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2023/02/28

お題「植田さん参院聴取もチョイチョイ味わいのある説明をするのだが物価見通し大本営に丸乗りなのはナンデジャロ」

きゃあ2月終わってしまうじゃないですかまた今年も6分の1がオワタ。

〇植田さん物価見通しで現在の「政策から逆算した見通し」に乗るのは如何なものかと

例によって良いお仕事をしておられる公共放送のサイトから。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230227/k10013991891000.html
【詳しく】日銀総裁候補 植田和男氏 所信聴取 参議院
2023年2月27日 18時36分

しかしまあ何ですな、こちらの記事で植田さんの説明のもうちょっと詳しいバージョンを見ますと、ベンダーのヘッドラインの切り取りぶりがちょっとお前何とかならんのか、と思ってしまう訳でして、ヘッドライン詐欺に引っ掛からないようにしないとイカンですなあと思うのでありました。

・アベノミクス云々で世耕さん質問してるんだがお前らやることやってねえだろと小一時間

『質疑で、自民党の世耕参議院幹事長は「経済産業大臣などの立場で関わってきた者として確認したいが、安倍政権の経済政策、『アベノミクス』をどう評価するか」と質問しました。』(上記URL先より、以下同様)

評価したいけど経済構造改革なんも政治の側がやってないから評価できんわバーカバーカ、などという訳もなく(まあそういうのを言ってしまうようなお子様は一生出世には縁がないのですよね、と鏡を見ながら思うアタクシ)、

『これに対し植田氏は「日銀と政府の共同声明に沿って必要な政策を実行し、結果としてデフレではない状態を作り出した。働き方改革などを通じて、人口が減少する中でも女性や高齢者を中心に雇用を拡大するなど、着実な成果が上がっている」と指摘しました。』

「働き方改革などを通じて、人口が減少する中でも女性や高齢者を中心に雇用を拡大するなど」ってナンノコッチャという感じの説明ではありますが。

『そのうえで、アベノミクスを踏襲するかどうかについて「インフレ率が持続的・安定的に2%を達成するよう続けるという意味で踏襲する」と述べました。』

「インフレ率が持続的・安定的に2%を達成するよう続けるという意味で踏襲する」ってワロタわ。

ちょっと先の『《所信や質疑を詳しく》』からの所を見ますと、

『アベノミクス「インフレ率2%達成 踏襲」

アベノミクスへの評価について問われたのに対し「2013年の日本銀行と政府の共同声明に沿って日本銀行と政府が必要な政策を実行してきた。その結果としてデフレではない状態を作り出した。働き方改革などを通じて人口が減少する中でも女性や高齢者を中心に雇用の拡大が見られるような成果もあり、着実な成果が上がっていると考えている」と述べました。

そのうえで、アベノミクスを継承するのか問われたのに対し「共同声明に入っているような日本銀行が目標とするインフレ率が持続的・安定的な2%を達成するということを続けるという意味で踏襲するということだ」と述べました。』

ということでして、つまりアベノミクスの財政の話と成長力強化の話は華麗にスルーしてて、まあ別に評価を思いっきりしているという感じでは全然無いですな、あっはっは。


・物価の見通しがやたらめったら今の大本営に沿っているのは気になるところなんですが

上記記事のうち衆院での話になりますので重複になってしまいますが、

『2:物価の見通しと2%の物価目標の達成時期(引用者追記:これは24日衆院での発言を報じた部分)

2%の物価安定目標の実現にはなお時間がかかるという考えを示しました。

「現在、わが国は、内外経済や金融市場をめぐる不確実性が極めて大きい状態だ。消費者物価の上昇率は2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していくと考えている」

「目標の2%を持続的に安定的に達成するためにはなお時間を要すると考えている」』

となっていて、参院の方の記事には出ていなかったのですが、ヘッドラインを見た感じですと参院でも物価見通しに関して同様の説明をしているように見受けられました。


しかしですな、そもそも論として世界的に「物価上昇が一時的だと思ったら全然サガランチ会長じゃないですかヤダー」と言いながらあちこちの国で金融引き締めがぶっこまれているという流れなわけでありまして、そんな中で日本だけ物価上昇が一時的で終わってしまう、ということになりますと、それって10年間やってきたQQE政策によっても何の変化もなかったです、という話で即ちQQE政策は不発でした、というのを盛大に主張しているようなもんでありまして、その時点で何と申しますか自家撞着にも程があると思うんですよね。

しかも後述しますようにこの半年の間でも物価見通しをバンバン変えてきているという状態で、日銀の出している物価見通し自体が本当に当てになるのか、という大問題isある訳で、植田さんこの物価見通しに関して日銀大本営政策逆算型物価見通しに物凄い勢いで丸乗りをしているのが良く分からん。

だってまだ日銀の中の人な訳じゃないんだから、そこまで物価見通しを明確に決め打ちしなくたっていい筈だし、どうせ日銀の物価見通しが政策逆算で作っているからまた外してしまいました、って結果になるのほぼ明白でしょと思われる(個人の感想です)中で、何でこんな胡散臭いものに丸乗りしてしまうんでしょ、と思う訳ですよアタクシは。


・もしかしたら物価見通しを大本営政策逆算型見通しに丸乗りする理由は・・・・・・・・・・・・・

などと金曜から思っていて、他の事は穏当な一般論に置き換えたり、フワッとした言い方で置き換えてみたりとしている割に物価の所だけは盛大に決め打ちしてるんじゃろ、だいたい植田さんの事だから日銀のここ1年の物価見通しが政策逆算型で外しまくっていることくらい先刻ご承知だろうに、と釈然としない思いでいたのですが、昨日の参院での聴取の公共放送ニュースサイトの詳報(要は上記URL先記事ですが)見て何となく思ったのですけど・・・・・・・・・・

『金融緩和の出口戦略「考えていないわけではない」

金融緩和を縮小するいわゆる出口戦略について「持続的・安定的に2%のインフレ目標が達成できる見込みが得られるようになったときに、出口戦略を開始することになる。さまざまな側面をもつ現在の緩和政策について、それぞれをどのように出口に向けて修正していくか、どの手段をどういうふうに先行させるのかという具体論は考えていないわけではないが、今後の経済や物価情勢の変化に応じて最適で望ましいやり方は変わっていくものと思う。現時点では具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたい」と述べました。』

ってぶっこんでいるのですが、よくよく考えれば「今時点で23年度後半には物価が2%割れ水準に上げ幅を縮小すると見ているから出口戦略とか以ての外」という話をしているのであって、物価見通しが変われば話は別ですよね、というのを籠めており、今の日銀大本営の政策逆算型物価見通しについては政策逆算を止めればもうちょっと強い見通しになるというのまで見越していて、こういう打ち込み方してるのかねえとか邪推してしまう位に陰湿な読み方をするのが債券市場(え?お前だけだって??)。


・国債買入に関しての質疑も味わいが

『「国債の購入 物価安定目標が達成の見通しなら縮小も」

このところ債券市場で長期金利に上昇圧力がかかる中、日銀は金利上昇を抑えるために国債を買い入れていますが「最近、日銀の国債の購入が増えている面があるが、これは市場におけるインフレ期待が多少なりとも高まってきている中で、そういう状況が起きている面もある。基調的なインフレ率が上がっていくという点についてよい芽が出つつある動きとも対応していると思う」と述べました。

一方で、日銀の国債の買い入れがいわゆる財政ファイナンスにあたるのではないかと問われたのに対して「現在の金融緩和やそのもとで行われる国債の購入は物価安定目標の達成のためだ。その達成の見通しが立ってくる状況になれば国債の購入はだんだん縮小させていくことになると考えている」と述べました。』

しれっと「これは市場におけるインフレ期待が多少なりとも高まってきている中で、そういう状況が起きている面もある」と言っているのは今の馬鹿買入の擁護をしているのですが、どさくさに紛れて物価目標達成に向けた前向きな動きという評価もしているのがチャーミングで、黒田のように俺様に盾突く国賊という姿勢一辺倒ではないのは味わいがありすね。


・「点検」についてはしれっと定義を動かしておりますな(^^)

『金融緩和策点検「直ちにする考え持たず 必要性あれば総合的に」

これまでの大規模な金融緩和策の効果や副作用を今後、大がかりに点検、検証する必要性がないかを問われ「普通の意味での点検、検証はある意味、毎回の政策決定会合で行われるものだと考えている。日本銀行は特別な点検を過去10年で2度ほどやっているが、こうした特別な点検を行うかどうかについて、今直ちに点検をしたいという考えは私は持っていない」と述べました。

そのうえで「仮に就任した後必要性があることがわかれば、もちろんやっていきたいが、過去から長く続いてきた金融緩和のさまざまな側面を総合的に点検するものになる可能性があると思う。もし行う場合は、時間をかけてゆっくりとした点検を行う、という姿が1つ考えられるかと思っている」と述べました。』

ここで「普通の意味での点検、検証はある意味、毎回の政策決定会合で行われるものだと考えている。」って言ってるの当然の話法ではあるのですがポイントが高いですし、『過去から長く続いてきた金融緩和のさまざまな側面を総合的に点検するものになる可能性があると思う。』というのが更にポイントが高くて、さすが植田先生良く分かってらっしゃるという感じです。

これはですね、つまりは「点検」と政策変更をリンクさせないという形で「点検」の定義をしれっと動かしに掛かっているということであります。

まあ何ですな、「点検」ってのがもともと雨宮さんお得意の小道具で、政策変更(またはマイナーチェンジ)をしよう、というのが先にあって、そこから逆算して「点検」を行うのですが、その「点検」を小道具として使う事によって、あたかも「点検の結果このような政策が適切と判断されました」という茶番劇の道具として使われるという物件、とだけ言うと日銀のスタッフの皆さんが余りにもカワイソスなので補足しておくと、点検でちゃんと検討してまっせ、というのを示すためのものなので頑張ってクオリティは確保したものを出している訳で、逆にこれだけのクオリティの物件を茶番の小道具に使うなんて勿体なさすぎる、と思うのですがそれはまあ兎も角としまして。

そんな訳で黒田日銀における「点検」は政策の見直し(YCC導入みたいな重いネタの場合もあるし、変動幅2倍2倍の場合もあるし、0.25%を明確化しただけ、という場合もありますが)を伴う時に急に伝国の玉璽の如く登場するという物件だった訳ですが、そのような伝国の玉璽な性格を無くして、政策変更のような政変を伴わない平和な物件に切り替えよう、つまり宋の太祖が節度使を武官から文官に入れ替えたようなもん(訳分らんたとえですかそうですか)ですなこれは、と思いました。


ということはですね、この「点検」関連発言って最初ヘッドラインだけで見た時に、いやいやそんなノンビリしたこと言ってるのは市場が許さんのとチャイマスノ、と思ったのですが、こうやって植田さんの説明を見ますと、「政策変更とかそういう話とは全然別件での点検だよ」という話をしておりまして、しかしそうは露骨に言わないのでヘッドライン的にはあたかも政策の見直しを「時間をかけてゆっくりとした点検を行う」かのような第一印象を与える言い方にしてるんだな、と感心しました。


・よくよく見たらこれもどういう意味なのか面白そうですね

『「インフレ率上がらない場合 より持続性の高い仕組みを」

植田氏は「現在の金融緩和を続けた場合でも、基調的なインフレ率が時間をかけても上がらないという場合には、副作用等も考えてより持続性の高い金融政策の仕組み、緩和の仕組みを考えていかなければならないと考えている」と述べました。』

とのお言葉を賜っている訳ですが、「副作用等も考えてより持続性の高い金融政策の仕組み、緩和の仕組みを考えていかなければならない」ってよく考えたら、2%物価安定目標が行かないという大本営発表を継続する場合でも政策の手直しがアリエールって話じゃないですか。


しかしまあ何ですな、いつもの日銀謹製「基調的なインフレ」って1月CPIを受けた数字が今日でるのですが、基調的なインフレどう見てもあがってんだろという状態なんですけどぬー。



〇ここで黒田総裁の説明による物価見通しの変遷を確認しておきましょう

・直近

直近では
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230224b.pdf
黒田総裁記者会見(2月23日)
――G7終了後の鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、黒田総裁 G7議長国記者会見における総裁発言

『ただ、日本銀行として、2%の物価安定目標というのを掲げて金融政策をやってきたわけでして、足元で消費者物価が 4%上がっているわけですけれども、これはほとんど全て輸入物価の上昇によるものでありまして、既に輸入価格の上昇率は下がってきているわけです。それに加えて、さらに政府が、エネルギー高騰に対する消費者に対して補助を始めますので、これもさらに消費者物価の上昇率を引き下げているということになるので、』

そもそも論としてこの説明も雑で、輸入物価の上昇率下がっているけど価格転嫁続いているジャンとか、エネルギー価格対策で財政だしたらそれはマクロ的には物価押し上げ要因になるじゃろというのを丸無視しているのですがそれは兎も角として、

『現在のわれわれの見通しで言うと、2023年度の半ばまで上昇率はずっと下がっていくと。そして2%を割るという見込みになると。』

ということで23年度半ばに2%割れ、ということになっております。ちなみにクソどうでもよいのですが、日銀ってこの間ずーっと、

『これは日本銀行の政策委員会のメンバーの見通しですけれども、ご案内のとおり、民間のエコノミストの見通しは、もっと低い物価上昇率になると。そういう状況であって、民間も、それからわれわれの見通しでも、2024 年度も今のところは 2%を割るという状況が続くというふうに。』

って言ってて、自分たちの物価見通しが低い方に毎回外しているのは政策逆算じゃないよ民間エコノミストもそういう予想だよ、と一々エクスキューズ入れてるのが見苦しいにも程がある訳で、大体からしてこの1年くらい予想外し続けてる民間エコノミストも全員退場しろやこのポンコツと思っておりますアタクシ(とか言ってまた無駄なところに喧嘩を売って回るスタイル)としては、こんなエクスキューズは負け犬のオーボエ以外の何物でもなくて見苦しいから言うの止めろよと思うのですが、だいたいこういうエクスキューズの入れ方が好きな人ってのは想像は付くんですよね(黒田さん本人はこういうエクスキューズの仕方は基本的に好まないと思うの)。



・昨年12月段階(つまり1月展望レポートのリバイス前)

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2022/kk221221a.pdf
総裁記者会見
――2022年12月20日(火)午後3時半から約60分

冒頭の情勢説明の中から引用しますけど。

『先行きについては、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めた後、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想しています。』

ということで、12月の説明だと「本年度末にかけて上昇したあと、来年度半ばにかけてプラスを縮小(そのあとはまた上昇基調)」となっていまして、この時って変動幅拡大の決定もあったのですが何気に物価の話は何度も聞かれていたので何回も説明しているのですが、終始こんな感じ(これは最後の質疑応答から引用しています)でございまして、

『ただ、今のところ物価上昇率は高まっていますが、来年度には低下していって 2%以下になる可能性が高いという状況では、金融政策を大きく変えるような、あるいは金融を引き締めるようなことは当面考えられないということに尽きると思います。』

となっていますな。


・昨年10月末段階(つまり10月展望レポート直後)

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2022/kk221031a.pdf
総裁記者会見
――2022年10月28日(金)午後3時半から約60分

これまた冒頭の情勢説明の中から引用しますけど。

『物価の先行きについては、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めた後、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想しています。』

よく見ると10月は「本年末にかけて上昇率を高めたあと来年度半ばに向けてプラス幅を縮小」となっていて、12月会合の時点で既に「上昇率を高める」期間を3か月後ろ倒しにする、つまり物価見通しを外しておられるのがわかりますな。


・昨年9月段階

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2022/kk220926a.pdf
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2022年9月22日(木)
午後3時半から約65分

これまた冒頭の情勢説明の中から引用しますけど。

『先行きは、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めた後、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想されます。』

となっていますな。勿論もっと前の見通しが大外しにも程があるのはご案内の通りだと思いますが、「一時的」連呼しながらドンドンと物価の先行き見通しにおける物価上昇率の鈍化のタイミングが後ろ倒しになっている、という偉大なる実績を引っ提げているポンコツ見通しに丸乗りしてしまう植田先生の真意や如何にという感じでして、植田先生のことですからこれ単純にナイーブに日銀大本営に乗っかってるだけじゃないような気がするんですよねー(個人の妄想です)。



〇レッツゴー2匹のSLF残高は昨日も増加と(メモだけ)

はい
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230227.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 25,400 25,400 -1.100 -1.380

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、利付国(10年)第367回(13,826億円)、368回(11,574億円)です。


国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注7) 174 174

(注7) カレント3銘柄が対象。

24日は367が1兆2706億円、368が1兆1390億円だったので、午前分だけ見ましても、24日よりもSLFで出た額が増えているという計算になりますな、うんうん。(筆者追記:午後のは補完供給じゃなくて固定オペですな。この期に及んでまだ入るのは投資家の売りがあったんでしょうね)

まあ何ですな、モヒカン市場局が出てきて「空売りは消毒だヒャッハー」っていきなりSLFの限度額無茶苦茶絞るとかレポレートをもっとクソ低くするとかではなかったので(当たり前と言えば当たり前)すが、今後どうなるのか生温く見物したいと思います。





2023/02/27

お題「植田先生の所信聴取は概ね好評だったようですね/レッツゴー2匹の行く末や如何に???」

2月だからしょうがないんだがもう月末ですがなアイヤー。

〇植田先生総じて好評だったようで何より(所信聴衆とりあえずニュースから行きます詳しくは会議録出てから改めて)

植田先生の国会所信聴取、金曜が衆院で今日が参院でしたっけなと思いますが。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230224/k10013988331000.html
【詳しく】日銀総裁候補 植田和男氏らに所信聴取
2023年2月24日 16時01分

まあアレです、植田先生のことですから変な事は言わないし、このタイミングでわざわざアベノミクス批判とか黒田批判とかする訳もない(そういうのは就任が確定してから開始するし、何なら昨日一昨日ネタにした田村審議委員のようにはんなりとしながらぶっ刺していくスタイルでやるでしょうし)のでまあヘッドラインだけ追っかけてりゃいいやと思いながらヘッドラインだけ見ておりました正直。

しかしこちらに割と細かくあってこれは助かるし、よくまとまっていますのでこれみてりゃ大体カバーできますなさすがは公共放送。

まあ後日国会会議録にアップされるのでそれをまた後日確認したいと思いますが、上記記事よりちょっとだけ拾っておくとします本日は。

『日銀の黒田総裁の後任の候補者として政府が提示した、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏に対する所信聴取と質疑が衆議院議院運営委員会で行われました。植田氏は、現在の大規模な金融緩和を継続するとともに、2%の物価安定目標を盛り込んだ政府・日銀の共同声明を当面、変える必要はないという考えを示しました。』(上記URL先より、以下同様)

ここでは「現在の大規模な金融緩和」とあるのだが、ここは実際にどういう言い回しになっていたのかを会議録で最終的には確認しないと行けませんね。

『この中で植田氏は、「現在、わが国は、内外経済や金融市場をめぐる不確実性が極めて大きい状態だ。消費者物価の上昇率は2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していくと考えている」と指摘しました。』

この数字自体は展望レポートで示された数字です。ちなみにこの「2%を下回る水準に低下していく」時期に関しては物凄い勢いで後ろ倒しになっていきまして、物価目標を掲げた中央銀行が物価の先行き見通しをこれだけ変化させているのに政策は一切見直さない(どころか指値オペだの長期共担だので寧ろ緩和強化をしている)という問題点があります。

ということで、まあ植田日銀(さすがにもう大丈夫でしょう)になって最初の決定会合が展望レポートになるのですが、今まで黒ちゃんの意地と面目の為に設定したYCC死守という馬鹿踊りを正当化する為に茶坊主の皆様が散々大本営発表(というか逆大本営発表とでもいうべきか)して出していたイカサマ物価見通しをどのように出すのか、という超難題が待ち構えております。

まあ本来はきちんとした分析のもとで経済物価見通しを立てて、その情勢を踏まえて政策の検討を行うのですが、物価が上がりだしてからこの方は完全に政策に対して見通しが従属する形になっているようにしか見えないのでありますが、黒田とかいう悪縁を切断できるかどうかは政策よりも経済物価見通しの方に掛かっていますなあと思うのでした。

「この前国会で23年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下」って言ってたじゃないか、というツッコミには「あの時点では日銀の1月展望レポートをベースにして話をしましたのでああなりましたが、実際に日銀総裁に着任して4月展望レポートを作成させてみると、その間の変化があって見通しについても上方修正となりましたのでテヘペロ」となるのかならないのか、お楽しみという所ですな。

『その上で、日銀の大規模な金融緩和について「さまざまな副作用が生じているが、経済・物価情勢を踏まえると、2%の物価安定目標の実現にとって必要かつ適切な手法であると思う。これまで日銀が実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたい」と決意を示しました。』

金融緩和の「成果」を継承するのか、何ちゅうかこのムツカシイ日本語である。まあこれは正式記録として残る国会の議事録を見ないとなんともかんとも。

『また、2%の物価安定目標の早期実現を目指すとしている政府・日銀の共同声明について、植田氏は「基調的な物価の動きは好ましいものが出始めてる段階だが、2%にはまだ時間がかかるところだ。現在の物価目標の表現を当面、変える必要はないと考えている」と述べました。』

まあアレに関しては麿も別に変えなくてエエンデネエノと仰せですが、「出来るだけ早期に」の部分はやはりどうかと思う(一方で財政健全化や構造改革に関しては時期に関してなんもない)のでありまして。

以下記事から引用するとクソ長くなりそうなのでヘッドラインから引用しますけど(以下、便宜的に上記URL先の記事の小見出しを引用しますが、あたまに「・」をつけて引用符号は割愛した形で引用します。小見出し以下の部分を引用するときは『』をつけます)

・岸田首相「政府として違和感なし連携確認したい」
・立民 泉代表「副作用生じている認識は同様」
・国民 玉木代表「極めて無難な対応 手腕問われる」

正直タマキンの感想とかどうでもよいので公明党の感想を書いて欲しかった。

・「魔法のような特別な金融緩和政策ない」

これは良いですね。もうだいたいこの時点でインフレ目標2%で日本は変わる、みたいな寝言を粉砕しているんですが、

・「貨幣的な現象 見えないこともある」

『インフレやデフレは貨幣的な現象なのかと問われたのに対し、植田氏は、「経済学の教科書には、デフレやインフレは究極的には貨幣的現象であるという記述がよくある。デフレやインフレは基本的に財やサービスの需要と供給で決まっていくものである。その中で需要の1つの決定要因として貨幣的な要素がある。』

イイハナシダナー(;∀;)

・「YCC 時間をかけて議論を重ね 望ましい姿を」

『植田氏は、長期金利と短期金利に操作目標を設けて金融緩和策を行ういまの枠組み、いわゆる「イールドカーブコントロール」を今後、どうするのか問われ「総裁候補の時点で具体的なオプションの是非について申し上げることは不測の影響を及ぼすリスクがあると考えているので控えさせていただきたい。もし総裁としてお認めいただければ、日銀の金融市場局がどういうふうに日々、感じているのか、ほかの政策委員がどういうふうに考えているのか時間をかけて議論を重ね望ましい姿を決めていきたい」と述べました。』

ただ問題は金融市場局の足もとでのオペ運営がヤケクソ焦土戦術に走っているし、しかも焦土作戦で何を守っているのかという論点を考えるに何ちゅうかお前大丈夫かという感じなのが何ともかんとも。

『そのうえで「基調的な物価の見通しが一段と改善していくという姿になっていく場合にはイールドカーブコントロールについても正常化の方向での見直しを考えざるを得ないと思う。』

一段と改善していますが何かって感じですし、2月以降確かに見た目下がるんですけど、やってることはこの間に価格対策として財政を出す、という台所での天ぷら火災に対して水をぶっかけて回るようなプレイをしている辺りではありますがはてさてどうなる。

『一方で、なかなか改善せず力強い金融緩和の継続が必要な場合は市場機能の低下を抑制することに配慮しつつ、どうやって継続するか考えていかないといけないと思っている」と述べました。』

ということですが、ご案内の通りこの「時間を掛けて議論を重ね」というのを許してくれるような状況にあるのか、という大問題があり、大問題の一つになっている10年カレントのアホアホ銘柄コンビの対策も今日から開始となるわけですからぬー。


・「総仕上げを行う5年間としたい」

『植田氏は「これまで日本銀行が実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、新日銀法施行以来25年間、日本銀行にとっても、また私自身にとっても積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたいと考えております」と述べました。』

この部分、氷見野さんの発言ですと。

・氷見野氏「日本の地位低下 反転へ全力尽くしたい」

『氷見野氏は副総裁の任期5年間でやり遂げたいことを問われたのに対し、「日本の相対的な地位が下がり続けてきたというのが私が公務員になって以降、見続けていたことだ。5年後には反転していたと、日銀だけでできるわけではないが、そういうことになっているよう全力を尽くしたい」と述べました。』

ってあって、正直こっちの方がイイハナシダナーと思いました。


しかしまあ何ですな、氷見野さんの説明だと、

・氷見野氏「金融緩和を継続する必要ある」

『氷見野氏は、金融緩和の見直しが必要かどうかと問われ、「現時点で効果と副作用を比較すれば効果が上回っており現時点では金融緩和を継続する必要がある。海外の経済情勢を含め上向き、下向きいろんな可能性があるのでシナリオをいくつも考えておきながら状況に応じて機動的に対応していく」と述べました。』

現時点では、と言ってるから4月28日になったら話は別(2か月も経過してますからねーと言えばヨロシアル)ではあるのですが、まあこういう発言をしているということは植田さんも今すぐ変えるのかと言われるとどうなんでしょとは思っているんでしょうね、とは感じました。

ただまあ何度もしつこく申し上げておりますように、今のアホのような国債の買い方と、もっとマズイ5年長期共担オペ(国債も勿論逆ザヤ資産になり得ますが、長期共担は露骨に貸出金利として入って来るものと付利金利として出て行くものの差が分かってしまうので、当預付利との逆ザヤになった途端に「金融機関に対する補助金を何でだしているんだ」批判に晒されることになりやすく、後の政策運営上の地雷としてのリスクがより高い)の連発をやっておりますと、金融政策の中身を点検して検討とかノンビリした事を言ってられないと思いますので、まあどうなる事やらと思いますし、事勿れ主義で日銀参謀本部が戦場の実情をちゃんと伝えないで、総裁副総裁審議委員の皆様が全然ノホホンとしたまま、とか言う事になるのが一番懸念される所ではありますな。


・・・・・・・しかしまあ何ですな、一々引用しませんけど、今回の所信聴取は与野党ともに好評だったようだし、メディアもほぼ好意的に報じているように見えました(見落としあったらゴメンチャイ)ということですが、何だかんだ言いましても黒ちゃん途中から会見にしろ国会答弁にしろ不誠実極まりない応対ばっかりしておりまして(誠実に回答できないような昭和温泉旅館政策だったからなのですけど)、植田さんの対応は「そつなく無難に誠実に」って感じだったと思うのですが、それでも結構評判が良かったというのは、以下に黒ちゃんの特に後半からが酷かったかという事を示すものとして大変に残酷な対比になっていて黒田ざまあ以外の感想は起きない程度にアタクシも黒田おんどれはよ去ねやと思う次第でございますな。

とまあこれだけの資質をお持ちの植田さん、何でそもそもアタクシも候補の可能性に入れなかったかと言えば、それはこの前も申し上げましたように、中原伸之さんが植田先生に異様なまでに敵愾心をお持ちになられ、とにかく絶対に植田だけは許さんという勢いでいた上に、安倍ちゃんが中原伸之さんのご進講に絶大なる信認を置いておられましたので、そらまあそんな状況で植田さんは無いでしょと思っているうちにすっかり忘れてましたわテヘペロという所でございましたので、こんな辺りにもリフレ渦の恐ろしさというのがわかるのではないかと存じます。



〇案の定先々週入っていたカレント指値はレッツゴー2匹でありました

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

例によってエクセルに落として前回の旬報と比較するだけなので不肖このアタクシでも何とかなるので計算してみました。

2/10残高との差分ですが、

367:+612
368:+418
369:+2,999

となっているのですが、369に関しては15日の通常輪番で打ち込まれたものとみられまして、なぜなら受け渡しベースで2/11〜2/20に実施された(ので営業日では1日前)指値オペが、

(日付はオファーびなので受け渡しはその翌営業日)
2月10日:248
2月15日:54
2月26日:300
2月17日:428

となっていて、この合計が1030億円となっていて、367と368のレッツゴー2匹の差分が+1030億円と綺麗に一致しますから、どこからどう見てもこれは指値でぶっこまれの巻となっている(そもそも5−10輪番で367と368は買入対象から除外しているし)のでありました。

・・・・・・ということで本日よりレッツゴー2匹空売り成敗施策が施行されるわけですが、ここで金曜日の5−15.5流動性供給入札で追加発行された銘柄を確認してみましょう。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20230224a.htm
流動性供給(第376回)入札において追加発行した国債の銘柄

10年債358  472
10年債359  98
10年債360  247
20年債113  74
20年債116  394
20年債117  323
20年債140  50
20年債141  29
20年債142  21
20年債143  400
20年債146  50
20年債149  192
20年債150  12
20年債151  400
20年債153  46
20年債155  100
20年債156  138
20年債158  408
20年債159  21
20年債160  39
20年債162  142
20年債163  115
20年債165  962
30年債2   35
30年債3   67
30年債8   64
30年債9   19
30年債15   65

レッツゴー2匹どころかそもそも10年債に関しては先物回りしか追加発行されておりませんでした南無阿弥陀仏という感じですが、そらまあレッツゴー2匹ここで踏みはせんわなとは思うのですが、だいたい引値が全然甘くならないまま先週1週間推移した時点でお察しという感じです。

しかしまあ何ですな、先々週のリリースにもありましたし、そもそも論としてその前からそうなのですが、「指値オペに応札(=落札)することを前提にしてSLFを使うな」ってのが制度の趣旨なのですから、マーケットメイクしてて品薄銘柄の投資家の買いに応じたらレポ無くてSLF使う、っていうのは当然の使い方ですけど、指値オペにぶっこんでショートポジション作って(゚д゚)ウマーの投機筋に便宜を与えるようなのはそらまあ制度の趣旨に反しておりますな、ちゅうことになる訳ですが、更に日銀の保有が増えていくという面白状態になってしまい、案の定流動性供給入札での追加発行もなかったレッツゴー2匹は本日からどういうことになるんでしょうかねえ・・・・・・・・





2023/02/26

お題「田村審議委員群馬金懇会見:基本こちらも猫かぶりまくりんぐである」

ということで渋滞解消のために本日も何故か昼に投下するのでした。

〇田村審議委員金懇会見は特に政策絡みでは猫の着ぐるみ状態に終始

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230224a.pdf
田村審議委員記者会見
――2023年2月22日(水)午後2時から約30分
於 前橋市


・金融政策の枠組みに関する質問には間接話法で対応

最初の質疑は概ねご当地質問なので割愛しまして、

『(問)
簡潔に二点お伺いします。一点目が黒田東彦総裁の任期満了が 4 月に迫っています。政府は植田和男さんを次の総裁に任命する方針ですが、次期体制にどのような政策運営を期待するか、あと、午前の講演で金融政策の枠組みと物価目標について検証すべきだということをおっしゃられたと思うんですけども、これもその新体制下で行うべきとお考えかと、これが一点目です。』

既に2点質問している気がw

『もう一点が、田村さん自身は、現在の 2%をできるだけ早期に達成するという物価目標について、2%という数値にこだわる必要はないというお考えなのでしょうか。こだわる必要がないとすれば、今ほどの金融緩和も必要なくなるという認識なのか、併せて、政府と今、2%をできるだけ早期にという共同声明を結んでいますが、これについても見直す必要があるのかどうか、ここを教えて頂けると助かります。』

4点の気がするが田村さん簡潔に猫かぶり回答。

『(答)
まず、次期体制への期待ということですけれども、基本的には日銀法に定められている通り、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するための政策を行っていくということに尽きるというふうに考えています。』

猫は被っているのですが、「物価の安定を図ることを”通じて”国民経済の健全な発展に資するための政策を行っていく」ということで、物価安定が目的なのではなくて、あくまでも国民経済の健全な発展が目的であり、物価安定はその手段に過ぎない、というのをしれっと入れている辺り只者ではないなこのおじさん。

なお、物価安定どころかYCCの維持を目的化している政策運営に関してはコメントをわざわざしないのはそらまあこういう時期ですからねーという感じです。

『同じような意味で、点検・検証のタイミング、新体制下で検証を行うのかという点についても、その時点その時点の物価・経済、それから現在ですと賃上げの状況などを踏まえて判断していくことになるというふうに考えております。』

まあこれも「点検・検証は毎回の決定会合で行っておりますので」みたいな言い方をしないのがちょっと含むところありますよね、ってのが伝わって中々お茶目。

『それから、二つ目の質問、物価目標についてですけれども、まず、私の考えとしても、足元は賃金と物価の好循環が実現するかどうかを注視していくべき局面にあり、現時点においては当面は金融緩和を継続することが適当と考えております。』

今の金融緩和、ではないのはこれきっと田村さんの拘わり文言です。まあ猫被ってるの結構バレバレとも言えますから、ここで「では現在の金融緩和は??」という更問をぶっこんで来ない記者の皆様には優しさを感じました。まあ「現在の」って言われたら模範解答なんだかわからんけど「毎回の金融政策決定事項についてはその時点での経済・物価・金融情勢と先行きの見通しを踏まえて決定会合において議論していくものなので、毎回の会合においての議論となります」というような口上をするのですかね。

『将来いずれかのタイミングでは、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含めて点検・検証を行って、政策の効果と副作用のバランスを改めて検証することが必要と考えています。従って、現時点で先行きの金融政策の枠組みや物価目標のあり方等について具体的に論じるのは時期尚早であるというふうに考えておりますが、』

と思ったらちゃっかり先行きの話はその時考えるから今はシランガナという言い方をしていますね。

『一般論として申し上げれば、消費者物価の表面的な数字のみではなく、経済全体の需給の状況あるいは賃金動向、こういったものを含めて消費者物価の動きの背後にあるメカニズムをしっかりとみていくことが重要だというふうに考えております。』

総合判断という話ですな。

『なお、今後の共同声明のあり方については私からコメントすることは差し控えたいというふうに考えております。』

ということで、基本的に猫を被っているのですが、ちょこちょことぶぶ漬け話法でイヤミぶっこんでますね、という感じですか。


・市場機能に関しても猫被り回答だが応対話法がぶぶ漬け話法

『(問)
(前半割愛) 二点目は、金融政策、市場機能についてお伺いさせてください。午前中の講演でも、まだ現段階でですね、前回の見直しの市場機能に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要するということをご講演でもお話されてましたけれども、3 月にMPMを控える中で、10 年債の利回りが引き続き上限に達するというような状況が足元で起きています。この現状についてどのようにご覧になられてるか。そして、何らかの追加の政策対応は必要なのか。もし現段階でご所見があればお伺いさせてください。』

10年が上限自体は別にどうでもよくて、10年3銘柄の値付けがほかの銘柄と完全に無関係(特に2銘柄)になっているのが問題ですわな。

『(答)
(前半割愛)それから、もう一つの市場機能につきましては、現時点ではおっしゃられる通り、国債のイールドカーブの歪みなど、市場機能の低下を示唆するデータについて、その機能低下が解消したと言える状況になっていないのは事実だと思っています。』

田村さん凄く芸が細かいのですが、質問者が10年に張り付いている話をしているのですが、回答の方ではカーブの歪みに置き換えて説明していまして、これ質問者気が付いてるかどうかわからんのですが、やんわりと「質問のポイントがずれておますなあ」(いや本来のぶぶ漬け話法だと「これはまたウチの気がつかない点をご指摘いただきまして勉強になりますなあ」ですか、まあどうでもよいですが)、しれっと質問者の質問を正しく置き換えて説明しているんですよね。しかも露骨に指摘しないで流すあたりは京都府出身京都大学卒業だけのことはある(個人の偏った見解です^^)と思いました。

『先月拡充を決定した共通担保資金供給オペや、先週の 10 年物国債カレント 3 銘柄にかかる国債補完供給や指値オペの扱いの見直し、こういったものを含めて、機動的な市場調節運営を行っているところであります。』

ふむふむ。

『現段階では、まだ市場がどのように落ち着いて、市場機能がどれだけ改善するのか、謙虚かつ丁寧にフォローしていく、金融政策決定会合では、そうした状況も踏まえて効果と副作用のバランスを判断していくということだと考えております。』

ということで回答自体は政策見直しのヘッドラインを打ち込まれないように配慮した猫回答になっております。


・低金利の長期化で産業の非効率が温存される可能性があるのではないか問題は金懇テキストの繰り返し

はい来ました。

『(問)
(前半割愛)あと二点目の、午前中の講演の中でご指摘されていた副作用について、生産性の低い企業が存続することで市場原理を阻害しているのではないかというようなご指摘をされているんですけども、この点についてもう少し詳しくお話を教えてください。 』

『(答)
(前半割愛)それから、もう一つの生産性の話ですが、今日の懇談会の中でも申し上げたことではありますけれども、生産性を向上させるためには、ミクロレベルの話とマクロレベルの話というのがあって、ミクロレベルで考えると、個々の企業が設備投資ですとか研究開発投資ですとか人的資本への投資、あるいはビジネスモデルの変革などによって生産性を高めていくということがミクロレベルではまず重要であると。』

でもってマクロの話はというとこの次。

『もう一つ、マクロレベルの話として、すなわち日本経済全体の観点からすると、開廃業率、すなわち新陳代謝というものが高まって生産性の高い企業のウエイトが日本の中で増えていく、あるいは労働移動の活性化によって生産性の高い企業・産業で働く人のウエイトが高まっていくことによって、マクロとしての生産性が高まっていく、そういう二つの流れが必要だというふうに考えております。』

ちょwwww金懇テキストのまんまじゃんという感じですが、日銀の政策はマクロ対応なのですからして、どっからどう見てもこれは日銀の低金利政策が犯人ではないけど、助長している面はあるでしょうという毎度の話になるし、じゃあ日銀が引き締めをすれば治る問題なのかというと別問題で、結局のところは隙あらば雇用支援だのと言って財政ばらまく方が悪いんですよね。


・物価に関しては強いという話をするが政策に絡められた瞬間に着ぐるみ状態になるのでした

『(問)
午前のご挨拶伺っていますと、田村委員は物価については上振れリスクがあるというふうにご指摘する一方で、賃金についても楽観的な見通しというんでしょうか、春闘の結果、楽観的な見通しを今持っていらっしゃると思うのですが、今後、春闘の一斉回答を踏まえて、賃金の持続的な上昇というのが確認、そういう状況が確認できれば、どうでしょう、4-6 月期には、金融緩和の縮小ですとか、あるいはYCCの撤廃の可能性というのがみえてくるというふうに田村さんはお考えでしょうか。』

政策に絡められると猫を被るのが今回の田村さんの仕様で、だいたい今回は猫の着ぐるみ状態でしたな。

『(答)
今、ご質問の中にあった賃上げに関して楽観的というか、相応の可能性があるという言い方ですので、まだそれがベースシナリオとまでは考えていません。従って、これから物価、経済、それから賃金の動向をしっかりと踏まえて金融政策運営を考えていくということに尽きると思いますし、その賃金の上昇が持続的かどうかというのも、これからの各企業の動きなどをみながら、これから判断していく、考えていくということだと思っています。』

はいはい着ぐるみ着ぐるみ。

『(問)
午前中の挨拶文の方でですね、足元で、企業の方では現在進行形の価格転嫁が進んでいる、かつサービス価格が上昇していて物価の上振れリスクが大きいというふうにご指摘されていました。この点についてですね、改めてになるのですが、今年の労使交渉への期待感を含めて、賃金・物価の好循環の実現というのが、当初の想定よりもかなり近づいてきているのか、この辺りのご見解をお伺いできればと思います。』

この質問、ここまでは良いんだが、

『そのうえでですね、この現在の大規模緩和の正常化が可能となる時期が田村委員の従来の想定と比べて近づいているのか遠ざかっているのか、現状の評価についても聞かせて頂ければと思います。』

いやだから政策と絡めたら猫被るんだからそれを聞いたら台無しなんですよ。何でこういう質問しか出来ないのよおまいらは。

『(答)
賃金・物価の好循環が当初想定よりも近づいているのかという一つ目のご質問、その当初想定というのがいつの想定かにもよると思うのですけれども、例えば 2 年前、1 年前と比べると、その時点で想定していたよりも物価の上昇というのは起こっていますし、賃上げに向けた政労使の前向きなスタンスというのも 1 年前に比べると強まっているというふうに考えております。』

しかし田村さん、親切にもこのように回答しているのでした。

『それを踏まえて正常化の時期がどうかということですけども、これについては先ほどご回答したように、その時点その時点の経済、物価、賃金、そういった諸々を踏まえたうえで判断していくということに尽きると考えております。』

ということで、こっちは着ぐるみ状態でした。この回答ですが、直前にこういう質疑応答があって、

『(問)
先ほどのお話でもありましたけど、いずれかのタイミングで金融政策の点検・検証を行うというお話でしたけれど、いずれかのタイミングというのは、例えばどういう状況になったらとか、どういった条件があったらとか、その辺りをちょっと教えて頂けたらと思います。』

『(答)
いずれかのタイミングということについては、今後の物価や賃金、経済の動向次第だと考えています。機械的に、こうなったら金融政策の正常化に向かうべきとか、点検・検証を行うべきというような基準を私が考えているわけではありません。そのときそのときの状況を踏まえて判断していくということだと考えています。』

ってのがあったので、まあ質問は政策の手前の所で話を止めるべきでしたな。


・・・・・ということで田村さんの金懇会見ネタだけこれまた滞留防止で作成しました。また離脱しますので他のネタは今晩か明朝ですね。






2023/02/25

お題「ネタが渋滞気味なので成敗に参りました(FOMC議事要旨と田村審議委員群馬金懇)」

ということで朝でも何でもないですけど参りますね。

〇FOMC議事要旨から(その2)

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230201.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
January 31-February 1, 2023

A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, January 31, 2023, at 10:00 a.m. and continued on Wednesday, February 1, 2023, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の続きでここからが金融政策運営の話になります。

・10パラ:「まだ引き締め的スタンス」だけは決まっているのだがその程度に自信皆無なのがわかる

『In their consideration of appropriate monetary policy actions at this meeting, participants concurred that the Committee had made significant progress over the past year in moving toward a sufficiently restrictive stance of monetary policy.』

ということで、最初の言い方だと「昨年来の引き締めが十分な水準になった」という認識なのですが。

『Even so, participants agreed that, while there were recent signs that the cumulative effect of the Committee's tightening of the stance of monetary policy had begun to moderate inflationary pressures, inflation remained well above the Committee's longer-run goal of 2 percent and the labor market remained very tight, contributing to continuing upward pressures on wages and prices.』

そうは言いましても累積的な引き締めの効果は出てきたばっかで、労働市場は相変わらずクッソタイトだしそもそもインフレ水準クソ高いので、と来ましてからの、

『Against this backdrop, and in consideration of the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, almost all participants agreed that it was appropriate to raise the target range for the federal funds rate 25 basis points at this meeting.』

そういう状況にあるのと、金融政策の効果が長い期間のラグを伴って発揮されることを勘案しますと25bpの利上げが適正、という何とも中途半端な物言いになっています。

ということでですね、昨日引用した経済物価情勢、特に物価情勢に関する部分を読みますと思いっきりインフレ警戒上振れヤバスモードになっているのですが、政策の話になると結局どの程度の引き締めが良いのかという事について自信ないからとりあえず25bp上げとくか、って感じの中途半端感があるわけですな。

『Many of these participants observed that a further slowing in the pace of rate increases would better allow them to assess the economy's progress toward the Committee's goals of maximum employment and price stability as they determine the extent of future policy tightening that will be required to attain a stance that is sufficiently restrictive to achieve these goals.』

多くの参加者の見解としては金融引き締めの効果を見極めたいから利上げペースを落としましょうって見解なのですけれども、

『A few participants stated that they favored raising the target range for the federal funds rate 50 basis points at this meeting or that they could have supported raising the target by that amount. The participants favoring a 50-basis point increase noted that a larger increase would more quickly bring the target range close to the levels they believed would achieve a sufficiently restrictive stance, taking into account their views of the risks to achieving price stability in a timely way.』

数名(A few)の参加者は50bpの利上げを支持してまして、この人達はちゃっちゃと利上げして物価抑制の力を強くしておくべきという話をしている訳ですな。その背景は時間が掛かり過ぎるとインフレ期待が上がり過ぎるという奴ですね。

『All participants agreed that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings, as described in its previously announced Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet.』

最後にバランスシートの話がでておりますがこちらは引き続き縮小を継続で全員一致。


・11パラ:「当面は引き締めスタンスの維持が必要」だけしか結局分からんかったわw

『In discussing the policy outlook, with inflation still well above the Committee's 2 percent goal and the labor market remaining very tight, all participants continued to anticipate that ongoing increases in the target range for the federal funds rate would be appropriate to achieve the Committee's objectives.』

ここはほえーと思いましたが、今回で利上げ停止しろという人は居なかったのですね。上記にあるように「all participants continued to anticipate that ongoing increases」ということですので。

『Participants affirmed their strong commitment to returning inflation to the Committee's 2 percent objective.』

2%に戻そうという強いコミットメントを再確認するのは良いんだが下がるんけ????

『In determining the extent of future increases in the target range, participants judged that it would be appropriate to take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.』

先行きの金融政策運営というか利上げのパスに関しての部分ですが、こちらは結局従来通りのフニャっとした話しかしておりませんですが、これって要するに皆さん「よーわからんですわ」となっているんじゃないのかなと思いましたがどうでしょうかね。

『Participants observed that a restrictive policy stance would need to be maintained until the incoming data provided confidence that inflation was on a sustained downward path to 2 percent, which was likely to take some time.』

結局このパラグラフ、先行きの話についてはしているようで全然してなくて、今後のデータ見ながら考えますとしか言ってないのと、現状に関して言えば引き続きの引き締めスタンスの意地が必要という話だけしてるというそんだけのことでした。


・12パラ:不確実性の話をしているのですが、何ちゅうかこれ重複じゃね??

『Participants discussed the heightened uncertainty regarding the economic outlook and a number of factors that could affect inflation and real economic activity.』

不確実性の話ここでも出て来まして、

『Participants generally noted that the Committee's future decisions regarding policy would continue to be informed by the incoming data and their implications for the outlook for economic activity and inflation.』

先行きよくわからんからデータ見ながら政策運営していきますよ、って似たような話何回してますねんという感じですけど、先行きは決め打ちできないアピールをこれでもかとしてて、だったらお前らドットチャート廃止しろよと思うのですけど、市場の方がドットプロット依存症になっているからおいそれと外しにくいというのがあると思うので、こういうのって非常に難しいよねと思うのでした。

『A number of participants observed that financial conditions had eased in recent months, which some noted could necessitate a tighter stance of monetary policy.』

でもって金融環境ですけど、ここ数か月で幾分緩和されているのですが、それに対して数名の参加者は(緩和されているのがアカンので)引き締め的な金融政策スタンスを示した方がエエンでネーノということで、ここでもゴルディロックスヒャッハーに水をぶっかけようとしている感じです。何ちゅうかこのパラ何で入ってるの??って感じですけど、この重複部分については強調したかったんでしょうね、と思いました(個人の感想です)。


・13パラ:リスクマネジメントアプローチの話も重複っぽいけどインフレのhigher for longerを警戒しているのは把握した

『Participants also discussed a number of risk-management considerations related to the conduct of monetary policy.』

さらにリスクマネジメント的な考慮が、という話が出て来るのでして正直しつこい。

『Almost all participants observed that slowing the pace of rate increases at the current juncture would allow for appropriate risk management as the Committee assessed the extent of further tightening needed to meet the Committee's goals.』

ほぼ全員の参加者はここで利上げペースを落とすのはリスクマネジメント的な発想に基づくものです、という意見だそうな。

『Several of those participants observed that risks to the economic outlook were becoming more balanced.』

経済見通しのリスクはここにきてよりバランス的になったとの数名の意見。

『With inflation still well above the Committee's longer-run goal, participants generally noted that upside risks to the inflation outlook remained a key factor shaping the policy outlook, and that maintaining a restrictive policy stance until inflation is clearly on a path toward 2 percent is appropriate from a risk-management perspective.』

ここの話も結局経済と物価のリスクバランスの話の所で出てきている話の二番煎じになっていて、12パラと13パラって重複して書く話なのかよと思ってしまうのですが、政策スタンスに関しての説明をそれだけ強調したいってことなんでしょうけれども、わざわざ思いっきり重複してるのなんででしょうねというのは多少唸る。もうちょっと簡単に済ませることは出来る筈なんだが。

『A number of participants observed that a policy stance that proved to be insufficiently restrictive could halt recent progress in moderating inflationary pressures, leading inflation to remain above the Committee's 2 percent objective for a longer period, and pose a risk of inflation expectations becoming unanchored.』

何人かの(A number of)参加者は引き締め的なスタンスが足りんというような状況の場合、物価抑制の流れが止まってより長い期間の高インフレからのインフレ期待アンカー外れるリスク、というのを指摘してますが、この部分も今しがたの11パラでの50bp利上げ主張者の見解と被っている話ですね。

ただしここの書き方だと50bp利上げ主張者もリスクマネジメントアプローチという意味合いについては同意見を持っているようで、その一方で高インフレ長期化のインフレ期待アンカー外れについては警戒している人がもう少しいるような書き方になっているのが中々微妙な味わいですが、なんだかんだ言って「物価が上がりっぱなしでインフレ期待が上がってしまうとマズイ」というのを今回強調しているように見えました。


・14パラ:最後はランオフの話だが、今後ランオフが進んだ場合に短期市場金利のリプライシングが起きますねという話

『Participants noted that the runoff of the balance sheet had been proceeding smoothly.』

バランスシートランオフはすみーずに進んでいるとのことですが。

『A few participants observed that money markets could experience some temporary pressures as reserves declined if use of the Federal Reserve's ON RRP facility continued to remain high. They noted, however, that such pressures, should they occur, would likely cause an upward re-pricing of private money-market rates that could encourage market participants to reduce their use of the facility.』

ONRRP(市場側から見て対FEDへの資金運用の方の翌日物レポ)残高が高水準で推移したまま、当座預金残高が減少して着た場合、短期金融市場における資金調達金利に上昇圧力が掛かるかもしれませんね、という指摘がありました。つまりはこれはCPとかトライパーティーレポとかその辺の金利に上昇圧力が掛かるかもしれませんねという話ですな。、

ということで、政策の話の部分を見ても結局今後どうするのかというのは決め打ちできませんという話で終わるのでありましたとさ。



〇田村審議委員群馬金懇:基本猫被ってるんですが被り物の裾から鎧がでたりぶぶ漬け話法が出たり

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230222a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230222a1.pdf

【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
群馬県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2023年2月22日

以下引用は(やりやすいので)HTMLの方から行います(一部全角半角の違いがPDFとHTMLの間にあります)

・物価情勢の説明では企業の価格転嫁行動の話を強調していますね

マクラの部分と『2.経済・物価情勢』の途中まではまあ普通の話と大本営発表なのですが、『(2)物価情勢』からちょっと面白くなります。

『次に、物価情勢についてお話しします。生鮮食品を除いた消費者物価は、昨年12月に、前年比+4.0%の上昇となっています(図表8)。エネルギー価格の上昇に加えて、財では、食料品や日用品、耐久財を中心に、コスト転嫁の動きが幅広い品目で強まっています。また、一般サービスについても、住居工事などの家事関連サービスや外食を中心に原材料コストを転嫁する動きが強まるもとで、上昇率が拡大してきています。』

でもって、

『こうした物価上昇のきっかけは資源高や為替円安を背景とした輸入物価の上昇ですが、今次局面で特徴的なのは、企業の価格設定行動の変化です。』

キタコレ!

『わが国では、仕入価格が上昇しても価格転嫁がなかなか進まない状況が続いていましたが、そうした状況が変化しつつあり、これまで価格改定に慎重な姿勢をとっていた企業も、競合他社の動向を睨みつつ、値上げを進めています(図表9)。』

『また、短観で企業の1年後の物価見通しについてみると、足もとでは、自社製品の販売価格の見通しが、物価全般の見通しを上回っています。これは、2014年の調査開始以来初めてのことで、企業の価格設定行動の積極化を示していると考えられます。』

なるほど。しかしながらここですかさず猫を被り直して、

『物価の先行きについては、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくことに加え、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果もあって、来年度半ばにかけて、上昇幅を縮小していくと予想しています(図表10)。生鮮食品を除いた消費者物価は、政策委員の中央値で、2022 年度が前年比+3.0%の上昇となった後、2023 年度および2024 年度は+1%台半ばから後半と、プラス幅は縮小するものの、過去と比較すると高めの上昇率が続くとみています。』

と、大本営発表の説明をしているのですが、この大本営ってどんどん物価の見通し変えているのになぜか政策が全然代わってないのですよね、これは後程またネタにしますわ。

『物価の見通しについても不確実性が高く、当面は、上振れリスクの方が大きいとみています。私は、企業の価格転嫁の動きは現在進行形であり物価上昇モメンタムは続いていること、サービス価格も次第に上昇ペースを高めてきていることから、想定以上に物価が上振れる可能性も否定できず、引き続き注視していく必要があると思っています。』

「想定以上に物価が上振れる可能性も否定できず」とか田村さん、猫は被っているのですがチョイチョイと政策見直しが必要になりそうな方向の話を入れて来るんですよね。



・金融政策の話はこちらもまた大本営発表

『3.金融政策運営』ですが『(2)大規模な金融緩和の副作用』というのがありますが、基本的には・・・・・・・

『この運用見直しに関して、「実質的に利上げではないか」、「利上げではないという説明は分かりにくい」という声が多く聞こえてきます。確かに長期金利は上昇していますが、これは、副作用を軽減し金融緩和を持続可能なものにするための措置であり、金融引締めを企図したものではない、ということを改めて強調しておきたいと思います。』

これはYCCの範囲拡大の話なのですが、このように大本営発表をしています。まあここは話が無茶苦茶混乱してて、そもそもが内田理事が国会で余計な事言って、黒ちゃんが会見で余計な事を言わなければ別に「経済物価情勢に応じて緩和の程度を調整しているだけです」というYCC本来の説明が出来ていた筈なので、こんなの身から出た錆以外の何物でもないのですが、まあ田村さんも今回は大本営発表をせざるを得ないと。

ただ、その後の方でしれっと、

『この他にも、長期にわたる大規模な金融緩和が、生産性の低い投資やビジネスを継続させる、更に、本来市場から退出すべき企業を存続させるなど、経済の構造改革を遅らせたり、生産性に悪影響を及ぼしたりしているのではないかという指摘もあります。たしかに、日本の開廃業率、すなわち経済の新陳代謝率は米欧と比べて低位で推移しています(図表18)。

こうした動きは、基本的には、各経済主体がそれぞれの主体的な判断のもとで行動した結果であり大規模な金融緩和がこうした事象の張本人とまではいえないと考えています。ただし、私個人としては、長期にわたる大規模な金融緩和が、発揮されるべき市場原理の効果を抑えてしまっている面も否定できないと考えています。』

とかチクチクと入れていて、その先でも

『今後、継続的な賃金上昇を伴う経済成長を実現するためには、第一に、ミクロレベルで考えると、個々の企業が、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資、あるいはビジネスモデルの変革などによって、生産性を高めていくことが重要です。』

というのはさて置きましてその次が、

『第二に、マクロレベル、すなわち日本経済全体の観点から考えると、開廃業率、すなわち新陳代謝が高まり、生産性の高い企業のウエイトが大きくなる、あるいは、労働移動の活性化によって、生産性の高い企業・産業で働く人のウエイトが高まることが大事です。こういった変化が生じることによって、わが国全体として生産性が向上していくことが期待できると考えています。』

とぶっこんでおりまして、これはどっからどう見てもさっきの「私個人としては、長期にわたる大規模な金融緩和が、発揮されるべき市場原理の効果を抑えてしまっている面も否定できないと考えています。」の対句ですがなというお話ですが、まあこれは会見で案の定質問されていました。その話はこれまた後で。

でもって最後に、

『大規模な金融緩和の副作用についてお話ししてきました。私自身としては、将来、いずれかのタイミングでは、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含め、点検・検証を行い、政策の効果と副作用のバランスを改めて判断することが必要と考えていますが、現時点では、先ほど申し上げたとおり、金融緩和を継続することが適当と考えています。』

と入れていますが、ここでも実は「現在の金融緩和」ではなくて「金融緩和」と言っているのはポイントが高くて、緩和の程度の調整をするけど緩和的な金融政策だったら全然ありなんですよね。

という感じで、今回は田村さん猫を被っているのですが、被り物の裾からちらちらと鎧が垣間見れるような感じに仕立てていてその点ではポイントが高いというか京都府出身で京都大学ご卒業なのでぶぶ漬け話法をぶっこんできたのでしょうかと思いましたが勘違いですかしら(^^)。


ということで土曜の昼下がりに急にやる気をだして滞留しそうなネタの成敗を始めました。もうちょっとやろうかとは思うのですがずっとやってるのも何なのでこの辺でいったん離脱しますね。







2023/02/24

お題「FOMC議事要旨はインフレ警戒アピール強い/田村さんまだ猫かぶり/5年共担実施に植田日銀への不安を感じるアタクシ」

はいすいません。昨日はぐうたら病が発生してFOMC議事要旨ネタかっ飛ばしておりましたし、だいたいからして植田さんの国会聴取と田村さんの金懇の日程をすっかり逆で認識してましたすいませんすいません。

〇FOMC議事要旨(たぶんその1):声明文やオープニングリマークよりもタカっぽく作ってますねこれ

HTMLバージョンだとこちら。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230201.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
January 31-February 1, 2023

A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, January 31, 2023, at 10:00 a.m. and continued on Wednesday, February 1, 2023, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』をザックリ読みますね。

第1パラは声明文に書かれている話と同じ全体観を述べているのでパスして次から参ります。

・2パラ:累積的な金融引き締めの効果について

『Participants agreed that cumulative policy firming to date had reduced demand in the most interest-rate-sensitive sectors of the economy, particularly housing.』

でもって最初の住宅に影響が、という話はここの所ずっと指摘されているんではあそうですかという感じですが。

『Participants observed that growth in economic activity in 2022 had been below its longer-run trend and expected that real GDP growth would slow further in 2023. While real GDP growth had rebounded in the second half of 2022, several participants noted that growth in PDFP had nearly stalled in the fourth quarter.』

この辺は実績値の話なので飛ばしまして次、

『With inflation remaining unacceptably high, participants expected that a period of below-trend growth in real GDP would be needed to bring aggregate demand into better balance with aggregate supply and thereby reduce inflationary pressures.』

物価が高いから潜在成長率以下の成長をもうちょっと長い期間やらんと物価が落ち着かないえ、ということで皆さんが認識している、と早速インフレの落ち着きには多少の減速やむなしコメントが出てきました。でまあ今回の議事要旨は基本的にこんな感じで、「物価を落ち着かせるには減速やむなしだし労働市場強すぎ問題があるのはアカン」という話で終始しています。

まあ何ですな、これはアタクシの勝手なる邪推ではあるのですが、議事要旨って議事要旨なだけに嘘は書かないにしても取捨選択の余地はある訳で、直近に来てまた10年3.9%だのになりましたが、その前は寧ろ10年の4%はピークでしたもうそこまで上がらん位の勢いで金融市場がヒャッハーしてたので、そこに対するけん制の意味は今回の議事要旨編集時に入ってるじゃろ、と思うのですよ。個人の感想ですの世界ではありますが、議事要旨って次回の予告ホームランする場合もありますし、そのほかの使い方として、FEDのメッセージを伝える際にFOMC後の市場の反応が自分らのイメージと違ってた時に「いやおまえらそうじゃない」って感じでメッセージ送ろうとする、という微修正をしていると思うのよね特に最近のFEDは。

でまあそんな訳で、今回のFOMC議事要旨に関しては「利上げ停止から年内利下げ」という今回とか次回くらいに利上げ停止したらもしかして年の最後位に利下あるかもしれんけど、金融政策が実体経済に影響するラグを考えたら利上げ停止して半年やそこらでいきなり利下げするってのは(何らかの金融ショックや不測の事態の発生でも織り込むなら別だけど)それ中央銀行としては結構恥ずかしいことなので市場が年内利下げとか言い出すのを見てランボー怒りの議事要旨(ってほど過激ではないので念のため申し添えます)ってなったのかな、と思いました。

『Some participants judged that recent economic data signaled a somewhat higher chance of continued subdued economic growth, with inflation falling over time to the Committee's longer-run goal of 2 percent, al-though some participants noted that the probability of the economy entering a recession in 2023 remained elevated.』

今年のリセッションありや無しやというのには両論ありますよ。


・3パラ:家計消費に対するインフレの影響、金融環境の影響

『In their discussion of the household sector, participants observed that real consumer spending had declined in November and December-in part reflecting the tightening in financial conditions over the past year-and anticipated that consumption would likely grow at a subdued rate in 2023.』

消費は金融環境のタイト化によって抑制気味になってきており今年もその調子でしょう。

『Participants noted that excess savings accumulated during the pandemic had continued to support consumption, al-though several participants remarked that the importance of this factor would likely wane over time as excess savings continued to be drawn down or eroded by inflation.』

パンデミックにおける家計の過剰貯蓄はまだ消費をサポートしているけど今後はサポートの力が弱まるでしょう。

『A couple of participants observed that some consumers were shifting their spending to less expensive alternatives.』

安物代替品への消費シフトが見られる、と2名が指摘。

『A few participants noted the effects of higher interest costs in restraining consumption or inhibiting the ability of some households to repay their loans, while a couple of participants noted that inflation was eroding households' purchasing power.』

利上げによる住宅ローン利払い上昇やインフレによる消費能力の低下の指摘。

『However, a couple of participants noted that some states could return part of their sizable budget surpluses to households through tax cuts or rebates, which would provide support to consumption.』

一部の州政府では家計向け支援バラマキ財政をやってるんですね。

『Participants agreed that activity in the housing market had continued to weaken, largely reflecting the increase in mortgage rates over the past year.』

住宅市場はモーゲージ金利上昇でひきつづき弱くなるでしょう。


・4パラ:企業の所はサラサラとした話

『Regarding the business sector, participants observed that growth in business fixed investment spending had been subdued in the fourth quarter and was being restrained by past interest rate increases.』

利上げにより企業の固定資産投資は抑制されている。

『A number of participants commented that supply bottlenecks continued to ease, al-though supply chain issues remained a challenge in some sectors.』

サプライチェーンの影響は依然あるけど弱まっている。

『Several participants remarked that the recent strong growth in inventory investment will likely slow; a couple of those participants noted that businesses appeared more confident that significant supply bottlenecks would not reemerge and might therefore choose to hold smaller inventories.』

というのに関連して、サプライチェーン問題の懸念が低下して在庫の積み上げを減らしてきているという指摘。

『Some participants commented that the easing of COVID-related lockdown restrictions in China or stronger-than-expected growth in economic activity in the euro area could provide support to final demand in the United States.』

中国と欧州経済は米国経済へのサポート要因になるでしょうとの指摘。


・5パラ:労働市場がクッソ強いんですがという話をこれでもかと

『Participants agreed that the labor market remained very tight and assessed that labor demand substantially exceeded the supply of available workers. Participants noted that the unemployment rate had returned to a historically low level in December, job vacancies remained high, and wage growth remained elevated. 』

ここから重要ネタの労働市場。結構ああだこうだと長い。

『Several participants noted that recent reductions in the workforces of some large technology businesses followed much larger increases over the previous few years and judged that these reductions did not appear to reflect widespread weakness in the demand for labor.』

『A few participants remarked that some business contacts appeared keen to retain workers even in the face of slowing demand for output because of their recent experiences of labor shortages and hiring challenges. 』

『Participants agreed that labor supply remained constrained by structural factors such as the effects from the pandemic, including those on early retirements, and the reduced availability and increased cost of childcare.』

これでもかとばかりに労働需給が相変わらず需要超過であるという例をいろんな人が指摘しています。

『Nevertheless, participants noted tentative signs that imbalances between demand and supply in the labor market were improving, with job vacancies and payroll gains declining somewhat from high levels, the average number of hours worked falling, and growth in wages and employment costs slowing.』

とは言いましても労働需給の緩和を示すような兆しも見えています。

『Some participants commented on the recent reduction in temporary employment, which previously had often preceded more widespread reductions in labor demand.』

今見られる需給緩和の一部の動きは過去の労働市場ではこのあと割とひろがることが多いよね、という指摘も入りますが、

『Under appropriate monetary policy, participants expected labor market demand and supply to come into better balance over time, easing upward pressure on nominal wages and prices.』

今後も労働市場の需給は緩和していくでしょう、という見通しになりました、となっているけどその冒頭に「Under appropriate monetary policy」を入れるのに余念がないというのがチャーミングでして、これはもう思いっきり「そう簡単に利下げするとかありえねーし」というメッセージをぶっこんでいまして、もう上がってきたとはいうものの、米国の金融市場があまりにも利上げ打ち止めからの利下げみたいなゴルディロックスヒャッハーっぽくなるのに水をぶっかけたい、という意思は伝わりました。

『A number of participants commented on the importance of recognizing that, to the extent national unemployment increases, historical evidence indicates that even larger increases in the unemployment rate for some demographic groups-particularly African Americans and Hispanics-would be likely to occur.』

複数名の指摘で、労働市場の需給緩和はいいんだけど、その需給緩和が社会的に弱い立場の人(黒人とかヒスパニックとか)に偏ってしまい、失業率の増加がそういう人の失業拡大に偏りがちなのは注意しないと行けないよね、という話で締めています。


・6パラ:物価についてもああでもないこうでもないとクソ長いがインフレ警戒色が強い

『With inflation still well above the Committee's longer-run goal of 2 percent, participants agreed that inflation was unacceptably high.』

はい、いつも通りに物価はunacceptably high来ました。

『A number of participants commented that the costs of elevated inflation are particularly high for lower-income households.』

そしていつもの「物価高は低所得者に対してよりペイン」が来て、

『Participants noted that inflation data received over the past three months showed a welcome reduction in the monthly pace of price increases but stressed that substantially more evidence of progress across a broader range of prices would be required to be confident that inflation was on a sustained downward path.』

足もとの物価鈍化は良い話なのだが今後継続するかのエビデンスはもっとないとアカン、と来まして次が財とサービス価格に関してですけど、

『Participants noted that core goods prices had declined notably over the previous few months as supply bottlenecks had eased but anticipated that price declines for this component would dissipate as the downward pressure on goods prices from resolving supply bottlenecks fades.』

『Participants judged that housing services inflation would likely begin to fall later this year, reflecting continued smaller increases, or potentially declines, in rents on new leases.』

『Participants agreed that they had observed less evidence of a slowdown in the rate of increase of prices for core services excluding housing, a category that accounts for more than half of the core PCE price index. 』

財に関してはインフレ鈍化がみられるのですが、サプライボトルネックの問題が解決した効果で下がっている部分があって、これは一段落すると終わってしまう効果なのは要注意、と来まして住宅サービスに関しては下がっているけど、他のコアサービス価格はそれほどそこまでスローダウンしている感じがありません、と落ち着きが見られるものの半信半疑モードという感じの書き方になっていまして、

『Participants judged that as long as the labor market remained very tight, wage growth in excess of 2 percent inflation and trend productivity growth would likely continue to put upward pressure on some prices in this component.』

労働市場はクソ強いままなので、お賃金からの物価上昇圧力が相変わらずあるんですよねー、という話ですが、さっきのパラと比較すると、この物価に関するパラって最初から延々と「参加者は判断した」「参加者はノートした」みたいに、FOMC全体の見解、として示されている部分が結構長いのが目につきます。

でもってその目につくここまでの部分が見事に「物価が足元で落ち着き掛けているけどまだ全然確信もてませんがな」という話のオンパレードになっていまして、つまりは物価に対して全然安心してねえぞというアピールだし、金融市場が物価の落ち着きに対してやたら自信ニキになっている結果として(つい先日まで)ゴルディロックスヒャッハーと株高債券高やってたのに対するメッセージがここに含まれている、という風に理解しました。

『A couple of participants observed that changes in wages tend to lag changes in prices, which can complicate the assessment of inflation pressures. A couple of participants remarked that the poor performance of labor productivity growth last year was restraining aggregate supply, which was contributing to imbalances between aggregate demand and aggregate supply and therefore to upward pressure on inflation.』

労働市場とかその関連に対する指摘で、お賃金上昇にはラグがあるからまだこの先も物価上昇圧力ジャンとか、労働生産性の伸びが宜しくないので、供給の伸びが良くなくてこれが物価上昇圧力につながるという指摘とかです。

『Several participants noted the possibility that as consumers become more price sensitive, businesses might accept lower profit margins in an effort to maintain market share, which could reduce inflation temporarily.』

消費者の価格センシティビティが高まると企業はマージン減らして価格上昇を抑制してくるんでネーノ。

『Participants observed that indicators of short-term inflation expectations from surveys of households and businesses as well as from financial markets had come down and that longer-term inflation expectations remained well anchored.』

ここからインフレ期待の話。ショートタームはやや低下、ロングタームは十分にアンカーされた状態が続いてます。

『A number of participants noted the importance of longer-term inflation expectations remaining anchored and remarked that the longer inflation remained elevated, the greater the risk of inflation expectations becoming unanchored. In that adverse scenario, it would be more costly to bring inflation down to achieve the Committee's statutory objectives of maximum employment and price stability.』

物価が高杉晋作な状態を続けるとインフレ期待のアンカーが外れることに警戒だよね、という指摘で物価のコーナー終了。


・7パラ:金融環境の所は短いけど金融市場の妙な期待に水ぶっかけモード

『Participants observed that financial conditions remained much tighter than in early 2022. However, several participants observed that some measures of financial conditions had eased over the past few months.』

金融環境は昨年の頭から比較したら大きくタイト化したものの、ここ数か月はやや緩和してねえかとの指摘が来る。

『A few participants noted that increased confidence among market participants that inflation would fall quickly appeared to contribute to declines in market expectations of the federal funds rate path beyond the near term.』

『Participants noted that it was important that overall financial conditions be consistent with the degree of policy restraint that the Committee is putting into place in order to bring inflation back to the 2 percent goal.』

と、これで終わっているのですが、A few participants noted〜の所で「金融市場は物価が素早く落ち着いてくるという期待を高めている」というのを指摘した、とぶっこんでからの「金融引き締めに整合的な金融環境が物価2%への落ち着きをもたらす」というのを入れているのって、これどっからどう見てもゴルディロックスヒャッハーに対する水ぶっかけでしょと思う訳で中々味わいが深いですね。


・8パラ:見通しの不確実性は物価は上、経済は下

『Participants observed that the uncertainty associated with their outlooks for economic activity, the labor market, and inflation was high.』

ここは大体いつも通りの話です。

『Regarding upside risks to inflation, participants cited a variety of factors, including the possibility that price pressures could prove to be more persistent than anticipated due to, for example, the labor market staying tight for longer than anticipated. Participants also saw a number of upside risks surrounding the outlook for inflation stemming from factors abroad, such as China's relaxation of its zero-COVID policies and Russia's continuing war against Ukraine.』

『However, a few participants remarked that the risks to their inflation outlook had become more balanced.』

数名はインフレのリスクは上下によりバランスするようになったという意見ですが多数派は上方リスクで、中国のゼロコロナ終了やウクライナ侵攻の長期化を更なる上向き圧力とする意見もありますな。

『Participants agreed that the risks to the outlook for economic activity were weighted to the downside. Participants noted that sources of such risks included the prospect of unexpected negative shocks tipping the economy into a recession in an environment of subdued growth, the effects of synchronous policy firming by major central banks, and disruptions in the financial system and broader economy associated with concerns that the statutory debt limit might not be raised in a timely manner.』

経済については下振れりすくになっています。


・9パラ:ファイナンシャルスタビリティーについて

『In their discussion of issues related to financial stability, several participants discussed vulnerabilities in the financial system associated with higher interest rates, including the elevated valuations for some categories of assets, particularly in the CRE sector; the susceptibility of some nonbank financial institutions to runs; and the effect of large, unrealized losses on some banks' securities portfolios.』

利上げによる金融システムへの影響、ということで商業不動産価格低下や、ノンバンクの経営懸念からの取り付け的な可能性や、銀行保有の有価証券ポートフォリオの含み損の拡大、などが挙げられます、ということでこの部分冒頭は読みようによってはハト。

『A few participants commented that international stresses had the potential to transmit to the U.S. financial system.』

そんなに「international stresses」ってあるかいなとは思うけどそういう指摘。

『A number of participants noted the importance of orderly functioning of the market for U.S. Treasury securities and stressed the importance of the appropriate authorities continuing to address issues related to the resilience of the market.』

どこかの馬鹿中銀に百回音読させたい良い話ですね、米国国債市場がオーダリーに機能することが重要なんですってよ。

『Al-though several participants noted that the Federal Reserve's standing liquidity facilities could be helpful in addressing significant pressures in funding markets, should they arise, several participants also noted the challenges of addressing potential disruptions in U.S. core market functioning.

常設ファシリティがバックストップになるよという話。以下雑多な話になりますが、

『A few participants remarked that recent failures of companies involved in crypto finance have had a limited effect on the broader financial system. These participants indicated that this limited effect reflected the minimal extent of the crypto market's connections to the banking system thus far, consistent with the risks associated with many of these activities. 』

仮想通貨に関しては金融ショックにつながるものではない。

『Several participants discussed the value of the Federal Reserve taking additional steps to understand the potential risks associated with climate change or to assess the materiality of such risks in the context of carrying out its responsibilities to evaluate risks in the banking system and broader financial system.』

気候変動に関する話。

『A number of participants stressed that a drawn-out period of negotiations to raise the federal debt limit could pose significant risks to the financial system and the broader economy.』

債務上限の話。


・以下政策の話になるのですが今回は・・・・・・・・・

今回の議事要旨、政策の話よりも物価の話の方が重要だとアタクシは判断したのでこっちの部分を先にネタにしました。植田さんのアレとか田村さんのアレとかあるので週末更新しないとアカンかなと思いながらも、続きは後日とします。



〇田村審議委員の金懇だが猫かぶりにも程があるので後回し

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230222a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
群馬県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2023年2月22日

ということで勘違いしてましたが水曜でした(汗)

今回の金懇挨拶、何が特徴的ってHTMLバージョン同時公表でして、日銀の金懇の場合、特にネタ審議委員の場合はPDFだけ先行して出てHTMLは翌日以降に出る、というのが仕様になっているんですよね。

でもって今回の田村さんHTMLが同時に出ているということは、まあ事前に大本営と練って作ったな、という感を受ける訳でして、内容自体は週末か月曜にネタにしますけど、まだまだ猫被ってるなという感じでした。

まー何ですな、植田さんの就任が正式に決まる前に田村さんがぶっ飛ばしてしまうとそもそもの国会承認にも悪影響ありそうだから今回は仕方なかったですかね、とは思うのですが、普段からもうちょっと色々とフリーダムにいろんな意見が表明されるような形になっていればそういう気の使い難しなくて良い筈なので、やっぱりこう情報発信に関しても今後は改善しないといかんでしょうなと思いました。


〇5年共担実施に次期体制への不安がそこはかとなく・・・・・・・・・・・・・

昨日は案の定ですが臨時輪番と5年共担のアナウンスが。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230222.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年2月24日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,000 2023年2月24日

長期と超長期の前半なんですが、超長期の前半ってやる必要あったんでしたっけ感が強いし、やるなら超長期じゃなくて中期輪番だろと思いながら見てたら案の定これである。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230222a.pdf
共通担保資金供給オペレーションの実施について

例によって5年長期共担を実施するんだが、はっきり言って愚策の一言に尽きるオペレーションで、現実問題としてこのオペオファーで別に5年の金利は下がらんどころか昨日の売買参考統計値前日比金利上昇になっているという事実がある訳ですよ。

中期のJGB金利を抑制したかったら中期の輪番3000も打てば十分なのに、想定1兆の共担やったって別に中期の金利が大して下がるでも無し、ということで効果が屁みたいなもんしかないのに、このオペは将来5年間に渡って低利の流動性供給を固定するものになりますから、物価目標達成の暁には金融政策運営を難しくしますし、物価目標達成して短期政策金利が正常化に向かった時に、この逆ザヤ部分が日銀の損失、すなわち広義の国民負担につながるものであって、長期共担って事実上の財政みたいな事をしている面がある(リスク性資産の購入と同じ話)訳でして、こんなの効果も大して見込めないのにホイホイうつもんじゃありません。

物価目標達成の見極めの為にもう1サイクルの賃上げを確認したい、と寝言をいっていますけど、まあその寝言を是とした場合には確かに2年の共担だと賃上げもう1サイクル確認するから1年少々時間が掛かる、というので1兆歩譲ればまだ話は分からんでもないのですが、5年の長期共担ってそれ向こう5年間物価安定目標にかすりもしませんという自信でもあるなら別ですが、そうじゃないならやるのは極めて筋が悪い施策ですし、何で輪番にしないで共担打つのかさっぱりわかりませんですね。

しかもですねこの長期共担、連続指値オペみたいに毎日やるのをMPMで確約しているものだったら仕方ないのですが、そんなオブリゲーションは全くない訳で、中期の輪番で代替できるものを、単に最初にこの辺の水準で実施したからと言って、その後やる規模の割に金利抑制効果だって大してないのが明白になっているにも関わらず、何も考えずに水準来たから5年共担オペオファーって、アタクシも日銀のオペレーションは結構長い間眺めておりますが、ここまでの愚行はさすがに見たことないですわいやマジで。

でですね、これ何が不安かと言いますと、金融市場局って内田理事が所轄しているわけでして、内田さん後に禍根を残すリスクが高くて金利抑制効果が碌すっぽ無い(のはこれまで打ってきて明らかになったとしか申し上げようがないのだが)というこのオペについて止めさせろよと思う訳なんですけど、そういうの分からんのか興味ないのかやる気無いのか存じ上げませんけど、何でしょうこの素通し実行をしてるのを見ますと、新体制における日銀って「実務面で大コケするんじゃないか」というのがだんだん不安になって来たんですよね・・・・・・・・・・・

あのですね、アタクシとしては金融政策運営と金融政策論議がまともになってもらうために植田日銀には頑張って頂きたいのでございまして、実務面のしょうもない所で大コケされて植田日銀が大コケしてしまいますと、大袈裟に言ってしまえば日本の将来ヤバすぎ晋作としか申し上げようがない訳でございまして、何ですかねえこの5年オペ実施に関しては将来への懸念を思いっきり感じてしまいました。






2023/02/22

お題「さて今日はまた何か追加打って来ますかねえ(市場メモ)/今さらですがブラードとメスターを確認」

はいはいおじいちゃん貴方の出番はとっくの昔におわっているのよ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-21/RQD8X4T0G1KZ01
植田氏の下でYCC撤廃も、緩和は継続-アベノミクス指南の浜田氏
藤岡徹
2023年2月21日 13:50 JST 更新日時 2023年2月21日 15:12 JST

「アベノミクス指南の」とある時点で何かを感じましたが・・・・・・・・

『数年前に本を執筆する際は、植田氏の協力を得られなかった。浜田氏は世界の著名経済学者50人から見解を得ようとしていたが、浜田氏の見方が金融政策の効果に偏っているとして植田氏には断られたという。』(上記URL先の第5パラグラフより)

・・・・・・・これは藤岡さん壮絶なハマコーDisにも程があるでしょ自制しなさい(いいぞもっとやれ)。

と申しますか、おまいらハマコーの所に聞きに行くと本人ヒマなもんだから喜んでホイホイと喋るのを思いっきり利用してるだろと思うのですが、まあこうやってあたくしのように釣られる人がいるから次の記事に繋がってしまうんですよね。しっかしこの爺さん、

『浜田氏は、植田氏が日銀総裁として金融政策を運営するにあたり、誰一人深いやけどを負うことがないようにしなければならないと述べた。』(上記URL先の最終パラグラフより)

ってお前白川さんに何してたのか完全に忘れてるだろどう見ても(内務省検閲により削除)。

別に内容は見る価値は無いのですがブルームバーグの壮絶なハマコー下げ記事クソワロタということで。


〇さて今日はまだしつこく臨時輪番とか5年共担の予告編とかやるんでしょうかねえ(棒読み)

おやおやまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/bonds
米国債10年 利回り
US10YT=RR
+3.937 +0.109
(上記URL先は適宜更新されているので数値は見るときのタイミングで違います。ご案内とは思いますが)

ということですが昨日の市場ちゃんはと申しますと、と言っても例によってロイターさんの記事の受け売りですけど。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N3511FS
2023年2月21日3:26 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、長期金利一時0.505% 日銀の上限超え

『[東京 21日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は反落で引け、長期金利一時0.505% 日銀の上限超え』(上記URL先より、以下同様)

0.505%は引け前だったしまあここはシャレで付けてみましょうって感じだとは思うのですが、

『国債先物中心限月3月限は前営業日比22銭安の146円43銭と反落して取引を終えた。日銀正副総裁候補の所信聴取を週後半に控え、方向感は乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は一時、同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.505%をつけた。日銀の変動許容幅「上限」超えは1月18日以来1カ月ぶり。』

ということですが、昨日は20年入札あったのですが、足切りがベンダーが調べて回ってる「事前予想」と一致してたんですけど、ゆうて最近の入札ってベンダー調査の事前予想自体がちょっと警戒モードの数字で出やすい傾向があるように見えまして(個人の感想です)、だいたい事前予想よりも足切りが少し上くらいで収まる感じでしたので、

『財務省が同日実施した20年利付国債入札は「前回より弱いが無難な結果」(国内証券)だった。』

という感じだったし、平均はそこそこ上の方にあったのである意味流れたちゃあ流れたのですけれども、足切り自体が別に下に抜けた流れ方なのではないので、玉確保とかの動きによる上での確りした札がありましたって理解で良いんですかね、知らんけど。

ということなんですが、毎度のロイターさんによりますTRAADEWEBの気配だと、

     OFFER  BID   前日比  時間
2年   -0.034 -0.026   0.012  15:02
5年   0.234  0.24    0.02  15:09
10年   0.498 0.504   0.004  15:10
20年   1.304 1.32   -0.008  15:04
30年   1.474 1.49   -0.003  15:06
40年   1.676 1.695   -0.001  15:06

ということでイマイチ訳の分からんカーブですが、結局下がる時のお馴染みのパティーンで8年9年ゾーンが弱くてしれっと中期も弱いという結果になっておりました。

でもってこれですよ。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N3511H8
2023年2月21日3:41 午後
〔マーケットアイ〕金利:日銀の指し値オペ結果、1495億円が応札・落札 カレント3銘柄

『東京 21日 ロイター] -

<15:37> 日銀の指し値オペ結果、1495億円が応札・落札 カレント3銘柄日銀が本日通告した固定利回り入札方式による国債買い入れ(指し値オペ)の結果は、367回・368回・369回債のカレント3銘柄に対し、1495億円の応札・落札があった。358回債は応札・落札額ともにゼロだった。』(上記URL先より)

ということで、本日も目出度く(目出度くないが)カレントレッツゴー2匹(もしかしたら昨日は0.505%付けに行く位なので369も入ってるのかもしれませんが)が落札されまして、367回と368回に関しては日銀が発行額以上に保有しているという面白現象に更に磨きがかかるという大変に素敵な展開になってしまいました。なお昨日はやっとレッツゴー2匹が5糸甘の引値になっていましたが何ですかねえこの時すでにお寿司感ただよう流れはという所で、こんなの最初から指値の趣旨を鑑みて0.50%よりも遠い水準では買入をしないようにしながらオペを実施していれば良かったんで、どっからどう見ても設計ミスだし、最初の時点で気が付かなかったにしたって、引けの利回りが3銘柄の間で極端にズレている状態でそのまま同じ買い方してるのというのが間抜けな訳ですわマッタクモウ。

まあこの「利回り較差方式」って相当歴史が長くて、大昔のガチでの輪番で銘柄も指定してた時代(オファーも応札も電話方式)から利回り較差方式での買入入札ってやってた(何せ営業局があった時代から利回り較差方式というものをやってた)のですが、大昔は東証引値というのがあって、以下昔話クッソ長くなるのと大昔の話を記憶をベースに書いて変な事書くのも何だから割愛しますが、まあその時代には明らかに最適な方法だったのですが、なんやかんやで変わる中で何故かこの引値対比の利回り較差ってのは基本変わらんのもどうなんでしょとは思うのですけど、ここまで強力にビルトインされてしまうと新しい方式を考えるのも面倒に思えますけど、まあちょっとこの利回り較差方式ってのも何か改善の余地があるかなと思ってしまいます。


はてさて、まあそれはそれとしまして昨日の売参ちゃんを見ますと

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表

長期国債 358 2030/03/20 97.66 -17  0.440
長期国債 359 2030/06/20 97.37 -14  0.470
長期国債 360 2030/09/20 97.01 -17  0.509
長期国債 361 2030/12/20 96.66 -18  0.544
長期国債 362 2031/03/20 96.41 -18  0.564
長期国債 363 2031/06/20 96.19 -22  0.579
長期国債 364 2031/09/20 96.05 -22  0.583
長期国債 365 2031/12/20 95.98 -23  0.578
長期国債 366 2032/03/20 96.93 -17  0.555
長期国債 367 2032/06/20 98.55 -5  0.360
長期国債 368 2032/09/20 99.71 -5  0.230
長期国債 369 2032/12/20 100.00 0  0.500

ということで、8年9年ゾーンちゃんが単利で0.6%に接近してきましたし、

中期国債 155(5) 2027/12/20 100.38 -9 0.220
中期国債 156(5) 2027/12/20 99.83 -9 0.235

5年カレントの新発の方が23.5bpまで金利上昇してきやがりまして、5年長期共担とかいう文字列も頭の中にちらちらとしてくる所なのであります。

さらに横綱は
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night

長期国債先物

限月:23年3月限
取引日:02/22
夜間取引

始値:146.46(02/21)(15:30)
高値:146.48(02/21)(16:05)
安値:146.27(02/21)(23:47)
現在値:146.30(02/22)(05:54)
前日比:-0.13
取引高:5,004

と概ね平常運転の出来高ではあるのですが、出来高も5000枚となりながらズルズルと土俵の後ろの方に後退しているの巻となっておりまして、まあ先月にMPMで政策変更みたいな思惑ネタが飛び交ってたときの144円台から見たら屁のような水準ではございますのでなんかこの数字見ても「はあそうですか」って感じではあるのですが、まあゆうて中期もしょんぼり(と言っても先月のMPM直前の20bp台後半だの30bpだのという水準には至ってませんが)しておる中で横綱が後退してくるということになると、はてさてこれは臨時とか5年共担予告ホームランとかどうなるのやらと楽しみになって参りました。

とは言いましてもですね、短期政策金利の方なら兎も角として、長期の金利のコントロールって本当に要るのか問題とかも次期体制になったら考えないと行けない筈なのに(なにせ冒頭に引用したハマコーの爺さんですらスクラッチで考えろ(現実問題としてそれが出来るのかというアベイラビリティ何も考えないで言う辺りがこれで学者が務まるとか経済学ってチョロイ学問だよなと思うアタクシは経済学徒ではないので暴言をつい言ってしまう)と仰せなんですからねえ)、先行きの運営を妨げることに成り兼ねない、というか物価安定目標を達成した後に重い足かせになるのが明白な特に長期共担とかをぶっこんで来るのかどうか、というのは大変に注目される所ではありまして、今日は国会聴取もさることながら(そんなに過激は話は植田さんのことだからよーせんでしょ)オペの動向も楽しみにしたいと思います、ああ念のためゆうとくとやらない方がべき論ですけど後先考えずにやるというのが仕様の人達だけに、ねえ。



〇まあ今さらなのですが足もとの米国債券市場の向きを変えてしまったタカ兄さんとタカ姉さんの認識をさらりと

まあさらりととか言いながら今日は終わらん説があるのですがそれはそれ。

・毎度おなじみ変態仮面のお兄さん

https://www.stlouisfed.org/from-the-president/speeches-and-presentations/2023/disinflation-progress-and-prospects
Disinflation: Progress and Prospects
February 16, 2023
Presentation (PDF) | Press Release | Video

ということで、紙芝居と説明文と何故か今回は変態仮面の法話のコーナーがあるのですが、
埋め込み動画の下にある48分という数字列を見た瞬間にこれは祝日のお供じゃろと
思うのでありましたorzorz

ブラードの場合基本的な話はプレスリリースって奴で分かるのでそっちを見に行く。

https://www.stlouisfed.org/news-releases/2023/02/16/bullard-presents-disinflation-progress-and-prospects
St. Louis Fed’s Bullard Presents “Disinflation: Progress and Prospects”
February 16, 2023

『JACKSON, Tenn.- Federal Reserve Bank of St. Louis President James Bullard presented “Disinflation: Progress and Prospects” (PDF) on Thursday to the Greater Jackson Chamber.』

とあるのですが、何気に大事とアタクシが思うのはこのページの一番下にある注釈でして・・・・・・・

『*Note: Disinflation refers to a decrease in the rate of inflation toward the Fed’s 2% inflation target.』

と言ってまして、ディスインフレーションというのはあくまでも「物価が2%の目標に向けて落ち着いていく」と思いっきり注釈をしておりますな。

このdisinflationary云々に関してはFOMC後の会見(しまったよく考えたらネタにしないまま日銀ネタに埋もれてしまったが議事要旨もう直ぐでるからそっちを読みながらカバーすりゃいいや)で出てきたパウエルのアレでございますが、物価が落ち着いていく、という話をdisinflationという割と強烈な単語を使う事によってインパクト出して、金融政策は引き締め的のままでも金融環境が大コケしないように配慮したんだなというのはこの前のFOMCで思ったのですが・・・・・・・

でもって説明文ですけど。

『Bullard noted in the presentation that U.S. GDP growth improved in the second half of 2022 and that labor market performance remains strong. Inflation remains too high but has declined, he added.』

『Front-loaded Fed policy has helped keep market-based measures of inflation expectations relatively low, he explained. He added that continued policy rate increases can help lock in a disinflationary trend this year, even with ongoing growth and strong labor markets.』

『“These factors may combine to make 2023 a disinflationary year,” Bullard said.*』

でもってこの注釈ですが、『*Note: Disinflation refers to a decrease in the rate of inflation toward the Fed’s 2% inflation target.』というさっきの奴で、「ディスインフレーション」とかいうとエライ物価が急落しそうな言い方になりますが、単に物価高騰が落ち着いていく様を「ディスインフレーション」ってそれ誇大広告にも程があってJAROがやって来るじゃろという世界ですが、変態仮面先生こういうの思いっきり注釈入れてしまうのは説明としては懇切丁寧だし、もしかしたら(穿ち過ぎかもしれませんが)パンチラインとして強力過ぎる言葉を使うのは如何なものか、ってブラードは思ってて、FRBとしてはパウエルの使いだしたディスインフレっての使うけど、きちんとそこは明確化しないとダメだろって言ってるのかなあと思いました、考えすぎかもしれないけどブラードって割とそういう定義にはうるさい人だと思うので。

でまあゆうて結局はデータディペンデントという名のバックワードルッキングなのですから、物価がサガランチ会長となるとまたケツに点火する、ということになるのですがね。

時間もあんまりないので小見出しだけ最初の方並べますと、構成としては、

『GDP Growth Improves
Labor Market Performance Remains Strong
The Disinflationary Process Has Started
2023: A Year of Disinflation?』

って小見出しになっています。見出しだけ見るとなんか結構物価の落ち着きを強く言ってるような感じではあるのですが、物価に関しての3つ目の小見出し意向を読みますと、

『The Disinflationary Process Has Started』

『Bullard said inflation remains too high, but it has declined recently. The Federal Open Market Committee (FOMC) has a 2% inflation target specified in terms of headline personal consumption expenditures (PCE) inflation. Headline inflation has declined, but it can be inordinately influenced by fluctuations in volatile prices, he said. Measures of inflation that strip out volatile price movements, such as core PCE inflation (which excludes food and energy prices) and the Dallas Fed’s trimmed mean inflation measure, have also declined but by less than the headline measure, he explained.』

ヘッドラインのインフレは足元落ち着きだしているけどボラタイルなものの影響が大きくて、ダラス連銀刈込平均で見たトレンドを見るとそこまでの落ち着きではないよ。

『He also noted that inflation expectations are back to relatively low levels.

“In part due to front-loaded Fed policy during 2022, market-based measures of inflation expectations are now relatively low,” Bullard said. “According to standard macroeconomic theories, inflation expectations are a key determinant of actual inflation.”』

でもって期待インフレが安定して低いので、インフレは落ち着くんではなかろうか、という話になっているのですが、その根拠が“According to standard macroeconomic theories, inflation expectations are a key determinant of actual inflation.”なので、スタンダードセオリーが効かない特殊な要因が色々とありますなあテヘペロとか困ったらすぐに言い出すに100ブラードという感じでして、あんまりこの物価が落ち着くという見通しに関して確信的ではないというのが伝わります。

さらに次の小見出しに行きますと、

『2023: A Year of Disinflation?』

『Bullard said the U.S. economy is growing faster than previously thought, and labor market performance remains robust with unemployment below its longer-run natural level.』

ここはさっきの小見出し2つ飛ばしたところでそのような説明が入っています。

『“A natural forecast is that the pace of quarterly real GDP growth will now moderate and unemployment will rise to return to its longer-run natural level,” he added.

“Continued policy rate increases can help lock in a disinflationary trend during 2023, even with ongoing growth and strong labor markets, by keeping inflation expectations low,” he said.』

うーんこの微妙な根拠という感じでして、結局の所これですと先行きのデータが強いと直ぐにドテンするでしょうなあという感じでして、何ちゅうかこの物価が明確に下がる的な話じゃないように見えます。


・メスターお姉さん

どっちかというとこれの方がマーケットインパクトデカかったと思うのでちゃんと読んでネタにしますが(と予告)
https://www.clevelandfed.org/people/profiles/m/mester-loretta-j/sp-20230216-returning-to-price-stability-in-it-to-win-it-sarasota
Returning to Price Stability: In It to Win It
Loretta J. Mester
President and Chief Executive Officer
02.16.2023 8:45 AM EST Video Conference The Global Interdependence Center, University of South Florida Sarasota-Manatee College of Business, Sarasota, FL

はい例によって時間切れなので超手抜きで最後の最後だけで今日は勘弁。

『Summary

In summary, inflation remains too high and it is the responsibility of the FOMC to bring it down. So the FOMC is resolute in continuing to bring monetary policy to a sufficiently restrictive stance to ensure that inflation returns to our 2 percent goal in a timely way. Tighter financial conditions will result in growth well below trend this year and some cooling off in labor markets, with slower employment growth and an increase in the unemployment rate from its very low level. These developments will help to alleviate price and wage pressures. As a result, I expect to see good progress on inflation this year.』

メスターさんはもうちょっと確信的な言い方をしていまして、昨年の引き締め的な金融政策が効果を発揮して今年の成長はトレンド以下で推移するでしょうし、労働市場の過熱も冷えて来るでしょう、という見通しになっています。

とは言え・・・・・・・・

『We are operating in an uncertain environment and economic conditions can evolve in unexpected ways.』

という次のパラの冒頭辺りから雲行きが怪しくなりまして(^^)、

『With growth well below trend, it wouldn’t take much of a negative shock to push growth into negative territory for a time. Most of our business contacts are preparing for a mild recession. Similarly, inflation dynamics over this expansion have been influenced in important ways by the pandemic and the war in Ukraine, and we need to be very open to the idea that inflation can evolve differently than we expect.』

『To help me formulate my economic outlook and policy views over the year, I will be looking at a variety of incoming data and collecting economic and financial information from our business, labor market, and community contacts.』

結局の所今般の動きって色々とムツカシイファクターあるから今後もデータ見ないと分からんがなという口上が入り、

『The transition back to price stability will take some time and will not be without some pain. There will be some bumps along the way as the economy slows, but high inflation is also very painful. I do not view the current situation as one in which there is a tradeoff between our two monetary policy goals because returning to price stability in a timely way is the best way to ensure a healthy labor market over the longer run.

So I plan to remain diligent in setting monetary policy to return the economy to price stability and to be judicious in balancing the risks so as to minimize the pain of the journey.』

と最終パラグラフ(便宜上途中で分割しましたが)では「高インフレは非常にペインなので退治の為に多少のペインが発生するのはやむなし」とぶっこんでからの「そのように金融政策を行うべし」という話になっておりまして、結局は例の「50もあるでよ」という話になる、とまあそういうことでありますな。

『In short, I remain in it to win it.』

とか戦闘態勢っぽくてアレですね。まあ詳しくは後日。






2023/02/21

お題「雨宮さん国会答弁だが最後がこれではちと寂しいですな/輪番とか指値とか投資主体別売買動向とか」

最初のネタ、本来はヒマネタでマクラの積りだったのですが、書いているうちについ血圧が上がってしまって一つ

〇おじいちゃん、強弁や屁理屈で押し通せる時代はもう終わるのよ(ヒマネタですが雨宮さん国会答弁)

雨宮さん・・・・・・・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-20/RQCS3WT0G1
出口の課題、調節技術よりも判断と市場との対話−雨宮日銀副総裁
伊藤純夫
2023年2月20日 18:14 JST 更新日時 2023年2月20日 19:15 JST

昨日の夕方衆院予算委員会分科会に雨宮副総裁出席されてまして、まあ今更ヘッドラインでどうのこうのというのは無いのですが、この題名にもあるヘッドラインを見て早速腰が砕けそうになりました。

>出口の課題、調節技術よりも判断と市場との対話−雨宮日銀副総裁
>出口の課題、調節技術よりも判断と市場との対話−雨宮日銀副総裁
>出口の課題、調節技術よりも判断と市場との対話−雨宮日銀副総裁

えーっと、調節技術ではカレント3兄弟がレッツゴー二匹になっている件とか、特に長期ゾーンにおいて流動性が碌すっぽないとか、先物が全然現物市場のヘッジにならない(オマジナイにしかならない)とかございますが・・・・・・・・・・

>判断と市場との対話

ってあーた物価見通しをこの1年近く延々と外し続けているのにその間に政策の見直しをする気配もない(最後に「市場機能」とか訳分らん事を言ってレンジ拡大しましたが、あれは経済物価情勢の改善を踏まえた訳ではない、ということになっている)で、「2021年3月の経済物価情勢を踏まえた結果適切と判断した0%プラマイ0.25%」を遵守し続けていた方々が「判断が大事」とか言われましても引かれ者の小唄負け犬の遠吠えにしか聞こえませんし、まあ寝言は寝て言えと。

挙句に「市場との対話」ですよ。政策に齟齬が出て来る度にそれを誤魔化そうとして目先の目くらまし政策を追加して、その目くらましに限界が来ると次の目くらましを打ち込んで来る、という昭和温泉旅館政策は行うわ、一々サプライズで政策を打ち込んで来るわ、「市場機能」を名目に国債市場のゆがみを更に拡大する馬鹿買入に長期共担を打ってくるわのどこが「市場との対話」なのか意味が全く分からないのでうが寝言は寝て言えとしか申し上げようがありません。

と、ヘッドラインに悪態ついてないで記事を拝読拝読。

『日本銀行の雨宮正佳副総裁は20日、金融緩和政策からの出口戦略で難しい課題となるのは金融調節の技術よりも、「本当に賃金と物価の好循環が始まったかどうかの判断と市場とのコミュニケーションの二つだ」との認識を示した。衆院予算委員会の分科会で階猛氏(立憲民主)の質問に答えた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、技術的には何とかなるとのお告げですが、調子に乗って温泉旅館建て増しを続け、YCCが本質的に抱える問題、たしか金融論的な言い方だと「時間的不整合」って奴ですけど、実際問題として経済物価情勢が好転して目標達成が展望できるんじゃないか、という時になると発生する時間的不整合が、YCCの場合は特に10年とか言う無茶苦茶な年限のペッグしてるから回らなくなる中で、連続指値だまいにち指値だチーペスト指値だ・・・・・・・とやって最後にはハイパー買入に他年限指値、臨時輪番連発に2年共担連発という状態で後の人がこれをどうやって収拾するのか非常に難儀な聳え立つクソの大伽藍であるところの昭和温泉旅館「にちぎん」の別館「にちぎんパラダイス」まで作ってしまった雨宮さん、これをほぐしていくの無茶苦茶面倒なの分かってて「技術は何とかなる」ってのちょっと酷くないですかと思います。

でまあ判断とコミュニケーションに関しては先ほど申し上げた通りで、物価の判断をひたすら外し続けている人が「重要なのは判断(キリッ)」とか言ってるのおまいうにも程がある話で、じゃあ物価判断を延々と間違え続けた責任取って今すぐ野々村号泣会見と共に辞任したらどうっすかという感じですな。

『雨宮氏は、日銀の出口戦略を問われ、「賃金・物価の好循環が始まれば、当然出口という議論になってくる」と指摘。出口局面では市場が大きく混乱することなどが懸念されているが、国債残高の圧縮や金利の引き上げなど具体的な「オペレーションの技術については、いろいろ対応のしようがある」と語った。』

いやその対応を困難にするようなクソタワーの積み上げを12月から加速してるの何なのというか、てっきり雨宮さんが次もやってこのクソタワーの解体工事(当然ながら解体中には大変な問題が起こるリスクがあります、クソタワーだけに)を責任をもって行うのかと思ってたんですが、なんですかこの「オペレーションの技術については、いろいろ対応のしようがある」という後任丸投げ姿勢。

しかしまあ何ですな、

『この間に日本経済のデフレマインドの強さなど「通常の経済モデルでは分析しきれない難しいことが課題だということが判明した」と説明。』

なんかさあ、「人類の知見では分かり得なかったことだったので2年で達成できなかったのはやむなし」みたいな話にしてるけど、ちょっと雨宮さん今の言葉を麿と山口さんと西村さんのいる前でもう一度3人の目をじっと見ながら言えるの??????????????

金融政策だけで2年で2%達成とか出来るかよヴォケ、って話だったし、そりゃまあ無茶苦茶な金融政策(黒ちゃんが突如ブリーフ一丁で会見場に表れて盛大に脱糞を開始すればドル円一気に200円くらいドル高になって物価目標即達成でしょ)をすれば出来るかもしれんけどそもそも物価目標はそういうためのもんじゃないでしょ、とは言われててた話なんですけど、何がどう「通常の経済モデルでは分析しきれない」事案なのかよくわかりません。

ああそうだ、まさかとは思いますが通常の経済モデルというのは、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf

こちらのPDF7枚目のスライドで示されている『「量的・質的金融緩和」の波及経路』の事を指すのでございましょうか?????????????

『金融政策運営も2%物価目標を2年程度で実現するとした当時の短期決戦型から「より持続可能な、時間をかけて問題を解決するというフレームワークに移行してきた」とし、「今の物価情勢を踏まえると、現段階はその政策を続けることがまだ適当だ」と語った。』

>より持続可能な、時間をかけて問題を解決するというフレームワーク
>より持続可能な、時間をかけて問題を解決するというフレームワーク
>より持続可能な、時間をかけて問題を解決するというフレームワーク

えーっとすいません、持続可能じゃなくなって次から次へと弥縫策を繰り出し、しかもその弥縫策がどんどんとんでもないうんこタワーの建築になっているのが足元の情勢なんですけど、この状況のどこが「持続可能」なのかという話でして、この聳え立つクソを「持続可能」とか言っているのって自分たちの責任逃れの言説にしてもあまりにもひどくありませんか。

というかですね、まあ黒田の会見もそうなのですが、(前からそうでしたが特に物価が上がりだしているのに緩和政策をドンドン強化するというYCC本来の屁理屈の逆をやりだしてからが加速して酷くなりましたけれども)とにかく強弁と屁理屈を繰り返して唱えているだけだから、総裁会見とかも同じ話が何度もくり返しになってしまうし(なのであれは記者が悪いんじゃなくて10対0で黒田が悪い)、国会に出てもこの強弁で済ませてしまう、という態度。


・・・・・・・でもねおじいちゃん、強弁と屁理屈で強引に押し通すのが許される時代はもう終わるのよ。

雨宮さん、この調子だと退任前数か月のタームの間に公式な金懇とか講演とか無しのままで終わってしまう副総裁になってしまいそうですが(なのでそもそも何で1月展望の説明金懇で若田部を出したのかが意味わからん、あそこは雨宮さん出す番だろ(次期総裁が雨宮さんの方向だったのなら若田部で納得だが))、おまけに最後になるかもしれない国会答弁がこのひたすらどうしようもない強弁って寂し過ぎますな。何だかなーって所ではあります。



〇市場雑談メモですが売買動向とか輪番とかレッツゴー指値オペとか

・超長期後半の輪番だけ減額しましたね

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230220.htm

国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,250 2023年2月21日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 5,000 2023年2月21日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,750 2023年2月21日
国債買入(残存期間25年超) 1,500 2023年2月21日

例によって通常輪番だけ引用しますが、前回2/15の輪番の時には1-3が4250、5-10が6750、25-が2000だったのですが、超長期だけ減額してきました。というかこの期に及んでまだ積み上げするのって後の事考えろよとしか思えなくて何なのよと思います。

これが普通のオペレーションを淡々とやってるんだったら別に何かする事もないと思うのですが、今のこの買入の額だって無茶苦茶な規模の買入を行っており、しかもその理由が表面上の理屈は兎も角として実態ベースは黒田の面目維持以外の何物でもないのに、何でこんな馬鹿買入継続するんでしょうかねえと思ってしまいます(よって雨宮さんが後任総裁なんだったら話は分かるけど)。

いやだから長期も中期も減らせよお前らどんだけ市場に介入すれば気が済むんだよデコスケが。


・今日も元気にレッツゴー指値

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230220.htm

国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注5) 538 538
(注5) カレント3銘柄が対象。

オペ参加者はかねてより「SLF前提で指値買入に応札するのは不可」という制度設計になっておりますのですけど、まあ指値のせいで極端な値付けになってしまっているので、SLF借りてどっかに売ってしまって買った別の人(またはその後の誰か)が日銀の指値で売れば話は済んでしまったりしますし、それ以前の問題で昨日申し上げたようにポートに沈んでいるレッツゴー二匹の修正が起きる前にいったん外してとりあえず近所の別銘柄に乗り換えなり、気合でキャッシュで持つなり(どうせ踏まれはせんじゃろ理論)という人の売りが来れば、めでたくレッツゴー2匹の応札可能玉が沸いて出て来るのでありまして(なお読む人が読めば分かると思いますが、この説明一部端折るというか何というかな書き方をしておりますので念のため申し添えます)。

まあさすがに日銀のアレが出されて間もなく施行って中で2匹のSLF希望額をどどーんと増額する勇者はあんまり居ないとは思いますが、ゆうて既にショートになってる人この高値で買い戻すかっていうとあまりにも乖離し過ぎててフェイルコスト賄えってあまりある期待収益という状態だとどうでございますかねーって感じですな。

とまあそんな訳で昨日も目出度く(全然目出度くないが)538億円ほど日銀にドナドナされて行った次第でございまして、あと3営業日ありますがこちらの動向もネタとして注目されてしまうのでありまする。

まあしかし何ですな、昔の米市場だとあまりにも高値が付くと農家が自家用米まで持ち出して売りにいったり、正米として売買可能な古米がドドーンと出て来たりというような現象起きたりもしたらしいのですが、債券の場合は残念ながら発行残高が見えていて急に古米が出て来るとか自家用米が出て来るという訳に行かないのがアレでございますな(本来ポートに沈んでいるのが自家用米ともいえるかしら)。金曜に流動性供給入札あるんですけど高値維持しているとちょっとねえ・・・・・・・・・


・投資家別売買動向ワロタ

これはwww
https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N3500MQ
2023年2月20日12:40 午後
〔需給情報〕外国人の売り過去最大、国内生損保が超長期債大幅売り越し=1月国債売買高

『[東京 20日 ロイター] - 日本証券業協会が20日発表した1月分の公社債店頭売買高(国債)によると、外国人が最大の売り主体となり、売り越し額は4兆1190億円と過去最大を記録。また生損保が超長期国債を過去最大となる4462億円売り越した。同月17─18日の日銀会合を前に、政策修正の可能性に備えて内外の幅広い投資家が国債を売っていたことが示された。』(上記URL先より、以下同様)

ちょwwwwww

『このうち外国人は1月に利付国債トータルで4兆1190億円を売り越し、金額はデータが遡れる2004年以降で最大となった。金額の内訳は、長期債が3兆4846億円、中期債が3887億円、超長期債が2457億円で、長期債を中心とした売り越し基調が継続した。』

海外が悪目立ちしていますが、それよりもこちらの記事でも指摘されていますように・・・・・・・・

『シティグループ証券の藤木智久G10金利ストラテジストが「海外勢だけでなく、国内投資家も幅広い年限ゾーンでまとまった規模の売りを行っていた。日銀のさらなる政策修正の可能性に備えて(債券)エクスポージャーを引き下げた」と指摘する通り、1月のデータで意外感をもって受け止められたのが国内勢、とりわけ生損保による売り越しだ。』

ということで、

『生損保は2021年度平均で月間6000億円程度の超長期債を買い越すコンスタントな買い主体だが、1月は過去最大を記録した超長期債(4462億円)を中心に、利付債トータルでは5706億円を売り越した。』

あひゃーという風情でございますが、まあ12月の唐突な「市場機能論」による10年レンジ拡大と、その後の強引すぎるオペレーション(臨時輪番の乱発に2年共担の乱発という持続性を完全に考えていないだろうというパニックオペの連発)によって、政策の持続性についての疑念が一気に高まってしまった(のでYCCの長期金利ターゲットの撤廃ないし短期化の準備を意図しないで12月の措置をやるというのは基本あり得ない話で、明白な悪手を打っていることになります)ので、そらそうよとは思いますが、国内も総売りなのはクソワロタとしか言いようがないですな。

(上記記事URL先の最後に投資主体別売買動向の表がありまして、それを見ると更に面白いのですが、ちょっと項目が多すぎでして、このサイトに貼り付けるのには表組を整えないといけなくて、その時間がちょっと無いので後日過去ログの方には張っておこうかと思います、忘れなければ)





2023/02/20

お題「レッツゴー二匹対策公表したものの金曜の相場はアレ/CBDCパイロット実験スタートですな」

下旬入ったばっかなのに月末が見えておるorzorz

〇レッツゴー2匹はレッツゴーし続けるのでありましたアイヤー

例の3匹対策(2匹対策)でぶっこまれた措置ですけど、じゃあ金曜はどうなったのかと言いますと・・・・・・・・・・・・・

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表

ついでなのでチーペストから後ろをならべてみますと、

長期国債 358 2030/03/20 97.83  -6 0.415
長期国債 359 2030/06/20 97.51  -10 0.450
長期国債 360 2030/09/20 97.18  -7 0.485
長期国債 361 2030/12/20 96.83  -9 0.520
長期国債 362 2031/03/20 96.59  -12 0.539
長期国債 363 2031/06/20 96.41  -11 0.550
長期国債 364 2031/09/20 96.27  -15 0.554
長期国債 365 2031/12/20 96.21  -15 0.549
長期国債 366 2032/03/20 97.10  -17 0.534
長期国債 367 2032/06/20 98.64   0 0.350
長期国債 368 2032/09/20 99.81   0 0.220
長期国債 369 2032/12/20 100.00  0 0.500

ということで米債様の影響だか何だか知らんけど長期ゾーン甘目の中、369は50bp張り付きだから仕方ないとしても、残りの2匹引けはビタイチ甘くはならず(強くもならなかったけど)に終了の巻。

あまつさえ金曜のカレント指値ですけど、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230217.htm

国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注5) 428 428
(注5) カレント3銘柄が対象。

ちょwwwwwおまwwwwwww

まあこれ369が入っている可能性も勿論あるのでして、この点は20日時点の日銀保有残高が明らかになる時に確認できますけれど、たぶんこれって367か368が入っているんジャマイカとおもわれるわけです。

即ちですね、そもそも債券のインデックスパッシブポートだったら367とか368とかも持ってる筈でして、(MSCIではインデックスから外れたようだが)ホンマモンのパッシブだとインデックスにトラックできなくなるから売るに売れないのですが、「基本は概ねパッシブだけど銘柄に関して100%追随するわけではなくてインデックス構成銘柄の歪みをちょっとだけ取って超過収益をちょびっとだけ」みたいなファンドでももっている可能性はまだある(基本的にはもっと前に売ってナンジャコリャになってる人の方が多い気もしますがまあそれはそれとして)かも知れず、要は発行の100%以上日銀が持ってることになってるけど、そもそも満期まで持ち切り投資家の中で保有されている分があるから、そもそも100%以上とかとんでも無い事になっているんですよね。

でまあそのまだ持ってるかもしれない人としても。27日からは指値に入らなくなる可能性がある、となった場合に何が起きるかというと、ボケーっと持ったままでもし割高修正が起きてしまうと(需給問題があって全部修正とか無理があるとは思うけど)10bpとかそれ以上とかの修正が起きちゃうかもって話になりますわな。これまでは「次の新発10年が出て指値から外れるた銘柄は修正がおきる(1月に366は盛大に修正しました)」の巻なので、普通に考えてあと1か月ちょいは猶予があったのですが、27日から指値外れるとなると、まあじゃあ外す(入れ替える)ようかという向きがでてもおかしくない。

そうなった場合って、足元では日銀の指値は生きているので指値に入れてペイする程度のビットを出しておいて、相手が絶対に当該銘柄持っているのが明らかな属性の人の場合だったらそれをそのまま指値に入れてしまえば良い、というか漫然と持っていると売り受けた人が27日以降指値に入れられなくなるし、だからと言って27日以降ってスクイーズ掛かって強くなるのか、それとも日銀に売れねえと言ってちょっと売りが出たとたんにコケるのか、何か両方起きそうですけど、まあそんなもんで勝負する暇があったら、BBのビットを叩くなり日銀に入れたりしますわな、シャーナイナイ。

まあそうなりますと只でなくさえ過大な日銀の保有が更に増えるという面白現象が発生してしまいますし、そもそも論として日銀が持ってる銘柄売りに行かないとSLFだけで明らかに流通玉(発行から出てこないポートに入っている分を除く)以上のレポ取引が発生するというのは何も変わらんという素敵な現象になっていますので、さてどうなるのやら益々盛り上がって参りました。


まあアレです、そもそも論としてカレント3兄弟(急に言い方が変わっているのはキニシナイように、というか多分3兄弟の方が市場では普通の言葉ですぞな)引値が10bp以上も乖離(同じ年限の超長期の複利カーブだとこの辺り概ね3か月償還違うと1.5毛位なので3兄弟だと上から下まで3毛位のスプレッドはあるのが普通だしまあイロ付けて半年の償還差で5毛位ってもおかしくない)しているというのに、漫然と367、368を引値容認のバランスで買い続けるのがトンチキであって、それって事ここに至る前に散々っぱら皆さんが指摘していた話なのよ。

結局ね、これSLF絞るとか言いましても、あと1か月ちょい待てば指値から外れる367の引けが0.50%から見ても15bp乖離しているし、4カ月以上お待ちくださいの368なんて28bpも乖離している訳ですけど、例えばの話今これショートして日銀指値にぶっこんで、レポしてきた現物はフェイル上等といってフェールチャージ払うにしたって、例えばの話チャージを年率6%相当で払っても月額に直せば50銭な訳で、修正で120銭(めんどくさいから15bpのbpv8銭という雑な計算)取れれば1か月半のフェイルチャージ75銭で見ても確信犯でフェールし続けてれば(゚д゚)ウマーとかいう話になってしまう訳で、そもそもそんな高値になっているのを漫然と買ってた日銀がスカタン。

大体ですね、カレント3銘柄の指値ってのは10年カレント近辺のイールドを0.50%を超えないようにしようって趣旨で投下した措置なのですから、そらまあイールドカーブの関係があるから手前の銘柄が多少0.50%より強く買うのも必ずしもない訳ではない(アタクシは3銘柄1本利回りでエエンチャウノと思うけど)のですが、何も0.35%だの0.22%だのという利回りを買う必要なは無いし、そもそもの指値オペの趣旨に反してるだろ何考えてるんだよという話でありまして、いやまあずーっとこれやり続けているよりは今回の措置はやった方がこれ以上のアホアホ相場を回避できるという意味はあるけど、もっとかなり以前からこのハチャメチャ状態について指摘されていたので、まあ遅きに失しましたなと思いながら昨日の引け後のオペ結果と売買参考統計値を悲しみをもって眺めるのでありました。

これ24日に長期対象の補完供給があるんで、まあ日銀としては24日の補完供給で踏んでくださいという話なのかもしれないけど、木曜金曜の間で(近所の銘柄が金利上昇しているにも関わらず)金利上昇しないで堂々の割高継続という時点で、まあこんなスッ高値で誰が踏みますねんという話で、24日の場中に5年から15年ゾーンの実勢が悉く前日比20毛甘とかにでもなってないと中々カバーしてくれないんじゃなかろうかと懸念を深めるのでありました、ナムナムナム。


しかしまあ何ですな、古くはマイナス金利導入時のMRF特則の導入がワンテンポ遅れた(マイナス金利によってMRFへの影響に気が付かなかったのか影響範囲に気が付かなかったかのどちらかであることは明らかな泥縄措置)という辺りからそうなんですけど、日銀ちゃん従来やったことが無い措置を入れようとしたときに、その措置の影響範囲の見積もりが甘くて、いざ導入してみて(MRF特則導入のように)速攻で問題点が指摘されてみたり、今回みたいにことが大きくなってから慌てて対策練ってみたり、というような感じでして、兎にも角にも事前検討が甘いとしか言いようがない。

まあ昭和温泉旅館政策の酷いのが始まったのって2015年12月の補完措置の当たりからなんですけど、マイナス金利とかこれだけの政策でありながら影響範囲を子細に点検出来てなくてあの有様でしたし、YCCだって結局マイナス金利入れたらイールドがとんでもないフラットニングをして副作用の方が大きくなる(ひいては金融機関の株価下落などにも繋がる)事態の収拾策として始まったように、特にマイナス金利からこの方の政策って「政策設計の時に子細に影響範囲を検討しないでヤケクソで突撃する」→「ちゃんと検討していれば気が付く程度の地雷を華麗に踏み抜く/目の前に濃密な地雷原があることに気が付く」→「慌てて収拾策を継ぎはぎで作る」→「継ぎはぎもその場の対処療法なので、それ以外の問題が発生する」以下無限ループみたいなのを2016年1月からこの方延々と行っている訳で、しかも黒田雨宮これを何の手当もしないで植田先生に放り投げて逃げ出すんですからまったくもって人の道に反する、即ち外道であるというお話ですなと毎度の結論になるのでした。


〇CBDC関連がどどーんと投下されましたわよ(4月からパイロット実験&さすがにマネー供給の二重構造は維持のようで)

https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217b.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する実証実験について

https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217c.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230217a.htm
【挨拶】
次なるステップに向けて
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第5回)」における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2023年2月17日

https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217d.htm
「CBDCフォーラム」への参加説明会の開催について


ということでザックリ確認。

・パイロット実験開始というスケジュールはまあ前から言われていましたけど実際に始まるのねー

https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217b.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する実証実験について

『日本銀行は、2020 年 10 月に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に沿って、2021 年4月より、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する実証実験を進めています。』

はい。

『このうち、CBDCに関する基本的なアイディアが技術的に実現可能かどうかを確認するプロセスである「概念実証」は、当初予定のとおり本年3月に終了し、4月より「パイロット実験」を実施することとしましたので、お知らせします。』

キタコレ。

『パイロット実験においては、中央システムから、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装するものとして実験用システムを構築し、エンドツーエンドでの処理フローの確認や、外部システムとの接続に向けた課題・対応策の検討などを行っていきます。なお、店舗や消費者が関与する実取引を行うことは現時点では想定していません。』

なるほど。

『また、CBDCの制度設計を適切に進める観点から「CBDCフォーラム」を設置し、リテール決済に関わる民間事業者にご参加頂いた上で、幅広いテーマについて議論・検討を行っていきます。CBDCフォーラム参加者の選定方法などについては、3月中に説明会を実施する予定です。』

というのが
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217d.htm
「CBDCフォーラム」への参加説明会の開催について

ですな。

『わが国でCBDCを導入するかどうかは、現時点では決まっておらず、今後の国民的な議論の中で決定されるべきものと考えています。日本銀行としては、こうした議論に資する観点からも、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備を進める方針です。』

ということでまあこちらはご挨拶みたいな話ですけど、


・内田副総裁じゃなかった理事のご挨拶ではさっきの詳細版みたいな感じで

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230217a.htm
【挨拶】
次なるステップに向けて
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第5回)」における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2023年2月17日

基本的にはさっきのリリースの話を少し詳しく説明しているだけなんですがリリースの話だけだと何か漫然と文字列追って終わってしまうのでちゃんと確認の為貼っておく。

『日本銀行では、2020年10月に「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を公表したあと、この方針に沿って、実証実験の最初のステップ、すなわち、CBDCの基本的な機能や具備すべき特性が技術的に実現可能かどうかを検証するための概念実証(Proof of Concept)を進めてまいりました。』

『概念実証のうち、2021年4月に開始した「フェーズ1」では、CBDCシステムの基盤となる「CBDC台帳」を中心に実験環境を構築し、CBDCの決済手段としての基本的な取引、すなわち、CBDCの発行や払出、移転といった一連の取引において、多頻度小口決済に求められる高い処理性能を実現できることを確認しました。』

ふむふむ。

『2022年4月に開始した「フェーズ2」では、フェーズ1で確認したCBDCの「基本機能」に、より複雑な「周辺機能」を付加したうえで、その技術的な実現可能性や処理性能等を検証してきました。実施期間は本年3月までですが、例えば、一人のユーザーが複数の口座を保有しているもとで当該ユーザーの保有額・取引額および取引回数が上限に抵触しないかを判定する機能など、実装の難度が高い周辺機能においても、CBDCシステムの処理性能を維持できることを確認しました。』

この辺のより詳しい話はこの次に貼るパワーポイント紙芝居に書いてある。

『この間、本協議会においては、概念実証の内容や進捗状況等について情報共有を図るとともに、デジタル社会にふさわしい決済システムのあり方を含め、幅広い観点からの議論を行ってまいりました。』

でもって・・・・・・・

『こうした概念実証の結果や、皆様方との議論を踏まえ、日本銀行は、次なるステップとして、本年4月よりパイロット実験を実施することとしました。』

『パイロット実験の目的は、第1に、現在行っている概念実証では検証しきれない技術的な実現可能性を検証すること、第2に、技術・運用の両面にわたって、民間事業者の技術や知見を活用させて頂きながら、社会的に実装することになった場合の設計に活かしていくことです。』

さて、

『まず、1点目については、CBDCシステムでは、中央銀行からユーザーまでを、仲介機関や仲介機関ネットワークなどのシステムを通じて接続する必要があります。これまでの概念実証の構築対象は基本的に中央システムだけでしたが、パイロット実験では、中央システムから、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装するものとして実験用システムを構築し、エンドツーエンドでの処理フローの確認や、外部システムとの接続に向けた課題や対応策の整理を行っていく予定です。』

と、ここにあるように「仲介機関を入れる二重構造」は維持する方向ですし、この後にURL貼っておく日銀謹製の紙芝居を見ると他国でも基本二重構造は維持するようです。そうしないと銀行の信用創造機能がワークしなくなる惧れが大きいだろ、と思っておりましたが、まあ現実的な所に落ち着いて何より(なのですが、そうなると何でこんなに費用掛けてデジタル化する必要あるんだ問題があって、今の電子マネーシステムでエエヤン問題が生じるのですけどね、まあそれはいずれまた)。

『次に、2点目については、外部システムとの接続に向けた課題や対応策のほか、代替的なデータモデルやオフライン決済の仕組み、追加サービスを提供するうえでのCBDCシステムのあり方、ユーザーとの接点において必要となり得る課題や技術・機能などについて、民間事業者の皆様とともに検討を行い、より良い設計につなげていきたいと考えています。』

デジタル通貨の新しい技術としての意味はこの通貨情報に付加情報を乗せるという辺りかなと直感的には思うの。

『そのために、「CBDCフォーラム」を設置し、リテール決済やそれに関わる技術に携わっておられる民間事業者の中から参加者を募集します。1点目と2点目は、密接不可分のものとして運営し、両者の検討成果は、それぞれの作業にフィードバックすることを想定しています。』

なのでまあこれは参加しようとする人はわんさかおるじゃろ。

『パイロット実験の進め方については、目的を絞り込んだ実験から始め、段階的、計画的に拡張していくことを考えており、現時点で店舗や消費者が関与する実取引を行うことは想定していません。いずれにせよ、パイロット実験に関する内容や進捗状況などについては、透明性の高い形で情報発信を行っていきます。』

『こうした段階的な枠組みによる検討と透明性の高い民間部門との対話は、将来CBDCを発行する場合、それが社会において受け入れられるために必要なプロセスです。』

なぜ金融政策でそれが出来ないのでしょうか(全然関係ないですかそうですかすいませんすいません)。

『他の先進国においても同様のアプローチが試みられています。決済手段は、誰かがうまい仕組みを設計して、リリースすれば普及するというものではありません。現在、現金の流通にいかに多くの方々が関わっているかを考えれば容易に想像がつくように、CBDCが広く使われるためには、ユーザーまでの各ステークホルダーにおいて、様々な仕組みの変更と準備が必要です。』

はい。

『そのことは、金融機関や企業のビジネス、そしてユーザーの生活に影響を与えますので、みんなが納得するような制度設計を行い、それに合わせて準備していくプロセスが必要だということです。これから始まるパイロット実験は、その第一歩です。

皆様とともに進めてきたCBDCと決済システムの将来像を巡る議論も、新しい段階に入ります。決済の主要な担い手である皆様の経験と知見を拝借しながら、社会とユーザーに受け入れられるCBDCを設計していきたいと思っております。どうかよろしく、お付き合い下さい。

ご清聴ありがとうございました。』

とまあそういう訳で・・・・・・・・・・


・アタクシが個人的に一番気にしていた「マネー供給の二重構造」は維持される模様ですが世界的にもその方向ですね

https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217c.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み

大部な上に技術的な事ムツカシクテワカラナイアルネということで貼っては見たものの、って感じですが、皆さん実施する場合でも「仲介機関」をカマす方式に落ち着くようで何より。

日本の場合
13ページ(PDFの14枚目、以下同様の関係になります)の『1.実験用システムの構築と検証』(その前にもあるけど)の概念図

米国の場合
17ページの『1.【米国】一般利用型CBDCに関する取り組み@』から

『発行形態等
・ これまでの分析では仲介機関を介した間接型が最適としている。
─ 間接型は、民間部門のプライバシーや本人確認に関する既存の枠組みとイノベーションを利用でき、金融安定にも資する。
・ オフライン機能も備えられれば、自然災害等への頑健性が向上。

発行額制御の考え方
・ ストレス時の銀行預金からCBDCへの大量資金流入を防ぐため、保有可能額または短期間の保有増加額に上限を設ける可能性。』

欧州圏の場合
19ページの『3.【ユーロ圏】制度設計に関する情報発信@』から

『デジタルユーロのアクセスと保有制限

個 人
・ CBDC口座の保有数→1口座に限定
⇒ 複数の仲介機関を跨ぐ形で保有額を合算して把握することはプライバシー保護の観点から許容され難いため、単一仲介機関のみで管理。
⇒ 1口座に制限することで利便性が低下しないよう、追加サービス提供業者の選択可能性や仲介機関の間でのCBDC口座のポータビリティを確保。

法 人
・ 保有上限額あり
・ CBDC口座の保有数→制限しない
⇒ 支店等の事業所単位で口座を保有可能にする。
・ ただし、CBDCの保有は日中に限定し、O/Nでの滞留を認めない。
⇒ O/Nでの滞留防止のため、銀行預金口座への入金を自動的に行う機能を設ける。』

なるほど欧州の方がこの辺りかなり気にしているのが分かるわ。


英国
28ページの『12.【英国】一般利用型CBDCに関する取り組みB』から

『保有可能額
⇒ 利息は付さない
(理由・考え方)
・ デジタルポンドは銀行券と同様の日々の決済手段で、貯蓄手段ではない。
・ 銀行業界への影響軽減。
・ デジタルポンドは金融政策の手段ではない。

⇒上限を設けることを検討
個人については1〜2万ポンドの間で検討
(理由・考え方)
・ 英国の所得分布等を踏まえ、給与振込も含めデジタルポンドの利用や保有に影響が生じないように設定。
・ 銀行預金流出等による金融システムへの影響を制御する必要がある。市中協議では、さらなる影響軽減の観点から、個人の上限を5千ポンドにする案についても意見募集。』

ということで、日銀ってこの辺りの話をあんまり正面切ってしない(確かにまあ日本のメディアがアレなので正面切って話をすると変な煽り報道を誘発しかねない、というお気持ちも分かるんだが)のはまあアレなんだよなーとは思うのでありますが。


中国
30ページ(最終ページ)の『14.【中国】デジタル人民元の動向A』から

『・ 仲介機関(銀行)を介した間接型。このうち、中国人民銀行との間でCBDCを授受できるのは、特に認められた仲介機関のみ。
・ 中国人民銀行は仲介機関から手数料を徴収しないほか、仲介機関も顧客からCBDCの両替手数料を徴収しないことが前提。』

ま、アタクシはこのマネー供給の二重構造の部分が一番気になっている、という基本的にCBDCネタの中ではマイナーなネタの方に興味があるのでそっちを熱心に読んでしまいました。パス。






2023/02/17

お題「ニュース雑感メモ/レッツゴー三匹対策キタコレ」

著しく説得力に欠ける見解頂きました
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-stournaras-idJPKBN2UQ1R4
2023年2月17日4:46 午前
ECB、景気後退発生するほどの利上げ不要=ギリシャ中銀総裁

”=”以下の部分を見て何ちゅうか「あ、うん、そうだよね(棒読み)」という感想が出てしまいました。


〇貿易収支とかのニュース雑感メモ

・貿易収支ェ・・・・・・・・・・・・・

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230216/k10013981971000.html
1月の貿易収支 3兆4966億円の赤字 単月で過去最大
2023年2月16日 11時59分

『1月の貿易統計は3兆円を超える貿易赤字となり、1か月の赤字額としては過去最大となりました。』(上記URL先より、以下同様)

はい来ました。

『財務省の発表によりますと、輸出から輸入を差し引いた1月の貿易収支は、3兆4966億円の赤字となりました。貿易赤字は18か月連続で、1か月の赤字額としては、統計が比較可能な1979年以降で最大です。』

ということでやんすが、

『貿易赤字の増大は、輸入が増えた一方で輸出が伸び悩んだことが要因で、1月の輸入額は、原油やLNG=液化天然ガスなどエネルギー価格の上昇を背景に去年の同じ月よりも17.8%増え、10兆478億円となりました。一方、輸出額は6兆5512億円と、去年の同じ月を3.5%上回ったものの、伸びは小幅にとどまりました。このうち、最大の貿易相手国である中国向けの輸出額は17.1%減少しました。ことしは1月に中国の旧正月、春節の連休があり、企業活動が停滞したことが大きく影響しました。』

『エネルギー価格の上昇や円安による輸入額の増加が続く中、今後輸出額が拡大するかどうかも貿易赤字の先行きを左右することになります。』

円安にすると輸出産業が稼いでくれるから波及が起こって国内の所得も(゚д゚)ウマーという理屈はどこに逝ったのかと小一時間だし、所得収支がプラスだから問題ない理論にしたって、海外進出してる企業が海外で稼いだ分ってその企業の収益にはなるけど、それが国内に還流して設備投資に回るとかそういう結構な話にはならん(企業の従業員の所得には跳ねるでしょうけど)訳で、企業さんとしては成長が見込める現地での生産拡大のために設備投資を行い、その現地での設備投資が現地経済に波及効果をもたらすので更に現地市場のキャパシティが高まる、という好循環が起きてるの進出先国家(と考えると現地生産しやがれと言いまくってた大昔の米国は賢いという事ですな)じゃないの日本への還流は企業と従業員と株主までじゃん、ということで、なんかこう所得収支がプラスの割には(日本に設備投資などの形で還流しないもんだから)豊かになった気がしませんな、ということですなナムナムナム。

とにかくですね、円安になって稼ぎが増えて(゚д゚)ウマーどころか輸入がガンガン増えて貿易赤字拡大とか言ってるのが続いて行って黒字国じゃなくなった場合、経常赤字を垂れ流しても平気なのは基軸通貨の国だけの話でありますからして、(そらこれまでの蓄積あるから当分は垂れ流し可能でしょうけど)ジャパンのアホウのように積みあがった政府債務も勘案するとこれでいいのかと思ってしまったのですが、思ってしまったけでとりあえず記念メモということで勘弁してつかあさい。


・ホワットドゥーユーミーンby金融引き締め???

これは良いアンケート
https://jp.reuters.com/article/idJPKBN2UQ0LB
2023年2月16日6:10 午後
黒田日銀の政策、平均65.8点 「緩和縮小」望むが4割=帝国データ調査

『[東京 16日 ロイター] - 帝国データバンクは16日、黒田東彦日銀総裁の下での金融政策などに関する企業アンケートの結果を公表、政策への評価は平均で65.8点だった。』(上記URL先より、以下同様)

というのはどうでもよいのだが、

『帝国データによると、大規模な金融緩和が事業環境や為替・株価などに相応の効果をもたらしたと政策スタート時を評価する一方で、その後も方向転換することなく10年にわたり一貫して緩和政策を続けたことへは厳しい意見が多かった。』

全くもって然りとしか言いようがない。つまりそもそもの大規模緩和政策は、最初の触れ込み通りで「2年程度で成功裏に終わって終了する」という事をしないと、その後は緩和の副作用の方がどんどん増えていく、という政策だった訳です。

なんですかねえ、結局黒ちゃんの政策って初手からそういう物件になっていて、「後先のことを考えずにとりあえず雑にぶっこんでしまう」というのをやるもんだから、上手くいくときは良いんだけど、雑な作り込みになっているから後から修復しないと行けなくなって、しかも副作用が後から後から出て来るもんだからその修復と言っても壁の隙間埋めるくらいじゃ足りなくなって、昭和温泉旅館「にちぎん」になってしまう訳ですよ南無阿弥陀仏。

ま、それはそれとして、帝国データさんのアンケート、これは評価されるべきだと思ったのですが、

『今後の望ましい金融政策の方向性に関しては「金融緩和の縮小」が39.6%と最も多く、次いで「現状維持」(36.4%)、「金融緩和の拡大」(17.6%)、「金融引き締め」(6.4%)となった。』

ということで、このアンケート項目に「引き締め」と「緩和の縮小」がきっちりと沸かれている事ですわな(しかし緩和の拡大って何を拡大するんじゃ????、まあいいけど)。

足もとでは「金融引き締めはアカン」みたいな話があるのですが、これがまた言ってる人によって意味合いが明らかに違っているのに、同じ言葉を別の意味合いで使いながらああでもないこうでもないと話が進んでいるのがまさにミスコミュニケーションの極みなのですが、これはそもそも1ミリたりとも退かないとゆースタンスで(本来YCCというのは「経済物価情勢を踏まえて適正な規模の緩和状態を作る」ものなので短期政策金利はさておき長期の金利は情勢に応じて変化して然るべきものだった筈なのに)10年の許容変動幅をちょっとでも動かすのは引き締め、というような過激な情報発信をくりかえしていたもんだから、マイナス金利を0金利にする、ってどっからどう見ても緩和の程度をちょっと変えるくらい(そもそも論として政府部門が大借金経済なんだからマイナス金利は一種引き締め的な面もあるでしょと思うし)の話なんだが、それをも「引き締め」という人もいるし、アタクシなんぞは中立金利よりも金利低いなら緩和じゃろ(その中立金利がジャストで分からん謎数値なんでまあアバウトな話だけど)と思う人だし、まあいろんな意味があるのに皆さん定義しないままで使っているからもう最近の外野の論議って混乱オブ混乱って感じですわな。

とまあそういう中で、当たり前ちゃあ当たり前なのだが、少なくとも「引き締め」と「緩和の縮小」をちゃんと分けただけ帝国データバンクさんきっちりしてるわーと思ったのでメモっておきました。


・「政府が大資金不足状態の中でのマイナス金利って引き締め政策なんじゃねえの」から思いついたんだが

雑談ついでにふと今思いついたんですが。

「緩和政策によって財政規律が弛緩」ってのはまあ緩和政策は主犯じゃなくてそれ精々従犯ですよね、という話はよくあって、まあそりゃそうだと思ってたのですが、今上記の雑談してて思ったんですけど、マイナス金利となると話が別問題になりゃせんか、という気がしてきました。気がしただけでこういうのは頭の良い皆様にお伺いしたいんですけど。

マイナス金利って(別にあまねくすべてがマイナス金利じゃないから限界部分の話だけど)基本的には資金余剰主体から資金不足主体に所得移転が行われることと理解しておりますので(違ってたらゴメン)現状のようにマクロ的にみて個人も企業も資金余剰で政府が資金不足だと引き締め的な政策なんじゃないの、とは毎度思う訳ですよ。

ただ、これはその部分だけを捕まえた話なので、政府部門がマイナス金利によって民間部門から移転された所得をバンバンと財政支出してしまえば、マイナス金利という引き締めは相殺されるって話になるし、現実問題としては財政支出をバカスカだしているので別に引き締め的にならんわけですな。

ということは裏を返せばマイナス金利やってるとそのマイナス金利による政府部門から民間部門に対する引き締め効果を相殺するための財政支出をしないとアカン、ということになるので、マイナス金利をやっていると必然的に財政拡張圧力が高まってしまう、という事に繋がり、やっぱりマイナス金利ってのは中長期的な財政運営の健全化を妨害することになってね???と謎の理屈を思いついてしまいましたが、まあアタクシが思いつく位だから世の中でそういう議論って既にありますかねえ(滝汗)。

じゃあ2013年の政府との声明はどうしたという話だが、あれは「普通の」金融緩和政策を想定しているから、金融緩和政策が財政構造の健全化を妨げるなんてコンフリクトは基本的に無いっすよねという事なんだと思いました。

スイマセンなんか思いついただけです頭悪いのにゴメンチャイ。


〇レッツゴー3匹改めレッツゴー2匹の是正に着手とな(SLFと指値オペの運用見直しの件)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230216a.pdf
10 年物国債のカレント3銘柄にかかる金融市場調節面の措置について
2023 年 2 月 16 日
日本銀行金融市場局

・SLFの趣旨は「債券流通市場が円滑に取引されること」ですよ

ということでリリース文章を見てみましょう。最初の部分が「ランボー怒りの措置」というのが伝わって大変に美しい文学になっております。なんだ金融市場局やれば出来る子じゃん国賊とかいってゴメンチャイ。

『日本銀行では、国債補完供給の趣旨に即した利用を確保するとともに、』

>国債補完供給の趣旨に即した利用を確保するとともに
>国債補完供給の趣旨に即した利用を確保するとともに
>国債補完供給の趣旨に即した利用を確保するとともに

ランボー怒りのコミュニケキタコレということであります。これは何を意味するのか、というのをアタクシが勝手に口語訳致しますと、

「日銀が政策として国債の大量買入を行っている影響によって、債券流通市場における現物国債個別銘柄の流通玉が不十分になってしまうという副作用が起きえます。そうなると国債流通市場においてマーケットメーカーが困難になることによって、オファービットの拡大や取引可能ロットの縮小など、国債投資家による売買に支障を来すリスクがあります。このためここまでの間、日銀はSLFの利用条件緩和を行うことによってマーケットメイクの円滑化に資することによって国債流通市場の安定性を確保して参りました。

然るに、10年物国債カレント3銘柄においては、本来のSLFの趣旨をはき違えた利用、即ち特定銘柄に対する意図的なショートポジションを作るために、SLFを利用する、という動きが起きているかもしれませんわなというようなムーブが起きてたりするのかどうかよくわからんが、何はともあれ足もとにおいて10年367回、368回の価格形成が極めて異常な状態になっております。

本来のSLFの趣旨に即さない利用が横行するのは宜しくないので、当該銘柄の価格形成の正常化を図るべく今回は以下のような措置をとることにしました」

ということですな、戸田奈津子先生の超訳どころの騒ぎじゃねえぞとかいうツッコミが聞こえた気がするが幻聴幻聴。

『金融市場調節の一層の円滑化を図る観点から、10 年物国債のカレント3銘柄のうち、レポ市場における需給が長期に亘り著しく引き締まる懸念があると認められる銘柄を対象に、国債補完供給および連続指値オペについて以下の措置を講じることとしますので、お知らせします。』

ということで以下の措置になる。なお施行は27日から。


・品貸料の引き上げとか貸出上限の引き下げとか特別措置銘柄の午後オファーをしないとか

『1.国債補完供給上の措置』ですが。

『(1)最低品貸料の見直し
本年 2 月 27 日以降、10 年物国債のカレント3銘柄のうち、対象銘柄(注)について以下のとおり最低品貸料を見直します。』

でもって注記は
『(注)具体的な銘柄および最低品貸料は、金融市場の情勢等を勘案し、国債補完供給の実施の都度決定します。』となっていますが、これはどう見てもレッツゴー二匹を想定しておられるのは自明。

『従来の取扱い:0.25%
見直し後の取扱い 原則として:1.0%(注)』(この部分、表組みになっているのを都合上アレンジしてます)

コスト4倍ネーという話だが、年利1%って月間8銭2厘ですからまあねって感じですが。

『(2)銘柄別の売却上限額の引下げ

(1)の措置を講じる銘柄については、特に必要と認める場合には、銘柄別の売却上限額を「日本銀行の保有残高(注1)の
100%」から引き下げることとします(注2)。』

『(注1)原則として、前営業日の残高から当日までのオペ等で売却が決定している金額を除いたもの。(注2)具体的な銘柄別の売却上限額は、国債補完供給の実施の都度決定します。』

そもそも日銀が発行残高の100%以上持ってる銘柄に関して理屈の上で(実際にそこまで出ないけど)発行残高以上に貸出が可能というのがあたおかなのでそらそうよという話ではあるのですが、

『この場合、売却上限額を引き下げた銘柄については、原則として午後のオファーは行いません。』

ここもしれっとお洒落でして、こうなると午前のSLF申し込み時限に間に合わないタイミングで受渡のフェイルが分かってしまった場合、それを日銀の輪番なり指値オペにぶっこんだりしていると、日銀に対して引き渡しが出来なくなってしまい、しかも駆け込み寺SLFは無情にも閉店しているということになりますな、もちろん自力救済は出来るんですが、最悪日銀のSLFに行くからこれ以上のコストは払いませんよ攻撃ができなくなるので中々お洒落な事になるのかもしれませんな、南無。

なお現状レッツゴー二匹のSLF残高ですが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230216.htm
の下の方にありますが、

『(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、(途中割愛)367回(12,553)、368回(8,082)(途中割愛)です。』(ここだけ直上URL先の昨日のオペ結果から引用)

だそうです(この辺の銘柄日銀保有額は8兆円超えね)。あ、ちなみに元のリリースに「売却」ってあるのはSLFが「売り現先方式」になってるから売却となっているというテクニカルな話ですので為念。


・やっとあのヘナチョコ買入止めるのか

元の紙に戻って次のページ。

『2.連続指値オペ上の措置

1.の措置を講じる銘柄については、国債売買市場における利回り水準が0.5%に達しないと見込まれる場合には、連続指値オペの対象としないことがあり得ます。』

いやーこれをもっと早くにやって欲しかったんですが、(たぶん)売買参考統計値からの利回り較差方式でやってたから、369を0.50%で買うのは良いんだけど、367とか368がそこから20bp以上も低い利回りで買ってて、いやそれ10年0.50%指値オペじゃねえだろただの高値買取だろという話でしたので、やっと是正したかという感じです。

まあこれですけど、レッツゴー2匹の利回りが369に近づいてくれれば措置は元に戻るって感じなんでしょうけれども、ここまでやっちまってしまった以上これでマジでもどるのかはよくわからん。戻るにしても完全に戻るという感じでもないでしょうし。

まあそんな感じでざっくり説明でありました。



〇しまったメスター

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-rates-idJPKBN2UQ19L
2023年2月17日12:20 午前
インフレ上振れすればより積極的利上げの可能性=クリーブランド連銀総裁

その他諸々週末時間があったらチェックしますが、さすがに先週のような臨時更新するほどのネタでも無いと思いますのでまあそれはパス。





2023/02/16

お題「政策の継続がどうしたこうしたが政治問題になりかねない不毛というか不幸/賃金に関する日銀ペーパー出てますよ」

気球盛り上がってますねえwww
https://jp.reuters.com/article/usa-china-balloon-idJPKBN2UP0MG?il=0
2023年2月15日6:59 午後
米気球は新疆・チベットを飛行、制裁に対抗措置取る=中国外務省

そのうち佐賀県でやってる熱気球コンテスト(でしたっけ)をとっ捕まえて「偽装した形でわが国への攻撃準備訓練を行っている!」とか言い出すに1ジンバブエドル。(まあ関東軍特種演習とソ連参戦の例もあるから向こうがそれ言い出すの結構シャレにならんのだが)

#風船爆弾は日本のあたりでは東方面にしか飛ばないんですけどぬー。




〇いやおまえらアベノミクスの残課題は政治の仕事だろいいからおちつけ

昨日で打ち止め、と思ってたら相変わらずうるさいのとキッシー何気にぶっこみまくっているのでやっぱり新総裁人事案巡るネタ雑談メモを。

・全然進まないで日本の成長力がまるで上がらないの第三の矢なんですけどねー

数日前にこんなのがありまして、
https://jp.reuters.com/article/boj-governor-idJPKBN2UM00S
2023年2月12日11:10 午前
日銀次期総裁、誰がなってもアベノミクスの総括必要=長妻・立民政調会長

いやだから日銀が総括すべきは「黒田の金融緩和」であってアベノミクスじゃないし、そもそもアベノミクスのアカンのは「第三の矢」について安倍ちゃん碌すっぽ手をつけないまま安直にしょーもないバラマキばっかりやって、労働生産性向上とか成長力強化とかそういうのが進まず潜在成長率はほぼ0%のまま、ってのが続いていることであって、そっちはどう見ても政治の仕事。

だから「アベノミクスと言ってるけど肝心の構造改革進んでいないし、政府と日銀の共同声明に謳われていた中長期的に持続可能な財政運営してるのか」という看板に偽りあり(結局のところ安倍ちゃんの人間性の問題に帰着しますがこれは)という話をするならまあ分かる。

日銀政策の総括が必要なのも分かるんだが、それはあくまでもアベノミクスの是非ではなくて、寧ろ「極端な金融緩和は経済の非効率を結果的に温存する形になり、アベノミクスで求めている成長力強化を阻害する」方面として「黒田緩和は良かったのか」という話をすれば良いのに、端から安倍否定から入ろうとするからダメなんだよなー立民はセンスがねえ。

と思ったんだがまあ雑魚はどうでもよいと思っていてスルーしてたらこれですよ。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021400434&g=eco
アベノミクスの「仕上げ」期待 次期日銀総裁に注文―西村経産相
2023年02月14日11時16分

いやーほんとこいつは何なんだという感じですが、アベノミクスの仕上げは第三の矢の構造改革推進だろお前何言ってるんだてめえの仕事だろボケナス、という感じなのですが、この調子なもんで昨日の国会では、

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013981361000.html
岸田首相 「『アベノミクス』継承するか日銀として判断」
2023年2月15日 18時44分

『日銀の新たな総裁人事で、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する案に関連し岸田総理大臣は衆議院予算委員会で「『アベノミクス』を継承するかは、マーケットなどと対話を重ね、日銀として判断していくことになる」と述べました。』(上記URL先より、以下同様)

どういう事やと思って拝見すると、

『この中で、岸田総理大臣は、日銀の新たな総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する案を14日、国会に提示したことに関連し「アベノミクス」の継承が念頭にあるのかどうか問われたのに対し「『アベノミクス』はデフレでない状態を実現するなど大きな成果もあげてきた。それをしっかりと成長と分配の好循環につなげていきたいと思っており、政府の方針も念頭に置きながらマーケットの状況などもしっかりと判断し、対話を重ねながら、日銀として適切な行動・手法を判断していくことになる」と述べました。

そのうえで、2%の物価目標を掲げる政府と日銀の共同声明について「内容を変える、変えないと言及するのは時期尚早だ。まずは新しい体制のスタートを実現したあとの話だ」と述べました。』

・・・・・・・これアタクシが読みますと「黒田緩和は止めましょう」って言ってるのと同義にしか見えなくて、安倍残滓がワーワーうるさいし、わざわざ正面切って安倍ちゃん否定して余計な騒ぎはしたくないけど、植田先生一つお願いします、って言ってるようなもんじゃん、と思いました。まあ読み方は人それぞれだとおもいますが。

一々引用しないけど「マーケットとの対話」とか「受信力」とかそういう話も一連の答弁の中であった訳でして、キッシー中々の陰キャでわざと表舞台に立たせて失脚させる(安倍ちゃん肝入りの比例単独ねじ込み差別発言しまくりんぐの某政務官とか)というような陰湿な技をぶちこんでくるのですが、今回もまた自分は直接手を下さないけれども、まずは黒田の見直しという形で黒田にダメージを与えることによって安倍ちゃんの権威をさげて行きましょう、ということですね。いやー債券市場などという陰湿なことやってるとすっかりそういう事ばっかり思い浮かぶ〜。


とまあこれは実は前座でして、


〇昨日はギャグ成分高めだったのですがもうちょっと真面目に言っても黒田は人の道として・・・・・・・

まあ前任が政治的、というか安倍ちゃんによる個人的趣味嗜好かつ科学的思考を排除した選考によって選出されてしまった、というのの後任だから、ってのはあるのですが、こうアベノミクスがどうのこうのってアホみたいに話題になる(もしかしたら人のうわさも75日でたまたまこの時だけかもしれないけど長引く可能性も否定できないですよね)という風になりますと、植田日銀になってからも大変だと思うのですよね。

でまあこれが物価0%で経済も何かアカンですタイとなっているんだったらそらまあダラダラと金融緩和を続けてても申し開きは立つのですが、一方で物価上昇怪しからんだの、円安怪しからんだのという状態で、しかもCPIは4%だし基調的な物価指数は軒並み過去20年になかった上げ方をしている、という状態なのでありますが、そういう状態だからYCCやマイナス金利を解除します。って言っただけで「アベノミクスに盾突く謀反人」とか「反アベノミクスの英雄」みたいな話になっちゃうの明らかにマズいですし、日本の不幸じゃないですか(まあ安倍ちゃんに長期政権やらせた国民の自業自得と言われるとぐうの音もでませんが)。


と考えますと、やっぱり黒田緩和の幕引きは最後にちゃんと黒ちゃんにやってもらった方が良くて、経済物価情勢の好転を理由にして今までのハイパー緩和は成功したのでお役御免、これからも緩和は必要だけどもう少し大人しめの緩和にします、っての黒田が宣言しないといかんし、どうせどこかでYCCは否定されるんですから、だったら黒田が「YCCは目的達成したのでお役御免宣言」という形で幕引きをすれば、アベノミクスガーで騒いでるバカスケどもも静かになるんじゃないでしょうか、と思うのでちゃんと幕引きを黒田は人間の道として行うべきだ、という結論になるのですし、いやマジで黒田が自分の目先のつまらん対面じゃなくて、後世に残る評判とかも考えたら、最後に幕引きしておかないとそれこそ石碑に小便かけられる扱いになるでよ、と思いました次第です。



〇状況は変化してるんだから極端に増やした輪番そのまま何も考えずに運営してるのは何なんでしょうね

昨日の輪番オファー
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230215.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,250 2023年2月16日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,750 2023年2月16日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,000 2023年2月16日
国債買入(残存期間25年超) 2,000 2023年2月16日

減らさねえのかよ!!!!!というか何というか、これ5年長期共担を何も考えずにそのままホイホイと打ってるのと根っ子の部分が同じ話で、少なくとも近い将来において物価安定目標の達成が現実的になってくるという段階に至った時に、短いところならまだしも、長期とか超長期の輪番を相変わらずの滅茶苦茶ペースで継続してたら次の5年間(下手したらもっと先まで)金融政策運営を窮屈にすることになり、それはつまり究極的には長期的な視点で見た場合に国益を損ねるリスクがある訳でして、つまり金融市場局は国賊、という話になるんだが(論理が飛躍し過ぎですかそうですか)。

まあこれがブタ売られしててて防衛戦じゃああああとなっているんだったら話は分かるんですけど、防衛戦どころか植田さんノミネート報道以来思いっきりブルフラットしている相場で、特に超長期なんてそんなに買わなくたって良いじゃんと思ったら結果はこの有様。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230215.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 8,575 4,254 -0.003 0.000 2.2
国債買入(残存期間5年超10年以下) 16,247 6,758 -0.003 -0.002 78.4
国債買入(残存期間10年超25年以下) 5,461 3,003 -0.006 -0.003 74.8
国債買入(残存期間25年超) 2,523 2,001 -0.017 0.003 2.1

超長期後半の輪番応札倍率1.3倍割ってるじゃんという話で、そらもう強い方にダダ流れする結果になっている訳で、超長期のロンガーエンドの金利低下を煽るようなオペを自らぶっこみにいって、国債市場のボラティリティを引き上げてしまう、という行為をしている訳で、「市場機能に配慮するためにYCCの10年金利変動許容幅を拡大する」と言っていた12月決定会合の心はどこに行ったのでしょうかと小一時間問い詰めたい。

超長期の金利上昇が怪しからんからもっとバンバン金利を能動的に下げたい、ってんだったら行動の意味はわかるんですが、それならそれで金利をさげたいと思っている理論的なバックグラウンド、すなわち均衡イールドカーブおよび現時点で日銀が望ましいと思っている均衡イールドカーブからの緩和度合い(金利の下方乖離度合い)を年限ごとに概ねレンジで示して頂きたいと思いますし、そうじゃなくて何も考えずに前回同様オファーしてるんだったらもうちょっと物を考えろやと思います。

などと調節部隊向け悪態をついているようでアレなのですが、そもそも論としてそういう部分を調節の現場に丸投げしている、という無責任政策が今のYCCの運営だったりしておりまして、丸投げされたほうだってタマランチ会長にも程があるでしょうと思うので、同情の余地は海底五万里くらいはあるんですよね。金利水準も10年0.50%だけは与えられてるけど他はあるんだかないんだか分からない(少なくとも暫く前の他年限指値のレートが動いてたのを見ると「現時点で誘導すべきイールドカーブ」が政策委員会から降りてきている感じはしませんよね)とかドイヒーな話なんですよね。

ちなみに、クソどうでもよいですが、ジンバブエ先生唯一と言っても良い位のぐうの音も出ない正論は、このYCCの長期コントロールの裁量を現場に丸投げするのは政策委員会の責任放棄じゃねえか、みたいなのを言ってた気がするんですけど、これだけはジンバブエ先生の仰せの通りですなと思うのでした。


まあしかしオペがこの調子になっている事も鑑みますと、そんなに悠長に点検とかしてる場合ではない、という事に成ろうかと思うのですがどうなんでしょうかね。



〇お賃金の例のシンポジウムのペーパーキタコレである

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/wp23j01.htm
わが国の賃金動向に関する論点整理
2023年2月15日
大久保友博*1
城戸陽介*2
吹田昂大郎*3
高富康介*4
幅俊介*5
福永一郎*6
古川角歩*7
法眼吉彦*8

要旨ってのがありますので上記HTMLからまずは。

『要旨

本稿では、日本の名目賃金を上がりにくくしていた様々な要因について米欧と比較しつつ整理し、それらの一部については感染症拡大の前後において変化の兆しがみられることを示す。』

>感染症拡大の前後において変化の兆しがみられることを示す
>感染症拡大の前後において変化の兆しがみられることを示す
>感染症拡大の前後において変化の兆しがみられることを示す

ほうほうほう。

『具体的には、人口動態も反映した労働供給面から生じる労働需給の引き締まり、パート労働者比率の上昇トレンドの頭打ち、転職市場が賃金上昇を伴う形で活発化する兆し、賃上げ交渉における物価上昇への意識の高まり、といった点を指摘する。』

うむ。

『今後の日本の賃金上昇のペースや持続性を展望するうえで重要な論点としては、(A)一般労働者の中でも相対的に雇用流動性が低い労働者も含めて賃金が幅広く上昇するか、(B)企業の成長期待が高まって投資活動が活発化し労働生産性の上昇につながるか、(C)スキルアップを通じた労働移動が円滑に行われるか、(D)低インフレのノルムのもとで賃上げが抑制されていた状況が変わって物価と名目賃金が共に上昇していくか、といった点が挙げられる。』

なるほど。なおこちらですが、

『本稿の内容は、日本銀行の「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ・第3回「わが国の賃金形成メカニズム」(2022年11月25日)の第1セッションにて発表された。本稿の作成にあたっては、指定討論者の神林龍氏のほか、青木浩介氏、植田和男氏、川口大司氏、小枝淳子氏、陣内了氏、星岳雄氏、渡辺努氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。』

おや、何か最近よく見る文字列がありますな。

『図表の作成では、加来和佳子氏に助力をいただいたほか、Orsetta Causa氏からは米欧の労働市場に関するデータの提供を受けた。また、経済産業省「企業活動基本調査」および厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の調査票情報の提供を受けた。記して感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。』

こちらのワークショップ、初回が企画局主催で大本営発表の追認理論が前面に打ち出されてゲップがでたのでネタにした覚えがありますが、2回目からは調査統計局による分析が入って大本営臭が解毒された感がありましたな。なおこの3回目は企画局と金融市場局の共済でした。

ということなのですが、本文をちょろっとだけ拝読しますと(分析部分は数学が分からないのでパスしたが中身は斜め読みした)。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/data/wp23j01.pdf

本文14ページ(PDF15枚目)のケツの所にある見出し、『3.コロナ以降の賃金動向 』から先をまずは眺めるのがよろしいかと思いますが、本文22ページ(PDF23枚目)からがまさに超直近の話でして、

『(D)物価上昇のもとでの賃上げ交渉

低インフレが定着するもとで賃金のベースアップが凍結ないし小幅にとどまってきたことを前節で示したが、直近では年平均で約 30 年ぶりとなる消費者物価の上昇を受けて、2023 年の賃金改定交渉(春闘)への注目が高まっている。』

『連合が決定した「闘争方針」によると、2023 年のベースアップ要求率は、2022年の消費者物価上昇率を反映し、1990 年代半ば並みの3%(約2%の定昇分を除く)となっている(図表 36)。大企業からは物価上昇に応じて賃金を構造的に引き上げる必要性を指摘する声が相応に聞かれているほか、収益環境が比較的厳しい中小企業を主な対象としたアンケート調査「商工会議所 LOBO」(2022 年12 月時点)においても(図表 37)、賃上げの理由として物価の上昇を挙げる回答が顕著に増加している。』

22ページの下に『(図表 36)ベースアップの要求と実績』と『(図表 37)企業が賃金を引き上げる主な理由』というのがあって、イイハナシダナーという図になっているので是非ご覧あれ。

『企業の収益環境の見通しや、ベースアップと一時的なインフレ手当との関係など、不透明な面は多く残っているものの、低インフレ期の状況からは何がしか変化の可能性が期待される。』

ということでイイハナシダナーな指摘があったり、まあでも大変だよねという論考があったり、色々と分析してて面白いです。あたくし素人目にちと引っ掛かるのは、日本の労働市場って都市部と地方では生活費の構造が違うとか産業構造が違うとか、そういうのがあってなんか一緒くたに括りにくいように思えまして、もちろんマクロ的にこれはこれで仰る通りなのですが、なんか個票データに落とした場合に、傾向として2つのもの(またはそれ以上のもの)の塊みたいなのがあって、それをアグリゲートしたものをマクロ指標としてみてるんじゃないのかな、っていうのはど素人の直感的な感想として思うのですが、実際その辺りはどうなんでしょう。そういうのは詳しい方多くいらっしゃるとは思いますので回りまわって誰かそういうの調べてる人とかのペーパー読んでみたいな、と思いました。




2023/02/15

お題「結局植田さん関連ネタまだ雑談/5年共担と日銀保有残メモ」

何はともあれ無事に報道通りに国会に提示されて何よりであります。しかしまあ「ワシは植田を良く知っとる」くらいならともかく「日本のバーナンキ」とか今の物価状況や世界の金融政策の潮流から言ったらそれ蔑称になるだろお前何を言ってるんだというようなものもあれば、「植田はワシが育てた」という壮大なフカシも散見されるなど、まあ便乗合戦ドイヒーと思いながら見てますが、何はともあれこういう時に重要なのは「嘘吐きは泥棒の始まり」というのを銘じながら真贋を見極めていくということですな。


〇書くのこれでおしまいとか昨日申し上げたがちょっとだけ

・読売なんか知らんが落ち着け

いいからお前はおちつけ
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230213-OYT1T50240/
植田和男氏ら日銀次期総裁「学者リスト」昨秋に…理論派トップにトロイカ体制
2023/02/14 10:26

『政府は14日、衆参両院の議院運営委員会理事会で、4月8日で任期満了となる日銀の黒田 東彦はるひこ 総裁(78)の後任に経済学者の植田和男氏(71)を起用する人事案を提示する。初の「学者総裁」の実現へと動いた政府の候補者選びの内幕を検証する。』(上記URL先より)

いやまあこの記事の内容についてどうこう言う気はあんまりないんですけど、「本当はこういう内幕です」なんてえのは少なくともノミネートされただけの時点で平場で書くようなもんじゃないでしょと思う訳ですよ。いやまあ読売さんがこの人事案に悪意を持って潰したいというならこういうのをぶちまける行為に出るのも分かる(賛同はしない)のですけれども、これから人事案の国会承認があるっていうタイミングでこういう内幕物を出しちゃうっての何かの拍子に変なハレーションが起きて本来まとまって然るべきものが凄まじく本質と関係ない理由で壊れちゃったりするリスクだってある訳ですよね(外交交渉中でまだまとまっていないのに「内幕はこうです」みたいなのを報道するようなもん、と言えばアタクシの言いたいこと伝わるでしょうか・・・・・・・)。

しかもですな、読売さん年初早々1月金融政策決定会合に関して盛大なる大誤報をぶっかましてくれたばっかりでございまして、総てを見てきたかのような内幕記事書ける新聞社が何であんな大誤報をカマすんでしょうとか考えると、植田総裁ノミネートに便乗してこの前の大誤報をリカバーしようとしてるんジャマイカ位の思いを持って読みたくなってくるのがさすがにここもと12月から散々振り回されたワイの率直な感想であって、別にこれは個人の率直な感想でいってるだけで、アタクシとてこんな雲の上の高高度の話とか1ミクロンたりとも分からんので出ているいろんなものを集めて考えていくしか無いんですが(というかこの手の考えるのって面白いけど不毛だからあんまり考えないんですけどね)。

てかですね、先般来の結果的に大誤報攻撃を各社ぶっこむ(結局事前報道をしなかった所以外全員何らかの誤報をしている状態ですわな、人事と言い1月決定会合といい政府日銀共同声明の扱いといい)ということになっているのって、まあ「ペラペラと良くしゃべるけど適当にフカシをする要人がどっかにいる」のか「意図的にフカシ情報をつかませている要人がどっかにいる」(前者は分かって無いフカシ、後者は情報操作のためのフカシね)ということなんじゃなかろうか、とまあアタクシもただの個人の妄想ですけど、まあそんなこと思ったりするのですよね。てかこの手の問題、最終確定後なら兎も角、こんな早期の段階で本当に判断したりする人およびその周辺が口を割る訳ないじゃないですか、と思う次第でして、これ1から100まで事実だったとしても、4月の黒田さんの任期切れと植田さんの正式着任後に出て来るんだったらまだしも、何でこのタイミングで出すんだよ読売さんらしくねえな、と思いましたが、あくまでも個人の感想でございますのでよろしくお願いいたします。


・これはまた黒ちゃんエラい言われよう

https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/340114
日銀総裁交代(上) 跡濁し去る「刺客」 大規模緩和 袋小路に
2023/2/15 04:00

こちら惜しくも有料記事になっておりましてほぼ内容読めないんですけど、共同通信さんが連載する解説の転電(山陰中央新報さんは共同の会員のはずなので転電して有料記事にするのは全然おけまる)となっております。まあこういう扱いだからか共同さんの47ニュースの方では記事としては掲載されてないのかなーと思うのですが、共同通信さんこれはまたエライ言いようでござんして、共同通信加盟各社の新聞媒体に掲載されてたりされてなかったり(するのは各社の判断ですから)という所だと思いますので、道新なり中日なり西日本新聞なりでもご確認あれ。

・・・・・・・でですね、まあこの山陰中央新報さん(というか共同通信さんですが)の「跡濁し去る」ってのが中々強烈でして、まあ確かに直近1年弱で聳え立つクソの山を築き上げたのは確かでございますし、しかもそれを収拾するどころか更に積み上げる5年共担オペまでぶっこんで去っていくという流れなのでまさに仰る通りでぐうの音も出ないのですが、お前らちょっとは自制しろ(いいぞもっとやれ)という風情でございまして、人の世の栄枯盛衰とは恐ろしいものよとハナクソホジホジしながら眺めている訳ですが・・・・・・・・


・黒ちゃん起死回生の一発があったらマジ受けるんだが

ということで山陰中央新報さんの(と言ってもほぼ見出しだけですけどURL先いきましても)話じゃないですが、直近ものの見事に「植田さんは黒田が散々とっちらかしたものの後始末をやるという大変な立場ですね」ということで、物凄い勢いで黒田さんの晩節がアレ化していく現象を眺めておる次第なのでございまして、このままでは黒ちゃん「10年かけて散々好き放題やった挙句後始末を全部後任に放り出したクソタワージジイ」という大変な偉業を成し遂げた方になってしまい兼ねません。

・・・・・・ということで、ここは黒ちゃん起死回生の一発というのがあって、3月最後の会合でまさかの植田さんの手柄横取り大作戦としまして、YCCの(マイナス金利はまあ残しやるとしまして)長期ターゲットの撤廃、あるいは短期化、あるいは大幅拡大による事実上の形骸化、など本来植田さんが「よくぞ異常な金融緩和政策から普通の金融緩和政策に戻した」と言われて然るべき所を、さっくりと横取りしまして、「黒田さんは最後に後任の為に道筋を作ってエライ」と言われ、さらには「2%物価目標達成はワシが育てたガハハハハ」という起死回生の一発が残されていたりするんですなこれがまた。

いやまあ勿論トンデモに近いシナリオではあるので冗談100分の99くらいで聞いて頂きたいのでございますが、兎にも角にも「2%達成への道筋が見えました」みたいな大勝利宣言をしないとそういう事は出来なくて、いやおまえ1月の決定会合で何言ってたのというツッコミは当然飛んでくるのですが、なにせ黒田日銀は特に2期の最後に至って完全に「政策が先にあって理屈は後からつける」というスタンスが明確になってしまって、その結果例えば2021年3月に「経済物価情勢を鑑みると10年金利の許容変動幅は上下0.25%程度が適切」と言ってたのに、その後の情勢変化は全く無視して2022年4月に指値オペバンバンやりまっせと言うわ、2022年12月に経済物価情勢の判断を何も示さずに単に市場機能論だけを持って変動幅を上下0.50%まで大幅拡大するわ、というようなロジック大崩壊政策ばっかりやっておった訳ですからして、このひとたち3月になって突如最後はやっぱり花道で飾ろうとか思い出したら1月に言ってた事なんて平然と反故にして大勝利宣言をぶっかましてきても何らおかしくは無い、という位にまでは既に政策の論理性とか整合性に関しての信認は無い筈なのでして、ロジカルに考えたらこう、というのは植田総裁になってから考えるようにした方が良いと思います。

まあ何ですな、起死回生の一発あったらマジ受けるんですが、やったら全身白塗りで常盤橋公園で無許可一人暗黒舞踏大会絶賛実施とかうっかり言うとお巡りさんこいつです事案になって植田日銀の雄姿をみれなくなったら無念の余り成仏できないまま2000年くらいその辺を漂うかも知れないので、今回はまあおとなしくしておきたいと思います(^^)。


〇5年長期共担特に盛り上がりませんでしたな&チーペスト引き続き減額措置

・5年共担はもう担保繰りとかバランスシート的にそこまでって事なのかしら

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230214.htm

共通担保資金供給(全店)<金利入札方式> 10,000 2023年2月15日 2028年2月15日

ということで昨日の5年長期共担はこれまでと同じく1兆円のオファー。昨日の駄文では思いっきりスルーしてしまいましたが、実はこの札どうなるのかとか結構楽しみにしてたのですが、まあ変な色も出さずに1兆円ですかそうですか、と来ましてからの結果。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230214.htm

共通担保資金供給(全店)<金利入札方式>(2月15日スタート分) 30,318 10,004 0.100 0.121 19.0

初回から順に(応札/落札 平均利回り/足切り利回り)
1/23入札実施分:31,290/10,003 0.145%/0.110%
1/31入札実施分:32,639/10,004 0.142%/0.100%
2/14入札実施分:30,318/10,004 0.121%/0.100%

ということで応札は毎回3兆円あるのですが、落札レートの方は徐々に下がっていまして、そらまあ担保繰りの問題もあるし、うっかり2年共担9兆円(とちょっと)の方に沢山ぶっこんでしまった方とかだと、そんなにバランスシート拡大できねえよとかいうのもあるでしょうし、ということでレートが下がるんですかねえとはいうのはまあそれはそれで分かる。

・・・・・・ただですよ、この長期共担って毎度アタクシが申し上げているように、物価目標の達成がそれなりに展望できるようになって、短期市場金利の誘導という政策、もしかしたらそれが「普通の緩和政策」であったとしても、まあ短期市場金利の誘導一本に戻すときになって、物凄い低利の過剰流動性となって、短期市場金利の誘導の邪魔を大いにする(大超過準備を含む当座預金に全面的に付利すれば誘導は出来るとは思いますが、その時に逆ザヤになって日銀の期間損益が赤になった瞬間に国会で大叩かれになるのは火を見るより明らか)事になるオペで、しかも数か月とかなら兎も角5年な訳でして、こんなの雨宮さんがちゃんと責任もって収拾するんでもないのに打つのは何ぼ何でも人間の道に外れてませんでしょうか、という物件な訳でして、雨宮さんが後任じゃないというのが明らか(いやまあ今の人事案がひっくり返ってやっぱり雨宮さんとなるかもしれないから確定じゃないけどさ)だという事になってからも何も考えずに漫然と打ち続けられるもんなのか、というのを考慮(打たないと断定している訳ではないので念のため申し添えますしあくまでも個人の意見ですので悪しからずご了承ください)しますと、その割には無茶苦茶落ち着いた結果になったのは中々味わいがあって、バランスシート制約か担保制約のどちらかが結構もう来ている、つまり共担オペ系の手段って早くも限界(そら2年オペ9兆も打てばね、とは思うけど)に近づいているのかな、と思いました。よう知らんけどな。


・3月限チーペストの日銀保有が減るのは結構結構ではありますが・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

まあ資金需給を確認していれば既に国債補完供給で減額措置と思しきものが行われているのは先刻ご承知の介だと思いますが、ゆうてるアタクシも一々ネタにしておりませんので旬報で確認ってことで。

ハイパー安直おじさんなので1月31日現在の残高のエクセルのシート張り付けて引き算させたのをテキストてペタペタ貼り付けます。

358 65,347 -5,366

367 86,968 430
368 88,880 448
369 33,619 3,354

とまあそんな状況で、3月限チーペスト銘柄の日銀保有が発行残高以上だの残高並みだのという状況がここで解除されたのは結構なのですが、相変わらずレッツゴー三匹の方はレッツゴー三匹(と言っても369は2月リオープンしているので発行額対比では今の所セーフ)でして、既に100%以上保有している367と368がまた増えてるのかよもう勘弁してよという感じです。

話さないとか言ってる割にまた植田日銀ネタになっちゃうんですが、「植田さんは理論派でちゃんとロジックを固めてから動くから4月の着任早々に政策見直しとかねーよ」という理屈はそれはそれで一理というか千理くらいはあるのですが、如何せん今やっているうんこタワー絶賛大積み上げ政策の方の持続可能性と市場機能破壊による市場維持可能性というものがありまして、夏以降だの言ってるのはお前らちょっといいからJGBマーケットメイクしてから物を言え(と言ってるアタクシも別にJGBのマーケットメイクなんてしてたの20万年前くらいの話で今はただのジジイですから偉そうな物言いできる立場じゃないですすいませんすいません)と思う訳でして、積み上げられるうんこタワーが崩壊したらエライことになる、という状況を無視した発想ってのはどうなのかなって思うのですよ。

まあいつもの日銀による異常なまでの現場力の巧みさによって、目先何とか誤魔化して問題の先送りを続けることが可能なのかもしれないけど、とにかく昨年の3月4月以降やることがドンドン過激派原理主義になっていっているので、現場力だけでどうにかなるもんなのかよ問題があるんだよなーと思いながら残高データちゃんの手元更新を行うのでありました。


〇FED要人発言の後日参照用俺様向けリンク先クリップだけおまけに

すいませんすいません自分用備忘です。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPL6N34U0EZ
2023年2月15日5:47 午前
インフレなお高すぎる、FRBの物価抑制策は痛み伴う=NY連銀総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-harker-rates-idJPKBN2UO1SP
2023年2月15日4:58 午前
米金利、5%をどの程度上回るかは指標次第=フィラデルフィア連銀総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-logan-balance-sheet-idJPKBN2UO1JV
2023年2月15日2:25 午前
FRBのバランスシート縮小、かなり長期間続く=ダラス連銀総裁

肝心の米国CPI
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-inflation-idJPKBN2UO16E
2023年2月14日11:10 午後
米CPI、1月は前年比+6.4%に鈍化 21年10月以降で最小

『[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が6.4%と、前月の6.5%から鈍化した。伸びは2021年10月以降で最小となったものの、市場予想の6.2%を上回った。』(上記URL先より)








2023/02/14

お題「植田先生本日ノミネートですので関連雑談は概ね今日でいったん打ち止めかしら」

色々なものが正常化していくのは実に結構結構。

〇植田先生本日ノミネートでいろんな人のいろんなのが沸いて出てますが用法容量にはご注意を

・ちゃんと玉をみないといけませんわよ

ということで玉石混交にも程があるのを色々とみて昨日は楽しんでおりましたが、その中でこちらは玉中の玉と言ったところですね。

https://jp.reuters.com/article/interview-nri-boj-idJPKBN2UN07T
2023年2月13日1:56 午後
インタビュー:日銀新総裁は実証主義的、新たな緩和体系模索も=野村総研・井上氏

『[東京 13日 ロイター] - 野村総合研究所の井上哲也・シニア研究員は13日、ロイターとのインタビューで、次期日銀総裁候補の植田和男元日銀審議委員について、政策運営の手法はデータに基づく実証主義的なスタイルだと指摘した。データを見極めた上で、賃金や物価の持続的な上昇という好循環が確認できなければ、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の副作用を踏まえ「新たな金融緩和の枠組み」に移行する可能性があると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

紛らわしい書き方になってるのこれ記者の日本語力の問題(お前が言うなとツッコまれそうですけど)かよと言いたくなるのだが、「データを見極めた上で、賃金や物価の持続的な上昇という好循環が確認できなければ」ってサラッと読んでると逆の意味に読めてしまう言い方で、「確認できなくても」というのが日本語の表現として誤読を招きにくいと思うのですけどね。

『日銀出身の井上氏は、2000年冬から03年春にかけて当時審議委員だった植田氏の専属スタッフを務めた。植田氏に関して「何々派に明確に属するわけではなく、研究スタイルは非常に実証主義的」と指摘。「経済や物価は複雑だという認識の下で、経済理論のツールを局面に応じて柔軟に応用していくのではないか」と述べた。』

とまあそういうことで、井上さんは植田さんの政策スタッフしておられたという本物ですし、具体名勝手に出して恐縮ですが、本石町日記さんの中の人とかも植田審議委員に何度となく取材に行かれて色々と植田先生のご見識を聞いておられるという本物。

でもって井上さんのコメントですが、

『その上で、物価と賃金の持続的な上昇が確認できれば「データが背中を押す形で日銀の金融政策は正常化すればいいと判断するだろう」と予想。反対に持続的な動きが確認できなければ、いずれかの時点で現行のYCCの副作用などを考慮して「新しい金融緩和スタイルに移行せざるを得ない」とみている。』

という説明をしていて、どっからどう見ても「少なくとも今の超過激派原理主義政策運営は見直されて然るべき」って説明を井上さんはしておられるはずなのに、記事の書き方が「新たな金融緩和の枠組み」というのを強調してハト強調みたいな事を井上さんがおっしゃっているように書いてるのいただけませんですよね。日経あたりよりは全然マシなんですけど、ロイターさんでもこう書いちゃうのって何でそうなっちゃうのかなーって思ってしまうし、ヘッドラインだけ見てるとミスリードされる典型みたいな記事になっていますので要注意ですな。


・タカハト二元論のアホラシサよ

ってのは土曜日も申し上げたのですが、このタカハト二元論はワイのような無力人間が何を言っても蟷螂の斧な訳でまあタカだハトだとやってるのですが、そもそも相場ちゃんって特に短期売買的に言えば売りか買いかって話になるので、こういう二元論って物凄く親和的であるのは残念ながらそうなっちゃうというのがあるのよね。

でもってそれこそ先日の山口元副総裁云々のBBGニュースのヘッドラインの時の横綱のランコルゲを見れば分かるように、低能アルゴが記事の中身をちゃんと読まないで適当に反応するような動きをしてんだろ、というようなのが更にこの二元論みたいなのに拍車をかけるもんだから、「誰誰が次期総裁になったら金利水準はこれ」と「誰誰が次期総裁になる確率」を掛け算して適正水準計算するみたいなお前は何を考えているんだ(考えてないからそういうことになるんですけど)みたいなのが流行ったりするし、もう何ちゅうかねという感じであります。

まあ一つにはどこぞの逆さ絵ウスラハゲ議長がやたら拡大しちゃった「フォワードコミットメント」の弊害で何でも中銀が先の政策金利見通しを出すもんだからそれに乗れば良いみたいなものが、ゼロか百かみたいな思考を市場の人達に植え付けてしまって、このゼロ百思考によって発生してしまうポジションが極端に反対にレミング現象を起こすもんだから、そのレミング現象コワイヨーとなってしまった挙句に政策がビハインドになってしまって今に至る米国、みたいな感じで、米国とてそういう意味ではインチキコミュニケーションの後遺症に苦しんでいる面が多々ある訳でして、このレミングポジションが一種の抵抗勢力みたいになって、日本でも同様にYCCの10年外したら大変なことになるとかマイナス金利をゼロにしただけで大変なことになるとか、そういう懸念ってのは、まあ市場でポジション持ってへろ〜んとやってるとそこまで大変かよと思いましても、やはり当局サイドからしたら特にジャパンの場合は「アイヤー、ちょっとやり過ぎましたかネーテペヘロ」とか言ってられないですからして、どうしても保守的にならざるを得んというのはまあ分かるんですよね。

これまではその問題が物価が上がらんので表面化しなかっただけで、肝心の物価目標が達成できるかもしれないしできないかもしれない、というような局面になって来ると、フォワードコミットメントをガチガチにすればするほど、政策がビハインドするリスクが高まるし、あまつさえ長期金利ペッグみたいな阿呆な事をしているから微修正すら困難という状況になっているのが今の状態ですな。

・・・・あれ?アタクシ何の話をしてたんだっけ??????

という事で気を取り直しますと、タカハト二元論になってしまうのって(別に日本だけじゃなくて諸外国もそうでしたが)過度なフォワードコミットメントを長期間にわたって継続してきた事の弊害の1つなのではないか、と思いますし、ラガルドの賢い所はそこに気が付いてフォワードガイダンスを一切やめてしまったことだと思います。パウエルもSEPのドットプロットいい加減に止めれば良いのにと思うんですけどこれどこで止められるんでしょうね、と思ってしまいます。


・コミュニケーションの改善はPDCAから

ちょっと残念ながらロイターやブルームバーグのネット版だと取れないのですが、引け後に例の報道があった先週金曜日、黒ちゃんと雨宮さんが国会に呼ばれて委員会質疑で答弁してたんですよ。でもってまあいつもの調子でいつもの話をしてたみたいなんですが、さすがにこのヘッドライン見て笑ってしまいました。

『*日銀総裁:量的・質的金融緩和、最善を尽くしたし適切な政策だった』(2/10のブルームバーグニュースのニュースヘッドライン(見出しのみ)より引用)

・・・・・・・いやあのさ、あんたら2年をめどに達成するって大見得切って開始した政策で、「最善を尽くした」のに10年たっても目標達成できないってさあ、金融政策の波及ラグが10年もかかる訳ないんですから、どっからどう見てもそれって「最善を尽くしたと思ってるのは本人たちだけ」なのか「そもそもの目標設定を間違えていた」のかのどちらかじゃないとおかしいでしょと小一時間問い詰めたい訳で、黒ちゃんもよく平然とそんな詭弁というか負け犬のオーボエを堂々と開き直って言うわというお話。

これはまあ言うまでもありませんが、黒ちゃんが安倍ちゃん肝入りの置物とかいうトンチキの机上の大空論を「世界標準の金融政策」とか言いながら白川さん山口さん(こういう時だけ急に麿呼ばわりしなくなるこのアタクシ)を石持て追い出したもんだから、黒田日銀は無謬であると言い張り続けないと倒れてしまうという「謝ったら死ぬ病」が再起不能なほどになっており、しかもご丁寧に目先のごまかしをその後も重ねて最後の1年にYCC政策本来の大問題点「目標達成が意識されるようになると政策運営が回らなくなる」という過去最大級の時間的不整合が表面化してしまうという事案が発生して国債買入と長期共担オペを聳え立つクソのように積み上げてしまうという事態に至っているのはご案内の通り。

まあその点、植田日銀はその手のヤヤコシヤな話はしないですんなりと就任できますから、何でも無謬とか言わないで、「状況を見ながら判断していくけど漸進的にやっていくからやりながら修正もしまっせ」みたいな「寛容と忍耐」のスタンスが取れまして、そうなれば当然ながら政策もPDCAがちゃんと回るし、総裁会見でもちゃんとした説明(特に最近の黒ちゃんの説明は見るに耐えない不誠実答弁ですからねー)が聞けるでしょうね。


・偽物には注意しましょう

しかしまあ何ですな、今回の一連の日銀総裁人事を巡る報道ですが、結局の所事前に何か「抜いた」と思った所は悉く大誤報という結果に終わっておりますし、だいたいからして1月MPMだって読売の大誤報がありましたし、ということで何かもう今回誤報合戦が酷かったな、という感じです。

メディアの誤報合戦もさることながら、まあ市場の中のコメントでもこの手の「見てきたかのような講釈師」がアタクシの可視範囲内でも結構見受けられまして、俺は官邸筋から聞いてきたゾ、的な事情通の講釈みたいなの、結構あったんですよね〜。

でまあアタクシはそもそも講釈師が生業じゃないし、メディアの中の人でも勿論ないので、詳しい話はさっぱり分からんのですが、昔からそういうのはあったけど、最近はこの手の「適当なフカシをぶっこむ口の軽い人」ってのに引っ掛かってしまうメディアとかが以前と比べてちょっと大杉栄じゃあございませんかと思う訳ですよ。いやまあ昔からこの手の誤報とか、見てきたかのような講釈師ってのはいるんですけど、12月の日銀の例のアレの辺り以降はまあこんなに紛い物情報が流れるのねと感心するやら呆れるやらでございましたので、メディアもちゃんと取材する時には情報ソースがそもそも信用できるのかどうか(適当なフカシをぶっこむ口の軽い人ってのは取材にホイホイと応じるもんだから取材する方も楽なんでついそっちに行っちゃうとかいうのはあるんでしょうな、と未だにハマコーとかのコメント取りに行ってる馬鹿メディア見てて思うもん)というのを吟味しろやと思いますし、市場の方ではまあ今回尤もらしい事情通みたいな話をしてたスットコドッコイはキチンと今後は排除して自浄していく、というようなムーブが欲しい所ですね。

とはいうものの、今回の人事案(正確には今日国会に提示ですのでまだ人事案じゃないんですが)が出た所でも早速「植田はワシが育てた」みたいなのがワサワサと名乗りを挙げてきておりまして、先ほどの井上さんや本石町日記さんみたいな本物ではない偽物の皆様がうじゃうじゃと沸いて出てくる姿には呆れてしまいますな。「植田はワシが育てた」みたいな話の中にはどっからどう見てもお前それウソか話を1兆倍位に盛ってるだろ、というのが早速散見される所でありまして、ウソツキは泥棒の始まりとは良く言ったものだと思いますので、そういうのに引っ掛からないように注意したいものであります。

などと偉そうに言ってますが、ワシとてそれこそ古くは落合信彦の本を買ったり上杉隆の本を買ったりしておりますので、別に威張れたもんでもないのですが、ワイドショーとか(全然知らんがネットのニュース見てると)紛い物を雛壇にずらりと並べて解説させてるようなテイタラクらしいし、そういうのにどっぷり漬かった例として某誰かさんの回顧録を見るとそっちの意味での勉強になるらしいので買いに行かねばとか思うのでありました。

ま、あとは所信表明みても多分猫を被ったままの筈なので、就任記者会見までお待ちあれ(もし形式上再任の手続きが必要な形になると再任まで猫を被る必要がありそうですね)という感じになるかと思いますし、アタクシ個人的にはこの人事が兎に角無事に変な横やりも雑音もなく通って欲しいので、まああとは4月を無事に迎えられるように見守りますってスタンスになりつつ、しょうもない電波とかあったらその辺は反応するとかそういう感じで参るかと思いますです、はい。


〇横綱夜間取引の方が売買高多いとな(という雑談メモ)

横綱ェ・・・・・・・・
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime

長期国債先物

限月:23年3月限
取引日:02/13
日中取引

始値:146.33(02/13)(08:45)
高値:146.65(02/13)(14:59)
安値:146.30(02/13)(09:11)
現在値:146.64(02/13)(15:02)

前日比:+0.10
取引高:10,173

・・・・・とまあこれだけ見ると何の変哲もない月曜相場なのですが、10日の夜間取引って取引高が14178枚(ただしこれはアタクシの手元で取ってる数字なんですが都合上カレンダースプレッド分が入っています、とは言えカレンダー自体は1000枚とかその程度しか出来は無い)となっておりまして、いやまあ確かに植田総裁ノミネートのニュース出たの金曜の16時台だから金曜のイブニングの取引が増えるのは分かるのですが、それにしても日中取引と出来高逆転かよ!!!!!と思ってしまいまして、思わずメモを残しておこうかと思いました。

だからどうしたと言われると困りますが(^^)。






2023/02/13

お題「11日に書きましたネタの続きです、第一印象におまけって感じで重複多いかもですサーセン」

はい、11日更新した物件の方が大ネタになりますので、本日のは11日のケツにつけておきます。

〇植田先生総裁ノミネート方向ということでその後ですが

日経新聞
https://www.nikkei.com/

日経は色々と記事をお出しのようですが、電子版の方はリードと思わせぶりの見出しだけしか無料版で読めなくて、紙の日経買うんだったらやぶさかでもないとは言いたいのですが、近年キオスクというものがガチのガチで絶滅してて、今一生懸命思い出しているがキオスクがねえじゃんという事実に愕然とするワイ(駅のコンビニならあるかいな)。


名前が出てからさっそくまとまった説明のヘッドライン打ってたの読売だった気がしますが、
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230210-OYT1T50194/
日銀新総裁候補・植田和男氏は「バランス型」の論客…「理論と実務を融合できる」と評価
2023/02/10 19:13

『日本長期信用銀行などが経営破綻した金融危機から日本経済が回復する過程だった2000年8月、ゼロ金利解除が議論になった決定会合で、反対票を投じた。デフレへ戻ってしまうことへの懸念があった。一方で、景気の悪化を受けて再び金融緩和に進む01年に導入した、市場に大量のお金を供給する量的緩和については「積極的な意味が見いだしがたい」と慎重論を展開した。』(上記URLより、以下同様)

という事でご案内の通り、インチキ目眩まし政策というのには基本的にネガティブなので、まあそもそも論として「金融政策で賃金を押し上げる」みたいな無茶苦茶な事は言わんでしょう。いや勿論そこは今の日銀公式も自分のインチキな事は分かっているから「賃金が上がるような環境を作るために緩和政策が必要」って言い方をしていますが、別にYCCだのマイナス金利だのをしていないと緩和環境が維持できない、という訳でもないですし、だいたいからして経済物価情勢に対して長期金利を無理矢理抑えつけようとするから他の所に売り圧力が余計にかかって超長期とかの金利が余計に上昇しやすくなって、しかも長期の金利だってJGBの金利だけ抑えたって、「10年の実力の金利」はスワップとかカレント3銘柄除いたイールドカーブとかで見えている状況なのですから、それよりも「緩和的政策」と「大本営発表じゃない経済物価の現状分析と先行き見通し」に則ったエビデンスに基づくちゃんとした金融政策をやることになるでしょうなあと期待する訳です土曜と同じこといってましてどんだけお前期待してるんだよと言われそうですが(^^)。

『日銀審議委員を退いた後も、英語が堪能なことから、日銀が主催する世界の中央銀行トップ経験者や著名な学者を呼んだ国際シンポジウムで討議の座長も務める。現在も日銀金融研究所の特別顧問で、日銀職員をはじめ、国内外の識者からの信頼が厚い。』

日銀の中の人からの信頼も厚いですからぬー。

『植田氏が金融政策に関わっていたころからよく知る、東短リサーチの加藤出・チーフエコノミストは「金融政策決定会合の議論をリードした論客で、理論と実務を融合できる資質を持つ」と、評価する。物価が持続的に下落するデフレからの脱却を掲げて大胆な金融緩和に積極的だった現在の黒田 東彦はるひこ 総裁とは異なる「バランス型」との見方が多い。』

とまあそんな感じで(記事全文は流石に何なので引用してませんので読んでちょ)、読売が一発目にこういう感じで報道してて、まあ普通に好意的っぽく見えますな。

さらに解説で別の記事が読売にあるので読みますが、
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230211-OYT1T50003/
日銀総裁人事、植田氏の起用に驚きも…市場は緩和策の行方に注目
2023/02/11 08:51

この記事、色々味わいやトサカに来る書きっぷりなどがありますが、まあ基本的にこういうネタの時に一番中立的に書くのが読売(プロ野球贔屓球団の理由により基本的に読売は読まないのだがそれはそれ^^)なので(毎日も割と良い感じで書く傾向にはある、日経は基本的に変なバイアスがかかっている事が多くて注意して読まないと誘導されてしまう、産経は論外で朝日はバイアス掛かってない時は割と良いんだが掛かってるときには産経毒電波並みの電波になるので、寧ろ道新とか読んだ方がマシな時もある。という個人の感想です)まあ読んでみる。

『新たな日本銀行総裁として政府が指名したのは、経済学者の植田和男氏(71)だった。新体制は、戦後初となる学者出身の総裁をトップに、副総裁として、金融システムの分野で世界をリードしてきた行政マンと、マイナス金利政策を立案・設計した日銀マンが脇を固める3人の「トロイカ体制」となる。』

この記事、内田さんの事を「マイナス金利政策を立案・設計した日銀マン」と思いっきり紹介していまして、いやまあ全く仰せの通りではありますし、土曜日にアタクシもその件で微妙に微妙な言い方をした訳でございますが、「今まで散々やって来た事に対してどう考えるのか」というツッコミが内田さんの背負わなければいけない十字架になる可能性は大有りでして、まあ「政策を決めるのは政策委員会であって、理事以下の事務方は決まった政策をどのようにして実行していくか、という実務面でのさまざな工夫を行った結果があの手法になりました」っていう開き直り方をするしかないというかどうせ内田さんの事だからそこは割り切ってる(副総裁という立場にいたので責任者であった雨宮さんが辞退した(のだとすれば)のとは話が別、って事でしょうな)と思うのですが、でもまあ早速読売にこういう書き方をされるわけでして、対外説明の時に過去との整合性とかの話になった場合に内田さん立場が厳しくなるかもしれませんね。

とは言いましても、そこは植田先生ってコミュ力お化けみたいな人らしいので、まあ何だかんだ植田先生が説明に回ることが多くなるんじゃないかなと思います。黒ちゃんみたいに何を聞いてもまともに回答しないという無茶苦茶な事もなくなるから、記者会見もちゃんとしたものになると思いますし、なったら暁には黒ちゃんと全然違うじゃん、ということで評価高まる(黒田の評価が下がる)ことになるでしょうな。

ところで「学者出身の戦後初」って戦前に居たっけと思ったのですが、アタクシの手元にある「歴代日本銀行総裁論(吉野俊彦)」をみますと三島総裁(高橋総裁の次で井上総裁の前)って、

『明治十七年(一八八四)、十八歳のときに米国に渡って同地で農政学を先行することになった。滞在約四年半、明治二十一年(一八八八)、二十二歳のときにボストン大学から学位をうけ、卒業試験の成績によってグリンネール金牌を受けた。日本人でこの金牌を得たのは、後にも先にも法律学の鳩山和夫と昆虫学の三島彌太郎の二人あるのみであるという。』(この部分のみ吉野俊彦「歴代日本銀行総裁論」講談社学術文庫142ページより引用)

https://www.boj.or.jp/about/outline/history/pre_gov/sousai08.htm
第8代総裁:三島彌太郎(みしまやたろう)

だそうです。上記のように薩派の勅選議員だったりしまして純粋な意味での学者ではないけど。

さて読売の記事の続き。

『「政策の判断を論理的に、判断の結果を分かりやすく説明することが大事だ」。植田氏は10日夜の取材で、こう語った。黒田 東彦はるひこ 総裁の下で10年続いてきた金融緩和を急に転換すれば、金融市場の混乱を招きかねないとの認識がある。』(元の読売記事からの引用に戻ります)

ということですが、債券市場は今の政策のせいで混乱しているんですけど勘弁して下さいwwwwwwww

『金融政策の転換は、金融市場を通じて、企業や家計にも打撃を与えかねない。低金利を続けるために日銀が大量の国債を買い入れているため、日銀の国債保有比率は5割を超えている。仮に日銀が、国債の買い入れを減らせば、金利が急騰する可能性がある。金利の上昇で債券価格が下落すると、国債を持つ金融機関の業績は悪化する。企業への貸し出しが鈍る可能性もある。』

この辺りから見識がゴミクズ化してくるんですが、まあ世間様とはこういうもんでしょという話で、そもそも経済物価情勢に対して無茶苦茶無理のある金利を維持しようとしている方に問題があるのでああって、金利急騰とか言ってるの馬鹿の極みにも程があるし、

『家計にとっては、金利の上昇を通じた負担が増えかねない。日銀が昨年12月に長期金利の上限を0・25%から0・5%に拡大しただけで、長期金利に連動する金利固定型の住宅ローンの利率は軒並み上昇した。日銀がマイナス金利政策の撤廃などに動けば、住宅ローンの7割を占める変動型金利にも影響を及ぼしかねない。物価高で苦しむ家計の逆風になる。』

物価高だから今の馬鹿金融緩和が不適切なのではないか、という状況だというのに、金利は上げるな物価高は是正しろとか言ってる時点で日本を代表する大新聞がこの程度の知能しか持ち合わせていないというのが実に悲しい訳ですけれども、まずお前らの緩和しきっている脳味噌を正常化しないと話にならんわこのスットコドッコイなどと思うのですけど、まあ所詮世の中その程度の認識、という状況から政策をやっていかないと行けないのですからムツカシヤにも程がある訳ですね。

途中を飛ばして記事の2に進みますね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230211-OYT1T50003/2/
日銀総裁人事、植田氏の起用に驚きも…市場は緩和策の行方に注目
2023/02/11 08:51

『今後の鍵を握るのは、2人の新副総裁だ。』(以下直上URL先読売新聞記事の2ページ目より引用します)

『米欧の中央銀行が急激なインフレ(物価上昇)を受けて急ピッチで金融引き締めに進む。金融政策が不必要な市場の動きを誘発しかねない。誤解を招かない政策運営と、丁寧な対話、そして、海外当局との密な連携が求められる。』

求められるのは仰せの通りなのだが、人に求める前にお前ら馬鹿メディアの「物価高や円安を是正しろ、金利は上げるな」とかいう度し難い知能の低さを改善する努力をしてから言えと小一時間問い詰めたい。

『副総裁候補となった、前金融庁長官の氷見野良三氏(62)は日本人で初めて主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)の常設委員会の議長を務めた。金融緩和の縮小で日銀が直面する金利上昇に伴う金融機関の経営不安への対応に期待が寄せられる。』

氷見野さん、じつは教養人としてもマニア的には著名でして、そう考えるとタイプは全然違うけど歴代総裁の中で群を抜いた文化人と言えば第十六代総裁の渋沢敬三さんですねわかります(そっちかよ)。

というかですね、金利上昇に伴う金融機関の経営不安ってお前らなあって感じでして、大体からして日本の金利なんて上がったって高が知れてる話だし、金利が上がれば貸出の方が収益上がっていくし、持ってる債券だって償還や利払いの後の再投資利回り上がるんだし、もうちょっとこうものを考えて言えとしか申し上げようがないんですけどぬー。

『もう一人の副総裁となる、日銀理事の内田真一氏(60)は、10年に1度の日銀のエースと呼ばれ、金融政策のスペシャリストだ。黒田日銀で金融政策を立案してきた立場で、今度は複雑化した金融緩和を解きほぐす役割を担う。』

うーんこの言われっぷり。


という訳で共同インタビューの一問一答もありますので引用します。

『植田氏 主な発言

日本銀行の新総裁への起用が固まった植田和男氏が読売新聞などの取材に応じた。主な発言は以下の通り。

――現在の金融政策への評価は

「現状の景気と物価からすると現在の日銀の政策は適切である。当面は、金融緩和を続ける必要があると思っている」

――総裁としての役割は

「政策の判断を論理的に、判断の結果を分かりやすく説明することが大事だ。非常に難しい経済情勢なので予断を持たずに柔軟に適切な政策をしていくことだ」

――今後の課題は

 「本当に日銀が(金融政策を正常化する)出口に行くとしたら難しい問題だ。百も承知している。機会があればなるべく詳しく話したい」』

まあアレです、就任するまではそんな余計な事言わないって事になると思いますので、土曜日に書いた通りでこの時点で一々狂喜乱舞するのも悲憤慷慨するのもまだ早すぎ。

しかしまあ何ですな、土曜日の繰り返しですけど、いずれにせよ植田さんの新体制に向けてこれ以上無駄な昭和温泉金融政策の別館にちぎんぱらだいすの増築するの止めてもらえませんかねえ。10年カレントの指値だけはしゃーないけど7年も止めて欲しいし臨時輪番とか他年限指値とか長期共担とか以ての外だと思うので、ちょっとお前ら14日の長期共担オファー減らせやと思うのでしたが、明日の5年共担は多分減らさないし寧ろ遅かれ早かれ正常化になるんだから「最後の掴み金」の可能性もあるからということでピラニアのように札が集まって来そうですね、ナムナムナム。







2023/02/11

お題「植田和男先生ノミネートキタ――(゚∀゚)――!!(臨時更新号)」

ということで参ります。

〇いやもうやっとお笑い人事が終わりますよ良かった良かった良かった(´;ω;`)

あー来週14日まで待つのかーと思っていたら16時過ぎに出たのですが、そういえば去年の今頃は建国記念日3連休前の大雪警報でハヨカエレと言われてた日の夕方遅くに指値オペオファーの予定を打ち込んだ事件があったなとか思うのですが、今回はそんな場合じゃない事件が。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB106UI0Q3A210C2000000/
日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員
植田和男氏
2023年2月10日 16:16 (2023年2月10日 18:51更新) [有料会員限定]

『政府は日銀の黒田東彦総裁(78)の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71)を起用する人事を固めた。黒田氏の任期は4月8日まで。政府は人事案を2月14日に国会に提示する。衆参両院の同意を経て内閣が任命する。

副総裁には氷見野良三前金融庁長官、内田真一日銀理事を起用する。現在の雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁の任期は3月19日まで。政府は黒田氏の後任総裁として雨宮副総裁に打診したが、同氏は辞退』(上記URL先より、以下は有料会員記事になります)

とまあそういうことでしたが、前回の怪しげなのと違って今回は副総裁の名前も出ていましたし、組み合わせとしてこれはアリ、という組み合わせですし、と思ったらあっという間に他社も追随したのでこれはマジじゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!となった次第ですな。

植田さんが審議委員やってた頃はまだアタクシの駄文書き出しの頃でしたので(一応2004年以降のは過去ログに整理しているがまとまった話ってネットに載るような感じじゃなかった(著作やら証アナジャーナルへの寄稿やら日銀金研フォーラムなどでの発言などはある)ので、2007年までのしか過去ログがないのですけど、まあ現実問題としてはアタクシそもそも旧法時代から国債だの短期だのにおりましたので、植田さん在任中のことでしたらまあ記憶はあるにはあるのですが、これは昔の議事録を見て回るのが一番良いと思います。(ただし昔の議事録は画像形式で保存されているので、ファイルがクソ重い上にネタにするのに文字起こしをしなおさないといけない(アタクシの場合)ので正直地獄で、昔から何度も「有料でいいから出版してくれよ」とお願いしてるんですけどね)


アタクシの駄文の過去ログの講演ネタとかもリンクがデットリンクになっている筈だから(何回かHPがリニューアルされてるので)植田審議委員時代の講演見よう&読者の皆様にも便利だろと思って講演の「講演者別一覧」見に行ったら何だよこれ昔の人のリンク作ってないのかよ(そらまあ確かにどんどん増えるから面倒なのはわかるけど)という感じで、これは普段良い仕事をしている情報サービス局にアルマジロなプレイと思ってしまいましたが。

(ちなみにこれね)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_speaker/index.htm

年別の方はさすがにアーカイブありますので、そっち見に行きますと旧サイトのデザインで昔の方に行けまして、

https://www2.boj.or.jp/archive/announcements/press/index.htm
講演・記者会見(2010年以前の過去資料)

こっちにある「講演者別一覧」を踏むとちゃんとありました良かったよかった。
https://www2.boj.or.jp/archive/announcements/press/koen_speaker/bm_ueda/index.htm
植田和男

アタクシがネタにしたのは最後の金懇でしたなという感じですが(汗)、こちらに当時の植田さんの講演一覧がございますので、4月までの週末はこれでも順繰りに読んでいくというのは如何でしょうかと思う訳ですが、よく考えたら最初の1998年の時とかになると現役の若人がまだ誕生する前ジャンと恐ろしい事に気が付いてしまいましたので、「植田さんと言えばですな〜」と得々と話をするとクソ老害ジジイの自慢話に聞こえるリスクがあることに今気が付きましたorzorz

植田審議委員の会見一覧はこちら。
https://www2.boj.or.jp/archive/announcements/press/kaiken_speaker/bm_ueda/index.htm
植田和男


・当時はハト派に近かったように見えるのだが実際には「ファンダメンタルズに沿った金融政策をする人」です

そもそもタカだのハトだのという話自体が不毛ちゃあ不毛でして、例えば米国で言えばブラードとかエバンスって直近ではタカ派なんですが、その前ってずーっとハトだったりしてまして、じゃあこの人たちのスタンスがブレているのかというとさに非ず。エバンスとかブラードって基本的に物価重視派というか雇用はシランガナにほぼ近い発想で、経済の強さと物価の状況を見ながら考える、という人なので、物価がホイホイと上がりだしたら思いっきりタカ派に見える物言いをするし、物価が弱いとハトに見える物言いをするんですよね。そういう意味で軸はブレていないんですけど(ただしブラードおじさんの場合はしょっちゅう面白ネタを出しているのは、自分が常にフロントランナーでいたいという思いがあるんだと見られます、本人見たことないから想像ですけど)、まあそういう話をしていると面白みがないし、相場的なポジション的なネタにならんからタカだのハトだの分類する訳ですよ。

ということで、当時の植田さん、基本的にハト派に近いという印象を与える(速水総裁のゼロ金利解除に反対するなど)のですが、植田さんの場合は「ファンダメンタルズ(とエビデンス)に沿って金融政策を行う」という意味で、当時物価がまだ強くなるのかも分からんし、不良債権問題の整理もついていない状況だし、というのを考えたら利上げという行動そのものを行うのが如何なものかって話で反対していた(まあ詳しくは当時の議事録みてちょんまげ)とかそういう話な訳ですよ。

つまりですね、足元現状で起きているCPI4%上昇とか、今までは黒ちゃんの政策から逆算して大本営発表で何か来年度に入ると物価上昇率急落することになっているけど、まあ普通に考えて来年度だってかなりしっかり目の物価が継続すると思われる物価状況の中で、植田さんとして今の金融政策をどう思いますかって話になるでしょうな。

まあ普通にファンダメンタルズに沿ってエビデンスに基づく金融政策をする、となれば激変緩和措置を入れながらだとは思うのですが、じゃあ10年金利をコントロールする意味があるのか、とか、マイナス金利政策というような極端な政策を取って良いのか、というような事を考えれば、緩和政策は続くんでしょう(そもそも日本の潜在成長率が相変わらず0近傍になっている訳でそんな国で3%4%だのの政策金利ってのはちょっと無理があるでしょ)けれども、タイムホライズンは兎も角として、行きつくことはまあ自明の流れに向かっていくでしょう、ということですよね。


何か早速共同インタビューみたいなのもあったようで、そこでは「今の金融政策は適切」と猫を被っておりますが、そらまあ就任確定してから、つまりは就任記者会見以降にやっていく話になると思います(今ボロクソ言い出したら台無しにも程がありますから、そら仮に山口さんがノミネートされても同じ事言うでしょ)ので、まあ今時点での植田さんの談話に対して狂喜乱舞したり悲憤慷慨してもシャーナイ所ではありまして、就任記者会見と初回の4月金融政策決定会合を楽しみにしたいと思います。



・まあ確かに歴代副総裁だと難しい所があったので結果オーライ的に良い人選になった気はしますが

昨日もちょっと申し上げた気がしますが、結局黒田のアホウが無茶苦茶やりやがり、しかも最後の1年で巨大な聳え立つクソの山を築いて、このクソの山が崩壊してそこらじゅうをクソまみれにして地獄になるのをどう阻止しながら収拾するかってのは結局誰が総裁になってもやらなければならん仕事な訳ですよ。

もうさすがにここからは動かないと思う(読売とかも好意的に報じてるし、安倍残滓と言えどもこれを反対できんでしょ、と思うので)ので書きますけど)有力視されてたお三方だと、アタクシとしては(何だかんだ言っても結局は白日銀大好きなので)山口さん猛烈推しの心情ではあったのですが・・・・・

山口さん(ワイのスーパー推し)の場合、黒からまた白に戻すってのが露骨プレイになりますけど、そもそも黒日銀が政治の産物なだけに政治的にフリクションが起きるので、本来やるべき政策が政治的にまたややこしいことになる、という難しい問題があるなあって感じでしたわな。山口さんなら政治的フリクション突破できるとは思いますけど。

雨宮さんは正直この聳え立つクソの共同正犯なので、責任もって収拾しろやという意味で人の道としてお前とりあえず後始末しろという思いで雨宮さんがやるべき、って思いもアタクシにはあったんですけど、そらまあ自分で積み上げたものを収拾する、って話になると心情的にも大変でしょうし、黒田さんと違って雨宮さんは直近でやらかしていることのやらかし振りに関しては理解されている筈(アタクシの想像に過ぎませんが今までの行動や言動から推しはかったら雨宮さん分かっていない訳がない)なので、そもそもの時点で辛いものがある(ので辞退したってのはまあお気持ちは良く察するのですけれども頑張ってほしかった面はある)でしょう。

中曽さんがまあ中間的で一番無難とはいっても、じつはマイナス金利だのYCC導入の最初の共同正犯は中曽さんな訳で、そういう意味では中曽さんの時にこんな小細工しないで政策を堂々と爆発させていれば、ここまでこじれることは無かった、という意味合いもありまして、政策を収拾する中で過去との整合性を突かれて立ち往生する場面も出るだろうなあ。

とまあそんな事も思ったりしたんですよ。

とは言え、こんな局面で浅川さんのような大物にご登場いただく、と言っても聳え立つクソの処理というのはさすがに市場および調節実務にそれなりに造詣が深くないと厳しいだろというのがあって、そう考えるとやはり麿という訳に行かんし俊ちゃんはお元気と仄聞してますがさすがに年齢がアレなので、となると・・・・て感じでした。

植田さんを可能性に入れて無かったのって、非常にクッソ下らない話なんですが、中原伸之さんと犬猿の仲、というか中原さんが一方的にイカっているだけの気もしますが、審議委員時代に意見が対立してた中原伸之さんが親の仇の如く忌避している→安倍ちゃんのネガティブリスト入りしている、というのが頭からありまして、そういうことからちょっと無いなあという事でそもそもリストから外してた感がございまして、そんなこんなしているうちにお歳も召されてきた、というのもあったんですけど、よく考えたら山口さんの方が学年1つ上(昭和26年同士だけど山口さんの方が早生まれ)なんだから全然ありという事実がありましたな。

てなわけで日銀審議委員を難しい時期にお勤めになりましたし、当時の議事録見ると分かりますけど、植田さんだけじゃなくて、皆さん調節の事とか市場の事とかについて事務方にゴリゴリと鋭い質問をしていたりしてまして、市場の細かい話とか調節の細かい話になったらうっかりしたら内田さんより詳しいんじゃないかと思ってしまうハイレベルの方になりますので、そういう意味では安心感のある人選で、しかも黒だの白だのというような変な政治二元論にも全く関係のないお方ですので、今聳え立つクソは所与としながらも、スクラッチで政策を考えながら現実との折り合いをつけるように色々と考えてくれることを期待します。

兎にも角にも、こんな難局で誰がやっても大変な思いをする中で良くお引き受け頂きました植田先生。


・若干政治的に不安があるけどその方がある意味では良いのかもしれません(ただし結果出さないとですけど)

黒だの白だのの二元論ネタの続きですけど、今回の布陣を見ますと、俊ちゃんの時の武藤さんー山口さんとか、麿の時の山口さんとか、安倍ちゃんの全面バックアップ付きの黒ちゃんみたいなところからすると若干政治パワーには不安がないわけでもないのですけれども、「ファンダメンタルズとエビデンスに基づいた金融政策」を行い、まあここが問題なのですが結果を出すことによって、政治の余計な雑音を黙らせる事が出来れば、真の意味での「中央銀行の独立」に進んで行けるのではないか、とも期待するところが大でして、アベクロ肯定否定みたいな政治から入ってしまわないことが植田さんならやりやすいと思うので、その辺から「真の独立性」を作っていく、ということになると良いなあと思うのです。

黒ちゃんの10年、マイナス金利導入以降はただの弥縫策を日銀の優秀な現場力を無駄にすり潰すことによって長持ちさせたものの、最後の1年で本当に物価が上がって来た所で一気に巨大なクソを積み上げていつ壊れるか分からないクソタワーが聳え立つまさに累卵の危うさという感じになっているのですが、まあこの間、特に直近になってやっと「金融政策だけで問題が解決するというのは幻想」という認識は人口に膾炙した訳でございまして、その点では麿の時よりも結果出せという中においてでも、きちんとした説明を重ねていくことで、「金融政策だけでは解決できない問題については側面支援位はできるかもしれないけどケツは拭けません」ってのが麿の時のようなヒステリックなことにならないようになってくれることを期待します。

まあしかしゴミクズバカメディアとか、クソバカ何とかストみたいなのがどうせ黒と白みたいな煽りを入れて来るんだろうなあと思いますけれども、そういう連中は全員国賊であるという認識でアタクシもそういう国賊にはカミツキガメの姿勢で臨む所存であります。まあアタシが噛みついても何の意味もないですけどね!!!!!


・「発信力」は実は氷見野さんのことだったのかなあ

水曜日のキッシーのアレですけど、麿がいるじゃないですか、ってギャグ飛ばしたら結構ウケてしまいましたが、まあ発信力という意味では氷見野さんも大変に素晴らしい発信力をお持ちの方と仄聞しておりまして、もちろん組織運営もできますので、確かに歴代の方と比べると事務次官も財務官もやってらっしゃらないというのはありますけど、能力としては折り紙付きだという認識でおりますので、なるほどキッシーは国際連携、発信力で氷見野さんの事が念頭にあったのか〜と思わず納得してしまいました。よー知らんけどな。

まあ金融規制とか、プルーデンス系になると植田さんだけではさすがに荷が重いと思いますし、氷見野さんでしたら国際金融規制などの問題で日本の立場をきっちりと主張してくれる(国際金融規制問題になると日本の実情に合わない無茶ぶりを押し付けられそうになることが多々ありますし、実は黒ちゃんはソブリン規制の問題とかでは無茶ぶりの押し返しに活躍して頂いていたりしてましたし)ためにも国際的な金融規制問題などでは重量級の氷見野さんがおいでになるのは実に結構結構。


・内田さんも入ることになって博多人形が居なくなったのは実に結構結構

でまあ内田さんですが、現在の理事としての職掌が「企画局、決済機構局(決済システム課)、金融市場局」となっておりまして、これ即ち聳え立つクソの山の作成部門の責任者でもありますので、そういう点ではおどりゃなにをやっとるんじゃシゴウしたるぞ、というのはだいぶあるのですが、雨宮さんが総裁になって収拾しろやというのと同じような文脈で考えれば、このクソの山の収拾を今度は「政策委員会の一員、即ち政策の最終責任者」としてやって頂くことによって名誉挽回とお願いしたい所です。

内田さんプロパーで理事としては企画方面の他に(基本的に理事任期4年で同じ職掌4年はなくて途中で変わるのが仕様なのですが)国際担当もしてましたし、組織運営もバッチリできますし、黒田緩和開始の時の企画局長ですから、過去の経緯は色々とご案内の事と思いますので、聳え立つクソの山をどう無事に収拾していくのか、という事に関しても色々と知恵を絞っていただけると期待します。


でですね、小見出しにも書きましたけど、先日アタクシ総裁副総裁の組み合わせの所でああでもないこうでもないと言ってる間に「これからの日銀に博多人形を置いている余裕があるのか」という事を申し上げたと思うのですが、その意味からしますと3名ともにそれぞれの強みがあり、しかも3人ともその能力から考えますとちょっと慣れてきたら他のメンバーの補完だって楽勝で出来そうな人たちが揃った訳で、今までのお笑い人事ではない、本当の意味でのちゃんとした人事を10年ぶりに(まあその前の高田、田村の所でその片鱗はありましたが)見ることが出来て、なんかとりあえず看板お飾りみたいなゴミ人事がなくなりましたし(安倍ちゃんの場合は置物だの馬鹿田部だのが有能だと思っていた筈なのでその時点でもっと論外なのだが)、謎の党派人事で無能が無能を芋蔓式に連れて来る、という良くある悪事例もここで完全に断ち切れるとなると、実に目出度くて思わず昨晩は赤飯でお祝いをしてしまいました(本当)。


・ところで現存するポンコツの肩身はどうなるのでしょうか

キッシーになってから少しマシになったとはいえ、その前に続々とポンコツが送り込まれていた政策委員会、まあ植田さんの論説やら上記リンク先の金懇やらをご覧になれば分かりますが、議論のレベルが本来あるべき水準に戻ってくるわけですよね。

そうなりますと、高田さんと田村さんはキャッチアップできるのは間違いないから良いんですけど、リフレとか大体見ればお分かりのように言説に深みというのものがまるでなく、薄っぺらい置物理論を唱えるか、はたまた馬鹿田部のように「誰誰はこう言っている」の受け売り連発するか、さらには自分の主張を正当化するために藁人形論法を繰り出してくるか、という状況な訳で、あの2名はどうなるのでしょうかねえというのが楽しみで楽しみで仕方ないのですが、自分たちのラベルの低さに居たたまれなくなって途中で退任する位の羞恥心があったらそもそもリフレ派なんてやってないので、まあ退任まで地蔵になってるしかないと思いますが、地蔵講演を見るのも楽しみになって参りました。

なお、中村さんと中川さんに関してはちょっとアレなのですが、中村さんは勉強は熱心にしているなあというのは伝わるんですけど、いかんせんその方向性が微妙に残念で、結果「給与が上がらないなら株を買えばいいじゃないか」というマリーアントワネット理論が飛び出してしまったりするので、レベルの高い議論によってレベルアップされることを期待します。中川さんは展望レポート丸々棒読み並みの金懇挨拶しててナンジャコリャという感想しかないのですが、はてさてどうなるのでしょうかねえ。

しかしですよ、その前に逃げ切った連中許すまじって感じではあるので、ちゃんと昔のログも整理して過去のポンコツ発言をきちんとレビューできるようにサイトの整備を真面目にやりますわ週末をだいぶ潰すことになると思うけどシャーナイナイ(と話があらぬ方向に行く)。


ということでファーストインプレッションを土曜日ですがさすがに書かせて頂きました。


〇何で5年長期共担またオファーしてるんだよアホかと

昨日の後場に出てたんですけどね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230210a.pdf
共通担保資金供給オペレーションの実施について
2023 年2月 10 日
日本銀行 金融市場局

『日本銀行は、2023 年2月 14 日、次のとおり共通担保資金供給オペレーションを実施することとしましたので、お知らせします。』

貸付利率:入札方式
貸付店 :全店貸付
オファー金額 :オファー時に通知
期間:
2023 年2月 15 日〜
2028 年2月 15 日

・・・・・いやあのですね、次が雨宮さんで責任もって収拾するってんだったら良いんですけど、後任に5年間の低利資金供給をぶっこんでしまう、しかも今回仮に1兆円やったら明確に所要準備を上回る資金供給になる訳で、後任が物価安定目標を達成して、それに然るべき短期政策金利誘導を行おうとしたときに凄まじい障害になり得るものを積み上げていくっての、本当の本当にお前ら何考えてるんだよ打ち首になりたいのかよとしか申しあげようがないんですよね。

しかもこの5年オペオファーって出た瞬間横綱数銭上がっただけで結局その後横綱は引けにかけて腰砕けだったし、5年カレントの引けは引け変わらずで終わっているし、何のためにこのオペやってるんだよということで、市場金利の上昇を止める効果も碌すっぽ無いのに向こう5年間の低利流動性供給だけは残るという害毒オペの極みな訳で(これを落札するオペ先だけは低利融資(゚д゚)ウマーという効果がありますが)、何で打つんだよとしか申し上げようがないのでありました。

いやまあ14日に中曽さんか山口さんが国会提示されるのでその時の売りに備えて14日にオペ実施しましゅ、って意味合いだったのかもしれませんし、オペレーション担当部署は別に次の執行部がどうなるとかそういうの知る由もないから別にそういう忖度とかしないでナイーブに打ったんだたと思うのですが、そもそも論としてこのオペはしょうもない効果しかないのに将来に渡って禍根を残すので、そうバンバン打つもんじゃないって意識ないのかよと思ってしまいました。











2023/02/10

お題「引き続き総裁人事関連の報道大会は続く/FOMCオープニングリマーク(その3)」

はいはい虚構新聞虚構新聞・・・・・・・・あれ?
https://www.fnn.jp/articles/-/483948
「Yahoo!知恵袋」で嘘の回答 信用毀損の疑いで67歳男を逮捕 
社会部
2023年2月9日 木曜 午後7:36

『職業不詳の水野谷敏幸容疑者(67)はおととし3月、「Yahoo!知恵袋」で「住宅リフォーム販売大手の役員が逮捕されたが、グループ会社は何という社名か」という質問に「こちらは資本関係はないもののすべてグループ会社です」などと複数の会社名を挙げて嘘の回答をした信用毀損の疑いが持たれています。

名前を挙げられた会社の中には書き込みの影響で就職の採用辞退や、契約を解除される被害があったということです。

水野谷容疑者は「信用を落とそうとやったわけではない」と容疑を一部否認しています。』(上記URL先より)

白川総裁の政策に関して言いがかりをつけた上に「日銀当座預金残高が10%増えれば、期待インフレ率が0.44%ポイント高まる」などと虚偽の説明をしていた学習院大学の大先生がおいでになったと思うのですがタイーホはまだでしょうか???

なお、その点に関する見苦し言い訳をみたいかたは下記URL先の4ページから先をご覧ください。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2015/kk1502a.pdf


〇しかし毎度しょうもないヘッドラインで振り回されて迷惑迷惑(山口さんがどうのこうのの報道)&おまけ

引け前15分のタイミングで変なヘッドラインうつんじゃねえよデコスケ(直近これで2回目なので3回目になったら憤怒する)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-09/RPSH87T0G1L101
日銀総裁人事、アベノミクス転換示唆なら調整難航も−自民党議員
伊藤純夫、広川高史、藤岡徹
2023年2月9日 14:45 JST 更新日時 2023年2月9日 17:47 JST
→白川体制支えた山口元副総裁なら党内まとまらない−自民党議員
→岸田首相は次期総裁に「質の高い発信力」期待、市場安定重視

『日本銀行の次期総裁人事が佳境を迎える中、アベノミクスの金融緩和路線の大きな転換を連想させるような人選を政府が提示した場合、自民党内での調整が難航する可能性がある。複数の自民党議員が匿名を条件に語った。』(上記URL先より、以下同様)

いやそんなこと言ったら雨宮さんだって中曽さんだって白川総裁時代に白川体制支えてたじゃないのお前何言ってるの馬鹿なんじゃなかろうかと思いますが。

『ある自民党議員は、安倍晋三元首相が金融緩和に消極的とみていた白川氏を支えた山口氏を岸田文雄首相が指名した場合は、アベノミクスの継続を基本としている党内最大派閥の安倍派などから反発を招き、党内がまとまらないとみている。』

ということで出た瞬間低脳アルゴが反応したんだが何だか知らんけど横綱大下げして大戻しして、と引け前15分きっかりのタイミングでこういう胡散臭いヘッドラインを流すのBBGマジ悪質で、お前ら計算機能とかだけ残して報道部門今すぐ廃業しやがれクソ迷惑だわというのは3回目の時に申しあげる予定なので今回は特に申し上げませんが(あれ?)、14時45分にヘッドライン打つ芸を短期間に2度もかますと幾ら健忘症である市場の中の皆様とは言え、さすがに同じこと繰り返していると市場の皆様のヘイトを集めることになるので調子に乗るのは程々にした方が良いと思うし、「閲覧数が多い記事を高く評価する」っていうメディアの評価体系はガチでおかしいと思います。

という悪態はさておきまして、このヘッドライン見た瞬間「いやお前なにそんなに売るの」と思ってしまったのですが案の定横綱は割ったと思った土俵を猛然と盛り返して、その後は結局ヘッドラインが出た時から数銭下って感じの所で終了しました。


まあ何か為替ちゃんが一番ナイーブな反応してたようですが、いやだって総裁誰になったって、そこまで極端に違った政策って出来ないというのが黒ちゃんが散々残した負の遺産の影響である訳でして、昭和温泉旅館「にちぎんきんゆうせいさく」は目くらましの為に新たな施設を建て増しに続いて最後の最後にとうとう別館「にちぎんパラダイス」を21兆円の国債と11兆円の長期共担オペという堂々の積み上げを持って実施した訳でございまして、大火災事故を起こす気満々なら兎も角、普通に世の中に責任をもって臨むのであれば、まずこの違法建築建て増し状態の「にちぎんきんゆうせいさく」をどないかせんとアカンので、そりゃ雨宮さんだって中曽さんだって山口さんだって、早いか遅いかの違いはあるかもしれないけど、今のオペレーションが四半期レベルで長持ちする訳が無い(物価目標まるでいかなくてデフレを目指してるんだったら持続可能ですけどね)のでして、誰が総裁だからどうのこうのというのは四半期レベルのタームでは大きな差があるかもしれませんが、もうちょっと長く見たらそんなに変わらんじゃろ、と思うのですけどね。

などと小理屈を捏ねなくても、まあ債券市場ちゃんというか横綱は「このタイミングで山口反対論が表に出て来るということはやっぱり雨宮さんの方向じゃないのか」「山口さんの可能性がないならこんな話は出ない筈だからじつは山口さんがあるんじゃないか」などという連想になって「売りたたく程でもないけど買う話でもないよな」となったような感じですかね、よー知らんけど。


しかしまあ何ですな、このタイミングで急にこんなのが出てくるのって(1)ガチで山口さんの可能性があるので山口さん、というよりも安倍批判につながるムーブを快くないと思ってる人がリークして潰しに掛かっている、(2)実は中曽さんか雨宮さんで決まっているのだが、素直に決まると安倍派の実力を誇示できないから敢えてこういうのを出して安倍派の実力ここにあり、と誇示したかった、というような理由が考えられます(出汁にされた山口さんいい迷惑ですね)けれども、ここはガチで山口総裁案が出た方が面白い(お前はその基準しかないのかというツッコミは却下します)のでその方向で。


なお、アタクシは前々から申し上げておりますように、もし黒ちゃんの後継が雨宮さんで、雨宮さんの事が可愛いんだったら人の道として黒ちゃんは3月会合で自ら泥をかぶる覚悟(表面上は大勝利宣言形式になるが)でYCCの10年0%を撤廃なり短期化するべきなのでワンチャンあるでというオモシロ理論を提唱しておりますし、散々この辺りでグシャグシャした結果山口さん、という事になると却って山口さんやりにくそうだなと、寧ろ逆の読み筋の方がいいんじゃないかとまで考えてしまうのでありました。


・・・・・いやあの水曜日のキッシーのあれだと、(白川さんというのはギャグですけど)まあ普通に中曽さんの首に縄をかけてでも黒田さんの後任を中曽さんにやって頂きたい、というメッセージにしか見えなかったし、しかもぶら下がりとかじゃなくて国会の発言だし、まあそういう事なんじゃないのかね、って思うのですがどうでしょうかね。


ところでおまけですが、こんな報道の出るタイミングでこんなものが出てまして・・・・・・・

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/320783
日銀副総裁「あの時、抗議の辞任を考えた」10年前の政治的圧力とは・・・【報道1930】

やまぐちさんなんちゅうたいみんぐで!

・・・・・と思ったら西村副総裁でした、一瞬この記事の見出し見た時にビビったわちょっと考えろTBS。

こちらの記事、上記URL先だと「続きを読む」を押す仕様になっていますが、別に有料記事とかでは無さそうなので(毎日新聞とかだと月間一定までは特に何の引っ掛かりも無料で見れてしまうことがあって引用するときに「これ本当に無料なのか」と気にすることが結構あります、基本有料記事はコピペしない(紙媒体の時は手打ちします)ので)頭の所だけ引用しますと、

『異次元の金融緩和から10年。日本経済は大きく動き、株価は上昇した。が、一方で現在その弊害は計り知れない。そんな中、間もなく次期日銀総裁人事案が示される。次の総裁にはどんな人物が適任なのか…。そこに思いを巡らすためにも日銀と政府の関係を注視する必要がある。番組では異次元の金融緩和につながる“物価目標2%”を決定した時の日銀副総裁を取材。

すると「あの時抗議の辞任まで考えていた」と政治的圧力を感じていたことを吐露した・・・。』(上記URL先より)

ということで山口さんにしては顔が違うなと思ってよく見たら西村さんでした(^^)。というか西村さん貫禄が出てきましたな(老けたという言葉の婉曲表現ではありませんよ!!!!!)と思いましたがそれはそれとして。

記事の先の方を見ますと『スタジオゲストのエコノミスト木内登英氏も』と木内さんが解説をしているようで、そらもうお察しの展開ではあるのですが、遂に西村さんまでこういう話を始めるようになったのかと感慨深いと共に、まあ何というかいろんなもんが出てくるようになったなあと思うのでありました。


なお、話元に戻すと、山口さんノミネートして安倍残滓の皆様は反対するのかもしれませんが、そもそもMMTとかリフレとかいうようなアレ理論を信奉しておられる方は反対するかもしれませんけど、別に山口さんとてアベノミクスは否定していない(というか普通に第三の矢の構造改革をちゃんとやるべきなのに安倍ちゃんほぼ手を付けずに温存して寧ろモラルハザード政策ばっかり打ち込んで来てましたが)訳ですし、国会承認となると別に野党とて反対に回る筋合いはない(雨宮さんの方が反対に回られる可能性がありそう)ので、出せば出したで通ってしまうんじゃないのと思いますし、なんならこれを機にMMTとかの信奉者はお掃除して頂いて、その後に野田さんとかが立憲割って合流した方がエエンデネエノ位のイメージはあるワイでした。


〇また何かFED高官の発言が出てますな

リッチモンド連銀バーキン総裁
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-barkin-idJPKBN2UJ1CB
2023年2月9日11:48 午後
米経済は明らかに減速、追加利上げで慎重な行動が適切=リッチモンド連銀総裁

どこぞの高級バックみたいなお名前とサムネのオッサンスマイルのギャップがお洒落な総裁ですが、ロイターさんいつもバーキン総裁の時謎のドアップサムネだすの心の準備が出来てない人にはちょっとアレなので(アタクシは慣れた)たまには違うサムネにしていただきたいですな。

『[ワシントン 9日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は9日、金融引き締め政策が米経済を「明らかに」減速させており、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げで「より慎重に」対応できるという認識を示した。バーキン総裁はリッチモンド地区連銀のウェブサイトに掲載されたポッドキャストで「われわれの足が明らかにブレーキを踏んでいると確信している」とし、FRBが金融政策の経済への影響を精査しつつ、インフレ鈍化の継続を見極める中、「より慎重にかじを切ることは理にかなっている」と語った。』(上記URL先より)

ちなみにポッドキャストですけど、リッチモンド連銀のこちらで見れます(今だとリッチモンド連銀のトップページにバーキンおじさんのご尊顔があるのでそれをポチっとなとすると下記リンク先に飛ぶ)。

https://www.richmondfed.org/podcasts/speaking_of_the_economy/speaking_2023_02_08_barkin_inflation
Speaking of the Economy
Feb. 8, 2023
Tom Barkin on Inflation and the Fed's Response
Topics: Inflation, Monetary Policy, President's Perspectives
Audience: General Public

実質11分ほどのベシャリとなっております(番組?は12分43秒です)、BGMとしては聞いたが身を入れて聞いてないのでネタにするほどの考察はできてませんすいませんすいません。詳しく聞きたい場合は上記URL先に飛んでちょ。



〇今更ジローの続きですがFOMCオープニングリマークの続きの最後だけ

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230201.pdf

昨日の続きです。またも前回と比較しますね。昨日の続きと言っても実はあと1パラちょいしかないのですが(じゃあなぜ昨日はそんな中途半端なところで終了したのかとツッコまれそうですが)

こっちが前回
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20221214.pdf

冒頭と政策決定以降に関して前回比較したのはもちろんアタクシなりに無い脳を絞ったら「この辺の比較をするのが一番わかりやすくね??」という判断になったのですが、昨日は「今回はこのように政策を決定しました、今後の動向は〜」みたいな話のところで前回比較をしました。その後に前回のFOMCオープニングリマークではSEPの数字の話が続くのですが今回はSEP回じゃないからそこは無くて最後の決意表明みたいなまとめみたいな部分になります。

『We have been taking forceful steps to moderate demand so that it comes into better alignment with supply. Our overarching focus is using our tools to bring inflation back down to our 2 percent goal and to keep longer-term inflation expectations well anchored.』(今回)

『We are taking forceful steps to moderate demand so that it comes into better alignment with supply. Our overarching focus is using our tools to bring inflation back down to our 2 percent goal and to keep longer-term inflation expectations well anchored.』(前回)

最初の「2%に向けたあんじょうようやっておりまっせ」の部分は同じなのですが、この次の部分にこれまた物凄く芸が細かい工夫があります。

『Reducing inflation is likely to require a period of below-trend growth and some softening of labor market conditions.』 (今回)
『Reducing inflation is likely to require a sustained period of below-trend growth and some softening of labor market conditions.』(前回12月)

いやーこれは芸が細かくて、昔の日銀かよと思ってしまいますが、この分だけ切り出すと一目瞭然ですけど、前回は「インフレを落としていくためにはある程度継続的な時間、トレンド成長率を下回る成長率と労働市場の幾分かの弱まりが必要とされるでしょう」となってた部分の「sustained」が削除されています。

これは即ち、「景気をそこまでコケさせなくても物価安定に向けて進めることができる」というFED的大勝利(というか負けの挽回というか)に向けた自信ニキ度合いが高まっている、という事を意味しますし、まあだからこそ利上げ幅縮小しているんですけど、何はともあれ一連の今回のメッセージは「利上げガンガン局面ではありません」というのを各所に仕込んでいる、というのが分かるかと思います。

『Restoring price stability is essential to set the stage for achieving maximum employment and stable prices over the longer run. The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy. We will stay the course, until the job is done.』(今回)

『Restoring price stability is essential to set the stage for achieving maximum employment and stable prices over the longer run. The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy. We will stay the course until the job is done.』(前回12月)

ここの文言も同じでして、要はこのパラグラフでの変化は「sustained」のいちワードを削除しただけなのですが、示していることはそれなりに意味の大きなことだと思います。


『To conclude, we understand that our actions affect communities, families, and businesses across the country. Everything we do is in service to our public mission. We at the Fed will do everything we can to achieve our maximum employment and price stability goals. Thank you. I look forward to your questions. 』(今回)

『To conclude: We understand that our actions affect communities, families, and businesses across the country. Everything we do is in service to our public mission. We at the Fed will do everything we can to achieve our maximum-employment and price-stability goals. Thank you. I will look forward to your questions.』(前回12月)

ということでまとめの所は全文一致でした。質疑応答にやっと入りますが週明けからで勘弁してつかあさい。なお本日の国会提示はないと踏んで自分の段取り立ててるので今日国会提示するんじゃねえぞと思っているアタクシなのでありました(フラグではない)。




2023/02/09

お題「総裁人事まだ〜/引き続きFED発言とFOMCオープニングリマークの続き」

なるほどわからん
https://jp.reuters.com/article/google-ai-bard-idJPKBN2UI1TV
2023年2月9日4:26 午前
アルファベット株急落、グーグルのAIチャットボットが不正確な回答

『[ロンドン 8日 ロイター] - 8日の取引で、米アルファベットの株価が一時8%急落し、時価総額1000億ドル超を消失した。傘下グーグルの人工知能(AI)を使った自動応答ソフト(チャットボット)「バード(Bard)」が不正確な回答を生成したことを受けた動き。』

『「9歳の子どもに教えられるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による新たな発見な何か」という質問に対し、バードは複数の回答を生成。太陽系外の惑星の写真を最初に撮影したという答えも含まれたが、この写真は2004年に欧州南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)によって撮影されており、不正確な情報。ロイターが初めに誤りを発見した。』(上記URL先より)

なにがなんだかさっぱり分からんが、グーグル検索で金融政策とか日銀総裁人事とか掛けると産経電波浴とか高級腕時計おじさんとかいろんなものが登場する修羅の世界と認識するインターネット老人(なおニフティサーブ上がりの最古参には負けるがあめぞう2ちゃんねる世代なので多分一番殺伐としてた)なので別に良いじゃんとつい思ってしまうのでありました(アカン)。


〇日経の第一報のあと話が進みませんがいいからはよ出せや

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023020800590&g=pol
日銀次期総裁、発信力を重視 岸田首相説明、国際連携も配慮―衆院予算委
2023年02月08日12時23分

発信力を重視、って言ったって内容がゴミクズの政策をインチキ理論で飾り立てて発信するのならまさに黒ちゃんがやっているのだが、そもそも「発信力」って何よ????と思うアタクシだし、だいたい中央銀行はヒーローでも何でもない(パウエルだってただのおっちゃんじゃん)んですけどねえと思いますがキッシーが言い出したのでこれは確認。

『岸田文雄首相は8日の衆院予算委員会で、次期日銀総裁の人事について「主要国中央銀行トップの緊密な連携、内外の市場関係者に対する質の高い発信力と受信力が格段に重要になってきている。こうした点に十分配慮して人選を行いたい」と述べた。立憲民主党の野田佳彦元首相への答弁。』(上記URL先より)

「内外の市場関係者に対する質の高い発信力」って黒ちゃんのアレを質の高い発信力だと思っているか思っていないかによって言ってる意味が全然違うので、そもそも本音の評価を聞きたいですが、岸田さんまあそこははぐらかすでしょうね。

で、今引用しながらしれっと割愛しましたが、よく見るとこの岸田さんの説明、「内外の市場関係者に対する質の高い発信力と受信力」ということで「受信力」という言葉があるのが結構お洒落なんだが、時事通信も何でそこ削ってヘッドライン書くのよと思ってしまう次第でして、受信力に関してはそれこそちょっと金利上がっただけでパニックオペを打ちまくる、という意味では受信力があるのですけれども、「市場機能の低下」とかいう話も1月会合で華麗に却下する程度の受信力の無さもありますので、これまた何を意味しているかはわかりませんね。

まあしかしそれよりも円債方面の皆さんが注目した(市場が反応した訳ではなく話題的に注目したという感じですけど)のは「主要国中央銀行トップの緊密な連携」という方でして、これは岸田さん、お断りっクスを繰り返しているようにしか見えない中曽さんを首に縄掛けてでも総裁に引っ張り出そうという事なのか、はたまた財務官経験者の大物でも総裁に据えるのか、という風に思ってしまいますが、よく考えてみれば「主要国中央銀行トップの緊密な連携」と言えばあの人がいるじゃないですかあの人が。

白 川 方 明 さ ま が ! ! ! !

・・・・・・・いやまあ普通にそんなことは無いと思うのですが、ここでもし麿が総裁ノミネートとか言われたら、大爆笑の発作を起こして笑い死んでしまいかねないので、面白いから是非麿にお願いしたいし、麿なら包括緩和やってた時にやりやがった余計なETF買入とかに関してのケツ拭きをやってくれるに違いない(単なる自分の不始末の後始末だが)と楽しみにしております。

しかしまあ何ですな、麿総裁ノミネート、とか言われたらなんか大歓迎をしたくなってしまうので、債券売り叩くのに非常に躊躇してしまいそうで中々複雑な心境になりそうですマジでwwwww
 

まあ国際感覚どうのこうのの前に、国内の市場の方に振りまいたクラスター爆弾の後始末の方がよっぽど喫緊の課題なので、まあ国会だからあんまり市場ドストレートの話はしにくいのは分かるのですけれども、岸田さん界隈が現在の債券市場の惨状が実は将来に渡って色々ともたらすであろう弊害を抱えていて、その解消に向けたムーブが大事ってのをどの程度ご存知なんですかしら、などと思いながらこの発言を鑑賞するのでありました。

まさかの大穴候補に麿浮上(たぶん大いなる勘違い)の巻ということでメモだけしておきました。もういいから早く出してほしいですね。


〇今日も今日とてFED高官が何か言ってるようですが

ウォーラー理事(基本タカ派)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-waller-idJPL6N34O0EA
2023年2月9日6:11 午前
FRBインフレ対応「長期戦を覚悟」=ウォラー理事

『[ワシントン 8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は8日、米国のインフレは今年も低下が見込まれるものの、インフレ目標2%の達成に向けたFRBの戦いは長期化し、引き締め的な金融政策が予想より長期にわたり維持される可能性があるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほうそうですかそうですか。

『ウォラー理事はアーカンソー州立大学で行う講演の原稿で「食料、エネルギー、住宅の価格が今年は緩やかになる兆しが出ている」とし、FRBの急速な利上げが「報われ始めている」と述べた。』

『ただ「経済指標には急速な低下を示すシグナルは見られていないため、長期戦を覚悟している」と指摘。1月の雇用統計で非農業部門雇用者数が51万7000人増加したことに言及し、米経済がよく持ちこたえていることが示されたとしながらも、同時に「堅調な所得で個人消費が後押しされ、向こう数カ月はインフレの上昇圧力が維持される」ことも示されていると語った。』

講演はこちら(まだ読んでない)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20230208a.htm
February 08, 2023
The Inflation Rate for Necessities: A Look at Food, Energy and Shelter Inflation
Governor Christopher J. Waller
At the 2023 Arkansas State University Agribusiness Conference, Jonesboro, Arkansas

これお題を見ると「Food, Energy and Shelter」ってありまして、住宅のレントの問題もそういう意味では重要なポイントなんじゃないかな、とか思う訳ですが、上記記事見るとシェルターインフレーションで何言ったか、というのが書かれていなくて、そこはちょっとどうなのかなと思いました。

まあウォーラーさんがタカっぽい話をするのは仕様なので別にそれ自体でどうという話ではないけど、理事なんでウェイトは高いから後でちぇっくだけはしておく。


カシュカリ総裁(禿頭派)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kashkari-idJPKBN2UI1TR
2023年2月9日4:26 午前
米金融市場、インフレ急低下をFRBより強く確信=ミネアポリス連銀総裁

『[8日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は8日、米国のインフレ率が目標の2%に向けて急速に低下することについて、金融市場は米連邦準備理事会(FRB)よりも確信を持っていると述べた。

カシュカリ総裁はボストン経済クラブで「金融市場が正しいことを望む」としながらも、FRBの任務はインフレを確実に低下させることだと指摘。そのために金利が5%を超え、長期間にわたり高水準にとどめる必要があると多くのFRB当局者は考えていると述べた。』(上記URL先より)

ややこしい言い方をしますなあと思いますが、要は金融市場が隙あらばゴルディロックスヒャッハーになるのに水を掛けに行ったという例のアレだと思います。

とは言えですな、今日も続きやりますけど、1月(2月というべきなのか)FOMCの後に出てきている物件って、基本的に「この先は物価次第」というのをひたすら強調していて、言えることは「高インフレをあんまりのうのうと放置することは無い」(放置するとインフレ期待のアンカーが外れて走錨が始まるから)という位で、あとは「何か引き締めが財価格に効いてきたっぽいので、ここから先は経済死亡も辞さずのガンガン引き締めはやらなくても何とかなるんでネーノ」という見方、そしてその見方に沿って金融市場にも一定の配慮、という感じだと思うのよね。

まあアタクシの読み筋のボトムラインはそういうことでありますので、楽観しまくる金融市場の牽制、はしてもそれ以上になるのは物価が再加速でもしない限りないんでネーノ。

https://www.minneapolisfed.org/speeches/2023/neel-kashkari-qa-with-the-boston-economic-club
Neel Kashkari Q&A with the Boston Economic Club
February 8, 2023 | 11:40 a.m. - 12:30 p.m. CT
Virtual Video Event

1時間くらいあってしかも最初の10分くらいただの開始前の無音状態が延々と流れ、その後も司会とかモデレーターっぽい人の挨拶みたいなのがあって、カシュカリのおっちゃんが登壇するのは17分過ぎ、という物件でした。(そこだけは確認したが中身は見てない)


ウィリアムズ副議長NY連銀総裁(空気派)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-rates-idJPKBN2UI1E9
2023年2月9日12:26 午前
政策金利、年内5.00─5.25%への引き上げは妥当=NY連銀総裁

ダドリーのときはあれだけ注目されていたNY連銀総裁ですが、このおっちゃんになってから(しかも親分のイエレンが抜けて以降)すっかり空気になってしまったウィリアムズのおじさんですが。

『[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、フェデラルファンド(FF)金利を5.00─5.25%に引き上げることは「需要と供給の不均衡を解消するため、今年行うべきこととして非常に妥当だと考える」と述べた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のイベントでの発言。また、米連邦準備理事会(FRB)にはまだ利上げが控えており、今後しばらくは金融政策を制約的な水準に維持する必要があるとの見解を示した。FRBの将来的な利下げに対する期待については、その大半が将来的にインフレ率が低下する可能性に対応するものだと述べた。』(上記URL先より)

何ですかね、最近って他のFED高官の発言の中で結構目立つのは「利上げの到達点(一般にターミナルレートと皆さん言うのですが、ターミナルレートって本来はロンガーランの金利の事をいう筈だったのであまりその術語は使いたくないのですアタクシ)についてのピンポイント言及を回避するようになったこと」何じゃないかと思うのですよね(個人の感想)。

先般のFOMCでの先行き何でもできるハイパー出たとこ勝負状態になっているのもその一環でして、もはや利上げ局面のゴールに向けて逆算して進めていく、というのではなくて、完全出たとこ勝負になってきており、ゴールの地点からの逆算方式でFF金利の先行きを考えるのではなければ、当然ながら将来のFF誘導目標について定量的な事を言わなくなり、ムニャムニャと定性的な話をするにとどめておくし、それで市場にメッセージとなって届けば無問題、みたいな感じになっていると思うのですよね。

まあ空気のおじさん到達点を明言しちゃっている辺りが何だかねって所ですが、NY連銀のページは元々総裁の講演とかを探すのがめんどいページでちょっと本件は見つかりませんでした。


〇そして今更のFOMCオープニングリマークネタの続き

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230201.pdf

昨日は前置きの所で終わってしまいましたのでその次から。

・経済全体のレビューでは引き締め政策の累積的な効果による事例をこれでもかと出して来ます

『The U.S. economy slowed significantly last year, with real GDP rising at a below-trend pace of 1 percent. Recent indicators point to modest growth of spending and production this quarter. Consumer spending appears to be expanding at a subdued pace, in part reflecting tighter financial conditions over the past year. Activity in the housing sector continues to weaken, largely reflecting higher mortgage rates. Higher interest rates and slower output growth also appear to be weighing on business fixed investment.』

昨年のレビューをしていますが、説明のポイントになっているメッセージは「金融引き締めの効果でこのようになっています」ですね。


・労働市場はクソ強いと

『Despite the slowdown in growth, the labor market remains extremely tight, with the unemployment rate at a 50-year low, job vacancies still very high, and wage growth elevated Job gains have been robust, with employment rising by an average of 247,000 jobs per month over the last three months. Although the pace of job gains has slowed over the course of the past year and nominal wage growth has shown some signs of easing, the labor market continues to be out of balance. Labor demand substantially exceeds the supply of available workers, and the labor force participation rate has changed little from a year ago.』

最後の「Labor demand substantially exceeds the supply of available workers, and the labor force participation rate has changed little from a year ago.」に論点が集約されていると思うのですが、米国は労働市場のひっ迫が続いており、その逼迫もシャレにならん水準。だというのに労働参加が戻ってこない、という認識ですね。


・物価の説明部分では「安心するのにはもっともっとたくさんの裏付けが必要」と暗に市場の利下げ期待を粉砕に行くスタイル

『Inflation remains well above our longer-run goal of 2 percent. Over the 12 months ending in December, total PCE prices rose 5.0 percent; excluding the volatile food and energy categories, core PCE prices rose 4.4 percent. The inflation data received over the past three months show a welcome reduction in the monthly pace of increases. And while recent developments are encouraging, we will need substantially more evidence to be confident that inflation is on a sustained downward path.』

FEDのオープニングリマークって基本的に段落の最終部分にポイントがある場合が多いので手抜き速読する際には段落のケツだけ読んで回るというのをお勧めします(議事要旨の議事部分はそうじゃないですけど)。労働市場について述べたこの段落のポイントはやはり最後の「And while recent developments are encouraging, we will need substantially more evidence to be confident that inflation is on a sustained downward path.」でして、これは市場の利下げ観測を粉砕するために入れられてた文言ですね。


・続いてインフレ期待ですが相変わらずこれはアンカーされていることになっている

『Despite elevated inflation, longer-term inflation expectations appear to remain well anchored, as reflected in a broad range of surveys of households, businesses, and forecasters, as well as measures from financial markets. But that’s not grounds for complacency. Although inflation has moderated recently, it remains too high. The longer the current bout of high inflation continues, the greater the chance that expectations of higher inflation will become entrenched.』

これまた最後の「The longer the current bout of high inflation continues, the greater the chance that expectations of higher inflation will become entrenched.」がポイントで、物価の水準高杉晋作状態が長くなるとインフレ期待の走錨が始まるリスクも上がるわな、という説明ですな。


・我々はアメリカンピーポーの為に2%に向けて物価を落ち着かせるぞ!というのはいつもの文言

『The Fed’s monetary policy actions are guided by our mandate to promote maximum employment and stable prices for the American people. My colleagues and I are acutely aware that high inflation imposes significant hardship as it erodes purchasing power, especially for those least able to meet the higher costs of essentials like food, housing, and transportation. We are highly attentive to the risks that inflation poses to both sides of our mandate, and we are strongly committed to returning inflation to our 2 percent objective.』

殆ど祝詞の世界ですこれは。


・金融政策決定についてとその効果についてのアセスメント文言を前回12月と比較してみる

ここからが本日の政策決定とその背景説明。

『At today’s meeting the Committee raised the target range for the federal funds rate by 25 basis points, bringing the target range to 4-1/2 to 4-3/4 percent. And we are continuing the process of significantly reducing the size of our balance sheet.』

これは決定事項。

『With today’s action, we have raised interest rates by 4-1/2 percentage points over the past year. We continue to anticipate that ongoing increases in the target range for the federal funds rate will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time.』

ということで、ここから先はまた前回との比較をしますよ。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20221214.pdf(前回12月)

『With today’s action, we have raised interest rates by 4-1/4 percentage points this year. We continue to anticipate that ongoing increases in the target range for the federal funds rate will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time.』(前回12月)

ということで12月も今回も「今後も利上げが適切」という表現部分の文言は(実際の金利水準の数値以外)変えていませんね。

『We are seeing the effects of our policy actions on demand in the most interest-sensitive sectors of the economy, particularly housing. It will take time, however, for the full effects of monetary restraint to be realized, especially on inflation.』(今回)

『Over the course of the year, financial conditions have tightened significantly in response to our policy actions. Financial conditions fluctuate in the short term in response to many factors, but it is important that, over time, they reflect the policy restraint that we are putting in place to return inflation to 2 percent. We are seeing the effects on demand in the most interest-sensitive sectors of the economy, such as housing. It will take time, however, for the full effects of monetary restraint to be realized, especially on inflation. 』(前回12月)

前回のは頭におまけがついてますが、それはさておき効果の所を見ると、今回の表現は前回12月の表現をそのまま取って来ているというのが分かるかと思います。つまり効果出てきましたという話自体で何か凄い進展があった訳ではない。

『In light of the cumulative tightening of monetary policy and the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, the Committee decided to raise interest rates by 25 basis points today, continuing the step down from last year’s rapid pace of increases. 』(今回)

『Shifting to a slower pace will better allow the Committee to assess the economy’s progress toward our goals as we determine the extent of future increases that will be required to attain a sufficiently restrictive stance. We will continue to make our decisions meeting by meeting, taking into account the totality of incoming data and their implications for the outlook for economic activity and inflation. 』(今回)


『In light of the cumulative tightening of monetary policy and the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, the Committee decided to raise interest rates by 50 basis points today, a step-down from the 75 basis point pace seen over the previous four meetings. Of course, 50 basis points is still a historically large increase, and we still have some ways to go.』(前回12月)

前回の利上げ幅縮小は「でも50bpだって歴史的に見れば大幅利上げなんですよ」で今回の利上げ幅縮小は「Shifting to a slower pace will better allow the Committee to assess the economy’s progress toward our goals as we determine the extent of future increases that will be required to attain a sufficiently restrictive stance. 」という分かったような分からんような謎説明になっておりまして、まあ結局のところは累積的効果は効いてきたからペースダウンしたんでしょうけれども、まだ半信半疑なのかあまり「ほれ効果がババーンとでてきたわいウッシッシ」という感じにはなっていないという何か中途半端な感じを受けます。

まあ中途半端って外野が言ってますが、これ中の人的にも今は決め打ち不能で迷いながら出たとこ勝負、ということだと思いますし、だからこそ「We will continue to make our decisions meeting by meeting, taking into account the totality of incoming data and their implications for the outlook for economic activity and inflation. 」ということで、「これから出て来る指標をみながら総合的に判断して参ります」という最早あんじょうようやっときますわ!以外の何物でもない説明になっている、ちゅうことやな。


・・・・すいません最後の方ちょっと残してしまいましたが時間がアレなのでここで勘弁してつかあさい。





2023/02/08

お題「日銀ちゃんがおとなしくなってきたのでFEDネタ参ります」

募集してますな
https://www.boj.or.jp/about/recruit/rec230206a.htm
経済調査に関する「短期リサーチスタッフ」の募集について
2023年2月6日
日本銀行 調査統計局

『日本銀行調査統計局では、国内経済に関する調査・分析を行っています。こうした事務をサポートして頂くため、「短期リサーチスタッフ」を募集します。』

まあ折角良い調査をしても政策がポンコツだと以下割愛。


〇パウエル議長の発言・・・・と思ったら公式のリリースは無いようなのでメモメモ

https://jp.reuters.com/article/powell-box-idJPKBN2UH1PV
2023年2月8日3:21 午前

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の発言要旨
ロイター編集

『[7日 ロイター] - パウエルFRB議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じた。発言の要旨は以下の通り』(上記URL先より、以下同様)

とあるのですが、この先がシェフの欲張りセット状態で沢山ありますな。ロイターさんパネェっす。

『*先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのメッセージは、インフレ鈍化のプロセスは始まったが、まだ先が長いというものだ
*インフレ低下プロセスにはかなりの時間がかかる。
*プロセスには紆余曲折あり、さらなる利上げが必要となる可能性』

声明文のハトっぽい書きっぷりは???という感じなのですが、

『*雇用統計は予想よりかなり強い
*強い雇用統計は、われわれが相当な期間を要すると考える理由を示している
*継続的な利上げが適切と予想、まだ十分に抑制的な水準には到達していない
*予想以上に強いデータが続けば、それに応じて追加利上げを実施する』

結局の所直後に出る雇用統計が強いので(知らんとか言ってたみたいだがわけがない)調整したんでしょう。

『*2%のインフレは世界の標準、FRBは変更を検討せず』

どういう文脈でこの話が出たのやらという感じですが、

『*2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し
*インフレを2%に近づけるには来年までかかるだろう』

ということで、急いで2%に下げる為の大引き締めをする訳ではないよ、という話をしている訳で、水準は兎も角としても方向性として「利上げするにしても相当にチンタラとしか利上げしない」って事だと思うんですけど、なんか最近の米債市場一々過剰に振れ過ぎ(FOMC後の楽観と雇用統計後の悲観と)に思えるんですよね。

『*経済が堅調なため、労働市場も堅調
*雇用市場にダメージを与えずディスインフレが始まったのは良いこと』

会見の方で出てきた「ディスインフレ」はめちゃめちゃキャッチーな言葉で、パウエルがこの言葉の与えるショック(というか逆ショック)を知らんわけがないので、わざわざぶっこんできたのには意味があると考えるのが妥当で、その辺はFOMC後の会見ネタを今更ジローで成敗して参ります。

『*新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、米国の労働力供給に永続的な影響を残した。労働者不足は「構造的」と感じられる
*労働市場は現時点で最大雇用を超えていないとしても、少なくとも最大雇用の状態』

と言ってるのだが、

『*現在のインフレの大部分はパンデミックに伴う活動の停止と再開に関連』

と言ってて、これは文脈が取れないから分からんけど、労働需給ひっ迫の構造的な問題を指摘しているのに、ワンオフの影響でインフレの大部分が来てる、って説明するのおかしくね??って感じです。

これまたFOMC後会見の所とかで何回か話が出てたのは「高インフレを長期間に渡らせれば渡らせるほど、インフレ期待のアンカーが外れるリスクが高まる」ってのもこれまたありましたので、インフレが無事に下がって欲しいという願望かねとは思うのですが、この後の方の発言(として報道されているもの)を見ますと、そうはいっても物価はそう簡単に下がらん見たいな話もしていて、足元では現実と先行き見通しと願望との折り合いがついていない、というと文学的になりますがw、結局の所インフレの先行き見通しが訳分らんって事なんじゃないですかねえ、知らんけど。

ちょっと途中を飛ばしまして、

『*FRB、長期的に2%のインフレ目標達成に向けた手段を有しているが、インフレは世界的なイベントに影響される
*忍耐強くある必要
*サービス部門の大部分でまだディスインフレは見られず、忍耐が必要
*住宅部門でディスインフレはまだ見られていないが、今年下半期に起きる可能性
*ディスインフレがいつ大規模なサービス部門に定着するか最も懸念、外部要因も懸念』

って話をしていて、なんかこう全体の文脈を読まないとお前は何を言ってるんだ状態に見えます。

まあ何ですな、そもそも論として米国は物価見通しを(政策に引っ張られたせいもあるけど)2年間ほど盛大に外しまくって今に至るの巻、ときていますので、FEDも見通しは出しているものの「わけわからんです」状態になっているからこういう微妙に一貫性のなさそうな談話をしているんジャマイカですね、

『*労働市場の状況に多少の軟化が見られると予想
*労働市場は堅調だが賃金の伸びは緩やか、今回のサイクルはこれまでと異なる可能性
*賃金上昇、持続可能な水準近くまで低下
*労働市場が軟化するとの見方は変わらない』

その前の方で労働市場参加者が構造的に増えにくい話をしたあとにこのような感じの労働市場の話をしているのもアレで、さっきのインフレの所と合わせて、見通しがあまりにも決め打ち不能モードであばばばばーってなってるのかなと思いました(個人の感想です)。

『*われわれはデータに反応する
*好調な労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性
*力強い雇用統計、インフレ対応に長い道のりが残っているとの先週のメッセージを強調
*インフレが痛みなしに直ちに解消することはない
*一段の利上げを行い、その後に十分かどうか見極める必要』

いやだったら先日のFOMCの声明文の今後の進撃作戦終了(とまでは言わないけど割とそれに近いモード)のお知らせっぽい示唆は何だったのかと小一時間問い詰めたいのですが、今年のFEDは出て来るデータに対して一々リアクティブに反応しかねなさそうな勢い、実際の政策は多分ステイなんでしょうけれども、情報発信的に出てきた重要指標にホイホイ反応して強くなったり弱くなったりとスタンスがブレているように見えてしまう形になるのかな、とか何とか思ったり思わなかったり。


〇ハイパー出遅れましたが今更FOMC記者会見

10年0.495%になっても泡吹きオペ投下とかしなくなっている日銀ちゃんのお蔭をもちまして、FEDネタに参れますわよ奥様。

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230201.pdf(今回)

一部で前回比較というのをやろうと思いまして
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20221214.pdf(前回12月)


オープニングリマークを一部前回と比較ということですが、冒頭のご挨拶部分から比較比較。


『Good afternoon, and welcome. My colleagues and I understand the hardship that high inflation is causing, and we are strongly committed to bringing inflation back down to our 2 percent goal.』(今回)

『CHAIR POWELL. Good afternoon. Before I go into the details of today’s meeting, I would like to underscore for the American people that we understand the hardship that high inflation is causing and that we are strongly committed to bringing inflation back down to our 2 percent goal. 』(前回12月)

冒頭の所で前回までは高インフレがアメリカンの皆さんに非常に怪しからんことになって、という枕詞を入れながら「we are strongly committed to bringing inflation back down to our 2 percent goal」というのを入れていたんですが、今回はアメリカンピープルのハードシップがどうした表現を外してきていまして、この辺りも「インフレ抑制キタキタキタ!」的なアレを感じますな。

『Over the past year, we have taken forceful actions to tighten the stance of monetary policy. We have covered a lot of ground, and the full effects of our rapid tightening so far are yet to be felt.』(今回)

『Over the course of the year, we have taken forceful actions to tighten the stance of monetary policy. We have covered a lot of ground, and the full effects of our rapid tightening so far are yet to be felt. 』(前回12月)

とは言え、「ここまで引き締めてきた効果が出てきましたぜウッシッシ」部分になると前回と同じ認識を示していまして、じゃあ今回25にペースダウンしたのは何なの??というのがイマイチ不可解ですわな。


『Even so, we have more work to do. Price stability is the responsibility of the Federal Reserve and serves as the bedrock of our economy. Without price stability, the economy does not work for anyone. In particular, without price stability, we will not achieve a sustained period of labor market conditions that benefit all. 』(今回)

『Even so, we have more work to do. Price stability is the responsibility of the Federal Reserve and serves as the bedrock of our economy. Without price stability, the economy doesn’t work for anyone. In particular, without price stability, we will not achieve a sustained period of strong labor market conditions that benefit all』(前回12月)

物凄く芸が細かいのですが、従来から言ってる「物価の安定無くして〇〇無し」のスローガンがあるのですが、今までは「without price stability, we will not achieve a sustained period of strong labor market conditions that benefit all」だったのですが、今回このレーバーマーケットの所の「strong」が何故か撤去されていまして、この冒頭ご挨拶の表現に関して見ますと、従来よりも措辞が柔らかになってきている、というのがあります。

この辺のオープニングリマークで日銀文学をやるような玉かというとFEDってそんな玉でもなかったとは思うのですけれども、近年(特に緩和終了モードになって以降)のFEDってこの辺りの表現の微妙な修正を結構気を使ってやっている感がありまして(物凄く個人の感想です)、全体的にソフト路線へのギアチェンジを行っているように思ったでありまして、こういう辺りも従来のタカタカ物価抑制大正義路線からの微妙な修正になっているなあと思うのでした。

しまったオープニングリマークの最初の8行如きで時間使い過ぎた。今日は次の所までで勘弁なのですが・・・・・・


次のパラグラフを見ますと、これまた味わいが深い。

『Today, the FOMC raised our policy interest rate by 25 basis points. We continue to anticipate that ongoing increases will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time. In addition, we are continuing the process of significantly reducing the size of our balance sheet. 』(今回)

『Today, the FOMC raised our policy interest rate by 1/2 percentage point. We continue to anticipate that ongoing increases will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time. In addition, we are continuing the process of significantly reducing the size of our balance sheet.』(前回)

政策決定と今後の話をする所での表現が利上げ幅以外同じでして、いやちょっと待て認識同じなのに何で今回利上げ幅縮小してますねんという感じですが・・・・・・・・・

『Restoring price stability will likely require maintaining a restrictive stance for some time. I will have more to say about today’s monetary policy actions after briefly reviewing economic developments』(今回)

『Restoring price stability will likely require maintaining a restrictive policy stance for some time. I will have more to say about today’s monetary policy actions after briefly reviewing economic developments.』(前回12月)

こうやってぶつ切りにすると分かりやすくなるのですが、政策決定内容に関する説明の中で、物凄く芸が細かいのですが単語を1つだけ削除しているんですよ今回は。

お分かりの通りで、「物価の安定を確保するためには、恐らく今後しばらくの間、我々が引き締め的な「政策」スタンスを取る必要があると見込まれる」という部分の「政策」、元の文章だと「policy」の文字が消えているのであります。

消えた文字、というのには当然消えるだけの理由がある訳でして、「引き締め的な政策スタンス」ではなくて「引き締め的なスタンス」にしているのっていうのは、これは声明文の方でも似たような言葉の変化を指摘しましたが、(前半のパウエル発言だと早期利上げ停止にならないかもしれんけど)状況次第で「利上げ停止」が出来ることを意味して、その時に向けた伏線を念のため張っておく(つまり本当に停止するかどうかは別問題だけど、利上げ停止した時にちゃんと示唆してたでしょという言い訳が出来るのと、直近の声明文等で言ったことが結果大嘘nならないようにしている、という話ですわな)という配慮が入っているんですよね。

利上げ停止しても「引き締めスタンス」ではあるけど、政策の方向性としては利上げ停止は「引き締めているという現状は維持してるけど、方向性として引き締めの強化はしていない」のですから、その場合に「restrictive policy stance」としちゃうと、あれ方向性はしばらく引き締め拡大必要だったんじゃないの???と逆ねじ食らわされたときにマズー。

とまあそんな配慮が細々と入っているなあ、というのが今回のFOMCだったと思うのです、その割には雇用統計一発でその辺の配慮をすっ飛ばす効果があった気もせんでもないですけどね。

#続きは明日以降で勘弁





2023/02/07

お題「雨宮さん=黒田さんではない点は注意したいですねという雑談を放流の巻です」

しかしこちとら10日国会提示でそれまで何も出ないと思ってたのにドンドン予定が狂うんですけど・・・・・・・

〇債券市場が碌に好感しなかったのは米国様動向>日銀総裁人事なのかそれとも・・・・・・・・

・昨日の日経渾身の朝刊記事、結局他紙の追随が来ませんでしたね

追随来ないから日経とりあえず自己レス続報してますが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0634T0W3A200C2000000/
日銀総裁人事大詰め、雨宮氏に打診 市場は円安・株高
経済
2023年2月6日 19:30 (2023年2月7日 5:04更新) [有料会員限定]

『日銀の黒田東彦総裁の後任人事を巡る政府の調整が大詰めに入ってきた。政府が雨宮正佳副総裁に就任を打診したことがわかった。与党などとの調整を経て2月中に国会へ同意人事案を提示する。』

『岸田文雄首相は6日、雨宮氏への打診について「何か申し上げることはしない。私自身、検討を続けていきたい」と述べた。首相官邸で記者団に聞かれて答えた。雨宮氏は都内で打診に関する記者団の質問にコメントを控えた。』(上記URL先より、例によってこの先は有料会員記事)

市場で働いていることになっている人間にアルマジロな事に不肖このアタクシ、20年来の日経無課金おじさん(おまけにこの5年以上新聞無課金)なので記事の続きはワカランチ会長でございますが、そもそも「総裁人事大詰め」って表題が????で、いやお前朝刊記事のアレは確報じゃなかったのかよと小一時間。

まあ他紙が追っかけないというのは結局裏が取れなかったという話だと思うのですが・・・・・・・


おいこらちょっと待て10日金曜じゃなかったのかよ。

https://nordot.app/995250087197999104
日銀総裁案を来週国会提示へ 政府方針、副総裁2人も
2023/02/06
著作権マーク 一般社団法人共同通信社

いや副総裁の方が先に任期切れなんだから総裁だすときに副総裁も出すだろとは思いましたが、
何はともあれ、

『政府が4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁(78)の後任人事案を、2人の副総裁候補とともに来週に国会に提示する方針を固めたことが6日分かった。岸田文雄首相は「私自身しっかりと検討を続けていきたい」と官邸で記者団に表明した。政府と日銀が目標とする2%の安定的な物価上昇と持続的な賃上げにめどを付け、歴史的な物価高を招くなどの弊害が目立つ大規模な金融緩和策から脱却する道筋を探ることが、次期総裁の課題となる。』(上記URL先より)

>政府と日銀が目標とする2%の安定的な物価上昇と持続的な賃上げにめどを付け、
>歴史的な物価高を招くなどの弊害が目立つ大規模な金融緩和策

ってこれ日銀に対するイヤガラセで書いているんだと思うのですが、共同通信さん中々毒が強い記事書きますな(もし素で書いてたら義務教育の国語の授業からやり直した方が良いです)と笑ってしまいましたが、2月10日じゃなかったのかよ話が違うじゃねえかと。


・しかし債券市場だけは反応が冷ややかというか何というか

うーんこの。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N34M18A
2023年2月6日3:23 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、雨宮氏への日銀総裁打診報道は影響限定的

『東京 6日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は反落で引け、雨宮氏への日銀総裁打診報道は影響限定的

国債先物中心限月3月限は前営業日比21銭安の146円94銭と大幅反落して取引を終えた。本日未明に日銀次期総裁人事を巡る報道が出たが影響は限定的で、前週末の米雇用統計の強さを受けた米金利低下の流れが相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.490%。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、まあ確かに雨宮さんが総裁になったからと言いましても、そもそも論として足もとで行われている(直近少しだけ沈静化してますが)市場大破壊パニック国債買入と、政策目標達成後に短期政策金利誘導を極めて困難にする過剰流動性大サービスの長期共担オペ乱発、というのがサステイナブルではない政策なので、結局のところは政策運営の見直しをしないと回らないのは衆目の一致するところ、ということでそんなことよりも米国のインフレがサガランチ会長になるとかの方がヤバいよねというのでそっちに反応した、というのでFAなんですかね、良く分かんないけど。

ちなみに

     OFFER  BID   前日比 時間
2年   -0.031 -0.024   0.005 14:56
5年   0.163  0.17   0.009 15:03
10年   0.489  0.495  0.009 14:07
20年   1.301  1.313  0.029 15:02
30年   1.517  1.528  0.005 15:08
40年   1.753  1.769  0.005 15:07

超長期20年が一番甘いのかという所ですが、金曜月曜と横綱が勝手にドスコイドスコイと強くなったり弱くなったりしている感もあって、なんかもう訳分らんムーブでアタマイタイでありまする。


しかしまあ何ですな、他市場だと単純に「雨宮さんだから黒田緩和継続だぜヒャッハー」って反応なのでございますが、12月MPMからこの方の日銀のパニックオペレーションって、そらまあ口では「YCCの持続性強化」とか言ってるけど、どこからどう見ても最後にヤケクソになって死期を早める集団大特攻バンザイアタックをしているだけのようにしか見えなくて、それを雨宮さんが止めようともしないという時点でお察しという感じがしますし、まあ昨日の債券市場が雨宮さん新総裁キタコレとなっても別に金利がずんずん下がる訳でもないとなってるのって、「そもそも今やっていることが年単位は勿論、下手したら四半期単位でも継続不可能」ってのを認識しているから、政策の継続とかあんまり信じられないというお話なんだと思いました(個人の感想です)。


さらに個人の感想ですの話になってしまいますけど、雨宮さんが色々と黒田日銀の下でぶっこんできた政策(前半は中曽さんも共同正犯ですけど)行動、まあそれ以前の時からもそういう傾向はあったと思うのですが、特に黒田日銀以降の政策行動をみると感じると思うのですけど、基本的に雨宮さんのムーブって「政策行動に原則が無くて八方美人」というのが特徴だと思うのよ、良くも悪くも。

最近では安定的な物価上昇のゴールポストをコロコロ変えて見たり、ついこの前「企業金融支援」と称してぶっこんだ共通担保無制限アロットメント2週間物取引の存在意義をすっかりなくさせるような長期共担オペを企業金融も何も言わずにぶちこんでしまう、など、良く言えば融通無碍なんですけど、悪く言うと政策ロジックの一貫性に欠けるというか、そもそもロジック不在で目の前で起きていることと、言われていることにたいしてリアクティブに反応して新しい変なものを次から次へと繰り出して目くらましをする、というのをしている訳ですな(個人の偏見です)。

つまりですね、これ黒ちゃんのように謎の狂信者の下では狂信者の仰せの通りにイエッサーと政策の延命になってるのかなってないのか良く分からんロジック大崩壊政策を打ち出すわけですが、ロジック大崩壊政策を考えるだけに、要は一貫したプリンシパルが存在しないのであって、それって物凄く丁寧な言い方をすると「現実を見て適切に対応する」という文脈においては、過去との整合性とかを良くも悪くも無視できるということに繋がりますので、黒ちゃんが去った後に黒ちゃんにそのまま忠節を誓うような政策行動するんでしょうか、というのは物凄く眉に唾をつけて考えないと行けないと思うの。


まあ何ですな、「一貫したロジックやプリンシパルが無い」という手法によって黒ちゃんの政策を延命させるという事に成功している訳で、そういう相手にロジックとかプリンシパルがどうのこうのとかいうのは馬の耳に念仏にも程がある訳で、その点からも雨宮さん平然と今までと違うロジックをぶっこんできて君子豹変するリスクは常にある、と考える方がやはり妥当なんじゃないでしょうかとまあそのように思っているのはアタクシの個人の感想ですなので別に話10分の1くらいに聞いて頂ければと思うのですが、とにかく黒田日銀の終盤って完全に「ロジックが一切通用しなくて、今の政策を誤魔化し誤魔化し延命することという結論から逆算した運営が続いた」という状態になっていたので(個人の偏見です)、まあそういう事だぞという話。


・・・・・・いやまあ何ですよね、何とかストを本業にしてコメントする人だと、「そもそもロジックが通用しないから」という事を前提にして金融政策の想定をするってさすがにちょっとそれはお前何言ってるのと怒られが発生し兼ねない話なので、本業の何とかストの皆さんに対しては結構同情しちゃいますよマジでこの状況は。


・副総裁人事で特徴を出すってのはまああるんだけどそれは実効性はない「特徴」になりそうですね

今回何故か総裁の名前だけ出てきましたけど、副総裁人事で特徴を出すというのは勿論アリエールではありますけど、じゃあそこを頑張ってどうなのよと申しますと、「〇〇でも入れる名球会」みたいに「置物や若田部でも務まる日銀副総裁」という言葉もあるように(嘘です後者は今でっち上げました)、一個くらい木彫りの熊なり人形ケースに入れた博多人形なりを入れてもまあ別に務まるちゃあ務まるのですが、そういうのを入れてしまうと総裁に掛かる負担が巨大になってしまいますのよ。

特にこの滅茶苦茶政策の収拾ってのが課題になる中ですと、ただの博多人形を置いておく余裕が日銀的にあるのかという話なので、対外スポークスマンか、政策(というよりもオペレーション)立案か、組織運営か、政府などとの折衝か、というような分野のどこかで「表に出せる」人間じゃないと総裁が死んじゃうと思いますので、上記のいずれか(2つ以上なら更に良い)に長けたお方で脇を固めて行かないと厳しいものがあると思います。あんまり安易に適当なトロフィーおいておけばOkという話ではないと思いますがどうでしょうかね。

ということでまあ本件は続報待ちですよね。そもそも「打診」なんて百年前くらいに既にしてるだろという話で、日経の記事が一貫して「打診」ってなってるのも何か勘ぐれば変な事情があるのかも知れませんよね(皆まで言わない)というサムシングもある訳ですし・・・・・・・・・・・・・・・・・


〇ネタが溜まってしまっていますので順次整理してお送りしますね(ただの予告編)

いやまあ正直日本の政策の方は今さら何をという感じだし総裁人事出てからまたのんびりと考える、ただし後継が雨宮副総裁の場合は、3月会合も「ライブ」になるという点(昨日はYCCの長期コントロール解除または短期化ワンチャンあるで妄想を垂れ流してみましたが、そういうエクストリームな話ではなくても、雨宮さんが継続的にかかわるのであれば3月会合は「1回パス」にはなり得ない)は要注意ですよね、という位だし、前述の通りそもそも政策行動のロジックに一貫性が無い(12月にあれだけ市場機能と社債市場の話をしておいて1月になってそれが改善どころか悪化しているのに平然とスルーして逆切れ緩和(事実上)の長期共担を入れて来るのは酷かった)ので、予想しろというのがそもそも無理。

欧米に関してはインフレの中身が違うから一緒くたにするのは話に無理があるけど、基本線としてインフレ放置して賃金物価スパイラル起こすと後が大変なのでそれは避けたいというのと、物価のために景気を減速はさせるけどコケさせはしない、というのがボトムラインにあって、その上にまあいろんなデコレーションはあるのですけど、この2点のバランスをどうとるのか、というのが今年の焦点だと思うの。

そういう文脈で1日のFOMCとその後を考えますと、FOMCって最近は「声明文がハトだと会見がタカ」みたいなバランスのとり方をしてたんですけど、1月のFOMCって珍しい事に「声明文がハト」(これは誰がなんと言おうとアタクシはハトだと思う、最大の理由は「今後の利上げの程度はデータディペンデント」と利上げの「ペース」と「程度」に切り替えて、実は状況次第では次回利上げをしないでも済むような工夫を入れ込んでいる所にある)で「会見もハト」(このインフレの中で平然と「ディスインフレーション」とか言い出したので)、という珍しいコンボだったのですが、結局その答え合わせは雇用統計がクソ強かった、という所にあったんでしょうね、と思う訳です。ただ、いつものコンボを使わないで来たというのは、つまりは雇用統計でマーケットがショックにならんように配慮しているということであって、今までですとゴルディロックスヒャッハー相場になると水を盛大にぶっかけて市場の酔っぱらいを覚ましに行く、というのをしていたのですけれども、今回は「雇用統計ショックでリスク性資産が大コケしないようにハトっぽいFOMCで行ってみました」という調整をしている訳で、これ即ち市場に配慮しているという事になるかなと。

まあ単発だけだと何ともですし、ゴルディロックスヒャッハーが家計資産(゚д゚)ウマーからの労働参加率アガランチ会長からの労働需給ひっ迫からの賃金物価スパイラルになる、という連鎖は避けに来るでしょうから、いつまでもあると思うな市場配慮ではあるのですけれども、引き締めに転じて効果も出てきたという認識の元、少し市場配慮型が戻って来たようには見えますので、その辺りもうちょっと発言とかを精査しないといかんなと思っております。

ということでその辺を探求すべくFEDECBネタと、他山の石持って玉を攻むべし、ということで久々に英国の考察を真面目にやっていかないと行けないな、と思っている次第なのでございますが老体なので気力体力の限界というもののあるのがアレよorzorz

てな雑談を月曜から連発で大変恐縮でございました(土下座)。






2023/02/06

お題「臨時ニュース飛び込んできましたので予定を変更してお送りします(^^)」

これは斬新な言い訳wwwwww
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230205/k10013971171000.html
米の気球撃墜発表 中国外務省“強い不満と抗議” 対抗措置示唆
2023年2月5日 10時08分

『アメリカ国防総省が中国の気球を撃墜したと発表したことについて、中国外務省は5日、談話を出し「中国はアメリカに対し、無人飛行船が民間のものであり、アメリカに入ったのは不可抗力で、全く予想外の状況だと何度も伝え、冷静かつ理性的に処理するよう明確に求めていた」として、強い不満と抗議の意を表明しました。』(上記URL先より)

じゃあ日米の民間無人飛行船をバンバンと不可抗力で中共本土に不可抗力で送っても大丈夫なんですね!!!!!!!!!!

・・・・・ってなんじゃこの理屈と思うが、この手の内向き屁理屈を堂々と捏ねてしまうってのは組織として相当にアレというアレでございますわ。「不可抗力で、全く予想外の状況」で済むならリットン調査団は要らん訳でしてですね(以下不穏当の為自主規制)。

と、昨晩書いて休み明けダリーと思っていたら予定外の大ネタでシャキッと目が覚めるアタクシ。


〇予定を変更しまして臨時ニュースの雨宮さんキタコレを参ります

日経キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB10CBV0Q3A110C2000000/
日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診 政府・与党が最終調整
金融政策
2023年2月6日 2:00 [有料会員限定]

【この記事のポイント】
・日銀次期総裁に雨宮正佳副総裁を充てる案で政府が調整
・2人の副総裁も含めた人事案を2月中に国会に提示
・異次元緩和の副作用をふまえ金融政策の正常化が使命に

『政府が日銀の黒田東彦総裁(78)の後任人事について雨宮正佳副総裁(67)に就任を打診したことが5日わかった。黒田氏は4月8日に任期満了を迎える。与党などとの調整を進め、2人の副総裁も含めた人事案を2月中に国会に提示する。』(上記URL先より、なお以下は有料会員限定記事になります)

ということで日経キタコレである。まあ誤報じゃなかったら(最有力候補だし打診自体はしてるからそういう意味では誤報にはなり得ないけど)雨宮さんキタコレという事でございますな。こちとら10日に人事案国会提示まで分からんもんだと思ってその積りで予定を組んでいたので段取りが変わる(何の段取りだよ)じゃないですかヤダーという感じですが、まあ何はともあれフライングで雨宮さんということで以下妄想寄りの考察を展開。


・12月以降の無茶苦茶オペレーションを責任もって収拾して下さいね

まあ何はともあれこれを申し上げるという事になる訳ですが、まあ自分のまいた種、というよりもクラスター爆弾級の国債買入と、何といっても長期共担オペとか企業金融支援無制限共担とか、金利誘導の世界に戻った時にオペレーションを非常に窮屈にすることをこの1カ月半で散々やらかしてくれましたので、5年かけて正常化して頂きたいものです。

・・・・・まてよ、長期共担オペが「5年」だったのは「雨宮さんの最後には残高がゼロになる」という意味だったのか(今まさに天からアタクシに降りてきた電波なので気にしないで下さい)。

とにかくまあ長期ゾーンがこの有様なのは酷いの一言に尽きますし、減額措置がバンバンと出るというのも何か裏口入学っぽくてアレだし、ということもありますので、日銀がアホのように保有している長期債について何らかの施策を考えて頂きたい訳です。


・これ3月YCCの長期コントロール変更ワンチャンねえか、という大規模妄想(妄想ですよ妄想)

あのですね、12月のアレが出た時に最初「黒田さん、最後は後任に向けて道を付けて退任とはちゃんと分かってるじゃん」という風に思って、なんかそれらしいことも書いた気がするんですが、その後のパニックオペとヤケクソの長期共担(2年も含む)攻撃はそれを全部引っくり返して、ただの焦土作戦にしか見えない攻撃だったのでありまして、雨宮さんが次をするにしては何でこんなにヤケのヤンパチみたいな事をするんだ????と極めて????????で、改易移封にトサカにきてヤケのヤンパチをやっているのかよ(=雨宮さんの次は無い)とか思ったりもした訳ですなアタシャ。

然るに、ここで雨宮さん後任、ということになりますと、そらもう黒ちゃんにしてみれば石持て前任を追った人のインガオホーの刑を食らわずに済むわけで、そうなのであれば、雨宮さんのやりやすいようにするって話なら、YCCの長期の方だけなら「経済物価情勢を勘案して10年のコントロールを廃止(または2年とか5年とかに短期化)しても緩和的な金融環境は継続します、なお2%物価安定目標達成までにはまだ時間が掛かるので、短期のマイナス金利政策を維持することによって緩和的な金融環境を作り出します」とか何とか言ってYCCの長期のコントロール終了と「一定の勝利宣言みたいなもの」もあるでという妄想が沸き起こって来る訳ですよ。

これが後任黒ちゃんを石礫まみれにしてぬっ転がすお方だったら別なんですけど、雨宮さん相手だったら黒ちゃんここは後任の為に一肌脱いで収拾モード・・・・・・ってのどうでしょうかね。

なお、今のは無茶苦茶妄想に寄っていますので念のため申し添えます。


・なお最悪なのは「小手先誤魔化し昭和温泉旅館」が継続するパティーン

まあ何ですよね、黒ちゃんの意地と面目の為に昭和温泉旅館の増築をバンバン行い、まさかの最終盤において「移動可能な指値オペ」「パニック臨時輪番」「物価目標達成後に無茶苦茶苦労することになる長期共担オペ」というような形で、増築どころか接続して新館作るレベルの無茶までやらかして下さったというのがこれまでの実績な訳ですよね残念ながらこれはそう断ぜざるを得ませんね。

でまあ黒ちゃんがスパッとYCCとかいう悪霊を退任と共に切り払ってくれれば良いのですが、そんなことはしない、となると(まあそっちが普通の予想ですけどね)雨宮さんは悪霊を召喚した張本人の1人でありますが故に、就任後もその悪霊に憑り着かれてしまったまま、という場合に今後の政策運営が更に小手先誤魔化し昭和温泉旅館政策の上塗りに成り兼ねないのが一番懸念しているところでありまして散々上塗りした挙句に磐光ホテル火災事故(詳しくはwiki先生にでも聞いてちょ)もかくありなんというような大惨事を招いてしまう、というのが一番の懸念。

しかも日銀ってこういう小手先誤魔化し昭和温泉旅館施策については無駄に能力が高くて、例えばFEDなんかですと「FEDビュー」そのもののように毎度やらかしをして(リーマンの時にCPで騒いだのにコロナの時にまたCPで騒ぐとかお前ら同じこと何回やれば気が済むの状態が一例)金融市場に火災を発生させて、海外まで貰い火(だいたいFEDがやらかすたびにFSB−IOSCOが規制の上乗せをしてくるのマジ勘弁なんだが)が飛んでくるわけですが、FEDの場合小手先誤魔化し能力が「FEDビュー」だけに無くて、一々出火炎上を繰り返すのですが、ゆうて政策自体が昭和温泉旅館じゃないので、火災事故と言っても大惨事までは行かないで(多少の犠牲は出る)終わるパターンなのですが、日銀の場合は小手先誤魔化し昭和温泉旅館の究極までやってしまいますので、本当に火災事故になるとどこをどうすれば事態が何とかなるのかという問題が極限まで大きくなってしまうので、エライことになってしまう訳ですわ。金融政策じゃないけど90年代の不良債権処理なんてあれ問題の先送りを官民一体でやったから問題が拡大した訳ですな。

ということでありますので、雨宮さんにおかれましては(総裁就任前提で書いてますけど)もう忖度をしなければいけない上司はいないのですから、忖度の為に小手先誤魔化しをするという悪縁は切断していただきたいと思う訳ですし、その文脈でさっきの妄想であるところの「黒ちゃん最後に悪縁切断の儀」をするのが宜しいのではないでしょうか、などと思ったりするのでした(なお3月なので期末がどうのこうのという問題があったりなかったりするというのがアレではあるんだよなあ・・・・・・)。


・実の所の問題は「国内物価が全然下がらんかったらどうするの」というど真ん中の部分だったりする

市場機能云々(特に昭和温泉旅館の極みを尽くしてくる過程におけるオペ先と非オペ先の間の非対称拡大が起こす歪みって、非オペ先が基本的に声大きくないのと日銀自体が基本的に非オペ先の話を聞くという発想がイマイチ欠如しているので全然盛り上がらないのですけど、市場参加者の機会均等を損なうのって基本的に良い事だとは思わないのよね、そのうちまとめて書くと思うけど)というのも円債村のクソジジイのアタクシとしては問題だと思いますが、まあそんなことよりも物価ですよ物価。

先日だって東京都区部CPI出たら(ノ∀`)アチャーって相場売られてましたけど、日銀の見通し「今の物価上昇は一時的で23年度になると上昇率は失速して1%台半ばですよ1%台半ば」というのが「ちょっと待て全然物価が下がってこないじゃないですか」とか「それどころか上がってるじゃんどういう事や」という事になる、というど真ん中の話がやっぱり一番のリスクとしか言いようがないですし、2月の都区部見てても何かこの先ホイホイと物価上昇率が下がるっての本当でつか???という雰囲気isあるんじゃなかろうかと思う訳ですよ。


そうなりますと、元より昨年1年間盛大に物価見通しを外しまくって、外しまくっている筈なのにああでもないこうでもないと小理屈(基調的な物価→賃金ときて最近はサービス価格とか言い出して賃金も急に単年度だけじゃダメとか言い出す)を捏ねてひたすら政策の手直しを拒否し続けていた(と思ったら急に変なものでも食ったのか12月のアレでしたが)のですが、さすがにここから先物価見通しが先般の日銀見通しのように行かない、という話になりますと、それは「物価安定目標ってなんだったんだっけ」という日銀の本質を突く話になってしまいますので、市場機能がどうのこうのというような話を一撃ですっ飛ばすレベルの大問題になってしまいます。

まあそんな事も勘案すると、どっからどう見ても4月の展望レポートの時点で物価下がるの図が見えてないと相当苦しいという就任直後からいきなり苦労する展開になってしまう(のでさっきの妄想にあるように黒ちゃんが退任のお土産にYCCという悪霊を引き取って悪霊ともども去ってくれるのがベストだと思うけどまあ叶わぬ妄想かなとは思ってます)という鬱展開な訳ですよ。

これが雨宮さん以外であれば「うーんちょっと今までの物価見通しは下にバイアスがありましたなー」で済ませられる(残ってる6名の事は知らん)のですけど、雨宮さんはこの「政策先にありき大本営物価見通し」の共同正犯になりますので、そういう意味では就任早々いきなりの難局になって、そこで一発目から昭和温泉旅館の増築を始めると行きつく先はホテル火災事故ということになりますので、まあ日本の物価はもっともっと注目されるべきではないかと思いますがどうでしょうか。


・・・・・・・とまあそんな感じで臨時ニュースが入ってきたので何となく週末この辺のネタとか思っていたものが全部すっ飛ぶという事態になってしまいました(とか偉そうなこと言ってるけどなんせ先週先々週とやたら疲れる展開だったので週末仮死状態であんまりまとめられていないというのが正直な所ですすいませんすいません)が、とりあえず何となく雨宮総裁ってことなのでそういう意味では本命の馬が残り100メートルで抜け出して来て何かコメントと言ってもそんなに面白い話もないのですが、まあとりあえずこんな感じでしょうか。一応妄想全開の3月見通し、全くない話ではない(黒ちゃんが雨宮さんの為に泥をかぶる気があるなら寧ろやるべき)とは思うんですがさてどうでしょうかね。



〇ほかに重要ネタがあるのにどうでもいいネタで本日のオマケである(若田部副総裁金懇)

まああの静岡金懇、置物一派の言い訳と相変わらずの藁人形論法で批判されている事の内容をすり替えて自分たちを正当化する、という大変に若田部さんらしい物件で、そういう話はW大学でやってろとしか言いようがないですが、会見のこの質疑応答はクソワロタのでこれだけネタにしておく。この人の金懇とか講演とか基本的に読む価値が全くない(置物はそれでも読みものとしての笑いの部分とかあったけどこの人はそれすらないのがかなりどうしようもない)ので最近無視しておりますけどね。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230203a.pdf

質疑応答の5ページである。

『(問)
続けてインフレ目標のところをお伺い致します。午前の挨拶の中で、物価安定の目標を曖昧にするというのは、政策が追求すべき目標を曖昧にしてしまうなどとおっしゃっていたと思いますが、これ具体的にどこをどうすれば曖昧で、あるいは一方でクリアなのかというところについて、若田部副総裁のご見解を教えてください。』

『あと、もう一点お願いします。日本の 2%の目標というのは、除く生鮮のコアCPIでやってると思うんですけども、この除く生鮮というのは日本でかなり独特であって、諸外国とは違うと思うんですけども、今後これについて見直したりだったりとか、今後これをどう改良していくといいますか、今後そのようにする余地などというのは、若田部副総裁はどのようにお考えでしょうか。』

これ、割と諸葛孔明の罠っぽい質問なのですが・・・・・・・・・・・

『(答)
一番目の話は、ここでは注でも触れたんですけれども、注だと 11 になりますかね。日本銀行の金融研究所の海外顧問であられるオルファニデス教授という方がおられます。その教授が日銀の国際カンファレンスで出した論文というのが、2013 年以前と比較した場合、[2013 年以前は]物価安定の定義が曖昧であったと。例えば、2%の物価安定の目標ということ自体が曖昧だったということとの対比で、まずは考えております。なので、私自身は、2013 年以降の物価安定の目標というのは十分に明確であるというふうに考えております。』

相変わらず人の受け売りでしか話の出来ない人ですね!!!!!というのはさて置き後半ですよ。

『その次の問題として、CPIでどれをみるかというのはなかなか難しい問題で、講演でも強調しましたけど、まさに各種の施策であったり、あとは今回だけでなくても各種の特殊要因などが色々と働く世界においては、どのCPIをみていくかということについてあまり決め打ちをすることは難しいなと思っています。』

えーっとすいません。「2%の物価目標があいまいではイカン」という話をしているのに、その尺度となる消費者物価の2%上昇の定義自体が「決め打ちが難しい」とか言ってしまいますと、それは2%の物価目標があいまいである、ということに他ならないと思うのですがおっちゃん見事に諸葛孔明の罠に嵌っておりますなという風情でありまする。

肝心の「2%物価上昇」の定義がやれコアコア物価だやれサービス価格だやれ賃金上昇だ、と言ってることがコロコロ変わり、肝心の消費者物価指数は+4%という状態な訳でして、その点は一時的と連呼しながらずーっと誤魔化している訳で、それを「2%の物価目標が曖昧」と言わずして何というのでしょうかと小一時間問い詰めたいですけど、あんまりこの人と小一時間も会話したくないという説は無くは無い(あくまでも個人の感想です)。


なお、以下は諸葛孔明の罠によって石兵八陣に迷い込んだお方(と言っても周瑜って柄じゃないけどね)の談話になりますが割愛するのも何なので引用だけしておきます。

『歴史的にみて、コアCPIというのが重視されてきたという背景は、エネルギーの方の価格というのは、以前においてはそれほど変動していなかったということだと思うんですけれども、今やエネルギーのところも変動があるということを考えると、やはりいわゆるコアコアといわれるようなエネルギーと生鮮を除くものというのが必要であるかもしれないし、実際にそういうのもみつつ、展望レポートなどでも参考値ではありますけれども、委員がそういう見通しを出すということをしておりますし、それと、もしも米国版のコアということでいうならば、米国版のコアというのは生鮮食品だけでなくて食料品も全部除外するということをやると。その場合、デメリットは当然かなりの部分が今度は外れてしまうので、人々の生活実感と合ったような物価なのかという問題がありますけれども、ある種の今の段階において、例えば米国版のコアが持つ一つの利点みたいなものが、現状で起きている物価高というのが大半がエネルギーと食料品の資源価格の上昇で起きているので、そういった影響を除くことができるんじゃないかと。』

お前は何を言ってるんだ。

『それから、その刈込平均値とか、最頻値であるとか、様々な更に加工したようなものとかなどはあるんですけれども、コアCPIそのものが指標として有用ではないということではなくて、こういう状況においては、おそらく色々なものをみていくしかないなと。その限りでは、やはりコアCPIの情報量というのは依然として有用であるというふうに考えております。』

じゃあ決め打ちしとけよ何言ってるんだ、という石兵八陣な説明でありました、というのが本日のオマケです(^^)。








2023/02/03

お題「何かネタが渋滞してしまって消化しきれずジャパンネタの雑談になってしまいましたすいませんすいません」

月初にFOMCとECBが連発してその間に副総裁の金懇があり10年入札がありとかちょっと分散して欲しかったですしんどいわ。

〇10年入札はやはり0.50%近くないと需要は無かったですかそうですか

ということでECBをさておいて国内市場のメモになるのだが、昨日の2コマ漫画である。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N34I0L2
023年2月2日11:19 午前
〔マーケットアイ〕金利:10年債入札結果予想、最低落札価格は100円15─20銭付近か

『[東京 2日 ロイター] -
<11:17> 10年債入札結果予想、最低落札価格は100円15銭─100円20銭付近か財務省が午後0時35分に発表する10年利付国債の入札結果について、市場では、最低落札価格は100円15銭─100円20銭付近になるとの見方が出ている。』(上記URL先より)

からの

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20230202.htm
10年利付国債(第369回)の入札結果

6.価格競争入札について
(1)応募額       10兆4,132億円
(2)募入決定額     2兆2,582億円
(3)募入最低価格     100円04銭
(募入最高利回り)   (0.495%)
(4)募入最低価格における案分比率  58.5171%
(5)募入平均価格     100円14銭
(募入平均利回り)    (0.485%)

すいません最初結果をベンダーで見た時14銭を足切りと思って「まあちょっと流れたか〜」と甘く見ておりましたその後に04銭の文字列を見て素でアイヤーとか言ってしまった気がする。

昨日は米国金利下がったからということで上で始まったものの、うっかり水準高めで始まってしまったもんだから前引けに掛けても調整が進まず、というよりもその前に調整してたから格好としては踏み入札になってしまう訳なのですけど、これが普通の世の中の場合は踏み入札が素直に踏み入札になる訳なのですが、そもそも10年カレントのお値段が周りの年限対比おかしいので、ちゃんとした意味での実需札が乏しい所にきて、日銀絶対買うマン利回りの0.50%よりも10銭以上上の所で前場引けを迎えるもんだから、本当の踏み以外の札が碌すっぽ入らずに100円4銭までクソ流れとなるの巻で実に心の温まる結果となりました。

まあゆうて他のゾーンはちゃんと米国様金利に連動しておりましたので、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

毎度の売参ですけど。

長期国債 358 2030/03/20 +3 0.385
長期国債 359 2030/06/20 +6 0.425
長期国債 360 2030/09/20 +7 0.455
長期国債 361 2030/12/20 +8 0.478
長期国債 362 2031/03/20 +11 0.490
長期国債 363 2031/06/20 +12 0.500
長期国債 364 2031/09/20 +16 0.505
長期国債 365 2031/12/20 +15 0.505
長期国債 366 2032/03/20 +17 0.480
長期国債 367 2032/06/20 +4 0.300
長期国債 368 2032/09/20 +10 0.205
長期国債 369 2032/12/20 -14 0.495

未だにカーブの線を引くと割高なのは変わらんとは言え、10年カレントだけ割高修正した格好になっているので、って相場上がると毎回そうなるのでいつものことではあるのですが、結局は10年カレントだけピン止め、などというのは物価目標の達成が1ミリたりとも見通せず、物価が低迷していた時だからこそワークしてたってのが良く分かりますな、という何時もの悪態を改めて確認することになりました。

というのは良いんですけど、レッツゴー三匹の残りの2匹はちゃっかり金利低下してやがって、368と369のスプレッドが何か無茶苦茶な事になっておりますが、この銘柄は無かった事と思わないと行けないのですが、そうはいっても毎回ナンジャコリャ状態ではあります。

そういえば369が出るまで(今の368ほどではないにせよ)栄耀栄華を誇っていた366は1月に地道に修正が入り続け、この銘柄が1月のとんでもないアンダーパフォーマー銘柄になっておりまして、結局の所「カレント3銘柄指値」っていうのが碌な事をしていないということなのですが、いつまでやるのやら。


・ところで減額措置で減ったのは案の定358だったようで

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm

(左から1月末の日銀保有残高、1月20日との差分) 
358 70,713 -8,033

366 82,262 0
367 86,538 0
368 88,432 0
369 30,265 0

全体的な国債買入額がどうのこうのとか見ていた時にせっせとみてたのですが、テーパリング自体が宙に浮いてしまってからすっかり見るのをサボってしまってたら、日銀の買入がどんどん進んで個別銘柄の需給問題が酷いことになる、ということで慌てて見直しだしておる今日この頃(人はそれを泥縄という)ではあるのですが、1月末現在の銘柄別保有残高が出てきたので、固定利回り指値銘柄の状況をみた訳ですが、1月末と1月20日の残高の差分取ってみたら、というのは既に村の皆様100人中200人はご確認されておる話なのでこれ書いても今更ジローなのですが、後日備忘用ということで勘弁して頂きたい。

ご案内の通りでチーペストの日銀保有が減ってて、まさか財務省に買入消却依頼する訳もないので、これは国債補完供給の減額措置が炸裂したということでよろしいと思うのですが、まあ何ちゅうかこの減額措置って本来で言えば緊急避難みたいなもんで、これがバンバン使われるっていうのもどうなのかねとは思う次第で、ちゃんと売りオペで放出するのが筋だと思うんだよなーって思いを最近はしておるところですが、その理由について論点が自分の中で整理できていないのでその辺はパスでございますわよ。

しかしまあ何ですな、このチーペスト指値オペって、本来はチーペストを指値で日銀が買う事を通じて、債券先物の価格が大きく下がる→オペ先のブローカーが指値での日銀の買いにチーペストを売り持ち込みして、その見合いで先物を買う、というフローが出ることによって、先物の過大な下げを抑止しようとしていた、という目論見だったと思うの。

でも(まあ出た時からナンジャコリャと言われてたけど)蓋を開けてみたら、先物はジャンジャン下がってチーペストと先物の関係が無茶苦茶(インプライドレポレートが無茶苦茶なレートになる)になる形になってしまい、却って先物の機能低下とかイールドカーブ形成が無茶苦茶になるとか、そういう弊害ばっかりの措置になってしまいまして(今回は減額措置で少し需給が改善したとはいえ)、先物の値動きを無茶苦茶にしてしまったデメリットの方が大きかった措置で、先物チーペスト指値っての早急に止められないもんですかねえと思うのでありました。MPMの声明文にまいにちさしねおぺやるって書いてあるからMPMで議決しないとやめられないのだが。


〇展望レポートのポンチ絵早くも手抜きモードになってまいりました!!!!!!!

ECBのこれの丸パクリとして評判の高いポンチ絵(しかも当日に出すなら兎も角壊れた蛍光灯のように後から出て来る)が出ておりました。
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_february.en.html


はいこちら。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202301.htm
展望レポート・ハイライト(2023年1月)
経済・物価情勢の展望

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202210.htm
展望レポート・ハイライト(2022年10月)
経済・物価情勢の展望

・・・・・・うーん前回と絵が全部一緒。早くもこのポンチ絵のやる気をなくしたに100万ジンバブエドル!



〇若田部副総裁が何か金懇をやっていたようだ

展望レポート出た後って基本的に正副総裁の誰かが金懇または金懇類似物件でご説明の講演をするというのが仕様になっていると思うのですが、これ毎回思うんですけど、2013年の時みたいに「共同声明をだしました」みたいな事案でもあったら政策の説明もしないといけないから(この時は当時の山口広秀副総裁の金懇があった)やる必要あるんですけど、5年に1回の正副総裁の交代直前では、まもなく退任する人に説明させる必要ってあるのかよと思うんですけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230202a.htm
【挨拶】
最近の金融経済情勢と金融政策運営
静岡県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 若田部 昌澄
2023年2月2日

ということでまだHTML版は出てないようなのでPDFバージョン図表付を。

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230202a1.pdf

・展望レポートの説明はあるんですが・・・・・・・・・・・・

ということで本文の構成をみますと、最初に展望レポートに即した説明があって、金融政策運営の話があって、その後若田部さんスペシャルのコーナーがある、という構成になっているのは良いのですが、若田部さんスペシャルの内容が置物政策の自己正当化の理屈にもなっていない屁理屈話と藁人形論法でして、これが講演本文13枚(14ページ目は2行しかないので)のうち5枚ちょっととなっていますな。

いやー何ちゅうかですね、もうちょっとこう先の話に通じるネタとか、ダイバーシティでもDXでも気象変動でも良いけど、今後の企業経営の糧になるような話をしてくれるなら良いんですけど、自分たちのポンコツ政策の自己正当化屁理屈と藁人形論法を延々と聞かされる静岡県の経済界の重鎮の皆様の立場を考えろよスットコトドッコイとしか思えません。

金懇って(アタクシも詳しくは知らんけど)地元の経済界とかの有力な方々をお招きして日銀の政策運営に対する説明をしたり、地域経済の状況についてのヒアリングをしたり、意見交換をしたり、っていう場だと理解してるんですけど、先般も「前回の金懇を全然アップデートしていない内容を延々と説明する金懇」とか結構失礼な金懇がございましたけれども、もうちょっとこう何と申しますか、その地域の重要な人たちをクソ忙しい時間を割いてお越しいただいているんですから、日本銀行としても、きっちりとしたクオリティの情報発信をして頂きたいと思います。

・・・・・まあ「神」とか言い出すと見世物小屋的な意味での面白さがあるのかもしれませんけど。


・金融政策運営に関する説明が雑過ぎてお察し

ところでこの説明の中で『(3)最近の金融政策運営』というコーナーがあるのですが、この説明が前代未聞のやる気の無さなのは何となくお察ししました。

『ここまで、私どもの経済・物価情勢に関する見方をご説明してきました。日本銀行としては、このような情勢を踏まえますと、経済をしっかりと支え、企業が賃上げをできる環境を整えることが重要であると考えています。このため、先月の金融政策決定会合でも、金融緩和の継続を決定したところです。なお、昨年 12 月の決定会合では、イールドカーブ・コントロールの運用を一部見直しました。これも、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図ることで、イールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果がより円滑に波及していき、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることを狙いとしたものです。イールドカーブを全体として低位に安定させるため、国債買入れの増額なども行っています。このように、金融緩和を続けていくという日本銀行のコミットメントは全く変わっておりません。』

はい、なんとこれでおしまいです。確か12月の決定では「国債市場の機能低下による社債発行などへの悪影響を懸念した」みたいな説明もしていた筈なのですが、まさに企業経営者の皆様がご参加されている金懇でこの点についての言及が一切なく、金融政策の説明がこれだけってお前真面目にやる気あるのかと思いましたが、この後に続く正調置物音頭の独演会が今回の若田部さんの重要イベントだったようですな。

いやまあ別に喋るなとは言わんけど、クソクダラン言い訳話するならW大学辺りで「特別講演」でもやってくれよと思いました。


なお、

『昨年 12 月の決定会合では、イールドカーブ・コントロールの運用を一部見直しました。これも、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図ることで、イールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果がより円滑に波及していき、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることを狙いとしたものです。』

と金懇挨拶では説明しているのですが、会見ではこのような説明があったようです。ブルームバーグより。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-02/RPFR9GDWLU6D01
変動幅拡大は緩和効果損なう、慎重な判断必要−若田部日銀副総裁
伊藤純夫
2023年2月2日 14:47 JST 更新日時 2023年2月2日 15:42 JST

ほうほうそうですかそうですか・・・・・・・・・・・・・・

#じつはこの人の講演ネタは読む価値が全くないので最近すっ飛ばしているのだが最後位は真面目に鑑賞して差し上げようかと思っている










2023/02/02

お題「いつものように寝起きでFOMC」

鶏卵ェ・・・・・・・・・・・
https://www.agrinews.co.jp/news/index/133784
2023年2月1日
鶏卵300円台 1月では異例 鳥インフルで供給減拍車

『建値となるJA全農たまごの同日のM級基準値(東京)は1キロ305円で前日から15円上げた。過去5年平均比では105%高となり、1年で最も卸値が下がる1月としては統計のある1990年以降で最高値となった。』(上記URL先より)

〇声明文:25利上げ&インフレをマイルドに&利上げ停止の選択肢をシレっと入れる&コロナモード完全終了

結果は衆目の予想通りの25利上げでしたがさてどうなったのか(反応今日もガチで見てない)。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230201a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20221214a.htm(12月)

・第1パラグラフ:インフレに関して遂に「若干緩和している」文言キタコレである

順当ちゃあ順当なんですけどね。

『Recent indicators point to modest growth in spending and production. Job gains have been robust in recent months, and the unemployment rate has remained low.』(今回)

『Recent indicators point to modest growth in spending and production. Job gains have been robust in recent months, and the unemployment rate has remained low.』(12月)

ここまでは前回と一致。

『Inflation has eased somewhat but remains elevated.』(今回)
『Inflation remains elevated, reflecting supply and demand imbalances related to the pandemic, higher food and energy prices, and broader price pressures.』(12月)

インフレが「remains elevated」とその水準自体が高くて怪しからんという文言は同じなのですが、足元で「Inflation has eased somewhat」と来まして、しかも今回は「remains elevated」の後に続く文章もバッサリとカットされていますが、だいたい中央銀行文学というのは、ゴテゴテといろんな装飾がついている時は自信が無かったり訳分らんからヘッジ入れて見たし、見通し外した言い訳をしてみたり、という傾向にありますので、このようにシンプルにしたのは「インフレがだんだん落ち着いていくでしょう」という自信ニキになってきている、ということでしょうな。

日銀がクソ忙しくて直近のFED高官ネタをフォローできてませんが、まあ直近のFED高官もインフレの今後一段の上振れアイヤーという話ではなくなっておるというのだけは何となく把握しておりまして、まあその延長線上という感じですね。


・第2パラグラフ:ウクライナ侵攻の影響に関しても「インフレ圧力」の文言を削除して表現もマイルドに

『Russia's war against Ukraine is causing tremendous human and economic hardship and is contributing to elevated global uncertainty. 』(今回)

『Russia's war against Ukraine is causing tremendous human and economic hardship. The war and related events are contributing to upward pressure on inflation and are weighing on global economic activity. 』(12月)

人道的な話は当然表現の変更をしていませんけど、ロシアによるウクライナ侵攻に関する影響については、「グローバルな不確実性を高める要素になっている」という表現にしまして、従来の「インフレ圧力となり、世界経済の活動の重石となる」という表現からマイルドになりました。

『The Committee is highly attentive to inflation risks.』(今回)
『The Committee is highly attentive to inflation risks.』(12月)

とは言え最後のここは同じで、インフレリスク警戒、というのは入れています。


・第3パラグラフ:「今後も追加的な利上げが適切と考えられる」の文言は維持しているが更に細かい芸により利上げ停止の可能性も作る

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(12月)

これはいつものアレ。

『In support of these goals, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 4-1/2 to 4-3/4 percent.』(今回)
『In support of these goals, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(12月)

25bpの利上げです。ちなみにインプリメンテーションノートの方を見ましたが、各種金利は全て25bpフルスライドで引き上げていますので、当座預金付利金利4.65%、ディスカウントウィンドウのプライマリークレジット金利4.75%というコリドア(まあそもそも論としてコリドア下限はONRRPの4.55%かいな)の幅は相変わらず同じです。

『The Committee anticipates that ongoing increases in the target range will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time. 』(今回)

『The Committee anticipates that ongoing increases in the target range will be appropriate in order to attain a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time. 』(12月)

今後も利上げが適切、というのは同じにしてまして、これは勿論インフレの水準そのものがまだ怪しからんからという事ではありますが、金融市場が利下げだヒャッハーと言ってハイパー楽観相場をやらかして折角沈静化に向かっているインフレに対してインフレ圧力を再度強めるような金融環境になるのが怪しからんってことでしょう、とは皆様も思いつくところかと存じます。会見まで寝起きなのでまだ読みも聞きも出来てませんが、あとは会見でどういうトーンで話をしたか次第って感じかとは思います。

そしてこの次だが、ここも芸が細かい工夫が示されています。すげえ細かいんだが何気にこれは目を引いたアタクシ。

『In determining the extent of future increases in the target range, the Committee will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.』(今回)

『In determining the pace of future increases in the target range, the Committee will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments. 』(12月)

目で追っていると逃しそうになりますが、テキスト並べると文字の位置が上下でズレてくるので気が付く、という位に細かい物件ですけど、先々の金融政策における金利の調整に関して、「政策ターゲット金利の〜を決定するにあたって」の〜部分が前回までは「the pace of future increases」だったのが「the extent of future increases」に置き換えられていまして、これはまた芸が細かいという話なんですけど、引き上げの「ペース」ではなく、引き上げの「程度」について、という表現になっていますね。

その次のデータディペンデント、と言えば格好よいですけど、要するに「状況に応じてあんじょうようやっときますわ」という部分の文言は同じなんですが、今後の「利上げの程度」は今度出て来る状況に応じて考える、ということでして、今までの「今後の利上げのペース」という利上げを前提にした話から一歩引きさがっているので、じつは「状況をみたら利上げしなくても良くなりましたよテヘペロ」ということが可能という文言にしれっと入れ替えている訳ですねこれは。

ということでさっきは「今後も追加的な政策金利の引き上げが必要」と言ってるけど、利上げ停止の選択肢も今回しれっと入れた訳でして、まあとってもフリーハンドになりましたわ、という感じです。

『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described in its previously announced plans.』(今回)

『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described in the Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet that were issued in May. 』(12月)

バランスシート縮小に関しては変更なし、インプリメンテーションノートの該当箇所にも特段の変更は無かったと読みました。プランの名前とか外したのは、年が新しくなって「issued in May」でもないだろってことと思います。

『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(12月)

最後のここはいつものとおり。


・第4パラグラフ:遂に「公衆衛生」の懸念を削除してコロナモード終了という認識ですね

4パラは米国市場的には違和感ない変更なんでしょうね、と思いますけど、相変わらず政策金利のフォワードガイダンスにコロナがどうしたと入れているジャパンの皆様いかがお過ごしでしょうかってなもんですな。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals.』(12月)

今後の金融政策のスタンスを〜というのはいつも通りのあんじょうようやっときますわで同じなのですが、この先の今後の注目点から今回外れた文言がありまして、

『The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(12月)

公衆衛生(public health)の文言が外れましたが、これは言うまでもなくコロ助パンデミックの直接的な影響、ってお話でして、ステイツ様におかれましてはそういうステージなのねー、と思うのですが、そういえば極東の某島国の中銀はいまだにパンデミックがどうのこうのなので政策金利は今のままか引き下げ(と言いながら長期金利の実質引き上げしてましたけど、笑)とかガイダンス文言出してますね〜、という点で極東の某島国にインプリケーションがあるという説isある。


・第5パラグラフ:今回も全員一致

年が変わったので投票メンバーの入れ替えが行われています。

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Patrick Harker; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari; Lorie K. Logan; and Christopher J. Waller.』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; James Bullard; Susan M. Collins; Lisa D. Cook; Esther L. George; Philip N. Jefferson; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.』(12月)


・なおディレクティブ関連で各種金利はフルスライド25bp引き上げ、オペの個社別限度額やバランスシート縮小ペースは維持です

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230201a1.htm
February 01, 2023
Implementation Note issued February 1, 2023
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

前回はこちら
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20221214a1.htm

声明文をPDFバージョンで出すと声明文本文にくっついて出てきますけれども、こちらアタクシが比較したところではさっきの声明文比較でも申し上げました通り、単純に政策金利25bp引き上げた分だけフルスライドで金利が動いただけで、それ以外の部分に変更は無いと見ました(見落としてたらゴメンナサイ)ので一々対照比較しません、


〇ロンガーランゴールの年次改訂ですが今回は据え置きって言ってるから据え置きだと思います

というすさまじく雑な事を言ってますが、要はそこの文言逐次チェックしていると時間が無くなるから、という大変にしょーもない理由ですので、あとでちゃんと確認します。ただFEDは前回変更を加えた時に、アホの子でもわかる対照表みたいなのを用意してくれてたので、今回そういう物件が無いから同じなんだと思います(雑)。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230201b.htm
February 01, 2023
Federal Open Market Committee reaffirms its "Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy"
For release at 2:00 p.m. EST

『The Federal Open Market Committee, at its annual organization meeting this week, unanimously reaffirmed its "Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy," often known as the consensus statement, and which articulates its approach to monetary policy.』

『The reaffirmed statement is identical to the version initially adopted in August 2020. The Committee first adopted a similar statement in 2012.』

Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy (PDF)
Reaffirmed January 31, 2023

「identical to the version initially adopted in August 2020」なので、2020年のジャクソンホールの直後に変更したバージョンを適用ですね。結構あれは黒歴史っぽいものではあるものの、まあ次にいじるんだったら恐らくはインフレ鎮静化した後の話になるんじゃないかと思いますし、その1サイクルを黒歴史ロンガーランゴールで通してしまうんだったら今更変更する必要もない、という気もします。

ステートメントはこちら。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_LongerRunGoals.pdf



〇オープニングリマークと会見には正直手が回りません時間ないですスイマセン

ということで続きは(なんもなければ、といいつつ10年入札がありますかそうですか)明日で勘弁してつかあさい。


オープニングリマークのリンクだけ。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230201.pdf

#そして市場の反応をみないままなのでありました






2023/02/01

お題「5年長期共担2発目は金利上昇の動きに屁の突っ張りにもならなかった模様なので市場備忘メモ雑談」

長生きはしてみるもんだ(しみじみ)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2012/gjrk.htm
金融政策決定会合議事録等(2012年7月〜12月開催分)
2023年1月31日
日本銀行

本日、以下の資料を公表しました。

金融政策決定会合議事録等(2012年7月〜12月開催分)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2012/index.htm

ここからの議事録は、この先2013年以降暫く色々と物語がある筈で、就任当時「ハト派最右翼」だった筈の木内さん、佐藤さんが気が付けば「良識の砦」状態になる、といという置物一派の跋扈や、新総裁が来るということで白川さん最後の決定会合で突如反旗を翻す小早川秀秋じゃなかった白井さんとか、もうちょっと先の話になりますが、「木内、ジンバブエ罵倒合戦」という大喜利でやるならネタとして微笑ましいのですがどうみてもただのジンバブエによる悪口雑言などを鑑賞できるコースになるかと存じます。

で、今回はこの前座になりますし、やべえアタクシの過去ログ整理やってないから追いつかれるじゃんマジで頑張らないと、と思った今日この頃です。

なお、しつこくご要望なのですが、これ紙で出版できないもんですかね。いやまあ自分で印刷して装丁すれば自費で私家版作れるのは作れるんですけど、実費と手間賃出すから装丁した紙ベースででないもんかと・・・・・・・・


〇5年長期共担は不発・・・・・・・・・だったのかしら???????(市場メモメモ)

・昨日の共担は「債券市場の下げを止める効果は無かった」ような気がしますけど・・・・・・・・・

昨日のロイターさんコメント
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N34G16I
2023年1月31日3:17 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、共通担保オペ結果後に下げ幅拡大

『[東京 31日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は反落で引け、共通担保オペ結果後に下げ幅拡大

国債先物中心限月3月限は前営業日比30銭安の146円56銭と反落して取引を終えた。FOMC(米連邦公開市場委員会)などイベントを控えて様子見ムードが強かったが、共通担保オペの結果を受けて下げ幅が拡大した。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の0.490%と18日以来の高水準。』(上記URL先より、以下同様)

横綱だけ見てもちゃんと掴めないのが今の相場なのですが、そうはいっても日中足をネットで拾えるの横綱だけなので横綱の日中足(ただし今日の寄りが近くなると見れなくなる)を見ますと、

横綱の日中足
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年3月限

取引日:2023/01/31
立会区分:日中取引
始値:146.78(01/31)(08:45)
高値:146.95(01/31)(09:49)
安値:146.51(01/31)(14:55)
現在値:146.56(01/31)(15:02)
前日比:-0.30
取引高:13,675
(4本値出してもしょうがないのですがこれは備忘)

日中足見ますと13時半くらいからずるずる下げ出して、5年共担オペに関しては結果が14時に出てたと思うのですが、この辺りはただの通過点になっていて、5年オペの結果を見て売られたというよりは、「5年オペの結果は悪くは無かったのだが下げを止める効果は無かった」って解釈する方が自然じゃないかと思います。

『日銀による5年物の共通担保オペは、オファー額1兆円に対し、3兆2639億円の応札があった。前回23日の3兆1290億円から微増となった。一方、入札方式で決定された貸付利率は、按分レートが0.100%、平均落札レートが0.142%と、前回の按分レート0.110%、平均落札レート0.145%からやや低下した。』

『一方、本日実施された2年債入札は順調。足元ではピークよりも金利水準が低下し、相対的な割高感も出ていたが、「担保需要などを背景に積極的な応札がみられたようだ」(国内証券)という。』

2年入札はベンダー集計の事前足切り予想を全然ぶち抜けて上で決まってて、足切り予想自体が欲張り爺さんなんじゃないか説はさておいても強い結果だったので、後場寄ってからはまあ堅調で、5年共担オペ1兆円、と来た時も「まあそうですよね」って感じだったのですが、何はともあれ良く分からんけど13時半過ぎくらいから横綱はひたずらズルズルと腰が砕けるような後退を続けてしまって、殆ど安値引けをするテイタラクでありました。

『TRADEWEB
     OFFER  BID    前日比 時間
2年   -0.025 -0.019   -0.012 14:17
5年   0.173  0.18    -0.001 14:16
10年   0.48  0.486    0.014 14:12
20年   1.366  1.378   -0.011 14:03
30年   1.602  1.614   0.014 14:14
40年   1.861  1.873   0.023 14:15』

超長期が20-30でツイストしてるようですが、これって早速来週の30年意識かしら良く分からんとか思いながらも、またまた7−10が甘くなっている(なんせ横綱30銭安ですから)の巻という図式になっておられまして、輪番で5−10を増額したのは何だったのかという感じですし、それ以前の問題として5年長期共担の結果に無反応な時点で、長期共担の直接的な金利抑制効果とは何なのか、という話でして、満を持して登場した(わりにはその前に2年共担を9兆円も実施してしまうという段取りの悪さが目立ちましたが)長期共担オペですが、2発目にして債券市場的にはシグナリングの効果しか目先にはねえんじゃなかろうかというコンセンサスが形成されそうな感じで、最初から金利抑制効果には大したものはねえだろ説(別の効果はある)を唱えておったのである意味では安心(笑)しました。

しかしまあ何ですな、長期共担が空振りチックになったという悲しい現実を見せられてしまった日銀ちゃん、選択肢としては「やっぱりヤケクソになって臨時輪番他年限指値乱発の復活」、「長期共担を遂にあたおかで10年とかのヤケクソオペを実施」、「長期共担で怒りの指値実施」などの無茶苦茶ムーブメントしか想像できなくて、そっちの方が怖いのですが、まあ何だかんだ言いましても、現時点での日銀の選択肢は「FOMCとECBを見て欧米金利が低下傾向になって日本の金利にも買戻し圧力が掛かるのをお祈りする」というお祈りメソッドが有効になるかと思われますので、日銀様におかれましてはいきなりヤケクソになるのではなく、落ち着いて行動して頂きたいものだと思いますし、日銀がパニック行動を起こしてしまうと市場が巻き込まれてしまい、ただでなくさえ昭和温泉旅館政策なんですから、逃げ場が無くなって皆さん大惨事になりますんで勘弁してほしいものです。


・ところで5年共担の結果

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230131.htm

共通担保資金供給(全店)<金利入札方式>(2月1日スタート分) 32,639 10,004  0.100 0.142 32.9

前回23日に実施された5年共担が、31,290/10,003で平均/足切りが0.145/0.110の按分18.6でしたので、札が前回よりも減らずに増えたのは結構な結果、レートが下がったのもまあこんなもんでしょとは思いましたが、まあ別にこれ自体は良い悪いって特筆するような結果なのかというと?????ではありますな。

しかしこれで2兆円実施となって、長期共担が11兆円ちょっとという実績になってしまいましたので、次に実施すると所要当座預金残高分まるまると長期共担で資金繰り付ける、ということで、物価安定目標達成の暁には回帰する筈の短期金融市場における政策金利と、政策金利近辺で短期市場金利を推移させるための日銀オペレーションに無茶苦茶面倒なものを残す結果になりますなあというのは毎度申しあげている通りですが、しつこいので申し上げます。


・・・・・・・でまあそれはさておきまして、この共担オペっていうのは、暫く前のMPMでコロナオペの終了に伴い、2週間に一回「共通担保資金供給(全店)<固定金利・金額無制限>」というものを実施しておりまして、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2022/k220922a.pdf

『(2)金額無制限の共通担保資金供給オペの実施

上記オペの期限到来後も中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点から、幅広い担保を裏付けとして資金を供給している「共通担保資金供給オペ」について、金額に上限を設けずに実施することとする(9月 27 日に予定している次回実施分から変更)。』(この部分だけ直上URL先の昨年9月決定会合声明文より)

というのが行われているのですが、それこそ期間5年の低利の日銀による貸出って、「中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点」からしたら、何ぼ「金額無制限の共通担保資金供給オペ」と言っても期間わずか2週間のオペよりも、どこからどう見ても長期共担の方が意味あるじゃんという話だし、特に2年共担なんて貸出金利0%固定だったのですから、昨年9月にやった施策が何の意味も無くなっている、という昭和温泉旅館ここに極まれりという政策になっていまして、無計画な増築を繰り返して何が何だかもう無茶苦茶になっている、という状況になっておりますわな。

てか、これってそれこそ「中小企業等の資金繰り支援」オペなんじゃないでしょうかねえ(棒読み)っていう話になると金融機関も「ぐぬぬ」となってしまい兼ねない所でして、同じ道具を片や「企業金融支援」、片や「長期金利引き下げツール」などと好き勝手に使用しますと、ティンバーゲンルールを持ち出すまでもなく、政策割り当てが無茶苦茶ということでありますので、そら訳分らなくなるわという話だと思います。

なお、しつこく申し上げますが、共担オペというのは本来は「単なるインターバンク市場の資金過不足調整ツール」でして、今あげたのはどちらも「目的外使用」に他ならないんでどっちもダメダメなんですけどね!!!!


・まあいずれにしましても長期共担は「金利を直接的に押し下げるようなもんではない」訳で

とまあそんな訳で、昨日のテイタラクをご覧になればお分かりのように、長期共担やったからと言って別にそのゾーンの金利を直接下げる訳ではなく、勿論このオペに参加した先には5年間の低利調達(有担保とは言え)(゚д゚)ウマーなので、特に短期調達長期運用の資金構造になっている人にとっては(゚д゚)ウマー(゚д゚)ウマー(゚д゚)ウマーであるからして、そういう点から債券投資の余力が拡大するというメリットがありますし、担保足りないからと言って短い期間の国債(さっきの記事にあった2年国債もそういうニーズがあったのかもしれないという観測がありましたわな)への買い意欲も出るでしょうから、全く効果がないというのではない(寧ろオペ先に対してはかなりアリガタヤなプレゼントオペ)のですけど、直接的な金利押し下げ効果碌にないのにこのオペバンバン打つのって、オペ先優遇過ぎにも程があるように思えますけど、今後も続けられるんですかねえと思ってしまいますし、年限10年にして債券市場的に何の意味があるの(オペ先には(゚д゚)ウマーという意味がある)という話になりますよね。

今後どうするんでしょうか・・・・・・・・・・・・・


・おやレッツゴー三匹に落札が&8年9年ゾーンェ・・・・・・・・・・・・・・

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230131.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注5) 423 423
(注5) カレント3銘柄が対象。

10年369は引けでは0.490%になっていましたが、ゆうてまだ0.50%に到達って事でもないのでここではなくて、昨日は引け対比2毛5糸甘での買入に対してレッツゴー残りの二匹は一応引けベースではそれ以上甘い水準ということになっていましたので、そっちの二匹をぶっこんだ人がいるという事だとは思うのですが、これはかちかち山のぼうぼう鳥という意味ではカチカチからボーボーへの遷移期間という感じですね、まあイブニングセッションでは横綱値を戻して終わってるみたいなのでそこまででもないかもしれませんが・


そして7−10がアヒャーという事で昨日の引けの売参ちゃんをいつものように貼りますと、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表

長期国債 358 2030/03/20 -27 0.409
長期国債 359 2030/06/20 -30 0.458
長期国債 360 2030/09/20 -32 0.489
長期国債 361 2030/12/20 -31 0.513
長期国債 362 2031/03/20 -33 0.529
長期国債 363 2031/06/20 -34 0.544
長期国債 364 2031/09/20 -35 0.554
長期国債 365 2031/12/20 -36 0.554
長期国債 366 2032/03/20 -36 0.528
長期国債 367 2032/06/20 -32 0.320
長期国債 368 2032/09/20 -64 0.230
長期国債 369 2032/12/20 -14 0.490

ということで、8年9年ゾーン、明確に0.5%を上回って来ましたの図になってしまいまして、何か長期共担というかなり禁じ手に近いものをぶっ放したものの、2週間で賞味期限が怪しくなってまいりまして、この調子ですと黒ちゃん退任後の4月会合どころか3月会合までどうするんでしょと思いますけど、きっとこれは黒ちゃん最後の神風がFOMCとECBで吹いて下さって、元寇よろしく海外投機筋の皆さんは玄界灘の藻屑と消えてしまうんでしょう(超ウルトラ棒読み)。


ということで市場備忘メモばっかりですいませんすいません。