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2021/10/29

お題「MPMレビュー:無風の割には論点はある感じですな」

ほうほうそうですかそうですか。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2RO04L
2021年10月28日9:56 午前
豪2024年4月償還債の利回りが0.29%に上昇、中銀が買い入れせず

昨日の円債先物もこの時間安値付けておったなwww

#なお本日はBOJとECBなのですが流石にBOJ優先という事でECBは勘弁


〇無風会合ではありましたが・・・・・・・・・

展望レポート会合だというのに堂々の12時前に結果が出るの巻でしたが、まあそうだろうなあと思いながら結果を見る。

・声明文はただの現状維持なのでおまけに悪態入れますた

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k211028a.pdf
当面の金融政策運営について

政策自体は現状維持なのでまあどうでもよいのですが引用だけはしておく。

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

@ETFおよびJ−REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

ACP等、社債等については、2022 年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。』

結果としてはこれ、長期国債以外に関しては書いてある数字通りに買わないし、長期国債買入だってまあYCCの方針があってその結果として必要な買入をする、というのですから別に買入を増やしても減らしても良い、という物件ではあるのですが、ダマテンでテーパリングをしているというのも何だかねえとは思いますけどね。いやまあ減らすのはドンドン減らせというかリスク性資産とか金輪際買うなよ馬鹿とか思ってはおりますが、「コロナ対応で大々的に買入拡大」と銘打っているのにダマテンで買入の方は減らしている、というような裏口入学みたいな姑息な事をするのって、政策運営の在り方として如何なものかとは思うんですよね。

まあそれはそれとして、ガイダンス文言とオーバーシュートコミットメントも当たり前だが変更なし。

『2.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』

コロナオペ80兆円、これがどこかの時点で段階的に落ちる筈なんですが、まさかとは思いますが、「新しい資本主義オペ」とか「格差拡大是正オペ」とか「ポストコロナのデジタル化推進オペ」とか「キシダノミクスオペ」とか言い出して継続するんじゃなかろうか、と思ってしまいますな。

というかですね、80兆円のオペが落ちるのに「拡大方針を継続する」ってナンジャソラだし、いやまあその「マネタリーベースを拡大する方針というスタンス」が期待インフレを引き上げるのに重要だ、という屁理屈を組んでいるのは分かるんですが、いくら一時的とはいえ80兆円ってQQEぶっこんだ時の年間当座預金残高拡大目標のレベル分が段階的にとは言え半年くらいのスパンで落ちる(後継にオモシロオペをやらない限り)って中でも「拡大方針を継続するというスタンスは維持されているから期待インフレ率の引き上げに寄与する」って言い出しますと、それって拡大方針を維持する対象がマネタリーベースである必要が全然無くて、単に金融緩和継続のコミットメントでエエンチャウノとしか申し上げようがないですな。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1502a.pdf
岩田副総裁記者会見要旨
―― 2015年2月4日(水)
午後2時から約35分
於 仙台市

こちらの4ページにある質疑などが懐かしいですね。

『(問) 副総裁は就任前の 2013 年 3 月 4 日の講演で、「日銀当座預金が10%増えると予想インフレ率が 0.44%上昇する」ということをおっしゃったという報道がありますが、これが事実かどうかをお伺いします。(以下延々とツッコミ質問があるが割愛)』

『(答) 最初のご質問について、何月何日に何を申し上げたか、何%であったのか、具体的な日時、数字までは記憶になく、調べてみないと分かりません。はっきりお答えはできませんが、日銀当座預金あるいはマネタリーベースと、BEIで測った予想インフレ率とはある程度強い相関関係があります。(以下延々と見苦しい言い訳があるが割愛)』(この部分だけ直上URL先、2015年2月4日宮城金懇における岩田副総裁(当時)会見より)

いやお前さん重要な数字の事忘れたはねえだろと思いますが、このようにマネタリーベースが重要だのマッカラムルールがどうしただの、などという話をベースにぶっこんだ政策。いや勿論撤回していただくのは大変結構で、どんどんトンチキオペやトンチキ買入などは縮減して頂くのは結構なのですが、過去にぶっこんだ理論などの総括をしないで誤魔化したままで撤収する、というのは何が一番悪いかって、それ即ちPDCAサイクルが回っていないのですから、後世において誤った政策が繰り返されるリスクを高めることにつながるでしょ、という話な訳ですよ。まあそういう総括をしないんですからそらまあ失敗の元凶の一派が出した本を読んで「日本の金融政策を論じるために必読の文献として古典の地位を得るだろう。」みたいに騙されるドシロートが続出してしまう訳で、インチキ屁理屈で正当化するんじゃなくてちゃんとした総括を特にこのMBに関する所ではやっていただかないとアカンじゃろ、としか思えませんけどねえ。ああ何でしたら別の意味の方の総括(以下自粛)。

『引き続き、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、Bそれぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJ−REITの買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。』

こっちも同じなのですが、今回の展望レポート、企業の資金繰りに関する記述が上方修正されてるんですよね。これがコロナオペの3月末以降にどういうインプリケーションがあるのかはよーわからんが、撤収するときの理屈は入れだしている、ってのは把握しました。

『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。』

この決意表明みたいな文言も、当初は2%物価目標に向けたやる気を出すみたいな言い方だったのですが、いまはコロナの話で当面、みたいなのにしてて、まあどさくさに紛れてコロナオペ終了と共に削除しようと思えば出来るんだよなーと思うと、なんの総括もしないでコソコソと逃げ出すことはできるんだよなーとかまあ改めて思ったりもするのでありました。


・片岡さんの反対理由が面白くない、やり直し

しかしまあ何ですな、

『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、安達委員、中村委員、野口委員、中川委員。反対:片岡委員。片岡委員は、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』

『(注2)片岡委員は、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。』

片岡さんの反対も相変わらず同じだし、まあ注2の方は物価目標紐付けろだからまだ理屈はわかるんだが、毎度言ってる「コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から」の方は、それによって何で物価目標2%の達成になるのかって話が迂遠すぎて理由になってねえだろと思う訳で、追加緩和をすることによってインフレ期待の引き上げを図る、とじゃないってのも反対するにしたって不徹底なんだよなー、もうちょっとこう2%物価目標達成に向けて直接的かつロジカルな反対して欲しいんですよね(個人の感想です)。


〇そういえば今回の記者会見は久々に面白かったような気がする

えーっと詳しくは本日会見要旨が出るので週明け(できれば土日に更新とか考えてはいるものの出来るかどうかかなり怪しい)のネタになると思うのですが、今回のMPMの何が良かったって、無風オブ無風会合で、最近そのネタで何会合話を引っ張ったんだ、という気候変動何とかネタという一般メディアが食いつくネタがなかったもんで、総裁記者会見の前半40分くらい(実はそこまでしかチェックしてないんですが、汗)、一部一般紙(テレビ)の質問も入りましたが、マーケット系のメディアの質問が連発しましたので、途中から黒ちゃんかなりあばばばばー状態になっていて(個人の感想です)、完全にもう答えに窮して質問と全然違う答えを連発してましたし、某社が地域金融機関向けの特別付利と短期市場金利の関係からの短期政策金利の在り方について質問したら、これは事務方がノーマークで想定問答作りそこなったんじゃないか、位の無茶苦茶な答えをしていましたし、前半の質疑は(ちなみにどこまでか言うと某NK新聞の1番バッターの質問まで)ほぼほぼ優秀な質問(応答の方はタジタジの泡吹き状態)になっておりました。その後は知らんけど。

まあそんな次第でございましたので、何だ日銀記者クラブの皆さんやれば出来る子じゃん素晴らしいわ!!というか黒ちゃんの回答が泡吹きあばばばばー状態で、これ会見要旨纏める日銀の事務方大変だわーと同情の念に堪えないところではありますので、まあ何かオンデマンドで会見の録画見れる機会がありましたら、今回の会見は(別にインプリケーションがあるのかというとあんまりないけど見世物としては)近来にないレベルで楽しめましたので、今後とも総裁会見はこの調子でゴリゴリとツッコんで行っていただけると見る(聴く)方も楽しめますので、是非よろしくお願いいたします(平伏)。

詳しくは会見要旨出てからね。


〇展望レポート基本的見解(今朝は鏡だけで勘弁):細々と色々なものをいじっておりまして結局事実上の上方修正ではないかと

展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2110a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2107a.pdf(前回)

やたらめったら今回は細かくあちこちいじっているので、朝だけでは間に合わん(なら昨晩やって桶というツッコミがあると思うのですが、なにせほら月末の木曜日とかおっちゃん電池切れ寸前モードだしECBもあったし、と見苦しい言い訳)ので週末更新するか書き溜めするかして月曜日には展望レポート基本的見解をチマチマと確認した物件は一挙公開できるようにしますわさすがに。

とりあえず<概要>ですけど、ここから既にあちこちに手直しが入っておる。

・経済見通しでは前向き循環メカニズムの書き方が丁寧になったのと潜在成長率の記述が復活

まずは1ポツ目。

『・日本経済の先行きを展望すると、当面は、新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下押しの影響が残るほか、輸出・生産が供給制約により一時的に減速すると見込まれる。』(今回)

『・日本経済の先行きを展望すると、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、ワクチン接種の進捗などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。』(前回7月)

今回の展望レポートの経済見通しですが、前回までが「コロナ感染症モードの時の話」「それ以降」という分け方だったのですが、今回は「コロナ感染症モード」「それ以降」に加えて「さらにその後」ということで、アフターコロナだか何だかわからんですが、3段階に増えておりますな。でもって「コロナ感染症モード」の記述部分が上記引用部分に相当する筈なんですが、足元はコロナモードに関しては「サービス消費への下押しの影響が残る」という表現になっていまして、前回の表現から比べると随分と見方は引きあがっています。そらまあコロナど真ん中の7月展望からみたら物凄い勢いで改善(フォルスドーンでないことを祈りたい)しておるわけですが、「一応まだコロナモードではあるものの影響は一部に残っておる程度のもんでっせウェーッハッハッハ」という感じで鼻息が荒い訳です。

とは言いましても、返す刀で供給制約要因の話になっていて、輸出と生産に供給制約要因が来ているというのを加えてきました。まあ事実そうなんだから仕方ない。

『もっとも、その後は、ワクチンの普及などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。』(今回)

『その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される。』(前回7月)

なお、コロナ感染症モード終了後の前向き循環メカニズムは3段階目の方にあるので気にしなくてよろしいかと思います。

『見通し期間の中盤以降は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが家計部門を含め経済全体で強まるなかで、わが国経済は、ペースを鈍化させつつも潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』(今回)

この部分、今回の特徴その1ですが、前向き循環メカニズムに関してここで「家計部門を含め」という記載をされているのでお察しという感じですが、前向き循環メカニズムの説明が「企業部門」と「家計部門」で分けて入っておりまして、これは本文の方に出て来るのですが、今回の展望レポートからは「既に企業部門では前向きの循環メカニズムが働いている」「しかしそれが現時点で家計に波及していないが、今後は家計部門にも波及するでしょう」という2段構えの書き方になりました。

この点につきましては、まあ4月の展望でいきなり登場した「前向きの循環メカニズム」がいやそれ個人所得とかに波及してねえだろ、という総ツッコミを受けたのが影響したのか、企業と家計を分けまして、企業の方は確かに短観の設備投資計画とかも堅調というか強い部類に入るし、そういう点からは前向き循環メカニズムと言い張るのは有りなんでしょ、というきめ細かさを出してきました。

また、上記引用部分ですが、今回おーと思ったのは潜在成長率の記述が復活したことでして、毎度毎度日銀謹製の潜在成長率推計が下がってこの調子だとマイ転するんじゃないか位の悲しい数値になる中で、潜在成長率の話を復活させるとは大胆不敵と思いましたが、本文の方によりますと、QQEとかぶっこんでもズルズルと低下する潜在成長率が、今後資本ストックの拡大(設備投資による)とDXをもちまして上昇に転じる、という大変に頼もしい(超棒読み)見通しをだしています。

とはいっても2023年度の委員見通しの中央値が+1.3%ですので、潜在成長率は上がっても1%(って今までの動きから言って2年で潜在成長率が1%上がるってのも無理矢理な話)とかそういう話ではあるんですが、いずれにせよ潜在成長率の記述が復活したのは「おー」とおもいました。


・概要でも微妙に変だし背景説明の本文の書き方と整合性が妙ちくりんな物価の先行き記述

『・先行きの物価を展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、エネルギー価格の上昇を反映してプラス幅を緩やかに拡大していくと予想される。』(今回)

『・先行きの物価を展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、目先、0%程度で推移すると予想される。』(前回7月)

物価の話しですが当面の世界は基本的に積み上げ計算でやっている筈なので、当面の見通し部分は現状をフラットに反映したものになっている、というのが仕様です。

『その後は、一時的な要因による振れを伴いつつも、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、基調としては徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『その後、経済の改善が続くもとで、当面のエネルギー価格上昇の影響に加え、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落などもあって、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、基調としては。』(前回7月)

ここの変化の書きっぷりが凄く難しくて、先行きの見通しに関しての説明の結論は「徐々に上昇率を高めていくと考えられる。」ってなっているのが前回と同じなのですが、今回はこの文言の頭に毎度おなじみヘッジクローズの「基調としては」という記載が入っております。

・・・・となるとこの結語だけ見ると下方修正に見えるのですが、その前の部分のメカニズムの話では、前回に関してはこの「徐々に上昇率を高めていくと考えられる。」の要因が「経済の改善が続くもとで、当面のエネルギー価格上昇の影響に加え、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落などもあって」と経済の改善という文言はありますが、その他の部分は「特殊要因の剥落」という話になっているのに対しまして、今回の表現は「マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に」と火の玉ストレートなメカニズム表現になっています。

ついでに申し上げると、この物価先行きに関するこの部分に該当する文言は9月決定会合声明文では7月展望の記述と同じになっておりまして、つまり今回の会合で「特殊要因じゃなくて需給ギャップのプラスと期待インフレの上昇で上がるんですよ」というメカニズムを示す形の物価上昇見通し(まあそういいながらQQEからの政策が続いているから狼爺さんと突っ込んでしまうと味気なくなってしまうので今回は突っ込まないことにしておく)になっておりますな。

今日は間に合わないから後日になりますが、基本的見解の本文の記載でも物価見通しに関する各種表現が結構強めに変わっていまして、なんかオラ自信が出てきたゾって感じがモリモリと盛り上がる表現になっているんですよ。

でもその割には結語に「基調としては」とかヘッジクローズが入るし、この先に出てきますが鏡の中で記載されているリスク要因は物価のリスクは下にティルトしていることになっておりまして、メカニズム的というか定性的に言えば今回って前回から比べたら上方修正しているのに、何でリスクは下振れにティルトになっているのか、というのは読んでて違和感を無茶苦茶感じました。


・手前だけ下げましたといういつものパターン。

3ポツ目。

『・前回の見通しと比べると、成長率については、2021 年度は輸出や個人消費を中心に幾分下振れているが、2022 年度は幾分上振れている。物価については、基準改定の影響を主因に2021 年度が下振れている。』(今回)

『・前回の見通しと比べると、成長率については、感染症の影響から 2021 年度は幾分下振れているが、2022 年度は幾分上振れている。物価については、エネルギー価格の上振れなどから2021 年度が上振れている。』(前回7月)

まあここは良いとして次。


・鏡のリスク要因の中で成長期待の低下、金融システムの安定云々の記述が削除、コロナの表現も後退

ということでここも大きく出たなと思いましたよ。

『・リスク要因としては、引き続き感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要である。とくに、感染抑制と経済活動の両立が円滑に進むかどうか不確実性が高いほか、一部でみられる供給制約の影響が拡大・長期化するリスクにも留意が必要である。』(今回)

『・こうした先行きの見通しについては、感染症の帰趨やそれが内外経済に与える影響によって変わり得るため、不透明感が強い。また、上記の見通しでは、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されると考えているが、これらの点には大きな不確実性がある。』(前回7月)

明らかにこれ書き方が随分と強くなっていますな。んでもってこれまた後日ネタにしますが、成長期待云々については経済のリスク要因として今回の基本的見解本文に記載されているのですが、金融システム安定性が云々に関しては、第1の柱第2の柱の中では記述されていますが、見通し部分のリスク認識からはばっさり削除されているということで、この部分を見ても定性的に見た時の経済物価見通しは随分と上方修正になったなあ(定量の数字の方はさておいて)と思いました。



・なので物価のリスクが下にティルトには違和感が

5ポツ目のリスクバランス。

『・リスクバランスは、経済の見通しについては、感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きいが、見通し期間の中盤以降は概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、下振れリスクの方が大きい。』(今回)

『・リスクバランスは、経済の見通しについては、感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きいが、見通し期間の中盤以降は概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、下振れリスクの方が大きい。』(前回7月)

リスクバランスだけは前回と同じです。経済の方は元々がバランスだから良いとして、物価の見通しに関してはこの部分でもそうですが、本文中を見ても、下振れリスクを警戒するような事実関係の記載が少なく、しかも定性的には随分と前回対比強い言い方になっているのに、相変わらず「下振れリスクが大きい」ってナンジャソラという感じです。

これは最終ページの付表にある『政策委員の経済・物価見通しとリスク評価 』の△(上振れ)〇(バランス)▽(下振れ)の分布から機械的に書いているだろうなあ、というのは分かるのですが、これだけ定性的に物価の見通しを強くして置いて「下振れリスクが大きい」と書かれてしまうとやっぱり違和感がある訳でして、「単に置いている見通しが過大なだけ」で下振れリスクなのか、「物価上昇のメカニズムに懸念があるから」下振れリスクなのか、という辺りをもうちょっときっちりと定義しなおして作って欲しいし、そうじゃないとコミュニケーションが難しくなると思うので(個人の感想です)、ここの表現に関してはもう少し改善の余地があるんじゃないかな、と思いました。


#今朝はこんなところで勘弁、オペ紙???いやまあちょっとパスということで




2021/10/28

お題「日銀は散らかしてるものの整理して欲しいという悪態雑談/ジンバブエ日記日記って必要かなあというこれまた雑談(大汗)」

すわほーに続きおりほーなのですが、両リーグとも最下位からの一気逆襲って前代未聞(しかも実はどっちも2年連続最下位)なんでネーノ、よー知らんけど。

ちなみにスワローズVSオリックスと言えば野村ID野球VS仰木マジックでしたっけ(20世紀脳)。

#CSでどっちかがコケるフラグを立てた訳では無いので悪しからず^^

〇MPMプレビュー雑談、というかもうちょっと真面目に話をして欲しい論点について頭の体操しておく

と言っても次に新コロオペの残高ネタで悪態ついております新コロオペくらいしかネタがなくて、しかも新コロオペは3月までは実施確定なので、延長するしないって話は12月か1月のMPMでする話になりますから、まあそう考えると今回は展望レポートの鑑賞会くらいしかネタがない筈。

・・・・・・となりますと、これは展望回なのに11時半に終わるのではという説も流れそうな雰囲気ではございますが、まあ折角の無風会合(かどうかは知らんが)なので、「主要国がインフレでアイヤー状態の中、何で日本の物価は(多少上がったとは言え)アガランチ会長なのか」という点について深掘りして頂きたいと思うんですよね、どうせやらないだろうけど。

なんせ黒田日銀、ここ数年物価が行かない言い訳を列挙する中で「世界的にも物価が上がりにくくなっているから別に日本だけの問題じゃないですこれは実は構造問題」とか、あれだけ口を極めて罵っていた筈の麿総裁時代に良く言われていた構造要因の話に持ち込んで誤魔化していたのですが、今般きっちりと海外の物価が米国だけならともかく、長期停滞みたいな話だと米国よりも日本に近いんじゃネーノって欧州まで良い感じどころではない上昇してるんですが、さてどう説明するんでしょうかって事ですな。

というのが真面目に話してほしい点の起点なんですが、まあどうせそれ言い出すと「粘着性の高い適合的期待形成によってインフレ期待が上がらんから」で済ます(誤魔化す)と思うんですよ中でどういう研究をしているのかはともかくとして対外的には。

そうなりますと、じゃあその粘着性の高い適合的期待形成とやらは何をどうすると動くの????って話で、少なくとも「マネタリーベース直線一気置物論」で上手く行ったわけでもないですし、「実際の物価が上がったら」というのも実をいえば8%消費増税の前後についでにぶっこんだ財政と、QQEの勢いに乗っかった金融市場というか為替市場によって一度物価があがったものの、コストプッシュで消費が冷えるという残念な事態になって結局期待形成は元の木阿弥に。マイナス金利政策も劇薬のつもりでぶっこんだらろくすっぽ効かず、その一方で劇薬なだけに薬抜きができなくなり、さらに変な薬物注入(コロナオペとか当座預金マクロ加算のミルフィーユとか)をすることによって廃人まっしぐらという状態。

だいたいですな、総括的検証して政策見直しをしてから何年経ってますんやという話でして、総括的検証して見直したのが2016年の9月で、とうとうそこから5年が経過しやがりまして、そらまああの時点で事実上「2年をメドに2%達成」を諦めたにしたって、2年どころか5年経過している訳でして、その間コロナ云々をさておいても別に2%どころか1%の安定推移だって出来ていない、という状況なのですから、普通は政策の在り方を再度見直すもんじゃないでしょうかねえ、と思うのですよ。


あとですな、新コロオペをどう畳むのか、という雑談は新コロオペ残高の中で悪態つくんですが、それはそれとして新コロオペを含む一連のオペでMBって盛大に拡大した筈なんですが、それが物価にどう効いてるの??って話で、まあどうせ日銀のことですから、毎度おなじみの「この政策を行わなかったらこのようになっていた」という検証不能のインチキ理屈を行う(適当に相関関係のある変数を持ち出して「この政策にはこのような効果があるのだが行わなかったらほれこの通り」って因果関係無視すれば後付けだったら何とでも言えるじゃん、という程度に日銀様の政策屁理屈系の分析は信用していない、経済物価情勢の分析は信用してるけど)ことで誤魔化すんでしょうけれども、実際問題として「市場金利よりも高金利が付利されている要求払性の日銀当座預金」というものに、何の効果がありますねん、というのを踏まえた「オーバーシュート型コミットメント」の検証をお願いしたい訳ですよ。どうせやらないんだけどさ。

だってですよ、まあ今回のFEDは少なくともテーパリングは終わらせてから利上げして正常化サイクル入ることになるから運営上どうなるかはよくわからんですけど、大きなバランス抱えたまま利上げするときにIOERとかRRPの金利をホイホイと引き上げるってことをしていてその前は正常化サイクルを行っていた訳で、そうしないと短期市場金利が誘導目標から下振れて必要な正常化が進まない、ってことでやっていた訳ですが、じゃあその時の超過準備ってのはマネタリー的にはマネタリーなのですが、でもそれって不胎化をしている、って話なんで、その不胎化されたマネーに緩和効果があるのかというと物凄く微妙なんじゃありませんの????という話。

すなわち、コロナオペの結果カテゴリー1と2の当預が増えてしまいましたとなった時に、じゃあその増えたマネーは何なのか、とか言い出すと、こうやって書いているアタクシも頭から湯気が出てきているのを自覚している状態、ってなもんでありまして、MBに関する話も有耶無耶のうちに誤魔化しているんですが、ちゃんと整理して欲しいんですよねー。

などなど、こういう時だからこそ本来は「総括的検証」みたいな大上段に振りかぶった話じゃなくて良いので、論点を整理していってほしいのですが、やれコロナオペだやれ地域金融機関の経営効率化支援だやれ気候変動対応オペだと、(まあコロナオペは導入そのものには致し方ない面はあったにしましても)新しいネタでとっ散らかす方はとっ散らかすのですが、全然後片付けをしないとかそらもうママ大激怒って感じになっていまして、でもって当時の決定者がいなくなると「さて何のことでしたっけ」位の勢いになるのが日銀クオリティなので、ちゃんと立ち止まってお片付けというのをして欲しいのですが、まあ散らかし放題散らかして後任に全部放り投げてしまうんでしょうなあ。などと悲しく思っています。



〇新コロオペ残高80兆円に迫るんですがこれどう風呂敷畳むんでしょ

はい。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211027c.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2021 年 10 月 27 日
日 本 銀 行

(参考)貸出残高(注) 791,191億円
(注)2021年10月28日時点の貸付残高の見込み。


先月の実行後はこうでしたな。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210921c.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2021 年 9 月 21 日
日 本 銀 行

(参考)貸出残高(注) 780,146億円
(注)2021年9月22日時点の貸付残高の見込み。

とまあそういうことですが、先月がその前対比でざっくり7兆円増加、今月がざっくり1兆円増加で、この辺のタマがどのような感じなのかとかそういう話は中の人じゃないからよー知らんですけど、いずれにせよ80兆円近い残高がある訳で、そらこの数字だけ見たらどこぞの審議委員のように「急に止めるとマクロ経済にショックがおきるかもしれない」とビビってしまうのはお気持ちはわかる(が審議委員なんだからそんな認識では困る)という状況。

おまけにマクロ加算がミルフィーユ状態になっているとか、マイナス金利を所与にして、その弊害防止策とか、調子に乗って地域金融機関向けの奨励金付利まで入れ込んでしまうもんだから、さらに訳が分からなくなっていて、いやこれ真面目な話、日銀様の政策によって(かどうかはともかくとして)物価が何となく上がったりしたときに、マイナス金利政策を当然ながら終了する時期というのは来る筈なんですけど、どうやって終了しますねんという感じだし、今の日銀だと、マイナス金利政策を継続する中において更に複雑なものを次から次へと継ぎだし継ぎ足ししてきそうで、風呂敷を広げるのは勝手にどうぞとは思うけど、畳むこと考えて風呂敷広げろやゴルァとしかもうしあげようがないですの。

でもってこのオペ、3月末に終了(というか新規実行を行わないで期落ちで減っていく形)の筈ですし、コロナ対策の資金繰り支援をするなとは言わんが、コロナによる各種社会的制限も緩和され、経済見通しは(展望レポートだってどうせ下げるの足もとだけでしょうし)別に弱い訳では無いのですから、いつまでこの「臨時措置」を続けるのか、という点についてはフニャフニャした総合判断みたいなのではなく、きちんとした哲学を出して頂かないと、意味なく何年も継続みたいになってしまうのは良くないでしょ、と思うのでした。

まあ何ですな、ここで広げた風呂敷の畳み方に困って、「コロナオペは終了しますが、アフターコロナの社会に対応するために、日本銀行では「あたらしい資本主義社会支援オペ」を導入します!」とか言い出しかねないのが今の何でもかんでも建屋建て増しムーブなので油断も隙もありません。まあコロナオペの今後の話が出てくるのは普通に考えて12月のMPMだとは思うのですが、しかしこのオペ(とCP社債買入拡大と社債買入年限延長)も最初事実上3か月程度とかいっておいて平気で2年にならんとする訳で、何なんでしょうねこの政策枠組み全てがこんな感じですよね。



〇与太ネタですがジンバブエ日記日記やっぱりやらんといかんのか・・・・・・・・・・

ツイッターランドはきっちりとこういうのを拾ってくれるのがありがたいです。まさに集合知(かどうかは兎も角として^^)の勝利ですな。

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20211102/se1/00m/020/010000c
日銀の実態を暴露。元審議委員の5年間の苦闘を読む=評者・田代秀敏
2021年10月22日

『本書は日本銀行すなわち日本の金融政策を論じるために必読の文献として古典の地位を得るだろう。』(上記URL先より)

と、いう結語でのけ反ってしまいましたが、まあこの評者日本の金融政策とか素人の筈なんで(素人じゃなかったらかなりアレ)、そらまあなるほどねという感じではあるのですが、まあそれをどスルーして掲載しちゃうってのが「エコノミスト」のオンライン版にしてこれかよーって感じですな。

以前申しあげましたように、不肖このアタクシは当該図書がリリースされた、と聞き物凄い勢いで書店に駆け込み、財布から大枚2700円+消費税を出して帰宅して3か所くらいランダムに開いたらただの与太話で金返せ、とは(織り込み済みだったので)思いませんでしたが、ネタにならねえええめんどくせえええと思ってしまった訳ですよ。

ただまあ確かに与太話であっても背景知らないでこれだけ読んだらそういう感想も得るんだろうなあと思いますし、いわゆる「ネットde真実」とか「〇〇はコミンテルンの陰謀」みたいなのってのもそういうピュア(婉曲表現)な人がうっかり最初に変なもんに引っ掛かるとそうなるんでしょうね、などとアタクシ偉そうに言ってますが恥を忍んで申しあげれば不肖このアタクシだって学生時代に某O合N彦さんの本を読んで(しかも新書版で購入して)「ほほ〜」って言ってたので、まあそういう経験も踏まえますとこの書評を別にそこまで論難する気も起きませんですわ。

とは申しましても、なるほどナイーブ(婉曲表現)な方はこういうのに引っ掛かるんだからカウンターアーギュメントしておくべきなんだろうなあとか思うので、これはジンバブエ日記日記シリーズ必要なのかとか思うんですけど(まあアタクシが書いても別に人口に膾炙しないから無駄なんですけどね!!!!!)、この手の作業って結構自分の人徳ポイントを削るのがアレなんですよね〜。やはりここは同時期に審議委員だった木内さんや佐藤さん辺りにバシッとカウンターアーギュメントをぶっこんでいただいて(悪)。

さて、ここで保阪正康著「昭和良識派の研究」(光人社NF文庫)の中でアタクシが仰せ御尤もと思いながら読み直す箇所がありましてね、終章に「おわりにー「歴史」を語り継ぐ姿勢を考える」ってのがあって、そのまとめ部分になるのですが、301ページからの記述を思い出しますので多少長くて恐縮ですが引用致します。

(ここから引用、元の文章は縦書きです)
歴史的資料や記録には、つねにこのような危険性が伴っている、単純にすべてを信じるというのは、ときに誤りをおかすというあたりまえのことを知っておかなければならないという教訓が、こうした例からも汲みとれる。

歴史的証言者に列するには―とくに歴史を意識した証言者になるためには―、多くの条件を必要とする。しかもその人物が証言者にふさわしいか否かを判断するには、その条件を明確にもつか否かを確かめることが必要であり、それなしにただ歴史的証言を聞くというだけでは、単なるインタビュアーでしかない。インタビュアーであるなら、とにかく話を気持ちよく聞きだしていればよいだけだから、結果的に意味もなく歴史的事実の断片が撒かれるのに一役買っているだけにすぎないのである。

くり返すことになるが、歴史を語り継ぐというのは、きわめて厄介な精神活動を伴っている。資料を読みこなす目、証言の真偽を見抜く耳、それが必要なのはこれまでくり返してきたとおりだが、その構えと証言者の資質や姿勢が一致したときに、真の歴史的事実が浮かんでくる。それはそれぞれの人生の出会いのようなもので、構えをもっていない限り、証言者は決して事実を語ろうとしない。

そのことは、歴史的事実は簡単に当事者から聞くことはできないともいえる。それゆえに、騙したり騙されたりというくり返しのなかで歴史的雑談が交わされているにすぎないということにもなる。歴史を社会科学という枠内でとどめていたり、懐旧談にとどめている限り、決して歴史的事実にふれているということにはならない。私は、ある年齢に達してからはそういた考えを自信をもって断言できるようになった。

それと同時に、歴史的事実がもつ重みもまた感じるようになった。この重みは、生きた人間学という枠内での重みであるとも思うようになったのである。(引用ここまで、引用は「昭和良識派の研究」保阪正康、光人社NF文庫(2005)の本文301ページから)



#うーむ、主要中銀が揃ってブラックアウトだから仕方ないけど、今日は(も)全部雑談になってしまっておる・・・・・・と書いたの読み直して思いましたが時すでにお寿司なのでこれで勘弁ね。






2021/10/27

お題「基調的なインフレ率大勝利への道か?(ただしコストプッシュ)/気候変動関連で米国がぶっこんでいる件の備忘用クリップ集」

ほうほうそうですかそうですか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211027/k10013323031000.html
日銀 GDP伸び率見通し引き下げへ 半導体不足など影響
2021年10月27日 5時21分

『日銀は27日から金融政策を決める会合を開き、経済や物価の見通しについて議論します。半導体不足などの影響で輸出や生産が振るわないことを踏まえ、今年度のGDP=国内総生産の伸び率の見通しを7月に続いて再び引き下げる方向です。』(上記URL先より)

むしろ4月の展望レポートの時に「前向き循環メカニズム」を堂々とぶっこんでエライ勢いで強いトーンの見通し出したのが何だったのかという話しでして、あの時点で「なんでこんなに強い見通し出せるの???7月まで様子見てて何か困ることあるの???」とアタクシだけではなくツッコミを入れていた方々は多かったと思う訳で、まあ何ちゅうか変なところで勝負するんなよとは思いましたな。


〇基調的なインフレ指標が大勝利への道キタコレ(ただしコストプッシュ)

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf
消費者物価の基調的な変動

図表を見るだけでも大勝利(ただしコストプッシュ)感が漂いますが、エクセルちゃんをDLして拝読しますと・・・・・・・・・

2020年基準CPIベースの数字は21年1月分から集計されているので、時系列は今年の1月からで勘弁してもらって、

Jan-21 -0.3 0.0 0.0
Feb-21 -0.2 0.1 0.1
Mar-21 -0.1 0.1 0.1
Apr-21 -0.3 0.1 0.1
May-21 -0.1 0.1 0.1
Jun-21 0.0 0.1 0.1
Jul-21 0.2 0.1 0.1
Aug-21 0.3 0.1 0.2
Sep-21 0.6 0.2 0.2

例によって左から刈込平均値、加重中央値、最頻値の各YtoYの数字ですが、来ましたよ刈込平均+0.6%ですよ(なお加重中央値と最頻値が動いてない気がするのは見ないことにする)やったね!パパ!!黒田総裁任期中に奇跡の2%達成だよ!!!(白目)

などと勝手に盛り上がる訳ですが(盛り上がりません)、どう見てもコストプッシュな訳で、さっきマクラに使った「成長率見通し2四半期連続で引き下げ」と合わせると、非常に物悲しい雰囲気になってくる次第でして、これが成長率見通し引き上げと共にやって来れば物凄い勢いで良い雰囲気になるんですが、第何波だか忘れましたが、コロ助感染症の拡大で緊急事態宣言がドンドン拡大しているのが見え見えの時期に謎の成長見通し引き上げをぶっこんでしまった日銀ちゃんの間抜けプレイなんだかガースー政権への五輪開催に向けた忖度ムーブなのかよくわかりませんでしたが、まあ「なんでここで勝負するの???」という所で勝負する時の日銀の勝負勘の悪さ(今世紀最大の勝負勘の悪さは速水総裁時代のゼロ金利解除でしたが)がここでも「基調的な物価が上がっているのに成長率の見通しは下がる」という見た目だけで言えばスタグフレーションムーブ(念のため申し添えますが別にスタグフだとは思ってませんけどね)っぽい組み合わせになってしまうのが実に味わいが深いというものでございます。

でもって上昇下落品目の方も良い感じで上昇傾向になっていまして(ただしコストプッシュ)、

Jan-21 46.7 44.6 2.1
Feb-21 49.0 42.7 6.3
Mar-21 51.0 41.0 10.0
Apr-21 50.2 41.8 8.4
May-21 51.1 41.4 9.8
Jun-21 50.6 42.0 8.6
Jul-21 51.9 41.0 10.9
Aug-21 56.1 36.2 19.9
Sep-21 57.1 35.1 22.0

例によって左から上昇品目比率、下落品目比率、上昇下落の差分、ですけど、こっちの方は(めんどいのでさっきの長期時系列グラフちゃんの方を見て頂きたいのですが)2015年から2016年辺りのピーク水準から見ますとまだまだという感じでして、要はこれ「物凄い勢いで上がっている一部品目、ただしその品目数は一部と言っても全体の1割では効かない位の多さがある(ここでの刈込は上下10%の刈込をしている)のですが、その品目が思いっきり引っ張っていますな」ということなんでしょうかね、まあその辺はエコノミストの皆様が分析してくれてると思いますので教えて貰いに行くとしますか。

まあいずれにしましても「政府・日銀によるコロナ対応が功を奏して物価にも好影響が出てきました(キリッ)」とかハッタリかませるじゃん良かったですね!!ということで(棒読み)。



〇ところで気候変動系のネタが各国より同時にぶっこまれておるのですが(先週のネタで恐縮ですが)

・NGFSのテクニカルレポート(ただし先週)

気候変動問題の国際ネットワーク方面がこんなの出してまっせ、というのを先日日銀がお出しになっておられた訳ですが、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211020a.htm/
NGFS(Network for Greening the Financial System)による各国当局及び中銀による
気候シナリオ分析の実施に係るプログレスレポートの公表について
2021年10月20日
日本銀行

『GFS(Network for Greening the Financial System)は、10月19日、以下の文書を公表しました。

詳細につきましては、以下をご覧ください。

プレス・リリース(原文)<NGFSウェブサイトにリンク>
「各国当局及び中銀による気候シナリオ分析の実施に係るプログレスレポート」(原題:Scenarios in Action: A progress report on global supervisory and central bank climate scenario exercises)(原文 [PDF]) <NGFSウェブサイトにリンク>

関連サイト:NGFS事務局ウェブサイト(外部サイトへのリンク)』

でまあこのレポートというのが相変わらずフルカラー33枚組で、表紙のあの何と申しますか中銀チックじゃない物件にも見慣れましたが、中身は例によって詳しく読む気力が中々起きてくれないので(ぐうたら)気候変動関連でああでもないこうでもないと色々とお詳しい方ちょっとアタクシに解説しろ下さいお願い致します(土下座)という感じですが・・・・・・・・・・

(URLが何時もながらクッソ長いので画面配置を考慮して文字列の一部だけでハイパーリンク貼っときます)
https://www.ngfs.net/sites/default/files/medias/documents/scenarios-in-action-a-progress-report-on-global-supervisory-and-central-bank-climate-scenario-exercises.pdf
Network for Greening the Financial System
Technical document
Scenarios in Action
A progress report on global supervisory and central bank climate scenario exercises
October 2021

今回のはテクニカルドキュメントって書いてあるから政策提言とかではないと思うのですが、このタイミングで米国FSOC(管轄的には米国財務省)もこんなのをぶっこんできてまして(後のプレスリリースの文章にあるようにぶっこんできたのは21日です先週の話でサーセン)、


・米国の金融監督関連当局が今後こういう点を研究して気候変動対応していきますよというお話(これまた先週)

https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0426
PRESS RELEASES
Financial Stability Oversight Council Identifies Climate Change as an Emerging and Increasing
Threat to Financial Stability
October 21, 2021

ということで、今まで腰が重そうに見えておりました米国様におかれましても、「気候変動は金融安定に対する阻害要因として発生しつつありその問題は成長しつつあると認識しておる」というのを投下してきまして、プレスリリースちゃんの方を読みますと、

『In First Step, FSOC Releases Report and Recommendations on Climate-related Financial Risk』

と最初にあるのでまあ米国様も本件に対するファーストステップとしてこういうのをリリースしましたぜ、と来やがりました。

『WASHINGTON - The Financial Stability Oversight Council (FSOC) has released a new report in response to President Biden’s Executive Order 14030, Climate-related Financial Risk.』

ほう。

『For the first time, FSOC has identified climate change as an emerging and increasing threat to U.S. financial stability. The report and accompanying recommendations demonstrate FSOC’s commitment to building on and accelerating existing efforts on climate change through concrete recommendations for member agencies to:』

ということで金融安定のオーバーサイト何をしろと仰せなのかというと、

『・Assess climate-related financial risks to financial stability, including through scenario analysis, and evaluate the need for new or revised regulations or supervisory guidance to account for climate-related financial risks;』

気候変動に関連するシナリオ分析を行ってガイダンスに則って気候変動の金融リスクを算出すること。

『・Enhance climate-related disclosures to give investors and market participants the information they need to make informed decisions, which will also help regulators and financial institutions assess and manage climate-related risks;』

気候変動関連リスクの計測がしやすくなるために投資家向け開示の気候変動関連項目をより進化させること。

『・Enhance actionable climate-related data to allow better risk measurement by regulators and in the private sector; and』

気候変動関連リスクのリスクマネジメントをよりよくできるように気候変動関連のデータを進化させるころ。

『・Build capacity and expertise to ensure that climate-related financial risks are identified and managed.』

気候変動関連リスクについて、金融面でのリスクがどこにあって、それをどのようにマネージするかということが可能になるような研究をしていきましょうとかそんな感じか。

『“Climate change is an emerging and increasing threat to America’s financial system that requires action,” Secretary of the Treasury Janet L. Yellen said. “FSOC’s report and recommendations represent an important first step towards making our financial system more resilient to the threat of climate change. These measures will support the Administration’s urgent, whole-of-government effort on climate change and help the financial system support an orderly, economy-wide transition toward the goal of net-zero emissions.”』

とイエレン財務長官が仰せなのですが、今回のこのレポートとリコメンドが「an important first step」とか仰せなのですが、どうせ今日明日の話では無いので年末年始(こら)の読み物にでもしようかとは思う(読むとは言ってない)のですが、まあどうもこれはチェックしておかないと行けなさそうな雰囲気が漂っておられる(個人の感想です)。

『While the report recommends that FSOC members take new actions on climate change data, disclosure, and scenario analysis, it also discusses how individual members are already taking important steps forward. For example:』

ということで、FSOCの構成メンバーにおいてはこのような取り組みを開始しています、って説明をご丁寧にリリースしていまして、

『・The Securities and Exchange Commission (SEC) has begun to evaluate its disclosure rules and requested public comment on ways to improve climate disclosure.』

投資家向け開示に関する問題を米国SECが策定していて、

『・The Federal Reserve Board (FRB) has established two committees to develop a better understanding of climate-related risks and incorporate them into its supervision of financial firms and into its financial stability framework. 』

FEDは金融機関監督における気候変動リスクの充実を図るべく2つのコミッティーを作ったと。

『・The Commodities Futures Trading Commission (CFTC) has engaged on climate-related financial risk issues through its Market Risk Advisory Committee (MRAC). In September 2020, the MRAC’s climate subcommittee issued a report entitled Managing Climate Risk in the U.S. Financial System, with recommendations to address the growing impact of climate-related financial risk.』

CFTCが何で本件関係あるねんという気はするのですが、なんかこちらもやっているんですね。

『・Both the Federal Housing Financing Agency (FHFA) and the Treasury Department’s Federal Insurance Office have requested information on climate-related financial risks from the public to inform their activities』

FHFAまで出て来るのか・・・・・・・

『Established under the Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act, FSOC is charged with identifying risks to U.S. financial stability, promoting market discipline, and responding to emerging threats to the stability of the U.S. financial system. FSOC consists of 10 voting members and 5 nonvoting members and brings together the expertise of federal financial regulators, state regulators, and an independent insurance expert appointed by the President.』

ここはFSOCって何ですのという説明でありまする。

『The full report and recommendations can be found here. A factsheet on FSOC’s actions can be found here. A copy of Secretary Yellen’s remarks during the open session can be found here and a readout of FSOC’s meeting can be found here.』

でもってそのhereですが、

レポート全文、なんと133枚なのですが、2色刷りですなw
https://home.treasury.gov/system/files/261/FSOC-Climate-Report.pdf

ファクトシートとか書いてますが上記に書かれてた何しますねんのやや詳しい版という感じで4枚組
https://home.treasury.gov/system/files/136/FACT-SHEET-The-Financial-Stability-Oversight-Councils-Response-to-Climate-Related-Financial-Risk.pdf

イエレン財務長官のスピーチ
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0424
Remarks by Secretary Janet L. Yellen at the Open Session of the Meeting of the Financial Stability Oversight Council

これはまあこんな参加者が出てました的なご紹介ですな
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0425
READOUT: Financial Stability Oversight Council Meeting on October 21, 2021

でもって本件に関してはパウエル議長もステートメント出していまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/other20211021c.htm
October 21, 2021
Statement of Chair Jerome H. Powell on the Financial Stability Oversight Council's (FSOC) Report on Climate-Related Financial Risk

とかなっておりますが、こちとら誠に浅ましい話ですが2050年のカーボンネットゼロがどうのこうのの前に2022年のFEDのスタンスがどうなるか(今年はテーパー着手でダンディール状態なので次の話は来年ですよ来年)という超現世利益の方にばっかり興味が行くもんで、どうしてもこういうのはパスしてしまうのですが(不見識)、そうは言ってもまあこのムーブなのでチェックをして、必要なネタは押さえておかんとマズかろう、という位のイメージは無いわけでは無いので、個人の感想ですではありますが、多分今回のFSOCネタは拾っておいた方が良いのかと思ってクリップがてらネタにしてみました。


・ECBはエルダーソン(と読むのか?)理事のスピーチが同時期にぶっこまれておりますな

19日の講演
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2021/html/ecb.sp211019~84d1b39bcb.en.html
The role of supervisors and central banks in the climate crisis
Keynote speech by Frank Elderson, Member of the Executive Board of the ECB and Vice-Chair of the Supervisory Board of the ECB, at the 31st Lisbon meeting between the central banks of Portuguese-speaking countries
Frankfurt am Main, 19 October 2021

20日の講演
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2021/html/ecb.sp211020~03fba70983.en.html
Overcoming the tragedy of the horizon: requiring banks to translate 2050 targets into milestones
Keynote speech by Frank Elderson, Member of the Executive Board of the ECB and Vice-Chair of the Supervisory Board of the ECB, at the Financial Market Authority’s Supervisory Conference
Vienna, 20 October 2021

なお内容はちゃんと読めていなくて、なんかひたすらクリップ大会になってしまって甚だ申し訳ありません(ジャンピング土下座)。


・日銀は金研ニュースレターが出ておりますが、もしかして気候変動何とかオペ出すならこのタイミングだったんでネーノ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211022a.htm/
金研ニュースレター特別号 気候変動の経済学(5)
2021年10月22日
日本銀行金融研究所

というわけで本文の方を踏みに行きますとこういうのが出てきますが、なんか金研ニュースレターシリーズってもっとこうしょぼいペラ紙っぽいので始まっていたと思ったのだが、気候変動関連のレターには立派な表紙がついているとか、気合が入っているのはよくわかりました(中身はチラ見したけどネタにできるほど読み込んで居ないのは申すまでもありません、大汗)。

https://www.imes.boj.or.jp/jp/newsletter/nl202110J6.pdf
気候変動の経済学
第 5 号:気候変動の経済学:実証分析編

実は第1号から物凄い勢いで出ていまして、第1号がこれなのですが
https://www.imes.boj.or.jp/jp/newsletter/nl202110J2.pdf
気候変動の経済学
初回号:気候変動とマクロ経済の関係を捉える

表紙見ればわかりますようにこのシリーズ、 「2021年10月(特別号)」ってなってて茲許連発で投下されている物件だったりします。なお、他のシリーズではこんな気合の入った表紙ではなく、

https://www.imes.boj.or.jp/jp/newsletter/nl202006J1.pdf
金研ニュースレター
特別号 新型コロナウイルス感染症の経済学(8) 2020 年 6 月

同じ特別号でもまあこの位のデザイン(レタリングは偉そうですが)でして、日銀として気合を入れている、というのは把握したんですが、ECBは前からだからアレですが、米国政府は関連機関お揃いで(というかFSOCですが)ぶっこんで来る中でしたので、気候変動何とかオペの話も今辺りで突っ込んだ方が協調している感がでたような気もしますが、米国が日本にケツ叩かれて施策をしたのかも知れんし、まあその辺はよくわからんですわな。

いずれにせよ何かまあこれだけぶっこまれると知らぬ存ぜぬで済ますわけにもいかないけど読むの大変だなー、とか何とか思いながらのクリップ集でございました。





2021/10/26

お題「中銀政策ラッシュの前に日銀WGネタと先日の内田理事のCBDC講演をネタにするの巻」

ほほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211026/k10013321541000.html
原油の先物価格 一時85ドル超える 約7年ぶりの高値更新
2021年10月26日 4時08分

まあ今月は何せこれですからのう
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210930-OYT1T50298/
値上げまた値上げの10月、野菜・マーガリン・牛丼…宣言解除でも水を差すおそれ
2021/09/30 23:52

ということですが、物価目標が達成できるかもしれませんね良かったですねえ(ゲッソリ)。


〇最近の日銀は調査レポートでしれっとチャーミングな物件を時々ぶっこんで来る件について

昨日はこんなのが。(こちらは紹介ページ)
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/wp21j13.htm/
近年の中小企業の生産性動向
2021年10月25日
飯田智之*

生産性動向調査するんだったら継ぎはぎ金融政策運営のせいで市場の中の人たちの生産性が落ちている(マイナス金利の回避合戦でどんだけリソースを消費しているのか)とか、ボンクラがボンクラな会話しかしていない(としか思えない)ボンクラ政策決定会合の生産性とか、などと悪態をつこうと思ってリードをみると意外に(^^)シャレオツな内容の予感。『要旨』ってありまして、この紹介ページは要旨の引用ですが、本文の冒頭もこの要旨になります。

『本稿では、中小企業に関する大規模データベースを用いて、わが国の中小企業における近年の生産性動向を分析した。』

ほうほう。

『計測結果によると、中小企業の全要素生産性(TFP)成長率は、リーマン・ショック以降、(1)存続企業内における技術革新の停滞や資源効率の悪化(内部効果の低下)に加え、(2)企業間の資源配分の効率性低下を背景として、全体として伸びが鈍化している。この間、低生産性企業――生産性の低い状態が続いている企業――のシェアは、上昇傾向を続けている。』

こ、これは・・・・・・・・・・(^^)。

『そこで、そうした低生産性企業のシェア拡大が、相対的に生産性の高い企業のパフォーマンスに、どのような影響を及ぼしていたかを実証的に検証した。』

ほうほうそれでそれで??

『その結果、低生産性企業のシェア拡大は、低生産性企業に生産要素(労働投入)が集まることを通じて、生産性の高い企業の要素投入や付加価値創出に有意な悪影響を及ぼしていたことは確認された一方、生産性の高い企業のTFP成長率には直接的な悪影響を与えていないことがわかった。』

『この実証結果は、低生産性企業のシェア拡大は、生産要素の資源配分の歪みを通じて、中小企業全体の生産性低下に寄与しているものの、定量的にはより大きな内部効果の低下を説明する要因とはなっていないことを示唆している。』

ほっほー。

『なお、本稿では、個別企業のTFPを計測する際に、データ上の制約から、企業が支払う人件費を業種別の一人当たり賃金で割ることで労働投入量(従業員数)を推計して用いている点などには留意が必要である。』

ということで本文はちゃんとしたペーパーなのでアレですが例によって最初の所を拝読。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/data/wp21j13.pdf
近年の中小企業の生産性動向

最初の『要旨』はさっきと同じなので割愛しまして『1.はじめに』をちょろっと読んでみます。

2パラグラフ目から参りますが。

『経済全体の生産性の変化は、@企業内部における技術革新や資源利用の効率性、およびA企業間における資源配分の効率性、の 2 つの要因によって規定される。』

なるほどでございます。

『このうち、一つ目の企業内部における技術革新や資源利用の効率性について、Nakamura et al. (2019)は、資本・労働といった経営資源や R&D によって蓄積された技術・知識を活用できていないことが、やや長い目でみたわが国の生産性が伸び悩んでいる背景にあると指摘している。』

『一方、2000 年代半ば頃のわが国企業を対象とした研究では、ICT の利活用(Fueki and Kawamoto (2009))、オフショアリング(Ito et al. (2011))、雇用の削減や不要資産の売却といったリストラ(Fukuda and Nakamura (2011))を通じて、生産性は改善していたとの見方もある。』

『このように、近年の企業部門における生産性の動向については、定まった見方があるわけではない。』

だそうです。

『二つ目の企業間における資源配分の効率性については、存続企業間の資源配分、および企業の参入・退出に伴う資源配分に分けて評価することが多い。』

キタコレ。

『米国の製造業を対象とした研究である Baily et al. (1992)によれば、製造業全体の生産性変化のうち企業間の資源配分による寄与率は 63%を占めており、生産性成長において相応に重要な要因であることが示されている2。』

からの、

『この点、わが国では、企業間の資源配分の効率性は低いと考えられてきた。』

と来まして、

『Hogen et al. (2017)は、わが国では、企業の新規参入が経済全体の生産性を押し上げる効果が、米国に比べて小さいことを報告している。』

『Nakamura et al. (2019)は、日本企業における資源配分の非効率性の背景として、低生産性企業の生存確率が高いことなどを指摘している。』

>低生産性企業の生存確率が高い

『また、わが国における企業間の資源配分を阻害する要因として、Caballero et al. (2008)は、新陳代謝の機能の低さを指摘しており、具体的には、撤退ないし縮小すべきパフォーマンスの低い企業が存続することで、健全な企業の活動が阻害されることを示している。』

不必要なまでに手厚い企業金融支援を行う弊害ですね、わかります。

『以上のわが国における生産性の変化を規定する要因について、大企業に関する研究は蓄積されているものの、中小企業については利用可能なデータベースの制約などから、これまで十分に分析されてきたとは言い難い。本稿は、2001 年以降の中小企業に関する大規模データベース「中小企業信用リスク情報データベース」(Credit Risk Database、以下 CRD)のミクロデータを用いることで、そうしたギャップを埋めることを目的としている。』

ということで、この話を中小企業バージョンで検証してみようって話ですね。

『本稿の結論を先取りすると、以下のとおりである。』

と、日銀のWPシリーズは先に結論を説明したあと、定義やデータ系列について→分析手法について→分析の結果得られる知見→結論、という構成になります。

『ミクロデータを用いた計測結果によると、わが国における中小企業の全要素生産性(Total Factor Productivity、以下 TFP)成長率は、リーマン・ショック以降、存続企業内における技術革新の停滞や資源効率の悪化(内部効果の低下)に加え、企業間の資源配分の効率性低下を背景として、全体として伸びが鈍化している。』

そらまあそうじゃなかったら日銀謹製の潜在成長率がドンドン下がって遂にガチのゼロ近傍(0.1%割れ)まで下がりはせんですよね。順当な結果である。

『次に、この間にみられた低生産性企業のシェア拡大が、相対的に生産性の高い企業のパフォーマンスに、どのような影響を及ぼしていたかを実証的に検証した結果、低生産性企業のシェア拡大は、低生産性企業に生産要素(労働投入)が集まることを通じて、生産性の高い企業の要素投入や付加価値創出に有意な悪影響を及ぼしていたことは確認された一方、生産性の高い企業の TFP 成長率には直接的な悪影響を与えていないことがわかった。』

さっきのエグゼクティブサマリーで書かれたことですな。

『この実証結果は、低生産性企業のシェア拡大は、生産要素の資源配分の歪みを通じて、中小企業全体の生産性低下に寄与しているものの、定量的にはより大きな内部効果の低下を説明する要因とはなっていないことを示唆している。』

ということで最後の『5.結論』でも同じ話をしておりますが、それに付言して以下のような説明があります。

『本分析によれば、TFP 成長率鈍化のうち定量的に大きな内部効果の低下の背景として、低生産性企業の存続による負の影響を支持する結果は得られなかった。この点、感染症下で急速に進んでいるデジタルトランスフォーメーションなどは、生産性の内部効果に大きな影響を及ぼし得ると考えられるが、そうした要因を分析することは、データの蓄積を待ちつつ、今後の研究課題としたい。』

どうなんですかねえ。DXで生産性上がるの?って言われますと唸ってしまうんですけど。

『最後に、本分析の留意点を述べておきたい。本稿では個別企業のミクロデータを利用して実証研究を行った。このメリットとしては、TFP 成長率の推移を、存続企業内部での生産性の変化、企業間の資源配分、企業の参入退出の効果といった要因に分解できる点にある。その反面、データ上の制約も存在している。例えば、本分析では、個別企業の TFP を計測する際に、労働投入量として、マン・アワー投入量(総労働時間=労働者数×一人当たり労働時間)ではなく従業員数を推計して用いている(補論参照)。従業員数について、CRD の「期末従業員数人」には派遣社員やパートが原則的に含まれない。本稿では、これらの労働投入も勘案するため、各社の人件費を一人当たり賃金で割ることで推計しているが、その際、業種別のデータを賃金の代理変数として利用している。本稿での分析結果については、こうしたデータ上の制約がある点についても留意し、幅をもってみる必要がある。』

ということでお話は終わる、って途中を全部すっ飛ばしてて誠に恐縮にも程があるのですが、まあ最初の部分で示されているように既に議論されていることではありますが、それにしましても「緊急ショック対応の資金繰り支援」は重要であっても、その一方で「影響があるから」ならまだしも「リスクがあるから」というような安直な理由で各種資金繰り支援策をダラダラと続けることによって本邦企業の生産性がズブズブと沈んで行ってしまいますよね、って話な訳でございまして、「コロナ感染症の再発の可能性ガー」とか言って3月まで伸ばしているコロナオペをさらに延長しようってえ話はどうせMPMのボンクラどもがしていると思うのですが、そういう安直な施策でドンドン皆で沈んで行ってるってえのをきっちりと示して下さっている中々チャーミングなペーパーではございましたのでサラサラとご紹介させて頂きました。ご興味のある方は中もご覧あれ(なおアタクシは数式を見ると思考が停止するハクション大魔王なので文字列の所しか読んでません、悪しからず)。



〇CBDCに関する先般の内田理事の講演をネタにしてなかったのでネタにしてみる(サラサラと)

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211015a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211015a.pdf
挨拶】
CBDCが存在する、あるいは存在しない決済システムの将来像
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第2回)」における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2021年10月15日

内田さん、というより日銀の説明自体が概ねそういう感じなのですが、CBDCが現金同様になってしまった場合、「マネー供給の二重構造」が破壊されてしまって、ファイナンシャルディスインターミディえーションが起こるリスクって話は、あんまり正面切って堂々とは言わないですよね。

まあ仄めかし構文で「CBDC には金融仲介機能に与えるインプリケーションがあり」(これは先日先行してネタにしたG7の「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」から)のような感じでは書かれるのですが・・・・・・・

今回の話に関しても、仄めかしはしているのですが、中央銀行がCBDCを大々的に発行してしまうと、いわゆる何とかペイとか何とかマネーは電子マネー供給の機能が要らなくなって、ただのプラットフォーム貸出業者になってしまう可能性について話しはしているものの微妙にクネクネした説明ですなと思いますし、先行してCBDCをぶっこみに言ってる中国様がそもそも何とかペイとかかんとかペイとかに対する牽制をCBDCでヘイヘイヘーイとかけているやに仄聞するのですが、まあそういう話もある意味当然ですがスルーしているので、話しとして読むとちょっとフワッとした印象ですけど、そもそも日銀はその辺の弊害も既に分かっているから安直な導入には慎重、というのは伝わって来る内容だなと思いました。

というアタクシのどうでもよい能書きが長くなってしまいましたが鑑賞鑑賞。最初のご挨拶部分は飛ばします。

『海外に目を転じますと、欧州中央銀行は、デジタルユーロプロジェクトの調査フェーズを開始し、その結果を踏まえて2年後に発行の是非を判断する方針を明らかにしました。また、米国FRBは、CBDCに関する市中協議ペーパーをまもなく公表し、関係者との対話を強化する計画です。』

『日本銀行を含む7つの中央銀行とBISによる共同研究グループは、先ごろ共通する課題についてレポートを公表しました。このグループは今後も継続していくことで合意しており、日本銀行としても緊密に連携していく考えです。』

『この間、中国では大規模なパイロット実験が続けられているほか、経済規模が比較的小さいいくつかの国が、実際に通貨としてCBDCを発行しています。』

というのが現状。

『前回の協議会では、「現時点で分かっている技術的な要因や内外の情勢などを踏まえると、将来「CBDCを一つの要素とする決済システム」が世界のスタンダードとなる可能性は相応にあります」と申し上げました。この半年間の海外の動向はそれを裏付けるものでした。各国において、CBDCが現実的なオプションのひとつになってきているという事実は、わが国としても、しっかりと受け止めなければなりません。』

ほうほうそうですかそうですか。

『もとより「CBDCありき」の議論は本末転倒です。議論の目的は、「デジタル社会にふさわしい決済システムの将来像」を描くことであり、CBDCはその手段にすぎません。』

どうも手段を目的だと思っている国があるような気がしますが。

『今日は、そうした将来像を描くうえで、多少なりとも具体的なイメージが持てるよう、ひとつの思考実験をしてみたいと思います。すなわち、経済・社会のデジタル化が進む中でも、日本銀行が、今と同じ公共財(「現金」と「日銀当座預金」)のみを提供し続けるとしたら、何が起こるのか、ということです。』

別に何も困らんような気がしますが・・・・・・・・・

『もちろん、すぐに問題が起こるわけではありません。』

はい。

『今のところ、わが国において、銀行券需要は伸び続けており、近い将来銀行券が大きく減少するとは思えません。しかし、現金という物理的な存在を取り扱うことには様々なコストがかかりますので、スウェーデンや中国で見られるように、急速にデジタルな決済手段に置き換わる可能性は常に存在します。』

そうですね。

『そのこと自体は、より便利になるという意味で必ずしも悪いことではありません。ただ、店舗やレストランで現金が使いにくいような事態になれば、そうした決済手段に加入することを事実上強制されてしまうという問題が生じます。』

ファイナンシャルインクルージョンの問題みたいは話の企業側バージョンですか。

『また、その決済システム上で動くのは、民間債務ですので、安全性を確保する何らかの仕組みが必要になります。グローバル・ステーブルコインを巡る議論は記憶に新しいところですし、中国では100%準備を要求するという手段も取られています。』

この安全性の問題に関しては、確かにどこかの民間何とかペイがすべての支払いのスタンダードになってしまいますと、大いに問題が爆発するリスクがありますし、それ以前の問題としてマネーの供給をその何とかペイが握ってしまうという可能性が発生するのでどう見ても宜しくないですわな。100%準備を要求するというのは、決済マネー供給する何とかペイが独占的地位を占めてしまった時にマネー供給の二重構造における中央銀行のコントローラビリティを確保するために重要な話だと思うの。

まあそういう意味ではマネー供給の二重構造の中で供給してるの今のところは何とかペイとかではなくて銀行融資って話ですが、金融機関は十分に分散して競争的に行動しているし、これまた自己資本規制だの何だのとガチガチに規制しているので、コントロールある程度は効く(と言っても効かなくなってバブルヒャッハー大暴走みたいな事は起きるときは起きるけど)というお話ですな、うんうん。

『相互運用性の問題もあります。わが国では、多くのキャッシュレス決済サービスが競争していますが、サービス間の相互運用性は不十分であり、スケールメリットやネットワーク効果は十分に発揮されていません。私たちは、日々店舗で「この決済手段は使えますか?」と聞いています。』

とは言え相互運用できたら事業者のメリットが無くなる訳で、というのは直後に内田さんご指摘していまして、

『各事業者には、ビジネス規模を拡大するため、顧客を囲い込むインセンティブがあります。したがって、自然体ではなかなか相互運用性を高める動きは進みません。』

そらそうですな。

『もちろん、いずれ、競争による淘汰の結果として、一部の主体が提供するシステムに集約していく可能性はあります。事業者によっては、データの利活用とクロスセルによって、安価に決済サービスを提供できるでしょう。ただ、それは「あなたがデータを提供すること」とセットになるかもしれませんし、集約の結果、新しい事業者が市場に参入するのが困難になってしまう可能性もあります。』

ここはサラッとした言い方をしていますが、何とかペイが独占になってしまう世界の弊害について仄めかしていますな。

『さらに、例えば他国でCBDCが一般的になった場合には、わが国が金融サービス提供の面で不利にならないか、CBDCなしにこれと相互運用性を確保できるかといった問題も生じるかもしれません。デジタル化が進む過程では、以上のような問題だけでなく、今は予想できないような様々な課題が出てくることでしょう。』

ということで、まあ何でもCBDCやりゃハッピーハッピーみたいな話ではないし、そもそも中国様のCBDCだってDX云々以外にも目的(以下自主規制)。


『こうした問題に対する解決策のひとつとして、「CBDCが存在する決済システム」は、わかりやすいグランドデザインです。現在の現金と同様100%安全でどこでも受け入れてもらえる中央銀行発行の決済手段が、民間主体が運営する各種の決済サービス上で動いてくれたら、もっと便利で安心でしょう、ということです。』

『決済手段と決済サービスの提供は区別して考えることが可能ですし、この区別は決済システムやその周辺の諸問題を考えるうえで重要な視点になります。』

つまり、何とかペイが単なるプラットフォームになってそこで流通しているのはデジタル化された現金でっせ、となるとマネー供給の二重構造云々という話は無くなるのですが、プラットフォーマーだけでシステムの維持費を含めた飯が食えるのけ??という問題はあるのですが、そもそも論として何とかペイが今はチャージでお金預かり状態なのですが、それ自体にメリットがなくて、普通にプラットフォーム運営だけで食っていけるんだったらそれで良しって事なんでしょうね。

『例えば、データ利用などの面でも中立的なCBDCを決済手段として介在させることで、相互運用性のある形で決済サービス間の競争は維持され、消費者は好きな決済サービスと付随するエコシステムサービスを選べます。囲い込みや集約によるスケールメリットを否定するものではありませんが、誰でも使える決済手段の存在は、公共財として必要です。』

うんうん。ところでCBDCに決済情報とかを乗っけて蓄積するとかそういう事もあるんけ??

『もちろん、仮にCBDCを発行する場合、中央銀行は、あくまで公共財としての則を守り、民間決済サービスとの共存を図る必要があります。』

『この「共存」には、「水平的な共存」と「垂直な共存」があります。「水平的な共存」とは、CBDCのシステム以外にも様々な民間の決済ネットワークが並存するという意味ですが、その極端なケースとしては、CBDCを、民間決済システムを使えない、あるいは、使いたくない人のための限界的な手段として提供するということが考えられます。いわゆる「金融包摂」の考え方で、例えば、銀行口座を持たない人や遠隔地などで民間決済サービスのコストが見合わない場合の受け皿と位置付けるというものです。』

ファイナンシャルインクルージョンキタコレ。

『ただ、日本や多くの先進国では、そうしたケースは極めて限界的でしょうから、これらに対応するためだけに多額の費用をかけてCBDCのシステムを構築することは考えにくいと思います。』

あっさり味で金融包摂「だけ」の意味合いでのCBDCを却下しました。

『むしろ、普通の人が使う決済手段の中に、CBDC「も」存在するというモデルをイメージしたうえで、その必要性を検討すべきだと思います。そこでは、「水平的な共存」に加えて、「垂直な共存」すなわちCBDCのエコシステムの中で様々な主体がどのように役割を分担するか、が重要になってきます。』

うーん、CBDCが出来ちゃうと普通は業者にチャージするよりCBDCを選好の一択だと思うんだけどなあ。

『垂直な共存のためには、中央銀行が提供するCBDCは、比較的プレーンな、料理しやすい素材であることが望ましいでしょう。例えば民間が提供するひとつのウォレットの中で、民間の決済手段に加えてCBDCも使えるようにするのかもしれませんし、CBDCを使ったうえで新たなサービスを付け加えていくのかもしれません。』

ということで、この共存できるけ問題はアタクシ基本無理じゃネーノと思う。もし行けるとしたら、それは市場金利がそれなりに高くて、CBDCだと利息入らないけど何とかペイだと利息付く(だと多分銀行法上の問題が起きるから常に何%割引とかの方法だと思うけど)みたいな事が起きないと、と考えるとデジタル化推進のためにはマイナス金利解除からの利上げが必要ですな(ただのポジトーです気にしないで下さい)。

『様々な選択肢がありますが、日本銀行としては、皆様と一緒に、CBDCが存在する場合の決済システムの全体像を描いていきたいと考えています。』

へいへいそうでっか。以下はまあご挨拶みたいなもんですが引用だけしておきます。

『もちろん、今日お話しした課題に対する解決策はCBDCだけではありません。規制・監督・オーバーサイトなどによって決済ビジネスに対する安全性を確保することや、事業者間で協力して相互運用性の向上を図ることなど、多様なアイデアがありえます。取引から最終的な決済完了までの時間を極めて短くするような、テクノロジーによる解決もあるかもしれません。CBDCを導入することには、中央銀行・民間仲介機関の双方でコストがかかりますから、よく検討した結果、やはりCBDCではなくて、別の方法を模索したほうが良い、ということもありえます。それはそれで、デジタル社会における決済システムの方向性を決めていく上で、建設的なステップです。』

『日本銀行として、「現時点でCBDCを発行する計画はない」というこれまでの基本的な考え方に変わりはありません。ただ、「CBDCを発行する」ということが大きな決断であると同時に、世界各国で真剣な検討が進む中で「発行しない」ということも大きな決断になってきています。そして、発行しないのであれば、どうやってデジタル社会にふさわしい決済システムを構築していくか、考えなければなりません。いずれにしても現状維持はありえません。』

『本日は、実証実験の進捗状況等について情報共有させて頂くとともに、皆さまから幅広くご意見を聞かせて頂き、今後の検討に役立てて参りたいと考えておりますので、よろしくお願いします。』

まあ何だ。「いずれにしても現状維持はありえません」っての、日銀がねじり鉢巻きして勝手に「ぼくのかんがえたさいきょうのけっさいしすてむ」をぶっこみに行くんじゃなくて、民間によって起きるDX含む決済の進展に対してよりよい方策や、弊害防止措置を取るって話なら諸手を上げて賛成しますが、2%物価目標をするーしてるせいでヒマなんだか何だかしらんけど、気候変動なんとかみたいに日銀がいきなり「ぼくのかんがえたさいきょうのせいさく」とかデザインせんでよろしので(たぶん内田さんのこのトーンからしてそういう事は考えていないと思うのだが)ボチボチやって頂ければと思うのでした。








2021/10/25

お題「引き続きFED高官発言クリップクリップ(クオールズ理事講演の続きも)」

(ノ∀`)アチャー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211025/k10013320221000.html
参院補選 山口は自民が議席維持 静岡は野党が議席奪う
2021年10月25日 4時49分

当初はこんなの自民が負ける要素無しって感じでしたのに、静岡県ェ・・・・・・・・(しかも共産独自候補立ててるのに)というのは、まあ直前では逆転って観測が優勢になっていたらこの結果自体は来たかって感じではありましたが、いずれにせようーむこの。


〇パウエルがいつものテーパー利上げ分離論を一発ぶったようだが公式にないのでクリップだけ

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-powell-idJPL4N2RI3NT
2021年10月23日1:57 午前
UPDATE 2-テーパリング開始の時機到来、利上げはまだ=パウエルFRB議長

『[22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、FRBはテーパリング(量的緩和の縮小)を近く開始すべきだが、雇用が過度な低水準になおどとまっているほか、来年には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるインフレ圧力が弱まり、高インフレが緩和される可能性があるため、まだ利上げすべきではないと述べた。』(上記URL先より、以下同様)

例によって例の如くテーパー利上げ分離論を唱えておられます。そら(テーパリングを無事に開始するために)そう(利上げ示唆してタントラムはよー起こさん)よという感じですが。

『国際決済銀行(BIS)・南アフリカ準備銀行(中央銀行)のオンライン会合で「テーパリングの時期だと思うが利上げのタイミングではない」とし、労働市場の回復を忍耐強く待つことができるとした。』

ということなのでFRBのサイトを見に行くものの、甚だ遺憾なことにそれらしいものが新着に存在しておられないので、残念ながら内容を見れないのが惜しいな、と思うのはこの記事の後半部分で物価に関する説明がありました、ここの地の分のトーク具合とかが気になるんですよね〜。

『また「供給上の制約とインフレ高進は従来の想定よりも長く続く可能性が高く、来年も継続するだろう。賃金への圧力についても同様だ」と指摘。最も可能性が高いのはインフレ圧力が弱まり雇用の伸びが夏季に見られたペースに戻るというシナリオだが、「インフレが持続的に高進するリスクがあると判断すれば、確実にツールを活用する」とした。』

>インフレが持続的に高進するリスクがあると判断すれば、確実にツールを活用する
>インフレが持続的に高進するリスクがあると判断すれば、確実にツールを活用する
>インフレが持続的に高進するリスクがあると判断すれば、確実にツールを活用する

『その上で、供給網の目詰まりが予想通りに緩和し、サービス部門がより完全に活動を再開して雇用の伸びが加速すれば、FRBが担う責務の一つである完全雇用が来年にも達成される可能性は「大いにある」と述べた。』

ほっほー。

『ただ、物価上昇が根強く継続すればFRBは「確実に」行動を起こすと表明。「FRBの政策は、想定される多様な結果に対応できるようになっている」とし、「経済が予想通りに展開しているかどうか注意深く見守り、それに応じて政策を適応させる必要がある」と語った。』

ということで甚だ恐縮な事に全部引用してしまって申し訳ないのですが、記事だけだとこの後半部分がどういう文脈でどういうトーンで話をしているのか、イマイチ分からんので何なのですけどインフレ上振れ(あるいはインフレ期待のアンカー外れ)に対して対処します(こういうのは言ってるうちが華でガチで対処利上げするとなると色々とマズーな状況が続くので、「やりぞやるぞ」と言っている間に何もしないで済む事態になるのが一番オイチイのですけどさあどうなる)。

まあアレです。先週金曜にネタにした先週のクオールズ理事の講演も明らかにインフレ長期化警戒でして、FEDとして一番オイチイのは、この口先介入によって金融環境のガバガバモードが若干なりとも引き締まることによってその結果「インフレ対処の利上げをしないで済む」なのは良く分かったので、タントラムにならん程度の長期金利上昇はキニシナイと思うし、むしろこの「分離論」を1から10までナイーブに間に受けてゴルディロックスヒャッハー相場をやられる方がFEDとしては痺れると思うんですよね。まあ市場が勝手に来年2回くらいの利上げを少なくともFF先物やOISなどで織り込んだ状態になってしまっていれば、12月のSEPではこの市場織り込みに乗って追認する形で割とフリクション起こすことなく政策のタガを外せるのでオイチイのかなと思います(思いっきり個人の感想です)。


〇んな訳で金曜のクオールズ理事の続きから

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20211020a.htm
October 20, 2021
How Long is Too Long? How High is Too High?: Managing Recent Inflation Developments within the FOMC’s Monetary Policy Framework
Governor Randal K. Quarles
At the 2021 Milken Institute Global Conference "Charting a New Course," Beverly Hills, California

金曜日は手抜きにも程があって『Monetary Policy When the Goals Are Not Complementary』という真ん中あたりの所をちょろっとだけ引用しましたが、この小見出しの意味するところというのもお気づきの方にとっては今更ジローではありますが、いまだに雇用目標ガーとか言ってるへっぽこ何とかストの為に親切心で申し上げると、現状は物価目標と雇用目標のデュアルマンデートが「Not Complementary」とうゆうとる訳で、つまり雇用目標がショートフォールした状態だから、と言って金融緩和を大規模化する、ということをした時に、物価の方が「より望ましくない上昇」をする、というコンフリクトが生じている事態である、あるいはその可能性がある、という認識を示しているんですよね。

でもってそうなりますと、そのようなコンフリクトを想定しないで作成した昨年9月のロンガーランゴール&ストラテジーですけど、デュアルの目標に現状でコンフリクトが発生している可能性があるのですから、ストラテジーに関してはコンフリクトが現実になる可能性があるってんでしたらその時は対処を変えないとイカン訳ですな。というような話なので、まずはこの講演の場合は雇用の話は正直どうでも良くて物価の話をみないとイカン訳ですが、そうは言ってもクラリダじゃない方がそれなりに喋っているので。講演の前半から読む。


・露骨な言い方をしていないですが金利がある程度上昇するのは寧ろ結構位の話をしてるような気がするんだが

最初の挨拶はさて置き、そのあとの本論小見出しは『Outlook for Economic Growth』です。

『Recent data suggest that growth in the third quarter is likely to be lower than we had expected, but the foundations remain in place for strong economic growth over the remainder of this year and next.』

3Q(7-9)の成長率は予想よりも弱かったが年末から来年はstrong economic growthを見込むとな。

『Employment is growing, financial conditions are accommodative, businesses are investing, and households, in the aggregate, have a large stock of savings to draw on for future spending. Weaker growth in payrolls in August and September, along with uneven consumer spending in July and August, appear to reflect ongoing concerns in some parts of the country about the spread of COVID-19, especially in high-contact service industries.』

89月のお賃金の伸びがやや弱いこと、コロナが一部地域で再拡大していることなどは懸念材料です。

『Supply bottlenecks and labor shortages that have been more widespread and persistent than many expected are camouflaging continued strong underlying demand for goods, services, and workers.』

供給制約が予想よりも強く、持続的に推移していることが、財・サービス・労働者の基調的な強い需要をカムフラージュ(are camouflaging)している、という拙訳になるのですが、これは何ぞと思い次を読む。

『Supply constraints are particularly evident in interest-sensitive parts of the economy, such as residential investment and vehicle sales, limiting the scope for additional monetary accommodation to stimulate activity in those sectors.』

金利にセンシティブなセクター(住宅投資や自動車販売)において供給制約が顕著であるのは明白、と来たあと、まあ追加緩和のフェーズではないからそう書いても良いのかしらとは思いますが、しらっと「追加金融緩和を行うことによってこれらのセクターに対する需要喚起の余地が限定的になる」というのをぶっこんでおりまして、どう見ても金融緩和のプロコン分析あるいは限界論です本当にありがとうございましたという風情になっているのがほほーと思いました。


・とにもかくにも経済の見通しがやたらめったら強い

でもって次のパラグラフ。

『I expect that these developments, however, have for the most part simply postponed activity temporarily and that robust growth will return in the coming months.』

供給制約を食らっているセクターに関しては、今後数カ月のタームで供給制約の解消が進むことによってノーマルに戻るでしょう、という見込みにはなっています。

『There is evidence in recent weeks that we seem to be moving into a new phase of the economy. 』

ほうほうこの数週間で我々は経済の「新しいフェーズに移行した」だそうですよ

『Nominal retail sales rose seven-tenths of 1 percent in September on the heels of a nine-tenths increase in August, an indication that consumers kept up their pace of spending.』

消費者の消費ペースはキープされたままである。

『Robust business investment in equipment and intangibles continued in the second quarter, and indicators suggest another gain in the third quarter.

企業の設備や無形資産に対する投資は4-6もロバストに続いたが先行指標を見る限り7-9は更に増加したとみられる。

『Forward indicators of business spending and the need for firms to replenish depleted inventories point to strong investment into next year.』

企業消費の先行指標や、在庫払拭してしまった分の穴埋め需要などは、来年の強い企業による投資が行われるであろうことを指摘している。


・労働市場の見通しは基本強いし供給制約の解消には時間が掛かるとの見方

次が『The Labor Market Continues to Strengthen』という小見出し。

『Without a doubt, the headline job gains in August and September were lower than expected, but, as I will show, based on almost every other major labor market indicator, there is ample evidence that the demand for labor is strong.』

89月の労働増加のヘッドラインは言うまでもなく予想より弱かったが、と最初に入れながらも、そのあとは「as I will show, based on almost every other major labor market indicator, there is ample evidence that the demand for labor is strong.」と労働市場は強いでっせこれからデータをおみせしまっせ、と来るわけでして説明がありますがここはサラサラ流します。

『At last measure, the Labor Department reported that job openings remained near a record high in August, and a record number of workers were voluntarily quitting their jobs, an indicator of their confidence in finding a better one. Other measures of job openings by education level indicate that jobs are plentiful even for less-skilled workers who have been affected the most by the COVID event. Another indicator I've been watching closely is the so-called U-6 unemployment rate, which consists of people who are working part time but prefer full-time work and discouraged workers who want a job but have given up looking. U-6 unemployment declined significantly over the past two months to 8.5 percent in September, roughly the same level as in the middle of 2017, when most everyone considered the job market to be quite healthy.

ジョブオープニングス、自発的労働市場からの退出、熟練労働者の不足状況、U6失業率、などの例を挙げています。

『In fact-and this will not be news to most of you-shortages of skilled workers in many occupations predated the COVID event and are likely to persist after its effects have faded. Some of this shortage reflects the aging of the workforce, changes in the types of jobs people want to do, and the time it takes to train workers.』

でもってこのうちの熟練労働者不足は、コロナによる労働市場からの退出だけではなく、労働人口の高齢化によってもたらされている面があるので、解消するのにはお時間が掛かるでしょう、だそうです。

『Strong demand for labor is outpacing supply, and, naturally, that development is putting upward pressure on wages.』

お賃金キター!

『Through September, average hourly wages are up 4.6 percent over the past 12 months, the largest and most sustained increase in wages for workers since the 1990s.』

イイハナシダナー(じっと我が給与明細を見る)裏山鹿だなー(更に我が給(目から汗))。

『I noted the imbalance between the demand and supply for labor, and some of the labor market indicators that are still well short of pre-COVID levels are those related to labor force participation, which has been about unchanged this year on balance. I expect that as conditions normalize, this measure will pick up, but it is unlikely to return to its February 2020 level. 』

『One reason is that a disproportionate number of older workers responded to the initial shock of the COVID event by retiring, which may be an area where participation and employment struggle to retrace lost ground. Longer-lasting changes in labor force participation could make wage pressures more persistent and have implications for the assessment of maximum employment.

この需給ミスマッチに関してはコロナ起因の部分は解消に向かうものの、人口動態に起因する(=年寄りが労働市場から退出して新たなスキルの労働者が足りんのについてはジジババに訓練しないといけない話、ということね)面についてはコロナ前の状態に戻ってくれないんじゃネーノということで話を締めていまして、こちらも普通に労働市場の供給制約要因が長期化し、賃金にも上昇圧力が掛かりやすい、という裏山歯科にもほどがある威勢の良い話をぶっかましておられまして、これだけぶっかまして「テーパリングと利上げは別物でございますわよオーッホッホッホッホ」と言ってもお前なにカマトトぶってるねん、という感じではありますな(個人の感想です)。



・テーパリングの所は普通に予告ホームランなのと「テーパーしても緩和は続く」という説明

『Tapering Asset Purchases』という部分は概ねお察しの内容です。最初のパラは飛ばして結論パラへ。

『Taking all of the evidence into account, I think it is clear that we have met the test of substantial further progress toward both our employment and our inflation mandates, and I would support a decision at our November meeting to start reducing these purchases and complete that process by the middle of next year.』

11月会合で決定、来年の半ばにテーパー完了で行きましょう、と予告ホームラン。

『Bear in mind that asset purchases are pressing down on the accelerator, adding each month to the amount of accommodation the Fed is providing to the economy through downward pressure on longer-term interest rates. Reducing purchases and ending them on this schedule is not monetary tightening, but a gradual reduction in the pace at which we are adding accommodation.』

テーパーしてもネットの買入はテーパー終わるまでは増えますのでこれは金融政策のタイトニングではありません。というこれまたいつもの説明。


・物価上昇のセカンドランドが起きている可能性を指摘しているので重要と思われる部分が物価の話の中の最初にキタコレ

デュアルマンデートのコンフリクトの話は金曜に引用したので(若干手抜きでしたが)勘弁してもらって「長すぎ」「高すぎ」についてちょっと飛んで『How Long is Too Long?』に参ります。

『Going forward, the question is not only whether inflation will fall in the coming months, but also how far it will fall and if it will fall soon enough to avoid spurring a concerning rise in longer-term inflation expectations.』

焦点は「インフレ期待の宜しくない引き上げを避けながら物価が落ち着いてくれるの何時やねん」ということで。

『I agree with my FOMC colleagues and most private forecasters that inflation likely will decline considerably next year from its currently very elevated rate.』

FOMCの同僚さんや多くの民間何とかストが予想しているように、来年になると今のクソ高い物価のレベルは落ち着いて来るでしょう」という見た方に同意します、だそうです。まあ同意していないとか正面切って言い出したこっちが焦るわ。

『For instance, most of the September Summary of Economic Projections forecasts for PCE inflation in 2022 were between 1.9 and 2.3 percent, with a minimum of 1.7 percent and a maximum of 3.0 percent.3』

例えば、で出す例がSEPの見通しは説得力が・・・・・・・・・・・

『But I see significant upside risks to my current inflation outlook.』

物価の上方修正リスクは顕著キタコレ。

『Supply constraints in production and distribution already have become more widespread and have lasted longer than most forecasters anticipated. As noted earlier, labor supply constraints are making it difficult for businesses to keep up with demand. This dynamic will continue to support robust wage growth, putting further upward pressure on prices.』

『Moreover, there is evidence in the past couple of months that a broader range of prices are beginning to increase at moderate rates, and I am closely watching those developments.』

分かち書きして引用しましたが、前半の供給制約(財の制約と労働の制約)の話は毎度皆様が指摘しているのでいいのですけれども、後半(勝手に私が分割したんですが)にあるように「直近2カ月においてa broader range of prices are beginning to increase at moderate rates」となっている、というのを指摘している方が大きいポイントだと思います今回のクオールズ理事の物価に対するコメントでは。

つまりですね、供給制約やエネルギー価格上昇という一部の要因だったものが、今の所モデレートとは言え、ブロードレンジなプライスに上昇圧力を掛けている、っていうのはまさしく中央銀行の人たちが良く言う「セカンドランドエフェクト」という2次的効果って奴でして、これが起きると物価ちゃんが自律的&自己実現的にホイホイと上がってしまうの巻になるので、注意しないといけない(よってここでもI am closely watching those developmentsと仰せ)話で、ここは注目すべきポイントになると思います。


・とは言え生産と需要のギャップは存在するので供給制約から解放されたときの物価下振れ懸念もあるとな

『The fundamental dilemma that we face at the Fed right now is this: Demand, augmented by unprecedented fiscal stimulus, has been outstripping a temporarily disrupted supply, leading to high inflation. But the fundamental productive capacity of our economy as it existed just before COVID-and, thus, the ability to satisfy that demand without inflation-remains largely as it was, and the factors that are disrupting it appear to be transitory.』

需要を喚起するための緩和策によって、供給制約に起因した高インフレが発生しているのですが、一方で経済の生産と需給のギャップを見ると基本的に生産力過剰である状況になっているというのがジレンマですよと。

『Looked at purely in that light, constraining demand now, to bring it into line with a transiently interrupted supply, would be premature. Given the lags with which monetary policy acts, we could easily find that demand is damping just as supply is increasing, leading us to undershoot our inflation target-and, in the worst case, we could depress the incentives for supply to return, leading to an extended period of sluggish activity and unnecessarily low employment.』

つまり、供給制約の方がサックリと解消されますと、今度は経済の生産能力の過剰問題つなわち需給ギャップの問題が発生してくるので、そうなると今度は物価に低下圧力がかかりますぜ、とそっちも懸念している。


・供給制約下における財政ぶっ放しはインフレ期待のアンカーを外すリスクがあるに言及キタコレ!

『But "transitory" does not necessarily mean "short lived." Indeed, we are discovering that it's going to take more time than we had thought for supply to return to normal, and with demand already high during that time, I am monitoring the extent to which it could be further boosted by the additional fiscal programs currently under discussion.』

一時的、というのは短期間で終わる、という意味では必ずしもないのは今まさに起きている事の通りですが、さてそのような時に財政ぶっ放しているのですが、特に今議会で議論が進んでいsるようですが追加財政プログラムの影響について注視しております、と来まして、

『If those dynamics should lead this "transitory" inflation to continue too long, it could affect the planning of households and businesses and unanchor their inflation expectations.』

さあもりあがってまいりました!!!!!!!!!!!!!

ということで、供給制約下に大規模財政ぶっ放したら「一時的要因」がより長期化してしまい、それによって企業や家計のインフレ期待のアンカーが(高い方に)外れる可能性が出てきます、を頂きました。

『This could spark a wage-price spiral that would not settle down even when the logistical bottlenecks and supply chain kinks have eased. So the central question we have to answer is "How long is too long?"』

そうなると賃金と物価のスパイラルが炸裂しますので、もはや供給制約の解消ガーとか言ってられる場合ではない、ということで重要なのは "How long is too long?"という話です。ということで講演のお題の回収が始まる。


・とは言いましても今の所そうではないという言い方をして利上げテーパー分離論をしています

とは言え今の所この「一時的」期間が既に「トゥーロング」になったとは認定してません、当たり前だが。

『I am among those who see a good chance that inflation will remain above 2 percent next year, but I am not quite ready to conclude that this "transitory" period is already "too long."』

でもって、

『We haven't yet met the more stringent tests for liftoff that we have laid out in forward guidance about the federal funds rate. Let me quote from the latest FOMC statement: Raising rates will not be appropriate "until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time."4 Importantly, the level of uncertainty around the paths for inflation and employment are higher than normal as we navigate the unprecedented reopening of the world economy. Therefore, we will remain outcome based, waiting to see further improvements in employment and the evolution of inflation pressures in coming months. And, if the broadly held expectation that inflation will recede next year turns out to be wrong or if inflation expectations show signs of becoming unanchored to the upside, I am confident that the monetary policy tools at our disposal can bring inflation down toward our 2 percent goal.』

とまあそういう説明になっていまして、あくまでもまだデュアルマンデート達成が展望できるという利上げ条件には全然至っていませんよ、という話ですな。


・上ブレ容認がどの位まで行けるのか、という話はあまりFEDで議論になっていない模様

次の小見出しが『How High Is Too High?』なのですが、この最初のパラグラフを見ますと、

『I said just now that the central question is "How long is too long?" I am also keenly aware, however, that inflation of 4 percent or more certainly cannot be characterized as only "moderately" above 2 percent, and thus we also have to deal with the question of "How high is too high?" 』

4%インフレが "moderately" above 2 percentとは言えませんわな、という話をしまして、

『Moreover, the two questions are obviously related: we can tolerate inflation of 2.5 percent as supply returns to normal without dramatically affecting inflation expectations, for a much longer period than we can tolerate inflation of 4.5 percent.』

2.5%程度のインフレで、しかも供給制約が解消されれば戻って来るしインフレ期待にも悪影響与えないってんだったらそれなりに長い間の上振れも容認するけど、4.5%だとそう長い期間の上振れを容認しないですよね。

『So, how high is too high? I cannot speak for my FOMC colleagues on this issue, but I will conclude with some thoughts of my own.』

ということで、ここで書かれていますように、どうもこの上振れの数値自体に関してはそこまで深刻な議論をFOMCの中でしている訳ではなくて、やはり問題は「物価の上振れが長期化してインフレ期待が外れることによって賃金と価格のスパイラル状況が発生すること」を懸念していまっせ、という事だというのは把握しました。

なお、以下の部分はお時間というものの制約によりパスします(後日ネタにするかも知れんけど)。








2021/10/22

お題「FRB高官・上級職員の取引制限登場っすか/FSRが出ましたよ/FED高官発言ムーブをクリップ」

確かにあっという間に値段が変わっていましたわな・・・・・・
https://www.agrinews.co.jp/news/index/33309
2021年10月22日
野菜急落、全面安に 4年ぶり低水準 気温上昇で増量
| ニュース

『10月は産地の切り替わりを迎える品目が多い。北海道で夏日となるなど各地で気温が上がり、終盤、後続産地とも増量。高値反動も重なり、平年並みだった月初から急落した。ニンジンやピーマンは平年の半値を付け、結球、葉茎菜、果菜も3、4割安と、土物以外は全面安の展開だ。』(上記URL先より)

季節が急に飛ぶようになるとこれからも大変でしょうな。


〇というか今までどういうザル運用をしていたのかと(FEDの中の人の個人取引規制)

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/other20211021b.htm
October 21, 2021
Federal Reserve Board announces a broad set of new rules that will prohibit the purchase of individual securities, restrict active trading, and increase the timeliness of reporting and public disclosure by Federal Reserve policymakers and senior staff
For release at 2:00 p.m. EDT

そらそうよというか今まで何やってたんだと小一時間な訳ですけどにゃー。

『Following a comprehensive review, the Federal Reserve Board on Thursday announced a broad set of new rules that will prohibit the purchase of individual securities, restrict active trading, and increase the timeliness of reporting and public disclosure by Federal Reserve policymakers and senior staff.』

むしろアクティブトレーディングを出来るようにしていた、というのがおかしいだろと思う訳ですが、まあ良くも悪くもこういうのどスルーしてしまうのがアメリカンって事なんでしょうかねえ。

『As a result of the new policies, senior Federal Reserve officials will be limited to purchasing diversified investment vehicles, like mutual funds.』

投資信託に関しては桶なのは結構なのですが、そこで3倍ニキレバレッジファンドとかに突っ込んでしまうと結局意味なし芳一になるのですがさてどういう規制になるのやら。

『The new restrictions will apply to both Reserve Bank and Board policymakers and senior staff and prohibit them from purchasing individual stocks, holding investments in individual bonds, holding investments in agency securities (directly or indirectly), or entering into derivatives.』

なるほどなのだが(directly or indirectly)はアカンがミューチュアルファンドはOKの切り分けはどうなっとるんだ。

『The new rules are expansive and are designed to place the Federal Reserve's investment and trading rules at the forefront among major federal agencies.』

『"These tough new rules raise the bar high in order to assure the public we serve that all of our senior officials maintain a single-minded focus on the public mission of the Federal Reserve," said Federal Reserve Board Chair Jerome H. Powell.』

御立場上本件についてコメントをしないと行けないのは分かるが、パウエルが言うとお前が言うなの総ツッコミになるだけなので何のギャグかと。

『To help guard against even the appearance of any conflict of interest in the timing of investment decisions, policymakers and senior staff generally will be required to provide 45 days' advance notice for purchases and sales of securities, obtain prior approval for purchases and sales of securities, and hold investments for at least one year. Further, no purchases or sales will be allowed during periods of heightened financial market stress.』

売買(が可能なものに関して)については45日前に申請をして、購入したものは最低1年の保有を行う、なお「heightened financial market stress」の時の売買は禁止です。とか今までノーズロだったのがいきなりこうなるのもアメリカンらしいですな(個人の偏見です)。

『Reserve Bank presidents now will be required to publicly disclose financial transactions within 30 days, as Board Members and senior staff currently do.』

地区連銀の総裁は売買の30日以内の公表義務はFRBのボードと高級スタッフとは違って求められないとな。

『The Board and the Reserve Banks will incorporate these new restrictions into the appropriate Federal Reserve rules and policies over the coming months.』

詳しくは数か月のうちに出しますよ、だそうです。


〇金融システムレポートキタコレ!!!

このFSRなんですが、何故そうなっているのかはよくわからんのですが(部局ごとに使っているテキストエディターとかが違うんでしょうけど)、FSRシリーズのPDFファイルをテキストに落としてくると、(昔のバージョンのアップローダー使ってるワイが悪いのではあるのですが)MSテキストを日本語環境で落とすときの標準フォントANSIでフォローされない外字(Unicode対応)がバカスカ落ちてくるので、テキストに落としてペタペタ貼って引用してネタにする、ってのが出来ないんですよね〜。

他の部局が出す文書類ではそういう事が起きないのですが、機構局の出す一部の物件だけこれになるの出来ればご勘弁頂きたいのですけど、今までの地の文章のフォントがそっちだと直すのもホネなのはまあ分かりますので、半年ぶり10回目くらいですけれどもベストエフォートベースでご検討ありたく。

・・・・・そんな事情で引用するとなると(HTMLの所以外)一旦ネタ候補箇所をテキストに落として外字修正を手でやってから、ということになるので、たぶんネタにする手間かけられないと思います。悪しからずご了承くださいませ(平伏)。


https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr211021c.pdf
金融システムレポート 2021 年 10 月号のハイライト

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr211021b.pdf
金融システムレポート概要

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr211021a.pdf
金融システムレポート

従来は「概要」と「全文」があったのですが、今回から「ハイライト」というものが登場するという親切設計になっていて、おまけにこのハイライトの冒頭に「金融システムレポート 2021 年 10 月号のハイライト」という文字列があるんですが、これをワシのテキストに落としたら「金」が外字じゃなかったので喜び勇んで本文をコピペしたらやっぱり「金」が外字だったので絶望した!


なので、甚だ遺憾ではございますがそれ以前のご紹介ページのHTMLからサラサラと引用します。

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr211021.htm/
金融システムレポート(2021年10月号)
2021年10月21日
日本銀行
ハイライト [PDF 459KB]
概要 [PDF 1,353KB]
全文 [PDF 2,246KB]
「ハイライト」は、今回号の主要な分析を簡潔にまとめたものです。


・FSRではポストコロナの問題を扱っているというのにMPMでは・・・・・・・・・

『2021年10月号の問題意識』って小見出しから。

『今回のレポート(2021年10月号)では、新型コロナウイルス感染症が国内の信用リスクに及ぼす影響を点検する際、資金繰りに加えて、債務返済の重要性が徐々に高まってくることを意識しつつ、感染症拡大の影響が企業収益に及ぼす影響について、企業間のばらつきを精緻化したうえで分析を行っている。』

のっけから素晴らしい(いつものイヤミではなくマジで言ってます)問題意識でありまして、コロナ対策でその時はノーズロ支援も必要な面も一理どころか千里くらいあるのですが、そうは言いましても天災的な災厄の時に行うノーズロ支援を引っ張ると何が起こるのか、というのは本邦においては「震災手形の処理問題」という非常に重い知見を得られる体験があった訳ですよ。

よって、こういう分析をコロナ感染症の社会的経済的影響が弱まって来るのが現実的に展望されるこのタイミングで出す、というのは非常に意義のあることでして(個人の感想です)、いったんノーズロで出したものを未来永劫ノーズロ状態というのは不良債権問題製造装置としか申し上げようがないのです。

然るに、金融政策の方のウィングでは野口何がしとかいうボンクラおじさんが何を思っているのか「突然これを打ち切ってしまうと、それはかなり大きなショックがマクロ経済にかかるということも当然あり得るわけです。」とかあり得ない話をおっぱじめて、いやお前ら(当時は野口さんいなかったけど)コロナの始まった時期に「当初は流動性の問題ですが、その後ソルベンシーの問題になっていく」って話をしてたじゃん何で一旦広げた風呂敷を畳めないの?って風情の話をしている訳でして、せっかくプルーデンスウィングの方で分析をしているのにマネポの方がちゃんと生かせているのでしょうかというのが甚だ疑問になってしまうのが悲しい訳です。

『また、有価証券投資および外貨資金調達にかかるリスクを点検する際、国際金融市場での調整が、わが国金融機関の直面する有価証券投資・調達環境に与える波及効果について、個々の金融機関とノンバンク部門の有価証券ポートフォリオの重複度や資金調達プロファイルの違いがもたらす含意も踏まえて、分析している。』

ここまでまだ読めてない(昨日の午後出たもんで、汗)。


『マクロ・ストレステストでは、分析から明らかになった実体経済面と金融市場面のリスク認識を映じた3種類のダウンサイド・シナリオのもとで、金融機関と金融システムの頑健性を検証している。』

おや、2種から増えたけ?


・安定性に関する現状評価の総論部分はこう書くしかないわな

『要旨』という項目の『金融システムの安定性に関する現状評価』ですが、

『新型コロナウイルス感染症が引き続き国内外の経済・金融面に大きな影響を及ぼしているが、わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。』

そらまあヤバいですよとは書かんのですが、これがマジなのか大本営なのか、というのは分析の中身を真面目に読めば分かるようになっている筈です(そこもオブラートになっている時は基本的にかなりアレな状態であると思った方が良いです、ガクガクブルブル)。

『政府・日本銀行は、海外当局と緊密に連携しつつ、大規模な財政・金融政策や規制・監督面の柔軟な対応を迅速に講じ、経済活動の下支えと金融市場の機能維持を図っている。感染症の影響が大きい企業の資金繰りに厳しさがみられるが、金融機関の経営体力が総じて充実しているもとで、政策対応が効果を発揮し、金融仲介機能は円滑に発揮されている。』

『金融市場では、全体として良好なリスクセンチメントが維持されるなかで、株式市場や新興国への資金流入が続いている。』

編集のお時間の関係でしかたないですが、米国とか英国とかその他諸々の利上げがどうのこうのな局面に来たのでこの辺は次回どういう話になっているのかを楽しみにしております。


・先行きリスクに関して

『先行きのリスクと留意点』という小見出しですな。

『マクロ・ストレステストなどを用いた検証結果によると、先行き、感染症の再拡大や米国長期金利上昇に伴う国際金融市場と新興国経済の調整などの状況を想定しても、わが国の金融システムは、相応の頑健性を備えている。もっとも、仮に、国際金融市場が大幅かつ急速に調整する場合には、金融機関の経営体力が低下して金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済の一段の下押し圧力として作用するリスクがある。こうした観点から、特に注意すべきリスクは次の3点である。』

ストレステストの具体的な内容は概要をよめ(概ね概要読んでおけばある程度雰囲気は読めますのでとりあえずは概要読んで深掘りしたい所を本文読む、という読み方がお勧め)ですかそうですか。

『第一は、国内外の景気回復の遅れなどに伴う信用コストの増加である。感染症拡大が企業の資金繰りや債務返済能力に与える影響をシミュレーションしたところ、先行きの景気が回復基調を辿る場合には、企業の財務基盤が総じて強固なもとで、各種の企業金融支援策が強力な効果を発揮していることから、国内貸出の信用リスクは全体として抑制される。』

ほう。

『もっとも、感染症の影響は業種間・企業間で大きく異なっており、景気回復が遅れる場合には、その影響が大きい企業への貸出や、以前から脆弱性が蓄積していた貸出の信用力に悪影響が及ぶリスクがある。この観点から、感染症拡大以前から貸出が増えていた不動産業を巡る動向や、レバレッジを大幅に高めた大口与信先の収益動向なども注視していく必要がある。』

「以前から脆弱性が蓄積していた貸出の信用力」とかしれっとパワーワードをぶっこんできますね。

『海外貸出の信用リスクも、海外経済が総じて回復するもとで、全体として抑制されている。もっとも、感染症の影響が大きいとみられる一部ポートフォリオに劣化がみられる。また、今後、脱炭素に向けた世界的取り組みの影響が強まってくる可能性のあるエネルギー関連や先行きの需要に大きな不確実性がある空運関連の与信も、慎重にみていく必要がある。』

脱炭素キタコレと思ったらその後にいきなり「空運関連の与信」名指しキタコレw

『第二は、金融市場の大幅な調整に伴う有価証券投資関連損益の悪化である。』

キタコレ。

『わが国の金融機関は、国内の低金利環境が長期化するもとで、高めのリターンを求めて、内外クレジット商品や投資信託などへの投資を積極化してきた。』

だってマネタリーポリシーウィングが懲罰大隊の後ろの督戦隊の如く金融機関を追い立てるんだもんシャーナイやん。

『こうしたなか、グローバルな金融システムでは、投資ファンドなどのノンバンクが金融仲介活動に占めるプレゼンスが高まっている。近年、わが国の金融機関は、時価変動の相関でみた有価証券ポートフォリオの投資ファンドとの重複度が高まっており、ストレス時に直面する市場性リスクが、自身の投資行動だけでなく、ノンバンクの動向によって増幅される可能性が強まっているとみられる。今回の分析では、この重複度が高い金融機関ほど、国際金融市場におけるショックに強く影響される傾向が確認されている。』

うーんこの「分かる人には何のことだかわかる」感のある表現。

『第三は、外貨資金市場のタイト化に伴う外貨調達の不安定化である。わが国の金融機関が趨勢的に外貨資産を拡大するもと、2020年3月の市場急変など、調達手段の大きな代替を迫られるストレス事象も発生している。外貨調達手段や調達レートの決定要因の分析によれば、調達環境は、金利や投資ファンドの償還率などのグローバルな市場の変動要因に大きな影響を受けるだけではなく、調達先の分散度合いなど金融機関の調達プロファイルにも左右される。先行きの国際金融市場の調整リスクも念頭に、今後も外貨の調達基盤と資金繰り管理について留意する必要がある。』

ここは恐らく今後の問題は市場ストレスよりも短期金利上昇だと思いますが、まだ中身詳しくみてない(目次読んで概要を1分でチラ見した程度ですサーセン)ので後日ネタにするかもしれないししないかも知れない。

『なお、感染症の影響が収束したあとも、低金利環境と構造要因が、金融機関収益への下押し圧力として作用し続けると考えられる。そうしたもとで、金融仲介機能が停滞方向に向かうリスクや、逆に、利回り追求行動などに起因し、金融システム面の脆弱性が高まる可能性がある点に、引き続き留意していく必要がある。』

まあ問題が勢いよく起きるの後者の方じゃネーノって思いますが(前者の方は時間を掛けて即身仏になる話しなので)。


・・・・基本的にこの辺の問題意識自体は今回そんなに大きく変わっていないと思うのですが、日本以外の主要国(ECBは微妙ですが)で緩和政策のうち緊急追加ぶっこみ分の手じまいと、インフレがサガランチ会長による調整どうするの的なところで国際金融市場には今後ああだこうだとあると思うので、10月号を精読する前に4月号の話をしても鬼に笑われますが、有価証券ポートフォリオのリスクプロファイルとか、そっちの分析を次回突っ込んで来るかな、と期待しております。

なお、金融機関への課題とかいう部分もありますがそっちはパス。



〇FOMCに向けて相変わらずの要人発言ムーブ

・ウォーラー理事

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-waller-idJPKBN2HB1XD
2021年10月22日12:31 午前
FRBのバランスシート、2─3年で縮小すべき=ウォラー理事

『オンラインイベントで「バランスシートの規模を大きくしておく理由はない。証券が満期を迎えるにつれて自然に縮小させ、より小さな規模にすれば、その後再び規模を拡大させる必要があった場合に大きな余地を確保することができる」と指摘。今後数年間で問題なくバランスシートの大部分を縮小させることが可能だとした。

また、インフレ率が今後数カ月で予想通り収まらず、現在のペースで上昇し続けるなら、FRBは来年「より積極的な政策対応」を実施する必要があるかもしれないとの見方を改めて示した。』(上記URL先より)

オンラインイベントだったらFRBのサイトにテキスト出るかもとは思うのですが、惜しい事に今朝の時点では出ていないので確認のしようがないのですが、「物価動向がトランジトリーかを見るのに重要なのは向こう数か月」(というのは先般ネタにした時に「ちとそれ早くね?」って書きましたが)の話があって、より積極的な政策対応が必要になるかもネタもあったので、それ自体はただのコンファメーション。

ただここでバランスシートの規模縮小(と言っても単に償還落ち分をロールしないだけの話ですが)にがっつり言及しているのが今回の新味かな、と思いますが運よく中身が公表されたら目をとおしてみます(ネタにするとは言ってない)。


・ボスティック総裁(だいたいタカ派系)

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKBN2HB2LK
2021年10月22日5:32 午前
米FRB、来年第3四半期にも利上げの公算=アトランタ連銀総裁

『[21日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は21日、供給網の混乱と労働市場の制約に加え、消費需要が力強くなっていることで、米国のインフレ率は2022年に入っても高止まりし、連邦準備理事会(FRB)は22年下半期に利上げに踏み切る必要が出てくる可能性があるとの見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)

最近のアタクシはFRB理事や副総裁が何か金融政策についてスピーチをすると反応するようにプログラミングされておるわけですが、変態仮面ブラード総裁以外で具体的に利上げに踏み切る的な発言ってだいたい「来年の末の辺りでは金利ガイダンスで示す条件が満たされると思う(のでその辺で利上げの部分は言わないで済ますほぼ直接だけど一応の間接話法)」って感じでしたが、

『ボスティック総裁はCNBCに対し、利上げ時期として「22年の第3・四半期、もしくは第4・四半期の早い時期を想定している」と述べた。』

7−9に利上げと言えばテーパリングが終わったら返す刀で利上げじゃーんと思ったりするわけですが、変態仮面以外で7−9って言い出したの多分初めてチャウかなと思います。まあタカ派地区連銀総裁だから追い風か参考記録だし、OISとかFF先物のように先にぶっ飛ぶのを仕様にしている方面では既にそういう数字を市場がたたき出している、という事実isあるので、これ自体のインパクトはそこまで見る必要あるのかな、とか市場の数字も見ないで(ロイター開けてるなら見れよというツッコミはさて置きまして、汗)思うのでありました。



・クオールズ理事の一昨日の講演ネタの続き・・・・だがまたも時間がアレなのでちょっとだけでサーセン

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20211020a.htm
October 20, 2021
How Long is Too Long? How High is Too High?: Managing Recent Inflation Developments within the FOMC’s Monetary Policy Framework
Governor Randal K. Quarles
At the 2021 Milken Institute Global Conference "Charting a New Course," Beverly Hills, California

「長すぎる」「高すぎる」というのはどの程度の時なんでしょうか、ってのが講演のお題で、それはどう見てもインフレーションの話です本当にありがとうございましたという事ですが、経済物価情勢の認識の後に「物価と雇用のコンフリクトが起きている時にどうするのか」って話をしてから、さっきの「長すぎ」「高すぎ」ネタになるので、コンフリクトに関する部分をネタにします(すいません残りは明日じゃなった週明けに)。

真ん中あたりの『Monetary Policy When the Goals Are Not Complementary』というド直球小見出しのところから。最初のパラは「テーパリングは別に物価と雇用のコンフリクト問題ではなく通常の判断」って位置づけにしている話ですがそこは飛ばしまして金利に関する能書きから。

『But we are facing a situation now where inflation is high even though employment has yet to fully recover from the COVID event.』

雇用はコロナ前の水準を十分に回復できていない中で高インフレが起きるという問題に直面しております。

『In that case, according to the FOMC's monetary policy framework, when objectives are not complementary, the Committee "takes into account the employment shortfalls and inflation deviations and the potentially different time horizons over which employment and inflation are projected to return to levels judged consistent with its mandate."2』

でもって昨年のロンガーランゴール&ストラテジーでは「コンフリクトが起きている時は物価と雇用の今後の見通しに沿って総合的に判断、その際にはマンデートからの乖離状況(雇用の方は「ショートフォール」で弱い方の乖離状況)とマンデート達成見通し時期のタイムホライズンを考慮しまう」となっている。と来まして、

『Applying those principles throughout 2021, we have been very patient and focused on the need for the labor market to recover as quickly as practicable from the severe damage experienced during the darkest days of the COVID event. We are remaining patient because, despite some periods of rapid progress, the recovery in jobs has been uneven and is still incomplete.』

この原則にのっとって今年1年間我々は労働市場の回復に向けて金融政策をpatientに運営してた、ってことで緩和を引っ張っておりますがな、という説明、でもって今でも「We are remaining patient」だそうです。ホンマカイナって感じですが、まあ確かに利上げはまだまだって話をしている人の方が多い(のだがここにきて変態仮面に引っ張られる人がタカ派おじさんとは言え登場の巻っすけど)から忍耐強くは忍耐強くなんですがw

『Early on, patience was easy:』

おや過去形ですかそうですか。

『In December of last year, my FOMC colleagues and I were expecting much lower inflation-the median projection for 2021 by FOMC participants was 1.8 percent.』

何故過去形ですねんと言えば、こちらにありますように、昨年12月のSEPでは2021年の物価見通しがメディアンベースで1.8%となっていた訳ですな。

『The FOMC's preferred inflation gauge did not crack 2 percent until March 2021. But, by June, prices had risen 4 percent over the previous 12 months, ticked up to 4.2 percent in July, and increased further to 4.3 percent in August.』

しかし4月からホイホイと物価が上がりだしてしかも怪しからん水準になっておる。と来まして、

『The median of the most recent projections by FOMC participants traces a path in which inflation ends the year just a touch lower than the current level.』

FOMCパーティシパントのメディアンベースの直近の見通しでは今年の末くらいには現状のレベルよりも下がって着地するとみております、とのことで、

『Nonetheless, I do not see the FOMC as behind the curve, for three reasons:』

FEDはビハインド・ザ・カーブには陥っていない(キリッ)だそうです。その理由は、

『Most of the biggest drivers of the very high current inflation rates will ease in coming quarters, some measures of underlying inflation pressures are less worrisome, and longer-term inflation expectations are anchored, at least for now.』

最後に「at least for now」ってのが付いているのがチャーミングですが、「物価をアホほど押し上げている要因は今後数四半期のタームで弱まって来る」、「基調的な物価はヘッドラインの物価ほどアンギャラベーのアジャパーな訳ではないのでそこまで懸念するに及ばす」(実際は何で計測しても上がってるんですけどねえ、まあいいです)、「ロンガータームのインフレ期待が少なくとも今の時点ではアンカーされている」と並べています。

で、以下この3項目について実際にはこうこうこうなっておりますのでFEDは政策がビハインドなんぞしておらん、という説明があるのですが例によって時間の都合で後日ネタにするかも知れませんししないかも知れません。

まあ要するに上記のような3つのファクターがあるから別にワシら利上げ引っ張ってるの全然問題ないもんね、という話ではあるのですが、裏を返せばこの話の反例が揃ってくる、となると早期利上げに転ばざるを得なくなる、ってな話ですなあ、って話です。

つー事で何ですな、結局の所、インフレがサガランチ会長になるとこれは利上げ急がないと、って話になる訳で、毎度しつこく申し上げていますが、昨年あのストラテジーが出た時に「FEDは雇用重視に舵を切った」とか解説していた何とかストは全員廃業しろてえことでして、実際問題そうなのかというのはさて置きまして、物価に関しては中央銀行がより直接的にコントロール可能ということになっているので(今のように供給制約のある中で財政吹かしたらホイホイと物価が上がるのを見ると中央銀行が高インフレ抑制なら兎も角、低インフレの押し上げが出来るのかという話になるんですけどねー)やはりどうしても物価と雇用のコンフリクトが物価サイドがアイヤーこの状況マズイアルヨとなってしまいますと、そらそっちに行かざるを得ない、って話は当たり前だのクラッカーだと思うんですけどね。








2021/10/21

お題「地区連銀総裁ではなくてFRB理事方面から相次ぐインフレに対する考察キタコレである/その他」

門間さん絶好調過ぎる(^^)。
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/research/executive/pdf/km_c211019.pdf
終わったデフレの脱却を目指す?〜難しい日本語に決別を〜
みずほリサーチ&テクノロジーズ
エグゼクティブエコノミスト 門間一夫 2021 年 10 月 19 日

一々御尤もすぎてもうねという所ですが、悲しいのはこういう主張が日の目をみるようになるまで8年以上も無駄足踏んでるし、ただの無駄足なら救いはあるのですが、この間に広げた大風呂敷を畳むどころか、間違いを認めると死ぬ病のせいで政策の延命を企図してドンドン大風呂敷の上塗りをしまくってどうしようも無くなっている事であり、しかもそれを更に続けようとしている、という恐ろしい状態な事でありますな。


〇九龍城塞が積みあがっていますなあ(マクロ加算ボーナス付利の3層構造)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211020b.pdf
貸出促進付利制度のカテゴリー別残高(2021 年 8 月)
2021 年 10 月 20 日
日 本 銀 行

『カテゴリーT 50,464 億円
カテゴリーU 668,700 億円
カテゴリーV 593,019 億円
(注)積み期間における平均残高ベース。 』

・・・・・・・まあ何ですな、この特別付利は「追加金融緩和が出来るように」とか何とか言いながらぶっこんできた制度でありまして、先般ネタにしましたように、野口大審議委員様によりますと、「コロナオペを急に終了するとマクロ的なショックが起きる可能性がある」などというようなグレートコロナオペを実施しておられる流れからのこのマクロ加算ボーナスの3層構造になっておられるわけですが、折角追加金融緩和ができるように制度をぶっこみ、しかもインターナショナルに物価が上昇しておるという追い風もあり、ジャパンでもこれからコロナ後のペントアップ需要(笑)などが大量に出て来る!という見込みでおられるのであれば、今すぐにでも追加金融緩和をやったらどうでしょうかねえ(鼻ホジホジ)という所でございますな。

しっかしその場しのぎで始めたはずの政策がドンドン拡大して引っ込みがつかなくなっているとか、どこの日華事変だよと言いたくなるわけですが、この積みあがりまくった城塞もこれからどうやって整理整頓するのか(爆発炎上するまで整理しないのかもしれませんが)という感じです。

・・・・・・・えーっとですね、こういう複雑怪奇な特別付利みたいなのって、そらまあ銀行の資金部で日銀当座預金の進捗管理とかしている方は当然熟知されていますが、これ実際に手を動かしてカテゴリー何とかの残高がこうなって、みたいな管理をしている人以外にとっては最早訳分らん世界(自分が分からんのを主語を大きくするなというツッコミは華麗に却下^^)になっておりまして、それは何を意味するかというとこのマクロ加算ミルフィーユがコールレートの形成に影響を与える、という流れからしますと(マイナス金利のせいで市場分断が起きているとは言え)金利の基本部分である翌日物金利の形成を理解するために、この複雑ミルフィーユを確認しないといけませんがな、とかどう見てもシンプルなメッセージにならなくなっている、という事だと思うのよね。

金利形成のベースになる部分の価格形成構造がもはや訳分らん、という状況になっていますと、そらコミュニケーションだってわけわからん事になるわなと思いますし、複雑なものを更に複雑にしていっているのが更にタチ悪いわと思うのですが、税制みたいですけど、中銀のオペレーションなんて「簡素、公平」(中立は市場介入の上で完全中立はあり得ないから割愛するけど、オペ先ばかり特別付利が付くという制度は如何なものかとは思う)でやって欲しいものですな。

というただの悪態メモでした。


〇ボウマン理事の13日の講演という今更ジローで恐縮ですが資産価格のバリュエーションに指摘してるので

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bowman20211013a.htm
October 13, 2021
The View from Here: The Outlook for the U.S. Economy and Implications for Monetary Policy
Governor Michelle W. Bowman
At the Dykhouse Scholar Program Speakers Series in Money, Banking, and Regulation South Dakota State University, Brookings, South Dakota

前半の方はFEDが米国の色々な立場(サウスダコタは農業州ということのようですな)の方々から状況をお聞きしまして、多様な人たちの事を考えて政策をやっていこうとしておりますよ、ってな話を、というとザックリ過ぎですが、まあその手の基礎的な話をしておりますので(比較的オモロイちゃあオモロイのですが)パスして現世利益のコーナーから入ります。講演の前半3分の1くらいを全部すっ飛ばしまして現在の経済状況と金融政策に関して。


・労働市場の回復には時間が掛かるのを強調するのは早期利上げ思惑の牽制が多分にあると思われ

『Now that I've given you an idea of what this process looks like for me as a member of the FOMC, let me describe my view of current economic conditions, my outlook for the economy, and how I believe monetary policy can continue to support the recovery.』

という所から参ります。経済の現状と金融政策の貢献についての話ってのはそらそうよですが、

『Along the way, I will also highlight a few factors that I believe could pose a risk to continued progress toward our maximum-employment and inflation goals.』

ほうほうマンデート達成へのリスクとなり得るものへの指摘ですかそうですか。


『First, looking at the job market, stringent economic and social distancing restrictions imposed in an effort to contain the spread of the virus resulted in enormous job losses in the early months of the pandemic, with the unemployment rate surging from 3.5 percent in February 2020 (a 50-year low) to 14.8 percent in April 2020.』

『Since the middle of last year, however, as the economy started to reopen, we have seen steady progress toward maximum employment.』

労働市場ではコロナによる制約が続いていますがマンデートに向かって着実に進展はしているとな。

『That progress continued in September, with the unemployment rate moving down to 4.8 percent. Although the September increase in payrolls was smaller than many had expected, over the past three months we've seen an average of 550,000 jobs created, just down from the remarkable average pace of 567,000 per month in the first half of the year. At least part of the recent slowing in payroll growth seems to reflect a limited supply of labor. That's certainly what I've heard in South Dakota. Employers are having a very tough time filling jobs. I was told one ethanol plant needed to fill 15 jobs and got four applicants. In contrast, indicators of labor demand, such as unfilled job openings, remain exceptionally strong. 』

ここまではデータの話をしているが読み飛ばしても良くて、結論は、

『On balance, I anticipate that employment will continue to move up in the months ahead, although for several reasons that are unrelated to the stance of monetary policy, I don't expect that we will see employment fully return to pre-pandemic levels any time soon.』

ということで、パンデミック前のレベルに労働市場が早期に戻る、というのは金融政策では如何ともし難い部分に関わる理由もあるので、それは難しいと見ている、ってな説明になっています。

でもってまた先にネタバレしますと、このあと物価の話と資産価格の話(資産価格の話は物価の一環で出て来る)が出て来まして、そっちは上振れリスクがあるのでテーパリングが適切、という話をしております。まあ(外れ値ではない)理事がこういうロジック立てをしてきているのは、毎度おなじみのテーパー利上げ分離論でタントラム抑えつつ(と申しておりますが、最近の市場みてるとSEPのロンガーランを大きく引き上げる、みたいなエキセントリックな事をしない限りにおいては、早期利上げで景気がスローダウンするから超長期の金利はアガランチ会長、みたいな風情を出しているので、むしろ分離論を強調しなくてもエエンチャウかという気はします)、インフレの上振れ長期化やインフレ期待の上昇をけん制したい、という中々の無理ゲーではあるんですが、そういう流れで話を組み立ててる、って感じですね。

ということで先を急ぎますので何で雇用がコロナ前の水準まではそう簡単に戻らんと思っているのかというボウマンさんの説明をすっとばしまして・・・・・・・・・


・インフレ圧力のドライバーとして住宅価格上昇をしてきした上に住宅市場バブルとリーマンショックの話を絡めるの巻

ちょっと先に行きますと物価の話がキタコレになる。

『Let me turn now to our other monetary policy goal, price stability.』

はい。

『Earlier this year, as the economy was reopening, we saw a pronounced pickup in inflation, as prices for motor vehicles, electronics, and other goods rose especially rapidly. Most of these increases could be traced to bottlenecks in global supply chains. The bottlenecks were often the direct result of shortages of labor and key materials used in production and distribution. Demand for semiconductors has surged because of a sharp increase of spending on high-tech equipment and consumer electronics, investment in new wireless networks, and increasing usage of semiconductors in motor vehicles, appliances, and other goods. But throughout the pandemic, the supply of semiconductors has been significantly restrained by pandemic-related production disruptions, most recently in Malaysia and Vietnam. We are seeing shipments at record levels, and more capacity is expected to come on line, but the combination of strong demand and intermittent disruptions to this complex supply chain poses a risk that it could be some time before semiconductor supply issues are resolved.』

具体事例を説明しているから話がクソ長くなっているのですが、足元の物価上昇に関する見解は最後の部分、「but the combination of strong demand and intermittent disruptions to this complex supply chain poses a risk that it could be some time before semiconductor supply issues are resolved」ということで、サプライチェーンの不具合と旺盛な需要という組み合わせは想定以上に長期化するかもしれんし、それはリスクだよね、とのお告げ。

しかもこの後自動車の話と半導体の話と、その他サプライチェーン問題の話が説明されているのですが、これまた割とクソ長いので割愛して次の物価上昇要因に行きます。

『Another source of inflation risk comes from the lower labor force participation, which, as I mentioned earlier, has led some firms to offer inducements to bring potential workers back, including hiring bonuses and higher wages. Even with these incentives, however, many firms are struggling with staffing, and some are also offering training programs for new hires to develop required job skills.』

『Wage increases and these additional employee investments are increasing firms' costs, potentially adding to inflationary pressures.』

雇用の供給が回復しない中でお賃金やその他ベネフィットが上昇しており、企業のコスト増加につながるのでこれまたインフレ圧力につながりまっせと来ました。その次にサウスダコタでの講演だけあって、農業部門の話をしていまして、こちらは燃料価格などの上昇によるコストプッシュの話をしておりますが先を急ぐのですっ飛ばして3つ目の要因に参ります。

『Another source of inflationary pressure is the rapid increase in house prices, something that also raises potential concerns about valuation pressures.』

さあもりあがってまいりました!!!!!!!ということで住宅価格の上昇が物価上昇圧力キタコレ!

『The ongoing strength in housing demand is also notably driving up rental costs. Higher house prices also make it much more difficult for low- to moderate-income households to become homeowners, as larger down payments and other financing requirements, in effect, lock these households out of the housing market.』

価格上昇がインフレ圧力に、の話ついでにレントの上昇が中低所得者への打撃という話を盛り込んでいますね。

『Amid the booming real estate market, some bankers I spoke with recently cited concerns about a possible house price bubble and growing concerns about potential risks to financial stability.』

住宅価格バブルと(その崩壊による)金融安定化リスクについて言及する何人かの銀行家と話をした、とイタコ話法で資産価格のオーバーバリュエーション話をぶち込んでまいりました!!!!

『These concerns are a notable change from our conversations a year ago, when most bankers were appreciating the frenzied activity in this market as a means to boost income in a very low-rate environment.』

この状況、1年前とは大違いだそうです。

『Given the experience of the previous financial crisis, this development is something we should closely monitor.』

思いっきり「前回の金融危機の経験を鑑みて我々は住宅市場動向を注意深くモニターすべきである」とかしれっと凄いネタを連発してブチんでおりますな。

『Now, unlike the conditions leading up to that crisis, homeowners have fewer financial obligations and debts, and many of the financial system vulnerabilities that existed have been addressed. But homes are a widely held asset, and even a modest shift in the housing market, especially a decline in home prices, could have significant ripple effects throughout the economy.』

なお、現状については住宅保有者の負債比率がどうのこうのとか、経済全体に影響を与えるムーブには至っていないとか、さすがに今の状態をヤバヤバとまでは言ってませんね。まあなんせリーマン前は100%借入、しかも2年間は利息だけ払えば良い(のでその間に値上がりして転売して(゚д゚)ウマー)みたいなのが横行してアメリカンドリームになっていたので、そこから比べればまだまだ、ということでしょう。


『If elevated inflation readings continue into and through the next year, we may begin to see an imprint on longer-run inflation expectations.』

来年の物価も1年間この調子だとするとインフレ期待が上振れるリスク、とこれ自体は既にほかの理事もインフレ期待に関して懸念を示しているので、まあこの辺ははいそうですかという感じですけど引用続けます。

『While short-term inflation expectations have moved up with the recent period of increased inflation, longer-term measures have remained relatively stable. As we know, after reaching uncomfortably high levels in the 1970s and early 1980s, in more recent decades, inflation has run close to our 2 percent goal, helping anchor the public's inflation expectations at levels that seem consistent with our goal. This is relevant because the Fed has long considered the anchoring of inflation expectations an important condition for meeting our monetary policy goals.』

今のところは短期のインフレ期待があがっているけど長期のインフレ期待は十分に2%目標水準に適正な所でアンカーされているとの認識ですね。


・11月にテーパリング着手とかの話はまあ良いとしまして・・・・・・・・・・

『Finally, let's turn to the implications for monetary policy more broadly and the FOMC's most recent decision at our meeting in September.』

テーパリングの話になります。

『When actions taken to mitigate the spread of COVID-19 began to disrupt the U.S. economy and financial markets in the first half of last year, the FOMC cut short-term interest rates to near zero and began purchasing Treasury securities and agency mortgage-backed securities. These actions helped stabilize financial markets and sustain the flow of credit to U.S. households and businesses.』

『By the middle of last year, we were seeing signs of resilience in economic activity, with labor market conditions beginning to recover from the economic effects of the pandemic.』

昨年パンデミックでの経済下押し対策で政策をぶっこんできましたが最近は回復の傾向がみられますよ。

『In December, we indicated that we would start scaling back our asset purchases after the U.S. economy had made "substantial further progress" toward our maximum-employment and price-stability goals.3 We have been closely monitoring that progress since then, and, at our most recent policy meeting, we noted that, if the economy continues to improve as expected, this scaling back, or tapering of our asset purchases, may soon be warranted. 』

『I fully supported that assessment. Provided the economy continues to improve as I expect, I am very comfortable at this point with a decision to start to taper our asset purchases before the end of the year and, preferably, as early as at our next meeting in November.』

APPペース減額の条件は整ったので来月のFOMC後になるべく早くテーパーを開始すべき、とまあここまでは普通ちゃあ普通の話ですが・・・・・・・

『In my view, our asset purchases were an important part of our response to the economic effects of the pandemic, but they have essentially served their purpose. I am mindful that the remaining benefits to the economy from our asset purchases are now likely outweighed by the potential costs. In particular, I am concerned that our asset purchases could now be contributing to valuation pressures, especially in housing and equity markets, or that maintaining a highly accommodative monetary policy stance at this stage of the economic expansion may pose risks to the stability of longer-term inflation expectations.』

ここでまたしれっと強いネタをぶちこみにきているボウマン理事。FEDの資産買入政策が、資産価格、特に住宅価格や株式市場に対するオーバーバリュエーションをもたらしている可能性について懸念しており、APP継続によるリスクを除去するためにもテーパーをすべし、とか結構キテますねこの部分。

『If the expansion continues as I expect, I will support a pace of tapering that would end our asset purchases by the middle of next year.』

ということなので経済が見通し通りに推移すれば、来年半ばにはテーパリングを完了させるべし、ということで、出てきている政策べき論自体は執行部の中心的見解になるのですが、住宅バブルと株式バブルにここまで露骨に言及するのは(地区連銀総裁ならまだアリエールですけど)理事がぶっこむにしては結構踏み込んだ言い方をしているなあ、と思いましたのでクリップクリップ。


〇とか言ってるうちに今度はクオールズ理事がインフレに関する言及ということでインフレネタ大流行の巻

#なお時間がががが

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20211020a.htm
October 20, 2021
How Long is Too Long? How High is Too High?: Managing Recent Inflation Developments within the FOMC’s Monetary Policy Framework
Governor Randal K. Quarles
At the 2021 Milken Institute Global Conference "Charting a New Course," Beverly Hills, California

これは題名の時点でドンブリメシ3杯は行けそうなお題キタコレなのですが、毎度おなじみの如く時間が足りないので小見出しだけでも並べておきましょうず。

Outlook for Economic Growth
The Labor Market Continues to Strengthen
Tapering Asset Purchases

と、この辺りまでは経済物価情勢の判断と見通し、あーんどそれに沿ってテーパリングを始めまっせ、という話しなので(目を泳がせただけなので細かくは見てない、正直スマンカッタ)すが、ここから先がドンブリメシ3杯行けるコース。

Monetary Policy When the Goals Are Not Complementary
How Long is Too Long?
How High Is Too High?

でもってですね、まあさすがに小見出し並べるだけでは何なので最後の方だけざくっと引用しておきます。詳しくは明日続きやると思いますので、明日重複しちゃうかもしれませんが、最後の「How High Is Too High?」の頭とケツを引用します。これだけでもドンブリメシ2杯は行けるので。

『I said just now that the central question is "How long is too long?" I am also keenly aware, however, that inflation of 4 percent or more certainly cannot be characterized as only "moderately" above 2 percent, and thus we also have to deal with the question of "How high is too high?"』

『Moreover, the two questions are obviously related: we can tolerate inflation of 2.5 percent as supply returns to normal without dramatically affecting inflation expectations, for a much longer period than we can tolerate inflation of 4.5 percent.』

2.5%のインフレはサプライチェーンが要因がさっくり解消されて(How Longですな)その間にインフレ期待が上振れしない、というのなら特に問題はないと考えますし、4.5%だとしたら、容認できる期間は2.5%の方が長い期間になりますわな。

『So, how high is too high? I cannot speak for my FOMC colleagues on this issue, but I will conclude with some thoughts of my own.』

ということでお話があるのですが、途中は飛ばしまして、要するにインフレ期待のアンカーが外れなければヨロシ、というお話に帰着する訳でして、最後の2パラを引用しますと、

『My strong support for our consensus framework is predicated not only upon its new features designed to address inflation that falls too low, but also its commitment to prevent longer-term inflation expectations from rising materially above a level consistent with our 2 percent goal.』

インフレ期待が顕著に上がったらアカンがね、ということなので・・・・・・・・・・

『In this sense, the current elevated rates of inflation are not challenging our new framework any more than they would have challenged our previous framework or, for that matter, most reasonable frameworks for conducting monetary policy. As I said earlier, when our price-stability and employment goals are not complementary, the framework calls for policy to depend on the remaining shortfall from our maximum-employment goal, on the extent to which inflation continues to exceed 2 percent, and on the amount of time we expect it will take for employment and inflation to meet our goals.』

うにゃうにゃと説明していますが、クオールズさんは現状をインフレ期待アンカーされている、という認識をメインに置いているので、今の所その点でアギャーと言っている訳では無いのですけれども・・・・・・・・・

『I remain quite optimistic about the capacity and willingness of consumers and businesses to power a robust expansion as we put the COVID event behind us, even with the headwinds coming from the supply side. But that forecast for growth and uncertainty about the resolution of supply constraints mean that there are upside risks to inflation next year. So my focus is beginning to turn more fully from the rapidly improving labor market to whether inflation begins its descent toward levels that are more consistent with our price-stability mandate, as most forecasters and most of my colleagues on the FOMC expect over the next year. I would also be quite wary of further increases in inflation expectations in this environment.』

インフレ期待が今の環境において一段の上昇を示すことについては用心深いですよ、とのことでして(途中をすっ飛ばし過ぎとかツッコんではいけません)、

『If inflation does remain more than moderately above 2 percent, be assured that the FOMC has the framework and the tools to address it.』

ということで、物価がモデレートリーではない高さを維持する場合、我々のフレームワークに則って対処するツールは有りまっせ、ということで、まあインフレ高止まり警戒の話を入れていますけれども、たぶんこの辺りってタントラム起こしたいんじゃなくて、利上げ分離論をやり過ぎると今度はゴルディロックスヒャッハーモードになられても困る、とかそういうのを考えているのかね、とか勝手に想像しました。

しかしまあ何ですな、こうなって来ますと「平均物価目標」とは何だったのだという話になるのですが、そもそも論として「インフレ期待がアンカーされることを前提にした平均物価目標」というのが語義矛盾とまでは言わないですが、そんな簡単な話じゃないよ、ってのはドナルド・コーン元副議長も仰せになっていた通りでございまして、やはりドン・コーンが正しかったというのが分かって勝手にファンのアタクシとしてはやったぜとかそんなことを思いながら斜め読みしましたが詳しくは明日。




2021/10/20

お題「ウォーラー理事のインフレに関する講演なんぞがあったのでレアアイテムだから確認してみた」

いいぞもっとやれ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211020/k10013314001000.html
連合 来年の春闘 4%程度の賃上げ要求の方針固める
2021年10月20日 4時16分

しかしこの記事の最後にある記述がオチになってないオチで全米が泣いた。

『「連合」はことしの春闘でもベースアップの要求を掲げましたが、賃上げ率の平均は2年連続で2%を下回りました。』(上記URL先より)


〇欧州もFEDも英国も高官がよーしゃべるのですがとりあえずFEDネタ成敗で

いやもうBOEは総裁が利上げネタぶっこんでくるわ、オセアニア方面も利上げの前倒しみたいな感じになるわ、欧州はインフレーションコンサーンとかいう話に高官が対応しないとマズーだわ、という世の中になっておりますが、とりあえずテーパリングの予告ホームランを打っているFEDちゃんでも、ということで。

最近FEDはいつもの定番要人じゃない人もお話をしておりまして、金融政策ネタではあんまり前面に出てこないお方が発言してるので、レアアイテムはチェックという精神で、というよりも普段あんまり政策の話をしない理事が話をするとゆーのはそれはそれで何らかの意味合いが籠っているので、そういうのは
釣られてみる訳ですよ。という訳で先入れ先出しですが・・・・・・・・・


・ウォーラー理事

まずは昨晩ぶっこまれた案件でウォーラー理事のお話から。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20211019a.htm
October 19, 2021
The Economic Outlook and a Cautionary Tale on “Idiosyncratic” Price Changes and Inflation
Governor Christopher J. Waller
At the Stanford Institute for Economic Policy Research Associates Meeting, Stanford, California (via webcast)

『a Cautionary Tale on “Idiosyncratic” Price Changes and Inflation』とはこれまたキャッチーなお題で攻めて参りましたので、これは物価情勢の話をメインに読めということではなかろうかと寝起きの目も覚める案件キタコレ。



・最初に話のポイントを説明してくれているのがアリガタヤ

では最初から。

『Thank you to the institute for the opportunity to speak to you. Today my goal is to explain my outlook for the U.S. economy as well as how that perspective shapes my views on the appropriate approach to monetary policy.1』

先にネタバレしておきますと、この結論は最後の方にあって、テーパリングの話は既に市場的にも勝負がついている通りのお話をして、利上げに関しては「テーパーと利上げは別物」論で来ていましたのですが、返す刀で「インフレが見込みよりも強かったら利上げは今私が想定しているよりも前倒しになるでしょ」という風にぶっこんでいまして、これ報道的にどっちを拾うかでもイメージ違うな、とは思いますが、執行部としては基本は「目先のテーパリングが無事に始まってある程度進むまでは利上げを織り込ませにいくようなことはしません」だとは思うのですが、そうは言っても足元の物価情勢を分析した結果として市場が利上げを織り込みに行くのまでは止めに行かないのかね、とか何とか思うのでした。

『I have three points I would like you to take away from my comments.』

はい。

『First, while there has been a significant slowdown in third quarter gross domestic product (GDP) growth, it should rebound in the first half of 2022.』

今年の3Qは成長率の鈍化が見られますが、来年前半にはリバウンドするでしょう、という威勢の良い景気見通し。

『Second, I believe that substantial progress has been made on both the inflation and employment legs of our dual mandate. Hence, I believe that we should soon commence tapering our asset purchases.』

テーパリングをとっとと行うべしと威勢の良い(というかダンディールな訳だが)お話。

『Finally, the next several months are critical for assessing whether the high inflation numbers we have seen are transitory. If monthly prints of inflation continue to run high through the remainder of this year, a more aggressive policy response than just tapering may well be warranted in 2022.』

ということで、まあネタバレもへったくれもなく最初の所でも説明しているのですが(^^)、「今後の数カ月は、今の高インフレ状態がトランジトリーであるかどうかを判断するクリティカルな時期である」ときてからの、まあ順当ではあるのですが、「今年の残りの期間(!)物価が高止まりすると、2022年にはテーパリング以上のより積極的な政策レスポンスが正当化されるでしょう」としらっとぶっこみキタコレとなっています。

いやー、来年の1−3くらいまでは「これは一時的要因(キリリッ)」と言い逃れをしていくもんだという風にミーは認識しているザマスって感じだったのですが、「remainder of this year」ってそれさすがに判断が早くねえかという感じもせんでもない(個人の感想です)次第ですけれど、これってアタクシよくわかってませんけど、メリケン国の方では物価上昇に関して「これは一時的(キリッ)」ってのがだんだん政治的に厳しくなってきて、「ははははは、ライオン仮面!もう逃れることはできんぞ!!!」ってなっているのかなあと思いました(議長を替えてオシシ仮面にしても多分直ぐに同じことになる)。



・成長率見通しに関してはサラサラと参りますが普通に来年も3%成長見通しだそうです

ということで成長率の話になるのですが、ウォーラー理事の今回の講演の章立てとして、小見出しが、『The Labor Market Is Healing』、『Inflation』とあるだけでして、成長率見通しの話は労働市場の小見出しの前のマクラみたいになっています。

でもって何で金融政策の小見出しが無いのかというと、今回ちょっとオモシロ構成になっていて、労働市場の話の後に金融政策の話をして、更に物価の話の流れで最後にちょろっと入れている、って感じで分散して記述しているのよね。

んでもって成長率の部分ですが、今引用した次のパラグラフを見ますと、

『In terms of economic growth, data for the third quarter of 2021 show that the economic recovery slowed as the effects of the Delta variant caused consumers and businesses to start pulling back on some forms of economic activity such as travel and leisure. Measures of consumer mobility, which are a good indicator of spending, grew strongly starting last winter but then started falling in June, around when the effects of Delta started to become significant. I and most other forecasters expected that real GDP would grow close to the very strong rate posted in the first half of the year, but it now appears that GDP growth will be closer to 3 percent at an annual rate.』

パラグラフ一発引用しちゃいましたが、要するに「デルタ変異株の影響で年央に一時的に鈍化したけど引き続き来年にかけては年率3%程度の成長を見込む(なお年率3%はロンガーランと見てる水準より強いです、為念)」という話をしておるだけなので。

『The two major causes of this slowdown have been the extent of the economic effects of the Delta surge and the extent of supply constraints, both of which had larger effects than I and most forecasters expected. That was due to both the disappointingly low levels of vaccination in some areas and how highly contagious Delta proved to be. Meanwhile, we have seen labor shortages in many regions and many sectors that seem unwarranted given the level of unemployment and other indicators of slack in the labor market.』

次のパラは経済の先行きも含めた阻害要因で、やっぱりコロ助の話が最初に来る。話のついでにコロ助のせいで労働供給に制約が発生している話も入れてます。

『And supply constraints have been very widespread, with many causes, only some of them directly related to COVID-19. U.S. imports have been disrupted both at the point of export and at U.S. ports, with backups at major ports larger than some have ever experienced. Thus, a lack of inputs and a lack of labor to use them have created a dramatic headwind for GDP.』

供給制約の問題に関しては今までの中でかなり大きな供給制約が発生しており、これが成長のドラ待ちっくな阻害になっておられる、とまあ普通の指摘です。以下2パラ程ありますが、最初に示したポイントの部分とここまででお察しの話を丁寧に書いているだけで、別に新ネタがある訳ではないので割愛。


・労働市場の話は別にトピックとして並べて無かったのに小見出しにはあるの巻ですが

まあ最近さすがに市場トークからだいぶなくなってきたのですが、一頃はFEDちゃんのアクションを予想する何とかストの中でも、「FEDは雇用面も重視するので雇用が完全雇用に近づかないと政策の正常化に向けた着手は無いのでゴルディロックスヒャッハー」という話をする人多かった(個人の感想です)ですが、まあ昨年の例のロンガーランゴール&ストラテジー紙が出た時にやたらと「FEDは雇用重視」とかいうのも流行しまして(しつこく言うけどアタクシは「これただの条件付き雇用重視で物価がホイホイ上がりだしたら別もんじゃん」と当時より申しておりましたので申し添えます)おりましたな。

んな訳で労働市場の話が行われるのですが、

『Let me now turn to the recent job reports. For the month of August, I and many forecasters expected the economy would create 700,000 jobs or more, but the initial number came in at a disappointing 235,000. Hopes turned to September, but that report disappointed as well, with 194,000 jobs created. Despite these unexpectedly low numbers, there is still some good news from the September report-namely, that the disappointing number was due to unexpected declines in employment by state and local governments that may be attributed to limited labor supply that will work itself out in coming months. Private payrolls increased a healthy 317,000 jobs in September, and the July and August payrolls were revised up by 169,000 jobs.』

この辺現状までの記述ですが、良いと言ってみたり失望と言ってみたりしてましてどっちですねんという感じですが、

『Nevertheless, the numbers are concerning, given that as many as 8 million workers may have rolled off unemployment insurance programs in September. It is difficult to imagine that, going forward, these workers will continue to remain on the sidelines. This suggests we may be in for very healthy job gains in the last quarter of this year as these workers begin to fill the enormous number of available jobs.』

結局の所「ヘルシーな改善は続いているし当面もそんな感じ」ということのようです。でもって次のパラは色々な労働市場の指標をああでもないこうでもないと引っ張り出してきて説明しているのですが、引用してると先に進めなくなるのですっ飛ばして、この章の結論が金融政策どうするねんになっております(ただし労働市場サイドから見た場合でインフレの話は次の章になる)。

『Now let me focus on the Federal Reserve's goals for monetary policy. As the minutes of the September Federal Open Market Committee (FOMC) meeting conveyed, many participants judge that we have achieved substantial progress on our inflation goal.3 With regard to substantial further progress on our employment objective, I believe we have now met that criterion despite the disappointing jobs reports for August and September. We lost 22 million jobs during the early months of the pandemic recession. Two million of those jobs are likely gone forever due to early retirements. We have now regained approximately 17 million of those jobs, or 85 percent of what was lost after adjusting for early retirements. Furthermore, the September unemployment rate of 4.8 percent is not that far from the 3.5 percent unemployment rate that was realized in February 2020.』

やたら数字を出して来ますが、

『In summary, the labor market has experienced a healthy recovery, but it is not fully healed. While there is still room to improve on the employment leg of our mandate, I believe we have made enough progress such that tapering of our asset purchases should commence following our next FOMC meeting, which is in two weeks.』

結局「マンデート達成にはまだまだ改善が必要だが、テーパリングするのはおっけーおっけー」だそうです。


・盛大なインフレ上振れ懸念を頂戴いたしました!!!!!!

さてメインイベントの『Inflation』

『Inflation has been running higher this year than I and most forecasters expected. It has not been high for just a month or two-it has been high all year.』

数カ月ってもんじゃなくて1年間物価が私および皆様の予想以上に上がった、というのから入りまして、

『It is important to acknowledge that.』

『The unexpected inflation we have observed has raised costs for households and businesses and complicated their planning, which has a real effect on people's lives.』

と、現状の物価上昇は良からぬ状況にあることを最初からぶっこんできました。

『For the Fed, the question is whether higher inflation this year undermines moving toward our economic goals.』

ほうほうそれでそれで?

『On that score, I continue to believe that the escalation of inflation will be transitory and that inflation will move back toward our 2 percent target next year. That said, I am still greatly concerned about the upside risk that elevated inflation will not prove temporary.』

引き続き私は今の物価上昇(the escalation of inflationとかいう強い表現)はトランジトリーと信じていますが、一方で私は物凄い勢い(greatly concernedという強い表現)で今の高インフレがテンポラリーじゃないっていうアップサイドリスクを懸念している、とこの章の1パラ目から突っ込んできました。


『We have seen substantial increases in many prices. Lumber prices skyrocketed through May but have largely retraced that increase in the past few months. Prices for used cars rose substantially from mid-2020 to mid-2021 but now seem to have stabilized at this higher level.』

物価の個別コンポーネントの話が始まりましたが、ここでウォーラーさんの懸念は、

『At present, I am closely watching prices for housing services (rent and owners' equivalent rent), which saw modest increases last year but have picked up recently.』

レントの価格上昇と、

『In addition, energy prices have moved up noticeably in recent months, and market conditions suggest risk of further increases.』

エネルギー価格、ということでして、エネ価格の方は市場価格があって見えやすいのですが、レントの方を先に説明しておりまして、確かにアメリカンのレントの価格ってちょっとキナ臭いどころか焦げ臭いですよね(欧州もそうですけど)。

次のパラグラフになります。

『As I said earlier, I still see supply and demand working here to moderate price increases so that inflation moves back toward 2 percent. But I also see some upside pressures on inflation that bear watching.』

また「I also see some upside pressures on inflation that bear watching」と来ました。

『Bottlenecks have been worse and are lasting longer than I and most forecasters expected, and an important question that no one knows the answer to is how long these supply problems will persist. Through our business contacts, we continue to hear stories about bottlenecks at almost every stage of production and distribution-for example, plants that shut down because of a shortage of one or more crucial inputs; a poor cotton crop in the United States due to weather, which is driving up prices; and clogged ports and trucker shortages.』

供給のボトルネック問題も長期化しているうえにどこまで続くのかが見通せていません。

『Meanwhile, wage gains have been strong. That apparently has not made its way into prices yet, but how long before it becomes a factor driving inflation? Firms are reporting that they have more pricing power now than they have had in many years, as consumers seem to be accepting higher prices.』

同時にお賃金の上昇も強く、今の所それが価格に転嫁される動きはみられていないものの、消費者の価格上昇容認に伴い、企業の価格決定力が過去数年よりも強くなっていると認識しており、いつまでも価格転嫁が起きないという訳ではないですわなあ、と懸念する懸念する。

次のパラです。

『The simple answer is that I believe the next few months will be crucial to understanding whether elevated rates of inflation last and if that will trigger a lasting effect on the U.S. economy.』

ということで最初の方に言ってた「今後数か月が物価の見極めの勝負時期」という話になりまして、

『We will know more as time goes on about whether inflation in the prices of those goods and services will level off or even fall, as lumber prices have, and how other prices will evolve. But, importantly, we will also know whether this period of higher inflation has started to affect expectations of future inflation.』

実際の物価だけではなくインフレ期待の上振れも警戒いただきました。では次のパラですが、

『A critical aspect of our new framework is to allow inflation to run above our 2 percent target (so that it averages 2 percent), but we should do this only if inflation expectations are consistent with our 2 percent target. If inflation expectations become unanchored, the credibility of our inflation target is at risk, and we likely would need to take action to re-anchor expectations at our 2 percent target.』

昨年導入したフレームワークはインフレ期待がアンカーされていることが前提で、アンカーされてるからアベレージターゲットとか言ってたわけでインフレ期待が上振れたら話は別、と当然なのですが説明を入れまして、


『This raises a couple of key questions: Whose inflation expectations do we examine, and how do we determine if they are unanchored? 』

ここからインフレ期待がどうのこうのの話になる。

『With regard to the first question, we measure inflation expectations two ways. First, we survey the public and ask them what they expect the inflation rate to be in coming years. The University of Michigan household survey and the New York Fed's Survey of Consumer Expectations are examples of this "survey approach." 』

『Second, we can infer inflation expectations from differences in yields between Treasury securities that are indexed for inflation and those that are not. These breakeven inflation measures from the Treasury Inflation-Protected Securities market are referred to as "market based" measures of inflation compensation.』

インフレ期待の計測ははサーベイベースと金融市場ベースがありまっせ。

『Survey measures give us an idea of what the average household expects inflation to be in the coming years. Presumably, this measure of expectations is important because it should influence households' wage demands as they seek compensation for an increasing cost of living. A key drawback of these measures is that the respondent incurs no benefit or cost from the accuracy of their forecast. This is why I have always preferred market-based measures of inflation expectations, because they are formed by investors who are betting with real money about future inflation. In short, they have skin in the game.』

ウォーラー理事は金融市場ベース(TIPSベース)のインフレ期待の方を重視しているとの由。

『This brings us to another question: Are inflation expectations anchored around our inflation target of 2 percent? Survey measures have shown a dramatic increase in inflation expectations over the past few months. The recent New York Fed measure has short- and medium-term inflation expectations at 5.3 percent and 4.2 percent, respectively. This is eye opening and a genuine cause for concern should households embed these expectations in wage demands. 』

『However, market-based measures of inflation expectations and the five-year inflation expectations from the New York Fed survey continue to be anchored near our 2 percent target. I also look at the Board of Governors staff's common inflation expectations measure, which distills a signal from both surveys and market-based inflation gauges. At this point, at least, it remains near its average over the past decade. This gives me some comfort that the recent run of high inflation readings has not led to an unanchoring of inflation expectations. 』

『It is important to account for all measures of inflation expectations and not "cherry pick" the measure that one finds most comforting.』

えーっと時間がアレなのとめんどくさくなったので端折りますが、要するにサーベイベースのインフレ期待は目の玉引ん?くレベルで上昇していますが、市場ベースの方は上がったには上がったけど過去の平均的な水準から逸脱しているというレベルでは無いので、ウォーラー理事は現状ではインフレ期待が上に抜けているという風には思っておらず、その点は安堵できますな、というご認識。

『I would like to follow up on this last point as it pertains to thinking about inflation.』

今度はインフレ計測の話になる(長い〜)

『As I mentioned earlier, a lot of commentators, including me, have deflected concerns about high inflation readings being the result of "outliers" or "idiosyncratic" price movements. As a result, recent high inflation readings are transitory and not broad based. But there is a fallacy in doing so that one should avoid in judging whether higher inflation is indeed transitory.』

『A basic tendency of statistical analysis is to exclude outlying or more volatile data. There are sound reasons for this, such as when we exclude volatile food and energy prices to get a measure of "core" inflation; that kind of measure often is more stable and can tell us whether the underlying forces behind inflation are moving as rapidly as it might seem from headline inflation. 』

『A similar logic applies to trimmed mean measures of inflation, such as the Cleveland Fed trimmed mean consumer price index and the Dallas Fed trimmed mean PCE (personal consumption expenditures) inflation rate. These measures censor the tails of the price change distribution to avoid having average inflation distorted by extreme price movements. However, inflation is distilled from many prices, and those prices do not move uniformly.』

『As a result, we may be led to "falsely" dismiss certain price movements and risk being misled as to the true inflation rate.』

コア指数とか刈込平均とか色々な側面から物価をみていかないといかんぜよ、という話をしている。

『Let me use a simple example to illustrate this point. Consider a three-good economy with goods A, B and C, and look at how their prices increase over time. In one world, the price of each good goes up 2 percent every year. Thus, average inflation is 2 percent every year, and there is no reason to question that measure, as it is broad based. This is typically what we have in mind when we think about trend inflation. In this world, inflation is meeting the FOMC's 2 percent target and there is no need for a policy change.』

でもって幅広い物価上昇とは何ぞや、という話を上記のようにしまして、以下ああでもないこうでもないと説明があるのですがさすがに引用するのめんどくなってきたのですっ飛ばします。(長いのでドンドン端折る)


・でもって金融政策ですがさっきのとおりです

『This brings me to how I believe monetary policy should evolve in the coming months, based on the outlook I have described. The near-term decision we face is when to begin slowing the pace of asset purchases, which have each month been adding to the level of financial accommodation provided by the Fed to support the economy. Our test for this step was making "substantial further progress" toward our employment and inflation goals. After years of running below 2 percent, the recent and sustained increase in inflation clearly represents substantial progress toward our goal. And the continued gains in employment, despite a couple of months of a slowdown, along with results across a range of labor market indicators, indicate to me that there has also been substantial further progress toward maximum employment. I support the FOMC beginning to reduce asset purchases following our meeting in November. Importantly, this action should not tighten financial conditions, since a later 2021 tapering has already been priced in by most participants.』

『One issue on which we should also be clear is the pace of tapering. I have said in the past that I favor a pace of tapering that would result in the end of asset purchases by the middle of 2022. Of course, if economic conditions and the outlook were to deteriorate significantly, we could slow or pause this tapering. And if the economy were to strengthen more than expected, the plan to rapidly end purchases would provide policy space in 2022 to act sooner than now anticipated to begin raising the target range for the federal funds rate.』

『Based on my outlook for the economy, however, I do not expect liftoff to occur soon after tapering is completed. The two policy actions are distinct. I believe the pace of continued improvement in the labor market will be gradual, and I expect inflation will moderate, which means liftoff is still some time off.』

『That said, as I mentioned earlier, if my upside risk for inflation comes to pass, with inflation considerably above 2 percent well into 2022, then I will favor liftoff sooner than I now anticipate. A major consideration will be my judgment about whether inflation expectations are at risk of becoming "unanchored"-rising substantially and persistently above 2 percent. My FOMC colleagues and I will be watching all of the data carefully in the coming weeks and months and will adjust policy as needed to help ensure the U.S. economy continues to recover from the effects of COVID, and that we continue to make progress toward our economic goals.』

サーセン時間が無いので引用だけになっちゃいましたが(マジですいません)、結局のところ「今のFEDの見通し通りに物価が落ち着けば、別に利上げを急ぐ必要はサラサラ無いのだが、インフレの長期化、特にインフレ期待の上振れが起きるようなら利上げも急ぐ必要が出て来るので、その点はよく見て行きましょうね」という結論で、まあタカ派かと言われるとそこまででもないと思うのですが、いずれにせよインフレーションダイナミクスとインフレーションエクスペクテーションの両方に懸念をしているのはよくわかりました。


で、本当は13日のボウマンさんの講演もネタにしようと思ったのですが、途中の物価の説明がクソ長くて時間があれになってしまって面目ない。続きは多分明日。




2021/10/19

お題「野口審議委員ェ・・・・・・・・・・・・/先週金曜にCBDC関連が大量に日銀から投下されている件について」

うっかり見落としていたがこれはワロタ(ワロエナイ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8228f7d8f70744220d4dd0a446d3a0b59a46a677
「不足するIT人材は移民で受け入れを」デジタル庁が初の有識者会議
9/28(火) 21:17配信 最終更新:10/1(金) 11:09
電波新聞デジタル

『デジタル庁は28日、デジタル社会の形成に向けて議論する有識者会議「デジタル社会構想会議」(座長・村井純慶大教授)の初会合を開いた。地域目線のデジタル化を求める意見が浮上したほか、不足するデジタル人材を「移民」で受け入れるなど、踏み込んだ提言も相次いだ。』(上記URL先より)

えーっと、賃金水準が低すぎて海外に流出する方を心配するのが先という状況において、どこの世界で移民の方が(そもそも単純労働でも微妙なのに高度技能を使ったお仕事で)お越しになられるという発想になるのかさっぱりわからんし、だったら国内で人材教育に投資しろよ馬鹿としか申し上げようがないのだが、どうも「安い人材を買い叩いてブラック待遇でこき使って利益(゚д゚)ウマー」という発想しかないんですね。

・・・・・・まあこれはガースー内閣の時だしデージンはNTT平井だし、というのが唯一の救いなのですが、その後こちらはどういう話になったのでしょうかね。


〇昨日ので終わりにしようと思っていたが野口審議委員の御見識を鑑賞したいので続きを軽く投入

いやー現世利益に1ミリも関係ないので皆様のお役には立たないのですが、何というかこういうアホウが芋蔓のように日銀のボードにぶっこまれる、という置物芋蔓システムが循環している、ということを宣伝すべきとの思い、などという偉そうな話ではなくて単に読んでてトサカに来るので書き物にすることによって上がった血圧を下げようと思って書いているだけですが。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk211015a.pdf

しかしまあ何ですな、芋蔓問題というのは安倍ちゃんの世界だけではなく、民間でもうっかり口が上手くて偉い人とのコネがあって経歴が見た目美しい人をうっかり部門とかのトップとか、下手したら経営に連れて来ると、馬鹿が馬鹿を集めて徒党を組んで蔓延するので、組織に元居た優秀な人は腐るか出て行くか、みたいな悲惨な事例というのは散見されるのですが、民間企業の場合はどこかでさすがに気が付くか、あるいは企業そのものが淘汰されるかなので、そういう意味でのビルトイン・スタビライザー(というと少々違うが)があるんですが、政府組織でそれをやってしまうと救いようが無くなる、というのが置物芋蔓システムの害悪という所でしょうな。

ということで芋蔓先生の素晴らしい見識の続きを少々。


・世界的な物価上昇はデマンドプルだそうだし質問の肝心の趣旨には答えないし

昨日引用した部分でも大概としか言いようがない見識をご披露いただきましたが、実はその後の質疑も大概に大概だったりするのだ。これは後の方の質疑になる。

『(問) 二点お伺いさせてください。先ほど交易条件のお話もありましたが、マーケットで、今スタグフレーションという形で、物価の上昇と景気の減速が併存していくのではないかという懸念が指摘されているかと思います。仮に今後、海外の物価上昇が国内にも波及してきた場合に、その物価上昇の仕方は安定的だと評価できるものなのかどうなのかということが一点です。(後半割愛)』

ちなみに今回の金懇、ご当地質問に関するのはまあご挨拶みたいなもんだからさて置きますと、昨日引用したのでもお分かりのように、何気に良い質問が多くて、そういう意味では「この人初回だからちゃんとした事を喋るかな」という期待が記者さんの方にもあって質問するものの、結局アホじゃんとなると聞く方もやる気なくなる、というのはまあ一理どころか十理くらいはある。

『(答) まず最初に、スタグフレーションの問題ですが、確かに、今一部でそういった議論が顕在化しているということは私も認識しています。これは端的に言って、物価の上昇が非常に激しいということかと思います。スタグフレーションというのはあくまでもインフレと不況の併存という状況です。そういう意味で今がそんなに不況かというと――不況になる可能性はあるかもしれないということは確かにその通りで、これからインフレになり、そのインフレが、人々の消費意欲を減らしていく可能性が出てくるかもしれませんが――、私自身は個人的に、現状では、そういう状況にはまだないであろうと思います。』

まあこういう認識だ、というのは別に見解として理解できるのですが・・・・・・・・・・・・・・

『今起きていることは、あくまでも人々のペントアップ需要が一時的にですが盛り上がっており、その中で供給が追いついていない。特に米国は、このコロナ禍で働くことをやめて、そういう人たちがまだ十分に職場に復帰できていない、むしろ自発的に忌避しているという状況から人手不足が続き、賃金も上がっているわけです。そういう意味でいえば、物価も上がり、賃金も上がっているので、これはあくまでも需要が引っ張って、起きている現象であり、これは不況という言い方は少しそぐわないと考えています。』

現在が不況ではない、という主張は今の所で言えば仰せの通りではありますが、スタグフ(は大袈裟だと思うけど)って言ってる人たちは別に今をスタグフと言っている訳では無いのですから、「現時点で」不況ではないからスタグフではない、というのはそもそもの部分でスタグフの話とかみ合っていないですし、供給不足が一時的問題で解消、って単純に言ってられるかの話でもあるし、なんかこういう単純な回答をしている時点で何ゆうとるねんという感じですわな。というか今はディマンドプルってのもディマンドプルだけでここまで一気に物価上がらんじゃろという感じですよね。

次の話もこれまたドイヒー。

『日本が今後、ペントアップ需要が顕在化するときもそういうことであって、もう既に企業物価も相当上がっていますので、局所的にはかなり物価が上がるというかたちで顕在化することがあり得ると思います。しかし、それがいわゆるスタグフレーション、つまり不況をもたらす可能性は、それほど私は大きくないのではないかと思います。(後半割愛)』

結局この人、スタグフの定義論だけ延々と話をしているのですが、そもそもの質問の本旨はスタグフ云々ではなくて「仮に今後、海外の物価上昇が国内にも波及してきた場合に、その物価上昇の仕方は安定的だと評価できるものなのかどうなのかということが一点です。」という話なのに、スタグフのほうばっかりに反応した説明ばっかりしておりまして、これは最初のスタグフという言葉で頭が一杯になってしまって質問の本旨を理解しないまま喋っているのか、それとも「悪い物価上昇」ネタを触りたくないのでスタグフの定義論に持ち込んで誤魔化しているのか、という話になるかと思うのですが、これが黒田さん雨宮さんクラスの場合は明らかに後者であると思うのですが、昨日引用したように、野口さんは置物芋蔓クオリティなので(まあだから若田部さんが先に副総裁に呼ばれたんでしょうなあとやっとわかりましたが)前者の可能性がありそうなのがワロエナイ。


・賃金が何故今回は上がると思うのだろうか

こんな質疑がありました。

『(問) 国内の賃金についてお伺いします。今日のご挨拶の中で、米国の事情の違いとも触れられて、労働の供給制約的な面からの賃金の上昇は限定的なのではないかと、お話しをされていました。今後、日本の賃金の上昇に向けて、大きなトリガーとなりそうなことで注目している点や今後の見通しについてお話しください。』

という質問へのお答え。

『(答) これも今日、私がお話しさせて頂いたように、コロナ禍の以前でもかなり、一部では人手不足ということが言われてきたわけです。実際、コロナ禍の前では、非正規雇用がかなり増え、正規雇用が並んで増えていたわけですが、2020 年初頃、コロナの直前ぐらいにはむしろ非正規雇用よりも正規雇用の増加率が大きいというような状況が起きていたわけです。』

とまあここまでは良いとして、この次の部分、句点で話を切ってますが、話しの切れ目でブチブチと切って引用するぞよ。

『残念ながらそれが明確な賃金上昇につながるというところにまでは至りませんでしたが、』

そうですねー。

『失業率が一番低いところで 2.2%まで下がったという状況なので、部分的には賃金がかなり上昇しているような分野もあったと考えると、』

はい。

『まずそのコロナ前の状態まで戻していけば、相当に賃金の上昇が顕在化する地合いというか、回復できるのではないかと私は期待しています。』

????????

えーっとすいません、コロナ前でも人手不足の問題は起きていて、その時に明確な賃金上昇に前回繋がらなかったのに、何でそれが戻ると「相当に賃金の上昇が顕在化する」って言えるのでしょうか????????だいたいからして置物緩和政策を実施する中で、「今度こそ賃金が上がる」って何回言ってましたっけ?

『まずは、一刻も早く経済を正常化していくということが当然課題になるわけです。』

コロナ対策も正常化して下さい。というかこの人の言う正常化って全部コロナ前に戻すみたいな言い方をしていて、それは虫が良すぎるんじゃネーノ(コロナがちょっとタチが悪くて伝染力が高くて季節をあんまり問わない流行性感冒の一種、まで降格すればまだしもですがいつになるのやら)と思う。

『コロナ禍の中では、これは日本だけでなくて各国政府が相当財政支出をして支援をしてきました。日本の場合には、雇用を減らさないように様々な手当をしてきました。米国の場合はそうではなかったために、一時的に失業率の急上昇がありましたが、』

おっかしーなー、FEDってペイチェックプロテクションプログラムっていう施策を打ち込んでいたんだけどなー、同じ中央銀行の人なんだから、こういう雑な整理されたらあれだけ鳴り物入りでぶっこんだ(まあ見せ金説は確かにあるが)ペイチェックプロテクションプログラムも浮かばれませんな。

『日本の場合はそこまでいかなかったわけです。そういう状況を考えると、日本の雇用を減らさないような様々な手当自体は賃金の上昇を弱める動きではありますが、しかし、もともとかなり人手不足の地合いがありましたので、そういうところにまず持っていく。ペントアップ需要が顕在化していけば、意外と思った以上に早くそういうところまで回復してくるのではないかと個人的な期待ではありますが考えています。』

どうもお賃金上がる根拠はただの山勘だったようです。

『期待通りにいかなかった場合には、先ほどの話のように追加的な金融緩和がもしかしたら必要になるかもしれないということになりますので、その状況をよく注視していく必要があると考えています。』

あのーすいません、期待通りにお賃金あがらないでってのは、今しがた野口さんが言ってた通りコロナ前からあったんですから、(コロナ前は野口さんいなかったからそこは仕方ない面があるんだが)その間に何で追加金融緩和をしないで、むしろ「長期化覚悟の為の延命をするから買入拡大ペースを縮小」みたいな話をしていたんでしょうか日銀ちゃんは、という話ですな。

それ以前の問題として、追加緩和をして物価目標が早期達成できるんだったらとっとと追加緩和をして頂きたい訳でして、マイナス金利にYCCとかいう円金利の世界をぶち殺しにかかる施策を何年続けてるんだ(しかも最近は往生際悪く政策の長期化を企図して色んな名目を使って補助金付利をぶっこむ有様)と小一時間問い詰めたいし、「見込み違いに気が付いたから追加緩和」ってあーた政策はプリエンティブに行うもんじゃ無いのかよとか、もう読んでて情けなくなって来るんですけど。


〇CBDCに関するネタ

最近すっかり気候変動ネタの方に食いついている日銀ちゃんですが、本来業務からの関連で言えばどう見てもこっちの方が取組みとして力こぶを入れる課題ですが、そちらの進捗状況報告。

・まずは先日のG7で出た件

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211014d.htm/
G7による「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」について
2021年10月14日
日本銀行

『G7が策定した「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」(原題:Public Policy Principles for Retail Central Bank Digital Currencies (CBDCs))をG7議長国英国が公表しました。

詳細につきましては、以下をご覧ください。』

ということで、

G7財務大臣・中央銀行総裁の声明(原文 [PDF])<英国財務省ウェブサイトにリンク>(仮訳 [PDF])<財務省ウェブサイトにリンク>

「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」(原文 [PDF])<英国財務省ウェブサイトにリンク>仮訳 [PDF 928KB]

ってのがあるんですが、「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」の仮訳がこちらになります、と言ってもこれが堂々の22ページですが、原文の方は27ページありやがります。

日本銀行仮訳
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/data/rel211014d.pdf
リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則(仮訳)

原文(URL長いのでハイパーリンクは途中までの文字列にリンクしました)
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1025235/G7_Public_Policy_Principles_for_Retail_CBDC_FINAL.pdf
Public Policy Principles for Retail Central Bank Digital Currencies
(CBDCs)

こちらはCBDCぶっこむにあたっての政策上の原則、というか抑えるべき論点について説明していまして、以下仮訳から引用すると、最初の所に

『原則 1.通貨・金融システムの安定

原則 1:あらゆる CBDC は、公共政策上の目的の達成を支え、中央銀行によるマンデートの遂行において障害にならないほか、通貨・金融システムの安定にも無害(do no harm)であるように設計されるべきである。』

とありますが、まーこの点は相変わらずアタクシ思うのがどうも少数派っぽいのですが、CBDCを無制限に使えるようになった場合って、既存預金からのシフトが起きる派でして、根拠としてはジャパンの金融機関がアイヤーでペイオフ問題がウンジャラゲ、みたいな話をしている時に、銀行券がどんだけ出ましたですかとか、預金の分散化や、企業の余裕資金の預金から投資信託へのシフトとか、そういうのを概ね現場だったりそれに近い所だったりで見ているだけに、確かに今のように一見金融システムが盤石な時にはそういうのが顕在化しないのですが、現金という物理的な制約があるものと違ってCBDCの場合は保管コストや両替(というか何というか)コストが極めて低いが故に、取り付け騒ぎの発生の仕方が未曾有の阿鼻叫喚というか、あっという間に金融機関の資金繰りが突然死するレベルになりかねないと思うの。

まあそんなことは研究している方々も先刻ご承知だと思うのでが、1997年から1998年に金融機関の前にできた行列やら整理券配ってロビーのお客さんを捌いた風景を目の当たりにした身としては、こういう設計をしている新進気鋭の内外の若い衆が、リアル(まあアレも昭和恐慌に比べればハナクソレベルだと思うけど)取り付け騒ぎのインパクトに対しての体感がないまま議論してねえか、というのはとっても気になるところです、とか言うとはいはいおじいちゃん満州の話はさっきもしたでしょと同じじゃねえかと言われそうですねすいませんすいません。

もちろんその「マネーの二重構造」をぶち壊す可能性に関しては言及されていまして、上記の中に箇条書きで論点整理があるのですがその中に、

『・CBDC には金融仲介機能に与えるインプリケーションがあり、慎重な設計と実装が求められるであろうことは認識しつつも、同グループの最近の分析11は、銀行の仲介機能阻害や貸出に与える影響を銀行部門が管理できるであろうことを示唆している。』

こういう「最近の研究」は基本的に信じないことにしているし、しかも今回なんてCBDC推進グループの研究なんだからお手盛り成分が混じってるだろうなあという偏見があるアタクシ(読んでみたい気はするがちょっとそこまで手が回らんわね。緩和政策正常化のネタがぶっこまれる最近では)。

『そこでは、金融システムはダイナミックに進化しており、長年にわたり様々な構造変化をうまく切り抜けてきたとしている。』

だから今回も大丈夫ということですか。よくわかりませんな。

『CBDC に関わらず、民間部門の動向は、類似の預金代替リスクを生み出すかもしれないほか、CBDC の導入は、銀行やその他の金融仲介機関にとって更なる革新的な機会を生み出すかもしれない。それでもなお、中央銀行はそうした影響をどのように管理するかについて、特に CBDC の移行期を通じて慎重に検討しなければならないだろう。』

まあ結論としては「慎重に検討」ですから、チャイナ辺りがやってるのを見てニヤニヤしながら制度設計について考えればエエンチャイマスかね、とは思うのですが、チャイナの場合は基軸通貨国ではないし、そもそも気の利いた富裕層は海外に資産を持とうとする程度に国内政府に対して(ピー音につき聴取不能)なので、預金の二重構造が壊れてどうのこうのという話に関しては参考にならんかな、という気もします。


原則は以下延々と続きますが、サイバーセキュリティとか、安定稼働みたいな技術的な論点は実用化を遅らせることにはなっても、技術面の話なので克服できると思うのですけど、こっちは中々の問題だと思いまする。

『原則 6. 不正な金融
原則 6:あらゆる CBDC は、犯罪を助長する利用の軽減にコミットするとともに、より速く、より多くの人々が利用可能で、安全かつ安価な決済に対するニーズを慎重に統合する必要がある。』

ということで、決済に関わる部分って今や金融機関はアンチマネロン、テロ資金対策でどんだけコストかけて設備投資してるんだという位の勢いで厳しく対応している訳で、そういう中に金融屋決済部族じゃない人たちがいつものウェーイってノリで決済業務に突っ込んで来るのマジでムカつくんですけど、と話が全然違ってしまいましたが、まあ何ともあれこの部分は技術革新だけではいかんともし難い面が。


基本的な原則部分の最後の項目はちょっと笑ってしまいました(^^)。

『原則 8. エネルギーと環境
原則 8:あらゆる CBDC のインフラにおけるエネルギーの利用は、国際社会で共有されたネットゼロ経済への移行に向けたコミットメントを支えるために、可能な限り効率的であるべきである。』

そう来たか・・・・・・というかそんだけ気候変動気候変動言うならクリプトカレンシー禁止しろよいやマジでと思いますが、チャーミングな論点も鑑賞しましょう。

『・デジタル化の進展とともに、情報や価値の保管・処理・移転に活用される IT インフラは、エネルギーの重要なグローバルなユーザーになりつつある。CBDC は、必要な機能、性能や強靭性に関する目標を達成しつつ、カーボンニュートラルかつ持続可能なエネルギー資源の活用等を通じて、将来の決済エコシステムが最適なエネルギー効率のためにどのように設計されるかの目印をつけるための機会を提供する。

・ エネルギー使用は、あらゆる CBDC の設計や実装に当初から織り込まれるべきである。

・ 気候関連の開示(例えば、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに整合的な開示)を公表する中央銀行は、その報告書において CBDC の運営が環境にもたらす影響について開示することを検討すべきである。』

と思うのならクリプト(以下同文)。

『原則 10. 金融包摂

原則 10:当局は、CBDC が金融包摂に貢献する役割について検討すべきである。CBDCは、現金が果たし続ける重要な役割も補完しつつ、既存の金融システムから排除されている、もしくは既存の金融システムが十分に行き届いていない層による、決済サービスへのアクセスを妨げてはならないほか、可能な限り改善すべきである。』

ファイナンシャルインクルージョンについては誠に仰せの通りなのですが、一方でアンチマネロン系の話しとの親和性がよろしくない一件ではあるなあと思う次第で、そらまあ先進国でそこまで深刻な問題ではないと思いたいのですが、世界的にはファイナンシャルインクルージョンの問題がこれまた大きい話だなと思います。だからどうしろというのは無いのですが。

まお、原則は13までございます。


・という訳で日銀の取り組みに関するプレゼン資料と内田理事の講演(講演ネタは後日)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211015c.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み
2021年10月15日
日本銀行決済機構局

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211015a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211015a.pdf
【挨拶】
CBDCが存在する、あるいは存在しない決済システムの将来像
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第2回)」における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2021年10月15日

ということですが、気候変動ネタの方が最近は金融屋さん食いつきが良い(そらそうでCBDC方面は技術面の話とかあるし、何せ手間暇大いにかかるネタなのに対して気候変動がどうしたこうしたは以下自主規制ですからな)のですっかり最近はネタになっていないのですが、決済方面に関しては金利市場の末端で飯の種を得るようになってから何かとアタクシ縁がある(そもそも多くの年寄りにあるようにアタクシもバックオフィスからの叩き上げ)ので、こういう話には釣られクマーなのですが、これ盛りだくさんの論点があって簡単に料理できる素材ではありませんな。

ということで「取組み」の方の頭だけ今日は引用しておきます。

『1.日本銀行の基本的な考え方

・ 情報通信技術の急速な進歩を背景に、内外の様々な領域でデジタル化が進んでいる。技術革新のスピードの速さなどを踏まえると、今後、CBDCに対する社会のニーズが急激に高まる可能性もある。』(上記日銀資料の中にある「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み」から引用、以下同様)

ほうほう。

『・現時点でCBDCを発行する計画はないが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要。』

はい。

『・ このため、内外関係者と連携しながら、実証実験と制度設計面の検討を進めていく。

・ デジタル社会にふさわしい決済システムのあり方について、幅広い関係者とともに考えていく必要。CBDCは、現金と並ぶ決済手段としての役割に加え、民間の事業者が、イノベーションを発揮して様々な決済サービスを新たに提供する基盤となり得る。』

別に「デジタル社会にふさわしい」とか大上段に構える必要はないと思うんですけどね、決済システムって究極的には隔地間での資金決済を如何にして安全確実に行うか、という話でしょ?????


『・ 現金に対する需要がある限り、日本銀行は、今後も責任をもって供給を続けていく。』

よーし言ったな、という所ですが、次のページを見ますと・・・・・・・

『2.「間接型」の発行形態

・ 一般利用型CBDCを導入する場合、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造(「間接型」発行形態)を維持することが適当。

・ 仲介機関やその他の民間事業者が、その知見やイノベーションを通じて、ユーザーのニーズに合ったサービスを提供。日本銀行は、こうしたサービスの土台となるCBDCを設計し、供給していく。』

となっていて、マネーの二重構造は維持する(というかしないと色々と面倒な事になる)ようですが、実際問題としてどうやって二重構造維持するのってのはあって、補助通貨みたいな感じでCBDCが使われるんだったらそら二重構造維持されるんですが、だったら別にCBDCじゃなくて今のように民間でも十分ジャン、とかあるのだが、これがまたマネーの流通に関しては国によっても色々とご事情が違うのでムツカシヤな論点だと思います。

ここで以前もご紹介しましたが、「金融の未来 ポストフィンテックと「金融5.0」(山岡浩巳著、金融財政事情研究会、2020)をとりあえず読むべきである、と最後に唐突に人のふんどしを持ち出してぶっこんで来るアタクシ。ああISBNは置いておきますね。

ISBN978-4-322-13534-4

#ということで今回のCBDCネタは盛りだくさんにも程があったのでボチボチと(どうせ先を急ぐネタでもないので)参ろうかと思います。






2021/10/18

お題「野口審議委員金懇会見でございますが・・・・・・・・うーん」

盗っ人モーモーしいとはまさにこのこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA068F10W1A001C2000000/
日本の年収、30年横ばい 新政権は分配へまず成長を
データが問う衆院選の争点
経済
2021年10月16日 2:00 (2021年10月16日 5:13更新) [有料会員限定]

ショパンの事情でたまたまこの土曜の朝刊1面トップ記事を拝読してしまったが、お前らがそういう社会を鉦や太鼓鳴らして推進しておいて何偉そうに言ってるんだよ反省して新聞社ごと無くなれよ馬鹿という折角の週末に大変に血圧の上がる思いをしてしまいましたのでどことは申しませんが(こら)実に健康に悪い新聞ですな。


〇野口審議議員初回金懇会見である

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk211015a.pdf

10枚もあるわーと思ったら最初の3枚は冒頭質問とご当地質問だったので事実上4枚目から始まるのだが、その一発目から凄いのが来ましてちょっと眩暈がするのですが・・・・・・・・・・・・・


・コロナオペを止めるとマクロ経済にかなり大きなショックが掛かる可能性という珍説が登場しました!!!!!

本件について野口さんが確固たる知見を組み立てているとは思えないので、雰囲気で話をしているのか、それとも執行部の九官鳥をやっているのかどっちか、ということだとアタクシは認識していますので、まあいずれにしても本件に関する今のMPMメンバーのニュアンスは分かるかな、と思う次第ですが。

『(問) 野口審議委員の午前中の挨拶の中で、コロナの特別プログラムに対して、感染症の経済への影響が十分に和らいでいけば縮小させるべきものであるがその判断は慎重でなければならないというご発言があったと思います。そうすると、現在、来年 3 月末までの期限で行っていますが、その後の延長も前提に考えなければならないという趣旨のご発言なのでしょうか。それとも、今のコロナの感染状況をみて、どのようにプログラムのあり方を考えるべきなのか、お考えをお聞かせください。』

『もう一点が、これを縮小させるべきものというところが、大体どういう状況に至った時にその判断に至るのか、その辺りの審議委員のお考えを併せてお聞きできればと思います。』

という質問。しかしまあ何ですよ、海外では最早「財政と金融の連携」じゃなくてコロナからのリバウンドの中で財政をブーストさせすぎちゃって需要の戻りが無茶苦茶凄い事になって、物価上昇圧力をどうする、って話になっているのに、日本は何周回遅れてますねんと思うのですが、と話が逸れましたが野口さんの回答。

『(答) 今ご指摘頂いた「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」は、特にコロナ禍で状況が悪化したことへの対応ということでありましたので、新型コロナウイルス感染症が収束していけば、その中で徐々に手じまいというか、そういう方向にするというのが原理原則ではあります。』

はいそうですね。

『ただ、実際にやるということになると、色々な問題を考慮しなければならないということになります。』

ここでコロナオペ残高とそのマクロ加算適用の話でもしてくれますと格好が良いのですが、当然ながらそんな話は一切出てこない時点で残念ですが初手から期待していないので別に失望はしない、所詮置物一派の知見なんてそんなもんじゃろ。

『まず最初に、新型コロナウイルス感染症がかなり収束したとしても、また第 6波や第 7 波といったような変異株の拡大は十分あり得ます。』

そうですね。

『その兆候が起きたときに、一度やめてしまったものを再びやるというよりも、そういう可能性がある限りは、ある程度そういう制度も維持させなければならない、維持させていく必要があるということです。』

何を言ってるんでしょうかねえ。可能性がある限り維持しなければ行けないってそんなこと言ったらなんだって可能性はあるんだし、新型コロナ感染症の罹患者が増えても公衆衛生上の措置で経済が止まるような事を回避するっての日本は知らんが海外でそっち方面でやっとるんだが。

『それから、現在、公衆衛生上の措置を、新型コロナウイルス感染症がだいぶ減ってきましたので、縮小させているわけですが、それも徐々に、きわめて徐々に石橋を叩くように行わざるを得ないということです。その間は、当然経済への影響は残るわけです。』

『完全にコロナ以前のように自由に飲み食いができるという状況になるには、やはり相当な時間を要するということが言えるわけです。』

『3 月末までにそういう見通しがつかない、完全に以前と同じようにできるという見通しがつかないのであれば、やはり当面それは延長、その他の措置を取らざるを得ないということになると思います。』

ウィズコロナの新しい日常という概念は無いみたいです。なるほどそういう大変にユニーク(婉曲表現)な発想なんですね、頭が痛い。

『その辺りは、あくまでも状況次第ということであり、この感染に伴う不確実性をまずは十分に配慮して考えなければならない、きわめて慎重でなければならないというのが私の考えです。 』

マネタリーベース拡大とかマイナス金利とかに関してはその政策の孕む副作用とかをまるで配慮しないで突撃して違法建築増築金融政策ばっかりやってるのに手じまいの話になるとこれ、ってのは要は今の黒田日銀が「間違いを認めると死んじゃう病」の重篤な患者になっているので、とにかく今までの施策の手じまいは(ステルスで誤魔化して手仕舞う以外の正面切った手じまいが)できない、という失敗を指摘されないようにする、という極度の保身体質になっている、ということを意味するんだろうなあ、というのは把握した。

『れと、これを手じまいさせていくという場合ですが、その場合でも、今度は日本銀行が本来の使命としている 2%の「物価安定の目標」がありますので、それを阻害しないような形で、上手く手じまいしなければならないということにもなります。』

コロナオペ縮小でそんなに凄いインパクトがあるんだったら、短期間であれだけの額が出たオペなんですからさぞかし物凄い効果が出てるんでしょうね(鼻ホジホジ)、と思ったらこの次に珍説が登場するのでした。

『その辺りも配慮すると、突然これを打ち切ってしまうと、それはかなり大きなショックがマクロ経済にかかるということも当然あり得るわけです。そういうことも踏まえて、これをどのように調整していくのかを考えなければならないと私は思います。 』

いやゴメン。そんなマクロ経済に大きなショックがある訳ないじゃんという話しなんだが、方便で言ってるならまあ良いんだけど、何かこの質疑応答の下りを読んでいると、この部分も野口さんがガチでそう思っている可能性があるんではないか、とそっちの方が心配になってきます(このオペ導入時点では野口さんいなかったんで)。

要は、日銀の事務方連中野口さんにどういうレクしてるんだよという話でして、コロナオペ止めて大きなショックがマクロ経済に掛かるってのは幾らなんでも斬新すぎて草も生えない。

つーかさ、置物一派って昭和恐慌の研究って昔から看板にしてたじゃん。あの昭和恐慌の一因には関東大震災における所謂震災手形の処理を先送り先送りしていった不良債権問題ってのがあった訳で、マクロ的なショックが起こるからと言って手仕舞いを先送りにするのって、それお前ら一派が研究してた昭和恐慌の研究は何だったのよ、って話にも繋がると思うんだけどなー、とはおもいました、まる。

んーっとね、コロナオペ急に止める(と言ったって新規実効止めてからも既存残高は残るんですよねー、分かってるのかなー野口センセ)と問題になるのはマクロ加算残高の部分で、そういう意味ではコロナオペ(゚д゚)ウマーってやってる金融機関に対するインパクトと、たぶんマクロ加算の持ち方の変化(元に戻るだけの話だが)によるインターバンクのコールローン市場での動きの違い、というのはそらまあ残高がこれだけあるからインパクトあるんですよね。

なお、それに関してビビりが入って何か変なオモシロ名目でマクロ加算バラマキオペをぶっこんで来るんじゃなかろうか、という悪寒が非常にしておりまして、謎の珍名称後継オペが登場するに100リラという事で。



・物凄く説明をしているんだが結局何を言ってるのかよく分からない件について

んでもって次の質疑に参ります。

『(問) 足許、原油が上がって為替も円安になって、輸入コストも上がっていると思います。業種とか会社の規模によって違うのでしょうが、交易条件の悪化による経済の下押しへの影響を現状どのようにみているかをお伺いします。』

物価目標とは何なのか、という言い方をしないのは質問者の優しさなのか諸葛孔明の罠なのか単純にそこまで頭が回っていないのかはよくわからん。

『(答) 特に最近、エネルギー価格、原材料価格の上昇が非常に目立っています。それに伴って、企業物価の前年比も 5%、6%と上がっています。これは当然、交易条件の悪化という形で、特に輸入しているものは値段が高くなっていくということです。』

はいそうですね。

『しかし、それを販売価格に転嫁することはなかなか難しいということで、交易条件の悪化の影響は現在生じつつあるわけです。』

ほほう。

『ただし、これが企業、もちろん個々の企業、業界、分野にもよりますが、現状では必ずしも重石になっていない、むしろ企業の収益は上がっているという状況です。』

???????

『それは、そういった原材料価格の上昇自体、世界経済が回復する中で起きているということが一番大きいと思います。当然、日本企業も足許では供給制約の問題がありますが、基本的には輸出と生産が好調であり、そういった交易条件の悪化があっても、十分吸収できる、吸収してかつ収益を上げることができているという状況であろうと思います。』

うーんこの説明。

『しかし、これがさらに長引いていくということになれば、当然、企業や業種によっては、むしろそういった原材料価格上昇の影響が非常に大きくなって、それを販売価格に転嫁できないという状況が続いていくと、これはいよいよ企業収益に影響を及ぼしていくということになる可能性もあるわけです。』

何ちゅうかそういうのんびりした話でエエンカイナという感じですが。

『ただ、これはあくまでも状況次第であり、今後、日本経済も新型コロナウイルス感染症がだいぶ収まっていけば、経済の正常化が見通せるようになり、そうなるとペントアップ需要も拡大していくという状況に変わっていきます。』

ああなるほど、そこを決め打ちしているのか。別に決め打ちなら決め打ちでも良いんだけど、この点を決め打ちするんだったら何でコロナオペの延長の時に無茶苦茶慎重な説明になるのかがさっぱりイミフでして、別に決め打ちが外れたら修正して対応すれば良いんだから経済情勢の見込みを決め打ちしたって良いんですけど、交易条件の悪化の方は「これから需要が出て来るから大きな問題にはならない」って言ってて、コロナオペの延長の方は「この先もリスクがあるんだから継続」ってのは、あまりにも説明がご都合主義に過ぎるんじゃないですかねえ。

『企業も、今まで価格転嫁がなかなか難しかったけれども、それができるようになり、当然原材料価格も上がっていきますが、国内の物価や賃金もだんだん上がっていくということになれば、交易条件は必ずしも悪化しないということになります。』

あのーすいません。ペントアップ需要が拡大するから無問題は百歩譲って良いとしまして、ペントアップ需要が出るためには賃金が上がるなり、上がるというプロスペクトがないとそう簡単にホイホイとペントアップしてこないと思うのですが、一過性のペントアップ需要と、コストプッシュの交易条件悪化の中で賃金が上がるというルートについてご説明を頂けませんでしょうか?

『そうやって物価や賃金が上がっていくということ自体は、まさにこの金融緩和の目的であったわけであり、それ自身は非常に望ましいことです。そういうことが実現できれば、交易条件の悪化も問題化しないと考えています。 』

ということで、どうも質問に対する説明になっていない模様。いやまあ訳の分からん話に持ち込んでしまって煙に巻いて誤魔化す、という手段でオトボケ説明をしているんならそれはそれで良いんですけどね。



・ではペントアップ需要を確実に喚起するためにも追加緩和かというとそうではないのは・・・・・・・・・

『(問) (前半割愛)二点目は、同じく挨拶の中で、これからペントアップ需要が出てくるモメンタムを金融緩和で維持していって、ひいては物価目標の達成につなげていくということが重要だとおっしゃいましたが、このタイミングでというか、近い将来、金融政策として追加緩和を打って、モメンタムをより確かなものにしていくと、そうすべきだというお考えはございますか。 』

そらそう来るわな。

『(答)(前半割愛)それから二点目の今後の追加緩和の可能性に関してですが、各国の状況をみると、ペントアップ需要が非常に大きく拡大した後に、賃金や物価がかなり上昇しています。今日もお話しさせて頂いたのですが、例えば今年の初めの状況ではどんな政策当局も含めて誰も予想していなかったような状況が今、世界各国では起きているわけです。』

誰もが予想していなかった、というのはさすがに言い過ぎだがまあそこはさておき。

『実際ペントアップ需要がどれだけ顕在化するのか、それからそれがどの程度物価や賃金に跳ね返ってくるのか、影響を与えるのかということは、当然私どもも含めて政策当局もある程度の見通しを立てますが、蓋を開けてみないと分からないというところが大きいわけです。』

そらそうよ。

『これは現時点でも例えば今のインフレ率、世界各国が経験していて、米国で 5%ぐらい、これは予想以上に長引いているという、長引きそうだということで、一過性と言われていたことが違うのではないかという見方が改めて出てきたりという状況であり、その持続性も非常に不確実性が大きいわけです。』

で?

『そういう意味で、ペントアップ需要はその大きさも持続性も非常に不確実性が大きいということを考えると、現時点で何か追加的な手当が必要と前もって決めてしまうことは、なかなか難しいと私は考えています。あくまでも状況をみながら、適切に判断していくということに尽きると思います。』

ちょwwwwwwwww

えーっとすいません。追加緩和をしたら目論見通り以上に物凄い勢いでペントアップ需要が出て2%どころじゃなく物価がオーバーシュートしてしまいました、って言うのは黒田日銀がまさに目指している図ではないかと思うのですけれども、何でそこで慎重になるんでしょうか、というお話。

・・・・・さっきのコロナオペの手じまいも何か大きなショック(笑)が起きるかもしれないから慎重、追加緩和はペントアップ需要が物凄く出て物価が大きく上がるかもしれないから慎重、っていう説明を見ておりますと、つまりは野口さんというよりも、これは黒田日銀が、ということではないかと愚考するところではあるのですが、「とにかく任期満了まで何もしないでやり過ごそう」という地蔵オブ地蔵スタンスをガッツリと決め込んでしまわれておる、という事を意味するのであって、しかもその地蔵モードが半端ない位にリスク回避的で、結局出てくるのが「現政策の延命策」しかありません、ってのを継続しているのの表れかな、とこの本来野口さんが追加緩和と主張するもんじゃろ、という所で事もあろうに物価が上振れるかもしれないから今は追加緩和不要(としか言っているように見えないんですけど)とか言い出してしまうの、そういう事やぞと思いましたです、はい。


〇その他日銀から色々と面白い物がでておられるのですが時間が無いのでクリップだけ

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211015a.htm/
【挨拶】
CBDCが存在する、あるいは存在しない決済システムの将来像
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第2回)」における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2021年10月15日

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2021/rev21j12.htm/
最近の大手行の外貨資金繰り運営 ― 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を中心に ―
2021年10月13日
金融機構局 青木凌、安コ久仁理、福島駿介、八木智之*、渡邊真一郎


https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/wp21j12.htm/
景気ウォッチャー調査のテキスト分析からみた企業の短期インフレ予想
2021年10月15日
中島上智*1
山縣広晃*2
奥田達志*3
香月信之輔*4
篠原武史*5

日銀じゃないけどこれも
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211015d.htm/
金融安定理事会による最終報告書「マネー・マーケット・ファンド(MMF)の強靭性向上のための政策提案」の公表について
2021年10月15日
日本銀行

#月曜日につき何かこれだけですいませんすいません






2021/10/15

お題「米国市場メモ/野口審議委員金懇デビュー戦なのでネチネチ鑑賞してみた」

ほうほう「コロナ後の未来選択」ですかそうですか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211014/k10013307691000.html
岸田首相「コロナ後の“未来選択選挙”」衆院選へ支持呼びかけ
2021年10月14日 21時45分

まさかとは思いますがコロナ後の未来をという話をしている中で3月という結構先まで実施予定のコロナオペの延長を今から決めるとかそういうことはしないですよねえ(棒読み)。


〇利上げテーパー分離論の思惑通りに動いているようですが(米国市況のメモメモ)

https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2RA410?il=0
2021年10月15日5:21 午前
米金融・債券市場=利回り低下、FRBの早期行動巡る懸念が後退

『[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米金融・債券市場では国債利回りが低下した。一連の米経済指標を受け、インフレ高進への対応に向けた米連邦準備理事会(FRB)の早期行動が必要になるという懸念が後退する中、2年債利回りは8営業日ぶりに下げに転じた。』(上記URL先より、以下同様)

昨日もFOMC議事要旨受けたかどうかはよー知らんけど金利下がってましたわな。

『9日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比3万6000件減の29万3000件と、2020年3月中旬以来、約1年7カ月ぶりの低水準となった。9月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.5%上昇した。伸びは前月の0.7%から鈍化し、市場予想の0.6%上昇も下回った。』

イニシャルクレーム強いじゃん、まあいいけど。

『終盤の取引で、金利見通しに敏感な2年債利回りは1.4ベーシスポイント(bp)低下の0.354%。指標10年債利回りも3bp低下の1.519%。2・10年債利回り格差は3日連続で縮小し、116.4bp.一時115.6bpと、9月24日以来の低水準となった。30年債利回りも1.7bp低下し、2.024%。』

おじちゃん頭悪いから良く分からないんだけど、「FRBが早期行動しない」ってことだと中短期の方が金利下がって後ろの金利がサガランチ会長になると思うので、むしろこれは「景気拡大ペース鈍化(または足踏みからの下振れリスク織り込み)からの長い金利の低下」ではなかろうかと思うのだが、なんか最近の米国金利市場ちゃんは皆さん泡でも吹いているのか、ベンダーに出て来るコメントとかが泡吹きコメントになっていて、いやそれは論理的に整合せんじゃろ、というのが散見される次第ですが、恐らくは政策地蔵で天下泰平状態に慣れ切った状況でペリー提督が来ちゃったよみたいな感じになっているのではないかと勝手に愚考しておりますわ。

で、昨日はFED高官がどどーんと(議事要旨公表にぶつけたかのように)お話をしていたようですが(というか一昨日もクラリダはネタにしましたがボスティックが喋ってましたし)、

『14日は米金融当局者の発言が相次いだ。』

ってなもんで

『セントルイス地区連銀のブラード総裁は、現在の高インフレはFRB当局者の大半が想定するほど早期に緩和されない可能性があるとし、FRBに対し資産買い入れプログラムの迅速な縮小を改めて求めた。』

変態仮面は変態仮面なのでキニシナイ。

『サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、物価動向と雇用情勢は、FRBがテーパリング(量的緩和の縮小)に着手するに十分なほどの進展が見られたとしながらも、利上げを検討するのは時期尚早との認識を示した。』

『リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、FRBがテーパリングを「円滑に」開始するための道筋を確保したが、利上げが適切かどうかを判断するにはまだ時間がかかるとの認識を示した。』

そらおめえ今から利上げがどうのこうのとか言い出したらヘナチョコタントラムとか起きてテーパリング着手に支障来す可能性あるから、特に変態仮面のように変態枠に入ってしまえば好き放題行けますが、デーリー総裁くらいのややタカ風味が最近あるけど基本的に執行部寄りと目されている方がインフレ高止まりへの対処の為にもテーパリングをジャンジャンして次の備えをすべきとか言い出したらそらエライコッチャになるわな、と思うので、ここから先テーパリングが無事始まるまで変態仮面以外変態発言をぶっこんで来ないに100インドネシアルピア。

30年債 16時12分 2.0174% 前営業日終値 2.0410%
10年債 16時12分 1.5160% 前営業日終値 1.5490%
5年債 16時12分 1.0566% 前営業日終値 1.0870%
2年債 16時11分 0.3642% 前営業日終値 0.3680%

だそうですな、まあ威勢よく売り込んでしまった分の反動なのかも知れません(さすがに金利上昇を見込んでいた人でもあんなに勢いよく叩き料理になるのは早ええええええって感じだったと思うので)。


〇野口審議委員金懇デビュー戦であるのだがYOUは何しに日銀へ??

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211014a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211014a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
鳥取県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2021年10月14日

ということで金懇デビュー戦ですが、野口審議委員の挨拶要旨は既に現時点(翌営業日の朝)でHTMLバージョンが出て来る、という結果になっていて、毎度毎度思うのですが、これだれか「HTML版をアップするタイミングの統計」とか取ると何かの傾向が見れるかもしれんですぜ(そんなのは不肖この日銀野良ヲチャー(自称)の仕事ではないかという説はあるが)。


・経済物価情勢の話は完全に執行部ベースの説明になっておられる

最初のご挨拶は兎も角として、その次の『2.経済・物価情勢』を見ても別にこう何か独特の視点での説明をしている感じはしないので、おもんないわーという感じなので全部パスする。端的に言って展望レポート読んでるのと全然変わらん。まあ強いて言うなら今月の展望レポートでの現状判断、見通しに繋がる3か月分のアップデートが経済物価情勢の説明の最後のところにありますわ。

『ただし、こうした経済・物価の見通しについては、変異株などによる感染再拡大という大きな不確実性があります。実際、この夏場以降、日本国内でのデルタ株の感染拡大により、一部地域は再び公衆衛生措置の強化を迫られました。それによって経済正常化局面はやや後ろ倒しされたものと考えています。自動車関連を中心としたサプライチェーンへの影響も含めまして、変異株の感染拡大に伴う経済下振れリスクには、今後とも大きな注意が必要です。』

まあ10月展望レポート(再来週ですな)ではこういうのがアップデートされるんでしょ、というのは把握しました。


・金融政策運営の話も執行部ベースの説明になっているのだが・・・・・・・・・・・

『3.金融政策』ってのがあるのだが、相変わらず『(1)「物価安定の目標」に向けた政策対応』と『(2)感染症への政策対応』という小見出しになっておられます。

んじゃまあ『(1)「物価安定の目標」に向けた政策対応』から鑑賞してみます。

『次は金融政策運営です。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を実現するため、2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。その後も、政策効果を検証しつつ、経済・物価情勢に応じて、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」でマイナス金利を導入し、2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で操作目標を長短金利(イールドカーブ・コントロール)とすると同時に、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続することを約束する「オーバーシュート型コミットメント」を導入するといった形で、金融緩和を強化してきました。』

というのでこの部分おしマイケルになっていて、何ちゅうかこの置物政策に対する説明があまりにも淡々としてて、いやまあ後の方で(あとでネタにする)置物政策の話をまたするんですが、この部分の説明があまりにもあっさり味過ぎてやる気あるんかいと思ってしまいますが、まあこれまた執行部の伝言だと思って読みますとこの次のコーナーに味わいが無いわけでもない(個人の感想です)。


ということで『(2)感染症への政策対応』に入る。

『昨年3月には、感染症の影響から、投資家のリスクセンチメント悪化に伴って金融市場が不安定化し、企業の資金繰りもタイト化しました。そこで、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定を図る観点から導入したのが、(1)企業等の資金繰り支援のための新型コロナ対応特別プログラム(「特別プログラム」)、(2)金融市場の安定を確保するための国債買入れやドルオペなどによる潤沢かつ弾力的な資金供給、(3)資産市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを目的としたETFおよびJ-REITの積極的な買入れ、という「3つの柱」の措置です(図表5)。』

図表5というのは昨年コロナオペをぶっこんだ直後のフリップ芸「3本の鉛筆」ではなくて、いやお前緊急措置で行っているものの量をアピールしてどうすんだよ正常化したら減るんだがどうすんだ、というようなツッコミを受けたからなのかどうかは存じませんが、あっという間に3本の鉛筆の額強烈アピールから淡々とした箇条書きフリップに豹変した方の、つまり最近使っている方のフリップになっています。


・説明するときに出す図表くらい話と整合性のあるものを出してほしいんですけど

でもって・・・・・・・

『これらの対応は、企業の資金繰り改善と金融市場の安定化に大きな効果を発揮してきました。実際、企業の資金繰りにはなお厳しさがみられますが、銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されています。また、昨年春に一時的に大きく不安定化した金融市場は、その後は全体として落ち着きを取り戻して現在にいたっています(図表6)。』

この図表6ってのですが、PDFバージョンで見れるんですけど、「資金調達コスト」と「企業の資金繰り」ということで前者は銀行貸出金利やらCP社債やら、後者は短観DIの資金繰りDIの時系列を出しているんですね。

・・・・・・・ちょっと待て、何で2005年以降の数字だしてるんだよ。そんな長期時系列を出す必要があるのかヴォケという感じでして、これ実は雨宮さん辺りが講演をするときに「本行による適切かつ大胆な危機対応によって、かつてのリーマンショックの時に起きたような企業金融の収縮、金融市場の極端な悪化を避けることができました(キリッ)」って説明するため用に用意したものをそのまま流用してるんじゃなかろうか、と妙な所で勘ぐるのが好きな陰謀脳のアテクシは思ってしまう訳ですよ。

と申しますのは、上記の野口さんの説明、別にリーマンショックの時との比較をしている訳ではなく、単に今回のコロナショック以降の話をしているからリーマンショックの話をする必要ないのであって、2005年からの時系列は要らんのですよね。

更にこの図表6なんですが、うっかりさんにも程があると思うのですけど、企業の資金繰りに関する説明に短観をだしているので、「実際、企業の資金繰りにはなお厳しさがみられますが、」って部分、短観の資金繰りDIでみたらどこからどう見ても「楽である」以外に読めない図表を出してきていて、いやあの執行部さんお願いなんですけどせめて説明に整合するグラフ出して説明してくれませんかねえ、と思うのですよ。むしろこの図表は「日銀の資金繰り対策で悪化を食い止めました(キリッ)」ってのをアピールするための図表ではなかろうかと思うのですがどうでしょうかねえ。

あとですね、これまたうっかりさんにも程があるのですが、「昨年春に一時的に大きく不安定化した金融市場は、その後は全体として落ち着きを取り戻して現在にいたっています」って説明なんですけれども、図表6で出ているのはCPと社債と貸出金利の話なのですが、うっかりこの図表に2005年以降の長期時系列を入れているもんだから、リーマンショックの時のCP社債金利の大幅スパイク(なおこの時は政策金利がゼロではありません、為念)と比べたらハナクソのような動きにしか見えなくなっていて、その図表を出しながら「昨年春に一時的に大きく不安定化した金融市場」とか言われてもナンヤソラとなってしまいますので、せめて説明の地の文章と整合的な図表をだして欲しい訳で、その前にETFやJ−REITの買入の話をしているんだから、昨年3月の日経平均とか東証REIT指数とかの動きがわかるような図表でも出せば、説明と図表の整合性が取れるのですよね。

ということで、まあ何と申しますか真面目にやる気あんのかよと小一時間問い詰めたくなるこの部分ではございました。


・やっと「コロナ収束すればコロナオペも収束」という話がでるようになったか

悪態は兎も角としてその続きに参ります。

『日本銀行は、本年6月の金融政策決定会合で「特別プログラム」の期限をそれまでの本年9月末から来年3月末まで半年間延長し、企業等の資金繰りを引き続き支援していくことを決定しました。』

短観の資金繰りDIを見ると支援必要なんけ???って感じですよね。ただコロナ直撃弾食らっている業種ではしんどい、というのは明らかになっていますので、そういう意味では日銀によるマクロ的な資金繰り支援ではなく、政府による業種などを絞ったミクロ型の支援は継続する、というのが筋になると思うのですが、何故か既に短観の資金繰りDIがバリバリ改善する中で来年3月末まで延長しちゃいましたけど、まあ6月の時点ではコロナ更にキターってなっていたから(半年も延長する必要があったのかはさておき)延長したのはまあ分からんでもない。

#確か導入当初は「一時的」って言ってた筈ですけどね

『「特別プログラム」は、感染症の経済への影響が十分に和らいでいけば縮小させるべきものですが、その判断は慎重でなければなりません。』

「感染症の経済への影響が十分に和らいでいけば縮小させるべきもの」という認識が示されたのは甚だ結構なお話ですが、さてどうなるでしょうかね。まあここは「ほっほー」と思いながら読みましたよ。

『現状では、変異株の影響もあり、感染症が先行きの経済にどの様な影響を及ぼすのかは依然として不透明です。「特別プログラム」の扱いについては、今後の感染症の状況を踏まえて、適切に判断していきます。』

しかしまあ何ですな、コロナオペの時はエライ勢いで先行きよくわからんからコロナオペ延長みたいな話になるのに、展望レポートの方はコロナが収束していけば需給ギャップが改善して経済は拡大に転じて物価はホイホイ上がる、って言ってるんだから説明が自由自在にも程があるのが今の日銀クオリティ。


・世界的に政策が手仕舞われてシンプルになる中で日本だけ逆行している件について

『(3)より効果的で持続的な金融緩和』という先般のMPMで昭和温泉旅館の増築を行った件についても野口さんの説明がありますが、説明自体は執行部のいつもの説明なのですっ飛ばして結論だけ。

『この後でお話しするように、世界の各中央銀行では現在、感染症の影響が縮小して経済正常化が進展する中で、コロナ禍に対応して行われてきたこれまでの金融緩和措置の手仕舞いや縮小への動きが進んでいます。』

ってのを認めているのもこれまた味わいがあって、どうせこの辺執行部の腹話術人形なんでしょうけれども(個人の妄想です)この点を腹話術人形が喋っている、ということは何かと言いますと、次の展望レポート出すとき(即ち再来週のMPM)になりますと、当然ながら世界的に臨時施策の手じまいと同時に、ややこしくなっていた政策を整理してシンプルにしよう、という動きもみられている訳ですが、然るに日本の場合はマクロ加算のカテゴリー3層構造とか(当座預金の3層構造に加えてマクロ加算の3層構造とかRPGのラスボス居城かって感じですよね〜)地域金融機関向け特別付利だとか、昭和温泉旅館どころかかつての香港九龍城塞かというような政策の複雑化が進行している訳でして、この点をゴリゴリとツッコまれた時の想定問答集から採用されているのではないでしょうか、と真っ先に思いました(かなり個人の妄想です)。

『しかしながら、日本ではおそらく、長期デフレによって経済主体に根付いたデフレマインドの影響が未だに大きいことから、仮に感染症が収束したとしても、2%の「物価安定の目標」の実現に目途を付け、金融緩和を縮小するまでには相応の時間を要することが予想されます。その間は、まずは現状の金融緩和措置を粘り強く継続していくことが最重要と考えます。』

現状の金融緩和措置に色々と余計なデコレーションつけまくって(実務上)複雑にしているので「粘り強く継続」というよりも「往生際が悪く暴れている」ようにしか見えませんが、まあそれは見解の相違という奴ですね!


次の気候変動の話はどうでもいいのでパス。


・この辺から先は腹話術人形ではないような気がしますというコーナーがありまして

『4.「脱コロナ禍」経済の展望』ってのがあります。この部分になると多分妖術が解けて野口さんのお話になっているっぽいのでちと鑑賞しないとですな。

『(1)脱コロナ禍の途上にある世界経済』って小見出しが最初のコーナー。

『おそらく、日本を含む世界経済はいま、コロナ禍を克服して再び経済と日常生活を正常化させていくという「脱コロナ禍」に向けた、その過渡期にあります。ただし、その正常化への進展局面は、各国ごとに大きく異なっています。それは端的にいえば、ワクチン接種の進展度合いや、コロナ禍に対する政府による財政的支援の程度が各国ごとに異なっているからだと考えます。』

ってあるのは良いんですが、後で財政と金融のポリシーミックスだとかいうお前ら確か「金融政策単体で物価目標は達成できるし出来ないというのは無能の言い訳に過ぎない」って言ってたのはどこ行ったんだ、という部分があるんですけど、そこで図表15ってのがありまして、「主要各国のコロナ対応財政支援」ってのが名目GDP比でいくらあるのか、というのを出していまして、それ見ると日本って米国豪州に続く第3位になっているんですよね。

でもってワクチン接種の進捗も足元で急速に進んでキャッチアップどころか追い越してきている、という現状があり、上記のように説明しているのに、何でさっきの所ではコロナオペの終了について無茶苦茶慎重な言い方をしているのか、全然話の整合性が取れていないのでありまして、パーツパーツでは言ってる事はわからんでもない(見解の相違という部分はあるけど見解の相違なのでそれはキニシナイ事にしている)けど、全体を通じた時に金融政策運営の所だけ何でアフターコロナの話にならんのか(すっ飛ばした経済物価見通しだって基本的に前向きの話をしているんですよね)という話ですな。

まあこれは話の整合性が、というよりも根本的に金融政策運営の方が昭和温泉旅館から香港九龍城塞へと進化していく中で、経済物価見通しとの整合性を全然取らないで政策の延命とやっている感を出すための各種謎施策の悪魔合体が行われているから、というのが問題の根本にあって、つまり悪いのは金融政策運営に尽きる、ということではあると思うのですけどね。

『経済正常化のためには何よりも感染症を収束させていくことが必要ですが、その前提条件は現状ではワクチン接種の進捗です。また、コロナ禍によって家計や企業が被る経済的な打撃を可能な限り抑制し、正常な経済活動への復帰を可能な限り早く実現させるためには、政府による十分な財政的支援が必要不可欠と考えます。』

ということからうだうだと話が始まるのですが、せっかく野口さんの話が始まったと思ったのですが、あんまりおもんないクドクド話(ってオマエモナーですねすいませんすいません)が続くので時間とインターネット資源の無駄遣いを回避すべく途中を飛ばす。

『これらの国々の経験(引用者追記:先行して回復をしている国の例です)によれば、少なくともデルタ株流行以前においては、ワクチン接種がある程度進捗したところで、人流が拡大し始め、経済活動の急速な正常化が始まります。この経済正常化直後の段階で最も顕著に現れるのが、いわゆる「ペントアップ需要」です。これは、公衆衛生措置や感染への警戒感によって抑制されてきた民間消費が、それらの解除によって一挙に顕在化することによって発生します。その需要の背後には、人々の消費抑制や政府の財政支援(給付金等)によって積み上げられてきた民間部門の超過貯蓄が存在しています1。』

出たな主な意見でいつも出て来る奴。

『こうしたことから、米国や英国では、ワクチン接種が進展したこの春以降、供給制約の影響も受けつつ、消費者物価の上振れが生じています(図表10)。』

『米国では、本年5月以降、消費者物価上昇率が5%を上回る状況となるなど、それがとりわけ顕著です。米国や英国ではさらに、需要拡大に伴って対面型サービスを中心として企業の求人が急拡大したことで、いわば「労働力の奪い合い」が生じ、労働者の賃金も上昇しています(図表11、12)。』

はい。

『ただし、政策当局者をも含む各国の専門家の多くは、米英で見られるこうした物価や対面型サービスを中心とした賃金の上振れはあくまでも一過性の現象であり、経済正常化の進展につれて次第に抑制されていくとみています。それについては確かに、「必ずしも一過性ではない」とか「1970年代型高インフレにつながる」と見る専門家も存在していますが、その立場は少数派に留まっています。』

というか「そういうリスクがこのような場合に顕在化するかもしれない」という話をしているだけで、今の時点で1970年代型高インフレになるというのをメインシナリオに置く専門家って余程の変態か山師だと思うんですけど、何でこういう藁人形な言い方するんでしょうねえ置物とゆかいな仲間たちは。

『つまり、専門家の多くは、コロナ禍で生じていた自発的失業や労働抑制が解消され、財やサービスの供給制約が緩和されていけば、物価や賃金の上振れには自ずと歯止めがかかると考えています。』

かかる「はず」と考えている、と説明するのが正しい、というかあんさんコロナオペの話の時に「その判断は慎重でなければなりません」って言ってるのに、こっちでは決め打ちで物価が落ち着くって話をしてるの???ねえねえ何でそんなに決め打ちできるの????????

『仮に物価や賃金の上振れが中長期的に抑制されていくにしても、このような高インフレが既に実態として継続しているという事実それ自体には大きな経済的な意味があります。』

ほうほう。

『というのは、ベン・バーナンキ元米FRB議長が「世界的貯蓄過剰」として、ローレンス・サマーズ元米財務長官が「長期停滞」として概念化したように、2000年代以降の世界経済を特徴付けてきたマクロ経済的な常態とは「持続的な低インフレと低金利」であったからです。』

だいたいバーナンキを引用に持ち出すのは、バーナンキがFRB議長当時ならともかく、今この時代に至ってはインチキ山師と認定しておけばよいと思います、ああ否定的文脈で引用するのはアリですけどね!!!!

『米国などで現在生じている高インフレは、それらの仮説にとっては明らかなアノマリーです。それは、コロナ前までは歴史的な低金利に直面し続けてきた政策当局者の多くにとって、必ずしも否定的な意味ではなく、一つの大きなサプライズであったと考えます。』

は????????しかもここでこのコーナー話が終わっていて、何が言いたいのかがさっぱり分からんのだが。


・脱コロナの中での金融政策という話で急に普通の話をおっぱじめる野口センセ

次が『(2)脱コロナ禍局面での金融政策』と言うコーナー。

『重要なのは、こうした脱コロナ禍に向けた経済状況の推移が、今後の金融政策運営に対してどのような意味を持つのかです。』

ほうほう。

『各国の政策動向をつぶさに眺める限り、その方向性はかなり明確です。』

ほうほうほう。

『各中央銀行とも、経済正常化の進展に伴い、コロナ禍に対応して展開してきた経済下支えのための金融緩和措置を徐々に手仕舞いさせようとしています。さらに、物価の先行きを睨みながら、金融緩和を縮小させる適切なタイミングを見計らい始めています。それは、各中央銀行が、「経済正常化の進展に伴う物価上昇圧力は、少なくとも現状の金融緩和を不要にする程度には強い」と考えていることを意味します。』

急にまともな話が始まった。

『米FRBに関しては、パウエル議長が先月のFOMC後の記者会見で、早ければ次回11月会合でテーパリング(資産買入れの縮小)開始を決定することを示唆しています。また、先月のFOMC後に公表されたFOMC参加者の政策金利見通しをみると、中央値でみて2022年中の利上げを想定した見通しとなっています。英BOEに関しては、本年8月のMPC後に公表された声明文において「経済情勢が概ね金融政策レポートの中心見通しに沿って進展していけば、見通し期間中に若干の引き締めが必要になる可能性が高い」との文言を追加し、先月のMPC後には「その可能性は前回会合より強まったようにみえる」としています。それら以外でも、インフレへの懸念などから、既に政策金利引き上げも含めた金融緩和の縮小を実行している中央銀行も増加しています(図表13)2。』

ただの事実の羅列なのでどうでもよい。

『もちろん、このような金融緩和の縮小が直線的に進む保証はありません。上述のように、変異株などによる感染再拡大の影響に関しては、大きな不確実性が残されています。また、経済正常化初期局面でのインフレ率上振れの持続性も、実際に時間が経過してみないと分からない問題です。』

さっきインフレは落ち着くの決め打ち説明してたような気がするのだが、まあいいですけど。

『そうではあるものの、もう少し長いスパンで見れば、経済正常化に伴う金融緩和の縮小は、紆余曲折を伴いつつも着実に進展していくと思われます。各中央銀行はおそらく、政策の方向や調整ペースを前もって決め打ちするのではなく、感染症の影響などでインフレ圧力が想定よりも弱まれば金融緩和の縮小プロセスを遅らせ、そうでなければ早めるという柔軟な対応を行うことになるでしょう。』

それはワイもそう思うのよ。つまりFEDは中立金利に向けてメジャードペースで利上げするんじゃなくて、ホイホイと短期金利1%くらいまで上げてから少し様子見て、その後また上げるみたいな感じ。ただこれはコミュニケーションが非常に難しいのとドットチャートを残したままだと(ドットチャートって要するに決め打ちツールなので)スタンスと矛盾するから難しいですよね、まあそんな話を野口さんが出来れば語るに足るお方だと思うんだけど実際はどうなんでございましょうかねえ、と余談。

『それは、中央銀行は結局のところ、物価を含むマクロ経済の安定のためには、その時々の状況に対応して政策を調整していく以外にはないからです。』

ちょwwww「2年で2%の達成のために何が何でも強力な緩和を実施」とは何だったのでしょうか。

『仮にインフレの持続性が事前の想定以上に強かったとしても、それが必ずしも問題であるとは限りません。というのは、主要中央銀行の多くは、これまではむしろ政策金利が低くなりすぎたことによる制約に直面していたからです。』

なお、この辺からは話が微妙になるのは置物教団だからシャーナイ。

『確かに、インフレの制御には常に困難が伴います。しかし他方で、インフレ抑制には究極的には政策金利の引き上げが必要ですから、このインフレはあるいは、低すぎる政策金利から脱却できる絶好の機会として捉えることもできるかもしれません。』

いやあのインフレ期待のアンカー話とか中立金利の話とかそういうのすっ飛ばしてこれは雑でしょ、と思うのだが雑な論考で締めてしまうあたりが何ともアレ。


・日本の話になると急に元に戻る野口大先生なのでした

ここまで話をしておいて次の小見出しで『(3)2%の「物価安定の目標」の重要性』と来るのが残念無念。

『以上は脱コロナ禍経済下の金融政策に関する「一般論」であり、当然ながら現状の日本経済にそのまま適用はできません。』

ふーん、世界標準の金融政策いやなんでもありません。

『というのは、日本経済は、2013年4月から8年以上にわたって実行されてきた大規模金融緩和政策によって物価が継続的に下落するという意味でのデフレではない状況にはなったものの、日本銀行も含む主要中央銀行の多くがその目標としている2%の「物価安定の目標」は達成されないままコロナ禍に突入していたからです。』

欧州も物価目標未達の状態でコロナ禍に突入しましたし、米国も「見通しベースで達成」ということで正常化をしていたうちにコロナ禍に入ったと思うんですが・・・・・・・・。

『そのため、コロナ禍を克服したのちには、2%の「物価安定の目標」の達成という課題に改めて取り組んでいくことになると考えます。』

さっきの説明だとコロナ禍克服の過程で物価がホイホイあがるような感じがしますけどねえ、まあいいです。

『これまで述べたように、経済正常化の途上にある各国では現在、ペントアップ需要などによるインフレ率の上振れが生じています。したがって、そこでの金融政策上の課題は、「その高いインフレ率を目標水準にいかにソフト・ランディングさせるのか」になります。日本ではおそらく、こうしたマクロ経済状況が生じる可能性はそれほど高くはありません。』

ほう。

『日本の場合にも、経済正常化の初期局面では、経済活動が相応に拡大することが期待できます。というのは、上述のように日本でも、コロナ禍におけるこれまでの消費抑制と財政支援によって、相応の超過貯蓄が積み上げられてきたからです。ワクチン接種の進展によって公衆衛生措置が解除され、対面型サービスを含む経済活動が正常化されれば、その超過貯蓄の少なくとも一部はペントアップ需要として顕在化するでしょう。』

何かさっきの説明だと日本でも盛大にペントアップ需要が発生するような言い方になってたような気がしたんだけどまあいいですわ。

『とはいえ、コロナ前の日本経済における基調的なインフレ率の低さを考えると、それが物価や賃金の上昇となって現れる程度については、諸外国ほどには大きくならないと想定されます。』

ペントアップ需要が出る出ないの話に何で基調的なインフレ率が出てくるの??????ペントアップ需要が強かったとしても物価は大して上がらん、って言いたいのだと思うのだが、なんかこう「基調的なインフレ率が低いから物価が上がらん」って説明されちゃうと、「じゃあ何が起きたら物価目標達成できるの????」って聞きたくなりますわ。

『また、これはそれ自体としてはまったく悪いことではありませんが、日本ではコロナ禍においても米国のような失業の急拡大は生じてこなかったことから、米国とは異なり、労働復帰の遅れという供給制約による賃金や物価の上昇もまた自ずと限定的なものになると考えられます。』

まあこれはその通り。

『結局のところ、日本の場合には、各国の中央銀行が現在行いつつあるようなインフレ率の上振れに対応した金融緩和の縮小は、当面は選択肢にはなり得ません。それは、日本銀行が金融緩和の縮小に着手するその前提条件は、インフレ率が安定的に2%を超え続けること以外にはないからです。』

と謎の決め打ちをしていますが、インフレ期待が物凄く上振れるかも知れないとかそういうのは全然想定していないのが何だかなあと言う感じ。

『したがって日本の場合にはむしろ、ペントアップ需要が拡大するモメンタムを金融緩和の継続によってその後も持続させていき、その勢いを2%の「物価安定の目標」の達成につなげていくということが課題になると考えられます。』

そういう勢いを持続させることができた場合、欧米のように物価がもっと上振れてしまう、って事もあり得るんじゃないのかねえと思いますが、まあいずれにしても空想の世界なんでどうでも良いです。


・最後のポリシーミックスの話でポリシーミックスとは関係ない所で盛大に腰が砕ける説明があります

ということでネチネチ読んでたら時間が無くなって来ましたが事実上最後(そのあとご当地経済の話がある)の『(4)重要な財政政策と金融政策とのポリシーミックス』でありますが、話の趣旨は題名でお察しの通りの話しか書いていないのだが、その話のマクラ部分にオモロイ(婉曲表現)説明がありました。


『日本銀行にとっての2%の「物価安定の目標」の達成は、当初の想定よりも時間がかかっているという意味で、想定以上にハードルの高いものでした。』

確か2年どころか10か月で出来る位の勢いで置物師匠が説明していたと思いますので「ハードルが高い」じゃなくて単なる見込み違いではないでしょうか、と言うのはさておきまして、

『しかしながら私自身は、確かに時間はかかっていても、その目標の達成は可能と考えています。』

ほう。

『それは第1に、日本経済はコロナ禍の以前にも、完全失業率がバブル末期の1990年代初頭の水準にまで低下するなど、金融緩和の継続によって潜在的成長経路に着実に近づきつつあったからです(図表14)。』

???????????????????????????????

何を言ってるのかさっぱり分かりません。なお図表14はただの失業率の推移でして、しかもこの推移を見るとQQEとか全然関係なく、2010年辺りからトレンド線通りに失業率が低下しているだけで、置物緩和と関係あるんですか????という話。

更に申し上げますと、何で失業率の低下が「潜在的成長経路」という謎概念に繋がるのかも不明でして、少なくても潜在成長率で言えば毎度ネタにする日銀謹製の潜在成長率ずーっと下落基調だし、これが何のことかさっぱりわからないんでアタクシのような無知蒙昧にもわかる説明してくれや、と思うのでした。

なおこのあとは、

『第2に、これはコロナ禍が生み出した一つの肯定的な要素ですが、政府による財政的支援が経済の下支えに大きな役割を果たすという点についての社会的認知が前進しているからです。』

という所から財政のポリシーミックス話が始まりますが、「経済の下支え」如きで何で2%物価目標が達成できるのか、という話は特にないまま話が進行していっておしマイケル、ということで何かイマイチどころか今百歩くらい説明がよくわからんお話でありました。残念無念。







2021/10/14

お題「9月FOMC議事要旨:普通に予告ホームランしてそのペースまで事前連絡とはご親切なことで」

ほうほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211014/k10013306481000.html
G20共同声明 「インフレ圧力を察知 必要に応じて行動する」
2021年10月14日 5時25分

しかしまあ何ですな、インフレ体質がしっかりある米国とか英国でも4%やそこらのインフレで既にややこしいことになっている、という状況なのに今さら日銀保有の永久国債化とかいうジンバブエ政策の話をおっぱじめる大塚コーヘー先生って控えめに言って馬鹿なんじゃないだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bdc43fea183e9072c6a52e5393af6ca118ad0146
日銀保有国債の一部永久国債化による財源確保、慎重に検討必要=岸田首相
10/13(水) 13:58配信

日銀保有国債を永久国債化して財源確保ってそれは控えめに言ってただのプリントマネーだし普通に「新規財源債の日銀引き受け」だし、ムガベ大統領もニッコリのジンバブエ政策なんですけどねえ。


〇寝起きでFOMC議事要旨・・・・・・は全部読むのは無理があるのですが^^;

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20210922.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20210922.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
September 21?22, 2021
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held by videoconference on Tuesday, September 21, 2021, at 1:00 p.m. and continued on Wednesday, September 22, 2021, at 9:00 a.m.1

まだテレカン(ビデオ会議)でやってるのね。ということで寝起きインスタント読みを中心にやっつけで頑張って眺めてみる。

・と思ったら今回はオマケコーナーが無くて気持ち短めなのでいつものインスタント逆順読みですな

『Participants' Views on Current Economic Conditions and the Economic Outlook』をケツから逆順に読む(もちろんパラグラフ単位だよ)というインスタント読みでぶっつけ本番で読んでみれば良さそう、と目を泳がせただけで勝手に勘で判断しまして(エエカゲン)読んでまいります。

では最終パラから逆に戻って読んでまいります。引用はHTMLの方から行います。


・最終パラグラフの利上げ火消しっぷりがここまで書かれると却ってわざとらしいんですが(個人の感想です)

ということで最終パラから読みますが、これ逆順読みをすると今回は話の流れを逆に読むので妙な事になりそうですな、と今思ったw

『Participants reaffirmed that the Committee's "substantial further progress" standard regarding its asset purchases was distinct from the criteria given in its forward guidance on the federal funds rate and that a policy shift toward a moderation of asset purchases provided no direct signal about its interest rate policy.』

参加者はAPPのテーパリングの閾値である"substantial further progress" と政策金利引き上げ着手に対するガイダンスの基準とは別件バウアーである、ということを改めて確認して、テーパリングは政策金利の引き上げに対する「直接的なシグナルではない」ということを確認しました。と最終パラで入れているので、どうせその前にテーパリングの決め打ち予告場外ホームランがあるんでしょうなというのはわかりました。

しかしまあ「no direct signal」言いましてもそらダイレクトじゃなくっても普通に間接的にシグナルじゃろ、という気はしますが、全く関係ないとか言い出したらさすがに嘘八百になるから「直接的なシグナルではない(間接的とは言ってない)」って事なんでしょう。

『Rather, the Committee had articulated a different, and more stringent, test concerning the conditions that would need to be met before it started raising the target range for the federal funds rate.』

まあテーパー即利上げって話をしたら金利があじゃぱーになるからテーパリングをある程度順調に進めるまでは猫を被るしかないですが、なんか知らんがこういうのを全部真に受けるナイーブ(婉曲表現)な何とかストが最近は多くて(個人の感想です)おまえらちょっとその席どけと小一時間。

『Various participants stressed that economic conditions were likely to justify keeping the rate at or near its lower bound over the next couple of years. In addition to noting that the economy was still well below maximum employment, several of these participants suggested that there would likely be sustained downward pressure on inflation in the years ahead. These participants stated that, in such circumstances, a major challenge facing policymakers-especially in the presence of the effective lower bound on the federal funds rate-was to maintain a policy stance sufficiently accommodative to keep average inflation at 2 percent and thereby bolster the credibility of the Committee's new policy framework, facilitating the achievement of both maximum employment and price stability.』

で、その直後にこの流さで「Various participants(最近この表現よく使われるようになりましたな)」のご意見として、政策金利引き上げの状態になるまでは雇用もまだまだだし、そもそも政策金利の名目下限制約があって糊代が無い状態なので緩和的な方がベターだし、などなどああでもないこうでもないと言いながら利上げまで2年はかかるじゃろ、的なコメントをしている、というのをだしております。まあこの人数もそれなりにいますよ、ということですな。

『In contrast, a number of participants raised the possibility of beginning to increase the target range by the end of next year because they expected that the labor market and inflation outcomes specified in the Committee's guidance on the federal funds rate might be achieved by that time; some of these participants saw inflation as likely to remain elevated in 2022 with risks to the upside.』

一方で来年のうちに利上げに着手するべき派の意見のコーナーを短めに書いているのですが、どうもアタクシの霊感によりますとFEDはテキストマイニング対策で、分量とかを調整しながらこういうのを書いているんじゃネーノという節があって、書いてあることの中身をちゃんと見ないと行かんがねという気は最近するのですけれども、まあこうやって読み手に対してデコイを打って来るような傾向が強まると、ちゃんと行間を読むような作業が重要になるからこっちとしてはある意味アリガタヤな所はある(別に商売じゃないからいいっちゃあいいけど)。

というのはさて置き、来年利上げ派の意見は、マンデートに向かってどうのこうのに関しては再来年以降の利上げ派との見解の相違って奴なのでまあ良いとして、他に言ってるのは案の定だが物価が来年も高止まりしてリスクがアップサイドなんだから利上げ着手は来年中に、と言っているようで、まあこの両者の説明に関しては従来通りとなっております。とは言っても直近までの状況を鑑みると「インフレにアップサイドリスク」の方に有利なネタが出ている感があります。

まあ何ですな、だいたい従来より(地区連銀総裁は別にして)FED高官の説明では、テーパー利上げ分離論を唱えて、とにかくテーパリングで連続利上げを織り込みに行かせないように苦心した説明をしながら、この前のクラリダみたいにインフレの表現についてはさすがに警戒感強める、というような感じでバランス取っていて、今回の議事要旨の最終パラ(いきなりここから読んでるから話の流れぶった切りで読んでるんですけど)もその一環という感じですが、ドットの分布から考えてこのテキスト分量の差はわざとやってる感がちょっと露骨なので、正直アタクシは「狙ってるのがバレバレになる狙い過ぎ」に見えてしまいました(思いっきり個人の感想です)。


では逆順読み遡って参ります。


・その前は何故かリスクバランスの話になっている

『Many participants remarked upon risk-management considerations and the way in which these figured into their thinking on asset purchases and the appropriate policy stance.』

リスクマネジメントの観点からのAPPに関してと適切な金融政策スタンスについての話とな。

『A number of downside risks to the economic outlook were cited, including a potential tightening of financial conditions, the possibility that another rise in COVID-19 cases would slow the economic recovery by more than expected, and the prospect that fiscal policy could become a source of economic headwinds as the effects of previous support measures receded.』

『Upside risks to the economic outlook included the possibility that there would be additional expansionary fiscal actions or that consumer spending would rise by more than expected as households reduced the large volume of savings that they had accumulated during the pandemic.』

経済見通しのダウンサイドリスクとアップサイドリスクについて述べられています。内容に関して特にこれは新しい、というものはないと思います(個人の感想です)。

『With regard to inflation, upside risks cited included the possibility that elevated levels of inflation would continue for longer than expected, especially if labor and other supply shortages proved more persistent than currently anticipated, or that longer-term inflation expectations might move above levels consistent with the Committee's longer-term inflation objective of 2 percent.』

『Downside risks to inflation included the possibility of a decline in inflation expectations that might occur if the public misconstrued the Federal Reserve's reaction function as less accommodative than it actually was.』

経済はダウンサイド、物価の方はアップサイドから記述しているのはお茶目ですが、さすがに物価のダウンサイドリスクの方は「FEDの政策反応関数が緩和的ではないと世の中が誤解した時に起こるインフレ期待の低下」位しか書くものが内容ですな。

『Several participants expressed concern that the high degree of accommodation being provided by monetary policy, including through continued asset purchases, could increase risks to financial stability.』

挙句に緩和政策の長期化による金融不均衡のリスクに言及する人が数名(Several)いるようですが、その前段の経済物価のアップサイドとダウンサイドの話の部分で、「何人の参加者が〜」形式で記載されていないというのが若干気になったというかでして、まあ人数的には最初に「Many participants remarked〜」とあるのですが、その内側の所の人数がなくてああだこうだと列挙しただけ、というのは若干不思議感があります。だから何?と聞かれるとちょっと答えに詰まるのですが。

さてもう一つ戻りましょう。


・今回はテーパーしなかったけど後楽園球場に輝く月に向かって予告ホームランですかそうですか

『No decision to proceed with a moderation of asset purchases was made at the meeting, but participants generally assessed that, provided that the economic recovery remained broadly on track, a gradual tapering process that concluded around the middle of next year would likely be appropriate.』

完全にケツが来年の半ば(なので6月ですわな〜)までにテーパリングを終わらせる、というので合意しているんですね。まあ今回は決定していないから「participants generally assessed〜」ってなってるからどう見ても予告ホームランです本当にありがとうございました。

でもって今回のテーパリング、ケツの方が先に決まっているというのが割とお洒落でして、ケツの方が決まってるってそれおまいら普通に次のアクション(利上げ)の事を考えるとここまででテーパー終わらせようせ、って話なんだから、どこがテーパー利上げ分離論やねんと思いますけど、その中和剤を最終パラグラフでぶっこんだ、ということなんでしょうね。

ちなみに、さっき申しあげたことに付け加えると、今回のテーパリングぶっこみ話だって、インフレが急に来たので要因はあるにせよ、それまでは来年の頭にテーパリング着手するかしないか、って感じだったのを急に地ならしが来たので攻撃で、テーパー利上げ分離論を唱えながらテーパリングの着手時期を今年の頭辺りに市場が考えていた時期に対して一気に前倒しする、という猫かぶりムーブをしているので、そらまあ普通に物事を考えると、最終パラのテーパー利上げ分離で利上げはさきでっせの意見を長めに出している部分も、これは猫を被った狸寝入りと解釈するべきじゃないかなって思います。

『Participants noted that if a decision to begin tapering purchases occurred at the next meeting, the process of tapering could commence with the monthly purchase calendars beginning in either mid-November or mid-December.』

なんで12月頭からじゃないねんと思いますが、もう思いっきり次回に決定しますよ状態の書きっぷりに心意気を感じました。では更に戻る。


・テーパリングペースの事前開示が出ているんですけど・・・・・・・・・・・・・・・

『Participants also expressed their views on how slowing in the pace of purchases might proceed.』

テーパーペースの話とな。

『In particular, participants commented on an illustrative path, developed by the staff and reflecting participants' discussions at the Committee's July meeting, that gave the speed and composition associated with a tapering of asset purchases.』

既に具体的な減らし方のポンチ絵は中の人たち向けにはあるんですね(そらそうよではあるが)。

『The illustrative tapering path was designed to be simple to communicate and entailed a gradual reduction in the pace of net asset purchases that, if begun later this year, would lead the Federal Reserve to end purchases around the middle of next year.』

『The path featured monthly reductions in the pace of asset purchases, by $10 billion in the case of Treasury securities and $5 billion in the case of agency mortgage-backed securities (MBS).』

と思ったら具体的な額が議事要旨に記載されるという親切設計というか何というか。月額で国債を10ビリオン、MBSを5ビリオンずつペースを落としていくんですと。

『Participants generally commented that the illustrative path provided a straightforward and appropriate template that policymakers might follow, and a couple of participants observed that giving advance notice to the general public of a plan along these lines may reduce the risk of an adverse market reaction to a moderation in asset purchases.』

いや確かに事前にプランをだすのは親切設計ではあるんですが、そこまで出すなら9月に決定で良かったんでネーノという感じはさすがにしちゃうな〜。

『Participants noted that, in keeping with the outcome-based standard for initiating a tapering of asset purchases, the Committee could adjust the pace of the moderation of its purchases if economic developments were to differ substantially from what they expected. Several participants indicated that they preferred to proceed with a more rapid moderation of purchases than described in the illustrative examples.』

なお、このテーパリングプロセスは状況の変化次第で前倒しになったり後ろ倒しになったりすることはありますよ、と決定事項の説明かよというような内容ですな。親切と言うよりさすがにTooMuch感がしますが。

ではもう一丁戻ります(あと2パラグラフが政策決定の話)


・テーパリング開始に関する議論の部分だがしらっとチャーミングな論点もありました

『Participants resumed their discussions on the progress made toward the Committee's goals since December 2020, when the Committee adopted its guidance regarding asset purchases and indicated that purchases would continue at their current pace until substantial further progress had been made toward the Committee's goals of maximum employment and price stability.』

後ろから読んでるから端からお分かりだと思いますが、このパラから延々とAPPのテーパリングに関する議論のパートになっております。

『These purchases had been a critical part of the Federal Reserve's efforts to foster smooth financial market functioning and accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses as well as the economic recovery. 』

声明文にも記載されているAPPの効用(とFEDが認識しているもの)の話。

『Most participants remarked that the standard of "substantial further progress" had been met with regard to the Committee's price-stability goal or that it was likely to be met soon.』

物価は物価目標マンデートに到達したとの認識をほとんどの参加者が持っている。

『With regard to the Committee's maximum-employment goal, participants considered the cumulative degree of improvement in the labor market since December 2020.』

雇用の累積的な改善状況についての議論が行われましたそうで、以下はその雇用に関する失業率だけじゃない個別指標コンポーネントについてああでもないこうでもないと話がされたということのようですな。

『In doing so, participants cited the progress recorded in a number of individual series, including, among others, the employment-to-population ratio, the unemployment rate, claims for unemployment insurance, job openings, nominal wage growth, and increases in payrolls, as well as in summary measures of the labor situation.』

でもって、

『Some participants observed that progress on labor force participation was lagging.』

『Many participants noted that although the economic recovery had slowed recently and the August increase in payrolls had fallen short of expectations, the labor market had continued to show improvement since the Committee's previous meeting.』

これは9月のFOMCだったから8月雇用統計をベースに話をしていますね。足もとやや改善に足踏み的なサムシングが観測されます、というのを多くの方がご指摘。

『A number of participants assessed that the standard of substantial further progress toward the goal of maximum employment had not yet been attained but that, if the economy proceeded roughly as they anticipated, it may soon be reached.』

ということで、現時点(9月FOMC)ではまだsubstantial further progress到達とは言えないけどこの調子で改善すればit may soon be reachedとすぐ来るでしょうってな話。

『On the basis of the cumulative performance of the labor market since December 2020, a number of other participants indicated that they believed that the test of "substantial further progress" toward maximum employment had been met.』

既に到達しとるじゃろ、という見解もあったようですな。

『Some of these participants also suggested that labor supply constraints were the main impediments to further improvement in labor market conditions rather than lack of demand. They noted that adding monetary policy accommodation at this time would not address such constraints or that the costs of continuing asset purchases might be beginning to exceed their benefits.』

最近の労働市場改善の障害物は、労働需要不足なのではなく、労働市場の供給制約によって起きている事を鑑みると、追加的な金融緩和(APPの拡大を継続すること、という意味だと思います)は、(追加金融緩和が需要を喚起するために行われるものなのだから)労働市場の改善に対してメリット少なくデメリットが大きい可能性がある、と数名の参加者が指摘してて、これは新しい論点キタコレと思って読みましたし、これはこれで結構強烈な指摘だと思うんですけどどうでしょうかね。

『All participants agreed that it would be appropriate for the current meeting's postmeeting statement to relay the Committee's judgment that, if progress continued broadly as expected, a moderation in the pace of asset purchases may soon be warranted.』

全員一致(!)で声明文の中でテーパリング着手についての記述「the Committee's judgment that, if progress continued broadly as expected, a moderation in the pace of asset purchases may soon be warranted.」が適切であると一致したそうです。

もういっちょうだけ戻ります。


・これは金融政策の議論の書き出し部分ですのでまあ引用しただけです

『In their consideration of the stance of monetary policy, participants reaffirmed the Federal Reserve's commitment to using its full range of tools to support the U.S. economy during this challenging time, thereby promoting the Committee's statutory goals of maximum employment and price stability.』

『Participants judged that the current stance of monetary policy remained appropriate to promote maximum employment as well as to achieve inflation that averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations that are well anchored at 2 percent. Participants also reiterated that the existing outcome-based guidance implied that the paths of the federal funds rate and the balance sheet would depend on actual progress toward reaching the Committee's maximum-employment and inflation goals.』

まあここは引用しなくても良かったかもしれませんけど、話の流れ(逆順ですが)として金融政策パートがここからでしたのでここまで戻りました。

まあ後は経済(というより物価)のパートも読んだ方が良いかもですが時間がないのでご勘弁しちくりー。








2021/10/13

お題「農政のレビューが金融政策のレビューかと思ってしまうなど/クラリダ講演は従来通りだが物価の説明に一部キナ臭い物はある」

本石町日記さんのツイッターでご紹介されていましたので既報の方も多いかと存じますがやはりこれは引用せざるを得ない。ということで・・・・・・・

〇「検証」というのはこういうものではないでしょうか(日本農業新聞より)

ちなみに日本農業新聞をツイッターで調べると、「また、国内の新聞社の中で、北海道から沖縄の離島まで、同一定価で配達している唯一の新聞となっている。」とか「日本経済新聞が2008年11月に沖縄での現地印刷を開始するまで、一般の全国紙も実現していない、沖縄県を含めた全国への即日宅配を唯一行っている新聞だった。」というようなパワーワードが並びます。

でもって日本農業新聞の昨日の記事ですけど。
https://www.agrinews.co.jp/news/index/31074
2021年10月12日
農政方針ずさんな進捗管理 第2次安倍政権以降“乱発”の末
| ニュース| 農政

『2012年発足の第2次安倍政権以降、政府の農政改革の推進に伴い、矢継ぎ早に出された政策方針。その進捗(しんちょく)管理が不十分となっていることが分かった。農産物輸出に関する16年策定の戦略は、実行状況を検証する組織がいつの間にかなくなっていた。』(上記URL先より、以下引用部分は同様に上記日本農業新聞10/12記事からの引用です)

『加工・業務用野菜の出荷量目標は、達成のめどが立たないまま、目標年次や数量を変更している。』

テラ金融政策wwwwwwwwww

と、リードの部分だけでもごはん3杯は行けそうですが、記事の内容がまさに金融政策に二重写しで号泣せざるを得ません。

ということでリードの残りは飛ばして『■途絶えた検証』というどっかで見たことのあるような小見出しを見ますと、

『その数(引用者追記:「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づく施策のことです)は現時点で12に上る。例えば、農林水産物・食品の輸出額を20年に1兆円とする目標に向けて16年に定めた「農林水産業の輸出力強化戦略」。農水省や外務省、農林水産関係の団体などでつくる「輸出戦略実行委員会」が毎年度、実行状況を検証し、必要な見直しを実施すると明記した。』

ほうほうそれでそれで???

『だが、同委員会の活動は18年度まで農水省のホームページで確認できるが、19年度以降の記録はない。同省は、現時点で委員会自体が存在しないとする。経緯は「分からない」(輸出企画課)という。』

あまりにも酷くて草も生えない。


次の小見出しもどう見ても金融政策です本当にカムサハムニダといった風情の内容。

『■目標を変更』って全く笑えないけど笑ってしまうわ。

『加工・業務用に使う国産野菜は、13年の農林水産業・地域の活力創造プラン策定時に「今後10年間で出荷量を5割増やす」目標を掲げた。同年中に「20年度に133万トン」と数値目標を設定。14年度の87万トンから17年度は97万トンまで伸びたが、目標とは開きがあった。』

まるでどこかの金融政策のようである。

『こうした中、政府は19年策定の「農業生産基盤強化プログラム」で「30年の出荷量を145万トン」とする目標を新たに設定した。』

目標先送りとかどう見ても金融政策です本当にありがとうございました。

『当初目標の達成が見通せないまま、目標年次は10年程度先延ばし。実績値を取る単位も年度から暦年に変えた。当初目標との単純比較はできなくなった。』

なんじゃそらwwwでもってまとめですが、

『■整合性に疑問』とはこれまたどこかで聞いた事のある話。

『政策方針の乱立で整合性が明確でないのは、主食用米からの転作作物。』

ほうほう。ちなみに21年産米価が下がっておりましてCPIにも盛大に跳ねると思うんですが、高い輸入小麦加工食品ではなくて米食っとけという感じですな。

『飼料用米推進を柱とする計画もあれば、野菜や果樹といった高収益作物への転換を掲げる計画もある。』

マネタリーベースを拡大するコミットメントがあったり輪番を減額したり、マイナス金利をしながら特別付利を増やしてみたりということですね、わかります。

『農水省OBの新潟食料農業大・武本俊彦教授は「政策は2、3年で検証し、当初の想定と違う展開になっていれば見直すのが普通。検証せず、目先をころころ変えてきたのが、安倍政権以降の政策の特徴だ」と指摘する。』

同じ指摘をしてくれませんかねえ、日経新聞辺りが(と言っても幇間提灯新聞の日経がそんなもの書けるとは1ミクロンも期待しておりませんけどね)。しかしこの武本さんの「政策は2、3年で検証し、当初の想定と違う展開になっていれば見直すのが普通。」ってのも良いですが、

>検証せず、目先をころころ変えてきたのが、安倍政権以降の政策の特徴だ
>検証せず、目先をころころ変えてきたのが、安倍政権以降の政策の特徴だ
>検証せず、目先をころころ変えてきたのが、安倍政権以降の政策の特徴だ

・・・・・・・・・・どう見てもマイナス金利導入以降の日本銀行です本当にありがとうございました。

ああ日銀は検証してましたっけ。まあお手盛り検証にも程があるだろとしか言いようがないものを出してるので更にタチが悪いとも言えますけど。


・・・・・・まあ何ですな、金融政策も農業政策も「目先をコロコロ変えながらやっている感を出し、失敗は絶対に認めない(または現場のせいだと押し付けるだけ)から失敗からの知見を得ることもない」って話なのですけど、これって一事が万事とゆー言葉がありますように、安倍ちゃんや黒ちゃんたちは、やってるふり感を出すために行き当たりばったりの政策を出して、行き詰まりそうになると目先を変えて誤魔化し、雰囲気だけはメディアを動員して作り出し、日本に残っている最後の体力かもしれない蓄積を8年間に渡って食い潰して行ってた、ということになるんジャマイカと思いますと、最初はこちらの記事見ながら草生え散らかしておりましたが、だんだん悲しくなって参りました・・・・・・・


〇クラリダさんが発言をしているので早速釣られてみるクマー

題名からしてこれは外れがないだろう、と題名だけ見てネタ採択を決定してみた。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/clarida20211012a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/clarida20211012a.pdf
October 12, 2021
U.S. Economic Outlook and Monetary Policy
Vice Chair Richard H. Clarida
At the 2021 Institute of International Finance Annual Membership Meeting: Sustainable Economic Growth and Financial Stability in a Diverging, Decarbonizing, Digitizing, Indebted World,
Washington, D.C. (via webcast)

会議の趣旨が何かあんまり今の金融政策って話じゃない気がするが気にせずに読む(キリッ)。というかそんなに長くないし小見出し見たら火の玉直球100マイルだと思ったのでとりあえず読む。


『Current Economic Situation and Outlook』って小見出しの所が多少量がある。そこの1パラ目は経済全体で、そのあと雇用→物価と進みます。

・経済全体に関しては威勢の良い話、ただしコロナ感染拡大には注意

『Indicators of economic activity and employment reveal that the economy continues to strengthen. Real gross domestic product (GDP) rose at a strong 6.4 percent pace in the first half of the year, and growth is widely expected to continue at a robust, if perhaps somewhat slower, pace in the second half of the year. If so, GDP growth this calendar year could be the fastest since 1983.』

『That said, the data also indicate that a surge in COVID-19 cases in the summer and supply-chain bottlenecks held back economic activity in the third quarter.』

最初は経済全体の成長率がどうのこうのな話ですが、経済全体の成長は3Qに関してサプライチェーンのボトルネックと夏のコロナ再拡大を受けてやや減速するものの、2021年を通してみれば1983年以来の高成長を示すでしょう、という威勢の良い話から始まりますな。

『As with overall economic activity, conditions in the labor market have continued to improve.』


・労働市場も同様でこっちの方がコロナ次第感の押し出し方が強い

次のパラグラフが労働市場で、「have continued to improve」だそうです。

『Job gains as measured by the payroll survey have averaged 550,000 per month over the past three months. Labor market progress this year, as measured by the Kansas City Fed's Labor Market Conditions Indicators, has been notable, with this index of 24 labor market indicators since December 2020 closing two-thirds of its shortfall relative to its pre-pandemic level.2 Nonetheless, factors related to the pandemic, such as caregiving obligations and ongoing fears of the virus, continue to weigh on employment and participation. 』

『Thus, the course of the labor market, and indeed that of the economy, continues to depend on the course of the virus.』

ペイロールが直近3か月平均で月に55万人増えてるとか、カンザスシティ連銀のインディケーターを見ると、最近の改善は顕著で、既にパンデミックによる落ち込みの3分の2までを奪回しているだの威勢の良い事が言われまして、とは言ってもパンデミック直撃のセクターは今後の感染症動向による悪化懸念があって、こちらはまだ回復してこないので、その分だけ雇用の数字に悪影響が出ているってこと。

ということで今後の労働市場とか当然ながら経済全体は引き続きコロナ感染症状況に依存する、ってのは変わらんよねー、という話をします。


・物価の説明では微妙にキナ臭い表現がありますなあ

この部分、さっきも申し上げたように3パラに分かれていますが、この物価のパートがクッソ長いし、言ってることは結構アイヤーな事ゆうとる、とアタシャ思いましたがどうでしょうかということできっちり引用しながら鑑賞しましょう。

『Since February 2020, core PCE (personal consumption expenditures) price inflation is running at a 2.9 percent annual pace that is well above what I would consider to be a moderate overshoot of our 2 percent longer-run goal for inflation.』

物価キタコレ!ですが、以前ネタにした講演でもクラリダさん言ってましたが、今回はこの2.9%という数字に対して「that is well above what I would consider to be a moderate overshoot of our 2 percent longer-run goal for inflation.」と基本的にこの水準は「moderate overshoot」と言える水準を大きく上回っている、としているので、物価前年比3%水準がホイホイと長引くのはイクナイと言ってるようなもんですわな。

『Fully reopening the $20 trillion economy this year is taking longer and costing more than it did to shut it down last year. In particular, the reopening has been characterized by significant sectoral shifts in both aggregate demand and supply, and these shifts are causing widespread bottlenecks and triggering substantial changes in the relative price and wage structure of the economy.』

コロナ→ロックダウン→再開、という流れによる経済の影響は、「the reopening has been characterized by significant sectoral shifts in both aggregate demand and supply,」ということで需要面、供給面において、セクター間での需要や供給のシフトを引き起こしている(=一様に回復して需要と供給が同じように戻る訳ではない)という話をしていますね。

この構造的なシフト、という所でも「おー」と思うのですが、今再掲した部分の次に「and these shifts are causing widespread bottlenecks and triggering substantial changes in the relative price and wage structure of the economy.」と来まして、relative price and wage structure of the economyに顕著な変化を与えるトリガーになりつつある、という説明をしておりまして、これまたアヒャーという印象を私は受けましたぞな。

つまりですね、従来は「テンポラリー」という話をして、いずれは物価は落ち着くからまあおまいらおちつけ、位の勢いだったのですが、こうやって「経済における相対価格と賃金の構造に顕著な変化をもたらす可能性」という話になって来ますと、それはどう見てもテンポラリーで済ませて良い問題ではない、ということになる、ってえ話になると思うのでこれはキタコレにも程がありますが、この後の文章を読むと今見ているのは「一時的な構造変化」という事で、この構造変化はいずれ落ち着く、という説明にはなっているのですが、ただ単純な一時要因と言わないで、「一時的な構造変化」というような感じでのカメレオン説明をしているのはキナ臭いにも程がありますな。

『A similar reopening dynamic is playing out in other advanced economies, such as Canada and the United Kingdom. As these relative price adjustments work their way through the economy, measured inflation rises.』

似たような経済再開による動きはカナダやUKでも起きており、物価が上がっております、という思いっきりキナ臭い話をぶっこんで置いて、この後に火消し文言を入れてお前本当はどっちやねんとツッコミを入れたくなる感じですが、そらまあテーパー着手すらしていないのに、物価の構造は変わった(キリッ)とか言い出したら債券市場がタントラムになってしまいますからよー言わん、というのは分かるのですが。

『But I continue to believe that the underlying rate inflation in the U.S. economy is hovering close to our 2 percent longer-run objective and, thus, that the unwelcome surge in inflation this year, once these relative price adjustments are complete and bottlenecks have unclogged, will in the end prove to be largely transitory. 』

とは申したものの、私(クラリダ)は基調的な米国のインフレ率は我々のロンガーランの物価目標の2%近辺に居ると信じておりまして、今年の望ましくない物価上昇(思いっきり「the unwelcome surge in inflation this year」って言ってますね)は、相対価格の変化などが終わってサプライチェーンの問題も解消されれば、最終的には「21年の望ましくない物価上昇は概ね一時的でしたね(ニッコリ)」と言える日が来るでしょう、という風に仰せです。

『And this is a forecast that is shared by the vast majority of economists in the private sector, such as those surveyed by Bloomberg and Blue Chip. 』

それはブルームバーグやブルーチップ(スーパーで貰って台紙に貼る奴を思い出す昭和脳のアタクシ)のサーベイなどを見れば皆さんもそうお思いですというのが分かります、だそうな。

『That said, I believe, as do most of my colleagues, that the risks to inflation are to the upside, and I continue to be attuned and attentive to underlying inflation trends, in particular measures of inflation expectations, including the Board staff's index of common inflation expectations.3 』

『As Chair Powell has indicated, if we did see indicators of inflation expectations moving up and running persistently above levels consistent with our price stability mandate, monetary policy would react to that. But that is not the case at present.』

というのでこのコーナー終わりますが、FOMCのパーティシパントも概ね皆さん同じように考えていますが、物価に関してはアップサイドリスクがあり、インフレのトレンド、特に期待インフレに関して注意をしていきたい。パウエル議長も言っているように、我々はインフレ期待がアンカーレベルから一段の上昇シフトをして、持続的に2%を乖離しているような動きを見るようなことがあれば(仮定法過去で書いてある)、必要な施策を行う(これは先般ネタにした9月FOMCでのオープニングリマークにあった話ですね)、としていますが、最後に「今はそのような状況ではない」と火消しをしております。

ただまあこういう認識だったら今のように緩和政策ダダ漏れのおっぴろげ状態では金融政策の機動性が無いにも程があるのですから、こりゃテーパーは割とハイペースでやって行くってのが論理的帰結として示されるとおもうのですがさてどうでしょうかね・・・・・・ということで後半に行く。


・政策の部分では9月FOMCのステートメントやパウエル会見オープニングリマークから乖離しない話をしております

『The September Decision and the Forward Guidance in Our FOMC Statement』という小見出しは2パラグラフあります。

『Let me now say a few words about the decisions reached at our September FOMC meeting.』

はい。

『Since our December 2020 meeting, the Committee has indicated that it will continue to maintain the pace of Treasury and mortgage-backed securities purchases at $80 billion and $40 billion per month, respectively, until "substantial further progress" has been made toward our maximum-employment and price-stability goals.4』

これは話しのマクラ。

『At our September meeting, the Committee continued to discuss the progress made toward these goals, and I myself believe that the "substantial further progress" standard has more than been met with regard to our price-stability mandate and has all but been met with regard to our employment mandate.』

『If progress continues broadly as expected, the Committee in September judged that a moderation in the pace of asset purchases may soon be warranted.』

9月の決定に関してですが、ここでは別に独自見解は無くて、9月FOMCで示された通りの話をしています。

『At our meeting, we also discussed the appropriate pace of tapering asset purchases once economic conditions satisfy the criterion laid out in the Committee's guidance.』

テーパリングのペースについてですが、

『While no decisions were made, participants generally view that, so long as the recovery remains on track, a gradual tapering of our asset purchases that concludes around the middle of next year may soon be warranted.』

来年の年央に終了するのが「a gradual tapering」なのかよ、というツッコミはあるが、これまたオープニングリマークで示されておりますのでその確認だったりしまして、1パラ目はここでおしマイケルなので、つまりは9月FOMCでのオープニングリマークに沿った話です。では次のパラ。

『It is important to note that any future decision the Committee might make with regard to the pace of asset purchases will not be intended to carry a signal about the timing of a future decision to raise the target range for the federal funds rate, a policy decision for which we have articulated a different and substantially more stringent test.』

今回もまた「テーパー利上げ分離論」を力説しておられます。

『As we reaffirmed in September, we continue to expect that it will be appropriate to maintain the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessment of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』

今さらながら9月に決めた金利ガイダンスを読み直しておられますが・・・・・・・・

『At least half of the 18 FOMC participants in their Summary of Economic Projections (SEP) submissions projected that these necessary threshold conditions for liftoff will be met by December 2022, and all participants but 1 project that these conditions will be met by December 2023.5』

おーここでSEPのドットチャートの説明をしやがったか。SEPのドットチャートは、緩和的な政策を維持する必要がある時に時間軸効果を出すのには有効でしたが、事ここに至ってはコミュニケーションをややこしくするんだから止めれば良いのにこういう説明するのあんまりイクナイと思うんだよな。

『These projections are entirely consistent with the new monetary policy framework adopted unanimously by the Committee in August 2020.6 In the context of our new framework, as I have noted before, while the effective lower bound (ELB) can be a constraint on monetary policy, the ELB is not a constraint on fiscal policy, and appropriate monetary policy under our new framework, to me, must-and certainly can-incorporate this reality. 』

でもってですね、昨年ぶっこんだニューフレームワークに則ってガイダンスの話しとかしているのですが、あのフレームワークの前提は「雇用は強くても物価はアガランチ会長」というのが背景にあったから今の状況にフィットせんのじゃネーノとか思ったりもする訳ですが、なるほどここで「政策金利の名目下限制約」を持ち出して利上げを急がないでも良い理由付けをしてきたか、と感心しましたが、確かに前提がコケている以上、これを持ち出すしかないかもしれん。

いずれにせよ、クラリダさん今の時点で利上げを織り込ませに行くのは何ぼ何でも無茶振りである、というのは把握していて、テーパリングプロセスにちゃっちゃと入る事をスコープにしている(実際に腹の中でどう考えているかはともかくとして)という論点に集中させていますよね。ただ構造的な話とかがしらっと入っているのはお洒落。

『Indeed, under present circumstances, I judge that the support to aggregate demand from fiscal policy-including the nearly $2 trillion in accumulated excess savings accruing from (as yet) unspent transfer payments-in tandem with appropriate monetary policy, can fully offset the constraint, highlighted in our Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy, that the ELB imposes on the ability of an inflation-targeting monetary policy, acting on its own and in the absence of sufficient fiscal support, to restore, following a recession, maximum employment and price stability while keeping inflation expectations well anchored at the 2 percent longer-run goal.7

おっちゃん1文がなげえよと思うのですが(^^)、最後の所は財政支出による需要に関する話をしておりますが、それはそれとしましてもワシらは金融政策で物価目標目指しまっせみたいな話をしているように読みました(違ったらゴメンやで)。

『Thank you very much for your time and attention. I look forward, as always, to my conversation with Tim.

ということで、基本的には別に新機軸は出していないのですが、物価が構造的に高止まりするリスクには結構な分量を割いて説明していた感じでして、まあとりあえず11月FOMCでテーパー着手表明が出るのは予告ホームランと言ったところなのと、利上げに関してはまだああだこうだと言いたくない、というのは把握しました。


#今朝はネタの先入れ先出しで勘弁してつかあさい








2021/10/12

お題「生活意識アンケートを淡々と鑑賞してみるの巻です」

ほうほうドル高ですかそうですか。
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPL4N2R72YX?il=0
2021年10月12日5:29 午前
NY外為市場=ドル上昇、対円で3年ぶり高値 安全通貨に資金流入

安全通貨といって日本円に資金が入る時代ではなくなったということなんですか、為替市場詳しくないから良く分からんけど。


〇生活意識アンケートである

(概要)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2110.htm/

(全文)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2110.pdf

全文の方から引用しますね。ちなみにこれ調査期間はちと集計に時間が掛かるようで、

『【調査概要】
・ 調査実施期間 :2021年8月6日(金)〜9月1日(水)
・ 調査対象 :全国の満20歳以上の個人
・ 標本数 :4,000人(有効回答者数2,209人<有効回答率55.2%>)
・ 抽出方法 :層化二段無作為抽出法
・ 調査方法 :質問票によるアンケート調査(郵送調査法)』

となっていて、どの時期に回答来るかにもよりますが、8月という絶賛コロナアイヤーモードな時期で、東京五輪は無事に終わったのですがバッハ会長が銀ブラして「特権階級は楽しく銀ブラしているぞ、汝人民外出るな」と上級特権民の上級特権民たる所以を示し、新規感染者数は全国で1日2万人とかになって、下旬の横浜市長選挙でガースー先生つうこんのいちげきを食らった、とかそういう時期ですなあ、なんか遠い昔のような気がするし、昨日のような気もしますね。


・なんで足もとの景況感が改善してるのに先行きが悪化するんだよ(しかも2四半期連続)

2ページの『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』が一発目の質疑になるのですけれども、のっけから不思議ワールドが展開されます。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「悪くなった」との回答が減少したことから、景況感D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。

なお、現在の景気水準については、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計は減少した。』

これですね、例によって例の如く図表貼り付けスキルがない(のに加えて地の文章とかデータをペタペタ貼るのは引用引用となるのですが、どうも図表貼り付けに関しては引用してエエノンカ(たぶんセーフ)と思ってしまうのもあって、ハリツケのスキルを磨こうとしません)のでURL先の方を見て頂きたいのですが、『(図表1)景況感〔Q1、3、4〕』の<現在を1年前と比べると> と<1年後を現在と比べると>を見ると、足元の景況感がこの2四半期に渡って改善を続ける中で、先行きの景況感が悪化するという逆の動きになっております。

アタクシも別にこれを年中詳しく見ている訳ではない(出た時にはネタにしてますが)のでアレなんですが、そこの図表の中に<景況感D.I.の推移>という図表もあるので、そいつを見て頂きたいのですが、基本的に現状DIと先行きDIは概ねパラレルに動くか、まあ片方が横這いみたいな感じの時があります。その一方で「現状DIが改善しながら先行きDIが逆行して悪化する」というのは時々あるにはあるのですが、直近2四半期は無茶苦茶鮮明にその傾向が出ているのがやっぱり珍しいケースになっていると思います。

何がどうしてこうなるのでしょうかねえ?????と思って取材班は更に次の項目を見るのでありますが謎は深まるばかり。

『1-1-2. 景況判断の根拠』ですけど、

『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況から」、「商店街、繁華街などの混み具合をみて」といった回答が多かった。』

とありまして、その先の内訳グラフとなる(図表2)景況判断の根拠(2つまでの複数回答)〔Q2〕を見ましても、元々ウェイトが高めな項目ではありますが、『自分や家族の収入の状況から』、『勤め先や自分の店の経営状況から』が良い感じでこの半年で伸びてきておりまして、一方で『マスコミ報道を通じて』という項目は下がっておりまして、いやーこの理由だったら何で先行きのDIが悪化せにゃならんのよ、と思うのです。

つまりですね、理由の上位項目は体感的な部分なので、その体感的な感触でアンケートに答えた場合、現状DIが好転するのに先行きDIが悪化する、という矛盾を起こすような回答って普通しねーだろー、とアタクシなんぞは思うんですよね。

・・・・・・ということで、根拠の部分を見ても何が何だか良く分からん結果でして、次回の生活意識アンケートの結果が今から待ち遠しくなって参りました、とか言ってますがどうせ健忘症のおじいちゃんなのでその頃には忘れているに100ダッチギルダーですけどね。


更にちょっと先(金利水準の質問はあんまり意味をなしていないと思うので飛ばす)に行きまして、『1-2. 暮らし向き、消費意識』を見ると、さっきの景況判断の根拠の部分で示されています結果のような感じでして、『1-2-1. 現在の暮らし向き』では、

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』

となっていますが、(図表4)現在の暮らし向き〔Q6〕の直近3四半期分の内訳をみるとはあそうですかってなもんですが、こちらの味わいがあるのはその下にある長期時系列の<暮らし向きD.I.の推移>でして、これを見ると過去リーマンショックの時には落ち込んだりもしたのですが、今回のコロナショックに関してはまるでなかったかのような動きになっていて、これはそもそもこのアンケートではこの項目自体が使えないイカレポンチ項目であるのか、はたまた「コロナは一部に甚大な被害をもたらすものの他に影響がさほどではない」ので、実額ベースではなくて頭数対比でのDIみたいなのを取ると、影響が小さく見えるのか、どっちなんでしょうかねえ。日銀はどう解釈してるんでしょうか???



・収入は増えるが支出は抑制気味のようですなあ

次の『1-2-2. 収入・支出』から全体的な話から個別項目になります。

『収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が増加し、「減る」との回答が減少したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。』

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少し、「減った」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加し、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

現状では収入増えるも支出は抑制的、という話になっておりますの。こちらも例によって長期時系列の<収入D.I.の推移>と<支出D.I.の推移>を見ると、収入DIの方は目の子で見た感じではそれなりに経済状況によって何となく上がったり下がったりするのですが、支出DIの方は、とくに先行き部分においてそんなに動いていないという結果になっております。支出の現状DIに関してはコロナ前の所からみたら落ち込んだ状態から中々戻れていないので、「個人消費が戻って来ていない」という話しと整合的ですね。


・雇用環境DIも改善してますが日銀ちゃん涙ぐましいアピールに全米が泣いた

次は『1-2-3. 雇用環境』です。

『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少したことから雇用環境D.I.は改善した。

(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

ほうほう改善ですかそうですか、と言う所ですが、この項目ではその下の長期時系列表となります<雇用環境D.I.の推移>の所が白眉。

と申しますのは、<雇用環境D.I.の推移>を見ますと、直近3回のDI値がわざわざグラフに記載されていまして、何でそんなもんを記載するかというと、改善をじりじりと続けてきていたこのDIが、2006年9月期調査以来初めてプラスになったので、麗々しく▲1.0、▲0.8、0.5、などと出している訳ですよ。しかも脚注にも書いてまして、

『1. 郵送調査となった2006/9月以降を掲載。
2.雇用環境D.I.のピークは 0.5(2021/9月)、ボトムは ▲34.7(2009/3月)。
3.シャドー部分は、景気後退期。』

すげー既往ビークだよ凄いねー、とは思うのですがまるで実感が無いのは衰退産業に勤務するおじいちゃんだからですかそうですかああすいませんですねえという所ですが(自虐も書いてて悲しくなる^^)、このDIは基本的にリーマンショック後のボトムから(チンタラではあるが)トレンドを持って改善しているという数字で、別にコロナで下がったという感じもそんなにない物件ではあるのですが、まあ何といっても2006年以降の既往ピークですよ既往ピーク。

・・・・・いやまあ同じものを20世紀終わりにぶっこんでいたらどうなっていたのか、というのがあるので何ともかんともではあるのですが、雇用改善を実感しているのであれば、もうちょっと消費が増えても良さそうなもんだと思うのですが、この辺りはアタクシ以前より「コロナ対策で行き当たりばったりの何かやってる感ばっかり出して結果オーライ政治ばっかりやってやがるので政府の施策は安心できん」と言う事で家計が防衛的になってしまっている、という辺りに1000ポルトガルエスクードと言ったイメージを相変わらず持っております。


・メインイベントの物価ですけどニアータームの物価観がかなり強くなっていますね!!!!!!

『1-3. 物価に対する実感』キタコレということでメインイベントです。

『1-3-1. 現在の物価』

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が6割台前半となった。
1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.4%(前回:+3.9%)、中央値は+3.0%(前回:+2.0%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』

まあ素敵!適合的な期待形成である実績値に関する見方が上がっていますわよ!!!!!!!!

図表の<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか>を見ると、中央値がこの3回の調査で+1.0%→+2.0%→+3.0%というセクシーな増加を示しております。

『1-3-2. 1年後の物価』

『1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が6割台後半となった。
1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.3%(前回:+4.2%)、中央値は+3.0%(前回:+2.0%)となった。

(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計』

あら!近いタームのインフレ期待も上がっていますわね!!!!!

図表の<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>は+2.0%→+2.0%→+3.0%なので直近にきて物価観が上方シフトの巻となっていますわな。

『1-3-3. 5年後の物価』

『5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が7割台後半となった。
これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.2%(前回:+4.3%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。

(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計』

こっちはあんまり上がらんのね。図表の<5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか>を見てもほぼ同じです。


・・・・・とこのような状況でとりあえず「適合的な期待形成」に期待が持てるのですが、先の項目を見て全米が泣き崩れるのでありまする。


・政策の認知度の部分でクッソワロタ

ちょっと飛びまして『1-6. 日本銀行の金融政策に関する認知度』です。

『日本銀行が、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を掲げていることについては、「知っている」との回答が1割台後半となった。積極的な金融緩和を行っていることについては、「知っている」との回答が2割台前半となった。

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を行っていることについては、「知っている」との回答が1割台前半となった。』

こちらは、(図表18)日本銀行が、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を掲げている〔Q29〕と(図表19)上記目標実現のため、日本銀行が積極的な金融緩和を行っている〔Q30〕と(図表20)具体的には、現在、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を行っている〔Q31〕、を見て頂きたいのですが、これはまあサンプルバイアスが混じっているっぽくは思うのですけど、前回6月調査では若干マシになった数字が今回の9月調査(実際に調査してるのは8月だけど)になったら元の木阿弥になっておられまして、これは見事に全米・・・・じゃなかった全日銀が泣き崩れる結果だし、性格が悪いあたくしは「ざまあwwwwwwwwww」と読んでしまう素敵な結果となっているのでありました。これでオーバーシュート型コミットメントでどうのこうのだからうーたらこーたら、とかMPMで議論してるのアホなんじゃなかろうかと思ってしまい大草原不可避wwwwwwwww


#とか調子に乗ってネタにしてたら時間が無くなりましたので本日はこれで勘弁




2021/10/11

お題「雇用統計でもテーパリングですかそうですか(米国市場メモ)/FSRスピンアウト企画の日銀レビューが中々でした」

えー今日平日なの〜、ってのを月末頃には完全にうっかりしておりましたが、旗日を突如動かすとかいうのクソ迷惑で、そういう実務的にクソ迷惑な事を平気でやってしまうって辺りは現場軽視主義っぽかったよなー(遠い目)。

〇雇用統計でもテーパーはダンディールですわなあ(メモメモ)

https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2R43FD
2021年10月9日6:12 午前
米金融・債券市場=10年債利回り1.6%乗せ、6月以来

『[シカゴ 8日 ロイター] - 米金融・債券市場では、米債利回りが数カ月ぶりの高水準を付けた。9月の雇用統計が市場予想を下回る結果となったものの、米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(量的緩和の縮小)計画は変わらないと見方が背景。インフレ期待も上昇した。指標10年債利回りは雇用統計発表後、一時1.558%まで低下したが、その後切り返し1.617%と6月4日以来の高水準を付けた。終盤は3.2ベーシスポイント(bp)上昇の1.603%。20年債、30年債利回りも一時6月以来の高水準を付けたが、終盤では上げ幅を縮小した。』(上記URL先より、以下同様)

と言いましてもまあテーパリングやるよ〜ってファイティングポーズ示した6月の水準に上がっただけと言ってしまえばそれまでではあるのですが、

『オックスフォード・エコノミクスのリードアナリスト、ジョン・カナバン氏は「米債はFRBのテーパリングに対する姿勢とインフレ懸念の高まりの影響を受けている」と述べた。アナリストによると、雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化したにもかかわらず、FRBは11月にもテーパリングに着手する可能性が高いという。』

結局の所、雇用の数字と高めのインフレが続いてインフレ期待などが上昇する、という状況のトレードオフが発生した場合、インフレ期待が上振れしてしまうとダメダメモードになってしまうので、そら何らかの措置に追い込まれるわという話ですし、まあその通りの理屈になるかは兎も角としても、テーパリングをちゃっちゃと終わらせて利上げを早めにできる(するかどうかは兎も角)ようにしておかないと、インフレ期待が上がってしまってからの引き締めをするとオーバーキルの勢いで締めないとインフレ期待が沈静化しないんですから、そら今は「ビハインドしている余裕はない」って感じじゃないのかと思うのですよね。

まあそういう意味では、出すと言ってしまったのと、その時の経済物価情勢を勘案したらあの時点で出すならああ出すことになるのは仕方が無いのですが、昨年のジャクソンホールでロンガーランゴール&ストラテジーを出して、物価が上がりにくいのだから緩和を引っ張る、というのを市場の中の人のかなりの部分(と思われる)にナイーブに信用させてしまったのはアレだし、雇用統計のコメントとか見ても未だにそれ引っ張っている感じですよね。

いや真面目な話、当欄ではロンガーランゴール&ストラテジーが出た時に、世の中のウスラトンカチ何とかストが「FRBは雇用重視姿勢を強めた」とか言ってるのに対して、「いやこれは「物価が上振れしない限りにおいて」って条件が思いっきり付いているのだから、究極的には物価重視であることには変わらんだろうよ」と散々申し上げた訳でござまして、雇用重視の姿勢を強めたとか言ってた何とかスト身に覚えがあったらちょっとドラム缶で行くマリアナ海溝片道観光ツアーにでも行ってきて欲しいんですけど、とは思うところでございますな、アヒャヒャヒャヒャ。

『カナバン氏によると、エネルギー価格の上昇がインフレ懸念につながっているという。物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は一時5月以来の高水準に上昇。5年物が2.679%、10年物が2.520%となった。』

ゆうて新高値じゃないのねBEIって。

『2年債と10年債の利回り差は約2bp拡大し128.52bp。5年債と30年債の利回り差も約1bp拡大し111.38bpとなった。来週11日の米債市場はコロンブスデーの祝日で休場となる。米財務省は12日に3年債(580億ドル)と10年債(380億ドル)、13日に30年債(240億ドル)の入札を実施する。』

てな訳で完全にロイターさんのふんどしで相撲を取っていて誠に申し訳ないのですが。

30年債 17時05分 2.1655% 前営業日終値 2.1330%
10年債 17時05分 1.6118% 前営業日終値 1.5710%
5年債 17時05分 1.0563% 前営業日終値 1.0190%
2年債 17時03分 0.3198% 前営業日終値 0.3070%

まあ何ですな、これタイミング的に仕方なかったんでしょうし、判断付かなかったんでしょうけど、本当はジャクソンホールでテーパーを思いっきり決め打ちに近い出し方して、9月FOMCで開始を決定した方が楽だった気がせんでもなくて、FOMCまでまだ3週間あるってのは、市場に対して余計なノイズで余計なポジションを作らせる時間としてはちょっと長いかなとは思いますので、今月はこれからも何だかんだと余計なムーブをしてくれそうですが、金利が上がる方のボラは歓迎しているのでバッチグーという感じですな(と死亡フラグを立てる)、



〇金融不均衡ネタがしらっと打ち込まれる日銀レビューキタコレ

ほうほうそうですかそうですか。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2021/rev21j11.htm/
金融活動指標の予測力―海外諸国の銀行危機の事例を用いた分析―
2021年10月8日
金融機構局 須藤直、法眼吉彦、平野竜一郎*
*現・総務人事局

本文行く前に上記HTMLページの『要旨』を読んでみましょう。

『日本銀行の「金融システムレポート」では、国内金融活動の過熱による金融面の不均衡を早期に把握する観点から、1980年代後半のバブル期にトレンドからの乖離度合いが大きくなった金融活動指標の動きを点検している。』

ヒートマップって奴なのですが、それで赤色が出たからと言っても別に「まあこういう事もあります」位の話しで「第二の柱の点検の結果として金融不均衡などのような将来の問題となるような事象が起こる事については観測されていない(ので今の超絶金融緩和政策は継続して無問題)」(キリッ)ってのが結論になる、という悲しいヒートマップだったのですが・・・・・・・・・・・・

『本稿では、17か国を対象に各国データを用いて、わが国と同様の金融活動指標を作成し、それぞれの国での「銀行危機」への予測力を分析した。』

ほーん。

『分析の結果、金融活動指標の中でも民間部門全体の与信活動を最も広く捉えると考えられる「総与信・GDP比率」などの指標は、広範な銀行危機に対しても相応の予測力を持つことが分かった。』

キター!!!!!・・・・というか「そらそうよ」でもありますけどね。総与信のGDP比率に対する拡大ってのは社会全体におけるレバレッジの増加に他ならない訳で、辛うじて80年代後半のバブル期を知ってますので、そらもうレバレッジの増加とはどういうハッピー(その時は)な事になるのかというのは大体わかる。

『もっとも、銀行危機の性質は多様であり、国内金融活動の過熱が起こらないもとで発生した銀行危機では、金融活動指標の予測力は必ずしも高くないことも分かった。』

ふむ。

『また、「総与信・GDP比率」について、「赤」点灯期間が長期化する場合や他の指標と同時に「赤」点灯する場合、銀行危機の発生確率が相応に高まる傾向があることも確認された。』

ヒートマップに関してはFSRに当然の如く掲載されていますが、それはそれとして今回の日銀レビューの中にも掲載されています。


ちなみに、これ見覚えがあるかたも多いかと存じますが、それもそのはず、今回のこの日銀レビューですけれども、直近4月に出たFSRで示された見解を掘り下げた物件になっております。プロトタイプとなっているのはこちらになります。

FSR全文なので115枚組のフルカラーですからDL時にはその旨よろしゅう。
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr210420a.pdf
金融システムレポート
日本銀行 2021年4月

こちらの本文86ページ目、PDFのファイルでいえば92枚目の所になりますが、『BOX1 様々な銀行危機に対する金融活動指標の予測力』ってのがあって(ちなみにこっちのFSRのフォントは相変わらずワイの古式ゆかしいアップローダー(超大昔のホームページビルダー、とんでもない年代物ですがちゃんと動くので無問題、かどうかは知らんけど、4年前に最近版を買ったのだがイマイチ使いにくくて結局そのままお蔵入りさせてしまうという金の無駄をしたのはムカツク思い出である)だとUnicodeに対応していないので相変わらず「行」だの「金」だの手直ししないといけない)、そちらにある図表がまた登場します。



では本文に参りましょう。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2021/data/rev21j11.pdf
日銀レビュー 2021-J-11
金融活動指標の予測力
― 海外諸国の銀行危機の事例を用いた分析 ―
金融機構局 須藤直、法眼吉彦、平野竜一郎*

こちらの1ページ目の下にカラフルな図表がありますが、これがヒートマップちゃん(図表1)でして、図表ちゃんについては上記URL先から本文見に行ってちょ、という所ですが、そちらの図表を見て頂けると分かりますように、最近は『総与信・GDP比率』、『家計向け貸出の対GDP比率』、『不動産業向け貸出の対GDP比率』ってな辺りが赤くなって1年(不動産向け貸し出しは2年)とか経過しているのがお分かりになるというものです。ちなみにこのヒートマップ、民間主体、家計、企業、不動産って辺りは借り入れの水準と投資の水準を見ているのが項目を見ればお分かりになるかと思います。要はレバレッジ水準と投資の水準見てるわけですな。

んじゃまあ折角なのでヒートマップの説明部分からガッツリ引用しますわ。『はじめに 』からですな。

『日本銀行の「金融システムレポート」では、国内金融活動の過熱による金融面の不均衡を早期に把握するためのツールとしてヒートマップを活用している(図表 1)。現在のヒートマップは、早期警戒指標に関する既存研究で有用性が指摘されている 159 の指標候補から、1980 年代後半の平成バブル期において過熱(トレンドから一定程度以上に上方乖離)を示したか、それ以外の時期に過熱を示していないか、という統計的な検証によって抽出した 14 の金融活動指標から構成される 1。』

『参照期間である平成バブル期は、実体経済の成長期待等が強気化するもと、土地や株式などの資産価格の急上昇を伴いつつ、国内金融機関による与信が実体経済以上に膨張した時期である。』

『このため、実体経済活動の水準対比でみた国内与信活動を捉える「総与信・GDP 比率」、地価や株価にかかる変数など、この時期に過熱を示した変数が抽出されている。』

つーことで、

『これらの金融活動指標について、トレンドからの乖離度合いが上限の閾値を超えている場合を「赤」、下限の閾値を下回っている場合を「青」、それ以外の場合を「緑」の 3 色に場合分けし、各指標の過熱感を示したものがヒートマップである。平成バブル期以降をみると、ほとんどの時点において、ほぼ全ての金融活動指標が、過熱でも停滞(トレンドから一定程度以上に下方乖離)でもない「緑」の状態となっている。』

ところが・・・・・・・・・・

『もっとも、新型コロナウイルス感染症拡大以前の 2018 年半ばから「不動産業向け貸出の対 GDP 比率」、2019 年末からは「総与信・GDP 比率」、「家計向け貸出の対 GDP 比率」で「赤」が点灯し始めていた。』

キタコレ。

『さらに、感染症の拡大以降は、GDP の急減や、感染症対策として実施された企業金融支援策等の効果による金融機関貸出の増加を背景に、更に多くの指標で「赤」が点灯した。』

でもってこれに対しては既に前回までのFSRでこのように説明しています。

『感染症拡大を契機とする「赤」点灯については、企業金融支援策等の結果として、積極的な金融仲介活動が行われ、企業の資金繰りが下支えされていることの表れであり、金融活動の過熱感を表すものではないと考えられる。』

という評価になっています。まあそれはそれで結構なのですが、よくよく考えてみると、この間投資を示す指標の方は緑のままで推移していて、その辺が平成バブル(これ平成バブルって言い方をする(名著「平成バブルの研究」もそうですが)んですけど、心象風景的には平成というよりも昭和最後に起きたのがこのバブルで、昭和の終わりと共にピークを迎えて華々しく散ったというイメージですな、同時代に生きてたひとからしますと)とは違うのですよね。

ただまあ上記にもありましたように、実際問題としては2019年の辺りから、即ちパンデミック関係ない所から与信の赤信号が出てきているのがアレでして、物凄く楽観的に仮定すると、与信が拡大してきてさあこれから(何かよくわからんけど)バブルみたいな投資が、というような出鼻をパンデミックが挫いてしまったので実体経済への投資の方の数字がアガランチ会長になっているのかな、とも思いますし、一方でパンデミックの中に与信は出るのですが、投資が碌すっぽ出てこないという事はそれ単に不良債権予備軍の山を作っているとか、投資にも回らんマネーをせっせと預金金融機関が供給しているのってそれ経済の非効率を更に拡大させてるんでネーノ(実際日銀謹製の潜在成長率ドンドン落ちて直近の推計値+0.10%を切るという惨状になっているんだし)とか、金融不均衡ゆうてもバブル的じゃない方の良からぬサムシングを感じてしまわないでもないですな、ちーん。

『もっとも、感染症拡大以前からみられていた指標の「赤」点灯については、わが国において 1980 年代以降、銀行危機へと結び付いた過熱の発生事例が平成バブルのみであることから、評価が容易ではない。』

だそうですが、そういわれますとじゃあ何でヒートマップ作ったんよと言いたくはなる(もともと平成バブルの時の状況から逆算して項目を選んでるんだから)のですが、まあヒートマップ作った人とこの稿を書いてる人が別人28号でしょうし、この日銀レビュー自体も『ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。』となっているからそらまあそれで良いんですけど、作ったの同じ金融機構局なんだからヒートマップで与信の数字が企業、家計、不動産共に上振れな上に、投資の方はトレンド内、という事象に対する何らかの仮説でも提示してくれれば良いのに、とは思ってしまいますよね〜。

『本稿では、海外諸国のデータを用いて各国の金融活動指標を作成したうえで、その国で発生した銀行危機に対する予測力の計測などを多面的に検証する。わが国の平成バブル期だけでなく、海外のより広範な銀行危機の経験も分析することで、今後、金融活動指標をみていく際に留意すべき論点について考察することができると考えられる。』

ということで、本論が始まるのですけど、本論というか海外比較はそんな訳で2ページ目(PDFも同じく2枚目)の『海外諸国における銀行危機と金融活動指標』からになる。

『まず、G7 を含む 17 か国を対象に、14 の金融活動指標のうち国際比較が可能な 8 つの指標について、伊藤他(2014)に倣いつつ、わが国と同じ手法を用いて過去 40 年分の金融活動指標を作成する。そのうえで、これらの国々で過去 40 年間に発生した計 26 回の「銀行危機」について、各指標がどの程度の予測力を有しているか検証する。』

という辺りに関しては本年4月号のFSRのBOX1で示された物件と同じになります。でもってその図表とかもオモロイですがそれはFSRなりこちらの日銀レビューなりを見てちょということにして、

『銀行危機に先行する金融活動指標の動きは、危機ごとにばらつきがある。銀行危機に先行して全指標が「赤」点灯したケースは、わが国の平成バブル期に限られるが、例えば、リーマンショック前のフランスでは 7 指標が「赤」点灯した一方、同じくリーマンショック前であってもドイツでは「赤」点灯は「M2 成長率」と「株価」の 2 指標にとどまっていた。』

『銀行危機前の金融活動指標の動きの違いは、その国にとっての危機の性質の違いを捉えている可能性がある。』

ほー。。

『例えば、上述のリーマンショック前のフランスであれば、「総与信・GDP 比率」を含めて「株価」以外の金融活動指標は全て「赤」点灯し、わが国の平成バブル期でみられたような国内金融活動の過熱感が存在したことが示唆される。一方、同じ時期のドイツでは、「赤」点灯していた金融活動指標は限定的であり、平成バブル期とは異なる種類の銀行危機が生じていた可能性が示唆される。』

ほう。

『国内金融活動の過熱感の度合いを確認するために、両国の「総与信・GDP 比率」のギャップの推移をみると、リーマンショック前において、フランスでは大きくプラスであった一方、ドイツではマイナスとなっていた(図表 3)』

ナンヤソラ。

『こうした点は、リーマンショック期におけるドイツの銀行危機を巡る金融当局や既存研究の指摘とも符合する。』

『例えば、European Systemic Risk Board (ESRB、2017)は、この時期のドイツの銀行危機の原因として、ドイツ国外の不動産市場や海運業向け与信を多く抱えた一部の銀行に対して海外金融市場の調整やそれに伴う経済活動の低下が大きく作用したことを挙げつつ、銀行危機がドイツにとって、輸入された危機 (Imported Crisis)であった可能性を指摘している 4。』

へー。

『図表 4 は、早期警戒指標の分析において広く用いられる統計的な基準――「受信者動作特性曲線の面積(Area Under the Receiver Operating Characteristics Curve、以下、AUC)」――で、8 指標の予測力を個別評価したものである。』

『AUCは「危機の前には正しく『赤』が点灯し、危機でないときに誤って『赤』が点灯しない」度合いを計測する基準であり、各指標が危機時とそうでない局面を正しく予測できる場合は 1、5 分 5 分である場合は 0.5 となる。なお、ここでは、危機の2〜5 年前に「赤」が点灯していた場合を、正しく「赤」が点灯した場合と定義している。』

でもってこの部分の結論に関しても実は本年4月のFSRのBOX1で触れています。BOX1の時とちょっと見せ方が異なっていますが、結論は同じ(当たり前ちゃあ当たり前ですが)で、以下のようになります。

『各指標の AUC をみると、「株価」を含む 3 指標を除くと、他の指標は、95%の有意水準で 0.5 を上回っており、「家計向け貸出の対 GDP 比率」、「総与信・GDP 比率」、「地価の対 GDP 比率」の順で高くなっている。』

「家計向け貸出の対 GDP 比率」、「総与信・GDP 比率」がトップ2ですね、というのはFSRでも示されています。

『8 指標を単純平均した「金融ギャップ」の AUC も、有意に 0.5 を上回っており、3 番目の予測力を持つ「地価の対 GDP 比率」に次ぐ予測力を持っている。この傾向は、標本から日本を除いても変わらないことを踏まえると、金融活動指標の多くは、わが国の平成バブル期だけではなく、海外の広範な銀行危機に対しても相応の予測力を有することを示唆している。』

てなわけで本論のうちこの辺までが前振りでして、この後の検証部分がFSRからの深掘り部分の絶賛大公開時代となるようです。『「赤」点灯の長期化や同時点灯が危機発生確率に与える影響』という小見出しから参ります。

『前述のとおり、わが国の金融活動指標は、足もと一部の指標が「赤」点灯し続けている。以下では、「赤」点灯が先行きも続く場合や、「赤」点灯する指標の数が増減する場合の評価について示唆を得る観点から、「赤」点灯期間の長さや、単独で「赤」点灯しているか、他指標と同時に「赤」点灯しているかという点が、銀行危機に対して何かしらの追加的な情報を持つかを検証する。』

ほうほう。

『図表 5 は、上記の分析で高い予測力を示し、かつ金融活動指標の中でも民間部門全体の与信活動を捉えると考えられる「総与信・GDP 比率」に着目し、同指標が銀行危機の発生直前において何年間継続して「赤」点灯していたかという観点から、銀行危機の数の分布をみたものである。』

図表5はスマンですが本文見てくらはい。

『「赤」点灯継続年数は、銀行危機ごとに相応に異なっており、前述のドイツの銀行危機と同様に「赤」点灯しないものも相応に存在する。継続年数別に比べてみると、「赤」点灯が 1 年間継続した後に危機が発生したケースが単年としては最も多いものの、「赤」点灯が 3 年間以上継続して危機が発生したケースを累計するとその倍程度となっている。』

ほうほうほうほう。

『図表 6 は、「総与信・GDP 比率」の「赤」点灯継続年数により、銀行危機の発生確率がどのように異なるかを検証したものである。』

さらに図表6もスイマセン本文を見てつかあさい。

『ある時点tからみた先行き 1〜2 年間に銀行危機が発生する確率について、t時点に至るまで過去何年間継続して「赤」が点灯していたかという尺度で場合分けして分布をみると、その時点までの「総与信・GDP比率」の「赤」の点灯継続年数が長ければ長いほど、その時点以降の銀行危機の発生確率が高まる傾向にあることが確認された 5。

まあ!

『特に、点灯継続年数が 1〜2 年の場合と 3 年以上の場合とを比較すると、後者の場合の銀行危機の発生確率は 2 倍以上大きい。』

アイヤー!ちなみに直近(2020/12末が直近です)でこの指数、5四半期連続で点灯している筈ですよ(目の子で図表1を見た感じですと)。

『このことは、同じ「赤」点灯であっても、より長く継続している「赤」点灯は、より注意すべき脆弱性を伴っている可能性が高いことを示唆していると考えられる。』

今年1年点灯しっぱなしだと来年には3年目に突入・・・・・・・・ゴクリ。

『最後に、同時に複数の金融活動指標が「赤」点灯することについての含意を分析する。』

さらにその点ですかそうですか。

『図表 7 は、銀行危機の前において幾つの指標で「赤」が同時に点灯しているか、という尺度で、それぞれの銀行危機の数の分布をみたものである。4 指標が同時に「赤」点灯しているケースが最も多く 9 ケースであり、2 指標の同時点灯、5 指標の同時点灯がそれに次ぐ形になっている。』

直近だとM2と総与信と家計向け貸し出しと不動産業向け貸し出しなので4つですな。

『再び「総与信・GDP 比率」に注目し、「総与信・GDP 比率」以外の他の 7 指標が「総与信・GDP比率」と同時に「赤」点灯している場合と、「総与信・GDP 比率」が単独で「赤」点灯している場合とで、先行き 2 年の銀行危機の発生確率を比較すると、図表 8 のようになる。』

中々しつこく見ますな。

『多くの指標において「総与信・GDP 比率」と同時に点灯する場合に、先行きの銀行危機の発生確率が高まる傾向があり、また、「企業設備投資の対 GDP 比率」や「株価」のように、単独では予測力が高くない指標についても、「総与信・GDP 比率」との同時点で点灯する場合には、予測力が高まる傾向があることも注目される。』

レバレッジ拡大の中で設備投資が増える(過剰設備の予備軍)とか株価が上がる(社会全体でみたら信用二階建てしてるようなもん状態ってことですよね)とかは何となくメイクセンスしますね。

『これらの指標の「赤」点灯について、投資から将来得られる収益についての期待の強気化を映じているとすれば、この結果は、期待の強気化と「総与信・GDP 比率」の「赤」点灯が示唆する国内与信活動の過熱が重なる局面では、わが国のバブル期だけでなく、海外においても銀行危機が生じやすい傾向があったことを示唆している 6。』

という話で、いやーこれは黒ちゃん退任の頃まで赤いのが引っ張られると実にアレということですな、南無大師遍照金剛。


という話で、いやーこれは目先どうのこうのの話しじゃないですけど、黒ちゃん退任のタイミングあたりでゴクリって感じのサムシングがあって実に心に染み入る深掘り結果でございましたので思わずネタにしてしまいましたが、このあとの『まとめ』の最後にヘッジクローズはありますので念のため申し添えます(^\^)。


『本稿の留意点としては、まず、標本の数が挙げられる。分析では、銀行危機が発生した時点や発生地域における経済・金融システムの同質性を確保する観点から、先進国で生じた 1980 年以降の26 の危機に分析対象を限定している。こうした絞り込みは、日本の金融活動指標への含意を得るという点からも必要であるものの、一方で、得られた結果についてはより幅を持ってみる必要があることを意味する。』

『二つ目は、分析対象が発生確率に限定されているという点である。銀行危機に伴う経済的コストという観点からは、発生確率に加えて、長さや深さという点も考慮することが重要であり、既存研究では、銀行危機の種類によって、景気悪化の度合いや回復までの期間が異なる可能性が指摘されている 7。』

『本分析の結果を考察するにあたっては、こうした点も念頭に置いておく必要がある。』

ということでござんした。サラリと分析していて読みやすかったですので是非ご一読あれ(かなり引用しちゃいましたが、汗)。






2021/10/08

お題「ECBがバカスカとインフレ関連ご説明をぶっこんでます/さくらレポート関連/9月主な意見より(遅くなりました)」

よ〜揺れましたの〜(南関東在住)。

〇いやーインフレネタ多くなりましたなあ

アタクシようつべのECB公式チャンネルをチャンネル登録してるんですけど、こちらのイベントについてアップしました、とかいうような通知が来てたりしました(50分あるのでまだ見ていない)。

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/html/20211007_joint_ECB_FED_conference.en.html
Inflation: Drivers and Dynamics Conference 2021
Joint ECB and Federal Reserve Bank of Cleveland Conference
Thursday, 7 and Friday, 8 October 2021
Online event (by invitation only)

『This conference will bring together top researchers from academia, central banks and other policy institutions to present research findings related to inflation. Some of the topics of interest include, but are not limited to: inflation measurement, inflation expectations, structural drivers of inflation, the Phillips curve, wages and profits, and the pass-through of commodity prices to inflation.』

てな訳で、ECBとクリーブランド連銀の共催イベント(地区連銀とECBのジョイントって何気に凄いと思ったがよく考えればFRBはボードなのであって、銀行じゃないもんね)が行われました(というか絶賛本日もやるようで)とか言うのが思いっきり通知飛んできた訳ですよ。

Programme
Times are Central European Summer Time (UTC+2)
* indicates the presenter

ってことで式次第があるんですが、これがまたエライ量がありまして、引用すると無駄に大量になってしまいますのでアレですが、ECBゆーちゅーぶチャンネルの通知があったのはこの中の

Thursday, 7 October 2021

17:45
Policy panel
Chair: Christiane Nickel, European Central Bank / Ed Knotek, Federal Reserve Bank of Cleveland

Philip R. Lane, Member of the Executive Board, European Central Bank
Loretta J. Mester, President and Chief Executive Officer, Federal Reserve Bank of Cleveland
Moderator: Sabrina Marggraf, ntv

でして、レーン専務理事とメスター総裁のパネルになっています(中身はちゃんと聞いてないのでアレですが)ワシのインチキ英語ヒアリング能力によりますと、最初に司会の方がゆうとった能書きの中で「最近はインフレの事があまり問題になっていませんでしたが、ここに来て急速に世の中の関心を集めるようになっています(アタクシの耳ベースだから違ってたらゴメンよ、でもそういう趣旨だったと思う)」ってな感じで話のマクラにしておりました。なお、上記URL先は現時点(10/8日本時間の朝)はパネルセッションの中身に関して特にリンクとかは無いのですが、ユーチューブのECB公式チャンネルに行きますとこのパネルを最初から最後まで(50分)見れますですわよ。

んでもって更に、このイベントのオープニングリマークが毎度おなじみシュナーベル理事が行っておりまして

15:00
Opening remarks
Isabel Schnabel, Member of the Executive Board, European Central Bank

そちらはECBのトップページから行ける所に講演テキストがあるのですが、これがまたオープニングリマークというには結構な重さで普通に講演状態になっておりまする。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2021/html/ecb.sp211007~ab617e7d60.en.html
Welcome address by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the ECB and Federal Reserve Bank of Cleveland’s “Inflation: Drivers and Dynamics Conference 2021”
Frankfurt am Main, 7 October 2021

これをネタに出来ないかな、と一瞬思ったのですがこれは寝起きで何とかなるレベルのもんではないので、まあ読めたら読みますけど、まーインフレの話がすっかり米国どころか欧州でもあーだこーだと言わなければならんという状況なんですな、日本だけ完全に置いて行かれておりますが、置物理論に則った置物政策を8年半やっている日本だけ完全に置いて行かれる、というのは春秋の筆法をもってすれば置物理論が無能である、という事を如実に示すものなのでありまして、お前らが麿をボロカス言ってたのと全く同じブーメランになっているのですが、次の展望レポートでは世界的なインフレに完全に置いて行かれる日本について金融政策の責任というのを語って頂ければ誠にアリガタヤ、と思うのでありました。


あと、上記のようなイベントの他、ECBのトップページに行きますと、

https://www.ecb.europa.eu/press/tvservices/podcast/html/ecb.pod210925_episode22.en.html
What is behind current inflation spikes?

ってお題のPodcastへのご案内ページへのリンクまでありまして、今までは散々物価がビハインドしていたので鼻歌混じりで「忍耐強く緩和継続」みたいなペイシャントモードで良かったのですが、今回はむしろ先行して物価が上がるでござるの巻となってしまいましたので、そらもう慌てて説明に走るわなと思いますし、米国どころか欧州もキターって感じになっているのが実に味わい深いと思うのでありました。

ご紹介文はこちら。

『What is causing the rise in inflation we are seeing at the moment? And which trends could have an impact on prices in the future?

In this episode of The ECB Podcast, our host Katie Ranger looks for answers to these questions in the discussions held at the 2021 ECB Forum on Central Banking.

The views expressed are those of the speakers and not necessarily those of the European Central Bank.

Published on 6 October 2021 and recorded on 4 October 2021.』

という事なので昨日の時点でもう出てましたねサーセン。

まあ何ですな、こういう風になりますと、従来の「フィリップスカーブがフラットだから緩和を引っ張ることができる」という理屈に則って作った昨年のFEDのロンガーランゴール&ストラテジーにしたって、前提が全然崩れているんだから、アレをベースに考えたらダメダメネーって当欄などでは申しあげて居る中で、ずーっとあのFEDの昨年の紙をベースに「利上げはずっと先」位の勢いの話をしていた何とかストって結構いたのですけど、まあお前らちょっと退いてその席空けろやという所ですわな。さすがにあのロンガーランゴール&ストラテジーのストラテジーの方を援用してくる向きは減ったと思うけど。


ということで、ようつべからの通知があったんでECBのサイトを開いてみたらインフレーションがどうのこうのというのがうじゃうじゃ並んでいますね、というのに気が付いたのでご報告まで。


あと昨日は、
https://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2021/html/ecb.mg211007~1c2f4db595.en.html
7 October 2021
Meeting of 8-9 September 2021
Account of the monetary policy meeting of the Governing Council of the European Central Bank
held in Frankfurt am Main on Wednesday and Thursday, 8-9 September 2021

ということで9月定例理事会の議事要旨も出てきておりまして、いやちょっとチンタラチンタラとやってる場合じゃねえええええ!と少しだけ反省しております(期末期初とかでアタクシも生業がヒマじゃないんですよええすいませんが)。


あと、大陸欧州と違って元々インフレ体質の英国様ですが、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-07/R0LSFLT0G1KW01
イングランド銀の新チーフエコノミスト、英国の高インフレは長期化へ
David Goodman (London)
2021年10月7日 21:03 JST

なんてえのが出てたり、例によって例の如くBBGのネット版は記事検索機能がうんことしか言いようがなくて全然ヒットしないのですが、昨日はキング元総裁がBBGTVで利上げが遅れて物価がトマランチ会長になると後で鬼引き締めをしないといけなくなるからイクナイ!みたいな話をしていたような気がしましたのですが、まあそんな感じで日本以外ではインフレガーのネタが花盛りという感じでございまして、いや〜海外の人はえろう苦労してらっしゃいますが、日本は物価が上がらんでよろしゅおすな〜(はんなり)という我らがジャパンの金融政策どうするんでしょうね???????



〇先入れ先出しの精神に則ってさくらレポートネタを少々

https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer211007.htm/
地域経済報告―さくらレポート―(2021年10月)

全文はこちら。(62枚組PDFにつき注意)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer211007.pdf

景気ウォッチャー調査と同様なんですけど、この手のアネクドータルな統計レポートってのは粒粒を見て回るのが色々面白いので、本来でしたら『U. 地域別金融経済概況』ってある7ページ以降を見て行くのがオモロイと思うのですが、まあそうは言っても粒粒は鑑賞用ということにして総括判断とかそっちの方を鑑賞します、以下HTMLのまとめページの方から引用します。

『I.各地域の景気判断の概要

(1)各地域の景気の総括判断
各地域の景気の総括判断をみると、夏場の感染拡大や、供給制約に伴う一部の減産の影響から、「持ち直しの動きが一服している」などとする地域もみられるが、多くの地域では持ち直し方向の判断を維持している。』

何でしょうかねえ、ここ数回のさくらレポートってまとめ方に今までと違った違和感があって、総括判断と地域別の判断の書きっぷりが微妙に整合していなかったり、横ばいあるいは下方修正と書いている割に文言を見ると事実上の上方修正なんでネーノ、というのがあったりと、何と申しますか、別にそういうことをしている訳ではないとは思うのですけど、上がってきたものに対して色んなレベルで鉛筆舐め舐めが入ってねえか????という感じのする物件になっているんですよね(個人の感想かつ妄想です)

ま、日本経済に関しては7−9がマクロ統計的にも思った以上に弱かったので、今回の10月さくらレポートで現状判断が下方修正になるのは然るべきではあるのですけれども、今回地域ベースでは5地域が総括判断を下方修正したことになっております。

東北:『サービス消費を中心に引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している』
⇒『新型コロナウイルス感染症の影響などから、持ち直しの動きが一服している』
東海:『厳しい状態が続く中でも、持ち直している』
⇒『持ち直しの動きが一服している』
近畿:『新型コロナウイルス感染症の影響により、サービス消費などへの下押し圧力は一部残るものの、全体として持ち直している』
⇒『全体としては持ち直しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、消費への下押し圧力が強い状態にある』
中国:『持ち直しのペースが鈍化している』
⇒『持ち直しの動きが一服している』
九州・沖縄:『厳しい状態にあるものの、輸出・生産を中心に持ち直しつつある』
⇒『持ち直しのペースが鈍化している』

下げた5地域ですが、下げたと言っても「持ち直しが一服」とか「持ち直しペースが鈍化」になっているだけで、「5地域下方修正」という文字列から連想されるような下方修正であばばばばー感が無いので、結局今回も不思議ちゃんのレポートみたくなっているような作りです。

マクロ統計って基本は全体の積み上げなのですから、粒粒見ている時(さくらレポートの場合でもウォッチャー調査ほどではないし、お手盛りの可能性もありますが、まあ個別コメントレベルまである)や。今日はめんどいからパスしますが、全体判断を個別項目に落とし込んだ場合の判断とかの積み上げが総括判断になる筈だわな、と思うのですが、個別項目とか粒粒とかに降りてみるとそんなに下方修正じゃないじゃーんみたいな事がちょこちょこ最近見られるようになっている(個人の感想です)のは謎おぶ謎でありまする。

まー日銀はどうせ政策は地蔵ですが、さすがにコロナ緊急事態宣言やマンボウが全面解除されている中で、3月期限のコロナオペを再々延長する、などと言う間抜けな事は無いと思うのですが、最悪でも1月会合(普通に考えたら12月会合)では決めないといけないですけど、どうするんでしょうね〜。


〇どうせ読むところが無いと思っていたので延々と1週間放置プレイでした9月会合主な意見はやっぱり読むところが無かった件

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2021/opi210922.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2021 年 9 月 21、22 日開催分)1

木内さん佐藤さんが残っていた時分はまだ面白かったですし、まあ櫻井さんと思しき方のコメントとかも割と面白かったし、ジンバブエのジンバブエ節に関しても、今にして思えばあの無茶苦茶な理論から繰り出される無茶苦茶な与太意見につきましても、カウンターアーギュメントが起こる、という意味ではジンバブエ先生がいた時の方がまだ見るものがあった、という感じですが、なんかもう今は淡々と話をしているだけ、というのが実に悲しい。


・物価の部分に言及する人が増えてるよ!!!やったねパパ明日はホームランだ!!!!!(棒読み)

アタクシが散々「政策委員が9人いるのに物価に言及している人数が4人とか5人しかいないって馬鹿にしてるのか」と悪態をついたのが聞こえたのかどうか知りませんが(たぶんそうじゃなくて海外の話がインフレネタになっているのでいっちょかみしているだけでしょうな、笑)、今回は何と!『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』のポチを勘定すると7個もあるじゃああーりませんかスゴイスゴイ(でも2名意見無いんですけどね)。

しょーがーねーなー鑑賞してみっか。

『・ 消費者物価の前年比は、エネルギー価格などの上昇を反映して小幅のプラスに転じていくと予想される。』

ああそうですか。

『・ 消費者物価の前年比は、基準改定による携帯電話通信料の下押し寄与拡大から大幅に下方改定されたが、こうした一時的な要因を除くと小幅なプラスとなっており、現時点では物価の基調に変化はない。』

『・ 消費者物価の前年比は、指数の基準改定によって下方修正されたものの、携帯電話通信料等の影響を除くベースでは、底堅く推移しており、先行きにかけても失速するリスクは低い。』

デフレじゃない、って言いたいのは分かるのだが、お前ら2%を出来るだけ早期に達成するって言いながら政策やってるんだから、基調に変化はない(キリッ)とか、失速するリスクは低い(キリッ)とか言って安心してる場合じゃねえだろうよ。

『・ 消費者物価の前年比は、一時的な要因もありプラスに転じる公算が高いが、需給ギャップや予想インフレ率の動向を踏まえると「物価安定の目標」の達成は難しい。』

よって片岡さん(でしょ?)のこの言い方の方が日銀の現在の本来の枠組み(有耶無耶のうちに誤魔化している枠組みじゃない方ね)に合致しているんですけど、何せ「基調に変化はない」「失速するリスクは低い」で喜んでいるようなウスラトンカチの集団に成り下がっているので最早なにも申し上げることは無い(申し上げてるけど)。

『・ エネルギー価格や原材料価格の上昇に伴う食料工業品の値上げといった身近な価格上昇が、家計の消費行動に与える影響は、注意してみていく必要がある。』

うんうんそうだね、でもって見た結果として何か行動はするの????

『・ 企業が資源価格等の上昇によるコスト増加を製品価格に転嫁できなければ、設備投資や人件費の抑制に繋がり、所得が増えない家計が消費を抑えることとなる。物価上昇のためには、そうしたサイクルの変化が必要である。』

必要なのはその通りですが、じゃあ日銀は何をすれば良いんでちゅかねえ。

『・ 国内ではコスト上昇の価格転嫁が難しい状況が続いており、成長分野への労働力移動や企業の新陳代謝の促進
イノベーション力や収益力の強化にかかる進捗を注視すべきである。』

うんうん、で???


・・・・・ということで、何ちゅうかこれ先日のMPMなんだから、誰か海外対比で全然物価がアガランチ会長である事に関する話でもしているのかと思えばそんな事は全然無かったりするわけで、お前ら(除く片岡さん)2%の物価目標やる気あるの?????と小一時間問い詰めたい。


・という訳で金融政策パートに入る

『U.金融政策運営に関する意見』に関してはやはり昔の木内ジンバブエ罵倒合戦シリーズとか、笑点大喜利の往年の歌丸楽太郎罵倒シリーズ(ただし歌丸と楽太郎はリアルでは強い絆の同士であり友でしたが、こっちの罵倒はリアル罵倒なのが落涙を禁じ得ない)みたいなお約束コーナーがあってそれだけでも市場の中の人たちが今回の罵倒合戦はなんだろう、と読む気を起こしたもんですが・・・・・・・・・

・いやあのまだ「コロナオペ」なのかよという金融政策運営パートにもあきれてものが言えない(言うけど)

『・ 引き続き、「3つの柱」による感染症への対応を通じて、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要である。』

『・ わが国では、緩和的な金融環境が企業等の経済活動を下支えしている状況は大きく変化していないことから、「特別プログラム」を含む現行の政策を継続していくことが適当である。』

いやちょっと待て、9月MPMだと9/21-9/22で、さすがに各種措置の緩和をしていこう、って話になってきてた時期じゃんと思う訳で、何でこういう話をまだしてるの???????と小一時間な訳ですけど。


・機動性を増した金融政策??????

次の意見も吹いた。

『・ 「物価安定の目標」の実現には時間がかかると予想され、3月の点検により持続性と機動性を増した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けるべきである。』

>3月の点検により持続性と機動性を増した

??????

マイナス金利が拡大できるような機動性を増したり、買入額の縛りを更にユルユルにして買入を増やさなくてもよいような持続性を増したり、とやっていますが、結局の所やってることって政策の延命策をしてるだけじゃんどこが機動性だよ、と思うのだがまあよー言いますわ。


・以下もしょーもないのが並ぶが折角なので一応引用する

『・ワクチン接種が先行する国々では、経済が正常化し、ペントアップ需要が高まる中で、コロナ禍に対応するための政策を徐々に手仕舞う動きがみられているが、日本では、経済正常化以降のペントアップ需要の高まりを、2%の「物価安定の目標」の達成に繋げていくことが重要である。』

前半と後半が論理的に全然繋がっていない、義務教育の国語からやりなおし。

『・金融市場は総じて安定しているが、中国の不動産セクターの動向の国際金融市場への影響を含め、油断することなく経済・金融動向を注視し、必要であれば迅速に対応すべきである。』

むしろ変な金融不均衡が起きないように注意した運営する方が大事、ってインプリケーションにはならないですねそうですね。

『・金融政策運営では、需給ギャップと予想インフレ率を高めるべく緩和姿勢を強めることで、経済の回復と「物価安定の目標」の達成を早期に実現する必要がある。』

片岡さん、それはわかったから具体的提案してくれませんかねえ〜。

『・コロナ禍において効果を発揮してきた財政政策と金融政策のポリシーミックスは、経済が正常化していく脱コロナ禍局面においても重要である。』

重要かもしれませんけど、脱コロナの所で当然ながらコロナ対策部分の余計なのは削らないといけないとか、そっちの視点は無いと、ああそうですか。

『・ ポスト・コロナの経済社会と政策について、政府とビジョンを共有すべきである。財政政策と金融政策の連携はもとより、気候変動対応や成長促進、経済構造の転換などにおいても方向性を共有することが望ましい。』

えーっと、気候変動対応以外の話は2013年の共同文書に記載されていると思いますが。

『・ 感染症との戦いに加え、デジタル化や脱炭素化という重要な課題にわが国が取り組んでいくうえで、政府と本行が、同じような長い時間軸も意識しつつ、それぞれの役割を果たしていく必要がある。』

だから何?

『・ 特別当座預金制度の運用では、金融調節に支障がないかを注意深く点検したい。』

いやーここまでコロナオペ膨らませてから今さら言うか〜。

『・ 金融政策の効果波及を高めるため、リスクマネーを含めて資金が拡大しながら循環するよう、余資を現預金で保蔵する家計に対し、金融資産投資についての理解浸透を図るべきである。』

たぶんあんさんらが物価目標達成したら言われなくても投資に向かうと思いますよ。

・・・・・うーん何ちゅうか後半の話とか「いやだから今お前ら何するの」って話が全然無いのがもうねという感じで、おまいらの茶のみサロンじゃないんからもうちょっと真面目にやれ、と思うのでありましたとさ。






2021/10/07

お題「下期入りした途端に円債が急に痙攣してるので市場備忘メモ/物価が上がらん原因は労働慣行にもあるそうですよ(黒ちゃん講演)」

早速各メディアによる身体検査が行われているようで、文春砲が早速話題になっておりましたが・・・・・・・・・
https://bunshun.jp/articles/-/49160
牧島かれん新デジタル相もNTTから豪華接待を2回受けていた
「週刊文春」編集部13時間前
source : 週刊文春 2021年10月14日号
genre : ニュース, 社会, 政治

幣サイトとしたしましてはこちらのニュースの方をクリップしておきましょう。
https://www.asahi.com/articles/ASPB674VLPB6UTIL04J.html
独自 西銘大臣の支部、ガールズスナックに活動費11万円「感謝の思いで」
岸田政権 自民
2021年10月6日 21時49分

『復興相兼沖縄北方担当相として初入閣した西銘(にしめ)恒三郎衆院議員(沖縄4区)が代表を務める自民党支部が2018〜19年、東京・新橋の「ガールズスナック」に計11万6400円を政治活動費として支出していたことがわかった。女性による「浴衣イベント」などを開催する店で、西銘氏の事務所は「場所をわきまえるべきだった。支出を削除して訂正する」としている。』(上記URL先より、以下同様)

新橋・・・・・・・・

『事務所によると、男性秘書が沖縄からの来客に誘われ店を訪れた。事務所は「支援に対する感謝の思いもあり、飲食の支払いを政治資金でまかなった」と説明した。』

えーっと、地元の支援者が沖縄からお越しになったので新橋のお店でご接待申しあげた、ということのようですが、そういう図式がアレですわな。



〇円債が突如ズッコケているので久々に市場雑談備忘メモ

久々にロイターさんのこのシリーズを引用するわ〜
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2R20OP
2021年10月6日3:15 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、長期金利は4カ月ぶり0.080%に上昇

『[東京 6日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は続落で引け、長期金利は4カ月ぶり0.080%に上昇

国債先物中心限月12月限は前営業日比21銭安の151円30銭と続落して取引を終えた。米金利上昇や国債増発が警戒されている。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.080%と、6月7日以来4カ月ぶりの高水準をつけた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで10年は火曜日に新発が出てるのでカレントの償還が動いてますからカレントの金利よりも先物ちゃんで言えば、151.30の引けは先週水曜の自民党総裁選の日の寄り直後のザラ場安値に並んでて、昨日はザラ場で後場は割と30銭割れの滞空時間が長かった筈なので、そんなこんなで金利上がりましたなあという感じ。

『岸田文雄内閣の支持率は、報道各社が4─5日に実施した世論調査のうち、朝日新聞は内閣支持率が45%、読売新聞が56%、共同通信が55.7%、日本経済新聞が59%と、前の菅内閣と比べて低い出だしとなっている。市場では「支持率テコ入れのために、経済対策が大型化する可能性がある」(国内証券)として、国債増発を警戒する声も出ている。』

とか言ってますが、昨日の場合は後場に入って相場ちゃん一段安から始まりまして、その間って米債の金利が上がってるとか、その他欧州とか豪州とか、まあ色々と海外様の金利がインフレガーと言い出して上がっているので上がった、ってな感じだったと思います(個人の感想です)がどうなんですかね。

まあその前の動きを思い出すと、めんどくさいから先物価格で話をしちゃいますと、自民党総裁選直前は確かに「高市リスク」って奴で高市さん自民党総裁→プライマリーバランスもへったくれも全然無い大財政特攻→国債の需給がさすがに悪化してマズーってなのがあったと思うのですが、岸田さんだったのでそれは無し、とか言いながら様子見してたら、木曜のオペ紙で身構えていた皆さま空振りの輪番変更なし、という日銀の姿勢をみて1日には早速先物様上昇して、結局20銭高で終わりましたが途中30銭高とかまでやってて、どう見てもこれは期初オペ紙と10年入札で下がるだろうから様子見しようとしてた面々が踏まされるの巻となった訳ですな(個人の感想です)。

でもってそんな動きで迎えた火曜の10年入札ですが、既発5bp割れの水準からの入札で蓋を開けてみればそんな水準でニーズ無しということでズッコケ三銃士となってしまって、おまけに海外の金利が何か知らんが(インフレ懸念ネタですが)上がるの巻になるわ、株は毎日じりじりと下がるわと言う事で、期初からこれ外しでも入ってるのかよという感じで金利上がりましたが、これ日銀が9末のオペ紙でマイルドに減額を見せていれば、先週金曜の踏み踏み相場が無くて、もうちょっと金利の高い所で10年入札を迎えて普通に投資家に嵌って万々歳って相場になっていたんでネーノ(思いっきり個人の感想です)と思うに、やっぱり日銀は「持ってない」なあと思うのでありました。

てな話はさておきまして市況ちゃんですが、

『現物市場で新発債利回りは上昇。2年債は前日比0.5bp上昇のマイナス0.120%、5年債は同1.0bp上昇のマイナス0.085%。20年債は同1.0bp上昇の0.445%、30年債は同0.5bp上昇の0.680%、40年債は同0.5bp上昇の0.765%。』

『TRADEWEB
    OFFER   BID  前日比  時間
2年  -0.12  -0.114  0.005  15:03
5年  -0.085  -0.079  0.011  15:03
10年  0.079  0.084  0.023  14:58
20年  0.444  0.45   0.015  15:03
30年  0.675  0.68   0.005  14:46
40年  0.763  0.771   0.01  15:03』

ということで10年8bp(カレント交代効果で1bp下駄をはいているのでこの前までの水準で見えれば7bpみたいなもんですが)、期初になって先物ベースで言えば最初の2日で先物24銭上昇して次の2日で先物31銭下落してるとか、ここ数か月本当にチンタラとしか動いてなかったのですが、内閣が変わって期も変わったら急に死霊の盆踊りかよという動きをおっぱじめておりまして中々味わいがあるので、そろそろこちらも死霊にたたき起こされた気分で目を覚まさないといけないかもしれませんな(とか悠長な事を言ってて良いのかというと多分よくない)。

まあとりあえず備忘メモということで。


〇最近すっかり金研がミーハー路線になっておりますことで

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211006a.htm/
金研ニュースレター特別号 気候変動の経済学(1)・(2)
2021年10月6日
日本銀行金融研究所

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211005a.htm/
金研ニュースレター 第22回情報セキュリティ・シンポジウム

いやまあ別にそういうの研究するな(特に後者の方は決済インフラの話なのでまあ重要なのは分かるのですけど)とは申しませんけど、金研ってイメージとして流行り物にホイホイと飛びつくようなミーハー路線じゃないってのをやってるというのをアタクシの方で勝手に思っておりましたので、特に金研ニュースレターシリーズに関してはちょっと唸ってしまいますな。

まあそれよりも「世界的にインフレが問題になっているのに日本ばっかり何でこの有様ですねん」という事をガッツリ研究して頂きたいのですが・・・・・・・・・・・


〇というのを前振りにした訳でもないですが黒ちゃん講演で物価が上がらんネタまた登場

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211006a.htm/
【挨拶】
日米経済界への期待:コロナ危機からの経済回復と気候変動問題への取り組み第58回日米財界人会議における挨拶の邦訳

と言っても今朝の時点ではまだHTMLバージョンがアップされておりませんのでPDFバージョンから引用します。まあ場所が日米財界人会議ということで、そんなに細かい話は無いのですが、

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211006a1.pdf

『1.はじめに』のケツを見ますと、

『本日は、パンデミックという共通のショックに直面した日米経済の動きを比較することで浮き彫りになる両国経済の特徴点について、私なりの見方をお話します。次に、今後数十年を展望した際に最も重要な共通の課題のひとつとなる気候変動問題について、最近の日本銀行の取り組みを紹介しつつ、日米経済界への期待を申し述べます。』

と、後半はただの気候変動対応アピールなのですが、いやあの気候変動対応自体は別に否定する気ないんですけど、日銀がオペで変な報奨金つけるような形で行うのっていうのは、気候変動に対する取り組みにおいて本当にそれ有益なのか、もしかして余計なお節介によって却って変な気候変動ウォッシュみたいなのを促進しないかとか、オペによってインセンティブを付けることによって気候変動対応における資源配分がおかしくならんか(気候変動ウォッシュみたいなのが流行しちゃったら本来の対策に阻害要因にしかならんわけだし)とか、もっとこう考えてやっていくべきで、それこそ金研使ってコンソーシアム作って研究を深めていくとか、そういう方向に日銀は努力するべきであって、なんかこのマクロ加算2倍ニバーイを出したいとか、やってることをアピールしたいとか、そういうのがチラチラと見えてしまう(個人の錯視幻覚の可能性がありますので念のため申し添えます^^)のがもうねって話ですが、そんな悪態はさておき前半の方を見る。

『2.感染症流行以降の日米経済』って所ですね。

『他方、日本経済も、海外経済の回復を背景に、輸出・製造業部門主導で持ち直しています。足もとでは、ワクチンが十分に普及する前に、感染力の強いデルタ株の流行に見舞われたこともあり、米国に比べると、対面型サービス部門の回復が遅れています(図表2)。もっとも、日本のワクチン接種完了率は、米国と肩を並べる水準まで上昇してきています。今後、日本でも、接種証明書の活用などにより、感染抑制と消費活動の両立が一段と進んでいけば、ペントアップ需要にも支えられて、サービス部門も含めて経済の回復傾向は明確になってくる可能性が高いとみています。』

他方というのは米国の話で今さら言うまでも無いので引用すっ飛ばしましたが、まあこの日本経済の見立てはそうでしょうなと思うのですが、何せ感染症対応の社会活動規制の方がポピュリズム的政治的なサムシングがございますのが色々とアレだし、そもそも医療体制の方はどないなっとんねん(これから冬になったら普通のインフルだってあるじゃろ)とか気になる点はありますが、まあこの見立て自体はそんなに変ではないとワタシも同意するところではございまする。


・労働市場で雇用の流動性が高まるとインフレ率もダイナミズムが出るという言い訳を頂戴いたしました

『このように、コロナ危機下における日米の経済活動は、多少のラグはありますが、概ね似通った回復軌道を示してきたのに対し、労働市場は、日米間で大きく異なる展開をたどってきました(図表3)。』

ほう。

『米国では、ロックダウンによる経済活動の急激な収縮を受けて、従業員の解雇や一時帰休が急増しました。その結果、コロナ危機前まで3%台半ばで推移していた失業率は、昨年4月に 14.8%まで急激に上昇しました。その後は、経済活動の再開に伴い、米国の雇用情勢は好転していますが、雇用の回復はGDPと比べると鈍く、失業率はなお5%を上回っています。』

『これに対し、日本では、経済活動の落ち込みに比べると、失業率は、かなり緩やかな上昇にとどまっています。感染症流行前まで2%半ば程度で推移していた日本の失業率は、感染症流行後に上昇しましたが、それでも3%程度と低い水準を維持しています。』

はい。

『日米間で労働市場の反応が大きく異なる背景には、両国の雇用慣行の違いが影響しています。すなわち、米国では、雇用調整速度が速く、経済に大きなショックが発生すると、素早く解雇や一時帰休が行われる傾向にあります。これに対し、長期雇用が定着している日本企業では、需要の減少が生じても、まずは、労働時間の削減や休業者の増加によって対応し、出来るだけ雇用の維持を図ろうとする傾向があります。』

ここでだいたい話が終わってしまって、そらおめー米国は職業訓練とか失業給付とかそういうのが厚いし、金銭解雇だって日本よりも払いが全然良い(というかそもそも金銭解雇ルールがないが日本は)じゃん、と言いたくなる話があるのは良いのですが、原因と結果が逆でネーノという気がする説明なのは残念無念。

『こうした日米企業で異なる雇用スタンスには、労働市場のセーフティネット(安全網)の違いも影響していると考えられます。米国では、労働者個人に対し直接支払われる失業保険が重要な役割を果たしているのに対し、日本では、企業の賃金支払いを肩代わりする雇用調整助成金が、不況期でも企業内に労働力を保蔵することをサポートしています。』

いやそれセーフティーネットの制度に合わせて雇用スタンスが出来ているんじゃなくて、雇用慣行に合わせてセーフティーネットを作っているから上記のような話になるんとチャウのかと思う訳で、なんか説明が妙な気がするのですが、どうも持って行きたいお話があるようなんですよ、ということでその続き。

『以上のような労働市場のダイナミクスの違いは、インフレ率にも無視できない影響を与えています(図表4)。』

キタコレ!!!!!

『最近の消費者物価上昇率をみると、米国は5%を超え、30 年ぶりの高い上昇率を示しています。一方で、日本は0%程度です。最近の日本におけるインフレ率の低さには、携帯電話通信料の大幅値下げといった特殊要因も大きく寄与しており、実力ベースでみた物価はヘッドラインの数字ほどには弱くありません。しかし、その影響を調整しても、日本のインフレ率は、米国をはっきりと下回っていることに変わりはありません。』

ほうほうそれでそれで?

『このようなインフレ率の日米格差には、予想インフレ率だけでなく、企業が受ける供給制約の違いも影響しています。』

はい?

『すなわち、米国では、雇用が十分に回復していない状況で、企業は、経済再開に伴って、予想を上回る急激な需要の回復に直面したため、労働力不足や資材・部品の調達困難化といったボトルネックが生じています。その結果、米国企業は、賃金の引き上げにより、雇用の確保を急ぐとともに、自らの販売する財・サービス価格も引き上げて、需要超過の解消を図っています。』

はあそうですか。

『これに対し、日本では、そもそも米国ほど急速に需要が回復していないことに加え、多くの企業は、基本的に雇用を維持してきたため、需要増加に対する供給制約は相対的に限定的なものにとどまっており、急いで賃金や価格を引き上げる必要に迫られていません。』

まるで雇用が流動化しないから賃金が上がらんというような理論になっておりますが、どうも今後日銀が「なんで海外主要国では物価の高騰に悩まされているのに日本は全然物価が上がらないんですか?」に対する回答としてこれを用意する、というのは判明しました!!!!!!

さて、この後の黒ちゃんの話ですが、

『以上のように、日米経済は、パンデミックという共通の危機に対して、それぞれの特徴――米国は流動性の高い労働市場と柔軟な賃金・価格調整、日本は長期安定的な雇用と強靭な供給体制――を活かしながら、経済活動の再開を進めてきました。コロナ危機は、ワクチンこそ普及してきましたが、完全な収束にはまだ暫く時間がかかりそうです。日米経済は、ともに、企業がこれまで示してきた高い適応力により、必ずやこの危機を乗り越えていくと信じています。』

というエイエイオーみたいな話で締めているのですが、この労働市場慣行による(上記にもあるように)「柔軟な賃金・価格調整」が日本に無い、と言う話でだから欧米対比で物価が上がらん、という説明はそれはそれで単体しては分かりやすいのですが、この説明には重大な問題があると思うの(個人の感想です)。

つまりですね、物価が上がらんのがそもそも論としての「柔軟な賃金・価格調整」昨日の欠如というのがあるのだとしたら、グローバルスタンダードとか言って物価目標2%の早期達成に拘ること自体がおかしい、ということになるので、QQE当初の精神や、2013年の政府日銀の共同文書の根本部分がおかしい、という話に繋がるのではなかろうか?????とまあ浅学菲才にも程があるアタクシ(大学では経済学関係の取得単位は0単位ですけえのう)ですが斯様に思う訳です。

でまあそれもさることながら、米国との比較という話であれば柔軟な雇用調整がどうのこうのが原因で物価調整メカニズムが違う、という話は分かるのですが、じゃあ欧州との比較はどうなのよというのがあって、欧州様の場合は国によって差異はあると思いますが、少なくとも米国のようなダイナミックな雇用調整、賃金調整、価格調整が行われているようには見えない(個人の感想です)のですけれども、欧州ですらここに来ましてインフレに対する懸念に中央銀行や政府要人がああだこうだと言い訳をしながら説明をしないと収まりが付かないという情勢になっている中、欧州との比較ってのも聞きたいですね。

でまあいずれにせよ、それを構造的要因で説明しだしますと、じゃあ「グローバルスタンダードだから2%は妥当」というのが本当に妥当なのか、スローガンみたな中長期の経済のあり方として目指す象徴にするのは別に悪いとは思わないけど、金融政策運営において2%に紐付けをするような短期的に達成を目指すべきものではない(構造が違うんだから無理という意味で)という事になるような気がするんですけどねえ。いやまあ岸田さん絶賛ご登場を受けて、2%の紙に関しても中長期の目標にして共同文書をもっとフニャフニャとしてナマコみたいな紙に変えてしまって変な足枷をお互い無くそうね、っていう話の布石だったらこの理屈も分からんでは無いのですが、構造問題を物価が上がらん言い訳に持ってくるの、なんか微妙だなと思いました。






2021/10/06

お題「インフレネタが謎のブーム化でこれはこれで何とも/潜在成長率推計値遂に0.1%を下回る/7月会合議事要旨が情けない件について」

あーあ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-05/R0IH43T0G1KZ01
ウォーレン上院議員、パウエルFRB議長は「リーダーとして失格」
Craig Torres、Matthew Boesler
2021年10月6日 2:28 JST
→金融当局者の投資取引、「なぜパウエル氏は止めなかったのか」
→取引は「利益相反、インサイダー取引という当然の疑問生じる」

まあそりゃそうだというのもあるけど、パウエルだけのせいじゃないと思うので、この問題を単にパウエル再任拒否の言い訳にしているだけなのかどうなのかがよーわからんですな。


〇インフレ懸念ネタが多くなっておられるようで(日本は除く)これはこれは

https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2R1315?il=0
東京外為市場ニュース
2021年10月6日5:24 午前
米金融・債券市場=利回り上昇、債務上限・インフレ懸念が圧迫

『[シカゴ/ニューヨーク 5日 ロイター] - 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。連邦債務上限引き上げを巡る懸念で償還期限が短い債券が売られたほか、長期債に対してはインフレ懸念が圧迫要因になった。こうした中、利回り曲線のスティープ化が続き、2年債と10年債の利回り格差は123.4ベーシスポイント(bp)に拡大。利回り曲線は過去9営業日のうち、6営業日でスティープ化している。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、

『米供給管理協会(ISM)が朝方発表した9月の非製造業総合指数(NMI)も利回りの上昇に寄与。NMIは61.9と、前月の61.7からやや上昇した。予想の60.0も上回ったものの、新型コロナウイルス感染拡大が継続する中、供給制約と物価高で伸びは抑制された。』

何かイマイチこれ説明になっていないな、という所なので、単に今の海外債券市場のバズワードが「インフレ懸念」になっているだけという気がさすがに最近はしてきている(個人の感想です)のですけれども、それまでが物価上昇は一時的、って話一色だったのの反動というかただの流行り物状態というか、うーん何ちゅうかこのという感じはせんでもない。

とはまあ言いましても、

30年債 16時05分 2.1039% 前営業日終値 2.0480%
10年債 16時05分 1.5327% 前営業日終値 1.4810%
5年債 16時02分 0.9796% 前営業日終値 0.9460%
2年債 15時49分 0.2875% 前営業日終値 0.2800%

ゆうてまだ10年1.5%とかで、本当の本当にインフレ懸念でアイヤーとか思ってるんだったらもっと売られて然るべきというか、そもそもインフレ懸念で利上げしないとって話だとして、いやおまえらインフレ率2%の国の10年金利が1.5%でエエノカ?って話なので、この手の話もマーケットトークとしての話と現実のプライスアクションが必ずしも整合していない気もしまして、トーク盛り上がるけど市場ちゃんの方はそこまで踊らされて無いような気もしますねーとか、相場ちゃんムツカシアルね。


https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-lagarde-idJPKBN2GV27W
2021年10月6日4:34 午前
ECB、インフレ期待と賃金動向を注視=ラガルド総裁

『[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は5日、パンデミック(世界的大流行)後の経済活動再開による混乱がどの程度継続するか予測するのは難しいため、ECBはインフレ期待と賃金動向を注視していると述べた。ラガルド総裁は講演で「供給制約とエネルギー価格上昇にECBの金融政策は直接的な影響を及ぼさないため、ECBがこれらに過度に反応することはない」と指摘。「インフレ期待が確実に2%に抑制されるよう、賃金動向とインフレ期待を注視していく」と述べた。

その上で「摩擦」は一過性のものと指摘。ECBはこれまでもインフレ高進は来年には収束するとの見解を示しているが、こうした見方を改めて表明した。』(上記URL先より、というか全引用になって恐縮至極)

まあモノホンの講演の方を見れば良いのでしょうが、欧州もインフレガー(ドイツ様とか)話になって、おまけに原油はヒャッハー上げだし、まあ結局の所雰囲気ちゅうのはオソロシスということのような気もしますが、多くの何とかストが手を替え品を替えて「物価上昇は一時的なので政策金利は上げられない」とかゆうとったのは何だったのかというか何とかストが物価上昇が持続的であるの解説を始めたらベア相場終わりかもしれませんな。

しかしまあアレです、幣駄文では当局の皆様が何気に物価上昇に対して「一時的」とは言ってるもののテキストマイニング対策などもあるんでしょうか物価上昇が一時的の理由について同じ話を繰り返す中、先行きそうはならないと思っているけどこういう要因があるのは一応注意しないと行けないよね、という部分のトーンが徐々に上がっているというような話をしておったと思うのですが(と面の皮も厚く自慢)、最近は自動翻訳とかテキストマイニングとかが流行ってしまって、何か行間を読むとか、前との比較を行うとか、そういう辺りに人間が読んだときの「ん??」という感覚が足りないようで、インフレ云々のネタって前から出てるじゃん何で急にクッソ盛り上がりになるのよ、とは思ったり思わなかったりではございましゅ。


ふむふむ。
https://jp.reuters.com/article/britain-politics-inflation-sunak-idJPKBN2GV282
2021年10月6日4:39 午前
インフレ圧力の大半は一過性の可能性=英財務相

『[英マンチェスター 5日 ロイター] - 英国のスナク財務相は、インフレ率を押し上げる圧力のほとんどは一過性のものである可能性が高いと述べた。イベントで「現在見られている圧力のほとんどが実際は一過性であるというのが作業仮説だ」と語った。ジョンソン英首相は5日、国内経済が1970年代のようなインフレスパイラルに向かっているとの見方を否定したほか、企業は数十年にわたる安価な労働力の輸入に対する依存を払拭すべきだと述べた。』(上記URL先より)

そら1970年みたいなグレートインフレーションですよとかいう話になったらダメダメにも程があるのでこういう話になりますが、元々英国とか米国以上にインフレ体質だった(過去何度もインフレ上振れする中で景気が駄目なのでとりあえずBOEが財務省にペライチ詫び状書いて緩和継続してましたからねえ)筈なのですが、何せ今は(米国はよくわからんが)欧州としてはパンデミックからの立ち上がりフェーズで、ここで利上げする訳にも行かんのだが、かといってインフレを放置もできないし、というややこしい状態になっておるというのは把握した。


一方のジャパンですが、毎度おなじみ門間元理事相変わらず絶好調ですな。

https://jp.reuters.com/article/column-monma-kazuo-idJPKBN2GV0GT
2021年10月5日3:45 午後
コラム:2%目標は終わった話だが、異次元緩和はニューノーマルへ=門間一夫氏
門間一夫 みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミスト

ちょっと拾いますと、

『現在の金融緩和の枠組みは、正式には「長短金利操作付き・量的質的金融緩和」と言う。イールドカーブ・コントロールは「長短金利操作付き」の部分に当たるので、全体から見れば「付録」のような位置づけである。出来の良い付録のおかげで本体の命脈が保たれている、というのが日銀の金融政策の現状である。』

『さすがに数十年の時間軸で見れば、何らかの構造変化が起きて日本でもインフレが高まる、という可能性がないとは言い切れない。しかし、それはもはや異次元緩和の効果ではない。数十年どころか、異次元緩和の開始から8年半の今ですら、効果が出るまでのタイムラグで説明できる期間をはるかに超えている。仮に本日以降、いつか2%インフレになることがあるとすれば、それは金融緩和以外のインフレ要因がたまたま生じる場合だけである。異次元緩和そのものの勝敗は、既に決しているのである。』(以上上記URL先より、以下同様)

いやー何かもうねという感じですが、

『それでも日銀は、2%物価目標をあえて撤回はしないだろう。グローバル・スタンダードなので撤回の説明が難しいし、撤回が「緩和の後退」と受け止められた場合の市場の反応も怖い。アベノミクスは失敗だったとメディアが騒ぐリスクもある。それらは取る必要のないリスクである。2%物価目標が実現できないことを責め立てる世論もないのだから、未達のままそっと放置しておくのが、いちばん無難な選択である。』

ということなのですが、そうは言っても2年で2%は兎も角として、2013年のあの紙は正式文書なので、あの文書自体は何とかしないといつまでも拘束されるわけにもいかないのではないかと思うんですよね。

でまあ話は簡単で、そもそもアベノミクスなんぞは失敗だったことにして安倍路線離れを看板にしてしまえば良い(ただし安倍ちゃんが暴れると困るのでタイミングは今じゃないのは明白)話だし、2%物価目標に関しては「安定成長経済が達成されたときの姿」という感じ、まあターゲットではなくてスローガンみたいなもんにして、そういう安定成長で皆さん幸せという経済物価情勢を目指しましょう、ということにして一番極端に言えば政策自体は総合判断にすりゃいいですし、「経済の姿としての2%」みたいにしておけば日銀単独で目指す話でもないし、とは思いますし、まあそういうのも含めて麻生さん退任時にぶっこんできたんでネーノとは思っているんですけどどうでしょうかしら???

#なんかいつの間にか話が明後日の方向にいってしまった・・・・・・・


〇潜在成長率ェ・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm/
需給ギャップと潜在成長率

https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf
需給ギャップと潜在成長率

これ3か月前(7/6の駄文)でも同じものをネタにしているのですが、需給ギャップの方はさておきまして(ちなみにまだマイナスです)、潜在成長率の方が毎度毎度長期低迷傾向を示しておりまして、異次元緩和とは潜在成長率を引き下げる政策だったんじゃねえかと小一時間問い詰めたくなる結果なので、3か月前にハリツケを行ったものに今回のデータを追加して改めてご確認いただこうかと思います。


年度半期          潜在成長率 TFP 資本ストック 労働時間 就業者数
2013.1 : 2013.2Q-2013.3Q   0.82    0.81   -0.12    -0.19  0.32
2013.2 : 2013.4Q-2014.1Q   0.89    0.73   -0.04    -0.20  0.41
2014.1 : 2014.2Q-2014.3Q   0.98    0.64   0.10    -0.20  0.44
2014.2 : 2014.4Q-2015.1Q   0.94    0.56   0.13    -0.20  0.46
2015.1 : 2015.2Q-2015.3Q   0.91    0.48   0.20    -0.23  0.45
2015.2 : 2015.4Q-2016.1Q   0.89    0.40   0.30    -0.26  0.45
2016.1 : 2016.2Q-2016.3Q   0.74    0.32   0.28    -0.31  0.46
2016.2 : 2016.4Q-2017.1Q   0.62    0.24   0.29    -0.36  0.46
2017.1 : 2017.2Q-2017.3Q   0.55    0.17   0.34    -0.44  0.48
2017.2 : 2017.4Q-2018.1Q   0.42    0.12   0.36    -0.54  0.48
2018.1 : 2018.2Q-2018.3Q   0.31    0.11   0.41    -0.65  0.44
2018.2 : 2018.4Q-2019.1Q   0.25    0.12   0.43    -0.72  0.42
2019.1 : 2019.2Q-2019.3Q   0.20    0.17   0.38    -0.70  0.35
2019.2 : 2019.4Q-2020.1Q   0.20    0.26   0.36    -0.65  0.24
2020.1 : 2020.2Q-2020.3Q   0.19    0.36   0.23    -0.58  0.18
2020.2 : 2020.4Q-2021.1Q   0.10    0.49   0.01    -0.51  0.11
2021.1 : 2021.2Q         0.08    0.58   -0.09    -0.50  0.08

潜在成長率ゼロってどういう経済よというか、そういう経済の中で2%物価目標を目指す必要があるのか、とも思ってしまう訳でして、いやまだ潜在成長率が1%近くある中で、日本経済の成長力を高めながら物価2%目指します(キリッ)ってのは話分かるから別にそこまでは否定しないけど、結果として日本経済の成長力強化に対して屁の突っ張りにもなっていないというQQEな訳ですし、まあそれ言い出すと成長基盤強化貸出とか、それこそ成長基盤強化貸出制度の後継で気象変動うんたらかんたらというのが出ておりますが、そういうのが「中長期的に物価目標達成に寄与する話」とかいうのも何だよそれというか、こういう反証が出てきているのにまだやるの???って感じで、日銀のこの「謝ると死ぬ病」も岸田政権になって頂いたのでちったあ変わってくれんのかね、とは思うのでありました。


〇クソどうでもよいとは言え後日備忘の為にもネタにしないといけませんから(議事要旨とかその他の日銀関連)

7月会合議事要旨
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2021/g210716.pdf

・金融政策運営に関する議論パートがいつも同じ話しか出てこないのどういうことなのよ

『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』の部分を飛ばしてたのでそちらをば。

『更に、委員は、金融政策運営に関連する各種の留意点についても意見を述べた。』から先ね。

『一人の委員は、資源価格の上昇で生鮮食品を除く消費者物価の前年比も上昇するとみられるが、オーバーシュート型コミットメントを採用しているもと、2%の「物価安定の目標」の安定的な達成にはまだ距離があるため、時期尚早に金融引き締めを行わないことが重要であり、こうした金融政策スタンスについて丁寧な情報発信を行う必要があると述べた。』

相変わらずこの「時期尚早に金融引き締めを行わない」云々の話しをする人がいるのですが、いやあのそんなの分かっているんですけど、そもそもそういう話は物価が1.5%くらいになってから言う話で、今一生懸命そういう情報発信するの無駄オブ無駄にも程がありまして、そういう情報発信について言及するよりも物価目標達成に向けたロジカルな説明をして頂くことを提言してくれないと箸にも棒にもかからんのですが。

だいたいですね、マイナス金利政策自体がそのマイナス金利政策を食らう方から見たら引き締め的という話もある訳ですし、大体からして特別付利みたいなのを色々と付けている、と言う時点でマイナス金利政策が引き締め的であるというのを認めているようなもんな訳ですよ。でもって特別付利って当然日銀当座預金持ってなければ付利されないですし、まさか一律給付金にする訳にも行かないので、そうなるとどうしても預貸業務を行っている金融機関に有利に働く特別付利になってしまいますわよね。

然るに、年金とか投信って特別付利で引き締め分軽減とかされないのですから、年金制度のサステイナビリティ確保とか、貯蓄から投資への動きを推進しましょう的な話に対してマイナスに働く制度をこのままやってて良いのか、みたいな話は誰かしませんかああ誰もしませんですねサーセンサーセン。

『また、ある委員は、デフレマインドが根強いわが国において、政府と連携しつつ、粘り強く金融緩和を継続することで、2%の「物価安定の目標」を目指していくことが重要であると述べた。』

ここで先ほどの門間さんのコラムから引用してみましょう。

https://jp.reuters.com/article/column-monma-kazuo-idJPKBN2GV0GT(再掲)

『日銀が2%物価目標を実現できないからと言って、政府が乗り出すわけでもない。本当に大事な目標なら財政政策を含めて政策を総動員すればよいと思うが、別に国民がそれを望んでいるわけではないので、岸田文雄新政権の公約にもなっていない。アベノミクスの生みの親である安倍晋三氏も、首相退任後に在任中の経済好転を振り返り「2%物価目標の本当の目的は達成された」と述べている。2%物価目標は実質的にはとっくに終わった話なのである。』(この部分だけ直上URL先の門間さんのロイターコラムより引用)

・・・・・・・・(^^)

まあそれはそれとしてもこの部分も毎度同じ意見になっているんですよね。でもって最後が片岡さんなのですが、

『この間、別のある委員は、需給ギャップと予想インフレ率を高めるべく緩和姿勢を強めることで、経済の回復と物価目標達成を早期に実現する必要があるとの見解を示した。 』

これまた毎度同じの緩和強化理論なのですが、緩和強化をすると何で予想インフレが上がるのかという話をもっとしてくれませんかねえ、と思う次第。

でまあこれ何が悲惨かと言うと、『当面の金融政策の基本的な運営スタンス』の話がいつもの3人の話しだけ、という悲しい状態が続いていることで、もうちょっと前だともう少し真面目に「今の政策をこのままノーズロで継続して良いものなのか」みたいな話とかもあったし、一方でジンバブエ大先生がジンバブエ理論を提唱して木内VSジンバブエみたいなのもあったのですが、最近はそもそも政策を継続することの妥当性とか、政策効果の検証みたいな話がまるでないし、毎回同じことしか出てこないしということで、議論してねえんじゃねーかって感じなんですよね。

しかも今回の決定会合、この後に『委員は、「気候変動対応を支援するための資金供給の骨子素案」についても議論を行った。』ってあるんですけど、これがまたそもそも論の話をしているのかと思えばさに非ずで、延々と実施における技術論ばっかりで1ページ半以上話をしていて、これがまあ重要な根幹政策の技術論で色々な意見が対立している、というのなら読む気も起きるのですが、はっきり言ってオマケの政策なのに、このオマケの技術論で延々と1ページ半も議論してるのって何なのというか、まあ政策の話が出来る能力無いんだから技術論しかできないし、それも結局事務局案の追認しか出来ないよね、って話が延々と繰り広げられていて読むのも汚らわしいという感じで、もうお前ら全員三途の川に飛び込んで来いという物件なのでした。悲しいから引用したくないのでパスします。





2021/10/05

お題「退任に当たって麻生さんが梯子外しプレイ(か?)/クラリダ副議長ェ・・・・・・・・(どっちもまあ雑談ネタですが)」

秋になって急に暑くなると体に堪えますわ、というのを最近ガチ実感できるようになったのでアタクシも立派なジジイになりましたなorzorz

〇岸田内閣発足なのでメモメモですがどさくさに紛れて黒ちゃんへの究極梯子外しがぶっこまれていますね

・まあ口で何と言っても結局はアベノミクス修正のようなので結構結構(個人の感想です)

まあとりあえず。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD30AY10Q1A930C2000000/
岸田流「新しい資本主義」の正体 分配強化、影潜める改革
編集委員 清水真人
日経ヴェリタスセレクト
2021年10月2日 2:00 [有料会員限定]

『岸田文雄新首相が4日に誕生する。経済政策の看板は「新しい日本型資本主義」だ。これを自民党総裁選で「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換することだ」と宣言した。規制緩和・構造改革が経済成長の半面で「格差と分断も生んだ」と指摘。成長と分配の好循環による「令和版所得倍増」を説くが、「改革」はどこへ行ったのか。』(上記URL先より)

>「改革」はどこへ行ったのか
>「改革」はどこへ行ったのか
>「改革」はどこへ行ったのか

とりあえず日経新聞が発狂しているようなのでこれはイイハナシダナーとしか申し上げようが無いのですが、なんかこれ最初に出てた時には一般で見れるところに屁蔵大先生の肝いりな成長戦略会議が廃止される方向とかあって、その点で日経新聞発狂の図というかつての産経の迷言の「下野なう」を思い出して笑いをこらえるのが大変でございました(ええすいませんアタクシは改革派じゃないもんで、守旧派とでも何とでも言って下され)のですが。


これまた日経なので会員記事ですからアレですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA033HP0T01C21A0000000/
3Aに響く不協和音 岸田人事に安倍氏は「不満」
【イブニングスクープ】
政治 2021年10月4日 18:00 (2021年10月5日 5:28更新) [有料会員限定]

『岸田文雄内閣が4日、発足した。首相は閣僚や自民党執行部の人事で党総裁選への論功行賞をする一方、若手も登用した。安倍晋三元首相、麻生太郎氏、甘利明幹事長の「3A」の影響力が強く働いた人事と受け止められているが、内実は異なる。安倍氏は不満を漏らしており、3氏と岸田氏の間に出た不協和音は政権運営に響きかねない。』(上記URL先より)

3Aと、じゃなくて安倍ちゃんを麻生+UR先生から分離しようとしてるんチャイマスカとは思うのですけどね、いわゆる新自由主義から一線を画すって話だと、そもそも麻生さんって新自由主義的なムーブには(散々内閣支えておいて何事よとは思うけど)微妙に微妙なところがあるので。

しかしまあ何ですな。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013291231000.html
岸田新内閣 経済政策 ”成長と分配の好循環”具体的戦略が課題
2021年10月5日 4時01分

『岸田総理大臣はアベノミクスを評価しつつ「成長と分配の好循環」による「新たな資本主義」を構築するとしていて、これに向けた具体的な戦略の策定が課題になります。そのうえで、経済成長によって得られた富を中間層に広く分配し、所得の引き上げを通じて、GDP=国内総生産の半分以上を占める個人消費の活性化につなげることが求められます。』(上記URL先より、以下同様)

まあアベノミクスを発展させてどうのこうのとは言ってますけど、

『岸田総理大臣は先月、自民党総裁選挙に向けて経済政策を発表した際「富む者と富まざる者の格差が生まれ、コロナ禍でさらに広がってしまった。最大のポイントは、一部の人間だけでなく、広く多くの人の所得を引き上げることだ」と述べました。今後、分厚い中間層をつくる政策の一環として、企業に従業員の賃上げを促すための税制措置が検討される見通しです。』

さてここでアベノミクスの本質を再確認しておきましょう(しつこい)
https://diamond.jp/articles/-/30804?page=6
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換
インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」
経済・政治 論争!日本のアジェンダ
2013.1.20 0:00

しかしここの小見出しでありますところの、『名目賃金は上がらないほうがよい その理由はあまり理解されていない』っての、8年経ってもちゃんと残してくれているダイヤモンド社さんに感謝しかございませんですけれども(^^)、まあ明らかにこういう方向ではなくなって来るってな話しなので、アベノミクス評価云々とかそういうのは口では言うけど、実際には見直しに掛るってなもんだと期待している所ではありまする、とまた金融屋なのに改革派じゃない事を申しあげてしまいましたサーセン。



・・・・・・とは言いましても、いずれにしても衆院選乗り切る(よく知らんけど自民▲30程度で止まれば勝利扱いで▲20とかなら大勝利にも程がある、という感じですよね確か)上に、来年の参院選を乗り切らないと本格政権にならんですから(逆にこの2つ乗り切ると長期政権あるで、となるんでしょ)、まあ清和会に頭の上がらん政権になるのか、別路線に打って出るのかとかそういう話しはまだ出てこんのでしょうな。まあ岸田さんコケたら高市か河野ってそれはさすがに勘弁(今回の総裁選で河野政権になってあっという間に馬脚を現して降板しても岸田さんというタマが残っていたけれども、今回岸田さんコケると「次の岸田さん」がいないのよね・・・・)なのでまあねって所で(個人の感想です)。


・という中で麻生さん退任を迎えて黒ちゃんの梯子外しをきっちりとぶっこむの巻

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-04/R0FJK0T0AFB401
麻生財務相、かつて2%引き下げを黒田総裁に提案−同意得られず
氏兼敬子、伊藤純夫
2021年10月4日 10:52 JST 更新日時 2021年10月4日 12:48 JST

→石油価格下落を受け「どこかで引き下げないとと言った」と麻生氏
→最後の記者会見で発言、財務相は9年ぶりに交代

『麻生太郎財務相は4日の会見で、黒田東彦総裁に以前、政府と日本銀行が掲げる2%物価目標の引き下げを提案したことがあると明らかにした。石油価格が下落していたため。黒田総裁は提案に同意しなかったという。』(上記URL先より、以下同様)

>黒田東彦総裁に以前、政府と日本銀行が掲げる2%物価目標の引き下げを提案したことがあると明らかにした。
>黒田東彦総裁に以前、政府と日本銀行が掲げる2%物価目標の引き下げを提案したことがあると明らかにした。
>黒田東彦総裁に以前、政府と日本銀行が掲げる2%物価目標の引き下げを提案したことがあると明らかにした。

ちょwwwwww究極のぶっこみキタコレwwwwwwwwwwwww

『財務相として最後の記者会見で述べた。

麻生財務相の発言
「2%にしたいというのを黒田総裁とやり始めたときから、総裁には、石油がこれだけ下がったら2%にはなかなかいきませんよと。どこかで引き下げないと、と言った」

「(総裁は)目標として、これできるだけ、やれるだけやってみます、金融の方では、ということで言われたんですけど、なかなか2%というのにはいかなかった」

「もうちょっと冷めて、時間をかけて検証してみないといかんということでしょうな」』

こwwwれwwwわwww

・・・・・まあ何ですな、上記記事の本文にもあるんですが、以前より2%に拘るのどうなのかという話は麻生さん前から言ってたので、その延長線上ではあるものの、今回は「引き下げを提案した」とか言い出してて、ちょっと待てお前何黒田さんの梯子盛大に外してるねんしかも最後っ屁にも程があるタイミングで、という感じですな。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42493390V10C19A3EAF000/
「2%にこだわり過ぎ」 麻生氏、物価目標巡りまた持論
経済
2019年3月15日 10:41

『麻生太郎財務相は15日の閣議後の記者会見で、日銀が掲げる2%の物価安定目標について「2%にこだわり過ぎるとおかしくなるというのは考えていかなければいけないと思う」と話した。国際情勢や石油価格は物価目標の策定時から大きく変化したと指摘。「2%に上がらなかったからけしからんと言っている国民はいないと思う」との持論を改めて示した。』(こちらは直上URL先の2019年3月日経新聞記事より)

ってなもんですが、ゆうて安倍ちゃんが首相のうちに見直しを正面切って行いますと、それはそれで普通にアベノミクス失敗だのなんだの言われる(まあ成功はしてねえんですけど)と色々とマズーなので、そらまあ安倍ちゃんの代でどうのこうのは出来ない筈で、さっきの麻生さんの発言に関してだって、麻生さんが2%の引き上げ提案って言ったってそれ安倍ちゃんの所で却下も却下大却下だし、それ麻生さんによるクーデター状態にも程がある訳で、現実問題として安倍内閣のうちにこの2%を引き下げるなんてできる訳ないじゃん(そら安倍ちゃんがゴメンナサイすれば別だが謝ったら死ぬ安倍ちゃんが謝る訳が無い)ということで、実際に提案したのかよーマジかよーと眉に唾をつけてしまう訳ですよ「2%引き下げを提案」ってのは。

ただですね、2%引き下げ提案というのがガチ提案なのか雑談なのか、はたまた麻生さんが話を面白くしようとしてフカシを入れているのかはともかくとして、こうやって最後の退任会見でぶっ放してしまう、というのに意味がある訳ですな、とアタクシは(願望も込めて)思うのでありまする。

即ちですね、こうやって麻生さんは「意味のある2%目標なら良いが、無意味に2%目標を維持し続けるのはイクナイ」ってのをこういう物の言い方でぶっこんできている、という所がこの話のポイントだと思う訳ですよ、しかも麻生さんの後任って麻生派だし、最初の方に出てる記事の見立てが正しければの話しですが、岸田さんが安倍ちゃんから麻生さんに寄せて来ている(大宏池会構想とか考えたらそらそうよとなりますけど)のとかを見ますに、これは「一般国民の生活が苦しくなるような物価上昇をしろと私たちが言った覚えはなく、黒田日銀が勝手にやっていることなので怪しからん」と梯子を外すのはやりやすくなったし、まあそういうレールの準備はして退任、って辺りが麻生さんの麻生さんたる所だわ、と思ってしまいました。かなりの個人の感想です状態ですけど。

まあ何ですな、この件も今すぐという訳ではなく、そもそも衆院選通過しないとダメだし、もしかしたら参院選の後、となると黒ちゃんの任期も残り1年切ってさてどうでっしゃろ状態の時になるのかもしれませんですけれども、これはもしかして麿の「2%を最終目標に置いてまずは1%を目指し、日本経済の成長力が上がってきたら更に上」みたいな現実ドクトリンに戻って下さるというビューテホーな話になって下さりますと、マイナス金利だの日銀当預の特別付利だの資源配分を歪めるような資産買入だのが緩和されてめでたしめでたしというか、マジで虫の息というか生きてるのか死んでるのか自分でもわからん円金利(特に中期以下)の世界にやっと氷河期脱出の希望が。と書いているうちにドンドン書くことが希望的観測になるのが悲しいのですけれども、まあそんなこんなを思いましたし、そうなると黒ちゃんの10年(まだ7年半だけど)とは何だったのかという話ですな、ナムナムナム。

ということで、この麻生さんの発言は「岸田さんと鈴木新財務相への引継ぎ事項」として願望成分を一杯に膨らませながら読んでおりましたです、はい。

あとですね、まあさすがにこれは誰か質問してくれると思いますが、今月のMPM後の総裁定例記者会見におかれましては、是非この麻生さんが提案して黒ちゃん断った、という話のディテールを記者の方が質問して頂きたいのですが、A新聞のHさん辺りが質問すると3秒で却下しそうなので、どうせなら某テレビのO江さん(全然伏字になっていないw)が突撃して黒ちゃんがどんな顔をするのか見てみたいんですけどどうっすか(と無茶苦茶な事を言う)。


〇そもそも売買をホイホイ可能にしている制度ってどうなのよというかパウエル再任はどうなるんでしょうかねえ

土日にこんなニュースがあったのをうっかりしていました、というかうっかりも蜂の頭も土日はブルームバーグとかみませんので(キッパリ)月曜月初2営だし期初2営だし岸田内閣は始まるしで、中々他のもんまで見てられんかったのですが(大汗)。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-02/R0BOICDWRGG401
クラリダFRB副議長が株式ファンド購入−パウエル議長声明の前日
Craig Torres
2021年10月2日 13:21 JST

→コロナ感染拡大中の20年2月27日に取引、翌28日に利下げ示唆の声明
→事前に計画されたリバランス目的の取引−クラリダ副議長の報道官

>コロナ感染拡大中の20年2月27日に取引、翌28日に利下げ示唆の声明
>コロナ感染拡大中の20年2月27日に取引、翌28日に利下げ示唆の声明
>コロナ感染拡大中の20年2月27日に取引、翌28日に利下げ示唆の声明

面白過ぎるわwwwwwwwwwwwwと何か今日は草生やしっぱなしですな

『米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は、新型コロナウイルス禍への対応でパウエル議長が政策行動を講じる可能性を発表した前日、債券ファンドから株式ファンドに100万−500万ドル(約1億1100万−5億5500万円)規模で資金を動かしていた。副議長の2020年財務開示で明らかになった。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほう。

『米政府倫理局(OGE)への届け出によると、20年2月27日にパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の債券ファンドからの資金シフトと、同日にPIMCOのストックスプラスとiシェアーズMSCI米国ミニマム・ボラティリティ・ファクターETF(上場投資信託)それぞれの買いがいずれも同様の規模で取引された。20年の取引件数は他を含めて計5件だった。』

何という見事なタイミング。

『クラリダ副議長の報道官は20年の財務報告で開示されたこれらの取引について、「事前に計画されていた口座のリバランスだ」と説明。「取引は新型コロナ出現に対応するFRBの行動に関する協議に副議長が関わる前に執行され、ブラックアウト期間の最中でもなかった。当該ファンドはFRBの倫理担当者から事前承認を受けて選択された」と付け加えた。』

そもそもFRBの倫理担当ってどうなっとるねんという話ではあるんですけど、だったら最初から「こういう資産配分比率でやっていて、配分はこの頻度でチェックして、配分ズレたらこのタイミングでリバランスをこのように行います」って最初に公開しておけよって話でもありますな。何だかねえ。

『米連邦準備制度では既に地区連銀総裁2人が昨年の株取引が明らかになった後に辞任しており、倫理規則やガバナンスを巡る精査が一段と進みそうだ。』

とまあそういう事なんですが、普通に考えてこれは議会で血祭りにあげられる話で、パウエル再任大丈夫かってことになるのですが、それ言い出すとブレイナード理事の方がよっぽど長く現任をしているので、ガバガバガバナンスを理由にパウエルの再任を蹴ったくった場合、じゃあ後任がブレイナードかというとそれもまた話の筋に無理があるし、だいたいからしてFRBのガバガバガバナンスという問題にしちゃいますと、イエレンおばちゃんも只では済まなくなってしまうので、「実際問題として世間様向けに申し開きの困るような売買を行ったうっかりさんだけ首チョンパ」とするしかないんじゃネーノとは思うのですが、はてさてどうなるのやら。

これでイエレンが財務長官じゃなかったらパウエルの再任ってかなり厳しいんじゃなかろうかとは思うものの、今申し上げたようにパウエル切るとイエレンまで返り血を浴びかねないので、そこは穏便に済ますというのが落としどころだとは思っておりまする、はい。


などと雑談書いてたら時間が無くなってしまいました(いつものことですが)ので日銀の積み残しや他の中銀ネタは明日以降で(超大汗)。




2021/10/04

お題「短観は業況判断、設備投資、価格判断が強いという相変わらず強い結果だと思いますがどうすかねえ」

なんじゃこりゃ?
https://www.asahi.com/articles/ASPB35H25PB3UTIL00D.html
都民ファが国政新党「ファーストの会」設立 衆院選に候補者擁立へ
2021衆院選
軽部理人2021年10月3日 16時41分

『東京を中心に小選挙区での擁立を目指すが、人選や規模は決まっていないという。特別顧問を務める小池百合子知事は「私は関知していない」と述べており、小池氏には立候補の要請をしないとしている。』

『大都市と地方の税収の格差をならす「偏在是正」で失われた数千億円規模の財源の返還などを主張する方針だ。党の公約の詳細は後日発表するという。』(上記URL先より)

無茶苦茶意味不明なんですけど・・・・・・・・・・

〇短観は製造業がやたら堅調ですかそうですか

いつもの私家版チェックです。

短観概要
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2109.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2106.pdf(前回)


・業況判断DIの達成状況:製造業つええええええ

         (6月時点)       (9月時点)
         現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   +14→+13     +18→+14 
製造業中堅企業  +5→▲1       +6→+1        
製造業中小企業  ▲7→▲6       ▲3→▲4

非製造業大企業  +1→+3       +2→+3
非製造業中堅企業 ▲8→▲8       ▲6→▲7
非製造業中小企業 ▲9→▲12     ▲10→▲13

毎度この時は前回に書いた自分の駄文を改めて読み直しているのですが、長広舌の駄文で申し訳ないですが前回はこんなこと書いておりました。

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
前回は小見出しに「先行きDIが禿げ上がる勢いで超過達成しておりますな」って書いてたんですけど、今回もまたまた先行きDIを超過達成。何気に製造業の超過達成度合いが度肝を抜く感じでして、非製造業も超過達成しているけど製造業ほどのビビッドさは無いので、まーこの辺は日銀の言うように輸出関連財とかそっちの方の需要がグイグイ来てますよってなもんなんでしょう。

どうせまた先行きがまだ慎重とかそういうコメントもあるんでしょうが(人のを全然見て無いからシランガナですけど)、前回も申し上げておりますように、回復期には先行きDIって必ずと言っていいほど下向きというか堅めの数字が出て来るのが日銀短観の仕様になっておりますので、そこは気にしなくて良いと思うのですが、製造業がドドーンと強くて、非製造業は製造業ほどのどどーんではない、というのはどう見ても輸出主導回復であって、内需が引っ張る自律的なものではないですな、という辺りはまあケチのつけようとしてあるかなと思いますし、4月展望レポートから日銀様が堂々言い出している「所得から支出への前向きな循環メカニズム」ってよりは多分に外需という神風のお力のような気がしますけどニャー。
(前回書いたのはここまで)

いやー製造業強いっすねえ。まあ前回の見通し自体もそんなに弱くない(景気回復期における短観は基本的に先行きDIが堅めに出るので、若干下程度は基本先行き見通しは強め、だと思っています)のですが、きっちりとそれを上回る数字を出してきました。先行き予想DIを超過達成しているのはまあ今回も同じですが、ただまあ上記で書いておりますように、前回と前々回(3月6月短観)での超過達成が禿げ上がる程の(6月は製造業のみ)勢いだったのに対して今回はそこまででもないですが、この間延々と緊急事態宣言だの何だのとやっていた中でこれなので、(それは緊急事態宣言をしているけど外食とか飲み会とか大規模イベントだけ攻撃されているだけだったという尻抜け宣言だったから、という説はありますが)まあ強いんちゃいますか。



・雇用判断DI:前回は微妙に微妙だったが今回はまあ順調継続ってことでエエンチャウノ

(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)

        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲2→▲5       ▲5→▲6
製造業中堅企業  ▲9→▲13     ▲11→▲14
製造業中小企業  ▲7→▲11     ▲13→▲15

非製造業大企業   ▲10→▲13    ▲11→▲14
非製造業中堅企業  ▲18→▲21    ▲19→▲22
非製造業中小企業  ▲22→▲29    ▲24→▲24

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
こちらですが、製造業大企業と非製造業の全体に渡って「前回の現状判断よりは雇用判断がタイトあるいは横ばいになっているものの、3月時点の予測よりも雇用判断が緩んでいる」というのがちょっとだけ気になりました。見通しよりも雇用の不足感が強くない、って話ですと、お賃金とかが威勢よく伸びてくれないって事に繋がらないかと思う訳です。

いやまあ水準自体は全セクターで不足超過(って変な日本語だな)となっているので、別に目くじら立てる話じゃないのかもしれないけど、業況判断が特に製造業であれだけ威勢よく前回の判断を超過達成しているのに、こっちは若干とは言えその逆になっているのが不思議ちゃんではあります。
(前回書いたのはここまで)

前回は「おや??こようのようすが・・・・・・・・・・・・」という小見出しをつけてみましたが、なんか業況感に対して雇用が絶対値自体は不足方向なので別に悪くは無いのですが、業況感の勢いに対してこっちの不足拡大がイマイチだよなーと思ったのですが、まあ今回に関しては「予測値未達」が殆どですけど、全てにおいて不足感が高まっているのでまずまずという感じですかね。まあこっちも雇用不足度合いの拡大に関しては製造業の方が大きいですね。



・3月短観より私家版チェック新項目にした需給判断等の部分


国内需給判断
        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   ▲5→▲4       ▲2→▲3
製造業中小企業 ▲21→▲21      ▲17→▲16

非製造業大企業  ▲15→▲15     ▲15→▲14
非製造業中小企業 ▲22→▲22     ▲20→▲20



海外需給判断
        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +3→+2        +7→+4
製造業中小企業 ▲9→▲10       ▲7→▲6


(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
というのが毎度短観見てここの数字はどう解釈するんだろ、って漠然とみてた数字だったのですが、前回の短観見た時にこの需給判断部分の数字がぱっと見でも無茶苦茶目立ったので私家版チェックを開始したんですが、今回も絶対値はあまり気にしないで前回との差分を考えてみると、国内需給でも製造業が強くて、まあこれ自体は全体数値をみれば製造業の業種ごとの内訳とかも分かると思うので(というか短観の全体数値を子細に毎回見て行って、いろんな時系列取ってみると相当の分析が出来ると思いますし、そういうのやってる人はいる筈です日銀の中の人以外でも)しょうが、財の需要に関しては内需も回復している、って話なんでしょうねえこの数字をボケーっと見た限りにおいては。

ただまあ海外の方に関してはプラテン(このプラテン自体にどの程度の意味があるのか、というのも謎で、短観の場合単純に「ゼロだから中立」というわけではなく、アンケート回答自体が堅めに出たり緩めに出たりみたいな癖がある筈ですので念のため)とかいうことで、国内よりさらに強いですなあという感じですし、国内の財の強さも単に海外の需要増の波及で来てるだけなのか、はたまた真の意味で内需というか個人セクターなどの財への需要が高まってきているのか、というのは個別の粒粒をみないと分からんのかなあ。日銀ではもちろん粒粒を見て考察していると思いますけど。
(前回書いたのはここまで)

何か前回に書いたの前々回の継続になってて何ですねんという感じですが、この推移を見ていると国内需給判断は供給超過(ただし実際にどうなのかというのはこれまた多分アンケートだから堅めに出しているんでネーノという気がする)になっているのですが、海外需要が何かやたらめったらこの3回の短観で強くなっている、というのを見るに、結局の所今までの回復は「海外需要が神風級に高まったので上がりました」がドライバーなんでネーノという気がががががが。



さらにこのコーナーは3月短観から在庫水準判断(在庫水準判断は過大側がプラスなので数字が小さい方が強いっちゃあ強い、あとこちらは先行き判断の数値は無いので現状判断だけです、在庫の話だから製造業だけ)を見てますが、せっかくなので今回も見て見ますと、


製商品在庫水準判断
      (6月時点)  (9月時点)
        現状      現状
製造業大企業  +6      +3
製造業中小企業 +10     +11


製商品流通在庫水準判断
      (6月時点)  (9月時点)
        現状      現状
製造業大企業  +4      ±0
製造業中小企業 +8      +7

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
これ前回も在庫判断の過剰がかなり落ちたジャンって書いたんですが、今回もまた減ってきておりまして、この辺は前回もこの辺の数字見て強いじゃんと思ったのですが、同じ文脈になりますが、在庫の過剰感が剥落しているからやっぱり製造業が好調で今回の短観はつええええって事になるんでネーノと思ったんですがどうですかね。
(前回書いたのはここまで)

在庫に関しては相変わらず減っていて、と思ったら製造業中小企業は在庫水準上がっているのね。まあ流通在庫併せたら減っていないし、大企業は在庫不足に近くなってきている感じなのでこれ自体の流れは同じなのかな。


・価格判断がつえええええええええええ!!!!!!!のだがやはりコストプッシュなのか

同じコーナー(これは短観概要の2ページ目にさっきの需給判断、在庫判断と共にのっている)でこっちはもう少し前からの私家版分析ネタ。

販売価格判断
        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +4→+5        +10→+10
製造業中小企業 +5→+8        +9→+14

非製造業大企業  +3→+4       +6→+5
非製造業中小企業 ▲1→±0       +1→+3


仕入価格判断
        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +29→+27      +37→+34
製造業中小企業 +43→+45      +50→+51

非製造業大企業  +13→+15     +17→+18
非製造業中小企業 +25→+28     +29→+31

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
こちら実は前回もそうだったのですが、販売価格判断は順調に上向きだし見込みよりも強い数字になっているのですが、仕入価格判断の上がりっぷりの方が威勢が良くて、どの位威勢が良いかというと12月の数字は製造業大企業が+5、製造業中小企業が+16でして、半年の間に製造業大企業+5→+29、製造業中小企業+15→+43って無茶苦茶コスト上がってるじゃんとおもうところ。

その割に業況感は強いのは、ゆうて先行きの需要が見込めるから、という話なのか、はたまた在庫水準の低下に見られるように、そこまで生産がフルスロットじゃないからその分だけ仕入価格上昇の営業が軽減されているのか、何だかよくわかりませんな。
(前回書いたのはここまで)

いやー販売価格判断無茶苦茶上がっているじゃないですか〜全カテゴリーでプラスだし、しかも前回予測数値を超過達成して販売価格引き上げの動きですわよ日銀さんニッコリですね!!!!!

と言いたいのですが、見ればお分かりのように仕入価格判断の方が鼻血の出る勢いで上がっていて、前回書いた数値を引っ張れば昨年の12月短観から見て製造業企業が+5→+37、製造業中小企業が+15→+50ってナンジャソラ状態になっておりますな、ナムナムナム。

どうみてもコストプッシュです本当にありがとうございましたという風情なのですが、その割に消費者物価に統計上は跳ねていない(スーパーで一部葉物野菜の価格とか見ると卒倒しそうになるので見ないようにしておりますがそれは生鮮なのでキニシナイということでさておきまして)ようですけど、消費者物価の統計がアホほどヘドニックかけてておかしいのか、はたまた流通段階でコスト上昇が吸収されているのか、という感じですが、もしかしたら国内向けは値上げしにくいけど海外向けでそれは吸収してるとか????なんか難しくておじちゃんよくわからん。



・設備投資計画は引き続き堅調

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
ってなことで前回書いておりましたが、13ページの設備投資計画のグラフを見ればまあこれは堅調も堅調って感じなのは一目瞭然なので、企業セクターが好調だというのは把握したんですけれども、雇用の所と、仕入れコスト増の所は気になりますかな、という感じですかねえ。

雇用が威勢良くならないと個人所得に波及しないし、個人所得に波及しないと自律的な回復メカニズムが回らなくて、毎度おなじみ海外からの神風期待経済ってことになると思うんだ。
(前回書いたのはここまで)

今回も13ページに設備投資計画のグラフがありますが、見た感じ2018年度並みの推移をしていて、こっちは相も変わらず強いのですな。まあコスト増に関しても上述した販売価格のところを見ると転嫁の動きも出てきているんで、設備投資のここの数値強いと日銀は基本的に企業での前向き循環メカニズムがワークしている、という認識で押してくると思いますので、まあそういう事やぞという感じで。


・金融商品取引業の業績見込みの先行きが上になっているのがフラグでないことを祈ります

業況判断DI

        (6月時点)      (9月時点)
        現状→9月予測     現状→12月予測
銀行業      +7→+2      +6→±0 
協同組合金融業  ▲3→▲3      ▲5→▲3
金融商品取引業 +17→+17    +14→+18
保険業     +17→+15    +20→+12
貸金業等     ▲5→▲10     ▲5→▲10

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
まあ毎回ここの所を見ていて思うのですが、いや確かに金融商品取引業って市況産業にも程がある、というのは分かるんですが、前回予測を盛大に外しまくったり、ちょっと前回予想よりも良い結果になると先行き予測DIが無茶苦茶強くなる(3月短観がそのケース)とか、金融機関の他の業種の方々がだいたい予測の方向性とか数値とかにそんなに乖離が無い中、お前らだけ何やってるのといったところでして、ここから導き出されるインプリケーションとしては金融商品取引業の業績とか見ている部署というのは(ここで通信が途絶える)。
(前回書いたのはここまで)

何と、2回連続で金融商品取引業があんまりウゴカンチ会長で先行き見通しもヨコっぽいのを出してきまして、雪でも降るんじゃないかと気にしておりますが、よくよく見れば先行き予測で今回よりも改善する、という能天気な見通しをだしてきまして、他の金融業の皆様が(基本的に堅めに出しているから、というのはありますけど)先行きを慎重に見る中でこのヒャッハーマインドには相変わらず敬服せざるを得ないのですが、これが変な死亡フラグになっていないことを祈りたいと思います。12月短観が楽しみだなー(棒読み)。




・そういや企業金融

(ここから前回6月短観の時(なので書いたのは7/2)に書いたもの)
そういや企業金融のコーナーは相変わらず金融機関の貸出態度は良好が多いし、資金繰り判断も緩いままですけれども、ここに関しては売り上げが減って金融が逼迫してギャーという方面からの話は今次コロナショックで起きる話ですが、リーマンショック(や昔のジャパン金融危機など)のような金融ショックからの経済落ち込みでは無いので、そら金融面から見たらそんなにこけたりしないと思うのですよね。でまあここの数字(面倒なので引用しませんが)相変わらず良いのだし、別に金融機関だって大昔みたいに貸出総量規制だの枠管理だのするようなご時世でもないのに、何でコロナオペは延長せんと行かんがね、となるんでしょうかね、まあいっけどさ。
(前回書いたのはここまで)

などと書いたら7月MPMでちゃっかり来年3月までのコロナオペ延長が決まってしまいましたが、企業金融の方は相変わらず緩和的となっているし、業況感の改善も続いているのに、どこがどう企業金融がタイトでコロナオペを延長せにゃならんのよ、という感は大いにするんですけど、はてさてどうなる事やら。


・誰も話題にしないので可哀想だから今回も晒し上げしておく企業の物価見通し

例によって手抜きなので前回のに付け加えて8四半期(コロナ前の最後の短観から)にしますわw

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業

1年後 12月:0.6%→3月:0.2%→6月:-0.3%→9月:-0.2%→12月:-0.1%→3月:0.2%→6月:0.5%→9月:0.7%
3年後 12月:1.0%→3月:0.9%→6月:0.5%→9月:0.6%→12月:0.6%→3月:0.9%→6月:1.1%→9月:1.3%
5年後 12月:1.4%→3月:1.4%→6月:1.2%→9月:1.2%→12月:1.3%→3月:1.5%→6月:1.7%→9月:1.9%

大 企 業 製 造 業

1年後 12月:0.0%→3月:-0.3%→6月:-0.5%→9月:-0.4%→12月:-0.3%→3月:-0.1%→6月:0.2%→9月:0.5%
3年後 12月:-0.2%→3月:-0.3%→6月:-0.6%→9月:-0.5%→12月:-0.5%→3月:-0.3%→6月:-0.1%→9月:0.1%
5年後 12月:-0.3%→3月:-0.3%→6月:-0.5%→9月:-0.5%→12月:-0.6%→3月:-0.4%→6月:0.1%→9月:0.2%

大 企 業 非製造業

1年後 12月:0.4%→3月:0.1%→6月:0.0%→9月:0.1%→12月:0.3%→3月:0.2%→6月:0.4%→9月:0.5%
3年後 12月:0.8%→3月:0.7%→6月:0.7%→9月:0.8%→12月:0.6%→3月:0.9%→6月:1.0%→9月:1.1%
5年後 12月:1.0%→3月:1.0%→6月:1.1%→9月:1.3%→12月:1.1%→3月:1.3%→6月:1.4%→9月:1.6%

前回も改善しているのですが(こちらは前回の駄文は引用しませんです)、今回もまた盛大に改善していて、そらまあさっきネタにした販売価格判断と仕入れ価格判断見たらそうなるわなと思いますが、はてさてこんな状況なのにCPIの方は相変わらずの相変わらず、っていうのってCPI統計がもしかしてポンコツなんじゃなかろうかというサムシングもしてくるんですが。


物価全般見通し 全規模合計 全 産 業

1年後 12月:0.8%→3月:0.5%→6月:0.3%→9月:0.3%→12月:0.3%→3月:0.4%→6月:0.6%→9月:0.7%
3年後 12月:1.0%→3月:0.8%→6月:0.7%→9月:0.6%→12月:0.7%→3月:0.8%→6月:0.9%→9月:1.0%
5年後 12月:1.1%→3月:1.0%→6月:0.9%→9月:0.8%→12月:0.9%→3月:1.0%→6月:1.1%→9月:1.1%


物価全般見通し

中小企業 製 造 業

1年後 12月:0.9%→3月:0.6%→6月:0.3%→9月:0.3%→12月:0.3%→3月:0.5%→6月:0.8%→9月:0.9%
3年後 12月:1.0%→3月:0.9%→6月:0.7%→9月:0.7%→12月:0.7%→3月:0.9%→6月:1.1%→9月:1.2%
5年後 12月:1.2%→3月:1.1%→6月:1.0%→9月:1.0%→12月:1.0%→3月:1.1%→6月:1.2%→9月:1.4%

中小企業 非製造業

1年後 12月:1.0%→3月:0.7%→6月:0.4%→9月:0.4%→12月:0.4%→3月:0.5%→6月:0.6%→9月:0.8%
3年後 12月:1.1%→3月:0.9%→6月:0.7%→9月:0.7%→12月:0.8%→3月:0.8%→6月:1.0%→9月:1.1%
5年後 12月:1.2%→3月:1.1%→6月:1.0%→9月:0.9%→12月:1.0%→3月:1.1%→6月:1.2%→9月:1.2%

こちらもまた前回駄文は引用しませんが、今回は企業の物価全般見通しが見事にコロナ前を回復しておるのですが、まあゆうてコロナ前を回復しただけで、全然2%とか夢のまた夢という数字であって、こうなってくると麿が最初にしょうが無くぶっこんだ「目標は2%だが中間目標1%」っての妥当オブ妥当だったんですねえ、というのが分かるのですが、どうせ置物一派に言わせると「2%目標にしなかったら1%にも行ってない」みたいな理屈で正しいと言い張るに100ジンバブエドルですけどね。

なお、これは前回も書きましたが、皆さんすっかり忘れかけていると思うので(私もそうだが、笑)、しつこく申しあげると、コロナ前って「まるっきり物価がアガランチ会長なのですがそろそろ何と申し開きをするんでしょうか、まさか10年間達成しないとは言わないと思うので何かの落とし前(全面降伏かバンザイアタックの追加緩和)を」って感じの話しだったのがコロナで全部すっ飛んでしまって日銀にとってはすっかり有耶無耶に出来るという黒ちゃんの悪運の無駄遣いプレイになっていた、と言う事実はあるので、そこは忘れてはいけません。


#ということで議事要旨ネタと主な意見ネタがあるのですが、ちょっと中途半端な時間でここまで書き上げてしまったので、本日はこれにて勘弁して頂きとう存じます。え、短観ネタなら土日に何で先に書いておかないのか??いやまあそなんすよね(滝汗)






2021/10/01

お題「オペ紙変更なしかよ/CBDCで色々とペーパーが(メモ)/7月会合議事要旨だが最近はそもそもの議論部分にツッコミどころがある希ガス」

今年度も下期になってしまいましたな。今後もよろしくお願いいたします(ペコリ)。

そういや人様のお財布には興味ないのですが、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210928a.htm/
日本銀行職員の給与等の概要について
2021年9月28日
日本銀行

『日本銀行では、令和3年度の職員の給与等に関して、定例給与の改訂(ベア)を行わないこととするとともに、賞与の支給条件について5月賞与および11月賞与の支給率を、管理職以外の職員については2.124か月、管理職については2.269か月とすることとしました。この結果、年収ベ−スでは、管理職、管理職以外の職員ともに−0.6%の引下げとなります。なお、再雇用者(エキスパ−ト職員)の時間給についても、改訂(べア)を行わないこととするとともに、賞与の支給条件について5月賞与および11月賞与の支給率を、0.971か月(担当者の補助的・定型的事務を職務とする者は同0.746か月)としました。この結果、年収ベ−スでは、−0.4%の引下げとなります。』

ちょwwwwベア無しで臨給引き下げ。いやまあ全員揃って年功分で給与テーブルが上がるような制度があるのだったら実態ベースではサガランチ会長かもしれないけど、再雇用まで含めて臨給下げるとのことで、「企業部門の好循環が家計にも及ぶ」という日銀の経済物価見通しとは何なのかと小一時間問い詰めたい。


〇世界的にテーパリングだの利上げだのの中ですが日本銀行様におかれましては・・・・・(オペ紙)

・という訳で輪番は同額です

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210930d.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2021年10〜12月)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210629c.pdf(前回7−9予定)

〜1年:1500×1→1500×1
1〜3年:4500×4→4500×4
3〜5年:4500×4→4500×4
5〜10年:4250×4→4250×4
10〜25年:1500×1→1500×1
25年〜:500×1→500×1
物価連動:600×1→600×1
変動利付:300×0.25→300×0.25

ということで同額なのですが、3か月前はこのオペ紙変更でやたらめったら悪態をついた次第なのですが(6/30とか7/1に悪態書いたので過去ログご参照^^)、何ちゅうかこの毎度毎度思うんですが何かこう一貫した考えがあってオペ決めている感があるのか、と思わせておいて今回のようにこの3か月間の間で世界的にやれテーパーだやれPEPPの減額だ、もうすぐ利上げだとかいうムーブの中なんだから減らすのかと思いきやこれがまた動かんという謎スタンス。

買入減らし、かつ日銀の介入を減らしてて市場に勝手に動いて欲しいから、わざわざ3か月毎に変更にして、しかも買入を全般的に減らして来たのか、と思いきや、この3か月碌すっぽ動かない(直近だけ少し動きましたけど)10年カレントとか見てたら「じゃあもう少し減らせるじゃん(10年を減らすかどうかはともかくとして)」と海外のムーブもあるので減らすのかと思うとさにあらず。

まあ何ですな、今回は時まさしく自民党総裁選挙で岸田総裁爆誕という中なので、変なものをぶっこんで長期金利が突如上昇でっせーとか日銀がわざわざ騒ぎを起こすのは色々な方面で問題になりかねないから、そんなリスクはよー取りませんよ、という日銀の配慮と言うのは極めて良く分かるのですが、まーたおまえらは市場じゃなくて永田町と官邸だけ見て政策を運営してやがるわとゆー所ではございますが、オペ減額なしでホイホイ上がる債券先物も何か俺たちは雰囲気で相場をしているって感があって何ともかんとも。


・CP社債買入は相変わらず同額のオファー

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210930b.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年10月〜11月)

11月も10月と同じペースでの買入が続きます。いやあのCPってこんなに買う必要マジであるの???というのはあって、CP買入向けの買いとマイナスチャージ潰しの買いに加えてコロナオペ(企業向け債権だから)担保用の買いとかで謎の仮需ばっかり発生させてしまっているのがCP市場ちゃんなのですが、その手の仮需がマイナス金利に突撃すると、純投資というか純粋な短期資金投資というか、まあ要するに上記仮需と関係無い実需筋をCP市場から追い出す事になっていまいます訳で、市場から所謂実需筋を叩きだしてしまうと、政策上の措置で行っていた筈の仮需なしでは市場が成り立たなくなる、というような本末転倒現象が起きてしまうことになりかねないのであって、企業の短期資金繰りの便利なツールとしてのCP市場っていうのを仮需ばっかりで成立させちゃうような不健全な事を長期化させる(物凄い勢いで前からそうなのですがコロナオペが更に酷いことにしている)のは、正常化した世の中になった時を考えると、非常に良くないと思うので、とにかくこのCP社債に関してはETFの買入(そういや今週久々に買ったのねETF)も大概にうんこなのですが、こっちの市場を制度アービトラージの仮需まみれにしてしまうのは、直接市場における企業金融が超タイトになっている、というような時の介入は致し方ないにしても、そうじゃない時期に継続するのは長い目で見た時に市場の健全な育成に対して害悪でしかないので、まあお前らもうちょっとこのCP社債については考え直せよ馬鹿としか思えん。

そらまあ目先はコロナオペ担保まで含めての需要を高めてくれてコロナオペ担保に使えば(゚д゚)ウマーなファンディングになるし、日銀買入という出口まで用意されているんだから、目先の話をすれば仮需組やブローカーは(゚д゚)ウマーなんですけど、いやそれで本当にエエノンカ?とは思うのであります、というのもこういう時じゃないと話ができないので。


・ドルオペ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210930c.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2021年10月〜12月)

火曜日オファーというのはいつも通りですな、これ金利は相変わらず相変わらずではありますけれども、まあ1Wだとこれを毎回使って制度アーブをするというのは手間暇ばっかり掛かってむしろマズーって感じですから札もあんまり無いので、まあ金利設定これで良いのかとは思うのですけれども、もうちょっとペナルティーレートっぽい水準に戻してもエエンチャウノかなあとは思いますにゃ。良く分からんけど。


#最近JGB成分が足りんとのご指摘を読者様から賜りましたのでJGB成分(と言っても良くみるとCP社債の悪態ばっかりですが)も、とは思うんですけど、先物9月限の間全然動かなくてJGBおもんねーわーな上にFEDやECBが面白かったので・・・・・・・・この四半期はJGB成分のネタが増えると良いですな、うんうん。



〇おやCBDCネタ

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210930e.htm/
主要中央銀行による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用可能性を評価するためのグループが報告書
「CBDC:システム設計と相互運用性」「CBDC:利用者ニーズと普及」「CBDC:金融安定に対する影響」を公表
2021年9月30日
日本銀行

『主要中央銀行による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用可能性を評価するためのグループは、9月30日、報告書「CBDC:システム設計と相互運用性」(原題:Central bank digital currencies: system design and interoperability)、「CBDC:利用者ニーズと普及」(原題:Central bank digital currencies: user needs and adoption)、「CBDC:金融安定に対する影響」(原題:Central bank digital currencies: financial stability implications)を公表しました。

詳細につきましては、以下をご覧ください。』

ということですが、本チャンの報告書は
https://www.bis.org/publ/othp42.htm
BIS, Innovation Hub Other | 30 September 2021
PDF full text (3,905kb) | 6 pages

ここにあるフルテキストってのは多分エクゼクティブサマリーのフルテキスト(表紙が無駄に豪華)だと思います。URLはこちら→https://www.bis.org/publ/othp42.pdf

でもってHTMLの方から引用すると、

『A group of seven central banks (Bank of Canada, Bank of England, Bank of Japan, European Central Bank, Federal Reserve, Sveriges Riksbank and Swiss National Bank), together with the Bank for International Settlements, are working together to explore central bank digital currencies (CBDCs) for the public ("general purpose" or "retail'' CBDC).』

各国のグループで作ってるんだったら各国語版も同時に出せやゴルァと思ったが、リクスバンクとSNBとBOJ以外は英語ですかそうですか(ECBは英語を第一言語にしている国が無いのに英語なんですよね、どうせならエスペラント語でも使えばよかったのに(無茶))シャーナイですな(なおSNBの場合はロマンシュ語以外の3公用語+英語でサイトを作ってます、サイトをご覧あれ)。

『Here is a summary of progress made since publishing a report in October 2020 setting out the common foundational principles and core features of a CBDC. Alongside the executive summary, three detailed reports are also being published:

System design and interoperability;
User needs and adoption;
Financial stability implications.』

んでまあ辛うじて日本語仮訳がついているのが

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/data/rel210930e1.pdf
中央銀行デジタル通貨:エグゼクティブ・ペーパー
2021 年 9 月

でございまして、さっきのエグゼクティブサマリーの翻訳になっています(と思います見た感じだと)。

ちょっとだけ拝見。(以下上記の日本銀行仮訳より)

『中央銀行のグループは、国際決済銀行とともに、一般向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)(「一般利用型」あるいは「リテール型」CBDC)に関する検討を共同で行っている1。本エグゼクティブ・ペーパーは、CBDC に関する共通の基本的な原則と特性を示した報告書2の公表後における取り組みの進展について概説するものである。なお、本ペーパーとともに、3 本の詳細な報告書が公表されている。』

ということで、『動機』の頭の部分を見て何ちゅうかこうですね、アタクシは何かを思う訳なんですけど、

『中央銀行マネーが通貨システムの中核にあることは、マネーに対する信認のよりどころとなり、公共の福祉を支える。(引用者注:ここまでゴシック体)』

イイハナシダナー。

『歴史が示してきたように、マネーおよび決済の変化は、新たな課題とともに、新たな機会やビジネスモデルをもたらす。経済のデジタル化は一層進み、利用者のニーズは急速に変化しており、イノベーションは金融サービスの形態を変化させている。』

ということでまあ話はデジタル化の方になるんですけどね。

『我々の法域の多くでは、現金の決済目的での利用が減少しており、銀行以外の民間部門が発行する新たな形態のデジタルマネー(例えばステーブルコイン)が現れつつある。』

ですなあ。

『こうした動きは、新型コロナウィルス感染症の発生以降加速している。今日、中央銀行は、急速に変化していくであろう将来のシステムにしっかりと対応できるよう、いかにして公共政策上の目的を達成し続けることができるかについて検討している。』

ということで、まあこれはこれで良く分かるのですが、そうなりますとどこかのアホウのように「中央銀行が国債を買い入れれば国の債務は消滅する」というようなジンバブエ理論を提唱してバンバカと財政ファイナンスをしちゃいますと、そもそも論として「銀行以外の民間部門」の方が信認が高くなる(国家破綻状態の国だとマールボロが通貨代わりになる、的なアレ)訳でございまして、そういうことまでも踏まえ、中央銀行としては通貨システムの中核にあって、かつマネーの信認を維持する責務がある、とか何とかそういう読み方をすると、さすがに日本以外でそんな暴論出てるのあんまり見ない(というかまあ細かく見てないだけかもしれないけど)ですが、財政と金融の協力の名のもとにプリンティングマネーをさせようとするような動きに対しての警鐘だと思って勝手に読むと味わいが深いなーと思うのでした。

んな訳ですから、

『本グループが示した基本原則を堅確に満たす CBDC は、そうした将来において、中央銀行が金融安定を強化し、新たな技術を利用し、公共のために奉仕し続けるための重要な手段となり得る。 』

と次の所では言われていますが、そもそも論として技術云々の前に通貨の信認がきちんと維持されるにも不断の努力が必要(ガチガチに制度で縛ったとしても民主主義のバグによって突破は可能なのですから)だと思うのですが、それに関してはまあ確かにCBDCの技術論とか方法論とかの話においては余計な話かも知れないんですけど、こういう議論をしている中銀サークルの皆さんって、そもそも通貨の信認が無制限に自明のものとして通用するもんだ、って勘違いしてるって事は無いよね??というのは時々気になります(個人の感想です)。

まあボチボチ読んでまいりますが、しばらくは米国テーパリングから利上げからの話に加えて欧州もドンドンインフレネタで中銀が燃やされる格好になってきているので、そっちから目が離せませんですわって感じではございます。



〇クソ面白くも無いのですが7月会合議事要旨

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2021/g210716.pdf

『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』っていうのが7ページ目(PDFの9枚目)からおっぱじまるのですが、まあ見てて何か表面なぞった話をしているだけですねーって感じのものしかなくて、いやもうちょっと昔のMPM議事要旨だと「おお!」というようなキラリと光るものを見ることができたりしたんですけどねえ、と思いながら10ページ目の『2.経済・物価情勢の展望』まで飛ぶ。


・先日ECBでも質問されてましたがパンデミックの影響云々って話は・・・・・・・・・

『2021 年7月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、委員は、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。委員は、このところ感染が再拡大し、東京都で緊急事態宣言が再発出されているが、今回の見通しにおいても、感染症の影響は、ワクチンの普及などにより先行き徐々に和らぎ、見通し期間の中盤に概ね収束するとの想定は維持できるとの認識を共有した。』

いやまあ何か置かないといけないから仕方ないってのも分かるんですけど、どこの中銀も結局の所こういう説明をしながら「でも先行きはコロナ次第」とか説明するから分かりにくいにも程があるのであって、「こうなるかどうかは分からないけどとりあえず大本営の通りに置きます」ってのをもうちょっと前面に出してくれないと(いやまあ前面に出しているつもりなのはわかるけど)、コミュニケーションの時に、先般のラガルド会見で「パンデミックフェーズが終わるまで、というPEPPの条件ですが、そもそもあんたら感染症の専門家でも無いのにパンデミックフェーズかどうかどう判断するの??」と逆ねじを食らわされるんですな。

感染症は勿論それがファクターなんですが、感染者数が欧米対比少ないのに消費が欧米対比大コケするとか、結局は感染症の拡大状況云々よりもそれに伴う経済活動の事がメインの筈なので、まあこういう経験はSAASの時以来だしあんなの今にして思えばちょうチャチイ案件だったので、まあ事実上初体験だったからシャーナイのですが、「感染症の影響が」みたいな何とでも使える便利なワードというのは、ラガルドはんの所のように、出口が近づいてくるとバイデフィニションで説明できないから、当初便利でも出口でコミュニケーションが死亡する元になるので、あんまり乱用しない方が良い気がしますね。

『そうした前提のもとで、委員は、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、感染症拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとの基本的な見方で一致した。更に、その後の見通しについて、委員は、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済は更に成長を続けるとの認識を共有した。』

個人所得はどうやって上がるんでちゅかねえ。

『ある委員は、ワクチン接種が進捗して国内の感染症が収束していけば、これまでの財政支援策と強制的な支出削減によって積み上げられた民間貯蓄が取り崩され、消費に向かうため、潜在成長率を上回る成長が期待できると述べた。』

うーん、それはまあ旅行とか飲み会とかが戻るかも知れんけど、正直その辺って「次の第6波が来るまでに駆け込んでおかないと」的な消費のように思える(あの「第6波が冬に来る」とか今から言いまくってる専門家何とかって、この秋に駆け込み消費をさせて人流と密を集中的に発生させようと狙って言ってるのかと小一時間問い詰めたくなるんですが何なのあいつら)ところでありまして、先行きまだ「第〇波がー」の話が出る感はムツカシヤですよね。

でもって「第〇波ネタ」が本当になくなるまでどの位時間かかりますねんと考えるに、そうホイホイと上がるとも思えないし、大体からしてこのある委員、消費者コンフィデンスの低下とか将来不安の問題とかをスルーしてへんかと思うのだが。

『一人の委員は、短期的には、東京都での緊急事態宣言の再発出により個人消費の下押し圧力が強まるとしつつもやや長い目でみれば、緩和的な金融環境に支えられて設備投資の増加が見込まれることもあり、景気の回復基調は強まっていくことが期待できると述べた。』

なんじゃそら。

『一方、複数の委員は、足もとの感染再拡大の影響により、わが国経済の本格的な回復時期は、前回展望レポート時点よりも幾分後ずれするとの見方を示した。』

まあそうですな。


・前向きの循環メカニズムは家計に届くのでしょうか????

ちょっと先に行きます。個人消費と雇用情勢。

『個人消費について、委員は、当面、対面型サービスを中心に低めの水準で推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、政府の経済対策などにも支えられて、再び持ち直していくとの見方で一致した。更に、委員は、その後、感染症の影響が収束していけば、雇用者所得の改善にも支えられて、対面型サービスを含め、個人消費の増加基調が明確になっていくとの見方を共有した。』

何か勝手に雇用者所得が感染症影響の収束で高まるってことになっているんですけど、一度外的ショックを受けた後って、ワイ思うにジャパニーズは特にその後の投資、支出に対して防衛的な姿勢がそれなりの期間において継続すると思うんですが、雇用者所得が増えるってのに関してメカニズムでもアネクドートでも良いのですが何かあるんかね、というかこの2カ月半後に最初のマクラにありますように「ベア無し臨給ファンドカット」という給与改定してますよねあんさんら。

『ある委員は、ワクチン接種の加速などにより公衆衛生上の措置が緩和されれば、これまでの長期にわたる自粛の反動もあって、個人消費がいったん大きく増加する可能性は相応にあると述べた。』

ただし旅行と飲み会と外食に限る。

『別の一人の委員は、積み上がった現預金の取り崩しによるサービスのペントアップ需要の顕在化は、経済を押し上げると期待されるが、緊急事態宣言が夏季休暇期間に及ぶかたちで発出されたことに伴い、需要が顕在化するタイミングは後ずれする可能性が高まったと述べた。』

いやね、おじちゃんって変人なのは自覚しているんで自分個人のお財布感覚が一般的じゃないのは承知しているんですけど、今回のパンデミックのごたごたと、それに伴う企業業績の悪化を1回見た後だったら、やはり相応の期間において家計はある程度防衛的にせにゃアカンって感覚になって、積みあがった現預金をそうホイホイと取り崩しには行かんとおもうんだが世の中の皆さんはどうなんでしょうかね。

ということで(前段の時点でお察しでしたが)個人消費は何か先行きエライ楽観してますな。7月時点では。

『雇用・所得環境について、委員は、内外需要の回復にラグを伴って持ち直しに転じ、緩やかに増加していくとの見方を共有した。』

なぜ???

『一人の委員は、家計が保有金融資産のうち現預金の一部を株式や投資信託に振り向けていけば、配当収入などを通じて海外経済の成長を取り込むことで可処分所得の増加も期待できると述べた。』

これはこれは、マリーアントワネット中村審議委員さんじゃあーりませんか。毎回これ言ってるのかよ・・・・・・・・・

ということで、結局の所企業部門の前向き循環とやらが家計に向かう事に関する根拠が何だか良く分からないまま、「給与が増えなければ株式や投信を買えばいいじゃない」というマリーアントワネット中村審議委員様のお言葉で締められる、という何だか良く分からん見通しでありました。


・金融面での話を読んでて色々と違和感があるんだが

12ページまで飛びます。引き続き展望レポートの話ですが金融面に関する議論パート。

『この間、委員は、見通しの背景となる金融環境についても議論を行った。』

ここで金融不均衡の話などが出てくれば上等なのですが、まあ出る訳ないのがバンクオブジャパンクオリティー。

『委員は、先行き、日本銀行による強力な金融緩和の継続や政府の措置、民間金融機関の取り組みから、緩和的な金融環境が維持され、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避されるとの認識を共有した。』

いやそれより気にすべきは金融不均衡の積み上がりの方だろ・・・・・・・・・・・・1年前ならともかく。

と思うのですがその後も違和感が色々とあってですね。

『一人の委員は、最近の劣後債やエクイティファイナンスなどの資金調達動向をみると、企業の財務戦略の重点が一頃の流動性確保から資本充実へとシフトしており、現在の緩和的な金融環境を長期的に維持することにより、こうした企業金融面の前向きな動きをサポートできると述べた。』

劣後債やエクイティファイナンスをするのが「企業金融面の前向きな動き」ってイマイチ意味がわからんのですが。前向きな動きってのは財務レバレッジ掛けて設備投資するとか、そういう方向なんじゃなかろうか、(だってレバレッジの拡大は経済の拡大につながるじゃん、過度なのは良くないけど)と思う訳で、資本性資金の調達が増えてるのって、それが新規投資につながるなら前向きだけど、負債削減の為だったら別に前向きじゃないような気がするんですで、これケースバイケースの話しなんじゃないの??????

#流動性確保の動きから前向きな投資を目的としたものが増えてきている、ってのなら理屈は分かるんだが

『別の一人の委員は、輸出企業の価格設定行動の変化や現地生産の拡大など、外国為替市場を取り巻く近年の環境変化が、金利低下の波及経路にどのような影響を及ぼすか注視する必要があると述べた。』

そもそもこの説明が全く何を言っているのか意味不明なのですが、さらに申し上げますと「現地生産の拡大」って「近年の」環境変化じゃないと思うんですが20年前からタイムスリップでもしてるんですか?????


・気候変動何とかの話とそもそもの政策スタンスの話ですけどねえ・・・・・・・・・・・

でもってこの先に『V.気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給手段に関する執行部説明』、『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』が続くんですが、気が付けば時間があばばばばーだし、何ちゅうか最近この項番Wに相当する所読んでもおもんないので、週明けにネタにするかどうかは良くワカランチ会長です(短観もあるでよ)。

まあいずれにしましても、政策論でジンバブエが何か変な話している〜的なツッコミではなくて、そもそも論として議論の内容が何かズレてね???ってツッコミが最近議事要旨見てて多くなったなあ、と我ながら思う訳で、それってもしかして(もしかしなくても)更にMPMの議論の質が低下してるって事なのではないかと朝から頭がクラクラしてきましたので本日はこの辺で勘弁して頂きとう存じます。