と重複する部分もありますが、やや長い目でみた日本経済の供給面の変化と、そうしたもとでの今後の金融政策のあり方について、改めて私なりの見方を整理してお話しします。』

つーことで最初が『経済の供給面の変化とその背景』。

『わが国経済の現状をマクロの需給面の視点からみると、過去5年半以上に亘る強力な金融緩和政策のもとでも、2016年前半までは需給ギャップがマイナス、すなわち需要が供給を下回る需要不足の状況が続いていました。2017年以降、ようやく需要不足が解消し、需給ギャップがプラスの状況が続いています。これは、経済全体の需要が供給を上回る、需要超過・供給不足の状態といえます。こうした状況のもとで、供給面においても緩やかな拡大が進んでいます。労働市場における女性や高齢者の活用や、省力化投資を中心とする設備投資の力強い拡大などをみても、こうした評価が裏付けられると思います。』

何かさっきから出ているこの説明には微妙な違和感を直観的に感じるのだが、おじちゃん頭良くないので何がどう変なのかは頭の良い人突っ込んで頂きたいんですが。

『物価動向のパートで既に述べた通り、こうした供給面の拡大は、短期的にみれば、厳しい競争環境に直面する企業が価格を抑制することに繋がる側面があります。一方、省力化投資は、IoTやAIの活用など、生産性向上や技術進歩を通じて、中長期的にはわが国の潜在成長力を高める方向に寄与し得るものです。』

つまり「この要因で物価が上がらないのは悪いことではない(キリッ)」という屁理屈でもありまして、物価が上がらないことに対しての前向きな申し開き攻撃ができる、というものであります屁理屈力恐るべし。

『こうした供給面の拡大が、わが国経済・物価に与える影響を見極めていく必要がありますが、それは時間がかかるプロセスとなります。』

>それは時間がかかるプロセスとなります
>それは時間がかかるプロセスとなります
>それは時間がかかるプロセスとなります

はいはい目標達成先送り先送り。

『すなわち、需要面の変化は、政策的な措置により比較的短時間で表れます。一方、供給面の変化は、原油価格の変動など外的ショックによって生じるものを除くと、投資の実行に時間を要することから、需要面の変化よりも長い時間がかかります。供給面の変化によって実体経済や物価が変化するのにも、需要面の変化よりも長い時間がかかるということになります。こうした時間のかかる経済の構造変化の状況を、様々な観点から点検していくことの重要性は、これまで以上に高まっていると思います。』

つまり物価が上がらなくてもその背景にあるのが供給面の拡大ならば問題ないということですか、なんか変な理屈な気がするんだけどなあ、だったら成長経済とかならどうなのとか???感は尽きない。


でもって本日のメインイベント小見出し『需給のバランスと金融政策』である。刮目して読むべし。

『次に、こうした経済の需給バランスが変化するもとで求められる金融政策のあり方についてお話しします。』

キタコレ!!

『単純な需要不足のもとでの金融緩和政策と、需給均衡がほぼ実現した状態のもとでの金融緩和政策では、同じ金融緩和政策という大きな枠組みのもとでも、その視点には変化が求められつつあるように思います。』

いきなりぶちかましております。

『現行の金融政策が目指している「物価安定の目標」は、あくまで需給の均衡と潜在成長率が達成されているもとで、実現されることが適切なのだということを、改めて強調したいと思います。』

実際には全く仰せの通りなのですが2013年にQQEをぶち込んだ時はそういうグラデュアルなアプローチではありませんでしたよね。完全に話が変わっていますがな。

『足もとの日本経済をこの視点から考えてみると、需給ギャップはプラス転化し、成長率も潜在成長率を上回って推移しています。しかし、「物価安定の目標」だけは実現できていません。』

つまりそれは今のアプローチが物価に関して言えば正しくて、2013年のアプローチは(金融市場に与えた効果とかは兎も角として)物価に対するアプローチとしてはやってみたものの結果出てないんだから適切なアプローチでは無かった、ということになりますよね。

『既に述べたように、物価の伸び悩みの原因は単純な需要不足にあるとは考えにくく、履歴効果に基づくデフレマインドが根強いことに加え、供給制約に直面して以降判明してきた、供給側の拡大による生産性の向上という要因もかなり影響しているのではないかと思います。』

マネタリーベースとコミットメントでインフレ期待に直接働きかけるというのも効いていなかったうえに、それ以外の強い要因もありました、ということでこれは好意的にみると2013年の置物リフレ理論が「残念ながら想定できていなかった部分があった」という形で撤退する布石の理論をぶち込んできた、とも言えそうですよね。

『このような新たな変化を金融緩和政策との関連で考えると、「物価安定の目標」の実現のためには、今後は従来以上に供給面の動向を注視して、需給ギャップがプラスの状態を維持すること、同時に金融システム上の安定性にも十分注意しながら慎重に金融緩和政策を継続していくことが適当であると思います。』

つまり・・・・・・・・・・

『「物価安定の目標」のみを重視し、その早期実現を図るため、やみくもに過大な需要超過を政策的に作り出すことは、たとえ可能であるとしても、マクロ経済の不均衡の拡大や金融システム上の不安定性を高める危険性があることを考慮すると、望ましくないと思います。』

キターーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!∫dx

ということで、これは2013年ドクトリンの転換を思いっきり示していまして、しかも「新たな変化」ということにしておけば「あの時点で考えられた方策をやったものの、実際にやってみたらその方策を無効にするレベルの新たな変化があった。あの時点では最善策を行ったのだが、新たな変化が起きたので新たなドクトリンで進める」という風に、(まあどう見てもそんなの導入前から大合唱で指摘されていましたが、そこは知らんふりをして)2013年の考えは間違いでしたと直接言わないで、「新たな変化によって新たなアプローチ」という形にするという理屈を作ったな、という感じでございます。


でもってその次は最後になるのですが、

『現在のわが国の物価は、単純な需要不足によるものではなく、需給ギャップ、履歴効果、供給要因という3つの要因に左右される状況へと変化しています。このうち、履歴効果がいつ減衰するか、供給要因がどの程度物価上昇の抑制効果を持つか、という点について、判断や予測は難しくなっています。物価変動プロセスの不確実性は、足もとやや高まりつつあるというのが実情かと思います。そこで、不確実性と金融政策との関係について少し触れておくことにします。』

ということでその次の小見出し『不確実性の存在と金融政策』に参りますが、こちらでも2013年アプローチが否認されていまして・・・・・・・・・

『先進国において、均衡状態における物価水準にかかる不確実性の強まりが指摘されるようになってきています1。わが国でも、長期に亘る金融緩和政策に伴う需要喚起により、需給ギャップは既にプラスに転じていますが、実際の物価上昇には結びついておらず、「物価安定の目標」と実際の物価上昇率に大きな乖離がある状況といえます。物価変動プロセスに不確実性が存在している状況、すなわち、「どの程度経済を刺激すればどの程度物価が上昇するのか」という政策の感応度に不確実性があることが明らかになってきているといえます。これは、供給面の動きや履歴効果に起因する物価変動メカニズム自体の不確実性とも密接に関係していると思います。』

マネタリーベース直線一気理論ェ・・・・・・・・・・・・・・

『こうした不確実性のもとで金融政策をどう運営すべきかについて、「ある程度の慎重さを維持しつつ実行することが適当」であると指摘されています2,3。』

クソワロタ。

『わが国経済の現状に照らして考えると、大変示唆に富む考え方といえます。物価変動メカニズム自体に不確実性が存在することが明らかとなりつつあるだけに、当面は、現行のフォワードガイダンスの枠組みのもとで、慎重に副作用の状況にも目配りしつつ、時間をかけて金融緩和政策を継続していくことが適当であると思います。』


ということで、明らかにこれってQQE2013年バージョンのアプローチを思いっきり否定している内容になっていまして、だったら2013年バージョンの残滓となっている80兆円だのオーバーシュート型コミットメントの内容(コミットメントはしてもいいけどマネタリーベースじゃないだろ)とか、そもそも長期間実施することを前提にしていないマイナス金利政策とか、そういうのを枠組み変化させてほしいと思うし、そのためには2013年アプローチは(本当はどう見ても理屈倒れで失敗ですなのですがそういうと政治的に持たないので)当初の役割を終えたので新たなアプローチをする、という形で、まずは「2013年アプローチの終了」をきちんと宣言して頂かないと、この昭和の温泉旅館みたいな政策枠組みどうしようもないので、まあ何とかせえやと思いますし、もしかしたらこの「新たな展開」を使ってそういう理屈組んでくれないかな、とちょっとだけ期待する自分もいるのでした。


〇短国買入何故実施した???????

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181011.htm
国庫短期証券買入 1,000 2018年10月12日

?????????????????

ということで昨日は短国買入がありましたが、アタクシも申し上げましたが世の中的にも昨日って「まあ別に短国買入やらないんじゃないの」ってな感じでしたので、正直何でやったのかさっぱり意味が分かりません。

いやね、今までだと「週1に実施」という暗黙の了解があったから実施しないとサプライズを招くのでアリバイで1000億円買入、というのはあったんですけれども、ご案内のように前回の買入を行う時にわざわざ通常のスケジュールを外した日程で実施します。とアナウンスして、短国市場の良好な需給を背景に額も少なく実施、とやりまして、その後の状況見ても3Mは相変わらず強いし、今週の時点で「こりゃ今週は短国買入無しだわ」がコンセンサスだったはずなのよ。

というように、市場がせっかく「短国買入削減して必ずしも週1でやらないし残高も減らしていくでしょ」と待ち構えている所に何で買入打つかな〜というところでして、この前の超長期輪番減額もそうなのですが、市場が減額を待ち構えている時に減額しないで変なところで不意打ちしてくるとか、短国買入の週1を止めるのかと思えば止めないとか、どうもこう市場とのリズムが合わない(感覚的な言い方ですいませんけれども市場って感覚的なものだと思うの)んですよね。

でまあもし6Mの結果を受けて需給が悪そうだから打つってんだったら5000億でも打てば良い訳で、売った額がアリバイオペの1000億円というのがなんともでして、昨日って打つなら5000とかだし、打たないなら打たない、とやった方がどう見ても何考えているのかが理解されやすいのに、物凄く中途半端なことをして「何をやりたいのかよく分からん」となっていると思うの。


・・・・・・・・ただ一つの可能性として考えるのは、かなりアタクシの妄想の世界になると思うのですけれども、「入札の翌営業日に買入を入れない」という新構造を作る布石だったらこれはこれで面白いと思うわけでして、つまりこの新構造は短国だけではなくて通常の長期国債輪番でもそのパターンをぶち込んでくる、となりますとこれは割と斬新なアプローチになるので、一応上の方で散々訳分らんと申し上げましたが、11月からの輪番で入札の翌営業日に当該ゾーンの輪番を行わないってのが発生したらそれはそれで中々の改革になりますな。

まあそもそも論として入札の翌日に当該ゾーンの輪番があるのが分かっていて、マーケットメーカーもそれを前提に入札で札入れを行うっていう状態は「日銀引受」とどこがどう違うのかとツッコミを飛ばしたくなる話でもありますので、本来は避けるべき話ではあるんですよね・・・・・・・・

ということで悪態はついたが一応判断保留の助という所です。ちょっと何だかな〜ではありますけど。




2018/10/11

お題「ドットチャートの今後の位置づけとかいう雑ネタ/短国買入パスでしたな/今日は櫻井さんの金懇ですよ!!」

あちゃー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181010/k10011666071000.html
大量のネズミ 築地市場から拡散のおそれ 周辺地域は戦々恐々
2018年10月10日 17時05分

これはもう明治150年を記念して駆除ネズミのお買い上げ制度大復活で落語の「藪入り」の世界待ったなし(大嘘)。


〇米国金利を受けて米国株価が弱含むとな

そもそも利上げ織り込みが足りなかったので残念ながら順当な動きではあるのですが。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WQ57M?il=0
2018年10月11日 / 05:34
米金融・債券市場=長期債利回り上昇、好調な指標で利上げ観測強まる

30年債 3.3782% 前営業日終値 3.3690%
10年債 3.1931% 前営業日終値 3.2080%
5年債  3.0249% 前営業日終値 3.0570%
2年債  2.8565% 前営業日終値 2.8890%

『米金融・債券市場は長期債利回りが上昇した。堅調な経済指標を受け、向こう1年にわたって米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げが続くとの見方が強まった。米労働省が10日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.2%上昇し、8月の予想外の落ち込みから持ち直した。食品とエネルギー、貿易サービスを除いた主要指数のコア物価は前月比0.4%上昇し、1月以来の大幅な伸びとなった。』

『USバンク・ウェルス・マネジメントの債券調査部門責任者、ビル・マーズ氏は、市場がしばらくFRBの利上げを過小評価してきたとし、「先週は価格に大きな修正があったが、ギャップはなお調整される必要がある。FRBが利上げ方針を弱めるより市場がキャッチアップを続ける公算が強い」と述べた。』(上記URL先より)

https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL4N1WQ574?il=0
2018年10月11日 / 05:29
米国株式市場=ハイテク株主導で下落、米債利回り上昇でリスク回避の動き

『米国株式市場は下落して取引を終えた。S&P500総合は2月8日以来の大幅安となった。米債利回りの上昇を背景にリスク選好度が低下する中、ハイテク株が下げを主導した。』(上記URL先より)

・・・・・・・とまあ最初前置きマクラにしようとおもっていたのですが、ニュース引用があまりにも多くなったので話のネタにしてしまいましたが、まーこれ金利上昇ってことにはなっていますが、金利上昇→株が下がる→金利上昇を消す、という展開になってそこまで金利が上がってくれないという事にはなるのですが、ここから注目するのはFEDの高官が何を言い出すかという所ではないかと。

先般来申し上げているように、どうも今のFEDって資産市場のオーバーシュートが将来のバブル発生からの崩壊でろくでもなくことになって金融政策のツールをまたバカスカ使わなければならなくなる、というのをリスクとしてみていて、「利上げしているのにゴルディロックス相場だの何だの言って資産価格がホイホイ上がる(クレジットスプレッドが縮小する)」というのが懸念で、かと言ってあんまり無茶な短期金利の引き上げはしたくない(中立金利と思われるところが近いから)となれば、イールドカーブのロンガーエンドを立たせに行くのが一番効率が良いという話になるはずで、中立金利よりも利上げするかも〜的な発言っていうのは政策金利の先高観を出すことによってイールドカーブをもう少しスティープさせて資産バブルにならんようにしたい(まあ既にバブっているといえばそれまでですが、ガス抜きしながら鎮静化さるという考えでもあるんでしょうから)となりますな。


・・・・・・でですね、すっかり先入れ先出しになってしまって放置プレイになっておりますFOMC後の会見ネタ(早急にやります)なのですが、そちらの中での質疑で声明文における金融政策スタンスに関する「accommodative」に関連する質問があって、

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018
(FINALバージョンです)

こやつの14ページ目からになります。

『MICHAEL MCKEE. Mr. Chairman, Michael McKee, Bloomberg Radio and Television. Financial conditions are still extremely loose by all the measures that track that. The flow of funds shows the decline in short-term borrowing other than in Treasuries. So I’m wondering if that suggests a change in the way that tightening affects the economy. And along those lines, you mentioned that you dropped the word “accommodative” doesn’t suggest a change in policy. But if you’re dropping forward guidance in terms of “accommodative,” does the dot plot really serve any purpose anymore if, as you say, you can’t be confident out to 2021 what’s going to happen with the economy? 』

ということでファイナンシャルコンディションに関する質問は兎も角として、後半の質問の方が(金融環境の緩和状態と絡めた話の持って行き方をしていますがそれはそれとして)、後半の質問の趣旨が「声明文で“accommodative”を今回削除したのは今の政策スタンスの変化を示すものではなくて、今後の政策を緩和的に行うのではないというフォワードガイダンスのような事だという事のようですが、そうなるとドットプロットの意味合いって無くなりませんですか?2021年のドットに確信度ってあるんですか???」というような中々良い質問をしている(と解釈しましたがそれで宜しいですかね)訳ですわ。



『CHAIRMAN POWELL. A couple questions in there.』

ちなみにこうやって整理してから答えるのがパウエル流。

『So the dot plot-I mean, I-it’s not new. I don’t think it’s a new point that forecasts two and three out-two or three years out are fairly uncertain.』

そらそうなんだが。

『The dot plot is individual FOMC participants who are writing down their individual views on the evolution of the economy and of appropriate monetary policy. We don’t vote on that. These are individual forecasts.』

投票していませんそのまま出してますと。

『I think market participants generally find that interesting information, and so it seems to me to be serving a purpose. I think the point with “accommodative” was that its useful life was over. You know, we put that in the statement in 2015, just when we lifted off, and the idea was to provide assurance that we weren’t trying to slow down the economy, but, in fact, we were still-interest rates were still going to be pushing to support economic activity. Well, that-you know, that purpose has been well served, and the language now doesn’t really say anything that’s important to the way the Committee is thinking about policy going forward. That’s why that came out. Did I get-did I get all of your ques-?』

ということですかさずMICHAEL MCKEE記者からファイナンシャルコンディションに関する認識についての答えを宜しゅうにというのが来て話が始まるのですが、そこはパス致します。

でもってですね、この話最初がドットチャートなのですがその後“accommodative”の文言になるので、ドットチャートの意味付けについての説明をしているのかしていないのか曖昧(直接はしていない、と解釈するのが普通だと思うけど)なのですが、「I think the point with “accommodative” was that its useful life was over.」って言ってて、その意味合いとして「the idea was to provide assurance that we weren’t trying to slow down the economy,」などと言っている訳で、要するにこの辺りのコミュニケーションというのは出口政策というか金融正常化に向けた動きの中で、インフレが加速しないという環境にあった上に、フィリップスカーブの動向ってか雇用動向が物価に与える反応度合いとかが読みにくかった中でしたので、正常化路線を急ぐように見せた時にオーバーキルするリスクを懸念してあのようなコミュニケーションポリシーを組んだ、という説明をしている、という風に読めた訳ですなアタクシは。

そうなりますと、今後正常化という話になり、そのあとは経済物価情勢次第で微調整という局面になってくる(本当にそうなるのかオーバーシュートして引き締めてオーバーキルして緩和のドタバタになるのかは知らんけど)ので、数年先の政策ガイダンスを意味するようなドットプロットというのは出す必要はない、とパウエルさん思っていそうだな、とここの質疑を見て思った次第で、来年のSEPのどこかで政策が中立になったからこの先の政策は経済状況次第、よってドットプロット出す必要なし、とかそんなことになるんじゃないかなあと思いました。


〇短国買入パスしましたな&オペ雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181010.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年10月11日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年10月11日

という訳で長期輪番は同額ですが、短国買入は華麗にパスとなりまして、まあ今日ワンチャンあるのですが、別にこのパスによって短国相場が崩れるとかそういう事は毛頭なかったようですので、これはもう短国買入フェードアウトに向けて着々と前進ちゅうことでよろしいのではないでしょうか、というか寧ろ残高0にして頂きたいんですけど正常化の一環で。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WQ2CW
2018年10月10日 / 15:15 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、30年債利回りが小幅低下

長い方はいつもの俺たちの地蔵相場なのでさておき、短期の市場後講釈がですな・・・・・・・・・・

『短期金融市場では、無担保コール翌日物はマイナス0.025─マイナス0.075%を中心に取引された。準備預金の積み期後半にかかったことで、資金調達意欲はやや強くなったが、中心レートのレンジは大きく変わっていない。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.108%、ユーロ円TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.050%といずれも横ばい。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。業者間取引で国庫短期証券(TB)は高安まちまち。』(上記URL先より)

ということで、短国買入が無かったことは話題にならん(この時間の前の記事を手繰ってもそうです)と、そもそも織り込み済みだったので無問題ということですな。

まあ何ですな、短国に関しては基本的に買入スルー続けて残高落としていって、新発3Mが▲10bpより金利が上がるような状況になったら買入をしていって、金利▲15だか▲20だかはよくわからんけど、まあ▲15位とかになったら買入止めてって感じで「短国金利をこの辺で」というスタンスにした方がMB目標自体が(オーバーシュート型コミットメントは残っているもののほかの目標は)なくなっていて、長短金利操作、という形になっているのだから政策建付けの趣旨にも即していると思います。


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-09/PGB3HA6JTSE801
日銀オペ実施日を非公表化との見方が浮上、取引活性化へ「先祖帰り」
野沢茂樹
2018年10月10日 8:40 JST

あとまあ昨日はこんなの出ていましたけど、以前は非公表に戻すの検討に値する、とかおもっていましたし、まあ別に戻しても良いんじゃないのとは思っていたのですが、7月のMPMを受けて結局このナマコ地蔵相場になっているのを見ますに、問題は日程の公表がどうのこうの以前に買入が過大という話に尽きると思うようになっておりまして、寧ろ非公表によってしょうもないボラを作って市場活性化した気になってしまって、輪番減額をしなくなる方がアカンのではないか、という気が最近してきているのですが考えがまとまらないので書いてみただけ(書き出すとまとまらない物件が延々と垂れ流される予感がするのでパスします、時間も無いので)。


〇ところで皆さん今日は注目の金懇ですよ!!!!

http://www.boj.or.jp/announcements/calendar/index.htm/
公表予定

11(木)

8:50 ○ ● 預金種類別店頭表示金利の平均年利率等
8:50 ○ ● 貸出・預金動向(9月)
8:50 ○ ● 企業物価指数(9月)
10:30 ○ 【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
16:30 ○ ● フェイルの発生状況(9月)


>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)

・・・・・・・・・さあ!鉄砲玉大先生の金懇ですから、これはもう正座して待機するしかありませんよ!!!!!

#念のため申し上げますが、鉄砲玉というのは「執行部が言い出すと物議を醸すのでとりあえずヒラ審議委員を鉄砲玉にして瀬踏みをしてみる」って意味でございますので念のため、あるいは「炭鉱のカナリア」でも可愛くて良いんですけど、それだとおじいちゃん酸欠や有毒ガスで倒れちゃうから例えとしてあまりよろしくありませんな(^^)




2018/10/10

お題「市場雑談/生活意識アンケートは景況感と雇用の所の回答がアンバランスなのは気になった」

またこいつか。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-trump-idJPL4N1WP4Y7?il=0
2018年10月10日 / 05:39
トランプ大統領、FRBを再び批判 「利上げペース速過ぎる」

いつものFRB批判かよこのペースで速いとかお前は何をいってるんだと思ったら記事に吹いた。

『[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日、連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは速過ぎるとし、FRBの政策をあらためて批判した。トランプ大統領は記者団に対し「現在ほど速いペースで利上げする必要はない。債務を返済したい」と述べた。』(上記URL先より)

このオッサンが債務を返済したいとかいうと物凄く胡散くさい以外の感想が起きない・・・・・・・・


〇市場関連メモ雑談

・貫禄のウゴカンチ会長

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WP270
2018年10月9日 / 15:12
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利0.155%に上昇

『 <15:10> 国債先物が反落で引け、長期金利0.155%に上昇

国債先物中心限月12月限は前営業日比8銭安の150円01銭と反落して引けた。前週末米債安の流れを引き継ぎ、売りが先行。日経平均株価が大幅に下落すると、底堅く推移する場面もあったが、日銀の国債買い入れに対する不透明感から買い進む動きは見られず、上値の重い展開が続いた。現物市場は投資家の動意に乏しく閑散。11日の30年債入札を控えて持ち高調整の動きが入った。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高い0.155%に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで上値が重いという表現ですが、米国金利が一段上昇したというのに円債ちゃん底堅いわという感じをむしろ受けたんですが、まあそこはイメージの違いということですが、先物に関しても日中売買枚数14745枚となっておりまして、さすがは貫禄のナマコ市場円債としか申し上げようがない相場で、市場機能って何でしたっけの世界であることは申し上げるまでもございません。


・短国買入アリやナシや(無しでは??)

ところで短国なんですけど。

昨日の6M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181009.htm

(3)募入最低価格 100円09銭1厘(募入最高利回り)(-0.1823%)
(4)募入最低価格における案分比率 97.8947%
(5)募入平均価格 100円10銭0厘(募入平均利回り)(-0.2003%)

という結果でしたが、金曜の3Mが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181005.htm

(3)募入最低価格 100円07銭2厘0毛(募入最高利回り)(-0.2679%)
(4)募入最低価格における案分比率 95.1250%
(5)募入平均価格 100円07銭6厘5毛(募入平均利回り)(-0.2847%)

ということで、その前の3Mもそうなのですが、年末越えのドル円ベーシスがおかしなことになっている影響がモロに短国に入って来ていて、3Mの所の金利が低くて、金曜とかは新発3M出た後ショートカバーの動きでけったいな利回りもついた(瞬間芸に留まったようですけれども)とかいう有様で、こちらの787回の売買参考統計値の平均音単利は本日付けの奴で▲33bpと中々お洒落な水準になっておりますな。

一方で直接ドル円ベーシスがおかしくなって影響を受けるの3Mなだけに、6M新発の788回は▲17.8bpなので普通のレートというか寧ろしょんぼりレートになっておりまして、さて通常ですと本日は短国買入をぶっこんできてもまったく違和感がない日になるのですけれども、これはこの前の輪番予定表でわざわざ「パターンを外しますよ」と言ってやってきた以上、スルーするとみる方が妥当のようにも思えます。というかこれさすがに市場も短国買入はスルー攻撃を加味してこのレートだと思いますけどどうなんでしょうかね。3Mと比べて見ると確かに6Mパッとしませんなとかなりますが、そもそもの水準が▲20だの▲18だのという時点でヤベー奴になっている訳ですし、金利操作の観点からしたら別に買入せんでもよかバイとは思うんですけどさてどうなるやら。


・BB引値ですかそうですか

と言っても既に試験公表とかで並行稼働状態になっていて、実質的には本番系が2本走っていた状態から昨日めでたく本番系移行ってなもんですわな。

http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata04.html
BB国債価格(引値)について

『BB国債価格(引値)(以下「引値」といいます。)は当社における取引情報を基に算出する当日午後3時時点の国債価格であり、当社の業者間取引における売買の基準価格です。国債全銘柄の価格を毎営業日午後4時に発表しています。当社では、引値の公正性、健全性及び継続性を確保するとともに、利用者の理解を深めるため、引値の算出方法及び諸手続き等に関する基本的な方針を示した「算出方針」を定めております。詳細につきましては「BB国債価格(引値)算出方針.pdf」をご参照ください。』

http://www.bb.jbts.co.jp/img/2018.10.9_BBhikene.pdf
BB国債価格(引値)算出方針

『第2章 算出方法』から少々引用します。

『1.算出方法の考え方

(1)算出方法の概要
発表の対象となる国債毎に、当社における取引状況や商品特性、その他の状況等を勘案し、個別に算出方法を定めています。また、引値の発表にあたっては、以下で定める算出方法に従い算出されたことを確認したうえで、発表します。

算出方法の概要は、次のとおりです。
@ 固定利付国債
当社における日中の取引情報からイールドカーブを作成し、当該イールドカーブから個々の銘柄の価格を算出します。』

もうちょっと細かい所に行きますと、『2.固定利付国債 』ってのが5ページ目にありまして、参照銘柄の板状況を使ってプロットしていってスプライン関数引いて更に実取引の状況や銘柄間格差などの補正を行って出します、というような一般的にそうですよねという出し方をしています、というお話になっております。

この制度変更によってどういう変化が起きるのか、というと多分あんまり起きないと思うのですが、実際どうなんでしょうかね(と割とイイカゲンなアタクシ)。



〇生活意識アンケートは回答がチグハグな気がしました

http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1810.htm/
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki1810.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第75回<2018年9月調査>)の結果

本文PDFの『1.要旨』って方を少々拝読。

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』から。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が増加したものの、「悪くなる」との回答も増加したことから、景況感D.I.は若干悪化した。なお、現在の景気水準については、「良い」、「どちらかと言えば、良い」との回答の合計が若干増加し、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計は若干減少した。』

『1-1-2. 景況判断の根拠』だと、

『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況から」、「商店街、繁華街などの混み具合をみて」といった回答が多かった。』

とかなんとかなっているのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・

『1-2. 暮らし向き、消費意識』『1-2-1. 現在の暮らし向き』に飛びますと、

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』

ってあって、これ本文PDFの方の図表を1-1-1と1-2-1のを見ますと、景況感の悪化拡大と、ゆとりがなくなってきた人の減少って割としっかりとした動きに見えるんですよね。しかも景況判断の根拠が収入状況っての一番多いのに何でこうなるというのが不思議ちゃん。

『1-2-2. 収入・支出』に行きます。

『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。先行き(1年後)についても、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。』

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少し、「減った」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

・・・・・・・・・・orzorz

ということで、どうも収入減って景況感も微妙なのですが、支出の方は賢い支出でうまく回しているので暮らし向きに関してはゆとりがない状況を脱却していますので問題ありませんわよオーホッホッホ。

・・・・・・・・こうですか、わかりません(-_-メ


でもって支出の項目に関する質問が続きまして、

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「家電」、「保健医療サービス」が多かった。』

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

・・・・・・・・なるほど。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「収入の増減」との回答が最も多く、次いで「今後の物価の動向」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。』

『商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで、「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」、「機能が良い」といった回答が多かった。


ちなみに「今後の物価の動向」に関してはだんだんシェア下がっているのがお洒落です。


とまあここまで景況感と収入、消費に関するのを見ましたが、その次の『1-2-3. 雇用環境』になるとこれまた微妙に違いが。

『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少し、「あまり感じない」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は改善した。

(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

・・・・・・・・これで何で最初の方の景況感とか、収入見通しの所とかがああいう回答になるんじゃ、というのは何か違和感があったりする。


あと物価に関しては毎度のような感じですけどまあ見る。

『1-3. 物価に対する実感』『1-3-1. 現在の物価』

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が減少した。1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.7%(前回:+4.6%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』


ちなみに過去3回のが図表になっていますので引用すると、

    平均値 中央値
18/ 3月 + 5.8 % + 5.0 %
18/ 6月 + 4.6 % + 3.0 %
18/ 9月 + 4.7 % + 3.0 %

ということで何か上がっているけど中央値5%が復活しませんなあとは思いますが、これは実績値で期待値が重要ということで次をみる。

『1-3-2. 1年後の物価』

『1年後の物価については、『上がる』(注)との回答が減少した。1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.4%(前回:+4.4%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった』

    平均値  中央値
18/ 3月 + 4.5 % + 3.0 %
18/ 6月 + 4.4 % + 3.0 %
18/ 9月 + 4.4 % + 3.0 %

・・・・・・・・えーい問題は5年後じゃ5年後。

『1-3-3. 5年後の物価』

『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+3.9%(前回:+4.0%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。』

    平均値 中央値
18/ 3月 + 4.0 % + 2.0 %
18/ 6月 + 4.0 % + 2.0 %
18/ 9月 + 3.9 % + 2.0 %

・・・・・・・・・お、おぅという感じですが、まあ救い(??)は上がるは全体では減ってますが、「かなり上がる」は増えていますので物価上昇の実感からの適合的期待形成がですなあ、と大本営モードになってみますが、まあ要するに今の調子でアンカーされまくっておりますなというところで、やはりインフレ期待の転換には時間が相応に掛かりまくる(または今の状況で良しとして屁理屈を盛大にこね回して過去の話を発展的解消というか転進というかをする)ということになりそうですな・・・・・・・・・・・





2018/10/09

お題「市場世間話メモとFED要人発言目メモ/パウエル議長講演から(その2)」

ほほう。
https://jp.reuters.com/article/brazil-election-idJPKCN1MI0DD
2018年10月8日 / 14:45 /
ブラジル大統領選、極右候補が46%の票獲得 左派と決選投票へ

『選挙管理当局によると、7日の第1回投票でボルソナロ氏は有効票の46.3%を獲得し、アダジ氏(29%)を大きく引き離したが、当選に必要な過半数には届かなかった。ボルソナロ氏は一国主義的な政策や反体制主義的な発言などから「ブラジルのトランプ」とも呼ばれる。』(上記URL先より)

〇金曜はあっさり金利が反発してくれましたがさて・・・・・・・・・

・正直謎の戻りを示しやがった金曜日

例によってロイターさんで勘弁。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WL1IO
2018年10月5日 / 15:22 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利0.150%に低下

『<15:10> 国債先物は反発、長期金利0.150%に低下

長期国債先物は反発で引けた。前日に急落した反動に加え、日銀の国債買い入れオペを期待した短期筋が買いを先行させたことが上昇につながった。中盤以降も株安などを手掛かりに強含みで推移した。後場は日銀オペ結果を好感した買いが優勢となり、上昇幅を拡大した。現物債市場では、超長期ゾーンに押し目買いが入り、金利が低下した。中長期ゾーンも強含み。長期国債先物中心限月12月限の大引けは前営業日比13銭高の150円09銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.150%。』(上記URL先より)

・・・・・・・・ということで、金曜の債券市場ちゃんって米国の金利が上がったけど行ってこいでだいぶ戻ったので、という謎の理由で朝から確りだったのですが、輪番への期待で買い先行ってなっているのはナンジャソレという感じでして、木曜まで話を遡って考えますと、そういや木曜ってここもとの金利上昇(10年0.155%だの20年0.690%だの)を受けて臨時輪番でも入るんじゃネーノという思惑が(まあ普通に考えると無いのだが水準だけで言えば0.140〜0.145で臨時輪番が入ったのだから期待するのが居てもまあ極端に変な話ではない)あったらしくて、いったん木曜の後場って叩き料理をやった後に何となく値持ちしていて、結局14時に臨時輪番ありませんでしたな〜となってもう一度当日安値に売りにいった、というのがあったようですな、よー知らんけど。

てな感じでちょっとぶち込んでしまっていたところ、米債が思ったほど金利上昇しなかった、というイメージだったんでしょうなとは思いましたが、まさか土曜にあの地合いで輪番減額はしにくいし、増額はもっとしないでしょうと思われるところでございましたので、この「日銀の国債買い入れオペを期待した短期筋」ってのも何が何だかよく分からん(オペは同額実施だったのですが特に売られることも無かったし、別にヒャッハーと変われるほどのことも無かったと思うので、何の思惑なのかがさーっぱり分からん)のですが、まあとりあえず絶対水準が絶対水準なだけに、(本当は30年の1%、20年の0.7%が良いのだが)止まると絶対水準押し目買いバイヤーの買いもあって、しかもどうせずーっと我慢していた人が多いので、バイヤーさん試し買いするだけで買う人はそこそこ出て来そうですから止まるのか、しかし何でこんなところで止まるかね〜などと思っておりました次第。

ちなみに金曜の輪番オファーは、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181005.htm
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年10月9日
国債買入(残存期間25年超) 500 2018年10月9日
国債買入(物価連動債) 250 2018年10月9日

超長期と物価連動で額は同額でぶっこんでいますので順当オブ順当という展開になっておりましたです。


・でもって雇用統計

米国様金曜の引けですけど。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WL3JD
2018年10月6日 / 06:08
米金融・債券市場=30年債利回り4年ぶり高水準、長短金利差拡大 雇用統計受け

30年債 17時05分 3.4054% 前営業日終値 3.3540%
10年債 17時05分 3.2328%  前営業日終値 3.1950%
 5年債 17時05分 3.0727% 前営業日終値  3.0520%
 2年債 17時05分 2.8891%  前営業日終値  2.8800%

『米金融・債券市場では国債利回りが上昇。30年債利回りが4年ぶり高水準に達するなど長期ゾーンの売りが膨らみ、イールドカーブはスティープ化した。朝方発表された9月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が13万4000人増と、市場予想の18万5000人増を下回ったものの、失業率は3.7%と、約49年ぶりの水準に改善。時間当たり平均賃金は前月比0.3%増、前年同月比2.8%増。30年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp)上昇し、4年ぶり高水準の3.424%を付けた。指標10年債利回りも5.3bp上昇の3.248%。』(以上上記URL先より)

NFPに関しては以前のが上方修正されたとかいうのもあるようですが、基本的にインフレが盛大にコケるというようなものが出てこない限りにおいてそう簡単にFEDが正常化モードを止めることもないでしょうし、よほどとんでもないインフレ加速ニキみたいな賃金動向が出てこなければ利上げの今のペースが加速することもないでしょうから、雇用統計で急にギッコンバッタンやるというのもどうなんですかね、とは思ったりします。


・米国様に関しては「政策正常化の時のゴールになる金利」が何ぼですねんという話が

ウィリアム副議長
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKCN1MF25G
2018年10月6日 / 01:43
利上げによる米景気減速はまだ先、金利見通し堅持=NY連銀総裁

『[5日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は5日、利上げが米経済の減速を招くのはまだ先とし、米連邦準備理事会(FRB)が年内あと1回、来年は3回の利上げを実施することは妥当との認識を示した。ウィリアムズ総裁はブルームバーグとのインタビューで、フェデラルファンド(FF)金利が2019年末までに3.1%に達するとのFRB当局者の見通しに言及し、「見通しの中央値は妥当」と指摘。その上で、「人々が中立と考える(金利)水準に到達するまで、まだ長い道のりがある」と語った。』

『FRB当局者らは足元、中立金利を3%程度とみているが、ウィリアム総裁は「実際には分からない」と強調。中立金利が金利決定で重要な役割を果たす一方、「パズルの1ピースにすぎない」とし、「米内外の賃金の伸びやインフレ動向、雇用の伸び、国内総生産(GDP)を示す指標」などを注視していると述べた。』(上記URL先より)

ブルームバーグのインタビューなのでたぶん講演みたいに資料付きURLとかそういうのは無いと思われます(セントルイス連銀のページでちゃちゃっと調べただけでちゃんと探していないけど)ので、まあこのニュースだけで何かいうのもアレですけれども、だいたいここもとのFEDの発想と思われるものは示されているなあと。

つまりですね、まあアタクシが勝手に類推しているだけですけれども、ロンガーランの金利自体は3%くらいに置いているので、本当はあと3回か4回利上げしたらFFって3%絡みになってくるのですけれども、「中立金利が金利決定で重要な役割を果たす一方、「パズルの1ピースにすぎない」」ってしていますように、イエレンやバーナンキ時代との大きな違いって(パウエルさんが学者上がりじゃないからだと思うけど)中立金利に関してはあくまでも「話の上で説明しやすいから使っているだけであって、経済物価に対する中立的な金利を推計してその中立的な金利に対する上げ下げで金融緩和か引き締めかとか判断するというようなことは説明の上でしか考えていない」ってえことだと思うの。

でもって中立金利というのは事後的にしか分からなくて、それは金利を動かした結果として経済物価情勢がどう動いたかというのの結果を見て、あああの時の金利は緩和的でしたねとか引き締め的でしたねとか事後的に分かる、というお話であるので、FF金利正常化の最終着地点に関しても「今の所は3%ちょい上」という一定のイメージはあるけど、実際にそこまで上げても株式市場がゴルディロックスヒャッハーとかやっていて、クレジットとか不動産とかがホイホイとバブっていたらもっと利上げしてくるんでネーノと思いますし、まあ本当はそういう事をするとオーバーキルのリスクが高まるから、長期金利がある程度スティープしてFF金利をそこまで上げなくても引き締め効果が出てくれるというのがFEDとしてはオイチイのでしょうが、さてインフレ期待が盛り上がらない中における長期金利とは、というような話になると運営難しいのかも知れませんね。


https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKCN1MF2B8
2018年10月6日 / 03:23 /
FRB、中立的スタンスに向け利上げ継続すべき=アトランタ連銀総裁

『[5日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は5日、連邦準備理事会(FRB)は利上げを継続し、金融政策を正常化させるべきとの見解を示した。ボスティック総裁は講演で、現在の状況は、金融政策スタンスを緩和的、もしくは抑制的いずれでもない状況にすべきであることを示唆しており、「そうした中立的なスタンスによって、自律的な経済成長が可能となる」と語った。』

『さらに、今年の堅調な米経済動向を踏まえると、総需要を過小評価していた可能性があるとし、「もしそうであるなら、景気過熱の可能性を考慮し、これまでの予想よりも速いペースでの利上げが必要となる可能性がある」と語った。』(以上上記URL先より)

ちなみに講演はこちらですが、
https://www.frbatlanta.org/news/speeches/2018/10/05-bostic-importance-of-early-economic-education.aspx
The Importance of Early Economic Education
Raphael Bostic
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta

57th Annual Financial Literacy and Economic Education Conference
National Council for Economic Education
Atlanta, Georgia

October 5, 2018

お題的には別の話で、上記記事になっているほど強気じゃないような気はするんですが、アトランタ連銀の場合最初に箇条書きのまとめがあって、その中で経済物価情勢に関するお話は、

・Bostic notes that the current economic growth picture looks bright, but businesses appear to be exercising a healthy dose of restraint regarding the outlook. Inflation is currently running very near the FOMC's price stability target of 2 percent and appears poised to continue to do so.

・Bostic says that in addition to data and econometric models, the Atlanta Fed relies on an extensive network of business contacts to shape its thinking about the regional economy.

・Bostic also observes that despite the recent pickup in household spending, consumers are deferring large, irreversible expenditures.

ってなっていて、『Current economic outlook』の最後の所を見ると、

『In sum, the current economic growth picture looks bright, but businesses in my district, at least, appear to be exercising a healthy dose of restraint regarding the outlook. Inflation is currently running very near the FOMC's price stability target of 2 percent and appears poised to continue to do so.』

『Based on that assessment of the health of the economy and its likely path forward, last week I voted with my colleagues on the FOMC to raise the federal funds target range by 25 basis points to 2 to 2.25 percent.』

『Current conditions suggest, to me, that we ought to get to a policy stance where our foot is neither on the gas pedal-what we call an accommodative policy-nor on the brakes-what we call a restrictive policy. Such a neutral policy position would allow the economy to stand on its own.』

ニュートラルにすべきとは言ってますが、記事になったのは質疑応答あたりなのかねとは思います。まあ文章に出ているのはそこまで強い話ではない気がする。


〇それはそれとして金曜にやりそこなったパウエル講演ネタを今更

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20181002a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20181002a.pdf
October 02, 2018

Monetary Policy and Risk Management at a Time of Low Inflation and Low Unemployment
Chairman Jerome H. Powell

At the "Revolution or Evolution? Reexamining Economic Paradigms" 60th Annual Meeting of the National Association for Business Economics, Boston, Massachusetts


・今はウハウハですが今後のリスクはナンジャラホイという話で、だいたいすべて物価が何かで動き出す話に帰着されている模様

まずは木曜にネタにして途中で力尽きた『Is the Natural Rate of Unemployment Lower Than Expected?』の部分と最後の『Conclusion』をば。

最初に『A third risk』ってあってナンジャラホイとなりますが、その前振りのところはちょっと前になります『A Favorable Outlook, but What Could Go Wrong?』の所から受けています。今の見通しはもうバラ色で大勝利にもほどがあるのですが、では先行きリスクはナンジャラホイという話で、最初にあったのが「インフレ期待のアンカーが外れる」で次が「労働市場がタイトである状態、あるいは今後一段とタイトになった時に「フィリップスカーブの逆襲」が発生してインフレが加速すること」となっていまして、今の所どちらもその兆候はないけど当たり前だがちゃんと見ていくぞよ、という話をしていたのですな。ですから話の構成上前振りの部分を先に引用しておきます。

『But we still must face the cautionary advice to beware when forecasts point to rarely seen outcomes. As a way of heeding this advice, the Committee takes a risk management approach, which has three important parts: monitoring risks; balancing risks, both upside and downside; and contingency planning for surprises. Let me describe a few of the risks and how we are thinking about them.』

でもって三番目のリスクは『Is the Natural Rate of Unemployment Lower Than Expected?』ということで。

『A third risk--in this case an upside risk--is that the natural rate of unemployment could be even lower than current estimates. Some have argued that the Fed should be removing policy accommodation much more slowly, pushing the economy to see if the natural rate of unemployment is lower still.』

うむ。

『Advocates of this view note that over the past several years of policy normalization, the economy has continued to strengthen and unemployment has fallen, but inflation has remained quiet. As I discussed in a recent speech, many analysts have accounted for the lack of rising inflation pressure by lowering their estimate of the natural rate.19』

こんなに雇用が強いのにインフレが上がらないのは構造失業率が低下していることに要因がある、という議論が多い。

『For example, since the start of 2016, the unemployment rate has fallen about 1 percentage point, and estimates of the natural rate from four well-known sources have fallen over that period between 0.3 percent and 0.7 percent (figure 9).』

図表はPDFの方からも観れますがこちらでも。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig9-20181002.png

『If the natural rate is now materially lower than we believe, that would imply less upward pressure on inflation--the flip side of the "revenge of the Phillips curve" risk. Our policy of gradual interest rate normalization represents the FOMC's attempt to take both of these risks seriously.』

ほうほう。

『Removing accommodation too quickly could needlessly foreshorten the expansion. Moving too slowly could risk rising inflation and inflation expectations. Our path of gradually removing accommodation, while closely monitoring the economy, is designed to balance these risks.』

つーことで、前半をすっ飛ばして話をしているので話の流れがアレですが、講演の方ではフィリップスカーブの傾きが平たんになっている、ということで経済のスラックに対するインフレ感応度が低い説明になっているのですが、実は構造失業率がもっと低いというのであれば、今後更に労働市場が改善する中で急にインフレキタコレになりますよね、というのもあって、まあそんなこんなの上下のリスクを踏まえて今のグラデュアルな利上げをしているんですよって説明になります。

『In wrapping up this discussion of risks to the favorable outlook, I should emphasize that I have chosen to focus on three risks that are all associated with the Phillips curve.』

ここまで述べた3つのリスクはすべてフィリップスカーブに関係するものである(キリッ)。

『There are, of course, myriad other risks. To name just a few, we must consider the strength of economies abroad, the effects of ongoing trade disputes, and financial stability issues. I hope my discussion of three particular risks gives a sense of how we approach these issues.』

その他としては海外経済とか金融不均衡の問題とかもありますね、とさらっと入れる。

でもって最後の『Conclusion』を先に。

『Many of us have been looking back recently on the decade that has passed since the depths of the financial crisis. In light of that experience, I am glad to be able to stand here and say that the economy is strong, unemployment is near 50-year lows, and inflation is roughly at our 2 percent objective. The baseline outlook of forecasters inside and outside the Fed is for more of the same.』

ただの大勝利宣言。

『This historically rare pairing of steady, low inflation and very low unemployment is testament to the fact that we remain in extraordinary times. Our ongoing policy of gradual interest rate normalization reflects our efforts to balance the inevitable risks that come with extraordinary times, so as to extend the current expansion, while maintaining maximum employment and low and stable inflation.』

ただの決意表明。


・話の前半に戻ってフィリップスカーブが寝ている話

・・・・・・・ということでフィリップスカーブの話の所を見る。

まずは『A Simple Framework for Understanding Changes in the Jobs-Inflation Relationship』から。

『A natural starting point is the simplest form of a Phillips curve equation, which posits that inflation this year is determined by some combination of current labor market slack, inflation last year, and some other factors that I will leave aside for this discussion (figure 4):7』

その次の所は式が出ているのですが、それはこちらを見てくんなまし。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig4-20181002.png

『The value of B is often referred to as the slope of the Phillips curve. With a larger value of B, any change in labor market slack translates into a bigger change in inflation. As we say, as B increases, the Phillips curve steepens.』

『The value of C determines inflation's persistence--that is, how long any given change in inflation tends to linger. As the value of C increases, higher inflation this year translates more into higher inflation next year.』

『A particularly nasty case arises when B and C are both large. In this case, slack has a large effect on inflation, and that effect tends to be very persistent. One implication of a large C is that, if a boom drives inflation up, it will tend to stay up unless offset by a subsequent bust.8』

図が無いとBとかCとか言われてもアレですが、前年のインフレ率に対してスラック(=実際の失業率と自然失業率の差分)に何らかの掛け目を掛けたものが東燃のインフレ率になりますよとかそういう図表になっております(話を単純化しているタイムラグの話とかはスルーしているっぽい)。

でもって、

『Figure 5 shows regression estimates of B and C, computed over 20-year samples starting with the sample from 1965 to 1984 and including each 20-year sample through 2017. During the Great Inflation samples, the value of C is near 1, meaning that higher inflation one year tended to translate almost one-for-one into higher inflation the next. The Phillips curve is also relatively steep in the Great Inflation samples, with 1 extra percentage point of lower unemployment converting into roughly 1/2 percentage point of higher inflation. Thus, the Great Inflation presented that nasty case just described.』

この図表5というのが
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig5-20181002.png
でして、こちらの左のグラフを見ますと、「フィリップスカーブの傾きがほとんどなくなっています」という分析結果になっている、とまあそういうお話。

『Fortunately, things changed. The estimates of both B and C fall in value as the estimation sample shifts forward in time. In the most recent samples, the Phillips curve is nearly flat, with B very near zero, and C is about 0.25, meaning that roughly one fourth of any rise or fall in inflation carries forward. These results give numerical form to what we see in the right-hand panel of figure 3, covering the recent period: Large and persistent moves in the unemployment gap were associated with, at most, modest transitory moves in inflation.』

図表3ってのはすっ飛ばしていた部分にあるのですが、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig3-20181002.png

要するに現状では雇用のスラックに対してインフレが反応しにくい状態(ふぃりぷすカーブがほとんどフラット)になっているので、多少の雇用過熱のオーバーシュートに対してもゆっくりと反応できますよ、という現状が「Fortunately」だそうな。

でもって次の小見出しが『What Led to the Changes in the Phillips curve?』である。

『These developments amount to a better world for households and businesses, which no longer experience or even fear the scourge of high and volatile inflation.』

何かニューエコノミーっぽい言い方でこれはこれで何か多少もにょる。

『To provide a sound basis for monetary policy, it is important to understand what happened and why, so we can avoid a return to the bad old days of the 1970s. Like many, I believe better monetary policy has played a central role.9』

ただまあ話が70年代のような高インフレ時代に戻らないというような話になっている訳で、これ出た時に初期段階でインフレ懸念が低いというのをネタにして反応していた米国市場って何なんだと思ってしまう。

『To understand the mechanism, let us ask how central banks could, presumably inadvertently, amplify and extend the duration of inflation's response to labor market tightness. To do so, the central bank could persistently ease the stance of monetary policy in response to an uptick in inflation. No responsible central banker today would intentionally do this, but much research suggests that during the Great Inflation, misunderstandings about how the economy worked led the Fed effectively to behave in this manner.10』

『Some policymakers may have believed the misguided notion that accommodating permanently higher inflation could purchase permanently higher employment.11 Other policymakers misperceived the level of the natural rate of unemployment, which we now believe had shifted up markedly in the 1960s. With the higher natural rate, the labor market was much tighter and provided much greater upward pressure on inflation than policymakers realized in real time. As a result, they were continually "behind the curve."12』

ビハインドになって対応が上下ともに遅れるのはイクナイという話だが・・・・・・・

『The channel through which monetary policy can amplify and extend inflation's response to shocks becomes even stronger when we take account of expectations. If people come to expect that upward blips in inflation will result in ongoing higher inflation, they will build that view into wage and price decisions. In this case, people's expectations become a force adding momentum to inflation, and breaking inflation's momentum can require convincing people to change their minds and behavior--never an easy task. Arguably, this is why a federal funds rate near 20 percent--roughly 10 percent in real terms??was required in the early 1980s to turn the tide on high inflation. The cost, in the form of very high unemployment, is clear in the Great Inflation figures. The Great Inflation taught us that a main task of monetary policy is to keep inflation expectations anchored at some low level.』

インフレが上下(といってもここでの説明上ぶれのほうばっかりですけど)にぶれてアンカー外れると後の処理が大変ですよという話をしておりますので、最後のところが「The Great Inflation taught us that a main task of monetary policy is to keep inflation expectations anchored at some low level.」となる訳です。

『This idea is behind the adoption in recent decades of inflation targets, such as the Fed's 2 percent objective, by central banks around the world. When monetary policy tends to offset shocks to inflation, rather than amplifying and extending them, and when people come to expect this policy response, a surprise rise or fall in labor market tightness will naturally have smaller and less persistent effects on inflation. Research suggests that this reasoning can account for a good deal of the change in the Phillips curve relationship.13 It is also likely that many other factors have contributed to changes in inflation dynamics over recent decades.』

『We do not fully understand the causes and implications of these changes, which raises risk management issues that I will take up now.14』

ということで、そうは言いましてもさっきネタにした後半にありますように、パウエルFRBって別にベースに「自然利子率がこれだ」とか「自然失業率がこれだ」とかみたいな決定的な計数の置きとかは無くて、様子を見ながらやっていきますよっぽいのが思いっきり感じられるところですし、大体からしてこのフィリップスカーブの説明っていうのも結局事後的にしか分からないだけに、「金融政策これやりたい」の後付けに使われる可能性が高かったりするので、まあその辺は曲者じゃないのかね、と思ったりもしますが、全般的なトーンはここから先のインフレ加速を懸念しているようなトーンに見えましたので、ハト派ヒャッハーと反応していた米国市場の初期反応はどうも????ではありました、という引用大会でございました。




2018/10/05

お題「諸般の事情により本日は市場世間話で勘弁」

ほほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181005/k10011658841000.html
新国立競技場の整備 790億円程度の資金不足を見込む
2018年10月5日 3時59分

・・・・・・・・・(−_−メ

〇米国金利更に上昇でナマコに刺激キタコレ

まずは昨日の債券市場、と言っても例によってロイターさんの受け売り

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WK1GJ
2018年10月4日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落、長期金利16年1月29日以来の0.155%に上昇

『<15:17> 国債先物は大幅反落、長期金利16年1月29日以来の0.155%に上昇

長期国債先物は大幅反落で引けた。米10年債利回りが2011年以来の高水準となった流れを引き継いで短期筋からの売り圧力が強まった。

現物債市場では長いゾーンを中心に金利に強い上昇圧力がかかった。20年債利回りは17年2月22日以来の0.690%、30年債利回りは16年2月24日以来の0.950%、40年債利回りは16年2月22日以来の1.115%と大幅に上昇した。先物同様に米債金利の上昇が材料視された。流動性供給(対象:残存15.5年超39年未満)入札が弱かったことも強く影響した。長期国債先物中心限月12月限の大引けは前営業日比21銭安の149円96銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は2016年1月29日以来の0.155%に上昇した。』(上記URL先より)

ということでナマコだ何だと毎度のように呪いの言葉を放っていたら米債が11毛とか金利上がって新値付けたのはさすがに効いたようで、昨日は取引序盤から先物150円の所にまた下がって10年0.145%(1毛甘)20年0.670%(1.5毛甘)とかやっておった訳ですが、時間の経過と共に後ろの方が段々弱くなってくるという展開。でまあそういう時に計ったように超長期対象の流動性供給入札とかが予定されていたりするのがチャーミングで、流動性供給入札のテールが1毛近く流れてしまって後場超長期一段安の巻。一応20年0.690%の所では一服しましたけど別に戻るパワーもなくという図になっておりまして、売買参考統計値の平均値単利ベース(5糸単位で丸めていますので念のため申し添えます)だと10年0.155%(2甘)、20年0.690%(3.5甘)、30年0.950%(3.5甘)、40年1.110%(3.5甘)で先物が21銭安ということで後ろが昨日もヘロヘロの巻という状況。

いやーさすがに米債が新値付けて金利上昇したら何ぼナマコでも反応するんですなとホッとはしましたが、先物とかやたら底堅いですなあ(チーペスト無いんだし売られてるの超長期方面だから先物でデルタ殺しに行っても気休めにしかならないのでそらそうよというのもあるけど)って感じですけど、20年0.7%はすぐ近くだし、30年の1%もだいぶ視野に入って来ましたので、さてどうなるのやらという感じではございますな。

しかしまあ何ですな、10年も0.1台後半ということで、昨日は一応14時に臨時輪番の可能性とかいう見方も無かったわけでは無いとは思いますが、基本的にこの金利上昇って「ファンダメンタルズに則った自然な金利上昇」って解釈になると思うんですが、それとも「海外金利の上昇に日本の金利がつられて上昇するのは不自然で投機的な動き」という扱いになるんでしょうか、というのは今日以降のオペを見ないと分からん、というのもよくよく考えたらしょうもない話でして、こんなの解釈次第の世界ですし、一定の基準が示されている訳でもない上に、そもそも一定の基準に則ってオペの出し入れをしているとは到底思えないので、結局出たとこ勝負、しかも日銀の輪番の出し入れという本来は金利形成のファンダメンタルズとかと関係ない筈だが日銀の買入のせいでこんなことになっているのでこれしか注目するものがないという物件に対する出たとこ勝負になるしかありませんなハーコリャコリャ。


・米債ェ・・・・・・・・・・・・・

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WK3HB?il=0
2018年10月5日 / 04:41 / 2時間前更新
米金融・債券市場=売り継続、10年債利回り3.2%台と約7年ぶり高水準

『米金融・債券市場では前日に続き国債が売られ、10年債利回りは2011年5月以来の水準に上昇した。この日の取引で、5日発表の9月の米雇用統計が予想より力強くなるとの見方が出ていることを背景に10年債利回りは3.232%まで上昇。1日の上昇としては16年の米大統領選挙以来の大きさとなった。 前日はISM非製造業総合指数とADP全米雇用報告が堅調だったことで米国債の売りが触発され、利回りが大きく上昇。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(バンカメメリル)が集計する米国債価格を反映する指数は大きく下落し、1日としての下落は17年3月以来の大きさとなった。』(上記URL先より)

ということでここに来て急に金利上昇キタコレなのですが、そもそもFOMCでのドットチャートとかで今回の利上げ局面での金利を中立よりも高い所にもっていくでしょうとかいうドットチャートが出ていた訳ですし、マンデート達成ヒャッハーというSEPおよびパウエルのオープニングコメントになっていたわけで、何でFOMC出た時に「2021年のドットを見ると利上げ打ち止めが示唆されているからヒャッハー」とか言い出すのかと小一時間問い詰めたかったのですが、結局こうなるということでまあ市場の初期反応というのもあてにならんなという思いを深くする(とかドヤ顔で言っていると死亡フラグになるんですが)のでした。

でですね、まあ確かに雇用統計でお賃金の上昇が来たらインフレ懸念クルーというネタでたたき売りするのも分からんでもないのですが、今日ネタにする予定(とか思っていたのですが、今書いているこのあたりのネタを実はせっせと書いていたら手が滑って一回消してしまったので泣きながら書き直しをしていまして、そこまで間に合わないかもしれませんすいませんすいません連休中にネタにするかもしれないけど期待しないでください)だったパウエル議長の2日の講演の続き(というか前半)のフィリップスカーブに関する話とかでも、もしかして労働需給とインフレの関連性が弱まる的なお話をしていて(それが「インフレ懸念が低い」というのだけクローズアップされて市場が好感するという展開になっていたのですが)、雇用統計のお賃金に注目して、というのはもちろんお賃金上昇がホイホイ加速すればそらインフレ懸念ですから気にするのは順当なのですが、じゃあそうじゃなかったら安心だぜヒャッハーというのとも違う気がするのです。

と申しますのはですね、アタクシが勝手に思いまするに、パウエルさんはじめとしてFRBの見方って最近はインフレもさることながら資産価格(たぶん株式とかではなくてクレジットとか不動産関連とかそういう方面)のオーバーバリュエーションに対してナーバスになっていて、このままゴルディロックス相場ヒャッハーとかやっていると、オーバーバリュエーションが行き過ぎてバブル発生→崩壊となると、現状でまだ金利水準がこの程度だし、おまけに資産買入政策の後始末はまだ全然終わっていないという状況の中で、次にFRBの打つ手のコストが前回以上に掛かることになったらそらもうエライコッチャというような事を気にしていて、だからこそ正常化正常化とやっていっているんじゃないかなあとか思うの。

でまあこれまでは、正常化の中でオーバーキルすることは避けたいし、そうなったら何のための正常化だか分からなくなってしまうからってことで、前任前々任とかは色々なコミュニケーションを使って長期金利の急騰を止めていたし、今でも割とそんな感じで逆イールド懸念だの何だのとか長期金利に配慮したようなコミュニケーションは残っているのですが、まあよくよく考えてみれば短期金利ホイホイ上げても長期金利が全然上がらんと政策的には緩和が残ったままとなりますし、それによってゴルディロックス相場ヒャッハーとかやられたら正常化しているのにナンジャソラということになりますので、中立金利よりも高くしますよとか、そういうファイティングポーズを見せて長期金利がある程度上がるようにしないとアカンじゃろ、とか思っているのではないか、などと思う訳です。

というアタクシの愚感想は、FEDが割とここでBISビューちっくになっている、という前提を元にしていまして、一応そう考える根拠としては色々な高官発言ではあるのですが、はっきり言って推測の域を全然でない話なので、まあそういう発想でやっているんじゃないの、とアタクシが思っていますが皆様どうっすか?というような雑談モードなのでありましたです。はい。


・さて超長期輪番

ということで今日は超長期(とその他の何か)輪番でございますが、金利の事を無視すれば(笑)、為替も株価も絶好の輪番減額日和なのですけれども、まあさすがに昨日10年2毛金利上昇して新安値(金利の高値)をマークしているのにここで輪番減額とかやったらさすがに蛮勇過ぎるのでそれはないと(^^)。

でもって臨時輪番とか指値とかですけど、そらまあ10年金利0.3%とかは許容しないということになっておりますので(0.2なのか0.25なのかという議論はあると思う)、どこかで止めは入ると思いますし、指値って1回打つとその水準以外で入れることにやたら意味付けが生じてしまいますので(本人たちに意味付けなくても市場が思う)、まあ指値入れるよりは臨時輪番を入れてくるということになるでしょう(今日やるとは言ってない)。でもって入れるなら10年となるでしょうな。

ただまあ問題はさっき上の方でも申し上げましたように、そもそも「経済物価情勢に応じた自然な金利上昇」と「投機的な動きによる過大な値動きによって生じた金利上昇」というのの区別なんぞ恣意的にしかつけられない訳でして、なんだかんだと基準をつけようとしても最終的には運用の世界になってしまいますので、どこでこの球が飛んでくるのかさっぱり分からんということになりまして、まあ10年はここからの叩き料理とかやりにくいんでしょうなあ、くらいしか分からんですな・・・・・・・・・


#ということで、本来はこの続きに昨日ネタにしたパウエル講演の続きというお話が入る予定だったのですが、今日はPCのせいじゃなくてアタクシのうっかり八兵衛によってこいつぁうっかりだあ!と書いたものを半分消してしまって(半分で良かった・・・・・・)駄文再生機構(しかも再生しようとしたら趣旨は同じだけど再現性がないんですがががが)をやっておりましたので、単なるメモモードになってしまいまして誠に申し訳ございません



2018/10/04

お題「国債買入ペースの確認でも/パウエル講演より(その1)」

早速登場。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181003/k10011656861000.html
柴山文科相 教育勅語「使える分野十分ある」 野党から批判の声
2018年10月3日 19時38分

『柴山文部科学大臣は、2日の記者会見で、教育勅語についての見解を聞かれ、「アレンジしたりした形で使える分野は十分ある」などと述べました。これに対し、野党からは批判の声があがっています。』(上記URL先より)

「勅語をアレンジ」というこのパワーワード。そして記事中にある「普遍的な意味がある部分も」ってそりゃこういう理念を述べた中に1つも普遍的な価値に言及していないものを探す方が難しいじゃろ。


〇先月はしらっと買入が減っているので国債買入ペースのアップデートでも

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

例によって例のごとくですが、こちらから直近の日銀保有長期国債残高の集計表を引っ張ってきて、日本証券業協会の公社債売買参考統計値から売買参考統計値の集計表をエクセルで引っ張ってきて、各銘柄毎の償還日を紐付けれるように加工してあとはソートとオートサム位を使ってヘコヘコ計算しただけなんですけどね。

9月末は半期末の影響か営業毎旬報告が出るのが若干遅いので、営業毎旬が出てから確認したかったんですがまあ見切り発車で。

・来年の国債増加ペースは29兆円ですかね

現在の買入ペースだと、月に6兆7500億円の買入(1年以下は超短い銘柄が入るので、勘定に入れず、変動利付国債は月500億円に平準化して計算してます)となりまして、来年(暦年)に償還が来る日銀保有長期国債が額面で51兆8249億円(ちなみに8月末の時も計算していたので確認したら8月の時よりも2217億円増えていました)となっております。

そうなりますと6兆7500億円の12カ月の間に償還が51兆8249億円ですので、来年の長期国債年間増加ペースは29兆1571億円という数字になりまして、80兆円とは何なのかと小一時間問い詰めたくなるのですが、そこは華麗にスルーするのが大人の事情という感じになっておりますな。

しかしこの30兆円弱という数字になった訳ですが、超長期輪番闇討ち減額を行ったので一旦生体反応を示した債券市場ちゃん、まだ超長期のカーブの後ろの所だけは日替わり踏み投げでもやっているのかどうか知りませんけれども、今週頭くらいまでは一応動いていたんですけれども、昨日くらいからだんだん生体反応がナマコ反応になってきている感がするところでございまして、ストック効果VSフロー効果に関してはよー分からんですけれども、まあ確かに現実問題としてはストックが効きすぎて相場のナマコ状態が著しいというようなイメージisある。

でもって、まあ前提条件が全然違うから一緒くたにして考えるのは乱暴なのですけれども、昨日来ちょろっと申し上げましたように短国市場って日銀買入で市場がおかしくなって(マイナス金利を導入する前からマイナスに突っ込んでいた商品)マイナス金利導入で定例的に短国を安定消化していたMMFが償還の刑になってしまうなど、短国の消化動向にも変化が生じてしまい、短国買入の残高が減っても市場機能っぽい感じにならない(まあ今は海外需要が著しいだけなのかもしれませんけど)という悲しい事実を見ると、このナマコ相場モードというのには悪い予感しか感じないんですよね・・・・・・・・・・・


・銀行券ルールェ・・・・・・・・・・

9月末の銀行券発券残高が営業毎旬見ないと分かりませんが、まあだいたい105兆円内外とかそんなもんでっしゃろという前提に置きますと、2027年が終わった段階、つまり2028年以降に償還を迎える日銀保有の国債残高が104兆4625億円という素敵な残高になっておりまして(8月末対比で2兆少々増えとる)、いやまあ正常化の際(正常化できるのかどうかは知らん)には保有国債を不胎化すれば良いという話ではありますけれども、不胎化するのにはコスト(超過準備付利)が掛かるんで、そのコストどんだけフローで掛かりますねんという話ですし、よくジンバブエ先生などの方々が「長期的に見れは通貨発行益があるから日銀の赤字を心配するのはアホウ」と仰せですが、通貨発行残高を大幅に超える資産購入を行っているという状況って、それは通貨発行益を先食いしまくっているということになりまして、しかも国債買入で期限が物凄く長いものを買っているという状態が続いたら、ドンドン先の通貨発行益を食いつぶして行っているという状態なんですけどねえ・・・・・・・・・・・


〇需給ギャップは調子が良いようですが

http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm/
需給ギャップと潜在成長率

図表とデータがありますが、図表ちゃんをみますと
http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf

おお結構じゃんとか思いつつ、しかしながら需給ギャップとの感応度があばばばばーということで、寧ろ何でこれで物価が上がらんのよ、ということになるんですかそうですか。


〇パウエル議長の講演

昨日の相場ネタになっていた奴なのですが今日は多分途中までになってしまうと思います(すいません)。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20181002a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20181002a.pdf
October 02, 2018

Monetary Policy and Risk Management at a Time of Low Inflation and Low Unemployment
Chairman Jerome H. Powell

At the "Revolution or Evolution? Reexamining Economic Paradigms" 60th Annual Meeting of the National Association for Business Economics, Boston, Massachusetts

題名とシンポジウムのお題がアタクシの心をウキウキさせるのですが変ですかそうでうですか。


・経済の現状についてはFOMC会見同様にもう大勝利モード

冒頭のマクラ部分からです。

『From the standpoint of our dual mandate, this is a remarkably positive outlook.』

「remarkably positive」頂きました。

『Indeed, I was asked at last week's press conference whether these forecasts are too good to be true--a reasonable question!』

ワロタ。

『Since 1950, the U.S. economy has experienced periods of low, stable inflation and periods of very low unemployment, but never both for such an extended time as is seen in these forecasts.2 Standard economic thinking has long offered an explanation for this: If unemployment were to remain this low for this long, employers would be pushing up wages as they compete for scarce workers, and rising labor costs would feed into more?rapid price inflation faced by consumers.』

とここからお賃金の話。

『This dynamic between unemployment and inflation is known as a Phillips curve relationship, and at times it can pose a fundamental tension between the two sides of the Fed's mandate to promote maximum employment and price stability. Recent low inflation and unemployment have some analysts asking, "Is the Phillips curve dead?"3』

『Others argue that the Phillips curve still lurks in the background and could reemerge at any time to exact revenge for low unemployment in the form of high inflation.』

フィリップスカーブの有用性についての論点。


・ということで前半は失業と賃金の話ですがフィリップスカーブは生きているというのが基本観の模様

『My comments today have two main objectives. The first is to explain how changes in the Phillips curve help account for the somewhat surprising but broadly shared current forecasts of continued very low unemployment with inflation near 2 percent. At the risk of spoiling the surprise, I do not see it as likely that the Phillips curve is dead, or that it will soon exact revenge.』

いずれお賃金が上がって来て物価が上がるでしょう、という認識でしたらそら利上げ継続するし、長期均衡水準よりも上のターミナルレートになるのも当然ですなと思います。まあそれよりはパウエルの場合、ターミナルレートが幾らかということを推計して金融政策を逆算していくのではなくて、経済物価のデータをバックワードルッキングしながら金利をアジャストしていくという感じになって、たぶん幾らとかいう決め打ちはしていなくて、経済物価指標や資産価格動向見ながら調子が良いままだったら利上げを継続してくるんじゃないかと思いますけど。

『What is more likely, in my view, is that many factors, including better conduct of monetary policy over the past few decades, have greatly reduced, but not eliminated, the effects that tight labor markets have on inflation. However, no one fully understands the nature of these changes or the role they play in the current context. Common sense suggests we should beware when forecasts predict events seldom before observed in the economy.4』

『Thus, my second objective today is to explain, given this uncertainty about the unemployment-inflation relationship, the important role that risk management plays in setting monetary policy. I will explore the FOMC's monitoring and balancing of risks as well as our contingency planning for cases when risk becomes reality.』

つーことで、目先の現生利益的に関係が深いのは後半でして、フィリップスカーブは死んではいないけど背景とか事情とかよくわからんながら物価と賃金の関係に変化が生じているように見られる中で、ワシらのデュアルマンデート的な金融政策運営ってどうすればよろしいんですかねえ、という話がある訳ですな。

ということで、その次から、

『Historical Perspective on Jobs and Inflation』
『A Simple Framework for Understanding Changes in the Jobs-Inflation Relationship』
『What Led to the Changes in the Phillips curve?』

というのが続いているのですが、本日は華麗にパスしまして現生利益編の方から参ります(汗)。


・フィリップスカーブの話をぶっ飛ばして現生利益編

『A Favorable Outlook, but What Could Go Wrong?』という小見出しから。

『To set the stage, let us return to the situation facing the FOMC. The baseline forecasts of most FOMC participants and a broad range of others show unemployment remaining below 4 percent for an extended period, with inflation steady near 2 percent.』

現状のFOMCメンバーの物価と失業率見通しですな。

『I have made the case that this forecast is not too good to be true and does not signal the death of the Phillips curve.』

ほう。

『Instead, the outlook is consistent with evidence of a very flat Phillips curve and inflation expectations anchored near 2 percent.』

フィリップスカーブがフラット化して2%のインフレ期待がアンカーされているという状態だからこそこうなるんです、だそうな。

『Could Inflation Expectations Become Unanchored?』という小見出しになります。

『First is the risk that inflation expectations might lose their anchor.』

うむ。

『We attribute a great deal of the stability of inflation in recent years to the anchoring of longer-term inflation expectations. And we are aware that it could be very costly if those expectations were to drift materially.』

ほうほうそれでそれで?

『As you probably know from our public communications, we carefully monitor survey- and market-based proxies for expectations, and we do not see evidence of a material shift in longer-term expectations (figure 6). The survey measures have been particularly steady for some time.15 The financial market-based measures include both an expectations component and a volatile inflation premium component, so they tend to move around much more than the surveys, but we see no evidence of a material change in these measures, either.』

インフレ期待のアンカーが外れるとエライコッチャになるのだが現状そのようなものは観測されていないと。

『The risks to inflation expectations are, of course, two sided. Until this summer, inflation had remained stubbornly below 2 percent for several years. And major economies in much of the world have been struggling mainly with disinflationary forces. Thus, we have been and will remain alert for possible downward drift in expectations. Some argue the contrary case--that by only gradually removing accommodation as the unemployment rate has fallen, the FOMC may have fallen behind the curve, thereby risking an upward drift in expectations.』

ということでインフレ期待のアンカー外れる話には両サイドからの指摘はあるのはあるけど・・・・・・

『From the standpoint of contingency planning, our course is clear: Resolutely conduct policy consistent with the FOMC's symmetric 2 percent inflation objective, and stand ready to act with authority if expectations drift materially up or down.』

まあ簡単に言ってますけどそもそもそのインフレ期待って実際にすぐにわかるもんかいなというのはあるので、この辺りはまあインチキ臭いというか、こういうしかないのはその通りなので実際に試練に立たされた時にどういう動き方をするのやらという観はある(物価が上に振れた時にフォワードルッキングで対処するのかどうかが気になる)。


・たぶんここが市場でネタになったところ

次の小見出しが『Could Inflation Pressures Move up More than Expected in a Hot Economy?』である。

『A second risk is that labor market tightness or tightness in other parts of the production chain might lead to higher inflation pressure than expected--the "revenge of the Phillips curve" scenario.16』

お賃金とか上がりだして急にキタコレになるリスクについてだそうで。

『As I mentioned, the FOMC carefully monitors a wide array of early indicators of inflation pressure to evaluate this risk. Wages and compensation data are one important source of information. These measures have picked up some recently, but in a way that is quite welcome.』

お賃金上がっているけど今は良い上がり方とな。

『Specifically, the rise in wages is broadly consistent with observed rates of price inflation and labor productivity growth and therefore does not point to an overheating labor market.』

ファンダメンタルズを反映した上昇になっているそうです。

『Further, higher wage growth alone need not be inflationary.』

ほう。

『The late 1990s episode of low unemployment saw wages rise faster than inflation plus productivity growth without an appreciable rise in inflation.』

ほほう。

『Despite what shows up in the aggregate wage and compensation data, however, I am sure that, like us, many of you are hearing widespread anecdotes about labor shortages and increasing bottlenecks in production.』

単独での賃金上昇がインフレーしょなりーではないという話の続きのようですの。

『For example, as shown in figure 7, the words "shortage" and "bottleneck" are increasingly appearing in the Beige Book, the Federal Reserve's report summarizing discussions with our business contacts around the country.17 The message we are hearing in our conversations is supported by a wide range of more conventional measures.』

現状では労働不足が生産のボトルネックとか言われるようになっておりますそうな。

『For example, the survey of members of the National Federation of Independent Business finds firms increasingly reporting that job openings are hard to fill (figure 8). Further, these businesses now list "quality of labor" as their most important problem, as opposed to the more typical report of "poor sales."』

ということで、

『We review a wide variety of measures of this type, and these indicators show what I think most business people see: an economy operating with limited slack. Notice, however, that these measures are near levels that prevailed in the late 1990s or early 2000s, a period when core inflation remained under 2 percent.』

『While the late 1990s case proves that elevated values of these tightness measures do not automatically translate into rising inflation, a single episode provides only limited reassurance.』

つーことで、この部分が「インフレ圧力は乏しい」という形でベンダーに乗っかってゴルディロックスヒャッハーということになっているのですが、別に無警戒とかいうわけではなくて、これって「利上げをゆっくりやっていってもインフレ圧力が爆発しない」という説明をしているんじゃネーノというのはだいぶ思う。

『Thus, the FOMC takes seriously the possibility that tight markets for labor or other inputs could provide greater upward pressure on inflation than in the baseline outlook. Our best estimates, however, suggest that so long as inflation expectations remain anchored, a modest steepening of the Phillips curve would be unlikely to cause a significant rise in inflation or demand a disruptive policy tightening.18』

『Once again, the key is the anchored expectations.』

ということで、アンカーが外れそうと思ったらプロアクティブに行動する(ただその判断は難しかろう)という姿勢はあるんですよね。

でもって最後に『Is the Natural Rate of Unemployment Lower Than Expected?』という小見出しがあるのですが、前半部分と一緒に明日で勘弁(単に時間切れ)ということで。




2018/10/03

お題「短観の企業物価見通しを無理矢理日銀に都合よく解釈してみる/短国買入/昨日ネタにしたストック効果の論文から雑談」

さて新内閣
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181002/k10011654971000.html
第4次安倍改造内閣 閣僚名簿を発表
2018年10月2日 14時07分

メンバー的に地雷になりそうなお方が何名かいらっしゃるような感じがするのですけれども、「お友達内閣」にして炎上したときのことはお忘れになったのかというそこはかとない不安がががががが。


〇企業の物価見通しェ・・・・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2016/tkc1809.pdf

1.販売価格の見通し(現在の水準と比較した変化率)

全規模合計 全 産 業

1年後 前回:0.7%→今回:0.8%
3年後 前回:1.2%→今回:1.3%
5年後 前回:1.5%→今回:1.5%

販売価格の見通しが全般的に上がっているから企業の価格設定行動が改善しているよ!やったね!日銀!!・・・・・・・って現象的には確かに1年後と3年後の販売価格の見通しは上がっているのですが、まあ遅々として歩みの鈍い足取りでして、前々回の販売価格判断がそれぞれ0.7、1.2、1.4なので、半年かけてそれぞれの数値が0.1ずつ上がりました、というような結果になっております。

でもってインフレ期待って言いましてもそもそもがふわっとした話で、実際にインフレ期待がビルトインされて出てくるものっていうのは「販売価格判断」というあたりや「定例給与の引き上げ動向」という話になる(・・・・・・って定例給与の引き上げってのは「生活給」という概念で考えて申し上げているのですが、まあ世の中的には最近って払う側は職能給みたいな理屈を持ってくるのでそれだと労働生産性が上がった分で昇給になるからインフレ期待あまり関係ないともいえるけど)のですが、企業の価格設定動向、という意味で言えば短観のこのデータをベースにすれば「半年間で0.1%上昇しました」とまあ非常に時間の掛かるお話でして、この調子で2%物価上昇を所与とした価格設定行動に持っていけるのってあと何年かかりますねんというお話ではあります。

が、まあ半年に0.1%だけど上がっているからよかったじゃないですか、2%行く前に次の景気後退が来て全部おじゃんになってしまうって気もしますけどね!!!!(白目)


2.物価全般の見通し(前年比)

全規模合計 全 産 業

1年後 前回:0.9%→今回:0.8%
3年後 前回:1.1%→今回:1.1%
5年後 前回:1.1%→今回:1.1%

・・・・・・・と販売価格判断を見てせっせとコメントしたというのに何ですかこの根性の無い物価見通しの推移は!!!という感じですが、これがまた前々回の数字がそれぞれ0.8、1.1、1.1でしたので、何のことはない要するにこの半年横ばいというお話。

ただまあ無理矢理日銀に都合の良さそうな屁理屈を回しますと、物価見通しが変わらない中で価格設定見通しに関してはじっくりではありますが上昇している訳でして、物価見通しというのが実際に企業の行動にどう影響するかはよくわからないですが、現実に行動として出てくる価格設定見通しの方が強くなっている訳ですから、これは企業の価格設定動向の強気化を示していて、インフレ期待が上がらなくても能動的に価格設定を引き上げるコースが見えてきた、といって喜ぶというのが無理矢理読むとそう読めないこともない。

ってまあ普通に読めば「今回も横ばいですな全然カワランチ会長ですなあ」でおしマイケルなのでございますががががが。


では念のため、もうすっかり日銀の方々が言わなくなりました「エコノミストや大企業などは目先の物価動向に一々反応するのでアカン、真のインフレ期待は中小企業や家計などの部門に現れる(キリッ)」という、単にアンケート当初に大きな数字が出ていたのがそのセクターだったというだけで都合の良い解釈をしたのではないか、などと下衆の皆様がツッコミをしそうな理屈を捏ねておられましたので、直近半年間(前々回短観以降)の中小企業製造業、非製造業の「物価全般の見通し」を確認してみましょう。


中小企業 製 造 業

1年後 前々回:1.0%→前回:1.0%→今回:1.0%
3年後 前々回:1.2%→前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前々回:1.3%→前回:1.3%→今回:1.3%

中小企業 非製造業

1年後 前々回:0.9%→前回:1.0%→今回:1.0%
3年後 前々回:1.2%→前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前々回:1.3%→前回:1.3%→今回:1.2%

おお、インフレきたいよ、まるであがらないとはなさけない・・・・・・・・・・・・・


ということで、まあさっきは無理矢理日銀に光明が出るような無理矢理解釈をしましたが、まあ「インフレ期待が腰折れしている訳ではない」というのはその通りなので、そういう意味からは追加緩和という文脈は出てこない(ただし早期達成というのが前面にでるようだと追加緩和になるけどそれは現在封印中)ということになりますね。



〇短国買入

従来パターンから日程を外した昨日の短国買入ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181002.htm
国庫短期証券買入 1,000 2018年10月3日

ということでオファーが1000億円と最低ロットでのオファー来ました。

でまあそもそも先週の短国入札が・・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20180928.htm


(3)募入最低価格 100円05銭1厘0毛(募入最高利回り)(-0.1860%)
(4)募入最低価格における案分比率 11.3663%
(5)募入平均価格 100円05銭5厘7毛(募入平均利回り)(-0.2031%)

とかいう素敵な水準で(発行日は10/1で償還が1/9の年末越え)発行されていて、昨日の引けベースの売買参考統計値の平均値単利見るとこの銘柄である短国786回って-0.265%とかいう素敵な数字になっておりまして、ドル調達絡みだか何だか知りませんが見事なまでに物無し芳一状態になっておられるようですので、そらまあ買入せんでもええわ位の勢いという状態ですので、短国買入の絶好の減らし時ではあるのですな。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

でもって今月に関しては、日銀保有銘柄の短国一覧から償還額面を計算しますと、10月の償還額ってそんなに多くなくて、1兆9166億円しかないので、元々ロールオーバーするだけでもそんなに買う必要はない(ちなみに短国買入の額面残高ですが9月末で13兆7551億円まで減少しているのですが、今回のように短国需要が出るとあっという間に▲20bpの世界に飛んでいってしまうような状態)し、大体からして直近の入札およびその後の状況からして短国ニーズあるんだから日銀が買ってしまう必要もなしということですな。

とまあそういう風に考えますと、今月から「いつものパターンでの買入ではないですよ」と宣言している以上、短国買入を月に4回律義に実行する必要もなくて、需給的にもその方が良い話という事になれば、短国買入についてはオファー額もそうですが、オファー回数もバサッと削減してきても何ら不思議はないですな。

まあそれによって例えば短国がクッソ重くなって▲8bpとかまで金利上昇するようになったらせっせと短国買入をすれば良いだけの話であって、来月だとまだ早いかもしれませんが、いずれ短国買入に関しては「短期市場および短期国債市場の動向を勘案し、金利が過度に上昇した場合は適宜買入を実施する」というような方針になって、原則買入は特に行わなくて、短国金利が上昇して、短い所の国債などの金利に悪影響(まあワシらにとっては好影響という気がしますが)を与える時に火消しをしますけど普段は知らんもんね、という風になっていくのかなあと思いますし、寧ろそうあるべきでしょと思うのでありまする。



〇例のストックビューとフロービューのレポートなんですが・・・・・・・・

時間がないので引用逃げみたいな感じになりますが。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf
日本における市場分断・特定期間選好仮説のDSGEモデルによる検証
―ストック効果とフロー効果の定量比較を中心に―

こちらなんですけど、モデルの概要というのを見るとうーんこのという感じがしましてですね、

本文6ページより。

『本稿のモデルは、ALSN (2004) と CCF (2012) の枠組みを用いつつ、これらのモデルで採用されている長期国債の取引費用についての定式化を変更したものである。経済は、家計部門、企業部門、政府部門から構成される。企業部門は標準的なニューケインジアン型のモデルの設定と同様である。一方で、家計部門と政府部門、とりわけ中央銀行についての定式化は標準的なモデルとは異なる。より具体的には、Smets and Wouters (2007) のような標準的なニューケインジアン型の DSGE モデルと比較した場合、本稿のモデルは以下の 5 つの点で特徴がある。』

『1. 国債市場は、短期国債市場と長期国債市場からなり、長期国債の利回りは、短期国債の利回りである短期金利の期待値とターム・プレミアムの和からなる。定常状態において、ターム・プレミアムは、正の値を取る12。』

『2. 家計部門には、標準家計と長期運用家計が存在し、標準家計は短期国債と長期国債の双方に投資できる一方、長期運用家計は長期国債にのみ投資できる。もっとも、標準家計が長期国債を保有する際には取引費用を支払う必要があるが、長期運用家計が長期国債を保有する際には取引費用は発生しない。標準家計と長期運用家計の割合は、それぞれωと1-ωである。』

『3. ターム・プレミアムの大きさは、標準家計が長期国債を取引する際に支払う取引費用の関数となっている。この取引費用は、家計が保有する長期国債や預金の規模やその変化率の関数になっている。』

『4. 金融政策について、中央銀行は短期金利だけではなく、長期国債の買入れも操作変数として用いる。』

『5. 金融政策について、Laseen and Svensson (2011) や Del Negro et al. (2017) と同様に、将来の短期金利に関する、予期された金融政策ショックが存在する。』


『ここで、1〜3 が市場分断・特定期間選好に関する設定となる。5 は、本稿の分析対象期間の多くが、日本において将来の短期金利に対するコミットメントが実施されていた時期であったことを踏まえた設定である。すなわち、ターム・プレミアムの変動と期待成分の変動をより正確に識別するためには、将来の短期金利に対するコミットメントによる短期金利予想の変動を明示的に考慮したモデルを選択する必要がある。』

『本稿のモデルは、3 と5 の点で CCF (2012) と異なる。3 について、CCF (2012) では、取引費用は、家計が保有する長期国債の規模のみの関数となっている。また、CCF (2012) では、5 のような予期された金融政策ショックを組み込んでいない。本節では、モデルのうち、上記の 5 点に関連する部分について説明する。モデルの包括的な説明については、補論 A を参照されたい。』

ということで補論Aとかまで突撃するとオワランチ会長になってしまいますが、これ見てて(まあそのあとにも説明があるのですが)思うのは、そもそも「タームプレミアム」の概念がこっち(市場)側にいる人間と違うわなと思います。というのはタームプレミアムって要するに流動性プレミアムと不確実性のプレミアムであって、それは将来の金融政策動向推計の不確実性に加えて、必要な流動性というのは時に変化しうるため、流動性プレミアムというのも上がったり下がったりするもんだと思うの。

然るに、こちらの分析だとタームプレミアムの大きさは「標準家計が長期国債を取引する際に支払う取引費用の関数となっている」までは良いとしても、「この取引費用は、家計が保有する長期国債や預金の規模やその変化率の関数」ってのがそれはどうなのと思う所ですし、大体からしてそういう前提を置いたら「財政部門が中央銀行の国債買入の増減にあわせて国債発行を伸縮する」以外の状況にあれば、中央銀行が保有する国債が増えればタームプレミアムが減るの自明みたいな世界になってしまうから、そらタームプレミアムの反映であるところの長期金利に関してはストック効果が効くという結論になるじゃろと思ってしまったのですが、アタクシは何せハクション大魔王なので字面を眺めて前提条件を詰めたらそうならないかねえとは思っても、具体的なデータ分析で実際どうなのよという話は知らんがなにも程がある程度には数字には弱いので誰かこの内容精査していただきたいんですがよろしくお願いします。


#諸般の事情で今日も簡単版のようですいません





2018/10/02

お題「日銀短観私家版チェック/国債買入のストック効果VSフロー効果のスタッフペーパーキタコレ」

おおジオシティーズよ・・・・・・・・・
https://info-geocities.yahoo.co.jp/close/index.html

『ジオシティーズに作成された技術関連のホームページは今でも多くの技術者の助けになっていると聞いています。現在も毎日のように更新されているホームページもあります。1990年代後半に作成された個人のホームページはその体裁やデザインも含めて、その時代のインターネット文化そのものです。Twitter上では「昔作成したホームページがジオシティーズに残っている、黒歴史だから早く消えて」というつぶやきも見かけます。長期にわたり更新されていないホームページについては、規約にのっとり削除することも可能でしたが、誰かが必要としているかもしれないページを削除するのは忍びなく、できるだけ残す方針を続けてきました。』

『インターネット上に残された多くの遺産や、現在も積み上げられている情報の蓄積が消えてしまうのはインターネットを愛するスタッフ一同としても残念な思いでいっぱいです。以下で代替サービスと引っ越し方法について説明いたします。1つでも多くのサイトが引っ越し先で公開を継続していただけますと幸いです。』(上記URL先より)

やむを得ないとは言え残念ではあります。


〇もはやまるで材料にならん日銀短観なのだがいつものように私家版チェック

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1809.pdf

・先行きDIの達成度合い

         (6月時点)     (9月時点)
         現状→9月予測    現状→12月予測
製造業大企業   +21→+21     +19→+19 
製造業中堅企業  +20→+16     +15→+13        
製造業中小企業  +14→+12     +14→+11

非製造業大企業   +24→+21    +22→+22
非製造業中堅企業  +20→+16    +18→+15
非製造業中小企業  +6→+5      +10→+5

前回6月短観ではこんなことを書いておりました。

前回は「改善止まる」で今回は製造業大企業を見ると頭打ち、ということになるのでまーそっちが報道ベースでは出ると思う(一般ニュースをちゃんと見てない、汗)のですけれども、「前回の見通しDIの達成度合い」という観点で見ますと全規模に渡って3月短観時点での見通しよりも良い数値になっております。

しかも今回は想定為替レートが前回の年度109.66が107.28になっていまして、概ね2円半円高に振れたのですが見通しDIよりも上振れという結果。まあだいたいDIのプラスが大きい時というのは、傾向として先行きDIは「堅め」に見るということで現状よりも弱めに出るのが普通なので、その点で言えば製造業大企業のDIが前回対比下がっているとは言いましても、見通しDIよりは良い数字になっていますし、それ以外の規模、非製造業では概ね前回DI対比横這いでの推移となっていますので、まあこんなもんちゃあこんなもんでしょう。ただ、今申し上げたように基本は先行きDIが堅めに出るはずのところで、大企業製造業の先行きDIが横ばいというのはいつもと違うパターンになっているので多少は気になります。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)

でもって今回ですけれども、見てて多少唸ってしまったのは「前回見通しDIよりも今回のDIが製造業で下振れしている」という部分でして、ここまでずーっと「固めの先行き見通しDIに対して実際に出てくるDIはそんなに落ちない(どころか良くなる)」というのを継続していたのですけれども、そらまあ+20だとかいうようなDIの水準そのものが強いのでそらそうよということではあるのかも知れませんが、これは製造業ピークアウトの香りも仄かに漂う今日この頃って奴ではないかという気がせんでもないが、そういってただの踊り場だったというのも何度か見ているので別に決め打ちをする気はさらさら起きません。


・業種別計数で気になったこと(いつもの定点観測以外のネタ)

これまた前回6月短観ではこんなことを書いておりました。

・・・・・・ということで、アグリゲートしてみれば全体の数字自体はそんなに悪くはないと思いますけれども、一つ非常に気になったのは短観概要の鏡のページにある「業種別の計数」でして、今回非製造業で「小売」のDIがプラスマイナス0になっておりまして、非製造業の中でダントツに業種別DIが悪くなっています。

最近個人消費が弱めじゃないのかとか、先週末に開始となった夏物セールにピラニアの如く買い物ピープルが群がっておりまして、それまでおまいらどこにいたんだよ(バーゲン待ちで買い控えをしていたんでしょうけど)というような風情だった辺り(セールでも安くした分は売り上げ数量出れば良いのでしょうけれどもそこまでの買い控ェ・・・・・)するのと整合的なのが出てきたのにはちょっと唸るものがありました。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)

でもってこちらの「小売」なんですけど、前回の現状DIが0で先行き見通しDIが+6だったのですが、今回の現状DIは+2にしか改善していなくて見込みより下振れの上、先行き見通しDIの方は+9と引き続き希望的観測モード(しかも希望的観測度合いが高まる)となっているのはこれまた唸らざるを得ませんな、ナムナム。

製造業では前回対比の落ち込みが盛大に来ているのは「繊維」「石油・石油石炭製品」「窯業・土石製品」という辺りですが、その中で石油石炭に関しては6月短観時点で落ちこみが予想されていて予想通りという風情なのですが、他は予想外に悪化という感じになっておりますな(予想通り悪化、はエネルギー関連で輸入価格の上昇がラグをもって効いてきているんでしょうか、よー知らんけど)。


・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)

        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業  ▲16→▲17      ▲18→▲18
製造業中堅企業 ▲25→▲26      ▲27→▲28
製造業中小企業 ▲29→▲34      ▲32→▲35

非製造業大企業   ▲27→▲28    ▲29→▲30
非製造業中堅企業  ▲36→▲40    ▲36→▲41
非製造業中小企業  ▲39→▲45    ▲40→▲46

水準が超越マイナスなのは毎度の事で労働需給は逼迫しっぱなしで、前回はこの雇用判断DIのマイナスが何となくピークアウトしたんじゃネーノというような感じもしないでもなかったのですけれども、今回まーた不足感が拡大しておりまして、どんだけハイパー不足なのかと思うのですが、一方でアタクシの給与いや何でもないです急に目から汗が・・・・・・・・・・・

・販売価格判断(「上昇」-「下落」)

        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業  +5→+5        +7→+3
製造業中小企業 +5→+8        +5→+6

非製造業大企業  +5→+5       +7→+5
非製造業中小企業 +4→+3       +2→+4



仕入価格判断(「上昇」-「下落」)

        (6月時点)        (9月時点)
        現状→9月予測       現状→12月予測
製造業大企業   +30→+24       +27→+23
製造業中小企業  +43→+44       +41→+43

非製造業大企業  +16→+16       +18→+17
非製造業中小企業 +29→+30       +26→+29

こちらは前回6月短観ではこんなことを書いておりました。

今回は販売価格判断DIが上がっていますが、それ以上に仕入価格判断DIの上がりの方が大きいというのがうーんという感じ(ただし割とその傾向はあるから過大評価するのは禁物だと思う)なのですが、それ以外に見ていてほほーと思ったのは大企業製造業の仕入価格判断DIが前回に引き続きしらっと上昇していることで、まあ大企業の段階まで仕入価格上昇の影響はおよんでいて、中小企業の仕入れ先をとっ捕まえて仕入価格を改善しようというのも限度があるちゅう話ですかなとは思いました。

とは言いましてもゼロ近辺でずっと安定していた販売価格判断がじりじり上がっている方を捕まえて日銀ニッコリでしょうかねえ、よくわからん。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文、誤字修正しました)

でもって今回なのですが、製造業大企業で販売価格判断が上がっているのに仕入価格判断が下がっていたり、製造業中小企業でも販売価格判断が横ばいで仕入価格判断が下がっているという中々素敵な事案が発生していますし、販売価格判断は非製造業中小企業を除いて横ばいから上昇しているのでこれは日銀ニッコリの展開・・・・・・になるんでしょうかねえ。


・需給判断DI

国内需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)

        (6月時点)        (9月時点)
        現状→9月予測       現状→12月予測
製造業大企業  ▲2→▲1         +1→▲1
製造業中小企業 ▲10→▲11       ▲9→▲12


海外需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)

        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +4→+3        +4→+2
製造業中小企業 ▲3→▲4        ▲4→▲5

ここは大体横ばいなんですが、製造業大企業の国内需給判断が前回悪化したのが改善しているのでまあ良かったですねというところですが、昨年12月短観からの推移が▲1→+0→▲2→+1なのでまあ気にしなくても良さそう。


・金融商品取引業ェ・・・・・・・・&預金金融機関

        (6月時点)        (9月時点)
        現状→9月予測       現状→12月予測
金融商品取引業  +17→+24       +4→+14

前回6月短観ではこんなことを書いておりましてですね、

12月短観の時は盛大に9月時点での先行き予測より上振れ、3月短観では12月時点での先行き見通し(+28予測だった)から下振れしたのですが、今回は前回時点で「ここから反転上昇」という見込みのところ、見事に逆転して改善幅縮小というのはワロタ。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)

でまあ今回は6月時点での「今度こそ反転上昇」をあざ笑うように一段とDIのプラス幅が縮小となっておりますが、一方で直近株式市場の方はエッサホイサと上昇しているんですが今後どうなるのやら。



でもって前回あばばばばー感が漂っておりました預金金融機関ですけれども、

        (6月時点)        (9月時点)
        現状→9月予測       現状→12月予測
銀行業      +5→▲1         +7→+6
協同組織金融業※ +5→+0         +2→+0
(※昨年12月短観までの「信用金庫・系統金融機関等」)


銀行業の現状判断DIと先行き判断DIはいったん落ちるの止まった(まさかとは思いますがアンケート回答に際して忖た・・・・・いやなんでもないです)のですが、協同組織金融業の方が下がっておりますな今回というところでありまして、うーんこのという感じです。


・・・・・とまあそんなところですが、何せ短観出ても1ミクロンも相場が反応しないというこのへっぽこ債券市場ではありまして、あたしゃ何のためにこのチェックしてるんだろうとか思ってしまいますが、前から延々とこの比較をしているだけにもはや意地になって短観の私家版チェックをするのでありました(--;


〇国債買入のストックビューVSフロービューの分析ペーパーキタコレ

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j09.htm/
日本における市場分断・特定期間選好仮説のDSGEモデルによる検証
―ストック効果とフロー効果の定量比較を中心に―

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf



今回のは珍しく英文と同時に出ていまして、英文はこちら
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/wp18e16.htm/
Do Market Segmentation and Preferred Habitat Theories Hold in Japan? :
Quantifying Stock and Flow Effects of Bond Purchases

英文本文はこちら
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18e16.pdf


ちなみに動学的一般均衡モデルを使って云々と言いますと、先般こんなのが出ていましたけど

http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/wp18e06.htm/
Natural Rate of Interest in Japan
-- Measuring its size and identifying drivers based on a DSGE model --

本文
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18e06.pdf

こちらは英文が3月に出て日本語版が出たのが6月だったりした奴ですな。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j03.htm/
わが国の自然利子率
―DSGEモデルに基づく水準の計測と決定要因の識別―

本文
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j03.pdf


ということで英文じゃないので読めるぜヒャッハーと思いましたが、数学の出来なさではハクション大魔王といい勝負(古すぎてわかりませんかそうですか)のアタクシとしては数式を見ましても駄文のネタにできませんので(統計処理する際の前提条件が何かというのを理解すれば出てきた結果がどのように出てきたのかというのは理解できると開き直っておりますが頭の悪いのをそうやって開き直っているだけ)、要旨部分とか最初の方を鑑賞する程度しかネタにしません(一応読んではみているんですが解説をするのはちょっと・・・・・・)。

ということで要旨から(URL再掲します)、もちろん日本語の方から。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j09.htm/

『要旨』

『世界的金融危機以前の経済学では、「中央銀行の長期国債買入れは、長期金利に対して中立である」との見方が支配的であった。しかし、世界的金融危機を受けて主要中央銀行が大規模な長期国債買入れに踏み切る中で、国債市場における市場分断や特定期間選好の存在に着目し、「中央銀行の長期国債買入れが、ターム・プレミアムを通じて長期金利を押し下げる」との見方も増えている。』

さいですな。

『本稿では、市場分断・特定期間選好を明示的に組み込んだDSGEモデルを、1980年代から2017年までの日本のデータを用いて推計し、日本銀行による長期国債買入れがターム・プレミアム、ひいては経済・物価に与える影響について、それが買入れた長期国債残高(ストック効果)を通じたものか、各期買入れるフローの規模(フロー効果)を通じたものかという点を中心に、定量的に分析した。』

ほう。

『分析の結果は、以下の3点にまとめられる。(1)市場分断・特定期間選好は有意に存在し、日本銀行による長期国債買入れは、ターム・プレミアムの押し下げを通じて、経済・物価へ緩和効果をもたらした。(2)こうしたターム・プレミアム押し下げ効果は、日本銀行による量的・質的金融緩和の導入以降、顕著に強まっており、2017年末時点で50〜100bps程度となっている。(3)この押し下げ効果のうち9割以上がストック効果によるものであり、フロー効果の寄与は限定的である。』

ほうほう。

『本稿の分析は、長期国債買入れによるターム・プレミアム押し下げ効果について議論する際には、日本銀行が各期買入れるフローの大きさよりも、日本銀行が保有するストックの大きさの方が重要度が高いことを示唆する。』

ということで、例によってスタッフペーパーですので、『なお、本稿に示される内容や意見は、筆者たち個人に属するものであり、日本銀行および企画局の公式見解を示すものではない。』と最後にあるのですが、

>長期国債買入れによるターム・プレミアム押し下げ効果について議論する際には、日本銀行が各期買入れるフローの大きさよりも、日本銀行が保有するストックの大きさの方が重要度が高いことを示唆する

っていうのはこれは「ストック効果があるので日銀国債保有残高の拡大を行っていればフロー的に買入が減っても金利の押し下げ効果が出ますぜヒャッハー」と仰せになっておりまして、よーしパパ国債買入フローを減額しても問題ないぞーというお墨付きキタコレというネタで何とかストの皆さんがヒャッハーとレポートのネタにする、という姿が(てかもう出ているかも知れませんが)目に浮かびますな、うんうん。


でもって一応本文の冒頭もちょっと引用しますと(もしかしたらアタクシが何か操作を間違えたのかもしれないのですが、クロームからPDF落としたら何か本文のフォントが面白フォントになってしまった。コピペはちゃんとできるが印刷ジョブは掛けてないので実際にどうなっているのかはよくわからん)・・・・・・・・

本文です(URL再掲)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf

本文最初の『1 はじめに』の3ページ目のあたりから引用します。

『もっとも、「量的緩和の問題点は、現実には効果が認められる一方で、理論的には効果が説明できないことである」(Bernanke、2014) という評価に象徴されるように、長期国債買入れが長期金利を押し下げているとしても、そのメカニズムが全て明らかになっている訳ではない。』

『特に、長期国債買入れが、買入れた長期国債の残高(ストック効果) を通じて作用しているのか、あるいは各期買入れるフローの規模 (フロー効果) を通じて作用しているのかという点は、それぞれの政策的含意が異なるだけに重要な論点の 1 つである。』

『実際、金融資産の代替性が不完全であることを強調する理論に忠実に従うのであれば、長期金利を押し下げるのは、中央銀行によって市場から吸収されたストックの残高であり、市場から吸収されるスピードであるフローは固有の含意を持たない。しかし、実際にストック効果だけではなくフロー効果が存在することについては、D’Amico and King(2013) など、既存の実証研究で指摘されている。また、BIS (2017) も「経済学者の間での一般的な見解は、資産価格に対して影響するのはその残高 (ストック) だというものである。他方で、残高の変動 (フロー) が影響する可能性もある」としており、この点についてのコンセンサスは、必ずしも形成されていないように見受けられる7。』

『こうした状況を踏まえ、本稿では、国債市場におけるターム・プレミアムを明示的に組み込んだ DSGE モデルを構築・推計することを通じて、日本銀行による日本の長期国債の買入れが長期金利、ひいては経済・物価に与える影響について、それがストック効果によるものかフロー効果によるものかという点を中心に、定量的に分析する。分析に DSGEモデルを用いることの最大の利点は、モデルが国債市場と財市場の双方を含んでいるため、両市場間の動態的な依存関係を描写できることである。』

『また、フォワード・ルッキングな経済主体の意思決定を明示的にモデル化するため、長期国債買入れの実績値やアナウンスメントが、経済主体の意思決定にどのように影響を与え、ターム・プレミアムなどの変数に作用するかという点についても分析できるという利点も大きい。このように推計された DSGE モデルを用いて、長期国債買入れとターム・プレミアムや経済・物価の関係性について分析した研究は、現時点においては少なく、筆者たちの知る限り、米国のデータを用いた Andr´es, L´opez-Salido, and Nelson (2004) (以下、ALSN) および Chen, C´urdia, and Ferrero (2012)(以下、CCF) があるのみである8。』

『本稿で用いている DSGE モデルは、ALSN (2004) および CCF (2012) を拡張したものであり、長期と短期の国債市場間の裁定が不完全であること (市場分断)9、家計が特定資産に対して効用を持つ結果、ターム・プレミアムが家計のバランスシートの規模や構成に依存すること (特定期間選好)10の 2 点を許容しているという点で、Smets and Wouters(2007) などの標準的な DSGE モデルとは異なっている。』

『特定期間選好が存在することは、中央銀行による長期国債買入れがターム・プレミアムを通じて長期金利に影響を与え得ることを意味しており、また、市場分断が存在することは、こうしたターム・プレミアムの変動が、短期金利変動とは独立に、マクロ経済に影響を与え得ることを意味している。』

『もっとも、市場分断や特定期間選好の存在を先験的に仮定している訳ではなく、1986 年から 2017 年までのマクロ経済変数の時系列を用いて、これらに関するパラメータを推計することで、存在自体も検証している。』

ということで、ひたすらコピペだけしてお前は何をやっているんだとツッコまれそうですが、まあ「ほーそうですか」以外の言葉が出てこない程度にしか脳みそがないので勘弁してつかあさい。

ちなみに、現場叩き上げおじさんのアタクシの感覚的なところとしてはあるところまではフロー効果が効いていて、どこかに閾値があって、その閾値を超えるとストック効果が思いっきり出てくるという割と非連続なイメージを持っていますが、例えば短国買入の場合は減額に減額しても全然市場が元に戻らないというのがあって、これは買入を拡大した時点と今とで前提条件が異なっている(マイナス金利の存在とマイナス金利の長期化による短期資金運用主体の市場構造が変化したこと)ので何とも言えないのですけれども、もしこの変化がマイナス金利による構造的な問題なのではなくて、市場が不可逆的に壊れてしまった結果だというのであれば、実は大問題ということになるような気もしますけれども、まあそもそも論として市場機能度事態の分析ができませんので効果(副作用?)の分析とかできる訳もなし、とかいつの間にか話が脱線しておりますが、そのように思うのでありました。

#引用増量マンでどうもすいません




2018/10/01

お題「台風の影響により本日は簡単版でご勘弁ということで(−−;」

https://www.nhk.or.jp/senkyo2/okinawa/
沖縄県知事選開票速報

接戦とか言われてたのにゼロ打ち当確が複数社から出ていたのにはビビったが、
エライ大差になっとるが正直タマの差が大きかった希ガス。


〇輪番日程表は短国日程表に謎のプレイが現る

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180928c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

・短国買入の柔軟化というか何というか

でこちらの2ページ目の短国買入がアレ。

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。

なお、10月初回の国庫短期証券の買入れは、現時点で、10月2日を予定している。』

これ8月末のだとこうなっていたんですな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180831e.pdf

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』(8月末公表の9月の予定表より)

ということで、今回短国買入に謎の初回日程指定が出ていたのですが、この1回目の日がこれまでのパターンと違っているんですよね。

国債決済T+1になってからは金曜に3Mの入札があって、基本的には月曜(月曜が祝日の場合は火曜)に短国買入が入るのがパターン(T+2の時は木曜が3Mの入札で金曜が短国買入)でして、9月の場合だと3、10、20、25に短国買入がオファーされていた(20日だけ変な曜日ですが、この週は月曜が祝日、火曜が1Yの入札、水曜がMPM結果発表日だったので短国買入を入れていない)のですが、10月2日というのは火曜日でして、別に1日の本日は短国の入札もMPMも無いので、普通に短国買入を入れてくるなら1日に打つはずなのですが、金曜の時点で「来週は火曜日に短国買入打つけんね」というお断りが入るの巻。

・・・・・・・まあ何ですな、先月の「入札の翌営業日の輪番は減額しないの不文律ブレイク攻撃」というのがありましたから、まあこれは順当に考えまして「短国買入に関しては毎週月曜に入れるという不文律をブレイクするんでそこんとこよろしく」というメッセージであると考えれば良いと思うわけですな。

ということですので、これは短国買入はもっと残高縮小していきますし、タイミングも一定しませんのでよろしく、ということであって、まあ短国が無茶苦茶重くなってその結果GC→コールと金利上昇圧力が相応に掛かるようなら買入を実施するんでしょうが、MB目標に関してはオーバーシュート型コミットメントをやっていればよいので、長期国債買入を普通にやっていればそっちは問題ないでしょうから(さすがに減らすにしたって限界がありますから)本来短国買入って別にやらんでもエエンちゃいますかと考えれば順当なのですが、お約束のままでオファー額を最低限にしていって減額するんじゃなくて買入そのものをスキップしながら減額していくというよく言えば柔軟化、悪態つけば読みにくい方法で来ましたなという所でありまする。


・超長期後半だけレンジ引き下げはまあ順当だと思われますが

でもって別紙の方に関してですが、

0−1年:100-1000、月2回(変更なし)
1−3年:2000-4000、月5回(変更なし)
3−5年:2500-4500、月5回(変更なし)
5−10年:3000-6000、月5回(変更なし)
10−25年:1500-2500、月5回(変更なし)
25−40年:100-1000、月5回(500-1500、月5回から変更)
物価連動国債:250、月2回(変更なし)
変動利付国債:1000、隔月1回(変更なし)

ということで、まあさすがに誰も予想していなかったと思いますが、6回→5回になった中期と長期の輪番はそのまま5回で継続となりまして、掛け算スキームでしらっと減額したものは元に戻さんというのは確認できました。でもって超長期ですけれども、闇討ち100億円減額で超長期の金利は(特に後ろが)ゲロっと上昇していますが、別に為替も株も無問題ですし、10年もさほど金利アガランチ会長で大勝利とは言え、ここで調子に乗って4回に更に攻めていくというのは攻めすぎということですが、25−40年に関してはレンジを減額後の現状追認型で下げてきましたな。

これ25−40の額を更に減額して1回400とか300とかになってくると、寧ろ10−40で輪番やった方が良いんじゃネーノという気もせんでもないのですが、そうなると輪番のゾーン切りの本来のパターンであるところの「ゾーンの一番手前か一番後ろが打ち込まれる」(前日引けからの利回り較差で入札する関係上、カーブが立つか寝るかで前日比一番入れやすいゾーンがどっちかになる、ただしカーブがうねった場合は話は別ですが)となって今度はその間になってしまう20年カレントが浮いてくる可能性が出てくるので割とそこは難しいのかも知れませんな(なお今は基本的にオフザランの需給が締まっていてカレントが入れやすいのでカレントが入っていくという状態になっているはずなので統合しても20年がそんなに浮かないのかも知れなくてそこは正直よー分からん)。

しかし8月何もしないと思ったら9月は結局3ゾーン実質的に減額(中期と長期は掛け算スキームなのでニュースワイヤー上は減額と言われていませんでしたが)するし、10月は短国買入もっと減らすもんねと来ていてやる気があるんだか無いんだかよくわからん運営ではありますな。


〇決定会合主な意見

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180919.pdf

・ジンバブエ節登場

ジンバブエ先生のご高説を有難く拝読するのが楽しみの一つですが、今回はどうもこれなのではないかとジンバブエ研究家(今勝手に名乗った)のアタクシが思ったのですがさてどうでしょうか。

『(経済情勢)』のところの最後のほうです。

『効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めることであるが、これには雇用の問題が生じるため、金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく。実際に、時間当たりの労働生産性の上昇率は、量的・質的金融緩和のもとで高まっているが、新たな雇用者が労働経験の少ない人々や高齢者であることを踏まえると、真の労働生産性は数字以上に上昇していると考えられる。』

まず何でジンバブエ節だと思ったかというと、「効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めること」とかまた言い方が乱暴なのと、「金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく」と金融緩和の効果が飛躍していることだったりします。そもそも論として足元の労働需給ひっ迫のうち、人口動態によるものってどのくらいなのかとかいうのを考えないで金融緩和で労働需給ひっ迫って(そらまあFEDのマンデートがそうであるように教科書的な話としてはそうなのですが、日本の場合は人口動態の動向が従来の教科書的な想定を大きく超えているはずなんですよね)いうのを言われましてもとは思いますし、そもそも置物理論による金融緩和は期待に直接働きかける政策だったんじゃなかったんでしたっけと思うのですが。

あと後半の労働生産性云々の話は何か変な気がするが頭が悪いのでツッコミ不能。

ちなみにジンバブエ先生そのあとの『U.金融政策運営に関する意見』では、

『金融緩和効果が地方経済や中堅・中小企業、個人に行き届いていないとの見方があるが、地方の有効求人倍率や、中堅・中小企業の収益、雇用者報酬などはいずれも改善している。


というのがありまして、さっきのとこれを足すと260字になるのでちょうど良いのかな、と思いました。何か「〜との見方があるが」と来て後段に説明になっていない説明をするか、前段が藁人形論法かというのが仕様なのでまあこれかな、と思いました。何の役にも立たない分析ですけど。


・片岡さんの見解

『U.金融政策運営に関する意見』の方になりますけど。

『金融緩和効果は時間とともに減衰しうるため、「物価安定の目標」早期達成の観点からは、長期にわたって長短金利を一定水準前後に誘導するという戦略が有効なのか判然としない。むしろ、日本銀行は、追加緩和によって、政府とともに、企業や家計の前向きな行動変化を一段と後押しする必要がある。大規模な金融緩和が長期化することに伴う副作用を考慮すると、長期化にも限界があることから、金融政策の時間軸について政策委員の中で議論を深めておくべきではないか。』

追加緩和しろ、という話なので片岡さんと思われるのですが、「金融緩和効果が時間と共に減衰しうる」というのが「追加的な刺激効果」というのであればまあそうかもしれませんねとも思えますが、その発想ってどちらかと言うと量的緩和っぽいビューに見える訳で、今片岡さんが提案している「10年超の金利をもっと下げろ」っての何か追加緩和提案としてのポイントがずれていると思う。

確かに「早期達成の観点から」という意味では金利を長期に維持して云々というのはそれは早期達成じゃねえだろというのはその通りなのですが、まあ問題はマネタリーベース直線一気理論では全然話にならなかったという事実があって、そうするとそもそも論として「物価安定目標早期達成」という話をするのがもともと無理、ということではないかとは思いますけどね(インフレ期待がアンカーされていた事になっている欧米だってあれだけ時間かけたんですから)。

でもって片岡さんの意見の後半が中々味わいがあって、「大規模な金融緩和が長期化することに伴う副作用を考慮すると、長期化にも限界があることから、金融政策の時間軸について政策委員の中で議論を深めておくべきではないか。」ということで「長期化に限界がある」という説明をしていまして、全く仰せの通りでございますと思う訳で、長期化に限界あるとか副作用とかそういう認識の中で、早期達成する手段がないとなった場合にさて片岡さんどういう話をしだすのかなとか思ったり思わなかったり。


・その他金融政策運営に関して少々

『U.金融政策運営に関する意見』の他の意見を鑑賞。

『「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。』

『息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。


『現行の強力な金融緩和の効果と副作用を肌理細かく検討しつつ、きわめて緩和的な金融環境を息長く続けて行くことが必要である。』

この辺は主流派の「長くやっていきます」モード。


『前回会合で決定した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」が金融市場に与える影響については、夏場の閑散期を挟んで2か月程しか経過していないことから、引き続き注視していく必要がある。』

これ先日の大阪での黒田総裁講演に出ていたのですが総裁の意見なのかと一瞬思ってしまいますが、金融市場に与える影響がどうのこうのとかそんなものに総裁が興味があるようにも思えないので、非常にこう不思議ちゃんな感覚を得ました。

『「枠組み強化」が、金融緩和の副作用への目配りも行いつつ、強力な金融緩和を粘り強く続けることをより明確にしたものであることを、引き続き丁寧に説明していくことが重要である。』

長期化を強調しすぎるのもよし悪し。

『経済の需給バランスが維持されていれば、市場機能維持の観点から、金融政策の柔軟化を将来的に検討する余地はある。もっとも、物価の不確実性を考慮すれば、金融面での不均衡など副作用の状況に十分注意しつつ、現行の政策を粘り強く、慎重に続けることが肝要である。』

しらっと「金融政策の柔軟化を将来的に検討する余地はある」という意見キタコレ。

次がさっき引用した片岡さんなので割愛しましてその次。

『政策運営にあたっては、経済・物価の下振れリスクへの備えが重要である。また、インフレ予想への働きかけについて、そもそも金融政策は、声明文の用語からして一般の家計や企業にとって分かりにくい面があるとの認識に立って、改善を続けていくべきである。』

・・・・・・・・・・・マネタリーベース直線一気理論は何処へ??????????????

でもってその次が推定ジンバブエ先生なのでパスして最後はこれ。

『企業では内部留保が過去最高水準となる中、資金需要は決して強いとはいえない状況にある。こうした状況を変えていくには、金融政策に加え、構造改革等の取組みにより企業に攻めの資金需要の創出を促すことも重要と考えられる。』

金融政策だけではリームーですという話ですが、よくよくこの主な意見見ていると「期待への直接的な働きかけ」というのはどう見ても失敗しているのにそこは与野党とも割と頑として認めていない(フォワードルッキングな期待形成のために2%達成の意思を強く示す、というのはQQEの最初から今までずっと生きている)のと、金融政策だけでは無理で他の政策との協調が必要、というのも正面からは絶対認めない(まあ認めると金融政策不要論にまで発展されるリスクがありますけど)というのは相変わらずだなあと思ったりするのでした。


〇そういや先日こんなのが出ていまして(日銀レビューシリーズ)

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j06.htm/
ドイツの構造改革
―経済成長・健全財政の両立と課題―

でもってこちらのHTMLにある要旨を見ますと・・・・・・・・・・

『近年のドイツでは、他のユーロ圏諸国よりも経済成長率が高く、同時に財政の健全化も進んでいる。これには、種々の構造改革、なかでも、2000年代前半を中心に実施された労働市場改革や年金改革の影響が背景にある。年金や失業保険の給付削減は、財政支出を抑制したほか、高齢者や失業者の就業意欲を引き上げた。雇用の促進・柔軟化策は、企業の採用意欲を高めたほか、求人・求職のマッチング機能を向上させた。こうした効果が相乗的に発揮されて、労働投入の拡大を軸とした経済成長と財政の健全化が実現したと考えられる。ただし、一連の構造改革は、国内で格差拡大を招いたほか、他のEU諸国からはドイツに対してEU全体に配慮した財政拡大を求める声があがっている。ドイツの構造改革の帰趨は、国内の経済・財政の先行きにとどまらず、EUの経済安定化や統合深化への影響の面でも注目される。』(要旨より)

とありまして、ドイツの構造改革大勝利とかシバキアゲな雰囲気が漂いそうですが、本文の方では・・・・・・

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j06.pdf
ドイツの構造改革
−経済成長・健全財政の両立と課題−

そんなに長くないのでさらっと読めますけど、前半はドイツの各種改革の話をしていますが、最後の方にあります部分が、要旨の最後の一文に該当するんですけど、本文最後の『構造改革がもたらした課題 』の中の『(EU の経済安定化・統合深化)』に、

『2000 年代後半以降、グローバル金融危機や欧州債務危機の 2 度にわたる経済危機を経て、ドイツの財政黒字を活用することによるユーロ圏の景気浮揚効果への期待が高まっており、IMF や欧州委員会は、ドイツに対して歳出拡大を提言している22。こうした主張の背後には、ドイツの緊縮的な財政政策が、特にユーロ圏では為替チャネルを通じた調整が困難ななか、危機後の周縁国を中心とした経済停滞の一因となったとの考えがある。』(本文より)

とかしらっと「通貨統合によって構造改革の歪が周縁国に押し付けできましたな」という説明があるのがチャーミング。詳しくは後日ネタにするかもしれないししないかもしれません。