トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「200901」というような形式でつけていますので「URL+#日付(200901形式です)」で該当日の駄文に直リンできます)


2020/09/30

お題「オペ紙無風だが世間話でも/9月会合記事要旨:物価に関する熱量の低下が物凄く目立つんですが・・・・・・」

はて?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200929/k10012640481000.html
菅首相「北方領土問題先送りさせず終止符」日ロ首脳電話会談で
2020年9月29日 20時58分

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092900706&g=int
北方領土で軍事演習 首脳の電話会談に合わせロシア
2020年09月29日19時57分

という状況の中どうやって終止符を打つ積りなんでちゅ(銃声)。


〇オペ紙は無風ですかそうですか

・中長期国債は現状維持、ただし市中残存額の減少に伴い変国の買入は減額

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200929c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2020年10月)

よく考えたらあまりにも無風だったのとジャクソンホールでまさかのアレがあったので、先月分オペ紙の事を書いていなかったことに気が付くアタクシ(超大汗)。

0−1年:500-1500、月3回(変更なし)
1−3年:2500-6000、月6回(変更なし)
3−5年:2000-5000、月6回(変更なし)
5−10年:2500-6000、月5回(変更なし)
10−25年:500-2000、月2回(変更なし)
25−40年:0-500、月2回(変更なし)
物価連動国債:300、月2回(変更なし)
変動利付国債:500、隔月1回(1000→500に減額)

変動利付国債の減額に関しては残存する銘柄が減ってきたからというテクニカルな話でございます(と思いますが違ってたらゴメンよ、ここに政策意図は発生しないはずです)が、とか思うとあの変動利付国債とか何もかも皆懐かしい商品でございまして、一時何か魔法の商品みたいに言われていて急にニーズが増えてきたと思ったら「金利上昇の備えはどうなっている」とかいう問題意識(比喩的表現)によって更にニーズが高まってしまい、最後の最後にカボチャの馬車になってしまいましたが、シンデレラ物語じゃないので別に誰も幸せにはならないでひっそりと終了するのでした、という感じですな。

まあアレです、あの変国ってのは「市場のニーズがあるからといって調子に乗って増発するのは(特にCMTのような従来と違った物件の場合は)注意して掛からないと実は市場の方がリスク特性勘違いして本来あるべきではないニーズが起きてる場合がある」というオモシロ教訓を得た物件に不幸にもなってしまいましたが、別に国債だけじゃなくてもサブプライムローンをバックにしたABSとかも「高格付けなのにこの高利回りなプレーンバニラ!」とかだったりした訳でして、調子にのって残高増えた所でリスクがドカンと顕在化、ってのは金融市場の昔からの芸風ですよね、まあ詳しくはガルブレイス先生の本でも読んでちょ。

・・・・・・と全然違う話になってしまいましたが、まあ増額カードを切るのは次の増発とか、仮に当初予算で大増発しないとしたって、そもそも今年度補正で1年短国大増発という必殺先送りスキームを組んでいる分の長期化もしないといけないので(しなかったら国債発行がハムスター状態で必死にクルクル回さないと行けなくなるからマズいっしょ)どうせ長い所のカレンダーベース市中発行が増えるの必定でしょうから、まあそこまではカード切らないで温存じゃろうなと(個人の感想です)。


・CP社債のペースは変わらず

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200929a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2020年10月〜11月)

買入ペースは同じですな。何か3月以降も継続するリスク(もはやリスク呼ばわりしております)がありますのが実にアカンのですが、ちなみに3月末でターミネートされた場合、CPの方は元々そんなに長いの入らない筈だからおかわり分もバカスカ落ちるのであんまりナーバスになる必要はない(たぶん単純に買入のペースをコロナ前の額に戻すような感じにしていって、落ちが早すぎるときは少しペース調整するとかその程度でしょ)のですが、社債の場合、3−5年の方はおかわり分なのが明確だから良いとして、1−3年の方っておかわり分と通常分って言ったって分別されている訳ではないですから、管理的にはどうするんですかね。

と申しますのは、コロナ対応臨時措置が終了した場合、別に元の限度額まで日銀保有のCP社債の残高が償還で自然減になるまで新規の買入をしない、とかいうようなことはよーやらん(そのため微妙に逃げ文言を要綱に打っている)ので、概念的に言ってしまえば「臨時措置で追加購入したおかわり分に関しては事実上の別枠管理を行い、これはエクストラ分ですよって考えで、通常のペースで購入して行った分に対する償還再購入を行って残高は旧の通常ベース分の所で維持し、臨時措置分は自然に償還するのに任せます」って事になると思うのですが、そうは言いましてもコロナ前の平常ペースだと社債買入って1回750-1250とかそんな感じで、今1-3年で3000買っているので、特におかわり分が償還に掛かりだすとおかわり分と通常分の区別が無いから訳が分からんと言う事になりますわな、うんうん。

まあそれ以前の問題として、急に3000→1000とかにするのかも微妙なのですが(いや別に普通に減らせよとは思うけど)、社債の方はCPみたいにバカスカ足が来るわけでもないからめんどいですわな、などと思うのでした。


・ドルオペである

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200929b.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2020年10月〜12月)

よくよく考えたら6中銀のドルスワップ協定って1月のFOMCで年次更新しているんで、概念的に言えば来年のあんまり先の方まで日程を出すのって微妙なのかいなとか思いつつ、今回のこれを見ておりまするに、今のペース(3か月物オペが残るという形態)は年内まで存続ってのが握りになっておられるとかそういう理解で良いんですかね。

適用金利に関しても、まあいつ上げられてもおかしくない平和なドル調達市場環境にあるとは言え、これから3Mが年末越えになってきますし、大体からして米国も欧州もコロナちゃん全然収まっていない訳ですから、そらまあ適用金利の引き上げとかこんな所でぶっこんで来ることは無いとは思いますが、来年になった辺りからは要注意かなとは思いますけど、頼むから日本の期末越えの直前とかに変なのぶっこまないでくれ(日本以外は関係ないので平然とぶっこまれるリスクは無いとは言えない)と思うのでした。


〇9月決定会合主な意見:おや・・・・・ある委員のようすが・・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200917.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2020 年 9 月 16、17 日開催分)1

『T.金融経済情勢に関する意見』から参りますが、

・物価のパートがとうとう4意見まで減ったか

さて、2%の物価安定目標を高らかに掲げて金融政策運営をする日銀ちゃんですが、ここで主な意見の中での『(物価)』のパートを見ますと、元より今年に入ってからは物価への意見があるのが5件とか6件とかで、確か政策委員は9人いた筈なんですがどうなっているでちゅかねえ、とか思いながら鑑賞していた訳ですが、今回の主な意見では遂に『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』のパートが4つとなってしまいまして、政策委員の皆様のうち過半数が「物価情勢に関する見解をわざわざ先行して公表するに及ばず」という見解になりました、という大変に素敵な情勢になっておりまして、そんな状況の中で「FRBはワシが育てた」とかお前は何を言っているんだと小一時間。

では鑑賞しますと、

『・消費者物価の前年比は、当面、感染症の影響などからマイナスで推移するとみられるが、その後は、景気が改善していくもとで、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』

はいはい大本営大本営。

『・物価は、当面、前年比マイナスで推移するとみているが、今のところ、値下げで顧客を囲い込むデフレ的な価格設定が広範化しているようには見られない。』

ちょっとちょっと待ってよお兄さん(またはお姉さん)、日銀ちゃん集計の基調的な物価の参考になる資料ちゃん見たら着々と「上昇品目」−「下落品目」のギャップが縮小していて、しかもそれが下落品目比率の高まりから来ているじゃん何見てるのよ。

・・・・・というかですね、GoToキャンペーンでのCPI下押しに始まり、携帯電話料金下げるだの、元々その傾向があったんですが、ガースー総理になってから益々デフレ政策傾向が進んでいる訳でございまして、まあ上記の意見が7月会合に出ている(議事要旨にもありましたよね)分にはまあ別にそこまで目くじら立てるつもりはないのですが、9月会合になってもこの認識というかただの大本営発表だと思いますが、そういうのぶっこんで来るのってねえねえ書いてて空しくならない???って申し上げたくなりますにゃ。

『・構造改革や規制改革の機運は高まっている。改革を通じて社会が変わることで、成長への期待が高まり、慣行や消費・投資行動が変わり、物価上昇率も高まっていくとみられる。』

もはやただの精神論になっております。

『・消費者物価は、当面、はっきりとしたマイナスになると見込まれる中、更なる悪材料が重なれば、家計や企業のコンフィデンスが一段と損なわれることが懸念され、モメンタム再興のタイミングにも影響し得る。』

やっと普通の見方が出ましたがアカン先行きの話でした(そらそうだ)。

さてところで今回のこの部分。その意見の件数の少なさもさることながら、今回結構「はあああああ??」と思ったのはその内容がご覧のようにスッカスカになってしまったことなんですよ。

つまりですね、例えば前回7月会合の主な意見ですと、物価に関する意見が6本あるのですが、うち3本がこういう物件になっていまして、

『・感染症の物価に及ぼす影響については、企業の価格設定行動や予想インフレ率の動向など、やや長い目でみた二次的な影響も含め、慎重に点検していく必要がある。

・ 感染症の影響による需給の変調が物価の帰趨にどう影響するかは、上下両方向あるうえ、わが国固有の不確実性もあり、見極め難い。従来以上に予想物価上昇率などの形成メカニズムを丁寧にみていく必要がある。

・ 感染症に伴う経済ショックは負の需要ショックの面が大きいとみられる。経済の回復ペースが緩慢である見通しのもとで、需給ギャップの改善も緩慢と見込まれる。予想物価上昇率は、短期予想の低下が中長期に波及する兆候がある。こうしたことから、物価には、当面、下押し圧力が掛かりやすい。』(この部分のみ7月会合の「主な意見」より引用しています)

ってな感じで、もうちょっとこう物価形成のメカニズムに関する意見が色々と出ていたわけですよ。然るに今回の物価のパートって見ればわかるように希望的観測の大本営発表と謎の精神論と来ておりまして、遂に物価形成のメカニズムの話まで無くなってしまったのかよオイお前ら大丈夫かという世界。

これ即ち安倍ちゃん内閣がさようならとなってしまいまして(この会合時点では首班指名終わって閣僚まで概ね見えていましたが、その前からガースーで鉄板という評価でしたね)、急に物価目標2%に対する熱度が下がったんでしょうか、などとツッコみたくなるお話でして、いやまあできもしない目標出すくらいだったら「当面の目途を1%としてその後徐々に2%に向けて上昇していくような経済物価情勢を目指すので1%達成したから緩和止める訳ではないよ」位にしておいた方がまだましなんじゃないでしょうか、ってそれは白川さんだから黒ちゃんにはできませんですかそうですか、というようなお話になってきてるのかと思うと胸がドキドキ(不整脈ではない)してしまいますね!!!!!!!!!

まあムネドキは良いんですけど、そうなると黒ちゃんの政策は何だったんだという話になるから、正面切ってそんなことを言わせようもんなら黒ちゃんがその場で吐血して倒れる(三国志演義的に)世界になるでしょうけど、でも主な意見でのこの物価に対する熱量の大幅低下というのは実にこう気になるところではありますな。


・おや・・・・・・あるしんぎいいんのようすが・・・・・・・・

という物価の熱量部分の他に今回の見どころはこちら。いつもの『U.金融政策運営に関する意見』のケツから5番目の意見。

『・大規模金融緩和政策は、生産年齢人口が減少する中でも雇用者数や所得を増加させ、貧困者数も減らした。世界標準である「物価安定の目標」2%を掲げて主要中央銀行と政策スタンスを揃えた。さらに政府との連携・協調は極めて重要であり、経済危機の時には特にそうである。こうした成果と教訓を踏まえて、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について検討を深めるべきである。』

「雇用者数が増えた」とか言い出す辺りでニヤニヤして読み進めたらあのパワーワード来ました。

>世界標準である「物価安定の目標」2%

世界標準キタコレ!!!!!!!!!!

・・・・・・・・ということで、某ジンバブエ先生が去られた後、どうもこうアレな意見が中々見られなくておもんないわ〜とか言いながらも野良日銀ヲチャーの名(そんなものは無い)にかけて日銀様の発出されるドキュメントをチェックしておった訳ですが、「世界標準」のパワーワードを見てこれはジンバブエ先生の生霊がどなたかに憑依されたのではないか、ともう俺様大歓喜(何かがおかしい)の巻ですよ〜オラワクワクして来ただ!!!!!!!!

一応推測すると、片岡さんって「世界標準の」とかそういう誇大表現はしないタイプと見受けられますし、安達さんはまだキャラ出していませんけど、同様にこういう誇大表現するタイプとは思われない(というのは個人の意見です)のと、大体からして片岡さんに助け舟出さない(と見られる、少なくとも票決等において)辺りでこういう隙ありみたいなの出さんじゃろ、と思うので、そうなると残りは1名となりますな。


・あとちょっとだけ気になるのは・・・・・・・・・

という辺りが今回の見どころなのですが、まあちょっと気になるのは同じく金融政策に関する意見のパートで、

『・今後、感染症の抑制と経済活動の両立といった、ウィズ・コロナという新たな視点から、金融政策のあり方を議論していく必要性が生じる可能性がある。』

『・ 経済情勢が大きく変化する中で「物価安定の目標」達成への道筋が見えなくなっている状況を踏まえ、目標達成に向けた戦略について改めて総合的に検討することが必要ではないか。』

ってのがしらっと入っていて、鈴木さんあたりが見直しだーと言い出すのは順当かも知れませんが、少なくとも2名がこういう話をしているうえに、後者の意見なんて思いっきりさっきの「物価に対する熱量の低下」に呼応した表現になっていまして、まあここは少し気になりますけど、どこからどう見ても黒ちゃんの面目玉があるから見直すって言ったってどうせ過去の政策全部正当化して長期戦覚悟の大本営作戦会議みたいになって、気が付けばマリアナ列島陥落してるのに戦争継続して一気に焼け野原化が進行とかになるんでしょうけど、まあ本気で見直すんだったらそらまあ評価して進ぜるわwwwww

とまあそんな所でございまして今朝は米国ネタ続き無しですサーセン。




2020/09/29

お題「大阪金懇での黒田総裁会見を改めて鑑賞/ボストン連銀ローゼングレン総裁の景気見通しと貸出プログラムに関して(ちょっとだけ)」

まあまあそれはそれは。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200929/k10012639031000.html
NTTがドコモの完全子会社化の方針固める すべての株式取得へ
2020年9月29日 4時05分

『NTTは、携帯電話事業を手がけるNTTドコモのすべての株式を取得して、完全子会社にする方針を固めました。一般株主などからTOB=株式の公開買い付けによって取得する方向で、買収総額は4兆円規模にのぼるとみられます。』(上記URL先より)

社債で来るのかハイブリッドみたいなの出してくるのか、とそっちを考えてしまうのが円債村民。全部合併して電電公社に戻したら次は鉄道事業者も全部合併して国鉄の復活とか言い出すのは昭和回顧厨(違)。

#三公社五現業を社会科の授業で覚えさせられた昭和人ですが何か?


〇そういやすっかり飛ばしていましたが大阪講演(リモート)の時の黒ちゃん会見をちょっとだけ

正直大した話というわけでもないのですが一応。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200924a.pdf
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2020年9月23日(水)
午後4時30分から約30分(大阪市・東京間オンライン開催)


・もうちょっと金融政策に関連する質問をしてくれ

いつものことですが最初は「今日の講演と懇談会はどうでしたか」という質問で、実際は冒頭説明みたいなのが最初に入る記者会見なのですが、その次に果敢に先頭打者を務めた質問がこれなんですがちょっと落ち着けと。

『(問) 今、東京で吉村大阪府知事と松井大阪市長が日本記者クラブで会見をしていまして、日本の発展のためには二つの推進のロケットが必要であると。それで、「大阪都構想」についての必要性というのを東京で訴えているのですけれども、経済発展のために、そういう「大阪都」といったものは必要だというふうに感じますか。』

ちょwwwwwwwwwww何というオーサカクオリティという感じですが、せめて地域活性化の為に何かとかその手の話を絡めてくれよと思いますが、まあさすがに日銀の事務方もこれは聞かれるだろうと思って想定問答を用意していると思うのでそれを鑑賞しましょう。

しかしまあ何ですな、二つの推進のロケットが必要とのことですが、必要なのかいなというのは兎も角としましても、大阪ではなくても(内務省検閲により削除されました)がね。

『(答) 私自身は、具体的にこの「大阪都構想」について、詳しく研究したことはないのですが、各地方公共団体というのは、明治、大正、昭和、平成、そして令和と、長い歴史を持っており、それぞれのそうした歴史の中で、地域社会ができ、その地域社会を運営するといいますか、公共財を供給する県や市があり、でき上がっているということだと思います。』

地域の特性はそうかも知れんが地方自治制度は明治政府がぶっこんだものに民選の首長を入れ込んだ物件のような気がするんだがまあ詳しくないのでパス。

『ですから、そうしたことを私個人は比較的尊重していく考えですが、他方で、特に大阪の場合は、東京都の都区部と同様に、大阪市という圧倒的な経済あるいは住民の集中があります。』

大阪には詳しくないのでよー知らんのだが、東京とは成立過程が違う気がするんですけど。

『そうした場合、東京都がやっているように、「大阪都」という形で、都道府県と市町村の機能を両方合わせた形で地方競争を行うというのも、一つの考え方です。』

なんか謎の「地方競争」ですな。

『東京都がそうであるように、「大阪都」も、そういう意味では可能性はあるとは思います。私は、比較的、保守的なせいか、明治、大正、昭和、平成、令和と続く県と市町村の関係、そこには歴史と、文化とまで言うかは別として、そういうものがあるので、特に私自身、大阪に住んでいるわけではありませんので、あまり断定的なことは、申し上げかねると思っています。』

まあ結論は「知らんがな」ということのようですね。それ以外言いようがないですわな。せめて大阪勤務経験者じゃないと。


・企業支援特別プログラムのノーズロ延長懸念、あるいはだから大宣伝するなよという話

こんな質疑が。

『(問) 日銀の講じた、新型コロナ対応の企業支援の「特別プログラム」についてお伺いします。先ほどの企業経営者の方との懇談でもこの「特別プログラム」について資金繰りが助かっていると評価するような声があり、また 2021 年3 月となっているこの期限については、「延長も」ということで要望も出されたと思います。黒田総裁自身、現時点でこの延長の必要性をどのようにお考えかということと、仮に今後の判断ということなのであれば、時間軸としてはいつにかけてその判断をしていくことになるのでしょうか。』

これね、特別プログラムって言ったって単なる共通担保貸出の部分って「これが無くなるから貸出を行わない」というようなものではない筈なんですよ本来は。だって日本の金融機関ってオーバーローンで市場調達しないといけないような状態(20世紀の都市銀行など)ではないのですからして、本質的に市場調達不要という中ですと、日銀から低利で借りれるというのが別に命綱になるような話しでも無いので、まあこの新コロが無くなったからと言って本来は急に貸出態度がジャガーチェンジするような話しじゃない筈なのよ。銀行からしてみたら信用保証協会の保証などの政府系の保証なり協調融資なりが続く続かないの方が与信先の信用力補完の意味で重要。

ではあるのですが、まあ信用コストが上昇してきてちょっと貸出態度も再検討、とかいう話になって来ますと、日銀の新コロ対応特別プログラムという一時的措置が外れるのを良い言い訳に使って、「日銀の企業支援特別プログラムが終了しましたので、誠に申し訳ございませんが、そのプログラムを元に対応しておりました部分に関しましては甚だ恐縮ですが条件をやや厳しくさせていただかざるを得ません」とか何とか言い出せるんですよねこれがまた。

・・・・・・というか、先般来どうも日銀サイドからの発言(リモート金懇での会見など)から、この企業支援プログラムの絶賛ネタが会見に出ていまして、これ物凄く意地悪かつ捻くれた読み筋を入れますと、金融機関的には日銀の措置を鉦や太鼓で打ち鳴らして大絶賛ヨイショ攻撃をすることによって、逆に日銀が引いた時には日銀のせいにして貸出態度を厳しく(というか元に戻すという方が正しいと思うのだが)するような可能性ってのもあるのかね、とか何とかつまらん妄想が色々と出てくる所。

てなことからも、日銀が大宣伝するの何なの??とは思うのよね。本来は補正予算でぶっこんだ信用保証枠とか政府系金融機関の貸出枠とかそっちの方が大活躍している筈なのに、なぜか日銀がシャシャリ出てきて企業金融支援はワシが育てた状態だし、予算の方は何故かGoToなんちゃらとかの話ばっかりクローズアップしてるし、どういうバランスになってるんだよって思うの。


ま、先日も申し上げましたが、新コロオペだけだったら単なる対金融機関リコースローンなので、この新コロオペそのものは、オペ参加先にのみ10bp付利のメリットが飛んでくるという点でうーんこのというのはありますが、そらまあこの間非金融機関向けの融資を頑張って実行されているという点で報奨されるんだったらそれもまた政策、とは思いますので別にこっちの延長は最悪行ってもそんなに害は大きくない・・・・・のかな??とは思います。

然るに、社債買入CP買入に関しては、これノーズロで延々と延長していきますと、当たり前ですが、将来的に何かあった時に日銀の財務からの財政ヒットになりますし(もちろんそれ言い出したら保証協会の保証で求償確定になったら同じことですけどね)、さらには思いっきり市場をゆがめるというか、日銀が強力にサポートするから社債は買えるぜヒャッハーって話が更に凶悪化するので、それは運用がどうこういう以前に、資源の適正配分を妨げる話に繋がるのでマジ勘弁、とは思います。

などと黒ちゃんの答えを見ずにアタクシの愚意見を垂れ流しましたが(すいませんすいません反省してます)黒ちゃんのお答え。


『(答) 先ほどの懇談会でも申し上げた通り、日本銀行は、この新型コロナ感染拡大に伴って三本柱で対応していますが、そのうちの非常に重要な一つの柱が、資金繰り支援の「特別プログラム」です。』

キタコレ。

『これは、CP・社債等の増額買入れと、新型コロナ対応特別オペから成る「特別プログラム」であり、感染症の影響を受けた企業等の資金繰りを支援するための措置です。』

oh・・・・・・・・・・どうもCP社債買入(の増額分)と新コロオペがセットになっているようですナムナムナム。

『このプログラムは、今のところ 2021 年 3 月末までの時限的な措置としていますが、当然、今後の感染症の影響などを踏まえて、資金繰り支援の観点から必要と判断すれば、期限を延長するということも十分あり得ると考えています。当然のことながら、3 月末ぎりぎりまで待つということではなく、それより適切な期間前に、延長するということであれば、延長を決定することになると思います。』

どう見ても延長する気満々ですが、企業金融特別支援プログラムが延長されるような非常事態なのに東京オリンピック開催するんですかねえとか、そっちの方は知らんがなですかそうですか、などと言いましても負け犬のオーボエ。日銀ちゃんとしては追加緩和をするような手段がもうない(政策をスクラッチで全面組み換えするという禁断の奥の手はあるが今の体制では無理)し、マイナス深堀とか従来の延長での追加緩和も限界的な効果と弊害を考えたら逆噴射政策になってしまい兼ねませんから、そらまあ追加緩和しない代わりに企業金融特別支援プログラム延長して「やってる感アピール」をしたくなるでしょうなあ、という予想はしています。べき論からしたらやってる感アピールでこんなの延長するなよせめてリスク性資産の買入増額時限措置は終了しやがれよ、とは思いますが、どうせリスク性資産の価格形成がおかしくなってどうのこうの何てのは超事後的にしか分からないから知らんぷりをするのが黒田日銀クオリティ。


・CPIについて当然聞かれる筈なのに想定問答の作りが雑にも程がある件について

そら質問されるわな。

『(問) 物価についてお伺いしますが、8 月の生鮮食品除く消費者物価が、前年比−0.4%となりました。この数字というのは、日銀の想定の範囲内なのでしょうか。あるいは、予想以上にデフレ圧力が高まっているとみていらっしゃるのでしょうか。ご見解をお伺いできればと思います。』

確かこの数字出た時に「GOTOキャンペーン絡みも含めて宿泊関連が盛大に下がってそれだけで寄与度がマイナス0.4ポイント」みたいな特殊要因と、エネルギー要因がですよというような解説を聞いた気がするんですけれども、まあそういう説明でも淡々としておけば良いと思うのですが黒ちゃんの回答は意外にもかなりの雑なクオリティになっています。

『(答) 何が想定内で、何が想定外かは言いにくいところですが、基本的に、四半期に 1 回の展望レポート、それから、年に 8 回ある金融政策決定会合で毎回、公表文を示しており、そうした展望レポート、あるいは、公表文で示されている考え方に沿って展開しているとはみています。すなわち、現下の物価の動向は欧米も似たようなことですが、一方でコロナ感染症の影響、他方で既往の原油価格の下落といった影響を受けて、マイナスになっているとみています。いずれにしても、当面マイナスが出てくると思いますが、従来から申し上げている通り、本年後半から世界経済も回復し、日本経済も徐々に回復していく中で、次第に物価上昇率もマイナスからプラスに転じて、徐々に上昇していくとみています。』

政府の国内旅行キャンペーンによる特殊要因があって、もともとエネルギー要因というワンオフの要因があって、というようなクリアな説明をさらっとしておけば別に問題無いと思うのですが、なんかウダウダと展望レポートにオントラックという説明をメインで行っていまして、いや特殊要因で大きく押し下げたものはあるけれどもこれは持続的なものじゃないからデフレ圧力と判断するのは時期尚早、みたいな話に持って行かないのが実に怪しい、と野良日銀ヲチャー的には思ってしまうのよ。

まあ以下勝手に妄想を逞しくしますと、そもそもCPIについての興味が政策委員会内部でもすっかり薄れている(だってどうせ2%行かないんですもん黒ちゃんの任期中に)ので、細かい想定問答を作るのをうっかりしていたドジっ子パターンというのが想定されまして、まあそれならそれで(物価目標2%で置物緩和を実施したのに忘れるとは何事じゃヴォケというのはさて置きますと)いやーん事務方テラドジっ子ちゃ〜ん、って話で済むのですが、そうではなくて物価の話は突っ込まれると色々とマズーであって、有効な追加緩和手段もないのに物価が元の木阿弥筒井順慶状態になっておられるという所で2%物価目標達成と絡められると宜しくない、つまり物価のアガランチ会長が益々本格化するリスクをかなり見ているので、雉も鳴かずば撃たれまいということでダンマリを決め込んでいる、という事だと致しますとまあとりあえず置物ちょっとそこへ直れという感じになりますので、これはこれで日銀マズー。

と、物凄く妄想成分が高いのですけれども、まあ8月全国CPIの話を振られて特殊要因ネタを入れてこないというのは実に怪しさ抜群だな、とアタクシの勘は話しかけてくれるのですが、幻聴だったらゴメンナチャイ。


・FRBはワシが育てた

講演でもあった件の質疑でもみてやろうじゃないの。

『(問) 挨拶の中で、FRBの新しい戦略、平均インフレ目標について言及されて、日銀のこれまでのやってきたことと軌を一にするものとお話をされました。挨拶の中で、このFRBの新しい戦略について言及された意図について伺いたいのですけれども、足許為替マーケットでややドル安に動いていまして、そのドル安をけん制するというか、日銀とFRBで方向感、政策の方向感が一緒だということを強調されたくて仰ったのか、その辺をお聞かせください。』

ちょwww為替の質問にすんなよツマンネ。

『(答) FRBの金融政策の枠組みレビュー、これはかなり時間をかけてされておられて、それが公表され世界的に議論になり、記者の方からも色々な質問が出ていましたので、前の金融政策決定会合後の記者会見でも申し上げましたし、今回の懇談会でも申し上げました。そこで、端的に申し上げますと、FRBは、「時間を通じて平均して 2%」を目指すということをかなり明快に言っておられて、「インフレ率が 2%に達したうえで、当面の間、2%を適度に上回る軌道に乗るまで」政策金利を据え置くフォワードガイダンスについても、今回仰いました。ですから、平均的なインフレ目標と具体的な金利のフォワードガイダンスについても仰ったわけです。』

で?

『これに対して、日本銀行の場合は、「オーバーシュート型コミットメント」を採用しており、従来から、インフレ率が景気の変動などを均してみて、平均的に 2%になることを目指していますので、』

そもそもそんなバランスアプローチじゃなくて「何が何でも2%を達成する」じゃなかったでしたっけ?????

『今回のFRBの基本的な枠組みレビューの考え方と、日本銀行のこれまでの政策面の考え方とは軌を一にしていると思っています。』

どう見ても抱き着かれたFRBが迷惑ですいい加減にしてください。というかFEDのオーバーザサイクルで2%って話はごくごく普通の中央銀行のインフレ目標の枠組みが最初からそうであって、金融政策が実体経済に波及するタイムラグ考えたら、どこの世界にCPI2%にガチガチにはめ込むような金融政策運営するアホたれさんがいるのかと小一時間問い詰めたい。

『更に、日本銀行の政策金利のフォワードガイダンスは、「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」というもので、これは緩和方向を意識しながら金融緩和を継続するという政策スタンスを明確にしたものです。いずれにせよ、先ほどの懇談会でも申し上げた通り、日本銀行としては、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる方針に、全く変わりはありません。』

ちなみにこの最後の文言ですが、コロナ前と後ではしらっと文言変更が行われているのは4月展望の時に申しあげたとおりですが再度確認しますと、

『今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。特に、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいもとで、先行き、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる(注2)。』(2020年1月金融政策決定会合声明文項番2より引用)

ということで、「モメンタムを維持する」「モメンタムが損なわれる惧れが高まる場合」などという発動条件(ただしモメンタムというのがフワフワしてますけど)があったのですが、コロナでモメンタムとか言ってられなくなったので開き直って「必要があれば」という言い方に変更しやがっている訳ですな。

『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』(2020年9月金融政策決定会合声明文項番5より引用)

でもさ、よく考えたらというか、考えるまでも無いのですが「必要になったら必要な措置を実施します」ってそれ当たり前の話してるだけじゃんというお話でして、どう見ても言うだけ番長(どころか言ってもいない)です本当にありがとうございましたという感じではありますな、などと思うのでした。

つーかまあ昨日までネタにした議事要旨もそうなんですが、最近何かもう全部コロナのせいにしてるし、政策もコロナを使って全部コロナ対策とか言い出すし、説明が雑になっているようにしか見えないんですけど・・・・・・・


〇しまったいつものことだが時間が無い(ローゼングレンの講演をネタにするつもりが・・・・・・・)

先入先出法をつかって(違う)最近のFED高官発言の中から面白めのを拾って回る企画(量が多くて対応できないまま時間が経過してしまったと思っている、などと言ってはいけません)でさっきの黒ちゃんの会見はマクラの筈だったのについうっかりいつもの悪態を書いてしまいましたすいませんすいませんすいません。

https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2020/the-economys-outlook-challenges-and-way-forward.aspx
The Economy’s Outlook, Challenges, and Way Forward
By Eric S. Rosengren
September 23, 2020

本文はこちらになります(今日はパス)
https://www.bostonfed.org/-/media/Documents/Speeches/PDF/20200923-text.pdf


ボストン連銀の場合はいつものことですが、総裁講演とかだと最初に「今回の要点」というのがHTML版で出ていて、そっちを見れば大体話の筋がつかめる、という親切仕様になっています。ということで以下HTMLバージョンの方から引用します。

『Key takeaways from Boston Fed President Eric Rosengren’s Sept. 23 remarks』

てな訳で7つあって、本当はここを細かく見ようかと思ったのですが時間がマジでないので(ワイ無計画にも程がある)、最初のと最後のだけちょっと。

『Takeaway: Rosengren’s forecast for the economy is less optimistic than his peers for several reasons, including a concern that a second wave of COVID-19 infections this fall and winter is likely. This could cause some states to impose new restrictions on mobility and sap the willingness of consumers to spend and invest.』

基本的にタカ派系のローゼングレン総裁ですが、どうも先行きの米国経済に関してはコロナちゃんの再拡大がこの秋から冬にかけてやってくるリスクなども勘案すると、若干先行きには悲観成分が入っている、ということで、まあ別に今この時点で政策調整とかどう見ても無いから目先は関係ないですが、ローゼングレン総裁がコロナ再拡大懸念、ということですので、まあFED方面から(この前のエバンスはやっちまいやがった感がありましたが)先行き楽観視しているのでいずれはノーマルに、みたいな感じで無邪気に地雷を踏み抜きに行くことはなさそうだな、と思いました(個人の感想です)。

でもって最後はMSLF(ボストン連銀が事務取扱)に関して。

『Takeaway: The Fed’s Main Street Lending Program can play an important role in the recovery by providing “bridge loans” to support firms that were profitable before the pandemic and expect to be profitable following it. Bridge loans can be scarce during crises for small- and medium-sized firms, and the Fed’s program enables banks to help communities avoid layoffs and bankruptcies by keeping credit flowing to local markets.』

MSLFの機能は企業に向けた「ブリッジローン」であり、その企業というのは何を指すかというと、「firms that were profitable before the pandemic and expect to be profitable following it.」ということで、そもそもがコロナの前から赤字垂れ流しみたいな所のお助けを企図している訳ではない(とは言ってないが裏を返せばそういうことですわな)ってのをきっちりと言っていまして、まあ要はバジョット・ルールの世界ということになる訳でござりまする。現実問題としてそこをクリアカットに切り分けることができるか、というと当然ながら色々とハードルはあるのですが、少なくとも理念的にはこの「あくまでもバックストップ」「バジョット・ルールの考え方に沿った建付」という姿勢を示し続けている訳でして、中央銀行が強力サポートしているから味噌も糞もクレジットスプレッド縮小だぜヒャッハー!というのとは本来は違うっつー話ですが、まあ金融市場の片隅の人と致しましては、マーケットトーク的にはヒャッハーモードになりやすいというのはこれまたアリエールというか普通に発生することで、さてこのバランスをどう取りに行くのか、というのは情報発信含め注目したいですな。

#てな所でご勘弁在りたく(汗)





2020/09/28

お題「7月決定会合議事要旨の続きだが政策の話がぐぬぬという感じで/カシュカリ総裁は何で「物価紐付けFG」を提案したのかというご本人の説明から」

ぐぬぬ・・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092700284&g=int
係争地で大規模戦闘、複数の死者 アルメニアとアゼルバイジャン
2020年09月28日00時31分

〇遅ればせながらばっかりですが7月会合議事要旨の続き

まずは金曜の続き。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200715.pdf

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から参ります。

・金融政策運営の話だが最近すっかり過去の措置まで全部コロナ対策にするのが定着していますな

『金融政策の基本的な運営スタンスについて、大方の委員は、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A円貨・外貨の上限を設けない潤沢な供給、BETFなどの積極的な買入れ、の「3つの柱」に基づく金融緩和措置は所期の効果を発揮しており、引き続き、この「3つの柱」により、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが適当であるとの認識を共有した。』

だそうなんだが、

『ある委員は、その理由として、当面、景気の改善が緩やかなもとで資金繰りにはストレスがかかり続けるとみられるほか、金融市場の神経質な地合いも続くとみられることを強調した。複数の委員は、当面、「3つの柱」による対応の政策効果を丁寧かつ慎重に点検していくことが重要であると指摘した。』

えーっとすいません、元々長期国債買入ってのは2年で2%を達成するためにぶっこんでいて、そもそもコロナが無かりせばその建付けだったと思うのですが、いつのまにか「企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持」になっているんでしょうか。というか大体からして国債買入とかETF買入とかJ−REITの買入のどこがどう金融市場の安定維持なのかという話にしたって、じゃあ金融市場の安定とは何ぞやという話になるんですけど。

・・・・・・・・と思ったらいつのまにやら物凄い理屈が展開されているんですがこの政策委員会、ということで直後の記述を見ると割と腰が砕けるので鑑賞してみましょう。

『このうち、一人の委員は、金融政策面の当面の最優先課題は、引き続き企業の資金繰り支援により、事業や雇用の維持に資することであると述べた。もう一人の委員は、物価には短期的には低下圧力が強まるとみられるものの、現時点では中長期的な予想物価上昇率は概ね維持されており、2%の「物価安定の目標」に向けた政策対応は、感染症の影響の収束がみえてきた段階で検討することが適切であるとの見方を示した。』

>2%の「物価安定の目標」に向けた政策対応は、感染症の影響の収束がみえてきた段階で検討することが適切である

????????????????

まあ木曜だか金曜だかに申し上げましたように、今回全部の政策をポンチ絵にまとまてしまって、従来2%達成のためにやっていた筈の各種措置、と申しますか、そもそも論として今回コロナ対策ということで新たにぶち込んだ政策って新コロ対応オペだけでして、後の物件は元々あったものとか、元々あったものの増額とか対象拡大なのでありまして、そもそもおまいらは2%の物価安定の目標に向けた政策対応を行っていたのではなかったのかと小一時間問い詰めたい所ではあるのですが、ここは敢えて小一時間問い詰めないで、「そうですかそうですか今の施策は全部コロナ対応ですね、じゃあ感染症も一段落したのでスクラッチで政策を考え直しましょう」とか言ってマイナス金利政策とかそういうクッソ下らない政策を全部止めてくれるんだったら褒めてつかわす。

『この間、ある委員は、「3つの柱」による対応は効果を発揮しているとしつつも、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいと述べた。 』

これは片岡さんの意見。まあ追加緩和しろって方が理屈としては筋が通っているんですが、問題は手段が無いということ。だいたいからしてこの水準から長短金利を下げて企業や家計の金利負担が軽減されることによって何の効果が発生するのか、そもそも金利水準自体が既に低い中、限界的な金利の低下が需要を喚起する効果があるのか、それ以前の問題としてコロナだ何だと言っている中で金利が下がったからといってよーしパパ設備投資しちゃうぞーってなるのか、という辺りについて説得力のある話をして頂かないと箸にも棒にも掛からんし、大体からして短期金利マイナスだろいい加減にしろというお話なんですが、まあそれよりもこの片岡さんに若田部さんは執行部の一員だからあんまり加勢しにくい、という面があるからある程度止むを得ないのですが、安達さんあーた置物リフレ一派枠で審議委員に就任しておいて片岡さんに何の助け舟も出さない(ようにしか見えない状況)というのは何なんでしょうかねえといった風情を漂わせる人情紙の如し。

『そのうえで、委員は、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとの認識で一致した。』

でもって何すんの???

『ある委員は、当面、政府と中央銀行、および主要中央銀行間での緊密な情報共有を継続し、既往の政策枠組みの十分性を見極め、政策対応が必要であれば迅速に実行することが重要であると述べた。』

『また、一人の委員は、経済危機においては、財政政策と金融政策の適切かつ緊密な連携が必要不可欠であるとの見方を示した。』

『ある委員は、財政政策との間だけでなく、ニューノーマルへの対応に向けた構造改革政策との間でも、それぞれの役割のもとで連携することが重要であると述べた。』

・・・・・・・何と申しますか「今年度の目標管理」みたいなのを書くときに定量目標がアカンので定性目標でわかったようなわからんような事を書いているような風情を感じてしまい心が痛くなります(目から汗)。


・弊害のリスクを議論しているようで弊害のリスクになっていない残念な部分

その次の書き出しが、

『次に、委員は、金融政策運営の観点から重視すべきリスクのうち、より長期的な視点からみた金融面の不均衡について議論を行った。』

ってあるからちょっと期待したくなるじゃないですか。どこの誰か忘れましたがそういやこのコーナーがあるから金融政策の見直しも考えているのでは、的な能書きを見たような見なかったような気がするんですが、残念なことに世の中はそんなに甘くない。

『委員は、低金利の長期化や人口減少、企業部門の貯蓄超過といった従来からの環境に加え、今般の感染症の影響もあって、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクがあるとの認識を共有した。』

てめえらの金融政策(マイナス金利にYCCに加えてクレジットスプレッド叩き潰す社債CPの馬鹿買い)が当を得ていないという点に対する記述が一切存在しない時点で箸にも棒にもかからん。

『一人の委員は、実質無利子貸出が一般の貸出の利鞘縮小圧力にもなりうると指摘したうえで、低金利下での金融機関の自己資本利益率の低下を含め、金融仲介機能面への副作用の累積には注意が必要であると述べた。』

鈴木さんですな。

『一方で、委員は、現在の環境のもとでは、利回り追求行動などに起因して、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあるとの認識を共有した。そのうえで、委員は、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、これらのリスクは大きくないと判断しているが、先行きの動向は注視していく必要があるとの認識で一致した。 』

元はと言えばお前らがマイナス金利政策とかやってるからだろいい加減にしろ。ベースレートが存在していればとりあえず国内短期に金を滞留させるものをマイナスだから置き場が無いんだよ「利回り追求行動」とかまるで金融機関が強欲みたいな用語で説明するんじゃねえよこのスットコドッコイがああああああああ!!!!!

・・・・・すいません取り乱してしまいました。


・これは何を言いたいのだかさっぱり分からん

『更に、委員は、先行きの金融政策運営上の留意点についても議論を行った。』

ってのは良いとして、

『ある委員は、今回の危機の経験を踏まえ、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について、検討を深めるべきであり、予想物価上昇率や成長期待の更なる下振れと長期化のリスクに注意を払いつつ、政策の波及経路と効果の検証が必要であるとの見方を示した。』

何度かこの言葉見ている気がするんですが、これ全く持って何を言いたいのかが分からんので、もうちょっと何をどうしたいのか説明してもらえませんですかねえ。

『この間、一人の委員は、経済を確実に回復軌道に乗せるためには、企業自身が成長戦略を立案・実行するマインドに早く戻す必要があり、中期的な視点から金融政策が企業経営に与える影響についても、慎重に点検すべきであると述べた。』

中期的な視点から金融政策が企業行動に影響を与え得るんだったらとっくの昔に2%物価目標達成できてるだろいい加減にしろ。


とまあそういうことで中身がスッカスカの議論が今回も行われました(以下決定事項の話)ということでした。いやーもうすっかりスリーピングボード過ぎておじちゃん悲しいよ一応新法の早い時期から見ているだけに・・・・・・・



〇順番的にどうかと思いますがここでイケメン大僧正カシュカリ先生のFOMC声明文反対理由を確認してみましょう

ええすいませんFEDは高官が無茶苦茶お喋りしているのに全然ネタ消化が追いつきませんお前ら同時に喋るな同時に。

https://www.minneapolisfed.org/article/2020/why-i-dissented
Why I Dissented: Neel Kashkari
September 18, 2020

1週間以上前のネタという説がありますが、これは実質先週頭に出たものということにしておけば3日遅れですね(意味なし芳一)。

何か知らんがこっちでも同じのがあるのですが、
https://medium.com/@neelkashkari/why-i-dissented-feb698ae4d08

以下引用はミネアポリス連銀のサイトから行います。

『I strongly support the new Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy1 that the Federal Open Market Committee has adopted. It incorporates the lessons we have learned from the prior recovery and gives the Committee sufficient flexibility to make up for periods of low inflation in order to achieve our dual mandate goals.』

『However, I voted against the FOMC’s September 16, 2020, policy statement because, while I believe the statement is a positive step forward in putting those lessons into practice, I would have preferred the Committee make a stronger commitment to not raising rates until we were certain to have achieved our dual mandate objectives.』

FOMC声明文に書かれていた反対理由を読む、という企画(今更企画ですいませんが)ですが、今回のFOMC声明文って基本的には(その後エバンスが何か言い出していたりして市場がエーっという感じの反応をしたように)うっかりすると2023年までの利上げが無い事がコミットされている位の勢いで解釈する向きが多くて、でもってカプランは「政策変更の自由度を上げろ」という方向性なのですが、まあこれはゆうてみれば市場ちゃんの理解と同様の理解をしたうえで反対している方向性なので今回急いで気にすることは無いのですが、もともとハト派のカシュカリが反対したのはなぜか、というのは考察して然るべきな訳でして、イケメン大僧正のカシュカリさんが折角説明して下さっているので読むべきという事なのです。

・フィリップスカーブはあるとしていて自然失業率の推計が過大過ぎた、という説明

最初の小見出しが『The 2015 tightening cycle』と来ました。

『To explain my rationale for seeking stronger forward guidance, I first must review what I learned from the recent tightening cycle that began in 2015.』

まずは2015年の利上げ局面を思い出していただきたい、だそうで。

『That policy tightening was predicated on the Committee’s view that the labor market was reaching maximum employment and therefore inflation was around the corner. When I first became an FOMC voter, I dissented against all three of the Committee’s rate hikes in 2017 because, as I wrote then: “We are still coming up short on our inflation target, and the job market continues to strengthen, suggesting that slack remains.” 2』

そういやこの人利上げに一々反対していたな。

『Recently, Governor Brainard commented: “had the changes to monetary policy goals and strategy we made in the new [monetary policy strategy] been in place several years ago, it is likely that accommodation would have been withdrawn later,
and the gains [to the labor market] would have been greater.” 3』

『We misread the labor market and, as a result, the tightening cycle that we embarked upon was not optimal to achieving our dual mandate goals of maximum employment and stable prices.』

なるほど。カシュカリ総裁の解釈としては「2015年の利上げサイクル入りは、労働市場が完全雇用じゃなかったのに利上げサイクルに入ってしまった、なぜなら物価が上がらなかったから」という認識になっているのですね。

『In recent years, we have repeatedly believed we were at or beyond maximum employment only to be surprised when many more Americans reentered the labor market or chose not to leave, increasing the productive capacity of the economy without causing high inflation.』

『To me, maximum employment is the point at which the labor market is just tight enough to deliver 2 percent inflation in equilibrium. If we were to push the labor market harder, we would end up with inflation greater than 2 percent. By this definition, even in January 2020, we had not yet reached maximum employment.』

つーことで、近年のFRBは「労働市場が最大雇用を達成あるいはそれ以上に過熱している状態なのに物価が上がらんですなあ」という認識を示しているんんですが、カシュカリ総裁としては「そもそも労働市場発で物価に上昇圧力が掛かるような状況になる事が完全雇用である」というスタンスを取っていて、すなわちコロナ前の状況であっても(労働市場からの物価上昇圧力が掛かっていなかった状態であったので)、米国は完全雇用の達成が出来ていなかった、という定義になるそうな。

・・・・・・・ということでですな、ここの所まで読みますと、カシュカリ総裁はフィリップスカーブ自体の関係というのは生きている筈であって、いずれかの時点で労働市場の逼迫が物価の上昇に繋がる、と考えているという話なので、実はあのロンガーランゴールあんどストラテジーの話でクラリダとかパウエルが言っている理屈とは微妙に異なった説明になっているな、という感じがしますけれどもどうっすかね。つまり、執行部は「労働市場と物価の関係が非常に弱くなっているので」と言っているのに対して、カシュカリは「そもそも物価に上昇圧力が掛かるような状態が労働市場が完全雇用(かそれより強いか)状態ということ」という話になる訳よ。いやまあ結果的に出てくるものは「物価上昇してこないうちは気にしないで緩和継続」にはなるんですが。

『Why did we consistently make this error?』

FEDは完全雇用を何故読み間違えたのでしょうか?だそうな。

『First, we heard repeatedly from businesses who complained that they couldn’t find workers. Some said we had a “historic worker shortage.” At the same time, wages were only rising modestly. I learned that businesses want qualified workers at wages they are used to paying. If they can’t readily find workers at historical wage levels, then they declare a worker shortage. The fact that wages weren’t climbing more quickly helped me to see through their complaints and realize that there was likely still slack in the labor market.』

我々は企業経営者からのヒアリングで毎度のように「労働者が雇用できなくて困る」というのを聞いてまして、その中では「歴史的に見て労働者不足」などという発言もあったそうな。でもって一方でお賃金はオンリーモデストリーにしか上がっておあらず、企業は必要なスキルの労働者の賃金を引き上げることなく雇用しようとし、それで人が取れないという時に賃金の引き上げをするんじゃなくて人員不足状態のままで回していた、という行動をとっていた訳です。ということで即ち実は労働市場にはスラックが残っていたというのが妥当である、だそうです。まあ面白い説明ですな。

『Second, economists and policymakers often raise their estimates of the natural rate of unemployment in recessions, believing that workers’ skills diminish, their skills become obsolete in a changing economy, and as they are dislocated from the labor market, they then become hard to reengage during a recovery.』

『For example, if some policymakers believed that 4 percent was the lowest the unemployment rate could go without triggering high inflation during an expansion, they might ratchet it up to 5 percent or 6 percent after a recession. And then when the unemployment rate fell during the recovery back to 6 percent or even 5 percent, some policymakers might believe we must be at maximum employment.』

『In December 2015, when the Committee decided to first raise rates off the effective lower bound, the median FOMC participant thought the lowest unemployment could go without triggering inflation was 4.9 percent, while the actual unemployment rate at the time was 5.1 percent.』

『By February 2020, the unemployment rate had fallen to 3.5 percent without inflation returning to our target. That’s 2.3 million more Americans working than we thought the economy could sustain just a few years earlier.』

エコノミストや政策担当者はしばしばリセッションの時に自然失業率の推計を引き上げていましたが、実際はそうではなかったという事ですよ、ということで2015年時点では失業率5.1%の時点でFOMC参加者のメディアン自然失業率は4.9%となっていて利上げサイクルを開始したけれども、2020年のコロナ直前で失業率が3.5%になったけど物価には上昇圧力かかりませんでしたよね、というお話をしています。まあ事実そうなのだから仕方ないが、これを「リンク切れ」と見るのか「自然失業率はもっと低い」と見るのかがパウエルとカシュカリの違い、というかパウエルって実務家だからフィリップスカーブがどうだこうだとかそっちの方は説明の理屈では使うけど、現実問題として経済の状況次第で金融政策的なもっとプラグマティックな感じはします(個人の妄想です)。

『While I accept that there may be some increase in the natural rate of unemployment in recessions, I believe that economists have overstated the extent of the increase. The result has been a ratcheting up of the natural rate of unemployment in recessions that is harmful because it leads to policy that is too tight. My takeaway from this recent experience is that it is difficult to assess in real time whether we are at maximum employment and whether inflation really is around the corner.』

勿論自然失業率がリセッション時に上昇する(労働市場のスキル低下や退出などの理由により)こと自体を否定する訳ではないけれども、結果的にコロナ直前まで物価上昇圧力が無かったというのは、従来考えられていた自然失業率の上昇というのは過大な推計であったということでしょう、というのが結論。もちろんリアルタイムで最大効用状況にいるのかとか物価が上昇局面に入るターニングポイントに来たかとかいうのを分かるというのは難しいけど・・・・・・・・・・・


・金利のフォワードガイダンスにジャッジメンタル部分を排除すべきとの趣旨

次の小見出しが『Why do I want stronger forward guidance?』である。

ここがカシュカリ大僧正の今回のFOMC声明文の解釈になるので読むべし。

『The new policy statement includes this new forward guidance language:

“The Committee expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee’s assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.”』

そうですね。でもってこの文言についてのカシュカリ総裁の見解ですが、

『This language is an example of outcome-based forward guidance, where the Committee indicates it expects to keep rates at the effective lower bound until certain economic conditions are met.』

これは「経済が然るべき状況になるまでeffective lower boundとなっている今の金利を継続するとFOMCが示唆している」という「アウトカムベースのフォワードガイダンスの例」であると。

『I support the adoption of outcome-based forward guidance as an important step forward for the Committee’s approach to setting monetary policy.』

アウトカムベースのガイダンスを設定すること自体は重要だ、といっていますが反対していたし声明文の方にもあったので、これでは足りんということのようですがさて何が足りないのか。

『My preference, however, would have been for this new forward guidance to be stronger.』

もっと強力にしろと。

『Specifically, this new language still relies on the Committee to assess whether we are at maximum employment and whether inflation is expected to climb.』

ここがポイントになると思います。カシュカリ総裁は現在の金利ガイダンス文言は「最大雇用にあり、物価が上昇するとFOMCが判断する」という部分に依存していて、そこがイクナイということですな。

『As I just reviewed, those are difficult judgments to make in real time. For example, what would have happened had the FOMC adopted this forward guidance in 2012, when it first adopted its 2 percent inflation target? Inflation briefly crossed 2 percent in January 2017 before falling back down. Given that we believed at the time we were at or beyond maximum employment, this new forward guidance would likely have deferred liftoff from December 2015 to January 2017, a little more than one year later. While that would have been an improvement over what the Committee actually did, we still would have been lifting off based on a misreading of the labor market and a false signal that underlying inflation had really returned to target. Hence, we still may not have achieved our dual mandate goals of maximum employment and 2 percent inflation.』

以前の話をああだこうだ入れてますが、要するにリアルタイムで最大雇用状態であることを判断するのが難しいし、そもそも自然失業率の推計だって今までずっと過大推計していたんだから、こういうガイダンスだとプレマチュアーな実質ゼロ金利政策の解除が行われるじゃろ、という事ですね。

・ということでカシュカリ総裁が例の提案をした話になります

『My proposal』というのに参ります。

『In June 2019, I proposed forward guidance that I continue to believe would better assist the FOMC in achieving its dual mandate goals. Specifically, I propose the following:

“The Committee expects to maintain this target range until core inflation has reached 2 percent on a sustained basis.”

By eliminating both the direct reference to our assessment of maximum employment and any forecast of inflation climbing, this proposed language guards against the risk of underestimating slack in the labor market. We would only lift off once we had demonstrated that we really were at maximum employment, because core inflation would have had to actually hit or
exceed 2 percent on a sustained basis in order to lift off.』

完全雇用に関する判断を除き、物価に関しても「上昇すると判断する」のではなくて「コアインフレが2%に持続的に達するまで」という形でのガイダンスを入れるべきである、という説明で、これでまあ何でああいうガイダンスを提案したのかがわかるかと思います。

『Policymakers will have a range of opinions about what constitutes a sustained basis, but for me in this environment, it means roughly a year.』

ちなみにカシュカリの「a sustained basis」は概ね1年だそうな。そんなに安定して2%近傍に居れるのかゼロ金利の中で、という気はしますがまあその時はまた別の話になるでしょうから。

『Our new monetary policy strategy says that after periods of low inflation, the Committee “will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time.” Not raising rates for roughly a year after core inflation first crosses 2 percent is consistent with a strategy of aiming for a modest overshoot in order to achieve average inflation of 2 percent.』

ということで、カシュカリ総裁はこのガイダンス文言だと物価が一旦2%を超えた所でその後の状況を見ることなくサクサクと利上げサイクルに入り、結果またプレマチュアーだった(かどうかは良く分からんのですがカシュカリ的にはプレマチュアーといいうことね)ということを懸念しているそうな。


んじゃ最後『What might be wrong?』です。

『Under what scenario might the Committee regret adopting the forward guidance I propose? If inflationary pressures are building, we might have to raise rates to keep inflation expectations anchored at 2 percent. Once core inflation crosses 2 percent on a sustained basis, my proposal allows the Committee to do exactly that. This scenario should not be a concern.』

『We heard in the last expansion that there might be nonlinearities in the inflation process-that once inflation started climbing, it might accelerate, requiring a very strong policy response to control it. At the time, I called such theories ghost stories, because there was no evidence they were true but they also couldn’t be ruled out. I believe that characterization is still appropriate today. The FOMC has powerful tools to combat high inflation but only limited tools to combat low inflation. Persistent low inflation is posing challenges to advanced economies around the world.』

『If this new forward guidance helped to generate higher inflation that the FOMC then had to respond to by raising rates, I think we would consider that a high-class problem.』

ということでですね、まあ世間様では物価が一旦上昇しだすと実質ゼロ金利何ぞ継続してたら物価上昇がホイホイと加速するじゃろ、というような認識でいるので、どうしても今回のようなフワッとした(とカシュカリさんは解釈している)ガイダンス文言になってしまうと思うのだが、んなこたあないのでもっと強力なガイダンスを入れるべきですよ、という主張な訳でございますな。あと、既に政策ツールってそんなに無いんだからガイダンス位強くして置けや、という話もしているのがチャーミングではあります。まあ物価上昇が加速したらサステインドベーシスが1年とかいうのは反故になりそうな感じはしますが、どうせ時間的不整合性の問題は起き得るし、その時はその時として、せっかく入れるなら強いガイダンス入れて置けばってな感じですかね、まあそれやっちゃうと2回目の時に効きにくくなるから難しい面はあると思うが、言ってる理屈自体は分からんでもない、正しいのかというとやはり時間的不整合が起きた時に信認をより無くしやすいのであんまりお勧めする気は起きないですが(個人の感想です)。








2020/09/25

お題「本当はFEDネタの方が色々とぶっこまれているのですがジャパンネタで勘弁してつかあさい」

ふーん。
https://jp.reuters.com/article/autos-california-emissions-idJPKCN26E3CQ
2020年9月24日5:00 午前
米加州、ガソリン駆動の新車販売禁止へ 35年から

ところでカリフォルニアってしょっちゅう電力不足で停電してませんでしたっけ??
https://jp.reuters.com/article/california-power-outages-idJPKCN25F03Z
020年8月19日10:36 午前
熱波の米カリフォルニア州、計画停電を警告 回避へ節電呼び掛け


〇コロナオペとか基調的な物価とか社債オペとか

・社債オペがございましたな(汗)

一昨日ので恐縮ですが。
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200923.htm
社債等買入(残存期間3年超5年以下) 3,451 2,000 0.133 0.154 3.5

まあ今の所こちらはプラス利回り圏内にいるんですが、前回8月21日のが応札/落札が4,716/2,000でして、(買い入れ予定額は毎度2000なので同じですな)、前回対比で結構応札減ってるのよね。まあこの辺は季節性とか色々とあるかも知れないですけれども、利回りちゃんの方も前回は平均買入利回りが0.181%で足切りが0.165%とこれまた低下しているんですよね。

然るに、今回もそうだったのですが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of200923.htm
オファー (9月23日<水>)

CPと1−3の社債買入は応札レート下限が設けてあるんですが、3−5って何故か応札レートの下限が設定されていなくて、いやまあ別に応札レートの下限が無くたって札が大流れした時に途中で札を切ってしまって2000億円買わないという選択肢はあるのですけれども、そろそろ下限レートをアナウンスした方が良くないか事故(というか何というか)防止のために、とは思いました。なおクレジットスプレッド云々の悪態はいつも通りなので割愛します。


・コロナオペなおも10兆円とな

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200924c.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果

2.貸付予定総額
貸付予定総額 99,869億円
(参考)貸出残高(注) 450,038億円
(注)2020年9月25日時点の貸付残高の見込み。

まあこれも10bp付利貰えるでという事でせっせと札が集まるようなのですが、じゃあこれがあるから与信判断が変わるのか、という話についての考察はしない、というか仮にしたとしても、このオペでウマーとか言ってる方々が「いや別に」とか真っ正直に答えるのかというとそれもまた以下自粛というものがある訳でして、なんつーこの官民揃っての出来レ(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。

でですね、このオペ拡大するとプラス付利額が増えるということは、それってマイナス金利政策の弊害を日銀が正面切って認めている話ジャンとかそういうツッコミもあるのですが、それよりもアカンのは、「コロナ対策3本の鉛筆」とか言って何故かこのオペに社債CP買入やらETF買入やらも含まれている点でして、そうなりますとこのコロナオペを延長するのは延長しても結構という部分はあるにせよ、これ延長するとどうせ日銀のいつものパティーンでCP社債買入の臨時拡大措置とかも延長されるというとんでもない事が起こるのがほぼ明らかというのがトサカに来る訳でして、金融市場の方はクレジットスプレッドを潰すような事をして、コロナオペによるマクロ加算拡大と付利によってオペ参加金融機関にメリットが行く分、マイナス金利政策は残っているのですから、その分の皺寄せがオペ非参加先(の主に年金アセマネ系)に寄って来るという話になる訳でございまして、実にこう釈然としない訳ですな。

そもそも目的が「金融市場の安定化」「リスクプレミアムの過度な拡大の防止」「貸出金融機関に対するメリットの提供」と3本の矢のそれぞれの中でも個別のオペがスコープにしているところが違うのですから、(輪番とドルオペはアレは別に無制限自体何か変化したわけでもないのでどうでも良いっちゃあ良いのですが)リスクプレミアムの過度な拡大の防止のために実施した筈の追加のCP社債買入とかいい加減止めろよ(むしろマイナスプレミアムになってるだろ)という話だし、ETF買入とかもこれまた然りなんじゃねえのか、とは思いますよね。つーかそもそも市場が落ち着いてきたらドルスワップの臨時措置だって徐々に解除されていくんですが、その時はどういう説明するんでしょうねえ(ちなみにアタクシの予想ですが、スワップ自体が無くなる事は無いので、すっとぼけて何の説明もしないと思います)。



・基調的な物価ちゃんですが下落品目が増えているのが気になりますのう

まいどのこれ。
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

例によってエクセルちゃんからペタペタ貼っているだけですが、左から刈込平均値、加重中央値、最頻値の前年比%表示。

Jan-19 0.5 0.1 0.2
Feb-19 0.4 0.0 0.2
Mar-19 0.5 0.2 0.2
Apr-19 0.7 0.2 0.3
May-19 0.7 0.2 0.3
Jun-19 0.6 0.2 0.3
Jul-19 0.6 0.2 0.3
Aug-19 0.4 0.0 0.2
Sep-19 0.3 0.0 0.2
Oct-19 0.3 0.0 0.3
Nov-19 0.2 0.0 0.3
Dec-19 0.3 0.0 0.2
Jan-20 0.3 0.0 0.3
Feb-20 0.2 0.0 0.3
Mar-20 0.1 0.0 0.2
Apr-20 -0.1 0.0 0.3
May-20 0.0 0.1 0.3
Jun-20 0.1 0.1 0.3
Jul-20 0.0 0.1 0.1
Aug-20 0.0 0.1 0.1

前回こんなことを書きました(以下前回の数字が出た後の8/26に書いた駄文より)

先月この数字出た時には「4月がちとアレでしたが何とか持ちこたえたジャン」とか思っていたら、なんとこの全然動かない事山の如しだったモードちゃんが0.1%に(ちなみにエクセルちゃんに落とすと分かるのですが、最頻値ちゃんだけ何故か表記そのまんまの有効桁数になっていて、他の数値は端数を丸めた結果が上記の数字だったりする)絶賛大低下でして、この数字がどの位あばばばばーであるかと申しますと、現在の2015年基準CPIベースでは最頻値が0.1%になった事が無い、つまり2016年1月以降初の数字なんですよ。

しょうがないので前の基準年(2010年基準)まで辿りましたところ、懐かしの2013年の前半位までは最頻値様が微かなマイナスから0.0位の所をウロウロしていまして、2013年11月に遂に0.0%→0.1%と来まして、そこからはプラス数値(ゼロ以下ではない数値)を延々と維持していたんですよ。まあ一番上がって2015年12月の0.5%ではありましたが。

・・・・・・ということはですよ、まあ1回だけなら誤射かも知れない理論がある(ありません)のでちょっと判断は保留しておくのですけれども、やっぱりコロナちゃんで需要減からのアイヤーという動きがアカンというストーリーが見えて来ましたなという話だし、この碌すっぽ動いていなかった最頻値が動く(実際はこのモードの厚みとかの比較とかもしないと数字だけですと0.1%だのと言う数字なのに0.1%刻みという荒い目盛なのでちょっと早とちりしないようにしたい)しかも0.2も、更に追い打ちを掛けるようにこの数値って2013年の後半の数値、と来た日には、まさしく「元の木阿弥」という言葉がしっくりと来るこの結果に涙を流すしかありません。(ここまで8月に書いた駄文)

などと申し上げてきましたが、8月もこの数字と来まして最頻値0.1%が続いているのがこれは元の木阿弥キタコレという感じになっています。あとそれから、前回もちょっと書きましたが、この中の刈込平均と加重中央値は桁表示をいじりますと細かい数字が見えて参りまして、直近3か月を見ますとこうなります。

(左が刈込平均、右が加重中央値)
Jun-20 0.058 0.113
Jul-20 0.009 0.110
Aug-20 -0.027 0.105

・・・・・・・・・・ナムナムナム。

でもって小見出しに書いた上昇下落品目ちゃんですけどこうなります。左から上昇品目比率、下落品目比率(が%)、上昇品目比率−下落品目比率(%ポイント)です。

Jan-19 54.9 37.1 17.8
Feb-19 54.1 37.9 16.3
Mar-19 55.6 35.6 20.1
Apr-19 58.5 33.3 25.2
May-19 58.7 33.5 25.2
Jun-19 59.5 32.5 27.0
Jul-19 59.8 32.7 27.2
Aug-19 59.5 33.1 26.4
Sep-19 59.1 33.1 26.0
Oct-19 59.5 38.8 20.7
Nov-19 62.1 36.1 26.0
Dec-19 60.2 38.0 22.2
Jan-20 61.8 36.5 25.2
Feb-20 60.0 38.4 21.6
Mar-20 57.9 40.5 17.4
Apr-20 58.3 39.2 19.1
May-20 59.1 38.6 20.5
Jun-20 59.7 38.0 21.6
Jul-20 54.9 42.4 12.4
Aug-20 53.7 43.6 10.1

前回8月の駄文ではこんなことを書きました(以下先ほどと同じく8月23日に書いた駄文を引用します)

下落品目比率が上がった結果全体の「上昇−下落」が盛大にプラス幅縮小ということで、この10少々とかいう数字自体は時々出てくるのでまだ1回だけでビビる話でもないのですが、当然ながら此奴がマイナスに突っ込みだすとマズいよマズいよ(インフレ目標的にマズいというだけで本当の本当にマズいのかというと実際の所良く分からんですけど)という事になりまする。ちなみにこの上昇−下落がプラテンしたのがさっきと同じ感じで2013年の12月からでございます。

まーいずれにせよ7月全国CPIということで、コロナからのニューノーマルとか言う前の話ではありますので、今後数カ月見ていかないとアカンという話だとは思うのですが、この調子ですと元の木阿弥ににも程がある訳でして、8年間ちかく何をやっていたんでしょうか金融市場にせっせと大介入して価格形成をおかしくしただけとか控えめに申し上げて地獄の火の中に投げ込まれるべきではなかろうかということになるんですが(個人の偏見です)。(ここまで8月に書いた駄文より)

・・・・・でまあご覧の通りで価格低下品目が益々増えてきている訳でして、これはもう南無阿弥陀仏としか申し上げようがないのですが、そらまあ大阪の総裁講演で物価の話をズバッと削除するわなと思ってしまうのですが、2年で2%どころか7年半でゼロ%だぜウェーッハッハッハとか笑えるけど全く笑えないんでとりあえず置物一派は全員切腹して詫びろとしか申し上げようがない。


〇7月会合議事要旨

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200715.pdf

例によって執行部報告はぶっ飛ばして『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』から参ります

・SKEW指数の事毎回言ってるの何なの????

最初の『1.経済情勢』の国際金融市場のパートですが、今回もこれ言ってるのが居ます。

『このうち、何人かの委員は、先進国の株価について過熱感が指摘されていることや、株式市場のSKEW指数(市場参加者のリスク認識の偏りを示す指標)が高い水準にあり、市場では下方のテールリスク(大幅な株価下落)が意識されていることなどを踏まえると、資産価格に修正が生じないか、今後の市場動向を注視する必要があると指摘した。』

・・・・・・・????????

これなんですけど、6月会合の議事要旨でも
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200616.pdf

こちらの本文6ページ(PDFの8枚目)にSKEW指数がどうのというのがあって、

『複数の委員は、米国株式市場のSKEW指数(市場参加者のリスク認識の偏りを示す指標)が高止まりしており、市場では下方のテールリスク(大幅な株価下落)が意識されていると指摘したうえで、実際、6月中にダウ平均株価が 1,800 ドル超急落する場面がみられるなど、不安定な動きとなっていると述べた。』(この部分だけ直上URL先の6月会合議事要旨より)

ってのがあるんですよね。でもって今回は「複数の委員」から「何人かの委員」になっていて、どっちの方が人数が多いのか微妙ですが、たぶん何人かの委員の方が多いような気がします(解釈違ってたら教えてちょ)。

ちょろっと検索してみるとCBOEとかがインデックスを計算しているみたいで、VIXなんかと同じような感じで扱われてはいるみたいなんですけど、要はスキューってオプションのコールサイドとプットサイドのボラのスマイルカーブが偏っている度合いの話で、それをインデックス化しているとかそういう話だと思うのね。

でまあアタクシも昔は円債の店頭オプションの対顧ディーラーとかやってたこともある(なお兼業でやってたのでガチ勢ではないが)ので何となくは理解しているつもりなんですが、例えば円債ちゃんですと、今は知らんけどかつては上がればカバコカバコカバコ、下がればターバイターバイターバイと来る訳ですが、投資家のポートは債券を持っている状態なので、どうしても「上がってカバコ」ってのが掛かり易くて、基本的にオプションのスキュー、と言いましてもスキューがきっちり見えるのは店頭オプションのヘッジが入って来る先物オプションでしたが、当時(10年以上の大昔ですサーセン)の円債のスキューって恒常的にプットサイドに偏っている(コールサイドのIVがプットサイドのIVより恒常的に低い)状態だったんですよね。

でまあそんなこんなを考えますと、別にスキューの偏りが「市場では下方のテールリスク(大幅な株価下落)が意識されている」というのを必ずしも示さんじゃろと思う訳でして、単に株価が上昇基調にあるからコールの売りが入りやすいだけなんじゃネーノとか、そういう風にも思ったりするのですよ。

というかですね、まあそれ以前の問題で、スキューだのヴィックスだのってオプション市場からインプライされてくる数値の結果に過ぎないのであって、そっちを必死こいて見て「市場では下方のリスクが意識」っていうのはさすがに本末転倒というか、いや下方リスクの意識とかはそういうので見るんじゃないだろと思いますし、大体からして金融政策の議論をする中でその手の細かい部分に着目してどうのこうのと言ってしまうのって何なのよ、と思うんですけどどないでっしゃろ、と思うのでありました。


・すっかりコロナ前の時を忘れているような気がするんですが・・・・・・・・

さて話は盛大にワープしまして国内景気のパートに参ります。

『景気の先行きについて、委員は、経済活動が徐々に再開していくとみられるが、当面、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から厳しい状態が続くとの認識で一致した。』

まあこの辺はコロナ次第以外言いようが無いので仕方ない。

『そのうえで、委員は、感染症の影響が収束していけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくとの見方を共有した。』

ほうほう。

『このうち、一人の委員は、本年後半以降、感染症の影響が収束に向かうことを前提に、内外経済の成長ペースが高まっていくという、4月の展望レポートで示したメインシナリオは大きく変わっていないとの認識を示した。』

『そのうえで、何人かの委員は、経済活動再開に伴い、今後は、やや長い目でみて、家計や企業のマインドセットや行動様式がどのように変化していくかといった、感染症のセカンド・ラウンド・エフェクトに注目していく必要があるとの見方を示した。』

『このうち、一人の委員は、現下の状況が唐突かつ予期しないかたちで到来しただけに、前向きの変化が生じる可能性もある一方、経済への下押し圧力ともなりうる点には警戒が必要であると指摘した。』

『別のある委員は、労働市場の悪化が総需要を下押しする公算が高いこと、感染症のリスクに配慮する新しい生活様式のもとでは従来型サービスの稼働率が低下する可能性があることから、景気回復のテンポは緩慢になる可能性が高いと述べた。 』

まあ感染症の影響とか後遺症がどうのこうのと言っていますが、そもそも論としてコロナが無かったとしても、現実問題として昨年の後半から今年に掛けてって経済物価情勢はこりゃマズーって話で、追加緩和するにもできないしさてどうするんでしょうね、という話だったのをすっかり忘却しているような感じがするんですよねー。特にこの最後から一個の「前向きの変化」とかそういう辺りを見ていますと。


・物価に関して

『物価面について、委員は、消費者物価の前年比は、除く生鮮食品、除く生鮮食品・エネルギーのいずれも、原油価格の下落の影響などにより、0%程度となっており、予想物価上昇率については、弱めの指標がみられているとの認識で一致した。』

7月会合ですのでまあその点は注意して読まないと行かんですが、まあ状況は7月の時点でもこんなもん。

『もっとも、複数の委員は、スーパーなどを対象にした日次・週次のCPIや、最頻値などの基調的な物価指標の底堅さをみると、現時点では、日常的な財・サービスの分野で、値引きで需要を奪い合うというデフレ的な価格設定行動が拡がる状況にはなっていないと指摘した。』

となっていますが、その後のCPIの推移を見ると先ほどネタにした通りでどう見ても暗雲垂れ込めるになっていますので、この評価が9月にどうなっているのか、というのは主な意見で誰か書いてくれませんですかねえ。

『先行きの物価について、委員は、当面、感染症や原油価格下落などの影響を受けて、マイナスで推移するとみられるが、その後は、景気が改善していくもとで、プラスに転じたあと、徐々に上昇率を高めていくとの見方を共有した。』

はいはい大本営大本営。

『そのうえで、ある委員は、やや長い目でみた物価の動向については、現時点では、需要の急速な回復が期待しにくいもとで、予測可能な将来に、物価がモメンタムをもって2%に近接していく姿を予想することは難しいと指摘した。別のある委員は、雇用・所得環境の改善と物価上昇の好循環に弱めの動きがみられる中、消費者物価の低迷が長引く場合には、予想物価上昇率の適合的形成に及ぼす影響が懸念されると述べた。 』

どう見ても降参モードです本当にありがとうございました。勢いでリスク要因の所も引用しますと、

『経済・物価見通しのリスク要因として、委員は、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きいとの認識で一致した。更に、委員は、感染症の影響が収束するまで、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要であるとの認識を共有した。』

『多くの委員は、感染症の第2波が発生した場合には、経済活動が再び大きく抑制される可能性があるとの認識を示した。何人かの委員は、こうした感染症再拡大への懸念などから、企業や家計が防衛的な行動を続ければ、成長期待が下方屈折するとともに、需要が長期にわたり低迷する可能性もあると指摘した。』

この辺は7月展望レポートなどにも記載されています。

『一人の委員は、経済の回復の遅れは、企業の財務悪化や金融資本市場の不安定化をもたらし、更には金融システム不安に波及するリスクを内包しているため、その動向には十分注意を払う必要があると述べた。』

何ちゅうか金融システム不安までは言い過ぎのような。

『物価面について、複数の委員は、感染症の影響が需要・供給の双方に及ぶ中で、企業がどのような価格設定行動をとるかには不確実性が大きいとの見方を示した。』

この人たちが直近の基調的物価を見て何を言うのでしょうか楽しみです(棒読み)。

『複数の委員は、現時点では企業倒産の急増は起きていないが、感染症の影響は業種・規模を問わず幅広い企業・個人事業主に及んでおり、仮に、企業の倒産・休廃業が増加すれば、雇用や資本ストックの調整を通じて、再びデフレに陥るリスクもあるため警戒すべきであると述べた。 』

ということで、この先が『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』なのですが、本日は時間の配分を間違えたために時間切れになってしまいまして、FEDネタもてんこ盛りに残っているというのに以下後日と言う事で誠に申し訳ございません。







2020/09/24

お題「同じところで同じ時期に講演をすると年月を経ると味わいが出てくるという雑談(黒田総裁大阪リモート講演)」

アタクシの「今週末か来週頭に臨時国会召集冒頭解散で自民大勝利」の見通しェ・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200924/k10012631781000.html
政府・与党 臨時国会召集は来月下旬で調整 菅首相初の所信表明
2020年9月24日 5時09分

ヘッドライン見た時に「23日か26日」というのを今月だと思って「キタコレ!」と興奮したのですが、興奮した後に9月23日が当日であることに気が付きまして、何だ10月末かと。

11月22日が日曜大安なのですが3連休の真ん中ですから、12月13日の友引とかなら出来そうな気がします(大安は27日で越年組閣とかしたら笑えるがさすがに無い)が、デジタル庁法案を通常国会に出すとかいう謎の目玉政策(デジタル庁ってのがもう何だか手段と目的を取り違えている感満載にしか見えないので大丈夫かいなこの内閣と思ってしまいますけど)がある中で12月投票日の解散総選挙というのも何か微妙。


〇黒田総裁大阪経済4団体と懇談会との挨拶(ただしリモート)がありましたが覇気が感じられませんな

昨日は黒田総裁とガースー首相の会談とかがあったのに何で大阪飛んでるんだと思って、
よくよく考えたらリモート開催なんですなと納得するまで30秒ほど掛かりました。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko200923a.htm/(HTML版)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200923a1.pdf(PDF版)
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 大阪経済4団体共催懇談会における挨拶 ──

・ねえねえなんでコロナ対策とかコロナで明らかになった課題とかあるはずなのにこの量なの??

もちろん講演の量が多ければエライ、少なければゴミというものではなくて、長くても中身がひたすらあちこちの人からの受け売りオンパレードで、「僕は最新の世界の見解を勉強しているもんね、エッヘン」としか申し上げようのない講演をする某副総裁のような方もおいでになるので、別に長けりゃ良いってもんじゃないのはありますけど、今回の挨拶要旨、見た瞬間に「エライ短いな」と思いまして、そう思った取材班はさっそく過去2年分遡って確認する訳ですよ。分量確認にはPDFの方が便利なのでPDFバージョン並べますけどね。

2020年:https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200923a1.pdf
2019年:https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/data/ko190924a1.pdf
2018年:https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180925a1.pdf

2020年の本文は6ページありますが最後のページは3行となっていますので実質5ページ。
2019年の本文は8ページありますが最後のページは半分ほどなので実質7.5ページ。
2018年の本文は9ページありますが最後のページは半分ほどなので実質8.5ページ。

まあ18年の時にはフォワードガイダンスの増築などを行った直後の挨拶だったので多少多めになるのは仕様なのですが、特段喫緊の課題があった訳でもない19年よりも3割ほど減量になっておられまして、えーっとすいませんコロナ云々の話があって政策を突っ込んだ話の説明はどうなりましたねんという中々不思議ちゃんな物件に仕上がっています。

まあ何ですな、野良日銀ヲチャー的にはこういう分量の変化とか気になるクチでして、ここまで超あっさり味にしたのって何でやねんという事なのですが、何で減っているのかと思ってざくっと比較してみたら、どうも取材班の目検によりますと「2%物価目標達成に向けたパスの話」という部分がゴッソリと抜けていまして、そこの要因が大きいように思えます(なおそこまで細かく見た訳でもないのでご興味のある方はもうちょっと項目分けて分量比較してみるといいかも)。

・・・・・・ということでして、どうも今回の講演の裏ポイントは「物価」にあるのではないか、とまあこのように考えて改めて章立てを見ますと取材班は新たな事実に気が付くのでありました。


・物価2%の記述が物凄い勢いで削減されているというこの味わいをどう解釈すべきか

章立てを見ますとこうなります。

2020年
1.はじめに
2.内外経済情勢
3.日本銀行の金融政策運営

2019年
1.はじめに
2.内外の経済情勢
3.わが国の物価情勢
4.日本銀行の金融政策運営

2018年
1.はじめに
2.経済情勢
3.物価情勢
4.日本銀行の金融政策運営

・・・・・・・物価情勢の章がありませんですなあ。でまあ実際には2020年バージョンは「内外経済情勢」のところに物価の話がありますが、8行で終わっているという状況。いや勿論現状コロナの方がアレなので物価の話は気にせんといてくれや、という趣旨ならばそれはそれで理解できないことも無いのですが、その割には「内外経済情勢」の所の説明がこれまたあっさり味。今回はコロナという大イベントがあった訳ですし、せっかく先般の展望レポートなどでは人の移動データとかPOSのデータなどのビックデータを使った経済活動状況の速報分析みたいなのを出しているんだから、こういう時にそのアップデート版を出したって良さそうなもんなんですが、書いてあることはIMFなどの見通しの話と、国内の話も一般的な話だけしてあっさりとまとまっている、という状態。

まあ要するに今回は覇気が無いというのが一番アタクシ的にはしっくりくる表現でして、昨日はあまりにもオモンナイから総裁の定例会見ネタを大量にネグってしまいましたが、物価を目先ネグりたいのは分からんでもないのですが、だったらそのエネルギーをコロナ情勢のビックデータ分析の説明でもして差し上げればエエヤンというか、せっかくご参加いただいている経済団体の皆様が自社なり自業界なりで見ている体感的というかアネクドータルなコロナ情勢の影響との擦り合わせも出来て有益な議論が出来るんじゃないの??とか思ったんですけど、何ちゅうかこの通り一遍の説明に覇気のなさというのを感じました、という所であります。

でまあ物価の記述が減っているので、当然ながら金融政策の説明の部分が面白くて、

『現在、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みのもと、強力な金融緩和を推進しています(図表7)。』(2018年)

『現在、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みのもとで、強力な金融緩和を推進しています(図表8)。』(2019年)

と来ていますが、今回は最初の所にコロナ対策がどうのこうのというのが延々とあって、その後にFRBの話(しかもこれがまた先日の総裁会見の焼き直しというか、総裁会見で謎にアピールしたのはこういう意味だったのねという話)があって、そこの続きで、

『日本銀行では、こうした枠組みのもとで、物価上昇率が景気の変動等を均してみて、平均的に2%となることを目指しています。』(今回)

となっておりまして、「2%目標達成のために強力な金融緩和を推進」というような威勢の良い文言が無くなっておりますな。


・・・・・・とまあそういう感じで覇気がなくておもんないわ〜なのではあるのですが、野良ヲチャーと致しましては、では何で今回2%物価目標達成のために強力な金融緩和とかそういう話を華麗にトーンダウンしてるのか、というのをつらつらと妄想する訳ですな。

まず思いついたのは、先般来「コロナ対策」の中に従来からの施策(国債等の買入やETF等の買入)まで全部ぶっこんで説明をしている(今回もまた然り)ってえのがありまして、これは物凄く希望的願望的観測成分が高いのですが、「コロナが一段落したら一回政策をガラガラポンする下心がある」だと物凄く素敵な話で、その素敵な話をするにはあまり従来の2%連呼までは良いとして、そのために強力な緩和を推進ってのを一緒に入れてしまうとガラガラポンの時に「強力な緩和の後退」とか言われ兼ねないので(というかまあ言われるじゃろ)先にその辺りの緩和アピールを後退させて「コロナの対策」というのをアピールすることによってその辺を有耶無耶にする、というかなり無理矢理な願望が入っていますし、まあ今のところアベノミクス継続が看板になる中でそう綺麗にはガラガラポン出来ないとは思いますが、もう少し時間が経過した所でワンチャンあるかも、というのはあるかも知れませんぜ(個人の盛大なる願望です)、っての。

あとは、今回妙に覇気成分が減少しているのは、従来より悪態ついておりますが、主要国の中央銀行が揃って「財政財政!とっとと財政!!」と言いながら「うちらはあくまでもサポートですから黒子でっせ黒子」と前面に出ていくのを控えようとするようになっている、という中で日銀は謎の3本の鉛筆を取り出してきて額の盛大なアピールを行うわ、常に「対コロナ金融政策の効果が」とか言って成果をアピールするわ、という出しゃばりモードが(他中銀と比較した時の相対感で特に)目立つようになった(バーナンキやドラギの時代ではない、という事ですな)という流れがありまして、アタクシなんぞは「いやあのそんなに悪目立ちしたら何かあったら日銀の不手際にされて炎上するじゃろ何やっとんねん」と申し上げていましたが、まあ確かに黒ちゃんとしては安倍ちゃんという絶対的なサポートがバックに控えていたからそこは気にせんでもエエヤンという所だったのでしょうが、ここに来ましてガースー先生にバトンタッチされた訳でして、ガースー先生が自分の政治資源を削ってまで日銀を守ってくれるのか、という話になるとそれはちょっと微妙かも知れないので、まあ様子見で一旦日銀も「ワシが育てた」アピールを引っ込めるようになったのかな、などとも思ってしまうのでありました。

などと妄想を逞しくしていて全然本文に入っていませんが(汗)、単に2%目標を「まあ一応そういう看板がありますなあ」位にして、何が何でも達成するという覇気を今回のコロナ云々で完全に心が折れてしまって覇気を失ってしまっただけ、なのかも知れません。まあいずれにせよ今回の大阪講演を一読すると「覇気がまるで無い」という隠居ジジイモードになってきておりまして、もとより政策が地蔵モードではあるのでどうしようもない所はあるのですが、少なくとも2%達成に対する覇気は完全に失せたなという風に思いました(個人の妄想です)。


・3本の鉛筆はお蔵入りですねわかります

とまあそういう訳で本文にやっと入る訳ですが。

経済情勢の説明のあたりも正直おもんないので『3.日本銀行の金融政策運営』に参りますが、これもまたあんまりおもろくないけど見てみましょう。そんな訳ですので以下は断りのない限り2020年の大阪講演から引用しております。

『今回の感染症の経済・金融面へのショックに対して、各国・地域の政府・中央銀行は、大規模な対応を迅速に講じました。このうち中央銀行の対応は、次の2つの点で共通しています。第1に、貸出を支援する資金供給やCP・社債の買入れなどにより、企業等の資金繰りを支援すること、第2に、資産買入れなどを通じた大規模な流動性供給により、金融市場の安定を図ることです。日本銀行も、こうした観点から、3月以降、金融緩和を強化してきました。その内容は、次の「3つの柱」に整理できます(図表4)。』

つーことで図表4ですが、さっきのPDFですとPDFの10枚目が図表4になります。念のため鉛筆が引っ込んだのではないか事件の発生した日本記者クラブにおける図表を確認してみましょう。

7月29日の日本記者クラブにおける雨宮副総裁講演のスライド集
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200729a2.pdf

雨宮さんのはこちらのスライド集の最終ページになります5枚目の図表8ってのになります。と言ってもアタクシはこういうの張り付けるスキルは無いのでまあ見てちょという所ですが、これを見ますと、新コロオペの理屈上の想定上限額が状況変化によって10兆円増えている以外は一言一句同じになっていることが確認されるかと思います。

つまりですな、雨宮さんの時から説明は特に変化は無いですし、3本の鉛筆は何か血迷ってうっかり出してしまったというステータスになっておられるようでございまして、あのポンチ絵は何か悪い夢でも見ていたのかと思いたくなるのですが、あのポンチ絵の華麗なるポンチ絵という言葉がぴったりのデザインと言い色使いといい、まああれを見た時の衝撃は昨日のように思い出せますが、どうもお蔵入りのようで残念。

というかですね、これお蔵入りはお蔵入りなのですが、最初のポンチ絵って「現状これだけ出しました」っていう途中経過の額を物凄い勢いでアピールしていて、いやいやいやいやドルオペって市場が正常化したら残高減るんだから実行額のアピールしちゃいかんだろうと思っていた(ネタにもしましたが)ら、しらっとそこも居れていない、というのが実に味わいが深いものになっております。あれは何だったんですかね、まああの頃は緊急事態宣言だの自粛警察だの世の中揃ってネジが何本か飛んでいましたからその時代の勢いだったのかも知れませんね。



・FEDの政策を我々が先行して実施していたとか変なアピールするの恥ずかしいから止めていただけませんかねえ

でまあ読み進めていて爆笑の発作というか、ああなるほどと思ったのはこちら。

『最後に、やや長い目でみた金融政策運営上の課題について触れたいと思います。』

ってんですからもう後ろも後ろ。

『グローバル金融危機後、先進国では、自然利子率が趨勢的に低下する中で、政策金利が金利下限制約に達しやすくなっていることから、金融政策の有効性と信認をどのように高めるかといった共通の課題に直面しています。』

ということで、

『先月、米国FRBでは、インフレ目標について、「時間を通じて平均して2%」を目指すことを表明しましたが、これは、こうした課題を踏まえて行われていた金融政策の枠組みレビューの結果です。このもとで、FRBは、インフレ率が継続的に2%を下回った場合には、当面の間、2%を適度に上回るインフレ率を目指すとしています。』

会見で「時間を通じて平均して2%」という思いっきりこなれていない日本語を使っていてナンヤソラと思いましたけれども、どうもこの講演原稿が念頭にあったというか、そういう言い方をするようにしているんですね、もうちょっとなんとかならんのかねその日本語。

というのはさておきまして、この「FRBは、インフレ率が継続的に2%を下回った場合には、当面の間、2%を適度に上回るインフレ率を目指すとしています。」ってのもちょっと言い過ぎで、FRBは「目指す」のではなくて「適度な上振れがある程度継続しても容認して引き締めにすぐには転じない」と言っているだけの話をしていると思うのよね。

・・・・・まあこの部分、例えば連休中にニュースになっていたエバンス発言とか(前後の文脈が分からないのとテキストがシカゴ連銀に行っても見当たらないので判断保留中ですが)を見まするに、確かに2%をマイルドに超過しても別に今の感じならインフレ加速しないからエエジャンではあるにしても、2%手前で政策金利調整アリエルでみたいな発言が出るくらいですから、別に最初から2%超を目指すとか大口を叩いている訳ではないし、日本の例を見ればわかるように、大口叩いて結局出来なかったらその後政策の信認が下がるんですから、下手な目標は立てないのがベター、とパウエルやクラリダは思っているんジャマイカと思うのよ。まあその辺の話はまだやっていませんけどFOMC会見ネタで詳しく見ようかなと。

『この点、日本銀行も、従来から課題の克服のために様々な取り組みを続けてきました。特に、2016 年9月には、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みを導入しました。その柱の一つが「オーバーシュート型コミットメント」です。これは、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束したものです。』

それとこのFRBの話とは全然違うじゃろと思いますし、大体からして「MBの拡大”方針”」なんだし、それに実際問題としておまいらこれぶっこんでからMBの拡大ペースを思いっきり下げたやんけ、ということでありますので、どこからどう見ても「FRBのアベレージターゲットはワシが育てた」というのは何ぼ何でも無理矢理すぎませんですかねえ・・・・・・・・・・・・

『日本銀行では、こうした枠組みのもとで、物価上昇率が景気の変動等を均してみて、平均的に2%となることを目指しています。このように、今回のFRBの考え方は、日本銀行のこれまでの政策運営の考え方と軌を一にしたものであると考えています。』

ってこれまんま昨日ネタにした先週木曜日の総裁会見(テキスト出たのは金曜ですが)の話と同じなのですが、なるほどこれが頭にあったからあの謎アピールをしたのか、とは思いますが、何ちゅうか今度は3本の鉛筆の量アピールを引っ込めたかと思えば「FRBはワシが育てた」アピール(しかも殆ど誤認勧誘の世界)と来ましたかそうですか・・・・・・・・(呆)



・なおメカニズムの話は無くなっています

金融政策の話、過去2年間はこういう記述がありました。

『先ほどお話ししたように、2%の実現には、これまでの想定よりも時間がかかると見込まれます。その一方で、需給ギャップの改善を起点とした物価の上昇メカニズムは、引き続き作動しています。こうした状況を踏まえ、日本銀行は、今後とも、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが重要と判断し、7月の金融政策決定会合において、次のとおり、現在の政策の枠組みを強化することを決定しました(図表8)。』(2018年)

2018年の時は例の色々いじったのがあったので話が色々な所に混じっているのでとりあえず典型的な部分を引用しました、

『金融緩和の主な波及メカニズムとして想定しているのは、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利の引き下げです。現在、実質金利は、景気に中立的である自然利子率を十分に下回る水準で推移し、経済活動を幅広く刺激しています。こうしたもとで、プラスの需給ギャップを起点とした物価上昇のメカニズムが作動していることは、先ほどお話しした通りです。「物価安定の目標」を実現していくため、物価上昇のメカニズムを働かせ続け、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持していくことが重要と考えています。』(2019年)

今年は特にその話もなく、さっき引用したところにある「こうした枠組みのもとで〜目指しています」だけでして、その枠組みでどうやって達成するのかは最早完全スルーとなっているのも味わいが深いなあ、とおもいました(−−;

なお、実質金利のアピールしたのは何か早速ブーメランが刺さっているような気がしますがキニシナイキニシナイ(棒読み)。








2020/09/23

お題「MPMレビュー/雑談ネタをば」

ついこの前まで外出するのが社会悪位の勢いで報道してた筈なんですが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200923/k10012630131000.html
4連休の各地の人出 感染拡大前の休日より増えたところも
2020年9月23日 4時35分

『経済活動が徐々に再開され、観光需要の喚起策「Go Toトラベル」も始まった中、地域によって、にぎわいが戻りつつあることが示された形ですが、それだけに感染防止策の徹底が改めて重要となっています。』(上記URL先より)

この連休は外出しないのが社会悪ってか???いや感染症対応の準備が万端だから外出しろというのでしたらその根拠を示してから緩和しろよと思うのですが、警戒レベルとかは相変わらず高いままでして、おまいら何の根拠で締めたり緩めたりしてるんだよと小一時間問い詰めたい。

#ミーは別に自粛警察ではありませんので念のため

FEDとぶつかったとは言え、MPMの翌日にMPMネタをやらないとか街場の野良日銀ヲチャーの風上にも置けない暴挙をしましたので今日はMPMレビューをば。なお4連休もあって何で更新しとらんのや、という点についてはお察しということでよろしくお願い申し上げます。


〇MPM声明文:景気判断を色々と引き上げているものの政策は地蔵モード

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200917a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200715a.pdf(前回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2007a.pdf(7月展望レポート基本的見解)

展望レポートのある会合では経済物価情勢の認識に関しては展望レポート基本的見解の方で示される、というのが仕様になっていますので、基本的には展望レポートの方からの比較引用になります。

・景気の現状認識:外需を盛大に上げて設備投資をしらっと下げるという攻撃とな

『わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつある。』(今回)
『わが国の景気は、経済活動は徐々に再開しているが、内外で新型コロナウイルス感染症の影響が引き続きみられるもとで、きわめて厳しい状態にある。』(前回展望レポート)

ということで総括判断が「持ち直しつつある」ということで、「つつ」とかヘッジ形容詞が入っていますが、総括判断の時点で景気の矢印的なのが上向きになっているので判断前進という話。

『海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しつつある。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は持ち直しに転じている。』(今回)
『海外経済は、持ち直しに向かう動きもみられるが、感染症の世界的な大流行の影響により、大きく落ち込んだ状態にある。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は大幅に減少している。』(前回展望レポート)

外需判断が物凄い勢いで良くなっています。

『一方、企業収益や業況感は悪化しており、設備投資は減少傾向にある。』(今回)
『企業収益や業況感は悪化しており、設備投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(前回展望レポート)

その一方で設備投資の所はしれっと引き下げています。でもってこの部分も何気に重要ポイントでして、元々今回のコロナショックであばばばばーって中において、景気判断を致命的なまでに下げなかった理由が「設備投資計画が外的ショックの割には踏みとどまっている」という話だったのですが、今回外需判断を上げたのは良いんですけどこっちを下げている、というのは、事実がそうなのだから、という話しならまあ良いんですけど、外需判断を上げたどさくさに紛れて設備投資の判断下げるというような鉛筆舐め舐め的なサムシングでいじってねえだろうな、という辺りが気になります。

まあ今回は情勢判断に関する資料は特段出てこないので、設備投資判断を引き下げたのは引き下げたで良いのですけれども、従来は割と底堅いという判断だったのが下がった理由とか、その背景とか、この下がるようになった要因や状況は中長期の要因なのか一時的であって回復する見込みなのか、というような話については解説して欲しいわ、などと思うのでありました。

んじゃその次。

『雇用・所得環境をみると、感染症の影響が続くなかで、弱い動きがみられている。』(今回)
『感染症の影響が続くなかで、雇用・所得環境には弱い動きがみられている。』(前回展望レポート)

雇用所得環境は語順が変わっているが判断横ばい。

『個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっているが、全体として徐々に持ち直している。住宅投資は緩やかに減少している。この間、公共投資は緩やかな増加を続けている。』(今回)

『個人消費は飲食・宿泊等のサービスを中心に大幅に減少してきたが、足もとでは、持ち直しの動きがみられる。住宅投資は緩やかに減少している。この間、公共投資は緩やかに増加している。』(前回展望レポート)

消費の判断を引き上げ、住宅投資と公共投資は横ばい。

『わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(今回)
『わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りは悪化しているなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(前回展望レポート)

企業の資金繰りが「悪化」から「厳しさがみられる」となっていて、これはゆうてみれば水準自体は低いんだが状況が悪化方向であるという訳ではない、と言いたいようです。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の原油価格下落の影響などにより、0%程度となっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、原油価格の下落の影響などにより、0%程度となっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(前回展望レポート)

物価の判断、予想物価上昇率の判断は同じなのだが、予想物価上昇率の弱含みが継続したら追加緩和せにゃイカンのではなかったでしたっけねえ(鼻ホジホジ)。


・先行き判断:基調判断は割と上がっているんですよね

『先行きのわが国経済は、経済活動が再開していくもとで、ペントアップ需要(抑制されていた需要)の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、経済活動が再開していくもとで、ペントアップ需要(抑制されていた需要)の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、本年後半から徐々に改善していくとみられる。』(前回展望レポート)

先行きの総括判断ですが、現状判断が上がっているので「改善基調」になっていますが、「本年後半から徐々に改善」が前回の見通しだったので、それよりは強いという感じになっているように見えますな。

『もっとも、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。』(今回)
『もっとも、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。』(前回展望レポート)

まあここはこうなるでしょう。

『その後、世界的に感染症の影響が収束すれば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(今回)
『その後、世界的に感染症の影響が収束すれば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(前回展望レポート)

ということで、その海外経済の判断を上げたことによって先行き判断の総括部分が上がっていると言う事ですな。

物価の所は書き方が展望レポートと声明文では微妙に違うので、仕方ないから6月会合(6月16日ね)声明文も合わせて比較引用しましょうです。

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落などの影響を受けて、マイナスで推移するとみられる。その後、経済の改善に伴い物価への下押し圧力は次第に減衰していくことや、原油価格下落の影響が剥落していくことから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落などの影響を受けて、マイナスで推移するとみられる。感染症の影響から、経済活動の水準が低い状態が続くもとで、景気感応的な財やサービスの価格が下押しされるほか、ひと頃に比べて大きく下落した原油価格が、エネルギー価格を通じて消費者物価を押し下げると考えられる。そうしたもとで、中長期的な予想物価上昇率も、引き続き弱含むと考えられる。その後、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰していくと予想される。加えて、エネルギー価格下落の影響も剥落していくとみられる。そうしたもとで、消費者物価の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。中長期的な予想物価上昇率も、再び高まっていくと考えられる。』(前回展望レポート)

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症や原油価格下落などの影響を受けてマイナスで推移するとみられる。その後は、景気が改善していくもとで、プラスに転じたあと、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(6月会合声明文)

物価の見通し、展望レポートでは説明が細かくなっていますが、要はしばらくマイナスの後上昇する、という見通しで基本的な部分に変化はないようです。


・リスク要因:6月会合と比較してみますが基本は同じです

こちらは前回の展望レポートと比較すると展望の方がクッソ細かいのでめんどい、ということを理由にして6月声明文と比較するというインチキをしてみます。

『リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。』(今回)

『リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまで、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。』(6月会合声明文)

微妙に文言が違うのが1か所あるのですが、ゆうとることは同じっすな。


・ガイダンス文言等:これまた同じっす

ここだけは声明文同士で比較となります。このガイダンスに関しても色々と後付けで項目が増えているから昭和の温泉旅館状態で3段落になっとるww

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(今回)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(前回)

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の継続ガイダンスとMBの拡大継続ガイダンス。

『引き続き、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、BETFおよびJ−REITの積極的な買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。』(今回)

『引き続き、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、BETFおよびJ−REITの積極的な買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。』(前回)

金融市場の安定維持どころか官製相場の維持に努めているようにしか見えませんが、コロナ対策3本の鉛筆の話。

『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。』(今回)

『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。』(前回)

政策スタンスは緩和バイアスですお、というお話。

ということでガイダンスの類はいずれも前回決定会合声明文と同じです。


・反対芸人ウォッチング:反対芸の火力が足りない、やり直し

いつものアレをウキウキウォッチング。

『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』(今回)

『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』(前回)

ここの所これしか言わないのでつまらんし、具体策の提示は無いし、おまけに先日の金懇でも質問されて「一点目のどの程度の利下げをという話につきましては、金融政策の決定に関わることですので、この場でのコメントは差し控えたいと思います。」(9月3日の沖縄金懇(オンライン形式)時の記者会見(オンライン形式)での質疑応答から)とか間の抜けた回答しかしていなくて、どうせおまいは具体案ねえんだろという話ではあるのですが、反対芸をするにしても火力が足りないにも程があって、これではキャンプファイヤーどころか飯盒炊爨も出来ませんので赤点再履修。

『(注2)片岡委員は、新型感染症の深刻な影響を念頭におくと、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。』(今回)

『(注2)片岡委員は、新型感染症の深刻な影響を念頭におくと、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。』(前回)

これまた従来通り。ちなみにアホラシスなので6月との比較をしていませんが、6月決定会合の時と前回7月および今回9月共に同一文言での反対になっていまして、おんどれは状況の変化に応じたインプットというものが無いのかという話ではあるのですが、いずれにせよ火力が全然無いのでダメですな。というか安達委員が華麗に助け舟でも出すのかと思えばまるで出す気配が無くてテラヒドスという感じでして、これは片岡さんが勢い込んで纏を回しながら屋根に上ったものの、火消し仲間が誰も加勢に来ないで燃える家の上で降りるに降りれなくなっているの図という感じでして、まあ後先考えずにデビュー戦から華麗に屋根に上った片岡さんテラドジっ子とも言えますが、いざ燃えてみると加勢に行かない町火消仲間というのも何ともかんともではありますな。ナムナムナム。


〇黒田総裁会見:時間は長いのだが内容がスカスカなので質疑2つだけ鑑賞

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200918a.pdf
総裁記者会見要旨
―― 2020年9月17日(木)
午後3時半から約70分

いやまあ今回はガースー政権発足というイベントがあったから関連質問が多くなる、というのはわかるんですが、前回の展望レポートの会合での会見が会見要旨によれば60分となっていて、展望レポートの出た会合よりも、何もなかった無風会合の方が会見長いってどういう事よと申しますか、まあ要するに記者の皆様におかれましては、経済物価情勢判断よりも政治マターの方に興味があるようですね、というのは分かったのだが、金融政策決定会合の会見なんだから頼むから経済物価情勢に関する質疑をしてくれよ、という話ではありますな。

・・・・・・という訳で、これがまた時間にして70分、ページ数にして18ページいっぱいいっぱいに詰め込んでいる(7月は時間60分、ページ数は14ページ半です)のですが、ガースー政権がどうのこうのとかその手の話が多くて、まあ多くてもそれはそれで必ずしも悪くはないとは思いますけど、答えようがないというか、これ以外に答えようが無いでしょ、という質問が連発しておりまして、18ページ読んでまるでおもんないという会見でして、いいからお前ら全員引っ込んでワイが70分質問攻めにしてやるわ位におもいました、まる。

まあ仕方が無いので少しだけ鑑賞。


・これは良い質問

まあ質疑応答の中で見れるものは少ないのですが設備投資に関する質疑を。

『(問) 設備投資の先行きについて、今回、判断が前回よりは少し慎重になっていて、実際の指標をみても、少し設備投資に企業収益の落ち込みの影響が出ているように思います。この弱さについて、先行きの経済をみるうえでどうお考えなのか、中長期的な成長期待が低下してマインドが萎縮するということが、日銀が考えているリスクの大きな要因の一つだと思うので、そういう観点からお願いします。(後半割愛)』

『(答) 設備投資は、足許、若干減少していることは事実です。今年度あるいは来年度の設備投資がどうなるかというのは今後の短観を注意深くみていく必要があると思っています。ただ、現時点では、GDPや企業収益の大幅な落ち込みに比して、数%ぐらいということでそれほど大きくはないと考えています。』

じゃあ何であんな声明文になったの???

『それから、多くの企業は研究開発投資や物流施設の投資といった様々な投資は引き続き行うという意図を示しています。また、ウィズコロナといいますかポストコロナといった新しい投資のニーズも出てくると思います。他方で、企業収益が一旦非常に大きく落ち込んでいますので、これが今後、生産の回復とともに徐々に回復してくると期待していますが、企業収益の回復の程度がどの程度になるかは、長い目でみると、設備投資にも影響し得ると思いますので、その辺りはみていく必要があると思います。』

『現時点では中長期的な成長見通しが大きく下がったとか、将来のための投資も少し棚上げにしようという動きにはまだなっていないと思います。(後半割愛)』

うーんこの玉虫色。まあ判断付きかねるけど現状認識を下げたということなんですかねえ。もうちょっと詳しく説明して欲しかったです。



・聞かれもしないのにFEDの政策を解説しているのですが

こんなのありました。

『(問)(前半割愛)また、アメリカはFRBが金融緩和の長期化方針を示していますし、ECBはラガルド総裁が為替相場を注視するという考えを示しています。円高に振れそうな要因が増えているような気もするのですが、黒田総裁もこの為替相場の動向には注視していくというお考えでしょうか。』

まあ米国のは実は長期化「方針」なのではなくて、「今の経済物価情勢と今後の見通しを前提にすると長期化することになるでしょう」という「見通し」に過ぎないんですけど、ここの所のコミットメントなのかフォーキャストなのか、という所を本来はギリギリと詰めて頂きたいと思いますが、まあ大体からして何とかストなどと言われる方もその辺を詰めないで「2023年末までのゼロ金利政策継続を約束」だの「雇用を重視した政策に転換」だのお前らが言い出すから中央銀行文学が流行するんだよという話ですが悪態はさておき回答が何とも。

『(答)(前半割愛)米国のFRBの政策ですが、先月、金融政策の枠組みレビューを行い、インフレ目標について、「時間を通じて平均して 2%」を目指すとしました。』

「時間を通じて」って日本語がこなれて無いにも程がある。もう少しちゃんとレクしろ。

『そのうえで、昨日、政策金利のフォワードガイダンスを変更して、労働市場の状況が最大雇用と判断できる水準まで回復し、インフレ率が 2%に達したうえで当面の間 2%を適度に上回る軌道に乗るまで、現在の金利を据え置くことが適当と見込んでいると述べています。こうした対応は、米国経済ひいては世界経済の持続的な成長に資するものと期待しています。』

政策金利のガイダンス文言が「The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.」という話ですな。

『この点、日本銀行では、インフレ率が安定的に 2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束した、いわゆる「オーバーシュート型コミットメント」を採用しており、』

はい。

『従来から、インフレ率が景気の変動等を均してみて、平均的に 2%になることを目指しています。』

うーんこの。

『今回のFRBの考え方は、日本銀行のこれまでの政策運営の考え方と軌を一にしたものと考えています。』

おいこらちょっと待て、「オーバーザサイクルで2%」の方はそうだけどオーバーシュート型コミットメントって「2%を超えるまで政策金利を維持」であって、米国のは2%超えの部分は見通しベースのコミットメントになってるから違うだろうがと思うのですが、恐らくは「政策運営の考え方」というのは「オーバーザサイクルで2%」の方って言いたいんでしょうかね、いずれにしても誤解を招きやすい言い方だわさ。

『更に、日本銀行の政策金利のフォワードガイダンスは、「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」というものです。これは、緩和方向を意識しながら金融緩和を継続するという政策運営スタンスを明確にしたもので、日本銀行では、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる方針です。』

しかしながらそれって要は経済物価情勢のリスク認識が下向きだからという話であって、それ別に言うまでもない話だし、大体からしておまいら何か追加緩和したのかという話でもあるのですがね。

『また、ECBのラガルド総裁の発言について、私は何かコメントする立場にありませんが、常に申し上げている通り、為替レートは、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましく、そういう目で為替レートを注視していることに変わりはありません。』

ここだけ答えれば良いのに謎のFED受け売りアピールの意味が良く分からなかったので鑑賞してみました。

その他多少なくもないがあんまりおもろくないので割愛します。以下別件の雑談モード。


〇ESG推進は分かるのだが日銀は民間ヘッポココンサルじゃないんだからさあ・・・・・・(雑談モード)

先日「こんなんありました」ってページだけ紹介した物件があったじゃないですか。

https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/aft200915a.htm/
融高度化セミナー「金融機関の経営改革」をオンライン・ライブ配信で開催
2020年9月15日
日本銀行金融機構局
金融高度化センター

『日本銀行 金融機構局 金融高度化センターでは、標記テーマの金融高度化セミナーを初めてオンライン・ライブ配信で開催しました。』

『金融機関を取り巻く内外環境は大きく変化しており、持続可能なビジネスモデルの再構築に向けて金融機関の経営は「改革の時代」を迎えています。金融高度化センターでは、こうした金融機関の経営改革の取り組みを支援・推進するため、幅広いテーマで金融高度化セミナー・ワークショップを開催して参りました。今回は、金融機関の皆さま方のご関心の強い、SDGs/ESG金融、デジタライゼーション、業務改革・働き方改革、ガバナンスをテーマに取り上げ、これまで金融高度化センターの諸活動・ネットワークを通じて得られた専門的知見に基づき、各テーマの講師が、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえながら、それぞれの改革の現状と今後の課題を整理してご説明いたしました。』

ってあってですね、まあ何の気なしに最初の「SDGs/ESG金融」っての見てみたんですよ。

https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/data/aft200915a1.pdf
SDGs/ESG金融に関する金融機関の取り組み
〜 SDGs/ESG金融に関するワークショップ(2019年6月開催)の模様 〜
2020年8月31日(月)、9月7日(月)
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター

でですね、この4枚目のスライドに『1.はじめに(本日お伝えしたいこと)』って見出しの紙芝居あるじゃないですか。これ見ていやまあこういう風に話を持って行かないと興味ない人のケツを叩けないのは分かるんですけどこの項目見てもうねという話ですわよ奥様。

『SDGs/ESG金融は・・・』てお題は兎も角として、その項目の『「人ゴト」でなく「自分ゴト」』ってのはまだ許せ無い事もない(ただしその下に→で書かれている文言は引用する気も起きませんアレ)が、『世の中の大きな潮流』ってのもうーんこのという感じですし、『ビジネスチャンス』、ってのってのは、政府機関が言う話なのかね、とは思ってしまうのよ。

いやですね、もちろんスライド10枚目の所にSDGsの説明とかもあるんですけど、SDGsの最も基本的な部分って「leave no one behind」って事でしょと思う訳で(現実の制約は兎も角としてこの考え方はとても良い理念だとアタクシは思うのよ)して、外務省ちゃんの特設サイトだと、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
SDGsとは?

の中にある『地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。』ってのが本来のあるべき理念でしょと思う訳ですよ。

そこの
基礎資料:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組(PDF)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202009.pdf

ってのの2枚目のスライドの説明を読みましょうねって話ですが、然るに日銀ちゃんの紙芝居だと17項目の表はあれども理念の話がなおざりにも程があって、いやあのおまいら公的部門なんだからまずはSDSsの理念を謳い上げてくれよ、とまあアタシャ思う訳で、世間がやっているからお前らもやれとか、ビジネスチャンスだからお前らもやれとか、そういう民間コンサルの言いそうなセコい話を中央銀行が「本日お伝えしたいこと」とか言って前面に出してくるのって公的機関として恥ずかしくないの??と思ってしまうアタクシは金に縁がない種類の人間ですかそうですかすいませんですねえ(別にすいませんとは思っていないが)。

いやまあ別にそういうケツを叩く話をするなとまでは言わないんですけど、人間は畜生じゃないんだから鼻先に人参ぶら下げてケツ叩いて走らせようってだけじゃなくて、何で走らないといけないのか、という所から掘り下げて話をして欲しいと思いますし、SDGsの理念をそれなりに考えて賛同なり賛意をもっていたらあのスライド見せられたら馬鹿にするなってトサカに来ると思うんだが(個人の偏った感想です)。

・・・・・・とまあ全然関係のない所でウザ絡みしてしまいましたが、まあよく考えてみますとだれ一人取り残さないどころか格差拡大促進金融政策やっている(というと「経済を犠牲にして格差縮小させてもダメだから」とか屁理屈が飛んでくるのは自明なのですが)というのが中央銀行様だったりするので、そらSDGsの理念を高らかに謳い上げたりはせんわな、と妙な所で納得するのでありました、とただの悪態でしたすいません。





2020/09/18

お題「今回の日銀はかなりどうでも良いので主にFOMCで参りますとりあえず(てか日銀時間切れ)」

組織と個人の区別が出来ていない人がおられるようですな。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200917/k10012623431000.html
河野行政改革相 みずからのサイトに「行政改革目安箱」設置
2020年9月17日 20時42分

行政の長が議員個人のサイトで管轄する行政に関わる調査をするって、公私の区別が出来てませんですねと思いますが、何故悪態が出るかと言えばこのお方昨日申し上げておりますように、ご自身のツイッターで批判的な意見を、本人向けツイートじゃないものまでせっせとエゴサーチしてちょっとした批判でも片っ端からブロックしている訳で、そういう方が「個人で」設置する目安箱だったら「てめえの気に入らないものは一切読まない、気に入ったものは裏も取らずに即採用」とか何か凄いことが起きないかととても心配になります(棒読み)。

「縦割り打破」ってのもアレでして、権限の明確化と相互牽制のプロセスがキチンとしたプロセスになっているものを「縦割り打破」とか言って破壊したら後に残るのは「チェック機能の働かない有司専制」というガバナンスもへったくれもない状況になってしまい兼ねませんので、そうならんように願いたいっすな(超棒読み)。

つまり、須らく五箇条の御誓文の最初にある「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ」の精神をもってやって頂きたいものですし、まあそういう方向でやっていただくことを大いに期待しております(ハイパー棒読み)。


〇FOMCレビューの続きですがカシュカリの謎反対について愚考してみた

昨日の続きでFOMCレビューなんですけど、最後の所のカシュカリの反対は実を申しますと最初に見た時に「あれ??これタカなのか???」と思ったのですが、言ってるのがカシュカリですので、まああの坊主頭のおじちゃんだったらハトだから本人ハトのつもりで提案してるんでしょうな、と思って書いていたんですよ。

という訳で再掲。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a.htm

『Voting against the action were (カプランの方割愛) and Neel Kashkari, who prefers that the Committee indicate that it expects to maintain the current target range until core inflation has reached 2 percent on a sustained basis.』(最終パラな)

これなんですけど、まさに昔の日銀のフォワードガイダンスと水準は違うけど言ってる理屈は同じで、「今の政策金利水準(つまり0-0.25%)をコアインフレが持続的に2%水準に達するまでは維持する」という事を政策院会は示すべき、という話なんですよ。

でまあこれ自体は所謂アウトカムベースのガイダンスなのですが、よくよく考えますと、ロンガーランゴールあんどストラテジーでは(今のように)持続的に2%を割っている物価の期間が長い場合の後には、物価の2%超え状態が幾分かの間継続することを容認する」っていう話をしているんだから、2%超の容認に触れていないこのカシュカリおじちゃんのガイダンス文言って声明文よりタカ派じゃねえのか、というツッコミは当然起こる訳なんですよ、というか読者様からそういう鬼ツッコミを賜りまして冷汗三斗。


・・・・・・・でまあカシュカリ坊主だからハト、というのも何なので更によく考えてみたのですが、2%超を容認するのは容認するんですが、そこの文言ってえのは声明文(でもロンガーランゴールの方でも良いですけれども)ではこう書いてあるんですよね。

『With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(3パラな)

これ良く見ますと「幾分かの期間のモデレートな2%超を容認する」とは言っているのですが、2文目の方では「FOMCはこの結果(とは幾分かの期間のモデレートな2%超という事ね)を達成するまでの間、「expects to maintain an accommodative stance of monetary policy」である、と言ってはいまして、維持するのは「今の政策金利水準」なのではなくて、「緩和的な金融政策スタンス」と言っているだけだったりするんですよこれがまた。

つまりですね、「緩和的な金融政策スタンス」であればよいのであって、別にFFが0-0.25%だとは言ってないのですからして、物価が2%ならば政策金利が0.5%だって物凄い勢いで緩和的というか今よりも緩和的とも言えますよね、となってしまうとあらあら不思議な諸葛孔明の罠、という話になるんですよね。オソロシス。

だったら政策金利水準はと言いますと、3パラ目の今引用した直後に、

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(同じく3パラ)

ということで、政策金利維持は2%超過までではなくて、「労働市場の状況がFOMCとして完全雇用であると認識し、かつ物価が2%に上昇して、しばらくの間モデレートに2%超を維持するという見通しにトラックされた状態である”ことと整合的な状況になるまで”」というこっちも突き詰めて読みますと実はフワフワとした言い方になっているのですな。

まあこの辺はもう文学作品の世界になりますが、まあ要するにアウトカムベースというか、物価(または他のハードデータ)に直接紐付けをさせず、出来るだけジャッジメンタルな部分を残している状態になっているんですよね。

#ではSEPはどうした、と言われそうですがそれはまたこの先で

・・・・・・・つーことでですよ、「2023年までゼロ金利を確約」みたいなストーリーを描きたくなるのは気持ちおよびマーケットの雰囲気としては良く分かるのですが、この声明文って恐ろしく巧妙に出来ていて、よくよく見ると物凄いジャッジメンタルな部分を残しているんですよね。だからカシュカリは物価紐付けのガイダンスを要求したんでネーノという風に思ったんですけどどうでしょうか。

でも、昨日も申し上げた通り、カプランは「フレキシビリティを残すべき」って反対しているように、まあよほどこれ意地悪に読まない限りは、ハト派に突っ込んだ表現(と言ってもジャクソンホール対比横這いですが)という風に読めてしまうのですけれども、カシュカリはこの声明文のコミットメントが実は弱いというのを懸念したということになりますわな。


・・・・・・って考えて頭がウニになりましたが、まあこれは思考をひねくり回すという意味では楽しいお題になりました。


〇ディレクティブ:確かに声明文とディレクティブは時間軸が違うのだが・・・・・・・・・

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a1.htm(今回)
September 16, 2020
Implementation Note issued September 16, 2020
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

前回のはこちら。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200729a1.htm(前回)

『The Federal Reserve has made the following decisions to implement the monetary policy stance announced by the Federal Open Market Committee in its statement on September 16, 2020:』

ということで、

『・The Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously to maintain the interest rate paid on required and excess reserve balances at 0.10 percent, effective September 17, 2020.』(今回)
『・The Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously to maintain the interest rate paid on required and excess reserve balances at 0.10 percent, effective July 30, 2020.』(前回)

IOER(所要準備にも同率を付利するからIORと言った方が正確なのかいな)は0.10%で変更なし。

『As part of its policy decision, the Federal Open Market Committee voted to authorize and direct the Open Market Desk at the Federal Reserve Bank of New York, until instructed otherwise, to execute transactions in the System Open Market Account in accordance with the following domestic policy directive:』

『"Effective September 17, 2020, the Federal Open Market Committee directs the Desk to:』

NY連銀へのディレクティブですけどね、

『・Undertake open market operations as necessary to maintain the federal funds rate in a target range of 0 to 1/4 percent.』(今回)
『・Undertake open market operations as necessary to maintain the federal funds rate in a target range of 0 to 1/4 percent.』(前回)

FF誘導金利は同じなのだから当たり前。

『・Increase the System Open Market Account holdings of Treasury securities and agency mortgage-backed securities (MBS) at the current pace. Increase holdings of Treasury securities and agency MBS by additional amounts and purchase agency commercial mortgage-backed securities (CMBS) as needed to sustain smooth functioning of markets for these securities.』(今回)

『・Increase the System Open Market Account holdings of Treasury securities, agency mortgage-backed securities (MBS), and agency commercial mortgage-backed securities (CMBS) at least at the current pace to sustain smooth functioning of markets for these securities, thereby fostering effective transmission of monetary policy to broader financial conditions.』(前回)

ここが前回と今回が違うのですが、今回の文章は
「SOMAにおける米国債とエージェンシーMBSの保有増加を今のペースで行うこと」
「米国債およびエージェンシーMBSの保有を追加的な量まで増加させ、CMBSの買入を行うこと。その量はこれらの証券の市場のスムーズな市場機能を維持するために必要な量である」

となっていて、、前回の文章は
「SOMAにおける米国債とエージェンシーMBSとCMBSの保有増加を少なくとも今のペースで(ということは今のペースまたはより多く、ですな)行い、それぞれの市場のスムーズな市場機能を維持するこによって、金融政策の波及メカニズムを有効にして、幅広い金融環境に影響を与えること」

になっていますがな。まあこれは実際の買入量がどうなるのかというのを比較すれば分かるんでしょうが、ここのディレクティブを見ると金融環境云々の文言が削除されているのが気になりますが、声明文の方では今回金融環境の話をぶっこんでいて、昨日ネタにした時に「抜けられなくなる恐れ」という話をしたんですが、その逆をディレクティブでやっているという不思議ちゃんな話。


『・Conduct term and overnight repurchase agreement operations to support effective policy implementation and the smooth functioning of short-term U.S. dollar funding markets.』(今回)
『・Conduct term and overnight repurchase agreement operations to support effective policy implementation and the smooth functioning of short-term U.S. dollar funding markets.』(前回)

システムレポの実施文言に関しては全文一致。これも声明文ではシステムレポの話をぶった切ってしまっているのに、ここでは普通に変更なしというのが何か不思議ちゃん(まあシステムレポとかを急に止めはしないのは分かるけど)。

『・Conduct overnight reverse repurchase agreement operations at an offering rate of 0.00 percent and with a per-counterparty limit of $30 billion per day; the per-counterparty limit can be temporarily increased at the discretion of the Chair.』(今回)
『・Conduct overnight reverse repurchase agreement operations at an offering rate of 0.00 percent and with a per-counterparty limit of $30 billion per day; the per-counterparty limit can be temporarily increased at the discretion of the Chair.』(前回)

システムレポの金利水準、1先辺りの限度額に変更はありません。


『・Roll over at auction all principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities and reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency MBS in agency MBS.』(今回)

『・Roll over at auction all principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities and reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency MBS in agency MBS and all principal payments from holdings of agency CMBS in agency CMBS.』(前回)

ここも昨日申し上げましたようにしれっと変わっている部分でして、SOMA保有証券の償還再投資に関する文言を見ると、CMBSの償還再投資に関する文言が無くなっています。よってちょっと上の部分でも扱いが微妙になっていたのかね、とは思いますが、なんか不思議ちゃんではありまする。


『・Allow modest deviations from stated amounts for purchases and reinvestments, if needed for operational reasons.』(今回)
『・Allow modest deviations from stated amounts for purchases and reinvestments, if needed for operational reasons.』(前回)

『・Engage in dollar roll and coupon swap transactions as necessary to facilitate settlement of the Federal Reserve's agency MBS transactions."』(今回)
『・Engage in dollar roll and coupon swap transactions as necessary to facilitate settlement of the Federal Reserve's agency MBS transactions."』(前回)

この辺の文言は変更なし。

『・In a related action, the Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously to approve the establishment of the primary credit rate at the existing level of 0.25 percent.』(今回)
『・In a related action, the Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously to approve the establishment of the primary credit rate at the existing level of 0.25 percent.』(前回)

ディスカウントウインドウのレートは変更なし。

『This information will be updated as appropriate to reflect decisions of the Federal Open Market Committee or the Board of Governors regarding details of the Federal Reserve's operational tools and approach used to implement monetary policy.

More information regarding open market operations and reinvestments may be found on the Federal Reserve Bank of New York's website』(今回)

まあここも同じですな。


・・・・・・てなわけで、買入なんですが、QEの一段の拡大どころかこれペース一部落としてね???とか思うのだが誤読してたらごめんよ。


〇SEP:物凄く虫の良すぎる経済物価見通しとドットチャートと

今回のSEP
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20200916.htm(HTML版)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20200916.pdf(PDF版)
September 18, 2019: FOMC Projections materials

前回のSEP
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20200610.htm(HTML版)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20200610.pdf(PDF版)

もしかしたら少し見せ方(体裁)変えてくるかなとも思ったのですが従来通りの出し方です。今回分から2023年(暦年)の見通しもでまして、まあ出てきたものはふーんという感じではありますが。


・経済物価見通しはどう見てもドットプロットから逆算です本当にありがとうございました

『Economic projections of Federal Reserve Board members and Federal Reserve Bank presidents under their individual assessments of projected appropriate monetary policy, Septemebr 2020.』

例によって手抜きなのでメディアンの数字だけで参る。

Change in real GDP
   2020 2021 2022 2023 ロンガーラン
今回:-3.7 4.0  3.0  2.5  1.9
6月:-6.5 5.0  3.5 (無し) 1.8

Unemployment rate
   2020 2021 2022 2023 ロンガーラン
今回:7.6 5.5  4.6  4.0   4.1
6月:9.3 6.5  5.5 (無し)  4.1

今回は失業率のロンガーラン出すの止めるのかと思ったが出したのね。

PCE inflation
   2020 2021 2022 2023 ロンガーラン
今回:1.2  1.7 1.8  2.0   2.0
6月:0.8  1.6 1.7 (無し) 2.0

これを見ますと、実質成長率はコロナちゃんですけれども足元大幅上方修正、とゆうてもマイナスが減っただけの話ではありますが、その後が21年はゲタある分も含めて反動増は良いとして、22年23年と潜在成長率を上回る水準になっているんですよね。

失業率に関しては、そもそも先般のロンガーゴールとランストラテジーで、「雇用情勢が多少過熱気味になっていたとしても物価に与える影響が小さくなっているという状況を踏まえると雇用情勢の過熱をもって政策反応すべきではない」という話になっているので、失業者数の見通しそのものは政策反応関数というよりも、むしろこの時点における「経済状況」を示すもんだ、という風に読んだ方が適切ではないかと思います(個人の感想です)。

でもってそうなりますと、どうも2023年には完全雇用に戻るということで、んでもってこの時点でも成長率が潜在成長率を上回って推移しているという図になっていますが、何故か物価の見通しはご覧の通りで、まあ足元の数字は原油ガーみたいな話で誤魔化すとしましても、その後さっくりと1.7%まで上昇して、21年以降って潜在成長をそれなりに大きめに上回る成長を示しているのに物価はそんなに上がらない、ってどんな予想だよ整合性取れるのけ???という感じではあります。

まあ見た瞬間思う屁理屈は、失業率をご覧になれば分かるように2021、2022年には経済に相応のスラックが残っていることから物価は上がりにくい、ということなんでしょうが、だったら足元(上方修正したとは言え)から21年に掛けて盛大に上がるのは何でですねんとか、何かこう「コロナのせいにしておけば何でもおっけーなのを良い事に、政策金利見通しから逆算して経済物価雇用見通し作っただろオイ」という感が拭えません。さっきのカシュカリのまるで俊ちゃん時代の日銀を彷彿させるガイダンス文言と言い、どうみても福井俊彦です本当にカムサハムニダという風合いまで漂わせてきているのが味わい深い見通しでした。


・政策金利見通しは順当にこう来たわ

『Figure 2. FOMC participants' assessments of appropriate monetary policy: Midpoint of target range or target level for the federal funds rate Number of participants with projected midpoint of target range or target level』

Midpoint of target range or target level (Percent)

    2020  2021  2022  2023  
0.125  17   17     16    13

ということで、まあそうでしょうな。今ここで2023年には回復するから利上げ軌道復活!とか言い出すのは大統領選挙あるからアカンし、そもそも論からしてコロナがどうなるか次第の中で別に今からそんなに笛や太鼓を鳴らさんでもエエジャロということですな。

ただですね、先ほど申し上げたカシュカリ大僧正のフォワードガイダンス話の所で申し上げましたように、そもそも今のロンガーランゴールあんどストラテジー的にいえば、物価が2%を若干上回って推移しつつ雇用は堅調というのが見込めるのであれば、0-0.25%のFFというのは引き上げ可能(ただし「緩和的な金融政策スタンス」は維持する必要があるので上げるにしてもちょっとダケヨの世界ですけれども)な作りになっていまして、だからこそ0.125%より上の所に4名の札が入っている訳ですよね。

つーことで、今回のSEPってドットを使う事によって、声明文の方で微妙にぶっこんでいる仕掛けを看過しにくくしているのではないか、などと強引な事を思ってしまいましたが、要は今回の声明文って微妙なバランスのとり方をしているのと、微妙な表現を駆使しているのとがありまして、そらまあ近い将来で言えば「金融政策は当面地蔵宣言」をしているのでハトなのはハトなのですが、コロナ騒動が一段落した後の状況次第ではその限りに非ず(逆に超あばばばばーになったら追加緩和ですけれどもバイアスを削除したように大したことが無ければやる気はない)というお話になっています。

つまりですよ、コロナ後の状況次第でどうにでもできる、という状況を地蔵となって継続していく、というのが今回のメッセージでして、そう考えますと、コロナ後が見える前かつ特に追加下方ショックが起きないのであれば、米国市場ちゃんあたりが楽しみにしているらしい、明示的な経済指標紐付けのフォワードガイダンスというのは出てこない(コロナ後の行動について柔軟性を放棄することになるから)という風に考える方が順当になるのかな、と思います。

ということで、まあ2023年末まで現状維持が並んでいるのは、今申し上げたようにどうせコロナ後の状況次第で変化するかも知れないけど今は波風立てずに、というだけの話、そもそもこの政策金利のドットってただの予想なんであって、こんなの直ぐに反故になり得るものですからね。

・・・・・あとちょっと話は逸れますが、ロンガーラン云々の所も多少のオーバーシュートでも「緩和的なスタンス」という話になっていますが、どうせ実際に2.5%程度の上昇を1四半期程度続いたら、国民の皆さんが物価高でブーブー言いだして、議会から何やっとるんじゃワレとなってくるので、その時にしらっと反故になるというのもあり得るでしょ、とは思いますですが、まあそう言う事を考えますと、今の政策って真価が問われるというか地獄の一丁目ご招待になるのは、物価がホイホイと上がりだした時、なんですよね〜。

なお、真の地獄は日本のケースになりますので、その時までは現場職人として生き抜いてこの目で金融市場の状況を感じたいものだ、などと思うのでありました。


〇パウエル総裁記者会見:冒頭ステートメントですがちょっと時間が無いのでちょっとだけ

既にQA付になっております。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20200916.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
September 16, 2020

・足元の回復ペースは「想定以上」

1ページ目の後半から経済の話になりますが、その中ではこのような話が。

『Economic activity has picked up from its depressed second-quarter level, when much of the economy was shut down to stem the spread of the virus. With the reopening of many businesses and factories and fewer people withdrawing from social interactions, household spending looks to have recovered about three-quarters of its earlier decline. Nonetheless, spending on services that typically require people to gather closely, including travel and hospitality, is still quite weak. The recovery in household spending also likely owes to federal stimulus payments and expanded unemployment benefits, which provided substantial and timely support to household incomes. Activity in the housing sector has returned to its level at the beginning of the year, and we are starting to see signs of an improvement in business investment.』

と個別需要項目の話をしつつ、これらは財政のサポートによって支えられています、というのをぶっこむのに余念がないというパウエル議長。でもって、

『The recovery has progressed more quickly than generally expected, and forecasts from FOMC participants for economic growth this year have been revised up since our June Summary of Economic Projections.Even so, overall activity remains well below its level before the pandemic and the path ahead remains highly uncertain.』

つーことで、SEPの2020見通しが強くなっているのでご案内の通りですが、今回は「想定以上に回復が早い」というのが全体としてのアセスメントであって、「想定通りに回復のトラック」の上を行っている点については一応気に留めておくべき(今すぐ鷹の祭典になる訳ではないのでユニフォームの準備はせんで宜しいのですが)でしょうな、うんうん。


・コロナ直撃の人に生活物資の物価上昇はしんどいですねと入れている真意は何じゃろの

あとね、最近いつも言ってる「コロナの影響は低賃金の人やマイノリティの人に特に大きく食らっている」ネタなんですけど今回も割と力説しています。2ページの中段。

『The economic downturn has not fallen equally on all Americans, and those least able to shoulder the burden have been hardest hit. In particular, the high level of joblessness has been especially severe for lower-wage workers in the services sector, for women, and for African Americans and Hispanics. The economic dislocation has upended many lives and created great uncertainty about the future. 』

といういつものから来まして、

『The pandemic has also left a significant imprint on inflation. For some goods, including food, supply constraints have led to notably higher prices, adding to the burden for those struggling with lost income.』

って物価話のマクラにぶっこんでいるのですが、いやまあ仰ることはその通りなのですが、だったら物価の一時的上振れ容認スタンスとかエエンカイノと言いたくなりますが、まあそのときは景気が良い時なんだから細けぇこたあいいんだよ!とかそういうことですかねえ、なんかうまくつながる理屈を入れないと微妙感漂う。ちなみにこの次は、

『 More broadly, however, weaker demand, especially in sectors thathave been most affected by the pandemic, has held down consumer prices, and overall, inflation is running well below our 2 percent longer-run objective. 』

となって以下SEPの物価見通しの数値になります。


・雇用重視に舵は切っとらんじゃろという物件を見つけました

ちょいと飛んで金融政策運営の話をしている辺りで4ページの頭の辺りから。

『Hence, as we say in our statement, with inflation running persistently below 2 percent, we will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. We expect to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes, including maximum employment, are achieved. 』

金融政策運営におけるインフレ目標部分の説明をしておりますが、最後に「もちろんこの結果には最大雇用も含まれます」って入っていまして、どこからどう見てもこれは「最大雇用は当然目指すんだが、物価2%目標(アベレージターゲット)の達成を目指して推進する際に含まれるもの」みたいな言い方になっていますよね、と思うんですが。

先般も申し上げたと思いますが、ジャクソンホールで示されたのは「雇用状況が過熱化したからと言って即座に望ましくないインフレ圧力に直結する訳ではない」ということなのですから、基本的に雇用情勢というのは、目標として最大雇用はめざしますけれども、政策反応関数としては寧ろ物価一本に近づけている、という風に読むのが順当だと思いますし、そういう政策反応関数になっている(と思われる)以上は、雇用重視に舵を切った、というのはちと違くね??という感じはしますけど如何でしょうかね。



〇そういや日銀だが足元を物凄い勢いで上方修正しただけですよ

えーっとすいませんアブソリュートりーに時間が無くなった(これでも少しは夜なべしてたんですが)ので日銀ネタは連休中に投下できる時間があれば投下したいと思いますが、間に合わなければ週明けにFEDとBOJを盛大にごった煮にしてお出ししようかとは思っております誠に申し訳ございません(土下座)。






2020/09/17

お題「FOMCレビューである(まさかの声明文だけで時間切れサーセン)」

今回はまあ何も無かったといえば何も無かった(ロンガーランゴールの変更時点で明らかにされていた変更をしている、という意味です)のですが、細々見ると割とこうややこしくて、こんなことならばもう1時間早起きすれば良かったですお、と思った時にはアフターフェスティバルorzorz。

ちなみにオープニングステートメントは日本時間的には5時回ってからアップされておりますけれども、そこまで今日は絶対手が回らないのを確信しているのでMPMネタと共に明日で勘弁。というかうっかりするとSEPまで手が回らんかもしれんがあれは見ての通りですわ(おい)。


〇声明文:景気認識若干引き上げ、政策に関してはロンガーランゴールどおりではあるが若干ヤヤコシイ

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200729a.htm(前回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_LongerRunGoals.pdf(ロンガーランゴール)


今回はある程度声明文を詳細に読み込む必要はあるかと思ったが結構体裁を変えて来やがってアタクシ鼻歌混じりでいつもの時間に起床して大後悔時代にも程がある。


・第1パラグラフ:「引き続きコロナ危機ステージ」であることを示す

つい自分の所が落ち着いている(ように見えるだけかもしれんが)のでうっかりしますが欧州とか絶賛再拡大していますからね、ということでこの1パラが外れるのが危機対応モード脱却という話ですが、まあその時には各種措置の延長が行われないとかそういうのも出てくるでしょうから、一々気にしなくても良いかも知れませんけどね。

『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(今回)

『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(前回)

全文一致。

・第2パラグラフ:経済の現状判断はパンデミックの諸々に関して若干の上方修正、ただし水準はあばばばばーのままとな

『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world. Economic activity and employment have picked up in recent months but remain well below their levels at the beginning of the year.』(今回)

『The coronavirus outbreak is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world. Following sharp declines, economic activity and employment have picked up somewhat in recent months but remain well below their levels at the beginning of the year.』(前回)

コロナの表現が「アウトブレイク」から「パンデミック」になっています。これアタクシ例によってドメドメジャパニーズだからニュアンスの差が英和辞典ベースでしかワカランチ会長なのだが、拡大自体は相変わらずだけど爆発的にうぎゃーという段階じゃなくなったとかそういう認識かいな、とは思いましたが米語普段使い経験のある方のご指導を賜りたい。

でもって経済活動と雇用の所ですが、「have picked up somewhat」→「have picked up」なのでどう見てもこれは判断前進になっています。もちろんその次にある水準はダメダメでっせが残っているので水準というより方向性の話っすな。

『Weaker demand and significantly lower oil prices are holding down consumer price inflation.』(今回)
『Weaker demand and significantly lower oil prices are holding down consumer price inflation.』(前回)

『Overall financial conditions have improved in recent months, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(今回)
『Overall financial conditions have improved in recent months, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(前回)

物価と金融環境に関しては文言一致。


・第3パラグラフ:ここから体裁が色々と変わるのでめんどいのだがここでは先行きのコロナ次第の文言に微妙な微妙感

ここから体裁が色々と変わったのでかなりめんどい。

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus. The ongoing public health crisis will continue to weigh on economic activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable risks to the economic outlook over the medium term.』(今回)

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus. The ongoing public health crisis will weigh heavily on economic activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable risks to the economic outlook over the medium term. 』(前回)

前回の3パラはこの後政策金利の話になるのだが今回はここでパラグラフが終了しています。でもって先行きの見通しパラグラフになっていますが、ちょっとだけ違うのは先行きの経済に関して今後のパブリックヘルスクライシスが「will weigh heavily on」→「continue to weigh on」とヘビリーが抜けているので、ここも少し判断を引き上げ気味になっていますかね、とは思います。少なくともコロナコロナあばばばばー一辺倒ではない、という風に見せようとしてるように思えますがどうっすかね。


・第4パラグラフ:政策金利に関する部分ではロンガーランゴールの表現をぶっこみまくってくるの巻あんど・・・・・・・

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. 』(今回)

今回読んでてあっちこっちで「おー」と思いましたが、ここも「おー」でして、コロナ前の声明文ですと、金利政策に関する説明が2パラから始まるのですが、その頭に必ず「Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.」とあったんですよ。でもって今回「seeks to foster」がしらっと「seeks to achieve」となっていますので、「現状はマンデートにショートフォール」ってのをより明確化しているなあとは思いましたが、同時にコロナ前の文言の体裁が復活しているので、1パラは同じですから危機モード認識には変化が無いですが、抜き足差し足忍び足的に判断の正常化に向けて進んでいる、という感じを受けました。アタクシが受けただけですけどね。

『With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(今回)

今回の4パラですが、ガイダンスとは言い難い政策金利の先行きに関する文言(ガイダンス文言は政策決定の所の次にある)が上記のようにぶっこまれていますが、これはロンガーランゴールの4パラ目の以下の文言に相当する表現となりますでしょうな。

『The Committee judges that longer-term inflation expectations that are well anchored at 2 percent foster price stability and moderate long-term interest rates and enhance the Committee's ability to promote maximum employment in the face of significant economic disturbances. In order to anchor longer-term inflation expectations at this level, the Committee seeks to achieve inflation that averages 2 percent over time, and therefore judges that, following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, appropriate monetary policy will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time.』(ロンガーランゴール)

ということで、その次に金利維持、というのが来まして・・・・・・・

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(今回)

『In light of these developments, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent. The Committee expects to maintain this target range until it is confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve its maximum employment and price stability goals.』(前回)

ガイダンス文言ですが、こちらは「is on track to moderately exceed 2 percent for some time」という事ですので文言変更、と言いましても、さっき引用した(めんどいのと文章切りたくないから一緒に引用しちゃいましたが)ロンガーランゴールの引用部分のケツの所に「following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, appropriate monetary policy will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time.」とあるのと同じことを言っているので、これ自体前回対比では変更ですけれども、既にロンガーランゴールに記載されているので、その点で言えばジャクソンホールと横ばいになります。

でもってめんどいのは今回資産買入も同じパラにぶっこんでやがることで、この続きが、

『In addition, over coming months the Federal Reserve will increase its holdings of Treasury securities and agency mortgage-backed securities at least at the current pace to sustain smooth market functioning and help foster accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(今回)

『To support the flow of credit to households and businesses, over coming months the Federal Reserve will increase its holdings of Treasury securities and agency residential and commercial mortgage-backed securities at least at the current pace to sustain smooth market functioning, thereby fostering effective transmission of monetary policy to broader financial conditions.』(前回)

今回の違いは資産買入に関して「and help foster accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.」と市場機能以外の話をぶっこんできていることでして、ここをうっかり入れてしまうと危機対応でぶっこんだ分も抜けなくなるような気がするので大丈夫かという風にも思うのですが、インプリメンテーションノートというかディレクティブの方が実は微妙に怪しい文言も入っていて何だか良く分からんぞとは思います。というかディレクティブ間に合うのかオラの時間(やべー)。

あと、まあこれは他意があるのか無いのか分からんし、誰か会見で聞いてるかもしれないけど、前回まであった「In addition, the Open Market Desk will continue to offer large-scale overnight and term repurchase agreement operations. The Committee will closely monitor developments and is prepared to adjust its plans as appropriate」というシステムレポに関する文言をバッサリ削っているんですよね、長くなりすぎだから切っただけなのかもしれませんし、これ自体は政策スタンスとはちょっと別物ですから気にしなくて良いちゃあ良いんですけど。


・第5パラグラフ:act as appropriateの表現をいじっていて地蔵宣言って感じですかねえ

ここは前回の4パラに相当します。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『The Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook, including information related to public health, as well as global developments and muted inflation pressures, and will use its tools and act as appropriate to support the economy. In determining the timing and size of future adjustments to the stance of monetary policy, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its maximum employment objective and its symmetric 2 percent inflation objective. 』(前回)

先行きの金融政策スタンスに関するこのパラグラフですが、しらっと「will use its tools and act as appropriate to support the economy」から「would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals.」に代わっていて、もちろん必要があれば緩和のおかわりは出てくるのは当然ながらも、その前のアウトルックなどの軽めの上方修正に加えて今回「act as appropriate」が「would be prepared to adjust」となっていまして、少なくとも追加緩和バイアスを減らしている、とは言えるのではないでしょうか、ということですので、政策的には当面地蔵宣言ってことですね。


・第6&7パラグラフ:反対2名で方向はタカとハトっすかこれ

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Patrick Harker; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Neel Kashkari; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(前回)

反対2名ですが、

『Voting against the action were Robert S. Kaplan, who expects that it will be appropriate to maintain the current target range until the Committee is confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve its maximum employment and price stability goals as articulated in its new policy strategy statement, but prefers that the Committee retain greater policy rate flexibility beyond that point;』(今回)

カプランは「緩和政策をロンガーランゴールあんどストラテジーのスタンスに沿うのは良いんだけど、先行き経済物価情勢が上向いた時には柔軟に対応できる(つまり状況によっては緩和スタンスの修正を可能にする)ような文言を入れておいて政策の自由度を確保すべきではないか」とぶっこんできているのでこれはタカ風味(風味であってタカではない)。

『and Neel Kashkari, who prefers that the Committee indicate that it expects to maintain the current target range until core inflation has reached 2 percent on a sustained basis.』(今回)

カシュカリは「コア物価指数が安定的に2%に達するまでは今の政策金利水準を維持すべき」ってので反対していて、要は物価紐付けガイダンス入れろというのでハト風味なのですが、物価紐付けと上振れ容認の関係で時間的非整合性が発生した場合の扱いについてどうするんだろ、というのは示されていないのでハトはハトでも物価がガチで上振れした場合にどう来るのかはまたその時になってみないと分からんタイプになります。

という感じですな。


〇実はディレクティブに微妙なのがあって気になったのだが時間が無い・・・・・・・・

ディレクティブに関してですけどね。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a1.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200729a1.htm(前回)

主要金利とかに変更は無いのですが、声明文の方では資産買入は相変わらず「at least at the current pace」なのですが、上記URL先から読めるディレクティブ文言の方は、国債とMBS買入に関して「at the current pace」となっていたり、償還再投資に関する文言の所でCMBSの再投資が削除されていたり(他は再投資の文言維持)とか、なんか微妙に微妙なんですが・・・・・・・というのがありまして、なんか市場が反応して無さそうなので良く分からんのですけれども、これどういうことなのか、というのはあまり米国のこの辺の市場の需給動向を詳細に見ている訳ではないので、ちょっと???だったのですが時間が無いので続きは明日ですいませんすいません。





2020/09/16

お題「唐突ですが日銀の決済フォーラムと金融高度化フォーラムネタで相場無関係雑感」

ほうほう。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200915-OYT1T50281/
行革相に河野氏、防衛相に安倍首相実弟の岸氏…菅新政権の全容固まる
2020/09/16 00:16

ちなみにやたら人気のある河野太郎先生ですが、ツイッターでの振る舞いを見ておりますと「エエカッコウシイ」なのに「批判は自分からエゴサしてまでブロック」という辺りに極めてアレなアレを感じまして、なまじ頭の中身が確りとあるだけに某次郎よりタチ悪い(個人の感想です)ですなあ。大体からして閣僚になった途端に今までの威勢の良い話が全部飛んでしまって、今でも結局は「弱そうなものには物凄い勢いで噛みつくパフォーマンスするけど強いものにはヘイコラと平伏」なので、こういうのに行革やらせると多分碌な事をしないに1万ドラクマ。

あとは安倍ちゃんの家庭教師時代の話をうっかり口を滑らせてしまって「口は災いの元」という故事成語を実践して頂きました平沢勝栄大先生が初入閣というのにガースーさんさすがの人事運営と思いました。なお勝栄先生は早期解散総選挙で当落関係なく「思い出就任」になって終了に1ジンバブエドル。

#今日が臨時国会でしたね失礼しました(昨日は木曜の積りでいました、汗)


〇柄にもなく決済フォーラムの所を見ながら世間話雑談

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200911b.htm/
決済の未来フォーラム デジタル通貨分科会:ポストコロナのデジタル決済(7月30日)の議事の概要
2020年9月11日
日本銀行決済機構局

内田理事の挨拶があってネタにした物件(スルーしてるネタですが池田理事が途中退任になりまして、貝塚正彰さんが理事に就任されましたな、もともとは決済機構は池田理事が御担当だったと記憶しておりました)ですが、式次第を見ますと、『2.プレゼンテーションとディスカッション 』の所にこんな便利な物が(個別のプレゼン資料に関して、日銀以外が出している物件に関しては多分勝手にホイホイ引用しない方が良いと思うのでスルーします)。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/data/rel200911b2.pdf
決済の未来フォーラム デジタル通貨分科会(7 月 30 日)の議事概要
2020 年 9 月 日本銀行決済機構局

『日本銀行決済機構局では、7 月 30 日、「決済の未来フォーラム デジタル通貨分科会:ポストコロナのデジタル決済」を開催しました。プレゼンテーションおよびディスカッションにおける議論の概要を、以下で紹介します。』

『1.プレゼンテーションの概要

第1部(プレゼンテーションパート)の前半では、「ポストコロナのリテール決済:顧客行動の変化と事業者の課題」をテーマに、キャッシュレス決済に取り組む関係者から、以下のような発表が行われました。内容の詳細は、別掲のプレゼンテーション資料をご覧ください。』

ということで要旨を記載して頂いているのはアリガタヤでこれはさすがに引用して良いんですよね(ダメならその部分黒塗りなり削除なり編集します)。

『(株式会社三井住友銀行 渋谷氏)

キャッシュレス決済は、ポイント還元などの政策対応に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた外出自粛などの影響を受けて、大幅に利用が拡大している。当グループのクレジットカード決済の動向をみると、乗車券・航空券など旅・移動にかかる決済は大幅に落ち込んだものの、Electronic Commerce(EC)にかかる決済が拡大しており、特にこれまで利用が少なかった高齢層の増加が目立つ。こうした傾向は一過性のものではなく、キャッシュレス決済や EC 利用は進展・定着していくのではないか。また、銀行取引の非対面化、すなわちネットバンキング利用やリモートでの口座開設が顕著に増加する現象も生じている。』

という動きではあったのですが、昨今ご案内のように
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200915/k10012618701000.html
「ドコモ口座」以外の5つの電子決済サービス 不正引き出し確認
2020年9月15日 14時46分

『「ドコモ口座」を通じた預貯金の不正な引き出し問題に関連して、高市総務大臣はゆうちょ銀行が提携する電子決済サービスのうち、「ドコモ口座」以外にも5つのサービスですでに被害が確認されているとして、不審な出金がないか口座を確認するよう呼びかけました。』(この部分直上のNHKニュースのURL先より)

ってなことで、リモートを拡大したら見事に脆弱性を突いた事案が発生するとかいうのが出てしまいましたし、銀行ではなくて資金移動業の方での口座開設においてリモートは良いんだが本人確認がガバガバとか、恐らく今後もEC化、リモート化していく中で、「実はこの部分って対面のようなリアルのシステムを前提にした各種設計になっていた(4桁暗証番号でオッケーなのはリアルにキャッシュカードという物理的トークンとのセットだから堅牢制を確保できていたので、オンラインで4桁暗証だけにするのは脆弱性が高まるよ、みたいな話)、というような感じで、まあ当然ながらこういう話はこの辺りの講演者の皆様には釈迦に説法ではあるのですけれども、だいたいこう「キャッシュレス推進!!」とか「デジタル化推進!!」とか言ってる上の方に行けば行くほどそういうことは知らんがなだったりするのに無邪気にぶっこみに行くというのがオソロシス。

元に戻ります。

『小口決済用の中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、わが国では金融包摂が進展している上、多様な民間キャッシュレス決済サービスが普及していることから、導入の必要性は相対的に低く、むしろ、災害が多い日本においては一定量の現金流通の維持が求められる。一方で、大口決済用 CBDC の導入は、国際資金決済の大幅な効率化につながるなどメリットが見出せるのではないか。』

んだんだ。では次の方に参ります。

『(一般社団法人キャッシュレス推進協議会 福田氏)』

『わが国では、1 人が保持しているキャッシュレス決済の手段(クレジットカード、デビットカード、電子マネーなど)の数が他国に比べて多い一方、決済額は少ない。その理由をユーザーへのアンケートからは窺うと、使い過ぎに対する不安があることや現金の利便性が高いことが指摘できる。』

どうなんでしょうかね。高価決済が面倒(1円単位まで細かい)な時にスイカだのクレカだのが便利だから、というようなことはあるんじゃないですかねえ。あとはポイントサービス付きだからとか。

『また、店舗側については、キャッシュレス決済導入にかかる3つの壁(端末の導入コストの高さ、加盟店手数料などの運用コストの高さ、資金化までのタイムラグ)が普及の制約となっている。』

そらそうよ。自前でプリペイドカードしてれば話は別ですが、というか昔々(前世紀)に金貸しの手先小僧だった時は金利があったから「プリペイドカード運営するとその日掛け分の利子が」とかそんな話していましたなあ(遠い目)。

『最近のクレジットカード利用の推移をみると、高額の低頻度決済だけでなく、日常的な少額の高頻度決済も増加するかたちで、全体の金額・件数が伸びてきている。同時に、コロナ禍において新しい生活様式が推奨され、コード決済や電子マネーなど非接触型のキャッシュレス決済手段が伸びている。』

という中でその普及の足を引っ張るコモドオオトカゲ(仮称)ェ・・・・・・・・・・・

『当協議会では、安心安全にキャッシュレス決済が使われるよう、自治体・医療機関における普及の促進、災害時に強いキャッシュレスのあり方の研究、セキュリティ対策の検討などを行っている。加えて、QR コードの統一規格である JPQR の導入を促進することで、多数のコード決済サービスに対する店舗の対応負担の軽減や、利用者の利便性向上を図っている。キャッシュレス決済を消費者が継続的に利用するためには、ポイント還元などの「利得性」のアピールから、「利便性」の訴求にシフトしていく必要があると考えている。』

というかですね、確かに初期のユーザー増加にポイントとか大事かも知れませんが、こういう取り組みは普通に「利便性」という正攻法で行かないと、ただ単に一時のポイント狙いのポイントコジキだけ集めて抜け殻がレガシーになってしまう、というようなトンチキな事になってしまう、というかそれがジャパンの芸風ってのをいろんな事例で見ているような気がする(おじいちゃん記憶がアレだから咄嗟に事例が出てこないけど)のですよ。

あとね、デジタルなんちゃらやってる人って「利便性」だから普及するって方向に傾きやすいというかそっちの方がアピールしやすいから当たり前のようにそうなるんですけど、アタクシのような現金最強とか売買履歴をキャリアに渡されてウザい広告来るのウザいとかいう変態がどの位居るのか知らん(たぶんマイナー)ですけれども、「実は現金より安全」ってのアピールしないのかな、とは毎度思うのでありまする。まあ性質上難しいちゃあ難しいかもしれませんけど、「紙のチケットだと紛失するとエライややこしいことになるけどEチケットだったら最悪パスポートあれば搭乗手続き行けまっせ」で紙のチケット駆逐した的な、そういう安心性を与えるサービスって無いのとは思うのでした。

ということで次の人なんですが、

『(一般社団法人 Fintech 協会 丸山氏)

当協会が実施しているキャッシュレス決済の利用者 2 万人アンケート調査の結果をみると、ポイント還元などの政策やコロナ禍の影響を受けて、特に電子マネー・コード決済が大きく伸長している。20 歳以下の若年層では、電子マネー・デビット・プリペイドの利用が相対的に高いが、20〜30 代ではコード利用の割合が電子マネーと比べて遜色ないレベルまで高まっている。意外だったのは、キャッシュレス決済サービスを利用する理由として、支払いのスピードの速さを挙げる人の割合が、ポイント還元を挙げる人の割合よりも高かった点である。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、現金や店員との接触回避の傾向も窺われる。(後半割愛)』

ってあるのですが、アタクシはこの「キャッシュレス決済サービスを利用する理由として、支払いのスピードの速さを挙げる人の割合が、ポイント還元を挙げる人の割合よりも高かった」っての意外でも何でもなくて、いや個別店舗のポイントならともかく、共通ポイントみたいなやつだと広告とかそっちがウザいし履歴見られてるみたいでキショイとかそういう感覚になる方もそれなりにはいると思うのね(思いっきりマイナーな個人の感想です)。

ということで、アタクシ思うになんとかポイントで釣るのではなくて、もっと普通にストレートにやっていけば良い時代になってきたんじゃないかな、とは思うのですが、相変わらず「初期の囲い込みはポイントばらまきよ」というのが正義になっているのは個人的には残念です、と言いながら今日も今日とて現金決済のアタクシ。


・・・・・・・さて、この調子で引用していると実は元ファイルご覧になった方お分かりのように10枚組になっているという中々素敵な(褒めてる)資料でして、アタクシも軽くネタにするだけの積りがついついノリノリになってしまっていて焦っているのですが(^^)、

『第1部(プレゼンテーションパート)の後半では、「デジタル決済の強靭性とユニバーサル・アクセスに関する技術的課題」をテーマに、以下の発表が行われました。』

ってなのを鑑賞しますね。

『(日本銀行決済機構局 菅山)

弊行では、「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」を整理し、決済システムレポート別冊として先日公表した。まず、現金は、「誰もが、いつでも、何処でも、安全確実に」利用できる決済手段であり、こうした特性は、「ユニバーサル・アクセス」と「強靭性」(レジリエンス)と言い換えられる。この 2 つを備えるには、オフライン決済への対応が求められる。通信環境が確保できない環境でも利用可能な P2P 決済機能を備えた端末が存在し、多くの人々がこれを利用できなければならない。実装のための技術的課題は多く、スマートフォン型においては、処理性能の確保等が重要であり、カード型においては情報伝達や決済指示に必要な機能(リーダ/ライタ)やテンキー・モニター・電池等の開発・実装にコストがかかる。加えて、セキュリティやプライバシー・AML/CFT 対策についても慎重に考慮する必要がある。』

なお先般のドコモ口座ちゃんでは捨てメアドで口座開設が出来るというアンチマネロン(AML)的にはどこからどう見てもアカンヤロ、というかアンチマネロン関連で今金融機関がどこもかしこも対応のレベルを更に高いものが求められていてゴリゴリ言われながら穴が無いか目を皿のようにして検証しているのに、金融が本業じゃない方面から無邪気にガバガバの本人認証やってましたサーセンとか言われるとワイらの近年の血と汗と涙(はオーバーですが)は何だったのかと小一時間どころではなく問い詰めたい。

んでやね、ユニバーサルアクセスとレジリエンスって話はこの話で分かるし、そこが弱いとアカンのも分かるんですが、でもそこだけじゃない電子だからこそできる(ちょっと思いつくのは価値の保存手段としての堅牢さ、と言ってもまあそれは既に銀行があるから勝てないかな)みたいなサムシングエルスが無いかな、などとは思ったりします。


ということでこのコーナーの最後から2番目のお方の発表要旨が一番興味深く拝見しました。まあ債券市場の現世利益的には知らんがなというネタではあると存じますが、資料も含めて読んでおくのは悪くないと思いますよ。どうせ債券市場大してウゴカンチ会長だし。

『(東日本旅客鉄道株式会社 祖山氏)

Suica は乗車券として誕生したが、当初より電子マネーの構想を並行して準備していた。鉄道と流通の両方を営む当グループの事業をめぐる環境を前提に、決済事業者・メーカーが用意したものに頼らず、自らの事業運用に耐えうるよう自社で構築したことが特徴である。』

キタコレ。

『具体的には、鉄道事業においては、早い処理スピード、紛失・再発行対応、長い運用時間、十分ではない回線環境という条件が前提となるため、オンラインでの稼働を基本としつつ、回線障害等を想定してオフライン機能も具備することとした。』

ほうほう。

『例えば、回線障害が発生しても改札を止めるわけにはいかないことを考えればオフライン処理機能は必要である。データの種類によって完全オンラインか、オフラインとしつつも一定間隔毎にオンラインでデータ収集すると使い分けている。』

奥が深い。

『一方、流通事業においては、Suica 事業が始まった時代のネットワーク環境(3G)の不十分さや、独自に新規ネットワーク構築することの制約(鉄道施設における工事制約や自販機などのスタンドアローン端末の存在)から、オフラインでの稼働を基本としつつ、データ収集や配信のためオンラインのバッチ処理機能も店舗等の端末とセンターサーバー間で具備することとした。結果、サービス全体としては、オンラインとオフラインのハイブリッド型となった。』

なるほど。

『その後、通信回線のリッチ化や媒体のモバイル化といった環境変化により、常時オンラインであることを前提にサービスを考えられるケースも出てきたため、従来のオンライン・オフラインの使い分けの考え方らか解放され、よりリッチなサービスを提供することが可能となっている。』

ということだそうです。なお次の人の話はパスします。

まあ何ですな、だいたい申し上げておりますように、アタクシはバリバリのアナログ、というよりはアナクロと言った方が正しそうな頭の固い人間なのを自認しておりますので、大体この手の話はスルー気味ではあったのですが、まあさすがにそうも言ってられんわと申しますか、運用みたいな仕事は無くならんにしても、世界的に低金利低成長になってくると、金融機関的な意味でアセット使って収益稼ぐというビジネスだけで食って行けるのか感もあるので、ケツに火がつくまで動かないアタクシでもちょっと昨今のこの世界的統制相場チックな動き対処するためにはこっちの方面も知見をきっちり付けておかなければ、などと思うのでありました。

なお、それに関連して積読本が2冊ほどございますが、そちらの書評ネタはいずれそう遠くないうちに参ります所存。


〇金融機関経営のガバナンスセミナーキタコレ

https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/aft200915a.htm/
金融高度化セミナー「金融機関の経営改革」をオンライン・ライブ配信で開催
2020年9月15日
日本銀行金融機構局 金融高度化センター

ということでこちらも目先の金融政策ネタと関係ないというのをFOMCだのMPMウィークにネタにしてしまいますが。

『日本銀行 金融機構局 金融高度化センターでは、標記テーマの金融高度化セミナーを初めてオンライン・ライブ配信で開催しました。』

はい。

『金融機関を取り巻く内外環境は大きく変化しており、持続可能なビジネスモデルの再構築に向けて金融機関の経営は「改革の時代」を迎えています。金融高度化センターでは、こうした金融機関の経営改革の取り組みを支援・推進するため、幅広いテーマで金融高度化セミナー・ワークショップを開催して参りました。』

先生!持続可能な金融緩和政策の再構築もよろしくお願いします!!!(と金融機構局に言ってもそれはボードによろしくと言われますが)

『今回は、金融機関の皆さま方のご関心の強い、SDGs/ESG金融、デジタライゼーション、業務改革・働き方改革、ガバナンスをテーマに取り上げ、これまで金融高度化センターの諸活動・ネットワークを通じて得られた専門的知見に基づき、各テーマの講師が、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえながら、それぞれの改革の現状と今後の課題を整理してご説明いたしました。』

ほっほー、ということでこちらは日銀の人がお話をしております。まあ資料は資料でみてちょという感じですが、上記にあるように順序が

講義1
SDGs/ESG金融に関する金融機関の取り組み [PDF 4,162KB]
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター 企画役 杉村 大輔

講義2
ITを活用した金融の高度化とDX [PDF 3,344KB]
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター 企画役 中山 靖司

講義3
アフターコロナの時代における金融機関の「新しい働き方」 [PDF 2,342KB]
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター 企画役 岡 俊太郎

講義4
経営改革を支えるガバナンス [PDF 2,922KB]
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター 企画役 碓井 茂樹

という順序になっていまして、ほーほーほーESGが最初ですかそうですかという感じですが、働き方云々の所ではちょうどこんなニュースがあったのでそれをクリップしたくてこちらもネタにした・・・・・訳ではありませんがまあ貼っておきます。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-15/QGNXICDWLU6M01
JPモルガン、在宅勤務でスタッフの生産性低下−KBW
Michelle Davis
2020年9月15日 10:41 JST

『キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリストとの会合でJPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が論じた調査結果によれば、仕事量は月曜日と金曜日に特に影響を受けた。これはリモートワークは本来の交流の代わりにならないとの懸念とともに、JPモルガンが今後数週間により多くの従業員にオフィス復帰を要請している理由の一部だ。』(上記URL先より)

月曜金曜以外でも仕事量が影響を受けるとかオンラインでもオフラインでも仕事量が影響を受けているんじゃネーノというツッコミをされると困るのでツッコミはしないで下さい。

あとESGに関しては米国ERISA法での扱いがどうのこうのとか、チラチラとは最近の動向も確認していない訳ではないのですが、まあ猫も杓子もESGみたいになって、本来の趣旨(ミレニアム開発目標からSDGsへの取組みの一環として投資の世界にもSDGsってなことでESG投資みたいな流れだったと思うのですが)との関係上ちょっとこう首を傾げざるを得ないようなサムシングっぽいのも散見されないでもない(やたら言葉を濁しておりますな、汗)、うーんこのという思いもあって、あんまり変なブームみたいにするのイクナイ!とは思うのよ。やるなと言っている訳ではないしSDGsの趣旨は大事なのですが、悪ノリなんちゃってESGみたいなのが横行すると本来の趣旨が飛んで行ってしまうような恐さを感じるんですよね(個人の偏見です)。


・・・・・あ、時間が無くなってしまいました何か今日は暇ネタ雑談みたいになってしまいまして申し訳ございません。まあアタクシの与太雑感はどうでも良いのですが、上記URL先の資料は相場そのものには1ミクロンも関係ないとは思うのですが、ざっとでも目を通したらどうでしょうかねえ、ということで(汗)。

おっと悪態つくの忘れてましたが、「経営改革を支えるガバナンス 」ってのはあの事実上の社外取締役がどう見てもガバナンス効いて無さそうな(一部のちゃんとした人を除く)ボードメンバーをそろえておられる日銀に言われたくはねえよ、などと思いながら聞いている人はいたことでしょう、といつものを入れて本日はここで勘弁。







2020/09/15

お題「貸出増加支援オペは4−6の増加分だけに絶賛増加/ラガルド会見の続き」

議員票の動向にクソワロタ。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/primeminister/
開票結果

石破 茂 氏 68 26 42
菅 義偉 氏 377 288 89
岸田 文雄 氏 89 79 10

ゲルいじめで議員票が岸田に回される(しかも地方票を見た瞬間にこれは岸田やべえしガースー楽勝確定だから多少回しても大丈夫と言う事でプランB発動って感じじゃろ)というこの小姑の集団自民党って状況に笑ってしまうしかありませんな。まあ今回の岸田はゲルよりも上位になるのが仕事という前回とは別に意味でのピエロになりましたかそうですか(あくまでも個人の妄想です)。

ざっくりと党4役の人選見てると実務をがっちりやっていた人たちを引き上げたりしてて、やる気満々ですから衆議院選挙で10月25日(大安)投票日ですな、となると明後日首班指名で9月28日臨時国会召集で冒頭解散じゃの。

#解散の方の六曜まで確認してないけどその前後が解散の日と見ました

#新型立憲はどうでも良いのだが幹事長が福山って総選挙で負けて引責させる前提の続投かよと思いました、まる


〇貸出増加支援が増加とな

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200914a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2020 年 9 月実施分)

『今回の貸付の概要
貸付予定額 132,310 億円
貸付先数 35 先

(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
貸付残高 貸付先数
大手行 308,278 億円 5 先
地域金融機関等 221,899 億円 102 先
合計 530,177 億円 107 先』

今回は今年の4−6の貸出増加に対応した分ですな、前回どうだったかと言いますと、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200617b.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2020 年 6 月実施分)

『今回の貸付の概要
貸付予定額 63,179 億円
貸付先数 48 先

(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
貸付残高 貸付先数
大手行 223,168 億円 5 先
地域金融機関等 219,061 億円 102 先
合計 442,229 億円 107 先』

ということなので大手行中心に増加しておりますな。でもってアタクシも結果出てから確認している時点で間の抜けた話ではあるのですが今更ジローで申し上げますと(超大汗)、

貸出増加支援オペ基本要領
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm/
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領

『8. 貸付金額

貸付先の希望する額とする。ただし、その金額は、9. または10. に定める貸付限度額および当該貸付先が差入れている共通担保の担保余裕額相当額を超えることはできない。

9. 借り換え
貸付先が希望する場合には、次に定める額を貸付限度額として、当初貸付の満期日における全部または一部の借り換えを認める。

(1)借り換え日と同日を貸付実行日とする新規の貸付け(借り換えにかかる貸付け以外の貸付けをいう。以下同じ。)にかかる10.(1)に定める貸出の月末残高平均額(以下「満期時平均額」という。)が当初貸付にかかる10.(1)に定める貸出の月末残高平均額(以下「当初平均額」という。)以上である貸付先にあっては、当初貸付の期日返済額

(2)満期時平均額が当初平均額未満である貸付先にあっては、当初貸付の期日返済額から、当初平均額と満期時平均額の差額を差し引いた額

10. 新規の貸付けにかかる貸付限度額
貸付実行日毎の貸付先毎の新規の貸付けにかかる貸付限度額は、次の(1)から(2)を控除した金額の2倍の金額相当額とする。なお、「適格住宅ローン債権信託受益権担保取扱要領」(平成28年3月15日付政委第24号別紙1.)に基づき本行に担保として差入れられた適格住宅ローン債権信託受益権の信託財産となっている住宅ローン債権は、その担保の差入れを行った貸付先による貸出として取扱うものとする。

(1)当該貸付先による貸付毎に別に定める四半期における貸出の月末残高平均額
(2)平成24年10月から12月までの四半期から、(1)において別に定める四半期の直前の四半期までの各四半期における、当該貸付先による貸出の月末残高平均額のうち、最大の額』


新型コロナ対策支援オペ
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo101.htm/
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領

『8. 貸付先ごとの貸付限度額

貸付先ごとの貸付限度額は、次の(1)および(2)の合計額とする。ただし、貸付実行時点における当該貸付先が差入れている共通担保の担保余裕額相当額を超えることはできない。

(1)各貸付先が貸付実行時点で共通担保として差入れている社債、短期社債、保証付短期外債、資産担保債券、資産担保短期債券、不動産投資法人債、短期不動産投資法人債、企業が振出す手形、不動産投資法人が振出す手形、コマーシャル・ペーパー、企業を債務者とする電子記録債権、不動産投資法人を債務者とする電子記録債権、企業に対する証書貸付債権(米ドル建てのものを含む。)、不動産投資法人に対する証書貸付債権および住宅ローン債権信託受益権の担保価額相当額の合計額

(2)各貸付先が別に定める時点で新型コロナウイルス感染症対応として行っている中小企業等への融資の残高に相当する金額のうち、次のイ.およびロ.に掲げるものの合計額

イ.政府が予算上の措置を講じた信用保証協会による保証または利子減免にかかる制度を利用して行っている融資の残高に相当する金額
ロ.イ.の融資に融資条件の面で準じる融資の残高に相当する金額(ただし、1,000億円を上限とする。)』


・・・・・・・・これ字面だけ見ているとよくよく考えたら貸出増加支援と新型コロナ支援って、新型コロナ支援関連で金融機関全体の貸出が増加していたら担保繰りさえ回ればダブルで借りれるじゃんとか思ってしまったのですけれども、その理解であっとるのかいなこれ、実行可能額に関しての字面的には貸出増加支援と新型コロナオペのコンフリクト条項が存在しないからダブルで行けるとしか思えんが。

いやまあ別にダブルでも何でも良いのですけれども、色々なオペを継ぎ足し継ぎ足ししているうちに何が何だか訳分らんことになっている気が。

でもって、新型コロナオペって要綱の12番に燦然と輝く『12.貸付先の当座預金への付利の特例』がありますけれども、ゆうて期間が6か月ですし、まあもしかしたらロールするかもしれませんけれども(でもこのオペロールしていると「新型コロナ危機が続いている」という話だから東京五輪とのコンフリクトが起きる気がしますなあっはっは)、4年で借りれるのが確約の方がより長い目で見た場合にウマーの可能性が高いとか判断しているのかなーなど色々と妄想を沸かせながら見ておりました。

まーただ単に新型コロナオペの方はもう入れるもんは入れてしまっていて、大企業向けの貸出などが増えた分に対応して4年のオペに改めて入れただけなのかもしれませんけど、その辺の懐具合は人様の懐具合なのでワカランチ会長。

ちなみにちょっと話は違いますが、新型コロナオペパート1とパート2って分かれていますけれども、要綱の方を見ると一応(1)と(2)の分類はありますけど、端から合算扱いしているので、これどこからどこまでが(1)で(2)でっての最初の時点で金融機関に内訳出させないで出したらそら内訳日銀で集計できんわ、という風に思うのでした。何のために「中小企業支援」とか大口叩いたんだという気が思いっきりしますけどね。

・・・・・・・というか、これ系のオペに関しては、このオペによって何か政策波及効果があったのかどうかというのがさっぱり読めん(いやまあそれ言い出したらマネタリーベース直線一気理論だってそうですけれども)次第でありますが、じゃあ検証とか言い出すととりあえず無理矢理理屈を捻りだしてそれらしい分析結果を仕立て上げるのが日銀クオリティ(というかどこの政策当局もやること)なのでまあねという感じです。

#「ニーズがある」というのと「これはオイチイので利用しておく」というのの間には越えがたい壁があると思うのですが、結果として出てくるオペ実行額ってのは要因が何であろうと1つしか出てこないっすからね



〇引き続きマターリとラガルド会見・・・・・とか言ってる場合ではない気もする

何か定例理事会終わってECBからも何のかんの情報発信が出ている気もするんであんまりまったりしている場合ではないのですがまあそれはそれということで。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is200910~5c43e3a591.en.html
PRESS CONFERENCE

Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 10 September 2020

・PEPPの「デュアルファンクション」

これはまあそういう話を吹聴するレーン理事がちとアレというか、レーンさんこの手の微妙な踏み込み話が多いので、鉄砲玉としてやっているんだったら別に良いんですけど、ラガルドさんの統制外で勝手にやっているんだとすると、今後ややこしいことになりそうな悪寒もします。んな訳で質問。

『My first question is about some recent comments by Philip Lane in which he talked about a two-stage policy approach to the PEPP.』

って何のことかと言いますと、

『So he said its role is to counteract the negative shock to the expected inflation path caused by the pandemic. How widely is this view that ending PEPP will depend mostly on the outlook for inflation rather than just the immediate crisis effect shared among the Governing Council?(後半割愛)』

レーンさん(当該講演をネタにしてなかったりするので恐縮ですが)はたぶん無邪気に「PEPPはパンデミックの緊急対応として有効だが、これによってインフレの押し上げ効果も期待される」という話をしているんですよね。

いやそらショック対応のオペってショックによって容認できない下振れが発生するのを抑止するための物なので、それは当然大きな言い方をすれば「インフレーションアウトルックにプラスの効果」って話になるのですけれども、そういうのをごた混ぜにしてしまうのって、「政策割り当て」の観点から如何なものかというか、もっと実務的に言っちゃうと「危機対応でぶっこんだものがなし崩し的に長期化する」というどこかの中央銀行のような事になってしまうから、そこはPEPPはパンデミック対応、危機対応が終了した時点でいったん止める、という形で出口の仕組みを作っておかないと、ただでなくさえ緩和政策の出口ってのは色々と難しいのですから(引き締めの出口との非対称性があるじゃろ)、「この政策は通常にも効く」とか言い出すとぜーーーーーーーーったいに碌な事にならないと思うのよね、まあ本邦では震災手形という素敵な失敗例がありますわな。

まあどこぞの中銀のように「物価目標2%達成のためにこれまで実施していた施策」を「感染症対応」というお題目に全部ぶっこんでしまうという割と斬新な事をする人もいますが、これ感染症の危機フェース終了したから終了しますね、ってタイミングでドサクサに紛れて闇鍋を流しに持って行く際に過去の継ぎはぎ施策も流しに持って行ってしまおう、という究極のドサクサ紛れ出口(というか政策全部見直し)を考えてぶっこんでいるんだったら、究極の火事場泥棒として高く評価して進ぜるんですが、って話がそれましたすいませんすいません。

ラガルドさんの答え。

『Lagarde: I think I have just actually addressed the point that you are raising, which is the dual function of the Pandemic Emergency Purchase Programme.』

ほーん(ちなみにこの質疑は昨日引用した最初と2番目の質疑の次にぶっこまれています)。

『It was a programme in and of its own and it had in its DNA, as I think I have mentioned at one of our last press conferences, flexibility which was clearly intended to address the issue of dispersion, the risk of fragmentation and intended to make sure that our monetary policy was transmitted across all member states of the euro area. Clearly, that function has worked, is working and is critically important in order for our monetary policy to actually transmit throughout the whole region.』

『It has a dual function in that the other function has to do with the monetary stance, and clearly it will continue to address and deliver on that dual function. We very much hope that it continues to work on both accounts, both the stabilisation of financing conditions, the risk of fragmentation, but also the monetary stance in order to make sure that inflation is going towards the medium-term objective that we are pursuing.』

これは前回の会見(そういや前回のQAやらんままだったわw)でもそんな話をしていますが、「PEPPによって我々の金融政策スタンス(緩和的)を示して物価目標達成の意思を明確化して世の中にアナウンスメント効果」という説明はまあ以前よりしているんですよね。ただそれ以上に踏み込んだ答えというのはしていなくて、あくまでもフワッとした意味での説明に(ラガルドは)とどめている訳ですし、とどめておかないとこのPEPP自体の出口が難しくなる、ということはさすがにラガルドさん理解しているっぽいですな。というか寧ろ隙あらば無邪気系ハト派(と勝手に思っている)発言してしまうレーンさんとのバランスを考えた方が良さそうですの。

回答の続き。

『As you know, we increased the size of PEPP back in June and that was clearly intended to respond to the circumstances and to make sure that all the consequences resulting from the pandemic could be addressed through that Pandemic Emergency Programme, whether it related to fragmentation, to financial instability, or to the monetary stance that was a direct consequence of the pandemic.』

とあくまでもパンデミックに紐付けた説明をしています。

『So that continues and we've extended, as you know, the duration of our purchases as well as indicated the time frame during which we would continue to reinvest. We also indicated that all of that should not in any way predicate any obstacle to our delivery of monetary policy.(後半割愛)』

今の所「危機のフェースが終わってしまっているのに無駄にPEPPを延長」というのは無いようですが、まあこの危機のフェーズって言ったって鉛筆舐め舐めの世界であることには変わりはないので、そういう点では妙な金融不均衡を作り出す懸念ってのはありますし、なんかこの言い方だと3月末でも終われなさそうな感じはするんですけど(という訳でワクチンよりも特効薬はよという感じっすな)、今の所「ダラダラと止めるに止められなくなるリスク」までは行ってなさそうな感じを受けました。


・ユーロ高に関する質問追加でワイ的につうこんのいちげきを食らう

ちょっと先の方に行きますとこんなのが。

『I have a question about your comments on the strength of the euro. You were saying that you have discussed it extensively but at the same time, you and the ECB don't seem to be overly concerned about the strength of the euro. Was that view shared by all policy makers?(後半割愛)』

でもって回答。

『Lagarde: I think I've been quite clear and quite explicit in the introductory statement concerning the role that the appreciation of the euro plays.』

解説が始まる。

『I will refer you back to page 3, at the top of the page, where we say: at the same time, in the current environment of elevated uncertainty, the Governing Council will carefully assess incoming information, including developments in the exchange rate, with regard to its implications for the medium-term inflation outlook.』

なるほど。

『As a good observer of our introductory statements, exchange rate and the appreciation of our currency was not mentioned in previous documents.』

しまった!この部分って7月の部分のゴテゴテをスッキリさせていた方にばっかり注目してたわ。ということで改めてラガルドさんの言ってる冒頭ステートメント7月と9月を比較する。

『At the same time, in the current environment of elevated uncertainty, the Governing Council will carefully assess incoming information, including developments in the exchange rate, with regard to its implications for the medium-term inflation outlook. 』(9月のintroductory statement)

『At the same time, in the current environment of elevated uncertainty and significant economic slack, the Governing Council remains fully committed to doing everything necessary within its mandate to support all citizens of the euro area through this extremely challenging time.』(7月のintroductory statement)

・・・・・・・うーん確かに、とは思うのですが、これ7月の方が「必要なことは何でもやりますよ」文言が入っていて、今回って「状況を最大限注視していきます」ってなっている主文の方に目が行ってしまいがちになるじゃろということで、為替レートに確かに言及しているんですが、気が付かないように入れているのかと言いたくなる微妙な入れ方でこれは(普段からそこまで目を皿のようにして見ていないせいもあって)孔明の罠かと小一時間(ただのグチです、笑)。

『So that is clearly an indication of the fact that we do not target, but we monitor and we monitor carefully because obviously the appreciation of our currency has an impact on our inflation. As I said, it's not a policy target for us. I am not going to comment on the level of our currency, but it is clear that the external value of the euro is an important determinant of price setting in the euro area. So we will continue to monitor the development and be very attentive to that.(後半割愛)』

とは言えゆうて「monitor carefully」としかゆうとらんのでやる気を感じなかった、というのが初期反応だったんでしょうな、って思いました。と思ったら次の人が追撃。


『I guess I had a follow up on the exchange rate question. You were quite clear that the ECB is looking at it closely, but I wondered if you could say anything about whether the development so far has been basically benign or if it's something that is worrying most members.(後半割愛)』

そうは言っても言うだけ番長じゃないのという質問に対して、

『Lagarde: As I said, the European Central Bank does not target the exchange rate. Our mandate is price stability and to that end, we have a medium-term inflation aim which we try to pursue using all the monetary policy tools that are available. It is clear that we are currently observing through the analysis that we do, we are observing negative pressure on the price level. That is partly attributable - largely attributable actually - to the appreciation of the euro. While we don't target at any level, and I have not, do not and will not comment on any level, we are also monitoring carefully the appreciation of our currency in relation to its impact on our inflation medium-term level. On your other question, let me take this opportunity to remind you that if and when necessary, and warranted by circumstances, and in accordance with our mandate, the Governing Council is determined to use all the policy tools that it has available, and to deploy them and calibrate them as necessary and as appropriate in order to deliver on our mandate.(後半割愛)』

長々と説明していますが、要するに「為替水準に目標は無い、ワイらの目標は物価目標なんでそれにどの程度悪影響があるかどうか次第じゃ」という話をああでもないこうでもないとこねくり回しながら説明していて、まあ「だから政策反応関数としてはどうなっていんだよ」という質問には答えないわな(下手に答えると普通に市場のおもちゃにされてしまいますから答えないのはモチのロンであることは間違いないっすけどね)という所でございましょうか。

あとはPEPPに関する質問が多少あるかなという感じです、それから最後のフランス語は政治のお師匠さんの逝去に関する言葉だったみたいですね(と言ってもフラ語は分からんので英語に自動翻訳掛けて読んでみた結果ですけど)。PEPPに関する質疑はうーんという感じなので明日のネタが足りなかったら埋め草とかそんな感じかなと思っています。






2020/09/14

お題「日銀からスタッフペーパー2本投下されているので雑談だけ/ラガルド会見質疑応答の頭の所だけで今日は勘弁(その1)」

茶坊主しか周囲におかない宣言キタコレ!!!
https://this.kiji.is/677708981573764193
菅氏、内閣人事局は変えず「政策反対なら異動」
2020/9/13 12:24 (JST)9/13 19:23 (JST)updated
コピーライト一般社団法人共同通信社

米国みたいにちゃんとした政策立案能力が省庁以外にあるんならいいんですが、官邸茶坊主が出してくる鳴り物入りの政策がアベノマスクというのが、と思ったが官邸茶坊主もK産省の茶坊主役人なんだよな〜(絶望)。

ということで忖度強要だそうですが、どうもこのガースー先生強権振り回してチェック機能が働かなくて取返しの付かないことをやらかす悪寒しか無いんだが、安倍ちゃんの最後の方からそうなんだからそらそうなるか。

もちろん政策決定プロセスにおいて省庁の意見なども幅広く聞いて「万機公論に決すべし」の精神なのでしたらそら「決定したことに反対なら異動」でも結構ですが、どうせこれ「官邸茶坊主の案に反対するな」って話だからね〜。

#安倍ちゃんの劣化版というか第一次安倍政権の劣化版の悪寒しかしない


〇スタッフペーパー関連が2発出ているのでメモメモ

・BIS国際銀行統計からみえる本年1-3月期の米ドル資金取引の動きとな

こちらはご紹介ページですが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/rev20j12.htm/
BIS国際銀行統計からみえる本年1-3月期の米ドル資金取引の動き

『要旨』

『2020年3月、新型コロナウイルス感染症が拡大するもとで、グローバルに米ドルの資金需給の引き締まりがみられ、金融機関による米ドル建て国際資金取引にも変化が生じた。本稿では、BIS国際銀行統計からみえる、この局面での邦銀の米ドル建て国際資金取引の動きを紹介する。』

ほうほうほう。

『同統計のデータからは、(1)邦銀が日本銀行から米ドル資金供給オペを通じて米ドル資金を調達し、本支店勘定経由で米国支店に回金した姿や、(2)これに見合ったかたちで、米国において、米国連邦準備制度(FRB)の準備預金が含まれる公的機関向け債権や事業法人等に対する貸出(コミットメントラインからの資金引出し)が増加した姿が窺われた。』

ほっほーという所ですが、この時期にこういうのが出てくるのは、単なるデータ取れたからまとまめたお!というのではあるとは思うのですが、ちょうどこうFEDの(FEDからみた)海外ドルスワップで日本の残高ばっかり妙に多い(最近ドルオペのロールが落ちてきましたが)ということからFEDの方に議会方面辺りから「おまいらのスワップなんだがこれは特定国の銀行に対する補助になっているんとチャウか何で我々の金を外国銀行の為に使ってるんだゴルァ」などというのが飛んでくる(多分今は大統領選挙だからそれどころではないと思うのですが)という事態を考えた際に、この要旨の所にある結論、

「邦銀が日本銀行から米ドル資金供給オペを通じて米ドル資金を調達し」「これに見合ったかたちで、米国において、米国連邦準備制度(FRB)の準備預金が含まれる公的機関向け債権や事業法人等に対する貸出(コミットメントラインからの資金引出し)が増加した」というのをアピールしておいて、中銀間のドルスワップ協定は米国の為にもなっていますよ!!!というのを支援、すなわちFEDの支援だがワイらへの支援にもなる、という中々結構なことを考えておられるのではないか、という程度にアタクシの脳内は捻くれて出来ているので、そんなことを思ってしまうのでありましたが、実際の所はどうなんですかねえ、と正面切って聞いても「これはただのスタッフペーパーですが何か?」と言われると思います。

本文はこちら、ちとまだ読んでいない(見るだけは見たけど)。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/data/rev20j12.pdf
BIS 国際銀行統計からみえる本年 1-3 月期の米ドル資金取引の動き
金融市場局 土屋晶嵩、野嶋文乃、堀川卓己、仙波尭、篠崎公昭*



・これはまた凄いのが来ました(物価統計に関して)

ウヒョー!
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2020/wp20j05.htm/
スパース推定を用いた新しいヘドニック法について
2020年9月11日
王悠介*1、川上淳史*2、畑山優大*3、古田早穂子*4
(皆さん調査統計局の方です)

こちらのご紹介ページの『要旨』を見ますと、

『物価指数の品質調整におけるヘドニック法の適用に当たっては、説明変数間の多重共線性や欠落変数によるバイアスなど、実務上の課題が存在する。本稿では、こうした課題を克服するため、「スパース推定(sparse estimation)」を用いた新しいヘドニック法を提案する。』

うんうんなるほどと言いつつ「←全然わかっていない」というポプテピピックのポプ子の画像を貼りたくなる。

『新手法は、多重共線性に対する頑健性を高める「グループ効果」、および変数選択の適正性と係数の漸近的な不偏性を同時に満たす「オラクル性」を担保することで、ヘドニック法の推計上の課題に対処している。』

完全に腕を組んで頷いているポプ子状態のアタクシ。

『新手法をわが国の乗用車の価格指数に適用した実証分析の結果、従来の標準的な推計手法と比べて、(1)回帰式に採用される変数の大幅な増加、(2)フィットの改善、(3)欠落変数バイアスによる品質向上率の過大評価の緩和、といった点で改善がみられた。こうした結果は、品質調整におけるヘドニック法の利便性を高めるとともに、物価指数の精度向上に寄与するものと考えられる。』

ということで本文はこちら。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2020/data/wp20j05.pdf
スパース推定を用いた新しいヘドニック法について

でまあ本文を20行ほど読んだのですが、まあさっぱりワカランチ会長なのでそれはそれで諦めると致しまして、(たぶん多少解説してもらっても分からんと思う、涙)、まあ要するにこちらは「物価指数の精度向上」な訳ですよ。

でですね、こういう取り組みというのは物凄い勢いで重要で、統計の精度が高いに越したことはないし、これって推計法の改善という話だから、別に精度向上のトレードオフで時間が遅くなるとかそういう話ではなさそう(な気がする)のですから実に結構なお話ではある、というのは全くアタクシ疑うことなく申し上げるとして、まあそれはそれとして、って雑談を一席(という程でもないが)。

えーっとですね、これって物価統計の推計精度を向上させよう、という話で今申し上げましたように大事な話ではあるのですけれども、金融政策判断とかそっちの方面で考えた場合に、こういう「ザ・物価」を追求することに重きを置くべきなのか、というとそれまた微妙な気がするんですよね。つまり、確かに現状インフレ目標政策みたいなのをやっているのではありますが、じゃあこの目標となっているものは「ザ・2%」なのか、というと、そらまあそういう形にはしていますが、「フレキシブルターゲット」だの「アベレージターゲット」だのという話になってきておりますし、そもそも論として中央銀行の金融政策って究極的に行ってしまえば「中長期的に(目先的じゃないよ、という意味)国民厚生の向上に寄与する」もの(決済とかLLRとかいう話はここでするとややこしくなるのでスルー)な訳でして、インフレ目標って本来手段に過ぎんのでありますよね。

そうなりますと「ザ・物価」を求めに行くのは「計器がポンコツではアカン」という意味では大事な話ではあるのですけれども、それをゴリゴリ突き詰めたとしても、物価ってのは経済の結果であると思う訳でして(なおマネタリーベース直線一気理論などによると異なるみたいですけど)、そんだったらステートオブエコノミーを如何にしてタイムリーかつフォワードルッキングに把握することができるのか、というのが大事ですね、とか思ってしまう訳ですよ(別にこれアタクシの頭が悪いから論文内容がレーン理事の毛髪ほども理解できない腹いせで言っているのではないので念のため申し添えます)。もちろんそっちはそっちで最近「ビックデータを用いた経済動向のタイムリーな把握」シリーズが展開されているので、日銀がそういうのを怠ってるとかそういう話ではないのですが。

でもってあとはこの「ザ・物価」みたいなのがあるのかどうか、というのもアタクシは気にしているところで、とか言い出すと白塚先生あたりに大目玉食らいそうですが(汗)、実は一義的な「ザ・物価」ってのが究極的にはあるのかどうなのか、アタクシには判断がつきかねるという風に思うのでした。

と何だか頭の良さそうな振りをしてあんまり頭の良くない話をしている気がしますが、まあこの研究ペーパーを見まして、うーんこのと思ってしまったのを垂れ流してみました。


〇ECB総裁会見質疑応答ネタ

何か今週はFEDと日銀があったりしますのであんまりチンタラやっている場合ではないのですが、まあ今回は政策そのものがウゴカンチ会長だったし会見のライブ放送をようつべで見てたのジャクソンホールの半分以下だったということで勘弁ありたし。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is200910~5c43e3a591.en.html
PRESS CONFERENCE

Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 10 September 2020

・のっけから為替の質問

そらまあレーン理事が連日のように(ECB定例理事会の前も後も)「ユーロ高は域内物価の押し下げ圧力」という発言しているんですからそら質問されるのですがいきなり一発目の質問だったのは(^^)。

『President Lagarde, your words indicate to me that the exchange rate was a topic of discussion in the Governing Council today, so could you give me a bit of detail about that discussion? How concerned are you about the current level of the euro? Do you think this strength is justified and how much does this affect the policy?(後半割愛)』

こらまたド直球な、と思いますが、アタクシ欧州人じゃないからさっぱりその辺分からんですけど、英語が母国語じゃないけど共通の意思疎通に便利、って形で英語使っているせいなのか、ECBの英語って基本的に直球表現が多くてアタクシには助かるですです。BOEの英語とか隙あらばシェークスピアだのディケンズだのモームだの知らんとナンジャソラな表現とかが(さすがに声明文とかはセーフだが講演とかだと素で)出てくるからマジでしんどい(と泣き言)。

『Lagarde: Yes, indeed the Governing Council discussed the appreciation of the euro but as you know, we do not target the exchange rate. Our mandate is price stability and clearly to the extent that the appreciation of the euro exercises a negative pressure on prices, we have to monitor carefully such a matter. This was indeed extensively discussed during our Governing Council.(後半割愛)』

勿論物価の押し下げ圧力になる問題だから議論しましたよでもターゲットはありません、というような淡々とした説明。まあ受け取り方次第の面はあるのですが、もうちょっとユーロ高警戒発言が出るのかなと市場ちゃんは思ったんでしょうかこの時はユーロ高アラートモード無いということでドル下がったんですよね。

ただまあこの辺りはレーン理事に散々ぱら喋らせておいて、自分は原理原則論を唱えておく、という住み分けをおこなっているのか、それともレーン理事がちょっと踏み込んで為替相場に関してぶっこんできているのか、というのがちょっと現状ではアタクシには判断致しかねる所でございまして、どっちなのかによってこれをユーロ高警戒しない発言なのか、それとも単にこの程度ならまだ良いけどもっと来たら許さないって事なのか、その辺は微妙だし、大体からしてその辺りってラガルドとレーンの力関係どうなっているのとか(何となくラガルドさんががっちりグリップしている気がするのは最近すっかりラガルドファンになってしまったバイアスがあると思うのでそれは気のせいにしておく)、その辺りが気になるところではあります。


・今回は各種プログラムの拡大延長の話はどうだったのかという質問

今の質問(質疑応答の一発目)の後半になります。

『(前半割愛)A second question is about whether you discussed any change to any of your policies, whether it's the PEPP or APP, TLTRO, tiering, was there any change being discussed today?』

直球ワロシッリュ。

『(前半割愛)On your second question concerning changes to our programmes, we as always look at how effective and efficient our policies are and our purchase programmes have been. So when we look at the impact that a programme like the Pandemic Emergency Purchase Programme has been, we can only acknowledge the fact that it has been efficient and it has been effective. Whether you look at the sovereign yields across the euro area, whether you look at all indicators of fragmentation, you can - and we can - and we certainly did take stock of the fact that it has worked in relation to both stabilisation of financing conditions and in respect of the risk of fragmentation.』

この回答で味わいがあるのは、ファイナンシャルコンディションの話の中での1つのポイントとして「fragmentation」を挙げている事でして、いやまあギリシャの例のアレの時いらいずっとその話はしていて、ECBにしてみればワイらが実施する金融政策において、クレジットスプレッドの起点となるリスクフリーの金利とか、政策波及メカニズムの中で重要視している銀行貸出ルートの機能面において、域内でfragmentationが発生していたら金融政策の波及メカニズムがワークせんがね、という話はずーっとしているので、新規の話でも何でもないのですが、この部分を聞かれもしないのに強調するということは、まあ色々とアレな財政状況だったりすると話は別なのかも知れませんけれども、現状において一部のヘッポコ国家を除いて、特に主要国の中でのスプレッドが不要に拡大するのはアカン、という話をしている、とも取れる訳でして(個人の感想です)、まあそういう事だぞ、と思うのでした。

『In addition to that, clearly in terms of monetary stance we also acknowledge the fact that PEPP has also served its purpose, although initially it was not intended for that particular aspect of our monetary policy, but it did. So we decided to maintain our accommodative monetary policy, and certainly under current circumstances it is very likely that the full envelope of PEPP will be used for the purpose of developing those policies.』

とまあそういうことでPEPPが効いてまっせこの状況を見ながら適切にプログラムの今後を対処しますって話ですが、これ裏を返して考えますと、パンデミックが一段落というか、ただのインフルの亜種扱いになって、この薬飲んで寝て皆さんの治癒力でなんとかなるじゃろ、というような話になってきて、さあPEPPだのそういうのは終了だお、ってなった時、もちろん売る訳ではなくて新規の買いが無くなるだけでですが、そうなった時の方がスプレッド開きやすくなるんチャウのかとか漠然と思ったり思わなかったり(個人の感想です)。


・上記2点について更にツッコミが来るという連係プレーが日銀総裁会見にも求められるところではあります

次の質問の人は最初の質問の人のネタを敷衍して発展させて来るのがECB会見の良い所。折角なので両方並べますわ。

『I have two questions. The first is on PEPP. The ECB does not fix the size of its net purchases programmes in relation to the size of government bond issuance. However what you called the ambitious fiscal measures in response to coronavirus pandemic by the euro area member states will result this year and next year in a massive increase in debt-to-GDP levels, adding pressure on debt sustainability in some countries. Are you and the Governing Council worried that public debt increases might jeopardise financial stability and provoke unwanted tightening, higher yields and spreads? So in that sense, the market suspects the PEPP to be increased and what do you think about market expectations on that front?』

PEPPに関して来年もコロナ対応で各国の国債発行増えると思うんだが、さてどうするんですかという話の中に、国債発行が増えてくるとそろそろ財政の持続可能性からのスプレッド上昇圧力が起きるかもしれんがどうよ、とかぶっこんできておりまして後半は、

『My second question is on banks. The take-up of the last TLTRO III tender was, as you said, very high but it also showed a fragmented banking system and some weaknesses. COVID-19 can create fragmentation and weaknesses in banking. So market expects more to be done for banks, for example softening of the TLTRO III conditions. Is the Governing Council looking at that on European banks in the pandemic, and the possible revision of existing rules or tools?』

欧州金融機関に関してだが、直近のTLTRO3とか見ていると、域内金融機関におけるfragmentationが始まっているようにも見えるが大丈夫なのか?というような話。では回答だがちと長い。

『Lagarde: Thank you very much for your many questions. Let me take the opportunity of your first question to first of all acknowledge and celebrate the fiscal measures that were taken.』

てな訳で財政の方。

『We had repeatedly over the course of time asked for fiscal measures to be taken, and for fiscal policies to work hand in hand with monetary policy. This is clearly something that we have seen since mid-March both at the national and at the European level. If you combine all the fiscal measures that were taken at national levels, you arrive at roughly a number of 4.5% of GDP consisting of measures that really have an impact on the outlook. That is not to mention the measures that were taken under the headline of guarantees, which roughly account for about 20% of GDP. That's only at the national level.』

『As I said in the introductory statement, the Governing Council strongly welcomed not only the three safety net measures that were decided earlier in the summer to help both employees, companies and sovereigns in total amount of ユーロ540 billion, but it did really welcome strongly the breakthrough of the Next Generation EU fund of ユーロ750 billion which clearly will have an impact most of which, by the way, is not included in our projection as they are being published today. So these fiscal measures were necessary and I'm only pleased that they could be taken in due course and sometimes with the necessary waivers and exemptions that were required at the European level.』

今やっている措置(各国のとEU基金)は必要ですよ、という話をしていますな、そらそう言うわな。

『Let me just add a few words about the programme that we put in place; the Pandemic Emergency Purchase Programme. Let me remind you that it had two functions and it was initially calibrated for ユーロ750 billion that was back on the 18th March. The dual function was the following: the first function was to stabilise market, to ensure a smooth transmission of our policy measures. The second function was to ease our monetary policy stance, to help counter the substantial downgrade of our inflation outlook caused by the pandemic.』

PEPPについて2つの効用ということで、市場の流動性確保と安定強化の他に「緩和的な金融政策スタンスを強調している」というのがあるんですってよ奥様。

『The PEPP announcement already in March, and its recalibration later on in June have successfully stalled the tightening in financial conditions and contributed to easing the overall monetary policy stance. Clearly, with markets stabilising and risks of fragmentation subsidising, I'll remind you that we are pretty much back to the pre-COVID levels in terms of both spreads and dispersion of yields. The flexibility property of PEPP, which is distinct from the attributes of the APP for instance, has become less prominent. The role of the PEPP in easing our monetary policy stance has taken a central stage instead.』

『In a nutshell, fiscal measures were needed. They were taken rightly, timely and efficiently. The PEPP as an emergency programme was clearly responding to the needs of the time.』

コロナ対応では財政が必要なのでその間はPEPPもぶっこみますヨという話をしておりまして、財政の持続可能性どうのこうのの話は華麗にスルーしている感がががが。

『I would add that the TLTRO that you have referred to has also served the purpose that we intended, which was to make sure that the economy was receiving abundant liquidity in order not to accumulate liquidity, not to build buffers, but in order to make sure that lending to the economy was taking place. TLTRO III was calibrated with that in mind, so if banks can actually access a borrowing interest rate which can go down to -1%, it is only under the condition that the lending to the economy, corporate and households, is actually tantamount to what it was or more than what it was, prior to COVID-19. TLTRO III is very different from TLTRO I and TLTRO II in terms of take-up. We've observed at the time of this massive take-up for the first operation, roughly ユーロ1.3 trillion, that it was very well spread throughout the euro area. So it wasn't country specific, it wasn't a category of banks in a country; it was across the board.』

『The other thing that we have observed, which tells us that it is effectively working, is, first, the low interest rates which continue to apply both for corporates and for households and, second, the increased credit that is lent to the economy: 7% for the corporates, 3% for the households.』

TLTROの話をしていますが、こちらも効用とかそういう話をしておりますがな。

『The banks themselves in the July bank lending survey that we have published actually say that TLTROs have helped them to lend to the economy. It shows in the numbers. Those banks that have taken up TLTROs have actually a larger proportion of loans to the economy than those that did not take up TLTROs. So in this stock-taking exercise, both in relation to PEPP, in relation to continued Asset Purchase Programmes otherwise and in relation to TLTROs, we believe that our monetary policy tools as calibrated have worked well.』

ということで、結局質問者の「財政これ以上出していくと弱い国のスプレッドどうよ」というのと「域内の銀行にフラグメンテーションの兆しが出てねえか」という質問には華麗にスルーしているので、まあそこは実際にそうなってくると苦しいので余計なことは言わずにスルーした、と解釈してみましたがどうでしょうかね。

という所で時間が無くなってしまいましたので(サーセン)続きはボチボチ成敗していきます。






2020/09/11

お題「ECBが無風だとこれは来週の金融政策ウィークも無風っすかねえ」

シバキアゲキタコレ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020091001347&g=pol
菅氏、消費税増税は必要 行革徹底が条件
2020年09月11日00時20分

その前にコロナ対策と称して訳の分からん支出してないかという検証をした方が良いと思うの。マスクとかワクチン青田買いとか。


〇声明文はほぼほぼ前回と一致

印刷したものを透かし読みするとほぼ一致という感じでしたが。

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.mp200910~f4a8da495e.en.html(今回)
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.mp200716~fc5fbe06d9.en.html(前回)

前回は7月ですな。でもって比較比較。

・金利について全文一致

『(1) The interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying inflation dynamics.』(今回)

『(1) The interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying inflation dynamics.』(前回)

透かし読みで確認して(^^)コピペも並べて確認していますが全く同じ。政策金利水準と金利のガイダンス文言に変更はありません。


・ペップについても事実上全文一致のようなもの

『(2) The Governing Council will continue its purchases under the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope of ユーロ1,350 billion.』(今回)
『(2) The Governing Council will continue its purchases under the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope of ユーロ1,350 billion.』(前回)

ペップの総額はそのままです。

『These purchases contribute to easing the overall monetary policy stance, thereby helping to offset the downward impact of the pandemic on the projected path of inflation.』(今回)
『These purchases contribute to easing the overall monetary policy stance, thereby helping to offset the pandemic-related downward shift in the projected path of inflation.』(前回)

この購入の御利益の解説部分で書き方が変わっていますが、これは単に今回はECBスタッフの物価見通しが変わっていない(正確にいうと2020と22は変わらずで21が0.1上がっている)ので、前回あったダウンウォードシフトってのが単にインパクトというのに変わったと言う事で、政策的な意味合いではあり
ません。

『The purchases will continue to be conducted in a flexible manner over time, across asset classes and among jurisdictions. This allows the Governing Council to effectively stave off risks to the smooth transmission of monetary policy. The Governing Council will conduct net asset purchases under the PEPP until at least the end of June 2021 and, in any case, until it judges that the coronavirus crisis phase is over.』(今回)

『The purchases will continue to be conducted in a flexible manner over time, across asset classes and among jurisdictions. This allows the Governing Council to effectively stave off risks to the smooth transmission of monetary policy. The Governing Council will conduct net asset purchases under the PEPP until at least the end of June 2021 and, in any case, until it judges that the coronavirus crisis phase is over.』(前回)

コロナお助け買入は柔軟に対応するよそれからお助け買入は少なくとも来年の6末までは継続するし、その後もコロナ感染危機フェーズが終わるまでは実施するよ、というペップのガイダンス文言も同じです。

『The Governing Council will reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the PEPP until at least the end of 2022. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio will be managed to avoid interference with the appropriate monetary policy stance.』(今回)
『The Governing Council will reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the PEPP until at least the end of 2022. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio will be managed to avoid interference with the appropriate monetary policy stance.』(前回)

ここも同じで、ペップで買った資産について償還分のロールをするのかどうかという話は、ネットアセットパーチェスが終わったとしても2022年末まではロールして、その後は金融政策運営上支障のないように残高縮小をする、といういつもの説明。


・元々の資産買入に関しては全文一致

『(3) Net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue at a monthly pace of ユーロ20 billion, together with the purchases under the additional ユーロ120 billion temporary envelope until the end of the year. The Governing Council continues to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates, and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』(今回)

『(3) Net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue at a monthly pace of ユーロ20 billion, together with the purchases under the additional ユーロ120 billion temporary envelope until the end of the year. The Governing Council continues to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates, and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』(前回)

全文一致だから細かく訳すほどの事でもないかも知れませんが(汗)、資産残高拡大ベースで月間200億ユーロ+年末までの特別買入月間1200億ユーロのAPPを継続。APPは利上げして相当の期間の後まで資産規模の拡大を行う。

『The Governing Council intends to continue reinvesting, in full, the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time past the date when it starts raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』(今回)
『The Governing Council intends to continue reinvesting, in full, the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time past the date when it starts raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』(前回)

APPの償還再投資に関しても同様。この部分も全文一致ですな。


・短期市場の資金供給、TLTRO3に関しても全文一致

『(4) The Governing Council will also continue to provide ample liquidity through its refinancing operations. In particular, the latest operation in the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) has registered a very high take-up of funds, supporting bank lending to firms and households.』(今回)
『(4) The Governing Council will also continue to provide ample liquidity through its refinancing operations. In particular, the latest operation in the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) has registered a very high take-up of funds, supporting bank lending to firms and households.』(前回)


・最後の「必要ならば何でもやりまっせ」(やるとは言っていない)も全文一致

『The Governing Council continues to stand ready to adjust all of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』(今回)
『The Governing Council continues to stand ready to adjust all of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』(前回)

ついでに「commitment to symmetry」文言も同じです。ということで無風キタコレという感じです。


〇無風キタコレなだけに会見ですが・・・・・・・・(質疑応答は後日)

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is200910~5c43e3a591.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE

Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 10 September 2020

こちらですがECBの場合ユーチューブでライブ放送するので、何人見てるとかいうのが見えるのですが、始まって30分ちょいすぎた所(日本時間の夜10時)は7800人くらいしか視聴してなくて(ジャクソンホールのパウエル講演は確か1.9万人とかだった気がする)、終わりごろになるとアタクシも最早惰性で流していたのですが、終わる頃には6800人くらいまで視聴者が減少していましたぞなあっはっは。

#ちなみに最後の最後で「では終了します」ってのを遮ってラガルドがフラ語で何か仰せでしたが、なにせフラ語はラディシィオンシルブプレしか分からないので何を言ってるのやらさっぱりワカランチ会長でした

今の所冒頭ステートメントだけ出ていますのでそちらをば。

・経済アセスメントを若干引き上げも「当初の想定通り」なので政策は現状維持ですかそうですか

冒頭ステートメントちゃんを1行で要約するとそんな感じですかねえ(^^)。最初の挨拶飛ばして次から。

『The incoming data since our last monetary policy meeting in July suggest a strong rebound in activity broadly in line with previous expectations, although the level of activity remains well below the levels prevailing before the coronavirus (COVID-19) pandemic.』

いきなり一発目に「a strong rebound in activity」がぶっこまれましたので、「broadly in line with previous expectations」と言われてもほーって思いましたです。なおその直後に「the level of activity remains well below the levels」って来ているのでタカでも何でもないのですけれども、威勢の良い話ではあります。

『While activity in the manufacturing sector has continued to improve, momentum in the services sector has slowed somewhat recently. The strength of the recovery remains surrounded by significant uncertainty, as it continues to be highly dependent on the future evolution of the pandemic and the success of containment policies.』

製造業の回復が継続、サービスはアカン、今後の展開はコロナ感染症対策の進捗次第。

『Euro area domestic demand has recorded a significant recovery from low levels, although elevated uncertainty about the economic outlook continues to weigh on consumer spending and business investment. Headline inflation is being dampened by low energy prices and weak price pressures in the context of subdued demand and significant labour market slack.』

最後に物価の話が出ますが、物価の下押し要因としてlow energy pricesというのは基本はワンオフの話になりますが、その次のsubdued demand and significant labour market slackによるweak price pressuresというのは継続的な話になりますので、要するにここの動向をどのように見ていくか、というのが物価見通しのポイントになります(今の所)って話をしている訳でございますな、うんうん。

『Against this background, ample monetary stimulus remains necessary to support the economic recovery and to safeguard medium-term price stability. Therefore, we decided to reconfirm our accommodative monetary policy stance.』

現状維持だから政策の話に関するマクラはあっさり味。以下は声明文と同じことをいっているのですが備忘の為貼り付けだけしておきます。

『We will keep the key ECB interest rates unchanged. We expect them to remain at their present or lower levels until we have seen the inflation outlook robustly converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within our projection horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying inflation dynamics.』

『We will continue our purchases under the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope of ユーロ1,350 billion. These purchases contribute to easing the overall monetary policy stance, thereby helping to offset the downward impact of the pandemic on the projected path of inflation. The purchases will continue to be conducted in a flexible manner over time, across asset classes and among jurisdictions. This allows us to effectively stave off risks to the smooth transmission of monetary policy. We will conduct net asset purchases under the PEPP until at least the end of June 2021 and, in any case, until the Governing Council judges that the coronavirus crisis phase is over. We will reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the PEPP until at least the end of 2022. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio will be managed to avoid interference with the appropriate monetary policy stance.』

『Net purchases under our asset purchase programme (APP) will continue at a monthly pace of ユーロ20 billion, together with the purchases under the additional ユーロ120 billion temporary envelope until the end of the year. We continue to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long as necessary to reinforce the accommodative impact of our policy rates, and to end shortly before we start raising the key ECB interest rates. We intend to continue reinvesting, in full, the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time past the date when we start raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

『We will also continue to provide ample liquidity through our refinancing operations. In particular, the latest operation in the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) has registered a very high take-up of funds, supporting bank lending to firms and households.』

ここまで声明文と同じ話。

『The monetary policy measures that we have taken since early March are providing crucial support to underpin the recovery of the euro area economy and to safeguard medium-term price stability. In particular, they support liquidity and funding conditions in the economy, help to sustain the flow of credit to households and firms, and contribute to maintaining favourable financing conditions for all sectors and jurisdictions. At the same time, in the current environment of elevated uncertainty, the Governing Council will carefully assess incoming information, including developments in the exchange rate, with regard to its implications for the medium-term inflation outlook. It continues to stand ready to adjust all of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』(今回)

『The monetary policy measures that we have taken since early March are providing crucial support to underpin the recovery of the euro area economy and to safeguard medium-term price stability. In particular, they support liquidity and funding conditions in the economy, help to sustain the flow of credit to households and firms, and contribute to maintaining favourable financing conditions for all sectors and jurisdictions. At the same time, in the current environment of elevated uncertainty and significant economic slack, the Governing Council remains fully committed to doing everything necessary within its mandate to support all citizens of the euro area through this extremely challenging time. This applies first and foremost to our role in ensuring that our monetary policy is transmitted to all parts of the economy and to all jurisdictions in the pursuit of our price stability mandate. The Governing Council, therefore, continues to stand ready to adjust all of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』(7月会見)

ここだけ突如7月会見の比較をしてみます。七面倒だったのでつい1パラまとめて引用しちゃいましたが、一読して今回9月の方が量が少ないことが分かると思います。でもってここですけれども、前回の真ん中の「At the same time, in the current environment of elevated uncertainty and significant economic slack, the Governing Council remains fully committed to doing everything necessary within its mandate to support all citizens of the euro area through this extremely challenging time. This applies first and foremost to our role in ensuring that our monetary policy is transmitted to all parts of the economy and to all jurisdictions in the pursuit of our price stability mandate.」って所のゴテゴテしていた(というか皆様のために頑張ります的な威勢の良い部分と申しますか)があっさり味になっておりまして、物価の所で出ていた「需要が弱いわ雇用にはスラックがあるわ」という認識は変わらんものの、茲許のストロングリカバリー(なんですかねえ)を受けて、非常時モードっぽい表現を抑制してきた、という風に解釈しましたけれどもどうでしょうかね??


あとサラサラと流しますけど。

『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis. Euro area real GDP contracted by 11.8%, quarter on quarter, in the second quarter of 2020. Incoming data and survey results indicate a continued recovery of the euro area economy and point to a strong rebound in GDP growth in the third quarter. Alongside a significant rebound in industrial and services production, there are signs of a notable recovery in consumption. Recently, momentum has slowed in the services sector compared with the manufacturing sector, which is also visible in survey results for August. The increases in coronavirus infection rates during the summer months constitute headwinds to the short-term outlook. Looking ahead, a further sustained recovery remains highly dependent on the evolution of the pandemic and the success of containment policies. While the uncertainty related to the evolution of the pandemic will likely dampen the strength of the recovery in the labour market and in consumption and investment, the euro area economy should be supported by favourable financing conditions, an expansionary fiscal stance and a strengthening in global activity and demand.』

『This assessment is broadly reflected in the September 2020 ECB staff macroeconomic projections for the euro area. These projections foresee annual real GDP growth at ?8.0% in 2020, 5.0% in 2021 and 3.2% in 2022. Compared with the June 2020 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for real GDP growth has been revised up for 2020 and is largely unchanged for 2021 and 2022.』

成長見通しに関しては2020年の見通しを6月対比でリバイスアップしていますが、2021年以降は概ね変わらず。

『Given the exceptional uncertainty currently surrounding the outlook, the projections include two alternative scenarios, which we will publish on our website following this press conference. Overall, the balance of risks to the euro area growth outlook is seen to remain on the downside. This assessment largely reflects the still uncertain economic and financial implications of the pandemic.』

リスクはダウンサイド、だいたいパンでみっく状況によりけり。

『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation decreased to ?0.2% in August, from 0.4% in July. On the basis of current and futures prices for oil and taking into account the temporary reduction in the German VAT rate, headline inflation is likely to remain negative over the coming months before turning positive again in early 2021. Moreover, in the near term price pressures will remain subdued owing to weak demand, lower wage pressures and the appreciation of the euro exchange rate, despite some upward price pressures related to supply constraints. Over the medium term, a recovery in demand, supported by accommodative monetary and fiscal policies, will put upward pressure on inflation. Market-based indicators of longer-term inflation expectations have returned to their pre-pandemic levels, but still remain very subdued, while survey-based measures remain at low levels.』

『This assessment is broadly reflected in the September 2020 ECB staff macroeconomic projections for the euro area, which foresee annual inflation at 0.3% in 2020, 1.0% in 2021 and 1.3% in 2022. Compared with the June 2020 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for inflation is unchanged for 2020, has been revised up for 2021, and is unchanged for 2022. The unchanged projection for inflation in 2022 masks an upward revision to inflation excluding energy and food - in part reflecting the positive impact of the monetary and fiscal policy measures - which was largely offset by the revised path of energy prices.』

物価見通しに関しては2020年と2022年は6月見通しと変化なく、2021年を引き上げています。ただテクニカルっぽいですな。

という所で今朝は勘弁して頂きとうございます。





2020/09/10

お題「マクロ加算とかその辺のメモ/ウィリアムズとエバンスが今回のロンガーラン云々の説明してるので鑑賞」

これはアカン。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200909/k10012609061000.html
「ドコモ口座」の被害者「信じてもらえず憤り」補償求める
2020年9月9日 17時52分

と思ったら更にアカンのが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200910/k10012610111000.html
「ドコモ口座」去年5月にも同様の不正引き出し
2020年9月10日 1時54分

・・・・・・・・・。


〇マクロ加算比率と社債買入とドルオペのメモ

・9月マクロ加算基準率は引き下げと

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200909a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2020 年9月積み期間:24.0%

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、5兆円程度となる見込みです。

次回は、2020 年 10 月積み期間に適用する基準比率を 2020 年 10 月9日 17 時に公表する予定です。』

8月積み期間は29%でしたが今回は引き下げになりましたな。新型コロナオペのマクロ加算追加措置とドルオペ用担保オペの出入りでこの比率計算するのもエライコッチャという感じですけれども、1か月トータルの資金需給とマクロ加算追加部分動向を勘案したらこうなった、とかそんな感じの数字なので、これ自体に特段の政策的な意図はなくて、ただまあ当然ここの所が当座預金残高進捗操作のポイントになるので、積み期間変わった瞬間はそれに伴う動きとかもあるんかいなとかそんな感じですか。一応雑に言えば短国とかにニーズが出てくるという話にはなりそうですが。なお備忘の為に書いてみただけで、詳しくは短資の方か資金部門の方に解説して頂いて下さいませという所です。

なお、基本的に新コロオペ残が増えるとマクロ加算の掛け目が減らされるという理屈になるのですけれども、新コロオペにどう逆立ちしても参加できないのって、結局アセマネ系になってしまいまして、いやまあもとより超過準備マイナスチャージに関してはアセマネって割を盛大に食っている(マイナス金利導入前余資はギリギリまで全額コールローンにぶっこむのが仕様だから信託銀行の信託勘定は基礎残高というものを持っていなかった)のですが、マイナス金利政策やっている間未来永劫割食う訳で、アセマネって個人の投信マネーとか年金基金とかそういう物件から成る訳で、何とも釈然としないなあとか何とか。

あとまあそういう事言うと物凄い勢いで関係者に八つ裂きに遭いそうのですけれども、超過準備マイナスチャージを起点とする裁定って、結局の所「市場参加者間におけるマイナスの押し付け合い」という物件なのでありまして、なんかこのマイナスサムの世界に人的資源を張り付けないと行けない(張り付けておかないと他所にやられてマイナスが増えちゃいますから市場参加者的には止むを得ない行動)という話なんですが、マイナスの押し付け合いなんぞに人的資源を張らないといけないというのも社会的に損失なんでネーノとか言って結局いつものように「マイナス金利撤廃して三層構造とか止めませんかねえ」という話になるのでした。


・社債買入1−3年は相変わらずの金利ですが&ドルオペ

オファー
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of200909.htm
米ドル資金供給 2020年9月11日 2020年9月17日 0.350
米ドル資金供給 2020年9月11日 2020年12月3日 0.330
社債等買入(残存期間1年以上3年以下)(注4) 3,000 2020年9月11日
(注4) 応札レート(売買希望利回り)は、-0.12%を下限とします。

結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200909.htm
米ドル資金供給(9月17日エンド分) 640 640
米ドル資金供給(12月3日エンド分) 585 585
社債等買入(残存期間1年以上3年以下) 5,427 3,001 -0.053 -0.037 33.4

社債買入1−3年ですが、前回8月5日オファー分の応札/落札が7886/3000でレートちゃんの方が▲3.4bp平均の▲4.4bp足切り按分39.1%となっていまして、まーた金利が下がったかというか、もうマイナス落札が完全に恒常化しておりまして、いやまあそらオペに札入れる立場で考えれば日銀さんオイチイオペありがとうございますって話かも知れませんが、社債のプライシングが歪むんだよなーと申しますか、まあもっと壮大な悪態にしてしまいますと、「リスクに見合った適正なスプレッド形成」が出来ないから市場は発達しないし、もっと言えばIGじゃない社債とかバンクローンみたいな市場に関しても(これは貸出に関する各種の介入の方がでかいでしょうが)そら出来んわという話ではありますな。

しかもこれ、新コロオペはまああれただのマクロ加算2倍とプラス10bp付利オイチイですだからまだそんなに有害じゃないんで延長とかの話が出てもはいそうですかって感じ(まあこのやった振り施策に張ってる人員をもっと前向きな仕事に張らせた方が社会厚生は高まる気がするがそれはさておき)ですが、なにせ「コロナ対策3本の柱」ですから、こ奴ら新コロオペ延長したらCP社債とかまで延長し兼ねないのでマジで頭が痛いというか、日本のクレジット市場マジで壊れるでと思うのですけれどもまあ個人の感想ですから異論はあると思います。

あとドルオペですけれども、3Mのドルオペに関して
6/18→9/11 17,044 9/11→12/3 585
6/11→9/3 15,890 9/3→11/27 355

と元々スタート時点で残高が多かった奴の折り返しがガッツリ減って来まして誠に結構なのですが、さてこの額を無駄に宣伝していた日銀ちゃんはこの「大量のドル資金供給」オペの現況に関してどう説明するのでしょうか、と思いますが、どうせすっとぼけて何も言及しないに1万ジンバブエドル。
 

〇ウィリアムズとエバンスが例のロンガーランうんたらを受けて話をしておりますがサクサクまとめて成敗

・ウィリアムズの説明を読んでも「雇用重視」じゃなくて「アベレージターゲット入れたよ」なんですが

https://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2020/wil200902
A New Chapter for the FOMC Monetary Policy Framework
September 02, 2020
John C. Williams, President and Chief Executive Officer
Remarks at "In Conversation: New York Fed Presidents on COVID-19" (Bretton Woods Committee Webinar)

これはウィリアムズとダドリーの対談みたいなイベントだった筈ですが、最初のご挨拶みたいな感じっすかね。

『Thank you, Bill. It's great to be with you today, at least virtually, and I am looking forward to our discussion. But before we dive in, I thought I would offer some thoughts on the announcement made last week about the completion of the Federal Open Market Committee's review of its monetary policy framework and the issuance of a new Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy.1』

ということで、対談の前にストラテジー何とかについてお話させて頂きたい。ということですが、

『Before I continue-and you know what comes next, Bill-let me give the usual disclaimer that the views I express are mine alone and do not necessarily reflect those of the Federal Open Market Committee or anyone else in the Federal Reserve System.』

これはどうでも良いディスクレーマー。

『Allow me to add one last "before" caveat. Before I explain the new statement, it is important to reflect on the context in which the original statement was issued. Then I'll share how the monetary policy framework of today positions us best to achieve our goals and manage the very challenging environment that lies ahead.』

今回のストラテジー文言については、「前回との差分が重要」だそうです。でまあ以下「なんでこういう事をするようになったのか」という背景説明があるのですが、基本そんなにパウエルとかと変わらん話をしていて、まあここは共有部分ですわなあと思いました。次のエバンスの分で手抜きをするために(こっちの方が短いから)引用しますが。

『The original consensus statement was issued back in January 2012 and represented an important step in the Committee's progress toward greater transparency around its goals and strategy. It incorporated key aspects of flexible inflation targeting, a monetary policy framework that had gained wide acceptance around the world.』

これまでの物件のキモは「flexible inflation targeting」なんですってよ。

『This framework served us well, but the need for change was clear. In the past eight years, basic facts that shaped the original framework have fundamentally changed.』

ここから先がいつもの説明。

『First and foremost is the dramatic decline in the neutral interest rate, that is, the short-term interest expected to prevail when the economy is operating at its full potential and inflation is at its longer-run target. Since January 2012, FOMC participants' median estimate of the neutral nominal rate has fallen by 1-3/4 percentage points, from 4.25 percent to 2.5 percent. A similar decline is seen in private sector forecasts and bond yields.2 This secular decline in interest rates is not limited to the United States-we're seeing it across the globe-and it reflects longer-run trends in demographics, productivity, and other factors that are unlikely to reverse anytime soon.3』

自然利子率が米国のみならず世界的に低下していて、しかもしばらくモドランチ会長であろうという状況ですよ。

『Lower neutral interest rates constrain the ability of monetary policy to offset negative shocks to the economy. This effect has been seen most clearly in the behavior of inflation. Over the past decade, inflation in the United States has been below our 2 percent longer-run target most of the time, and measures of inflation expectations have drifted down.』

そうなると金融政策で経済のマイナスショックに対処する能力が制限されるよ。この10年ほど物価は2%を下回って推移していて、計測されるインフレ期待も下がっているよ。

『These declines in trend inflation and inflation expectations can create a pernicious feedback loop of reduced policy space and even lower inflation expectations. Again, this experience is not unique to the United States, indicating that it stems from factors common across countries, rather than issues unique to our economy. Indeed, most inflation-targeting advanced economies have struggled to achieve their inflation goals on a sustained basis over the past decade.』

そういうのが常態化するとインフレ期待の低下→インフレ率の低下→インフレ期待の低下という流れになる恐れがあるよ、これは米国だけの問題じゃなくてほかの主要国でも問題になっているよ。

『This brings us to last week's announcement and the issuance of a new consensus statement of our policy framework. It is a culmination of extensive outreach and conversations with communities and stakeholders across the country, careful and thorough analysis, and active discussion and debate among Committee participants.4,5 We took important lessons from the experience of the past decade, reassessed the evidence, and looked at the challenges ahead of us. All this effort was worth it: this new statement means we are better positioned to achieve our goals. In fact, the process worked so well, we've committed to repeating it roughly every five years!』

だから今回の見直しをしたよ。散々FEDの中だけではなく多くの人と議論したよ。それから5年ごとに同じようにこれは見直していくよ。

『The new framework statement directly and effectively addresses the problems caused by a low neutral rate and persistently low inflation.』

今回の見直しは直接かつ効果的に自然利子率の低下と継続的な低めのインフレに対処できるよ。

・・・・・とまあここまでが前提の話。金融政策の対応余地がすくないから云々というのは理屈はその通り鴨しらんが、そこで必ず金融政策を割り当てなければいけないというものでもないような気がするんですが、それを言い出すと金融政策が仕事放棄とか言われるからこうなるのよね。

『First, it stipulates that, following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, a temporary overshooting of the longer-run inflation target will likely be desirable to keep inflation and inflation expectations centered on 2 percent. Second, it makes clear that we seek inflation that averages 2 percent over time, consistent with our longer-run target. Finally, the statement makes unequivocally clear that we seek maximum employment and will aim to eliminate shortfalls from this broad and inclusive goal.』

最初と2番目がインフレ目標に関する話で、最後に雇用目標の話をしているんですよね。

『These changes are mutually reinforcing and will meaningfully improve our ability to achieve both of our dual mandate goals in an environment of a very low neutral rate.』

これぶっこんだから本当に効くのか、というツッコミはさておきまして、何故か本邦では「雇用重視」とかいう何となくそれは日銀の異次元緩和ちゃんが2%目指して達成できていないのを誤魔化すために雇用が改善して大勝利とか言って言い訳する理屈にうまうまと乗せられているんじゃネーノという方面を強調する向きが見られますが、まあ普通に物価の方の話が先に来るんですよねー。

『I'll conclude with this: The new framework represents both an important evolution in our thinking about how to achieve our goals and another step toward greater transparency. It reaffirms key aspects of the original statement that have stood the test of time and refines others in line with experience and evolving practices. It also makes some more significant changes in light of developments and lessons learned in recent years. And most importantly, it positions us for success in achieving our maximum employment and price stability goals in the future.』

まとめ、と最後に言っている割にはまとまっていないというか、「このステートメントはエエで」のメカニズムについて触れられていません(そらまあ紙一枚で効くというのは・・・・・・)なあという辺りがちょっと気になります。


・エバンス総裁は数値的な物価紐付けフォワードガイダンスの導入を提言していますよ

https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2020/covid-19-and-the-future-of-the-economy
Last Updated: 09/03/20
Covid-19 and the Future of the U.S. Economy
A speech presented virtually on September 3, 2020, to the Lakeshore Chamber of Commerce in Hammond, IN.

ちなみにこちらは題名にあるように、本来の趣旨は経済の見通しの方でして、そっちを全部すっ飛ばすのはちょっと手抜きにも程があるのですが、最初の『Introduction and disclaimer』の所に、

『My remarks today will focus on a few points that are fundamental for the economic outlook.』ってあって箇条書きになっています。でもって例によって時間が無いので(おい)貼り付けだけしておきます。

『・I'll start with where the economy stands today. Even though growth has resumed in recent months, we are still far from the robust economy we had prior to the pandemic. Importantly, the unemployment rate is about 10 percent now, as compared with 3-1/2 percent last February. We have a long way to go to get back to normal.』

『・The second point is that the future of the recovery is inextricably linked to the virus. Until we’ve made sufficient progress in controlling its spread, activity is likely to remain suppressed-indeed, sporadic outbreaks could even result in further setbacks.』

『・Third, monetary policy and, particularly, fiscal policy have key roles to play. To date, Fed actions, the Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security (CARES) Act, and other programs have provided important support to households, businesses, nonprofit organizations, and state and local governments. The expirations of expanded unemployment insurance provisions, Payroll Protection Program (PPP) lending, and restrictions on some layoffs for firms receiving special industrial relief aid loom large for the economy. These reductions will test the true resiliency of the U.S. economy. The potential hole in aggregate demand may be large, and in my view more fiscal relief will be needed in order to limit further damage to the economy.』

『・My baseline outlook assumes that there will be progress on controlling the virus and that additional fiscal support is forthcoming. Still, I expect it could be late 2022 before economic activity returns to pre-pandemic levels. It also will be some time before inflation picks up to reach the FOMC’s 2 percent objective.』

『・Of course, there are many unknowns in the outlook, and I will spend some time today talking about an important one: the potential implications of the disruptions to our educational system for the development of children’s skills and for the labor force decisions of their parents. Even a one-year disruption to education or work can have lasting effects on children and parents, and thus poses an important risk to the outlook.』

『・I'll conclude with a discussion of monetary policy. The Federal Reserve has taken strong action to help the economy weather the crisis and is committed to supporting the recovery. Given my outlook, I expect this means highly accommodative monetary policy will be appropriate for some time to come. The revised “Statement on longer-run goals and monetary policy strategy” should also help clarify and support our policy goals.』

物凄く雑にまとめると、今後はコロナ次第ではあるけれども、引き続き財政と金融政策、特に財政の強力サポートが必要でっせ、といつものハトなエバンスさんという感じです。でもってロンガーラン云々に関しては本文のケツの方になりますけど、『Monetary policy and revisions to the framework』という小見出しになります。

背景説明とかはウィリアムズともろ被りなので割愛して結論だけ。

『These principles are consistent with the type of outcome-based forward guidance that I advocated and that the Committee used to speed the recovery after the Great Financial Crisis, when we were far away from both our inflation and our employment goals. We are in a similar position today. And I expect that articulating outcome-based forward guidance for the rate path and asset purchases could be beneficial in the not-too-distant future.』

今回のストラテジーの示す基本は「実績ベースのフォワードガイダンス」タイプの政策運営になります、という話をしていまして、よって近いうちに金利パスと資産買入に関する実績ベースのフォワードガイダンス、ってのはつまり経済の実績に紐付け(普通は何かの指標ですけどそこはフワッとしかエバンスは言ってないので微妙)したガイダンスになりますが、それをそう遠くないうちにぶっこむのが適切、と仰せです。

『One of the lessons that monetary policymakers have learned is that policy is most effective when it is clearly understood by the public. I think our new consensus strategy is another important step in providing this kind of transparency and, hence, in helping us to more effectively achieve our policy goals. Of course, strategies need to be implemented with actions, and it is important that our future monetary policy actions are true to the principles laid out in the new consensus statement.』

でまあ一般論っぽく言ってますけど、これは前の所からの繋がりで言えば「実績ベースのフォワードガイダンスを入れることによって政策の説明が分かりやすくなるからぶっこむべき」というようなニュアンスで言ってるな、と思いました。

#物凄く手抜きで恐縮ですがそんな感じですかね







2020/09/09

お題「だいたい片岡審議委員金懇会見:追加緩和を標榜するのは良いけど具体策が無いのは致命的ではないかと」

いつもの前置き雑談を書いているうちに興奮して話が長くなってしまいましたので、冒頭突如謎のネタで参ります。

〇どうしてそういう解釈になるの???(新コロオペがゾンビ企業云々って・・・・・・)

確かロイターでも似たようなお題の解説記事があった気がするが。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-08/QG3XYKDWX2PS01
「ゾンビ企業」の増加警戒、終了時期が焦点−日銀コロナ対応オペ
浦中大我、萩原ゆき、伊藤純夫
2020年9月8日 10:35 JST 更新日時 2020年9月8日 12:26 JST

????????

いやあのゴメン、日銀の新コロオペって別に借入先企業の信用補完をするものではないんですよ。新コロオペは「金融機関が自行の保有する担保を使って資金を日銀から有利な条件で借りることができる」という物件で、新コロオペがあるから与信判断を緩和している訳ではないんですけどねえ。保証協会の制度融資という信用補完制度があるのと、新型コロナ感染症という状況において、金融当局からも取引先企業の支援を求められている、という社会的要請に伴うものであって、はっきり言って新型コロナオペの有無によってそこが増えたり減ったりする部分ってのは限界的の筈なんですよね。

ただまあこの新コロオペ、マクロ加算追加に当預プラス付利がつくから、金融機関にとってはオイチイオペということになる(担保繰りに問題のない範囲内で)ので、そらオペに参加してる金融機関から見たら「継続キボンヌ」という話が出やすいと思うのですが、それ当局向けヨイショとポジトーの世界でしょ。

問題になリ得るのは政府の方の企業への資金繰り支援というか信用補完措置の方が、ダラダラと長期化する場合においてであって、もともと金融機関の円資金流動性には問題が無いどころか超過準備が多すぎるとマイナスチャージされる位の状況なのですから、このオペ終了したから企業支援が止まるとかいうのは直接リンクしない話なんですけどねえ。

百歩譲って言えば日銀の支援も無くなったしここからはユルユルにした与信態度を少し見直します、って言い訳に使われる可能性はありそう、とは思うけど、おまいらどういう記事書いとるねんというか、そういう解説しかしねえから日銀の説明も3本の鉛筆になっちゃうんだよいい加減にしろと小一時間問い詰めたい。というかこの記事にコメント出している(以下の部分は内務省検閲により割愛されました)。

#前置き雑談の積りが興奮して普通の話になってしまいましたなあっはっは。


〇でもって遅れまくってますが片岡審議委員金懇会見

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200904a.pdf

・ちなみにこちらでの新コロオペの延長云々の話が

最初の「今日はどうでしたか」という質問というよりは冒頭説明の呼び水になっている質疑応答なので、まあ要するに冒頭説明なのですが、そちらでこのような話が。

『金融機関ないしは企業からは、日本銀行の「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」について、助けになっているとの声が聞かれました。金融機関の方からは、コロナの影響が更に長期化すると考えられる中、これまで以上に県内企業に寄り添いながら、資金繰り支援や経営改善支援を行っていく必要があり、特別オペの期間延長や、必要に応じて新たな措置の導入を求める声が聞かれました。』

沖縄県経済が大変なのは分かるけど何の追加措置が必要とな、って感じですが。

『こうしたご意見を踏まえまして、私どもとしましては、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、金融政策面の対応を躊躇なく講じていく方針であるほか、那覇支店を中心に、県内経済の回復や諸課題の解決に向けた取組みに、少しでも貢献できるよう努めてまいりたい、と申し上げた次第であります。』

とまあそういうのがあって、これが割とヘッドラインになっていたと思うので、ロイターとかブルームバーグとかがさっきのネタをぶっこんできたのかとは思うのですが、物凄く捻くれた解釈をしますと、リーマンショックを受けた世界的な金融機関に対する規制強化ってのは、こういう時にドタバタしないように金融機関の資本や資金流動性の頑健性を高める為に実施していた筈なのに、もっとクレクレの大合唱になってしまう、ってのは今まで実施した各種の施策が実は足りなかったのか、もしくは(沖縄金懇だけに)地域金融機関の体力がマイナス金利等の過剰なこれまでの金融緩和で失われているのか、とかまあそういう事も考えてしまったりしまわなかったり、というのを思ってしまいましたですわ。どこからどこまでがオイチイから頂戴なのか、しんどいから魂の叫びなのか、という辺りがこの辺見てもまあ分からんので何ともかんともではあるのですが・・・・・・・・・・


・追加緩和の具体策の話を回避するのは如何なものかと思うんだが

冒頭説明の次の質疑です

『(問) 二点あるのですが、一点目は、講演の中で、政策金利を物価目標と具体的に関連付けて、物価が目標と乖離した場合に追加緩和を約束するという形でのガイダンスの強化について、片岡委員のご意見というふうにあったところです。』

ほう。

『既に何年も物価が 2%の目標から乖離し続けている中で、より有効性を高めるガイダンスにするために、』

これはひどい(いいぞもっとやれ)。

『例えばどこまでの乖離を容認するか、より具体的な条件を付ける可能性があるのか、ガイダンス強化のイメージについてもう少しお考えをお聞かせ頂きたいというのが一点目です。(後半割愛)』

これは容赦ない質問ですが、H高さんが佐賀から直接那覇に飛んだんですか(若田部さんの金懇の翌日が片岡さんの金懇)という感じですな。でもって答え。

『(答) 一点目については、私自身は従来からコミットメントの一つの案として、金融緩和と物価安定の目標と実際の物価との乖離の二つをある程度紐づけるような形で、追加緩和等を行っていくようなガイダンスとしてはどうかと申し上げているわけです。』

はあ。

『足許はじりじりと物価上昇率がゼロ近傍に近づいてきているような状況で、講演の中でもコロナ禍において物価下落の圧力がより強まるのではないかという懸念を申し上げました。』

言われんでもわかっとる。

『けれども、現状、今私が申し上げたようなコミットメントは、ボードメンバーの中では採用されていない状況ですので、まずはやってみるということが重要なのではないかと私個人は考えています。(後半割愛)』

うーん答えになっていない。でもってちょっと後にこんな質問が。

『(問) 講演で政策金利の引き下げもお話しされていて、ただ一方で、現実的に利下げ余地があんまりないのではないかというふうにもみえていて、お考えとして伺いたいのは、どの程度の利下げをすれば政策効果があるとお考えなのか、そのイメージがあれば教えてくださいというのと、あと、このコロナ禍でリスク資産の買入れとか、今の現状の枠組みで十分対応できるとお考えなのか、それも併せて教えてください。』

ちょっと質問が2つ繋がっているので後半の方もネタにしますけど。

『(答) 一点目のどの程度の利下げをという話につきましては、金融政策の決定に関わることですので、この場でのコメントは差し控えたいと思います。それから、二点目なんですけれども、こちらはどう考えればいいかですか、もう一度質問をお願いしてもいいですか。』

・・・・・・・いやあのだから具体的に何をするのかって話が無かったら、その追加緩和政策の是非とかについての話も始まらんから論議にならんのだが何で具体策も無しに「追加緩和がー」しか言わんの片岡先生。そうやって具体案言わないでいますと、どうもこれはあの時のトラウマ、すなわち大先生が満を持して披露したデビュー第2戦目の金融政策決定会合における「15年国債金利を0.2%未満」という円債村の村人たち全員の腰を盛大に砕けさせてしまうというつうこんのいちげきを引きずっているのではないか、などという邪推の余地を与えますので(個人の邪推です)、いいからなんか出せよと思う訳です。


・ここでちょっと話が横道に行きますが質問する方も整理して欲しいもんです

しかしまあ何ですな、

『(問) 政策金利の引き下げ以外の政策手段、リスク資産の買入れとか、現状の枠組みについて、これでコロナの対応として十分とお考えなのかを教えてください。』

『(答) 現状の枠組みで十分なのかというご質問であると思いますが、私自身の講演録をご覧頂いてお分かり頂ける通り、十分ではないという認識を持っています。』

これ質問あんまり適切じゃなくて、「コロナ対策のエマージェンシーサポートとして必要」なのか「エマージェンシーサポートとは別の意味で必要」なのかというのが曖昧な質問になっているから、片岡さんの答えはちゃんとしているのですが、一読すると妙な流れ(ぶつ切りするから論旨が明快になりますが、ほわーんと字面を追っていると片岡さんの回答が一瞬訳分らなく読めてしまいました、個人の感想ですが)になってしまっていまして、最初これ見た瞬間に「コロナ対策が足りない???」と読んでしまいましたがさに非ず。

『コロナ対策オペについては、現状の環境下、当時の政策変更の環境下においては、十分だという認識を持っていますし、政策効果が上がっているという認識を持っているのは、講演録で書いた通りです。ただ、今後の展開如何によっては、更なる流動性の供給ないしは、その他様々な対応策を講じていく必要も当然ながら頭の中には考えているということです。』

『そして、現状の枠組みで金融政策の目標としての 2%を達成できるかどうかという話ですが、展望レポートにおいても、物価上昇率が見通し期間中に 2%に到達していない現状ですので、そうした状況の中では、やはり枠組みの変更といった話を考えていく必要があると認識しています。』

ということで、片岡さんしょうがないから2段階で回答していて、コロナ対策サポートしては現状では十分ただし感染症の動向次第では追加が必要、なお2%物価目標達成という枠組みで考えた場合は(片岡さん反対票投下しているのだから当たり前ですが)不足ですよ、と2段階回答をする破目になっていますな。


・何度聞いても追加緩和策の具体案が出てこないのですが

後の方でまたこんな質問が飛んでくる。

『(問) (前半割愛)あともう一点確認なんですけれども、先ほどの政策金利の利下げはちょっとお話しできないということだったのですけども、基本的にはやはりマイナス金利の深掘りという理解でよろしいかどうかと、この二点をお願いします。』

無慈悲な追及中々結構結構。

『(答)(前半割愛)次に、政策金利の話についてですが、私自身、例えば金融政策決定会合の直近のステートメントの脚注等にも書かせて頂いていますが、イールドカーブ・コントロールの枠組みの中で、短期金利それから長期金利について全体的に引き下げるといった認識を持っています。ですから、マイナス金利の深掘りのみにこだわって、フォーカスしてお話をしているわけではないことをご理解頂ければと思います。』

ということで結局具体策が無いし、具体的提案も無いのに追加緩和しろとか言われましても困るんですけどねえとは思うのですが、出すと非現実的と言われるのが目に見えているというのを把握しておられるのでしょうなあ、と意地悪な解釈(個人の偏見です)。

しかしまあ何ですな、金利の話で攻めていくと結局「総括的検証」と思いっきりコンフリクトを起こすことになりますので、もし追加緩和通したいんでしたら寧ろ「量で勝負」の方が良いと思いますけどねえ、もちろんそんなのやられても迷惑(量で勝負するならマイナス金利を止めないととんでもない事になる、止めても飛んでもないけど)ですけど、よくよく考えてみれば国債発行が絶賛拡大しているんですから、量で勝負の余地は以前よりも出ているちゃあ出ているんですよね。ただ元々が年間80兆円とかいうのがあって、そこから拡大だと結局政策そのものが物理的に持たないから、量で勝負というのも追加緩和感を出しながらの量で勝負ってどうするんじゃろ、とは思います(一つの案としてはすっとぼけてフローを目標にしちゃう攻撃かな)。


・株価に関して

さっきの質問の前半はこちらです。

『(問) 今の質問の中で、今後更なる流動性の供給というお話がありましたが、このコロナ禍の間でかなりの流動性の供給をしているのですけれども、本日、日米ともに株価が非常に上がっておりまして、この流動性の供給のところが株価に与えた影響というのをどのようにご覧になっているかということをお伺いしたいのと、(後半割愛)』

『(答) 流動性供給と株価との関係につきましては、様々な複雑なメカニズムが背景にあるという認識を持っています。一般論として、株価の動向は、その企業ないしは経済全体のファンダメンタルズの将来像といったものを先取りするという動きがあります。ですから、株価が上昇しているということは、これは一つの側面としてみれば、日本経済の地力はそれなりにあるのだけれども、現状はこのコロナ禍という特殊要因によって押し下げられている側面が強いと投資家の方々がみている側面があるのかもしれないと考えています。(後半割愛)』

ほほう。そうしますと片岡さんの経済物価見通しとは違う、という話になりますがそこについてのコメントを頂きたいもんですなあ(棒読み)、と思ったら追加の質問(ちょっと先になる)はその部分は外した質問でした、惜しい。

『(問) 株価の関連でお伺いしたいのですけれども、本日、東京株式市場、非常に上昇して、新型コロナの感染拡大前の水準まで上がっていると思うんですけれども、これの関連で、一部の指摘で、上昇している一方で実体経済と乖離しているんではないかと、そういう指摘もあると思うんですが、こうした指摘に対する受止めという点で、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。』

片岡さんの経済物価見通しと違うと思うんですがその辺りのご感想は、と聞いた方が面白かったのに。

『(答) 株価と実体経済との関係については、名目成長率と例えば金利との関係といった話と同様で、判断が難しいところだと思います。現状、株価が上がってるからといって、それがすぐバブルにつながるとか、そうした認識は、私は微塵も持っていません。先ほど申し上げたように、株価には様々な解釈が可能ですが、私自身は、先々の経済に対する期待感をある意味表しているものではないかなという認識をしていますので、特段何か問題があるという格好をみているわけではございません。』

しかしまあFEDの高官が(ブラードですら)金融不均衡に関してコメントしだしているという状況の中で、日銀の政策委員って鈴木さんを除いて金融不均衡の話をホントしませんよね。まあそれ言い出すとリスク性資産の買入の所を突っつかれるから困る、というお気持ちは良く分かるんですけど。

ただですね、(別にこれ片岡さんがどうのこうのの話じゃないですけど)あのブラードですら金融不均衡というか金融市場のプライシング行き過ぎに関しては注意する(なお今の水準が云々の話ではないですけど、為念)という話をしているという状況なのに、自分等がやっている政策(社債CPETFJREIT買入)とのコンフリクトがあるからって金融不均衡の話をしないってのも何ちゅうかな話でして、特に最近の黒田日銀って「黒田体制になってから行った政策を全て正当化しよう」とするところから色々なものが出来上がっている感が物凄い勢いでする次第(3本の鉛筆とかも「コロナ対策」なのにコロナ前の話もぶっこむとか、もはやティンバーゲンルールとは何なのかと小一時間問い詰めたい状況)でありまして、そらまあ確かに政策をスクラッチで実施する、って訳にも行かないのは分かるんですけど、それにしたってこういう良く分からん世の中(コロナ前からも含めて)において、いろいろな試行錯誤は起きて然るべきだと思うのに、謝ったら死ぬ病にでも掛かっているのか無理矢理話を全部正当化して、政策がどんどん昭和の温泉旅館の如くアクロバットな建築になっていくのは如何なものかと思うのでありまする。

とまあ最後は片岡さんと全然関係ない話になってしまって恐縮ですが、政策の試行錯誤という意味では「いやーこの前の利上げはチョンボでしたわサーセンサーセン」とか言いながら利下げするECB(よく考えたら懐かし過ぎて知らん若い衆もいるのかな)とかをもう少し見習ってほしいものです。そら間違えないに越したことはないのですが、間違えを誤魔化そうとして更にドツボに嵌るってのってそれが企業で起こると概ね巨額損失だのなんだのというような話になる訳ですから、日銀も何も置物リフレ理論に殉じる必要はないと思うんだけどな〜。確かに今の状況で切断処理するの難しいけど・・・・・・

#という所で時間が無くなってしまいました(汗)、FED高官発言から金曜はECBって所存で参ります(遅れ気味)




2020/09/08

お題「若田部副総裁会見は見事な蒟蒻問答/片岡審議委員沖縄金懇講演:説明はオモロイのだが追加緩和策がいつものアレ」

そもそも辞任が確定している内閣の支持率調べるのが意味不明なのだが、なんか香典か献花でもしてるつもりなのか支持に豹変している人は。「辞めたことを支持」ってか???

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4071657.html
JNN世論調査、内閣支持率62.4%
7日 6時56分

まあこれじゃあメディア対策でやってるふりするのが最善手段って話になるわな、てかこの結果客観的に日本の外で報道されたらどういう言われ方するのかがみてみたいわ。


〇てな訳で若田部副総裁金懇会見の続きですが・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200903a.pdf

・なんでこんなに回答をこねくり回すのかさっぱり分からん

いつも持って回った言い方ばっかりして煙に巻くお前が言うなとか言われそうですが、まあそれはそれ。質問はこれなんですけどね。

『(問) 先ほど「政府と連携して」という意見が現地の要望からもあったということでしたが、安倍首相が先週辞意を表明されて、政権がどのようになるか、これから固まっていくところだと思いますが、日本銀行の金融緩和は、アベノミクスと一緒に連想されているというか、パッケージの部分もあったと思うので、首相が変わることがどのように影響するか、日銀が政策を見直すような機会になるのかどうか、という点をどうお考えか教えて頂けますでしょうか。』

別にアベノミクスだからどうこうなのではなく、我々は2%物価安定目標の達成のためにその都度適切な金融政策を実施しています。で済む筈なのにまあクッソ長いのよこの答えが。

『(答) 政治情勢について私の立場からコメントするのは差し控えたいと思います。そのうえで、安倍総理につきましては、わが国と国民のために 7 年 8 か月にわたる激務を遂行されたことには深く感謝し、ご苦労様でしたと申し上げたいと思います。一日も早い病気のご快癒をお祈りしたいと思います。』

まあ良いんですけどね。私を日銀副総裁いやなんでもありません。

『後任の方がどうなるかということとは全く関係なく、現状において望ましい政策は何かということを考えたときに、日本銀行としては、今行っている政策が、正しい適切な政策であると考えています。』

・・・・・・で終わりでしょと思うのですがここから延々27行の説明が入る。

『2013 年 1 月には、日本銀行における金融政策決定会合で正式に物価安定の目標を 2%にすることが決められるとともに、共同声明が公表されましたが、そこで決められた 2%の「物価安定の目標」を実現するために、デフレから脱却するために金融緩和政策を行う、そして、政府の側としては、機動的な財政政策と民間投資を呼び込む成長戦略を行うなどというパッケージから出発しました。基本的には、このパッケージは、標準的な、世界でも主流の経済政策を束ねたものであり、デフレから脱却するという観点、あるいは持続的な経済成長を達成するという観点からすると、全くもって望ましいものであると私自身は考えていますし、日本銀行もそのように判断して、2013 年以降の金融政策を遂行してきています。』

何でこんなにこねくり回すんでしょうかねえ。まあそのドサクサに紛れて「標準的な、世界でも主流の経済政策を束ねたものであり」とのことですが、何で標準的で世界でも主流の経済政策を束ねているのに目標7年たっても達成できないんちゅかねえ???

『従って、この外的環境がどう変化したかということについて、政治的な考察はせずに、経済の現状にとって何が望ましいのかということを考えるならば、デフレからの脱却については、デフレではない状況にはなりましたし、その過程で雇用が生み出され、色々とご批判はあっても、名目GDPが順調に成長するようになりました。』

物価安定の目標2%が標準的で世界でも主流と言って置いて達成していない件の言い訳ですかwww

『コロナ前までの状況はそうでしたので、そうした状況を踏まえたうえで、なおかつコロナ後で、雇用と所得が非常に大きなダメージを負っているというところでいうならば、日本銀行としては、政府と連携・協調し、一体となって、財政・金融政策を運営していくということです。』

需要が蒸発したって金懇講演では仰せでしたがそっちは???

『日本銀行は金融政策を運営し、政府は財政政策、成長政策、あるいは公衆衛生政策、その他の政策を行っていくというように、分業と適切な役割分担のもとで行っていくということです。』

で??

『従って、私自身の考えでは、現状の経済における課題というのはきわめて世界共通のものであり、』

というのが既に共通と共通じゃないのがあると思うんですけどねえ、というかそもそも論としてコロナの影響に関してだって、国による感染状況の違いとか、社会経済構造の違いによってもコロナが社会のどの部分にどのように影響与えているかとか違うだろと思う訳で、きわめて世界共通ってそれちょっと単純化しすぎではないかと思いますが、そんな話よりもここから最後の部分までが凄くて・・・・・・・

『それにどう対応するかというのも、企業の資金繰り、流動性の確保、あるいは政府におかれては所得の補償・補填であるというようなことを行っていくという点において、様々な転換を進めていく――デジタルトランスフォーメーションやテレワークを進めていく――という点から考えてみて、政府と日本銀行の連携・協調を進めていくということが適切であると考えています。』

ちょっと待てこれ全然話が繋がってないだろwwwww

まあ物凄い勢いで好意的に解釈しますと、前半は対処療法の話だから対処療法で対処しながら、後半の話は一応社会経済構造の改革で成長力を強化しようって事を言いたいようにも(こうやってツッコミを考えながら頭を6回くらい捻ると)ひねり出して解釈できないことも無いのですが、一読して話の頭とケツで話が繋がってないというのは何なんでしょうかね。


・質問した記者さん(か別人か知りませんが)再度質問するの巻

質問した人の意図はこのことを聞きたかったようでして今の蒟蒻問答の次の質問がこれであるww

『(問) 今の質問に関連してですが、今回新政権に変わる見込みですが、ポリシーミックスを進める重要性についてどのようにお考えなのか、また、今ご指摘がありました共同声明も、これは維持していくべきものだというようなお考えでよろしいでしょうか。』

質問した方も全然意図した回答が来ないからビビったんでしょうな。

『(答) ポリシーミックスは、今やっている通りですので、少なくともこの枠組みを変えるということは考えていません。現状、多少、一服感はあっても、経済の状況は依然として予断を許さない厳しい状況が続いていますし、ここから先、新型コロナウイルス感染症の動向如何によっては下振れリスクも大いにあり得るという状況ですので、その意味では、現在行っている政府との連携・協調は最善の政策であると信じています。』

この回答、最初の部分だけで良くね???って感じでして、コロナ云々で下振れリスクがあるからポリシーミックスがっての別問題でねえのかという気もしますが後半。

『 共同声明につきましては、もちろん政府がどう考えているかということにもよりますが、現状で私自身は共同声明の少なくともスピリットというもの、つまりデフレから脱却して持続的な経済成長を実現する、これまで「失われた 20 年」といわれたような長期停滞の過ちを二度と繰り返さないというスピリットの部分は、継承されるべきであるし、継承されていくであろうと考えています。』

スピリットは良いんですが2%達成の道筋の話でもしてくれませんかねえ、というのと財政再建の方の話はどうでちゅかねえ、というかそこを共同声明で言ってる物価安定目標も財政の健全性確保もすっ飛んでいる現実の方はどうなんよとは思いますけどね。


・更に蒟蒻問答は続く

次の質問。

『(問) 午前中の講演の中で、若田部副総裁は「当面はインフレ率が低下するリスクに警戒する必要がある」ということをいわれていますが、名目金利が上がらなくても、インフレ率が下がると、実質金利は上がると思うのですが、先行き実質金利が上がってきたときに、名目金利を更に下げなければならないという議論にもなるかと思います。この辺を現状でどう思っているかお伺いさせてください。』

意地悪な質問だなおい。

『(答) 現状では、下振れリスクという形で申し上げていて、実質金利を考えるときにも、短期的な実質金利というよりは、中長期のインフレ予想に従ったような実質金利を考えるべきだと考えます。』

「下振れリスクという形で申し上げていて」というのを入れているのが意味わからん。実質金利を考える時には中長期のインフレ予想、って言えばエエンチャウノ、と思いますが、そもそも論として中長期のインフレ予想というのが直接計測が出来ない物件なのにそれで実質金利云々ってのも何だかなあという感じではある。

『その限りにおいて、そこがどうなるかというのは最大の注目点の一つで、そのような形で実質金利が急上昇することがないように心がけなければならないと考えています。その場合には、いわゆる名目金利の部分をどうするかという部分については、色々と選択肢はあると思います。単純に金利そのものを操作することだけではなく、資産購入であるなど、ほかの手段を通じて、実質上、名目金利の低下に働きかけるような政策がないかということを検討するのだと思います。』

?????????

『その限りでは、リスクは当然あって、それに対して最大限の注視をしていますが、そのときのポイントとなるのは、中長期のインフレ予想、その背後にある、例えば成長期待などであり、それに応じて名目金利がどのような水準にあるのかということを考えなければならないということになるかと思います。』

いやまあ字面を見れば意味は追えるのですが、具体的に政策として何を見て行って何をするのかとかまるでよく分からんですな。

まあ何ですな、答えにくい(=追加緩和手段が無い上にやったら下手したら逆噴射だから)質問だから煙に巻いているのかも知れないのですが、煙に巻くにしましても、もう少し意味明瞭な説明をして頂かないと、これ真面目な話字面をサラッと追っているだけだと何を言いたいのか意味が非常に取りにくいんですけど。


・履歴効果云々の質疑なのですが受け売りのオンパレードだわ微妙にアレ発言はあるわ

しかしこれ質疑応答はリモートでやっている筈なんですが、もしかしてH高さんが佐賀まで出張しているのかと思ってしまうツッコミになっておりまして、昨日ネタにしてやっぱり????だったところを的確に突っ込んで来るのは質問者ちょっとは容赦しろ(いいぞもっとやれ)という所でして、

『(問) 講演の中で仰っていた一時的とされる外的なショックは持続的な停滞に結びつく可能性というところですが、履歴効果に触れられていて、人々の態度とか、子供の健康状態に対してそういった効果をもたらしかねないということを言及されていますが、具体的にはどのような状況を懸念されているのでしょうか。ここをもう少し掘り下げてお考えを伺えればと思います。』

それはワイも聞きたい。

『(答) もちろんワクチンや治療薬が開発されて、あるいは新型コロナウイルス感染症がこういうものであるという、ある種、今覆っている不確実性のベールが剥がれてその正体がみえてくるということになると、おそらく人々の間では、今ある不確実性が「リスク」みたいなものになってくると思います。そのようになる可能性は当然あるわけですが、そうではなく、この不確実な状況がもう少し続くと、ある種の行動変容というのが、自発的または自生的に起こり得るということです。』

????????????

『その一つの典型が、人々があまり密集しないようになることが長らく続いていくということが起きる、』

なるほどと思わせてその直後にまた話が飛躍する。

『あるいは、先ほど申し上げた大きな経済の転換の中で、所得や雇用に対して非常に不安を感じるということになります。』

?????????????

『そうすると、すぐに考えられるのは、家計の場合は消費支出を引き締めて貯蓄率が上がってくること、あるいは企業の場合は内部留保を増やしてもう少しキャッシュフローを増やす形で設備投資を引き締めるということが起こり得ると思います。』

『そうしたことが起きるとその次に何が起きるかというと、家計が支出をしない、あるいは企業が設備投資をしないということが起きると、人々が持っている例えば人的資本――人々の技能であるとか、知識であるとか、技術であるというもの――がだんだんと陳腐化していく、あるいは、そうしたものを蓄積する機会を失ってしまいます。』

不確実だからなの??少なくとも企業の方は成長期待なんじゃないの??とは思いますがまあ良しとして先に進む。

『あるいは、企業が解散、廃業、倒産という憂き目に遭うと、今度は、組織資本――企業そのものに蓄えられていたノウハウや技能、知識というもの――が失われてしまうということが起きます。そうした資本を蓄積するには投資が必要であり、長い年月での蓄積が必要となるため、そうしたものが蓄積されないと、今度はそれが長期にわたって日本の成長余力を下げていくということが履歴効果としていえます。』

その理屈は良いんですが、質問にもありますように、「一時的とされる外的なショックは持続的な停滞に結びつく可能性」と言ってるんですから、せめて一時的とか長期化とか言うのの時間軸みたいなのを示してくれませんと、結局の所机上で理屈をこねくり回すだけの話になりますし、じゃあどの辺の指標とかを観察するのか、とかそういう話をして欲しいのよ、政策やる立場の人なんですから。

『履歴効果自体は、ラリー・サマーズなどが言っていた長期停滞論とともにもう一度復活してきたり、80 年代に欧州辺りで失業率が高止まりして若年層がなかなか仕事に就けない、それが人的資本を毀損するというような話がありましたが、似たような形で続いていく可能性はあると思います。』

また受け売り。

『日本の長期停滞で就職氷河期で就職できなかった人がキャリアアップに苦労しているというようなことをみると、そのことは非常に厳粛に受け止めなければならないだろうということです。』

うーんこの。言ってることは部分部分では御尤もなのだが全体を通して何をどうしたいのかとか何を注目するのか、とかそういう話が無いんだよな〜。

『投資に関しては、例えば今週のThe Economist誌にも出ていますが、ウルリケ・マルメンディーアというUCバークレー校の先生が言っているのは、大きな経済ショックや経済危機、例えば昔の大恐慌や大インフレが起きると――あるいはリーマン・ショックも多少そういうところがあるのですが――、先ほど申し上げたメカニズムが今度は金融資産への投資行動にも影響を及ぼすということがあり得ます。』

さらに受け売り来ました。

『そうすると、不況期や大きな経済危機のときにそうしたショックを受けた人は、投資行動が非常に慎重化するということが起きます。それが資産価格の形成に負の影響を与えることになり、それが経済にまた負の影響を循環、フィードバックしていくということが考えられます。』

だったら何で年がら年中金融不均衡バブル起きてるんだよ・・・・・・・・・

『健康に対する影響というのは、』

やっと来た!!!

『参考文献でも挙げた話として、私どもが持っているデータは 1918 年〜1920 年にかけてのいわゆるスペイン風邪と呼ばれているパンデミックですが、そのときは若年層にものすごい影響がありました。』

またも受け売り。

『今回の危機と全く同じように比較はできませんが、パンデミックが起きている最中に、例えば母親の胎内にいた子供は、健康上の問題を抱える可能性もあるということです。』

おいおいおいおいおいちょっと待てちょっと待て!!!そういう話を軽々に言って良いのか日銀副総裁が??????

『これについては日本人の学者、研究者も含めて、胎児がどのような影響を受けるかという点について、後々その人の学業成績や健康状態、ひいては所得や雇用環境に負の影響を及ぼしていくという研究があるので、そういった研究も踏まえつつ、できるだけ私ども、政府、中央銀行では、経済の影響をミニマムかつ長期間にわたらないようにするということが大事だという意味で申し上げました。』

いやあの結論として経済の影響をミニマムにするために施策するってのは良いんだけど、途中の話がちょっとこれマズくねえかと思うのだが、まあ日銀副総裁の発言なんぞ一般でネタにされるような物件じゃないから問題にもならん(これがどこぞのジンバブエ先生のようにナチスとか言っちゃうと一般でもネタにされますが)のかも知れんけど、ちょっといかんでしょこの健康上云々の例示は・・・・・・・・・


・てな感じでまあ続くのですが段々面倒臭くなってきましたので

こんな感じでまあ蒟蒻問答か受け売りかという感じの話が続くのですが、だんだん面倒になってきたので次の質疑まで引用しまして後は割愛しますけど。

『(問) 前段の方で、海外の取り組み、雇用の最大化を重視するというFRBの取り組みを紹介されていて、日本と単純比較はできないが、海外の事例は非常に参考になるというように仰いました。これを踏まえて、日銀におかれても、そうした雇用・所得を目標であったり、ターゲットにするような政策を今後入れる検討を進めていくということなのでしょうか。』

という質問に対する回答がこれですよもう・・・・・・ということで、あえてぶつ切りしないで元の通りに引用すると以下のようになります。

まあ何ですな、今回の金懇講演の脚注で出てきているペーパーが2020年の物件だらけ、という位なので、若田部さん勉強はしているんでしょうけれども(と一応好意的解釈)、何ちゅうかこう色んな物件を詰め込むだけ詰め込んでいるものの、肝心の整理整頓が出来ていないという感じでして、物凄い勢いで残念感の漂う金懇と会見なのでした。

『(答) それを明示的に考えているという段階では全然ありません。物価の安定と金融システムの安定が日本銀行法で託された私どもの使命ですので、まずはそれが日本銀行としての達成すべき最大の目標です。ただ、なぜ物価の安定であるとか金融システムの安定を目指しているのかというと、国民経済の健全な発展に資するためですので、物価の安定や、金融システムの安定を通じて雇用や所得にも影響が出るというのは当然の話です。従って、それ自体を目標とするという議論ではなく、やはり私どもが行っている政策はそういうところにもインプリケーションがあるということをまず踏まえたうえでの議論になるかと思います。実際にその議論を進めるとか進めないということも決まっている話では全くありません。レビューというときに、今、目標の話が非常に注目されていますが、目標の話という大きなストラテジーの話と、それを実現するためのツール・政策手段の話、そして更にそのことをいかに家計、企業、公衆に伝えていくかというコミュニケーション、この三つの部分を通常レビューと呼んでいます。この三つについては日本銀行としても、まさにツールの問題、あるいはコミュニケーション、そして目標として何が望ましいのかということを不断に検討しているところです。ただ、雇用の目標化というようなことになると、それは現行の日本銀行法を超えた議論になってくるのではないかという気もしますので、それについては私からはコメント致しません。』

頼むから整理して話をして下さいと思いますが、ほらアレですよ、人に勉強(でも仕事でも良いけど)教えるときって、教える方がちゃんと内容を理解していないと教えられない(だからこそ人に教えるのは自分の勉強になる訳ですからね)という奴でして以下皆までは申しませんわwwwww


〇片岡審議委員金懇講演は説明は良いんだけど政策手段がねー

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200903a.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策 
沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 片岡 剛士
2020年9月3日

ちなみにこちらの脚注は5つとなっておりまして、若田部大先生の脚注は24個となっておりますww(なお脚注と言っても本当の補足説明みたいなのがありますので、リファレンス引いてると言えるのは3つでうち1つは片岡さん本人の過去の金懇なんですよね)


・物価の部分から独自色が出るのでそちらを見ると説得力がありますの

途中まではずーっと展望レポートの見通しに沿った説明をしているので、さすがに同じ話3連発とか割愛せざるを得ません(って最初から引用していない気もしますがまあ気にせんでくれ)のですが、物価の所では先行きが片岡さん違うので、そこから話が始まります。

『物価の先行きですが、本年7月の展望レポートにおける政策委員の見通しの中央値では、前掲図表4のとおり 2020 年度−0.5%、2021 年度+0.3%、2022 年度+0.7%と、徐々に上昇率が高まっていく予想となっています。』

これは展望レポート。

『もっとも、図表 12 で、物価の基調的な変動に影響するマクロ的な需給ギャップと中長期的な予想インフレ率をみますと、』

これは素晴らしい!!

『左図の需給ギャップは、2018 年 10〜12 月期をピークに需要超過幅が縮小し、2020 年1〜3月期には需給均衡を示すゼロ近傍となっています。また、予想インフレ率は、右図のとおり、昨年末以降やや低下しています。感染症の収束が見通せない中で、経済の回復ペースが緩慢である可能性を念頭におくと、需給ギャップや予想インフレ率が改善し、物価が勢いをもって2%の「物価安定の目標」に近づいていく状況を見通すことは難しい情勢です。この点については、次に政策運営と併せて、さらにご説明したいと存じます。』

今まで「モメンタム」とか言って需給ギャップと期待インフレを使って説明していた執行部のロジックを使って自分の見通しについての背景説明をする、というのが常套手段ではあるのですが、こういう風に執行部のロジックを逆手に取って砲撃するというのはイイヨイイヨー片岡さん。


・金融政策の説明ですが三本の鉛筆の説明部分はまずまず

その次が金融政策で、最初は普通に政策の説明をしているので片岡さんオリジナルではないのですけれども、見ててふーんと思ったので引用します。

『日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みのもとで2%の「物価安定の目標」の実現を目指して金融政策を運営しています。この枠組みは、「長短金利操作」、「リスク資産の買入れ」、および、先行きの政策運営についての対外的な約束である「コミットメント」の3つから主に構成されます。これらに加えて、今年3月以降、新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、金融緩和を強化してきました。その内容は図表 13 で整理しているように、大きく3点に分けられます。』

そうそう。すっかり3本の鉛筆にまとめていますが、そもそもは片岡さんの説明のようにYCCとコミットメントとMB拡大・・・・・ん?リスク資産の買入??まあいっか。

ちなみに図表13は3本の鉛筆ではなく箇条書きになっておりますので、どどーんとトップページの新着情報に掲載したと思ったらあっという間に事実上のお蔵入りになってしまいましたな、サイトには思いっきり残っているけど。

『1点目は、企業等の資金繰り支援策である「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の導入です。』

から3本の鉛筆の説明が始まりますが意外にこの説明が綺麗。

『当該プログラムは、金融機関の企業等への貸出を促進する「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と、CP・社債等の買入れ増額の2つからなります。このうち、特別オペは、民間金融機関の行う新型コロナ対応融資や、政府の経済対策として行われる実質無利子・無担保融資について、日本銀行が金利ゼロ%でバックファイナンスすることで、政府と連携して企業や家計の資金繰りを支援するものです。日本銀行は、利用残高に相当する当座預金に+0.1%を付利し、金融機関に対して当該オペの利用を促しています。』

ということで、他の人とかがすぐに言い出す「中小企業向け」融資云々という言葉を入れていないのが綺麗なんですよね。なぜかといえば先日来申し上げていますように、中小企業向け融資の見合いで出す部分が新コロオペパート2になりますが、新コロオペ自体が現状1とか2とかでカテゴライズしないで実行しているようで、2の正確な数字というものがどうも物理的に出てこないようなんですよ。でもってそうなりますと、あんまり「中小企業向け」を連呼すると、「では実績は何ぼ」と言われたときに数字が出てこないとなりますと、あんたら何のために政策やってますねんという話になってしまうので、日銀の場合他中銀の真似っ子して「中小企業向け」を連呼しない方が良いと思うのよね。

なお、新コロオペパート1は既存の民間債務関連担保が使えてしまう物件になりますので、だいたいからしてそれがコロナ対策とは何ぞやというのもあって、とにかくこのオペ「残高を増やしたい」けどマクロ加算追加位の餌では金融機関が借りてくれないから「マクロ加算追加の上10bp付利」攻撃をかましてくるという事をしていまして、何ちゅうかこのオペそもそも必要なのか、単に日銀の自己満足アピールオペなんちゃいますかね、とは思います(個人の感想です)。いやまあ10bp奨励金が出るのを売りにして金融機関にお注射チューというかマイナス金利DV人間が急に優しくするみたいな物件ですよと言われてしまうとはあそうですかってなもんですが、そこまで開き直られると「それって新型コロナ関係あるのかいな」って話になりますな。

というあんまり片岡さんに関係ない悪態は兎も角としまして、付利の話もちゃんとしていたりして、割と説明が綺麗だなと思いましたですよ。

『もう1つのCP・社債等の買入れ増額では、従来の約4倍となる約 20 兆円、市場規模の4分の1に相当する金額を上限に買入れることで、市場金利や市場調達環境の安定を図っています。これら2つを合わせた特別プログラムの総枠は約 120 兆円となります。』

安定どころか企業の信用力に応じたスプレッドがなくなりそうなんですが。

『2点目は、円貨および外貨の無制限の供給です。円貨については、国債買入れ策における従来の「年間 80 兆円」という金額のめどを撤廃し、上限を設けずに必要な額の国債を買入れることを明確にしました。国債のイールドカーブ全体を低位で安定させる観点から実施していますが、長短金利操作における目標金利自体は変えていません。』

金利は変えていません、ってのを入れるのがチャーミング。

『外貨については、米ドルの資金供給について、世界主要6中央銀行の協調に基づき、金利を 0.25%ポイント引き下げるとともに、期間が長めの資金供給手段を導入し、ドル資金を十分に供給しています。』

ということですが、国債は兎も角としてドルスワップに関しては他中銀が「バックストップ」を明言している中で、最初にそう言っちまった以上引っ込みがつかないのは分かりますし、何でそう言ったのかと考えると3本の鉛筆の絵で兎に角デカい数字を出したかった、というのも分かるのですが、この説明だけは引っ込みがつかなくなっていて、ちょっと何とかしないと恥ずかしいと思います。


『3点目は、資産市場におけるリスクプレミアムの抑制を企図したETFとJ−REITの積極的な買入れです。買入残高の増加ペースの上限を、当面は、従来の残高増加ペースの2倍とすることで、資産市場の不安定な動きが企業や家計のマインド悪化につながるのを抑止することを狙っています。』

むしろ高値波乱の方で不安定になりそうですな、ははははは。

ということですが、まあこの説明部分、「リスクプレミアムの抑制」とかちゃんと言ってて、じゃあそのリスクプレミアム今抑制処の騒ぎじゃないんだから買入ペース下げろよとか思いますが、まあ図の方に書いてないのにリスクプレミアム云々を発言しているのは宜しい(頭ナデナデ)。

なお、

『これら3つからなる新型コロナ感染症対応策は、これまでのところ、金融資本市場の動揺を抑え、企業等の資金繰りに対して一定の効果があったと考えています。』

だそうですわ。


・物価に下方圧力が掛かるから、という所までは良いのですが処方箋の説得力が皆無のままなのが残念

『(2)金融政策運営に対する私自身の考え 』というパートに参りますね。こちらがメインイベント会場。

『私は、以上ご説明した新型コロナ感染症への対応策については賛成しましたが、長短金利操作とコミットメントの2つには反対しました。資金繰り支援や流動性供給だけでなく、今後の物価下落圧力を可能な限り抑制することが現時点で必要であると考えるためです。』

ということで・・・・・・・・・・・

『まず、今回の感染症の拡大というショックによって物価下落圧力が強まったと想定する根拠をご説明します。』

ほうほう。

『今回のショックは、自然災害を受けた経済ショックや、金融仲介機能に問題が生じる金融危機とは性質が異なります2。』

どう違うのか、という説明が以下行われます。

『特に今回は、生産や貿易が停滞するという供給ショックと、サービス消費が急減するという需要ショックの両方が生じています。』

はい。

『物価に対しては、負の需要ショックはマイナスに作用しますが、負の供給ショックは、単体では理論上プラスに作用します。このため、物価に与える影響を考えるうえでは、需給ショックの正負や優劣を調査する必要があります3。』

さよですな、ちなみに脚注2と脚注3は今回の片岡さんの金懇テキストの中でここだけは参考文献が入っています。でもって脚注ですけれども、

『2 新型コロナ感染症の経済的影響については、例えば次を参照。経済産業省(2020)「通商白書 2020(第I部)」、https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2020/whitepaper_2020.html』

『3 渡辺努(2020)「新型コロナウイルスが消費と物価に及ぼす影響」、『月刊資本市場』2020.4(No.416)では、今回のコロナショックは世界的に見てもGDPの減少と物価の下落が同時に進行しており、需要ショックが支配的であると論じています。』

とありますように、どこかの誰かさんと同様に2020年のペーパーだったりしますが、見ればお分かりのように、海外の最近ペーパーをひたすら受け売りしているのと違って、国内のペーパーなんですよね。さっきもちらっと申し上げましたが、今回の感染症ショックの波及とか影響とかって感染症の拡大状況によっても異なるし、経済社会構造によっても影響する場所ってのが世界共通で同じようになるものばかりではない、ということを鑑みますと、このように日本の調査研究を引っ張ってきて話をする方が適切な態度なのではないでしょうか、とまあそういう風に思う訳ですよいやマジで。

でもってこの続きですけど、

『図表 14 は、米国の研究を参考にしつつ、日銀短観のデータを用いて、業種別に需給ショックをそれぞれ推計し、それらを販売価格に与える影響に換算したものです。』

これはFEDの分析を参考にしているようです。図表14の脚注を見ますと、

『(注)1. 短観の業況判断DIと販売価格判断DIについて、それぞれの見通しと実績の乖離から、需要ショックと供給ショックを推計し、それらに価格感応度を掛け合わせて販売価格への影響を示したもの。2020 年3月調査と6月調査の合算値。業種毎にDIの水準や変動率が異なるため、DIを正規化したうえで影響度を計算。ショックの影響度1単位は過去の変動の1標準偏差に相当。「対個人サービス」および「宿泊・飲食サービス」は右軸、他は左軸。

2. ショックの推計方法については、Bekaert, Geert, Eric Engstrom, and Andrey Ermolov (2020). "Aggregate Demand and Aggregate Supply Effects of COVID19: A Real-time Analysis," Finance and Economics Discussion Series 2020-049. Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System,https://doi.org/10.17016/FEDS.2020.049 を参照。』

ということで、これが推計として適切なのかどうか(ベースの需要ショックと供給ショックの推計手法の辺りが気になる)とかいうツッコミはアタクシは浅学菲才の無学者につきワカランチ会長でございますが(ヤケクソで開き直っている訳ではない、笑)、とりあえず海外の研究をそのまま垂れ流すのではなくて、研究成果を取り込んで独自推計をしてみよう、という作品に仕上がっていて中々結構。

『製造業では、自動車を中心に供給ショックの影響が強めに出た一方、非製造業では、対個人サービスや宿泊・飲食サービスを中心に、需要ショックの影響が非常に大きかったと試算されました。また、全業種を通してみると、需要ショックの方が優勢で、価格が下押しされる方向であったと推計されました。』

この辺は図表14見てください。

『様々な仮定のもとで推計した1つの結果であるため、幅を持って解釈する必要がありますが、前段で述べた需給ギャップや予想インフレ率の低下、外部性による負の影響やショックの相互作用もあわせて考慮すると4、感染症の拡大という今回のショックは、やはり物価に対して下押し圧力として作用すると推察されます。』

ここの脚注4は補足説明でして、

『4 これについては、@感染症が収束するまでの間は、個人が厳格な対策を取らざるをえないため、経済の落ち込みが深刻化しうること、A需要の減少が他の家計の支出を抑制する外部性の影響が生じうること、B需要の代替効果によって、失われた需要を完全に埋め合わせることが短期的には難しいこと、さらに、C供給ショックが需要ショックにつながりうること、などが考えられます。』

となっています。さてそれを踏まえまして、ということで、

『このように物価下落圧力が強まったと推察されることを踏まえ、私自身が適当と考える政策についてご説明します。』

キタコレ。

『まず、長短金利操作に関しては、政策金利の維持ではなく低下を明示したうえで、積極的な国債買入れを行うことが適当であると考えています。今年に入り、名目金利が横ばい圏内で推移する一方、予想インフレ率は低下していることから、それらの差である実質金利は上昇し、金融環境の緩和度合いが低下している可能性があることを示唆しています。』

なお若田部副総裁は中長期の予想インフレ率がどうのこうのと仰せでして、さてこの差は何処???

『これに対しては、政策金利の引き下げによって、企業・家計の金利負担を軽減し、今後のデフレ圧力を可能な限り抑えることが必要です。』

という話なのですが、そもそもが民間って飛んでもない勢いで預金超過じゃないかとか、既にマイナス金利政策までやってて政策金利引き下げる意味って何とか、大体からしてこの7年間散々金利下げを継続しているのに碌にインフレがホバーしてこないのに、何でここで政策金利を引き下げると効果が出るのか(例えば銀行貸出金利なんて一貫して低下してた筈で、もともと「金利負担の軽減」だったら散々やっとるわというのも含めて)というのに対する説明が無い。

『また、コミットメントについても、中央銀行としてデフレの定着を容認せず、かつ具体的な条件下で行動することが約束されている強力な内容に修正することが適当であると考えています。』

で??

『一案としては、政策金利を物価目標と具体的に関連付け、物価が目標と乖離した場合に追加緩和を約束することが有効であると思います。』

追加緩和約束するのは結構ですが手段がありましたっけ???マイナス金利これ以上深掘りしたら爆発しますぜ。

・・・・・というかですね、さっきの3本の鉛筆の説明の時に片岡さんって新コロオペの説明をする際に、「日本銀行は、利用残高に相当する当座預金に+0.1%を付利し、金融機関に対して当該オペの利用を促しています。」って話をしている訳でして、それってつまりマイナス金利政策を拡大するなり、マイナス付利残高を拡大するということは、それ自身が金融機関に対してマイナスのインセンティブ構造になっている、ってのを認めてませんかと思う訳で、そんな中で行う政策金利水準の引き下げとはどういう波及経路を辿って物価を押し上げるのかと小一時間問い詰めたい。

『金融市場は、通常、中央銀行の先々の行動を織り込んで価格調整するため、物価の実績と目標が一定以上に乖離した際に追加緩和が約束されていることで、金融・経済環境が自律的に改善すると期待できます。』

ここまでイールドカーブ寝てて何が改善するんでしょうか。

『また、中央銀行が物価の低下を容認しないスタンスを行動によって示すことで、物価目標に対する信認が改善する
可能性もあります。』

2年で2%を達成できなかったら辞任、と大口を叩いた置物とか言うゴミクズがのうのうと任期を全うして、おまけに偉そうに置物日記とか出したりしている時点で信認が悪化していると思うので、日銀の本気度を示すためにも、置物師匠に「2%達成できなければ今後の政策委員も斯くの如し」って札を付けさせて首枷でも掛けて市中引き回しの上(以下自粛)。

『さらに、物価下落に対して追加緩和しない場合と比べて目標達成が早まり、累積的な性質がある副作用5を結果として小さくとどめうるとも考えています。』

そもそも目標達成が早まる根拠がない、いままでさんざんやって達成しないのに何でそのコミットメントとやらで達成するのか、全く持って説得力が無いのですが、もうちょっとこう説得力のあるものを持ってきてください。まあ持ってこれないのは分かってて言ってますけどアタクシも。

ということで、まあ分析とかそっちの方は自分の言葉で色々とロジカルに説明している(執行部の代弁で展望レポート説明する部分はさておきまして)ので、どこぞの副総裁金懇講演や会見よりもエエヤンとは思うのですが、致命的なのは政策処方箋があるようでないことでして、まあそら打つ手無いんだから仕方ないけど、何か次回までに政策手段とその波及メカニズムの説明を捻りだしていただきたいものだ、と思って止みません。


#会見間に合いませんでしたね、すいません






2020/09/07

お題「若田部副総裁佐賀金懇ネタですが引用大会と謎の質疑応答にクラクラするの巻」

土日に更新するとか大口叩きましたが結局何のかんので更新できませんでございましたすいません。ということで渋滞中のネタを順次成敗して行くことに。

・・・・・・よくよく考えてみたら今週のECBは何か新ネタ出るかもしれんが、FEDはジャクソンホールで終了しとるし、日銀は新内閣発足直後で何もせんじゃろ(新内閣も蜂の頭もなく何もできないんですけど)、と勝手に自分を納得させるの巻。

んな訳で遅れまくっとりますが先週水曜の若田部副総裁金懇講演の続きからボチボチ参ります。

〇若田部副総裁金懇講演(その2):このお方自分の言葉で全然説明しないの何なの??

相変わらずHTML版がアップされてこないのでPDF版から引用します。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200902a1.pdf
【挨拶】最近の金融経済情勢と金融政策運営
佐賀県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 若田部 昌澄 2020年9月2日

・珍しくオリジナル部分があると微妙なツッコミどころがある件について

ということで『3.ウイズ・コロナの世界と今後の金融政策運営』の『(コロナ・ショックの性質)』になりますが、最初の所だけネタにしたので本文7ページ(PDFの8枚目)の頭から参ります。

『このような特徴を持つ感染症ショックは、物価にどのような影響をもたらすでしょうか。物価はインフレ傾向、あるいはデフレ傾向になるのでしょうか。これまでの経済危機の経験から、総需要が総供給を下回る時には、物価はデフレ傾向になることがわかっています(図表9)。』

ということで図表9というのが『過去の経済危機との比較』ということで、『大恐慌』、『戦後日本の高インフレ』、『大インフレ』(1970年台の奴ね)、『世界金融危機後の大不況』、『コロナ危機』ってのの比較があってこれだけはオリジナル(という程の事でもないが)っぽわ、と思う訳ですよ。

ちなみに、「世界金融危機後の大不況」って「大不況」じゃなくてただの金融バブル崩壊じゃねえのかとか思ったりしますし、この図表9の一番お洒落なのは、『戦後日本の高インフレ 』の所の『原因』が『? 戦争による生産設備破壊』、『・ 復員』、『? 総供給<総需要』ってなってて、復員が原因ってじゃあワイのじいちゃんは蘭印から帰って来るなという事かオイコラとか思うのですが、軍事費の財政支出が元々無理のある額だったものを、戦争中は統制出来ていたものが統制できなくなって(実際には闇価格ベースでは昭和19年くらいから猛烈なインフレが始まっていたらしいのですが)しかも戦争終結に伴い復員に伴う財政支出が爆発して、在外領土の喪失と生産力の喪失(はマリアナ失陥以降から始まっているけど)と相まってあばばばばーだったという筈なのですが、「戦時および戦後処理に伴う爆発的な財政支出とそれに伴う通貨膨張」とか書くと「財政との連携ガー」とか言いながら国債絶賛購入をしている日銀的によろしくないから、財政のざの字も入れない、という辺りが中々チャーミングでありまする。


・でもやっぱこの講演は延々と人の言説ご紹介という所でして

で、その次を見るとやはりこれである。

『感染症の事例についてみると、イングランド銀行の外部政策委員を務めているテンレーリョは、13世紀からの英国の消費者物価を見て、パンデミックの後にはインフレ率が下がる傾向があると述べています5(図表 10)。』

『また、金融政策を運営するうえでも重要な自然利子率について6、過去のパンデミック後の動向を分析した研究では、20 年程度かけて低下し、さらに 20年程度かけて流行前の水準に戻るとの傾向が示されているものがあります7。自然利子率が下がる中では、それに合わせて実質金利を引き下げないと、経済にデフレ圧力がかかり得る点にも注意が必要です。』

また脚注のオンパレードでして、何が凄いって今引用しているこのページ、下手したら脚注の方が量が多いんじゃねえのという脚注でして、お前はどこの金懇ニュースレターだという感じでございまして、えーっとすいません若田部さん学者としての学識見識を買われて日銀副総裁になったという風に記憶していますので、学者らしく何かオリジナリティー出せというか、せめて自分の言葉で語っているような雰囲気を文章から漂わせていただきたいのですよ。

ちなみにこの過去のパンデミック後の自然利子率云々の所、どこかで見た文章だと思ったら、脚注7を見ますと、

『7 この研究では、14 世紀の黒死病から第二次世界大戦後の香港風邪までの、死者数が 10 万人を超えた 19 の感染症を経験した欧州主要諸国を対象として、自然利子率は流行後 20 年程度かけて 1.5%ほど低下し、それから 20 年程度をかけて流行前の水準近くまで戻るとしている。Jorda, Oscar, Sanjoy R. Singh, and Alan M. Taylor (2020) "Longer-Run Economic Consequences of Pandemics," NBER Working Paper Series, No.26934. 「金研ニュースレター特別号 新型コロナウイルス感染症の経済学(4)」(日本銀行金融研究所、2020 年5月、https://www.imes.boj.or.jp/japanese/newsletter/nl202005J4.pdf)に解説がある。』

まあアレですわ、この部分金研の宣伝のためにこうやって引用している、というのならまだ分からんでも無いのですが、何せ金曜も申し上げましたし、この先の部分でもそうなのですが、他も引用ばっかりという事なので、そういう感じではなくて、こっちとしては「受け売り大会」にしか見えないというのが悲しいのですわ(個人の感想です)。まさかとは思いますが学者としての学識経験ではなくて芋蔓(以下自主規制)。

『もっとも、歴史は有益ですが、その応用には注意が必要です8。』

脚注?????

『8 1918 年発生のインフルエンザ・パンデミック、通称「スペイン風邪」から何を学べるかについて研究論文を展望したものとして、以下がある。Beach, Brian, Karen Clay, and Martin H.Saavedra (2020) "The 1918 Influenza Pandemic and Its Lessons for COVID-19," NBER Working Paper Series, No.27673.
中央銀行家が歴史を利用する際の一般的な留意点については、以下を参照。Saunders, Austen (2020) "Thinking Historically," Bank Underground, July 30, 2020, https://bankunderground.co.uk/2020/07/30/thinking-historically/#more-6698.』

なんでこんな事に一々脚注がつきますねんwwwwww

『特に、自然利子率は、医療の進歩や公衆衛生の改善が労働力の質的・量的側面に及ぼす影響、人口動態の変化、生活様式の変容、国際的相互依存の深化などによっても影響を受けます。また、大規模な財政政策が発動されると、自然利子率には引き上げ圧力がかかるという研究もあります9。』

また脚注wwwww

『9 Goy, Gavin, and Jan Willem van den End (2020) "The Impact of the COVID-19 Crisis on the Equilibrium Interest Rate," VoxEU, April 20, 2020, https://voxeu.org/article/impact-covid-19-crisisequilibrium-interest-rate.』

しかも不思議ちゃんなのは引用されている文章が最近の物件ばっかりなんですよ。

HTML版になると脚注が一覧して最後に出てくるので確認しやすいと思いますが、今回の若田部さんの金懇挨拶のテキストって、まあ殆どと言って良い位に2020年に出て来たペーパーをリファレンスにしているという中々の不思議具合で、いやコロナの例は過去にないからとかそういう言い訳になるにしたって、ちょっとこのリファレンスが2020年ペーパーのオンパレード、というのは読んでて物凄い違和感を感じるんですよね。いや真面目な話、さっきの「歴史の応用には注意が必要」って話なんて何も2020年のペーパー持ち出さなくても何ぼでも古典的な物件から話引っ張ってこれそうなもん(というかそもそも別にそのことにリファレンス要るか???って話だし)でしょ??

ところで、最近金研ちゃんがコロナに関連する最新の海外ペーパーのご紹介を金研ニュースレターとか言ってホイホイと出しておられる訳ですが、まさかとは思いますが(爆発音)。

『とはいえ、短期的には、感染症がもたらす総需要への負のショックが総供給への負のショックを上回る可能性があるうえに、感染症をめぐる不確実性が高いために民間の消費・投資活動が手控えられる可能性があります。したがって、当面は、インフレ率が低下するリスクに警戒する必要があります。』

『さらに中長期的には、成長期待、インフレ予想、貯蓄率の動向に注意を払う必要があります。ことに注意すべきは、一時的とされる外的なショックが、持続的な停滞に結び付く可能性です。』

『長期停滞論、いわゆる「日本化」の懸念は、主要先進国で新型感染症拡大前から論じられてきたものですが、今回の感染症もまた人々の態度や、子供の健康状態等に履歴効果をもたらしかねません10。』

ちなみにこちらの脚注も何故か2020年のペーパー(だんだん引用するのが面倒になってきます、笑)なんですが、長期停滞論はいいとして、そのあとの「今回の感染症もまた」云々の所と長期停滞論の話がどうつながるのかちゃんと書いてくれませんかねえという感じで、「人々の態度」がどうなるから長期停滞論につながるのか、というのはまあ何となくわからんでもないけど、「子供の健康状態等に履歴効果」というののどこがどう長期停滞論につながるのかマジで分からないんですけど、どういう整理になっているのでしょうか。

おまけにここの文章ですが、こう言って置いて、

『物価の上振れ、下振れ両リスクに対応するために、日本銀行としては、「物価安定の目標」に、引き続き強く関与していくことが必要であると考えています。』

って結論は結論で良いんですけど、話が繋がってねえだろオイコラという感じでございます。


でもって次が『(ウイズ・コロナの経済社会)』なのですが、これがまた脚注のオンパレードなのですが、もう引用するに値しない(個人の感想です)ので面倒だからすっ飛ばして次に行きます。


・金融政策の話も色々と微妙

次の小見出しが『(金融政策の進化)』という小見出しなのですが、金融政策・・・・進化・・・・・と言われると、とある置物師匠を思い出すのはアタクシだけでしょうか(−−;

というのはさておきまして、途中から引用します。

『今回の経済危機で、中央銀行は、リーマン・ショック時の経験と教訓を生かして、迅速な対応、中央銀行間の協調、政府との協調等を一段と心掛けました。』

ほう。

『第一に、「迅速な対応」の中心である流動性供給について、今回の危機の性質を反映して、その範囲と手段を拡大してきました。』

ん???

『リーマン・ショック時には、中央銀行はウォルター・バジョットのいう「最後の貸し手(Lender of Last Resort)」から、「最後の市場の作り手(Market Maker of Last Resort)」、「最後のグローバルな貸し手(Global Lender of Last Resort)」へと進化しました16。』

まあこれはそうだ(ちなみに脚注が中曾さんの講演ですが、一々そんなのまでリファレンス付けないとこの人は説明できんのかと小一時間なのは相変わらず)。

『今回の危機に際しては、広範な経済主体が需要の蒸発と資金繰りの問題に突如直面しました。それを受けて、中央銀行の流動性供給に際しては、金融機関のみならず、企業や個人事業主、家計への円滑な金融の支援も意識されました。』

ん???

えーっとですね、前回の危機は金融市場発あんど大手金融機関の経営破綻を伴っておりまして、まず最初におかしくなったのが金融市場であり、価格が壊れるのもさることながら、大手金融機関の経営破綻に伴い、市場参加者間のカウンターパーティーリスク認識が極度に高まったことから、金融市場におけるマーケットメイク機能が一瞬にして崩壊してしまった、というのがあって、だからこそLLRだけではなく、マーケットメーカーというか市場機能を中央銀行が代替する、という非常手段に打って出た訳ですよ。

然るに今回に関しては、金融市場における不均衡が爆発したとかそういう物件では無いし、金融機関も急にどうのこうのという話では無いし、金融市場自体にストレスは掛かっていたけど、別に市場が無くなった訳でもないのですから、「最後の市場の作り手」の仕事が必ずしもメインじゃない訳ですよ。そらまあレポ市場にオペでバンバン資金供給するとか、MMF(米国の話ね)の保有有価証券にお助け措置するとか、そういうのもありましたが、米国の各種ファシリティってバックストップとしての意味合いが強いし、まあそもそもがバックストップ以上にやりようもないというお話ではなかろうかと。

ということですので、

『さらに、6中銀スワップを活用したドルオペの拡充は、FRBや日本銀行を含む主要中央銀行間の情報交換の中から実現したものであり、中銀の国際協調の賜物と言えます。』

という話になっているのですが、何ちゅうかこの若田部さん状況ちゃんと整理できているのかね、と物凄く?????になってしまう訳ですよ。

更に思いっきりワープして先般の米国のジャクソンホール話がぶっこまれているのですが・・・・・・・・・・(一気に12ページまで飛びます)

『そして、第三に、これらも踏まえ、金融政策のあり方を改善すべく、継続的に議論を深めていく必要があります。現在、幾つかの海外の中央銀行で、金融政策の枠組みをレビューする動きがみられます。例えば、物価の一時的な下振れが続く場合には、一時的な上振れを許容するという「埋め合わせ戦略(makeup strategy)」について、議論がなされております。』

おいこらちょっと待て「一時的な上振れを許容する」と「メイクアップストラテジー」は同義じゃないぞ。メイクアップストラテジーってのは物価水準目標寄りのスタンスで、「上振れを目指して過去の下振れ分を能動的に取返しに行く」という話で、一時的な上振れ許容というのはシンメトリックターゲット寄りのスタンスで、能動的に取返しに行くのではなくて、「インフレが高進する懸念が少ない限りにおいては、目標からの多少の上振れが生じても問題視しない」っていうある種受動的な話だろという所でして、この時点で整理がおかしい。

『この背景には、金融危機後、先進国において、低成長・低インフレ・低金利が長期化し、そのもとで自然利子率が低下していることから、政策金利が名目金利下限制約に達しやすくなっており、金融政策の有効性を高めることが難しくなってきているという事情があります。』

よってこの部分はまあ良いとして次のこれが、

『8 月 27 日、FRBは、時間を通じて平均的に2%のインフレ率を達成するために、インフレ率が継続的に2%を下回った場合には、当面の間2%を上回るインフレ率を目指す可能性が高いという「平均インフレ率目標」と「埋め合わせ戦略」を採用しました21。』

となっていて、そもそも2%達成していないのに2%を上回るインフレ率を目指すのが無茶振りの話だから、そらまあ確かにハト派寄りというか学者寄りの方だとそういう解釈もあるけど、「上振れ容認」というのと「上振れを目指す」というのは似て非なるもので、少なくともパウエルクラリダは後者の説明しているんですが。

なおこの「金融政策の進化」ですが最後はこのようになっていますが、字面は日本語なのだが、だから何をしたいのか、というのが全く見えてこないという大変に素敵な締めになっております。

『この点、「日本化」という言葉に象徴されるように、わが国こそ同じ課題に直面しており、日本銀行でも、その課題の克服のため様々な先進的な努力を続けてきました。特に、2016 年9月には、それまでの政策の経験等を踏まえたうえで、「総括的な検証」を行い、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しています。こうした金融政策のあり方を巡る議論は、今回の感染症による危機を踏まえて、一層検討が進むでしょう22。日本銀行でも、海外中銀における議論の状況なども参考にしつつ、ウイズ・コロナ時代の金融政策のあり方について、検討を深めていくべきだと考えています。』

そんな一般論は良いんでyouは何をしたいのよ、という感じですな、でもってこの次が御当地経済の話になるので以下割愛します。


〇若田部副総裁記者会見だが真面目な話何を言いたいのかまるで分らんという凄い物件キタコレ

まあそんな事よりもこっちですよこっち。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200903a.pdf
若田部 副総裁 記者会見要 旨
―― 2020年9月2日(水) 午後2時から約35分
(佐賀市・東京間オンライン開催)

最初の質疑はたぶん幹事社の、

『(問) 二点質問させて頂きます。一点目は懇談会で寄せられた話に対する印象と感想をお聞かせください。二点目は、佐賀県経済の現状と先行き、課題についての見解をお願いします。』

といういつもの質問なのでまあ無難に回答しているのですが、この次の質疑をご覧ください。


・金融政策の進化でyouは何をしたいのよという質問に対する答えが物凄い

『(問) 午前の講演では、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について、検討を深めていくべきだと仰っていました。具体的にはどういったところが課題になるのでしょうか。お考えをお願いします。』

(;∀;)イイシツモンダナー

『(答) 懇談会でも申し上げたことですが、金融政策の見直しは、中央銀行によっては定期的に行うところもありますが、実際は不断に検討しているということだと思います。同じところにとどまるためには動き続けなければならないということです。』

ん?????

『物価の安定、あるいは金融システムの安定という目標はいつも同じであっても、それを達成するためにその時々で何が最適なのかをいつも考えなければならないということです。』

世界標準の金融政策は何処に???

『2019 年 6 月の青森県の金融経済懇談会でも紹介しましたが、そこでは主に学者の意見という形で、海外での様々な金融政策の検討の話をしました。もちろん、その背景としては、講演でも述べましたが、これまでの低成長・低インフレ・低金利といった、いわゆる「日本化」と呼ばれる現象があり、名目金利が下限に到達しやすくなったということが挙げられます。』

その説明はさっきの講演でしていましたよね。

『加えて、今回のコロナショックで人々の雇用と所得が突然蒸発するということが起きましたので、そうしたことを踏まえて、これまでの「日本化」といわれる経緯に加えて、今回の危機に対してどう対応するか、というところがポイントになってくるだろうということです。』

いやだからさっきまでその話をしていて、じゃあ具体的に何ですかって記者の方質問してるんですが。

『この辺りは、具体的にどうかということを申し上げるのはなかなか難しいと思いますが、』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

『私自身の考えでは、物価の安定も金融システムの安定も、これは国民経済の健全な発展に資することが必要ですので、例えば、海外での検討事例も踏まえて言えば、雇用と所得にもう少し重点を置いたような金融政策の運営が望ましいという声もあるかもしれません。』

「という声もあるかもしれません」って何だよそれ。

『また、実際、今回FRBが行った金融政策のレビューを受けてのステートメントの改訂は二つ柱があり、一つの柱は彼らがマンデートとして掲げている雇用の最大化をもっと強く意識するということです。』

いやね、これって結構そういう講釈している人も見受けられるんですが、今回の新しいストラテジーの特徴のデカい点の一つは「フィリップスカーブをキニシナイ」って話でして、(もう一つはシンメトリックターゲットをより明文化している点な)これって「経済物価構造の変化に伴い、雇用市場の状況が即座にインフレ圧力につながる訳でないので、雇用市場の過熱をもって即座に金融引き締めに動くわけでは無い」という変化な訳ですよ。

つまりですね、雇用指標が直接的に政策反応関数にならなくなった、という意味ですからして、つまりは政策反応関数的にいえば「物価動向をより重視している」ということになるんですよね。もちろんこれは政策反応関数の意味ですから、別に労働市場の動向を軽視している訳ではないのですが、労働市場の過熱が物価上昇圧力にならないから過熱を放置してもヘーキヘーキって話をしているだけで、声明文の方にだって「インフレ圧力にならない限りにおいて」という感じで書いている訳でして、物価上昇圧力(や金融不均衡の無視しえない拡大)が起きたら話は別だよんって事なんですから、「より雇用重視をしている」というのはそれは解釈おかしいと思うの。

と思うのだが、どうしてそういう解釈になってしまうんだろう、まあハト派バイアス掛けて読むとそういう解釈になるんだろうなあと思いますけどね(と言ってる本人は自分の中にあるバイアスが無いとは言い切れんけど出来るだけ読むときはそれを排除しようとしながら読もうとしていますが、実際どうなのという点は読者様のご見解を仰ぐという話ですな、うんうん)。まあそんな訳ですが若田部副総裁の場合は、

『これまでの失業率からのディビエーション、つまり乖離だけではなくて、失業率のショートフォール、不足というのを問題にするのだということで、「失業率を下げていくのだ」、「雇用を増やすのだ」という決意を非常に強くしたところです。』

という解釈になっていて、もうちょっと次元の低そうな解釈をしている(個人の感想です)が泣ける。なお話は無駄に続く。

『純粋に理論的な観点からすると、例えば、所得そのものにターゲットを置くような名目GDP水準目標とか、色々なこともあります。ただ、こちらはアカデミックな議論としてあるということを紹介したまでで、日本と単純な比較をすることはできないですが、実際のところ、今起きている状況というのは世界共通で、雇用と所得に影響がある、そしてそのもとで、物価の安定に対して脅威があるということですので、海外での事例は非常に参考になるのではないかと思います。』

・・・・・・・結局お前は何をしたいんだというのが全く伝わって来ません。人様の言説をせっせと引用した講演テキストを見せられてこれかよ!!!って感じでして、コピペ卒論を出したのは良いのだが肝心の口頭試問で炎上している学生いや何でもないです。


・・・・えーっとすいません、更にオモシロ質疑応答が続くのですが、時間の関係上今朝はここで勘弁させて頂きますが、今日こそちゃんと夜なべ仕事をして明日は片岡さんの金懇と共に投下しますすいませんすいません。






2020/09/04

お題「FED高官発言連発だがついていけないので雑感だけ/CP買入は毎度の通り/片岡さんと若田部さんの金懇ネタ(途中まで)」

はい????
https://jp.reuters.com/investing/world/index

.DJI ダウ平均 5:20am JST 28,292.73 -807.77 -2.78%
.SPX S&P500種 5:20am JST 3,455.06 -125.78 -3.51%
.IXIC NASDAQ総合 5:28am JST 11,458.10 -598.34 -4.96%

まあ最近の威勢の良い上げっぷりもアレでしたけど・・・・・・・・・・


〇引き続きFED高官のストラテジー発言が出ているのだが追いつけてない(汗)

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-evans-idJPL4N2G03IF?il=0
2020年9月4日 / 05:08 /
UPDATE 1-米、相当な金融緩和が適切 財政支援も必要=シカゴ地区連銀

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPL4N2G03HA
2020年9月4日 / 04:03
UPDATE 1-物価の水準より軌道に注目へ、政策決定で=米アトランタ連銀総裁

続いてエバンスとボスティックも出て来まして皆さん揃い踏みみたいな感じになっていまして、まあ言ってることに幅があるのに全員一致ってのは、結局の所文章解釈的にアベレージターゲットのところをフワッとしか書いていないのと、フィリップスカーブが効いていないことは全員一致にしても、将来の事については分からない件について、すなわちフィリップスカーブ逆襲の可能性についてどの程度見積もった発言をするか、によって違うんだろうなあ、と思うの。まあ週末ちょっとできるだけ読む努力はしたいのだが必ずしもヒマな訳でも無かったりして(超大汗)。


でですね、まあ今の所の雑感ですが、「インフレの多少のオーバーシュート容認」とか言ってる分にはまだ無難だとは思うのですが、先日のベンダーヘッドラインを信用すると、一部の方々は「インフレが2%超に行くのを当面は目指すことでメイクアップ」的な話をしていて、まあ何と申しますかそれは日本のアレからもうちょっと教訓を得て置いた方が良いと思うのって感がふつふつと沸きあがる今日この頃でございます。

と申しますのは、そもそも論として現状に至る前にコロナ無かりせばどうだったのよと言いますと、米国様におかれましても、コロナ以前の時点で何や物価が中々2%に行かんやないかという話になっておった訳でして、そういう状況になっているのに、ここで急に「2%超を目指す」とか言い出すのっていうのは、模試の成績で中洲産業大学にD判定連発な受験生が、「目標を引き上げて東大理Vにすれば合格するのではないか」とか言い出すようなもんでして、確かに一発目では「そんなにやる気をだすんだったら行けるんじゃないか」という認識が広がる効果が期待できるかも知れませんが、現実問題としてそこまでメキメキと成績が向上するような従来と違うスキームが無いままで目標を上げるだけで同じことしてても現実というものは必ずしもうまくいきませんわな。

でもって結局ただ気合とかやる気だけ見せても実践が伴わない、あるいはどこぞの中央銀行のように、マッカラムルールだのマネタリーベース直線一気理論だののように、やっている実践がスットコドッコイであれば、当然ながら実績というものが伴わなくなるわけで、実績が伴わなくなると最早「オーバーシュート型コミットメント」とか言っても「そんな寝言は2%のコアCPIを出してから言えや(鼻ホジホジ)」という話になっていまいまして、誰も相手にしないとかいう話になって、却って信認を失うということになる訳ですなガッハッハ。

ただまあ学者って学者だから、「2%物価目標達成が難しいなら目標を3%に上げれば物価が2%に行きやすくなるかもしれない」とか、これを目標未達の営業員に置き換えて考えればもう誰でもその結末が分かるだろうという理論を平然と唱える訳でして、もうお前ら(以下暴言が無駄に続くので割愛します)。

てな訳でして、その辺パウエルとクラリダは利口だから(ちなみに就任当初とコロナ対応の初手に関してはパウエルちょっとお前可及的速やかに天寿を全うしとけとか思ったけど、昨今の対応とか大概説明とかは物凄く立派になったと手のひらクルーしています)、できもしないことを調子よく言って、それが出来ないということになると信認問題になる、というのを日本のQQE以降の流れを見て把握しているんでしょうな、という所でして、だからこそ「インフレ率が2%を多少上回る期間があっても容認」とは言うけど、「インフレ率2%超を目指す」みたいな言い方はしてこないのよ。つまり「目指す」とか言い出して全然行かないってことになると、時間の経過と共に「オーバーシュート目指すとか言ったってそもそも2%に届かないままって何の空手形だよ」という認識からのFRB信認低下、って話になったら元も子もない、というのを意識していると思うんだよな〜(個人の感想です)。

ただまあFEDってニューケインジアンな学者系の方が多い筈なので、まあ学者はその辺の後先考えないで無邪気に「メイクアップストラテジー」とか言うのですが、そもそもメイクアップができるならそうなる前に先にやれやヴォケって話な訳でして、メイクアップに関して言えば自分がメイクアップしに行く、というのではなくて、まあ上がった時にも正常化は遅らせますわ、という線で話をしておかないと、「メイクアップすると言ったのに何で上がらんのやこの詐欺師野郎」となって信認を落とす訳ですし、既に日銀がやらかしておりますのですが、さてこの辺のトーンをパウエルどうコントロールするのかが楽しみですな。


FEDと言えば完全に別件ですが。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/other20200902a.htm
September 02, 2020

Statement by Federal Reserve Board Chair Jerome H. Powell on the passing of Thomas Laubach,
director of the Division of Monetary Affairs
For release at 7:15 p.m. EDT

トーマス・ローバックさんってFEDエコノミストの凄いお方なのですが、お若くしてお亡くなりになられてこんな物凄い丁寧な弔辞がFED公式で出ていましたので記録しておきます。

『I will miss Thomas as both a colleague and a friend. He was a world-class economist, committed to public service and universally respected for his significant contributions to the theory and practice of monetary policy. His expertise, intellect, and good judgment were peerless. His many friends and colleagues will miss not only his nimble, creative mind, but also his unfailing kindness, collegiality and equanimity. My colleagues and I extend our deepest sympathies to his family.』

兎に角凄い方だったということのようですね、合掌。


〇CP買入またもマイナス金利

いやね、ベースレートは確かにマイナスだからそれでもエエという理屈を押し通していくんでしょうけど。
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of200903.htm
CP等買入(注4) 6,000 2020年9月7日
(注4) 応札レート(売買希望利回り)は、-0.10%を下限とします。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba200903.htm
CP等買入 10,112 5,992 -0.042 -0.018 9.2

さすがに9月だけに札が1兆ありましたが、もう完全にマイナス利回りからご相談という応札レートになっておられるのかどうかは知らんけど、まあ結果見る感じですとそんな雰囲気を受けます(個人の感想です)。

いやあのですね、CP社債買入拡大で発行にも良い影響がーとか言って正当化するんでしょうけれども、金利水準的にリスクプレミアムを叩き殺す水準になってしまうのっていうのはそれはそれで程度問題として如何なものかと思う訳ですよいやマジで。まあCP買入の度に今後も同じように悪態をついて参りますが、CPもそうだけど社債とかだと、一々引用しませんが「日銀の社債買入に応募して日銀に購入させることを目的とするトレードが」的なサムシングがたまにベンダー記事の中にちょろっと出て来たりしまして、どうせ日銀は「色々含めて社債の発行が活発になるから良い」とか言うのでしょうが、どうみても資源の適正配分をゆがめているという話であって、どこかでバジョット・ルールレートにできんもんですかね(なおリーマンショック後にCP社債買入をぶっこみましたが、あれはバジョットレート(という程まで高くはなかったが市場が正常化したら応札が入りにくくなる水準)だったんですよね、どうしてこうなった)とは思うけどまあ無理でしょうな。


〇若田部副総裁金懇をすっ飛ばして(という訳ではないが)片岡さんの金懇雑感(詳細は今日間に合わなさそうですすいませんすいません)

しかしまあこの金懇ラッシュ、しかもリモートでやる地方金懇って何だよそれという感じは強くて、昨日ネタにして鈴木審議委員の金懇後の会見ネタで昨日はすっ飛ばしましたが、リモート地方金懇というのに対して「従来の懇談会の場合には、例えば一泊や二泊等の期間を設け、地元の様々な方々との懇談、企業の訪問を行い、その地域におけるより広範な、色々な経済全体の動きについても五感で感じ取ることができるわけです。しかし、今回初めてオンライン開催を行いましたが、想像していた以上に様々な貴重なご意見を頂いて、より旭川ならびに道北地域の経済についてよくわかりました。」(8/27鈴木審議委員会見より)ってまあフォローはしていますが、どう見たってフィールドワークしてアネクドータルなものを感じて行かなかったら駄目やんというか、それがもうどこぞの官邸のコロナ対策のあの宙に浮きっぷりみたいなアレに繋がる訳でして、やらないよりはマシだと思いますが、これリモートでやったからノルマ達成なのではなく、後日皆さん金懇行った先に別に講演ぶっこまなくても良いから行脚はして欲しいですよね、と思いました。

でまあ昨日の片岡さん、例によって例の如くのお話でして、金利を下げろだのなんだのというヘッドラインがホイホイと出る中、30年国債というまあ割とメジャーリーグどころの入札の前場という微妙な時間帯にこんなヘッドラインがポンポン出るってちょっと如何なものか、と思いながらも、そもそも論としてこのヘッドラインが円債市場ちゃんに1ミリも影響が無くて皆さん完無視しているというのもかなりのアレという感じでしたね。

まあ執行部か空気か片岡さん鈴木さんしかいない(中村さんの活躍には期待していますよ)という状況に置きまして、鉄砲玉あるいは炭鉱のカナリア(だと死んじゃいますね失礼失礼)櫻井さんの金懇だと注目度高そうですが、まあこういう事だぞ、というのを見るのもそれはそれで悲しいなと思いましたけど、本来はこういう金懇講演みたいなのをメジャー年限の入札の前場にぶっこんでいくのって、プライマリーディーラー的には結構迷惑にも程があると思うので(ボラが好物のディーラーだとまた別の反応になりますので念のため)、まあ今回滞貨解消のために1週間に3人ぶっこんだというのはある(再来週MPMがあるし、日銀もまさかジャクソンホールで政策変更ぶっこんで来るとは思わなかったでしょうから、金懇入れるならFOMCで何か出る前に、と思ったんでしょうそこは同情する)のですが、メジャー年限の国債入札に金懇ぶち込むのは極力回避して頂きたく伏してお願い申し上げます。

あとですね、片岡さんの御託自体はいつもの通りだったのですが、何せ片岡さんの御託における最大の問題点は、「物価が上昇しなければ追加緩和を行うというコミットメントで何で物価が上がるのか」、というお話でございまして、延々と何年ゼロ金利やってるんだという所に加えて置物緩和をして、マイナス金利にYCCをしていてこのテイタラクなのに、片岡さんの言うコミットメントをするとホイホイ物価が上がる、という事について説得力のある説明が皆無な訳でして、そこの説明(具体的な政策手法とその手法が狙う波及効果)をヘナチョコ説明でもしてくれれば建設的な話になるんですが、ただ「コミットしろ」だけでは箸にも棒にも掛からん訳でして、とりあえず次の金懇までにでっちあげでもいいから何か絵を描いて持って来て下さい。

という感じですかねえ。まあ片岡さん何言っても反応しないから市場的にはどうでも良いのですけど。


〇やっと若田部副総裁金懇ネタに届いたが時間がアレ

さすがにこれは土日のどこかれキャッチアップ更新をしないとマズかろうとは認識しております(とは言え来週になるとECBが何か面白ネタ投下してくれないと日米欧ブラックアウトになってネタが切れる懸念もあるけどキニシナイ)のでまあすいませんがボチボチ成敗して参ります。

今(4日の朝)時点ではHTML版は出ていませんな。PDF版の方から今日は引用します。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200902a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 佐賀県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 若田部 昌澄

・政策の説明とか情勢説明とかがほかの人と丸被りになるのは仕方ないでしょうね&3本の鉛筆ポンチ絵はお蔵入りと

『2.今回の経済危機と金融政策面での対応』に『(感染症の影響とこれまでの政策対応)』ってのがありますけれども、まあここの話は現状政策委員会の誰が行っても同じ説明になる仕様になっていますから、割愛します。なお見た感じですと雨宮副総裁の7/29の講演(日本記者クラブにて)と同じような感じになっています。

でまあその中で注目の材料と言えばあのポンチ絵・・・・・・・・・・・

『日本銀行も、3月以降、迅速に金融緩和を強化しています(図表3)。今次局面での日本銀行の対応は「3つの柱」に整理できます(図表4)。』

図表4が皆様の大好きな(違)図表であらされる所の『日本銀行の新型コロナ対応』な訳ですが、鈴木審議委員の金懇資料に引き続きこちらも3本の鉛筆あるいは3匹の子豚の家のポンチ絵ではなくなっております。ついでに言えば片岡審議委員の金懇資料も同じくとなっておりまして、いやーあのポンチ絵は取り下げですかねデュフフフフフ、と大変に心が温まる展開になっております。てか逆に何であれを公式で出したんだよという所でして、フリップ芸に関してはちょっと自粛(FEDだってECBだってフリップ芸無しで会見やってコミュニケーションちゃんと取れてるでしょ、というと記者のレベルの差が歴然としているという話になりますのでそこはうにゃうにゃということで)した方がエエンチャイマスか、とマジで思います。もう安倍ちゃんも変わってMPMの時は首班指名終わってるでしょうから、お子様向けフリップ芸からの脱却を願いたい。


・掘り下げた話があるので喜んで見に行ったら受け売りのオンパレードいうのはこれ如何に

まあ政策対応の話は各委員共通だし、経済物価見通しとかリスク要因の所は展望レポート通りの話をしてくるので、この辺は今更ジローで読む程の者ではなくて(いや勿論3度読みしてますけどアタクシは)、その次の章の頭にアタクシを期待させる書き出しがあるのですよ。

『3.ウイズ・コロナの世界と今後の金融政策運営』って小見出しの所なんですけどね。

最初の小見出しが『(コロナ・ショックの性質)』でござつ。

『ここまでは、「これまで」の経済情勢と政策対応や、今後の経済・物価の中心的な展望をお話ししました。次に、きわめて不確実性が高い「これから」について、中長期的な視点も交えながら、やや掘り下げて話をいたします。』

エエヤンエエヤン正座待機正座待機。

『その前に、まず、今回の経済危機の性質について、これまでの経済危機と比較して考察してみます。』

まあここは既に整理されている話ですけれども話のマクラに必要ですね。

『第一の特徴は、今回のショックの発生源が、新型感染症の拡大という経済の外部に起因するショックであることです2。』

2???何で脚注がついているの????と思って脚注を見ると、

『2 ニューヨーク市立大学のクルーグマン教授は、これまでの米国の景気循環を外的ショックによるものと、金融危機を伴う内的ショックによるものとに分け、前者の回復は素早く、後者の回復には時間がかかったと論じています。Krugman, Paul (2020) "The Audacity of Slope:How Fast a Recovery?" Princeton Bendheim Center for Finance webinar, May 15, 2020,https://www.youtube.com/watch?v=h1ZiTIou0_8.』

となっていまして、若田部さんのお話に戻りますと、

『過去の景気循環に例をとると、原因が一時的な外的ショックの場合には回復も速やかに進むと考えられます。ただし、感染症の影響が長引き、外的ショックが継続する可能性については留意が必要です。また、外的ショックが金融市場の不安定化や金融危機につながることがあれば、危機はより深刻化します。』

別にクルーグマン持ってこなくたって自分の言葉で説明すりゃいいのに、と思いながら読んでいるとこの次が、

『第二の特徴は、総需要と総供給の双方にショックが発生していることです。経済学では、通常、経済に対するショックの源泉が総需要か総供給かを区別します。とはいえ、この区別はそれほど単純ではありません。総需要と総供給は関連しあっています。』

何かこの話どっかで見た覚えがあるぞ、と思いながら読み進めますと・・・・・・・・・・

『最初はウイルスへの感染や、その感染を恐れての時短、休業、操業停止、移動規制、社会的距離の確保といった供給側から始まった負のショックが、所得の減少と支出の減少を通じて需要側に負のショックを引き起こし得ます3。また、その後の政策対応によって、総需要と総供給の関係は変わり得ます。』

また脚注かよ!ということで脚注を見ますと、

『3 シカゴ大学のゲリエリ教授らは、複数の企業部門の存在を想定し、各企業部門の補完性を考慮すると、負の供給ショックがそれを上回る負の需要ショックをもたらし得ることを理論的に明らかにしている。Guerrieri, Veronica, Guido Lorenzoni, Ludwig Straub, and Ivan Werning(2020) "Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?" NBER Working Paper Series, No.26918.

「金研ニュースレター特別号 新型コロナウイルス感染症の経済学(3)」(日本銀行金融研究所、2020年5月 、https://www.imes.boj.or.jp/japanese/newsletter/nl202005J3.pdf)に解説がある。』

どこかで見たことあると思ったら金研ニュースレターとかいう突如出てきたコロナ感染症に関する経済リサーチのご紹介シリーズで読んだ奴や、ということで、この調子で一々全部受け売りになっているという中々素敵な物件になっていまして、若田部副総裁ご自身の見立てという感じが全然伝ってこない、ということで要は「読んでて全然メッセージが刺さってこない」という大変に素敵な物件となっているのではなかろうか、などと最初の時点から思ったりして、正座待機してたのにズコーってなってしまいましたが、ここで今朝は時間が無くなってしまいましたので、誠に相済みませんが土日に気力体力がありましたら続きを更新してみますが、どうせ月曜まで残しておきますので、まあ月曜の駄文が見た目クッソ長くなるという感じでご理解いただければと存じます。





2020/09/03

お題「米国当局の自然災害対応監督特例レターとな/鈴木審議委員旭川金懇ネタです(遅れました)」

金懇連発にFED要人発言連発勘弁してください。というか金懇って暫くやっていなかった分の取返しをしているんでしょうけれども、連日のように実施されますと政策の説明部分とか同じタイミングだと同じ話しか出てこないから金懇すらおもんないということになって非常に遺憾なのですが今後は実施日バラしてくれませんかねえ。

なお、米国様でも本日は

ウィリアムズ
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKBN25T2JD
2020年9月3日 / 00:57 /
物価の一時的な高進「望ましい」、労働市場に重点=NY連銀総裁

ウィリアムズはダドリーとの対談イベントみたいなのがあって発言ですな。

メスター
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-idJPKBN25T2TA
2020年9月3日 / 02:17 /
雇用過熱だけで心配せず、物価に柔軟対応=米連銀総裁

まあブレイナードのは何であんなに書いてあること以上に踏み込んだのかと思ったら、よくよく考えてみればブレイナードってヒラリーさんとマブダチだか何だかだった筈(なので昔は次期FRB議長あるでとかいう話もあったですわな)で、民主党大統領になったらタイミング的に議長は無理にしても、財務長官とかそういう方面のウマーなチャンレンジがあるから無難な発言しないで特攻するインセンティブがあるんでしたこのお方は。まあブレイナードに喋らせてしまったパウエルとクラリダ的にはうっかり八兵衛だったかもしれませんね。


〇米国金融当局こういうの出すんですね

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/bcreg20200901b.htm
September 01, 2020
Federal and state financial regulatory agencies issue interagency statement on supervisory practices regarding financial institutions affected by Hurricane Laura and
California Wildfires

Board of Governors of the Federal Reserve System
Conference of State Bank Supervisors
Federal Deposit Insurance Corporation
National Credit Union Administration
Office of the Comptroller of the Currency
For release at 5:00 p.m. EDT

つーことで昨日の日本時間的には朝出ていた(ブレイナードの講演読んでいる時には無かった筈)ようですが、
題名の通りでハリケーンローラと加州の山火事という大規模自然災害に関する監督上の件ということでして、

『The Office of the Comptroller of the Currency, the Board of Governors of the Federal Reserve System, the Federal Deposit Insurance Corporation, the National Credit Union Administration, and the state regulators, collectively the agencies, recognize the serious impact of Hurricane Laura and the California wildfires on the customers and operations of many financial institutions and will provide appropriate regulatory assistance to affected institutions subject to their supervision. The agencies encourage institutions operating in the affected areas to meet the financial services needs of their communities.

A complete list of the affected disaster areas can be found at https://www.fema.gov/disasters.』

まあ要するにこれらの自然災害によって生じた金融機関における不具合部分に関しては(平時ベースでみた場合の)監督上問題視されるような事例であっても以下のように特例配慮をしますよ、というお話が上記のように金融監督当局(たぶん業態によって監督当局が違うから連名なんでしょと思うが)の連名で公表されています。

つーことで以下色々と書いてあるのですが、例えば最初の項目を見ますとこうなっています。

『Lending: Financial institutions should work constructively with borrowers in communities affected by Hurricane Laura and the California wildfires. Prudent efforts to adjust or alter terms on existing loans in affected areas should not be subject to examiner criticism. Modifications of existing loans should be evaluated individually to determine whether they represent troubled debt restructurings. This evaluation should be based on the facts and circumstances of each borrower and loan, which requires judgment, as not all modifications will result in a troubled debt restructurings. In supervising institutions affected by these disasters, the agencies will consider the unusual circumstances these institutions face. The agencies recognize that efforts to work with borrowers in communities under stress can be consistent with safe-and-sound practices as well as in the public interest.』

金融機関の貸出金に関して、自然災害による債務者の支払い遅延や債務リストラクチャリング、あるいは災害復興資金貸出における不良債権化などに関して、通常の監督基準で金融機関の行動に関して問題視することはせず、これらのケースについては問題視しないような扱いを取る(全部が全部問題にしない訳ではさすがになさそうだが)。コミュニティーがストレスにさらされている場合、金融機関の安全性や健全性と同様に、金融機関がコミュニティーの公共に資する活動をすることも同様に重要なことであると我々監督当局は理解している。

ってな感じで、災害によって正規の手続きを一部省略せざるを得なくなるケースとか、その他諸々に関しまして、災害対応も重要ですよってなのをわざわざ明文化して出しているという中々素敵な物件でございまして、このような明文化してちゃんと出してくれるというのは、後から梯子を外さないという観点から非常に民間的にはアリガタヤアリガタヤな話でありまして、ああせえこうせえなどという書面で示されない(爆発音の為以下聴取不能)。

#まあ米国のこれも個別判断でやいのやいの言われることはあるんでしょうけれども



〇鈴木審議委員金懇ネタで金懇講演のうち鈴木さんのターンの部分(副作用論)です

まずは講演の残りです(すいません)。

出遅れているうちにHTML版も出てしまいましたので引用はHTML版から行います(コピペが楽だから)。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko200827a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200827a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
旭川市金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 鈴木 人司
2020年8月27日

『低金利環境が長期化するもとでの金融緩和の効果と副作用』って所から先です。

『このように強力な金融緩和のもとで低金利環境が長期間続くことで、その効果が現れてきていたわけです。しかし、一方で、そうした低金利環境の長期化に伴う副作用も累積してきていること、さらに今般の感染症によって、そうした副作用が金融システムの安定に影響を及ぼす惧れが高まる点には注意が必要です。以下では、副作用についての私の考えをご説明したいと思います。』

という事で要するに読む場所はここから先ですな。


・いつもの金融政策の副作用話なのですがお疲れなのか説明が微妙に微妙

『感染症の影響により企業の資金繰りは厳しくなりましたが、日本銀行や政府による資金繰り支援の各種措置のもと、金融機関が取引先の支援に積極的に取り組んでおり、金融機関の貸出態度は現在のところ緩和的な水準を維持しています。しかし、その金融機関自身も、厳しい環境に置かれています。IMFによると、グローバルに活動する金融機関のうち、自己資本利益率(ROE)が4%を切る先の割合は、2018年時点では1割にも満たなかったのですが、これが本年末までに5割程度まで上昇すると予想されるとのことです2。さらに、感染症による影響が長引けば、5年後の2025年には先進国の多くの銀行が資本コストを上回る利益を上げられなくなる可能性があると指摘しています。』

これは講演の脚注にもありますが、直近出てきたIMFのファイナンシャルスタビリティレポートにありますが、日本語バージョンを見るよりもそのまま英文版を見た方が読みやすいと思います。

『自己資本利益率が資本コストを上回らなければ、金融機関はいわばじり貧の道を辿ることとなります。このように金融機関の利益率が低下していく背景には、3つの要因、すなわち、貸出スプレッドの低下、運用収益の減少、そして信用コストの増加があると考えられます。これら3つの要因について、わが国の状況をお話したいと思います。』

ほうほうそうですかという感じですが、

『まず、貸出スプレッドの低下についてです。わが国では、地域における人口や企業数の減少により新たな資金需要が限られるもとで低金利環境が長期化する中、金融機関同士の競争の激化もあり、新規の貸出金利はきわめて低水準となっています。その結果、経費率を控除したネット利鞘は縮小しており、たとえば昨年度の地方銀行の平均では、▲2bps程度となっています3(図表9)。』

という説明がおっぱじまっていまして、まあ言いたいことは分かるんですが、そもそも論としてこのネット利鞘にどういう意味がありますねんというのは多少ツッコみたい所でして、新規貸出金に対して紐付けのライアビリティがある訳ではないのですから、ここでいう経費率ってストックベースの負債や資本コスト込みの数字だと思うのでして、いやまあ確かに新規貸出金がストックベースの負債や資本コストコミコミに負けているってのいずれは営業赤字になりますよってことだと思うのですが、

『金融機関の利益を考えるうえでは、ここから貸し倒れに備えた信用コスト率等も控除する必要があります(図表10)。このような状況からさらに貸出金利が低下すると、金融機関はマイナス金利で資金を調達しなければ利益が出ないということになります。しかし、金融機関の資金調達コストの大宗を占める預金金利をマイナスにすることは困難です。』

ここの話が微妙に飛躍があって、べつにマイナス金利で資金を調達しなくても負債コストを下げれる方法は他にもあるじゃろと思うのでして、いきなりマイナス金利といってしまうのは話が飛躍している気がする。

『このため、市場金利が低下しても貸出金利は低下しない、あるいは貸出が増えないという状況に近づいている可能性があります。』

でも現実問題として増えてるし金利下がっているだけにこれはちょっと。リバーサルレートの話をしている(あとで出てくるけど)のですけれども、うーんこのという感じで説得力が微妙な気がします。

『また、政府のサポートおよび日本銀行からの資金供給のもとに実施される民間金融機関を通じた中小零細企業向け実質無利子の融資枠は、約52兆円に上ります。これは、資金繰りに苦しむ企業の支援として大きな効果が期待できるものとなります。他方で、この融資枠の規模は民間金融機関の中小零細企業向け貸出残高の約2割に相当するものです。このため、企業の資金繰り支援として現在行われている無利子・無担保の貸出は、感染症による影響が収束した後も含めて、今後実行される一般の貸出に対してスプレッドの下押し圧力となる可能性があり、その場合には貸出利鞘の縮小がさらに長期化することとなります。』

これは会見の方でも突っ込まれていましたが、アタクシもここはその質問者と同じく????だったのでして(会見で補足説明はあったけど)、無利子無担保の制度融資って言ったって、それ債務者から見たらそうなんですけど、対金融機関で行けば利子に関しては利子補給があるから実質無利子なだけで、金融機関は利子取って貸している筈だし、無担保って言ったってマル保付き(保証責任率80%または100%)なんですから、何故それが今後の貸出に対してスプレッドの下押し要因になるのかは正直分からんかった。制度融資などの低利融資があるとそれが終わっても履歴効果で貸出金利に引き下げ要請が強まる、という話でしたけど、それならそこは説明して欲しかった。


でもって次の説明がこれまた微妙な説明。

『次に、運用収益率の低下についてです。企業等の資金繰り支援のニーズに応える形で金融仲介機能が発揮された結果、7月の銀行貸出は前年比プラス6.4%と大きな伸びとなりました。その一方で、預金は財政支出を主因に前年比プラス8.3%と、貸出を上回る伸びとなっています。これを金額で見ると、貸出の30兆円に対して預金は60兆円と、預金の増加が貸出の増加を30兆円上回りました。』

そもそも貸出が増えると預金が両建てで増えるのでこの説明はイマイチ。

『金融機関は、このように貸出を上回って増えた預金を、短期国債や日銀当座預金等で運用することとなります。しかし、短期国債や日銀当座預金の利回りは極めて低いことから、金融機関の収益性は低下することとなります。』

国債が民間に対して発行されてその見合いで財政資金が市中に散布されるのですから、バランス上は国債の増加部分と預金超過部分がバランスするというお話になるので、この説明も何だかなあという感じで、実は後の質疑応答の所でもちょっと思ったのですが、ジンバブエ先生の預金在庫論に何か浸食されているような気がしまして鈴木さんの事が心配になってまいりました。

次に参ります。

『3点目は、信用コストについてです。感染症で資金繰りが悪化した企業を金融機関が積極的に支援していく中で、そのうちの一定割合は不良債権化し、信用コストが生じていく可能性があります。』

本件に関してはさっきのFEDなどの共同文書じゃないですが、そこの所を監督上殊更に問題視しない、っていう一札が入るだけでもだいぶ違うと思うんだけどなあ。

『これまでのところ信用コストの発生状況は、リーマン危機後に生じたものほど深刻な状況にはなっていないようです。しかし、今後、第2波、第3波と感染症の影響が拡大する場合には、信用コストが膨らんでいき、リーマン危機時の水準に近付く可能性があります。また、貸出の利鞘縮小に加え、国債での運用利回りもさらに低下する中で、金融機関が、信用リスクが相対的に高い企業への貸出や高リスクの海外資産への投資を積極化する動きがみられてきました。このため、将来的に景気やクレジットサイクルの局面変化で金融機関の収益や経営体力が悪化し、金融仲介機能が低下することで経済・物価にマイナスの影響を及ぼすことがないか、注意深くモニタリングしていくことがきわめて重要です。』

モニタリングは重要(でも見てるだけでマイナス金利撤回しないですかそうですか)ですってよ。

『以上ご説明した3つの要因により金融機関の利益率が低下していくと考えられる中、金利が下がりすぎると、十分な収益が上げられなくなった金融機関の自己資本がタイト化し、銀行貸出が減少に転じる可能性もあります。こうした金利水準は、金融緩和の効果が反転するという意味で「リバーサル・レート」と呼ばれています。』

こういう説明をするよりも、真正面から「金利引き下げが経済の需要を喚起するのは、借入コストの低下によって将来の需要を前倒しさせる、というのが背景にあるのですが、長期にわたる金融緩和はその前倒しできる需要も食ってしまいます」というような話と、将来の景気サイクルにおけるサイドの金融緩和政策を有効にするためには緩和もほどほどに、みたいな方面から斬りかかった方が良くて、金融機関収益をベースにしたリバーサルレートの説明ってのも理屈はそうなんですが、まあ説明するなら本当は正面切って金利引き下げがどう作用するから需要創出になるのか、という話をした方がエエと思う。


よってこの説明もアレで、

『現状では、金融機関が積極的な貸出スタンスを維持する中、貸出残高は前年比でプラスとなっています。しかしながら、先ほども触れたように、預金の伸びは貸出の伸びを上回っており、企業の借入から預金を差し引いたネットの借入残高は過去11年間で2割程度減少しています4。また、法人企業統計によれば、金融・保険業を除く全産業で2018年度までに積み上げた内部留保は463兆円となり、過去最高を更新しました。過去10年間で見ると、約65%増加しています。』

ISバランス的にしょうがない話で、じゃあ財政引き締めますかっていうと引き締めできないんですからプライマリーバランスが改善しないとこの話はどうしようもないと思うの。

『この背景のひとつには、リーマン危機直後に金融機関からの借り入れが困難となった経験が挙げられます。実際、今回の感染症により売上が減少する中では、そうした内部留保などを利用して積み上げた現預金が企業の資金繰りの助けとなっています。しかし、その一方で、利益を賃金や設備投資に振り向けずに現預金として積み上げる動きが、わが国の企業で今後さらに強まっていく場合には、企業の資金需要に働きかける金融政策の効果が限定的となる可能性がある点には留意が必要です。』

むしろ以前からそのような状況だから、マイナス金利政策のような政策を実施しても企業の資金需要に働きかける政策の効果が低い、という話をした方が良いのではないかと思うの。というのは、この理屈だと現状は恐らくどこでも売り上げ減などに対応して内部留保を取り崩すという事をしているんだから、金融政策の効果が高まるやんとかそういう話になるので、副作用論向きの理屈になっているのかが何だか微妙ではないかと。

んな訳でこのコーナーのまとめの所になるんですが、

『わが国の金融政策の枠組みは有効に機能しており、現時点では、金融緩和の効果が副作用を上回っているものと評価しています。』

賛成票投じているからこういう話になるんですが、直前の話を敷衍すると企業って前々から内部留保の積み上げをせっせと行っていたんですから、本当に枠組みが有効に機能していたのか、という点について検討が必要(数字出してるの2018年度だから昨年3月だわさ)って話になると思うの。

『また、わが国の金融機関は全体として資本・流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えており、企業等の資金繰り悪化の懸念が高まる中でも、金融システムの安定性は維持されており、金融仲介機能はこれまでのところ円滑に発揮されているように思います。しかしながら、問題はこれからです。』

ほほう。

『感染症拡大が一旦収まったとしても経済活動が元の水準に戻るのには時間がかかります。さらには感染症の影響が想定以上に大きくなった場合には、実体経済の悪化が金融システムの安定性に影響を及ぼし、それが実体経済へのさらなる下押し圧力として作用するリスクがあります。』

これはその通りなのですが、その話とさっきまでの副作用の話は全然別のレベルの話ではなかろうかと。

『こうしたリスクにも十分配慮しながら、金融政策運営の効果と副作用をこれまで以上に丹念に比較考量していく必要があると考えています。』

うーんこの。直球で「限界的な追加効果に対して副作用の方が高まっているから副作用軽減策を講じるべき」とぶっこんでいかないと、先行きの悪化リスクの部分って今指摘している副作用の顕在化と全然関係のない次元の話だから、この説明だとちょっと・・・・・・・・

『その際、「物価の安定と金融システムの安定を両立させる」という視点が特に重要であるというのが私の意見です。これは、金融危機を通じて明らかとなったように、ひとたび金融システムが不安定化してしまうと、そのもとで物価の安定を確保することは非常に困難であり、手遅れになってしまうためです。』

物価の安定って言葉要らんのとちゃいますかね。というかそもそも物価の安定とは何ぞやという話になりそうですけどね。

・・・・・・ということえ鈴木さんのターンになっている部分を鑑賞したのですが(って1週間遅れですな最早)、まあそういうと恐縮なのですがちょっと歯切れが悪いっつーか微妙に話が繋がっていなくて、次のネタの記者会見の所で思いっきり思ってしまったのですが、大本営と空気と(この前退任しましたが)思想が色々とアレなジンバブエ、という組み合わせでまともに議論が成立しないのでちょっとお疲れなのかとか誠に失礼ながら思ってしまうような感じの切れ味になっている(あくまでも個人の感想です)んですよね(涙)。



〇という訳で会見だがこれもまた微妙

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk200828a.pdf
鈴木審議委員記者会見要旨
―― 2020年8月27日(木)
午後2時から中断を挟んで約30分
(旭川市・東京間オンライン開催)

中々凄い運営ですなこれは大変。

・副作用対応って言えばいいのに・・・・・・・・

『(問)(前半割愛)それと裏腹ですけれども、午前中の講演要旨を見ますと、かなり副作用の強まりへの警戒感も示されていたかと思います。既に、日銀のコロナオペは、副作用を緩和するよう、金融機関にかなり配慮したような形で行っているところかと思いますが、金融機関の副作用対策を追加で用意する必要があると考えているか、についても考えをお聞かせください。』

キタコレ(前半の追加緩和の質疑は割愛します)。

『(答)(前半割愛)そうした中で、副作用に対しての対策ということが質問にありましたけれど、例えば、現状での資金供給においては、金融機関からの貸出を積極的に行って頂くためのインセンティブということで、必ずしも副作用への対策ではないと考えています。』

いやそうしないとオペ使われないって時点で副作用対策でしょ、というのは兎も角として、

『そして、これから更なる追加緩和がある場合には、講演の資料の中にも書いていますが、日本銀行の使命として、物価の安定と金融システムの安定という二つの目標があるわけですが、現状、企業あるいは個人の方々に対して、金融仲介機能が適切に発揮されるということが非常に重要な局面になっていますので、これまで以上に金融システムの安定ということが重要になるだろうということです。従って、金融システムの安定に影響を与えることについては、細心の注意を払う必要があると考えています。』

副作用対策を行いながらも必要な場合追加的な効果の出る金融緩和政策を躊躇なく行う、とド直球で説明した方がエエンチャウノかとちょっと思いました。その方が多分歯切れは良い(歯切れが良ければ良いってもんじゃないけど)。


・例の貸出金利云々

そら質問するわ正直ワシも講演要旨見て思ったもん。

『(問) 午前中の講演で、政府の無利子・無担保融資に関連して、感染症の影響が収束した後も含めて、一般の貸出にスプレッドの下押し圧力となる可能性があるとご説明されていますが、感染症の影響が収束した後も金利に低下圧力がかかる理由を、どのように考えておられるのでしょうか。』

『(答) これはあくまでも私の推測を述べているのですが、新型コロナウイルス感染症拡大のもとで、金融機関はかつてない規模の貸出が増えているわけですけれども、少なくとも暫く前の時点においては貸出金利がかなり低下しているというのが、数字としてあります。大手金融機関は、大企業に対する資金繰り支援の比率が上がった結果金利が下がっている面もあります。』

はい。

『それから、政府の支援に基づく実質無利子・無担保の貸出、これは地方自治体によってそれぞれ条件が異なっていますが、表面には金利の実態がありまして、それに対してリアルタイム方式とか後払い方式とかテクニカルな点はあるようですが、顧客にとっては無利子という形になっています。その無利子の枠が全て使われた後には、いわゆるプロパー融資という形で、金融機関独自のプライシングが求められるわけですが、当然顧客からすれば同じ条件でやってほしいという要請がありますし、顧客のことを何とかサポートしようとする金融機関にとっても、そうした要望に沿いたいという気持ちがあると思います。そういった観点からしますと、午前中の資料でも触れていますように実質的な利鞘が殆どなくなっている状況の中においてなお、下押しの方の可能性が大きいのではないかという推測を申し上げた次第です。』

なるほどそうですかそうですか。


・自分から「金融政策は金融機関の為に〜」の話をしていたというのはちょっと・・・・・・・・・・

もう思いっきり飛んで最後の質疑になりますが(手抜き杉)、この質疑、ベンダーヘッドラインみてたら鈴木さんの回答の部分が出てくるんですが、それを見た瞬間に「まだ「金融政策は経済の為に実施するのであって金融機関の為に実施するのではない」というジンバブエ一派の持ち出す不毛な藁人形論法の質問しているトンチキ記者がいるのか助さん格さんこらしめてやりなさい!!!」と思った訳でございますよ。

でもって会見要旨見たらですよ・・・・・・・・・

『(問) 午前中の講演の中でも、鈴木審議委員が、物価と金融システムの重要性、この二つをしっかりと考えるべきということを仰っていたと思うのですが、2%がかなり遠い中で、日銀が今後も金融緩和を続けていくと、自然に副作用が高まってくると思います。金利が低くなり過ぎると、「リバーサル・レート」になるかもしれません。今、鈴木審議委員の中で、この緩和を続けていく中で副作用を軽減化するために金利を上げなければいけない状況になるか、それを上げる必要性について、どのように考えて
いらっしゃるのでしょうか。』

と、まあ普通(バイアスがやや入っているけど)の質問でして、えーちょっとちょっとお兄さんお兄さんと思いながら回答を見ますと、

『(答) 金融機関において副作用があるということは申し上げているわけですが、日本銀行の金融政策は、国民経済の健全な発展に資するということであり、金融機関の経営のために行っているわけではないことは、当然のことです。』

オーマイガー!!!!鈴木さん自分から発言したのかよー!!!!!

・・・・・・そもそもですね、国民経済の為の金融政策と金融機関の為の金融政策などというトレードオフというか二項対立みたいなものがある、という論法がおかしい訳でして、このようなそもそも対立しない筈のものを無理くり対立させて、どうみても自分の言ってる方を正義に仕立て上げる、というのは藁人形論法の一種でもありますが、置物リフレ一派が日銀の金融政策を批判というよりは誹謗するときに使う論法なんですよね。でもってジンバブエ大先生は日銀審議委員になられましても、その不毛な二項対立に話を持ち込んで、副作用論とかを無視する、というのをしていた訳ですよ。

だってそうじゃんそもそも国民経済に資する政策がちゃんと実施されていたら、金融業なんて(ケイマンみたいなオフショアで全部海外の商売でもやってるなら話は別だけど普通の金融業は)その栄枯盛衰ってその国の国民経済に思いっきり依存する商売なんですから、国民経済の為にならないのに金融機関の為になる金融政策などという理屈がそもそも論としてイリュージョンなのよ。

でもって金融機関がバタバタ逝くような時って決済とかのインフラが止まり、資金循環が止まるんだからそれは当然国民経済にとっても良くない話なので、政策の副作用が金融機関に集中するような政策を長期化したらどこかで何倍返しのあばばばばーが来る訳でしょ、というお話だと思うの。

然るに、ジンバブエ先生とかそのあたりの方々はそういう話をすっ飛ばして藁人形論法に持ち込むアジテーション手法だけは手慣れているので、まあ延々とMPMの議事要旨とか主な意見とかジンバブエ先生の金懇とかで散々この藁人形論法を見せられてしまいましたが、鈴木さんにおかれましてはもしやとは思いますがジンバブエ先生の放つ瘴気に強く当てられてしまっているのではなかろうか、とまあこの自分から言い出す部分を見て心配になってしまいましたです。はい。

以下はまあどうでもよいちゃあどうでも良いですが一応引用します。

『そして、大きな目標の中に、2%の「物価安定の目標」があり、それが今回の新型コロナウイルスのみならず、様々な危機に晒されることによって、結果的に時間が長くかかってしまっていて、先ほど申し上げたように、2022 年度でも 0.7%ということを政策委員が予測するという、残念な現状にあると思います。ただし、現時点において、2%の「物価安定の目標」、そして、それを金融システムの安定を維持しながら達成するというのは、時間はかかっていますが、可能性があるということです。そうした中で、副作用というものも、よく私の資料にもありますけれども、いったん顕在化してしまうと、なかなか簡単にそれを治せないということで手遅れになりかねない。これは、過去の日本経済の中で経験があることだと思っていますが、そういうことになってはいけないということです。従って、従来からも、効果と副作用を慎重に検討しながら、日本銀行は金融政策を行ってきたわけです。今後に関しても、更に一層その注意が必要ということではあっても、そのことだけのために利上げをするということは、全体感からして理屈が変なことになるのではないかと考えています。』

別にそのためだけに利上げするという話をしている訳ではなくて効果と副作用のトレードオフという質問をしていたと思うのに、どうもジンバブエ先生に質問されて防御戦闘を行っているかのような回答になっていて、ちょっとこの部分でビックリした、というのが鈴木審議委員金懇の今回のハイライトでした。


〇今日は片岡審議委員の金懇があるというのに若田部副総裁の金懇ネタが間に合わないの巻

夜なべすればよかったのではないか、とのご意見もあろうかと思いますがほらアタクシも気力体力とかそういうのありまして、ノリノリでネタにしたくなるもんだと夜なべするんですがちょっと若田部さんの金懇は・・・・・・・・・・

と考えるとジンバブエ大先生の金懇はアタクシを睡眠不足に追い込むまでのノリノリネタだったんですねオソロシスというかアタクシも遠隔操作で瘴気に当てられてるんですからそら延々と瘴気に当てられたら疲れるわなと思い鈴木さんに対しては深い同情の念に堪えません。

・・・・すいません話がそれましたが、若田部副総裁の金懇なんですけど、これがまた置物師匠やジンバブエ先生とかと別の意味で目も当てられないというか論ずるに値しない物件でして、何がアカンって読んでて「この説明どっかでみたことあるぞ」というののオンパレードで、ちょっと見ると脚注の嵐でして、要はそこらから引用してきたものの受け売り大会になっていて、若田部さんのターンというのが殆ど見当たらないという事。

いやですね、まあ確かに執行部だからあんまりトンチキな話は出来ないというのは分かるのですが、ここまで若田部さんのターンがろくすっぽない(しかも一部ある場所では盛大にツッコミどころがあるという悲しさ)というのってさすがに如何なものかという感じでして、そら執行部だからというのはあっても、リアル事務方の操り人形とかになられますと、日銀政策委員ってのは一般企業でいう取締役会の役割も果たすわけですから、この人たちが揃いも揃って事務方の操り人形になってしまいますと、それはガバナンス的に如何なものかという論点に繋がると思うのよね。特に外部からの人にはその役割期待があるはずなのよ日銀法の建付けからしたら。

ということでして、こうなってくるとトンチキで平成最後の金融政策爆笑王の名を高らしめる提案になった「15年金利0.2%未満」提案をされたように、トンチキでも一生懸命オリジナルの考えを練っておられる片岡審議委員の本日の金懇テキストを楽しみにしたい、とまあそういう話になってしまう訳ですが、それも悲しい話でして、一生懸命やったから評価されるってお前は義務教育の生徒かって話なんですね、悲しい悲しい。

ということで明日は極力同時成敗(しないとFEDネタもあるし)の方向で努力する所存でございます(やるとは言っていない)。







2020/09/02

お題「10年入札とか債券市場サーベイとか/またまた新ネタが来たので予定を変更してブレイナード講演から(案の定ハト派寄り)」

さいですか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200901/k10012594441000.html
自民党総裁選の方法決定 党員投票実施せず 両院議員総会で選出
2020年9月1日 14時47分

昨日の冒頭雑談最初はこのネタのつもりだったのよね。
https://this.kiji.is/673002710609462369?c=39550187727945729
岸田氏、総裁選で首相に協力要請
2020/8/31 12:11 (JST)8/31 12:23 (JST)updated
コピーライト一般社団法人共同通信社

『自民党の岸田氏は安倍首相との面会で、出馬を目指す総裁選に関し「お力添えを頂きたい」と協力を要請した。』(上記URL先より)

前回の岸田大先生、禅譲とかいうのを信じて総裁選降りて安倍ちゃんの靴を舐めた訳ですが、結局その安倍ちゃんに華麗に切り捨てられるという予想された展開になってもう笑いが止まらん。

そもそも安倍ちゃんは強固に身内認定した人以外には酷薄なの今に始まった話じゃないのですから、仲間でもないのに靴舐める方が間抜け。もうこの際ヤケクソで石破と連合組んで石破を推薦して党員投票に持って行ったら勝ち負けはともかく見直すわwww

などと思ってたら別に普通に何の工夫もなく総裁選でるのね。石破と組んで党員投票持って行くのでも多分無理なんですが何の工夫もなく総裁選出てもノーチャンスなんだから何か考えろよボンクラ。

・・・・・と外野で面白がってみている分には面白いネタなんでもう少し波乱になってくれよ(超不謹慎ですねすいませんすいません)。


〇10年入札ェ・・・・・・とか債券市場サーベイとか

・債券市場サーベイが急回復しとる(驚)

https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond2008.pdf
債券市場サーベイ<2020年8月調査>

回答期間:2020年8月3日〜8月7日
調査対象先数:70先

・・・・・・なんか前回まで67先だった筈なのですが、何故か今回70先に増えているのはなぜ??ってまあ回答する人を増やしましたから以外の何物でもないのは分かるんですけど、しばらくの間67先という数字を何となく見慣れていたので冒頭のこの「70」に違和感感じて過去のを見たらやっぱり前回まで67でした。だからどうしたと言われても困るが。

まあ毎度のこれですけど。

『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい。

(現状)
            (3か月前) (今回) (回答社数)
機能度判断DI(現状) -45    -27
1. 高い           0      4     3先
2. さほど高くない     55     64     45先
3. 低い           45     31     22先

(3か月前と比べた変化)
             (3か月前) (今回) (回答社数)
機能度判断DI(変化)  -50   19
1. 改善した          1    20    14先
2. さほど改善していない 48   79    55先
3. 低下した          51   1    1先』

ほうほうそうですかそうですか、ということですがそらもう前回と言えば調査期間が5月の前半とかいう地獄のような時で、「回答期間:2020年5月7日〜5月15日」とかいう文字が前回の結果のページを見に行くと燦然と輝くのだから仕方ない。

まーあの時に比べればリモートにも慣れましたでしょうし、8月頭って7月に強引にGoToキャンペーンぶっこんだりした影響でちゃっかり第2波チックになった時とは言え、まあ5月の時みたいにそもそもそういう体制での業務遂行に関しても、業務継続以上の積極的なドタバタとかやっている場合じゃありませんでしたからねえ。

ということでこれ日銀云々碌すっぽ関係なくてコロナ要因部分の変化だけで説明できそうな感じですけれども、まああと強いていうのでしたらば、国債増発がおっぱじまって輪番もまあ増えるには増えましたが、それなりのプラス金利水準のついている超長期に関しては日銀の買入が増えていない、というビューテホーな要因が5月対比でみた場合加わっているのでありまして、この部分が債券市場機能度に関する参加者の皆様の改善したという認識に影響していますかねえ、というのは気になるところではありますな。そうであるなら結構結構。



・10年入札ェ・・・・・・・・・・・・

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2FY20V
2020年9月1日 / 15:50 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸で引け、10年債入札が弱く長期金利は0.040%

『 <15:33> 国債先物は続伸で引け、10年債入札が弱く長期金利は0.040%

国債先物中心限月9月限は前営業日比11銭高の151円70銭となり、続伸して引けた。前日の米長期金利が低下したことや日本株が弱含んだことで、一日を通して小じっかりで推移した。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp低下の0.040%。10年利付国債入札は、テール(落札価格の平均と最低の開き)が11銭と前回(3銭)から拡大し、弱めの結果となった。』(上記URL先より、以下同様)

10年入札ちゃんですが、ベンダー推計の市場推計足切りがだいたい前場の最終出合い近辺に相当する100円63銭だったのですけれども、ふたを開けてみると100.64/100.53とかいう10年債で11銭だからまあだいたい1毛ちょい流れという華麗な結果になってしまいましたが、まあアベまで流れなかったですし、瞬間先物12銭だか13銭コケてしまいましたが、だからと言ってここを先途と売り込むでもなく、前場から堅調だった10年がカーブ上コケた(多少)程度の話でしたのでうーんこのという感じですわな。

『 TRADEWEB
       OFFER   BID    前日比  時間
2年    -0.122   -0.113    0   15:31
5年    -0.081   -0.073   -0.005  15:31
10年    0.035   0.042   -0.005   15:31
20年    0.413   0.42    -0.003  15:31
30年    0.605   0.613    0.003  15:33
40年    0.626   0.638    0.003  15:31』

まあ何ですな、10年はそんなに明確な投資家層がいるわけではないということなんでしょうけど、そうは言いましてもYCCのターゲットだし日銀の買入シェア大きいしで、ここを先途と売り込むというのもそもそも売り込むほど玉が余っている訳でもないでしょうし、という状況ですが、一方でマイナス金利の深掘りみたいなのが見込めないのに10年をマイナス金利ボンボン買ってくるというのもあれだし、短国方面ちゃんの金利がこれいつぞやのように飛んでもないマイナスにぶっとんでいたりするともうちょっと違うのかも知れませんが、短国ちゃんがアホのように金利が下がる時代じゃ(今の所)なくなっているので、中短期から強引に引っ張られてマイナスに突っ込む変化というのも多少微妙、とかそんな感じですかね、よくわからんけど。

しかし後場寄りからの先物謎上昇で落札結果発表直前に151円80銭までマークしにいったのは何だったんでしょうかねえ・・・・・・・・・・


〇今度はブレイナードが講演をぶっこんでいるので予定を変更して鈴木審議委員金懇はどんどん後回しに

アイヤー!
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-brainard-idJPKBN25S635
2020年9月2日 / 04:46 /
米FRB、新戦略下で「緩和へのシフト重要」=ブレイナード理事

ほうほうそうですかそうですか、じゃあみてやろうじゃんよ。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20200901a.htm
September 01, 2020
Bringing the Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy into Alignment with Longer-Run Changes in the Economy
Governor Lael Brainard
At "How the Fed Will Respond to the COVID-19 Recession in an Era of Low Rates and Low Inflation," an event hosted by the Hutchins Center on Fiscal and Monetary Policy at the Brookings Institution, Washington, D.C. (via webcast)

てえして長くないので全文引用しながら読めるなこれは。

・冒頭部分ですがこの声明文「全員一致」の意味について妄想してみる

『I want to thank David Wessel for hosting this event. It is an honor to be here with Ben Bernanke and Janet Yellen, who pioneered the original Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy in 2012. It is a pleasure to discuss the new statement, unanimously approved by the Federal Open Market Committee (FOMC) last week.1』

今回の紙なんですが、意外にポイントだとアタクシが思うのは「unanimously approved」なことでして、これ即ちどういう事やねんというと、アタクシの解釈なのでまあおじいちゃんの戯言と思って聞いていただければと思うのですが、今回の表現って書き方そのものは「別にコロナ云々の前からそうだった問題意識(物価がアガランチ会長とかその背景とか)を綺麗にまとめた物件」だったりするのよね。

つまりですね、これに沿った政策運営、と言いましてもそんなに何かにギチギチなものが入っている訳でもない(例えば昨日ネタにしたクラリダのいうポイントってメイクアップストラテジーに近い話はしているけれども、何年時点からみたメイクアップをするみたいなことはありません、というように)ので、まあゆうてみれば運営上においてはこの辺りは裁量の余地が大きいので、まあそこまでタカな運営はできないでしょうが、現状維持か追加緩和か、という辺りは裁量の余地があるのよね。と思いましたし、その辺の裁量の余地が無かったら全員一致にならんので、まあロイターのこのヘッドラインが正しければなるほどこう来る可能性もあるわな、と思うがベンダーヘッドラインは注意しないといけないので読んでいきましょう。

『By bringing our longer-run goals and strategy into alignment with key longer-run changes in the economy, the new statement will strengthen our support for the recovery. In my view, the new statement breaks important ground and will serve the country well as we respond to the economic repercussions of the COVID-19 crisis.』

ニューステートメントは「breaks important ground」だそうですが、アベレージターゲットって言ってるけどそもそもインフレーションターゲットって2%に対してリジッドに運営してテイラールールみたいなルールベースでオートパイロットするような政策ではなくて、オーバーザサイクルの中で2%水準をあまり大きく乖離することなく推移するようにしましょう、って話なので、何がどう画期的か良く分からんという気もしますし、フィリップスカーブを叩き殺してしまったというのは画期的ちゃあ画期的ですが、それはまあ経済の構造変化によるものなのですから、別にそれに対応しただけの話で、フォワードルッキングにFEDがフィリップスカーブを否定したんじゃなくて、あくまでも現実が先にあってそれを追認して否定してるんだから、そこまで自画自賛して威張るもんでもないとは思うのですよね。まあやったからには自画自賛したいというのは気持ちとして分かるのですが、自画自賛も調子に乗ると極東の某島国のオモシロフリップ芸を繰り出す中央銀行になってしまいますので要注意。


・変更に至る経済構造の変化という話の部分

次の小見出しが『Key Longer-Run Changes in the Economy』であるが、まあ耳にタコができるほど聞かされている話だと思う(違うのが出てきたら詳細に確認)のでサラサラと。

『Three related features of the economy's new normal called for the reassessment of the Committee's longer-run goals and strategy.2』

ということで何が変わったか。

『First, the equilibrium interest rate has fallen to low levels, which implies a large decline in how much we can cut interest rates to support the economy. 3 That was abundantly clear in March, when we were able to cut the policy rate by only 1-1/2 percentage points before hitting the effective lower bound-in contrast to previous decades when the policy rate would have been cut by 4-1/2 to 5 percentage points, on average, to buffer the economy from an adverse shock. The reduced scope to cut the interest rate could increase the frequency and duration of periods when the policy rate is pinned close to zero, unemployment is elevated, and inflation is below target. In turn, the greater likelihood of extended periods of low inflation at the lower bound risks eroding inflation expectations and further compressing the scope for cutting the interest rate. The risk here is a downward spiral where the scope for cutting the interest rate gets compressed even further, the lower bound binds even more frequently, and it becomes increasingly difficult to move inflation expectations and inflation back up to target. The experience of some foreign central banks illustrates the challenges associated with such a downward spiral.』

最後に大きなお世話なことまで書かれていますが、中立金利が低下したので金利制約上ゼロ金利制約に引っ掛かりやすくなって、結果物価がアガランチ会長状態が長くなるリスクが高まっているので、この状況が継続してインフレ期待が下がりだすと更に物価が上がりにくくなって、物価が上がらん均衡に陥る(ブラードの複数均衡論ナツカシヤ)よどこぞの国の中央銀行はそれであばばばばーになっているよね、ということ。

『Second, underlying trend inflation appears to be somewhat below the Committee's 2 percent objective, according to various statistical filters.4 The near decade of inflation persistently short of 2 percent creates the risk that households and businesses come to expect inflation to run persistently below target and change their behavior in a way that fulfills that expectation, which greatly complicates the task of monetary policy.』

この理屈はあんまり出てなかったかなと思います。「基調的なトレンドインフレ率が2%を幾分か下回って推移しているということが幾つかの推計で明らかになっている」というご認識を示しまして、これはインフレ期待を引き下げてさっきと同様のアカンタレを呼ぶ、とかゆうとるのだがそもそも基調的なトレンドインフレがそれなのって経済の実力なんだから短期的に上げようとするのはダメなんじゃないの?という気がする。

『While inflation expectations are difficult to measure with precision, some market-based and survey-based indicators show signs of a downward drift. Ensuring that longer-term inflation expectations are well-anchored at 2 percent is critical to achieving target inflation.』

まあそんな認識なのでインフレ期待の2%アンカーを強化したいらしい。

『Finally, the sensitivity of price inflation to labor market tightness is very low relative to earlier decades, which is what economists mean when they say that the Phillips curve is flat.5 A flat Phillips curve has the important advantage of allowing employment to continue expanding for longer without generating inflationary pressures, thereby providing job opportunities to people that might not otherwise have them. It also means that it is harder to achieve our 2 percent inflation objective on a sustained basis when inflation expectations have drifted below 2 percent.』

フィリップスカーブがアカンタレになったという話。「労働市場のタイト化が物価上昇に結び付かない」とか「フィリップスカーブがフラット化している」とかいうとほうほうなるほどそうですかそうですか、と思うだけなのですが、これを口語訳しますと「人手不足になろうとも資本家の連中は労働者に分配を増やそうとしない、ムキーッ」という事で急に社会の矛盾に目覚めてしまう人になるような気がしますが考えなかったことにしておく。



・案の定だが説明はハト派バイアスがある

でもって変更ポイントの所。『Key Changes in the Statement on Longer-Run Goals and Strategy』だが割と長い。

『The new statement on goals and strategy responds to these features of the new normal in a compelling and pragmatic way by making four important changes. First, the statement defines the statutory maximum level of employment as a broad-based and inclusive goal and eliminates the reference to a numerical estimate of the longer-run normal unemployment rate.6 The longstanding presumption that accommodation should be reduced preemptively when the unemployment rate nears the neutral rate in anticipation of high inflation that is unlikely to materialize risks an unwarranted loss of opportunity for many Americans.』

ここが多分記事の中身の方に出てた部分だと思うのですが、「従来は失業率の水準ベースで完全雇用が近づくとインフレ警戒モードに入っていたが、今回は労働市場のタイト化が物価上昇に直結しないという状況変化を踏まえて変更しました」という話なのだが、まあそもそも「バランスアプローチ」だのなんだの言って利上げがあのペースだった時点で何も画期的な話ではなくて、これまでやっていたことを言語化した、ということだと思うの。

まあとは言いましても、表看板に書いてあることを微妙に増築しながらフィットさせていたものを、今回看板書き換えになったので、当局者やアカデミア的にはやたらと「画期的」という話をしたがるんだと思うの。

でもね、ワシら現世利益組としては、この人たちの「画期的」とかいうフレーズにあんまりホイホイ乗らない方が良いと思う次第(なおアタクシには願望込みの若干タカ派よりバイアスがあるのはご存知だと思いますがそこは割り引いて読んで著、ああそれから予想の方は「いやとりあえずあと1年くらいはコロナの画期的何とかでも出て来ない限りちょっと利上げ処の話じゃねえだろ」ですよ為念)でして、追認であっても大看板の書き換えだから画期的といっているだけで、中身自体は画期的もへったくれもなくてただの今の路線を継続している訳で、これが出たからといって急に時間軸が伸びたとか追加金融緩和が近くなったという話には全然なっていない筈でして、アカデミアや当局自画自賛にあんまり引きずられない方が良いと思うのよね現世利益組は(個人の思いっきり感想です)。

さてこの話、更に長々と続く。

『The decision to allow the labor market to continue healing after the unemployment rate effectively reached the 5 percent median Summary of Economic Projections (SEP) estimate of the normal unemployment rate in the fourth quarter of 2015 supported a further decrease of 3-1/2 percentage points in the Black unemployment rate and of 2-1/4 percentage points in the Hispanic unemployment rate, as well as an increase of nearly 3 percentage points in the labor force participation rate of prime-age women. It also created conditions for the entry of a further 3-1/2 million prime-age Americans into the labor force, a movement of nearly 1 million people out of long-term unemployment, and opportunities for 2 million involuntary part-time workers to secure full-time jobs.7 Beyond that, had the changes to monetary policy goals and strategy we made in the new statement been in place several years ago, it is likely that accommodation would have been withdrawn later, and the gains would have been greater.』

しまいにはブレイナードおばさん、まいど雇用で苦労している社会的マイノリティの雇用指標も改善しましたって話まで持ち出しておりまして、雇用重視を思いっきり見せるのは政治アピール上もオイチイのは分かるんだが、雇用重視をあまり言いすぎると「物価重視からの転換」みたいな言われ方をされてインフレ期待の方に悪影響が飛ぶリスクあるからそこはもっとサラッと「労働市場の多少の過熱がインフレにつながらない」で済ませた方が無難だと思うんだけどなあ。

『Instead of an aggregate "normal" unemployment rate, the Committee's commitment to defining the maximum level of employment as a broad-based and inclusive goal, together with our continued commitment to consider a wide range of indicators, may be particularly significant for the groups that are most vulnerable to employment fluctuations.8 Both research and experience suggest the groups that face the greatest structural challenges in the labor market are likely to be the first to experience layoffs during downturns and the last to experience employment gains during recoveries. Research by the Federal Reserve Board staff finds that unemployment rates, as well as patterns of job loss and labor force entry and exit, are more cyclically sensitive for Blacks and Hispanics than for whites, and observable worker characteristics can explain very little of these differentials.9 A similar observation was one of the key takeaways from the Fed Listens sessions we held around the country.10 Juan Salgado, chancellor of the City Colleges of Chicago, described how last year's tight labor market was finally giving his students, who are largely Black and Latinx, the opportunity to apprentice with local businesses in jobs that historically have not been open to them.11 Moreover, earnings from wages are particularly important for these groups, who have large and persistent wealth gaps and derive a smaller share of their income from financial asset holdings or from business ownership.12』

このあたりでは延々と米国のマイノリティの雇用情勢がどうで最近はこう改善したけどやっぱりコロナショックで先に直撃弾が来て、みたいな話を延々としておりまして、直接的に金融政策のインプリケーションは無いのですが、なんかちょっとさっきと同じ感想ですが、いや確かにパウエルの代になってからこういうの割と強調するようになったとはいえ、そもそも人種間とか男女間とか地域間とかの雇用格差の改善とか金融政策で直接はできない(完全雇用状態を続けると猫の手も借りたいから改善する、どいう間接ルートだしそれは景気がサイクルしたら元の木阿弥)ことについて、こんなに勢いよく政治的な宣伝をしてしまうと、後々自分らの首を絞めかねないので、大概にした方が良いと思う(って極東の片隅の更に片隅の片隅みたいな所で日本語で言ってても聞こえないんですけどね)。

『Second, to address the downward bias to inflation associated with the proximity to the effective lower bound, the statement adopts a flexible inflation averaging strategy that seeks to achieve inflation that averages 2 percent over time in order to ensure longer-term inflation expectations are well anchored at 2 percent. Flexible average inflation targeting (FAIT) is a consequential change in strategy.』

まーた変な略語が出てきていますが、フレキシブルアベレージターゲットのチェンジはconsequential changeだから結果的にこうなりました、と現状追認と言ってると思われるのでこれは評価したい。

『By committing to seek inflation that averages 2 percent over time, FAIT means that appropriate monetary policy would likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for a time to compensate for a period, such as the present, when it has been persistently below 2 percent.13』

ここで笑っちまうのはブレイナードは2%超の期間に関してfor a time to compensate for a periodとプライスレベルターゲットもどきの事をいっている点で、いやあのステートメントはfor some timeなんですけど、ということでとりあえずブレイナードが大統領選挙でも睨んでいるのか何か勝手に踏み出した説明しているのはワロタ。

『Consistent with this, I would expect the Committee to accommodate rather than offset inflationary pressures moderately above 2 percent, in a process of opportunistic reflation.』

よってこういう風に声明文では単に「一時的に」って言ってるし、クラリダ講演とかのようにインフレが過度に進むようだったらそらもう緩和見直すで、とか言っているのとはやや違う言い方をしておりまして、まあ全員一致だっただけにこの紙に関してはやはり同床異夢の部分はあるだろうなあと思ったら案の定である、という感じですね。よって・・・・・・・・・

『Flexible average inflation targeting is a pragmatic way to implement a makeup strategy, which is essential to arrest any downward drift in inflation expectations.14』

それきたメイクアップストラテジー(パウエルとクラリダはこの言葉は使っていない)。

『While a formal average inflation target (AIT) rule is appealing in theory, there are likely to be communications and implementation challenges in practice related to time-consistency and the mechanical nature of such rules. Analysis suggests it could take many years with a formal AIT rule to return the price level to target following a lower-bound episode, and a mechanical AIT rule is likely to become increasingly difficult to explain and implement as conditions change over time.15』

『In contrast, FAIT is better suited for the highly uncertain and dynamic context in which policymaking takes place.』

フォーマルアベレージターゲットなどという話まで飛び出しております。フォーマルの方はどう見てもそれは基準年スタートのプライスレベルターゲットです本当にありがとうございましたという所ですが、今回の表現はアベレージとかいってるけど言い方がフワッとしているから、ハト寄りの人はこういう説明するだろうなあ、とは思ったがこんなに直後に出て来るとは早いわブレイナードwww

『In my mind, the commitment to undertake a review of the new strategy and goals in roughly five years is a necessary complement to the flexibility embedded in the new inflation averaging strategy. Since the Committee is adopting a new approach, it is prudent and pragmatic to review it after gaining some practical experience with it over five years. As such, the five-year review will provide a vital checkpoint to see how well flexible average inflation targeting is working and, in my thinking, provide some insights into an appropriate makeup period.』

『Depending on conditions at the time of the review, the Committee will have the opportunity to tweak FAIT or to make a more fundamental change, if deemed necessary.』

うーんこの、毎年見直しあんど枠組みを5年ごとに大きな見直しの話に関しての話なんだが、この間にアベレージターゲットのレビューを、という言い方をすると本人の意識がどの辺にあるのか分からんけど、5年単位のアベレージターゲット、みたいな解釈されんかこれは?と思った。

『Third, the statement highlights an important change in the Committee's reaction function. Whereas previously it sought to mitigate deviations of employment and inflation from their targets in either direction, the Committee will now seek "to mitigate shortfalls of employment from the Committee's assessment of its maximum level and deviations of inflation from its longer-run goal."』

雇用の所のdeviations文言をshortfallsに変えた件が重要なチェンジと。

『This change implies that the Committee effectively will set monetary policy to minimize the welfare costs of shortfalls of employment from its maximum and not preemptively withdraw support based on a historically steeper Phillips curve that is not currently in evidence and inflation that is correspondingly much less likely to materialize.16』

これえソーシャルウェルフェアもばっちりだぜ、とか大口叩くのは程々にしましょう。フィリップスカーブの逆襲が起きたらその限りではないって自分でも言ってるじゃん運が悪い(インタゲ達成的には良いともいえるが)と自分の首を締めまっせ。

『Consistent with this, the statement drops language about a "balanced approach" that might be interpreted as calling for the preemptive withdrawal of accommodation and replaces it with a more accurate description of how we pursue our dual-mandate goals in parallel.』

まあこの変更によってプレマチュアーな緩和縮小はしませんよって話をしたいそうな。

『Fourth and finally, the statement codifies the key lesson from the Global Financial Crisis-that financial stability is necessary for the achievement of our statutory goals of maximum employment and price stability.』

おまいら全然金融不均衡気にしてない政策ばっかやってるじゃんとここは見た瞬間ジャスミン茶吹きそうになった。

『The same changes in the macroeconomic environment that prompted our monetary policy review have important implications for financial stability. Historically, when the Phillips curve was steeper, inflation tended to rise as the economy heated up. The rise in inflation would prompt the Federal Reserve to raise interest rates to restrictive levels, which would have the effect of tightening financial conditions more broadly. In contrast, the past few cycles did not see this kind of behavior, and in each case, financial imbalances, rather than goods and services inflation, were notably elevated at the onset of the downturn.』

最近の経済の落ち込みは(今回のコロナを除けば)毎度のように金融不均衡の崩壊によるものなので、目配りをしないといけませんね!!!だそうなのだが、そう言いながら何度も金融不均衡を崩壊させているだけに何の説得力もない。

『With a flat Phillips curve and low inflation, the Committee would have to sustain the federal funds rate below the neutral rate for much longer in order to push inflation back to target sustainably. The resulting expectation of lower-for-longer interest rates, along with sustained high rates of resource utilization, is conducive to increasing risk appetite, reach-for-yield behavior, and incentives for leverage-which can boost financial imbalances as an expansion extends. In this way, the combination of a low neutral rate, a flat Phillips curve, and low underlying inflation can lead to more cyclical volatility in asset prices. With financial stability risks more tightly linked to the business cycle, it is vital to use macroprudential as well as standard prudential tools as the first line of defense in order to allow monetary policy to remain focused on achieving maximum employment and 2 percent average inflation.17』

フィリップス曲線がフラットでインフレが低いと金融政策がローワーフォロンガーになるから金融不均衡が起きやすいですので注意します、ってのを何か物凄く長々と言ってるんですが、ハト派バイアス入った人がこれを言っても何の説得力もないというか、そもそも実践する気が無いのは明らかなのでこの辺りの説明は全部寝言だとおもっておけば吉、




んな訳で最後にまとめっぽい小見出し『Supporting the Recovery』がちょっとだけある。

『The Committee's new statement on goals and strategy will put us in a stronger position to support a full and timely recovery in employment and average inflation of 2 percent. Overall financial conditions are supportive. Encouragingly, the housing sector has rebounded strongly from its initial decline, supported by historically low mortgage rates, and consumer spending on goods has held up well, in part reflecting earlier fiscal support.18 At the same time, however, the strong pace of improvement in employment in May and June, which was importantly driven by recall hiring out of temporary layoffs, appears to have slowed.19 And on the inflation front, despite some bounceback in July, inflation remains weaker than pre-crisis, and it is likely to take some time to return closer to target.20』

最近の状況の話なのでまあどうでも良い。

『Looking ahead, the economy continues to face considerable uncertainty associated with the vagaries of the COVID-19 pandemic, and risks are tilted to the downside. The longer COVID-19-related uncertainty persists, the greater the risk of shuttered businesses and permanent layoffs in some sectors. While the virus remains the most important factor, the magnitude and timing of further fiscal support is a key factor for the outlook. As was true in the first phase of the crisis, fiscal support will remain essential to sustaining many families and businesses.』

コロナちゃんが続くうちはしんどいしこの間に財政サポート物凄く大事。

『With the recovery likely to face COVID-19-related headwinds for some time, in coming months, it will be important for monetary policy to pivot from stabilization to accommodation. As we move to the next phase of monetary policy, we will be guided by the Committee's new goals and strategy statement. It will be important to provide the requisite accommodation to achieve maximum employment and average inflation of 2 percent over time, following persistent underperformance.』

これが最初のロイターのヘッドラインになっていた部分。しかし市場安定化のフェーズが終わったらそののちに必要な追加緩和をするってのなんだそりゃという謎理屈で、これは別に今すぐするとかいう話じゃなくて、コロナ片付いてもそう簡単に経済物価がホイホイ上がる訳じゃないから緩和継続だし必要な時には追加する、って意味でいっているようにも見えるが、字面をみているとノンネイティブのアタクシにはちょっと細かいニュアンスが分からんがなという
曖昧表現に見える。

『While the Committee did not anticipate the unprecedented challenge of the COVID-19 pandemic when the review was launched, the new statement puts us in a stronger position to support a full and timely recovery.21』

ということでした。まあハト派はハト派だと思いますし、ステートメントの表現を若干踏み越えたハトになっているので、これを全部真に受けるかどうかというのは多少割り引く必要があると思われます(個人の感想です)。


2020/09/01

お題「本日は予定を変更してジャクソンホール関連ネタ帳とクラリダ副議長のロンガーランゴール説明講演をお送りします」

さてこれは???????
https://this.kiji.is/673136119740171361?c=39550187727945729
首相、在任中に敵基地攻撃方向性
与党幹部へ伝達、9月前半NSC
2020/8/31 21:02 (JST)8/31 21:13 (JST)updated
コピーライト一般社団法人共同通信社

ここで金曜日の安倍ちゃんの発言を確認しておきましょう。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63201200Y0A820C2MM8000
安倍首相、辞任を正式表明 持病再発「政治判断誤れず」
2020年8月28日 21:16 [有料会員限定記事]

『安倍晋三首相(自民党総裁)は28日夕、首相官邸で記者会見し、辞任する意向を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が8月上旬に再発し「体力が万全でない中、政治判断を誤ることがあってはならない」と説明した。』(上記URL先より)

なるほどなるほどそうですかそうですか。


〇前のネタを成敗しないうちに次のネタとか色々とありまして(涙目)

何ちゅうかですね、最近3中銀示し合わせているのかと言いたくなるくらいに同時にネタをぶっこんで来るもんだから、ネタがある時は処理がおいつかず、無い時はマジでネタが無い、というような感じになっておりまして、そらまあジャクソンホールとかシントラのECBセミナーみたいなのは仕方ないんですけど、逆に海外のインベントに金懇とかぶつけんで欲しいんですけどマジで日程考えてくれませんかねえ。

なお、かつては佐藤審議委員と木内審議委員の金懇会見が必ずと言って良いほど欧米の金融政策イベントにぶつける形で打ち込まれている、という事案もありまして、まあ鈴木審議委員も賛成票は投じているけど野党チックだから日銀事務方のイヤガラセでジャクソンホールにぶつけて金懇入れられているのかもしれませんね、などと勝手に妄想に立脚した陰謀論を唱えておりますけれども、そういうのを日銀に問い合わせても「それは偶然ですよ貴殿は何か勘違いされておられるようですなwww」という回答しか返ってこない(別の回答が帰ってきたらむしろビビる)ので念のため申し添えます。

てな訳で今日は鈴木審議委員金懇の続きと思いましたが大ネタが幾つかあるので一本はやるけどあとはリストアップだけしますのでお暇な方(月末月初で暇な訳ないですかそうですか)はご参照ありたく。


・クラリダ副議長がジャクソンホールネタのフォローアップキタコレ!!!

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/clarida20200831a.htm
August 31, 2020
The Federal Reserve’s New Monetary Policy Framework: A Robust Evolution
Vice Chair Richard H. Clarida
At the Peterson Institute for International Economics, Washington, D.C. (via webcast)

あとでやっつけインスタント読みする。


・ジャクソンホールの講演物件が出そろいまして

https://www.kansascityfed.org/publications/research/escp/symposiums/escp-2020
Implications for Monetary Policy

The Federal Reserve Bank of Kansas City hosts central bankers, policymakers, academics and economists from around the world at its annual economic policy symposium, Aug. 27-28, 2020.

ジャクソンホールネタは意外に今年も面白いし他の中銀要人の講演もオモロイのですが、我らが日銀ちゃんのお話は無いんですねそらまあそうだ中曾さんいなくなったら話しできる人が政策委員以上におらんがな、ということでとりあえず斜め読みだけしてオモロそうなのはやはりECBとBOEでした。


・ECBのレーン理事の講演はまさかのプライスレベルターゲットチックなお話有り

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2020/html/ecb.sp200827~1957819fff.en.html
The pandemic emergency: the three challenges for the ECB

Speech by Philip R. Lane, Member of the Executive Board of the ECB, at the Jackson Hole Economic
Policy Symposium, Federal Reserve Bank of Kansas City “Navigating the Decade Ahead: Implications for Monetary Policy”
27 August 2020

こちらはちょっと下の方にある『Chart 6 The future inflation path』というのを見ると悪い予感しかしないように、レーン大先生、「パンでみっくでインフレが下がって発射台が下がったのだからより強力な金融緩和で物価パスを一時的に引き上げて元の発射台からのパスに戻す必要がある」といういわゆるプライスレベルターゲット的な話をしれっとしていまして、これを真に受けると追加緩和あるでという話になる(ただしパンデミック対応後なのか、それともパンデミックが終わった時に強力なパンデミック対策スキームを継続するのか、とかその辺りの細かい話は一切していないので近いうちの具体的な政策アクションに繋がるのかは読み取りにくい)のですよ。

いやまあプライスレベルターゲットってかつてもドナルド・コーン(昔の)FRB副議長に「理屈としては分かるが現実問題としてそんなの実務上使い物にならん」と一刀両断された(ブランシャールがやたら提唱するので講演ぶっこんできた記憶が)りしていましたが、そもそも論としてレーンさんのこの理屈だって、元々物価がホイホイと上昇するような環境ならともかく、現実問題としてコロナが無くても2%目標に中々届かんとか言ってたのに、コロナショック後に何でそのパス(チャート6を見てちょ)に金融政策で乗せられるのか、というそもそも論の所で現実的じゃねえだろという話をしているのですよ、まあオモロイから後日ネタにします。


・BOEのベイリー総裁の講演では資産買入は出来るときにちゃっちゃと縮小するのが大事という指摘キタコレ

https://www.bankofengland.co.uk/speech/2020/andrew-bailey-federal-reserve-bank-of-kansas-citys-economic-policy-symposium-2020
The central bank balance sheet as a policy tool: past, present and future - speech by Andrew Bailey
Given at the Jackson Hole Economic Policy Symposium


スピーチ本チャンはこちら(URLが異常にクッソ長いのでハイパーリンクは最初の所だけで飛ぶようにしました)
https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/speech/2020/the-central-bank-balance-sheet-as-a-policy-tool-past-present-and-future-speech-by-andrew-bailey.pdf
The central bank balance sheet as a policy tool: past, present and future
Speech given by Andrew Bailey
Governor of the Bank of England
Jackson Hole Economic Policy Symposium
28 August 2020

こちらさっきのHTMLページのサマリーの最後のほうにしらっと、

『To ensure there is scope to respond appropriately when needed in the decade ahead, this may suggest that central bank balance sheets might have a more counter-cyclical role and function than the evidence of the last decade alone would suggest.』

というお洒落なものが入っていまして、今の経済物価状況で強力な金融緩和が必要でマイナス金利導入もツールボックスに入っていますよ、という威勢の良い(というか悪いというか^^)説明をしているのですが、ざっくり斜め読みした感じだと「中央銀行のバランスシート政策は危機対応において重要な役割を示すのだから、次の危機対応の時にも「即座に、大規模に」バランスシート政策を実施できるようにしておかないといけない、よって中央銀行のバランスシートは縮小できるタイミングで積極的に縮小して危機対応が出来るようにしておかないといけない」というような感じ(だと思ったんだが間違ってたらすいません、これも後日ネタにします)の話がしらっと入っていまして、そら御尤もだと思いつつ、とりあえずとある極東の島国の中央銀行の皆様におかれましてはベイリー総裁の爪の垢を百回煎じて飲まれた方がよいのではないか、と斜め読みした瞬間に思いましたが気のせいだったらゴメンチャイ。


あと、ロゴフとかウッドフォードとか毎度の学者がいまして、中銀だとカナダ中銀のTiff Macklem(何て読むんだ)総裁が講演していますが、カナダ中銀総裁の講演はあんまり「Navigating the Decade Ahead」って感じの話ではなさそうな気がしましたが超斜め読みしかしていないので読み抜けがあったらまたネタにします。


・セントルイス連銀ブラード総裁がしらっとアセットバブルを警戒の巻

https://www.stlouisfed.org/from-the-president/video-appearances/2020/bullard-average-inflation-targeting-economic-growth-cnbc
Bullard Talks about Average Inflation Targeting and Economic Growth with CNBC
Latest from President Bullard

もと物件はCNBCのインタビュー映像なのでCNBCだけに文字起こしがどこかにあるかもしれない(まだそこまで探していない、音声はこれから聴く所存)のですが、まとめの方では、

『Regarding the FOMC’s recent change to a flexible form of average inflation targeting, Bullard said the idea is to cement inflation expectations by hitting 2% inflation on average over time. In addition, he discussed his outlook for current and future economic growth; the monetary policy response to the COVID-19 pandemic; small businesses’ ability to adapt to changes brought on by COVID-19; and the need to be aware of potential asset bubbles.』

ということで、アベレージターゲットはインフレ期待2%を強固にするためという話をしていまして、金融政策に関しては中小企業への対応強化みたいな話しっぽいのをしているようなのですが(聴いてないので確認します)、最後にしらっと「the need to be aware of potential asset bubbles」とかいうのがある訳ですよ。

まあブラードの場合は恐らくこのアベレージターゲットでインフレ期待が2%でセメントされると信じているから、2%行くとなったら今度は金融不均衡の注意もしないといけませんね的な方向になる、というのもあるような気がするのですが、まあこの辺も含めて何の話をしているんだかというのは見ようかねとは思いまする。


〇さてクラリダ講演をインスタント読み

URL再掲します。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/clarida20200831a.htm
August 31, 2020
The Federal Reserve’s New Monetary Policy Framework: A Robust Evolution
Vice Chair Richard H. Clarida
At the Peterson Institute for International Economics, Washington, D.C. (via webcast)

・最初のマクラを読むとどうも後半だけ読んでおけば良さそうな気がする

では冒頭から。

『Last week, the Federal Reserve reached an important milestone in its ongoing review of its monetary policy strategy, tools, and communication practices with the unanimous approval and release of a new Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy.1 In my remarks today, I will discuss our new framework and highlight some important policy implications that flow from the revised statement and our new strategy.2 』

ご説明キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

『I believe that this new statement and strategy represent a critical and robust evolution of our framework that will best equip the Federal Reserve to achieve our dual-mandate objectives on a sustained basis in the world in which we conduct policy today and for the foreseeable future.』

ホンマカイナと思いますが何せパウエルの話によればすべてのパーティシパントが賛成しているようですから。でもってFOMCですが、

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
August27 (notation vote)
Longer-Run Goals and Policy Strategy

ってことで、27日に持ち回り会議で決定した、ってんですから前回の時点でほぼほぼ決まってたのねというお話なのでした。

『I will divide my remarks into four parts. First, I will discuss the factors that motivated the Federal Reserve in November 2018 to announce it would undertake in 2019 the first-ever public review of its monetary policy strategy, tools, and communication practices. Second, I will discuss the review process itself, with particular focus on the economic analysis and public input the Federal Open Market Committee (FOMC) drew on as it contemplated, over the past 18 months, potential changes to its policy framework.』

2番目まではこれまでに至るプロセスの話なのでご案内の通りという感じではあるので一旦飛ばしておく。ネタがあったら読みなおす。

『Third, I will briefly summarize the flexible inflation-targeting strategy that has been guiding U.S. monetary policy since 2012 in the context of some important changes in the economic landscape that have become evident since 2012. Fourth, I will discuss the major findings of the review as codified in our new Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy and highlight some important policy implications that flow from them.』

『Finally, I will offer some brief concluding remarks before joining in conversation with my good friend Adam Posen, which, as always, I very much look forward to.』

ポーゼンは日本の政策に関して結構他人事感満載の無責任な発言をしていたような記憶があってどうもアレなのですが、というのは蛇足ですが結局3番目以降を読めば良さそうですな。


・今回の重要な変更点のポイントとその背景説明のようだがこれはパウエル講演と同じ趣旨の話をしているようです

ザックリ飛ばして『A New Economic Landscape Compels a Framework ReThink』の小見出しから参る。なお寝起き読みかつ時間があんまりないからインスタントで飛ばしてしまうかも。

『As I mentioned earlier, the Committee devoted five consecutive FOMC meetings between July 2019 and January 2020 to presentations by the staff and Committee discussions of memos touching on various aspects of the framework review, and it held a lengthy discussion at the July 2020 FOMC meeting about the new Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy.19 While it is fair to say that these Committee discussions revealed among the 17 participants a healthy range of views about and priorities for refining our framework and strategy, some common themes did emerge, and these provided the foundation for the revised Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy that the Committee discussed in July, approved last week, and released on Thursday, August 27.』

最終的には先週決定しましたよ17人の参加者には考え方のレンジとかありましたけど最終的にはまとまりましたよ。だそうな。

『Broadly, we agreed that the economic landscape has changed in important ways since 2012 and that, as a result, the existing statement and the monetary policy strategy that flows from it need as well to evolve along several dimensions.20 For example, under our previous flexible inflation-targeting framework, the Federal Reserve declared that the 2 percent inflation objective is "symmetric." This term has been interpreted by many observers to mean that the Committee's reaction function aimed to be symmetric on either side of the 2 percent inflation goal, and that the FOMC set policy with the (ex ante) aim that the 2 percent goal should represent an inflation ceiling in economic expansions following economic downturns in which inflation falls below target.』

この辺はこれまでのフレキシブルターゲット→シンメトリックの強調の話。

『Regarding the ELB, the previous statement was silent on the global decline in neutral policy rates, the likelihood that the ELB will constrain monetary policy space in economic downturns, and the implications of this constraint for our ability to achieve our dual-mandate goals. As for inflation expectations, the previous statement did discuss expected inflation, but only in the context of mentioning that the announcement of a 2 percent goal helps anchor inflation expectations. While this is certainly true, it does beg the deeper question of how well anchored inflation expectations can be if the 2 percent goal is seen by the public as-and turns out ex post to be-a ceiling.』

『Regarding the maximum-employment leg of the dual mandate, the previous statement's discussion of minimizing "deviations" of employment from its maximum level does not adequately reflect how the FOMC has actually conducted monetary policy in recent years-before the pandemic-as the actual unemployment rate was declining and, for several years, remained below SEP median projections of u* (although, to be sure, the earlier statement did acknowledge that it can be difficult to estimate the maximum level of employment with precision).21』

えーっとですな、シンメトリックでも2%がシーリングとか思われる部分があったりしますし、そもそも自然利子率の下がる中においてゼロ金利制約に陥りやすい環境の中で物価がアガランチ会長ということなので、今のシンメトリックだけだとインフレ期待のアンカーにもうちょっとパワー欲しいねとかそんな話が前段(かなり雑に読んでる)で、後段は最大雇用に対するdeviationsという文言の件(今回ショートフォールに切り替えました、ああそれから金曜日は物価の所もショートフォールとか言いましたがあれはアタクシの読み間違えで物価は乖離のままでしたサーセン後で過去ログはログ付きで直します)の話ですな。まあ実績値として雇用が強いのに物価が上がらんというのを見ると雇用がオーバーシュートを多少してもキニシナイというのが正しいんでしょという話になったとかそういう事でしょうかね、まあそう考えるとこの辺もパウエル講演と変わらんな。では次の小見出しに行く。


・クラリダさんの説明コーナーです

『The New Statement and Strategy』に参ります。

『Before discussing how our Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy has evolved, let me highlight some important elements that remain unchanged.』

変わらなかった重要な点、というのもパウエル講演でやっていたので多分同じな気がする、というかここまで読んで新しい説明が無くておいこらと内心焦りだしたが残り時間が時すでにお寿司状態なのでこのまま進行するだわさ。

『First and foremost, our policy framework and strategy remain focused exclusively on meeting the dual mandate assigned to us by the Congress. Second, our statement continues to note that the maximum level of employment that we are mandated to achieve is not directly measurable and changes over time for reasons unrelated to monetary policy. Hence, we continue not to specify a numerical goal for our employment objective as we do for inflation. Third, we continue to state that an inflation rate of 2 percent over the longer run is most consistent with our mandate to promote both maximum employment and price stability. Finally, because the effect of monetary policy on the economy operates with a lag, our strategy remains forward looking. As a result, our policy actions depend on the economic outlook as well as the risks to the outlook, and we continue in the new statement to highlight potential risks to the financial system that could impede the attainment of our dual-mandate goals on a sustained basis.』

うーんこの。一々文言比較とかしている暇がないけどこれだとパウエルと同じだな。そらまあ変わってないところの解説だから当たり前だのクラッカーではあるが。

『With respect to the new framework itself, the statement now notes that the neutral level of the federal funds rate has declined relative to its historical average and therefore that the policy rate is more likely than in the past to be constrained by its ELB, and, moreover, that this binding ELB constraint is likely to impart downside risks to inflation and employment that the Committee needs to consider in implementing its monetary policy strategy.』

まあこの辺からちょっと読んだ気もするけど読んでない気もする(普段からこの話はあるから)方面になりそうでほっとしていますが、要は自然利子率が低下しているので中立金利も低下して、よって金融政策における金利操作がゼロ金利制約に直面しやすくなる、という2012年以降今に至るまでの状況変化を通じて得たインプリケーションに整合するように中長期的な金融政策枠組みの見直しをしましたよ、というお話。

『In this regard, the statement now highlights that the Committee is prepared to use its full range of tools to achieve its dual-mandate objectives.22』

ということなのでデュアルマンデート達成のためには「its full range of tools」を使うことを明記した、というのは「必要ならば非伝統的政策も実施しますよ」というお話をしている訳ね。

『Regarding the maximum-employment mandate, the new statement now acknowledges that maximum employment is a "broad-based and inclusive goal" and continues to state that the FOMC considers a wide range of indicators to assess the level of maximum employment consistent with this broad-based goal.』

これまたパウエルも強調しているところ、前からもちろんそういう話はありましたが、最大雇用に関して単純に失業率だけで示すんじゃなくて「幅広く色々な要素をコミコミで」(と訳せば良いのか???)考えましょうという話。

『However, under our new framework, policy decisions going forward will be based on the FOMC's estimates of "shortfalls of employment from its maximum level"-not "deviations."23 This change conveys our judgment that a low unemployment rate by itself, in the absence of evidence that price inflation is running or is likely to run persistently above mandate-consistent levels or pressing financial stability concerns, will not, under our new framework, be a sufficient trigger for policy action.24』

ここはちょっと詳しく説明していますね。物凄く単純に言えば低失業率が長期間継続しているからと言って、それを理由に金融引き締めのアクションにはなり得ないですよ、という説明ですが、その中にはちゃんと「in the absence of」以下の所に、インフレが高進するリスクとか、金融不均衡の発生リスクとか、そっちがある場合は別よん、というのは入れているのでまあ穏健ちゃあ穏健。

『This is a robust evolution in the Federal Reserve's policy framework and, to me, reflects the reality that econometric models of maximum employment, while essential inputs to monetary policy, can be and have been wrong, and, moreover, that a decision to tighten monetary policy based solely on a model without any other evidence of excessive cost-push pressure that puts the price-stability mandate at risk is difficult to justify, given the significant cost to the economy if the model turns out to be wrong and given the ability of monetary policy to respond if the model were eventually to turn out to be right.25』

途中で段落分けしようと思ったら一文でやんの。この点は「robust evolution」ということなのですが、まあそもそも既に「フィリップスカーブが効いていない」とかいう話が人口に膾炙している状態なので、そういう意味では別にこれをぶっこむ前から「雇用が強すぎるので正常化が必要」という話は無かった(タカ派もあくまでもインフレ見通しか金融不均衡で推していた)ので、まあそんなに自画自賛する事かいな、とは思いますが、フィリップスカーブがどうしたこうした的な話をスルーするってのを正式表明したようなもんだから、それはそれで重大な変更という事になるんですかね、現世利益的には現状そんなに変わらんし、この書き方ってフィリップスカーブの逆襲が始まったら普通に昔のような政策運営できる形になっていますからねえ。

『With regard to the price-stability mandate, while the new statement maintains our definition that the longer-run goal for inflation is 2 percent, it elevates the importance-and the challenge-of keeping inflation expectations "well anchored at 2 percent" (and not just "well anchored") in a world of low r* and an ELB constraint that is binding in downturns.26』

さっきのブラードの所でもちょろっと出ていましたが、インフレ期待を2%に強固にアンカーさせるにはどうしたらよいでしょうか、という観点で物価の所について検討しましたって事ですな。

『To this end, the new statement conveys the Committee's judgment that, in order to anchor expectations at 2 percent, it "seeks to achieve inflation that averages 2 percent over time," and-in the same sentence-that therefore "following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, appropriate monetary policy will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time." 』

てな訳でアベレージターゲットとほんわかとしたメイクアップストラテジーもどきの「ちょっと2%を割っていた時期が長いんだから多少2%を超えてもいいじゃないかにんげんだもの」文言(”にんげんだもの”は無いです)のお話。

『This is the second robust evolution of our framework, and it reflects the inherent asymmetry of conducting monetary policy in a low r* world with an ELB constraint that binds in economic downturns.』

これもロバストな進化らしいが、シンメトリックターゲットと言ってること何が違うんだ、という気は正直だいぶする。

『As discussed earlier, if policy seeks only to return inflation to 2 percent following a downturn in which the ELB has constrained policy, an inflation-targeting monetary policy will tend to generate inflation that averages less than 2 percent, which, in turn, will tend to put persistent downward pressure on inflation expectations and, potentially, on available policy space. In order to offset this downward bias, our new framework recognizes that monetary policy during economic expansions needs to "aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time." 』

『In other words, the aim to achieve symmetric outcomes for inflation (as would be the case under flexible inflation targeting in the absence of the ELB constraint) requires an asymmetric monetary policy reaction function in a low r* world with binding ELB constraints in economic downturns.』

何かうだうだと説明しているが、ELBに引っ掛かりやすくなっているので2%割れの期間がどうしても長くなるリスクがある(というか現実問題として長い)のですが、それに対して現状追認みたいな言い方をするとインフレ期待が下方シフトして更にELBに引っ掛かりやすくなるからアカン、という考えなんでしょうなあとは思うのですが、じゃあインフレが2.5%から3%に向けてホイホイ上がって行った時に「メイクアップストラテジーなので無問題」と涼しい顔を出来るのかどうかというのはまたその時になってみないと分からんし、その辺は明示的なスタートラインとか入れると最終的に時間的不整合の結果過去のコミットメントを破棄する破目になったら信認問題になるし、逆に物価がまだ上がらんというのが継続しすぎるとこれまた信認を無くすので、まあ頑張れやという感じではあります。現世利益的には緩和政策が長期化しますなあとりあえず、という所ですけど。

『It is for this reason that while our new statement no longer refers to the 2 percent inflation goal as symmetric, it does now say that the Committee "seeks to achieve inflation that averages 2 percent over time."』

このコーナー最後のパラに参ります、「よって最早シンメトリックではなくてアベレージです」と威勢が良いのですが、

『To be clear, "inflation that averages 2 percent over time" represents an ex ante aspiration, not a description of a mechanical reaction function-nor is it a commitment to conduct monetary policy tethered to any particular formula or rule.27』

でも結局そのアベレージ自体は何かの起点をガチガチに決めるようなプライスレベルターゲット的なもんじゃないとなって、景気のサイクルの中で平均的に2%っていう話になっている(まあそらプライスレベル無理だもん2010年起点とかにしたら地獄の物価上昇になるからね)のですから、何がどう違うのかというのは「威勢のよさが違う」という感じがするんだが気のせいですかねえ(個人の感想です)。

『Indeed, as summarized in the minutes of the September 2019 FOMC meeting, the Committee (and, certainly, I) was skeptical about the benefit, credibility, or practicality of adopting a formal numerical price level or average inflation target rule, just as it has been unwilling to implement its existing flexible inflation-targeting strategy via any sort of mechanical rule.28』

『So in practice, what, then, is the policy implication of this stated desire "to achieve inflation that averages 2 percent over time"? Again, the implication of our new strategy for monetary policy is stated explicitly in the new statement, and, at the risk of repeating myself, let me restate it verbatim: "… following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, appropriate monetary policy will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time." 』

『Full stop. As Chair Powell indicated in his remarks last week, we think of this new strategy as an evolution from flexible inflation targeting to flexible average inflation targeting.29』

ということで、要するにクラリダ的なポイントは「following periods when inflation has been running persistently below 2 percent, appropriate monetary policy will likely aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time.」だよというお話のようです。

最後の『Concluding Thoughts』は時間不足の為割愛しますすいませんすいません。