トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「200501」というような形式でつけていますので「URL+#日付(200501形式です)」で該当日の駄文に直リンできます)


2020/05/29

お題「日銀の政策委員発言とかが全然でなくなっているのでまたもFED高官ネタですいません」

5月も終わってしまいますなあ、ということは今日はオペ紙の日ですかそうですか。

〇FED高官発言がニュースベンダー向けばっかりで引用しにくくてアカンがまあネタにするのだ

・と言いつつウィリアムズ総裁

昨日はウィリアムズとカプランの発言が出てたようでして、まずはウィリアムズ。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKBN23435P
2020年5月29日 / 03:13
マイナス金利「妥当でない」、他に有効な手段存在=NY連銀総裁

『[28日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は28日、マイナス金利は米連邦準備理事会(FRB)にとって妥当な政策手段ではないと強調した。 ウィリアムズ総裁は「FRBには他にも政策手段があり、それらの方が経済を刺激する上で一段と有効かつ強力だ」と指摘。低金利やフォワードガイダンス、バランスシートなど「他にも利用可能な手段があるため、現在の状況でマイナス金利は妥当とは言えない」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ってな話でマイナス金利はアカン話をしているのですが、まあこちらに関しては最近のFEDにしては珍しいことに、FF先物とかOISとかがマイナス金利を織り込んだとかネタになった途端にFED高官が相次いで否定して回るという機敏なプレイに出ておりますので、まあ余程やりたくないんでしょうなあ(議会発言で否定的な話をしながらその舌の根も乾かぬうちに引っくり返すようなどこぞの中銀総裁と違ってFEDはトンチキなことはやっても騙し討ちはしないっすからねえ)というのは把握した。というかですね、さっきの記事の続きが

『新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、FRBが種々の緊急流動性対策を講じたことで金融市場は平静を取り戻し、家計や企業への資金提供も後押しできたと評価した。またこうした対応が今後、景気の過熱を招くことはないとの考えを示した。』

最後のはホンマカイナという感じではありますが、いずれにせよFEDの整理としては、今般の施策のうち国債とMBSは市場の流動性枯渇対応(なのでどこぞの日銀のようにズルズルと財政ファイナンスに加担するという話でも何でもないし、財政当局(というよりは議会だが)がガバガバだと結果的に財政ファイナンスを促す事になるYCC政策って良くネタに上がるけど多分そういうのやらんと思うんですけどねえ、とか思います)だし、クレジットの方は開きまくったスプレッドの適正化であり、各種ファシリティはスプレッドが正常化した場合はややペナルティレートになるような設計になっとりますわな。

となりますとまあ普通にマイナス金利とかやらんじゃろ(今般は金利を下げれば需要が創出されるというものではない状況なので)という話になると思うのでまあこれは妥当。


さてテキストは無いかと思ってNY連銀のサイトとかセントルイス連銀の「FOMC Speak」を見に行ったんですが、結局ブツがブルームバーグニュースのインタビューでして、ビデオはあるんですけれどもTranscriptは無いので(まあ自分で聞けばいいんですけど寝起きでは勘弁)中身がよー分からんがなと泣きそうになりますが、お題からするとイールドカーブとかあるので、そっちのお題で何の話をしたのかの方が正直興味がある(マイナス金利云々は賛成するならニュースだがそうじゃないのなら今更感isある)。

https://www.bloomberg.com/news/videos/2020-05-27/fed-s-williams-on-economic-recovery-yield-curve-and-monetary-policy-video
Fed's Williams on Economic Recovery, Yield Curve and Monetary Policy
Bloomberg The Open
May 28th, 2020, 12:02 AM GMT+0900

『Federal Reserve Bank of New York President John Williams discusses the outlook for the U.S. economy and monetary policy amid the Covid-19 pandemic. He speaks with Bloomberg's Jonathan Ferro and Mike McKee on "Bloomberg The Open." (Source: Bloomberg)』(上記URL先より)

15分52秒もありやがるのでちとアタクシの貧相な英語力(もそうだが15分の話を聞いてると記憶力の方がアレで最初に何を言ったか覚えられない自信がある)ではアレですので、コロナちゃんと金融政策というネタでは先週こんなのがありましたので代替手段でちょっと拝読。なおクッソどうでも良いのですが、NY連銀のトップページに行くと今ならウィリアムズのどアップ画像(ビデオコンファレンスでのご尊顔)が鑑賞できます。
https://www.newyorkfed.org/

んな訳で先週ので恐縮ですが、
https://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2020/wil200521
Speech
The Economy in the Time of Coronavirus
May 21, 2020
John C. Williams, President and Chief Executive Officer
Remarks at the Buffalo Niagara Partnership, the Greater Rochester Chamber of Commerce, and CenterState CEO (delivered via videoconference)

ビデオコンファレンスだと話が短くなる傾向があるのか、それともイベント時間を短くしようということなのか、ここもとこの辺りの原稿が基本クソ短いのが仕様になっていますな。でもって現状が訳ワカランチ状態だからあまり決めうちも出来ないので特に先行き見通しの話になるとフワッとした話が主になってしまいますな。

んな訳でこちらも最初の小見出し『Introduction』はただのご挨拶だし、次の『A Diverse State』という小見出しの所は、

『One of the particular strengths of New York State is its diversity-and this is especially true from an economic perspective. In Western and Central New York there are top-tier universities, manufacturing businesses, a thriving professional services industry, as well as popular tourist destinations.

という話から始まってはいるものの、だからそのダイバーシティが金融政策運営や経済見通しにどういう影響があるのかってな話は特になくて、直近の失業が跳ねた話と、でもまあデータで見えてるのは前の数字なので本番の影響はこれからだったりしますわなあ、というようなお話をしているだけで、小見出しを見た時に一瞬これは何か言ってるかと思いきや別に大した話はしていないのでつまらんということでここもパス。

パスしちゃいますと残り半分になりますが(汗)、『Our Response』という小見出しを見ますと、

『Despite this extraordinary uncertainty, at the Federal Reserve we worked quickly to put measures in place to support the economy and set the foundation for a strong recovery.』

はい。

『During the first half of March, the Federal Open Market Committee (FOMC) brought the target range for the federal funds rate to near zero.1 The FOMC has indicated that it expects to keep interest rates at this level until it is confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve its maximum employment and price stability goals.2』

はいそうですね。

『Bringing interest rates down to near zero serves two purposes. First, low interest rates make it easier for households and businesses to meet their borrowing needs. Second, they foster broader financial conditions that will help promote the rebound in spending and investment needed to return the economy to full strength.』

金利引き下げの効果は家計や企業の借入をしやすくすることと、全般的な金融環境を改善する事、だそうだがサプライズ利下げで(以下いつもの悪態なので割愛)。

でもってオモロイのは『Our Response』の話が利下げの所で終わっていることでして、すかさず次の小見出しに入るのですよこれがまた。てな訳で次の小見出し『The New York Fed』を拝読。

『The New York Fed has important and unique responsibilities in supporting liquid and well-functioning financial markets.』

まあコロナ前にもいろいろとそちらさんの連銀の仕切りが悪くて市場があばばばばーになったりしましたのでどの口がそれを言うとか申し上げたくなりますがまあそこは置いといて、

『Working alongside our colleagues in the Federal Reserve and other agencies, we are taking rapid and significant actions to supply liquidity and to stabilize critical parts of our financial system.』

ほうほうそれでそれで?

『By conducting large-scale repo operations and purchasing sizable quantities of U.S. Treasury securities and agency mortgage-backed securities, we are providing funding and stability at a time of extraordinary volatility in markets.3』

いきなりシステムレポを盛大に増やしたという話から入ります。

『These actions averted a potential shutdown in the availability of credit, which would have made the current economic crisis even more severe.』

うーんこの。いやまあ確かにマネーマーケットがアチャーになると不具合が生じるのはその通りなのですが、クレジットのアベイラビリティがシャットダウンする潜在的なリスクに対応、と言われるとちょっと唸ってしまいます。

『In addition to stabilizing financial markets, the Federal Reserve is standing up programs to support the flow of credit to households, businesses, and state and local governments. These actions will enable them to continue to do their work, both now and when normal life resumes.4』

まあその唸ってしまうのはさておきますと、利下げの話とこっちの話を切り分けて説明しているというのが何か味わいがあると思うのよ(個人の感想です)。

『Our efforts supporting the provision of credit include a number of programs aimed at different parts of the economy and work through different channels. One set of programs supports the availability of credit to households and businesses-importantly, including small and medium-sized businesses. A second set of programs targets the availability of credit to states and municipalities.』

クレジットプログラムは企業向けと地方政府や地方自治体向けの2本立てとな。

『Fiscal policy is also playing a critically important role. In particular, it can do what monetary policy cannot: provide for the public health response and transfer income to those most affected by the outbreak. Fiscal policy is also a vital partner in the delivery of our own programs, supplying the financial support necessary for the extraordinary scale of the credit facilities we’re operating.』

ということで、この小見出しの部分の締めが思いっきり財政当局を持ち上げる格好になっていまして、コロナの感染拡大防止云々がFEDに出来ないってのは当たり前として、FEDのクレジットお助けプログラムも財政のサポートが無いとできません、って(制度の建付け上その通りなんですが)のを入れてきていまして、一方でさっきの『Our Response』では金利を下げた話しかしていない、という味わいのある構成というのは、要はワシらは主役じゃないもんね〜ってしらっと下駄を財政当局と議会に預けているという最近のFEDのスタンス(まあ当然ちゃあ当然のスタンスだが)を示していますな、と勝手読みしました。


・カプラン総裁が威勢の良いことを言ってるのか????

こんなのもありました。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-idJPKBN2343GU
2020年5月29日 / 05:35
米経済、すでに底入れの公算 回復はコロナ検査次第=連銀総裁

『[サンフランシスコ 28日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は28日、米経済は底入れした公算が大きいとの認識を示しながらも、経済が健全に回復するかは、新型コロナウイルス感染拡大前と同じように人々が安心して旅行や外食に出掛けられるよう、大規模な新型ウイルス検査を実施できるかにかかっていると述べた。 カプラン総裁はロイターの電話インタビューに対し、「経済成長を加速させ、失業率を引き下げるために、新型ウイルス検査と感染経路の調査を大幅に増強する必要がある」と述べた。』(上記URL先より)

となっていまして、昨日ネタにしましたように、4月末のFOMCでもそうですし、まだ今月に入ってからも基本的に「良く分からんけどまあ先行きはアカンタレですタイ」という話がこれでもかと出てくる中で、こういうのが出てくると「おー」と思ってしまうのですが、これがまた惜しいことにダラス連銀のサイトに行っても(ロイターの電話インタビューだからしゃーないけど)何も本件に関しては掲載されていませんのですが、事実上のロックアウトが解除されてからの高官発言の中では割と威勢が良い方には思えました(個人の感想ですし見落としがあったかも知れませんので念のため)ので、内容を見てみたい気がするのですけれども、日本語版には当然これ以上の詳細は無く、英語版は探している時間が無いのでパス。

なお、ダラス連銀のサイトを見に行ったらトップの所に、
https://www.dallasfed.org/cd/communities/2020/0528
Communities, Service Providers in Region See Long Road to COVID-19 Recovery, Fed Survey Shows
Anna Crockett and Emily Ryder Perlmeter
May 28, 2020

ってのがありまして、管内にサーベイ取ったようなんですよね。本文はちょっとパスしますがリードの所だけ。

『Across the country, workers are facing an economic crisis along with a health crisis caused by COVID-19. Reduced wages, fewer hours and job losses have hit many households hard. This is particularly true in low-income communities and communities of color and for those who are in need but are not receiving state and federal assistance. During this time of uncertainty, community leaders are working hard to assist those who need immediate relief.』

ってなサマリーがぶっこんでありまして、コロナちゃんの影響は経済の構成員の中でも差が大きくて、厳しい人には無茶苦茶厳しくて中々回復が大変な道のりですよ、ってのが出たその日の上記発言なので、なんかこれはロイターさんの記事に関してはちょっと割り引いて受け止めた方が良いのではないかな、とは思いましたです、はい。

なお、ダラス連銀と言えば「ダラス連銀刈込平均物価指数」でFOMCの議事要旨なんぞでも引用されていますが、同じくダラス連銀のサイトにこんなのがありまして、

https://www.dallasfed.org/news/releases/2020/200318covid.aspx
COVID-19 Update

『At the Dallas Fed, we're working to support the financial health of the people and businesses in the Eleventh District as we deal with this unprecedented crisis. On this page, you’ll find many resources, including recent interviews from Dallas Fed President Rob Kaplan and articles published from our staff.』

はてどんな作品があるのかと思って最初のをポチっとなとしましたら、

https://www.dallasfed.org/research/economics/2020/0521
New Dallas Fed Social Distancing Index Gives Insight into COVID-19’s Economic Impact
Tyler Atkinson, Jim Dolmas, Christoffer Koch, Evan Koenig, Karel Mertens, Anthony Murphy and Kei-Mu Yi

『As the human and economic toll from the COVID-19 pandemic mounts, near-term forecasts of output and employment are crucial for assessing appropriate monetary, fiscal and health policy responses. An appropriate real-time index of social distancing can provide valuable real-time insight into the economic impact.』

ソーシャルディスタンシングインデックスってナンジャソラという感じですが、なんか図表見ながら本文(短いです)斜め読みしたらネタとしてはオモロイとは思いました。ホンマカイナ感はあるけど。


・原稿がある物件では先週のバーキン総裁(リッチモンド)でも実はコロナの影響のダイバージェンスの話が

ダラス連銀のさっきのサーベイを見てて思い出したのですが、

https://www.richmondfed.org/press_room/speeches/thomas_i_barkin/2020/barkin_20200521
Different Realities, Different Recoveries
May 21, 2020
Tom Barkin
President, Federal Reserve Bank of Richmond

別に長いコラムでもないのですが途中から引用しますと、

『It’s worth noting a socioeconomic split underlies these different realities. Based on credit card data, wealthier households, whose members are largely still working and doing so from home, are spending less; in contrast, low-income households, living much closer to the edge, have largely maintained their spending.』

クレジットカードのデータから見ますと、豊かな家計の場合は現状ではステイホームしていて、おまけに消費が減っておりますが、一方で低所得な家計では生活がより崖っぷちに立っていて、概ね消費は維持されています、だそうで、ただ闇雲にテレワーク推進ステイホームステイホーム連呼しているどこぞの国の当局者は爪の垢を煎じて飲んで欲しいわ。

『According to a recent survey by the Federal Reserve Board, 39 percent of those making less than $40,000 per year have faced a job loss in the past two months, compared to 13 percent making more than $100,000 per year.』

低所得者層に雇用もモロに直撃。

『The unemployment rate for those with less than a high school education is more than 20 percent, more than double that of those who have a bachelor’s degree or higher (8 percent). And of course, the former group has less savings to buffer them in their time of distress. This crisis has further solidified the ability to work from home as a divider: 63 percent of those with a bachelor’s degree are in jobs where they’re able to work from home during the crisis; compared to only 23 percent of those with a high school degree or less. The differential availability of broadband access exacerbates this gap.』

最終学歴によっても雇用への影響が思いっきり異なると。

『Increasingly, as I talk to consumers and retailers, I hear that these differences may matter when we talk about the pace of recovery. We may see the economy come back at different speeds for different parts of the economy.』

うんうん、仰せの通りですわ。

『Higher-income households are cautious and can afford to be. Many of their jobs can continue to be done remotely. Many have taken the message that their absence from the workplace has protected their health; they may be reluctant to reengage too quickly. They can get much of what they need done through online channels, until such time as they believe they can shop without undue health risk. In a recent Gallup poll, 73 percent of those with a college degree said testing would have to be widespread before they would return to normal activities, versus an estimated 51 percent without that degree.』

『But lower-income households may well be coming back to stores more quickly because they can’t afford not to - many live paycheck to paycheck. Fiscal payments put money in their pockets, which history suggests will be spent rapidly on needs they have left unfulfilled. Access to online commerce is more limited, especially for those without access to credit or broadband.』

時間が怪しくなってきたので流しますけれども、高所得家計と低所得家計では対応できることに差があるのよ、という話をしておりまして何でもテレワークできるかのような話ばっかりしやがるどこぞの(以下割愛)。

『And if you work shoulder-to-shoulder (even 6 feet apart) in a production environment, then going to a store perhaps isn’t seen as such a large incremental risk. Lower-price retailers tell me sales are returning toward normal at a faster pace than I hear from higher-priced retailers. I hear similar strength in smaller, economically distressed towns that haven’t had significant outbreaks.』

より低所得者向けのリテーラーの方が売り上げが戻ってくるのが早いそうで高所得者は余裕もあるし他のチャネルもあるからまだ高所得者向けリテーラーの売り上げの戻りが弱いとな。

『These different realities have implications for how widely shared our recovery will be, and because they also imply differing levels of health risk, implications for the course of the virus itself. I am watching both closely.』

てな訳で話はここで終わっているのですが、感染リスクに関して言えば当然そうなると低所得者世帯の方が高い訳で、再度のアウトブレイクとかそっちにも影響するので、経済活動だけじゃなくて注意したい、という割と興味深いお話(というほどの長さでは無いですが)なのでした。


#何か日銀がアレなのでFEDネタばっかりなのですが金懇の代わりに何かエッセイでも良いから日銀出さんかね・・・・・・・






2020/05/28

お題「今更ですが4月FOMC議事要旨のやたら厳しい経済見立てを確認しておく」

しっかしまあFED高官発言を確認しているとどう見てもこれは物凄い勢いで警戒というか悲観に近いと思うのですが委細構わず株ちゃんがヒャッハーってのもまあ雨公らしくて結構(ぐるぐる目)

#とか言ってるのに今日は時間がアレで直近の高官発言はスルーの模様

〇4月FOMC議事要旨の続きをちょっとですが経済物価情勢に厳しい厳しい

もちろんこの会合が4月のケツでして、米国株式市場とかいう能天気市場の話はさておきますと、コロナ流行に関しては本格的に復帰だヒャッハーではなかったので、今見るとちょっとそこまで警戒的なのかよ、とうっかり思ってしまうという
時間的なラグはあるんですけどね。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20200429.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20200429.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
April 28-29, 2020
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
was held by conference call on Tuesday, April 28, 2020, at 1:00 p.m. and continued on Wednesday, April 29, 2020, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』を素直に頭から。

最初が経済物価情勢の現状判断。

『Participants noted that the coronavirus outbreak was causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world. The virus and the measures taken to protect public health were inducing sharp declines in economic activity and a surge in job losses. Weaker demand and significantly lower oil prices were holding down consumer price inflation. The disruptions to economic activity here and abroad had significantly affected financial conditions and had impaired the flow of credit to U.S. households and businesses.』

声明文もこんな感じ、というかこのコーナーの最初の部分って基本的にFOMC声明文の第一パラグラフで示される文書と同じような表現になるのが仕様なのですが、まあ厳しい厳しい。

『Participants judged that the effects of the coronavirus outbreak and the ongoing public health crisis would continue to weigh heavily on economic activity, employment, and inflation in the near term and would pose considerable risks to the economic outlook over the medium term.』

コロナちゃんの拡大とそれによる公衆衛生危機は経済活動と雇用と物価に対してin the near termで大きな足かせになって、over the medium termで経済見通しにconsiderable risksということで、4月末現在ということではありますが、最大級の懸念を示していますな。でもってこのパラグラフはまだ続きまして、

『Participants assessed that the second quarter would likely see overall economic activity decline at an unprecedented rate. Participants relayed information from their Districts that the burdens of the present crisis would fall disproportionately on the most vulnerable and financially constrained households in the economy.』

元々経済基盤の弱い人に今回の悪影響はモロに来る、という話。

『Participants agreed that recently enacted fiscal programs were delivering valuable direct financial aid to households, businesses, and communities that would provide some relief during the economic shutdown.』

最近ぶっこまれた財政プログラムはロックアウトで直接食らっている企業や家計に対しての直接的な価値ある支援であるそうです。

『In addition, economic activity was being supported by actions taken by the Federal Reserve, including lending facilities created under the authority of section 13(3) of the Federal Reserve Act, some of which included capital allocated by the U.S. Treasury.』

んな訳で自分らの話になりますが、しかしながらこの中で連銀法13条の制約というのを入れていますし、4月のFOMCって結果的にはただの政策継続でして、厳しい景気に関してはやたら言及するものの、財政資金様の活用によりまして云々というのをこれでもかと出してくる、ということになっていますので、これ経済物価情勢の見通しが厳しいというのが追加緩和には直結しない話法を使っていまして、「今の政策は続けるけれどもおかわりはありません、財政絡みは財政のおかわりが出たらやりますけど無かったら当初予定通りのテンポラリーな」という事を言っている、という感じかなあと思いました(個人の妄想です)。

まあ追加のお助けが更にホイホイ出てくるという前提で5月の株式市場がラリーしている訳でもないと思われますので(で良いんですよね??)、FEDがどうのこうのってそんなに効かないような気もせんでもないですが、何せパウエルさん就任当初に何でそんなに威勢のいいこと言うんじゃと思ってしまう威勢の良い利上げ発言(利上げのゴールが中立金利よりも高くなる、は言い過ぎじゃったろうよ)をしてしまうまでエライ目に遭っただけに、まあ株式市場がヒャッハーしたからと言って水をぶっかけに掛かるような無粋(または冷静)なことはせんでしょ、と勝手に妄想中。

『These programs had helped maintain the flow of credit to households, businesses, and state and local governments, while supporting the smooth functioning of financial markets.』

クレジットフローの維持と金融市場のスムーズな機能を企図してます、というのは明快に言っております。まあその中身は微妙にフワフワという気もしますが、以前ご紹介したように、この回のFOMCでは市場が落ち着いたので国債買入をスケールバックさせるとかシステムレポ減らすとかIOER引き上げるとかいう指摘がポンポン出ているので、まあそういう感じで別に「押し上げ介入」をしようとしているのではない、というのが日銀やECBのも多分にそんな感じがしますが、まあその辺とは違う所です。

では次のパラグラフ。ここから個別需要項目というか個別セクターの話。

『Regarding the economic activity of households, participants noted that the pandemic and efforts to mitigate the spread of the disease were having severely adverse effects on aggregate household spending and consumer confidence.』

コロナの影響で家計の消費や消費者信頼感にシビアーな悪影響が、ってそらそうだわな。

『Participants reported that consumer spending had plummeted across all parts of the country and in most categories of spending, with especially sharp declines in expenditures for categories that had been most affected by social distancing, such as hotel, fuel, air travel, restaurant, theater, and other retail products and services.』

前もこんな話してたけど業種が増えているような気がする。

『Participants noted that even after government-imposed social-distancing restrictions came to an end, consumer spending in these categories likely would not return quickly to more normal levels.』

そらそうよ、と言いたいけどどこぞのサイトで見た米国のビーチでのヒャッハー振りとかを見ていると雨人もっと元気(??)かも知れませんぜ。

『Survey-based measures of consumer confidence also plunged, a development that participants and District contacts attributed to households' concerns regarding the risk of job loss or difficulty in meeting financial obligations. Participants noted that some households experiencing job losses may not immediately face lower total income because of the support from recently enacted fiscal programs. Even in such cases, however, participants observed that household spending would likely be held down by a decrease in confidence and an increase in precautionary saving.』

ジョブの喪失による家計への影響ということでああでもないこうでもないと議論していますが総じて厳しい言い方になっとる。

『Participants noted that business activity and investment spending had also fallen dramatically since the previous meeting as a result of efforts to contain the coronavirus outbreak.』

てな訳で次は企業セクター。

『Manufacturing output declined sharply in March and was expected by participants to drop even more rapidly in April. In all Districts, some businesses had been forced to close temporarily because of social distancing restrictions. Businesses that were able to remain open to some degree were also substantially affected by the pandemic, with many experiencing either substantial drops in new orders and sales or supply chain disruptions.』

コロナちゃんのせいで販売落ちたり製造落ちたりおまけにサプライチェーンまでアカンとかいう話の次は、

『There were widespread reports from District contacts of firms reducing their payrolls and curtailing plans for investment spending. Some industries were especially hard hit, including airlines, cruise ships, restaurants, and tourism. Participants reported that many firms were seeking loans,payment deferrals, or grants to help address critical financial obligations and that the Paycheck Protection Program (PPP) was providing valuable assistance to small businesses in this respect.』

この辺りはそれに伴う雇用とが賃金の削減ネタと、債務支払いの延期へのニーズという話で、これらの状況に対してPPPプログラムは有効に作用しているんですとな。

『Participants also noted the disproportionate burdens or particular challenges being faced by small businesses; these challenges included lower cash buffers, fewer financing options, and, more recently, tighter lending standards. Participants expressed concerns that a large number of small businesses may not be able to endure a shock that had long-lasting financial effects.』

より小規模の企業に対して更に厳しいし影響は長く残る可能性がある。

『Participants were further concerned that even after social-distancing requirements were eased, some business models may no longer be economically viable, which could occur, for example, if consumers voluntarily continued to avoid participating in particular forms of economic activity.』

ソーシャルディスタンシングによって変わるビジネスモデルもあるかも。

『In addition, participants expressed concern that the possibility of secondary outbreaks of the virus may cause businesses for some time to be reluctant to engage in new projects, rehire workers, or make new capital expenditures.』

それからセカンドアウトブレイクが来たらまたあばばばばーという懸念から企業活動が中々活発化しないのではないかというのに懸念を、とまあこのパラグラフこれでもかとばかりに暗い話。

『Participants observed that conditions in the energy sector had become especially difficult.』

わざわざパラグラフを別にしてエネルギーセクターのお話を。

『A sharp reduction in global demand for petroleum had led to unused supply that was overwhelming storage capacity, resulting in a plunge in oil prices. Some participants expressed concern that low energy prices, if they were to persist, had the potential to create a wave of bankruptcies in the energy sector.』

原油価格の低迷が持続した場合にはエネルギーセクターの「a wave of bankruptcies」を起こす可能性がある、とかまたこれは刺激的な言い方。

『In addition, the agricultural sector was under severe stress due to falling prices for some farm commodities and pandemic-related disruptions, such as the closing of some food processing plants.』

農業にも悪影響来ているそうな。何か知らんけどパウエルになってから特に目立つんですが、エネルギーと農業の所について別分けして(確かに製造業や商業とは違うんだが)ああでもないこうでもないというの好きですな。

次は労働市場になるのでマンデートに関する話。必ず労働市場→インフレーションという順番で出てくるのがお約束のようになっています。

『With regard to the labor market, participants noted that incoming data confirmed that an extreme decline in employment was under way.』

extreme declineとな、まあそうですけど。

『Nationally, initial claims for unemployment insurance benefits had totaled more than 25 million from mid-March to the time of the meeting, and participants expected that the unemployment rate would soon reach the highest levels of the post?World War II period.』

左様でしたな。

『District contacts reported that a significant portion of workers had been able to switch to working remotely. Although many employers were trying to keep workers on their payrolls, over time, as conditions persisted, there had begun to be widespread furloughs and layoffs.』

一時休暇やレイオフの流れが広がってきているとな。

『Participants were concerned that temporary layoffs could become permanent, and that workers who lose employment could face a loss of job-specific skills or may become discouraged and exit the labor force.』

レイオフが結局恒久的措置になって、労働者が放り出された結果労働者のスキルが生かせないとか低下するとかそういう事になるのはアカン。

『Participants were additionally concerned that employees who were on low incomes would be the most severely affected by job cuts because they were employed in the industries most affected by the response to the outbreak or because their jobs were not amenable to being carried out remotely.』

また低所得者が煽りを食らいやすい話をしています。

『With regard to inflation, participants noted that it had been running below the Committee's 2 percent longer-run objective before the coronavirus outbreak.』

次は物価の話ですが、

『While the pandemic had created some supply constraints, which had generated upward pressure on the prices of some goods, the pandemic had also reduced demand, which had exerted downward pressure on prices. The overall effect of the outbreak on prices was seen as disinflationary. In addition, a stronger dollar and lower oil prices were factors likely to put downward pressure on inflation, and market-based measures of inflation compensation remained very low.』

まあだいたい雇用がコケ出すとインフレの話はあっちの方に飛んでしまうのがFEDの仕様なので(別にそれはFEDだけではないと思いますが)物価の話はそんなに身が入っているような感じの字面にはなっていない気がする(個人の感想です)。なお、コロナちゃんの影響に関して「The overall effect of the outbreak on prices was seen as disinflationary.」と全体としてみればディスインフレーショナリーだという評価をしていますな。

『Participants observed that the return of inflation to the Committee's 2 percent longer-run objective would likely be further delayed but that the accommodative stance of monetary policy would be helpful in achieving the 2 percent inflation objective over the longer run.』

何かもう物価そんなに気にしている場合じゃないって感じですか、さっきのディスインフレーショナリーとかを見ますと、雇用改善する前に物価が上がられると死にそうな感じですな(それも米国に限った話ではないと思いますけど)。


でもって物価の話は上記の程度でかなりサラッと流された感じでして、次が財政政策の評価。

『Participants noted that recently enacted fiscal programs were crucial for limiting the severity of the economic downturn. In particular, the Cares Act and other legislation, which represented more than $2 trillion in federal spending in total, had provided direct help to households, businesses, and communities.』

そら高評価するわな。

『For example, the PPP was providing a financial lifeline to small businesses, the expansion of unemployment benefits was helping restore lost income for laid-off workers, and the Treasury had provided a necessary financial backstop to many Federal Reserve lending facilities. Participants acknowledged that even greater fiscal support may be necessary if the economic downturn persists.』

PPPプログラムを評価してますな、でもって経済がアカンタレなのが続いたらおかわりが必要という話にもなっています。昨日引用したように金融政策に関しては「必要ならばツールキットを総動員」みたいな発言だけ威勢が良いけれどもじゃあ何かするのかというと別に具体的にこう言う事をするのが吉みたいな議論はまるで無くて、一方で財政プログラムのおかわり君については何度も言及されていて、それが出た時に連携するのは重要、みたいな話をしている訳でして、要は有効な弾薬は財政の方なのでよろしく、って話ばっかりしている訳ですな。


てな訳で中期的な経済見通しが次に来る。

『Participants commented that, in addition to weighing heavily on economic activity in the near term, the economic effects of the pandemic created an extraordinary amount of uncertainty and considerable risks to economic activity in the medium term.』

「an extraordinary amount of uncertainty and considerable risks」って何か勇壮な(勇壮じゃないけど)表現。

『Participants discussed several alternative scenarios with regard to the behavior of economic activity in the medium term that all seemed about equally likely. These scenarios differed in the assumed length of the pandemic and the consequent economic disruptions.』

結局はパンでミックの動向とその経済活動への影響次第だわさ。

『On the one hand, a number of participants judged that there was a substantial likelihood of additional waves of outbreak in the near or medium term. In such scenarios, it was believed likely that there would be further economic disruptions, including additional periods of mandatory social distancing, greater supply chain dislocations, and a substantial number of business closures and loss of income; in total, such developments could lead to a protracted period of severely reduced economic activity.』

またアウトブレイクが起きたらそらもうあばばばばーよ、というシナリオなのですが。

『On the other hand, economic activity could recover more quickly if the pandemic subsided enough for households and businesses to become sufficiently confident to relax or modify social-distancing behaviors over the next several months.』

さてこのハッピーシナリオが達成できるか。

『Beyond these considerations, participants noted the risk that foreign economies, particularly EMEs, could come under extreme pressure as a result of the pandemic and that this strain could spill over to and hamper U.S. economic activity.』

事実そうなんで別にいちゃもんでも何でもないのですが、海外経済、特に新興国経済の感染症の状況が米国経済活動にスピルオーバーすることを、って話をするFOMCかあ・・・・・とか感慨深いものがありまして、いやまあアタクシもそんなに長い間読んでいるという程のもんでもないですけれども、以前は海外経済がどうのこうのってのはまあオマケみたいな感じで、ただまあ自分の所の庭となるラテンアメリカがあばばばばーとなるとちと気にする、ってな雰囲気。かつては「米国金融政策のスピルオーバーが他国に流れるんですが」とか文句を言うと「知らんがな」の馬耳東風モードだったのですから変わるもんですわ。

『Participants stressed that measures taken in the areas of health-care policy and fiscal policy, together with actions by the private sector, would be important in shaping the timing and speed of the U.S. economy's return to more normal conditions.』

そら(感染症拡大防止が)そう(経済にとってキーになる)よ。

『In addition, participants agreed that recent actions taken by the Federal Reserve were essential in helping reduce downside risks to the economic outlook.』

ほーん。なお具体的に何がどうだという話は無くてすかさず次の論点であるコロナの影響による長期的リスクになる。

『Participants also noted several risks to long-term economic performance that were posed by the pandemic.』

コロナの影響によって経済の長期的なパフォーマンスにどういう影響がありますかという話。

『One of these risks was that workers who lose employment as a result of the pandemic may experience a loss of skills, lose access to adequate childcare or eldercare, or become discouraged and exit the labor force. The longer-term behavior of firms could be affected as well-for instance, if necessary but costly transmission-mitigation strategies lowered firms' productivity; if business investment shifted down permanently; if many firms need to adjust their business models in the aftermath of the pandemic; or if business closures, particularly those of small firms, became widespread.』

さっきもちょっとありましたが、労働者のスキル低下、マッチする職業の減少や、労働市場からの熟練労働者の退出などと、企業による設備投資意欲の減退が、米国全体の生産性を低下させる可能性、というのは何人とか書いてないから全員の一致ということでしょう。そらそうだという感じですが。

『A few participants noted that higher levels of government indebtedness, which would be exacerbated by fiscal expenditures that were necessary to combat the economic effects of the pandemic, could put downward pressure on growth in aggregate potential output.』

数名(A few)なんですけれども、政府が盛大にコロナ対策で負債をバンバン増やすというのは、潜在成長の下押し圧力になる可能性があるんですけど、という指摘がここにしらっと入っていまして、何でもかんでも財政万歳という訳でもない、というアリバイなのか何だか知りませんけれども、ここだけ突如そんなのがあるのがちょっとお洒落というか何というか、と思いました。

以下は昨日にネタにした部分に繋がります。まあいずれにしましても、今回の議事要旨に関しましては、次回FOMCの声明文やその後の議事要旨、あとはあんまりこう紙になって出てくるのが多くないのですがFEDの高官発言などで、このやたらめったらシビアな見方がどのように修正される(されないかも知れませんが)のかを見ていくベースにしておこうかな、と思ったので先週木曜の投下物件だから何を今更ネタではあるのですがまあ読んでみました、ということでご勘弁願いたく存じます。


〇メモるの忘れていたので備忘メモ(コロナオペ絶賛拡大中!など)

どっちも火曜の物件でしたすいませんすいません。

・コロナオペ絶賛拡大中

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200526a.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2020 年 5 月 26 日
日本銀行

2.貸付予定総額

貸付予定総額 17,292億円
(参考)貸出残高(注) 143,905億円

1.7兆円増えましたかそうですかそうですか。しかしこれ書いているうちにふと気が付いてしまったのですけれども、例のコロナオペパート2用に大企業とかにコロナ対策貸出とか言って出した証貸とかがあったら、証貸の証書は担保にぶっこんでこっちのオペに入れて、融資金額分に関する新コロパート2オペに国債を担保にして参加できるのかいな。一粒で二度おいしいとかいう話(国債担保をわざわざ買ってきて入れるとなるとやる意味あるのか説はさておき)なんですが要領にそこまで細かい規制が無かった気がするので物理的に可能な気がするんだが・・・・・・・・


・基調的なインフレ率の刈込平均はマイ転したけど他は粘っておられます!!

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

エクセルの方から数字拾ってきます・

刈込平均値(前年比、%)
15年基準

Jan-20 0.3
Feb-20 0.2
Mar-20 0.1
Apr-20 -0.1

とマイ転。まあシャーナイ。ただ、

加重中央値(前年比、%)
15年基準

Jan-20 0.0
Feb-20 0.0
Mar-20 0.0
Apr-20 0.0

だったりするし、

最頻値(前年比、%)
15年基準

Jan-20 0.3
Feb-20 0.3
Mar-20 0.2
Apr-20 0.3

ですし、

上昇品目比率−下落品目比率(%ポイント)
15年基準

Jan-20 25.2
Feb-20 21.6
Mar-20 17.4
Apr-20 19.1

と粘り腰を見せているのでヘーキヘーキ、と言いたいのだがそういう時に限って物価目標知らんがな状態になっているのよねー。







2020/05/27

お題「ターム物RFRお試し版キタコレ/国債投資家懇議事要旨拝読/4月FOMC議事要旨ネタ続き(汗)」

まーた隙あらば(以下の部分は自粛されました^^)。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200526-OYT1T50217/
ネット上の中傷防止、今国会に議員立法提出へ…自民PT初会合
2020/05/26 23:00


〇ターム物RFRお試し版公表キタコレ

ほほう。
https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/cmt200526a.htm/
ターム物リスク・フリー・レート(参考値)の公表開始について(日本円金利指標に関する検討委員会)
2020年5月26日
日本円金利指標に関する検討委員会

いやーよくこんな人手足りない時にやりましたわ。いやまあ関係者の御尽力には頭が下がるんですけど、しつこく申し上げてますように1年(なり2年なり)延期とかしたらこの大変な中でご尽力しなくて済むような気もしますけどにゃー。

でもってそちらにありますQUICKさんのリンクを踏みに行くとこちらに行く。
https://moneyworld.jp/page/qtrf001.html
日本円ターム物リスク・フリー・レート
Japanese Yen Term Risk Free Rate
QUICK LIBOR代替新指標の参考値を算出

『公表にあたっては、市場参加者や金利指標ユーザーが事務体制等を整備するために用いる「参考値」の段階(フェーズ1)と、実際に取引に用いる「確定値」の段階(フェーズ2)が予定されており、現在はフェーズ1となります。当ページでは、直近の公表値と過去のヒストリカルデータを確認いただけます。是非ご活用ください。』(上記URL先より、以下同様)

ってなっているのでどれどれと思ってみると、

『日本円ターム物リスク・フリー・レート(参考値)
Japanese Yen Term Risk Free Rate (Prototype rate)』

ってのがあるのですが、基準時間が15時で17時以降の公表とか書いてありますが、他のTKRRとかTIBORとかって昼に出ているので、せっかく東京で出すなら時間合わせた方がエエンチャウノとは思ったのですが、元々がOISデータから来ているので基準時間はやっぱり引けになるんでしょうかねえとか、まあLIBORならどうせロンドン時間だから後継指数が東京の17時の方が連続性がありますなとか、円債の引値も基準時間が15時だからそっちに合わせるのが普通と言ってしまえばそれまでですか。

なお、この基準時間のズレって普段はネグれるのですが、政策変更の時にズレがあると、あるものは決定が出る前の集計で別のものは決定が出た後の集計になってしまい悲喜劇が生じるという弊害があるんですけど、その問題は別に今に始まった話じゃないので別に気にすることも無いですかね。忘れた頃に悲喜劇が生じますのでトレーディングの際にはご注意くらはいという感じですけど。

でもって今般は脚注にあるディスクレーマーにありますように、

『・本データは、無担保コール翌日物レートを参照する日本円OISの市場データに基づいて構築中のターム物リスク・フリー・レート(参考値)であり、QUICKが算出・公表するものです。』

『・本データは「日本円金利指標に関する検討委員会」から2019年7月に示された算出要件を参考にして算出していますが、参考値の算出期間中は常に要件を見直す可能性があり、2021年に公表を予定している確定値の算出要件とは異なる可能性があります。』(上記URL先より)

ということですので、今回はお試し版パート1ということで、とりあえずターム物RFRを出してみるとこんなもんになるんちゃいますかねえ、とQUICKさんが計算してくれたものという物件でございますので、基本的にはターム物RFRへの移行に伴う数字的な影響ってどんなもんなのかねというざっくりイメージを確認する為にという話なのかと勝手に妄想しておりますが、そういう理解で宜しいんでしょうかね。

と申しますのも、金曜のデータが火曜に出るとかの状態で事務整備とおっしゃられましてもという感じですので(公表時間に変化が生じるとなると事務周りに影響する可能性がありや無しやとか)、どうせ移行するならフェーズ2早く出して頂きたいでございますな、いやまあLIBOR廃止を延長してくれれば以下同文。

何にせよこのクッソ大変な中で進めておられます関係者の皆様には頭が下がります、いやマジで。


〇投資家懇談会の方もサラサラと拝読

PD制度は省令による設置で、PD懇ってのはPD制度の一環で行われていますが、投資家懇の方はたぶんただの審議会なので、まあどっちも審議会扱いですけれども、本来はPD懇の方が制度上エライと思うのですが(思っているだけで確認していないから今度確認してみる)、投資家懇の方が読み物として宜しいというのは何だかなあ感isある。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/200522.html
国債投資家懇談会(第84回)議事要旨
日時 令和2年5月22日(金)
場所 書面にて開催

なるほど書面だから同時開催可能ですわな。財務省からのお話はスルーして『○提出された意見等の概要は以下のとおり。』に関してちょっとだけ。

・まあ投資家の方がこういうの文章チェックがやかましそうだという事ですな(個人の妄想です)

特に今回は書面だから発言順序というのものが存在しないと思うので、編集する方もまあ順序考えて出すわなあと思うので最初のはちゃんと読む。

『・新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークやスプリット勤務体制などにより市場参加者が減少する中、国債市場の流動性は低下しているが、日本銀行のイールドカーブ・コントロールにより、市場のボラティリティは落ち着きを見せ始めている。』

と、こう書けば何か色々と穏当になるのに、日銀の買入が少ないからこの年限の増発はとかそういう話をおっぱじめると、いやまあありていに言ってそうかも知れんのだが、物には言いようというものがあるでしょうというツッコミをしたくなる。

『今後の運用スタンスとしては、引き続きプラス金利となる10年債や、短中期ゾーンの政府保証債や地方債を購入するスタンスを継続する見込みである。』

ほほう。調達コストと来ないでプラス金利と来てデュレーションはあんまり伸ばしたくない、ということで大体どういう業態なのかはお察し。

『令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行増額については、市場の急激な相場変動を抑制すべく適切なイールドカーブ・コントロールが前提とはなるが、前回の第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更程度の増額は可能ではないかと考えている。』

「市場の急激な相場変動を抑制すべく適切なイールドカーブ・コントロールが前提とはなるが」と、実は言ってることPD懇の一部での身も蓋もないご意見と同じなのですが、こう書くとマイルドになりますな、あんまりマイルドじゃない気もしますが。

『基本的な方針としては、今後の影響を見極めるまでは、T-Bill・1年物以下での追加発行をベースとしつつ、市中消化が可能な範囲での2年債以上の年限の利付債の増額を検討してほしい。具体的には、第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更後からの1回の入札当たりの発行増額として、2年債が4,000億円、5年債及び10年債が2,000億円、30年債が1,000億円の更なる増額は可能と考える。』

『なお、20年債については、絶対水準ニーズもあり1回の入札当たり2,000億円の増額も可能と考える。T-Billの発行増額は、第2次補正予算の規模をみて必要な分の発行とすべきと考える。』

短国の部分は6M増発可能というのは多いけど1Yはあまり増発を言わないですな、まあ1年短国って使い勝手がイマイチなのか需要が一方方向に傾きやすいという感じだし、まあちょっと前までは日銀の短国買入にひたすらぶっこまれるだけの債券でしたから、まあそういう事なんでしょうかね、よー知らんけど。でもって大体どの辺の年限を増発という話は皆さん同じようなもんですな、というかこれだけ増額するとなると満遍なく増額しないとリームーというのもあるでしょうけれども。


でまあ書いてあることは皆さん大差ないのでめんどいからパスしまして以下こんなのでも。


・政策に関する見解が2つ

後ろの方の人になりますが、

『・日本銀行によるイールドカーブ・コントロールが更に長期に亘り継続する可能性が高く、キャリーとロールが相対的に魅力的な長期・超長期ゾーンを中心に投資していく予定。財政の急速な拡大による格下げリスクには警戒している。』

しらっとソブリン格下げの話に言及しているのがチャーミング。

『新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大による景気後退により、米国の政策金利もほぼゼロ%になり、日米間の長期金利格差も大幅に縮小した。7月以降、国債が大幅に増額されるが、日本銀行の政策目標が物価上昇率2%から、金利を上昇させないという、今まで手段だったものが事実上目標に変わっているため、増額に見合った額の買入増額が行われると予想している。』

しらっと「日本銀行の政策目標が物価上昇率2%から、金利を上昇させないという、今まで手段だったものが事実上目標に変わっているため」とこれはまたお洒落なものをしらっと突っ込んでいますな、良き哉良き哉。

『10年債金利がゼロ%近傍で推移するのであれば、投資家はプラス金利を求めてより長い債券を選好する。20年債、30年債、40年債には投資家の強い需要があると思う。(後半割愛)』

さいですわな。

別の人ですけどね。

『・3月に著しく不安定な状況にあった主要国の金融市場は、米ドルLIBORの正常化に伴って、安定を取り戻してきた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による極めて深刻な影響により、企業が流動性や短期の資金繰りの問題に留まらず、財務の健全性に関わる問題に直面し、中央銀行も国債買入に加えて、企業金融支援策として社債やCP買入にも重点を置いてきている。』

うーんこの。FEDは皆さん「我々はレンディングは出来るけど」という説明をしていて、基本的に「ソルベントだけど資金流動性が一時的に不足している」人をどう救済するかという話をしているので、中銀のクレジット市場支援策を「財務の健全性」と関連して話をしてしまうのはちょっと違うんじゃないかと思うのですが、まあ現象としてクレジット市場がヒャッハーになってしまっているからこういう整理になっちゃうのかねえ、とやや残念に思ってしまう。

では我らが日銀ちゃんはどういう説明をしているかと思えば、よくよく考えてみますと4月決定会合では「国債買入無制限」の方にすっかり質問が集まってしまい、今般の会合では会見が無い(共同声明の後に会見があったようですが)ということで、そもそも何をもってこの拡大をしているのかが制度の作りこみから言って良く分からんわなというのはある。

しかしまあ何ですな、

『本日の日本銀行の金融政策決定会合においても、中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入が決定されたが、特にCPや社債の大幅な追加買入はこの流れに沿ったものである。』

「この流れ」が何を指すのかによってだいぶ違ってしまうのですが、さっきのケツの「中央銀行も国債買入に加えて、企業金融支援策として社債やCP買入にも重点を置いてきている」という話だったらそうですねという話ですけど、直前の文章との繋がりが妙なので何ともかんとも。

とかいう綴り方教室ネタはさておき、まあ投資家懇でこういう評価をされちゃいますと日銀ニッコリという感じで、ロジックの整合性だの市場機能だのと市井の片隅で蟷螂の斧を振り回しても言いましても馬耳東風にも程がある日銀ちゃんにおかれましては、この無茶ぶり買入(特に社債)を何とかするにはまあ投資家(とか貸出金融機関)が「社債スプレッドを必要以上に縮小することによって、信用リスクに応じた貸出金利の設定が困難になっているので再考を求む」って苦情を申し入れに行かないと、このまま漫然と買入継続されて社債市場が壊れるリスクあるで、と思うのでありました、マッタクモウ。

しかしまあ何ですな、社債やCP買入をしたって、結局の所「財務の健全性」に関しては別に改善する訳でも無いのでありまして、必要なのはエクイティじゃないでしょうかねえとか思ってしまいます(そういう点では日銀の出る幕は無くて第2次補正でそれらしきものがあった気がせんでもない)し、元々円資金の流動性は困るほどあるという状況のもと、新オペとか金融機関向け奨励金以上の意味はない(数字を作るとかいう意味は意味とは言わん)のでありまして、本当の本当に金融機関の融資をバンバン出させたいのでしたらば、今って別に破綻しなくても公的資金注入できるんですから、貸出促進のために金融機関に対して公的資金を注入して資本を厚くする方がエエンチャウノとか思ったけど、規制資本上の資本性のあるローンとかに変な影響が起きるんでしたっけ(無知)。

とまあそんな所で最後は関係ない雑談になってしまいましたが(汗)。



〇FOMC議事要旨ネタで積み残していたのがあるのを忘れてました(滝汗)

MPMが悪いよMPMが、と八つ当たりをするアタクシ。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20200429.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20200429.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
April 28-29, 2020
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
was held by conference call on Tuesday, April 28, 2020, at 1:00 p.m. and continued on Wednesday, April 29, 2020, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最終パラグラフだけネタにして他のパラをネタにするのをパスしてたのを忘れてましたすいませんすいません(健忘症)。

いつものインスタント逆順読みをするのは読みにくいのでパートに分けて逆順読み(何のこっちゃ)を行いますです、はい。

・金融政策決定に関して

ケツから4パラ目からの3パラグラフになります(そこは掲載順に引用します)。

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants noted that the Federal Reserve was committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』

まあご案内の通りこのFOMCは現状維持でしたが、ぶっこむツールに関して具体的な言及をしない中で威勢の良い言い方になっていて、しかも現状維持って感じですが、この時の会見とかその後のパウエルの発言とかもそうなんですが、「こっちはやれることは全部やりました、状況が悪くなったらおかわりは出来ますがあとは財政なので政府と議会よろしゅうに」という感じになっておりまして、遂にFEDも舌先三寸でしのぐしかなくなったかと思うと感慨深い。

『In light of their assessment that the ongoing public health crisis would weigh heavilyon economic activity, employment, and inflation in the near term and posed considerable risks to the economic outlook over the medium term, all participants judged that it would be appropriate to maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent.』

実質ゼロ金利据え置き。

『Keeping the target range at the effective lower bound, after quickly reducing it by 150 basis points in March, would continue to provide support to the economy and promote the Committee's maximum employment and price stability goals.』

quickly reducingして市場のボラを無駄に上げてませんでしたっけとは思うけど(しつこい)。

『Participants also judged that it would be appropriate to maintain the target range for the federal funds rate at its present level until policymakers were confident that the economy had weathered recent events and was on track to achieve the Committee's maximum employment and price stability goals.』

てな訳でガイダンス類似部分も一般的な言い方にとどめています。まあローゼングレン総裁ですら経済物価雇用にあれだけ警戒的なんですからプリエンティブな利上げというのは無いに等しいわな(個人の感想です)とは思いますけど、こちらの議事要旨出た時にネタにしたこのコーナー最後のパラを見ますと、「スムーズな市場の価格形成が行われているんだったらIOER引き上げたり国債買入スケールバックしたりシステムレポを減らしたりしても良かんべ」という指摘がポロポロ出ているので、そういう点での調整はアリエールと思います。


次のパラグラフは資産買入とシステムレポの話でこちらも現状維持。

『Participants also assessed that it was appropriate for the Federal Reserve to continue to purchase Treasury securities and agency residential-mortgage-backed securities (RMBS) and CMBS in the amounts needed to support smooth market functioning. These open market purchases would continue to support the flow of credit to households and businesses and thereby foster the effective transmission of monetary policy to broader financial conditions. In addition, the Desk would continue to offer large-scale overnight and term repo operations.』

あくまでもオペの方は「support smooth market functioning」であり、「support the flow of credit」なのであって・・・・・・・

『Participants noted that it was important to continue to monitor market conditions closely and that the Committee was prepared to adjust its plans as appropriate to support smooth functioning in the markets for these securities.』

この文章、何の変哲も無いのですが、先般ネタにしましたここの最終パラを見ますとさっき申し上げたようなスケールバックの話が出てくるのでありまして、これは「必要なら増やす」という意味の文章ではなく「必要に応じて減額する」という話。そらもう減額しておかないと次が来た時に増やせないですしね(何かを見た)。


次のパラグラフが企業支援策関連の話です。

『Participants also commented that the multiple lending facilities established by the Federal Reserve under the authority of section 13(3) of the Federal Reserve Act and, in some cases, involving capital allocated by the Treasury were supporting financial market functioning and the flow of credit to households, businesses of all sizes, and state and local governments.』

はい。

『In this way, these emergency lending facilities were intended to help support the economy until pandemic-related credit market disruptions had abated.』

これらの危機対応オペによってパンデミック関連のクレジット市場の「disruptions」を無くしていく、というお話をしていますが日銀いやもういいです。

『Several participants commented further that it would be important for the Federal Reserve to remain ready to adjust these emergency lending facilities as appropriate based on its monitoring of financial market functioning and credit conditions.』

ほほー。まあ予算ついてるからこれはこれで実施するでしょうし、国債やエージェンシー債とは話が別だとは思います(次のパラでもスケールバックの話題になっているのは国債買入とかシステムレポとかの扱いですからね)けどね。


・金融市場とか金融市場の安定化とかの話

今ネタにした前2つのパラグラフになります。これまた掲載順に。

『Regarding developments in financial markets, participants agreed that ongoing actions by the Federal Reserve had been instrumental in easing strains in some essential financial markets and supporting the flow of credit. These actions included large-scale purchases of Treasury securities and agency MBS, measures to reduce strains in global U.S. dollar funding markets, and the launch of programs to support the flow of credit in the economy for households, businesses of all sizes, and state and local governments. Banks had entered the crisis well capitalized and had been able to provide necessary credit to businesses and households.』

と、金融市場についてはFEDの一連の施策で落ち着いてきており、元々の銀行セクターの資本的な健全性によって民間非金融機関へのクレジットサポートが可能な状態になっている、との前向き認識。次のパラに行く。

『A number of participants commented on potential risks to financial stability.』

ほうほうそれでそれで???

『Participants were concerned that banks could come under greater stress, particularly if adverse scenarios for the spread of the pandemic and economic activity were realized, and so this sector should be monitored carefully.』

ということなのでクレジットバブルがヒャッハーとかいう話ではなくて、金融機関の自己資本が今後信用コスト上昇によって毀損する方の「金融安定」の問題ですな。

『Participants saw risks to banks and some other financial institutions as exacerbated by high levels of indebtedness among nonfinancial corporations that prevailed before the pandemic; this indebtedness increased these firms' risk of insolvency.』

もとより民間非金融機関の中で、今回のパンデミック関係なく負債を拡大させて(財務上のレバレッジを拡大させて)いた企業が存在しており、これらの行動が当該企業群がソルベントじゃなくなったりするリスクが高まっていて、そういう部分に金融安定を損なうリスクが集中しているのではないかというご指摘御尤もなのですが、えーっとすいませんそれはあんさんらがその前に緩和相場でゴルディロックスヒャッハー相場を思いっきり後押ししたせいじゃネーノと小一時間問い詰めたい。

『The upcoming financial stress tests for banks were seen as important for measuring the ability of large banks to withstand future downside scenarios.』

んな訳でストレステストちゃんとやらんとな、というご指摘。

『A number of participants emphasized that regulators should encourage banks to prepare for possible downside scenarios by further limiting payouts to shareholders, thereby preserving loss-absorbing capital.』

でもってオモロイのはこの「possible downside scenarios」による資本の健全性チェックとかいう話の直後にこういう指摘をしていること。

『Indeed, historical loss models might understate losses in this context.』

ちと時間がアレなのでこれよりももうちょっと前の部分(経済物価情勢とリスク認識)はちょっとパスしますが(すいませんすいません)、まあ先般来のFED高官発言でお察しだし、このFOMCで声明文の書き方をゴロっと変えて来ましたように、見方に関しては非常にシビアでして、それがこちらの一文にも反映されておりますわな、「ヒストリカルロスのシナリオは今回のリスクシナリオ分析においてはリスクを過小評価していると見られる」ってまあシビアですこと。

『A few participants stressed that the activities of some nonbank financial institutions presented vulnerabilities to the financial system that could worsen in the event of a protracted economic downturn and that these institutions and activities should be monitored closely.』

ノンバンクの金融機関が金融システムに対する脆弱性を積みあげている可能性があり、今後の経済悪化が顕在化した時にアカン事になるかも知れんので、きっちりモニターしておきましょう、とはまあ当然だが手厳しいですな。

#という所で中途半端ですいませんが勘弁







2020/05/26

お題「第2次補正向けPD懇議事要旨を鑑賞/ボストン連銀ローゼングレン総裁講演ネタ(遅くなりました)」

第1次補正でわざわざ成立させたのは必要緊急の施策だったからなんですね!!!!
https://news.yahoo.co.jp/articles/947c5f080792e4fe8e62edf6044483e4fb734dd9
国内旅行の半額補助やプレミアム付き食事券、7月下旬開始へ…予算1・7兆円確保
5/25(月) 13:33配信

『喚起策は「GO TO キャンペーン」との名称で、国内旅行の代金を半額補助(1泊あたり最大2万円)するほか、土産物店などで使えるクーポン券を発行する。飲食店向けのプレミアム付き食事券の発行や、イベントチケットの割引なども実施する予定だ。』

『政府は25日に緊急事態宣言を全面的に解除し、基本的対処方針で、外出自粛を7月末頃までに段階的に緩和する計画を盛り込む見通しだ。今後、事業者や利用者に周知し、夏休みの旅行シーズンに合わせて実施できるよう準備を進める。』(以上上記URL先より)

さて、「新しい日常」とは何のことだったんでしょうかねえと思いましたが、それよりも何よりも今年って新学期開始が2か月、休校開始の3月からみたら3か月休みになっているのに夏休みって実施してる余裕あるのですかねえやるにしたって集中しませんかねえ、などなど全く持って訳が分からんのだが。

まあどうせこれも「国内は観光業もこの通り平常運転に戻りましたから東京オリンピックも大丈夫です」ってな話をしたいんでしょと思う位にはすっかりヒネクレておるアタクシ。


〇書面のPD懇があったようだが書面だけに微妙なアレがそのまま出てしまうのがアレ

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/200525.html
国債市場特別参加者会合(第88回)議事要旨
日時 令和2年5月22日(金)
場所 書面にて開催

内容
1. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
2. 令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更について

ってな訳で金曜日にそういやPD懇書面ってのがあった訳ですが、基本的に補正がまた出るから国債増発しないといけんのじゃがさてどの辺をご希望ですかね、という話をしているものと見られますな。

でもって紙で出ているせいもあって一つ一つの意見が無駄に多い感じがするのと、うーんこのというのもあるのでその辺から少々。


・最初に張り付けてある意見はほうほうなるほどと思ったんですが・・・・・・・・・

『○提出された意見等の概要は以下のとおり。』って所の最初にあったのはさすがに編集上最初に置かれているだけにちゃんとしている。

『・市場が大きく荒れた3月に比べれば、国債市場は落ち着きを取り戻し、狭いレンジでの動きが続いている。ただし、証券会社・投資家共に今般の新型コロナウイルス感染症対応として在宅勤務と取引の取捨選択の傾向を強めた結果、特にデリバティブ市場では流動性が大幅に低下する一方で、現物市場では取引が比較的見られる状況である。今後、首都圏の緊急事態宣言が解除されれば、徐々に流動性も厚みを回復していくと考えられるが、そのスピードは当初は非常に緩慢で、引き続き流動性には不安な状況が継続することを想定している。』

ということでこちらがお題1の部分の前段、認識に関しては違和感全くない。

『こうした中、円金利の見通しとしては、6月は先進各国の経済活動再開本格化と7月以降の日本における国債の大幅な発行増額を見込み、金利上昇圧力が掛かりやすい地合いが継続すると考える。一方、グローバルで、@新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、A6月末の英国の欧州連合離脱猶予期間の延長期限、B米中摩擦激化、C大手企業のクレジット動向、など金利低下を促す要因も想定される。』

まあそんな感じですかね。以下が発行の話。

『令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、イールドカーブ全般を俯瞰し、T-Bill・6か月物は0.1〜0.5兆円の増額で1回の入札当たり2.6〜3.0兆円、T-Bill・1年物は据え置きで1回の入札当たり3.0兆円、2年債は0.3〜0.6兆円の増額で1回の入札当たり2.7〜3.0兆円、5年債は0.2〜0.4兆円の増額で1回の入札当たり2.3〜2.5兆円、10年債は0.1〜0.3兆円の増額で1回の入札当たり2.4〜2.6兆円、20年債は0.1〜0.3兆円の増額で1回の入札当たり1.1〜1.3兆円、30年債は0.1兆円の増額で1回の入札当たり0.9兆円、を提案したい。』

まあさすがに満遍なく増やさざるを得ないのだが中短期を厚くということですね。

『本日期間延長された日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの利用ニーズなどを背景に、金融機関の担保需要は厚い。T-Billは既に6月迄で大幅な発行増額となっているものの、海外からの根強い需要も鑑みると、引き続き2年債以下は安定的な需要が見込まれ、相応に増額余地が残るものと考える。T-Billの増額幅は全体を俯瞰しての判断が重要であり、バランスをとった配分をお願いしたい。』

『5年債の投資家需要は依然として限定的であり、大幅な増額はイールドカーブを歪める要因となる。2年債の増額幅等を考慮した増額の検討が重要と考える。10年債はプラス金利での投資家需要は旺盛であり、20年債についても顧客の裾野が広いことから増額発行は可能と考える。30年債についても投資家の需要は相応にあると考える。』

これ金利水準にもよって、10年のマイナスがそこそこの水準になっちゃうと10年も中途半端なニーズになってしまいますな。5年はもっと上がればニーズ出るんでしょうけれども短い所と横綱に抑えられてしまいますからねえ。

『ただし、5月の40年債の1,000億円の増額及び第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更における30年債の1,000億円の増額が既に決定されており、第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更においては、追加で1,000億円の増額に止めることを提案する。40年債については第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更後の増額の影響を見極めるためにも今回は据え置きを希望する。』

ということで、まあ穏当なお話だと思いました(個人の感想です)。


・この意見を書いたのは誰だあ(ガラッ)

とまあオーソドックスな最初の見解を見た直後に突発的海原雄山と化してしまうアタクシ。次の意見な。

『・新年度に入り2か月近く経ったが、在宅勤務体制への移行による投資家売買頻度の減少と、日銀買入オペ日程の細分化及び買入増額によるボラティリティ低下で、流動性の低い状況が継続している。』

何で日銀オペでボラが下がると流動性が低くなるの???????

『日本銀行が国債買入上限80兆円を撤廃し無制限とした追加緩和策を受け、一旦はイールドカーブ全体で金利低下したものの、大型連休明けには4月同様、10年債でマイナス0.01%〜0.01%というレンジに戻ってきている。』

追加緩和策の骨子は民間金融機関の金融環境を緩和する各種施策がメインだろと思いますが、何よりも「国債買入上限80兆円」ってお前何年円債やってるんだよという話で、プライマリーディーラーが書いてるのかと小一時間問い詰めたくなるレベルの仕上がりになっている。

『欧米の債券市場や株式・為替市場との相関も非常に薄く、引き続き国債発行入札や日銀買入といった需給面を睨みながらの展開が継続しそうな印象である。ただ、7月からの大幅な発行増額が見えており、その前後では日銀買入の内容変更等も見込まれることから、来月以降は日本国債市場のボラティリティが徐々に回復していくのではないかと考えている。』

という部分は若干もにょるけどまあ良いとしてその次がもうね。

『令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更にかかる、各年限別の増額可能幅について、30年債は、日銀買入の回数及び額が共に限定的であり、40年債増額の影響も見極める必要があるため、30年債の更なる増額については慎重になるべきと考えており、増額後で1回の入札当たり8,000〜9,000億円と考える。20年債は、日銀買入の回数及び額が共に限定的ではあるが、イールドカーブ・コントロール政策下において投資家需要が非常に旺盛なゾーンでもあり、1回の入札当たり1,000〜2,000億円の増額は可能と考えており、増額後で1回の入札当たり11,000〜12,000億円と考えている。(以下割愛)』

えーっとすいません、まあさっきの所からそうなんですが、増発の話をするのに輪番オペを前提にした話を最初に持って行くのってちょっとあのですねえという所ではございます。しかしまあ何ですな、こちらのお方の意見の最後に、

『(先ほど割愛した最後の部分より) 第1次補正分及び第2次補正分を7月から同時に増額すると、発行が大幅に増加することから、市場での調達を確実なものにするため、まずは短期ゾーン等での調達を中心とし、順次利付債に振り替えていく、という流れが適切ではないかと考えている。』

うーん気持ちは分かるんだが「順次利付債に振り替えていく」っていうの国債発行計画的にはちょっとそれ無理があるんじゃなかろうか。年単位で順次振り替えていくってのなら分かるのですが、そうであればもうちょっと表現のしようがある気がします(「今は短期ゾーン等のニーズが強いので調達の中心はそこにするとしても長期的な安定調達の観点から数年間掛けて長期化するのが望ましい」とか)けどね。


ということで海原雄山シリーズが何故か続くのですが、次の人の市場概況の話の部分は吹いた。

『・市場参加者の新型コロナウイルス感染症の感染拡大対応でスプリット勤務や在宅勤務による制約は感じられるが、懸念していたほどの流動性低下はなく、各国中央銀行の強力な資金供給・緩和姿勢にも支えられ、入札は安定的な結果で推移し、マーケットは落ち着いた動きとなっている。一方で、現物及び先物の売買高は低迷しており、市場の流動性が戻っているとは言えない状況でもある。(以下全部割愛)』

流動性があるのか無いのかどっちなんだよ!!!!!

いやまあ言いたいニュアンスは分かるんだけど連続している2文で市場の流動性について両建て表記せんでくれ。これたぶん現物売買とかの話を先に持って行った方が文章の意味が分かりやすかったんだと思いますし、実際問題として「セカンダリーの流動性が無いからポート運営をするのに入札と輪番に集中せざるを得ない」という(ある程度ロットのある)投資家のニーズがあるからこそ、逆に入札の所にニーズが集中して落ち着いているだけですがな、という話を分かりやすい日本語で書いている意見が下の方にありまして、同じこと言ってるのにそれと比較するとちょっと泣けてきますわ(あとで出てきます)。

ということでもうちょっと推敲した方がエエンチャウノと思ったけど、よく考えたらスプリット勤務だからこういうのでも何人かでチェックしている余裕とか無いんでしょうな、と思うとちょっと同情の余地がある(日本語がヘタクソなのに書かせた上司はちとアレですが)ので海原雄山も厨房からスゴスゴと帰って食事の席に戻るのでした(^^)。


・これは高度な婉曲表現か?

さて、その次の方を拝読すると、それはそれで実際にそうなんですけれども、あのすいません発行当局の会合であんまりこういう表現をあからさまにするのってどうなってのがありますが、これはよく考えたら高度な婉曲表現を使っているのかなとも思いましたので別に悪態はつきませんけど。

『・日本銀行によるサポートもあり、国債市場は一見すると落ち着いた状況に見えるが、市場参加者のスプリット勤務等の物理的な制約を背景としたリスク許容度が低い環境に変化は見られていない。現物市場におけるオファーとビッドの乖離は広く、債券先物がヘッジツールとして機能していない等、流動性や機能度は注意を要する環境が続いているとの認識である。』

まあこのマクラ部分はさておき次を見ますと、

『7月以降、国債発行の増額が実施されていく中、日本銀行が先立って積極的な国債買入れを実施することで国債市場の安心感が醸成されると考えており、その観点からも5月末に公表される「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定」を始め、日本銀行からの情報発信がポイントになると思っている。(以下途中割愛)』

となっていて途中割愛しましてこの方の最後も、

『(さきほどの意見の最後の部分)ただし、いずれにしても国債全体の発行規模が大きく増大することから、円滑な発行環境維持には日本銀行の積極的かつ柔軟な国債買入が一層重要になると考えている。』

で締まっております。いやまあMPMでも日銀が財政と何とか見たいな話しているからこれでも良いのかも知れないですけれども、あんまりこうアカラサマに言ってしまうとまるで市場で国債の消化が困難であるかのような話に読めてしまうんですけどねえ、と一瞬海原雄山スイッチが入りそうになりましたが、落ち着いて考えてみますと、こうやって日銀買入がというのを強調することによって、国債発行を野放図に拡大するのはいい加減マズイんですよそもそも既に輪番が前提になっている時点で、とかそういう話を角を立てずに表現するというぶぶ漬けスキームを導入しているのだなあ、とまあ勝手に読んでしまいましたサーセン。


・何か毎回全年限ダッチ方式を主張している人がいるんだが・・・・・・・

なんかここもとずーっとPD懇の書面開催というのを見るとダッチ方式の人が出てくるんですよね、だいぶ飛んで後半の人なんですけど。

『・(前半割愛) 足元、新型コロナウイルス感染症の感染状況は落ち着きを見せ始めているが、今後も警戒が必要な状況が継続する。こうした中、市場参加者のオペレーション上の制約が常態化することも予想される。最近、市場参加者から指摘されているが、国債の安定消化のために入札方式をダッチ方式とすることが有効であると考えており、入札方式を再検討してほしい。』

3月の相場の時にはちょっと同情はしましたけど、さすがにこの期に及んでダッチ方式ってのはちょっとと申しますか、コンベンショナル方式だからこそPDの中でも優良劣敗が生じる(生じる)し収益チャンスも生まれる(儲かるとは言っていない)し、顧客ニーズを正確につかむセールスの重要性というのも出てくると思うんですけれども、そんなに全年限ダッチじゃないと入札できないんでしたらそもそもPDを維持するのが体力だか人材だかしらんけど無理という話で、PD返上したら如何でしょうかねえ、とさすがにイヤミを言いたくなりますな。


・やっぱりこういう指摘がイイネ!

また後に飛びまして最後の方の意見ですけど。

『・最近の国債市場については、ボラティリティの低下が見られ、流動性は回復してきているように見えるが、各国の中央銀行による積極的な金融政策の結果としてマクロ環境に対する感応度が下がり、価格決定機能は失われてきているようにも見える。(以下割愛)』

いやーこういう指摘をしてこそのPDだと思うのよね。それからこれまた先に飛んで最後の方のになりますけれども、

『・海外金利の変動が落ち着いてきたことや、買入頻度の増加など積極的な日銀買入を背景に、最近の国債市場は安定的に推移している。一方で、国内では緊急事態宣言の下、証券会社のみならず、投資家も出社制限を行っている状況であり、不要不急の売買が手控えられ、必要な手当てはセカンダリー市場よりも入札で行われていることが、最近の各年限の新発債の入札がよい結果の一因になっていると感じている。』

ちょっと前の方にあった謎の日本語と比較してこの文章の出来の良さよ。

『今後の見通しについては、当局の国債発行増額の規模とその年限構成、それに対する日銀買入がどうバランスしていくかが鍵となる。特にマイナス金利となっている中長期ゾーンについては、トレーディングを除けば、国内投資家からの実質的な需要に乏しいため、日本銀行の買入姿勢によっては、一時的な金利上昇を招くリスクを孕んでいる。(以下割愛)』

日銀オペがどうのこうのの話も、まあこんな感じで書けばエエンチャウノと思いますし、金利水準による投資家のニーズの話の前に「日銀の買入が多いから少ないから」で話をおっぱじめてニーズの話をするのは何ぼ何でもいやまあお気持ちは良く分かるんですけれども、あんさんらPDなんだからPDの市場における位置づけに沿った話をしてちょんまげとは思うのでありました。

ちなみにアタクシが読んだ勝手な感じだと、最初にちゃんとしたのを掲載してから晒し上げが来るような作りになって、最後の方はまたちゃんとしたのを並べて読後感を締めているという編集をしているように思いましたが、これは理財の担当部署(市場局国債業務課)の方で狙ってやってるんだろとか思ったりしますが、さてどうなんでしょうかニャー。





〇ローゼングレン総裁の講演(本紙はいいので紙芝居)は読むべし

って金曜からずっと申し上げてて引っ張りまくった挙句に火曜日になってしまいましたが(ゴメンチャイ)。

https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2020/the-main-street-lending-program-and-other-federal-reserve-actions.aspx
The Main Street Lending Program and Other Federal Reserve Actions The Main Street Lending Program and Other Federal Reserve Actions
By Eric S. Rosengren
May 19, 2020
(リンクはちゃんと組んでますので途中までしか無いように見えますがちゃんと飛ぶはずです)

こちらのHTML(何故か拡張子がaspxなのですがこの連銀)が超要約ページして、

本文は
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/2020/0519-text.pdf(本文)
になりますが、

見やすい紙芝居ちゃんが、
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/2020/0519-charts.pdf(スライド)
にありますので、基本的にHTMLの方を見ながら紙芝居を見るのが吉。

てな訳で以下「主な論点」の方から参ります。

『Key Takeaways from Boston Fed President Eric Rosengren’s May 19』ってことですが、その下に『Listen to recording of Remarks to the New England Council』ってのがあるのですけれども、リンク先のURLを見たらZoomを踏むようですな。うーんこの。

『1.Takeaway: The absolutely necessary response to the COVID-19 pandemic - social distancing, aimed at protecting lives - comes at a high economic cost. The recent employment report underscores the unprecedented speed and ferocity with which jobs have been affected by this public health crisis.』

ってのは紙芝居の方では最初の『Introductory Observations』ってのにありますが、まあウィルス対策完璧にやったらコストが高くてしびれるバイというのは分かる。よって、

『Excerpt: “I expect that the unemployment rate will likely peak at close to 20 percent. Unfortunately, even by the end of the year, I expect the unemployment rate to remain at double-digit levels. This outlook is both sobering and a call to action. Now is the time for both monetary and fiscal policy to act boldly to minimize the economic pain from the pandemic.”』

失業率は近く20%とかになって来るでしょうし、年末でも2桁水準なので「a call to action」ですよと従来タカ派系だったローゼングレン総裁もこの有様キタコレという話で、しかも「both monetary and fiscal policy to act boldly」と暴れん坊政策が求められるとまで来ましたな。

『2.Takeaway: It is important that our progress to date not be undone, and simply allowing business to reopen is not a panacea. Our economic challenges are rooted in public health concerns. If consumers are not comfortable visiting restaurants and shops, relaxing restrictions may do little to bring back business and jobs.』

「simply allowing business to reopen is not a panacea」と来まして、なんかこう緊急事態宣言を全面解除した途端にゴージャパンキャンペーンとか出てきているどこかの国と比較すると目から汗が。

『Excerpt: “Public health solutions are paramount - without them, it will be virtually impossible to return to full employment. It is vital that the design and timing of reductions in business restrictions not result in worse health outcomes and higher unemployment over a longer period of time.”』

この辺はスライドの10ページ目くらいまでの部分の話になっていますが、(PDFでも同じく10枚目)公衆衛生も大事だし大変だけれども、企業活動を適切な時期に再開しないと経済が死ぬので、バランスを考えてやるしかないですよね、でも物凄く難しいですが、てな感じで思いっきりローゼングレンさんがハトというか、米国当局の見方がそもそもこんな感じでかなり経済に厳しい認識を持っているのか、というような話で、株式市場やらクレジット市場のヒャッハー振りばっかりを見ているとその差がでかいので考え込んでしまうのですが、このご時世「実際に米国を見に行ってみる」という技が使えなくて、恐らくこのコロナ云々って思いっきり社会が分断してしまっているので、全体的にどうよというのを把握するのが難しくて、どっちがより事実に近いのかとかの判断も難しい(たぶん金融市場のヒャッハーが変、とは思うが実は金融市場が合っているかも知れないという疑いはやはり思う)のでしょうな。うーむ。


『3.Takeaway: The Fed has taken strong actions to mitigate the economic consequences of the pandemic. We want to limit the potential for medium- and longer-term “scarring” from the crisis. This means, among other things, working to minimize the length of unemployment spells and ensuring solvent firms have necessary liquidity. 』

てな訳でFEDの役割分担の話に来ました。これはスライドの11枚目の所からの話になります。

『Excerpt: “Preventing bouts of financial instability from having significant spillovers to the flow of credit to consumers and businesses is a vital crisis role for central banks, and the Fed has aggressively played that role during this very challenging period.”』

でもって同じスライドの所の話なのですが、ここを独立させて説明していまして・・・・・・・

『4.Takeaway: It is important to note that the powers granted to the Federal Reserve for emergency actions involve “lending, not spending.” All of the Fed’s programs involve loans, to be repaid - they are not grants by the Fed. 』

スライドの方で“lending, not spending.”とあるlendingの方は斜字体になっています。この「lending, not spending.」ってのは思いっきり茲許のFED高官から言われているので見慣れていると思いますし、ローゼングレン総裁はわざわざ「All of the Fed’s programs involve loans, to be repaid」と「返済されるもの」とまでゆうてまして、3番のテイクアウェイの所でも「ensuring solvent firms have necessary liquidity」とあるように、バジョット・ルールの観点に則っているという話をしてるんですよね。どこぞの日銀は爪の垢を煎じて飲んで欲しい。

『Excerpt: “Lending can play a crucial role in a crisis and in bridging to more normal conditions.”』

てなわけで各種施策の説明になる。

『5.Takeaway: The Main Street Lending Program, expected to open in the coming weeks at the Boston Fed, is one of the Federal Reserve’s more innovative and important programs. It is designed to help credit flow to small- and medium-sized businesses that were in good financial condition prior to the crisis, but now need loans that can help them until they have recovered from, or adapted to, the impact of the pandemic. 』

中小企業向け何とかと銘打っておきながら「1先辺り1000億円」とかどう見ても大企業向け融資を意識しているとしか思えないオペの設計をしているどこぞの日銀は以下同文。

『Excerpt: “This is an important program, and we’ve worked very hard to get it right. We listened carefully to initial feedback and expanded the program in a number of ways to serve a wider range of borrowers. It will not be able to assist everyone, but we expect that it will provide an important bridge for many businesses that employ much of the American workforce.”』

んでまあスライド13枚目位に『Figure 6: 90-Day Yields on Highly-Rated Commercial Paper February 18, 2020 - May 15, 2020』ってのがあって、これは先般ネタにしたNY連銀ブログと被りますから見たことあると思いますけれども、FEDの各種施策の効果の話ということでMMLFの話をしています。

14、15枚目はMMFのインフローアウトフローのデイリーの数値。MMLFの効果の説明ですな『Figure 7: Daily Change in Prime and Government Money Market Fund Assets Under Management February 18, 2020 - May 15, 2020』、『Figure 8: Prime and Government Money Market Fund Assets Under Management February 18, 2020 - May 15, 2020』になります。

メインストリートレンディングプログラムの説明はスライド17枚目以降になりますが19枚目の所を見るとお分かりのように、貸出金利は「LIBOR+3%」ということでして、何でも買いますと言いながらも、金利設定の所ではバジョット・ルールの考え方を残しておりますよ、ってことですな。ローンについてもフルローン買取じゃなくて5%は元のローンを持ってろというのも全部買う訳ではない、という原則を考えているんでしょう。

最後のテイクアウェイは、

『6.Takeaway: How we respond to this public health crisis will greatly influence whether many of these temporary job losses become permanent. As Fed policymakers, we will continue to vigilantly pursue ways to help the economy return to full employment.』

『Excerpt: “The economic shock is an unprecedented challenge for economic policymakers including the Federal Reserve, where we will do whatever we can to support a return to full employment and stable prices - our mandate from Congress - and our commitment to financial stability, which is important to the well-being of all Americans.”』

まあご挨拶ですし、普通のコメントではありますが、ただまあタカの片鱗も見せないというのはいつものタカ派のローゼングレンさんェ・・・・・という感じですけど、そらまあこんなに経済見通し弱いんだったらそうなるわなとは思うのでありました。

てな訳で要点の方だけ簡単にで恐縮至極。






2020/05/25

お題「MPMレビュー基本的見解:75兆円が通れば道理はあばばばばー」

ほうほうそうですか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200525/k10012443341000.html
緊急事態宣言 全面解除の方針 政府 きょう諮問へ 新型コロナ
2020年5月25日 5時00分

『政府は焦点となっていた東京が、「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」で解除の目安を満たしているほか、この目安を満たしていない神奈川や北海道についても、感染経路が追えていて医療提供体制も改善しているなどとして、解除する方針を固めました。』(上記URL先より)

結局最初から最後まで基準が良く分かりませんでしたが、まさかとは思いますが東京オリン・・・・おっと朝からお客さんが来たようだ。


〇MPMレビュー基本的見解:75兆円が通れは政策ロジックが引っ込むですねわかります

なお、基本的見解を詳しく説明申し上げた背景説明に関しましては、今朝の本編のケツに土曜日、日曜日に分けて盛大に説明を申し上げておりまして、そちらは日付逆順にすると読みにくいのでそのまま土曜日アップ分→日曜日アップ分としております。

んな訳で割と勢い良く(たぶん土曜日の部分が途中から噴き上がってきていておりますです、汗)背景説明をしておりますが、ちとくどいかも知れない(いつもくどいわというツッコミは却下)のと、大体からして肝心の決定会合声明文に触れないままだったので声明文をば。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522b.pdf
当面の金融政策運営について
2020年5月22日
日本銀行

ちなみにこの下の方で出て参りますが、あたしゃ最初に読んだのがこっちじゃなくてオペの導入がどうのこうのの方を見ておりまして、それを見ながらフンガーと血圧を上げてからまあオマケで見た感じではありますので、土曜日版の方も是非ご覧ください。


・時限的措置で導入した施策のエンドを延長するのは「緩和強化」なんじゃないですかねえ

今回の決定会合の題名は上記のように「当面の金融政策運営について」となっておりまして政策維持、という扱いになっております。

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融市場調節方針および資産買入れ方針について、以下のとおり決定した。』

はい。

『1.長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注2)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。

長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする1。 』

ディレクティブは同じ。しかし前回から入りました「上限を設けず」っての物凄い見苦しい文言でして、「10年が0%程度ですいするように必要な金額の長期国債の買入を行う」となったらその時点で定義上上限下限ってのは存在しない筈で、上限を設けてYCCするとかいうのが字義矛盾だし、大体からして指値無制限オペが存在している時点で、買入に上限は存在しないんですよ。

どうせ日銀に言わせれば「金利上昇を抑制するために必要ならば断固として買うという決意をわかりやすく示したもの」とかそういう話になるんですが、そうやって変な決意の文言を入れるもんだから今度はYCC政策ってどういうもんでしたっけという定義が良く分からなくなってしまう、という事案が生じる訳で(80兆円だって別に上限じゃないのに急に「上限撤廃」とか報道されたのは報道機関が無知だからというのもあるんでしょうけれども、報道機関全員がYCCの建付けを理解していないというのはさすがに考えにくく、それなのに全員が全員(例外あったかも知れませんのですが見た感じ見事にQEアンリミテッドで報道が揃っていた)あの報道をするという辺りにキナ臭いサムシングを(ここで床に穴が開き吸い込まれる)。

とまあそういう前回MPMの悪態はさておきまして、片岡さんいつもの反対をしているんだが今の政策が継ぎはぎだらけのロジック崩壊政策なのに、反対している片岡さんの政策ロジックも崩壊しているのは見てて悲しいので何とか建て直してください(後述)。

でもって問題となるのはここである。

『2.資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

(1)ETFおよびJ−REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約 1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う2。

(2)CP等、社債等については、それぞれ約2兆円、約3兆円の残高を維持する。これに加え、2021 年3月末までの間、それぞれ 7.5 兆円の残高を上限に、追加の買入れを行う。

以上』

>2021 年3月末までの間
>2021 年3月末までの間
>2021 年3月末までの間

・・・・・・・はい、期間が延長されていますね。なお基本要領の変更に関しては(上乗せ部分は要領の付則部分になりますが、「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領」の一部改正等について[PDF 167KB]という所(https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200522c.pdf)にしれっと入っておりまして、前回4月に時限的な買入拡大と買入対象社債の年限延長、個別買入限度の緩和などの措置を取った時には「コマーシャル・ペーパーおよび社債等買入基本要領」の一部改正について [PDF 108KB]という形で独立してリリースしていたんですが、今回しれっと一緒くたになっているというのもアレ。

まあ昨日一昨日(つまりこの下の方)でああでもないこうでもないと大変にクドクドと(すいません)悪態を垂れているのですが、「一時的措置」でおっぱじめた施策の期間を延長するというのは、それは金融政策として何らかの判断が無いと延長というものは行わない筈なのですが、今回の声明文はご案内の通り、さっきの引用部分に「以上」とあって期間延長の決定に至った背景説明はありませんし、おまけに金曜日は定例の記者会見も行われなかったという事実がある訳ですよ。

もとより特に社債の方に関しては購入額とされているものが市場規模対比過大(だから1−3年の社債買入が最低金利▲12bpとかいうトンチキレートになってしまった)な訳でして、そんな状況になっている買入の期間をいきなり倍に延ばすというのは社債市場の価格発見機能を完全に崩壊させて、発行体のリスクに見合ったスプレッド形成という健全な市場の状況も叩き潰そうってんだから何じゃそれだし、4月末に9月末までの時限措置と言って導入したものが1か月たたずに半年も延長されるわ説明ないわで、まあお前ナメトンノカと思いますし、しかもこれが「緩和の強化」じゃなくて「現状維持」って何だよそれという所ではあります。書いているとまた同じペースになりそうなので詳しい悪態は下の方でまた確認してちょということで別の論点。


・今回の変更とは関係ないけれどもETFとかの買入についての意義づけの説明がガバガバなんですけど

いつものETF買入の脚注ですけどね。

『2 ETFおよびJ−REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、 資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。』

ということで、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点」って書いてあるから、こいつらの買入って「資産価格のプレミアムが歪んだ場合に是正しましょう」って話になっているんですけれども、今回政策決定の際に別紙がありまして、まあこの下の方では別紙から延々と悪態申し上げておりますが、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入
2020年5月22日
日本銀行

『3.加えて、日本銀行では、金融市場の安定を維持する観点から、国債買入れやドルオペなどによって、円貨および外貨を上限を設けずに潤沢に供給しているほか、ETFおよびJ−REITの積極的な買入れを行っている。』(この部分だけ直上URL先の文書から引用)

となっていまして、この書き方だとETFの買入が「金融市場の安定を維持する観点から」になっているように読めますし、ここが日本語の悪い所で「観点から」がどこまで掛かっているのか分かりにくいから英文の方を見ると、

https://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2020/k200522a.pdf
Introduction of a New Fund-Provisioning Measure to Support Financing Mainly of Small and Medium-Sized Firms
May 22, 2020
Bank of Japan

『3. In addition, with a view to maintaining stability in financial markets, the Bank has been providing ample yen and foreign currency funds without setting upper limits mainly through purchases of Japanese government bonds (JGBs) and the conduct of the U.S. dollar fundssupplying operations, and has been actively purchasing exchange-traded funds (ETFs) and Japan real estate investment trusts (J-REITs). 』(この部分だけ直上URL先の文書から引用)

となっているので、「観点から」は全部に掛かっていると読むのが妥当なんですが、そうなりますとETFの買入というのは「金融市場の安定を維持する観点」になるので、それは価格維持政策ということになりゃあしませんかとまあそのように申し上げたいんですよね。

いや別に政策目的があって、その手段があって、その手段によってどのようなところのどのような点に働きかけることが出来て、その結果このように社会厚生上良いことが起きますよ、ってロジックがあって、とは言っても経済は生き物だから、導入した手段が当初想定していたロジック通りに進んでいるかどうかの点検を行い、手段の効果が見込みと違うのであればレビューして廃止するなりやり方を変えるなり、とすれば別にまあ何の観点から政策やって頂いても結構なのですが、何せこの黒田日銀の場合は麿たちを石持て追い出して成立しているのと、置物理論とかいうカーゴカルト金融論を世界標準と引っさげているのと、おまけに大旦那さんの政権ちゃんの方も謎に「間違えたら死ぬ病」「謝ったら死ぬ病」の重症患者なので、とにかく理屈をすり替えてドンドンとロジック崩壊していくのだけは得意となっているから困ったもんなんですよね。

これさあ、真面目な話すると非伝統的政策永遠にやっている訳にも行かない筈なんだけど、もともと何をどうしようとしてぶっこんだ政策手段とかいうのが皆その場その場でロジックをドンドンすり替えていくから、最早どう収拾していけば良いのか分からんがなという状況になってしまっていて、どうやってこの状況を収拾していくんでしょう(後でも書いたけどうっかりしたらこの「一時的措置」もダラダラ続きかねない)とまあそういう話ではあります。そういう黒田日銀の一番アカン所の佃煮みたいな今回の決定で、無風どころの騒ぎでは無かったわ(なお直ちに市場に影響を及ぼすものではない(個人の感想です)ので市場的には無風なんでしょうけどね)。


・75兆円が通れば道理が引っ込む

さっきの
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入
2020年5月22日
日本銀行

ですけどね。

『2.これにより、企業等の資金繰り支援のための日本銀行の措置として、@CP・社債 等の買入れ(残高上限:約20兆円)、A新型コロナウイルス感染症対応金融支援特 別オペ(資金供給の対象<担保として差入れられている民間債務>:約25兆円< 4月末現在>)に、B新たな資金供給手段(資金供給の対象<緊急経済対策におけ る無利子・無担保融資を中心とする適格融資>:約30兆円)、が加わることとなった。日本銀行は、この3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プ ログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし、期限を半年間延長して、2021 年3月末までとすることとした(全員一致)。』

>3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし
>3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし
>3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし

社債CP買入と銀行向け担保付リコースローンの大々的な実施とを一緒に束ねているのですが、それは本来束ねていいもんじゃないだろうよとかそういう悪態は下の方で申し上げておりますので後でご覧いただくと致しまして、要するに「75兆円」と言いたかったという話なんでしょ、などと心も目も濁っております不肖このアタクシなんぞは思ってしまう訳でして、まあ要は今回ってのは「75兆円」先にありきだったとまあそういう話でしょうな。そのために今回細目決まった30兆円の方だって、えーっとすいません確か当初の触れ込みだと中小企業向け制度融資のバックファイナンスだった筈なんですけど・・・・・という条項が混じっております(あとで詳しく突っ込んでいますので下の方を読んでちょ)し、まあとにかく大きい数字を出したかったようなのよ。量的政策かよお前という感じですけれどもwww

んじゃまあ何で75兆円アピールかと言いますとこれですよこれ。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/danwa/dan2005a.pdf
新型コロナウイルス感染症への対応についての 副総理兼財務大臣・日本銀行総裁共同談話
令和 2 年 5 月 22 日

ここで数字の話がどどーんと出てるじゃないですか。なんか第一次補正の中に「コロナが片付いた後の観光キャンペーン」とか大変にユニークな施策がぶっこまれたりして数字が大きくなっておりました補正ちゃんですが、あの数字が出てみたり、今回の日銀のもまあ「この施策はどのような効果を狙って、その効果が実体経済にどのように波及して国民厚生を向上させるとか感染症への対応に繋がるのか」みたいな話は無いけれども、とにかく大きそうな数字はドーンと出して(そしてその数字の為に社債市場の価格形成機能は壊れるんですけどね!!)ぶっこんでいくというもうねという話で、そういやこれも昨日書いたのと重複でしたなすいません。


・・・・・・・てな訳で、今回は75兆円というのをアピールするために何かもう訳分らんロジック崩壊が進んでしまいましたってなもんで、実に残念無念としか申し上げようがないのですが、本日分の後に週末にもうちょっと細かく悪態をついておりますのでお暇な方はご笑覧くらはい。


・ところで片岡さんの反対ですがもう見てらんないしおまけに助け舟が出てこない(個人の感想です)とかね

声明文本紙に戻ります。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522b.pdf
当面の金融政策運営について

『1.長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注2) 』

『(注2) 賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員。

反対:片岡委員。片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・ 家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』

前回の反対理由も同じ(なお今回は声明文本紙にフォワードガイダンスの記述が無かったので、フォワードガイダンスに反対することが手続き上出来ないので反対は金利の部分だけになりました)なんですけれども、そもそも前回のオペ時点でもそうですけれども、今回の新オペも然りで、「マクロ加算2倍適用」「オペ残高相当額の当座預金に付利」っていうのを制度上のインセンティブにしている建付けになっている政策がぶっこまれた上に拡大している、という状況の中で「金利を引き下げる」という提案をしている事の矛盾について説明を賜りたいと思うのよ。もう痛々しくて見てらんないし、就任早々安達委員が片岡さんにムエンゴとか世の中の侘び寂びを感じさせる味わいの深い展開になっていて片岡さん身から出た錆だから同情はしないがカワイソス。

むしろ、今回だって「75兆円アピール」とか言い出しているように、ここに来て急にまた「量」の話をアピールするようになっているんだから、ここは執行部がそうやってインチキロジックをぶっこんできていることを逆手に取って、「量的拡大を積極的に行うべきであり、量的拡大に対するペナルティーの意味があるマイナス金利政策を撤廃し、ゼロ金利政策の強力なフォワードガイダンスと積極的な国債買入で量の拡大を進めていくべき」って方向で提案してくれませんかねえと思うんだがまあ無理だろうけどね。



とまあそんな感じでございますが、この下に土曜日の朝と日曜日の朝(日曜は朝というより昼前でしたが)にこっそり更新したのを残しておきます。こちらの方は話のつながりを重視しまして土曜日→日曜日の順にしますが、過去ログの方はいつもの順番で掲載しておりますです、はい。


本当は今日はローゼングレン総裁の講演(金曜にURLだけ紹介しましたけれども、パワーポイント紙芝居(形式はPDFです)と、サマリーの「キーテイクアウェイズ」ってのを並べて読むと講演本文を読まなくても感じは掴めまして、非常に良い整理になっていると思いますので改めてお勧めしておきます。まあ変な事が無ければ明日のネタにします。


2020/05/24

お題「んじゃまあMPMネタで昨日の続きなのだがまさかのネタがまだ続きそう」

明日にも緊急事態宣言が全面解除されそうな状況ですので昨日の怒りの更新の続きでも参りましょう。

まずは昨日の続きで新型コロナどうたらのリリース分の残り。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入
2020年5月22日
日本銀行

〇しかしまあ今回はまた茶番説明度が上がり過ぎでもうねという感じですわ

何せ昨日はランボー怒りの更新は良いのですが項番2個だけで終わってしまいましたので続きをサラサラと鑑賞。

『3.加えて、日本銀行では、金融市場の安定を維持する観点から、国債買入れやドルオペなどによって、円貨および外貨を上限を設けずに潤沢に供給しているほか、ETFおよびJ−REITの積極的な買入れを行っている。』

えーっとですね、「円貨および外貨を上限を設けずに潤沢に供給している」ってあんたらのやってるのはYCCであって量は結果って説明してましたし、YCCの枠組み変えてないのに何言ってるんですか?それに超過準備のうち基礎残高とマクロ加算を越えた部分は政策金利残高になってマイナス金利チャージしているのに「上限を設けずに潤沢に」資金を出したらマイナスチャージが増えまくって金融機関の
収益を圧迫するのに何を言ってるんですか?????

ということで、昨日悪態ついた「海外と比較とか言われるのがムカつくから75兆円というのをだそうとして本来束ねるべきではないものを束ねる」というのと同じで、YCC政策で量は後付けのはずなのに「量を積極的に出している」というアピールをおっぱじめていまして、これも海外と比較されたときにどうのこうのって事なんでしょうけれども、話を盛りたいのは分かるんだけど、話を盛るにしたって節度というのが必要な訳で、これじゃあYCCで説明している「量は結果」というのが実は違うのかという誤認を思いっきり誘発するような盛り方な訳で、息を吐くように話をすり替えるのも大概にして頂きたい。

ちなみにFEDはご案内のように「市場が落ち着いていて来たから国債買入とかシステムレポとかのスケールバックしますよ、ああそれからFF市場の機能回復のために問題ないようならIOER引き上げも検討課題かもしれませんね」という風に、量を出すにしても「何のために出しているのか」を明確にして、必要以上のことは別にしませんよって行動をしている訳で、最初のサプライズ利下げはナンジャソラと思ったけど最近のFEDはかなりちゃんとやっていると思うの(個人の感想です)、というよりも導入した施策を何だかんだと説明をすり替えながら出口も無くダラダラと続けている黒田日銀が駄目なんですけどね。

でもって後半のETFだって、「金融市場の安定を維持する観点から、(中略)ETFおよびJ−REITの積極的な買入れを行っている。」という文章になっている訳ですけれども、「金融市場の安定を維持する観点」だったらそもそも量が先にありきにならないですし、株価指数が高値を更新する中で買入をまるで見直すことなく継続していたことのどこがどう「金融市場の安定を維持する観点」なのか小一時間問い詰めたい訳ですよ。


とまあそうやって朝っぱら(と言っても天気も麗らかな日曜なのでいつもの朝っぱらではない)から血圧を上げておりますが次の項番もちょっとねえという感じでしてね、


『4.日本銀行は、引き続き、上記の措置をしっかりと実施していくことにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。そのうえで、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』

ってじゃあ今回の期間延長についてはどういう必要があったから延長したのかちゃんと説明しろやゴルァという風には思うのですが、今回の声明文の題名に緩和強化という文言が入っていないから現状維持だって話になっているんですな日銀の理屈は。でもって恐らく「時限措置として導入したものの期間を単純に延長しただけで買入やオペ金額の拡大をした訳では無いから緩和強化ではない」という理屈を投下して来るんですけれども、それも何かちょっと違和感のある話でして、少なくとも、「社債の買入年限を5年までに延ばしたという緩和施策に関してその一時的措置としていた期間を延長した」ってのは追加緩和だろオイコラって感じだし、今回は関係ないけれども金融政策のフォワードガイダンスを強化すると緩和強化って言ってるんですから、まあ今回のを現状維持ってのはやっぱり際どい説明になっていると思うので何ちゅうかもう少しロジックを整理して頂きたいと思うのですよ。

なお、今回のを「緩和強化」と定義してしまうと、臨時会合をぶっこんだときの理由が「4月27日開催の金融政策決定会合における議長から執行部への指示に基づき、金融機関への新たな資金供給手段に関する検討結果の報告を受け、必要な金融調節事項の検討を行うため」となっていたので、結果として騙し討ちになってしまうので「緩和強化」と定義できない、ということなんでしょうが、だからこそしらっとCP社債買入増額および社債買入の5年までの年限延長の「一時的措置」期間を延長したことに対して、お前は何をそんなに噴き上がっているんだと言われそうな勢いで噴き上がっている次第な訳ですよ、ええ。


しかしまあ何ですな、特に黒田日銀になってからこの方のロジックコロコロ変更ぶりったら酷いものなんですけれども(おかしくなりだしたのはQQE2→補完措置→マイナス金利導入の辺りからで、当初は置物理論というガバガバ理論ではありましたが、空理空論ながらも一応ロジックはあったのよね、要は空理空論が上手く行かなくなって来てからそれを糊塗しようとしてロジック変更の上塗りを重ねた結果が現在な訳ですわ)、この調子で何かを導入したは良いけれども、その時に「どういう波及経路で何に働きかけたいからこういう政策をする」ってのをコロコロと後から変える(今回だって一時的措置で入れていたばっかりのものを何で簡単に期間倍になる延長できるんだよという話)ということで、訳の分からんロジックになってしまった非伝統的政策の各種施策を縮小できずにドンドン収拾不能にして食い散らかした挙句に何も達成できずに終わって後の収拾どうするんだよという感じではありますな、ナムナム。



〇よくよくこの制度見ると中小企業向け云々とか書いてあるのですけれども色々とアレという話から悪態が発展します

さてまあ気を取り直して別紙の今回導入のオペについてちょっと見てみましょう。

『1.概要

貸付先が報告する適格融資の残高を限度に、共通担保を担保として、期間1年以内、利率ゼロ%で資金供給を行う制度。』

最後の所に「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と一体的に運営する」ってありまして、金利だのマクロ加算だのの方は同じようになっています。

『2.対象となる適格融資

(1)制度融資緊急経済対策における無利子・無担保融資や新型コロナウイルス感染症対応として信用保証協会による保証の認定を受けて実行した融資

(2)(1)に準じるプロパー融資プロパー融資のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業等に対して行う、融資条件面で(1)に準じる融資(1先当りの上限:1,000 億円)』

>(1先当りの上限:1,000 億円)
>(1先当りの上限:1,000 億円)
>(1先当りの上限:1,000 億円)

・・・・・(゚д゚) ????????

えーっとすいません、信用保証協会の保証限度額ってまあ別枠の特例とかありますけれども、数億円の世界になっておりますし(全国信用保証協会連合会のこちら→https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken.html)、中小企業基本法における中小企業の定義って「製造業その他」で「資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人」とかそんな感じ(中小企業庁のこちら→https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html)な訳ですよ、何で1先あたりの上限が1000億円とかになるんですか????

と思ってよくよく見ますと、そもそもこの(2)が「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業等」という必殺文言「等」が入っているんですよ。でまあこの「中小企業等」の定義に関してはどうなっているのかと思ってしょうがないからここで先を急いでオペの基本要領を見に行くわけですよ。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200522c.pdf
「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領」の一部改正等について
2020年5月22日
日本銀行

以下引用は直上URL先別紙に記載の改正された要綱になりますが、アタクシの編集の都合上横線修正(文言付加部分)に関しては(ここから横線)(横線ここまで)を補記しますのでよろしくです。

『○ 1.を横線のとおり改める。

1.趣旨

この基本要領は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響を踏まえ、適切な金融調節の実施を通じて、民間部門における金融面の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、時限的な措置として、金融支援特別オペレーション(適格担保を担保として、共通担保として差入れられている民間債務の担保価額(ここから横線)および新型コロナウイルス感染症対応として行われている中小企業等への融資残高の合計額(横線ここまで)の範囲内で資金供給を行う公開市場操作としての貸付けをいう。)を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。』

とありまして、ここでも中小企業「等」の定義は無いんです。ちなみにこの要綱にも「時限的な措置として」って入っている訳で、時限的な措置の時限を延長したらそれは緩和強化じゃないんですかねえ、ちなみに念のため申し上げますけれども、貸出支援基金(成長基盤強化等)にしても被災地支援オペにしろ、要項の「趣旨」の部分には「時限的な措置として」という文言は入っていませんでして、新型コロナだけ「時限的な措置」になっているのですよね。


『○ 8.を横線のとおり改める

8.貸付先ごとの貸付限度額

(ここから横線)貸付先ごとの貸付限度額は、次の(1)および(2)の合計額とする。ただし、貸付実行時点における当該貸付先が差入れている共通担保の担保余裕額相当額を超えることはできない。(横線ここまで) 』

となっていて(1)は3月に導入した方のオペ(企業向け(のあと住宅ローン債権なども加わりましたが)債権を担保にした部分をコロナオペ扱いするという奴)の説明でこちらは文言の変更も無いので飛ばしまして今回のコロナオペの方は(2)になるのですが・・・・・・・・・・・

『(ここから横線)(2)各貸付先が別に定める時点で新型コロナウイルス感染症対応として行っている中小企業等への融資の残高に相当する金額のうち、次のイ.およびロ.に掲げるものの合計額

イ.政府が予算上の措置を講じた信用保証協会による保証または利子減免にかかる制度を利用して行っている融資の残高に相当する金額

ロ.イ.の融資に融資条件の面で準じる融資の残高に相当する金額(ただし、1,000 億円を上限とする。) (横線ここまで)』

・・・・・・ちょっと待て、これ結局「中小企業等」の定義がねえじゃねえかという話で、要はこれって大企業向け貸し出しだとしても制度融資並み(「準ずる」だから別に一緒でなくても良い!)の金利条件で新規融資した分を「新型コロナウイルス感染症対応として行っている中小企業等への融資」と言えばオッケーじゃねえかという事ですし、それがまあ新規融資ならまだしも、既存分のロールをコロナ感染症対策とか言いながら出せば良いって話???というところでございまして、いやまあ元々大企業向け融資だから日銀担保適格だったりするでしょうから、この措置で増えるメリット分は担保掛目分位になるかも知れない(日銀適格担保で企業向けなら元々(1)に相当する3月導入のオペの対象になるから)けれども、いずれにしてもナンジャコリャな条項ではありますわ。

まあ何ですな、マル保の制度融資とかだけだとかき集めても数字が出てこないからということでこの「ロ」の項目と中小企業「等」の文言が入っているんじゃねえのとは思うのですけれども、何ちゅうかそれって要は数字を大きくしたいという話で、中小企業振興しようって話になっているの???という風にアタクシは邪推してしまう次第でして(個人の邪推です)、何ちゅうかあのですなあ・・・・って感じで非常にこう違和感のある出来栄えになっている訳ですな、うんうん。


もし中小企業融資についてのファイナンスを云々という話をするんだったら、本来はFEDのメインストリートレンディングファシリティとかみたいな建付けにしないと直接的な効果は期待できない(しつこく申し上げておりますように金融機関は資本制約の方で引っ掛かるのであって信用創造自体は「書記のペン」で可能なのですから)のですが、それはそもそも国の中での制度の建付けの問題があるから仕方がないのはその通りで、日本の場合、企業の資金繰りがどうのこうのの話に日銀がしゃしゃり出てくる余地は直接金融市場でのリスク資産の買入程度の話で、今回のように「75兆円の支援策でござい」みたいなのやるのは政府およびそこから予算ついてくる信用保証協会なり政府系金融機関って話なのでして、そもそも論として日銀がこうやって出てくるのが変なのよね。

でまあただのどうでもいいやった振りアピールだけなら大して害も無いからああそうですかハイハイでも良いのかも知れないんですけれども、何せ今回は市場残高対比明らかに過大かつ買入レートの水準が資源配分を歪めかねないような水準になった買入を実施していますし、まあもうちょっといちゃもんを言えば金曜ってこんなのやってたんですよね。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/danwa/dan2005a.pdf
新型コロナウイルス感染症への対応についての 副総理兼財務大臣・日本銀行総裁共同談話
令和 2年 5月 22日

ということで次の引用部分は直上URL先の共同談話からになりますが、そこの中段のところに、

『日本銀行は、総枠 75 兆円の「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」 により、政府とも連携しながら、企業等の資金繰りを積極的に支援していく。 加えて、日本銀行では、金融市場の安定を維持する観点から、国債買入れやドルオペなどによって、円貨および外貨を上限を設けずに潤沢に供給しているほか、ETF等の積極的な買入れを実施している。』

ってさっきも見た文言がありますが、ここに75兆円ってデカい数字を出す必要があった、という大人の事情は把握しましたが、まさかとは思いますがこのように数字だけデカいのを出したことによって「やっている感」だけ出すというような事の無いように願いたいのですが、何ちゅうか非常にこの演出が(以下の分は内務省検閲により削除されました)。


ということで後の条件に関しては新コロパート1と同じなんですけどね、ということでさすがに途中飛び過ぎたので引用元URLを再掲します。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入

の(別紙)から以下引用します。

『3.「マクロ加算残高」への加算措置
利用残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算する。

4.当座預金への付利
利用残高に相当する当座預金へ+0.1%を付利する。

5.対象先
系統会員金融機関等も利用可能とする。

6.実施のタイミング
本措置による資金供給は、5月末時点の金融機関の融資実績を踏まえて、6月中 に開始する予定。

7.その他
本措置については、「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と一体的に運営する。』

でもって「一体的に運営する」の方はさっき基本要領を引用しましたように、基本要領の中で一体化されていますから、そらまあ運営も一体化ですわな、という事に基本的にはなると思われます。


・・・・・・さてここから声明文をちょっとネタにしようかと思ったのですが、長くなったような気がするので(今回は他の規定とか見に行ったりして時間を思いの外食ってしまった)、最早朝というのにはちょっとアレなお時間(午前10時と軽々と回っておるわww)になったのでここで一旦アップします。昨日の悪態のケツに並べておくという分かりにくいことをしておきます。






2020/05/23

お題「土曜日ですがランボー怒りの更新(MPMネタ)」

どうもどうもおはようございます。アタクシが完全にスルーしているとしらっとぶっこんで来る、というのがフラグ建築っぽくて毎度のアレではあるのですが、今回はちょっとトサカに来るものがしらっとぶち込まれておりましたので土曜の朝からランボー怒りの更新ということでちょっと思う所を。

〇10時にさっくりと終了して新型コロナの制度融資サポートオペが出たのですが・・・・・・・

ヘッドラインが出てきたのが(=解禁時間)10時1分ですのでそのちょっと前に終わっている会合。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200519a.pdf
金融政策決定会合の臨時招集について
2020 年 5 月 19 日 日本銀行

にありますように9時から開始でしたので、採決のお時間とか考えたら今回のニュー新型コロナオペの内容が出来たから採決しますよ〜(ただし金融政策決定会合なので、次回会合までの金融調節方針を決定しますのでその行事がある)からのは〜いシャンシャンシャン、ってなもんだったと普通に考えると思われるのですよ。ですからまあシャンシャンな結果が出たと思って日銀のサイトを見にいくじゃないですか、

同時に出てきたのがたぶんこの辺(一番上のはもしかしたらちょっとだけ後だったかも知れない、日銀サイトの新着情報は当然下の方が先に出ている)で、

『「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領」の一部改正等について [PDF 167KB]』
『当面の金融政策運営について [PDF 171KB]』
『中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入 [PDF 130KB]』

って来るので、とりあえず基本要領改正の所はじっくり見るとして下の二つを見る訳ですし、同時とは言え先に「新たな資金供給手段の導入」が来ているのでまずはそれを見ましょうかまあ想定通りの内容なんでしょうけれどもどの位の範囲の貸出をカバーするんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・

でですな、結果出る直前だか直後だか忘れましたが、「今日は総裁会見はやりません」ってのもベンダーに出ていまして、そらまあただの事務上の話に近いから今日はやらんでも良いですかねえまあ本来はやった方が良いんだけどねえ・・・・・・・・

と思いながらまったりとサイトを見に行くとそこにはアタクシの血圧を急上昇させてコロナのリスクを高める諸葛孔明の罠ががががが。


〇おいこらちょっと待て何ドサクサに紛れて社債CP買入のおかわり期間を半年も延長してるんだ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入
2020年5月22日 日本銀行

を先に開いたわけですよアタシャ。

『中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入 』

うんうん。

『1.日本銀行は、4月の政策委員会・金融政策決定会合において、新型コロナウイルス 感染症拡大に対応する観点から、中小企業等の資金繰りをさらに支援するため、「新たな資金供給手段」の検討を早急に行うこととしたが、本日開催した臨時の金融政策決定会合において、その具体的な内容を決定した(全員一致、別紙)。 』

積み残していた制度融資を利用した中小企業向け貸出金に対する奨励金みたいな制度ですわな、うんうんわかるわかるそれなら事前に大枠は決まっていたんだから10時1分公表でもおかしくはないな。

『2.これにより、企業等の資金繰り支援のための日本銀行の措置として、@CP・社債等の買入れ(残高上限:約20兆円)、A新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ(資金供給の対象<担保として差入れられている民間債務>:約25兆円< 4月末現在>)に、B新たな資金供給手段(資金供給の対象<緊急経済対策における無利子・無担保融資を中心とする適格融資>:約30兆円)、が加わることとなった。』

30兆円上限でオペやるのは良いんだけどそこまで貸金出るんかいなと思うけどまあそこは別に全体枠の話になりますし、大体からして銀行向けの共通担保資金供給だからまあね。

『日本銀行は、この3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プ ログラム(特別プログラム)」(総枠約75兆円)とし、期限を半年間延長して、2021 年3月末までとすることとした(全員一致)。 』

>期限を半年間延長して、2021 年3月末までとすることとした
>期限を半年間延長して、2021 年3月末までとすることとした
>期限を半年間延長して、2021 年3月末までとすることとした

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

おいこらちょっと待て、何ドサクサ紛れに半年も延長してるんだよちょっとどう言う事やああああああ!!!!!!


えーっとですね、この措置って今回新規に突っ込むもの以外に関しては既に実施時期というのが決まっていまして、「コロナ感染症拡大対応の時限措置」ということで4月27日の決定会合、つまりカレンダーで見たら約1か月前だけど営業日でみたら3週間弱というちょっと前に「9月30日まで実施」と決定していた訳ですよ。

ですが、今回この「コロナ対応の時限措置」を延長することになりまして、まあ別に延長するに足る理由がある(コロナの感染が相変わらずどうしようもなくて全国的にもっと段階を上げたロックアウトが始まった、ので経済活動の一段の低下が懸念される、みたいな話)のであればまあ延長だってそら政策の選択肢としてあり得る話なので別に延長するなとは言わない。

しかしですよ、元々がここから6か月程度の期間(4月末だったから実質5か月だけど)で実施する、と決定したものを、わずか(営業日ベースで)3週間後に臨時会合を行って期間を延長、しかも当初言ってた6か月程度のものが一気に実施期間2倍になるんですよ。それだったら何でそんなに期間を延長したのか、という背景説明をして頂かないと金融政策運営のコミュニケーションとして箸にも棒にも引っ掛からんという事じゃないですかねえ。何と今回って総裁記者会見は無いし、次に出てきますが声明文の中でこの「時限措置の期間を一気に倍にするに足るような経済物価金融情勢に関するアセスメントと先行き見通し」の説明も1ミリたりとも無いんですよ。


まあアレなんですよね。成長基盤だの貸出支援だのってオペが前からあって、このオペに関しても何の為にやっているのかとかそういうレビューも碌すっぽしないで毎度ダラダラと1年延長が決められていまして、この点に関しても毎度悪態をだいたいついているのですが、議事要旨とかを見ても議論をしている雰囲気すらなくシャンシャンと延長されているというのが続いておりまして、いやまあ確かにその点で総裁定例記者会見でツッコミを入れてくれるような記者様もいらっしゃらないし、何とかストの皆様とかもスルーしていまして、まあゆうてアタクシは一人でブーブー悪態ついてる危ない人状態で蟷螂の斧とはまさにこの事とトホホ感を持ちながら延長をみていたんですよ。

でもってそういうのが続く中今回のこれですよ!!!!!

あのですね、貸出増加支援とかあのあたりに関しても、不必要(バックファイナンス金利を当てにした信用リスクに見合わないな貸出金利低下を促すという意味での不必要ということです為念)な金利引き下げを促すという意味で迷惑物件的な指摘もそれなりにある施策でして、今更金融機関の資本制約もへったくれも無いのに何やってるんだという悪態は前から申しておりましたが、まあそれでも一応「銀行への担保付き貸し出し」なので弊害は(現実問題としてはちょっとこれが歪めている貸出市場というのも無視しちゃいけないと思うけど)まあ今般のドサクサの延長でモロに影響が出る社債市場というのに比べればまあねという感じなんですよね。

・・・・・・ということで今般しらっと延長される中に「@CP・社債等の買入れ(残高上限:約20兆円)」があるのがふざけんなこんな重い話を実質何も討議しないでしかも背景説明皆無で入れるとかお前ら二度とその口で「市場機能」とか発言するんじゃねえよ肥溜めにでも漬かってろやヴォケというまあそういう話ですわな。

現実問題として、先般ネタにしましたように、既に社債買入のうち残存1−3年対象のものが先日の買入で最低落札利回り▲0.120%で日銀お買い上げとなっていまして、この買入は既に「社債市場における過大なリスクプレミアムを削減して社債発行企業の資金繰りを支援する」というようなレベルを越えた水準まで社債の買入を行っているのはまあどう見ても言い逃れできんでしょという状況な訳ですよ。そんな水準まで買入を行っている社債の買入期間を延長するというのはどういう理屈をもって行っているのか、ちょっと説明して頂きたい訳ですよ。

だいたいからして前日には南関東一都三県と北海道を除き緊急事態宣言が解除され、うっかりすると月曜にも残りの解除も来るかも位の状況になっていて経済活動の段階的再開が見込めるというように先行きの見通しが4月末時点よりも新型コロナ感染症そのものに関して言えば明らかに改善しているという状況なんですから、延長すること自体の説明も頂きたい上に、実際問題として買入レートの方がさっき申し上げたような状況な訳ですわな。CPだってマイナス金利で購入していますしね。



今回の新しいオペの方って6月中のどこかで実施とかそういう話ですから、「最速で6月開始のオペを9月末までしか実施しないってのはちょっと」とか「制度融資の実績とかをカウントするとなるとやっぱり直ぐに残高ドーンという訳にはいかないですよね」とか言う事になって、元々入れていた9月末という期日がちょっと早過ぎだった、というので3月末に設定したのでしょうが、だったらこれだけ3月末にしたって別に良い訳ですよ。しかもですよ、まあ2本のコロナ対策オペの方はゆうて銀行に対する企業融資奨励金お支払いみたいなもんであって、資源配分がこれによって滅茶苦茶歪むとかいうような懸念はまだ少ないと思うのですけれども(個人の感想です)、CP社債って思いっきり直接金融市場であって、しかもこの買入上限額として設定されている額が特に社債に関しては明らかに過大(現存する購入適格社債よりも多いんチャイマスカ)になっているし、その結果は既に1−3年社債買入の日銀購入レートに出ているんですよね。

とまあそういう状況のCP社債買入を、ろくすっぽレビューも入れないで「時限措置」で入れた6か月弱の期間から一気に期間が倍に延長されるとか、おまいら金融市場の価格発見機能とかどう思ってるのと小一時間問い詰めたい訳でして、いや別にこれを是とするなら是としても良いんですけれども、それだったら「リスクに見合った貸出が出来ていないのは金融機関の怠慢」だの「この貸出金は不採算貸出ではないか」とかいちゃもん付けるのを即刻停止して頂きたい、とまあそのように思う次第でございますし、この部分をどスルーして通してしまうってお前らの首から上に乗っかっているのは漬物石か何かかと小一時間ですわ。


〇しかも「一体のプログラム」扱いというのに更にトサカがヒートアップするのでして

・・・・・・しかもこれ非常に懸念されるのは、延長云々文言の前段にあります部分、すなわち

>この3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プ ログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし、
>この3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プ ログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし、
>この3つの措置をあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プ ログラム(特別プログラム)」 (総枠約75兆円)とし、

と言っていることでして、いやまあ一億歩譲って金融機関向け貸出プログラムに関しては結局のところ金融機関向けの担保付リコースローンだから奨励金がある云々の話はあるけど、まあ水準10bpですしとか、ある程度ははあそうですかで済ませられる話なんですが、とにかく社債CP、というか特に社債ですが、その市場における資源配分を強烈に歪めるという性格があるものを一緒くたにして、うっかりしたらズルズル延長しそうな予感のするセッティングになっていまして、直接金融市場を何だと思っているのかという話ですが、まあ黒ちゃんに置かれましてはそもそもが市場機能だのなんだの口で言ってるけど市場は支配するもんだと思っている節が発言のあちこちから垣間見れるお方ですからして、まあそんな事何も考えてないんでしょ、といつもの悪態になるのでした。

まあどうせこれ「75兆円」としたいから「措置をあわせて」とかやっているんでしょうと思う所ではあるのですが(個人の偏見です)、まあそういう所が更にトサカに来るところでありまして、要するに社債市場のキャパ対比過大にも程がある買入の期間をろくすっぽ議論しないで延長して、しかも束ねちゃうことの意味合いとかいうのに思い至らないという時点で市場機能とかそういうのを軽視しているんだなあというのが良く分かりまして、ああ良く分かりましたそう言う事なんですね、と血圧も上昇する昨日の措置でありまする。



〇米国だって大々的にやってるんじゃんというご意見はありますが米国は筋は通していますからねえ

でまあどうせ諸外国(特に米国)と対比して規模が少ないとか言われるのがムカツクから(現に先般の総裁定例会見でそういうクッソ下らない質問をしている馬鹿がいたが肥溜めに頭突っ込んで出直して来やがれと存じます)75兆円にするってんで束ねて、束ねた手前、制度融資関連のこのオペが9月末までだったら開店したら即閉店みたいになるし、おまけに6月会合とか7月会合の時点で延長しようとすると、その時に延長する大義名分が苦しくなるから緊急事態宣言が全解除される前に滑り込みで入れておかないとマズイ、というような発想だった(だから臨時会合になった)という風に心の濁っておりますアタクシなんぞは妄想する次第。

でもね、米国の場合って、社債だの何だのの買入は確かに実施していますけれども、(ちょうど金曜に紹介だけしてネタにしていないローゼングレン総裁の講演が良い説明になっていたので後(日曜か月曜だがさすがにたぶん月曜な)でネタにしますのでそちらをご参照賜りたいですが)米国の場合はこれらの買入プログラムだの、実質的な買入プログラム(CPの満期までファイナンスして、そのCPを担保に取ってノンリコースみたいなもの)だのって、損失が出た場合のバッファーはCARES Actで確保した財政資金が拠出するエクイティ部文で吸収するという建付けになっているので、あくまでもこれらの措置って「連邦議会の議決によって損失バッファーを出している」んですよ。

もちろん建付け上出来るからやっているし、リスク資産物の直接買入に関しては政府の認可を取ってはいるので、何もかも勝手にやっている訳ではないのですけれども、それにしてもCPならまあ短期資金繰りだからまだしも、社債の直接購入って発行企業飛んだら全損(一部回収できるかも知れんけど)ですから、まあ元々アタクシ「3年まで」でも大概に期間が長いだろとは思っておりましたが、先般これを「5年まで」に延長した挙句に時限措置かと思えばあっという間にその時限が倍に延長ですよ大丈夫ですかって話なのが一つ。

まあ損失負担の話は法令上の建付けとかの違いがあるからその分は割り引くとしましても、米国との違いは制度の作りこみでありまして、ローゼングレン総裁の説明を待つまでもなく、例えばメインストリートレンディングファシリティの場合(なおその中に3つのサブカテゴリがある)適用金利は「LIBOR+3%」になっておりまして、別にクレジットスプレッドを叩き潰してマイナスにしてやれというようなプログラムでは全然無いんですよね。あくまでもバックストップとしての扱いであって、バジョット・ルールの思想に沿ったものになっていますよね。

先日(5/18)にネタにしましたが、NY連銀のブログでCP買入の説明をしている時に、CP買入プログラムはバックストップとしての役割ですがこのプログラムの導入決定以降特に期間の短いCPで金利が下がって市場の過大なリスクプレミアムは緩和されたし、一方で信用力の低いとみられる業態のCPレートの低下は他のCP対比で遅く、市場の価格発見機能も維持されている、という説明があるのをネタにしてイイハナシダナー過ぎて涙が止まらなかったのですがまあでも米国ちゃんの場合は無茶苦茶プログラムをぶっこんでいるように見えても、そうやってプログラムはバックストップで市場機能は大事、というところで原則的な所はちゃんとできているんですよね。

然るに今般の措置って、75兆円見せるために本来束ねるべきなのかどうかが微妙(アタクシは金融機関への担保付貸出プログラムとCP社債購入は全く別に扱うべきと考えるが)なものを束ねるわ、直接金融市場への盛大な介入を行っている中で何も考えずにその期間を延長するわと、まあ市場軽視も甚だしい事を平気でやっているし、これもしかしたら黒ちゃんとか市場軽視だとも気が付いていないんじゃねえのと思われる(個人の妄想です)が更にトサカに来る次第。


・・・・・・・・うーん土曜日でケツカッチンが無いし書いているうちにトサカが大きくなってコケコッコーになってしまうので、まあアタクシが何故か一人盛り上がっております理由は伝えられたと思うので一旦こんなところで。

ちなみに制度そのものに関してはまあそうですかねとは思いますし、まあ奨励金についてはあればあったでアリガタヤな話ではあるのですが、現状における金融機関における貸出制約は別に資金流動性ではなくて、資本制約とかそっちの方面(対応できる人員不足とかもあるのかな)になるので、日銀がこうやって「75兆円」とかイキっても何だかなあ感はぬぐえないし、イキリのために市場機能をぶっ殺される社債市場というのが悲しくて悲しくて仕方ありません。

ああそれからMPMなので金利の決定があってお約束のように片岡さんが反対しているのですけれども、「金融機関の民間向け貸し出しに奨励金付き貸出制度を作っている」という時点でマイナス金利を深堀するのが金融緩和というか金融機関の貸し出し促進に資するのかどうか、というのをもうちょっと知能を使って考えて頂きたいものでありまする。

#てな訳で久々に土曜の朝から(ケツがカッチンじゃないから朝といってもいつもの朝じゃないけど)更新するの巻なのでありました、あっはっは。










2020/05/22

お題「臨時MPMがあるというのにFEDネタばかりになってしまいました」

南無阿弥陀仏。
https://www.asahi.com/articles/ASN5P2W5PN5PUHBI00J.html
東京五輪、21年開催が無理なら中止 IOC会長が言及
ロンドン=遠田寛生
2020年5月21日 10時21分

マージン取って2年延期にするとか、極論すれば次のパリも順延してもらって4年延期にするとかにしないで1年延期なんて勝負するから・・・・・・・・と思ったのですがよく考えたら2年延期だと安倍ちゃん(内務省検閲により削除)。


〇FOMC議事要旨ネタの続きですがNY連銀オペデスクの説明に味わいがあったので

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20200429.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20200429.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
April 28-29, 2020
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors was held by conference call on Tuesday, April 28, 2020, at 1:00 p.m. and continued on Wednesday, April 29, 2020, at 9:00 a.m.1

・NY連銀オペデスクの報告部分が今回味わいがあったので

今回はさすがに金融政策枠組み見直し議論をしている場合ではないので、最初からSOMAマネージャーの報告(と実施されたオペの事後承認)のパートになるのですが、そこの説明がまあ実際そうなのですけれども、経済の議論でアイヤーアイヤー言ってるのと各種措置によって早速落ち着きだした市場ちゃんとの温度差みたいで味わいがある、と思ったのでネタに。

『Developments in Financial Markets and Open Market Operations』の頭から参ります。

『The System Open Market Account (SOMA) manager first discussed developments in financial markets.』

ということで市場動向の説明から入る。

・金融市場の改善と市場の人たちの懸念事項について

『Financial conditions had shown notable improvement over recent weeks. Equity price indexes were up substantially from the lows of late March, safe-haven demands for the dollar had receded, and measures of realized and implied volatility across markets had diminished. Market participants pointed to swift and forceful actions taken by the Federal Reserve, coupled with strong fiscal measures, and some indications of a slowing in the spread of the coronavirus (COVID-19) in major economies as factors contributing to these developments.』

ここ数週間(FOMCは4月末な)の金融市場環境は顕著に改善していて、各種施策とコロナ感染拡大の鈍化が寄与しております。

『That said, market participants remained very uncertain about the economic outlook, and contacts highlighted an array of remaining risks, including those in corporate credit markets, emerging markets, and mortgage markets.』

とは言っても連銀デスクでのヒアリングだと市場の人たちは先行き不透明感のうち特にクレジット市場、新興国市場、モーゲージ市場に対して警戒感が高いんですと。

『In corporate credit markets, concerns about potential defaults were rising, and ratings agencies had put on negative watch or downgraded many issuers. In emerging markets, the steep decline in commodity prices was exacerbating financial pressures for some emerging market economies (EMEs), which were also facing strains arising from capital outflows and a reduction in trade activity. And in mortgage markets, the likely increase in mortgage delinquencies associated with forbearance polices and an eventual rise in defaults were sources of concern for bank and nonbank lenders.』

この辺は懸念のベースとなっている事象の話で、まあ仰せの通りって感じの話なのでとっとと次に行きます。次からが割とオモロイ。


・連銀デスクがヒアリングしている中でマイナス金利を想定している向きはいませんとの報告キタコレ

次のパラから味わいのある報告やらが続く。

『Open Market Desk surveys suggested that market participants anticipated a sharp near-term decline in economic activity, followed by some recovery later this year. Against this backdrop, market participants generally expected the target range for the federal funds rate to remain at the effective lower bound for the next couple of years. Respondents to Desk surveys attached almost no probability to the FOMC implementing negative policy rates. Some survey respondents indicated that they expected modifications to the Committee's forward guidance, but not at the current meeting.』

連銀デスクがサーベイ取った(なので主にプライマリーディーラーとかになると思うんですけど)ところ、今後景気が浮き上がっても年末にかけてまたアカンタレになるとみているし、向こう2年間くらいは今のゼロ金利政策状態が続くけれども、追加利下げは誰も想定していませんぜ、ああそれからフォワードガイダンスの強化についての指摘をする向きはいますけど、ただ今回(4/28-29)のFOMCで行う話ではないとの見方のようですな。

・・・・・・・・何かこう上手く出来過ぎたお話にも見えるので心の濁っているアタクシは鉛筆舐めてんじゃネーノみたいなサムシングを考えないわけでもないのですが、そこは素直な心で考えますと、まあ要するに例えばFF先物が下に突っ込んだとかそういうのは、「実際にはマイナス金利導入とかあり得んと思っても、間違って導入されるとつうこんのいちげきになるから宝くじまたは掛け捨て保険として(どうせ利上げは無いんだから踏み上げ御所になる可能性は皆無と言えるでしょうからねえ)というのがあって、ネタがあればすぐに飛びつく金融メディアと一部の何とかストがそこを騒ぐ、とかそういう話なんでしょとは思います(個人の偏見です)。


・やっていることは市場の緊張を緩和する事であって必要以上の金利下げを行う訳ではないというのが明確ですな

次のパラです。

『The manager then reviewed recent open market operations. Since mid-March, at the direction of the FOMC, the Desk had purchased very large quantities of Treasury and agency mortgage-backed securities (MBS) in order to support the smooth functioning of these critical markets.』

ディレクティブの「in order to support the smooth functioning of these critical markets.」でUSTとMBS買えってのも(買うこと自体は簡単だけど)判断基準難しいわよく考えてみたら。

『The Desk evaluated a broad array of indicators to assess market functioning. These indicators suggested considerable improvement in market functioning, and the Desk gradually scaled back the pace of purchases accordingly.』

(;∀;)イイハナシダナー

ええどこぞの中央銀行のように「市場機能を改善させるため」とか言いながら逆方向に市場機能を壊してしまうというのは何ですかと小一時間問い詰めたいのですが、日銀の場合はディレクティブが思いっきり量明示とかなので、APP始めると結局の所予算消化チックになってしまいがちだし、じゃあ全部現場にその辺の判断を落として良いのかというとこれもまた微妙だし、ということですかね(FEDの場合このコーナーの最後にあるように「前回FOMC以降の公開市場操作を承認した」というプロセスが入っているんですよね)。

まあ何はともあれ、「considerable improvement in market functioning, and the Desk gradually scaled back」な訳で、事実既にしらっと減額減額となっていまして、最初の減額の時だけ米国債券市場ネタにしてましたけど、最近はあんまり目立つネタ扱いにはなっていませんね。でもまあスケールバックをやっている訳でして、ぶっこむときには変なタイミングでのサプライズでボラ提供とかいろいろとハチャメチャだったりしますが、「出口政策が無くてそのままズブズブ長期戦」というジャパンの大東亜戦争のような事にならないという点ではFEDって優秀なんですよねと最近特に思うようになってきました。

『Market participants anticipated that the pace of purchases would slow after the June meeting, but they expected that outright securities holdings in the SOMA portfolio would continue to expand at least through the end of the year.』

そんなヒアリングもしてるのね。市場はスケールバックについては織り込んでいます。なお買入資産拡大は少なくとも年内は続くと見ていますよ、だそうな。

『The SOMA manager expected that, if conditions continued to improve, the pace of purchases could be reduced somewhat further; however, consistent with the directive, the Desk was prepared to increase purchases as needed should market functioning worsen.』

市場機能の改善がより一層進めば買入のスケールバックを早めるし、市場機能が悪化すれば買入をまた拡大することになるでしょう、ということで当たり前ちゃあ当たり前なのだが、量に縛られてしまっているどこぞの中銀の現場から見たら裏山鹿と言いたくなるでしょうな。


でもって次行きます。

『Conditions in money markets had improved over recent weeks. The intense strains across a range of short-term funding markets that emerged in March had subsided. The expansion of Federal Reserve repurchase agreement (repo) operations, the enhancement and expansion of funding available through the discount window and swap lines, and the funding provided through the Primary Dealer Credit Facility (PDCF), the Money Market Mutual Fund Liquidity Facility (MMLF), and the Commercial Paper Funding Facility (CPFF) were likely important in relieving pressures across a range of short-term funding markets.』

次は短期市場の話で、レポ市場とかCP市場とかその辺の状況が改善していますという報告。

『The manager noted that, despite these improvements, rates in some term funding markets remained elevated, although forward measures suggested the upward pressure on these rates might ease in coming weeks.』

短期市場の改善の中でも幾つかのターム物調達市場の金利に関しては、この先数週間で金利上昇圧力がやや軽減されるという見通しはあるものの、依然として高水準で推移しています、だそうな。

『With conditions in short-term funding markets having improved substantially and with repo operations no longer needed to maintain ample reserve levels, the manager noted that it might be appropriate to position the Federal Reserve's repurchase operations in a backstop role.』

(;∀;)イイハナシダナー

日経平均が24000円でもETFをせっせと購入して「リスクプレミアムの軽減に働きかけるという政策意図は達成しているんじゃないでしょうか」とツッコまれても「一体として効果を発揮している」という束ね法案かよという理論を展開する(していた)どこぞの中央銀行はちょっと爪の垢を煎じて飲んで頂きたい。

『For example, the minimum bid rate in repo operations could be increased somewhat relative to the level of the interest rate on excess reserves (the IOER rate).』

短期金融市場が落ち着いてきたら、システムレポ(資金供給)については本来のバックストップ的機能に戻すことを検討すべきで、例えば最低応札利回りを(現在ゼロ金利)IOER金利水準(現在10bp)まで引き上げる、というようにするとかどうよ、という話をしております。実にいい話だ。


・短期金融市場に関しても市場機能を重視しており金利をただ下げまくれば良いと思っている訳ではないようで

でもってその次。

『Later in the intermeeting period, short-term interest rates drifted lower and settled at near-zero levels.』

最近になって短期金利は下がってゼロ近くになったよ。

『Although rates appeared stable, the manager suggested that circumstances could arise in which temporarily raising the per-counterparty limit on the overnight reverse repo operation would support policy implementation.』

でもそれはオペの1社あたり限度額を一時的に拡大している効果が背景にあるよ。

『The manager also noted that some market participants anticipated that the Federal Reserve might increase the IOER rate in order to move the federal funds rate closer to the middle of the target range and to address market functioning issues that could arise over time with overnight rates at very low levels.』

これまたキタコレなのですが、複数の市場参加者は、短期金利が落ち着いてきたのでIOER金利をFFレンジの中央により近くする(ゆうてFFの誘導レンジが0から25bpだったら間は12.5bpだから2bp上げますかとかそういう話ではありますけど)ことによって市場機能をさらに回復するというパスを予想している、という報告をしていて、実際そうなのかイタコ論法なのかはよくわからん。

『However, there appeared to be limited risk that the federal funds rate would move below the target range, as the Federal Home Loan Banks-the dominant lenders in the federal funds market-can earn a zero rate on balances maintained in their account at the Federal Reserve.』

FFがマイナスによー突っ込まんという理由がここであるのがほほうという感じですが、FF市場のドミナントな資金の出してはFHLB(ファニーメイとかフレディマックとかそういう人達)で、この人たちはマイナスにしてまでFFで資金放出しませんからねえと。この人たちは付利対象ではない(のは準備預金対象じゃないからですよね)けど連銀アカウントはあって適用金利がゼロなのね。

『Moreover, there were few signs to date that the low level of overnight funding rates had adversely affected market functioning, and trading volumes remained robust. The SOMA manager noted that the staff would continue to monitor developments.』

今の所金利が低すぎるということ自体が市場機能に悪影響を与えているという兆候は見られないけれども、この状況については今後も注意するだそうです。


・最後は海外中銀とのドルスワップです

次はこれ。

『The Committee voted unanimously to renew the reciprocal currency arrangements with the Bank of Canada and the Bank of Mexico; these arrangements are associated with the Federal Reserve's participation in the North American Framework Agreement of 1994. In addition, the Committee voted unanimously to renew the dollar and foreign currency liquidity swap arrangements with the Bank of Canada, the Bank of England, the Bank of Japan, the European Central Bank, and the Swiss National Bank. The votes to renew the Federal Reserve's participation in these standing arrangements occur annually at the April or May FOMC meeting.』

今後は4月か5月のFOMCで1年延長、みたいになるそうですな。とりあえず1年延長みたいですね、良い哉良い哉。


・最後の最後に公開市場操作の事後承認があります

次がこのコーナー最後のパラグラフ。

『By unanimous vote, the Committee ratified the Desk's domestic transactions over the intermeeting period. There were no intervention operations in foreign currencies for the System's account during the intermeeting period.』

とりあえず市場機能ガーとか言いながら盛大に市場機能をぶっ壊して回っているどこぞの中銀の政策委員会はFEDに研修に行ってきてください。


〇ローゼングレン総裁の講演がありましてですな(しまった時間ががががが)

ボストン連銀は記事のURLが長すぎでアカン(画面構成乱れると思うのでハイパーリンクは文字列の途中のところまでにしました)
https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2020/the-main-street-lending-program-and-other-federal-reserve-actions.aspx
The Main Street Lending Program and Other Federal Reserve Actions The Main Street Lending Program and Other Federal Reserve Actions
By Eric S. Rosengren
May 19, 2020

19日と20日に同じ話をしておりまして、19日の方がこれです。なにせ最近は「どこどこでのインタビュー」とかはホイホイと出てくるのですが、その手の奴だと連銀サイトの方に無くてWSJなりCBNCなりブルームバーグなりのサイトに行かないと行けない上に文字起こしが無かったり、有料会員じゃないと見れなかったりとか制限が多くてアカンのでしたが、今回のはフルテキストに紙芝居も別途あってしかも上記URL先には『Key Takeaways from Boston Fed President Eric Rosengren’s May 19 Remarks Key Takeaways from Boston Fed President Eric Rosengren’s May 19 Remarks』というまとめまである親切設計。

スピーチ本文は
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/2020/0519-text.pdf(本文)
ですがそこそこ長いので、さっきのテイクアウェイと紙芝居
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/2020/0519-charts.pdf(スライド)
を並べて見ると何となく雰囲気はつかめると思います。

・・・・・・が時間が無いので(おいこら)中身の細かいのは読んでちょというか週明けにでも(他に面白ネタが無ければ)ネタにしますが(なお今日はMPMでしたなあっはっは)、取り急ぎ雑感でも。

えーっとですね、この辺のオペの所管が何故かボストン連銀なのでローゼングレンさんが話をしている、ということなのでしょうが、タカ派で鳴らしたローゼングレン総裁ですが、経済見通しに関してはかなり厳しい話をしていますし「経済活動再開ですべてが解決すると思ったら大間違いのコンコンチキである」(コンコンチキとは言ってませんが)と仰せになっていまして、ああタカ派でもこのような認識なのねという話なので、そらまあこれプレマチュアーな緩和終了はねえなというのを強く印象付けられました(個人の感想です)。

まあゆうてローゼングレン総裁のタカ派ってのも基本金融不均衡とかバブルとかそっち懸念の話で、景気が上に吹いて大爆発みたいな話では無かったというのはありますからこんなもんかも知れませんが、タカ派系とみなされていた人でもこういう厳しい見方、というのはまあそれなりにメッセージ性はあるかなと。

でもって厳しい見方ではありますが、FOMCネタと同様に、マイナス金利に特攻とかそういう話ではなくて、クレジット市場の崩壊を避ける方向での追加緩和というのについて積極的なスタンス、という話になっているので、その辺の政策論については今般のコロナちゃんで皆さん一致してるんですなと思いますし、そうなるとオモシロ発言の出る余地がなくなるので最近ブラードおとなしめなのかなとかしょうもない事も思ってしまいました、まる。

てな感じで詳しくは後日(汗)。


〇FEDリッスンズコロナ版とな(ただの備忘用URL貼り付け)

https://www.federalreserve.gov/conferences/fed-listens-how-is-covid-19-affecting-your-community.htm
Conference
Fed Listens: How is COVID-19 Affecting Your Community?
May 21, 2020 at 2:30 p.m. EDT
Federal Reserve Board (via webcast)

というのが実施されまして、パウエルとブレイナードがご挨拶しているようですが読んでませんサーセン。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20200521a.htm
May 21, 2020
Opening Remarks
Chair Jerome H. Powell
At "A Fed Listens Event: How Is COVID-19 Affecting Your Community?," sponsored by the Board of Governors of the Federal Reserve System, Washington, D.C. (via webcast)


https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20200521a.htm
May 21, 2020
Introductory remarks for the Fed Listens panel on the COVID-19 pandemic
Governor Lael Brainard
At “A Fed Listens Event: How Is COVID-19 Affecting Your Community?,” sponsored by the Board of Governors of the Federal Reserve System, Washington, D.C., (via webcast)


〇ここで何の脈絡もないのだが久々に読書室

緊急事態宣言の解除は南関東一都三県と北海道だけ取り残されましたし、解除してもまだまだ在宅だ何だというなりそうなご時世なのでこんなのでも。

・「食は広州に在り」(邱永漢著、中公文庫)

元々は昭和29年の終わりから連載されていたものが昭和32年に書籍化された、とかそういう物件なのですが、本文の中で「自分の家の台所でできそうなものについてはなるべくその製法に触れるように努めた」とありますように、いろいろとレシピがあって楽しいですし料理の参考になりますのでご紹介した次第。

アタクシの世代だと株式指南とかの邱永漢さんのイメージが強いですけど邱さんって実は昭和30年の第34回直木賞作家でして、料理の話もさることながらそこから発展する文明評論だったり、日中文化への洞察(邱さんは日本統治下の台湾に生まれて旧制台北高校から東京大学経済学部に進学されました)だったり、そういう話がさらに面白いです。邱さんご自身が本文の中で書いておられますが文章にアクが強い(という程でも無いと思いますが・・・・・・)ので好き嫌いは分かれるかも知れないですけど。それから解説が丸谷才一さんで解説も素敵です。なお邱永漢さんは2012年に88歳で他界されています。

それから書かれた時期が戦後10年くらいということで、こちらの文章の単位系は基本尺貫法になっております。よってレシピも当然尺貫法で書かれているのですが、レシピ実行の際には計算して下さい。計算しなくても雰囲気で分かると思うけど。

アタクシの手元にあるのは1996年の改版って奴ですが、密林で見たら装丁は今も同じみたいですね。値段はさすがに違う(アタクシが買ったときは520円+消費税)。

ISBN4-12-202692-X C1195









2020/05/21

お題「社債買入3−5年来ました/4月FOMC議事要旨ちょっとだけでサーセンが次に来るのはガイダンス明確化ではなかろうか」

ほほう。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20200521-00000001-jnn-bus_all
西村大臣「今はまだ観光を振興する段階ではない」
5/21(木) 0:06配信

「第1次補正」にこんな項目あったのですが緊急性はあったのでしょうかねえ(不要とは言わん)。
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020420b.pdf
令和2年度補正予算(第1号)の概要

>(3)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 18,482億円

#ああそうか2週間我慢すればのロールオーバーしてたからなあそういや

〇社債買入3−5年はさすがに初物だけにそこまで強烈にはならず(で良いのかこれ?)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200520.htm
社債等買入(残存期間3年超5年以下)5,920 2,001 0.170 0.212 31.6

ということで1-3の社債買入が札割れギリギリの入札になって衝撃の▲12bpまで買入という顎の外れそうな結果になってしまいましたのを受けて3−5年ですが、まあそもそもこのゾーンは今まで日銀の購入対象外年限でしたので、そらまあ日銀に残っている分はあるという所(1−3年に関してはポートに沈んで絶対出てこないようなもの以外はもう何年も日銀が買入しているもんだからかなり持って行かれているんでしょうな)だったのでしょうなあっつー話で、ポートには入っているけどお高く売れるなら売って新発辺りの別のもんにでも入れ替えますかとかいう玉も出てきたんでしょうかね、よー知らんけど。

#1−3年はお高く売れてウマーとなっても結局入れ替え玉に苦労しそうな気が(個人の感想です)

でまあこの措置自体もこの緊急事態宣言解除の流れの中で言えばまあ何ぼ何でも今回は時限措置を時限措置にしてくれるでしょう(しなかったら無茶苦茶になるのでマジ勘弁)とは思うので、そう考えますと9月末までしかこちらの3−5年の買入は続きませんとか言う発想なので、そらまあ札も入るわで一応3倍位の応札。

4毛2糸流れている辺りに微妙に微妙なものがあるのかも知れませんが、ただでなくさえジャパンの場合は規制金利時代の流れを引き継いでるのと政策金融が強力なのがあるから貸出のスプレッドが他の主要国よりも低い傾向にあって、その煽りを食って社債のクレジットスプレッドもアガランチ会長でございますので、札が集まったからとか言って喜んでこっち増額とか、社債買入の年限を伸ばしっぱなしにしちゃうとか、そういうのは勘弁して頂きたいものでございます。

・・・・・えーっと、そういう評価で大丈夫なのかこれ?????ということでソウジャナイとご指摘がござましたら是非是非よろしくお願い申し上げます(平伏)。


まあいずれにしましても、社債買入もCP買入も調子に乗って盛大に拡大しましたが、たぶん拡大のスケール感がおかしくて、まともに打ち出した通りの額の買入を行った日には、逆方向に市場を壊すことになる訳ですな。先般の黒ちゃんの総裁会見なんですけどね。

『確かに米国に比べるとCPや社債の市場はそれほど大きくありませんので、この程度の買入れでも相当な規模になり、逆に言えば、CPや社債市場の逼迫を防止できるということです。正にそういった市場の逼迫を避けるために必要なだけやろうということで、かなり思い切って 3 倍ぐらいにしたということです。』(4月27日黒田総裁定例記者会見より)

って言ってるんだが、CPはまだ現先玉みたいなニーズがあって商品有価証券の所でも在庫のニーズがあるから一種の仮需部分があるけど、社債って基本的にポートに沈むものなので、その市場に物凄い勢いで介入していったら「逼迫を防止」どころか社債投資家の方が逼迫するわいい加減にしろという話で、とにかくこの件に関してはMPM方面の市場感覚がズレまくっているので何とかならんのかとは思います。



〇余談だがこんなのが

トップページにこの件の直リンが無いのですが、右の方にあるバナーのうち「採用」とか書いてあるのをクリックするとこんなのが出てくる。

https://www.boj.or.jp/about/recruit/index.htm/
採用・人事交流

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200520a.htm/
クレジットアナリストの募集について
2020年5月20日 日本銀行金融市場局

『日本銀行では、日本銀行が取引先金融機関から担保として受け入れる手形等の企業債務の信用力の判定に関連する業務を行っていただく、有期限の職員を募集します。本件につきましては、会社等からの出向としての応募を前提としています。希望される会社等は、下記の要領に従ってご応募下さいますよう、お願い致します。』

これは採用ではなくて人事交流って奴になりますが、よーしパパもこれから自称クレジットアナリストとして(大嘘です)。

別に今回のオペ拡充云々とは直接関係なさそう(確かこれ定期的に募集している)ではありますが、「7月から1年間」とか書かれますと9月末までの臨時措置を延長するんじゃないかヒャッハーとか勘違いする人が出てきたりして。猫の手も借りたいのでしたらやっぱり関係があるのかも知れませんですニャー(何かをアピール)。

まあそれよりも政策委員会審議委員の述べる理論の信用力の判定に関する業務を行うアナリストを拡充して頂きたいものですなガッハッハ(ここで穴が開いて床に吸い込まれる)。



〇FOMC議事要旨:次はマイナス金利じゃなくてガイダンス強化のようで(なお斜め読みしかできとらんので続きは明日)

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20200429.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20200429.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
April 28-29, 2020
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors was held by conference call on Tuesday, April 28, 2020, at 1:00 p.m. and continued on Wednesday, April 29, 2020, at 9:00 a.m.1


・次の政策強化はガイダンス強化になるのではなかろうかという記述をしてますな

毎度おなじみのインスタント読みをするとインスタント読みで最初に読むところ(『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツ、『Committee Policy Action 』の手前)に読みどころがある気がします。


『While participants agreed that the current stance of monetary policy remained appropriate, they noted that the Committee could, at upcoming meetings, further clarify its intentions with respect to its future monetary policy decisions.』

現状の金融政策スタンスは適切だけど今後のFOMCにおいて将来の金融政策決定に関する委員会の考えをより明確に示すのがよろしいのではないか、という話でテイクノートされておりますとな。

『Some participants commented that the Committee could make its forward guidance for the path for the federal funds rate more explicit. 』

現状のフォワードガイダンスは「米国経済の状況が回復軌道にオントラックとなったのを確信するまでは緩和的な金融政策を継続する」ということなので、これはガイダンスという程のものでもない(ただしガイダンスの定義自体もあいまいで、先行きの話を入れただけで「ガイダンス」と言い張るのが最近の中央銀行の仕様なのでこれもガイダンス扱いなんでしょ)ですわな。単に「フォワードルッキングでプレマチュアーな緩和解除はしませんよ」って言っているだけなのと変わらん。よってそれを強化しろという話になるのですが・・・・・・・・・・・・・

『For example, the Committee could adopt outcome-based forward guidance that would specify macroeconomic outcomes-such as a certain level of the unemployment rate or of the inflation rate-that must be achieved before the Committee would consider raising the target range for the federal funds rate.』

『The Committee could also consider date-based forward guidance that would indicate that the target range could be raised only after a specified amount of time had elapsed.』

出たーアウトカムベースのガイダンスと日付ベースのガイダンス。久々にこの話聞きましたが、この話を始めると逆さ絵議長の事を思い出してしまい、いつぞやのアタクシの駄文のように無意識のうちに手が「バーナンキ」と打ち込んでしまうミスをやらかしそうですなナムナム。

んな話は兎も角として、まあこういうのが出ますという話ですが、前回はアウトカムベース、と言いましても数値明示形式じゃない方法で「労働市場の顕著な回復」ってのをガイダンスにぶっこんだら、失業率版フィリップスカーブ(なのかそもそもの需給ギャップ対比のフィリップスカーブなのかはともかくとして)がフラットで雇用は顕著に改善しているけど物価はアガランチ会長という事になっていましたがさて今回はどうするのか。(最初は期間で出してきて途中からアウトカムに変えたとか色々と懐かしいので再整理しておかないと)

でまあFOMCの場合面々の中には古狸が転がっておりますが、上記のアウトカムベース(要するに特定のデータにスレッショルドを設ける奴)のガイダンスの話をするのに、労働市場の話をしないで物価の話をするんですかそうですか、と思いました。そらまあ確かに米国って前回のリーマンの時でも失業率は盛大に跳ねましたけど、物価はそこまで動いてなかったら、前回はやはり分かりやすくというのと、雇用マンデート達成ネタの方が世間的なウケが良いに決まっているので、そっちをスレッショルドにしていましたが、今回は物価を出してくるというのがこれはハト派という感じですな。(物価だとそう簡単にスレッショルドに行かなさそうだから)

『These participants noted that such explicit forms of forward guidance could help ensure that the public's expectations regarding the future conduct of monetary policy continued to reflect the Committee's intentions.』

とのことですが、まあパウエルの首がさっさと飛ぶようなことが起きたらアレなのですが、現体制の中でしたらある時急に変なもん食ったのかという勢いで正常化の話がおっぱじまるとは思えませんな(個人の感想です)。ただまあバーナンキもかつては突如スタイン理事の金融不均衡論に全乗りして人が変わったように正常化路線ぶっこみに行った時期があったりしましたし、全くないというような油断は禁物ではあるのですが・・・・・・・・・・

『Several participants observed that the completion, most likely later this year, of the monetary policy framework review, together with the announcement of the conclusions arising from the review, would help further clarify the Committee's intentions with respect to its future monetary policy actions.』

おーおーおー、そういえば金融政策フレームワーク見直しというのをやって盛大にFEDリッスンズとか言って全米行脚してたじゃんというのを思い出しましたが、今更そんな話でもないだろうとすっかり忘却の彼方に置いておりましたが、年末くらいにやるんですね。


・国債やMBS買入に関するコミュニケーションをもっと詳しく行うべきではないかという複数参加者の指摘が味わいある

同じパラグラフで二つ目のネタがあるのは中々味わいがあります。同じパラグラフの続きになりまして。

『Several participants also remarked that the Committee may need to provide further clarity regarding its intentions for purchases of Treasury securities and agency MBS; these participants noted that, without further communication on this matter, uncertainty about the evolution of the Federal Reserve's asset purchases could increase over time.』

いやこれは実に味わいの深い意見の記載がキタコレということで、国債やMBS買入のコミュニケーションをより世間様に明確にした方がエエンチャウノという指摘が複数名の参加者(地区連銀総裁ですかね)から出ている、というのが味わいがあってほほーと思いました。この次の話がこの指摘と繋がっているのか繋がっていないのか微妙な文章構成になっていますが以下引用すると、

『Several participants remarked that a program of ongoing Treasury securities purchases could be used in the future to keep longer-term yields low.』

『A few participants also noted that the balance sheet could be used to reinforce the Committee's forward guidance regarding the path of the federal funds rate through Federal Reserve purchases of Treasury securities on a scale necessary to keep Treasury yields at short- to medium-term maturities capped at specified levels for a period of time.』

ということで、長期債やらMBSの買入について、「買入によって長期金利を低位に安定させる」という直接的な市場介入的な効果を目的としたものだ、という解釈をしている人がいますってのがあるのですが、バランスシートが大きくてフォワードガイダンスを併用することによって、先行きの金利政策パスを安定させ、中期ゾーンあたりまでの金利を実質的にキャップすることによって効果を出す、という意見があったりしまして(何かこの2文は前のと繋がっているのか単発なのかが良く分からんですけど)、まあここの話ってのは「短期政策金利がゼロ制約になったら量に移行」という単純な整理だと逆に説明の中で無理が生じやすくなるのかな、とか何とかふと思うのでした。


この「コミュニケーション」とは趣旨が違いますが、コミュニケーションと言えば今般のコロナ予算で行っているオペに関しては(あたくしも条文まで細かく読み切れていないのでアレなのですが)昨日ネタにした議会証言でもありましたように、そもそも何のために建て付けた制度なのかというのが細々とあって(だからオペも細々とある)、それに沿った買入なりローンなりを議会様の承認を得た予算をエクイティにして行う、って話なので、内容を議会に報告して公表して、その趣旨に沿った運営が出来ているかってチェックが掛かる訳ですな、うんうん。



・マイナス金利に関する話は無かったと思うのですが・・・・・・・・・・・・

でですね、まあ一応斜め読みとは言え『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』と『Committee Policy Action 』の部分については目を皿のようにして斜め読みしたんですが、マイナス金利の話って全然出ていないというか、そもそも政策金利をどうこうという話じゃない所でああでもないこうでもないという話をしているのが今回(4月)のFOMCって風情だと思いましたので(見落としがあったらゴメンチャイ)、まあFF先物とかパツキンヅラのツイッターなどから登場するマイナス金利云々ってのは大山鳴動して鼠一匹って感じなのかとは思うんですよね、まあやるとしたらガイダンスの明確化になるんじゃないですか???と個人の感想ですが思いました。


#結局ほかのパラをネタにしている時間を失ってしまったので続きはあす(超大汗)









2020/05/20

お題「業態別当座預金残高関連(思いっきり訂正ですスンマセン)/臨時会合キタコレ(企業金融支援オペその2)/パウエル上院議会証言」

やはり河井さんの登場が待たれる(違)。
https://www.asahi.com/articles/ASN5M5VSNN5MUTIL021.html
都の協力金、支給決定は3% 事業者「スピード感を」
有料記事 新型コロナウイルス
2020年5月19日 18時31分

ロジを無視して政策をぶっこむ辺り、ノモンハンとかインパールとかから何の進歩もしていないジャパンクオリティ。でもって現場が変に器用だと何とかしてしまうのが更にアレなのよねー。


〇業態別当座預金残高の表の続きですがまずは昨日の訂正から入ります

・業態別当座預金は当座預金の定義(というか何というか)の方から入るので・・・・・・

てな訳でジャンピング土下座をしながら参ります(平蜘蛛の如く平伏)。

例の業態別当座預金残高の話、数字の検算やっているうちに脳味噌が溶解してしまいだいぶ素っ頓狂な事を申し上げたので全力で土下座しながら訂正します(過去ログの該当部分は消さないで棒線処理して翌日のを読めという追記を後でしておきますサーセン)。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/index.htm/
業態別の日銀当座預金残高

こちらなんですけれども(出すとエクセルなので口で説明するの恐縮ですが)、「当座預金残高」の定義別内訳(という表現が適切なのかどうかよくわかりませんが)で表示しており、そこの中でプラス金利かどうかというのは(マクロ加算部分が今後該当するのですが)また別問題というお話ですすいませんすいませんすいません。

つまりですな、上記の所から引っ張って来るエクセルシートの右側のシート『(参考)付利の対象となる当座預金残高』の脚注を1個1個見て行けば明白なんですが(ということなのでご指摘頂きまして誠に恐れ入りますもう滝汗にも程がありますわ)、そうは言いましてもやっぱり難しいのでして、以下は脚注引っ張ってきて説明しますが、もうちょっと分かりやすいのでしたらば昨年の所謂調節年報()の本文40ページ、PDFファイルで41枚目の下の方に三層構造の説明がありますのでそちらも併せてごらんくださいませ。

『2.補完当座預金制度により付利の対象となる当座預金または準備預り金。』

というのが『当座預金残高』でして、その内訳が『プラス金利適用残高』、『ゼロ金利適用残高』、『マイナス金利適用残高』ですが、プラス金利適用残高にが脚注3、ゼロ金利適用残高は脚注4、マイナス金利適用残高は脚注5になりまして、

『3.当座預金残高から所要準備額を差し引いた金額のうち、2015年1月〜12月の積み期間における当座預金の平均残高(基準平均残高)から、付利を行う積み期間における所要準備額を差し引いた金額を満たすまでの金額。括弧内の計数は上限値。』

とあります。物凄くヤヤコシイのですが、基準平均残高というのがマイナス金利導入する前年にあたる2015年1月〜12月準備預金積み期間中(なので2015/01/16〜2016/01/15まで)の日銀当座預金平残で、そこから所要準備(この所要準備は2015年当時のではなくて、当該積み期間の所要準備)を控除したのが基礎残高になって、これが10bp付利対象になります。

『4.次の(1)および(2)の合計金額。括弧内の計数は上限値。
(1)当座預金残高のうち所要準備額を満たすまでの金額
(2)当座預金残高から所要準備額およびプラス金利適用残高を差し引いた金額のうち、次の@、A、BおよびCの合計金額を満たすまでの金額

@付利を行う積み期間における貸出支援基金(円建ての借入れに限る)、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ、被災地金融機関支援オペおよび熊本地震被災地金融機関支援オペの平均残高

A@の残高のうち、2016年3月末における貸出支援基金および被災地金融機関支援オペの合計残高を上回る金額

B基準平均残高(新規先に関する特則に基づくみなし基準平均残高を含む)に一定の掛目(基準比率)を乗じた金額(マクロ加算額)

Cマネー・リザーブ・ファンドに関する特則に基づくマネー・リザーブ・ファンドの受託残高に相当する金額』

ガチでややこしいのですが、(1)は所要準備額、(2)のうち@とAが貸出支援基金やら被災地支援オペやらコロナ対策オペやらの残高に応じて発生するゼロ金利適用残高、Bがマクロ加算残高、CがMRF特則残高で、これらがゼロ金利適用残高になります。、

でもって、最後のマイナス金利適用残高は、

『5.当座預金残高からプラス金利適用残高およびゼロ金利適用残高を差し引いた金額。』

となって、今の公表形式ですと、プラス金利適用残高+ゼロ金利適用残高+マイナス金利適用残高=当座預金残高の関係が成立するようになっております。

・・・・・でもってですね、今般のコロナ対策オペと、次にネタにしますが今週金曜の臨時会合でぶっこまれるとみられるコロナ対策オペパート2に関しては、5月積み期間からは残高相当額が10bp付利対象になるのですが、これは時限措置の扱いのためか補完当座預金基本要綱には変更が無いので、基礎残高の定義は変わらんのですな。

ご参考
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo37.htm/
補完当座預金制度基本要領

それと、今回の特例付利分を基礎残高の方に加えて集計してしまうと、ゼロ金利適用はオペ残の2倍(これも正確な定義は要綱の通りなので厳密に2倍ではない筈ですがパスさせてつかあさい)になので、さっき申し上げた、プラス金利適用残高+ゼロ金利適用残高+マイナス金利適用残高=当座預金残高の関係が崩れてしまいます。今の公表形式は「当座預金残高の内訳」として3つのカテゴリーに分けていますので、3つの合計が合致しないのは気持ち悪いにも程がありますわな。

てな訳ですので、今の公表形式を維持する場合においては、基礎残高部分を示している数値には大きな変化が生じない(所要準備の動きで若干ブレる程度)と言う事になると見られます。

以上訂正してみたのですが、分かったような分からんような説明になってしまってすいませんすいませんすいませんすいません。


・ゼロ金利適用残高の使い残しが増えてくるとマイナス金利の皺寄せがどこかに行くんでしょうという雑談

てな訳で訂正の方は以上なのですが、そんな訳でして新型コロナ対策オペなどの「ゼロ金利適用2倍」オペの残高が増えますと、「マクロ的にはマイナス金利適用残高5兆円程度」とやっておりましても、ゼロ金利適用残高部分での裁定取引を行わないで10bpゲットだぜで満足してしまいますと、ゼロ金利適用残高の使い残しが増えるという事になります。現に3月積み期間から増えていますし。

完全裁定後のマイナス金利適用残高を5兆円なら5兆円で一定させようとしても、ゼロ金利適用残高の使い残しが増えますと、さっきの式になりますけれども、マイナス金利適用残高が完全裁定後の理屈上の残高よりも増えてしまう格好になるので(現に4月積み期間は25兆円)、コロナ対策オペ増えれば増えるほどその傾向が高まるという話になりますし、そもそも論として今般は恐らく10bpを拾ってしまえば世は満足じゃとなってしまうと思われる(個人の妄想です)ので、資金の偏在というか、マイナス金利適用の皺寄せが来やすくなると言う事になろうかと存じます。したがって完全裁定後のマイナス金利適用残高を一定になるようにマクロ加算の掛け目を調整してこないで「実際のマイナス金利適用残高が増えすぎないように調整」という運用になる(例の紙は掛け目だけしらっと記載する方式(5月積み期間を先日調整したときのような形式)が想定されます)のではないでしょうか、よー知らんけど。


・・・・・・・でもってこのコロナ対策オペに札をぶっこむことが出来る方はそこでメリットヒャッハーなのですが、その皺寄せ部分がどこかに出てくるという事になります(マクロ加算掛け目を調整してある程度は緩和すると思うんですけど)。そして誰がどう見ても分かるのは、この皺寄せ一番食らうのはこの関連オペに応札しない(物理的に出来ないとか)業態ということですな、うんうん。

マイナス金利政策のデメリットを軽減しながら量の拡大やら政策の長期化やらをオペの工夫でしようとすると、そのオペに入れられる人入れられない人の間で差が生じると言う話で、そらまあ今回のオペは当初が「企業金融の円滑化」で4月会合で「より広い概念で金融機関による民間金融の円滑化」という趣旨ですので、それと関係無かバイという人には知らんがなというのは政策趣旨としてはやむを得ない話ではあるのですが、そうは言いましてもこれってまあ要するに投信/年金ってマイナス金利政策でもとから割負け(それまでキャッシュを極限までコール放出してたので基準平均残高に相当するものが無くて、そら信託銀行さんだって基準残高無い人がマイナス金利だからとキャッシュ残しだしたらチャージするわな、という事なので最初から負けている)していますが、引き続き割負けしますなあ(MRFだけはリテールの証券総合口座の決済機能に付随しているのでMRF特則は出来ましたがマクロ加算の掛け目みたいな洒落た措置は無い)という感じですかね(個人の感想です)。


まあ何ですな、量的緩和当座預金絶賛大拡大政策からマイナス金利政策に移行するにあたって、マイナス適用を減らしながら市場金利をマイナスにするという三層構造があって、それが長期化する中で突発事件のコロナちゃんが来たため、今回は金融機関の民間向け資金繰り支援の促進とか言いながら金融機関に付利メリットを付加しながらオペ残拡大を図りつつマイナス金利の金融機関に対するデメリット軽減策をぶっこんだ(ただし時限措置)という流れでもあるのですが、まあやればやるほどややこしい話になって参りまして、結局の所マイナス金利が悪いよマイナス金利が、という悪態にと通じるのでありました。

つーかね、企業の資金繰り支援という話だったらMRFが保有する非金融機関発行のCPに相当する残高分MRF特則に加えても良いじゃん、とか言うのは実務的にロジが無理なのは分かっているのでただの悪態なんですけど(サーセン)、まあ全般的に何ちゅうかかんちゅうか、元の部分(マイナス金利政策)に無理がある中で、戦略レベルの無理を巧妙にも程がある(イヤミではなく褒めてる)戦術レベルの所で何とか無理の軽減をしちゃっているとか、まるでこれまた大日本帝国陸海軍クオリティという感じで、実に日本的な味わいを感じるのでありました。


〇臨時決定会合キタコレということですがこれは4月会合の続きみたいなもんで

17時過ぎに出すなよもっと早く出せとは思ったがロジ(政府からの出席者というのが必要で、それをまさか課長級という訳にも行かない(つーか指定職駆け出しレベルでも駄目でしょうが^^)ので偉い人の日程押さえないとイカン)があるので変な時間に公表することになったんでしょう、と解釈しておく。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200519a.pdf
金融政策決定会合の臨時招集について
2020 年 5 月 19 日
日本銀行

『本日、政策委員会議長は、日本銀行法第17条の規定に基づき、臨時の政策委員会・金融政策決定会合を以下のとおり招集することとした。

開催日時 令和 2 年 5 月 22 日(金)9 時より

開催理由 4 月 27 日開催の金融政策決定会合における議長から執行部への指示に基づき、金融機関への新たな資金供給手段に関する検討結果の報告を受け、必要な金融調節事項の検討を行うため。 』

ということですので、これは前回MPMにありました、

4月MPM声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200427a.pdf

以下上記声明文から引用します。

『(2)新型コロナ対応金融支援特別オペの拡充(全員一致)

3月に導入・開始した新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペについて、金融機関が、企業を中心に幅広く民間部門に対する金融仲介機能を一層発揮することを、しっかりと支援するため、@対象担保範囲の家計債務を含めた 民間債務全般への拡大(対象担保:約8兆円→約23兆円<3月末>)、A対象先の拡大(新たに、系統会員金融機関等を含める)、B本オペの利用残高に相当する 当座預金への+0.1%の付利、の3つの措置を講じる2。なお、名称は「新型コロナ ウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と改める。』

まあ何だ、あくまでも今回の新型コロナ云々オペに関してはここにあるように「金融機関が金融仲介機能を一層発揮することを支援する」政策趣旨なのですからして、投信年金はこの主語の金融機関に含まれないのは明らかなので金融仲介機能も蜂の頭も無いから別にオペには関係ないぜ!ということですね(蒸し返す)。

というのは兎も角として今回はこの項番3(2)の後半に当たる、

『これに加えて、日本銀行として、中小企業等の資金繰りをさらに支援するため、 政府の緊急経済対策等における資金繰り支援制度も踏まえた金融機関への新たな資金供給手段(骨子は別紙)の検討を早急に行い、その結果を改めて金融政策決定会合に報告するよう、議長より執行部に対し、指示がなされた。 』

つーことで、でもって新しいオペを実施するとなると「新しいオペを作ります」というのが当然ながら政策決定ということになるし、その実施要項を作ったりすると実施要項を承認するのは「政策委員会・金融政策決定会合」になりますが、次回の通常MPM6月とかだと遅杉晋作になるので金曜に、ということですかそうですか。まあ何と申しますか別にこれが出来たからよーしパパ制度融資もっと増やすぞ〜とは成らんと思うので(そらまあ10bpホイホイの力は偉大なのは分かったが、それとこれとはまた別の話)、そんなに急ぐ必要あるのかね、とは思いますが、まあスピード感出したいんでしょうからあんまり野暮なことは言わない。

でもって声明文別紙の項番2にありますように、

『2.新たな資金供給手段の骨子

(1)資金供給を受けられる金額
対象先の金融機関が、緊急経済対策における信用保証付き融資の保証料・利子減免制度を利用して行う貸出の状況等を踏まえて算出した金額。対象とする貸出の範囲などについては、今後、検討する。

(2)資金供給の方法
全ての共通担保を担保とする貸付け。

(3)貸付利率
貸付利率はゼロ%。

(4)「マクロ加算残高」への加算措置
利用残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算する。

(5)当座預金への付利
利用残高に相当する当座預金へ+0.1%を付利する。』

ということで、新型コロナ対策オペちゃんの方は「担保が企業向け債権を初めとした民間向け債権となっているものに限定した固定金利オペ」なのですが、新規オペの方は「金融機関が緊急経済対策に対応して民間向け与信の拡大(または利子等の減免措置)を行った金額に対して日銀が貸出を行うけど、日銀は特融でもない限り無担保貸しはできないので何か国債でも担保に入れて下さい、となる訳で、こっちの方がゆうてみればバックファイナンスに近い(オーバーローンでもないのにバックファイナンス貰っても要らん説はあるがまあそういう建付けにしておかないと格好がつかないし)オペになりますな。

でもって、新型コロナ対策オペちゃんは担保で国債とか使えませんけれども、こっちは別に1本1本のマル保付き証貸を担保に取るのではなくて、制度融資とかその手の緊急経済対策関連貸出金等の総額で管理して、担保は必要だから国債でも短国でも、みたいな話になるから、このオペの規模感をどの位で見込んでいるのかが良く分からんのですが(見栄えから考えて数字は大きくなった方が良いでしょうなあ)、新型コロナオペの場合担保繰り的には当初の時点では既存の共通担保から(優遇措置がある有利なオペなので)対象担保分が振り替わる格好になりますけど、こっちのオペは新規メリット付オペですから、規模がでかくなるんだったら共通担保を用意しておいた方が吉とかそういう担保繰りになるんでしょうか、人様の懐具合の話は良く分からんですけど。


まー確かに臨時会合やらないと早期導入できないから臨時の可能性無くは無かったのですが、そこまで急ぐ必要あるんかいなとか思ってたのであんまり気にしていませんでしたが、確かに緊急事態宣言も徐々に解除されてきましたし、6月後半にこの施策を「どうだ!」と出しても「はあそうですか」という反応になったら悲しいから早めにぶち込んできたというのもあるかも知れませんね、よーしらんけど。


〇パウエル議会証言に関しては別にどうと言う事は無いですかな

https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20200519a.htm
May 19, 2020
Coronavirus and CARES Act
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.

上院での議会証言(の冒頭ご挨拶みたいな奴)ですけど、そんなに長くないけど別に全文引用するほどの事もなさそうなのでちょっとだけ。

最初の4パラはご挨拶(コロナ大変ですが皆さん頑張って行きましょう的なマクラ)なのでパスして5パラ目から。

『Available economic data for the current quarter show a sharp drop in output and an equally sharp rise in unemployment. By these measures and many others, the scope and speed of this downturn are without modern precedent and are significantly worse than any recession since World War II.』

この前の講演と同じく、「今般の経済落ち込みは、その速度大きさともに第二次大戦以来最悪のものです」から始まるのですが、何故か先般の講演の時にはこれに反応したという事になっていますが、別にパウエルが言わなくても他の地区連銀総裁も揃ってそういう話をしているのでまあそうですな、という話だと思います。よく考えたら米国本土にアタックっての独立戦争以降だと9.11と本件と言う事なんですもんね。

『Since the pandemic arrived in force just two months ago, more than 20 million people have lost their jobs, reversing nearly 10 years of job gains. This precipitous drop in economic activity has caused a level of pain that is hard to capture in words, as lives are upended amid great uncertainty about the future.』

『In addition to the economic disruptions, the virus has created tremendous strains in some essential financial markets and impaired the flow of credit in the economy.』

実体経済に大変な災難、と来てから金融市場の混乱という話の進め方をしていますが、これも先般の講演と同じくでありまして、「最近のアカン事案は基本的に金融市場が震源地でしたが、今回は実体経済活動が震源地という違いがあります」という話をしたいからこういう順序になる、というのは分かりやすいと思います。では次のパラ。

『The Federal Reserve's response to this extraordinary period has been guided by our mandate to promote maximum employment and stable prices for the American people, along with our responsibilities to promote stability of the financial system.』

ほうほう。相手が議会だから金融システムの安定の所まで言及していますな。まあその割には直ぐに金融不均衡を作るのがお得意なんですけどねえとか野暮なツッコミはしない。

『We are committed to using our full range of tools to support the economy in this challenging time even as we recognize that these actions are only a part of a broader public-sector response.』

でね、先般の講演をネタにした時に寝起きで一気に全文読んで逐語訳しながらネタにしたんで、最後の最後に「金融政策では時間稼ぎは出来るのですがコロナの本格的な対応は財政だし、そのためには議会とホワイトハウスで頑張って欲しい」(最後はやや超訳成分あります、為念^^)とかいうのがあってほほーと思った次第ですが、経済見通しが厳しいよという話をしたいのか政策対応の政策割り当て意図の説明をしたいのか、はたまた最後の話をしたいのか、という辺りがフワッとしていた感じはあったと思うの。

ただ、今回の議会証言ご挨拶のこの辺りとか見ていると、「ワシらはフルに必要な施策をぶっこんでいきますが、ゆうてワシらの貢献できる部分はコロナ対策の一部であって、広く公的機関が対応していくものでそのように物事は進んでおります」というお話をしている訳でして。そらまあ金融市場が震源地だったらFEDの力に待つところが大きいけど実体経済ともなるとFEDだけではよー出来んわな、というのをやっぱり強調したいんじゃネーノと感じました。もちろんそれを露骨に言うと台無しになるのでこういう言い方になってしまうんでしょうけど。

んな訳なので(個人の感想です)、

『Congress's passage of the Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES Act) was critical in enabling the Federal Reserve and the Treasury Department to establish many of the lending programs that I discuss below.』

ということで議会をヨイショする、というかこれが無いとFEDは制度上の建付けとしてやりようが無かったのでヨイショでも何でもないですかそうですか。

でもってこの次のパラグラフは、『establish many of the lending programs that I discuss below』の話になるのですが、最初のパラは、

『In discussing the actions we have taken, I will begin with monetary policy. In March, we lowered our policy interest rate to near zero, and we expect to maintain interest rates at this level until we are confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve our maximum-employment and price-stability goals.』

と利下げの話をしまして、その次のパラは

『In addition to monetary policy, we took forceful measures in four areas: open market operations to restore market functioning; actions to improve liquidity conditions in short-term funding markets; programs in coordination with the Treasury Department to facilitate more directly the flow of credit to households, businesses, and state and local governments; and measures to allow and encourage banks to use their substantial capital and liquidity levels built up over the past decade to support the economy during this difficult time.』

と予算付けてもらってぶっこんだ各種施策の話になります。以降のパラフラフではパラグラフごとに、MBSの買入拡大、プライマリーディーラー向け貸出ファシリティ(PDCF)(なおここまでは予算関係なしで行ける物件)、CP買入とMMF向け貸出支援オペ(CPFFとMMLF)、海外中銀とのドルスワップライン拡充によるドル資金供給オペ(も議会は関係ないですな)と来まして、その後状況説明を1パラ挟んでから、ABS向け貸出(TALF)、社債買入(PMCCFとSMCCF)、中小企業向け貸出支援プログラム(メインストリートレンディングプログラム)、中小企業の雇用者賃金維持支援プログラム(PPP、ペイバックプロテクションプログラム)、とひたすら施策の説明をしているだけなので、(別にこんなに書くことも無いのですがアタクシの頭の整理備忘メモ用に一々名前を挙げてみました長くてすいませんでした)まあ別に政策インプリケーションがある話ではない。

でもってそこまで来るとかなり話は終わりに近くてですね、

『The tools that the Federal Reserve is using under its 13(3) authority are for times of emergency, such as the ones we have been living through. When economic and financial conditions improve, we will put these tools back in the toolbox.』

ということで、これまた先般の講演と同様に、これらの措置はあくまでも非常時対応なので、世の中が改善して来たらこれらの政策ツールは道具箱の中に戻します、とあくまでも時限措置であることを強調しています。

つまり、途中の施策説明部分を中抜けさせますと、これらの施策は議会と政府による予算支援があってこそ出来るツールであるし、しかも非常時対応ツールですよ、という話をしております。いや建付け上当然その通りなのですけれども、この冒頭説明ってあと2パラグラフ残っている(これからやります)けれども、何と申しますか「必要ならもうワシらがぶっこむけんね」みたいな勢いを感じないある意味淡々とした説明になっておりまして、先般の講演と併せて見ますと、要は本件は実体経済マターで、しかもこのショックは金融緩和でのサポートは勿論するけど、そういうレベルの話ではないんで、メインで活躍するのは政府と議会だし、それのお膳立てがあれば必要なことは行いますよ、でもこれって非常時対応ですよね、みたいな印象を勝手に受けたのは、単にアタクシが無茶ぶり緩和の拡大では対処できんんじゃろと一人合点しているのでそのバイアスをもって読んでいるというのは思いっきりあると思うのですが、ただまあ積極的な追加緩和姿勢みたいなのは無いんじゃないですかねーと思いましたがどうでしょうかね。

では残り2つのパラグラフですが最初が今般の危機対応での金融機関の資本制約などの軽減策ネタです。

『The final area where we took steps was in bank regulation.』

あとはお察しだが引用だけ。

『The Board made several adjustments, many temporary, to encourage banks to use their positions of strength to support households and businesses. Unlike the 2008 financial crisis, banks entered this period with substantial capital and liquidity buffers and improved risk-management and operational resiliency. As a result, they have been well positioned to cushion the financial shocks we are seeing. In contrast to the 2008 crisis when banks pulled back from lending and amplified the economic shock, in this instance they have greatly expanded loans to customers. Federal Reserve Board Vice Chair for Supervision Randal Quarles spoke to you about these topics last week.』

クオールズ副議長のネタはURLだけ貼り付けて何もやっていませんでしたサーセン。というか日本って金融機関の資本制約緩和とかそっちの話ってあんまりネタにもされません(ような気がする)あれは何でじゃろ。

最後のパラグラフです。

『The Federal Reserve has been entrusted with an important mission, and we have taken unprecedented steps in very rapid fashion over the past few months.』

まあ利下げは早過ぎて債券市場のボラを大爆発させましたけどね!!!

『In doing so, we embrace our responsibility to the American people to be as transparent as possible. We are deeply committed to transparency, and recognize that the need for transparency is heightened when we are called upon to use our emergency powers. This is particularly the case when Congress appropriates taxpayer funds to back lending programs that the Fed administers.』

『In connection with the CARES Act facilities-including the two corporate credit facilities, the Main Street Lending Program, the Municipal Liquidity Facility, and the TALF-we will be disclosing, on a monthly basis, names and details of participants in each facility; amounts borrowed and interest rate charged; and overall costs, revenues, and fees for each facility.』

今回の施策は議会の負託を受けて実施しておりますので、特にMSLPとTALFについてはその内訳を事後的に公表しますよとかそういう説明をしておりまして、議会への説明という透明性の話をしておりまして締めになっています。相手が相手だからこういう締めになる、というのもあると思いますが、追加緩和示唆的な威勢の良い話でワシらがやるもんね的な勢いではなくて、まあある意味普通に普通の話をしていて、別に先行きの政策示唆とかも無いなあ、と思いましたがどうっすかね。

『Thank you, I'd be happy to take your questions.』

#本日はこの辺で勘弁








2020/05/19

お題「業態別当座預金残高や新型コロナ対策オペ先追加とか/英国ってマイナス金利に特攻するの???」

コロナだ何だの中、その前からずーっと引き続き地元から物凄い勢いで刺されている前法相夫妻ですが、
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=643426&comment_sub_id=0&category_id=256
河井克行氏、数十人買収疑いで立件へ調整 総額1000万円超 検察当局
2020/5/16
(URLが長いのでリンクは途中までで貼っていますが記事に飛ぶはず)

https://www.asahi.com/articles/ASN5K63MGN5GPTIL03D.html
独自  「これは気持ちです」わずか数分で現金置いて去る克行氏
有料会員限定記事 2020年5月18日 5時00分

議員にしておくのは勿体ないスピード感なのでコロナ関連給付金等配布担当で全国行脚を是非お願いしたい、と思ったら同じボケを考えている人が多数いるようで(汗)。


〇業態別日銀当座預金残高とか新型コロナオペ対象先公募追加とか

・業態別当座預金残高は相変わらずの偏在っぷりだが楽しみなのは来月の発表

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/index.htm/
業態別の日銀当座預金残高

先日ドカンと残高が増えた新型コロナ対策オペですが、8.6兆円ぶっこまれたのは15日になりますので、今回のマクロ加算には1日分しか跳ねないので平残ベースでは惜しくも誤差の世界。でもって5月積み期間からはこれら関連オペ残高が付利対象になるので、今までって基礎残高のうちの付利対象って何故か当初導入時から連綿として変わらん(成長通貨の趣旨からいったら基礎残高だって少なくとも銀行券増加分くらいは増やして欲しいんですけど、特にMRF特則とか個人の株式等の残高とか株価が増えたら増える性質のもんなんだからMRF特則もっと増やせよコノヤローとは思うのだがその話はさておく、と言いながら折に触れて粘着するアタクシはしつこい)ので、ずーっと同じ数字が出ていましたが、来月になるとこれが跳ねてくると思うと計数を見る楽しみ(?)も起きますな。

ということで4月積み期間ですが、

プラス金利部分の「未使用」残高:14,140億円(前積み期間:14,880億円)
マクロ加算ゼロ金利部分の「未使用」残高:283,140億円(前積み期間:259,260億円)
マイナス金利適用残高:250,260億円(前積み期間:231,110億円)

などという数字が出て来まして、ゼロ金利部分の未使用がどこの業態で増えてるのかと思ってちょっと見たら信託と準備預金非適用先で増えているんですね。ほかは大体横ばい。プラス金利で余るのは大体この程度で(3月積み期間でちょっと増えて横ばい)、ゼロ金利部分の未使用に関しては3月積み期間で新型コロナオペパート1(3/24に結果が出て3/25から3m)が3.4兆円でた影響で増えましたが、パート2はあまり出なかったので4月積み期間はそんなに変化が無く他の業態はそんなに変化無かったですな。

まあゼロ金利適用残高については、先般の3月積み期間で都銀さんがゼロ金利適用残高をガッツリと余らせた(それまではかなりカツカツの所までゼロ金利適用残高を「活用」した裁定取引を実施していたとみられていてゼロ金利適用残高をあんまり残していなかった)というのがネタになりましたのが、そのまま横ばっている状態ですので、これはまあいずこも同じですが、直近ではカンナ屑程度の収益しか出ない当座預金ゼロ金利残高の裁定取引とかやってる場合じゃないのでそんなに動かんかった、とかそういう理解でよろしいのでしょうかね、まあ良く分からんけど。

マイナス金利適用残高に関しては当座預金残高全体の平残が3月積み期3,764,060億円→4月積み期3,888,060億円と12兆円少々増える中、全体のゼロ金利適用残高は13兆円増えているのですけれども、未使用残高の方が2兆円少々増えてしまう、ということで偏在が進んでしまったことからマイナス適用残高は1.9兆円ほど拡大してしまっているという事ですな。この辺がコロナオペ付利というのをやってどのような変化が生じて、それがインターバンクの当座預金3層構造裁定取引(なお以前も申し上げましたが、正確には基礎残高の中に所要準備預金(付利金利ゼロ)があり、今回からマクロ加算残高の中に付利されるものが出来るので、実際は3層ではなく5層構造という高級マスクのような構造になります)にどう影響するのかとか楽しみにしております、ってもう今回の積み期間始まってるんですけどね!!


・10bpホイホイの効果恐るべし

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200518b.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペにおける 貸付対象先公募の結果について
2020年5月18日 日本銀行金融市場局

『○ 対象先名(6先)』

ということで先日(5/12)は14日オファーのオペに間に合わせるべく物凄い勢いで40先が対象先の公募に合格していましたが、今回は次回の26日オファーのオペから参加する先が6社追加で合格しましたという お話ですかそうですか。

10bpホイホイの効果恐るべしですが、そらまあマクロ加算余らせているような方だったらマクロ加算がさらにドン!とか言われましても要らんがなですが、10bp付利が貰えるとなれば落ちている金を拾わない手はない(なお事務コストェ・・・・というのはあるので本来は考慮が必要なのだが)というお話。

まあしかし信用創造したその瞬間は別に金融機関って資金繰り中立で、貸金受けた顧客がその金を使って他行送金した瞬間から資金繰りの問題になるんですけど、なにせ銀行全体が盛大なローンポジションになっているので本当はバックファイナンス要るんかいなという話isありまして、確かに各行ともにローンをコロナ対策でバンバン出すことによってもしかしたら自行の資金繰りがタイトになるかも知れませんが、全部現払いで出るならともかく、銀行システム間をグルグルと回っているだけだと結局資金繰りはマクロ的に中立になってしまうので、バックファイナンスでなんとかかんとかというのも、ローンポジション状態になっている場合にはどうなんでしょうかね、というのは毎度気になるのだが、だいたいこの手の話は昔のマネーポジション時代の理屈を引っ張っていますな。

しかしまあ何ですな、既存の貸出分だけこれで10bp引っ張ってきて後は知らんがな(というような金融機関は居ないというか現状そんな事言ってられないでしょうけれども)みたいな事されると、何か10bp持って行かれるだけという悲しい金融機関向けのミルクチューチューになってしまうのですが、まあそんな状況ではないというのは理解しておりますので。なお、ちょっと微妙な事も思いついたのですが思いついただけですとだけ申し上げておきます。


・国債補完供給まで対象先追加とな

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200518a.pdf
国債補完供給の対象先公募の結果について
2020年5月18日 日本銀行金融市場局

『○ 対象先名(1先)』

ほほうという感じでした。





〇英国マイナス金利を検討なんですか大丈夫ですかねえ

昨日は2名からマイナス金利ネタが登場とな。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-boe-idJPKBN22U01D
2020年5月18日 / 09:29
英中銀理事、マイナス金利や高リスク資産購入排除せず=新聞

『[ロンドン 16日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミスト、ハルデーン理事は、同中銀がマイナス金利の導入やよりリスクの高い資産の購入といった選択肢について、一層の緊急性をもって検討していると明らかにした。英紙テレグラフが16日に報じた。』(上記URL先より、以下同様)

だそうで、記事をもうちょっと拝読しますと、

『報道によると、ハルデーン理事はマイナス金利の導入や、中銀の債券買い入れプログラムの下で、より質の低い資産を買い入れる可能性を排除しなかった。 同理事はインタビューで「経済は1年前より弱く、(政策金利は)実質的な下限にある。その意味では、われわれはこれまでより幾分強い切迫感をもって(そうした選択肢を)検討する必要があり、検討を行っている」と述べ、「検討しないわけにはいかない」と語った。』

てのが出てたと思ったら人が寝てる間にこんなのも。

https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-boe-idJPKBN22U2UT
2020年5月19日 / 05:10 /
英中銀、マイナス金利政策を排除せず=テンレイロ委員

『[ロンドン 18日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は18日、金融政策委は「いかなる政策手段も排除しない」とした上で、マイナス金利政策導入の利点に言及した。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのオンラインセミナーで、「欧州での経験を踏まえた個人的な見解だが、マイナス金利は実体経済にかなり強力に伝播したという意味で、プラスの効果があった」と指摘。大規模な金融セクターを有する英国には特別な配慮が必要だと述べた。』(上記URLより)

ってこちらは記事の全文引用になって誠に申し訳ないのですが、この2本とも多分元記事とかLSEのサイトとかに行くと何かドキュメント見つかりそうではあるのですが(多分テレグラフは登録しないと読めないとかその手のだと思う)、安直にBOEのサイトに行ったら当然の如く物件が無かったので、さてどういうメリットを感じているんだろうな、というのは?????ではあるのですけど(って直近MPCの議事要旨とかをちゃんと読んでおけですねわかります)。

まあ何ですな、後者のテンレイロ委員の言う「大規模な金融セクターを有する英国には特別な配慮が必要」って話に関してはさすがに認識しとるわという感じなのですが、何ちゅうか欧州に関してもマイナス金利ぶっこんだはいいけれども、別にそこまで経済物価押し上げに強力に効いたわけではなく、効かないうちに銀行セクターがそれまで稼いでいた預貸スプレッドがガンガンズンズングイグイ縮小して、そもそもが量的拡大との相性が悪いマイナス金利なので、ECBは直近のペルトロちゃんに至っては▲100bp(適用金利の下限の場合)で資金供給するという訳の分からん事になっている訳ですし、日本だって苦し紛れにYCCとか言って量的拡大ペースを落としてしまい、遂に量を出そうということで「出した金の分リザーブに付利する」というマイナス貸出じゃあないのですがオモシロスキームで量を拡大しようとしております訳ですよ、はい。

という中で量的拡大を企図しながらマイナス金利入れるって無茶ぶりだと思うのですけれども、まあ次回のMPC結果が出るのが6月20日ですので、それまでの間に世の中がどうなっているのかにもよります(株式市場は何か盛大に茲許もヒャッハーしてますけど実体経済のあばばばばーはこれからでしょうからねえ)けれども、どういう話が出るのか、MPCまでもうちょっとありそうなのと、FEDはとりあえず実施した施策の状況を確認するステージに入って、しかも先般のパウエル講演に見られるように、「うちらはもう出すもん出したから追加の有効施策は議会とホワイトハウスでよろしゅうに、時間稼ぎならやりますけど」という感じでマイナス金利とかそっちには行きそうもない(個人の感想です)ので、次のオモシロ素材はBOEかもしれませんね。

ただまあアレですわ、さっきのテンレイロ委員の発言としてロイターさんが報じている「マイナス金利は実体経済にかなり強力に伝播したという意味で、プラスの効果があった」ってのも何だかなーと思う次第で、だったらコロナ前に欧州は経済物価情勢がヒャッハーとなっている筈なのに、やってることは一瞬だけAPP拡大停止方向でしたが、結局のところドラギ先生緩和拡大マイナス深堀ばっかりやっていた訳で、どこがどう「マイナス金利は実体経済にかなり強力に伝播した」という結論が出るのかと小一時間問い詰めたいですけれども、洋の東西を問わず、政策ぶっこんだ人というのは「見込み違いでしたサーセン」と撤収するのができなくて、赫々たる戦果を上げたと大本営発表したがるんでしょうねえ(特にその施策に賛否が分かれるような物件の場合)と思うのでありました。

てな訳で面白そうになってきたので久々にBOEをじっくり観察モードに入ろうかと思います(観察した成果をネタに出来るとは言っていない)。

ちなみに超どうでも良いですが、米国の場合MMFガー(現状プライムMMFはコンスタントNAVじゃないけどトレジャリーオンリーのMMFは引き続きコンスタントNAVだったと思うんだが)という問題がありまして、とはよく言われますが、欧州でもMMFはある訳でして、昔諸般の事情でちょっと調べてたら、その後MMF改革がFSB-IOSCO主導で行われたので今は違うかも知れないのですが、欧州マイナス金利なのに何でコンスタントNAVのMMFあるんじゃいと(MMF改革完了前の話ですよ為念)思ったら、NAVはコンスタントだけど元本口数が減るという大技を使っているというのを知ってウケたことがありますな。

あと、この発言探すためにBOEのサイトを漁っていたら、
https://www.bankofengland.co.uk/working-paper/2020/the-interbank-market-puzzle
The interbank market puzzle
Staff working papers set out research in progress by our staff, with the aim of encouraging comments and debate.
Published on15 May 2020
Staff Working Paper No. 862

ってのがあって(本チャンのレポートは上記URL先にあります)欧州のインターバンク市場における銀行間取引の活発さの違いとかそういう話をしているっぽいのだが、文字だらけなので一応ローカルにレポートは保存してみたものの読む自信はない。単にインターバンクという文字に釣られただけ。


#あと米国のFSRが市場動向の部分が何気によくまとまっていてレビューに便利ジャンという話をしようと思ったのですが甚だ短い割には時間切れ(計数ネタは確認何回か一応したりするので時間を食うのよ)なのでこの辺で勘弁





2020/05/18

お題「金研が急にコロナ関連ネタレター連発/NY連銀ブログのCP買入は趣旨と効果の説明がイイネ!/米国のFSR等(備忘メモ)」

緩みがどうのこうのとこの人が言っても赤坂自民亭が何を言うとしか思えんが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200517/k10012433701000.html
“気の緩みで感染再拡大も” 経済再生相が外出自粛の継続要請
2020年5月17日 12時18分

だいたいからして「気のゆるみ」みたいなのを連発するから変に世の中がピリピリしてギスギスしてしまうんですけどもうちょっと何とかならんのですかねえ(個人の感想です)。

〇金研がここの所急にコロナ関連レターを連発している件について

金曜はこんなのが。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200515c.htm/
(金研ニュースレター)特別号 新型コロナウイルス感染症の経済学(3)・(4)
2020年5月15日 日本銀行金融研究所

その1週間前にも
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200508d.htm/
(金研ニュースレター)特別号 新型コロナウイルス感染症の経済学(1)・(2)
2020年5月8日 日本銀行金融研究所

というのがあって、一応このお題が、

「新型コロナウイルス感染症の経済学(1)海外研究機関の取り組み」 [PDF 457KB]
「新型コロナウイルス感染症の経済学(2)SIRモデルとは何か」 [PDF 697KB]
「新型コロナウイルス感染症の経済学(3)負の供給ショックは需給バランスを悪化させるのか」 [PDF 502KB]
「新型コロナウイルス感染症の経済学(4)感染症の大流行と自然利子率 ― 14世紀から21世紀までの経験 ―」 [PDF 582KB]

などという流れになっておりまして、この金研ニュースレターってのは

https://www.imes.boj.or.jp/japanese/newsletter.html
金研ニュースレター
日本銀行金融研究所『金研ニュースレター』は、金融研究所が主催した主なイベント等をご紹介することを目的としています。

という物件なのですが、なんか急に変なもんでも食ったのか物凄い勢いでペーパーが飛び出すのは何ぞという感じではありますが、折角なので、「新型コロナウイルス感染症の経済学(3)負の供給ショックは需給バランスを悪化させるのか」 [PDF 502KB]って奴でも拝読。

https://www.imes.boj.or.jp/japanese/newsletter/nl202005J3.pdf
負の供給ショックは需給バランスを悪化させるのか

最初のサマリーっぽい記述から。

『新型コロナウイルスに対する公衆衛生的介入( NonPharmaceutical Intervention、NPI)によって、需給バランスはどのように影響を受けるのだろうか。本稿では、米国のマクロ経済学者である Guerrieri, Lorenzoni, Straub, and Werning が最新の理論モデル を使って分析した“Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?”を紹介するi。』

ほうほう。

『ポイントは、NPI 導入に伴い、供給の落ち込みを上回る需要の減少が起こりえること(需給バランスの悪化、自然利子率の低下)を示したことにある。何か当たり前の結論のように思われるかもしれないが、以下にみるように、この結論は教科書レベルの理論モデルではでてこない。』

だそうですが、もともとアタクシは教科書レベルの理論モデルとか言われても知能が無いのでアイヤーという感じですが、代表的企業とか代表的個人とかを設定した場合にはこの結論が出てこない、と言う事のようでございまする。どうもこのNPIによるショックは一時的なショックという形で扱われるから一時的ショックならそれは需給バランスは変わらないですわなという事のようです。

と、勝手にひとり合点して途中から引用します。

『それではどういう場合に、需給バランスが悪化するのか。論文では、代表的企業という仮定を捨てて、複数の企業部門を想定しなければならないとしている。』

教科書が考えている系が単純すぎやしませんかとか思いますがまあそらそうよという話から入る。

『NPI 導入に伴いレストランや レジャー施設といった特定部門が閉鎖されれば、 その部門の生産はゼロになり、外食やレジャーの消費もゼロになる。このとき、外食に代わってスーパーでの食料品購入が伸びるといったように、閉鎖されていない他の企業部門が代替的な関係にあれば、その部門の需要が増え、一国全体の需給バランスは改善することになる。』

ふむふむ。

『一方、レジャーに行かないために、(自動車も含めた)交通の支出も減るというように、他の企業部門が補完的な関係にあれば、元の供給ショックを上回って需要が抑制される。』

なるほど。

『筆者たち は、NPI で活動を抑制されているレストラン、レジャーといった非製造業部門は、製造業部門と異なり、他に代替される程度が小さいため、今 回の新型コロナウイルスに伴う措置は、仮に純粋に供給ショックであっても、需給バランスを悪化させることになるとしている。』

代替需要が発生しないのでその分だけ需給バランスが悪化する、ということですかそうですか。

『さらに代表的な家計の前提も捨てて、閉鎖された部門の雇用者が借入制約にあり、所得の減少分だけまるまる消費を抑制せざるをえないケースでは、需給バランス悪化の可能性は一層高くなる。』

そらそうだし、一時的なショックなのかどうかというのはその時には分からん話なので、所得が減っても一時的だからよーしパパ貯金を取り崩して生活を維持するぞとか借金して生活を維持するぞとか普通ならんじゃろと思うのでそもそも論として教科書的な説明の方がわけわからんという感じはあるんですが(個人の偏見です)。

『このように需給バランスが悪化すると、政策的に達成しなければならない自然利子率は低下する。金利の下げ余地があれば、その分、金融政策によって金利を調整すればよいことになる。』

>政策的に達成しなければならない自然利子率は低下する
>政策的に達成しなければならない自然利子率は低下する
>政策的に達成しなければならない自然利子率は低下する

これはアカン(マイナス金利大嫌い中年男性的に)。

ちなみにそっちに関してはさっき並べたお題のうちの「(4)感染症の大流行と自然利子率 ― 14世紀から21世紀までの経験 ―」ってのが該当するんですが、そちらによりますと『感染症の大流行終息から約 20 年の間、 自然利子率は低下を続け、ボトムでは約 2%低くなる。そして、そこから約 20 年かけて元の水準に戻る。』だそうなのですが、アタクシ元論文見てないから何ともなんですが、何ちゅうか経済の回転速度が違うし、元々の自然利子率の発射台も違う過去の話を持って来る時って留保が必要な気もします(自然利子率が5%の時の2%と2%の時の2%は違うじゃろ)が、政策的に達成しなければならない自然利子率は低下するそうですよマイナス金利深堀しないといけませんね(白目)。

『もっとも公衆衛生上の配慮を行う必要があるので(論文では、この状況を家計の効用関数に自分の健康状態を入れるという工夫を用いて表現している)、需給バランスの悪化をすべて取り戻す必要まではないと論じている。』

新しい生活ですねわかります。

『一方、財政による需要喚起策の波及メカニズムは、特定の企業活動の停止という供給ショックの特殊な性質によって影響を受けることになる。』

ほうほうほう。

『通常では、財政支出は雇用を創出し、新たに雇用された者が消費を増やし、さらに雇用を創出するという乗数効果が働く。』

はい。

『しかし、一部の部門(上記の例ではレストラン、レジャー施設)が 閉鎖されていると、財政を拡張しても、同部門での雇用は創出されず、その分、乗数効果は小さくなる。もっとも、その場合でも、借入制約の存在を考えると、同部門で働いていた雇用者への所得補填は望まれる。 』

なるほど。

『この論文における、供給ショックを上回って需要が抑制されるには多部門モデルへの拡張が必要となるという論理展開はクリアであり、それが故に、アカデミックな文脈で引用されることも あるii。ただし、この論文では、NPI を行う、行わない、の極端なケースのみを考えており、NPIを どの程度実施すれば、経済活動がどの程度抑制され、それによって NPI はどの程度緩和できるのかといった、公衆衛生政策と需要管理政策 の相互作用は考察の対象外となっている。 』

そらまあ物件が脚注iにありますように

『i Guerrieri, Veronica(シカゴ大学), Guido Lorenzoni (ノースウェスタン大学), Ludwig Straub(ハーバード大学), and Ivan Werning(マサチューセッツ工科大学)(2020) “Macroeconomic Implications of COVID19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?” https://economics.mit.edu/files/19351

ってまさに今出た物件ですからとりあえずさっさと作れる前提で作ったんでしょうかね。あとこの脚注iiですが、

『ii イングランド銀行・金融政策委員会の学者出身メ ンバーである Tenreyro の最近のスピーチでは、同論文が 2 回も引用されていた。Tenreyro, Silvana (2020) “Monetary Policy during Pandemics: Inflation before, during and after COVID-19,” https://www.bankofengland.co.uk/speech/2020/silvanatenreyro-speech-monetary-policy-during-pandemics 』

だそうです。まあ直感的にはそらそうよという感じではあります。

・・・・・とまあそれはそれで良いのですが、なんか急に金研が2週連続でネタを投下(と言ってもまあ先行研究事例の紹介とかだったりします。なお「新型コロナウイルス感染症の経済学(2)SIRモデルとは何か」という奴は再生係数がどうのこうのという世間様でも登場する話題に関する解説で、数式を見ると頭が不自由になるアタクシでも何とか意味が分かる説明なので読んで味噌。


〇いやあの真面目な話指標金利の延期出来ないのですかねえ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200515a.htm/
「日本円金利指標に関する検討委員会」第14回会合を書面開催
2020年5月15日 日本銀行金融市場局

『本日、「日本円金利指標に関する検討委員会」第14回会合を書面開催しました。

本日の議事次第は「日本円金利指標に関する検討委員会」に掲載しているほか、本日の会合の模様については、後日、「議事要旨」のかたちで掲載する予定です。』

ということで、

https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/index.htm/
日本円金利指標に関する検討委員会

https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/cmt200515a.pdf
【日本円金利指標に関する検討委員会】

『第14回会合(書面開催)・議事次第

・ 債券サブグループにおける検討事項について
・ その他

以 上』

となっているので良く分からんのですが、指標金利の変更によって起きるのってマーケット云々よりも貸出金などの個別契約条項の確認とかの方が色々と大変で、ただでなくさえ融資部門って大変だと思うのに悉皆調査するとかになったら死ねますな(悉皆しないのかも知れんけど)。これも誰かが言い出さないと止まらないという「いったん動き出すと先に爆発が待っているのが分かっていても止める方がエネルギーいる」という別に大日本帝国だけではなくどこの社会でも世界中普遍的にあり得る件という感じでもうねとは思います。

・・・・・と、出るたびに一々粘着しているアタクシも大概に変な奴ですかそうですか。



〇バックストップですよねー(米国のCP買入に関するNY連銀ブログ)

本石町さんのツイッターで紹介されていたのですが(恐縮です)、NY連銀のブログでCP買入に関する説明が。

https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2020/05/the-commercial-paper-funding-facility.html
Liberty Street Economics
May 15, 2020
The Commercial Paper Funding Facility
Nina Boyarchenko, Richard Crump, and Anna Kovner

『This post is part of an ongoing series on the credit and liquidity facilities established by the Federal Reserve to support households and businesses during the COVID-19 outbreak.』

ということで、先日も
https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2020/05/the-money-market-mutual-fund-liquidity-facility.html
May 08, 2020
The Money Market Mutual Fund Liquidity Facility
Marco Cipriani, Gabriele La Spada, Reed Orchinik, and Aaron Plesset

というのが出ていたのだが華麗にスルーしております(汗)。

でもってこのCP買入なんですけど、CPとは何ぞやとかそういう話はすっ飛ばしまして、

・背景としてはCPの金利がぶっ飛んだというのがあるがぶっ飛び方が大変に素敵である

『Background to the CPFF』

『In March, financial markets began to experience disruptions related to the outbreak of COVID-19, and the commercial paper market was no exception. Anecdotally, investors in the market were unwilling to extend credit to issuers except at very short maturities of less than five days. As the chart below shows, this reduced availability of credit coincided with yield-spread increases even for the highest-rated issuers-those with short-term credit ratings of A1 (Moody’s) or P1 (S&P)-across the maturity spectrum.』

どの位スプレッドが飛んだかという話ですが、グラフが貼り付けてありまして、OISとのスプレッドで見ているんですが、1wのCPと3MのCPでスプレッドが跳ねましたよというのが出ていま。見た感じですと1wの方は3月の頭に一旦跳ねて戻って(これはサプライズ政策金利変更の影響でベースレートの方が先に飛んだ影響ではないかと思う)その後月半ばにかけてスプレッド飛んでピークで100近く(金融)から120位(ABS)とかになっていますな。3Mに関しては三月後半に向けて上昇して4月に入るくらいから下がりだしているの図ですがピークで250キタコレとなっています。

『This market dislocation negatively impacted companies that needed to refinance their maturing commercial paper at a time when they urgently needed liquidity to fund operational disruptions.』

てなことが起きたので企業のリファイナンスなどに悪影響ですがな、ということで導入しましたという話。


・CP買入は「買入レートは平常時から見たら高い金利に設定」することによって・・・・・・・・・

『What is the CPFF?』 というのが次にありまして、まあそこは説明なのでサラサラ流しますけど、

『In light of these events, on March 17, the Federal Reserve announced the CPFF. The CPFF is a temporary liquidity facility authorized under Section 13(3) of the Federal Reserve Act. It is funded with loans from the Federal Reserve Bank of New York and includes a $10 billion equity investment from the U.S. Treasury’s Exchange Stabilization Fund. The facility was announced on March 17 and began its operations on April 14.』

始まったのは4月14日からですが、実際には貼り付けていないグラフにありますけどその前からスプレッドは縮小に転じています。

『The CPFF uses a structure that is similar to the CPFF facility introduced in the wake of the collapse of Lehman Brothers in fall of 2008. The previous facility successfully ameliorated strains in the commercial paper market during the financial crisis (see this post for further information). The CPFF both supports commercial paper liquidity in the short run, by providing highly rated issuers with an alternative outlet for their current commercial paper issuance, and in the longer run, as both issuers and investors can be more confident about participating in the market knowing that issuers will be able to roll over outstanding commercial paper.』

でまあここの説明は良いとしましてその次の部分重要。

『By setting the rate at which it will purchase commercial paper at a premium to “normal” market pricing, the CPFF stands as a lender of last resort for the A1/P1 commercial paper market, with take-up expected to dissipate as market conditions normalize. 』

>By setting the rate at which it will purchase commercial paper at a premium to “normal” market pricing
>By setting the rate at which it will purchase commercial paper at a premium to “normal” market pricing
>By setting the rate at which it will purchase commercial paper at a premium to “normal” market pricing

(;∀;)イイハナシダナー

というかまあCPFFの概要見た時に金利設定自体はそうですねとは思いましたけど、▲12bpの金利まで社債を買ってしまうどこぞの中央銀行は爪の垢を煎じて飲んで頂きたいと申しますか、FEDビューヒャッハーの人たちなのにバジョット・ルールの精神で対応するとはこれはこれはという感じではございます。

いやまあ色々な市場に対して色々な措置ぶっこんでいるからFEDも大概には大概なのですが、一応バジョット・ルール的なサムシングはあるという訳でしてこの先の方では政策効果の話がありますので途中をまた飛ばして『What has been the impact of the facility?』に入りますと、

『The chart above shows that, for the shortest maturity issuances, the spreads to one-week OIS (overnight indexed swap) on one-week A1/P1 paper started declining immediately once the facility was announced on March 17, with the spread on nonfinancial commercial paper declining from 112 basis points (bps) on March 17 to 5 bps on April 16, and the spread on financial commercial paper declining from 38 bps on March 17 to 0 bps on April 16.』

さきほど紹介(貼り付けスキルがないのでURL先見て下さいませ)したグラフですが、3Mよりも1wの方が盛大にスプレッドの縮小が発生していますよという話です。

『The response of spreads on longer maturity commercial paper was more sluggish, with the spreads to three-month OIS on three-month A1/P1 nonfinancial commercial paper only starting to decline on March 25 from 220 bps to 111 bps on April 16. Similarly, the spreads to three-month OIS on three-month A1/P1 financial commercial paper started to decline on March 26 from 242 bps to 103 bps on April 16.』

3Mのスプレッド低下は緩やかに進行していますと。まあこれはつまりは変なリスクプレミアム分は剥落しているけど、信用コストの全般的な上昇の反映は残っているとかそういうこじつけ解釈が可能ではあります。なお、そういう解釈をする材料がこの後出てきます。

『While the facility only accepts commercial paper from issuers rated A1/P1 as of the facility announcement date, by stabilizing the A1/P1 market the facility has had a positive impact on market functioning and liquidity for lower-rated issuers as well, as shown in the next chart. As with the A1/P1 market, the shortest maturity spreads reacted immediately, with the spread on nonfinancial commercial paper declining from 311 bps on March 17 to 87 bps on April 16, and the spread on financial commercial paper declining from 123 bps on March 17 to 5 bps on April 16.』

『The reaction of longer maturity spreads has been more sluggish, with a modest 50 bps decline in the spread on nonfinancial three-month paper over the period from March 17 to April 16. 』

A1/P1のペーパーしか買わないんですが下の格付けのCPのスプレッドも縮小で、これまた期間による変化度合いも最上位と同じと来ました。

『Inspecting the A1/P1 nonfinancial issuers in greater detail, we can examine whether market pricing for issuers in industries more likely to be directly affected by the COVID epidemic-such as airlines, department stores, restaurants, and hotels-has evolved in the same way as for issuers less likely to be directly affected.』

最後にコロナちゃんの直撃を食らっている業界の発行するCPの状況について。

『The next chart shows that, although spreads on one-week paper have declined for both sets of issuers since the facility announcement, the decline in spreads for more directly affected issuers has been more modest. The facility thus achieves its twin goals of supporting overall commercial paper market liquidity while allowing market participants to differentially price issuers with different risk profiles. 』

1wのCPに関して、直撃業種とそれ以外というののスプレッド推移を出していまして、直撃業種は発行が無かった時には数値が無いのでグラフの線が切れ切れになっていますが、上の説明にある通りで、これらの業種に関しては1wのスプレッドがある状態になっています。

よって、NY連銀ちゃんは「The facility thus achieves its twin goals of supporting overall commercial paper market liquidity while allowing market participants to differentially price issuers with different risk profiles.」と思いっきり自画自賛しておりますように、「CP発行市場の混乱を修復して市場環境全体を改善させると共に、発行体によるリスクに応じた市場の金利による選別機能は維持されている」と思いっきり仰せになっておりまして、どこぞの極東の島国の中央銀行は爪の垢(以下同文)。


・てな訳で結論だがさっきの部分でイイハナシダナーな結論が出ていましたな

『Supporting Economic Stability』ってのが最後。

『Unlike CPFF usage during the 2007-09 financial crisis, current usage of the CPFF has been relatively limited.』

今般のCPFFの活用はサブプライム危機の時よりもそんなに使われていません、だそうな。

『Nonetheless, the return to normal market prices documented above means that the facility is working-providing a backstop but at terms that encourage issuers to seek public market financing.』

しかし市場の正常化には寄与しております(キリッ)。

『While the initial disruptions to the commercial paper market appear to have subsided, the facility stands ready to help weather any additional disturbances that may emerge until the COVID-related disruptions to the economy are resolved.』

追加でコロナ危機がまた来たらその時はその時でこのファシリティ(を含めて色々な施策が、という意味でしょうけど)がお助け措置として登場する準備はありまっせ、というので締めていますが、まあそういうことで、最近社債買入に対して悪態をつくのを日課としている(違)アタクシと致しましては、これは良い悪態グッズと思って早速飛びついてみましたが、まあファシリティって本来そういうもんなんじゃないですかねえ、何でまた「市場規模から見て思い切った拡大」とかしちゃったんだよ何でFEDの方が市場機能の事を考えてるんだよといつもの悪態で締めるのでした(しつこい)。


〇FEDのFSRとか金融監督報告とか(予告編だけ)

・FSR

https://www.federalreserve.gov/publications/financial-stability-report.htm
Financial Stability Report

Current Report: May 15, 2020
https://www.federalreserve.gov/publications/files/financial-stability-report-20200515.pdf
Financial Stability Report


『This report summarizes the Federal Reserve Board’s framework for assessing the resilience of the U.S. financial system and presents the Board’s current assessment. By publishing this report, the Board intends to promote public understanding and increase transparency and accountability for the Federal Reserve’s views on this topic.』

ロイターさんの記事
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-stability-idJPKBN22R3BT
2020年5月16日 / 06:56
米金融の脆弱性、コロナ危機で「重大に」=FRB報告書

『[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日に公表した金融安定報告書で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、金融セクターは「重大な」脆弱性に直面していると警告した。また企業や家計は当面、脆弱な財政状況への対応を余儀なくされるとした。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほう。

『FRBは報告書で、「金融セクターの脆弱性は近い将来、重大なものになる可能性が高い」と指摘。「3月以降の経済的・財政的ショックによる家計および企業のバランスシートへの負担は当面、脆弱性を生み出す可能性がある」とした。』

先般ネタにしたパウエルの講演でも「リクイディティーからソルベンシーに問題が今後変化していく」というまあ仰せの通りなんだが景気の悪い話をしておりました。

『また「COVID─19(新型コロナ感染症)の発生はあらゆる規模の企業や数百万の世帯に深刻なリスクをもたらす」と言及。危機が持続すれば財政的な圧力が生じるとし、家計や企業は収入源を奪われ続けるとした。一方で、これまでの危機を受けて講じられた金融システムの強化措置が緩衝材となり、FRBによる緊急措置と合わせて最悪の事態を回避することができたとの見解を示した。』

ということですが、78枚組の肝心の物件はアタクシまだ未読なので(すいません)まあ何かネタがありましたら後日。


・金融監督報告

あと、8日には「Federal Reserve Supervision and Regulation Report 」も出ていまして、これに伴いまして安定と信頼のクオールズ副議長が議会証言(リモート会議だったようですな)していまして、

https://www.federalreserve.gov/publications/supervision-and-regulation-report.htm
Federal Reserve Supervision and Regulation Report

Current Report: May 8, 2020

Testimony | Report

『The report summarizes banking conditions and the Federal Reserve’s supervisory and regulatory activities, in conjunction with semiannual testimony before Congress by the Vice Chairman for Supervision.』

ということでリポートちゃんが、

https://www.federalreserve.gov/publications/2020-may-supervision-and-regulation-report.htm
Federal Reserve Supervision and Regulation Report - May 2020

というのが前書き(Preface)だけの部分で本文はこちら。
https://www.federalreserve.gov/publications/files/202005-supervision-and-regulation-report.pdf
Supervision and Regulation Report

議会報告はこちらになります。(13日に実施)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/quarles20200513a.htm
May 13, 2020
Supervision and Regulation
Vice Chair for Supervision Randal K. Quarles
At the Virtual Roundtable Discussion, Committee on Financial Services, Subcommittee on Consumer Protection and Financial Institutions, U.S. House of Representatives, Washington, D.C.

この辺思いっきりスルーしていましたので読めそうなら読みます(読むとは言っていない)。






2020/05/15

お題「コロナ対策オペ残高一気に拡大しましたな/黒田総裁講演」

ほうほう。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-bailey-idJPKBN22Q28N
2020年5月14日 / 22:49
英中銀、マイナス金利検討せず=総裁

英国は兎も角として米国では妙にマイナス金利ネタが盛り上がる(まあよくよく見ていると米国でも実際の投資やら売買している人じゃなくてメディアみたいな外野が盛り上がっているだけのような気もするが)の巻なのですが、そもそも論としてマイナス金利が問題解決の特効薬なんだったら、とっくの昔に欧州や日本がウハウハになっている筈ですが、それらの国がマイナス金利を延々と引っ張りまくっている時点で気がつけよ貴様には目ん玉ついてるのか、と思います。

〇コロナ対策オペ10bpの餌効果恐るべしで量を出すにはマイナス金利が邪魔という事ですな!!!!

まあオペ先が絶賛増加した時点で増えるとは思いましたがこれはまたインパクトのある増え方wwwww

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200514a.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2020年5月14日
日本銀行

1.概要

貸付実施の通知日時 2020年5月14日 (午前9時30分)
貸付日 2020年5月15日
返済期日 2020年8月14日
オファー金額 無制限

2.貸付予定総額

貸付予定総額 86,839億円
(参考)貸出残高(注) 126,613億円
(注)2020年5月15日時点の貸付残高の見込み。

>貸付予定総額 86,839億円
>参考)貸出残高(注) 126,613億円

いやーいきなり3倍になりましたなあ3倍。これはまたイイハナシダナーって感じで付利10bp恐るべしということですが、15日からの積み期間からマクロ加算がドバーっと増えるので、こうなりますと完全裁定後のマイナス金利適用残高ってちゃんと計算してないから分からんけど、先日掛け目を調整で下げて減ったのが5兆円程度なのに対して実質的に8.7兆円(同額分は貸出増えた分で当預が増えるから)増えるので減るには減りますわな。

というかですね、こうなってくると実際のマイナス適用残高と、理屈の上から出てくる完全裁定後のマイナス適用残高の乖離、すなわち日銀当座預金の政策金利残高の偏在、というと格好良いですけれども、もっと身もふたもない言い方をするとマイナス金利のしわ寄せを食らう人が偏在化するという話になる訳でして、何かこう一部の主体にペナルティチャージをするような事をするのが金融政策としてどうなのよ、とは思ってしまうんですよね。なんかこうこのオペに参加できない業態の方がカワイソスとは思う。

なお、こちらのコロナ対策オペ(ってこれ略すとどういう言い方になるんですかね、一時はどこぞのベンダーで「コロナ支援オペ」と略していてさすがにベンダーがその略称使うのは如何なものかと思ったのだが、かといって「コロナ対応オペ」というのも何を対応してるのかよくわからんけどまあコロナ対応オペなんですかね)ですが、9月末までは実施することになっておりますので、こちら8月14日足なので期日にはどうせロールしてくれるでしょうからもう1回行けますな、10bpゲットだぜ!


・・・・・・・てのはまあ兎も角としまして、これを見て思うのですが、「量」の話をするんだったらやはりどこからどう見てもマイナス金利政策ってのがネックになっている、というのがこの結果を見れば良く分かる話でして、10bpの付利というレントがついた途端にもう炊き出しに群がるモード(短期市場のごく一部門の関係者のみに何もかも皆懐かしい比喩です為念)になっているということはこれ即ち量をやりたきゃ金利をプラスにするっきゃないんですよというのを改めて示した次第。先般今更ジローでネタにした総裁定例会見で「今回の決定によって量なのか金利なのかというのが曖昧になったのではないか」という指摘がありましたけれども、まあこのコロナちゃんオペって「量が出るような設計にする」ことによってアピールしようって発想はあったと思うので(個人の妄想です)、そういう辺りからも何かちょっとやりたいことが外野から見た時に分かりにくくなっているのは確かにそうだと思います。

まあ何ですな、このコロナちゃんオペだって、これをやったから別に金融機関の関連貸出が伸びるのか?と言えば9月末までの時限措置(延長される可能性はあるけど)の担保の為によーしパパ貸出をジャンジャン増やしちゃうぞーとはなる訳がないのでして、この厳しい局面の中で奮闘する(といっても奮闘しているのは営業店であって別に本(内務省検閲により削除されました))金融機関にエサを上げましょうってなもん(なので貰える餌は貰うという意味で無駄とは言わないけどww)ですが、しかしながらこのように残高がドバーっと出るとそれはそれで「量が出た」ので「見栄えが良い」という話なだけという感はしますな。

てな訳で量の見栄えだけで意味あんのかというツッコミはあるものの、パウエルが昨日の講演の最後の最後でぶっこんできた「あとは政府と議会で追加策やってくださいうちは逆さにしても鼻血も出ません」というのの婉曲表現にありますように、この局面で中央銀行のできる話ってLLRと市場のバックストップ位しかないというか、それ以外やるのは余計な話なのですが、これまで中央銀行のひみつポケットからは何でも出てきますという幻想を振りまいておりましたので、ここで知らんがなとも言えないですし、そんな中でインパクトのある数字が出たような気がするので良かったんじゃないですかねえ。

ただまああんまり量の話がクローズアップされてくると政策で何やってるのかが更にややこしくなるので諸刃の剣ではあると思いました。


〇黒田総裁の講演でまあ新しい話は無いのですが展望レポート見通しと今般の施策などの整理のために鑑賞

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200514a1.pdf
新型コロナウイルス感染症: 金融経済情勢と日本銀行の対応
―― 内外情勢調査会におけるWeb Live講演 ――
日本銀行総裁 黒田 東彦

ということで黒ちゃんの講演である。

・見通しは今までと変化が無いのだが改めて前提条件に無理があるようなサムシング

最初はご挨拶なので割愛しまして次の『2.新型コロナウイルス感染症拡大を受けた内外金融経済情勢』の小見出し『(経済・物価情勢と先行きの見通し)』です。そこで展望レポートに沿った説明をしていまして、言ってること自体は特段の変更点は無い(というかこの前出たばっかなのであっても困る)のですが、改めて読みますと前提条件に無理があるじゃろと。つまりですね、

『日本銀行では、4月末の「展望レポート」で経済・物価の先行きの見通しを公表しました。ポイントは3つあります。』

へい。

『第1に、感染症拡大の影響が和らぐまで、世界中で経済活動が抑制されるため、経済への下押し圧力は極めて大きいことです(図表1)。IMFは、2020 年の世界経済について、▲3.0%というリーマン・ショック時を超える大幅なマイナス成長を予想しています。日本銀行も、2020 年度のわが国の成長率について、▲5.0〜▲3.0%と、大きなマイナスを見込んでいます。物価も、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみています。』

へいへい。

『第2に、感染症拡大の影響が和らいでいけば、経済は改善に向かうと想定されることです。実際、感染症の流行が落ち着いてきた中国では、経済活動に持ち直しの動きもみられています。もちろん、後で申し上げるように、経済の先行きは極めて不確実性が大きいですが、今回の見通しにおいては、IMFの標準シナリオと概ね同様に、感染症拡大の影響が、世界的にみて、本年後半にかけて和らいでいくことを前提としています。』

まあこれもそうなのですが。

『こうした前提のもとで、海外経済は、積極的なマクロ経済政策の効果にも支えられ、本年後半頃から成長ペースが高まっていくとみられます。IMFは 2021 年の世界経済の成長率を+5.8%と見込んでいます。わが国経済も、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の大規模な経済対策にも支えられて、改善していくと考えられます。』

って言ってるんだが政府の方で最近「新しい生活様式」とかいうパターナリズムじゃなかった感染症対応ニューノーマルみたいなのを打ち出す中でペントアップだの挽回生産ってフルには起きないんじゃないでしょうかねえ、などと景気の悪い話をしてはいけません。

『日本銀行は 2021 年度のわが国の成長率を+2.8〜+3.9%と見込んでいます。物価も、景気が改善していくもとで、徐々に上昇率を高めていくと考えています。』

はあそうですか。

『第3に、こうした経済・物価見通しの不確実性は極めて高く、下振れリスクも大きいことです。まず、感染症拡大の収束までの期間が非常に不透明です。また、通常の景気後退とは異なる経済活動の抑制の影響を予測する難しさがあります。感染症拡大が収束した後の経済の改善ペースも不確実です。』

となっていまして、以下の部分も展望レポートの記載通りではあるのですが、

『さらに、日本銀行の見通しは、感染症拡大の影響が収束するまで、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下しないことを前提としていますが、そうした前提にも大きな不確実性があります。』

ってのは無理があるだろとは展望の時に申し上げましたが、

『加えて、以上の見通しには、もう一つ大事な前提があります。それは、金融システムの安定性や緩和的な金融環境が維持され、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避されるという前提です。』

とのことですが、そもそもマイナス金利政策で金融機関の体力を必要以上に消耗させていますし、「金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避されるという前提」とゆうとりますが、それ以前の問題として、現状で金融機関に対してホイホイと貸出をするように要請しているってえ状態の中、経済には下押し圧力が掛かっているのですから、信用コストの増大というのが(程度は分からんけど)そこそこは見込める訳でして、そっちの方を心配した方がエエンチャウノと言いましても、まあ金融政策で出来ることは緩和と大法螺拭きながらマイナス金利を撤回するような無茶ぶりをするか、貸出拡大を行う金融機関に向けて何らかの形でメリットを与えるか(という意味でコロナ対策オペの付利も出来た、と言えば話は綺麗)位しかなくて、あとはプルーデンスの話になりますな。

てな訳でして、そもそも論としてこの言い方だと話が隠れてしまっていますが、問題になるのは今後の信用コスト増大に対して変な銀行シバキアゲをおっぱじめない事、つまり経済の下押し圧力が金融システムの安定性を損なうような流れをどの程度政策的に緩和できるか、だと思うのですが、まあ現実問題として信用コスト上昇すると色々と面倒っぽい気はしますので、この前提も実は無理気味だと思うの。


・金融環境の引き締まりって日本は大した話じゃないんですけどそこを自慢できないのは惜しいです

次の小見出し『(金融市場・金融情勢) 』ですがまあここはサラサラと。

『そこで次に、金融面の動向を確認したいと思います。国際金融資本市場は、2月下旬以降、世界的に投資家のリスクセンチメントが悪化し、株価が暴落するなど、急速に不安定化しました。CP・社債市場を含め、クレジット資産の価格も大幅に下落し、直接金融の割合が大きい国を中心に、企業金融面にも大きな影響が及んでいます。』

へいへい。

『世界経済の不透明感の高まりと、感染症に対する不安感が、安全資産への需要、特に米ドルへの予備的需要を急激に高めました。このため、ドル調達コストのプレミアムはリーマン・ショック以来の水準まで拡大しました。』

ここの整理が今でも違和感があって、「安全資産への需要」なのではなくて、「市場のボラが無茶苦茶拡大して、コリレーションが全部崩壊してしまったために発生したポジションクローズの動き」による物じゃないのか、と今でも思うのですよ。つまり、まあ何だかんだ言いましてその前までって緩和的な金融政策が長期化するという信頼の中でゴルディロックス的安定を背景に各資産のコリレーションを前提にした金融商品とかポートフォリオ戦略というのがワークしていたのが、2月以降(FEDの緊急利下げとかがとどめのいちげきになったと思いますが)それが崩れたりして、その手の投資をクローズする動きが更にボラを高めて、というような感じで、安全資産への投資っていうイメージよりもポジションクローズとかロスカットの連鎖というイメージなんですけど本当の所ってどうなんでしょうかねえ、とは思う。あとドル調達に関しては米国のロックダウンがちょうど日本の期末越えの所にぶつかったのも痛かったと思うの。

『こうした状況に対して、各国・地域の政府・中央銀行が、リーマン・ショック時の教訓も踏まえ、迅速かつ積極的な対応をとった結果、金融市場は幾分落ち着いてきています。』

いやいやいやFEDの3月頭の緊急利下げはボラを爆発的に高めただろ完全に無かったことになっているのは遺憾の極みなんだが。

『もっとも、多くの市場で、分散勤務体制への移行の影響もあって機能度が低下した状態が続いており、投資家のリスクセンチメントも依然として慎重です。グローバルな金融システムには強いストレスがかかり続けています。』

という結論は仰せの通りなんでそこは結構なんですけどね。でもって以下がジャパンの話になりまして、

『こうした情勢は、わが国も同様です。金融仲介において主要な役割を担う預金取扱金融機関は、積極的な貸出姿勢を維持しており、今のところ、信用収縮は回避されています。しかし、売上げや収益の減少などから、大企業・中小企業とも資金繰りが悪化し、CP発行レートが上昇するなど、企業金融面の緩和度合いは低下しています。景気が厳しさを増す中、わが国の金融システムにかかるストレスは高まっており、一段と注意が必要な情勢です。金融市場もひと頃の緊張は幾分緩和していますが、流動性は低下しており、引き続き神経質な状況にあります。』

ということなんですが、米国なんぞに比べたらもう全然大丈夫って金融環境だとは思うのですが、まあ何と申しますか昨今の中央銀行を巡るご時世ですと、「日本の金融環境は大して悪化していないです。これは我々の普段からの対応が良かったからです」などと自慢していると「あの中銀は何もしていない」と刺されてしまう時代でございますので、結局競争するかのように見せびらかさないといけなくなるのでそういう対応をしましたという話が次に来る。


・政策目的と政策が微妙に噛み合っていないのだが海外との対抗上投下したので致し方ないということですね

『3.日本銀行の対応 』という小見出しになりますが、最初のパラグラフの段階でちょっと考えてしまう部分がありましてですな。

『次に、こうした情勢を踏まえた日本銀行の対応についてお話しします。わが国にとって最優先の課題は感染症の拡大を抑え込むことですが、経済政策面では、感染症拡大の収束に目途がつくまで、雇用・事業・国民生活を守ることが何よりも大事です。その際、日本銀行の政策対応としては、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることのないようにすることが重要と考えています。』

言ってることは仰せの通りなのですが、この話の「金融面から実体経済への下押し圧力が強まることのない」と、さっきの見通しの部分で触れていた「金融システムの安定性や緩和的な金融環境が維持され、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避される」という話は時系列が別の話になるので、短期時系列的な話での対応と長期時系列の話での対応(そもそも信用コスト増大がある程度止むを得ない範囲なのか、ドサクサ紛れに放漫貸出をしたものまで救う必要があるのかとかいう話もあると思うし)というのがまた別の話だと思うのですが、なんかその辺ごっちゃにしてないか、という気がするが杞憂であることを希望。つまりコロナ対策が「震災手形」する懸念という意味でございます。

まあそれは兎も角として小見出し『(金融政策面の対応)』なんですけどね。

『最初に、金融政策面の対応です。必要なことは、企業や事業者などが資金調達面から困難に陥るのを防ぐとともに、金融市場の安定を確保することによって、市場参加者や国民に安心感を与えることです。こうした観点から、日本銀行は、3月および4月に、金融緩和の強化を決定しました(図表2)。』

という整理になっていて、

『まず、資金調達の円滑を確保する措置として、@CP・社債等の買入れの増額、A新型コロナ対応金融支援特別オペの新設・拡充、の2つを決定・実施しています。』

声明文でもそういう整理になっていたのはご案内の通り。

『CP・社債等の買入れは、従来の約5兆円から、4倍の約20兆円まで買入れ得ることとしました。』

3倍ニキは一時的措置なので合計すると4倍な。

『わが国のCP市場は20兆円台、国内公募社債市場は60兆円弱ですから、市場規模対比でかなりの規模の買入れが可能です。』

買入対象社債の年限が限定されているのでその計算はおかしい。

『2つめの新型コロナ対応金融支援特別オペは、金融機関が幅広く民間部門に対して金融仲介機能を発揮することを促すため、日本銀行から金融機関に対して有利な条件で資金供給を行う仕組みです。』

と言っているが、だったら期間もっと長くするもんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)。

『さらに、4月会合では、政府の緊急経済対策を踏まえて行われる中小企業等への貸出等を対象に、日本銀行が金融機関に対して有利な条件でバックファイナンスを行う新たな資金供給手段を、早急に検討することとしました。中小企業等の資金繰りを一層支援することが狙いです。』

共通担保貸出なのにバックファイナンスとはこれ如何にというか、そもそも預金金融機関の貸出は日銀当座預金無くてもできますのに何かもうちょっと用語を考えた方が良いと思う。まあどうでも良いちゃあどうでも良い話ではありますが。


『次に、金融市場の安定維持を主目的に、3つの対応を行っています。第1に、主要6中央銀行の合意に基づくドルオペの拡充、第2に、ETF、J−REIT買入れの積極化、第3に、国債のさらなる積極的な買入れです。』

うーんこの。

『日本銀行が20兆円を超えるドル資金を供給したことで、国際的に活動する日本の金融機関や企業のドル調達コストははっきりと低下しています。』

ドルオペの市場安定化効果はその通りですが何かアピールの仕方に引っ掛かるものはあるが何だか良く自分でも分からないのでパス。

『ETFは、当面、従来の2倍の年間約12兆円に相当するペースで買入れることとしており、わが国の株価変動を抑制することに繋がっています。』

株価って企業業績が変動したら変動しないとおかしいので変動を抑制と威張られましてもちょっとと思いますし、大体からしてし「金融市場の安定維持」のためにETFリート買うんだったら最初に買入目標額があるというのはおかしくないですかねえ(今の話というよりもその前の話を念頭に置いています)。

『国債については、これまでも大規模な買入れを行っています。もっとも、債券市場の流動性が低下しているもとで、政府の緊急経済対策により国債発行が増加することの影響も踏まえ、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、長期国債、短期国債ともにさらに積極的な買入れを行うこととしました。これに伴って、長期国債の買入れは、10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、金額に上限を設けずに、必要な金額の買入れを実施することを明確にしました。』

今までのYCCと何も変わっていないのをさも対策をしたかのように話を膨らますのはちょっと。

『こうした金融緩和措置は、緊急経済対策をはじめとした政府の積極的な財政措置と相俟って、いわゆる、「ポリシーミックス」の効果を高めていくものと期待しています。 』

財政ファイナンスですねわかります。


でまあその先の所にまあ今回それ要るのかというような施策をぶっこんできた背景が分かる説明がありまして、

『日本銀行の金融緩和強化は、国際協調の枠組みの中にも位置付けられます。』

はあ。

『各国・地域の中央銀行は、3月以降、様々なレベルで情報交換を頻繁に行っており、ドルオペの拡充は国際協調の賜物とも言えます。』

3月以降??ではないと思いますがまあ良いです。

『もちろん、金融緩和措置の具体的な内容や規模は、各国の金融情勢や金融制度・市場構造の違いに応じて異なります。しかし、今回の各国・地域の中央銀行の対応は、感染症の拡大がもたらすグローバルな危機に対して、第1に、資産買入れの増額などで、大規模に流動性を供給することで、金融市場の安定を図る、第2に、貸出を支援する資金供給やCP・社債の買入れなどにより、企業等の資金調達の円滑を確保する、という2つの点で共通しています。』

ということで政策対応の説明コーナーが締められていまして、もうQEアンリミテッドとか、市場のキャパ丸無視の買入拡大とかって「海外との対抗上」であるのが良く分かる説明になっていて父ちゃん泣けてくるぜと言う所でした。

以下もうちょっとあるのですが特段新しい話も無いので割愛します(ここまでも新しい話無いだろとか言わない)。






2020/05/14

お題「CP買入堂々のマイナス金利ェ・・・・・・/パウエル議長スピーチは結論でFED弾薬切れっぽい話が」

いやまあ別に解除は解除で結構なんですけれどもね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012429261000.html
緊急事態宣言 39県で解除正式決定へ 東京などは21日めどに判断
2020年5月14日 4時50分

つい先日こういう言い方して盛大に延長したのは何だったの????
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58773320T00C20A5NN1000/
首相「とことんやるしかない」 検証・緊急事態延長
長期戦の覚悟訴え
政治 2020/5/4 2:00日本経済新聞 電子版

何ちゅうか単に世の中の雰囲気(らしきもの)に阿って延長したりやっぱり解除したり(そもそも1か0みたいなこの差は何なのと思うけど)しているように見えてしまう(延長してから「解除の基準は専門家の意見を聞いて」とか言い出す始末)のがどうにもこうにもちょっと唸ってしまうんですが。いや勿論そんな事ではなくて専門的知見()でやってるんでしょうが。


〇CP買入は売却下限金利が来ましたが・・・・・・・・・・

昨日のオペオファーのうち除くSLFを引用しますと、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of200513.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,400 2020年5月14日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2020年5月14日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,200 2020年5月14日
米ドル資金供給 2020年5月15日 2020年5月22日 0.310
CP等買入(注4) 8,000 2020年5月18日

注4とは?と思って脚注を拝読しますと・・・・・・・・

『(注4) 応札レート(売買希望利回り)は、-0.10%を下限とします。』

ということで、先般の社債買入では▲10bpを下回る金利の買入をやってしまいましたので反省をしたのかどうかは知りませんが、そらまあ(国債の利回りは諸般の事情によって▲10bpよりも低いですけれども)CPは短期商品ですし、短期の政策金利は▲10bpなのですから一つの目途になりますわな。

というのと社債買入があの有様なので先に切る金利言って置かないと面倒な事(皆が揃ってマイナス10bp以下の金利に特攻してくる)になる可能性を見たのか、まあその辺の場味までは詳しくないので詳しい人教えてちょんまげではあるのですが、まーレート切るとしたら政策金利の所というのが一つ妥当なのでこう言う事になったという感じですかそうですか。

しかしまあ何ですな、(結果の方はSLFも載っけてみた)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200513.htm
米ドル資金供給(5月15日スタート分) 0 0
国債買入(残存期間1年超3年以下) 8,652 3,402 -0.004 -0.002 76.5
国債買入(残存期間3年超5年以下) 8,704 3,505 0.003 0.004 95.0
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,850 1,205 0.003 0.004 61.1
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 70 70 -0.350 -0.350
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分) 0 0
CP等買入 13,243 7,996 -0.068 -0.027 9.3

CP買入ですが8000の買入予定に対して応札13243でして平均▲2.7bpで足切り▲6.8bpって何だよというか、いやまあ確かに国債対比だったらプラスのスプレッドですけれども、

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp200513.htm
無担保コールO/N物レート(5月13日<水>速報)
日本銀行金融市場局

平均 -0.026%
最高 0.001%
最低 -0.087%

・・・・・・・・・ということで翌日物コール取引と同じような水準ってナンジャソラという感じではありまして、そもそもCP社債買入ってのはリスクプレミアムをマイナス水準までぶっこんで行って市場の価格発見機能を壊すために実施しているんでしたっけと小一時間というのは何か社債買入の時に同じ悪態をついているので割愛しますが、これちょっと買入額を調整した方が良いんじゃないですかねえ。まあ社債買入の次が3−5年が20日と来週水曜日で、3-5は買入初物だからまだ大丈夫かも知れませんが、26日にまたCP買入があって、もう唸ってしまうという感じではあります、ただし、26日のCP買入の場合、月末足のCPで現先玉とかに使っているのの在庫処分とかに使われる可能性があるのでまあ行けるかもというのと、通常だと暫くはCPの発行需要が高い時期になるので大丈夫なのかも知れないのですけれども、まあ増額一発目でこれかよという感じです。

前回のCP買入は24日で、6000億円に増額(その前の14日は5500億円でして、それも当初予定額より増額でした)してたんですが、この時のレートが平均+8.1bpで足切り+5.2bp、応札/落札が14,100/6,000でして、その前の(4月)14日が平均+16.4bpで足切り+10.6bp、応札/落札が17,240/5,500だったんですなこれがまた。

・・・・・ということで増額というか3倍効果覿面ではあるのですが、いやだからそこまで金利を押し下げなきゃいかんものだったのか、という点については、昨日(今更ジローで)ネタにした黒田総裁定例記者会見でも社債CP市場についてはそこまで別に大問題になっている訳ではないが今般一時的とは言え3倍にしますとかいう、おまいら単に勢いだけでぶっこんでるだろという理論になっておりまして、別に社債やCPの金利がマイナス金利になるまでバンバンと市場を押し上げます!って話じゃないはずなんですけどと申しますか、いや別にそれならそれで良いんですけど(良くないけど)その一方FSRでリスク対比で金利設定が不十分な貸出資産があるとか指摘するの止めて欲しいんですけどねえとしか申し上げようがない。

まあ何ですな、悪態ばっかり言ってても生産性が無い(そもそもこの駄文に生産性があるのかというツッコミはしてはいけません!)のですが、まー今の所主要国の中央銀行が揃ってバブルが軽く弾けただけで大騒ぎしてリスク性資産絶賛ササエさん政策を行っておりますので、そらまあ株やクレジットはヒャッハーするわな、という状況ではありますが、コロナちゃんの影響ってIG社債や最上位格付けCP発行する位の企業だったら目先吸収してて、むしろこれから色々と出てくるのでそっちの時の方が色々あるかも知れない(何か無いような気もするのだがそれはワシがバブル脳になっていると思う・・・・・・)のでして、別に必要があれば1回の買入額増やせるんですから、マイナス金利までバンバン買ってしまったという結果を受けたら次回の買入予定減らしたって良いんじゃないでしょうかと友蔵心の叫びという感じですがまあ無理っすかねえ。

あと、昨日の結果見ておお1wドルオペボウズじゃんと思いましたが、よくよく見たら5月1日の1wドルオペもボウズでした。まあ3Mの方はちゃっかり積みあがっているのでこっちに関してはササエさんを外すとアレということになるんでしょうか。

それからさすがにSLFも3月のようなあばばばばーは見られなくなったのですが、これ単に出勤7割削減の刑によって国債売買市場がお通夜のような状態になっているので(個人の感想です)、業者のポジションも意図しないタイミングでのデカい動きとかが無くなって、閉じれるものを閉じにいっているうちにデコボコが解消されたとかそういうことだけのようには思えますが、この調子だったら4月27日に出していた『レポ市場の安定を確保するための追加的な措置の実施期間延長について』も解除するタイミングを狙えるんじゃないですかねえ、とは思いましたが、まあ東京に非常事態宣言出ているうちは解除しませんですかそうですかって所ですかね。よくよく見たらこの延長って期限切ってないんですな、うーんこの。


〇寝起きでパウエル議長講演だが短いので全文鑑賞する

はいはい寝起きでパウエルパウエル。(他のFEDネタをすっ飛ばして先入先出法に基づいて在庫処理をしております)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20200513a.htm
May 13, 2020
Current Economic Issues
Chair Jerome H. Powell
At the Peterson Institute for International Economics, Washington, D.C. (via webcast)

カレントエコノミックイッシューズですよ、ということで短いのでもう全文流し読みしますか。

・最初はご挨拶

『The coronavirus has left a devastating human and economic toll in its wake as it has spread around the globe. This is a worldwide public health crisis, and health-care workers have been the first responders, showing courage and determination and earning our lasting gratitude. So have the legions of other essential workers who put themselves at risk every day on our behalf.』

最初は医療関係者やエッセンシャルワーカーへの謝辞みたいなもんから入る。

『As a nation, we have temporarily withdrawn from many kinds of economic and social activity to help slow the spread of the virus. Some sectors of the economy have been effectively closed since mid-March. People have put their lives and livelihoods on hold, making enormous sacrifices to protect not just their own health and that of their loved ones, but also their neighbors and the broader community. While we are all affected, the burden has fallen most heavily on those least able to bear it.』

でもってコロナ拡大防止のために色々な活動を止めているので皆さんも大変ですよとか挨拶は続く。

『The scope and speed of this downturn are without modern precedent, significantly worse than any recession since World War II.』

第2次世界大戦以降のリセッションの中で最大に悪いってマジかそれと思ったが良く考えてみたら米国は第2次大戦で別に本土に被害が及んだわけでは無かったわ。

『We are seeing a severe decline in economic activity and in employment, and already the job gains of the past decade have been erased. Since the pandemic arrived in force just two months ago, more than 20 million people have lost their jobs.』

ということでコロナの経済への悪影響は(米国としては)1940年台以降未曾有だとか言う話が続いていまして、最初に失業の話をおっぱじめるのはマンデートが「最大雇用と物価の安定」なのでFED仕草としては順当。まあこの辺もほぼマクラですな。

『A Fed survey being released tomorrow reflects findings similar to many others: Among people who were working in February, almost 40 percent of those in households making less than $40,000 a year had lost a job in March.1』

明日出すサーベイでもまあそんな労働市場とその家計の影響の話が出ますよと。

『This reversal of economic fortune has caused a level of pain that is hard to capture in words, as lives are upended amid great uncertainty about the future.』

ということで今後も不確実だし回復するもの大変とかそういう話なのでまあ一応ヘッドラインネタにはなるものの特段変わった話をしている訳ではない。次のパラに進む。


・今回は高インフレ下の引き締めで起きているのではないのが特徴だそうだがバブル崩壊ではないそうですわよ奥様

んな訳で次のパラグラフですがこれは酷い歴史改変認識。

『This downturn is different from those that came before it. Earlier in the post- World War II period, recessions were sometimes linked to a cycle of high inflation followed by Fed tightening.2』

ということで今回と第2次大戦後に起きた経済落ち込みとの違いということで、高インフレによる引き締めサイクルの中で起きたものではない、という違いがあると来ました。

『The lower inflation levels of recent decades have brought a series of long expansions, often accompanied by the buildup of imbalances over time-asset prices that reached unsupportable levels, for instance, or important sectors of the economy, such as housing, that boomed unsustainably.』

低インフレと長期間の拡大によって金融不均衡が拡大されて、その維持が困難になった時に住宅バブルの崩壊みたいなことが起きました、とサブプライムショックに言及しているのですが・・・・・・・・

『The current downturn is unique in that it is attributable to the virus and the steps taken to limit its fallout. This time, high inflation was not a problem. There was no economy-threatening bubble to pop and no unsustainable boom to bust. The virus is the cause, not the usual suspects-something worth keeping in mind as we respond.』

おいこらちょっと待て、そもそも論として昨年の頭から急に腰が砕けて緩和モードになって、その結果リスク資産がヒャッハー市場になっていた話は完全に無かったことにしているというこの「コロナのせいにしてしまえば過去の問題を全部誤魔化せる」というスキームがいきなり炸裂するとは。「今回は特にバブルも発生していなかった」とかお前は何を言っているんだと小一時間問い詰めたい。

でもってこの歴史改変にも程がある認識に関してはこれでおしマイケルなんですが、そうなりますと何ですかあのダウ3万行くぜヒャッハーとかやっていたのがノーマルだったという認識で政策運営をしていく、という理解で宜しいのでしょうかねえ、とか思うので株も失望する(この講演のせいなのか知らんけど)程の事も無いと思うのよ(個人の感想です)。



・政策自慢の中でしらっと「この対応は異例なので」を繰り返すパラグラフが登場するのがチャーミング

次のパラグラフですが

『Today I will briefly discuss the measures taken so far to offset the economic effects of the virus, and the path ahead.』

と、今後どうなるかの話になりまして、

『Governments around the world have responded quickly with measures to support workers who have lost income and businesses that have either closed or seen a sharp drop in activity. The response here in the United States has been particularly swift and forceful.』

政府による労働者救済の話から来ましたがこれは最大雇用と物価安定以下同文。

『To date, Congress has provided roughly $2.9 trillion in fiscal support for households, businesses, health-care providers, and state and local governments-about 14 percent of gross domestic product. While the coronavirus economic shock appears to be the largest on record, the fiscal response has also been the fastest and largest response for any postwar downturn.』

この辺は政府のコロナ予算でどうのこうのの話なので流す。次がFEDの話。

『At the Fed, we have also acted with unprecedented speed and force.』

というかお前ら前例のない慌てっぷりで市場に盛大なボラを提供しただろうということで、偉そうにしているけれども、火付けしておいて火消し自慢しているのふざけんな感は大いにある(個人の偏見です)。

『After rapidly cutting the federal funds rate to close to zero, we took a wide array of additional measures to facilitate the flow of credit in the economy, which can be grouped into four areas.』

この辺は実施した政策の自慢コーナー。

『First, outright purchases of Treasuries and agency mortgage-backed securities to restore functionality in these critical markets.』

『Second, liquidity and funding measures, including discount window measures, expanded swap lines with foreign central banks, and several facilities with Treasury backing to support smooth functioning in money markets.』

『Third, with additional backing from the Treasury, facilities to more directly support the flow of credit to households, businesses, and state and local governments.』

『And fourth, temporary regulatory adjustments to encourage and allow banks to expand their balance sheets to support their household and business customers.』

はいはいそうですね。

『The Fed takes actions such as these only in extraordinary circumstances, like those we face today. For example, our authority to extend credit directly to private nonfinancial businesses and state and local governments exists only in "unusual and exigent circumstances" and with the consent of the Secretary of the Treasury. When this crisis is behind us, we will put these emergency tools away.』

と、ここまで来て「この施策はunusual and exigent circumstancesだから実施したものですので危機が去ったら危機対応ツールも引っ込めますよ」とかしらっとぶっこんでいる辺りはまあ一応自制が効いているちゃあ効いている感じはする。危機対応でぶっこんだCP社債買入を次の危機まで引っ張り続けて結局無茶な拡大をしてしまうようなどこぞの中銀はパウエルの垢を煎じて飲んで頂きたい。


・とは言いながらもまた「先行き不透明」を連発するわ暗い未来予想図に言及するわ

でもって次のパラ。

『While the economic response has been both timely and appropriately large, it may not be the final chapter, given that the path ahead is both highly uncertain and subject to significant downside risks.』

またも先行き不透明に言及。

『Economic forecasts are uncertain in the best of times, and today the virus raises a new set of questions: How quickly and sustainably will it be brought under control? Can new outbreaks be avoided as social-distancing measures lapse? How long will it take for confidence to return and normal spending to resume? And what will be the scope and timing of new therapies, testing, or a vaccine?』

『The answers to these questions will go a long way toward setting the timing and pace of the economic recovery. Since the answers are currently unknowable, policies will need to be ready to address a range of possible outcomes.』

と、先行きコロナちゃんからの回復もコロナちゃん対応の行方にも不確実性が物凄い勢いであるという風に水をぶっかけに行くことに余念がないので楽観論は排除したいというのは把握した。んでもって次のパラ。

『The overall policy response to date has provided a measure of relief and stability, and will provide some support to the recovery when it comes. But the coronavirus crisis raises longer-term concerns as well. The record shows that deeper and longer recessions can leave behind lasting damage to the productive capacity of the economy.3』

『Avoidable household and business insolvencies can weigh on growth for years to come. Long stretches of unemployment can damage or end workers' careers as their skills lose value and professional networks dry up, and leave families in greater debt.4 The loss of thousands of small- and medium-sized businesses across the country would destroy the life's work and family legacy of many business and community leaders and limit the strength of the recovery when it comes.』

先行きのダメージもまだこれから出てくるというのはまだしも、その先の何年もかかるしこんな問題が生じるの話がこれでもかとばかりに暗いんですけどこの辺に株式ちゃんとか反応したんですかねえ。従来ならFEDが暗い見通し→追加緩和ヒャッハー→ゴルディロックス相場ヒャッハーだったんですけど。

『These businesses are a principal source of job creation-something we will sorely need as people seek to return to work. A prolonged recession and weak recovery could also discourage business investment and expansion, further limiting the resurgence of jobs as well as the growth of capital stock and the pace of technological advancement. The result could be an extended period of low productivity growth and stagnant incomes.』

ということでこのパラグラフ(これが最後から2番目のパラですが)がやたらめったらどよよーんとした未来予想図になっているのですよね。楽観論を排除したいのかすっかり暗くなっているのかという話ですが、「コロナ危機が去ったら今般ぶっこんだ危機対応措置はリムーブします」とか言っているので、単に楽観論排除しようとしたのが薬効きすぎたって感じのような気もしますが(個人の感想です)。


・何でもしますと言ってるが何もしませんと政府に丸投げ(まあそれしかないんですが)っぽいまとめキタコレ

でもって最後のパラですけど、

『We ought to do what we can to avoid these outcomes, and that may require additional policy measures. At the Fed, we will continue to use our tools to their fullest until the crisis has passed and the economic recovery is well under way.』

という暗い未来を回避するために政策は何でもぶっこみます、とは言ってるものの・・・・・・・・・

『Recall that the Fed has lending powers, not spending powers. A loan from a Fed facility can provide a bridge across temporary interruptions to liquidity, and those loans will help many borrowers get through the current crisis. But the recovery may take some time to gather momentum, and the passage of time can turn liquidity problems into solvency problems.』

FEDが出来るのは貸出パワーであって消費パワーではない事を思い出していただきたい、と来ているのでその時点でお察しなのですが、最初の方の「これは一時的な繋ぎとしては有効ですが」みたいなのはまだ良いんですが、何もその部分の締め(もうちょっと話は続きます為念)が「このまま荏苒と過ごしていると流動性の問題がソルベンシーの問題になってしまいます」とか別に強調せんでもエエヤン、とは思う。スパイス効かせすぎ。

『Additional fiscal support could be costly, but worth it if it helps avoid long-term economic damage and leaves us with a stronger recovery. This tradeoff is one for our elected representatives, who wield powers of taxation and spending.』

ということで、荏苒と過ごすことを避けるためのお仕事は追加の財政政策ですよ、ああでも追加財政に関しては将来から力を本格的に前借りしないといけないからそれはそれでコスト掛かるんで選挙で選ばれた選良の皆さんで慎重に討議して頂きたいものです、とまさかの最後マルナゲータ(確かにそれしかできないとはいえアカラサマに言うとは)というスピーチなのでした。うーんこのという感じですがまあ実質的には「こっちの弾薬はカンバンです」って話っすな。

『Thank you. I look forward to our discussion.』

てな訳で全文引用の巻でした。






2020/05/13

お題「今さらですが総裁定例会見のグダグダを鑑賞しましょう/その他メモ」

やべえ馬鹿だ。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-trump-idJPKBN22O2CH
2020年5月13日 / 00:38 /
トランプ氏、FRBにマイナス金利導入を改めて要求

『トランプ氏はツイッターで「他の国々がマイナス金利の恩恵を受けている以上、米国もその『お恵み』を受け取るべきだ」と述べた。 』(上記URL先より)

マイナス金利のせいで金融システムに負荷が掛かって特にECBなんてその負担軽減のために手を変え品を変えてマイナス金利貸出してるし、日銀だって今回新コロ対策オペで「その分の当預に10bp付利」ということをしないと最早オペの残高が増えにくいという状況になっている次第で、どこにその恩恵というのがあるのかと小一時間なのだが。

そういや先般副大統領の補佐官だか何だかのコロナちゃんとかいうのがありましたが、その手の「もしや俺もコロナ感染か」イベントがあると急に八つ当たりしたりコロナ対策の強化をしようとしたりするのがパツキンヅラの仕様かと(個人の感想です)。

なお、国営放送様がニュースネタにしていまして、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200513/k10012427651000.html
米トランプ大統領 FRBにマイナス金利導入を要求
2020年5月13日 4時31分

『マイナス金利は預金しておくと逆に手数料がかかる形になるため、資金の活用が増える効果があるとされていますが、FRBのパウエル議長は3月の時点で、「アメリカでは適切な対応になるとは思えない」と述べ、導入に慎重な考えを示しています。』(上記URL先より)

>マイナス金利は預金しておくと逆に手数料がかかる形になるため
>マイナス金利は預金しておくと逆に手数料がかかる形になるため
>マイナス金利は預金しておくと逆に手数料がかかる形になるため

NHK様の預貯金にマイナスチャージをしても良いらしいですよ!!やったね!!!!



〇超越今更虫干しネタですが先般の黒田総裁定例記者会見だが政策変更している割にグダグダ感が強い

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200428a.pdf

・80兆円云々質疑をまずは鑑賞するが色々と誤魔化し説明になっているのでアカン。

80兆円云々の質疑を拾いますと出てくる順に、

『(問) 今回、国債の購入で 80 兆円のめどを外されたと思いますが、既に国債の購入ペースというのはかなり落ちていて、80 兆円から乖離があったと思いま す。それを今回外したというのは、今後 80 兆円を超えるペースで買う局面が 訪れるとみているからなのか、あるいは他の理由があるからなのか、その辺りの今回の狙いについて教えてください。(後半割愛) 』

いきなりこの「今後 80 兆円を超えるペースで買う局面が 訪れるとみているからなのか」にズッコケてしまいました。んな事あるかよという感じですが、まあ馬鹿の振りをして「そんなに量は増えないよ」と答えさせたかったという可能性は多分にあるので(ただ後半の質問も微妙だった)判断保留。

『(答) 債券市場の流動性が低下していることは、色々な指標で明らかであり、他方、政府の緊急経済対策によって国債増発が見込まれています。こうした状況を踏まえ、本日の会合では、債券市場の安定を維持しイールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、当面、国債の更なる積極的な買入れを行うことが適当との認識が共有され、その旨を対外的に示すこととしました。その際、金融市場調節に当たっては、市場調節方針を実現するために必要な金額の国債買入れを行う、すなわち 80 兆円を超えても買い得ることも含めて上限を設けずに行っていくということであり、国債買入れの金額のめどを削除することとしたのはこの点をより明確にするためです。(後半割愛) 』

回答の方が更に訳の分からない説明になっておりますが、そもそも「金融市場操作目標は金利であって国債買入の量はその結果、ただしマネタリーベースの拡大方針は継続します」という建付けになっているはずなのですからそう説明すればクリアカットだろと思う訳ですよ。

ただ、そう説明すると「QEアンリミテッド」で(特に良く分かっていない海外勢辺りに)コケオドシを掛けて積極緩和っぽいアピールをしている(まあ海外だけじゃなくて官邸いや何でもありません)というインチキ説明と矛盾してしまいますので、何が何だか訳分らん説明になっている次第ですな。

・・・・・・・ということでですな、まあ対外公表文の方はモメンタム無くなったり80兆円無くなったりでスッキリしてくれたのですが、それ以前の所での説明が色々と誤魔化しをしていたので、なんつーかこの総裁会見での説明が何が何だか分からん状態ですわな。「YCCなのですから国債買入の量は結果です」と言い切れないでずっと来たのを、このコロナちゃんのどさくさに紛れて明確化した、という風にすれば良いのに、スケベ心出して緩和アピールに使おうとするもんだから上記のように「80兆円を超えても買いえることを含めて」とか訳分らん事をいう(別に80兆円文言があってもYCC維持のために必要ならば80兆円を超えて購入することは元から可能)事になるし、そうなると「結局この人たちは買入を増やしたいのかどうなのか」というのが良く分からんという話になるので、そら何時まで経ってもコミュニケーションがグダグダになるわと思うのでした。


直後に同じような質問があって間抜けとしか言いようが無いのですが、

『(問) 国債の買入れについて、80 兆円の上限に捉われず必要な額を買い入れるというお話がありました。これは必要があれば無制限に買い入れるという解釈をしても構わないのかということが一つです。(後半割愛) 』

いやだってそもそも論として指値無制限オペが既に存在してるんですけど何質問してるの???

『(答) 国債の買入れについては、イールドカーブ・コントロールのもとで長期国債の金利をゼロ%程度で安定させるために必要なだけ、いくらでも買うということです。(後半割愛) 』

同じこと聞くなって感じでしょうか。ただまあ思いまするに、こうやってシンプルに答えると要はYCCのディレクティブがあって、それに対して必要な量というのは市場の動向によって決まるんだから、それに合うように買います、ってのが明確なのですが、その1個前の質疑だと色々とこねくり回して量なのか金利なのか良く分からん説明になっているというのがアレ、ということで次の80兆円に行く前にちょっと別の点からこの二つの質疑応答を見てみますと・・・・・・・・・・・


・YCCは「10年ピン止め」なのか「イールドカーブ全体」なのかの説明がこれまたグダグダ

という話になるんですよ。つまりさっきの質疑の回答でYCCに関する部分を再掲しますと、最初に引用した質問に対する回答では、

『債券市場の安定を維持しイールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、当面、国債の更なる積極的な買入れを行うことが適当との認識が共有され、』

ってなっていて、次の所では、

『国債の買入れについては、イールドカーブ・コントロールのもとで長期国債の金利をゼロ%程度で安定させるために必要なだけ、いくらでも買う』

ってなっていまして、じゃあ10年超の金利はというとこれは「下げ過ぎると良くない」という話になっていて、現に輪番オペでも超長期の所は減っていく傾向が強いという状況になっているし、大体からして黒田総裁までもが超長期の金利は上がっても然るべき的な話をホイホイと折に触れてしている訳でございますが、この「イールドカーブ全体を低位で安定させる観点」ってのを言い出すと結局超長期金利をどうしたいのか、というのが分からなくなってしまうんですよね。

まあこちらは日銀の輪番とか他の発言とか対外公表分を見ながら判断するしかないですが、まあ基本的には余程のエクストリームな状況とか出口直前とかに成らない限り10年の金利が上がらんのに超長期だけ一人旅というのは難しいので、超長期の金利を押し下げる意図はなくて、市場に勝手にやらせておくというスタンス(何かの拍子に事故みたいな爆発起きたら火消しに来るでしょうけれども)と理解するのですけれども、いやまあYCCってのやっている手前「イールドカーブ」に言及したくなるのは分かるし、「超長期金利は上昇して結構」とか言うと積極緩和と矛盾しませんかとか言われるのが嫌なのは分かりますし、まあその辺は有耶無耶にしてファジーにしておきたい気持ちも分かるんですけれども、ファジーな説明になっているからそれこそワシらが円債村(ワシのPC変換一発目に厭債が出るんですが)以外の人に説明するのに困る上に、こうやって「イールドカーブ全体って言ってるぞ」とか言われると「いやあれは日銀のポーズです」とか説明しにくいじゃないですか!!!!と思うのよ。

と何故か最後愚痴みたいになってしまいましたが、そういや昨日ネタにした「主な意見」にも「イールドカーブ全体を」ってのがありまして、ああなるほどあの意見は黒田さんか雨宮さんだなとは理解したのですが、この「イールドカーブ全体を低位で安定させる」っていうフニャフニャした説明をされるとマジでワシらが円債村以外の人にこの部分説明するの無茶苦茶難しいんで何とかならんもんですかねこのコミュニケーションは、と思うのよ。いやマジで。


・80兆円削除の話に戻りましてあと少々

更に確認しますがその先ではこんな質問が。

『(問) 国債買入れ枠の無制限の買入れですが、これは時限措置なのでしょうか。社債の買入枠の増加などは、今年の 9 月末までと、時限措置とされている と思いますが、国債の買入れの方はそうした記載が見当たりません。もし、時限措置でなく恒久措置なのだとすれば、なぜそうする必要があるのかということも含めて教えてください。』

この発想は無かったwwwwww

・・・・・・ということでどうも不意打ちの質問だったようで、なんか説明がクッソ長くて要領を得ないのがオモロイ。

『(答) 公表文の2.にもある通り、「こうした情勢を踏まえ」というのは、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によって厳しさを増しているとか、金融環境も、企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下しているという状況を踏まえて、金融市場の安定を維持する観点から、国債の更なる積極的な買入れによって金融緩和を一段と強化することが適当ということです。』

でもYCCは変わっていないので、その時点でまあ説明がアレなんですよね、さっき悪態ついたコミュニケーションの話の続きみたいになっちゃいますが、まあ今回は単にドサクサに紛れて80兆円文言削除するだけにしておけば良いのに、そこに「QEアンリミテッド」とか余計なもんをスケベ心でぶっこむから話がややこしくなる。

『ETFあるいはJ−REITの買入れについても、こうした状況を踏まえて、当面、従来の倍のペースで買い入れることにしています。当然のことながら、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束して経済も回復の軌道に乗っていくという状況のもとで、どの程度の買入れが必要かは、その時に判断すべきと思います。』

ほうほうそれならば国債買入も時限措置になりませんかねえ。

『イールドカーブ・コントロールという観点から言いますと、現在のような、政策金利が−0.1%、10 年物国債金利がゼロ%程度という状況は、 新型コロナウイルス感染症が収束してすぐにやめるということにはならないと思います。やはり当分、10 年物国債金利をゼロ%程度から上昇させないと思いますので、それを実現するために必要なだけ国債をいくらでも買い入れることは変わらないと思います。』

最初に「国債の積極的な買入」と言いながらここからYCCになっていくという事でして、だから80兆円文言の削除で変なアピールをしようとするからこういう訳の分からんことになる。

『ただ、永遠に続くという話ではなく、そもそもイールドカーブ・コントロール自体が、公表文の5.にあるように、「2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、 『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を継続する」と言っているわけです。』

ということで大変に要領を得ない回答になってしまっておりました。さすがに80兆円を一時的に削除するけどまた復活みたいな発想は無かったと思うのでこれはオモロイ斜め上質問でした。


でまあそうやって80兆円の質問→回答となって何か微妙な回答になるとその次にまた80兆円の質問が来る、というのが今回の会見のおもろい所の1つという感じでして、この直後(さっきの2つの質疑も連続していた)にこの質問が。

『(問) 国債の買入れについて、80 兆円の買入れのめどという一方で、実質的には、一年前と比べ足許の増加ペースは年10 兆円台ぐらいのペースで、マーケット的には 80 兆円を超えてすぐに上回っていくというような事態ではないと思います。これで、なぜ今のタイミングで、80 兆円のめどという目安を撤廃する必要があったのかという点について教えてください。(後半割愛) 』

『(答) 80 兆円のめどを削除した趣旨は、債券市場の安定を維持してイールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、国債を更に積極的に買い入れるということで、金融市場調節に当たっては、市場調節方針を実現するために必要な金額の国債買入れを上限を設けずに行っていくことを明らかにしたということです。』

何ちゅう日本語。

『既に、従来よりもかなり速いペースで国債を買い入れていますが、』

ちょwwww80兆円対比の質問なのに3月の買入が増えた話をしておる。

『政府も国債を増発するということでマーケットに対する影響もあり得ます。そういったことがイールドカーブ・コントロールという面で起こらないように、必要なだけいくらでも買う姿勢をはっきりさせたということで、非常に意味があると思っています。(後半割愛)』

とまあそういう訳でして、つまり今回の80兆円文言削除ですが、ほぼ空文化しているし、大体からして「量は結果」の筈なので無意味な文言と化していたものをコロナのドサクサに紛れて外しただけの話を、スケベ心出して緩和アピールに使うから話がグダグダになるんですけれども、こういうのを円債村以外の人に説明するのマジで大変なんだからちょっと自重してほしいものです。


・QEアンリミテッドのアピールとYCCの建付けに関しての良い質問

そらこういう質問も出る訳でしてその後の方に良い指摘が。

『(問) 今回、必要なだけ無制限に上限を設けず国債を買うということで、そういうコミットメントは他の中銀もやってはいますが、これによって金利ター ゲットを主眼としているYCCから市場の関心が少しぼやけてしまい、再び国債の買入れや中央銀行のバランスシートに市場が注目してしまうという可能性、惧れを、どれくらい意識されたのでしょうか。(後半割愛) 』

とこのようなイイシテキダナーに対しまして黒ちゃんの回答。

『(答) 他の中央銀行も、例えばFRBのように限度を設けずに国債を買うことを始めたところがありますし、あるいは例えばオーストラリアの中央銀行のようにイールドカーブ・コントロールを明示的に入れているところもあります。 イールドカーブ・コントロールのもとでイールドカーブを低位に安定させるために必要なだけ国債を買うというのは、ある意味当然のことであり、FRBにしてもオーストラリアの中央銀行にしても、基本的には同じような考え方で やっていると思います。むしろ金利から量にいくというのではなく、量の方はもう限度なくということだと思っており、あくまでもこういう状況のもとで金融が目詰まりしないように、そして長期金利が上昇しないように、ということがポイントだと思います。(後半割愛)』

何ちゅう訳の分からん説明。まあ今回は明らかにただの空文削除を意味があるかの如く誇大宣伝しているから説明がぐちゃぐちゃになってしまうのは必然ではあるのですが、まあこの質問者のご指摘は御尤もだと思います。

あと、この質問の後半ですけれどもこれまた良いご指摘でして、

『(問)(前半はさっきの引用部分です)また、以前総裁は、超長期金利の過度の低下は副作用もあって望ましくないと発言されていましたが、今回このように国債を無制限に買うことによって、その辺りはどう変わるのでしょうか。依然としてイールドカーブにある程度スティープ化の動きがある方が望ましいということなのか、あるいはそこは少し変わったということなのでしょうか。 』

そう質問するわな、まあこの会見後に出たオペ紙を見れば10年までしか増額しなかったんですけどね。

『(答)(前半はさっきの引用部分です)超長期の金利については、イールドカーブがあまり寝てしまうと好ましくないということ自体は変わらないと思いますが、今の時点でそれを云々するよりも、イールドカーブ・コントロールのもとで、イールドカーブ全体を低位に安定させることが、最も重要と考えています。』

これまた微妙なお答えで、超長期の金利が下がって欲しいのか下がって欲しくないのかが良く分からん言い方になりますわな。どうもこの辺を時に応じて有耶無耶にしているもんだから、10年ピン止めなのか超長期までコントロールする気なのかしない気なのかが毎度分からんということになるんですよねー。



・備忘の為にCP社債買入の3倍に根拠がない部分を再掲

先般社債買入結果に悪態ついたついでに引用しましたが再掲します。

『(問) CP・社債買入れの増額についてですが、20 兆円という数字は、日本 のCP・社債市場の規模からするとかなり大きな数字になるかと思います。そ ういった中で日銀のプレゼンスがそれだけ拡大したことによって、市場機能などに与える影響というか副作用などについて、どのようにお考えでしょうか。』

『(答) CP・社債は、株式について色々言われるような問題はあまりないと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて大企業などが資金手当 てを前広に行おうということで、銀行からのクレジットラインの拡大やCPや社債の増発を行っています。企業の資金繰りを逼迫させないよう、政府が様々な資金繰りの支援を行う中で、日本銀行は金融機関に対する様々なオペを行い、 また、日本銀行としてできる限りのことの一環としてCP・社債の買入れ額を大幅に増加させるということです。』

問題があまりないのになぜ3倍にするの????

『確かに米国に比べるとCPや社債の市場はそれほど大きくありませ んので、この程度の買入れでも相当な規模になり、逆に言えば、CPや社債市 場の逼迫を防止できるということです。正にそういった市場の逼迫を避けるために必要なだけやろうということで、かなり思い切って 3 倍ぐらいにしたということです。』

という時点でナンジャソラというか、市場機能がどうのこうのとか信用リスクに応じた貸出金金利の設定とか、そう言う事言ってるのただのポーズじゃんと悪態の1つもつきたくなる所ではあります。まあ恐らくこれ次の社債買入とかも札の入りが悪いようだったら買い入れ予定額を調整してきて、全部足し合わせても3倍には未達になるように運営する(そもそも3倍はテンポラリー買入の上限であってそこまで必ず買うという量的目標ではない、という建付けの筈)んでしょうけれども、まあそれにしてもクレジット市場に対するスタンスが雑で円債村民としては涙がちょちょぎれてしまいます。


・財政ファイナンス云々なんですけどね

まあ当然この質疑多いのですが、引用しているとクッソ長くなりそうだし時間もアレなので少しだけ。

質疑の中盤辺りです(7ページ)。

『(問) 国債の積極的な買入れですが、「政府の緊急経済対策により国債発行 が増加することの影響も踏まえ」ということで、財政ファイナンスという指摘 が出てくる惧れもあると思うのですが、この点についてのご認識をお願いします。(後半割愛) 』

そらそうだ。

『(答) 国債買入れについては、当然のことながら金融政策上の目的で行っているものであり、政府による財政資金の調達支援が目的の、いわゆる財政ファ イナンスではありません。今回、国債の更なる積極的な買入れを行うこととしたのも、債券市場の流動性が低下しているもとで、債券市場の安定を維持するとともに、現在の金融市場調節方針に定める長短金利操作を実現する観点から、 イールドカーブ全体を低位で安定させることを目的としたものであり、あくまでも金融政策運営上の必要に基づいて実施している措置です。』

ふーん。

『もちろん、日本銀行としては、こうしたイールドカーブ・コントロールに基づく金融緩和措置が、緊急経済対策をはじめとする政府の積極的な財政措置と相俟って、いわゆるポリシー・ミックスの効果を高めていくものと期待しています。(後半割愛) 』

まあとにかく今回はやたらとこの「ポリシー・ミックス」をアピールするという展開で、確かにまあ社債CP買入の所以外って80兆円云々はただの空文削除だし、企業金融云々言いましても結局は金融機関向けのインセンティブ付き貸出をするくらいしかないので、その分をポリシーミックスの言葉で膨らませたという感じですな。

でもって先の方にある質疑に飛びますと、

『(問) 国債の買入れ上限の撤廃についてですが、先程総裁は財政ファイナンスではないとおっしゃいましたが、今回日銀が国債の買入れ額を無制限にしたことで、今後政府は、金利の上昇リスクを気にせずに財政出動しやすくなるということになるのでしょうか。』

そらそうですね。

『(答) 政府・国会が金利に応じて機械的に何かをされるということを前提にすればそういうことになりますが、』

??????????

『政府・国会はあくまでも、この際必要な経済対策を行う、そのために必要な国債を発行する、一方で中長期的な財政規律を守るということは言っておられるわけです。』

言っておられましたっけ??????特に国会。

『あくまでも財政規律にどういう影響があるかというのは、財政政策を主体的に決める政府・国会の役割であり、 それを私ども中央銀行がどうこうせよというような立場にはないということです。』

これまた責任放棄な話にも程があるものの言い方と捉えられても仕方ないような説明(個人の感想です)であって、財政規律がジンバブエになっている時に国債無制限買入を継続したらそらただのジンバブエ中央銀行だろという話になるんですが。

『あくまでも私どもは金融政策の観点から、金利にせよアベイラビリティにせよ、あるいは企業の資金繰りにせよ家計の資金繰りにせよ、そういうもの をサポートしているということです。』

いやだから財政規律がズタボロになったら無制限買入とかやっていいんですか?という質問なのにこういう回答をするのはどうなのよとは思うのですが、まあ財政規律が無茶苦茶になったら物価安定の責務があるから無制限買入なんてできませんよと言うのもどういうハレーションが起きるか分からんから答えにくい、というお気持ちはお気持ちで分かるんですけれども、まあゆうてそういう状況になってしまっている、ということ自体が(別にそれは日本だけの話じゃないと思うのですけど)中央銀行の責務とか存在意義とか何で独立機関なんでしたっけとかそういう論点に繋がる気がしました(個人の妄想です)。

とまあそんなところで思いの外長くなってしまいました。


〇その他メモメモで中期3−5年輪番とかコロナ対策オペ参加者絶賛拡大とか

・インセンティブパワーですねわかります

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200512a.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペにおける貸付対象先公募の結果について
2020年5月12日
日本銀行金融市場局

『○ 対象先名(40先)』

今回のは先般のMPMで
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200428b.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの 対象先公募について【5月12日公募締切分】
2020 年 4 月 28 日 日本銀行金融市場局


『1.はじめに

○ 日本銀行では、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション(以 下「 新型コロナ対応金融支援特別オペ」といいます。)の対象先を公募しています。

○ 5月14日をオファー日とする次回の新型コロナ対応金融支援特別オペに参加することを希望する先については、次のスケジュールで応募を受付けます(公募開始日から 次回のオファー日までの期間が短いことにご留意ください。)。 』

ってなことで追加募集したのですが、ただのマクロ加算2倍だったらば「使わなければ無駄な枠」になってしまいますので、今般のこの疑似ロックダウンみたいな中で要らん仕事は増やせん、という向きも多かったと思いますが、さすがにマクロ加算2倍に当預付利付きともなると利息収入が増える話になるので応募来ましたな、ということでもありますし、まあそうでもしないと数が集まらなかったと言う事の傍証でもありますな、と思いました。


・3-5の輪番3500でしたね

これは月曜の話で恐縮ですが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of200511.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,400 2020年5月12日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2020年5月12日
国債買入(残存期間25年超) 300 2020年5月12日

1−3と同じレンジを示したので3400かと思って色々想定計算していましたが、こっちは3500ということで、この3400と3500の差は何ぞという感じではありますが、まあ確かに3400だと殆ど増額にならない(2800×6と3400×5だと200億円しか増額にならん)ので3500にして増やしましたって話なんでしょうが、だったら1−3も3500でも良かったんじゃネーノと思いますが。

まあこの辺細かいのを細かくやるのがザックリやるのかというのは色々な考えがあるとは思いますし、ケースバイケースな面もありますが、あんまり緻密にやり過ぎると一々その意図を忖度したくなるのが円債村クオリティなので、緻密にやるのもほどほどに、とは思います(個人の感想です)。







2020/05/12

お題「決定会合主な意見は某委員退任で爆発力には欠けますが色々とアレ」

パワハラキタコレ。
https://www.asahi.com/articles/ASN5C74JYN5COIPE01R.html
給与削減「自発的に考えて」 名古屋市長が職員に指示
新型コロナウイルス
佐々木洋輔
2020年5月11日 22時23分

???「特攻に志願するものは一歩前へ、ん?貴様は前に出ないのか??」

こうですか、わかりません(><;

〇主な意見を読んだが社債買入やCP買入のスケール感についての言及が皆無な上に色々とアレな件について

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200427.pdf
金融政策決定会合における主な意見 (2020 年 4 月 27 日開催分)

・物価に関しては全員で降参ですかそうですか

『T.金融経済情勢に関する意見 』ですがまあ経済の方を見てもこんなん先の話は知らんがなとしか申し上げようがないのでどうでも良くて、とりあえずその中の(物価)のパートから参ります。

『・消費者物価の前年比は、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられる。』

何というか各委員が出している話でまあ別に良いんですけどこういう「犬が西向きゃ尾は東」みたいな話で貴重な意見公表の場の字数を使ってしまうのって何なんでしょうねとは思ってしまいます。まあ執行部だったら別に余計なこと言わないで良いんだからこういうの書くのかね。

『・コロナウイルス感染症が収束すれば、経済は改善していき、物価上昇に向けた動きが先々戻ってくると考えられる。』

はいはい。

『・経済成長率の低下に伴い需給ギャップと予想インフレ率に下押し圧力がかかり、原油価格の大幅下落も加わることで、物価上昇率は来年度までマイナス圏で推移し、その後、小幅のプラスに戻る公算である。』

その後戻る根拠は??

『・先行きの経済動向や適合的なインフレ予想形成を踏まえると、 見通し期間の終期にあたる 2022 年度でも、物価が2%にしっ かりと近づいていく姿は見通しがたい。』

ナムナム。

『・感染症拡大の影響の帰趨にもよるが、短期的には、1930 年代の 大恐慌以来の急激な経済収縮も起きかねない。こうした情勢下で、「物価安定の目標」の達成は後ずれする。 』

後ずれってことは達成する気でいるのか、いやまあ良いんですけれど。

ということで、まあこの「何でもコロナのせい」に出来るある意味ボーナスステージなので、すっかりまあ早期達成とかモメンタムとかそういう話は飛んで行っているのは展望レポートの通りではあるのですが、まあそういう事だぞということで。


・政策のパートだがそもそも導入する政策の認識がちょっとアレなのとか

さっきのがまあマクラで次が『U.金融政策運営に関する意見 』である。

『・金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期すとともに、 金融市場の安定維持に努める観点から、金融緩和を一段と強化することが適当である。』

まあ何をもって金融緩和というのかという話はあるのですが、現状維持ではなく何か必要というのでしたら言いたいことは分かる。

『・ 現在の局面では、企業の事業継続・雇用維持のための資金繰り支援、及び金融市場の安定維持に向けた資金供給の拡大を最優先すべきである。』

『・ 今回も、流動性供給を中心とした更なる緩和措置が必須である ほか、一層の状況悪化の可能性にもしっかり備えておくことが肝要である。』

うーんこのという感じで、前者はまだ企業の資金繰り支援とか金融市場の安定というような話を入れているのですが、いずれにしてもこのお二方「資金供給の拡大」だの「流動性供給」だのと言っていまして、いやだからそうじゃねえだろという話でして、長期国債買入に関しては市場参加者が少なくなったりしている中でなんか変な外的要因で急に金利が跳ねるのを防止する(する必要があるのかという話もなくはないがそこはさておいて)という話だし、流動性はもとより十分にあって、むしろ流動性を拡大するとマイナス金利が増える話になる(その分をマクロ加算比率で調整はしていますが)次第であって、そんな話よりも折角の「主な意見」なのですから金融機関の各種規制に関する見解でも誰か出してくれよと思ったのですが以下の部分にも残念なことにそういう話は皆無でしたわ。

つーことでですな、基本的に今回の措置って「市場安定化」と「金融機関への貸出インセンティブの設定」の2本立てになっているという整理をしないとイカンというか、そういう建付けで作っている筈なのですが、上記のように「資金供給の拡大」だの「流動性供給」だのと言われますと何だかもうガックリ来るんですよいやマジで。

でまあ企業金融支援関連の意見が6つあるのですが話の都合上そこは後回しにしまして80兆円文言の撤廃についての意見がありましてですな。

『・政府の緊急経済対策を受けた国債発行の増加の影響も踏まえ、 イールドカーブを低位で安定させる観点から、国債買入れをさらに積極的に行うことが望ましい。これに伴い、イールドカーブ・コントロールのもとで金利目標を実現していくために必要な金額の国債買入れを、上限を設けずに行っていくべきである。』

・・・・・・政策委員が政策の建付け理解してないでどうするんだよという話でして、YCCやっているんだから「イールドカーブを低位で安定させる観点から、国債買入れをさらに積極的に行うことが望ましい」もへったくれも無くて、端からそういう時には金利上昇を抑制(ただし10年金利のグリッドの話ですが)するために国債の買入が自動的に増えるのがYCC政策なんだし、それによって買入をした結果が国債の買入額なのだから、端から80兆円とかいうのは上限でも何でもないんですけれども。

いやまあこの話に関して、全員がフィクションを承知で「この機会に邪魔な80兆円文言の撤廃をしながらインチキプレゼンテーションをしてみましょう」っていう話で、その一環でこういう「意見」が出ている、というのならまだ話は分かるのですが、さてどうなんでしょうかね、と思います。ああそれから念のため申し添えますが、話は分かると言ってますが良い事とは思ってなくて、こういうインチキプレゼンは悪いコミュニケーション手法だし、その場その場を誤魔化して対応するのは後に禍根を残すだけなのでやってはいけないとアタクシは思いますけどね。

まあいずれにせよ、政策の建付けから見てそれが目指すところ、と普通に考えると思われる話と、政策委員会の主な意見の方で出てくる話とに乖離があるというのは、政策委員会全員でインチキプレゼンテーションをしようとしているのか、ただの(自粛)なのかが判別付きにくくて困りますな。


あとですね、だいぶ飛ばして最後から3番目になるのですがこんなのもあって、

『・緊急経済対策と合わせ、金利の低下を企図して積極的な国債買入れを行うことで、政府との連携強化をより明確にし、企業・ 家計の金利負担の軽減を図るとともに、今後のデフレ圧力を可能な限り抑制することが適当である。』

・・・・・・いやだからYCC何だから金利の低下を企図しないんだって、とは思うけど多分この政府との連携強化云々というのがあるので片岡さんでしょうかね。片岡さんなら元々利下げしろという人なのでまあ言ってる事の当否は兎も角として意見としては分かる。



・企業金融促進に関しては流動性よりもアベイラビリティだと思うの

飛ばした6つのご意見をば。

『・当面の優先課題は、企業金融面での十分な資金繰り支援により、 企業倒産を防ぎ、雇用を守ることである。実体経済が一段と厳しさを増していることを踏まえ、現行の金融緩和措置の更なる 拡充・強化を図る必要がある。』

雇用を守るってわざわざ言う話か?って感じだし企業倒産しなくても雇用は減る時は減りますが、などとは思いますので結論は兎も角前振りが何だかなあとは思う。

『・企業収益は悪化し、資金繰りの問題から破綻する企業も出ている。現下においては、十分な流動性を供給して、経済の供給インフラを守ることが必要である。』

いやだから流動性は出ているんだって。しかも「経済の供給インフラを守ることが必要」の意味が分からん。

『・企業金融面での具体的な対応策としては、社債・CP買入れや既存の特別オペなどを拡充すべきである。』

まあ社債は余計じゃねえのという結果が先般出ましたがゆうとることは分かる。

『・中小企業の資金繰り支援の工夫を、政府の緊急経済対策における制度なども踏まえて検討すべきである。』

ということで例の新オペ(中小企業向け制度融資の実行額に応じてマクロ加算2倍の共通担保貸出実行)ということになったって話でこれは分かる(手間暇対比でやる意味あるのか説はさておく)。

『・金融緩和の一層の長期化が想定される中、厳しい状況にある金融機関経営を念頭に、融資に対する金融機関の積極姿勢を後押しする措置を講じることが重要である。』

と思うならマイナス金利撤回しろ。

『・金融機関が金融仲介機能を一層発揮できるよう、金融支援特別オペの拡充が必要である。そのうえで、感染症の影響で資金繰りが悪化した企業を金融機関が支援していく中では、貸出の一定割合が不良化する可能性を念頭に、金融システムの状況を慎重に注視していく必要がある。』

途中までは良いのですが、そこの結論は「金融システムの状況を慎重に注視していく」ではなくて「金融機関の資本に関する規制緩和などについて日本銀行からも働きかけていく必要がある」として頂きたいんですが。慎重に注視されちゃったら貸出増やしにくいんですけど(苦笑)。


・フォワードガイダンスに珍説が登場とな

話戻ってその前の続きに参ります。

『・今は感染症の影響を注視し、金融・経済の安定を確保することが重要である。「物価安定の目標」に向けたモメンタムは、いったん損なわれていると判断せざるを得ず、政策金利のフォワードガイダンスは「感染症の影響」に紐付けたものに変更することが適当である。』

途中まではフムフムと読んでいたのですが結論で盛大にズッコケてしまいました。何ですかその感染症の影響に紐付けたフォワードガイダンスって。

例えばFEDちゃんですけど、先般のFOMCステートメントでの金利政策運営に関するガイダンスは第3パラグラフ(政策金利に関する文言があるところ)の最後にあるんですけど、

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200429a.htm
『The Committee expects to maintain this target range until it is confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve its maximum employment and price stability goals.』(上記URL先の4月29日FOMC声明文第3パラグラフより)

ということで、感染症の影響についての言及はありますが、あくまでも「経済がマンデートの達成に向けてオントラックになっていることに対する信認が高まるまで」というのが主文であって、経済物価見通しに対しての文言なのでありますし、だいたいからして「感染症の影響」ってどこからどこまでを指しているんだよという話。

でもってこれが誰の意見なのかが良く分からなくて、というのは次にあるのはこの回の決定会合声明文の中での「モメンタム文言削除」に伴う意見なので寧ろ執行部だと思うんだが、かと言いましても片岡さんについては今般の声明文脚注にありましたように、『片岡委員は、新型感染症の深刻な影響を念頭におくと、財政・金融政策の更なる連携が必要 であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。』(4月会合声明文脚注より)とあるので、「感染症の影響」に紐付けとは言っていないはずで、この珍説はどこから出たのかがさっぱりワカランチ会長なのです。


次の意見は一瞬片岡さんかと思ったがよく見たらこれは、

『・現在、金融経済活動の下支えに資する対応を最優先し、必要があれば政策対応する姿勢を明確にしている。こうしたもとでは、 政策金利のフォワードガイダンスは、 「物価安定の目標」に向けたモメンタムに依拠させるより、この方針と紐付けた方が、政策運営スタンスを示すうえでより適切であり、企業や家計のマインドが急落しているもと、安心に繋がるのではないか。』

ってなっていて、同じく4月会合声明文の政策金利のガイダンスに相当する部分を見ると、『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注 2)。』ってなっていて、注2ってのが脚注の片岡さんの反対意見になっていますので、これは執行部というか与党というかですな。

しかしまあこれって殆どガイダンスになっていない訳でして、そもそもの展望レポートが4−6で感染症の影響が底を打つ形で作っているんですから、そらまあ「下振れたら追加緩和」だし、そうなったら政策金利は横か下(本当に本当の事を言えばマイナス金利自体が引き締め的なのでマイナス解除したら緩和にならんかと思うのだがそこは中々そういう理屈を出せないから無理なのは分かっている)という話なんで、これガイダンスでも何でもねえだろとは思いますけどね。


・物価安定の目標があればインフレ高騰のリスクを避けられるというシャーマン理論キタコレ!!!!

えーっとすいませんジンバブエ先生はご退任された筈なのですが生霊が乗り移りましたかね、ということで1つ飛ばして(飛ばしたのはまあどうでも良い一般論)かつて良くジンバブエ先生なども仰せになっていた「物価安定の目標があればインフレ高騰は起きない」という「目標を掲げれば必ず達成する」みたいな言霊信仰理論の跡目相続が来ましたのでご紹介。

『・大恐慌の再来を避けるべく、政策当局は果断に対応しなければならない。大きな経済危機においては、財政・金融政策の緊密 な連携・協調が必要不可欠である。インフレ率の高騰リスクは、「物価安定の目標」が堅持されている限り制御できる。ましてや現在はデフレが懸念される局面であり、さらなる財政・金融 政策の連携は十分に可能である。』

>インフレ率の高騰リスクは、「物価安定の目標」が堅持されている限り制御できる
>インフレ率の高騰リスクは、「物価安定の目標」が堅持されている限り制御できる
>インフレ率の高騰リスクは、「物価安定の目標」が堅持されている限り制御できる

えーっとすいません、不戦条約結んだら戦争起きないからこっちの軍備は全部解散して良いですとかそういう理論を述べておられるんでしょうか大丈夫かよという話で、そもそも高率インフレの発生を抑えることができるという信認が無かったら高率インフレが発生する可能性は常にあるじゃろどこの言霊信仰だよと思うのですが、まあマネタリーベース直線一気理論から始まりまして、何ちゅうかこの言霊信仰何とかならんのかね。


・何をやりたいんだかとは思うがオモロイからやってくれ(政策評価)

でもって次の意見。

『・デフレの再定着を避け、 「物価安定の目標」を実現するには何が必要なのか、現行政策の有効性の評価も踏まえた検討を行っていくべきである。』

「デフレの再定着」というパワーワードがあるので置物一派ですなというのは分かりますし、前の言霊の人とは多分別となると今3人いるので大体消去法で想像がつくわけですが、まあ新任のお方でしょうなと。まあ現行政策の有効性の評価ってマイナス金利の評価とかしたらどうなるんでしょうかねとは思います。


・最後にリバーサルレートがやっと登場

鈴木さんが孤立無援後モードになっている気がするが櫻井さんくらいしか助け船出してくれ無さそうですな(涙)。最後の意見。

『・感染症に伴う経済の悪化により金融機関のバランスシートが毀損していくと考えられる中、既に貸出利鞘が極めて小さくなっている状況で金利がさらに低下することになれば、リバーサル・ レートへの抵触が早まると考えられる。』

なのですがCP社債買入を3倍とかにしやがるんだよなー。


・・・・・てな感じでして、ジンバブエ先生が去ってしまってあのジンバブエ節が聞かれない(読めない)のが実にパンチ力に欠けまして、爆発的な燃焼力不足しているせいでサラッと読むとインパクト無いんですが、子細にネチネチと読んでみるとジンバブエ先生時代のアレとは一味違った物件に仕上がっている感じがします。なんというかこの政策委員会、政策の手法とか波及メカニズムとかについて理解しないでやってねえかという感じがするのがオソロシスなのでありました。


#他の虫干しネタもと思っていたのについこれだけで長くなってしまったのでちょっと以下はメモだけ


〇清水季子名古屋支店長が日銀初の女性理事に(メモです)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200511b.htm/
理事の発令について
2020年5月11日
日本銀行政策委員会室

『次のとおり発令がありました。

清水 季子
日本銀行理事に任命する

令和2年5月11日
財務大臣 麻生 太郎』

ということで名古屋支店長の清水季子さんが理事就任。となると大阪と名古屋に理事ってことになりますが前田さんの所管していた企画はどうなるのかと思ったら案の定でした。

https://www.boj.or.jp/about/organization/tanto.htm/
総裁・副総裁・理事の担当
2020年5月11日現在

『理事
衛藤公洋 金融機構局、発券局、情報サービス局
吉岡伸泰 政策委員会室、システム情報局、総務人事局、文書局
内田眞一 企画局、金融市場局、国際局、金融研究所、国際関係統括
山田泰弘 大阪支店
池田唯一 決済機構局、調査統計局、業務局
清水季子 名古屋支店』

内田理事が企画局、金融市場局を担当するということですが、コロナでとうとう表向きにも2%の早期達成は飛んでしまい、長期化必至という中で長期化を前提にしていないマイナス金利政策とかをこれからどうするのか、という重い話の段階で内田理事カムバック(QQE導入からマイナス金利政策導入の頃は内田さんが企画局長)ですかそうですかこれはこれはという事で、まあ何と言いますか世の中良くできているもんだな(何が)という感じではありまする。

前田さんお疲れさまでした(^^)。






2020/05/11

お題「社債買入ェ・・・・・・・・・・・・・/その他月初計数ネタをば」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58916180Z00C20A5EA3000/
休業協力金、課税対象に 都・知事会の要望通らず
新型コロナ 経済 政治 2020/5/9 23:00
日本経済新聞 電子版

『東京都など各地の自治体が休業要請に応じた店舗などの事業者に支払う「協力金」について、政府は全国で課税対象にする方針を決めた。東京都や全国知事会などが非課税にするよう申し入れていたが、政府は休業対象以外の事業者との公平性を保てないと判断した。』(上記URL先より)

>政府は休業対象以外の事業者との公平性を保てないと判断した

・・・・・(゚д゚)

えーっとすいません休業対象になったのと対象にならなかった時点で公平性が無いと思うんですがこの理屈はどのようになっているのでしょうか????

#納税時の煩雑さを回避したいから有税にするけどその分も考えて支給する、ってのならまだしも


〇社債買入ェ・・・・・・・・・・・

・足切り▲12bpって何を考えてそこまで買うの?????(何も考えてないのでしょうが)

何と申しましても金曜日相場の白眉は社債買入(なお結果が出たのは引け後)。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200508.htm
社債等買入(残存期間1年以上3年以下) 3,137 3,000 -0.120 0.012 58.8

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

おいこらちょっと待てなんだその足切り▲0.120%ってのはナンジャソラという話ではあります。

・・・・・いやまあ社債に関してはちょっとスプレッド広がったと言ってもリーマンとかの時に比べて全然大した話じゃなかったのに、社債買入拡大した上に4月27日のMPMで更にドン!と拡大したらこの有様。

まあ拡大前の社債買入(はネタにしませんでしたが)の時も

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200420.htm
社債等買入 2,651 1,500 0.040 0.091 32.9 (これは4月20日)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200407.htm
社債等買入 2,833 1,500 0.082 0.117 94.3 (これは4月7日)

となっていて、大体からして応札少ないしレートはホイホイ下がっていたし、というのはあるのでございますので、まあある意味よく3000億円入ったわという話かもしれませんけれども、それにしたってなにも▲12bpまで買って3000億円買いに行く必要があったのかと小一時間問い詰めたい。

つまりですな、おまいら「短期▲0.10%、長期国債0.00%」ってYCCを運営しているのであって、▲0.120%って短期と長期国債から引っ張って来る金利よりも低いんだぞ分かってるのかという話でありまして、そんな金利まで社債を買い上げていく意味についてちょっといいから説明してみろやという話になる訳ですよ。

まあ何ですな、百歩譲りまして実際の国債利回り、ということで(買入は1−3年だから別に2年を取って来る義理も無いのですがカレントがあるので)、売買参考統計値から2年カレントのレートを引っ張って来ますと、木曜引け時点での(金曜日付け)の売買参考統計値で2年412回の平均値単利って▲15.5bpだし、まあ金曜引けの数字が▲17.3bpだし、低い方から見たとしてもこれ国債とのスプレッド10bp行ってないって話になるんですよ。どこのAAA社債だよという話になりまする。

ちなみに売参のページには「格付マトリックス表」という良いものもありますのでご覧あれという感じになりますけどにゃ。

公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表
http://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(売参のページってしばらく前にリニューアルされたのは良いんですが、元のページをそのままデッドリンクにせんで欲しい)


とまあそんな訳でして、今般盛大に買入を拡大した結果は何が起きたのかと言いますと、例によって例のごとくになりますが、「信用力を反映した社債スプレッドの形成を日銀自らがスプレッドの無くなる方向に叩き潰している」というお話。

さてここれ3月決定会合(CP社債買入拡大の初回)の議事要旨を確認してみましょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200316.pdf

『また、複数の委員は、ETF等の買入れ増額により リスク・プレミアムの拡大を抑制し、金融市場の安定を確保するべきであると述べた。この間、一人の委員は、こうした対応においては、 既存の政策スキームを活用し、金融仲介機能面での副作用にも配慮しつつ、時限的措置とした上で、状況に応じて柔軟かつ迅速に対応することが重要であると指摘した。 』

『このうち、企業金融支援のための措置について、 ある委員は、(企業金融支援オペの部分割愛します)CP・社債市場に今のところ大きなストレスは発生していないと認識しているが、CP・社債買入れの増額は、 先行きの市場悪化を抑制する効果があるとの認識を示した。』(以上2つ上記3月決定会合議事要旨の政策検討部分より)

とまあそういう話になっているのでして、金融市場の混乱による社債やらCPやらのリスクプレミアムの過剰な拡大というのを防ぐ、という趣旨で買入を拡大するというのならまあ話は分かりますし、もうちょっと積極的に言えば短期の資金繰りを支援ということでCPに関してはまだ話が分からんでもないのですが、そもそも社債は余計だろと申し上げていた次第な訳ですよ。でもって一発目の社債買入やってみたらこの有様でして、こういうレートを日銀が買うって話になりますと、またぞろ発行企業の信用リスク云々と関係なく日銀の買入対象で日銀の買入が可能な銘柄のスプレッドが全然信用リスクを反映しないような価格形成になってしまうリスクが高まって来る訳でございまして、いったい全体何のために社債買入をしているのかちょっとお前ら考えろやとなる訳ですよ。

まあ何ですな、増額一発目の社債買入で札が足りないというのが一番間抜けではあったのですが、今回の場合は札は何とかあったのですがレートがこれという状態でして、いやだからあんさんら別にレート途中で切って3000億円行かなくても募外にしちゃうこと出来るんですよというお話ではあるのですが、そうは言いましても増額一発目の社債買入で買入レートが低すぎるから札を途中で切るとか言う事になって結果的には未達と同じことになりました、ってなるとそれはそれで目立つから回避しまして今回は機械的に3000億円まで募入させたというお気持ちは分かるのですが、いやあのだから政策の目的にそれ沿ってるの???って話だし、むしろ「日銀社債買入で飛んでもなく低い金利で購入されることが前提」みたいな価格形成になってしまう(かどうかはわかりませんが少なくともトンチキレートまで購入するとなればその可能性は出るでしょ)と、さっきの議事要旨で委員の方が指摘していた「リスク・プレミアムの拡大抑制」どころか、「金融仲介機能面での副作用」の方になってくるんじゃないですかねえと。


・と思ったのだがそもそもがノリで拡大されているとしか思えない悲しい事実isあった

えーっとすいません他のネタにかまけて、というのとそもそも質疑が国債買入80兆円文言撤廃という超どうでも良い話ばっかりで読んでて「この質問をしているのは誰だあ!(ガラッ)」ってやりたくなる物件に仕上がっているのですっかり飛ばしておりました4月会合の総裁記者会見なのですが、そこの質疑応答でCP社債の話が出ておりましてですな、

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200428a.pdf

以下上記URLの4月会合総裁記者会見より。

『(問) CP・社債買入れの増額についてですが、20 兆円という数字は、日本 のCP・社債市場の規模からするとかなり大きな数字になるかと思います。そ ういった中で日銀のプレゼンスがそれだけ拡大したことによって、市場機能などに与える影響というか副作用などについて、どのようにお考えでしょうか。』

という大変に結構な質問があった訳ですよ、でもってその回答なんですけどね、

『(答) CP・社債は、株式について色々言われるような問題はあまりないと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて大企業などが資金手当てを前広に行おうということで、銀行からのクレジットラインの拡大やCPや社債の増発を行っています。』

社債??まあ先に行きましょう。

『企業の資金繰りを逼迫させないよう、政府が様々な資金繰りの支援を行う中で、日本銀行は金融機関に対する様々なオペを行い、 また、日本銀行としてできる限りのことの一環としてCP・社債の買入れ額を大幅に増加させるということです。』

でもってその額の根拠は???

『確かに米国に比べるとCPや社債の市場はそれほど大きくありませ んので、この程度の買入れでも相当な規模になり、逆に言えば、CPや社債市場の逼迫を防止できるということです。正にそういった市場の逼迫を避けるために必要なだけやろうということで、かなり思い切って 3 倍ぐらいにしたとい うことです。 』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

いやーひどいですよねこの決定の理由。市場規模対比で何とかとか全然考えてなくて、それこそ事前報道で日経だかどこかがCP社債買入を2倍とかいうのが出てたもんだから3倍にしたとかそういう世界だろこのスットコドッコイが!とツッコみたくなる(個人の妄想ですので念のため申し添えます)次第でして、結局のところこの人たちになってからの施策のうち特に量に関する部分って、ちゃんとしたシミュレーションとかじゃなくて単にその場のノリで「2倍」だのやってただけだし、シミュレーションにしたってマネタリーベース置物直線一気理論とかそういう極めてアレなソレによるものだったりする訳でして、いやだから金融政策は落語じゃないんだからウケ狙いの一時のノリで何も考えないもんをぶち込まないで頂きたいと小一時間なのですが、まあ黒ちゃんのうちに改善するのは無理でしょうなあと絶望しております。

つーことですから、まあこの応札状況を見てさすがに現場の方は(ノ∀`)アチャーってなってしまったとは思う(というか思いたい)のですが、とは言えレートで切るって行為に関してもこれが▲40だの▲50だのって誰がどこから見てもエクストリームなレートで、しかもちょうどその札が飛んでるとかなら切りやすいんでしょうが、たぶん▲12位だと一応国債よりは高い金利だし(といって全部AAAとかでもない限りスプレッド一桁は無いわとは思うけど)、まあ切りにくいからこうなってしまう、ということでありまして、政策委員会がノリと勢いでぶっこんだ政策で現場が苦労するという黒田日銀になってから毎度繰り返されている物件がまーたきやがったかという所ではありまする。

#最後に一応現場にも同情してみました(^^)


〇マクロ加算ェ・・・・・・・・・・・

キタコレ。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200508e.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて
2020 年 5 月 8 日
日本銀行 金融市場局


『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める 基準比率)について、次のとおり見直すこととしました(なお、4月積み期間適用分に
変更はありません)。

2020 年5月積み期間:30.0% (見直し前 32.5%) 』

ということで、まあそちらにもありますのですが念のため。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200309a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて
2020年3月9日
日本銀行 金融市場局

#ちなみに原文ママで引用してますが、2020の所が半角だったり全角だったりする辺り、官庁だと社内段階で全角半角検閲官が出て来そうな所ですが、その辺はアバウトというのが日銀らしくてイイネ!(ゆうてるワシも全角半角がかなり雑)


『2020年3月積み期間:32.5%
 2020年4月積み期間:36.5%
 2020年5月積み期間:32.5%

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して5兆円程度となる見込みです。 』

・・・・・ということでマクロ加算の基準比率は当初32.5%だったのですが2.5%下がって30.0%に。

てな次第ですが、まあ当然ながらこの背景ってのは、マクロ的に見た場合のマイナス金利適用残高が下振れたという事によるものでしょうな。つまり今回のリリースにはマクロ的に見た場合のマイナス金利適用残高について何も書いてませんので、それはすなわち前回の記載が生きているということになるので、マクロ的に見た場合のマイナス金利適用残高の見込みが下振れたので、マクロ加算の掛け目が下がりました、とまあそういう話。

何が起きると見込み対比下振れるかと言えば、(1)当座預金残高の見込みが減る、(2)特別措置で増えるマクロ加算が増える、のどちらかあるいは両方って話だと思うのですが、(1)についてはSLFが出ると日銀からの売現先になりますから資金吸収って事で、ドルオペ用担保でSLFがドバドバと出ている件と、あとは今月の短国大増発に伴う資金吸収(その分ある程度日銀も買入は増やすんでしょうが)の件で、(2)はコロナ対策オペのメリットで増えるマクロ加算分という感じでしょうか。

まあ短国増発に関しては皆さん同条件になるのでしょうが、SLFに関してはぶっこんだ方は当預が減っているけど、金融機関によって差があるのに加え、コロナ対策オペのメリット部分ってそもそもがコロナ対策オペにぶっこめる人とぶっこめない人というのが居て、SLFとコロナオペとどっちが個別性より高いのかは良く分からんですけれども、まあコロナオペに関しては明らかに割を食いそうな人がいるので、マクロ加算掛け目下げるのは「マクロ的に平均5兆円」を維持するのなら当然ちゃあ当然ではあるのですが、いやーこれはという所ではあります。まーそんな建付けになってしまっているのでシャーナイのですが。

なお、基礎残高は220兆円ほどあって、基礎残高のうち付利がつかない部分が法定所要準備9兆円ほどあるので、基礎残高は210兆円程度で、2.5%下げると5兆円ほどマクロ加算が減る格好になります、為念。


〇というのに関連して日銀当座預金増減見込みをメモっておく

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/index.htm/
日銀当座預金増減要因(見込み)

日銀の新着だとリンク先がいきなりエクセルダウンロードになってしまいますのでこっちを貼っておきますが、エクセルをポチっとなとして拝読しますと・・・・・・・・・・

日銀当座預金増減要因(2020年5月見込み)
                     見込み  前年実績  前年比

銀行券要因               15,100   45,119  -30,019
(当月末発行高前年比見込み)                ( 3.2%)

財政等要因(注1)         -131,600  -102,918  -28,682   
(内訳)
国債等(注2)、(注3)       -83,800  -86,266   2,466
国庫短期証券等(注2)、(注4) -146,000   -4,060  -141,940
その他                 98,200   -12,592  110,792

資金過不足(注5)         -116,500   -57,799  -58,701


と財政等要因の所を見ると短国キタコレとなっているのですが「その他」の上振れとかいう話になると良く分からんのでございますが(補正予算執行関連とか納税の期ズレとかですか??)、とりあえず短国ベースでは大幅発行拡大ですけれども財政で出てくるのもあるので、短国だけみたらマクロ加算もっと掛け目下げるのかと思いきや出来上がりで5兆円程度なのは財政の払いも加味すると当初(3月)見込みよりもブレるのがその程度とかそういう話なんですかね良く分からんですが。あと銀行券の3.2%については概ね平常(2〜3%程度の伸びだったと思うので)だと思いますがこの辺は短資の人に聞いて下さい(丸投げ)。




〇まあ輪番での拡大が怪しくなるとかそういう時代では当面無いのでそこまで気にする必要は無いですが・・・・・・・

てな訳で計数の話ばっかになってしまいましたが。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/index.htm/
営業毎旬報告

一時は輪番を散々減らしたので遂には暦年2020末残は日銀保有国債残高が前年末残対比マイナスまで行くのではないか、と夢のような展開を楽しみにしておりましたが、まあそれは遠い夢になってしまいましたなナムナムナム。

・・・・・てな状況なのでそれほど気にする必要もないのですが折角毎月計算しているので今月も数値だけ。

4月末時点での日銀長期国債保有残高ですけれども、
銘柄別残高(額面)ベース:466兆9,081億円
営業毎旬(帳簿価格)ベース:478兆9,601億円

でごじゃりまする。2019年末(暦日)の数値が、
銘柄別残高(額面)ベース:471兆9,439億円
営業毎旬(帳簿価格)ベース:459兆1,022億円

でして、差分は
銘柄別残高(額面)ベース:70,162億円
営業毎旬(帳簿価格)ベース:78,059億円

となりますな(差分でそこそこブレているのは3月末に償却原価法で洗い替えを行っているから)。以下は例によって額面ベースの話をしますが、

今年の残り償還額:41兆9,211億円

でして、買入の方ですけれども、3−5輪番の買入額が今月幾らになるのか1回目前なので不明ですが、まあレンジが1−3と同じになっているから1−3と同じ3400億円で仮置きしますと、残存1年以上の月間買入額面が、隔月1回の変動利付を按分して考えると月間6兆円になります(筈です)ので、年内残り8か月、ただし偶数月が4回なのでその分を補正すると、残存1年超の買入が残り48兆500億円(実は変動利付も償還銘柄を打ち込まれるという話はあるがまあそこは華麗にスルー)となりますので、

2020年暦年の日銀保有国債残高増加見込み:13兆9,348億円

とかになりやがりますな。なお80兆円の目途撤廃で無制限云々とかいうのはまあこれを見てもアレというのが分かります。

ちなみに、2022年はまだ2年カレント近辺がボコボコと輪番に入るので償還額って毎月増えてるからちょっと出す意味が乏しいのですが、2021年に関しては徐々に償還見込み額が増えなくなってきていますのでそっちを出しますと、このままの買入(仮置きあり)で行けば月間6兆で年間72兆円の買入、2021年の償還見込みは52兆2,390億円(3月末対比で6,346億円増えています)なので、

2021年暦年の日銀保有国債残高増加見込み:19兆7,610億円

となる見込み、とまあアタクシが上記のエクセルと、公社債売買参考統計値(国債各銘柄の償還日を引っ張って来るために利用)を使ってヘコヘコと計算したらそうなりました。一応あっているとは思いますが、なにせ自分で計算したものを自己検算しているだけなので数値に関しては皆様で確認してちょということでよろしくです。


#ということで計数雑談でしたな








2020/05/08

お題「BOEのMPCレポートでコロナシナリオ分類とな/藤原副総裁2000年講演ネタ続き(物価の話)」

チョロいもんですなあ(溜息)。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200507/k00/00m/010/001000c
最も評価する政治家は大阪・吉村知事 2位東京・小池氏 発信好感 毎日新聞世論調査
毎日新聞2020年5月7日 05時01分(最終更新 5月7日 13時01分)

単にテレビに出ずっぱりでやっている感出しているだけで上位に来れるらしい(テレビ見ないから知らん)んですから酷い話で、大阪でこれまで積極的に保健所やら公立病院の統廃合してたのは誰でしたっけという話だし、東京だってずっと五輪五輪五輪五輪だったんだし。東京マラソン強行開催しておいて他のイベントは自粛とかもう何だかねというのは今でも忘れない。

〇BOE政策据え置きは良いんだが何で前倒し発表&コロナのリスクシナリオをふわっとケース分類とな

昨日はBOEの結果発表。MPC自体はその前にあってエンバーゴまで見事に情報が封印されているのは毎度感心するのだが日本の場合は(銃声)。

https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy-summary-and-minutes/2020/may-2020
Bank Rate maintained at 0.1% - May 2020

『Our MPC voted unanimously to maintain Bank Rate at 0.1%. The Committee voted by a majority of 7-2 for the Bank of England to continue with the programme of £200 billion of UK government bond and sterling non-financial investment-grade corporate bond purchases, financed by the issuance of central bank reserves, to take the total stock of these purchases to £645 billion. 』

0.1%の維持は全員一致、資産買入は7対2で現状維持じゃん。2名は資産買入の規模を1000億ポンドおかわりをすることを提案してたようなのですが、今回謎だったのは、公表時間が何故か日本時間の午後3時に前倒しになっていまして、それも前倒しするというのが割と直前になって(数時間前)ベンダーに出てきて、「すわ追加緩和か」とか一瞬思ったのですが何もなし。

なお会見とか見てる暇(というより気力)が無かったでその辺の事情は良く分からんのだが、何もないのに前倒しということは何だったんですかね、お漏らし関連かしらん(週末関連文書を読む気力があったら読んで探してみる)。

ところで今回ですが、上記の声明文の後にある説明『Monetary Policy Summary and minutes of the Monetary Policy Committee meeting』になりますが、そのサマリーちゃんには今回の決定の背景としての経済物価状況の認識と先行きの話がまずありまして、まあそれは大体今のご時世お察しの内容なのですが、その後のリスク認識な部分を見ますと、

『The unprecedented situation means that the outlook for the UK and global economies is unusually uncertain. It will depend critically on the evolution of the pandemic, and how governments, households and businesses respond to it.』

先行きは何せコロナ次第なので良く分からん、ということですが・・・・・・・・

『Recognising these uncertainties, the MPC has constructed a plausible illustrative economic scenario in the accompanying May Monetary Policy Report.』

ほっほー。

『This scenario is based on a set of stylised assumptions about the pandemic and the responses of governments, households and businesses, and, as usual, on the prevailing levels of asset prices and the market path for interest rates.』

『While the scenario is highly conditional, it helps to illustrate the potential impact of Covid-19 on the economy and the channels through which the impact is felt.』

てな訳で、コロナがどうなったらこんなシナリオというのを5月版金融政策レポートの方でお出し致しました。との事でしてこのマネポレポートですがこちらにあります
https://www.bankofengland.co.uk/report/2020/monetary-policy-report-financial-stability-report-may-2020
Monetary Policy Report and Interim Financial Stability Report - May 2020

『The Bank has published its quarterly Monetary Policy Report alongside an interim Financial Stability Report. Together, they provide a scenario for the path of the UK economy in the light of Covid-19 and assess the financial system’s resilience to that scenario. 』

Published on07 May 2020

ってな訳で、レポートの本チャンはこちら(63枚組でカラフルなのでちと重い)
https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/monetary-policy-report/2020/may/monetary-policy-report-may-2020.pdf
Monetary Policy Report
May 2020

こちらの内容が、『1 The economic outlook』、『2 Current economic conditions』と来まして48ページ目(PDFだと53枚目になります)から『3 In focus The economic effects of Covid-19』というのが始まります。

でもって、49ページ目から説明で、『3.1 What are the channels through which Covid-19 will affect the economy?』、『3.2 What can we learn about the potential impact of Covid-19 from the literature on pandemics?』とあって、特にその52ページ目の過去との比較(スペイン風邪とかSARSとかエボラとか)とか、ソーシャルディスタンスがどうしたとかいうのが面白そうだったのですが、チラ見しかしていないのでまあご紹介ということでチラ見して面白そうなら週末の読み物にどうぞということで。

なお、48ページ目に『Chart 3.1 Covid-19 has spread around the world』というのがあって、概ね国ごとの感染状況の世界地図とかあるんですが、てめえその色の付け方したら白黒印刷したときに何が何だか分からんだろういい加減にしろというジョンブルクオリティが発揮されておりまして、それを見た瞬間に椅子から崩れ落ちて印刷を断念したというのがチラ見しかしていないアタクシの事情だったりします(滝汗)。

んな訳でさっきのMPCサマリーに戻りますと、

『The Report also includes a number of estimates of the sensitivity of the economy to a selection of key variables, which, taken alongside the scenario, serve to illustrate the important drivers of the outlook.』

というのは今しがた申し上げた幾つかのシミュレーションです、見た感じまあ(状況が状況だからしょうがないけど)分析言いましてもフワッとした感じはしますが、リファレンスに色々な論文をぶっこんできてはおります。

『The illustrative scenario incorporates a very sharp fall in UK GDP in 2020 H1 and a substantial increase in unemployment in addition to those workers who are furloughed currently.』

そら(コロナの影響がでかいので)そう(失業が盛大に増える見通しになる)よ。

『Given the assumed path for the relaxation of social distancing measures, the fall in GDP should be temporary and activity should pick up relatively rapidly.』

そら(ソーシャルディスタンスをより緩和すれば)そう(経済のピックアップはよりシャープになる)よ。

『Nonetheless, because a degree of precautionary behaviour by households and businesses is assumed to persist, the economy takes some time to recover towards its previous path. CPI inflation is expected to fall further below the 2% target during the second half of this year, largely reflecting the weakness of demand.』

物価に関しては「需要が弱くなるので今年の後半も一段と下がる」と正面切ってぶっこんで来る次第でして、どこぞの展望レポートのように標準シナリオが相変わらず「収束すれば上がる」とはちと違いますな。

『As set out in the accompanying interim Financial Stability Report, the Financial Policy Committee (FPC) has assessed the risks to UK financial stability and the resilience of the UK financial system to the economic and market shocks associated with Covid-19.』

さすがにそっち(FPCレポート)までは見ていないのでパス。

『Drawing on the MPC’s illustrative scenario, the FPC judges that the core banking system has capital buffers more than sufficient to absorb losses and, supported by government guarantees for new lending and Bank of England funding, the capacity to provide credit to support the UK economy. 』

なお、MPCのシナリオを勘案しても、FPCとしては、コアの銀行システムにおいては今後の貸出資産からのロスに対して十分な資本バッファーを保有しているし、政府による特別保証スキームや、BOEのファンディングスキームがあるので十分な貸出が可能であると判断している、だそうです。

その下に何かトピックの簡単な説明があって、「View char」ってのをポチっとなとするとチャートが出て来たりします。

というただのメモでしたサーセン。


〇やっぱり物価の部分も読まれるべきだと思ったので昨日の続きをネタにするのだ(藤原副総裁2000年の講演)

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2000/ko0011a.htm/
「物価の安定」について考える
―2000年11月 8日・中日懇話会における日本銀行藤原副総裁講演
2000年11月 8日  日本銀行

まあ何ですな、昨日はこの藤原副総裁講演ドヤァアアアアアっと(人のふんどしをドヤ顔で紹介するのも大概に図々しいですねすいませんすいません)ネタにしまして、20年たっても色褪せませんなあとか申し上げましたが、昨日は知人からすかさず「本来中央銀行の業務というものはそういうものなのではないでしょうか(真顔)」と全力で火の玉ストレートを投げ込まれてしまいまして、「確かに・・・・・・」と思うのでした(汗)。


・物価指数の数値化という話で・・・・・・

マクラの次の見出し『2.「物価の安定」はなぜ重要なのか』は(長くなりそうなので)飛ばしまして、次の見出し『3.「物価の安定」の数値化は可能か』から参りますが、思いっきり今に通じる話である。

『(物価指数を巡る問題)』って小見出しからですが、

『さて、「物価の安定」をこのように概念的に整理したうえで、次に問題となるのは、それを何らかの具体的な数値で示すことができるかどうか、あるいはそうした数値の実現を目標として金融政策を運営できるかどうか、ということです。』

はい。

『金融政策運営の透明性を高めるためには、いろいろな方法があり得ます。例えば、中央銀行の物価情勢についての判断を定期的に示していく方法もあるでしょう。また、金融政策を決める会議の議論の内容を明らかにすることにより、どのような考えに基づいて政策が決定されているのかを示していく方法もあります。これらの方法については、日本銀行も、金融経済月報や金融政策決定会合の議事要旨の公表といった形で、すでに取り入れています。』

金融経済月報に関しては展望レポートが年4回になったのでそちらで代用することになりましたな。

『そのうえで、金融政策がめざす「物価の安定」という状態を、物価指数などの具体的な数字で示すことができれば、金融政策運営のわかりやすさはもっと向上すると考えられます。』

そらそうよ。

『ただ、海外の中央銀行の例をみても、この点に関する対応は、国により様々です。イングランド銀行などいくつかの中央銀行は、先ほどふれたインフレ・ターゲティングの手法を採用しています。米国の連邦準備制度はこうした数値を示していません。欧州中央銀行は、「物価の安定」の定義として「消費者物価上昇率が中期的に前年比2%を下回る」という基準を示していますが、インフレ・ターゲティングは採用していません。』

2000年当時の話ですな。

『要は、各国とも、自国の経済情勢や歴史・制度の違いに応じて、様々に工夫しているということですが、まず、この問題を考える一般的な前提として、物価指数の問題から始めてみたいと思います。』

しらっと「自国の経済情勢や歴史・制度の違いに応じて、様々に工夫している」と流していますが、要はそういうことであって、「世界標準の金融政策」とか言うのは概念的な部分(経済物価情勢を締めたかったら金融引き締め、とかそういうレベルの話)では存在しても、ではそれを具体策に落とし込むときにはどうなるのか(それこそ金融緩和と称して利下げしまくってマイナス金利に出来るのか、マイナス金利にして金融緩和になっているのか、みたいな話)というのはまた別問題、ということである、って事をサラリとぶっこんでいるんですよね。

でもって、もしかしたらもっと後年にこの話をするんだったら、「世界標準の金融政策」みたいな件に関するツッコミをもう少し行っていたのかも知れませんけれども、何はともあれこの点ってのはいまだに何とかスト業界とかでも普通にデファクトの世界標準政策があるもの位の認識で物事を騙っている連中が散見される(個人の感想です)と思うので、この「制度設計においては世界標準とかそんなもん無いわ」というのをもっと中銀サークルから発信して欲しいのですが、どうも学者脳傾向が強くなるとそういう配管工(麿のお言葉でしたっけ)的な発想が無くなる方が多いように見受けられるのが残念ですな、まあアタクシは現場叩き上げで無学だから理論知らんというのは多分にあるので物の見方にバイアスがあるとは認識してますけど・・・・・・・・

『先ほど申し述べたとおり、金融政策の対象となるのは、個々の値段ではなく一般物価です。一般的な物価を把握するために、各種の物価指数という統計が開発されているのですが、これらは、一定の約束ごとにしたがって、無数にあるモノやサービスの価格の一部をサンプルとして拾い出し、集計したものです。したがって、その解釈には十分慎重である必要があります。』

の筈なんですが特定の物価指標を物凄い勢いで有難がって、その指標を見れば金融政策はオートパイロットで行けるというような話をしていた置物一派というのを忘れてはいけない、と思うのでした。

『とりわけ最近のように、新しい小売業態がどんどん進出したり、パソコンや携帯電話、家電など、性能が向上した新商品が毎年市場に出てくる中で、「物価指数」が「真の物価」の動きを十分に正しく反映できているのかという問題は、ますます難しさを増しているように思います。これは、物価指数のバイアス問題と呼ばれています。』

と、そっちの話になる。

『もちろん、物価指数を作る側も、日本銀行を含め、指数を「真の物価」に近づけていくよう、日々努力を重ねています。ただ一方で、現実の世界では、例えばソフトウエアのように、どんどんバージョン・アップされることが当たり前であり、同じものを調査し続けることが難しいものが増えています。また、インターネット販売などの新しい販売形態も次々と生まれています。こうした動きは、将来、一段と進んでいくのではないかと思います。』

確かに進んだわ。

『そう考えると、物価指数と「真の物価」との関係は「いたちごっこ」のような面があります。現実が日々変化し、これに物価指数が追いつこうとする努力を続ける中で、両者のギャップ、つまりバイアスも縮まったり、広がったりを繰り返していく可能性が高いように思います。』

いやーこれは謙虚な直球ストレート。

『もちろん、こうした「統計と現実との乖離」といった問題は、物価指数に限らず、あらゆる統計に共通する問題といえます。経済政策を運営するうえでは、経済の実態をなるべく正確に反映する統計が、極力早いタイミングで入手できることが重要です。とりわけ、現在の日本のように、いろいろな統計数字の「伸び率」が小さくなってくると、統計の精度やスピードの問題は、ますます重要性を増しているように思います。』

「いろいろな統計数字の「伸び率」が小さくなってくると、統計の精度やスピードの問題は、ますます重要性を増しているように思います」っていうのは言われて(読んで)「なるほど!」と膝を叩いてしまいました。いやまあ普通気がつけよという論点のような気もしますがキニシナイ。


・ここで2000年の講演だけに平成バブルの話になる

『(バブルの経験)』って小見出しである。まあ若い衆は読んで味噌である。

『以上申し述べたように、物価指数と「真の物価」との間には、ある程度の「ずれ」が生じている可能性は否定できません。ただ、こうした問題は、各国でも程度の差はあれ共通した問題ともいえます。こうした中で、「物価の安定」の定義や目標を数値で示している中央銀行があることを踏まえると、単に物価指数に統計上の限界があるというだけでは、「物価の安定」を数値で示さない理由にはなりません。』

と、このように話が展開するのが実に謙虚でよろしい。

『物価指数に限界があることを十分認識したうえで、なお何らかの数値を示した方がよいのか、それとも、むしろデメリットの方が大きいのか、日本の経済構造や現在の経済・物価情勢などを十分に踏まえて考えていく必要があります。』

てな訳で平成バブルの話になる。

『ここで思い起こされるのは、現在の日本経済になお深刻な影響を残し続けている、バブルの経験です。』

『バブルは、日本全体に蔓延した「右肩上がりの幻想」や「土地神話」、税制や規制など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生したものと考えられます。しかし、残念ながら、長期にわたって金融緩和を続けた金融政策運営がその一因となったことも否定できない事実です。』

『それでは、当時、「物価の安定」について何らかの数値を持っていれば、このような行き過ぎた経済のブームの発生を防ぐうえで、役に立ったでしょうか。』

キタコレ!

『この頃の経済情勢を振り返ると、公定歩合2.5%という金融緩和が続いていた87年から88年にかけて、成長率は5%程度にまで高まっていましたが、消費者物価の上昇率はゼロ%台にとどまっていました。』

うんうん。

『因みに各国の例をみても、「バブル」は、むしろ物価が表面上は落ち着いている時に起こっているように思います。』

!!!!!

『これは、景気が良いのに物価は上がらないという一見心地よい状況の中で、先行きに対する過度に強気な見方が生まれやすいためだろうと思います。』

全力で今に通じる話で何という万古不易感。

『したがって、仮に80年代後半の段階で、「物価の安定」の定義や目標として何らかの数値を持っていたとしても、これがバブルの発生を防ぐうえで役に立っていたかどうか、簡単には結論は出せないように思います。』

役に立たない、と言わないのが謙虚。

『当時は、物価が表面上きわめて落ち着いており、先行きも物価が大きく上昇していくといった予想はほとんどありませんでした。そうした中で、何らかの数値目標が設定されていたら、よほど注意しないと、金融緩和が続くという期待をさらに強めてしまっていたかもしれません。このように、バブルの経験は、「物価の安定」を数値で示す難しさのひとつの側面を、浮き彫りにしているように思えます。』

なるほど。

『バブルが「物価」の問題について与える教訓は、むしろ、次のようなものだと思います。』

ほうほう。

『まず、第1に、「物価の安定」は将来に向けて持続的に確保されていくことが重要であり、そのためには、物価の動向をかなり長い目でみていく必要があるということです。バブル期についてみれば、消費者物価の前年比は、89年頃まではほぼゼロであったものが、90年から91年にかけては3%を超えました。確かに、3%という物価上昇率は、70年代から80年代の常識からすれば、さほど高いものではありませんでした。しかし、2年間で3%ポイントも物価上昇率が上がったことを今から冷静に評価すると、とても物価の安定が持続的に実現していたとはいえないように思います。』

なるほど。

『例えば、5%だった物価上昇率が短期間のうちに8%に上がったら、誰でもがインフレと認めるでしょう。判断を難しくさせたのは、そもそもの発射台がゼロ%と低かったことと、それが上昇するのに時間がかかったということです。』

という説明を見ていますと今やっている主要国の何でもぶっこみます政策の後に来るものは・・・・・・・・

『第2に、物価情勢を判断するうえで、物価指数の動きをみているだけでは不十分であるということです。これは、今申し述べた物価安定の持続性ということにも関連するのですが、将来の物価変動をもたらすような要因を注意深く点検していくことが大事です。そのためには、経済活動の水準や需給ギャップ、資産価格など、物価指数以外の指標も注意深くみていく必要があります。』

物価だけ見ていればよい、とか置物大先生一派は以下同文。

『ここで「資産価格」の問題についてもふれておきたいと思います。金融政策の目的は一般物価の安定であると申し上げると、地価や株価などの資産価格を軽視するのは問題であるとおしかりを受けることがあります。しかし、日本銀行は、ずいぶん前から、経済・金融情勢を判断するうえで、資産価格の動きを重視してきています。』

『本日は深くは立ち入りませんが、一般的なモノやサービスの値段と、資産価格はだいぶ性格が異なると考えられています。近年、地価に関して「収益還元価格が適正な地価である」ということがいわれています。この「収益還元」という言葉が示すとおり、資産価格というのは、その資産から将来にわたって得られると予想される収益を、現在の価値に引き直したものになります。したがって、資産価格は、将来に対する人々の予想という要因に大きく左右されることになります。』

『また、地価や株価は、経済成長率や収益性が高まれば、それに応じて高くなることは当然でありまして、一般物価のように、長い目で見てできるだけ安定していた方がよいというものでもありません。』

しらっと期待の話と潜在成長の話に繋がる話になっていましてここの部分だけでもゴリゴリ突っ込むと今に通じる論点が出て来そうですな。

『この意味で、資産価格のコントロールということを直接の金融政策の目的とすることは適当ではありません。しかし、誤解のないように強調しておきたいことは、「直接の目的ではない」ということは、「大事でない」ということではまったくない、ということです。』

『むしろ、只今述べたバブルの苦い経験が示すとおり、資産価格の大きな変動は、金融システムへの影響などを通じて、結局、経済や物価の動向に大きな影響を与えます。したがって、私たちとしては、長い目で見て物価の安定を確保するうえでは、資産価格の動向やそれが企業や金融機関行動を通じて経済全体に与える影響にも十分目配りしていく必要があると考えています。』


・この先の部分が思いっきり今に通じる論点がゴロゴロ転がっているのでありました

『(供給要因についての考え方)』キタコレ!

『次に、物価がどのような原因によって動くのかについて、お話ししたいと思います。ここで主として取り上げたいのは、供給要因による物価変動をどう考えるか、という問題です。』

何か最近も物価が目標行かない言い訳に使われていた気がしますね!!!!!!!

『いうまでもなく、物価の変動には、需要と供給の両方の要因が関係してきます。普通、景気が良くなって物価が上がり気味になるとか、不況になって物価が下がるというのは、どちらかといえば需要の変動に着目したものと考えられます。また、金融政策が物価に影響を与える方法も、少なくとも半年から1年といった短めの期間では、需要面を通じた径路が中心となります。』

はい。

『同時に、物価には、モノやサービスの供給側の要因も大きな影響を与えます。ただ、国民経済の供給能力の伸び、言い換えれば潜在成長率といったものは、普通は少しずつなだらかに変化するものと考えられます。短期的な物価変動を分析するとき、需要サイドの分析に焦点が当てられることが多いのは、このためです。』

なるほど。

『しかし、ときに、供給サイドの要因が短期的にも物価を大きく動かすことがあります。』

てなわけで、

『例えば、台風や地震などの天災によって、工場や畑といった供給能力に被害が出て、需給が逼迫して物価が上がることもあるでしょうし、石油ショックというのも、供給面からのショックの一つです。』

『供給サイドの要因による物価変動に金融政策運営上どう対応すべきかということは、たいへん難しい問題です。天災のような供給要因により一時的に生鮮食品の価格が上がった際、全体としての物価を安定させるために、他のモノやサービスの価格を無理やり下げるような対応をとることは、適切ではありません。同様に、石油価格が大幅に上昇したときに、全体としての物価をまったく上げないようにしようとすれば、強烈な金融引き締めを行って、その他の価格を大きく引き下げる必要があります。こうした方法をとると、かえって、デフレ圧力を強めてしまい、長い目で見れば、結局、持続的な物価の安定が阻害されることになりかねません。その意味では、こうした場合には、それがインフレ期待を増幅しないように、あるいは便乗値上げができにくい程度に引き締めを行うけれども、それ以上に無理に物価を引き下げない方がよいということになります。』

そらそうです。

『因みに、インフレ・ターゲティングを採用している国でも、こうした供給ショックに対しては「免責条項」というものが設けられていて、目標から一時的に離れることが許容されています。』

ということですがこの先がまさに今にも通じてる話ェ・・・・・・・・・・

『これまでは、物価を引き上げる方向での供給面での要因を挙げましたが、今の日本には、これとは逆に、物価を引き下げる方向での供給要因が強く働いている可能性があります。それは、例えばIT分野の技術革新に伴う関連製品の価格低下とか、「ユニクロ」現象といわれるような流通合理化の動きなどです。』

なお、この手の話を日銀がすると置物一派が「言い訳をしてはいけない」と豪語していたのが懐かしいですね、でもって2年で達成できなくて副総裁辞任マダー?

『きわめて単純化した例を挙げれば、今年の最新型パソコンは、去年型と比べ、性能が良くなっているうえに、価格は安くなっているのが普通です。仮に、価格はほぼ同じで、計算のスピードや記憶容量などからみた性能は2倍に向上している場合、この分を「品質調整」という手続きによって調整すると、パソコンは物価指数上は半分に値下がりしているという処理が行われることになります。』

『こうした場合に、全体としての物価指数を横ばいにしようとすれば、パソコンが実質的に値下がりした分、食料品や衣料品など、その他のモノやサービスの価格を無理やり引き上げるということになります。しかし、それが国民経済的に望ましいかどうかは、疑問です。』

「国民経済的に望ましいかどうか」が良いですな!

『また、パソコンの性能の向上によって実質的な値下がりが実現されている場合には、その裏側で、パソコンメーカーなどの生産性も上昇しているはずです。したがって、これらの分野の経済活動が阻害されることはなく、むしろ、こうした産業の企業収益は全体として増加し、利払い能力も向上することになります。実際、90年代において供給面からの物価低下圧力の中心となってきた情報通信関連のセクターは、同時に、積極的な設備投資を行い、新たな経済活動の原動力となってきたセクターでもありました。』

なるほど。

『90年代以降の日本の物価は、諸外国に比べても、非常に落ち着いた状態が続いています。これは、景気の低迷に伴う需要の弱さを反映していた面が大きい訳ですが、最近ではこれに加えて、技術革新や流通合理化といった供給面での要因が、物価の低下圧力として働いていることも、確かであるように思います。』

>技術革新や流通合理化といった供給面での要因

・・・・・・・この部分を見てアチャーと思ってしまったのは言うまでもありません。

『もちろんだからといって、私は、現在の物価に低下圧力を及ぼしている要因が、全て供給面のものだと申し上げているわけではありません。』

『日本銀行がゼロ金利政策を採用した昨年2月頃と比べれば、この1年半あまりで、需要の弱さによる物価低下圧力は大きく後退したといえます。しかしこれは、あくまで当時と比べればということであって、現在でも、なお、かなり大きな需給ギャップが残っていることは事実です。』

需給ギャップの話は昔からしております。そもそもこの講演にたどりついた元ネタのフィリップスカーブの話ですからね。

『景気回復テンポの緩やかさからみても、物価に上昇圧力がかかるような情勢ではありません。また、供給要因によるものであれば、物価がいくらマイナスになってもよいとか、マイナスが長く続いてもよいと考えているわけでもありません。どのような要因であれ、物価のプラスやマイナスが大幅なものとなったり、これが長く続くようであれば、「物価の安定」が持続的に実現されているとはいえないと考えています。』

『ただ、現在の日本のように、需要要因だけでなく、供給要因も強く物価に作用していると、どういう物価情勢が経済の健全な発展と整合的なのかどうか、判断は容易ではありません。このため、日本銀行は、物価情勢を判断するうえで、企業収益や雇用・賃金を巡る情勢などをできるだけ幅広く点検するよう努めています。言い換えれば、現在は、望ましい物価上昇率を数字で示せば、それで金融政策の透明性が向上するというような簡単な状況ではないように思われます。』

!!!!!!!!!

ということで最後の『(数値化に関する結論)』になります。

『物価の安定の定義なり目標を数値で示すとすれば、それは、金融政策運営の指針として、かなり長期にわたって妥当する必要があります。しかし、現在のように、供給面からの物価低下圧力が強めに働いている局面では、望ましい物価上昇率は、そうした要因の影響がもう少し落ち着いているような場合に比べ、低くなっている可能性があります。しかも、供給要因が実際の物価指数をどの程度押し下げているか、なかなかわかりませんし、これがいつまで続くのかということも予測はできません。』

イイハナシダナー。

『こうした状況下で、無理をして長期的に望ましい物価上昇率を数値で示したとしても、今、直ちにその実現をめざすということにならない以上、金融政策運営に当たっての指針になりません。したがって、透明性の向上にもつながらないように思います。』

そこを無理矢理ぶっこんでいったら案の定説明がグダグダになり透明性も何もあったもんじゃなくない状態が今ですな。

『このような検討を経た結果、金融政策の透明性を高めるためには、現段階では、「物価の安定」の定義なり目標なりを無理やり数値で示すよりも、むしろ、先行きの物価や、その背景となる経済についての日本銀行の見方を、できるだけわかりやすく伝える工夫を行っていくことが適当であるという結論に至りました。』

ということで第1回展望レポートの話になるのですが、何という良い講演かつ謙虚な話、と思いましたので、こちらは殆ど合いの手を入れるだけで引用ばっかの手抜きとか言われそうですが、まあご紹介ということで。



2020/05/07

お題「3月会合議事要旨である/突如2000年の講演という物件を引っ張り出してみますた」

連休明けですっかりアレでございますので(いつもの事とかいうツッコミは不可)、議事要旨ネタの他に金曜にネタにした件の続きでも。

#金曜に連休中のネタとか豪語してたと思うが忘れてください

〇3月議事要旨なのですが重大なツッコミどころが2つあってですなあ・・・・・・

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200316.pdf
政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨
(2020年3月16日開催分)

って何かMPM後の総裁会見というネタ(よりもFOMCとECBですかねえ)があるというのにいきなりここからという謎展開になっていますが、特に最初と最後に気になったのがあったので。

・えーっとすいません4月MPMの「昼頃終了」は未承認でぶっこんだんですか???

ということで冒頭に、

『1.開催日時:2020 年3月 16 日(12:00〜13:59)
2.場 所:日本銀行本店』

とありますように、FOMCが向こうの日曜の夜に突如前倒しでゼロ金利政策ぶっこんできたこともあって日銀も前倒しになった、という例の奴なんですけど気になったのは最初の『T.金融政策決定会合招集の趣旨説明および日程変更の承認 』にあった記述の最後の方。

『・こうした状況を踏まえると、日本銀行としては、3月 18、19 日に 開催を予定していた金融政策決定会合の日程を前倒し、速やかに金 融政策面での対応策を検討することが適当である。そこで、本日、 日本銀行法施行令第9条第2項ただし書きに基づき、金融政策決定 会合を招集した。』

というのは良いんですけどその次に、

『そのうえで、議長は、3月 18、19 日に開催を予定していた金融政策決定会合の日程を前倒し、本日中に会合を終了するよう議事を進めることを提案した。本提案は、全員一致で承認された。 』

ちょwwwwwww

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200423a.pdf
金融政策決定会合の日程について
2020年 4月23日 日本銀行

『政策委員会議長は、次回の政策委員会・金融政策決定会合について、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に万全を期す観点から、会合の時間を短縮するために、4月 27 日(月)9時に開催し、昼頃を目途に終了する予定とした。』(この部分は直上URL先の4月23日公表文より)

えーっとですな、確かに3月のMPMは昼からおっぱじまっているし、その前週末とかが中々の地獄変だったというのもありますから議事を早期進行しましょう、というのは分かるのですけれども、3月の時には上記のように冒頭で提案して承認されてさあ始めましょうってなっていた、という風に3月議事要旨の方を読むと読めると思うのですが、だったら何で4月会合が1日に短縮はまあ良いとしても、「昼頃終了」とか勝手に議長(総裁)がリリースして良いの?????と
疑問に思ったのよ。

もしかしたら政策委員会の通常会合の方で事前に諒承したとかそういう事なのかと思ったりもしたのだが、それにしては4月23日のリリースって木曜で、通常会合って火曜と金曜だからタイミングが違うし、23日に関しては27日開始のMPMの2営業日前だから所謂ブラックアウトに入ったタイミングで入れてきたのか、とかひたすら良く分からんかったのでツッコンでみた。

ああちなみにブラックアウト期間の決めはこちらです。
https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/pb_law/kpb05.htm/
金融政策に関する対外発言についての申し合わせ


・・・・・・いやまあどうでも良いちゃあどうでも良いのですけれども、プロセスとか手続きとかいうものがどうも黒田日銀、というよりも今の政府全体の中で軽んじられているように思える(おまけに下々にはやたらギチギチと規範を縛ってくる)のでどうも気になったんですよ。実際この辺についてはどういう仕組みなんですかねえ。



・3月会合では声明文の通りで「モメンタムはまだ一応ある」という事になっていたので仕方ないのだが

とまあ連休明け早々に謎の屁理屈を捏ねておりますアタクシですが気を取り直してその先の『U.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要』とか、一個飛ばして『W.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』とかを見る。

執行部報告からは、『4.国内金融経済情勢』の『(1)実体経済』で、

『わが国の景気は、新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、このところ弱い動きとなっている。先行きについては、当面、新型感染症の拡大などの影響から弱い動きが続くとみられる。その後は、各国の対応などにより新型感染症拡大の影響が和らいでいけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムに支えられて、緩やかな拡大基調に復していくと考えられる。』

ということで、結果的にはこれは声明文通りのお話になっておりますんですが、いやまあ確かに3月の半ばの時点だと欧州から米国にあばばばばーが拡大する中、ジャパンにおかれましては、学校の休校はあったりしたものの、東京オリンピック開催必達の錦の御旗の下でいや何でもないんですけど、まあ資産市場はアレとしても非常事態だのロックダウンだの7割削減だのとかいう話でも何でもなかった(五輪延長確定したの24日の夜から25日に掛けて)という状況でしたから、そら勿論のことコロナちゃんも一定の所で抑制できたらもうV字回復だぜヒャッハーという大本営発表いや何でもありません。

よって『W.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』ではどうなっていたかと言いますと、

『景気の先行きについて、委員は、当面、新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響から弱い動きが続くとみられるとの認識で一致した。ある委員は、新型感染症が時間差で世界中に拡がっていることも あって、その影響は、今後も当面続くと述べた。そのうえで、委員は、 時間はかかる可能性があるが、各国の対応などにより新型感染症拡大の影響が和らいでいけば、所得から支出への前向きの循環メカニズム に支えられて、緩やかな拡大基調に復していくとの見方を共有した。』

共有したんですね!!

『ある委員は、新型感染症の拡大自体は、各国政府の対策の効果等もあって、いずれは収束すると考えられると述べた。何人かの委員は、新型感染症の拡大が収束すれば、抑制されていた需要や各種経済対策の効果が現れてくることが見込まれるとの見方を示した。』

でもって、

『もっとも、委員は、新型コロナウイルス感染症拡大の帰趨や、それが経済へ与える影響の大きさや期間については、不確実性が大きいとの認識で一致した。』

そらそうよ。

『ある委員は、景気の下押しの規模やその継続期間など、先行きについては極めて不確実性が高く、現時点で明確な見通しは持てないと述べた。一人の委員は、新型感染症によるショックは、 リーマン・ショックや東日本大震災時の自然災害のショックとも性質は異なるが、不確実性が大きいため、影響は一時的なものにとどまらず、甚大なものになる可能性があると指摘した。ある委員は、移動制限などの各国の公衆衛生上の措置等を前提とすると、経済の落ち込みは深刻かつ長期化する可能性があるとの見方を示した。この委員は、 逸失したサービス消費は挽回しにくい点を指摘した。』

とまあこれだけヤバそうという指摘を複数の委員がしているのに、何で3月会合って先行きの前向き循環メカニズムを残したのかと小一時間問い詰めたいのですが・・・・・・・・

でもってこの次にしらっと良い指摘がある。

『また、複数の委員は、消費税率引き上げや自然災害の影響から、新型感染症の影響が生じる前から景気が弱めであったことを踏まえると、新型感染症の収束後、経済が力強く回復するかは不透明であると述べた。』

消費税と自然災害もそうですが、それが駄目押しをする前から景気ってピークアウトしてるのを無理くり大本営発表を継続していたのではないか、ということで、ある日から突然本土に空襲がバンバンやってきて突然焼け野原の山になったかのような状況なんですが実は戦の方はとっくの昔に敗勢になっていたのですが何せ戦場が主に海の向こうだから大本営発表でスルー的なサムシングが無かったのか、ということはちゃんと突き詰めないとアカンと思います、まあそう思うけどどうせ「全部コロナのせい」で誤魔化すんでしょうけどね、あっはっは。

『ある委員は、 今回のショックにより、企業が手元流動性の重要性を改めて意識し、 貯蓄を優先するようになれば、将来にわたって支出が増加しにくくなる可能性があると指摘した。 』

うーん言いたいことは分かるんだが企業の手元流動性重視というのはそれこそ平成の不良債権処理問題以降で企業の財務の皆さん痛感している話だし、リーマンショックの時の記憶って普通にまだ新しいと思うので、こういう指摘はちょっと疑問がありますな(個人の感想です)。


・打ち込まれた措置はご案内の通りですがそれに対する議論を確認

『X.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』に飛びまして、

『そのうえで、委員は、金融緩和の強化の手段について議論を行った。 何人かの委員は、金融機関が仲介機能を十分発揮できるよう潤沢な資金供給を行うべきであると述べた。』

さて・・・・・・・・

『このうち一人の委員は、円の資金流動性に懸念があるとはみていないが、長期金利の上昇といった動き も生じており、積極的な国債買入れなどを通じて、一層潤沢な流動性を提供することが望ましいと述べた。』

うーんこの。まあ「流動性の供給」ってのが分かりやすいのと世間的なウケが良いのでこういう話になってしまうのは致し方ない面があるのだが、現状ってマイナス金利政策をやっているので「一層潤沢な流動性の供給」をするとそれは金融機関に対する締め上げになってしまうと思うの。だからこそマイナス金利政策とかいうトンチキな政策はとっとと撤廃しろと思う、と常に願望(ポジショントークともいう)を欠かさないアタクシ。

ですから、本来これは「国債市場の安定化策として」という話での長期国債買入なのであって、(YCCがそもそも10年国債金利の安定化策なのですから)、流動性供給という話をすると話がややこしくなる(マイナス金利政策をしていなければそこの混同はまあネグれるのですが)のよ、と思うのでした。

『また、この委員は、ドル資金の流動性供給に万全を期すことも重要であり、本日、先進国の中央銀行が協調してドルオペの拡充を決定したことの意義は大きいと指摘した。』

これはその通り。

『何人かの委員は、企業の資金繰りに万全を期すべく、企業金融面での十分な資金繰り支援が重要であると指摘した。ある委員は、金融機関向けに有利なレートで資金供給を行い、企業への貸出を促すことや、CPや社債買入れの増額は、企業金融を支援するのに有効な手段であると述べた。』

金融機関向けに有利なレートで資金供給とか言いましても企業金融は日本の場合政策金融機能が民業圧迫と揶揄される位に発達していますからねえ。あと急場しのぎでCPは分かるが、社債買入とかは正直どうなのかなとは思った。

『また、複数の委員は、ETF等の買入れ増額によりリスク・プレミアムの拡大を抑制し、金融市場の安定を確保するべきであると述べた。』

お、おぅ・・・・・・・・

『この間、一人の委員は、こうした対応においては、 既存の政策スキームを活用し、金融仲介機能面での副作用にも配慮しつつ、時限的措置とした上で、状況に応じて柔軟かつ迅速に対応することが重要であると指摘した。』

しらっと記載されていますが、4月MPMでぶっこんできた追加策も「時限措置」だし、さすがにここに来て「もうAPPの本格的な拡大は無理」という認識が執行部方面には澎湃として沸き起こっているんじゃないかと勝手に妄想を膨らましているアタクシがおる。


・80兆円を上限メドだと思っている政策委員は誰だぁ(ガラッ)

・・・・・・と海原雄山状態になってしまいましたが、ちょっと先の方においこれは何だという記載がある。

『別の一人の委員は、経済・物価情勢によっては臨時会合開催も含めた機動的な対応も可能であるほか、長期国債も、残高の増加額年間約 80 兆円のめどまでは買入れうると述べた。 』

>残高の増加額年間約 80 兆円のめどまでは買入れうる
>残高の増加額年間約 80 兆円のめどまでは買入れうる
>残高の増加額年間約 80 兆円のめどまでは買入れうる

・・・・・・・・・・?????????????

えーっとすいません、YCCになった所で日銀保有の長期国債残高は「YCC操作の結果としてこうなりました」という建付けになっておりまして、まあそうは言いましても当初はそこを前面に出してしまいますと量の縮小からの政策後退と言われると困る(いやまあ実際問題量からの撤退だったんですけど)というのがあってズルズルと80兆円を残していただけの話で、80兆円は上限でもないし、YCCの建付けを逸脱するような買い方をして80兆円の残高を積んだらそれは政策の建付けに反するんですけど大丈夫でしょうかこちらのお方は?????????????

まあ何となく誰かという想像は付くので、結局このお方は何をしに政策委員になったのかというとオモシロ二つ名を残しただけだったのではないかとか思ってしまいますが、もしそのお方じゃなかったら更にビビるという所で。


〇金曜ネタにしたフィリップスカーブ関連のペーパー・・・・ではなくてそこで紹介されていた物件をば(2000年の講演ですよ)

ちなみに金曜に申し上げた中で、「調査月報」の居場所について過去のは日銀のページにありますとだけしか申し上げなかったので補足しますと、

https://www.boj.or.jp/research/past_release/index.htm/
金融・経済情勢等に関する過去の資料

というのがあって、過去の資料(だいたい紙媒体の物をPDFにした物件なのでコピペとかはできんが印刷して読むのはできる)を見ることができます。以前もご紹介しましたが、昭和20年8月以降の経済動向の話とか読んでて緊迫感がありますので、まあその手の時期のを読むと色々と読みものとして秀逸。

てな訳ですが、ネタにするのはこちら。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2000/ko0011a.htm/
「物価の安定」について考える―2000年11月 8日・中日懇話会における日本銀行藤原副総裁講演
2000年11月 8日 日本銀行

#中日懇話会というのは中日新聞社が主催している講演会ですな

でもって物価の安定の話についての部分も今に通じる話、というか20年前の話なのに今に通じるとはどういうことやという話でもあるのですが、本当はそっちを目ん玉よく開いて読めという所なのですが、本日は時間の都合上というのと、議事要旨ネタに関連して(あんまり関連していない)、この講演が今の形式による第1回の「展望レポート」の時に行われたものなのでそっちの方を先に鑑賞しましょう(というのはそっちの方が短いからです、汗)

後半の『4.透明性の一段の向上に向けて』になります。

・第1回展望レポートキタコレ

『(「経済・物価の将来展望とリスク評価」の公表)』という小見出しから。

『このような見解に沿って金融政策の透明性を高めるための工夫として、日本銀行は今回、2つの新たな仕組みを開始することとしました。第1に、経済や物価の先行きに関するやや長めの評価を、4月と10月の年2回、政策委員会で決定し、公表することにしました。これが、「経済・物価の将来展望とリスク評価」というレポートです。ちょっと題名が長いですので、以下では、「展望レポート」と呼ぶことにします。第2に、このレポートの中で、先行きの物価上昇率や成長率についての政策委員の見通しを掲載することにしました。本日、お手許にお配りしてありますのが、先週の10月31日に公表しました初回の展望レポートです。』

キタコレ!!(ちなみに当時は年に2回でした)

『ご覧頂きますとおり、展望レポートは、2つのパート、および「政策委員の見通し」から構成されています。始めは、「経済・物価の将来展望」という部分です。今回のレポートでは、今年度から来年度にかけて、蓋然性がもっとも高いと考えられる標準的な見通しを述べています。次に、3ページから始まる「リスク評価」の部分では、標準的な見通しに対する下振れ・上振れ双方のリスクを述べています。金融政策運営上は、標準的な見通しだけでなく、さまざまなリスクがどのように分布しているか、ということも十分勘案する必要があります。』

うんうん。

『その後に、参考として、「政策委員の見通し」を2種類掲載しています。ひとつは9名の政策委員が提出した見通しのうち、最大値と最小値を除いた幅で示した「大勢見通し」、もうひとつは、全委員の見通しをそのまま幅で示した「全委員の見通し」です。』

とここまではマクラ。

・展望レポート作成のプロセスについての説明(第1回だけに)

『(見通し作成のプロセス)』という小見出しに入ります。

『このような見通しの作成・発表方法については、いろいろなご意見やご質問を伺っています。この後、それにお答えするつもりですが、その前に、見通し計数を含む展望レポートが実際にどのように作られるのか、具体的に順を追ってご説明してみたいと思います。』

そういやこの時期にはこういう説明してたけど最近しなくなりましたな。

『只今申し述べたとおり、展望レポートは、年2回、4月と10月に開催される政策委員会の金融政策決定会合で決定されるのですが、ここでは、レポートを決定する決定会合の10日ほど前から話を始めることとします。』

ほうほう。

『まず、執行部から私たち政策委員に対し、先行きの見通しに関する報告が行われます。ここでは、その前に1ヵ月ほどかけて調査統計局が分析を重ねた将来の見通しと複数のリスク・シナリオが、検討材料として提出されます。』

うむ。

『ここから、9名の委員による作業が始まります。各委員は、毎月の決定会合における議論や日ごろの執行部とのディスカッションなども踏まえて、それぞれの経済観や先行きのイメージをそれなりに持っています。ここで、執行部から提出されたシナリオも参考にしつつ、各自のイメージを計数化する作業を行うわけです。その際、先行きの金融政策については、不変とすることを前提とします。それ以外の前提の置き方は、各委員に委ねられることになります。』

でもって、

『ここでは、調査統計局の持っているモデルや分析手段が最大限に活用されます。例えば、原油価格について独自の見通しを持っている委員は、その見通しに基づくモデル・シミュレーションを依頼し、スタッフと議論を重ねていくでしょう。あるいは、輸出の先行きを慎重にみている委員は、もし輸出がこの程度減速したら、経済全体の成長率や物価にどのような影響を与えるか、といった試算を依頼することになるでしょう。もちろん、この間、独自の手法で経済の先行きを試算する委員もいらっしゃると思います。その場合は、組み立ててみた需要項目の展望が相互に整合的なものになっているかどうか、モデルを使ってチェックすることもできます。』

ほうほう。このモデル云々の話は金曜にネタにしておりましたフィリップスカーブの話の中でも触れられていましたね。

『この間は、調査統計局は各委員からの発注を抱えて、大忙しだと思いますが、たいへん効率的に私たちのニーズに応えてくれます。また、金融市場局、国際局、信用機構室、考査局など他のセクションからの情報も、将来のリスクの所在やその大きさを考えるうえで、欠かせない材料です。』

ほうほう。

『こうして、各委員は、それぞれの1回目の見通し計数を作成し、執行部に提出します。これが、決定会合の3日くらい前です。』

はい。

『執行部は、この結果に基づいて、大勢見通しと全員の見通しの1回目の集計結果を作成し、委員にフィード・バックします。この結果も踏まえて、委員はさらに計数の詰めの作業を続け、はじめに出した見通しの変更を希望する委員は、決定会合の前日に2回目の計数の提出を行います。』

という間に、

『この間、企画室のスタッフは、私たち政策委員の議論や提出された見通し計数をベースに、展望レポートの原案をねることになります。』

ってなプロセスですが、最近こういう話を全然してくれなくなったので現在どうなのかは知らんですけど、基本はこういう話しなんですよ、というのは最近この手の話が碌すっぽ無いから再確認と聞いたことないかも知れん若い衆には良いかなと。

『さて、こうして、いよいよ決定会合の当日を迎えます。』

ほいな。

『決定会合では、2回目の集計結果が記入された展望レポートが配布され、これをもとに議論が行われます。』

ほう。

『議論は、主に、各政策委員が先行きのリスクとしてどのような点を重くみているかといったことや、展望レポートの記述内容などが中心になります。ひとしきり議論が行われた後、決定会合はいったん休憩します。ここで、当日の議論を踏まえて考え直した結果、もう一度見通し計数を変更したいという委員は、3回目の計数を提出します。この3回目の見通し計数が最終版となります。執行部は、この集計結果を決定会合に報告し、これが掲載された展望レポートが採決に付されることになるわけです。』

ということですな。


・でもって展望レポートに関する説明のまとめ部分が素晴らしい

でもって『(見通し計数の性格と位置づけ)』に進む。

『さて、以上、展望レポートと見通しの作成方法を詳しく述べたのは、こうしたプロセスを知って頂くことが、いくつかのご疑問にお答えするうえで有用ではないかと考えたからです。』

ほうほう。

『まず、見通しを出すのであれば、政策委員会として一本にまとめて決定すべきではないかといったご意見が聞かれます。しかし、それぞれの政策委員の経済や物価に対する見方は異なっていて当然です。例えば、先行きについて、3%成長を見通す委員と、ゼロ成長とみる委員がいたとします。その場合「政策委員会の見通し」は、例えば間をとって1.5%で決定しようというわけにはいきません。』

そらそうだ。

『そもそも、新しい日本銀行法の方法の意義は、経済や物価についてさまざまな見方を持つ委員が集まって十分議論したうえで、多数決で一つの政策を決めていくことにあるように思います。確かに、会議の構成メンバーの見方を幅で示すという方法は、日本では目新しいため、やや違和感がもたれるのかもしれません。今回日本銀行が採用した方法は、米国の連邦準備制度も採用しているやり方で、合議制による政策決定機関にとっては、もっともふさわしい方法のひとつといってよいと思います。』

今は慣れていると思いますが当時は確かにそんな議論も。

『また、政策委員ではなく、執行部による経済・物価見通しを出すべきではないかといったご意見もあります。しかし、経済情勢についての執行部の分析や判断は、あくまで、それぞれの政策委員が経済情勢を判断するうえで、行内の各セクションから提供される情報の一つに過ぎません。金融政策を決定する立場にある政策委員の見通しこそが、日本銀行の見通しであり、それを示していくことが、政策運営の透明性を高めるうえで意味のある方法です。』

と、ここから格調が高くなる。

『この点に関連して、政策委員は、いわゆる「経済予測」の専門家でない人もいるが、どのように見通しを作るのか、というご質問も頂きます。中には、予測の専門家でない委員達の見通しを寄せ集めても信頼できないなどという、同僚委員方の名誉を代表して、断固抗議したくなるような暴論さえみられます。』

ほう。

『この疑問に対するお答えは、先ほどのご説明で尽きていると思います。確かに、政策委員の構成は、経済学者やエコノミストだけではありません。経済予測を専門にしていたわけではない委員もいます。かくいう私はその最たるものです。しかし、毎月の決定会合における議論の積み重ねと執行部によるサポートを通じての作業は、私にとっても非常に有意義なものでした。この展望レポートと見通し計数は、まさに政策委員の知恵と執行部の情報収集・分析能力とを総動員した結果であるということをご理解頂きたいと思います。』

文字通りイイハナシダナー。

『最後に申し上げたいことは、見通しの数値は、日本銀行の見方をわかりやすくするための、工夫の一つに過ぎないということです。世の中の関心は、どうしても数値による見通しの公表という部分に集まりやすいかもしれません。しかし、本日繰り返し申し述べたように、むしろ大事なことは、数字の背後にある将来のリスクに対する評価であり、それに基づいた責任ある政策判断です。』

いやまさに仰る通りなのですがすっかり数値の方ばかりに注目が・・・・・・・・・

『そうした評価や政策決定の考え方を世の中に伝えていくための方法は、今回の新たな措置だけではありません。新日銀法以来、日本銀行は、さまざまな仕組みを講じてきました。金融政策決定会合の定例開催、金融経済月報の公表、決定会合の議事要旨の公表など、いろいろな仕組みがすでに用意されています。今回の措置は、これらと一体になって機能するように設計したつもりです。』

『例えば、リスク評価や見通しの数字と、実際の経済の展開とが違ってくることがあれば、それはなぜなのか、また、これに対してどのような政策対応をとればよいのかについて、その後の金融政策決定会合で議論されることになるでしょう。こうした議論の内容は、議事要旨などを通じて公表されることになります。金融政策の透明性は、こうした一連のプロセス全体を通じて確保されるものと考えています。』

という話だった筈なのにすっかり物価上昇のモメンタムは維持されているいや何でもありません・・・・・・・・・・

とまあそう言う事で20年たっても鑑賞にたえうる作品とかやっぱ当時の日銀って色々と真面目だったし、前半の物価の話(の方が本題だが)を見ても物凄く真摯に説明している(藤原さんのキャラもあるんでしょうが)なあと思う次第なので、まあいいからちょっと読んで味噌と思うのでありました。




2020/05/01

お題「寝起きじゃなくてもできるのに寝起きになったECBレビュー/GW必見のスタッフペーパー(日銀レビューなので簡潔)登場ですよ!!!」

全く持ってアレなGWが始まりますな、しかし百合子ちゃんは都官僚の振り付けに乗っている時は割と安心できる神輿なのだが自分の意思が前面にでてくるとだいたいアレなのは例の「排除します」で学習済みだと思うんですけどねえ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200430/k10012412831000.html
東京 小池知事と大阪 吉村知事 “9月入学”議論 賛成で一致
2020年4月30日 22時04分

『この中で小池知事は、学校の臨時休校が続いている中、入学時期や新学期の開始を9月に変更すべきだという議論について、「賛否両論あるが、こういう時期だからこそできることもある。日本の教育が世界スタンダードになるため、中身の濃い議論をスピーディーに行い、子どもの声も聞くことが必要だ」と述べました。』(上記URL先より)

まあこういう時だから出来るのは仰せの通りではあるんですが、それを前面に出してしまうと火事場泥棒の感が拭えないし、「この非常時だから」とか言って国家総動員法を成立させるような話しと通じますな、と言ってしまう統制が苦手なあたくしは前世がネコか何かですかね。あとそれから「世界スタンダード」とか妙な言葉使われると笑ってしまう。


〇寝起きじゃなくてもできるのだが早寝したのでやっぱり寝起きでECB

お前の事情はどうでも良いんじゃ!というツッコミについては謹んで陳謝申し上げまする(汗)。

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.mp200430~1eaa128265.en.html
Monetary policy decisions
30 April 2020

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following monetary policy decisions:』

ほいほい。

・TLTRO3の貸出適用金利を引き下げ、最優遇金利は25bp下がったので貫禄の▲1.00%

『(1) The conditions on the targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) have been further eased. Specifically, the Governing Council decided to reduce the interest rate on TLTRO III operations during the period from June 2020 to June 2021 to 50 basis points below the average interest rate on the Eurosystem’s main refinancing operations prevailing over the same period.』

TLTRO3の条件を緩和しますよということで、TLTRO3の貸付金利を「当該借入期間中に適用されるMRO平均金利(なので途中で変更があると変更後の期間分の利息はスライドで変更になるのですが、これは今に始まったことではなくてロンガータームのTLTROシリーズは全部これ)と同等、だったのを50bp下で実施しますよ」に変更しまっせという話で、期間は2020年6月から2021年6月までのオペレーション期間、なのですが、こういうのやる時に(さすがにこれを自分で応募する訳ではないので)細かく要綱とかをみないといかんのですが(なおECBのサイトは慣れないので探し物が難しい、と泣き言)、当該機関に実行する物件について貸出全期間適用なのか、既存のオペレーションも含めて、1年間低率適用なのかがいまいち良く分かっていないあたくし(汗)。

まあ日本のメディア的には「ECBが金融機関にマイナス金利貸出を拡大」ってなるんでしょうか。

『Moreover, for counterparties whose eligible net lending reaches the lending performance threshold, the interest rate over the period from June 2020 to June 2021 will now be 50 basis points below the average deposit facility rate prevailing over the same period.』

なお、TLTRO3の金利に関しては段階適用になっていて、貸出(と言っても政府向け貸し出しみたいな数字作っているのはダメで細かいのこれまた見てないけど主にSME(ECBは中小企業に関してSMEって言い方好きですので)向け貸し出しの前年比純増とかだと思うのですが、そういうスレッショルドがあって、それによって一番偉い金融機関には預金ファシリティよりも50bp低い金利を適用します、だそうな。

でもってこの優遇金利の水準ですが、これまでが預金ファシリティ▲25bpだったので、今回は25bpの利下げになっております。利下げというと話がややこしいのですが、要するにTLTRO3ってのは、あたまに「ターゲット」のTがありますように、特定の貸出を増やすとご褒美としてのマイナス金利貸出を下さるというお話になっていまして、預金ファシリティよりも低い水準でのマイナスで借りれるのならば預金ファシリティにブタ預金しても収益が残るってな話ではあるんですが、まあこれ自体は緩和措置は緩和措置何ですけれども、欧州に関しても今回の場合は資本制約のアベイラビリティとか、微妙にアレな貸出をどこまで行けるのかとか、そもそもロックダウンで自分らも仕事回らんとか、そういうのが問題なので、まあ利下げもしちゃったし箱も作っちゃったんで中央銀行がそれ以上やることあるの???という気はする(個人の感想です)、


・ペルトロって何だよペルトロって(ターゲットではないLTROでした)

『(2) A new series of non-targeted pandemic emergency longer-term refinancing operations (PELTROs) will be conducted to support liquidity conditions in the euro area financial system and contribute to preserving the smooth functioning of money markets by providing an effective liquidity backstop.』

「the smooth functioning of money markets by providing an effective liquidity backstop」の為にノンターゲッテッドパンデミックエマージェンシーロンガータームリファイナンスオペレーションを行うだそうですが、

『The PELTROs consist of seven additional refinancing operations commencing in May 2020 and maturing in a staggered sequence between July and September 2021 in line with the duration of the collateral easing measures. They will be carried out as fixed rate tender procedures with full allotment, with an interest rate that is 25 basis points below the average rate on the main refinancing operations prevailing over the life of each PELTRO.』

5月から7本実施して、エンドは2021年の7月から9月ってんですから、1年程度の貸出になるんですかね。でもってこの貸出に関しては申し込みに対しては全額実施しまして、ノンターゲットという位なので特に融資の実績云々とか何も関係なくて、普通のLTRO扱いなのですが、このペルトロちゃんの特色は「金利がMRO▲25bp」となっていることと、制度のエンド自体が現状行われているECBの適格担保緩和措置に合わせているので、要するに適格担保緩和されている分に関して低率(というかマイナス)融資しちゃるわ、という話になりますが、エンドの時にやっぱ延長となるかどうかは、延長しない場合のインパクトを見ながらという事になるのかね、良く分からん。何となくこれは「今回緩和されて適格担保落ちを免れたものはこっちにいらっしゃい」と言っているような気もするが。


・PAPPは特段変更は無いようで

『(3) Since the end of March, purchases have been conducted under the Governing Council’s new pandemic emergency purchase programme (PEPP), which has an overall envelope of ユーロ750 billion, to ease the overall monetary policy stance and to counter the severe risks to the monetary policy transmission mechanism and the outlook for the euro area posed by the coronavirus pandemic.』

ピコ太郎みたいな名前のAPPプログラムにつきまして・・・・・・・・・・

『These purchases will continue to be conducted in a flexible manner over time, across asset classes and among jurisdictions. The Governing Council will conduct net asset purchases under the PEPP until it judges that the coronavirus crisis phase is over, but in any case until the end of this year.』

フレキシブルに対応だのああだこうだと言っていますがこちらは今までの運用通りですな。


・APPも特段変更はないようで

『(4) Moreover, net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue at a monthly pace of ユーロ20 billion, together with the purchases under the additional ユーロ120 billion temporary envelope until the end of the year. The Governing Council continues to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates, and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』

APPに関しても従来通り。月に200億ユーロの買入と、年末までの特別拡大枠120億ユーロってのは同じ。APPのガイダンス文言についても同じで、「ECBが政策金利を引き上げるまでは買入を継続しますが、利上げをしたら買入を早期に終了します」。


・APPにおける既存買入の償還再投資についても同様

『(5) Reinvestments of the principal payments from maturing securities purchased under the APP will continue, in full, for an extended period of time past the date when the Governing Council starts raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

こちらも同様です。


・政策金利は変更なし、ガイダンス文言も変更はありません

『(6) The interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying inflation dynamics.』

ちなみにガイダンス文言にはコロナは紐ついておらず、2%物価目標に対する十分な自信ニキが利上げには必要、というのも同じです。

『Further details on the amendments made to the terms of TLTRO III and on the new PELTROs will be published in dedicated press releases this afternoon at 15:30 CET. The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 14:30 CET today.』

てなわけで、今回は資産買入系については変更を入れず、政策金利は変えなかったものの、TLTRO3の適用金利引き下げと、ペルトロとかいうけったいな大体1年ものと思われるLTRO(ってまあその後の1530欧州中央時間で出ていますな、なおCETと見てタイムゾーンじゃなくて自己資本の事を思い出してしまう方は金融脳に罹患しています注意しましょう)をぶっこんできた、でもって期間からしたら要はフォーリンエンジェル(っていうこの言葉、中立国に攻め込む行為を「保護占領」という位にアレなんだが)担保にしといてやる期間にバックファイナンスつけたるわ、というのが入ってきたという事で、綺麗な言い方をすれば、コロナ感染症に関連して追加融資だ何だと金融機関がやりやすくするために、金融機関向けミルク補給制度を拡充しましたって話で、これだとまあマクロ的には直接的にはあんまり関係ないって事ですな。もちろん間接的には金融機関の貸出行動を促進するから関係する、って話ではありますが。


〇ペルトロの内容ですが要するにお得な1年もの借入をご用意しましたって話で細かい縛りはない

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.pr200430_1~477f400e39.en.html
PRESS RELEASE
ECB announces new pandemic emergency longer-term refinancing operations
30 April 2020

『The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today decided to conduct a new series of seven additional longer-term refinancing operations, called pandemic emergency longer-term refinancing operations (PELTROs). These operations will provide liquidity support to the euro area financial system and contribute to preserving the smooth functioning of money markets by providing an effective backstop after the expiry of the bridge longer-term refinancing operations (LTROs) that have been conducted since March 2020. Counterparties participating in PELTROs will be able to benefit from the collateral easing measures in place until the end of September 2021 that were announced by the Governing Council on 7 and 23 April 2020. 』

先般ぶっこんだLTROのロールという意味もあるようですな。でもって説明はさっきの通りで、この期間として想定しているのは先般のECBによる適格担保基準の緩和の適用期間を念頭に置いています。


『The PELTROs will be conducted as fixed rate tender procedures with full allotment. The operations will be offered at highly accommodative terms. The interest rate will be 25 basis points below the average rate applied in the Eurosystem’s main refinancing operations (currently 0%) over the life of the respective PELTRO.』

これしかし毎度思うんだが「fixed rate tender procedures」は確かにそうなんだが適用レートが後決めなのに何がフィックスレートじゃという気もするんですが、まあそれはさておき適用レートは「期中のMRO金利から25bp低い」ってんだから担保があったら25bp貰いではあるんですけど、オーバーローンでファンディングの必要がある方だったら喜んで借りるでしょうが、金余ってまでは借りない(▲50の預金ファシリティ食らう)という気もする訳で。もちろん既存のオペ調達部分がこれに振り替わる(基本的に余計な要件は無しだから)という話になるんでしょうね。


『The PELTROs will be conducted according to the indicative calendar below. The first operation will be announced on 19 May, allotted on 20 May and settled on 21 May 2020.』

『The operations provide longer-term funding to counterparties with decreasing tenors, starting with a tenor of 16 months in the first operation and ending with a tenor of 8 months in the last operation.』

『The ECB stands ready to provide additional liquidity, if needed.』

必要ならばおかわりもあるでよ、だそうですが日程見ますと、アナウンスメント→アロットメント(フルアロット確定でそこに1日置く理由が謎だがそれはさておき)→スタート日→エンド日と続くので、めんどいから貸出期間の頭と足だけ引用すると、

1回目:Thursday, 21 May 2020→Thursday, 30 September 2021
2回目:Wednesday, 24 June 2020→Thursday, 30 September 2021
3回目:Thursday, 6 August 2020→Thursday, 30 September 2021
4回目:Thursday, 3 September 2020→Thursday, 26 August 2021
5回目:Thursday, 8 October 2020→Thursday, 26 August 2021
6回目:Thursday, 5 November 2020→Thursday, 29 July 2021
7回目:Thursday 3, December 2020→Thursday, 29 July 2021

後からの方が足が短いというオモシロ設計になっているのと、最初の3本全部9月末エンドとか足が無茶苦茶来たらどうするんでしょうとか思ったのだが、これはどうせこの足に向けて何か施策を打つことができるようにネタを準備しておいて、特に追加緩和がどうのこうのじゃなかったら単純にLTROかMROをぶっこんでお茶を濁すのでしょうかねえ、とか言う位にアタクシは捻ってしまう習性が。


なお会見ネタも当然あるのですが、時間と別ネタの為明日(は起きてやる気満々になれる自信はないのであれですが)以降連休のどこかで展望レポート全文とか色々なものを含めたり過去ログ整理したりしてステイホームとやらでもやって肩凝りと腰痛を悪化させておこうかと存じます。



〇フィリップスカーブに関するペーパー(しかも共同著者名に関根所長が)があるのでこれは読むべし

総裁会見とか展望レポート全文とか言っている場合ではありませんわよ奥様。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/rev20j03.htm/
フィリップス曲線と日本銀行
2020年4月30日
金融研究所 原尚子、小池良司、関根敏隆

もう題名からしてキタコレな上に、著者を見ますとそこに燦然と輝く関根所長のご尊名が!ということでまずは上記URL先の概要を見ましょう。

『現在、インフレ動向を分析、予測する際に欠かせない存在となっているフィリップス曲線が、日本銀行に導入されて半世紀近くの月日が経つ。それ以前、以後で、日本銀行の考える物価決定メカニズムはどのような変遷を遂げたのか。本稿では、日本銀行の歴史を紐解いて、(1)需給ギャップとインフレ予想を中心に物価の基調判断を行うという発想法はフィリップス曲線導入前からあったこと、ただ、(2)数多くのスタッフの試行錯誤の結果、現在標準的に用いられているフィリップス曲線の定式化に至ったのはそれほど過去のものではないこと、を明らかにする。』

これは面白そうとしか申し上げようがありません!総裁会見とか見てる場合ではない!!!!(おかしい)

・・・・・・・ということで本文である。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/data/rev20j03.pdf
フィリップス曲線と日本銀行
金融研究所 原尚子、小池良司、関根敏隆
2020-J-3
2020 年 4 月

・フィリップスカーブ序論というか黎明期というか

『はじめに 』から参ります。というかこれうっかりすると全文引用とかしそうな悪寒がするのでどこかで自制しないとアカンのですが、全文引用するまでもなく、序論の所で時間が無くなったので無問題(違)。

『中央銀行が、インフレ動向を分析、予測する際 に、フィリップス曲線は欠かすことのできない存在となっている。近年、フィリップス曲線の関係 は実用にたるほど安定的なものではないとして、 「フィリップス曲線はもう死んでしまったので はないか」との議論も多々聞かれる1。』

例として出すのがタルーロってのがまたお洒落。タルーロさん「Daniel K. Tarullo」で17年退任だから多分これはあのタルーロさんですよね。

『1 例えば、下記の論文を参照。 Tarullo, D. K., “Monetary Policy Without a Working Theory of Inflation,” Hutchins Center Working Paper, No. 33, 2017. Hooper, P., F. S. Mishkin and A. Sufi, “The Phillips Curve: Dead or Alive,” VOX, 2019. https://voxeu.org/article/phillips-curve-dead-or-alive. 』

『しかしながら、各国中央銀行の公表物では、日本銀行も含め、 物価決定のメカニズムについては、フィリップス曲線の考え方に基づく記述が中心になっている。』

ほう。

『フィリップス曲線が疑わしいと言っても、それに代わる有力な物価決定メカニズムが見つかっていない以上、フィリップス曲線のパラダイムから 移行することはできない、現状はそういったところにあるようにもみえる。 』

いきなりぶっこんでおりまして、これ今回コロナちゃんがあるから2%達成のモメンタムだの上昇するメカニズムだのの説明をどスルーできましたけど、通常だったらそういう話を相変わらず無理くり入れながらの展望レポートだった訳でして、その展望が出た直後にこれをぶっこんでくる関根さんの漢気に降参しました。

#なお今回の展望レポート全文でもフィリップス曲線の図表はございます。本文26ページの図表46になります

さて続き。

『このようにフィリップス曲線は、今でこそ欠か すことのできない存在となっているが、実は、そのような地位を確立したのは、それほど昔の話ではない。しかも、フィリップス曲線と一言で言っても、どのような定式化をするのか等、その考え方は変遷を遂げている。本稿では、日本銀行の歴史を紐解いて、フィリップス曲線はいつ日本銀行に根付いたのか、そうなる前には、日本銀行は物価決定メカニズムをどう考えていたのか、フィリップス曲線導入後、その考え方にどのような修正が加えられてきたのか、といったことを明らかに したい2。』

どう見てもワクワクしかしませんな。なお、ここの脚注がさらにチャーミングで、

『2 第二次大戦後から 1980 年代半ばまでの、日本銀行の物価決定メカニズムについての考えは、Wakatabe [2013]でもレビューされ ている。 Wakatabe, M., “Central Banking, Japanese Style: Economics and the Bank of Japan, 1945-1985,” History of Economic Thought and Policy, Vol.2013/1, Issue 1, pp. 141-160, 2013. 』

若田部副総裁の名前をしらっと出してくる辺りがチャーミング。


・日銀とフィリップスカーブの初期段階の話

『フィリップス曲線の導入 』というのに参ります。

『後にフィリップス曲線と呼ばれるようになる 失業率と名目賃金の上昇率の負の相関は(図表 1) アルバン・ウィリアム・フィリップスによって、 1958年に論文公表された3。』

ほほう。

『しかしながら、1926 年にはアービング・フィッシャーが、失業率と物価上昇率の負の相関について述べており、学説史的には、フィリップス曲線を発見したのはフィッシャーということになっている4。』

ほうほう。

『こうしたフィリップス曲線を日本のデータで推計しようという 試みは、1960 年代に渡部経彦、小野旭等による研究でみられている5。』

ということで・・・・・・・・・

『日本銀行が、その公表物で、フィリップス曲線と明示的に言及したのは、筆者たちの調べた限り、 1975 年の調査月報論文が最初になる6。1970 年代 に世界同時的に発生したインフレーションにつ いて論じた同論文では、図表 2 のようなフィリップス曲線の概念図を掲載し、物価上昇に伴い短期フィリップス曲線が上方シフトする結果、長期フィリップス曲線が垂直になることを指摘している。』

図表2はまあ見てちょ。

『1970 年頃には、ミルトン・フリードマンやエ ドモンド・フェルプスによって、右下がりのフィリップス曲線の関係は短期的にしか成り立たな いため、政策当局は当てにしてならないという批判がなされた7。1975 年の調査月報論文は、そうした当時の学界の見方を反映している。すなわち、 日本銀行とフィリップス曲線との正式な付き合いは、その有効性の否定から始まったことになる。』

うーんこれはオモロイ(極めて偏った個人の感想です^^)。


『しかしながら、失業率なり、需給関係なりが何らかのかたちで、名目賃金や物価の上昇率に影響を与えるという考え方自身は、フィリップス曲線とは呼ばずとも、それ以前から、日本銀行には根付いていた。』

そらそうですよね。

『例えば、1970 年の調査月報論文では、 図表 3 のように、需給関係を表す供給余力を横軸 に、また卸売物価の変化率を縦軸にとり、両者の 間に負の相関があることを述べている8。』

この図表3も必見。

『同様に、 1969 年には卸売物価上昇率の稼働率変化に対する弾性値が計算されている9。また、その当時開発されたマクロ計量経済モデルをみると、卸売物価が短観の製品需給判断 DI に依存する一方で、消費者物価は賃金を通じて労働需給(この場合、有効求人倍率)によって決定されるとモデル化されている10。』

ここの脚注8−10ですが、

『8 日本銀行、「最近の物価動向」、調査月報、1970 年 12 月.』
『9 日本銀行、「最近における物価上昇率をめぐる諸問題」、調査月報、1969 年 11 月.』
『10 日本銀行、「日本銀行計量経済モデル―その視点と構成―」、調 査月報、1972 年 9 月.
なお、日本銀行におけるマクロ計量経済モ デルの歴史については、BOX を参照。 』

となっていますので、過去の調査月報を見ましょうということですが、こちらに一覧があります。細かくまでは確認してませんが。
https://www.boj.or.jp/research/past_release/index.htm/
金融・経済情勢等に関する過去の資料

『これらは、広い意味では、フィリップス曲線を推計しているともみなせよう。』

さいですな。

『フィリップス曲線は当時標準的とされていたサムエルソンの経済学の教科書等で取り上げられていたこともあり11、日本銀行スタッフもその考え方を既に取り入れていたと思われる。』

ほっほー。

『その一方で、先述のように、その当時にはフィリップス曲線の有効性に対する懐疑が深まっていたのも事実である。フィリップス曲線に代わりうるアプローチとして、1984 年から 1988 年まで 金融研究所長を務めた鈴木淑夫は、「戦後の日本の経済分析では、生産や物価の変動が実体経済面の要因だけで動いているような分析が多いが、実際は通貨供給面からも強い影響を受けている。日本でも『通貨の再認識』が必要である。」と述べ ている12。』

マネタリーベースキタコレ!

『こうしたことに加え、欧米の中央銀行 がマネーを重視したこともあって、日本銀行は、1978年7〜9月期分から2006年1〜3月期分まで、 マネー・ストック(M2+CD)の予測値を公表するに至った。』

そういやあったけど市場でどスルーしておった気しかしない。

『しかしながら、1970 年代、1980 年代 の調査月報をみても、マネーで物価の先行きを予測するという分析は見当たらない。』

(;∀;)イイハナシダナー

『スタッフ見通しを作成する調査統計局の現場では、上述の広義のフィリップス曲線的な考え方が、引き続きベースになっていたものとみられる。』

そらそうですわな。


『因みに、2000 年の第 1 回展望レポート公表後の スピーチで、当時副総裁であった藤原作弥は、ス タッフ見通しを元に各政策委員がどのように見通しを作成しているのか、そのプロセスを述べている13。』

こちらの脚注が『13 藤原作弥、「『物価の安定』について考える」、中日懇話会にお ける講演、2000 年 11 月 8 日.』なんですが日銀のサイトで読めるじゃん!!
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2000/ko0011a.htm/
「物価の安定」について考える
2000年11月 8日・中日懇話会における日本銀行藤原副総裁講演
2000年11月 8日 日本銀行

ということでこれは後で読む(この時期は駄文書いてなかったのですよね)。

『ここでいうスタッフ見通しは、1948 年に 調査局(1981 年に統計局と合併し、調査統計局) に設立された内国調査課・産業貿易係(現在は経済調査課・景気動向グループ)が主に担当する情勢判断作業の一環として作成されてきた。そこでは、後掲の BOX で紹介するマクロ計量経済モデ ルとは異なり、様々な特殊要因も適宜勘案できる 段階的接近法というアプローチがとられてきた。』

ほうほう。

『消費者物価の予測に至る大きな流れは、1972 年の 調査月報論文で紹介されているフローチャート図でみると、製品需給から卸売物価が予測され、 その最終消費財価格と整合的なかたちで消費者 物価の財価格の予測を行い、賃金動向からサービ ス価格の予測を行うというものであった(図表 4) 14。』

図表4を見ますとどこぞの置物の置物マネタリーベース直線一気理論の図表を思い出しますが、こちらの図表4は風が吹けば桶屋が儲かる理論とは全く異なったものであることが読み取れると思いますので必見。

『このように、段階的接近法では、経済におけ る生産・需要・物価・賃金といった各変数の予測が整合的になるよう見通しが作成され、その時々 のスタッフの工夫が加えられながら進化している。』


・・・・・・ということで本文3ページの序論というかフィリップスカーブ黎明期のお話っぽいのが展開されておりますが、この次の小見出しが『フィリップス曲線の変遷 』となりますけれども、時間の関係で(こら)後は皆さん面白いと思う方ステイホームのお供に如何でしょうか?????


#なお面白いから頑張って連休中のネタにでもするが更新はいつやるとは明言しませんので(といって今までだとだいたい最終日かその前位に帳尻更新ってのが仕様です)念のため申し添えます(汗)