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2020/11/30

お題「月曜なのでオペ紙とPD懇と投資家懇で雑談でございます」

対策の逐次投入というかじゃあ最初の「出発はOK」は何だったのかと
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201127/k10012734831000.html
「Go Toトラベル」札幌・大阪市出発の旅行自粛を 菅首相
2020年11月27日 19時18分

『この中で、菅総理大臣は「飲食店の時間短縮が極めて重要だ。札幌市に加え、きょうから東京、大阪、名古屋市で、時間短縮の要請が順次、実施される。ご協力をいただいた、すべての店舗に対し、国として、しっかりと支援していく」と述べました。』(上記URL先より、以下同様)

時間短縮よりも飲食時の感染防止措置じゃねえのという気がしますし、それこそ初期の時点で香港とかで拡大してたのって「家族で火鍋を食べたら感染」「ビュッフェ形式の夕食会場で感染」とかネタになっていた(のですがジャパンはダイヤモンドプリンセスのニュースの方が大々的だったからにゃあ)次第で何を今さらと。

『一方、感染が拡大している、札幌市と大阪市を目的地とする旅行を除外している「Go Toトラベル」をめぐり、2つの市を出発地とする旅行について、事業の利用を控えるよう呼びかける考えを示しました。』

これ、前の東京除外の時も思ったのですが、別にキャンペーン使わんで自己負担で感染対策気を付けて行く個人旅行までダメって雰囲気になるのがもうねという感じだし、まあ何かこう色々グダグダですよね。

と、夜の街にもGoToトラベルにも関係ないアタクシは思うのでした。


〇オペ紙動かんのか〜

・中長期カワランチ会長とな

うーんこの。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201127c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2020年12月)

そういえば先月はオペの回数をいじってレンジを上げる作戦に出たのにその後のレビューをサボっておりましたが、そらあーたいつみても20年カレントが0.40%絡み(最近はすっかり0.4%ちょち割れ水準が定着したんかいな)で、10年カレントが1bp〜3bp位にしかいないで(さすがにこの期に及んでマイナス深堀とか余程の変人か外れ値予想しておいて当たったらデカい宝くじ予想をする何とかスト位しかおらんじゃろうから順当ながら)マイナスに特攻する勢いもなく、ということで正直JGBちゃんが息をしていないの!!!状態で困ったもんです。ちなみに短国だけは威勢よく(イールドは)動くのですが、これも何か一部の需給だけで動いている感じっぽいので後講釈も出来なくて困るわ。

でもって輪番に関しても減っている時は「オラワクワクしてきただ!!」と毎月興奮しておったのですが、こちらも増えてしまうとおもんないわーという所でございまして、まあすっかりJGB市場ちゃんの市場機能もへったくれも無い状態になっておりまして、何が市場機能を大事にするだおいこら日銀ちったあ動かしてみいや、などと金利の中の人としては思いますが、まあ動かんで目立たん方が日銀の処世的に正しいと思うのでしゃーないのかね(寂)。

無駄話は兎も角。

0−1年:1000-2000、月2回(変更なし)
1−3年:3500-6500、月5回(変更なし)
3−5年:2500-6000、月5回(変更なし)
5−10年:2500-6000、月5回(変更なし)
10−25年:500-2000、月2回(変更なし)
25−40年:0-500、月2回(変更なし)
物価連動国債:300、月2回(変更なし)
変動利付国債:500、隔月1回(変更なし)

今月は年末に掛かる週が3営業日ありまして、輪番の回数が無茶苦茶あった時は仕方なかったのですが、そうでも無ければ基本年末週は(もとより入札は無いのですが)輪番も無しにしておくというのが仕様で、今月は25日が輪番最終日になるようですな。でもって(天皇誕生日が移動したから1日増えましたが)その関係でオペ入れる日がすくなくなるのでそこそこ日程が詰まっている感じですかね、まあ12月の仕様です。

でもって今回は変更なし。ちなみに前回いじってきた年限に関しては今更皆様ご案内の通りですが俺様備忘用にメモしておきますと、

0−1年:1000×3=3000→1500×2=3000
1−3年:4200×6=25200→5000×5=25000
3−5年:3500×6=21000→4200×5=21000

とほぼ同額となっていまして、まあ輪番の額をネタにして相場が動かなかったんですがそらそうよという内容になっておりました。

今月ですけれども、先日のPD懇談会や投資家懇談会で来年度計画に関して何か出ればまた話は別だったのかも知れません(と言っても今年度本予算および1次補正対応時の動きのパターンからすると、よほどの増発でも来れば3か月くらい前からいじったりするかも知れませんが、基本的にはPD懇とかでアウトラインが出たとしても特にそこで対応はしなかったと思うけどね)けれども、まあ次のネタにしましたが先日のはただのご意見拝聴っぱい感じ(なのだが本チャンの議事要旨は今日くらいに出てくるとみられるので詳しくはまたそれを見てから)だったように見えるので、そらまあ日銀動かんわ、となります。

まあ動かんなら動かんで徹底して頂いても結構なのですが、一方で隙あらば「FRBはワシが育てた」とか「ワシのコロナ対策は大戦果である(軍艦マーチのBGMと共に)」とか妙にアピールだけはしたがりさんである、というのも相変わらずなので、アピールの方もほどほどに、とは思います。


・CP社債買入

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201127a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2020年12月〜2021年1月)

CPは12月は12月なので需給に配慮して、と思ったのですが先月うっかりスルーしていましたが、CP買入ってT+3だから12月3回目のオペって買入日が30日になっていて、期近のCPを意地でも打ち込ませないという日銀の気迫を感じましたが、まあ今は買入金利がマイナスだからエコノミカリーには期近よりも期先の方を入れる方がオイチイのかしら良く分かりませんが、まあとにかく12月って3回目はこれ札あるんかいなという買入になるのかね(最近はコロナオペの特別付利とかも出てきてすっかり需給偏在が変わってしまっているので詳しくないんですすいません)。

でまあそれはそれとして、1月は引き続き同じですな。あと25日って輪番が1−3以外の主要4年限が入ってCP買入もあるのかよ(CPはセクション別だと思うからまあぶつかっても無問題でしょうが)。


・ドルオペ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201127b.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2020年12月〜2021年2月)

こちらも同じ、というかドルオペの場合はFRB様がいつ金利をいじって来るんでしょうかというのは気になる所でして、何せ先週末にネタにしましたように、FOMC的に言えば市場機能は十分に回復しており、もともと市場機能維持のためにとか言って買っていたUSTとMBSの買入に関しては「景気を刺激する金融緩和政策の一環」にしらっとステータスが切り替わっておりまして、そうなると緊急ファシリティとしてサービスレートになっていたりするドルオペの金利元に戻して無問題とかそういう議論is起きないのかね、というのは多少気になります。

一応今の所大統領交代だのの絡みで、ただのイヤガラセプレイによるムニューシンの緊急ファシリティのお金返して運動は措きましたが、ドルスワップで(米国にとっての)外銀に援助するとはケシカランの話は特段目立っていないようですし、まあさすがに米国的に12月末はマネーマーケット警戒月間になりますので、そうそう直ぐに引くという話にはならんでしょうけれども、まあ利用が盛り下がっているうちにレートを上げてくるのってコロナ感染症の欧米の状況が沈静化してきたら(するのかどうか知らんけど)もうちょっとペナルティーレートっぽくするとか、3Mを減らすまたは無くすとかについてはアリエールかなとは思います。まあ今ならそこまで困らんでしょ。



〇PD懇と投資家懇がありましたが今回はただのご意見拝聴かしら

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/201126pd.html
国債市場特別参加者会合(第91回)議事の要点
・日時 令和2年11月26日(木)16:00〜17:20
・場所 財務省 国際会議室 (オンライン開催)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/201126toushika.html
国債投資家懇談会(第85回)議事の要点
・日時 令和2年11月26日(木)10:30〜11:50
・場所 財務省 国際会議室 (オンライン開催)

新型コロナ感染症移行書面開催が続いていたんですれども、今回はオンライン開催ということで一歩前進(というのかどうかわからんけど)になっておりますな。オンラインの良い所は同日開催とか行事を何気に詰め込み易くなっていることですが、やはりワンオンワンじゃない対面で話をすることには一定の(というかアタクシ的には一定以上の)意義があると思うのですが、そうは言いましても人数多いと感染防止策のロジ的に回らんでしょうから難しいんですかね。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/
国債市場特別参加者会合(議事要旨等)

何故か前回アタクシスルーしてしまっていたのか、前回から「議事の要点」が出てから「議事要旨」が出るという形態にチェンジしておりまして、恐らくこれ「議事要旨」という形で翌朝朝一で出すってのは事務方のお仕事中々大変だし、議事要旨って形で公開するとなるとどうせ役職者の承認も必要だし、これを朝一で毎度出すという方が脅威のロジだったと思うので、この方式で良いんじゃないですかねえ、と思うのでした。


・PD懇議事の要点だがとりあえず発言の論理が変な方がおいでのようで残念無念

まずは上記URLの国債市場特別参加者会合の方から参ります。以下暫くは「国債市場特別参加者会合(第91回)議事の要点」から引用します。要点だけにクッソ短いから全部引用しちゃいますか。

『内容
1.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
2.令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について』

ということですが、この後の部分を見るとお題の2は説明編っぽいので資料はねえかと思ったらさっきの「議事要旨等」の方に資料はありましたにはありました(あとで)。

『〈参加者からの主な意見〉』ということで。

『・日本銀行の金融政策などもあり、7月以降の大規模な国債発行増額後も入札は無難な結果となっており、金利は総じて安定的に推移している、という意見が多く聞かれた。』

安定どころかウゴカンチ会長なのですがそれは。

『・今後も、コロナの収束状況、税収の下振れなど、不確実性が高い状況が続くと思うが、日本銀行の金融政策を前提にすれば、安定した金利推移が続くのではないかと考えている、といった意見が多く聞かれた。』

むしろ追加緩和とかした方が不安定化しそうですな。

『・令和3年度国債発行計画等については、過去最大の増額となった利付債の更なる増額については慎重となるべき、という意見が聞かれた。』

気持ちは分かるのだが2年度補正での増額を1年短国に盛大に振っております上に、どうせ3年度予算でもコロナを錦の御旗にして垂れ流し予算が組まれることは必定でありますので、その辺をを勘案しますと、ここで利付の増発をするなというのも無茶ぶりだし、むしろ多少金利上がるくらい増発したらどうよ、と考えるのは金利市場脳ですサーセン。

『・超長期ゾーンについて、40年債については生保等からの強い投資家ニーズにより、増額を求める乃至増額の余地があるとの意見が多く聞かれた一方で、慎重な意見もあった。また、20年債についても銀行等のニーズにより増額を求める乃至増額の余地があるとの意見が一部から聞かれたが、』

謎の所で区切っておりますが、この次の部分がさすがのアタクシも首を捻らざるを得ない???な意見で、そこを晒し上げするために区切っています。でまあそれはそうとしてこの辺のニーズなんてえのも次の投資家懇の要点でネタにしますが、どうせ「今の相場状況では」という話なので、ここの所ってのは市場動向によって発行年限を考えるにしても、そう朝令暮改って訳ではなく、より長期的な国の債務動向を考えないといけない発行当局とのタイムホライズンがまるで違う所なので、全部鵜呑みにする訳でもない、というのが発行当局の仕様です(と個人の感想としては思いますがさてどうなのやら)。

でもってこれはウケたというかコケた。

『一方で、今後どこかの時点で日本銀行のイールドカーブ・コントロールが解除されることを考えると、増額については慎重に検討すべき、という意見も一部から聞かれた。』

ちょwwwwwwいずれ解除されるんだったらその前に長期化しておかないとアカンヤロ、と来るのが論理的帰結だと思うのですが、この意見を仰ったのはどこのどちら様かは知らんけど、いやあのこれちゃんとした会議(ってのも変な言い方ですが)なんだから会社の看板背負ってあまりトンチキな事を言わない方がエエと思うんじゃが。

『30年債については、需給の緩みを指摘し、現状維持ないし減額を求める意見が多く聞かれた。』

別に同じ人が言っている訳ではないのでこういうツッコミをするのも適切ではないかと思いますが、40年は増やせ30年は減らせというのはさすがにちょっと・・・・・・・・・

『・長期・中期ゾーンについて、日本銀行のイールドカーブ・コントロールの対象ということもあり、ある程度は増額・減額いずれも対応可能、という意見が多く聞かれた。』

節子、それは財政ファイナンスや。

『・短期ゾーンについて、令和2年度国債発行計画(2次補正後)で大幅に増額していることもあり、発行総額が減る場合は、当該ゾーンを優先的に減額すべきとの意見が多く聞かれた。』

そらそうよ。

でもってさっき申し上げた資料の方は先に公開されていて、
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/201126pd91.pdf

ですが、前半は在り方懇の時に出ていた物件と同じ+在り方懇の発言要旨で、後半が資料集ですがとりあえず現状を淡々と記載している中で、さて何を説明したんですかね。


・投資家懇

お題はPD懇と一緒で、参考資料の方もさっきのPD懇と一緒です、ってそらそうよですけどね。でもって以下は上の方のURL先の「国債投資家懇談会(第85回)議事の要点」という方から引用します。

同じく『〈参加者からの主な意見〉』ですけど。

『・マイナス金利を購入するというインセンティブはないので、現状のイールドカーブであれば、10年債以降、特に20年債が運用の中心となってくる。』

シャーナイナイ。

『・生命保険会社のALM上の観点から超長期ゾーンへのニーズは引き続き非常に強くあり、一定の投資は継続していく予定。』

『・短期ゾーン、中期ゾーンについては、担保確保のニーズが足元も継続している。』

まあいずれもそらそうよと。

『・10年債以上の国債については、キャリーとロールダウン効果により妙味があるものについて投資を行っている状況。』

まるでウゴカンチ会長なのでキャリーロールダウンでぱみゅぱみゅですね分かります。まあしかし相場も動かんカーブの形状も変わらんという前提ってのも(裁量の入らん前提置くとそうなってしまうからしゃーないけど)本来は無理があるのですが、何せこの相場ちゃんですとワークしまくるのがオソロシス。

『・10年債以下の国債金利については、日銀買入オペ等を背景として非常に安定して推移している。』

ゆうて最近は20年も安定してますけどね。

『・現在は、ある程度のスプレッドがとれる外債を中心に運用しているが、今後短期ゾーン等もプラス金利となった場合は、より安全で流動性の高い日本国債運用に戻すと思う。』

そうなんですよねー、そう考えますとマイナス金利政策って緩和の効果が結局海外に漏出しちゃっている事になっていて、さらに金融機関への実質課税なんですから費用対効果ってどうなのよと検討してほしいわ。

『・金利正常化局面で超長期ゾーンに投資する必要がなくなるのであれば、長期ゾーン、中期ゾーンへの投資に戻したい。』

いや全くですな。

『・来年度の発行計画に関して、今年度の第3次補正の状況にもよるが、大きく増額しないのがベストだと考える。』

『・今後の借換債発行額を抑え、発行総額を縮小させていく観点からは、短期国債の整理が進んでいくことを期待したい。』

まあ増額しないのがベターなのは分かるのですが、短国に振った分の以下同文。

『・今後、長期的には、財政健全化の観点や市場との対話を踏まえた国債発行という観点から発行年限構成を決めていくべきであり、イールドカーブ・コントロール対象の10年以下ゾーンへの依存からの脱却を行う必要があるのではないか。』

>イールドカーブ・コントロール対象の10年以下ゾーンへの依存からの脱却

イイハナシダナーと思いますし、まあ今のうちに長い方に振っておかないと財政のワニの口が盛大に開いてるんですから借換債発行時の金利上昇負担リスクを抑制しておかないと、とは思いますがどうですかね。


#などと引用大会恐縮至極でございました







2020/11/27

お題「FOMC議事要旨ネタの続きです」

何故それを記事のヘッドラインにした・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201126/k10012732851000.html
スパコンで予測 航空機の客室 リクライニングで飛まつ拡散
2020年11月26日 20時28分

『最新のスーパーコンピューター「富岳」を使った新型コロナウイルスの飛まつの広がりの予測が公表され、航空機の客室内ではリクライニングした状態でせきをすると機内に飛まつが拡散するものの、マスクの使用で飛散を大きく抑えられるとしています。』(上記URL先より)

リクライニングしたら上向くんだからそんなのスパコン使わなくても自明としが申しあげようがないのですが、折角いい道具を持っていても使い方がポンコツだとリソースの無駄遣いになるということで、まるで日本銀(爆発音の為以下聴取不能)。

・・・・などと一瞬思ってしまいますが、富嶽の名誉(?)のために申し添えますと、この記事全部見ればわかりますように、リクライニング云々はいろいろなシミュレーションのうちの1つにしか過ぎない事例(というかラジオニュースではタクシーのエアコン話をしているようだが)みたいなのですが、これを見出しに持って来るというNHKのWeb担当は富嶽になんか遺恨でもあるのかと小一時間w



〇FOMC議事要旨ネタ続き

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20201105.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20201105.pdf

・その前にちょっとメモがてら

えーっとですね、アタクシ基本的には声明文とか議事要旨が出た時にはあんまり市場の反応を見ないで(市場の反応を見てしまうと読むときにそっちにバイアスを掛けるので)書くようにしているのに加え、そもそも論として茲許って先生!大変なの!うちの円債ちゃんが息をしていないの!!!ほどひどくはないものの、米国国債市場ちゃんもあんまり息をしているように見えないのでヘッドラインを飾る位の動き以外はだいぶ気にしなくなってしまうという非常に感受性の低い事をしておる訳ですよ最近特に。

でもって昨日ネタにしたFOMC議事要旨ですが、アタクシアレ読んで普通に「ああ何だよ此奴ら市場機能の為とか言ってぶっこんだ国債買入拡大が引けなくなってる上に長期化するとか言ってやんの」という感想だった(つまり本来はここらで一段の買入縮小しとけやという位の勢いで考える人という事ですな)から普通に「ああ何だよ結構これAPP長期化するやん」と思ってハト認定をしたんですけど、世の中的には12月に明示的な追加緩和みたいな期待の方があったんですかあのすいません株式市場が史上最高値更新してるのに何で追加緩和せんと行かんのでしょうか何ぼゴルディロックスヒャッハーでもお前らちょっと落ち着け、などという風情だったんですかね。いやはや。

つーことでまあそういう反応っぽかったらしいので「ほうほうそうですか(棒読み)」ってな所でございまして、そもそもどこの世界に株式市場の主要指数が軒並み史上最高値をマークしまくっている環境下で追加緩和する中銀がおるんじゃ位の発想はあまり変わらない人なので、市場コンセンサスの方に正直驚きました。あたしゃ寧ろ市場が安定して資産価格も最高値更新している中で金融緩和強化姿勢をアピールするのは金融不均衡発生のリスクを高める、といういちゃもんをぶっこんでくれる人でも居ねえかな、と探したけどそういう過激派が居ないのでしょんぼりーヌになっていた次第なので、やはり真面目にマーケットコンセンサスというのを見ないと行かんな、とまあちょっと反省はしました昨日の朝なのでございました。

でまああのアセットパーチェスというコーナーを冒頭にぶっこんで来る、という時点で利下げ方面の話はないな、と思う所ですし、あの書きっぷりだと「国債買入増額」はやるかも知れんけど別に長期金利を積極的に下げに行く増額ではなくて国債増発に対応するリアクティブな増額ですよ、その代わり急に梯子外ししたりしないから安心してね、というメッセージ(それでもワイは大概にハトだと思うが)と読み込んだ訳ですが、さて本チャンの方ではどういう話になっていたのやら、ということで昨日の続き。


いつものように『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツから逆順で読みます。話のつながりが変になるのは逆順読みしてるから、ということでご勘弁。

・と思ったらいつもの所の直後にSEPの話がありましたので先にそれを

『Discussion on Recommended Changes to the Summary of Economic Projections』という物件が、『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』と『Committee Policy Action』の間という珍しい所にぶっこまれていましたのでそちらを。

『Participants considered two recommendations from the subcommittee on communications for changes to the Summary of Economic Projections (SEP) that would enhance the information provided to the public. These recommendations included accelerating the release of the full set of SEP exhibits from three weeks after the corresponding FOMC meeting, when the minutes of that meeting are released, to the day of the policy decision and adding new charts that display a time series of diffusion indexes for participants' judgments of uncertainty and risks.』

FOMC後の会見でパウエルが言ってた奴です。念のため申し上げますと、SEPって実は背景説明と全文みたいなのがあるんですけど、それってこれまではSEP決定したFOMC議事要旨と同時公表(つまり出来てから出てくるまで3週間くらいのラグがある)というタイミングだったので、米国の人だったら読むのかも知れませんが、そこまで米債がメインというわけでもない人達がここまで読んでるかというと読んでねえだろという話でしたが、これをステートメントと同時公表にするというお話。あんど今見通しのチャートって単純に先行きの見通し数値を各パーティシパントがピンポイントの数字で出して、その中央値と分布状況をチャートに示した形になっているのですけれども、ここにリスク認識を加えてファンチャートっぽくするという話です。

『With these recommendations, the written summary of the projections that has been included as an addendum to the minutes of the corresponding FOMC meeting would be discontinued.』

ではあるのですが、フルセットのSEPとthe written summary of the projectionsとは何ぞやとか何か良く分からんのだが(単にアタクシの語学力がアカンだけ要因)、まあどうせ今まではSEPっていったってGDPその他の中央値とFF金利予想のドットチャートしか見てなかったんだからキニシナイ!!

『Most of the participants who commented noted that releasing all SEP materials at the time of the postmeeting statement would provide greater context for the policy decision, highlight the risk-management factors relevant for the decision, or further emphasize the degree of uncertainty around participants' modal projections.』

そのフルセットをだすとコミュニケーションが向上するとか言っているのだが、何かこうアタクシ別に過去真面目にこのSEPの文章の方を読んだ試しがほぼ無い(全く無いわけではない)のでアレですが、会見でのオーラルの話と、声明文のニュアンスと、SEPで書かれていることが微妙に不整合になって来て却って話がややこしくなるんじゃないかという悪寒しかしないんですけど(個人の偏見です)。

『Some who commented noted that the SEP serves a valuable role in illustrating how participants' policy assessments respond to changes in the economic outlook. Most participants who commented suggested that it would be useful to continue thinking about options for refining the SEP.』

何ちゅうかですね、今申し上げましたように、情報量ってのは多けりゃ良いというものでも必ずしも無いわけでして(とアタクシは思うのですがという個人の感想レベルの話だけど)、いろいろなものを出すことによって却って何が何だか分からなくなって来る、ということは往々にしてあるわけでして、例えばFOMCにしたって政策決定の票決は理事とNY連銀総裁と4地区連銀総裁でやってるけど、SEPは中身までよくよく考えたら細かく見てないからあまり良く分かってないけど少なくともドットチャートの類は票決に加わっていない地区連銀総裁も入っているので、そうなると同じFOMCから出てくる物件でも反映しているものが違うので、そこで整合性が微妙に変になるとか言う事は起こりそうな気がするのよね、ってな訳ですよ。

でもまあ現状は「何か兎に角コミュニケーションをすれば良い」という方向になっていまして、まあFEDの場合、地区連銀総裁がそれなりに独立性があって強いみたいなので、執行部とまるで違う話を堂々と行っても無問題だし、執行部を中心に過激派が両サイドに居る、という図式にして考え方を幅広く見せて行って、たまにこの過激派に執行部が寄っていく(バーナンキの時のスタイン理事みたいなパターン)事によって政策の方向性を変える時にもどこぞの日銀のようにある日突然今までのロジックを引っくり返して君子ジャガーチェンジみたいな事が起きないように担保していますから、まあこれはこれで良いのかも知れませんが良く分からん。

『Participants unanimously supported the recommended changes and agreed that they should be implemented beginning in December.』

まあどうせ今度のFOMCで出てくるのでそれをお楽しみに、ということになるんですが、とてもじゃないですがSEPの文面とかまで寝起きで読み切って駄文仕立てにするのは(日銀の日本語のアレだって寝起きで出されてさあ書けと言われたら展望レポート基本的見解までは間に合わない(手元での逐語チェックが終わったあたりで時間切れになるイメージがある)ので、結局いつもと同じことをしてから後で読むか読まないか、という感じになる予定です。

では本題に戻りまして。


・APPに関する話とついでに昨日の訂正というか盛大な補足というかがございましゅサーセン

ケツから逆順に行くと今回はAPPの話が最後になっている。

『Regarding asset purchases, participants judged that it would be appropriate over coming months for the Federal Reserve to increase its holdings of Treasury securities and agency MBS at least at the current pace. These actions would continue to help sustain smooth market functioning and help foster accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』

向こう数カ月は現状の国債MBS買入のやり方でエエンチャウノ、と参加者は判断しました、と出ておりますので、なるほどこれは12月や1月に国債買入増額をするのかというと(その時までにコロナ追加予算のおかわりが来て国債大増発されない限り)やらんじゃろうなと思いますし、ただし昨日ネタにした部分を思い出しますと、国債大増発での金利上昇に関しては宜しくないと思っているようなので(その部分には是非論があるがここではパスする)、あくまでも「国債が大増発されるような変化が無い限り」ということになるんでしょうなあ、というコミュニケーションじゃなこれは。

『Many participants judged that the Committee might want to enhance its guidance for asset purchases fairly soon.』

その一方でAPPに関するフォワードガイダンスに関しては多く(Many)の参加者がfairly soonにenhanceしたいですなあと考えているんですからこれは多分12月(というのはSEPが12月に出るから)にエンハンスするんじゃネーノと思ったのだが違うのかなあ。でもってその内容は昨日ネタにした通りですが、昨日うっかり「qualitative outcome-based guidance that links the horizon over which the Committee anticipates it would be conducting asset purchases to economic conditions.」ってののqualitative outcome-based guidanceのqualitativeってのを読み飛ばしたような気がするんでここで付け加える(過去ログは後日追記しておきます)のですが、これって要は「アウトカムベースだけど定性的」とか訳分らん書き方になっていて、数値明記型のガイダンスではなくて、というかそもそも金利のガイダンスも数値を明記しているのかというと微妙にフニャフニャしている部分があるのですけど、ゆうてみれば逆さ絵バーナンキ先生の時にQE拡大を「substantial improvement in the outlook for the labor market」まで行うとか言ってたアレみたいな文言にするのかどうですか、ってなレベルですかね。

でまあその位だと確かにゴルディロックスヒャッハー組からすると、利下げ(さすがに最近利下げの話は出てこない)だの長期金利キャップ政策だの(ここは微妙なのですが、FOMCの中の人たちはただの国債需給ではなく、経済物価情勢を反映したガチの金利上昇を止めるのは実務的に無茶という認識は示しているので、変にキャップ政策入れるよりは普通にQE拡大の方で対応すると思うんですがアタクシは)という話をする中ですと、バーナンキ時代のあの文言程度だったらまあションボリーヌになってしまうわなとは思いましたサーセン。

『Most participants favored moving to qualitative outcome-based guidance for asset purchases that links the horizon over which the Committee anticipates it would be conducting asset purchases to economic conditions.』

でまあ今申し上げた話ともろ被りになって恐縮ですが、昨日ネタにした部分と同じ「qualitative outcome-based guidance」をガイダンスとっとと変更!組の殆ど(Most)は主張していて、それは何ぞと言えば「あるエコノミックコンディションが達成されることを想定する時期まで継続する」という言い方ですので、バーナンキ時代のアレが復活するかもしれませんね、なんか芸がないと思われるのがシャクなら物価要素を加えるかもしれませんが、物価要素を加えるとAPPを引っ込めにくくなりますから、まあそこは慎重に行くでしょう。

『A few participants were hesitant to make changes in the near term to the guidance for asset purchases and pointed to considerable uncertainty about the economic outlook and the appropriate use of balance sheet policies given that uncertainty.』

ちょっとまておいこらこれ昨日引用した文章と同じじゃんと思って思いっきり引用間違えたかと思って確認したりして物凄く無駄に時間を空費してしまいました(ので今日は多分中途半端なところで終わるのだがサンクスギビングに免じて勘弁してくらはい)が、確認したらこの引用部分(A few participants were hesitant〜)の部分は昨日引用した最初にあったAPPの議論の5パラ目の最後の一文と完全一致していまして、つまりは昨日引用したAPPに関する議論の部分ってのは、実際には政策論議の中で一緒に話をしていたのをここだけ注意喚起(?)で抽出したのか、それともAPPの議論の部分は別途したんだけど改めて同じ話をしたのか、とかまあ興味は尽きませんな。


・結局国債買入が緩和目的QEに戻っていることもここで示されています

その前のパラグラフはこちら。

『Participants agreed that monetary policy was providing substantial accommodation, and most concurred that, with the federal funds rate at the ELB, much of that accommodation was due to the Committee's forward guidance and increases in securities holdings.』

国債買入はマーケットファンクショニングとか言ってたのが今度は緩和のQEになっていて、そういうノーズロ運用をしていると「じゃあどこからどこまでが市場機能維持に寄与してて、どこから先が追加金融緩和なのか」というのがノーズロになる訳でして、そうなってしまいますと結局政策を撤収する際でも追加する際でもそうですが、適正規模などというのはどうせ分からんのではあるが少なくとも理屈はつけておかないと、後続の政策をする(引っ込めるも含め)時の規模感がただのエイヤーになってしまいまして、非常にこのアレな事になると思うんだが大丈夫かこいつら?

『They judged that the current stance of monetary policy remained appropriate, as both employment and inflation remained well short of the Committee's goals and the uncertainty about the course of the virus and the outlook for the economy continued to be very elevated.』

はいはい今の政策は適正適正。

『Participants viewed the resurgence of COVID-19 cases in the United States and abroad as a downside risk to the recovery; a few participants noted that diminished odds for further significant fiscal support also increased downside risks and added to uncertainty about the economic outlook.』

コロナちゃんの再拡大に加えて、コロナ対策の予算のおかわりが来ない事をリスクとしております。


・政策金利のフォワードガイダンスとロンガーランゴールの変更が追加的な効果があったという話

もう一丁戻る。

『Participants remarked that the Committee's action in September to provide more explicit outcome-based forward guidance for the federal funds rate had been an important step to affirm the Committee's strong commitment to the goals and strategy articulated in its revised Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy.』

ということで小見出しの通りの話をしておりますな。

『Several participants noted that they were encouraged by evidence that suggested that market participants' expectations of the economic conditions that would likely prevail at the time of liftoff seemed broadly consistent with the Committee's forward guidance and revised consensus statement.』

でもって数名(Several)の方は特筆したそうで、何を特筆したかと言えば、これらの変更によって市場参加者がFRBの現状の緩和からのリフトオフについて、概ねワシらの考えるようなスタンスと同じようなコンセンサスビューになっていることにエンカレッジされたそうな。


・なるほどこれだとAPPのガイダンス強化はあるけど他の話での前のめり感が無いとなるわな

さあもう一丁戻ります。

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants reaffirmed the Federal Reserve's commitment to using its full range of tools in order to support the U.S. economy during this challenging time, thereby promoting the Committee's statutory goals of maximum employment and price stability.』

このパラグラウは今回の会合での金融政策変更するかしないか的な部分のお話で、その後に来るのがさっきまで引用したパラになりますが、まあAPPのガイダンスだのなんだのの部分は熱心に話をしていますが、それ以外の話が物凄くあっさり味だし、マイナス金利もYCCもここの部分には話題にすら出ていないのでありまして、そらまあゴルディロックスヒャッハーの追加緩和おかわりヒャッハー組はちょっとは残念がるかも知れませんけど、そうは言ったってこれ普通にハトハトだと思うんですけどね。

『Participants agreed that the path of the economy would depend significantly on the course of the virus and that the ongoing public health crisis would continue to weigh on economic activity, employment, and inflation in the near term and posed considerable risks to the economic outlook over the medium term.』

先行きはコロナ次第なので不確実です、といつものアセスメント。

『In light of this assessment, all participants judged that maintaining an accommodative stance of monetary policy was essential to foster economic recovery and to achieve the Committee's long-run 2 percent inflation objective.』

というように先行きが不確実なんだから今のスタンス維持で適切、とこれまたあっさり味なのでした。


・ちょっとまて何だこのパラグラフの長さは(ファイナンシャルスタビリティに関する議論)

・・・・・とまあこのように政策決定部分と先行きの政策部分に関しては、APPの所だけクソ熱心ですが、それ以外は無茶苦茶あっさり味でして、これはAPPの変更(しかもガイダンス文言の強化)だけでお茶を濁して来るでしょうなあという感じなので、それはそれで積極緩和期待派はしょんぼりするな、と思って一つ前のパラをみたら驚異の長さのパラがあるのだ。

『A number of participants commented on various potential risks to financial stability.』

ちょっとちょっと待って待ってお兄さんという感じの長さなのですが、書き物に計画性が無いので時間が無くなってきたので今日はペタペタ貼るだけにして続きは後日。

『A few participants noted that the banking system showed considerable resilience through the end of the third quarter, and a few observed that this resilience partly reflected stronger-than-expected balance sheets of their customers, with delinquency rates declining or showing only moderate increases.』

『Moreover, capital positions and loan loss reserves for large banks were higher than before the pandemic.

『Several participants emphasized the need to ensure that banks continue to maintain strong capital levels, as lower levels of capital are typically associated with tighter credit availability from banks.』

この辺が金融機関の貸金の健全性が今は結構大丈夫だけど今後マズイ可能性があるし、その時に金融機関の財務の健全性はこのままでエエンカイナというような論点に関する議論です。

『Several participants commented on the vulnerabilities witnessed during the March selloff in the Treasury market.』

ここでは3月の盛大なセルオフ相場をテーマにしまして、米国債市場が再度のセルオフ相場になってしまうような脆弱性に関する指摘。

『The substantial maturity and liquidity transformations undertaken by some nonbank financial institutions-such as prime MMFs and corporate bond and bank loan mutual funds-were also discussed.』

こちらは毎度のシャドウバンキングですが、プライムMMFの保有する社債や、バンクローン投信などにおける流動性やらマチュリティの変換機能が逆回転する脆弱性についての指摘。

『A couple of participants expressed concerns that a prolonged period of low interest rates and highly accommodative financial market conditions could lead to excessive risk-taking, which in turn could result in elevated firm bankruptcies and significant employment losses in the next economic downturn.』

これは正統派(?)の金融不均衡拡大論で、ローワーフォーロンガーで過剰なリスクテイクからのバブル崩壊懸念の指摘。

『A few participants noted that climate change poses important challenges to financial stability and welcomed analysis of climate change as both a source of shocks and an underlying vulnerability.』

気候変動リスクまで言及されとるワロスワロス。

『A couple of participants commented that the actions taken by the Federal Reserve to support the economy and achieve its mandated goals also supported financial stability. Relatedly, several participants emphasized the important roles various section 13(3) facilities played in restoring financial market confidence and supporting financial stability; they noted that these facilities were still serving as an important backstop in financial markets. A few participants noted that it was important to extend them beyond year-end.』

でまあ最後はそれに対してFEDは経済物価の安定はファイナンシャルスタビリティによってもたらされるというのをアピれだの、いろいろとある市場向けバックストップは大事だよねとか、年末に向けてこの辺の措置をちゃんと延長しないとねとか、そんな話をして終わっています、なんかここがクッソ長いのは気になるですがもうちょっとこのインプリケーションは考えてみます。





2020/11/26

お題「寝起きで11月FOMC議事要旨だが最初の資産買入に関する部分に盛大に釣られクマー」

相変わらず喧嘩になると強いですなあ百合子さんは。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201125/k10012730521000.html
東京 小池知事「医療崩壊の回避を」「不要不急の外出控えて」
2020年11月25日 18時55分

『また、観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」で、東京を一時停止の対象とするかどうかについては、「全国的な視点から国が判断することが筋ではないか」と述べ、国が決めることだという認識を示しました。』(上記URL先より)

不要不急の外出を控えるのにGoToトラベルは継続ってアホかと思ったのだが、この理屈で対抗してくるとは良くも悪くも凄いわ流石の百合子クオリティ。


〇FOMC議事要旨は寝起きで成敗できる量ではないのだがインスタント読み

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20201105.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20201105.pdf

・のっけからAPPのディスカッションとかいう聞き捨てならないものがあって釣られてみるクマー

という訳でいつものインスタント読み(FOMCパーティシパントの議論部分をケツから読んでいくというインチキ速読法)をしようとしたのですが、最近の議事要旨は最初の方に重要な罠がある場合が、と思って最初のオペデスクからの報告と承認事項の話の次を念のため確認しに行ったら『Discussion on Asset Purchases』という聞き捨て(読み飛ばし)ならない小見出しががあったのでそっちの前に釣られクマーなのですがまた何か知らんがクソ長いのでこれは時間不足の悪寒。

『Participants discussed the FOMC's asset purchases, including the role they are playing in supporting the Committee's maximum-employment and price-stability goals.』

APPに関して議論した、というお話が以下延々と続くっぽい(実は目を泳がせただけ)のですが、いきなり最初にこの文言。

元々今回の国債買入は「マーケットファンクショニング」ということで買入のおかわりを行いましたが、もともとは市場調節上必要な国債残高維持のためにその分の国債買入は行われていたのですが、当初は市場機能とかいう話だったのに、ここに来て国債買入が市場機能維持の話から金融緩和として機能という話をおっぱじめだしている件について議論が行われたと見た。

なお、市場調節上必要な国債残高というのは、発行銀行券残高と所要当座預金残高と予備的需要やら流動性カバレッジなどの為に必要な超過準備需要に対応する残高でして、そこの部分は中銀当座預金残高ではあるものの、安定的な中銀負債になるので、見合いの資産を短期資産にしてしまうと金融市場調節が忙しくなってしまうのと、資金繰りのズレなどで一時的に不測の資金不足が発生した時にFF市場での取り上がりが発生しやすくなるリスクがあるから、見合いを長期資産である長期国債にしておいた方が安定しやすい、という話ですので為念。


・議論のテーマは散漫な気がしますが何で議論するかという部分では黒ちゃん一同土下座して聞くべき話がある

『In their discussions, participants focused on the objectives of these purchases;』

ほうほう。

『considerations for assessing the appropriate pace and composition of asset purchases over time;』

今後の資産買入のペースや買入資産構成をどう考えて行きましょうかという話。

『communications regarding the future path of asset purchases;』

今後の資産買入のパスに関するコミュニケーションに関する話。

『and the potential effects of higher levels of reserves, associated with the ongoing expansion in Federal Reserve asset holdings, on banks' balance sheets and money market rates.』

今般の買入でFEDの当座預金水準が拡大して行っている事の金融機関のバランスシートとか短期金融市場の金利形成に対する潜在的な作用についての話。

・・・・・・うーんこの。なんか話の焦点があちこちに飛んでる感がある。まあとにかく読み進めようではないか。

『Participants agreed that this discussion would be helpful for future assessments of the appropriate structure of the Committee's asset purchases.』

こういう議論をあらかじめしておくことは将来におけるFEDの資産買入の適切な構造を考えるうえで役に立つ、とまあ実に良い事を言っている訳でして、どこぞのポンコツ集団は何か変な言霊信仰でもあるのか、出口政策の議論をするのは良くないとか言って何も議論しないわけですが、FEDって、というか普通の脳味噌をしていると考えると思うのですが、将来におけるあるべき論については、その時期が近くなってから泥縄式に考えるのではなく、大幅に前広に考えておけば、そもそも論としてその議論を行われたことが表に出ても、近い将来の政策変更への思惑とかを呼びにくいですし、最初に準備しておけば、その後実際の時期が来た時になって、当初の議論とその時の状況変化を踏まえた新たな考察が出来る訳ですわな。

しかしながら、ジャパンクオリティとして、なんか知らんけどプランBとかそういう話をすると悪い事が起きる的な言霊信仰があるようで、まるでそういう議論をしないから、一々昭和の温泉旅館金融政策をする破目になっているのですが、まあこれはワシらザパニーズの悲しい仕様なので改善はせんのでしょうな、ナムナム。

などと読むより悪態が先行しています(しかも悪態の相手はFEDではない)が進みますと、

『While participants judged that immediate adjustments to the pace and composition of asset purchases were not necessary, they recognized that circumstances could shift to warrant such adjustments. Accordingly, participants saw the ongoing careful consideration of potential next steps for enhancing the Committee's guidance for its asset purchases as appropriate.』

ということで、なんかさっきの所で盛大に先読みして意訳してしまいましたが、ご覧の通りで「今は特に資産買入に変更を加える必要はないのですが、将来の事を考えると今のうちから議論を深めておくことが重要」という話でございまして、まあ木魚集団でありますところの今の日銀政策委員会でうちにそういうのを見ることは出来ないと思いますが、まあその木魚頭で少し考えてみろやポンコツ共が、とは思います。

・・・・・・・とまあ書いたのですが、この先を読みますと(っての実はここ最後に追記しているんですけどね)基本的に今回はAPPを強化する話ばっかりしておりますので、まあ別に出口で何をする的な立派な(?)話をしている訳でもないので、まあそこまでポンコツだの木魚だの言わなくても良かったかな、とは思いましたが、別に引っ込める気もしないのでそのままにしておきます(^^)。


・スタッフからのプレゼンでしらっと「今般の緩和政策は国債の大量発行での金利上昇を抑制した」とぶっこむの巻

次のパラグラフになります。

『The participants' discussion was preceded by staff presentations.』

たたき台として連銀スタッフのプレゼンが。

『The staff reviewed some key considerations relevant for conducting asset purchases in the current environment. The staff judged that the Committee's forward guidance on the federal funds rate, the expansion of the Federal Reserve's securities holdings since March, and expectations for a further expansion all had contributed to a very low level of longer-term yields despite substantial Treasury debt issuance.』

いきなり際どい所を攻めておりますが、3月以来の金融緩和措置は「大規模な米国国債の発行が行われているにもかかわらず、米国長期国債金利が大変に低位で推移することに寄与している」という財政ファイナンスもどきの所をせめて来ました。ちょっとオモロイのは寄与している政策は「すべて」ではあるものの、並んでいる順の最初が政策金利水準に対するフォワードガイダンスという金利政策の方を先に持って行っていることでして、APPによるバランスシートの拡大および今後も継続してバランスシートが拡大するであろう期待の方を次にしていることですかね。金利がメインだからそういう順、ということなのかも知れませんが。

『The staff noted that financial market participants generally expected the Committee to continue its net asset purchases at the current pace through next year and at a reduced pace in subsequent years.』

市場では来年いっぱいまで今のペースでのバランスシート拡大が行われ、その後数年間かけながら拡大ペースが落ちて行くことを想定している、という事も付け加えています。

『The staff discussed various changes the Committee could make to the structure of its purchases, including to their pace and composition as well as to the guidance the Committee has been providing to the public about its future asset purchases.』

資産買入を色々と変化させた場合の変化についてのスタッフの議論も行いましたよとな。

『The staff discussed the structure of asset purchase programs of several foreign central banks and how they have evolved during the pandemic.』

他の中銀のパンデミック対応でのAPP変更に関する議論もしたと。

『Finally, the staff evaluated how higher levels of reserves associated with the ongoing expansion in the Federal Reserve's asset holdings might influence banks' balance sheets and money market rates and discussed the various tools that the Federal Reserve has for managing money market rates in an environment with very high levels of reserves.』

でもってスタッフは高水準かつ今後も拡大する見込みの中銀リザーブが金融機関のバランスシートや短期市場金利にどのような影響を与えるのかというのを示して、でもってそのような高水準の超過準備がある中での短期市場金利のコントロールツール(要はFFやレポ金利が過度に低下しないためという方向の手段な)についての議論を行った、だそうです。


・APPの効果に関するFOMC参加者の議論である

次のパラグラフです。

『In their discussion regarding the role of the Committee's asset purchases, participants noted that these purchases have supported and sustained smooth market functioning and helped foster accommodative financial conditions.』

ここからが地区連銀総裁+理事の議論のパート。まずはAPP拡大の効果ということで当初からの話になっている市場機能の維持と緩和的な金融環境の維持という話があって、

『With market functioning seen as having largely recovered, many participants indicated that the role of asset purchases had shifted more toward fostering accommodative financial conditions for households and businesses to support the Committee's employment and inflation goals.』

ティンバーゲンルール無視攻撃キタコレの巻になりますな。多くの(many)参加者は既に市場機能が回復している中で、今の資産買入は市場機能云々ではなくて、いつものデュアルマンデート達成のための金融緩和ツールへとその役割が移行していると来ました。

『Still, participants generally judged that asset purchases would continue to support smooth market functioning, and many judged that asset purchases helped provide insurance against risks that might reemerge in financial markets in an environment of high uncertainty.』

とは言え市場機能の維持に対しても役立っており(アタクシ的にはジャパン程酷くないにしても米国国債市場が段々ウゴカンチ会長になってきているのはAPPのやり過ぎで逆の意味で市場機能がおかしくなってきている、と思っているのでカシュカリの毛髪程もこの点に賛同しませんけどそれはさておき)、先行き(感染症を中心に)何がおきるか不確実な状況化において、今後何かの拍子に金融市場の動揺が発生するようなリスクってのはまだあるので、その時の保険の為に買入が必要、というのがこの多くの参加者の見解ですな。まあこれ言ってると一生不確実なんだから保険かけっぱなしになってしまうんですけどそれは、とは思いますけどね(個人の感想です)。

『A few participants indicated that asset purchases could also help guard against undesirable upward pressure on longer-term rates that could arise, for example, from higher-than-expected Treasury debt issuance.

更にその上を行く議論が数名(A few)から出ていて、APPは長期金利の望ましくない上昇に対するガードになっております例えば想定外の国債増発に対して、と来ていて、さっきのスタッフの話と同じものが登場しておるのですが、そもそも論として「国債増発に伴う金利上昇圧力を抑制する効果」というのはその裏で「市場機能を抑圧している」と言う事にも繋がるのであって、それってマーケットファンクショニングがどうのこうのというのの話しからしたらおかしくねえか、という気はしますがその点へのツッコミはあったんだか無かったんだかよく分からんですな。市場の失敗みたいなのに介入するのは分かるけど、国債増発で金利が上がるのは普通に市場機能になるんですがそれは、ということでだいぶ財政ファイナンス脳になりつつある人が数名は要ると言う事ですし、目だったカウンターアーギュメントもこの次の一文っきゃないので明示的にここを叩く人はいないのか(もしかしたら今後タカ派の誰かが講演で指摘したりするかもですが)とは思いました。

『Several participants noted the possibility that there may be limits to the amount of additional accommodation that could be provided through increases in the Federal Reserve's asset holdings in light of the low level of longer-term yields, and they expressed concerns that a significant expansion in asset holdings could have unintended consequences.』

数名(Several)の参加者は、APPによる連銀資産拡大政策による効果について、長期金利水準がここまで下がってしまうと、追加的な効果があまり大きくないという限界があるんじゃねえのという指摘をしておりまして、さらに顕著な資産拡大をすると予期せぬ良からぬ結果を招くリスクがあるんじゃネーノと懸念を表明した、というのがありますが、まあそこまで具体的な感じじゃないし、劣勢というイメージを与えてくれる書きっぷりと見ました(個人の感想にも程があるので念のため申し添えます)。


・今後のAPPをいじる場合の議論があるけど拡大の話がメインなのはもうアレですねアレ

んじゃ次のパラ。

『Participants commented on considerations related to the appropriate pace and composition of asset purchases. Participants generally saw the current pace and composition as effective in fostering accommodative financial conditions.』

今度はペースと構成に関する話ですが、まずは現状が適正という点で概ね見解は一致していまして、というのがあって以下議論というか意見表明合戦というか。

『Participants noted that the Committee could provide more accommodation, if appropriate, by increasing the pace of purchases or by shifting its Treasury purchases to those with a longer maturity without increasing the size of its purchases.』

『Alternatively, the Committee could provide more accommodation, if appropriate, by conducting purchases of the same pace and composition over a longer horizon.』

いきなり緩和の追加をする場合の話から入っているのがお洒落でして、まあこれは12月FOMCか1月FOMCか知らんですが、そこらへんで緩和拡大をする場合に、というのを思いっきり連想させるような書き方キタコレという感じですぞな。でもって緩和拡大ですが、普通に買入を拡大する、拡大はしないけどより長期債にシフトする、ペース等は維持したまま買入のフォワードガイダンスを強化する、というのが示されています。

『Pointing to the recently announced change in the Bank of Canada's asset purchase program, several participants judged that the Committee could maintain its current degree of accommodation by lengthening the maturity of the Committee's Treasury purchases while reducing the pace of purchases somewhat.』

ちょっと待てカナダ中銀の例とか出すなよそこフォローしてなかったわ、ということで後で確認しますが、追加緩和じゃなくて緩和状況はそのままですが、買入構成を長期化する代わりに量を減らすということで現状維持とする、という選択肢の指摘がありましたと。

『In their view, such a change in the Committee's purchase structure would have to be carefully communicated to the public to avoid the misperception that the reduced pace of purchases represented a decline in the degree of accommodation.』

ただしその長期化スイッチ+減額というのは良く説明しないといけませんね、だそうだがそもそもそんな面倒なコミュニケーションしてまでやることなのかという気はする。

『A few participants expressed concern that maintaining the current pace of agency MBS purchases could contribute to potential valuation pressures in housing markets.』

でもって最後に数名(A few)が今のペースでMBS買入を続けていくと住宅市場の価格形成に影響を与える(要は住宅バブルを起こす懸念があるという話)点を懸念、とあります。最後だけタカがちょっとという構成っすな。


・APPのガイダンス文言強化に関して、というか強化待ったなしという話

次のパラ、いきなり引用が長くなっているのは残り時間のせいではありません(汗)。

『The September FOMC statement indicated that asset purchases will continue "over coming months," and participants viewed this guidance for asset purchases as having served the Committee well so far. Most participants judged that the Committee should update this guidance at some point and implement qualitative outcome-based guidance that links the horizon over which the Committee anticipates it would be conducting asset purchases to economic conditions. These participants indicated that updating the Committee's guidance for asset purchases in this manner would help keep the market's expectation for future asset purchases aligned with the Committee's intentions. Some of these participants also saw such updated guidance as reinforcing the Committee's commitment to fostering outcomes consistent with maximum employment and inflation that averages 2 percent over time.』

APPについては9月声明文では"over coming months"続きますよとなっていて、今の所それで不具合(というのはAPP早期終了の思惑浮上という意味ね)は起きていませんが、と来た後、殆ど(Most)の参加者はこの文言について、いずれかの時点で文言を変更して、アウトカムベース(経済の何かに紐付けした)の形のガイダンス文言に切り替えるのが適切ですよ、という話をしていまして、これによってマンデート達成へのコミットをより強力に示せます、というお話でAPP継続する気満々なのは分かった。

『A few participants were hesitant to make changes in the near term to the guidance for asset purchases and pointed to considerable uncertainty about the economic outlook and the appropriate use of balance sheet policies given that uncertainty.』

なお数名(A few)は近いうちにAPPガイダンス文言をする必要はないよという話をしています。


・将来APPと政策金利とどっちを先に正常化するかネタ

次のパラです。

『Participants noted that it would be important for the Committee's guidance for future asset purchases to be consistent with the Committee's forward guidance for the federal funds rate so that the use of these tools would be well coordinated in terms of achieving the Committee's objectives.』

APPのガイダンス文言を変更する場合、金利のガイダンス文言と平仄を合わせるべきで、それによってマンデート達成のために金利とAPPを使ってやっていくよというのが明確化できるとのお話。

『Most participants judged that the guidance for asset purchases should imply that increases in the Committee's securities holdings would taper and cease sometime before the Committee would begin to raise the target range for the federal funds rate.』

『A number of participants highlighted the view that after net purchases cease there would likely be a period of time in which maturing assets would be reinvested to roughly maintain the size of the Federal Reserve's securities holdings.』

利上げとAPPのテーパリング&ランオフのどっちが先ですか、という議論に繋がるネタですな。とりあえずはAPPのガイダンス文言の方が先に来るような設計を主張する方が優勢の模様。


・バランスシート増えた時の影響についてだがまあそんなに変な(というかオモロイというか)話はしていない

最後のパラになります(ふー)。

『Participants commented on how a higher level of reserves associated with the expansion in the Federal Reserve's asset holdings might affect the banking sector and money markets.』

最後はFEDの巨大バランスシートが銀行セクターと短期金融市場に与える影響に関して。

『A few participants raised concerns about the possibility that much higher levels of reserves might create pressure on banks' balance sheets, including on regulatory ratios, or could potentially put undue downward pressure on money market rates.』

数名(A few)は銀行セクターにおける規制資本の達成に与える影響(ってのはUSTをFEDが買いすぎると市中銀行の資産構成に安全資産が減りやすくなるとかそういう話だと思う)とか、短期金融市場における市場金利の過度な低下圧力に懸念を示しています。

『Most participants judged that the Federal Reserve had effective tools to address these circumstances.』

一方殆ど(Most)はそこはまあ何とかなるでしょとの指摘。

『Some participants noted that, if needed, the Federal Reserve could consider various steps to manage the levels of short-term interest rates and the quantity of reserves, such as adjusting administered rates, expanding the overnight reverse repurchase agreement program, or implementing a maturity extension program.』

数名(Some)はもうちょっと細かい話をしていて、ONRRPを拡大するとか、短期債売り長期債買い(久々に聞くネタ)をするとかもできるでしょ、という指摘をしております。

・・・・・ということで本題の議論の手前で捕まってしまいましたが、要するにAPPは今後も続けまっせというのは十分に伝わりました。まあそれでいいのかというのはだいぶ思わんでもないけどね。






2020/11/25

お題「黒田総裁が海外コンファレンス(リモート)で挨拶するも今後の政策に求められるのは「注視する」だけの模様/その他メモメモ」

ヒャッハー!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201125/k10012729541000.html
NYダウ平均株価 史上初の3万ドル大台に
2020年11月25日 1時39分

コロナ感染症は罹るもんだと割り切るためには、ワクチンよりも罹患後に重症化しない飲み薬的なものがあった方が話が早いと思うんだが、そっちのニュースってたまにしか出てこないんですよね、素人なので何でなのかよくわからんのですけど。

さて金懇ネタ以降日銀ネタをヌルー気味でしたので色々と備忘メモを近い順に。

〇新コロオペちゃん

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201124c.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果

貸付日 2020年11月25日
返済期日 2021年5月25日

貸付予定総額 37,381億円
(参考)貸出残高(注) 514,961億円

まあ相変わらずの残高ですし、12月か1月のMPM(1月が展望レポートだからそこにぶつけて延長する方が綺麗ですかねえ、よくわからんけど)にどうせ延長とかしやがるんでしょうなあ、と思いますが、これでマクロ加算の掛け目調整する結果として、貸出とかが少ない金融機関で超過準備が多いお方とかは皺寄せが来るという何だかなあという図は続くのですが、何せこれ皺寄せ来る方が普通に頭数は少ないと思うので、そういう論点には中々ならんというのが悲しい。

いや真面目な話、マイナス金利政策との整合性を取りつつ副作用対策をしつつ、コロナ対策をしているように見せかける、という点を全部満たしに行くとこういう事になるんでしょうけれども、今度はこの残高が盛大に増えてしまって、これどうやって軟着陸させるんだよという話ですし、なんだかんだ言っても株価がこのようにヒャッハー上げをしている訳でして、金融市場的にはコロナ何ぼのもんじゃい状態になる中、コロナ対策と銘打ってぶっこんだ&大量のおかわりをした施策をどう収拾するんだよ、というのは気になるのですけれども、プランBを作らないのはジャパンの官僚組織の仕様なのでさてどうなるのやら。

でまあ先週末に急に飛び出していたムニューシン財務長官の「ファシリティ期限来たら延長するという決定を議会様がしないんですから期限来たらエクイティ部分の余剰分を返しやがれ下さい」攻撃って、まあただのトランプ一派のイヤガラセだと思うのですけれども、イヤガラセとは言え結果的にはうっかりするとダラダラ長期化しそうな政策の手じまいに繋がる話になっているから(ただしムニューシン的にはその分直接補助に回すとか抜かしているのであんまり良くはないかもですけど)逆に良い事なのかも知れませんあ、などと思うのでした。


〇昨日は国会半期報告だと思ってたらこんなのがいつの間に

クソ短い話ですので簡単に。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201124b.pdf
新型コロナウイルス感染症に対する政策対応の「これまで」と「これから」
ー国際金融危機の教訓を踏まえてー
IMF・東京大学共催バーチャル・コンファレンスにおける開会挨拶の邦訳
2020年11月24日
日 本 銀 行
日本銀行総裁 黒田 東彦

昨日は国会で半期報告があって、なんか結構質問を食らっていたみたいでヘッドラインは出てくるのですが、完全スルー体制に入っている金融市場では別に反応をしたようでも無かった(というか株式市場は良いんですけど債券市場ちゃんって息してるんかいなという感じで動かんとキャリーは入るけどマーケットメーカー困りますよねえ)のですが、こんなのがあったのかよという所で(米国の時間に合わせたのだったら早朝か夜になりますから夜ですかね)。

でまあこのお話、政策対応で何をやったとか評価とかはマジでどうでもいい話しかしていないのですが、これからどうするという話があるのでしょーがねーなー見てやろうじゃないの。


・これからの政策対応に求められるものというお題なのに「注意深く見ていく」のオンパレードとはこれ如何に

『3.「これから」の政策対応に求められるもの』という小見出しがあります。

『では、これからの政策対応には、何が求められるのでしょうか。』

そんなの「広げた大風呂敷をキチンと閉じないと金融バブルが発生してそれが崩壊するとまたアカンタレになるから注意しないといけませんね」以外の話があるのでしょうか???と思いつつ鑑賞するのである。

『足もと、感染の再拡大もみられるなど、先行きを巡る情勢はきわめて不確実性が高い状況が続いています。したがって、当面は、これまでの対応をしっかりと継続することにより、経済や金融システムの安定を確保していくことが何よりも重要です。』

あっそう。

『この点、今後、企業や家計が直面する課題が流動性から債務返済能力にシフトしていく中で、金融システムに影響を及ぼす可能性にも注意が必要です。』

これさあ、毎回同じこと言ってるんですけれども、「注意が必要です」は分かるんだが、だったら中央銀行として何をするのかしたいのか、という話をついぞ今まで聞いたことが無いわけで、「注視していきます(キリッ)」ってのはカカシでも言える事でありまして、再三再四この問題について言及してて毎度「注意が必要です(キリリッ)」だけ言ってるのさすがにちょっと貴殿の首の上に乗っけている物体は木魚かなんかでいらっしゃいますかと小一時間問い詰めたくなるので、そろそろものの言い方変えてくれませんかねえ、とマジで思う今日この頃ですが、とにかく黒ちゃんって一度同じこと言い出すと言い方が全然変わらんという事で、まあそれが良い方に出る場合もありますが、基本的に2%物価目標達成への信認がゼロになってしまっている現状でこれをやっていると間抜けにしか見えない(個人の感想です)ので工夫しろ工夫(でも多分黒田さんは工夫しようとはしない人)と思うのでした。

実際問題としてじゃあ何が出来るのか、と言えば金融政策でクレジット買い支える訳にも行きませんので、首を洗って待っているしかやることは無くて、まあ物凄く綺麗にいってしまえば、そうならないように金融機関の経営改善を促すということで先般の地域金融機関向けの例の奴をぶっこんでまいりました、と言ってしまえば美しいんですけど、そうは言わないというのも不思議ちゃんではあります。

『長期的な視点からは、日本の金融危機や国際金融危機の後、過剰債務から生じたバランスシート調整などもあって、長期にわたり金融面から経済に対する下押し圧力が作用したように、金融面の不均衡のリスクについても注意を払わなければなりません。』

「注意を払う」ってじゃあ何をするのという話でして、だったらETF買入をとっとと停止しろやと思いますけれども、結局注意を払うだけで何もせず。まあ米国もここ20年では危機対応で出した金融緩和の引き時が遅くなって金融バブルが起きてそれが崩壊するっての2回(ITバブルとサブプライムバブル)やらかしているので、どうせ注意するだけで終わるんでしょう。

『また、国際金融危機がその後の金融規制・監督改革につながったように、コロナショックから得られた教訓に学ぶことも重要です。』

ほうほう。

『例えば、コロナショック初期の市場の不安定化は、金融仲介機能において、MMFや投資ファンドなどのノンバンクの役割が増していることを示しました。』

ちょwww

MMFの役割云々はどう見てもリーマンショックの時の方が影響デカかっただろうし、それのせいでFSA−IOSCOがMMF規制をゴリゴリ掛けて、リテールMMFは国債オンリーファンドへの移行を事実上余儀なくされましたし、シャドウバンキング規制にしてもリーマン以降ゴリゴリ(こちらは直接的にファンディング市場を直撃するかというとMMFほとで直撃ではないのでMMF規制ほどゴリゴリでは無かったと理解しているけど)やっていた筈なんですが。

まあシャドウバンキングの役割云々という話をするのであれば、それは金融機関への資本規制強化に伴い、金融機関の貸出がシャドウバンキング方面にシフトせざるを得なくなった、とかそういう話だと思うのですけれども(なお日本は関係ない話ですけど)、なんかこれだとリーマンショック後のシャドウバンキング規制が緩かったとかそういう認識になっているんですかねえ。まあいいけどさ。

『こうした金融システムの構造変化を、注意深く検証していく努力が求められます。』

開口一番MMFというのが出ていた時点で注意深く検証しているのかが怪しいんですがそれは(ちなみにジャパンのMMFはFSB−IOSCOのMMF規制改革対応中にマイナス金利がぶっこまれてしまいましたのでリテール向けMMFは天に召されてしまいました、証券決済口座用のMRFは生きてますけど)。

『感染症の影響は、いずれは収束に向かっていくとみられるもとで、やや長い目で見た構造変化への対応も重要です。その際、人口動態の変化や気候変動など感染症拡大以前から認識されていた課題に加えて、デジタル化やサイバーセキュリティなど、感染症の拡大をきっかけに急速に重要性を高めつつある課題に対して、社会全体で取り組んでいく必要があります。こうした取り組みは、ポスト・コロナの世界経済の潜在成長率を引き上げていく原動力になるはずです。』

だから何をするの???と言ってまあ気候変動問題に取り組みます(キリッ)とが中央銀行がねじり鉢巻きをされても更に迷惑だから別に何もせんでエエンヤデ。


・どうでも良いけど最後のちょっと笑った

最後が『4.おわりに』ですけどね。

『先行きの不確実性がきわめて大きいもとで、こうしたチャレンジングな課題に取り組んでいくうえで、国際的な連携が一層重要となっています。世界中の英知を結集し、力を合わせて前に進むことが、今ほど求められることはありません。本コンファレンスが、まさにその重要な一歩となることを祈念して、私の挨拶を締めくくりたいと思います。 』

>世界中の英知を結集し

世界中の英知を結集した結果が置物リフレ理論とその収拾のための昭和温泉旅館金融政策だと思うとはいはいワロスワロスとしか申し上げようがないwww

ということでただの悪態でしたサーセン。まあ一つ言えそうなのは、「黒ちゃんやる気あるんかいな」という所でして、「この先に求められるもの」って大上段から振りかぶって何も言わないってそれだったら最初からそのネタ言わなきゃ良いのに、と思うのはアタクシだけでしょうか・・・・・・・・・・・



〇そういや先週金曜日にこんなのも出ていました(プルーデンス方面)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201120b.pdf
「金融庁検査・日本銀行考査の連携強化に向けたタスクフォース」の開催について
2020 年 11 月 20 日
金融庁
日本銀行

『金融庁と日本銀行は、本日、「金融庁検査・日本銀行考査の連携強化に向けたタスクフォース」の、第1回会合を行いました。』

ほうほう。

『金融庁と日本銀行は、今後、データの一元化、検査・考査の計画調整や結果の共有、銀行免許審査・当座預金口座開設手続における連携強化などを通じ、金融機関の負担軽減と、より質の高いモニタリングの実施に取り組んでいく方針です。本タスクフォースは、これらの取り組みに関する意見交換を行うものです。』

というだけですし、まあ当然ながら議事録とかも表に出てこないでしょう(最後に結果は出てくると思いますけれども)とゆーことで何の話をするんだか、とは思うのですが、何かこう金太郎飴的な「ご指導」を画一的にぶっこんできそうなイヤーな悪寒しかしないんですよね・・・・・・・・・・(個人の偏見です)

#などと死亡フラグをたててみる

まあどういう話になるんだか。考査一本化とかしても1回の量が結局従来の2回分とかになってしまうと金融機関の負担軽減にならないんですがそれは(個人の妄想です)。


〇金融研究の英語版に以前出てたオモロイペーパー(褒めてる)の英文版登場

https://www.boj.or.jp/en/research/imes/mes/mes20.htm/
Monetary and Economic Studies
2020

要するに金研の出している「金融研究」の英語版でございますが、直近出たものの中で大変に素敵(個人の感想です)な物件の英語版が。

https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/me38-3.html
Monetary Policy in the 1990s: Bank of Japan's Views Summarized Based on the Archives and Other Materials
Masanao Itoh, Yasuko Morita, Mari Ohnuki

全文はこちら
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/me38-3.pdf
Monetary Policy in the 1990s:
Bank of Japan’s Views
Summarized Based on the Archives and Other Materials
Masanao Itoh, Yasuko Morita,
and Mari Ohnuki

こちらは一昨年に出た
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/18-J-05.html
1990年代における金融政策運営について:アーカイブ資料等からみた日本銀行の認識を中心に
伊藤正直、大貫摩里、森田泰子

の英文版で、さすがにこれ元の資料も英訳しないと行けないとなると物凄い勢いで面倒でしょうから、そら2年かかるわと思いましたが、このシリーズは面白かったので英文になって海外の方も読んで頂くとまた面白いとは思います(がこれはさすがにネタにするには大変なのとあまりにも現世利益から遠いのでちょっとネタにするのはという感じでしてパスしてたと思います)。

ちなみにこのアーカイブネタになると著者の森田さんという方が毎度登場するのですが、英文の方の著者紹介をみたら、

Yasuko Morita: Director and Senior Economist, Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan (currently, Yamazaki Gakuen Educational Foundation)(記載のメアドは削除して引用しました)

ということで現在は日銀にはいらっしゃらないようですな。このアーカイブシリーズ、別に英文を読むことはないのですが(^^)、日本語の本チャンバージョンもまた面白いので興味のある方には改めてお勧めしておきます。という世間話で恐縮至極。


〇FSBが色々と出しているようですな

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201124d.htm/
金融安定理事会による「『主要な金利指標の改革』の2020年進捗報告書」の公表について
2020年11月24日
日本銀行

金利改革キタコレ!だがまだ読めてない(汗)。


https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201119c.htm/
金融安定理事会による「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行:金融安定への影響と政策対応」の公表について
2020年11月19日
日本銀行

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201119b.htm/
金融安定理事会による「2020年3月の市場の混乱についての包括的レビュー」の公表について
2020年11月19日
日本銀行

特に最後のはどういう視点でレビューしているかというのが気になるのですが、全然読めていないので備忘代わりに置いておきます。市場レビューをどういう視点でやっているか、ってのは将来的には規制監督の方にどうせ影響してくるネタだと思うのよね。それこそシャドウバンキング規制がそうであるように。

あと破綻処理関係では、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201119e.htm/
金融安定理事会による「2020年破綻処理改革の実施に関する報告書」の公表について
2020年年11月19日
日本銀行

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201117a.htm/
金融安定理事会による「CCPの破綻処理財源及び株式の取扱いに関するガイダンス」の公表について
2020年11月17日
日本銀行

とありまして、CCPに関してはこれ以前も何回か出てたように記憶していますが、CCPが飛ぶと物凄い勢いであばばばばーな事になりそうだし、この辺のガイダンスを敷衍していくとどうせCCPへの直接参加機関に対してああせえこうせえって話に繋がると思うのでチェックチェック、とは思うのですが、FSBネタでこれだけぶっこまれるとその膨大さにちょっと無理なので誰か面白そうなのがあったら教えろ下さいお願い致します(と無茶なことを言う)。

#ということで何か直近の日銀(最後のは日銀じゃなくてFSBだが)のリリースを適当にペタペタ貼っただけという物件でFRBネタはどうしたと言われそうですが、なんか海外ネタチェックしてるうちに忘れそうになっているのでちょっとそんな感じで今日はご勘弁頂きたく存じます





2020/11/24

お題「米国ネタメモ雑談(財務長官人事?/ファシリティの基金財務省に返せネタ)」

これはまた露骨な牽制球www
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201123/k10012727211000.html
“安倍前首相側 800万円以上負担”示す内容 ホテル側領収書に
2020年11月23日 19時33分

何せ安倍ちゃんにおかれましては、最近体調不振で辞任されたとは思えぬ精力的な活動をされてまして、うっかりしたら来年の総裁選挙に出て来るんじゃないか位の勢いになって来てましたんで、これはどう見ても安倍ちゃんに対する内角高めの火の玉ストレートの牽制球ということですが、さてこの流れから安倍ちゃんの体調はどうなるかとか、唐突に出てきた捜査のバックはとか考えているうちにおそロシア脳になるので止めておきます。


〇財務長官イエレンではなかろうかとのWSJ報道(確報に非ず)

こちらは出ている分。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201124/k10012727861000.html
バイデン氏 閣僚人事を発表 国務長官に側近のブリンケン氏
2020年11月24日 5時28分

『アメリカ大統領選挙で勝利を宣言した民主党のバイデン氏は、23日、来年1月の政権発足に向けて外交・安全保障を担う閣僚と高官の6つのポストの人事を発表しました。それによりますと、
▽外交の要となる国務長官には、バイデン氏の長年の側近のブリンケン元国務副長官を、
▽テロ対策などにあたる国土安全保障長官には、キューバ系アメリカ人のマヨルカス元国土安全保障副長官を指名するということです。

また、
▽情報機関を統括する国家情報長官にはヘインズ元CIA副長官を、
▽国連大使には、黒人女性のトーマスグリーンフィールド元国務次官補を指名するとしています。

さらに、
▽国家安全保障問題を担当する大統領補佐官にはサリバン元副大統領補佐官を起用するほか、
▽気候変動の問題を安全保障上の緊急の課題と位置づけ、担当する大統領特使を新たに設けてケリー元国務長官を起用すると明らかにしました。

今回、発表された6人は、バイデン氏が副大統領だったオバマ政権の時に、いずれも外交・安全保障の要職に就いていた元高官たちです。』(上記URL先より、改行位置は引用者編集)

これはこれは懐かしい面々、といいたいですがFRBの地区連銀総裁の方は覚えてもホワイトハウスは中々覚えないアタクシなのでケリーくらいしか記憶にないという不見識によって評価は知らんがまあ順当なんでしょどうせ売電の事ですから。

でもってええい財務長官はまだか財務長官は、と思ってたらWSJの報道であって確報ではなさそうですし、当て馬の可能性もあるのですがイエレン先生のご尊名が登場。

https://jp.reuters.com/article/usa-election-biden-yellen-idJPKBN2832T7
2020年11月24日5:27 午前
By Reuters Staff

『[ワシントン 23日 ロイター] - 米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領が財務長官に連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長を起用すると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が23日、複数の関係筋の話として報じた。』(上記URL先より)

・・・・・・・・・ブレイナードじゃないのかよという感じですが、確報じゃないから当て馬を出してから本命が登場するパターンかも知れませんので良く分からんち会長ではありますけど、まあイエレンなら無難おぶ無難って感じでそれはそれでアリなんじゃネーノとは思ったでございます(個人の印象です)。

でもってブレイナードさんの方ですが、先週はこんなお題の講演をしていまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20201117a.htm
November 17, 2020
Strengthening Diversity and Inclusion in Economics
Governor Lael Brainard
At "Exploring Careers in Economics," Federal Reserve Board, Washington, D.C. (via webcast)

ダイバーシティとかインクルージョンとか、最近のテーマでもありますけれども、本当は中央銀行ってマクロ政策の調整とLLRと決済システムの堅牢な運営をするというのがお仕事で、あんまりこうダイバーシティだのインクルージョンだのを(自社内での人事政策とかの話なら兎も角として)マクロ政策の中に組み込むのってのも微妙な話で、むしろそれらに過度にフォーカスしてしまいますと、中央銀行によるミクロの資源配分を歪める可能性があり、だったらそういうのは選挙で選ばれた議会によって決められるべきもの、という感じはするんですが、まあパウエル議長のFRBになって「全てのアメリカンの皆様に経済の果実が行き渡るようにする」という話を前面にだしてきていまして、トランプがグチャグチャ五月蠅いのでそういう話をしているのかと当初は思っていたのですが、何か相変わらずこの話をしてくるんですよねFEDって。

と申しますのは、今般のロンガーゴール&ランストラテジーでは「労働市場の過熱が即座にインフレ圧力になる訳ではないという状況を踏まえて労働市場の過熱のみを見ての金融引き締めは行わない」というのを出していて、純粋に言えばフィリップスカーブのフラット化によって政策反応関数を物価重視にしている(何度も言いますがそれは雇用を軽視しているという訳ではない、あくまでも政策反応関数の意味)という話なんですが、そこの説明の際にも「オールアメリカンに恩恵が」という話をしたがるという仕様になっておりまして、妙にこの辺、インクルーシブとかダイバーシティとかの点にフォーカスを当てたがるんですよね。

でまあこれがブレイナードが主導しているのかどうかは分からんですけれども(むしろパウエルな気もする)、このお題を見ますともうブレイナードさんブルペンでやる気満々でウォーミングアップのピッチングをしておられる次第なのでございまして(^^)、はてさてイエレン財務長官の場合にブレイナードはどうするんでしょうかね、というのも見ものになって参りました。

ブレイナード財務長官ってのも痺れますが、ブレイナード議長は更に痺れそうだし、パウエルの後釜狙いとかになりそうで味わいの深いものが見れるかも知れませんね(個人の妄想です)。


〇各種ファシリティ延長せず問題はネタにするのが間に合わないうちにとりあえず手打ちですかそうですか

金曜にパウエル会見ネタ書いていた時間だかその後だかくらいにCARES Act絡みのファシリティの金返せ話が出たのか何だかで、詳報が出たのが相変わらずの米国市場の引け後だったと思うのですが、その時間に材料をぶっこんでくるのを得意技として何度も使いやがりまして、変な奇襲攻撃ヤメイと思うのですけどそれは兎も角。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mnuchin-idJPKBN27Z3AG
米財務省、FRB緊急融資プログラム延長せず 未使用資金の返却要請
2020年11月20日7:59 午前

『ムニューシン長官はパウエルFRB議長への書簡で、これらの資金の未使用分を財務省に返却するよう要請。返却された資金を議会が景気対策に回せるようにすべきとした。なお、緊急プログラムが「万が一」再び必要になった場合には、FRBは財務省に資金を要請できると説明。短期社債市場など主要な金融市場向けの一連の資金供給プログラムについては90日間の延長を認めた。』

『新型コロナの感染拡大が続き、失業者も増える中、FRB当局者は米経済がまだ危機を脱していないとして、緊急融資プログラムは延長すべきとの考えを示していた。』

『FRBは財務長官の発表を受け、19日の声明で「いまなお厳しい状況にある米経済を保護する重要な役割を果たすため、コロナ禍で構築された緊急ファシリティーがそのまま継続されることを望む」と表明。』(以上上記URL先より)

金曜の朝見た時には気が付かんかった(というか今でも見当たらないのだが(見落としてたらゴメン))ので一連の話が終わってからのただの備忘メモですが、


https://www.federalreserve.gov/foia/letter-from-chair-powell-to-secretary-mnuchin-20201120.htm
Letter from Chair Powell to Secretary Mnuchin regarding emergency lending facilities

PDFの方から引用します。
https://www.federalreserve.gov/foia/files/mnuchin-letter-20201120.pdf
November 20, 2020
Mr. Steven Mnuchin
Secretary of the Treasury
Department of the Treasury
1500 Pennsylvania Avenue, N.W.
Washington, D.C. 20220

『Dear Mr. Secretary,

Like you, I am pleased with all that we have accomplished together this year. We rapidly put in place emergency lending facilities to support state and local governments, small and medium-sized businesses, and large employers. These were novel and complex programs that required us to work productively together.』

「We rapidly put in place emergency lending facilities」って確かに構想は凄い勢いで出てきたが実際に予算通って云々までは時間があった気がするけどまあぶち上げたのは早かった。本当は先にこれを出してくれればゼロ金利まで下げなくてもエカッタんでネーノという思いはあるし、そのせいでゴルディロックスヒャッハーになっていったような気がするんだがまあやっちまったもんはシャーナイ。

『Our efforts helped to prevent severe disruptions in the financial system and unlocked trillions of dollars of private lending to households, businesses, and municipalities at a moment when the economy needed it most.』

ここの効果についても、財政出すというアナウンスなのか、バックストップなのか、はたまた利下げが効いたのか、というのが良く分からんけど効いた、という分析になりそうで、悪く言ってしまえばその時に都合の良い思い出話になってしまうのが懸念される所。つまりですね、先日やっとネタにしたパウエル会見でも出てきていましたが、APPというか国債とMBS買入について、「当初は市場機能改善効果を狙ったが市場機能が改善してくると今度は経済浮揚効果」みたいなごった煮説明になってきますと、そらまあ「何だか分からんけど上手く行ったように見えるのでヨシ!」ってやっておりますと、次回に何かが起きた時にまたぞろ何だか良く分からんので全部丸出しスキームで道具箱から政策を全部ぶっこんでいざ突撃!とかになってしまう訳ですよこれがまた。

いやまあ確かにこの政策はここに効くけどついでにこの辺に効く、みたいな話もわからんでもないのですけれども、政策割り当てというかティンバーゲンルールというかな話で、「この施策はこのような手段がこのように作用するので、その作用によってこの部分に効果がある」ときちんとレビューしておかないと、緩和政策というのは打ち込むのは拍手喝采で迎えられる(なおマイナス金利は別と言いたいのだが、あれも実務者サイドはふざけるなてめえ〇ね位の勢いでしたが、総じて何とかストみたいな人には賛嘆デールといった風情でしたからねえ)のですが、引くときにブーブーと言われるのが世の常だし、引くときに「まだ引いてなかったのかよ」と言われるまで待っているとどう見ても金融資産バブルの発生と崩壊です本当にありがとうございました、となるので引く方をデザインするのが難しい中、パウエルちゃんはコロナ収束に自信でもあるのか、APPをダブルミーニングにして抜けにくくしているのがお茶目。

・・・・・・と各種ファシリティの話をしていた筈なのに何か勝手にいつもの悪態に話が流れておりましたすいませんすいません。

『The CARES Act assigns the Treasury Secretary sole authority to make certain investments in Federal Reserve emergency lending facilities, subject to limits specified in the statute. You have indicated that the limits on your authority do not permit the CARES Act facilities to make new loans or purchase new assets after December 31, 2020, and you have requested that we return Treasury’s excess capital in the CARES Act facilities.』

でまあ今般はムニューシン財務長官が、「そもそもこの施策は年末までの措置となっていて、追加予算も特に議会で討議とかされている訳ではない(というか民主共和が全然折り合わない)のですから、そらもう当初予定通りに終了、と言っても貸した金は今返せとはならないので、その分で必要なエクイティは残しておいて、新規扱いを停止するから余ったエクイティを返還するように」と言い出した訳ですが、まあこれに関して表面的にはぐうの音も出ない筋論(正論かどうかはさて置く)なので結局折れざるを得なかったということですね。

『We will work out arrangements with you for returning the unused portions of the funds allocated to the CARES Act facilities in connection with their year-end termination.』

つーことで12月31日をもってCARES Act予算をもって発足したファシリティは終了ということですが、まあここで問題になるのは、たまたま出遅れまくって先週の金曜にネタにしておりましたが、パウエルの会見での説明では「このファシリティは設定水準がバジョット・ルールベースのレートになっていたりするので借入実績が少ないかも知れんが、このファシリティがあることによって最後のお助け措置があることによる安心感から貸出市場が落ち着い、結果として見せ金を積むことによってこうかはばつぐんだ、となりました(盛大な超意訳)」という説明をしている訳ですが、いつまでもあるとおもうな駆け込み寺、というそのラストリゾートが無くなってしまった場合、貸出含めてクレジット全体にどのような影響が出るのか(アタクシの霊感だと高格付けと担保カバーものは大丈夫そうな気がするが良く分からん)というのは要注意。

『As you noted in your letter, non-CARES Act funds remain in the Exchange Stabilization Fund and are, as always, available, to the extent permitted by law, to capitalize any Federal Reserve lending facilities that are needed to maintain financial stability and support the economy.

Sincerely(最後はパウエルのサイン)』

ということでコロナ特別予算関連と直リンしていない方は継続するとの事。


・・・・・・でまあ何ですな、これ「臨時法上の期限が来たので使い残しは返還」というその単体だけ見ると正論ちゃあ正論だし、このCARES Act絡みもうっかりダラダラ継続すると震災手形状態になりかねないものだからいったん打ち切りは、より長い目でみたら良かったんじゃネーノという気もするのですが、何せ最近のトランプ政権はイタチの最後っ屁というか、旅の恥は掻き捨て状態になって安保関連とかそこら中に戦闘機の売却契約はして回るような感じで、転封された大名が次の大名への嫌がらせで今年の年貢を早期徴収するような風情が漂っております(個人の感想です)ので、ただのイヤガラセでこれをぶっこんできた感があって何だかなーって感じもします。

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2I63LS
2020年11月21日1:59 午前
中小企業に必要なのは補助金 米長官、コロナ支援停止に理解求め

『[ワシントン 20日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は20日、新型コロナウイルス禍で中小企業が必要としているのは融資ではなく返済義務のない補助金だと述べ、コロナ向け緊急支援プログラムの一部打ち切りに理解を求めた。CNBCに対し、緊急支援を年末に終了することが当初からの議会の方針だったとした上で、未使用資金の再分配を議会に求めると語った。連邦準備理事会(FRB)や財務省には経済の下支えに向け多くの手段が残されていると強調。為替介入などに利用される為替安定化基金(ESF)の活用も可能で、FRBの残りの支援策も合わせると、規模は8000億ドル超と「かなりのバズーカ(刺激策)になる」と述べた。』(上記URL先より)

って何ちゅうか金を即座に引き上げて使うんじゃないか位の言い方に見えるし・・・・・・・・

まあ最後にこれだけ往生際の悪い政権というのも珍しいんとチャイマスカね。


〇ということでまた予告編になってしまった(備忘用)

しかもこれまた虫干しネタェ・・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/clarida20201116a.htm
November 16, 2020

The Federal Reserve's New Framework: Context and Consequences
Vice Chair Richard H. Clarida
At the "The Economy and Monetary Policy" event hosted by the Hutchins Center on Fiscal and Monetary Policy at the Brookings Institution, Washington, D.C. (via webcast)

クラリダだけにまとまりが一番良さそうな気がするのでここを成敗するつもりでいたら時間がががが。






2020/11/20

お題「11月FOMCのパウエル会見成敗の続き(すいません)」

状況が悪化してくると急に目立ってくるのは損害担当艦のお仕事なので仕方ない。
https://www.asahi.com/articles/ASNCM755SNCMUTFK017.html
今後の感染者数は「神のみぞ知る…」 西村担当相が発言
新型コロナウイルス
山本知弘
2020年11月19日 21時51分

担当大臣が他人事発言をする、というのは新手の弁慶仁王立ちスキームではないか、という気がするのだがこのポンコツ(ポンコツなのに何故かドヤ顔なのが更にポンコツ感を強くするという芸術点の高いポンコツ大臣)の発言一々覚えていないし、何回轟沈しても軽巡洋艦西村は何故か戻って来る不死身の艦船なのでそれはそれで謎の才能はあると思う(褒めてない)。

いやまあ確かに神の味噌汁なのはその通りなんだが、天命を待って良いのは人事を尽くした人であって、人事を尽くさなかった人は天誅を待つしかない、と大学受験の頃に口を酸っぱくして言われた、という昭和の記憶が今蘇るアタクシなのでした。

#足元の急拡大はIOCのアレ対応で調整(爆発音と共に通信が途絶える)


〇今更ネタの続きですがあとはサラサラとFOMC議事要旨

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20201105.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
November 5, 2020

昨日は流れるような質問のバトンタッチ(あの3人事前に打ち合わせしてたんじゃネーノと言いたくなる見事な追い詰め方でした)を鑑賞して、追い詰めた挙句にゴルディロックスヒャッハーという感じでしたが、その後はまあ普通に単発で各種の論点に入るという感じになっておりました。

でもってまあ幾つか論点はあるのですが、とりあえず現世利益的には追加緩和に関する質疑を見ておきましょってなもんでその辺りから参ります。


・追加緩和のトリガーは何ですかやっぱり追加財政出ない事ですか、という直球質問に対して

引き続き今FEDのページを見に行くとPRELIMINARYバージョンなのでページ数とかはFINALになった時に若干動く可能性(今回「マイクが切れてる」みたいなのが何回かあるので)がありますので念のため申し添えますが14ページの質疑まで飛びます。

『EDWARD LAWRENCE. Thank you, Mr. Chairman, for taking the question. So what would cause the Federal Reserve to shift more of its asset purchases towards the long-term securities and Treasuries and change the amount of spending there also? And as a second point onto that, you know, would -- if there's no fiscal stimulus package, would that then trigger buying of more long-term assets or change the asset purchases?』

フォックスビジネスのエドワードさんからの質問ですが、追加の長期国債などの資産買入のトリガーは何ぞや、とかド直球質問が来ておりますし、おまけに追加財政が来なかったらどうするねんとかこれはまた直球。

『CHAIR POWELL. So I don't really have a specific hypothetical I would put to you. I would just say that we understand that there are a number of parameters that we have where we can shift the composition, the duration, you know, the size, the life cycle of the program.』

正面切って直球を投げられると「そうです」ともいえないので「総合的に判断」となるわな。

『All of those things are available to us as ways to deliver addition -- you know, more accommodation if we think that's appropriate. Right now, we like the amount of accommodation the program is delivering. And it will just depend on the facts and circumstances. We may reach a view at some point that we need to do more on that front.』

色々とゆうとるが要は「総合的に判断」をいろんな言い方をしてるだけに過ぎんのだがこの次がちょっとチャーミング。

『Today's meeting was about analyzing the -- one of the things it was about was about analyzing the various ways and having a, you know, good discussion about how to think about those various parameters, which I thought was quite a useful discussion.』

今回のFOMCって1回パスだろという感じではあるのですが、ここではしらっと「経済物価情勢の色々なパラメーターをどのように見ていくかという色々な考え方について良いディスカッションをした」とか妙に含みを持たせた言い方に見える(個人の感想です)のでして、まあただの1回パス会合の割には会見での説明はハトっぽいし、一方で(もう2週間前の話で恐縮ですが)声明文自体では追加の金融緩和とかそういう話に関しては物凄いあっさり味というか、むしろあんまりやる気も無さそうな書き方に見えた(個人の感想です)という所ではあったのですよ。

パウエルFRBになってから時々やってくれるのですけれども、「声明文と会見で両建てをする」とまで言ってしまうとちと言い過ぎかも知れませんが、まあそうやってタカハトのバランスを謎に取るというプレイが出てくるときって、これまでの傾向からすると、会見でのオーラルなのが大体パウエルの本音の方に近くて、声明文では地区連銀総裁の方面から異論がジャンジャン出てて纏め切れなかった的な感じかなーとか勝手に自分の中では整理しております。

ということで、まあパウエルさん的には(どうせ物価も上がらんじゃろうから)追加緩和するかどうかは兎も角としても、APPも続けた方が良いし、別に緩和が長期化しても大丈夫じゃネーノとは思っているんでしょうなあとか勝手に妄想をしております(個人の妄想です)。ただまあ一方で最近はブラード辺りまで「too low, too long」での金融不均衡ネタを突っ込んだりしているので、地区連銀総裁方面からは、その辺の過熱に関しては水をぶっかけつつやって行かんとマズかろう的な見解(ハトハト総裁もいるので一枚岩ではないですけど)が多めなのかね、とだいたいそんな感じで考えておりますがあくまでも個人の妄想なので間違ってたらゴメンよ。


・金融政策手段はもうカンバンなのではないかというツッコミ

11ページに戻ります(というか今の前の質疑ですが)。

『DAVID GURA. IMF Chief Economist Gita Gopinath wrote a piece this week in which she said, unequivocally, we're in a global liquidity trap and talked about the limits of monetary policy right now.』

ということでグローバルに流動性トラップに入っていて金融政策の限界が出てきている、というIMFのチーフエコノミストの何と読んで良いのか良く分からん人の話(というか書き物か)がネタに来る。以下そのお方の説明を敷衍しているので無駄に質問が長いが丁度良いので引用する。

『She said, fiscal policy will need to be the main game in town. And it's been a busy week. I don't know if you were able to pick up the pink paper and read that piece, but she does say 97 percent of advanced economies have rates below 1 percent.』

先進国の金利(というか国債っすよねこれ)の97%は1%以下の金利水準という中で追加的な金融政策の効果に限界が、という話になっていて、いやこういうのが堂々と言われるようになってくる、というとまさに麿の仰せの通りじゃんとは思うのですが、そう考えるとあの時に麿がもうちょっと財政の効用について話をしたらどういう世界になったのかな、とは思うのですが、たぶんあの時代だと元よりガバガバの本邦財政で、他の先進国は今にして思えばド健全なのにああだこうだ言われていた訳なので、そこで今の論調みたいなことを麿が言い出すとジンバブエは大袈裟だけど、そっち系のハレーション起こるリスクがあったから無理だったかなあ、などと思うのですけど。

『And I just wonder if you'd agree with her in principle, that we are in a global liquidity trap and what the consequences of that would be. We've talked a lot about fiscal policy here domestically, and she talks about the need for sort of a global cohesive approach to fiscal policy.(後半割愛)』

後半はパンデミックの話なので割愛しますが、質問はFEDの皆さんが金融政策じゃなくて財政政策って仰せなのは流動性トラップに陥っていて金融政策が限界に来ているって事でしょオラオラオラ、とかまあそんな質問な訳ですな。昨日ネタにした部分でもその話題あったけど、あっちではハト派的な回答を引き出すための撒き餌みたいな感じでしたがこっちは正面攻撃。

『CHAIR POWELL. Okay. Thanks. So two questions. First, I take the sense of your first question to be is monetary policy out of power or out of ammo, and the answer to that would be no, I don't think that. I think -- I think that we are strongly committed to using these powerful tools that we have to support the economy during this difficult time for as long as needed, and no one should have any doubt about that.』

ammoってのは手元のデイリーコンサイス英和辞典によりますとammunition(弾薬、攻撃手段)のスラングだそうでして、つまりは弾薬切れではない、という説明なのですが、PRELIMINARYバージョンの場合ってほぼ書き起こしのまんまという感じになっていまして、何ちゅうかこの言い方ってとにかく頑張って否定してます感があって却って限界を意識しちゃいますよね。

『And we do not doubt the power of the things that we've already done or the things that we may do in the future. I do think there's more that can be done.I also think if you look at the stock of assets that we've bought, if you look at the facilities and the way we've been able to keep accommodated financial -- financial conditions accommodative, I think we've been able to do a lot of things that are providing very strong support for the economy.』

こんなに強調するのはアレという事ですが、何気にここで言ってるのってAPPの積み増し以外は「ストック効果もありますよ」だったりして、やっぱり追加手段はAPPの積み増し位しかない(貸出ファシリティはCARES Actの賜物なのでFEDの一存でどうこうというわけにはいかない)という事だし、マイナス金利の話ってのもすっかり無くなったし、というのは味わいがある。

『And we're going to -- we're going to keep at that. I've said -- we've said from the very beginning, though, that this particular -- this particular situation we find ourselves in is one where there is a sudden loss of income on the part of millions and tens of millions of people. It's not so much a typical recession where demand weakens, the Fed cuts interest rates, interest rates stimulate demand, and the economy recovers. It's a sudden shock where tens of millions of people are out of work. And the fiscal response was frankly, I think, very good and very robust in the United States. And it's certainly one of the main reasons why the recovery has been as good as it's been so far. So I do think fiscal policy is absolutely essential here. You know, stimulating aggregate demand is one thing. But where there's a part of the economy that kind of will be resistant to that, you also need fiscal policy. And, of course, you need healthcare policy too.(以下延々と続くが割愛)』

でですね、ここの説明見てても分かると思いますが、この質問に対する説明がなんかこう変に力こぶが入っているのか何だか知らんけど、妙に「--」が多いですし、ああでもないこうでもない言い過ぎでして、いやこの金融政策限界論に関しては質問飛ぶだろうから用意していると思うのに、妙にここの説明がアレ(IMFのひととか、後半のパンデミック絡みはラガルド発言を引っ張って来たのが予想外なのか??)ですし、しかもパウエルの回答ですが、上記引用した最後の「And, of course,」以下はパンデミック再拡大に対する対応の話になるのですが、最初に「So two questions. First,〜」って始めているのに、話がそのまま2番目の回答になだれ込んでいて、どこで切ったらいいのかこっちが困るという説明になっているのナンデジャロとは思いますです。



でもって話はワープして20ページでこのネタが蒸し返されます。

『HEATHER SCOTT. Heather Scott this time, right? Thank you, Chair Powell, for taking the question. You say that you're-that you're not out of ammo. So I'm wondering, then, what is the next tool to expect to be able to roll out? Would you consider some sort of credit program for state and local businesses, state and local governments that are facing real budgetary pressures?』

弾薬は切れてないと仰せですが次の手段はなんですかね?今後財務的に厳しくなるであろう企業や地方政府や政府に対して何かクレジットプログラムとかお考えですか?と来ました。

『CHAIR POWELL. So when I say we're not out of ammo, I'm looking at, you know, a couple of our tools mainly.』

ほうほう2つのツールとは?

『As I mentioned, the asset purchase program, there's a number of dimensions in which we can adjust that if we deem it to be appropriate. Right now, we like the job it's doing. We could, you know, if the facilities are extended, we could certainly look at new facilities.』

APPと(貸出)ファシリティが延長されたときに新たに対応することです、と来ましたが、その先で説明している通り、そもそも貸出ファシリティに関しては予算を付けるのは議会で、議会が動かない中FEDが一存でエクイティ部分までぶっこむとかできませんので、結局のところは普通にトレジャリーとMBSの買入延長とか拡大とか(合わせ技でも良いですけど)しか無いですな、というお話なのでした。

『If-you know, if things deteriorate, that would be the case where you'd want to maybe continue the facilities and maybe change them and maybe have new ones. Who knows? But certainly the facilities have been doing a lot of work and been very successful I think overall in accomplishing that job. So I do think that there are things that we can do.』

と言ってますが結局の所・・・・・・・・

『But, remember, we've always said this will take a whole of government approach including healthcare policy and fiscal policy too. So it really is-if you want to get the economy back as quickly as possible to where we want it to be, then, really, it should be all of government working together.』

でもってその「it should be all of government working together」のうちファシリティに関しては予算がつかんとどうにもこうにもなので、結局の所予算次第という話になります。


・その他の話はパスしますがちょっとだけオモロイのでこれを(見せ金効果の話)

上記の質疑のフォローアップということでこんなツッコミが。

『HEATHER SCOTT. If I could just follow up on that quickly. I mean, you spoke about the small business program. But that has only reached 400-there's only been 400 loans. When you say the programs are effective, do you not think there's more that can be done with another type of program or another redesign for small businesses or for the state and local governments?』

ってツッコミでして、スモールビジネス向けローンファシリティとか言っても結局400件しか出てないとかどういう事やというツッコミがあったりしまして、そもそもファシリティ自体がバックストップ扱いのバジョット・ルールレートになっているせいだとは思いますが、ただの見せ金ではないかというツッコミが来ているのに対して、見せ金でもこうかはばつぐんだという答えを鑑賞しませう。ちと長いのでアレだが。

『CHAIR POWELL. Yes. There's a bunch of programs. I would say that the-you know, the corporate, the larger corporate market-based lending program has been very successful without making a single loan. I think unambiguously has been a big success. I think the success-I think the state and local government program has also restored market function so that whereas, you know, there were the sort of individual investors who wind up funding loans in the muni market through mutual funds, they had withdrawn a lot of money and that we've had many weeks consecutively I believe of inflows there, and you're largely back to a normal functioning market.』

単純文字起こしだから仕方ないけど文章が長くて切り所に困りますな。まあ要するに「バックストップがあるから市場機能が回復して、ローン市場でちゃんと調達できるような金融環境になったからこうかはばつぐんだ」という答えでして、見せ金でもこうかはばつぐんだ、という事ですわな。

『I think that's also been a success. I think the other-certainly the funding market programs have been a big success. The Main Street is just-is just a bigger challenge than all of them. Reaching out to small and medium-sized businesses through the banking system which we had to do is quite challenging.』

『I do think, you know, the grant programs, the PPP were a great way to reach smaller companies. You know, what you hear out there is that demand-you talk to banks and they'll say demand for loans is very, very low right now. Companies are not borrowing, and the reason is that, you know, activity's at a relatively low level. They don't want to run up their debt. You know, so I-we put an awful lot into Main Street, and it is very challenging to reach a lot of those companies. But, you know, I think we are reaching many of them now. And I hope that the new changes will help us reach more.』

ああでもないこうでもないと説明していますが、要するにバックストップを作ったのが呼び水になって貸出市場などが息を吹き返して銀行の貸出態度もタイトさが減少して中小企業も含めて借入にリーチできるようになったのでこうかはばつぐんだ、という話をしておりまして、何でも額を出して目立とうとする挙句にクレジットスプレッドというものを潰しまくってしまうどこぞの国の政策当局は爪の垢を煎じて1万回くらい飲んで頂きたいものでございます。

あとちなみに(実は質疑応答の中でもあったのですが)この「the new changes」は貸出ファシリティにおけるミニマムロットの引き下げだった筈で、まあそうは言ってもより緩和的にしようというのもある、ということではありますな、うんうん。

ということで無茶苦茶遅くなりましたが11月FOMCネタの成敗はこれまでとしとうございますが、遅くて本当にすいませんすいません(ジャンピング土下座)。






2020/11/19

お題「今更ジローのFOMC会見ネタ」

出たな民間の努力に期待攻撃
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201118/1000056374.html
都「強い危機感を」493人感染
11月18日 22時01分

『都内で一日に確認される人数としては、ことし8月1日の472人を上回ってこれまでで最も多くなり、都の担当者は「強い危機感を持たなければならない」としています。』(上記URL先より)

まるで下々の者どもがこれまで危機感を持っていなかったかのような言い方ですが、ナントカ制限とかしないんだったら医療受け入れ態勢を強化しろよ新しい施設を政府や都が突貫工事で作ったとかそういう話が全然聞こえてこないんだが。

・・・・・・という訳で、まあ汝人民コロナで(自主規制)ってことらしいので、この寒暖差など体調を崩しやすいトラップが続きますが地雷を踏まないように注意するしかありませんな(溜息)。

#たぶんね、安倍ちゃんが色々と右往左往して支持下げたのを見て(銃声)


〇何を今さら2週間前でございますがFOMCレビューの続きで会見ネタでございます

よし!まだPRELIMINARY版だな!!!!
(あんまり基準が良く分かっていないが、どうもミニッツが出るころになるとFINAL版に差し替わっているような希ガス)

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20201105.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
November 5, 2020

・冒頭説明では政策の切り分けが出来ているのですけどねえ・・・・・・・・・

てなわけで本来はせめて先週に投下すべきところを、展望レポートだの謎のプルーデンス政策だの金懇2連発だのですっかりすっ飛ばして(大体からしてFSRもすっ飛ばしているのですが、あれはフォント使いのマジックがあって下準備がムズい)おりましたし、その間にブレイナードやらクラリダやらの講演はぶっこまれているのでサクサクと参りたいと思います。

ということでオープニングステートメントの方ですが、こちらについては11月FOMCが元々大統領選挙直後に打ち込まれているだけの事はあって、政策に直結するネタに関しては「1回パス」の様相を呈しているので特に新たな情報は無かったんじゃなかろうか、と斯様思うのでありまする(その日にネタにしたSEPの経済物価見通しのファンチャート化&全文同時公表は新しい情報ですけれどもあれ自体に政策インプリケーションは無い)。

でまあ一応この先で伏線を回収しに参りますので伏線を張りに行きますが、途中で言ってる中でコロナ対策としてぶっこんでいる政策に関する説明がありますので念のため確認(伏線張り)。本文4ページになります。

『The Federal Reserve has also been taking broad and forceful actions to more directly support the flow of credit in the economy for households, for businesses large and small, and for state and local governments. Preserving the flow of credit is essential for mitigating damage to the economy and promoting a robust recovery. Many of our programs rely on emergency lending powers that require the support of the Treasury Department and are available only in very unusual circumstances, such as those we find ourselves in today.』

その前の部分が金利政策とAPPの話でして、ここからコロナ対策ファシリティに関する説明になります。

『These programs serve as a backstop to key credit markets and have helped to restore the flow of credit from private lenders through normal channels. We have deployed these lending powers to an unprecedented extent, enabled in large part by financial backing and support from Congress and the Treasury. When the time comes, after the crisis has passed, we will put these emergency tools back in the toolbox.』

これらのプログラムは議会によって決定された予算に基づくもので、バックストップとして機能するものですが、コロナ危機が終わり、適切な時期が来たら(なのでコロナが終わった宣言と共に引くか、というと引かないような言い方になっているのがハト)これらの緊急措置はツールボックスに戻しますよと。

『As I have emphasized before, these are lending powers, not spending powers. The Fed cannot grant money to particular beneficiaries. We can only create programs or facilities with broad-based eligibility to make loans to solvent entities with the expectation that the loans will be repaid. Many borrowers are benefiting from these programs, as is the overall economy. But for many others, getting a loan that may be difficult to repay may not be the answer. In these cases, direct fiscal support may be needed. Elected officials have the power to tax and spend and to make decisions about where we, as a society, should direct our collective resources. The fiscal policy actions that have been taken thus far have made a critical difference to families, businesses, and communities across the country.』

この辺りも従来通りの話ではありますが、「Elected officials have the power to tax and spend and to make decisions about where we, as a society, should direct our collective resources.」と明確に説明している訳でして、CP辺りなら兎も角、社債とかETFとかを嬉々として買いまくっておられるどこぞの中央銀行におかれましてはおうてめえ何考えてるんだよという話。あと話がワープしちゃいますけれども、「中銀が赤字になってなんか問題でも?」というと確かにそれ単体が問題視する必要も無いとは思うのですが、その間に中央銀行がFEDの言う「lending powers, not spending powers」の枠を盛大に逸脱している場合には、本来財政資金というのはその使用使途規模について議会の議決が必要なのに中央銀行が潜脱行為をしております、って事になると話がヤヤコシヤになると思うので、まあ日銀もシャシャリ出るのは程々にして欲しいんですが、なんかこう小芝居が好きなのか直ぐにホイホイと表に出たがるのが黒田体制の先行き懸念っすな。

と全然関係ない話をしていますが続き、

『Even so, the current economic downturn is the most severe in our lifetimes. It will take a while to get back to the levels of economic activity and employment that prevailed at the beginning of this year, and it may take continued support from both monetary and fiscal policy to achieve that.』

ということでパンデミック何とかファシリティを含め財政よろしゅうにという感じで、こっちの弾はカンバンだぜ!とは死んでも言わないのが中央銀行の仕様ですけれども、まあゆうてAPPでお茶を濁す以外の弾薬は普通にカンバンですからねえ。

ってこれはまあ一応引用したまでではありますが、後でAPPに関する質疑の方では「ん?」という説明が出てくるので政策割り当てに関する前振りとして引用した次第です。ではQ&A。


・足もとでの景気回復の鈍化は別に予想外の事ではないと最初は威勢が良い

今回はモデレーターやっている方(MICHELLE SMITHさん)が質問者を召喚する部分もQAに記載されていますがミシェルさんの御指名部分は飛ばしますw

『RACHAEL SIEGEL. Hi, Chair Powell. It's Rachel Siegel from the Washington Post. Thanks very much for taking my question. I'm wondering if you can speak specifically about what indicators you're seeing that suggest the pace of improvement has moderated, including in the labor market, and how correlated those indicators are to the recent rise in COVID cases that we've seen going into flu season. Thank you』

WPの方ですが新顔な気がします。栄誉ある(かどうか知らんが)一番槍の質問は、「総合的に判断するみたいな話は分かるんだが、何の経済指標をもって経済の改善ペース、例えば労働市場のそれが遅くなったとかそういうのを見てるんですか、それとこれからインフルのシーズンになるけど足元のコロナ拡大と改善ペースの鈍化との関係は?」ということで。

『CHAIR POWELL. Sure. So, of course, let's start with February. In February, we had an economy that was performing well. Then the pandemic hit, and we had a record decline in activity in March and April. And then we had a record bounce back in May and June. And so as I think would have been expected and was expected, the pace of improvement from May and June has now moderated, so it's not unexpected.』

2月から話が始まっとるが、3月4月に盛大に経済が落ちて、5月6月に盛大に戻って、5月6月の勢いが続かない、というところまでは別に不測の事態という訳ではありませんと。

『And I think if you look at just about anything, you know, for example, the payroll readings, the payroll job gains in May and June were just outsized. And they're certainly still very large, but they've -- but the pace of improvement has moderated. That's the case for all different measures in the labor force -- in the labor market, rather.』

『Another would be claims. Just about all the data, we're showed a big bounce back. But then as you would expect, when you sort of had people -- a lot of people go back to work at once, the pace will moderate.』

労働市場の指標の話としては最初に雇用者数が来て、次に失業保険申請が来てますな。

『Same thing with economic activity. Most forecasts call for, you know, still a significant growth in the fourth quarter but not at the 33 percent annualized pace that we had in the third quarter. So, in a sense, that would be -- that would be as expected.』

『We have been concerned that the downside risks, though, are prevalent now, which are -- which are really the risk of the further spread of the disease and also the risk that households will run through the savings they've managed to accumulate on their balance sheet and that that could weigh on activity. But what we see up to the present really is continued growth, continued expansion but at a gradually moderating pace.』

てな訳で、経済活動についても然り、とか話をしていますが、足元の経済回復ペースの減速については特段驚くことではない、という説明をして、最後にコロナがリスクという話をしていて、その中ではコロナの拡大が家計の防衛的行動を招いて消費の低迷を招く、という話をしていますが、イマイチ質問と回答がかみ合っていない気がしますな。


・とにかく追加財政クレクレ攻撃という状態ですなパウエルFRBは

次の質問はいつもの人になります。ミシェルさん記者を愛称(というのか)で召喚してますので引用。

『MICHELLE SMITH. Thank you. Marty Crutsinger, Associated Press.』

『MARTIN CRUTSINGER. Thank you. Could you talk a little bit about where you think the stimulus package that is being debated in Congress is and how severe a threat that could be to the economy if it does not get passed, say, before January.』

次の大統領が正式就任するまで延々と追加財政で揉めてた時のリスクは如何に?と来ました。

『CHAIR POWELL. So it is -- obviously, it's for Congress to decide the timing size and components of further fiscal support for the economy, and I will say that the support provided by the CARES Act was absolutely essential in supporting the recovery that we've seen so far, which has generally exceeded expectations. And I do think it's likely that further support is likely to be needed for monetary policy.』

質問の件については時期と規模によりけり、で逃げているというかそれしか答えようがないのでしょうが、そこから先はCARESActによる政策が効果がありましたの連呼で、連呼しながら議会を|д゚)チラッって感じでございますな。

『And fiscal policy, I just mentioned the two risks that I think we face, and those would be well-addressed through more fiscal policy. One is the further spread of the virus, and the other is the lapsing of the CARES Act benefits and the savings on people's balance sheets that will dwindle. But I -- you know, I think it's appropriate for us not to try to prescribe for Congress exactly what they should do or what the timing of it should be or what the size of it should be and leave it at that. 』

でもってこれまでは適切でしたが今後も適切な財政を出さないとヤバいという話をしておりまして、しかもそれが適切に出てこないのがリスクとまで仰せです。


・追加政策がカンバンなのかとの追及が来るのですが聞き方がエレガント

次の人はさっそくフォローアップ質問。

『NICK TIMIRAOS. Thanks, Chair Powell. Nick Timiraos at the Wall Street Journal. To follow on Marty's question, you really have been saying since April that more is needed on the fiscal policy front, and yet we don't seem to be that much closer than we were in the spring or the summer to additional spending.』

マーティーのフォロー質問だが、と早速来るのが素敵。

『Two questions: Would the lack of fiscal support compel the Fed to provide additional accommodation, and are you and your colleagues being more vocal about the need for fiscal support because the capacity for monetary policy to support growth is diminished here, given the low level of short- and long-term rates. Thank you』

じゃあ追加財政無かったらFEDは追加緩和するの?ああそれからパウエルさんもFEDの皆さんも何か財政財政と最近はより盛大に連呼してるけど、その背景って言うのは、今の長短金利水準が既にクッソ低くなっているので、これ以上の追加金融緩和の効果がもう少なくなっているから、って話なんですかねえ??とは中々エレガントな聞き方。

これがオットーがカンバンですかとか聞くと、予備燃料を使い切っていたとしてもまだありますとか言い出してしまうので、金利水準が大きく下がっている中で、と手段ではなくて効果の方で聞いてくるのは実にエレガントで、さすがWSJの古タヌじゃなかったベテランの味わい。

でもってご回答。だが最初の方は読み飛ばして構わんと思う。

『CHAIR POWELL. So on your first question, you know, we'll take into account all external factors and do what we think we need to do with the tools that we have to pursue our goals. That's what we will do. And I've said it on a couple of occasions that that will go better and move more quickly if we have a broad set of policies from across the government. And we've said this in the very beginning. It's really first and foremost healthcare policy, getting the -- getting the spread of the virus under control and working on therapeutics and vaccines and that kind of thing, getting -- so those are absolutely critical to the economy. Those are important as well as health policies, they're going to be critical to the economy.』

この辺りまでは読み飛ばして構わんと思った(要は公衆衛生政策とかとの絡みの話なので当たり前の話しかしていない)。

『Fiscal policy can do what we can, which is to replace lost incomes for people who are out of work through no fault of their own. And then what we can do is we can obviously support financial stability through our lending programs, and we can support demand through interest rates and asset purchases and that sort of thing.』

財政が色々とやる間にワシらは貸出プログラムや、金利や資産買入やその他もろもろの施策で金融の安定を図ります、と来まして・・・・・・・

『So we're going to take the economy as it comes, including all external factors. So I think all of us lived through the experience of the -- of the years after the global financial crisis. And for a number of years, there in the middle of the recovery, fiscal policy was pretty tight. And I think I just would say that I think we'll have a stronger recovery if we can just get at least some more fiscal support when it's appropriate, you know, when it's appropriate and the size Congress thinks it's appropriate. I do think that that will likely -- and, by the way, you see, you know, a lot of discussion on both sides of the aisle, on both sides of the Hill that suggests generally that there will be something.』

何故かここでリーマンショック時との比較になっていますが、リーマン後の財政政策は寧ろタイト気味に推移していましたが、あのように経済は回復できたわけで、一方で今回は議会が財政支出を適切に行っておりますのでそらもう回復いけまっせ、みたいな話になりまして、追加緩和の話と、金利水準が下がりきっている件についてはスルリと逃げようとしている感がありますが・・・・・・・


・流れるような質問のバトンタッチが面白い

さてこのように回答させておいて次の質問にバトンが渡るの図になっているのが秀逸。

『STEVE LIESMAN. Thank you. Mr. Chairman, also to follow up on sort of what Nick was talking about, two questions about quantitative easing. The first is, if the market is functioning better as you and other Fed officials have said, and QE right now is designed for smooth market functioning, why haven't you reduced QE that you're doing if the market is functioning better already? The second question I have is, what good for the broader economy would additional QE do at this point, given that interest rates are already low and don't seem to be rising even above 1 percent? Thank you.』

罠に追い込んで狩るみたいな感じですが、ここでQEについての質問を2つぶっこんできて、一つが市場安定のためにQEやったんだったら既に市場安定してるんだから引くもんじゃないの??とぶっこみつつ、長期金利が1%以下とかいう水準の中では追加緩和するならQEですよねえ、とか良い感じで追加QE方面に追い詰めて参りました。


『CHAIR POWELL. So on the first -- the first question, it's -- our asset purchases are serving both purchases, both -- sorry, both purposes, financial market function and support for economic activity.』

あー言っちゃいましたね〜って感じですが、国債買入は市場機能回復の効果と共に、経済活動のサポートにも機能している、ということで、政策割り当ての観点からするとこれはやっちまった感のある発言で、こういう一つの政策に何でもかんでもぶっこんでしまうと、いったん入れた政策が引くに引けなくなって、ひたすら昭和の温泉旅館化していく、というのがどこぞの国にあったと思うのですが、まあそうなるリスクのある整理になっているわなーと思います。

『So -- and that's really been true -- I think in the very beginning of the crisis, the main focus was, obviously, financial market function, particularly in, you know, some of the major markets. But after that period we've understood all along that our purchases are also supporting economic activity, and that's important. And that need hasn't dwindled at all.』

理屈としてAPPが市場機能回復の後に経済サポートになる、というのはそうなのですが、今申し上げたようにその理屈を振り回しだすのは政策が止められなくなる&政策効果の検証ができなくなるという点で将来に禍根を残すと思います(個人の感想です)。

『So we haven't looked at reducing purchases. So in terms of what they can do, first I would just say the purchases that we have in place are providing strong support to economic activity still.』

減らす気が無い、というのであればもうちょっと別の屁理屈があったかと思うのよね。ダウンサイドリスクのあるうちは再度市場機能が低下する可能性があり、そうなると修復に多大なコストがかかるからコロナのうちはAPPをそう簡単には減らせません、とかにしておいた方が良かったと思うんだが言ってしまったもんはシャーナイし、そらまあ会見後ハト的という評価になるわな。声明文ではそんな話になってなかったのに。

『And, by the way, they're sustaining the gains we've made in financial stability. You know, we don't -- we don't take anything for granted. We don't expect that things will deteriorate. But, nonetheless, we have a habit of keeping things in place for a while. So we're not taking our gains in financial market function for granted, although admittedly they've been very large. So the asset purchases are just another very important piece of the accommodative policy stance that we have.』

資産買入は政策スタンスの一つの重要なピースってのもどこかの中銀の「全体として効果を発揮している」に繋がるアレ理屈。

『And, you know, as you know, these, we're buying 120 billion a month. That's 1.44 trillion, if I remember my times tables. And it's just providing a lot of support for economic activity and, by the way,removing just about the same amount of duration risk from private hands as QE3 did. So this is a big program, and it's doing a lot of good. And we also -- today, you know, we had a full discussion of the options around quantitative ease -- not quantitative easing, the asset purchase program and, you know, we understand the ways in which we can adjust the parameters of it to deliver more accommodation if it turns out to be appropriate. Right now, we think that this very large effective program is delivering about the right amount of accommodation and support for the markets, and so it continues.』

ということで、まあこう言えばそらゴルディロックスヒャッハーだわ、というわけなのですが、そんな大事なネタなら何でさっさと書かないとか言われると泣きながら土下座するしかないので勘弁してちょ。

とまあ本日はこの辺で。






2020/11/18

お題「政井審議委員金懇会見はところどころにオモロイ部分がありました(がクソ長い)」

昨日は半分ギャグの積りだったのですが・・・・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201117/k10012716761000.html
安倍前首相 豪首相と会談 安全保障分野の連携強化で一致
2020年11月17日 15時58分

安倍ちゃんこれは来年の自民党総裁選にマジで出てくるのか、はたまた山縣有朋ポジション狙い(長州なだけに)なのか・・・・・・・

〇政井審議委員会見は一つ一つの応答がクソ長いので中々引用に困りましたです(汗)

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201117a.pdf
政井審議委員記者会見要旨
―― 2020年 11月16日(月)
午後4時00分から約30分(釧路市・帯広市・東京間オンライン開催)

ちょっと面白かったの今回「道東」って銘打っているのでもしかして、と思ったら釧路と帯広で同時開催をしたのですね。北海道広いですからこういうのもアリということなんですね。

・最初の質疑だけで何と2ページ半なのですが日本紙さんの部分だけ引用しておく。

最初の質問は幹事社がすると思うのですが、この様子がいつもと違っていましてですね、

『(問) まず、本日の懇談会の模様について教えてください。次に、本日の懇談会を踏まえて、道東地域の経済情勢について、どの様な見解をお持ちか、お聞かせください。』

ここまではまあいつもの質問。その続きにこういう質問がありまして、ご当地経済問題ではありますが(そういや昨日引用するときに最後のESGとDXとご当地経済の部分を全部割愛しました、って書くの忘れてた希ガス)、こういう特定事案を一発目の質問にぶっこんで来るのは珍しいので(北海道新聞さんかしら?)引用しますよ。

『そして、釧路の基幹産業の一つである紙・パルプ事業を担ってきた日本製紙釧路工場が事業を撤退すると発表しました。懇談会でそれに対してどの様な意見や要望が出たのかお聞きしたいのと、こうした街の中核的企業が撤退するという時に、地元自治体、経済界として何をすべきなのかご意見をお伺いしたいと思います。』

まあ当然ながらこの件は釧路支店の方からレクなどもあったと思いますので、回答自体は別に普通にきっちりした回答になっていますが、まあこういう質問が最初にぶっこまれるというのが目立ったので折角だから備忘代わりに日本紙さんの部分だけ引用しますが、ついでに回答の冒頭も引用します。

『(答)本日の懇談会は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、オンライン形式での開催となりました。道東地域の行政や経済界、それから金融界を代表される方々から、地域経済の現状や直面する課題に関する貴重なお話を伺うとともに、日本銀行の金融政策運営に対する貴重なご意見も頂きました。大変有益かつ示唆に富む意見交換をさせて頂き、懇談会にご出席頂いた方々には、この場を借りて深く御礼を申し上げたいと思います。席上、色々なご意見を頂きましたので、私なりに四点ほどに整理してご紹介をさせて頂ければと思います。』

というのから始まって内容が整理されているのですが、今回の政井さん金懇ですが、金懇挨拶の方でもしらっと「コロナ前から日本の経済は変調を来していた」とか、「ETFの買入を弾力的に行う(というか減らす)べき」とかぶっこんでいますし、一々引用するとクッソ長くなるので割愛しますが、なんか今回は(も)正直ノーマークだったのですが、来年6月の任期終了を前にしてちょっと元気に(意味深)なってきたような気がせんでもない(個人の感想です)。

『(途中割愛)三点目は、日本製紙釧路工場における紙・パルプ事業撤退の話題です。同工場は、100 年前の大正 9 年に富士製紙釧路工場として操業を開始し、釧路地域とともに発展を遂げた当地を代表する工場と承知しております。懇談会では、運輸業を中心とする当地の関連企業に対する影響や小売店・飲食店などに与える影響を懸念するご意見が多く寄せられました。』

なるほど。釧路港から出荷してたんですね。道東の海運集積地ですよね釧路って。

『(途中割愛)続いて日本製紙釧路工場に関する質問についてですが、今回の釧路工場での紙・パルプ事業撤退については、同工場の主力製品である新聞用紙の需要が、IT化の進展や感染症による経済活動の停滞により減少していることを受けての経営判断だと認識しています。』

うむ。

『一方、地元にとって同工場は 100 年前の大正 9 年、1920 年に富士製紙釧路工場として操業を開始して以来、釧路地域の発展と共に歩み、釧路市民にも大変親しまれている工場であると認識しています。また、関連会社や取引先も多数あるので、報道をお聞きになった市民の衝撃は大変に大きかったのではないかと考えております。』

『本日の金融経済懇談会では、釧路市長をはじめ関係者の方々から、同工場の紙・パルプ事業の継続を同社に要望されていると伺いました。私としては、道東経済に影響を与えることでもありますので、その帰趨を十分に注視するとともに、釧路支店と連携しながら今後の動向をしっかりと把握してまいりたいと考えております。』

ということで、答え自体は普通の回答ではあるのですが、特定企業の特定工場の撤退という話題でここまで話が出てくる、というのが割と珍しいので備忘という感じで引用してみました。

ちなみに北海道新聞での記事はこちらですが、無料で見れる部分は一般的な話になっとるな、残念。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/482027
金融緩和さらに長期化も 日銀審議委員が経営者らと懇談
11/16 19:41 更新


・ETF買入に関する質問が早速来ました

『(問) 講演の中で、緩和が長期化するのでその副作用にも配慮がますます必要になってくるという言及がありました。ETFの買入れについて柔軟化したり、市場育成のために何かできることがあるかといった点も含めて検討が必要とのことですが、具体的にどういった措置が追加的に必要になるのか、今の枠組みの中でもかなり柔軟に買入れを増やしたり減らしたりできると思うのですが、それでは不十分で、もう少し違う措置が必要ということなのかをお伺いします。(後半割愛)』

後半はグリーンボンドを日銀が買うかとかいう愚にもつかない質問なので割愛しますが、その愚にもつかない部分を除いても回答がこれまたクッソ長い。

『(答) ETFの買入れは、そもそも 2%の「物価安定の目標」を実現するための政策の枠組みの一つの要素として、株式市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きなどが、企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止することにより、経済・物価にプラスの効果を及ぼしていくという観点から実施していることはご承知の通りだと思います。』

へいへい。

『もっとも、挨拶要旨でも触れさせて頂いている通り、足許、物価のモメンタムがいったん損なわれている状態となっている中で、2%の「物価安定の目標」の実現にはますます時間がかかる可能性があり、実際、今回の展望レポートでお示しした物価の見通しの中心的な値でも、見通し期間の最後の2022 年になっても、2%の「物価安定の目標」に到達する絵が描けていない状況です。』

さいですな。

『そういった中で、更なる金融緩和の長期化を前提として政策運営に当たる必要があると認識しています。』

ほうほう。

『この点、低金利環境が長期化するもとで、政策金利を用いた伝統的な金融政策の波及経路を通じた緩和効果が弱まっているほか、自然利子率の低下により名目金利が実効下限制約にかなり近づいているという現実を踏まえると、ETFの買入れは、フォワードガイダンスなどとともに、緩和効果を高めるためのツールボックスの中に、当面、あり続けるのだろうと思っています。』

いや別に他の中銀そんなゲテモノをツールボックスには入れてないんですけど・・・・・・・・・

『ETFの買入れについては、導入から 10 年が経過する中で、保有残高が相応になってきているのも事実だと思っています。この間、日本銀行としては、強力な金融緩和を粘り強く続けていくという観点から、ETFの買入れ額が市場の状況に応じて上下に変動し得るよう、弾力的な買入れ方法に変更したほか、市場の流動性の向上を図る観点から、新たにETFの貸付制度を導入したりしています。』

『ただ、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて更なる長期戦が見込まれる中で、金融緩和の長期化に伴う副作用に一層配慮しつつ、政策の持続性を高めるためには、更により幅広い観点から政策を検討していくことがますます重要になっていくと感じています。ETFの買入れについても、こうした観点から、今後も、更なる柔軟性向上や市場の育成といった観点を含めて、前広に議論を重ねていく必要があると考えています。(後半割愛) 』

ということで分かったような分からんような説明になっているのですが、「金融緩和の長期化に伴う副作用に一層配慮しつつ、政策の持続性を高めるためには、更により幅広い観点から政策を検討していくことがますます重要になっていくと感じています。」という辺りはキナ臭い表現になっておりまして、まあ何も考えんと継続継続、という発想ならばこんな話はよーせんじゃろとは思うのですが、オブラートに包んだ上にパイ包みみたいに仕立ててある表現なので、政井さんはどうしたいのか、というのは何かよー分からんですなあ、という感じです。これ質問がちょっと露骨なのも良くなくて、ああいう質問をされたらこう答えるしかない、というのもあるとは思うんですけど。

まあこれまでが(執行部に)賛成賛成とっとと賛成ってキャラ設定(失礼)だったから突如ジャガーチェンジするという訳には行かんのかも知れませんが、実際に君子ジャガーチェンジしてたらウケるんだがさて・・・・・・


・何故地方金懇になると質疑応答の質問がスムーズな連携プレイ(なのか一人でやってるのか知らんが)になるのか

さて、今の質疑の次がこういう質問になります。

『(問) 先ほどの質問に関連するのですが、緩和長期化の副作用への配慮ということですけれども、コロナの影響で、経済の先行きが依然として不透明な状況なわけですが、副作用等を勘案すれば、利下げ等の追加緩和を行う場合、一段と副作用を強める可能性があると思います。委員は、ウィズ・コロナの金融政策運営は、緩和強化よりも政策の持続性に重点を置いて考えるべきとお考えなのかをまずお伺いしたいと思います。』

「緩和強化よりも政策の持続性に重点」って質問、よく考えてみたら変な理屈で目標の早期達成をするために政策実施してるんですから最初から時間が掛かる前提で強力な緩和をするってのも何じゃそらではあるんですけどね(^^)。

『そして、関連なのですが、先般決定した追加付利制度、これも先ほど言われた緩和長期化の副作用に配慮した面もあるのか、ご所見をお願いします。』

先日ネタにした安達審議委員の長野金懇もそうですが、地方金懇の会見質疑になると急にこんな感じで質問が流れるように繋がっておりまして、まるでFOMCの記者会見のようですが(ってFOMC会見ネタの前に議事要旨が出そうな勢いになっています最近処理速度が遅くてすいませんすいませんすいません)、なぜ総裁会見でこのような流麗な質疑応答にならないのか、という日本マスコミ界の謎について調べるべく取材班は潜入取材をする気は1ミリも無いのですが、他社が同じ質問してたらそこから敷衍した質問をするとかして、自分の所で用意した質問原稿のままで聞くなよとか思いますし、色物質問とかマジで下らんのですが、福井の俊ちゃんに阪神タイガースの質問をした某テレビ局のアナウンサーが今や東京都選出の参議院議員様という位なので今に始まった話ではないのが頭クラクラするわ。


・さてその答えですが謎の大演説が始まるのですよナンデジャロ

でもって政井さんのお答えなのですがこれがまた大演説にも程があるのよ。

『(答) 物価のこのところの状況をみると、やはり予想インフレ率も、長短含めて全体的に低下してきています。しかも、新型コロナウイルス感染症が急激に拡大した春先に関しては、物価について、急激に消費者の消費のバスケットが変わるなどして、一瞬ですが、短期的な家計の物価観が上がったこともあったのですが、足許にかけては、結局のところ需要ショックの側面が強いこともあり、原油が急落し、その後の戻りも大変鈍い状況になっています。』

安達さんの金懇でこういう話が出てこなかったのは何だったんでしょうかねえ、と政井さんの金懇会見ネタをしているのに謎に安達さんに砲撃をするワイ。

『最終的に足許のところでは、展望レポートでもお示しした通り、長短のインフレ予想、物価観みたいなものは、企業・家計ともに弱まっている状態が続いているという判断になっています。』

だったら直接マインドに働きかける政策をしたら如何でしょうか(棒読み)。

『そのうえ、経済に関しても、今年、来年にかけて回復はするものの、その後の回復の足取りに関しては、発言要旨でお伝えした通り、いくつかの理由から、なかなか足取りも難しいと個人的に考えています。』

だそうでして、

『そのうえで政策を考えたときには、当然、この間、緩和的な金融環境を提供することによって、経済を下支えしていくことが必要であると思います。』

で??


・大演説は更に続くが聞かれもしないのにETFアゲイン

まだまだ回答は続く。

『日本銀行においては、「量的・質的金融緩和」を 2013 年から続けていますし、』

その前から散々緩和政策実施していますが、

『ETFについては今回の 3 月の決定で更に上限を引き上げるという政策になっているわけです。』

聞かれもしないのにETFキタコレ!!!!

『副作用に関して考えなければいけないのはETFだけではないのですが、今回 3 月において、コロナ対応で上限を引き上げたETFに関しては、このところ色々なご意見も頂戴するところですので、特に申し上げた次第です。』

「このところ色々なご意見も頂戴するところ」なのか・・・・・・・

『加えて、先ほどの繰り返しにもなりますが、名目の金利がいわゆる実効下限制約にかなり近づいている状況にあるもとで、わが国だけでなく、全般的に物価の上昇率は、先進国を中心に弱まっている状態ですので、いわゆる名目金利の上げ下げだけではなく、フォワードガイダンスなど様々なツールを使ってコミュニケーションを強化することで、緩和の維持に努めるという動きは、何もわが国だけに限ったことではないと思います。』

コミュニケーションを強化というよりもガイダンスは短期金利の予想経路に働きかけてより長期の金利を下げようという話なんですがまあそこは措く。

『そういったことを行っていくもとで、さらにETFに関しても、あり方、やり方など工夫の余地がないかを前広に考えていく必要があると考えています。 』

ちょwwwまたETFwwwとなっていますが、いやまあさすがに足元の状況はグローバルにちょっとねえという感じで、そもそも論としてコロナ前よりも何で株価が高いねんという話だし、財政出てるのだって落ちた需要を全部カバーしきれるだけの財政出している訳じゃないはずなのに、遂には「コロナが長期化するからゴルディロックスヒャッハー」とかお前ら遂に脳に回ったかというロジックが横行する中、日銀には必殺殺法ETF売り出し・・・・はさすがにマズイでしょうが、ステルステーパーをやる気は無くはないというのは伝わった。まあそれをやる胆力が黒田日銀にあるとは思えんが。


・地域金融機関向け特別オペの説明がこれまたクッソ長いのだがまあオモロイのは一か所だけかな

しかし政井さんの会見、説明が一々クッソ長いのですが映像が無いから分からんのだがこれがカンペまる読みだったら悲しいんですけど実際どうなのよ、と思いました。

『それから、先日 10 日に、地域金融機関の強化のためのいわゆる特別当座預金制度を通常会合にて導入しましたが、これに関しては、金融政策ではなく、プルーデンス政策ということで導入を決定したということですので、副作用に何か配慮してということではありません。』

ふーんそうですか、という所ですが、新コロオペは金融政策で金融機関の(再編を含めた)経営努力を促す施策はプルーデンスってのも強引な理屈ですわな。まあMPMでやってしまうと「これ利上げじゃね?」と言われるのが嫌だから、というのは分かりますけどね!!!!!!

『そのうえで申し上げると、この制度は、基本的に、地域金融機関が将来にわたって地域経済をしっかりと支えて、金融仲介機能を円滑に発揮して頂くための経営基盤の強化に資するという観点から、金融システムの安定確保のための政策ということで方針を決定したということを強調させて頂きたいと思います。』

ほーん。

『市場の評価という観点からは、翌 11 日の株式市場において、地方銀行の株価が上昇したことなどをみますと、本制度について、ひとまず、市場からは好意的に受け止められたのではないかと認識しています。』

ちょwwww株が上がれば好意的かよwwwwww

『他方、報道等では、ご指摘のような金融政策とプルーデンス政策の棲み分けであるとか、本制度について様々ご意見があることも承知していますし、正直考えさせられる部分もあったことも事実です。』

「正直考えさせられる部分もあったことも事実です」とはこれはまた正直な。なんか政井さんの今回の会見(金懇もそうですが)ところどころに本音というかポロリというかがあって今までにない味わいがある。まあここだけはオモロかった。

『そう申し上げたうえで、地域金融機関の置かれている現状について、私の見方を若干敷衍させて頂きますと、10 月の金融システムレポートの現状評価にもある通り、わが国の地域金融機関は、資本・流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えている中で、金融システムは全体として安定性を維持している、直ちに金融システムが不安定化して地域経済に何か負の影響が出るような状況にはないと認識しています。』

『とはいえ、もはやわが国だけの問題ではありませんが、自然利子率が趨勢的に低下傾向にあることや、地域の人口や企業数が減少することが、地域金融機関の収益性を低下させる構造要因にもなっていると思っています。』

『また、足許、地域金融機関は新型コロナウイルス感染症の影響を強く受ける地域の企業や家計を積極的に支援しており、今後、感染症の拡大が想定以上に長期化する場合には、企業等の財務への影響が強まる可能性もあります。』

まあこの辺までは普通なのだがここで急に金懇でぶっこまれた(ものの引用しなかった)流行り物の話が絡まって来る。

『更に、先ほど申し上げた通り、SDGsとかESG、DXといった大きな環境変化に直面している企業等が、そうした変化に順応していくサポート役としての役割も期待されていますし、地域金融機関がそうした変化に対応していく必要もあります。』

別に金を貸してくれればいいだけのような気がするが。

『こうした様々な問題や課題がある中でも、地域金融機関には、この先、地域の発展をしっかり支えていってもらいたいと考えていますし、そういうことが求められていると思います。』

まあ何ですな、この話なんですけど、あまりこういう面ばかり強調しますと、そもそも論として産業とか商業が都市部に集積しているのに何で地域金融機関は地域のみにリソースを割けって話になるのというのも何か釈然としない所でして、だったら成長分野を求めて海外に進出するとか都市部に進出するとかいうのは良くない事なのかとか反問したくなってしまうんですが。地域経済に貢献ってのはそれはそれで重要なんですけど、べつに金融機関だってボランティアでやっているんじゃないんですから、そこの部分ばっかり強調されるのも何か経済の構造問題を金融機関におっ被せるような政府部門の責任逃れみたいで嫌な感じがするんですよね、いやまあアタクシのただの僻み根性のような気もするけど。

『そうした中で、今回決定した経営統合等を含めた付利によるインセンティブ付けといったものもありますが、地方出身である自分としては、地域によってソリューションは様々あるだろうと思っています。』

寧ろそっちの話を先にして欲しかった。前振り要らんだろ。

『結局のところ、大事なことは、金融仲介機能の適切な発揮を通じて、顧客はもとより地域経済全体にプラスの影響をもたらすことなのかどうかを考えたうえで、こうした後押しする日本銀行の姿勢を感じ取って頂ければと考えています。』

ブルース・リーかよwww

『「中央銀行としては、銀行合同および都市・地方両銀行の密接な連携を公平な立場から援助し、また相当の努力を払うことを厭わないつもりである。」これは、約 100 年前の第一次世界大戦下──スペイン風邪が流行した時期とも重なるのですが──、日本銀行総裁を務めた井上準之助が 1919 年 4 月の全国手形交換所連合会大会で述べた言葉です。』

さらに大演説らしく凄いのをぶっこんできましたw

『もちろん時代背景や置かれている環境は当時と大きく異なりますけれども、ご紹介したのは、中央銀行が、やや先を見据えたうえで、地域経済の発展を支える地域金融機関を後押しする姿勢は、今も 100 年前もあまり大きく変わっていないと考えているからです。』

だそうです。ホンマカイナと思いますが、まあこういうのを強調するというのは、だいたいにおいて心の中でやましいものを感じて(ここで床に穴が開き吸い込まれる)。


・さっきのおもろかった部分(地域金融機関向け特別付利)に早速ツッコミが入る優秀な質問と寸止め回答

この次の質問はまあパスしまして最後になりますが、早速ツッコミが入るとは優秀、というか同じことを感じてしまいますよね〜♪

『(問) 先ほど、委員が地銀の支援制度の関係で、「正直考えさせられる部分があった」と述べておられました。具体的に、金融政策とプルーデンス政策の棲み分けの、どういった観点から、引っかかるところがあったのか教えてください。』

これは大草原不可避wwwwwwwww

『(答) 本件については、金融政策決定会合で決定すべき事項であったのではないのか、とか、何故このタイミングなのか、といったご意見があるのは承知していますし、もっともだと思うものもないわけではないと思っています。』

この決定出た日以降金融機関の決算発表が続いていましたが歓迎しておられるという発言が金融機関の首脳陣からは出ていたんですけれども、誰ですかねえそういうご意見を言うのは(棒読み)。

『ただ、政策委員会という合議体での議論等について、私からあまり子細なことを申し上げるのは適切ではないので、差し控えさせて頂こうと思いますが、』

これわwwwwwwwwwwwww

いやーさっきの「正直考えさせられる部分があった」と合わせ技一本ですわ。まあこれがちょっと前の鼻っ柱の強い武闘派審議委員(誰とは言わないけど石田さんとか野田さんとか)だったりするとこれ以上の話が飛び出しそうですが、政井さんとしてはこれ以上踏み込むと埋設地雷が火を吹いて手足がすっ飛ぶから寸止めでお察しくださいということですね分かります。

『本件についても、本制度の趣旨や目的、考えられる影響などをあらゆる角度から検討して、総合的に判断したと申し上げたいと思います。』

いいねーこの棒読み感(個人の勝手な妄想ですw)。

『ただ、1点申し上げるとすれば、足許、グリーンにせよ、ESGにせよ、DXにせよ、今回の新型コロナウイルス感染症の影響にせよ、様々な変化がはっきりとみえている中で、少し先を見据えるという中央銀行としての視点から、地域金融機関へのインセンティブ付けをするという大きな考え方については、違和感は持っていません。』

という纏めにしていて、うーんそこは微妙なんだよなーと思う所でして、SDGsに関しては「ノーワンリーブビハインド」なので市場の失敗に対処するという観点もありそうなので、その辺は政府あるいはスープラナショナルな部分での関与もアリかも知れんとは思うのですが(直感的に思っているだけでそこまで深くはミーも考えていないざます)、ESGとかDXって話になると、別に市場の失敗とかそういうのとは関係ない話になる(はずですよね?)ので、そこら辺まで政府部門が細かくツッコミを入れていくというのは、却ってミクロへの過剰介入になって、市場機能による適正な資源配分を阻害する可能性無しとは言えないのではないでしょうか、とアタクシは良く分からん頭で思うのでした。

#ちなみにFEDからなんか色々と面白そうな講演も出ているというのに金懇で綺麗に4日使ってしまいまして、もうちょっと下準備しなければアカンと反省することしきりでございます(平伏)





2020/11/17

お題「政井審議委員金懇挨拶は誰かのと違って読むところはちゃんとありますね!!!!」

楽しそうだなおい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201116/k10012714601000.html
IOC 安倍前首相に功労章「オリンピック・オーダー」の金章贈る
2020年11月16日 14時33分

上流階級の上級国民の皆様がキャッキャウフフしている感じのサムネが良い(反語)ですが、更に良い(反語)のは安倍ちゃんのこの発言。

『これに対して安倍前総理大臣は、世界中がウイルスと戦う現状を踏まえて「東京大会は、どんなに打ちひしがれても何度でもまた立ち上がる、人間の気高さをたたえる大会になる」と、東京大会開催の意義を強調しました。』(上記URL先より)

・・・・・・・来年の自民党総裁選、安倍ちゃん出馬まであるでこりゃ(個人の大いなる妄想です)。


〇政井審議委員金懇ですが最後にしらっとETF買入の持続性にスポットを当てているという埋伏地雷が

政井審議委員金懇のチェックは後で良いや、と思っておられる皆様(?)の為に不肖このアタクシがお送りする政井さんの金懇ネタでございます。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201116a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
道東地域金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 政井 貴子
2020年11月16日

HTML版は同時公表ではないのでしゃーないからHTML版から引用します。

・何とご当地経済部分を除いた部分が13ページ半もあることについて&鉄砲玉に関する妄想

・・・・・・・ってかまあそれが普通なのですが、じゃあ安達審議委員と何が違うかと言いますと、今回の金懇って本来的に言えば10月展望レポートが出たので、それを踏まえて経済物価情勢と金融政策に関して地域経済を担う方々に説明しつつ、まとまった形で地域経済の状況を直にヒアリングすることによって知見を広げましょって会合なんで展望の後にホイホイと金懇をぶち込みに行っている訳ですな。

そんな訳でございますので、政井さんの金懇挨拶は展望レポートで説明しているロジックをそのままお伝えしている、という所でございますが、よくよく考えたら安達さんってその説明もろくすっぽしてないし、じゃあ安達さんならではの切り口で経済物価情勢や金融政策を解説しているかと思えば、ウィズ・コロナだのポストコロナだのという用語は踊るけど中身はフワフワということで、政井さんの金懇ネタで安達さんへの悪態つくとかナンジャソラ状態で恐縮ですが、いやホントマジで安達さん何しに審議委員になったんだかという感じで、別に政井さんの今回の金懇みたいに執行部の説明マシーンでもいいから詳しく説明してやれよリモートとは言え地域の経済界の要人集めて実施してるんだぜ。まさかとは思うが安達さん何も言わないで賛成だけしに日銀審議委員やろうとか盗っ人にも程があると思いましたが内閣参与(以下自粛)。

と、政井さんの金懇なのに思いっきり別の戦場を誤射しておりますが、政井さんの金懇の説明は(前の安達さんのが全然説明していないので目立つのですが)、まあ普通に普通の説明をしている感じですな。

でまあそこで話を終わらせて早速中身に行くのも良いのですが、そういや櫻井さん居なくなったら執行部鉄砲玉が居なくなるじゃん、と思いまして、今のヒラ審議委員で鉄砲玉が務まるのは誰かと考えますと、片岡さんは反対芸人なので無理、鈴木さんはそもそも今の政策に対する潜在的な反対スタンスだから無理、さすがに日立製作所ご出身の中村さんに鉄砲玉やらせるわけにもいかない、となると、櫻井さんの跡目を相続できるの政井さんか安達さんということになる(櫻井さんの後任が鉄砲玉になる可能性もあります)次第。

ただまあ政井さんは来年6月に任期が来る(早いなもう5年かよオイ)ので、使える金懇が今回を除くと普通に考えて1回下手したらゼロ回ということで、鉄砲玉に使うよりは何か次回までに執行部がパンツァーファウストを一発撃ちたいって時にパンツァーファウストになるようなショートリリーフがあるかも知れませんな、とか思いますし、安達さんが先日見事に何も言わないのは将来的には鉄砲玉化するための布石かも知れませんが、まあ置物一派の引きだからちょっと違うかな、とも思います。(思いっきり妄想です)

ちなみに構成は、展望直後(3週間経過してますけど)らしく、展望レポートの説明を軸にして展望と政策の説明を行っていまして、最後に政井さんスペシャルコーナーが今回もあって(ってよく考えたらこのコーナーで何が出るかの当てっこすれば良かった)前回の政井さんスペシャルは「女性の活躍推進」を取り扱っていましたが、今回はSDGs・ESGとデジタルトランスフォーメーション(ちなみにあのDXって略語は苦手なアタクシ。一目なんかの商品ブランドっぽくて覚えられない)についてお話をされている、ということで、前回の金懇を昨日ちょっと触れた時には女性審議委員らしいお話ですな、などと申し上げておりましたが、どうもただ単に流行り物に飛びついているだけのような気もしますが、まあいずれにしても何も言わない審議委員よりはマシというものです。

という訳で、まあ一応「もしかしたら政井さんは櫻井さんのワンポイントリリーフで鉄砲玉あるいはパンツァーファウストをやる役割分担があるかも知れない」と思って読むことにします。ちなみにアタクシなりの妄想全開による結論は「」(個人の超妄想です)

#前置きが長いですかそうですかすいません


・経済物価情勢の説明は展望レポート通り(海外編)

まあ何ですな、経済物価情勢の説明をするときには鉄砲玉であろうとなかろうと展望レポートの通りに説明する訳ですが。

『U.経済・物価情勢』

『日本銀行は、10 月の政策委員会・金融政策決定会合(以下、会合)において、「経済・物価情勢の展望」、いわゆる「展望レポート」を取りまとめ、2022年度までの経済・物価見通しを公表しました。以下、経済・物価情勢については、「展望レポート」の内容に沿って、お話したいと思います。』

ということで以下は展望レポートに沿った話が続く、という定番の展開ですが、一応展望レポートではそこまで細かくない部分に関しての説明を見てみましょう。

『1.海外経済の動向 』の冒頭は、

『はじめに、海外経済の現状については、「大きく落ち込んだ状態から、持ち直している」と判断しています。 』

となっていて、以下IMFとかの統計の話をしつつ(図表もある)「4月が底」という認識を示していまして、その辺割愛してその先を引用します。

『先行きの海外経済については、感染症の影響が徐々に和らぐもとで、各国・地域の積極的なマクロ経済政策にも支えられて、改善していくとみています。』

『もっとも、足もとの改善ペースは、業種間・各国間で不均一であることが特徴的です。また、今後の見通しも、欧州等において公衆衛生上の措置が再強化されていることを踏まえると、一時的に当該地域の経済を下押しすることも考えられ、不確実性が高いと言えます。』

でもってそのダイバージェンスについて、業種と地域を出して説明しているのは普通に事実関係の説明ですので割愛しまして、

『こうした不均一がもたらすリスクについては、後ほど触れたいと思います。』

だそうなので後程出てくるということで。


・国内経済物価情勢の説明

次が『2.わが国の経済情勢』です。

『(1)現状』ってところから。説明自体は展望レポートの内容に加え、何故かご丁寧にもアップデート(月曜の朝に出たGDP統計の数字が入っている、もしかして道東で午前に早い時間が云々よりもGDP見てから最後の手直しして最終確認したいから指標公表から時間を取ったのかね??)しています。

『わが国の景気については、「内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が再開するもとで、持ち直している」と判断しています。4〜6月期の実質 GDP は、輸出(サービス輸出に分類されるインバウンド消費を含む)や個人消費を中心に急激に減少し、前期比▲8.2%(年率▲28.8%)と、比較可能な 1980 年以降で最大のマイナスを記録しましたが、本日公表された7〜9月期の実質 GDP(一次速報)は前期比 5.0%(年率 21.4%)となっています。 』

何と当日の朝ぶっこまれた分が入っておる。でまあこの先は感染症の影響がまだありますけど最近持ち直していますね、という話ですので割愛。

『(2)先行き』ですが、

『わが国経済の先行きについては、「経済活動が再開し、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、改善基調を辿るとみられるが、感染症への警戒感が残る中で、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続ける」というのが中心的な見方となっています。』

ということで展望レポートのまんまです、この先には見通し期間の年別展開がありますがそこは普通にパスします。


・先行き見通しは展望レポートの線よりも慎重に見ているとな

先行きの年別展開の後にこんなのがある。

『もっとも、この見通しでは、広範な公衆衛生上の措置が再び導入されるような感染症の大規模な再拡大はないと想定していることに加え、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されることを前提としていますが、これらの点には大きな不確実性があります。』

とまあこれも展望ですが、この次に政井さんビューが登場。

『こうした中心的な見方のうち、足もとの見方については違和感ありませんが、先行きの見通しについては、以下の2点から、私自身はより慎重にみています。』

ほっほー。政井さん慎重派ですよというお話で、まあこれが執行部に対して砲撃しているんでしたら惜しくもさっきのパンツァーファウスト仮説は棄却される訳ですが、そうじゃなくて実は執行部は展望レポートの見通しの下振れリスクにかなり警戒しているものの、あんまり警戒警戒言ってマインドを悪くしたくないからトーンを抑えておいて、ちょっと政井さんを斥候部隊として瀬踏みさせてるんだったらそれはそれで味わいがありますな(個人の妄想が突っ走っております)。

『第一に、世界の貿易量は、当面、しっかりとした増加を続けるとみていますが、一方で、米中間の通商問題の影響などから感染症拡大以前の 2018 年央頃より増加が鈍化していたことを考えると(前掲図表1(2))、見通し期間の後半にかけても増加基調が維持されるかは不確実性が高いと考えています。実際、わが国の輸出・生産についても、感染症拡大以前から、水準低下がみられていた点には留意を要すると思っています(図表7(6)、(7))。』

執行部は全部コロナのせいにすることによって、そもそもコロナ無かりせばの世界でも、実は国内の経済が弱含みになっていて、さあ4月展望で物価見通しドウスルドウスルと言われていたという事実はあるのですが、コロナが全部ふっ飛ばしてくれたので、その前の金融政策だか経済政策だかがスットコドッコイで物価2%がまた遠のくぜ、とかなっていたのをすっかり無かったことにしております。

然るに政井さん、ここでしらっと「実際、わが国の輸出・生産についても、感染症拡大以前から、水準低下がみられていた点には留意を要すると思っています」とぶっこんでいるのは中々チャーミングで、こういうツッコミを入れてるということは鉄砲玉ではないのかな???などとさっきからよく考えたら失礼な推測祭りをしておりますかそうですか。

あとちなみに世界貿易の話をしているのが元々為替を本職にしていた政井さんっぽくて、この先でも為替に絡む小ネタが出てきますが面倒なので割愛しています(汗)。

『第二に、世界的にサービスセクターを中心とした非製造業の回復が緩慢であると見込まれているわけですが、わが国における当該セクターの建設投資を中心とした設備投資が、ここ数年のわが国の経済成長を相応に支えていたことや、近年のわが国の雇用市場での存在感の高まりを考えると、わが国経済が再び拡大基調に復していくには、こうしたセクターの復調が不可欠だと考えています(図表8(8)、(9))。 』

日本語で書かれていると何を言ってるのかわかりにくいのですが、本文のケツにある(図表8)ってスライドを見たところ、どうも建設投資と医療を含む対面型サービスの話をしているようです。実際には図表をポインターかなんかで示すから話はわかるんでしょうが、原稿だけ読んでいるとイマイチ意味が分からん。


・先行きのリスクでさっきの不均一の話があるのだが結局何を言いたいのかが分からんぞな

『(3)先行きのリスク 』って所ですが途中から。

『特に、私自身が留意しているリスクは、各国・地域の回復スピードが一様ではない、不均一な回復が、この先、世界経済に与える影響です。』

ほうほう。

『現在、世界共通のショックに対し、多くの国・地域の財政・金融政策は同じ方向で実施されており、このことが、これまでの金融市場の安定にも寄与していると感じています。もっとも、先ほど来見てきた通り、今後は、2017 年に見られたような世界同時景気回復は望み難く、回復の道のりは長く、バラつきが大きくなると見込まれており、こうした不均一が、各国・地域間での政策の方向性の違いとなり得るため、注意が必要だと考えています。』

どう違ってくるのかね?

『特に、IMF のゴピナート調査局長が指摘するように、中国を除く新興市場国・発展途上国では、感染症拡大前の予測経路と比べた 2020-21 年の GDP 減少幅が先進国よりも大きくなるとみられる中、このところ見られていた、世界的な所得水準や経常収支の収斂の動きが、再び拡大傾向に転じていくと、国際的な資金フローにも基調変化が生じ得るため、留意が必要だと感じています。』

国際的な資金フロー(意味深)。

『この点、先般の G20 で合意された途上国向け債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)の延長など、こうしたリスクを軽減する取り組みは、今後、一層重要になると考えています。』

うーんこの、だから何だかというのがさっぱり良く分からん。


・物価情勢の説明は超あっさり味

次が『3.物価情勢』ですが、こちらの現状認識も先行き見通しも展望レポートのまんまで何も真新しいことはございません。ただまあ今回の金懇挨拶でワロエタのは図表の数でして、

(図表1)海外経済の動向@
(図表2)海外経済の動向A
(図表3)海外経済の動向B
(図表4)わが国の経済情勢@
(図表5)わが国の経済情勢A
(図表6)わが国の経済情勢B
(図表7)わが国の経済情勢C
(図表8)わが国の経済情勢D
(図表9)物価情勢
(図表10)日本銀行の金融政策@
(図表11)日本銀行の金融政策A

図表11枚中物価の話は1枚だけ。一応図表11には需給ギャップと期待インフレという日銀がしぶとく説明している物価が上がるメカニズムとしての要因の動向を掲載していますが、物価の方の図表に関しては「(1) 消費者物価(除く生鮮・エネルギー)」「(2) 各種コアインフレ率指標」だけという図表になっていて、物価が上がるメカニズムみたいな話もろくすっぽぶっこんでこない、という大変に味わいの深いものになっております。



・金融政策運営部分でETFの話が微妙にきな臭いんですけど・・・・・・・・・・・・・・

『V.日本銀行の金融政策』ですが、『1.現在の金融政策運営』の説明はまんま執行部と同じなのでパスしますが、『2.先行きの金融政策運営 』の途中の方からはちょっと見解が登場する。

同小見出しの途中からです、最初の段落はキナ臭い話の前の前振りなので一応引用してから参ります。

『労働と設備の稼働状況を捉えるマクロ的な需給ギャップは、感染症の影響を受けて、当面、大きめのマイナスで推移し、その後の改善ペースも緩やかなものになると考えられます(図表 11(2))。そして、現在弱含んでいる中長期的な予想物価上昇率も、再び上昇に転じるまで時間がかかる可能性があります(図表 11(3))。そのため、物価安定の目標の実現に、ますます時間がかかる可能性を強く意識する必要があると考えています。』

という前振りを前提にしますと、ということできな臭い話が出てくる。

『こうした点を考えると、金融緩和の更なる長期化を想定しておく必要がある、換言すれば、更なる金融緩和の長期化を踏まえて政策運営にあたる必要があると考えています。』

ほうほうそれでそれで???

『具体的には、金融緩和の長期化に伴う副作用に一層配慮し、政策の持続性を担保するために、より幅広い観点から政策対応していくことが極めて重要になっていくとみています。』

キタコレ!!!!

『例えば、ETF 買入れについては、』

これわwwwwwwwwと思うのだが、何せ円債村ですらノーケアーの政井さんの金懇なんぞが株式市場のネタになる訳が無いので昨日も昨日とてヒャッハー上げでしたな。

『株式市場のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくことを目的としていますが、導入から 10 年が経過する中、保有残高が相応の規模になっているのも事実です。』

株価水準の指摘は?????

『こうした中、日本銀行では、2018 年7月に、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、ETF の買入れ額が市場の状況に応じて上下に変動し得るよう、弾力的な買入れ方法に変更しました。また、本邦 ETF市場の流動性の向上を図る観点から、ETF 貸付制度を導入しています。』

ん????

『このように、ETF 買入れの柔軟性向上や市場育成といった点を含め、政策の持続性を担保しつつ緩和効果を維持する観点からの議論が、今後ますます重要になると考えています。』

という話なんですが、えーっとすいませんその前の政策の説明の部分で(引用をすっ飛ばした部分で)『3つ目の柱は、資産市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを企図した ETF および J-REIT の積極的な買入れです。資産市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンス悪化に繋がることを防止し、前向きな経済活動をサポートすることを目的としています。』って思いっきり説明しているのに、なぜか最後の部分では「ETFの買入は増額も減額も弾力的」という話をぶっこんだうえに、「保有残高が相応の規模」「政策の持続性を担保」と並んで来ますと、これは株価がこんだけ上がったこともあるので、ETFの買入をステルステーパリングでもしてやろうか、というような事でも考えているんじゃなかろうかというか、それを踏まえてこの部分で政井さんが鉄砲玉(物件的にはパンツァーファウスト級ですが)としてぶっこんでいるのではなかろうか、ということだとイイゾモットヤレという話なので歓迎歓迎ってところですが、さてどうなんでしょうかねえ。







2020/11/16

お題「安達審議委員会見ですが質問の流れが割と秀逸」

折角寒いのに体が慣れたのに急に小春日和とかになるんじゃねえよ、と思う次第でこれは何としてでも日本人の体調を崩そうという何かの呪いを感じる(被害妄想)。

という訳で(どういう訳だ)最近うっかりすると円債村の村民でも読まなくなってきているのではないか疑惑の広がる金懇ネタで安達審議委員会見だがこれがまた講演同様にアカン、というご報告を金懇読みの不毛な時間を別の有意義な事に使っていただきまして円債村の労働効率の強化に寄与したいと思います(キリリッ)。

それから昨日は何か勘違いして政井さんの金懇日程を金曜とか申し上げておりましたのですが、後場になって「そういや金懇」と思ったら今日でしたすいません。でもって何故か今日の金懇はいつもの10時半とかじゃなくて、何故か13時に公表になります。会場が「道東」って書いてあるから集合する便を考えてるのかしら??


〇安達審議委員会見は質問の流れが面白い(回答はまあお察しのアレ)

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201113a.pdf
安 達 審 議 委 員 記 者 会 見 要 旨
―― 2020年11月12日(木)
午後2時から約25分
(松本市・東京間オンライン開催)

・まあ時間は誤差の範囲内ということにしておくかしら(25分かよ・・・・・・・)

リモート金懇になって会見のお時間が短くなる傾向にあって、直近でもだいたい30分か35分、みたいな感じのお話になっておりますが、25分ってのは短いなあ(30分を一つのベンチマークにしておったもんで)とは思いましたが、そらまあ金懇講演があのスッカスカ振りですからねえ、などと思ったら質問の方が優秀だったので遂に質問を鑑賞する会になるのでした。


・地域金融機関向け特別付利制度に絡めた地域金融機関合併に関する質疑から

質疑は毎度お約束で最初は「今日はどうだったよ?」ということで一席ぶっていただきまして、そこから質疑が始まるのですが、いきなり最初に株価について質問ってのは気持ちは分かるがもうちょっと良い質問してやれよさすがに安達さんにワリイだろ、と思ったらその次(ということなので実は質疑応答がこれ7ページしかないのですが、そのうち3ページ目の真ん中過ぎまで来ている、ということで冒頭から半分は既に読む意味なし、というのがもうオワットルのですが、まあ質問の方は割と良いのがこれから来るから期待してちょ。

『(問) 金融機関の統合再編については、まだ措置として出たばかりということなのですけれども、県内金融機関の経営状況というか、統合再編をやっていったほうが良い状況にあるのか、それとも当面大丈夫だろうというような、その辺の認識というのは今どのようにお考えでしょうか。』

ご当地質問キタコレでもありますが、まあこれは当然聞きに来られる質問だし、どうせ想定問答は用意しているでしょうから想定問答の鑑賞になりますけどね。


『(答) 本日私がお話をお聞きした限りでは、各金融機関、各業態も含めて、今のコロナ禍の企業の資金繰り、特に中小企業の資金繰りに対して、非常にご尽力されているということと、正に我々の出番が来たというところで、かなり前向きに取り組んでおられる状況です。』

イイハナシダナー。

『例えば統合が必要といった状況かどうかというのは、基本的には外部からみて必要という感じは特にしませんでした。もっとも、これは個別の金融機関の経営戦略等にも依存するところですので、私が発言するところではないと思います。』

お????長野県の金融機関には統合は特に必要ではない、とか割と威勢の良い事仰せジャンという所ですな。本当はここで「何で必要という感じがしないのか???」というのが聞きたい所でして、つまりは日銀ちゃんの想定問答として「必要が無い」ってのが入っていたのかどうかというのも気になる所で、日銀ちゃんが別に長野県での金融再編が大々的に必要はない、みたいに考えているのであれば、どういう状況でどういう風に考えるから必要ないのか、必要があると見ている地域もあるんでしょうから(無かったらそもそもこんな施策を出してこない)、そことの比較とか、まあこれあんまり丁寧に答えると個別行の経営状況とかの話を出すことになりかねないので、説明そのものは難しいのでしょうけれども、当局としての認識っつーかどういう筋道で考えているのか、というのを知りたい所ではあります。

まあさすがにこの質問は飛んでくるの明らかに予想されるから想定問答を用意していない訳はないと思うのですが、この「基本的には外部から見て(県域地域金融機関の経営統合等の)必要という感じは特にしませんでした」という何とも微妙な答えは色々と妄想だけは逞しくさせてくれますのう、という感じです(個人の妄想です)。

というのはですね、こういう質問だったら「先日公表した地域金融機関向け特別付利制度は、これから益々経営環境が厳しくなることが予想される地域金融機関の皆様が、より効率的かつ戦略的に経営を行っていただく為の1つのツールとしてご利用いただければと考えており、戦略的な経営の中には今ご指摘の経営再編なども含まれるかとは考えていますが、個別の問題に関しましては各金融機関において自主的に取り組んでいただけるものと考えております」ってな感じで、金融機関再編云々とか無茶苦茶デリケートなテーマなので、それはもうYesNoは華麗にスルーするもんだと思っていました。

然るに上記のようなお答えが出たのは正直ちょっとえ?と思いましたが、もしかして安達先生、懇談会(オンラインだけど)で地域金融機関の再編をしろと言わんばかりの例の施策に対してイヤミ(面と向かって悪態をついてくるのは余程の時だけど、安達さんなら頭は良い筈なので嫌味言えば普通に伝わるでしょ、嫌味言っても伝わらなさそうなのは白井さゆりちゃんとかジンバブエ先生とかな)が結構出たのでビビった、とかだったら無茶苦茶面白いのですが、懇談会の方では、とちょっと思いました。

ちなみにすっ飛ばしましたが、最初の質疑という実質今日はどうでしたか質問の中で特別付利についての話がありましたのでそちらを引用します。

『(冒頭質疑での安達さんの答えから一部引用)先般の措置につきましては、火曜日に決めて、本日は木曜日ですから丸二日ということで、一部に話としてありましたが、具体的にそれに対して何か検討しているといった話は特に現段階では聞かれませんでした。詳細については、特に地域の金融機関とも連携しながらこれから話し合いの中で決めていくことであり、それに従って色々対応を決められていくのではないかということです。現状は、日本銀行がそういう施策をとることを認識しているというところでとどまっている印象でした。』

とりあえず歓迎という文言が入っていないのは味わいがある。先週は金融機関の決算発表もあって、その場では基本的に(そら偉い人が言うのに正面切って嫌味たらたら言い出すのはマズーだから大人の配慮が働くんで当然ですが)歓迎っぽい話をしていたのですが、まあクローズの会合(金懇挨拶と会見はオープンだが意見交換会みたいなのはクローズドでメディアもオフリミットだったと記憶している、記憶違いだったらすまん)になるとまあね、という感じでして、安達さんのこのコメントの最後の部分、「現状は、日本銀行がそういう施策をとることを認識しているというところでとどまっている印象でした。」って辺りには何かその件に関する話題のところでシラーっとした空気が流れていたのかも知れませんな、とかまあ妄想癖がドンドン加速して月曜の朝からメルヘンの世界に逝きそうなアタクシでありました。


さてさて、長野県では「必要という感じは特にしませんでした」という回答が来ましたが、これに対しまして「なんで」と聞くのも良いのですが、「じゃあそもそも何でこの施策」ってのと「じゃあ全国的にはどうなのよ」という事も論点になるのですが、そこをきっちりとぶっこんで来るヒットマンの記者がおりまして、今の応答の直後にこのような質問が来ます。曰く、

『(問) 今の質問の中にあった話とも関連するのですけれども、10 日にコロナの対策として、経営統合とか収益力強化に取り組むことを条件に、当座預金の残高に付利をするということが発表されたと思います。改めてこの狙いといいますか、どういった意味合いというか、どういったことを期待してこういうことをされているのかということを教えて頂きたいのと、全国的な地銀の今の状況というか経営環境に関して、どのようにみられているのかについて教えてください。』

良い質問である。基本的にセルサイドでエコノミストをしておられればそらもう色々とご意見もあろうことかと思います(棒読み)。

『(答) 10 日の措置については、もちろんコロナという状況もありますが、もともとの話としては、地域毎に色は多少あるものの、少子高齢化の中で人口が減少している状況や、その他諸々の要因で、収益環境がトレンドとして非常に悪くなっていくといいますか、停滞していく姿となる蓋然性が非常に高いということです。』

そうですな。

『方向性としては、各金融機関の経営戦略がかなり強く左右しますので、こちら側から強制的に何かをするという話では全くないのですが、』

強制的に外債いやなんでもありません。

『自然な流れとして、経営統合や、経営統合はしなくてもその前の段階で何らかの経営基盤の強化を、どこかの時点で行っていく必要があるというのが大前提となっています。』

はい。

『その中で、今回のコロナの危機が訪れました。現状は、地元地域の中小企業を中心とする企業の資金繰りを各金融機関が非常に支援されていますが、逆に言いますと、今後信用リスクが高まってくる可能性も排除できなくなっています。』

さいですな。

『そういう意味では、今回のコロナのショックが、もともとあった各地域の構造的な要因を浮き彫りにしたという面もありますので、ここで金融機関の経営基盤の強化を後押しするような政策を打ち出すのが良いのではないかという話で出来上がったと私は理解しています。 』

結局なんか抽象的な話しかしていない上に、特にワロタのは安達さんの最後の言葉でして、「〜という話で出来上がったと私は理解しています。」って何その他人事感は、と割と感動しちゃったんですけれども(褒めてない)、政策委員会で討議したんだし、政策委員会として決定したのを説明するのになんかこの他人事みたいな「私は理解しています」っての何なの??「と考え今般の措置の導入に至りました」じゃないの??????とかいう感じでして、フワフワ金懇挨拶と共にYouは何しに日銀へ????がまた増えたのかとトサカに来る訳ですよコケコッコー。

ただ、本件に関する質疑応答って、さっきから申し上げている通りで微妙な他人事感があるのですけれども、これが金懇挨拶の流れで、とにかく余計なことは言わず突っ込まれないようにしながらフワフワと話をして煙に巻いておけば良いや、というスタンスでぶっこんできている、とは必ずしも限らない所でありまして、実は安達さんはこのようなミクロの資源配分に日銀がリソースをぶっこむ(参加者が少なければぶっこむリソースも少なくなるので、資源配分に対して具体的な価値判断を示している、とした方が良いのかなとも思いますが)というプレイに対しては、中央銀行はあくまでもマクロ調整を行うもので、ミクロ介入をするのは金融危機時における市場機能補完のような緊急性のあるものに限る、という認識の元で、この施策について反対なり何なりをしている(票決内容は通常開示されませんが、たぶん情報開示請求だすと秘匿はされないと思うので誰かレッツ情報開示請求!!)ので、このような突き放し気味の発言になっておられる、という事だったりするとまたガラッとこの辺の安達さんへの感想が変わって来る。

・・・・・・とまあそういうことでございまして、ただ単に安全運転かつビビリで何も言ってないし制度導入の趣旨の説明でも微妙な他人事モードにしている、というだけなのかも知れないのですが、まあ何か妙だなこの受け答えは、と思うのでありました。


・追加緩和はノーアイデア

特別付利シリーズの質疑からその次は雇用に関する質問になります。

『(問) 講演の中で、先行き非正規雇用の動向を注視していく必要があるということでしたけれども、足許、非正規だけではなくて、非製造業のところでも、労働市場が結構厳しいかと思うのですけれど、その人たちが、例えば製造業に移って吸収されればいいのでしょうけれども、吸収されないと、雇用市場全体として悪化して、それがまた家計とか企業のマインドにも影響し、それが巡り巡って景気の下押しにも働くかと思うのですけれど、その辺のリスクに関して現状ではどのようにみていらっしゃるかお伺いできればと思います。』

はい。

『(答) 現状、例えば労働力調査等でみますと、私の認識では雇用が累積的に悪化していく、その背景として企業の倒産や廃業がどんどん増えていくという状況にはなく、今のところは一服しているといいますか、限界的な部分にとどまっていると考えます。』

『ただし、このところの感染の再拡大は、特に家計の消費意欲を委縮させてしまうリスクがありますので、現在コロナのショックでかなり大きな収益下押し圧力を受けている特定業種については、依然として、廃業や倒産のリスクが潜在的には大きくなる可能性があると思っています。』

ほうほうそれでそれで?

『そういう場合に、現時点ですぐに何か措置をとるわけではありませんが、積極果敢に措置をとっていくことが特に来年以降の課題ではないかと考えます。』

どう見てもノーアイデアです本当にありがとうございました。何だよその積極果敢に措置を取るってのは、と思わず苦笑してしまいましたが、安達さん金懇の説明で思いっきり「政府と日銀の支援策によって倒産や雇用人員整理などはかなり抑制されている」って説明していたんで、単にそのまま政府の施策を延長してもらって、その際に日銀は緩和的な金融環境を提供できるように新型コロナ3本の柱の施策を推進していきます、じゃあダメなのかなとは思いました。

ただまあダラダラと支援しながら延長延長しておりますと、いずれ行きつく先は震災手形になりますので、そことのコンフリクトをどう克服していくのか、というのが来年以降の課題になると思うのですけどねえ。これ文章を切っちゃったから読みにくくなっていますが、安達さんのこの説明だと「特に来年以降は、現状でも一部業種で大きな収益下押し圧力があって、コロナ次第でこれが更に長期化することもあるが、その時に積極果敢に措置を取っていくことが課題」って話をしていまして、よくよく考えてみるとしらっと震災手形一直線みたいな話をしているのが、何と申しますが安達さんちょっとちょっと、という感は否めませんな。勿論「積極果敢な措置」というのが、例えば当該事業者への転業支援とか、そういう構造改革的なものを考えている、ってんならそれはそれで(是非はさておいて)興味深い論点になるのですが、どこまで考えてこういう言い方をしてるんだが。

『ただ、感染症再拡大の話も、この 2、3 日に出てきたばかりですので、来年どういう姿になっていくのかもはっきりしませんし、一方でワクチンの話も出てきていますので、それらを踏まえて動向をしっかりみながら決めていきたいと思っています。』


・ウィズコロナの金融政策とか構造問題とかいう質問(質問が面白いですよ)

という回答に続いて次の質問も割と秀逸、今回の金懇は質疑の質問側が何がにオモロイ。

『(問) 今日の講演の中で、ウィズ・コロナの世界と今後の金融政策という中で、政府の改革路線なんかも念頭に置きながら、痛みを和らげるセーフティネットの存在がより重要性を帯びてくると、今後も経済動向を注意深くモニタリングしながら、緩和的な金融政策のスタンスを維持することが求められるということですけれども、ここですね、もうちょっと具体的にどういうことをイメージしていらっしゃるのか、例えば、そのうえで、どういったような政策が今後とり得るのかという点についてお伺いできますでしょうか。 』

この「ここですね」って部分、この会見要旨は例によって目視してたんですけど、この部分に来て吹きそうになりました(褒めてる)。 大滝秀治さんの某CM「つまらん!お前の話はつまらん!」みたいな感じ(ってあれももうだいぶ前のCMなんですなあ)で(ちょっと流れが違うけど)脳内再生されてしまいました、というのは兎も角としまして、この「ここでですね」とアタクシなら声がその時点で裏返ってしまってそうな部分の先が、言い方は丁寧だが物凄く「お前の話は何を言ってるのか分からん」というイヤミになっていて感動した。

安達さんのお答え。

『(答) まず、構造改革という話が、当然あります。』

いきなりそこか。

『現状は、基本的に企業の資金繰りに関してはほぼ例外なく救うスタンスであり、政府も家計に一律 10万円を先日配りました。』

話がワープしていますが・・・・・・・・・

『このように、みんな助けるという政策ですが、これはタイミングとしてはまだ早いかと思いますが、どういう形か分かりませんけれどもコロナの感染が収束した段階で、対策は絞られていかざるを得ない状況になると思います。』

いずれ全員助ける訳ではない、ということですが、さっきの質疑だと、ソルベンシーの問題になったら「積極果敢に措置を取っていく」という話をしていて、ここの話となんか前後矛盾しているような気がしますがまあ言ってることは分かる。

『そのときに、漏れた方々、特に私が注目しているのが非正規雇用で職を失われてしまう方がどんどん増えていく状況になってくると、これは直接金融政策の目的として明記していない話で、明記するとすれば日銀法の改正などももしかしたら必要になるかもしれないですが、』

えーっと、日銀が第2職業訓練学校でも作るんでしょうか????

『インフレ率や物価とつながっていますので、デフレ圧力をもたらしかねない話になってきますので、明記しない形でも、そこについてはなるべく支えるということです。』

別に雇用を無視して良いという訳ではないが、労働市場のスラックが物価に与える影響がかつてに比べて物凄く小さくなっている、というのが昨今のグローバルな話であって、非正規雇用者の失職が拡大する問題は、それはそれで国民厚生という点でも、経済の状況という点でも好ましくないのは好ましくないのですが、物価と直リンするのか???というのは何だかこう説明がアレだし、雇用問題に関する構造がどうのこうのという話になったらそれは日銀のお仕事じゃないでしょ、とは思いますが。

『また、今どちらかというと収縮している感じのある業種や企業が、事業を再開するときに、また雇用が増えるという段階まで粘り強く緩和を続けていくということではないかと考えています。』

・・・・・・結局この人は「今の緩和を続けます」以外の話で何かあるのかよという感じでした。


・安倍ちゃんの「事実上達成」発言に対して

流れるように次のイヤミが飛んでくるのは優秀優秀。というか総裁記者会見がヘッポコなんですよね。

『(問) 今の関連で、雇用ということで、講演でも、アメリカの方の話なんかも言及されていましたけれども、やはり 2%目標というものを掲げてきた中で、昨日も安倍元総理がおっしゃっていたのですけれども、雇用がほぼ完全雇用に近づいていて、2%目標を事実上実現されているということですけれども、この辺りについては、どう考えていらっしゃいますでしょうか。』

ワロス。

『(答) 安倍前総理のご発言はさておき、まず、2%のインフレ目標自体は、少なくとも現段階におきましては、グローバルスタンダードと言ってよいのではないかと思っています。多少オーバーシュートといった話は各国ありますが、そういう中で、各国 2%のインフレ目標を掲げて、それに紐づけて金融緩和のスタンスを取っているという状況です。』

はい。

『今実現されている、されていないという話とは別に、2%のインフレ目標自体をなくしてしまうと、実は政策自体のアンカーがなくなってしまうということで、むしろ政策の不透明感をおそらく高めてしまうのではないかと思っています。』

????????????????

質問者は「2%は事実上達成」という事に関する質問をしているのであって、目標を下げろとは一言も仰せでは無いと思うのですが。

『コロナの影響で物価上昇のモメンタムは確かに失われていますが、2%目標を掲げて粘り強くやっていくことがむしろ重要ではないかと思います。』

ということは安倍ちゃんの発言は正しいの正しくないの????????????


あと一つ質疑有りますがまあこんな所で、初回なので細かく見てみたものの、なんか兎に角自分の主張らしきものは出てこないという感じ(雇用重視でどうのこうのだけちょっとだけあったけど、なんちゅうかこの見事に何も言わない攻撃で、先行きの金融政策運営とかに何かあるかと期待しましたが(金懇テキスト見た瞬間に期待値はゼロになりましたけど)、まあ読んでて思ったのは大滝秀治状態ということでしたですわ。はい。












2020/11/13

お題「安達審議委員金懇のデビュー戦が実に残念な物件となりましたな」

何故そういう区別になるのか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201112/k10012707881000.html
東京五輪の外国人観客 原則14日間の待機免除で検討
2020年11月12日 18時35分

海外赴任中の日本人が帰国すると待機をしないと行けないはずなのに外国人観光客しかも五輪限定は待機免除とか、優秀な日本政府の皆さんは賢いことを言わはりますなあ(間接話法)という所ですが、こういうのを見ていると先月のこれが懐かしい。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20201026-OYT1T50060/
菅首相「国民のために働く内閣、決意申し上げたい」…きょう所信表明
2020/10/26 09:17

しかしここまで強引な話をぶっこみながらでも五輪開催しようとする背景には(ここでルビヤンカの方から来た人が玄関をノックする)。


〇安達審議委員の金懇初戦だがこれほどまでに主張の無い金懇テキストも中々珍しい

ちなみにPDF版とHTML版の同時公表でした。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201112a1.pdf
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201112a.htm/
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
長野県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2020年11月12日

でまあ最近はとみに金懇挨拶に関しては読むだけ時間の無駄と言って誰も反応しなくなってきている、というような風潮が広がっているようでして(個人の妄想です)、自称野良日銀ヲチャーとしては誠に遺憾に存じます次第なのですが、まあ今回の安達審議委員の金懇はこれがまたエライ勢いでスッカスカなテキストで、ここまで読むだけ時間の無駄というのもある意味珍品の類に属すると思うの(個人の感想です)。

物凄く好意的に解釈すると、初戦だから入りは抑制気味に、ってことで穏当にしたということなのかも知れませんけれども、以下鑑賞しながら説明しますが、仮にもこれまで延々とエコノミストとかを名乗って仕事をしておられ、しかもマーケットに近い所でずーっとやっていた方だというのに、長年市場に近い所でエコノミストやっていた方なりの考えや主張などもないし、分析もふわっとした気分みたいなものしか出てきてないし、このお方は一体全体何をしに政策委員になったのかというのがさっぱり見えてこないというのは何ぼ何でもアレ、という所ですのん。


とまあそういう事ですので、以下読んでも政策インプリケーションは1オングストロームも得られないというかなりのオモシロ物件になります。なお会見の方もヘッドラインは出ていたのですが、まあ見事にスルーって感じでしたな。つーか金懇挨拶も会見も円債村の話題にもなっていないような・・・・・・・・

などという物件を頑張ってネタにしてみる、という先般の「主な意見」並みに不毛な作業でございますが以下気を取り直して参りますね。お暇な方はお付き合いください(^^)。


・量が多けりゃ良いってもんじゃないのはその通りなのですがまあ何と申しますか

さてさて、今年に入ってからの金懇ちゃんですが、皆様のテキストの中でご当地経済に関する話の部分を差っ引いて考えますと、PDFバージョンベースで(片岡さんのだけは本文中に図表を埋め込んでいるので比較不能でそれを除くと)だいたい皆さんご当地経済の前の所までで本文11ページ目位までは費やしてるんですよね。

然るに今回の安達さん、上記のPDFの方を見て頂ければ分かる通り、9ページ目の下3分の1位から早速ご当地経済ネタが始まる、という物件になっておりまして、いやあのさあという感じになる訳ですな。

ちなみに確認用にリンク貼っておきますが、

櫻井さん
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201021a1.pdf
13ページ目の下3分の1辺りからが御当地経済ネタ

若田部さん(9月)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200902a1.pdf
13ページ目の下4分の1辺りからが御当地経済ネタ

若田部さん(2月)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200205a1.pdf
11ページ目の5行目からが御当地経済ネタ

鈴木さん
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200827a1.pdf
11ページ目の下半分あたりからご当地経済ネタ

政井さん(今日も金懇ですがこれは2月分)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200206a1.pdf
12ページ目の2行目からご当地経済ネタ

(さきほど書きましたように片岡さんはテキスト本文の中に図表が埋め込まれている形式なので比較不能ということで入れていません)

・・・・・・とまあそんな感じなのですが、今回はHTML版が同時公表だったのでHTML版を見た瞬間、というほうがアタクシ的には正確なのですが、まあそうやってパッと見たら「何か分量が少なくね?」と思って物は試しに確認して回ったらこの有様という量の少なさ。

いやね、もちろん分量が多ければ良いってもんでもない、というのはその通りでして、むしろ分量の多いお方、となりますと、最近ではジンバブエ大先生、もうちょっと前では白井さゆり大先生、という天下一武闘会レベルの逸材揃いでございまして、量が多いことが内容が充実していることにはつながらない(むしろ長いのは地雷物件)、というのが金懇クオリティなのですけれども、それにしても経済の状況的に論点が山のようにある(政策手段はあんまりないけどやった政策だけは山ほどあるし)この時期にデビュー戦を迎えており、かつこれまで現役バリバリ(かどうかは知らんが)のエコノミストとしてご活躍されていた(かどうか知らんが)お方で、しかも日銀審議委員にご就任された、とあらば何か一家言あるものと期待するんですけどねえ・・・・・・・・・


・本人が訴えたいこととかそういうのは無いのかと小一時間問い詰めたい

とまあそういうことでして、まあ見事にそういうような読む(現地だと聞く、になるんでしょうな)者に訴えかけるというか伝えるというか、そういうものがさっぱり感じられないというのがもう凄い。

本文をネタにする前にどんどんネタバレ状態で恐縮ですが、こちらのテキストを拝読すると、例えば経済の構造みたいな話みたいなのも確かにあるんですが、これ何ちゅうかまあ週刊T洋K済とか週刊DイヤMンド(いずれも仮名)あたりに良く転がってそうなお前に言われんでもわかっとるわ、というような話があるだけで、せめてそこに安達さんならではの視座とか、政策としてやりたいこととか、そういうものでも伝わるんだったらまだ良いんですが、通り一遍というか表面をフワフワなぞった話をしてあっさりおしマイケルっていうのが悲しい。

例えば今日金懇のある政井審議委員ですが、ご案内の通り元々別にエコノミストとかだった訳ではなく、為替中心の市場系のお方でございますけど、その政井さんの先般の金懇(2月の奈良金懇)だと、そういうエコノミスト的な話ではないですけど、政井さんとしての視座ということで、「IV.女性の活躍推進」ってコーナーを設けて一席入れていて、現役唯一の女性審議委員としての特色を出した話を入れているんですよ。

然るに安達さんの金懇挨拶テキストは「こっちが読んでて何のパッションも感じない」ので、まあ読んでもオモンナイのですが、まあネタにはしないとアカンですわということでございます、って前振りがクソ長くなって恐縮ですが以下内容に参りますのでお暇な方はお付き合いください。

#ま、迸るパッションがジンバブエに昇華して神まで語られだされても困るというのはありますけど


URLをここまでで色々と貼りましたので、今回のを再掲しておきますが、以下引用はコピペの都合上、HTMLバージョンの方から参ります。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201112a1.pdf
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201112a.htm/


・経済物価情勢の話がたったこれだけ(しかも物価の話は無い)

『2.感染症の影響と内外経済の動向』って所をHTMLの方で見ると何ちゅうあっさり味、と読めると思いますが引用しますね。

『感染症の動向』って小見出しが最初に来る。

『はじめに、新型コロナウイルス感染症の動向を振り返ります。今回の感染症は、1月に中国で流行が確認され、2月下旬から欧州へと拡大していきました。4月頃に欧米での感染者数拡大は一旦ピークアウトしますが、その後は中国以外の新興国へと感染が急速に拡大していきました。足許でも、米国と欧州において再拡大の動きがみられるなど、感染症の動向は予断を許さない状況です(図表1)。

この間、わが国では、3月下旬から感染者が急速に増加し、4月には政府による緊急事態宣言が発出されました。5月に緊急事態宣言は解除されましたが、7月頃から感染者数が再び増加し、その後減少に転じた後は一進一退で推移しています(前掲図表1)。もっとも、わが国の感染者数の拡大ペースは他の主要国と比較すると緩やかであり、重症者数や死亡者数も抑制された状況が続いています。』

おいwwwwそんなのお前に説明されんでも全員分かっとるわwwwwという説明なのですが、なんとまあこれでおしマイケル。ちなみに図表(PDFバージョンだと本文の後にあります)では『感染症の動向(図表1)新規感染者数の推移』とあって、大変にしょぼいグラフが掲載されているだけ、という物件なので是非図表もご覧ください。

で次が『海外経済の動向』です。

『こうした感染症の拡大に歯止めをかけるべく、多くの国が外出・移動制限によって経済活動を抑制する措置を講じました。このため、本年前半、とくに4−6月期の世界各国の実質GDP成長率が大幅な落ち込みをみせたことは記憶に新しいところです(図表2)。

しかし、その後先進国を中心に経済活動が徐々に再開され、世界経済は底打ちし、夏場以降、総じてみれば持ち直しに転じたとみられます。企業の景況感を示すPMIは、景気判断の分かれ目となる50ポイントを上回って推移しています(図表3)。また、10月に公表されたIMFの世界経済見通しでは、多くの国・地域の2020年の経済成長率の見通しが上方修正されました(図表4)。』

何とこれでおしまいです。感染症の方は兎も角として経済の話だったら日銀ちゃんが2週間前に展望レポートを出したと思うのですが、それに沿った話とか、まあそれ以降感染症関連とか政治関連にも大きく動きがあったから、むしろマーケット系エコノミストだったらそこもアップデートして欲しい位なのですけれども・・・・・・・

気を取り直して次の『国内経済の動向』に参ります。、

『日本経済に目を転じますと、欧米先進国と同様、4−6月期をボトムに持ち直しているとみられます。特に、欧米、中国向けの輸出の回復に伴い、自動車関連や情報関連など、製造業の生産の回復傾向が徐々に明確になってきています(図表5)。

しかし、今回の感染症拡大による影響は、企業の業種や家計の属性によって大きく異なるため、経済全体としては持ち直しつつあるとはいえ、回復ペースも属性によってばらつきがみられます。これは他の主要国においても観察される現象です。

企業活動をみると、製造業の回復は比較的堅調である一方で、非製造業の回復は緩慢です。また、非製造業の中でも、インターネット関連に代表される情報通信は、在宅勤務の拡がり等もあって業績が好調な企業がみられる一方で、消費関連では回復の実感がなかなか得られない企業も少なからず見受けられます。小売業の中では、家電販売やネット通販等、「巣ごもり消費」拡大に支えられて業績が好転する企業がみられる一方で、旅行・宿泊、飲食といった対面型サービス業では厳しい業況が続いています(図表6)。』

やっと図表の数が出てきましたが・・・・・・・・・

『こうした属性による感染症拡大の影響の違いが顕著に表れているのが、雇用の状況です。足許、わが国の完全失業率は3.0%と、他国と比較すると低水準となっています(図表7)。こうした背景には、後述するように政府と日本銀行の政策対応が効果を発揮している側面もあると思われますが、雇用形態別の就業者数をみると、正規社員については前年比プラスを維持している一方で、非正規の雇用は対面型サービス業を中心に減少している姿が窺われます(前掲図表7)。今後の非正規雇用の動向については、注意深くみていく必要があると考えています。』

というのでおしまいですが、この経済に関する説明の最後に締めが「今後の非正規雇用の動向については、注意深くみていく必要があると考えています」ってなっているのに象徴されるように、なんかここの説明って物凄い勢いで「他人ごと感」が横溢しているように見えてしまう訳でして、いやその正規・非正規の間での雇用環境のダイバージェンスが今後の経済にどういう影響を与えるのかとか、それが政策対応にどのような影響を与えるのかとか、そういう経済の見通しやら政策対応に繋がる話が無くて、ただ現状の話をして「注意深くみていく必要があると考えている」で終わるとか政策責任者としての自覚があるのかと小一時間問い詰めたい訳ですよ。

なお、このちょっと先にウィズ・コロナの金融政策云々という話があるので、そこに話を集約しました、という建付けなのかも知れませんが、後でネタにしますがその部分も何を主張したいのかさーっぱり分からんというのがもう素敵な訳ですよこれがまた。


・政策対応の考察とかいうのが全然考察じゃない件について

次の章が『3.政策対応とその効果』でして、最初の小見出し『政府・日本銀行の政策対応』は毎度政策委員の方が金懇で説明する内容、となっているのでまあそこはいつものだから割愛しまして、その次の小見出しの『政策効果に関する一考察』に参ります。

『政府と日本銀行によるこれまでの政策対応は、概ね効果的に機能していると考えられます。政策の効果は、感染症の影響により経済活動が急速かつ大幅に落ち込んだもとにあっても、倒産件数や失業者の増加がこれまでのところ限定的なものとなっていることにも現れています。』

ほうほうそれでそれで?

『例えば、日本銀行が推計している日本経済の需給ギャップをみると、感染症の拡大とその抑止策が企業・家計の経済活動を強く制約し、労働時間や資本稼働率を中心に急激に低下したことから、本年4−6月は▲4.83%と、リーマン・ショック直後の2009年1−3月期(▲5.40%)、および同4−6月期(▲5.53%)に次ぐマイナス幅となりました。このように、今回の経済活動の落ち込みは、リーマン・ショック時と比べてもそれほど大きく変わらないにもかかわらず、現時点では、雇用調整の程度が相対的に小幅にとどまっています。』

『これには、雇用調整助成金の拡充や資金繰り支援などの各種政策が迅速に実施されたことにより、倒産・廃業や失業者の増加がある程度抑制されていることが影響していると考えられます。』

・・・・・・でおしまいなの???いやあの安達さんついこの前までエコノミストということでお仕事してたと思うんですけど、それだったらもうちょっと掘り下げた分析してくれないんですか???これじゃあただのフワッとした話で、せっかくの金懇という対外発信の機会なんだし、安達さんってエコノミストとしての高い識見(棒読み)を評価されて審議委員にノミネートされたんですから、その識見をここで出さないで何時出すのよ?????

などとおもいました、まる。

#ちなみにここまでの話の中で物価情勢の話はないわ、インフレ目標達成に関する話はない(インフレ目標に関しては後の方では出てくるけど)わ、というのもお茶目なんですよねー


・ウィズ・コロナの日本経済という壮大なお題にしては・・・・・・・・・・

とまあこれで金融経済情勢と今後の見通し、金融政策運営に関する説明が(金融政策の具体的にやった説明の部分は割愛しておりますので改めて念のため申し添えますが、それを勘案しても依然として)物凄く淡泊というか表面をフワッとなぞってハイおしまいという事ですが、次に何となく壮大な章があるから期待して読もうではありませんか(超棒読み)。

『4.ウィズ・コロナの日本経済』という壮大な章が来ました。最初の小見出しが『アフター・コロナからウィズ・コロナへ』となっています。ちなみにこのウィズ・コロナっての若田部さんも好きですよね。

『感染症拡大局面の当初は、感染症収束後の経済再開に備えて、倒産や失業の増加を防ぎ、いかに経済を持ちこたえさせるかという点に政策対応のプライオリティが置かれていたように思います。このため、感染症が拡大する前の経済状態(ビフォー・コロナ)に回復することを企図した政策運営がなされてきた側面があると考えられます。私自身は、経済を持ちこたえさせるという意味での政策目的は、概ね達成されつつあるのではないかと考えています。』

じゃあ臨時措置終了しろや、と思いましたがそれは兎も角としてその先。

『その一方で、感染症の拡大が本格化してから半年以上が経過した現時点においても、感染症のリスクが完全に払拭されるという意味での正常化(アフター・コロナ)への展望が見えてくるのには時間がかかると感じられている方が増えてきているのではないでしょうか。』

で??

『この点、感染症拡大の抑制を最優先するのであれば、ロックダウンなどにより経済活動を抑制することが有効であることは事実ですが、社会生活に相当なインパクトを及ぼすこともわかってきました。日本の場合は、感染症が収束したとはいえませんが、これまでのところ重症者や死亡者が顕著に増加する事態は避けられています。こうしたこともあり、最近では、アフター・コロナの到来を待つよりも、ウィズ・コロナを前提とした経済活動を模索する動きが徐々に広がりつつあるように感じています。』

という何かフワッとした話でこの小見出し部分が終わってしまってズッコケてしまうのですが、気を取り直して次の小見出しの『ウィズ・コロナの視点からみた変化の兆し』とかいう壮大なお題に参りましょう。

『こうしたウィズ・コロナの世界がもたらす変化について、以下でお話しさせていただきたいと思います。』

ほう。

『リーマン・ショック以降、経済学者の間では、世界経済の成長の限界、もしくは成長フロンティアの枯渇を懸念する見方が示されるようになってきました。ハーバード大学のサマーズ教授らが提唱した長期停滞(Secular Stagnation)論などが代表例です。』

ほうほう。

『先進国を中心に、潜在的な経済成長率が低下している可能性が指摘されていた中で、今般の感染症拡大により、長期停滞がより深刻化するといった懸念が高まっていると考えられます。特に、感染症の拡大により、2000年代以降の世界経済の成長を牽引してきたとされる「グローバル化」、「都市化」、「サービス経済化」といった要素に、強い逆風が吹いているといえます。仮に今後数年間、感染症と共存せざるを得ないウィズ・コロナの時代が続くとすれば、感染症拡大前の成長経路に復することはより困難になる可能性があります。』

それからそれから??

『ウィズ・コロナの視点から、最近の経済における変化の兆しを考えてみると、いくつかの可能性をみてとることができます。』

で??

『第1に、デジタル化の動きです。感染症拡大に収束の兆しがみえない中で、比較的堅調な伸びを示しており、企業が積極的な姿勢を維持しているのがデジタル投資です。これは、在宅勤務の普及に代表されるように、感染症の拡大を抑制しながら経済活動を続けていくうえで不可欠な投資です。特に感染症拡大の影響を強く受けている対面型サービス業は厳しい事業環境に直面していますが、労働集約的な側面が強く、生産性の向上が課題とされてきましたので、デジタル投資の促進は、こうした環境を克服する以上の意味合いを持つ可能性もあります。また、デジタル投資の進展は、クラウド向けをはじめとする様々な関連分野における新たな需要の拡大に繋がることも期待されます。』

『第2に、都市機能の分散化です。米国では、感染を回避する観点から、都市部から郊外に住居を移す動きがみられているようです。日本においても、7月、8月、9月と、東京都からの転出者数が転入者数を上回ったことが話題になりました。こうした動きがウィズ・コロナの世界への変化を先取りするものかを見極めるには時期尚早ですが、長い目で見ると、在宅勤務の普及といった現象は、都市機能の分散化に影響していく可能性も考えられます。』

『第3に、企業立地の見直しです。感染症の拡大は、世界的な物流網に大きな影響を及ぼしました。その結果、企業の中には、最適なサプライチェーンを構築する観点から、工場や物流拠点などの立地を再検討する動きもみられるようです。』

『都市経済学者のリチャード・フロリダ氏は、著書『グレート・リセット』において、新しい成長プロセスをもたらすイノベーションは大不況という逆境の中から生まれるということを、戦前の世界大恐慌以降の米国の低成長期の事例から説得的に指摘しています。逆境こそ新たな成長の源泉という見方に立てば、ウィズ・コロナの世界に適応していくために社会構造の改革に取り組んでいく過程で、次世代のイノベーションが生まれる素地ができあがるのかもしれません。そうした意味においても、ウィズ・コロナを展望した社会の変化については、今後も注意深くみていく必要があると考えています。』

おいおこらちょっと待てwwwまた「注意深く見ていく必要」で終わりかよというか、エライ壮大な小見出しからの、そこらの一般ビジネスマン向け経済誌の切り貼りみたいなこの話は何だよという所でして、だからこの3つの変化に伴う政策インプリケーションはどのようなものがあるのかとか、これらの変化に対して安達さんは何を考えてどうしていきたいのか、とかそういうパッションを感じる話が(ここまでもそうでしたが)まあ丸で無い、というこの評論家っつーかお茶の間コメンテーターみたいな話だけされても「So whar???」ってなもんですわ。



・題名は壮大だが中身はアレだし中央銀行の役割分担をたぶん勘違いしてそうなお話でもある

次が『5.ウィズ・コロナの世界と今後の金融政策』という章なのだが、なんか同じ話を無理矢理引き延ばしている感は否めないが鑑賞してみようではありませんか。

『本年3月に日本銀行審議委員に就任して以降、私は、感染症の拡大に際して、まずは企業に対する潤沢な流動性供給を通じて倒産と失業の増加を回避すべきであると申し上げてきました。それは、政府は感染症の拡大を抑制することを企図して、政策として経済活動を抑制しましたので、それによって家計・企業が受けた負の影響については、何らかのかたちで政策的に支えることが適切であると考えたためです。』

「家計・企業が受けた負の影響については、何らかのかたちで政策的に支える」ってのは資源配分に関わる部分になりますので中央銀行ではなく政府の役割であって、中央銀行が行うのは、その中で結果として金融引き締めに繋がることを行わない、すなわち今回の場合であれば、緩和的な金融環境を維持することであって、その緩和的な金融環境の維持が金融市場におけるリスクプレミアムの不必要な拡大抑制(各種買入とドルオペ)であり、金融機関が流動性不足を起こさない措置(ってのは正直要らんのだが一応新コロオペ)であって、まあそれを「政策的に支える」と言っても全くの間違いではないでしょうが、この言い方ですとあたかも中央銀行が家計や企業を直接支援するような表現に見えてしまう訳ですよ。

そのようなミクロの資源配分に突っ込むのが中央銀行な訳ではなくて、この場合であればマクロ的に緩和的な金融環境の維持を行うのが中央銀行の役割であって、この表現はやっぱりちょっと変じゃないの、とは思う。


『そして、2%の物価安定目標の実現に向けた金融政策は、感染症の収束後に、アフター・コロナ下での金融政策のあり方として再検討すべきであると考えていました。』

物価は貨幣的な現象なんじゃなかったでしたっけ????と思いますし、黒田総裁以下の説明では現行の政策は2%物価安定目標達成に対しても有効である、という説明をしていますし、大体からして2%早期達成に向けた政策として前からやってた施策は継続していますけど。

『もっとも、最近の情勢を鑑みると、少なくとも当面の間はアフター・コロナの世界を展望することは難しく、ウィズ・コロナの世界における新しい社会や経済の姿を展望する必要が生じつつあるように感じています。』

だから何なの???というこのフワッとしただけの話。現時点では先の事が分からんから分からん。でも良いのだが、だから何をどうするって話はいつ出てくるんでしょうかねえ。

『こうした中、本年8月にFRBは今後の金融政策に関する枠組みの変更を公表しました。この枠組みの変更においては、一時的にインフレ率の上振れを許容するという平均インフレ目標の導入が注目されていますが、それと同時にこれまでと同様、最大雇用の実現も謳われています。』

この分で段落が変わって唐突にFED。

『FRBは、インフレ率の目標値からの上振れをある程度許容しても、可能な限り多くの雇用を実現することを目指す政策を採用しようとしていると考えられます。』

えーっとですね、物価2%からの多少の上方乖離を許容するロジックは(1)現在に至るまでの期間において、2%を下回る物価水準で推移していた期間が長いので、多少程度の上振れは帳尻として許容する、(2)同じく下振れ期間が長かったのでインフレ期待が下がる可能性もあるから多少程度の上振れがあった方がインフレ期待を2%でアンカーさせるのに寄与すると見ている、(3)労働市場における労働需給ギャップに対する物価の感応度が非常に小さくなってきているので、労働市場が多少過熱気味に推移してもインフレの高進を招かず、それであれば労働市場にスラックがあるよりも多少過熱気味の方が国民厚生上好ましいだろう、というような判断な訳で、こんなの情勢が変わって、何らかの拍子にまた昔のように労働市場のスラックが縮小する中でインフレ圧力がバンバン高まるような経済状態に戻ったりしようもんなら、当然ながら完全雇用水準の手前で緩和から中立に戻るような昔の形になるんですけどねえ。

政策反応関数として労働市場の状況というのは、金融引き締め(あるいは緩和解除)の判断に使いにくくなったので、まあどうせ同じならそらインフレが高進するリスクのない範囲内において労働市場が強い方が皆が得するからそうしましょ、って話なんですけど、何でこういう解釈に持って行くんでしょうかねえ。

#ちなみに「可能な限り多くの雇用」ってのもそれ最初からあるマンデートなのでそもそもの言い方も妙なんだが


・・・・・・ってのは話は簡単で、昨日マクラでネタにした安倍ちゃんの言い訳シリーズにもありますように、「雇用」でも持ち出さないとマネタリーベース置物直線一気理論の盛大な見込み違いについて誤魔化せないもんだから最近は雇用雇用というようになっているんですよねー置物一派の皆さんは。

などと悪態をつきながら話を元に戻します。

『あくまで個人的な見解ですが、こうした変化には、経済環境の悪化による影響を受けやすい、限界的な雇用の変化により目配りしていこうとする政策観の変化を感じます。こうした点は、米国固有の文脈で生じている面が強いですが、金融政策を考えるうえで大変興味深いものです。』

ほうほう、でもって安達さんはどうお考えで????と聞こうと思ったのですが。その答えは無いのでありまして次の段落はこんな話になります。

『日本については、他国と比べると感染症の拡がりは抑制されているとはいえ、アフター・コロナの世界を展望しづらい状況に大きな差はないように思います。こうした環境において、政府は様々な改革を積極的に推進しようとしています。一般論として、社会経済の構造を大きく見直す過程では、痛みを伴う可能性を否定できません。こうしたもとでは、痛みを和らげるセーフティネットの存在がより重要性を帯びてくるのではないかと考えています。』

ほうほうそれと金融政策に何の関連が??

『私は、ウィズ・コロナの世界において、金融政策はこうした改革を直接的に後押しするというよりは、緩和的な金融環境の提供を通じてある種のセーフティネットとしての役割を果たすことができるのではないかと考え始めています。』

何で日銀がセーフティーネットの役割をせきゃ行かんのよ。それはまさにミクロの資源配分に関わる部分で、政府というか、選挙で選ばれた立法府の議決の下で政府が行う話でしょ、と思いますし、そういう点では米国のMSLFなどの各種の企業や地方政府向けのファシリティって議会で承認されたCARESActによる手続き踏んでぶっこんでいて、FEDはそこに流動性の供給はしているけれども、エクイティの供給はしていないですわな。

まあ一方で先日の地域金融機関向け特別付利制度に見られるように、日銀は何かノーズロでドンドンミクロの資源配分に踏み込んでおりますので、まあこのような説明が堂々と安達さんから出てしまうのも、恐らく今日銀がぶっこんでいるミクロの資源配分に関わるような政策に関して、そもそもミクロの資源配分に日銀が関わって良いのであろうか、的な問題意識を持った議論が端から行われていないから、まあこういう風に「中央銀行がセーフティーネット(一応「ある種の」という留保はさすがに安達さん置いてますけど)」というのが堂々と飛び出してくるんでしょうなあ、とは思いました。この段落さらに続く。

『緩和的な金融環境を維持することは、中長期的にみて、経済活動が正常化し、物価安定の目標の達成に向けて動いていく基礎にもなると考えています。』

だったら別にさっきみたいな妙な話をしないで、普通に「今の政策も2%達成に向けて貢献しています」で良いと思うんですけどね。さて次の段落。

『これまでのところ、日本銀行が進めてきた各種の流動性供給の効果もあって、企業の資金繰りには厳しさはみられるものの、大きな問題は生じていないようです。もっとも、依然として先行きに対する不確実性は高く、経済の回復ペースが想定を大きく下回る場合には、企業による将来に向けた前向きな展望が失われ、倒産や廃業が増加するといったリスクを完全に排除することはできません。』

と来ましていつになったら今後の金融政策の話が出てくるんでしょうかね、と思うとこの段落の後半部分が以下の通り。

『そうした事態を回避すべく、今後も経済動向を注意深くモニタリングしながら、緩和的な金融政策のスタンスを維持することが、ウィズ・コロナの世界においても求められると考えています。』

ウィズコロナとかアフターコロナとかバズワード並べた割には何の話ですねんという所でして、ウィズコロナの金融政策で云々って話をエコノミスト様としてするなら、せめて感染症と共存する中で経済の構造が変化した時に生産性(労働生産性だか全要素生産性だか知らんが)がどうなることが予想されてその場合金融政策運営にこのような影響があるとか、潜在成長率が以下同文とか、なんかそういう考察の1つでも別にこんなの将来の話で何も決め打ちしなくて良いのだから、仮の話でこういう論点がありますよね、位の話を安達さんクラスだったら出来る筈なんですけど、よくよく見ればここでも「経済動向を注意深くモニタリングしながら」ってさっきからお主は「注視する」しか言うとらんじゃろうが、というようなこの何ちゅうかそこらの一般向け経済雑誌あたりから切り貼りしたんかいというような内容の無さに涙数行下る、という感じでございました。

でまあ最初にアタクシが申し上げた「読む人に訴えかけるようなものが無い」というのもお分かりいただけたかと存じますが、これ読んでて「だから貴殿はどう考えてどうすべきって思うの???」ってのがまるで無い思いっきり空っぽな印象しか受けない(個人の感想です)次第で、これなら若田部さんのこの前の金懇なんか一生懸命海外の最近の論説を切り貼りしているだけまだマシに見えるわwwwwwとかいうエッシャーの騙し絵みたいな展開が延々と続くの勘弁してほしいわと思いました。


なお、このようにまとめていることでお分かりの通り、『5.ウィズ・コロナの世界と今後の金融政策』という大変に立派なお題で始まったこの章は先ほどの部分にて終了しておりまして、以下はご当地経済の話になりますが、ご当地経済の部分は誠に恐れ入りますが割愛させて頂きます。













2020/11/12

お題「特別付利制度(というらしい)ネタの続きでテクニカルに気になることなどを少々」

ナンジャソラ。
https://www.asahi.com/articles/ASNCC7DH8NCCUTFK011.html
安倍前首相が反論、物価上昇率2%「事実上到達した」
笹井継夫
2020年11月11日 22時11分

『安倍晋三前首相は11日、自らが会長に就任した自民党の議員連盟の会合で、安倍政権が掲げた物価上昇率2%が未達成との批判があるとして「ある意味、間違った議論。完全雇用に近い状況をつくった。事実上政策ターゲットに到達したと考えていい」と反論した。』(上記URL先より)

安倍ちゃんが相変わらずのアレなのは兎も角として、サムネをよく見るとその両側に座っているのが置物とヤマコーな訳で、お前ら恥を知れと思うが、そもそも論として2年で達成しなかったら副総裁を辞任するとか言いながらまだ現世に存在している面の皮が厚い人間に恥の概念がある訳がないのでした。

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20201111002588.html

まあ2%未達成でも良かったらしいからコロナ終わったらマイナス金利もYCCも解除解除!とっとと解除!!!


〇特別付利制度ネタの昨日の続き

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110a.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110b.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の骨子に関する補足説明

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110c.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」のポイント

まあしかし何ですな、昨日も昨日とて企業決算の発表がそこそこあったのですが、どこかの地域金融機関さん辺りで「当行は既に経営の効率化、適切な経費の削減などに務めており、このような施策は全体としては結構であるが、当行としては特段この制度に応募することはない(キリリッ)」位鼻っ柱の強い金融機関さんがいたらお洒落と思いましたが、まあそんなファンキーな所は無いですかそうですか。

んじゃ昨日の補足というか何というか、まあだいたい論点は昨日ぶっこんだつもりではありますが、テクニカルな部分とか詳細が詰まってないっぽい部分があって良く分からんので分からん点をちょっと備忘がてら投下してみます。


まずは「補足説明」から。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110b.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の骨子に関する補足説明

・特別付利の適用に上限を設ける趣旨は分かるが当預先以外は(含める場合に)どうするんじゃ????

『4.特別付利の方法』って所から参ります。

『(1)特別付利は、所要準備額を除く当座預金残高に対して行う。』

この「所要準備預金はゼロ金利」ってのはマイナス金利政策導入どころか超過準備付利制度が出来てからずーっと維持されている(ちなみに今のFEDは所要準備にも付利してます)が何か法的にやっちゃいかんとかあるのかしら(臨時金利調整法の関係??)。まあどうでも良いちゃあどうでも良いのですが、面倒じゃん一々除外計算するの(安直)。

という話は兎も角、当座預金残高全部とか物凄く気前が良い。


『ただし、本制度の適切な運営を確保するとともに、金融調節を円滑に遂行する観点から、特別付利の対象となる金額については、対象先ごとに上限を設ける。

・ 具体的には、次の@またはAのうち、いずれか高い金額を上限とする。

@ 当該対象先の過去の当座預金残高(所要準備額を除く)に全当座預金取引先の当座預金残高(同)の合計金額の伸び率を乗じて得た金額

A 当該対象先の基礎残高とマクロ加算残高の合計金額』

だそうでして、特別付利の適用になったからよーしパパインターバンクでコールをマイナス(またはゼロ金利)調達してブタ積みすれば10bp丸儲けだぞ〜♪というのは野放図にはできないようになっているので、無限くら寿司のようなパターンは生じない、ということのようですが、しかしまあこの@ってこれもしかして事後的にしか分からんのかいなとか、過去の当座預金残高とは基準日何時やねんとか、なんか色々と具体的なところが謎。まあAは分かるんだが、これだとマイナス金利部分が発生していると超過準備全体には特別付利されないことになりますな。

でですね、これ更に謎なのは、このような上限を設けてしまった場合、現在対象に加えるか加えないかという話をこれから検討する、と言う事になっている非当預先(信金の一部と信組と労金と農協と漁協)にこの制度適用する際の上限残高ってどう算定するんじゃという話になる(上限が無いのならば上部機関経由の紐付けで右から左に日銀当預に置かせるみたいな話が無いわけでもないのでしょうけrども、いずれにせよ七面倒なことにはなりそうですけどね、上限云々以前の問題であっても)のでありまする。いやマジでどうするんでしょ。

ま、この上限設定は、無限に特別付利を認めるとコールレートがバンバン上がるとか、あるいは地方公金を10bp未満のサービスレートでジャンジャン受け入れて付利貰ってウマーな上にこの制度を受けられない他行とのイコールフィッティング上かなりややこしいことが起こ、みたいなのを予防するための措置だというのは分かります。


・特別付利の出し方が何故か経営統合の方に甘いような気がするのは気のせいでしょうか

次の所を見ますとこんなのが、

『(2)特別付利は、準備預金制度上の積み期単位で行う。

・ 3.(2)@に該当する場合は、各年度の要件を満たした対象先に対して、翌年度9月積み期から1年間、特別付利を行う。ただし、2020・21 年度に要件を満たさない先が、翌年度以降 2022 年度までに要件を満たした場合には、満たした年度の翌年度に過年度における特別付利相当額を支払う。』

「 3.(2)@」ってのOHR改善とか経費削減とかの要件ですが、これ22年度に帳尻で満たすと遡及して3年分付利貰えるのか。どこか3年目だけの帳尻攻撃とかやったら超ウケるんだが、まあそこまで下品な人はいないですかそうですか。

『・ 3.(2)Aに該当する場合は、経営統合等の機関決定が行われた後、当該経営統合等が経営基盤の強化に資するものであることを日本銀行が経営統合計画等により確認のうえ、当該確認および所要の準備が終了した次の積み期1から3年間、対象先に対して特別付利を行う。ただし、経営統合等が実現しなかった場合には、特別付利相当額の返戻を求める。』

「 3.(2)A」ってその後見れば分かるように、経営統合したら貰えまっせという方の要件ですけど、こっちって何気にしらっと「経営統合の内容について日銀が確認したところから3年間」になっていて、つまりは2022年度に駆け込みでぶっこんで確認が間に合えば2025年度まで特別付利がもらえる(もちろんその前では貰えんのだが)ということで、しかもこっちって別にその後の経営上の数値がどうのこうの言われるわけでもない(まあ余りにも目に余ったら「適切でないと日銀が判断する」というジョーカー項目を適用して付利返還させることはできますのでそうするでしょうけど)という次第。

まあ普通に考えて経費削減と経営統合の要件ですが、経営統合側に甘めになっているなあという印象は受けました(個人の感想です)が、まあ10bp貰いに経営統合を決断するひともいないでしょうし、むしろそれ欲しさによーしパパ経営統合するぞーとか言ってたらどんだけ苦しいんだよという話ですわな。


でもって更に次の項目がよくわからん。

『(3)地域銀行が、地域銀行を主たる構成企業とする持株会社の傘下に入るかたちで経営統合等を行う場合には、当該持株会社傘下の各地域銀行に対して特別付利を行う。』

ん?ん???

どこかの地域金融機関連合の傘下に入ると、その銀行だけではなくて元々グループにいた銀行全部が特別付利貰えるとな?????という解釈が出来るような気がするのだがそれでええのか???何か随分と優遇されてる気がするのだが。

『地域銀行が、地域銀行以外の銀行・銀行グループまたは事業会社等と経営統合等を行う場合には、当該地域銀行に対してのみ特別付利を行う。その他の形態による経営統合等については、1.記載の趣旨に照らして個別に判断する。』

大手行の傘下に入る場合や、事業会社の傘下に入る(ってのなんか華麗にスルーされているのですが機関銀行化の問題ってどういう整理になってるんでしたっけ、まあ大口融資規制とかで機関銀行化をさせないような運用をするんでしたっけ、とかこのネタ掘っていくと関連する論点について一々調べたりすることになって中々オモロイ)場合は傘下に入る当該地域金融機関にのみ付利をする、ってのはまあ意味としては分かる。

「その他の形態」とは何を想定しているのか良く分からんのだが、最近話題の地域金融機関じゃ無い方が音頭を取って地域金融機関のグループ化みたいなのがこれに該当するのかしら。


・事実上のマイナス金利撤廃当預付利復活というお洒落な制度なのを再確認&しらっと多少の雑談

『5.適用利率 年+0.1%とする2。』

脚注2が『2  3.の要件を満たした先に対しては、4.に掲げるところに従って 2021 年度以降、補完当座預金制度に基づく付利(現在、同制度における基礎残高は年+0.1%、マクロ加算残高は年0%、政策金利残高は年−0.1%の利率を適用)に加えて、年+0.1%の利率で特別付利を行う(新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペに関する付利は、現状どおり行う)。』

ってありますので、今の金利体系の場合は政策金利残高部分が事実上のゼロ金利、所要準備部分は従来通りのゼロ金利、政策金利残高部分に該当しなくて、上記で出てきた上限の範囲内の超過準備部分は事実上10bp、基礎残高部分とコロナオペボーナス分は事実上20bpとか、中々不思議な事になりますが要するにマイナス金利撤廃ですな。

なんかこんなややこしいことするくらいなら端からマイナス金利撤廃すればいいんだし、この経営指標だの経営統合だのというようなミクロの資源配分に対して、議会という民主的な決定プロセスを経ない日銀が全面的にコミットしてしまう、ってのはやっぱり議会制民主主義を取っている国家における統合政府部門の在り方として如何なものか、というようなそもそも論をぶっこんできたくなるわけですよ。

経営統合を促すとか、経営合理化を促すとかして、それに対するインセンティブ付与をどうするのか、という話は、(そういや今日も時間が間に合わなさそうなので後に回しますが)FEDが言うように、議会で決めた予算の執行という話である、というのが本来の話ではなかろうか、とまあアタクシの無い知能でも思ったりするわけでございまして、そういうインセンティブも含めて例えば地域金融機関機能強化法みたいなのを時限立法で作って、その集中期間における経営改善努力に対して何らかの予算的なインセンティブなり規制的なインセンティブを付与する、っていうのはやっぱり議会での議決プロセスを通すべき話だし、仮にその運営において何らかの不都合な結果が発生した場合でも、議会の決定プロセスを通しているのと通していないのでは大違いだと思うのですよ議会制民主主義国家なんですから。でもってそのついでに日銀がマイナス金利を解除すればヨロシがな^^;

とまあ急に話が壮大になってしまいましたが、まあこれを「金融政策」としてぶっこむのは、個別資源配分への介入という点でちょっと盛大に踏み込んだなあ、と思う所。まあそう言いだすとそもそも社債CPとかもモロですし、ETFとJ−REITだって市場全体のインデックス買っていると言ったって、介入は介入だしなあ、というのはありますけどね。


・とりあえずジョーカー項目があるな

その次に行く。

『6.特例的取扱い

本制度の適切な運営を確保するとともに、金融調節を円滑に遂行する観点から、日本銀行が必要と認める場合には、予め定めた取扱いと異なる取扱いを行い得るものとする。』

まあこの特例的取り扱いですが、普通に考えると例えば適用先が増えすぎてコールレートが上がってしまうからちょっと制限加えよう、みたいな方向性で使う項目だと思うのですが、昨今の政治情勢ではこういう項目を「何でもできる項目」みたいに言い出す風潮があるような気がする(個人の妄想です)ので念のため要注意。


『7.対外公表

特別付利を行った対象先の名称は、原則として年に1度の頻度で公表する。』

まあここはそうですねって話。


・さて要綱はMPMマターか通常会合マターか

『8.今後の進め方

本制度については、今後、関係先の意見等も踏まえつつ、所要の検討を速やかに進め、実施のための基本要領等を改めて政策委員会において決定する3。』

『3 本制度を実施するうえで必要な認可についても検討等を進めていく。』

とのことですが、この政策委員会は「政策委員会・金融政策決定会合」なのかただの「政策委員会」なのか。実はこの手の政策委員会マターの大物として、昔の「銀行等保有株式買取」という大ネタがあったのですが、基本要綱とかがどこでどう決めたのかが咄嗟に思い出せないのと、何のことはないもう時間が無いので確認してる暇がないのでこの辺で勘弁。


#うーん本紙の方も少しやろうかとも思ったけどまあこっちでテクニカルな論点(とどさくさに紛れてぶっこんでいるそもそも論)はカバーしたのかな、とは思っております。


何か今日は再確認で検索したりして(その割にその成果物は駄文に反映されておりませんサーセン)おりまして無駄に時間を食ってしまったので甚だ簡単で誠に恐縮ですが本日はここで勘弁して頂きとう存じます。








2020/11/11

お題「地域金融強化のための特別当座預金制度ってのが投下されましたので予定を変更してお送りします」

さてアタクシ、昨日は時間の配分をいつものようにへくりまして(というかツッコミがノリノリになりだすとやめられない止まらないになってしまうのがアタクシの仕様なのですサーセン)パウエルのFOMC後会見ネタを飛ばしてしまいましたが、その時に確かに「うっかり八兵衛なので時間が無くなってしまいました続きは変なこと無ければ明日に参ります。すいません。」と書いたわけですよ。

でまあ昨日は日経25K惜しいとかCP買入減額したじゃんとかいうネタはあったものの、まあ平和裏に進行するかと思ったらあーた引け後になんちゅうもんを出してくれるんですかテラフラグ建築士wwwwwwww


〇何ちゅうかこう色々な論点が浮上するオモシロ施策にも程がある物件が投下されますた

リリース順(URLケツのアルファベットを見るアルヨロシアルね)に。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110a.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110b.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の骨子に関する補足説明

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110c.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」のポイント

でまあこれ最初にベンダーのヘッドラインで見たので、まあベンダー受けする部分から先に頭が反応して、「日銀は遂に〇〇の回し者になったのかよ」とか口から言葉が発声されておりましたが、まあ何ちゅうかこれ色々な意味で色々な論点があり過ぎて、昨日も頭を捻って整理していたのですがやっぱり整理しきれないのでとりあえずダラダラと並べておきますわ。

でまあ何ですな、リリース順にやって行くのが本当は良いのかもしれませんが、日銀様謹製の「ポイント」ってまとめている事になっている部分から論点と思われるものを抽出してツッコミを入れて回ることにしましょう、ということで「ポイント」から拝読。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110c.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」のポイント

以下暫くはこちらの「ポイント」にツッコミを入れてみます。よっていつもの引用(『』ね)はこの「ポイント」から参ります。

ちなみに超クダラナイ突っ込みになりますが、20世紀に金貸しの手先だったアタクシ的にはこの「特別当座預金」ってネーミングを見ると、「当座貸越専用口座(当座貸越形式で枠内でいつでも融資実行可能で返済も随時可能な奴ね、よくマル保枠使ってやったりしてましたな)」の方を思い出しまして、ベンダーで先に「0.1%付利」を見たので勘違いしませんでしたが、それ見ないでこの文字列見たら「当座貸越専用口座を日銀が作ったのか」と勘違いしたかもしれませんなw「トクトウ」とか言ってましたっけ(銀行によって口座の名前は異なる)。


・イコールフィッティング的にどうなのよというミクロ介入政策は程々に

『1.環境認識

・ 地域金融機関の経営環境は、人口減少などの構造要因や低金利環境の継続に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、厳しさを増している。

⇒ 地域金融機関が将来にわたって地域経済をしっかりと支えていくために、経営基盤強化に向けた取り組みを後押しする制度を導入する方針を決定。』

ここも実は「経営基盤強化に向けた取り組みを後押しする制度」ってナンジャイというのがあって、じゃあ既に経営基盤を強化している所には支援しないのか、というとまあそういう制度になっている、というのがちょっとねえという感じなのですがその辺りは具体策の部分で参りますので次に行きます。


『2.制度の概要』

『地域経済を支えながら経営基盤強化に取り組んだ地域金融機関に対し、当該地域金融機関が保有する日銀当座預金に上乗せ金利(年+0.1%)を支払う。

・ 3年間(2020〜22 年度)の時限措置。 』

は???メガバンクは地域経済を支えていないとでも仰せで????というのもありますが、更に次を見ますと、


『(1)対象先

・ 地域銀行、信用金庫(日本銀行の取引先)
── その他の地域金融機関(信用組合、労働金庫、農・漁協等)を対象先とするかは、関係先との協議も踏まえて決定する。』

えーっと、信金の場合は日銀当座預金先とそうじゃない先があるんですが、日銀当預先だけ対象かよとか、地域密着と言えば信組だって思いっきり密着してるじゃんという話だし、労金と農協漁協についても「関係先との協議も踏まえて決定する」ってあーた何でそういう生煮えで出すのよっつーかマイナス金利導入からこの方、なんかベータ版リリースしてからバグフィックスってのが得意技になってねえか(マイナス金利の時にはMRF特則が後から出るという地味ながらリテール証券決済に対する考慮が完全に抜け落ちていたバグが発生していましたな、と遠い目ですし、今回の新コロオペも付利って後付けで出てきてすっかり話が変わってしまった訳ですよ)と思いますし、いやまあ施策として慌てて出さないと行けない物件ならまあベータ版も致し方ないのですが、これそこまで緊急に出さんとイケンもんなの???とは思いました。

まあそれはそれとしまして、特に信用金庫の場合、同業態なのにこの制度のメリットを受けれる先と受けれない先があるとかナンジャソラだし、地域経済という意味では系統下部機関だって同じなのに日銀当預先だけ付利かよというのもアレ。

ま、そこの話をすると新コロオペも当預先以外は参加できないというのはあるのですが、あれに関しては企業等への融資拡大とか、社債などの購入実績というのを対象にしていますし、ついでに言えば新コロオペ受けるのに担保も必要ですから、その意味で負担もあるんですけど、こちらに関しては「当該地域金融機関が保有する日銀当座預金に上乗せ金利(年+0.1%)を支払う。」と別に何か追加の担保負担とか貸出拡大実績とかそういうのも要らん(その代わり別の要件があるとは言え)というのってどうなのよという感じでして、なんちゅうかこのGoToキャンペーンかよという制度で物凄く釈然としない(個人の感想です)。


・地域経済振興のために地域金融機関は人件費削減をしろという謎理論

でもって次の論点は「要件」なんですけどね。

『(2)要件

・ 地域経済の持続的な発展に貢献する方針であり、かつ、次のいずれかを満たすこと。 』

ほうほうそれでそれで?

『@ 一定の経営基盤の強化を実現すること

―― 収益力強化や経費削減により損益分岐点を一定以上引き下げる
(OHR:経費/業務粗利益を3年間で▲4%以上引き下げる等)。』

ちょwwwおまwwwwww

オーバヘッドレシオあるいは(詳細版の方にありますが)経費率を下げたらオマケの付利がもらえるから頑張ってね、という話で、まあそれ自体は分かるのですけれども、あーた金融機関が経費率下げるっていったらどこからどう見ても人件費に手を付けるのが「こうかはばつぐんだ」になりますが、地域金融機関の行員の給与を一段と下げろという思いっきりデフレーショナルな施策が要件なのに『地域経済の持続的な発展に貢献する方針であり、かつ、次のいずれかを満たすこと』とは何ぞやと小一時間問い詰めたい。

いやですね、これ制度の題名自体は「地域金融強化のための特別当座預金制度」となっているので、別に金融機関のリストラ強化促進付利制度でも結構なのですが、であるならばこのようなアリバイ的な文言というのは使わないで、普通に「次のいずれかの要件を満たすこと」ってしておいた方が望ましくて、わざわざ自分から突っ込まれるネタを提供するとか、テラノーガード。

#わざとここに突っ込まれ余地を作っている、という諸葛孔明の罠の可能性はありますけどね!!!

まあしかし人件費削減しろと来まして、一方で2%物価目標の早期達成に関しては変わらないというこの矛盾キタコレという所でございまして、政策委員会(これは後でも出てくるのですがマネポではなくプルーデンス扱いだが政策委員会自体は同じ人がやっているので票決したのは同じ人)でこの文言に対するツッコミが出なかったのかね、とは不思議に思うのだがどうせ連中は執行部とポンコツしかいないのでツッコミ能力が無いから致し方なし。


・合併促進にしては10bpはちょっとw

『A 経営統合等により経営基盤の強化を図ること』

まあベンダーヘッドライン的にはこれが思いっきり出るので、遂に日銀は〇〇さんの手先にでもなったのかと憤慨しかかりましたが、よくよく考えてみれば当座預金全体の残高と大盤振る舞いではあるにせよ、たかだか0.1%の為に経営統合する奴はいませんので、まあこれは「地域金融機関は再編しろ」という日銀の大いなる意思を示したって象徴的意味合いの方が大きいし、まあそのアナウンスメント効果を狙っている(新聞とか例によって見てないから知らんけど、どうせこの部分が大々的に報道されるじゃろ、とは思いますし)んだろうなあとは思いました。


・しかしこれ日銀のプルーデンス政策の則という点ではミクロ介入し過ぎなんじゃないのかね

まあ何ですな、さっきも申し上げましたが、これこの後の詳細にも出てきますけれども、オーバーヘッドレシオなり経費率そのものなり(ちなみに一応前向きに評価しておくと、減価償却は経費に含めない、というのは銀行が前向きな設備投資をやるならジャンジャンやれという意思を示しているので、そこは評価して進ぜよう)を削減しろ、ってのも中々ハードルの高めな数字をぶっこんでおりますが、それにしても具体的な財務項目を名指しして「これを達成したらこれこれのメリット」というのをぶっこんで来るとか、金融機関の合併を促す話を制度としてぶっこんで来るとか、問題意識は良く分かるのですけれども日銀単独の施策としてはちょっと踏み込み過ぎではないかという気がせんでもない(個人の感想です)。

むしろこの辺の話は金融庁マターではないのかね、とは思うのですが、当預付利というのがあるから日銀ですな、という話だとは思うのですが、金融庁と共同施策みたいな形でもうちょっとまとまって出すという選択肢は無かったのかね、とは思う次第です。

ただまあ金融庁の監督なりなんなりの話とその一環でこの施策をぶち込むとなると、定義的には微妙ではありますが、なんとなく通常会合のプルーデンスマターと言い張って出すのも微妙になって、マネポと一緒に出すとなるとこの後で申し上げる微妙な論点を踏むことになるので、そこは純粋にプルーデンスマターですよと言って出すことになった、とか何とかまあそういう大人の事情は分かるんですが、ちょっと日銀単独で出すには日銀が突撃し過ぎという感は否めないのではないでしょうか(個人の感想です)。

でもって次。

『3.今後の予定

・ 所要の検討を速やかに進め、改めて政策委員会において実施のための基本要領などを決定し、公表する方針(必要な認可についても検討)。』

ということなのですが、この政策委員会は決定会合なのか通常会合なのかが良く分からんですなここの字面だけですと。ということでんじゃまあ逆順で恐縮ですが、次は公表文本紙ではなく補足説明をネタにしてみますね。


https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110b.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の骨子に関する補足説明

ここから先の引用部分は上記URL先の「補足説明」から引用します。なおさっき突っ込んだ部分は重複になるので基本割愛します。


・既に経営努力をしていた所がメリットを受けにくい施策というのは競争の公平性の観点から・・・・・

項番1と項番2は割愛して『3.特別付利の要件 』から参ります。

『3.特別付利の要件 』

『対象先が次の(1)から(3)までの要件をすべて満たした場合に特別付利を行う。

(1)地域経済の持続的な発展に貢献する方針であること
特別付利を希望する先には、地域経済の持続的な発展に貢献する方針であることの表明を求める。』

何か金融庁のFD表明みたいですな。いやまあ出させるのは良いんですがリストラ(以下同文)。でもってその経費削減に関してはクソ細かく記載されています、曰く、

『(2)次の@またはAのいずれかを満たすこと

@ 一定の経営基盤の強化を実現すること

(@) 2020〜22 年度決算におけるOHR*が、2019 年度決算の実績に対して一定比率以上改善すること。

―― 本要件による特別付利を希望する先は、予め、「経営基盤の強化に向けた取組み方針」を日本銀行に提出するほか、進捗状況に関する定期的な報告を行う。日本銀行は、進捗状況に関し継続的なモニタリングを行う。

―― 各年度におけるOHRの 2019 年度対比の改善率は、下表を目途とする。具体的な数値については、今後の検討結果等を踏まえ、改めて決定する。』

ってあって、数字がこの後細かくあるんですけど、まあそれ以前の問題としてこれ勿論真っ先に思ったのですが、「既に経営努力をして経費率の削減を実施している先はこの制度でのメリットを受けにくい」というのも何ちゅうかこれまた釈然としない部分がありまして、つまりはこれ経費削減等に向けた取り組みが足りなかった所ほどメリットを受ける可能性が高くなる(削減余地が多い方が減らせるんだから)訳で、そういう所にメリットを与えるって、コロナみたいな震災みたいな経営努力と関係ない天変地異で食らったからお助け措置を発動しましょうってのでしたらそれはまあ普通にアリだと思うのですが、これって今まで何もしてなかった先ほどメリットが受けられるってのは競争の公平性の観点からどうなのかね、という風には思うのよ、というのは実は最初に思いついた点。

でまあこういう施策って、これ一発で時限措置で終わればまだ大した話にはならないとは思いますけれども、どうせまたぞろそのうち「もっとお助け制度を」というような話にエスカレートしていくんだろうなあ今のジャパンのクレクレ社会からすると、とか思うとやっぱり唸ってしまうので、こういうのがノーズロで続いていくことの無いように願いたいものです。

ま、当座預金付利10bp程度では、という気もせんでもないですが、当預全体が10bp付利、ってことになると、それを当てにしてメリット受けた金融機関だけ急に預金受け入れが有利になってしまうとか、そういう事になってしまうってのがどうにもこうにも。



・この経費削減のハードルは割と高そうに見えますがどうなんでしょうかね

ということで、その次ですが、これ表とかテキストに落としにくいので引用ですけど体裁はいじりましたすいません。

『 OHRの改善率

2020 年度:▲ 1%以上
2021 年度:▲ 3%以上
2022 年度:▲ 4%以上

* OHR(Over Head Ratio)は、次のとおり算出する(連結ベース)。なお、地域銀行を主たる構成企業とする持株会社傘下の地域銀行については、当該持株会社の連結ベースで算出のうえ、すべての傘下銀行の適否を一体として判断する((A)の経費についても同じ)。改善率は、2020〜22 年度の各年度のOHRを 2019 年度のOHRで除することによって算出した比率((A)の経費の減少率についても同じ)。

            経費(減価償却費を除く)
OHR = ────────────────────────
      業務粗利益(国債等債券関係損益、投信解約損益および本制度にかかる利息を除く)

(A) (@)の要件を満たしていない場合であっても、2020〜22 年度決算における経費(減価償却費を除く)が、2019 年度決算の実績に対して一定比率以上減少している場合には、「一定の経営基盤の強化」を実現したとみなす。

―― 各年度における経費の 2019 年度対比の減少率は、下表を目途とする。具体的な数値については、今後の検討結果等を踏まえ、改めて決定する。

経費の減少率

2020 年度:▲ 2%以上
2021 年度:▲ 4%以上
2022 年度:▲ 6%以上』

でもってこの数字に関しては次のページに『(指標および数値の考え方)』ってのがありまして、

『・ 経営基盤の強化の度合いを測る指標としてOHRを採用し、その改善の状況を評価する。OHRは、業容や規模によらず適用が可能であり、地域金融機関による収益力強化と経費削減の両面の取り組みを評価することができる。

この際、持続性のある利益を捕捉するため、業務粗利益から国債等債券関係損益、投信解約損益および本制度にかかる利息を控除する。さらに、将来の収益基盤強化に資する前向きな投資を抑制せず、また、それに伴う経費の一時的な振れの影響を排除するため、経費から減価償却費を控除する。

・ OHRの改善率(3年間で▲4%)は、近年の実績では、1割程度の地域金融機関において実現されていたもの。平均的にみて、こうしたペースで経営基盤の強化が進められていけば、地域金融の将来にわたる持続可能性は十分に高まると考えられる。

・ もっとも、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、先行きの経済・金融情勢の不確実性は極めて高い。そうしたもとで、先行き景気の停滞などにより業務粗利益に大きな下押し圧力が掛かった場合でも、経営基盤強化に取り組むインセンティブを維持する観点から、金融機関の自助努力でコントロール可能な経費について、OHRの目途値と同様に、近年の実績で1割程度の地域金融機関において実現されていた水準を実現した場合には、要件を充足したとみなす。』

ということで、しらっと「近年の実績では、1割程度の地域金融機関において実現されていたもの」というパワーワードがぶっこまれておりまして、つまり同業態対比上位10%タイルの経費削減努力をしろという話になっていて、これ中々ハードル高いじゃんという感じです。

ハードル高いのは経営努力を促すという意味では分かるのですが、その一方でそれだけ高いハードルの経費削減をしろという話になると、それって行員の給与以下同文というのがあって、うーんこのデフレ施策と唸ってしまう次第であります。デフレ施策全てが悪いのかというとそこはまた別問題ではあるのですが、マネポでやってる2%物価目標早期達成とは相性悪いわなこのインセンティブ設計、というのがあります。

でもってこの付利方法とかのテクニカルな部分でも気になる点が幾つかあるのですが、PC画面下の時刻を見ると何か時間切れの香りがしてきたので続きは明日という所で(すいませんすいませんすいません)最後に重要な「なんでマネポでやってないの」ネタな。


・これ要するに利上げなんですけどだったらマイナス金利撤回した方が話が早くねえかと小一時間問い詰めたい

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201110a.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について

ということでやっと公表文本紙に入りますがもう時間がアレにつき一つだけ(続きは明日)。よって以下の部分は上記URL先の公表文本紙から引用です。

『日本銀行は、本日開催した政策委員会・通常会合において、地域金融機関が将来にわたり地域経済をしっかりと支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資する観点から、金融システムの安定確保のための政策として、別紙の内容を骨子とする「地域金融強化のための特別当座預金制度」を導入する方針を決定した。』

>本日開催した政策委員会・通常会合において

あくまでもこれは金融政策(金利の上げ下げとか資産買入とかそういう話)とは別ですよ、という建付けになっているのがお洒落でして、何でそうなのかと邪推(よって個人の邪推ですよ為念^^)しますと、これどこからどう見たって一部対象ではありますが、今の当座預金残高3層構造を前提にすると、「マイナス金利撤回と付利復活」というセクシー極まりない制度になっている訳ですよ。

でもって、まあこの付利を地域金融機関の経営基盤強化努力に対するメリットとして付与する、っていう制度設計をしているということは、これ即ち「マイナス金利政策は(少なくとも金融機関には)引き締め的な政策です」って自分から認めているようなもんですがな。

と考えますと、当施策って実はプルーデンスウィングがマネタリーポリシーウィングに対して無慈悲な砲撃によってマネタリーポリシーウィングを火の海にしている、という大変に素敵な制度でもある訳でして、逆によくこれすんなり(かどうかは票決が出ないから知らんが)政策委員会を通ったわなと感心するやら呆れるやらで、まあどうせ執行部は確信犯なんでしょうけれども、ヒラ審議委員の皆様におかれましては、マイナス金利政策に関してどのように考えているのかと小一時間問い詰めたい政策決定だったりする訳でございますよ(ちなみに先日ネタにしたポンコツ審議委員のソロスチャート卒論ですが、あれはソロスチャートの話はたくさんあったけどマイナス金利の話は無かったですな確かwww)。いやもうナンジャソラという感じですが、MPM事項にしなかったのって、建付けがプルーデンスというのもありますが、MPMで正面切って出すと「実質利上げ策」というのがバレバレになってしまうから、と言う事でもあるんだろうなあ等と心の濁ったアタクシはそのように思ったのでありました(個人の邪推です)。

つーことで、まあ色々な複雑化をするよりもシンプルに「マイナス金利政策撤回、全部ゼロ金利で新コロ等と地域金融機関ナントカ策分だけ10bp付利」でエエヤンとか申し上げたくなりますし、その方が変な偏在おきないじゃんとか思いましたが、マイナス金利政策の誤りを認めるのは死んでも嫌ですかそうですかそうですか仕方ありませんなあ(棒読み)。

といった所で何か全部雑談になってしまいましたが、この施策、いろいろな観点で論点(いちゃもんもあるけどそれ以外の意味での論点も)があるなあと中々面白いものを感じましたが、まだ頭がちゃんと整理しきれてないかもです(大汗)。






2020/11/10

お題「決定会合主な意見も何ちゅうか低調な議論を感じさせてくれますな」

まあ素敵♪
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201109/k10012703521000.html
NYダウ平均株価 一時3万ドルに迫る 取り引き中 最高値更新
2020年11月10日 4時12分

『週明け9日のニューヨーク株式市場は大幅に上昇し、ダウ平均株価は、一時、大台の3万ドルに迫るなど、取り引き時間中の最高値を更新しています。アメリカの大統領選挙で民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言したことに加え、新型コロナウイルスのワクチン開発の期待から、幅広い銘柄に買い注文が集まっています。』(上記URL先より)


〇ダウが3万ドルカツカツとかまで来たので記念備忘メモ

再掲ですが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201109/k10012703521000.html
NYダウ平均株価 一時3万ドルに迫る 取り引き中 最高値更新
2020年11月10日 4時12分

ということですが、何でも株高というそもそも論として株価が上がりたがっているとゆーお茶目な相場になっていた(つまりはゴルディロックスヒャッハー相場)所にこれですからのう。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201109/k10012703511000.html
ファイザー 新型コロナ ワクチン「90%超の予防効果」と発表
2020年11月10日 4時44分

『アメリカの製薬大手「ファイザー」は、開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験について、「90%を超える予防効果がある」とする暫定的な結果を発表しました。アメリカの製薬大手「ファイザー」がドイツの企業「ビオンテック」と開発しているワクチンはアメリカをはじめとした各国で最終段階となる臨床試験を行っています。』

『これについてファイザーは9日、外部の独立した委員会が臨床試験のデータを分析した、暫定的な結果を発表しました。それによりますと、臨床試験の対象となった4万3538人のうち、新型コロナウイルスの感染が確認されたのは94例でした。そして、実際にワクチンを接種した人としなかった人を比較して分析した結果、予防の効果は90%を超えるとみられるとしています。また、接種した人に深刻な健康への影響はみられなかったということです。』(以上上記URL先記事より)


でまあ今回はファイザーだということで(かどうか知らんが)行けるやん!という話になってはおりまするものの、ホンマなのかというのは実際に出来てみないと分からんし、末端接種価格が10万円とか言われましても困るので(さすがにそんなトンチキな事は起きないと思いますが)、まあ効用の方の結果待ちという所ですか。


・・・・・・・・まあアタクシ的には罹患した場合に服用すると症状の悪化を止める薬の方が正直出てきて欲しい(そうなれば通常のインフルエンザと同じようなもんで、なる時はなるけどきちんと対処すれば1週間寝込んでれば治る確信が得られるから)のではあるのですが、まあいずれにしましてもコロナパワーが10分の1位になって下さいますと、経済活動もできますしウハウハという事になりますですわな。

でもってそうなったら株価も上昇、というか現実問題として企業業績悪化してるのに日米ともに高値更新(日本の場合は1989年の高値は更新してませんけど)の巻とかやっとるわけで、さてこうなってくると金融政策でぶっこんだうち、特に株価のササエさんになっている物件についてさてどうしましょという運営がムツカシヤ。

まあどうせ中央銀行の仕様で、こういうのササエさんを引っ込めるタイミングを逸してしまい、何とかバブルヒャッハーからのバブル崩壊であばばばばーってのが金融方面で起きる、というパティーン。まあアレですよ。このパターンは2000年から2001年のテックバブルパターンで来るんですかね、などと変な死亡フラグを立ててみますがさてどうなるのやら。

てな訳でじゃあ中央銀行どうするんでしょうねえという事で日米中銀ネタ(ただし米国は明日以降に続くの巻の予定)という次第で。

#とまあこのように書いたのですが、時間配分をいつものように間違えて米国中銀ネタは本日は華麗に先送りになってしまいました誠に申し訳ございません


〇その前にマクロ加算掛け目更新ですが新コロオペの影響で何かもうアレ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201109a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて

2020年 11月9日
日本銀行
金融市場局

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2020 年 11 月積み期間:15.0%

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、5兆円程度となる見込みです。』

何か先月も同じことを申し上げた気がしますが、

2020 年6月積み期間:28.5%
2020 年7月積み期間:31.5%
2020 年8月積み期間:29.0%
2020 年9月積み期間:24.0%
2020 年 10 月積み期間:20.5%
2020 年 11 月積み期間:15.0%

ってあーたジャンジャンマクロ加算の掛け目が減っていて、マクロ的に言えばそらそうよではあるのですが、新コロオペ先は10bpゲットだぜに加えてゼロ金利適用残高も貰えるのでウマーなのですが、これ毎度申し上げますがオペ先はそうやって10bpゲットだぜ(ちなみに10bpゲットだぜの措置が出来てから残高が急増した、というのは忘れてはなりません)になるのですが、いやまあそりゃ確かにコロナ対策の企業向け融資とかはしていませんので適用除外という理屈は分かる(でも社債やCP買っていればやっぱり貢献してるんじゃないかねえとも思いますけれども・・・・・)のですが、年金ちゃんと投信ちゃんという究極的にはモロに個人の資産運用に関わる部分に関してはどこからどう見てもこのメリットが得られず、そしてマイナス金利政策というそもそもこれぶっこんで物価目標の達成が早まったとは1ミリも思えない(そういう意味ではQQEの方がまだマシかもしれん)施策の為に今日も今日とてマイナスチャージ軽減のための戦いが続くでござるの巻。

まあ何ですな、新コロオペフィーバーでヒャッハーってのは、物凄く意地の悪い言い方をすれば、GoToキャンペーンでヒャッハーヒャッハーとかやれ観光で散財(ただし税金)だレストランで散財(ただし税金)ぜヒャッハーとかフィーバーが起きる一方で、そういうメリットを享受できない人が置いて行かれるけど陰なんで着目もされずに置いて行かれて負担だけはしっかり続く、みたいな風情を感じる訳でございまして(個人の偏見です)、まあ何ちゅうかこの不公平感って昨今の政治状況にも似たものを感じる今日この頃でございました。


〇10月決定会合主な意見:凄まじい勢いで消化試合感の高い内容でした

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi201029.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2020 年 10 月 28、29 日開催分)

えーっと、黒ちゃんの任期はあと2年半あるんですが、なんかもう消化試合みたいな感じをこの主な意見から受ける次第でございまして、お前ら何しに日銀審議委員になったのかと小一時間問い詰めたくなるような風情でありまして、まあ端的に申し上げて全員揃って地獄の火の中に投げ込まれて頂きたくなる、などと申し上げたくなるような(一応マイルドに表現したつもり)ものを出されて、退任前に急にポンコツ化著しい昨日ネタにした某審議委員の状況と言い、もうちょっとこう何とかならんもんかねと朝からトサカに来てコケコッコーですわよ奥様。


・展望レポートの回だというのに経済情勢に関する意見が少ない件について

最初のコーナーがお馴染み『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』に参ります。

いや勿論意見の数が多けりゃ良いというもんではない、というのも事実ではありますが、兎に角この主な意見を見て「あれれ?」と最初に思ったのはこの点です。妙な気がしたので念のため過去のを確認して比較してみると・・・・・・・・・・・

7月主な意見、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200715.pdf
1月主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200121.pdf

4月はコロナど真ん中だったのでオミットするとして、展望レポートの回にあたる主な意見って、この経済情勢に関する意見って7月も1月も12個あったんですよ12個。ところが今回って9個しか無くて、いやまあ9個だから全員が1個ずつだしたのかも知れませんが、1個しか出てない(のかどうかは知らんけど)だけに何ちゅうかその意見に関しても展望レポートの検討って感じがしない雰囲気を感じるんですよね。

全部引用していると無駄に長くなるので引用はしないのでご覧になってちょという所なのですけれども、これはアタクシがトサカに来ながら読んでいるから、という点を割り引く必要はありますが、なんか今回のここの文言を読んでいて「展望レポートにおける先行きの経済成長のメカニズムとかリスク要因とかの検討をしてるの???」という感じの???感が強くて、アタクシのパッションに伝わってこないんすよ(思いっきり個人の感想です)。


でまあ一応その次の『(物価)』については、前回の9月主な意見で「物価」部分の意見が遂に4つにまで減少してお前ら物価目標を出来るだけ早期に達成するという話は何処に逝ったんだなどと悪態をついたのが聞こえたのかもしれませんが(^^)、今回は7個も(でも7個なんですけどね)意見が入って何となくそっちで少し字数を回復しているので、『T.金融経済情勢に関する意見』の部分は辛うじて2ページ越えになってくれました。

しかしですな、いやまあ別に分量多ければ良いというものでは無い(しつこい)のですけれども、後半の物価部分で少し盛り返したとは言え、今回の「主な意見」ではこの『T.金融経済情勢に関する意見』が2枚と2行で終了しているんですよね。

ちなみに直近展望レポートが無くて物価の意見が4つしかない(よって物価の意見があるのが半数に満たないという惨状)の9月主な意見ですら、『T.金融経済情勢に関する意見』が2枚と6行あって、当然7月とか1月の展望回ですと、それぞれ2枚と14行、2枚と11行とかになっておりますな、ナムナムナム。

ちなみに9月主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200917.pdf

なお物価に関する見解は一応数は並んでいるものの正直通り一遍にも程があるので割愛、って結局ここまで何も引用しとらんわw


・仕方がないので政策に関する意見を読んでみましょう

『U.金融政策運営に関する意見』ですが、全部で14個ありますけど、最初の5個はただの大本営発表なのでスルーしましてその次から。

『・金融市場急変の可能性には最大限の警戒をもって臨み、経済・物価への影響を踏まえて必要があれば、機動的な政策対応をすべきである。ウィズ・コロナの金融政策においては、政府の経済財政政策と連携しつつ、喫緊の課題である国民の雇用と所得の維持を強く意識した運営が望まれる。感染症との戦いが長期化することも視野に入れて、政策の時期尚早な手じまいは避けるべきである。』

・・・・・・・・もうね。

えーっとですな、緩和政策全部やめろとか普通の人は言ってない(世の中には外れ値というものが存在するので誰も言ってないとは言わない)のでありまして、この意見の人自分でもゆうとるように、「感染症との戦いが長期化することも視野に入れて」そのうえで、「必要があれば、機動的な政策対応をすべき」ということであれば、大々的にぶっこんだ緊急施策というのは、その緊急性の低下に応じて施策の規模を縮小しておかないと、次に危機が来た時に対応するタマがなくなる訳で、「政策の時期尚早な手じまいは避けるべきである。」とかいう結論がそもそも無能の極みなご意見な訳ですな(個人の偏見です)。

だいたいからして危機が片付いているのに危機対応の大盤振る舞いしていたら、何らかの形で歪みが起きる訳で、例えば震災手形の後処理に失敗して収益力に見合わない過剰債務の山を作って昭和初期の金融恐慌を招くことになった、みたいな話になるんじゃないでしょうか。つまりですね、緩和出す方ははっきり言ってしまえばだれでも威勢よく出せるのであって、それを破綻なく収拾するのが専門家としての力量であり、専門家集団としての日銀に期待される所なのですけれども、肝心のポリシーボードがポンコツ揃いではどうにもこうにも。

というかこの意見見てて今頃気が付いたのだが(遅くてすまん)「ウィズ・コロナの金融政策においては、政府の経済財政政策と連携しつつ、喫緊の課題である国民の雇用と所得の維持を強く意識した運営が望まれる。」ってよくよく考えたらこの部分、裏を返せば「物価安定目標の達成は喫緊の課題じゃないのでスルーして宜しい」って割としれっといつもの誤魔化し殺法が登場してるのね。


次のこれは正直イミフだった。

『・ 足もと、無担保コール翌日物金利の上昇圧力が幾分高まっているが、他の中央銀行が緩和姿勢を強める中、本行の緩和姿勢が後退しているといった誤ったメッセージと市場に受け取られないよう、コミュニケーションには十分留意する必要がある。』

そんな話題ありましたっけ??????????????つーか実効FF金利とか割と平気でスルーされている(以前に比べれば少しは気にされるようになったけど)し、大体からしてコールの金利が恒常的にプラスにでもなれば別だけど、これ意味あるのかねとは思いました。

まあもしかして物凄い勢いで深読みすると、新コロオペの乱発によって資金の保有状況というか当座預金の階層別保有状況というかが変化しているのに対する見解とかですかねえ????

でもってその次だが、別にこれはこの意見がどうのこうのというよりは・・・・・なんですけどね。

『・ 既往の政策対応は効果を発揮しているが、企業の資金繰り確保と雇用の維持は、現在でもなお最優先課題である。また、今後の回復ペースが遅れれば、信用リスクが顕在化し、金融システム面のリスクに繋がり得るため、十分注意する必要がある。』

これ毎度大本営も言ってますけど(というかこれ大本営発言だと思う)、他人事のように「信用リスクが顕在化し、金融システム面のリスクに繋がり得る」とか言ってるけど、社債買入で残存期間5年までとか思いっきり2年も伸ばして対応してるのあんたらなんですけど、しかもあんさんらの場合は金融システム面のリスクにはならないけど、買った社債が飛んだら究極的には国民負担になるんですよ。そう思っているんだったら社債買入のうち臨時措置で長いのも購入している件の当否について検討しないといけないのではないでしょうかねえ。

あとは1個飛ばしてその次にこんなのがあった。珍しくまとも。

『・ ETFやJ−REITについては、当面積極的な買入れを維持する必要があるが、金融緩和の長期化が展望される中、資産価格のプレミアムへの働きかけが真に必要なタイミングでの買入れが困難にならないように、政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきである。』

セットで何とか、とかいう一部の撤収を困難にする下らない屁理屈を言うのを止めて、ETFの買入はこの株価状況で臨時措置もへったくれも無いと思うのよ。結局増額しかしないという黒田日銀がこの調子でやってたらどう見てもアカンし、後任に放り投げてハイさようならとか無責任にも程があるのですけどね。

あとその次のこれもまあという感じ。じゃあ何するのよというのが聞きたいけど。、

『・感染症の影響が長引くとみられる中、企業の資金繰りをしっかり支えることは有益である一方、危機対応が長期化するほど持続的な成長に向けた構造改革を遅らせるといった可能性には留意すべきである。』

しかしまあ何ですな、1つ飛ばしてその次のこれなんですけど、

『・感染症の抑制と経済活動の両立といった、ウィズ・コロナの視点から、2%の「物価安定の目標」の実現に向けた政策対応について議論を整理していく必要がある。』

毎回同じこと書いているんですけど、いやこれが外れ値意見とかで毎回同じ話してるなら分かるんですが、「2%の「物価安定の目標」の実現に向けた政策対応について議論を整理していく必要がある」って実際に何を意図しているのかは兎も角、表面上は普通の見解なのに、毎回同じことしか書かれてないっての、要するにこの人の意見に対して話が全然発展しない、と言う事を意味する訳でして、なんかもうこの政策委員会真面目に議論してるのかと小一時間問い詰めたい、とまあ先般の9月会合議事要旨を見ても思いましたが、今回もまたそういう事を思うのでありました(個人の偏見です)。


・・・・でまあここから本当は先般のパウエル会見における「各種措置はバックストップ」の話に展開していって日銀アカンという話と、流れるような質疑の連係プレーというか、こいつら事前に質問の流れを打ち合わせてるんじゃないか位の華麗な質問の流れを鑑賞する企画というのを考えていたのですが、うっかり八兵衛なので時間が無くなってしまいました続きは変なこと無ければ明日に参ります。すいません。





2020/11/09

お題「櫻井審議委員が任期切れを前に急速にアイヤーな件について/米国大統領選挙メモ」

また話が変わっとる・・・・・・・・・・
https://this.kiji.is/697913867179312225
官邸、「反政府先導」懸念し拒否 学術会議、過去の言動を問題視か
2020/11/8 06:00 (JST)11/8 08:44 (JST)updated
コピーライト一般社団法人共同通信社

『首相官邸が日本学術会議の会員任命拒否問題で、会員候補6人が安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていたことが7日、分かった。安全保障関連法や特定秘密保護法に対する過去の言動を問題視した可能性がある。複数の政府関係者が明らかにした。』(上記URL先より)

ちょwww政府に反対している人間は呼ばないよ、って最初から言えば話が分かりやすかった(当否について申している訳ではない)のに・・・・・・・・

しかし過去の言「動」を問題視するならば内閣参与いや何でもありません。


・・・・・えーっとそれから、今日のお題でも書きましたが、FEDだECBだと(日銀ネタはFSRという大物をすっ飛ばしている気がしますがマネポの方はもうあんなもんじゃろという気がする)重要なネタ(と言ってもFEDの今回は1回パスみたいなんだからECBなんですよねネタは)が控えている、というのに、物凄い勢いで読んでも時間の無駄という物件をネタに暴れてしまったらまーた時間が無くなってしまって本来成敗すべきネタを成敗できなかったのですが、お題にある物件は金曜の午後だかに出てて「ヒラ審議委員の英語寄稿文かよ〜」とパスしておられた方も多いかと存じますので、謹んで調理させて頂きましたでございますのでお暇な方は是非どうぞ。

その前に備忘メモで米国大統領選挙。

〇米国大統領選挙メモメモ

引き続きFOXニュースで確認するという偏りのあるアタクシですが。
https://www.foxnews.com/elections/2020/general-results
Presidential Election Results

えーっと、ノースカロライナとジョージアとアラスカが残っていて、一応FOXの優勢観測を信用して、のこりはジョージアを売電が取ると見ると選挙人306確保になるんですか。

何だ結局当初の世論調査通りで単に郵便投票の開票が出てくるのが遅かったって話だし、最初からその話専門家の皆さん指摘してたじゃんと思うのですが、まあ相場様と同じで目の前で開票速報の「板」を見ながら参加していると目先の値動きで一々反応してしまって、4日の夜の時点で色々と大口を叩いていた大統領選挙の専門家の皆様のここに来ての反応が色々と味わいが深いのですが、まあ何か知らんがメディアに出てくるような方々はトランプ優勢かって時に急にそれ見たことか状態になって、足元ではトランプと一緒にクソ粘りしそうな姿が中々楽しいのでもっと粘れトランプ(不謹慎)。

とまあ申し上げておりますが、何せ米国株式市場様におかれましては、「トランプ再選なのでリスクオン」「ブルーウェーブなので財政ヒャッハーリスクオン」「やっぱりトランプ優勢だからリスクオン」「ブルーウェーブじゃないので規制強化されないし国債大増発が無いっていうことで米国長期金利が下がっているからリスクオン」というようなオモシロ相場が展開されておりましたので、今回の大統領選挙は「後講釈は何とでも言える」という良い実地教育になったのですが、若い衆の勉強になるのかどうかは知らん。

しかしまあ上院は青くなってもどうせ僅差でしょうからちょっと造反が起こると上院押さえているつもりが押さえてませんでしたみたいなオモシロ状況になって、これはまあ売電先生も議会対応大変なんでしょうけど、まあ多数の横暴みたいなのにチェックが働く方が健全ちゃあ健全。

まーゆうてこれからどういう政策出すのかとか、それに対して議会がどう出るのかとか、色々と不確定要素が大杉勝男で全くもって決め打ち不能で出たとこ勝負でエエンチャウノ。

・・・・という何の結論にもなっていない愚感想でしたが、それにしても4日の夜の時点で早とちりしないで、さあおもしろくなってまいりました!!!!位に寸止めしておいてセーフ(ソウジャナイ)。


〇櫻井審議委員が3月末の任期を前に急速にアレ化している件について(英文寄稿が甚だアレなのよ)

ほほう。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201106a.htm/
【寄稿文】
試論「わが国の金融政策 ―経験と教訓―」(英語のみ)
English
日本銀行政策委員会審議委員 櫻井 眞
2020年11月6日

掲載は、英語の原文のみとなっております。

"An Essay on Japan's Monetary Policy Experience and Lessons"をご覧ください。

しゃーねーなーそっち見に行くか。
https://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2020/ko201106a.htm/
[Article]
An Essay on Japan's Monetary Policy Experience and Lessons
SAKURAI Makoto
Member of the Policy Board
November 6, 2020
Full Text [PDF 343KB]

とまあそういう訳で結局こちらのPDFに行くのですが・・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2020/data/ko201106a.pdf
An Essay on Japan's Monetary Policy
Experience and Lessons

SAKURAI Makoto
Member of the Policy Board
KIMATA Tomonori
Director, Secretariat of the Policy Board

An Essay on Japan's Monetary Policy
Experience and Lessons

(The views expressed here, as well as any remaining errors, are those of the authors and should not be ascribed to the Bank of Japan.)

ということで、Secretariat of the Policy Boardってのは政策委員会室(日銀HPの「本店局室研究所体制表」の英語バージョンを見ればわかる。ちなみに→https://www.boj.or.jp/en/about/organization/chart/honten_taisei.htm/)になるので、まあ政策委員会室の方と共著になっていて、最初まあ『Experience and Lessons』って書いてあるからこれはまさかの私家版総括検証か、と一瞬思ったのですが、ただまあ先般の福井金懇では「2013年以降に起きた構造変化」とかこらまた頭のよろしいお方は柔軟な発想をしはりますのう(間接話法)というような内容の物件が登場していて、これまでは執行部の鉄砲玉的なサムシングなので見る価値あり、と思っていたのですが、なんか3月の任期切れを前に急に鉄砲玉をクビにでもなったのか(個人の妄想です)、急速に発言内容が以下自主規制という事で嫌な予感はしていたのですが・・・・・・・・・・


・脚注を読んだ瞬間に読む価値が無い事が分かる親切設計

まあ何ですな、とは言いましても櫻井さんの寄稿文だし英文だから見てやろうじゃん、と意気込んで冒頭を見たらいきなり脚注が2つもついているんですよこれがまた。

『I. Introduction1,2』

ってなっていまして、この脚注を見ますと・・・・・・・・・

『1 This article forms part of joint research with Hamada Koichi (Yale University) and was written solely by Sakurai Makoto and Kimata Tomonori. It was prepared as part of the presentation at the Fifth Annual Conference of the Japan Economy Network, which was canceled due to COVID-19.』

>joint research with Hamada Koichi (Yale University)
>joint research with Hamada Koichi (Yale University)
>joint research with Hamada Koichi (Yale University)

ちょwwwwwwハマコーかよwwwwwww

という時点でまあこれは読む価値が無いという事が分かる親切設計になっているのが良心的なのですが、そうは言っても一応は読んでみましたけど詳しく紹介する価値は無いので簡単に参ります。

しかしまあ何ですな、

『2 The discussion regarding the data and the theoretical analysis were jointly written by Sakurai Makoto and Kimata Tomonori, while the evaluation of the monetary policy response is based on Sakurai Makoto's personal assessment.』

ちなみに本文内容の前にネタバレしちゃいますと先を読んでくれないと思って引っ張ろうかと思ったのですが、まあやっぱり先に申し上げますと、このハマコー先生と櫻井先生のジョイントリサーチですが、「金融政策の緩和度合いは中央銀行のバランシートの大きさで示される」という懐かしのソロスチャートまんまの話をぶっこんできておりまして、いやおまえふた昔(ひと昔ではない)前の時代なら兎も角、現代の主要国における中央銀行の問題意識が、中立金利が低下しているとか、経済のギャップに対する物価の感応度が低下しているとか、そういう話をしている最中において、ソロスチャートですよソロスチャート。

つまりですね、この寄稿文3つ脚注があって、斜め読みするときに最初に章立てと脚注に目が行ってしまったのですが、3つ目の脚注は本文5ページにありまして、そこにある文字列を読んで一気に「これはインプリケーションを得るものでは無くてツッコミの勉強をするものだ」というマインドセットに切り替わったのですがその脚注というのがこれです。刮目せよ!

『3 The analysis in this article assesses the extent of monetary easing in terms of the growth in the size of central banks' balance sheets. 』

・・・・・・・・お、おぅ。

いやまあそれをそこらの野良投資会社の野良ストラテジストが商売ネタで言うなら「はいはいソロスチャートソロスチャートwww」で済まされば良いんですけど、これ日銀の政策委員が外部、しかも英語で出しているとかかなりのアレ振りに泣くしかありません。まあ不幸中の幸いなのは上記の「Fifth Annual Conference of the Japan Economy Networ」ってのが、

https://www.soas.ac.uk/jen/
Japan Economy Network

親睦会組織というか勉強会組織というか、みたいな奴っぽい(と言ってもメンバーのリストみたいなのを見たら、ちゃんとした先生の名前もちらほらあるっぽいですよねアタクシ無学であんまり詳しくないからイマイチ分からんけど)物件であることで、これがガチジャーナルへの寄稿とかだったら更にマズーとか思いました。

でまあソロスチャート丸出しの説明のジャーナル投稿物件じゃないのが不幸中の幸いですが、こんなもんのCo-AutherにされたKimata Tomonoriさん(なお今時点での「本店局室研究所体制表」にはお名前は出てないです)飛んだ災難としか申し上げようがないのですが、「The discussion regarding the data and the theoretical analysis were jointly written by Sakurai Makoto and Kimata Tomonori, while the evaluation of the monetary policy response is based on Sakurai Makoto's personal assessment.」ってあって、Kimataさんはあくまでもデータ(中銀のバランスシートのデータなどのファクト項目)を出したとは記載されている模様なのですが、まあいずれにしてもサラリーマンは辛いよと言ったところではございますな、ナムナムナム。


・とりあえず文章斜め読みするよりも図表を斜め読みした方が早い(つまり脚注と図表の時点で・・・・・・)

んな訳で今の脚注とこれからネタにする図表を斜め読みした時点でだいたい話は読めるんですが、図表の方は図表を磔刑にする能力が無いので日銀のサイトに行って確認してちょ。

図表の最初に出てくるのが本文3ページ(PDFだと4枚目になります、以下同じ関係)なんですけど、それを見た瞬間にずっこける訳ですよ、何せそのテーブルの題名が、

『Table 1: The Trilemma of International Finance 』

ってお前国際金融のトリレンマとかそこらの一般向け雑誌の寄稿なら分かるけど学術的な所でこの話をわざわざ図表にするとかナンジャソラと思うと、返す刀で登場するのが本文6ページの、

『Figure 1: Relative Developments in the Fed's and BOJ's Balance Sheets (Total Assets, Log Scale) 』

中央銀行のバランスシートの規模比較キタコレで、今更ソロスチャートとかもう何時の時代の話をしているんだと小一時間問い詰めたいですし、その上この図表、置物一派お得意の「自分の説明上都合の良い所でグラフを切りとる」という技を駆使しておりまして、と言えばお分かりになると思いますが、このグラフですが、縦軸と横軸が(対数軸になっています)

Fed's total assets (end of 2007 = 1)
BOJ's total assets (end of 2007 = 1)

って2008年9月がリーマンショックな訳でして、スタートの時点での政策金利水準が違うだろというお話でもある、ということで、なんだ結局櫻井さんはただの置物一派で、たまたま鉄砲玉役をやっていたので普通の話をしてたように見えただけであって、二人羽織が外れたらただの(不適切表現の為削除されました)。

さらに本文7ページは

『Figure 2: Exchange Rate 』ってあって、yen/U.S. dollarのグラフが思いっきり示されておりますソロスチャートキタコレというお話でもうげんなりしますが、げんなりするのもさることながら、物価の推移とかインフレ期待とかの表ではなくて「日米為替レート」が図表に堂々と登場(なお掲示されている図表は本編ではこの3つでその後付録に2つ出てきます)するのですけれども、あんたら「安定的に物価の前年比2%上昇すること」が政策目標だったと思うのですが、この説明、どこからどう見ても、

・金融政策の度合いは中央銀行のバランスシート総額
・金融政策の成果はドル円為替レート

で計測してるとしか見えないんですけど、いやまあ確かに表紙に『(The views expressed here, as well as any remaining errors, are those of the authors and should not be ascribed to the Bank of Japan.)』ってあるけど日銀としてこういうの出すの???という感じですな。

あと更にワロエルのが本文の後に『Appendix: Theoretical Background Model』というのがあって、どうも単純な二国間モデルを使っているみたいなのですが、そこで説明されているのはひたすら二国間の為替レートが当該国のマネタリーベースだかマネーストックだか、英語でいう「monetary base」を使って導出されるという「Theoretical Background(笑)」に基づき、ああだこうだと計算しているのが「理論的背景」だそうで、はいはいおじいちゃんたちマレー進軍での武勇伝自慢はさっきもやってたでしょお昼ご飯の時間ですよというような風情を醸し出しているのがもう泣ける。

『Figure A.1: Analytical Framework』

ってのがPDFの13枚目(本編12ページ目)にあるのですが、ここのグラフでは『Under flexible exchange rates, each country can essentially choose its best point.』ってあって、そこの縦軸と横軸が2国間モデルにおけるそれぞれの国のマネタリーベースで、『Japan's Reaction Curve (RC)』とか書いてある直線が思いっきり相手国のマネタリーベースの拡大比率が式の中に入っているという大変に素敵な物件で、何回も申しあげますがこんなもんのコーオーサーにされてしまったKimata Tomonoriさんカワイソス。

さらにPDFの14枚目(本編13ページ)がその理論的背景(笑)の最後の部分で、

『Figure A.2: Central Bank Reactions in Regimes 1 and 2 』

というのがあるのですが、これがまたマネタリーベースでどうのこうのの流れで為替がこう動きましたってソロスチャートですよもうねという話。

いやあのですね、まあワイは海外の人じゃないからよー知らんけど、基本的に欧米から見たらジャパンとかどこぞのローカルマーケットだし、黒田総裁なら兎も角、ヒラのポリシーボードメンバーが日本語で講演をしても(英訳はあるけど)別にノーケアーだからどうでもよい(良くはないけど)次第で、そらどこぞのジンバブエ先生のナチス発言みたいに、よほど飛んでもない地雷を踏み抜きに行かない限り国際的にはスルーモードとなっているでしょうけれども(個人の偏見です)あーたポリシーボードメンバーが英文で堂々とソロスチャート出すとか、日銀の名前で出すにしてもクオリティというのものがあるのではないか、とまあそのように考える所ではありまする。


・図表だけだからなんだからちょっとだけ突っ込んでみますが最初のバックグラウンドの部分で笑い死ぬ

そもそも本編最初からワロエルというか、ハマコーという脚注を見てその時点でげんなりしたんですけど、気を奮い立たせて本編1ページ目の(イントロダクションの直後)を見る訳ですが、

『II. Relationship between Money Demand and Supply and Economic Activity』

という小見出しですよ、「マネーの需要供給と経済活動の関係」という小見出しをみた瞬間に気が萎えるというか真面目に読もうとしてクリックした俺の時間を返せってなもんですが、サンクコストという概念が存在しない(嘘)このアタクシ、乗りかかった泥船にはそのまま乗って読んでみるともうクソワロタ。

『Monetary policy is carried out by central banks in order to affect the real economy through private financial institutions as well as financial and capital markets. In general, monetary policy is effective when the following conditions hold:』

一般的に言えば、金融政策は以下のような条件が効力がある時に金融政策の効果を発揮する、ということで記述されているのがこれで、おじいちゃんたち20世紀はとっくに終わってるのよしっかりして!!!としか申し上げようがない文章に落涙を禁じ得ない。

『(1) The relationship between the monetary base and the money stock is stable (i.e., the money multiplier is stable).

(2) The relationship between money demand, which is determined by interest rates, future growth expectations, etc., and the level of activity in the economy as a whole is stable (i.e., the money demand function and the investment multiplier are stable).』

ちょwwwおまwwwwテラ20世紀wwwwwwwwwww

『If (1) is satisfied, the central bank can estimate the level of the monetary base, which it can directly control, that is necessary to achieve the desired level of economic activity. If (2) is satisfied, it can estimate the extent of interest rate cuts necessary to stimulate private sector demand for funds and hence investment.』

そもそもMBを中央銀行が直接的に操作するってのボルカーがマネーサプライコントロールという美名の元で、高インフレの収束をするために短期金利を盛大に引き上げるための方便として使っていましたが、MBってのは20世紀の時代であっても直接目標ではなくて金融政策の状況を示すものとしての中間目標扱いだし、そうじゃなかったら金融政策運営できなかったじゃろ、という話でありまして、もうこの頭の時点から抱腹絶倒の内容。

でまあその後も色々とワロエルのですが、しょうがないからこの章の所だけでも全文引用して差し上げますとこの有様。

『Looking back at the period from the early 1990s to the present, Japan has experienced the bursting of the domestic bubble economy, the Asian Financial Crisis and the financial system crisis in Japan, and the Great Recession caused by the Global Financial Crisis (GFC), and it is currently experiencing a major depression caused by the novel coronavirus (COVID-19) pandemic.』

というのはまあよいとしまして、

『Although monetary policies in Japan remained accommodative almost throughout, the economy did not decisively overcome economic stagnation and deflation.』

そら資産バブルの崩壊に色々な外部要因が加わったからなあという話のわけはなく、一つの理由は金融緩和が足りなかったということだそうです。

『One reason that monetary easing was unable to stimulate sufficient demand is that the money stock did not rise enough relative to the monetary base (i.e., the money multiplier fell), due in part to the decline in the functioning of credit intermediation, especially during the crisis of Japan's financial system in the late 1990s.』

マネーストックの需要に対して中央銀行の出すマネーサプライが十分では無かった、例えば信用乗数が低下しているのにマネーサプライが足りなかったのが良くなくて、じゃあ信用乗数が低下したのは何故かというとその一つの理由が金融システム危機による金融仲介機能の低下によるものである、とかちょっと待てとしか言いようのない説明が繰り出される。

『Furthermore, since the money demand function became unstable with growth expectations declining as deflationary sentiment took hold and interest rates approaching the zero lower bound, the effectiveness of accommodative monetary policies may have declined accordingly. Thus, it is likely that accommodative monetary policies that would have been quite powerful based on conventional standards had a much smaller effect than expected. This raises the question whether the scale of monetary easing was sufficient.』

でもって、マネーの需要関数(要は信用乗数っすな)が不安定になって、同時にデフレーショナリーなセンチメントが高まり、更に政策金利が下限制約に達したため、伝統的金融政策で考えられている金融緩和効果が弱まった、だそうで、信用乗数が不安定になったからどうのこうのとかもうねという感じでございまする。


・この説明の後ドヤ顔で国際金融のトリレンマとか週刊ダイヤモンド辺りへの寄稿かと思うわwwww

というのでさっきの小見出しは終わり次は『III. Monetary Policy under Globalization 』という小見出しになるのだが、最初は自由為替の下での国際金融のトリレンマとか「Japan Economy Network」への寄稿文書でそんなの説明するなよ誰向けなんだよとお兄さん悲しくなって来るのでその辺は全部飛ばすが最後の結論パラグラフだけ引用してやろうじゃないの。本編4ページ。

『It should be noted, however, that the expression "similar monetary policies" here does not simply refer to a shared policy stance in the direction of monetary easing.』

この「similar monetary policies」の話はその前にあるから読んでちょ。まあ国際金融のトリレンマの話しからくる話だわさ。

『The reason is that differences across major economies in the strength of accommodative monetary policies, especially in response to a global crisis, can have economic spillover effects through the exchange rate.』

特にグローバル危機などにおける金融緩和度合いの違い「為替レートによって」は他国へのスピルオーバー効果がある、とか思いっきりここで為替の話に発展して、でまあさっき図表だけネタにしたソロスチャートのお話に繋がっていくわけですよ。

『That is, even if countries adopt similar accommodative monetary policies in response to a major global economic shock, the relative strength of the policy responses will have repercussions.』

リパーカッションとは???

『For instance, a country with relatively weak monetary easing will experience upward pressure on its currency, and if this country is highly dependent on external demand, the currency appreciation will put downward pressure on the economy through a decline in exports. In the following, we look back at Japan's economy and monetary policy since the 1990s.』

金融緩和が足りないと為替が通貨高になって特に外需に大きく依存している経済では経済の悪化につながりますよ、という話ではいはいワロスワロスという感じですが、これがまた凄いのが「In the following, we look back at Japan's economy and monetary policy since the 1990s.」とあるのですが・・・・・・・・・・


・1990年代からの金融政策の話なのに何故かリーマンショック以降の話しかしていない謎分析

『IV. Japan's Economy and Monetary Policy Regime Changes since the 1990s 』というのが次の小見出しでございますが、その途中から引用するとこうなる。(本編5ページ)

『Looking back at Japan's monetary policy since the 1990s, three major regime changes can be identified, all of which occurred in response to the global recession triggered by the GFC.』

は?????と思ってみると、なんとこの次にはこのような小見出しが出てくる。

『2008-2012 (Regime 1): Unintentional Regime Change』

ちょwwwww2008年までの話は全部無視かよwwwwwwwwww

ということですが、どうせリーマンショック後の米国のQE政策を引き合いに出すためにはその前の時代というのは無視しておかないと説明がつかない、という位はアタクシも把握できますので、まあそういう置物一派の得意な「自分の説に都合の良い部分だけ切り取って自説の補強を行う」という必殺技を漬かっていることくらいはわかります。

なお、その後はリーマンショックでQEやったからFEDのバランスシートガー、それに対して日銀ガー、というお馴染みの話になりますが、その分析について、またまた脚注があるという親切設計になっておりまして、そこにはさっき申し上げた再掲になりますけど、

『3 The analysis in this article assesses the extent of monetary easing in terms of the growth in the size of central banks' balance sheets. 』

というものが燦然と鎮座ましまして、でまあその分析(笑)の結果がさっきネタにした日米中銀バランスシート比較とドル円為替レートという泣けるような代物である、というお話であります。

でまあそこにも結論らしきものがあるのですが、もはや読む価値が無い(というかそもそも読む価値が無い)ので割愛しますというかマジでどうでもいい結論で泣いた。

最後の章は『V. The COVID-19 Crisis and Its Policy Implication 』だがさらにどうでもいいことがかいてあるだけでして、実はこの前まで「ウィズ・コロナの金融政策がどうのこうの」って主な意見で寝言を仰せになっていたの若田部副総裁かと思っていたのですが、もしかしてこのアレっぷりからすると櫻井さんなのかも知れませんな、と思いました若田部さんすいません。

#ああちなみに『Appendix: Theoretical Background Model』もツッコミどころあるんだが基本同じ話だしさっきちょっと触れたので割愛しますわ

・・・・・・てな訳でジンバブエ先生の金懇以来久々のツッコミ(と言ってもジンバブエ先生のそれほどは熱量がありませんですかそうですか)で何のインプリケーションもございませんでしたが、それよりも気になるのは、先日の福井金懇と言い、これと言い、なんか物凄い勢いでアレ化しているのが気になるのですが、まあきっと二人羽織を外した本来の姿はこんなもんだったのかも知れませんね、買い被って損したわwwww






2020/11/06

お題「今回は正直ノーマークだったFOMC/どっこい生きてた3本の鉛筆/黒ちゃんの発言が最近特に雑な件について/9月MPM議事要旨から」

という4本立てでお送りしますが、お察しの通りでFOMCだけ寝起きなのであんまり朝のドラめもんじゃなかったりしますすいませんすいません。しかもネタが溜まっている(大体からしてECBネタも成敗してないし)ので本日(というか昨日)は親の仇の如く書いてしまっているので今日は無駄に分量が多くてすいません。

ちょっとおまけですけど。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/rev20j14.htm/
機械学習と株価予測
―ニューラル・ネットワークの活用―

株価予測する前に物価の予測をした方が良いのではないか、とまあそんなことを思いました、まる。(たぶん物価には当て嵌らん分析だと思うけど)

〇FOMC声明文:しらっとファイナンシャルコンディションの判断を引き上げているのは何気にデカい希ガス

まあ正直この会合は大統領選挙直後になるのは日程を組んでいる時点から分かり切っているので、端から消化試合の扱いになっていたんでしょう。というか寧ろ11月半ばとかにぶっこむと却ってめんどいので、大統領選挙の直後にしておけば何もしなくても別に何も言われんで済む、とか思ってたんじゃないですかねえ、ということでこっちもほぼノーマークでした。

今回は声明文と会見ですが、冬時間になると会見のオープニングリマークのテキストが出てくるのが日本時間の朝6時とかその辺り(会見が終わらないと出てこない)になりますので時間がキツイのが難点。なお夏時間でもオープニングリマークネタ間に合ってないじゃんという説はありますな(こら)。

今回声明文
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20201105a.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20201105a1.pdf

前回(9月)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20200916a1.pdf

実は3パラ目(実質の旧2パラで先行き見通しとリスク要因)以降の部分は見事に全文一致で、2パラ目(実質の旧1パラで現状認識部分)だけが文言変更箇所あり、なのですけど、この1パラ目の所はアタクシは重視して読みました。なお会見の方でアタクシが重視したのが外れになっていましたテヘペロとなっている可能性はありますので念のため申し添えます。


・1パラ目:コロナちゃんの非常事態モードというステータスに変化はありません

『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(今回)
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(前回)

1パラ目のこの文言が外れたらパンでみっく対応ステージ終了というステータスになる、というまあ状態を示すランプみたいなもの、そらまあ今回は感染大拡大中だからこうだわな。


・2パラ目:総括判断引き上げ、ファイナンシャルコンディションも引き上げ

『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world. Economic activity and employment have continued to recover but remain well below their levels at the beginning of the year.』(今回)

『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world. Economic activity and employment have picked up in recent months but remain well below their levels at the beginning of the year.』(前回)

総括判断部分ですが、経済活動と雇用が〜の部分が「have picked up in recent months」と、9月の時点でも「最近数カ月ピックアップ」だったのですけれども、今回は「have continued to recover」と遂に「リカバー」の語句が出てきたじゃないですかイイハナシダナーって所ですが、水準はダメダメですわというのが後に入っておりますので別に威勢の良い話という訳でもありません、そらそうだ。

『Weaker demand and earlier declines in oil prices have been holding down consumer price inflation.』(今回)
『Weaker demand and significantly lower oil prices are holding down consumer price inflation. 』(前回)

物価の部分は原油価格の状況に関する文言を変えていますが、ここは別にFOMCの価値判断という話でもないのであまり気にしない。

『Overall financial conditions remain accommodative, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(今回)
『Overall financial conditions have improved in recent months, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(前回)

でもってアタクシが今回おーと思ったのはこの部分で、ファイナンシャルコンディションについて、改善を続けているという9月の判断から、遂に今回「remain accommodative」に昇格しておりまして、これはつまり何を意味するかと言いますと(って以下個人の感想ですなので念のため)、別に現状措置の縮小とかそういう話になる訳ではない(なぜならその直後に「in part reflecting policy measures」と政策効果による金融環境の緩和という認識を示しているから)のですが、ただ一方で状況がこのままで悪化しない限りにおいて、施策の拡大的なサムシングはあまり気にせんで宜しい、つまり(元々FEDがマイナス金利やると思っている人がどのくらいいるのかは知らんけど)少なくともマイナス金利的なカンフル剤は要らんがな、と言っているのに等しい、とまあそう解釈しました。

ただし、今後米国国債の長い所が増発されてきた場合にどう対応するのか、という話になりますと、その場合はリアクティブに買入が増えるとは思うのですが、それ自体は「市場機能意地の為に国債買入を少なくともこれまで以上のペースで実施する」という資産買入の文言の中で吸収しちゃうんじゃないかな、という風に思いましたがそこは完全に個人の感想です。


・第3パラグラフ以下は全文一致だよ(除く最終パラ)

ええいめんどくさい全部1パラ引用比較じゃ。

てな訳で3パラですがここは先行き見通しとリスク認識ね。

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus. The ongoing public health crisis will continue to weigh on economic activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable risks to the economic outlook over the medium term.』(今回)

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus. The ongoing public health crisis will continue to weigh on economic activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable risks to the economic outlook over the medium term.』(前回)

目検音読確認済みですがテキストにコピペして上下比較もしてみましたが全文一致。


4パラはガイダンス文言などのある先行きの金融政策に金利部分に関するパラグラフです。さすがにクソ長いので途中で分割しますね。

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(今回)

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(前回)

この辺までがガイダンス文言で金融政策決定事項の方が後に来るという文章構成です。

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(今回)

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(前回)

ここまでが金融政策決定の金利部分。この次が資産買入のパート。

『In addition, over coming months the Federal Reserve will increase its holdings of Treasury securities and agency mortgage-backed securities at least at the current pace to sustain smooth market functioning and help foster accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(今回)

『In addition, over coming months the Federal Reserve will increase its holdings of Treasury securities and agency mortgage-backed securities at least at the current pace to sustain smooth market functioning and help foster accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(前回)

見事に全文一致でした。


第5パラグラフも全文一致。先行きの政策運営に関してこの辺を注意します的な話だが4パラがガイダンスのてんこ盛りになっているので重複感というか無駄感が否めない。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(前回)


・第6パラグラフ:カプランは賛成に回る、カシュカリは今回お休み

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles. Ms. Daly voted as an alternate member at this meeting.』(今回)

カシュカリ大僧正の代打は規定によりSF連銀のデーリー総裁が行いました。なお前回は反対の人が2名いて理由も長かったので7パラまであります。

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Patrick Harker; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(前回)

『Voting against the action were Robert S. Kaplan, who expects that it will be appropriate to maintain the current target range until the Committee is confident that the economy has weathered recent events and is on track to achieve its maximum employment and price stability goals as articulated in its new policy strategy statement, but prefers that the Committee retain greater policy rate flexibility beyond that point; and Neel Kashkari, who prefers that the Committee indicate that it expects to maintain the current target range until core inflation has reached 2 percent on a sustained basis.』(前回)

カプランがタカ方面、カシュカリがハト方面での反対でしたね。

・・・・・ということで現状認識のパラグラフしか変更なしでした。


・ディスカウントウィンドウ、IOER(正確には所要準備も付利しているからIORか)、レポオペ金利など変更なし

声明文をPDFで出すと声明文の後ろにあります。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20201105a1.htm
Implementation Note issued November 5, 2020
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

前回のはこちら
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200916a1.htm

引用していると長くなってしまうので割愛しますが、付利金利、O/Nレポオペの金利、1先辺りの限度額、ディスカウントウィンドウのプライマリークレジットレートなどに変更はありませんでした。そらそうだ。


〇会見だが何かSEPに変化があるようですがうーんイマイチよくわからん

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20201105.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference Opening Remarks
November 5, 20

物凄い勢いで目だけ泳がせていたのですが、5ページ目の頭の所ではたと手が止まる。

『I’d like to mention a couple of changes we plan on making to our Summary of Economic Projections (SEP), beginning in December.』

これは目を泳がせている場合ではない、と急に目が皿のようになるアタクシ。

『First, we will release the entire package of SEP materials at the same time that the FOMC statement comes out. Previously, some of these materials were released three weeks after the meeting as part of the minutes.』

えーっとですな、SEPって当日出てくるの総括表みたいなのしかなくて、実は議事要旨出てくるときには背景説明みたいなのが延々と公表されまして、それが議事要旨の後についてるからSEP回の議事要旨ってやたら長い(ただしPDFで出した場合のみ)のですよ。でもって次回からそれが出るとか言う事になるようです、うーんめんどい。

『This step will make more information available at the time of our policy announcements, including the distributions of the forecasts and how participants judge the uncertainty and risks that attend their projections.』

そらそうなのだが公表直後にあれまで読めんじゃろ、と思うのですがさてどうなるのやら。

『Second, we will add two new graphs that show how the balance of participants’ assessments of uncertainty and risks have evolved over time.』

リスクバランスチャートみたいなのを2つ出すらしい。

『These changes to the SEP will provide a timely perspective on the risks and uncertainties that surround the modal or baseline projections, thereby highlighting some of the risk management considerations that are relevant for monetary policy.』

今出ているSEPでの表は例えば前回のSEPだと
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20200916.pdf

の2枚目に『Figure 1. Medians, central tendencies, and ranges of economic projections, 2020-23 and over the longer run』ってのがありますが、これは全参加者(投票権の無い人も含めた地区連銀総裁全員と理事全員)の見通し数値の分布図ですが、これをファンチャートみたいにするみたいです。まあこれでファンチャートが下にティルトしているからプレマチュアーな緩和政策の出口には行きませんですよ、というメッセージを出したり、下にティルトしなくなってきたからそろそろ緩和政策の出口も考えたりするかもしれませんね、的なメッセージを出したいんでしょうなあ、という所までは把握した。

・・・・・・ということで、政策金利見通しを出さないとか、経済構造が変化している最中なのでロンガーランの成長率とか失業率とか中立金利水準とか(物価は2%だから出しても良い)を出すの止めるとか、そういうような凄いものは残念ながら出てこないようです、うーんイマイチ。

#QA含めて詳しくは後日、


〇どっこい生きてた3本の鉛筆(及びその他雑談と名古屋懇談での総裁会見をちょっと)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/index.html
国の債務管理の在り方に関する懇談会(議事要旨等)

ちょっと話題になっていたので見に行ったら議事要旨はまだでしたがオモロイのを見つけてしまった。

第53回 (令和2年11月4日)

議事要旨(近日公開予定)

資料1(PDF:383KB)
資料2(PDF:910KB)
資料3(PDF:3770KB)
資料4(PDF:146KB)

とまああるのですが、そのうち資料1がこれ。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20201104-1.pdf
資 料
2020年11月4日
日 本 銀 行

でもってこれを何の気なしに1枚めくって(というかスクロールして)見たら何と!そこには!!!!

『日本銀行の新型コロナ対応』

の題名の元、懐かしのあの3本の鉛筆が!!!!!!!!!!!しかも下の方を見ると

『(注)2020年8月31日時点の情報』

とあるのですが、何でまた11月の会議に出す資料の数字部分が8月末なんでしょうとか(ヒント:ドルオペの残高減少)、本来数字が大きくて自慢できるのはコロナオペの残高とかの筈なのに、減少した方が本来望ましいドルオペを含む部分の額だけ相変わらず実行額を掲載しているとか間の抜けた物件が出ているのですが、8月31日時点というのがこのように出ている、ということはどっこい生きてた3本の鉛筆!!!!と嬉しくなりました(棒読み)。


しかしまあ何ですな、これ資料3が財務省謹製資料なのですけれども、

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20201104-3.pdf
国債発行を取り巻く現状と課題
令和2年11月4日
財務省理財局

こちらの最後のスライドは『今後の財政運営について(令和2年7月2日 財政制度等審議会会長)』って小見出しになっていましたが、そこの最終段落の頭にこのような記述がありましてですね、

『今般のような感染症の拡大を含め、経済危機、大規模な自然災害などの事態はいつ起こっても不思議ではない。平時に財政健全化を進めておくことの重要性が再確認されたと言えよう。万全の機動的対応も平時の健全化努力があってこそ可能となる。』

ちなみに「平時に〜可能となる」の部分はアンダーラインで強調されているんですね。でまあ色々とご意見は有ろうかとは思いますが、機動的対応をする余地を作るために平時においては非常時に行った施策については撤収して次の非常時への対応余地を残す、という意味においてはイイハナシダナーと思う訳でして、一方で日銀ときたら時限的対応だの緊急避難だのとか言いながら打ち込んだ施策を何ら撤収しないで、どんどん規模だけ無駄に大きくなって将来の収拾がつかなくなる、というかこの調子だとマジで次の危機の時に日銀は何を対応できるんだよ、というような話だと思いますので、まあ精々この文章を日銀政策委員会の面々は百万回くらい朗読して額に飾って桶、とまあ斯様思うのでありました。


あと、日銀へのイヤミはさておきますと、このネタが何故か国債需給ネタになっていて、しかも妙に需給改善みたいなネタになっているっぽい(ベンダーのコメントだけ見てて肝心の何とかストレポートをあんまり真面目に見ていないのでなんですが)のですが、こちらの22ページ目の紙芝居に、『今後の国債管理政策上の課題(まとめ)』ってのがあると思うんですが、

『○ 来年度(令和3年度)以降、新型コロナ対応のため短期債を中心に大増発した国債の償還・借換が到来する中、市場のニーズ等を踏まえた年限構成割合や、それに伴う借換債発行額の変動の観点を考慮しつつ、中長期的に国債発行額の平準化を図っていくことが重要。』

って最初の所にあって、最後の所が、

『○ 新型コロナ発生時、出勤制限やリスク回避的な保有資産の現金化等により、一時、市場において不確実性が高まった経験を踏まえ、今後、こうした状況下においても着実に国債を発行・消化できるよう、BCP体制を強化していくことが重要。』

ってあって、さっきの財政制度審議会会長の発言がご参考資料コーナーの最後にある、ってのを考えたら、普通に考えて補正でドバドバ出た追加財政部分について、目先兎に角1年短国の大増発で繰り回す格好になっていますが、それこそ感染症第2弾の世界的なパンでみっくとかになった時、このままだと機動的な増発余地がかなり怪しくなって来るので、そう考えると普通に1年短国の借り換えを長い方に振って来ると思いますので、別に需給ヘーキヘーキって話にならんと思うのですが、何がどうなって安心感が出るのやら。いやまあ無理くりの長期化はしてこないでしょうけれども、この環境が永続する訳でもないのに、短国で繰り回すのやってたらアカンでしょうから、多少の金利上昇は気にせずに長期化ぶっこむ、とワイが発行するなら思うんですけどねえ(思いっきり個人の感想です)。



〇ところで黒ちゃんちょっと変調じゃないの(昨日の国会答弁&4日の名古屋懇談での会見発言)

・昨日の国会での珍答弁??

ブルームバーグニュースのヘッドライン見てビビったのだが。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-11-05/QJ8Y27DWLU6801
日銀総裁、現段階でETF買い入れの見直し・処分は考えていない
伊藤純夫
2020年11月5日 13:18 JST 更新日時 2020年11月5日 13:56 JST

まあこれを見てもビビらないとは思いますが、ETF買入の説明の部分が・・・・・・・・・

『総裁はETF買い入れの狙いを「株式市場のリスクプレミアムに働き掛けることを通じ、金融市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンスに悪い影響を与えることを防止するため」と説明。リスクプレミアムが抑制されることで「金融市場の不安定な動きがなくなり、株価が安定する効果はある」との見解を示した。』(上記URL先より)

となった返す刀で、

『その上で、ETF買い入れは「特定の株価を念頭に置いてない」と言明。「直接的に株価を引き上げるとか、下落を防止することは狙ってないし、そうした効果もあるとは思わない」とも語った。』(上記URL先より)

と言っていて、こっちの発言もヘッドラインで出てきて椅子から落ちそうになりました。

いやまあ確かに公式発言的に「特定の株価を念頭に置いて価格誘導を狙ってない」のは分かるんだが、その後の「効果もあるとは思わない」ってこれブルームバーグの記事書いた人が聞き間違えたか何かだと信じたいんですけど、まあ多分発言してるんだろうなあとは思います、ナムナム。

えーっとですな、ETF買入の「株価が安定する効果はある」のに「そうした(=直接的に株価を引き上げたり下落を防止する)効果があるとは思わない」って幾らなんでもそれ発言が尻滅裂レベルの世界に入っておりまして、よくこれ委員会審議が止まらなかったというレベルの暴言にしかこのテキストを見ていると思えないのですけれども、マジでこういう言い方をしていたらちょっと説明が粗雑にも程がありますわな。


・4日の名古屋講演後の会見(ただしリモート)より

でもってこちらなんですけどね。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201105a.pdf

どうでもいい質疑が多いのでパスしようと思ったらオモロイ質疑がありましてですね、

『(問) 今朝公表されました 9 月の日銀金融政策決定会合の議事要旨の中で、一人の委員の方から物価目標への道筋が見えなくなっている状況ということで、物価目標に向けた戦略について、改めて総合的に検討することが必要ではないか、といった意見が出ていたことが明らかになりました。日銀はかつて金融政策のレビューを行っていますけれども、改めてこの段階で、金融政策のレビューを行う必要性についてお考えをお聞かせください。』

ちなみにこの次に議事要旨ネタやりますが、当該部分は引用割愛しちゃいましたすいません。

でもって政策のレビューをすると死んじゃうからしたくないのは分かるんですけど、何でこんな答えをするのかなあ、という回答になっているのですよこれがまた。

『(答) この点については従来から申し上げているように、2013 年の 1 月に金融政策決定会合で決定し、かつ政府との「共同声明」にも盛り込まれている通り、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現すべく、金融緩和を行うことを続けていますし、今後とも続けていきます。そういう意味で 2%の「物価安定の目標」を引き続き堅持します。これは欧米でも、殆どの中央銀行が 2%の物価安定目標を維持して金融政策を行っています。』

まあこの辺は良いんだが、

『この 10 年くらい、多くの中央銀行はその 2%の物価安定目標を実現していませんが、だからといって、この目標を下げるといった考えはどの中央銀行も全く持っておられませんし、むしろ金融論の経済学者の方々には、こういう時期だからこそむしろより高い目標をたてるべきという議論すらあるぐらいでして、そういう意味で、金融政策の枠組みを今変える必要があるとは、全く考えていません。(以下割愛)』

>この目標を下げるといった考えはどの中央銀行も全く持っておられませんし
>この目標を下げるといった考えはどの中央銀行も全く持っておられませんし
>この目標を下げるといった考えはどの中央銀行も全く持っておられませんし

・・・・・さてここでオーストリア中央銀行のホルツマン総裁が昨年の10月に行った発言を確認してみましょう。

https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-austria-idJPKBN1WT0AV
2019年10月14日1:08 午後UPDATED
ECBの政策は誤り、総裁交代で修正望む=オーストリア中銀総裁

『10月末にECB総裁に就任するラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事について「非常に優れた政治家だ。IMFでは異なる意見のバランスを取ってきた」と指摘。「反対意見を真剣に受け止め、新たなアプローチを探ると確信している」と述べ期待感を示した。またECBのインフレ目標を2%をやや下回る水準から1.5%へ一時的に引き下げることを提唱した。』(上記URL先より)

>またECBのインフレ目標を2%をやや下回る水準から1.5%へ一時的に引き下げることを提唱した。
>またECBのインフレ目標を2%をやや下回る水準から1.5%へ一時的に引き下げることを提唱した。
>またECBのインフレ目標を2%をやや下回る水準から1.5%へ一時的に引き下げることを提唱した。

はい論破。

しかしこの発言、出た時にはちょっとだけは話題になったと思うのですけれども、どうせ黒ちゃんの事ですから、ECB総裁とかIMF専務理事とかの発言はチェックしてもオーストリア中銀総裁とか米国の地区連銀総裁よりも雑魚キャラだと思ってる(まー市場の扱いもそうだけどさ)からノーチェックだったんだろうなあと邪推する次第でございますが(ちなみに麿なら絶対にこういうのをカバーしている筈)、それにしても何も「どこの中央銀行も全く持っておられませんし」とか別にそこまで断言する話でもないのに無駄に断言すると、1個反対事例を出されるとコケてしまう(まあ円債村の片隅でアタクシが出してもコケないけどさ)ので、何もそんな売り言葉に買い言葉みたいな発言しなけりゃ良いのに、と思うのですよ(何かこの会見、政策レビューの話になった途端に急に変なスイッチが入ったかのようにつっけんどんな質疑応答になった感があるのだがこれは話題が悪いのかもしかしたらH高さんでも登場したのか・・・・・)。

つーことでですね、まあ4日5日とそういう意味では何か連発して(先週の定例会見質疑応答もその傾向があったけど)黒ちゃんエライ雑な答え方になっているのがアタクシとしては結構気になっている所なんですよ。

これって黒ちゃんの緊張感が無くなっているのか頭のネジが外れているのか舐めプになっているのかガースー先生の生霊でも乗り移ったのか知りませんけど、いずれにせよ何か変だな、と思ったのでメモメモなのでした。



〇9月MPM議事要旨ですが何ちゅうかこの人たち議論ちゃんとしているのかよという作品に仕上がっております

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g200917.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2020年9月16、17日開催分)

例によって『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要 』以降を鑑賞。

・これ毎回指摘している人がいるんだがなんなんすかね

最初の『国際金融市場について、』からの所なんですけど、いやホントマジでこれ毎回指摘している人何をゆうとるのと思ってしまうんだが。

『また、別の委員は、市場参加者のリスク認識の偏りを示す指標について、株式市場のSKEW指数は高止まっており下方のテールリスク(大幅な株価下落)が意識されているほか、ドル/円のリスクリバーサルでは円高警戒感が高まっていると指摘した。 』

まあ為替の方はまだしもですけど、これ毎度指摘して大幅な株価下落してましたっけ??って話だし、そもそも論としてデリバって原資産のヘッジで使うのが本来の姿(そらまあレバレッジ効かせてトレードするとか、プライスアクションデカいからとかそういうのもあるけど)でして、そらあんた実需筋がペインになる方向に対してのヘッジが掛かりやすいんだから株のSKEWは普通に考えたら下に傾くし、リスクリバーサルで言えば輸出サイドのヘッジニーズの方が強かろうよ、などとアタクシは単純に思うのですけれども、毎回飽きもせずに指摘しているのって何なんでしょうかねえ、いや本当の本当にマジで良く分からんのですし、まあ正直株式に関してはデリバも含めて触っていた期間があるのですが、為替はトレードサイドでやったことは無いのでその辺の土地勘無いから自分の方が大間違いのコンコンチキなのかも知れん、とは思うんだが、本当にこの毎回同じ指摘してるの無茶苦茶違和感しか感じないんですよデリバ詳しい人に伏して教えを乞いたいんですが。

まあ何となく思うのは先日ネタにしたと思うのですが、日銀のスタッフペーパーとかでも「デリバティブ市場は市場参加者の相場観を完全に反映したプライスアクションになる」とある意味教科書通りに思っているから、デリバのプライスにインプリケーションを過大に取ってしまうんじゃないかな、という座学的なサムシングなのかな、というのは若干思わんでもないのですけど。


・国内経済の認識部分なんですけどあまりにも10月の展望レポートなどに整合してるのが正直気持ち悪い

さっきのが本文6ページでして、いきなりワープして本文8ページの国内経済の検討部分に入る。

『わが国の景気について、委員は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつあるとの見方で一致した。』

忘れるといけませんので補足するとこれ9月会合議事要旨じゃけんの。

『このうち何人かの委員は、わが国景気は4〜6月に底打ちしたとみられると指摘した。この間、ある委員は、国内経済情勢は、前回会合時点でみていたよりも、幾分改善ペースが鈍いように窺われると指摘した。』

いやまあ良いんですけど10月展望レポートのベース部分と綺麗に整合しているのも何だか。

『輸出や生産について、委員は、持ち直しに転じているとの認識で一致した。このうち、複数の委員は、内外の経済活動の再開に伴って、特に自動車関連を中心に復調の動きが明確になっていると述べた。』

自動車キタコレで暫くはこれで粘るんでしょうね。

『ただし、別の複数の委員は、サービス輸出であるインバウンド需要は引き続き大きく落ち込んでいると指摘した。』

言われんでもわかっとるわ。

『個人消費について、委員は、サービス消費は依然として低水準となっているが、財消費を中心に、全体として徐々に持ち直しているとの見方を共有した。』

ほうほう。

『一人の委員は、特別定額給付金の支給にも支えられて、最悪期は脱したとの見方を示した。』

言いたいことは分かるんだがもうちょっと言い方は無いのでしょうか。これだと給付金無かったらまた腰折れするみたいじゃん。

『もっとも、何人かの委員は、感染症の影響が残るもとで、特にサービス消費の持ち直しのペースは緩慢であるとの認識を示した。このうち一人の委員は、夏場には、外食や宿泊など対面型サービスは感染再拡大により足踏みしたと述べた。』

うーんこの。

『設備投資について、委員は、減少傾向にあるとの認識を共有した。』

お、9月短観の設備投資計画見る前の時点でこれだったのか。

『一人の委員は、4〜6月の法人企業統計では、収益の不透明感が強いもとで投資を手控える動きが窺われたとの見解を述べた。ある委員は、4〜6月のGDPベースの設備投資の減少は概ね想定通りであったとの見方を示した。』

『雇用・所得環境に関しては、委員は、弱い動きがみられているとの認識で一致した。』

そらそうよ。

『そのうえで、複数の委員は、政府・日本銀行の政策の効果もあって、経済情勢の悪化に比べれば雇用の落ち込みは抑制されているとの見方を示した。 』

とまあそういう話なんですが、これって思いっきり10月展望レポートの現状認識の話と一致していまして、いやまあその間に著変が無かったから、と言ってしまえばその通りなんですけれども、なんちゅうかあまりにもここの記述が予定調和みたいな感じがしてアタクシの感覚は気持ち悪いって語りかけてくる次第でございまして、何と申しますかこの事務方による(ここで床に穴が開いて下に吸い込まれる)。


でもって気を取り直して先行きの部分ですけれども、

『景気の先行きについて、委員は、経済活動が再開していくもとで、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、改善基調を辿ると考えられるが、世界的に感染症の影響が残る中で、そのペースは緩やかなものにとどまるとの見方で一致した。また、委員は、その後、感染症の影響が収束すれば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けるとの見解を共有した。』

まあアレです、こちらを見ると展望レポート基本的見解で消えてしまったペントアップ需要の言及があるからちょっとホッとするんですよ。

なおこの見方が物凄くナローパスだろうなあとは思いますけど以下がいろんな人のいろんな指摘コーナー。

『一人の委員は、先行きについて、7月の展望レポートで示したメインシナリオの見方を大きく変える必要はないとの認識を述べた。その理由として、この委員は、わが国は、これまでの経験を活かし、経済社会全体として、感染防止と経済活動のバランスをとりながら、その双方を両立させ得る局面に入ってきているとの見方を付け加えた。』

政策は経済活動の方に傾いていて感染防止の方は民間にマルナゲータな気がしますがそれはさておき、

『ある委員は、当面は、感染症抑制と経済活動拡大の両立を模索しつつ、経済の回復ペースを慎重に点検することが肝要であるとの認識を示した。』

別に日銀は模索せんでもエエンチャウ??

『一人の委員は、わが国経済は、目先、輸出や生産に支えられて比較的はっきりと回復すると予想されるが、感染症の影響によりサービス消費を中心に内需の低迷が続く可能性が高いため、大幅な反発は見込みにくいと述べた。』

これはまたエライ楽観的な。

『ある委員は、設備投資は、短観等の計画が例年よりも慎重に設定されており、雇用環境が悪化している中で、個人消費も回復の重石になるとみられることから、景気の回復ペースは緩やかと見込まれると述べた。』

この短観云々は発射台が低い件についてですかね。

『そのうえで、多くの委員は、政策効果もあって、倒産や失業者の大幅な増加が回避されているもとで、現時点で成長期待は大きく低下していないが、今後、企業収益や雇用者所得が弱い状態が暫く続くと見込まれるため、企業や家計の支出行動が想定以上に慎重化することがないか、しっかりと点検する必要があるとの認識を示した。』

成長期待が大きく低下していない、というのがどう見ても無理がある。

『このうち一人の委員は、年金不安や長寿リスクが消費の重石となっていたもとで、今回の感染症により予期せず将来の所得が減少するリスクが認識されたことで、家計の貯蓄性向が更に高まり、消費の下押し圧力となることが懸念されると述べた。』

と仰せになっているのは分かるのだが、一方で今次危機において日本の調整が欧米のそれと比較してマイルドであった点について、日本の民間セクターの貯蓄がバッファーとして機能した、って論も出されている訳でして、ここを懸念するってのも何か違和感あるんですよね。


・物価は飛ばして金融の話を見ます

『2.金融面の動向 』のちょっと手前の所から参ります。

『経済・物価見通しのリスク要因として、委員は、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、引き続き、きわめて不確実性が大きいとの認識で一致した。』

そらそうだ。

『更に、委員は、感染症の影響が収束するまで、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要であるとの認識を共有した。』

たぶん金融システム云々の話ってもっとタイムスケールが大きい話(今次危機における貸金増加が不良債権とは言わなくても要管理債権みたいになってからコラアカンとなるまでってのはかなり時間を要する話だと思うの)で、まあ言いたいことも分からんでもないのですが、あんまりこのロジックを出してくるのもちょっとこれだけ時間軸の違う話をポコンと置かれた感がありますな。

いやまあ実はジャパンの金融機関は今次危機によって伸びた貸出によっていきなり即身成仏とかいうかなりヤバい認識をもっているならシャーナイですけど、そうじゃないでしょ?????とは思うので、毎度出てくるこの金融面の指摘はちょっともう少しタイムフレームの話とかをきちんと切り分けないと訳分らんと思うのよ。

『何人かの委員は、感染症の影響を中心に、下振れリスクについて、慎重にみていくべきとの考えを示した。このうち一人の委員は、感染症の影響を受けて、家計や企業のマインドや行動様式、企業の価格設定行動や予想物価上昇率の形成がどのように変化していくかといった、セカンド・ラウンド・エフェクトについて、慎重に点検していく必要があると述べた。』

むしろセカンドラウンドもへったくれもなくていきなり来るような気もしますが、まあそうですねって感じではあります。

『2.金融面の動向』の小見出しに入りますが、

『わが国の金融環境について、委員は、全体として緩和した状態にあるが、売り上げの減少などを背景に企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっているとの認識で一致した。』

『もっとも、委員は、日本銀行・政府の措置と民間金融機関による積極的な取り組みにより、銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されているとの見方を共有した。』

まあ資金繰りを支えているのでこういう感じ。

『ある委員は、こうしたもとで、現時点では、倒産や廃業の増加は抑制されており、金融システムは引き続き全体として安定性を維持しているとの認識を示した。そのうえで、この委員は、感染症の影響が続くと、年末・年度末にかけて資金繰りから支払い能力へと問題が移行していく中で、経済・物価に下押し圧力がかかる可能性には注意が必要であると述べた。』

まあこの人が自分で後段で言っていますが、資金繰りに注射チューしてもその後業績が戻らなければ、ただの追い貸しと同じ話になりますよね、と考えると、別に企業の資金繰りを政府と金融機関がサポートしているからといって「金融システムは全体として安定性を維持している」というのはちょっと何か微妙に唸ってしまいますな。いや単に資金繰り付けて問題の先送りしてるだけだったら、それって金融システムの脆弱性を高める方向に進んでいるだけなのですから、この「安定性を維持している」という言い方をするのは、MPMの議論としてはどうなのかな??勿論大本営発表としてはアリなのはその通りなんですけど、別に大本営発表を殊更に強調するために議論する場なの??と思うのですよね。別にこれ議事「要旨」なんだからちょっと足もとで出しにくいお題の部分はカットすればいいんだし。

『この間、別のある委員は、金融仲介機能は適切に発揮され、かつてない規模で貸出の増加が続いているものの、銀行の株価純資産倍率の低迷などにみられている市場の評価は、金融システムの安定に対する懸念を映じている可能性があると指摘した。』

まあそれもそうなんですが、それよりも「金融仲介機能が適切に発揮されていると思っていない」からという可能性は無いのかね、とは思いました。


・金融政策運営の留意点とかいう所がただの「主な意見」の切り張りな件について

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の途中から。

『委員は、金融政策運営に関連する各種の留意点についても議論を行った。何人かの委員は、政府とは、引き続き、それぞれの役割を踏まえてしっかりと連携していくことが必要であるとの認識を示した。』

『このうち一人の委員は、迅速な政策対応を行ううえでは、政府と中央銀行、および主要中央銀行間の緊密な情報交換などの協力・連携体制を堅持しておくことが重要であるとの見解を述べた。』

『また、別のある委員は、政府との連携・協調は、特に、経済危機の際に効果的であるとしたうえで、大規模金融緩和は、生産年齢人口が減少する中でも雇用者数や所得を増加させ、新卒者の就職難をもたらさずに、貧困数も減らすなど雇用・所得面の効果があったこと、また、世界標準である2%の「物価安定の目標」を掲げて主要中央銀行と政策スタンスを揃えたこと、といったこれまでの成果と教訓を踏まえ、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について検討を深めるべきであると述べた。 』

ってこれ全部が主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi200917.pdf

の切り張りになっておりまして(暇な人はご確認あれ)、いやまあその前の部分から切り張りが結構多いのですけれども、もしかしてこれ議事要旨とは書いてあるものの、実体としてこの辺って「各委員が好き勝手に自分の意見を言うだけコーナー」になっているんじゃないかと思うと泣けてくるんですけど。

でまあこの3つ目の別のある委員ですが、どうせ世界標準とか寝言を言っている時点で置物一派だし、片岡さんこういう言い方しないし、安達さん多分利口だからこういう頭の悪い用語は使わないと思いますし、櫻井さんは全然置物一派じゃないので、そうなると消去法的にあのお方という感じですわ。

でもってまあこの文章のわけのわからなさに関しては先般も突っ込んだので割愛しますが、要は個別に独立した話を一文にぶっこむもんだから何を言いたいのかの要点がさっぱり分からん、という代物なのですけど、更にビビるのは、この代物の状態で「議事要旨」が出てきてしまう所なんですよねアタクシ的に言えば。

つまりですね、いくら何でも3つ目の文章はもうちょっと何を言いたいのかをまとめたり補足したりして行間を補っていただかないと、という代物としかアタクシには見えないのですが、それをそのまま事務方が議事要旨に垂れ流してしまうのって、事務方もこのお方のご見解のポイントがつかめなかったという事なのか、はたまた議論になっていないのだからそのままにしておくしか無かったのか、というような感じで、どっちにしてもうすら寒いわ、と思った次第であります。

ちなみにウィズ・コロナの大先生はこのちょっと後の方でも登場してくるんですよね。『委員は、成長戦略や構造改革の重要性についても議論した。』ってのが次にあるんですがその中で、

『もう一人の委員は、今後、感染症の抑制と経済活動を両立させていくというウィズ・コロナの視点から、デジタル化や非正規雇用の脆弱性の是正といった構造問題に、金融政策としてどのように貢献しうるか、議論していく必要性が生じると述べた。』

それ金融政策の領域ちゃうやろ・・・・・・・・・・・という感じで、どうもこのウィズ・コロナ大先生だいぶ色々と斜め上っぽいので何だかなあとは思うのでした。


・最後にFEDはワシが育てたがあるのが見苦しい

最後にこのコーナーがあって実に見苦しいとしか申し上げようがないのだが、FEDはワシが育てたっての黒ちゃんが拘っているとかそういう話なんですかねえ、実に不可解。。

『委員は、FRBの新たな金融政策の戦略等との関連についてもコメントした。』

ちょwww

『複数の委員は、日本銀行では、オーバーシュート型コミットメントを採用し、従来から、インフレ率が景気の変動などを均してみて平均的に2%となることを目指しており、今回、FRBがインフレ目標について、時間を通じて平均して2%を目指すこととしたのは、日本銀行のこれまでの政策運営の考え方と軌を一にしたものであるとの認識を示した。』

そもそもお前らは何でも良いから無理くり2%を気合で行かせるん、ってレジームだから全然違うだろ。

『また、何人かの委員は、日本銀行の政策金利のフォワードガイダンスについて、緩和方向を意識しながら金融緩和を継続していくという政策運営スタンスを明確化したものである旨を強調した。』

でもって更に絶望的なのはこの部分。

『委員は、これらの点を、対外的に明確に説明していくべきとの意見を共有した。 』

えーっとすいません、政策委員会の皆さん揃って「FEDはワシが育てた」論者なんですか????????もしかして9名の皆様揃って脳味噌に簾でも入ってませんですかねえ・・・・・・・・

#寝起きのFOMCが案の定だったのですが前夜にネタ突っ込み過ぎた上にまた推敲とかしたからクッソ長くなって誠に申し訳ございません




2020/11/05

お題「米国大統領選挙がカオス(備忘用メモ)/名古屋での(リモート)総裁講演は展望レポート背景説明の説明通りなので確認&雑感」

ちょwお主が総合的に判断したんじゃなかったのかよwww
https://this.kiji.is/696595680050644065
6人除外は杉田官房副長官から報告と菅首相
2020/11/4 14:41 (JST)11/4 14:59 (JST)updated
コピーライト 一般社団法人共同通信社

発言が息を吐くようにコロコロ変わってしまう理由は、当初の時点で楽観してたからちゃんとストーリーを作っていなかった、という間の抜けたプレイのような気がしますが、いずれにしましてもガースーと安倍ちゃんを分ける重大な違いは、自分のついた嘘を自分の中で勝手に真実に昇華できる能力の有無ですな。まあガースーさんの方が人間らしいんですけど。


〇さあおもしろくなってまいりました!!!!!(超不謹慎)

FOXニュースなのでトランプ寄りですけど、まあ売電優勢って話だったからFOXで確認するのがちょうどバランス良いわと思ってFOX(のウェブサイト)で見ておりましたアタシャ。いやまあ勿論FOXだけだと偏るからNBCも見てたんですけどNBCは情勢判断出すのが遅くてかなわんわという感じでした(FOXが早過ぎというのはあるけど)。

ついでに何故かNHKのサイトも確認しました、それからニュースじゃなくて記者の感想がホイホイ出てくる物件だから比較対象したら可哀想なのかも知れないけど、某ブルームバーグのライブ速報ページみたいなのがあったのだがノイズばっかで、単にお前ら情勢判断を金融市場の値動きでしてるだろうと小一時間問い詰めたいという感じでちょっとがっかりな物件でしたので改善を求めたい。

という訳でFOXニュースちゃん。
https://www.foxnews.com/
Biden wins Wisconsin, Fox News projects, limiting Trump's chances of reaching 270 electoral votes

ってのがあるので記事あるんかいと思ったら昨日見てたページに行くのでした。

https://www.foxnews.com/elections/2020/general-results
Presidential Election Results

なお、昨日はこのメーターがコロコロと振れるのを眺めていましたが、
https://www.foxnews.com/elections/2020/general-results/probability-dials
Fox News Election Probability

『The Fox News Probability Meter uses the data from our Fox News Voter Analysis together with live election results to show the trends in key contests ahead of final results. These are not projections of the outcome of races. Users should remember that probabilities might not align with the ongoing official vote count since the meter reflects expected votes not yet counted.

The probability meter for the outcome of the national presidential contest uses Fox News Voter Analysis data and votes cast in states where polls have closed. In states where polls are still open, the meter only reflects pre-election polls available to the public.』

ということでかなりテキトーっぽいですが(テキサスとかマイアミとか右に左に振れまくってたw)、まあ終盤に来るとだいたい合ってる感じでしたんでこれだと売電あと2つは取るのかな。

ちなみに最初のデカいメーター今朝になったら何も表示されてないのですが、昨日はテキサスとオハイオが出る前まではPRESIDENTのメーターが売電だったのですが、両方出た所でトランプに振れて参りました。

どうもFOXの分析だと現在売電が248でネバダとミシガンで24を上積みしたら272に届くっぽいとかそんな感じなんですか。まあその超僅差だと延々と揉めそうでこれは一番面白くなって参りました(超不謹慎)パターンですの。

・・・・・でまあ結局さあおもしろくなってまいりました!!!以外の相場観は正直ないのですけれども、なんか昨日の雨株(の時間外先物)の感じだと、トランプが「最高裁に行く」とか言い出すと急に下がるとか、何かトランプ優勢だとなったら上がるとか、投票前ではブルーウェーブだと上がるとか、まあ要するに「どっちでも良いからきっちりと決めてくれれば株は上がるぜヒャッハー」ってな事なんですかねえ、もうさっぱりわかりませんわ(泣)。

ちなみに、売電とか言ってますが、中文繁字体ですと
https://www.ltn.com.tw/
自由時報電子報(台湾の新聞ね)

バイデン=拜登、トランプ=川普、となるようですな。

あと州名の漢字表記がオモロイ。
https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/3342289


〇名古屋での経済界との懇談での講演もこれまた黒ちゃん例年行事ですが基本は展望レポートと同じ

暫くするとこっちでも出てくると思いますが、
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201104a.htm/

とりあえず今朝の所はこちらになります(PDF版)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201104a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──

内容自体は展望レポートと同じ(毎度この懇談会が11月に行われるので、QQE拡大をした2014年(この時は11月の終わりに実施)の時以外だと基本的に10月展望レポートに沿った説明になる)なのでそんなにオモンナイというか読んでも別に新しいインプリケーションが出る訳でもないので、昨日は米国大統領選挙祭りでしたこともあって華麗に完全スルーされておりましたな。


・最初のご挨拶を見ますとこちらもリモート懇談会なのね

『1.はじめに』から。

『本日は、中部経済界を代表する皆様とお話しする機会を賜り、誠にありがとうございます。皆様には、日頃より、私どもの名古屋支店の業務運営にご協力頂いており、厚くお礼申し上げます。一年前に皆様とお目にかかって以降の最も大きな出来事は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行です。その影響は、経済・金融、社会生活に広く及んでいます。この会合も今年はオンライン形式としています。』

『そこで、本日は、感染症の影響を受けたわが国の経済・物価に対する日本銀行の見方を、先日公表した「展望レポート」に沿ってお話ししたうえで、金融政策運営の考え方についてご説明したいと思います。』

第2段落の接続詞がおかしい気がしますが(前段と後段は別に論理的に繋がっている文章ではないので「そこで」は何か妙な気がするんだが。「さて」とかそんな感じジャマイカと思って英文の方をみたら文頭の接続詞無かったので何となくワイの感想で合ってる気がする)まあそれはさておきまして、そらまあ日銀の場合企業ヒアリングとかで全国の支店が機能(支店のメイン機能はそれではないですけど)しているので、まあリモートでも良いちゃあ良いのかも知れませんけれども、そうは言いましてもアネクドータルなエピソードって奴は対面じゃないと得られない部分が多々あると思うので、なんかやり方を工夫して対面懇談できないもんなのかね、とさすがにここに来て思うアタクシなんですけど・・・・・・・・

いやまあそれでコロナクラスター発生したら洒落にならんしロジ担当がリアル切腹モノみたいになるのもアカンので慎重なのは分かるんですけど、そうは言いましてもちょっと全然地方金懇周りとかをしないというのはどうなのかね、とは思います。何でもビックデータでわかるもんじゃないと思うんだけどなあ、というアタクシはアナクロ昭和脳。


・経済物価情勢の説明は展望レポートの全文と同じなので展望レポート全文をネタにするよりこっちが楽

『2.経済・物価情勢』ですが、小見出しに書いたように、内容的には展望レポートと同じ(そら先週木曜に出たものと全然違っていたらウケるわ)なのですが、ちょうど展望全文をBOXだけ鑑賞した所ですのでダラダラと引用してみようかと思います。

『初めに、経済情勢です。わが国の景気は、感染症の影響から引き続き厳しい状態にありますが、経済活動が再開するもとで、持ち直しています。広範に経済活動を抑制した春頃とは違い、現在は、的を絞った感染防止を行いつつ、経済活動との両立を図る局面になってきています。そうしたもと、景気は、4〜5月をボトムに底打ちが明確になりつつあります。一方、感染者が増加した夏場には、サービス消費の持ち直しの動きが足踏みするなど、改善が一本調子には進みにくいことも改めて認識されました。こうしたわが国経済の先行きを見通すうえでのポイントを、需要項目毎にご説明します。』

でまあその夏場の足踏みが予想以上に大きかったので、今回の展望では成長率見通しの2022年度は7月対比+0.1%ですけど、20年度を下げて21年度を(20年のゲタ分程度)上げた(トータルでは微妙に下がっていたけどまあ誤差範囲内)という結果になっています。

『まず、海外経済とその影響を受ける外需です。海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しています。4〜6月の成長率は、多くの国で過去最大のマイナス幅となりました。その後、7〜9月は、経済活動の再開やペントアップ需要の顕在化などから、プラスに転じたとみられます。』

ほっほー。

『先行きも、海外経済は改善を続けるとみていますが、感染症の影響が残るもとで、そのペースは緩やかと考えられます(図表1)。IMFの最新の世界経済見通しでも、成長率は 2020 年に▲4.4%の大幅マイナスとなった後、2021 年は+5.2%の予想であり、2021 年の世界のGDPの水準は、2019 年をわずかに上回る程度との見方です。』

よく考えたらそれも強いような気がするがまあキニシナイで次。

『また、IMFは、今後の世界経済の回復は「不均一かつ不確実(uneven and uncertain)」としています。感染症の影響は、対面型サービス消費で相対的に大きいなど、業種間で異なります。また、IMFの今年の成長率見通しは、世界全体で上方修正された一方、新興国を中心に下方修正された国も多く、国毎のばらつきもみられます。足もと、欧州や米国で感染が再拡大している点も気掛かりです。』

展望レポートの時には最後の感染再拡大の話が華麗にスルー気味になっていて、先行き見通しを立てる上での前提条件で広範なロックダウンみたいなのが無いとかいうのを堂々と書いていて「???」と思ってはいるのですが、まあ一応欧州の今のアレは「経済全体に渡る広範な影響を与える公衆衛生上の措置ではない」という建付けになっているようなのでまあこういう見通し。

『こうした中、わが国の輸出は、足もと増加しています。先行きも、当面、自動車関連を中心に増加するとみています。その後は、不確実性は大きいですが、世界的に感染症の影響が和らぐにつれて、資本財なども含め、幅広い財で輸出は増加していくと予想しています。』

7月展望の時には国内の設備投資が妙に底堅いことが支援材料になってやたらそれを強調していましたけれども、今回の展望ではこの自動車関連の話がやたらと出てくる感じですね。

『次に、内需の動向です。まず、企業部門です。設備投資は、企業収益の大幅な悪化や先行きの不透明感から、減少しています(図表2)。』

設備投資キタコレ。まあ相手が経済界の要人ですからここから入るわな。

『9月短観の設備投資計画は、3か月前の調査から下方修正され、小幅の前年比マイナスとなりました。製造業の能増投資やサービス業の新規出店の先送りなど、投資案件の選別姿勢が強まっています。もっとも、成長分野やデジタル関連への投資意欲は損なわれていないようです。9月短観でも、ソフトウェアの投資計画は、前年度からしっかりと増加しています。』

設備投資計画の全体数値で言えば9月になって従来パターンに無い下方修正が入った格好になっているのですが、そこの話はさらりと流して明るい話を持ち出すのは昨日ネタにしたBOXと同様。

『設備投資は、当面、減少傾向が続くとみていますが、メインシナリオとしては、緩和的な金融環境が維持されるもとで、リーマン・ショック時のような大規模な調整には至らず、感染症の影響が和らぐなかで、緩やかな増加基調に復していくと考えています。』

ほうほうそうですかそうですか。

『次に、家計部門です。個人消費は、全体としてみれば、徐々に持ち直しています(図表3)。依然として飲食・宿泊等のサービス消費を中心に水準は低いものの、各種の所得支援策や需要刺激策が個人消費を支えています。』

需要刺激策ってしらっと書いてありますが、後の方に出てくる物価の話では(展望レポート基本的見解と同様に)需要喚起のために価格を引き下げる動きが広範にみられない(ので企業の期待インフレは低下していない)という理屈をこねているのですが、この部分で思いっきりGoToキャンペーンは価格を引き下げることによって需要喚起しているという認識を示しているじゃん政府の政策の評価に関してどうなってるのよ、という思いは拭えない。

いやまあ永久にGoToキャンペーンやるなら兎も角、どこかで財政の崖が発生して、そうなった後に結局GoToで割引になった方々が売り上げを一定以上維持するために割引をせざるを得なくなるんジャマイカというのは気になるんですよねえ。ま、その辺の感覚はイマイチよくわからんのですけど。

『先行きも、持ち直しが続くとみていますが、感染症への警戒感が残るもとでは、対面型サービス消費を中心にそのペースはかなり緩やかと予想されます。その後は、新しい生活様式への適応が進み、感染症の影響が和らぐもとで、増加基調が次第に明確になっていくと考えています。』

新しい生活様式云々というのは基本的見解にも入っていたんですけど、それが起こるとなると構造変化が生じるので、その際に起きる摩擦とかで何か消費以外(雇用とか)でも影響が出て回復が遅れるとかそういう話が意外になくて、説明上のメカニズムでは多分その部分はスルーされているんですよね。いやまあ勿論そこの構造変化を決め打ちする必要があるのか、と言えばそれまた別問題になるのはその通りなんですけど。

『こうした個人消費の背後にある雇用・所得環境ですが、弱い動きがみられています。就業者数は減少しており、特に、飲食や観光関連などにおける非正規雇用者の減少が目立っています。名目賃金も、前年比マイナスとなっています。しかし、拡充された雇用調整助成金などが、雇用削減の一定の歯止めになっています。また、政府・日本銀行の各種措置が下支えとなり、企業倒産の大幅な増加は避けられています。そうしたもと、先行き、内外需要の回復に伴い、雇用・所得環境は改善基調に転じていくとみています。』

というこの理屈、展望レポート基本的見解でも主張されているのですが、昨日も申し上げましたように、ここの理屈が循環論法っぽくなっているのが気になるのよ。

つまりですね、確かに上記にあるように、企業倒産の増加などの資金繰りによるショックは回避されているのは事実なのですが、でも現実問題として「就業者数は減少しており、特に、飲食や観光関連などにおける非正規雇用者の減少が目立っています。名目賃金も、前年比マイナスとなっています。」という状態なのでして、そのような状況の中で何がドライバーになって個人所得が好転するのか、というのがさっぱり分からんのですよ。

でまあこの説明だと、「先行き、内外需要の回復に伴い、雇用・所得環境は改善基調に転じていくとみています。」と言ってるんですが、少なくとも内需に関して言えば、個人所得が落ちている状況があるのに何で内需が伸びるんじゃいという話で、ぞらまあ財政出してはいるものの、焼け石にウォーターな財政しか出せんでしょうし(もしかしたら盗っ人ジンバブエ理論で巨大財政が更に出るのかも知れませんけれども、持続的なのはさすがに無理っしょ)、個人所得が戻らんのに内需が何で出てくるのか、ということを考えると、このパスかなりのナローパスだわさと思うの。結局外需頼みだし、まあそうなるとアジア中国様ということになるんかいな、って話であって、あたかも内需が復活して個人所得も復活するかのような書き方はちょっと無理があろうかと思われます。

『以上を踏まえたわが国経済の見通しです(図表4)。標準的なシナリオとしては、経済活動が再開し、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、引き続き、改善基調を辿るとみています。』

ナローパスだけどな。

『もっとも、感染症への警戒感が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えています。「展望レポート」の政策委員の大勢見通しは、2020 年度に▲5.6〜▲5.3%と大幅なマイナス成長となった後、2021 年度は+3.0〜+3.8%となり、2022 年度も+1.5〜+1.8%と成長が続く姿となっています。』

というのが成長率。

『続いて、物価です(図表5)。消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格の下落、GoToトラベル事業の影響などにより、マイナスで推移するとみられます。もっとも、需要減少の一因が感染症への警戒感であることなどから、現時点では、デフレ期にみられたような、値下げにより需要喚起を図る行動は広範化していません。』

でまあGoTo何とかに関するツッコミはもうこれで3回目くらいなので以下同文。

『先行き、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰し、原油価格下落の影響なども剥落していくとみています。そうしたもとで、消費者物価の前年比は、プラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくと考えています(前掲図表4)。「展望レポート」の物価上昇率見通しは、2020 年度が▲0.7〜▲0.5%、2021 年度が+0.2〜+0.6%、2022 年度が+0.4〜+0.7%となっています。』

『もとより、こうした経済・物価見通しについては、不確実性が高く、下振れリスクが大きいと認識しています。欧米を含め世界的に感染拡大が収まっておらず、欧州では公衆衛生上の措置が強化されています。そうしたもとで、感染症の帰趨やそれが内外経済に及ぼす影響について、不透明感が強いと考えています。』

『また、企業や家計の成長期待が低下し支出スタンスが慎重化することはないかという点も注意を要します。』

『さらに、現在、金融システムは安定性を維持しており、先行きも、金融面からの下支え機能が円滑に発揮されると考えていますが、経済が想定以上に悪化すれば、金融システムに影響する可能性があることにも留意が必要です。』

『こうした点を含め、引き続き、経済・物価・金融情勢をしっかりと点検していく考えです。』

今回の展望であと目立ったのは、先行きリスクの中で「金融システム」の話が割と前面に出てきたことで、これは別に今の資産価格がバブルだとかそういう話の金融不均衡の話じゃないのがムカツクのですが(おい)、とりあえず目先経済の下振れ(というか底割れ)抑制のために資金繰り大延命措置を取ったものの、ただの問題の先送りに留まってしまうと不良債権の山ができますよ、というそっち方面の話をしている次第ですが、まあ何となく本件に関しては資金繰り注射チューとやっているうちに延命のための延命みたいな動きになってしまってあばばばばーってのは関東大震災後の震災手形(の後処理失敗)を彷彿させるようなサムシングがありますので、まあそこを指摘しているんでしょうが、そこまで露骨に言えないのが日銀の惜しい所だし、うっかりすると置物一派とかそんな事毛ほども考えていない可能性は大いにあるのがオソロシス。


・金融政策の話もまあこんなもんじゃろなのですがサルベージしてたら悲しいものを見つけてしまったのでご報告(^^)

『3.日本銀行の金融政策運営』というパートですが、まあいつもの説明をしていますのでそれはそれで良いのですけれども、

『ここからは、金融政策運営についてお話しします。日本銀行は、感染症への対応として、3月以降、金融緩和を強化しています(図表6)。具体的には、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、BETFおよびJ−REITの積極的な買入れの3つの措置を講じています。こうした対応は、政府の施策や金融機関の取り組みとも相俟って、効果を発揮しています。内外の金融市場は、なお神経質な状況ですが、ひと頃の緊張は緩和しています。企業の資金繰りには厳しさがみられますが、CP・社債発行や銀行借入といった外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されています。』

いつもの説明。

『日本銀行は、感染症のショックに対して、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持の2点を意識して、政策運営を行っています。なぜ、この2つが重要と考えているのか、やや詳しくご説明します。』

ってあって以下説明があるのですが、まあ内容はありきたりの話なのでめんどいから割愛しますけど、企業等の資金繰り支援とか偉そうに言ってますが、社債CP買入はまあ確かに直接資金繰り支援になっていますけど、新コロオペのどこがどう企業の資金繰り支援なのか小一時間問い詰めたいわけで、別に金融機関とすればこれがあるから貸出をするのではなかろうという話の物を企業の資金繰り支援と大々的に銘打つのは(FEDなどの本来的な直接支援と比較して考えた場合に)羊頭狗肉というか詭弁というかな話で、いやまあそうでもしないとこの「10bp付利して謎の残高稼ぎとプラス金利注射チュー」が出来ないのは分かるんですけど、ここの説明で日銀が「やってます」感を前面に出すのはちょっとこう色々と後になって弊害が発生する可能性があるような気がするのよ、根拠はただの霊感だけど。

それにまあ確かに「長期運転資金の確保」って話もあるから社債買入もアリと言ってしまえばそれまでですけれども、「企業等の資金繰り支援」がメインなんだったら、CP買入だけで良いじゃんと思う次第だし、5年物の社債まで購入しておいて、一方で「今後も経済の停滞が続くと資金繰りの問題がソルベンシーの問題になるリスクがある」とか言う懸念を表明しているのって、何かこう言ってることとやってることがマッチしてないんだよなーとは思うのですよね。

・・・・・まあ何ですな、継ぎはぎだらけの金融政策なので、整合性が全然取れない昭和の温泉旅館状態なのはシャーナイのは分かるんですけど、それにしてももうちょっと何とかならんのかとは思うのでした。

さて、サルベージ云々って何でっしゃろというので最後にこんなのをご紹介。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/ko191105a.htm/
【挨拶】
最近の金融経済情勢と金融政策運営
名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶
日本銀行総裁 黒田 東彦
2019年11月5日

こちらの『4.日本銀行の金融政策運営』の真ん中辺りにこのような記述があります。

『こうした経済・物価情勢に関する判断と、緩和方向をより意識した政策運営を行っているという、日本銀行の政策運営スタンスを明確にする観点から、先週の会合では、新たな「政策金利のフォワードガイダンス」を決定しました(図表12)。具体的には、政策金利については、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定しているというものです。ポイントは2つあります。』

『1つ目は、フォワードガイダンスを、「物価安定の目標」に向けたモメンタムと、明確に関連付けたことです。2つ目は、緩和方向を意識して政策運営を行うというスタンスを、政策金利のフォワードガイダンスにも反映させたことです。政策金利について「下方バイアス」があることを明確にしました。』(この部分だけ直上URL先の昨年実施した黒田総裁の名古屋懇談会挨拶より引用)

>フォワードガイダンスを、「物価安定の目標」に向けたモメンタムと、明確に関連付けたことです。
>フォワードガイダンスを、「物価安定の目標」に向けたモメンタムと、明確に関連付けたことです。
>フォワードガイダンスを、「物価安定の目標」に向けたモメンタムと、明確に関連付けたことです。

・・・・・・・・あれ??モメンタム消えてますよね?????????


#昨日は9月会合議事要旨もあったのだが多分時間が足りないので明日にします




2020/11/04

お題「展望レポートのBOXコーナーを鑑賞したがやはり先行き見通しはかなりのナローパス」

米国大統領選挙ですが、今回は「何が起こるか分からんから事前にポジションを持つのはしないですよ」という人ばっかりだし、大体からして今日決まるとも思えない(重点州を全部郵便投票前に負けとかトランプに出れば別でしょうが)ので、まあ今日の開票速報は「ほーん」という感じで見るのが吉ですかねえ。

〇展望レポート全文の「BOX」の中身を鑑賞してみる

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2010b.pdf

物価絡みのテーマが無い、という話題だけ金曜に申し上げましたが、まあ内容も見ておかないと、というような感じでございますので順に見ておこうという企画。

・海外経済の先行き見通しについては前提条件が既にナローパスのような気がします

『(BOX1)海外経済の持ち直しの状況 』である。例によって図表を貼るスキルは無いので図表はURL先を見てちょんまげ。

『海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しているが、そのペースは一様ではない。』

ほうほう。

『部門別にみると、製造業・財部門では、多くの国で業況感が改善しており、生産活動もはっきりと持ち直している一方、非製造業・サービス部門については、春先に大きく落ち込んだ後も、改善の動きは緩慢である(図表 B1-1、B1-2)。また、国・地域別にみても、特に非製造業・サービス部門では、改善状況のばらつきが大きい。』

『本BOXでは、こうした海外経済の持ち直しペースの緩慢さやばらつきについて整理する。』

だそうで。

『中国では、春先以降、感染者数が低水準で推移しており、経済活動がいち早く再開していった。こうしたもとで、積極的なマクロ経済政策の効果発現やペントアップ需要の顕在化もあって、4〜6月期には、GDP成長率が前年比でプラス転化した(図表 B1-3)。』

そういえば今回の展望レポートの基本的見解の見通しの中に「ペントアップ需要により回復が」という話が皆無になっておりまして、何でや!!!!と思っていたのですが、例によって手抜きで本文で「ペントアップ」で文字列検索ぶっこんでみた所、9つ出てきたのですが、9つ中7つが海外経済の話で出てきていて、国内需要項目では2か所で出てくるんですけど、これがまた、

『鉱工業生産の先行きについては、内外で感染症の影響が和らいでいくなかで、当面は、「輸送機械」を中心に、ペントアップ需要にも支えられて、しっかりとした増加を続けるとみられる。』(本文20ページの(鉱工業生産)の記述より)

『形態別にみると、耐久財消費は、4〜5月に大きめの減少となったが、6月以降は、特別定額給付金の支給やペントアップ需要にも支えられて持ち直している(図表 34)。』(本文25ページの(家計支出)の記述より)

ということで、ペントアップ需要はどこに逝ったのかと心配していましたが、まあ一応あったり見込まれていたりするんですけれども、ただまあ生産の方ってこれペントアップで引っ張ってくれるのは海外需要がペントアップで戻る、という話の流れから来ているのでちょっと唸る。国内のペントアップ需要ってのは耐久消費財から、ってことですが節子それペントアップちゃうただの需要先食いや、という気も思いっきりするんですがまあ気にしないことにします。(=耐久消費財のペントアップをしていないマン)

さてまあ結局の所ペントアップは(先ほど申し上げましたように「ペントアップ」で検索(F5キー押下したら窓が出てくるからそこに入力してリターンするアルよろしアルね)すると分かるのですが、兎に角海外様が立ち上がってくるとペントアップ需要が来まして、そうなると日本の生産が(゚д゚)ウマーということになる、ってな話なので、国内のペントアップがどうのこうのってのがイマイチ感溢れるなあとは思いました。(追記:と思ったら後の方にもう1個国内消費系のペントアップネタがありました後述します)

まあそれは兎も角次に参ります。

『業種別にみると、5G通信網の整備やインフラ投資の拡大などから情報通信や建設、不動産が順調に回復している。また、製造業のGDP成長率と鉱工業生産も、こうした投資拡大の効果波及やグローバルなIT関連財需要の増加などを背景に、前年比プラスで推移している(前掲図表 B1-2)。』

『この間、宿泊や飲食といったサービス業の回復は、自主的な感染防止への取り組みなどにより遅れていたが、足もとでは改善の動きも窺われる。』

だそうなのですが、

『米国や欧州では、個人消費が春先に大きく落ち込んだが、その後は家計の所得補償を企図した財政面の措置に加え、ペントアップ需要の顕在化、さらに国によっては低公害車の購入補助金の拡大などもあって、財消費を中心に持ち直している(図表 B1-4、B1-5)。こうしたもとで、製造業の生産活動も、はっきりと持ち直している(前掲図表 B1-2)。』

『一方、米欧とも、新規感染者数が増加するもとで、消費者コンフィデンスの改善ペースは鈍く、対面型を中心としたサービス消費の持ち直しペースは緩やかなものにとどまっている23。』

ってありまして、「新規感染者数が増加するもとで、消費者コンフィデンスの改善ペースは鈍く」っていう認識になっていて、どうも新規感染者増加している件については、サービス消費などには悪影響を与えるけれども、製造業方面はドントウォリーってなもんみたいな認識を示している、ということのようで、だからこそ欧州で感染症拡大からのロックダウンみたいな措置が来てるというのに堂々と前提の所で『この中心的な見通しでは、先行き、感染対策と経済活動の両立に向けた取り組みが進展するもとで、広範な公衆衛生上の措置が再び導入されるような感染症の大規模な再拡大はないこと、』(基本的見解の『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し』『(1)経済の中心的な見通し 』2ページから)ってなっている、と言う事のように思われます。何かそれ本当か〜とは思ってしまいますが。

ところで脚注の23ですが、

『23 感染症拡大の影響については、日銀レビュー「新型コロナウイルス感染症拡大の米国個人消費への影響―州別の高頻度データを用いた計量分析―」(2020-J-11)も参照。』

ってありまして、いや確かにこれ見たんですけど、読んだアタクシとしては「いやいやいや米国個人消費の影響をビックデータ分析するって何なのよ暇なの??」などと思ってネタにしなかった物件でございますが、この辺の分析をどうも感染症拡大による影響というのに使っているのね、という事にやっと気が付きましたが、米国のパターンをそのまま欧州にぶっこむのってどうなのか感は否めない(個人の感想です)。

さらに続き。

『最後に、中国以外の新興国については、国・地域により区々であるが、インドなど新規感染者数が増加または高止まりしている国・地域では、夏場以降も人出が抑制された状態が続いた(図表B1-6)。これらの先では、消費者コンフィデンスも低水準で推移しており、サービスを中心とした消費の改善ペースは、4〜6月期の大幅な落ち込みとの対比でみれば、緩やかなものにとどまっているとみられる。』

『もっとも、そうした国・地域についても、経済全体をみれば厳しい状況が続いているものの、製造業の業況感や生産活動については改善方向の動きがみられている先が多い(前掲図表 B1-1、B1-2)。』

ふーん。

『このように、海外経済は、全体としては改善しているが、感染症の動向が非製造業・サービス部門に及ぼす影響等を反映して、改善ペースには国・地域別に違いがみられている。先行きも、当面は、積極的なマクロ経済政策にも支えられて、改善を続けるものの、感染症への警戒感が残るなかでは、そのペースは、緩やかでばらつきを伴うものとなるとみられる。』

うーんこの、と思ったらその後にしらっとこのような文言がある。

『また、欧州等において公衆衛生上の措置が再強化されていることを踏まえると、一時的に当該地域の経済が下押しされることも考えられる。』

ちょwwww何で基本的見解でこの話無いの(というか全文の方での(海外経済)の現状と見通しの部分でも華麗にスルーしている)よという感じなのですが、どうもこの措置については「一時的に下押しで」済むらしいのですが、しかしまあのっけからこの状況が発生しているのに堂々と「一時的ですよ」で決め打ちしてしまうのはどうなのかね、とは思うのですが、そこの阻害要因を強調してしまうと「じゃあ追加緩和」とおかわり要請がきて、これに耐えられないというのがあるので如何ともし難い。

『感染症の帰趨や、それが海外経済に与える影響の大きさについては、引き続き、きわめて不確実性が大きく、下振れリスクに注視していく必要がある。』

結局そちらは「不確実性」「リスク」という言葉で丸めるという結論になっていますが、そもそも論として国内の方にそんなにペントアップ需要が顕在化している訳でもないのに、海外で盛大にペントアップ需要が発生するみたいなシナリオ(本文のさっき引用した辺り)になっていたりして、あくまでもアカンのは対面サービスなどの部分でっせ全体はマクロ政策吹かしてるから大丈夫、というような説明になっておりますが、それってかなりのナローパスに見えますけどさてどうなんでしょ???


・9月短観で盛大に落ちた設備投資の話があるのだが前半やたら威勢が良くて最後に来ると謎のトーンダウンとはこれ如何に

次が『(BOX2)感染症が設備投資に及ぼす影響 』という設備投資キタコレな話。

『感染症は、企業収益の悪化や先行き不透明感の高まりといった経路を通じて、設備投資にもマイナスの影響を及ぼしているが、形態別・業種別にみるとその影響は一様ではない。本BOXでは、今次局面における設備投資動向について、設備投資の先行指標や短観の設備投資計画を確認しながら、やや詳しく検討していく。』

9月短観(10月公表)で腰砕けとなった短観設備投資計画に関して分析キタコレ。

『まず、形態別にみると、設備投資は全体として減少傾向となっているが、ソフトウェア投資は堅調に推移している。』

最初の時点でこうやって明るいネタをクローズアップしている時点でまあお察しなのですが次に進む。

『9月短観における 2020 年度の計画をみると、設備投資全体としては、前回調査時点からはっきりと下方修正され、前年比マイナスに転じている(図表 B2-1)。9 月調査時点での明確な下方修正は珍しく、感染症の影響が続くもとで、企業は当面の設備投資を見送る、または絞り込む行動をとっていると考えられる。』

しかし往生際が悪いので以下Yes,But攻撃で景気のいい話をするのが大本営クオリティ。

『ただし、そのうちソフトウェア投資計画については、9月調査で上方修正されており、前年比も高めの水準を維持するなど、投資全体とは対照的に堅調さが目立つ(図表 B2-2)。』

ほうほうそうですか(棒読み)。

『業種の内訳をみると、ソフトウェア投資は、宿泊・飲食サービス業では大幅に減少する一方、通信業や情報サービス業、小売業などではっきりと増加する計画となっている。』

『こうした堅調さの背景のひとつには、感染症以前からの経営効率化、省人化投資の流れが続いていることが挙げられる。また、足もとでは、感染症の影響長期化から非対面サービス(Eコマース、テレワーク、コンテンツ配信等)に対する需要が拡大するもとで、企業がこれらの成長分野への設備投資に対して積極的なスタンスを示していると考えられる。』

としつこく威勢の良い話をしていくというのがもうねという所ですが、さてこの続きが製造業非製造業の話になりまして、

『次に、業種別にみると、足もとは製造業、非製造業ともに設備投資が減少しているが、製造業の設備投資は比較的早期に持ち直す可能性が高い。』

>製造業の設備投資は比較的早期に持ち直す可能性が高い

決め打ちキタコレ。

『製造業については、機械投資と実質輸出の相関がかなり高いことが知られている。』

ほう。

『その輸出の動きをみると(図表 B2-3)、リーマン・ショック直後には、世界貿易量が急減するもとで(前掲図表 11)、円高の進行やIT関連の在庫調整もあって、大幅な落ち込みを示したほか、その後の持ち直しも緩慢であった。』

『これに対して今次局面では、感染症の世界的な影響がサービス部門中心となっていることなどから、わが国の輸出の減少がリーマン・ショック時ほど幅広い財に及んでおらず、落ち込み幅自体も抑制されている。』

『また、春先に需要急減に見舞われた自動車関連では、その後の在庫調整が比較的速やかに進捗したことから、輸出の回復は早く、かつ明確となっている(前掲図表 10)。』

ふーん。

『先行きも、輸出は自動車関連を中心に増加を続ける見込みにあるため、製造業の機械投資は、リーマン・ショック時ほどの落ち込みには至らず、早晩持ち直しに転じていく可能性が高い。実際、機械投資の先行指標である機械受注をみると、製造業は、はん用・生産用・業務用機械や自動車関連からの受注増を背景に、下げ止まりから持ち直しに向かっている(図表 B2-4)。』

アタクシは何とかストじゃないので詳しくは無いのですが、なんかたぶん威勢の良い側面を殊更にクローズアップしているのではなかろうか、とだいたい大本営発表を見るたびに眉に唾つけて読むのが仕様になっているアタクシなので、何か都合の良い話を強調しているんじゃないか、と思う程度にはヒネクレモノです。


『一方で、非製造業のうち、感染症の影響を強く受けている対面型サービス業では、設備投資を巡る環境が急激に悪化している。』

そらそうよ。

『まず、設備の過不足感を表す生産・営業用設備判断DIは、感染症の拡大以降、宿泊・飲食サービスや対個人サービスで、急速に過剰感が強まっている(図表B2-5)。また、建設投資の先行指標である建築着工の工事費予定額をみると、倉庫はEコマースの拡大を背景に増加を続けているが、店舗や宿泊施設は、感染症の拡大以降、先送りや中止の動きが相次ぎ、減少傾向が明確となっている(図表 B2-6)。』

『こうしたもとで、今年度の設備投資計画をみても、対面型サービス業は、インバウンド需要の増加を背景に過去数年大きく増加してきた宿泊・飲食を中心に、大幅な減少が予想されている(図表B2-7)。』

そらそうよ。

『労働集約的である対面型サービス業の設備投資が非製造業全体に占める割合は必ずしも高くないものの、減少幅が大きいことから、非製造業全体の設備投資は、これらの業種の影響を主因に幾分減少する計画となっている。』

他の話が無いのが怪しいが結論がこれなので先に進む。

『以上を踏まえると、設備投資は、当面、対面型サービスなど感染症の直接的な影響を受けるセクターを中心に、全体として減少傾向が続くとみられる。もっとも、リーマン・ショック時と比べて緩和的な金融環境が維持されるもとで24、テレワーク関連や遠隔サービス関連のデジタル投資が堅調に推移していることや、製造業の機械投資と相関の高い輸出が増加していることなどから、大幅な資本ストック調整には至らないと考えられる。』

さっきの所では『足もとは製造業、非製造業ともに設備投資が減少しているが、製造業の設備投資は比較的早期に持ち直す可能性が高い。』と威勢の良い言い方をしていたのに、何故かここに来て『大幅な資本ストック調整には至らないと考えられる。』とか消極的(というか何というか)な物の言い方になっておりまして、つまりこれって今までの説明の中で端折った部分での下げ要因があるんでしょ、ねえねえ何でそっちの説明をしないの??とか言いたくなるのは多分アタクシのヒネクレ体質による仕様なので気にしないで下さい。

『感染症の帰趨についての不確実性が引き続ききわめて高いことを踏まえると、景気全体の下振れ局面が長期化し、それに伴って設備投資を抑制する業種やその度合いが拡大する、といった下振れリスクには、引き続き注意が必要である。』

まあ下振れリスク中尉は良いんですけど、前半のやたら威勢の良いトーンとこのケツの辺りのトーン差is割と謎って感じはしましたわよ。


・雇用の所実は無茶苦茶怪しいのだが大本営モード発動により致命傷にはならないとのお見立て

次は『(BOX3)対面型サービス業における雇用調整 』である。

『本BOXでは、感染症による対面型サービス消費の減少が、同部門における雇用調整を通じて、労働市場にどのような影響を及ぼすと予想されるか、現時点の動向と先行きの考え方を整理する。』

という話になりまして、

『対面型サービス業は、労働集約的な産業であることから、労働市場における比重は高い。近年のインバウンド需要の拡大や高齢化に伴う医療・介護需要の高まりもあって、就業者数全体に占める割合は足もと3割近くに達している(図表B3-1)。』

その上・・・・・・・・

『また、対面型サービス業、とりわけ感染症の影響を強く受けている宿泊・飲食業は、財務基盤が相対的に脆弱な中小・零細企業が多く、非正規雇用比率も他業種対比で高いため、需要の減少が雇用者数の調整に直結しやすい、という特徴を有する(図表 B3-2)。』

つまり・・・・・・・・

『実際に、対面型サービス業における最近の就業者数減少の内訳をみると、パート・アルバイトや派遣・契約社員など非正規雇用の減少が目立つ(図表 B3-3)。こうした非正規雇用者中心の対面型サービス業における雇用調整は、今次局面における経済全体の就業者数減少のかなりの部分を説明している(図表 B3-4)。』

『このことは、リーマン・ショック時において、雇用調整の中心が製造業であり、対面型サービスの就業者はむしろ増加していた点と対照的である。』

となりまして、

『リーマン・ショック時との対比では、今回の経済活動全体の落ち込み幅が当時と概ね変わらないにもかかわらず(前掲図表2)、雇用調整の程度が、現時点で相対的に小幅にとどまっている点も特徴的である(前掲図表 B3-4)。』

ほう。

『これには、雇用調整助成金の拡充や持続化給付金・家賃支援給付金の支給、資金繰り支援など手厚い政策の迅速な実施により、大規模な雇用リストラや倒産発生が回避されていることが大きく影響している。』

ということは、需要が戻らない限り「ただの問題の先送り」に過ぎないということですが、これを美しい言葉で言うと以下のようになるので皆さんも婉曲話法として覚えましょう!

『ただし、こうした労働保蔵は、同時に、対面型サービス業を中心に、潜在的な雇用調整圧力が残存していることも表している。』

まあ要するに先送りなんですよね。転業支援とか職業訓練とかいっても口で言うのは簡単だけど実際には無茶苦茶難しい話なんですけど、先送りに予算ぶっこみ続けるよりもそっち方面に予算ぶっこんで「失業給付貰いながら職業訓練を無料で受講しておまけに修了したら奨励金」とかでもやった方が本来は良いような気がするんですが言うはやすし行うはきよし。

『この点、一人当たり労働時間をみてみると、全産業では感染症拡大前の水準に復しつつあるが、宿泊・飲食や生活関連・娯楽ではなお低水準にとどまっている(図表 B3-5)。』

労働時間の話になります。

『需要減少に直面した企業は、引き続き労働保蔵を行いながらも、労働者一人当たりの労働日数や一日当たりの労働時間については抑制しているとみられる。こうしたもとで、労働需給の動向に敏感なアルバイト・パートの募集時平均時給をみると、事務系には大きな変化は窺われない一方、フード系や販売・サービス系では、感染症の影響が顕在化した春先以降、上昇率の低下が明確となっている(図表 B3-6)。』

『また、外食産業では、感染症による売上低迷の長期化が意識されるもとで、人件費や賃料などの固定費削減を目的とした店舗閉鎖の動きが増加している(図表 B3-7)。こうした店舗閉鎖に加え、廃業を選択する企業が増加していく可能性も踏まえると、感染症の影響を強く受けている飲食・宿泊部門を中心とする対面型サービス業では、今後、雇用調整の動きが想定以上に拡がっていくリスクも認識しておく必要がある。』

『想定以上に拡がっていくリスク』という想定とはどんなものなのか良く分からんですけど、いや普通に雇用マズイだろ・・・・・・・・・

『マクロ経済全体でみた労働需給の先行きを考えるうえでは、こうした対面型サービス業での雇用調整が、他の部門の雇用増加でどの程度吸収されていくか、という点も重要である。』

雇用増加で吸収できるってどこにそんな部門があるんだよ、と思うとこのような話になる。

『この点、短観で雇用の過不足感を業種別にみると、宿泊・飲食業では、雇用の過剰感が大きく強まっている一方、小売業や建設業など他の非製造業部門では、不足感は後退しているものの、なお「不足」超の状態が続いている(図表 B3-8)。』

お、おぅ・・・・・・・・・・・

『感染症の影響を受けつつも、人口減少下での中長期的な人手不足トレンドなどを考慮し、感染症の影響収束後も見据えた雇用確保の動きは続く可能性が高い。』

マジか???

『また、産業別の転職状況をみると、宿泊・飲食業の就業者は、流動性が相対的に高い非正規雇用が多いことや留保賃金(労働者が就労時に目安とする最低賃金水準)が低い傾向にあることなどから、過去においては他産業へ比較的スムーズに転職する傾向が観察されていた(図表 B3-9)。』

ということで何かかなり強引な論法のような気がするが結論は、

『これらの点を考慮すると、今次局面においては、当面の政策の下支え効果もあって、飲食・宿泊業等での雇用減少が他産業の雇用増加によってある程度吸収されていき、経済全体でみた労働需給についても、暫くは悪化した局面が続くものの、その後は感染症の影響が和らぐもとで改善に転じる、と予想される。』

大本営陸海軍部発表キタコレ!!!

『もっとも、感染症に伴う目先の不透明感の高さは対面型サービス以外の産業も同様であること、』

って当たり前じゃ!!と思うのだがメインシナリオに入れないのが大本営クオリティ。

『また、デジタル・トランスフォーメーションの進展などにより、企業が必要とする労働者のスキルが従来から大きく変容する可能性があること、などを考慮すると、幅広い企業で雇用スタンスが慎重化するリスクや、労働者の部門間移動が想定ほどは円滑に進まないリスクにも留意は必要である。』

節子、それリスクちゃう、メインシナリオや・・・・・と考えると、やっぱりこの労働者の部門間移動を容易にするためにはそれこそ給付金付職業訓練みたいな方面を強化した方がエエンチャウノ、とか思うのでござんした。


・ビックデータ分析大会のコーナーである

BOX4は『(BOX4)対面型サービス消費の動向 』ですが例のビックデータ分析コーナーです。こちらは説明がクッソ長くなっていて、ビックデータ分析が新たな鳴り物入りツールなだけに、宣伝も兼ねて、かどうかは知らんけど、やたら熱量を感じますものの、大本営発表的なアレではないので、ひたすら引用だけしておきます。

『本BOXでは、感染症下での対面型サービス消費の動向について、高頻度データも活用しながら足もとまでの動きを確認するとともに、先行きの考え方を整理する。』

つーことでここからが長い。

『感染症の影響を最も強く受けている外食や旅行、娯楽など対面型サービスの消費は、4〜5月の最悪期は脱したとみられるものの、持ち直しのペースは鈍く、足もとでも依然として低水準にとどまっている。』

だそうです。

『実際、高い頻度で入手することが可能なクレジットカードの決済情報から作成された消費指標をみると、』

高頻度データキタコレ。

『サービス消費は、財消費と比べて、4〜5月の落ち込みが大きいだけでなく、その後の持ち直しの遅れも鮮明となっている(図表B4-1)。また、選択的サービス支出と相関の高い移動データで人出の動きをみても(図表 B4-2)、緊急事態宣言の解除以降、傾向としては徐々に持ち直しているが、夏頃には新規感染者数の再拡大を受けて足踏みするなど、感染者数の動向に左右されやすい状態が続いている。』

じゃあここから怪しいじゃん。

『対面型サービス業の内訳をみると(図表 B4-3)、飲食店・飲食サービス業は、店内飲食を基本とするファミリーレストランや居酒屋を中心に、持ち直しが緩慢となっている。東京都内の繁華街の夜間人口や飲食店への来店人数も、低い水準で推移している(図表 B4-4)。』

そらあれだけ目の敵にされたらねえ。まあ百合子ちゃんを恨んで下さい。

『ただし、足もとにかけては、新規感染者数が抑制された水準となるもとで、Go Toイート事業の効果などからペントアップ需要が顕在化したこともあって、明るい動きもみられ始めている25。』

あらすいませんこちらにもペントアップがありましたわ。上の部分追記で直します。

『宿泊は、Go Toトラベル事業による下支えはあるが、学校の夏休みの短期化に加え、帰省の自粛ムードの拡がりなども下押しとなり、夏場には持ち直しはいったん足踏みした。感染者数の増加が抑制された水準にとどまった9月入り後は、空港における人出の前年比減少幅は縮小しており、国内旅行については、再び徐々に持ち直している可能性が高い(図表 B4-5)。』

『娯楽は、社会的距離の確保がイベント規模や利用人数などの点で制約となり、劇場・興行団や遊園地・テーマパークなどを中心に、感染症拡大前と比べて低い水準にとどまっている。』

『この間、医療は、4〜5月をボトムに持ち直してきているが、感染症への警戒感の強い高齢者や子育て世帯を中心に、ある程度先送りが可能な治療等について通院を手控える動きは根強く、感染症拡大前の水準を下回った状態が続いている。』

ほうほう。

『こうした対面型サービス消費の持ち直しの鈍さの背景には、個人消費の 40%近くを占める高齢世帯(65 歳以上)の慎重さが大きく影響していると考えられる。』

ほっほー。

『重症化リスクが相対的に高いとされる高齢者は、新規感染者数が増加すると、移動や対人接触を伴う支出活動を抑制する傾向が他の年齢層に比べて強く、このことが夏場にかけての対面型サービス消費の足踏みにも大きく影響した可能性がある。』

『実際、家計調査を用いて世帯主の年齢別の消費動向をみると、サンプル要因に伴う変動の大きさなどに注意する必要はあるが、外食や旅行などのサービス消費について、高齢層は他の年齢層対比で落ち込みが大きかったうえに、その後の持ち直しペースもより緩慢なものとなっている(図表 B4-6)。先行きも、感染症の影響が続くもとで、こうした高齢者の慎重姿勢は個人消費の持ち直しペースを抑制する要因として働くと考えられる。』

ワイは高齢者だったのか(違)。

『その一方で、感染症に対する消費者の警戒感と外出・対人接触を伴う消費活動との関係は、時間の経過とともに、徐々にではあるが変化してきている可能性もある。』

『都道府県別に、人口当たりの新規感染者数と人出の関係をみると、より最近の期間では感染者数の増加に対する人出の減少度合いが幾分緩やかになってきているようにも窺われる(図表 B4-7)26。』

単に報道がそれ一辺倒じゃなくなったからだけのような希ガス。

『この点を、6〜9月の都道府県別の日次パネルデータを用いた計量的な手法(パネル・ローカル・プロジェクション)でより精緻に検証してみると、』

楽しそうだなオイ。

『感染者数の増加が人出を減少させる度合いは、より最近のサンプル期間の方が統計的に有意に小さくなっている(図表 B4-8)。この間、都市部を中心に感染症に対する医療機関の対応が進み、重症者の増加が抑制されていることもあって、消費者の行動は、感染症への警戒や予防策などの対応と外出・対人接触を伴う消費を両立させる方向に、時間をかけながら変化してきている可能性がある。』

ほっほーそうですかそうですか(棒読み)。

『以上をまとめると、対面型サービス消費は、新規感染者数の増減など感染症の動向に左右されやすい状況が続いており、先行きも、高齢者等を中心とした慎重な支出行動が続くなか、持ち直しのペースは緩慢なものにとどまる可能性が高い。もっとも、足もとでは感染症下での消費者行動にも変化が窺われるもとで、当面はGo Toキャンペーン(トラベル、イート、イベント等)などの需要刺激策の効果もあって、対面型サービス消費についても、その持ち直し傾向は続くと予想される。』

だそうです。まあ殆ど分析の紹介コーナーでしたな。

なおBOX5は『(BOX5)日本銀行の新型コロナ対応と金融環境 』というお題なので読む意味は無いと判断して割愛します(読んだけど)。



2020/11/02

お題「オペ紙関連/総裁会見含めてMPMレビュー続きです」

ほうほう公約通りに引退ですかと思ったら任期までやるのかよ・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201101/k10012691591000.html
維新代表 松井大阪市長 任期全うした上で政界引退へ
2020年11月2日 0時56分

ま、任期までやるとかいうのが微妙な感じはするけど、イソジンは辞めないみたいですし、大体からして橋下徹ちゃんがやたらとメディアに出まくっている時点で何だかねえとは思うのですけどね。

なお、ちょっと前のニュースですが、実はこの大阪市廃止特別区制定構想ですが、このようなキングボンビーに取りつかれたのが躓きの始まりだったという指摘が多数から出ているようですなwww

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201008/k10012654761000.html
国民 前原元外相らによる勉強会 「大阪都構想」に賛成の決議
2020年10月8日 21時20分

だいたいからして政府と日銀の共同文書に関しても最初は前原大先生によって始まった訳で、安倍ちゃんが手を加えた後の物件とはいえ、元がキングボンビーの遺物なので、そらボンビーが乗っかったままでは上手く進めませんわ日銀ちゃん。


〇オペ紙関連

・輪番オペ紙をここでいじってくるとな

今回はMPMとぶつかってオペ紙が月末になったのですが、MPMにぶつけた時もあるし、なんかこの基準が良くワカランチ会長。ただの都合だと思いますが。

リリースものがやたら多くてついてる符号が「i」になってるの始めてみた気がする。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201030i.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2020年11月)

10月分はこちら。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200929c.pdf

0−1年:1000-2000、月2回(500-1500、月3回から変更)
1−3年:3500-6500、月5回(2500-6000、月6回から変更)
3−5年:2500-6000、月5回(2000-5000、月6回から変更)
5−10年:2500-6000、月5回(変更なし)
10−25年:500-2000、月2回(変更なし)
25−40年:0-500、月2回(変更なし)
物価連動国債:300、月2回(変更なし)
変動利付国債:500、隔月1回(変更なし)

ということで中央値を取ると、1年以下1500、中期前半5000、中期後半4250って所になりますので、1年以下は月間変わらず、中期前半は4200×6=25200で5000だと200だけ減るけどまあキニシナイ(5100にするんけ??)、中期後半は3500×6=21000で4200×5だと21000で同額、4300だと月間500億円増額となりますの。

しかしまあ何ですな、輪番の回数を減らすと1発当たりの買入額のロットちゃんが大きくなってしまうので、増額するときに1回辺りの市場インパクトが高まってしまうから増額しにくくなる、というのがありますので、このタイミングで回数が減ったのは今後そんなにホイホイと増額する訳じゃないですよって事なのですかねえ良く分かりません。

まあそもそもコロナのせいで減額路線もぶっ飛ばされてしまいましたし、財政の方は物凄い勢いでばらまく(しかしGoTo何とかって何でああ「殆どタダ」とかになるまでの勢いで撒くのやら、広く全員に給付ではいかんのか?と思うのですが特定業種や特定の人に集中した方が以下自主規制という事でこれを利権といわずしてゲフンゲフン)の巻になっております関係上、ここの出し入れに関しては極端なことでもぶっこまれない限りにおいてはあんまり注目する意味もない(マーケットメーカーは別ですけど)のよねーとは思っていますが、とりあえずここから来年度の発行計画(特に今回短国1年で盛大に問題の先送りをした今年度補正予算の借り換え分どうするんだよという疑問は拭えない)あるのに中期は増やさん宣言とな、とは思いました。単純に減額だったら発行計画出た後に再度拡大する糊代というのは有るのですけどこれは如何にという感じで(あくまでも個人の感想です)。

#なお、別に回数減らしたから増額できない訳ではないので念のため申し添えます


・社債買入ペースは変化なし、CP買入ペースは12月は年末要因で増加

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201030g.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2020年11月〜12月)

既往公表済みの11月分には変更なし。12月分ですが社債は各トランシェ1回、金額はそれぞれ3000と2000で変化なし。CPは11月が6000×2ですが12月は6000×3となっていますけど、これは期末年末の場合発行増えることを勘案して3回って所ですかね。


・ドルオペも変更なし

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201030h.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2020年11月〜2021年1月)

1w、3m共に原則火曜日実施の週1というのに変更はなく、1月も継続して実施予定となっておりまする。まあこの6中銀分のドルスワップは常設措置であるという認識ではありますが、一応スワップのFEDとのアグリーメント自体は年次改定(1月のFOMCでその点が議決されて契約の継続が承認されています)なのですが、まあこの調子で来年分も普通に出していくんですかね。欧州が絶賛大コロナだから当面は無問題としましても、こちらですが1wは無限延長にしましても3mの扱いはどこかで見直しが入る可能性はある筈なんですがさてどうなるのやら。


〇展望レポート全文ちゃんですがメモだけ(BOXの物価ネタェ・・・・・・・)

展望レポート全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2010b.pdf

何かこう読み物が集中する(金融政策イベントが3中銀で集中するのが仕様だから)のであんまり読めていないのですが、とりあえず全文読むときには最後にあるBOXを見るのと、本文の図表やグラフの構成に変化があるかどうかを見るのが吉です。という訳でBOXを見ますと・・・・・・・

(BOX1)海外経済の持ち直しの状況
(BOX2)感染症が設備投資に及ぼす影響
(BOX3)対面型サービス業における雇用調整
(BOX4)対面型サービス消費の動向
(BOX5)日本銀行の新型コロナ対応と金融環境

となっています。設備投資の所は短観の設備投資計画があばばばばーだった割には何かそこまで弱気化していなくてうーんこのという感じでしたのでその辺から見ていくのがヨロシアルのかとか思いますがそれは兎も角としまして、ここで7月展望レポートのBOXの構成をみてみましょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2007b.pdf
(BOX1)感染症流行下の海外経済の動向
(BOX2)感染症の影響を受けた企業行動
(BOX3)感染症が個人消費に与える影響
(BOX4)感染症が物価変動に与える影響
(BOX5)感染症の影響下でのわが国の金融環境

感染症スペシャルになっているのは感染症後のデータが出そろってきた(ただし第1波分)ところでございますので当然ですが、今回はしらっと「物価変動に与える影響」のボックスが無くなっておりますなあという感じです。

ちなみに4月はこうなっていました。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2004b.pdf
(BOX1)新型コロナウイルス感染症拡大以降の海外経済の動向
(BOX2)新型コロナウイルス感染症拡大以降のわが国経済の動向
(BOX3)新型コロナウイルス感染症拡大以降の内外の金融環境

まあ4月はシャーナイ。ではコロナちゃん前の1月とかいう何もかも皆懐かしい時のを見ると、

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2001b.pdf
(BOX1)ポリシーミックスの効果
(BOX2)財別にみた輸出動向と見通し
(BOX3)最近の設備投資の底堅さの背景
(BOX4)消費税率引き上げ以降の家計支出の動向

となっていまして、基本的にどこかに政策および政策に直結する話があったりしたのですよ。いやまあ今回も一応『(BOX5)日本銀行の新型コロナ対応と金融環境』ってのはあるんですけど、こちらの説明は別に物価が上がる話は1ミリも無いわけでございまして、何ちゅうかこの政策が完全に開き直って物価安定目標の達成のためにベースの政策やっているんじゃなかったでしたっけ、というのを華麗にスルーしているのが味わいがありますな。今後どうやって落とし前をつけるんでございましょうかねえ。まあ櫻井さんの先般の福井金懇における構造変化云々が落とし前をつける方法としてはアリエールなのではございますが、とは言っても結局の所これは麿が正しかったという話に直結するので、何気に誇りの高そうな黒ちゃんはよーせんじゃろうな、とは思います。


〇黒田総裁記者会見

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201030a.pdf


・新コロオペ延長の件について

最初の総裁の説明(が妙に長かったけど)の後の質問が海外の話と新コロオペの話、前半は割愛します。

『(問) (前半割愛) 次に、企業の資金繰り支援策についてです。来年の 3 月に「特別プログラム」が期限を迎えると思いますが、総裁はかねて、必要なら延長するという方針を示されていたかと思います。今回、その必要性がまだないということで延長を決めなかったということかとは思いますが、現時点でどの程度、この必要性が高まっているのか否かというところのご認識と、判断材料とかタイミング、今後延長する場合、どの辺りをみていくのかというところについても教えてください。』

でもって黒ちゃんの回答。

『(答)(前半割愛)次に、企業の資金繰り支援策についてですが、現在行っている、新型コロナ対応特別オペとCP・社債等の増額買入れからなる日本銀行のいわゆる「特別プログラム」は、政府の施策あるいは金融機関の取組みなどと相俟って、効果を発揮していると考えています。先ほど申し上げたように、企業等の資金繰りにはまだ厳しさがみられていますが、外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されています。こうしたもとで、銀行貸出残高の前年比伸び率は約 30 年振りとなる 6%台で推移していますし、社債あるいはCPの発行残高も前年比10%を超える二桁の高い伸びが続いています。』

でもって・・・・・・

『この「特別プログラム」は、2021年 3 月末までの時限的な措置としていますが、今後の感染症の影響等を踏まえて、必要と判断すれば、期限を延長するとの考えに変わりはありません。具体的な判断のタイミングについては、今後の情勢を踏まえて適切に考えてまいりたいと思いますが、必要と判断すれば期限を延長するつもりです。』

なのですが、ここで新コロオペだけ延長して社債CP買入の臨時枠は縮小するとか元に戻すとか、そういう選択肢はないものかと思ってしまうのですが、『新型コロナ対応特別オペとCP・社債等の増額買入れからなる日本銀行のいわゆる「特別プログラム」』って言っちゃっているのが何とも。いや真面目な話、金融市場は落ち着いているから大企業向けの社債CP買入臨時枠は縮小します、とかそういう整理しないのかね、

ちなみに後の方でも何故か質問が飛んでいて、いや別に正直ここそんなに質問する話じゃねえと思うんですが・・・・・・・・・・

『(問) 「特別プログラム」についてですが、先ほども質問がありましたが、3 月末までということで、必要であれば期限を延長する考えに変わりはないとのことでした。相手先もあることなので、急に何か発表するというものでもないかと思うのですが、先ほどの総裁の話を聞いていると、貸出も増えているし、資金繰りについても緩和的な状況が維持されているというご発言がありましたが、内部ではいつどうするかという議論は始まっているのでしょうか。』

うーんこの間の抜けた質問。

『(答) 先ほど申し上げたように、これまでのところ、金融機関側の努力もありますし、また政府の様々な施策もありますが、日本銀行の「特別プログラム」のもとで、銀行の貸出は順調に伸びています。様々なヒアリング等からも、企業の多くは年末越えの資金繰りは十分ついているとのことです。年度末越えの資金繰りがどうかということは、来年になって議論になるのかもしれませんが、今慌てて何かしなくてはならないということはないと思います。』

じゃあ延長要らんじゃんwwwというかそもそもこれがあったから与信判断が変わるもんでもないと思うんですけどねえ(と勝手に言っているが融資やってるわけじゃないから知らんので誰か教えて)。

『ご指摘のように、来年 3 月末までの時限措置を間際になって云々するということは良くないと思いますので、当然のことながら、状況をみながら必要な時期に延長するということであれば決定していきたいと考えています。今の時点で具体的にいつからどうするということを内部で議論しているということではありませんが、常に様々な企業の資金繰りに関係するデータをよくみています。そして企業の状況、単に資金繰りだけではなくて、企業の収益も含めて、よくみていきたいと思っています。』

まあそらそうだ。


・よっしゃ質問した記者がいたな!!

『(問) 民間企業の動きになるのですが、第一生命保険が、今日、企業年金の予定利率を 1%引き下げると発表しました。今年春には、大手銀行が軒並み定期性の預貯金の金利を引き下げるという動きもありました。いずれも、今の超低金利の動きを反映したものだと思います。このように、金利動向が我々の生活に影響を与えることが多くなっているのですが、今のコロナ禍の政策対応云々ではなく、この緩和政策が長期化している功罪について、改めて総裁の見解をお願いします。』

ニヤニヤ(・∀・)

『(答) この点はいつも申し上げている通りでありまして、金利を含めた金融緩和は、預金金利だけをみれば家計の金利収入を減らすことになるわけですが、金融政策全体として経済活動を支え、雇用を支え、そうでなければ大きく下落するはずの雇用者所得をそうでなくするといった意味も含めて、全体としては家計にとってもプラスの影響を及ぼしていると考えています。』

質問しているのは「超低金利」なのに「金融緩和」として回答を誤魔化すのが仕様なので、もう正面切って「マイナス金利政策導入してから4年もたっているのに、コロナとか関係なくその前の時点でも物価目標がまるで達成できていないのに、このような事案のような弊害が起きている点について、政策のコストとベネフィットという観点から点検をしていないのでしょうか、点検をしているならその点検内容をもっと詳しく示していただけませんでしょうか」とかぶっこみに行くしかないのかも知れませんね!!!!

『それから金利については、日本に限らずどこの国でも名目金利は非常に下がっています。』

クソワロタwwwwwwww隣のパウエルニキのおうちがプレステ買ったからウチもプレステ買って然るべきってか。

『日本の場合は特に物価上昇率が非常に低いために、実質金利でみると名目金利ほどの諸外国との格差があるわけではありません。従って、金融政策全体として、家計や企業にプラスの影響を及ぼしていると考えています。』

従っての前と後が論理的に繋がりません。

・・・・・・ということでですね、そもそも問題なのはマイナス金利なんですからマイナス金利の功罪について質問した方が良いのよ。でもって本当は家計に効果があるという回答に対して「でも資金循環を考えたらマイナス金利政策は負債の大きい人への所得移転になりますから、民間がネットで資産超過で政府がネットで負債超過だと民間から政府への所得移転に繋がりませんかマイナス金利の部分が」とか次の人が追い打ちを掛ける展開を希望しますので日銀記者クラブ頑張れ。


・ETFの買入に出口なし

ETFに関する質問が珍しく連発で来ていたw

『(問) ETFの購入についてお尋ねしたいのですが、日銀の残高が積み上がってきて、市場機能の歪みであったり、日銀自身の財務リスクみたいな指摘も出ておりますけれども、現在 12 兆円というのは当面の措置ということにしていますが、ETFの施策に関する出口というか、当面の措置をどうするかということも含めて、現段階で総裁のお考えをお聞かせ願えればと思います。』

そもそも当面だってどうするんでしょうねえ。

『(答) 従来から申し上げている通り、ETFの買入れは、株式市場のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きなどが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止し、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくことを目的としているわけです。』

どこにリスクプレミアムがあるのか、ちょっと一休さんそのリスクプレミアムを屏風の中から出してくれませんかね。

『ご案内の通り、新型コロナウイルス感染症の影響により、2 月下旬以降、市場は大きく不安定化しましたが、日本銀行によるETFの買入れは、市場の不安定な動きを緩和する効果があったと考えています。もちろん、この間も、ETFの買入れを適切に実施していくために様々な工夫を行ってきています。』

何の工夫じゃ?と思ったら・・・・・・・

『例えば、個別銘柄の株価に偏った影響ができるだけ生じないように、幅広い銘柄から構成されるTOPIXに連動するETF買入れのウエイトを高めてきました。また、コーポレートガバナンスの面でも、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社により、適切に議決権が行使される扱いとなっています。』

節子、それコロナ対策ちゃうwwwwww

『また、ETF買入れの持続性を高める観点から、12 兆円を上限として、その範囲内で市場の状況に応じて弾力的な買入れを実施してきています。こうしたもとで、ETF買入れはこれまで大きな役割を果たしてきており、引き続き必要な施策であると考えています。』

なんかもう答えになっていないし出口の話が全くない。よって追い打ちが来る。

『(問) ETFの買入れというのは、白川前総裁時代から始められてもう丸 10年になりますけれども、ETFの買入れというのが全く終わる気配がないというか、先ほどの質問にも絡むのですけれども、どういう条件になれば出口を示していくのか、また、出口といった場合、保有額をどのようにして減らしていくのか、その辺り、総裁のお考えがございましたら是非お聞かせください。』

イイシツモンダナー

『(答) 金融市場の動向に注意して、不安定な動きなどがあった場合にそれを防止するという意味で、特に 2 月下旬以降、市場が不安定化する中で、その動きを緩和する効果があったと考えています。』

その前の話を聞いているんだがここでコロナ以降の話をするとか、まあ真面目に答える気が無いのは分かった。

『従って、当面これを続けるということですが、経済およびマーケットが安定してくれば、当然出口についても議論することになると思います。』

それ臨時措置の出口や。

『この措置は、いわゆる「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という全体のフレームワークの一環であり、やはり経済動向、特に物価動向を踏まえて、そうしたことも将来検討していくことになろうと思います。今のところ、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」全体のフレームワークの中で、引き続き必要な要素、施策であると考えています。』

ということなので本編の方はオワランチ会長ですかそうですか増やすだけ増やして後の事は知らんとか無責任にも程がある。


・2%目標の件ツッコミキタコレ

『(問) 2%インフレ目標について、これが今、日銀にとってどういう性格のものなのかを確認させて頂きたいと思います。』

こwwwれwwwわwww

『そもそも、総裁就任当初、2%インフレ目標というのは 2 年で実現すると、あらゆる手を使って実現するとおっしゃっていたわけですけれども、結果としては安倍政権の間には実現できませんでした。』

いいぞもっとやれwww

『そして、今日の展望レポートでも明らかなように、コロナショックがあるとはいえ、結局 10 年かけてもできないという見通しです。』

よすよすw

『そうすると、今現在、この 2%インフレ目標というのはどういう性格のものなのか。当初の通り、たまたま 2 年を目標にしていたけれども、経済的事情があって後ずれしているだけで、今もってあらゆる手を使って早期に実現しなければいけないものなのか、それとも中長期的な目標として、無理をせずそのときの経済情勢に合わせて緩やかに達成を目指すという目標になっているのか。』

うんうん。

『それについて、今現在この 2%インフレ目標が日銀にとってどういう性格なのかを確認させてください。それと、もし、内容、性格が変わっているとすれば、いつから変わったのかということを確認させて頂けますか。』

これは「変わっていない」と答えさせて日銀の逃げ場を無くす良い質問。

『(答) 2013 年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入した際は、同年 1 月に「共同声明」という形で政府と日本銀行がいわば役割分担という形で、日本銀行は2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現すべく金融緩和を行うということで、それに応じて 2013 年 4 月に 2 年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現しようと大規模な「量的・質的金融緩和」を導入しました。』

はい。

『ただその後、様々な事情から、原油価格の動きやその他もありますが、2 年程度で実現するのは難しくなったことは認めています。』

副総裁は辞任しなかったけどね!!!!!!

『しかしその後も、常に 2013 年 1 月の「共同声明」に沿って、これは日本銀行としてももう 1 月に金融政策決定会合で決めたことですが、できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を実現するという目標は依然として維持しており、それ自体は変える必要はないと思っていますし、適切なものであると考えています。』

逃げ道をふさがれるとこう答えるしかない。

『これは、諸外国の中央銀行も同様で、2%の物価安定目標を先進国の中央銀行の殆どが掲げていますけれども、この 10 年くらいの間、FRBは一瞬 2%に達しましたが、どこもなかなか 2%に達していないわけです。』

ちょwwwwおまwwwww遂に開き直ったかwwwwww置物大師匠は「2年程度がグローバルスタンダード」って言ってましたよね。

『それにもかかわらず、やはり 2%の物価安定目標の達成を金融政策の目標に掲げています。これは、従来から申し上げている通り、消費者物価指数は様々な事情から過大表示する傾向がありますのでその分を十分考慮していく必要があるということと、金融政策の余地を残しておく必要があるという意味から、2%の物価安定目標というものを先進国の中央銀行は皆掲げて金融政策を行っており、わが国の中央銀行も同様な考え方であるということです。』

金融政策の糊代が常に無い上に、実施した政策を全部ダラダラと継続するもんだから、どんどん次の問題が起きたときに対処策を無くしている日銀ちゃんが「わが国の中央銀行も同様な考え方である」とか頼むから笑い死にさせんでくれ・・・・・・・

という訳でまあこんな所で勘弁。