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(各日付の最初にラベルを「230601」というような形式でつけていますので「URL+#日付(230601形式です)」で該当日の駄文に直リンできます)


2023/06/30

お題「しつこくECBフォーラムネタ:植田さんのパネルネタとラガルドさんのやる気は伝わる講演」

もりあがってまいりました!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230630/k10014113601000.html
マイナンバーカード 証明書交付システム 再停止へ
2023年6月30日 5時08分

未だにカード持ってないワシは本件低みの見物です(必要になるまで作らなくて良いでしょ落としたりでもしたらバチクソ面倒なものとか用もないのに作るこたあねえ理論)が、まあ別に番号があればいいだけじゃんと思っていたら厭債害債さんがアタクシの思ってた論点を文章化しておられました。こういう文章化が出来る人に私はなりたい。

https://ensaigaisai.seesaa.net/article/499783392.html
2023年06月21日
マイナンバーの憂鬱

ちなみにクッソどうでもいい豆ですが、番号の通知表って転居の時にちゃんと住所変更の手続きと記載をしてもらうので転居の手続きの際には通知表も忘れずに(市区町村役場のHPに書いてるけど)。


〇ジョークくらいしかさえたことが言えなかったんだから仕方がないですよね(ECBフォーラムネタ)

こんなんありました。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230629-OYT1T50066/
日銀の植田総裁、初の海外討論会でジョーク連発…欧州の記者「話が面白い」と興奮
2023/06/29 11:38

『【シントラ(ポルトガル)=中西梓】日本銀行の植田和男総裁は28日、ポルトガルのシントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムで、就任後初めての海外での公開討論会に臨んだ。発言の合間に次々とジョークを飛ばし、会場を沸かせた。』(上記URL先より)

パネルセッションですが、このパートだけの独立しての公開はまだっぽい(やるのかも謎)のですが、最終日1日通しのライブ中継のまるまる全部(7時間あります)というのが公開(期間限定なのかも)されていて、こちらの5時間41分ちょいのところから、だいたい1時間20分くらいにかけてやっております。なお、ようつべ直リンするとせきゅりていーぽりしーに引っ掛かる場合もあると思うのでようつべ直リンはおこないません、

https://www.youtube.com/watch?v=FeK-DMLnGVs
ECB Forum on Central Banking - Wednesday 28 June

5時間50分くらいの所から最初の質問が始まるのですが、もう最初から「お前のところは何でグローバルアウトライヤーをやってるのか、何でや??」とっぶっこまれて「ヘッドラインのインフレは3%だけど、アンダーライングインフレーションは2%を下回っている」という例のどこの桃源郷にいるのかという発言をしまして、すかさず「コアインフレも2%超えてますよね」とかツッコまれてもうタジタジになっておりまして、その後も公式見解の「賃金が上がらないと2%物価目標行かない」理論を唱えるとかいう流れ(その後に円安云々の話になる)になっていました。

でですな、この流れって円安の最後の所は確かに笑いが取れていたのですが、その前の日銀公式見解の説明の所、会場思いっきりシーンとしていまして、惜しくも他の中銀総裁の皆様の表情などが見れなかったのが残念ですけど、

さらに5時間55分くらいの所で「物価が今後下がってまた上がる見込みだけど、また後半の「上がる」方(セカンドパート)に自信が無い」とか言ってて、モデレーター(CNBCの人)に「他の国でも物価上昇が一時的とか言ってたら実はスティッキーだったけどそこからの教訓は無いのか」とツッコまれてもはや同じ回答を繰り返すすしかない(「セカンドパートの物価上昇はまさにスティッキーパートだがそれには自信がない」)という感じでして、つまり日銀公式見解を垂れ流す局面では碌な話が出来ていなくて、ジョークの所くらいしか気の利いた話が出来なかった、というのが実際の所でしょこれって、とまあそういう風に思いました。つまりジョークの部分だけちょっと植田先生に戻ってたのかも知れませんですなあ南無阿弥陀仏。


ということでさっきの記事に戻りますけど、

『各国の報道関係者が待機するプレスセンターでも、植田総裁が発言するたびにどよめきが起き、これまでの日銀総裁とは違うという印象を与えたようだ。欧州メディアの記者は「植田氏は話が面白く、とても親しみやすい。去年もこのフォーラムを取材したが、今日のほうがずっと良かった」と興奮気味に話していた。』(最初のURL先読売新聞記事より)

ということですが、さてここで昨年のECBフォーラムの式次第を確認してみましょう。

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/html/20220627_ecb_forum_on_central_banking.en.html
ECB Forum on Central Banking 2022
Challenges for monetary policy in a rapidly changing world

・・・・・・・・おや???japanで文字列検索しても何も出て来ませんねえ。

ついでにスピーカーだけじゃなくてパーティシパントの皆様のリスト、という割と長めのものもあるのですが、

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/ecbforum/previous_fora/2022/html/participants_2022.en.html
2022 ECB Forum - list of participants

japanで文字列検索しても何も出て来ませんねえ(どうでもいいがjaで文字列検索すると我らの変態仮面ジム・ブラード総裁が引っ掛かります)。「去年も取材したが、今日の方がずっと良かった」とは何のことなんでしょうかねえ・・・・・・・(ちなみに一昨年は黒ちゃんがポリシーパネルにご登場しています)

まあ聞けばわかる(ただし1時間20分も延々とやっているので真面目に聞くの最初の20分くらいにしてあとは音源かけ流しを推奨)のですが、このパネル、CNBCのモデレーターが無茶苦茶優秀(さっきネタにしたように植田さんへのツッコミが鋭すぎてすげええええええと思いました。あそこまでシームレスに的確に突っ込めるとか凄いの一言に尽きます)なので面白かったという面が多々あると思うので、まあ何ちゅうか読売の記者さん、ちょっとぶぶ漬け話法あるいはテキトーなお世辞を真に受けてしまったお方っぽく見えてしまうんですよね。まあシントラのECBフォーラムとかジャパンでは所詮他人事だし内容がマニアックだから市場の中の多くの人だって一々全部追っかけられないのでそらまあシャーナイなとも思いますけどね。

あと、植田さんが発言してどよめきが起きたのは政策の部分じゃなくてジョークの部分でしょうなあ、というのはまあ想像がつく(少なくとも会場は露骨にそうでした)ので、なんかこの記者さんの「ニホンスゴイ」みたいなの気持ちは分かるんだがしょーもねーと思いました。



〇ECBは一番メッセージが単純で分かりやすい(政策が正しいかどうかは別問題)ではありますな

ECBフォーラムの実質初日(前の日はディナーがあって昨日ネタにしたIMFゴピナートさんのスピーチがあった)ラガルドはんのご挨拶というか基調講演というかですけどね。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230627~b8694e47c8.en.html
Breaking the persistence of inflation
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the ECB Forum on Central Banking 2023 on “Macroeconomic stabilisation in a volatile inflation environment” in Sintra, Portugal
Sintra, 27 June 2023

題名からして「お、おぅ・・・・・」って感じですけど。


・最初のイントロ部分で論点整理が出来ているので便利で宜しいのだが

最初の所から参りますが、挨拶も何もなくてのっけからこれである(まあ月曜の晩飯の前にウェルカミングリマークをラガルドはんがしているから別にええがなって事かも知れませんが)。

『Inflation in the euro area is too high and is set to remain so for too long. But the nature of the inflation challenge in the euro area is changing.』

いきなりインフレクソ高いから始まりますが、

『We are seeing a decline in the inflation rate as the shocks that originally drove up inflation wane and our monetary policy actions are transmitted to the economy. But the pass-through of those shocks is still ongoing, making the decline in inflation slower and the inflation process more persistent.』

本編の話の構成もそうなっているのですが、「最初に価格ショックが起きました」→「その価格ショックがトランジトリーに留まらずにパーシスタント(スティッキー)な物価上昇圧力になりました」ってのを現状認識として総括している(ということですので、これまた植田さん、パネルで「スティッキーパート」とかそういうの(他国のスティッキーインフレから学ばなかったのとか突っ込まれたから言ったにしても)を持ち出すのは、ちゃんとラガルドさんの講演踏まえてるじゃんとは思いますので、そういう辺りに植田先生の香りがするんですよね。まあそれは兎も角として。

『This persistence is caused by the fact that inflation is working its way through the economy in phases, as different economic agents try to pass the costs on to each other. And while it has been anticipated for some time in our staff projections, we have revised our assessment as new data have come in.』

最初読んだとき「the nature of the inflation challenge in the euro area is changing」からの「We are seeing a decline in the inflation rate〜」で一瞬勘違いしかけましたが、「the nature of the inflation challenge in the euro area is changing」の意味は今申し上げたように「価格ショックからくるインフレではなくてその次の段階になっちまいやがった」というお話をしている訳ですな。

でまあそのインフレがパーシスタントな状況が「it has been anticipated for some time in our staff projections」だと仰るわけですので・・・・・・・・・・・

『Monetary policymakers need to address this dynamic decisively to ensure that it does not lead to a self-fulfilling spiral fed by a de-anchoring of inflation expectations.』

金融政策当局はインフレ期待のアンカーが外れて自己実現的なインフレスパイラルにならないように対応しないと行けません。

『So, the key question we face today is: how can we break this persistence?』

従って私らは如何にしてこの高インフレが持続するという持続性を打破するか、ということを考えないといけません。

『In the ECB’s Governing Council, we have been clear that two elements of our policy stance will be key: we will have to bring rates to “sufficiently restrictive” levels and keep them there “for as long as necessary”.』

でもってその結論は政策金利を“sufficiently restrictive”な水準にして、それを“for as long as necessary”まで維持するということである、とまあこれは明確なメッセージ。

『Both elements are affected by uncertainty about the persistence of inflation and about the strength of the transmission of monetary policy to inflation.』

高インフレの持続性と、金融政策(=引き締め的な政策金利)のインフレへの波及の強さ、によって前述の要素は影響されまっせ。

『Setting the right “level” and “length” will be critical for our monetary policy as we continue our tightening cycle.』

まあそれが分かれば苦労はせんのだが。

『In my remarks today, I will explore why the inflation process has become more persistent and what this implies for our policy stance.』

『My intention is not to signal any future decisions, but rather to frame the issues that monetary policy will face in the period ahead.』

とまあそういうことで話がおっぱじまるのですが、ここでハイパー手抜きで肝心のインフレダイナミクスの話をかっ飛ばすという暴挙をしまして政策の話になります。何で暴挙かというと政策の所を見ればわかるのですが・・・・・・・・・


・金融政策は2%に下げるというやる気元気井脇の話ししか無くて具体策が出たとこ勝負なのねん

『The policy stance』って所なんですけど、これがまた割と延々と話をしている癖に結局やる気の表明と出たとこ勝負の表明しかしていない、というある意味ヤケクソにも程がある内容なんですよね。

最初の方飛ばしまして途中から。

『The Governing Council has provided orientation on both dimensions. It has stated clearly that “future decisions will ensure that the key ECB interest rates will be brought to levels sufficiently restrictive to achieve a timely return of inflation to our 2% medium-term target and will be kept at those levels for as long as necessary”.』

というのを毎度いってるのは存じておりますが、

『Two sources of uncertainty affect the desired “level” and “length” of our interest rate policies.』

結局最初に行ってた「金利のレベル」と「引き締めを行う期間」の話になるのですが、

『First, since we face uncertainty about the persistence of inflation, the level at which rates peak will be state-contingent. It will depend on how the economy and various forces I have described evolve over time. And it will have to be continuously re-assessed over time.』

『Under these conditions, it is unlikely that in the near future the central bank will be able to state with full confidence that the peak rates have been reached. This is why our policy needs to be decided meeting by meeting and has to remain data-dependent.』

言っている言葉自体はカッコ良いんですけど、内容的には「今の高インフレがどの程度粘着的なのかがわからんから物価の推移をみながら出たとこ勝負じゃオリャー」といっているだけの話しですな、ナムナム。

『Second, we face uncertainty about the strength of monetary policy transmission.』

『The strength of transmission connects current decisions with expectations of future policy and therefore affects the policy stance. How strong transmission turns out to be in practice will determine the effect of a given rate hike on inflation, and this will be reflected in the expected policy path.』

『Uncertainty about transmission arises from the fact that the euro area has not been through a sustained phase of rate hikes since the mid-2000s and has never seen rates rise so quickly. And this raises the question of how quickly and forcefully monetary policy will be transmitted to firms - via interest-sensitive spending - and households, via mortgage payments.』

でもって利上げの波及効果がどうやって出て来るか、についても不確実性があります。と結局この面でも出たとこ勝負。

『For firms, ECB analysis finds that monetary policy shocks are typically transmitted more quickly and forcefully to manufacturing, reflecting the sector’s higher interest-rate sensitivity, while there is a more muted and delayed impact on services.』

まあちょっとマシなのはこっちは企業の行動に金利上昇がこんな影響をあたえてまっせという話をしていることで、

『The key question today is whether the services sector will eventually “catch down” - which is what we have seen in previous cycles - or whether it will be insulated from the effects of policy tightening for longer than in the past, given the strength of demand and employment in the sector.[9]』

サービスセクターの動向を注目しているようです。

『For households, there is evidence that it will take longer for policy changes to pass through to interest burdens in this tightening cycle, as a higher share of households have fixed-rate mortgages than in the mid-2000s.』

『At the same time, once mortgages have been repriced, the restrictive effect may be greater: gross debt-to-income ratios, which emphasise debt servicing capacity, are higher than in previous tightening cycles, while the share of homeowners with a mortgage has increased.[10]』

金利引き上げの家計への影響は主に住宅モーゲージからの経路のようですね。

『Both sources of uncertainty will only fade away with time. And that is why we have made our future policy decisions conditional on, first, the inflation outlook, second, the dynamics of underlying inflation and third, the strength of policy transmission.』

でも結局「Both sources of uncertainty will only fade away with time.」とか言ってて現時点ではわからん面がおおくてそのうち分かるでしょう的話をしますが、

『But to ensure that uncertainty does not interfere with our intended policy stance - in terms of both “level” and “length” - two points are clear.』

なんかここで急に( ー`дー´)キリッって感じになるのですけど。

『First, we need to bring rates into “sufficiently restrictive” territory to lock in our policy tightening.

Second, we need to communicate clearly that we will stay “at those levels for as long as necessary”. This will ensure that hiking rates does not elicit expectations of a too-rapid policy reversal and will allow the full impact of our past actions to materialise.』

( ー`дー´)キリッと来た割には結局“sufficiently restrictive”と“at those levels for as long as necessary”の連呼なのでした。やる気元気井脇って感じですね(違)。


なお、政策の最後の所ですが、この一文は日銀執行部に1万回朗読させたいですね。

『And all the while, we need to carefully evaluate the strength of policy transmission in order to avoid an error in calibrating policy in either direction.』

政策修正をしない、から現状分析や先行き見通しを作り上げているどっかのポンポコリンはこれを百万回朗読しながら写経すべきである、と申し上げてラガルドはんのやる気元気井脇鑑賞ということでヨロシクです。






2023/06/29

お題「ECBフォーラムがここまで面白ネタになるとはということでフォーラムあれこれ」

ECBフォーラムのページ、ギータ・ゴピナートさん(と読むと読者様から教えていただきましたありがとうございます)のスピーチの動画が貼ってあるという謎展開ですな。

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/html/20230626_ecb_forum_on_central_banking.en.html

ユーチューブチャンネルの方には続々と動画がアップされていますが、4巨頭会談のパネルはまだみたいですね(今ユーチューブのECBの公式見た感じだと)。

・・・・・などと言ってることからお察しの通り、昨日はきっちり寝落ちしてしまいました。


〇植田総裁は植田先生にチェンジしなかった模様ですねえ

ロイターさん
https://jp.reuters.com/article/global-forex-idJPKBN2YE1AY
2023年6月29日2:02 午前
日本円、対ドルで7カ月ぶりの安値 日銀総裁発言で一段安懸念

『[ニューヨーク 28日 ロイター] - 28日の外為市場で、日本円が1ドル=144.57円まで下落し、7カ月ぶりの安値を更新した。日銀の植田和男総裁の発言を受け、円が一段安になるとの懸念が高まった。』(上記URL先より、以下同様)

昨日の東京時間は144円乗ったり乗らなかったりという感じで時々20銭くらいドル円が円高になると思ったらじりじりと円安、という風情でしたけど、結局この有様になってしまうまの巻ということでさあ盛り上がって参りました!!!!!!

『植田総裁は28日、欧州中央銀行(ECB)主催のセミナーで、インフレ率が鈍化した後に2024年に再び加速することが「合理的に確信」できれば日銀が金融政策を転換する十分な理由になると指摘。日本円については、他の中銀の政策など「(日銀の)金融政策以外の多くの要因」に影響されるとし、「状況を非常に注意深く監視する」とした。』

そもそも鈍化しても2%割らなかったらその後加速すると割と取返しが付かないことになってしまうんでございますが、オッサン物価見通しどうなると思ってますねん。

しかも「日本円については、他の中銀の政策など「(日銀の)金融政策以外の多くの要因」に影響されるとし」って言い放ってしまったら、これ財務省が米国財務省に為替介入のお伺い立てたって「お前は何を言ってるんだ」って話になるだろ日本がデフレでアイヤーとか言ってるならまだ理屈は分かるんだが。

『円が軟調に推移しているため、当局が今週にも円買い介入を実施する可能性があるとの観測が広がっている。前回の円買い介入は1ドル=145円水準だった。』

ということで週末にかけて楽しみになって参りました。

『こうした中、シルバー・ゴールド・ブルのFX・貴金属リスクマネジメントディレクター、エリック・ブレガー氏は、植田総裁は円安に歯止めをかけるような発言を行わなかったとし、「円安の主因が他の主要7カ国(G7)の政策にあるというのが植田総裁の見解だとしたら、円がさらに下落する扉が開かれていることになる」と述べた。』

ですよねーーーーーーーーーーーー。いやー植田総裁は日本を大安売りして貧乏国にするキングボンビーだったのかと今更気が付いても時すでにお寿司ですか。まあこちらとしては舶来品まだ買えるものあって日持ちするんだったら買っておかんといかんのかという世界ですな。


ブルームバーグさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-28/RWYVGZT0AFB401
植田日銀総裁、24年の物価上昇「確信」できれば政策変更あり得る
藤岡徹、Craig Stirling
2023年6月28日 23:40 JST 更新日時 2023年6月29日 4:34 JST

あれ????これ夜中に目が覚めてしまって(ジジイなので)ちょっと見た時のヘッドラインは「基調的なインフレ率は依然として2%をやや下回っている」の方だった気がするんだが0434の更新でヘッドライン更新したんけ。

でまあロイターさんにしろブルームバーグさんにしろ、政策変更あり得るの方がPV取れるもんだから(個人の偏見です)そういうお題にするんですけど、上記記事で一番アタクシが目を疑ったのはここですわよここ。

『植田総裁はこの日、ポルトガルのシントラで開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムで、ラガルドECB総裁とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長、ベイリー英中銀総裁とパネル討論会に参加した。今のところは基調的なインフレが2%を下回っているとした上で、日銀の想定では年末にかけてインフレの伸びは鈍化する見通しだと述べた。来年3月末の年度末を指しているかどうかは明確にしなかった。』(上記URL先より)

>基調的なインフレが2%を下回っているとした上で
>基調的なインフレが2%を下回っているとした上で
>基調的なインフレが2%を下回っているとした上で

・・・・・・・いやもうお前ポルトガルから日本までスワンボートで帰ってこいという話でありまして、基調的なインフレが2%を下回っているってお前昨日まさにお前らが出した「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の5月実績値の刈込平均が+3.1%、加重中央値が+1.4%、加重平均値が+2.9%になってて、3つのうち2つがオーバーシュートしてるだろというお話で、自分の説明に都合のいい加重中央値だけチェリーピッキングして屁理屈捏ねるとか、あの置物一派の「自分に都合のいい期間だけ取り出して相関を主張する」という非科学的ゴミ理論と1ミリも変わらんことを天下の植田先生がほざくとは日本の経済学会ってのはどういう仕組みで出来ているのか門外漢のアタクシにはさっぱり理解致しかねる事態になっております。

ちょっとだけ動画が上記URL先に貼られている(1分40秒ほど)のですが、

『円相場について聞かれると、総裁は「円はここにいる3中銀の政策を含め、日銀の政策以外のさまざまな要因から影響を受けている」とし、「動向を極めて注意深く監視する」と述べた。』

とかいう辺りで笑いを取ったり、上記動画には無いですけど記事の方では

『植田総裁にとって今回、主要中銀のトップと共に登壇する初の機会となった。来年発行する新紙幣が日銀に対する国民の信頼を高めるかもしれないと冗談を飛ばすなど、会場の聴衆に意外な一面をのぞかせる場面もあった。出席しなければならない記者会見や出張があまりに多いことを分かっていなかったとする植田総裁のジョークで、パネル討論会は幕を閉じた。』

とか言ってたようなのですが、円安バンバン触れてるし下がると言った物価は下がらないし、そんな中で何でこんな極端な馬鹿緩和をしているんだという話を一切しないで海外で冗談ばっかり言ってるんじゃねえよテメエ真面目にやれ真面目に、と思いましたとさ。

去年の秋口は確かにまあこの基調的な物価を捕捉するための指標でも、8月だと+1.9%、+0.5%、+0.8%だったし、9月が+2.0%、+0.5%、+0.9%だし、8月とか9月とか言っても全国CPIは出るのが1か月半ほど後になるから、8月の指数を確認できるのが9月の終わりごろ、という話なんでまあ「基調的な物価はまだ2%じゃないから金融政策の修正は時期尚早」って言いきるのはまだありだったと思いますけど、足元のこれらの3指数ってこの時の数字と全然違う世界に入っている訳でして、「一時的に物価が上振れているだけなので」とか言い訳するならまだしも、「基調的物価が2%行ってないので」政策変更しない、というのは最早狂気の沙汰としか思えない理屈なんですが、先日も申し上げましたけど、ちょっと日銀の想定問答作成部隊の皆さん緊張感が無いのか何だか知らんけど、いくら何でももうちょっとまともない言い訳を考えて頂きたいんですけど・・・・・・・・・

まあ一応「アホウの振りをして長期金利ターゲット修正に関する思惑が起きないようにして君子ジャガーチェンジで7月電撃修正」という可能性は無い訳ではないというのは指摘しておきますが、これ7月修正無しでこの調子で説明しているのはさすがに真面目にやれこのバカチンがというレベルに達していると思うんですがどうなってるんですか植田先生・・・・・・・・・・・



〇IMF筆頭副専務理事ギータさんのECBフォーラム講演がお話ご尤もだが一々日本に刺さる件について

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/ecbforum/shared/pdf/2023/Gopinath_speech.pdf
Three Uncomfortable Truths
For Monetary Policy
Remarks by Gita Gopinath
International Monetary Fund

https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/ecbforum/shared/pdf/2023/Gopinath_presentation.pdf(図表)

昨日頭の部分だけネタにしましたが、改めて読んでみると一々ご尤もな話をしているのですが日本にブスブスと矢が刺さって武蔵坊弁慶仁王立ち状態にしか見えないのですが、あのオッサン何能天気にジョークとか飛ばしてられるんでしょうか日銀に入って脳の改造でもされたんじゃないですかねえ、と思いました。

ちょっとだけ見ますけどね。

・インフレが実はパーシスタントであるということを予測できなかったという反省の弁から入る

『II. Uncomfortable Truth #1: Inflation is taking too long to get back to target. 』って所なんですが、

『Inflation forecasters have been optimistic that inflation will revert quickly to target ever since it spiked two years ago.』

一発目から「インフレーションフォーキャスター2年前に物価がスパイクした時から「物価はいずれ落ち着く」と楽観的であり続けました」である。

『As you can see, (slide 4) this includes the ECB and the IMF, whose forecasts are nearly indistinguishable.』

でもって偉いのはIMFも物価落ち着くことに楽観的で見通しを外しまくったと言及していることで、これがどっかのスカポンタン中央銀行の場合は全然外したことへの反省の弁が無いですし、どうせ7月になんかツッコミされたらESPフォーキャスト(正直あんなもんポジション持ってる人間が見ねえよと思うけど)を持ち出して民間エコノミストも弱い予想をしているとか他責の言い訳を繰り返すに100ドラクマ。

『What we see in these charts is that inflation sits well above previous forecasts. This reminds me of Samuel Beckett’s famous play, Waiting for Godot. In the play, both the cast and audience await a mysterious character named Godot who never appears.』

ちなみに言及されているのは邦題では「ゴドーを待ちながら」ということで日本でも取り上げられている演劇です(今ウィキペディアで俄か勉強したw)。

『Similarly, we are still waiting for low inflation to reappear. We hope, of course, that real life will have a different ending than the play. But as of now, the audience is still waiting.』

足もとの物価上昇は一時的で〇〇頃になると一時的要因が剥落して物価上昇は2%を割り込む、とか言っている(しかも見苦しいのはこの〇〇頃がドンドン後ずれしていくこと)中央銀行がいましたなあ。


・市場も物価の落ち着きに過大な期待を寄せているというご指摘

さらにこの続きですけどね。

『Despite repeated forecast errors, markets remain particularly optimistic that inflation in the euro area and most advanced economies will recede to near-target levels relatively quickly (slide 5, left panel). 』

『These disinflation hopes-likely fueled by the sharp drop in energy prices-underpin expectations that policy rates will decline soon, despite central bank guidance to the contrary (right panel). Surveys of market analysts paint a similar picture and suggest that inflation is likely to come down without much of a hit to growth. 』

『It is useful to bear in mind that there is not much historical precedent for such an outcome. Setting aside forecasts, the fact is that inflation is too high and remains broad-based in the euro area, as in many other countries (slide 6). While headline inflation has eased significantly, inflation in services has stayed high, and the date by when it is expected to return to target could slip further. 』

市場も「この先インフレ下がる、だから政策金利の引き上げは一時的」といような期待で価格形成してたりしましたわ、というような話をしているのもチャーミングですな。


・物価対策と称して財政をバンバン出しているどっかの国がありますなあ

次の小見出し『II.A Why inflation has proved persistent』は(面白いけど時間と量の関係で)すっ飛ばしまして、『II.B. Fiscal policy can help, but…』ってのをみるとこれがまた日本に刺さる刺さる。

『Some side effects of fighting inflation with monetary policy could be reduced by giving fiscal policy a bigger role. Indeed, economic conditions call for fiscal tightening. It could help cool demand and reduce the need for rising interest rates, especially if done in concert by a broad group of countries.』

『At a minimum, it is critical for euro area governments to resist any temptation to dilute the deficit reduction projected under current policies. Where support is needed, they must shift from providing broad-based to well-targeted support, and revenue windfalls from high inflation should be saved.』

まあ日本の場合はそもそも物価の上振れに対して財政出している側からハイパー金融緩和をしている時点であたおかにも程があるんですが、政府は政府で、国際エネルギー価格下がっているのに補助金まだ出すとか言い出しているみたいだし、ギータさんご指摘の「At a minimum, it is critical for euro area governments to resist any temptation to dilute the deficit reduction projected under current policies. 」のミニマムすらできていないキチガイ国家と成り下がっておる訳でそら円安も加速しますわという話ですな。


・たぶん植田さんの今回の「基調的な物価が2%行ってない」はこれを意識したんだと思います(個人の推測です)

次の小見出しが『II.C. Appropriate policy strategy』な訳ですが、

『Ultimately, it is up to central banks to deliver price stability irrespective of fiscal stance.』

まあお察しのアプロプリエートスタンスですけど。

『With underlying inflation high and upside inflation risks substantial, risk management considerations in the euro area suggest that monetary policy should continue to tighten and then remain in restrictive territory until core inflation is on a clear downward path.』

はい、ここでございますね。「基調的なインフレが高くて、アップサイドのリスクが極めて大きい場合においては」ということで、植田さんが最近十八番にしている「リスクマネジメントアプローチ」に関してこうすべき、ってのがIMF筆頭副専務理事様からぶっこまれている訳ですよ。曰く、「ユーロ圏におけるリスクマネジメントの観点からすれば、金融政策は継続的に引き締め状態であり、コアインフレーションが明確なダウンワードのパスになるまでは、引き締め的な水準を維持すべき」というご指摘。

どっかの中銀の場合は物価だって上振れリスクっての展望レポートで言ってる筈ですし、基調的な物価を捕捉するとして日銀が継続的に出していた指数の3つのうち2つが既にマンデートから大きくオーバーシュートしている、という状況でありますのに、引き締めどころかウルトラ超越大緩和をしている訳で、これは植田さんが植田先生だったらブスブス刺さって武蔵坊弁慶仁王立ちだわと思いますし、こういうのがあったからこそ、パネルの方で「基調的な物価が2%行ってない」とか最早そう説明しないと馬鹿扱いされる、ということでああいう発言になったのではないか、とまあ斯様に思ってしまいましたがどうでしょうかねえ(・∀・)ニヤニヤ

『The ECB-and other central banks in a similar situation-should be prepared to react forcefully to further upside inflation pressures, or to evidence that inflation is more persistent, even if it means much more labor market cooling. The costs of fighting inflation will be significantly larger if a protracted period of high inflation boosts inflation expectations and changes inflation dynamics. 』

だそうです。このコーナーの以下は飛ばしまして、時間もないのであと最後の所だけ(途中もそんなにムツカシイこと書いてなくて中々おもしろいのと、そもそもIMFって大昔にプライスレベルターゲットを提唱して当時のドナルド・コーンFRB副議長に机上の空論とぶった切られたブランシャールに見られるように非伝統金融緩和大好きチームだったのに、こんな事をいうようになったんだなというのが感慨深いのです、まあオモロイですよこれは)参ります。


・非伝統的な金融緩和政策の枠組みにも修正が迫られるという指摘があるんだが・・・・・・・・・・

『IV. Uncomfortable Truth #3: Central banks are likely to experience more upside inflation risks than before the pandemic.』の中の3番目の小見出し、『IV.C. Refining the use of tools 』というのがあるんですが・・・・・・・

まあ言ってることはご尤もという感じで(IMFが率先して言うのがサプライズだが)ありますが、この内容はさておきまして、このコーナーを全部引用すると以下のようになるんですよね(段落は少し細かく切っています)。

『Refining monetary policy strategies also calls for adjusting the use of tools (slide 19). 』

『Forward guidance is a helpful tool, and conditional promises can enhance its impact. But such promises should be tempered by escape clauses if developments unfold much differently than expected. The forward guidance provided by central banks during the pandemic may have been too much of a straitjacket and prevented a faster reaction to inflation surprises.

The costs and benefits of quantitative easing (QE) should also be reconsidered. QE will likely remain a critical tool should central banks face circumstances like the post-GFC period in which unemployment runs high and inflation low even though policy rates have hit their floor.』

『But there should be more wariness of using QE-and accompanying it with forward guidance promising low policy rates-when employment has largely recovered, and inflation remains only modestly below target. Maintaining QE in such circumstances increases the risk that the economy will overheat and that policy will be forced into a sharp U-turn.』

『So, when we consider the monetary policy of tomorrow, it is important to recall today’s lessons:』

『 First, take a closer look at supply shocks before deciding to simply “look through” them. 』

『Second, be careful about running the economy hot, and be ready to act preemptively if it does-even if inflation isn’t yet burning brightly.』

『Third, make sure that forward guidance is coupled with escape clauses;』

『and fourth, be more cautious about deploying QE outside of a recession.』

・・・・・・・ここまで読んで分かりますように、マイナス金利とか長期金利ターゲットがそもそも言及されていない、ということで、これはマイナス金利と長期金利ターゲットを看板にしているどっかの中央銀行完全に論じるに値しない扱いキタコレと大変に味わい深く思いました、というかこれ読者様から指摘頂いたので受け売りなんですけど、とあっさりネタを割るアタクシである。



〇そういや債券市場参加者会合の議事要旨なんですけどね

https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond2306.pdf
「債券市場参加者会合」第 17 回議事要旨
1.開催要領
(日時)
銀行等グループ 6月5日(月)15 時 45 分から
証券等グループ 6月5日(月)17 時 30 分から
バイサイドグループ 6月6日(火)16 時 00 分から
(場所)日本銀行本店
(参加者)「債券市場サーベイ」等に参加する金融機関の実務担当者
(本行出席者)金融市場局長、金融市場局総務課長、同市場調節課長、同市場企画課長

これなんですけど、

『3.参加者の意見

・上記説明の後、意見交換を実施した。会合参加者から聞かれた主な意見は以下のとおり。』

ってあるのは良いんですけど、当然ながら参加者によって立場が違うから意見を言うにしても視点が違っている訳なのですが、この議事要旨って折角3グループに分けて会合やってるのに、意見の方が3グループ分ごったまぜになっているので、どのグループがこういう意見を出している、という傾向が読めないというダメダメ仕様になっているんですよね。

しかもですな、国債市場特別参加者会合とか国債投資家懇談会とかって議事要旨見ると山のように意見が並んでいるのに、3グループ集めた会合でこれだけしか「主な意見」が無いというのも不自然極まりない話でして、お前ら聞くだけ聞いてガス抜きすればいいだろ位にしか思ってないだろと財務省のちゃんとした議事要旨と比較してちょっとこれ情報開示に難が大有り何じゃネーノと思う今日この頃。

いやまあもっと前から言えよという話はあるのですが、やはりここもとの日銀のアホウのような買入が国債市場の流動性を(アベイラビリティ的な意味で)をアカン事にしている訳でして、そういう事からこの紙ももっとちゃんと読んでみようかなと思ったらこのテイタラクかよと(たった2枚分しか無いんですよ「主な意見」が)いう話で、そもそも意見聞いてないのかね疑惑もある訳ですが、まあいずれにせよ財務省のPD懇や投資家懇の議事要旨と比較するとちょっと内容が無さ過ぎで折角会合やってるんだからもうちょっと何とかしろという感じですな。

いやまあ財務省の場合は国債発行して円滑に消化しないと行けない、という理財局の重要ミッションがあるので真剣さが全然違う、というのはあるのは大体想像がつくのですが、ゆうて日銀がガンギマリしたアレな人のように国債市場に介入してる訳で、そういうことする前だったらこの程度でも良いかもしれんけど何だかねーと。

・・・・・ということで内容の事はパスしてそもそも論で悪態をつくおじさんでした。





2023/06/28

お題「ECBフォーラムはこれまた日銀的には大変に居心地悪そうでワロス/基調的物価ェ・・・・・・・」

さあもりあがってまいりました!!!!!!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230628/k10014111201000.html
円相場 一時1ドル=144円台に値下がり 約7か月ぶり
2023年6月28日 1時31分

『27日のニューヨーク外国為替市場では円安が加速し、円相場は一時、1ドル=144円台まで値下がりしました。1ドル=144円台をつけるのは、去年11月上旬以来およそ7か月ぶりです。』

『また円はユーロに対しても売られ、一時、1ユーロ=157円台後半まで値下がりして、およそ15年ぶりの円安ユーロ高水準を更新しました。』(上記URL先より)

今日のECBフォーラムのパネルディスカッション直前か最中に為替介入がぶっこまれて植田先生何も言えなくなって置物現象が発生すると無茶苦茶楽しいのでそんな感じで一丁よろしゅうおねがいするます(ただの不謹慎)。


〇ECBのフォーラムで植田総裁が植田先生に戻ってくれるでしょうか(期待しないけどw)

式次第はこちらになりますな。
https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/html/20230626_ecb_forum_on_central_banking.en.html
ECB Forum on Central Banking 2023

Macroeconomic stabilisation in a volatile inflation environment
26-28 June 2023, Sintra, Portugal
Conference moderation: Claire Jones, International Economy News Editor, Financial Times

Live streaming will resume at 9:00 local time/10:00 CET on Wednesday, 28 June 2023.


・これは中々植田総裁様におかれましては居たたまれないお品書き

残念だが当然のアレなんですが、事前に出てたペーパーのアブストラクト見てるだけでもこれは植田総裁中々の居心地の悪さという所ですな。

まあこれが黒ちゃんなら持ち前のハイパー鋼鉄メンタルでシランガナ状態で馬耳東風するのかねとか思いますし、それ以前に黒ちゃんの御代は最後の1年だけは物価がようやく上振れ推移をおっぱじめておりましたが、それまでの期間は「ジャパンの物価は上がってませんからねー(またはやっと上がりだしたばかりですからね)」と言ってれば良かったので、そこまで居たたまれない事も無かったでしょうけれども、植田さん今回はなんせコアコアCPI4%の世界に突入していて、どっからどう見ても欧米の1周回遅れで後追いモードという風情を醸し出す中ですし、植田さんの場合は植田先生としての良心とかプライドとか残っていると思います(思いたい)ので、こういう所で植田先生に戻って至極真っ当な事を言い出すと無茶苦茶オモロイのでございます。

ほら、黒ちゃんがダボス会議行って帰ってきたらあの「マイナス金利政策」を直後にぶっこんできたという事案もあることだし、海外行って帰ってきたら何かに目覚めるかもしれませんよ!!!!!!!!!!!!!


・・・・・などと妄想に寄り過ぎてそろそろアレになっておりますが一応この四面楚歌フォーラムで絶望のあまりユーラシア最西端のロカ岬(シントラの駅前から路線バスが出ているよ!)でハラキリなどなさらずに、植田先生に戻って7月会合を迎えて頂きますよう願いたいものです、たぶん無理だけど。


さてこちらのフォーラム、向こうの月曜の夜からおっ始まっていて、ディナーでのスピーチがIMFのGita Gopinathという何と読んでよいのかワシ分からん人の奴です。幾つかのペーパーは既に公表されていたのでこれを含めて昨日チラ見したんですけど・・・・・・・


・「金融政策の3つの不都合な真実」とな

Monday, 26 June 2023
Dinner speech: Three Uncomfortable Truths for Monetary Policy
Gita Gopinath, First Deputy Managing Director, International Monetary Fund
[Live streaming of the dinner speech will begin at 20:00.]


https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/ecbforum/shared/pdf/2023/Gopinath_speech.pdf
Three Uncomfortable Truths
For Monetary Policy
Remarks by Gita Gopinath
International Monetary Fund
Prepared for the ECB Forum on Central Banking
June 26, 2023

「金融政策の3つの不都合な真実」ってネットの釣りコラムかよwwwと思ってしまう題名ですが、こちらの不都合な真実とは何ぞというのですが、晩飯のスピーチだけに最初に思いっきり結論を書いているのが結構結構。最初の『I. Introduction』ですけど。

『Good evening and thank you President Lagarde for that kind introduction. And thanks to the European Central Bank for inviting me to participate in this year’s forum, coming at a critical time for central banking.』

と挨拶があり、

『The battle against inflation is very much ongoing, both in the euro area and around much of
the world.』

「around the world」じゃなくて「around much of the world」と言ってるのは植田先生へのご配慮ですなIMFテラ配慮。

『Headline inflation has declined, but the stickier components remain persistently high. Central banks must continue to fight high inflation now, while also determining if-and how-monetary policy strategy may need to change in the future.』

ラガルドはんの歓迎のご挨拶でもインフレ退治は大正義とか言ってるし、ついでに言いますとこのECBフォーラムの始まる前(日本時間の一昨日時点)では、ECBのトップページのサムネがデギンドス副総裁のご尊顔でして、

https://www.ecb.europa.eu/press/inter/date/2023/html/ecb.in230625~1624b322e4.en.html
Interview with ABC

今だとサムネになっていないから分かりにくいのですが、「インフレーションは悪」とか思いっきりそういうのがサムネに書かれているという中々の代物になっていました。

まあそんなECBのフォーラムですからこういう話になるのは順当ではあるのですが、さてさっきのアタクシの語学力では名前の読めないおっちゃんの能書きの続き。

『This is, of course, no easy task. This evening, I will focus on how to contend with high inflation by confronting what I will call three uncomfortable truths for monetary policy.』

で3つの真実になるのですが、

『・ The first uncomfortable truth is that inflation is taking too long to get back to target. This means that central banks, including the ECB, must remain committed to fighting inflation despite risks of weaker economic growth.』

物価はそう簡単に下がらんので、ECBを含む各国の中央銀行は経済が弱くなることを辞さずにインフレと闘うというコミットを維持しなければならない。

とまあそういうでしょうなECB主催のフォーラムだもの、という感じではありますが、これって今まさに植田日銀が連呼している「待つことのリスクは大きくない」と言っている事は間違っているんじゃないですか、という状況証拠になる話でして、待つことのリスクは大きくない→物価が下がらなくなってしまう→極端な引き締めを行わないと行けなくなる→植田さんコンコルド広場に連行されて首チョンパ(あくまでも比喩です)ということになりませんかねえ、というの面の皮の厚い黒ちゃんなら馬耳東風でしょうが、植田総裁が植田先生になった時にこの指摘を面の皮で弾き飛ばせるのか良心が芽生えるのかは神の味噌汁といった所ですな。

『・ The second uncomfortable truth is that financial stresses could generate tensions between central banks’ price and financial stability objectives. Achieving “separation” through additional tools is possible, but not a fait accompli.』

a fait accomplって何だよと思ったら「既成事実」とかそういう意味ですのね。ということで金融ストレスによって物価安定と金融安定の間にテンションが発生する、っていうのは要は金融ストレスが発生すると物価安定と金融安定で政策対応のコンフリクトが起きるとかそういう話かいな(本文ちゃんと読めば分かると思うけど)。まあこれは植田先生鼻歌混じりで聞いてられますね。

『・The third uncomfortable truth is that going forward, central banks are likely to experience more upside inflation risks than before the pandemic. Monetary policy strategies and the use of tools like forward guidance and quantitative easing must accordingly be refined.』

これはまた植田先生困っちゃいますね。今後においても「central banks are likely to experience more upside inflation risks than before the pandemic.」とかいう指摘をしておるわけで、従来の延長線上で2023年度後半には物価上昇率が2%を割り込んできますのでーとか言ってるポンコツ予想をしている日銀全体に対してもイイシテキダナーとしか言いようがない。

『Let’s begin by exploring the first uncomfortable truth: inflation is taking too long to get back to target.』

ということでお話は始まるが以下はまだちゃんと読んでないので割愛。


・インフレが上振れると社会厚生の損失が拡大するという「インフレ上振れのリスクははるかに小さい」の植田総裁には頭の痛い分析もありますね

Tuesday, 27 June 2023

9:00
Introductory speech
Christine Lagarde, President, European Central Bank

でまあこちらは昨日の日本時間の夕方に出てたラガルドはんのスピーチですが、
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230627~b8694e47c8.en.html
Breaking the persistence of inflation

Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the ECB Forum on Central Banking 2023 on “Macroeconomic stabilisation in a volatile inflation environment” in Sintra, Portugal Sintra, 27 June 2023

ということでもう題名が「Breaking the persistence of inflation」でございますわよ植田先生。まあ面の皮を厚くして聞くんだったら「ジャパンのインフレはパーシスタントじゃないから関係ないアルよ」と馬耳東風を決め込んでおけばよい(よくないけど)のですが・・・・・・・・・・・


Session 2: Assessing the costs of inflation
Chair: Frank Elderson, Member of the Executive Board, European Central Bank

Paper: “Inflation and misallocation in New Keynesian models”
Author: Francesco Lippi, Professor, LUISS University (together with Alberto Cavallo, Associate Professor, Harvard Business School, and Ken Miyahara, Graduate Student and Research Assistant at EIEF)

何気に日本人っぽいお名前が共同著作者の中にありますな。

これまた既におペーパーが出ておりますので拝読しますと、
https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/ecbforum/shared/pdf/2023/Lippi_paper.pdf
Macroeconomic stabilisation in a volatile inflation environment

Inflation and misallocation in New Keynesian models
Francesco Lippi

ペーパーだから当たり前ですけどありがたいことに最初にアブストラクトがあるのでそこだけ読んでしまうという手抜きというか学が無いというかですいませんすいません。

『Abstract』

『The New Keynesian framework implies that sluggish price adjustment results in a distorted allocation of resources. We use a tractable model to identify these unobservable distortions, using granular data that depict the price-setting behavior of firms. We propose a method to estimate welfare costs for the period preceding 2022, and during the subsequent high inflation period.』

『Using granular data from PriceStats, as well as data from the ECB PRISMA project, we find that these welfare costs are sizeable. In the low inflation environment prevalent before 2022 the efficiency cost is quantified in about 2 percentage points of GDP in the Euro Area. Moreover, we estimate that the recent inflationary shock has temporarily increased these costs, in the order of an additional 3 percentage points of GDP.』

本文というかペーパーの導入部分だけはチラ見したんですけど、何せアタクシ経済学専攻じゃないので、そもそもの話の前提になっていることを体系的に勉強してないもんで間違ってたらゴメンやでなんですけど、経済主体が価格設定を行う際に、その中で適正な価格設定が行えない状況になると、社会全体としての厚生が低下する、という考えがあって(まあ確かにそうだ、どっかが変な負担をするんだから)高インフレになると、適正な価格設定が低インフレの時よりもやりにくくなるために、社会厚生の損失が極めて大きく(sizeable)なる、ということで、ホンマカイナとは思うが推計値はパンデミック前の時がGDPの2%分で足もとではそれに3%分が追加乗っかっているそうな。

つまり高インフレ放置プレイは社会厚生の最大化を図るという中央銀行の責務として大変に怪しからんことである、という話に繋がると思う訳でして、まあECB主催の以下同文の香りはするものの、これまた「インフレが上振れする場合のリスクの方が小さい」とか豪語している植田総裁的には中々耳の痛いお話をしておられますなという風情でして、大変に心が温まるというものでありまする。


・最終日のセッションに植田総裁ご登場で今晩の10時半かしらこれ開始時間は(ライブストリーミングありらしい)

Wednesday, 28 June 2023

9:00 Session 3: Monetary policy normalisation

まあ当然のお題だが。

Paper: “Balance sheet policy above the ELB”
Author: Annette Vissing-Jorgensen, Senior Adviser, Board of Governors of the Federal Reserve System

などというのもある。しかし話は全然別になるのですが、パンデミックとかで金融安定化のために狭めたコリドーの幅をそのまま短期金利5%なのに変えない、ってのあれどうなのかと思う訳で、そういうことするからFEDのファシリティばっかり使われることになり、短期市場の市場参加者の厚み的に大丈夫なのかよと外野から見ていると思ってしまう訳で、昔のECBみたいにコリドアもっと広くしろよと思うし、政策金利が5%なんだったら4.5−5.5(または4.75−5.75)位に広げろよと思うのでありますがそれは余談。


11:30
Panel 2: Lessons from recent experiences in macroeconomic forecasting
Chair: Philip R. Lane, Member of the Executive Board, European Central Bank

Alfred Kammer, Director of the European Department, International Monetary Fund
Clare Lombardelli, Director General, Chief Economist and G20 Finance Deputy, Organisation for Economic Co-operation and Development
Huw Pill, Chief Economist, Bank of England
Chiara Scotti, Senior Vice President and Director of Research, Federal Reserve Bank of Dallas

ちょwwwwこれわ(物価見通しを外しまくっている日銀的に)無慈悲なパネルディスカッションwwwwwwww


などというのがあって、真打ちは最後に登場の巻ということで昼飯の後に・・・・・・・・

14:30
Policy panel

Andrew Bailey, Governor, Bank of England
Christine Lagarde, President, European Central Bank
Jerome Powell, Chair, Board of Governors of the Federal Reserve System
Kazuo Ueda, Governor, Bank of Japan

Moderator: Sara Eisen, Closing Bell anchor, CNBC

ちなみにライブストリームはユーチューブのECB公式(@ecbeuro)チャンネルで見れます。ポルトガルはユーロ圏ですけどロンドンよりも西にあるのでタイムゾーンがCETと1時間違ってて、かつ今は夏時間だからこれ開始は日本時間の10時半ですね(計算間違えてたらゴメンやで)。


〇基調的な物価が順調に上昇しているのですが2023年度平均が+1.8%というのを出してからまだ2カ月ですねえ・・・・・・・・

はいはいワロスワロス
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標


Jan-22 0.8 0.2 0.3
Feb-22 1.0 0.1 0.3
Mar-22 1.1 0.2 0.3
Apr-22 1.4 0.3 0.4
May-22 1.5 0.4 0.5
Jun-22 1.6 0.5 0.5
Jul-22 1.8 0.3 0.7
Aug-22 1.9 0.5 0.8
Sep-22 2.0 0.5 0.9
Oct-22 2.7 1.1 1.3
Nov-22 2.9 1.2 1.5
Dec-22 3.1 1.4 1.6
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9

いつものように左から「刈込平均値、加重中央値、最頻値」ですけど、最頻値は+2.9%だわ加重中央値も年初下がったと思ったらグングンズイズイ上昇しておるわけでございまして、どう見てもインフレ加速です本当にありがとうございましたという風情なのですが、とりあえず「2023年度のコアCPI平均+1.8%」とかいう脱法ハーブと風邪薬一箱でもキメてないと出来ないようなあたおか予想をどのツラ下げて7月の展望で修正して、何という言い訳をするのでしょうかとか思ってしまいます。

品目数も相変わらずエグイ。

Jan-22 61.5 31.0 30.5
Feb-22 64.0 28.9 35.1
Mar-22 63.2 29.7 33.5
Apr-22 68.8 24.9 43.9
May-22 69.2 24.5 44.6
Jun-22 71.3 22.2 49.0
Jul-22 73.2 20.7 52.5
Aug-22 72.6 21.5 51.1
Sep-22 74.9 18.6 56.3
Oct-22 78.9 14.6 64.4
Nov-22 79.9 13.6 66.3
Dec-22 81.2 11.7 69.5
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1

例によって左から「上昇品目比率、下落品目比率、上昇品目比率−下落品目比率」です。

まあアレです、今から大予言しておきますが、7月展望では2023年度+1.8%平均はさすがにあり得ないので泣きながら上方修正するんですが、政策修正しません、というアピールのために、2023年度は+2.3%にするものの、2024年度+1.8%と2%を割らせておいて、しかもそれだと平均2%になっちゃうから、2025年度を+1.6%のままで維持する(つまり見通しは不変ということなので政策修正の必要はない、という屁理屈になる)、という如何にも政策から逆算した(ただし足元だけは現実の数字対比で無茶苦茶なものは出せないので2%に乗せる)数字を出してくる、と今から大予言しておきますので、当たったら・・・・・まあ別にどうでもいいですw







2023/06/27

お題「6月会合主な意見が意外に面白かった件について(物価での様々な見解がおもろかった)」

これは古傷をほじくり返して塩を塗り込んでいくスタイルwww
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230623/k10014107651000.html
黒田前総裁の“2%の招待状” 再注目のワケは?【経済コラム】
2023年6月25日 0時16分

ちょwwwwwおまwwwwwww公共放送攻めすぎワロタwww

しかしまあ何ですな、最後の部分ですけど

『黒田前総裁が「招待状」で発したメッセージが9年越しに実現するのかどうか、日本経済はその分水嶺に立っています。』(上記URL先より)

招待状出して本当に客がワラワラとやってきたのは良いんですが、肝心のホストである日銀ちゃんがすっかり今の事態に泡を吹いてませんですかねえという気が思いっきりするんですけど招待状出したの忘れましたか???

しっかしこの招待状、大口叩いて2年で2%と言ってた時の黒歴史として、時々ほじくり返されてはお笑いの対象になる(はて誰がそんな性格の悪い事をやっているのやら)、というかなりの日銀のトラウマもんだと思うのですが、公共放送鬼のようにぶっこんできてこれは将軍様の無慈悲な砲撃で本石町も火の海になるという物件ですね。

と思ったら別口ではこんなものもw
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/cor/2023/06/26/32607.html
【コラム】円安加速 世界で利上げ“協奏曲”再び いつまで?
2023年6月26日

まあこれはサムネが全てを物語っていますのでアタクシ如きが付け加える必要はありませんな。

いかん、前置きが長くなってしまいました。


〇6月会合主な意見:ポンコツの一部に覚醒の兆しがあるのではないでしょうか(ずっと起きている人は1名だけでした)

あのクソ会見のせいで1ミクロンも期待していなかった主な意見、昨日ご覧になった皆様もなんだかトーンが違くね??と思ったかとは存じますが、いやこれもしかしてポンコツの皆様の中でも一部の方が遂に目覚めた(しつこいですけど1名だけはずーっと立派な意見を述べられていたのでその方はポンコツではありませんですわよ誰だかは言うまでもありませんけど)のではないか、という状況で、もしかしたら7月会合ワンチャン無いかなという期待すら持たせる(その割には円債市場ちゃん無反応どころかソイヤソイヤと金利下がって気が付けば横綱149円になっているのですが)ような気もしないでもない(実はそこまで期待してないけど)というアレを感じさせる物件となっておりましたな。

しかしこの「主な意見」とあの1ミリもやる気のない植田総裁の記者会見の間にトーンの違いがあり過ぎてマジで何がどうなっているのか全く意味が分からないんですけど、日銀(というか総裁)のコミュニケーション無茶苦茶過ぎませんかねえと改めて昨日は思った次第です。

という能書きはさておき鑑賞鑑賞。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230616.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2023 年 6 月 15、16 日開催分)1

順番に参りますのでまずは『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』から。

・海外がガチのリセッションにでもなれば別かもしれんがマドルスルー位でそんなにコケねえだろ

『・わが国経済は、既往の資源高の影響などを受けつつも、個人消費などが緩やかに増加する中で、持ち直している。先行きも緩やかに回復していくとみられるが、海外経済の動向などに注意が必要である。』

毎度不思議なのですが、日銀って先行きの「不確実性」の連呼の時に海外経済の話をしょっちゅう出してくるのですけど、今国内で起きてる物価上昇の流れとかって、海外が結構なリセッションにでもなれば別ですけど、物価高騰抑えるための引き締めをやってマドルスルー程度の減速をしたからと言っていきなり国内の流れがとだえるようなものなのかよ、と思う訳でして、殊更に海外ガーって言うのって単に政策修正をしたくないというのに後付けで屁理屈つけているだけにしか思えませんがどうなんですかねえ。

だってさ、その他の意見を見ると、

『・国内経済は、全体として底堅く推移している。企業の景況感は拡大・縮小の分岐点を上回っており、設備投資への前向きな姿勢が維持されている。』

『・ 4月以降、家計のマインド指標が大きく改善している背景には、経済活動の正常化のほか、高水準の賃上げの実現もある。足もとの株価上昇による影響も含め、企業や家計の前向きな動きの後押しに繋がるか注目している。』

って基本的に国内での循環みたいな話になっている訳でして、まあこっちなんじゃネーノと・・・・・・・


・金融政策でどうこうできない話とか他所でしてもらえませんかねえ

なおこのあと2つが、

『・日本型職務給導入への取り組みや来年の賃上げ交渉に向けた状況等を確認するほか、価格転嫁、M&A・事業売却の動向、中小企業の輸出拡大等の企業の稼ぐ力強化の進捗を把握することで、物価上昇に負けない賃金上昇実現の蓋然性の高まりを見極めていく必要がある。』

ねえねえねえ、それ見極めるのに何年かかると思ってるの????

『・ 企業の稼ぐ力強化の取り組みから成長期待が高まりつつある。地域経済を牽引する企業の資金需要を
掘り起こし支える地域銀行の役割に注目している。』

いや別に銀行が資金需要を掘り起こさんでも・・・・・・・・企業のニーズに的確に(というのは貸し倒れ待ったなしの先には貸す必要が無いという意味ね)対応すればいいんじゃないでしょうか??????


・物価のコーナーを見るとやっとポンコツの皆様の一部に目覚めのお時間がやってきたのかもしれません

とは言え、レナードの朝みたいに結局全員また元に戻ってしまうという悲しい事になるやもしれませんけれども、本文2ページになりますところの『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』の部分でございます。

ここで物価に関する意見の個数の推移を確認してみましょう(アタクシが過去の主な意見から目検で拾ってきたので合ってる積りだけど間違ってたらゴメンチャイ)

今回→10個
4月→8個(植田さん初回で展望レポート会合だが8個しか無かったのよ)
3月→6個(黒ちゃん最後の会合)
1月→12個(黒ちゃん最後の展望レポート会合なんだが黒ちゃんの時の方が植田さんの展望より意見多いのかよ)
12月→9個(YCCレンジ拡大会合)
10月→8個(展望レポート会合)

ということでして、この意見の数って前も悪態ついた事ありますけど、悪態が聞こえたのかどうか知りませんけど暫くは人数分近くの意見が出ていたんですけど、今回って何気に展望レポート会合でもないのに物価に関する意見の数が前回より2個も多くなっている上に、内容が通り一遍の物ではなくなっている(ように見える意見もある)というのが味わいがあります。ということで鑑賞鑑賞。

『・ 消費者物価の上昇率は、今年度半ばにかけて低下していくとみているが、その後、再び上昇率が高まっていくかの不確実性はなお大きく、今後の賃上げの持続性などを見極めていく必要がある。』

はいはい大本営大本営。

・・・・・というかでね、そもそも「下がって上がる」という器用な見通し自体が何なのよという話でありまして、これって「足元上がっているのはコストプッシュだから政策修正の必要なし」という理屈のために「コストプッシュが剥落すると下がる」という話をしていて、一方で「今後下がり続ける訳ではないので追加緩和の必要なし」という理屈のために「その先には上がる」というアクロバットな説明をしているのに過ぎない(個人の偏見です)訳なので、そら「その後、再び上昇率が高まっていくかの不確実性はなお大きく」だわなと思いますし、そんなに不確実なんだったら不確実性を除去するために追加金融緩和をした方が良いんじゃないでしょうか、とこの大本営屁理屈を見てて思いますよね。

『・ 年度替わり期の消費者物価の強さは、財が中心であり、賃金のサービス価格への波及が主因ではないが、今後、企業の価格設定行動に変化がみられるかどうか、注目している。』

既に始まっているのではないか、という支店長からの報告がありませんでしたっけ、まあいいけど。

『・ わが国の物価上昇は、引き続き海外要因が大きいが、消費者物価ではサービス価格の上昇ペースが目立つほか、GDPデフレーターも前年比2%に達するなど、国内要因が強まっている。』

しかしまあ何ですな、先行き見通しなら兎も角、現状認識の所でサービス価格上昇の評価の表現が違っている(まあ文字数の関係で端折っているから力点の置き方で表現が違う面はあるにせよ)ってのも何か謎だが、いずれにせよ「物価って上がってねえか」って意見が大本営の次に3つ並んでいる訳ですよこれがまた。

『・ 原材料価格上昇は一服しているものの、企業の価格転嫁の動きは一段と強まっているほか、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復もあり、当面、物価上昇圧力の強い状況が続くと考えられる。』

この意見は割とこの前のさくらレポート別冊にあった支店長からのアネクドータルなレポートをベースにしているので納得感のある意見です。ということでこれも物価が上がる話じゃん。

・・・ということで4本も物価上がるジャン意見が出ましたが次は大本営になっています。

『・ 輸入物価の下落が消費者物価に波及するまでのタイムラグを踏まえると、今年度半ばにかけて消費者物価の前年比のプラス幅が縮小するシナリオは引き続き妥当と考えられる。』

輸入物価の下落の波及の前に円安が来ておりますがそっちはスルーですかそうですかさすが大本営。

『・ 消費者物価上昇率は、既往の輸入価格上昇の転嫁が一巡した後、年度後半には2%を下回るとみている。もっとも、企業の価格設定スタンスが積極化してきていることを踏まえると、想定より上振れる可能性もある。』

何すかこのコウモリ意見www

『・ 企業行動に明らかな変化がみられ、値上げ・賃上げが企業戦略に組み込まれてきているほか、基調的なインフレ率を示す各種指標も、軒並み2%を超えてきている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い。』

これは強気、5個目の物価上がるんじゃね意見だがこれは今までの中でも一番強い見通しキタコレで、7月の展望でこの人が2023年度見通しでどこにプロットを打ってくるのか楽しみです。最低でも2%台後半で3%に近い方に打って来そうですな。

『・ 先行きの消費者物価は、上下双方向のリスクがある。上振れリスクとしては、企業の価格転嫁が想定以上に続く可能性が注目される。下振れリスクとしては、米国や中国など、世界経済が下振れた場合に、それがわが国の物価に及ぼす影響が注目される。』

さっきも書いたけど、米中がガチのガチなリセッションにでもなるなら兎も角、多少の下振れで国内物価下がるのかよという話で、今回の主な意見の他の人達だって基本的にホームメイドインフレっぽい経路を指摘している中で、この「海外が下振れると」という理屈って日銀大本営の屁理屈上手な茶坊主が如何にも考えそうな「ああいえばこういう」話法だなと思うんですよね。

『・ 物価については引き続き価格転嫁の動きがみられ、見通しが上振れる可能性もあるが、まだ持続性に懸念がある。』

持続性とは何の持続性なのか、端折り過ぎでよくわからんのでやり直し。

『・ 物価の先行きの不確実性が高まっており、輸入インフレの減衰ペースや国内要因に基づくインフレの立ち上がりの時期と強さによって様々なパスが考えられる。物価上昇率が、先行き2%を下回ることなく、ゆっくりと2%に向かっていくパスを辿る可能性も出てきた。このほか、2%を超えた水準で高止まるリスクも無視できない。もっとも、2%を下回った後、そのまま戻らなくなるリスクも引き続き大きい。』

要するに分からんと書いていただいた方が良い気がするんだが何ですかこの晴れ時々曇り所によって一時雨か雪で雷にも注意、みたいなコメントはw


・・・・・・・・ということで10個のご意見を並べましたが、物価見通しよりも上振れるんじゃなかろうか、ってのが明らかに5つ(重複もあるかもしれないのでざっと考えて3人か4人、ってところでしょう)の上振れ意見があって、どうせリフレは上振れとか言わないと考えると審議委員6人いてリフレが2名(実は田村さんじゃない方のTさんは隠れリフレじゃないかと疑っているのdすが)でして、田村さんは恐らく昔から覚醒しているのでさておきますけれども、他の方にも遂に目覚めの時がやってきたのかとこれは思いっきり楽しみになってまいりました。

なおこれで氷見野さん辺りが平然と物価強気の意見をぶっこんでいたらそれはそれで笑うのですがw


でですね、さっきも申し上げましたけど、何でこんなに物価に関する意見が割れているのに、総裁記者会見ではそういう話を全然しないで「不確実性」の大連呼をおこなって、植田日銀政策修正する気すらありません的な雰囲気を出してたのかが訳分らんのですよね・・・・・・・・・・・


・政策に関してはサラサラと参りますがご案内のように素晴らしいご意見があった次第です

『U.金融政策運営に関する意見』に参りますが、まあ今回は物価の所を見るのがメインイベントなのでこちらはサラサラと参ります(決して前段でノリノリになって時間を使いすぎたからではありません)。

『・ 先行きの物価見通しなどを踏まえると、現在の金融緩和を継続することが適当である。』

『・ 2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するためには、コスト・プッシュによる物価上昇ではなく、賃金上昇を伴う物価上昇が必要である。』

はいはい大本営大本営。

『・ 企業の賃金・価格設定行動など、ようやく訪れた日本経済の変化の芽を、金融緩和を継続することで、大切に育てていくべきである。』

『・ 本年の春季労使交渉では約 30 年振りの賃上げ率となっている。2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するためには、現在の金融緩和の継続を通じて、こうした賃上げのモメンタムを支え続けることが重要である。』

別に金融引き締めろとかワシだっていう気はない訳ですが、じゃあ今のマイナス金利だのYCCだの超大規模なAPPだの、というような異常なレベルの金融緩和って本当に必要なのですか、というのがまあ債券やってる人としては思う所なのですが、ご案内のように今回その話が思いっきり指摘されているのには感動しましたのでそれは後程。

『・ 中小企業の多くは、価格転嫁継続や輸出拡大等により、賃上げや投資への意欲を高めつつあり、これに水を差すような政策修正は時期尚早である。』

だから何でYCC解除やマイナス金利撤廃如きでその流れが止まるのかと小一時間問い詰めたい。

『・ 物価の先行きの不確実性は高まっているが、中期的な下方リスクは依然大きいと考えられる。副作用に留意しつつ、金融緩和を続けることが適切である。』

持続性を高めたかったら「無理のない金融緩和」に移行すべきだと思います。

『・ 拙速な政策転換によって目標達成の機会を逃すリスクは大きく、引き続き、粘り強く金融緩和を続けることが重要である。ただし、欧米のように、わが国も物価上昇の持続性を過小評価している可能性も否定できないため、十分に注意する必要がある。』

拙速な云々またかよ、と思ったが後半は中々結構なご意見。

『・ イールドカーブの歪みの解消が進んだほか、市場機能に改善もみられており、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないと考える。』

とりあえずお前は一生肥溜めに漬かるか日本海溝片道ドラム缶ツアー(単独行)に出発するかの2択を選んでくれ。

『・市場の機能度をみると、国内の社債市場については、改善傾向にある。例えば、エネルギー関連企業の社債の取引利回りは低下傾向にあり、投資家需要の回復に伴い、起債環境も改善している。』

うーんまあ社債市場ねえ・・・・・・・・

『・ 債券市場の機能度は、一頃に比べれば改善したが、水準としては依然低い状態にある。』

正解です。

『・ 足もとの物価の強さによって中長期のインフレ予想に大きな変化が生じている証拠はないが、イールドカーブ・コントロールの運営との関係でも重要な要素であり、今後の展開に注目している。』

もうちょっと詳しく書いて欲しかった。これではナンノコッチャ感が拭えない。

でもって今回の白眉ですよ馬良ですよ。

『・ 「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現の可能性が高まりつつあるが、金融緩和全体については、待つことのコストは大きくないため、当面継続すべきである。ただし、そのツールであるイールドカーブ・コントロールについては、将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きい。早い段階で、その扱いの見直しを検討すべきである。』

待つことのコスト、に関しては先に行くとこれもひっくり返る可能性がありますが、まあリスクと言ってないのでそこは考えているな、と思いました。

でもって後半のはまさに仰せ御尤もすぎて頷きすぎて首がもげそうになりました。

しかしこの後レビューの話があるんだが、もう完全に市場的には無視ネタなんですけどね、おまいらとポンコツ学者のサークルでキャッキャウフフしてるだけの物件にしか思えないのですが・・・・・・・・・・

『・ 多角的レビューのテーマとしては、@これまでの政策の効果と副作用を経済・物価情勢との相互関係を意識しながら理解すること、Aその背景として、1990 年代以降の様々な環境変化のもとで、企業・家計の行動や賃金・物価形成メカニズムがどう変化したか、整理することが必要であり、これらの議論を進めながら追加・見直ししていくのが良い。』

『・ 多角的レビューでは、多様な知見を取り入れつつ、客観性や透明性を高める観点から、日本銀行内での分析だけでなく、既存の調査・サーベイ等の活用のほか、ヒアリング・意見交換、ワークショップの開催など、様々な取り組みを行っていくことが考えられる。』

勝手にやってろ。

『・ 金融政策運営の多角的レビューについては、外部の関心も高いことから、適時適切な形で情報発信を行うことが望ましい』

外部の関心が全くないのは前回の総裁記者会見でわざわざ満を持して説明したのに全然レビューについての質疑が無かったことに明白に示されているわけで、何が「外部の関心も高い」だよ馬鹿という所でして、まあこの外部というのはポンコツ学者のサークルの皆様、ということを意味しているのだと思います。

・・・・いかん最後また悪態で締めてしまったではないですかヤダー。




2023/06/26

お題「4月の展望レポートで今年度後半の物価見通しの記述がアレな件について/5月全国CPI・・・・・・・・」

https://www.agrinews.co.jp/news/index/164306
2023年6月21日
フリマアプリ芋苗販売問題 農相、病害の拡大懸念 メルカリはガイド改定

https://www.agrinews.co.jp/news/index/164614
2023年6月22日
フリマアプリで購入避けて サツマイモ苗 農水省、サイト

仕込みを入れた種苗をフリマで爆安価格で販売するのが成立しちゃうと・・・・・怖


〇今さらジローなのですが4月の展望レポートに物凄く雑な部分があった件について

この前の6月会合で声明文比較をして、その中で「今年度後半になると物価上昇率が低下する」って見通しの表現をしれっと変えてますな、という話をしたじゃないです。アレなんですけど、読者様から「あの表現って展望レポートと同じじゃね??」という指摘を受けまして、改めて確認すると割と驚愕の事態があったんですよ。

6月声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230616a.pdf

こちらの項番3の中の消費者物価指数の見通しが、

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。』

となっていて、英文だと
https://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230616a.pdf

『 The year-on-year rate of increase in the CPI (all items less fresh food) is likely to decelerate toward the middle of fiscal 2023, with a waning of the effects of the pass-through to consumer prices of cost increases led by the rise in import prices.』

なんですが、アタクシここの部分について、展望レポート基本的見解の本文に在ります記述、

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304a.pdf

の本文4ページ(PDFでも4ページ)の『(2)物価の中心的な見通し 』の記述、

『先行きについては、国際商品市況がひと頃に比べて下落し、輸入物価の前年比もプラス幅を縮小しているもとで、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰していくため、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく可能性が高い。』

英文だと

『For this reason, the year-on-year rate of increase in the CPI (all items less fresh food) is highly likely to decelerate toward the middle of fiscal 2023. 』

ということで、「プラス幅を縮小していく可能性が高い」→「プラス幅を縮小していくと予想される」だし、英文では「is highly likely to decelerate」→「is likely to decelerate」にしれっと先行き変更しやがった、というお話をした訳ですな。

ところが、同じ4月展望の鏡の部分なんですけど・・・・・・・・・

展望レポート基本的見解1ページ目の『<概要>』ってところなんですけどね。こちらの2ポツ目は、

『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。』(和文)

『The year-on-year rate of increase in the consumer price index (CPI, all items less fresh food) is likely to decelerate toward the middle of fiscal 2023, with a waning of the effects of a pass-through to consumer prices of cost increases led by a rise in import prices.』(英文)

となっていまして、なんと4月の展望レポートって「概要」の部分と「本文」の部分で「物価の見通し」の記述が異なっているという割と飛んでもない事が起きている、というのに今更ながらに気が付いたわけでございますよ。

文章を端折った結果として表現が微妙に異なる、というのであればまあ話としてはあるあるなんですけど、この場合って文章を端折って表現が変わった訳でもないですし、そもそも「物価の見通し」ということで2%物価安定目標が達成できるのかどうか、という最も重要なポイントにおいて、このような違い、しかも「可能性が高い(is highly likely)」と「予想される(is likely)」では全然ニュアンスが違う訳でして、これはどうみてもいかんでしょ、と思う訳ですよ。


ということで、最初に申し上げた読者様からのご指摘なんですが、これはあたくしが声明文比較をするときに展望の場合には展望の本文から見ているのに対して、ご指摘いただいた読者様の場合は展望の概要(鏡)から見ていたために、この差分に気が付くことになってしまいました、という大変にお茶目な話ではあるのですが、これってやっぱり結構な問題でありまして、6月の物価見通しにおける「本年度後半は物価上昇のプラス幅が縮小していくと予想される」という部分が、4月時点から比較して実現の可能性を下げたという判断(展望の本文対比で比較すると実現可能性が引き下がったと判断できる)となるのか、それとも4月時点の見通しと不変(概要で比較すると一致だから)なのか、ってかなり重要な部分になりますよねこれって。

・・・・・・・・という訳で、まあこれ本来は4月の展望見た時点で気が付いていないと行けなかったと我ながら反省はしているのですが、最近展望レポートがクソ面白くないもんだから今までだと毎回土日(またはGW)潰してやってた展望レポート基本的見解本文部分の逐語比較、ってのをサボっていて、概要だけ前回と比較して喜んでいたからだというのがありまして、やっぱり手抜きはいかん手抜きは(まあこのGWは地味に色々と案件があって寝起きFOMC企画以外手が回らなかったのはある)と思うのでした。


てな自分の反省猿はどうでもよいのですが、やはりこの展望レポートの相違って結構な大問題(というかこれ事故事案じゃないのかね、と思う)なのでありまして、展望レポートの中で同じことに対して別々の意味になる記載をした結果、6月時点での物価見通しが前回対比で変化したのかしてないのかが不明、という事になってしまった訳でして、これはちょっと展望レポート基本的見解をお作りになっている皆さん(展望レポート基本的見解って政策決定会合の議決物件になりますの、最終的な意味では政策委員会の皆さまがポンコツであられた、という話になりますけど、まあこれを一言一句検討してたら15時くらいまで決定会合やっててもおかしくないので、この地の部分を作っている某7階)ちょっと何でこの「基本的に一致していないとおかしい文章が鏡と本文で一致していない」事案が生じてるんだか合理的な説明してくれませんかねえ、2か月前の文書だけど。


うーん何でしょうね、この前の内外情勢調査会での植田総裁の講演に始まりまして、その後の謎の報道各社共同インタビューに通常国会での委員会答弁、そして6月会合での定例会見と、ちょっと最近の植田さん変調じゃないの、国会での所信聴取の時のあの溌溂とした植田先生はどこに逝ってしまったの、というアレにつきまして本欄では再三再四悪態をついている次第なのですが、まあ会見とか国会の発言がちょっと危なっかしい(最近言ってる「リスクバランスアプローチで考えれば物価上昇を待ち過ぎるリスクの方が小さい」だってあれ大門先生が落選してなかったらとっくの昔に大門先生が容赦しないと思うのよね)のをみますに、黒田長期政権でちょっとタガが緩んでるんじゃなかろうか、とまあそのように思われて日銀ちゃん大丈夫ですかと心配になってしまう訳なんですよ。いやマジのマジで・・・・・・・・・・・・・


そんなゆるふん日銀ちゃんなのですが、7月末の展望レポートに向けて緊張感無く臨まれて現状維持となりまして、夏場に為替が一段とぶっ飛んで針の筵どころか大炎上して火だるまになるまで緊張しないんじゃないでしょうかねえ、とその辺りは懸念される所でございますな、ナムナム。


ああそうそう、これ何でこんなガバガバな事が起きたか、ということの背景を妄想しますと(あくまでも個人の妄想です)、以前黒ちゃんの御代では「2%物価目標は依然として達成していないし達成しそうという状況ではない」という理由の説明は「足もとの物価上昇は一時的なコストプッシュ要因によるもので、このコストプッシュ要因が剥落すると物価上昇率は下がってしまって2%割り込みますのん」という話だった訳です。でもって植田さんも馬鹿説明を踏襲しつつ、やれ賃金だやれ不確実性だという話に問題を摩り替えいるんですよね。お蔭で「不確実性」の連呼が行われる定例記者会見、というふざけた会見が6月会合後に挙行された訳ですが。

つまりですね、4月展望の時点で上記のような「粗雑な扱い」をしているということは「年度後半に物価が2%割り込む」という見通しそのもに対して屁理屈大王の日銀執行部はもはや見通しが当たる当たらないをどうでも良いと思っていて(個人の妄想です)、それよりも植田さんになってぶっこんできた「不確実性」という何とでも使えるインチキマジックワードを使う事によって、物価見通しを散々外している問題を完全にスルーしながら政策を変更しない言い訳を考えた、そのため「今年度後半の物価がどうなるか」はもはやどうでもよい扱いになったので取り扱いが雑になり、概要と本文で表現が違う(しかも意味合いが違う表現になる)という話になったんじゃないかなー、と6月会合会見の「不確実性」連呼を見て思う次第でございます。つまり「年度後半になって物価が下がらなかったら」は政策修正のトリガーにならない(別の理由で政策修正する可能性は当然あるけど)という恐ろしい話なのではなかろうかというあくまでも個人の妄想ではありますが、そんなことを思ってしまいましたこの一件を確認しながら・・・・・・・・・・・・・



〇5月全国CPIも事前予想よりもややお強いようで何より

はい。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)5月分(2023年6月23日公表)

『≪ポイント≫
(1)  総合指数は2020年を100として105.1
   前年同月比は3.2%の上昇  
(2)  生鮮食品を除く総合指数は104.8
   前年同月比は3.2%の上昇  
(3)  生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は104.3
   前年同月比は4.3%の上昇』  

事前予想よりも若干強いのですけど、例によってベンダーだと「前年同月比が下がった」というヘッドラインが出てくるのですがよく考えて頂きたい。

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数

全国 2023年(令和5年)5月分

『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として105.1
前年同月比は3.2%の上昇 前月と同水準(季節調整値)

(2) 生鮮食品を除く総合指数は104.8
前年同月比は3.2%の上昇 前月と同水準(季節調整値)

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は104.3
前年同月比は4.3%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇』

・・・・・・・コアコアまたも季節調整ベースで前月比+0.3%上昇とかやっている訳で、前年同月比が4月分より下がったとかそういうのいいから前月比ベースをみておけよと思うところでして、総合もコアも5月は4月対比で−0.1位になるかもと思っていたのですがちゃっかりサガランチ会長だし、コアコアは、

『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』

の表にありますように、前月比プラスが延々と続いている訳でございますな。

しかしまあ何ですな、相変わらずネタにする手が回らない(すいません土日にちゃんと下準備しなかったもんで)のでネタにしていない(さすがにボチボチネタにしますが)ポンコツ金懇での会見ではこんなのがあったのよね。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230622a.pdf
安達審議委員記者会見
――2023年6月21日(水)午後2時00分から約30分
於 鹿児島市

ここの3ページの一番下、CPIの今後の見通しと政策判断に関する質問があってその回答があるんですけど、その中で安達さん、こんな説明をしていましてですね、

『(答)まず、最初の[点は]海外経済に絡むといいますか、むしろ、物価の判断をどうつけるかという話だと思いますけども、いくつか私は段階があると思っておりまして、これは挨拶にも若干書かせて頂いたんですけども、いわば最初のチェックポイントといいますのは、夏場にかけて一回輸入物価の下落の影響で[消費者物価が]下がるというふうに一応メインシナリオにしていますので、それが本当に下がっていくか、下がっていかないのか、というところが最初の多分チェックポイントになると思います。』

『二番目のチェックポイントというのが、もし、仮にですね、メインシナリオ通りに下がってきた場合、次はどこまで下がるのかというところと、あと底打ちの時点がどこなのか、というのを見極める段階だと思います。』(この部分だけ直上URLの安達審議委員鹿児島金懇会見より)

とまあそういうことで消費者物価が「下がる」を連呼しているのですが、さっきのCPIの表に戻りまして、

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数

全国 2023年(令和5年)5月分

『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』

という表の指数の原数値を見て頂ければ分かるように、前年同月比の伸び率が下がる、って言ったってそもそも指数原数値自体がバカスカ上がっている訳で、前年同月比の伸び率が下がったから下がるとかそういう話じゃないんですよね。これ安達さん前年同月比でしか物価をみてねえだろとツッコミを入れたくなる話でして、この「下がる」の連呼は見てて大変に見苦しいです、「前年比の伸び率が縮小」とかこういうのは正確に言って頂きたいもんですな。


などと書いているうちに不覚にも時間が無くなってきたので、他のネタではなくて物価ちゃんをみますけどさっきのPDFの2ページ目を見ると落涙を禁じ得ないというか、この推移の中あの「待つことのリスクは大きくない」という説明はある時点で「家計の値上げ許容度」以上の炎上案件になると思うんだけど、あの理屈を総裁だけじゃなくて金懇で安達さんも野口さんも言ってるのがヤバイ以外の感想はありません、私言いましたからね!!!


[総合指数の前年同月比に寄与した主な内訳]

左から「 中分類、前年同月比(寄与度) 品目、前年同月比(寄与度)」・・・・・と来てから「品目、前年同月比(寄与度)」ですな

調理食品 9.4%(0.34) ・・・・・ からあげ 11.7%(0.04) など
外食 6.4%(0.30) ・・・・・ ハンバーガー(外食)17.1%(0.04) など
菓子類 11.3%(0.27) ・・・・・ チョコレート 14.4%(0.04) など
乳卵類 17.5%(0.22) ・・・・・ 鶏卵 35.6%(0.09) など
肉類 8.6%(0.21) ・・・・・ 豚肉(国産品)10.3%(0.06) など
生鮮魚介 13.1%(0.16) ・・・・・ さけ 23.7%(0.06) など
穀類 7.2%(0.15) ・・・・・ あんパン 9.1%(0.03) など
飲料 8.4%(0.14) ・・・・・ 炭酸飲料 17.1%(0.04) など

というのが10大費目の「食料」の部分でもうねという感じですが、先日そういや電力料金がどうしたこうしたというご案内の郵便が来ておりましたし、日銀ちゃん能天気でいると四面楚歌になると思うんですけどね〜っと。






2023/06/23

お題「4月会合議事要旨(その2)」

本来ポンコツ2号の金懇会見とか後回しにするのですが、さすがに昨日はポンコツ2号の会見ヘッドラインを見てトサカに来るというか湯気ポッポーですよ。

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N38E0S5
2023年6月22日3:16 午後
来年春闘、物価目標実現へ今年上回る賃上げが望まれる=野口日銀委員

まあこのヘッドラインの発言もアホなのかと思いますが、とんでもねえのはこの発言。

『野口委員は、円安基調の継続で「製造業の生産拠点が国内回帰する流れが期待できる」と述べた。』(上記URL先より)

>円安基調の継続で
>円安基調の継続で
>円安基調の継続で

いやーここから更に円安を継続させたら製造業の国内回帰どころか先進国対比でクソ安い労賃の日本人を工場作ってこき使うぜヒャッハーという話になる訳で、まさか日銀の審議委員様から「日本を発展途上国に戻す」発言が出るとは思いませんでしたわ。

ま、円安でクソ安い日本でしたらそら国民は海外出稼ぎですよとか、そうなってきますと安倍ちゃんの大好きな戦前の美しい国ニッポンという風情なのでしょうけれども、これは「サンダカン八番娼館」の世界(大体字面でお察しの戦前日本の暗部のお話ですけどおヒマな方はググるなり山崎朋子さんの著書を読むなりどぞ)に戻るのが美しい国なのですからまあしょうがないですよね、いやーっはっはっはっは。

ちなみに物価が実質4%とか上昇している中で「来年も今年上回る賃金」ってそれただの賃金物価スパイラルじゃんとかツッコミどころがありますけど、まあその辺は週明け以降(さすがにFOMCとECB読むほうが重要な気がするからポンコツの落語は後回しかな)に参りたいと思います。


〇引き続き決定会合議事要旨:一部にちゃんとした意見が見られるのですが総じてアレ

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2023/g230428.pdf

『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』の『2.経済・物価情勢の展望 』の個別項目の部分から参ります。

まあ最初の方はどうでも良くて問題なのは所得と物価の話なのでそこを鑑賞しますけど。

・雇用者所得に関してのお話

『雇用者所得について、委員は、経済活動の改善を背景に、正規・非正規ともに雇用が増加していくことに加え、労働需給の引き締まりや物価上昇を反映して賃金上昇率も高まることから、増加を続けるとの見方を共有した。』

と思ってるのに何であんなに「不確実性」の連呼になるのか訳分りませんね!

『そのうえで、委員は、今年の春季労使交渉における賃上げの状況やその含意について議論を行った。』

議論するまでもない気がするがまあ見て見よう。

『一人の委員は、来年以降も賃上げの動きが定着していくかどうかが重要であり、物価対比で十分な賃金上昇が続くか、それが個人消費を支えていけるか、注視していきたいと述べた。』

『この点に関し、ある委員は、人手不足が強まる中、来年も高い賃上げが期待できるとの見解を示した。別のある委員も、今年度初任給を引き上げた企業は、賃金カーブ全体の形状を維持する観点もあって、来年度もそれなりの賃上げを想定しているのではないかとの見方を示した。』

最初の人はアレですがその後なんかちゃんとした話になってるじゃん。

『複数の委員は、4月の支店長会議においても、様々な地域で、人手不足などを背景に賃上げ率を引き上げる動きがみられているという報告があったと指摘した。』

ということで、さくらレポート別冊で示された話は政策委員にも伝わっていたようなのですが、全員ではなくて複数の委員にしか届いていないようで甚だ惜しい所です。

『この間、一人の委員は、今年の賃上げ率には一時的な増加という面もあるとの見方を示した。そのうえで、この委員は、原材料高への対応として、価格転嫁が有力な選択肢として加わりつつあるが、物価上昇に負けない賃上げを持続するためには、長年の課題である事業・賃金構造の改革を通じて、中小企業の輸出拡大を含め、企業の国際競争力と稼ぐ力を強化していくことが必要であり、労働市場改革への企業の対応や構造改革の動向に注目していると述べた。』

いやあのこの人何で日銀と全然関係ない構造問題の話に持って行くわけ???昨日引用した時にも「転職市場の活性化」とかお前全然金融政策と関係ないだろという話をおっぱじめてて(たぶん同一人物だと思うんですけど)こういう問題意識でしたら日銀の政策委員を今すぐ辞任して頂いて政府の他の仕事をお探しになられた方がよろしいんじゃないでしょうか。

あと、この雇用所得環境の部分の編集方法に作為があるなと思うのは、最初と最後を「雇用者所得はそんなに継続的に上がらん」という意見で締めておいて、真ん中の方賃金が継続的に上がるんじゃないか、というしかもそっちの方が意見数が多そうなのを入れているという辺りで、文章を読むとどうしても(日本語の場合特にそうですけど)最初と最後の所が印象に残りやすいのを利用した印象操作を編集において使っているわというか、やってることがアカラサマ過ぎなんですよね、植田さんの想定問答もそうなんですけど、とにかくあんまり露骨な事はやらんで頂きたい。


・物価の見通しに関してだが大本営シナリオと違う話が上下方向にあるんですけど何ですかこれは

で肝心の物価の話。

『続いて、委員は、物価情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。』

はい。

『委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、現在2%を上回って推移しているが、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくため、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく可能性が高い、その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の価格・賃金設定行動などの変化を伴う形で中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、振れを伴いながらも、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとの見方を共有した。』

しかし先行きに不確実性が強いの連呼をしているのに、何でこう物価の見通しは「下がって上がる」という器用な見通しを出せるのかちょっと想定の四半期展開出して何がどうなるからどうなるって説明して貰えませんですかねえ。

『一人の委員は、人手不足による人件費上昇や海外のインフレの影響もあって、物価は、当面、上昇を続けるとの見方を示した。』

オイちょっと待て、いきなり「プラス幅を縮小していく可能性が高い」の逆の意見があるのに何で「見方を共有した」になるんだよそういう時は「概ね共有した」だろうが、という話で今しがたも編集に悪態つきましたが、ちょっとこの編集の雑さはいただけません。

『別の一人の委員は、販売価格を引き上げて、賃上げや人手不足対応の投資の原資とするような動きもみられてきており、物価と賃金の前向きの循環に向けた兆しがみえつつあるとの見方を示した。』

これは前向きな見方。

『この間、複数の委員は、物価上昇率がプラス幅を縮小したあと再び2%に向けて上昇していくには、賃金動向や企業の成長期待、中長期の予想物価上昇率などの基調的な要素が改善し、サービス価格をはじめとする粘着的な価格が上昇していく必要があるとの見解を示した。』

これは逆方向の話になりますが、この複数の委員の皆さんの意見って「下がってから上がる」の「上がる」の方について必要条件がこんなにあります、って言っている訳で、そういう条件があるんだったら普通「下がってから上がるという見方を共有した」って話にならないんじゃないかと思うのですが、何で最初の結論になってしまうのか意味が分からん。

まあ意味が分からんと言えば、この複数の委員様の見方のように「賃金動向や企業の成長期待、中長期の予想物価上昇率などの基調的な要素が改善し、サービス価格をはじめとする粘着的な価格が上昇していく必要がある」という思いっきり多くの前提付きじゃないと2%に向かって物価が上昇していかないというのであれば、展望レポートにおける2025年度の物価見通しってもっとばらけないとおかしいんですよね。

ちなみにこの時に出された展望レポート基本的見解の11ページを見ますと、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304a.pdf(4月展望基本的見解)

コアCPIの2025年度の平均値見通しは1.4%〜2.0%と大変に狭いレンジ、しかもこれ大勢見通しとして中心部分の7人を取ると1.6%〜1.9%ということで思いっきり収斂している訳でして、この人たちは物価見通しの議論をしているのに何でプロットここまで揃うんだよという事でありまして、議論と成果物がリンクしてねえだろどうなってるんだよこいつら、と思いっきり思う次第であります。


『この点について、一人の委員は、サービス価格は、賃金上昇などを背景に今後伸び率が高まる可能性があると指摘した。別の一人の委員は、ベアによる恒常的な所得上昇は、コストプッシュ要因に比べて消費者物価をより持続的に押し上げるほか、一時的な所得上昇に比べて消費性向の押し上げ効果が高いとみられるため、賃金と物価の持続的な好循環に繋がりやすいとの見解を示した。』

ということで賃金上がる話がまた入っているんですよね、しかも恒常的に。

『何人かの委員は、企業の価格設定スタンスに変化はみられているものの、既に輸入物価がピークアウトしていることや、わが国では需要超過を受けて販売価格を引き上げる動きが米欧ほどにはみられていないことなどを踏まえると、米欧のように物価上昇率が高止まりする可能性は大きくないとの見方を示した。 』

というご意見なのですが、金融政策によって円安を推進しているのでコストプッシュのスパイラルが起きるかもしれませんね!!!!!!!!

リスク要因とかリスクバランスの話はどうでもよいので割愛して次に行きます。


・金融政策運営に関する委員会の検討の部分ですが・・・・・・・・・

『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』に参ります。

・「賃金の上昇の為に金融緩和継続」が今回のキーワードのようだがそもそもどういうルートで上がってるんでしたっけ???

『先行きの金融政策運営の基本的な考え方について、委員は、経済・物価情勢を踏まえると、現行の金融緩和を継続することにより、賃金の上昇を伴う形で「物価安定の目標」を持続的・安定的に達成することが重要であるとの見解で一致した。』

そもそも論として現行の極端な金融緩和政策を継続することによって何で賃金が上がるのかというのがまるで良く分からない訳でして、円安でコストプッシュが起きて物価が上昇せざるを得なくなり、その間に労働市場の構造問題もあり雇用者報酬を引き上げないと従業員が離職しちゃうってことで賃金が上がる、とかいう物凄い迂回ルートで賃金が上がっているだけなのですけどねえ。

『何人かの委員は、先行きの物価上昇率は一旦低下すると見込まれるほか、海外経済の不確実性も高いこと、今後の賃上げの持続性や中長期的な予想インフレ率の動向についての評価はまだ難しいことなども踏まえると、現行の金融緩和を継続することが適当であるとの見解を示した。』

不確実なのはまあ百歩譲って良いとしても、マイナス金利だの10年0%(事実上0.5%)だの国債の超大量購入だの、というのが必要なのか、というのは経済物価の水準が数年前と全く異なっているという点を前提に考えるべきなんじゃないでしょうかねえ。でまあアホなんじゃないかと思うのはこの次。


・物価上昇以上の賃金上昇させたかったら円安促進政策をどないかした方が良いんじゃないですかねえ

さっきの次です。

『ある委員は、2%の「物価安定の目標」の持続的達成のためには、賃金上昇を伴う形で実現する必要があると指摘した。そのうえで、この委員を含む複数の委員は、今年の春季労使交渉では事前の予想以上の賃上げが実現する見通しであるが、』

ここまでは話は分からんでもないがこの次が目も当てられない、しかも「複数の委員」が言ってるんですよ・・・・・・・、

『名目賃金上昇率が物価対比で十分に高まるよう、金融緩和の維持によって賃上げのモメンタムをしっかりと支え続けることが必要であると述べた。』

ばーーーーーーーーーーかじゃねえの。金融緩和の維持で先に来るのは円安進行で、円安進行が来たら輸入物価が為替要因で再度上昇に転じて、「名目賃金上昇率が物価対比で十分に高まる」なんてもっと遠のくじゃねえかよ馬鹿かという話でこれで日銀の政策委員が務まるならワイは大宇宙中央銀行総裁が務まるわ、とおもってしまいました。

なお馬鹿が沸くといけないので申し添えますが、短期金利を思いっきり引き締めるような必要は無くて、マイナス金利を国債大量買入と長期金利ターゲット、という世界の孤児状態のあたおか緩和政策をもうちょっと普通の緩和政策にしろというだけの話しですのでその辺はよろしく。


・植田さんの「日銀の都合だけ考えて社会厚生も本来の意味でのリスクバランスも考えていない」理論登場

その次。

『ある委員は、物価見通しは幾分上振れているが、「2%を超えるインフレ率が持続してしまうリスク」より、「拙速な金融緩和の修正によって2%実現の機会を逸してしまうリスク」の方がずっと大きいと述べた。』

この糞理屈の背景にある「日銀の目標達成の為に国民に負担を掛けるのは当然であり、日銀様に愚民どもは奉仕すべき」という恐ろしい問題点については35回くらい悪態をついているので今日はまあいいや。


『別のある委員も、高い物価上昇率が続く可能性にも当面注意していく必要があるが、2%をかなり下回ったまま戻らなくなるシナリオの方が、中期的にはより重要と思われるとの見方を示した。』

この方がまだ言ってることの筋としては意味が分かるのだが、問題はこのシナリオが発生した場合の社会厚生がどちらのシナリオの方により大きな問題があるかという話だし、さすがに「2%をかなり下回ったまま戻らなくなるシナリオ」というのはちょっと現時点では確率が前者よりも低くないですかねと思う訳で、何かバランス欠いてますなとは思いました。まあ最初の植田さんの「日銀様の2%目標達成のために汝人民
飢えて〇ね」というのは論外ですけど。


・ドサクサに紛れてなんか目標達成に向かっている意見が結構あるのに何であんな情報発信が続いてるの植田日銀って

でまあその続きですけどね。

『そのうえで、これらの委員は、効果と副作用の両面に目配りしつつ、粘り強く金融緩和を続けていくべきであるとの見解を示した。』

機動的に、ってのがそういや声明文のフォワードガイダンスにあったんだがアレは何だったのかという位に全然機動的の話が無いな、と今更気が付いたがそれはさておきこの先が「あれれ??」って感じ。


『別のある委員も、2%の「物価安定の目標」の実現は視野に入ってきたと思うが、上下双方向にリスクがあり、当面は、金融緩和の継続が適当であるとの見解を示した。』

おや??

(どうでもいいですけどちなみにこれ「金融緩和の継続が適当という見解」が「も」だと思うのだが、この書き方だと「物価安定の目標の実現が視野に入ってきたと思う」が「も」なのかと一瞬混乱するてにをはの使い方でして、こういう辺りも議事要旨の造りが雑だわと思う。ここは「も」じゃなくて「は」で良いだろうよ)

『この間、一人の委員は、わが国経済には、賃金と物価の好循環の兆しが表れはじめており、政策対応が後手に回らないよう、基調判断を適切に行う必要があると述べた。』

これはまたイイハナシダナーなのですな。まあその基調判断が毎度物価見通し大間違えしているんですけど。

『別の一人の委員は、超低金利が経済主体の行動様式に組み込まれている状況下、金利の急変動は避ける必要があり、物価や賃金の動向を謙虚に見つめ、早すぎず遅すぎず対応することが必要であるとの見解を示した。』

急変動避けたかったら「早すぎず遅すぎず」じゃなくてフォワードルッキングに動けって言うのが正しいだろと思いますが、まあ「動く」話をしているだけマシだから勘弁して進ぜよう。

『ある委員は、これまで、家計および企業、金融機関は、低金利環境を前提にした資金運用・調達活動を行ってきたと述べ、将来の金利変動に対する各経済主体の備えが十分であるかを確認していく必要があるとの見方を示した。』

ちょっと意味がわからない。そんなの自己責任の世界だし、大体からして「長期間同じことやったから問題が起きているのにそれを変えない」ってそれ一度始めた戦争を延々と止められないで日本を滅亡の淵に追い込んだ昭和陸軍の仕草そのものなんですけど何でこういう発想になってしまうんでしょうかねえと思いました。


・金利が下がったから市場機能の問題が解消ってもうね

次がYCCの話だが、

『長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、委員は、金融市場調節上の様々な工夫により、金融市場調節方針に沿って、長期金利はゼロ%程度で推移しているとの認識を共有した。また、委員は、足もと、イールドカーブの歪みの解消が進んでいると指摘し、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないとの見方で一致した。』

こいつら金利が下がったから見直す必要はないとか表面的な事しか見てないのが良く分かる。

『この間、ある委員は、国債金利の指標金利としての機能度など、市場機能は依然低いままとの声が多い点を指摘した。そのうえで、この委員は、イールドカーブ・コントロールは、円滑な金融を阻害している面も大きいと感じており、見直しを検討してもよい状況にあると考えているが、国際金融市場の状況を踏まえるともう少し様子をみることが適当であると述べ、今後の債券市場サーベイ結果に注目していると付け加えた。』

しかしここに颯爽と(だいたい誰だかはお察し)まともな意見が!!!!!!!!!!いやーこのお方だけしかこういう意見を言わないというのがもうドイヒーにも程があるんですけど、まさに荒野に咲いた一輪の花(想定している誰かさんは男性ですわ為念^^)でありましてこれは落涙を禁じ得ないアタクシ。


・フォワードガイダンスについて

『次に、委員は、先行きの金融政策運営方針について議論を行った。』

というガイダンスの話。

『多くの委員は、政府による感染症法上の分類の変更や、感染症によって内外経済・金融市場が影響を受けるリスクが低下したことを踏まえると、感染症に条件づけて金融政策運営方針を記述することは適当ではなくなったのではないかとの意見を述べた。』

ここはどうでもよい。

『ある委員は、当面、現在の金融緩和継続が適当であり、フォワードガイダンスの修正が金利引き上げ容認ととられないように、慎重を期すべきであると述べた。』

『この点について、一人の委員は、感染症の影響は低下したとはいえ、内外経済や金融市場を巡る不確実性はきわめて高いと述べたうえで、仮に該当箇所の記述を見直すとしても、粘り強く緩和を続ける、必要に応じて追加緩和措置を講じる、という日本銀行の金融緩和姿勢に変わりはないことを明確に情報発信することが適当であると述べた。』

『別の一人の委員は、2%の「物価安定の目標」の達成にはなお時間がかかる状況であり、目標達成まで金融緩和を続けるというフォワードガイダンスは、目標達成に対する日本銀行の強いコミットメントを示す観点で有用であると述べた。』

ひたすらポンコツのポンコツ談義で論じるに値しない。

『ある委員は、この機会を捉え、日本銀行が、金融政策運営方針についてこれまで説明してきた内容、具体的には、@賃金上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していること、A経済・物価・金融情勢に応じた機動的な対応を行う方針であることも含め、記述を再整理することが適当ではないか、との見解を示した。』

おいこらちょっと待て、結局この「機動的」ってのは何で入ったんだよというのが全然説明されてねえじゃんかよ・・・・・・・・・・・

『別の一人の委員は、物価に上振れリスクがある中、「政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」という文言を残しておくことが適当かという論点もあると述べた。』

ということで、その後大本営がこういう案がありますって話をした、って事になっている部分の記述があって、その先にちょっと話の続きがあるのですが、

『執行部の説明のうち、「賃金の上昇を伴う形で」という文言を加えることについて、一人の委員は、日本銀行が賃金や企業収益も含めた好循環の中で物価目標の実現を目指しているということを丁寧に説明するよい機会ではないか、との考えを述べた。』

そのうち日銀の声明文に「世界平和が持続するように」とかそういう文言まで入って来そうな勢いですね!!!!!

『この間、複数の委員は、日本銀行が新たな政策目標を追加したという誤解を招くのではないか、と慎重な見方を示したうえで、文言に加えるのであれば、誤解を招かないよう、適切に対外コミュニケーションを行うことが必要であるとの意見を述べた。』

ご懸念ご尤もなのだが、甚だ残念なことに全然適切なコミュニケーションが出来ていません。

『これらの議論を経て、委員は、先行きの政策運営方針の記述について、執行部が示した文案のような形で整理・明確化することが適当であるとの見方を共有した。 』

だそうです。


・総括レビューはハッキリ言ってクッソどうでも良い自己満足で終わりますね

最後に『また、委員は、金融政策のレビューについても議論を行った。』からの話があるのだがクソみたいな話しかしていないし時間もないので全面割愛します。







2023/06/22

お題「パウエル議会証言など(まあ順当じゃないの)/植田総裁会見ネタの補足/4月MPM議事要旨鑑賞(その1)」

いやー来週で6月終わっちゃいますねえ・・・・・・・・

〇パウエルのハンフリーホーキンス、と思ったら外野でも声が上がってるの巻かよ

何ちゅうかそれはそれで動物園状態だなと思いますが。

・パウエルの議会証言(の冒頭挨拶)はまあこんなもんじゃないのかね

https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20230621a.htm
June 21, 2023
Semiannual Monetary Policy Report to the Congress
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Financial Services, U.S. House of Representatives

はいいつもの議会証言(の冒頭挨拶)ですね。長くもないので最初の挨拶のところだけ割愛して引用します。『Current Economic Situation and Outlook』って小見出しから。

『The U.S. economy slowed significantly last year, and recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a modest pace. Although growth in consumer spending has picked up this year, activity in the housing sector remains weak, largely reflecting higher mortgage rates. Higher interest rates and slower output growth also appear to be weighing on business fixed investment.』

特段新しい話は無い(そりゃFOMC直後だから無いわな)ですが、ちゃっかりと「利上げの効果が出ていた話(モーゲージレートが高くてハウジングセクターが弱い)」はしているのね。

『The labor market remains very tight. Over the first five months of the year, job gains averaged a robust 314,000 jobs per month. The unemployment rate moved up but remained low in May, at 3.7 percent. There are some signs that supply and demand in the labor market are coming into better balance. The labor force participation rate has moved up in recent months, particularly for individuals aged 25 to 54. Nominal wage growth has shown some signs of easing, and job vacancies have declined so far this year. While the jobs-to-workers gap has narrowed, labor demand still substantially exceeds the supply of available workers.1』

労働市場には一部軟化の兆しもみられますがクッソ強いというか強すぎです、というのも順当。

『Inflation remains well above our longer-run goal of 2 percent. Over the 12 months ending in April, total personal consumption expenditures (PCE) prices rose 4.4 percent; excluding the volatile food and energy categories, core PCE prices rose 4.7 percent. In May, the 12-month change in the consumer price index (CPI) came in at 4.0 percent, and the change in the core CPI was 5.3 percent. Inflation has moderated somewhat since the middle of last year. Nonetheless, inflation pressures continue to run high, and the process of getting inflation back down to 2 percent has a long way to go. Despite elevated inflation, longer-term inflation expectations appear to remain well anchored, as reflected in a broad range of surveys of households, businesses, and forecasters, as well as measures from financial markets.』

インフレに関してはつええよという話だし、「Nonetheless, inflation pressures continue to run high, and the process of getting inflation back down to 2 percent has a long way to go.」ということで、まあ当然ちゃあ当然(すいませんパウエル会見ネタの前にこっちやってることに今気が付いたんですが)ではありますが、物価が2%まで落ち着くには時間が掛かりますよ、ということで、これは引き締め局面が長引くのか、引き締めのお代わりが来るのか、という話になると思うのですがこの次が金融政策のパートになります。

『Monetary Policy

With inflation remaining well above our longer-run goal of 2 percent and with labor market conditions remaining tight, the Federal Open Market Committee (FOMC) has significantly tightened the stance of monetary policy. We have raised our policy interest rate by 5 percentage points since early last year and have continued to reduce our securities holdings at a brisk pace.2 』

ここまでは今までやったことなのでどうでもよいのですが、

『We have been seeing the effects of our policy tightening on demand in the most interest rate-sensitive sectors of the economy. It will take time, however, for the full effects of monetary restraint to be realized, especially on inflation.』

毎度これも言っていることですが、「金融引き締めの効果がインフレにフルに出て来るには時間が掛かる」と言ってるわけでして、これは足元での「利上げスキップ」の言い訳にもなっていますし、物価がそうホイホイと上昇幅を縮小してくれるわけではない、というのをエクスキューズすることにもなっています。

『The economy is facing headwinds from tighter credit conditions for households and businesses, which are likely to weigh on economic activity, hiring, and inflation.3 The extent of these effects remains uncertain.』

クレジットコンディションの悪化が経済の向かい風になります、とも加えていて、あらそうなのとは思いました。

でもってここからが皆様お待ちかねタンホイザな今後の金融政策の話になる訳でごじゃります。

『In light of how far we have come in tightening policy, the uncertain lags with which monetary policy affects the economy, and potential headwinds from credit tightening, the FOMC decided last week to maintain the target range for the federal funds rate at 5 to 5-1/4 percent and to continue the process of significantly reducing our securities holdings.』

先般のFOMCでは金融引き締めによる効果がどの位出て来るか、というのを、政策効果にラグがあることを踏まえて(=というのは要するに「調子に乗って引き締め過ぎないようにしないと行けないから」ですよね)その状況を観察するために政策金利を据え置きました。バランスシートのランオフは相変わらず継続してますがね。

『Nearly all FOMC participants expect that it will be appropriate to raise interest rates somewhat further by the end of the year.』

「Nearly all FOMC participants」と言ってるのに議会の外野でラファエルはん(ボスティックさんね)が利上げは停止じゃ停止じゃ、と同時に発言するのはFRBっぽくってとても良い(皮肉では無くマジ)。

『But at last week's meeting, considering how far and how fast we have moved, we judged it prudent to hold the target range steady to allow the Committee to assess additional information and its implications for monetary policy.』

結局これ「今後の指標を見て出たとこ勝負じゃ決め打ちとか出来るかこのヴォケ」というのを頭の良さそうな表現に置き換えたに過ぎないですよね。

『In determining the extent of additional policy firming that may be appropriate to return inflation to 2 percent over time, we will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.』

これなんてモロに声明文に書いてある通り。

『We will continue to make our decisions meeting by meeting, based on the totality of incoming data and their implications for the outlook for economic activity and inflation, as well as the balance of risks.』

これも要するに「今後の状況次第であんじょうようやっときますわ」と言ってるだけ。

『We remain committed to bringing inflation back down to our 2 percent goal and to keeping longer-term inflation expectations well anchored. Reducing inflation is likely to require a period of below-trend growth and some softening of labor market conditions. Restoring price stability is essential to set the stage for achieving maximum employment and stable prices over the longer run.』

議会相手というのもあって、「2%インフレまで戻すには相応の期間に渡って潜在成長率を下回る成長率を甘んじて受けないと行けませんですがな」というのを強調しております。

『Before concluding, let me briefly address the condition of the banking sector.』

最後に銀行セクターの話。

『The U.S. banking system is sound and resilient. As detailed in the box on financial stability in the June Monetary Policy Report, the Federal Reserve, together with the Treasury Department and the Federal Deposit Insurance Corporation, took decisive action in March to protect the U.S. economy and to strengthen public confidence in our banking system. The recent bank failures, including the failure of Silicon Valley Bank, and the resulting banking stress have highlighted the importance of ensuring we have the appropriate rules and supervisory practices for banks of this size. We are committed to addressing these vulnerabilities to make for a stronger and more resilient banking system.』

まあこちらは我々の措置もあって特に金融システム上の問題にはなっていませんよ、ってだけの話ですね。

『We understand that our actions affect communities, families, and businesses across the country. Everything we do is in service to our public mission. We at the Fed will do everything we can to achieve our maximum-employment and price-stability goals.

Thank you. I am happy to take your questions.』

最後はまあいつもの選手宣誓みたいな話です。

ということでQA見ろ(聞け)とかいうツッコミはさて置きまして、FRBのホームページに直接残る文章はこちらになるので、まあFED的に一番エライのはこの文字の物件、となりまして、それを見ますとさっき引用した、「Nonetheless, inflation pressures continue to run high, and the process of getting inflation back down to 2 percent has a long way to go.」「Reducing inflation is likely to require a period of below-trend growth and some softening of labor market conditions. Restoring price stability is essential to set the stage for achieving maximum employment and stable prices over the longer run.」というのがポイントで、年内に利上げのお代わりがあるのかどうかは良く分からんとしても、ちょっとインフレが弱まってきたからと言ってホイホイと利下げに転じる、ってのもなさそうな感じで、寧ろこのまま利上げしないけけど利下げもしないで引き締めが長期化する方があるんでネーノって(超思いっきり個人の感想ですが)思いましたです、はい。

あと、FOMCの時にも申し上げたように、あのFOMCって声明文だけ単体で見ると結構「利上げ停止も普通にアリエール」な書きっぷりになっていて、ただそれだけだと資産市場がヒャッハーして消費を押し上げて需要が高まって物価上昇圧力になってしまうから、利上げファイティングポーズをして資産価格の無駄な高騰を避けたいっての念頭にあると思うんですよね、個人の妄想ですけど。だからまあ利上げありうべしってのは暫くはいうんじゃないですかーと思うのですが違うのかなーーーー??



・グールズビー(シカゴ)総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-goolsbee-idJPL4N38D3U2?il=0
2023年6月22日3:01 午前
FRBの枠組みは「様子見」=シカゴ連銀総裁

どうでもいいけどサムネがちょっとアジ演説してる大衆政治家(婉曲表現)みたいで怖いんだがwww

『[21日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は21日、連邦準備理事会(FRB)が次の動きを決めるには、インフレと労働市場の動向をより明確に把握する必要があると述べた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の「グローバル・フード・フォーラム」で、「FRBの枠組みは『様子見』だろう」と指摘。「進展が見られなければ、それが答えであり、進展が見られれば、それも答えだ」とした。』(上記URL先より)

まあ言ってることがパウエルさんの議会証言と同じ感じかな、と思ったらその先でも、

『グールズビー総裁は「われわれは現在、道がどこにあるのか分からないような、奇妙な霧の中にいる」とし、10会合連続での利上げを受け、様子見姿勢が適切になるとの見方を表明。「利上げが経済全体に浸透するまでには時間がかかる」と述べた。』

『その上で、先週のFOMCでの金利据え置きは自身にとって際どい判断だったとしながらも、今後2─3カ月のデータによってインフレや労働市場の動向がより明確になることを期待していると述べた。

ただFRBが次に取るべき動きについて、自身はまだ決めていないとした。』

ってな話なのですが、まあパウエルもそんな感じじゃねえのって思いました、あくまでも個人の妄想ですけど。

なお、シカゴ連銀のサイトを念のため見に行きましたが、ちょっとこの様子についてはアップされていない模様です。(もしかしたら後でアップされるかもしれないですけど)


・ボスティック(アトランタ)総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKBN2Y71N8
2023年6月22日4:51 午前
米利上げ、経済の勢い「不必要に」削ぐ可能性=ボスティック氏

『[ワシントン 21日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は21日、再び利上げを実施すれば米経済から「不必要に」力強さを奪うかもしれないとし、連邦準備理事会(FRB)当局者は利上げに踏み切る前にこれまでの利上げが経済に与える影響をもう少し待つ必要があると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほう。

『「単純に追加利上げに踏み切れば、経済の勢いを不必要に削ぐことになりかねない」と指摘。「連邦公開市場委員会(FOMC)がすでに行った懸命の取り組みを経済全体に行き渡らせ、インフレ率が目標に近づくかどうかを見極めるべき時期に来ていると思う」とした。』

なるほどなるほど。

『また「制約的な政策を当面機能させることは賢明だ。なぜなら政策が本当に制約的だったのは1年に満たず、金融政策の変更が経済活動に有意に影響を与えるには時間がかかるからだ。今後数カ月間に、われわれの政策引き締めがますます効果を発揮すると予想する十分な理由がある」とした。』

これ以上引用すると全文引用になっちゃいますが、別にボスティックも「追加利上げは要らん」とは言ってるけど「利下げに転じるべき」とは言ってないので、まあトーンが違うだけちゃあ違うだけだし、このボスティック方式の方が経済を余計に締めない分だけインフレの持続力が強くなる方のリスクもある訳でして、結果的に利上げしないけど利下げも遅れる、という事になるかも知れず、という話ですよね、さっきと同じこと言ってるけど。

#なのでこの前のFOMCの2024年末の政策金利水準のドッツにはちと違和感を感じるんですよねアタsy


まあそもそも論としてFOMC後の会見(の前にオープニングリマークも)成敗していないというとんでもない状況なので(今週はポンコツの検証があるので手が回らんのですが)来週ボチボチ成敗してまいります。


〇ポンコツ検証シリーズ:植田総裁記者会見の忘れ物があったので

・植田総裁記者会見で一個ネタにするのを忘れてたのがあったわorz

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230619a.pdf

8ページ目の問答は聞いてて椅子から転げ落ちそうになったんですよネタにするの忘れてたわwww

『(問)先ほどの質問とも関連するんですが、二点あるんですが、一点目は、海外情勢次第ではまた長期金利が上昇して、市場機能への強い悪影響が及ぶ可能性がありますが、その場合は、また更なる変動幅の拡大というのが選択肢になり得るのか。こうした動きは、利上げ的な効果で経済を冷やす可能性もあると思うんですけれども、そういったものを考慮に入れたうえでも、オプションになるのかというのが一点目です(後半割愛)』

この回答がぶっ飛んでおられる。

『(答)先ほどお話ししたことと前半はかなり重なりますけれども、足元YCCにまつわる副作用は、やや落ち着いているわけですけれども、』

寧ろ円債市場の参加者がますます減っているという流れになっているので副作用落ち着いているとか言ってる時点で戦場からの使者が咸陽の宮殿に来る前に趙高によってとめられてしまってるんだなあ(まあそもそも論として戦場に対峙しているスタッフが戦況を理解しているのかとか言い出すと話が暗くなるから止めとく)と思いますがそれはまあ兎も角として、

『これは国内でのインフレ期待上昇あるいは海外金利の上昇等が大きくありますと、また副作用が目立ってくるという可能性は当然否定できないわけで、』

そもそも副作用を10年を固定している事だけしか見てないのかよと思いましたけど、この先の説明がアホな訳でして、

『そのときにどうするかということですけれども、今、前もってお答えはなかなかできないですけれども、繰り返しになりますが、その時点でのYCCを続けるということの効果がどれくらいで、まさにそのときの副作用がどれくらいか、これを比較しつつどうするかを決めるということになるのかなと思います。(後半割愛)』

これはコケました。

・・・・・・と申しますのは、こういう文章の並びになりますと「市場金利が上昇して10年金利維持へのアタックが再開し、他のゾーンの金利が馬鹿上がりしたら副作用対策を取る可能性もあります」ってまるでアタックを誘発するような事を言っている訳で、まあ今はしょうもない海外投機筋が円債現物とかこんなクソ統制相場やってられっかと退散しているから良いようなものの、殆どこれ投機筋の皆様向けに「皆様が盛大にアタックしたら副作用対策でYCCの修正余地がありますよ」って宣伝してるようなもんじゃん何言ってるんだよこのアホウは、と思いました。

いやあのですね、これ前半で言ってることは(現状認識はさておくとして)「金利上昇局面になるとイールドカーブの歪みが大きくなりますよね、まあそれって副作用って奴ですよね」というのは単体で言ってることはそうですよね、って話だし、後半の「政策の効果と副作用を比較考量して政策を運営しますよ」ってのも単体では何ら間違えた事を言っていないというか寧ろちゃんとした話をしているんですよ。

でもね、この2つを合体させるとあら不思議、「イールドカーブ全体にアタックされたら政策修正を検討する可能性がありますよ」になってしまう訳で、なんですかね植田さん、昨日は「答弁が不安定」と申し上げましたが、これって明らかに「本人的には丁寧に説明しようとしているんだが、結果的に余計な事を言って墓穴を掘っている」の典型的な形になっていまして、ちょっとこんなにアレな方でしたっけ植田さん、と寧ろ心配になってくる訳ですよいやマジで。

ですからこういう時は「常に政策は効果と副作用を考量して判断しますが、金利水準が上昇したから副作用が高まったというような機械的なものではありません」ってのを入れないとアカンですよね。今回の植田さんの物言いだと投機筋に向かって「どっからでも掛かって来なさい」って挑発しているようにも見えてしまうんだよなー。いやマジで。


というのを昨日ネタにするのを忘れましたので追加ということで。



〇ポンコツ検証シリーズ:4月MPM議事要旨

本当は安達審議委員鹿児島金懇にも行きたいのですが多分間に合わないと思う(じっと時計を見る)。

では4月MPM議事要旨。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2023/g230428.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨
(2023年4月27、28日開催分)

国内経済や物価の話の辺りから参ります。『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』の『1.経済・物価情勢の現状』の8ページ辺りから。

・何で情勢判断の時に支店長の報告を政策変更しない事に都合の良いほうだけピックアップするんだか

8ページ(PDFだと10枚目)の真ん中あたり。

『個人消費について、委員は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかに増加しているとの見方で一致した。』

って所ですけどね。

『複数の委員は、感染症の影響が和らぐもとで、サービス消費を中心に改善傾向にあると述べた。この点について、別の複数の委員は、ペントアップ需要は期待したほどには顕在化していないとの見方を示した。その背景について、このうち一人の委員は、物価高の影響が実質所得やマインド面を通じて消費を下押ししていると述べた。この委員は、旅行や外食などの選択的消費には良好な動きがみられる一方、4月の支店長会議において、多くの支店から、日用品を取り扱うスーパー等からは、物価高に伴う節約志向の高まりを指摘する声が聞かれているとの報告があったことを付け加えた。この間、ある委員は、消費の下押し要因として、飲食・宿泊では、労働力不足によるボトルネックも影響しているとの見方を示した。 』

一人の委員の意見ではあるのですが、支店長会議のフィードバックという事で「日用品を取り扱うスーパー等からは、物価高に伴う節約志向の高まりを指摘する声が聞かれているとの報告があった」ってネタがこのように特筆大書された訳ですが、一方でこの先の部分が雇用所得環境の話になるんですけど、

『雇用・所得環境について、委員は、全体として緩やかに改善しているとの見方で一致した。多くの委員は、今年の春季労使交渉において、事前の予想よりも高い賃上げ率が実現する見込みであると指摘した。複数の委員は、労働市場の流動化の進展や人手不足の影響もさることながら、昨年来の海外発の大幅な価格ショックを背景に、企業の物価や賃金に対する「ノルム」の転換に向けた動きがみられていると述べた。別の一人の委員は、中小企業においても、人材確保に向けた賃上げのほか、価格転嫁の実現により賃上げの原資を確保できたとの例も聞かれており、賃上げの動きの裾野が広がりつつあると指摘した。』

賃上げに関する構造変化の可能性、についても同時に支店長会議から上がっていた筈で、上がっていなかったらあのような「さくらレポート別冊」は出ていない筈なんですよね。

でもってですね、このさくらレポート別冊に関連するトピックは後の方の『2.経済・物価情勢の展望 』の所では出ているので、取り上げられてるっちゃあ取り上げられているのですが、情勢判断の記述において何で支店長からの報告を片方だけ(しかも政策修正しない、ということに都合のいい方だけ)載せてしまうんでしょうかねえ、と思いまするに、まあ後は分かるなってことなんでしょうけど何ぼ何でも現状認識に関してはちゃんとフラットに実施してくれないとドンドン大本営発表になってしまうんで勘弁してほしいです。


・ああそうだ不確実性この議事要旨も連呼してるんですけど何で物価だけは器用な先行き見通しを決め打ちできるでちゅかねえ

ちなみにこの議事要旨ですが「不確実性」でF5検索(ちなみに「不確実」で検索しても同じなんですが)すると12か所も出て来やがりまして、うち9つが『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』以降になりますが、内訳は『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』のうち情勢判断の部分で2つ、展望レポートの検討部分で3つ、『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』で2つ、財務省からの発言で1つ、声明文で1つになっておりました。

そんな不確実なご時世なのに何故か物価見通しだけは下がって上がって、という器用な見通しを維持しているのには大草原不可避としか申し上げようがないwwwwwwwwwwwwwwwww

『物価面について、商品市況は、商品ごとにばらつきを伴いながら、総じてみれば横ばい圏内で推移している。国内企業物価の3か月前比は、既往の資源高や為替円安の影響が徐々に和らぐもとで、政府による電気・ガス代の負担緩和策の効果もあって、小幅の下落に転じている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足もとは3%程度となっている。予想物価上昇率は、上昇したあと、このところ横ばいとなっている。』

『先行きの消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。』

でもこの後上がる、というのが展望レポートの議論で出て来る訳ですが、不確実をあれだけ連呼してるのに何でそんな器用な見通し(しかも既往の見通しが当たっているなら説得力があるのですが1年半近く見通しを外し続けているのにこんな器用な見通しよーだすわとしか思えません)を出せるんですねさすが物価の番人(棒読み)。


ということで展望レポートの検討部分に入るのだが、既にここで時間が足りなくなっている事に気が付くアタクシすいません続きは明日、なんですが最初の全体観の部分までネタにします。


・全体観の話の最後にマリーアントワネット理論の香りがする話がぶち込まれておるのだが・・・・・・・・・・

本文9ページ(PDF11枚目)の『2.経済・物価情勢の展望 』の第1パラグラフ。

『2023 年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、委員は、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。』

ポンコツのポンコツ談義を鑑賞しましょう。

『委員は、わが国経済について、今年度半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかに回復していく、今年度後半以降は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが経済全体で徐々に強まっていく中で、潜在成長力を上回る成長を続ける、との認識を共有した。』

これは基本的見解の記述なのでまあね。

『一人の委員は、ペントアップ需要の顕在化や高めの賃金上昇等が消費を下支えすることが期待されるほか、積極的な設備投資の継続も見込まれるとの見方を示した。そのうえで、この委員は、わが国経済の先行きにとっては、こうした動きがどれだけ強くみられるかが重要であると付け加えた。』

お、威勢が良いじゃん。

『複数の委員は、海外経済の回復ペース鈍化による輸出や生産への影響はある程度続くものの、消費者マインドの改善やインバウンド需要の拡大、製造業の生産拠点の国内回帰、省力化投資の拡大をはじめ、様々な前向きな動きが見込まれると述べた。』

これまた威勢が良いじゃん、ということで何で全体観の部分でこれだけ威勢の良い話しか出てないのに「不確実性が」の連呼になるのか全く意味が解りませんよね。もしかしたらポンコツだと思ってたけど単に大本営に抑圧されてるだけなのだったら長き搾取に悩みたる無産の民よ決起せよ(って審議委員はプロレタリアートでも労働者でもないけど)って唄でも歌いたくなりますな(^^)。

『この間、一人の委員は、足もと、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁や、企業による賃上げの進展がみられるものの、これが物価・賃金・需要の間の持続的な好循環に繋がっていくためには、転職市場のさらなる活発化、企業の事業改善・再編・ビジネスモデルの転換をはじめとして、経済に幅広い構造的な変化が生まれていくことが重要であると指摘した。』

ちょwwwおまwwwwそんなの言い出したら何年スパンの世界じゃろwwwwwwwと思いましたが、それ以前の問題として、マイナス金利だの長期金利固定政策だの中銀による大規模資産買入(しかも社債やらETFなども)っていう超大規模金融緩和政策っていうのは、企業をお助けする機能、即ち現状が維持されてしまう機能を持つわけで、経済に幅広い構造転換をもたらそうと思ったら、せめてこの大規模緩和を「普通に物価情勢に応じた低金利政策」程度までは戻さないとダメなんじゃないかと思うんですが、これ言い出すんだったら寧ろ緩和政策の修正を言うもんじゃないんですかねえ・・・・・・・・

とまあそのように思いました。そもそも労働市場の慣行とか日銀関係ないし、そこを変えるのはめっちゃ時間かかるじゃろ(何かとんでもないショックを契機に危機感と共に変わるとかいうのを除けば、というのは第二次石油ショックを念頭に言ってますけど・・・・・・)と思うのですが、何でまたこんな事を言うんだよお前は他に見るべきことがあってケアすべきことがあるんじゃ何で自分の所の火事をほっぽらかして隣の村の田植えの手伝いしに行こうとするんだよという風情ですな、マッタクモウ。

ということで続きは明日。







2023/06/21

お題「植田総裁記者会見(その2):とにかくこの人答弁が安定していないんですよね」

とまあそういうことで昨日の続きで恐縮至極。

〇植田総裁会見:とにかく何でこんなに安定感に欠ける答弁をするんでしょ

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230619a.pdf

昨日は5ページから6ページの質疑の辺りまで引用しましたが、話の都合上昨日引用した部分の再掲から参りますね(すいません)。

・同じ質問を相手に何でこんなにブレてしまうの植田先生

こちらは昨日引用した奴。

『(問)総裁は、物価 2%の持続的・安定的な実現が見通せる状況になれば、金融政策の正常化に着手する考えを示されておられます。この見通せる状況というのは、具体的に、どのようなイメージを持たれているのかご説明して頂ければと考えています。(後半割愛)』

回答は例の意味不明回答というか何言ってるんだかワケワカメのツッコミどころ満載回答でしたが、今日は一々突っ込まないでサクッと引用します。

『(答)2%の持続的・安定的な達成が見通せるというのはどういうことか、あるいはどういう時点かというご質問だと思いますけれども、私どもが出している経済・物価見通しとの関連で、それに一番近いのは、やはりインフレ率の先行きの見通しということだと思うんですけれども、』

と「達成が見通せるかどうかは物価見通しです」ってのはまあ当然の回答でしたけど。

『それは、やや難しい話になってしまいますが、先行きのインフレ率を予想しようとして考えた場合に、必ずここになるんだというふうにはっきり分かるものではなくて、2%くらいになるかもしれないし、1.5[%]かもしれないし 2.5[%]かもしれないというふうに、かなり幅を持って予想せざるを得ない中で、取りあえず相対的に確率が一番高そうな数値のところを見通しとして入れているという作業をしてございます。』

とは言え将来の事は良く分からない面もあるので考えて一番ありそうな数字をエイヤーと置きますとな。

『その際に、その中心的な見通しないし確率が一番高いような見通しの確率が非常に高ければ、その見通しが、2[%]に到達して、その後もまだ 2[%]で行きそうだというのが分かれば持続的・安定的に達成されたということだと思うんですけれども、仮にそれが 2.2[%]であっても、その 2.2[%]の見通しに付随する確率のようなものがかなり低くて、もっと他の見通し、特に下側の見通しもかなりの確度で出てくる可能性があるというようなときには、2.2[%]の中心見通しだけで政策が決まるというわけではないと思うんですね。』

エイヤーで置くときの自信ニキ度合い、特に下に振れるんじゃないかと思う時は達成したとは言えない、という何とも主観的なお話ですな。

『というふうに、見通しの中心値だけでなくて、その不確実性とか、どれくらいその中心見通しに確信を持っているか、そういうことを含めて、という話だと思います。』

というご回答で、

『本来であれば、そういう分布もきちんと提示して、コミュニケーションをした方が分かりやすいという面はあるかと思いますが、そういう分布自体を自信を持って出せるかどうかという問題もあるように思いますので、現状は定性的な表現になってはいますが、そういう幅のある話だというふうにご理解頂ければと思います。』

これ非常に馬鹿馬鹿しい付け加えで、不確実性の分布(=見通しに対する自信)を「自信をもって出せるかどうかという問題もあるように思います」は流石にオマエナメトンノカというかバッカジャネーノという説明なのは昨日盛大に悪態ついたのでくり返しはしません。


とまあこういう質疑応答のあとに、話の流れを全然読まないで米国経済の事ですがとか全くもって今回のMPMのテーマからしたらどうでもよい(今回は物価見通し、2%達成判断、および政策修正関連でしょ質問するのは)のがありましたが無駄なので割愛すると次も実は更問になっているのですよこれがまた。


7ページになります。

『(問)一つが物価のことについてです。先ほど総裁も、先行きについてまだ不確実性があるというふうにおっしゃいましたが、2%目標の持続的・安定的な達成を実現できるかどうかの見極めというのには、やはりもう少し経済指標を集めるなど、見極めにはまだ時間がかかるとお考えでしょうか。(後半割愛)』

とまあ先ほどの質問に対する回答を受けて質問している、といういい流れになっていて、何だおまいら海外中銀の会見みたいに流れ作って質問の連弾出来るじゃんよすよす、と思う訳ですよ。

ここで植田大先生の回答なのですが・・・・・・・・・・・・・

『(答)前半ですけれども、最初にちょっと申し上げたんですけれども、足元のこれまでの物価の動きをみる際に、企業の価格や賃金の設定行動に変化の兆しがみられ始めているということを申し上げました。』

お?

『これは、更に申し上げれば、例えば、価格といえば、これまではちょっと自分が上げようと思っても同業他社がどうせ上げないのではないか、ついてこないのではないかという懸念から、自分が上げるのも我慢してしまうというようなところだったのが、自分が上げても他社も上げるだろう、あるいは他社が上げてるから自分も上げられる。』

おや???

『賃金でいえば、同じような状況だったのが、最近では、他社が上げてる中で自分が上げないと、労働者を雇うことができない、あるいは人が逃げていってしまうというようなことから、自分も賃金を引き上げるというふうに、』

あらあらあら。

『賃金・物価の設定行動にある程度の変化がみられつつあるというようなことを、特にヒアリング情報等でかなりつかみ始めています。』

こらまたエライ強気でよろしゅおすなあ。

『こうした動きは非常に重要なものと思っていまして、』

いや待てこの説明だったら「2%物価目標達成に向けた動きが思いっきりみられてきている」って話になるだろうさっきの質問に対する「自信がありません」「不確実性があります」「下振れのリスクが大きいです」とこの威勢の良い話とあまりにも温度差あるだろ・・・・・・・・・・・

でまあここまで散々威勢の良い事言ってております。これは不肖このアタクシもライブで聞いてて結構目が点になって聞いておりましたですよ、さっきの話と話が違うじゃねえか物価目標行く方向に力強い話してるの何なのお前結局どっちなんだよ、と思いながら。

まあここまで散々威勢の良い事言ってるんですが、ここで出ました今回の会見の連呼ワード「不確実性」ということで最後にそれを言い出す植田大先生様。

『ただ、これはどの程度持続するのかというようなことについては、非常に不確実性が高いというふうに、先ほども申し上げましたが、考えています。』

これ聞いて爆笑の発作を起こしそうになったのを覚えています。

『この点、データや情報の更なる収集に加えて、私どもの中でも少し分析を深めて、長期的なもう少し続く動きなのかどうかということに関する認識を深めていきたいなというふうに思っているようなことが一つでございます。(後半割愛)』

・・・・・・・ということでですね、昨日も別の質疑応答でも指摘しましたけど、この説明が特にひどいなと思う訳で、最初は先行きに自信がないを連呼しているのに、その次には足もとでの力強い動きに言及して、しかもそれが構造的な動きにつながるような話(先般ネタにしたさくらレポート別冊がまさにその話)をしているという事で、この人先行きどう見ているのかが、まーーーーーまるで分らんのですよ。

分からないなら分からないでこうだから分からん、を貫き通してくれれば良いのですが、足元こんなに物価上昇に向けたノルムの変化のような動きを「賃金・物価の設定行動にある程度の変化がみられつつあるというようなことを、特にヒアリング情報等でかなりつかみ始めています。」と思いっきり威勢の良い事言ってしまうのってちょっと答弁が不安定にも程がある訳です。


・この答弁の不安定さのもたらすものに関して雑考雑談

閑話休題。

さすがにこのくだりについてはライブで聞いてた時も「?????」という感じでしたが、こうやって文字起こしされているのを見ると思いっきり分かりやすくなりまして、植田総裁全然答弁が安定してないじゃんという感じで、しかも(これは各位日銀のようつべチャンネルで確認して頂きたいのですが)会見の特に前半の方って目は泳いでいるわ(ヘッドセットして聞くと分かるのですが)息が上がり気味で回答してて、なんかもうあっぷあっぷになっている感が凄い(想定問答めくりまくりに下向いて発言もそうですね)ところにきて、この答弁の不安定さと来ていまして、国会の所信表明で見せていたあのクールでシャープな植田先生はどこに逝ったのでしょうかとか、もしかしたらあれは着ぐるみで中の人が変わったんじゃないかという位に君子豹変ジャガーチェンジ状態になっている訳です。

こうなりますと、この植田さんの会見って、どこに重点を置いて聞くかによって、「7月解除に向けて判断を前進させている、YCCの性質上事前に織り込ませることが出来ないから植田さんは「不確実性」を連呼することによって6週間の間市場が追い込みに掛かるような事を防いでスムーズな解除に向けた準備をしている」という読み筋も出来ますし、一方で「不確実性、を現時点でこれだけ連呼している状況がわずか6週間で劇的に変化する、というのはさすがにあり得ない(来年とか先になれば別)ので、7月も政策を維持していくという強いメッセージを出している」という読み筋も出来る訳ですよこの会見の説明。

勿論この「YCCの長期ターゲット解除が事前に織り込めない」という大問題があるから答弁が安定しない、というのには黒田のヤローの残置したうんこタワーの被害者として同情の念は禁じ得ませんけれども、うんこタワーを残していたらコミュニケーションぐだぐだになるの端から明らかだったわけで、4月に解除しておけばこんな事にもならなかったですし、今回の精彩を欠きまくる植田先生の答弁って、うんこタワーの瘴気にやられておつむの方に不具合でも来しているんジャマイカと思ってしまう位のアレっぷりが何ともかんとも。


でまあアレですわ、5月に内外情勢調査会で講演した後、何のサービス精神か知らんけど主要メディアの共同インタビューってのやったじゃないですか。でもってそのインタビューを各社記事にしてるのは良いんですけど、各社報道している内容に結構な幅があって、どうなってるんだよこれ、というのが当時話題になったのですが、確かに今回の記者会見およびその文字起こしを見ていますと、これだけ植田さん答弁が安定しないと、そら報道各社の記事のトーンが違ってくるわと思う訳でして、例えば今引用した「2%達成の判断基準」にしたって、前者の説明だと「先の見通しが2.2%だとしても自信が無い場合は達成したとは言わない」というお前は何を言ってるんだレベルのハトハト発言なのに、後者の説明だと「物価見通しに向けたノルムの変化が確実に起こっている」って話で近い将来見通し変えるんじゃネーノって発言な訳ですよ。

そりゃ共同インタビューを受けた報道各社の記事のトーンが全然違う訳でして、まあ植田さんとしては丁寧にコミュニケーションしようとしているつもりなんですが、その丁寧ってのが結果的に余計な事を喋って受け取る側を混乱させている訳で、現に今回の会見見て「7月解除の確信度が上がった」という人と「(この間に余程の円安が進んで追い込まれない限り)7月解除しません宣言ですよね」と両端の見解が出てしまう結果になっておるわけで、どっからどう見ても植田さんのコミュニケーションが悪すぎるので猛省を促したい所ではあります。


でですね、これはオマケなんですけど、今回の総裁会見、「同じ質問ばっかりで眠くなった」というご感想も結構あったかと思うのですが、アタクシ位に性格が悪いと、聞きながら「おおおおお!!!さっきの話とちがうじゃあああああん!!!!!」と途中結構興奮しながら聞いておりまして、これ恐らく聞いている記者さんの方もそうだったんじゃないかと思うのですが、植田さんに同じ質問を別の角度から行うと、何故かその答えが前の回答と全然トーンが違ってくる、という答弁万華鏡状態になっておりますので、そらサラトイ浴びせかけまくるわ(今回はポイントが少なかったのもあるけど)という事でございまして、実は結構面白かったと思いますし、このサラトイ連発はすごく良かったと思いますので、あんまり記者の皆様を責めないでいただきたいと思った次第でございます。

・・・・・すいませんアタクシの愚意見とかどうでもよいですね会見鑑賞に戻ります。


・YCCの話は想定問答を棒読みして答弁するのが仕様のようです

さっきの質問の後半部分。

『(問)(前半割愛)もう一つが、長期金利の操作のことなんですけれども、金利操作、長く続いており、金利が本来持ってる、発するメッセージなどそこら辺を押さえつけることによって、金利の機能がだいぶ生かされてないと思うんですが、もう少しこの長期にわたる金利操作ということを考えると、長期金利の操作にもう少し柔軟性を持たせる必要があるのかどうか、その点についてどうお考えでしょうか。』

『(答)(前半割愛)それから、YCCが市場機能を弱めているという点について、修正の方向で考えているのか、あるいは考えるべきではないかと、そういうご質問だったと思いますけれども、取りあえず、そういうおそらく判断から、12 月に 10 年国債の変動幅を拡大するという措置をとって、その結果、市場機能に関する様々な指標は、足元のサーベイの結果等を見ても、かなり改善をみているということだと思います。ただ、市場におけるインフレ期待等、あるいは海外金利の動向等、これが動いたときにこのままであるかどうかについては何とも言えないわけで、その点十分注意して、今後の動きを見守っていきたいというふうに考えています。』

あのーすいません、就任前にはYCCの長期金利コントロールとマイナス金利政策に関してあれだけ苦言を呈してて、しかも今の物価情勢や金融情勢(悪い円安)の中では最早必要性を感じられないと思うのですが、何ですかこの想定問答カンペ丸読みは??????????


・円安についてこの調子でやってると社会部の記者が乗り込んで糾弾会になるリスク高いと思うんだけどなあ

話の都合上これも昨日ネタにした質疑を先に引用しますね。

『(問)(前半割愛)あと、二問目が円安です。足元で、再び円安傾向が強まっています。黒田前総裁は、かつて円安は日本経済全体としてはプラスであるとの評価をされています。総裁も同じようなお考えなのでしょうか。円安が日本経済に与える影響について、総裁の評価をお聞かせください。』

『(答)(前半割愛)為替レートについては、申し訳ありませんけれども、私どもは、為替の水準、変動理由、その評価について、具体的にコメントすることは差し控えてございます。理論的には円安が発生しますと、申し上げるまでもないですが、プラスの影響を受けるセクター、それからマイナスの影響を受けるセクター、様々でございますし、どういう時期の円安かによっても違ってくるとは思いますけれども、いずれにせよファンダメンタルズに沿って、為替レートが安定的に動いていくということが重要というふうに考えてございます。』

と、黒ちゃんの時よりも後退してまさかのノーコメントで、てめえの政策が円安助長してるのにお前は何を言ってるんだという話な訳ですが、後の方でこんな質疑がありました。まあ当然の質問である。

『(問)一点お伺いします。先ほど植田総裁、円安の日本経済への影響について理論的には良いセクターと悪いセクターがあるとお話しされました。悪いというところで言うとですね、大規模緩和の維持というところで足元また円安が進んでおりまして、これによって物価が高止まりする可能性もあるわけです。結果として家計に負担がいくというところだと思うんですけれども、そういった国民の負担について、植田総裁はどういった今、ご認識をお持ちでしょうか。』

この前国会で足もとの2%を大きく上回る物価上昇について「国民に負担を掛けている」という答弁をしていたのですから、円安上等の政策決定と情報発信についてはこのようなツッコミが飛ぶのは自明なのですが、植田さんったらこんな回答してて大丈夫なんでしょうか。

『(答)ヘッドラインのインフレ率でみれば、3.5[%]ということで、文字通り 2%のインフレ目標と比べれば大きく上振れているわけで、これが国民の大きな負担になっているということは強く認識してございます。』

と今回も先日の国会での委員会答弁と同様に足元の物価上昇について国民負担だと説明しているのですが、

『ただ、これの原因が何かと言えば、先ほど来申し上げていますように、海外発のコストプッシュ・インフレーションであるということです。難しいことでありますが、それは日本の金融政策で、直接どうこうするということはなかなかできないわけでございます。』

円安が助長している、という事に関して華麗にスルーしてるのは舐めているとしか申し上げようがない。

『インフレ率を是が非でも下げたいということであれば、ものすごい金融引き締めをして金利を上げて、経済を冷やして下げていくということは考え得るわけですが、それはそのことによるマイナスの方が大きいというふうに、当たり前ですがとらえています。』

ああ植田さんも藁人形論法を使うようになったか・・・・・・・・・・

『そのうえで、先ほど来申し上げていますように、海外発のインフレの部分については、海外発のというところが既に終了して、マイナスのインフレ率に輸入物価のところは転じていますので、最初の方で申し上げましたように、この部分のインフレ率は、引き上げの力はだんだん弱まっていくというふうにみているところでございます。』

と言ってるのだがこれで物価の下げが大したこと無かったら何と申し開きするつもりなんでしょうね、どうせ政策は「先行き不確実」って言い訳を用意しているんですけど。


でまあこういう応答しかしないもんだから、いつも黒ちゃんに言いがかりみたいに突っかかってたフリー記者のYさんの質問が今や突っかかりじゃなくてちゃんとした問題提起に思いっきり見えてしまう時代が来るとはおそロシア。

『(問)先ほどの為替レートについてノーコメントというのは、まさに物価の番人としての役割放棄、職責を全うしないということになると思うんですが、円安傾向が強まって輸入物価高になって、国民生活が苦しくなろうとしている、こういう危機的状況を前にして、大規模金融緩和をなぜすぐに見直さないのか。』

ご尤も。

『黒田前総裁が大規模金融緩和をして、円安が進んで輸入物価高になったというのを逆戻りさせることが解決策だというのは明らかだと思うんですが、なぜそういう見直しをしないのか。黒田前総裁と言っていることが全然変わらないと思うんですが、新総裁としての決意と意気込み、その変えない理由を是非お伺いしたいと思います。』

なお植田総裁の回答はこの有様。

『(答)これは先ほどのお答えと重なってしまいますけれども、足元、確かに 4 月後半以降は円安になっているわけですが、それが日本経済にどういう影響を与えているかという点については、マイナスの影響だけでなくてプラスもあるかと思っています。そのうえで、政策を維持している理由は、これも先ほど来申し上げていますように、少し先のインフレ動向等を見通した場合に、まだ持続的・安定的に、2%には達していないというふうに考えているということでございます。』

そらまあスイマセンとは言えないですけ、まあこの調子でやっててて夏を越えても物価が思ったほど下がらんわ円安デメリットは顕在化するわ、となった時に9月会合とかになって会見に社会部の方々が乗り込んで来たら糾弾会みたいな会見になってしまうんじゃなかろうか、というのをリスクとして感じる次第ですが、まあ黒田緩和を何の修正もできない(うっかりしたら黒田以上に緩和維持しそう)植田総裁なんぞはクソの役にも立たないので早く糾弾記者会見で吊るし上げられるのをライブで見たいという思いもあるこのアタクシ(良い子の皆さんはそんなスタンスを真似してはいけません)。


・株高に関する発言も余計なこと言ってるんだよなーーーーー

そろそろアタクシの時間がアレになって来ましたが最後にこんなのでも。

『(問)株価のことについてちょっとお伺いします。日経平均株価、今日も上昇してですね、3 万 3700 円超えと33 年ぶりの高値をまた更新しました。この急ピッチな上昇にバブルではないかという議論も出始めています。総裁、今の株高ですけれどもバブルであるとかですね、ないしその兆候があるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。これが一点。

それから同じく株高、この背景にですね、日銀の大規模な金融緩和というのはどの程度影響しているというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。以上二点お願いします。』

前半はどうでもええわという感じですがまあそれは兎も角。

『(答)私の立場で、申し訳ないですけど、株価の動きや水準について具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。』

で話を終わりにすればよいのに(後半の方は別途答えるとして)余計な事を言う植田さん。

『ただ抽象的に申し上げますと、株価は基本的には将来の経済や企業収益の見通しに基づいて形成されるものですので、おそらくわが国が今後比較的堅調な成長を続け、企業収益も高水準で推移すると予想されていることが、現在の株高の大きな原因ではないかなと思います。』

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwww

「おそらくわが国が今後比較的堅調な成長を続け、企業収益も高水準で推移すると予想されている」ならば賃金上昇の持続性だって企業の価格設定の持続性だって高いってことになるじゃろwwwwwwwwww

と思いました。何でこんなこと言っちゃうのかな〜。

『もちろん理論的には、金融緩和で金利が低いという状態は株にとってはプラスの影響をもたらす要素です。ただ、ここのところはずっと動きとしては動いていないので、足元の株高の要因としては申し上げた経済や企業収益の見通しの方の変化の方が大きいかなというふうに思っております。』

挙句に後半の質問に対してもこんな回答しちゃってて、じゃあ何でお前さっき言ってた企業の動向に不確実性が高いって話になるんだよ、とまあそういう事になる訳で、とにかく不安定な答弁をしているわな、というのが今回の会見で明らかになったのですが、2回目にしてこれでは先行きが非常に思いやられます。






2023/06/20

お題「植田総裁会見である(その1)」

この時期は外にお日様がいるので早起きしても全然平気なのはありがたい、というかもうすぐ夏至じゃねえかよ今年も半分終わりかよorzorz

〇植田総裁記者会見:前半は記者の質問が流れるように繋がっていて中々良かったです

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230619a.pdf
日本銀行 総裁記者会見
――2023年6月16日(金)午後3時30分から約60分

・2つ目は何でしたっけ?が無かったことになっているのは事務方もまずいと思ってるんですね

いやまあ別にこちらTranscriptと銘打っている訳じゃないから丸めるものは丸めても詐欺じゃないのですけれども、FEDやECBの会見では「2つ目の質問何でしたっけ」みたいなのがあってもちゃんと会見の記録に残している訳ですよ。

ところが、昨日申し上げましたように(だいたいからしてアーカイブの映像みりゃわかりますけど)今回の植田さんの会見って特に最初の方何をアワアワしてたんだか知らんけど、2つある最初の質問が始まると想定問答集を一生懸命めくりだして、最初の質問はアワアワしながら回答するんだが2つ目の質問忘れて「2つ目は何でしたっけ」を連発してたんですよね。でまあ今申し上げましたようにTranscriptとは銘打ってないから別にそこを割愛しても詐欺ではないのはその通りではあるのですが、これ割愛したのって事務方から見ても「醜態」認定したから割愛したんだろうなあ、というのが大変に分かりやすくなっていまして、大変に味わいの深い所ではあります。

あとどうでも良いんだが質問者名乗ってるんだから(ちなみに唯一社名を名乗らなかったのはタキタとかいう人でテメエ何様の積りだよと思いました)質問者の所属と名前を入れて差し上げろと思うのですが、これは省庁の大臣会見とかの要旨でも何故か質問者の所属と社名が出ないので残念ながらジャパニーズ仕草なんですよね。どうせ記者クラブとの間で何かあるんでしょうけど。

というのはさて置き、二つ目なんでしたっけ???の連発については日銀の事務方も(ノ∀`)アチャーと思っていたんだな、というのが分かったのは収穫でしたわ。まあ植田さん答弁が安定してない(個人の感想です)から事務方としてもヒヤヒヤもんじゃないのかな、と思う訳で、これまだ就任して3か月たってない(総裁は4月就任)からごく一部の変態野郎(さて誰の事だか)を除いて植田さんへの当たりは厳しくない(アタクシも別に平常運転の延長線上のつもりなんですけどね〜)と思うのですが、今の調子でやってると秋口くらいには結構危ないと思うんですよね、まあ別に良い事とは思ってないけど安定という意味では黒田さん安定してたから趣旨が???な発言は無かった(内容があったとか正しかったかという話はさて置く)のですよね、まあ心配しているちゃあ心配しているが面白いから燃えろ燃えろと思う変態野郎魂もあるアタクシ。


・聞かれもしないのにレビューの宣伝をしたが殆ど食いつかれなくて残念でしたwwwwww

『(問)本日の金融政策決定会合の内容についてご説明をお願い致します。』

からの説明ですが、政策決定、経済物価の現状と見通し、今後の政策(フォワードガイダンス)に関してあっさり味の棒読み答弁をしてもう終わりかよと思わせたら突然こんなことを長々と言い出す。誰も聞いてねえし声明文にも書いてなかったじゃん。

『最後に、多角的レビューについてです。前回会合以降、関係部署で順次作業に取り掛かっているところですが、現在の状況を簡単にご紹介したいと思います。(以下延々と続くが無意味なので全部カット)』

誰も聞いてねえよどうせ政策に何も関係ないんだから時間の無駄だわハゲ、と思ったのですが、延々とああでもないこうでもないと説明していました。

確かに前回の決定会合の時は何せ初手だったのと、政策修正との絡みで何か意味があるのか、という辺りに興味がわくのは当たり前でもあったので、4月決定会合ではポンコツ物価見通しとかなぞの珍タゲの話なんかと比較した場合に、このレビューの質問ってやたらめったら出てて、見事にデコイに引っ掛かってしまった感のあった会見になったんで、今回も前回の会見に味をしめてレビューの話をしたのかもしれませんが、既に皆様ご案内の通り、内外情勢調査会での講演、メディアの共同インタビュー、その後の国会答弁を経て、まるっきりこの人政策見直す気が無い、というのが人口に膾炙してしまいまして、そうなって来ると政策レビューとかただの茶番じゃネーノという事にもなる訳でして、会見でこのあとほぼ質問が無かったのは見事なまでの関心の低下に哀れさを感じました(声明文に入れ込んでおけば反応違ったかもしれないけど、記者さんだって質問事前に準備しているだろうしここで唐突に言われても反射的に質問差し替えするのめんどいわな)。


・賃上げ動向や物価見通しに関してだが「不確実性が高い」の連呼をひたすら行う植田総裁

『(問)幹事社の質問は二問です。厚生労働省が発表した 4 月の毎月勤労統計調査によりますと、一人当たりの実質賃金は、前年同月比で 3.0%の減少となりました。春闘の結果が一部反映されつつある中でも、マイナス幅については、前月から拡大する結果となっています。現時点で、賃上げの状況をどうみていらっしゃいますでしょうか。』

現状は強いの分かってるんだし、現状強くても政策修正の判断に関係ないというのが今の植田日銀のロジックなので、「連合の調べなどでは近年にない位に強い結果になってきたようですが、今後の賃金上昇についての自信度には変化があるでしょうか、その理由についてご説明いただけますでしょうか」と聞かないと、先行き政策インプリケーションが得られないのでこの質問はイマイチ。

『二問目については、物価の動向についてです。日本銀行が発表した 5 月の企業物価指数の前年同月比上昇率は 5.1%でした。上昇率は 5 か月連続で鈍化していますが、食料品などでは価格転嫁の動きが今なお継続しています。日銀は 2023 年度半ばにかけて、コアCPIの前年同月比上昇率が 2%を下回るとみていますが、現時点で、物価動向の先行きをどうみていらっしゃるのか、変わりはないのか教えてください。』

まあ当然聞くべき質問ですけど、後半は良い質問でございます。ただこの質問の構成が悪いのは、前半は「賃金が上がっていないように見受けられますがどう考えているか」、という質問形式になっていて、後半は「物価が上がっているけど物価見通し変化がないか」、という質問で前半と後半で逆の方向の質問(としか聞こえない質問のしかたを)していて、これアタクシもライブで聞いててかなり???って感じになったんですよね、冒頭だから聞いてる方も集中して聞いてるんで、幹事社の司会の方は質問をよく練っておいてくださいね、と思いました。


ということで総裁のお答え。

『(答)まず最初の賃金に関するご質問ですけれども、ご指摘の通り、実質賃金の前年比は足元マイナスで推移しています。これは言うまでもないですが、名目賃金が緩やかな増加を続けているわけですが、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響から、消費者物価指数がそれを上回って上昇しているためでございます。』

質問の趣旨(も確かに傍観者のワイ聞いててこの人何聞きたいんだよと思ったので植田さんがこうなるのシャーナイ面もあるんだが)って今の賃金動向に関する評価を聞いているのに、なんかすさまじく意味の無い回答をしていまして、質問と回答が全然噛み合っていなくて、この冒頭の質疑辺りから(ノ∀`)アチャーって感じで聞いていたアタクシ。

『先行きですが、賃金上昇率は昨年を大きく上回る見込みにある労使交渉の結果が、夏場にかけて実際の給与に反映されていくことに加え、経済活動が改善を続けるもと、労働需給の引き締まりや物価上昇を反映するかたちで、基調的に高まっていくと考えています。』

労働需給の引き締まりに関してはさくらレポート別冊がMPM直前に出ていましたよね〜。

『ただし、来年以降の賃上げの持続性など、先行きについての不確実性は、やはりきわめて高いと考えています。』

その根拠は何か???というのを聞きたいのですが、どうせ屁理屈大王日銀様のことですので、うっかりこの根拠について説明しだすと、その根拠としているものがつぶれた時に言い訳に困ることになるので、「不確実性は極めて高い」という主観的(恣意的)判断にも程がある「お気持ち表明」で済ませて行きましょう、というのが(これまでの日銀の説明を見れば順当ではあるが)今回の植田総裁の会見での説明なのであります。

『今後とも、企業収益や雇用情勢に関する様々なデータやヒアリング情報などを用いて、賃金動向を丁寧に見極めていきたいと思っております。』

いやだからヒアリング情報がさくらレポート別冊で出てて「構造的な変化が起きているように見受けられる面があるよ」って出てたじゃんと思うのですが、戦場から咸陽の宮殿に使者を送っても趙高が握り潰して二世皇帝胡亥には届かないシステムになっているんですねわかります。


でまあこの「不確実性が高い」の連呼が今回の会見でやたら目立った所でして(個人の感想です)昨日も申しあげましたが、これを連呼されますともうやる気ナッシングというアピールに見えてしまう訳で、そうは言っても(1)YCCの修正は騙し討ちをしないといけない、(2)7月展望で修正するならその前にあんまり示唆しないで騙し討ちした方が綺麗な騙し討ちになる、(3)何だかんだ言って7月展望まで6週間あるからその間に豹変する言い訳は幾らでも見つかる、というような下心の元、偽装工作としてのやる気ナッシングアピールの可能性もありますし、大体からして7月に修正しなかったら秋口には恐らく追い込まれて日銀四面楚歌の中で四方八方から無慈悲な砲撃を食らって地獄の火の中に投げ込まれるリスクが極めて高い、とまあ個人の感想としては思う訳で、そういう危機感があれば7月ってラストチャンスにも程があると思うので、まー6月の時よりは可能性がカシュカリ総裁の頭髪から磯野海平(波平ではない)の頭髪程度になってるかな、とは思うには思います。よー知らんけど。


ということでこの「不確実性」連呼のおちんぎん見通しに続きまして物価見通し。

『それから物価の見通しですけれども、これも申し上げるまでもないですが、昨年来の物価上昇の背景には、主として輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響がございます。これについては、国際商品市況はひと頃に比べて下落を始めています。輸入物価の前年比は足元でマイナスに転じています。』

寧ろそういう状況なのにコアコア物価ってずーっと前年同月比で上がり続けているのがヤバイと思うのですけどねえ。

『そのもとで、コストプッシュの影響は徐々に減衰していき、今年度半ばにかけて物価上昇率のプラス幅は縮小していくとみています。』

価格転嫁の動きはどうした、というのは直後に出てきますが、

『この間、企業の価格・賃金設定行動には、変化の兆しもみられているというふうに思っておりまして、この点は注目しています。』

「兆しもみられてる」ってどういう認識だよという話でして、いやお前ら何のために短観で企業の価格見通し聞いたり、支店でのミクロヒアリングしてるんだよと小一時間問い詰めたい。

さらにこの先の話になると・・・・・・・・・

『もっとも、先行きは、この企業の価格設定や賃金引き上げの影響を含め、不確実性がやはりきわめて高いと考えています。』

経済物価情勢について質問されると息を吐くように「不確実性が極めて高い」の連発という話をしていましたけど、そんなの将来の事なんて不確実なのは当たり前で、その不確実をどう判断するのかがプロのお仕事であって不確実性が高いと言って何もしない(どころか円安助長政策を行っている)のってプロのお仕事じゃないですよね、アクティブマネジャーが不確実性が高いって言って1年間ニュートラルにしてたら委託召し上げですわよ。

『以上を総合して具体的にどの程度の見通しになるのかという点については、次回 7 月の展望レポートで数値的な見通しを出すことになりますので、そこに向けて丹念に精査していきたいというふうに考えております。』

一応最後にこう言っていまして、これは「精査した結果どうも物価目標達成に向けた不確実性は低下して来ましたので金融緩和政策自体は継続しますがその程度を調整して然るべきという判断になりました(キリッ)」というのは可能は可能な作りになっているのは7月修正への微かな望みは望みではありますけどね。


・物価が思ったほど下がっていない発言キタコレ

次の質疑も物価の話が先にある(後半が政策修正)。

『(問)二点お伺いします。一点目は先ほどの物価に関する質問の追加なんですけれども、プラス幅を縮小していくといったときに、思っていたほど大きく縮小しないと。要は今の 3%台半ばから下に行くにしても、2%を超えたままの状態になるというリスクシナリオ、この辺をどういうふうにみてらっしゃいますか。これが一点目です。(後半割愛、というか次に引用します)』

この質問「物価が下がらないリスクシナリオ」って確かに上振れリスクなのでその通りなのですが、物価目標達成に向けて望ましい方向に振れるのが「リスク」って良い皮肉になってるなあと思いました。

『(答)前者は物価の見通しに関してもう少し詳しくということかと思いますので、やや正直に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、当面から少し先にかけての物価、インフレ率の見通しは当面下がっていく、どこかで反転してまた上がっていくという見通しを言っているわけです。』

『それと比較してということですけれども、ここのところ出てきたデータをみますと、この下がっていくところの局面に今あるわけですが、下がり方が思っていたよりもやや遅いかなという感触は持っております。』

はい来ましたよ「思ったほど下がっていない」発言。

『ただ、まだ下がっていく局面が始まったところにあるくらいの段階だと思っていますので、』

えーとすいません、6月から(主に)家庭向け電力料金が盛大に上がるんですけど。

『年度半ばにかけて更に下がっていく、その段階でやはり例えば 4 月の見通し対比上振れたままで推移するのか、キャッチアップというのも変ですけれども、今までやや上振れていた部分がなくなるかたちで急速に下がってくるのか、そこは不確実性が高いというふうに考えてございます。(後半割愛、というか次)』

しかし何回「不確実性が高い」って言ってるんだよと思って「不確実性」でF5検索したら13個もあったわwwwww


・政策修正に関する発言が不安定ですなあ

さっきの後半だが。

『(問)(前半割愛)二点目は、総裁、粘り強く緩和を続ける考えを示されているわけですけれども、金融市場の方では、例えば 7 月にも日銀はその長短金利操作の見直しなど政策修正に動くのではないかといった見方、なお根強いです。市場のこうした政策修正に関する観測について、どういうふうにご覧になってますでしょうか。要は総裁が粘り強くと繰り返し発言なさってる意図が十分伝わっているというふうにお考えでしょうか。以上二点お願いします。』

「要は総裁が粘り強くと繰り返し発言なさってる意図が十分伝わっているというふうにお考えでしょうか」って割といやみったらしい質問でアタクシは評価します(^^)。

『(答)(前半割愛)それから、YCCの見直しについてですけれども、これはこれまで申し上げてきたことですが、やはり政策の効果と副作用についてきちんと比較衡量しつつ、私どもは政策を決めていきます。それに関するコミュニケーションということで申し上げれば、一つは、今申し上げたような物価・経済の見通しをなるべく丁寧にご説明していくということと、副作用周りでは、市場機能についてどういう認識を持っているかということも丁寧に申し上げていくということかなと思ってございます。』

ってこれ質問の答えに全然なっていないんですよね。

そしてその次の質問でこの点について更に質問が来る、という中々今回の会見って最初の方は良かったのよね。この辺りまで良い感じで質問が繋がっていて、結構植田さんがアワアワしている感じになっていたのでとても良かったと思います。ちょっと先になるけどこの先で唐突に米国経済の質問とかクソどうでもいい質問をしたバカスケの質問で話の流れが切れてしまったのでマジで猛省を促したいと思いました。


次の人。

『(問)二問お尋ねします。一問目はちょっと今と同じような質問なんですが、市場とのコミュニケーションとYCCについてです。総裁、これまで金融政策の運営に当たっては、市場とのコミュニケーションが大事であると、市場との対応を重視する姿勢を示されています。一方で、YCCは事前に市場に修正を織り込ませることが難しい政策かと思います。お答え頂ける範囲で結構ですので、市場とのコミュニケーションとYCCについて、総裁のお考えをお聞かせください。(後半割愛、というか次に)』

これは良い流れです。と思ったら植田さんさっきはコミュニケーションしますよと言ってるのに急にですね、

『(答)まず、YCCについてでございますけれども、結局直前のご質問へのお答えと大差ない答えになってしまって恐縮でございますけれども、やはりわれわれの経済・物価・金融情勢の現状および先行きに関する見方、それを踏まえた政策運営の考え方について、丁寧に説明を行っていくということなのかなと思っております。その中に、副作用についての考え方も含まれるということだと思います。』

ここまでは確かにさっきの回答と大差ない、というかそんなことは聞かれてないわという回答をしていて、お前は黒田かって感じですが、この次にまた微妙な発言が。

『そのうえで、毎回の決定会合でどうするかということを都度決定していくわけですので、一つの決定会合から次の決定会合の間に、様々な新しいデータや情報が入ってきますので、それに基づいて、前回とは違った結果になるということも含めて、ある程度のサプライズが発生するということも、他の政策でもそうですけれども、やむを得ないのかなというふうに思ってございます。(後半割愛)』

ちょwwwwwおまwwwwwwwwサプライズ宣言しとるやんwwwwwwwww

という事でですね、何と申しますが答弁安定しないんですよ。機動的にやるなら機動的にやるという話をした方が良いんだし、黒田流で槍が降ろうとテポドンが落ちようとも政策変更しませんというならそういう話でも良いんですが、こうやってサプライズ宣言してみたりする辺りが不安定なんですよねこの人。


・為替円安に関しては完全に答弁拒否しているんだがお前が円安の原因なんだからノーコメントはマズイと思うよ

さっきの質問の後半です。

『(問)(前半割愛)あと、二問目が円安です。足元で、再び円安傾向が強まっています。黒田前総裁は、かつて円安は日本経済全体としてはプラスであるとの評価をされています。総裁も同じようなお考えなのでしょうか。円安が日本経済に与える影響について、総裁の評価をお聞かせください。』

何と答えるのかと思ったら、植田さん見事に回答拒否しやがりました。

『(答)(前半割愛)為替レートについては、申し訳ありませんけれども、私どもは、為替の水準、変動理由、その評価について、具体的にコメントすることは差し控えてございます。理論的には円安が発生しますと、申し上げるまでもないですが、プラスの影響を受けるセクター、それからマイナスの影響を受けるセクター、様々でございますし、どういう時期の円安かによっても違ってくるとは思いますけれども、いずれにせよファンダメンタルズに沿って、為替レートが安定的に動いていくということが重要というふうに考えてございます。』

これは見事な回答拒否ですね。


・2%目標の質問は質問の頭が悪すぎなので晒し上げ

『(問)2%目標についてお伺いしたいんですけれども、総裁、物価の不確実性が高まっていて、いろんなデータを見たいということをおっしゃっていますけれども、そういう中で、2%という具体的な数字を掲げることがですね、例えば導入時のような各国中銀がもう低インフレに苦しんでいた時期に比べて、却って意義が薄れていて、数字があることで却って、政策について緩和したりとかあるいは正常化をするときに、納得を得たりとか、説明をすることが困難になるような弊害が目立ってくる可能性はないでしょうか。お考えをお聞かせください。』

さっき槍玉にあげた米国経済の質問とこの意味不明にも程がある頭の悪い質問がここまでの会見の折角のいい流れを壊したのでとりあえず半年ROMってから出直せと思いました。

意味不明なので更に質問の真意を補足してたんですが、

『(問)例えばですけど、今、足元 2%の上昇率を超えていても、実態をみて、緩和を続けてらっしゃるんだと思うんですけれども、あるいはいつか正常化するときもやっぱり、例えば 2%にどこかの時点で超えたからとかじゃなく、やはり実態をみて判断されるんだと思うんですけれども、そのときに 2[%]という数字があると、それに達していないのに正常化するのはおかしいんじゃないかとか、あるいは達していないんだからもっと緩和した方がいいんじゃないかとかいろんな意見が出やすくなる、出やすくなって、それを例えば説明、説得したりとか、納得を得たりすることが難しくなる可能性はないでしょうかという話です。』

ねえねえねえ、何でこの人2%割ってるときに云々とか質問してるの???と聞いてて頭がクラクラしたのですけど、どうせ聞くなら「既に1年以上コアCPIが2%を超えているのに「先行きが不確実だから緩和を継続する」というのは2%物価目標との関係が分かりにくいんじゃないですか、もっと2%を柔軟に解釈することも大事じゃないですか」とか聞けばまだ会話になるんですけど、まあ半年ROMって出直して頂きたいものだと切に思いました。


・2%達成のメルクマールは何かという質問に対しての回答がグダグダ過ぎワロリンチョ

次の質問の人が立て直してくれたのは良かった。これは良問。

『(問)総裁は、物価 2%の持続的・安定的な実現が見通せる状況になれば、金融政策の正常化に着手する考えを示されておられます。この見通せる状況というのは、具体的に、どのようなイメージを持たれているのかご説明して頂ければと考えています。』

この部分が「不確実性」の連呼で訳分らなくなっている、というのが今の植田日銀におけるコミュニケーションのもっともダメダメな所です。

『そのうえで、見通せる状況になる前の段階なのですが、例えばインフレ期待が上昇してですね、緩和度合いが強まるケースなど、そういったケースで、見通せるようになる前でも、緩和度合いの調整という意味での政策修正とかそういうことは選択肢として考えられるのかどうか、その点について総裁の考えをお願いします。』

まあこっちはご愛敬。では植田さんの回答ですが、

『(答)2%の持続的・安定的な達成が見通せるというのはどういうことか、あるいはどういう時点かというご質問だと思いますけれども、』

ここで思わず正座しました、というのはうそですがその前の質疑で寝そうになったアタクシ(`・ω・´)シャキーンとなって聞く。

『私どもが出している経済・物価見通しとの関連で、それに一番近いのは、やはりインフレ率の先行きの見通しということだと思うんですけれども、』

そらそうよ、7月展望注目ジャン!!!と思ったらですね、

『それは、やや難しい話になってしまいますが、』

??????????

『先行きのインフレ率を予想しようとして考えた場合に、必ずここになるんだというふうにはっきり分かるものではなくて、』

当たり前だろ何言ってるんだこのハゲ。

『2%くらいになるかもしれないし、1.5[%]かもしれないし 2.5[%]かもしれないというふうに、かなり幅を持って予想せざるを得ない中で、取りあえず相対的に確率が一番高そうな数値のところを見通しとして入れているという作業をしてございます。』

ちょwwwwww

いやあのまあそれはそうでいいですけど、じゃあ何で「今年度後半になると物価上昇率は2%を割り込んで鈍化する(キリッ)」って明快に断言して説明してるんだよという話で、本来ならその「鈍化する」だってかなり幅を盛って見ないといけなくて、毎回の会合で新しく出てきたデータを見て、足元の経済情勢を見て、今なら企業の価格設定行動や賃上げ状況の変化も見て、って判断して行かないと話が矛盾するだろお前何言ってるんだこのご都合主義がwwwwwwwwwwwww

と思いましたここ聞いてて椅子から転げ落ちるかと思ったわ。

『その際に、その中心的な見通しないし確率が一番高いような見通しの確率が非常に高ければ、その見通しが、2[%]に到達して、その後もまだ 2[%]で行きそうだというのが分かれば持続的・安定的に達成されたということだと思うんですけれども、』

そもそもそんなの1年先2年先の物価見通しに確信度極めて高いとかあり得んだろお前何言ってるの???

『仮にそれが 2.2[%]であっても、その 2.2[%]の見通しに付随する確率のようなものがかなり低くて、もっと他の見通し、特に下側の見通しもかなりの確度で出てくる可能性があるというようなときには、2.2[%]の中心見通しだけで政策が決まるというわけではないと思うんですね。』

ちょっと待てじゃあもう意味ないから展望レポートの見通し数値だすなよ、という話でして、

『というふうに、見通しの中心値だけでなくて、その不確実性とか、どれくらいその中心見通しに確信を持っているか、そういうことを含めて、という話だと思います。』

何のためにあんなチャートを出しているのかという根源的な問題になって参りました!!!と思ったのですが、

『本来であれば、そういう分布もきちんと提示して、コミュニケーションをした方が分かりやすいという面はあるかと思いますが、』

なるほどこれはその通りですね、と思ったのですがこの直後に驚愕の発言があるので乞うご期待。


『そういう分布自体を自信を持って出せるかどうかという問題もあるように思いますので、』

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ちょっとこれは大草原不可避にも程があるわそれじゃあそもそも予想するなよという世界ですなw

『現状は定性的な表現になってはいますが、そういう幅のある話だというふうにご理解頂ければと思います。』

もう凄いグダグダで、インフレターゲット政策も何もあったもんじゃないという感じでして、まあそういう意味ではその前の晒し上げの2%を明示することの妥当性に関しての話にも通じるわ、と思いました(あの質問は目の付け所は良いのですが質問の仕方がダメダメだっただけですからね)。


で、2番目の質問がスルーされておりましたので。

『(問)二点目のところなんですが、インフレが見通せる状況になる前でも、インフレ予想が高まったら政策調整ってことがあり得るのかということについてお願いします。』

『(答)そこは今申し上げたように、統計的な言葉で言えばモードですか、確率が一番高いところ、そこをみるだけじゃなくて、ディストリビューションをみるという中で、総合的に持続的・安定的な物価見通しの達成を判断していきたいということですので、中心見通しだけで行動するわけではないということは言えるかと思います。』

完全に植田さんさっきの質疑応答を引っ張った回答で全然質問に答えていなのはワロタ。


・・・・・・などとネタにしておりますが、不覚にも半分逝った所で時間が無くなってしまったので欧米中銀ネタと共に続きは明日でご勘弁ください、まあしれっと確かに7月修正できそうな発言も混じっているんですよねこの会見・・・・・・・








2023/06/19

お題「決定会合レビュー:フラグになってほしかったのですが見事な現状維持で残念無念」

金曜は決定会合11時半公表あるで、とか一生懸命フラグを立てに逝った積りだったのですが、全然フラグにならずにさすがに11時半は無かったけど11時47分というやる気ナッシングここに極まれりの公表時刻になっていて泣いた(昼飯は済ませてた)。

とは言えまあ一応真面目に声明文比較というのをやって差し上げましょうw

〇声明文比較:「今年度後半に物価伸び率失速」文言にさっそく逃げ準備が入っています

政策に関してはいつものアレですので景気認識の所を確認する訳ですが。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230616a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304a.pdf(前回展望レポート)

今回は展望回じゃないので声明文の方に経済物価情勢の現状認識と先行き見通しが書かれますので、比較対象は前回会合の展望レポート基本的見解になります。声明文項番2からになります。


・現状認識:全体観は概ね同じ、相変わらず物価上昇はコストプッシュと言いたいようです

『2.わが国の景気は、既往の資源高の影響などを受けつつも、持ち直している。』(今回)
『わが国の景気は、既往の資源高の影響などを受けつつも、持ち直している。』(前回展望)

持ち直しているなんてもんじゃないような気がするんですけどね、まあとにかく現状判断変更なしです。

『海外経済は、回復ペースが鈍化している。そうした影響を受けつつも、輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)

『海外経済は、回復ペースが鈍化している。そうした影響を受けつつも、輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっている。』(前回展望)

海外経済、輸出、生産についての認識にも変化はありません。

『企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資は緩やかに増加している。』(今回)
『企業収益は全体として高水準で推移しており、業況感は横ばいとなっている。こうしたもとで、設備投資は緩やかに増加している。』(前回展望)

業況感に関しては短観直後の声明文等で記載されるものなので企業収益と設備投資も変化なし。

『雇用・所得環境は緩やかに改善している。』(今回)
『雇用・所得環境は、全体として緩やかに改善している。』(前回展望)

えーっとここなんですけど、今回「全体として」が抜けたので判断前進ではあるのですが、相変わらずベースラインが「緩やかに」改善になっているのですけど、それこそこの前出てきたさくらレポート別冊「地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)地域の企業における人材確保に向けた取り組み」(要旨→https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb230609.htm、本文→https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb230609a.pdf)の要旨の冒頭に思いっきり「わが国の企業の人手不足感は強まっている。」ってのが報告されていますし、実質賃金の方は兎も角として名目賃金だって上がっているし、という状況なのに何で雇用状況が「緩やかに改善」とかいうような寝ぼけた現状認識になっているのかが全く意味不明で何でこういう判断になっているのか小一時間問い詰めたい。

まあアレです、雇用所得環境の力強い改善ってのを認めてしまうと、今の馬鹿緩和政策の修正があって然るべきである、という話になってしまって、政策を変えたくないというチキン植田総裁が困ってしまいますので、そんなことは書けない、というのが背景にあるのではなかろうか、と存じますが、現状が「緩やかに改善」程度の認識だったらどういう世界になると「堅調」とか「強い」とかになるのかと思ってしまいますよね。政策から逆算して経済の現状認識や先行き見通しをだすのは黒ちゃんの末期で終わるのかと思っていたのですが、植田大先生まさかの就任早々から黒ちゃん末期プレイをするとはこらヘソが茶を沸かすというものですwww

などという悪態はさて置いて先に行きます。

『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は緩やかに増加している。』(今回)

『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(前回展望)

公共投資の現状判断が上がっているのですが、公共投資は「緩やかに増加」なのでしょうけど、財政自体はガバガバのノーズロにも程がある状態なんですよね・・・・・・・・・

『わが国の金融環境は、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある。』(前回展望)

この企業の資金繰り云々も何ちゅうかという感じなのですが、まあ何はともあれここの認識も変化なし。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足もとは3%台半ばとなっている。』(今回)

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足もとは3%程度となっている。』(前回展望)

数字に関しては実績値を使うからここが変化するのは仕様ですが、相変わらず「輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から」と入れていて、輸入物価の上昇だからコストプッシュ、というのと輸入物価の上昇だから足もとでは輸入物価が上がらない(下がっている)ので今年度後半には下がりますよ、という含意をこの文言の中に入れ込んでいる訳ですな。

『予想物価上昇率は、上昇したあと、このところ横ばいとなっている。』(今回)
『予想物価上昇率は、上昇したあと、このところ横ばいとなっている。』(前回展望)

これも横ばいにしておかないと政策変更という話になってしまうから、という事ですけれども、これは前回の展望からそうなのでまあ今回変わる訳ではないのですが、短観の企業の価格設定とか物価の見通しとか強いんですけどそういうのはスルーですね分かります。


・先行き見通し:しらっと「年度後半の物価伸び急落」に逃げが入るという姑息なプレイキタコレ

『3.先行きのわが国経済を展望すると、今年度半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかに回復していくとみられる。』(今回)

『わが国経済の先行きを展望すると、今年度半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかに回復していくとみられる。』(前回展望)

展望レポート基本的見解は基本的に文字数が多いので声明文にそのままにならんってのもあるので、まあそこも勘案すると年度半ばごろに関しては基本的に同じ認識って所でしょう。

『その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。ただし、成長ペースは次第に鈍化していく可能性が高い。』(今回)

『今年度後半以降は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが経済全体で徐々に強まっていくなかで、わが国経済は、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。ただし、見通し期間終盤にかけて、ペントアップ需要の顕在化による押し上げ圧力が和らいでいくもとで、経済対策の効果の減衰もあって、成長ペースは次第に鈍化していく可能性が高い。』(前回展望)

展望を端折っているのでシャーナイというのはあるのですが、今回の声明文での「ただし、成長ペースは〜」の所が唐突過ぎて文章としてあまり宜しくないと思います。さすがに展望のように「成長ペースが鈍化していく」ことに関する背景を書かないと、何でこれ入れたのかというのが非常に分かりにくいし、読みようによっては「政策修正をしたくないからわざと入れた」と解釈できるので、コミュニケーションとしてあまりよろしくないですね。

さらにこの部分なのですが、基本的に展望レポートではやや長い期間の見通しを出すのですが、毎回の声明文ではこの先1年程度の期間の見通しを出す、という住み分けになっていた筈なのでございますが、展望レポートの「成長ペースは次第に鈍化していく」という見通しって1年とかよりも長めのタイムホライズンをスコープにしてるんじゃね???と思う訳で、声明文で2年先とかの見通しをカバーするってのも何か従来の仕切りと違くね??とは思いました。


さて問題の物価の見通し。

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。』(今回)

『先行きについては、国際商品市況がひと頃に比べて下落し、輸入物価の前年比もプラス幅を縮小しているもとで、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰していくため、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、今年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく可能性が高い。』(前回展望)

はい気が付きましたでしょうか???そうです「今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していく」が「可能性が高い」から「予想される」になりました。

これは毎度おなじみの邪道読みとなります英文を読むと更に分かりやすいです。

https://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230616a.pdf(今回の英文)
https://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor2304a.pdf(前回展望の英文)

『The year-on-year rate of increase in the CPI (all items less fresh food) is likely to decelerate toward the middle of fiscal 2023, with a waning of the effects of the pass-through to consumer prices of cost increases led by the rise in import prices.』(今回の英文)

『For this reason, the year-on-year rate of increase in the CPI (all items less fresh food) is highly likely to decelerate toward the middle of fiscal 2023. 』(前回展望の英文)

前回は年度半ばに向けて物価上昇幅が縮小することに関して「highly likely to decelerate」と大変に確度の高そうな言い方になっているのですが(日本語も「可能性が高い」ですからぬー)、今回はしらっとこのハイリーをぬかしやがったので、出来上がりが「likely to decelerate」と一気にフニャ子フニャ夫先生になっているのが今回の声明文鑑賞での一番の笑いどころです。

あれー物価上昇率は2%を割り込んで下がっていくから物価目標達成じゃない、って言いきってたのはどこに逝ったんでしょうかという味わいの深い話になっておりますが、もし下がるかどうかがlikely程度の認識だったら、別に引き締めしろとかそういう話じゃなくて、マイナス金利に巨額のQQEおまけにYCC付き、という金融政策をしていた場合に、ライクリーじゃない方に出た場合に起きるオーバーシュートは今ですらペインなんですから更に社会厚生を悪化させるんじゃないですかねえ、という風に思いますから、少なくとも今の極端な緩和から「普通の緩和」という短期政策金利25bpなり50bpなりみたいな世界にしろよと思うんですけどね。


ということで、なんかしらっと今回「今年度後半に物価が2%を割り込んで行きます」ってのを無かった事にする布石が早速打たれていまして、一方で会見でもそうだったのですが「先行き不確実だから2%達成したとは言えない」の連呼をして、先行き不確実という万能の言い訳を使って政策修正を行わない、というしょうもない屁理屈捏ね太郎の布石が始まりました、という印象をうけます(個人の感想です)、

『その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の価格・賃金設定行動などの変化を伴う形で中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、振れを伴いながらも、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。』(今回)

『その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の価格・賃金設定行動などの変化を伴う形で中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、振れを伴いながらも、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。』(前回展望)

とまあこっちは一緒になっています。


・リスク要因と政策ガイダンスとかは変更なし

リスク要因の所は展望レポート基本的見解の鏡の所と比較します。

『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(今回)

『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(前回展望)

政策修正をしない言い訳に「わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い」が使われている訳なのですが、内外株式市場がこんなにホイホイと上がっているのに「不確実性はきわめて高い」ってナンノコッチャというか、そんなこと言い出したら未来永劫不確実性が極めて高いままじゃねえのとは思いますが、まあそれは兎も角として全文一致。


政策のガイダンス文言も相変わらずなんですけど、「先行きの不確実性が高い」状態で「2%達成がまだ展望出来ていない」んだったら「躊躇なく追加緩和」とやらをやってみやがれコノヤローとしか申しあげようがない訳でこのイカサマガイダンスも大概にせえやというか、植田先生だったらちゃんとロジカルにやってくれると思ったのに、このキメラの怪物みたいなガイダンスに更に「賃金」とかいう日銀が直接どうこう出来るものでもないものをぶち込んで事実上の賃金マンデートまで自分から入れるという事をして更にキメラ度を引き上げているんだから世話はないというものです。

『5.日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。』(今回)

『金融政策運営については、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。』(前回展望)

しかしまあ何ですな、4月の声明文(というか展望)出た時にはこの「機動的に対応」というのにちょっと期待をしてたのですけれども、その後の植田総裁のチキン発言連発、即ち「先行きの見通しは不確実性が極めて高いから政策修正すら行いません」の連発によりまして、黒田さんの時代のガイダンス文言にわざわざ「機動的に対処」と入れたのが単なるお笑い劇場になってしまいましたよ、というお話ですな。

そもそも機動的に対処するなら先行きの政策を決め打ちすることは出来ない訳でございまして、結局機動的に対処というのが何のことだか全く分からんまま、金融緩和継続の方が黒ちゃんの時より更に高まる(何せこの人、将来のどこかで2%を割ると思ったら政策修正すらしないし、今でもマンデート越えをしている物価が一段と上がったり物価高止まりが長期化してもリスクは小さいって言い切る国民死ね死ねモードでして、これはまあかつてハマコー先生が「賃金は上がらない方が良い」とか言ったのと根は同じで所詮は学者ってそんなもん(個人の偏見です)という話っすからね)という状況な訳ですからどうしようもありません。

『「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』(今回)

『「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』(前回展望)

目標行ってないんだったら躊躇なく追加緩和しろやこのハゲとしか申し上げようがない。


と、声明文比較の積りが何かまたも悪態になっていることを深く陳謝致しますがあんまり反省しておりません。


〇しかしあの会見はちょっとアレでは無かったのかと思う訳でございまして(見た目的な印象論ですけどね)

会見に関してはいつも通り文字起こしが今日出ますので明日にでも受け答えをネタにしようかと思うのですが、しっかしまあフリーの某氏の質問が黒ちゃんの時はタダの喧嘩売りにしか見えなかったのに今回とか段々正論っぽく見えて来る、というエッシャーのだまし絵もビックリの展開(背景には物価が下がらんどころか相変わらず上がるし円安は進むし、というのがある訳ですが)になっているのには最早笑いしか起きないという感じでしたが、まあ会見見た訳ですよ、というかアーカイブは日銀のゆーちゅーぶチャンネルで見れますけえそれでも見てちょという感じですが。

植田さん、今回の会見って質問されると必死こいてカンペ(想定問答)をめくりだしまして、カンペを思いっきり見ながら回答をしているんですが、質問されたら必死こいてカンペの該当ページを探してるもんだから2つある質問のうち最初の質問には回答するんですが「二つ目は??」って聞き直すという「植田さんいっぱいいっぱい状態にしか見えない」という見てらんない状態になってたんですよね。あまりにもそればっかりやってたから何か言われたのかもしれませんけど、最後の方は質問をちゃんとメモってからカンペ探しをしていました。

でもってですね、その回答なんですがさっき「いっぱいいっぱい」って印象(個人の感想です)を申し上げましたが、何か聞いててこっちの方が息苦しくなる(ヘッドホン使って聞いていると良くその辺が分かると思うのでヘッドホン推奨なのですが)くらいに「息が上がりながら回答している」って感じがする(別にゼーゼー言ってる訳ではないのですが、なんかエライ苦しそうというかアワアワな喋りをしてた印象が)回答をしてまして(ちなみに「物価見通し」の質問と「政策修正」の質問で特に息が上がっている感がしました)、何だか「精彩に欠ける」っていうのが物凄く感じたことです。

植田さん、最初の所信聴取で国会の委員会質疑に出てた時はカンペも碌に読まずに威風堂々って感じの質疑応答をしていて、それまでの黒ちゃんがアレだったので対照的にも程があって好感度を死ぬほど上げていた筈なのですが、あの時の植田さんはどこに逝ってしまったんでしょうかというのが金曜の会見でして、4月の最初の会見よりもなんか悪化している印象が強いんですよ。

ということで、もうちょっと言い方を変えて見ると「植田さんが自分の言葉で話していない」という感じだし、なんかこう操り人形の人形の方という感じだし、なんか全体的にアワアワしてるし、とにかく「不安定で危ない」って感じのする会見でして、いや大丈夫なのかよ植田さん何か変な洗脳でも受けたのか背中に実はナイフが仕込まれているんじゃないかとか、家族を人質に取られてる(ナンジャソラ)んじゃないかとか、あらぬ妄想をしたくなる(勿論そんな事は無いのでご安心召されよ)レベルで何か雰囲気がアカン感じになっていたように見えるんですよね。



まあそんな印象論はさておき、今回の会見って文字起こし見れば多分明らかではあるんですけど、植田さん何回「先行き不確実性が高い(ので今の政策を維持)」みたいな事を言ったっけという位にひたすら先行き不確実を連呼してたと思うのですが、これは先ほど声明文比較の物価先行き部分にありました「今年度後半には物価上昇率を縮小して2%割り込む」というインチキ物価見通しの化けの皮が剥がれた時に緩和継続を出来るために新しい屁理屈を用意していて、その新しい屁理屈を意識してしまっていますな、という所でございます。

即ち、物価目標やっている癖に物価の数値が云々とかの話ではなくて、とにかく「国民が苦しくなって金融緩和ケシカランの大合唱になって官邸から怒られるまでは今の政策を変えません」という政策を変えない事そのものが自己目的になってしまっている状態って感じで、日銀このままじゃあ自分の意志で政策の修正すら出来なさそうな感じだな、とこの新たな屁理屈を見て思う訳ですよアタシャ。


モチのロンで毎度申し上げますが、これ植田さんが7月展望で物価見通しの変更を行ってYCC電撃解除、という風に腹を括っていただきますと情勢はコロっと変わるし、7月どころか6月だって植田さんが腹を括ってくれればYCC解除行けたと思うし、まあ7月末までは最後の希望というのは残っているので絶望するにはまだ早いと言われるとその通りなのでカシュカリ総裁の頭髪程度の可能性には期待していない訳でもないのですが、まあ7月逃すと為替円安と物価サガランチ会長で追い込まれ解除みたいな事になって植田さん飛んだ恥さらしということになる方がさすがに確率高そうな気がするのが悲しい。

ただですね、これ逆に考えますと、円安ぶっ飛んで物価も高止まりして緩和政策の縮小がクッソ遅れてしまった、という事になりますと、YCCの長期ターゲットの解除(または修正)で対処とかいうようなケチ臭い対処では足りなくなって、一気にマイナス金利解除からの政策金利引き上げまで話が進んでくれますので、予防的にYCC解除されるよりはマイナス金利もQQE(そもそも市場機能破壊の諸悪の根源はYCCよりも国債馬鹿買入なのですから)も皆まとめて解除されて、寧ろゴミが一掃される説まであるわ、とか書いてて自暴自棄にも程がある話までしたくなってしまう今日この頃なのでありました。



とまあ悪態ついてますが、今回の会見の植田さん、実は時折「物価が思ったより下がらない」とか「YCCの解除はサプライスになります」とかそういう発言をしてたりしまして、その一方では物価見通しの不確実性云々に関して「展望レポートで見通し数字を出しているが、それの見通し達成に不確実が高い時には見た目目標達成したように見えても達成したことにならない」というような、じゃあ展望レポートとか出すの止めたらって言いたくなるような政策維持先にありきの屁理屈を一段と推し進めるような発言をしている、というのも何か不安定だなと思いました。


〇まあ結局は円安進行がカギになるんでしょうなあ

まあアレです。日銀が自分から政策修正しないと言っても怒られが発生するのは円安の一段の進行だし、あの政策スタンスで7月も何もなくて同じような政策継続バイアスがかかっておりますと、積極的に売るがどうかというとそこは分からんもののの、円を積極的に買うのかというとちょっとねえという話になっちゃいますよね、というかMPMのあと円安がちゃっかり進行してたし。


でもってこのニュースなんですが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230617/k10014102181000.html
米財務省 為替操作「監視リスト」の対象から日本を除外
2023年6月17日 11時41分

『アメリカ財務省は各国の通貨政策を分析する報告書を公表し、通貨を意図的に誘導する為替操作を行っていないかチェックする「監視リスト」の対象から日本を除外しました。日本が除外されたのは「監視リスト」の指定が始まった2016年以来初めてです。』(上記URL先より、以下同様)

『「監視リスト」は大幅な対米貿易黒字や、多額の経常黒字、それに為替介入を継続的かつ、一方的に行っているという3つの基準のうち2つに該当する国と地域が指定されます。今回、日本は対米貿易黒字は基準に該当したものの、円安やエネルギー価格の高騰などで経常黒字が大幅に減少したことで「監視リスト」から除外されました。』

ほうほうそうですかそうですか、という事ですが、

『また、今回の報告書では去年秋に円安ドル高が進んだことをうけて、日本が行った円買い・ドル売り介入について「円相場の過度な変動を低下させることを目的としたものだ」と指摘し、継続的な介入にはあたらないという認識を示しました。ただ、アメリカ財務省は為替介入については「適切な事前協議のもと極めて例外的な状況に限定されるべきだ」とする見解は変えていません。』

うーんこのという感じですが、今度は介入できるんですかねえ感がする訳で、介入できないとなるともう一段行くかもしれないじゃないですかヤダーという所ではありますが、円安ワッショイしてくれた方が日銀が政策修正とかマイナス金利解除とかに追い込まれるなあと思ったり思わなかったり。




2023/06/16

お題「日銀会合プレビュー悪態/ECBの決定を例のイラストで見るという手抜き企画」

FOMC、朝3時に起きると昼の生業に差し支える(昼めし食ってからのスイマーが酷い)のでそんな時間におきない(ジジイだから勝手に起きることはあるが即座に寝る)のですけど、ついったーらんど見てたら(ブラウザーで見てるからアカウント無し)3時起きの方が多くて(円債ジジイ的に)頭が下がる思いです。


〇エビデンスに基づくロジカルな議論を一切しない植田日銀の予想をするだけ無駄だが一応プレビュー悪態

そうなんですねーーーーーーーーー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB156CD0V10C23A6000000/
日銀、物価・賃金動向を議論 きょう会合結果公表
経済
2023年6月16日 5:00 [有料会員限定]

『【この記事のポイント】
・焦点は長短金利操作の修正の有無』(上記URL先より、以下同様)

あ、ありなし???????

そもそも「有無」なんて焦点でも何でもなくて、内外情勢調査会講演以降この方植田総裁から出てきた情報発信は「ワシはチキンなので政策修正はしません」「2%以下に戻ったら日銀の面目丸つぶれになるから為替が飛ぼうとコストプッシュで国民生活がどうなろうとも緩和を継続する。国民の生活など知らんわ日銀の面子が大事じゃ」というものでありますので、これが実は解除偽装のフェイクだったら立派なものでジャンピング土下座して手のひら返しをさせていただくのですが、フェイクで言うにしては(黒田総裁ですら踏み込んでいなかった日銀法の趣旨に反してでも日銀の対面が大事という一連の発言は)やり過ぎの部類に入っている訳で、偽装フェイクを超えていると思うの。

あとね、足元で日本の株価指数が威勢よくラリーしてるじゃないですか、これもチキン植田のチキンに拍車をかける要因だと思うのね。つまりここでYCC修正とか言うと株高を冷やしてしまう水差し野郎ということになってしまう(水差せとワイは思うがべき論は別問題)ので、夜のお遊びの方は大胆不敵でも昼のお仕事はチキンそのものという植田大先生におかれましては、株高もまた政策修正をためらってしまう要素(なお株安でもためらうんですけどね、ガハハ)になってしまう、というワイの新しい読み筋も出てしまいまして、もしかして80年台最後に日銀が(最後は物価もホイホイ上がりだしていたのに)緩和修正の転換が遅れて馬鹿引き締めをしないと行けなくなった時も、こんな感じで日銀のチキンぶりが遺憾なく発揮されたのかもしれませんなとか何とか、まあそんな事も思ってしまう今日この頃なのでありました。

しかし日経さんそんなに提灯しなくて良いんですよというのが記事(要約)の続き。

『・現時点の物価への認識も議論する
・欧米の主要中銀の動向も影響か』

物価への認識を議論するとかありますが、そもそも論としてまともに議論して何で4月展望レポートのような嘘八百ここに極まれりというような物価見通しが出せるのか、という事を考えますと、(1)政策委員の皆様が揃いも揃って途方もない馬鹿なので真面目に議論をしたらこうなった、(2)そもそも議論をしていなくて大本営が押し切っているしそれを許容するガバナンスに問題のある政策委員会、というどっちかとしか思えない訳でして、「議論する」なんて日経さんったら日銀の政策委員会がまともに機能しているかのような書き方してて何て気遣いをしておられるのまあお優しいことで。

『日銀は16日の金融政策決定会合で、物価や賃金を含む経済情勢を議論する。』

とあるんだが議論してるならお前ら13時くらいまで会合やってろやこのスットコドッコイという感じですな。どうせ11時半に終わるでしょ、と思って昼のスケジュールを検討しているワイ。

『物価は日銀の想定を超えて上振れる可能性があるものの、現時点では「持続的・安定的な2%の上昇」に至っていないとの姿勢を崩しておらず、大規模な金融緩和策の大枠を維持する見通しだ。』

物価見通しを1年以上延々と外しまくっている(しかも全部下の方に外して上方修正している)のに、何で「持続的・安定的な2%の上昇」に至っていない、とか言いきれるのかと小一時間問い詰めたいと言いますか、記者会見でもう全員で植田のヤローが何を言っても「でも物価見通しを外し続けていますよね、そんな方々の見通しを基に金融政策をやるっての説得力が無いんですけど」としか質問しないで総裁をキレさせたら面白いのに。


・・・・・・・まあ何ですな、この中で(日経無課金おじさんのワイはここらへんまでしか見えませんので記事内容分からんのですが)日経さんの指摘する「・欧米の主要中銀の動向も影響か」ってのがちょっと面白くて、これ今日何もなし(YCC修正の可能性はカシュカリ総裁の頭髪並み)で会見でも緩和修正にチキンな発言を連発しますと、為替市場がぶっ飛んでいただいて、今晩にもドル円144円などという夢の展開が見えて来まして(個人の感想であって相場見通しの名に値するレベルの考察ではありません悪しからずご了承下さい)、次回会合までの間にはまだ欧米共に追加利上げネタが継続しますから、そうなると円安ワッショイ円安ワッショイとなって心労で植田総裁が禿げ上がって頂くという楽しい展開も期待できますなというか円安しかこのチキンを動かせんわという感じだと思いますので、この人たちが何の屁理屈を展開するかはどうでも良くて、為替市場動向をみておけば良かろう、という実にクソクダラン日銀ヲチになってきたなあと悲しく思うのでした。

いやあのですね、植田さんになったら当然「エビデンスに基づくロジカルな政策運営」が行われるもんだと思ってたんですよ不肖このアタクシ。もう完全に「世界三大がっかり」どころじゃないレベルでそのはるか上を行くがっかりですよマジで悲しい(一応今月来月にジャンピング土下座と手のひら返しする余地はあるので確定ではないのですが正直諦めている)。


〇ECBはまあこれ市場の予想通りでいいんですよね(市場の反応は見ちゃったけど)

今日は日銀の変な記事でもあったらアイヤーなので、日経電子版(無課金バージョン)と公共放送のサイトとロイターとその他諸々を一巡した関係でECB受けた市場の数字は何となく見てしまいましたが(^^)。

すっかりECBの思惑にはまっていつもの「絵で読める今回の決定内容」コーナーを最初に見てしまうアタクシ。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_june.en.html
Our monetary policy statement at a glance - June 2023

ちなみに過去のは
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/html/index.en.html
Monetary policy statements at a glance

We take decisions on monetary policy every six weeks determining what should be done to keep inflation under control. Our visual statement explains this in short and easy-to-understand language.

Below you find links to all visual statements of the previous press conferences.

ってな訳で過去リンク集もあるので(ECBのサイトってステートメントとか探して回るのがほかのと一緒くたに過去ログぶっこまでているので結構めんどいのですが、このビジュアルの先にステートメントとかのリンクがあるのは優秀)ここをブックマークしておくのはお勧めしておきます。

それは兎も角として今回のを読みつつ、絵に関しては前回との変化もみましょうってなもんですので前回のビジュアルページのリンクを置いておきますね。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_june.en.html(今回)
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_may.en.html(前回)

最初のコーナーが『What did we decide?』って小見出し(帯)の下になります。

『We raised interest rates by 0.25 percentage points

Our future decisions will depend on how we see inflation developing and how well our past rate hikes tame inflation.』(今回)

『We raised interest rates by a further 0.25 percentage points

Our future interest rate moves will depend on how we see the economy and inflation developing and how well our rate hikes are taming inflation.』(前回)

今回ってイラストは前回と同じなのですが、前回って「ファーザー0.25%」で「さらに上げましたお!」って感じの自己主張が見られたわけですが、今回はこのファーザーが抜けていて、なんかあっさり味に仕上がって
いますね、というのが最初の部分。

でもってもっと面白いなと思ったのは「Our future decisions will depend on〜」以下の表現で、インフレーションのディべロッピングというのは同じなんですけど、再掲しますと

(今回)how well our past rate hikes tame inflation
(前回)how well our rate hikes are taming inflation

ということでして、これって今回は表現が現在形になっているので、「これまでの利上げがインフレーションをおとなしくさせて来ましたよ」という認識をより強く示した、という風に解釈するもんだと思う(時制の使い方とか中々ムツカシヤの世界であるのでアレなんですが)のですよね。たぶんさっきの「ファーザー」のカットもそうですけれども、これは「やっと引き締めが効果を発揮して物価に沈静化の動きが始まったですバイ」って感じを表現しているんでしょうなあということで。

政策決定に関するイラストは今回この一本だけです。前回は『We are ending part of our asset purchases』(前回)ということで、『In July we will stop buying bonds under our asset purchase programme.』(前回)とありましたが、これは今回は出てこないですな。


次のコーナーが『What is going on in the economy?』です。

最初の絵ですが、

『Inflation has been coming down but is still too high

Prices are no longer rising as much for many goods and services, though food is still getting a lot more expensive every month. Higher wages are increasingly driving up inflation.』(今回)

『Inflation has come down from its peak but is still too high

Energy prices have dropped sharply in recent months. But prices for food and services are still rising strongly.』(前回)

イラストの前回との違いは、今回は空に紙飛行機が飛んでて、これが画面右の方に向かって軌道をさげながら進んでいく、というような絵柄になっておりまして(なのでカテゴリー別の物価動向を示すイラストがそれに合わせて、かどうかわからんけど変化しています)、つまりは先行きの物価沈静化に対する自信が出てきましたバイ、とでも言いたいんでしょうな。声明文も会見も精読しないでいきなりこれ読んで(見て)思うのですが。


次の絵です。

『The economy is weak now, but should recover later in the year

Lower inflation and fewer supply problems will help. Services are doing well, but manufacturing is weak, partly because borrowing is more expensive.』(今回)

『The economy is a mixed picture

Services are doing well because people are consuming them quite a lot. Manufacturing firms still have a large amount of orders to work off, but the outlook is worsening for them.』(前回)

絵柄の方は何か似ているのですが、明るい世界のイラストの登場人物が増えているのと、観光と外食の他にライブ会場っぽいのもあったりして、明るい世界の方がにぎやかになっているのでまあそういう事やぞという話なんでしょうね、よー知らんけど。

でもって文章の方ですが、今回はしれっと「Lower inflation(略) will help.」とか入れてるのチャーミングですし、更に製造業が弱いという話の中に「partly because borrowing is more expensive」と利上げ効果を混ぜ込んでいるのも芸が細かくて、総じて「ワシらの金融引き締めが効果を発揮して状況が望ましい感じになっておる」というのがあるので、金融引き締めの到達点が見えてきましたなというメッセージと「金利上昇が企業活動を抑制しだしている」ということでこれ以上そんなにホイホイと引き締めのおかわりもせーへんじゃろというのはこの辺の変化では読み取ってみましたがどうでしょうかね。


更に次の絵。

『Almost a million new jobs were created in the first three months of the year

The strong jobs market is keeping unemployment at its lowest level since the start of the euro. Wages are going up for many workers.』(今回)

『Rising wages and higher profits are behind high inflation

Workers are getting larger pay rises to make up for high inflation. Businesses have put up prices to cover this and are also making bigger profits.』(前回)

ちょwwwwwwwwwという感じでして、こちら前回(まで)はおちんぎん上昇からの物価スパイラルの話をしていたのに、一転して「雇用が創出されました」「多くの人のおちんぎんが上がりました」とポジポジ要素満載な書きっぷりになっていますね。これは引き締め終了が近い事を示唆していますな。


最後の絵になります。

『Getting a loan is the most expensive it has been in more than a decade

As interest rates are going up, fewer firms and households are taking out loans. We are closely watching how higher interest rates affect the economy.』(今回)

『Fewer people and businesses are taking out loans

Since interest rates are higher now, mortgages have become more expensive. For the same reason, fewer businesses are borrowing money to fund investments.』(前回)

絵柄的には前回も今回も「ローン金利が上がってアイヤーと頭を抱えるビジネスパーソン」って感じの絵なのですが、アイヤーとなっている人が1名から2名に増えてるとか、芸の細かさに感心ししますけど、まあ文章の方がより分かりやすくて、書きっぷりが今回「金利上昇でビジネスにマイナスの影響を注視しますわ」になっていますので、これまた利上げをここからおかわりでホイホイと実施していくのか、というのには慎重って感じ(ゆうてインフレの方が高いので停止、と明言するのもあまり良くないんでしょうけれども)ですな。

まあFEDも昨日申し上げましたようにステートメントに関して言えば別にタカタカしてなくて、何なら利上げの終了も出来る書き方になっていたけど、SEPでは謎にファイティングポーズを取る、というインチキコミュニケーションをしていたので、会見とかの方がどうなのかとかも要確認ということでしょうけど、少なくともこの絵とその説明文を見ると、前回は無かった打ち止め的なニュアンスが随所に出てますね、という感じかと思いましたがさてどうでしょうかね。

なお、本当はここで物価見通しと経済見通しの部分も引用すべきなのですが、日銀会合もあることですので(ナンジャソラ)今朝はここで勘弁して頂きとう存じます。







2023/06/14

お題「FOMCレビュー:声明文は利上げ停止の雰囲気を出しながらドットチャートはくそつよでワロリンチョ」

なおオープニングリマークはまだ読んでなくてQ&Aはまだ聞いてなくて市場の反応は敢えて見ないでこれから書きますので宜しゅうに。

〇声明文:こっちを素直に読むと利上げ停止も普通に可能性としてアリエールなのだが・・・・・・・

今回
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230614a.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20230614a1.pdf(PDF)

前回
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230503a.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20230503a1.pdf(PDF)

文書を紙に打ち出して目視比較はPDF版で実施してますが引用はHTML版から実施します。

・第1パラグラフ:現状認識は同じだが「指標をチェックした」アピール文言が入る

『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a modest pace. Job gains have been robust in recent months, and the unemployment rate has remained low. Inflation remains elevated.』(今回)

『Economic activity expanded at a modest pace in the first quarter. Job gains have been robust in recent months, and the unemployment rate has remained low. Inflation remains elevated.』(前回)

「Recent indicators suggest that」が頭に入ったのが違いますね。これは「指標を点検した」ってアピールになっていまして、まあご案内のように今回利上げ行わなかったということで前回と違うから「指標を点検した」というのもあるでしょうし、前からそうですが「データディペンデント」って言ってるので、今後も「データ次第だよ」を強調したいというのもここに籠められてるのかな、とは思いました(個人の感想です)。

・第2パラグラフ:金融問題の影響云々から始まるこのパラは全文一致

『The U.S. banking system is sound and resilient. Tighter credit conditions for households and businesses are likely to weigh on economic activity, hiring, and inflation. The extent of these effects remains uncertain. The Committee remains highly attentive to inflation risks.』(今回)

『The U.S. banking system is sound and resilient. Tighter credit conditions for households and businesses are likely to weigh on economic activity, hiring, and inflation. The extent of these effects remains uncertain. The Committee remains highly attentive to inflation risks.』(前回)

全文一致でした。


・第3パラグラフ:金利据え置き、今後の追加的な記入引き締めに関わる文言の辺りに変化がありましてですなあ

今回のキモはここしかない。

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回)

いつもの奴、お経の最初にある偈みたいなもん。

『In support of these goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 5 to 5-1/4 percent.』(今回)
『In support of these goals, the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate to 5 to 5-1/4 percent.』(前回)

金利据え置き来ました。

『Holding the target range steady at this meeting allows the Committee to assess additional information and its implications for monetary policy. 』(今回)
『The Committee will closely monitor incoming information and assess the implications for monetary policy.』(前回)

まずはここが変化なのですが、今回何で据え置きをしたのか、というのは「今後の情報を分析し、金融政策へのインプリケーションを検討するための機会を与えるから」だそうでして・・・・・・・・・・

『In determining the extent of additional policy firming that may be appropriate to return inflation to 2 percent over time, 』(今回)
『In determining the extent to which additional policy firming may be appropriate to return inflation to 2 percent over time,』(前回)

スイマセン、カンマの所で一旦切っておりますが、この先はいつもの「政策の累積的効果やラグやら何やらかんやらを確認しながら」というのが入って、そこ自体は同じなのでそこまで引用すると比較しにくくなるのでここで一旦切りました。

でですね、この変化が何ですねんという事なのですが、アタクシもそもそもドメスティックおじさんにも程があるので本当はこういうのアメリカンに聞いた方が良いのかもしれませんが、前回は「どの程度の追加引き締めが適切だろうかという程度を判断する」だったのが、今回は「追加引き締めの程度がどの位が適切かというのを判断する」という感じ(ええい日本語の書き方がががが)という風に読みまして、即ち前回は「追加引き締めは所与でどの程度引き締めするのか」という表現だったのが、今回の表現は「方向性として追加引き締めで程度を考えるのだが、追加引き締めをしないという「程度」の判断もあり得る余地を残している」と共通一次試験の英語が(ピー)点のワイは解釈したんですが、真逆だったら許してちょんまげ。

でまあその先は実は全文一致でして、

『the Committee will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.』(今回)
『the Committee will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.』(前回)

からの、

『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described in its previously announced plans.』(今回)
『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described in its previously announced plans.』(前回)

BS縮小計画は引き続き同じように実施。

『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(前回)

締め文言も同じです。


・第4パラグラフ:いつもの全文一致

全文一致だからめんどくさいので一気に引用するよ。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(前回)

本来こっちのほうを弄れよと思うのだが何故か3パラの方で細かい芸をかましてくるFEDちゃん。


・第5パラグラフ:全員賛成は今回も一緒

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Patrick Harker; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari; Lorie K. Logan; and Christopher J. Waller.』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Patrick Harker; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari; Lorie K. Logan; and Christopher J. Waller.』(前回)

ということでまあ今回問題になるのは3パラの書き方の変化ですけど、かつては日銀文学がこの手の微細な表現の魔術師だったのですが、最近はFEDに完全にその魔術師の座を奪われましたな、と思いますが、こういう時に英語話者じゃないのが中々辛いんですが、まあこういうの基本的に構文解釈だったら受験英語の要領でいけるもんだと期待しています、というかそうでないとアタクシ憤死するんですけどぬー。


・インプリメンテーションノート:ディレクティブに関して変化はありませんでした

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230614a1.htm(今回)
Implementation Note issued June 14, 2023
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230503a1.htm(前回)
Implementation Note issued May 3, 2023
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

各種ファシリティ金利、オペ金利、オペの応札上限に制限があるものの応札上限、に関する記述に変化はありませんでした。念のため書いておくと。

・IORは5.15%
・FF誘導金利は5.00−5.25%
・翌日物レポオペの最低応札金利は5.25%、1社あたり応札上限は5000億ドル
・翌日物リバースオペ(ONRRP)の金利は5.05%、1社あたり応札上限は1600億ドル
・FED保有米国債の償還分は月600億ドルまでは再投資実施
・FED保有モーゲージ債の償還分は月350億ドルまでは再投資実施
・ディスカウントウィンドウのプライマリークレジットレートは5.25%

となっています。しかし金利水準がここまで高くなっているのにこのクッソ低いコリドーで運営していると、金利がプラスだからという意味で口銭は短期市場に入るから良いのでしょうけど、全然相場が動かんじゃないのというか、あんまり上下ガチガチにしちゃうとショックに脆弱になると思うのですよね、何でかと言われると答え方が難しいのですが長年の動物的感覚としてそう思う、というアタクシの脊髄が申し上げている話ですけどね。


〇SEP:ドットチャートがクソ強くてワロリンチョで23年2回利上げもそうだがロンガーラン何で上がっとんねん

今回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20230614.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20230614.htm(HTML)

前回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20230322.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20230322.htm(HTML)

基本的にこれも紙に出してみるのはPDF(の最初の4枚だけです、汗)で引用はHTMLって感じで。


・経済物価見通し:手前の見通しを全般的に引き上げ

ご案内の通りで23年の政策金利見通しが結構お強いのですが、手前の経済物価見通しが上方修正されていないとそら整合性はつかんわなという感じです。しかし実質GDPは威勢よく上げましたな。、

左から2023、2024、2025、ロンガーラン

Change in real GDP  1.0  1.1  1.8 1.8
March projection   0.4  1.2  1.9 1.8

ちょwwww手前テラ上方修正wwwww

Unemployment rate   4.1  4.5  4.5  4.0
March projection   4.5  4.6  4.6  4.0

うむ、こちらも強くしておる

PCE inflation    3.2  2.5  2.1  2.0
March projection   3.3  2.5  2.1  2.0

ヘッドラインは若干下がりましたが、

Core PCE inflation4   3.9  2.6  2.2
March projection     3.6  2.6  2.1

コアの見通しは上がったと。


・2023年末のFF金利見通しの威勢がやたら良い件について

でもってみんな大好きドットプロットですが、今回はなんせ23年末のFF金利の見通しですわな。

3月(3月時点のFF金利4.75-5.00%に対して)
据え置き:1名
1回利上げ:10名
2回利上げ:3名
3回利上げ:3名
4回利上げ:1名

だったのですが、今回はと言いますと

6月(6月時点のFF金利5.00-5.25%に対して)
据え置き:2名
1回利上げ:4名
2回利上げ:9名
3回利上げ:2名
4回利上げ:1名

となってて、利上げ止めてるのにドットの方は前回よりもクッソ強くなっているというのがワケワカメになっておられますな。

で、先の方のFF金利水準はというと、23年が上方シフトした分がフルスライドしている訳でもない、というのがかなりお洒落になっていまして、これはまあさすがにメディアンだけ見るのも何なので大勢見通しも引用しますね。

Median
Federal funds rate    5.6   4.6   3.4   2.5
March projection     5.1   4.3   3.1   2.5

Central Tendency
Federal funds rate    5.4-5.6   4.4-5.1   2.9-4.1   2.5-2.8
March projection     5.1-5.6   3.9-5.1   2.9-3.9   2.4-2.6

ということで、なんか目の子で見た感じでも24年以降って23年を上方シフトしたよりもフルスライドにはなってないなという感じで何ちゅう微妙なと思いますが、今回しれっとロンガーランが上がっているのがほほーと思いました。3月→6月の変化で。

2.25%:3人→0人
2.25-2.50%:2人→3人
2.50%:8人→7人
2.50-2.75%:1人→2人
2.75%:0人→2人

となっていまして、3%以上の変態が3人いましてこれは動いていない(3.00と3.25と3.50-3.75に各1名の変態が居る)のですが、変態(ちなみに変態仮面ブラード大先生は「ロンガーランのFF金利なぞ出せんわ」という生来の主張でロンガーラン出してないから人数の合計が合わないです)を除いた皆さんがしれーっと上方シフトしておりまして、「おーここで動かすのかー」と思いました。どうせ会見で誰か質問してるんじゃ無いかなと思うがそこまで今日は手が回らんので勘弁島倉千代子。

思わず、これパーティシパント入れ替わったっけとか確認しましたわ。ちなみに確認方法ですが、3月会合なら議事要旨(https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230322.htm)、直近のはとりあえずFOMCとは何ぞやのページ(https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomc.htm)で見る(ただし直近のだとメンバーでもオルターナティブメンバーでもない人(今ならブラードとコリンズ)の名前が書かれてないのでアレですが)と分かりますが別に大規模な入れ替えは無いよなとか見てしまいました(^^)。

なんでですかねえ・・・・・・・・・・

ということで、市場の想定範囲内って感じだとは思うのですが、ドットチャートは強く出すだろうとは予想されていたでしょうが、思いの外強かったかもって感じなんですかね(ガチでまだ見ていないですこれから見るけど)。

なお、会見に関しては日銀の変な記事でもない限りは明日にでも。






2023/06/14

お題「唐突ですがNYとクリーブランドとアトランタの共同調査による「企業の価格設定行動」についてのNY連銀ブログから」

イニシャルクレームとかで一々動くのはアレですがCPIは本命オブ本命ですからね
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPL4N3853UN
2023年6月14日4:40 午前
NY外為市場=ドル3週間ぶり安値、CPI受け利上げ一時停止観測

『ニューヨーク 13日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが3週間ぶりの安値に下落した。この日発表された5月の消費者物価指数(CPI)を受け、米連邦準備理事会(FRB)が14日まで開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを一時停止するとの見方が強まった。』

『米労働省が13日発表した5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比の伸び率が4.0%で、4月の4.9%から大きく鈍化し2021年3月以来、2年余りぶりの穏やかな伸びとなった。』(上記URL先より)

よく考えたら4%ってまだクッソ高くて、せめて3%台前半っていう感じなんでしょうけれども、上記記事(の引用してない部分)にあるように「この先もデータ次第で利上げあるで、そもそも4%のCPIは高杉晋作」とかパウエル兄貴はそういう話をするとは思いますが、市場様の方はこれで金融引き締め終了コースだヒャッハーと言って資産価格が上昇するとすかさず消費が上向いて物価がサガランチ会長になってくるという面白パティーンになりそうですなさてどうなるやら。


〇若干提灯忖度感もなくは無いけどネタとしては割と興味深かったかなと思いましたので(個人の感想です)ヒマネタ勘弁

ニューヨーク連銀のサイト
https://www.newyorkfed.org/

直近(と言っても6/2ですが)にこんなお題のちょっとしたコラムっぽいのがあってですね。

Liberty Street Economics
https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2023/06/how-do-firms-adjust-prices-in-a-high-inflation-environment/
JUNE 2, 2023
How Do Firms Adjust Prices in a High Inflation Environment?
Wandi Bruine de Bruin, Keshav Dogra, Sebastian Heise, Edward S. Knotek II, Brent H. Meyer, Robert W. Rich, Raphael S. Schoenle, Giorgio Topa, and Wilbert van der Klaauw

こちらなんですけど、連銀ブログ形式になっていまして、NY連銀のは「Liberty Street Economics」(って米国東海岸って人生で一度も足を踏み入れてないのでよー知らんのだが住所か何かに由来するのけこの名前)というものでして、右の方にブログのご紹介があって、

『About the Blog

Liberty Street Economics features insight and analysis from New York Fed economists working at the intersection of research and policy. Launched in 2011, the blog takes its name from the Bank’s headquarters at 33 Liberty Street in Manhattan’s Financial District.

The editors are Michael Fleming, Andrew Haughwout, Thomas Klitgaard, and Asani Sarkar, all economists in the Bank’s Research Group.

Liberty Street Economics does not publish new posts during the blackout periods surrounding Federal Open Market Committee meetings.

The views expressed are those of the authors, and do not necessarily reflect the position of the New York Fed or the Federal Reserve System.』

ゴメン住所由来だって書いてあったわwwwwwというのはさて置きまして、「The views expressed are those of the authors, and do not necessarily reflect the position of the New York Fed or the Federal Reserve System.」と銘打っていながら、「Liberty Street Economics does not publish new posts during the blackout periods surrounding Federal Open Market Committee meetings.」とあって、個人の見解です(キリッ)って言ってるのにFOMCブラックアウト期間には新規のネタの投下を行いません、って辺りがお察し感溢れますな。


でまあ直近ポストのネタは『How Do Firms Adjust Prices in a High Inflation Environment?』ということで、ほうほうと思う一方で、最近のNY連銀ってどちらかというとハト派(ウィリアムズはタダのポンコツなのでハトもタカもあったもんじゃないけど)っぽい物件が出やすいかなとは個人の感想ですの世界ですけど思う次第でして、まあそんな事も勘案しながら鑑賞します。



まずは前文ですがサマリーを兼ねているので頭から参ります。

『How do firms set prices? What factors do they consider, and to what extent are cost increases passed through to prices? While these are important questions in general, they become even more salient during periods of high inflation.』

企業の価格設定行動の動機として重要なファクターは何でしょうか、というのが重要、というお話をしている訳でございまして、いやもちろんこの前のさくらレポート別冊にあるように、日銀だってこういう問題を精査している筈だと思うのですが、何がどう忖度をしているのか存じませんけど、まー見事にこういうのが出てこない訳ですな。

うっかり出すと、おんどれらの分析によれば企業の価格設定行動は今後も強いじゃねえか何で物価がそう下がるって見通しなんだ馬鹿、という風に逆ねじを食らわされるリスクが多分にありますし、大体からして今の植田さんの2%物価目標達成しないって話が「先行き不確実で自信がないから」とかいうおんどれらのお気持ち表明で、それって物価見通しに自信がないんじゃなくて、政策変更するのが怖いから物価見通しに自信が無いことにしたんじゃろ、とまあそうやって息をするようにどこぞの中央銀行に悪態をつくわけですがそれは兎も角。

『In this blog post, we highlight preliminary results from ongoing research on firms’ price-setting behavior, a joint project between researchers at the Federal Reserve Banks of Atlanta, Cleveland, and New York.』

クリーブランドとアトランタとNY連銀の共同調査による考察だそうです。

『We use a combination of open-ended interviews and a quantitative survey in our analysis. Firms reported that the strength of demand was the most important factor affecting pricing decisions in recent years, while labor costs and maintaining steady profit margins were also highly important.』

「open-ended interview」と「quantitative survey」を使っているそうです。この辺はさくらレポート別冊でもそんな感じで出ている(というのになぜか債券市場サーベイは「quantitative survey」の結果だけポーンと出ているというのは何ちゅうかかんちゅうかである)ですわなということで中銀のミクロ調査の基本なんでしょうね。

『Using three methodological approaches, we consistently estimate a rate of cost-price passthrough in the range of 60 percent for the representative firm over 2022-23-with considerable heterogeneity in this number across firms.』

この辺の分析手法の話になるとおっちゃん四則演算しかできないのであばばばばーであるが、

『We used a two-stage approach to study firms’ pricing behavior.』

ほうほう、その2ステージとは??

『In the first stage, we conducted open-ended, semi-structured interviews with around thirty business decision-makers (CEOs, CFOs, and business owners) from a variety of industries in 2021 to talk about their price-setting behavior.』

30人ほどの企業エグゼクティブに「open-ended, semi-structured interviews」をしました。

『The findings from these interviews informed a second-stage quantitative survey of about 700 businesses that was fielded in late 2022 and early 2023 across the Second, Fourth and Sixth Federal Reserve districts. We present many preliminary findings from this project here; in this post, we discuss a few highlights from the study.』

でもってその結果をもとにNYとクリーブランドとアトランタ(何番ってあるのは地区連銀に東の北から番号が振ってあってボストンが1番でサンフランシスコが12番って奴ね)の連銀管内の700社くらいにサーベイを取りました。ということだそうです。オモロイ。



ということで次の小見出しが本命の『What Are the Most Important Factors in Pricing Decisions?』である。

『The chart below reports the share of firms that view various factors as “important” or “very important” in determining their price-setting decisions. The strength of demand, labor costs, and maintaining steady profit margins are the three most-cited factors, with competitors’ prices and nonlabor costs also cited by a majority of firms.』

「The chart below」ちゃんは例によってアタクシにそんなものを磔刑にするスキルがないので上記URL先にあります『Determinants of Pricing Decisions』ってのを見て頂きたいのですが、中々親切設計で項目(棒グラフの棒)の所にカーソルを持って行くと何%の人が「これは価格設定時に重要なファクター」と回答したってのの企業割合パーセントが出てきます。順序はこうなっていまして、

需要の強さ:82.2%
着実な自社のマージン確保:70.2%
賃金および労働コスト:70.0%
競合他社の価格設定:57.6%
労務関連以外のコスト:55.4%
世の中のインフレ率:52.0%
サプライチェーンにおける問題:43.0%
借入金利や資本コスト:30.4%

金融引き締めで総需要を抑制して、労働市場の動向特に賃金に注意をする、と言ってるFOMCの皆様もニッコリという結果になっていて、提灯の香りもせんでもないですが、ゆうてまあ順当な結果という説もあります、でも総需要ダイジダイジネーという話を補強するものになりますよって、やっぱりそう簡単にホイホイと利下げをするという話にはならない(この調査をまともに使用したらの話です為念)ですし、足もとみたいに米国株式市場がヒャッハーとか言い出すと、年金資産の含み益でアメリカンドリームだぜヒャッハーとなるのがメリケンクオリティ(個人の偏見です)との従来のアレからすると、実際に追加利上げするかどうかは兎も角、そう簡単にファイティングポーズは解除できず、結局現状維持+ファイティングポーズの上げる上げる詐欺、というのが続くんでネーノというワイの妄想を補強する感じかな、と思いました(個人の感想です)。


文章の方はと言いますと実は図表の前にさっきの続きがありまして、

『Our open-ended interviews shed some light on how these factors affect prices.』

こっちはインタビューの方ですね。

『The most common connection between the strength of demand and price-setting is that before deciding whether to pass through a given increase in costs, a firm will assess what effect this increase in prices will have on sales-in some cases by explicitly estimating the elasticity of demand.』

『Many respondents report that they have explicit targets for profit margins or set prices as a fixed markup over costs, consistent with the importance of maintaining steady profit margins and of carefully monitoring their own costs.』

『In general, our interview responses suggest that firms set variable markups in response to demand conditions-consistent with some models of price-setting.』

でもってそもそも何で価格上げるかというとそのスタートはコストの上昇で、コスト上昇をパススルーした場合に需要が減ってしまうかどうかというのを考えながら価格設定をするんですが、同時にマージンの確保も重要視していますよ、という事のようですな。



でもって次の小見出し『How Are Cost Increases Passed Through to Prices?』に行きます。今度はコスト上昇がどうやって転嫁されるかって話。

『We obtain estimates of cost-price passthrough using data from our quantitative survey in three different ways.』

はい。

『 First, we run a regression of the reported percent change in prices on the reported percent change in costs over the last twelve months, controlling for firm sector and size fixed effects.』

『Because the survey was fielded around the end of 2022, this “backward-looking” approach yields a measure of passthrough over most of 2022.』

『Second, we compute a “forward-looking” measure, regressing the expected percent change in prices on the expected percent change in costs over the next twelve months.』

2022年のコスト転嫁の話と、この先のフォワードルッキングのコスト上昇の話を調べたそうな。

『The table below summarizes our findings. Columns 1 and 2 show that the estimated average passthrough is around two-thirds in the backward-looking case and only slightly higher (about 69 percent) in the forward-looking case. Adding past price and cost changes to allow for possible lags (column 3) lowers the estimated passthrough to about 63 percent. In addition, we find that controlling for firms’ own inflation expectations (column 4) has little effect on our estimates of passthrough. Expectations about aggregate inflation have a statistically insignificant effect on future prices, suggesting that aggregate inflation is not an important factor in firms’ pricing decisions after we control for expected changes in costs.』

結果はマトリックスみたいな表で、『Regression-Based Estimates of Cost-Price Passthrough』というのがあるのでみてちょんまげなのですが、ここでクソワロタのは「we find that controlling for firms’ own inflation expectations (column 4) has little effect on our estimates of passthrough.」という所でして、インフレ期待はコストのパススルーに関して特段の影響がない(確かにRegression-Based Estimates of Cost-Price Passthroughを見ると係数が壊滅的に低い)という所でして、インフレ期待の引き上げが一丁目一番地とは何だったのかと小一時間である(まあこれはコストのパススルーに話を絞っているのでそこは割り引いて考えないと行けませんけど)。

『These regression-based estimates identify passthrough based on the cross-sectional correlation between firms’ actual or expected change in prices and change in costs. However, this strategy may not correctly identify the causal effect of a change in costs on prices if omitted variables, such as the strength of sectoral demand, drive the cross-sectional variation in both prices and costs.』

でもって3番目のアプローチ。

『Thus, our third approach to estimate passthrough was based on the following hypothetical scenario posed to respondents: if your cost growth over the next twelve months were five percentage points higher than what you currently anticipate, then by what percent would you expect to change your prices?』

仮定法過去の質問キタコレですが、「この先12か月のコストが5%上昇すると言う事が現時点で想定できたという場合、あなた方の企業では価格を何ぼ引き上げまっか」という質問をしたそうな。

『We then compute hypothetical passthrough estimates as the difference between the reported hypothetical price changes and the baseline expected price changes, expressed as a share of the five-percentage-point hypothetical cost increase. Using this approach, average passthrough is 50 percent and the median is around 60 percent, similar to our earlier regression-based estimates.』

概ね平均で想定コスト上昇の5割、メディアンで6割の価格パススルーが行われるそうで、これはこの手の調査を以前もやっているようで、それとも整合的ですよという話でした、へーへーへー。

『The above estimates are for the average or typical firm, but there is wide dispersion in the distribution of passthrough estimates across firms, as summarized in the table below.』

ってありまして、『Distribution of Passthrough Estimates』という表があるんですけど、「経験的にこんなもん」というのと「バックワードルッキング(実績値)」というのと、「フォワードルッキング(見通し)」という3つの要素でコスト上昇をどのように転嫁しまっかというのを分解してて、転嫁度合いを0−1で見た時に、企業によるばらつきがどんな感じですか、というのが表になっています。

『We present reported passthroughs from the hypothetical exercise in the first row. For comparison, in the last two rows we also report the distribution of backward- and forward-looking measures of passthrough across firms, here computed as a simple ratio of the change in prices to the change in costs (either over the past twelve months, or expected over the next twelve months, respectively).』

この部分は表の項目の説明。

『In the hypothetical and backward-looking approaches, most firms report passthroughs strictly below one. That is, most firms expect to experience margin compression following a hypothetical increase in costs, or have already experienced margin compression in 2022.』

あらあらあらという感じですが、2022年のバックワードなコスト上昇に関しては「most firms report passthroughs strictly below one」(ちなみに1未満は「経験的」では59.2%で「バックワードルッキング」では53.9%だからmostって程でもない気がしますが)なので、「most firms expect to experience margin compression following a hypothetical increase in costs, or have already experienced margin compression in 2022」ということで、昨年のコスト状況を転嫁しきれていなくてマージンが減少している企業が多いです、という話になりまして、

『Estimated passthroughs tend to be higher in the forward-looking approach, with almost half of all firms expecting to keep margins steady through 2023. Sizable shares of firms report no passthrough, full passthrough (equal to one), as well as passthroughs that are greater than one across all three approaches.』

予想されるコスト上昇のパススルーを実施、って言う社は半分以上(68.7%)ってなっているので、これはつまり2022年の企業の価格引き上げは足りなくて、今年もあがりまっせという話がサーベイからは読み取れる、というこれまた忖度の香りもせんでもない予定調和(かどうかは知らんけど)な結果になっていますな、うんうん。

それからパススルー出来てない企業群というのもいまっせという話もしていまして、

『Our open-ended interviews suggest that some firms do not pass through cost increases because prices are set based on long-term contracts or because they face strong competition. In contrast, other firms cite strong demand as the factor that enables them to expand their margins and to raise prices by more than the cost increase.』

競争者が多くて価格競争が厳しいセクターでは価格転嫁が出来ていないとのお話もしてます。確かに0だの0未満だの全然コスト上昇を転嫁できてないというおそロシアな回答も結構あるのね。まあサーベイだからその辺はやや割り引いて見る必要はあると思うけど。


最後は『Conclusion』ですがまあ別にあたらしい事は書いてないですがここまで全文引用したので勢いで引用。。

『Using a research design that combines open-ended interviews with a quantitative survey of about 700 businesses, we find, on average, cost-to-price passthroughs in the 60 percent range during a period of elevated inflation-when firms were intensely knowledgeable about, and focused on, prices and costs.』

『These estimates mask considerable heterogeneity, with some firms reporting a passthrough greater than one. Firms report that the key determinants of their pricing decisions include the strength of demand, maintaining steady profit margins, labor and nonlabor costs, and competitors’ prices. The interplay among these various factors and how they contribute to the observed heterogeneity in passthroughs is an important topic for future research.』








2023/06/13

お題「シュナーベル理事のインタビュー記事が意外に面白かったので先日の続き」

ブルームバーグもちょっとは聞く相手というのを選ぶべきだとおもいます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-12/RW4AUET1UM0W01
日銀の政策正常化に向けた動き、今後数カ月見込まず−若田部前副総裁
藤岡徹
2023年6月12日 13:07 JST

退任直後からべらべら喋るとか品位の欠片も無いのですが、寧ろこのオッサンの場合は浜田宏一ムーブで記者が来ると大喜びで妄言を並べて記事になってしまうの巻という流れの跡目相続でもしたんじゃなかろうかという風情を醸し出しております。

しかしまあ何ですな、BBGってマシだと思っていたのに(まあ若田部を出してる時点でアレだとは思ったが)記事のこの記載にはがっかりですわ。

『この発言は、日銀が今週末の会合で緩和策を維持するとの市場の見方を補強するものとなりそうだ。』(上記URL先より)

補強しねーよ。、


〇先日ネタにしたシュナーベル理事のベルギー紙でのインタビューの続きである

https://www.ecb.europa.eu/press/inter/date/2023/html/ecb.in230607~3fc7acf294.en.html
Interview with De Tijd
Interview with Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, conducted
by Wouter Vervenne and Kris van Hamme on 31 May 2023
7 June 2023

Please note that the interview was conducted in English and translated into Dutch and French. In case of discrepancies between the versions, the English version prevails.

インタビューの後半(最後3分の1くらい)の方ですが、今回も質問と回答の頭にQAを補記します。話が綺麗に流れるので途中から引用するのが話の流れ的にややこしいのでダラダラ引用になってしまって申し訳ないのだが。


Q『Aren’t the central banks responsible? Leading economist Raghuram Rajan recently stated that extremely loose monetary policy had made the financial system vulnerable by encouraging speculation. Would you agree?』

その前に銀行問題の話がちょっとあって(そこの質疑はイマイチなので割愛)、金融緩和のやり過ぎで金融システムへの脆弱性が出来る、という件に関していかがかという質問があって、なんと回答するのでしょうかねえと思ったら、

A『Central banks always have to look at the side effects of their monetary policy actions, including the risks for financial stability.』

そこは「except BOJ」と入れて欲しかった(いれねーよ)。

『One of the objectives of our bond purchases was to incentivise higher risk-taking in the economy.』

債券購入の目的の一つは経済に対するリスクテイクへのインセンティブを高めることである、と来まして、

『We need to analyse in more detail how that has affected financial stability risks over time and, in future, we may need to better balance the benefits against the side effects.』

どっかの中銀総裁の学者様に百回朗読させたい。

『It’s clear that the fragilities are partly related to a long period of low interest rates, which however was not only due to monetary policy but also to structural factors.』

長期間にわたる金融緩和によって金融システムに脆弱性が発生する、というのは一部にあるが、それだけではなく構造的なファクターも要因としてある、という言い方をおっぱじめましたわシュナーベルさん。なおそのディテールについて何か言うかと思ったら回答はここでおしマイケルで甚だ遺憾である。


Q『In the past, tightening monetary policy after a long period of cheap money has often triggered a banking crisis. Do you think further mishaps can be avoided?』

この人、引用すっ飛ばしましたがその前の所でも「銀行の預金金利が上がらないということで批判があるが」という質問した直後に「預金金利が上がると銀行の収益が厳しくなりますが」と質問してて、うーんその矛盾質問の連投は如何なものかと思ったが。

A『The banking sector is robust, and the economy has so far proven resilient, even though there are some signs of slowing growth. The euro area economy is subject to countervailing forces. On the one hand, it is benefiting from falling energy prices, fading supply bottlenecks and still expansionary fiscal policy.』

完全に質問を外して回答していますな、まあさっきの質問の後にこれ聞かれたらまともに回答しないわな、とはワタシも思うのでこれはシャーナイ。

『On the other hand, tighter monetary policy has a dampening effect. There is a striking divergence between the weak manufacturing sector and the strong services sector - a global phenomenon. At present we do not expect a recession in the euro area. Negative growth in Germany in the first quarter of 2023 was mainly driven by a marked decline in government spending. The labour market remains strong and unemployment is at historical lows. Our March projections pointed to a soft landing of the economy. But we cannot be sure that it will really work out that way.』

でまあ質問と関係ない講釈として、ユーロ圏経済の話をしているのですが、私らにとってはこの部分サービス回答みたいなもんで、なんかしっかりユーロ圏経済の見通しについて説明してるのですが、製造業がアカンのに対してサービスセクターは強いというダイバージェンス現象(ただしこれはグローバル現象)、政府支出の削減によって経済成長は減速中、労働市場は強い、先行きのリセッションは見ていない、だそうです。これはまあ今週のECB定例理事会でもそういう感じで出て来るんだろうなあと思いました。


でもってシュナーベルが財政要因について説明したのでこんな質問が。

Q『You mentioned fiscal policy, which has been very accommodating since the pandemic. Doesn‘t that hamper your fight against inflation?』

財政がパンデミック以来極めて拡張的ですがそれはインフレとの戦いに不利に働きませんか???とド直球質問キタコレな訳ですが、

A『Fiscal policy in the euro area as a whole is still expansionary and this fuels inflationary pressures.』

ユーロ圏の財政政策は依然として拡張的であり、これはインフレ圧力に燃料を投下しています、って思いっきり言ってしまっているのがシュナーベル専務理事のチャーミングな所。

『Monetary policy then needs to be more forceful to counteract that.』

従って金融政策は財政ガバガバ政策がインフレ圧力を招くことに対して対処するために、より抑制的にならないといけません、と思いっきり言ってやがりまして、まあECBって普通に政策タイトにしてくるよねというのが読み取れるかと思います。

しかしここで話が脱線しますが、この前のECBとかIMFの指摘であった「日銀のYCC解除による影響」の話なんですが、あれファイナンシャルスタビリティー的にはリスク(ホンマカイナという気はするがそれはさておき)な訳ですが、こういう文脈で考えたら、以前も申し上げたように「日本の馬鹿緩和が輸出されてしまうから余計に金融引き締めをしないと行けなくなっている欧米中銀の図」という事にもなっていると言えるわけでして、いやークソ迷惑中銀だわ日銀は、と今日も今日とて悪態となるのでした。

『We have been stressing for some time now that governments should focus on expanding the supply capacity of the economy in order to boost productivity (through education, infrastructure, the labour market, Ed.). That would help dampen inflation. But that is not what is happening in most countries.』

でまあシュナーベルさん、結構踏み込んだ話をしてるなあと感心したのですが、財政支出に関してはECBとしてはその支出を供給能力の向上に振り向けて、生産性の向上(教育とかインフラ整備とか労働市場とかへの財政支出)を行うように、と折に触れて申し上げていますが、と成程という話をしております。ただ現状殆どの国ではそういう財政支出が出ていませんなあ、ということで、こりゃ引き締めバイアスが通常よりも3割うまいぎょうざの満洲と言った風情になるわなと思いました。


さてその「needs to be more forceful」について次の質問が飛ぶ。

Q『Speaking of forceful policy: are there still any hawks at the ECB? German central bankers like yourself are typically thought to support a rigid and strict policy, whereas you are known as a pragmatic central banker who looks at the data and is not afraid to change her mind.』

ECBはタカ派なの??ということですが

A『We all look at the incoming data to take the right decisions. But the data can be interpreted in different ways, which is why we have extensive discussions. Our objective is to take balanced decisions that are not based on ideology.』

タカとかハトとか言うのではなくてデータディペンデントである(キリッ)と回答して、あくまでも先行き決め打ちをさせないという意思があるのは分かった。


「データをみても解釈は色々とあるのでそこで議論を行う」と言ったことの言葉尻を捕まえて更問。

Q『Can you give an example of such an extensive discussion within the Governing Council?』

どういう議論をしているのか?ということですが、この部分はシュナーベルさん割とホイホイと回答していまして、ECBに関しては「先行きの政策に関する決め打ちはしない」という部分では突如回答がテンプレ状態になるのですけど、こういう部分はホイホイと説明するのって、緩急を弁えていてよろしいですなと思いましたし、何でもかんでも丁寧に説明して言わずもがな(ETFの出口政策とかマジであんなので何日も国会で話をするのってデコイの積りで言ってるならまあ良いけど無駄だし、そもそもその話をしながら「日銀の財務が」とか「売らないという選択肢もある」とか原則論を踏み外した言ってはいけない事を言いまくっているのでやっぱりダメダメ)の事を言って就任直後から墓穴を掘りまくるという前代未聞の珍プレーをしているどこぞの中銀総裁はシュナーベルさんの爪の垢でも煎じて飲んで頂きたいものです。

という訳でその回答ですけどね。

A『We had a thorough discussion on the pass-through of energy price changes to the economy. We saw a very fast pass-through of rising energy prices to consumer prices. The question was how quickly this would be reversed when energy prices were coming down and whether one could expect a full reversal or whether the reaction would be asymmetric. To this end, we looked at the empirical evidence on previous episodes in order to have a rational debate.』

例を挙げろ、って話なので割と無難な話をしておりまして、コストプッシュのパススルーが今回クッソ早い事について、これは逆にエネルギー価格が下落に転じればコスト低下の還元現象もサクサク起きるのかどうか、とかそういう点について議論しているのが一例ですな、というような話をしております。先日ネタにしましたように、こちらのインタビューでは頭の所で「“greedflation”」についての質問が飛んでおりましたので、企業のマージン確保とかそっちの方の話を避ける、というのも利口な回答だなと思いました。


で、ここで今度は「物価見通し外してるんだがおんどれらの予測はポンコツか」という質問に切り替わります。

Q『What about the ECB’s own inflation models, which have failed to forecast inflation for years now? How is the drive to improve these models going?』

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A『Our inflation target is defined over the medium term, so we must be forward-looking. Therefore, models are an indispensable part of our toolkit. But we must acknowledge that they have not always performed very well in the past few years. I draw two conclusions from that: first, we have to be aware of our models’ limitations; second, we have to try to improve them as much as possible.』

「we must acknowledge that they have not always performed very well in the past few years」ってちゃんと認めてますね。金曜日の決定会合後の会見でちょっと申し訳ないんですが誰か「日銀の物価見通しは特に昨年4月以降の展望レポートで下方に外し続けているのですが、物価見通しを外し続けている人たちが「我々の見通しがこうだから物価目標は達成できていない」と言っても説得力に欠けると思いますが物価見通しの精度を高められないのでしょうか????」って聞いてくれませんかねえ。

ということで回答は「モデルの制約」と「今後ともインプルーブします」という回答ですが、それだけで終わりにするのではなくちゃんと説明を施しておる。

『Starting with the limitations: we need to be more transparent about the uncertainties surrounding our projections. These might stem, for example, from changes in historical patterns or from different models predicting different outcomes. Moreover, the risk of a de-anchoring of inflation expectations is often not captured by the models. Finally, we need to communicate more clearly that no model can predict exogenous shocks, such as a pandemic or a war.』

物価予測モデルの限界、ということで色々と我々も見通しの不確実性についてより一層トランスパレントでないといけません、という話から始まり、過去のパターンが通じない事とか、インフレ期待が2%アンカーから外れること(をモデルではとらえられない、というのですからDSGEですよね基本は)とか、そもそもモデルではパンデミックや戦争などのショックを捉えれられないなどの限界があるよ、という話をしています。

まあどこかの中銀のようにわざと外してるんじゃないかと言いたくなるくらいの勢いでマーケット(マーケットと言う時はESPフォーキャストとかいうポンコツ見通しの事は完全黙殺であります、というかあんなもん市場の誰が見てるんだよ)との物価見通しに乖離のあるものを出しておいて、しかも案の定1年以上に渡って外しているという絢爛たる実績があるのに、なぜかその見通しを是として「2%行かないから金融緩和」と言っているどこぞの中央銀行に以下同文。

『To improve the models we need to analyse the causes of our projection errors and look at whether we can modify the models accordingly. That is an ongoing process.』

まあ予測モデルのインプルーブ、に関してはこういうしかないでしょうけど、そもそもインプルーブも何も言わないどっかの中銀以下同文。


でまあトランスパレントと言ったのでまたも言葉尻を攻めて参りますこの新聞。

Q『Will greater transparency about the uncertainty of your projections not undermine the effectiveness of monetary policy?』

さっきもありましたが、こういう質問するのがこの新聞の微妙なダメさ加減ですよね。

A『I don’t think so. By stressing the point estimates of our forecasts we give the illusion of a degree of precision that we can never reach. Rather than constantly explaining the inaccuracy of the projections, it would be better for our credibility if we published them with confidence bands. Transparency will strengthen our credibility, although I don’t deny that it is a challenge to communicate clearly on this topic.』

『One other option, which we used during the pandemic, is to present different scenarios. That can be very useful during exceptional situations.』

将来予測に不確実性が高まった、ということをその通りに言う事は重要ですよ、というごく当たり前の回答になっています。まあここはどうでも良いのですが次に今度は急にまともな質問になるという振れの大きさがオモロイというか事前に用意しているのが良い質問で流れで聞くものは良い物もあるんだがダメ質問もあるな、という感じ(ただこの質問者、ダメ質問してああそうだよね、って回答が来ると話題を変えるので多分アホウでは無くて、単純に調子に乗って滑ってしまう癖があるだけだと思いました、ってベルギーの新聞記者を日本の片隅で評している変態がいるとは思ってないだろうなーw)ですね。



Q『How do you see inflation evolving in the longer term? Will structural forces such as deglobalisation and climate change push us towards a world with higher inflation?』

構造問題(気候変動対応を含む)が長期的にインフレ率を高めるか否か、という問題に関しての質問ですね。

A『Our projection models typically don’t capture structural trends in the economy; we analyse those trends through a separate exercise, which then partly feeds into the models.』

まず物価見通しモデル(数年単位の)ではそういうのをキャプチャーしてませんよと断るものの、

『The pandemic and the war in Ukraine have clearly led to structural changes, one of the biggest being geopolitical shifts, which may imply a decline in globalisation.』

パンデミックとウクライナ侵攻は明確に構造変化をもたらしている(have clearly led to structural changes)と言ってますし、しかもそれはグローバライゼーションが減少するという事を含んだ最も大きな地政学的なシフトの一つ(one of the biggest being geopolitical shifts)と思いっきり言明しています。

『This may partly reverse the process that we have seen when China entered the world market, which raised global supply and competition, and gave western firms the opportunity to offshore activities (and profit from China’s lower wage costs, Ed.), thereby creating downward pressure on inflation. We may now see the opposite development.』

これは中国が世界市場に入って来た時の動きのプロセスを一部巻き戻す、ということで中国の廉価な労働市場を活用したグローバル化の恩恵が一部逆回転する、ということでどう見ても構造的に物価が上がりやすくなる要因です本当にありがとうございました、って話をしているのですが、日銀は何でこういう話を一切しないで従来の延長線上の話で「23年度後半は物価上昇率が明確に下がる」を連呼できるのか、ちょっと頭を勝ち割って中を確認したくなりますよね。

さらに構造変化の話は続きまして、

『A second major structural change is the green transition.』

来ましたグリーン化。ちなみにECBの新着に気候変動対応ダイジダイジネーのインタビュー記事があります。まだよんでないけど。

『I expect that this will lead to higher inflationary pressures through three channels.』

はい。

『The first is the greater frequency of natural disasters, which I call “climateflation”.』
『The second is higher prices of fossil fuels - “fossilflation” - during the transition phase, caused by taxes on carbon emissions and lower investments in the fossil fuel sector.』
『Finally, the shift towards renewable energies leads to higher demand for certain metals and minerals, which I call “greenflation”.』

へーへーへー。こんな表現するんだ(無知ですみませんすみません)

『There are other trends, too, such as the demographic change. 』

さらに人口動態の変化にも言及しています。

『The effect that this will have on inflation is still subject to a lively debate. We’ve seen in the past decade that ageing societies have tended to save more and spend less, which dampens inflation. The question is whether the elderly, or their heirs, will spend these savings now. Changes in the labour market could also have a significant impact on inflation, with a decline in people of working age pushing up wages, unless countered by higher immigration.』

人口動態の変化で労働市場の需給関係が変わるというのは、さっきのグローバル化の巻き戻しとも相まって(というか人口動態の変化をグローバル化で相殺してたのがジャパンとも言えそうですな)インフレ圧力を高めますね、という話。移民政策の変化(入れなくなる方)も影響しますよねとも言及。

最後に構造問題でインフレが下がる方としての技術革新、生産性向上の話もしています。

『On top of that we have new technological developments such as the artificial intelligence (AI) revolution. Past experience shows that such developments typically dampen inflation by raising productivity. Considering all of those structural forces together, I would tend to see structurally higher inflation pressures in future.』

・・・・ということで構造問題に関してはエライ勢いで今後のベースのインフレに影響するんじゃないのか、という話をした所で最後の質問が飛びます。


Q『What does this mean for monetary policy? Will it need to be adjusted - including the inflation target - to deal with this new reality and avoid misaligned policy?』

構造変化が金融政策の枠組み全体(インフレ目標の数値も含めて)にどんな影響を与えますかね?という質問で締めです。

A『Supply side shocks have a strong impact on monetary policy. Often, we cannot simply look through such shocks, but we need to deal with them in line with our mandate of price stability. We are not even thinking about thinking to change our inflation target.』

今の所特段インフレ目標2%を変えることは考えていません、とまあそういう回答なのですが、普通に考えてあれだけああだこうだ構造問題の話をしたら、インフレ目標の在り方についても再考するってことになるんでしょうけど、まあ今みたいなタイミングじゃなくて、もうちょっと物価が落ち着いてからの話になりそうですな。


ということで中銀祭り前にまあ読み物ということで暇ネタっぽかったけど勘弁してつかあさい。






2023/06/12

お題「植田総裁の国会答弁が日に日にひどくなってないか/さくらレポート別冊が中々オモロイ件について」

さて今週は楽しい楽しい中銀ウィーク。

〇植田総裁の国会答弁がドンドンヤバくなっている件について

いやー金曜のこれは驚いたわ。頼むから早く国会終わってくれこれ以上醜態晒すの見るに忍びないんだが・・・・・・・・・・

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-09/RVXLAYT1UM0W01
ETFを持ち続けることも選択肢、出口局面で議論−植田日銀総裁
伊藤純夫
2023年6月9日 10:01 JST 更新日時 2023年6月9日 12:59 JST

各社ともこの植田総裁のアホアホ発言をヘッドラインにしたのは至極当然でして、この前ETFの分配金が日銀の財務に云々みたいな話をした時もダメだコリャと思ったのですが、植田先生、元々がそうだったのか日銀新館の7階だかあの辺に入って瘴気にやられたのかは知りませんが、マクロ経済と金融政策の第一人者の学者大先生とは到底思えない発言を5月の内外情勢調査会の講演以降乱発しておりまして、しかもその発言がドンドンとヤバみが増しているのが恐ろしい。

だってさ、何をどう聞かれたって資産買入に関しての回答って「資産買入はあくまでも物価安定目標達成の手段として行っているものである」の連呼をするべき話であって、ETFの分配金が(ETF売却すると無くなるから)日銀の財務に影響とか言い出した先週水曜の国会答弁も相当危険なのですが、この「持ち続けることも選択肢」は輪をかけて危ない発言をしている訳で、こんなの「資産買入の当初の目的が達成されたらその手法は兎も角として元に戻すのが基本」以外の回答は無い訳で、「持ち続けることが選択肢」ってこの馬鹿は何考えているんだこの似非学者はと小一時間問い詰めたい。

「出口において市場の急変を避けるために時間をかけて正常化のやり方を検討する」とかなら一応話の筋は通っているのですけど「持ち続ける」ってそれ処分しない事を前提とした表現ジャンまじで見識おかしいわこの偽学者、と思いましたが、よく見ると他にも碌でもない発言をしていて、まさか黒ちゃんの方がマシだったと思う時期が来るとは、しかもこんなあっという間に、とは思いませんでした。悲しい。

ということでBBGさんの記事ですけどね。

『日本銀行の植田和男総裁は9日、金融緩和政策からの出口局面での保有する上場投資信託(ETF)の取り扱いについて、持ち続けることも選択肢になるとの見解を示した。衆院財務金融委員会で答弁した。』(上記URL先より、以下同様)

は?????と思ったら実際このようにご答弁されているようですね。

『植田総裁は、「さまざまな状況を将来について考えているが、ETFを持ち続けるというオプションも一つの選択肢であるとは考えている」と語った。その上で、出口が近づいた局面では「どのような方法で処分していくのかしないのか、きちんと政策委員会で議論した上で公表していきたい」との意向を示した。』

「持ち続ける」の後に「処分していくのかしないのか」とも言っているので、これは報道機関の切り取りとかじゃなくて(まあそもそも切り取りで全社が思いっきり同じ切り取りする訳ないと思う訳で案の定モロに発言している訳よ)。ガチで処分しないと言ってるのマジでヤバいわこのオッサンというお話。

いやあのですね、「現実問題として目標達成したからと言ってその瞬間に全部を処分すると株式市場に大波乱を起こすことになるから、目標達成後の正常化においては市場の急変が起きないような手段などを検討する」、ってくらいの答弁に止めておけよこの馬鹿という話であって、黒田さんですら「持ち続ける」とは言わないで「そういう話をするのは時期尚早ですね、でも目標達成したら何らかの形で正常化するというのが原則論ですよね」みたいな話で止めてたわけでございますな。

ちなみに中原伸之さんって中銀が株だの社債だの買うのに関しては非常に否定的で、そういう意味でピュアなマネタリストだったのですが、中原伸之さんが御存命だったらこの発言をどう評価したんでしょうかとふと思ってしまうのでありました。


なおこの先も恐ろしい話が続きまして、さらにヤバいのは植田さんの財政従属宣言が飛び出していることですが、まあこっちがヘッドラインにならないで良かったねというお話。記事のケツの方になるんですけど。

『拡大する財政と金融政策の関係に関し、金融緩和政策からの出口局面で「財政運営への配慮から必要な政策遂行が妨げられることはない」との見解を表明。金融政策はあくまで2%の物価安定の目標を実現する観点から行っていくとし、』

と、まあここまでは良いんですけど最後が酷い。

『「財政政策がどういう姿であるかを前提に金融政策を調整していく」との考えも示した。』

>財政政策がどういう姿であるかを前提に金融政策を調整していく
>財政政策がどういう姿であるかを前提に金融政策を調整していく
>財政政策がどういう姿であるかを前提に金融政策を調整していく

おいこらちょっと待て、お前何ドサクサに紛れて財政従属宣言してるんだよこの国賊が。

・・・・・・・いやー何なんですかねえ、もう何ちゅうか近代経済学の敗北と申しますか、経済学自体が要らんのじゃないのこの際経済学者の書いた書籍は焚書にして学者とかいうの全部アナウメした方がとかいう秦の始皇帝(正確には丞相の李斯でしたっけ)ムーブを唱えたくなるこの経済学の敗北、と思ったらよく考えたらラガルドもパウエルも法律家じゃんとかまた友達を無くすような発言(まあこの時点でお分かりのようにワイは経済学士ではない)をしたくなってしまう位には頭痛が痛いのですが、よく考えたら東京大学の経済学部長様がアレという時点で日本の経済学はアレという事ですねシャーナイナイ。

何ちゅうかですね、こんなの原理原則論をひたすら唱える以外に正しい答弁というのは無いのであって、その点ではあの黒田さんですらきちんと則を外さずに答弁してたんですが(麿は勿論言うまでもありませんですね)、国会出て喋れば喋るだけドンドンおかしくなってきているのはもういいから今すぐ退任しろ世の中には「健康上の理由」って便利な理由があるんだぞ分かってるな、としか思えませんけど、一応6月か7月にYCC電撃解除のための偽装工作の可能性はカシュカリ総裁の毛髪程度には可能性があるかとも思いますので、カシュカリ総裁毛髪ムーブが起きた時の掌返しの余地を残しておかないといけませんから、エセ学者だの国賊だの退任しろだのというような事を言うのはそれからにしようかなと思っております(棒読み)。


なお、物価に関してですけど、

『消費者物価の動向に関しては「上振れするという方向での変化が見えつつある」と言及した。企業の価格設定行動が強まり、「今年の春闘が高い賃金引き上げ率で結実しそうだ」と指摘。ただ、物価見通しには不確定性があるとし、7月末に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)に向けて「さまざまなデータや情報を丹念に精査していきたい」と語った。』

との仰せですが、そもそも論として見通しに不確実性があるの当たり前で、不確実性の無い未来見通しなんて人外の存在しか不可能で、この「見通しが不確実」だの「見通しに自信がない」だの言って政策変更しないですって力強く言ってしまうのってチキンなんですかねえと思いますが、ゆうてこの先生聞くところに寄りますと夜の帝王の方では(以下の記述は内務省検閲により削除されました)。

まあそれは兎も角として、

『総裁は、2%の物価目標を持続的・安定的に実現するには「まだ少し間がある」とし、粘り強く金融緩和を続けることで「実質賃金の上昇、雇用・賃金の増加を伴う好循環の形成に至ると考えている」と語った。』

これどっかの記事だと「実質賃金が上昇するまで緩和を継続する」って言ってたような記憶があるのですけど何処にあったかは忘れたのでアレですが、まあでもこの言い方って「実質賃金が上昇するまで緩和を継続する」って話で、いや実質賃金なら黒ちゃん時代のパンデミック前にも上がってましたし、その実質賃金の上昇捕まえて置物一派は自画自賛してたよねという話だし、金融緩和で物価押し上げ効果があるんだったら、足元で政府の価格支持政策抜くと4%にもなろうとする物価を金融緩和で更に押し上げてしまうと実質賃金の上昇って更に先の話になってしまいますし、物価が上振れして寧ろスタグフレーションになっちゃうんじゃないですかねえという話だし、これまあ社会部系の記事ネタにならなくて良かったね(棒読み)という話なんだが、日銀は物価の不必要に高い上昇を促進して国民生活を苦しめて一方で円安株高を進めて生活物価の上昇、実質賃金の低下、格差の拡大政策を行っている社会の敵、というキャンペーンおっぱじまったらこういう発言が槍玉に上がって植田総裁がイケニエール書記官となってヨルさんにお掃除されちゃうムーブになるリスク高いとしか思えないんだけどなー、とまあそういう風には思うのですがオラシラネ。

まあ一応7月の展望では物価見通しを上方修正するようですが、「先行き不確実」とか言ってるので、これは2023年度のコアCPIの平均を2%台に乗せる代わりに、24年度は前年の上昇の反動で下がるとか言って24年度を1.8%見通しに下げて25年度も1.6%見通しのまま不変、という面白見通しを出してくるに1万ドラクマといった感じになると思われます。まあ一応6月か7月の会合で「今までのはうっそぴょーん♪」となるのを最後の望みにはしたいですけどね。



・・・・・・ということで、何だよこのオッサン、黒ちゃんよりも緩和継続派じゃねえかよというのもアレなのですが、それよりもマズいのは今まで黒田さんですら崩して無かった原理原則をバンバンと踏み外して危ない領域にジャンジャン踏み込んでしまっている状況でありまして、内外情勢調査会での講演を皮切りに、共同インタビューと来て茲許の国会での発言が馬鹿の方向にエスカレートしちゃっているのは、植田さん一服盛られたんじゃないか位に心配になってしまう今日この頃ではございますな、という雑談でした。

まあこれで今週末「今までの説明はうっそぴょーん♪YCCの長期ターゲット解除(またはバンドを上下100bpに拡大)するぴょーん♪みんあサプライズだったかなーでもしょうがないよねー長期金利ターゲットはこうするしかないぴょーん♪」とか言い出したら手首がもげる勢いで掌返しをするのですが、というか掌返しさせて下さいお願いしますお願いします。



〇さくらレポート別冊で「人手不足による賃金と物価上昇圧力」の話がしらっと投下されている件について

ほうほうこれはこれは
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb230609.htm
地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)*
地域の企業における人材確保に向けた取り組み

*本報告は、上記のテーマに関する支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。
2023年6月9日
日本銀行

ということで五じゃいまして、本文もあるのですがまずはこのHTMLのご紹介部分を引用しましょう。【要旨】って奴です。

『わが国の企業の人手不足感は強まっている。特に若年層、DX人材などの専門人材、宿泊・飲食等の対面型サービス業に従事する人材などの不足感を指摘する声が多い。』

こちらは地域経済報告の別冊シリーズ、ということですので地域経済という話になると特に「宿泊・飲食等の対面型サービス業」キタコレという話ですよね〜。

『主な背景として、(1)経済活動の改善が進む一方、追加的な労働供給余地が縮小していることもあって、マクロでみた労働需給がタイト化していることに加え、(2)デジタル化・脱炭素化といった事業環境の変化に対応するための専門人材の需要拡大や新型コロナ禍を契機とした労働者側の就業意識の変化によるミスマッチの拡大、が指摘されている。』

でもってこの次の記述が味わい深い。

『こうした中で、転職が増加したことも、採用面の競争力に不安を抱く企業を中心に、人手不足感を強める一因となっている。』

返す刀で、

『この間、宿泊・飲食を中心に需要取りこぼしなど事業への影響が現に生じているほか、幅広い業種で先行きの事業展開が制約されることへの懸念も高まっている。』

供給制約キタコレでこれは物価上昇圧力ですわ。

『こうした中、企業は、人材の確保のため、様々な取り組みを行っている。具体的には、第1に、賃上げを中心とした処遇改善である。』

ほほう!(ワイ、じっと給与明細を見るorzorzorz)

『この点、中小企業を中心に、収益面・財務面の厳しさから賃上げに慎重な声は相応に聞かれるが、パート時給の上昇や大企業等の大幅な賃上げを受け、収益面等の余裕が乏しいとする企業を含め、賃上げに踏み切る動きが広がっている。』

ほほう!(ワイ、じっと(以下同文))

『また、賃上げ原資確保のための値上げもみられ始めている。』

も り あ が っ て ま い り ま し た !!!!

『この間、賃上げの持続性に関しては、コスト負担が意識されるもとで、本年度に限った一時的な対応となる可能性を指摘する声がある一方、先行きも人口減少が続くとみて、人材確保のためには継続的な賃上げが必要との声も聞かれている。』

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


とまあそういう訳でございまして、日銀支店長と言えば日銀の未来を(植田総裁のせいで存在意義が無くならなければの話ですが)担う中堅幹部の皆様な訳でございますが、その中堅幹部の皆様におかれましては「現場ではこのような事が起きている」という報告をした、というかその報告されてますよってのがこうやって公表されているというのが割と味わい深いものを感じます。

『第2に、経験者採用や副業・兼業人材の登用の拡大、一度退職した人材の復職の推進、シニア層の一段の活躍推進、外国人採用の強化など人材獲得チャネルの多様化が模索されている。』

シニア層の活躍推進とな!!!!(ワイ以下略)

『第3に、収益力の向上を伴う継続的な賃上げを目指す企業では、ジョブ型雇用の導入などの人事制度改革を進める動きや、リスキリング等による従業員の能力開発を支援する動きもみられている。』

やべえワイの能力・・・・・・・・・

『先行きも、人口動態の変化等を踏まえると、人手不足感が高まりやすい環境は続くと見込む声は多い。こうしたもとで、足もと窺われる企業の賃金・価格設定スタンスの変化が定着していくか、慢性的な人手不足のもとでの労働力の新規掘り起こしや高生産性部門へのシフト、従業員の能力向上等の動きが広まり、収益力の向上につながっていくか――産学官金の連携等が、こうした動きをサポートしていくことができるか――といった点に注目していく必要がある。』

とのことですが、本文はこちら。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb230609a.pdf
地 域 経 済 報 告
── さくらレポート ──
(別冊シリーズ)
地域の企業における人材確保に向けた取り組み
―― 新型コロナ禍以降の変化を中心に ――

最初の「要旨」はさっきの部分が記述されてまして、その後『1.はじめに』ってので、

『経済活動の改善が進むもとで、わが国の企業の人手不足感は強まっている(図表1)。企業規模や業種別に欠員率をみると、総じて新型コロナ禍を上回っているが、中でも中小企業、特に宿泊・飲食をはじめ、新型コロナ禍で大きな影響を受けた対面型のサービス業において顕著に上回っている(図表2)。』

『こうしたもとで、一部では事業活動が制約されるなどの影響も指摘されており、人材の確保は大きな経営課題として企業に意識されるようになっている(図表3)。』

この前も妻籠宿だかどこだったか忘れましたが、旅館の軒数が大きく減ってしまって従業員も確保できないから需要に対処しきれないって話がニュースかなんかであった希ガス。

『こうした中、日本銀行では、本支店・事務所において聞き取り調査1を実施し、まず人手不足の実情とその背景を把握したうえで、地域の企業が人材の確保に向けてどのような取り組みを進めようとしているのかについて取りまとめた。本稿では、主に新型コロナ禍以降の変化を中心に整理する2。また、企業等の具体的な取り組みは、本文の各図表のほか、別紙の事例集でも紹介する。』

ということで中身を細かく紹介している時間が無いのでアレなのですが(すいません)オモロイから読んでみてちょという話ではあるのですがその中から少々。

『2.人手不足の現状と事業活動への影響
(1)企業の人手不足感の強まりとその背景 』

って所ではその背景に関する個別ヒアリング事例の紹介があって、それが「図表」という形で記載されているので、図表のお題を以下並べてみますね。

(図表4)経済活動の改善に伴う労働需要の高まり
(図表5)追加的な労働供給余地の縮小
(図表6)デジタル化や脱炭素化に必要な専門人材の需要拡大
(図表7)新型コロナ禍を契機とした労働者側の就業意識の変化
(図表8)パート労働者の就業時間抑制、働き方改革への対応の影響

でもってこの図表8まで来た所で説明文があって、

『こうした中で、転職が増えていることも、特に採用面の競争力に不安を抱く地域の企業を中心に、人手不足感を強める一因となっている(図表9)。転職市場の動向をみると、企業側では、新卒の採用難や専門人材のニーズの高まりから、経験者採用を積極化しているほか、求職者側でも、自らの志向に合った仕事を探し直す動きが広がっていることから、需給両面で拡大している。こうした中で、民間の転職支援サービスの充実もあって、潜在的なニーズが実際の転職に結び付くケースが増加しており、これがさらに、若年層を中心に転職に対する心理的ハードルを引き下げるといった形で転職市場の拡大が加速しているようにも窺われる。』

(図表9)転職の増加

となってその次の小見出しが『(2)事業活動への影響 』になるのですが、ここでは要旨の方にもありましたが、よりガッツリと、

『こうした雇用環境が事業活動に及ぼす影響についてみると、特に人手不足感の強い宿泊・飲食などを中心に、客室や座席数などの設備稼働率を意図的に抑制せざるを得ず、需要の取りこぼしが現に生じているといった声が多く聞かれている。』

キタコレ!!

『こうした中、「客入りの調整」を目的として挙げつつ、繁忙期の価格を大幅に引き上げる動きもみられる(図表10)。』

はい物価上昇圧力来ましたよーーーーーーーーー。

『先行きについても、製造業・非製造業を問わず、人手不足が事業を展開するうえで制約になることへの懸念が聞かれている。具体的には、インバウンド需要などの更なる回復に十分に応えられないといった声や、新規出店や新たな生産拠点の建設などを計画するにも人員がボトルネックになるといった声が聞かれている(図表11)。』

だそうです。この辺も本文にあるように図表という形で具体例が書かれています。

最後の小見出しは『3.企業の人材確保に向けた取り組み』でして、

『こうした中、企業では人材の確保に向けて様々な取り組みを進めている。まず、(1)賃上げを中心とした処遇改善を進めるとともに、(2)人材獲得チャネルの多様化が模索されている。また、(3)継続的な賃上げに向けた人事制度改革などの対応もみられ始めている。以下では、これらの取り組みについて具体的にみていくこととする。』

しらっと『継続的な賃上げに向けた人事制度改革』などというのがありますが、さっきのリスキリングだのなんだのというお話であります。

でもって巻末にはヒアリングの具体的な事例を更にこれでもかとばかりに並べていまして、これは中々オモロイと申しますか、この時期にこれが出て来ることの意味合いis何と考えるとこれまた味わいが深いものがありまして、先ほどはこの世の終わり(いやマジで植田日銀って亡国の中央銀行になるかも知れん位の危機感はある)とか思ってたら世の中捨てたもんじゃないな(意味深)と思った次第でした。中々オモロイので是非ご覧あれ。





2023/06/09

お題「帳尻のように最近のECB発言を連発していますが今日はシュナーベル理事のインタビューで」

金融緩和を輸出している国があるってのIMFレポートの中にあった筈なんですけどねえ。
https://jp.reuters.com/article/imf-inflation-idJPKBN2XU1FO
2023年6月9日4:34 午前
FRBなど各国中銀、物価抑制に向け金融引き締め維持を=IMF

寧ろ日銀の馬鹿緩和を縮小(引き締めろとは言ってない)させることによってFEDやECBが余計に金融引き締めをしなくて済むようになるんじゃないかという気が思いっきりしてくるわ。まあそんなに影響するのかって言われると何となく過大評価のような気もするけどさ。

〇来週は中銀祭りですが最後の駆け込みっぽくECBシュナーベル理事のインタビューをば

この前ネタにしたパネッタが受けてたルモンド紙のインタビュー質疑がさすがルモンドとしか申しあげようがないすんばらしい質疑(物価見通しの所に特化してゴリゴリと質問したのが見事でした)だったのでまあその後にネタにするのも何ですが。

https://www.ecb.europa.eu/press/inter/date/2023/html/ecb.in230607~3fc7acf294.en.html
Interview with Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, conducted by Wouter Vervenne and Kris van Hamme on 31 May 2023
7 June 2023
Please note that the interview was conducted in English and translated into Dutch and French. In case of discrepancies between the versions, the English version prevails.

ということで、何と読むのかよくわからん新聞ですが(無知ですいません)、ベルギーの新聞のようであります。


・この前の欧州議会でのラガルドの話もそうですが食品価格の高騰が問題になってるんでしょうね

今回もQとAを補記します。最初の質疑応答がこれなんですけど。

Q『People are fed up with inflation. What hope can you offer them? When will inflation return to 2%?』

ということですが、

A『Headline inflation in the euro area has come down relatively quickly after hitting a peak of 10.6% in October of last year. However, underlying inflation (which excludes volatile food and energy prices, Ed.) is more persistent and remains high, with services playing a key role due to the relatively strong impact of wage costs on inflation in these sectors. Rising food prices are also driving inflation, but we expect food inflation to fall in view of the global slowdown in agricultural commodity prices.』

ヘッドラインインフレは昨年10月の10.6%から下がったという話をしていますが、すかさずハウエバー基調的なインフレはよりパーシスタントでまだ高い、と物価高いでっせという話をしているんですけど、賃金の強さから来るサービス価格の上昇の話の次に食料品の高騰の話をしていまして、そらまあ食料品高騰したら生活直撃モロなので問題化するんだろうなあというか日本って上級国民の皆様は元々高級食料品をご購入になっているからフードインフレーション気にならなくて、メディアでも国会でもあんまり盛り上がらんのかね、とか思ってしまいますがそれは兎も角として。

『According to our March projections, inflation will return to our 2% target only in 2025. This would mean above-target inflation for around four years - a very long time. One important question is how this may affect inflation expectations of businesses and households, and hence firms’ price setting and wage negotiations.』

『Wage agreements can have a prolonged effect on inflation due to their long duration. That’s why it is so important to keep inflation expectations firmly anchored at our target and bring inflation back to 2 percent as quickly as possible.』

今の見通しだと2025年まで2%超えのインフレが続くんだが一番の問題はそれが期待インフレや賃金設定行動を押し上げやしませんかねえということです。だそうです。


でもってすかさず食料品価格の話に質問が移る。

Q『You have said that food prices are still quite high. And that is the case while the United Nations’ Food Price Index peaked one year ago. What’s going on?』

まあ食料品価格に関してはシランガナと言いたいでしょうけど政治イッシュー的にヤバいんだったらなんか言わないといけないわけでしてですね。

A『It is a bit comparable with energy prices. There, we have seen a surprisingly fast pass-through of rising wholesale prices to consumer prices, followed by a more gradual pass-through on the way down. We may see a similar development in food prices. This shows how difficult it is to forecast how price changes will be passed on to consumers.』

エネルギー価格の上昇がパススルーされた流れと同様に現在は卸売価格から小売価格へのサプライジングリーに素早いパススルーを観測している、というお話をしておりまして、でまあそのように兎に角コストプッシュ要因が物凄い勢いで消費者までパススルーされる、という割とおそロシアな流れが欧州ではあるようですな。

『In the longer term, we may be facing recurring periods of strong food price increases due to climate change, which leads to more frequent droughts, extreme weather events and failed harvests. We are therefore monitoring the evolution of food prices carefully. This is also a sensitive social issue.』

ロンガータームの話も何故かおっぱじめていまして、気候変動による頻発する異常気象などによって、食料品の価格はトレンドとして上昇しやすくなる、とか割と救いようのない話を付け加えているのが絶望を感じますが、まあこの点は気候変動対策を頑張りましょうというEUのメッセージに沿った話なのかもしれません。


・欧州では価格転嫁どころか便乗値上げの動きもあるようで「greedflation」というそうだがこの関連の話が面白い

次の質問はおもろかった。

Q『Another sensitive issue is “greedflation”, where businesses take advantage of the inflationary environment to increase their profit margins, thereby stoking inflation. You have since recognised that the ECB has paid too little attention to corporate profits. Did this surprise you?』

これ昨日ネタにしましたラガルドはんの欧州議会での議会証言でも「企業がインフレを利用してプロフィットマージンを拡大させようとしている動きが」云々というのがあって、その話と同じネタな訳ですよ。

ということで欧州では高インフレのどさくさに紛れて、「この勢いなら言える」と匿名掲示板に書き込むようなノリで(違うか)いろんな物の値段が上がっているから別にこっちのコストは上がってないけど便乗値上げしてしまえば(゚д゚)ウマーという流れがあって、既に“greedflation”とかいうもう極悪感満載のネーミングが奉られているようでして、これは当然ながらECB苦しい立場に追い込まれますわな。

なお、どっかの国においては「世界標準の金融政策」とか言ってイェール大学名誉教授とかいうジジイが「賃金が上がらないで物価が上がると企業のマージンが増えて結果雇用拡大につながる」というお気楽リフレ理論を唱えていたのは懐かしいとしか申し上げようがありません、というかあいつら物価目標達成してない批判に対して「雇用者所得が上昇したじゃないか」と言ってたんだが、最近の11カ月連続(でしたっけ?)実質賃金の低下に関しては置物一派コメント無いんですかねえ。

などど悪態ついてないでシュナーベルの回答をみませう。

A『If one looks at the drivers of domestic inflation, both wages and corporate profits have recently played an important role.』

ほほう、コーポレートプロフィットはインフレのドライバーって認めるんだ(そこは誤魔化さないのね、と誤魔化し説明を見飽きているアタクシは思った)。

『Many companies were not only able to fully pass on their higher input costs to customers, but they even increased their profit margins.』

インフレのどさくさに紛れて「Many companies」がマージン拡大狙いの便乗値上げを行っているそうですおそロシア。

『This was to a large extent owed to the specific pandemic situation, when after the reopening of the economy strong demand outpaced constrained supply in a number of sectors. This gave firms higher pricing power.』

その背景に「アフターパンデミックという特殊な状況」があるとのお告げです。ホンマカイナとは思うけど、経済のリオープンに伴い需要が強いから企業が価格設定力を取り戻したと。

『This can lead to what I call a profit-wage-price spiral, as opposed to a simple wage-price spiral (whereby rising wages and prices chase each other higher, Ed.). 』

この辺が今回の質疑応答でオモロイからネタにしようかなーと思った所でして「profit-wage-price spiral」とシュナーベルは呼んでいるそうですわ。どういう流れかというと、

『First, many firms raised their prices over and above their cost increases.』

最初はコストのパススルーから始まりますな。

『Trade unions are now trying to negotiate higher wages, facilitated by the tight labour market and higher corporate profits.』

でもって労働組合はタイトな労働市場と企業収益の拡大を理由に賃金上げろやとおっぱじめると。

『In the case of Belgium, there is even automatic wage indexation.』

ベルギーの場合はお賃金に物価スライド制度があるんですって。

『The question then is how businesses will respond. Will they continue to fully pass on higher costs, or even more than that, or will they partially absorb them through lower profit margins? That will largely depend on how strong the demand for goods and services remains.』

でもってこの際に企業がどう行動するか(コスト転嫁するのか我慢するのか、はたまたコスト以上にちゃっかり値上げするのか)というのが問題だが、それは財やサービスの需要の強さによって異なる、という認識でございますな。

『That is where the central bank has a key role to play.』

ということで中銀の役割がここで出て来る、という理屈、即ち・・・・・・・

『Our monetary policy works by dampening growth in aggregate demand (through higher interest rates, Ed.), which makes it harder for firms to pass on costs and reduces workers’ bargaining power to push through higher wage demands.』

金融引き締めによって総需要を抑制することによって企業のコスト転嫁の抑制とか、(労働需給の緩和による)賃金上昇圧力の軽減を行いますよ、とまあそういう話になっています。


ということでこの「グリードフレーション」の質疑が中々面白かったですけれども、この理屈を敷衍いたしますと、それ即ち金融引き締めは割とガッツリとやりますよ、って話になると思うんですよね、現象として足もとで物価上昇のドサクサに紛れた収益拡大のための価格引き上げが行われている、というのが状況として存在する、というのでありますと、それって少なくとも便乗値上げムーブを止めさせないと行けないんですから、そらもう超過需要を成敗しにかからんと便乗値上げムーブが止まらん訳ですから。とおもいましたがどうでしょうかしら。


・・・・・・と思ったら同じことを記者の方が質問してました、えらいえらい。

Q『Is the policy tool of higher interest rates not a rather blunt instrument to hammer down inflation caused by rising profit margins?』

そう来ますよね。

A『It is ultimately a distributional question how to share the burden of higher energy costs between labour and capital, and this question is up to the social partners and governments. It is not up to central banks to decide this. We must use the tools we have.』

と思ったら「エネルギー価格高騰の高コストをどのセクターが負担することになるのか、というのは分配の問題」と逃げやがりましたwwwwwww


・政策対応が遅すぎた問題については「2021年当時はまだパンデミックだったので」で勘弁してもらうスタイル

でまあここから話はインフレ以外の話になるのでアレなんですが次の質問だけ。

Q『The ECB was one of the last central banks to start raising rates to tackle inflation. Was it not too late?』

そらそうよ。

A『The tightening process already began well before the first rate hike in July 2022. In December 2021 we announced ending some of our asset purchases. Hence, rates in financial markets increased much earlier than July 2022. Moreover, monetary policy needs to respond to the economic situation, which is not the same everywhere. That’s why the ECB started hiking later than the US Federal Reserve.』

まずは2021年の末に一部の資産買入の終了を行ったから別に去年の7月になってやっと対処した訳ではない、と仰せですが、まあその10月にはヘッドラインインフレが10%な訳ですから苦しい言い訳ですよね。なので欧州はまだ2021年にはパンデミックでそれに対応する緩和が必要でもあった、と説明するしかない次第で。

『With hindsight, one could say that we should have acted earlier. But in 2021, we were still in the middle of the pandemic. We were faced with the spread of the Omicron variant of the coronavirus and a great deal of uncertainty. The Russian invasion of Ukraine stoked inflation further. It is difficult to say how inflation would have evolved without the war.』

あとはロシアのウクライナ侵攻が長期化してよりインフレ圧力が高まった、というのも言い訳にしていますね。まあECBの場合はそうは言ってもアフターコロナが米国よりも遅かったからFEDよりも対処が後になったとか言い訳が出来ますけど、もうどこからどう見てもコロナでも何でもない上に物価も目標の2%を結構上回っている状況で「国民に負担をかけてるけど緩和は継続する」とかほざいているどこぞの中銀は「対応が遅れた」と言われたらほぼ100%申し開き不能で、まあ総裁副総裁政策委員揃って切腹もんだと思うのですが、まあそういう意味では随分と蛮勇金融政策をやってまして威勢がよろしゅおすなあと思うのでありました。


・後の質疑では「銀行預金が上がってないのは怪しからん」という話があったのが味わいがあるし色々とツッコまれておるのだが今日はパス

預金金利が上がらないなら投資信託を買えばいいじゃないか、とはかのマリー・アントワネットも仰せですが(大嘘)、その後の質疑は質問だけ並べておきますのでご興味のある方は例によって最初のURL先を見てちょんまげ。

Q『Over the last year the ECB has raised interest rates at a rapid pace. When can we expect to see a pause in the hikes?』。
Q『Markets are expecting two more rate hikes of 25 basis points each. Is that realistic?』

と追加利上げに関する質問が2つ来た後にこれである。

Q『In some euro countries, including Belgium, banks are being criticised because their deposit rate is much lower than the ECB rate. President Lagarde recently said that she supported the call by the Dutch finance minister to increase the interest rate on savings. Do you agree with that?』

まあこの質問しておいて次にこの質問するのもどうかと思うのだが次の質問が、

Q『The drawback is that higher interest rates on deposits erode bank profitability, as the sector itself warns. Do you see a danger for financial stability?』

ときまして、なんでこうなるかというと次がラジャンの言説を引用して金融システムに対する責務という質問になってまして、

Q『Aren’t the central banks responsible? Leading economist Raghuram Rajan recently stated that extremely loose monetary policy had made the financial system vulnerable by encouraging speculation. Would you agree?』

金融緩和のし過ぎで金融システム不安を招いたんじゃないのかというご尤もなツッコミ。この辺りまでネタにしていると時間が無いので割愛しますすいません。

Q『In the past, tightening monetary policy after a long period of cheap money has often triggered a banking crisis. Do you think further mishaps can be avoided?』

とまあ引き続きマクロプルーデンスとマネタリーポリシーに絡めた質問が続きまして、

Q『You mentioned fiscal policy, which has been very accommodating since the pandemic. Doesn‘t that hamper your fight against inflation?』

ということでこの辺からまたインフレ対応の政策に関する質問に戻ります、まあこっちもネタにしろという説はあるのですがちょっと以下量が割と多いのでパスします(ネタが無かったら月曜のネタにするかもしれませんがw)

Q『Speaking of forceful policy: are there still any hawks at the ECB? German central bankers like yourself are typically thought to support a rigid and strict policy, whereas you are known as a pragmatic central banker who looks at the data and is not afraid to change her mind.』

Q『Can you give an example of such an extensive discussion within the Governing Council?』

Q『What about the ECB’s own inflation models, which have failed to forecast inflation for years now? How is the drive to improve these models going?』

Q『Will greater transparency about the uncertainty of your projections not undermine the effectiveness of monetary policy?』

Q『How do you see inflation evolving in the longer term? Will structural forces such as deglobalisation and climate change push us towards a world with higher inflation?』

Q『What does this mean for monetary policy? Will it need to be adjusted - including the inflation target - to deal with this new reality and avoid misaligned policy?』

というので終わりになりますのでまあこの最後の方もネタにしようかという気は合ったのですが量が・・・・・・汗






2023/06/08

お題「国会で相手がある話だから仕方ないのはあるが情報発信が何か変調/ラガルドの欧州議会での説明はまあ普通にインフレファイターでした」

〇現時点でETFの話をしている国会もアホだが答弁も大概におかしいぞこれ

昨日の国会。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-07/RVUVWZT1UM0W01
日銀財務、ETF配当ないと収益下がり全体の姿厳しめに−植田氏
伊藤純夫
2023年6月7日 14:14 JST 更新日時 2023年6月7日 15:44 JST

→ETF処分の具体的戦略、物価目標近づいたら会合で議論し情報発信
→処分価格は時価ベースと改めて表明、法令上は特に規定ないとも答弁

昨日アタシャこの辺のヘッドライン見てて何の話をしてるんじゃと思ったのですが、アタクシも世の中の事に疎いので詳しくないんですが、日銀のETFを売らせて売却益を子供ナントカの財源にするとかいうような一発物の売却益を恒久財源にするとかいう多重債務で首が回らなくなってるダメ人間の発想のような話があるんですってね。

『日銀法の実施要綱では、保有ETFを処分する際には市場等の情勢を勘案し、適正な対価によるものと定めていると総裁は説明。その上で「処分価格については時価をベースにすることになる」との考えを改めて示した。階氏が、法令上は簿価で売却することも許容されているのかとただしたのに対しては、「現在の法令上は特に規定がない」と答弁した。』(上記URL先より、以下同様)

最初この「簿価売却」って頭おかしいのか質問者と思ってたら、どうも今申しあげたような話で国庫に簿価で売らせて政府売り出しで益がでるから(゚д゚)ウマーとかいう話みたいですが、それって日銀が売って売却益を国庫納付するのと何が違いますねんと思いますし、大体からして今の含み益が全部実現できる訳ないだろとか、いろんな意味で馬鹿なんじゃないかと思うのですが、外為特別会計の件でもそうでしたが、なんかもう後先何も考えずに身の回りの物を何でも売りますみたいなこの発想、多重債務者か窃盗犯かというような感じで実に悲しいですな。

しかしこの植田総裁の答弁も筋違いにも程があるんだが発想がいろんな意味でおかしい。

『日本銀行の植田和男総裁は7日、日銀が金融政策の正常化の過程で保有する上場投資信託(ETF)を処分した場合の財務への影響について、「ETFの配当金がない場合はその分収益が下がるので、全体の姿はやや厳しめになる」との見解を示した。』

『出口の際の日銀の財務悪化が注目されて金融政策の議論を巡る無用の混乱が生じ、それが信認低下につながるリスクを避けるため、「財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていきたい」とも述べた。』

そもそもですね、「ETFの配当が日銀財務の健全性に寄与」っていうのが論としておかしくて、ETF買入はあくまでも物価安定目標達成に向けた金融政策として実施しているんだから、その配当が日銀財務に影響するから将来売る時に留意しながら運営、とかいうのは政策を行った趣旨と全然違う事を出口の際に考慮している事になるので筋違いですよね。

それにですよ、ETFの配当(正確には分配金)って要するにETF構成銘柄の個別企業が払っている配当金が元な訳でありますからして、ETFの配当が日銀財務の健全な運営に資するって言ってしまうのって、企業が収益を株主分配しているものが統合政府に持っていかれて(そらまあETF買ってるから入るのは良いんだけど)統合政府の財務に資す、ってのってそれ日銀がETF買いとかしなかったら企業収益が民間部門に散布される筈のところを日銀という統合政府が吸い上げていますよって話な訳で、いろんな意味でおかしいだろ、という話な訳で、ETFの分配金で財務が(゚д゚)ウマーとかそういう話は基本するもんじゃねえだろ(あくまでもオマケ扱いにすべき話)という話だと思うのよね。

・・・・・・・・うーん何でしょうかねえ、植田総裁になってからの情報発信が一々穴だらけというかガバガバというか、端的に申し上げてしまえば「日銀内部と日銀周辺のインナーサークルのみに通じる理屈をそのまま平然と出して説明しちゃってる」という感が強いんですよね植田さんになってからこの方その傾向が顕著な訳です。アタクシが毎度噛みついている「政策対応が遅れる方がリスク大きい」とかまさにあれ日銀のお家の事情丸出しの説明ですしねー。

まあ何ですな、この情報発信の見てらんないダメっぷりに関してはその要因というか背景というか理由というかは想像がつかんでもない所になりますが、いやマジでこの調子で情報発信してると金融政策決定とかの方面における存立意義が危なくなるからヤバいからちょっと立て直しが必要ですよ(なお痛い目にあわないと立て直せないのが日銀クオリティ)、と思うのでありました。



〇おお調節年報出てるじゃん

https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/mor230607.htm
2022年度の金融市場調節
2023年6月7日
日本銀行金融市場局

全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/data/mor230607a.pdf

なお内容はまだ読んでいないのだがどの程度の大本営発表になっているのか、というのが興味の中心となるところでありまして、いや兎に角無茶苦茶な市場介入をした、というか今でも相変わらず輪番があんまり減らないで日銀が作る相場になっているから、国債ポートフォリオの運営においてそれなりの額でポートを動かそうとしてもオファービットが飛んで行ってしまう、というクソ相場になっております(なお表面しかみない何とかストは機能度が上がっているから政策修正不要とか何とか言うのだが(今の日銀に副作用対応とかいう発想が無いのは別の話))けれども、まあその手の話もどうせ自画自賛しかしてないだろ、と読む前からボロクソに申し上げておりますが、週末暇だったら読む。



〇ECB方面ネタの続きでラガルドの欧州議会の発言など

月曜の案件で恐縮ですが。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230605~0aadd43ce7.en.html
Hearing of the Committee on Economic and Monetary Affairs of the European Parliament
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the Hearing of the Committee on Economic and Monetary Affairs of the European Parliament
Brussels, 5 June 2023

こちら上記URLの最後の方にリンクがあるんですけど、
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230605_annex~1d4b59b9e3.en.pdf
Introductory statement in three charts
ECON hearing with the ECB President on 5 June 2023

ってのがありますな。では中身を鑑賞。

・経済全体の話で各部門における状況

最初のご挨拶はすっ飛ばして『Economic outlook』という小見出しから。

『Growth in the euro area nearly stalled in early 2023. Activity is being supported by lower energy prices, easing supply bottlenecks and fiscal policy support to firms and households.』

『As the energy crisis fades, governments should roll back the related support measures promptly and in a concerted manner to avoid driving up medium-term inflationary pressures, which would call for a stronger monetary policy response. The ECB welcomes the European Commission’s recommendation to Member States to wind down in 2023 the fiscal measures taken in response to the energy price shock.』

まあここECBとしては当然の話をしているんですけど、「エネルギー危機が収まって来た所で、各国政府は速やかにエネルギー価格対策の財政支出をロールバックしました、これによって財政支出による中長期的なインフレ圧力を軽減することが出来たので、ECBとしてはより強力な金融引き締めを実施しないで済みました事を感謝したい」と仰せでして、エネルギー価格の高騰がとっくの昔に収まっているのにまだ支援策とかやってて、やっと縮小(撤廃ではない)とか寝言言ってるどっかの国と比較すると泣けてきますね。

『Domestic demand, especially consumption, remains weak.』

消費が弱いんですかそうですか。

『Business and consumer confidence indicators point to weak activity in the second quarter and remain lower than before Russia’s unjustified war against Ukraine and its people. We see a divergence across sectors of the economy. The manufacturing sector is still working through a backlog of orders, but its prospects are worsening. Meanwhile, the services sector remains resilient, owing in particular to the reopening of the economy after the pandemic.』

製造業は先行きの活動低下を見ているけどサービス業はレジリアントであると。

『Household incomes are benefiting from fiscal support measures and the strength of the labour market, with the unemployment rate having fallen to a new historical low.』

家計は財政支出と雇用の強さでサポートされている。

・インフレの話

『Looking at inflation, according to Eurostat’s flash estimate, headline inflation has declined from its October peak and stood at 6.1% in May. While base effects have led to some variation in energy inflation in recent months, the rate declined to -1.7% in May. Food price inflation remains elevated but is decreasing and stood at 12.5% in May, down from 13.5% in April.』

物価の話になりまして、インフレ率は昨年10月のピークから下がって5月は+6.1%だよという話と、エネルギーがマイナスになっているのと食品がクッソインフレになっている話をしています。しかし食料品価格前年同月比12%だの13%だのというのはエグイですな。

『Price pressures remain strong. Inflation excluding energy and food declined to 5.3% in May from 5.6% in April. Upside pressures on both headline and core inflation are still coming from the pass-through of past energy cost increases and supply bottlenecks, which are nonetheless expected to fade gradually.』

価格上昇圧力は強くてエネルギー価格のパススルーが残っているのとサプライボトルネックによるものが上昇圧力、と仰せですのでちょうど昨日ネタにしたパネッタと同じ言い訳してますね。

『The latest available data suggest that indicators of underlying inflationary pressures remain high and, although some are showing signs of moderation, there is no clear evidence that underlying inflation has peaked.』

でもって最近のデータ見ても物価上昇圧力は高いよと。

『Wage pressures have strengthened further as employees recoup some of the purchasing power they have lost as a result of high inflation. Moreover, in some sectors firms have been able to increase their profit margins on the back of mismatches between supply and demand and the uncertainty created by high and volatile inflation.』

これ(今日ネタに出来るかどうか分からんけど)シュナーベル理事がベルギーの新聞のインタビュー受けてて、それがECBの新着にあるんですけど、その質疑応答の中で(質疑応答自体は昨日ネタにしたルモンド紙よりはちょっと散漫で微妙な出来だった)企業がプロフィットマージンをちゃっかり引き上げている(要は「便乗値上げ」ですね)動きがみられる点についてどう考えているのか、という質疑がありまして、ああなるほどと思いました。

というのはこの中で「Moreover, in some sectors firms have been able to increase their profit margins on the back of mismatches between supply and demand and the uncertainty created by high and volatile inflation.」って言ってるのって要するに「この勢いなら便乗値上げでマージン拡大だぜヒャッハー」って動きが一部の企業(当然ながら競争の厳しいセクターでは無理がありそうですが)からは起きているってことで、ほほうそうなのかと興味深く思った次第。


・金融政策の話

経済と物価の話はここで終わって金融政策の話になる。小見出し『ECB’s monetary policy』から。

『High inflation is putting a strain on people living in the euro area.』

相手が欧州議会だから当たり前ですけど、最初に高インフレはユーロ圏に住む人たちの制約となっている、というのを入れるのには余念がありません。まあ物価上昇が国民負担になっているのに大規模金融緩和は継続する、と中銀総裁が言って袋叩きに合わないどこぞの国はマゾの集団か何かなんでしょうかねえ(棒読み)。

『As energy inflation - which imposed a notable burden on low-income households - declines, the inflation differential between low and high-income consumers starts to fade away.』

エネルギーインフレという低所得者にとって厳しいものが収まってきたので、以前よりはインフレの打撃度合いの差が大きくなくなってきました、とかやはり議会向けなので言い訳に余念がないですね。エネルギーインフレとかシランガナの世界だと思うのに。

『Nevertheless, high food inflation continues to weigh on low-income households in particular.』

とまあここでも食料品インフレに言及してて、アタクシ欧州に別に身内がいたりするわけでもないのでこの辺の事情がさっぱりワカランチ会長なのですが、こういう話になっているということはユーロ圏の食料品インフレがまあ政治問題の世界に入ってるんだろうなあと想像するのは難くないのですが、どこぞの国では食料品価格の上昇がどうのこうのとかそういうのを全く言わなくても平気でいられていた中央銀行というのがいてエライよろしおすなあ(はんなり)。

『We are fully committed to fighting inflation and we are determined to achieve its timely return to our 2% medium-term target. This commitment to price stability contributes to economic growth and employment in the medium term and hence to reducing inequality.』

高インフレを押し下げる云々はお決まり文言だから別に平常運転ですが、最後に高インフレを押し下げることによって「and hence to reducing inequality」と言ってるのが興味深くて、高インフレがショミーンの皆様の生活を圧迫して格差の拡大を招いている、という批判になっているんですなあと思う訳です。

『In the light of the ongoing high inflationary pressures, in our May meeting we decided to raise the three key ECB interest rates by 25 basis points. We also announced that we expect to discontinue the reinvestments under the asset purchase programme (APP) as of July 2023.』

これはこの前の政策決定の話だから次に行く。

『Our rate hikes are being transmitted forcefully to financing conditions for firms and households, as can be seen in rising lending rates and falling lending volumes. At the same time, the full effects of our monetary policy measures are starting to materialise. Recent ECB staff analysis indicates that the effects of monetary policy tightening on real activity and inflation can be expected to strengthen in the coming years, but our assessment is surrounded by significant uncertainty.[1]』

ここでは(さっきの図表にもあるんですが)金融引き締めの効果がだんだん出てきて物価の上昇を抑えている、という説明をしていますね。

『Our future decisions will ensure that the policy rates will be brought to levels sufficiently restrictive to achieve a timely return of inflation to our 2% medium-term target and will be kept at those levels for as long as necessary.』

『We will continue to follow a data-dependent approach to determining the appropriate level and duration of restriction.』

『In particular, our policy rate decisions will continue to be based on our assessment of the inflation outlook in the light of the incoming economic and financial data, the dynamics of underlying inflation and the strength of monetary policy transmission.』

でもって先行きの金融政策ですが、基本的に「データディペンデント」で決め打ちは全然してないけど、まあその前段にあるように「引き締め効果が出てきた段階」という認識なんですから、利上げを継続するかはともかくとして、まだ利下げなどという話にならん、というのは明らかにそういう発信になっていますな、うんうん。


・実はこの議会でのお話の本来の趣旨はファイナンシャルスタビリティー

とまあここまで読んできた所で次見たら、

『As requested by you, let me now discuss the financial stability outlook.』

ちょwwwwwww

『Financial stability is a pre-condition for price stability and vice versa.』

ということで、ここからユーロエリアの銀行問題の話がおっぱじまるのですが、まあ別にそんなにアカン話でも威勢の良い話でもないので引用だけは備忘用にしておきますが基本的には読み飛ばして多分問題ないです。

『Financial stability in the euro area has proved robust so far, but we continue to assess possible risks, taking into account a wide range of indicators.[2]』

『Euro area banks' exposure to the recent banking sector stress which arose in other regions has been limited. But challenges to funding and asset quality may weigh on future profitability. More broadly, as financing conditions tighten, we will gain more insight into the resilience of euro area firms, households and banks.』

『The medium-term orientation of our monetary policy strategy allows us to consider financial stability in monetary policy decisions if this supports the pursuit of price stability. Conversely, price stability remains as crucial as ever for durably preserving financial stability.』

でもってこの次の所は一応切り取って引用しますが、

『We do not see a trade-off between financial stability and price stability in the euro area.』

というパラグラフがありまして、銀行問題があるから利上げ出来ないとかそういう話は無いですよ、というのを明言しているので、まあその点でもインフレファイターっぽい内容になってるなという感じです。

『Over time, the pursuit of price stability through monetary policy, and of financial stability primarily through macroprudential policy, are complementary. In addition, the ECB has the tools to provide liquidity to the euro area financial system if needed to preserve financial stability and the smooth transmission of monetary policy.』

ついでにこのコーナーの最後は、

『We remain committed to price stability.』

から始まって、

『And to support financial stability, it is essential that you, as co-legislators, make tangible progress towards completing the banking union and that you strengthen regulatory policies to further enhance the resilience of the euro area financial sector.』

って締め方をしていまして、とりあえず金融問題あるから利上げできんわ、みたいなのは今の所無いわーとその点に関しては威勢よく仰せでした。最後のコンクルージョンは割愛します。





2023/06/07

お題「産経までも緩和修正の識者見解掲載するとは/パネッタ理事のルモンド紙インタビューはインフレの言い訳が結構見苦しい」

オージーちゃんもも政策金利4%台か・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/idJPZUN007FR2
2023年6月6日1:49 午後
豪中銀、0.25%利上げで金利11年ぶり高水準に 追加引き締め示唆

〇植田日銀ってもしかして段々四面楚歌になるリスク全然気にしてないのでしょうか馬鹿ですか

・東京新聞(中日新聞)わざわざ情報公開請求をぶっこんで意欲的な記事を

https://www.tokyo-np.co.jp/article/254809
「金融緩和策で国民生活どん底」 昨年の急速な円安、日銀に対応求める声が相次いでいた 情報公開請求で判明
2023年6月6日 06時00分

6月6日の6時の記事とはこれまたアレですが(関係ない)。

『円安が急速に進行した2022年、国民から日銀に対し円安への対応を求める声が急増していたことが分かった。円安による物価上昇が国民生活に大きな負担となり、強い関心を集めていたことがうかがえる。(大島宏一郎)』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういう訳でして、円安⇒物価高⇒賃金それほど上がらん⇒生活価格上昇というのに加え、不動産高に最近は株高まで加わり、格差も拡大するというどっからどう見ても社会厚生としてアレという現象につきまして、ドンドン「日銀のせい」となっていく、というそういや不動産と株価がアホほど上がった昭和の最後と平成の頭(昭和脳のジジイだけにこの時期は鮮明に覚えておる、何なら人間がそこから進化していないんだがorz)も「日銀は何してるんだ」の大合唱があったのを思い出す今日この頃でございまして、毎度申し上げておりますようにもう安倍ちゃんは居ないんですから黒ちゃんの時みたいな日銀の金融緩和大暴走を守ってくれる人は居ないのよ、というのがヒシヒシと伝わる昨今の報道で、これは7月会合というより下手したら6月会合に社会部系の記者が乗り込んで行って植田総裁を詰める姿も想像可能になってきまして実に楽しみになって参りました。

『本紙の情報公開請求で日銀が開示した記録で明らかになった。寄せられた「円安への対応を求める声」など為替関連の意見や要望は、月平均では21年の5件に対し、22年は7倍超の38件に上った。件数の推移を見ると、1〜3月期は月平均で27件だったが、円安が進み始めた4〜6月期は46件に増加。1ドル=140円台を突破した9月に101件に達した。』

記事にサムネありますけどちゃんとこういうの整理してるのね。情報サービス局辺りかと思いますがお疲れ様です。

『昨年の円相場は、インフレを抑えようと利上げを急ぐ米国と、金融緩和策の継続で金利を低く抑える日本で金利差が拡大。円売り・ドル買いの動きが止まらず、22年9月と同10月に政府・日銀は円買いドル売りの為替介入を迫られた。日銀が開示した記録からは、円安による物価高を不安視する声が目立つ。「とうとう(対ドルの円相場が)141円になった。生活が脅かされている」「金融緩和策の影響から物価が上がり、国民の生活はどん底である。国民を苦しめることをしないでほしい」との訴えが寄せられ、円安を誘発する緩和策の見直しを求める声もあった。一方で「日本が体力を回復するまで金融緩和を続けてほしい」として日銀を支持するものもあった。』

とまあそういうことで情報公開請求してぶっこんできましたので、次回の会見で東京新聞(でも中日でもいいけど)が社会部的な突撃をして頂くのを楽しみにしたいと思います。


・・・・・とは言えまあ東京新聞なのでこれ自体は意欲的ですなとは思ったのですが、もっとウヘーと思ったのは昨日の産経新聞でして・・・・・・・・・・・・・・・


・元重先生が緩和見直しを言い出すのはさほど不思議ではないのだが掲載しているのが産経というのが目を引く

産経でこんなのがありますた
https://www.sankei.com/article/20230604-T5XESZNTLRMAPAMCMTEOGEJXAA/
日本の未来を考える
東京大名誉教授 伊藤元重 日銀に決断迫る物価
2023/6/4 08:00

途中から引用しますが、

『ただ、物価の動きは金融政策の変更を促しているようにも見える。昨年末に4%台にまで上がった食料品を除く消費者物価の上昇率は、政府による補助政策で電力料金の伸びが抑えられた影響もあって3月に3・1%まで下がったが、4月には再び3・4%まで上がった。今年度の半ばにかけて2%を切るという日銀の予想は、にわかには信じ難い動きとなっている。』(上記URL先より、以下同様)

>日銀の予想は、にわかには信じ難い動きとなっている
>日銀の予想は、にわかには信じ難い動きとなっている
>日銀の予想は、にわかには信じ難い動きとなっている

結局問題はこれなのでして、とにかく1月(というよりそもそも論として昨年4月の展望以降ですけど)もそうでしたが4月の展望レポートが大変に酷いものになっていて、誰がどう見たってその数字過小見通しにも程があるだろという物価見通しを出しておいて、「物価が2%行かない見通しなので金融緩和を継続します」ってやっているのが今の植田日銀な訳でして、しかも5月以降の情報発信も直近の物価データはまるで見て無かったかのような説明に終始していて、未だに今年度後半には前年比2%割れになるとか言い張って、それを根拠に緩和政策の修正すら行わない、ってやってるんですからそんなのドンドン信認が下がるに決まっている訳ですわな。

『一方、世界的なエネルギー価格上昇は落ち着いてきたように見えるし、原材料やエネルギー価格が物価を引き上げる流れは少しずつ弱まることも期待はしたいが、やはり、企業による価格転嫁の動きがすぐに収まるようには思われない。6月からは電力料金も大幅に引き上げられる。その上、賃金が上昇を始めており、人手不足が深刻化しているので賃金上昇圧力は続くだろう。日本経済はここに来て物価上昇の動きが顕著になってきた。国民にも物価が上昇していくという実感が広がっている。』

はい。

『日銀は10年間、黒田東彦前総裁の下、大規模な金融緩和策を遂行してきたが、そのマイナスの副作用も大きかった。こうした異例の政策が植田和男新総裁の5年間もずっと維持されるとは考えられない。焦点は、政策を変更するかどうかではなく、いつ変更するのかに移っているし、そのタイミングはそんなに先であるとも思われない。そして物価の動きがそうした変化を促す最大の鍵になるだろう。』

まあ伊藤元重先生は別に金融政策に対して何か思想がある人でもなくて、まあその代わりと言っては何ですが世の中の流れにイッチョカミするのは得意中の得意の先生(政策関連に出て来る経済学者って何でそんなのばっかりなんでしょうかねえ麿の方がよほど学者だわと思ってしまうま)だったりしますから、こういう言説が出てくるのは「ああ空気読んでますなあ」という感じなのですが、今回どひゃーと思ったのはこれがあの安倍ちゃんファンをこじらせて置物一派の宣伝協力には余念がない、というあの産経新聞がこれをぶっこんできていることですな。

産経までこの調子で「いつまでも今の大規模緩和やってていいのかね」的なのをぶっこんで来る、という情勢になっている流れの中で、なんか日銀って足元で進行している問題の大きさ(債券市場サーベイがどうしたこうしたとかいうような市場の中の話ではなくてもっとマクロな面での問題ね)に気が付いてないで未だにのうのうと昨日の国会でも寝言は寝て言えというような発言ばっかりしておる植田総裁な訳ですが、この調子で誰もがおかしいだろという物価見通しを根拠に「2%行かないから緩和継続」とか言って気が付いたら日銀非難の大合唱になって植田総裁が剃髪して登場して野々村号泣会見を行う、という近未来を楽しみにしながらこの梅雨と夏を乗り切って行こうかと存じます。

いやーしかし社説とかではないにせよ産経がこれを掲載してきたのは、日銀の孤立化が急速に進行してるんじゃなかろうか、というのを示すものだと思いましたし、日銀はもうちょっと深刻に考えた方が良いんじゃないですかねえ、と思いました昨日の報道でした。



〇ECBパネッタ理事のインタビューを見てたらルモンドが良いツッコミをしておった件について

先週金曜のインタビュー記事ですが。
https://www.ecb.europa.eu/press/inter/date/2023/html/ecb.in230602~7f6e313c29.en.html
Interview with Le Monde
Interview with Fabio Panetta, Member of the Executive Board of the ECB, conducted by Eric Albert
2 June 2023

Q&Aが質問ゴシック、回答普通のフォント、になっているのですが、ワイ下書きをMS標準のテキストエディタで作成しているのでフォントの代わりにQとAを頭に以下補記します。


ということでルモンド紙のインタビューですが。

Q『The ECB’s objective is to keep inflation at 2%. It is currently at 6.1%. Should people be worried?』

まあ最初はジャブですなジャブ。

A『There is no doubt that 6.1% is too high, but people should not be worried. We will bring inflation back to 2%. In less than a year, we have raised interest rates decisively, from -0.5% to 3.25%, and inflation is falling, as confirmed by yesterday’s data.』

とまあ公式見通しを出してドントウォーリーと仰せですが、

『As a result of our rate hikes, banks are increasing lending rates and reducing the loan supply. This is being passed on to the real economy: firms are taking this into account when they plan their future investments, as are households when they take out home loans. But monetary policy typically exerts its impact over extended periods. It takes several quarters before its effects are fully felt by the real economy and then transmitted to inflation.』

見通しの根拠となる説明をちゃんと行っているのが当たり前のコミュニケーションですが、「自信がない」だの「コストプッシュで一時的」だのという説明だけで全然説明になっていないどっかの中銀との違いが良く分かるというものです(そらまあどっかの中銀の場合は要因分解説明しだすと益々インチキ見通しなのがバレてしまうから細かく説明できないんでしょうがないんですが)。

Q『But how long will it take before inflation returns to a reasonable level, like 3%, for example?』

3%がリーズナブルレベルか〜、まあそれ欧州の体感なんだろうな〜とは思いましたが、「戻ると言っても何時になったら2%とは言わなくてもまともな水準に戻るんだ」と更に追撃が来るのもまあ当然。

A『Our March projections suggest that inflation should hover around 3% early next year and approach 2% in 2025. However, this scenario does not account for any potential, unforeseen shocks.』

3月のECB見通しでは、来年の早い時期にインフレ率は3%レベルに着地して、2025年に向けて2%レベルに近づいていく、となっております。まあそうはいっても今後不測のショックが起きるかも知れんからそこはそこ、というゆうてみれば公式説明をしている訳ですが、ここでルモンド紙当然と言えば当然だが厳しいツッコミを行うのでして・・・・・・・・・


Q『Since the autumn of 2021, the ECB has been saying that inflation will soon return to 2%. Why should Europeans believe you now?』

一昨年の秋以降あんたらECBは物価は直ぐに2%レベルに落ち着くって言ってた訳ですが、そんなに見通しを外しまくっている(とは直接言ってないけどどう見てもそういう文脈)ECBの見通しを我々は信じてて良いのでしょうかねえ????とツッコみますが、まあ当然こんなのは想定問答がある訳で、じゃあECBの想定問答はどうなっているのか、という観点からパネッタ理事の引かれ者の小唄を鑑賞してみましょう。

A『Investors understand that inflation has risen because of a series of adverse global shocks that are beyond the control of monetary policy. They know that we will intervene until we see inflation heading convincingly towards our 2% target and they expect it to return to that level. So far we haven't succeeded, but not because of the reasons suggested by commentators in 2021 who predicted a sharp rise in inflation. Nobody had foreseen the severity of the supply chain bottlenecks, the war in Ukraine or Russia’s manipulation of energy supplies. Without these unpredictable events, the economic landscape would be quite different, with significantly lower inflation.』

ということで、2021年からと言われたのをこれ幸いに、というのもあると思いますが、サプライチェーンのボトルネックの大きさがこれほどとは誰も予想できなかったし、とロシアのウクライナ侵攻という想定外のイベントによってこんなにエネルギー価格上昇するとは予想できなかったわけで、これらの想定外が無ければここまで物価は上がらんかった、という割と見苦しい言い訳をしています。

当然そんなのでルモンドが容赦する訳もなくサラトイが来る。

Q『Does inflation only reflect the war and the pandemic? In 2020-21, euro area governments had built up a very high deficit. This massive stimulus was only possible because the ECB made huge debt purchases. In hindsight, was this a mistake? Did you loosen monetary policy too much?』

戦争とパンデミックだけじゃないでしょ???ということでコロナ期の財政拡大と、直近まで続いた金融緩和政策の修正の遅れがあったし、後者は政策のミステークじゃなかったのか???との砲撃。

まあこんなのにも当然想定問答がある筈なのでどういう言い訳しているか鑑賞しましょう。

A『We are too quick to forget that the combined intervention of the ECB and governments following the pandemic saved the euro area from an economic depression. In 2020 the euro area economy contracted by 6%. Imagine the potential fallout had we not acted decisively: the risk of falling into a prolonged recession and of deflation, which could have led to an economic depression, was real. The subsequent economic recovery has contained the deficit and debt as a percentage of GDP. Inflation was largely caused by bottlenecks and the war, not monetary policy.』

おうおう見苦しい言い訳してやがるという感じでして「パンデミック対応の財政支出と金融緩和は正しい政策でした、何故なら〜」という説明をしているのですが、質問しているのはそっちじゃなくて「その後の財政金融超緩和の引き時を間違えたから高インフレになったんじゃないか」という話ですよね。ラガルドさんは割とこの辺り「政策が出遅れました物価の強さを見誤りました」と講演とかでは言ってると思うのですが、パネッタさん割と往生際が悪い説明をしておりまして、何ですかねえこういうの使い分けしてるのか単にラガルドはんがエエカッコシイなのかは謎ですが、「Inflation was largely caused by bottlenecks and the war, not monetary policy.」とか言いきっちゃうのマズくねえかとは思いますけどね。インフレの初期段階の話をしているんだとは思うのだが、これ今のインフレもそうだとか言ってる、というように読まれるの結構なリスクだと思うけどね。

回答の続きが残ってました。

『We are now addressing the inflationary consequences of these shocks, and our actions should be measured against our success in curbing inflation. In this respect, as proven in the past, we are fully determined to reach our 2% target.』

ふーん。まあこの辺はまだ往生が足りんなと思いましたら、アタクシが申し上げるまでもなくルモンド紙が「今のインフレもまだパンデミックの後遺症と戦争のせいと思ってるのか」と流れるように砲撃を続けます。

Q『Is inflation still fuelled by supply shocks? Inflation in the services sector is high - it was 5.0% in May - and core inflation (stripping out energy and food prices) is at 5.3%, which is more likely to be demand-driven.』

この流れるような砲撃は素晴らしい。でもってパネッタはんの往生際の悪い答弁を鑑賞。

A『I don’t think strong domestic demand is our main problem. In the last quarter of 2022 the euro area recorded a fall in consumption and investment. It is mainly foreign demand that is underpinning growth. The main threat to price stability derives from the strength of the labour market and firms’ profit strategies, although so far there are no clear indications of a self-sustained wage-price spiral.』

ストロングな需要がメインの問題ではない、と考えているというお告げが来ました。いやそれホンマカイナとしか申し上げようがないけれども、その一方で「The main threat to price stability derives from the strength of the labour market and firms’ profit strategies」って言ってて、今の物価形成におけるメインの問題は労働需給がタイトであることと、企業の価格設定行動である、という説明をしていますな。なお賃金と物価のスパイラルは今起きていないという認識。

『Core inflation does not accurately represent the typical consumption basket, especially for low-income consumers. More importantly, as I have said in the past, it is not a good leading indicator for future headline inflation. Core inflation usually lags behind headline inflation.』

パネッタさんの回答の続きになりますが、コアインフレ指数の話をしてて、コアインフレは特に低所得者層の消費バスケットを必ずしも代表してないし、将来のヘッドラインの物価に対する先行指標としてもあまり良い指標ではない、という説明をおっぱじめておりますな。

『And just as it has lagged behind energy inflation on the way up, it is now proving to be persistent even after energy inflation has gone down. But we can expect it to come down eventually too. In this respect, yesterday’s figures are encouraging.』

とまあそんな訳で、割と物価に関しては見苦しい言い訳をしているなあというのが印象的で、ラガルドさんと役割分担して使い分けているというか、ラガルドさんにはあまり見苦しい言い訳をさせないで燃やさないようにする、という配慮をしているのかなあECBって(まあラガルドさんのエエカッコシイの収拾作業をさせられているだけ説もあるが)って思いまして、別に前任のせいにすりゃ良いのに前任を踏襲した結果として見苦しい聞き苦しい往生際の悪いコミュニケーションになってしまっているどっかの中央銀行との比較が味わいがあるわ、と思いました。

以下もうちょっと質疑があるのですが話は物価から離れまして、

Q『Growth in the euro area was just 0.1% in the first quarter. Isn’t there a risk that rising interest rates will stifle what little growth there is?』

Q『So, how high should you continue to raise interest rates?』

Q『Has Europe suffered a permanent loss of competitiveness as a result of the war? It no longer has access to Russian gas. At the same time the United States is paying very high subsidies through the Inflation Reduction Act, and the Chinese are doing the same.』

Q『Perhaps, but the governments that are currently investing a lot of money are the United States and China. Meanwhile, Europe is talking the talk but not walking the walk.』

って4本の質問でインタビューは終わるのですが、こちらの応答に興味がありましたらさっきのURL先を見てくんなましということで今朝はここまでで勘弁して頂きとう存じます。







2023/06/06

お題「久々にラガルド講演鑑賞しましたが利上げはチンタラ続けそうでもゴールは近いですねこれは」

そうか今日は6月6日か・・・・・・・・・・

〇ECBネタをほっぽらかしでしたのでラガルドはんの6/1の方の講演を拝読

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230601~2740cf2320.en.html
The fight against inflation
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at “Deutscher Sparkassentag 2023”, Hanover
Frankfurt am Main, 1 June 2023

でですね、本当は今日はこのネタと直近のラガルド発言と週末のパネッタのインタビュー記事の3本で欲張りセットにするつもりだったのですが、いつものアレで下準備が足りなかったので6/1の講演だけになっちゃうんですけど、先にこれ読んだ感想を申し上げますと、(1)利上げのゴール地点は近いという感じの言い方をしている、(2)ただし6月インフレ見通しの修正次第ではまだ利上げは続きそう、(3)利上げの影響を秋口まで見極めてその時点で「適正な引き締め水準は何処か」というのを見たいようです。

という感じですかね(個人の感想です)。

ということでハノーファーでの講演(ただし英語)なのですが、イントロの部分は飛ばしまして、『The distance covered so far』という小見出しの所から参ります。

『Since the outset of the pandemic, the euro area has been hit by a series of sudden, overlapping and self-reinforcing shocks which, together, have sent inflation soaring.

Shocks to the supply side - notably the supply bottlenecks created by the pandemic, the brutal Russian invasion of Ukraine and the ensuing energy crisis ? have raised input costs for firms.

And this has been felt particularly hard here in Germany, where businesses have seen delivery times reach historic highs, critical materials are in short supply and producer prices for energy - despite recent falls - are still much higher than they were in January 2021.[2] That was an important reason why the economy fell into recession over the winter.』

このコーナーは今までのレビューなのですが、パンデミックとロシアのウクライナ侵攻に伴う供給サイドのショックが起きました、という話をしまして、

『At the same time, shocks to demand, especially the surge in spending as the economy reopened, have allowed firms to pass on these costs to prices much faster and more strongly than in the past. In combination, these shocks led to headline inflation in the euro area exceeding 10% at one point last year.』

同時にコロナ明けの経済再開に伴う消費の急拡大という需要ショックが起き、この需要ショックが企業によるコスト上昇のパススルーを可能にしましたし、過去にないほどの速さと大きさでパススルーが起きました。その合わせ技によって昨年のユーロ圏ヘッドラインインフレは10%にまで上昇しました。

・・・・・と来ましてこの先が金融政策になるんですが、

『The ECB entered this period with a highly accommodative policy that had been geared to fighting a decade of too-low inflation and the deflationary risks created by lockdowns. But once we had clear evidence that the inflation outlook was shifting, we changed tack completely - and rapidly.』

でもってこの時期をECBはコロナに対応してインフレが低下するリスクに対応した大規模金融緩和で迎えましたが、我々が「インフレの見通しがシフトした」というクリアーなエビデンスを得たと判断した所で我々は政策の針路を完全に変更して、急速に変更しました、と反省してるか自画自賛しているのか微妙な線で説明しているけれども、どっかの中央銀行にはとりあえずラガルドはんの爪の垢でも煎じて飲ませたい所ですな。

『Already in December 2021, we announced that we would discontinue net asset purchases under the bond buying programme we had introduced during the pandemic, and would gradually reduce net asset purchases under the previous asset purchase programme.[3]

Then, as inflation accelerated in early 2022, we announced that we would conclude net purchases under all our purchase programmes even sooner. As a result, even before we began raising policy rates, longer-maturity market rates had moved up by almost 200 basis points.[4] The battle had begun.

We started rate hikes in July 2022 and, since then, we have raised rates by 375 basis points in less than a year - from -0.5% to 3.25% today.』

ということで昨年の政策行動はこんなに変化した、と仰せですが、なんか利上げが遅きに失したんじゃないでしょうかという説は大いにあるのだがそこは反省してるのかしてないのか・・・・・・・・・・

『So, we have moved in a deliberate and decisive way to fight inflation. And though inflation is still too high, this rapid policy adjustment has put us in a different position today.』

利上げをババーンと行いましたが、今後はやや違った動きになりますよ、ってお話なんだが。

『Think of an airplane climbing to cruising altitude.』

飛行機の航行を例えに出しておる。

『At the start, the plane needs to ascend steeply and accelerate fast. But as it gets closer to its target altitude, it can reduce acceleration and retain its existing airspeed. The plane needs to climb high enough to reach its destination - but not so high as to exceed it.』

高度を上げるときはグイーンと上げるんだが必要な高度になったらそれ以上に上がらんようにする、と今次利上げの最終局面が近いような話をしていますね。

『Similarly, when we began hiking rates out of negative territory, in all scenarios there was a steep ascent ahead and so it made sense for us to move rapidly.

Now, we are approaching our cruising altitude - and that means we need to climb more gradually, using the speed that we have already built up behind us.』

「Now, we are approaching our cruising altitude」なのでつまりこれは利上げの到達点に近づいている、という解説でして、

『This analogy helps explain why, at our last meeting in May, we raised interest rates again - making clear that we were not there yet. But we also reduced the pace of rate hikes to a more standard increment of 25 basis points.』

高度(金利水準)はかなりの所まで来たので調整もゆっくりとしましたよ。

『How much higher do we need to go?』

じゃあ最終レートは幾らなんよという話ですが、この数字については・・・・・・・・・・

『That will depend on our assessment of the incoming data. And to help the public understand what sources of information will matter to us for these decisions, we have clarified our reaction function.

Three factors will be decisive: the inflation outlook, the dynamics of underlying inflation, and the strength of monetary policy transmission.

Let me explain how we currently assess each one.』

データディペンデントと見通し次第で決まります(キリリッ)という安直な回答になっていますが、要はこの人たちもどの辺で止めれば良いのか良く分かってないし自信もないって事なんでしょうなというのは分かるし、インフレを適正水準に下げたいというのも把握しました。


ということでじゃあこの要素について解説します、って話になるのですが、まあどっかのヘッポコ学者率いる中央銀行のように「自信がないから政策はステイです、ステイしてて物価がオーバーシュートする方が(日銀の保身的に)マシなのでステイするのは当然です」とか言い放っているよりはちゃんと説明をするスタンスがあって偉い偉い。

一つ目が物価見通し『The inflation outlook』どすえ。

『First, given that interest rate changes affect the economy with long lags[5], we look at the inflation outlook. Our best tool for doing so is the ECB's staff projections, which offer a comprehensive picture of the inflation path over the medium term, taking into account all relevant economic and financial information.』

政策金利の物価に与える波及にはラグがあるので見通しベースで考えて行かないといけませんね、とまあそんな話です。しかしこの「Our best tool for doing so is the ECB's staff projections」というのが極東の某島国の物価見通し外しっぱなしの某中央銀行を見ていると裏山鹿としか申し上げようがないで訳で、そもそもがポンコツ物価見通し(しかも政策を動かしたくないとかいうトップの意向に忖度したポンコツ見通しを出しているだけにしか見えないという御殿女中か茶坊主かというムーブの結果としか見えないのが悲しいですよね)をベースに政策運営をしている中銀とか存在意義無いっすよね、と話が逸れましたすいませんすいません。、

『To be sure that we have set the right monetary policy, we want to see inflation returning to 2% in our projections in a timely manner. This timeliness is important because the longer inflation remains above our target, the greater the risk that it infiltrates people’s expectations.』

でまあ物価見通しが下がるっちゅうのも「in a timely manner」に下がるという見通しになる(ような金利水準にする)というのが重要でっせという話をしております。そうしないとインフレ期待が上振れてしまうからです。

『In March, we projected annual average headline inflation to be 2.1% in 2025 - still slightly above our target. And we did not see year-on-year inflation rates returning to 2% until the second half of 2025. At our last meeting in May, we judged that the incoming data broadly supported those projections.

On the basis of these past projections we cannot yet say that we are satisfied with the inflation outlook. But we will have a new set of projections at our meeting on 15 June, and these will give us an updated picture incorporating the additional policy tightening since then.』

ECBの3月見通し、2025年末にインフレ2.1%ってのもまあホンマカイナとは思うのですが、2%近辺に戻るのは2025年の後半とかいう見通しだし、この見通しを出したからと言って引き締めの手を緩めるという話ではなくて、あくまでも「we cannot yet say that we are satisfied with the inflation outlook」と言っている訳ですな。でもって6/15のECBで新しい見通しを出すので注目注目ってところですね。

『In any case, in the uncertain and volatile environment we face today, it would not be wise to condition our policies solely on medium-term projections, which are surrounded by too much uncertainty. That is why our reaction function has a second element - the dynamics of underlying inflation.』

ときまして次は「基調的なインフレ」となりまして、『Underlying inflation』という小見出しになります。

『Underlying inflation refers to the slow-moving part of inflation which, when temporary shocks have faded, will persist into the medium term. Therefore, by looking at underlying inflation, we can be more confident that inflation is on the right path. And it has an important benefit - measures of underlying inflation can be observed in real time.』

基調的なインフレの説明をしていますね。そういえばどこぞの中銀は基調的なインフレの動きとして計測されているデータに関してまるで言及しなくなっているのはチャーミング。

『However, there is no clear evidence that underlying inflation has peaked. To date, all measures monitored by the ECB are still strong. And whether they remain so will depend mainly on the balance between two forces: energy prices and wages.』

はい、「there is no clear evidence that underlying inflation has peaked」来ましたね。でもって賃金とエネルギー価格の動向には注意しているそうです。

『On the one hand, as energy is an important input into every economic activity, the sharp rise in energy prices last year has fed through to all prices ? including those that make up our various measures of underlying inflation.

But energy prices have dropped considerably since then, which should have the opposite effect. HICP energy inflation in Germany fell from 44.2% in September 2022 to 9.4% in April 2023.

This decline in energy costs for both consumers and producers should, in turn, limit firms’ ability to further raise profit margins, which has been a key factor driving recent price pressures in the euro area.[6] Consumers are less likely to accept disproportionate price rises when they know that firms are saving on their energy bills.』

エネルギー価格は一頃のクッソ上げが一巡して基調的なインフレ押し上げにならなくなってきていますよね、という話をしてまして、

『On the other hand, mounting wage pressures are becoming a more important driver of inflation. So far, workers have faced a significant loss from the erosion in overall labour income caused by the energy crisis. In the euro area, real wages at the end of last year were still around 4 percentage points below pre-pandemic levels.

But labour markets across the euro area are tight and workers have considerable bargaining power, which they are starting to use to recoup these losses.』

一方で労働需給のひっ迫と賃金上昇圧力が強すぎでインフレ押し上げに寄与してまっせと。

『This is especially visible here in Germany, where labour shortages reached historic highs in the second half of last year,[7] leading to strong wage agreements in many sectors. Wage growth in Germany increased from 3.9% in the fourth quarter of last year to 5.1% in the first quarter of this year.[8]

To be clear: a period of catch-up wage growth need not cause unduly persistent inflation over time - if the costs of the energy shock are ultimately shared in a balanced way between firms and workers. But if we start to see what I have called “tit-for-tat” inflation[9] - with both parties trying to offset any real income losses[10] - we could see a negative spiral taking hold.』

ここドイツでもその傾向は顕著ですよとかいう話をしてまして、最後の所なんですが、コスト上昇をどのように経済主体がシェアするか、というバランスの問題があって、これがバランスよく負担されるとインフレ圧力が強くならんのだが、賃金上昇圧力が強くなって企業の負担が増えると、企業としては個人の所得は増えていて価格上昇への耐久力があるんで、その分価格上昇の行動に出やすくなって、それってスパイラル的な物価上昇になるよね、って話をして居ます。ちなみに脚注9は
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230322~306119d102.en.html
The path ahead
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at “The ECB and Its Watchers XXIII” conference
Frankfurt am Main, 22 March 2023
という講演で、さっきの「“tit-for-tat” dynamic」について真ん中あたりで言及されています。


勢いで引用してたら思ったより文章があったのですが、3つの要素の最後が『Monetary policy transmission』でして、

『The ECB cannot allow this to happen. And since profits are ultimately influenced by the business cycle, it is our responsibility to restrict demand enough to prevent such a spiral. That should, in turn, lead to slower margin growth and lower wage demands while reducing pressure in the labour market.』

中々過激な事をおっしゃる、と思ったのですが、今申し上げたようなスパイラルは許容できないから、需要を抑えるし賃金の上昇も抑えるし労働市場の逼迫も緩和するわ、と結構ここで過激な物言いをぶっこんで来てまして、結局の所政策は引き締め的に推移しますよ宣言してるんですけど、これは海外何処でもそうなんですけど、このような過激な事言っても結局「利上げの到達点に来たで〜もう頂上やで〜」のノリでヒャッハーしてしまうのが金融市場ということで、親??の心子知らずとはよく言ったもんです。

『But to gauge whether rates are sufficiently restrictive, we need to know how much traction our policy tightening is having - and is likely to have - on spending in the economy.

That is why policy transmission is the third element we are looking at.』

政策がそもそもどの程度効いてるのかを見極めるのが大事だそうな。

『So far, our rate hikes are being transmitted forcefully to bank borrowing[11] and lending rates - faster even than during previous hiking cycles. For the euro area, bank lending rates to firms currently stand at 4.2%, up by 267 basis points since May last year. This is their highest level since January 2009.』

銀行の貸出金利が上がりました。

『Bank lending volumes are also weakening, leading to a sharp contraction in money growth. From November onwards, monthly lending flows to firms have been negative on average. Money (M3) has also seen negative flows, causing its year-on-year growth rate to plunge from almost 12% in mid-2020 to 1.9% in April this year.』

その影響で貸出の額が減少しています。

『And banks report that credit standards are tightening, which heralds lower lending flows to come. In the ECB’s latest bank lending survey, the pace of net tightening in credit standards was at its highest level since the sovereign debt crisis in 2011.[12]』

さらに銀行の貸出態度も抑制的になっています。

『This is the desired effect of our policy: we want financing conditions to tighten. And, so far, it has not been at the expense of bank performance, with the positive impact of higher rates on banks' interest margins outweighing the negative impact on volumes.[13]』

これは私たちの望む方向ですし、しかもこの間銀行のマージンの縮小は拡大しているので貸出が減少してても金融機関の資本に悪影響を与えていません。

『But we know that our rate hikes have not yet been fully reflected in financing conditions. And we are also aware that recent financial market tensions may have intensified the tightening by increasing bank funding costs and encouraging more risk aversion.

So we need to monitor carefully how this pass-through process is playing out. And if the recent tensions do leave a lasting footprint on markets, a given level of rates would mean tighter financing conditions - and that would have to be reflected in the level at which rates peak.

At the same time, there is also uncertainty about how tighter financing conditions will affect the economy, and whether the effects will be stronger or weaker than in the past.』

さらにファイナンシャルコンディションの話になって、最近の金融問題で更にコンディションのタイト化が進んでいるのと、一方で利上げの影響はまだ全部コンディションのタイト化に表れていないというのを指摘してまして、まあ結局の所この辺りの状況をクリアカットに分別できないから注視していきます攻撃になっているんですよね。


『Firms have not faced a steep rise in funding costs for more than a decade, while the economy has changed considerably in that time - and may still be changing after the pandemic. This means that we need to observe closely the impact of our measures over time.』

ということでですね、ひたすらラガルドさんは「ファイナンシャルコンディションの望ましいタイト化」についての御託を延々と並べていて、この先は講演が金融機関向けとかじゃなくて、ハノーファーメッセとかいう所で企業経営者などに向けて講演をしているっぽいので、企業の皆様におかれましては、という感じでご理解を頂く話をしていますな。

『We might already be seeing some early indications of their effects across sectors.

A marked divergence has emerged between manufacturing activity, which looks to be contracting, and services, which are expanding - especially in the leisure and tourism sectors.

This can largely be explained by continued reopening effects: people are consuming more of the services they were denied during the pandemic, such as travel and eating out, while spending less on goods that they stocked up on during lockdowns.』

でもってまとめに入っていますが、ファイナンシャルコンディションのタイト化によってもリオープン関連産業への影響は限定的で、それ以外に関しては需要の減少がみられていますよね、という話をしておりますが、

『But monetary policy may also be playing a role. Tighter financing conditions may already be constraining households’ total spending, forcing them to substitute between sectors.

And spending on durable goods is likely to be more affected by higher financing costs, as some of these are typically bought on credit. By contrast, for this summer at least, our consumer surveys show that tighter monetary policy is not going to affect people’s holiday plans.[14]

As our rate increases percolate through the economy, we will get a clearer picture of how much the tightening we have already done is biting - and how much more is needed to ensure that inflation is decisively squeezed out of the economy.』

金融政策の最後のパートの締めですけど、今進んでいるファイナンシャルコンディションのタイト化に関しては、消費者の行動として表れているのは耐久財とかの方には出ているけど、一方で夏休みのバカンスヒャッハーとかそっちには出ていないように見られます、という事を指摘していまして、いずれにせよ今後「どの程度の引き締めが適切かというのを判断できる経済指標が出て来る」というのと「物価高がどの程度経済をスクイーズしているか」というのが見えて来る、って話をしているので、いったん25bpでちょろっと利上げするんですけど、物価が全然下がらんとかいうような事でも無ければ(あった場合は利上げ継続)引き締め政策の影響を確認して最終的に必要な引き締め度合いを判断する時間帯、というのに秋口くらいまで入るんじゃないかな、とまあそう思いましたがあくまでも個人の感想であります。









2023/06/05

お題「IMFは結局「日銀はクリアなコミュニケーションをしろ」と仰せのようで/利上げが遅れる方がマシという日銀の今のスタンスに関して」

へいへいそうだっかそうだっか
https://jp.reuters.com/article/-idJPZON00826Y
2023年6月2日9:46 午後
BRIEF-5月の米非農業部門雇用者数は予想上回る33.9万人増、失業率3.7%

『* 5月の米時間当たり平均賃金は前月比+0.3%(予想:+0.3%)=労働省
* 5月の米非農業部門雇用者数は+339,000人(予想:+190,000人)=労働省
* 5月の米平均週間労働時間は34.3時間(予想:34.4時間)=労働省
* 5月の米労働参加率は62.6%=労働省』(上記URL先より)

〇IMFの日本金融政策のスピルオーバーの話をちょっとだけ

https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/GFSR/2023/April/English/ch1.ashx
GLOBAL FINANCIAL STABILITY REPORT: SAFEGUARDING FINANCIAL STABILITY AMID HIGH INFLATION AND GEOPOLITICAL RISKS

の52ページから54ページに『Box 1.4. Potential Spillover Effects of Changes to Japan’s Yield Curve Control Policy』というコーナーがあって、状況説明の部分から始まってスピルオーバーの話があるんですが、52ページの下の方に『Figure 1.4.1. Bank of Japan’s Policies, Bond Investments, and the Japanese Government Bond Market』ってのがあるんですけど、そのグラフの上に説明がご丁寧にあってですね、

『The Bank of Japan has become a market maker of last resort amid signs of an increase in Japanese government bond illiquidity.』
1. Bank of Japan Purchases versus Japanese Government Bonds Illiquidity

『Increased Japanese government bonds yield and volatility illustrate that adjustments to the yield curve control in December 2022 came as a surprise ...』
2. Japanese Government Bonds 10-Year Yield and Option Implied Volatility

『... creating the potential for international spillovers as Japanese bond holdings abroad remain substantial.』
3. Portfolio Investment Assets of Japanese Investors (Excluding Foreign Reserves)

とまあこんなこと書いているんですが、ドサクサに紛れてIMFちゃん「1. Bank of Japan Purchases versus Japanese Government Bonds Illiquidity」という図表を出しているのがかなりチャーミングでして、まあIMFに日本から出向しているスタッフとかも居るので、その辺の人達によるアレなのかなとは思うのですが、何ちゅうかまあ日本だけやたら異常な政策をしていますよ、というアピールがこの『The Bank of Japan has become a market maker of last resort amid signs of an increase in Japanese government bond illiquidity.』という「日本銀行は日本国債市場のマーケットメーカーあるいはラストリゾートとなってきている、日本国債市場の流動性低下のサインが出てきている中にもかかわらず」とかそんな説明をしれーっとぶっこんでいるんですな。ちなみにこの図表1に関しての説明は52ページの右側の真ん中から下の辺りに、

『The Bank of Japan has purchased large amounts of Japanese government bonds in recent months and now owns 70 percent of all outstanding 5-year and more than 80 percent of outstanding 10-year Japanese government bonds (Figure 1.4.1, panel 1). 』

ってあって、その次に12月のYCC運営見直しの話が

『To mitigate the sharp deterioration in the functioning of bond markets and facilitate the transmission of monetary easing, the Bank of Japan announced at its December 2022 meeting the widening of the target band for 10-year yields from 25 basis points to 50 basis points.3 』

『The announcement was unexpected, leading to significant volatility in Japan’s exchange rate and long-term interest rates (Figure 1.4.1, panel 2). 』

『The decision ultimately improved demand-supply imbalances but required that the Bank of Japan increased the pace of its bond buying from December to January. This box assesses possible spillover effects in the event of a change to the Bank of Japan yield curve control policy.』

となってまして(この部分53ページの頭になる)、ここから先がスピルオーバーがどうしたこうしたの話になるのですが、前段階の説明でしれっとチャーミングな説明をしてまして中々オシャンティーだと思いました。


でもってスピルオーバーの話ですが、53ページの左側の上段の方(上記の続き)から引用していきますと、

『The Bank of Japan’s decade-long monetary accommodation has driven significant Japanese portfolio investments abroad. As institutional investors have sought higher-yielding fixed-income assets, Japan’s portfolio of investment assets abroad reached $5 trillion in the fourth quarter of 2020 - double its level before the global financial crisis?before declining somewhat more recently (Figure 1.4.1, panel 3).』

とあるのがさっきの3つある奴の最後で、要は「Increased Japanese government bonds yield and volatility illustrate that adjustments to the yield curve control in December 2022 came as a surprise creating the potential for international spillovers as Japanese bond holdings abroad remain substantial.」という事を示していまして、

『Changes to the Bank of Japan’s yield curve control framework may affect international financial markets through three channels: exchange rates, term premiums on sovereign bonds, and global risk premiums. One chain of interlinked spillovers could be as follows.』

日銀が政策変更をした場合の海外への影響に関しては、

『A rise in Japanese government bond yields could increase Japanese government bond term premiums (for a given policy rate and expected path of monetary policy), providing incentives for the repatriation of Japanese portfolio investments as well as drawing foreign investors into Japanese bonds - pushing up the foreign exchange value of the yen and putting upward pressures on interest rates. The size of the possible spillovers would vary across countries, depending on their financial links with Japan, country-specific factors, and the broader risk-appetite backdrop.4』

リパトリが起きて云々というのはECBの所でも指摘されていたんですが このあとあーでもないこーでもないと色々と説明があるんですが、図表の方を見た方が分かりやすくて、『Figure 1.4.2. Japanese Investor Holdings Abroad』ってのが、

『Carry sensitive banks and lifers have already sold $200 billion of foreign bonds over the past year.』
1. Japanese Investors’ Cumulative Flows into Foreign Bonds

『Japanese investors are heavily positioned, particularly in the euro area, the United States, and Australia.』
2. Outstanding Debt Securities Investment Balance and Share to Market Cap

『When Japanese government bond yields increased in December 2022, directional spillover effects from Japan spiked.』
3. Spillovers from Japan to Four Other Advanced Economics, Estimated Using a 120-Day Rolling Window

とあって、要はこの3番の話が(ノ∀`)アチャーですよ、ってお話をしているようですので、まあECBの指摘と同じというか、そもそもECBがこちらを元ネタにしていたっぽいのでそりゃそうよというお話なのですが。

でもってですね、この主要国への投資なんですが、日本からはそのほかにもインドネシアやマレーシアなどへの投資も行われている(債券じゃない形ですけど)ので日本のサプライズな政策変更があった場合に大きな動きをもたらす可能性がありますよ、という話をしていますがその辺は飛ばしまして、だから日銀はサプライズ政策変更をするんじゃねえぞ、というのが今回の結論の一つになっているようですな。

最後のまとめの部分になりますが、(53ページ右側の下の方)

『The pace and possible effects of repatriation could be larger, however, should market participants be surprised by the Bank of Japan’s announcements and actions.』

まあそうは言いましてもYCCの長期金利コントロールはサプライズじゃないと変更できんからなー。

『In such a scenario, even emerging markets with small direct financial links to Japanese investors could potentially see material outflows, because capital flows to emerging markets are sensitive to shocks in global risk premiums (Kalemli-Ozcan 2019).』

さっき申し上げたように具体的にはインドネシアとマレーシアのことをさしています。

『This points to the crucial importance of clear communication when announcing and implementing any changes in the instruments, framework, or stance of monetary policy.』

ということで、政策の枠組みの変更とかに関しえてはクリアーなコミュニケーションが必要ですよとの話なんだが、そうは言ってもYCCの長期ターゲットはどうしますねんという事になるんだが、そう考えますと6月とかいう物価見通しと関係ない所でしれっと「より市場の自由度を高める」とか言って外すか、それこそ「中短期の金利の方が重要だから」とか言って短期化しちゃった方がエエンチャウノとは思いましたが、まあ植田さんよーやらんでしょうなあとそこは絶望している。

『As central banks pursue their price stability mandate, it is imperative they clearly telegraph their intentions to avoid unwarranted volatility and mitigate spillovers in global financial markets.』

とIMFは仰せなのだが植田日銀になって益々コミュニケーションが何言いたいのか訳分らなくなってきましたよね。

『Until the adjustment in December, spillovers from Japan to other advanced economies had not increased meaningfully last year despite higher Japanese government bond yields during 2022 (Figure 1.4.2, panel 3). Clear communication in the event of adjustments to the Bank of Japan’s monetary policy stance is critical to avoid market volatility (see “Policy Recommendations”).』

ということで実は43ページから46ページに掛けて「Policy Recommendations」というコーナーがあるのですが、そこに関しては勘弁(というかザックリ読んだんですけど結局中央銀行はサプライズでボラだすなみたいな話だったように見えた)して頂きますが、なにせ日銀は政策枠組みの変更をする前にクリアーなコミュニケーションを行え、とのことなんですが、結局この部分に関しても「長期金利ペッグ政策」が思いっきり邪魔をすることになりますので、まあ何はともあれ長期金利ターゲットを何とかしろ(その意味では中期の金利ターゲットに変更するのは全く意味が無くて、とにかく撤廃(許容レンジをアホみたいに広くして事実上形骸化するのも含め)しないといつまで経っても「金融政策枠組みのサプライズ変更問題」が付きまとうと思うんですよねー。

とまあそんな話で、IMFは「クリアーなコミュニケーションをしろ」とのお告げでしたが、実際問題中々それはムツカシイ上に、植田さんの説明って黒ちゃんの時よりも複雑骨折してて何を言いたいんだかわかりにくくなっていて、更にそういう点ではクリアーなコミュニケーションから遠くなっているなと思いました。



〇門間元理事のご指摘ご尤もなのだが問題はその理屈がいざとなったら世間様にお許しを頂けない事だと思います

金曜にいつもの門間節登場@ロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/column-kazuo-monma-idJPKBN2XO03V
2023年6月2日11:33 午前
コラム:日銀の物価見通し大幅修正へ、来年は金利急上昇も=門間一夫氏

『日銀は4月の展望リポートで、2023年度の「日銀コア」の見通しを前回1月時点の1.8%から2.5%へ大幅に上方修正した。しかし、この見通しも今のインフレの勢いを過小評価している。年度最初の4月が前述のとおり4.1%で始まったのだから、今後かなり減速するとしても、2023年度平均で日銀見通しの2.5%に収まるとは考えられない。次の7月展望リポートでさらに3%台まで大幅上方修正が必至である。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、7月の展望レポートですが、2023年度コア+1.8%、コアコア+2.5%などという寝ぼけた見通しは大幅上方修正必至(コアコア3%台だとコアはどう見積もっても2%以上にしないと話が合わない)になりまして、これだけ物価見通しを外しまくっているのに政策に変更が起きないのか、というと門間さんの指摘では政策を変更しない、と来ている訳ですな、うんうん。

『それでも日銀は金融緩和の手を緩めず、今後の政策修正についても慎重な姿勢を崩さない。日銀にとって足元の物価上昇や2023年度の見通しは、もはやそれほど重要ではないからである。』

ほう!

『4月の金融政策決定会合の政策公表文には「粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の『物価安定の目標』を持続的・安定的に実現することを目指していく」と書かれている。「賃金の上昇」「持続的・安定的」というキーワードから、日銀は既に2024年の春闘を見据えていることがわかる。今年の春闘は30年ぶりの賃上げ率となったが、それは日銀にとって「1次試験を通過」という程度の話に過ぎない。テスト本番はこの賃上げが来年も続くかどうかであり、今後の金融政策はほぼその一点で決まると言っても過言ではない。』

ということで、現行の日銀の執行部の理屈はこうなるだろうなあというのをきっちりと解説しているのはさすが元企画担当理事だけの事はあるわと感心しますが、この次の小見出しが毎度アタクシが日銀法違反だとか言ってカミツキガメと化している「物価上振れのリスクの方が問題にならない」理論のご説明なので中々これは勉強になりますわよ(というかまあアタクシもカミツキガメなだけにこういう理屈で日銀が考えているんだろうなあとは思うのですが、こうやって綺麗に言語化してくれるのアリガタヤです)。

『<「早すぎる利上げ」だけは絶対に回避>

当たり前だが、来年の春闘の状況がわかるのは来年の春である。全貌を把握し、それがマクロの賃金統計に反映されるのを待つなら、来年の夏になる。そこで賃金上昇の持続性が確認されるまで、日銀は「粘り強く」現在の金融緩和を続けるというのが基本ラインである。

もちろん一定の柔軟性はある。植田和男総裁は、物価や企業収益の動向などから「来年の春闘も大丈夫」と事前に判断できるケースは、ありうるとしている。ただ、仮にそういう判断ができる場合でも、それだけの材料がそろうのは来年の初めごろ、どんなに早くても本年末ごろであろう。本年末まで金融政策の正常化が始まる可能性はほぼない、と考えられる。』

とまあそういう見立てになっていますが、途中飛ばしまして、何でじゃあこういう見立てになるのかと言えばですね、

『気になるのは、継続的な賃上げを確認するまで動かないという日銀の姿勢が、米欧と同じように結果的に利上げの遅れを招き、インフレが行き過ぎてしまうリスクはないのか、という点である。

そのリスクはあるし、日銀自身もそう認識している。しかし、そのうえで植田総裁は5月の講演で、ようやくみえてきた2%達成の「芽」を拙速な政策転換で摘んでしまうことになった場合のコストは極めて大きく、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうことのコストは前者に比べれば大きくない、と述べている。

つまり、2%物価目標が達成できなかった場合に「あとひと粘り我慢が足りなかった」という後悔だけは絶対したくない、という思いが今の日銀には強くある。

そのためならビハインド・ザ・カーブ(手遅れ)のリスクもある程度やむをえない、という割り切りに基づいて今の金融政策は行われていると言える。』

ということで、極めてクリアカットに説明されていて、いやまあアタクシも今の日銀ってそう思っているんだろうなあとは思う訳なのですが、その点にアタクシはカミツキガメな訳でして、別にデフレとかじゃなくて1%を超えるような物価で推移する場合と、事実上4%の物価上昇が長時間続く場合と、社会厚生はどっちの方が良いのでしょうか、という観点がこの日銀の理屈(として門間さんが解説しているもの)に完全に欠けている訳ですな。

つまりですよ、下がる下がるとあれだけ大口叩いている秋口になって物価が大して下がらないで強いままでいた場合に、結局の所は「日銀がちゃんと政策の修正を行わないで緩和継続しているから物価高が収まらない」という批判を食らって日銀が十字砲火を浴びてしまいますよ、という話になるというのを今の植田日銀って軽く見てるんでだろうなあと思う訳でして、結局この「つまり、2%物価目標が達成できなかった場合に「あとひと粘り我慢が足りなかった」という後悔だけは絶対したくない、という思いが今の日銀には強くある。」ってのって社会厚生とかと関係なく日銀の組織としてのご都合以外の何物でもない訳で、十字砲火食らい出した時に上記の理屈を振りかざしたら更に日銀批判が強まって、国民を蔑ろにして自分たちの利益を求める極悪組織呼ばわりされて地獄の火の中に投げ込まれることになってしまうというのをワイは心配してるんですけど、なんかその辺の危機意識ないよね〜と思うのでありました。

ってこれ何回もカミツキガメをしているネタではあるのですが、出るたびに一々カミツキガメになるのしつこいとか言われそうですが、まあこの点に関しては日銀のこの理論が世間様に許されなくなる瞬間が来る前にどないかしないと組織の存立にかかわる(と言っても決済とか発券とか国庫業務とかは存在意義が大いにありますので金融政策機能だけ無駄なので召し上げの刑になるだけでどんなにエクストリームになっても日銀自体は残りますけどね、MOFの外局に成っちゃうかもしれないけど)話だと思いますのでまあしつこく書いているのでありました、まる。

あ、この点ですが確かに安倍ちゃんがいた時だったらこの理屈でも日銀はセーフだった可能性があるんですよね。その点で言うと「もう安倍ちゃんは居ないのよ」という点をうっかりしているんじゃないかなあとも思ってしまう所ではあります。はい。

最後におまけになりますが、ちなみに物価にウルトラ弱気(構造的に日本の物価は上がらんわ派)の門間さんですら、今回のコラムでこのように説明しているのはほほーと思いました。

『確かに日本は約30年間にわたり低インフレが定着している特殊な国であり、米欧と同列に論じることはできない。米欧と同じような「賃金と物価の同時上昇」が日本で簡単に起こるとは思いにくい。それでも、その可能性が「多少なりともある」という状態になってきている点は、日本もこれまでの日本とは少し違う。』

構造的に日本の物価は上がらんと喝破し続けていた門間さんですらこのように感じるんですね・・・・・・・・・・・






2023/06/02

お題「債券市場サーベイは一応改善はしたんですけど/ECBが金融システムレポートで日本の正常化がどうのこうの言ってた件」

マジでアメリカン市場の人達何考えてるのか訳分らんのだが・・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKBN2XN3O4
2023年6月2日4:49 午前
NY外為市場=ドル急落、FRB6月利上げ見送り観測で

『[ニューヨーク 1日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが大きく下落し、約1カ月ぶりの大幅な下げとなる勢い。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る可能性が高いとの観測が高まったほか、米製造業関連指標を受けた。』(上記URL先より)

ちょっと待てこら、6月は利上げしないで7月に関してはとりあえずFEDの高官がファイティングポーズを取ってて、米国金融機関問題とインフレ次第で下手したら7月利上げもあるかも、が完全に本線だと思ってたというか高官発言全部並べたらそれ以外の話ってしてねえと思うんだがアメリカン市場ってAIが過学習でもしてるんじゃないか??????と思いました(個人の感想です)

まあロイターさんの後付け解説の方がアレなのかもしれませんけどね。


〇そらまあさすがに改善はするんだがどうせ水準はダメ水準なのにはお変わりありません

というかですね、そもそも論として金利水準が下がったら機能度が向上したように見えている訳なのだが、本来物価安定目標の達成が展望できる状況になったらYCCを維持したら債券市場の機能を壊すんだから、機能度が上がったからと言って喜ぶのって「物価目標の達成が遠のいた」と言って喜んでいるのと同義であって、政策当局者としてはアホの極み以外の何物でもないんですけどね。

などと性懲りもなく悪態をつきながら債券市場サーベイ。

https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2305.pdf
債券市場サーベイ
<2023年5月調査>
回答期間:2023年5月1日〜5月10日
調査対象先数:70先
(「調査対象先数」は、国債売買オペ対象先のうち調査協力を得られた先、および大手機関投資家<生命保険会社、損害保険会社、投資信託委託会社等>)

(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度

機能度判断DI
(現状)前回:-64 今回:-46
(3か月前と比べた変化)前回:-55 今回:14

まあしかしこの数字見ると前回の「3か月前と比べた変化」が▲55って無茶苦茶な変化でしたが、こんなの単純に米国のあばばばばーを切っ掛けに金利低下圧力が掛かった(前回調査はその前の話)のと、3月に無茶苦茶なSLF締め上げをやるという当局主導のスクイーズ(発行量以上に売る方も売る方だがそもそもその前の段階で漫然と買ってたのは日銀なんだから全てこれは日銀の自作自演)で市場を壊したうえに、4月末のMPMで緩和姿勢の強調というまさかの黒田完全踏襲ポーズ(子細に見るとご案内のように英文とか変なメッセージもあるのですが)で金利が下がっただけの話なんですが、これはまあ断言できるんですけど、どうせ日銀の中では「12月以降に行った市場機能改善策が4月になってやっと効果を発揮した」という話になっている筈でして、日銀の中でまた見苦しい歴史改竄が行わる事になるでしょうな。

というかさ、長期共通担保オペとかあれ結局何の意味があったの???????

ま、ゆうて絶対水準▲46だし、機能度が高いとか回答してるのゼロ社だし・・・・・・・・・・・


(2)債券市場の機能度・流動性に関する各論

@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい。

ビッド・アスク・スプレッド判断DI(現状)
(現状)前回:-57 今回:-43

とスプレッドに関しては改善している(と言っても水準はクソ)のですが、

B貴行(庫・社)の取引頻度についてご回答下さい。

取引頻度判断DI(現状)
(現状)前回:-32 今回:-27

D貴行(庫・社)の取引ロット(1回あたりの取引金額)についてご回答下さい

取引ロット判断DI(現状)
(現状)前回:-23 今回:-22

ってなもんで、国債市場でポートフォリオ運営をするって事になった時に、適正なオファービットを払いつつ、イールドカーブの形状に関する考え方とか金利観とかを反映させながらポートの構成を機動的に調整しながら超過収益を狙うようなムーブが出来るようなマーケットかというと、まあそんな状況では全然無い訳で、その結果カーブとかだって輪番日程や入札日程という官製需給イベント(入札はしょうがないけど)と一部の大きな売買によってやたらウネウネ動くとか、まあそういう効率的市場とは全くかけ離れた市場に成り下がったままな訳でございまして、債券市場そのものが相変わらずマーケットの経済物価観を反映しているのかというとそういう機能を失って久しい(マイナス金利からこの方ずーっとそうなので最早そっちの方が見慣れているのだが)次第な訳ですな。

とまあそういう訳で、どうせ6月のMPMでは会見とか主な意見とかで、「12月以降の市場機能向上策が効果を発揮してきた」とかお手盛り我田引水解釈をしてこのサーベイをネタにするんでしょうが、まあ何ちゅうかそういう辺りで直ぐに好き勝手に俺様解釈をして、しかもそれを歴史的事実にする(今でもしつこく覚えているがリーマンショックの後に1回だけ行いクソの役にも立たなかったCP買現先オペを「CP市場の落ち着きに効果があった」とかスタッフペーパーだしたのは流石にトサカに来るレベルの歴史改竄だったが、そういうのをやるのが日銀の伝統芸能))ので、それこそ長期共担オペですら「市場機能の改善に効果があった」とか言い出すに1万バーナンキ。


まあどうせ今の日銀は市場機能度改善とかの副作用対策でYCCの長期ターゲットを外すという発想は無いという情報発信をしているので、このサーベイでYCCの長期ターゲット見直しは無いのは仕様でございます。そもそもそういう発想があるなら前回のサーベイ結果を受けた3月会合か4月会合でYCCの長期ターゲットの見直しを行っている訳で、前回のあの壊滅的な結果で何もしない(米国金利低下という神風を利用してSLFの締め上げを実施しましたけど)んですからねえ。

とは言いましても、そうやって副作用対策とかその手の「政策変更とは関係ないけどYCCの長期レンジ拡大」みたいな屁理屈を持ち出して実施しないとYCCの長期ターゲットを単体で外すだけでも政策変更の流れの第一歩みたいになってしまうから、本来はこのようなサーベイを適当に利用してYCCの長期だけ外してしまえば、後の政策変更って単なる利上げになるので、一般的な「事前織り込ませ型」のコミュニケーションが可能になり、今みたいに何言ってるんだかわからないし、総裁が口を開けば開いただけ「お前の言ってることは分からん!」状態になって信認がドンドン低下するのは回避できるんだから、兎に角屁理屈考えて6月(7月でも良いんだが6月の方が経済物価情勢と分離した対応という扱いがやりやすいのでYCCの長期だけを弄るのにはお勧め)にYCCの長期解除・・・・・はやらんだろうなあとりあえず植田さん恐ろしいまでのチキンで夜の帝王らしく国民負担とか知らんわ社会厚生とかそんな事よりも2%目標だって会見でも思いっきり示唆しちゃってるからなあ・・・・・・・・・・・(なお6月7月に解除するならこれは全部偽装っぴょーん、って話になるからその大狸を評価して再度手のひらを返す予定なんですけどね)


〇最近すっかりネタにしてませんでしたECBですが

https://www.ecb.europa.eu/home/html/index.en.html

ECBのトップページを見に行くと、この前まではラガルドとドラギとトリシェが並んでるサムネがトップにあって、ECB25年企画のリンクになっていたのですが、今朝見たらまたもラガルドはんの大サムネになっていて、

SPEECH
The fight against inflation
Our rate hikes are already feeding into bank lending conditions, says President Christine Lagarde. We will keep moving forward until we see inflation returning to our 2% medium-term target in a timely manner, while also carefully assessing how our policies are policies are passing through to the economy.

って所へのリンクが貼ってあるという状態で、もうこれが大々的に出ている時点でECBのスタンスはお察しという感じですな。


・ファイナンシャルスタビリティレポートの件

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2023/html/ecb.pr230531~0cec488e6c.en.html
Financial stability outlook remains fragile, ECB review finds
31 May 2023

ということで、上記は紹介ページでして、こっち見に行けというのがあるので踏みますとこのページになります。、
https://www.ecb.europa.eu/pub/financial-stability/fsr/html/index.en.html
Financial Stability Review
The Financial Stability Review provides an overview of potential risks to financial stability in the euro area. It aims to promote awareness in the financial industry and among the public of euro area financial stability issues. It is published twice a year, with the next release provisionally set for 22 November 2023.

こちらのオーバービューってのをクリックしますと、
https://www.ecb.europa.eu/pub/financial-stability/fsr/html/ecb.fsr202305~65f8cb74d7.en.html

デギンドス副総裁のご尊顔と共にオーバービュー、と言っても結構な長文があるのですが、ニュースで話題になっていたのはこちらになりますので、せっかくの機会ですので一緒に鑑賞しようかと思ってネタにしました。

下スクロールしていくと右側の目次が徐々にスクロールされていくのですが、

https://www.ecb.europa.eu/pub/financial-stability/fsr/html/ecb.fsr202305~65f8cb74d7.en.html#toc14

『2 Financial markets』の『2.3 Global vulnerabilities might spill over to the euro area』というのが昨日ベンダーなどで取り上げらえていた話です。

『2.3 Global vulnerabilities might spill over to the euro area』ですが、この「グローバルな脆弱性」の一発目がまさかの日本なのはクソ受けました。

『A shift away from the low interest rate environment in Japan could test the resilience of global bond markets.[29] 』(ちなみにこの部分ゴシック体です)

ちょwwwwwと思う訳ですが、この29ってのをクリックすると、

『See the box entitled “Potential Spillover Effects of Changes to Japan’s Yield Curve Control Policy’’, Global Financial Stability Report, International Monetary Fund, 11 April 2023.』

というのが出てて、
https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/GFSR/2023/April/English/ch1.ashx
GLOBAL FINANCIAL STABILITY REPORT: SAFEGUARDING FINANCIAL STABILITY AMID HIGH INFLATION AND GEOPOLITICAL RISKS

というIMFのFSRみたいなレポートに飛ぶんですが、そこの本文52ページ(PDFでも52枚目)に

『Box 1.4. Potential Spillover Effects of Changes to Japan’s Yield Curve Control Policy』

というのがあるんですな。いやこれはちょっと見て無かったわというかそもそも57枚組の英文のグローバルFSRとかちょっとアタクシ生業というのがあるのでこんなところまで追いかけられませんわという話なので未見なのですが、たぶんこの話のベースなので読んでおかないと行けないじゃんというか、こういうの見て植田さんビビってるのかなとか思ってしまいましたわというのもあるので、読むべきなのではないかと思いました(って誰か本職の何とかスト読んで解説しやがれと思っているアタクシがいるが週末読むわシャーナイからこの部分だけだけどw)。


さて話は戻りまして、

『Inflation in Japan has been increasing over the past year, leading market participants to expect the Bank of Japan to start normalising its monetary policy.』

全く持って仰せの通りだし、何なら昨年年末何かの比じゃない水準にジャパニーズインフレーションは上昇してて、2%なんぞは軽くぶち抜けているんですけどねえ。

『These expectations have resulted in a growing deviation between the Japanese ten-year overnight index swap (OIS) rate and the government bond yield capped by the policy of yield curve control (Chart 2.8, panel a).』

チャート2.8、というのはちょっと下にスクロールすると出て来るんですが、チャートの小見出しが

Chart 2.8
Policy normalisation in Japan might have a sizeable effect on global bond markets

ってなってて、そちらは画像になっているのでアレなんですが、右の方に「ジャパニーズ投資家が海外の債券を結構持っていて、各国の国債市場におけるシェアが例えばフランス国債だと6%くらいあるで、というのが出ているのですけれども、如何せんこれデータが古くて昨年12月のデータというのが少々アレです。


『On 20 December 2022 the Bank of Japan announced an adjustment to this policy tool by widening the respective tolerance band to between around plus and minus 50 basis points.[30] 』

この脚注30は日銀の12月会合声明文になります。

『As a result, the ten-year government bond yield quickly increased and the yen appreciated by around 3% against the euro and US dollar.』

でもってここからが今後の話。

『If the Bank of Japan decides to normalise its policy, this might influence the decisions of Japanese investors who have a large footprint in global financial markets, including the euro area bond market (Chart 2.8, panel b).』

さっき申し上げた右の方のグラフの件です。日銀が正常化を決定したら欧州国債をはじめとする海外債券をアホほど買っている日本の投資家に影響するでしょう、と来まして、

『In particular, a rapid decline in rate differentials and increased exchange rate volatility could reduce the attractiveness of their carry trades.[31] 』

って言ってるんだが、そもそもオープン外債投資じゃなくてヘッジ外債投資してたら問題は当該国の長短金利差の方になるので、この説明も雑だなとは思う訳ですよ。本邦金融機関の外債投資が丸々オープン外債なら確かに上記の推論で懸念するのは分かるのですけど、ヘッジ外債の方が断然多いっしょ。

なお脚注31は

『By contrast, some portfolio investments by Japanese investors might be driven primarily by credit risk premia, term premia or their willingness to speculate on changes in interest rate expectations. In such cases investors often hedge the foreign exchange risk, hence also losing the benefits of a positive risk-free rate differential.』

ということでヘッジ付投資があるでよ、とは書いているのですが、なんかこう実態ベースの話とECBの認識が乖離している感じは否めない。

『In addition, policy normalisation could lead to wider term premia on local government bonds, which could also stimulate the repatriation of portfolio investments.』

まあ国内金利が正常化で上昇すれば、何も無理して外債投資にぶっこんでいく必要もなくなる訳で、リパトリとかが起こるかもしれませんというのは話としては分からんではない。

『Finally, valuation losses on local bond portfolios and higher risk-free rates could inhibit the investors’ risk-seeking behaviour, including their willingness to invest abroad.』

正常化でポートに損が出て来ると外債投資意欲が無くなるのでは、とのお話だが、それはなんか違う気がする。

『Japanese investors withdrawing abruptly from the euro area bond market could have a material effect on prices, particularly in more concentrated market segments. Such dynamics could be amplified by the increased net supply of these bonds resulting from quantitative tightening by the ECB.』

とまあ話として何だか違うような気がだいぶしますが、まあそのような前提を置いて「日銀が正常化を行った場合に、日本の投資家が投資している欧州の債券をバッカスカと売ってくると、それってECBによるQTと似たような効果を出しちゃいますよね」というのがこのコーナーの結論です。


・・・・・・・いやあのそんなに無茶苦茶せんじゃろ日本の投資家、と思う訳でございまして、なんか杞憂オブ杞憂という内容ではあるのですが、ECBが日本の正常化による市場の混乱を懸念、という結論だけで言えばキャッチーにも程があるので、そらニュースネタになるわなと思いましたが、なんか見えないので過剰に警戒しているだけなんじゃなかろうか、というのがアタクシの取りあえずの結論だったりします。週末IMFのも読んでみますけど。


しかしまあ何ですな、この話って裏を返せば「日本の馬鹿金融緩和継続によって欧米の債券市場に日本の緩和マネーが流れ込んでいる」という話でありまして、それってまあ極端に言ってしまえば「日本がマイナス金利とかYCCとかいう馬鹿政策を継続しているから欧米当局が余計に金融引き締め政策を取らないと行けなくなっている」という大迷惑プレイをしている、ともいえる訳でして(かなり極端な物言いなので念のため申し添えます)、そうなりますと欧米が引き締め効果を見ていく、ってやっている今こそ馬鹿緩和政策の正常化に着手しないと、海外が金融政策の引き締めを緩めていく段階で日本が正常化おっぱじめたら今度は海外の金融政策の調整に悪影響(引き締め緩めている筈なのに日本のせいで引き締めが緩まない)となるんじゃなかろうか、などと思ってしまいました。

ちなみにこの話はここで終わってて、次は米国の連邦債務上限問題になっていまして、そんなのと一緒くたかよと思ってしまいました、まる。




2023/06/01

お題「日銀梯子外されつつありますな/金研コンファランスで植田総裁ええことをおっしゃいますなあ/FRBタカ系要人時発言またも出る」

6月になりましたなあ。

〇植田日銀何かあちこちから梯子を外され出しているようにしか見えないんだが大丈夫でしょうかねえ

・ツトム先生突如の豹変クソワロタwwwww

昨日は朝寄り前からこんなのが出てきてワロリンチョw

https://jp.reuters.com/article/idJPL4N37R3R4
2023年5月31日8:51 午前
インタビュー:日銀、来年初めにも短期金利引き上げる可能性=渡辺・東大教授

なお、努先生の発言は別に日銀の意向とは全然関係なく勝手にやっているので別に政策インディケーターとしてネタにしている訳ではなく、珍獣観察枠で見ているのでその辺は誤解の無きようにお願いします。もし日銀の鉄砲玉やってるんだったら、昨年の今ごろにあった黒ちゃんの「家計の物価上昇許容度拡大」発言騒動の時に真っ先に「日銀の引用の仕方がクソだったので私の真意が誤解された」と逃げを打つわけないのですよね。でまあ昨日のインタビュー記事ですが。

おちんぎんに関しては相変わらず、

『一方で渡辺教授は、今年機運が高まった賃上げの持続性に企業も労働組合も「半信半疑だ」と指摘。今年の中小企業の賃上げは予想よりも良かったが、原材料高で厳しい中で実現したこともあり、来年の賃上げは「さらに厳しいと中小企業は話している」と述べた。企業や労組の予見可能性を高めるため、政権が先々の最低賃金の目安を示すなどの対応が必要だとした。』(上記URL先より、以下同様)

と先々上がらんかも話をして、しかも

『渡辺教授は、4月の日銀決定会合の声明文に賃金上昇の文言が入ったことは「非常に画期的だった」と評価。様々な賃金指標のどれを重視するのか、正規・非正規のどこまでを考慮していくかなど、日銀が重視するポイントを追加で明文化すれば「予見可能性がさらに高まる」と話した。』

相変わらず最遅行指標の賃金の中の特定指標に紐付けた金融政策運営で予見可能性が高まるとか、お前は政策がウルトラ超ビハインドしてでも予見可能性の方が大事なのかと小一時間問い詰めたくなるど素人満載の話をしているのですが、この先から急に変なもんでも食ったのか誰かの生霊でも突如降臨したのかという風情のお話が始まってワロスワロス。

『日銀の植田和男総裁が前任の黒田東彦氏から引き継いだ長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)については「早くやめた方がいい」と語り、短期金利引き上げの前に撤廃すべきとした。』

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwさっきの賃金ターゲットとの整合性はどこにwwwwwwwwwwww

『短期のマイナス金利と10年金利の「2点を抑えるのは無理があるというのが一番大きな教訓だ」とし、無担保コール翌日物金利のみ制御するやり方に戻すべきとの考えを示した。一方で、「YCCを変えると翌日物金利も引き上げるニュアンスを生んでしまう」と話し、修正のタイミングは難しい判断になるとした。』

素人丸出しコメントに特に何かというのは無いのだが、なんですかこの急に飛び出るYCC早期解除しろ
攻撃はという所ですが、さらに凄いのはこの後の部分でして、

『物価研究の専門家として知られ、日銀の物価に関する勉強会で昨年パネリストを務めた渡辺氏は「日本国内の事情で賃金や物価が動き始めている」とした。国内の物価見通しについて、日銀が予測するような「減速にはならない」と語った。米景気の減速で日本の企業収益が悪化しても「それとは違う(国内の)力学で賃金や物価は決まっている」と説明した。』

>日銀が予測するような「減速にはならない」
>日銀が予測するような「減速にはならない」
>日銀が予測するような「減速にはならない」

これはツトムちゃん、植田日銀のあの無理矢理な物価見通しに付き合っていると自分もまきこまれるということで逃げやがったなwwwwwという風情ですが、つい直前の週の植田総裁のインタビューでは総裁がばっちりと「間違いなく年度後半は物価上昇が減速する」という話をして、だからこそ金融緩和政策を修正するのは急ぎません、って話をしておりましたというのに、今まで散々「賃金が上がらないから金融緩和は継続すべし」とか黒田日銀や植田日銀に援護射撃をしていた筈なのに、努ちゃんったら急に背中から銃弾浴びせてお茶目なんだからモウ。

・・・・・・いやまあ別にツトムちゃんの物価見通しの精度がどうこうとかいうのはどうでもよいのですが、突然YCC止めろ話をおっぱじめたり、今の日銀が政策をいじらない理由にしている一番の根本である「今年度後半になると物価の伸びが落ちてくるので2%達成という状況にはなっていない」という話を思いっきり否定するわというこのムーブ、何でまたこんなタイミングで突如こういうのを言い出したのか、という背景に何があるのか、というのを妄想する方が興味のある事案かな、とまあそのように思うのでありました。


・経団連会長、来年の賃上げに関して堂々言及しているのですが・・・・・・・・・・・・・

これはまた景気のいい話。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230531/k10014084191000.html
経団連 十倉会長「賃上げの勢い 来年以降も継続し好循環を」
2023年5月31日 16時58分

『経団連は31日、定時総会を開き十倉会長のもとでの3年目の体制がスタートしました。十倉会長は31年ぶりの高い水準となった賃上げの勢いを来年以降も継続し経済の好循環を生み出したいという考えを示しました。』

『3年目の体制のスタートにあたり十倉会長は、「およそ30年ぶりの高い水準の賃上げの勢いを来年以降も継続し、人への投資、さらには構造的な賃上げにつなげ、『賃金と物価の好循環』の実現を目指していく」と述べ、賃上げの勢いを維持し、経済の好循環を生み出したいという考えを示しました。』(以上上記URL先より)

まあアレです、記事を見ますと来賓に岸田首相が来ているというのがあるので、岸田さんにヨイショをしておられる、というのはあると思うのですが、この「来年の賃金」の話に関してはまさしく金融政策の2%達成判断の重要な部分(ということに今はなっている)になりまして、岸田さんへのヨイショが図ってるのか図っていないのかはわからんですが、これまた植田日銀に対して「馬鹿緩和政策エエカゲンにせえ」というメッセージにもなっている、というのが大変に味わいの深い所でありまして、先日のEテレでの山口元副総裁の解説コーナー然り、なんかさすがに「このままじゃヤバいんでネーノ」という感じの包囲網がだんだん強化されてきて、気が付いたら日銀は過度な円安物価高の戦犯として十字砲火の刑を食らって植田先生の晩節が悲惨なものになる、というような流れに成り兼ねないと思うのですが、さて当の日銀にはそんな危機感とかあるのか無いのか、6月決定会合の会見と7月展望レポートが益々楽しみになって参りました。



〇金研国際コンファランスでの植田総裁の挨拶は大変に結構な話をしているのだが言行不一致の謗りは免れませんな

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230531a.htm
【挨拶】
日本銀行金融研究所主催2023年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
2023年5月31日

モノホンはこちらです。
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2023/ko230531a.htm
[Speech]
Opening Remarks at the 2023 BOJ-IMES Conference Hosted by the Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
UEDA Kazuo
Governor of the Bank of Japan
May 31, 2023

本来はモノホンを見るべきなのと、植田日銀はどさくさに紛れて英文の方で別のメッセージをだしていたりするので、モノホンも見ないと行けないのですが、なにせほら月末月初だし(何の言い訳にもなっていないwww)ちょっと今朝の所は皆が真っ先に見る邦訳の方で勘弁、ということで以下の引用は上記2本のうち和文の方から引用しておりますので宜しゅうに。


・足もとのインフレの要因をコストプッシュとひたすら決め打ちしている植田先生とは思えない素晴らしい指摘がそこにある

最初のご挨拶はすっ飛ばして次の小見出し『2.1970年代の Great Inflationの教訓とNew Challenges』というこーなである。最初が『1970年代のGreat Inflationの教訓』です。

『まず、1970年代のGreat Inflationから得た教訓を2つ挙げたいと思います。』

ほうほうそれでそれで????

『1つは、インフレの原因を把握することの重要性です。』

>インフレの原因を把握することの重要性
>インフレの原因を把握することの重要性
>インフレの原因を把握することの重要性

おwwwwwwいwwwwwwwwww

『Great Inflationは2度の石油危機を含む時期に発生しましたので、コストプッシュ要因によるものと思われがちです。もっとも、日米を含む複数の国において、金融政策が需要を過度に喚起したことが大きな役割を果たしたのではないか、
という指摘も有力です。』

おwwwwwwいwwwwwwwwww

『インフレが需要要因によるものか供給要因によるものかは、金融政策運営にとって非常に重要な含意を持ちます。』

何というブーメラン。

『理論的には、需要要因によるインフレの場合には、引き締め政策を講じ、過度な需要を抑えてインフレを抑制することが望ましい対応となります。一方で、供給要因によるインフレの場合には、景気面では引き締め政策は採りたくない一方、インフレを放置するわけにもいかないというジレンマに直面する中で、難しい政策の舵取りが迫られることになります。』

ということですが、一方で足元のインフレをコストプッシュでひたすら決め打ちして、コストプッシュだから一時的な要因が終わるとコストプッシュ部分が剥落して物価の前年比伸びは間違いなく落ちますので2%達成ではありません、と言いまくっている同じお方のご説明とは思えないお話ですね!!!!!!!!

『この点、現在のグローバルなインフレ圧力の高まりの背景としては、資源価格の上昇、労働供給不足、サプライチェーンの混乱などの供給要因に加えて、拡張的な財政・金融政策の効果や感染症拡大後のペントアップ需要の増加も影響している可能性が指摘されています。』

ヒデキのブーメランストリート(あれは別にブーメランがぶっ刺さる唄ではないが)が脳内で再生されるのは昭和のジジイですかそうですか。

『また、いずれの要因も、一定のラグを伴って物価に作用していると考えられます。リアルタイムでの把握には更に困難さが伴います。これらの点を踏まえて、物価動向については、様々な指標を丁寧に分析し、基調を見極めていくことが非常に重要です。』

いやさあ、これだけ散々物価見通し外しまくっているのに全然反省しないで従来の延長線上のメカニズムでシナリオを作って、手前の物価指標を見て手前だけ鉛筆舐めて物価見通し出すとかいうポンコツ予想を基に「2%達成していないので今の政策を継続」ってやってるのが植田さんになったら当然是正されるもんだと思ってたのに全然是正されない上に、国際コンファランスとかいう表向きの場面ではこういう立派な話をドヤ顔(かどうか知らんが)でするのって恥ずかしくないの、って思っちゃうのですが、まあそういう面の皮の厚さだったり心臓に毛がボーボー生えているような神経じゃないと総裁なんて受けないんでしょうなあと思いまするに、市井の平凡人で良かったわワイなんてメンタル半日と持たんわと思ってしまいますわ全くどういう面の皮をするとこんな立派な演説をおっぱじめるんでしょ。(その点黒ちゃんってこういう偉そうなことは言わないのである意味言行一致ではありましたな)


・挙句に構造変化の可能性とか言い出していてじゃあ先週の共同記者会見は何だったのかと小一時間問い詰めたい

次に『New Challenges』という小見出しなのだが更にズッコケてしまう。

『次に、New Challengesについて、ここでは大きく2つに分けて言及したいと思います。』

『1点目はインフレ動向や経済環境の変化です。』

ほう。

『長い目でみますと、日本を含む多くの国では、Great Inflationの後にGreat Moderationの時代があり、その後、世界金融危機やlow for longの時代が続きました。』

『現在グローバルに続くインフレ圧力もやがては落ち着き、low for longの時代がまだ続くという見方もあります。』

『他方で、今回の高インフレ期を経て、人々の物価観などが変化し、従来のlow for longの時代から変わっていくという見方もあります。』

ほうほう。

『2020年以降の感染症拡大とそれに対する政策対応の結果として、公的部門・民間部門において負債水準が高まっています。また、2022年以降、改めて地政学的リスクが意識され、グローバル化の部分的な巻き戻しが進むという見方も強まっています。』

ほうほうほう。

『これらの点を踏まえますと、既にlow for longとは異なる新しい常態(New Normal)に移行しているという可能性も一概に否定することは難しいように思います。』

ちょwwwwwwwwwwwそんな話一切しないで金融政策運営してるじゃんという話で、少なくとも主な意見とか議事要旨で(少数意見だとそれっぽい指摘もあるけど)まともにその辺の問題意識が議論されているというような形跡がない中で、なにオッサン急に海外の学者向けにエエカッコシイしてますねんというお話で、この人の言ってた「理論と実践」とは何だったのかと小一時間問い詰めたくなりますな。


・とても綿密な分析をしているとは思えない「実践」を是正した方がよろしいんじゃないでしょうか

でもって最後の『4.結び』という小見出しにも同じように・・・・・・・・・・

『現在、我々は、New Challengesに直面しています。過去のOld Challengesで得られた教訓とNew Opportunitiesをどのように活用するのかが鍵となります。政策には綿密な分析と熟慮に基づく活発な議論が重要です。』

とありますが、お願いだから主な意見とか議事要旨の方で「綿密な分析と熟慮に基づく活発な議論」が行われているということが伝わるような情報発信をして下さい!!!!!!!!!!!

・・・・・ま、元々綿密な分析も熟慮に基づく活発な議論も行われていなかったら情報発信の仕様もないんですけどねqqqqqqq



〇ジェファーソン理事も6月はポーズじゃなくてスキップとお唱えとな

ハーカー総裁
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-harker-idJPKBN2XM1NW
2023年6月1日4:37 午前
次回FOMC、現時点で利上げ「見送り」支持=フィラデルフィア連銀総裁

『[31日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は31日、6月13─14日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)について、現時点で利上げの見送りを支持していると述べた。ただ、近く発表される経済指標で考えが変わる可能性もあるとした。ハーカー総裁は金融安定化に関するイベントで、6月の会合で利上げを見送るべきとの考えに傾いていると述べた。ただ、6月2日に発表される雇用統計次第で考えが変わる可能性もあると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『ハーカー総裁もこうした流れに沿い、「一時停止というのはしばらく金利を維持することを意味する」とし、「停止」という言葉は好ましくないと指摘。FRBはある時点で長期にわたり金利を据え置く可能性があるが、現在そうした時点になっているのかは分からないと述べた。』

ちょw

『その上で、これまでに実施された利上げにインフレが十分に反応しない場合、FRB当局者は一段の利上げを実施する用意を整えておく必要があると指摘。「自分自身にそのようにする用意はあるが、少し時間を置きたい」と語った。』

ときまして、まあ何でしょうねえ結局金融機関あばばばばーの影響が思ったほど大きくないんじゃなかろうかという(連鎖もしませんし)話からの最近の流れになっている、って感じなんでしょうかねえ。

ちなみにこちらはフィラデルフィア連銀のページにそれらしいものは今朝の時点では出て無かったです。なおそれを探しててほほーと思ったのは

https://www.philadelphiafed.org/the-economy/monetary-policy/monetary-policy-with-racial-inequality
Monetary Policy with Racial Inequality
Makoto Nakajima
by Makoto Nakajima Vice President and Economist
May 2023

WP 23-09 - This paper develops a macroeconomic model populated by workers of different races. The model captures racial inequality in terms of income, unemployment, and wealth, and is used to study how monetary policy affects different racial groups.

ってのがあって、米国らしい物件と思いつつ、一応このページ見に行くとナカジマ・マコトさんのプロフィールページにも飛べる(敢えて貼りませんけど)のでそれも見たりしたの巻でした。



でもってジェファーソン理事。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-jefferson-idJPKBN2XM1K7
2023年6月1日3:37 午前
FRBの金利据え置き、引き締め終了を意味せず=ジェファーソン理事

『[ワシントン 31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のジェファーソン理事は31日、FRBが今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定したとしても、金融政策の引き締めが終了したと受け止めるべきではないと述べた。ワシントンで開催される金融会議向けの準備原稿で「次回の会合で利上げを見送れば、FOMCが追加引き締めの程度について決定する前により多くのデータを見ることができる」と指摘。「今後の会合で政策金利を据え置くという決定は、今回の(引き締め)サイクルにおける金利のピークに達したことを意味すると解釈すべきではない」とした。』(上記URL先より)

ということですが、こちらは講演原稿が出ていまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/jefferson20230531a.htm
May 31, 2023
Financial Stability and the U.S. Economy
Governor Philip N. Jefferson
At the 22nd Annual International Conference on Policy Challenges for the Financial Sector, Washington, D.C.

お題でお分かりのように、米国経済の他に銀行問題がお題になっております。記事にある部分ですけれども、途中の『The U.S. Financial System and Economic Outlook』の部分になります。たぶんその途中も読んでおくと吉なのかも知れませんが時間の関係でそこはぶっ飛ばして、この小見出し中の最後のパラグラフの後半が記事になっている部分かと思います。

『Since late last year, the Federal Open Market Committee has slowed the pace of rate hikes as we have approached a stance of monetary policy that will be sufficiently restrictive to return inflation to 2 percent over time.』

からの、

『A decision to hold our policy rate constant at a coming meeting should not be interpreted to mean that we have reached the peak rate for this cycle.』

ということで次回FOMCで利上げ止めてもそれは利上げ打ち止めを意味する訳ではない、と来まして、

『Indeed, skipping a rate hike at a coming meeting would allow the Committee to see more data before making decisions about the extent of additional policy firming. With that said, let me turn to the topics covered in our two sessions this afternoon.』

ということでまあちょっと金融政策の話が入ってました、って感じですねこの講演は。