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2023/08/31

お題「田村さん道東金懇挨拶/ラガルドさんジャクソンホール講演(その2)」

8月終わりですなあ・・・・・・・・

〇田村審議委員道東金懇がありましたが講演の方はあっさり味(会見は踏み込む)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230830a.htm(HTML版)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230830a1.pdf(PDF版)
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
道東地域金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2023年8月30日

今回はHTML版同時公表になっていまして、今週来週立て続けに4本も金懇があるというのに同時に出て来るとは段取りのよろしいことで(棒読み)というところでございますが、引用するのにやりやすいHTMLの方から引用して参りますわ。

・景気の先行きに関しては威勢の良い説明ですわな

『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』の辺りから参ります。現状の話は飛ばして『景気の先行き』から参ります。

『次に、景気の先行きについてお話しします。欧米では、ひと頃に比べれば低下したとはいえ、依然としてインフレ圧力が続いており、そのもとで、各国中央銀行は利上げを継続しています(図表4)。こうした中、海外経済の先行きは、当面、回復ペースが鈍化した状態が続くと見込まれています。わが国経済の先行きは、こうした海外経済の動きが下押し圧力として働く一方、緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果などにも支えられて、内需が主導するかたちで緩やかな回復を続けていくとみられます。』

つまり米国が思いの外こけないと上振れするんですけどね。

『こうしたわが国経済の見通しの背景にある動きのポイントは、次の5点です。』

『第一に、供給制約の緩和が、輸出や生産を押し上げる方向に寄与していくこと。』

『第二に、足もとでも個人消費や設備投資の押上げに寄与しているペントアップ需要が、当面の間は、回復の支えになること。』

『第三に、インバウンド需要が増加を続けていくこと。』

『第四に、設備投資が、高水準の企業収益などを背景として、増加を続けていくこと。』

『第五に、労働需給の引き締まりや物価上昇を反映して賃金上昇率が高まっていく中で、所得から支出への前向きな循環メカニズムが強まっていくことです。』

だそうです。第5だけ何か異質な事書いてる気がしますが。

『7月の展望レポートで示している先行きの実質GDP成長率は、政策委員の中央値で、2023年度が+1.3%、2024年度が+1.2%、2025年度が+1.0%となっています(図表5)。日本経済の巡航速度である潜在成長率は、現状、ゼロ%台前半と推計されますので、これを上回る成長が続く見込みです。成長率が今後わずかに減速していくのは、ペントアップ需要の押し上げ効果が薄れていくことに加え、政府の経済対策の効果の減衰を織り込んでいるためです。』

ほう。

『以上の見通しには、海外の経済・物価情勢や資源・穀物価格の動向、企業や家計の中長期的な成長期待次第で、上下双方向の不確実性があります。』

と来てからの、

『なお、私自身の感触としては、GX(グリーン・トランスフォーメーション)関連やサプライチェーンの強靱化に向けた投資の増加、人手不足対応やデジタル関連の投資の一段の積極化とそれによる企業の生産性の向上、生産性向上を受けた賃金と物価の好循環の強まりなどによって、先行きの成長率は上振れする可能性が相応にあると考えています。』

上振れの可能性キタコレですが、「サプライチェーンの強靱化に向けた投資の増加」の点は順当な指摘だけどちょっとお洒落で、グローバリゼーションの巻き戻しで中国外しの動きが起きると経済に下押しって話をジャクソンホールでしてきた植田さんと逆の話しじゃん(まあ論点のポイントが違うから別にどっちが間違っているとかいう話では無いんですけど)という辺りに味わいを感じました。


・物価見通しも当然強気でして

次が『(2)物価情勢』でありまして、

『次に、物価情勢についてお話しします。消費者物価は、このところ2%を大きく上回り、消費税率引き上げの影響などの一時的な要因を除いてみると、バブル期まで遡っても経験していない水準で推移しています(図表6)。』

なお2%行っていないという謎理論。

『資源高・穀物高や為替円安を背景とした輸入物価の上昇がきっかけとなり、その転嫁の動きが幅広い品目で強まった結果、変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価の前年比は4%を超える水準となっています(図表7)。内訳をみると、「財」が7.3%と高い上昇率となっていることに加え、比較的変動しにくいサービス価格も「一般サービス(除く家賃)」が4.3%まで高まってきています1。』

この状況で何で2%達成していないって話なんでしょうかねえ。上振れじゃん。

『今次局面で特徴的なのは、企業の価格設定行動の変化です。わが国では、これまで、仕入価格が上昇しても企業は販売価格の引き上げになかなか踏み切れない状況が続いていましたが、昨年来、コストカットや利益の圧縮などでは賄えないほどの原材料価格の大幅上昇を受けて、企業が価格転嫁を進めました(図表8)。これには、コロナ禍で蓄積された「待機資金」とペントアップ需要が下支えし、物価上昇の中でも消費が底堅く推移していることも影響していると考えられます。』

これって欧米でも起きたことな訳なのに何で日本は欧米の後追いにならないという自信ニキで日銀が言ってるのか、もっと明確な説明が欲しいですよね、と思いますが田村さんの現状認識としては、

『販売価格引き上げの中身を確認すると、原材料価格の転嫁から、運送料や光熱費、更には人件費の転嫁へと広がりをみせてきています。企業に1年後の価格見通しを聞くと、物価全般を上回って自社製品の販売価格を引き上げるという結果となっており、価格転嫁に対する企業の積極的な姿勢を示していると思います。』

とまあこのように威勢の良い話が続いておりまして、さらに先行きに関してですが、

『物価の先行きについて、月次のパスでみると、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するため、当面は上昇幅を縮小していくものの、その後は再び、プラス幅を緩やかに拡大していくと予想しています。生鮮食品を除いた消費者物価の年度ベースの予想を政策委員の中央値で申し上げれば、2023年度が前年比+2.5%、2024年度が+1.9%、2025年度が+1.6%となっています(図表9)。』

ここは展望レポートの説明なんでどうでもよいのですが、この先ですよ。

『物価見通しも上下双方向に不確実性が大きい状況ですが、私としては、企業の価格転嫁の動きがまだ現在進行形であること、サービス価格の上昇ペースが高まってきていること、労働需給の引き締まりなどを背景に持続的な賃上げも期待できることなどから、想定以上に物価が上振れる可能性も否定できないと考えています。』

>想定以上に物価が上振れる可能性も否定できないと考えています。
>想定以上に物価が上振れる可能性も否定できないと考えています。
>想定以上に物価が上振れる可能性も否定できないと考えています。

「私個人としては今後も2%程度の物価上昇がしばらく続くのではないかと考えています」って説明してもよくってよ。

『物価の先行きに大きな影響を与える賃上げについては、本年の春季労使交渉では、労働需給の引き締まりや高い物価上昇率を背景に昨年を大幅に上回る結果となりました(図表10)。本年も人手不足の状況が続くと想定されるほか、昨年同様の高い物価上昇率が予想されることなどを踏まえると、私は、来年の春季労使交渉においても高めの賃上げが期待できると考えています。』

おちんぎんに関してもこのように言ってましてどうせなら「2%行ったも同然なので後は最終確認をするだけ」くらいぶっこんでほしかったんですが、まあ今回金懇挨拶のテキストがやたらあっさり味だった時点で「ああ田村さんは会見でぶっこんで来るだろうなあ」というのは想像できたので、今回の金懇ネタは今日出て来る会見テキスト(当然ニュースワイヤーに記事は昨日出ていますが)が本命という感じでこちらはその前の前振りって感じでしょうな。


・しかしこういうことになるからポンチ絵での展望レポートの説明はやるべきではないと思うの

『3.金融政策運営』の『(1)「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現』ですけど、最初の方の説明はどうでもよいのですっ飛ばしますが最後のパラグラフが色々とありますのでそこの所を。

まずですね、

『このような大規模な金融緩和によって、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を目指して約10年が
経過しましたが、私自身は、ようやくその実現がはっきりと視界に捉えられる状況になったと考えています。』

>私自身は、ようやくその実現がはっきりと視界に捉えられる状況になったと考えています
>私自身は、ようやくその実現がはっきりと視界に捉えられる状況になったと考えています
>私自身は、ようやくその実現がはっきりと視界に捉えられる状況になったと考えています

さてここで先般の展望レポート説明のポンチ絵を確認してみましょう(URL出すまでもないですけどwww)

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202307.htm
展望レポート・ハイライト(2023年7月)
経済・物価情勢の展望

『強力な金融緩和を継続する』の所の絵を見ますと2%は「はっきりと視界に捉えられる状況」からは程遠い訳でして、展望レポート基本的見解ってあくまでも政策委員会のコレクティブビューなので、紙としては一つの記述になっていますけど、これを決定するにあたっては各政策委員のビューをごった煮にして作っている、即ち見通しについては別にベースとなる一本のシナリオがあるわけではなく、複数のシナリオを集合したものになっているので、こういう絵で表現するのは土台無理があるんですよ。というのは先日も申し上げた次第でして、こんなシュールな事が発生してしまうのが明らかにポンチ絵コミュニケーションの弊害な訳ですな(なおこの前も申し上げましたがECBのポンチ絵はスタッフ見通しという一本の見通しをベースにして書いているのでこういうシュールな事態は起きない)。まあ即刻このポンチ絵は止めるべきだと思います。


・見極めた結果「達成が展望できる」となった暁には・・・・・・・・・・

それは兎も角として田村さんの説明の続き。

『もっとも、実現に向けた不確実性も残る状況下、まだ、賃金や物価の動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、現時点においては、金融緩和を継続することが適当と考えています。持続的・安定的な物価上昇の実現に向けた状況の見極めにはなお時間が必要ですが、来年1〜3月頃には、その時点の賃上げのモメンタムやそれまでに得られる年後半の物価動向などのデータから、解像度が一段と上がると期待しているところです。』

ときまして、これ一見すると「ああ1−3くらいまで政策の修正が無いのか」と思ってしまうのですが、アタクシこれ見た瞬間に「1-3の時点で物価目標達成が展望できたら正常化着手できるじゃん」ということで、YCC解除とマイナス金利解除が来るし何ならその先の政策金利引き上げまで展望できるじゃんヤッホーと思ったのですが、そこまで先走ってヤッホーと思うのはアレかな、と思いましたところご案内の通りで会見では結構なぶっこみがありましたのでその辺は会見録でましたら参りますね。


・有言実行をお願いします

『(2)イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化』のところは基本的にどうでもよいのですが、

『金利形成はより市場に委ねられることになりますが、ファンダメンタルズから乖離した投機的な動きや急激な金利変動が見られる場合には、国債の買入れ額の増額等によって、過度な金利上昇圧力は抑制してまいります。』

>金利形成はより市場に委ねられることになりますが
>金利形成はより市場に委ねられることになりますが
>金利形成はより市場に委ねられることになりますが

とあるんですが、そもそも特に5−10年の輪番は今の通常輪番のペースでも買入が過大になっている訳で、それによりこのゾーンの金利形成明らかにおかしくなっていますし、先日の20年入札で見られたように、需給イベントの度にアホみたいにブレてしまうのって、市場の流動性が無くて、マーケットメーカーがマーケットメークするために必要なポジションテイクができないという状態にあるから、やれ輪番だやれ入札だってのでウヒャーと動いてしまう次第。

でまあそうやって新発入札がクソ流れする、というのは、入札直前になんか相場の先行きに大きな影響のあるようなイベントがあったとかで市場が荒れてるみたいな時でないのであれば、まあ程度の差はあれどもそんなに起きる物ではない筈なんですよね。

然るにこのように新発入札が割とチョイチョイとクソ流れするような事態が起きている、という事はその時点で「金利形成はより市場に委ねられる」が全然実行されていない、ということを示している訳でありまして、8月はまあド派手に流れた入札は20年くらいでしたけれども、9月最初の10年がそもそも大丈夫なのかよこの水準で、と思う訳でして(個人の感想です)、そんな状況が続いているのは明らかに「柔軟化」が本当の意味で実態を伴っていないということでもあると思うのですわ。

とまあそういうことですので、とにかくアホみたいな額の通常輪番を減らせよと思うのですが、昨日なんて米国金利下がって帰ってきたんだから減らそうと思えば減らせたと思うのですが、なぜ昨日も輪番を減らさない?減らせないのか?減らしたくないのか?減らす度胸もないのか?と椎野四段活用(で検索すれば由来は分かります)を持ち出したくなる今日この頃でございまする。って田村さんマターではないのに(とは言ってもゴリゴリと言ってしまえば通常のオペレーションに関したって別に金融市場局が関東軍なわけじゃないんだから何か物は申せるでしょと思うんですけどねえ、政策委員は取締役みたいなもんなんだから)ここで噛みつくアタクシなのでした。

まあ「市場に委ねる」と立派な事を言ってるんだったら有言実行をしていただかないと、日銀と市場の関係って悪化しかしないと思いますし、そんな状況でちゃんと正常化できるのかよという心配しかありません。



・最後は『4.賃金と物価の好循環』という小見出しですがまあこれもあっさり味

あっさり味なんですけど、

『今後の金融政策運営を見通すうえでは、賃金と物価の好循環が実現するかどうかが最大のポイントです(図表14)。』

ということでPDF版の方を見ますと図表がくっついていますのでそれをご覧あれという感じですが、この図表14、なんか懐かしの置物フローチャートを思い出してちょっとウケてしまいました。そのうち総裁とか副総裁の講演のポンチ絵に出て来るに1万バーナンキ。


#ということで明日の会見ネタをお楽しみに(^^)



〇ラガルドはん講演

よく考えたら金懇シリーズがあるというのにうっかり始めてしまいましたが昨日の続き。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230825~77711105fe.en.html
Policymaking in an age of shifts and breaks
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the annual Economic Policy Symposium "Structural Shifts in the Global Economy" organised by Federal Reserve Bank of Kansas City in Jackson Hole
Jackson Hole, 25 August 2023

あんまり時間が無いので(無計画)ぶつ切り気味になってしまいますが、イントロの次の小見出し、『Shifts in the global economy』から参ります。

『Since the pandemic, the European and global economies have undergone three shifts which are changing global markets ? and which are playing out over different time horizons.』

パンデミック以降の3つのシフト、だそうです。

『First, we are seeing profound changes in the labour market and the nature of work.』

労働市場と労働そのものの変化、とな。

『Labour markets are historically tight across advanced economies - and not only due to strong labour demand after the pandemic. In some economies, workers who left the labour force have not fully returned, be it due to sickness or changing preferences.[1] In others, like the euro area, employment is at record highs, but people are working fewer hours on average.[2]』

まあそう来ますわと思いますが、労働市場に人は戻ったものの平均勤務時間が減ったりしておる(ので労働市場のタイトさが中々解消されない)というお話。

『The pandemic has also accelerated digitalisation,[3] which is likely to affect both the supply of workers and the composition of jobs. Remote working has increased,[4] potentially making labour supply more elastic.』

デジタル化とかリモートワークとかで労働供給がより弾力的になった、ということですがだったらタイトさ解消されるんとチャウのかと思いますが。

『And this is now dovetailing with the generative AI revolution, which - like all technological revolutions - is likely to both destroy some jobs and create new ones.』

AIの進展でどうのこうのと仰せですが。

『According to one estimate, more than a quarter of jobs in advanced economies rely on skills that could easily be automated.[5] But ECB research also finds that employment shares in occupations more exposed to AI have risen in most European countries over the past decade, refuting the idea that the AI revolution will necessarily lead to a decline in employment.[6]』

AIの進展とかの方は労働需要を減らす方向に働いている、という話に関してはECBの最近の調査によるとその仮説は否定される内容になっている、だそうで何か判然としないお話をしていますな。うーむ。


『Second, we are undergoing an energy transition, which in tandem with accelerating climate change is triggering profound transformations in global energy markets.』

やっぱり来たかということで脱炭素化の話が次に来ています。

『Although Europe has experienced the largest shock, the global energy mix is also in flux as suppliers that previously balanced the market retreat from it. For some years now, the US shale oil sector has been moving towards a slower growth strategy and investing less in production capacity. And OPEC+ members have been consistently missing their production targets.』

『At the same time, the push towards renewables is gaining momentum everywhere, driven by fresh concerns about energy security as well as the imperative of climate action.[7] The EU is now aiming for more than 40% of energy generation to come from renewables by 2030, while the United States is on track for the majority of its electricity to be solar and wind-generated by 2050.[8]』

ここはエネルギーシフトが起きてますよ、っていうだけの話でだから何の影響が、という話は無いな。

『Third, we are facing a deepening geopolitical divide and a global economy that is fragmenting into competing blocs. 』

3番目になってやっと出てきましたが、地政学的な分断、グローバル経済の分断化というか脱グローバル化、の話になりました。

『This is being accompanied by rising levels of protectionism as countries reconfigure their supply chains to align with new strategic goals.』

『Over the past decade, the number of trade restrictions in place has increased tenfold,[9] while industrial policies aimed at reshoring and friend-shoring strategic industries are now multiplying. And while this has not yet led to de-globalisation, evidence of changing trade patterns is mounting.[10] The fragility of global supply chains highlighted by the pandemic has also accelerated this process.[11]』

この辺も現状説明という感じで、保護主義の台頭とか政治的な問題からくるサプライチェーンの毀損とかそういうのがありまして、って感じですな、でもってこの先からがその結果インフレーショナリーになりました云々の話になります。


・これらのシフトがインフレーショナリーに働いていまっせというお話ですがそこに経済金融政策の影響も絡める

『These shifts - especially those related to the post-pandemic environment and energy - have contributed to the steep rise in inflation over the last two years. They have restricted aggregate supply while also directing demand towards sectors with capacity constraints.[12] And these mismatches arose, at least initially, against the backdrop of highly expansionary macroeconomic policies to offset the effects of the pandemic, requiring a rapid policy adjustment by central banks.』

構造的な話に加えて、しらっと「these mismatches arose, at least initially, against the backdrop of highly expansionary macroeconomic policies to offset the effects of the pandemic, requiring a rapid policy adjustment by central banks.」とぶっこんでいましてこれは反省の弁ですわ。

『Whether all these various shifts will prove to be permanent is not clear at this stage. But it is already evident that, in many cases, their effects have been more persistent than we initially expected. And this raises two important questions about the nature of key economic relationships.』

これらのシフトが永続的なものなのか、という点はまだ現時点で明らかではないのだが、これらのシフトが多くのケースにおいて、その影響が我々が当初考えていたよりもより持続的である、というのは既に明らかになっている。そしてこの事経済の関係のカギとなる本質に対して2つの疑問を投げかける、ということで次に行くのですが、時間が無いので次はまた明日で勘弁してちょという事で。

しかしまあ何ですな、ラガルドさんこういう話をする中で敢然と「アジアではグローバル化の動きは変わっていない」とか言い切るのすげえええとしか申し上げようがないので植田さんを良くも悪くもちょっと見直してしまいましたわよwww





2023/08/30

お題「ここに来て一段と日銀アゲンストの風な気がするんだが/ラガルドさんのジャク穴講演(その1)」

イイシテキダナー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2913O0Z20C23A8000000/
迫るガソリン最高値、円安の寄与8割 原油高要因上回る
商品ニュース
2023年8月30日 5:00 [会員限定記事]

『【この記事のポイント】
・日本のガソリン価格は2008年につけた最高値突破が目前
・欧米では既に高騰局面から脱しており日本の高値が突出
・円安進行の影響が大きく、政府・与党は補助金を延長へ

15年ぶりとなるガソリン価格の最高値更新が迫ってきた。2022年初からの価格上昇分に占める寄与率をみると為替の円安が8割を占め、原油高要因を上回る。日銀が金融緩和を続ける限り、円安基調は続くとの見方は多い。政府・与党...

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>2022年初からの価格上昇分に占める寄与率をみると為替の円安が8割を占め、原油高要因を上回る。
>2022年初からの価格上昇分に占める寄与率をみると為替の円安が8割を占め、原油高要因を上回る。
>2022年初からの価格上昇分に占める寄与率をみると為替の円安が8割を占め、原油高要因を上回る。

そらそうよという話なんですが、これはこのまま漫然とハトジジイがハトポッポーとハトハト節を謳っているのはエエカゲンニセエヤという風潮になって来た、ということを示す一つの傍証なのではなかろうか、とまあ思う訳でして、昨日はこんなのやあんなのもあったのよね、という雑談を。


〇吉川先生強い(確信)

まあ実は一昨日のでして、記事があるの気が付いたのが昨日(しかも読者様から)だったんですけどね。

https://diamond.jp/articles/-/328251
【独占インタビュー】植田日銀総裁に吉川洋・東大名誉教授が直言「YCCは解除せよ」
吉川 洋 東京大学名誉教授インタビュー
ダイヤモンド編集部 竹田孝洋:編集委員

経済・政治
Diamond Premium News
2023.8.28 5:10 有料会員限定

こちら有料会員限定なのですが、非会員でも今の所見れる1ページ目だけでも十分にお腹いっぱいでございまして、まずはリードの部分なんですけどね、

『YCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化を決定した植田和男日本銀行総裁。消費者物価上昇率が16カ月連続で目標の2%を上回る中、現在の金融政策は適切なのか。金融政策の対象は賃金ではなく物価であると吉川洋・東京大学名誉教授は語る。就任以降の植田和男・日本銀行総裁のかじ取りの評価を黒田東彦前総裁の異次元緩和の功罪とともに吉川氏に聞いた。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういうことで、いきなりの先頭打者場外ホームラン級の出オチにクソワロタ。

『――黒田東彦前日銀総裁の10年間の異次元緩和の功罪について、どのようにお考えですか。

 功に当たる部分は見つかりません。』

ちょwwwwwwww吉川先生wwwwwwwwwww

でまあ以下最初のページだけでも満腹とは言いませんがイイハナシダナー感が漂ってきますし、まあ全文読みたい場合は課金して下さいませ、と一応記事の宣伝を勝手にするアタクシ。


・・・・・・とは言いましてもまあ吉川先生の場合はもとよりこの辺りの話をしておられたので、タイミング的な点は気にはなるところでもあるのですが、こちらは吉川先生の強さを再確認する、という儀式ではあるのでございますが、次の人はあの人です。


〇ツトム先生あんた日銀や何とかストにそこまで偉そうに言うほど物価見通し当たってましたっけ???

ということでまあ読者の皆様なら大体お察しとは思いますが、アタクシの中では岩田置物師匠よりもアレという評価を下しているし、端的に申し上げて学者としての誠実さとか矜持とかはアレでも商売人としては大変に優秀な東大の経済学部長の大先生といういつものこの人なのでありました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-29/S03AN9DWX2PS01
日銀物価見通し、実態より低い数字で政策正当化に疑問−渡辺東大教授
占部絵美、藤岡徹
2023年8月29日 11:35 JST

・基調インフレが依然2%下回るとの植田総裁発言は「間違っている」
・YCCを年末に撤廃、年明けには短期金利修正向けた発信開始が理想

まあアレですよ、昨日こんな記事が出てまして、

『渡辺教授は28日のインタビューで、日銀が7月に公表した物価見通しについて、植田和男総裁がマイナス金利の短期金利引き上げはまだ先の話だと位置付けていることとの矛盾を避けるため、「物価の方はそれほど強い数字は出せないという変なバイアスがかかってしまって、低い数字になっている」との見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほうそうですかそうですか、ってまあ今更ドヤ顔で言われましても、という話ではあるのですが、

『渡辺氏は23年度が2.7〜2.9%、24年度と25年度も2.1〜2.2%と2%を超える水準になるとの見通しを示した上で、23年度見通しが「一向に上がってこないと、24年春闘に掲げる賃上げの水準を控えめにする影響がある」と指摘した。日銀は「影響力の大きさを意識しながら、言葉でデフレ脱却というだけではなく、数字でもそれを示すべきだ」と主張した。』

なんかさ、今頃言ってるのか感はあるのですが(それこそ街の片隅におります無力参加者のアタクシですら期待に働きかける政策をしている日銀が2%行かないを連呼するのはおかしい。って1年以上前から言ってる次第でして)、まあこのセンセイがこういう事を言い出したという流れを見ますと、これは世の中の上層部の方の流れがこういう話になっているんじゃなかろうか、とまあそういう事を想像せざるを得ないんですよね。

しかしまあ何ですな、

『YCC政策は「今となっては邪魔者以外の何物でもない」と指摘。7月の金融政策決定会合で微修正しかできなかったのは「汚点」とし、「日銀としては常に短期金利を動かしたいのは間違いなく、それに至る障壁を1個1個除かなければならない中で、YCCはその一つなので早めに除くべきだった」と述べた。』

汚点とまで言ってるよwwwwww何じゃこの流れはwwwwwwwwwという感じでして、まあ物価見通しに関してはそうですねって所なのですが、このブルームバーグのインタビューみたらこんなのがあるのが判明しましてですね、

https://diamond.jp/articles/-/328162
物価予測のミスを闇に葬る日銀…反省しない「悪いクセ」をいつまで繰り返すのか?
渡辺 努:東京大学大学院経済学研究科教授
連載
渡辺努 物価の教室
2023.8.25 10:00

こらまたエライ大きく出ましたな、と思ったらこちらの4ページ目の方ではESPフォーキャスト、という日銀が良く「私たちも上方修正繰り返しているが民間エコノミストだって間違える(というムツカシイ情勢なんだから)」という言い訳に使われる物件を取り出しまして、(多分4ページ目はアーカイブになると引用は最低限にしますけど)

https://diamond.jp/articles/-/328162?page=4

『・エコノミストの見通しにも日銀同様の悪い「癖」がある』

『これらに共通するのは、(1)足元のインフレ率は物価目標政策の目標値である2%を大きく上回り高い、(2)しかし数カ月後にはそのインフレは終息し、0.5%から1.3%という、2%を大きく下回る水準まで低下する―と予測している点だ。エコノミストたちのデフレマインドは、いまだ払拭されていないことを示唆している。足元のインフレを読み間違えても先々の見通しをかたくなに変えない「癖」は、道徳的にも望ましくない。「過ちては改むるにはばかることなかれ」だ。しかし、この「癖」には道徳を超えた問題がある。』(直上URL先より)

後日会員限定アーカイブになると思うので引用はこの程度にしますが、この先もまあすさまじくご立派な話をしているんですが、この記事中でご本人なーーーーーーんも触れていないのですけれども、ここでツトム先生の過去の物価見通しを確認してみましょう。

2022年10月
https://toyokeizai.net/articles/-/626045
日本はむしろ物価高から取り残された異様な状態 世界の潮流との差で犠牲になっている人がいる
渡辺 努 : 東京大学大学院経済学研究科教授
2022/10/20 7:30

2ページ目
https://toyokeizai.net/articles/-/626045?page=2

『このデータを見る限り、2022年現在の日本のインフレは、物価高が喫緊の課題であるとメディアが謳うのとは裏腹に、少なくとも他国との比較においては圧倒的に低いインフレ率であり、危険な水準とは言い難い状況
であることがわかります。

むしろ、日本が世界各国から「取り残されている」、異様な状態にあると私はみています。なお、IMFの予測は2022年4月時点のもので、日本のインフレ率が4月以降、加速したことは反映されていません。しかし仮にそれを勘案したとしても、最下位またはブービーで、「取り残されている」ことに変わりはありません。』(直上URL先より)

ほうほうそうですかそうですか。


2022年6月
https://toyokeizai.net/articles/-/594397
渡辺東大教授「金融引き締めは絶対にあり得ない」
物価・賃金上昇の好循環を取り戻す好機到来
ブルームバーグ
2022/06/04 2:00

絶対にありえないとまで来てましたねー懐かしいですねー(棒読み)。



・・・・・・・いやあのですね、例えばサマーズ元財務長官みたいにインフレ上昇の初期段階の時点で「こんなに財政を吹かしていて金融が無茶苦茶緩和状態にあるのにインフレにならない方がおかしい」という警鐘を鳴らしているような方がさっきのダイヤモンドオンラインのように日銀どころか民間エコノミストまでぶった斬る、というのであれば分かるのですが、あんさん今次の物価上昇の初期段階で、


https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2022/data/ron220523a.pdf
「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ
第1回「わが国の物価変動の特徴点」の模様
日本銀行企画局 2022 年 5 月

ワークショップの第1回は昨年の3月末に行われたんですけどね、この13ページ(PDFの14枚目)を見ますと、

『パネリストの内田は、現在の経済・物価見通しからみて、資源高に金融政策が反応しない場合でも、スタグフレーションに陥るリスクは大きくないのではないかと質問した。(途中割愛)パネリストの渡辺(努)は、エネルギー価格の上昇を放置した場合、家計の節約志向の高まりを通じて、物価は下押しされて、物価の分布におけるゼロ近傍の品目が増える、つまり、デフレ的な状況が強まるとの見方を示した。』(直上URL先より、以下同様)

と来たもんだ、という訳でして、寧ろ内田理事(今の内田副総裁)の方が、これに続いて

『内田は、エネルギー価格高騰の影響としては、渡辺(努)が指摘したような可能性の方が高いと述べたうえで、仮に急性インフレが慢性デフレ解消につながるような「ブリッジ」があるとすれば、賃金を通じてサービス価格が上昇するという可能性であろうと付言した。』

そらまあ結果論とは言え内田さんの方が先見の明があったようにしか見えないのは気のせいでしょうか・・・・・・・・・・・・

てな訳で何ですかこのオッサンという企画をお送りして何の意味があるんだテメーと言われそうですが、こういうのを一個一個丁寧に指摘して行かないと、世の中うっかりすると置物が日銀副総裁(下手したら総裁まであった)が爆誕するというような事案が起きますので、まあちゃんとこういうのは丁寧に指摘して差し上げないといけませんなと思う訳です。アタクシが指摘して何の意味があるかは知らんけど(自爆)。

ああそれからちなみにこのワークショップにおいて大先生はこのような発言もしていました。本文6ページでPDF7枚目ね。

『また、渡辺(努)は、自身のミクロデータを用いた実証研究を参照しつつ、賃金と物価の関係について、企業別には賃金変動と価格設定行動の間には関連性が見受けられないものの、家計ごとにみると賃金の先行き予想が値上げ許容度に影響を及ぼしていると述べた。』

まあこのワークショップの第一セッションの最後の部分でこの「家計の値上げ許容度」という議論を皆でしていたにも拘わらず、黒ちゃんが「家計の値上げ許容度」発言をして物議を醸したらツトム先生「私はそのような意味で申し上げたのではない」とか光の速さで否定したのも懐かしい思い出ではありますな、あっはっは。


#すいませんしょうもないネタで



〇おお!ジャクソンホール講演ちゃんと連携しましたね!!!!!!!!!!!!!!

https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/jackson-hole-economic-policy-symposium-structural-shifts-in-the-global-economy/
Jackson Hole Economic Policy Symposium: Structural Shifts in the Global Economy
THURSDAY, AUGUST 24, 2023 - SATURDAY, AUGUST 26, 2023
The Federal Reserve Bank of Kansas City hosts dozens of central bankers, policymakers, academics and economists at its annual economic policy symposium.

最後の「Panel: Globalization at an Inflection Point」の所の植田さんの所に堂々と「Ueda Remarks」ということで、

https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2023/ko230828a.htm
[Speech]
Panel : "Globalization at an Inflection Point": Remarks
At the Jackson Hole Economic Policy Symposium Hosted by the Federal Reserve Bank of Kansas City
(August 26, 2023)

のページへの外部リンクが貼られてておりまする。よかったよかった。

・・・・・・まあ言ってること自体が間違いとかそういう話じゃないんですけど、皆さんが「脱グローバル化の流れが進む中でグローバル化によって起きていたディスインフレの巻き戻しが構造的に発生している」という点を問題にしたアジェンダセッティングでシンポジウムやっているのに、殆ど物価の話をしないでワールドトレードと投資フロー(しかもファイナンシャルではなく設備投資フロー)の話を堂々として帰って来るという松岡洋右もビックリのプレイをした訳でして、これが全世界に堂々の公開となってなんか反応あると面白いですね。



〇でまあジャクソンホールと言えば今回の白眉はラガルドはんの講演だったりするのですが

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230825~77711105fe.en.html
Policymaking in an age of shifts and breaks
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the annual Economic Policy Symposium "Structural Shifts in the Global Economy" organised by Federal Reserve Bank of Kansas City in Jackson Hole
Jackson Hole, 25 August 2023

しかしよく考えたらラガルドはんは「in an age of shifts and breaks」って言ってる中で、いやまあ別にそれに迎合する必要はないのですけど、植田さん堂々と「変曲点は来てるかもしれないし来てないかもしれない」とか言い張ってしまうのっていい根性しているんですけど、日銀のスタッフも「いやちょっと喧嘩を売りにいくのは如何なものか」って誰か進言して差し上げろよとは思うのでありますが、その点は頑固一徹なんだろうなあ植田さんは、と思うのでありました。

いかんいかん植田さんの話ししている場合じゃなくて。


・のっけから「経済構造のシフトによりグローバルにインフレーショナリーな世界になった」とぶっこむ

では最初からじっくり読んでいきます、と言ってもまあお察しの通り時間の関係で今日は最初の部分だけになりそうですサーセン(こうやって始めておかないといつまでも積読になるのでシリーズスタートの積りで書いている、というのはありますすいませんすいません)。

『Over the past three years, people around the world have experienced an unprecedented series of shocks, albeit to varying degrees.』

というのからおっぱじまりまして、

『We have faced the pandemic, resulting in a partial shutdown of the global economy. We are confronting a war in Europe and a new geopolitical landscape, leading to profound changes in energy markets and trade patterns. And climate change is accelerating, compelling us to do all we can to decarbonise the economy.』

パンデミックとウクライナ侵攻の他にしれっと気候変動脱炭素化を入れ込むのがチャーミング。

『One visible impact of these shifts has been the return of high inflation globally, which has caused anguish for many people. Central banks have responded by tightening monetary policy and, while progress is being made, the fight against inflation is not yet won.』

>One visible impact of these shifts has been the return of high inflation globally
>One visible impact of these shifts has been the return of high inflation globally
>One visible impact of these shifts has been the return of high inflation globally

もうここで物凄い出オチ感が漂う訳ですが、ラガルドはんがここまで大きく出る中「わが国の基調的インフレは2%に達していない(キリッ)」っていうのはシントラに続いてECB(やBOE)に凄まじい勢いで喧嘩を売っていて面白いからもっとやれ(なお客観的に勝ち目はないwww)と思うのです。

しかしまあなんですな、この「世界的なインフレーショナリーな世界に戻る」ってのはまさに昨日ネタにしたBOEのブロードベント副総裁の示したベルリンの壁崩壊以降のインポートプライスの低下というのとシンクロしたお話で、まあそうだよねと思うのですが、特に欧州英国では景気が強くもないのに物価がサガランチ会長、という中々悲惨な状態にあるから更にこういう言い方になるんでしょうね、とも思います。

んでもって「Central banks have responded by tightening monetary policy and, while progress is being made, the fight against inflation is not yet won.」ということで、インフレファイトしているけど全然まだ勝っていない、とそもそも緩和に転じるとかそういう話以前の問題になっておるので、この辺に関しては明らかにパウエルとはトーンが違う(そりゃまあ状況が違うから当たり前なんですけど)という事で、欧州英国は政策運営がキツ山キツ次郎ですなあと思う次第。

『But these shifts could also have profound longer-term implications.』

ほほう。そのインプリケーションとは何ぞ。

『There are plausible scenarios where we could see a fundamental change in the nature of global economic interactions.』

世界的な経済の相互作用に関して本源的なチェンジ、とは何ぞやということですが、

『In other words, we may be entering an age of shifts in economic relationships and breaks in established regularities. For policymakers with a stability mandate, this poses a significant challenge.』

『We rely on past regularities to understand the distribution of shocks we are likely to face, how they will transmit through the economy, and how policies can best respond to them. But if we are in a new age, past regularities may no longer be a good guide for how the economy works.』

世界経済の構造的なシフトが起きることによって、従来のやり方やルールではなくて、新しいメソッドなりルールなりを構築していく必要があありますよ、という話を思いっきりしておりまして、なんか「アジアではグローバル化の動きは変わっていない」という植田さんの主張ですが、アンチテーゼとしてぶっこんできているのそれはそれで(正しいかどうかはともかくとして)良いんじゃないの、とそういうのはアタクシ結構評価したいと思うんですよね、まあ一国の金融政策運営を代表するトップがわざわざ喧嘩売りに行くって行為自体がポリティカリーにどうなのというとちょっとヤバそうな気はしますが。

『So, how can we continue to ensure stability?』

ではどうやったら安定を確保することができるでしょうか??と来まして、

『The challenge we face was well-captured by the philosopher Soren Kierkegaard, who said that “life can only be understood backwards; but it must be lived forwards”.』

フォワードルッキングで政策をやれ、と言わんばかりの箴言引用キタコレ。

『Since our policies operate with lags, we cannot wait for the parameters of this new environment to become entirely clear before we act. We have to form a view of the future and act in a forward-looking way.』

案の定「政策をフォワードルッキングでやれ」と今時メイクアップストラテジーのバックワードルッキングを政策ガイダンスに取り入れている日銀に巧まざる悪態がぶっこまれております。

『But we will only ever truly understand the effects of our decisions after the fact. So we will have to establish new frameworks geared towards robust policymaking under uncertainty.』

しかしこれ思いっきり「反省の弁」ですよね、まあよく率直に言ったという感じですが、それだけ欧州では中銀の政策が失敗してこんなことになってるんじゃねえか、って批判が強いんでしょうなとも思ったりしますがどうなんでしょうかね。

『Today, I will lay out the three main shifts characterising the current environment and how they could change the type of shocks we face and their transmission through the economy. I will then touch on the three key elements of robust policymaking in this setting: clarity, flexibility and humility.』

ということで「three key elements of robust policymaking」は「clarity, flexibility and humility」とか黒ちゃんや植田さんが持ち合わせて無さそうな要素ばっかり並べられていますなあっはっは。


#ということでここから本編ですが本編は明日参ります








2023/08/29

お題「植田さんジャクソンホールで喧嘩売ってますね/金懇の日程が無茶苦茶過ぎる件について」

はいはい財政垂れ流し財政垂れ流し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA28AHW0Y3A820C2000000/
ガソリン180円未満に抑制、電気・ガスも補助延長で調整
経済
2023年8月28日 22:01 (2023年8月28日 22:55更新) [会員限定記事]

『政府・与党はガソリンなど燃料価格上昇を抑える補助金を拡充・延長する調整に入った。レギュラーガソリンの販売価格が全国平均で1リットルあたり180円を超えないようにする。9月末で終了予定だった補助は年内をめどに当面は続ける。電気・都市ガスの負担軽減策もしばらく延長する。ガソリン価格の具体的な水準は170円台とする方向で政府と自民、公明両党で引き続き調整する。月内の取りまとめを目指す。』(上記URL先より、以下会員記事)

ということはですね、円安推進政策である植田総裁のスタンスが変わらんとなりますと、輸入燃料価格が高止まりしやすくなるわけで、コストプッシュで国民の生活ガーだけではなく、財政悪化にまでつながる(これ結構な財政支出になる話なんだが)ということなので、もはやこの総裁、日本に何かの恨みでもあって日本廃滅運動でもしたいんじゃないかと思ってしまいますね。

でまあその「口を開くと円安要因」の方がジャクソンホールのパネルでお話をしていた物件がにちぎんのHPに昨日しれっと公表されてたのでその辺から。


〇植田総裁ってジャクソンホールにわざわざ喧嘩を売りに行ったようで中々の蛮勇ですわ(半分は褒めてる)

ジャクソンホールの式次第(URLがアホのように長いので文字列の最初の所だけでリンクします)
https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/jackson-hole-economic-policy-symposium-structural-shifts-in-the-global-economy/

でまあ最後のパネルなんですけどお題が、

Panel: Globalization at an Inflection Point

Ben Broadbent | Panelist
Deputy Governor, Bank of England
Broadbent Handout
Broadbent Remarks

Ngozi Okonjo-Iweala | Panelist
Director General, World Trade Organization
Okonjo-Iweala Handout

Kazuo Ueda | Panelist
Governor, Bank of Japan
Ueda Handout

となっておりまして、ハンドアウトっていうことでポンチ絵だけが並んでいるという図だったもので、なんだろうなあこの中身と思いながら、たぶん報道で出てたのからしたらどうせ場違いな発言をしているんだろうなあとは思ったら日銀ちゃんリマークの方をだしてくれたので早速釣られてみましょう。

本来はこっちを読むべきなのであとで読みますが
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2023/data/ko230828a1.pdf
Panel: "Globalization at an Inflection Point":
Remarks
At the Jackson Hole Economic Policy Symposium
Hosted by the Federal Reserve Bank of Kansas City
(August 26, 2023)
UEDA Kazuo
Governor of the Bank of Japan

邦訳があるので安直にこっちを見る訳です。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230828a1.pdf
カンザスシティ連邦準備銀行主催シンポジウムパネルセッション:「変曲点にあるグローバリゼーション」
における講演の抄訳
(8 月 26 日、於・米国ワイオミング州ジャクソンホール)
日本銀行総裁 植田 和男


・まあどうでもよいのですがこれは近日中にカンザスシティ連銀に連携するという事でよろしいかしら

最初のマクラですけどね。

『本日は、シンポジウムにご招待いただきありがとうございます。パネリストとして参加させていただき、誠に光栄に存じます。本パネルセッションの議題――グローバル化の流れが変容し、今後世界経済に構造的な変化をもたらすのか、またそのマクロ経済へのインプリケーションは何か――はきわめて難しい問題であり、考慮すべきことも多岐にわたります。私は貿易論の専門家ではありませんが、この重要なテーマに対して「日本から見える景色」に焦点をあてて、お話ししたいと思います。』

はあそうですか、ってなもんなのですが、本件に関してはさっきのお品書きにあった同じパネルの中でBOEのブロードベント副総裁が話した件について「Broadbent Handout」ってのが以下のリンクになっていて、

https://www.kansascityfed.org/Jackson%20Hole/documents/9751/Broadbent-handout.pdf
Handout with charts
The economic costs of restricting trade: the experience of the UK
Speech by Ben Broadbent

スピーチ全文に関しては「Broadbent Remarks」ってのがBOEのサイトにリンクしてあるんよ。

https://www.bankofengland.co.uk/speech/2023/august/ben-broadbent-panellist-at-2023-economic-policy-symposium-jackson-hole-wyoming
The economic costs of restricting trade: the experience of the UK - speech by Ben Broadbent
Given at the Federal Reserve Bank of Kansas City 46th Economic Symposium, Jackson Hole, Wyoming

ということなので、植田さんの講演の英語の方もジャクソンホールのお品書きに掲載されるもんなのではなかろうか、と思う訳でして、まあ日本で昨日挙げた物件だから米国の午後の時点でまだ反映されていないのだろうなーという想像はするのですが、これ2日位たってもジャクソンホールのお品書きにリンク貼られてなかったらちょっと怪しからんのでよろしゅうおねがいします。

しかしまあ何ですな、別に植田さん「私は貿易論の専門家ではありませんが」とか余計な事言わんでよろしと思う訳で、ブロードベント副総裁堂々と貿易の話してるんだから、とは思いました。


・結論が何でそっちの方にいくんでしょうか

マクラの続き。

『結論を先取りいたしますと、アジアにおける貿易や直接投資の構図は、地政学的な緊張の高まりを受けて、部分的にではありますが、変わりつつあります。』

うーんこの。

『日本の貿易活動や直接投資をみても、生産拠点を中国からその他のアジア地域へ、さらには一部を北米や日本へと多様化する動きがみられています。こうした動きはしばらく前から進んでいるものであり、』

というのは良いんだが、

『その一部は、従来からのグローバル化の取り組みが続いている結果とみなすことが適切です。』

いやいやいやいや、今回の欧米各国の問題意識って「グローバル化の巻き戻しが起きていて、それが構造的にインフレーショナリーに働いている」って話で、今日ネタにしている時間が無いので多分明日のネタなんですけど、ラガルドはんとかそういう話をしてませんでしたっけ、的なことで、グローバル化の巻き戻しによって従来の安定したインフレ環境の中での経済という構造に変化が起きてさてどうしましょうという話を今回集まってしていたと理解しているんですが、ここで「従来からのグローバル化の取り組みが続いている結果とみなすことが適切です。(キリッ)」って言ってしまうのは中々いい根性をしているとしか申し上げようがない。

まあこの前のシントラのパネルでも一人で違う話してて、しかもパウエルやラガルドを前に「円安はお前らの金融引き締めのせい」とかジョークにならないジョークを飛ばすだけの事はあるわという所ではありますな、いやはや。

『もっとも、最近の生産拠点分散化の動きの中には、地政学的リスクへの対応を企図したとみられるものもあります。現時点では、こうした動きが日本経済・世界経済にどのような影響を及ぼすかきわめて不透明ですが、リスクは下方に厚いと思われます。こうした不確実性の高まりは、金融政策運営にとっても、難しい課題をもたらすと考えられます。』

ちょwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwww

いやあのですね、脱グローバル化が構造的にインフレーショナリーになっていて、そういう環境下ではグローバル化(東西ドイツの統一からの冷戦構造の崩壊と中国の開放政策開始以降)の時に考えられていた政策の適切な対応というものが根本的に変わっている可能性がある、ということでこのパネルだって「インフレクションポイント」って言葉が使われているのですが、何で物価の話しにならんのかねと思うのでした。


とまあ最初の時点でこの人は何を話にジャクソンホールへ、という感じなのですが本編に参ります。


・本編の最初は何でこんな話をおっぱじめたのかが謎としか申し上げようがない

(1990 年代の日本の経験)って小見出しで話が始まるのですが、これジャクソンホールのページの方で紙芝居の方は先に見て、「なんでこんな話をしているんだ????」と思ったのですが、それが単純に文章化されておりました、あっはっは。

いやあの世界貿易の話をするならまだ分かるのですが、そんな昔の日本の話して何の含意があるんだかがよくわからん。しかも話をしている内容に例えば財価格の推移みたいなのでもあれば話は分かるんですけど、なんか日本の貿易構造の話、という物凄く今回のテーマから言ったらどうでもいい話をしてこのコーナーが終わっているんですけど何ですかこれは???????

ちなみにですけど、ブロードベントさんの紙芝居では「Chart 6: UK import prices fell steeply during the phase of rapid globalisation, relative to domestic wages, but then stabilised 」ってなグラフがあって(期間は1988−2022)ってありまして、読んで字の如くだしグラフ見りゃもっと良く分かるのですけど、グローバリゼーションの進展によって財価格に低下圧力が掛かりましたよそれも当初は結構な勢いで、という話があったりするわけで、そんな中日本の貿易構造がどうなった(別にそれが普遍的な話でもないのに)って話をして何か他の参加者にとって得るところはあるんでしょうか、と思いました。

あ、ちなみにさっきもURL付けましたがブロードベントさんの紙芝居は
https://www.kansascityfed.org/Jackson%20Hole/documents/9751/Broadbent-handout.pdf
です。

という事で該当箇所は全部飛ばして次の小見出しに参ります。


・貿易の話を延々としているのだが財価格への影響とかそっちの話は無いままなのね

次の小見出しが(アジア地域における貿易・直接投資動向)である。

『今日のパネルの主題である「地政学的な問題を受けた世界経済の分断化リスク」に話を戻します。この点について、押さえておくべき文献の一つとして、IMFが4月に公表した「世界経済見通し」の、とくに第4章の分析が挙げられます(IMF (2023))。』

『そこでは、仮に、米国圏と中国圏の間での永続的な直接投資規制が発動された場合、世界GDPが大きく減少するという重要な分析結果が提示されています。中でも、東南アジアへの負の影響は、中国との経済的距離の近さや直接投資への依存度の高さから、かなり深刻なものになるとの結果が示されています1。』

そらそうかもしれんが今回のお題はそれが世界経済に構造的な変化をどうのこうのって話だし、同じパネルにいたWTOのDirector-Generalで読み方が難しくてわからない「Dr. Ngozi Okonjo-Iweala」さんの紙芝居だと、

https://www.kansascityfed.org/Jackson%20Hole/documents/9750/Okonjo-Iweala-Handout.pdf

の4枚目にグローバルバリューチェーンにおける中国以外のアジア、東欧諸国などが2010年代にその規模を拡大している(これ分母が違うものを「伸び率」として出しているっぽいのでミスリードな気はするが)みたいな話があって、むしろこれは成長下押し云々よりグローバルなサプライチェーンの分断とその修復という文脈で話をするもんでネーノって感じではあるのですが・・・・・・・・・・・

『こうした構図は、最近のアジア地域の貿易・直接投資の動きとどの程度整合的なのでしょうか。図表3は、日本の輸出の動きを示しています。左図をみますと、日本の中国向け輸出シェアは、コロナ感染症拡大後にいったん高まったあと、幾分減っていますが、その間、米国やその他アジア向けは持ちこたえています。個別国についてみますと、右図のように、ベトナム向け輸出が趨勢的に増加していることや、インド向け輸出が近年急拡大している点が目立ちます2。』

『図表4で、日本の対外直接投資をみますと、中国向けがこのところ停滞していること、北米向けが 2019 年頃から持ち直していること、それから、その他アジア向けが、ベトナムやインド向けが増加するなど、しっかりとしていることが分かります。』

何ちゅうかこのジャクソンホールのお題「Structural Shifts in the Global Economy」からすると従来の延長の話をしているだけのように見えてしまうんだがまあシャーナイので引用を続ける。

『図表5は、日本政策投資銀行(DBJ)が実施した日本の大企業の 2023 年以降の海外投資計画に関するアンケート結果です。日本企業が重視している国・地域としては、北米が際立っており、その次に中国、そして、その他のアジアの中では、ベトナム、タイ、インド、インドネシアの4か国が重視されています。』

『これらの図表や、日本銀行のヒアリング先から聞かれた話に基づきますと、日本企業の行動は、現状、以下のようにまとめうると思います。まず、生産拠点を、中国からASEAN、インド、そして北米へと多様化する動きが生じています。ASEANやインドへの投資は、地政学的な考慮だけでなく、現地需要の増加も背景としています。米国への投資も現地需要の獲得を狙ったものですが、米国におけるインフレ抑制法(IRA)や半導体生産のためのインセンティブ法(CHIPS)などの産業政策の影響を受けている面もあるかもしれません3。』

『次に、日本への生産回帰の動きに関して図表6をみますと、今後、国内の生産能力を増強する計画を持つ日本企業が増えていることが示されています。ただし、これは必ずしも海外生産能力を犠牲にした増強ではありません。自動車や一般機械、化学といった業種では、引き続き、アジアでの生産能力の増強が計画されています。一方、半導体やその関連産業では、政府からの支援策もあって、国内の生産能力を増強する動きがより明確です。』

うーんこのという感じで、だから何を言いたいんだかという風情ですが次のコーナーに行きましょう。


・やっとグローバル化云々の話になってきたのですがどうも植田さんは今回のアジェンダに異議申し立てをしたいんじゃないかと

次の小見出しがやっと出てきました(分断化リスクとグローバル化の先行き)です。正座して読んでやろうじゃないの。

『こうした現状は、先ほど紹介したIMFによるシミュレーション分析から得られる印象とは、やや異なるように思われます。仮にアジア新興国が分断化によって負の影響を受けるならば、企業はできるだけ同地域から脱出しようとするはずです。』

別に現地の需要だけを当てにしているんじゃないんだから、当該国の経済が多少下押ししたからどうしたの、と思うんですけど、成長率が下がるからって現地工場ホイホイ撤退するもんなの???おじちゃん頭悪いからよくわからない。

『それにもかかわらず、アジア地域は、中国を含め、日本からの直接投資の対象となり続けています。』

これを米国で言っちゃうところがお洒落なんですが、今やグローバルバリューチェーンから中国を除外して、世界貿易からもハブっていきそうな勢いなのが少なくとも政治的にはそういう話があって、それが脱グローバル化という文脈で話をされている、という中で「中国は日本からの直接投資の対象となり続けています(キリッ)」ってそれそもそもポリティカリーに大丈夫なのかよもっとオブラートに包んでおけよと思いました。まあどうでもいいですけど。

『実際、IMFの分析で示されている、戦略的産業分野での世界の直接投資の動向をみても(IMF(2023), Figure4.4)、2019 年以降、中国向けは減少しているものの、中国を除くアジア向けはしっかりとしています。』

で??

『アジアに生産拠点を置く動きが根強いことの背景は、はっきりとはわかりません。おそらく、多くの企業は「分断化リスクは、少数の特定産業に限られる」と想定しているのかもしれません。または、地政学的な景色がより明確になるまでは、行動を変えないというだけかもしれません。』

だから経済が崩壊して国内政治不安とかそういうレベルになるならともかく、そういう所まで行かないなら別にいいじゃんと思うんだが。グローバルバリューチェーンという文脈においては。

『一方、別の可能性としては、本パネルセッションのタイトルにありますように、我々は、多くのことが劇的に変わってしまう「変曲点」に、徐々に近づいていることも考えられます。少なくとも半導体産業では、友好国や国内への生産拠点の移転が、無視できない規模で生じつつあるようにもみえます。』

ちょwwwwww

今回ってその変曲点が来てるんじゃないかというか来てるって問題意識からシンポジウムのお題が設定されていると思うのですが、いやまあ日本銀行としては信念で「お前ら先走り過ぎだヴォケ」と言いたいということでしたらそれはそれで大変に根性があってよろしいし、こんなの数年(下手したら10年単位」後にならないと本当の本当に構造変化が起きたのかは分からんのですから、まあ信念持っていうのなら言うで結構なんですけど。


でまあその後ですけど、

『アジア新興国における地域経済統合は、深化してきました。図表7は、アジア新興国の域内取引シェアが高まっており――貿易全体や直接投資額だけでなく、中間財やIT関連財の取引についても上昇――域内の垂直統合が深化していることを示しています。こうした域内取引シェアの高まりは、もちろん、部分的には、Alfaro and Chor (2023)が指摘しているように、中国がその他アジア地域を経由した生産を試みていることも反映していると思われますし、これは 40 年前に日本とアジアで起こったこととも似ています。』

40年前云々はさっきすっ飛ばしました。

『当時の日本のケースのように、中国における賃金上昇も、地政学的な影響に加えて、生産移管の主要な要因になっていると考えられます。いずれにしても、アジアではグローバル化を進める力はなくなっていません。』

また「いずれにしても、アジアではグローバル化を進める力はなくなっていません。」とか言ってるんで、これはもう意識的に喧嘩売ってましてさらに、

『こうした地域経済統合の動きが逆流した場合には、世界経済は自由貿易の利益を失うだけでなく、アジアでの製造業集積がもたらす効率性向上に伴う利得(マーシャルの外部性)も失うことになるでしょう。』

ちょwwwww喧嘩売ってる喧嘩売ってるwwwwwwwwwwwww

なお、この後は

『この地域において、非線形的な変化をもたらしうるもう一つの話は、支払い手段としての通貨です。』

というのがひとくさりあるのですけど、これもまた

『中国による生産移管や新たな貿易関係の構築の試みは、アジアに限らず、南米・アフリカといった地域まで拡大しています。こうした貿易面の取り組みとともに、中国は、貿易金融における人民元の利用を戦略的に進めています。世界における媒介通貨としての米ドルの役割と比べれば未だ限定的ですが、例えば SWIFT が公表しているデータによると一部の分野では役割が増しています(図表8)。決済手段としてどの通貨を用いるかの選択は、本質的には複数均衡の話になります。一時的でも貿易構造が変化すると、そのことが貿易決済に用いる通貨の選択を持続的に変化させてしまう可能性もあります。』

と、何だか知らんけど中国をグローバルバリューチェーンから分断して行こうというような風潮に対して物凄い勢いで噛みついているように見えまして、その勢いは壮挙としたいのですが、今回のジャク穴の話題にマッコウクジラで喧嘩売りに行ってどうするねんという話ですわな、結局ちょっとだけ賃金の話があるけど物価の話1ミリもなかったし。



・アジェンダセッティングに噛みつくのは壮挙なんですがそもそも現状認識に問題があるという金融政策運営の話

最後の小見出しが(日本経済への影響と金融政策への含意)です。

『次に、こうした変化が、日本経済の先行きにどのような影響を与えるかという問いに移りたいと思います。』

聞いてる人誰も興味ないと思うぞ。

『本年の日本経済は、第1四半期の実質GDP成長率が、個人消費と設備投資にけん引され、前期比年率でみて 3.7%増加する形で始まりました。こうした経済の強さには、海外旅行客によるインバウンド需要の復活を含め、感染症関連の制約の緩和が、相応に影響しています。第2四半期も6%成長と高めの成長となりましたが、これには旅行需要の強さが続いたことに加えて、輸入の減少が大きく寄与しています。個人消費は、悪天候の影響もあって第2四半期はやや弱めでしたが――第3四半期のデータを確認する必要はありますが――内需の基調は、しっかりしているとみています。設備投資は、歴史的にみて高水準の企業収益に加え、人手不足対応やデジタル化、気候変動関連、そして海外対比で国内の生産能力を拡大する傾向の強まりといった構造的な要因に支えられています。』

いや悪いんだがジャクソンホールに参加している人達こんな話に興味ないと思うんだが。パウエルだって自分の国の話ししている時に思いっきり政策インプリケーションのある物価にだけフォーカスして説明しているんだが。

『物価面では、2021 年から 2022 年にかけて輸入物価の上昇が、国内物価に波及しました。消費者物価(総合除く生鮮食品)の前年比は7月には 3.1%になりましたが、年末頃にかけて低下していくとみています。物価の基調をみると、なお2%の「物価安定の目標」に達していないと考えており、こうしたもとで、日本銀行は、従来からの金融緩和の枠組みを維持しています。』

>物価の基調をみると、なお2%の「物価安定の目標」に達していないと考えており
>物価の基調をみると、なお2%の「物価安定の目標」に達していないと考えており
>物価の基調をみると、なお2%の「物価安定の目標」に達していないと考えており

は??????
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf
消費者物価の基調的な変動

『先ほども指摘したように、製造業の国内生産強化の動きは、経済にとってプラスの面があります。半導体産業における国内投資の増強は、関連産業の売上増加や雇用の増加にも波及し、地域の経済を刺激しています。こうした影響を相殺しているのが、海外経済の一部でみられる減速です。とくに、中国経済の景気の持ち直しペースは落胆させるものでした。小売販売額や設備投資、生産などに関する7月のデータは弱めとなりました。その底流には、不動産部門の調整が続き、その影響が他の部門へ波及していることがあるようです。なお、現時点では、地政学的な要因が経済の減速にどの程度影響しているのか見極めることは、きわめて難しいと思われます。日本経済にとっては、米国経済の相対的な堅調さは、中国経済の弱さを幾分緩和しています。』

いや悪いんだがジャクソンホールに参加してる人達(以下同文)。

『より長い目でみた地政学的な要因の日本経済への影響は、当然ながら、きわめて不確実です。ここまで指摘してきた諸要因に加えて、主要先進国と中国との間で、半導体分野を中心に、対抗策の応酬が激化するリスクもあります。また、政府の補助金にも支えられた重要分野における国内生産強化の熱意は、それが産業クラスターの形成や人的資本の蓄積などにつながることで、潜在成長率を高めることが期待されます。一方で、進められているプロジェクトを支えるにはインフラ等が不十分かもしれませんし、トップ企業を引き付ける世界的な競争に負けることも考えられます。グローバルに各国が産業政策を積極化することは、結局は、生産拠点立地を非効率なものとするだけかもしれません。』

なにこの含意の無い話。

『中央銀行は、今後、政策決定に際し、これら諸要因の影響を織り込んでいくという難問に直面していくことになります。』

「これら諸要因」に物価の話は無いのかよ!!!!!!!!!!!!!!

『前述のように、地政学的リスクや脱グローバル化の動きがもたらしうる様々な影響は――その多くが、経済の供給面と需要面の双方に影響を及ぼすと考えられることもあって――、経済見通しを不透明なものにしています。これらが、どの程度長い期間、経済に影響を及ぼすのか見極めるのにも時間を要するでしょう。生産拠点の移管が進むもとで、諸変数間の安定的な統計的関係を確認することが難しくなるかもしれません。』

「見極めるのにも時間を要する」とか言ってるんで、構造的に経済がインフレーショナリーに変化している、ということは認めたくないようです、何で認めたくないのかはさっぱり分かりませんが。

『こうした状況は、中央銀行の過去数年の経験と似ている面があります。感染症関連の供給ショックが相次ぎましたが、その時点では、それらのショックがどの程度持続するものなのか、きわめて不確実でした。また、こうしたショックの一部は、経済の需要面にも影響を与えました。 こうした状況に適切に対応できるように、我々の知見が深まっていくことを期待しています。』

知見の前に現状認識を深めてください、ということで話は終わります。


まあアレですよ、また例によって政策変えたくないハトハトジジイのハトハト節がポッポポポーと炸裂しているのですが、先般の7月のYCC柔軟化決定に見られますように、このハトジジイが何をいってもどうせ差し込みが入れば政策は修正されますので、このジジイの言う事を真に受けて政策修正は当分無し、とか言ってしまうのは大いなるミスリードになるし、なんならハトハト節が流れる⇒円安進行⇒差し込みが早まる、ということで次の政策修正が早まる、までアリエールである、とまあそのように理解すればよいのですな。

とまあ考えますと、このハトジジイを表にださないで床の間のケースの博多人形として飾っておくほうがどう見ても良いとは思うのですが、まあ床の間の博多人形におとなしく収まる玉でもなさそうなので、これはまあ今後もこんな感じで、口を開けば円安要因、ということになるんでしょうなと思いました、まる。


〇ところで何なのこの金懇日程のつまりかたは

https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話

あのさあ・・・・・・・・・・

今後の講演・挨拶等の予定

   日程    講演者等    講演内容等
2023年 8月30日 田村審議委員 道東地域金融経済懇談会における挨拶
2023年 8月31日 中村審議委員 岐阜県金融経済懇談会における挨拶
2023年 9月 6日 高田審議委員 山口県金融経済懇談会における挨拶
2023年 9月 7日 中川審議委員 高知県金融経済懇談会における挨拶

いやお前舐めてんの??????????????何でこんなに同時期に集中させるの???????????


政策の説明や経済物価城勢の判断とかについての説明を同じタイミングで別の委員が4人も雁首揃えてやるってどういうことなのよという話で、いや金懇毎月でもやるならそれでいいんだけど、審議委員の金懇って通常年2回くらいな訳で、この後当分審議委員からの情報発信が無い、という話になるんですよねこれ。

しかも金懇で地域経済を担う方々からのアネクドータルなインプットを受けるという機会でもある訳で、そのインプットを政策決定に対する議論に反映させる、という意味では時期をずらしてアネクのヒアリングを行った方が常に最新のインプットが還元されるわけだから、どう見たってこんな時期設定あり得ないでしょ、と思う訳ですよ。

いやまあこれを受けて9月か10月に政策再修正でもするんだったらそらまあ分かるのですけど・・・・・・・・・








2023/08/28

お題「パウエル議長のジャクソンホール講演ですがまあ無難オブ無難だったんでネーノと思うが」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230824/k10014170241000.html
AIが生み出す偽情報 ウィズフェイク時代をどう生きるか
2023年8月24日 18時41分

なるほどこういう偽映像とかなんですね、と思う訳ですが何せ本邦の場合はゴミクズみたいな金融政策理論を時の首相が信奉するわメディアは宣伝するわですし、相変わらず政府の中枢の会議で「世界標準の財政政策」とか言い出す輩が現れるという意味では飛んでもないウィズフェイク状態ですが何か?????

〇ジャクソンホールのパウエル講演ですが案の定の順当(ではないかと思う)内容でしたな

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20230825a.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20230825a.pdf(PDF)
August 25, 2023
Inflation: Progress and the Path Ahead
Chair Jerome H. Powell
At “Structural Shifts in the Global Economy,” an economic policy symposium sponsored by the Federal Reserve Bank of Kansas City, Jackson Hole, Wyoming

引用はHTMLから参ります。

・何か詳細説明が妙に細かいのだが言ってること自体は割とシンプルで「出たとこ勝負」であるwww

何かもう思いっきり最初の所で出オチの如く、なのですよね今回。

『Good morning. At last year's Jackson Hole symposium, I delivered a brief, direct message. My remarks this year will be a bit longer, but the message is the same: It is the Fed's job to bring inflation down to our 2 percent goal, and we will do so.』

最初が出オチ過ぎwww

『We have tightened policy significantly over the past year. Although inflation has moved down from its peak-a welcome development-it remains too high. We are prepared to raise rates further if appropriate, and intend to hold policy at a restrictive level until we are confident that inflation is moving sustainably down toward our objective.』

そら直近で利上げしてるんだから「最近の動きはウェルカムだけどまだ物価目標に向けて物価上昇を沈静化出来ているかについての確信はありませんぜ」と来るの当たり前でして、いやまあ本件に関しては別にライブで聞いたりしないので土日の昼になってからのうのうと結果(動画の方は後でみたけど)を見ましたが、そもそも今回のジャクソンホールでインフレファイトの勝利宣言が出るとか思ってたりしてたら馬鹿の極みとしか思えないのだが「勝利宣言は出なかった」とかコメントに入れ込んで来るマーケットコメントって何なのというかニュースワイヤーには馬鹿しかコメントしちゃいけないという決まりでもあるのかと思ってしまいました。まあどうでもいいけど。

『Today I will review our progress so far and discuss the outlook and the uncertainties we face as we pursue our dual mandate goals. I will conclude with a summary of what this means for policy. Given how far we have come, at upcoming meetings we are in a position to proceed carefully as we assess the incoming data and the evolving outlook and risks.』

はい。


・物価の状況に関して今回は丁寧に説明していますが3つのカテゴリーに分けておりますな

今回のご挨拶、次の小見出しの『The Decline in Inflation So Far』

『The ongoing episode of high inflation initially emerged from a collision between very strong demand and pandemic-constrained supply.』

今次物価上昇のそもそも論の話からおっぱじまるのですが、強い需要とコロナ由来の供給制約がぶつかって(コリジョンというと本塁クロスプレーを思いだすのは野球脳)起きましたよと。

『By the time the Federal Open Market Committee raised the policy rate in March 2022, it was clear that bringing down inflation would depend on both the unwinding of the unprecedented pandemic-related demand and supply distortions and on our tightening of monetary policy, which would slow the growth of aggregate demand, allowing supply time to catch up. While these two forces are now working together to bring down inflation, the process still has a long way to go, even with the more favorable recent readings.』

でまあその需要抑制のために利上げしましたよ段々効いてきた感はあるよまだまだだけど、だそうです。

『On a 12-month basis, U.S. total, or "headline," PCE (personal consumption expenditures) inflation peaked at 7 percent in June 2022 and declined to 3.3 percent as of July, following a trajectory roughly in line with global trends (figure 1, panel A).1』

この辺からインフレの内容の説明を細々とおっぱじめるのでして、

『The effects of Russia's war against Ukraine have been a primary driver of the changes in headline inflation around the world since early 2022. Headline inflation is what households and businesses experience most directly, so this decline is very good news. But food and energy prices are influenced by global factors that remain volatile, and can provide a misleading signal of where inflation is headed. In my remaining comments, I will focus on core PCE inflation, which omits the food and energy components.』

昨年7%までぶっ飛んだインフレの要因はウクライナ侵攻によるもので、そっちは落ち着いてきたけど、食品とエネルギー価格のインフレは相変わらずボラタイルな外的要因によるものもあるので、コアPCEの話をするよ、ときまして、

『On a 12-month basis, core PCE inflation peaked at 5.4 percent in February 2022 and declined gradually to 4.3 percent in July (figure 1, panel B).』

コアPCEの話になりましたが、

『The lower monthly readings for core inflation in June and July were welcome, but two months of good data are only the beginning of what it will take to build confidence that inflation is moving down sustainably toward our goal. We can't yet know the extent to which these lower readings will continue or where underlying inflation will settle over coming quarters. Twelve-month core inflation is still elevated, and there is substantial further ground to cover to get back to price stability.』

6月7月のコアPCEの結果はウェルカムだが2か月くらいで大勝利とかそんなもんは言えませんわ、という従来と同じような話をしていますし、何なら地区連銀総裁の皆様もさすがにそういう話をしていますわな。


・ということでインフレの3つのパートに要因分解してみていきましょうコーナーになる

『To understand the factors that will likely drive further progress, it is useful to separately examine the three broad components of core PCE inflation-inflation for goods, for housing services, and for all other services, sometimes referred to as nonhousing services (figure 2).』

図表2ってのはPDF版だと本文のケツについています、HTMLだと図表2の所にハイパーリンクがあって、(https://www.federalreserve.gov/images/powell-figure2-20230825.jpg、URL先へのハイパーリンクは文字列の頭に貼りました)項目が「ハウジングプライス」「サービス除くハウジングとエネルギー」「財除く食品とエネルギー」ってのになっていて推移が出ています。

でまあその説明があるのですが、この辺の話は既に何回か出ていると思うので面倒なのでかっ飛ばし、と思いましたがかっ飛ばすのも何なので(あとで自分で見るときに何もなくて難儀する場合があるので)引用だけしますね。


・財価格に関して

『Core goods inflation has fallen sharply, particularly for durable goods, as both tighter monetary policy and the slow unwinding of supply and demand dislocations are bringing it down. The motor vehicle sector provides a good illustration.』

『Earlier in the pandemic, demand for vehicles rose sharply, supported by low interest rates, fiscal transfers, curtailed spending on in-person services, and shifts in preference away from using public transportation and from living in cities. But because of a shortage of semiconductors, vehicle supply actually fell. Vehicle prices spiked, and a large pool of pent-up demand emerged.』

『As the pandemic and its effects have waned, production and inventories have grown, and supply has improved. At the same time, higher interest rates have weighed on demand. Interest rates on auto loans have nearly doubled since early last year, and customers report feeling the effect of higher rates on affordability.2 On net, motor vehicle inflation has declined sharply because of the combined effects of these supply and demand factors.』

最初に自動車を例に挙げてコロナ期にお値段上がって最近下がってきたという経緯の説明をしています。

『Similar dynamics are playing out for core goods inflation overall.』

で、財価格全般もまあ似たような経緯で似たような経過をたどっていると。

『As they do, the effects of monetary restraint should show through more fully over time. Core goods prices fell the past two months, but on a 12-month basis, core goods inflation remains well above its pre-pandemic level. Sustained progress is needed, and restrictive monetary policy is called for to achieve that progress.』

はい。

・住宅関連価格に関して

次がハウジングセクター。

『In the highly interest-sensitive housing sector, the effects of monetary policy became apparent soon after liftoff. Mortgage rates doubled over the course of 2022, causing housing starts and sales to fall and house price growth to plummet. Growth in market rents soon peaked and then steadily declined (figure 3).3』

そもそもが金利感応度が高いので住宅着工とか住宅販売に関しては既に利上げが効きましたよという説明。

『Measured housing services inflation lagged these changes, as is typical, but has recently begun to fall. This inflation metric reflects rents paid by all tenants, as well as estimates of the equivalent rents that could be earned from homes that are owner occupied.4 Because leases turn over slowly, it takes time for a decline in market rent growth to work its way into the overall inflation measure. The market rent slowdown has only recently begun to show through to that measure. The slowing growth in rents for new leases over roughly the past year can be thought of as "in the pipeline" and will affect measured housing services inflation over the coming year. Going forward, if market rent growth settles near pre-pandemic levels, housing services inflation should decline toward its pre-pandemic level as well. We will continue to watch the market rent data closely for a signal of the upside and downside risks to housing services inflation.』

でお家賃の話を思いっきり説明していまして、レントに関しては徐々に沈静化の動きがみられますが、こちらは利上げに対してのラグをもって反応してきている感じで今後も沈静化が進んでいくでしょう、という見通し。


・サービス価格に関して

『The final category, nonhousing services, accounts for over half of the core PCE index and includes a broad range of services, such as health care, food services, transportation, and accommodations.』

最後が住宅以外の一般サービスの話。

『Twelve-month inflation in this sector has moved sideways since liftoff. Inflation measured over the past three and six months has declined, however, which is encouraging. Part of the reason for the modest decline of nonhousing services inflation so far is that many of these services were less affected by global supply chain bottlenecks and are generally thought to be less interest sensitive than other sectors such as housing or durable goods. Production of these services is also relatively labor intensive, and the labor market remains tight.』

一般サービスの価格が高止まりしているんdすがその背景にあるのはそもそもこの価格が金利などよりも労働市場によって動かされる要因が大きいからですと来まして、

『Given the size of this sector, some further progress here will be essential to restoring price stability. Over time, restrictive monetary policy will help bring aggregate supply and demand back into better balance, reducing inflationary pressures in this key sector.』

一般サービスは広い範囲に渡るもの(なので重要)ということでありますので、物価安定のためには一段と一般サービスが沈静化しないといけませんので、「Over time, restrictive monetary policy will help bring aggregate supply and demand back into better balance, reducing inflationary pressures in this key sector.」と、この物価の説明の最後にしらっと金融引き締めダイジダイジネーという話を突っ込むのでありました。



・先行きの話にしらっと「経済のクールダウンが期待ほどじゃない」とかぶっこむ

次の小見出しが『The Outlook』だがあっさり味はあっさり味だが、

『Turning to the outlook, although further unwinding of pandemic-related distortions should continue to put some downward pressure on inflation, restrictive monetary policy will likely play an increasingly important role. Getting inflation sustainably back down to 2 percent is expected to require a period of below-trend economic growth as well as some softening in labor market conditions.』

なにこのあっさり味の大本営見通し。

でもって次に何故かゴシックではなくイタリックの『Economic growth』というサブ小見出しがありまして、

『Restrictive monetary policy has tightened financial conditions, supporting the expectation of below-trend growth.5 Since last year's symposium, the two-year real yield is up about 250 basis points, and longer-term real yields are higher as well-by nearly 150 basis points.6 Beyond changes in interest rates, bank lending standards have tightened, and loan growth has slowed sharply.7 』

利上げによって需要の沈静化が起きた、という話をしておりますが、実質金利を持ち出す辺りは中銀話法ではあるのですけど大体インチキ話法になりがち(個人の強力な偏見です)なので、この話法を今後も続けていくのかというのは気になるところですな。

『Such a tightening of broad financial conditions typically contributes to a slowing in the growth of economic activity, and there is evidence of that in this cycle as well. For example, growth in industrial production has slowed, and the amount spent on residential investment has declined in each of the past five quarters (figure 4).』

でまあ金融政策のタイト化で例えば工業生産とか住宅投資とかの減少も起きていますが、

『But we are attentive to signs that the economy may not be cooling as expected.』

ほほう、思ったほど経済がクールダウンしていないとな。

『So far this year, GDP (gross domestic product) growth has come in above expectations and above its longer-run trend, and recent readings on consumer spending have been especially robust. In addition, after decelerating sharply over the past 18 months, the housing sector is showing signs of picking back up. Additional evidence of persistently above-trend growth could put further progress on inflation at risk and could warrant further tightening of monetary policy.』

ということで、経済が思いの外減速しねえじゃん物価がさがんねえよそれじゃあ、という話なのですが、まあ確かにベンダーのコメントとかで「勝利宣言はありませんでした」みたいなのがポロポロ出てしまうという状況なのであれば、あんまりヌルイ事を言っているとすかさずゴルディロックスヒャッハーというやる金融市場という難物がヒャッハーヒャッハーしだしてインフレ鎮静化の邪魔をしかねない、というのがあるでしょうから、まあこんな感じの話をぶっこんできたんじゃないのかな、と勝手に憶測しました、よー知らんけどな。



・この先の不透明要因としてゆうてる結論は「何か難しいから様子見ながらやっていくしかない」という事だと思うの

実質最後の小見出しは『Uncertainty and Risk Management along the Path Forward』でやんす。

『Two percent is and will remain our inflation target. 』

3%でも良いじゃないか皆が幸せならば、というのに対しては却下の模様。

『We are committed to achieving and sustaining a stance of monetary policy that is sufficiently restrictive to bring inflation down to that level over time. It is challenging, of course, to know in real time when such a stance has been achieved.』

この辺はまあただのお題目。

『There are some challenges that are common to all tightening cycles. For example, real interest rates are now positive and well above mainstream estimates of the neutral policy rate. We see the current stance of policy as restrictive, putting downward pressure on economic activity, hiring, and inflation. But we cannot identify with certainty the neutral rate of interest, and thus there is always uncertainty about the precise level of monetary policy restraint.』

現状で実質金利はプラスなので経済に引き締め効果がある、と思っているが本当の所は中立金利水準が正確に継続できるわけじゃないからどの程度の引き締めを行えているか分からん、という難しさがある。

ってまあ説明をするのが中銀話法なんですけど、こんなのそもそもが分からん話を基に話をするのは基本的に一種の詭弁であって、結果的に経済物価情勢がどうなった、という所から政策スタンスがもたらす影響を後付けで把握する、ということしかできないんだから、まあこれは「適切な引き締めになっているかどうか状況を見極めて行く段階にある」っていうのを中立金利という言葉を使って説明するレトリックの世界ですわ、と中銀文学検定協会(そんなものは無い)のアタクシは思うのでありました。

『That assessment is further complicated by uncertainty about the duration of the lags with which monetary tightening affects economic activity and especially inflation.』

そんなものは最初からそういうもんじゃろという話だが、政策の効いてくるラグとか、確実性とかも先々ムツカシヤ、と来ましてからの、

『Since the symposium a year ago, the Committee has raised the policy rate by 300 basis points, including 100 basis points over the past seven months. And we have substantially reduced the size of our securities holdings. The wide range of estimates of these lags suggests that there may be significant further drag in the pipeline.』

これまでの利上げとバランスシートの縮小で今後も効果がでると想定されます。

『Beyond these traditional sources of policy uncertainty, the supply and demand dislocations unique to this cycle raise further complications through their effects on inflation and labor market dynamics. For example, so far, job openings have declined substantially without increasing unemployment-a highly welcome but historically unusual result that appears to reflect large excess demand for labor. In addition, there is evidence that inflation has become more responsive to labor market tightness than was the case in recent decades.8 These changing dynamics may or may not persist, and this uncertainty underscores the need for agile policymaking.』

でもって更に不確実なのということで、需給バランスの不均衡がどのように進展していくのか、そして特に労働需給の不均衡がどういう進展をするのか、というのも従来のモデルでは捕捉しにくい点が多々あるとな。

『These uncertainties, both old and new, complicate our task of balancing the risk of tightening monetary policy too much against the risk of tightening too little.』

オールドってのがさっきの政策ラグの話で、ニューというのがディスローケーションの今後の動向ということでしょう。でもってそういうのがあるから金融引き締めの度合いを調整するのが中々ムツカシイアルネという事に繋がり、

『Doing too little could allow above-target inflation to become entrenched and ultimately require monetary policy to wring more persistent inflation from the economy at a high cost to employment. Doing too much could also do unnecessary harm to the economy.』

やり過ぎも不足も問題が起きるからそうならないようにしないといけない、とか言ってますんで、まあこっから先更に利上げをガシガシはやらんと思いますが、利下げの見通しってのもそう簡単に出しにくい、ってことになる。(今日ネタにするのが間に合わんがメスターが24年の利下げ見通しを撤回とかゆうてますな⇒https://jp.reuters.com/article/usa-fed-jackson-hole-mester-idJPKBN30204L)(URL先へのハイパーリンクは文字列の頭の所に貼りました)


・最後はご挨拶だが「データを見ながら慎重に対処」でありました

最後は『Conclusion』

『As is often the case, we are navigating by the stars under cloudy skies. In such circumstances, risk-management considerations are critical. At upcoming meetings, we will assess our progress based on the totality of the data and the evolving outlook and risks. Based on this assessment, we will proceed carefully as we decide whether to tighten further or, instead, to hold the policy rate constant and await further data. Restoring price stability is essential to achieving both sides of our dual mandate. We will need price stability to achieve a sustained period of strong labor market conditions that benefit all.

We will keep at it until the job is done.』

ま、こちらはご挨拶って感じですが、いいたいのは「we will proceed carefully as we decide whether to tighten further or, instead, to hold the policy rate constant and await further data.」というデータ見ながら慎重に対処(だから決め打ちとか以ての外」という話なのでありました、まあ順当順当。








2023/08/25

お題「日経が何故かこのタイミングで展望レポートポンチ絵ネタをwww/地区連銀総裁の見解も揃っている感じが」

最初ただの冒頭ご挨拶にするつもりだったのについ筆(キーボード叩き)が進んでしまったので唐突に展望レポートポンチ絵ネタの蒸し返しから参ります。

〇なぜこのタイミングでこのネタになるのやら(日経による展望レポートポンチ絵記事)

ネタにしただけマシだがおせーーーーーーーーよ日経
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2340P0T20C23A8000000/
遠ざかる2%目標? 日銀、物価見通しで開けぬ視界
日銀ウオッチ
2023年8月25日 5:00 [会員限定記事]

『わかりにくい情報やデータをイラストで説明するインフォグラフィックス。複雑になった金融政策を理解してもらおうと、日銀は2022年から金融政策を4コマ程度で説明するインフォグラフィックスの公開を始めた。一般の国民をターゲットにしたはずのこのイラストがいま、金融政策分析のプロたる市場関係者の注目を集めている。

「2%物価目標の達成が遠ざかっているとしか読み取れない」。ある大手行の債券ディーラーはこう漏...この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。残り1543文字』(上記URL先より、ご案内のように以下会員限定記事)

そもそも「いま」じゃなくて前回だってその前だって注目してたんですけどねえ、ストーリーテリングの技法で「いま」とか言っちゃうの手法だから分かるんだけど、そうじゃないんですよねえという話、赤点じゃないけど単位取得ギリギリ評価って感じですな、と中身の記事を読まずに勝手に論評するワイ(失礼おじさん)。

でまあそこで話が終わる予定だったのですが、ポンチ絵そもそも論につきまして補足で書くことあるなあとか思いまして書いたらまた例によって長広舌になったので、一つのお題としてお送りします。どういうことかというと「そもそもECBと日銀では経済物価見通しの出し方が違うんですよね」というそもそも論です。

・・・・・・・・・そもそも論としてポンチ絵で表現するのって、ECBの場合は経済見通しが「スタッフ見通し」であって、もちろんスタッフ見通しに対する別々の見解があるから意見が色々と出て来るんですけど、あくまでも見通しとして出しているのはスタッフの出したものになるので、ポンチ絵って政策決定と同時に出せる(政策部分のポンチ絵だけ作れば良いのだしそんなの現状維持と利上げと利下げの絵しか無いんだからまあ事前準備簡単)訳ですな。

一方、そもそも出している「見通し」がコレクティブビューでありますところの日銀(やFRB)は、スタッフ見通しじゃないんだからその場でお絵描きってよほどの手練れの絵師でもいないと無理がある上に、そもそもビュー自体が「全員の平均的なもの」ということなので、一本の線が必ずしも通っている訳ではない(平均を取っているので、中心見通しの数字に沿った途中の四半期展開を出せと言われても実は出せない、というポンコツ見通しになる、もちろん四半期展開を委員に出させれば平均取って出せるのでもしそこまでやってるなら今でも出せると思うのですが・・・・・・・・)ので、絵にして一義的に定義するということ自体に無理があるんじゃないかね、とまあそのように思う訳ですよ。

ということで結論ですが、どうせあの絵は元々2022年4月の時点で「コアCPIが2%に乗ってきたのに政策を維持でも変えないという屁理屈をポンチ絵に落とし込んだ」という苦し紛れに捻りだした物件と見られますので(個人の偏見です)、まあ止めた方が良いんじゃないですかねえ三本の鉛筆みたいにwwwwww

まあ何ですな、「展望レポートがコレクティブビューなのに、それを1本の絵に落とし込むのに無理がある」のもそうなんですが、そういう物件だから決定会合と同時公表が出来る訳もなく(うっかり同時公表したら「展望レポートは事前に協議してて決定会合はただのセレモニー」という政策委員会のガバナンス機能不全という深刻な批判に繋がりますわ)、数週間(だいたい半月)してから出したって、そんなもん一般ピープルが見る訳もなく、イラストの差分観察としてツッコミどころに無慈悲なツッコミを入れる金融市場のチンピラの皆さん(はて誰の事でしょう)の格好のエサになっているだけ、つまり下手打つとボロカス言われ、いいものを出しても別に何も言われない、という日銀にとってもリスクにしかならないポンチ絵になっているのではなかろうか、とまあ左様思いますのでもう次回から止めたらどうでしょうかねえ、こっちは面白ネタが無くなるから残念だけど日銀のためには止めるべきと思いますわ。

まあ日経にこんな記事(と言っても中身は見てないがw)にされちゃうと次回引っ込めにくくなったかもしれませんけどね。日経狙ったのか狙ってないのか知らんけど鬼ワロタ。


〇ジャクソンホールが始まるので集まってきた要人発言がポロポロとでておりますな

うーん式次第がでるまであと数時間って所ですね
https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/
Jackson Hole Economic Symposium

たぶんお品書きが出るとサムネっぽいのにリンクが着く格好で出て来ると思うの。


・コリンズ総裁(ボストン)のヤフーファイナンスインタビュー@ジャクソンホール

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-jackson-hole-collins-idJPKBN2ZZ1M1
2023年8月25日2:16 午前
訂正-FRB、利上げ一時停止可能な状況にある可能性=ボストン連銀総裁

『[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は24日、連邦準備理事会(FRB)が利上げを一時的に停止し、安定的に維持できる状況にある可能性があると述べた。』

『コリンズ総裁は、ヤフー・ファイナンスのインタビューで「確かに追加利上げの可能性はある。ただ、全体的に見て、今は本当に忍耐強く、データが示す展開を先取りしようとしないことが必要だ」と語った。また、長期金利の上昇はFRBの目標達成に寄与するとしたほか、成長の目立った鈍化はまだ見られず、住宅問題は経済の大きな課題であると指摘。秩序ある経済再編に期待したいと述べた。』(上記URL先より)

ということで米国のヤフーファイナンスを見に行ったら記事がありました。

https://finance.yahoo.com/video/fed-president-collins-rates-may-160630842.html
Fed President Collins: Rates may need to increase 'a little bit further'
Jennifer Schonberger and Stephanie Mikulich
Fri, August 25, 2023 at 1:06 AM GMT+9

ちょwwwww題名から受けるイメージが違うやんwwwwwwwww

と思ったので記事をみようとしたら、「全文を見る」を見たら文字起こしまであるという親切設計になっておりましてアリガタヤアリガタヤという感じですが、動画の方も字幕が出るのでそれ見ればエエンチャウノとも思います。

でもって最初にあるまとめの記事から。

『Boston Federal Reserve Bank President Susan Collins says the Fed may have to continue to raise rates in order to combat inflation. In an interview with Yahoo Finance's Jennifer Schonberger, Collins says she is seeing "some promising signs" that inflation is coming down, but there "is more to do" to get it down even further, stressing that it is important for the Fed to be "patient and resolute." "It's going to take some time to really be sure that we are seeing the sustained realignment of demand and supply that is needed in order to bring inflation back on a path that will get back to 2% at a reasonable amount of time," Collins said. So what does that mean for interest rates? Collins says "we may need additional increments and we may be very near a place where we can hold for a substantial amount of time." Collins acknowledges that people would like clearer signals on the Fed's next actions, but says "we may be near" a peak on rates, but "we may need to increase a little bit further."』(上記URL先より、以下同様)

ちょwwwこの文章途中で切れないwwwwwという感じですが、まあ確かに趣旨的にはロイターさんの翻訳記事でもカバーできているのですが、ここの部分のキモとなるのは、インタビューのトランスクリプトの最初の当たりにあるこの部分かと思います。

『JENNIFER SCHONBERGER: It is great to be with you here at Jackson Hole. Tell me, how are you viewing inflation now?』

最初にインフレーションについての評価聞かれて、

『SUSAN M. COLLINS: Well, I am seeing some promising signs that the work we've already done is starting to have the desired effects. And I think that there is more to do. And so I am looking holistically at the wide range of data. And I think at this phase, it's really important for us to be patient and resolute.』

まとめの方にあったように「I am seeing some promising signs」とのことですが、「there is more to do」であって、今の時点ではデータを見ながら「patient and resolute」であるべき、という話をしていまして、確かにガリガリ利上げするぜよ側には居ないなと思われますが、ロイターさんの記事の印象ほどはハトっぽくなくて、まあ普通にここでも「出たとこ勝負」であるというのが示されているんじゃないかと思うの。

『JENNIFER SCHONBERGER: OK. So you see there's more work to do. How much more work is there to do?』

「there is more to do」と言われれば利上げをもっとするのか、と聞きますよね。

『SUSAN M. COLLINS: Well, I think that it's going to take some time to really be sure that we are seeing the sustained realignment of demand and supply that is needed in order to bring inflation back on a path that will get back to 2% at a reasonable amount of time. So, you know, until we're actually at each decision point and we have all the data in hand that we're going to have, I don't think it's helpful to say a preset path. We may need additional increments, and we may be very near a place where we can hold for a substantial amount of time.』

「We may need additional increments, and we may be very near a place where we can hold for a substantial amount of time.」なので、まあコリンズさんの説明ってまあ確かに「利上げするぞー」というよりも「まずはもっと時間をかけてこのまま様子見をしたい」という感じですな。

『JENNIFER SCHONBERGER: So we're going to get a couple more inflation reports between now and the September policy meeting. If we see those reports come in, in line with what we've seen for the past couple of inflation reports, a gradual cooling, if you will. How would you view that? Would you feel comfortable moving into an extended hold in September, or would you want to wait till November to get more information?』

おうおう9月どうするんじゃワレ〜(などという言い方ではないですが)

『SUSAN M. COLLINS: So, again, I think it is not helpful for us to try to map out a preset path of where we're going. I think at this stage, even though I know that people would really welcome some very clear signal about exactly what we're going to do and when, but I think what's really important right now is that at each decision point, we look at the breadth of data holistically.

It's a time when extracting the signal from the data is quite complicated, because some of the data are getting revised, because some of the data, the monthly data are quite noisy. And so I do think it's extremely likely that we will need to hold for a substantial amount of time, but exactly where the peak is, I would not signal right at this point. We may be near, but we may need to increase a little bit further.』

結局の所。今後の利上げの可能性は示唆する(示唆しないと金融市場がヒャッハー言い出して引き締め効果を減殺するリスクを意識しているんだと思う)し、間違っても利下げに繋がる話はまだまだしない、という感じではあるけど、基本線としては「ここまで一気に利上げしたんだから様子見を見たいし、インフレがそこまで勢いよく沈静化している訳でもないので様子見続けるっきゃないっしょ」という感じなんじゃないかと思いますし、こうやって地区連銀総裁の皆さんが割と揃いも揃ってこういう感じで説明しているのに、ジャクソンホールのパウエルさんの講演に先行きの政策ガイダンスを求めるのって無理筋じゃないかとおもうんですよね。

まとめの記事の方に戻ります。

『When it comes to what's driving inflation, Collins says she is watching non-shelter services, "which is a place where I have not seen as much progress as I'd hope to see." Ultimately, Collins says she is "realistic, but optimistic that we can bring inflation back to 2% in a reasonable amount of time."』

インフレを現在ドライブしている要因に住宅関連以外のサービス価格をあげていますね。先行きのインフレに関しては2%に戻って来るのに対しては現実的だしそれに対して楽観的ですが、「a reasonable amount of time」が必要との認識。

『When it comes to housing, it's an area that Collins calls "really important." Collins says "it's
going to take time" to work through the challenges in the housing market and that it will take "many different groups across out economy" to address the broader, longer-term issues impacting the housing market.』

住宅市場に関しても"really important."だそうです。

『When asked about the gender pay gap, Collins says the gap had been closing, but now, that's "stalled out." Collins says there are a number of issues that could be driving the wage gap, including the lack of affordable childcare.』

最後の話は女性総裁相手のインタビューらしく給与の男女格差についての話です。でもって親切設計なのでこの下に、

『Key video moments

00:00:30 Collins sees "promising signs" on inflation
00:01:50 Collins explains why the Fed is not mapping out a pre-set path for rates
00:03:30 Collins breaks down what parts of inflation she is watching
00:05:10 Collins on how long the Fed will have restrictive rates
00:06:57 Collins discusses housing
00:08:36 Collins on the gender pay gap』

ってのがあって、その後に『Video Transcript』があります。


・ハーカー総裁(フィラデルフィア)のCNBCインタビュー@ジャクソンホール
https://www.cnbc.com/video/2023/08/24/philadelphia-fed-president-patrick-harker-we-should-keep-restrictive-stance-for-a-while.html
Philadelphia Fed President Patrick Harker: We should keep restrictive stance for a while
THU, AUG 24 2023 10:41 AM EDT

『Philadelphia Fed President Patrick Harker joins ‘Squawk on the Street’ to discuss if growth is a problem that needs to be fixed, what’s happening in the economy that’s allowing growth to continue, and the tightening of credit.』

CNBCっていつもだとトランスクリプトの記事を出してくれるのですが、こちらちょっと探したけどまだ出て無いようでして、アタクシのアレな英語力で4分あるインタビューネタをここでああだこうだ書くのもアレですのでアレなのですが(ナンジャソラ)。

まあ感じとしてはやっぱりハーカーさんも全般的な趣旨は同じで、これは聞き手の違いだからなんですけど、CNBCの方では金利上昇が経済にマイナスの影響与えていることについての評価を結構細かく聞いているのですが、「高金利が経済をスローダウンさせることについてどう思いますか」みたいに聞かれると「それは経済のクールダウンを助けています。過剰に心配することではありません(キリッ)」(2分15秒から2分30秒くらいのやりとり)と答えているのがチャーミングでした。

でまあ最後は記事のヘッドラインにあるように、「引き締め的スタンスを当面継続し、バランスシートの縮小も継続していく」という話をしていて、これまたガツガツ利上げする、って感じではないなーとは思いましたが、だからと言って利上げ無しと言うと以下同文なので、そういう話もしませんって感じで地区連銀総裁の言ってることが割と揃っているなあという印象でした。


ということでジャクソンホールですね!





2023/08/24

お題「輪番前後でチョッピーに動いてしまう残念な相場ちゃん/NY連銀の提灯っぽいレポートから」

ありゃま
https://jp.reuters.com/article/russia-crash-idJPKBN2ZY1HT
2023年8月24日3:10 午前
ロシア墜落機の搭乗者リストにプリゴジン氏、ワグネルが死亡確認

えーっとこれはおそロシ(ここで回線が途切れる)


〇備忘メモ:輪番で一々動く相場では「金利形成を委ねる」への道は遠そうですね

昨日の債券相場ちゃん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N3A41BK
2023年8月23日3:29 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、長期金利0.675% 9年半ぶり高水準更新

『[東京 23日 ロイター] -
<15:20> 国債先物は小反発、長期金利0.675% 9年半ぶり高水準更新』(上記URL先より、以下同様)

ってことで、昨日は10年カレント0.675%マークしましたってことでニュースワイヤーも伝えていた次第ですが、ロイターさんの後講釈を見ていると中々のアレを感じる次第(別にロイターさんが悪い訳ではないので念のため付け加えます)でつまり記事ちゃんを拝読しますと、

『前日の米債市場での金利上昇一服や夜間取引での上昇を背景に、朝方の先物は強含みで推移。日銀が午前に通告した中期・超長期債対象の国債買入れオペのオファー額がいずれも据え置かれたことを受けて、上げ幅を縮小した。「市場の一部にはオファー増額や5─10年対象の臨時オペを期待する向きもあったため、失望感が出たようだ」(国内証券ストラテジスト)という。』

ちょwwwwwwwwそもそも輪番買いすぎだろ問題なのに何で臨時オペとか期待するトンマがおるんじゃ荷物をまとめて実家に帰れと思うのですけど、それにしてもかくの如く輪番オファーに一喜一憂し、

『後場に入り、国債先物や長期・超長期ゾーンを中心に売り圧力が強まった。10年超25年以下対象の日銀オペ結果が弱めと受け止められたほか、あすの残存期間15.5年超39年未満対象の流動性供給入札を控える中、「(先週の)弱い結果となった20年債入札以降、超長期ゾーンは軟調な動きが続いており、調整圧力がかかりやすい」(みずほ証券のマーケットアナリスト、鈴木優理恵氏)との声が聞かれた。』

とまあそういう訳で、先日の輪番の時は応札倍率少なくてそのあとウヒョーと買われたというのがありましたが、柳の下の泥鰌狙いなのか知らんけど朝方は超長期強かったけど輪番がパッとしないではい下落とかもうおじちゃん見てて悲しくなる相場でありまして、この輪番中毒の相場なんとかならんのかと思うのですが、何せ買入規模が明らかに過大になっているというか輪番増やすときは威勢よく増やすのに減らすのを思いっきりビビるもんだから輪番過大のままという状況。


あのですね、植田総裁様がこの前こういったじゃないですか、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230731a.pdf

『前段ですけれども、おっしゃった質問に対する答えは基本的にはイエスです。つまり、もう少し長期金利形成を市場に委ねるという意図があるのかどうかということですが、それは基本的には、程度の問題はありますけれども、イエスで、敷衍しますと、申し上げてますように、経済・物価情勢が上振れた場合に、それを反映するかたちで長期金利が上がっていくということについては、0.5[%]と1[%]の間でそれを認めると言うのも変ですけれども、そこに上昇していくことを容認しようという姿です。』(7月金融決定会合後の植田総裁定例会見での言葉)

こう言ってるのに臨時輪番クレクレとか隙あらば出てしまうあたり、何ちゅうかこれ物価目標達成した(そもそも現時点で達成してるんじゃないのと思うけどそれはさておき)時に、市場の方もこのテイタラクで何が起こるんでしょうね、と思ってしまったのでちょっと後日俺様参考用の備忘メモで置いてみました。





〇セントルイス連銀は変態仮面退任の影響が徐々に表れるの巻っすかね

重宝していたセントルイス連銀謹製の「FOMC Speak」ですが、

https://www.stlouisfed.org/fomcspeak

右の上にある『About FOMC Speak』にしらっとこんな記載が。

『New remarks will not be entered after Aug. 30, 2023, but this website will remain online for viewing until Dec. 31, 2023.』

ええええええ、止めちゃうの便利で良かったのに・・・・・・・・・・・

『For an ongoing archive of FOMC participants' speeches and publications, visit Fed in Print. For individual collections of past FOMC participants' statements and speeches, see the Fed's FRASER digital library.』

ということなのですが、「Fed in Print」の方は

https://fedinprint.org/latest/system
Fed in Print

トップを見ますと
Explore research and publications from across the U.S. Federal Reserve System

ってなってるのは良いんですが、なんかエライ何でもかんでも地区連銀の出したペーパーがリストに載ってきて絞り込みとかも出来そうなのですが、使い方調べないと情報量が多すぎで中々大変だなと思いますけど、何の気なしにフラッと見に行って「このネタは面白そうじゃん」的に見に行く書店探訪みたいな感じで見に行くのは良いのかな、とは思いました。

なんせトップの「Latest Items」が

・Passive Quantitative Easing: Bond Supply Effects through a Halt to Debt Issuance
Christensen, Jens H. E. & Hetland, Simon Thinggaard

・Quantitative Easing and Safe Asset Scarcity: Evidence from International Bond Safety Premia
Christensen, Jens H. E. & Zhang, Xin & Mirkov, Nikola

・Businesses Want Remote Work, Just Not as Much
Hyman, Benjamin & Garcia, Dan & Abel, Jaison R. & Deitz, Richard

・Estimating HANK for Central Banks
Acharya, Sushant & Gleich, Aidan & Del Negro, Marco & Matlin, Ethan & Sengupta, Sikata & Dogra, Keshav & Sarfati, Reca & Goyal, Shlok & Chen, William & Lee, Donggyu

・Welcoming Remarks: A speech At the “Fed Listens: Joining the Labor Force after COVID, A Discussion on Youth Employment,” hosted by the Federal Reserve Bank of Chicago, Chicago, Illinois, August 22, 2023
Bowman, Michelle W.

ってパーティパントの発言よりも地区連銀から出ていているスタッフペーパーの方が多い(そらそうなんだが)という代物になっております。まあちょこちょこ見に行って面白そうなテーマでもないか、というのを拾いに行く感じですかねえ。

Fed's FRASER digital libraryの方ですが、

https://fraser.stlouisfed.org/
Economic history at your fingertips.

Browse materials by Title, Author, Subject, or Date.
Explore 100 Years of History with the Monetary Policy Timeline

ということで、まあこっちの方は昔からFOMCスピークの中にバナーが貼ってあって、踏んだ瞬間にそっと閉じるということをしていたのですが、色々なテーマでアーカイブを調べられるようですな、よーわからんけど。

しかし結構便利だったFOMC Speakが変態仮面の退任と共に退任してしまうのかと思うとちょっと残念無念という所であります。


〇NY連銀のブログから提灯レポート感強いもののインフレ形成要因について消費者サーベイをしましたよって話を

https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/
Liberty Street Economics

最近だと
AUGUST 10, 2023
The Evolution of Short-Run r* after the Pandemic

とか話題になっていた気がするのですが、こちら「ショートランの中立金利」ってナンジャソラ感は強くて、何かお手盛り屁理屈のネタになるだけなんじゃネーノとか思っている訳ですよ。というかそもそも中立金利の概念って理屈の上ではそうですよねとは思うのですが、あんな事後的にも計測できるのか怪しいものを振りかざすのって、端的に言って金融政策運営上の屁理屈として使い勝手が良すぎる物件で、中立金利がどうのこうのという説明を前面に出してくる金融政策当局者の説明は10本のうち9本までが牽強付会と思って置けば宜しいかと存じます(個人の感想です)。

ちなみに、YCC政策というQQEのスーパー買入拡大の破綻とマイナス金利政策の失敗を誤魔化すためにぶっこんだ政策の際にはその屁理屈として「均衡イールドカーブ」というのがぶっこまれましたが、これは中立金利の概念を政策金利(短期)だけではなくイールドカーブ全体に拡張して、そのイールドカーブと市場金利のイールドカーブを比較して金融政策の緩和度合いを見て調整していく、という壮大な屁理屈で、それがガチ理屈じゃなかったのは、2022年の春以降経済物価情勢が大きく変化して、均衡イールドカーブの位置も変化している筈なのに、それを丸無視した政策運営を行っていることから明らか、とまあそういうのが中立金利ですよね。

などと言いますと学のある真面目な人にあたおか言説として扱われますのでご注意ください。


さてまあそんな話はさておき、こんなのがあったのでちょっと拝読したんですよ。

(URLがクソ長いので途中までの文字列にハイパーリンクを貼ってます)
https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2023/08/consumers-perspectives-on-the-recent-movements-in-inflation-expectations/
AUGUST 17, 2023
Consumers’ Perspectives on the Recent Movements in Inflation

・過去の物価上昇の要因と足元の物価上昇沈静化の要因をサーベイしたんですって

『Inflation in the U.S. has experienced unusually large movements in the last few years, starting with a steep rise between the spring of 2021 and June 2022, followed by a relatively rapid decline over the past twelve months.』

米国の物価上昇は2021年の春から急上昇って感じでしたな。今のところは昨年6月がピークと。

『This marks a stark departure from an extended period of low and stable inflation.』

その前がインフレ超安定期でしたから急に離陸したって感じでしたわな。

『Economists and policymakers have expressed differing views about which factors contributed to these large movements (as reported in the media here, here, here, and here), leading to fierce debates in policy circles, academic journals, and the press. We know little, however, about the consumer’s perspective on what caused these sudden movements in inflation. 』

『In this post, we explore this question using a special module of the Federal Reserve Bank of New York’s Survey of Consumer Expectations (SCE) in which consumers were asked what they think contributed to the recent movements in inflation. We find that consumers think supply-side issues were the most important factor behind the 2021-22 inflation surge, while they regard Federal Reserve policies as the most important factor behind the recent and expected future decline in inflation.』

でもってニューヨーク連銀の「Survey of Consumer Expectations」を使って、2021-2022の急速なインフレ上昇について何が要因だったと思いますか、という質問と、直近のインフレ沈静化傾向について何が要因だったと思いますか、というのと、今後のインフレを見るうえで何が要因になると思いますか、というのを調べました、って言ってるんですな。


でまあその結果。文章にもあるんですけどグラフがペタペタ貼ってあるのでそれみりゃわかるんですけど・・・・・・

「Importance of Factors in Contributing to the Inflation Increase between 2019 and June 2022」

ってのを見ると、上位順に

・供給不足とサプライチェーンの問題
・コロナの影響
・労働者不足や適切な労働者が居ない件
・政府支出

とかいう感じで並んでして、本文の方では

『As shown in the chart below, the top three factors respondents rated as the most important contributors to the increase are all supply-related: “Product shortages and supply chain issues,” “COVID-related shutdowns,” and “Worker shortages and staffing problems.” In particular, 86 percent of these respondents rated “Product shortages and supply chain issues” as the highest of the sixteen factors they were asked to rate.』

何かエライ意識の高い回答だなとは思いますが。

『This result is consistent with the view that the surge in inflation over this period was due to binding capacity constraints (see for instance here). The relative consensus among consumers that supply-side factors were the highest-rated contributors to the 2021-22 surge in inflation is quite striking compared to the divergence of views that still appears to persist among economists and practitioners, mentioned in the first paragraph above.』

とまあそういうことで、昨年までの急速なインフレ上昇に関しては消費者サーベイでも要因は供給サイドの方にあったという回答が多い、という結論をつけております。


でもって直近ですけど、

「Importance of Factors in Contributing to the Inflation Decrease between June 2022 and June 2023」

ってのを見ますと、上位順に

・FRBの金融政策
・サプライチェーンの改善
・政府支出
・モノやサービスへの強い需要

とか言って並ぶのですが、

『Turning now to the most recent period between June 2022 and June 2023, the chart below shows that respondents who perceived a decrease or a stabilization in inflation over the past year attributed this change first and foremost to “Federal Reserve policies (rates and money supply),” followed by “Improvement in supply chain issues.”』

とまあ何かかなり提灯アンケートっぽい香りが漂ってくる内容になっているのですが、さらに

「Importance of Factors in Contributing to the Expected Inflation Decrease between June 2023 and June 2024」

というこの先1年の物価を見る上でのファクターは。というのがさっきと同じ項目になっていて、

『The next chart shows that the same two factors were also ranked highest by the 82 percent of respondents who expect a decline or a stabilization in inflation over the coming year.』

でまあ最後にこんなまとめになっています。

『Our results suggest that consumers believe supply chain issues-a deterioration first followed by improvements-was among the main reasons behind the sharp inflation movements the U.S. economy has experienced since 2020.』

何ちゅうかその消費者サーベイでサプライチェーン問題がどうのこうのって回答が来るのかよ、というのはイマイチピンとこないのでお手盛り感をかんじてしまう性格の悪いアタクシですが、

『That consumers cite Federal Reserve policies as the most important factor behind the recent and expected future decrease in inflation may seem at odds with recent academic research at first.』

最近のインフレの鎮静化については最も重要なファクターとしてFRBの金融政策が挙げられています、とか提灯っぽさが非常にアレなのですが、まあ提灯レポートであっても提灯レポートとしての意味があるのは、つまりは政策正当化のロジックがどこにあるのか、というのが提灯リサーチですと分かりやすくそれを示している、という特性がありますので、提灯なのかガチなのか謎っぽい作品ですが(と無茶苦茶失礼な事を言うアタクシ)、FED的には「供給要因の問題が解消されたらインフレは沈静化」というのをメインの話として置いている、というのが分かると思います。

『Several studies (see for instance here and here) suggest that American consumers tend to be imperfectly informed about the policies of the Federal Reserve (for example, they know little about the Federal Reserve’s inflation target or forward guidance), which could limit the effectiveness of monetary policy. However, these studies were conducted before the surge in inflation of 2021, at a time when inflation was low and stable.』

この辺りも更に香ばしいのですが、コロナ前の先行研究ではインフレに与えるファクターの中でFEDの政策ってのはあまり言われなかったし、そもそも政策についての認識が高くは無かったのですが、と来て

『The authors of these studies acknowledge that in such an environment, consumers may be more inattentive to inflation and monetary policy.』

インフレが低くて安定している状況でそもそもインフレや金融政策に興味なかったというのもありました。

『In contrast, in periods of high or changing inflation, consumers may pay more attention to inflation and the actions of the Federal Reserve (for a recent study showing evidence on this, see here). Our results provide support to this hypothesis. Indeed, we find that consumers today know enough about the Federal Reserve to recognize its policies as the most important factor behind the recent and expected future decline in inflation.』

しかし今はインフレに対する人々の関心が高まっており、同時にFEDの金融政策に対する注目も高まっていて、最近のインフレ鎮静化の要因にFEDの政策を挙げる人が多いのですから、つまりはFEDの政策スタンスは今後の消費者の先行きインフレ期待に対して重要である、というタイコモチ感溢れる結論になっていますな。

ということでタイコモチレポート扱いしていますが、ただまあこれ自体は「インフレがガチで鎮静化する前にFEDがスタンスを変更しちゃうとインフレ期待が再燃しちゃうよ」ってインプリケーションを示した物件に仕上がっていますので、まあそういうことだぞ、ということで利下げ時期がどうのこうのという話をするにはまだ時期尚早、ってなFOMCの今の中心的見解をフォローするものになっているかと思いましたがどうでしょうかね。






2023/08/23

お題「基調的物価とMBコミットメントという雑談/バーキン総裁経済再加速に言及とな/日銀のペーパーがあったので」

ダダ漏れにもほどがある財政
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22AJ20S3A820C2000000/
物価高対策、予備費頼みに懸念 ガソリン補助金延長へ
国会の使途監視及びにくく
物価高・値上げ
2023年8月22日 21:55 [会員限定記事]

『政府・与党はガソリンなどの物価高騰への対策について政府の判断で支出できる予備費や既存予算の余りなどでまかなう方向で調整に入る。国会審議が必要になる2023年度補正予算案の編成は避ける。予備費の利用は機動的な対応をしやすい半面、使途に国会の監視が及びにくいとの批判もある。』(上記URL先より、以下同様)

この措置結構湯水のように金が出るんじゃなかったでしたっけ。こんなの期間限定でやるならまだしも結局ダラダラやり続けるとか垂れ流しにも程があるんですけど。というか補助金出してばっかりだと需要が調整されないから価格が下がらないんですが。

『ガソリン価格や電気・ガス料金の負担軽減のための現行の激変緩和措置は9月末に期限が切れる。対策を途切れさせずに継続させるにはそれ...この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。残り583文字』

ということで結局マクロ的に見たらこれ結構な財政支出になるから一般物価が上がる要因にしかならんと思うんですけどね。コアコア+4%台な訳ですし。


〇基調的なインフレでも10月会見は墨染めの衣待ったなしの卦が出ているように見えますが

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf
消費者物価の基調的な変動

長期時系列を出してくれるのはありがたいんですが直近部分の拡大図とか出してくれませんですかねえ少なくとも足元では動きが結構あるんですから、と思う訳ですがそれは兎も角。

例によってエクセルの方から数字を拾ってまいりますが、今日はやる気を出して2021年のところから出してきました。コアCPIが2%のっかったのが2022年の4月でしたなあ。、

左から順に刈込平均値、加重中央値、最頻値ですな、数字は前年比

Jan-21 -0.3 0.0 0.0
Feb-21 -0.2 0.1 0.1
Mar-21 -0.1 0.1 0.1
Apr-21 -0.3 0.1 0.1
May-21 -0.1 0.1 0.1
Jun-21 0.0 0.1 0.1
Jul-21 0.2 0.1 0.1
Aug-21 0.3 0.1 0.2
Sep-21 0.6 0.2 0.2
Oct-21 0.6 0.1 0.2
Nov-21 0.8 0.1 0.2
Dec-21 0.9 0.1 0.3
Jan-22 0.8 0.2 0.3
Feb-22 1.0 0.1 0.3
Mar-22 1.1 0.2 0.3
Apr-22 1.4 0.3 0.4
May-22 1.5 0.4 0.5
Jun-22 1.6 0.5 0.5
Jul-22 1.8 0.3 0.7
Aug-22 1.9 0.5 0.8
Sep-22 2.0 0.5 0.9
Oct-22 2.7 1.1 1.3
Nov-22 2.9 1.2 1.5
Dec-22 3.1 1.4 1.6
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0

ダンダラがクッソ長くて恐縮ですが、刈込平均見ると2021年の夏ごろから動き出した、って感じでして、加重中央値と最頻値がもうちょっと遅れて2022年の夏ごろから動き出しましたという感じだったなあと思う訳でして、だからこそ2022年4月の展望レポートから突如「コアコア物価」を持ち出して(当時コアよりも低かったから)2%達成はまだとか言い出し、挙句に変なポンチ絵を出すようになった、という訳ですが、この状況、どう見ても物価上昇が全然収まらない(スーパー行っても毎度のように「誠に恐縮ですが原材料費などの高騰によってプライベートブランドのこのアイテムいついつから値上げします」がどこかに出ているという状況ですからぬー、まあ夜の街で豪遊するのが大好きな上級国民総裁様の知ったこっちゃあないでしょうけど)というあばばばばーな状況だし、そもそも最頻値3%って何ぞやという所でこのワシのベースサラリー(内務省検閲により削除されました)。

上昇品目下落品目比率もこの有様

左から上昇品目比率、下落品目比率、上昇品目比率−下落品目比率

Jan-21 46.7 44.6 2.1
Feb-21 49.0 42.7 6.3
Mar-21 51.0 41.0 10.0
Apr-21 50.2 41.8 8.4
May-21 51.1 41.4 9.8
Jun-21 50.6 42.0 8.6
Jul-21 51.9 41.0 10.9
Aug-21 56.1 36.2 19.9
Sep-21 57.1 35.1 22.0
Oct-21 58.4 34.1 24.3
Nov-21 59.2 33.3 25.9
Dec-21 58.8 34.3 24.5
Jan-22 61.5 31.0 30.5
Feb-22 64.0 28.9 35.1
Mar-22 63.2 29.7 33.5
Apr-22 68.8 24.9 43.9
May-22 69.2 24.5 44.6
Jun-22 71.3 22.2 49.0
Jul-22 73.2 20.7 52.5
Aug-22 72.6 21.5 51.1
Sep-22 74.9 18.6 56.3
Oct-22 78.9 14.6 64.4
Nov-22 79.9 13.6 66.3
Dec-22 81.2 11.7 69.5
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 85.1 9.2 75.9
Jul-23 85.6 8.4 77.2

これまたクッソ長くなってしまいましたが、半分どころか7割とか直近では8割近くの品目が上昇というのが来ておるわけでして、いやだからこの状況なのに、『マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』って文言が声明文に残っていること自体が意味わからない訳で、オーバーシュートもオーバーシュートしているんだから、少なくともこのコミットメント自体はもういらないんじゃないでしょうかねえ、どうせ金利上昇圧力掛って指値オペに引っ掛かったら買入は自動的に増えるんだし、と思うのですが、少なくともこのコミットメントの条件は既に達成されている(見通しじゃなくて実績値なんだから)のですから、9月会合で何らかの措置(政策変更とは関係ないというのを強調するには展望回にぶつけない方が良いから)を取って頂きたいと思うのですけどねえ。というか何でこの「実績値が」の件を議論しないんじゃおどりゃ字が読めんのかそれでも大学出とるんならと小一時間問い詰めたい所ではありますな。


〇結局のところ「超出たとこ勝負」なのではなかろうかという9月FOMC

こちらはどこで喋ったのかが謎でリッチモンド連銀のサイトを見に行ってもセントルイス連銀のFOMCスピークを見に行っても元ネタが不明なのでロイターさん記事を参照しますが。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-barkin-policy-idJPKBN2ZX1EP
2023年8月23日2:05 午前
米経済「再加速シナリオ」の可能性も、最近の指標受け=リッチモンド連銀総裁

『[ダンビル(米バージニア州) 22日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は22日、連邦準備理事会(FRB)は米経済成長が減速せず再加速する可能性に配慮する必要があるという見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

まあ経済成長が減速しないでも物価が減速してくれれば無問題、とはなるんでしょうけれども・・・・・・・

『最近発表された予想以上に好調な米小売売上高や消費者信頼感の上昇に言及し、「3─4カ月前には存在しなかった再加速のシナリオが台頭している」とし、「インフレが高止まりし、経済が勢いを増す」可能性も含まれると述べた。』

ちょwwwwwタカ派仕草キタコレ

『その上で、インフレが高止まりし、需要がインフレ押し下げに向けたシグナルを発していないと確信すれば、利上げによる追加金融引き締めの「根拠となるだろう」とした。』

と、威勢よく言っていたようですが、返す刀で

『9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)については、どのような決定をすべきか予断は持たないと述べた。市場では金利が据え置かれるとの予想が大勢となっている。』

って言ってるので、結局のところマジのマジで出たとこ勝負というか、物価データを見て判断ということになるんだと思うのですが、リセッショじゃろ⇒ソフトランディング行けるんとチャイマスカ⇒そもそも着陸するような落ち方もしませんわガッハッハ(ノーランディングね)、ときましてまさかの再加速の話をぶっこまれてしまいますとナンジャソラ感は否めないし、まあ先日来遅ればせながらネタにしたFOMC会見の時(まあ確かにその時点から1か月経過して今の状況を見てバーキンさんが喋っているとはいえ)はそこまで威勢の良い話をしていなかったパウエルさんなので、基本的にこれはタカ派方向の外れ値扱いで良いとは思います。

とは言え、FOMC会見での説明もそうアタクシは思ったのですが、パウエルさん的にはもうここからあんまりガシガシ利上げしようという感じではなくて、助さん格さんもういいでしょう状態の水準まで金利上げたんだから暫くは動かないで様子見た方がエエンチャウノというのに傾いている感じは字面をみてると思う(根拠はただのアタクシの霊感ですけど)のですけど、インフレファイターのおじさんおばさんが居て、結局物価が下がりにくいとなるとそらまあ引っ張られてしまいますわなとも思う次第。

あと米債利回りに関する言及もあったのですが、それを引用すると記事の全文引用になってしまいますのでちょっと手控えさせて頂きますが、まあとにかくFOMCの中の方々も「今の時点で9月の決め打ちできない」というのを徹底していて、結局は9月FOMCの前に出て来る物価統計見ての出たとこ勝負、という感じだし、そこまでガシガシしばきにいく感じでもなさそうには見える(ただし市場が期待するほと簡単に利下げするとも思えないですけど)のですがどうでしょうか、と思うので、ジャクソンホールで少なくとも目先の政策金利どうするというような話は出てこないんじゃなかろうか、としか益々思えなくなってしまいましたので、金曜の夜は爆睡を予定しております(^^)。



〇日銀からペーパー2本だが読んでなかったりするのだがご紹介だけでも

・米国のインフレ圧力における従来モデルではきちんと推計出来てなかった要因の推計らしい、知らんけど

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/wp23e13.htm
ニューケインジアン・フィリップス曲線におけるパイプライン・インフレ圧力の推計:ベイジアンVAR-GMMによる接近

・・・・・・・・・題名をみた瞬間にポプ子の「あーそーゆーことね完全に理解した」を貼りたくなってしまう物件ではございますが、(何の絵なのかは検索すればまあ分かりますわ)

2023年8月21日
眞壁祥史*1
松本洋輔*2
平田渉*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

*1日本銀行国際局(現・調査統計局)
*2日本銀行国際局(現・札幌支店)
*3日本銀行国際局 

(上記URL先にはメールアドレスもあるのですがそこの引用はしておりません)

なるほど国際局でこういうの研究するんだ、とそこにほほーと思ったのですが、

『要旨

本稿では、垂直的な生産チェーン構造を標準的な粘着価格モデルにおいて考慮し、同チェーンを組み込んだニューケインジアン・フィリップス曲線を、米国の生産段階別価格データを用いて、ベイジアン・ベクトル自己回帰・一般化モーメント法(Bayesian VAR-GMM)により推計した。また、パラメーターの弱識別が残るなかでもモデル比較に際して頑健な疑似周辺尤度を用いて、垂直的な生産チェーンを組み込んだニューケインジアン・フィリップス曲線と標準的なニューケインジアン・フィリップス曲線の比較を行った。このことにより、上流の生産者の価格設定によって生じる「パイプライン・インフレ圧力」の実証的な検証に貢献している。本稿の推計結果は、(1)疑似周辺尤度を用いたモデル比較によると、垂直的生産チェーンを考慮したニューケインジアン・フィリップス曲線のパフォーマンスが、標準的なニューケインジアン・フィリップス曲線のパフォーマンスを上回ること、(2)パイプライン・インフレ圧力が、消費者物価および生産者物価のインフレ率に無視しえない影響を与えていることを示唆している。』

・・・・・・・・日本語の文章なのは間違いないのですが、ワタシニホンゴワカラナイネー状態で何が何だかさっぱり分からんのだが、たぶん米国の今次インフレ局面において、従来のモデルだけではカバーできないような価格上昇圧力がありました、ってことを検証したものではないかと思いましたが、調査統計局じゃなくて国際局なんだー(米国の事例の研究ですからそうなんですね)と思いましたであります。

なお、開いた瞬間にそっと閉じた本文はこちらです
https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2023/data/wp23e13.pdf
Estimating Pipeline Pressures in New Keynesian Phillips Curves: A Bayesian VAR-GMM Approach


・こちらは実際にトレードしている方のご見解賜りたい感じですかね

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab23j02.htm
「店頭デリバティブ市場改革が金利スワップ取引価格に及ぼした影響」
曽根泰平、小田剛正(日本銀行)、宮川大介(早稲田大学)

こっちはリサーチラボシリーズということで、レポートを簡略化した形式になっている物件で、アタクシが泡を吹くような構成にはなっていないと思います。

『要旨

2000年代後半に発生した世界金融危機の教訓を踏まえ、店頭デリバティブ市場における規制の枠組みが国際的に検討され、わが国でも、清算集中の義務化や証拠金規制の導入が段階的に進められてきた。』

ということですが、この清算集中ってどっかが死んだときの措置をガチガチに法律で固めておかないとリーマンショックの時に国債集中決済機関における未決済部分の解消に時間が掛かる(実際問題として最近どうなったか知らんけど、オブリゲーションネッティングとかが日本の破産法制との相性が必ずしも良くなくて、その話って国債の現金担保レポ取引がおっぱじまる頃(まあ20世紀の事だが)から「この破綻時の相殺って法的に担保されてないよね、リーガルオピニオン取ってても意味あるのかね」という話はあったんですが、まあその辺が微妙だったから多少処理にお時間かかった訳ですよ。本稿と関係ない話ですけど。

ただ、1回そういうのをやりますと、まあ先行事例があるということで次回からはたぶんスムーズに飛んだ時の清算はサックリと進むと思うのですが、店頭デリバの集中清算機関に関しても、ISDAと国内法制が必ずしもきっちりマッチしている訳でもないと思うので、一発目が起きた時はそこそこ面倒なのとチャイマスカという気もしますけど、こればっかりは一発発生しないと分からんのでさてどうなんでしょ、といつも心のどこかでは思っておる次第。

『本稿では、わが国の店頭デリバティブ(円金利スワップ)取引の明細データを用いて、こうした規制の導入が、取引価格の異質性、特に、相対で清算される取引と中央清算機関で清算される取引の価格差である「OTCプレミアム」に及ぼした影響を評価した、Miyakawa, Oda, and Sone (2023) [PDF 3,489KB] の研究の概要を紹介する。』

まあ要するに自分たちのペーパーの紹介です。
https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2023/data/wp23e12.pdf
Regulatory Reforms and Price Heterogeneity in an OTC Derivative Market

『その結果によると、円金利スワップ市場におけるOTCプレミアムは、(1)かつては、国際的な大手ディーラーが固定金利を受け取る取引を中心に小幅ながらも存在した可能性があること、(2)証拠金規制の導入前後に、その対応に係るコストの増加などから一時的に拡大した可能性があるものの、(3)その後は、一連の同規制の適用拡大が進むもとで消失したとみられること、などが示唆される。』

ふーん。でまあ途中の話を全部すっ飛ばしまして結論に参りますが、

『おわりに

本稿では、わが国の円金利スワップ取引の高粒度データを用いて、店頭デリバティブ市場における規制改革がその取引価格(特にOTCプレミアム)に与えた影響を実証的に評価したMiyakawa, Oda, and Sone (2023) [PDF 3,489KB] の研究の概要を紹介した。』

はい。

『ただし、この研究では、同規制強化後のOTCプレミアムの存在有無を実証的に評価してはいるものの、データ制約もあって、その背後にある各規制や各メカニズムの影響度を定量的に識別できていない。』

ほうほう。

『また、本研究は、店頭デリバティブ市場改革について、あくまで取引価格への影響に焦点を当てており、それに伴う広義のコストとベネフィットを総合的に比較するまでには至っていない。』

確かにどう見てもそっちの方が重要。

『こうした点は、規制の見直しなどを企画するうえで、金融当局にとって引き続き重要な検討課題である。』

最終的には規制のデザインに行きつく話ですかなるほど。ということで。







2023/08/22

お題「ジャクソンホールのお品書きは日本の金曜の午前ですかね/虫干しFOMC会見だが結局方向性の示唆は皆無ですよね」

あらあらまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/bonds/us
金利・国債
情報は20分以上の遅れで表示しています。

米国債3ヶ月 利回り US3MT=RR +5.444 -0.001
米国債2年 利回り US2YT=RR +4.988 +0.052
米国債5年 利回り US5YT=RR +4.454 +0.072
米国債10年 利回り US10YT=RR +4.338 +0.087
米国債30年 利回り US30YT=RR +4.458 +0.079

〇もうちょっとだけFOMC会見QAネタなんですけどね&ジャクソンホール

・ジャク穴の式次第は現地の24日の米国山岳時間午後6時にでます(金曜の午前か)

まあ今日くらいで虫干し終了して週末のジャクソンホールに向けて集中集中、と思ったらカンザスシティ連銀の例のサイトにあたらしいリンクがセットされたので喜び勇んで見に行くがお品書きではありませんでした(って毎年そうなのでまあ喜び勇んではいなかったんですけどね)。

https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/
Jackson Hole Economic Symposium

こちらの『About the Symposium』にあたらしい箱(リンク)が出来たので踏みに行きますと、

https://www.kansascityfed.org/newsroom/2023-news-releases/kansas-city-feds-jackson-hole-symposium/
Kansas City Fed’s Jackson Hole Symposium set for Aug. 24 to 26
The 2023 event marks the 46th year of the annual forum.
August 21, 2023

例によってお品書きが出て来るのはまだなんですけど。

『KANSAS CITY, MISSOURI - The Federal Reserve Bank of Kansas City will convene its annual Economic Policy Symposium, Aug. 24-26 in Jackson Hole, Wyoming. The 2023 event, which marks the symposium’s 46th year, will focus on the theme "Structural Shifts in the Global Economy."』

シントラのフォーラムの時に「他国の金融政策のせいで円安になりました」とかいうヤバいジョークを飛ばしてしまった植田大先生であらされるのですが、このお題の中で一人全然違う話をして場違い感を深めるくらいなら韓国中銀の李総裁に席を譲った方がよいのではないか、というか去年のジャク穴のパネルディスカッションってシュナーベルさんとジョルダンさんとビルロワガドローさんと李さんだったんですよね。

『This year’s theme will explore several significant, and potentially long-lasting, developments affecting the global economy.』

「significant, and potentially long-lasting, developments」についてとか言って日本ではそういうことが起きていないからこそ今の物価上昇は一時的で来年度にはコアコア物価が1.5%ポイントも急落するんでしたっけ。じゃあ日本は関係ないですねー(白目)。

『While the immediate disruption of the pandemic is fading, there likely will be long-lasting aftereffects for how economies are structured, both domestically and globally, as trade networks shift, and global financial flows react.』

貿易ネットワークのシフトやグローバルな資金フローの動きなども含めて、どのような長期的構造的な変化がパンデミック後に起きているかを考察するそうですが日本では以下同文。

『Similarly, the policy response to the pandemic and its aftermath could have persistent effects as economies adjust to rapid shifts in the stance of monetary policy and a substantial increase in sovereign debt.』

金融政策に関して「rapid shifts in the stance of monetary policy」をしていない日本が出席しても何の意味がないじゃないですかヤダーと思ったのですが、「a substantial increase in sovereign debt」については日本は先進国中の先進国だし、挙句に足もとでも馬鹿政治家に加えて最近はお茶の間識者(笑)やユーチューブ識者(笑)辺りもクレクレ減税しろしか言わない(個人の印象です)という国家百年の計もへったくれもあったもんじゃないその場凌ぎの話ししかしませんので、この点については日本から何か先行事例を示唆出来るのかもしれませんね(棒読み)。

『Papers will share how these developments are likely to affect the context for growth and monetary policy in the coming decade.』

ということで、今回のジャク穴ちゃんでは「in the coming decade」の間、これらの変化が今後の「growth and monetary policy」に対してどんな影響を与えるでしょうか、というコンテクストについてのペーパーが幾つか出て来るので皆様とシェアしていきます、ってことでございます。

ジャクソンホール最高や!多角的レビューなんて最初からいらんかったんや!!!

・・・・・・・こうですねわかります。

『The full agenda will be available at External Link kansascityfed.org on Thursday, Aug. 24 at 8 p.m. ET/6 p.m. MT.』

お品書きは米国東部時間木曜の午後8時だそうです。

『Federal Reserve Chair Jerome Powell’s remarks will be streamed on the Kansas City Fed’s YouTube channel, External Link youtube.com/kansascityfed on Friday, Aug. 25 at 10:05 a.m. ET/8:05 a.m. MT.』

パウエル議長はご出演ということで、ご挨拶の方は25日金曜日米国山岳時間朝の8時5分、東部時間の朝10時5分だからえーっとえーっと・・・・・・・・・・

『Papers and other materials will be posted on the Kansas City Fed’s website as they are presented during the event.』

へいへい。

でもって以下はジャクソンホールシンポジウムとカンザスシティ連銀の宣伝なのですが敬意を表して引用しておく。

『Since 1978, the Federal Reserve Bank of Kansas City has sponsored a symposium on an important economic issue facing the U.S. and world economies. Beginning in 1982, the symposium has been hosted at the Jackson Lake Lodge at Grand Teton National Park, which is located in Wyoming?one of the seven states served by the Tenth Federal Reserve District.』

『Each year, the event provides a venue for international central bankers, Federal Reserve officials, other policymakers and academics to discuss issues of mutual concern. Visit External Linkkansascityfed.org to read more about the symposium's External Link decades-long history.

『As the regional headquarters of the nation’s central bank, the Kansas City Fed and its branch offices in Denver, Oklahoma City and Omaha serve the seven states of the Tenth District: Colorado, Kansas, Nebraska, Oklahoma, Wyoming, northern New Mexico and western Missouri.』



・でまあ問題のパウエル講演だが今回は何も先行きの金融政策を示唆してこないとアタクシは思うんだが・・・・・・・・

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230726.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
July 26, 2023

えーーーーーーっとですね、小見出しで書いた通りなんですが、ニュースワイヤーのコメントとか見てるとなんか今回パウエル講演に(毎度そうですけど今回は特に)やたらめったら注目したいみたいな言及が目立ってて、まあ確かに今年は利上げが行くところまで行っているので、この先利上げのお代わりがあるのかとか、どの程度引き締め状態を維持するのかとか、どうなったら引き締め度合いを緩めていくのかとか、まあそういう話の示唆が欲しい、というのは分からんでもない。

ただですね、今更虫干しで引用していて今日最終回の予定のFOMC会見に関しては「先行きの政策はデータディペンデント」「今の物価上昇ペースは許容できない高さ」という2点をやたら強調しているわけでして、そんな説明をしているパウエルのおじちゃんがジャク穴で急にびしっと何かぶっこんでくるとはあんまり思えないのですけどどうなんでしょうかねえ。

ということで会見ネタの続きです。


・先行きの政策に対して記者が質問をするのだがひたすら回答をしないパウエルという応酬を鑑賞しましょう

いやまあこんなんばっかりなんですよね7月FOMCって。

『MICHAEL MCKEE. At this point, you say the policy is restrictive, but all year long we have seen growth surprise to the upside, unemployment to the downside, and inflation, lately, to the downside. So I’m wondering, by definition, should you be restrictive enough right now under these conditions? Do you think you might need to do more, because I’m curious about what you see as inflation dynamics now? Is the economy still moving in a direction where it creates more inflation? People talk about base effects and higher energy costs, and now we have some large labor settlements. Or is the economy disinflating, and you’re just, you’re able to go back to the old Fed policy of opportunistic disinflation?』

ああだこうだとゆうとるのですが、要は「おんどれの金融政策で物価情勢はアンダーコントロールで望ましい方向に進んでいるちゅうことでよござんすか」という話から始まるのだが、

『CHAIR POWELL. So I’ll just say again, the broader picture of what we want to see is, we want to see easing of supply constraints and normalization of pandemic-related distortions to demand and supply. We want to see economic growth running at moderate or modest levels to help ease inflationary pressures. We want to see continued restoration of supply and demand balance, particularly in the labor market. And all of that should lead to declining inflationary pressures.』

インフレ圧力を軽減するにはこれこれこういうファクターが必要ですが、と来まして

『Now what we see is, we see those pieces of the puzzle coming together. And we’re seeing evidence of those things now, but I would-I would say that what, what our eyes are telling us is that policy has not been restrictive long, restrictive enough for long enough to have its full desired effects. So we intend, again, to keep policy restrictive until we’re confident that inflation is coming down sustainably to our 2 percent target, and we’re prepared to further tighten if that is appropriate. And we think the process, you know, still probably has a, a long way to go.』

それらの動きは見られだしてきている、とした上で、ただし私らは金融政策を引き締め的にしてから時間がそんなに経っていないので、引き締めの効果が全部出てきている訳ではない。しかしながら今後さらに引き締めの効果が出てきて物価上昇率は一段の沈静化が進むというコンフィデンスがありますよ、でもそれにはまだ長い道のりがありまっせ。とまあそんな回答をしましたが、どうも次の更問が本命でこれを質問するマクラにしようという事のような気がします、さすが手練れは違うわ。

『MICHAEL MCKEE. Well, do you think under current conditions you are restrictive enough unless something changes?』

では今後大した変化が無ければ「今の金利水準は十分に引き締め的である」と言えるのか??と今後の金利据え置きなのかおかわりあるのかについての更問をぶっこむわけですが、

『CHAIR POWELL. Well, I think?we think, you know, today’s rate hike was appropriate, and I think we’re going to be looking at the incoming data to inform our decision at the next meeting about, is the incoming data telling us that we need to do more? And if it does tell us that-collectively, if that’s our view-then we will do more』

先行きはデータ次第、とばっかり言うのですがただまあ利上げ打ち止め感もだしたくないようで、毎度の如く言うのは「FOMC参加者の全体的な意見で言えばまだ利上げを実施するのが適切とみている」という話ですけど、あくまでもパウエルはこの時に主語を「FOMCパーティシパントのコレクティブビューは」という言い方をしているのが特徴的でして、とにかく「あなたこう言いましたよね」とならないようにかなり慎重に話をしている感がするんですよ(って動画ちゃんと見て無くて音源流し聴きしかしてないけど)。まあその辺見まするに、パウエルも別に今後利上げのおかわりが必ず必要なのかというとそこまで強いビューは持っていなくて、寧ろ様子見モードに転じたいのだが雇用とかが相変わらずアチアチ状態になっているので困ったなーって感じなのかねとは思うのでありましたがあくまでも個人の感想です悪しからず。



・これは日銀涙目の質疑ワロタ(賃金に関して)

こんなのがありました。

『EDWARD LAWRENCE. Thank you, Chair Powell. First, let me compliment your tie, the choice of tie. It’s a good color. So thanks for taking our questions. So the Beige Book, it said, “Input cost pressures remained elevated for services firms but eased notably” for manufacturing sectors. Is that an indication that there’s a, a wage inflation pressure? And how do you target pressure on the wage inflation without pushing the economy into a recession?』

賃金ドリブンのインフレ圧力を緩和しながらリセッションを招かないためにどのような政策ターゲットをお考えでしょうかと来まして、

『CHAIR POWELL. So I think that, as it relates to goods, it’s really an indication that supply chains and, and shortages are easing. And so, what was the first part of it?』

賃金以外の物価上昇圧力の話をして、で???と聞き直すの巻で、

『EDWARD LAWRENCE. So, wage inflation. Like, how do you-how do you target wage inflation without pushing an economy into a recession?』

経済をリセッションにしない程度にインフレ圧力を出さない賃金のターゲットはどこにあるんでしょうか、と来ましたが、ここでパウエルさん日銀涙目の発言が出る訳ですな。

『CHAIR POWELL. I don’t-I don’t think we’re targeting wage inflation.』

冒頭からこれはwwwという感じですが、こんな事を言っているアメリカンの本場に植田先生が行って颯爽と「賃金上昇を伴う物価上昇が必要」とか言い出した日には「そのまま荷物をまとめて日本に帰れ」とか言われてしまうんじゃないでしょうかねえ(・∀・)ニヤニヤ、

『I think what we’re-what we’re looking for is a broad cooling in labor market conditions. And that’s what we’re seeing.』

あくまでもオーバーオールエコノミーを見ている、ということで兎に角賃金ガーしか言わないで政策修正をひたすら拒否し続けるという社会厚生への考察とか経済全体のバランスを考えるとかそういうのが一切なさそうなどっかのへっぽこ中央銀行とは大違いですな。

『So wages have actually been gradually moving down. They’re still at levels what would-that would be consistent over a long period of time with 2 percent inflation. Nonetheless, we’re making progress there. And by so many indicators, labor market demand is cooling. You can-you can look at surveys by workers and businesses who see that. You can look at the quits rate normalizing. You can look at job openings coming down. You can look at just job creation in the, the establishment survey has, you know?it’s still at a high level, but it was at, really, an extraordinarily high level for most of the last two years.』

『So you see cooling, particularly in private sector, in the last, you know, in the last report. So I think we see that, and it’s happening at a gradual pace. So that’s actually not a bad thing, in a sense, because if, if what we see is a labor market, very strong demand for labor, which is really the engine of the economy?people are getting hired, many people going back to work,getting wages, spending money?and that’s really what’s driving the economy but that it’s gradually slowing, it’s gradually cooling, that’s a good prescription for getting where we want to get.』

まあ何ですな、足元までの情勢に関する説明ではパウエルさん「インフレ圧力が沈静化しだしている動きがあちこちで見られる」という話についてはこれまた強調していて、だったら何で今回利上げしたんだというのがマジで意味不明になるんですけど、「先行きはデータ次第」「今の物価水準は高すぎ」「インフレ圧力沈静化に向けた動きは経済のあちこちで見れる」という結構な謎セットになっていまして、まーこれはマジのマジでどうしたもんかという事に関してはFOMC全体としても強力なビューがあるわけでもなくて、かなりのガバガバ状態になっているんだろうなーとは思った所です。

なお追い打ちが掛かりまして、

『EDWARD LAWRENCE. But still we see a push to raise minimum wage. We’re seeing a lot of unions go on strike or threaten strike, and the common thing is, they come out with agreements like big pay increases, like UPS, and we have the autoworkers coming up. Are you concerned then about a trend of series of big unions, these contracts, pushing wage inflation then?』

でも大手労働組合の動向を見ていると賃金上昇の勢い続いてねえか???とのことですが、

『CHAIR POWELL. Not for us to comment on, on contract negotiations. Not our job, not our role. You know, we, we monitor these things, and we’ll keep an eye on them, but, really, that’s something that’s, that’s handled at that level and not-』

で話が切れて次の質問になっておりますので、これは質問に対して「個別の賃金交渉事例についてコメントは致しません」で誤魔化すという技をぶっこんで、賃金上昇圧力に関してはその前に回答したようにマクロデータを見ると上昇圧力が沈静化している、って事にして華麗にスルーしましたね。


とまあそんな感じで、会見では先行きの事を極力言わないというのを徹底していたな、ということなので、そんなパウエルが突如っジャクソンホールで何か方向性だすとも思えないんですよね〜。さあどうなりますやら。





2023/08/21

お題「7月全国CPIですが日銀の見通し10月再度上方修正ですよね/FOMC会見で物価を無理くり下げる必要あんのか質疑が」

ほうほう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK189TG0Y3A810C2000000/
植田日銀は「禁断の為替」をかじったのか 金利安定に試練
金融PLUS 編集委員 大塚節雄
金融PLUS
2023年8月21日 5:00 [会員限定記事]

『日銀は「円安抑止」を政策目的に据えた――。7月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を機に市場でこんな思惑が広がり、植田日銀を苦しい立場に追い込んでいる。円安が進むなか、金利上昇の容認や利上げに動かざるを得ないとの見方が広がり、日銀に「金利安定か円安抑止か」という選択を迫りかねない構図にある。』(上記URL先より、この先は会員限定記事)

いやそもそも論として物価が1年半近く2%超えで推移しててしかもこの後もまだまだ2%超えで推移しそうって状況の中でマイナス金利政策だの10年金利が0.60%だ0.65%で追加の国債買入入れるなどということをやってることの妥当性について考察してから物を言えと思うのだが、もしかして記事の本チャンの方でそういう考察をきちんと行ってたらゴメンやでなんですけど、「そもそも今やってる政策が経済物価情勢から考えて妥当なのか」という話をしないで円安だから輪番ガーみたいな枝葉末節の話しかベンダーに出て来るコメント見ても見当たらないのが困る訳ですよ。どこの何とかストとは言いませんがどいつもこいつも(あ、一部ちゃんとそういうの言ってる人いますので念のため申し添えます)。

という悪態はさておきまして虫干しネタとCPIネタのメモで。


〇また季節調整済コアコアが前月比+0.4%とか加速してるんだが(全国CPI)

毎回これ直近のがこのアドレスに報道資料の冊子形式で載るんですけど過去のはどこにアーカイブされているんでしたっけ(何を今さら)。

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数
全国 2023年(令和5年)7月分

『◎ 概 況

(1) 総合指数は2020年を100として105.7
前年同月比は3.3%の上昇 前月比(季節調整値)は0.4%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は105.4
前年同月比は3.1%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は104.9
前年同月比は4.3%の上昇 前月比(季節調整値)は0.4%の上昇』

コアの前年同月比が6月の+3.3%から+3.1%になったので伸び率鈍化、ってなってますけど、季節調整済みの前月比が+0.3%上昇だし、そもそもヘッドラインとコアコアが前月比+0.4%でこういうの伸び率鈍化というよりは上昇傾向が変わらない、って言うんじゃないでしょうかと思う訳ですよ。

というかですね、原数値みたら総合物価指数2020年対比で5.7%も上昇している訳でしておんどれらのベースサラリーこの間5.7%増えてますかってな話(増えてないのはお前だけ、という指摘に関しては聞かなかったことにする)な訳でして、おどりゃ前月比+0.2%ちょっと割れくらいで落ち着けやダボが、と申し上げたくなるわけですなナムナム。

表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)

のコアコア見ますと、この1年間順調に

0.4→0.3→0.3→0.3→0.3→0.2→0.4→0.4→0.5→0.5→0.3→0.2→0.4

と推移しておりまして前年同月比+4.3%となっておりますし、

コア指数の前月比だって2月のアレがあるからそこで下がっているとはいえ、前月比で

0.4→0.4→0.4→0.4→0.4→0.4→0.3→▲0.7→0.3→0.5→0.0→0.4→0.3

だったりしてまして、原数値見ますと3月が104.1なのですから、単純計算で年度末のCPIが日銀様の予想によれば+2.5%上昇の見込み106.7になると思うのですが、足もとの4か月で既に105.4な訳で、これ+2.5%で行くには残り8か月前月比+0.2%割れの水準で行かないといけなくて、いや本当にそんなに前月比の伸びが鈍化するのかよここから、と思う訳でございますがまあアタクシは素人にも程があるので日銀様の高度な分析によります高度な予想を云々は致しませんけれども、7月展望で大幅上方修正した挙句に10月も上方修正したらちょっと政策委員の皆様全員そろって墨染めの衣をまとって托鉢の旅に出ていただけませんかねえと思う訳ですが、まあ素人考えではこれは10月托鉢ムーブ待ったなしにしか見えませんけどさてどうなるのやら。



〇まあ今更ではあるのですが1か月前のFOMC会見ネタで

ところで今週末のジャクソンホールちゃんですけど
https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/

『The 2023 Economic Policy Symposium. "Structural Shifts in the Global Economy," will be held Aug. 24-26.』

世界がこのように「ストラクチャルシフト」とか言ってる中で従来通りの話をしておりまして、まあ内田副総裁の展望直後の金懇ではさすがに「もしかしたら変化の兆しもあるかも」みたいな話はしていたけど、展望レポートのあの足もとだけ物価見通しを大幅に上げる(ので来年度にかけてコアコアが1.5%ポイントも下がるという無茶苦茶なパスになっている)という「あくまでも今の物価上昇はトランジトリー」と言い張る植田総裁以下日銀の皆様は出席なされない方が宜しいんじゃないでしょうかと思う訳ですが、もう少ししたらこのページに今回のお品書きへのリンクが出て来ると思うんですけどね。さてどうなりますやら。


と隙あらば悪態を付くわけですがジャクソンホール始まる前にさすがに成敗しておきます、と言ってもとにかく政策の方が「出たとこ勝負じゃ」状態なので何ともかんともなのですが、


https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230726.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
July 26, 2023

・インフレ見通しよりも下振れて推移したらどうなのという質疑

7ページの辺りになりますが。

『NICK TIMIRAOS. Nick Timiraos of the Wall Street Journal. Chair Powell, markets widely believe the median FOMC participant’s inflation forecast from June for the fourth quarter of this year will be too high, given autos and shelter, and that by September, that may warrant a downward revision in the inflation forecast of 20 to 30 basis points. Would that type of inflation progress be enough to hold rates steady from here, or do you need to see below-trend growth and decelerating labor income growth to be convinced that you’ve done enough?』

いつものニックですけど見通しよりも物価が下がって推移するなら利上げしないし、そもそもビロートレンドの成長を更に下げようとかしなくてええんちゃううのか、というお話でして、

『CHAIR POWELL. So it’s hard to pick the pieces apart and say, you know, how much of this and how much of that. You know, we’ll be looking at everything. And, you know, we’ll, of course, we’ll be looking to see whether the signal from June’s CPI is replicated or, or the opposite of replicated or whether it’s somewhere in the middle. We’ll be looking at the growth data. We’ll be looking at the labor market data very closely, of course, and making an overall judgment about that. It’s the totality of the data, I think, but with a particular focus on, on making progress on inflation.』

そういう質問に対しては最初のリーズマン記者への回答もそうでしたけど、あーでもないこーでもないとムニャムニャと説明はするんですが、結局「出たとこ勝負デス」以外何の回答もしてないのと同じ、という回答しかしません。

『NICK TIMIRAOS. If I could follow up: Last month you said there were benefits to moderating the pace of increases because it would give you more information to make decisions. Would another CPI report like the one we just had in June allow you to at least maintain that slower pace and defer until the fall any decision on whether you need that second rate hike?』

6月に見られたようなCPIデータが出たら次の利上げって必要ないんじゃないの???と露骨に来ました。

『CHAIR POWELL. So I’m just going to tell you again what we’re going to do. In September, we’re going to look at, at two additional job reports, two additional CPI reports, lots of activity data, and that’s what we’re going to look at, and we’re going to make that decision then. And that decision could, could mean another hike in, in September, or it could mean that we decide to maintain at that level. And, again, the question we’re going to be asking ourselves is, is the overall signal one that we need to do more, that we need to tighten further? And if we get that signal, whenever we get it, then-and that’s the collective judgment of the Committee-then we will move ahead. If we don’t, you know, then, then we’ll have the option of maintaining policy at that level, but it’s, it’s, you know, it’s really dependent so much on the data, and we just don’t have it yet』

まあこれは当然という感じなのですが、先行きの政策見通しをドットチャートという形で出していることの弊害としか言いようがなくて、6月SEPでのドットチャートを前提にして「見通し通りだったら利上げ」みたいな言い方をしないと行けないのですが、その一方でパウエルの説明ってどっからどう見ても「9月の事は9月になってから考えます事前決め打ち一切しません」って言ってるのであって、ここの説明に矛盾というか論理の破綻(というと言い過ぎですけど)が生じているんですよねー。と思いました。

まあ先行きの政策に関しては「物価の動向をみないと分からんがな」という話に尽きているし、ただまあ言えるのは「そう簡単に利下げに転じません」ということ(その意味では6月のSEPの2024年の見通しもそうなのか??って感じですけどね)だとは思うのですよね。


・そもそも物価を2%まで無理くり下げる必要があるのでしょうか3%でも問題ないんじゃないでしょうか

という質問がありましてですね、

『CHRISTOPHER RUGABER. Hi. Chris Rugaber at Associated Press. So consumer confidence in the economy is rising, likely in large part because of, of the declines in headline inflation. You also see wages are also rising faster than prices now after trailing them for a long time. How much are Americans truly harmed by inflation at its current level, headline level of 3 percent? And with that in mind, when do you put some weight back on the employment side of the dual mandate?』

消費者信頼感は主に足元の物価上昇の沈静化を受けて上昇しています。これまでの物価上昇に追いつきに行く形の賃金の上昇も起きており、アメリカンの皆さんは今の物価水準、ヘッドラインで3%上昇という水準が本当の本当にペインなのでしょうか???それを考慮に入れたらデュアルマンデートの雇用の方を考えた政策(ってつまりは引き締めからの転換ですよね)に再びウェイトを戻した政策が必要になると思いますが何時になるでしょうか??

本源的質問キタコレなのですが、

『CHAIR POWELL. So I guess I’d say it this way: First, it is-it is a good thing that headline inflation has come down so much, because that’s really what the public experiences. And, and I would say that having headline inflation move down that much almost creates a-it will strengthen the broad sense that, that the public has that inflation is coming down, which will in turn, we hope, help inflation continue to move down. So you are really-sorry, your question was?』

どう見ても回答を考える時間稼ぎです本当にありがとうございました。

『CHRISTOPHER RUGABER. Well, I mean, you’ve talked for many press conferences now about the harm created by inflation, how hard it is for people. So how much of that are we still seeing with inflation now down at 3 [percent]?』

3%だっていいじゃないか社会厚生がみたされているんだものbyみつを

『CHAIR POWELL. So I guess I would put it this way. We, we?I’d say it this way: It’s really a question of, how do you balance the two risks, the risk of doing too much or doing too little? And, you know, I would say that, you know, we’re coming to a place where, where there really are risks on both sides. It’s hard to say exactly whether, whether they’re in balance or not, but as our-as our stance has become more restrictive and inflation moderates, we do increasingly face that risk. But, you know, we, we need to see that inflation is durably downthat far, you know.』

無理くり2%下げるんじゃなくて、バランスを取ったらいいんじゃないか、だって今のレベルまで下がってきた所では社会厚生が満たされていませんか、と言われるとこれは中々難しい質問になりますが、パウエルさん偉いなと思うのは、そこに関してはどっかのへっぽこ中銀みたいに「2%は絶対真理(と言ってるくせに2%大幅超過を容認して更に物価が上がる政策をしていますけどそれはさておき)」みたいな言い方をしないで、ちゃんとバランスを取っていかないといけないしそこは中々難しい、って言明しているのですよね。

『As you know, we think, and most economists think, that core inflation is actually a better signal of, of where headline inflation is going, because headline inflation is affected greatly by volatile energy and food prices. So we would want core inflation to be coming down, because that’s what we think-that’s-core is signaling where headline is going to go in the future. And core inflation is still pretty elevated, you know? There’s reason to think it can come down now, but it’s, it’s still quite elevated, and so we think we need to stay on task, and we think we’re going to need to hold, certainly, hold policy at a restrictive level for some time. And we need to be prepared to raise further if that-if we think that’s appropriate.』

とは言え、さっきの論点はそれ以上踏み込むと物価目標本当に2%で良いんだっけとか話がややこしくなるので、その説明はしたうえで話をヘッドラインは兎も角としてトレンドを見る上で重要なコア指数がまだ高いので、その意味ではまだ物価のトレンドは高くて下げないとアカンので、必要ならば追加引き締めをする、という話にして話を誤魔化す方向ですね。

『CHRISTOPHER RUGABER. Well, and then if inflation were to-just a quick follow[up]: If it stays at 3 or drops even a little bit more, I mean, how much of an increase in unemployment do you think is acceptable to get that last bit of inflation? People are talking about the potential difficulty of the last, so-called last mile of inflation. So-but how much?Again, how much unemployment do you think is justified to get down that last one?』

と思ったらそんなので引き下がらないで、もっと直接的に「2%に下げるためのラストワンマイルを達成するために雇用をどの位犠牲にするつもりなのか」とぶっこんできました。さすがです。

『CHAIR POWELL. So it is-it is a very positive thing that, actually, the unemployment rate is the same as it was when we lifted off in March of ’22, at 3.6 percent. So that’s a real blessing in that we’ve been able to achieve some disinflation, and we don’t seek to it. It’s not that we’re aiming to, to raise unemployment, but I would just say, the historical record-we have to be honest about the historical record, which does suggest that when central banks go in and slow the economy to bring down inflation, the result tends to be some softening in labor market conditions. And so that is still the, the likely outcome here. And, you know, we hope that that’s as little as possible, but we have to be honest that that is-that is the likely outcome.』

ということで労働市場の方の説明もしておりますな。「別に我々は失業率をわざわざ引き上げようとして政策をしている訳ではない」と言いながら、「そうは言いましても足元の労働市場はヒストリカルに見ても過熱状態で、これをクールダウンさせることによって物価上昇を沈静化させようとしているんです」という説明をしまして、

『The worst outcome for everyone, of course, would be not to deal with inflation now, not get it done. Whatever the short-term social costs of getting inflation under control, the longerterm social costs of failing to do so are greater, and the historical record is very, very clear on that. If you go through a period where inflation expectations are not anchored, inflation is volatile, it interferes with people’s lives and with economic activity, and, you know, that’s the-that’s the thing we, we really need to avoid and will avoid.』

インフレを長期的にコントロールできなくなるのが社会的なコストが最も大きく、これを避けなければならない、ということでインフレ退治寄りの説明をしています。まあそりゃそうだという感じではあるのですが、社会厚生としてこうだ、という説明にはなっている点、「先行き不透明」とかいう何だか良く分からないお気持ち表明によってキチガイ金融緩和の継続を正当化するどこかの学者大先生よりも元々法律家のパウエル先生の方が言ってることがちゃんとしているように見えるのは気のせいですかそうですか。

・・・・・ということで3%だっていいじゃないか社会厚生が満たされているんだったら、という質問に対しては長期的な視点での社会厚生、という形で返してインフレ目標の2%の妥当性の方には触れずに回答した、という所でありますが、今回のジャクソンホールではなんせ"Structural Shifts in the Global Economy,"というお題になっていまして、誰かがその手の話をぶっこんでくるのか、というのがちょっと楽しみではあります。









2023/08/18

お題「20年入札とか1年短国入札とか(メモ雑談)/FOMC7月議事要旨の続き」

あらあらあら
https://jp.reuters.com/markets/bonds/us
金利・国債
情報は20分以上の遅れで表示しています。

米国債3ヶ月 利回り US3MT=RR +5.448 -0.003
米国債2年 利回り US2YT=RR +4.957 -0.023
米国債5年 利回り US5YT=RR +4.428 +0.020
米国債10年 利回り US10YT=RR +4.304 +0.046
米国債30年 利回り US30YT=RR +4.418 +0.058

まあ政策金利高止まり長期化、となるとFF金利から100bpも利回り低い債券持ってりゃネガティブキャリーにも程がある訳で、コスト垂れ流し期間が長いと打ち返すためのキャピタル幾らになりますねん、とまあそういう話なのですが、やはり雨公にはキャリーの概念が乏しくて今頃気が付くの巻なのではないか疑惑がががががが。

〇超長期入札が歴史的な流れ方をしていたので俺様楊備忘メモ

不肖このアタクシ、金利が上がると債券市場ネタを書くという傾向にあるように見えますがそれは気のせいです、たぶん(^^)。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N39Y1BK
2023年8月17日3:21 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.650% 低調な20年債入札で

『[東京 17日 ロイター] -

<15:15> 国債先物は反落、長期金利0.650% 低調な20年債入札で

国債先物中心限月9月限は前営業日比29銭安の146円34銭と反落して取引を終えた。米金利の上昇や20年債入札が弱い結果となったこと受けて、軟調に推移した。現物市場も超長期ゾーンを中心に金利上昇圧力が強まった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5bp上昇の0.650%。』(上記URL先より、以下同様)

20年国債の入札結果が大滑りしたのですが、

『前日の米金利上昇の流れを引き継ぎ、朝方は弱含みで推移。後場に入り、20年債入札結果を受けて、先物は一段と下げ幅を拡大した。20年債入札の落札価格の平均と最低の開き(テール)は96銭と前回(4銭)から大幅に拡大し、1987年12月以来約36年ぶりの高水準となったほか、応札倍率は2.80倍で前回(3.38倍)から低下し、弱い結果と受け止められた。』

>1987年12月以来約36年ぶり
>1987年12月以来約36年ぶり
>1987年12月以来約36年ぶり

1987年って不肖この中の人も債券ってなんのことでしょう状態の時代なので当然この時期に現場に居る訳もないのですが、市中消化の国債って10年と20年しかなくて、10年ってシ団引受なんじゃなかったでしたっけ時代になるのでそんなの知ってるのは多分牛さん熊さんのおじちゃんくらいの世界になりますな。

ま、ゆうて6年長国とかでも1円くらい流れたの見たことはあるので、イールド的に言ったらもっと悲惨な入札もあるのですが、歴史ある20年国債でほぼ1円流れというのは中々のアレ。

『新発10年国債利回りは一時0.655%と2週間ぶりの水準まで上昇、新発20年債は一時1.375%と1月以来の高水準を付けた後、「セカンダリー市場で銀行勢や系統系による買いが徐々に入っている」(国内証券債券セールス担当)という。 ただ、「業者による処分売りもでている」(同)ことから、引けにかけては再び20年債を中心に超長期ゾーンに金利上昇圧力がかかった。』

あらあら、ということで

『TRADEWEB
    OFFER   BID    前日比  時間
2年   0.02  0.031    0.009  15:00
5年   0.215  0.225    0.014  15:12
10年  0.641  0.652    0.022  15:15
20年  1.361  1.374    0.065  15:15
30年  1.635  1.65    0.058  15:15
40年  1.801  1.812    0.054  15:15』

とまあ20年大甘の巻でございました。


まあ何ですな、そもそも論として日銀が長期を相変わらずアホのように買っていて、そのおかげで10年の居所が「いや待て経済物価に為替情勢勘案してもこれでいいんだっけ」的な落ち着きどころに落ち着いている感じがしないので、10年の居所が何か0.60%じゃねえだろと薄々皆さんが思っているなかで特定の投資家が少ない(銀行には長くて生保には短い)このゾーンについては、10年が落ち着くべき所に落ち着いていると皆が思っていない状況であれば、そらまあ居場所のイメージ掴みにくいから水準調整しないと、ってことになるんだわな、というお話ではあると思うのよ。

まあつまり10年ゾーンの国債を馬鹿買いしていて価格形成がおかしくなっていることの弊害がこういう形で現れたというまさに副作用という話なんですが、つまりYCCも碌なもんじゃないけど国債買入ペースが高杉晋作にも程がある訳で、いいからお前ら中長期輪番減額しろやヴォケとしか思えませんが、まあ金利が上がっているのを見るとビビリンチョして輪番減らすどころか増やしかねない人たちでして、まあ輪番増やして市場の流動性を枯渇させて市場のボラを無駄に上げる、というなーーーにやってるんだかの悪循環に足を踏み入れそうなのが懸念されますな、ナムナムナム。

自分用備忘に落札結果。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20230817.htm
20年利付国債(第185回)の入札結果

6.価格競争入札について
(1)応募額 2兆7,744億円
(2)募入決定額 9,925億円
(3)募入最低価格 95円55銭 
(募入最高利回り)(1.385%)
(4)募入最低価格における案分比率 12.5925%
(5)募入平均価格 96円51銭 
(募入平均利回り)(1.322%)

最初足切りを見て「ほ〜96円55銭か〜」と思いかけて95という文字列を見てのけぞるなど。

しかし8月に入って新発物国と新発20年が盛大に流れた格好で、物国だって結局表の10年国債の居場所が訳分んねえというのは入札のレベル感掴むのに困る(まあ物国の場合は需給要因とか色々とあるから20年と同じ理由ではないでしょうけど)訳で、とにかく輪番の応札倍率が長期の所でここもと低下著しいという状況に見られるように、明らかに5−10の過大な買入によって他の年限に悪影響を与えています、という結果になっているんじゃないでしょうかねえ、と我田引水的な見解を申しあげさせていただきとう存じます。


〇入札と言えばYCC柔軟化後初の年度末跨ぎの1年短国入札があってだな

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20230817.htm
国庫短期証券(第1176回)の入札結果

5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆3,687億円
(2)募入決定額 2兆9,184億9,000万円
(3)募入最低価格 100円05銭6厘
(募入最高利回り)(-0.0559%)
(4)募入最低価格における案分比率 29.0566%
(5)募入平均価格 100円06銭8厘
(募入平均利回り )(-0.0679%)

マイナス1ケタベーシスじゃんという結果ですが、WIの引け(ってのもまあアレな価格なんですが)が前日から金利上昇してましたけど、それまで既発のカレント1Yの引けとか普通に▲12bpアラウンドの水準に居たのでこれはこれはという感じですな。

まあしかしこれ4月にマイナス金利が解除されてそれこそコール誘導目標がかつての0−10bpで当座預金付利金利10bp、ってことになれば、この短国であれば後半4か月はファンディングコストがプラスの領域に入るんだからそらまあマイナス1桁ベーシスってアリだよなという話になっても不思議ではない次第。単に需要が無かっただけのような気もしますけどね。

ちなみに先週は6Mの短国入札もあったのですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20230809.htm
国庫短期証券(第1174回)の入札結果
(これは先週水曜日に実施されたものです)

5.価格競争入札について
(1)応募額 11兆7,269億円
(2)募入決定額 3兆2,968億8,000万円
(3)募入最低価格 100円07銭3厘
(募入最高利回り)(-0.1423%)
(4)募入最低価格における案分比率 63.6834%
(5)募入平均価格 100円08銭3厘
(募入平均利回り )(-0.1618%)

寧ろこっちは▲11〜▲12.5位の引値をやってる3Mよりも強い(年末越えプレミアムを勘案する必要があるので単純比較できないけど9結果になっていましたが、何せこちらは足が2月(1174の娼館は2/13)ということで、来年4月の決定会合の前に償還されてしまいますので、一般的な観測で言われる所のマイナス金利解除の影響は食らわない(とか言ってるけど1月解除だって別にフツーにアリエールだと思うんですけどね)ということになるので安心感が違うよ安心感が、ということでしょうかよー知らんけど。

まあ何気にYCC柔軟化後初の来年4月跨ぎの短国入札でちょっと味わい深いものが見れたというこちらもメモなのでありました。


〇もうちょっとFOMC7月議事要旨を鑑賞しておきましょうの巻

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230726.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
July 25-26, 2023
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, July 25, 2023, at 10:00 a.m. and continued on Wednesday, July 26, 2023, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の労働市場と物価以外の部分もちょっと真面目に見ておかないと、と思いまして、何せ「データディペンデント」ですから経済情勢の認識部分もどうなっているか見ておかないと、そこからの乖離が生じた時に政策は反応し得る、ということがアタクシの念頭にある訳ですよ。

今日は素直に頭から読んでいきます。

『In their discussion of current economic conditions, participants noted that economic activity had been expanding at a moderate pace. Job gains had been robust in recent months, and the unemployment rate remained low. Inflation remained elevated. Participants agreed that the U.S. banking system was sound and resilient. They commented that tighter credit conditions for households and businesses were likely to weigh on economic activity, hiring, and inflation. However, participants agreed that the extent of these effects remained uncertain. Against this background, the Committee remained highly attentive to inflation risks.』

1パラ目はお約束で、ここの内容がほぼ声明文に織り込まれている(もちろん声明文ではパーティシパンツがどうしたとかは書いてなくて結果だけ書いてますが)ものです。


・経済全般に関する議論のパートを確認しておきましょう

ということで比較的長めの2パラ目。

『In assessing the economic outlook, participants noted that real GDP growth had continued to exhibit resilience in the first half of the year and that the economy had been showing considerable momentum. A gradual slowdown in economic activity nevertheless appeared to be in progress, consistent with the restraint placed on demand by the cumulative tightening of monetary policy since early last year and the associated effects on financial conditions.』

成長率に関してですけど、年前半の経済が思ったより強いってニュアンスを感じさせる記述(economy had been showing considerable momentum.)になっていまして、ただまあ足元では「A gradual slowdown in economic activity nevertheless appeared to be in progress」としています。

『Participants remarked on the uncertainty about the lags in the effects of monetary policy on the economy and discussed the extent to which the effects on the economy stemming from the tightening that the Committee had undertaken had already materialized. Participants commented that monetary policy tightening appeared to be working broadly as intended and that a continued gradual slowing in real GDP growth would help reduce demand?supply imbalances in the economy. Participants assessed that the ongoing tightening of credit conditions in the banking sector, as evidenced in the most recent surveys of banks, also would likely weigh on economic activity in coming quarters. 』

この辺までが成長率に関する話でして、今後じゃあ金融引き締めの効果がどのようなタイミングで、どの程度出て来るんでしょう、というお話になった時によーわからんですなあ、という何時もの話があるのと、この話の後半の方では金融引き締めの効果がどんな所に出ているのかという話で、その中で引き締めとは別件で発生している奴ですけど銀行セクターの貸出態度がこの前の銀行アイヤーで厳しくなっているのについての考察が入っています。

『Participants noted the recent reduction in total and core inflation rates. However, they stressed that inflation remained unacceptably high and that further evidence would be required for them to be confident that inflation was clearly on a path toward the Committee's 2 percent objective. Participants continued to view a period of below-trend growth in real GDP and some softening in labor market conditions as needed to bring aggregate supply and aggregate demand into better balance and reduce inflation pressures sufficiently to return inflation to 2 percent over time.』

こちらはインフレの話で、総合もコアも足元でさがっているのは特筆すべきこと、とは言っているものの、その後のハウエバーからがインフレファイターモードになっていて、下がったと言っても依然として怪しからん水準だから、トレンドグロースを下回る成長がそこそこの期間継続しないと物価が下がらんわ、という経済にとっては厳しい言い方をしておりますね。


・個人消費も企業行動も今後数四半期に渡ってスローダウンする、というのがメインシナリオ

3パラと4パラが需要項目に関する話でして、

『Participants noted that consumer spending had recently exhibited considerable resilience, underpinned by, in aggregate, strong household balance sheets, robust job and income gains, a low unemployment rate, and rising consumer confidence.』

3パラは個人消費。個人消費を支えているファクターについて列挙されていまして、家計のバランスシートの強さ、ロバストなジョブと所得のゲイン、低い失業率、上がってきている消費者信頼感、だそうですのでまあこの辺の動向にも注意は必要ですね。

『 Nevertheless, tight financial conditions, primarily reflecting the cumulative effect of the Committee's shift to a restrictive policy stance, were expected to contribute to slower growth in consumption in the period ahead.』

ゆうて今後は金融引き締め効果が出て来ると思われます、なので上記の指標が多少落ちるのは寧ろインラインの話であって、多少落ちたから利下げヒャッハーみたいに喜ぶもんでもない、ということですねわかります。

『Participants cited other factors that were likely leading to, or appeared consistent with, a slowdown in consumption, including the declining stock of excess savings, softening labor market conditions, and increased price sensitivity on the part of customers. Some participants observed that recent increases in home prices suggested that the housing sector's response to monetary policy restraint may have peaked.』

その他今後の個人消費を抑えるファクターが、という話をしているのですが、これ基本的に「個人消費の馬鹿みたいな強さが今後落ち着いてこないと物価が落ち着かない」というのが話の前提にあるので、ここらで述べられていることって別に懸念している訳ではなくて、寧ろそれ自体は歓迎モードである、というのを注意しておく必要があります(個人の感想です)。

4パラは企業部門。

『In their discussion of the business sector, participants cited various improvements in firms' cost structures. These included better-functioning supply chains, lower input costs, and an increased ability to hire and retain workers.』

『Participants also discussed conditions that could lead to higher economic activity-such as leaner inventories and reduced expectations of a sharp economic slowdown-and factors that could lead to lower economic activity-such as continuing economic uncertainty, the vulnerabilities of the CRE market, and the ongoing weakness of
manufacturing output.』

『Participants judged that, over coming quarters, firms would reduce the pace of their investment spending and hiring in response to tight financial conditions and the slowing of economic activity.』

まあ色々と議論していますが、今後数四半期においては企業セクターは経済活動の鈍化と金融環境のタイト化を受けて雇用や投資を減らしていくでしょう、というのがベースラインの見通し、ということのようですね。


5パラは労働市場になりまして以下は昨日ネタにしましたので本日はこの辺で勘弁していただきとう存じます。





2023/08/17

お題「寝起きで7月FOMC議事要旨」

南無大師遍照金剛・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/currencies
外国為替
情報は20分以上の遅れで表示しています
1 USD = 146.3700 JPY

さて、日銀のヘタクソコミュニケーションネタで2日も悪態をついていたらFOMC会見ネタをコンプリートする前に議事要旨の方が先に出るという失態になってしまいましたが、ネタは後入先出方を使いますので(陳腐化したネタは償却とか言わない)議事要旨をば。

なお、さっきのように為替レート見てますんで議事要旨を受けた反応についてはみてしまっている訳ですな今日は(だって為替気になるもん)。


〇議事要旨はまあ普通だとは思うのですが利上げ打ち止めからの利下げ期待が市場には強かったのかな

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230726.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20230726.pdf(PDF)

Minutes of the Federal Open Market Committee
July 25-26, 2023
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, July 25, 2023, at 10:00 a.m. and continued on Wednesday, July 26, 2023, at 9:00 a.m.1

ということで引用はHTML版から行います。

例によって『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』から読みますが、毎度のように結論の方から逆に読んでまいりますが、さすがにパラグラフ単位で逆順読みすると読みにくいので(実際初見では逆順読みしているんですけどその後やってる方法で)ブロックごとに分けて読むという感じで参ります。ということで最初は(逆順なので)政策決定と今後の政策運営の当たりから。

10パラから12パラ(がコーナーの最後)になります(今回総じて短い)。

・経済の需給バランスの改善を促す、というのが利上げの理由になっています

まずは10パラ。

『In their consideration of appropriate monetary policy actions at this meeting, participants concurred that economic activity had been expanding at a moderate pace. The labor market remained very tight, with robust job gains in recent months and the unemployment rate still low, but there were continuing signs that supply and demand in the labor market were coming into better balance.』

後でそっちの方をネタにしますが、まずは労働市場が相変わらずのバチクソ強いというご認識、一応経済の需給バランスは徐々にバランスしてくサインが見られるとは認識しています。

『Participants also noted that tighter credit conditions facing households and businesses were a source of headwinds for the economy and would likely weigh on economic activity, hiring, and inflation.』

よりタイトになったクレジットコンディションが企業や家計に対して影響して、これが経済やインフレの向かい風になってくれるんじゃなかろうか、と来るのですがこの直後にハウエバーが登場しまして、

『However, the extent of these effects remained uncertain.』

と思っているのだがどの程度効くのかが良く見えてこない、ときやがります。

『Although inflation had moderated since the middle of last year, it remained well above the Committee's longer-run goal of 2 percent, and participants remained resolute in their commitment to bring inflation down to the Committee's 2 percent objective.』

物価は昨年後半からモデレートしてきているんだが未だにアホのように高いい訳で2%物価目標とゆうとる我々の手前・・・・・・

『Amid these economic conditions, almost all participants judged it appropriate to raise the target range for the federal funds rate to 5-1/4 to 5-1/2 percent at this meeting.』

アールモーストオール、の参加者が利上げを支持(前回のSEPで全然利上げしないドットとか出してた人が支持しなかったんでしょうな)。

『Participants noted that this action would put the stance of monetary policy further into restrictive territory, consistent with reducing demand-supply imbalances in the economy and helping to restore price stability.』

引き締めのおかわりをして需給の不均衡をより改善したい、というのがメインの理由付けになっています。

『A couple of participants indicated that they favored leaving the target range for the federal funds rate unchanged or that they could have supported such a proposal. They judged that maintaining the current degree of restrictiveness at this time would likely result in further progress toward the Committee's goals while allowing the Committee time to further evaluate this progress.』

あ、2名が「据え置き」を主張したのね。据え置きの人達の見解は、今の水準での引き締めを維持するだけでも経済の需給バランスの改善は進んでいくので、改善の進捗状況を見てから今後判断すればエエンデネエノ、というお話。まあ6月止めたのに7月にやっぱり利上げってのも何だかねという感じはしますからいわんとすることは分かる。

『All participants agreed that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings, as described in its previously announced Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet. A number of participants noted that balance sheet runoff need not end when the Committee eventually begins to reduce the target range for the federal funds rate.』

今回の政策アクションコーナーの最後はバランスシートのランオフの件でして、これは引き続き同じように継続しますし、何なら何人かの(A number of)参加者は利下げ開始してもランオフを終わらせるべきではないとのご意見。


・今後の政策運営は「出たとこ勝負だがバイアスは追加利上げの方に掛かっている」ですな

11パラは今後の金融政策運営に関して。

『In discussing the policy outlook, participants continued to judge that it was critical that the stance of monetary policy be sufficiently restrictive to return inflation to the Committee's 2 percent objective over time.』

十分に引き締め的なスタンスを継続するのが2%目標達成のためにクリティカル、と仰せになっておられます。まあそりゃそうだという感じですが。

『They noted that uncertainty about the economic outlook remained elevated and agreed that policy decisions at future meetings should depend on the totality of the incoming information and its implications for the economic outlook and inflation as well as for the balance of risks. 』

立派な表現をしていますが要するに出たとこ勝負宣言。

『Participants expected that the data arriving in coming months would help clarify the extent to which the disinflation process was continuing and product and labor markets were reaching a better balance between demand and supply.』

今後数か月の間に来るデータが物価沈静化と労働市場のバランス改善の進捗を明らかにするための重要なところですよ、と仰せになっております。

『This information would be valuable in determining the extent of additional policy firming that may be appropriate to return inflation to 2 percent over time.』

そのデータはとっても重要でして、というのはいいんですけど、どう重要なのかというと「in determining the extent of additional policy firming」が必要なのかどうかを判断するのに重要、と言っている訳で、これはどっからどう見てもそうホイホイと引き締め終了せんじゃろ(物価が劇的に落ちて労働市場のタイト感が一気に無くなれば話は別ですけど)という話なのであって、相変わらず「利下げはいつから開始となるでしょう」っていうトークが出るのは話の段階を一つ飛ばしておるわ、と思うのでありまする。

『Participants also emphasized the importance of communicating as clearly as possible about the Committee's data-dependent approach to policy and its firm commitment to bring inflation down to its 2 percent objective.』

このパラグラフの最後にデータディペンデントアプローチが重要っての強調していまして、ただの出たとこ勝負宣言(ただし利下げの話はまだまだ先)というのがこのパラに書かれているお話ですな。


・リスクバランス的にはインフレアップサイドなので更なる利上げと言いながらも反対論もあるという流れ

12パラグラフは

『Participants discussed several risk-management considerations that could bear on future policy decisions.』

これはどこかの日銀総裁も大好きなリスクマネジメントアプローチ。

『With inflation still well above the Committee's longer-run goal and the labor market remaining tight, most participants continued to see significant upside risks to inflation, which could require further tightening of monetary policy.』

物価が2%に対してstill well aboveで、労働市場は相変わらずタイトなので、インフレーションにはsignificant upside risksがありますので、それはfurther tightening of monetary policyが必要になるんじゃないでしょうか、といきなりぶっかましておりまして、どうも利上げ打ち止め観測を牽制したいようですな、ナムナムナム。

『Some participants commented that even though economic activity had been resilient and the labor market had remained strong, there continued to be downside risks to economic activity and upside risks to the unemployment rate; these included the possibility that the macroeconomic effects of the tightening in financial conditions since the beginning of last year could prove more substantial than anticipated.』

とは言え、何人か(Some)の参加者の指摘では、経済はレジリアントで労働市場が相変わらず強いと言っても、経済にはダウンサイドリスクがあり失業率にはアップサイドリスクがあり、これは年初来の金融環境のタイトニングが想定以上に下押し圧力になっていることを示しているのではないか、との指摘も入っていますね。

『A number of participants judged that, with the stance of monetary policy in restrictive territory, risks to the achievement of the Committee's goals had become more two sided, and it was important that the Committee's decisions balance the risk of an inadvertent overtightening of policy against the cost of an insufficient tightening.』

また何人か(A number of)の参加者は、金融引き締め状態に既にあるので、今後は引き締めのやり過ぎのリスクと、引き締めの不足のリスクという両面のリスクのバランスを考えながら運営していく必要があるんでネーノ、という話をしておりまして、ここで話は終わっております。

まあ何ですな、この結論だと「利上げするのか見送るのか」みたいな話でまだ行くって感じには見えますが、そうはいっても出たとこ勝負のデータ次第であって、何も先のプランは無い、という方が正解なのかもしれませんな(個人の感想です)。


・労働市場に関してはより一層の需給バランスの改善が必要とな

5パラが労働市場、6〜7パラが物価なのでそこに参りますね。では5パラ。

『Participants remarked that the labor market continued to be very tight but pointed to signs that demand and supply were coming into better balance.』

労働市場はvery tightだけど需給バランス改善のsignsがあるんですと。

『They noted evidence that labor demand was easing-including declines in job openings, lower quits rates, more part-time work, slower growth in hours worked, higher unemployment insurance claims, and more moderate rates of nominal wage growth.』

『In addition, they remarked on indications of increasing labor supply, including a further rise in the prime-age participation rate to a post-pandemic high. 』

労働需要サイドと供給サイドに両方でこんな動きがあるよ、という話をしていますね。

『Participants also observed, however, that although growth in payrolls had slowed recently, it continued to exceed values consistent over time with an unchanged unemployment rate, and that nominal wages were still rising at rates above levels assessed to be consistent with the sustained achievement of the Committee's 2 percent inflation objective.』

労働需給バランスの話の次はおちんぎんの話でして、おちんぎんちゃんの方は最近伸びが鈍化してきたとは言え、水準としては2%物価目標に対して全然整合的じゃない水準ですわ、ということで賃金強すぎ問題が指摘されております。

『Participants judged that further progress toward a balancing of demand and supply in the labor market was needed, and they expected that additional softening in labor market conditions would take place over time.』

ということで、ここの結論は労働市場の需給バランスには一段の改善が必要ですよと思いますが、今後も(引き締め効果で)改善が見込めるんでネーノという話になっていました。


・インフレ圧力の沈静化については指摘されているのですね

6パラ。

『Participants cited a number of tentative signs that inflation pressures could be abating.』

インフレーションプレッシャーが弱まってきている先行的なサインが幾つか見受けられる、とインフレの冒頭は希望のありそうなものの言い方ですな。

『These signs included some softening in core goods prices, lower online prices, evidence that firms were raising prices by smaller amounts than previously, slower increases in shelter prices, and recent declines in survey estimates of shorter-term inflation expectations and of inflation uncertainty.』

その先行的なサインはこんなもんがありまっせいう説明です。

『Various participants discussed the continued stability of longer-term inflation expectations at levels consistent with 2 percent inflation over time and the role that the Committee's policy tightening had played in delivering this outcome.』

ロンガーランのインフレ期待が2%でアンカーされていることと、FEDの金融引き締めがこの物価落ち着きへの流れにどのように効いているか、という議論をした。と仰せで、長期インフレ期待はアンカーされてる前提なんですねー(棒読み)と思いました。

『Nonetheless, several participants commented that significant disinflationary pressures had yet to become apparent in the prices of core services excluding housing.』

しかしながら何人か(several)の参加者はコアサービス除く住宅に見られるように顕著な物価沈静化はまだ見られてないんじゃないでしょうかとの指摘もあったりするわけで7パラに続く。


・とは言え水準自体はまだクソ高いし今後の状況をみていかないといけませんなってのが物価の話

7パラも物価の話

『Participants observed that, notwithstanding recent favorable developments, inflation remained well above the Committee's 2 percent longer-term objective and that elevated inflation was continuing to harm businesses and households-low-income families in particular.』

物価沈静化の動きがみられる、と言いましても物価水準は相変わらずバチクソ高いわけ江、それは企業や家計特に低所得世帯に対して厳しい状況をもたらす、ときちんとこういう文言を入れているのが良いですというか、インフレ批判が厳しいからこういうアピールを隙あらばしないと行けない、という事なんでしょうな。日銀も明日は我が身の筈なんですけどねえ。

『Participants stressed that the Committee would need to see more data on inflation and further signs that aggregate demand and aggregate supply were moving into better balance to be confident that inflation pressures were abating and that inflation was on course to return to 2 percent over time.』

とは言えもっとデータをみたいです、だそうですわ。



次はすっ飛ばした8パラ9パラです。


・先行き不透明ネタはまあ何ちゅうかそうですねみたいな話ですね

8パラは先行きが良くワカランチ会長という不確実性の話で、

『Participants generally noted a high degree of uncertainty regarding the cumulative effects on the economy of past monetary policy tightening.』

ワカランチ会長なのはここまで行ってきた金融引き締めの効果がどんな感じででているのかという話だそうで、

『Participants cited upside risks to inflation, including those associated with scenarios in which recent supply chain improvements and favorable commodity price trends did not continue or in which aggregate demand failed to slow by an amount sufficient to restore price stability over time, possibly leading to more persistent elevated inflation or an unanchoring of inflation expectations.』

さっき棒読みとかしましたけど、さすがにアップサイドリスクの方にはいくつかあるリスク要因の中に「インフレ期待のアンカーが外れるリスク」というのがありますね。

『In discussing downside risks to economic activity and inflation, participants considered the possibility that the cumulative tightening of monetary policy could lead to a sharper slowdown in the economy than expected, as well as the possibility that the effects of the tightening of bank credit conditions could prove more substantial than anticipated.』

ダウンサイドリスクはこれまでの金融引き締めの効果が想定以上にここからドカンと出て来ること。


・金融安定化の面でのお話がありました

9パラに行きます。9パラは金融安定の話。

『In their discussion of financial stability, participants observed that the banking system was sound and resilient and that banking stress had calmed in recent months. Participants also noted that the most recent stress-test results indicated that large banks appeared to be well positioned to withstand a severe recession.』

まだ春の金融危機祭りの余韻が残って金融安定の話をしておりますね。もちろん「現状問題なし」の評価になっていますけど。

『Various participants commented on risks that could affect some banks, including unrealized losses on assets resulting from rising interest rates, significant reliance on uninsured deposits, and increased funding costs. 』

幾つかの銀行で利上げに伴う資産の含み損とか、足の速い大口預金への依存とか、ファンディングコストの上昇が起きております、とのこと。

『Participants also commented on risks associated with a potential sharp decline in CRE valuations that could adversely affect some banks and other financial institutions, such as insurance companies, that are heavily exposed to CRE.』

商業用不動産貸出の不良債権化に懸念が示されています。

『Several participants noted the susceptibility of some nonbank financial institutions, such as money market funds or digital asset entities, to runs or instability.』

ノンバンクや投資信託への取り付けが発生する可能性に懸念を示している人もいますな。

『In addition, several participants emphasized the need for banks to establish readiness to use Federal Reserve liquidity facilities and for the Federal Reserve to ensure its own readiness to provide liquidity during periods of stress.』

また、ストレスが起きたときのために金融機関はFEDの流動性プログラムの利用をしやすくするように準備しておくことも大事です、というような指摘がつらつらと並んでいました。


・・・・・・ということでまあこんなもんだと思うのですが、今日は市場の反応を(出来上がりの数字だけですが)見たんですけど、いやそんなに金利上がる話でもない(下がる話ではないのは確かにその通りだけど)んじゃないかなー、別に今まで言ってることとそんなに変わらんのになーとは思ったんですが、まあそもそも中長期の金利が軒並みFFよりも低い訳で、FEDちゃん利下げ転換への思いって米国市場ではアタクシの妄想する以上に強固なのかねと思ってしまいました。





2023/08/16

お題「日銀の展望レポートハイライトがアレでしたがここで真のポンチ絵芸をご紹介しましょう」

ってECBネタを完全にかっ飛ばしておったのですが、昨日ネタにした衝撃の「展望レポートハイライト」(あちこち聞いてみたらあの「2%」の絵は何を考えてああいう絵になるんだ整合性どうなってるんだの声多数でしたな)がありましたので、ここで本家本元のECBのポンチ絵コミュニケーションを確認してみましょう、という企画。


〇ECBのポンチ絵説明がおっぱじまった理由を後付けで考察すると実に味わいが深い件について

ECBのポンチ絵説明って、ECBのトップページの上の方に並んでいるメニューの「Monetary policy」を選んで、その中にある『Monetary policy statement』ってのを踏むとポンチ絵に飛ぶのだが、その『Monetary policy statement』の所に説明がありまして、

https://www.ecb.europa.eu/mopo/html/index.en.html

『Monetary policy statement』っての上から2番目にありますが、

『We take decisions on monetary policy every six weeks - determining what should be done to keep inflation under control. Our visual statement explains this in short and easy-to-understand language.』

とあって、

『Our monetary policy statement at a glance』

とリンクがある(説明文の所を踏んでもリンク先に行きますが)となっている訳ですが、「Our visual statement explains this in short and easy-to-understand language.」とある訳で、7月ハイライトの最後のイラストのように、どっからどうみても、「easy-to-understand」とは程遠いものを出すとか、前回との整合性が全然取れないものを出す、というような事をしないような仕様になっているのがECBな訳です。

しかもこれ次に紹介する説明文にありますように、声明文出すのと同時に出してくるわけで、声明文だと小難しいのでビジュアルで表現しましょう(声明文そもそも英文が正本だし)という扱いになっております。

さてさて、このECBのポンチ絵ですが、始まったのが
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/html/index.en.html
Monetary policy statements at a glance

We take decisions on monetary policy every six weeks determining what should be done to keep inflation under control. Our visual statement explains this in short and easy-to-understand language.

Below you find links to all visual statements of the previous press conferences.

とありまして、そこのリンク集を見ると一番最初に出たのが

22 July 2021 Our monetary policy statement at a glance

とあります。懐かしいですねえ、ちょっと確認してみましょう。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2021/html/mopo_statement_explained_july.en.html
Our monetary policy statement at a glance - July 2021

今見るとこの時のは今のよりもシンプルだったなと思いますが、最後のイラストが、

『While inflation has risen, this will be temporary』

って小見出しで、

『We expect inflation to increase further over the coming months and to decline again thereafter. Because the economy is not yet doing as well as it can, price pressures remain weak. Our persistent support is still needed to bring inflation back to 2% over the medium term.』

とありまして、このころは短期政策金利は0%だった(マイナスではない)時期ですけど、フォワードガイダンスの変更をしたりした時期で、物価が上昇してきているけどまだあくまでも物価上昇はトランジトリーなのでシンメトリック2%の観点からトランジトリーな物価上振れには対応しませんよ、ってやった時ですな。

でまあこの時のECBの四半期見通しを見ると、この後の2021年9月に出てた物価見通しが
2021年:+2.2%
2022年:+1.7%
2023年:+1.5%
(ちなみに2020年は+0.3%)

最初にビジュアルステートメントだしてから半年後の2021年12月の物価見通しが
2021年:+2.6%(ほぼ実績みたいなもん)
2022年:+3.2%
2023年:+1.8%
2024年:+1.8%

となっていた、というなんかどっかで見たことのあるような見通しになっている、というのが味わい深いですが、ちょうどこの「物価が上がりだしている中だけど物価上昇は一時的だからまだ緩和的な政策を続けます」というのを一般の方々向けにも説明しないと行けませんね!!!って感じでおっぱじめたんですなあ、というのが今にして思えば伝わる次第でありまする。

さてここで日銀の「展望レポートハイライト」の初出時期を確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/index.htm
展望レポート・ハイライト

どうも初出は
『2022年 5月18日 展望レポート・ハイライト(2022年4月)』
のようですな!!!!!!!!!

はい、皆様ご記憶に新しいと思いますが、2022年4月と言えば物価がホイホイ上がりだして、その後4月分の全国コアCPIの前年比上昇率が+2%に乗っかった時で、当然ながら馬鹿緩和政策に関する出口とかそういうのはどうなっているんだという話がおっぱじまった時期な訳です。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202204.htm
展望レポート・ハイライト(2022年4月)
経済・物価情勢の展望

『物価は上昇率を高めたあと減速する』

『消費者物価の前年比は、今年度は、世界的なエネルギー価格の大幅上昇からいったん2%程度まで高まりますが、その後は減速します。エネルギーを除くと、今年度以降、消費者物価の前年比は緩やかに上昇していきます。』

うーん何か初出の時の物価見通しが同じような話になっているのって実に味わいがある訳ですが、まあこういうのは中央銀行どこでも考えることって似てて(さらに日銀の場合はECBという見本があった訳だし)、「物価が2%を越えているのに何で大規模緩和を継続しないといけないんですか」という極めてシンプルかつ王道の質問に対して答えが苦しくなってきた所でポンチ絵による紙芝居を持ち出して説明をしよう、っていうある意味苦し紛れに打った奇策とも言えますが、まあそこからおっぱじまっている、というのは大変に味わいの深いものを感じる次第な訳でございます。


〇前回との整合性が話題になった(私もした)日銀のポンチ絵ですがここで本家の場合を確認してみましょう

7月
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_july.en.html

6月
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_june.en.html

5月
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_may.en.html


・経済の説明についてみるとちゃんとイラストと文章の整合性が取れているんですよね

『The economy shows a mixed picture』(7月)
『The economy is weak now, but should recover later in the year』(6月)
『The economy is a mixed picture』(5月)

『Services, especially tourism, are still doing well, though this may not last. Manufacturing is having a tough time, partly because demand from the rest of the world is weak.』(7月)

『Lower inflation and fewer supply problems will help. Services are doing well, but manufacturing is weak, partly because borrowing is more expensive.』(6月)

『Services are doing well because people are consuming them quite a lot. Manufacturing firms still have a large amount of orders to work off, but the outlook is worsening for them.』(5月)

この3回共に「製造業が弱くてサービス業が強い」って絵柄になっていて、その中でサービス業が威勢が良いって絵柄が7月になってそれまでの外食、野外イベント、家族でのお出掛け、飛行機、という絵からビーチリゾートの絵になっているんですよね。

でもこれ文章の方を見ると「Services, especially tourism, are still doing well, though this may not last.」ってあるので、ツーリズムが強い、ってのを強調した格好になっているのと、他のサービスの絵が無いのはもしかしたら「though this may not last.」を示しているのかもしれないな、、とは思った訳ですよとにかく今回の絵がビーチリゾート一点張りだから。

まあここで皆様も気になったかと思いますが、アタクシも当然気になるのは昨日ネタにした日銀の展望レポートハイライト7月号の経済のポンチ絵です。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202307.htm
展望レポート・ハイライト(2023年7月)
経済・物価情勢の展望

・・・・・・こちらの最初のイラスト、やたらビーチが強調されていますが、もしかしてECBの7月のポンチ絵(の方が3週間ほど早く出ている)からインスパイヤーされた(婉曲表現)りしてませんですかああああああ???????


・物価の絵によって引き続き高いインフレを懸念しているのをよく表現していますね

物価に関するポンチ絵ですけど。

『Inflation has come down further but is still too high』(7月)
『Inflation has been coming down but is still too high』(6月)
『Inflation has come down from its peak but is still too high』(5月)

『Energy prices have dropped further. But food prices are still going up, though not as much as before. Holidays and travel, especially, are more expensive. Profit margins and higher wages are driving inflation.』(7月)

『Prices are no longer rising as much for many goods and services, though food is still getting a lot more expensive every month. Higher wages are increasingly driving up inflation.』(6月)

『Energy prices have dropped sharply in recent months. But prices for food and services are still rising strongly.』(5月)

絵の方がちゃんとできていて、5月の絵って温度計三本あって、エネルギー(ガソリンスタンドでガソリン入れる人の絵があって、温度計の水銀の中に電気とかの絵がある)が低温、外食とか工業製品っぽいのとかが基準温度よりもやや高い表示、食料品がとても高い表示、というような感じになっていますな。

6月は温度計じゃなくて3本の上向き矢印になっていて、一番上の幅が大きいのが賃金と思しきスーツ着た人が持ってるバックからはみ出すお札の絵になっていて、あとがサービス、エネルギーの順に棒が短くなっておりますが、この新設された賃金っぽい絵は「Higher wages are increasingly driving up inflation.」に対応している訳ですよ。

でもって7月。これ見ていただければ分かるのですが、ノートPC見ながら頭抱えている消費者の図、というのが思いっきり示されておりまして、これは全般的にインフレがまた高いから懸念しているんですよ、というのをアピールする図柄になっているのが大変に分かりやすく示されている訳ですよ。

でもって頭抱えている消費者の脳内にあるのが食料品、旅行。お財布と来てまして、お財布は前回の賃金と同じ理屈ですが、「Profit margins and higher wages are driving inflation.」に対応していまして、賃金上昇がインフレを引き起こしていて、しかも実は賃金上昇が追いついているのか問題が生じてますなあってなイメージなんでしょ。でもって食料品と旅行は言うまでもなく、「food prices are still going up」と「Holidays and travel, especially, are more expensive.」に対応して
おる訳で、ちゃんと説明文と絵柄が合っているんですよね。


さてここで日銀謹製の展望レポートハイライト7月号の物価のぽんち絵を再確認しましょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202307.htm(再掲)
展望レポート・ハイライト(2023年7月)
経済・物価情勢の展望

『物価は減速したあと再び緩やかに上昇していく』

『消費者物価の前年比は、これまでの輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が弱まることで減速したあと、経済が改善し、賃金上昇率も高まるもとで、再び緩やかに上昇していきます。』

・・・・・・・右にあるイラスト、文章のどこをどう示しているイラストなのでしょうか。アタクシは頭が悪いので1ミリも理解できないんですが、ちょっと責任者アホの子のワシにわかるように説明してくれませんかねえwwwwwwwwwwwwwwwwww


〇結論:分かりやすく説明するのは大事だが人間得手不得手があるのだから出来る範囲内でやるべき

日銀って黒田緩和第一弾の「ニバイニバーイ」フリップで味をしめたんだと思うのですけど、何かしょうもなくフリップ芸をしたり、ECBの猿真似をおっぱじめて変なポンチ絵芸をしたり、とまあやっておられるわけですよ。

でもね、まあこれは皆様も基本的に賛同して頂けるかとは思うのですが、日銀のこの手の芸風って今回の展望レポートハイライト(7月)で示され、さらに本家のECBと比較するとよくわかりますように、絶望的にセンスが無いんですよ。まあ日銀って良くも悪くも糞真面目だからこういうのやらせるとやっぱりアカンですし、特に「一般向けに分かりやすく説明しよう」とか考えて出すものが碌なもんじゃないんですよね。金融市場向けの説明だといつもの日銀用語を使って説明すれば良いのでまあそれはちゃんとやってるんですけど。

この展望レポートハイライトもそうですけど、近くには「コロナ対策三本の鉛筆」という実にしょうもないフリップ芸(あっという間に数字のアピール外したしその後何事もなかったかのように引っ込めましたけど)もありましたし、もうちょっと前には衝撃あるいは笑劇の「5分で読めるマイナス金利」というのもありましたが、あのあたりで示されますように基本的にセンスが絶望的なのでありまして、一般ウケ狙いとか日銀の皆様には不向きにも程があるんだから、できもしないことを無理してやって墓穴を掘る、というのは止めた方が良いと思うの。まあ確かに福井さんとか雨宮さんとか突発性天才がたまにいるんですけど、組織としてこういう芸ができるような感じは一切しないんだよなー。

なお、せっかく持ち出したのでリンクを張っておく

コロナ対策3本の鉛筆
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2020/rel200601d.pdf

5分で読めるマイナス金利
https://www.boj.or.jp/about/education/exp/exp01.htm

ということえECBネタをやると思わせながらただの昨日の続きでした、ちゃんちゃん。




2023/08/15

お題「展望レポートハイライト7月号がかなり出来の悪い物件に仕上がっている件について」

昨日は145円を一瞬だけ抜けたけどすぐに戻って145円割れでうだうだしていたというのに
https://jp.reuters.com/markets/currencies
外国為替
情報は20分以上の遅れで表示しています

1 USD = 145.4900 JPY

・・・・・・・・南無三。

異次元緩和を軟着陸させようとして正常化色を出さないようにするために緩和のアピールをしている、というのは理解はするのだが、結局のところその緩和アピールのやり過ぎで恒常的にかかる円安圧力が止められないのであって、コミュニケーションがダメダメであるというのは申し上げるまでもないのですが、昨日は日銀様から更におまえナメトンノカという物件が投下されましたので取り急ぎお送りします。

〇展望レポートハイライトだがお前ら真面目にやる気あんの???

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/index.htm
展望レポート・ハイライト

日本銀行は、年4回(通常1月、4月、7月、10月)、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を公表しています。ここでは、展望レポートのハイライトをご紹介します。

ということで昨日は7月展望のハイライトが出てきたんですが、書かれているイラストが前回までからの継続性がおかしいという中々のドイヒーな物件に仕上がっておりまして、いやお前ら真面目にコミュニケーションする気あるのかよと小一時間問い詰めようというのが今朝の企画になります。

比較するのは、

今回
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202307.htm
4月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202304.htm
1月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202301.htm

です。画像を磔刑にするスキルはアタクシ無いので、と思ったらこの画像(jpg形式)自体にはリンク貼れるのですけど、まあリンク貼っても結局々ですから、上記URL先の物件を3つ並べてから比較衡量していくと吉ではないかと思います。


・1枚目:消費というのはレジャーだけなのかと小一時間問い詰めたい

1枚目が経済全般の見通しになりまして、文章だけで言えばお題が、

『日本経済は緩やかな回復を続ける』(7月)
『日本経済は緩やかに回復していく』(4月)
『日本経済は回復に向かう』(1月)

とまあ徐々に見通しが上方修正されていますね、というのと本文の、、

『日本経済は、海外経済の回復の鈍さにより下押しされますが、消費の増加などに支えられて、緩やかな回復を続けていきます。』(7月)

『日本経済は、これまでの資源高や海外経済の回復の鈍さにより下押しされますが、消費の増加などに支えられて、緩やかに回復していきます。』(4月)

『日本経済は、資源高や海外経済の減速により下押しされますが、感染症の消費への影響が和らぎ、部品調達難も解消に向かうなかで、回復していきます。』(1月)

と説明されているのはまあ分かるのですが、今回はイラストの意味が訳分らん。

1月のイラストはまあ普通に文章にあるように「感染症の消費への影響が和らぎ」というのでショッピングカートを押してる人とかテラスでお茶か何かをしている人の絵があり、「部品調達難も解消に向かうなかで」というので工場の絵がある訳です。

4月のイラストは「消費の増加などに支えられて」ということでテラスでお食事している人とショッピングカートを押してる人と、旅行のスーツケース引いてる人と、空に飛行機、ということで、これは直後に予定されていた新型コロナ感染症の五類以降に伴う行動制限の緩和や、そのちょっと前から始まったインバウンドの再開なども意味している、という感じになっているのですな。

然るに、7月のイラストって「消費の増加などに支えられて」って文章には書いてあるのに、絵にあるのって海辺で海水浴してる人(しかも2セット)とスーツケース引っ張ってる人と空飛んでる飛行機と、テラスでかき氷っぽいの食ってる人、という組み合わせになっていて、カートをもって買い物をしている人のイラストが抜けてしまっていますが、もしかして日銀様は旅行とレジャーと外食だけで消費の増加が牽引されると思っているのでしょうか。いやそれだけじゃあ「消費の回復に支えられて経済が回復を続ける」には力足りないんじゃないですか(大体からして海水浴している人達別になんか消費している雰囲気が無い絵だし)と思う訳で、何でショッピングしているイラストが今回抜けたのかについて詳しい説明を頂きたい訳ですよ。

消費、って書かれているのに思いっきり海辺の絵ってのさすがに絵柄として違和感が強い訳でして、どういうセンスをするとこういう絵のチョイスになるのか責任者説明してくれませんかねえ。


・物価の絵が凄まじく意味不明なイラストに大変化しているのは見てる方を馬鹿にしているのかと小一時間

次のイラストが物価の見通しに関するイラストになります。小見出しと本文は、

『物価は減速したあと再び緩やかに上昇していく』(7月)
『物価は減速したあと再び緩やかに上昇していく』(4月)
『物価は目先高めの伸びとなったあと減速する』(1月)

『消費者物価の前年比は、これまでの輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が弱まることで減速したあと、経済が改善し、賃金上昇率も高まるもとで、再び緩やかに上昇していきます。』(7月)

『消費者物価の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が低下し、今年度半ばにかけて減速します。その後は、経済が改善し、賃金上昇率も高まるもとで、再び緩やかに上昇していきます。』(4月)

『消費者物価の前年比は、目先、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなったあと、来年度半ばにかけて減速します。その後は、経済が改善し、賃金上昇率も高まるもとで、再び緩やかに上昇していきます。』(1月)

1月のイラストは峠から車が下りてきてこの先平地になります、みたいな道路の絵になっていて、まああの時の見通し(大本営見通しだけど)と整合的な恵な訳ですよ。

4月のイラストは今度は先行きが徐々に上がっていくようなイメージの絵になっていますわな。

でもって7月、何ですかこのサーフィンの絵みたいなのは????????????????「減速した後上昇」というのを示したんだと思うのですが、サーフィンやってる人の髪のたなびき具合がどこからどう見ても「勢いのある流れ」になっているし、サーファーの先行きパスっぽい流れも随分と勢い増しそうな流れで、「緩やかに上昇していきます」という文章と全然整合的に見えないんですけど、お前はこの絵で何を言いたいのか、なぜ前回までのような絵から突如大幅に変更しているのかという点についてアホの私でもわかる論理的な説明を賜りたい。


・先行きリスクの中にドル円が入っているこのイラストだけは意味がわかるwww

次のイラストがリスク認識に関するイラストです。

『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(7月)
『海外の経済・物価動向など不確実性は高く、市場動向に注意』(4月)
『海外の経済・物価動向など不確実性は高く、市場動向に注意』(1月)

『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(7月)

『海外の経済・物価動向、ウクライナ情勢の展開や資源価格の動向など日本経済を巡る不確実性はきわめて高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(4月)

『海外の経済・物価動向、ウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、感染症など日本経済を巡るリスクは極めて高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(1月)

1月のイラストは分かりやすくて、地球のイラストにコロナとウクライナ国旗と株価チャートっぽいものという感じですな。

4月のは地球(何故かスケルトンになったが)と株価チャート、あとよく見ると左上の方にウクライナ国旗の色合いのリボンみたいなのがあるんですけど、これ見ようによってはウクライナ国旗を広げないで絞ってリボンみたいにしているようにも見えて若干礼を失しているようにも見えるのでどうなのかと思いますが、コロナが抜けてウクライナが小さくなったtって言いたかったんでしょう。でもって株価チャートらしきものが大きくなっているのは、あの時点でだいぶ片付いていたとは言え米銀問題があったから。

でもって7月のですが、今回は???と考えている人のイラストがあって、何を考えているのかが吹き出しになっているのですが、左上から反時計回りに「スケルトンの地球儀らしきもの」「ガソリン入れたドラム缶らしきもの」「株価チャート」と来て右上に「財布と財布から出ている紙幣」というのがありますな。これって「世界経済」「資源価格」「国際金融市場(株価)」ときまして最後のはどこからどう見ても「為替市場」にしか見えない訳でして(さすがに紙幣にドルとは書いてないが、日本円ぽっく無い絵になっている)、ここだけは意味が分かるという内容テラワロスwwwwwwww


・情勢が改善して上振れリスクの可能性まで新たに指摘しているのに何で2%が死ぬほど遠くなったんだよ!!!!

でまあ今回のハイライトの白眉というか逆白眉なんですけど、もうあり得ないゴミクズカスダニの絵を持って来たのが金融政策運営に関する4番目のイラストなのはこのハイライト見た皆さんが一発目に感じることだと思います。いやマジでお前ら自分らの発出文書を何だと思ってるんだよふざけるなこの馬鹿としか申し上げようがない。

まあ文章自体はこうなっているんですけどね。

『強力な金融緩和を継続する』(7月)
『強力な金融緩和を継続する』(4月)
『強力な金融緩和を継続する』(1月)

『賃金の上昇を伴う形での、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せていないため、粘り強く金融緩和を継続していきます。』(7月)

『日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していきます。』(4月)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を目指しています。また、感染症からの回復を支援するため、資金繰り支援と金融市場の安定に努めていきます。』(1月)

問題は絵でしてご案内の通り、

1月は丘の上っぽい所に太陽っぽく「2%」があってそこに向かって道があるけどちょっとまだこの丘の上まで行くのに少々掛かりますかねという感じの図柄。

4月は順風を受けたヨットというか帆掛け舟というかが川を航行していて順調に「2%」のゴール地点に向かっている感じの図柄。

でもって7月ですが、その「2%」が突如飛んでもない遠くの山の頂上になってしまって、そこまでの遠い登山道を歩いて登って行かないと行けない、という図柄になっていて、しかもご丁寧なことに、その「2%」って登山する人が望遠鏡(双眼鏡ですらない)で見ないと数字が見えない、ということで、凄まじい遠くになっている訳ですよ。

でまあ当然この後に悪態がここぞとばかりに並ぶのですが、ここで悪態書いていると最後の謎イラストの話を飛ばしてしまいそうなので先にそれを。

・YCCの柔軟化をした、というイラストの意味が初見でわからんわこれwww

最後に今回イラストが1枚余計に追加されました。まあこういうのは絵が追加される、という時点でダメダメなのが確定(本来シンプルにすべきものなのにゴテゴテと余計なものを付ける、というのは日銀当座預金の三層構造にゴテゴテと余計なものがついて昭和温泉旅館になる第一歩)なのですが、

『YCCの運用を柔軟化』(7月新設)
『イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化し、YCCによる金融緩和の持続性を高めることを決定しました。』(7月新設)

このイラストの意味がまるで一見して意味不明で。まあ一生懸命見ながら考えますと、辛うじて察するのは登山道歩いている人の道幅が若干広がった(レンジの実質的な拡大)のと、ガードレールがある(1%のシーリング)ということなんですけど、そもそも展望レポート関係ないんだから掲載するなよなというのと、こんな「察しないと分からない」絵柄にしている(文章の方で「柔軟化」としか書いてなくて、10年金利のレンジを実質拡大した説明が1ミリもないから背景知識がないと何の絵だか全く分からんでしょ・・・・・)時点でダメダメコミュニケーションにも程がある訳で、登レンジの実質拡大したってのを分かりやすく書けよって感じですかねえ。これ見た時一読して全く意味が分からず頭を1分半くらい捻ってやっと上記のような解釈に辿り着けた次第で、普通の人が見ても(普通の人がこれを見るのか問題はさておき)さっぱり分からんだろ直感的に分かる絵にしないと絵の意味がねえわ、と思うのでした。


・しかし前回との継続性をブチブチ断絶するイラストを載せるのはナメトンノカとしか申し上げようがない。

という訳で「2%」イラストへの悪態に戻ります。

いやあのですね、経済物価情勢の現状判断や先行き見通しに関して今回大幅下方修正しているとかいうのなら話は分かるんですが、現状認識上方修正していて、少なくとも手前の物価に関しては大幅に上方修正していて、しかも先行きに関してだって物価は上振れリスクへの認識を強めている、という状況なのに、何で前回対比で「2%」がこんなに死ぬほど遠くに去ってしまうのかという話でして、前回対比全く整合性の無いイラストを平然と出してくるのは、このハイライトを見ている観客を愚弄していると断じざるを得ない次第でして、だれが責任者か知らんけどちょっと責任者でてこのイラストの変化について合理的な説明をしてみろやという話でございます。

いや真面目な話、こんな継続性の欠片もないような絵柄出されて「展望レポートのハイライトをイラストを使って分かりやすく説明しました」とか言われましても、前回との比較をした瞬間に「ナンジャコリャ」となる訳で、これでは「経済物価情勢と先行きを上方修正しているのになぜか2%目標達成は物凄く遠のいた」という風にしか普通の人だって(普通の人がこれを見るのか問題はさておき)解釈しますよね、というお話ですわな。


・・・・・・まあどうせ「何で前回とこんなに違うんですか」と聞かれたら屁理屈王の日銀の事ですから「2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せていないため」というのを分かりやすく表現するためにこのようなイラストにしただけで、別に2%の達成が遠のいたとかそのような意図でこのイラストを作成した訳ではない(キリッ)ってゴミみたい屁理屈を言い出すのに1万パウエルと言った所ではあるのですが、普通こういうのを見るときに「前回と今回でどのような認識の差があるんだろう」ということで前回を見ながら今回を見る、というのが普通で、その意味からして今回の「2%」の絵柄って展望レポートで示している認識の変化の逆とかいう見る相手を愚弄しているとしか思えませんので売られた喧嘩は買わないと行けないと思いまして早速ネタにさせて頂きました次第なのであります。


・黒田の馬鹿政策のソフトランディングのために緩和継続を強調し過ぎなんだが

悪態ばっかりだとアレなので最後に愚考してみますけどね。

まあアレですよ。さっきのマクラの所で書いた伏線回収になるんですけど、とにかくまあ黒田のヤローがマイナス金利だのYCCだの国債馬鹿買入だの導入して、これをほぐすのが大変だしソフトランディングも大変だから、急に正常化アピールする訳に行かない、ってのはまあ話としては分かるんですよ。

ただですね、今やっていることってソフトランディングの意識が強すぎて緩和継続を強調する、ということから折角YCCの柔軟化をしてるのに円安は止まらない(どころが進む)という何やってるんだ状態な訳ですけれども、今回の「2%」イラストにおける怪奇現象も明らかに「黒田政策のソフトランディングのために2%達成が近いというイラストを描くのは止めよう」とした結果、前回との整合性が無茶苦茶になるという凄まじいイラストになって、まあみっともない物件になってしまった(こんなイカサマイラスト出すくらいならハイライトそのものを廃止した方がマシ)ということになっておる訳ですわ。

でまあ円安が問題にならん、という状況ならともかく、7月の一連の動きってどこからどう見ても過度な円安は誰得円安になるので(しかもタチが悪い事に足元では資源高になると円安になるというダブルパンチ状態だし)少なくとも日銀の緩和アピールはもっとマイルドにして金融政策からの円安圧力を軽減しよう、って流れにしか見えないのですから、ソフトランディングしたいのは心情的には理解できるけど、緩和継続のアピールが明らかにやり過ぎで、その結果今回の「2%」イラストのような醜悪なものまで出て来るんだから世話は無いわなという次第。

まあちょっとコミュニケーション考え直さないとまずいんじゃないですかねえ日銀は・・・・・・・・・




2023/08/14

お題「サービス収支に関する日銀レビューが面白いのでご紹介/超今更ですがFOMC会見で政策アクションの説明が二枚舌でワロタ件」

https://jp.reuters.com/markets/currencies
外国為替
情報は20分以上の遅れで表示しています。
1 USD = 144.9600 JPY

これは神田財務官も憤怒ですねわかります。


〇まあ金融政策ネタではないのですが面白いので日銀レビューご紹介

いきなり夏休み感溢れる書き方ですがアタクシは夏休みって何のことでしたっけ状態。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2023/rev23j09.htm
国際収支統計からみたサービス取引のグローバル化
2023年8月10日
国際局 松瀬澪奈、齋藤誠、森下謙太郎

こっちのHTMLはご紹介ページで、エグゼクティブサマリーがある。『要旨』って奴ね。

『国際収支統計のサービス収支は、サービス取引のグローバル化を背景に受取・支払とも増加している。』

ほう。

『取引の特性に従って内訳をみると、モノの移動や生産活動に関するサービス収支は、製造業の世界的な生産体制の見直しに合わせて内容が変化している。また、ヒトの移動や現地での消費に関連するサービス収支は、インバウンド需要を背景に近年黒字基調にある。』

ほうほう。

『一方、デジタルや金融・保険に関連するサービス収支は、それぞれデジタル化の進展や再保険を利用した保険商品の増加により海外企業への支払が増加した結果、赤字幅が拡大し、わが国のサービス収支全体の赤字につながっている。』

アイヤー。

『今後、インバウンド需要の増加に伴うヒトに関連するサービス収支の黒字幅拡大に加えて、デジタルなどの分野でも本邦企業の「稼ぐ力」が強くなる方向で、グローバル化が一段と進むことが期待される。』

たぶん後半は願望に過ぎないと思います、ということで本文はこちら。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2023/data/rev23j09.pdf
国際収支統計からみたサービス取引のグローバル化
国際局 松瀬澪奈、齋藤誠、森下謙太郎
2023-J-9
2023 年 8 月

まあこちらを見てちょという話なのですが、サラッとご紹介しますと、1ページ目の『サービス収支の分類・組替』って小見出しを見ますとですね、

『まず、わが国のサービス収支を構成する各項目を取引の特性に応じて分類し、取引の特性ごとの推移を確認する。具体的には、各項目を、@モノの移動や生産活動に関係するもの(以下、モノ関連収支)、Aヒトの移動や現地での消費活動に関係するもの(同ヒト関連収支)、Bデジタルに関係するもの(同デジタル関連収支)、C金融や保険に関係するもの(同カネ関連収支)、D上記以外(同その他)の 5 つに分類し、特性ごとに金額を合計する(図表 2)。』

『図表 3 は、現行基準で計数を公表している 2014〜2022 年について分類替えをした受取・支払を、図表 4 は、受取から支払を差し引いたネットを、それぞれ示している。』

でまあ本文2ページに『【図表 4】分類替え後のサービス収支』ってのがあって、これを見ると『デジタル関連収支』ってのがどマイナスで、しかもこのマイナスがドンドン拡大している、という中々悲しい結果が見れる次第なのですよね。2ページの説明でも、

『図表 3 と図表 4 をみると、第一に、受取・支払とも、モノ関連収支が総額の半分程度を占めている。』

で、

『第二に、サービス収支全体の赤字の主因は、デジタル関連収支の赤字である。この点は、デジタル関連収支の支払が、受取を上回る規模で増加したことを反映している。』

ナムナムナム。

『第三に、2015〜2019 年にかけて、ヒト関連収支の受取の増加、延いては同収支の黒字幅拡大が、サービス収支全体の赤字減少につながっている。』

インバウンド様ね。

『最後に、2020〜2022 年にかけて、カネ関連収支の赤字幅拡大が、サービス収支全体の赤字増加に寄与している。』

どうもすいません。でまあ『以下では、収支ごとに特徴を点検していく。』ということなのですが、全部ご紹介するとほぼ全文引用になりそうなので(なおこのレビューは図表を駆使しているので、ビジュアル的に見やすいから図表見てね)最初の2つにします。

『(モノ関連収支)

モノ関連収支の主な項目は、メーカーのロイヤリティなどを計上する産業財産権等使用料、鉱業サービスなどを計上する技術・貿易関連・その他業務サービス、輸出入貨物の運賃を計上する海上貨物であり、3 項目の合計で受取(2014〜2022 年累計、以下同じ)の 9 割、支払の 7 割を占める。』

ほうほう。

『前述したとおり、モノ関連収支の受取・支払の規模が大きいこと、換言すれば、国境を越えたモノの取引に直接付随したサービスの取引額が大きいことは、わが国の「モノづくり」のグローバル化が 2014 年以前に相当程度進んでいたことを示している。』

ほー。

『しかし、同時に、「モノづくり」のグローバル化のあり方は変化している。これら 3 項目のネットの推移をみると、2014〜2022 年にかけて産業財産権等使用料の黒字幅が拡大傾向にある一方、海上貨物の赤字幅が拡大傾向にある(図表 5)。』

でもって、

『これは、本邦企業が、輸送用機械を中心にシンプルな加工貿易から現地生産・販売および海外生産拠点から第三国への輸出へと2、世界全体での生産・供給体制を変化させてきたことを反映していると考えられる。』

なるほど。

『この点を確認するため、産業財産権等使用料の受取をみると、自動車の海外生産台数との相関が高い(図表 6)。』

なるほどなるほど。

『また、本邦製造業における海外生産比率の高まりは、海外海運企業との競争激化と相まって、本邦海運企業が海外子会社を活用して競争力を強化する形などで、グローバル化を促進した可能性も考えられる。』

というのは、

『海外子会社が稼得した収益は、サービス収支ではなく第一次所得収支に計上されることから、海上貨物では赤字幅拡大につながったとみられる。』

だそうです。最後ちょっとあるけど飛ばして次がデジタル関連ね。

『(デジタル関連収支)

デジタル関連収支の主な項目は、ウェブサイトの広告スペースの売買代金などが計上される専門・経営コンサルティングサービス、ソフトウェアのダウンロード代金やクラウド・サービスの利用料などが計上されるコンピュータサービス、ソフトウェアの製造・販売や音楽・映像の配信に伴う各種ライセンス料などが計上される著作権等使用料であり、3 項目の合計で受取の 9 割、支払の 9 割強を占める。』

ということでお察しの通り、

『これらの 3 項目は、受取・支払とも増加傾向にあるが、支払の伸びが受取を大きく上回っている結果、デジタル関連収支の赤字が増加している(図表 8)。』

わかっちゃいますが『【図表 8】デジタル関連収支の主要項目』を見ると泣ける。

『これは、世界的にデジタル・サービスの利用が広がる中、海外企業が提供するサービスの居住者による利用が、本邦企業の提供するサービスの非居住者による利用を上回って増加していることを意味している。』

知ってた。

『通信・コンピュータ・情報サービス3の地域別の支払をみると、米国向けが全体の 3 分の 1 であり、増加幅も大きい(図表 9)。』

ぐぬぬ。

『これは、本邦企業が、米国企業が提供するデジタル技術を活用し、生産性の向上などに取り組んできたことを反映している。』

物は言いよう。

『また、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大以降、就業の仕方が多様になる中、コミュニケーション・ツールなど米国のプラットフォーマーが提供するクラウド・サービスの利用が普及したことも、米国向けの増加に寄与したと考えられる。』

ナムナム。

・・・・・とまあそういう訳で、あとはインバウンドの話や金融分野の話とかありますけれどその辺は本文読んでちょという話にしまして割愛しますが、『主要国との比較』って小見出しから先が泣けるのでご紹介。

『最後に、わが国と同様、サービス取引のグローバル化が進展してきた米国と英国について、サービス収支を本稿の分類に沿って分解する(図表14)。』

嫌な予感しかしない。

『両国に共通するのは、デジタル関連とカネ関連収支がサービス収支全体の黒字の主因であるほか、それらの黒字幅が拡大していることである。』

案の定である。

『この点は、両国所在の企業が提供するサービスが、他国に所在する企業に受け入れられるかたちで、グローバル化が進んでいることを示唆している。』

裏山鹿でございますな。

『今後、サービス取引のグローバル化がさらに進む中で、デジタル関連サービスなどにおいて本邦企業の「稼ぐ力」が強まることが期待される。』

どう見ても今後益々流出超が拡大する未来しか想像できませんが、まさかそう書くわけにもいかないのでとりあえずこんなこと書いてみた、って感じが満艦飾にも程があって中々悲しいですな。

よって最後のまとめですが、

『おわりに』

『本稿では、国際収支統計のサービス収支に注目し、わが国におけるサービス取引のグローバル化をみてきた。取引の特性ごとに分解すると、モノ関連収支は、グローバル化の進展が早期から生じており、受取・支払とも規模が大きいが、その中身は近年も変化している。ヒト関連収支は、インバウンド需要を背景に受取が増えるかたちで、グローバル化が進展している一方、デジタル関連・カネ関連収支は、グローバル化の進展に伴い赤字が拡大している。』

ってな状況でして、

『今後は、インバウンド需要の増加に伴うヒト関連収支の黒字幅拡大に加え、デジタルなどの分野でも本邦企業の「稼ぐ力」が強くなる方向で、サービス取引がさらにグローバル化することが期待される。』

どうみてもデジタルなどの分野の話がただの願望でして、まあゆうては何だがハイテクなデジタル分野で赤字をせっせと吐き出してインバウンドで取り返すとか中々悲しい状態ですなという話ではあるのですけれども、引用すっ飛ばしましたがインバウンドの方の分析の方で、『今後、ヒト関連収支の黒字幅が拡大していくうえでは、訪日外国人数を増やすだけでなく、本邦において付加価値のより高い旅行体験の提供を拡大したり、滞在日数の増加を促したりすることにより、1 人当たり消費額を増加させていくことが求められているといえよう。』って言ってるんですけど、寧ろ観光客から気分よく(というのが大事)ボッタクる事をもっと考えるべきで、VATの即時還付とかああいうお人好しにも程があるクソ制度今すぐ止めろやと思いますし、安い現地人(=日本人)向けの小売り店で免税買い物させるなよとか思う訳ですけどね。

『なお、本邦企業は海外子会社を活用してグローバル化も進めていることから、サービス収支と第一次所得収支を併せて理解することも必要となる。』

まあこれはこれで、という話ですがこれ言い出すとサービス収支と製造業の収支が単純に合計されるだけのような気がしますのでサービス収支の話になるのか問題はあるけど、これはこれで良い分析になりそうなので続編を期待します。


〇もうすぐ議事要旨もでようというのに今更FOMC会見でもないのですが

すいませんすいません、しかもFINALバージョンになっておりますわこれはワイの名折れ。

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20230726.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
July 26, 2023

オープニングリマークは今さらなので割愛しまして会見から少々参ります。

・まあ「引き締め状態をやや続けたい」のでしょうけれども・・・・・・・・

最初の質疑が中々良くてですね。

『STEVE LIESMAN. Mr. Chairman, thank you. You have, I think a couple of times in your opening remarks, talked about this language “in determining the extent of additional policy firming that may be appropriate.”』

リーズマンさんはオープニングリマーク、と言っていますが声明文の方でも3パラで「In determining the extent of additional policy firming that may be appropriate to return inflation to 2 percent over time, 」というのがあります。

『Should we take that to mean that additional hikes are likely on the way? And should we also believe that all future meetings?say, September and November-are live, or are you in an every-other-meeting mode? Thank you. 』

まだ利上げサイクルの中にあるのか、という質問ですが、これに対してパウエルさんいきなりの大演説がおっぱじまるのでありまして、

『CHAIR POWELL. So we haven’t made a decision to go to every other meeting. It’s not something we’ve looked at. We’re going to be going meeting by meeting, and as we go into each meeting, we’re going to be asking ourselves the same questions. So we haven’t made any decisions about, about any future meetings, including the pace at which we’d consider hiking.』

毎回検討しているが毎回利上げしている訳ではない(6月にパスしたからそう言える)。

『But we’re going to be assessing the need for further tightening that may be appropriate-you read the language-“to return inflation to 2 percent over time.”』

声明文にある通り、ということで物価上昇率を2%まで落ち着かせるためにはタイトニングを続けるのが必要ですよ、という話をしています。

でまあここで話はほぼ終わっている気がするのですが、こっから大演説がおっぱじまります。

『I would say that the intermeeting data came in broadly in line with expectations: Economic activity remained resilient, job creation remains strong while cooling a bit, and the June CPI report actually came in a bit better than expectations for a change. And the June CPI report, of course, was welcomed, but it’s only one report, one month’s data. We hope that inflation will follow a lower path, as was-that will be consistent with the CPI reading, but we don’t know that, and we’re just going to need to see more data.』

まあ6月スキップしたのに7月利上げってのは話に無理がある(これがインターバル2カ月あるならまだ話は分かるんだが見事に1か月ですからねー)ので、この間のデータがどうだこうだという説明をしています。

『So, what are we going to be looking at? Really, it will be the broader, the whole broader picture, and starting with-we’re looking for moderate growth, right? We’re looking for supply and demand through the economy coming into better balance, including, in particular, in the labor market. We’ll be looking at inflation. We’ll be asking ourselves, does this whole collection of data, do we assess it as suggesting that we need to raise rates further? And if we make that conclusion, then we will go ahead and raise rates. So that’s how we’re thinking about the next meeting and, you know, how we’re thinking about meetings going forward potentially, but, you know, we’re now mainly thinking about the next meeting.』

なんか物凄い勢いでああでもないこうでもないと説明して、結局の所は経済が減速していく中で物価が徐々に落ち着いていくというピクチャーを見極めたいけどどうもまだそうなっているのかどうかが怪しいし、思ったよりも強い状況なので利上げしてみましたし、今後もその具合を見ていく、という説明をウダウダとしておりますね。

でまあこれはどこの中銀でも同じなんですけど、とにかくああでもないこうでもないとウダウダ説明している時というのは要するに今の時点で自信ナッシングという状況になっている、というのが大体の中銀の仕様になっておりまして、ここまでひたすらクドクドとお話をするのは、ガチでこの人達先行きのシナリオに自信がない(物価が下がってこないかもしれないけど急に引き締めが効いていろんなもんが急減速するのも怖いとかそういう状態)んだろうな、と個人の感想ですとしては思ったのですが、どうなんでしょうかねえ。

何か最悪なのはインフレ期待が実は上振れしていて、景気落ちてるのに物価がサガランチ会長というのが一番FED的にはあばばばばーなんでしょうけど、はてさてどうなりますやら。なお演説はもうちょっとある。

『I will also say, since we’re talking about it, between now and the September meeting, we get two more job reports, two more CPI reports. I think we have an ECI report coming later this week-which is [an] employment compensation index-and lots of data on economic activity.』

この辺の話、金曜にネタにしてたハーカー総裁も(ECIまでは言及してないけど)説明してましたけれども、要するに分からんから出たとこ勝負になっているという話で、ただまあ出たとこ勝負じゃおりゃああああ!などという如何にも馬鹿丸出しっぽい発言をする訳にもいかないのでこういう説明をしているということですな、ナムナム。

なおまだ話は続く。

『All of that information is going to inform our decision as we go into that meeting. I would say it is certainly possible that we would raise funds again at the September meeting if the data warrant it, and I would also say it’s possible that we would choose to hold steady at that meeting. We’re going to be making careful assessments, as I said, meeting by meeting, and I’ll close by saying we’ve raised the federal funds rate now by 525 basis points since March 2022. Monetary policy, we believe, is restrictive and is putting downward pressure on economic activity and inflation.』

まあ要するに当面物価が高いから引き締め的にします、というのだけは確実っぽいですけど、この説明ですと9月までに物価がある程度以前よりも落ち着いた感じで推移するならまあ引き締め的ですよってことで何もしないし、うっかり再加速するような動きとか(物価または賃金が)起きたら泡吹いて再利上げってことになるんじゃないのかな、という印象を受けましたがどうでしょうかね。


リーズマンさんの更問。

『STEVE LIESMAN. If I could just briefly follow up on something you said there: You said the data in the intermeeting period, it probably came in in line with expectations. Does that mean there’s unlikely to have been a change in the overwhelming outlook of the Committee that two more hikes are necessary?』

次のFOMCまでに出て来るデータがインラインで来た場合に「あと2回の利上げが必要であるというFOMCメンバーの見通し」は変更されないという意味でよろしいか、とは中々良い質問ですね。

『CHAIR POWELL. I’m just going to go back to what I said. We, we-you know, that’s the question. We have eight weeks now until the September meeting, and all that data that I recited, we’re going to be looking at all that and making that assessment then. And it really-we did have the one good reading, and, of course, we welcome that. But it’s just one reading, as everybody knows. And, and, you know, we’ve seen-we’ve seen this before in the data. Many forecasts call for, for rates-for, for inflation to remain low, but we just don’t know that until we see the data. So we’ll be focusing on that.』

そもそもさっきのもそうですけどお答えにこの「―」が入るのが最初の質疑の時点で分量が多いわ、という時点でお察しなのですが、まあ先行きの政策に関しては回答するのが非常に困っているという感じではありまして、本来ならば「6月SEP時点での先行き見通し通りで推移するなら政策金利推移はドットチャートに近くなるんじゃないですか」って言われたら趣旨的には仰せの通り以外に回答のしようが無い筈なのですが、そんなことを言ってしまうと年内にまた利上げをしないといけなくなってしまう訳でして、それすらも回答したくない、って事なんでしょうね。

何ですかね、この利上げはしたのですがこの先の決め打ちはしたくないモードって、と思う訳で今回は例によって事前織り込ませがあったから利上げしないわけにもいかなかったとは言え、そもそもじゃあ何で利上げ織り込ませて利上げしたのよという話でもあって、普通に「今の引き締め的な状況を継続して物価の落ち着きを見て行きたい」にできなかったのかなとは思いますわ。


・と思ったら案の定「なんで今回もポーズしなかったの」という質問が来る

一つ飛ばしてアーウィンさんの質問。

『NEIL IRWIN. Thanks, Chair Powell. Neil Irwin from Axios. So, as you referenced earlier, in the intermeeting period, soft CPI, jobs reports still strong but moderating, JOLTS look good. So if you’re data dependent, why not pause again? Why not stay on hold? Why not take another meeting off when the data was at least cutting in the direction you want to see?』

前回からのデータ見たらCPIモデレートになっているし、雇用だって強いけどモデレートになっているのに何で様子見じゃなくて利上げしたん???というご尤もな質問に対してパウエルは何と回答する?

『CHAIR POWELL. So if you go back to what we’re trying to do here, we’re trying to achieve a stance of policy that’s sufficiently restrictive to bring inflation down to 2 percent. At the last meeting, we wrote down our individual estimates of that would take-of what that would take, and the median of that was, was an additional two rate hikes.』

これはひどいwwwwwwwwwwwww

というのはですね、さっきのリーズマン記者からの質問の更問の方で「6月SEPに経済物価がインラインならドットチャートのように追加利上げがまだありますよね???」という質問に対してはうにゃうにゃと回答を避けていたのに、いきなりこっちの質問には「6月のSEPで示したFOMCパーティシパンツの政策金利見通しは年内追加利上げというものでした」というのを今回の利上げの理由にしているというのがクソワロタとしか言いようがない訳ですよアタクシとしては。

『So I would say, we looked at the interim intermeeting data and, as I mentioned, broadly consistent, not perfectly consistent, but broadly consistent with expectations. And, as a result, we went ahead and, and took another step.』

6月FOMC以降今回までのデータは完全にではないけど全体的に見通し通りに推移したから利上げのアナザーステップを踏みました、だそうですテラワロス。

『And that’s, you know, a labor market that continues to be strong but, but gradually slowing. I mentioned that the inflation report was actually a little better than expected, but, you know, we’re, we’re going to be careful about taking too much signal from, from a single reading. And, you know, growth came in stronger than expected. So that’s how we look at it, and, and so we did take that step today.』

とまあそういうことで、今回の利上げの理由について聞かれるとSEPのドットチャートを持ち出すのですけれども、先行きの政策についてはドットチャートを引っ張って聞かれても「データディペンデントです(キリッ)」と言って誤魔化すという中々斬新(でもないけど)な使い分けをしておりまして、いやーなんちゅうかもうかなり訳分らんですなあ、というのは把握しました。

ということで虫干しネタにも程があるのにこんなにチンタラやっててどーするのと言われそうですが今朝は時間の関係でこの辺でご勘弁。






2023/08/10

お題「直近のタカハト高官発言を見ますと物価が無事に落ち着きながら経済はそんなにひどくならないがメインシナリオのようで」

ということで日銀の思わぬプレゼントによりましてまさかの日銀ネタ祭りが続きましてFEDは出た日だけだしECBに至っては今回の決定のネタすらやってないのですが、ここからFEDネタ成敗、ですがFOMC会見ネタの前に直近の地区連銀総裁の話を見るとですね・・・・・・・

〇フィラデルフィア連銀ハーカー総裁(投票権あり):そう簡単に緩和には転じませんとは言ってますが

https://www.philadelphiafed.org/the-economy/monetary-policy/230808-on-the-flight-path-to-the-soft-landing
On the Flight Path to the Soft Landing
Patrick T. Harker
by Patrick T. Harker President and Chief Executive Officer
08 Aug ’23
Philadelphia Business Journal’s State of the Economy | Philadelphia, PA

PDFバージョンの方が読むには読みやすいと思いますが引用はHTMLの方から
https://www.philadelphiafed.org/-/media/frbp/assets/institutional/speeches/harker/2023/08-08-23-philadelphia-business-journal.pdf
(URLがクソ長いのでどちらも途中の文字列まででハイパーリンク貼ってます)


題名の時点で「ソフトランディングするのかどうか」の話なのが分かりますし、そういう問題を設定しているという時点で、ここから更にガンガン利上げしまっせ、とはならないというのがまあ伝わる訳ですよ。でもってこちらの講演ですが、最初の挨拶のあたりをかっ飛ばしてお話に入りますと、

『Now, this year I sit as a voting member of the FOMC. At our meeting two weeks ago, I joined my colleagues on the Committee in voting to raise the policy rate another 25 basis points, to a range of 5-1/4 to 5-1/2 percent - the 11th policy rate increase in the span of 12 meetings. But you knew that. I bet what you want to know is what we are going to do next. Unfortunately, I do not know - it depends on what the data will tell us from now to our next meeting in September.』

我々が9月のFOMCでどうするか知りたいって???HAHAHA悪いなそれはデータ次第だ(超意訳)とのお告げです。この「データディペンデント」に関しても以前はそれなりに先行きのパスをもっているけど、一応「データでいペンデントであらかじめ決め打ちしている訳ではないよ」という意味で言ってた感は強かったのですが、最近のデータディペンデントってのはどっからどうみても「完全出たとこ勝負」な話にしか見えないんですよね。


つまりですね、それこそバーナンキの頃からすっかり皆が慣れてしまっている「フォワードコミットメント」に頭が(アタクシも含めて)世の中の皆さんすっかり染まってしまっているのですが、そもそも物価に関してもFEDはインフレ期待アンカーって言ってるけど、それこそ先日ネタにした展望レポート全文のBOX3に示されている米国の品目別価格上昇度に表れているように、もしかしたらインフレ期待のアンカーすら外れているかも知れない、みたいな経済物価を構成する基礎条件の所が変化している可能性もあるような状況において、DSGE的な「最後は長期均衡点に到達」の発想で先行きを決め打ちするのって宜しくない訳でして、その意味でたぶんFEDの中の人達ってガチのガチで構造変化とかの可能性も踏まえると決め打ちは出来ない、って考えて政策運営してるんじゃないかと思うの。

だから、9月の話ならともかく、あんまり先行きの話を決め打ちして一々金利がホイホイと上がったりホイホイと下がったりするのって、まあ市場だからそんなもんちゃあそんなもんなんですが、基本過剰反応でしょと思いますし、こんな時に市場の先行き政策織り込みとかを一々過大評価しない方がエエンチャウノと思うのですよね。まあマジのマジで出たとこ勝負だし、結局は物価が本当に落ち着くかどうかがメインでその要素として何がありますねんというのを見て行った方が良くて、まあそれについて一々分析するのも大変だからFEDの高官発言でも確認しておきますか、ってな感じで見ればエエンチャウノと。

などと言うアタクシのポエムはどうでもよいので先に参りますと、

『What I can tell you is where we stand now given past actions, what I expect to see in the data going forward, and whether I believe that we need to do more, or not.』

この先もっと利上げするかどうかについてはハーカーさんどうお考えで??

『Ten days ago, the latest PCE inflation report showed continued disinflation year over year on the headline measure and promise on the core measure. We are making progress against inflation. It has been slow progress, and I am watchful of any reemerging price pressures. We remain unwavering in our commitment to bring inflation back to target.』

先日でたPCEデータに言及していまして、こちらでヘッドラインのインフレが鈍化してきている事を評価しておりますな。ただし物価がまた伸びてこないように注意とか鈍化のペースが遅いですなあとの事でして、

『And this is indeed what I expect will happen. I expect core PCE inflation to decline to a rate perhaps just below 4 percent year over year by the end of 2023, before falling below 3 percent next year and leveling out at our 2 percent target in 2025.』

年末には4%割れ、来年には3%割れ、2025年にやっと2%になるとの見通しです。

『While this economy may not be hewing to traditional modeling and seems to bend some rules in one place and make up its own in another, it continues to move along. I forecast unemployment to tick up slightly and better align with the natural unemployment rate as labor tightness continues to ease. And when it comes to GDP, I expect the rate of growth to be slightly lower than what we have seen so far this year.』

まあ出たとこ勝負と言ってるのですから当たり前ちゃあ当たり前なのですが、ハーカー総裁はちゃんと「While this economy may not be hewing to traditional modeling」と言っている訳でして、最近ちったあマシになりかかっているものの、依然として過去の延長線上で足元の物価上昇はコストプッシュと言い続けているどこぞの中銀は爪の垢を煎じて飲んで頂きたい訳ですよ。

でまあ成長率に関しては年初の想定よりも下がりそうだと仰せでして、

『In sum, I expect only a modest slowdown in economic activity to go along with a slow but sure disinflation. In other words, I do see us on the flight path to the soft landing we all hope for and that has proved quite elusive in the past.』

ということで、ここで講演のお題の「the flight path to the soft landing」が出て来るわけですが、物価は徐々に下がっていくけど経済の方は「only a modest slowdown」で済むでしょうという見通しを披露しておりまして、その結果金融政策に関しては

『Now that you know what I expect, I can tell you what I believe: Absent any alarming new data between now and mid-September, I believe we may be at the point where we can be patient and hold rates steady and let the monetary policy actions we have taken do their work.』

もちろんこの後のデータ次第ではあるんだが、という前置きはありますが、今時点での見方であれば9月は別に利上げしないで様子見でエエンチャウノというお話をしております。

でまあこれで9月利上げ無しだぜヒャッハーと反応するのも気持ちは分かるんだがナイーブな話で、結局の所こんなの9月FOMCまでに物価がうっかり反転したり全然下がらなくなったりしたら話は全然変わる訳で、寧ろ物価のパスを想定して、それだったらFEDがどう反応するんでしょ、と考えていく方が本筋でネーノと思うのですが、とにかく市場は中銀がフォワードコミットメントやガイダンスを呉れる世界にすっかり慣れてしまってませんかね、とか思うし、それ言い出すと(全然FEDと関係ないですが)日銀に関してだって内田副総裁の先日の講演とかの「マイナス金利引き上げにはまだ距離がある」を本当はそこに括弧書きで(ただし今の見立てを前提にした場合)ってのがある筈なのにやたら過大に評価してマイナス金利解除はまだまだ先みたいな説明ばっかりしてる何とかストとかもそういう「中銀から貰うもの」に慣れすぎじゃないのかねーと思う次第。

まあ最近の米国って段々この「出たとこ勝負で結局は物価動向よ」というのが伝わってきた感もあって、そんな訳でCPIの方でどどーんと動く感じになるんでしょうかねとは思うのですけど。

すいませんまたしょうもないポエムを入れてしまいました。次参ります。

『I take my role seriously in achieving the Fed’s dual mandate of price stability and maximum employment. And I remain focused on seeing us achieve these goals to support our long-term economic success.』

まあこれはただのお題目なのでパスして

『Allow me to be clear about one thing, however. Should we be at that point where we can hold steady, we will need to be there for a while. The pandemic taught us to never say never, but I do not foresee any likely circumstance for an immediate easing of the policy rate.』

ということで、そりゃまあ見立てが2024年も物価は2%よりも結構上という話なんだからそうなるわなと思いますけど、そう簡単に引き締めを解除することはないよ、っていうのは釘を差しています。まあこれも物価が思いの外急速に落ち着いてきたら話は全然違ってくるんですけどね。

『Before the Committee meets again, we will have a slew of new economic data to consider, with another PCE report, one more employment report, and two CPI reports among them. And I will continue to talk and listen to people from throughout the Third District. Together, these will provide the guidance I will need in considering my ultimate stance heading into September’s Committee meeting.』

次回のFOMCまでにあと1回PCEがあって、2回CPIがありますよ、だからそれを見ていく必要があるし、経済のアネクドータルな部分に関しても皆さんのお話を聞いて行きたいですし、それによってどうするかを考えて行きますよ、ということでこの部分の話題を締めていまして、結局の所は出たとこ勝負に他ならないですわな、と思いました次第です。

『This slew of data is not just national in scope. I also closely consider what I see going on right here in the Philadelphia region. So, allow me to take a couple of minutes to share with you my more localized view.』

なお、こちらの講演の続きはフィラデルフィア連銀管内における経済の状況についてどう見ているのか、という話で産業別にああだこうだという話をしていて、それはそれで面白いので軽く目を通しておくのもよろしいかもしれませんですよ。まあ雑学知識が入るだけと言われるとぐうの音もでませんが。



〇リッチモンド連銀バーキン総裁:浅めのリセッションが来るんでネーノという見立てのようで

こちらは先週の講演で恐縮ですが。

https://www.richmondfed.org/press_room/speeches/thomas_i_barkin/2023/barkin_speech_20230803
Tom Barkin
Recession Revisited
Tom Barkin
Aug. 3, 2023
Tom Barkin
President, Federal Reserve Bank of Richmond
Montgomery County Chamber of Commerce
Warm Hearth Village
Blacksburg, Va.

リッチモンド連銀の場合総裁講演では必ず最初にまとめがあるので助かります。『Highlights:』って奴ですが。

『・This has been called the most predicted recession in memory. Forecasts keep getting pushed out. No one banished the business cycle, so those who keep predicting a recession will eventually be right. But most recessions come suddenly.』

オモロイ言い方ですなあ(別に皮肉ではなく)と思うのですが、今回来ると思われるリセッションはいつもの突如来るリセッションではなくて、今までの中で最も皆が「来る」と予想できるリセッションだよ、という言い方をしております。これつまり「皆が予測している景気後退なので全員が準備しているから景気後退でマクロ的に飛んでもない事になるようなもんじゃないよ」という話でして、

『・Some fear that the Fed’s commitment to reining in inflation will be that shock to the economy. To be sure, the Fed’s objective is not to cause a recession; it’s to reduce inflation, in line with our mandate.』

バーキンさんは基本的にガリガリの引き締めおじさんではない(ハーカーさんは引き締めおじさん)のでさっきのハーカーさんよりも政策対応に関する表現が明らかにマイルドになっていまして、FEDは高インフレ抑制するのはマンデートだけどそのためにリセッションを起こすのはマンデートじゃないわな、とゆうておりますので、

『・There is still a plausible story that inflation normalizes in short order and the economy dodges additional trauma. Certainly, last month’s inflation read was a good one and I hope it is a sign.』

インフレを短期的に抑制させようとして経済を壊してしまうという恐れがある、というストーリーには依然として説得力がありまっせ、と仰せなのでどっからどう見てもガリガリ引き締めおかわりというのには否定的ですな。でもって先月の物価のデータは中々結構な結果であったとこれまた評価していて、ソフトランディングのハーカーさんとは見立て的には温度差はあるけど、物価のデータについては同様に高評価しております。

『・As I talk to firms, I hear reasons to believe that - if a recession were to occur this time - it might be less severe.』

そもそもリセッションが来る場合において、の構文が仮定法過去になっている時点で仮定法な訳ですが、仮にリセッションが来るにしてもそれは従来のリセッションと比べれば全然シビアじゃないでしょう。という話をしておりますな。

でまあこちらのバーキンさん本文ですが、そんなに長くないのでまあ読んで味噌とは思いますが、各小見出しの結論部分だけ拾って回るという手抜きにも程がある読み方をしますと、

最初の小見出しが『The Recession Question』でして、その結論は、

『This has been called the most predicted recession in memory. Forecasts keep getting pushed out. For example, in a November 2022 Bloomberg economist survey, the median respondent expected a recession in the first quarter of this year. In January, that got pushed to the second quarter. In May, it was the third quarter.1 The Conference Board’s Leading Economic Index, historically a credible indicator, has been deteriorating and therefore predicting a recession, over each of the last 15 months.』

とまあさっきのハイライトにあったのをもうちょっと詳しく書いたバージョンになっておりますが、だいぶ前から予想されている景気後退という前代未聞の景気後退(なので大問題になる訳なかろう)という話になっていまして、

次の小見出しは『A Resilient Economy』でして、これはちょっと最初の所を読んでみますと、

『But a recession hasn’t happened, even though the Fed has raised rates 525 basis points over the last 17 months in an effort to fight inflation, which is now in the 4 percent range. GDP remains solid, growing 2.4 percent in the second quarter, in no small part thanks to the consumer. Higher-income consumers are still spending, and higher wages are supporting consumption, too. The labor market has also remained remarkably resilient, with the unemployment rate at a historically low 3.6 percent. We have added nearly 1.7 million jobs and 2 million people to the labor force thus far this year.』

こんだけ盛大に金融引き締めをしているのに、前々から予想されているリセッションが何故か起きてませんなあという話をして、じゃあなんでですねんということについてのバーキン総裁の見解はその次にあって、

『So, why haven’t we seen a recession? I think it’s because the pandemic is still with us - not the public health crisis, thankfully, but the economic dislocation it unleashed.』

その理由として「パンデミックによって引き起こされた経済のディスローケーションの解消がまだ終わっていないから」というのを提示しています。どういう話かというと、

『Businesses experienced severe shortages over the last few years. So, they tell me they are holding on to workers and investing in safety stock. More fundamentally, they are still seeing healthy demand from their customers, and working through order backlogs. And manufacturing and construction are seeing a boost from coming government investments in infrastructure and the like. If your business is healthy, why cut back?』

パンデミックによって生じた厳しい供給制約の経験から、企業セクターでは供給能力確保の動きがあって、これがパンデミック前よりも確保しておこうとなっているというのがあり、

『At the same time, consumers continue to spend, funded by excess savings accrued during the pandemic, elevated equity and housing wealth, and a robust jobs market. This year, the drop in gasoline prices has freed up additional spending capacity. In June, the Transportation Security Administration hit a new daily record for number of passengers screened. Barbie grossed $162 million in its first weekend. Taylor Swift is on a billion-dollar tour. Consumer spending is 68 percent of the economy and, while weaker, is still far from weak, as was shown in the most recent strong retail sales report.』

家計にはパンデミック時に積みあがった超過貯蓄があってこれが消費に回っている、ということで、これらの要因で金融引き締めを盛大にしてもリセッションにまだなっとらんのよ、という見立てですな。

『You might still ask: Well, how about now? Are we finally going to experience the recession everyone has been predicting? Well, we will someday. As I said up front, no one banished the business cycle, so those who keep predicting a recession will eventually be right.』

ゆうてこの状況が無限に続くわけではないのでやっぱりどこかの時点で景気後退になるでしょう、としてさっきのハイライトの所になるのですが、

『But most recessions come suddenly. Remember the pandemic or the global financial crisis. Unexpected shocks cause consumers and businesses to pull back in unison. For sure that could happen here; imagine, for example, a cyber shutdown. I’m not going to try to make a prediction on the unexpected.』

今回は別に何かのショックでリセッションになるわけじゃなくて、景気循環の中でやや底が深いとかそういう話になるだけでっせという話であって、そういう意味では別にバーキンさんと言えどもリセッション来るから利下げに転じろとかそういう話ではないというのが読み取れるんじゃないでしょうか。


でもって次の小見出しが『The Inflation Fight』でして、

『But I usually get the recession question these days due to a fear that the Fed’s commitment to reining in inflation will be that shock to the economy. Inflation remains too high. And if there is one thing we have relearned over the past two years, it is that inflation is painful, and everyone hates it. They hate the uncertainty. They hate that it feels unfair. And frankly they find it exhausting.』

『Our efforts to address inflation arguably have pushed several industries into mini-recessions already. Interest-sensitive sectors like housing and manufacturing have slowed. Commercial real estate (particularly office) is challenged. Banks have experienced turmoil. And those with lower incomes are trading down and slowing spending as their savings are drawn down.』

『Further slowing is almost surely on the horizon. A number of pandemic-era fiscal support programs are ending. Rate increases work with a lag; many models estimate their impact should start to really hit around now. In addition, as banks preserve liquidity and protect earnings by stepping back from marginal lending, credit conditions have tightened, reducing consumer and business spending capacity.』

ということで(段々手抜きになってすいません)物価が高いので引き締めは継続という話をしながら、別にここからガリガリ利上げする話でもないし、ゆうてリセッション来るから利下げみたいな話は皆無な訳でして、やっぱりインフレが思った以上の速度で落ち着いてくるという流れが無いとそう簡単に利下げの話にはならんのとチャイマスカと思うんですけどどうでしょうかねえ。


そして実質最後の小見出しが『Worth Watching: Will This Slowdown Be Different?』です。

『No one wants a recession, but it’s worth remembering that not all recessions are created equally. We’ve been scarred by our memories of the Great Recession and the Volcker Recession, but they were particularly long and deep.』

『As I talk to firms, I hear reasons to believe that - if a recession were to occur this time - it might be less severe.』

でもってこの先何でそんなにリセッションがシビアにならんと思うのか、の解説があるのですが、そちらの説明はさっき引用した「足元まででリセッションが起きていないのはアフターコロナに依然として残るディスローケーションによるもの」から敷衍した説明になっていまして、このディスローケーションが徐々に解消されていくので、それに伴い景気が減速していくっていうマイルドな調整が進むのではないか、ってな話になっています。若干ああだこうだ言ってまして、時間と量の関係もあるのですっ飛ばして結論部分まで飛ぶと、

『Finally, of course, there is still a plausible story that inflation normalizes in short order and the economy dodges additional trauma. There has been a lot of talk over the last few weeks about the potential for what is often called a “soft landing.” Certainly, last month’s inflation read was a good one and I hope it is a sign. To be sure, the Fed’s objective is not to cause a recession; it’s to reduce inflation, in line with our mandate. We learned in the ’70s that if you don’t get inflation under control, it comes back even stronger.』

『With that, let me say I certainly hope I will be back with you next year and that the economy will be resilient enough that I will have the opportunity to quote myself yet again!』

『And now let me open it up for your questions and input.』

てな話で、ベースとしてインフレが無事に落ち着いていく中で、短期的なインフレ抑制策を取らない(さっきのハイライトにあった部分でもありますな)というのがありますので、これ即ちバーキンさん追加利上げアカンの人なのが分かるな、と思いますです、はい。





2023/08/09

お題「6月会合議事要旨を見ると6月会合主な意見との差分が気になるんですけど・・・・・・・・・」

そろそろネタ切れシーズンに入りますが、なにせFEDもECBもすっ飛ばしてしまっているのでいい加減ちゃんと成敗しないと行けないなという所ですな。

などと言ってるけど今日も日銀なのですが。

〇6月会合議事要旨って6月会合主な意見と温度差がある気がするんですよねー

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2023/g230616.pdf
政策委員会 金融政策決定会合議事要旨
(2023年6月15、16日開催分)

先週水曜に出てた物件を何を今さらジローという感じですが、なにせ先週は臨時輪番とか内田副総裁金懇とかイベントがあったのでネタにする暇がなかったわけですよ。

でですね、これ見てて思ったのですが、「なんか主な意見と温度差違くね????」って話なので本日はそれを一席参ります。


・「主な意見」同士で比較すると明らかに「前回対比で話が飛んでる」のだが・・・・・・・・・・

昨日は7月会合主な意見をネタにしましたが、あれ見ますと元々からYCC(の長期ターゲット)を修正すべきと言ってた人(たぶん田村審議委員)と、中小企業の収益力が上がって来ることによって賃金上昇が定着するんだからそこまで待てという中村審議委員以外のヒラ審議委員の皆様が何をもって6月は全然政策修正の必要なしと言ってたのが豹変するのか、という事象に関しましてなんかよく分からんな、というのがお分かりになったかと思います。というか敢えて誰とは言いませんがどこぞの某何とかストの方が「他の人たちはただの置物か(置物とは言ってないけど言ってる趣旨はほぼそれ)」とかいう指摘してましたな。そらそうよ。

・・・・・・・でまあアタクシ昨日は主な意見同士で比較したの一応意味があって、今日のネタの布石だったりするんですよ(何時も出たとこ勝負の癖に珍しくもちゃんと構成を考えているので雪でも降るんじゃなかろうか)。

そんな訳なので、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230616.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2023 年 6 月 15、16 日開催分)1

も横に置いて読むという企画を今回は開催したいと思います。


・金融政策運営に関する意見の中で重要そうな意見が抜けている件についてがお題です

まあ要するにこの小見出しに尽きるんですけど、昨日も申し上げましたように、6月会合主な意見って物価に関しては強気のものが随分と出ているのに政策運営になると1人を除いて一転全然修正もしませんよモードになる、という内容でしたよね。

ということで、主な意見の『U.金融政策運営に関する意見』が議事要旨のどこにあるのかというのをパズルのように見ていく企画なのですw


・特に黒田時代の途中からは「主な意見」の継ぎはぎで「議事要旨」が完成していた節がありまして

最初の今の政策が適切云々はまあパスして3つ目以降の意見を見ますと、

『・企業の賃金・価格設定行動など、ようやく訪れた日本経済の変化の芽を、金融緩和を継続することで、大切に育てていくべきである。』(6月会合主な意見)

ってあるのは議事要旨10ページからはじまる『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の中の11p2〜4行辺りの

『このうち一人の委員は、企業の賃金・価格設定行動など、ようやく訪れた日本経済の変化の芽を、金融緩和を継続することで、大切に育てていくことが重要であると述べた。』(6月会合議事要旨)

って物件ですな、ってな調子で見ていくのですが、

『・本年の春季労使交渉では約 30 年振りの賃上げ率となっている。2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するためには、現在の金融緩和の継続を通じて、こうした賃上げのモメンタムを支え続けることが重要である。』(6月会合主な意見)

これは議事要旨では直上の続きになりますが、

『別の一人の委員も、本年の春季労使交渉では約 30 年振りの賃上げ率となっており、現在の金融緩和の継続を通じて、こうした賃上げのモメンタムを支え続けることが重要であるとの見解を示した。』(6月会合議事要旨)

とまあこんな感じですが、黒ちゃんの時はこの「主な意見」の継ぎはぎだけで記事要旨が完成していた感が非常に強かったのよ。つまりですね、主な意見のその次が、

『・中小企業の多くは、価格転嫁継続や輸出拡大等により、賃上げや投資への意欲を高めつつあり、これに水を差すような政策修正は時期尚早である。』(6月会合主な意見)

なんですけど、議事要旨もさっきの続きに流れるように、

『更に別の一人の委員は、中小企業の多くは、価格転嫁継続や輸出拡大等により、賃上げや投資への意欲を高めつつあり、これに水を差すような政策修正は時期尚早であるとの見方を示した。』(6月会合議事要旨)

って感じで、まあそういう進行になっているのが議事要旨なもんだから最近は議事要旨の注目度が下がってしまっていた訳ですよ。なおこの部分の最後は、

『もう一人の委員は、「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現の可能性が高まりつつあるとみているが、待つことのコストは大きくないため、金融緩和全体については当面継続すべきであると述べた。 』(6月会合議事要旨)

で締まっていますが、これは後程出てきます。


・物価と政策の部分に関してエライ出来上がりに差があるんですよ

主な意見の構成ではこの次が物価になっています。議事要旨にはもう一人の意見があるのですが、これに相当する主な意見はああとから出てきますのでそれは飛ばしまして、

6月会合主な意見では、物価と政策に関する部分はこの2つの意見が並んでいました。

『・物価の先行きの不確実性は高まっているが、中期的な下方リスクは依然大きいと考えられる。副作用に留意しつつ、金融緩和を続けることが適切である。』(6月会合主な意見)

『・拙速な政策転換によって目標達成の機会を逃すリスクは大きく、引き続き、粘り強く金融緩和を続けることが重要である。ただし、欧米のように、わが国も物価上昇の持続性を過小評価している可能性も否定できないため、十分に注意する必要がある。』(6月会合主な意見)

あと、物価に絡んでYCCの話をしているのが2つあったのでそれも引用します。

『・足もとの物価の強さによって中長期のインフレ予想に大きな変化が生じている証拠はないが、イールドカーブ・コントロールの運営との関係でも重要な要素であり、今後の展開に注目している。』(6月会合主な意見)

『・「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現の可能性が高まりつつあるが、金融緩和全体については、待つことのコストは大きくないため、当面継続すべきである。ただし、そのツールであるイールドカーブ・コントロールについては、将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きい。早い段階で、その扱いの見直しを検討すべきである。』(6月会合主な意見)

後ろ二つは主な意見の構成上ではおそらくYCCのパート扱いなんですけど、まあこれも物価絡みという感じで並べてみました。


ここで物価と政策に関する議事要旨の記述を見てみましょう。『先行きの金融政策運営の基本的な考え方について』の第2パラグラフになりまして、本文11ページ14行目から始まる部分になります。

『ある委員は、政策判断に際しては、足もとの物価上昇の性質を理解し、それが先行きの物価見通しにどのように影響するかを見極めたうえで、「2%を超えるインフレ率が持続してしまうリスク」と「緩和の修正によって2%実現の機会を逸してしまうリスク」を比較衡量することが重要であると述べた。』(6月会合議事要旨)

『この委員を含む何人かの委員は、長い目でみた物価の下振れリスクが依然大きいもとで、拙速な政策転換を行うことで目標達成の機会を逸してしまうリスクの方が大きいとの見方を示した。』(6月会合議事要旨)

これだけ言って置いて何で7月諸手を挙げて柔軟化という名前の修正に賛成してるんでしょうねえこの人達、というのは兎も角としまして、

『ただし、このうち一人の委員は、わが国も、欧米のように、物価上昇の持続性を過小評価している可能性も否定できないため、十分に注意する必要があると付け加えた。』(6月会合議事要旨)

とあるのがさっき主な意見を並べた4つのうち2番目の奴ですね。

『ある委員は、副作用に留意しつつ、金融緩和を継続することが適切であると述べた。』(6月会合議事要旨)

これが主な意見の4つのうち1番目にあたりますが、実は議事要旨では主な意見に無かった記述があるんですよ。

『この委員は、』から始まっているので、同じ意見の人の筈なんですが・・・・・・・・・・

『緩和継続が政府や経済界の取り組みとも相俟って賃金・物価の好循環につながれば、財・サービス・労働市場における価格機能の改善が見込まれるとしたうえで、こうした好循環が一定の期間内に見込まれるのであれば、金融市場の価格機能などに及ぼす副作用を考慮しても、効果の方が上回っていると判断されると述べた。』(6月会合議事要旨)

おいちょっと待て、何でこっち書かないんだよ主な意見に・・・・・・・・・・

『別のある委員も、一定の価格上昇が生じることで財市場における相対価格の調整を行いやすくし、マクロ経済全体としての市場機能を改善させる効果と、金融市場の機能に及ぼす副作用とを比較衡量していくことが重要であると指摘した。』(6月会合議事要旨)

えーっと、副作用論をネグれるという話でこういうのしてるんだったら主な意見に書いてくれよと思います。まあそれ以前の問題として、副作用論って足もとの話しよりも大事なのは「政策の継続によって資源配分の最適化が進まず、結果として経済の不均衡が拡大したり、経済の効率性向上が阻害される」というような中長期的な問題の方が本命なんですけどまあそれはさて置いて、この話だと全然副作用上等みたいな話をしているのねという感じです。

まあ副作用上等って言ってた人達が、何で「まだ起きていない副作用の事前対応」に諸手を挙げて賛成したのかというのは全く意味がわかりませんけどね!!!!!!!!!!!!!!

あとこの部分の議事要旨は、

『・この間、一人の委員は、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するためには、コストプッシュによる物価上昇ではなく、賃金上昇を伴う物価上昇が必要であるとの認識を示したうえで、今後賃上げの動きが強まり、物価上昇を上回る賃金上昇が実現することが望ましいと述べた。』(6月会合議事要旨)

とあるのですが、これはさっきかっ飛ばした主な意見の最初の部分にありますが、しかしここでまたしらっと割と重要なのに主な意見に出て無い意見がある。

『・これを受けて、別の一人の委員は、どの程度の賃金上昇であれば経済・物価全体としてバランスするのか考えておく必要があると指摘した。 』(6月会合議事要旨)

ちょwwwwwwおまwwwwwwww賃金の数値ターゲットかよテラバカスwwwwwwwwwwwwwww

とは思いましたが、賃金の数値ターゲットとかいう刺激的というかちょっと中銀としてネジが外れてないかというような意見は主な意見に何ででなかったんでちゅかねえ。


・YCC運営に関しても何か重要っぽい意見が主な意見の方では取り上げていないんですけど

議事要旨本文12ページの2行目から『長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について』というのが始まりますが、主な意見ではこんな意見が並んでいました。

『・イールドカーブの歪みの解消が進んだほか、市場機能に改善もみられており、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないと考える。』(6月会合主な意見)

『・市場の機能度をみると、国内の社債市場については、改善傾向にある。例えば、エネルギー関連企業の社債の取引利回りは低下傾向にあり、投資家需要の回復に伴い、起債環境も改善している。』(6月会合主な意見)

『・債券市場の機能度は、一頃に比べれば改善したが、水準としては依然低い状態にある。』(6月会合主な意見)

『・足もとの物価の強さによって中長期のインフレ予想に大きな変化が生じている証拠はないが、イールドカーブ・コントロールの運営との関係でも重要な要素であり、今後の展開に注目している。』(6月会合主な意見)

『・「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現の可能性が高まりつつあるが、金融緩和全体については、待つことのコストは大きくないため、当面継続すべきである。ただし、そのツールであるイールドカーブ・コントロールについては、将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きい。早い段階で、その扱いの見直しを検討すべきである。』(6月会合主な意見)

後半2つはさっきの再掲です。

さて、議事要旨の記述を見てみましょう。

『長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、委員は、金融市場調節上の様々な工夫により、金融市場調節方針に沿って、長期金利はゼロ%程度で推移しているとの認識で一致した。委員は、イールドカーブの歪みの解消が進んだことや市場機能がひと頃と比べて改善していることなどを踏まえると、イールドカーブ・コントロールの運用を現時点で見直す必要はないとの考えを共有した。』(6月会合議事要旨)

最初の人の意見は何と共有されていましたw

『この間、ある委員は、イールドカーブ・コントロールの運用にあたっては、出口観測が高まった際に金利が急上昇することを極力避ける必要があるとの見解を示した。』(6月会合議事要旨)

そのための激変緩和措置として7月の「敵軍の大攻勢を受ける前に陣地を50キロ後退させる」作戦ですねわかります・・・・・・・・・・ってオイコラ何で主な意見になんも記載が無いんだよ。

『また、別のある委員は、イールドカーブ・コントロールについては、将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きいため、早い段階で、その扱いの見直しを検討すべきであると述べた。』(6月会合議事要旨)

これは今並べた「主な意見」の4つ目ですね、前半は1パラの所で「後程出てきます」といったものに相当します。

『この委員を含む何人かの委員は、将来イールドカーブ・コントロールを見直す場合には、意図せぬ金融引き締め方向のアナウンスメント効果をもたらすリスクがある点には留意する必要があるとの見解を示した。』(6月会合議事要旨)

ちょっと待てお前ら何でそういう話をしてたのに「主な意見」は1人を除いて全くやる気無しみたいな書き方になってたんだよどうなってるんだこれ・・・・・・・・・・・・・・・・・

挙句に、

『一人の委員は、イールドカーブ・コントロールの枠組み自体による金利押し下げ効果と、大規模な国債買入れに伴う金利押し下げ効果(ストック効果)とは区別して考える必要があり、仮にイールドカーブ・コントロールを見直すとしても、オーバーシュート型コミットメントのもとで後者のストック効果は残り続けるという点はしっかりと説明していく必要があると述べた。』(6月会合議事要旨)

ちょwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwww何でお前らそういうの主な意見に出さんのじゃあああああ


という感じでして、何とも腑に落ちない6月会合議事要旨でございましたとさ、というのが本日の一席でありました。なお本日もショパンの事情で時間があんまりないので6月議事要旨ネタのキリのいい所でここにて勘弁して頂きとう存じます。







2023/08/08

お題「7月会合主な意見を鑑賞してみましょう」

なるほど金額ベースだとそうなるのか
https://www.agrinews.co.jp/news/index/174954
2023年8月6日
食料自給率、金額ベース58%に急落 輸入値上がり、国産価格低調 22年度

『生産額ベースの自給率の低下は2年連続。2年間で9ポイント下がり、50%台に落ち込んで過去最低となった。22年度に輸入した食料の量は前年度と同程度だった。だが、穀物や飼料、肥料、燃油などの国際価格が上昇。物流費の高騰や円安の影響もあり、輸入価格が総じて上がった。』

『一方、国産は価格転嫁が進まず、伸び悩んだとみられる。期間がやや異なるなど単純に比較できないが、農水省の統計によると、22年の農産物価格指数は20年を100として102・2。前年比1・4%上昇と小幅な値上がりにとどまる。』(上記URL先より、以下同様)

なおカロリーベースorzorz

『カロリーベースの自給率が40%を割り込むのは13年連続。原料の多くを輸入に頼る油脂類の消費は減ったが、前年に豊作だった小麦の10アール当たり収量が平年並みに減り、魚介類の生産量も減ったことが響いた。政府は30年度に食料自給率を生産額ベースで75%、カロリーベースで45%とする目標を掲げる。いずれも目標との差は大きく、達成は見通せない。』

そら円安穀物高資源高になったら誰得物価上昇になりますわな・・・・・・・・・・・


〇6月議事要旨ネタの前に7月会合主な意見を先にやらせていただきます

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230728.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2023 年 7 月 27、28 日開催分)

6月会合主な意見では物価の所が強気の話が多いのに政策は梃子でも動かんという意見が多かったのですが・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230616.pdf(6月主な意見)


・6月から7月にかけての間にそんなに賃上げ話に大きな変化ってありましたっけ??????

最初の『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』ですけど、ここって前回は意見が5個あったんですよ、でもってその中に2つ賃金に絡むコメントがあったんですけどね。

『・4月以降、家計のマインド指標が大きく改善している背景には、経済活動の正常化のほか、高水準の賃上げの実現もある。足もとの株価上昇による影響も含め、企業や家計の前向きな動きの後押しに繋がるか注目している。』(前回主な意見)

『・ 日本型職務給導入への取り組みや来年の賃上げ交渉に向けた状況等を確認するほか、価格転嫁、M&A・事業売却の動向、中小企業の輸出拡大等の企業の稼ぐ力強化の進捗を把握することで、物価上昇に負けない賃金上昇実現の蓋然性の高まりを見極めていく必要がある。』(前回主な意見)

となっていたのですが、じゃあ今回はと言いますと全体のコメントが6個になっていまして、しかもその中で賃金云々ネタに絡んでるのが5個あるんですよ。

『・海外経済は回復ペースが鈍化しているが、国内経済は企業や家計の景況感が改善傾向にあり、企業の設備投資は増加している。経営者からは人材確保のため賃上げが必要との声が多く聞かれ始めている。所得環境にも前向きな動きがみられている。』(今回主な意見)

『・単年度ではなく、将来にわたる賃上げを約束する企業が出てきている。人材の獲得、係留のためには、このような工夫・取り組みが必要な状況ということであり、経済の好循環を一段と進めるものと期待できる。』(今回主な意見)

『・付加価値を高めるための工夫と投資により賃上げ・値上げを実現しようとする企業と、低賃金・低付加価値・低価格路線で粘り抜こうとする企業への二極化がみられるが、前者が主流となっているとはまだいえない。』(今回主な意見)

『・賃金上昇を伴う形での物価上昇には距離があり、デフレマインド払拭の千載一遇のチャンスを手放さないためにも、経済・賃金構造の変革の状況をよく把握し、コロナ禍で借入金が増加した中小企業の投資意欲を削がぬよう慎重な情勢判断を行うことが必要である。』(今回主な意見)

『・中小企業の変革を後押しする事業承継等、経営リソース強化のための地域金融機関の伴走支援が重要である。また、成長期待に働き掛け、デフレマインドを変革するには、名目GDP成長とともに、物価以上に名目賃金が上昇する経済・賃金構造を実現していくことが重要である。』(今回主な意見)

ということで、まあ強弱両方の話がありますけど、6月会合から7月会合にかけての期間でそんなに賃金の情勢に大きな変化が起きましたっけってな話でして、寧ろその前の段階から、それこそ4月の支店長会議(だから4月会合前)の報告にだって(さくらレポート別冊出たのは少々後でしたが)地域企業における人材確保の動きやそのための賃金引き上げの話があったと思うのだが、何ですかねえこの壊れた蛍光灯みたいに突然この時期になって賃金の上昇ガーって言い出すの。せめてこれ6月会合でもっと議論されて然るべきだったんじゃないですかねえ。


・えーっとすいません「3つの過剰」って言葉もうお忘れで????????????

でまあ今ピックアップした経済の所で気になるのがありましてね。再掲しますと、

『・賃金上昇を伴う形での物価上昇には距離があり、デフレマインド払拭の千載一遇のチャンスを手放さないためにも、経済・賃金構造の変革の状況をよく把握し、コロナ禍で借入金が増加した中小企業の投資意欲を削がぬよう慎重な情勢判断を行うことが必要である。』(今回主な意見)

まあアレですよ、「千載一遇のチャンスを逃さないためにも」の辺りは良く分かるんですけれども、結論部分の「経済・賃金構造の変革の状況をよく把握し、コロナ禍で借入金が増加した中小企業の投資意欲を削がぬよう慎重な情勢判断を行うことが必要である。」っていうのがかなりのイミフでありまして、いや過大借り入れになっている企業が更に低金利だからって借入増やして投資するって話は、それこそ1990年台のバブル崩壊の時に散々言われていた「3つの過剰(なお若人向けにジジイが説明しますと「債務」「雇用」「設備」でしたよね、違ってたらゴメン)」を積み上げる事になるだけの話であって、成長につながる投資を促すためにすることってあるでしょと思いますし、クッソみたいにタダ同然の金利で借りれるからって企業体力を越えた安易な投資が広がることによって経済の非効率と将来の過剰の積み上がりを生むんじゃないの、という発想は無いのかね、と思いました。まあどこの誰だか知らんがちょっと違うんじゃないの、と思うのよね。


・地域金融機関の役割というの毎回話をするひといるんですよね

これも再掲ですけど。

『・中小企業の変革を後押しする事業承継等、経営リソース強化のための地域金融機関の伴走支援が重要である。また、成長期待に働き掛け、デフレマインドを変革するには、名目GDP成長とともに、物価以上に名目賃金が上昇する経済・賃金構造を実現していくことが重要である。』(今回主な意見)

『・企業の稼ぐ力強化の取り組みから成長期待が高まりつつある。地域経済を牽引する企業の資金需要を掘り起こし支える地域銀行の役割に注目している。』(前回主な意見)

毎度のようにこの話を出してくる人が居るんだが、じゃあ日銀は何をするのという話で、マイナス金利で金融機関の経営に悪影響与えておいてその口が言うのかと思ってしまいますわ。



さて経済の所はそんな感じにして次が物価。物価は前回もやたら上振れ意識が多かったわけですが・・・・・・・


・物価は強い人のトーンは一段高だが「今回はコストプッシュ」の念仏があちこちから聞こえるという状況

『(物価)』については前回がなんと意見10個だった訳ですが、今回は8個。前回の時点で威勢の良い見解が結構見られてるじゃん、というのは皆様もご案内の通りでしたが、


この辺が前回の威勢の良いご意見。

『・わが国の物価上昇は、引き続き海外要因が大きいが、消費者物価ではサービス価格の上昇ペースが目立つほか、GDPデフレーターも前年比2%に達するなど、国内要因が強まっている。』(前回主な意見)

『・原材料価格上昇は一服しているものの、企業の価格転嫁の動きは一段と強まっているほか、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復もあり、当面、物価上昇圧力の強い状況が続くと考えられる。』(前回主な意見)

『・消費者物価上昇率は、既往の輸入価格上昇の転嫁が一巡した後、年度後半には2%を下回るとみている。もっとも、企業の価格設定スタンスが積極化してきていることを踏まえると、想定より上振れる可能性もある。』(前回主な意見)

『・企業行動に明らかな変化がみられ、値上げ・賃上げが企業戦略に組み込まれてきているほか、基調的なインフレ率を示す各種指標も、軒並み2%を超えてきている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い。』(前回主な意見)

というのが6月会合の意見で、一番強いのこの中でラストに引用した人(実際の主な意見の中では後半あたり)になるかと思います。では今回はどうでしょうか威勢の良いのを並べてみますと、


『・今年度の物価見通しの上振れは、主として、輸入物価からのコスト・プッシュの影響が予想より長引いていることによるものだが、企業の賃金・価格設定行動に変化の兆しもみられており、物価面への影響を注視していく。ポイントは来年も賃上げが続くかどうかの見極めである。』(今回主な意見)

『・昨年来コスト・プッシュによる財中心の価格上昇が生じてきたが、今春の高水準のベア実現を機に、来年度以降の賃上げを検討する企業も増えており、賃上げとサービス価格の上昇が続く新たな局面が見込まれる。』(今回主な意見)

『・先行きの消費者物価は、労働需給の引き締まりを受けた賃上げに伴って企業の価格転嫁の動きが広がることで、上振れる可能性がある。』(今回主な意見)

『・足もとの企業の賃上げや価格転嫁は、30 年近く抑制されていたペントアップ的な側面を持つ現象であり、賃金や販売価格がこれまでにないペースで上昇を続ける可能性もある。』(今回主な意見)

という感じでして、まあ内容的には前回よりも威勢の良い人の威勢のよさは上がっているのですが、その一方で今回の主な意見では、威勢の良い人のカテゴリーに入れてみた(変化の兆しのコメントがあったから、これ内田副総裁のような気がします)のですが、その前段に「今年度の物価見通しの上振れは、主として、輸入物価からのコスト・プッシュの影響が予想より長引いていることによるものだが」とありますように、やたらと「今の物価上振れはコストプッシュ」の意見が出ているんですよね威勢の悪い方の意見では。

まあこれは先の物価情勢について足もとが自律的な物価上昇って認めちまうと2%達成という話になってしまってYCC柔軟化どころの話しじゃなくなってしまう、というのがあってこういう大本営発表になっているのだろうなーというのと、一方で賃金賃金と連呼しているのは、7月末の時点になったらもうそんなに新しい賃金ネタは年末近くになるまで出てこないもんだから賃金の上昇についての話をしてもOKOKというこれまた政策逆算的なアレを強く感じでそらそうよという味わいを感じました。

でまあこれが黒ちゃんの場合、およびついこの前までの黒ちゃんの生霊が乗り移っていたのではないか疑惑のある植田さん初期バージョンの場合ですと、政策逆算のアレは次から次へと屁理屈の対象を動かして政策を梃子でも変えない、というパティーンだったのですが、7月会合を機に黒ちゃんの生霊を振り払って本来の私たちが期待していた植田先生へとクラスチェンジというか植田先生が戻ってきた、という状況になった(のかどうかは正直まだ確信が持てないが一応植田さんは3か月でジャガーチェンジして元に戻ったと期待したいアタクシ)植田日銀の場合ですが、この説明があるから来年の賃金見るまで動かない、という風に考えるのはまあナイーブなお話だとアタクシは判断致します。

YCCというか長期ターゲット自体が完全に撤廃された場合は事前織り込みが可能になりますが、事実上の空文化とは言えプラマイ50が残っている状況(ちなみにYCCの80兆円だって明らかにお前絶対それいかねえだろという輪番減らしはしばらくしてからでしたからね)だし、遠いとは言え1%の連続無制限指値だってあるんだし、長期ターゲットを完全に撤廃するまでは「騙し討ち」が基本になるのでありまして、その意味で言ってしまえば、賃金に関しては確かに来年とかいう話になるにしたって、その前の物価の部分で「状況が変わりましガハハハハ」ということで政策なんて変えるの造作もないことなので、今時点での話で「距離がある」とか言ってるのをあんまり真に受けない方が吉であって、そんなことよりも物価動向をちゃんと分析した方が良いと思うの何とかストの皆さんは、とまた変なところで友達を無くすような砲撃を加える見境の無いアタクシでありました。


さて政策なんですけどね。


・何でこんなに君子豹変するんですかねえ・・・・・・・・・・

『U.金融政策運営に関する意見』である。前回は政策に関して12個、多角的レビューに関して3個あったのですが、今回は多角的レビュー無しで15個です。

でまあご案内のように前回は

『・ 2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するためには、コスト・プッシュによる物価上昇ではなく、賃金上昇を伴う物価上昇が必要である。』(前回主な意見)

これが何で政策なのか謎ですが、中村審議委員以外でこれ書いてたらどのツラ下げて今回賛成してるんだよという感じですし、

『・イールドカーブの歪みの解消が進んだほか、市場機能に改善もみられており、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないと考える。』(前回主な意見)

とか言ってた人はどのツラ下げて以下同文な訳ですよ。でまあご案内の通り前回って政策の所になると一部の田村審議委員じゃないかと思われる人を除いてまあ皆さん政策修正やるきナッシングな主な意見だったのでありますが・・・・・・・・・・・・

さて今回のに参ります。

『・今後も物価や予想物価上昇率の上振れ方向の動きが続く場合、金融緩和の効果が強まる一方、長期金利の上限を 0.5%の水準で厳格に抑えることで、債券市場の機能やその他の金融市場におけるボラティリティに影響が生じるおそれがある。』(今回主な意見)

『・先行きの物価見通しにおいて上下双方向のリスクがより大きくなっていることを踏まえると、それに対応できるようにイールドカーブ・コントロールの運用を柔軟化した方がよい。』(今回主な意見)

『・短期間で物価見通しが大幅に上振れるなど、経済・物価の不確実性がきわめて高い中、イールドカーブ・コントロールをより柔軟に運用していくことで、上下双方向のリスクに機動的に対応し、市場機能等にも配慮しながら、うまく緩和を続ける「備え」をするべきである。』(今回主な意見)

YCCの柔軟化に対して何でこんなに物分かりが良くなるんでしょうか。謎です。


しかしまあ何ですな、これは当然別の方なので並べてもアレなんですけど、

『・2%の物価安定の目標を早期に達成するためには、長期金利の低位安定を図ることが重要である。物価安定目標の達成確度が十分に高まるまでは、イールドカーブ・コントロールを柔軟化しつつ維持していく必要がある。』(今回主な意見)

という話もありまして、物価目標達成の確信度上がった時の備え、という意味合いも籠っている今回の柔軟化な訳ですよ。

そうなると金融政策の最初の方にある大本営(内田さんかなあ)の意見、

『・2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況には至っていない中で、マイナス金利政策の修正にはなお大きな距離があるし、イールドカーブ・コントロールの枠組みは、公表しているコミットメントに沿って、継続していく必要がある。』(今回主な意見)

に関しても「実現見通せそうになって来ました我ら日銀大勝利」という話になった途端に手のひらクルーになる訳で、先ほども申し上げましたが、手のひらクルーのリスクをちゃんと考えて情報発信を見ないといかんと思うの。福井の俊ちゃんなんて当座預金残高拡大して半年もしないうちに出口の地均しを盛大におっぱじめたんですから、まあそういうもんですよ。(なお当時のアタクシは「ちょっと時期尚早じゃネーノ」ということでそこはリフレ派とおなじ主張をしていたのが懐かしいですな)


でもってこの金融政策に関しては後半やたら強いのがしらっと入っていて、

『・「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現が、はっきりと視界に捉えられる状況になっていると考えており、出口までの間、円滑に金融緩和を継続していくため、イールドカーブ・コントロールの弾力化を進めるべきである。』(今回主な意見)

つええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!

ということで余りの強さにツエツエバエが飛んで来そうですが、でもまあYCCの柔軟化って要はこういうことでしょ、というのを思いっきりぶっこんでしまっているのですが、これ意見の中のほぼ真ん中あたりに入れているのがある種チャーミングで、つまり最後辺りに居れてしまうと思い切りめだってしまうリスクがあるので、真ん中あたりに混ぜ込んで置こうという編集テクニックだなあと思うのでした(ちなみにかつてはジンバブエ木内罵倒合戦部分が最後にあったりしましたように、見世物はケツに持って行くのが基本みたいなイメージがある)。


あと中村さんの反対意見、いやまあお気持ち自体は分かるんですけど、

『・現在の物価上昇は輸入インフレの域を出ておらず、多くの従業者が働く中小企業の賃上げモメンタム向上には、中小企業の「稼ぐ力」向上が重要である。イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化はそれを確認したうえで行う方が望ましい。』

いやまあ言いたい趣旨はわかるんですけど、そもそも「中小企業の稼ぐ力」を金融緩和で後押ししようというのが何か筋として違くないかという話で、別にシバキアゲをしろと言ってるわけではないのですが、それこそゼロゼロ融資をお貸し差し上げるような事をして「稼ぐ力」って伸びるのかよという話で、経済のダイナミズムの中で成長するところは成長して、成長しないところは傷の浅いうちに撤退する、というような動きをマイナス金利政策ってのは阻害してませんですかって話だし、隙あらば財政支出というのも同様に経済のダイナミズムを阻害していませんかねえ、と思うんだよなーーーーーー。まあこの点はご異論もあろうかとは存じますし、政治的に中々面と向かって言いにくいというのも分かるのではありますが。

という事で今朝はショパンの事情により時間が無いのでこれで勘弁。





2023/08/07

お題「展望レポート全文のBOXコーナーは物価上昇の構造的な可能性への指摘(今の所可能性扱い)ですな」

とりあえず雇用統計でドル高と米国金利高が反転してくれてこれは日銀もホッと一息という感じですわな。

〇展望レポート全文のコラムコーナーを鑑賞

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2307b.pdf
経済・物価情勢の展望
2023 年7月

こちらなんですけど、11ページから始まる「背景説明」が所謂「全文」にあたりまして、基本的見解は決定会合の決定事項ですが背景説明は背景説明ということでこれまた別途ということになります。

でまあこれを子細に見ていくとかいうのが真の達人への道なのですが、気力体力知力に欠けるので(特に最近クソ暑すぎて週末にこういうのを読む気力体力知力が厳しい)、本日は手抜き版として最後の「BOX」を鑑賞しましょう。


・経済に関しては海外経済の下振れリスクを多めに見ておる

一気にワープして本文40ページ、PDFだと42枚目になります(以下本文とPDFのページ割の関係は同じようになります)。

最初のボックスが『(BOX1)海外経済の回復ペースを巡る不確実性 』でして、経済に関しては「海外が下振れ」でみていますよ、って話なんですけど、これは裏を返せば国内に関しては「海外要因による外部ショックなかりせば自律的な成長軌道に乗っています」ってなもんでして、まあ海外はいつも懸念と言って置けば言い訳になるという便利なものですけれども、そうは言ってもお前大丈夫じゃんという流れになったら、あるいはなりそうなら今回のように手のひらクルー(お蔭でアタクシの手のひらもクルーしてしまって手首が痛いわw)となる余地があるんですよね。

では鑑賞。

『先行きの海外経済は、当面、回復ペースが鈍化した状態が続くものの、その後は徐々に持ち直していくとみられる。ただし、海外経済を巡る不確実性はきわめて高く、そのなかでも下方リスクが意識される状況が続いている。とりわけ、以下のような要因に注意が必要だと考えられる。』

ほうほう。

『第 1 に、物価動向と各国中央銀行の利上げを巡る不確実性が挙げられる。』

これについてはただまあ米国様がソフトランディング(うっかりしたらランディングもしないで気分よくお空を飛んだままかもしれないくらいの勢い)なのでまあ何ともかんともですが。

『海外経済の下押し圧力となってきた物価上昇の動きを確認すると、先進国・新興国のインフレ率は、エネルギー価格の下落や供給制約の緩和などを受けて、昨年後半をピークにはっきりと減速してきている(図表B1-1)。』

ほう。

『もっとも、その水準は先進国を中心になお高く、賃金上昇を介してインフレ率が高止まりすることへの警戒感が強い国・地域もみられる。』

賃金上昇を伴う物価上昇、というのは良いんですけどうまく止められるのか問題は日本にもあるんですよねー。わざと知らんぷりしてるけど。

『インフレ率の抑制に時間を要し、利上げが市場の想定以上に行われた場合、海外経済は下振れる可能性に留意が必要である。』

ってこれ他人事のように言ってるけど、そもそもインフレ率の抑制に時間を要している原因に日本のスーパー金融緩和によって出された過剰流動性が悪さしている可能性ってどうなのかね、と毎度思うのでありました。

『第 2 に、信用リスクの顕在化に伴い、金融仲介機能が低下する可能性にも注意を払う必要がある。』

ほほうこれですか。

『米欧では、昨年以降、銀行の貸出基準が、はっきりと厳格化している(図表 B1-2)。本年春に発生した米欧の一部金融機関の破綻が、貸出基準の厳格化を加速させる事態は回避されたものの、今後は、例えば米国の商業用不動産向けの貸出で懸念されているように、信用リスクの顕在化により、銀行部門のバランスシートの悪化を伴って一段の貸出基準の厳格化が誘発されるリスクがある。』

どうなんでしょうね。ある程度厳しくならんとインフレ抑制出来ないんとチャウの???

『第 3 に、IT関連需要の動向である。』

ほうほうほうほう。

『IT関連企業の在庫の動きをみると、なお高水準ながらも、最終需要に近い製品を中心に徐々に調整が進捗しつつあるとみられる(図表 B1-3)。この間、韓国・台湾におけるIT関連輸出は、下げ止まりつつある(図表 B1-4)。』

じゃあ問題ないじゃん、と思ったら、

『これらを踏まえると、先行きのIT関連需要は、徐々に在庫調整が進捗するもとで、下げ止まりから持ち直しに向かう可能性が高い。この点、企業からのヒアリングでも、本年後半からIT関連需要は徐々に持ち直していくとの声が聞かれている。』

だそうなんだが、

『ただし、既往のインフレや利上げの影響等により最終需要の弱さが継続した場合、そのペースが緩慢なものにとどまる可能性がある。』

あっそう。

『第 4 に、不動産市場や雇用・所得面の調整の長期化に伴い、中国経済の回復が遅れるリスクが
挙げられる。』

ということで4つ目はまあ普通に懸念のお話キタコレですな、まあ例によって当局が何とか誤魔化してくれることを期待するとかそういう感じでしょうけど。

『中国の不動産市場をみると(図表 B1-5)、政府の支援策もあって不動産業向け貸出には底入れの動きがみられており、ディベロッパーの資金繰り懸念はひと頃よりも和らいでいるものの、不動産着工はなお弱い動きが続いている。』

うむ。

『不動産業は、中国の経済活動に占める割合が高いため、その調整が長引く場合、中国経済を相応に下押しすると考えられる。』

しかし何で共産主義国家なのに本来共有されるべき生産手段の不動産が主力産業になるんですかねえ(何をいまさら)。

『また、労働市場では、経済再開後も若年失業の増加に歯止めがかかっていないなど(図表 B1-6)、調整圧力が残存していることが示唆される。この点、雇用・所得環境の改善に長めの時間を要するリスクにも留意が必要である。』

とまあそういう訳で、今回4つ並んでいるのですが、これ最後の中国はガチだと思うのですが、それ以外っていうのは「まあ何か大丈夫そうじゃネーノ」的なのが並んでいて、一応海外先行きのリスク要因に注意とはなっていますが、そこまでガリガリ心配する話なのかというと微妙な気がする物件に仕上がっていました。

あとこちらのもボックスには最後に

『このほか、ウクライナ情勢や米中対立の長期化に伴う影響なども意識する必要があり、当面は、以上で述べた下方リスクが顕在化することがないか、注視していく必要がある。』

ということですが、無事に進んだら寧ろ上方リスクじゃなかろうかって気もするのでした。


・「足もとの物価上昇はコストプッシュ」が本当の本当にそうなのか問題については案の定だが・・・・・・

次のボックスは『(BOX2)輸入物価上昇を起点としたコスト上昇圧力と消費者物価 』というものです。もう題名からお察し案件ですけれども。

『消費者物価(除く生鮮・エネルギー)の前年比は、上昇傾向をたどっている。財・サービス別にみると、食料品や日用品等を中心とした財の上昇が目立っており、既往の輸入物価上昇を起点とするコスト上昇圧力の転嫁が続いていることが窺える(図表 B2-1)。本BOXでは、こうしたコスト上昇圧力やそのもとでの企業の価格設定行動について、現状と先行きの論点を整理する。』

ということで、この点、今回の展望会合後の総裁会見にしろ、展望レポートについてご説明しましょうな内田副総裁の金懇でもそうなのですが、やたら「足もとの物価上昇はコストプッシュが殆ど」を強調しております。まあなんつーかお前は何を言ってるんだ感は強いのですが、ただこれって「いやーコストプッシュじゃなくて自律的な物価上昇の動きでしたテヘペロ」と言ってしまえば政策の掌を一気に引っくり返すことが出来るという仕組み。

いやだったら事前にもっと指摘しておけよと思うのですが、ゆうてやや遠いとは言えYCCやってる手前、以前ほどではなくてもやはり政策の事前織り込みダメ!ゼッタイ!なのですよね。

『コスト上昇圧力の現状について、まず、輸入物価を確認すると、国際商品市況がひと頃と比べて下落するもとで、前年比でマイナスに転化している(前掲図表 44)。こうした最上流のコスト上昇圧力の減衰の影響は、企業間(BtoB)取引において、サプライチェーンの川上から川下段階へ徐々に波及してきている。』

ほう。

『FD−ID指数をみると、川上段階の販売価格に相当する「ID指数(ステージ1〜2)」は、前年比でマイナスとなっている(前掲図表 45)。』

『この間、相対的に川下に位置する「ID指数(ステージ3〜4)」17でも、川上での動きの波及がみられている。』

ほうほうほう。

『より子細にみると、@2022 年後半にかけては、仕入コストの急上昇に対して価格転嫁が追い付いていなかったが、Aその後、仕入コストが低下に転じるなかにあっても、既往のコスト上昇の価格転嫁が続いており、販売価格は、横ばい圏内の動きとなっている(図表 B2-2)18。』

『こうした動きを受けて、対消費者(BtoC)取引を行う企業が直面する仕入コスト(中間投入コスト)の増勢も鈍化している(図表 B2-3)19。』

という話でして、

『以上のように、既往の輸入物価上昇を起点としたコスト上昇圧力の減衰は、サプライチェーンの各段階の取引を介して、ラグを伴いつつも徐々に対消費者段階の取引にも波及してきており、先行き、この面からの消費者物価への押し上げ圧力は、減衰していく蓋然性が高いと考えられる。』

だからと言ってコアCPIが今年度と来年度で1.5%ポイントも下がるのは図々しい見通しなのですが、この位下げておかないと2024年度のコアCPIの見通しが2%割れにならない、という何時もの鉛筆舐め舐めで、この23年度と24年度の間の落差って「コストプッシュが剥落するから」の一点張りで説明している訳で、これ即ちこの一点張りを解除するとさらに日銀の手のひらクルーなのですよね。

ということで、

『ただし、従来から指摘しているように、昨夏以降、販売価格を引き上げる動きが、これまで値上げに慎重だった業態や企業にも急速に広がってきた点には注意が必要である(図表B2-4)。』

本文の方は左が説明文、右がグラフ(以前は図表が別冊でしたが、図表のスケールの問題以外で言えば今の方式の方が参照しやすくて私は良いと思います)です。『』

『加えて、足もとでは、市場集中度が低くて企業間の競争が激しいことなどから、この間の価格上昇局面でさえ価格転嫁が抑制されてきた品目にも、値上げの動きが広がっている(図表 B2-5)。』

グラフの『図表B2-4:販売価格設定スタンスの変化』『図表B2-5:市場集中度と日用品価格』は面白い。

『こうした企業行動の変化の背景としては、@物価が上昇するもとでも、ペントアップ需要等にも支えられて最終需要が堅調であることや、』

ってのは一般論としてわかるのだが、「図表B2-5:市場集中度と日用品価格」って日用品にペントアップもへったくれもないだろとオモタ。

『A多くの企業がコスト上昇圧力に直面するもとで値上げを検討せざるをえない状況にあるなか、自社の価格転嫁について、競争上の観点からの難しさが緩和されていることが挙げられる20。』

でですね、ここで脚注20というのがあるのですが、

『20 今次局面における企業の価格設定行動の非線形的な変化については、2022 年 10 月展望レポートのBOX3や、日銀レビュー「短観からみた最近の企業の価格設定スタンス」(2022-J-17)も参照』

ということで、「企業の価格設定行動の非線形的な変化」というのが本文には書いてないけど脚注にはしらっと書いてあるのがチャーミング。

『今後、企業の価格設定スタンスがさらに前傾化し、価格転嫁が一段と長引いたり、強まったりすることがないか、引き続き注視していく必要がある。』

寧ろその方が物価目標達成するじゃんという感じですが、まあここはバリバリに物価が上がる話でした、というよりも手のひらクルーのために逆側に振っているという気もしますね。


・日銀の説明を敷衍すると欧米はインフレ期待のアンカーが外れて上方シフトしているように見えますな

最後のボックスは『(BOX3)今次局面における物価上昇の特徴とその背景:米欧との比較 』ということで、そういや総裁会見でも説明していた「日本はゼロインフレから期待が上がりながら推移し、欧米は2%の中長期インフレ期待がアンカーされる中で起きている物価上振れ」というお話の背景でもあります。

『消費者物価の前年比は、今次局面において、グローバルに上昇がみられている(図表 B3-1)。こうした状況も踏まえ、本BOXでは、米欧とわが国の物価上昇の相違点を整理する。』

ということで、

『まず、最近の物価上昇の特徴を子細に把握するため、消費者物価を構成する各品目の前年比の分布を確認すると、日米欧ともに、前年比で+5%を超えて大幅に上昇する品目が増えており、それらが物価指数全体の上昇を牽引している点は同様である。これは、刈込平均値など消費者物価のコア指標の多くが、各国・地域とも高水準で推移していることにも対応している。』

と来てからの「粘着的な価格が上がらない攻撃」が始まります。

『一方、分布をより細かくみると、わが国では、サービスを中心としたゼロ%近傍の「山」が、従来対比でかなり低くなったものの、引き続き存在している。これに対して、米欧では、財・サービスを問わず広範な品目の物価が上昇するもとで、「山」の頂上自体が明確に右方へシフトしている(図表 B3-2)。』

この『図表B3-2:CPIの品目別変動分布』って地味だけど中々役に立つグラフでして、例によってグラフを磔刑にするスキルがアタクシに無いので展望レポートの本文今回のこの44ページを見て頂戴という話になりますが・・・・・・・・・

2019年9月と2023年6月で比較しているのですが、米欧に関しては2019年9月の段階では「山」が(目の子で)だいたい2%に近い当たりにあったんですよね。でもって米欧に関しては特に米国は2023年6月は明らかに「山」が5%の所に来てしまっています。欧州に関してもこれまた「山」が右シフトして5%の所に来てしまっている訳ですよ。

この分布図、インフレ期待がブレているときに「山」が崩れてすそ野が広がってカオスになるという特徴があった筈なんですが、まあ一時的な価格ショックとかの時にそうなるって話ではあるのですけど、インフレが長引いてしまって欧米の期待インフレが2%どころの騒ぎじゃないという風になっている事の方が実はこの図表では大事だったりするのですな。

まあそれって欧米中銀にしてみれば「不都合な真実」にも程があるんですけど、一応今でも「中長期のインフレ期待はアンカーされている」って言い方をしていますけど、実態はこの有様なので、そうなるとそんなにホイホイと利下げ着手できますか、と思うに??????が付きますな。

ほんじゃらまあ我がジャパンはどうなっているのかというと、図表見て頂けると分かるように、現在は「0%ノルムの山が崩れてすそ野が広がっている」という状態なので、このあと2%の辺りに昭和新山の如くムクムクと山が出来て来るかどうか、ということなのでそれまでは緩和を継続しますお(それが今の規模の緩和である必要は全くないと思うんだがそれはさて置き)という屁理屈はそれなりに言ってることの筋が通っていて、珍タゲみたいな話をするよりもまだこの粘着的な価格の推移の話をした方が筋が良さそうですわなー、と思います。

『このように、米欧と異なり、わが国の品目別分布で「山」がシフトしていない背景としては、わが国の物価上昇は、輸入物価上昇を起点とするコスト上昇圧力によるところが大きく、その影響を受けにくい品目では上昇幅が限られることが挙げられる。』

『実際、消費者物価指数を構成する品目のうち、「コストに占める輸入比率が低い品目」では、物価の上昇ペースは相対的に緩やかとなっている(図表 B3-3@)。また、「コストに占める人件費比率が高い品目」においても、物価上昇は比較的緩やかとなっている(図表 B3-3A)。』

ほうほうそうですかそうですか。(図表の題名いちいち引用しないけどご覧になってくんなまし)

『これらの点は、国内で生み出される付加価値の価格を示し、輸入物価上昇の影響が控除されるGDPデフレーターの動きからも確認できる(図表B3-4)。』

と更に説明。

『GDPデフレーターを、実質GDP1単位当たりの労働コスト(ユニット・レーバー・コスト)と、同単位当たりの企業収益(ユニット・プロフィット)等に分解してその動きを確認すると、』

『@米国では、賃金の大幅上昇からユニット・レーバー・コストが急拡大して物価を押し上げているほか、』

『A欧州では、ユニット・プロフィットが大きめに拡大しており、企業が収益マージンを拡大する動きが物価を押し上げている。』

でたなグリードフレーション。さすが欧州クオリティ。

『一方、わが国では、米欧対比でGDPデフレーターの上昇幅はかなり限られており、ユニット・レーバー・コストやユニット・プロフィットの拡大は確認できない。このことは、わが国の物価上昇については、あくまで、輸入物価上昇を起点とするコストプッシュ圧力が背景にあることを示唆している。』

だそうですが・・・・・・・・・・・・

『もっとも、わが国において、過去の輸入物価上昇局面では、それに伴うコスト増を賃金や利益の抑制でカバーする動きを映じて、GDPデフレーターが低下する場面もみられたが、今次局面では、BOX2でも指摘した価格転嫁の進展から、GDPデフレーターは、横ばいないし緩やかな上昇となっている(図表 B3-5)。』

はい。

『このように、わが国企業の価格設定スタンスには過去とは異なる面がみられるほか、足もとでは、本年の春季労使交渉で確認されたように、賃金設定においても企業の前向きなスタンスが広がる方向にある21。』

キタコレ!!!

『先行き、こうした動きが物価動向にどのような影響を及ぼしていくか注視していく必要がある。』

ということですし、脚注21は『21 賃金と物価の連関性については、2023 年4月展望レポートのBOX2を参照。』となっていますし、まあコストプッシュだけじゃない可能性もあるよね、という話に前のボックスから必然的にそういう可能性の話になるのですが、まあそういう指摘があって、結局物価に関しては上振れの可能性しかもコストプッシュだけじゃないゾーというのがある、というまあ物価に関してはつぇえええええええという物件でございました。

ということで今朝はこれにて勘弁。







2023/08/04

お題「臨時輪番キタコレ(3日ぶり2回目)/内田副総裁千葉金懇会見より」

ああ・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB015NJ0R00C23A8000000/
輸入鶏肉、9カ月ぶり高値 ブラジルの鳥インフル波及
商品ニュース
2023年8月3日 17:26 (2023年8月3日 18:46更新) [会員限定記事]

本件は5月ごろから危惧されていた案件なんですよね実は
https://www.agrinews.co.jp/news/index/157890
2023年5月24日
ブラジルで野鳥が鳥インフル 鶏肉最大輸入先 農水省「感染状況を注視」


〇またも臨時輪番投下するも債券は別に戻らんわ円安に瞬間振れるわでこれは・・・・・・・・・

外国為替市場ちゃんニュースが出てきたので
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPL4N39K4NZ?il=0
2023年8月4日5:20 午前
NY外為市場=ドル4週ぶり高値から下落、英ポンドは利上げ後軟調

『[ニューヨーク 3日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが4週間ぶりの高値から下落した。雇用統計を明日に控え、この日発表された雇用関連指標の影響度が薄かったことや、国債利回りが上昇したものの短期ゾーンでは売り圧力が和らいだことが背景。』(上記URL先、以下同様)

なんかわかったようなわからんような理由になっていますが、そもそも昨日のドル円は東京の引けにかけて米国長期債は売られていたんですけどドル下げ気味に推移してたので、なんかポジションの調整なのかなとか思いながらみておりましたが、

『ドル/円 NY午後4時 142.54/142.57
始値 142.91
高値 143.00
安値 142.07』

ということでして、東京よりも円高ドル安で帰って来ましてこれは日銀もホッと一息の巻(ただし為替的にはであって金利的にはUST10年4.19%とかみたいなのでまた別問題)という所だと思うのですが、なんせ昨日はですね

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N39K190
2023年8月3日3:19 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落で引け、長期金利は一時9年半ぶり0.655%

『[東京 3日 ロイター] -

<15:07> 国債先物は大幅続落で引け、長期金利は一時9年半ぶり0.655%

国債先物中心限月9月限は前営業日比41銭安の146円32銭と大幅続落して取引を終えた。米金利上昇が逆風となったほか、日銀が金利の上昇をどこまで容認するか試すような売りも出た。新発10年国債利回り(長期金利)は一時、2014年1月以来9年半ぶり高水準0.655%まで上昇した後、同2.5bp上昇の0.650%で引けた。』(上記URL先より、以下同様)

って書いてあるんだけど、そんな試すような売りが出ているって感じはあんまりしないんですよね。そもそも10年0.5%ってのがこの経済物価情勢に対して適正なのか、って問題を考えたら0.5%じゃないでしょという話だし、もともと0.7-0.8くらいまでは上がって然るべきみたいな論調があった(まあその前にいったん0.6-0.7で止まることもあるでしょうけど)と思うのでして、しかも米国金利が上昇しているし、物価はまるっきり強い(MPMのどさくさに紛れてるけど7月東京都区部CPIって市場コンセンサスよりも強めに出ていたし)訳だし、株価だって年初よりも全然高いんだし、まさにファンダメンタルズを反映した金利上昇何じゃないかと思うのですが、そういうと目立たない何とかストが隙あらば日銀アタックいうもんだからニュースワイヤーもそれに乗ってしまうという風潮は正直甚だ遺憾に思います。

『国債先物は、前日の米国市場で長期金利が9カ月ぶりに4.1%台に上昇した軟調地合いが逆風となり、朝から売り優勢の展開が続いた。 日銀は午前の10年債対象の指し値オペに加えて、午後には「残存期間3─5年」、「同5─10年」対象の臨時の買いオペを通告。米金利上昇や物価連動国債入札が低調だったことで午後に入って勢いづいていた金利上昇はいったん勢いを弱めたが、終盤は再び0.650%をうかがう展開となった。』

ということで昨日は米国金利上昇を受けた金利上昇に加えて、2500億円ぽっちではあるのですが、10年物価連動国債という10年ゾーンの所にあたる入札が弱くて(引値ではそこそこ持ち直した格好になっていましたが)そのヘッジもあったのか10年0.655%マーク、となりやがったと思ったら13時に臨時輪番でありました。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230803.htm(臨時輪番の分だけ)
国債買入(残存期間3年超5年以下) 1,000 2023年8月4日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年8月4日

という訳で、
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年9月限
(これは東証注文受付時間が始まると今日の日中足が出るので早朝しか昨日のが確認できないけど)

の日中足を見ますと臨時輪番オファー直前の先物が146.38でしたが、輪番オファーされて切り返して13時30分ごろには145.53水準まで戻ってたのですが、この後時間外の米国債取引の方で米10年金利が4.14%だの4.15%だのみたいな事になってしまって結局円債アイヤーと下がって臨時輪番オファーよりも安い所で終了の巻。

でもって為替ちゃんの方がこれまた昨日は悲劇と言った感じでして、臨時輪番オファー前には143円25銭近辺にいたのですが、臨時輪番オファーの瞬間あんまり反応しないなーと思ってこれは日銀ラッキーと思ったらさにあらずで、壊れた蛍光灯のように一拍置いてからホイホイと円安ドル高が進行して143円60銭近辺になるわ、その後143円90銭近くまで行くわで、まあ昨日の場合は初期反応の143.25位→143.60位というのは輪番の反応として、その後は米国長期金利の影響とかもありそうなので何とも言えませんけど、危うく「臨時輪番やったのに金利が下がるでもない上にまた円安を加速させてしまった」という結果になるところでして、これは日銀も頭抱えたことでしょう、と思いました。


この後にネタにします内田副総裁の記者会見では、植田総裁の記者会見同様に「別に金利上昇を強力に止めるわけじゃないもんねただしバックストップは1%」という趣旨で一貫していましたし、先日の植田総裁の会見では誘導尋問に乗ってゲロったのかと思った「為替市場のボラティリティ」も内田さん堂々と会見で説明していましたので、あれもポロリでもなんでもない想定問答の世界というか共有されている認識ということはつまりは為替市場に過度なボラを出すようなのは良くないって話をしているんですから、臨時輪番とかましてや1%よりも手前での指値とか打ちにくくなったんじゃないでしょうかねえという感じです。だからと言って通常輪番増やしたら初回の時だけしかアナウンスメント効果が無いのに増額した輪番減らしに来ないから一段と市場の流動性なくなるだけで勘弁してほしいですが。

しかしまあ何ですな、結果的に月曜の臨時輪番って10年入札前に相場を持ち上げてしまった結果、新発10年を上で掴ませる格好になってしまって、市場に上の捕まりロングを残してしまった格好になっているし、まあ昨日の臨時は大して戻らなかったとはいえ、結局は中途半端なところに捕まりポジションを作ってしまう、という結果になってしまう訳で、だからせめて0.70%までは我慢して欲しいもんだと思うし、日銀がこうやってチョイチョイと変な介入をするもんだから、逆に落ち着きどころが全然定まってくれない訳ですよ。

そもそも経済物価情勢、特に物価情勢が劇的に改善していく中で0.25%強力指値に0.50%強力指値を都合1年以上やってて10年国債に関しては市場の価格発見機能を完全に破壊してしまった後の市場機能再構築を今やろうとしている段階なんで、最初のうちは落ち着きどころを見つけるまでガタガタすると思うのですが、それこそこういうのをできるだけ市場に委ねるようにしていかないと市場機能っていつまで経っても回復しないし、日銀の介入が所与みたいな脳になっているもんだから債券の何とかストとか「日銀の金利上昇抑制姿勢を確認」みたいな寝言を相変わらず言ってる向き多くて頭がクラクラするし(とあらぬ方向に砲撃を加えるのがワイのクオリティ)、まあもう少しドーンと構えて頂きたいもんだ、とまあ斯様に思うのですけどねえ。しかもいままでと違って執行部は市場機能の回復を今までよりはちったあちゃんとした感じで言ってる訳ですし・・・・・・・・・・・


〇内田副総裁記者会見

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230803a.pdf
内田副総裁記者会見
――2023年8月2日(水)午後2時から約40分
於 千葉市


・のっけから植田総裁会見で出ていた「為替市場のボラティリティ」発言が登場

最初の幹事社(金懇は地元紙が幹事社)による今日はどうでしたかところでご当地についてはどうですか質問の次の質問から。

『(問)先日の決定会合でのイールドカーブ・コントロールの修正についてお伺いします。今回の修正がですね、実体経済に与える影響についてどのようにお考えかというところをお伺いできればと思います。一定程度の金利上昇を認めるということは貸出金利の上昇とかですね、金融引き締めに繋がるという面もあるかなと思います。このあたりの影響をどうみてらっしゃるかというところをお伺いしたい。』

今の金利が多少上がった程度で金融引き締めとかいう物価が0%台の時から発想が変わっていない質問は勘弁して頂きたいですね。

『関連して、植田総裁が先日の会見で、上限の 1.0%まで上昇するってことは想定されてないとおっしゃっていました。この点についてですね、非常に高い上限を設けることでそのYCCのある意味の形骸化につながるのではないかという指摘があります。この修正後のYCCの意義について、どのようにお考えかという点も併せてお願いします。』

というのが後半の質問で、いやそらこんなの形骸化させていくいつもの日銀パターンですわなと思いますが、まあこっちの回答をどう回答するのか、というのは(植田総裁の会見で想像は付きますが)みものという感じですか。


『(答)今日の講演でも述べましたけれども、今回の柔軟化の趣旨というのは、経済・物価を巡る不確実性がきわめて高い中で上下双方向のリスクに機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を続けていくために行ったということです。』

へいへい。

『現時点で 2%の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないわけですから、当然この枠組みは維持しますし、それから今日、三つに分けて説明しましたが、マイナス金利の扱いというのはまだ先の話だというふうに思っています。そういう意味で出口を意識したものではないということでございます。』

「現時点で」の話しね。

『今、物価で上振れの動きが出てきているわけですけれども、今後も上振れ方向の動きが続いた場合に、昨年暮れに起きたような債券市場の機能、あるいは為替市場を含めて金融市場のボラティリティに影響を与える、こういったことが起きる恐れがありますので、この段階で予めそれを和らげていこうという趣旨で行ったものでありまして、重ねて言いますが、出口を意識したというようなものではないということでございます。』

と、ここまでが前半の質問ですが、ここで堂々の「為替市場を含めて金融市場のボラティリティに影響を与える」フレーズが炸裂していまして、もうこれは「金利を無理くり抑えることで円安にぶっ飛ぶのはもう嫌だ」と言ってるのに等しい訳でして、こうやって植田さん内田さんが発言する中、10年が0.60%、0.65%となったのを見て臨時輪番打ったら為替が円安にぶっ飛ぶ、というのをやってしまっているオペレーションのお立場やナムナムナムという感じではございますな、合掌。

しかもこれ円安ぶっ飛ぶと政策修正のおかわり請求への思惑が高まるから、臨時輪番入れて債券止めても円安が飛んでしまうと却って政策修正への思惑で債券売られやすくなるという諸葛孔明の罠みたいな展開になるので、まあ色々と大変ですなあ(鼻ホジホジ)というところではあります。


でもって後半部分ですが、

『二つ目のご質問、1%ですが、これは念のための上限キャップということで考えてセットしたものです。総裁が申し上げた通り、そこに向かって上がっていくということを想定しているわけではないというもので、あくまで念のためということでございます。そういう意味で、現状の経済・物価の情勢が大きく変わらないのであれば、金利が大きく上昇するということは想定していないということです。もちろん必要があれば、過度な上昇を抑えるということで今回の仕組みをとったわけですので、これが経済を抑えるようなものにつながるとは考えておりません。』

「現状の経済・物価の情勢が大きく変わらないのであれば」とゆうとる訳ですが、そもそも論として経済の方はともかく、物価の方は展望レポートの見通しだいぶ修正したとはいえ、2023年度の+2.5%ってコンセンサスビューのレンジの下限よりも多分下だし、その後の物価見通しだって、コアコア物価が2023年度から2024年度にかけて年度平均で1.5%ポイントも下がるとかいう結構無理のある設定になっていて、上方修正待ったなしという状態な訳で、実はこの日銀の説明が言ってる「現状の経済・物価の情勢」ってのは「展望レポート基本的見解に書いてある情勢」なのであって、物価の方が相変わらず現実よりも低めな訳ですから、普通に推移するだけでも「現状の経済・物価の情勢」は上振れする筈だし、物価上昇率が思いの外下がらなかったら更に上振れの巻になってしまう、というのがこの説明の偉大なるペテンな所です。


・為替にストレートな質問登場

次の人為替思いっきり聞いてまして、

『(問)先ほどの挨拶の中で、副総裁は金利の上限を 0.5%に厳格に抑えようとすると、為替市場を含めてほかの市場の変動に影響を与えたりするといったお話があったんですけれども、今回の政策修正の中で、この為替市場についてどの程度意識されたのかをまず伺えますでしょうか。』

『もう一点はですね、今回の政策修正に踏み切った後でも円相場が円安に振れていまして、一時 143 円台をつけております。円相場の動きをある程度予測されていたのか、受け止めをお聞かせ頂けますでしょうか。』

これはw

『(答)まず大前提として、日々の市場の動きにコメントすることは差し控えたいと思います。これはいつもそうです。そのうえで、今回の措置というのは、基本的には今後も物価面での上振れ方向の動きが続いた場合に起こり得る副作用を防ぐという趣旨で事前に行ったということですので、[昨年]12 月前後に起きたことを思い出して頂ければ、起きたことの一つは、債券市場を中心に機能に影響を及ぼした歪みその他、もう一つは、金利の市場で上限があることに伴って、為替市場を含めた金融市場のボラティリティに影響を与えてしまったということだろうと思います。』

『ですから、そういったことが起こらないようにしたという意味で、今回の措置において為替市場を含めた金融市場のボラティリティというのは重要な要素であったということになります。』

>今回の措置において為替市場を含めた金融市場のボラティリティというのは重要な要素であった
>今回の措置において為替市場を含めた金融市場のボラティリティというのは重要な要素であった
>今回の措置において為替市場を含めた金融市場のボラティリティというのは重要な要素であった

お、おぅ・・・・・・・・・・・・・・・

『そのうえで為替相場ですけれども、これもいつも申し上げていることですが重要なことなので繰り返しますが、為替相場については経済・金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することがきわめて重要だというふうに思っております。為替相場というのは経済・物価に対して大きな影響を及ぼす重要なファクターだというふうに思っています。引き続き政府とも緊密に連携しつつ、金融・為替市場の動向と、それがわが国経済・物価に及ぼす影響について十分注視していきたいというふうに思います。』

とまあそんな感じで、おもいっくそ為替対策ですよ、と表向きは為替対策とは言えないけど、ほぼそうじゃんという内容の話をしているのはすげえええええと思いましたが、まあそういう事なんでしょうね。


・物価が上振れてインフレ止められなくなるリスクに関して

『(問)物価についてお伺いさせてください。街中をみてもかなり飲食店も賑わっておりまして、レジャー施設もかなり賑わっておりまして、物価上昇に対する感覚的には個人の需要の強さっていうのを印象として感じているところですけれども、それゆえに企業も値上げに対して積極的に動かれているような印象を受けています。この間、議事要旨も 6 月分ですが、公開された中で政策委員の間でも 2%下回らないという意見も出てきています。そのうえでなんですけれども、物価上昇について消費者の需要要因が強まってきたというふうに考えていらっしゃるかどうかというところが一点目。』

小見出しは後半の質問をネタにしてますが、前半も良い指摘で日銀の今の説明だと足元の物価上昇はコストプッシュだよと言ってるけど本当にそれだけなのか???という話ですよね。

『それに関連してですね、物価が想定以上に上振れしている中で、金融政策の修正が遅れ、そしてインフレを抑えられなくなるリスクはないと考えていらっしゃるかどうか、この点について改めてお伺いさせてください。』

ということで回答ですが、

『(答)現在、物価は 3%を超えているわけで、3.3%というのが直近ですが、家計に大きな負担になっていることは十分に認識しています。』

というのを最初に回答するのが抜け目ないというか当然というか、これを植田さんももっと言えば某誰かさんが会見で突っかかるのももう少し平和裏になるんじゃないですかと思いますけどねwww

『特に上がっているものというのが食料品それから日用品、こういったものの価格上昇が大きいので、消費者の皆さんにとっては日々実感されているということかと思います。特に、これらの消費ウエイトが大きい相対的に所得の低い家計ほど影響が大きいという性質のものかと思います。実際、今日も挨拶で述べましたが、スーパー等では買い上げ点数を減らすとか低価格商品にシフトするといった生活防衛意識の強まりを示すような事案も出てきているということかと思います。』

こういう回答をちゃんとして行った方が良いと思うの。

『一方で、個人消費が比較的堅調である、着実に増加していることの背景には、この春の賃上げあるいはこの後の期待を含めてということになると思いますが、家計の所得が比較的安定している、あるいはこの後、強まっていくのではないかという期待があるわけです。この期待を崩さないようにしないといけませんから、私どもは来年も賃上げできるような環境を整えていきたいというふうに思います。』

だったらあんまり「物価は2%いかない」を連呼するのは如何なものかと思いますけどね。

『そういう意味で需要要因という意味で言えば、この辺が本当に強まってくるのか、つまり賃金と物価、その相対関係において個人消費が十分に持続的に増加していけるのかというところを注目してみていきたいというふうに思いますし、何よりも賃金が大事だなというふうに思っております。』

まあわかったようなわからんような言い方をして、「需要要因があるんじゃないか、というのは有耶無耶にしていますが、所得上昇への期待によるもの、というのは言及していますね。


でもって後半。

『それからリスクですけれども、今日も述べましたがリスクは常に上も下もある、それは当然なのですけれども、現時点においては下方向のリスクの方が大きいというふうに判断しているわけで、まだ、2%を実現できなくなってしまう、慌てて引き締めをすることによってですね、そのリスクの方が大きい。引き締めが遅れて 2%を超える状況が長く続いてしまうという上方向のリスクは、それに比べればまだそこまで大きくはないというふうに判断していますので、従って、そのリスクマネジメント・アプローチの考え方から言って、粘り強く金融緩和を続けていくべき局面に引き続きある、その中で企業が賃金を来年も上げられる環境を整えていきたいというふうに思います。』

まあこれは挨拶の方でもこの説明でしたのでこうなるんですけど、そうはいっても経済物価の先行き見通しの中では物価について上振れリスクをみているのですから、このリスクバランスの説明って経済物価情勢の見通しとの矛盾が発生しているんですよね。

でまあ従来であれば「インフレが想定以上に上振れした場合は金融引き締めで対処できるけれども、インフレが下振れた場合の対処は困難なので、そのバランスを考えたらインフレ下振れリスクへのシフトをした方が良い」という説明が出来た訳ですが、何せその説明、目の前で欧米が「金融引き締めで対処できる」に失敗してしまうという華麗なる事案を発生させているので、この「インフレが上振れても金融政策で対処すればよいので高圧経済アプローチ無問題理論」というのの説得力が無くなっている訳でして、その意味で植田先生がどうこの状況を説明するのか、というのをもっと突っ込んで聞いてみたいなと思うのでありました。



・情勢が変化すれば変化しますよというまあ本来当たり前の話

YCCの運営に関しては何度も質問があったのですが、角度が多少違えども趣旨は似たような感じなのでこちらをネタにしますね。

『(問)YCCの運用柔軟化の措置は現時点ではどの程度持続的なものと考えていらっしゃるのか、来年春闘とか物価・経済の情勢によってかなり変化し得るものだとは思うんですけれども、半年や 1 年など期間やその変化の兆しが変化と判断できる局面など何か具体的なイメージがあれば教えてください。』



『(答)私どもの政策は、そのときの経済・物価・金融の情勢を、MPMのサイクルで言えば年に 8 回みていきながらやっていくので、半年後 1 年後どうだろうっていうのを考えながら、もちろん考えながらやるんですけれども、何かスケジュールを持ちながらやるっていう性質のものではないんですね。』

つまり先の事は改めてその時の情勢で判断する、ということでしてそれがまさに、

『それが一つ金融政策というものが持つ機動性であり、特色なんだろうというふうに思います。そういう意味で何かある種のカレンダーを僕らが持ってやっているということはありません。』

っていう話になりまして、

『ただ、今回この対応をしたことに伴って、この後もちろん経済・物価の情勢が変わっていくことで対応が変わってくることはありますけれども、今の状況が大きく変わらないのであれば、金利が大きく上昇するということではないということですので、これは今の変更後の枠組みというのは、それなりにロバスト、堅牢であろうというふうには思っています。』

常にそうなんですけど「今の状況が大きく変わらないのであれば」というのを話のマクラに持って行っている訳ですし、状況が変われば対応が変わる、というのをチョイチョイ挟みながら、結論部分では「ロバスト」とか言っているのが内田さんの手堅い所で、状況が変われば変わるの方がメインに取られないような言い方をしながら、総ての説明において「これはあくまでも今時点の情勢を基にそう思っているだけですが」という逃げ口上がちゃんと入っているのがもうちゃっかりしてますなー、と思うのでありました。










2023/08/03

お題「内田副総裁千葉金懇ですが多分物価の説明の方が面白いんじゃないかと思う」

フィッチは米国ソブリンの格下げとかしている暇があったら世界有数の財政垂れ流しな上に、政治家が財源は国債でと言いながらドンドンと財政支出を垂れ流す話ばかりしている脳汁垂れ流し国家の格付けについて真剣に見直した方が良いと思います。

てな話はさておきまして、6月議事要旨も結構な味わいがあるのですが、本日はとりあえず内田副総裁の金懇を先に成敗しようと思います。

〇その前に昨日の全年限輪番(無事??に同額実行でした)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230802.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,250 2023年8月3日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,500 2023年8月3日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,750 2023年8月3日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2023年8月3日
国債買入(残存期間25年超) 1,000 2023年8月3日

ということで前回と同額でして増額しなかったのはホッとしましたけど、まあよく見てみれば5−10輪番の6750ってそもそも額が多いだろという話で、5−10を妙に止めようとすると他の年限とのバランスも悪くなるのでもうちょっとバランス取って欲しいのですが、何とかならんもんですかねえ・・・・・・・・・(柔軟化後だけに減額しにくいというのはあるので今すぐはムツカシイですけど居所が落ち着いたら減額していかないとこのゾーンの買入のバランスが悪い)。



〇内田副総裁金懇講演は政策の話も大事だが物価の話が見ものではないかとアタクシは思うのです

この金懇、内田さんが出て挨拶する、っての何か直前にアナウンスされたんですけど、まあ段取りから言って金懇自体の予定は前からある(そうじゃないと地元経済界の有力者に出てもらうためのロジというのが回らない)けど話す人に関しての調整があったとかそういうことなのかしら、などまあ色々と今回は不思議な現象が起きる7月会合のあとさきなんですよね。

正式にそうなのかどうかは知らんですけど、基本的に展望レポートが出た直後には総裁か副総裁の金懇あるいは講演(この前の内外情勢調査会みたいなパターン)が行われる、というのが仕様ですので、まあこの日の金懇自体は副総裁が出るって感じだったんでしょうけど、まあ何だったんでしょうね(単純に対外公表遅れてただけで式次第は最初から内田さんだったのかもしれませんけど)。


https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230802a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 千葉県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 内田 眞一

・経済の認識部分では最初は当然展望レポート通りの説明をしていますが・・・・・・・・

最初のあいさつの後『2.経済の現状と先行き』というのがあるのだが、これがまたエライ威勢の良い話をしておるわけですよ。

『はじめに、経済情勢です。わが国経済は、緩やかに回復しています。感染症下で抑制されてきた需要、いわゆるペントアップ需要が顕在化する中で、家計部門・企業部門のいずれにおきましても、経済活動は順調に改善しています。先行きも、当面はペントアップ需要に支えられる形で、またその後は、賃金の上昇や企業収益の増加を牽引役として、緩やかな回復を続けると予想しています。先週公表しました私どもの「展望レポート」では、今年度と来年度は+1%台の前半、2025 年度は+1%程度の成長を見込んでいます(図表1)』

まあここは展望レポートが出た直後で展望レポートから離れた話をする訳が無いので流しますが、ここからの個別項目の話で踏み込んでいる部分があるのよ。

『以下、家計部門、企業部門の順にご説明します。まず、個人消費は、新型コロナの感染症法上の位置付けの変更もあってペントアップ需要が顕在化しており、宿泊・飲食などサービス消費を中心に、緩やかなペースで着実に増加しています(図表2)。インバウンド需要の回復も、これら対面型サービス業の追い風になっています。』

ここまでは展望レポート基本的見解にもある話ですが、この次にしれっとこんな話が、


・個人消費の強さの背景の中でドサクサに紛れて賃金動向の見通しにエライ威勢の良い話をしているのだが

『個人消費が増加を続けている背景には、こうしたペントアップ需要に加えて、家計所得が改善していく、という期待の高まりもあります。』

!!!!!!!!!!!!!!!!

まあ思えばアタクシが小僧の頃は社会人になったら借金して車買ってヒャッハーというのはよくあるお話でして、そんな中自動車代を使用年数で割った挙句に維持費を考えたらこんなのスーパー贅沢品にもにも程があるとか言ってたデフレ脳のアタクシは守銭奴扱いされていた訳ですが、じゃあ何で借金するかというと所得改善の期待があったからに他ならなかったからですが、家計所得改善の期待が高まるのは実に良い事ではございます(なおワイの所得以下割愛)。

『今年の春季労使交渉では、ベースアップを含め、30 年振りの高い賃上げ率となりました(図表3)。年初くらいまでは、「大企業は賃上げできるとしても、地域の中小企業は厳しい」という声が多かったと思いますが、結果としては、「賃上げをしないと人材を採れない、あるいは流出する」として、企業規模によらず、賃上げが実現しました。』

まあ年寄りのいや何でもありません。

『背景には、言うまでもなく、厳しい人手不足があります。』

ふむふむ。

『この 10 年、「雇用者所得」は、前年比2〜3%程度の伸びを続けてきました(図表4)。』

ほうほう。

『内訳として、感染症拡大前は、「雇用者数の増加」が主導する形でしたが、コロナ禍を経てここ2年ほどは、女性や高齢者の追加的な労働供給余地が限られる中で、「賃金の上昇」が牽引する姿に変わってきていました。』

しかしこれって金融政策の効果じゃなくて単なる人口動態の問題なのではないかという説が大有りですな。まあ人口動態のせいでこうなっているのであれば、それって景気循環とは関係ない問題になるから、経済が余程コケ無い限りにおいて労働者不足問題はひたすら継続する、という話でもあるんですけどね。

『今春の賃上げは、昨年の物価上昇を反映している面はもちろんありますが、加えて、こうしたマクロ的な労働需給を背景としたものです。』

とぶっこんでいる以上、その結論は、

『来年以降も労働市場の基本的な構図は変わらないと思います。』

って話だから、

『このことは、企業にとっては人手不足の悩みが続くことを意味しますが、労働需給の面からみれば、賃金が上がりやすい環境が続くということです。』

という状況な訳でして、しかもこれが循環要因じゃなくて構造要因なんですから、「来年も賃金が上がるかどうか見極めないと継続的な賃金上昇とは言えません」とか何とか言ってるのって、まあそれはそういっておかないと出口だヒャッハーになってしまうから、一部の鉄砲玉には言わせるかもしれないけど、日銀の総意としては「1年だけだと安心できない」って言うって感じなんでしょうけれども、上記のような労働市場の構造的な要因を背景に賃金の動向について考えているのであれば、まあごくごく普通に経済が余程コケ無い限り賃金の上昇については行けるって踏んでる可能性の方が高いという話になりますわな。


・物価高の影響について述べて先行きのポイントを提示

でもってこの続き。

『一方で、個人消費には物価高の影響が表れており、例えば、スーパーなどからは、購入点数を減らすとか、低価格商品にシフトするといった、生活防衛的な動きが広がっているという声が聞かれています。その影響は食品や日用品などで顕著で、これらを含む「非耐久財」の消費は弱めとなっています(図表5左図)。』

そらそうよ。

『これまでのところは、物価高のもとでも、雇用や賃金情勢の改善傾向に支えられて、各種の消費マインド指標は改善しています(図表5右図)。先行きについては、これら賃金・物価・個人消費の3つのバランスがポイントであり、@同じく上振れている物価との対比で十分な賃金上昇が続くのか、Aそれが個人消費を持続的に支えていけるのか、Bそして来年以降の賃上げ定着につながっていくのか、よくみていきたいと思います。』

はい、ここ注目ですよ。


・足元までは財価格の上昇が大きな要因としていますが・・・・・・・・・・・・・

企業部門の話は展望レポートと総裁会見での説明で示された話から特段踏み込んでいる訳ではないので飛ばしまして(なお説明は丁寧なので一読は推奨します)次の『3.物価の現状と先行き』に参ります。

『次に、物価情勢です。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、直近の6月で 3.3%となっています(図表7)。内訳をみますと、食料品や日用品など、「財」の寄与が大きく、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が大きいことがわかります。』

しかしまあ思うのですが、財価格の上昇が主因でこんだけ見通し外すって何なのよというのがあって、これがサービス価格が予想以上の賃金上昇を反映して上昇した、とかいうのならまだ外した言い訳として分かるのですけれども、財価格って積み上げである程度読めないのかね、と思ってしまう訳ですが後の方で内田さんこれまたイイハナシダナーがあるので乞うご期待。

『この点、輸入物価は昨年半ば頃にピークアウトし、足もとでは前年比マイナスで推移していますので、これが一定のラグを伴って影響を及ぼすもとで、消費者物価の上昇率もプラス幅を縮小していくとみています。』

ほうほうそうですかそうですか(棒読み)。

『その後は、景気回復が続き、需給ギャップが改善していくことに加えて、企業の賃金・価格設定行動が変化し、賃金上昇率や人々の中長期的な予想物価上昇率が高まっていくことで、物価は再びプラス幅を緩やかに拡大していくと考えています。』

これは展望レポートの話になりますので流しますが、

『これを展望レポートの消費者物価の見通しでみますと、今年度に+2.5%となった後、2024 年度は+1.9%、2025 年度は+1.6%となる見通しです(図表8)。物価の先行きについては、海外の経済・物価動向や資源価格の動向に加え、企業の賃金・価格設定行動など、不確実性はきわめて高い状況です。2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現が見通せる状況には至っていないと考えています。』

どうでもよいんだが物価の「不確実性」って上振れなんだから寧ろ上振れして安定しない可能性の方があるんでネーノというイヤミったらしいツッコミの余地はあるのだがそれはさておきこの先が中々アレなのよ。


・物価上昇の背景は実は価格転嫁だけじゃないのではないかという可能性に言及キタコレ

『今回の展望レポートでは、今年度の物価見通しを4月時点から大きく上方改定しました。年度替わりの消費者物価のデータやミクロ情報が、これまでみていたよりも強いものであったことを受けたものですが、問題は、上振れの背景です。』

黒ちゃんの時にはこんな話は絶対しないで、他の上がっていないものを持ち出して、「コアコア物価がまだ弱い」「賃金が上がっていない」「物価指数を構成する中で粘着的な品目が上がっていない」「賃金が”継続的に”上がっていない」などと別の話に持ち込むのを仕様としていた訳で、このPDCAサイクルの復活は実に素晴らしい事ではないかと思います、ってやるのが普通でそういうのを全部誤魔化していた黒田日銀がクソオブクソだっただけの話ですが。

『元々の見通しでは、「コストプッシュによる「財」中心の物価上昇がいったん終息した後に、企業の賃金・価格設定行動が徐々に変化していき、賃金上昇とともに「サービス価格」が上昇する形で、再び物価が上昇していく」という姿を想定していました。』

ほうほう。

『足もとの物価の上振れは、前者のコストプッシュの影響が予想より長引いているということなのか、それとも、後者の賃金・価格設定行動の変化が思っていたより早めに表れたということなのか、という問題は、非常に大事な、しかし判断が難しい問題です。』

キターーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

ということでですね、メインの説明では「コストプッシュが一巡すると物価の伸び率は下がるんですよ」は変わっていないのですが、既に現時点で「そうじゃないかもしれない可能性があるよね」という話をしている訳で、いやまあそんなのちゃんと考える方が当然なのですが、何せ黒田日銀は現実に目を背けて大本営発表を繰り返しておりましたので、これは本来の植田先生イズムが戻って来たのではないかと大変に喜ばしい傾向ではないか、とまあ思う訳ですよあたしゃ。

『先ほど申し上げた通り、今のところ、物価上振れの主因は「財」です。また、「サービス価格」のうちで上昇が目立つのも、外食や住宅リフォームのように輸入原材料を利用しているものです(図表9)。これらは、前者の仮説、すなわち、これまでの輸入物価上昇の規模や範囲が大きかったことから、価格転嫁が過去の経験則よりも長く、大きくなっている、という見方に適合します。』

はい。

『一方で、予想を上回った春季労使交渉の結果やアルバイト時給の上昇などを受けて、企業が将来の賃上げの可能性も踏まえた価格設定を考えはじめたというのも、十分にありうる企業戦略のように思えます。』

おーーーーーーーー!!!

『また、ひと口に「財」と言っても、物流過程や小売りの現場など、消費者の手に渡るまでには人手を要するため、賃金上昇の影響を受ける部分があります。』

なるほど。

『これらの点は、予想よりも早く企業行動が変わってきたという仮説を支えるものと言えます。』

ほらほらほらこんな話をしているんですよ〜。ということでですね、


・「変曲点の判断は難しいが見極める」キタコレ!!!!!!!

『当然のことながら、どちらかの仮説が 100%正しいということはなく、答えはその中間にあるのでしょうが、現時点では、企業の賃金・価格設定行動に「変化の兆し」が出てきている、というのが私の判断です。』

中途半端ですな、と思ったら直後に、

『中途半端に聞こえるかもしれませんが、』

と仰せになってて流石内田さんやと思いましたが、

『「デフレ期に定着した企業行動の変化」という大きな変曲点を捉えようとしているのですから、ミクロ・マクロの情報を精査し、慎重に判断していかなければなりません。特にこういう変化の時こそ、本日のように企業の皆様の声を直接お聞きするなど、本支店を通じたミクロの調査が重要だと思っております。』

おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!

いやあのさくらレポート4月号別冊とか出てた後は全然そんなニュアンスの話を植田総裁してなかったじゃんという感じで、まあその辺り未だにちょっとアタクシ的には引っ掛かるところはあるのですが、しかし今回の内田副総裁の物価に関する説明って、従来のひたすら上がらん連呼からみたら結構踏み込んでいる(展望レポートも長々とネタにしたように物価に関してはかなり上振れの可能性に関する言及が多くなっていましたし)内容に進化しておりまして、しかも植田総裁の政策に関する説明って基本物価で勝負している訳ですから、これは即ち「現時点での物価の評価で言えば政策はこうです」というのは「物価の環境に変化があれば話は別ですぴょーん」という話になる訳でして、まあそういう意味からして、以下の部分の「政策運営」の話は「あくまでも現時点でのメインの見方が同じだった場合」の話であって、「変曲点がやってきた」となるとそんな話は全部反故になってしまいますので、そういう意味で先行き政策運営に関する話をフォワードコミットメントと思うのは大いなる勘違い、ということだと思うのですよね。

あ、まあもうちょっとストレートに言うと、「マイナス金利解除まで距離がある」と内田さんが言ってるからマイナス金利解除はずっと先、と解釈するのはナイーブにも程がある、という事ね(^^)。あくまでも内田さんの言ってるのは「現在のメイン見通しがその通りに続くとした場合」にそうなるというだけの話ですよ。




では『4.日本銀行の金融政策運営』ですが、ここでは従来の説明から踏み込んだらそらエライコッチャになるので、踏み込んではいない訳ですけれども、まあ整理は綺麗に行われているので鑑賞しましょう。


・リスクマネジメントアプローチも状況が変われば判断が変わるという布石が撒かれている気がするのは気のせいですかねえ

『(金融政策の基本的な考え方)』ですが、例のリスクマネジメントアプローチという植田総裁が大好きなのがありますね。

『金融政策運営におけるオーソドックスな考え方は、「リスクマネジメント・アプローチ」、すなわち上下双方向のリスクとそれが起こった場合のコストを比較衡量しながら政策を運営する、というものです。このアプローチに沿って考えますと、現状では、「引き締めが遅れて、2%を超えるインフレ率が持続してしまう」という「上方向」のリスクよりも、「拙速な緩和の修正によって、2%を実現する機会を逸してしまう」という「下方向」のリスクの方が大きいと考えています。』

内外情勢で植田さんの言ってた理屈なんですが、植田さんの時は「現状では」の部分「これをわが国の現状に引き直しますと」となっていたのですが、これを英文(参考資料)で見ますと、

内田さん

『With this approach in mind, the Bank assesses that the downside risk of missing a chance to achieve the 2 percent target due to a hasty revision to monetary easing currently outweighs the upside risk of the inflation rate continuing to exceed 2 percent if monetary tightening falls behind the curve』

でして、植田さんの内外情勢調査会講演の英文(参考資料)版だと、

『Applying this to the current situation in Japan, the cost of impeding the nascent developments toward achieving the 2 percent price stability target, which are finally in sight, by making hasty policy changes would likely be extremely high. While there is an opposite risk that inflation will remain above 2 percent if a change in policy falls behind the curve, the cost of waiting for underlying inflation to rise until it can be judged that 2 percent inflation has fully taken hold is not as large as the cost of making hasty policy changes. 』(5/19植田総裁講演の英文バージョンより)

「the current situation in Japan」と言ってたのが「the Bank assesses that」になっていまして、ニュアンスとしてはこれもしれっと弱くなっているように私には見えた(植田さんのは客観的な言い方っぽいけど内田さんは「今時点での日銀の見方では」という感じになっているんじゃないかなと)のですが、願望込みで細かく見過ぎという説はあるので、まあ話半分で読んでくださいですけど、あたしゃそんなことを思いました。


・政策手段を分けた形で説明するのは植田さんの説明とは違いますな(先月頭の日経インタビューと概ね同じですが)

ちょいと飛ばしまして『(「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の継続と運用)』を見ますが、政策金利とYCCの枠組みとYCCの中の運用、ということで明快に分けていますのでこの理屈は鑑賞しておきましょう。実は先月頭の日経インタビュー記事をより詳しく説明したもの、という感じなのですがそもそもあの日経インタビュー課金してないと全文読めないので丁度良かったわ。

『まず第1に、短期政策金利ですが、この部分は、日本銀行が自ら決めて、完全にコントロールすることができます。将来仮にマイナス金利を解除して例えばゼロ金利にする、ということになれば、この短期政策金利を、0.1%分だけ「引き上げる」ことを意味します。その決断は、「実体経済面で需要を抑制することで、物価の上昇を防ぐことが適当」と判断するということです。先ほどご説明した「リスクマネジメント・アプローチ」の考え方から言えば、−0.1%のマイナス金利を維持することで、「引き締めが遅れて、2%を超えるインフレ率が持続してしまうリスク」の方を、より心配する状況になるということです。現在の経済・物価情勢からみますと、そうした判断に至るまでにはまだ大きな距離があると思います。』

だそうなのですが、この説明にはペテンがあって、そもそも論として-0.1%でも0%でも物価が2%で経済が潜在成長率を上回って推移しているんだったら、どっちも超絶緩和的なのであって、いざ利上げする段になると間違いなくその理屈を繰り出してくることになりますな。そもそも-0.1%を0%に引き上げて需要が抑制されるくらいの引き締め効果があるんだったらYCCのレンジ拡大するなよって話な訳ですから、こんなの本気で内田さんが思ってる訳ないじゃないですかヤダーという所ですね。

『第2に、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みについては、対外公表文において「(2%の)「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」継続すると約束しています。現在、まだ2%の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていませんので、この基準に沿って、この枠組みを継続していきます。』

見通せる状況になったら撤廃するそうです(^^)。というのはさておきまして、既に形骸化するという新手の技を繰り出しているのですけどね。

『そのうえで、第3に、この長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の枠組みの中での運用については、「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するか」という観点から、効果と副作用のバランスを取って行ってきました。』

効果と副作用のバランス取ってたら何であんなこの世のものとも思えない買入に共担オペ乱発したんだよwwwwwww

とまあそんな整理になっています。


・上方向のリスクに対応して修正した以上は・・・・・・・・・・・・

その後ですけどね、

『どのような政策も、効果があれば必ずコストも存在し、フリーランチはありません。これだけ大規模な金融緩和を行っているわけですから、緩和効果を発揮している反面として、金融機関の収益や金融仲介機能に影響を与えていますし、金利をコントロールしている以上、市場機能への影響は不可避です(図表 11)。そして、この効果と副作用のバランスは、状況によって、とりわけ「人々や市場が考える先行きの物価上昇率(予想物価上昇率)」によって、変化します。』

これも植田総裁の会見で説明がありましたが以下鑑賞。

『このあと詳しくご説明しますが、予想物価上昇率が高まると、緩和効果が高まる一方で、副作用も大きくなるため、これをうまく調整していくことが必要になるのです。』

以下延々と昨年12月の時の背景説明をしていますがめんどくさいから全部飛ばしまして、

『その後半年余りが経過し先週の決定会合では、この間の情勢変化を受けて、イールドカーブ・コントロールの運用を更に柔軟に行うことを決定しました。』

『具体的には、「±0.5%程度」という変動幅はそのままにしたうえで、この変動幅の位置付けを「目途」とし、市場の状況によっては、この範囲を超えて動くこともありうることとしました。ただし、1.0%では、そのレートで無制限の国債買入れを行う「連続指値オペ」を実施することで金利上昇を厳格に抑制することとします。また、0.5%から 1.0%の間では、長期金利の水準や変化のスピード等に応じて、国債の買入れ額を増やしたり、連続ではない指値オペや共通担保資金供給オペを機動的に実施したりすることで、過度な金利上昇を抑制していきます(図表 13)。』

ということで更に説明があるのですがクソ長いので割愛しましていきなり今回決定の背景の話に飛びますと、

『見直しのタイミングとしては、もちろん、ギリギリまで粘るほど緩和効果を引き出せる一方で、問題が生じてから事態を収束させる方が難しいですから、その判断は状況次第です。』

『昨年 12 月に一度見直しを行っている経験が日本銀行、債券市場の双方にある中で、「問題が生じれば日本銀行はいずれ対応するだろう」と予見されていることも踏まえますと、今回はこのタイミングが適切であると判断しました。』


これ問題ってのは副作用の話ですが、つまりは「追い込まれる前に自分から戦線を後退させた」って話なので、即ち経済物価情勢がさらに改善して1%でも金利が低いわ、というファンメタの状況になるんだったら、その前に先んじてなんかの退却を行う、といってるようなもんですよね。

『以上をまとめますと、今回の運用の柔軟化は、内外の経済・物価を巡る不確実性がきわめて高い中、上下双方向のリスクに機動的に対応しながら、粘り強く金融緩和を続けていくことを狙いとするものです。当然、出口を意識したものではありません。』

という定義ですが、物価の上方向のリスクに関して警戒を強めているのですから、上方向のリスク(イイハナシなんだが)が顕在化した場合には出口なり何なりを意識する、ってことになりますよね、ってなもんです。


・まああくまでもメインシナリオ通りならということで読まないとね

んな訳でこの部分のまとめは、

『この点をはっきりさせるために、今回、3つの論点に分けてご説明してきました。「出口」ということに明確な定義があるわけではありませんが、少なくとも、「目標の実現」との関係で議論されるということでしょう。それは、第1や第2の論点、すなわち、マイナス金利政策の扱いや「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みをどうするか、という判断に関わる論点です。2%の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない中で、これらにはまだ大きな距離があると思っています。』

『一方で、第3の論点である、「イールドカーブ・コントロールの枠組みの中での運用」は、この枠組みの性質上、緩和を継続するうえで、どうしても調整しながらやっていくしかないのですから、これらとは別の問題です。今は粘り強く金融緩和を続けることが一番大切であり、これをうまく続けるための柔軟化です。』

ということですので、つまりは経済物価状況が上振れたら「柔軟化のおかわり」ってどうやるんだよという説はありますが、まあおかわりをするとかいうことになるのか、普通にもう一発踏み込んで目標達成ヒャッハーとなるのかはわかりませんが、すくなくとも「柔軟化のおかわり」についてはそんなに抵抗がないというのが「現時点でも」見て取れますね。


とまあそんな訳で。








2023/08/02

お題「今日の定例輪番で上げ下げあるのか問題/植田総裁記者会見(その2)」

あらあらまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/currencies
USD
1 USD = 143.3400 JPY

これは神田財務官も(略)

〇今日は初の主要全年限輪番がありますが

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N39I1ME
2023年8月1日3:25 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発で引け、長期金利0.595% 日銀会合後の売り小休止

『[東京 1日 ロイター] -

<15:07> 国債先物は反発で引け、長期金利0.595% 日銀会合後の売り小休止

国債先物中心限月9月限は前営業日比25銭高の147円05銭と反発して取引を終えた。日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化を受けた国債売りが小休止した。現物市場の新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)低下の0.595%。』

『日銀によるYCCの運用柔軟化で長期金利の変動許容幅上限の事実上の引き上げを受けて前日まで売りが強まっていたが、きょうは一服感が出た。ただ財務省が実施した10年利付国債入札が弱めの結果となったことから、国債先物は午後の取引で一時マイナス圏に沈む場面があった。』(上記URL先より、以下同様)

まあ売り小休止っつーかそもそも投げるほどロングがあったのか問題があって、それに加えて月曜の臨時輪番でドッチラケになってしまった面もこれあり、という感じだし、ついでに今日初の主要全年限輪番があるのに売り込みにくいとか色々あるんでしょうな、よー知らんけど。

とは言いましても後ろの方はアレでして、元々YCC柔軟化を7月まで引っ張ってしまったせいである程度フラットナーみたいなポジションが構築されてしまったのの反動とか、10年を臨時輪番で止めちゃったもんだから超長期に売りが来ちゃったのかその辺は詳しくないけど、まあ超長期がありゃーって感じなのは10年金利を抑える政策の弊害なんだよなーって思いますです、はい。

『    OFFER  BID   前日比 時間
2年   -0.004  0.007   0  15:03
5年   0.166  0.176  -0.008 15:08
10年   0.586  0.596  -0.008 15:08
20年   1.246  1.262  0.022 15:07
30年   1.528  1.541  0.04  15:04
40年   1.692  1.702  0.048 15:05』

後ろがツイストスティープ(昨日もスティープ)しちゃってるんですよね。


・・・・・・・とまあそんな状況ですが今日は1年以下と物価連動を除く全年限の輪番が予定されてて、さてどうなりますかというのが注目なのですが、本来のべき論で言えばこんなの輪番減額一択と思いますし、そうじゃなかったら何のための「市場に委ねる」なんだよと思いますが、月曜に臨時輪番入れるというビビリンチョなので減額するとはカシュカリ総裁の頭髪程度にしか想定していない訳ですわこれがまた。

でもってこのビビリンチョ振りだと輪番増額するんじゃないかという推論もあるようで、なるほど確かにアリエールだとは思うのですが、MPMでいったん円高になったものの、よく見りゃそんなに日本の金利上がらんじゃんということで円安に戻りだし、挙句に月曜の臨時輪番で円安ぶっ飛ばし効果を思いっきり発揮したというプレイの直後なだけに、ここで輪番増額するとマジで145円近くまで円安ぶっ飛ぶんじゃなかろうかというオソロシスモードな訳で、輪番増額はさすがにやらない方が良いし、やったら折角のYCC柔軟化の意味がないだろという話(そもそも0.6%に上がったのだって元々0.5%の指値があって売り込む人がいなかっただけの話で経済物価情勢から見て別に0.6%が売り込み過ぎとは思えないでしょ)な訳でして、金曜日に折角行った施策を金融市場局の一存で台無しにするとは何という自爆特攻と思ってしまいます。

ということで、まあさすがに「前回と同額」とは思うのですが、そもそもその「前回と同額」ですら大概に大杉勝男なので、はよお減らせやヴォケとは思いますけど、まああのビビリンチョでは増額はできても減額はコワイヨーとなるんでしょうなあとは残念ながら思うのでありました。


〇植田総裁記者会見(その2)

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230731a.pdf
総裁記者会見
――2023年7月28日(金)午後3時30分から約60分

・50bpは80兆円みたいになる筈な説明でしたけどね・・・・・・・・

今申し上げましたように、今日の定例輪番で輪番増額とかしたらダイナシーにも程があるのですが、執行部と神田財務官に喧嘩を売るような自爆特攻プレイが見られるとそれはそれで面白い(白目)。

4ページから。

『(問)今回の修正措置はですね、見方によっては、事実上YCCのバンドといいますか、0.5%だった上限をですね、1%に拡大したようにも映るんですけれども、なぜ上限の拡大ですとか、YCCの撤廃、変動幅の撤廃といった措置ではなくて、0.5%の上限をめどとして残されたのか理由を伺えますでしょうか。』

そらそうよ。

『また、場合によってはですね、近い将来に撤廃であったり、めど、バンドの再拡大といった、追加措置をとる可能性もあるのか、その点伺えますでしょうか。』

ということで回答なんですが割ときっちりと答えていましてですね。

『(答)まずはやや繰り返しになりますけれども、先ほど物価の見通しで申し上げたように、足元 23 年度の見通しは 2%を大きく超えていますけれども、24 年度、25 年度については、わずかとはいえ 2%を下回っている。生鮮食品・エネルギーを除くベースでも同じような姿になっています。』

ってこれ昨日引用した質疑の直後の質疑応答なんですけど、何でまた同じこと説明するの、という感じですけど、昨日引用した直前の質疑と違うのは「足元 23 年度の見通しは 2%を大きく超えていますけれども、24 年度、25 年度については、わずかとはいえ 2%を下回っている。」と物価見通しの数字を具体的に出している点です。

従来は「政策をビタイチ修正しないハトハト植田総裁」という感じでしたから、その場合ってこうやって物価の数字で勝負するのは、どっからどう見ても10月の展望レポートで更に上方修正待ったなし(もともと年度2.5%はコンセンサスビューの下限より若干低い)になるので、上方修正即政策修正ということになる、ってなもんで大丈夫かオイって事になるのでございますが、何せ今回は「柔軟化の実施」ということで方向性が変わって来ましたので、逆に物価の数字勝負に持ち込むと「ああ物価の見通し強くなりましたわこりゃYCCの撤廃ですなあテヘペロ」と逆に政策修正のおかわりの言い訳にしやすくなる、ということでありまして、今までは物価の数字持ち出すのは(政策修正をしない)説明を苦しくするものでしたが、今後は(政策再修正をする)説明に使いやすい、というものになった訳で、そういう意味では植田総裁って基本的に物価で勝負しているし、エビデンスに基づいた政策という意味でも物価で勝負した方が何ぼかマシか分からんので、この説明は一瞬大丈夫かと聞いた時には思ったのですが、そういう先のことまで考えているのかも知れませんね(考えてない可能性もあるけど)。

『更に申し上げれば、先ほどの最初のご説明で申し上げたように、その見通しももう少し分解してみると、当面はインフレ率が下がっていって、どこかで底を打ってまた上がってくるという見通しを、全体ならしてみるとこういう姿になるということです。』

なんか文字起こすと訳分らんな。

『これも前回の会見でも申し上げましたが、その後半の部分については、まだなかなか自信がない面もあるということでございます。』

えーっと、その後半の部分ってのは2024年度の時期が当然含まれると思いますが、委員の見通しは「上振れリスクの方が大きい」ですし、2025年度の見通しに関しても前回の「下振れリスクが大きい」が削除されているんですけどねえ、ってなもんで、まあこれはとりあえずこう言っておかないと出口だヒャッハーとかされ兼ねないのでこう言ってる、ってなもんでしょう(個人の願望込み想像です)。

『従いまして、まとめて申し上げると、基調的な物価上昇率が 2%に届くというところにはまだ距離があるという判断は変えてございません。』

変えたというとエライコッチャなので激変緩和措置ですねわかります。

『そういう中で、これまでの強い金融緩和の基調を維持することが適当という結論に至ったわけですが、それと呼応するかたちで長期金利の変動幅についてはゼロ±0.5[%]ということを維持したわけでございます。』

もう理屈が無理矢理すぎというか、そもそも25だの50が「許容変動幅」だったのですから、今回は許容変動幅の拡大に他ならないのですが、どうやってだましだましこの政策を収拾して行きましょうかという流れの中で誤魔化して入れていますってなもんでしょこれ。

『ただし、先ほど申し上げましたように、物価の見通しには下振れもありますけれども、上振れリスクもあって、その不確実性がかなり大きい。足元を外したということを考えても大きい。』

ここでも「足もとを外した」って思いっきり言ってて、じゃあ物価見通しの数字を出してるのお前らだからちょっと政策委員全員丸坊主にでもなって並んで頭下げろやと思いましたが、どうせ10月も上方修正必至なので毎回坊主にしてたら頭が幾らあっても足りませんな、ナムナム。

『これに対する対応も考えておかないといけないということで、ある種、将来のリスク対応として、ゼロ±0.5[%]の外に 0.5[%]から 1[%]という枠を、柔らかなかたちでといいますか、全体が柔らかになっていますが、作ったということでございます。』

ここで思いっきり「柔らかなかたち」と言っているように、決定会合記者会見での植田総裁の説明では、そんなにホイホイと金利上昇を無理して止めに掛かるもんじゃない、という趣旨で話をしているようにしか思えないので、(ビビる気持ちは分かるけど)月曜の臨時輪番は我慢して欲しかったよねーと思いますし、今日定例輪番を増額したらちょっとお前らちょっと豪華クルーズ船で行く三途の川片道リバークルーズツアーに行ってきなさいという世界になるんですがさてどうなるやら。


でもって後半の質問の回答になりますが、これがまた当然の発言だがきちんと回答しているのが植田さんちゃんとしているところでして、

『今後は、その先どういうことになるのかについて何か展望があるかというご質問だったと思いますけれども、それは今、考慮に入れているような範囲の外に物価見通しが上振れるというようなケースになると思いますけれども、例えばですが、そういう際にはまたその時点で適切な対応を考慮していきたいというふうに思っております。』

これ上振れたら再修正あるで、って言ってるのと同義で、まあ冷静に考えてみれば経済物価情勢が想定よりも上振れた場合には、政策の修正も含めて検討する、って極めて当たり前の事なんですが、黒ちゃんの場合は変な言霊信仰でもあったのか、この「上振れて推移した場合には適切な政策を検討する」すら言わずに、「そのような仮定の質問にはお答えできない」という無茶苦茶な回答をしていた訳ですから、まあ正常化への一歩という感じですわ。


・物価で勝負する植田さん

今引用した所でもそうですし、その前の説明でも基本的に植田さんは副作用論とかそういう話よりも物価で勝負する、というのが割とはっきりしていると思うんですよ。ということで展望レポートの物価についての質疑(7ページ)になります。質疑の後半だけ。

『(問)(前半割愛)もう一つが、展望レポートについてなんですけれども、22 年度のインフレ率の実績値さかのぼると日銀の見通し期間の 3 年間の 2%超えになる可能性がかなり高まってます。前総裁を含めて、見通し期間の 2%割れを緩和継続理由にしてきたと思うんですけれども、この 3 年連続達成が現実味を帯びてくると、短期金利の引き上げ、もっと言うとマイナス金利の解除の検討に入るのか、その二点について伺えればと思います。』

『(答)(前半割愛)後段の物価見通しと政策の関係ですけれども、これはちょっと誤解したかもしれませんが、私の方で。2%、過去についてはかなり長い間、既に達成されてるわけですけれども、』

どさくさに紛れて「過去は達成している」とか言ってるのがチャーミング。なおこの点は後でツッコミを入れた優秀な方がおいででしたのでこの次に。

しかし達成してるんなら益々オーバーシュート型コミットメントいらねえじゃねえかよと思うのでありますけどねえ・・・・・・・・・

『ここから将来というところでは、まだ先ほど申し上げた見通しではやや2%を下回ってますし、子細にみますと、下がっていって上がっていくという、上がっていくところにまだ自信がないというようなこともあって、』

既に達成したように見えるが将来下がる恐れがあるから緩和継続、ってまあ変な理屈ですよね。下がった時には対処できるように寧ろ糊代作っておけよ達成していたという認識だったらそもそも緩和のやり過ぎじゃないの、という気はしますよねー

『強い金融緩和の継続を決めておりますけれども、当然そこが変わってくれば政策も将来変わってくるということではあります。』

ということで、さっき引用したのでもそうですが、今回の会見では「先行きの見通しが上振れてリスク認識も下方向じゃないというのであれば政策は変わっていきます」っていうのを割と堂々と説明していて、しかも会見のこの辺りでのやり取りって確か結構(`・ω・´)シャキーンとしていたんですよ植田さん。

つまり、この辺の「見通しが上方修正されて先行きへの自信が出てきたら政策はさらに変えていきます」ってのは植田さん本来の姿に戻ったということで、これはきっと就任以来この前のMPMまでの間、植田さんは黒ちゃんとかうっかりしたら置物辺りのポンコツも含めた生霊に憑りつかれていたんじゃなかろうかという妄想が沸きあがって来るところではあります。


・見通しで話をしてたらキリがないではないかという極めて直球な質疑

これは11ページになります。

『(問)今回 2023 年度の物価見通しを変えられて、22 年度が 3%強で、今年度も 2.5[%]と、2 年間はもう 2%を超えている状況ですけれども、先々が下がる可能性があると言っている限り、安定的・持続的という言葉は、ずっとそう言ってる限りは、いくら足元が 2%超えてもずっとこの緩和の政策を続けられてしまうということにもならないでしょうか。』

『(答)切りがないというご質問ですね。』

『(問)そうです。』

いいやり取りだ。

『(答)そこは、結局切りがなくなっちゃうっていうリスクはゼロではないとは思いますけれども、先ほど来申し上げてますように、24 年度 1.9 [%]、25 年度 1.6[%]という数字が上方修正されるか、あるいはあまり大きな姿に変化がなくても、先ほど来申し上げてますように、それに対するわれわれの自信といいますか、確度が上がったような場合には、政策の修正にいけるかなというふうには思ってございます。』

いやもうこれ普通に先行き政策修正そんなに遠くないじゃんと思う訳でして、何なら最速だと10月展望ですが何かという話ですよね。しかも「結局切りがなくなっちゃうっていうリスクはゼロではないとは思いますけれども」というのは「先行き自信がないからという言い訳を続ける可能性はゼロではないと思います」ってことですから、普通に今後の上方修正からの政策再修正の方が可能性高いって話をしていますよね植田さん。

ということで、いきなり政策再修正に繋がらないように2%には距離があるとか色々いってるけど、先の時点における上方修正に関しては寧ろ自信ニキと言っても差し支えない説明になっていて、ただまあそれを露骨に言わないで間接話法でお察しくださいという世界ジャン、とまあアタクシは自分の希望的願望も含めて読んでしまうんですよね〜。


・YCCの微修正云々に関する説明はおもろかった

上記の質疑の直後にあった奴です。

『(問)学者時代のですね、植田総裁は昨年、新聞への論考で、イールドカーブ・コントロールについて微調整には向かない仕組みだというふうにおっしゃってます。今回の修正というのは明らかに微修正だと思いますけれども、これは学者時代の植田さんがおっしゃってたことと、ちょっと矛盾するのではないかと、日銀の論理に取り込まれたんじゃないかっていうことは一つお伺いしたい。(後半割愛)』

これ質問者が例のあの人なので「日銀の論理に取り込まれた」とかしょうもない言い方になっていますが、本来この質問をするなら「向かないと言っていた微修正をして本当に大丈夫なのか」と聞くべきですね、赤点再履修。

なおこの植田さんの回答が面白かった。

『(答)前半ですけれども、確かに例えば、オーストラリアもYCCのようなことをやりまして、いっぺんにやめざるを得なくなってるということもあったりしまして、微調整をするのは容易でない仕組みだというのは、私も昔からそう思ってましたし、今でもそう思ってますし、おっしゃる通りかと思います。』

ほう。

『そのうえでどういう場合に微調整ができて微調整ができなくなるか、どういう場合にできなくなるかということをもう少し考えてみますと、インフレ見通しが上がって、その後でそれに合わせて微調整しようとすると投機を呼び込んでしまって、その上にまた金利が行ってしまうんじゃないか、YCCを放棄せざるを得なくなるというようなことがオーストラリアのケースでも、あるいは戦後 1951 年くらいですかね、アメリカのケースでも起こったと思っています。』

これは植田先生の面目躍如といった回答で面白かったです。豪州中銀のYCC放棄の後に出てきたクイックレビュー兼反省の弁においては「YCC政策は経済物価情勢が目標達成が見えて来る前に早期に解除すべきだった、今にして思えば」という感じで説明していまして、そういう意味では・・・・・・

『それもありまして、今回は、そういうことが起こる前に少し手前で対応の余地を広げるという手を打たせて頂きました。これが本当にうまくいくかどうかは結果次第ではございますけれども、考え方としてはそういうことでございます。(後半割愛)』

現時点で2%目標の達成まで距離がそんなにありましたっけ問題はさておいて大本営発表の言う通りだとしますと、確かに目標達成に距離のある時点で事前に柔軟化をしておく、というのは豪州中銀の教訓を生かした、ということになりますよ、ってなもんで、これは植田先生よく研究してるわと(植田先生ならこの位朝飯前の勉強でしょうけど改めて)感心するのでありました。


え。なんかお前手のひら引っくり返してないかって????いやまあそれはもうちょっと見ますけど、まあ基本的に手のひら引っくり返してますからその辺はよろしくー。

とは言え、5月以降のハトハト情報発信はどう見てもロジック的に問題があった(物価が上振れるリスクの方が小さい、とか)ので、黒ちゃんの生霊が乗り移っていたとしてもちょっとアレは何だったのかというか元の話が何でこうなったのかは何らかの形で説明頂かないと納得が行きませんけどね・・・・・・・・







2023/08/01

お題「臨時輪番早速入れたら円安爆裂クソワロタ/決定会合議事録とか人事とか/総裁会見から(その1)」

これはまたw
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023073100937&g=pol
世耕氏、日銀総裁に「目光らせる」 「緩和離脱メッセージ」警戒
2023年07月31日19時12分

てか10年金利が1%になっただけで日本経済が一気に冷えるってどんな認識なんだかという所ではありますが、某Y田さんは植田総裁の会見に噛みつきに行く勢いで是非セコー大先生にインタビューしてついでにディスカッションして見たらどうでしょうか。


〇早速ビビリンチョして臨時輪番入れたら円安爆裂ワロリンチョorzorz

・臨時輪番入れたら円安ぶっ飛んでしまいましたの巻

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N39H1EY
2023年7月31日3:28 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落で引け、長期金利は一時9カ月ぶり高水準0.605%

『[東京 31日 ロイター] -

<15:11> 国債先物は大幅続落で引け、長期金利は一時9カ月ぶり高水準0.605%

国債先物中心限月9月限は前営業日比58銭安の146円80銭と大幅続落して取引を終えた。日銀によるイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化を受けた国債売りが継続した。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.600%。一時2014年6月以来9年超ぶり水準となる0.605%に上昇した時間帯もあった。』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういうことで、

『きょうの国債先物は、日銀が28日にYCCの運用柔軟化を決定し長期金利の変動許容幅の上限を事実上1%に引き上げたことが引き続き売り材料となり、寄り付きから軟調な展開が続いた。』

のですが、寄りから横綱がズルズルと土俵を割って、9時20分だかそこらに146.90→146.75くらいにどどーんと下がって、その後10時くらいには146.65(73銭安)まで更に下がって、ということで10年も0.605%(6毛甘)になったりしてたと思ったら、

『日銀は午前の金融市場調節で、10年債の対象銘柄を利回り0.5%で無制限に買い入れる指し値オペに加えて、残存期間5─10年対象の臨時オペをオファー。臨時オペ実施は市場でややサプライズと受け止められ長期債に対する売り圧力が弱まる場面があったが、オペが売り需要の大きさを示す結果となり、午後は再び売りが出た。』

となったのですが、この臨時輪番のインパクトって為替市場の方にモロに出てしまった次第で、臨時輪番オファーで円安が吹っ飛んでしましまして、ドル円で言えば140.80辺りにいたドル円ちゃん、141円台半ばまで吹きあがってしまいまして、いまちょっと見たら

https://jp.reuters.com/markets/currencies
通貨換算
$1.00
\142.2800
1 USD = 142.2800 JPY

ナムナムナム(まあ昨日の夕方の時間で142.50近辺まで逝ってましたけど)という風情でありまして、何のためにYCC柔軟化したんでしょうとこれは神田財務官も憤怒(個人の妄想です)の展開になっておられまして、まあ結果的には昨日の臨時輪番大失敗にも程がありましたな、合掌。


でまあ昨日の臨時輪番ですけど、(臨時輪番だけ引用)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230731.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年8月1日

ということで、既に5−10は日銀の買入でスッカスカなので3000でも大概に勘弁してくれよとは思いますが、まあ昨日の今日で0.60%乗ってしまったし、なんか先物が調子に乗って下がっている感もなくは無かったので、昨年12月のレンジ拡大以降のオペのアレをみていますと、まあビビリンチョして臨時輪番打ちたくなる気持ちも分かるのですが、今回の場合は(このあとネタにしますけど)植田総裁が会見で「市場に価格形成を委ねて行こうということでしょうか」という問いに対して「基本的にはイエスです」って力強く発言した訳でして、せっかく植田総裁が良い事言ってるのですから、もうちょっと胆力というのものを見せて欲しかったし、だいたいからして今日10年入札あるんだから、変な所で止めないで欲しかったなあとは思いますが、従来の日銀ビビリンチョクオリティは一朝一夕では変わるものではありませんでしたな、南無大師遍照金剛。

しかも(これまた会見ネタの方で申し上げますが)今回の決定って植田総裁しらっと「為替要因もあるでよ」と言わんばかりの事をゲロってしまっている訳でして、即ち長期金利を無理くり抑えてしまった場合に為替市場で不必要な円安が進行してしまう、というのも長期金利無理矢理抑え付け政策の副作用として認識しており、その副作用をプリエンティブに予防しようというワクチンとしてYCCの事実上の上限金利拡大を実施した、というのが分かりやすく白状されていた訳でございますよ。

となりますと、そらもちろんオペの上げ下げは金融市場局の裁量ということになるのですが、折角為替の過度な円安発生の種を事前に摘んでおこうと思ってYCCの柔軟化を実施しているのにも関わらず、柔軟化の趣旨に必ずしも沿っていない(反するとまでは言わないけどさ、まあビビる気持ちはわからんでもないから)ビビリンチョ臨時輪番ぶっこんで円安をすっ飛ばしてしまいまして結果として台無しになったのは痛恨の一撃でございましたな。これに懲りたら次の臨時輪番は10年0.70%まで我慢して下さい(^^)。


〇一番見どころの多い議事録公開で公共放送ニュースが情け容赦無くてクソワロタ

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2013/gjrk.htm
金融政策決定会合議事録等(2013年1月〜6月開催分)
2023年7月31日
日本銀行

本日、以下の資料を公表しました。
金融政策決定会合議事録等(2013年1月〜6月開催分)


・・・・・・いやー人間長生きしてみるもんだという感じで、遂にこれが見れるかということになったのですが、植田日銀渾身のYCC柔軟化という素敵な事案により議事録読みどころの騒ぎではなくなってしまいましたけれども、気が付けば来週3連休あるんだし(ついこの前まで木曜日が週末なの気が付いてなかったマジで)夏休みの読み物(夏休みがあるとは言ってないが政策が動き出したから後になると休みにくくなるよね今年度は)に最適、という所ですな。しかも最近のは画像ファイルPDF形式じゃないからテキストにコピペできるし。

とまあそんな感じですが、これを伝えた公共放送ニュースが情け容赦なかったのでクリップ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230731/k10014147831000.html
日銀 異次元緩和導入時の議事録を公開 「2年」の根拠言及なし
2023年7月31日 16時28分

もう記事の題名の時点で毒が強すぎてワライダケを食したかのように声出して笑ってしまいましたが、

『日銀は、2013年の4月上旬に当時の黒田総裁のもとでいわゆる異次元緩和を導入した金融政策決定会合の議事録を公開しました。この会合では、黒田総裁をはじめ政策委員の多くが2%の物価目標を2年程度で実現することへの意気込みを示しましたが、実現の難しさを指摘する声が相次いでいたことがわかりました。』(上記URL先より、以下同様)

サムネのマルタク写真が懐かしい。

『議事録によりますと、就任後初めて会合に臨んだ黒田総裁は異次元緩和の導入にあたって「戦力の逐次投入は避け、2%の物価目標をできるだけ早期に実現することを目指すべきだ。具体的な期間として私自身は2年程度の期間を念頭に置いている」と発言しました。』

『当時の岩田規久男副総裁も「15年も続くデフレから脱却するには2年程度で2%のインフレ目標を達成し、その後も安定的に維持するという約束が必要だ」と主張しました。』

おーい黒田に置物ーーーーー。忘れたとは言わせないぞーーーーーってなもんですが、この先がオモロイ。

『また、当時の佐藤健裕審議委員は「2年でけりをつけるくらいの気持ちでやっていくことが重要だ。2%の物価目標の達成は容易なものとは考えていない。ギャンブル性の高い政策となることは覚悟すべきだ」と指摘しました。』

>ギャンブル性の高い政策
>ギャンブル性の高い政策
>ギャンブル性の高い政策

たけひろさん・・・・・・・・(^^)

『さらに、当時の石田浩二審議委員は、政策手段として大量に国債を買い入れることについて「われわれは2年間でやり遂げるということで出発すべきだ。万が一、手応えがなければ見直しについて発言することを留保させてもらう」と発言しました。』

石田さんの戦闘力の高さよ。

『このように、多くの政策委員が2%の物価目標を2年程度で実現することへの意気込みを示しましたが、実現の難しさを指摘する声や2年で実現できなかった場合に政策を見直すべきだという意見が相次ぎました。』

見直すどころかQQE2からマイナス金利という泥沼に嵌って行きましたけどね。しかしこの先がさらに情け容赦がなくて、

『また「2年」とした根拠についてはどの委員からも言及がありませんでした。』

wwwwwwwww

『この会合から10年余りとなりますが、日銀が掲げる2%の物価目標は依然、実現できていません。』

もうやめて!!!置物金融政策のライフはゼロよ!!!!!!!

ということで、この記事タイムスタンプ16時過ぎになっていますが、最初の記事は9時過ぎに出ていまして、最初の記事はここまでだったのですが、その後追加されているのか以下の部分ですけど、小見出しの時点で情け容赦というのものがなくて大変に素晴らしいのでもっとやれNHK。

『議論の経緯 具体的なイメージ示されないまま』

小見出しwwwwwwwwって感じですが、延々と引用していると記事全文引用になりそうなので、まあここのコーナーは読んでくださいなということにしておきますが、こちらでも石田さんが、

『このほか石田浩二審議委員から「1年たったところでよく見て、それからまたやっていくところで中締めをして、その中で本音の議論をしていけばよいと思う」という指摘もありました。』

来年になると「1年経ったところ」の議事録が出るのでこれは来年まで頑張る生きがいができましたな!!!!

『このように当時、政策委員からは、異次元緩和のもと2%の物価目標の実現を2年でやり遂げるという思いが相次いで示されましたが、異例の政策をいつまで続けるのかについては具体的なイメージが示されないまま、必要な時点まで続けるという形でまとめられた経緯が議事録から明らかになりました。』

でもってその次の小見出しが、『「銀行券ルール」の扱いは?』なんですが、ここでは黒ちゃんの、

『このように多くの審議委員から廃止ではなく一時停止とすべきだという意見が出たことを受けて、黒田総裁は、「ノーマルなときに戻れば銀行券ルールの範囲内、成長通貨の供給がそういったことを目途にして行われるということはもっともなことであり、そのようにしたい」と述べ、銀行券ルールを廃止せず、一時的に適用を停止することが決まりました。』

というのがあるのですが、まあこんなこと言ってるくらいだから当時はそんなに馬鹿みたいな買入残高になることは想定してなかったんだろうなというのが見て取れます。

なお、その後に『白川総裁が退任する前の金融政策決定会合の議事録も公開』というのがありますが、涙なしには読めないので割愛します(ナンジャソラ)。


ま、何にせよ公共放送がこれだけ無慈悲な砲撃を黒田緩和に行うことが出来るような時代になった、というのは隔世の感があると同時に、こういう話になるということはやはり先週YCC柔軟化をしないと植田日銀は益々窮地に立っていたかもしれない、ということでもありまして、いや本当の本当に最後のチャンスだったし、柔軟化の決断が出来て本当に良かったわと思いを新たにする所であります。


〇柔軟化の道筋がついた所でマイナス金利とYCCの張本にn・・・・もとい当事者が揃いましたね!!!!

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOH13144X0R30C23A7000000/
人事、日銀
2023年7月31日 19:54

『日銀(7月31日)企画局長(金融機構局長)正木一博▽金融機構局長(企画局長)中村康治▽システム情報局長(政策委員会室審議役)福田英司▽決済機構局参事役(福島支店長)清水茂▽政策企画課長(経済調査課長)長野哲平▽金融市場局総務課長、北村冨行▽経済調査課長(金融市場局総務課長)永幡崇▽福島支店長(政策企画課長)中嶋基晴』(上記URL先より)

ということでYCC柔軟化に舵を切ったMPMの翌日に政策ラインの企画局長と政策企画課長がご栄転されるというこれはまたお洒落な人事が出てきましたが、新しい企画局長はこれまでの企画局長から年次逆転とかいうと昨年の財務省理財局長人事を思い出してしまいますが、日経ちゃんによります記事、と言っても例によって無課金おじさんのアタクシは詳細はシランガナなのですけど。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB314WP0R30C23A7000000/
日銀企画局長に正木氏 金融政策正常化への布石か
金融政策
2023年7月31日 18:00 [有料会員限定]

『日銀は31日、企画局長に正木一博金融機構局長を充てる人事を発表した。中村康治企画局長は正木氏の後任として金融機構局長に就任する。正木氏はマイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)導入時に担当課長を務めた。エースの登板に、市場では早くも金融政策の正常化に向けた布石との見方が浮上している。』(上記URL先より)

今回の人事、ベンダーで最初に見たのが10時5分くらいの時事のフラッシュ(何故かその後消えてたのですが何だったのかしら、日銀HP見に行ったら既に組織体制の部分は新しくなってた気がする)だったと思うのですが、この時間が輪番タイムの前だったのも一種の詫び寂びを感じました(意味深)。

ま、それは兎も角として、マイナス金利とかYCCとかぶっこんだときの企画局長が今の内田副総裁でありまして、政策企画課長が今度企画局長になられます正木局長でありますので、もうこれはどこからどう見てもインガオホーという言葉がフィットする訳でございまして、とりあえずお二方(だけじゃないけど)にはとっととこの忌まわしい政策の後始末というのをして頂きたく、身を粉にしてご尽力いただけることを切に期待しておりますのでよろしくニキー(ニッコリ)。


〇植田総裁記者会見ですが「副作用の事前対応」という理論はよくもまあ思いつくよそんなのと感動しました

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230731a.pdf
総裁記者会見
――2023年7月28日(金)午後3時30分から約60分


・説明が丁寧なので文字で見直すと分かりやすいがその場で聞いてると冗長というのはムツカシヤ

時間があんまり無いのとめんどいので3ページ辺りから参ります。

『(問)今の総裁の発言でありました、長期金利が今後 1%まで上昇することは想定していないが、念のために今回の対応を取ったということなんですけれども、決定会合の中でも中村委員がもう少し統計等を見たうえで判断したいというような反対もあったということなんですけれども、今回のタイミングで、この判断を提案して、決定したところを改めて教えて頂きたいと思います。』

『(答)少し長くなるかもしれませんけれども、今回発表しました私どもの経済・物価見通しをご覧頂きますと、』

と聞かれもしないのにそこから話を起こすのは植田さん丁寧なのはわかるんだが、クッソ長く説明するもんだから時間が足りなくなる、という弊害があるのと、クッソ長い説明で多くの論点を丁寧に説明してくれるのは良いのだが、その場で聞いていると結局何だったっけとなってしまいがちで、こうやって文字に起こされると成程とは思うので、説明自体悪いとは思わないのだが、もうちょっと工夫の余地があるんじゃなかろうか、と思うのです。難しいことだとは思うけど(などと言ってる自分もそんなに立派な説明が出来なくて口を開くと破綻の泡吹きジジイになるからまあね)。

『まず足元 23 年度の物価見通しをかなり大幅に修正しています。他方で、24 年度、25 年度の物価見通しについては、概ね 4 月時点のものと同じという見通しになってございます。』

でもって、

『まず第一点として、23 年度の見通しが大幅に上振れた、つまり 4 月時点の見通しは、やや過小、あるいはかなり過小であった。その分、上振れ方向にかなり大幅にずれた。そういう不確実性をやや過小評価していた可能性が 4 月時点ではあるということでございます。』

4月の展望レポートが「かなり過小」とまで言い切っている(この後でも言ってる)のは随分と大きな進歩というか、その前がドイヒーだったのですけれども、まあ「経済物価情勢に対応したエビデンスのある政策」に向けてやっと進展したと評価できると思います。

『24[年度]、25[年度]については、中心的な見通し、中央値が[概ね]変わってはいませんけれども、リスク評価のチャート等をご覧頂きますと、特に 24 年[度]もそうですけれども(注)、物価見通しについては上振れリスクを意識している委員が多いということが一つございます。』

先行きの見通し、今回中心値動かしていませんけど、まあこれも上方修正への布石ですわな(いまやると柔軟化即解除みたいな話になるから段階的に、というのはまああんまり褒められた手法ではないが現実問題として仕方がない面があるのは事実)ということで、

『つまり、不確実性がきわめて高い。』

ということでですね、この後従来のように「景気の下振れリスク」への言及もあるのですが、従来の「不確実性がきわめて高い」は経済の下振れリスクがきわめて高い、と同義だったのに対して、今回は物価の上振れリスクという政策対応的に正反対の話を「不確実性」にぶっこんでいるのが大きな変化だというのは展望レポート鑑賞会でも申し上げましたが、まあこういうことですわな。

『他方で実質GDPの方はやや下振れリスクをみていらっしゃる委員も多いという意味でも不確実性が高いということでございます。』

と、ここまでクドクド説明しているのは意味がある訳で、

『それでYCCですけれども、昨年来の経験もみますと、そういうリスク、特にYCCの場合は上振れリスクですけれども、これが顕在化した後で対応しようとするとなかなか大変なことになる、あるいは副作用をすごい大きくしてしまうということがあるわけです。』

これは斬新。ただしよく考えてみれば過去の(4月か6月か咄嗟に出てこない)MPMの会見の時にも「張り付いてから対処すると面倒」ってのはしれっと言ってたんですよね。

『ですので、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在、一応債券市場の環境はここまで相対的に落ち着いてきたというふうに考えられる中で、将来の不確実性を今回改めて認識したということでありますので、対応措置、手直し、枠組みのですね、をするのにちょうど良いタイミングではないかなというふうに思った次第でございます。』

ということでYCCの柔軟化を行った、ということなのですが、この「副作用の事前予防接種理論」って誰が考えたのか知らないですけど、なんという斬新な理屈という感じでして、こう言ってしまえばその直近まで「現在YCCの副作用は以前よりも軽減されている」とか言って、あたかも副作用対応での政策修正が無いかのような印象を思いっきり与えていた事と矛盾しないで政策の柔軟化が出来る、ということで、どうするとこういう理屈が捻りだされるのか、ちょっと頭の中見せてもらえませんかねえと思うのでありました。


でまあこの謎理論、確かに決定会合終わって3日もするとなるほどそういう理屈か、と整理できますけど、公表されて3時間程度の段階でこの謎理論の整理はそらできないわなと思うので、当然質問がバカスカと飛んでくるのですが、ふとPCの右端を見ると時間があばばばばーなので、他の質疑(も面白いのだが)はいったん全部飛ばして明日展望レポートのBOXとかと共にネタにするという事で為替との関係について。


・為替の過度な円安対策でもありますよとしらっとゲロってしまう植田総裁www

最後の質問までワープしますけど。

『(問)今回の政策修正の根拠として挙げられている長期金利の上限を厳格に抑制することの副作用として、声明文によると債券市場の機能ということと、その他の金融市場におけるボラティリティへの影響ってのが挙がってて、この文脈から判断するその他の金融市場って為替市場というふうに読めるんですけども、私の理解では従来、日銀はYCCの副作用について言及する際に、円安と為替市場への言及は注意深く避けていたようにみえたんですが、何かその辺に判断の変更があったのか、あるいはこれは為替市場を指していないとすれば、一体どの市場、今さっき言及あった不動産市場とかそういうところを指してるのか、その辺りについてちょっとご説明を頂きたいんですが。』

ちょwwww誘導尋問wwwwwwwwww

で、植田さん堂々の誘導尋問に乗ってしまうの巻でして、

『答)日本銀行として、当然のことですが為替をターゲットとしていないということは変わりはありません。ただ、この副作用の話の中で、金融市場のボラティリティをなるべく抑えるというところの中に、今回は為替市場のボラティリティも含めて考えてございます。』

>為替市場のボラティリティも含めて考えてございます
>為替市場のボラティリティも含めて考えてございます
>為替市場のボラティリティも含めて考えてございます
>為替市場のボラティリティも含めて考えてございます
>為替市場のボラティリティも含めて考えてございます

こwwwれwwwわwww

いやーゲロってしまいましたねーという感じですな。あ、しまったさっき上の方で書いていた「市場に委ねる」云々も引用しておきますね。


・市場に委ねたり為替のボラを考慮したというのに臨時輪番ェ・・・・・・・・・・

7ページね。

『(問)YCCの運用見直しの解釈について伺います。長期金利については三つの数字が示されたり、幅を持たせた表現になってます。一方で、1%の指値オペの注釈のところで現在の金利情勢では応札が見込まれないと考えられるとあります。これ解釈すると、緩和スタンスは変えずに、過度に金利が上昇しないように国債の買入れ量を調整しつつ、金利の水準は市場に委ねていく方向に持っていくっていう考えなのか、その点を伺います。(後半割愛)』

よくわかっている質問ですな。

『(答)前段ですけれども、おっしゃった質問に対する答えは基本的にはイエスです。』

キタコレ!!!!!

『つまり、もう少し長期金利形成を市場に委ねるという意図があるのかどうかということですが、それは基本的には、程度の問題はありますけれども、イエスで、敷衍しますと、申し上げてますように、経済・物価情勢が上振れた場合に、それを反映するかたちで長期金利が上がっていくということについては、0.5[%]と 1[%]の間でそれを認めると言うのも変ですけれども、そこに上昇していくことを容認しようという姿です。』

イイハナシダナー

『ただし、完全に自由にするというところ、それだったらYCCの撤廃に近いわけですけれども、ではなくてスピード調整等を入れつつ、これも表現難しいですけれども、根拠のない投機的な債券売りというようなものがあまり広がらないようなかたちでコントロールをしつつ、しかし、ベースとしては、市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置でございます。(後半割愛)』

でまあそのペース調整の積りで臨時輪番入れたんでしょうけど、結果的に為替をぶっ飛ばしてしまうというメッセージになってしまった訳で、金利上昇を許さんみたいに見えてしまう見せ方をすると、為替市場がビビットに反応してしまう、というのが今回の学習効果として現れましたので、そういう意味では今後輪番の使い方も(下手に乱発しないという方向で)慎重に考えないと行けないなという教訓になったと思います、というか教訓になっていて欲しいです。