トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「181101」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)


2018/11/14

お題「計数関連世間話/SF連銀新総裁の初講演から少々」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181113/k10011709341000.html
日銀の資産 553兆円余 GDPの額を上回る
2018年11月13日 19時38分

日銀の資産がGDPを超えたようですがここでデンマーク中銀のレポートを見てみましょう。

http://www.nationalbanken.dk/en/publications/Pages/2018/11/While-the-sun-is-shining-prepare-for-a-rainy-day.aspx
WHILE THE SUN IS SHINING, PREPARE FOR A RAINY DAY
Analysis - November 2018 - No. 16

でまあこのページにあるPDFマークをポチっとなとしますと(URLが長いのでリンクはこちらにはっておきます)、そこの本文10ページに『4: Systemic institutions in a Danish context14』ってのがありまして、

『The Danish financial sector is characterised by a handful of large credit institutions and multiple small and medium-sized banks, cf. Chart 6. The six large credit institutions identified as SIFIs have a market share of more than 85 per cent of loans in Denmark, and their total balance sheet amounts to almost 280 per cent of GDP. Also the Faroe Islands and Greenland are characterised by a few large credit institutions.』

とありまして、11ページに『Chart 6 Danish SIFIs are large relative to the economy and the rest of the sector』というのがありまして、先般来お洗濯関連で話題の某銀行様のバランスシートは対GDP比で・・・・・・(色がついているのでよくわかるとおもいますよ)

#日本の3メガが連結で1メガ辺り200兆円〜300兆円という感じでしたっけな


〇日銀のバランスシートネタがあったのでついでに買入残高関連とかその他

・短国の買入残高でも確認してみる

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

直近の買入残高が122,991億円とだいぶ減ったのですが、短国3Mカレント金利がマイナスに突っ込んだのが4年前の9月でして(若い人のために念のため申し添えますがこの時はマイナス金利導入前で、IOERは10bpだった時です)、まあもうちょっと前(2014年の年度頭くらい)から短国の金利がIOERから明確に下という状況だった訳ですが、セカンダリーマイナスとかになるわ、当時は買入額優先のため出来上がりマイナス金利の短国買入を平然と実施して拍車をかけるというトンチキプレイをしていた日銀ちゃんがいた訳ですが、この自分の買入残高を見ますと、2014年8月末で422,160億円なので、当時から見て概ね30兆円買入残高が減少していますな、うんうん。

とは言いましてもそもそも発行の方が減っておりまして、
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/index.htm
国債等関係諸資料

ここの過去の短国の入札結果とかでも見ますと、

2014年度
3M:5.7兆円×13
6M:3.5兆円×6
1Y:2.5兆円×12
2M:2.5兆円×2

2018年度
3M:4.4兆円×13
6M:2.3兆円×6
1Y:2.1兆円×12

となっているので、そもそも発行額自体が35兆円ほど減っているという問題があるので、まあ短国買入減らせども市場の需給はちょっと海外需要が強くなればそら締まるわという状態な訳でございますけれども、だいたい感覚的に言えば短国買入が35兆円超えて来たあたりから(当時のベースで)市場が明らかにおかしくなってきたというのがあって、まあ当時とは海外需要の方がだいぶ違うと思うので何とも言えませんけれども、これだと短国買入ゼロになっても市場は壊れっぱなしになるのか、それとも政策金利水準に接近するのか(プラス金利とマイナス金利の非対称性があるから、短国の金利がプラスのIOERよりも高くなった時よりも、マイナスのIOERより高くなった時の方が相対的な需要が圧倒的に多くなる筈で、マイナスのIOERを継続して、エクセスリザーブが潤沢なうちはIOER以上に短国の金利が恒常的に上がるとは考えにくいとおもうのですがどうでしょうかね)というのは見てみたいのですが、恐らく短国買入の方も週に1000億円とかいうのが継続すると思われますので、そうなると残高はまあ残ることになるでしょうからさてどうなるのやら。


・ところでTKRRが足元で盛大に下がっていますが

http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

公表データ
東京レポ・レート(2018年11月13日) エクセルファイル (Excel:27KB)
東京レポ・レート(一覧) エクセルファイル (Excel:290KB)

こちらが・・・・・・・・

     overnight/翌日物
      T+0   T+1
2018/11/7 -0.122 -0.149
2018/11/8 -0.114 -0.137
2018/11/9 -0.128 -0.140
2018/11/12 -0.149 -0.200
2018/11/13 -0.200 -0.256

とか思いっきり下がっているのですが、短国の金利も相変わらずの強さとは言えこの前までの3M▲30bp上等という水準からは少しはましになっているという状況で、短国要因ではないと思われますので普通に考えれば積み最終要因ということになりますが、期末(四半期末)バランスシート要因というのはレポで盛大に出たり出なかったりしますけど、積み最終要因でコールじゃなくてレポの方で出てくるというのもほえーという感じではあります(過去の推移見れば何となくわかるとおもうの)けど、積み最終の資金需給要因なんじゃろうな。よー知らんけど。


・・・・・・あとは輪番の銘柄別残高みたりしながらほほうとか思ったりもしたのですが、最近は償還額が幾らで今後の買入で残高何ぼ増える的な方ばっかり見ていまして、まあマーケットメーカーでもないので個別銘柄の需給とか買入額とかまで詳しくないから見てぼーっとしているだけになってしまいますが(超大汗)、この辺も今の地蔵マーケットが何とかなるころにはちゃんと感覚を取り戻しておかないといけませんね、などと思いながら計数をぼけーっと見るアタクシなのでありました



〇ダーリーSF連銀総裁の総裁としての講演一発目があったのでその辺から少々

いずれにしてもURLが長いので画面構成を考えてハイパーリンクは途中までしかつけていませんけど、ちゃんと下記URL先に飛びますので宜しゅうに。

https://www.frbsf.org/our-district/press/presidents-speeches/mary-c-daly/2018/november/a-strong-economy-but-we-can-aim-higher/
https://www.frbsf.org/our-district/press/presidents-speeches/mary-c-daly/2018/november/a-strong-economy-but-we-can-aim-higher/Daly-Speech-A-Strong-Economy-But-We-Can-Aim-Higher.pdf
A Strong Economy?But We Can Aim Higher

Remarks made to the Regional Economic Development for Eastern Idaho
Idaho Falls, Idaho
By Mary C. Daly, President and Chief Executive Officer, Federal Reserve Bank of San Francisco
For delivery November 12, 2018

デーリーとか言ってたらベンダー見たら「ダーリー」総裁なんですな。なんか気力の抜けるカタカナ読みになるような気がせんでもないですがそれは兎も角として。


・私らの現世利益に関わる部分に関してはこれどう見ても中立金利までは3カ月ごとに利上げと言っとるな

前半が現世利益に関わる部分で、後半は雇用に関する話を延々としていまして、後半は後半で金融政策以外の部分になる話ではありますが、まあこれはこれでオモロイのですけれども(さすがチーフエコノミスト)、とりあえずは現世利益部分を鑑賞してみませう。

『Current economic conditions』という小見出しから。

『I’ll start with the current state of the economy, which is very good. The expansion is over nine years old and seems destined to set a new record for the longest period without a recession in U.S. history, which it should reach in the middle of next year. The labor market is booming. Household and business balance sheets are very healthy, and confidence is high. All these factors point to significant underlying economic momentum, which is being boosted by tailwinds including the federal fiscal stimulus and global growth that, despite some recent unevenness, has been solid over the past few years.』

盛大に威勢の良い話をしていますが、最後にちょっとだけ格差の話が。

『Even in this strong economy, though, some people are getting left behind. There are pockets of economic distress, and we need to do all we can to ensure that growth is inclusive and everyone has an opportunity to benefit.』

その格差ってのは今次回復に置いて行かれている人がいますぞなという指摘。

『Monetary policy, however, can’t do everything. Our job is to keep the overall economy healthy, thus helping promote sustainable economic growth. By doing this, monetary policy supports economic well-being and creates opportunities for all to advance.』

金融政策ではその部分に対応できないけど、経済をサポートすることによって「creates opportunities」という環境を作ります、というそれしか言いようがないけど(なおどこぞの置物一派は・・・・・・・)まあ仰せの通り。雇用の話の所(今日はパスしますが)でもこのopportunityの話をしていて、「米国はopportunityの国なのでそういう機会を作るようにしていかないといけない」って話をしていたのには何か爽やかなものを感じたのは本邦いや何でもないです。

という経済認識の次に『Implications for monetary policy』という小見出し。

『This principle of sustaining a healthy expansion has guided our recent policy and plans. As you probably know, the Fed’s monetary policy group, the Federal Open Market Committee, or FOMC, meets eight times per year. We left interest rates unchanged at our meeting last week. More generally, though, we’ve been gradually increasing rates in order to bring the stance of monetary policy closer to neutral.』

「we’ve been gradually increasing rates in order to bring the stance of monetary policy closer to neutral.」ですので・・・・・

『This policy normalization, or return to neutral, reflects our commitment to the Fed’s dual mandate. One goal is “maximum” or full employment. This means an unemployment rate that is very low, reflecting normal worker turnover in a thriving labor market. Recent unemployment numbers below 4 percent strongly suggest that the labor market has reached or exceeded full employment. But there are other indicators as well, and I’ll return to them in a moment.』

でもってこの労働市場の色々な見方の話をしているのがどちらかと言うと今回の講演のお題目のような気がしますが、その部分は本日はパスしておきます(時間がないので、汗)。

『Our other goal is stable prices. In 2012, the FOMC determined that aiming for price inflation of 2 percent was most consistent with that broad long-run goal.2 We’d been mostly running below that target since the Great Recession ended in 2009. Recently, though, inflation has come back up and is basically on target. I expect this modest uptrend to continue, with inflation rising to just a bit above 2 percent over the next year or so. Of course, there are risks on both sides of that projection. Inflation could pick up more rapidly than expected, or it could drop back down again.3 For now, though, the inflation numbers are very encouraging.』

物価に関してはどう見てもマンデート達成。

『These conditions, with both of the Fed’s goals essentially met, merit the gradual normalization of monetary policy.』

「with both of the Fed’s goals essentially met」だそうな。まあ中心的にFEDの皆さんそういう見解になっているが。

『So why gradual? I view this gradualism as a process of iterated learning, guided by incoming data. That is, we take a policy action, wait, learn about the economy’s response, and repeat. The information gathered through this gradual approach is crucial for determining the speed and size of the subsequent policy adjustments. Of course, since monetary policy acts with a significant lag-likely a few years-policymakers must plan ahead, but need to be ready to adjust if the data or the environment change.4』

データを見ながら検討していく、とは言っていますけど・・・・・・・

『In other words, the FOMC is not on autopilot, with quarterly rate increases locked in. We’re constantly looking at the data and adjusting the monetary policy path as needed in response.』

この「the FOMC is not on autopilot, with quarterly rate increases locked in.」って言ってるのって要するに点検した結果特に問題なければ四半期ごとに利上げします、といってるようなもんでして、惜しくもこの中ではその水準について書いていない(どうもニュースを見ると質疑応答の中で来年あと2回(2.75-3.00%)までの利上げは順当という話をしたようで、まあ超順当な見通しと、あと3回は特段大きな問題なければ自動運転でっせという話ってことですわなあ、というのが現世利益的な部分の結論だと思われます。そらまあウィリアムスの後釜ですから順当に主流派見解の通りになるんですけど、まあ特にこの方突拍子もない話を始めるネタ枠にはならなさそう、というのはわかりました。あと飛ばしましたけど最初のご挨拶も割と面白かったと思います。

でもって、その労働市場の話に関して(周辺の他国(特にカナダ)対比でプライムエイジ層の労働参加率が低い件とかが話のメインだと思う、題名とリードしか見てないけど)ですが、講演の中で「明日ペーパーが出るよ私が総裁になる前に作った奴だけど」(その部分は今日は飛ばしてますが)ということで言ってたのがこちらのようです。

https://www.frbsf.org/economic-research/publications/economic-letter/2018/november/why-are-us-workers-not-participating/
FRBSF Economic Letter
2018-24 | November 13, 2018

Why Aren’t U.S. Workers Working?
Mary C. Daly, Joseph H. Pedtke, Nicolas Petrosky-Nadeau, and Annemarie Schweinert

ダーリーさんの名前が思いっきりありますな。まあこのEconomic Letterと合わせてネタにするかもしれません。


2018/11/13

お題「物凄く遅くなってしまいましたが展望レポートのロジックを確認する(と称して虫干しネタ)」

虫干しネタにも程がありまして誠に申し訳ありません。

〇展望レポート基本的見解のロジックちゃんの確認を今更ですが整理しておきます

まあその後に総裁講演があり、直近では布野審議委員の金懇挨拶もありましたが、要するに今回の展望レポートは「物価がそう簡単に上がらんのですがそれは別に悪い話ではない」と開き直っているのが実はアタクシ的には一番トピックかなとか思う次第です。

もちろん前回の展望レポートで物価が上がりにくい理由の言い訳大会が開始されて、その結果として2%達成時期に関して知らんがなと開き直る、という堂々の負け戦の収拾作業が開始されていてその流れではあるのですが、金融不均衡への言及を強めていることもさることながら、肝心の目標である物価が足元上がらんのにも良いことがあるという説明は完全に「口では早期達成と言っているけど全然早期達成しようとしていません」コースになっていることをあからさまに表明してますな、ということで、「超強力緩和によって物価上昇を加速させて何が何でも早期で2%」というドクトリンの完全放棄に向けた理屈的な準備は既に出来上がっているというような内容だと思うの。

・・・・・・・だから政策見直しかというとそういう訳ではなく、何せアベノミクスの面目玉だし、マイナス金利に関しては黒田総裁が新たに打ち込んできた政策(国債買入もその他資産買入も白川総裁時代の物を拡大しているだけで先代の政策対比斬新なのはマイナス金利政策だけなんですよねー)なのでこれ引っ込めるのは黒田さん的にはだいぶ恥辱なんじゃネーノというのは何となくわかるので、まあ政策見直しするには官邸が諦める(まずない)のか、外部環境的に大問題(要するに副作用による金融機関経営の悪化の顕在化)が起こるのかとかそういう話がトリガーだと思うと落涙を禁じ得ません。

と、マクラの積りの愚痴が長くなりましたがいまさらジローの展望レポート基本的見解でございますわよ。

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1810a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(前回、HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(前回、PDF版)

この前(と言っても先週ですねすいません)の続きで『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(1)経済の中心的な見通し 』の2019年度以降の見通しから。

・経済の中心シナリオは海外の見通しをちょっと下げただけとなっています

『2019 年度と 2020 年度については、内需の減速を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる。』(今回)
『2019 年度と 2020 年度については、内需の減速を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる。』(前回)

という最初の所が同じですのでそもそもが変更なしな訳です。

『すなわち、個人消費は、2019 年 10 月に予定されている消費税率の引き上げの影響4から一時的に減少に転じるなど、2019 年度、2020 年度ともに緩やかな増加ペースにとどまると予想される。もっとも、海外経済が総じてみれば着実な成長を続けることを背景に、輸出は増加基調を維持すると見込まれる。』(今回)

『すなわち、個人消費は、2019 年 10 月に予定されている消費税率の引き上げの影響4から一時的に減少に転じるなど、2019 年度、2020 年度ともに緩やかな増加ペースにとどまると予想される。もっとも、海外経済の着実な成長を背景に輸出は増加基調を維持すると見込まれる。』(前回)

海外経済の所に毎度おなじみ「総じてみれば」というヘッジクローズが入りました。


『この間、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、2020 年度にかけて増勢が徐々に鈍化していくとみられるが、輸出の増加を起点とした投資需要の高まりもあって、増勢鈍化のペースは緩やかなものになると予想される。』(今回)

『この間、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、2020 年度にかけて増勢が徐々に鈍化していくとみられるが、輸出の増加を起点とした投資需要の高まりもあって、増勢鈍化のペースは緩やかなものになると予想される。』(前回)

『なお、今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。』(今回)
『なお、今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。』(前回)

ということで概ねもへったくれもほぼ不変じゃなという感じになっています(海外はファクターとして大きいので文言にヘッジクローズが入っただけとは言えそこそこ効いてはいますけどね)。


・金融環境と潜在成長率に関する記述は全文一致

『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると想定している5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(今回)

『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると想定している5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(前回)

全文一致ですな。ところで緩和的な政策を続けると副作用で金融機関の収益が悪化して、金融仲介機能に問題が生じる可能性があるって話もしていますけど、そもそもマイナス金利とか極端な低金利状態というのは名目ゼロ金利制約の観点から考えると実はただの金融機関引き締めであって、それを本当に金融緩和というのか、という疑問は思いっきりある(リバーサルレートの考え方みたいな話になるんでしょうな)。


『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続く中で、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。 』(今回)

『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続く中で、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。 』(前回)

まあここらはほとんどお題目状態ですので。


・物価が上がらんロジックの修正は政策修正に向けた屁理屈陣地の構成でもある(と思う)

『(2)物価の中心的な見通し 』である。

『消費者物価の前年比は、プラスで推移しているが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている。』(今回)

『わが国の物価は、マクロ的な需給ギャップが需要超過となるもと、前年比プラスの状況が続いている。もっとも、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスなどを背景に、なお弱めの動きを続けている。こうした中、中長期的な予想物価上昇率は横ばい圏内となっており、その高まりが後ずれしている。』(前回)

前回は物価が上がらん理由の分析大会になっていましたが、元々が見通し期間中に2%行きますよという見通しを出していたのを引っ込める言い訳が必要なので入れた訳ですが、そんな背景があるから色々と遠慮した表現で物価がアガランチ会長になっていますなという話をしていましたが、前回そうやって免罪符を得た(のかどうかは知らんが)ので今回はここぞとばかりにあっさり味の表現にして開き直り度が高まっております。

でもって前回はこのあとに先行き見通し→物価が上がらん理由の説明という風につながっていたのですが、今回に関してはご案内の通り、

『この背景としては、基本的には、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っており、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや家計の値上げに対する慎重な見方が、明確に転換するには至っていないことがある。』(今回)

『加えて、非製造業を中心とした生産性向上余地の大きさや、近年の技術進歩、女性や高齢者の弾力的な労働供給などは、経済が拡大する中にあっても、企業が値上げに慎重なスタンスを維持することを可能にしている。また、技術進歩などは、分野によっては競争環境を厳しくしている面もある。』(今回)

『公共料金や家賃などが鈍い動きを続けていることも、物価の上がりにくさに影響しているとみられる。』(今回)

『こうしたもとで、わが国では、物価のマクロ的な需給ギャップへの感応度が高まりにくく、適合的な期待形成の力が強い予想物価上昇率も上がりにくい状況が続いていると考えられる。なお、春先までの為替円高に伴うコスト上昇圧力の緩和も、短期的には消費者物価を押し下げていたが、足もと、こうした下押し圧力は弱まりつつある。』(今回)

という説明になっていましたが前回は、

『もっとも、経済・雇用情勢の改善に比べて、物価や予想物価上昇率の改善ペースは、緩慢なものにとどまっている。この背景には、基本的に、長期にわたる低成長やデフレの経験があると考えられる8。1990 年代後半の金融危機やその後の世界金融危機を含む厳しい調整局面を経て、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方、言い換えれば、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が経済に組み込まれ、その転換に時間を要している。』(前回)

この部分は前回が丁寧になっているだけで同じですけど、

『加えて、非製造業を中心に生産性を引き上げる余地が大きいことや、デジタル化といった近年の技術進歩などは、経済が拡大する中にあっても、企業が値上げに慎重なスタンスを維持することを可能にし、分野によっては競争環境を厳しくしている面もあるとみられる。』(前回)

鏡にもありましたが、前回はこの生産性向上や技術進歩による物価上昇抑制圧力に関して「とみられる」となっていたのが思いっきり今回は要因として言い切っています。でもって昨日ネタにした先週の布野審議委員の高知金懇挨拶なんかではこの部分を思いっきり強調するという有様になっておりまして、これはすなわち足元の物価が上がらんことを「短期的に物価が上がらんけれども実際は経済の中では良いことが起きているんですよ」という風に説明することによって「2年で2%」という呪縛を取り払う(2年はさすがにと言っても「早期」というのは呪縛として残りまくっているので、会見などで「早期達成にこだわらないという理解でよいでしょうか」と聞くと絶対に反対されるという状態になっているのですな)ようにしていこう、ってなことを考えますと、政策転換に向けた屁理屈陣地の構築はしらっと続いていますし、この理屈を持ち出しているのは結構な強力な陣地構築ではあるんですよね、と思ったのでこの辺に関しては注目してしまったのです(あんまりネタにされてなかった気もするけど)。

『このように、低成長やデフレの経験が生産性向上余地の大きさなどと相俟って、わが国では、物価のマクロ的な需給ギャップへの感応度が高まりにくく、適合的な期待形成の力が強い予想物価上昇率も上がりにくい状況が、想定以上の期間にわたって、続いていると考えられる。こうした物価や予想物価上昇率が上がりにくくなっている要因を、家計や企業の行動面から整理すると、以下のとおりとなる。』(前回)

ということで前回はこの後に理由の話があって、そのあと上昇するメカニズムの説明がありますがそこの引用はパスするとしまして。


・先行きの見通しなのだが正直メカニズムの説明に無理があると思う

『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。なお、今回の物価の見通しを従来の見通しと比べると、2018 年度を中心に幾分下振れている6。』(今回)

『先行きの物価を展望すると、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まってくるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。なお、今回の物価の見通しを従来の見通しと比べると、下振れている6。』(前回)

とまあ言っていることは同じでして、

『消費者物価の前年比が2%に向けて徐々に上昇率を高めていくメカニズムについて、一般物価の動向を規定する主たる要因に基づいて整理すると、』(今回)

『第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景にプラス幅を拡大しており、先行きについても、比較的大幅なプラスで推移するとみられる。こうしたもとで、賃金上昇率の高まりなどを受けて家計の値上げ許容度が高まり、企業の価格設定スタンスも積極化していけば、実際に価格引き上げの動きが拡がっていくと考えられる。』(今回)

『第 2 に、中長期的な予想物価上昇率は、足もとは横ばい圏内で推移しているが、先行きについては、上昇傾向をたどり、2%に向けて次第に収斂していくとみられる。この理由としては、@「適合的な期待形成」7の面では、現実の物価上昇率の高まりが予想物価上昇率を押し上げていくと期待されること、A「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことが、予想物価上昇率を押し上げていく力になると考えられることが挙げられる。』(今回)

『第3に、輸入物価についてみると、原油価格の上昇は、2018 年度の消費者物価の押し上げ要因として作用するが、その影響は緩やかに減衰していくと予想される。』(今回)

『この間、最近の女性・高齢者の労働参加の高まりや、企業の生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みの強化は、長い目でみれば、物価上昇圧力を高める方向に作用していくと予想される。すなわち、こうした動きを受けて、経済全体の成長力が高まっていけば、企業や家計の支出行動が積極化していくことが期待できる。また、日本経済の成長力の高まりとともに自然利子率が上昇すれば、金融緩和の効果も高まっていくと考えられる。』(今回)

この3点セットプラスワンに関しては前回も今回も同じような話をしているので前回のこの部分は引用しないのですけれども、前回の物価がアガランチな説明の中ではこの整理の前にこのような説明があった訳よ。

『先行きを展望すると、景気の拡大基調が続く中で、物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していくと考えられる。』(前回)

ほほう。

『技術進歩の影響などは先行き強まる可能性もあるが、労働需給が引き締まった状態が続くもとで、賃金上昇率の高まりはより明確化していくとみられる。』(前回)

うーんこの。

『こうしたもとで、外食などのサービス業で既にみられ始めているように、販売価格への上昇圧力は強まっていくとみられるほか、人手不足を背景とする物流コストの増加は、インターネット通販企業のコスト面での競争力を弱めることを通じて、小売業との競争環境を緩和させる方向に作用することも考えられる。』(前回)

うーんこの。

『さらに、労働生産性の上昇や非正規雇用者の賃金水準の高まりが、正規雇用者の賃金に波及していけば、家計の値上げ許容度も全体として徐々に高まり、企業による値上げはより受け入れられやすくなるとみられる。』(前回)

昨日ネタにした先週の布野さんの高知金懇でも言及がありましたが、一般労働者のお賃金ってろくすっぽ上がっていないんですよねえ(しかも給与所得の皆様ご案内の年末調整で何で今年はこんなに紙をださんといかんのよと思ってよく見れば配偶者控除がまた縮小とかいうように(その他でも)しらっとステルス増税してますしねえ)。

『また、高齢者の労働参加の高まりを支えてきたいわゆる団塊世代が 70 歳代に達しつつあることなどを踏まえると、労働参加の高まりが賃金を抑制する効果も緩やかになっていくことが予想される』(前回)

とまあこんな説明をしているんですが、そらまあ3カ月で大きく変わるもんじゃないというのはその通りかもしれませんが、今回の展望レポートでは寧ろ生産性の向上と技術進歩を堂々の物価が上がりにくい主因に昇格させている有様でして、物価が中々上がらんことに関しては益々開き直っている感じなのに、何で先行き上がるという話になるのか(そうしないと今まで広げまくった大風呂敷の手前言い訳が付かないから、というのは分かりますが)と小一時間問い詰めたいわけですよ。

だってね、先行き物価があがるのって、上記にあるように「需給ギャップのプラスで物価に上昇圧力を掛ける」→「その結果物価がちょろっと上がる」→「その状態をキープすることによって適合的期待形成に影響を与えてインフレ期待が上がっていく」→「インフレ期待が上がると物価が下がりにくくなるので需給ギャップのプラスが物価に与える影響がもうちょっと強くなる」→「そうなると物価が・・・・・・・」ってのの繰り返しって説明になっているのよね今は(なお昔は当座預金残高を10%引き上げると期待インフレ率が0.44%上昇するという世界標準の置物直線一気理論を使っていましたがそれはいつの間にやら無かったことにされておりましていまや置物日記の中にファンタジーとして残存するに過ぎません)。

でまあそういう物価上昇メカニズムなのですが、今回は物価が上がりにくい要因として生産性向上とか技術革新とかというのを主因の一つに昇格させているということは、つまり「物価は足元では中々上がりにくい」というのを強化している訳でして、足元がより上がりにくくなっている(2018年度の見通しも下げておりますよね、さっきはサラサラ流しましたけど)という状況なうえに、この生産性向上がどうのこうのって話は「需給ギャップのプラスが物価上昇に反映しにくくなる」という事も意味する訳ですから、そもそも論としてこれで物価上昇のモメンタムが維持されているというのはお前は何を言ってるんだという話になるはずなのよ。

でも「モメンタム」を「需給ギャップ+インフレ期待」で定義していて、需給ギャップがプラスでインフレ期待が下がってはいないというのでモメンタム維持、って理屈になっているんですけど、そもそもこの需給ギャップが物価に反映していくという肝心の元々のメカニズムに関して物価が上がりにくくなっているのを更に強化バージョンで説明しているのに、そっちは軽くスルーしている辺りがもうねという感じだと思うのよ。


・・・・・・・・とまあ悪態ついていますが、これ「物価2%を頑張って早期達成しましょう」という建付けが悪いのであって、「経済状況が適当に良い状態を長期間継続できた方が良いじゃないですか国民厚生的に言って」という風な考え方で、何でもかんでも物価最優先じゃなくて総合判断でやっていく、という風にしていけば、別に悪態をつくような話でもなんでもなくなるというのがあら不思議って奴でして、つまりは今回の展望レポートの物価認識と見通しとメカニズムの部分って、(以前からもちろんそういう傾向はあったのですけれども)2%目標がフレキシブルとか中長期とか、ゆうてみればステートオブエコノミーの象徴としての数字として考えて、でもって経済の総合判断の中で金融政策運営していきますよ、という風に考えて政策運営すると言って2%未達成大敗北なのに更に無理矢理金融政策の投下を続けるという無茶政策から撤収するための理屈上のお膳立てが(最後の一番難しい建付け変更を除けば)外堀くらいは埋めている感じがしますな、と思えばこの説明も中々良い味をだしています。ただし置物一派は焼き土下座して全員引退して二度と政策に関連するような所に出てくるな何だったら皆さん揃って(以下の文言は削除されました)、とまあそういう話ではありますな、とか思いましたがどうなんでしょうかね。


・リスクの部分は物価の所だけ確認な

『3.経済・物価のリスク要因 』は基本的に言ってること同じなのですが、物価の所だけ違いがありまして、

『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が挙げられる。』(今回)
『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目があることが挙げられる。』(前回)

前回は局地的な話だったのが今回昇格、その理由は従来から出ている生産性だのの影響でして、

『企業の生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みが長期にわたり継続したり、近年の技術進歩や流通形態の変化等によって企業の競争環境が一段と厳しくなったりする場合には、こうした面からの価格押し下げ圧力が予想以上に長く作用する可能性がある。また、公共料金や家賃などの鈍い動きが、先行きも、長期間にわたって、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性もある。』(今回)

『公共料金や家賃などの鈍い動きが、先行きも、長期間にわたって、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。また、流通形態の変化や規制緩和等によって企業の競争環境が一段と厳しくなる場合には、差別化の難しい財・サービスを中心に、価格押し下げ圧力が予想以上に長く作用する可能性がある。』(前回)

ということで、前回は公共料金や家賃の話がメインで、局地的な話で、むしろCPIをテクニカルに上げにくい要因がありますよってな感じの言い方だったのですが、今回は生産性向上とか技術進歩の話を前面にもっていっていまして、これどう見ても上がらんリスク要因としては強い意味になっているのですが、その内容が「中長期的に良いことである(キリッ)」という説明をすることによって、物価が足元アガランチ会長なのを開き直るようにも作ってあるという代物です。


・第一の柱はさっき悪態ついた通り

『4.金融政策運営 』に行きます。

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

はいはい大本営大本営、ちなみにこれ前回が「見通し期間中に行きません」攻撃をしたために大きく下がっているので、単純比較すると上方修正に見えてしまいますがただの横這いです。

『経済・物価のリスク要因については注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。』(今回)
『経済・物価のリスク要因については注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。』(前回)

はいはい大本営大本営。

『これは、@マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、A中長期的な予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移しており、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、徐々に高まると考えられること、が背景である。』(今回)

『これは、@マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、A中長期的な予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移しており、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、徐々に高まると考えられること、が背景である。』(前回)

とまあ全文一致ですが、さきほど散々申し上げたように、そもそも需給ギャップに対する価格の感応度が低い状態が長期化するかもしれないし、その長期化は実は経済の生産性や技術進歩の賜物ですとか言い出している中で何がどうモメンタムが維持なのかという話ではありますが、そこはもうこれで押し通すしかない(モメンタムがダメとなると政策対応という建付けになっているから)。


・第二の柱はご案内の通りでリスク認識を昇格

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(今回)

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、2018 年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019 年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(前回)

経済リスクアセスメントを下げているのは海外要因ですな。

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。』(今回)
『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。』(前回)

はい。

『もっとも、低金利環境や金融機関間の厳しい競争環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがある。現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、これらのリスクは大きくないと判断しているが、先行きの動向には注視していく必要がある9。』(今回)

『また、低金利環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるが、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、そのリスクは大きくないと判断している。』(前回)

ご案内の通り、これは今回は「リスクがある」であり、前回が「リスクはあるが現時点ではリスクは大きくない」なので、リスク判断を引き上げておりますし、それだけだとアレなので「先行きの動向には」というのを入れて読みやすくしてあげました、ということで、FSRもあれだけ散々書いたのがここにちょろっとだけ反映されて良かったですね(棒読み)という所ですが、あの認識だったらCP社債買入と貸出支援いや何でもないです。

なおフォワードガイダンス文言は当たり前ですが変化がないのでパスします。


#ということで虫干しネタの滞貨解消シリーズで誠に恐縮至極




2018/11/12

お題「布野審議委員金懇ネタが(たいしたネタでもないのに)引用大会になってしまいました/置物日記日記進捗状況」

簡単にする予定が思いの外ながくなってしまいましたすいません。

〇布野審議委員金懇挨拶はそれほどのネタではないのですがつい引用大会

金懇挨拶
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko181107a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181107a1.pdf


・先行きの留意点という話があるが超ありきたり

『3.経済・物価見通しを巡る留意点』ってところから参ります。

『以下では、こうした経済・物価見通しが実現していくにあたって、私が留意している点をお話ししたいと思います。』

『(1)労働需給と所得環境』

『まず、労働需給と所得環境についてお話しします。わが国の景気が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップはプラス幅を拡大しており、直近(4〜6月)は2%程度のプラスとなっています(図表5)。さらに労働需給について着目しますと、着実な引き締まりを続けています。労働力調査の雇用者数の前年比はプラス2%程度となるもとで、有効求人倍率はバブル期のピークを超えた水準にあります。また、短観の雇用人員判断DIでみた人手不足感も強まっており、失業率も足もとでは2%台半ばとなっています(図表6)。』

はい。

『これらの労働需給指標は、1990年代前半もしくは1970年代前半以来の引き締まり度合いであります。先行きも、基調として潜在成長率を上回るペースでの経済成長が続くもとで、雇用者数は引き続き増加し、労働需給は着実な引き締まりが続く可能性が高いと考えています。』

その割には何で皆様の金回りが90年代前半や70年代前半ほどの威勢良さがないのか。

『このような労働需給のなか、労働需給の状況に感応的なパートの時給は、均してみれば、前年比プラス2%程度と高めの伸びとなっています。一方で、一般労働者の所定内給与の前年比は、0%台半ばにとどまっています(図表7)。』

毎度思うのだが、パートの賃金が上がっています(キリッ)とかゆうとる訳だがそれって補助的な話なのであって、結局のところ一般労働者の賃金がアガランチ会長なのにカーチャンのパート収入が増えたからよーしパパ消費を思いっきり増やすぞーとはならんじゃろ常識的に考えてと思うので、むしろ「賃金が全然上がらん」という状態が続いているということではないかと。

『この結果、一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも緩やかに上昇していますが、近年の女性・高齢者を中心とした弾力的な労働供給などから、労働需給の引き締まりに比べると弱めの伸びにとどまっています。先行き、労働者全体の時間当たり賃金は、名目の労働生産性上昇率と概ね同程度のペースで緩やかに上昇したのち、伸び率を高めていくと考えています。もっとも、企業における賃金設定スタンスが慎重なものにとどまるリスクもあることから、今後の動きに注目しています。』

という話にはなっていまして、結論としては「今後の動きに注目しています」ですけど、このトーンですとまあ「上がりませんわなあ」という話になっているのをマイルドな言い方で表現している、というような感じです。

・・・・・・とは言いましても、そもそも直近の日銀ちゃんは事実上「2%物価目標達成時期は知らんがな」モードになっていますので、賃金が中々上がりませんわなあとなっておりましても、下がるというような状況ではない限りにおいて別にケツに火が点くような状態ではないので、まーこの程度だったら「注目しています」で終了するんでしょうなあと思います。しかし「一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも緩やかに上昇していますが、近年の女性・高齢者を中心とした弾力的な労働供給などから、労働需給の引き締まりに比べると弱めの伸びにとどまっています。」って状況なのに外国人労働者受け入れ拡大とか究極の弾力的な労働供給をぶち込もうとしている今の政治状況って何なんでしょうかと小一時間ではあります。


次が『(2)物価動向』です。

『続いて、労働需給と所得環境を踏まえたうえで、物価動向についてお話しします。消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比はプラス0%台半ばにとどまっています(図表4)。』

『こうした弱めの動きの背景には、主に2つの要因があると考えています。』

はい。

『1点目は、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることです。2点目は、生産性向上の余地があり、技術進歩が進んでいることなどから、企業は、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を吸収し、値上げを抑える取組みが可能となっている点です。』

思いっきり展望レポート通りの説明。

『一方で、物価の改善ペースが緩慢なものにとどまっているものの、経済・雇用情勢が改善するなかで、いくつかの変化も出てきています。』

『例えば、サービス業を中心に幅広い企業において、販売価格を引き上げる動きがみられるようになってきています。短観では、販売価格が上昇していると答える企業数は、下落していると答える企業数を上回ってきています(図表8)。また、高齢化などに伴い、労働需給がさらにタイト化し、パートの時給の上昇率も高まっていくと予想しています。こうした動きに加え、一般労働者の賃金も生産性の向上とともに上昇していけば、家計の値上げ許容度も高まっていくとみています。』

ということで結局のところ一般労働者のお賃金が上がらないことにはどうしようも無いという身も蓋も無い結論になるはずなのですが・・・・・・・・・・

『物価動向には様々な要因が影響を与えますが、その基調は需給バランスによって規定されると考えています。需給ギャップのプラスの状態が今後も維持されることによって、物価動向が弱めの動きとなっている様々な要因は徐々に解消されていくとみています。これにより、企業の賃金・価格設定スタンスや家計の値上げ許容度は改善し、予想物価上昇率も次第に加速していくと予想しています。』

という展望レポートまんまの説明でして、このコーナーの頭が「以下では、こうした経済・物価見通しが実現していくにあたって、私が留意している点をお話ししたいと思います。」だった割には展望レポート棒読みモードということで、私が留意しているとか言わなくて良かったんじゃないでしょうかと思うのでありました。

しかしまあ何ですな、そもそも「需給ギャップの改善が続いても物価が上がりにくいのは過去のノルムが強いから」という説明をしているのに、「需給ギャップがプラスの状況を長く続ければ物価が上がる」というのも変な理屈でございまして、ノルムを変えるためには需給ギャップに正のショックを与えるような大規模な政策を実施しないと、いつまでもノルムはノルムのままなんじゃないでしょうか、とか言いたくなりますが、まあその政策に失敗してしまっているので最早どうしようも無いのですよね。


・金融政策の話がこれまたまるで新しいネタがない

『4.金融政策運営』というのが次ですが、

『次に、金融政策についてお話しします。』

『日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率プラス2%を「物価安定の目標」として、これをできるだけ早期に実現することを目指して金融政策の運営をしています。その実現に向けて、日本銀行は、2016年9月に導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもと、経済・物価・金融情勢を踏まえて、強力な金融緩和を進めています。現状では、イールドカーブ・コントロールとも呼ばれる長短金利操作として、金融市場調節方針において、短期政策金利をマイナス0.1%に設定するとともに、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債を買い入れることとしています(図表9)。これにより、長短金利は低水準で安定的に推移し、きわめて緩和的な金融環境は企業や家計の経済活動を刺激し、需給ギャップの改善に貢献していると考えています。』

『一方で、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、物価動向はなお弱めの動きを続けています。そこで、日本銀行は、本年7月の金融政策決定会合において、2%の「物価安定の目標」の実現に時間がかかるとの見通しを示すとともに、2%に向けたモメンタムは維持されているものの、強力な金融緩和を粘り強く続け、需給ギャップをプラスにできるだけ長く維持することが必要であると判断しました。そして、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定しました。』

この棒読み感という感じですが、ここでの説明の中では7月の決定について「2%の「物価安定の目標」の実現に時間がかかるとの見通しを示す」って話をちゃんと入れているのはまあちゃんとしてますねと思いました。

でまあこの後が例の政策の説明になるのですが、フォワードガイダンスの部分では、

『この措置の内容は主に2点あります(図表10)。第1点目は、政策金利の「フォワードガイダンス」の導入です。「フォワードガイダンス」とは、金融政策に対する信認や期待を高めるために、将来の政策運営方針をあらかじめ示すものです。日本銀行は、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」ことを表明しました。物価動向と合わせて考えると、当分の間、強力な金融緩和を緩めることはないということです。』

ってあっさり説明していて、9月の総裁講演みたいに長い期間アピールをしていないのがチャーミングです。

10年金利の変動幅拡大についても模範解答。

『第2点目は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化するための各種施策の実施です。例えば、10年物国債金利の操作目標について、引き続きゼロ%程度としつつも、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうることとしました。長期金利がある程度変動することを許容することにより、市場機能を維持することに広くつながっていくと考えています。ただし、金利水準を引き上げていくことを想定しているわけではない点には留意が必要で、金利が急速に上昇する場合には迅速かつ適切に国債買入れを実施する方針です。加えて、ETFの買入れについても、政策の持続性を強化する観点から、年間「約6兆円」という買入れ目標を維持しつつも、市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうることを明らかにしました。』

「金利水準を引き上げていくことを想定しているわけではない点には留意が必要」ってのが入っているのは順当ではあるのですが、こういう説明を行っているにも関わらず市場の何とかスト方面の一部では引き続き「日銀は金利を上げようとして輪番減額している」というネタが出てくるのが何ともかんともで、まあ願望込みという以外の背景事情とか何となく分からんでもない気がせんでもない(物凄い奥歯にものの挟まった言い方ですがわざとそうしている)という風情なのですが、まあここの所のコミュニケーションもうちょっと明確にやった方が良いとは思いますけどね。

『強力な金融緩和を続けていけば、利鞘の縮小などを通じて、金融機関の経営体力に累積的に影響を及ぼし、金融仲介機能が停滞するリスクもあると考えています。今後も、金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて、しっかりと見ていく考えであり、プラス2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、経済・物価・金融情勢を踏まえて、適切な金融政策運営を行っていく方針です。』

と最後にありまして、まあこの前のFSRでも主に基礎的な収益力の低下という方にフォーカスした感じで、有価証券運用に関する問題よりも本業基礎収支の話を重視したつくりになっていましたな。


・日本経済の課題という話を見るとどう見ても足元物価が上がらんのを正当化しておる

『5.日本経済の課題』というのがある。

『次に、私なりに、より長期的な視点から、日本経済が置かれている状況を考えてみたいと思います。』

ほう。

『日本銀行の推計によると、わが国の潜在成長率は2010年前後に比べれば上昇しているとはいえ、足もとにおいて0%台後半で推移しています(図表11)。成長力は伸び悩んでいると言えるかもしれません。しかし、私は、幅広い主体による構造改革や成長戦略の取組みが進み、生産性の向上を通じて、成長力の底上げが進むものと考えています。』

ほうほう。

『企業活動に着目すると、需給ギャップがプラスに転じてから相応の時間が経過して、業種や企業規模等によって差はあるものの、全体としては供給側の制約が成長への隘路となってきています。そのため、企業は、収益が改善していることもあって、製品やサービスの供給力拡充に向けた設備投資を始めています。』

『個別企業における業務見直しは設備投資を契機として展開されることが多く、生産性向上も期待できます。同時に、企業は研究開発投資の増加を通じて付加価値の高い新製品やサービスの開発を進めてもいます。』

ほほー。

『また、人口動態やタイトな労働需給を映じて、企業は様々な対策を講じています。第1に働き方改革などによる
従業員の有効活用です。わが国においては重複作業や長時間労働が多いこともあり、業務の効率性向上の余地は大きいと思われます。第2は女性の活躍で、現役世代の女性の就業率は世界的にも高水準の70%に達しました。今後はより付加価値の高い業務への就労や管理職への登用が一層促進されることを期待しています。第3は高齢者の雇用です。高齢者の就労は進んでいるものの、個々人の能力や勤労意欲と担当業務との間にギャップがあり、改善ののりしろは大きいと思います。第4は外国人の雇用で、徐々に増えてきてはいるものの、受け入れ体制という点では一層の整備が必要です。第5はロボットなどのITの活用による省力化です。わが国はロボット技術大国ですので、これをいかして生産分野だけでなく事務分野など応用範囲を拡大すべきだと思います。』

・・・・・・・・どう見ても賃金が上がらないのですが。

『以上のような構造改革や成長戦略の取組みは、業務の効率化などをもたらし、賃上げに対して短期的に下押し圧力となる可能性があるものの、長期的には生産性を向上させ、わが国の成長力を高めていくとみています。』

お、おぅ・・・・・・・・・・・

『また、生産性の向上は、賃上げと個人消費の増加を通じて、物価上昇を促していくと考えています。』

何時の話になるのやら・・・・・・・・

『しかし、市場縮小や事業承継などに悩んだり、今後の個人消費に確信が持てないことなどを背景に、未だ慎重な姿勢を崩していない企業も存在します。生産性を向上させ、わが国の成長力を高めていくのは、時間のかかる取組みでもあります。したがって、金融政策が総需要を喚起して、適度にタイトな需給環境が維持されるなかで、活発な需要が様々な取組みの進展を促す環境が長期にわたり持続されなければなりません。』

という話でして、これはもう賃金が上がって物価が上がるとかいうような話は程遠いし、この説明だと寧ろ足元の賃金上がらん状況が続くのが結構、という話になってしまうというこのオソロシスな話で、それは分かったのだが、そうなると物価安定目標のありかたとか見直した方が良いし、マイナス金利+QQE+YCCって政策が本当に必要なのか(過度に金融市場にプレッシャーを与えていませんか?)というのを2013年に立ち返って見直していただきたいんですけどねえ。

『「物価安定の目標」の実現や、それと整合的な「持続的な経済成長」の実現に向けて、日本銀行としては今後も金融緩和政策を続け、幅広い主体による様々な取組みを確りと後押しすべきだと考えています。』

ということで、しらっと布野さん最後に今回「それと整合的な「持続的な経済成長」の実現」というのを入れていまして、まあこの部分が布野さんオリジナルなのか、それとも実は執行部が「転進」のためにこういう理屈を入れ込みだしているのかは謎ですけれども、今回の布野さんの金懇挨拶の最後の部分って明らかに「口では早期達成といっていますが、実際には持続的な経済成長や経済の生産性向上が重要なので、物価目標の早期達成はただのお題目ですがな」というような方向に話のポイントを持ってきていますな、という風には思います。


〇布野審議委員金懇会見は今回布野さんが妙に慎重な物言いをしているのが印象的です

記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk181108a.pdf

いつもだと会見で時々「おー」というのが出てくるのですが今回はそれがないですのう。

・ということで副作用論に関する質疑を2つ

『(問) 日銀は、今年 10 月の金融政策決定会合で物価上昇率の見通しを0.9%という形に引き下げ、その一方で、強力な金融緩和策の維持というものを決めましたけれども、金融緩和策によって、人口減少の進む地方銀行など、地域の金融機関の収益悪化というところも一方で懸念されていますが、物価2%の目標達成の見通しや、金融緩和策による副作用と言われるようなところについてのご見解をお聞かせください。 』

『(答) 10 月に見通しを引き下げたというお話はその通りですが、7月の展望レポートでも、見通しを下げた経緯がありまして、特に7月においては、見通しの引き下げに伴って、新しい政策を打ち出した次第です。1つは、フォワードガイダンスですが、フォワードガイダンスの意味するところは、当分の間、緩和的な金融環境を進めるということです。2つ目は、様々な副作用を制御するような施策を出したということです。2016 年の9月に「総括的な検証」をして以降、日本銀行の政策は経済、物価に加えて、金融情勢も踏まえながら行うという考え方でおります。全ての施策には作用、副作用がございますので、副作用も含めて、金融情勢をよく見極めてやるということです。そのような意味で、確かに金融緩和の状態が長引けば、金融機関の収益力に負の影響が累積的に掛かるということですので、今後とも注意深く見ながら、その都度、政策を決めていくものと考えています。』

まあ基本模範解答ですけれども、「2016 年の9月に「総括的な検証」をして以降、日本銀行の政策は経済、物価に加えて、金融情勢も踏まえながら行うという考え方でおります。」っていうのは一応しれっと打ち込んでますなというところで、本来金融政策点検第二の柱というのがあるのですから、金融情勢も踏まえるのって元々の建付けとしては当たり前なのですけれども、総括検証によって金融情勢も踏まえるようになった、というのはそれまでは副作用何も考えずにやっていました、と言ってるのと同じでして、まあこの時点で置物理論は完全崩壊しているという事ですな。


『(問) 2点あるのですが、1点目は、金融機関の収益への副作用という点が金融政策の議論で最近なされていますが、イールドカーブを立てれば、金融機関の収益に与える金融政策の副作用が軽減されるのかどうか、という点が1点目です。2点目は、当面極めて強力な金融緩和を継続するということだと思うのですが、効果と副作用のバランス次第では、物価が2%に達する前にも金利水準を引き上げる可能性はあるのでしょうか。』

1点目の質問なんですが、こんな質問の仕方したら「イールドカーブを立てれば良いわけではない」って答えが返って来るのが見え見えな訳でして、せっかくしらっと超長期の輪番がこの前減ったというのに、こういう質問して話を大きくするんじゃねえよと非常にトサカに来る質問なのですが回答も予想通りになっています。

『(答) 後の方から申しますと、物価が何%になったから金利をどうするということについては、金融政策そのものでありますので、今の時点で将来についての具体的なコメントは差し控えさせて頂きたいと思います。』

本来は調整ありうべしという話なのですが、まあこうやって答えるというのは、とりあえず変に切り取られてヘッドラインにされたくない、というのがあるでしょうし、それよりもこういう言い方になるってのは政策委員会の中の議論的に今の政策の調整が話題になっていないということなのでしょうかね。よーわからんけど。

『そのうえで、最初の質問についてですが、金融機関の収益力は、必ずしも金融政策だけで成立しているわけではございませんので、非常に多岐にわたる要因が絡んでいます。例えば、貸付先の事業のパフォーマンスであるとか、個別の金融機関での経営構造改革の努力であるとか、成長戦略の展開であるとか、そのようなことを含めて影響してきますので、金融政策がこうやったから金融機関は経営上の問題なくなるというような種類のものではないと思っております。ただ、急激に金利が上がるということは、当然のことながら、逆に金融機関においてマイナスにも効くでしょうから、金利の上がり方は一つのポイントではありますが、一般論では、イールドカーブが立つ方向にいけば、利ざやの拡大を通じて、金融機関に対してはプラスの影響が出るだろうと私は想定しています。』

この結論の前の前置きの慎重さがもうねという所で、布野さん今回はやたら慎重な物言いをしているなあという印象で、それがどういうインプリケーションなのかというのはいくつか読み筋は考えたのですがまだ妄想段階であって、今後の展開を見たら後からああなるほどというのがあるかもしれないな、とは思うもののはっきりしませんなという事で。


〇全然進捗しませんが置物日記日記メモ

置物日記日記ですが、引き続きちょっと読む→トサカに来る→付箋を貼る→精神を落ち着ける、という不健康なサイクルが続くので中々進捗しません。

でもってまあ進捗しないと言いましても適当に開けたところから読んでいるので飛び飛びながら後ろの方までだいぶ進んできたには来たんですけど、結局この本って3行でまとめると、

・置物一派の交遊録
・消費税増税が悪い
・国会質疑はムカツクし吊るし上げする民主党議員はムカツク

というので終わってしまうという大変にアレな内容でして、別に政策決定のプロセスみたいなのとか、政策の理論的バックボーンの話とか、まあまるで無いにも程があります。

しかしまあ見ていて一番トサカに来るのって消費増税に対する文句の部分で、そんなに文句があるなら日銀の政策委員会の委員という立場でちゃんと発言しなかったのかと思う訳で、延々と「自分は反対だった」という話をして、置物一派の誰誰にそういう話をして云々という話ばかりをして、自分が何も言わなかったのは日銀副総裁の立場として云々で全部言い訳をしているのがお前ふざけんなという話であって、それって「私は実はあの戦争には反対でした」とか戦後になってイケシャーシャーと言う連中とまるで同じだし、地位がある人間がそうやって傍観して後から言い訳しまくるとか見苦しいにもほどがあるわ、とまあ思うのですが、その辺の話は追々。








2018/11/09

お題「FOMCは無風で12月利上げ態勢でしょうな/10月会合主な意見がどうにもアレな感じで」

こんなに社会全体にコスト掛けさせる軽減税率って・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181108/k10011703161000.html
軽減税率「店内飲食禁止なら対象」など 国の新指針を公表
2018年11月8日 16時58分

読んでいるだけで頭がクラクラしてくる。

〇寝起きでFOMC

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20181108a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180926a.htm(前回)

今回は順当おぶ順当にほぼ変更がなくて、既存路線を継続しますって内容なのですが、一つ物凄く不思議なのはPDFファイル版を見た時にほぼ単語量が同じなのになぜか今回行数が多くなっている(全文一致なのに改行位置が前回と今回で違うとかです)ことで、アタクシの場合前回との差分確認をするのに印刷して目検で逐語確認という原始人メソッドを使っているのですが、まず最初に全体の行数、次に行末の単語を見て変更があるかないかを判断してから目検を開始するので、「あれ今回なんで変更があるのよ」と思って読見直してしまった時間を返せと小一時間問い詰めたい。

そんな話はさておき参ります。

・第1パラグラフ:企業の固定資産投資の現状判断を引き下げ&失業率の判断を引き上げ

『Information received since the Federal Open Market Committee met in September indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a strong rate.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in August indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic activity has been rising at a strong rate.』(前回)

実質全文一致ですな。

『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has declined.』(今回)
『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has stayed low.』(前回)

失業率の判断を強気化させています、と言ってもまあここは数値の後追いですけどね。

『Household spending has continued to grow strongly, while growth of business fixed investment has moderated from its rapid pace earlier in the year.』(今回)
『Household spending and business fixed investment have grown strongly.』(前回)

家計支出の判断は横ばい、企業の固定資産投資支出の判断が「moderated」になっていますが、そのあとに「from its rapid pace earlier in the year」ってわざわざ入れているのは水準は強いでっせというのを
言いたいから。

『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy remain near 2 percent. Indicators of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(今回)

『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other than food and energy remain near 2 percent. Indicators of longer-term inflation expectations are little changed, on balance.』(前回)

インフレとインフレ期待に関しては全文一致、とまあ全体的に微修正にとどまっています。


・第2パラグラフ:全文一致なのだがPDFバージョンを見ると行数が1行増えているという謎のパラグラフ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.』(前回)

いつもの文言。

『The Committee expects that further gradual increases in the target range for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term.』(今回)

『The Committee expects that further gradual increases in the target range for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term.』(前回)

今後も徐々に利上げしまっせという文言にも変化はない。

『Risks to the economic outlook appear roughly balanced.』(今回)
『Risks to the economic outlook appear roughly balanced.』(前回)

リスク認識に関しても変化なし、ということなのですが何故かPDFだと行数が1行多いという怪奇現象。


・第3パラグラフ:政策金利据え置き

『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 2 to 2-1/4 percent.』(今回)
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 2 to 2-1/4 percent.』(前回)

前回からこの金利部分の表現があっさり味になりました。前回は利上げで今回は据え置きなのでそこの単語が違うだけです。


・第4パラグラフ:今後の利上げパスの話も全文一致

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its maximum employment objective and its symmetric 2 percent inflation objective. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(今回)

『In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its maximum employment objective and its symmetric 2 percent inflation objective. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments.』(前回)

めんどいのでパラグラフまとめて並べてしまいましたがまあ全文一致だわさ。


・第5パラグラフ:票決は全員一致

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Jerome H. Powell, Chairman; John C. Williams, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Jerome H. Powell, Chairman; John C. Williams, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Esther L. George; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(前回)

前回はサンフランシスコ連銀総裁が空席だったので代打でカンサスシティ連銀のジョージ総裁が代打をしていましたが、10月1日から後任が入りましたので本来の順序通りにサンフランシスコ連銀のダーリー総裁(と読むのかしら、ワタシエイゴワカリマセーン)が投票しています、政策変更なしですから全会一致な訳ですが。

・・・・・・・・とまあそういう訳で、今回は超順当オブ順当にほとんど判断の変更もなく、堂々の12月も利上げしまっせという状態、しかも今や予告ホームランしなくても既に予告ホームラン状態となっている大変にお洒落な展開になっておりまして、ホワイトハウスの方から来ましたというアホウがノイズですが、まあ普通に無視して利上げするっしょ。



〇10月決定会合主な意見が何かこうアレなんですががががが

決定会合主な意見ちゃん登場。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi181031.pdf

んでまあ登場しているのは良いのですが、「おまいら本当に議論しているのか」という感じが漂う「主な意見」という風情でありまして、今まで出ていた中でもトップクラスに首をかしげてしまうような出来に仕上がっております。まあ四の五の言わずに鑑賞鑑賞。

まずは『T.金融経済情勢に関する意見』の(物価)のところなのですけど、最後の意見として、

『・プラスの需給ギャップのもとで物価上昇が遅れているが、これは供給面における生産性向上が物価上昇を抑制するなど、物価変動メカニズムが複雑化しており、先行きの不確実性も高まっていることが影響している。』

というのがあって、いやまあ言いたいことは何となくは分かるのですけれども、「物価変動メカニズムが複雑化」って何か妙で、そうじゃなくて単におまいらが物価変動メカニズムを読み誤っていただけじゃないのかよと思いますし、「先行きの不確実性も高まっていることが影響」ってあるけど先行き不確実なのと物価が直接関係するもんなのかというとそれって何か因果関係として弱くないかという話で、今回の「主な意見」って言わんとすることは分からんでもないけど、なんか意見として生煮え感の漂う物品が結構並んでいる感じで、これって要するに決定会合で各人の見解を揉むというようなプロセスが不在の結果、皆さんの出してきた素材が素材のまま放置されてしまっているのではないか(つまり議論になっていない)、というようなことを感じるんですよ。気のせいかも知れないけど。


でまあ『U.金融政策運営に関する意見』を最初から並べて鑑賞しますけど。

『・「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。

・息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。

・景気拡大や労働需給の引き締まりに比べると、基調としての物価は引き続き弱めの動きとなっているため、きわめて緩和的な金融環境を息長く続けていく必要がある。』

この辺が執行部派ですな。

『・金融システム面の副作用について慎重に点検しつつ、需給ギャップのプラスを維持する現行の金融緩和政策を続けることで、物価上昇を粘り強く待つことが肝要である。』

執行部案には近いけど副作用というのがあるのは副作用警戒派ですな。

『・7月の政策対応以降、経済・物価情勢に応じて国債金利が多少変動するようになっている。これは、強力な金融緩和効果がしっかりと確保されている範囲内の動きと評価できる。』

ナンジャコリャ。

『・2%に向けて物価に加速感が見られない現状は重く受け止めるべきである。こうした現状では、市場の一部で言われているような更なる長期金利変動レンジの柔軟化は、2%の実現に対するコミットメントを揺るがしかねない。』

ジンバブエキタコレなのですが、なんでこのおじさんは一々「市場の一部で言われているような」とか言うのかねと思う訳で、これって、リフレ派の世界標準の金融政策に関する見解を理解しない無知蒙昧の債券市場のチンピラゴロツキはケシカラン、と言いたいのか、はたまた副作用重視派の人たちのいう(たまに執行部も言い出しそうな)長期金利変動レンジの柔軟化はケシカラン、と直接言うのではなくて「市場の一部」とか表現して当てこすり的に批判するという底意地の悪いものの言い方をしているのか、どっちだか分からんですけれども、よほど債券市場の事がお嫌いなようですが、以前は金融機関がケシカランとか言ってましたが、さすがにその態度で金懇とか行くと行った先で総スカンを食うのに気が付いて、直接対峙する必要がない「市場」を名指しするようになったんでしょうな、うんうん。

『・長期金利を長期にわたり「ゼロ%程度」に誘導した場合に、インフレ期待への影響がかえって低減しないかどうか注意が必要である。枠組みとしては緩和方向を維持しつつ、金利変動幅や金利操作目標年限等について、柔軟に検討していくことが重要である。』

ジンバブエ先生の直後にこれを並べてくるとか黒ちゃんお洒落ですな。こちらは副作用派なのですが、前半の言っていることの意味するところがよく分からん。字数制限あるから仕方ないけど、期待が低減する想定経路について言及がないとよくわからん。

『・金融業の規模に対して、十分な借入需要がないという構造問題を、金融政策で解決することはできない。金融政策にできることは、十分な金融緩和を早期に行うことでデフレを防ぎ、名目GDPを拡大し、金融業を含むすべての産業の名目の生産額を増大させることで、経済の調整コストを引き下げることである。』

いやね、FSRを受けての見解で、金融機関の経営環境については金融政策要因だけではない人口動態だの産業動態だの金融機関の過当競争だのの要因がある、って前段は言いたいのはわかるのですが、後段の話ってまさにそれ借入需要を創出する話だし、だいたいからして毎度毎度今次金融政策の効果として貸出の増加というのをアピールしているんで、前半と後半の文章が思いっきり矛盾しているように見えてしまうんですが、さっきのとかこれとかもそうなのですが、もうちょっとこういうの政策委員会の中で色々な議論が進んでいれば、こういう生硬な感じの「意見」がもっとこなれて来ると思うのよ。(前段が余計だし、書くなら前段は「金融機関の収益環境の厳しさには構造要因も多くあり、その部分は金融政策では解決できない」とかじゃないの?と思う)

でもってこれまでの主な意見の中で、今回のは特に(アタクシが見ての個人的感覚なので恐縮ですけれども)アタクシ思うに生硬なものが多く出ているように見えまして、何かこうMPMで議論をしてコンセンサスを探していこうという努力を全然やっていないのではないか(総裁会見での投げやり感もそういう思いを加速するのだ)という気がヒジョーに強くなっておりまして、何というかただただ寂しいものをここもとの総裁定例会見、9月議事要旨、10月主な意見の3連発で感じるのでありました。

でまあ今回はこのMPMの前にFSRが出たから上記の意見以降しばらくはFSRを受けての意見が並んでいまして、気にしてるジャンと思うのですが、FSRの問題提起を真面目に受け止めたら社債CP買入もそうですが、貸出支援関連のオペって普通止めろという話になるはずなんですけど何であのオペ毎度碌すっぽ議論している形跡もなく継続されているんでしょうかねえ、と悪態。

『・地域金融機関では、貸出金利が低下傾向にある中で相対的にリスクの高いミドルリスク企業向け貸出等を増やしており、仮に景気後退局面となり信用コストが顕在化した場合には、加速度的に収益悪化が進む恐れがある。こうした点に十分留意が必要である。』

FSRの指摘通りですな。

『・金融システムに関するリスクの点検に当たっては、モデルで必ずしも描写しきれない構造変化など、様々な要因についても目配りする必要がある。』

うーんこの。

『・金融仲介機能の低下といった問題に対応するための政策ツールとして、金利変更など金融政策に焦点を当てた見方も見受けられるが、プルーデンス政策の重要性を見落としてはならない。』

これは「で??」と言いたくなる。で何なのかという話が無いと何を言いたいのが分からん。

FSR的なシリーズの次は最後のコーナーとなりまして緩和派片岡さんの意見

『・消費税増税等を巡る経済の不確実性が高い中、需給ギャップが一本調子で拡大する可能性は低い。需給ギャップから物価への波及度合いも弱まっている可能性がある。こうした中、適合的期待形成を通じて物価が上昇する経路が本格的に機能し始めるには、想定以上の時間を要するとみられる。したがって「物価安定の目標」の早期達成に向けて予想インフレ率に直接的に働きかけることが、より重要である。金融緩和の強化とともに、政府との政策連携も、もう一段強化することが必要ではないか。』

前半はまあ分かる(展望レポートの先行き物価上昇するメカニズムに関する疑問点とかは同じように思いますですよ)のですが、問題は「したがって」以降で、「予想インフレ率に直接的に働きかけることが、より重要である。」とあーた仰いますが、マネタリーベースを10%引き上げると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇するという世界標準の経済理論を駆使した置物直線一気理論(しかもネタに中々登場させてなくて恐縮ですが置物日記によるとどうもこの手の計算昔から片岡さんが置物の知恵袋としてやっていたような記述があるのでまさにこれは片岡理論だったりするのかも知れませんな)がワークしなかった(婉曲表現)のですけれども、あーた具体的に何をどうすると予想インフレ率に直接働きかけることができるのかと小一時間問い詰めたい、というか案を出してその案でインフレ期待が上がるメカニズムを合理的に説明してみやがれコノヤローとしか申し上げようがない。

『・金融政策では財政の持続可能性や潜在成長率の低下という日本経済の課題を解決することはできないとの考え方もあるが、現実には、「量的・質的金融緩和」の導入以降、雇用や財政は改善し、潜在成長率も安定している。』

どう見てもジンバブエです本当にありがとうございました。


〇布野さんの金懇と会見ですが・・・・・・・・・・・・・・

ということで布野さんの金懇と会見なのですけど、ええまあ今回は会見の方も特段新しいネタが打ち込まれずとなっていまして(正直質問が露骨な誘導質問過ぎてあれじゃ布野さんが執行部公式見解でしか答えようがないわという出来栄えなのは残念でした)、記録としては残すから週明けに簡単にネタにしますけど、まあ正直全く新しい情報がなくてガックシという物件に仕上がっておりますです、はい。





2018/11/08

お題「名古屋での黒田総裁会見は何か投げやりというか何というかな変な味わいがすると思うのですが・・・・・・・」

厭債害債さんが荒ぶっておられる・・・・・・・・
https://ensaigaisai.at.webry.info/201811/article_1.html
移民政策の転換案に思う

アレがアレなのは今に始まったことでは無いのですが、行動力のあるアレという観点に関してはなるほどと思うのでありました。


〇黒田総裁の名古屋会見ですが何だかなあ感が強い

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk181106a.pdf

・思い切った政策が最適ではない云々の質問が早速来るわけですが

『(問) 講演では、講演録の 8 頁ですが、経済がこの 5 年間で「はっきりと改善」して、物価も「デフレに苦しんでいた 5 年前に比べれば、着実に改善している」とおっしゃったうえで、「かつてのように、デフレ克服のため、大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなって」いるとおっしゃっています。』

でもってそれに関しまして、

『とはいっても、5 年前の異次元緩和を始めた時と比べて、国債の買入れ額は、一時よりは減らしているとはいえ、年間増加額 50 兆円前後とあまり変わらない水準が続いています。長期金利の水準も、当時と比べてかなり低い状況にありますし、短期金利、政策金利もマイナスというように、5 年前当時ではなかったような状況です。ETFについても、何倍もの額で買入れを続けていらっしゃいます。』

さいです。

『大規模な政策を思い切って実施することが最適な状況ではなくなってきているとおっしゃっているにもかかわらず、5 年前におやりになった異次元緩和をまだ続けているというのは、論理的には理解しがたいところもあるのですが、どのようにお考えでしょうか。』

イイシツモンダナーなのですが、この答えが投げやり感が強い。

『(答) 2013 年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入した際は、15 年続きのデフレでした。消費者物価上昇率は−0.5%のデフレであったわけですし、失業も多く、経済は沈滞していました。』

まずこの説明がおかしくて、物価は若干のマイナスだったかも知らんが、実質成長率はプラスで推移(除く東日本大震災時)してたし、失業率とかその前から顕著に改善が続いていた訳でして、例えば2012年10月の展望レポート全文の図表でも見れば宜しいのではないかと思うのでURLを貼っておきますが、物価の話はともかく失業が多いだの経済が沈滞だのというのは煽り言葉にも程がある訳で、そんな雑な説明を置物一派がするならともかく黒ちゃんがするという辺りに投げやり感を受けてしまうわけですよ。

2012年10月展望レポート全文はこちら(図表は後半の方にありますよ)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210b.pdf

『そうしたもとで、資産買入れを拡大する、マネタリーベースを拡大するといったことで、非常に明確に、これまでの金融政策とは大きく変わった政策を「量的・質的金融緩和」として打ち出したわけです。』

実際はそれまでの金融政策を大きく拡大しただけですけどな。

『その後、原油価格の下落その他を踏まえて、更に「量的・質的金融緩和」を拡大し、また、マイナス金利の導入などをやってきて、現在のようにデフレではなくなった状況、経済も 1%台半ばで持続的な成長を続けている状況となりました。』

成長率に関してはその前も実質プラスだったんですけどねえ。

『そうした中では、2013 年 4 月の時のように、それまでと大きく変わった政策を打ち出すという意味のものは必要ではないとは思いますが、まさにご指摘のように、依然として大幅な金融緩和を粘り強く続けて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成しようとしていることには全く変わりはないということです。』

もうこの「できるだけ早期に」を引っ込めるか、気持ちの問題にするかしないとロジックがグチャグチャになると思うの。まあ以下の質疑応答見ててもそうなんですが、政策の建付けが増築を重ねた昭和の温泉旅館状態になっているからどこがどうつながっているのかもワケワカランし、そら出口なんかワケワカランわな、という話になっておりましてもう見てられない。


・副作用の質問で思いっきり頓珍漢な答えをしているのが何ともアレ

『(問) 総裁は講演で、金融機関に対する副作用を指摘されました。基本は先般の金融システムレポートで分析されたものに沿ったものと思われますし、一義的には、プルーデンス政策で対応するものと思いますが、その中でも、金融政策の運営の観点からも注視していく必要があると述べていらっしゃいますし、質疑応答の中でも、副作用を最小化することは続けていきたいとおっしゃいました。ただ、今の金融政策の枠組みを維持したまま、現実的に何ができるのか、ちょっと疑念があるとは思うのですが、その中で何ができるのか、意見を伺うことができたらと思います。』

そもそもが金融緩和長期化の弊害によって副作用が発生するのであれば、要は政策自体がその時点で副作用>>>効果となっているのだから、枠組みを変更しないと追加の意味がない(縮小するなら意味があるかもしれないけど)という話ですが・・・・・・・・・・・


『(答) 7 月の金融政策決定会合では、長短金利に関するフォワードガイダンスを非常にクリアに示し、引き続き大幅な金融緩和を粘り強く続けることを示しつつ、そうしたことが持続可能なように、10 年物国債金利の操作目標ゼロ%程度について、それまでのような±0.1%といった非常に狭い幅での変動ではなく、その倍くらいの変動も、経済・物価・金融情勢に応じて生じるのは当然であるし、それ自体、むしろ国債市場の機能を改善することになると申し上げました。その後、3 か月強経って、実際に国債取引は現物でも先物でも増えていますし、価格の変動幅も大きくなっており、市場の機能度は改善していると思います。』

???????

『イールドカーブ・コントロールや、こうした低い金利を当分の間続けるというフォワードガイダンスのもとでは、国債市場への圧力がある程度続くということ自体は変わらないと思いますが、そのもとでも、機能度を高める工夫は色々あり得ると思います。国債の買入れ自体も、イールドカーブ・コントロールをちょうど実現できるような形で行っています。今のところ、従来よりも国債の買入れ自体は少なくなっていますが、そのもとで、しっかりとイールドカーブ・コントロールができているということです。』

?????????????????

『国債市場の機能にしても、金融仲介機能にしても、そういうものが十全に発揮できず、それによって金融政策の効果が阻害されるという状況は好ましくありませんので、そういった点には十分配意しつつ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な大幅な金融緩和は粘り強く続けていく、むしろ、続けられるように、そうしたことに十分配慮していくということだと思います。』

これは酷いという話で、質問に対して1ミリも答えておらず、おじいちゃん人の話聞いてまちゅかという風情の質疑応答なのですが、これは(1)答えたくないので延々と別の話をしている、(2)金融政策の副作用は市場機能という事しか頭にない、(3)モノホンのアレ、というような可能性が考えられますが、まあ次の質問で答えているのでどうも(2)なのではないかと思われまして、これは金融機構局涙目という気がだいぶするんですけどどうなんでしょうかねえ、と申しますのは・・・・・・・・

『(問) 今、国債市場について言って頂きましたけれども、金融機関の収益の悪化という副作用に対してのご見解はいかがでしょうか。


そら質問続けるわな。

『(答) 金融システムレポートでも詳しく分析していますように、この 5 年間ということではなく、もっと長い期間にわたって低金利環境が続いていますし、特に地域金融機関にとっては、人口の減少、高齢化、あるいは企業数の減少というもとで、競争が激化し、利鞘が縮小しているという構造的な問題もあります。この 5 年間だけをみると、金融機関の収益はかなり良いレベルですが、それは先程の懇談会でも申し上げた通り、信用コストの減少と有価証券の売却益で業務純益の減少を補っていたということです。』

という説明をして俺のせいじゃないと言いたげなのですが、(FSR本文ネタをぶち込むのが遅れておりまして申し訳ないのですが)ここでFSRネタを打ち込みますと、先般のFSRの中で例えば金融機関の自己資本比率の推移なんぞを見ますとですな、

金融システムレポート概要
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022b.pdf

こちらの12ページ目(PDFでも同じ)の『自己資本の充実度:自己資本比率の推移』というお題のスライドにある『図表X-1-1 金融機関の自己資本比率』のうち、国内基準行のコア自己資本比率の推移を見ますと、QQEぶち込んで以降銀行の場合は早速減少傾向、信用金庫の場合はいったんちょっと上がりましたがそれから減少傾向、とか続いている訳で、「前から緩和をしていたんだからワシ知らんもんね」という言い訳は通用しないのが見て取れます。もちろん金融緩和長期化の副作用って累積的に来るものですから白川時代の緩和政策の副作用が徐々に顕在化しているという見方も成り立つわけですが、まー普通に考えてQQEに加えてマイナス金利で金利水準を極端に下げた副作用が現れているわ、という話になるんじゃないでしょうかね。

『先行きを見通すと、その 2 つの要素はいつまでも続くものではありませんので、業務純益の減少がいずれ大きな課題になってくるということは私どもも認めているわけです。ただ、それはかなり長期の話で、足許は資本が十分ありますので、金融機関の金融仲介機能が損なわれることは当面ないと思っていますが、より長い目でみた場合に、そういうことも十分注意してみていかなければならないと思っています。』

今ネタにしたFSR概要の12ページ目の図表をみたら「かなり長期の話」とか言っている場合じゃないというのが普通に感じられると思うのですが、この人の現状認識は大丈夫なのでしょうか?????

『ただ、当面、金利を引き上げ、イールドカーブを立てて、金融機関の利鞘が高まるようなことをすると、今の状況では、むしろ景気が悪くなって、金融機関にとっても決して好ましい状況にならないと思いますので、あくまでも 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという観点から大幅な金融緩和を粘り強く続ける一方で、そういった長期の課題についても考えながら金融政策の運営を行っていくということだと思います。』

もしかしてこの前ネタにした9月議事要旨での「金利を上げると景気が悪くなってクレジットコストが上昇する」とかいうの黒田さんが言ったのかよと頭が痛くなるのですが、いや何も景気悪化させるほど金利を上げろと言っているのではなくて、どう見ても名目ゼロ金利制約の問題からただの金融機関課税にしかなっていないマイナス金利と、無理くり金利を引き下げる長期金利コントロールを何とかしろと言っているだけの話で、別に緩和政策を止めろという話じゃないんだから、金利が上がるにしても経済物価情勢から考えて景気が悪化するほど金利は上がらんじゃろと思うし、そもそも金利を上げてカーブが立つと(今のカーブは10年辺りを無理矢理寝かせているから変なことになっている)景気が悪化する、という程度にしか今の経済が強くない、というのであれば、先ほど大威張りでQQE政策の成果を自慢して「現在のようにデフレではなくなった状況、経済も 1%台半ばで持続的な成長を続けている状況となりました。」と仰せの話との整合性はどうなっているんだと小一時間という感じです。


・ということでFSRちゃんと読んでないんじゃないかという質疑がもう一つ

ちょっと先の方に行きますとこんな質疑が。

『(問) 地域金融機関の件で、追加でお伺いします。先程、黒田総裁は、当面の話として、金利を上げても逆に景気は悪くなって、金融機関にとって決して好ましい状況にならないとおっしゃったと思うのですが、今後、いよいよ地域金融機関のリスクが大きくなった場合に、日銀としてどういった政策対応がとれるのか、選択肢を伺えますでしょうか。』

まあさっきも斜め上の返事しかなかったのですけど。

『また、これとほぼ関連している話ですが、講演の中で、必要に応じて金融機関に具体的な対応を促していく方針だとお話しされましたが、ここをもう少し詳しくお伺いできませんでしょうか。』

でもってこの答えがまた投げやり大会。

『(答) 先程来申し上げている通り、現時点では、地域金融機関も含めて、収益状況は決して悪くありません。ただ、この 5 年間だけをとってみても、もっと前からとってみてもそうですが、貸出に伴う業務純益はずっと減り続けており、それをこの 5年間は、信用コストの減少と有価証券の売却益でちょうど補って、収益が安定してきたわけです。信用コストがずっと下がり続けることは期待できませんし、有価証券の売却益もいつまでも続くものではありませんので、長期的にみれば、業務純益の減少傾向を抑えない限り、いずれ地域金融機関にとって大きな課題が持ち上がってくることは事実ですが、それはすぐに来る話ではなく、5 年とか 10 年とか 15 年とか、そういうタームでの議論です。』

そういうタームの議論ではない、というのがFSRで示されていたと思うのですが、これは金融機構局涙目。

『大幅な金融緩和は確かに 5 年続いているわけですが、先程申し上げたような長さで続くとは思いませんし、』

2年で達成すると言って5年半続けてもなお全然出口が見えない人がこれを言っても説得力が1ミクロンも無い。

『業務純益の低下傾向の相当部分は、実は先程申し上げたような構造的な問題です。人口減、企業数減の中で、地域金融機関の間の競争が激化して、なかなか利鞘が取れない状況にあるわけです。その構造的な問題は、すぐに大問題になるわけではありませんが、長期でみると、やはり構造問題ですので、まさに構造的な対応をしていかなければなりません。』

とまあそういうことでして、金融政策第二の柱によるリスク点検とか、金融政策のプロコン比較とかそういう論点での質問には答える気がサラサラなくて、ただ市場機能に関しては債券市場のチンピラゴロツキどもが五月蠅いのと、新聞が10年国債の市場売買がゼロだとか言ってネタにするし、他のせいにできないからおためごかしに対応はするけど、緩和政策長期化の悪影響とか知ったことかこのヴォケという気概が大変に良く伝わってきて大変にアレという感じですな。

ですので・・・・・・・・

『その中には当然、統合や合併のような話もあるでしょうし、あるいはITをもっと導入して効率化するといったこともあるかもしれません。更には新しい顧客の開拓ですとか、新しいビジネスの開発ですとか、そういったことも必要になるかと思います。そうしたことも含めて、モニタリングや考査の時には、それぞれの金融機関と十分対話をしていきたいと思います。』

となりますし、

『もちろん、法律的権限に基づく色々な対応策は、ミクロプルーデンスもマクロプルーデンスも日本の場合は金融庁が担当していますので、当然、金融庁の対応を待たなければならないと思いますが、日本銀行としても、地域金融機関との対話の中で、どういった対応によって長期的な業務純益の減少傾向を食い止め、あるいは増加させていくかということについては、十分対応していきたいと思っています。』

ということで、プルーデンスの観点からどうこうというのは日銀は知らんがなと金融機構局が血の涙を流すような発言が平然と出てくる辺り、何か今回の会見って無茶苦茶投げやりになっている感じがするんですが、もしかしたら先般の定例記者会見と全然違うトーンの講演をやることになって機嫌をマックス悪化させて、そのために会見では(金融緩和の度合いを修正しましょう的な政策を実施するのは今までの自分の政策の否定になる訳だからやる気サラサラないので)ランボー怒りの投げやり会見になったのではないかとか物凄くしょうもない読み筋ですが、そんな読みになってしまったのはやはり裏読みのし過ぎですねすいません。


・ということなので政策見直しにつながる質問は全部ゼロ回答

『(問) 先程の懇談の後の質疑応答では、FRBが利上げをするからといって日銀が利上げをする必要はないし、ファンダメンタルズに照らしても必要ない、ということだったのですが、米欧が正常化に向かうと、相対的に日銀の緩和が過度になってしまうということはないのでしょうか。そういう観点から、柔軟化や調整などが必要ということはないでしょうか。』

総括的検証においては、金融緩和をやり過ぎて金利を下げてもよくないという結論になっていたので、YCCについては、均衡イールドカーブに対して適切な規模の利下げ度合いを維持する、というのが総括的検証を受けて行う政策としては正しい筋のやり方になる、と考えますとまあこういう質問もありちゃああり、ゼロ回答になるのは見え見えですけど。

『もう一つは、出口に関して質問された方が、そろそろ戻る道筋を示されるべきではないかとおっしゃったと思います。FRBが 2015 年 12 月に利上げしましたけれども、正常化の原則というのはかなり前の段階で、2011 年とか 2014 年で出していたと思います。そういうことは、日銀としても、すぐに正常化ではないけれども、原則として何か示すということは可能なのかどうか、伺わせてください。』

こっちの質問に対する答えも以下のようにゼロどころかマイナス回答なのには結構驚いたんですが・・・・・・・・・

『(答) ご指摘のようにFRBはかなり前に正常化のプロセスについての考え方を示したわけですが、そのときの考え方は、バランスシートの増加を止めて、最終的にバランスシートを縮小していくことと、短期政策金利を引き上げることの順序について、今現在やっていることとは逆に言っていました。実際にやったこととちょうど逆のことを言っていたことになりますので、早めに出口戦略のようなものを示すことは、あまり好ましいことではなかったのではないかと思います。』

いやさすがにこの回答には唖然としたのですが、別にこれ出したからと言ってミスコミュニケーションが起きた訳でも何でもない(テーパータントラムは別の次元で発生した話)ですし、誰もこのプリンシパルと違ったからと言って文句出した訳でもないですよね、と思う訳です。

でまあ話がやや明後日の方向に行きますが、この「実際にやったこととちょうど逆のことを言っていたことになりますので、早めに出口戦略のようなものを示すことは、あまり好ましいことではなかったのではないかと思います。」って言うのにはジャパンの官僚カルチャー(狭義の官僚だけではなくてそういう感じの組織全般とか社会全般とか)にある構造的な問題も示しているなあとか思う訳でして、「最初に決めたことが都合が悪ければ止めればいいじゃないか」みたいなのが当初の面目玉とか組織の面目玉とかによって自動継続になって、グダグダになったどこぞの金融政策運営とか、古くは戦線拡大を延々と行って最後は全部おじゃんになった15年戦争とか、まあ何ちゅうかねえとしか申し上げようがない味わいも感じるのですよね。

ということで、別にFRBのあれは問題があったとかいう人が寡聞にして存じませんのですが、何故そこまでに評価するのやらという感じで、まあ自分等はそういうの出したくないもんねという事なのでしょうが、それにしてもそこまで言わなくても以下の後半の答えだけで良くて、海外は海外のやり方がありますし、うちはうち、というのだけで良かったと思うのですよね、なんか今回の会見って妙に投げやりというかとげとげしいというか、そんな感じがしたのは気のせいでしょうか。

『また、日本は物価上昇率が1%程度の状況です。展望レポートでも、1%台半ばに来年度以降なっていくわけですが、まだ 2%に到達する状況ではありませんので、大幅な金融緩和を続けていくことは当然必要であると思います。』

いかさらにどうでも良いのですが一応引用しておきます。

『また、金融政策は、それぞれの国がそれぞれの経済・物価情勢に応じて行います。FRBの場合は、正常化のプロセスのかなり進んだところまできていますし、ECBの場合は、年末までにネットの資産買入れ額をゼロにして、バランスシートを安定させることは決めていますが、政策短期金利はまだ当分据え置いて、来年の後半以降に考えるということですので、正常化のプロセスも入口に差し掛かったところです。日本の場合は、先程来申し上げているような状況ですので、当然、大幅な金融緩和を粘り強く続けていきますし、それが日本経済にとって必要なことであると思っています。』

『ご指摘のように、欧米の金融政策が正常化していったときに、日本の金融緩和がより大きなものになり得るということは、その通りかもしれません。そもそも、物価上昇率が上がっていくことによって、予想物価上昇率も上がっていけば、名目金利は、例えば 10 年物の国債金利をゼロ%程度にしているわけですから、実質金利はより下がっていくわけです。それは、2%の「物価安定の目標」に向けた動きを、より確実なものにするということであって、それが好ましくないということではないと思います。』

ここはそもそもの総括的検証+YCCの中にある矛盾で、総括的検証によれば「適切な緩和度合い」があるので、本来は外部環境がより緩和的になった時には、均衡イールドカーブが上方シフトするので、適切な緩和度合いを加味してもYCCの誘導金利を調整しないといけない、ただし計測誤差と市場の混乱を考えたらそんなに頻繁に金利を変える必要はないが、その場合適切な度合い以上に緩和していないかどうかを注意しないといけない、とまあそういう話の筈で、この説明も(日銀の公式説明通りですが)ちょっとロジック崩壊気味なんですよね。

『わが国の場合は、経済成長は 1%台半ばということで、潜在成長率を上回っているわけですが、物価上昇率がまだ 1%程度ですので、当分の間、長短金利の低い水準を維持し、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するように、大幅な金融緩和を粘り強く続けるということに変わりはないということだと思います。


とまあそういう訳でして、本当はこれに布野さんの金懇ネタということになるのですが、ついうっかり今日もせっせと悪態ついていたので時間が無くなりましたが、もともと布野さんの金懇は講演挨拶の方は思いっきり展望レポート棒読みみたいな内容になっていて、読むべきものは会見、という独特の路線を走っておられる方になりますので、本日出てくる会見要旨とセットで明日ネタにする所存でございます(半分言い訳ですが、残りの半分は結構マジでそう思ってます^^)。






2018/11/07

お題「遅くなりましたが9月決定会合議事要旨(で名古屋総裁会見が間に合わないorzorz)」

麿キターーーーーーー(・∀・)ーーーーーーー!!!

https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_1106.html
退任から5年半 白川前日銀総裁が思うのは
2018年11月6日 19時00分

『日銀の前の総裁、白川方明氏を覚えていますでしょうか。今の黒田総裁の前の日銀総裁です。2008年から2013年までの、リーマンショック、ユーロ危機、そして東日本大震災と、金融危機や大災害、歴史的な円高のなか、金融政策の運営にあたってきた人物です。当時、日銀は金融緩和に消極的だ、小出しだとの批判も浴び、白川氏はその矢面に立っていました。退任後、5年半にわたってメディアの前に姿を現さなかった白川氏。単独インタビューを通じて、金融緩和の本当の役割とは何か、今の日本経済が直面する真の課題は何なのかを掘り下げます。(おはよう日本 おはBizキャスター 豊永博隆)』(上記URL先より)

折角なのでもう少しいろいろな話をぶっこんで頂きたかったんですけどまあこうやって話題になっていくのは結構なことで。


〇9月決定会合議事要旨は内部の議論が全然まとまってねえだろというのを示す(と思うんだが)

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180919.pdf


・物価に関する議論の中に微妙な指摘があるんだが

『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要 』ですけれども、特段見るようなものもございませんで(とエライ勢いでスルーしますが)すが、どうもこう話が散漫になっているなというのがごあいまして、例えば本文8ページの辺りなんですけれども、景気の先行きについての全般的な議論が続く中なんですけど、

『この間、一人の委員は、先行き、経済の需給が適度に引き締まった状態が続く中、企業において、多様な人材の活用や省力化投資などの構造的な取り組みが進み、これが家計の所得増加や消費拡大につながっていくことが期待されるとの見解を示した。』

って辺りまでは良いのですが、

『別のある委員は、効果的に経済成長を実現するためには、企業が、生産性が低く利益が上がらない仕事をやめることも必要であるとしたうえで、その際に生じる雇用の問題を軽減するためにも、金融緩和を通じて労働需給をひっ迫させることが大事であるとの意見を述べた。そのうえで、この委員は、実際、「量的・質的金融緩和」のもとで時間当たり労働生産性の上昇率が高まっていると指摘し、この間の新規雇用者の多くが、相対的に生産性が低いと考えられる勤務経験の少ない労働者等であることを踏まえると、既存の労働者の生産性上昇率は、マクロ的に観測される数値よりも高まっている可能性があると述べた。』

なんかこう微妙にナンジャソラという感じがする指摘で、そもそも「金融緩和を通じて労働需給を逼迫させる」というのが何だかなというのがあるし、後半の理屈ってなんか話が飛躍しているように見える。

『ある委員は、少子高齢化の進行などとも相まって、わが国では、先行き、潜在成長率や自然利子率に低下圧力がかかることが想定されるが、金融緩和の効果を発揮していくためにも、技術革新の一層の推進による生産性向上が必要であると述べた。』

という次の人のもまあ分かるんだが、この間の人の指摘が何か議論が飛躍してませんかね、というのがあります。


でまあそれはそれとして10ページの所に飛んで、もう一回先行き見通しの話があるんですが、この物価の先行き
見通しの部分を読むと何か物凄く議論が散漫な気がするのよね。

『先行きについて、大方の委員は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくとの見方を共有した。』

まあ実際どうなのよという話はさておきここは良いとして、

『一人の委員は、春先までの円高効果が剥落していることもあって、足もと財価格の減速が一服していることや、夏季賞与が大幅に増加したことは、物価の改善に向けた明るい材料であると指摘した。』

『ある委員は、労働参加率の上昇や有効な省力化投資には限界があることから、現在のような人手不足が続けば、いずれ賃金の上昇に結びつくとの認識を示した。そのうえで、この委員は、最近の統計上の賃金上昇率は過大とされているが、それを差し引いても賃金は上昇しており、雇用者の増加と合わせた雇用者所得の拡大は、需要増加とコスト上昇の両面から物価の押し上げ圧力になると指摘した。』

『この間、複数の委員は、賃金弾力性の高い高齢者の労働供給が続けば、今後とも、賃金や物価の上昇を全体として抑制する要因になり得ると述べた。このうちの一人の委員は、インターネットやスマートフォンの普及と高齢者のITリテラシーの高まりは、情報収集能力の向上を通じて高齢者の就労を促進しており、こうした動きは一時的なものにとどまらない可能性があると付け加えた。』

『こうした点に関連し、一人の委員は、物価上昇の遅れは、単純な需要不足が原因ではなく、人々の根強いデフレマインドに加えて、労働参加率の上昇や省力化投資による生産性向上に伴う物価抑制効果など、様々な要因によるものであることがわかってきており、先行きの物価を巡る不確実性は、一頃より高まっていると述べた。』

『別のある委員は、わが国では適合的な期待形成メカニズムの影響が大きいことを踏まえると、消費者物価指数の中で大きなウエイトを占める公共料金や家賃、携帯電話通信料といった品目が、需給ギャップにほとんど感応しないという点も、先行きの物価動向を点検するうえで無視できないと指摘した。』

『これらの議論を踏まえ、何人かの委員は、需給ギャップの改善を起点とする物価上昇のモメンタムは維持されているものの、それが人々の物価観を変化させ、予想物価上昇率の高まりとともに、フィリップスカーブの明確な上方シフトにつながるまでには、なお時間がかかるとの認識を示した。』

とまあそういう話になっていまして、もとよりこの議論の所は色々な見解が出ますよというような書き方になっているのですけれども、なんかこう議事要旨を散々見慣れてしまいましたアタクシの個人的な霊感なので甚だ恐縮なのですが、今回の物価の先行き見通しに関する上記の議論部分が従来以上に「単なる各委員の言いっぱなし」みたいな雰囲気を醸し出しているように文面を見た時に伝わってくる何かがありまして(何か書いている本人がこれじゃあ説明になってねえオカルトじゃんとか思って冷汗三斗ではありますが・・・・・)、今回のは特に「議論というより皆さんの言いっぱなし」に見えてくるんですよね。気のせいかもしれませんが。


・金融政策運営に関する議論というか指摘部分

本文11ページからが『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』になりますがな。

『続いて、委員は、金融政策の基本的な運営スタンスについて議論を行った。』

っていう12ページの頭からね。

『大方の委員は、「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切であるとの認識を共有した。』

はい。

『何人かの委員は、現在の強力な金融緩和のもとで、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続け、2%に向けたモメンタムを途切れさせないことが、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することにつながるとの見解を示した。』

この前の会合(7月)からのスローガン。

『一人の委員は、「物価安定の目標」の実現に資するため、現在の金融政策の運営方針を継続し、経済の好循環を息長く支えていくべきであると述べた。』

『また、別の一人の委員は、現在の強力な金融緩和の効果と副作用をきめ細かく検討しつつ、きわめて緩和的な金融環境を息長く続けていくことが重要であると指摘した。』

「効果と副作用をきめ細かく検討しつつ」来ましたね。でもって次は片岡さん。

『こうした意見に対し、ある委員は、金融緩和の効果は時間とともに減衰し得るため、「物価安定の目標」の早期達成のためには、長期にわたって長短金利を一定水準に誘導するのではなく、むしろ追加緩和によって、政府とともに企業や家計の前向きの行動変化を後押しすることが必要であると述べた。』

ということなんだが、実際問題として他の人たちは上記にあるように「時間を掛けて行う」となっていて、まあ片岡さんの言ってる方が元々の政策枠組みから言ったら仰せの通りなんですが、現実問題としてそれがワークしなかった(「失敗した」の婉曲表現)訳ですから今の時間を掛けるというのになっている次第なわけよ。

だいたいからしてじゃあ片岡さん2%に確実に行く施策あるんですか(国民厚生を無視して物価だけを強引に上げるのは禁じ手という制限つけて)という話だし、ワークしなかったから今の枠組みがあるというのを無視して過去の話をしても困りますがなというのはあるが、そもそも「2年を念頭にできるだけ早期に2%」とか言っていた看板に対してゴメンナサイをしないのが元々の問題だし、共同文書にもできるだけ早期とか書いているのが悪いんですよね。

この先の国債市場の話はさておきまして、政策運営上の留意点がという部分がこれまた話が色々と発散している感じ。

『この間、委員は、金融政策運営上の留意点について、議論を行った。』

本文13ページからになる。

『一人の委員は、プラスの需給ギャップが維持されるような経済環境が続くのであれば、市場機能維持の観点から、現在の金融政策の枠組みを維持しつつ、その柔軟化について将来的に検討する余地があるとの見解を述べた。もっとも、この委員は、現在の物価に関する不確実性を考慮すれば、金融市場や金融システムの状況をしっかりと点検しながら、現行の政策を慎重かつ粘り強く続けることが肝要であると述べた。』

鈴木さんか櫻井さんですかね。

『何人かの委員は、わが国の金融機関は充実した資本基盤を有していることもあり、現時点で金融仲介機能に支障は生じていないが、金融機関の収益動向がその経営体力に及ぼす影響は累積的なものであるため、今後とも、低金利環境の継続が金融機関収益や金融仲介機能に及ぼす影響をしっかりみていく必要があるとの認識を示した。』

というのを見て行った結果が10月に出てきたFSRでどう見ても問題が深刻化しとるわという話ですな。

『このうちの一人の委員は、今後、収益の確保を目指して金融機関が過度なリスクテイクを進め、それらのリスク性資産が不良化した場合には、資本基盤が毀損して金融仲介機能が低下し、ひいては、持続可能な経済成長を阻害するリスクも高まると述べた。そのうえで、この委員は、より長期的な視点から、金融面の不均衡の有無や先行きの動向を、慎重に点検していくことが重要であると指摘した。』

これはわりとぶっこんできている感がある。例によって鈴木さんか櫻井さんか、鈴木さんですかねえ。

『この点に関連し、ある委員は、大規模な金融緩和に伴う金融面での副作用を考慮すると、その長期化にも限界があると考えられるため、金融政策の時間軸について、政策委員の間で議論を深めておくべきではないか、との意見を述べた。』

イイシテキダナーなんですが、こうなってみると最初にQQEをぶっこんだときに木内さんが「2年間の措置として一旦期限を切って、2年後にまた点検する」という提案をしていて、時間を区切ってそのたびに再検討という考えを出していたわけですが、まあこうやって政策がワークしないで(婉曲表現)だらだら続くとなりますと、政策の時間軸が無いのが困るというのはありますな。

『このほか、別のある委員は、金融機関収益を改善させるために金利を引き上げるべきとの声もあるが、現状で金利だけが上昇して景気悪化に伴うクレジットコストの上昇により収益が悪化するリスクが高いことから、金利は物価上昇と資金需要の回復に応じて上昇することが望ましいとの見解を示した。』

ジンバブエキターーーーーー(・∀・)ーーーーーー!!!!

この前は「金利を引き上げても株価も債券価格も下がらないと考えている向きがあり」みたいな面白コメントが主な意見にあったので仕方がないから議事要旨にも反映されていましたが、さすがにそれはということで今回は無くなっているようです。

でまあ「金利を上げると景気が悪くなる」とのことですが、そもそもYCCっていうのは現状の経済の状況から考えて中立的な金利水準と見られるイールドカーブに対して、適切とみられる規模の金利引き下げを促すように国債の買入を実施して、それによって金融緩和効果を出そうという政策なのであって、多少の金利引き上げでいきなり景気が悪化してクレジットコストが上昇するっていうようなことが起きるかよヴォケと思いますし、大体からしてジンバブエ先生QQE政策は大効果を上げているのにそれを認めない馬鹿が市場に居て度し難い馬鹿であるという話をしていたと思うんだが、ちょっと金利上げたらいきなり景気が悪化してクレジットコストが上がって収益が悪化するとかいうんだったら、それは現時点でQQEが碌すっぽ効いていませんと言ってるのと変わらんじゃろうがお前は何を言ってるんだという事だと思うの。

大体からして政策の調整しやがれコノヤローと言ってる向きだって、(一部変なことを言うのはいるでしょうが)精々マイナス金利をゼロ金利にして、長期国債のコントロールやめろ位の話しかしていない訳で、景気を壊すくらいの引き締めしろとか言ってる人は少なくとも市場の中の人でしたら屏風の中にしかいないと思います。それに長期金利コントロールを仮に止めたって結局のところ経済物価情勢と今後の金融政策を反映した金利上昇しかしないんですから、市場金利だけで引き締め的になるとは思えんのですけどねえ。いやまあQQEからの5年間の政策が全然効果上がっていなくて実はまだデフレ状態ですよ、ってんだったら金利上げたら困るのかもしれませんけど。

『これらの議論を踏まえ、一人の委員は、現在のように、景気は着実に拡大する一方、2%の実現には時間がかかっている複雑な状況のもとでは、様々な情勢を総合的に勘案して政策を運営することが重要であると指摘したうえで、強力な金融緩和を粘り強く続けていけるよう、政策の効果と副作用をバランスよく考慮していくことが大切であると述べた。』

ということで話が散漫のままのような気がしますが何となくまとめが入っていて、そちらを見るとこのように効果と副作用とかの話がどどーんと出てくるという形。


『このほか、委員は、金融政策運営に関する情報発信のあり方についても議論を行った。』

ほうほう。

『一人の委員は、地方の有効求人倍率や中小企業の収益、雇用者報酬等が改善しているにもかかわらず、金融緩和の効果が地方経済や中小企業、個人に行き届いていないとの指摘があるため、引き続き、金融政策の考え方や効果を丁寧に説明していくことが必要であると述べた。』

マクロとミクロは別ですけれども、そういう指摘があるというのは政策が国民厚生の向上に対してまだうまく回っていない部分があるっちゅうことですわな。再分配とかの問題もあると思うからそういうの説明するだけじゃなくて政府にも注文付けたらどうなのよとは思うけど。

『また、一人の委員は、政策運営にあたっては、様々な経済・物価の下振れリスクへの備えが重要であり、特に予想物価上昇率の動向を重視していると述べたうえで、人々のインフレ予想にも効果的に働きかけられるよう、各種の学術研究も参考にしながら、情報発信の方法を常に改善していく必要があると指摘した。』

???????????????????

というか「各種の学術研究も参考にしながら」というのが凄まじく脱力な訳で、世界標準の金融政策とやらを行ったら2年で2%なんぞ楽勝で達成できるのに全然それをやろうとしない白川日銀は無知無能というような話をして石持て追い出した結果、世界標準の金融政策を実施しても達成できないという事案が今まさに発生しているのに、そこで「各種の学術研究も参考にしながら」とか平気で言っちゃうのはさすがにちょっと何なのと思ってしまう訳ですけど。

『ある委員は、日本銀行が、あたかも物価上昇さえ達成できればよいと考えていると誤解されているケースが少なくないとしたうえで、こうした点も意識した適切なコミュニケーションを続けていくことが、金融政策に対する信認を確保し、結果として、2%の実現に向けた政策の自由度を高めることにもつながるとの見解を示した。』

「インフレ物価目標2.0%で日本は変わる」って宣伝してたのを忘れたとは言わせない訳で、誤解を解きたかったら置物が表に出てきて焼き土下座してからにしろと思うのですが、置物日記(読んでるのですが一々ツッコミどころでツッコミながら読むと中々話が進まんので置物日記日記の続きはもう暫く待ってちょ)とか出している位なので甚だ残念ですが、まずは現在の政策枠組みが増築に増築を重ねた温泉旅館というか、リフト増設しまくった90年代の苗場スキー場というかな状態なのをスクラッチで綺麗にする、当然その間に置物焼き土下座ショーが入る、というプロセスを経ないとコミュニケーションに関してはまあ無理があるじゃろうのとしか思えません。


まあしかし全体を通してみると、「意見がかみ合って話が進んでいる」という感じがしなくて、言いたいことを言っているんだがその議論の中でコンセンサスを取っていこうというプロセスがあるのかが疑問を感じるような内容になっている気がします(議論の結果一致したみたいな表現がないからなのかも知れんけど)。まあ次回の展望レポートでの議論の書き方も見ていきたいなとは思います。


〇ひえー総裁会見やってる時間がない(すいませんすいません)

議事要旨ネタをサラサラ流して総裁会見、とか思っていたのですが、ついうっかりまた悪態ついたのと、そもそも立冬という事もありましてお布団が(ただの寝すぎの言い訳)ということですいませんすいません完全にネタが遅れております(麿のさっきのURL先をじっくりと読んでしまったのも不覚であった)。

でまあ総裁会見も何だかなーという感じですが、いろいろと遅れておりますので明日はある程度追いつかせる気合で参りますのでご勘弁賜りたく候。




2018/11/06

お題「総裁講演のトーンが微妙に違うんですが/また登場する英文ディスカッションペーパー」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181105/k10011699471000.html
外国人材受け入れ拡大法案 首相「わかりやすく周知徹底」
2018年11月5日 19時38分

『この中で、安倍総理大臣は、外国人材の受け入れを拡大するための法案について、「深刻な人手不足に直面する中小企業の声に応えなければならない。国民の懸念に応え、わかりやすく周知徹底したい」と述べ、丁寧に説明し、理解を求めていく考えを強調しました。』(上記URL先より)

雇用の改善をアベノミクスの成果と誇ってみたり、一転して深刻な問題扱いしたりとご苦労な事ですなあwwww


市場は相変わらずの先物サガランチ会長ぶりを発揮していましたが、昨日は日銀からぶち込まれた新着情報が色々と味わいがあったので優先順位(?)順に日銀から出てきた紙を確認するでござるの巻。


〇名古屋での総裁講演は政策運営絡みの説明がきな臭い件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181105a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──
日本銀行総裁 黒田 東彦


・物価の話の辺りから参ります

最初が経済情勢の話で、こちらは展望レポート(本文の続きがネタにするする詐欺でまだやっておりませんすいません)の通りなのでスルーしまして、物価の話の辺りから参ります。

ちなみに今からネタにする部分は実は展望レポート基本的見解の方でも説明があるので、ネタを後回しにしたら先に講演が来ました状態で甚だ遺憾の極みではあるのですが(汗)。

『続いて、物価情勢についてお話しします。わが国の消費者物価は、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて、なお弱めの動きを続けており、生鮮食品やエネルギー価格を除いた消費者物価の前年比は、ゼロ%台半ばで推移しています(図表7)。』

『この背景には、主に2つの要因があると考えています(図表8)。第1に、長期にわたる低成長やデフレの経験が、人々のマインドに大きな影響を及ぼしているということです(図表9)。』

とありますが、こちらの内容はいつも通りの話なので割愛しまして、展望レポート基本的見解の鏡にもありました、今回昇格して並列の理由扱いになったこの部分を確認しましょう。

『物価上昇に時間を要している2つ目の背景は、企業における生産性向上に向けた取り組みや、それを促進する近年の技術進歩、女性や高齢者の労働参加の高まりなど、モノやサービスを供給する側のビジネス環境の変化です。』

先日も申し上げたように、前回の展望レポートは物価の上昇が遅れている理由の話をしていましたが、この時にはこの材料は「このような面もある」というような感じでオマケ扱いだったのですが、しらっと今回の展望レポートから並列メインの理由に昇格したわけですよ。

『こうした要因は、景気が拡大してコストが上昇する中にあっても、企業が値上げに踏み切らずに済むことを可能にしています。誤解のないように申し上げますが、これらの取り組みは、経済全体の成長力強化に繋がるものであり、わが国にとって好ましい動きです。』

>わが国にとって好ましい動きです
>わが国にとって好ましい動きです
>わが国にとって好ましい動きです

つまり我が国にとって好ましい動きによって物価の上昇が遅れているのだから悪いことではない、と規定している訳で、2年を念頭に2%をできるだけ早期に達成するという話は何だったのかと小一時間問い詰めたいのですが、物価が上がりにくくて全然2%目標に届かない、という現状を思いっきり正当化する話をぶち込んできた訳でして、これは物価目標未達でも実際には状態が良いので政策調整が、みたいな能書きを垂れながら政策をいじってくることも可能(やるとは言っていない)という素敵なロジックですな(まあ昨日急に出たのではなくて展望レポートで出た訳ですが)。

『物価の面でも、将来の成長期待の高まりは、企業や家計の支出行動の積極化に繋がり、長い目でみれば、物価の押し上げに寄与すると考えられます。ただし、少なくとも短期的には、賃金や物価の上昇圧力を弱める方向に作用することになります。


まあこれとは別ネタになるかも知れませんが、確かおじちゃん原油価格下がっている時も最初そういう説明していませんでしたっけ??????????後から適合的期待形成がとか言い出したけど。


『ここまで、物価が上がりにくい理由を説明してきました。実際、わが国の物価は、景気の拡大に比べて弱めの動きを続けています。しかしながら、その一方で、既にわが国は、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなっています。生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、振れを伴いつつもプラス幅の拡大を続けており、2%にはなお距離があるとはいえ、足もとでは、その半分の前年比+1%程度まで上昇してきています(図表 10)。』

日銀版コアを作っているのにそっちでは説明しないんですね!(ちなみに図表7では日銀版コアも入っている)


・でまあ金融政策の話ですけれども

『4.日本銀行の金融政策運営』もボーっと見ます。

『ここまで、わが国の経済・物価情勢についてご説明してきました。ここからは、私どもの金融政策運営についてお話しします。


ちょっとチャーミングだったのはフォワードガイダンスの部分。

『第1に、政策金利に関する「フォワードガイダンス」を導入しました。これは、将来の政策金利水準について、あらかじめ約束し、強力な金融緩和の継続スタンスを明確にするための手法です。具体的には、「2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」ことを、対外的にコミットしました。』

ってありまして、この前の大阪での経済団体との会合における講演(挨拶)ではこの説明に加え、フォワードガイダンスの期間に関して「当分の間」というのが分かりにくいかもしれませんが声明文の英語版を見ると分かりやすいですよ、という割と掟破りな説明をして、ガイダンスの期間が長いことをアピールしていたのですが、今回はそのような追加説明はなくなっておりまして、日本語のガイダンス(英語のガイダンスの方が明らかに「長期間」を連想させる書き方になっている)で説明していたので、あれこの前の大阪と違うじゃんと思いました。

なお掟破りなのは、対外公表文として金融政策決定会合の議決を経ているのは日本語の声明文だけであって、英文の声明文はあくまでもコミュニケーションの補助ツールという建付けなので、政策決定によって決まった政策運営に関する説明は日本語の対外公表分ベースで行うべきものであって、日本語の対外公表分を玉虫色にしておいて、この部分は英文を読んでください、とするのは政策決定会合の決定を骨抜きにしかねないことですよ、という理由ですな、大阪での講演をネタにした時に申し上げましたが。


でまあそのあと副作用の話がありまして、これまた展望レポート(や決定会合後の記者会見)にあるような話をしているのでまあ飛ばしまして、このコーナーの結論部分が割と腰が抜ける書きっぷりになっていまして、ヘッドラインにもなっていましたが市場ちゃんは特に反応しないという事態になっていましたな。

『この5年間、わが国の経済ははっきりと改善しました。企業収益は過去最高となり、雇用環境も大きく好転しています。物価の面でも、デフレに苦しんでいた5年前に比べれば、着実に改善しています。』

ほほう。

『かつてのように、デフレ克服のため、大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています。』

>大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています
>大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています
>大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています
>大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています
>大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

まあこの部分ですが、もちろん追加金融緩和を否定しているのはその通りだと思いますが、この理屈(屁理屈)ってしらっと政策を調整するのにも使える理屈でして、「経済のステージが変わったのでそれに適合的な金融政策を実施すべき、そのためにいま必要なのは大胆な緩和ではなく、大規模ではなくても着実に長期間緩和を継続することである」と言い出して(まあ既に「需給ギャップがプラスの状態を長く続けるのが重要」というような説明をしていて、大胆な政策じゃなくて細く長くというような説明になし崩し的に変化していますけど)、大規模資産買入を前提にした政策じゃない枠組みにするとか、マイナス金利のような大胆な(量じゃないから大規模じゃないけど)政策を解除するとか、そういう話を可能にする屁理屈な訳ですな。

『しかしながら、「物価安定の目標」である2%の実現にはなお時間がかかっている状況でもあります。このように、やや複雑な経済・物価の展開のもとでは、金融政策もまた、政策の効果と副作用の両方をバランスよく考慮しながら、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要になってきています。日本銀行としては、今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切な政策運営に努めていく方針です。


と締まっていまして、どちらかといえば先日の総裁会見(昨日ネタにした奴)は下方リスクを強調した説明で、出口とか知らんがな、でも追加緩和もしませんよ、という感じで、まあこの部分も「追加緩和はしません」というのはありますけれども、先般来の講演やら会見やらと比較しますと、なんかまたトーンが政策見直し方向にややバイアスがかかったニュアンスになっていますな。


・会見は今日出ますので・・・・・・・・・

でもって今回のは会見もあって、会見要旨は今日出てくると思いますけれども、ヘッドラインを見た感じだと何か投げやり感の漂うようにも見えまして、ちと妙だなという風にアタクシの山勘は思う訳ですが(個人の山勘です^^)、この次にネタにするオモシロペーパーが同時にリリースされている辺り、ちょっと政策見直し(諦めの出口)の可能性だってありますよ、という陽動作戦に出てきたという気が思いっきりするのですが、個人の山勘なので違っていても知らんがなですからそこは一つよろしく。



〇日銀の中の人ではない方のディスカッションペーパーとはいえこれはまた大胆な物件が

最近また英文のディスカッションペーパー(邦訳無し)でしらっと物件が出てくる攻撃が続きますが、昨日のは中々腰が抜けた。

物件概要
http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/18-E-16.html
Discussion Paper Series 2018-E-16
Macroeconomic Effects of Quantitative and Qualitative Monetary Easing Measures

物件本文(以下本文から引用します)
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/18-E-16.pdf
Macroeconomic Effects of Quantitative and Qualitative
Monetary Easing Measures
Junko Koeda
Discussion Paper No. 2018-E-16

著者は本文見ますと『* School of Political Science and Economics, Waseda University』とのことですので、日銀の方ではないのですが、『This paper was prepared in part while the author was a visiting scholar at the Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan. The author is grateful for the research opportunities at the Institute for Monetary and Economic Studies at the Bank of Japan.』とありますので日銀金融研究所の関連ですわな(そもそもそうじゃなかったら日銀のサイトに出てこない)という物件。

でまあアタクシ頭が悪いので最初の『Abstract』とか第一章の『1 Introduction』を読んでもウンウン唸るという残念な事態になっていたのですが、(その先は大体計測モデルの説明になるので更に分からん)唸りつつ結論の所に来たら中々シャレオツな結論が待っておりました。


・確かにこの計測すればこういう結論になるんだけど日銀のディスカッションペーパーで出すには中々の物件

本文19ページ、PDFファイルだと22枚目になりますが、『6 Conclusion』ということで結論がありますのでそこを鑑賞する訳ですよ。

『Using macroeconomic and financial data until the end of 2016, our empirical evidence shows that since the implementation of QQE,』

ということで、まあそもそも論としてQQEぶっこんでから2016年末までのデータを元に分析をすれば、そらそうよという結論になるのですが、以下は笑ってしまうしかない。

『・Boosting the size of the BOJ’s balance sheet alone does not robustly increase inflation and output. Qualitative easing is a complement, but at the cost of unwinding QE;』(原文はrobustlyがイタリック体)

日銀のバランスシートを拡大すること単独ではインフレや生産を力強く引き上げない。質的な緩和は補完的に作用しているが、政策を閉じる際に発生するコストを伴う。

『・Lowering the inflation threshold in the forward guidance is not necessarily contractionary if trend growth is sufficiently strong; and』

フォワードガイダンスにおいて設定されるインフレの数値(インフレ目標値ではない)を引き下げることはトレンドグロースが十分に強い中においては必ずしも問題を起こすものではない。

『・Raising the ELB can be expansionary. However, our estimates do not explicitly model the risk of Japanese government bond holdings in a rising policy rate environment.』

ここのELBってのは「effective lower bound of nominal interest rates」で、何のこっちゃという感じですが、本文16ページの辺りで『4.3 Effects of an increase in ELB』というのがあって、

『Suppose the BOJ had moved back the ELB from ?0.1% to 0% in the base period of September 2016, which is under the Z regime. The effect of this ELB can be captured by ・・・・・・・・(以下割愛)』

とかになっていまして(Zはゼットじゃなくて数学で使うようなラテン文字みたいです)、要は利上げしても実は拡大的の可能性もあるというような話でして、そらまあ確かに2013-2016のデータ使ったらQQEは役立たずとかマイナス金利は役立たずとかそういうのが出てくるわなと思いますが、この内容に関してもう少し理解しようと思って本文を泡を吹きながら読みますと、本文4ページ、つまり『1 Introduction』のところになりますが、こないな分析してまっせという説明になるんですけどこんなのが。


『Further, we conduct nonlinear counter-factual analyses to quantify the macroeconomic effects of

(i) Raising the ELB
(ii) Lowering the inflation threshold in forward guidance.5』

ということでさっきの結論のポツ2とポツ3の話ですが、

『More specifically, we increase the ELB from -0.1% to 0% and lower the inflation threshold from 2% to 1% in the base period of September 2016 (the month in which the BOJ announced a new policy framework, including yield curve control and an over-shooting commitment,6 along with its comprehensive assessment of QQE). 』

上記にもあるようにこの時に有ったフォワードガイダンスはYCCの継続期間のコミットメントとオーバーシュート型コミットメントになりますが、それに加えてマイナス金利解除というのもあるとか実にチャーミング。

『Regarding (i), we find that an increase in ELB can be expansionary. It is accompanied by a drop in real interest rate, where inflation rises at an earlier and faster pace than nominal policy rate. This finding that an increase in ELB can be expansionary is not without theoretical possibilities, such as the effect of reverse interest rate (Brunnermeier and Koby, 2017), that of the central bank’s information (Nakamura and Steinsson, 2013), and that from a neo-Fisherian environment (e.g., Uribe, 2018).』

>such as the effect of reverse interest rate (Brunnermeier and Koby, 2017)
>such as the effect of reverse interest rate (Brunnermeier and Koby, 2017)
>such as the effect of reverse interest rate (Brunnermeier and Koby, 2017)

さてここで昨年11月13日のチューリッヒでの総裁講演を確認しましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171114a.htm/

『このほか、金融仲介機能への影響という点では、最近、「リバーサル・レート」の議論が注目を集めています11。』『11Markus K. Brunnermeier and Yann Koby (2017), "The Reversal Interest Rate: An Effective Lower Bound on Monetary Policy," mimeoを参照。』(以上、直上のURL先、黒田総裁2017年11月13日チューリッヒでの講演邦訳より)

という訳で、思いっきり(Brunnermeier and Koby, 2017)ってこの前黒田さん講演で出てきたリバーサルレートじゃんという大変にお洒落なものになっております次第(本文の方では「利上げをしても拡張的になる可能性がある、というのは必ずしも理論的根拠を欠くものではなく、例えば(Brunnermeier and Koby, 2017)のリバースレートのような先行文献があります」って言ってます、と思います)。

以下元々のペーパーの本文からの引用を続けまして、先ほど引用した部分の続きをば。

『Regarding (ii), we find that weaker forward guidance does not negatively affect inflation or output if trend growth is sufficiently strong. This finding that weaker forward guidance is not necessarily contractionary may deserve some explanation.78 』

フォワードガイダンスを弱めてもトレンドグロースが十分に強ければ必ずしも物価や生産に悪影響を与えるわけではない、という話で以下説明部分があるのですが、頭が悪いので(というのもあるが時間がないので)以下は皆さん本文を読んでちょ、というかどこかの物好き何とかストがネタにしてくれるかも知れませんな。


しかしまあ何ですな、これ実はもう一つお洒落なポイントがありまして、冒頭のアブストラクトのページに謝辞とヘッジクローズ(これは著者の見解であって日本銀行の公式見解とは関係ありません、って奴)があるのですけど、その謝辞を見ますと・・・・・・・・・・・

『The author is grateful to the reviewers for most valuable comments. The author thanks Shin-ichi Fukuda, Yutaka Harada, Fumio Hayashi, Ryuzo Miyao, Taisuke Nakata, Mototsugu Shintani,Etsuro Shioji, Shigenori Shiratsuka, Tomohiro Tsuruga, Kazuo Ueda, Kozo Ueda, and Yoichi Ueno for their helpful comments. The paper benefited from presentation at the Bank of Japan, Hitotsubashi University, Institute of Statistical Research, JSME, RCAST Macroeconomic Analysis Workshop, and Waseda University (Center for Positive Political Economy). 』

錚々たる方への謝辞があるのですが、その中で異彩を放つ「Yutaka Harada」ってのがありまして、こんな結論のペーパー見せられたらその場で破り捨てるんじゃネーノと思ったのですが、なんでまた謝辞にお名前が載るんじゃと不思議に思うのでした。同姓同名の別人28号っていないですよね・・・・・・・・・


#決定会合議事要旨は本日は時間がないのでパスしますが、「何か全然まとまってないけど大丈夫か」というのが印象です








2018/11/05

お題「中期輪番予想の下限まで減額とな/総裁会見は普通に想定問答で来ています」

ふーん。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181103/k10011696851000.html
外国人材 最初の1年間の受け入れは4万人程度と想定
2018年11月3日 5時05分

あっという間に人数の話とかノーズロになってしまうに1万ドラクマなわけですが、人手不足だから呼びますとかじゃあ人手不足解消したらホイホイと送還するとかいうようなそんなの無理じゃろというのを前提にした安易な発想で法案作っている(労働者が必要とか言ってる経済団体のトンチキ野郎どもはそれ以前の知能レベルで単に自分の会社の事しか考えていない)としか申し上げようがないんですけど。


〇中期輪番は予想の下限で実施してきましたが特段崩れずとな

んな訳で輪番。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181102.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,500 2018年11月5日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2018年11月5日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年11月5日

・・・・・・・・ということで、1−3はレンジの中央の3500億円、3-5は3000-5500と来ていましたので中心が4250億円ですけどその刻みは無かろうということで4200-4000かなとか思われたところ(3900以下にするとレンジが3000-5500となっていたのがインチキにも程があるという話になるので、もし3900だのにするなら最初の時点で3000-5000にしておかないと、とはさすがに思う)、下限の4000億円でオファーでした。

しかしながら輪番そのものでは相場がコケることもなく、輪番結果堅調ということで確りした相場だったので輪番減額はスムーズに行ったという感じ(入札への影響は次以降の入札をみないといかんですが)でしたが、債券市場自体は最後にトランプ砲が出たので押してしまいましたな。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1XD2H2
東京外為市場ニュース2018年11月2日 / 15:18 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反落で引け、長期金利0.125%に小幅上昇

『 <15:12> 国債先物が小反落で引け、長期金利0.125%に小幅上昇

国債先物中心限月12月限は前日比1銭安の150円64銭と小反落して引けた。前日の米債高に加えて、日銀が中期・長期を対象に実施した国債買い入れが好需給環境を反映した結果となったことから、一時150円75銭まで水準を切り上げた。午後中盤に入ると、米大統領が中国との貿易合意の草案作成を当局者に指示したとの一部報道をきっかけに、日経平均株価が上げ幅を拡大すると、短期筋の売りが出てマイナス圏に沈んだ。』(上記URL先より、以下同様)

まあ相場そのものの流動性がどうしたこうしたというのが好転したとはあんまり思わないですけれども(個人の感想です)、最近は一応外部環境ネタを受けて微妙に買われたり売られたりして値動きをする分だけ少しマシになっているような気がせんでもない。

『現物市場は軟調。朝方から長期・超長期を中心に一部国内勢の買いが観測され、金利低下圧力が掛かったが、日経平均株価が一段高の展開になると、利益確定売りに押された。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp高い0.125%に小幅上昇。短期金融市場で、無担保コール翌日物の加重平均レートは前日(マイナス0.071%)並みになる見通し。週末を迎えたが、資金調達需要は高まらず、マイナス0.04─マイナス0.086%を中心に取引された。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.2836%、平均落札利回りはマイナス0.2980%と、前回(最高:マイナス0.2958%、平均:マイナス0.3211%)に比べて上昇した。』

3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181102.htm

(3)募入最低価格 100円07銭7厘0毛(募入最高利回り)(-0.2836%)
(4)募入最低価格における案分比率 10.9941%
(5)募入平均価格 100円08銭0厘9毛(募入平均利回り)(-0.2980%)

ということで先週まで入札がじりじりと強くなっていて▲30bp台が普通という状態になっていてナンジャソラという感じでして、まあこの水準も大概に強いのですけれども、▲30台定着はしないで結構という所ですな。


・・・・・・・でもって今回は中期なので量が稼げるということで、月額で1−3が1000億円、3−5が1500億円の減額ができましたので、さてこれで来年の買入何ぼになるんじゃいのというのを恒例の計算してみました。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

こちらから銘柄別残高を取ってきて償還順に作り直して(各銘柄の償還日は売買参考統計値のページからエクセルで落とせる)ヘコヘコと計算してみました(ので本人はあっているつもりですが違っていたらすいません)ところ、こんな感じになりました。

昨年12月末時点での日銀保有長期国債
営業毎旬ベース:418兆5,169億円
額面ベース:407兆5,794億円

10月末時点での日銀保有長期国債
営業毎旬ベース:454兆2,876億円
額面ベース:442兆8,526億円

なので今年の増加は今の所
営業毎旬ベース:35兆7,707億円
額面ベース:35兆2,732億円

でして、営業毎旬ベースと額面ベースって残高でみると差異はあるのですが、差分を見る分に関しては額面ベースで考えておいても大差ないということで良いと思いますので額面ベースで出したものを見ながら考えていくということにしませう。

でもって今年償還が来る長期国債の額面合計が11兆4,320億円になります。

今の買入が
−1年:500×2
1-3年:3500×4
3-5年:4000×4
5-10年:4500×5
10-25年:1800×5
25年-:500×5
変国:1000×0.5(隔月)
物国:250×2
になっていて、1年未満に関しては基本的に短いのが入るので残高増加に寄与しないという置きにしますと、月間の買入額面が6兆5,000億円になっています。

となりますと、2018暦年の国債残高増加見込みは、352,732+65,000×2−114,320=368,412となりまして、今年の暦年での国債買入残高増加は37兆円ペースとなりました(12月また減額すればもうちょっと減りますけど)。

さらに2019年がこのままのペースだとしますと(たぶん減額はするのでもうちょいペースは落ちるけど、そこまで派手にはやらないで地味に隙あらば減額という感じでしょうな)、来年は償還が52兆48億円で、月額6.5兆円が12カ月で計算すると78兆円の買入になりますので、差分は25兆9,952億円となりまして、まあ多いちゅうのは変わらんですけれども、でもまあ随分と減って来ましたので、この調子で減らす(と言ってもMB拡大しないといけないから0だの1兆円だのという訳には行かないですけど)とYCCという存在があるからどうしようもないにはどうしようもないものの、買入自体のサステイナビリティはちったあ上がるじゃろとは思いますので、どさくさに紛れて良く頑張った(褒めてないように見えるが褒めてる)!!感動した!!ということで計数の確認をするの巻なのでした。


〇総裁記者会見は今回は見事に想定問答を連ねている

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk181101a.pdf

・海外経済のリスクについて

最初の「今日はどうでしたか」という実質質問じゃない質問の次がこの質問。

『(問) 世界経済のリスクについてお伺いします。総裁は今月上旬にインドネシアで開かれたG20会議に出席した際に、米中の貿易の問題は世界経済に悪影響を及ぼすとのご認識を示されていまして、IMFも 18 年以降の世界経済の見通しを下方修正しています。足許で米中の貿易摩擦の問題は、実際にどのような形で世界経済にリスクとして及び始めているのでしょうか。特に中国景気の減速が懸念され始めていますが、それが世界や日本に与え得る影響についてもご見解をお願いします。』

今回展望レポート基本的見解でも海外のところを下げているのでこれは順当な質問。

『(答) 最近のいわゆる保護主義的な通商政策の影響は、米中間など一部の貿易活動にみられますが、グローバルな製造業の業況感が緩やかな改善を続けるもと、多くの国で内需が増勢を維持しており、世界経済は、総じてみれば着実な成長を続けていると判断しています。』

展望レポートの見通しでもメインのシナリオは(特に国内が一巡する2019年半ば以降は)海外が引っ張って成長していく、という絵になっているのでこの説明は順当。

『ただ、各国経済の相互依存関係が一段と深まる中で、こうした保護主義的な政策は、先行き、当事国だけでなく、いわばグローバルなサプライチェーンを通じて、世界経済全体に影響を及ぼす可能性があります。その影響度合いについては、貿易活動に加えて、家計や企業のマインドや金融市場にどの程度波及するのかという点にも大きく依存すると思います。この点は、IMFの世界経済見通し等でも指摘されています。』

順当な説明ですが、そんなにリスクあるのにその割には「モメンタムは維持」なんですよね。

『中国経済については、投資関連の指標などにやや弱めの動きがみられているほか、先行きも米国による関税率引き上げがあれば相応に影響があると思われますが、今のところ、当局が財政・金融政策を機動的に運営するもとで、概ね安定した成長経路を辿るとみています。』

これまた下だ下だというと追加緩和の話になり、追加緩和と言っても最早やったら副作用という状況になっている中で追加緩和もできないので(つーか寧ろマイナス金利撤回した方が追加緩和になるんじゃなかろうか、今の状況ってマイナス金利が単なる金融課税状態になっているだけだと思うので、実は引き締め的な政策なんじゃなかろうかという事も含め)、追加緩和の話に繋がることはこうやって大本営発表をするか、物価がアガランチ会長の説明をするときのように(展望レポートの最初の所にあった「生産性の向上」「技術の革新」を堂々と物価の上がらん並列メイン理由に昇格させる奴な)悪いように見えますが実は良いんですという大技の説明をする、という風にして追加緩和を避けようというのはこの辺を見ても確認できるというものです。

『わが国の経済への影響についてみますと、先日の短観やこの間のヒアリング調査等を踏まえれば、これまでのところ、米中間の貿易摩擦の影響は限定的なものにとどまっていると思いますが、他方で、企業からは、現時点で、この問題の影響を正確に見積もることは難しいとの声も聞かれるほか、この先、こうした貿易摩擦が長期化するようなことがあれば、IMFも指摘しているように、マインドや金融市場の不安定化という経路を通じた影響が拡がる可能性もあります。』

こういうのは普通マズイという話になるんだが(まあトランプなんでいきなり豹変して何もなかったかのように元に戻る可能性はありますけど)。

『日本銀行としては、保護主義的な動きの帰趨とその影響を、わが国経済の先行きに関するリスク要因の 1 つとして認識しており、今後とも注意深くみていきたいと思っています。』

ということで多分想定問答集通りなのですが、まあ慎重な言い方はしていますな。


後の方でさらにしつもんが。

『(問) 今回、経済の見通しについて、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きいと書かれていますが、具体的にどういうリスクに注目なさっているでしょうか。先程、中国に関して言及があったように、中国、それからヨーロッパの指標ではよくないものが出てきていますし、ドイツは政治的に揺らいできている面もありますが、その中でどういったリスクが日本にどのような影響を及ぼすとみていらっしゃるでしょうか。』

うむ。

『(答) 公表文にもありますように、保護主義的な動き、最も典型的には米中の貿易摩擦がエスカレートしている状況ですが、こうしたことが米中のみならず、世界貿易や世界経済に与える下方リスクは、一番注目しているところです。その他、米国の金融政策の正常化を通じて、米国の金利や為替が上昇し、それが新興国にも資本流出や為替の下落をもたらすリスクは潜在的にあると思います。今のところは、アルゼンチン、トルコといったマクロ経済のファンダメンタルズが非常に脆弱な特定の国に影響が出ているだけで、新興国全般に影響が出てはいませんが、やはり、潜在的なリスクはあると思います。』

ほほう。

『こうした 2つの点は、先日、バリで行われたIMF世銀総会の際のG20やIMFC等でもしばしば言及されたリスクです。』

今回はIMFの指摘を踏まえまして〜で説明をするのが目立ちます。

『その他、ご指摘のように、欧州経済は回復しているが、このところやや減速気味であるとか、ブレグジットの交渉がなかなか進んでいないとか、イタリアの財政政策を巡り色々な議論が行われているなど、様々なリスクについてよくみていく必要はあると思いますが、やはり保護主義のリスクと、新興国経済が世界的な金融の状況により影響されるリスクが、国際的に最もよく議論されていると思います。』

ということですが、「国際的に最もよく議論されていると思います」なのであって、じゃあ日銀はどうなのよとゆーのは華麗に避けて通っているのも、「これ」と特定した時に追加緩和とかの話と結び付けられるのが困るというのがあるんだろうなあと勝手に邪推致しました。


・下振れリスクでの金融緩和ですが

ってな質問群の先にはこんな質問が。

『(問) 先行きの経済・物価は下振れリスクの方が大きいということですが、今後そうしたリスクが顕在化した場合の金融政策対応についてお伺いしたいと思います。超低金利に加えて金融緩和の副作用が拡大している分、従来よりも追加措置を行う場合の判断は難しさを増しているかと思いますが、この点について総裁のご見解をお伺いします。また、その関連で、現在のイールドカーブ・コントロール政策では、長期金利が−0.2%程度まで低下することを許容していると思います。その意味では、ある程度経済・物価の下振れにも対応できる枠組みになっているのではないかと思いますが、その点について総裁のお考えを伺わせてください。』

ほうほうこれは良い質問。

『(答) 下振れリスクがあり、そのリスクのかなりの部分が海外からくる可能性があるということは、この展望レポートにも示されている通りですが、仮にそうしたリスクにより、経済や物価、金融市場等に大きな影響が出てきたときには、金融政策の対応もあり得るわけです。』

「あり得る」とはお洒落な説明、昔なら「断固として追加措置」って感じでしたので隔世の感があります。

『その際に、どのようなことがあるかといえば、一昨年、「イールドカーブ・コントロール」を導入したときにも申し上げた通り、金利の引き下げ、マネタリーベースの拡大、資産買入れの拡大など色々な手段があり得ると思いますが、今のところ、メインシナリオではそのようになっていませんので、リスクを注視しているところです。』

今のところ、と来たので、YCC導入当初の声明文にあった・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf

『(3)追加緩和手段

具体的な追加緩和の手段としては、「イールドカーブ・コントロール」の2つの要素である@短期政策金利の引き下げとA長期金利操作目標の引き下げを行うほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきたB資産買入れの拡大が考えられる。また、状況に応じて、Cマネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもある。』

(上記URL先:2016年9月21日金融政策決定会合声明文「金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」」から)

の説明でもおっぱじめるのかと思って思わず正座してしまう訳ですが、知らんがなとなってしまうあたり、2年間の間に随分と骨抜きして軟体動物金融政策になったものだと思います。

以下総裁会見質疑応答に戻りまして(よって以下の引用は最初のURL先の総裁定例会見に戻ります)、今の説明の続きを見ますと、

『また、「イールドカーブ・コントロール」で 10 年物国債金利がゼロ%程度というときに、今年の前半までは±0.1%程度の狭い範囲で動いていましたが、それはやや極端で、その倍くらいの幅で動いても全然おかしくありません。経済・物価・金融情勢によって、そのような変動が起こることはある意味で当然ですので、今おっしゃったようなこともあり得るとは思います。』

『具体的に大きな下方リスクが顕在化して、経済・物価見通しに大きな影響が出てくるということになれば、金融政策自体を調整することになると思いますが、今のところ、そのような状況にはなっていないと思います。』

2%を出来るだけ早期に達成するためには何でもやるとか吹いていた黒田さんがすっかりと想定問答棒読みマンと化して骨だか魂だか知りませんけど抜け抜けモードで腑抜けになっていますなあという以外の感想はないのですが、まあ想定問答では追加緩和の具体的な思惑が出ないように言葉を選ぶ、というのがあるわなあとは思いました。


・債券市場の機能がどうしたこうした

最初の方の質疑に戻りまして、

『(問) 7 月末の金融緩和の修正から 3 か月がたちました。総裁は市場機能の改善に必要な措置とご指摘されましたが、3 か月たちまして、金利形成や取引の活性化に関して当初想定した通りの効果が得られていますでしょうか。市場機能の改善に引き続き課題があれば、その点についても教えてください。』

正直10月まではナマコのままでして、今月の入札日翌日やらない攻撃がどう効くのかという話ですが、中間選挙終わるとネタ切れの悪寒も。

『(答) 7 月の決定会合以降、国債市場では、現物、先物ともに取引が幾分活発化して、日々の値動きもある程度高まってきています。本年前半には、株価や米国の長期金利が変動しても、日本の国債金利は殆ど反応しないといった状況がみられましたが、7 月の会合以降、そうした価格の連動性も回復しつつあるように思われます。従って、いわゆる市場の機能度という点からは、国債買入れを弾力的に運営するもとで、一頃よりも改善してきているということは言えると思います。』

他市場の動きに反応しないのはあんまり変わってないと思うがまあそれは兎も角。

『ただ、「イールドカーブ・コントロール」というものが、そもそも長短金利を低位に安定させることを通じて、経済活動を広く刺激することを目的としていますので、市場機能に一定の負荷をかけ、金利変動を抑制する面があることには留意が必要だと思っています。そのうえで、日本銀行としては、こうした副作用が大きくなり過ぎて、政策効果を却って阻害することにならないよう、引き続き市場の動向をよく点検していくつもりです。』


さらっと副作用という言葉が出てくるようになっているのは変動容認の効果(というか副作用を意識しないとさすがにマズいと負ったから変動を容認したんでしょうが)。

ちょっと後の質疑。

『(問) 先程言及のあった債券市場への 7 月末以降の影響について、多少機能が回復してきているという言及はあったのですが、一方で先日も 10 年物国債の値付けができない事態も発生しています。今後更に市場の機能の阻害が疑われるような事態になったときに、日銀としてどのような手立てがあるのかお聞かせください。』

まあ無いんですけどね。

『(答) 値動きの幅が非常に小さくなりますと、あるときに需要と供給が突き合わなくなって、取引が成立しないことが起こり得るわけですが、』

??????????

『このところは少なくとも今年前半のような状況ではありません。』

??????????

『7 月末の決定会合以降、変動幅はある程度広くなって、需給の突き合いがつかないケースはかつてに比べると非常に少なくなっていると思います。依然として値動きの幅はそれほど大きくなっているわけではないので、そうしたことも起こり得ると思いますが、基本的には、あくまでも 10 年物国債の操作目標はゼロ%程度であり、ある程度の幅をもって変動し得るということで、長期国債の買入れについてもある程度弾力的にやってきていますので、更に市場機能が低下するとは考えていませんし、そうした心配はないと思います。』

どう見ても蒟蒻問答です本当にありがとうございました。

『ただ、経済・物価・金融情勢次第では色々なことが起こり得ますので、そうしたことには適切な対応を必要に応じて講じていくということに尽きると思います。市場機能がこれ以上低下していくようなことはないと思います。


いやお前買入拡大してストック効果が効くんだから更に低下するじゃろ、と思いますが、副作用とかさっき言ってしまった手前、あまり余計なことを言うと「副作用を緩和するには買入減額」という当たり前の結論の話に帰結してしまいますと甚だマズーなので(何せ80兆円の文言も削除できない状態ですから)、急に説明が蒟蒻問答になってしまうのは致し方ない、というのもありますけど今回の会見って黒田さん見事に想定問答の振り付け通りに喋っているなあというのが字面を見て思うのでした。


・物価のモメンタムの説明は風前の灯火

『(問) 本日の展望レポートで、物価の見通しが 18 年度以降、全ての期間で、下方修正、引き下げられました。物価がなぜ上がり難いのかの検証を踏まえた7 月の見通しから、更に下振れた形になるわけですが、この要因について、総裁はどのようにご認識をされているのでしょうか。あわせて、物価上昇に向けたモメンタムは変わらず維持されているとお考えなのか、例えば、モメンタムが弱くなっていることはあり得るのか、お願いします。』

『(答) まず、2018 年度の物価の見通しについて、幾分下振れしたことは事実ですが、2019 年度、2020 年度については、殆ど変わっていないのが実態だと思います。足許の物価がやや弱めであったことから、2018 年度の見通しが 0.2%程度下振れしましたが、物価を巡る全体のピクチャー、状況は大きく変わったとは考えていません。』

0.2%が「幾分下振れ」で0.1%が「殆ど変わっていない」というその差は何????????????

『そのうえで、いわゆるモメンタムの面では、非常に重要な点は、1 つは需給バランス、GDPギャップがどうなっているかですが、これはプラスに転化して、ずっとプラスが続いています。更には、失業率も極めて低い 2.3%ですし、有効求人倍率も 40 数年振りの高さになっていますので、需給ギャップ、GDPギャップあるいは労働市場の需給の引き締まりといった点からは、賃金・物価を押し上げていくモメンタムははっきりと維持されていると思います。』

はあ。

『もう1つの中長期的な予想物価上昇率は、昨年の初めからみると上昇してきていますが、このところ横ばい状態ですので、予想物価上昇率はやや弱めといいますか、少なくとも引き続き上昇していく感じではないと思います。』

はあ。

『ただ全体としてみて、物価上昇に向けたモメンタムは維持されていますので、今後、徐々に賃金・物価は上昇していくとみています。』

でもってこの部分ですけど、展望レポート本文のネタがまだやってなくて恐縮ですが、そもそも物価が足元上がりにくい理由説明を受けると、需給ギャップも期待インフレも中々物価上昇につながっていかない、というような足元の説明をしているので、それでモメンタムがとかいうのも何だかなとは思います。


・金融不均衡ネタ

『(問) 金融システムの安定という観点についてお尋ねします。先日公表された金融システムレポートでは、やはり不動産向けの融資が過去最大になっている点とか、銀行の信用コストに見合わないような金利水準での貸出が増えているといった指摘がありました。最近でいいますと、例えばスルガ銀行の過剰な個人向けの不動産融資問題等も顕在化しています。こういった状況を考えると、既に超低金利の長期化を見越した過度のリスクテイク、あるいは過度の債務の増大という副作用が相当顕在化しているのではないかという感じがしますが、総裁の現状認識をお尋ねします。』

うむ。

『それから、先立って 7 月に、超低金利の長期化を見越した副作用対応をされましたが、こうした過度のリスクテイクや金融仲介機能が損なわれる点についての対応はまだなさっていないと思いますが、これについてもどのようにお考えかお尋ねします。』

まあそれをすると利上げになるので(^^)。

『(答) 金融システムレポートにもある通り、地域金融機関を中心にミドルリスクをとることがやや増えていますが、競争が激しい中で、それに応じた金利の調整がなかなかできないでいると、リスクとリターンが見合わないことになるおそれがあります。』

他人事のように言われましても・・・・・・・・

『不動産融資については、一昨年末くらいがピークで、地域金融機関は、このところむしろ不動産融資関係についてより厳しい目でみており、融資の増加ペースは大幅に低下していますので、これが今大きな問題になってはいないと思います。』

そうなんですかねえ。

『いずれにせよ、リスクテイクする際には、十分なリスク管理が必要なのは全くその通りで、この点は、金融機関の方々にも十分理解してもらえるようにということもあり、金融システムレポートで年に 2 回詳しく分析していますし、また、個別金融機関に対する考査の中で、それぞれの金融機関におけるリスク管理等の問題についてよく議論しています。そうした対応は十分できていますし、今後ともやっていく必要があると思います。』

リスクを取れという政策をぶち込んでこれですかそうですか。

『マクロ・プルデンシャルあるいはミクロ・プルデンシャルに基づく規制そのものは、ご承知のように金融庁が担当していますが、カウンター・シクリカル・キャピタル・バッファーなどの運用については、金融庁と日本銀行で話し合うことになっていますので、そうした形で、金融庁のマクロあるいはミクロのプルデンシャル規制にも一定の発言をできるようにはなっています。』

突如何を言い出したのかという感じです。何なんでしょ。

『今申し上げたように、金融システムの安定を維持するために、金融システムレポートにある各々の課題について、色々な形で金融機関とも対話し、対応を促していますし、今後とも続けてまいります。』

そうじゃなくて政策の方なんだが、まあプルーデンスは金融庁ってさっき言ってるんだからあんまりやる気ないんでしょうなあというのは分かる。

『なお、個別行のケースについてとやかく言うつもりはありませんが、スルガ銀行の場合は、適切なルールに従っていなかったとして金融庁からも指摘されている、大変遺憾な状況であって、普通の意味のリスクテイクや信用コスト云々の次元を離れた問題だと思っています。』

そういう状況に金融機関を追い込んでいるのはヘボにも程がある金融経済運営のせいなんですけど。

『それから、今申し上げたように、色々な形で副作用について議論はしていますし、一番典型的には金融システムレポートで指摘していますが、金融政策が適切に経済・物価に波及していくためには、そのチャネルである金融システムが安定していることが重要であり必要ですので、その点には十分今後とも目配りをしてまいります。』

とは言っていますが、まあ副作用対応での政策変更とかするきねえだろというのは伝わりました。







2018/11/02

お題「中期輪番(たぶん)減額にもめげず先物中心にサガランチ会長とな/展望レポート基本的見解は物価の開き直りが目立つ」

いやもうさあ・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37245430R01C18A1EE8000/
携帯通信料値下げ、物価下押し 最大0.85%
経済
2018/11/1 18:29日本経済新聞 電子版

『NTTドコモが携帯電話の通信料金を2019年4〜6月に2〜4割引き下げると発表したのを受け、物価が下押しされるとの見方が出ている。民間試算によると通信大手3社がそろって同等規模の値下げに踏み切った場合、消費者物価指数(CPI)は最大で0.85%下押しされる。政府と日銀が掲げる2%の物価目標達成には逆風になりそうだ。』(上記URL先より)

展望レポートの方だと教育無償化の話が経済物価の委員による見通し表の中にあるんですけど、これがまたCPI押し下げる件については見通しに入っていなかったりして、そらまあこの手の費用下がるのは個人のお財布事情的にはアリガタヤではあるんですけど、記事にもあるようにアベノミクスって2%物価目標達成するんじゃないの??

なお話は変わりまして、昨日はあまりの大爆笑が起きたので是非ともお知らせしようとして入れました置物日記日記は本日は誠に申し訳ございませんがパスします、サーセン。一応今の所週末にねじり鉢巻きして読みたいと思う(読むとは断言していない)ので乞うご期待(ご期待の物が出るとは言ってない)。

#なおそのような時間がありましたら麿の本を読んだ方が有益なのは申すまでもございません


〇輪番減額にもめげず先物がサガランチ会長どころか上昇とな

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1XC2J6
東京外為市場ニュース2018年11月1日 / 15:21 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、長期金利変わらず0.120%

『<15:15> 国債先物は小反発、長期金利変わらず0.120%

長期国債先物は小反発して引けた。前日の海外市場で、米債が下落した流れを受けて売りが先行。日銀が国債買い入れ運営方針を見直したことも影響して前場は売りが優勢になった。後場は10年債入札を順調にこなしたことで、短期筋の買い戻しが入り終盤にプラス圏に浮上した。日経平均株価が軟化したことも買いを誘った。現物債市場も同様な展開となり、午後の取引で押し目買いが優勢となった。長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比2銭高の150円65銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比横ばいの0.120%。一時0.135%と10月24日以来約1週ぶりの水準に上昇した。』(上記URL先より)

先物日中(と言いましてもこれは先物寄り付き前じゃないと前日の日中が出て来ませんです)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime

長期国債先物
18年12月限 11/01
始値:150.53 (08:45)
高値:150.65 (15:02)
安値:150.47 (12:30)
終値:150.65 (15:02)
前日比:+0.02
取引高:45,825

表の「長期国債先物」となっているのをクリックすると日中チャートが出てくるという割と便利な代物(いやまあクイックとかが手元にあれば別に問題ないんですけど)ですけど、昨日の日中足を見ますと前場は10時くらいから150円50銭ちと割れ位のところで大坂夏の陣のごとく押したり引いたりしているのですが、後場になったら売り方華麗に落城して敗走モードになってしまいましたという図になっていますが、まあ昨日は先物サガランチ会長とか思っていたら売り軍総崩れの図になってしまうの巻で、先物強いよという感じでしたな。

しかしまあ何ですな、昨日は5年カレントは1.5甘の▲7bpで始まって途中先物一番戻した時には引けの▲8.5bp水準になってました(その後0.5甘になってたりしたと思うが)のは、そらまあ中期の輪番が多分減額されるだろうという見通しの中で1.5甘位で始まったという部分はそらそうよなのかも知れませんが、20年カレントが2.5甘の0.670%で始まったのはなんでや超長期輪番関係ないやろという感じで(当然ながら先物戻ったところで引けの0.645%に戻っておりました)したけど、「中期輪番減額したので次は超長期」とか言い出して叩かれたとかだったらさすがにおまいら先走り過ぎじゃろとは思ってしまいました。

確かに10年入札堅調だったし株もヘロっとしていましたし、中期輪番減額されても実は5年には効いても先物以降には(先物がくそアンカーされているので)関係ないじゃろという評価になるのかも知れませんが、それにしても先物の底堅さというか後場の売り方落城絶賛敗走モードにはこれは何なんですかと思ってしまいましたが、何なんですかという事に対する知見はあんまりございませんのでそういうのは詳しい人に聞いてくらはい(というか教えてくらはい)。

という俺様備忘メモでございました。


〇展望レポート基本的見解を鑑賞するのだがこれ物価が上がらんのを開き直ってねえかと思うんだが

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1810a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(前回)

ちょっとだけ比較するので9月会合の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180919a.pdf(9月声明文)

・最初の鏡(<概要>)の物価の説明がどう見ても「物価が上がらんですなあ」となっているように見えますが

ということで基本的見解の鏡の部分をば。

最初のポツの部分。

『・日本経済の先行きを展望すると、2018 年度は海外経済が総じてみれば着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』(今回)

『・日本経済の先行きを展望すると、2018 年度は海外経済が着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』(前回)

総じてみれば、という毎度おなじみのヘッジクローズが入りまして海外経済の先行き認識が下方修正。

『2019 年度から 2020 年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響を背景に、成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる2。』(今回)

『2019 年度から 2020 年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響を背景に、成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる2。』(前回)

ただし2019〜2020年度の見通し文言は不変だし、あいかわらず「外需にも支えられて」ってなっていて、足元の海外経済のアセスメント下げているのに先行きは外需が牽引して景気拡大とはこれ如何にという感じはします。

2ポツ目は前回と今回で体裁が違っていまして、前回物価が上がらん理由をうだうだと説明するという企画をやったのでうだうだとポツが入っているのですが、今回はそこをちょっとまとめたという感じなのですがまとめているドサクサに紛れてしらっと説明内容が更新されているという事実。

『・消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスで推移しているが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている。(途中に文言があってそのあとにこれがあります、後で再掲します)こうした中で、中長期的な予想物価上昇率の高まりも後ずれしている。』(今回)

『・消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスで推移しているが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている。これに伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりも後ずれしている。』(前回)

という上がってませんし予想物価上昇率も思うようにあがってませんというのがありますがここは同じになっております。

『これには、@賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残るもとで、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスなどが明確に転換するには至っていないことに加え、A企業の生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩なども影響している。こうした中で、中長期的な予想物価上昇率の高まりも後ずれしている。』(今回)


・経済・雇用情勢の改善に比べて、物価上昇率の高まりに時間を要している背景には、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていることがある。こうしたもとで、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや家計の値上げに対する慎重な見方が、明確に転換するには至っておらず、分野によっては競争激化による価格押し下げ圧力が強い。企業の生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩などが、それらに影響している面もある。』(前回)

前回は言い訳コーナーを別のポツにしていたのですが今回は一体化しています。でもって一体化している中でどさくさに紛れて、物価の上がらん背景に前回も入れていた「企業の生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩など」というのが、前回は「影響している面もある」とサブ扱いというか留保付き文言だったのですが、今回は堂々と「企業の慎重な賃金・価格設定スタンスなどが明確に転換するには至っていない」というのと同列で出てきました。

でですよ、このファクターの@の方は経済主体の予想物価上昇率がノルムの影響で上がらんという話だから、予想物価上昇率を引き上げてアンカーさせましょうという今の金融政策目的というか2%達成するルートの阻害要因の話であることは明らかなんですけど、Aの方ってた「企業の生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩など」って話なので、「企業の生産性が向上しているから物価がアガランチ会長なんです」とか「技術進歩の影響で物価がアガランチ会長なんです」という話になりますから、それは背景としては実は前向きなんですよ、というお話。

つまりですよ、これって遂に物価が中々上がらん理由の中には実はポジティブな面もありますよって言うのをより強調している、という事になりますので、意地悪な言い方をすれば「物価が中々上がらんことに開き直っている」という話でございまして、益々「早期達成」というのがただの出してみただけなお題目状態になっているという事を意味する、という風に解釈できると思いますがどうでしょうかね。

まあ最初の所にありました通信費の引き下げとか、教育無償化策とか、外国人労働者受け入れ拡大とか、政府の方が絶賛デフレ政策を実施しているから、物価目標早期達成とか言っても空しいだけというのも日銀にはあるかも知れず、そういうのを受けてこっちも開き直ってしまえ、となっている可能性はあるんじゃネーノというのは捻り過ぎでしょうかね。

あと、政策運営という意味で言えば、(反対派のお方の見解とは別に)この話って要は「足元の物価が中々上がらんし物価目標達成見込み時期が後ずれすることがあったとしても、その背景には企業の生産性向上や技術革新の影響も含まれているんだから、あわてて追加緩和する必要は無い」という理屈(あるいは屁理屈)を展開するバックグランドとして使えてしまいますので、今回海外のアセスメント下げたり(あとで出てきますが)リスクバランスの認識を下げている中で、追加緩和をしなくていい言い訳をバランス上ぶっこんできた、という事でもあると思います。

・・・・・・とアタクシの口上が長くなりましたが続き。

『もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば、実際に価格引き上げの動きが拡がり、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『・もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば、実際に価格引き上げの動きが拡がり、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

これややこしいのですが、前回は「これまでの想定よりは時間がかかるものの」ってのがあって今回は入っていないので一瞬上方修正に見えるのですが、その次の所で物価見通し下ぶれていまして、結局のところ物価見通しは下方修正ただし足元だけ、という事になっています。じゃあ何で今回この文言削除したかといえば、今回は中央値で見た場合の物価見通しを、2018年度は+1.1→+0.9に下がっていて、2019年度が+1.5→+1.4、2020年度が+1.6→+1.5(19年度以降は除く消費税)となっているので、達成時期そのものは特段先送りになったわけではありません(キリッ)ってなっているので文言を削除したってなもんでしょう。


ということで次のポツ。

『・従来の見通しと比べると、成長率については、概ね不変である。物価については、2018年度を中心に幾分下振れている。』(今回)
『・従来の見通しと比べると、成長率は概ね不変、物価については下振れている。』(前回)

幾分ってのが0.1%ということですかそうですか。

『・リスクバランスをみると、経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい。物価面では、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(今回)

『・リスクバランスをみると、経済については、2018 年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019 年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価については、下振れリスクの方が大きい。物価面では、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(前回)

前回よりも経済のリスクバランスを下げていますが、冷静に考えると「足元はバランスしているけど先行きは下方リスク」っていう前回の評価もわけわからんですわな。先行きの下方リスクが大きいんだったら、普通に足元だってそれを意識して下になるもんじゃネーノということで。


・経済の現状と先行き見通しの部分は海外の認識を下げるの巻

一部9月声明文と比較します。『1.わが国の経済・物価の現状 』から。

『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(9月声明文)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)

同じと。

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益が改善基調をたどり、業況感も良好な水準を維持するもとで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回)

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(9月声明文)

『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回)

短観が概ね横ばいになっていたので企業業況感の部分が下がっていますが水準については問題ないという認識になっています。企業収益は「改善基調を維持する」が「改善基調をたどり」となっているのですが、これ上方修正なんだか下方修正なんだかよく分からんです。特に悪化しているという認識は無いと思いますが。

その他の需要項目に関するアセスメントは同じですな。

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している』(今回)

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(9月声明文)

『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回)

足元の数値を反映した部分は足元の数値の違いによって違いますが、認識そのものに変化はありません。


『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。』(9月声明文)
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。』(前回)

『2018 年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)

『国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(9月声明文)

『2018 年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回)

まあ同じっすな。

『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境のもとで、景気拡大に沿った能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資などで、増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、オリンピック関連需要や補正予算もあって高めの水準を維持すると予想している。』(今回)

『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境のもとで、景気拡大に沿った能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資を中心に、増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、2017 年度補正予算やオリンピック関連需要もあって高めの水準を維持すると予想している。』(前回)

需要項目別の見通しは声明文では輸出のところしかないのでここは9月声明文はありません。でもってこれも内容は基本同じ(2017年度補正予算の話は抜けているのはまあ当然なのでこれは気にしなくて良いと思う)ですな。

『輸出についても、海外経済が総じてみれば着実に成長していくことを背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。こうしたもとで、2018 年度は、潜在成長率3を上回る成長を続けると見込まれる。』(今回)

『輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(9月声明文)

『輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。こうしたもとで、2018 年度は、潜在成長率3を上回る成長を続けると見込まれる。』(前回)

ということでここで海外経済の見通しを下げていますな。さっきの鏡と同じです。

・・・・・・でもってこの先の2019年度以降の話になりますが、時間がここで無くなったので続きは週明けで勘弁して頂くとしまして(というか総裁会見ネタも週明けですいません)、先に結論だけ申し上げると経済の見方に関してはこの調子で前回展望レポートと特段カワランチ会長(海外経済だけちょっと下げている)というのが続きます。色々微妙にいじっているのは物価なので本来はそっちがメインイベントなのですが、メインにつく前の前座で終わってしまいまして誠に恐縮でございます。





2018/11/01

お題「決定会合レビューだが展望レポートよりも輪番を先にやるの巻/置物日記日記メモ」

決定会合結果出て市場は無風→総裁会見でも無風→来月のオペの紙で先物動くという市場って末期症状っぽくって泣けますな。

〇声明文比較:内容に変化なく提案芸の細かい芸が観察されました

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k181031a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2018/k180919a.htm/(前回)

経済アセスメントに関しては展望レポート基本的見解に出てきますのでこちらは政策に関する文言だけになります。

・政策に変更なし

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約 80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』(今回)

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲-0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』(前回)

フォントの全角/半角が違うのはページがPDFなのかHTMLなのかの違いに起因します。



『(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

@ ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。

A CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。』(今回)

『(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

[1]ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。

[2]CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。』(前回)

これもフォント違いなのはPDFバージョンじゃない方を引用しているからです(PDFだと同じになる)


『2.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。政策金利については、2019年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注2)。』(今回)

『5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している(注3)。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)

項番が違うのは前回MPM声明文は展望レポートがないので経済アセスメントが入っているからです。


・・・・・・・ということで金融調節方針、資産買入方針、フォワードガイダンス群に変更はないのですが、提案芸人先生の提案芸が多少見られます。脚注を見ましょう。


『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:原田委員、片岡委員。原田委員は、長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎるとして反対した。片岡委員は、先行きの経済・物価情勢に対する不確実性が強まる中、10 年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましいとして反対した。』(今回)

『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:原田委員、片岡委員。原田委員は、長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎるとして反対した。片岡委員は、物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましいとして反対した。』(前回)

長いので片岡さんの所だけ比較してみましょう。

『先行きの経済・物価情勢に対する不確実性が強まる中、10 年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましいとして反対』(今回)
『物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましいとして反対』(前回)

提案芸に新たな心境ということで、理由をいじっているのですが、結局結論は同じですなあ。


『(注2)原田委員は、政策金利については、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。片岡委員は、2%の物価目標の早期達成のためには、財政・金融政策の更なる連携が重要であり、日本銀行としては、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが必要であるとして反対した。』(今回)

『(注3)原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。片岡委員は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から、長短金利維持のコミットメントではなく、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが適当であるとして反対した。』(前回)

これジンバブエ先生も何か変化が出ていますね。分けて再度比較しましょう。

『原田委員は、政策金利については、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。』(今回)
『原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。』(前回)

「政策金利については」というのが今回何で入ったのかよく分からん。フォワードガイダンスコーナーはオーバーシュートコミットメントと政策金利とQQE+YCCの枠組み、という3つのガイダンスがあるので、その中の政策金利ガイダンス、という意味でこの文言が入ったんだと思いますが、前回会合の時点でもガイダンスは項番5(今回の項番3に相当)にごったまぜになっているので、もしこの文言を入れるとしたら前回から入れるのが妥当なんですが、これは芸で変化したという感じではないけどワケワカラン。


『片岡委員は、2%の物価目標の早期達成のためには、財政・金融政策の更なる連携が重要であり、日本銀行としては、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが必要であるとして反対した。』(今回)

『片岡委員は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から、長短金利維持のコミットメントではなく、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが適当であるとして反対した。』(前回)

芸人先生、今回「財政・金融政策の更なる連携が重要であり、」っての入れていて、それは分かったけどじゃあそれが政策運営方針の中でどういう位置づけになるのかさっぱり見えてこないんで、主な意見のところできちんと説明して頂きたいですし、そうじゃないなら具体的に何を指すのか分からないスローガンだけぶち込まれましても(マイナー意見だからスルーされるとは言え)その内容に関連してどのような事が政策として行われるか、ということでコミュニケーションにノイズを与えるだけになるんですが、まあ提案内容を毎回変えるのは無理があるから、反対理由の文言を毎回変えてやっている感を出そうという涙ぐましいというかいじましい努力を行っておられる、ということに落涙を禁じえません。


〇ここで本来なら展望レポート基本的見解の話になるのだがここは敢えて17時のネタに突撃

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel181031d.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180928c.pdf(前回)


・本文読むから先に短国買入

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』(今回)

『3.国庫短期証券の買入れ

金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。なお、10月初回の国庫短期証券の買入れは、現時点で、10月2日を予定している。』(前回)

短国に関しては買入週1000億円という申し訳程度の買入になっているのですが、需給がとにかく堅調にもほどがあって▲30bp水準での推移とかで、しばらく前までは▲10〜▲20で中心が▲10前半だったのからすると隔世の感(なお短国なのでその時期に持っていて今になったら値上がりヒャッハーという訳に行かない(償還してる)のが短国の短国たる所以)がありまして、今月はどこかでスキップするかどうかが見ものっちゃあ見もの(初回買入日を今回また削除したのでスキップは可能)ですが、まあ週1000億も買って無いのとあんまり変わらないので、変に波風立てないようにするためにが普通に週1買入は実施するんでしょうなとは思います。前回の日程変更は中長期輪番の日程調整をしますよというメッセージということで良かったわけですな。


・中長期輪番

0−1年:100-1000、月2回(変更なし)
1−3年:2500-4500、月4回(2000-4000、月5回から変更)
3−5年:3000-5500、月4回(2500-4500、月5回から変更)
5−10年:3000-6000、月5回(変更なし)
10−25年:1500-2500、月5回(変更なし)
25−40年:100-1000、月5回(変更なし)
物価連動国債:250、月2回(変更なし)
変動利付国債:1000、隔月1回(変更なし)

中期と超長期に関して「入札の翌営業日の輪番実施」を今回外してきましたが、10年金利が関連する5−10年に関しては入札の翌営業日(11/2)の輪番を継続する、というこの細かい芸風に「市場メカニズムによる金利形成が行われることを期待しているが、10年はコントロールの直接対象だからおめーは統制する」というメッセージ性を出したということで、なんちゅう細かい芸だと感心してしまいましたが、入札の翌営業日輪番というのが徐々に無くなっていくのは結構なお話。

それから中期輪番が月4回ということで、どうせまた掛け算スキームを実施するのでしょうけれども、まあ中期に関しては需給は確りしていると思われますし、短国も強いような状況ですし、大体からして金利変更の思惑が最近すっかり鎮静化している(そもそもそう簡単に10年のレンジをホイホイ変更できんじゃろ、とは思う)ので、中期の輪番ここで減らすことによって中期が動揺するようなこともそんなにないんじゃないですか、と考えると中期輪番減額は理に叶っていますし、額自体をガサッと落とせるの中期ですからな。

でもって従来は1-3年が3000億円×5、3-5年が3500億円×5でしたので、1-3年が3750億円、3-5年が4375億円の買入でツーペーになりますが、もとよりそうなる訳はございませんので、レンジの中心だと素直に読むと3500億円と4250億円になりますが、なんぼなんでも4250億円って刻みはないから4000〜4200の間のどこかとかになるんでしょうかね。結果は明日分かりますけど。

でもってアタクシの愚感想としては、入札翌日という悪習を(10年を除いて)撤廃できたのは大変に結構(ただ40年の前日に入ったりしてるのも微妙ではあるけど超長期は3本入札があるから日程を選びにくいので仕方ないのと、一応激変緩和措置のつもりかもしれませんね)なお話で、これは原則論として財政ファイナンスしませんという話にほんのちょっとだけ足を入れられたので非常に良かったと思います。

10年もずらすかと思ったけどずらさなかったのはまあメッセージということですわな。

・・・・・・でもって中期の回数削減(なのでたぶん実質減額)をしたのがアタクシの想像比アグレッシブ(市場の想像比はイマイチよくわからん)で、ここは今月様子見してくるかと思っていましたので、まあわりと減額に関しては隙あらばやっていくというのが確認できたという感じではないでしょうか、と思いましたけどどうなのかなあ。


〇展望レポートは時間がないので明日で勘弁ですが・・・・・・・・・・

展望レポートは諸々含め明日とそれ以降ですが、今回目立っているのは海外経済の現状認識と先行きリスク認識を下げたのと、低金利長期化の金融機関への悪影響の見方を進めた。というのはありますが、何気に物価に関するメカニズムの説明が「すっかり開き直っている」というのがあるかなあと思います。つまり物価が上がらんですわ〜というのを割と広範に認めていて、それで何でモメンタムが維持されているのか小一時間問い詰めたい所もあるのですが、まあどうせそれはそれ、先行きは従前と同じ、というような説明しか出てこないんだろうなーとは思いますけどね。

詳しくは明日で勘弁してちょ。


〇置物日記日記(メモ)

やる予定では無かったのですが、例によってパラパラと見ていたら爆笑の発作が起きたのでご報告させていただきます。

「日銀日記−五年間のデフレとの戦い 岩田規久男著 筑摩書房」 ISBN978-4-480-86459-8 C0033 \2500E

より謹んで引用させていただきます。

以下は『2017年4月3日から4月6日にかけて』の部分の本文358ページの最後の辺りから359ページの部分になります。

『右に上げた民主党議員はみな、不遜な態度で、参考人(引用者注:岩田さん)を馬鹿にするような発言をすることによって、参考人の信用、ひいては、日銀の信用を貶め、それによって、アベノミクスを全否定することを目的として、一方的に自分の考えを述べるだけで、参考人の意見を真摯に聞く気が全くない。これでは、そもそも質疑は無駄であり、気分が悪くなるだけで、二度と参考人として呼ばれたくなくなる。』(岩田規久男「日銀日記-五年間のデフレとの戦い」(2018)358-359p)

・・・・・・・・・うんうん、お気持ち非常によく伝わってきます。ところで置物一派の皆さんが日銀や白川さんの批判をしていた時のことは覚えていらっしゃいますでしょうか?????????