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2023/10/31

お題「日経砲来ましたが今回の焦点は「物価目標達成との関連」ですな」

日経砲撃キタコレということで今日はワクワクですが、どちらかというと日銀がこの期に及んで何もしない→為替はぶっ飛びそれを見ていったん下がった長期金利はまた上昇して1%に張り付き→日銀非難轟轟の中大本営が追放の刑、となった方が面白かったんですけどねえ(不謹慎)。

〇修正を往生際悪く「テクニカル」にするのか「物価目標達成が視野に」にするのかの違いが重要

・日経報道では物価目標達成との関連に関しては決め打ちを避けているのかな

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB282HC0Y3A021C2000000/
日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に
日経スクープ
2023年10月30日 23:00 [有料会員限定記事]

『【この記事のポイント】
・日銀内で浮上する案は指し値オペ柔軟化
・長期金利の上限「1%」超す上昇も容認
・米金利上昇でも円安進行を和らげる効果』(上記URL先より、以下同様)

連続指値オペを実施しないという形で1%超えるのもOKOKという措置になるという話(まあそれが現実的ですわな)っぽいですね。例によって有料記事ですので日経無課金勢のアタクシは(別に日経だけじゃなくてどこも無課金ですがw)無料公開部分だけ引用しますけど、

『日銀は31日に開く金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を議論する。現在1%としている長期金利の事実上の上限を柔軟にし、一定程度1%を超える金利上昇を容認する案が有力だ。米金利上昇を背景に日本の長期金利は1%に迫っている。...

この記事は有料会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。残り1067文字』

さてここで問題になるのは今回の修正を「テクニカルな修正であって長期金利コントロールもマイナス金利も維持するし物価目標達成はまだまだですよ」と言い張る往生際の悪い位置づけにするのか、それとも展望レポートの物価判断上方修正を受けて「物価目標達成が視野に入りつつありまる、という判断を受けて今回の修正を実施します。ただしマイナス金利の解除などのような措置については達成判断がまだつかないので今しばらくお待ちください」になるのかによって話がだいぶ違うんですよね。

つまりですね、今回ってご案内のように展望レポートでの物価見通しが上方修正されますけれども、「テクニカル修正」にとどめるとなると、まさかの2025年度物価見通しをベースに超緩和政策の継続という判断を下した、という政策ロジックとしてもはや無茶苦茶な話(7月は一応2024年度を2%割れにするということで、1.9%も言い訳にはならんと思うが形式上の格好だけはつけている)になるのでありまして、まあそんな無茶苦茶な話をしながらテクニカル修正、とか言ってると、目先は兎も角として1月どころか12月会合を待たずして市場(主にドル円と長期金利)が日銀をシバキに掛かる、という展開になろうかと思う訳ですよ。うっかりテクニカルを強調し過ぎたら下手したら会見中から円安になってもおかしくないし、ちょっと金利があがったらまたこれまでみたいに結局何のためにやったのかというような203高地への銃剣突撃よろしく無駄玉を打ちまくる国債買入とか長期共担とかをまた狂ったように始めた日にはやっぱり円安が爆裂するでしょうし。

ということで、今回「テクニカル修正」とか言って往生際悪くしょうもない意地を張った場合には、その後しょうもない動き(ハトハト発言が出て来たり無駄な国債買入やら長期共担の乱発)による主に為替市場に向けた円安メッセージの発信というのが発生して、結局何のために修正したのかまるで分らないというやっぱり地獄編になる可能性もありまして、アーニャもわくわくが止まらないというものであります。

・・・しかしながら、今回の措置が「物価目標の達成が視野に入った」という経済物価判断のステージが新しくなった、という説明をするのであれば、今回の措置が単なる単発のテクニカルの話ではなく、物価目標達成による金融政策の正常化の第一歩、というのを明確に示す形になりまして、当然ながら第一歩なんですから1月以降のキチガイのような国債買入や長期共通担保オペという何の意味があったのかまるでよくわからない上に後の金融政策運営に大きな禍根を残す、という政策当局者が最も行うべきではない愚行の連続もここで終了となる筈なんですよね。


でまあどっちなんでしょ、ということですが・・・・・・・・・・・・・・



・まさに人のフンドシにも程があるがブルームバーグさんが市場の反応を含めた記事を報道とな

今回の日経ちゃんは朝刊に間に合う時間であらされる所の23時にこの特報をぶっこんできましたこともあるのか、ブルームバーグがこの報道を受けた市場の反応に関して記事を書いていまして、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-30/S3CHUVT1UM0X01
日銀が金利操作を再修正へ、長期金利1%超え柔軟に−報道
横山恵利香、下土井京子
2023年10月30日 23:08 JST 更新日時 2023年10月31日 0:30 JST

夜中だというのに日経の8分後に早速第一報が出るとな、という感じですが、市場の反応も含めて1時間半後の記事になりますね。

『日本銀行が31日に開く金融政策決定会合で長短金利操作の再修正を議論すると、日本経済新聞電子版が30日報じた。現在1%としている長期金利の事実上の上限を柔軟にし、一定程度1%を超える金利上昇を容認する案が有力という。』(上記URL先より、以下同様)

ということで〜

『報道によると、連続指し値オペの運用などを改めることで、一定程度1%を上回る金利上昇を容認する案が浮上しているという。消費者物価見通しの上方修正が確実視される中、円安が一段と進み、長期金利は日銀が上限とする1%に迫っており、金利が上限に達して大量の国債買い入れを迫られるのを回避する予防的措置との位置付けになる見通しだ。』

アチャーって感じですが、テクニカルで済ますんですねこれはべき論としては怪しからんが市場が大反乱を起こして日銀が丸焦げになる、という展開が12月までに待っていそうで、いやまあ市場がクソ荒れするのあまり宜しくないのではあるのですが、懲りない日銀には天罰が下るべきでこんな調子でいつまでも黒田とかいう現世に何の影響力もない悪王に忠誠誓ってるストックホルム症候群の日銀大本営が温存されてるとここから通常の世界に戻る際にもっとひどいことが起きかねないので、まあ大本営の狙い通りに市場が動かなくて涙目になれば良いんだと思います。

ただね、植田総裁はさすがにそこまで馬鹿じゃないと思うし、田村審議委員とかもまさにこの辺りは以前より懸念されておられたと思いますし、おそらく「主な意見」を見ますとあと1名は間違いなく物価目標達成と絡めた議論をする人がいると思いますので、クソしょうもないテクニカル再修正しかも米国金利上昇のせいですのでというゴミみたいな言い訳を前面に出さない形での修正を願いたいものではあります。まだ数時間時間は残っていますので。

しかしまあなんですな、

『ただ、それ自体が長期金利を上昇させてしまうリスクも指摘されている。日本経済が回復途上にある中での無用な金利上昇は避けなければならないことに加え、為替対応と印象付けられる危険性もはらむ。』

ってのもどうせ大本営の屁理屈なんですが、そもそも物価も上昇していてインフレ期待も強まっている中だったら均衡イールドカーブは上方シフトしている筈で、その場合金利水準を維持するのは「副作用の方が大きい過度な金融緩和」になる、という理屈がそもそもYCC導入時の理屈な訳ですから、「無用な金利上昇」とか言ってるのは理屈がもう崩壊しておりますし、大体からしてこんなカンナ屑みたいな金利が上がってガチに困るレベルだとそもそもが収益力足りないにも程があるわって話ですがな。

ま、為替対策はどうみたって為替対策でしょという話ですし、円安がコストプッシュによる物価上昇を招いて個人消費にマイナスなんだったら少なくとも円安を煽るような金融政策は行わない、ってのは別に変な話じゃないと思いますが、こいつら自分の都合のいい時だけ「金融政策は為替を直接の目的にしていない」って言い出すんで、「為替対応と印象付けられる危険性」とか言ってる大本営はどう見ても黒田の生霊に憑りつかれたストックホルム症候群の重症患者ですので加療をされることをお勧め致しますですわ。



〇てなわけでまあ声明文の書きっぷりと展望レポートの書きっぷり(と総裁の会見)が重要ですな

いやまあ昨日は51対49でガチの現状維持とか言って見事に一級フラグ建築士の本領を発揮してしまいましたが、今申し上げましたように「単なるテクニカル修正です物価目標達成は見通せません金利の過度な上昇は今後も阻止しますので介入はバンバンやります」というのか、「物価目標達成は見通せるようになりましたが確信に至るまで今しばらくお待ちくださいその間の金利上昇圧力への対応で長期金利のコントロールを修正(ガワだけ残すが事実上放棄)します」というのかは大きな違いなのですな。

ま、その辺のニュアンスはさすがに声明文や展望レポートの記述で分かるでしょうし、植田総裁の会見でも説明されると思いますが、YCCの長期金利コントロールの事実上の放棄を行ってただのマイナス金利政策にして、しかも先行きの物価目標達成は近いという話が示されれば最後のヘリコプターに乗れてよかったですねという話だと思います。

さてどうなるのやら、まあ植田総裁が楚の荘公となって名君伝説を作るムーブと、ストックホルム症候群の大本営の皆さんのしょうもない抵抗との綱引きなので、植田勝て植田勝てと応援しながらも期待はやっぱり半分以下かな〜って思います。



〇相場ちゃん備忘メモ

読者様に教えていただいた作戦(検索窓で「マーケットアイ」で検索した画面をブックマークする)を活用してロイターさんの市況記事の引用を再開してみますが。

・2年国債入札アイヤー

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/SFCHAFXFYZIEXJZVYUBYRT3GMQ-2023-10-30/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.89% 弱い入札や政策修正への警戒で
ロイター編集
2023年10月30日午後 3:20 GMT+9

しかしこれ何で記事のカテゴリーが「投資信託」なのか一向にワカランチ会長(まあ昔も外国為替とかだったので元々謎なんですけどね)。

『[東京 30日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は反落、長期金利0.89% 弱い入札や政策修正への警戒で

国債先物中心限月12月限は、前営業日比18銭安の144円24銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.890%と2013年7月以来の高水準を更新した。日銀の政策修正への警戒感や弱めな結果となった2年債入札を背景に、弱含みで推移した。』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういう訳で89ですかそうですかと言ったところですが、深夜の日経砲でステージは変わるのでありました。

『財務省が実施した2年債入札は、弱めの結果と受け止められた。応札倍率が3.04倍と2010年3月以来の低水準となったほか、案分利回りも予想を下回った。事前から慎重な見方が多かったとみられ結果公表後の影響は限定的だったものの、取引終盤にかけてカレント2年債(453回債)の金利上昇圧力が一段と強まった。』

2年国債が地味に大コケしたのが中々味わいがあって、昨日はベアフラットしていましたな。なおTREDEWEBの気配がページリニューアルによってテキストベタ打ちから表組みになってしまった関係で、テキストに引用するのが多少七面倒になってしまいました(横に出ないで縦に出てしまう)ので面倒な事はしないの法則で割愛します。

一応その前の時間の記事を引用しておきますと、

『<12:58> 2年債入札結果は弱め、国債先物は軟調継続

財務省が午後0時35分に発表した2年利付国債の入札結果は、最低落札価格が99円97銭0厘(最高落札利回り:0.115%)となった。平均落札価格は99円98銭7厘(平均落札利回り:0.106%)で、落札価格の平均と最低の開き(テール)は1銭7厘と前回(1銭)から拡大した。応札倍率は3.04倍で前回(3.27倍)から低下した。』

応札は減るわ足切りは流れるわ事前予想よりも弱いわ、という結果になりましたが、まあマイナス金利の弊害なのか共担の打ち過ぎなのかわからんですけど、短国が常にクソ強いという状況が続いていて、TDBの利回りカーブは相変わらずのどマイナスになっていて政策変更を1ミリも織り込んでいなくて、辛うじて1年TDBのカレント(2024年10月償還)だけ付利金利(▲10bp)よりも高い金利の引けになっていますが、他の銘柄(即ち2024年9月償還まで)軒並み付利金利の▲10bpまたはそれ以下という引けになっているという価格形成になっていまして、まあこの辺に関しても市場の価格発見機能とは何なのか、というのが地味に起きているんですけど、2年はさすがに新発が出るだけに少しは反応をしている、というところでやっと生体反応らしきものが出てきたのかと思うとまあこれはこれで良い傾向なのかもしれません、知らんけど。


・なお日経砲を受けたイブニング先物ちゃん(朝6時時点)

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
先物価格情報

長期国債先物

限月:23年12月限
取引日:10/31 夜間取引

始値:144.25(10/30)(15:30)
高値:144.29(10/30)(17:07)
安値:143.68(10/31)(05:53)
現在値:143.68(10/31)(05:53)
前日比:-0.56
取引高:18,732

あらあら143円台ですかそうですか(まあそらそうだ)

・・・・・という訳で本日はまあご案内の通りこんな報道もありましたのでさっさと生業に取り掛かるという事で甚だ簡単なメモとさせていただきましたが、とにかくしつこく申し上げますが今回の決定を「単なるテクニカル修正」にとどめるのか、それとも「物価情勢判断の上方修正を受けた政策修正」と位置付けるかによって今後の展開は大きく変わる(最終的に行きつくところは同じ「物価目標達成」かもしれないけどその間の動きがたぶんだいぶ違う)と思いますので、そこを注目しないとイカンと思います。




2023/10/30

お題「結局決め打ち観測記事無しでしたかしら/東京都区部CPIつええええ/ECBは暫く動けませんなこりゃ」

お、これはこれは
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar/Japanese Yen FX Spot Rate

USDJPY=X
直近の取引 149.56JPY
2023年10月30日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

あ、全然話は違いますが、ロイターのネット版、債券市場の記事って最近見れねえええええって申し上げていましたが、凄まじく謎の仕様なのですが、「投資信託」のカテゴリーに入っているという仕様になっておられるようでございますのでお知らせいたします。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/

なお市況に関しては「マーケットアイ」で検索すると見れます。

・・・・・という事を読者様からご教示いただきました(とさっそくネタを割るアタクシ)。誠にありがとうございますのでご案内させて頂きました(深謝)。



〇週末は決め打ち観測記事が出なかったということでOKかな??

こちら確か最初の記事は金曜に見た覚えがあるんですが今タイムスタンプ見ますと日曜の朝になっていますね。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231027/k10014239451000.html
1%に迫る長期金利 適正水準は?【経済コラム】
2023年10月29日 8時20分

『注目予定

日銀は10月30日と31日の2日間の日程で金融政策決定会合を開きます。

物価や長期金利、円安などの動向も踏まえ、政策の方向性を議論します。

今回は、最新の経済と物価の見通しをまとめた「展望レポート」を発表しますが、この結果をふまえて植田総裁がどのような現状認識を示すのか注目されます。

また、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が金融政策を決定する会合を開きます。

市場では、利上げを見送るとの見方が大勢ですが、パウエル議長が会見で、今後の金融政策のスタンスについてどのように説明するのかも焦点です。』(上記URL先より)

でもって今朝の日経ちゃん
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB279BF0X21C23A0000000/
円、急変動はらむ週に 日銀決定会合や中東情勢が材料
マーケットα
2023年10月30日 5:00 [会員限定記事]

例によって会員限定記事ですのでアレですが無料公開されている最初の所だけ。

『今週の円相場は変動が大きい展開になりそうだ。日米の中央銀行が金融政策を決める会合を開くほか、政府・日銀による10月の為替介入の有無が判明する。介入がなかった場合は円安が進む可能性がある。中東情勢が急速に緊迫化しており、円相場を決める変数は増えた。150円を挟んだ攻防が続く。』
(上記URL先より)

朝(30日の朝5時台)の時点では日経新聞のサイトのトップがこの記事になっていて、こちらを見ますと、「今週の金融市場は急変動の可能性がある」「中東情勢が緊迫化すれば円が買われそう」「10月の為替介入が無かったら円安進行か…」って感じのリードがあって、日経無課金おじさんなので記事の方は見れないのですが、あんまり日銀が何かする的な感じじゃないと思うのですがどうっすかね。

ということで、NHKはあんまり無さそうと見ている感じを受けたのと、まあ日経はゆうて暫く前に記事書いていたので、どういう見方なのかは謎ですけど(そもそも記事の中身見てないし)いずれにせよ決め打ちできるような情勢判断には至っていない、ということかも知れませんですね、はい。



〇なお東京都区部CPIが相変わらずの強さをしめしておりましたが・・・・・・・・・・

https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html
消費者物価指数(CPI)

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-t.html
2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2023年(令和5年)10月分(中旬速報値)
2023年10月27日公表

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消 費 者 物 価 指 数
東京都区部 2023年(令和5年)10月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです。

◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として106.8
前年同月比は3.3%の上昇 前月比(季節調整値)は0.9%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は106.0
前年同月比は2.7%の上昇 前月比(季節調整値)は0.7%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.7
前年同月比は3.8%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇

ちょwwwww前月比wwwwwwwwww

ということでまあ前年同月比で見ても市場予想よりも強かった筈ですが、前月比をみると総合とコアの上昇えぐすぎワロリンチョ。エネルギーの影響はあるにしましても・・・・・・・・

表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比

総合が今年入ってから、
104.7→104.1→104.4→105.1→105.1→105.1→105.5→105.6→105.8→106.8
とかなってて今月の上げがえぐくて泣けますわ。

表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)

のコアコア前月比を見ても9月に前月の+0.3から+0.1に前月比伸び率鈍化したと思ったら今月に入ってまた+0.3と再加速の香りが漂っている訳でして、2022年(2023年ではない)から延々と「この先物価上昇率は鈍化して2%を割り込むところまで減速するから今の政策を継続するのが正しい」と言い続けて1年半も経過しているというのに、10年金利の変動許容幅の拡大だけは実施しているけど、その間に国債の買入や長期共通担保オペで寧ろ量的な緩和は急速に緩和の拡大を行っている、というような政策をしているのが根本的に間違いなんじゃなかろうか、と自己反省する最後のタイミングだと思いますし、物価見通しをここまで盛大に外し続けているのに「この物価上昇は私たちの考える物価上昇ではない」とか言ってるのは、そらもう記者会見でちょっとHらさんとかY田さんとか以外にも社会部系の記者がやってきて査問糾弾をしていただいて良くってよ(今回政策の方向性を変えるなら糾弾しなくてもいいんでしょうけど)という感じですが、さてこんな数字まで出てきたのに日銀はどういう引かれ物の小唄を歌うのか、明日が楽しみで楽しみで仕方ありません。

あ、ちなみにアタクシですが、「事ここに至ってガチの現状維持をしたら日銀の政策部門お取り潰し待ったなしにも程があるので10年の金利上昇許容水準の拡大(上限の引き上げ)もしくは連続指値オペの停止によって1%突破を容認する形骸化の実施」を予想しますが、メディアの直前の盛り上がらなさと言い、まあ事前観測にしても「検討する」とか「米国長期金利動向を直前まで見極める」とか言っているとゆーのは大本営としては7月にレンジ拡大したばっかりなのに10月にまたやりたくないとかしょうもない事を考えているんでしょうなあ、とアタクシは妄想する次第ですので、その場合はガチの現状維持をぶっこんできて、その後12月の会合まで日銀がシバかれ続ける展開というのもあって、マジで5分5分というか、強いて言えばYCC修正49%にガチの現状維持51%って事にしておきましょう。客観情勢全然理解しようとしない大本営の大本営っぷりがまあ洒落にならないレベルになっているように思えるのよね、ただの霊感だけど。



〇ECBレビューの続きということで

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2023/html/ecb.is231026~c23b4eb5f0.en.html
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Athens, 26 October 2023

『Good afternoon, the Vice-President and I welcome you to our press conference. I would like to thank Governor Stournaras for his kind hospitality and express our special gratitude to his staff for the excellent organisation of today’s meeting of the Governing Council.』

ということでこれはご挨拶ですが以下説明がありまして、

・金利据え置きの背景は物価上昇の沈静化傾向としているがほぼ「金融引き締めの効果」を強調

『The Governing Council today decided to keep the three key ECB interest rates unchanged.』

金利据え置きの背景として、

『The incoming information has broadly confirmed our previous assessment of the medium-term inflation outlook. Inflation is still expected to stay too high for too long, and domestic price pressures remain strong.』

『At the same time, inflation dropped markedly in September, including due to strong base effects, and most measures of underlying inflation have continued to ease. Our past interest rate increases continue to be transmitted forcefully into financing conditions. This is increasingly dampening demand and thereby helps push down inflation.』

金融引き締めの効果により金融環境がタイトになったのが需要を押し下げてインフレを押し下げる効果になっている、と思いっきり金融引き締め効果だという話をしております。


・政策金利は「十分に長期間にわたって今の引き締め的な水準で維持する」

『We are determined to ensure that inflation returns to our two per cent medium-term target in a timely manner. Based on our current assessment, we consider that the key ECB interest rates are at levels that, maintained for a sufficiently long duration, will make a substantial contribution to this goal. Our future decisions will ensure that our policy rates will be set at sufficiently restrictive levels for as long as necessary.』

でもって先行きの金利に関しては、今の金利済準を「for a sufficiently long duration」に渡って維持することによって、物価2%目標に向けた「a substantial contribution」をしますよ、って言ってまして、まあそうでしょうなという話。

『We will continue to follow a data-dependent approach to determining the appropriate level and duration of restriction. In particular, our interest rate decisions will be based on our assessment of the inflation outlook in light of the incoming economic and financial data, the dynamics of underlying inflation and the strength of monetary policy transmission.』

でもって先行きの金融政策決定はデータディペンデント、ってさっき先行きの金融政策を維持するとか言ってるのにしらっとここで出たとこ勝負話をしているのでありまして、まあ物価動向が思ったように行かなかった場合(上でも下でも)政策は動きえる、という話を入れております。まあここから再利上げってのはインフレが反転上昇するような事でも無ければ無いとは思いますけど、思った以上にインフレが沈静化した時に大勝利宣言と共に引き締め解除も出来る仕掛けは入っております。

『The decisions taken today are set out in a press release available on our website.』

『I will now outline in more detail how we see the economy and inflation developing and will then explain our assessment of financial and monetary conditions.』

ということで、


・経済の現状認識は真っ暗ですな

『Economic activity』について、

『The euro area economy remains weak. Recent information suggests that manufacturing output has continued to fall. Subdued foreign demand and tighter financing conditions are increasingly weighing on investment and consumer spending. The services sector is also weakening further. This is mainly because weaker industrial activity is spilling over to other sectors, the impetus from reopening effects is fading and the impact of higher interest rates is broadening.』

経済の現状についての説明はヨワヨワでして、金曜にネタにした「一目で分かる今回の金融政策」の図柄がやたら暗めのトーンになっていたのと平仄が揃っております。

『The economy is likely to remain weak for the remainder of this year. But as inflation falls further, household real incomes recover and the demand for euro area exports picks up, the economy should strengthen over the coming years.』

年末まで経済は弱いのが続くんだが、インフレが鎮静化してくると家計の実質所得が回復するので(米国も同じなんですけど、結局インフレ上昇局面って賃金は遅れて上がるから実質所得の改善は上がったインフレが沈静化する過程で起きる訳で、その点から言って「賃金と物価の好循環」とか言ってるのどっからどう見ても頭おかしくて、上昇過程においてはスパイラルが起きるか、延々と実質賃金が上がらない状態が続くかの二者択一しかない訳ですけど植田総裁はさすがに馬鹿じゃないからその辺分かってるでしょ、と思いたい)、消費が改善するのに加え、輸出が今後回復するでしょうと見ているので来年は良くなって来るヨ。

『Economic activity has so far been supported by the strength of the labour market. The unemployment rate stood at a historical low of 6.4 per cent in August. At the same time, there are signs that the labour market is weakening. Fewer new jobs are being created, including in services, consistent with the cooling economy gradually feeding through to employment.』

労働市場は強いんですね〜。

・ちょっと日本の馬鹿政治家はここを読むべき

でもって経済のこの次の部分だが、

『As the energy crisis fades, governments should continue to roll back the related support measures. This is essential to avoid driving up medium-term inflationary pressures, which would otherwise call for even tighter monetary policy.』

・・・・・・・インフレ対策、と言って馬鹿みたいに財政垂れ流し合戦をやり、一方で金融政策の方は「この物価上昇は私たちの求める物価上昇ではないから馬鹿金融緩和を止めない(寧ろ量的には強化)」とかしてインフレを招いている人たちはちょっとこの部分を1万回くらい写経しておけと。

『Fiscal policies should be designed to make our economy more productive and to gradually bring down high public debt.』

絶望的な財政状況でちょっと税収増えたら還元するとか借金で公営賭博に行って勝ったら全部飲んで使ってしまう極道オヤジもビックリの馬鹿政府は少しこういうのを読んでいただきたい。

『Structural reforms and investments to enhance the euro area’s supply capacity - which would be supported by the full implementation of the Next Generation EU programme - can help reduce price pressures in the medium term, while supporting the green and digital transitions. To that end, the reform of the EU’s economic governance framework should be concluded before the end of this year and progress towards Capital Markets Union and the completion of Banking Union should be accelerated.』

この辺はいつもの構造改革の話。

・インフレは落ち着いてきたが賃金上昇圧力がまだ強い

次はインフレに関して『Inflation』ですな。

『Inflation dropped to 4.3 per cent in September, almost a full percentage point lower than its August level. In the near term, it is likely to come down further, as the sharp price increases in energy and food recorded in autumn 2022 will drop out of the yearly rates. September’s decline was broad-based. Food price inflation slowed again, although it remains high by historical standards. In annual terms, energy prices fell by 4.6 per cent but, most recently, have risen again and become less predictable in view of the new geopolitical tensions.』

『Inflation excluding energy and food dropped to 4.5 per cent in September, from 5.3 per cent in August. This fall was supported by improving supply conditions, the pass-through of previous declines in energy prices, and the impact of tighter monetary policy on demand and corporate pricing power. Goods and services inflation rates fell substantially, to 4.1 per cent and 4.7 per cent respectively, with services inflation also being pulled down by pronounced base effects. Price pressures in tourism and travel appear to be moderating.』

この辺現状の説明ですね。

『Most measures of underlying inflation continue to decline. At the same time, domestic price pressures are still strong, reflecting also the growing importance of rising wages. Measures of longer-term inflation expectations mostly stand around 2 per cent. Nonetheless, some indicators remain elevated and need to be monitored closely.』

でもって域内の物価上昇圧力はそうはいっても強くて、その背景にあるのが「growing importance of rising wages」ということで、他の物価上昇要因については軽減されてきたけど賃金要因が、ということになっています。


・リスクは経済下向き物価は上向き

『Risk assessment』ですがここはまあ流しますわ(手抜き)

『The risks to economic growth remain tilted to the downside.』

でして、以下に述べられている要因は順当に、

『Growth could be lower if the effects of monetary policy turn out stronger than expected. A weaker world economy would also weigh on growth. Russia’s unjustified war against Ukraine and the tragic conflict triggered by the terrorist attacks in Israel are key sources of geopolitical risk. This may result in firms and households becoming less confident and more uncertain about the future, and dampen growth further. Conversely, growth could be higher than expected if the still resilient labour market and rising real incomes mean that people and businesses become more confident and spend more, or the world economy grows more strongly than expected.』

と経済は下向きで、

『Upside risks to inflation could come from higher energy and food costs.』

インフレのアップサイドは「エネルギーと食糧」だそうです。

『The heightened geopolitical tensions could drive up energy prices in the near term, while making the medium-term outlook more uncertain. Extreme weather, and the unfolding climate crisis more broadly, could push food prices up by more than expected. A lasting rise in inflation expectations above our target, or higher than anticipated increases in wages or profit margins, could also drive inflation higher, including over the medium term. By contrast, weaker demand - for example owing to a stronger transmission of monetary policy or a worsening of the economic environment in the rest of the world amid greater geopolitical risks - would ease price pressures, especially over the medium term.』

でまあそれ以外には上振れリスクとして賃金と価格設定行動(マージン確保のための)がある、
というのでまあ順当な説明です。

でもって以下『Financial and monetary conditions』というのがあって最後に『Conclusion』があるのですけれども、前者についてはまあ状況を淡々と説明しているだけなのでパスしまして、最後のも結局のところ最初で述べた話と同じなのでめんどいのと時間が無くなってきたので割愛します。





2023/10/27

お題「さすがにこれ来週何もなしは許されんじゃろ・・・・/ECBはいつものイラスト確認で今朝は勘弁」

誰か修正して差し上げろよ・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/AXAK7VTYPJOBVH6PL2ERNUD5J4-2023-10-26/
岸田首相、トヨタ会長らと会談 「デフレ完全脱却に向け協力を」
Hiroshi Hashimoto
2023年10月26日午後 7:20 GMT+9

『[東京 26日 ロイター] - 岸田文雄首相は26日、自動車展示会「ジャパンモビリティーショー」を視察し、日本自動車工業会会長を務めるトヨタ自動車(7203.T)の豊田章男会長ら自動車産業関係者と会談した。

岸田首相はこの中で、「デフレ完全脱却に向けて、官民ともに力を合わせていきたい」と語った。』(上記URL先より)

物価高対策って思いっきり言いながら経済対策してるのに「デフレ完全脱却」っていうの恥ずかしいどころの騒ぎじゃないから何とかして差し上げてください。「経済の持続的な好循環の定着」でも何でもものの言いようというのはあるでしょうが・・・・・・・・・・・

こんな発言に財政ばらまき合戦に2%には距離があるとか言い放つ日銀と言い、そりゃ円安にもなりますわw


〇現状維持では済まされないどころかテクニカル修正も持たない気がしてきたんだが・・・・・・・(MPMプレビュー雑談)

もりあがってまいりました!!!!!!!!!
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar/Japanese Yen FX Spot Rate

USDJPY=X 直近の取引 150.38 JPY
今日のレンジ
149.91 - 150.77

昨日は朝っぱらから150円台に乗っておりました上に、先般のようにシドニー市場で上髭付けたような感じではなくて終始150円台で推移しておりました、ということで居場所一段変わりました感が強い訳でございます。

日銀ちゃんの方は昨日は何だか知らんけど臨時オペも共担予告も無しということで、先物弱めの推移という感じでして、

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年12月限

取引日:2023/10/26
立会区分:日中取引
始値:144.46(10/26)(08:45)
高値:144.48(10/26)(08:45)
安値:144.23(10/26)(14:51)
現在値:144.26(10/26)(15:02)
前日比:-0.46
取引高:25,371

あらあらまあまあという感じでございまして、結局10年カレントの引けは0.880%でございましたが、これはアレですか次の馬鹿買入は0.90%になったらでございますかそうですか、ってな風情ですし、結局0.80と0.85でシャカリキになって買入入れたの何ですねんという展開ではございました。まあ何か「市場の自然な動きに対して抵抗はするけど結局「止めようとしましたポーズ」のために買入をしたのかよ」って言いたくなる展開ではございます。

#今朝はイブニングで米債様のお蔭で先物上がってるし今日は定例の輪番ですからまあ一息つくんでしょうけど、

というのもですね、結局こういう大して意味のない買入を増やすの、もう馬鹿みたいな買入をしているから神経がマヒしているんだと思うのですが、これって日銀のバランスシートを全く意味もなく拡大することによって、将来世の中が正常になった時の日銀の政策運営に対する重い足枷になる訳で、YCCの本質的な問題点って市場機能云々もあるけど、もっと大きな問題って「目先の対応によって将来の政策運営の自由度を縛るリスクが高い」という問題、ゆうなれば金融政策点検の第二の柱に相当するリスクを、無駄に政策を継続することによって高めていく、というものなんですよね。


でまあそんな話はさておきまして、ドル円ちゃんが150円に乗って戻ってこないの巻。まあ昨日の夕方に一瞬だけ80銭くらい円高に振れて150円割ったのでレートチェックでも入ったのかな、とは思いましたが、結局のところあっさり味で150円40銭近辺まで回復するでござるの巻となりまして、所詮はレートチェックよ、というお話のようですし、だいたいからして昨日は確かに米国長期金利様が上昇したのが最初の150円乗せのトリガーだったんじゃねえかと思う(知らんけど)のですが、今朝見たら米国長期金利様は昨日よりは低下しておられるわけでして、それでも150円に乗せっぱなしというのが「位置が変わりましたなあ」というところではあります。

いやですね、結局のところ日銀が「2%達成には距離があるから金利上昇は抑制しますよ」ポーズを取り続けていると為替介入するの幾らなんでも筋悪過ぎて介入できないですよね、というのが思いっきり見透かされてしまったのがあるんでしょうと思いますし、MPM直近のブルームバーグ、ロイター(英語版の後日本語版も水曜の午後出てましたね、内容は同じような感じでしたので割愛しますが)、読売新聞の3連発がいずれも「テクニカルな修正」がメインとなって10年のレンジについて何らかの手直しを行うんじゃネーノという話になっているので、これじゃあ本質的な部分は日銀変わらん、となるとやはり介入の名分に乏しくて米国様のご理解を得られない、という所まで為替市場が見越しているのかどうかは知らんですけど、でも何かそういうイメージは持ってしまいましたという訳です。

つまり何が言いたいかというと、昨日も申し上げたように「展望レポートの物価見通し引き上げとセットで」「物価目標達成が視野に入って来ました」と目標達成に向けた示唆を行い、かつ「とは言いましても安定的な好循環を見極めたいから本格的な出口とかはまだだよ」ということにして、でもって長期金利のコントロールは事実上放棄、という形でとにかく「物価目標達成が視野に入った」というステージに変わった、というのを表明しないと為替市場様がいつまでもシバキ続けるし、うっかり今回小賢しく「米国長期金利ガー」とか言うと日本円金利の方からも追い込みが掛かるかもしれませんし、もうボコボコにされて無念の死を遂げることになる未来しか見えない訳ですなアタクシには。

まあ黒田緩和と一家心中してボコボコにされて無念の死を遂げて大本営と置物一派とおまけで大本営の腹話術人形もまとめて追放にでもなった方が雨降って痔固まるという事で長期的には良い事なのかも知れませんので別にどっちでも良いのですけれども、今回しょうもない小賢しい屁理屈で修正するとか、もっと凄まじいのは物価見通しだけいじって現状維持、ですけど、まあそういうのをしますと物凄い勢いでシバかれる日銀、というのが見られるわけで、最初は円債市場がおっかなびっくりシバキに掛かっていましたが、為替市場が参戦してきまして、これそのまま無駄な抵抗を繰り返していると為替市場を受けて政治方面からも円安の戦犯扱いされて更にボッコボコにされると思いますので、老婆心ながら最後の降参の機会だと思いますので、ということえ私言いましたからね!!!!

・・・・・しかし物凄くアホラシイのですが、本来は大勝利宣言になって誇らしいフィナーレになる筈の物価目標達成が何で降参になるんですかねえ、昨年の春先以降黒田が馬鹿みたいに意地張ってクソ粘りしたせいなので植田さんのせいではあんまりないんですけど何なんですかねえ。


ま、いずれにしましてもこれ来週火曜日に向けて益々盛り上がってまいりましたし、この土日で情勢の変化を受けて何かまた泡吹きながら考え直すかも知れないし、と色々と期待はしているのですが、これで「現状維持」とか出たらマジで笑いすぎて呼吸困難になるといけないから酸素用意しておかないと(可能性は大有りだが酸素は用意しません)。


〇ECBちゃんである

最近はもう初動はこれを見るのが我が仕様。どっかの真似っ子中銀とは違ってちゃんとしたものになっているのが大変に結構である。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_october.en.html
Our monetary policy statement at a glance - October 2023

前回の絵はこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/2023/html/mopo_statement_explained_september.en.html
Our monetary policy statement at a glance - September 2023

並べて見ると大変に吉です、どっかの真似っ子ポンチ絵は後発の真似っ子の癖に出来が悪いという奇跡のアホなので過去のECBのこれを百万回写経すべきだと思います。

前回から引用した部分だけ(前回9月)ってつけますね。

最初が政策金利の説明です。

『We kept our key interest rates unchanged』

『Our past interest rate hikes are already helping push inflation down. Our future decisions will depend on how we see the economy and inflation developing.』

前回は利上げしてますので、文章自体は当然違うのですが、絵を見ますと実は前回(もっというと前々回もそうでしたが)0.25%の階段を片足登りました、という絵になっていますけど、その先って平らになっているんですよね。これは細かく言いますと6月までは「利上げの階段の先にも次の階段らしきもの」という状態だったのですが、7月のイラストから変わっております。

過去のを見たい場合はこちらをどうそ
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/visual-mps/html/index.en.html

でもって今回も先行きに関しては上にも下にも決め打ちしていない、というのが続いておりまして、利上げありきではない、というのはまあ(前からそうなんですけど)引き続き明白でして、もしFEDにこれを書かせたら多分先の所は上向き階段が用意されているという絵になる(なおFEDの場合は見通しが各人の見通しになっていてスタッフ見通しではないからこういう絵を出すと「アタシの意見と違うわよムッキー!」と大喧嘩になるのが必定なのでこういう絵は絶対に出さないに100パウエル)んじゃないかと思うのよね。


次が『What is going on in the economy』なのですが、書きぶりが変わっていまして・・・・・・

今回の小見出しの並び。

『Inflation has dropped markedly but is still too high』
『The economy is weak and will remain so until the end of the year』
『Many people are in jobs』
『Higher interest rates are making borrowing more expensive』

『The economy will stay weak for a while』(前回9月)
『The jobs market is still strong』(前回9月)
『Inflation is falling but is still too high』(前回9月)
『People and businesses are taking out fewer loans』(前回9月)

最後の「金利の上昇で借入コストが上がって経済活動を抑制」というのは基本同じなのですけど、最初の書き順が変わっていますよね。

でですね、ポンチ絵の方を貼るスキルが相変わらずないので文章で説明しますけど、最初の「Inflation has dropped markedly but is still too high」なんですけど、この絵柄がかなりな「先行きの暗雲」ってな感じの若干暗め(暗いって程ではないけど)トーンになっていまして、グローバルなテンション(そりゃまあ欧州からしたらウクライナはお隣さんだし中東はご近所さんですから当たり前ですけど)の悪化に注意、暗雲が出てますよ!って絵になっています。

前回は「経済の先行きちょっとお天気悪そうアルネ」って感じの絵で、お空に雲がモクモクと掛っていて天気予報がアヤシイネーみたいな感じでしたが、今回はなんせお空に掛かっている雲が明らかに前回対比暗雲成分を非常に強くしていまして、最初のイラストが明らかに先行きの警戒を強めていますよ、って感じになっています。

さらに今回は2番目のイラストも「The economy is weak and will remain so until the end of the year」となっているのですが、この絵柄に関しても背景の色が暗い青になっていて、この2つのイラストで勝負あったという感じになっています。

とまあそういう訳でして、今回は前回対比でかなり経済に対する見方が厳しくなっておりまして、これはもう会見とか見る前にトーンが良く分かって大変に結構な出来栄えとなっています。

雇用と金融環境(金利の影響)に関するイラストは極端には変わらないのですが、金利の部分に関してはこれまた「金利上昇の影響が来てます」ってトーンが強くなっておりまして、だから利下げみたいな話になるのかというと「Inflation has dropped markedly but is still too high」なのでそう簡単に利下げとはならんにしても、打ち止め感は満載、というところなのではないでしょうか、と会見も読まずに勝手に感想でした。


#本日はショパンの事情であっさり味雑談になってしまいましたすいませんすいません






2023/10/26

お題「決定会合プレビュー雑談/25年レビューのワークショップとな/メスター総裁の金曜の講演からちょっとだけ」

観測報道でも出るかと思って主要紙チェックして回って最後にロイターとBBG見たらどっちの数字を見てもドル円が150円に乗っているように見えたのですが、NHK含めてどこもニュースにしてないのがナンデジャとオモタです。

〇読売新聞の観測も含めて「今回はテクニカルに長期金利ターゲットの手直し」みたいな話ですが・・・・・・

昨日ヘッドラインだけご紹介した読売の記事ちゃんですが、こちらまあしょーがないので読売の朝刊を大枚150円はたいて査収してきたんですけれども政策に関する話はブルームバーグの記事と平仄が揃っているという感じでした。

理屈(屁理屈)としては展望の物価見通し上方修正待ったなし、とは別のロジックで、(1)米国長期金利が思いの外上昇圧力が強いので日本の金利にも上方圧力が掛かりやすいですよ、(2)だからこの前「念のため」としていた1%になりそうなので、「念のための1%を見直す」よ、(3)でも物価目標達成はまだ見通せないからこれは政策修正ではないし、むろん正常化に向けた布石でも何でもないよ、という流れになっております。

・・・・・・・いいのかそのロジックで。

本来であればまあとっくの昔に正常化着手してろよとは思いますが、そこはさて置くとしてじゃあどうしろとアタクシが思うかと言えば、経済物価情勢の現状と先行きの好転によって物価目標達成が視野に入りつつある、という認識を示した上で、長期金利について水準を決め打ちしたターゲットは行わない、でも長期金利が過度に上昇するのは良くないので適宜買入を機動的に行う事もあるよ、としながら、マイナス金利解除や正常化着手に関しては、持続的な物価上昇の確実さを賃金動向などでもう少し見極めたい、って言って経済物価情勢が見通し通りに推移するなら先行き正常化に向かえる、って方向性を示すってしないと、小手先の話でやってると直ぐに追い込まれるでしょという話。

だいたいですね、まず明らかにヤバいのが「今の長期金利上昇は米国金利上昇のせい」って言っている部分でして、こんなの米国金利上昇要因もあるけど、どうみたって国内の物価情勢が強くて日銀の言ってた「23年度後半は2%割れ水準に物価上昇率が鈍化する」があり得ないくらいの間違いだった上に、基調的な物価も強い、って状況を反映して、それに対してこの金利は水準低過ぎじゃろということが背景にあるでしょ、という話。

まあ日銀アホなんで7月も謎に「1%はつかないと思うけど念のため」とか余計なことを言うもんだから1%付く前に決死の防衛戦をしないといけなくなるとか、その場その場で適当に調子の良い事をあんまりものを考えずに言ってしまい、それが自分の首を締める、というのを黒田末期の2022年3月から延々と継続している訳ですが、今回仮に「今の金利上昇は米国金利上昇によるものです」で済ませたら、米国金利上昇が止まった時に経済物価情勢の好転を背景に日本の金利が下がらないまたは上がる、となったら早速申し開きが付かなくなる、という無茶苦茶アホなロジックを展開していまして、何かこの人達って頭が茹で上がってもう後先のこと考えられなくなってる状況が1年半も続いてるんだなと思いますし、こんなのに付き合わされてる円債市場いい迷惑にも程があるんですよね。

ということで、まあお手並み拝見なのですが、今日の朝刊とかどっかが何か書くのかと思って身構えていたので拍子抜けなうなのですが、単純にアタクシが見落としている可能性も大有り(ちなみに昨日の読売に関してもトップページをみても分からなかったんですよね、日銀で検索したら出てきた)なので何かあったらゴメンヨということで。



〇そういや今更ですが多角的レビューのワークショップの式次第が出てましたね

先週金曜の話で恐縮ですが
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/bpr231020a.htm
金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップの開催について
2023年10月20日
日本銀行

『日本銀行では、金融政策の多角的レビューに関するワークショップを開催いたします。』

へいへいそうでっか。

『本ワークショップは、日本銀行の役職員だけでなく、経済・金融分野の専門家・学者の方などにも参加していただくことで、多様な知見を取り入れつつ、レビューの客観性や透明性を高めることを目的とするものです。』

ふーん。

『本年12月4日(月)に第1回ワークショップを開催し、第2回ワークショップは来年5月頃に開催する予定です。第1回ワークショップのテーマは次のとおりです(プログラム案 [PDF 88KB])。』

だそうですが、

『なお、参加者間の活発な討議を行う観点から、ワークショップへの参加は招待者限りとしますが、各セッションの報告資料および議論の概要については、日本銀行のホームページに掲載する予定です。』

ECBのシントラのフォーラムとかみたいにライブ中継してセッションごとに分割して日銀のユーチューブチャンネルに掲載したらどうでしょうか、と思うのですけど是非ご検討いただければと思います。


で、式次第式次第っと。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr231020a.pdf
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」
開催日 2023 年 12 月 4 日(月)9:30〜18:00
場 所 日本銀行本店

どれどれ。

『第1セッション 金融市場
報告者 日本銀行金融市場局スタッフ

指定討論者  岩壷 健太郎 神戸大学教授
      加藤 出 東短リサーチ社長』

金融市場で加藤出さんが出て来る〜と思ったのですが、出さんだと債券市場というよりもマネーマーケットの方が中心になっちゃう(出さんは債券市場にも造詣深いですけど)じゃんとか思うのと、また大学教授かよと思いながら式次第を見るのですが、

『第2セッション 金融システム

報告者 日本銀行金融機構局スタッフ

指定討論者 植田 健一 東京大学教授
      家森 信善 神戸大学教授』

うーんこの、大学教授が雁首揃えて金融システムの話を討論ねえ・・・・・・・・・

『第3セッション 日本銀行のバランスシート

報告者 日本銀行企画局スタッフ

指定討論者  左三川 郁子 日本経済研究センター金融研究室長
       戸村 肇 早稲田大学教授』

うーん(以下同文)

『第4セッション 非伝統的金融政策

報告者 日本銀行企画局スタッフ

指定討論者 小枝 淳子 早稲田大学教授
      小林 慶一郎 慶應義塾大学教授』

(以下同文)

『第5セッション パネルディスカッション

モデレーター 星 岳雄 東京大学教授

パネリスト 新谷 元嗣 東京大学教授
      仲田 泰祐 東京大学准教授
      林 伴子 内閣府政策統括官
      清水 誠一 日本銀行理事』

あ、星先生モデレーターだ、と思いつつここでやっと実務家の名前が出ましたな。

・・・・・・・まあどういう報告が出てきてそれに対して討論するのか、というのは皆目見当が付かないのですが、実務家とかせめて元審議委員とか日銀の元局長とか元理事とか、まあこういうのに海外中銀の人よんでも意味ないのかもしれないですけど、何か日本の大学教授ばっかり並べて討論ってまたお手盛り茶番劇の悪寒しかしないんですけど(個人の相当な偏見ですので念のため申し添えます)という所でして、いやまあ第2回に実務家が勢ぞろいするとかそういう段取りなのかもしれませんけれども、ガチの実務家が出さんしかいないっての何なのよ感は否めませんな。

なお、置物一派の名前が無い(という理解だがそれで合ってるよな)のはクソワロタので、そこと出さん呼んだのだけは認めます。

まあ何ですな、ワークショップと言えば昨年・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2022/ron220523a.htm
「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ
第1回「わが国の物価変動の特徴点」の模様

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2022/ron220831a.htm
「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ
第2回「わが国のフィリップス曲線とコスト転嫁」の模様

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2022/ron221223a.htm
「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ
第3回「わが国の賃金形成メカニズム」の模様

こんな立派なワークショップを3回に渡って実施していた訳ですが、展望レポートでおわかりのように、日銀が出している物価見通しがこの世の物とは思えないほとの無様な外し方(しかも先行事例として諸外国の物価上昇があるというのに)をしている訳でして、この時も学者様をホイホイ集めてワークショップやった挙句にこの物価見通しな訳ですからして、まあ茶番に付き合わされる出さんカワイソスという感じでございますが、茶番の香りしかしないんですよね申し訳ないけど。

いやまあもしかしたらワンチャン今月の決定会合で黒田の呪縛から解放されることによってお手盛り茶番劇じゃないちゃんとしたワークショップになってくれるかも知れないので、まだ希望は捨ててはおりませんですわよ。


〇FEDネタ暫くやってないうちにFOMC前になってしまいましたので一番新しい先週金曜のでも(メスター)

先週金曜日のメスターを何故選んだかというと一番最近というのもありますが、メスターは基本的にこの正常化から引き締め局面において一貫して利上げ上等スタンスなので、というのがありましてですね。

https://www.clevelandfed.org/collections/speeches/2023/sp-20231020-monetary-policy-in-word-and-deed
Monetary Policy in Word and Deed
Loretta J. Mester
President and Chief Executive Officer
10.20.2023 12:15 PM EDT
In Person Shadow Open Market Committee Fall Meeting, New York, NY

『In Person Shadow Open Market Committee Fall Meeting, New York, NY』ってのがワロエますが、説明の方は経済の話から物価の話しから労働市場の話しから色々とあるのでやってると長くなるので時間の関係もありますしその辺はかっ飛ばしまして、

『Phases of Monetary Policy and Communications』って小見出しがありまして、

『Regardless of the decision made at our next meeting, if the economy evolves as anticipated, in my view, we are likely near or at a holding point on the funds rate as we accumulate more information on economic and financial developments and assess the effects of the tightening in financial conditions that has already occurred. I think it is useful to think of monetary policy during this tightening cycle in phases, although the shifts from one phase to another depend on the evolution of the economy.』

ということで金融引き締めサイクルの過程はどのように進展して終了しますか、という話をしているんですね、でまあそのマクラのこの部分で思いっきり「if the economy evolves as anticipated, in my view, we are likely near or at a holding point on the funds rate」と言ってて、まあタカ派のメスターですら次の利上げ決め打ちではなくて「we are likely near or at a holding point」と利上げ打ち止めの可能性の話もしている訳でして、まあこれって普通にFED的にはインフレが再加速しない限りは利上げしない、ってことになると思って問題ないということだと解釈したんですけれどもどうですかね。

でですね、この小見出しが

Phase one: How fast to raise the policy rate
Phase two: How high to raise the policy rate
Phase three: How long will monetary policy need to remain restrictive
Phase four: Reducing the fed funds rate and moving monetary policy toward a more neutral stance
Longer-term improvements in communications

とあって、お察しの通りフェース1〜4の中では3の部分が長く説明されています。現状がここ、という話ですよねということで引用しますけど、

『The narrative would then be entering a third phase focused on how long monetary policy will need to remain restrictive. Getting away from the meeting-to-meeting guessing game of will they or won’t they increase the funds rate would seem to add some beneficial stability allowing firms and financial markets to absorb the increases in the pipeline.』

『But communicating how the FOMC is thinking about the economy and monetary policy in this policy phase will be a challenge because it requires some nuance. The FOMC is committed to returning inflation to our 2 percent goal, and we would not be content with inflation settling in at a level above our goal. But as we travel the last mile of getting inflation back to 2 percent, the balance of risks to our dual mandate goals will continue to shift and it is important that the public understand that the commitment to price stability doesn’t mean ignoring the maximum employment part of the mandate or deliberately taking actions to drive the economy into recession for the sake of achieving price stability as soon as possible. The balance of risks will change over time, and the Fed will continue to calibrate its policy in pursuit of both goals.』

なんか文章の流れ的にぶつ切りしにくいんですけど、ここでのメスターさんの説明ですと、「But as we travel the last mile of getting inflation back to 2 percent,」から始まる文(なんかクッソ長い一文になっていますけれども)がほほーと思いましてですね、それはその次に「the balance of risks to our dual mandate goals will continue to shift」と続きまして、どのようにリスクバランスがシフトするのかというと、「it is important that the public understand that the commitment to price stability doesn’t mean ignoring the maximum employment part of the mandate」であり「or deliberately taking actions to drive the economy into recession for the sake of achieving price stability as soon as possible.」と言っている訳でして、これは要するに物価2%目標までへの道筋が見えてきた時点で「雇用と景気によりシフトした金融政策運営を行う」と言ってますので、まあそういう文脈ではメスターさん物価重視のゴリゴリタカ派っぽくここまでの局面ではふるまっていましたけど、金融引き締めからの正常化局面ではフォワードルッキングに引き締めの解除を提示してきそうだな、と思うのでほほーと思った次第です。

とは言いましても次のパラグラフで現状認識として、

『Given the outlook, I anticipate it will be appropriate to keep the funds rate at its peak for some time.』

と言ってまして、でもそれでは引き締めのやり過ぎにならんのかという話に対しての説明が以下にあって、

『Some commentators have suggested that this will result in a passive tightening of policy as inflation moves down. Essentially, they are measuring the real fed funds rate as the nominal funds rate minus actual inflation, which is backward looking. A better measure is the nominal rate minus expected inflation, which is forward looking. While I expect year-ahead inflation expectations to move down as inflation declines, this may take some time, and maintaining the nominal funds rate in order to achieve that decline in inflation expectations is appropriate.』

1年先(なので短期の)インフレ期待と名目金利の乖離を実質金利を速報的に考える上でのメルクマールにして、実質金利水準を勘案しながら運営するのが一つの考えなんでネーノ、という話のようですが、

『Indeed, the projected decline in inflation is conditioned on maintaining restrictive monetary policy. A failure to do so could jeopardize achieving that decline.』

結論としては結局の所「安易に引き締めを緩めるのはアカン」となっていますので、今直ぐに利下げの話に入る感じではないものの、物価の落ち着きが定着してきた段階では引き締め度合いを緩めようという気はあるんだな、と思う訳でして、まあゴリゴリのタカ派ではないな、というのが読み取れましたがどうでしょうかね。

とまあそれだけの引用で恐縮でございますが、時間があれば経済物価労働市場の話もああだこうだとありますのでまあ読み物としては宜しいんじゃないでしょうか、と思うのでした。






2023/10/25

お題「基調的な物価はついに3指標とも2%以上/BBGとか読売の観測記事/臨時輪番何故月曜じゃなく火曜??」

なんかこうもやっとしたままMPMになりそうですなあ。まあそれは兎も角としまして基調的物価ですよ基調的物価。

〇基調的物価様に置かれましてはもうエライコッチャな訳なのですが

という訳で皆様ご案内の基調的物価ちゃんですけど。

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

いつものように左から刈込平均値、加重中央値、最頻値の前年比%

Jan-22 0.8 0.2 0.3
Feb-22 1.0 0.1 0.3
Mar-22 1.1 0.2 0.3
Apr-22 1.4 0.3 0.4
May-22 1.5 0.4 0.5
Jun-22 1.6 0.5 0.5
Jul-22 1.8 0.3 0.7
Aug-22 1.9 0.5 0.8
Sep-22 2.0 0.5 0.9
Oct-22 2.7 1.1 1.3
Nov-22 2.9 1.2 1.5
Dec-22 3.1 1.4 1.6
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8

ということで、遂に加重中央値まで2%になってしまいまして、3指数とも2%乗せなんですが、これで基調的な物価が2%に乗っていないとかどうやって申し開きするつもりなのかちょっと大本営の想定問答集を拝読させて頂きたい訳ですが、想定問答の方は来週火曜日の会見で植田さんが説明して下さるかと思います。

てかさ、こんなのもう「2%物価安定目標はほぼ達成されたので、今後は持続的な物価安定のために適切な金融政策を行います。そのため物価の不必要な上昇と、経済の安定的な拡大が両立するように運営します」とでも言ってマイナス金利だのYCCだの放棄してしまえば良いだけの話なのに、何でそれが出来ないのかという話だが、まあどうせ10年間も黒田とか置物とかああいうのに支配されてたからストックホルム症候群みたいになってるんでしょ大本営のスカポンタンは、としか思えない惨状なのですが、まあスカポンタンが正気を取り戻すかどうかについてはあまり期待しておりません。


こちら例によって左から上昇品目比率、下落品目比率、上昇品目比率−下落品目比率です、

Jan-22 61.5 31.0 30.5
Feb-22 64.0 28.9 35.1
Mar-22 63.2 29.7 33.5
Apr-22 68.8 24.9 43.9
May-22 69.2 24.5 44.6
Jun-22 71.3 22.2 49.0
Jul-22 73.2 20.7 52.5
Aug-22 72.6 21.5 51.1
Sep-22 74.9 18.6 56.3
Oct-22 78.9 14.6 64.4
Nov-22 79.9 13.6 66.3
Dec-22 81.2 11.7 69.5
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 85.1 9.2 75.9
Jul-23 85.6 8.4 77.2
Aug-23 86.0 8.2 77.8
Sep-23 87.0 7.3 79.7

7割以上の品目の価格が上昇する、というのが最早定着しておりますが、これでも物価の基調は2%行ってないとか言い張るんですかねえ大本営は。というかこういう状況に関して日銀の大変に優秀なエコノミストの皆様であらされる所の調査統計局って何やってるのとは思いますが、どうせこちらの皆さんも黒田のせいで結論先にありきの鉛筆舐め舐め分析しか出来なくなっておられるならそもそも論として存在意義というのは無いのでもう局ごと要らねえわ問題が発生しても何らおかしくないレベルという所ですが、まあストックホルム症候群から寛解されるように願いたいものであります。

いやマジでさ、7月会合の時にはまだ加重中央値は直近見れるデータが+1.6%だったから基調的な物価は2%行ってないって言えたかもしれないけど、今回って前回から3か月の間に上昇しておる訳ですし、加重中央値なんて一時的要因でそんなに上げ下げするもんじゃないでしょ(だからずっと低かった)という話だし、一時的かもしれないで済まされる話ではないっすよね、というのに加えまして、日銀って「年度後半になると物価上昇率は鈍化して2%割り込む」って見通しでずっとやってきたのですが、加重中央値が年度半ばに向けてホイホイと上昇しているという状況で「年度後半に物価上昇率が鈍化する」とかいう見通しが大間違いだったというのもこれで明らかになっている訳ですから、見通しがちがったんだから当初想定していた金融政策のパスは改めないといけないでしょ、としか申し上げようがないのですが、まあ政策変更なしとか次に出てくるような「テクニカル修正」如きでお茶を濁すようだと説明つかないよね、と思うのでありました。



〇ブルームバーグの観測報道来ましたが「テクニカル修正」は少々もにょる

昨日の今日で観測記事かいなwww
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-24/S2YJI4T1UM0W01
日銀のYCC再修正、長期金利動向を直前まで見極めて判断−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2023年10月24日 17:38 JST 更新日時 2023年10月24日 17:51 JST

23日も何か書いておられたのは昨日ネタにした通りだというのにまた昨日も観測記事www

→長期金利が上限1%に迫る、予防的対応含めて修正の是非が議論に
→YCC修正でも景気への影響限定的、上限上げが上昇助長のリスクも

ということで、

『日本銀行は30、31日に開く金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の再修正について、長期金利の動向などを直前まで見極めた上で必要性を判断する。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

ブルームバーグさん、これまでは他社の報道と市場の反応に関する解説でしたが、昨日の夕方になって満を持して(かどうか知らんが)いつもの「事情に詳しい複数の関係者」ソース記事キタコレである。

『関係者によると、米国の長期金利上昇が主導する形で日本の長期金利も日銀が上限に設定している1%に迫っており、会合ではYCCの再修正が必要かどうかが議論の対象になり得る。』

『上限を守るための大量の国債買い入れを迫られる前に、予防的に対応することも選択肢になるという。』

ということでして、これ昨日ネタにしたロイター英文記事での観測記事と同様に、経済物価情勢を受けてどうのこうの、ではなくて「外部要因による金利上昇圧力への対応」というストーリーになっているのは注目ポイントですし、ロイターさんの方は「予防的に対応」とまでは書いてなかったと思うのですが、これはもう思いっきり「テクニカル修正」の文脈。

『関係者によると、インフレ期待の改善が続く中で、日本の実質金利は極めて低い水準で推移しており、仮にYCCのさらなる調整を実施しても、日本経済に悪影響を及ぼす可能性は低いと日銀ではみている。』

この屁理屈で来ましたね、この場合は2021年3月の「点検」との整合性を問われるべきですので、その点を誰か会見で聞いてくれませんかねえ、と思いますが大本営はちゃんと整合性の説明ができるのでしょうか楽しみです。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2021/k210319a.htm
より効果的で持続的な金融緩和について
2021年3月19日
日本銀行

声明文別紙1の『より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検【基本的見解】』の項番2の『2. 政策面での対応』の『[2] 長期金利の変動幅についての明確化』になりますが、こちらではこのような屁理屈を捏ねておられました。

『2018年7月に「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を行った際、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取る観点から、長期金利(10年物国債金利)の変動幅については、「それまでの概ね±0.1%の幅から、上下にその倍程度変動しうる」こととした。その後、変動幅が結果的に狭くなることがあったことも踏まえ、長期金利の変動幅について明確化することとし、上下に±0.25%程度とする。なお、特に下限については、日々の動きの中で金利が一時的に下回るような場合に、そうした動きに厳格には対応しない。』(直上URL先、2021年3月決定会合における所謂「点検」から引用)

さてこの屁理屈との整合性を取った説明ができるのでしょうか、という話ですが、そもそも論としてこのプラマイ0.25%を拡大したのが2022年の12月なので、その間の経済物価情勢の変化は丸無視してたという時点で屁理屈は破綻していると言ってしまえばそれまでですが、まあこういうのはネチネチと掘り返して説明を求めるのが吉というものです(意地悪)。

でもって記事に戻りますけど、

『一方で、国内の経済・物価情勢は政策修正を正当化するほど大きく変化しているわけではなく、予防的な対応による上限の引き上げ自体が長期金利を上昇させてしまうリスクへの懸念も日銀内にある。』

経済物価情勢の変化に応じた政策修正をしてなかったこれまでのスタンスが大間違いのコンコンチキなだけなんですけど、まあこの「国内の経済・物価情勢は政策修正を正当化するほど大きく変化しているわけではなく」を言い出して政策修正しない、というのは大いにアリエールというかストックホルム症候群に陥っている大本営のポンポコリンの皆様におかれましてはこっちの発想で、植田総裁が楚の荘公よろしく名君伝説となるためにはこのポンポコリンどもを撃破しないと行けないのですから大変大変。

『米国の長期金利上昇の勢いが弱まれば、YCCを再修正しなくても日本の長期金利も落ち着いてくることが期待できるという。』

あのバンバンと上がる基調的物価を見てもこんなこと言えるの???????????

ということで、うーんこれはという感じですが、

『YCC修正の具体策としては、さらなる上限の引き上げや、めどとしている0.5%の撤廃、上限の運用方法の変更などが想定されるとしている。日銀は7月の会合で、それまでの長期金利の上限の0.5%をめどと位置付け、連続指し値オペの水準を1%に引き上げるYCCの柔軟化措置を決定した。』

この辺は日曜の日経と同じような書き方ですな。でもって展望レポートの話はあるんですが、ブルームバーグさんの解説は親切設計になっていまして、この記事の先の方に、

『関係者によると、今回のYCCの枠組みを巡る議論は、先行きの物価上振れリスクの強まりに対する対応ではなく、米長期金利の上昇に連動した日本の長期金利の上振れが市場機能などに及ぼす影響への懸念から生じている。』

という説明をしておりまして、つまりはテクニカル修正だ、という話なんですが、普段から市場機能を抑圧しておいてどの口が言うのかというのもありますし、それよりも問題なのはYCC政策によって償還のクソ長い長期債をバカスカ購入して日銀のバランスシートにのっけてしまい、さらには長期共担オペという売却という最終手段すらないようなオペを乱発して将来における金融政策の円滑な運営を難しくするものをバンバンと導入している、という「将来における大きなリスクを積み上げている」ということにある訳で、お前らどうせ市場機能とかどうでもいいとか思っている癖にこういうときだけ市場機能とか言うのモラハラDV人間の典型やぞと思う訳ですよ。

思わず悪態になってしまいましたが、ブルームバーグの記事はご丁寧にこれに加えて、

『会合では2%物価目標が持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないとの判断が改めて示される可能性が大きく、YCCやマイナス金利の撤廃という本格的な政策変更は見送られる見通しだとしている。』

クッソワロタwwwwwwwwwww

まあストックホルム症候群ですので仕方ないのですが、この次の部分はさらにクソワロタ。

『市場では、今月の会合で「必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」との文言の削除などフォワードガイダンス(指針)の変更を予想する向きも少なくない。関係者によると、日銀内では指針の扱いについて、コミットメントの安易な変更は金融政策運営に対する信頼の低下が懸念されるとの声もあり、現時点で変更する必要性は乏しいとみられている。』

>コミットメントの安易な変更は金融政策運営に対する信頼の低下が懸念されるとの声もあり

心底馬鹿なんじゃなかろうかと思いますね。間違った政策を屁理屈にもなってない屁理屈を捏ねて継続していることで金融政策運営に対する信頼が無くなっているんですけどねえ、ばーかばーかばーか。



〇読売も観測記事打って来ましたね(ただし表題のみ)

読売全部課金記事するのやめいと思うのだが。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231024-OYT1T50330/
日銀、長期金利上昇見極め…30・31日決定会合 緩和策維持へ 
2023/10/25 05:00
[読者会員限定]
「読者会員」「読者会員(家族)」限定です

ちょwwwwwwwwwwwwwww全文会員記事www

ということで内容がまるで分りませんけれども、題名が「長期金利上昇見極め」になっているので、これはトーンとしてはやはり「テクニカル修正」方面の記事なんじゃないかと愚考しますが、読売を買いに行っている暇はないので(あとで分かったらこの部分少し追記するか明日コメントするかもしれませんが期待しないで下さい)以下割愛。

ただまあさっきのブルームバーグもそうですし、昨日ネタにした月曜のロイターもそうですけど、今回は本丸(物価見通し)が本来は陥落している筈なんですけど、そこは誤魔化すことにして、「米国の長期金利が上がったからシャーナイ」という謎の屁理屈を使って「テクニカル修正」を実施するということのようですな。



〇先物が前日比値段上がっているのに臨時輪番入れて来やがったか

何なんでしょうねこの人たちの入るタイミングは一々訳分らんですが昨日は臨時輪番でした。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of231024.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年10月25日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,000 2023年10月25日

(臨時輪番だけ引用しました)

ということで臨時輪番だったのですけどね、

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年12月限

取引日:2023/10/24
立会区分:日中取引
始値:144.60(10/24)(08:45)
高値:144.78(10/24)(14:27)
安値:144.51(10/24)(09:41)
現在値:144.75(10/24)(15:02)
前日比:+0.29
取引高:21,529

昨日って債券先物ベースで言え前日引けの144.46を日中取引で一度も割り込んでいない訳でして、いやまあ別に先物だけが債券市場じゃないけど、先物が値幅取って下がってた月曜は通常の輪番を通常通りに実施しただけで、先物上がっている火曜は臨時輪番とかナンジャソラとしか言いようがないし、こんなかんじで臨時入れられたら、金利上昇していなくても臨時輪番を入れますよという話になってしまうのですから、明確な水準があって止める(のは1%の筈なんですが・・・・・)なら兎も角、そうでもないところで臨時輪番とかされた日にはもういつなんどきオペという名の市場介入が入るか分からん状態でして、益々債券市場の機能が無くなるんですけど何やってるんですかという感じではあります。

まあさっきネタにしたブルームバーグさんの観測記事だと「上限を守るための大量の国債買い入れを迫られる前に」テクニカルに対応、とか言ってましたが、そもそも上限にも達していないのに大量の国債買入のさらに追加しているのに何が「大量の国債買入を迫られる前に」だよと小一時間問い詰めたいのですが、これ1%上限になってからの介入の仕方が更に凶悪になってきていて、政策修正したらもっとひどいことになるんじゃないかという感じでして、いいからオペ運営を現場の裁量に任せるなと言いたいですわ、はあ・・・・・・・





2023/10/24

お題「引き続きMPM報道雑談/輪番増額無しですかそうですか/FSRをちょっとだけネタに」

物価高の対応など議論とは・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231024/k10014234991000.html
国会 きょうから各党の代表質問始まる 物価高の対応など議論
2023年10月24日 4時55分

日銀は何やってるんでしょうかねえ・・・・・・・・・・

まあそれはそうとしまして、

『物価高への対応をめぐり、自民党が減税を含めた国民への還元策について説明を求めるのに対し、立憲民主党は給付金の支給を柱とした党独自の対策を受け入れるよう迫ることにしています。』(上記URL先より)

こいつらバラマキしか知らんのか、という話ですが、そもそも各種低俗メディアが「増税メガネ」とか言ってるのが屑の極みな訳で、どうみたってバラマキメガネだろという話なのに増税メガネとか言ってる三流メディアや俗流評論家連中って、威勢の良い事言ってればウケるし売れるって発想で暴支膺懲とか鬼畜米英とか言って国民を煽った昭和初期の連中とまるで変わらないわけで、今やってる連中は誰とかチェックして金輪際信用しないことにしておる(個人の偏見です)。


〇ロイターちゃん追随(ただし英語版)でブルームバーグはふわっと解説とな

・ロイター英語版のYCC修正観測は「物価目標達成有無の判断と関係ない」というのが読む際のポイントですな

URLが長いのでリンクは途中までにしていますが飛ぶはずです
https://www.reuters.com/markets/rates-bonds/rising-yields-may-pressure-boj-consider-raising-newly-set-cap-2023-10-23/
Rising yields may pressure BOJ to consider raising newly set cap
By Leika Kihara
October 23, 2023 4:27 PM GMT+9

最初に出たのは午後2時45分だったのでアップデート版ですね。

『Summary
・BOJ under pressure as 10-year yield nears 1% cap set in July
・No consensus within BOJ on whether more YCC tweaks needed in Oct
・Some in BOJ opposed to steps that would be seen as rate hike
・Fate of YCC to come under scrutiny at BOJ's Oct. 30-31 meeting』(上記URL先ロイター英語版記事より、以下同様)

ということで、「No consensus within BOJ on whether more YCC tweaks needed in Oct」なんで決め打ちではないのですけれども・・・・・・・

『TOKYO, Oct 23 (Reuters) - A recent surge in global interest rates is heightening pressure on the Bank of Japan to change its bond yield control next week, with a hike to an existing yield cap set just three months ago being discussed as a possibility.』

日経と同じように「金利上昇圧力掛って来ますと日銀のケツに火が点きます」という話ではありますが、

『Any decision to change its yield curve control (YCC) will largely depend on how markets move leading up the Oct. 30-31 policy meeting, three sources familiar with the matter told Reuters, speaking on condition of anonymity due to the sensitivity of the matter.』

「speaking on condition of anonymity due to the sensitivity of the matter」ってこらまた謎のソースですが、ロイター木原さんいつものパターン。こたつ記事ではないということを言いたい訳ですねこれは。

しかしロイター木原さんのこの記事、しらっとYCCの修正は「depend on how markets move」という話をしていて(以下の本論部分でも何回か説明されている)、どう見ても犬笛吹いてます本当にありがとうございましたといった風情ですな。

なおこの続き、日本語ニュースじゃないもんだから木原さん言いたい放題でクソワロタ(褒めてる)

『The sources said there is currently no consensus within the central bank on whether an immediate change to YCC is necessary.』

というのはさて置きまして、

『The BOJ remains a global outlier having maintained ultra-loose monetary stimulus even as major central banks elsewhere rapidly raised interest rates to fight rampant inflation.』

これは当然の指摘だが手厳しいwww

『The widening policy gap between Japan and its peers has weighed heavily on the yen, which has in turn fanned imported inflation.』

ちょっと国会で代表質問している暇があったら衆院財務金融委員会でも参院財政金融委員会でもよろしいので植田さんじゃなくて日銀の大本営呼びつけてつるし上げした方が話が早くねえかってなもんよ。

でもってこちらのロイターニュースですが、

『Meanwhile, rising U.S. bond yields are pulling their Japanese counterparts higher, complicating the BOJ's task of keeping local interest rates low.

"It's true Japanese long-term interest rates are rising more than expected," said one of the sources.

"Depending on market developments, it can't be ruled out," the source said on the chance of debating further tweaks to YCC this month, a view echoed by two more sources.』

なんかソースが増えていますなという感じで記事は以下続くのですがまあ読んで味噌という話になる訳ですけれども、ロイター木原さんの記事の特色として、日曜の日経と同じなのは「まだコンセンサスがない」という事で、日経と違うのは「政策修正は市場金利がトリガーを引く、の一点張り」ということ(日経は物価見通しの話をしている)ですな。

これつまりどういうことかというと、コンセンサス云々は飛ばして「市場金利がトリガー」というのは、2%物価見通し達成に向けたどうのこうのとか距離がどうのこうのとかいう話と「無関係に」YCCの長期金利レンジの再拡大(じゃなくて中心の引き上げとか連続指値オペの停止とかかもですが要は形骸化を一段と進める、ということ)をする、という選択肢がある、という話なので、展望レポートの見通しとは切り離した形(つまりテクニカルに近い)YCC長期金利ペッグの再修正(3か月ぶり3回目)という選択肢がある、というお話ですな。

でまあ何ですよね、「コンセンサスがない」って言ったって昨日も申し上げたのでしつこいですが、意見がある人は植田さんとか田村さんとかあと誰かいるっぽいですが、政策の正常化方向への話をしている訳で、意見が無くて大本営の操り人形が現状維持音頭を踊っている訳ですので、正確にはこれ幕僚が勝手に暴走しているだけの話に他ならないんですけど(個人の大いなる偏見ですので念のため申し添えます)こういうの意見が割れてるって言うべきなのかは未だにアタクシは謎なのです。

しかしまあ何ですな、

『A spike in U.S. Treasury yields pushed the 10-year JGB yield to a decade-high of 0.855% on Monday, approaching what Governor Kazuo Ueda described in July as a "precautionary" ceiling of 1% that was highly unlikely to be breached.』

この最初の記事出た時は1445JSTだったので0.855%になっていますが昨日の10年カレントの引けは0.860%でございますがまあそれは兎も角として、

10年の1%ってのにした7月会合、何であんなことを言ったのか今となっては墓穴にも程があるのですが、「as a "precautionary" ceiling of 1% that 」即ち記者会見で植田総裁が「長期金利が 1%まで上昇することは想定していませんが、念のための上限キャップとして 1%としたところでございます。」「1[%]に非常に近づいていくという可能性は低いというふうに考えてございますけれども、念のためのキャップとして 1[%]を提示させて頂いております。」という発言、というか想定問答通りの説明だとは思うのですけれども、こんな説明をしてしまったのは間抜け以外の何物でもなかったという話ですな。

まあ一応大本営の立場を慮って解釈すると、この時の柔軟化を「長期金利の0.5%引き上げ」と言われたく無い、という思いが強く働いたことから、事実上の上限50bp引き上げを上記のように「1%は付かないと思いますが念のための水準です」と説明するような絵をかいてしまったのでしょうけれども、寧ろこの時点で「1%は今まで通りバックストップ」って言って置いて途中であまりジタバタしない方が良かったわけで、何回もしょうもない追加をかました挙句に0.8%になった所で無駄な抵抗をするもんだから、そこが維持できなくなった所で売りが再加速(正直日曜の日経記事の内容で米金利下がっているのに売り込みに行くとは、と思いました、まあ売り込みに行くって程現物が売られていたのかは知らんけど)するの巻、とまあやることなすこと全て裏目に出ている訳で、これはもう黒田政策が時代に合っていないから黒田政策を維持するのが無理という話ではありますな、南無大師遍照金剛南無大遍照金剛。


でですね、まあこちらの記事をもって判断するってのも如何なものかと思うのですが、ロイター木原さんのこちらの観測での味わいのあるのは先ほど申し上げたように「物価目標達成有無判断と切り離した形での長期金利ペッグの再修正論」という趣旨になっていることでして、これはさすがに黒田緩和に殉死する気が満々、という何でそんなに忠誠を尽くすのかよく分からんけどまあそんな勢いの大本営の皆さんにしても、このままだと物価目標達成判断と絡められてマイナス金利解除とかそっちまで話が発展してしまうので、いったんは長期金利ペッグの再修正を行ってガス抜きをして、その際に物価目標の達成有無の判断と切り離して説明することによって、マイナス金利本陣への延焼を食い止める、という作戦を念頭に置いているのかしら、と思わせてくれるような味わいを感じました。いやまあロイター木原さんがどの程度大本営の考えを捕まえて記事に反映させているのかは分からんので単にアタクシの感想なんですけどね。


・ブルームバーグは政策観測記事というより市場の反応解説記事なので今後の決め打ちをお楽しみに

ブルームバーグさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YUUWT1UM0W01
日銀会合を前に強まる政策修正観測、円安進み植田総裁は厳しい状況に
藤岡徹、Paul Jackson
2023年10月23日 16:13 JST

実は「厳しい状況」になっているのは植田総裁ではなくて黒田緩和に殉死する気満々の大本営の皆様なのではないかという気がしますがそれはさて置いて、

『円安と債券利回りの上昇、予想を上回るインフレ率を背景に、日本銀行が今月末の金融政策決定会合で何らかの政策修正を行うとの観測が市場で強まっている。』(上記URL先ブルームバーグ記事より、以下同様)

つーか「行わないと為替がぶっ飛んだりする災厄が待っていそうなので行わないとマズいんじゃネーノ」という感じなのではないかと思うの。アタクシとてこの状況で日銀何もしないという選択肢を取ったらバッカジャネーノとは思うけど、ただまあ今の日銀に必要なのは黒田緩和に堂々と殉じるアクションを取って市場(だいたい為替)にバチクソにシバかれてしまい、そのままボコボコにされて静かに涅槃に旅立つ、という事なんじゃないかとも思ってしまう訳ですので、予想としては日銀は何もしないでその後大変なことが起こる、という方に1ドラクマと言った所ですな。

『日銀内でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正論が浮上しているとした日本経済新聞の22日付朝刊の報道を受け、市場の政策修正観測に拍車がかかった。ただ、同報道は、当局者の間で意見が割れているとし、政策修正を行う場合に取り得る具体的な対応策には言及していない。』

なのに寄りからGDして始まったのはほえーと思いました正直。

でまあ記事の先の方ですけど、

『23日の債券市場で日本の10年債利回りは10年3カ月ぶり高水準の0.855%となり、1%にさらに近づいた。日銀は臨時の国債買い入れで利回りの上昇を抑えることができるが、金融緩和スタンスを貫く行動を取るたびに円安を招くリスクがある。』

『9月の消費者物価指数(CPI)は生鮮商品を除くコアCPIの前年比上昇率が13カ月ぶりに3%を下回り、インフレの鈍化が示されたが、日銀が掲げる物価安定目標の2%をなお大きく上回っている。日銀がなぜ大規模な金融緩和にこだわるのかは疑問だ。』

ちょwwwwwwブルームバーグ藤岡さん容赦ねえwwwwwwwww

『複数の関係者によると、日銀は今会合で24年度のコアCPIの前年度比上昇率の見通しを2%以上に上方修正する公算が大きい。そうなれば、日銀の目標を3年連続で達成することとなり、政策修正を正当化するための一つの要素となり得る。』

ということで、ブルームバーグでは今の所政策修正に関しては「物価目標達成に向けた判断」とリンクした説明になっていまして、この点は日曜の日経(日曜の日経は両論併記でしたけど、全体的なトーンは物価目標達成判断に絡めている書き方だったですよね)に近いかなと思いました。


・とまあそういう状況で何か全然決め打ち版が出てこないですが・・・・・・・・・・・

今回は決め打ち版が出ないのですが、どの記事見ても「コンセンサス無し」ってなっているので、あと1週間しかありませんけどガチで何か今回はぶっつけ本番勝負だったら面白いなとは思う次第です。

まあブラックアウト入り直前か直後くらいに幾つかの社が報道するんじゃないかなとは楽しみにしておりますし、ブルームバーグがまだ観察モードのトーンなのでそろそろブルームバーグが決め打ちやってこないかなとか楽しみにする次第です。


〇輪番増額は無くて追加輪番も長期共担アナウンスもなしでしたが超長期輪番弱くて一段スティープ

昨日の輪番オファー(連続指値除く輪番)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of231023.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,250 2023年10月24日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,500 2023年10月24日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,750 2023年10月24日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2023年10月24日

ということで輪番増額の思惑もない訳では無かったと思うのですが、10年金利ジリジリ上がる中でも朝の時点ではまだ0.85%行ってなかったということもあったのか増額無し。

でまあ輪番増額無し、で反応するかと思ったら先物先生2銭くらいしか動かず、もう地蔵おぶ地蔵みたいな動きになってきていまして、だいたいその前の時点で朝から全然BBの出合いないし、何ちゅう死に相場という感じになってきたのがアタマイタイ。

でもって輪番の結果が特に10−25で弱くて後場GDして先物始まって、13時も14時も特に輪番とか長期共担の予告とか無くて推移しましたが、先週と違うのは最早オペの有無に反応すらしなくなっていましたけれども、昨日の場合は超長期の弱い輪番を受けて超長期が後場一段のマーライオンになっておられましたようでして、先物18銭安に対して20年カレント5甘だの30年カレント6甘だのという惨状を呈しておられまして、何気に先物売買高も月曜なのに1万8千枚以上もありましたな。

いやあのですね、別にアタクシは市場介入しろとは全然思わないので昨日のオペを単体で見たらまあそれでエエンデネエノとは思うのですけれども、それにしたって、ついこの前は10年0.8%の所で親の敵かという勢いで臨時輪番、追加輪番、長期共担って打ち込みに行ってた訳でして、これがまあジャブ的なのを申し訳程度に入れただけですわテヘペロってのなら兎も角、明らかに髪振り乱して鬼の形相で長期金利上昇を許さんんという介入に見える入れ方をしておいて今度は急にしょんぼりしてしまう、というこの前後の脈絡がまるでないようにしか見えないオペの打ち方が、ますます市場のオペ予見可能性を低め、結果として売買がクソ低調になるか、なんかのネタで一方通行になるか、みたいな極端な市場を作ってしまっているし、最近ではとにかくオペタイムになると「オペが入るか入らないか」で皆が身構えるという最早市場と呼ぶべきかも怪しい状態になっているのが日本国債市場ちゃんでおとーさんは悲しいよといった所でございまする。

しかし金曜の5年共担予告(今日実施ですが)は意味わからなくて、中期止めても超長期がクソ上がりしたら結局10年そっちに引っ張られるだろと思いますので、無駄玉にも程がある(無駄玉の癖に1兆円も実施してしまうのが酷いのだが)のですが、一体全体この人たちは何をしたいのでしょうかというのがマジで分からんので、決定会合で長期金利コントロール放棄して頂いてこの不毛なやりとりが起きないようにしてもらいたいものですな、


〇FSRの続きですが

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr231020.htm
金融システムレポート(2023年10月号)

本チャンではなくてご紹介ページの方から昨日の続きでちと真面目に。

・ヒートマップは横ばい

『金融循環と金利リスク』のところにヒートマップがありますが横ばいですねぇ。

『現在の金融活動に大きな不均衡は認められない(図表I-1)。感染症拡大以降の民間債務の大幅な増加は、手元資金を厚めに確保しようとする、中小企業を中心とした慎重な資金繰りを反映したものである。ただし、中長期的にみると、民間債務が増加する過程で、企業・家計部門の借入期間が長期化している(図表I-2)。企業は、長期金利が低下した機会を捉えて、長期固定金利の安定資金を確保し、借換リスクを抑制してきた。家計は、長期・低利の変動金利借入によって、大口化した住宅ローンの月々の返済負担を抑制してきた。』

たぶん非金融機関はそうだろうなって感じですが、

『こうした借入期間の長期化を反映して、金融機関のデュレーション・ギャップ──資産・負債の金利更改期間の差(コア預金を勘案しないベース)──は、10年前対比で拡大した状態にある(図表I-3)。』

結局金融機関にしわが寄る訳で。

『大手行では、長期固定金利貸出の取り扱い増加がその背景にある。地域銀行と信用金庫では、貸出面の変化に加え、有価証券投資の面で長期債投資にシフトしたことも、ギャップ拡大につながっている。』

な訳ですが、

『こうした資産サイドのデュレーション長期化とそれに伴う金利リスク量増加は、コア預金によって相殺されている(図表I-4)。コア預金を勘案した金利リスク量(100bpv)は、全体としてみれば、資産と負債が概ねバランスした姿となっている。』

とは言いましても、金利がガチで上昇する(政策金利0.5%でおしマイケルみたいなのではない)局面っていうのはそれこそ1989年1990年まで遡らないと事例がない訳で、本当の本当にこの「コア預金」がコア預金のままなのか、という問題に関しては今回に関しては諸外国という先行事例がありますけど、そもそもが預金金融機関への預金が多い本邦だとまた更に違うのかも知れず、この「バランス」が本当のバランスのままでいられるのかというのは機構局でも問題意識は持ってると思いますが、起きて見ないと分からない面があるのでムツカシヤ。

・・・・・ということを考えましても、欧米みたいに経済物価情勢に金融政策対応がビハインドして急速に正常化から引き締めに向かう、という局面は回避すべきで、そのためにはプリエンティブな正常化着手が必要なんじゃなかろうか、と思うんですけどねえアタシャ。

『金融機関には、金利リスク量に耐え得る損失吸収力を維持するとともに、デュレーション・ギャップが従前よりも拡大している分、慎重なリスク管理が求められる。』

と他人事のようにいっていますが、一番この間に無茶苦茶なデュレーションギャップの拡大を行っているのはご案内の通り日銀なのでありまして、このヒートマップって民間(金融機関と非金融機関)の金融活動をチェックしているのですが、実は一番やべえのは広義の政府部門になりますが、そんなレポートは内部では作っているかもしれないとは思うのですが(日銀も意識もってるでしょ)死んでも表に出せませんですかそうですかそうですか(^^)。


・海外金利に関しての説明でウヘーと思ったのは・・・・・・・・・

途中をすっ飛ばして『海外金利高止まりと金融機関のストレス耐性』に参ります(不動産は多少気になるけど企業倒産に関しては日本経済自体がリセッションとかそういう感じじゃねえだろと個人的には思うのでスルーしますさーせん)。

『金融機関の外貨ポートフォリオをみると、海外貸出の分野では、世界的に引き締まった金融環境の中でも、信用リスクは抑制されている。』

まあ寧ろ信用リスク取らないでいるからスプレッド分のバッファーが無い説もあるのだがそれはさておき。

『海外預貸利鞘は、市場金利の上昇に連れて改善が続き、損失吸収力の一つである収益バッファーの改善につながっている(図表I-12)。』

ローンは変動ですからね。

『また、有価証券投資の分野では、外債をはじめとする評価損の拡大が年初対比で抑制されている(図表I-13)。』

アグリゲートするとそうなりますが、

『リバランスに積極的な銀行を中心に、利回りが高く、平均デュレーションの短いポートフォリオに組み替えられている。同時に、金利上昇リスクのヘッジも強化されている。』

からの、

『こうした外貨ポートフォリオ・リバランスの効果は、マクロ・ストレステストの結果からも確認できる。海外金利が逆イールド化した状態が長期化するというストレスに対する耐性は、前回レポート時から改善した。ストレス勘案後の自己資本比率の水準は、いずれの業態も前回結果を上回っている(図表I-14左図)。益出し余力(ネット評価損益)がマイナスとなる銀行の割合は、前回の8割から5割近くまで低下した。』

ってなっているのですけれども、問題はこの次でして、

『ただし、シミュレーション期間中の損失吸収力には下振れリスクが残る。』

はい。

『外貨預金市場にストレスが加わり、預金調達の金利追随率が過去平均(70%)を上回って上昇する場合、金利上昇局面の終盤における損益分岐点信用コスト率はマイナスとなる(図表I-14中図)。このことは、海外信用コストを海外資金利益で吸収しきれなくなることを意味している。』

『金融機関は、資金流動性リスクを抑制する観点に加え、損失吸収力を十分に確保する観点からも、粘着性のより高い預金を確保しておくことが重要である。また、海外金利の高止まりは、金融機関財務だけでなく、企業財務の悪化要因にもなる。いずれの地域向け貸出も、金利の高止まり期間が長くなるほど、信用コスト率が非線形的に上昇する傾向が確認できる(図表I-14右図)。こうした信用リスクは、財務レバレッジが高く、利払い能力(ICR)がもともと低い企業が集中しているアジア向け貸出において顕著である。』

ということで、小見出しの通りで金利高止まりが起きた場合にアカンタレ、という話がこちらのまとめにはあるのですが、まあアタクシはここを読んでてウヘーと思ったのですよ。

と申しますのは前回までのFSRのご紹介ページに在りました・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr230421.htm
金融システムレポート(2023年4月号)

ここの『海外金利上昇に対する金融機関のストレス耐性』という最後の小見出しの部分にある図表T-18と図表T-19、即ちこちらの本文での説明では、

(以下の部分は今年4月のFSR紹介ページ、直上のURL先の記載です)

『もっとも、金融機関ごとにみると、外貨金利リスク量やその背景にあるリバランス行動のばらつきが大きくなっている。大きくリバランスした銀行は、もともと損失吸収力が高かった先である(図表I-18)。また、リバランス行動の違いによって、リスクプロファイルの変化も様々である(図表I-19)。大きくリバランスした銀行(図中の第3、第4分位)では、外貨金利リスクを売却損として確定したことで、有価証券利回りが改善し、逆鞘リスクが抑制されている。このうち、損失確定売りに合わせて益出しも行った銀行では評価益(益出し余力)が減少し、削減したポジションを復元しなかった銀行(例えば、第4分位の銀行)では収益機会が損なわれたものの、評価損リスクは軽減されている。この間、ポジションを維持した銀行(図中の第1、第2分位)の中には、金利上昇リスクが逆鞘や評価損として顕在化している先もみられる。評価損の拡大は、実現損と同様に、配賦資本や分配可能額の減少を通じて、銀行財務に影響を及ぼすことに注意が必要である。』(この部分だけ直上URL先2023年4月FSR説明ページより)

ということで、全体的な話ではなくて、金融機関のポートフォリオ余力の差などに着目した分析の部分が説明ページにどどーんと出ておりましたが、今回ってアグリゲートした話しかしてなくて、金融機関の差の話をこっちの部分でしていない、というのがウヘーと思いましたですバイ。なんでウヘーと思ったかはお察しください。





2023/10/23

お題「日経が一応観測報道だがフワフワ/また5年共担かよ/FSRキタコレ/全国CPI下がらんですな」

もっと事前報道が盛り上がると思ったのだがこの静けさは・・・・・・・・

〇日経観測報道を出してきましたが微妙な「議論を行う」系ですな

日曜の日経朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB20CZU0Q3A021C2000000/
日銀、金利操作の再修正論 長期金利「上限」1%接近で
金融政策
2023年10月21日 19:22 [会員限定記事]

例によって会員限定記事だから大枚はたいて日経本紙を買いにいったのですが、こちらの記事は3面にどどーんとございました(アタクシの入手したのは12版)。

『日銀で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正論が浮上している。米金利上昇に伴い国内の長期金利も上がり、7月の修正で決めた1%という事実上の上限に近づきつつあるためだ。月末に開く金融政策決定会合で議論する見通しだが、日銀内には温度差がある。賃上げの動向を慎重に見極めたいとの声も多い。』(上記URL先より、以下会員記事)

記事の方は課金勢の方は中身を見てちょという感じですが、一応あたくしがみた感じでは(わざとそう書いているんだと思いますが)今回日経さんが指摘する「長期金利の再修正」に関しては2点曖昧なところがあって、だから3面トップのどどーん記事なのに微妙に唸る感じになっていますな(個人の感想です)。

一つ目が「再修正する時の内容」についての選択肢の書き方が決め打ちになっていなことでして、一応記事の方では(アタクシの下にある日曜の朝刊だと3段目のケツから4段目にかけて記載されている)、「1%上限値の引き上げ」「運用上の位置づけを変える」「0.5%の目途を撤廃」というのが「取りざたされている」ということで検討とかそういう決め打ちはしていないので、まあ日経としても微妙なんでしょうね(他紙追随しないし)とは思いました。

二つ目は(こっちの方が重要ですが)長期金利コントロールの修正をする大義名分でして、こちらは明らかに日経さんがわざと絞らないで書いているなと思いましたが、「1%に向けて長期金利が上がってきたし、次の会合が12月までないし、米国金利も下がりそうになくて金利圧力高いから、1%になる前に防衛線を後退させる」のか「展望レポートを受けて(日経も2024年度の物価見通し2%超えで見ているようですね)2%物価目標達成への距離感をベースに修正する」のか、という部分も両方の話を混ぜ混ぜして書いて特定できないように両論併記していますな。

・・・・・・・・・うーんこれは、という感じですけれども、まず再修正の内容なんですけど、運用上の位置づけを変える、ってのは1%の連続指値オペを止めてしまう、ただし金利急騰時には買入を随時行ってきんり急騰を止めますよ、という方式にするってえ話になるかと思いますし、まあ安直な解決策ではあるのですが、ただでなくさえ現状1%の連続指値水準の前に何故か謎の防衛戦が行われているという運用で債券市場益々やりにくくなっている(指値で止めるんで他は知らん、でイールドカーブは歪むけど毎日オペの時間に臨時オペ飛んでくるかもで売買できないとかそういう事はあんまり無かった)のに、さらに現場に裁量与えるの運営的に悪手だと思うのよね、まあ今の日銀はアホの子なので大体悪手を打って来るようには思えるけど。

話の筋としては「2%達成した訳ではないけど経済物価情勢が好転したから従来の10年0%という水準はYCCの趣旨である「緩和のし過ぎも良くない」に当てはまる水準だから0.5%に引き上げます」ってのが一番美しいのですけれども、まあそれも次を催促されるし、だいたいその0.5%の根拠は何ですかという話になるから説明できんでしょうなあと思う。

でもって今もその話になっちゃいましたが、理由が展望レポートなのかテクニカルなのかも興味のある所で、いや本来当たり前なんだが展望レポートだろと思いますけど、往生際が悪くクソ粘りして都市という都市が戦略爆撃で焼け野原になっても降参しないのが昔日本軍今日本銀行、という所ではありますので、何か凄まじいしょうもないテクニカルな言い訳をしてくると思います。



しかしまあ何ですな、事前報道でこの程度しか出ないのかよという所ですが、これが実は騙し討ちに向けたカモフラージュによって報道各社が全然記事出せない、というのならたいしたもんではありますが(よい事とは言ってない)、だいたい大本営の本音と思われるものは腹話術人形もとい野口審議委員の先日の金懇講演で明らかなように、「動かずに済むのなら動きたくないので物価目標達成も認める気はない」というムーブでありますので、2024年度の物価見通しが2%超えになっても、2025年度の物価見通しを驚異の1.6%のままにする、とかいうことにして政策変更をしない、ということになるので、大本営の操り人形ちゃんたちは「現状維持のゼロ回答」をしようとすると思うのよね。

でまあそれに対して「主な意見」によれば恐らく3人がそれはおかくねえかという意見を持っていて、田村さんは確定ですけど他の2名ってアタクシの妄想だと1名は植田さん、あと1名が掴みにくいのですが、操り人形じゃない人だと中村審議委員は金懇で自分の意見を話していまして、内容自体が微妙にアレなのはさておき、ただの振り付け通りに動くからくり人形ではないのは執行部以外だと唯一この人なので、中村さんワンチャンあるのかなとか思ったりもしました(答えは10年後)。

まあ誰かというのはさておきながら、この人たちが大本営の操り人形の糸を外すことができるのか、というのがまあよくわからん、という事が今回の記事においても微妙な書きっぷりになっているんだろうな、とは思いました。


いやでも「2025年度の見通しが」を政策動かない理由にするってのは、それもうインフレターゲット政策じゃねえだろという話でありまして、2025年度の見通しなんてそんなもん鉛筆舐め舐めでどうにでもなるものを理由にするのって、ただの恣意的な政策運用と全く変わらないのであって、「強力なコミットメントでインフレ期待を引き上げて2%にアンカーする」とは何だったのかという話で、2025年度の見通しを理由に政策の変更をしない、というのは本来置物一派が一番怒るべき姿勢なんですけど、置物リフレ理論というのは別に理論でも何でもなくて、権力者に耳障りの良い政策プロモーションをすることによって自分たちが出世するための道具以外の何物でもなかった、ってのを示すことになるかなとも思ったりしました、まる。


ちなみに、BBGも修正論が、という記事をだしていましたが・・・・・・・

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-21/S2WJAXT1UM0W01
日銀で金利操作の再修正論浮上、米引き締め長期化で−報道
古川有希
2023年10月22日 8:40 JST

ということで単に「日経がこう報じてるよ」という記事なので追随ものではありませんな。

『日銀内でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正論が浮上していると、日本経済新聞が22日付朝刊で報じた。』

『米長期金利の上昇に伴い、国内の長期金利も上昇していることから、7月の金融政策決定会合で修正を決めた事実上の上限1%に近づいていることを理由に挙げている。今月末の決定会合で議論する見通しとしているが、賃上げ動向を見極めたいとの慎重論もあるという。』(上記URL先より)

ということで、今回は(今朝も読売とか出しそうな所のネットは確認してみましたが見落としあったらゴメンチャイ)他紙は静観していて、こちらは日経のみの記事になっているようなので、そんなに盛り上がるかなというと(米金利ちゃんの方が・・・・・)まあ盛り上がらんのかねという感じです。



〇まーた5年共担オペを実施するアナウンスしているんだがこいつら・・・・・・・

だから5年共担バカスカ打ったら後で日銀が補助金出してる批判食らう事になる(成長基盤とかならまだ大義名分あるけどただの長期共通担保って「目先の金利上昇対応」なんだから後から何でこんなことをしたのか、って言われたときの申し開きが付かないリスクが高い)というのに、後世の負債になろうともそんなことは気にせず現在の自分の言い訳だけの為に好き放題やる、というダメダメ自己保身ムーブをぶっこんでくる日銀ちゃんなので仕方ないとはいえ金曜もこれである。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr231020a.pdf
共通担保資金供給オペレーションの実施について
2023 年 10 月 20 日
日本銀行
金融市場局

『日本銀行は、2023 年 10 月 24 日に、次のとおり、貸付期間を5年とする共通担保資金供給オペレーションを実施することとしましたので、お知らせします。』

ということですが、今回クソ笑たのは朝9時にアナウンスを入れたことでして、米金利上がって来て寄りから横綱が下で始まったので、という事なんでしょうけれども、もはや時間でサプライズ入れるしかないというのが大変にアカラサマになっておりまして、何ちゅうかこの無駄な抵抗っぷりが著しいですわ。

でまあ昨日はその後横綱はどすこいどすこいと堅調に推移して、高値で前日比18銭高とかで寄りから見たら28銭も上がったのですけれども、超長期あたりはまるで伸びなくて、引けにかけてはヘナヘナと横綱も失速して前日比ちょち高で終了。

でまあ日銀の共担パワーも捨てたもんじゃないなと一瞬思ったのですが(実は一瞬も思っていない説あり)、何のことはない昨日の場合は米国債の米国からみたら時間外取引の方が東京の昼までホイホイと金利低下してて、午後になるとちょっと失速してた、ってのがそのまま横綱の日中足って感じでして、ただの米国金利低下のお蔭かよ、と笑ってしまいました。

もうさ、こんなのやるだけ無駄玉なのに打てば打つほど担保繰りが逼迫するし、将来に渡って低利の固定貸付という日銀のバランスに思いっきり残るし、お前らの自己満足なんだかやってるアピールだか何だか知らないけど、そんな下らんもんの為に長期共担乱発するなやとしか申し上げようがなくて、まあこういうアホの所業を止めさせるためにも長期金利コントロールの再修正って必要なんですよね。いやマジで。


〇金融システムレポートキタコレ(まだちゃんと読んでいない)

ご紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr231020.htm

概要(プレゼン紙芝居)
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr231020b.pdf

本文(重いので注意)
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr231020a.pdf

でまあ相変わらず本文の方は、金融機構局なのか金融システム調査課なのか知りませんけど、ここで使っているテキストエディタのフォントがほかの部局のものと違っているようで、本文のPDFをMSのテキスト(ただしUTF−8じゃない奴)に落とそうとすると文字化けするという謎仕様になっております、かつて一部の審議委員の金懇テキストでもPDFバージョンで同じことがあった(今は無い)のですが、金融システムレポートは謎の独自路線を貫いているんですよね、今回もそうでした。

でまあご紹介ページから引用しますけど、

(再掲)
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr231020.htm
金融システムレポート(2023年10月号)
2023年10月20日
日本銀行

『2023年10月号の問題意識』から。

『今回のレポートでは、金融仲介活動の背後にある様々なリスクテイク行動に焦点を当てたうえで、次の2つの視点から、わが国金融システムの頑健性と潜在的な脆弱性を評価している。』

ほうほう。

『第一に、金融機関の金利リスクについて総点検を行う。』

ほうほう。

『金利リスクは、満期変換を担う金融機関にとって本源的なリスクである。そのリスク管理の重要性は、今年3月の米銀破綻によって再認識された。わが国においても、長期にわたる低金利環境のもとで、金融機関の金利リスクが増加した。』

はい。

『リスク管理を高度化していく観点からは、これを機に、金利変動によってリスクが顕在化する仕組みについて、改めて理解を深めておくことが重要である。』

ちょwwwwwwwwwwww

いや仰せ御尤もなのですが、だったらちょっとお前さん方7階に行ってきて「金融政策の正常化は予見可能な方法でフォワードルッキングに行ってください、米欧のようにビハイント・ザ・カーブに陥って急速な金融引き締めに追い込まれるような事があってはいけません」って言ってきて味噌wwwwwwwwwww

というかですね、そもそも論として今の金融機構局長ってこの前で企画局長だったんだし今の企画局長ってこの前まで金融機構局長だったんだから、当然ながら政策運営においてこの問題を念頭におけば、5月の内外情勢調査会で当時衝撃のハトハトジジイ発言となった「ビハインドしても大きなリスクではない」という発言なんてありえない。という話になる筈なんですけどねえwwwwwww

と初手から大草原不可避なのですが。

『第二に、金融機関が負う潜在的な信用リスクを点検する。』

ほーん。

『これまでのところ、企業倒産が増加するなかでも、金融機関の貸出債権の質は維持されている。もっとも、世界的な金融環境の引き締まりが続くなか、各種調達コストの累積的な上昇や世界経済の減速が、貸出先企業の財務悪化要因になっている。また、金融機関の不動産エクスポージャーは、国内外で拡大している。こうしたなか、信用リスクプロファイルの変化を的確に評価することが重要になっている。』

馬鹿みたいな低金利を正常化するだけで随分と阿呆な貸出は抑制されるとおもいますけどねえ。


とまあ初手から中々のアレなのですが、次のここもワロタ。

『わが国金融システムの安定性評価(要旨)*』

『わが国の金融システムは、全体として安定性を維持していると評価できる。世界的な金融環境の引き締まりとそれに起因する様々なストレスのもとでも、わが国の金融機関は、適切な金融仲介機能を発揮し得る充実した資本基盤を有している。流動性についても、小口の粘着的な個人預金を中心とした、安定的な資金調達基盤を有している。今年3月に米欧金融部門を巡る不確実性が高まってからも、わが国の金融システムは健全かつ頑健である。』

まあここはさておきまして、

『もっとも、テールリスクへの警戒は引き続き重要である。』

お前らの金融政策が一番のテールリスクじゃヴォケwwwwwwwwww

『各国中央銀行の金融引き締め継続とそれに伴う海外経済の減速懸念など、ストレス局面は一段と長引く可能性がある。金融資本市場においても、先行きの不確実性が指摘されている。より長期的な視点からみると、金融機関の基礎的な収益力の低迷が続き、自己資本の蓄積が滞ることがあれば、損失吸収力の低下を通じて金融仲介活動が停滞する可能性がある。』

『また、過度な利回り追求を通じて金融システム面の脆弱性が高まる可能性もある。』

と思ってるなら経済物価情勢に対してあたまおかしいマイナス金利とか即刻停止しろやw

『わが国金融システムの安定性を将来にわたって確保していく観点からは、こうした金融システムの停滞・過熱両方向のリスクを点検しつつ、潜在的な脆弱性に的確に対処する必要がある。』

とまあそういうことで以下続くのですが、本日はただの悪態だけ。


〇全国CPI下がらんですのう・・・・・・・・・・・・

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)9月分(2023年10月20日公表)

例によって前年同月比の話ばかりが報道のネタになりますが、

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数
全国 2023年(令和5年)9月分

◎ 概 況

(1) 総合指数は2020年を100として106.2
前年同月比は3.0%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は105.7
前年同月比は2.8%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.4
前年同月比は4.2%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇

ということで前月比の方を見ますとコアCPIって季節調整後で+0.1%上昇になっているのですよね。なお原数値の方は105.7でこちらは8月と同じになっています。


でですね、東京都区部の9月って先月出てましたけど、

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消 費 者 物 価 指 数
東京都区部 2023年(令和5年)9月分(中旬速報値)

こちらのコア数値って

(2) 生鮮食品を除く総合指数は105.2
前年同月比は2.5%の上昇 前月と同水準(季節調整値)

ってなっていまして、原数値は105.3→105.2になってて、最近だいたい東京都区部よりも上に出るようになっていますねと思いながら見ておるわけですが、いずれにしましても前月比でマイナスにならなかったのかよという感じでして、原数値下がらないとなると物価上昇が落ち着くという体感は起きませんがな、と思いますし、そもそもコアコアアホみたいに上がっていますし、ということで、この状況で「2025年度の見通しガー」とか言ってるのアホの極みにしか見えないのですが、そのようなこの世の物とは思えない幻想的な説明を植田先生たるものが植田先生のプライドにかけて行えるのか、というのが今月の見ものになって参りましたなという話なのですが、「年度後半になると物価上昇率は大きく下がって来る」とはなんだったのか、明確な説明をいただきたいし、そんな手前の見通しも当たらないのに2025年度の見通し出来る訳ないだろそれを根拠にして政策運営するなよ馬鹿としか申し上げようがないのですがさあどうなるのやら・・・・・・・・・・







2023/10/20

お題「終日臨時オペ睨みの相場でしたなw/さくらレポート/パウエル発言」

ネット版で金にならんから、というのはまあ分かるんですが、近年BBGもロイターも「今日の債券市場」みたいな記事が簡単にアクセスできないような階層にしまわれるようになりまして甚だ残念というか、その2社くらいしか債券市場の話を客観的に報道してくれるところが無いので誠に遺憾の極みではございます。

〇終日「臨時輪番はあるか」で身構えていましたが・・・・・・・・・・・・

まあこの日中足は寄り前に見ないと更新されちゃうんですけどね(汗)

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年12月限

取引日:2023/10/19
立会区分:日中取引
始値:144.83(10/19)(08:45)
高値:144.84(10/19)(08:45)
安値:144.55(10/19)(14:56)
現在値:144.61(10/19)(15:02)
前日比:-0.36
取引高:21,220

昨日の債券市場というか先物ちゃん。アメリカン金利が上昇して帰って来たもんだから前日の臨時輪番効果を早速剥落して前日安値を切ってスタートしてズルズルと下がっておりましたが、なにせ前場の時点で10時くらいになるといったん下げ止まりちょっと値を戻す、と思ったら10時10分に臨時輪番が無かったので結局また下げて前場ほぼ安値引け。

まあ昨日の場合は5-15.5の流動性供給入札、という長期輪番をやるとモロにバッティングする財政ファイナンス輪番になってしまうので回避した、ということもあろうかと存じます、ってな訳ですし、その一方で0.825%だの0.83%だのとかいうような風情になっていて、0.8%は絶対国防圏じゃなかったのかしら謎ですわ何であんなにこの前はシャカリキになってオペ乱打したのですかしら、と思いながら13時を迎えたらこれまた何もなし。

ということで13時のオペ無しを確認した後に日中安値をマーク(4本値ベースですと引け際にもう一度日中安値に面合わせしているので1456が安値にリフレッシュされていますが、その真に13時15分近辺に日中安値144.55をマークしていますな)しましたが、一応14時に「長期共担実施予告」もあるのでそこのタイミングでも上がったり下がったり(こっちはそうでも無かったけど)という動きになって、結局安値圏で終了の巻となりました。

というのはご案内の事ではあるかと思いますが(上記の記述は自分用備忘だったりもします)、10年カレントの引けは0.840%になっておりまして、月末から月初にかけて臨時輪番追加輪番5年共担とぶっこんで必死こいて0.80%で止めようとしていたのに対して今回は何もなしということで、この「発動基準が全然予見不可能な日銀の市場介入」が飛んでくるか来ないかで価格形成している、って時点で市場機能もへったくれもあったもんじゃないし、そういう状況だからマーケットメーカーがマーケットメイクしにくくなるからセカンダリーのアベイラビリティもなくなるし、入札の事前準備も出来ないし、日銀がバカスカ介入するから市場のフェアバリューがどこにあるのかが掴めなくなって投資家だって腰入れた投資は出来ないし、ということなので入札の都度相場が荒れてしまって、財政ファイナンスをしているのに国債入札の円滑な運営に支障を来す、という何やってるんだかわからない状態になっておるわけでして、まあこの意味不明介入スタンスはどうしようもありませんわ。


・・・・・・・・ということで何かサイパン防衛を放棄したんですかというような昨日のオペでしたが、まあそうはいっても昨日の場合は流動性供給入札とぶつかっていたのでとか何とか言って今日になったらまた変なもの食ったようにシャカリキになって奪還戦をおっぱじめるかもしれない、という位にオペレーションの運営が読めないのは非常にアカンのですが、もはやオペレーションにしろ金融政策にしろこの人たちの行動にロジックとか整合性とかいうのを求めるのはあまり期待しない方が良い、というか寧ろ今までのロジックから考えてしまうと判断間違えるまであるわ。

とまあそういう訳ですので、今日も今日とて臨時輪番あるかとか身構えながら過ごすという1日になりそうでございますが、これで市場機能がどうのこうのとか言ってるのはさすがにヘソが茶を沸かすというものでありますわ。


〇さくらレポートが盛大に上方修正しているんですけど・・・・・・・・・・

概要
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer231019.htm

全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer231019.pdf

地域経済報告―さくらレポート―(2023年10月)*
*本報告は、本日開催の支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。
2023年10月19日
日本銀行

これは本当は本文を読むと大変に興味深いので、支店ではちゃんと経済調査をやっているんだなあ、というのが伝わる大変良い作品に毎回仕上がっていると思うのですが、このようにちゃんと経済調査をやっているというのになぜ大本営に掛かるとあのウスラトンカチなポンコツ物価見通しが出て来るのか、というのは甚だ疑問に思いますが、まあどうせ大本営に掛かると宦官趙高(以下自主規制)。

全文、と言いたい所ですが概要から引用します。

『I.各地域の景気判断の概要』の『(1)各地域の景気の総括判断』ですが、

『海外経済の回復ペース鈍化や物価上昇の影響を受けつつも、すべての地域で、景気は持ち直し、ないし、緩やかに回復している。』

「物価上昇の影響を受けつつも」にもワラタが。

『各地域の景気の総括判断と前回との比較』


【23/7月判断】           前回との比較       【23/10月判断】

北海道 緩やかに持ち直している    右上がり        持ち直している

東北 一部に弱さがみられるものの、
  基調としては緩やかに持ち直している 右上がり         持ち直している

北陸  持ち直している        右上がり       緩やかに回復している

関東甲信越 持ち直している      右上がり       緩やかに回復している

東海    持ち直している       不変          持ち直している

近畿 一部に弱めの動きがみられるものの、
   持ち直している          不変    一部に弱めの動きがみられるものの、持ち直している

中国    持ち直している       右上がり       緩やかに回復している

四国  緩やかに持ち直している     右上がり        持ち直している

九州・沖縄 緩やかに回復している     不変        緩やかに回復している

今回手抜き企画と思ってHTMLの表をそのままテキストに落としてみる(と矢印の所が「右上がり」みたいなテキストになります)というのをしてみましたが、ちと微妙感は漂いますが(サーセン)左が前回、右が今回になります。

でもって見ればお分かりのように全般的に右側の方が「すっきりした表現」になっていまして、これは当たり前ですが上向きの場合に表現がスッキリしているのは上方修正というか状況の改善の自信度を示すものになります。

・・・・・・ということでですよ、地域経済という意味で見た場合、経済に関するアセスメントは強くなっておる訳ですよ。まあ水準が「持ち直し」「回復」であって「拡大」ではない(これは日銀以外でもそうだと思うのですが、定義としてはトレンド成長率よりも低いものがトレンド成長率に向かって改善していく段階は「持ち直し」「回復」になりまして、トレンド成長率よりも高い成長である、という認識の場合には「拡大」という表現になります)ので水準としてはまだまだとか言う話に大本営的にはなるんでしょうけれども、この上方修正オンパレードは方向性としては良い話以外の何物でもないですな。


でもって本文の方ですが、こちらにはHTML版の続きとして、PDFの6枚目、本文4ページ目以降に、『(3)企業等の主な声(トピック別)※』ってのがあって、今回『@個人消費(インバウンド需要を含む)』、『A輸出・生産』、『B価格設定』、『C雇用、賃金設定』とありまして、賃金の所は色々と「この調子で威勢良く賃金上げると収益がきついわ」という声がちょろちょろと出ている(ただ「上げないと雇用確保も厳しいし」ってのもあるんですけど)辺りは、そらコストプッシュが同時進行しているんだから厳しいわなと思う訳で円安が如何に邪魔なのかというのが良く分かる内容ではあるんですけど、まあどうせ大本営にしてみれば「賃金動向のミキワメガー」とか言い出す言い訳になるなあと思いながら見ておりました。

他のトピックは総じて威勢が良いんですけど、やっぱり円安海外物価上昇からのコストプッシュキツイキツイネーという感じですからつまりは円安誘導政策は悪の極みという話になるんじゃないかと思うんですけどねえ・・・・・・・・


まあしかし何ですな、地域経済の報告はこのように上方修正のオンパレード、展望レポートで物価見通しも引き上げ、と来ているのに10月会合何もなし、とかになるとこれドル円ちゃんってランボー怒りの介入と日銀の政策修正警戒があって150円というマジックナンバーの手前寸止めしているけど、一気にぶち抜けて日銀が地獄の火の中に投げ込まれるという地獄相場が展開されるとしか思えないんですけど、この調子だと手ぶらってマジで厳しくなってないかとは思うんですよね。

ま、覚醒して植田先生に戻ったと思われる植田総裁が黒田緩和を後生大事に守ろうとしている馬鹿どもを蛮勇振るって蹴散らして頂きまして、日銀ジャガーチェンジとなる今度こそ最後のチャンスっぽいので、植田先生の決断を楽しみに待ちたいと思います。

#週末は新聞チェックしてまわらんといかんだろうなーーーーー


〇パウエルのご挨拶はまあ極めて順当だと思ったんだが

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20231019a.htm
Speech
October 19, 2023
Opening Remarks
Chair Jerome H. Powell
At the Economic Club of New York Luncheon, New York, New York

といってもこっちは質疑応答の前の短文ご挨拶なんでアレですが、短いので一気に参りましょう。

『Before our discussion, I will take a few minutes to discuss recent economic data and the outlook for monetary policy.』

ただのご挨拶。でもって最初の小見出しは『Recent Economic Data』

『Incoming data over recent months show ongoing progress toward both of our dual mandate goals-maximum employment and stable prices.』

ということで最近のデータの評価ですが、最初のサブタイトルがインフレーションで、

『Inflation

By the time the Federal Open Market Committee (FOMC) raised rates in March 2022, it was clear that restoring price stability would require both the unwinding of pandemic-related distortions to supply and demand, and also restrictive monetary policy to cool strong demand and give supply time to catch up. These forces are now working together to bring inflation down.』

経済をクールダウンさせないとインフレは沈静化しないよ、と物価の評価を言う前からの早期利下げ期待への砲撃に余念がありません。

『After peaking at 7.1 percent in June 2022, 12-month headline PCE (personal consumption expenditure) inflation is estimated at 3.5 percent through September.1 Core PCE inflation, which omits the volatile food and energy components, provides a better indicator of where inflation is heading. Twelve-month core PCE inflation peaked at 5.6 percent in February 2022 and is estimated at 3.7 percent through September.』

コアPCEはピークの5.6%から足元9月は3.7%まで沈静化するとみられています(ドヤァ)。

『Inflation readings turned lower over the summer, a very favorable development. The September inflation data continued the downward trend but were somewhat less encouraging. Shorter-term measures of core inflation over the most recent three and six months are now running below 3 percent. But these shorter-term measures are often volatile.』

どやあ、といったもののその後は下がってきてるけどまだ予断は許さんという話をしてまして、

『In any case, inflation is still too high, and a few months of good data are only the beginning of what it will take to build confidence that inflation is moving down sustainably toward our goal.』

いずれにしろインフレの水準はまだクソ高いと。

『We cannot yet know how long these lower readings will persist, or where inflation will settle over coming quarters. While the path is likely to be bumpy and take some time, my colleagues and I are united in our commitment to bringing inflation down sustainably to 2 percent.』

まだまだ先行き今の調子で物価が落ち着いてくれるかもわからんので物価を2%まで落ち着かせるぞーという意気込みで様子見をしていく、って言ってるんだからこれもまた早期利下げ観測を撃破しております。


次のサブタイトルが労働市場。

『The labor market

In the labor market, strong job creation has met a welcome increase in the supply of workers, due to both higher participation and a rebound of immigration to pre-pandemic levels.2 Many indicators suggest that, while conditions remain tight, the labor market is gradually cooling. Job openings have moved well down from their highs and are now only modestly above pre-pandemic levels. Quits are back to pre-pandemic levels, and the same is true of the wage premium earned by those who change jobs.3 Surveys of workers and employers show a return to pre-pandemic levels of tightness.4 And indicators of wage growth show a gradual decline toward levels that would be consistent with 2 percent inflation over time.5』

労働市場に関しても強すぎる労働需要状態からのバランスの改善が色々なデータから見て取れます、と状況が改善しているとの評価で、こっちはさっきのインフレみたいな変な留保はつけないでスッキリ説明ですね。


次が成長率

『Growth

To date, declining inflation has not come at the cost of meaningfully higher unemployment-a highly welcome development, but a historically unusual one.』

物価の落ち着きが大きな失業を伴っていないというのは実に素晴らしいんだが普通じゃない現象でもある、と来まして、

『Healing of supply chains in conjunction with the rebalancing of demand and supply in the labor market has allowed disinflation without substantially weaker economic activity. Indeed, economic growth has consistently surprised to the upside this year, as most recently seen in the strong retail sales data released earlier this week. Forecasters generally expect gross domestic product to come in very strong for the third quarter before cooling off in the fourth quarter and next year. Still, the record suggests that a sustainable return to our 2 percent inflation goal is likely to require a period of below-trend growth and some further softening in labor market conditions.6』

背景には供給制約の改善と労働需給の改善があって、更に今年の経済が消費を中心に予想外に上振れを下のが要因にあります、という話をしていますが、その先ではそうはいってもやっぱり一段の高インフレ鎮静には経済の減速が必要でしょう、という話をしてますな。

『Geopolitical tensions are highly elevated and pose important risks to global economic activity. Our institutional role at the Federal Reserve is to monitor these developments for their economic implications, which remain highly uncertain. Speaking for myself, I found the attack on Israel horrifying, as is the prospect for more loss of innocent lives.』

地政学リスクとイスラエルへの攻撃に関する言及です。


ということでつぎの小見出しがお待ちかねの金融政策で、

『Monetary Policy

Turning to monetary policy, the FOMC has tightened policy substantially over the past 18 months, increasing the federal funds rate by 525 basis points at a historically fast pace and decreasing our securities holdings by roughly $1 trillion. The stance of policy is restrictive, meaning that tight policy is putting downward pressure on economic activity and inflation.』

この辺はマクラみたいなもんです。今までこんなことしました的な話。

『Given the fast pace of the tightening, there may still be meaningful tightening in the pipeline.』

まだ利上げするかもしれませんよ!とわざわざぶっこみに行くとはこれはこれはという感じですが、まあ米国の場合利上げ打ち止めというとすぐに利下げ転換を織り込もうとして金融環境のタイトさが減ってしまうというアメリカン仕草があるんで、釘を差しておく必要がある、という事なんだと思います。

『My colleagues and I are committed to achieving a stance of policy that is sufficiently restrictive to bring inflation sustainably down to 2 percent over time, and to keeping policy restrictive until we are confident that inflation is on a path to that objective.』

2%に戻すために引き締めだよ、という何時もの話がありまして、

『We are attentive to recent data showing the resilience of economic growth and demand for labor. Additional evidence of persistently above-trend growth, or that tightness in the labor market is no longer easing, could put further progress on inflation at risk and could warrant further tightening of monetary policy.』

景気がトレンドグロースよりも強い状況が続くとか、労働市場がやっぱり強いじゃんという状況がみられるようだったら追加の引き締めもありまっせ、と来たものの、

『Along with many other factors, actual and expected changes in the stance of monetary policy affect broader financial conditions, which in turn affect economic activity, employment and inflation. Financial conditions have tightened significantly in recent months, and longer-term bond yields have been an important driving factor in this tightening. We remain attentive to these developments because persistent changes in financial conditions can have implications for the path of monetary policy.』

金融環境についての話の中で長期金利に言及して、長期金利が高止まっていれば引き締め効果が出るからそれはそれで良し、という部分がありますので、まあ言ってみれば今みたいに短期金利上げないでも長期金利が適度に上がってくれる方がパウエルとしてはウマーって思ってるんジャマイカと感じました(個人の感想です)。


最後がまとめ

『Conclusion

My colleagues and I remain resolute in our commitment to returning inflation to 2 percent over time. A range of uncertainties, both old and new, complicate our task of balancing the risk of tightening monetary policy too much against the risk of tightening too little. Doing too little could allow above-target inflation to become entrenched and ultimately require monetary policy to wring more persistent inflation from the economy at a high cost to employment. Doing too much could also do unnecessary harm to the economy.』

引き締めに関してはtoo littleとtoo muchのリスクを併記していまして、この辺は今に始まった話ではないですけれども、引き続き先行きスタンスに関してはどっちかの方向あり気のゴールがあるというよりは、まあ普通に今の時点がゴールであとはデータディペンデント、ってことになるとおもうんですけどどうでしょうかね。

『Given the uncertainties and risks, and how far we have come, the Committee is proceeding carefully. We will make decisions about the extent of additional policy firming and how long policy will remain restrictive based on the totality of the incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.

Thank you. I look forward to our conversation.』

最後のは「ワシらはあんじょうようやりますけえのう」という話ですね。ということで内容はほぼ順当だと思うんですけど何か米国長期金利上がってた気がしたんだが・・・・・・・・・








2023/10/19

お題「10年0.8%の意味is何???/櫻井元審議委員ドテンに意味はあるのかただのノイズなのか」

これわwwwwwwwww

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-18/S2Q4XST0G1KW01
ウォール街、膨張する米国債務を懸念−FRBを窮地に追い込む恐れも
Rich Miller
2023年10月19日 1:47 JST
→FRBが債務に配慮して物価安定を軽視すれば、インフレの火種にも
→FRBは放漫財政が及ぼす悪影響について国民に警告を−ソーベル氏

日本というガバガバ国家が見本として存在していますよ!!!!!!!!orzorzorz


〇10年0.8%って何かのターゲットって言ってましたっけ????(臨時輪番)

昨日の債券市場、どうせ臨時やるだろうなあとおもったものの(本当です)一級フラグ建築士のアタクシなので変なフラグをオペで立てるの止めようと思いましてスルーした訳ですが、そうやって気を使って書かないとこれである。

臨時輪番だけ引用
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of231018.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年10月19日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,000 2023年10月19日

wwwwwwwwww

まあアレです、前場のオペ前時点で10年が0.815%だったり、前日の20年入札がコケていたりという事案はあった訳ですが、7月の柔軟化の直後にいきなりオペ入れて市場をあきれさせた日銀ちゃん、まあそうはいってもその後50bp上がると追加のオペみたいな感じで何とか乱発は回避する感じだったのですが、先月末の月末かつ半期の期末の後場に臨時輪番とか言う世の中が大迷惑する輪番をぶっこんできたのを皮切りに追加輪番はするわ5年共担はするわと来まして、米国金利様が下がって一旦落ち着いたかに見えましたが10年0.8%越えを見ましてまたも臨時輪番を打って来ました。

これお前今月10年幾ら買ってるんだよ財政ファイナンスってレベルすら超えてるだろとか、入札翌日に輪番実施するとか財政ファイナンス以下同文とか、もうマクラに書いたBBG記事の「ウォール街、膨張する米国債務を懸念−FRBを窮地に追い込む恐れも」が裸足で逃げ出す勢いのアホアホオペを打っているのもさることながら・・・・・・・・・・


・・・・・あのーすいません、何で10年の0.8%で必死こいてオペ乱打するんですか?????


という話でして、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230728d.pdf
イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の柔軟化

ここのポンチ絵をみましてもどこにも0.8%という数字は載っていないですし、

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230731a.pdf
総裁記者会見
――2023年7月28日(金)午後3時30分から約60分

にある植田総裁の会見でもその7ページにある植田総裁の説明は、

『(冒頭割愛)つまり、もう少し長期金利形成を市場に委ねるという意図があるのかどうかということですが、それは基本的には、程度の問題はありますけれども、イエスで、敷衍しますと、申し上げてますように、経済・物価情勢が上振れた場合に、それを反映するかたちで長期金利が上がっていくということについては、0.5[%]と 1[%]の間でそれを認めると言うのも変ですけれども、そこに上昇していくことを容認しようという姿です。(以下割愛)』(上記URL先7/28植田総裁記者会見より、以下同様)

とありまして、0.8%というものはその中に一切ない訳ですが、0.8%近辺の水準になってから特に長期の輪番お前幾ら増額したのか(なにせ追加輪番6750億円がある)と小一時間問い詰めたい訳で、この水準を明らかに意識してオペをアホみたいな勢いで増額しているのを見ますと、0.8%とかいう何の意味があるのかさっぱり分からず、その数字が別にオーソライズされたとは到底思えないものに対して決死の防衛戦をするとか、絶対国防圏もビックリの謎オペレーションでございます。

もちろん植田総裁はこの説明の続きとして返す刀で、

『ただし、完全に自由にするというところ、それだったらYCCの撤廃に近いわけですけれども、ではなくてスピード調整等を入れつつ、これも表現難しいですけれども、根拠のない投機的な債券売りというようなものがあまり広がらないようなかたちでコントロールをしつつ、しかし、ベースとしては、市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置でございます。』

と仰せですけれども、そもそも論として特に長いゾーンの入札が火曜の20年なんか事前に売りが入って金利水準をそれなりに上げて入札したのにコケるという状況なのって、これはどっからどう見ましても「長期金利の水準が市場の見方を反映できていないから、その水準がフェアバリューではない、ということで投資家の買い意欲が低いため、入札という債券大量供給イベントをこなしきれていない」という話な訳でして、だからこそ金利が上がるのですが上がっている側から日銀が元々アホのように国債買っているのに加えて、このように数字の科学的根拠も一切ない0.8%とかいう謎の金利水準で必死こいて国債買入などを増やすもんだから、更に「本来の居所」が掴めない状態になってしまう訳ですな。

でまあそういう状態で売られている訳ではなくて、10年カレントだけ指値でイールドカーブ歪んでいるからYCC修正(または解除)で指値オペ解消されたらその歪みが取れるぜヒャッハーとかいう売りとは足元の売りって話が全然違う訳ですし、それこそ賢明なる植田総裁(ついこの前までハトハトジジイと言ってたのは何だったのかというこのジャガーチェンジ)におかれましても物価情勢の変化を認めているように、経済物価情勢に対する見方の変化による売り圧力でしょと思う訳ですけど、何かまあ必死こいて止めに掛かってやがるの何でなんですかねえというお話。


概ねこの背景は先日の大本営腹話術人形もとい野口審議委員の新潟金懇挨拶や会見での発言で説明が可能、という読み筋にアタクシはなっている訳でして、かの腹話術人形ちゃんは「柔軟化措置をこの段階で行ったのは、イールドカーブ・コントロール政策は本来、「先手を打って柔軟化していかないと維持が困難になる」という性質を持つからです。」(10/12野口審議委員新潟金懇挨拶より)と仰せになっているから、これはつまり1%をバカスカつけるようになったら連続指値で止めるのではなくてまさかの再柔軟化を実施という敗戦スキームを考えているために、1%よりも遠い所でオペを乱打しておかないといけないという絶対国防圏(知らん人は太平洋戦争と絶対国防圏で検索すれば分かりますわ)的な発想なんでしょうな。

まあしかし会見で野口さんが長期金利の説明をしていた内容に関しても、ご案内の通り全部米国のせいにしているので、まあ大本営はそういう説明を市場のこと分からん素人だと思ってやっているんだろうなあとは思うのですが、米国の長期金利がまた元の位置に戻って来まして、じゃあその場合どうするのってことなんですけど、何でも米国金利のせいにする、ということは足元の金利上昇を経済のファンメタを反映したものと思わないで更にサイパン防衛戦を続けるのでしょうかってなもんですけど、その間にお前ら幾らバランスシート膨らませる気なのと思ってしまいます。南無三。



〇桜井元審議委員の「マイナス金利先行解除」見通しとな(実務上の問題点が・・・・・・・)

櫻井審議委員と言えば現役時代時々オリジナルな話をしているのですが、そうは言いましても大本営の腹話術人形として活躍された記憶が新しい上に、櫻井さんの場合はわざわざ鉄砲玉としてベンダーにしゃしゃり出てきて大本営の斥候をお勤めになるなど、現役時代はそういう方面での活躍が著しかった(ここまでの評はすべて個人の妄想によりますので念のため申し添えます)お方がこのように仰せです。

ブルームバーグちゃん、前日に引き続き昨日もこんなのが出ました

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-18/S2M65NT0G1KW01
年内のマイナス金利解除も、YCC再修正より前に−桜井元日銀委員
伊藤純夫、藤岡徹
2023年10月18日 18:06 JST

ちなみにこれ出た瞬間本当の本当の瞬間芸でドル円が反応してた気がしますが、本当の瞬間芸に留まっていました。まあどうせ全自動馬鹿AIが全自動で突撃しただけなんでしょうけど。

『元日本銀行審議委員の桜井真氏は、日本の実体経済が改善を続け、物価上昇の持続性も高まりつつある中、日銀は年内にもマイナス金利政策を解除する可能性があるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

・フィージビリティが無いんですけどねえ・・・・・・・・・・・

『桜井氏は18日のインタビューで、物価上昇率が高止まりし、日銀が超低金利政策を継続する下で、日本の実質金利は先進国の中で最も低くなっていると説明。「過剰な金融緩和から実体経済の変化に対応した適切な緩和政策に戻す必要がある」とし、マイナス0.1%の短期政策金利をゼロ%に引き上げることを具体策として挙げた。』

という話でして、

『植田和男総裁率いる日銀の金融政策運営は「表面上は慎重だが、予想を上回るペースで政策対応を着実に進めている」とし、30日、31日の金融政策決定会合でのマイナス金利の解除もあり得るとみている。もっとも、従来の説明との関連で唐突感があることや政治との関係などを踏まえれば、12月会合以降になる可能性が大きく、今月の会合ではフォワードガイダンス(政策指針)の修正を含めて解除への地ならしが想定されるという。』

って解除の地均しをしたらほぼ2カ月ある次回の会合までオペレーションが持ちませんし、この人の説明ってすさまじく無理があって、「マイナス金利解除して短期0%近傍のまま10年上限1%を継続」って出来る訳ねえだろお前5年間日銀で何やってたんだというお話な訳ですな。


・ほんの3週間前に言ってた事がいきなりひっくり返る+櫻井さんは元大本営の鉄砲玉=????

とまあそういう話で、インタビューに関しては後程また続きを行いますが、ここでつい先だって櫻井さんがロイターで行ったインタビューの記事を確認してみましょう。

https://jp.reuters.com/world/interview/HQCPSP5HTBLNHGDTLFBHUYJWGE-2023-09-26/
インタビュー:大きな金融政策修正せず越年と想定=桜井・元日銀審議委員
木原麗花、山口貴也
2023年9月26日午後 4:13 GMT+9

『[東京 26日 ロイター] - 桜井真・元日銀審議委員は26日、今年7月に政策修正に傾いた日銀金融政策について「早めに動いたことで日銀はかなり政策の自由度を得た」との見方を示した。年内いっぱいは大きな政策修正は見送られるとも話した。同日都内でロイターの取材に応じた。』

『桜井氏はインタビューで「7月に早めに動いたことにより、日銀は、かなり政策の自由度を得た。このまま大きな政策修正をせず年内を越せるだろう」と語った。「場合によっては4月ごろの春闘の結果をみてから動いてもおかしくない。海外情勢次第ではしばらく現状維持が続くかもしれない」との見通しも示した。』(以上の部分は直上URL先の9/26ロイター記事より)

wwwwwwwwwwwwwwwwwwww

いやあのですね、3週間前に言ってた事が全面的にひっくり返るって何を根拠にひっくり返ったのかという話なのですが、今の立ち位置がどういう人なのかはアタクシ基本的に置物一派には興味が無いので存じませんのでまるで分りませんけれども、何せこちらのお方は現役時代は大本営の鉄砲玉を勤めておられたというキャリアがあるので、このとんでもない豹変ぶりには??????というのが拭えません、何なんでしょうかこのジャガーチェンジは??????ってこれ別に何かを示唆したいのではなくてマジで訳分らんという方向での????でありますけどね・・・・・・・・・・・・・



・ほんの3週間前に言った話の真逆を平然と言うだけにYCCの根幹部分も平然と・・・・・・・・・

でまあさっきのBBGの方のインタビューに戻しますがクソワロタのはこの部分。

URL再掲
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-18/S2M65NT0G1KW01
年内のマイナス金利解除も、YCC再修正より前に−桜井元日銀委員
伊藤純夫、藤岡徹
2023年10月18日 18:06 JST

『桜井氏は、マイナス金利を解除しても実体経済や金融市場に大きな問題は生じないと指摘する。むしろイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策で1%とする長期金利の上限をさらに引き上げる方が、実体経済や金融システム、財政へのインパクトは大きいとみる。』(直上URL先ブルームバーグ記事より引用、以下同様)

とのお告げでございますが、ここで櫻井審議委員(上記BBG記事にありますように「桜井氏は安倍晋三政権当時の2016年4月に日銀審議委員に就任し、黒田東彦前総裁の下で21年3月末まで務めた。」とございますわ)が在任中に導入したYCC政策の背景説明を確認してみましょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921b.pdf
「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証
【背景説明】(注)
2016年9月21日
日本銀行

(注)9月 20、21 日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定された基本的見解(対外公表文の別紙1)について、その背景を説明するためのものである。

こちらの9ページ(PDFで10枚目)の『(4)金利の期間構造による経済・物価への影響』という部分に、

『イールドカーブの形状に応じた経済・物価への効果や金融面への影響については、以下の点に留意する必要がある。@経済への影響は、短中期ゾーンの効果が相対的に大きい、(以下割愛)』

とまあそういう記述がありまして、ご覧の通りこの検証は櫻井さんが審議委員になってから行われたものですし、その後のYCC政策でも同様のロジック展開で政策が運営されていたので、櫻井さんがこの話を知らないわけがないと思うのですが、なにせ3週間前に言ってた事の真逆を平然と言い出すということでもしかしたら(以下の記述は内務省検閲により削除されました)。

・・・・・・・・なおこの「長期金利上げる方がヤバイ」理論はさっき引用した9月のロイターインタビューでも仰せになっている(URL先確認してちょんまげ)ので、まあそういうことだという話をしたいようで、なんぼ大本営が政策から逆算して屁理屈構成するにしても、マイナス金利解除で10年の1%連続指値をぶっこみつづける、というのは無理があるんじゃないかと思います。


まあ櫻井さんの説明だと、

『その上で、マイナス金利解除はあくまでも「適切な金融緩和を持続する」ためであり、金融政策の正常化や金融引き締めを意味するものではないことをしっかり説明することが重要になるとした。』

となっているので、2%物価目標達成判断と直接リンクしない調整として捉えている可能性がありまして、何のための調整かという屁理屈を今更捻りだすの無理があると思う(野口さんの金懇ではマイナス金利解除は2%物価目標達成判断とリンクしていた)のですが、政策微調整論でのマイナス解除ってうーんそれはYCCの形骸化とセットじゃないとフィージブルじゃないとおもうんだけどなあ。

といいつつ、

『一方、金融政策では大きな影響を与えられない賃金の動向を強調し過ぎると「政策変更の足かせになる」と警鐘を鳴らす。消費者物価が2%程度に定着する確度は高まっているものの、中小企業が雇用全体の7割を占める中で「賃金上昇の持続性を判断することは容易ではない」とし、物価重視の金融政策運営に回帰することの重要性を訴えた。』

とエライまともな事を言ってるのも中々訳分らんという感じでして、まあ謎な人なのではあるのですが、櫻井さんが物凄い勢いでドテンしているのを見ますと、これは益々月末に向かってもりあがってまいりました感が出てきたなあと思ったので、じつはただの隠居老人の茶飲み話に引っ掛かっただけなのかもしれませんけれども、ちょっと引っ掛かってみましたという雑談でした。






2023/10/18

お題「ブルームバーグの展望レポート観測記事キタコレ/生活意識アンケート」

究極のほこたて対決をギャグでなくて政府が言い出すとは世もまつであるアタマイテエorz
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA176OV0X11C23A0000000/
税収増の還元、時限措置で 首相が与党税調に検討指示へ
日経スクープ
2023年10月17日 19:09 [有料会員限定記事]

会員記事の前の部分だけで楽しめたんだが・・・・・・・・・・

『岸田文雄首相は税収増を還元するための税制措置の具体化を与党の税制調査会に指示する。23日の臨時国会での所信表明演説で表明する方針だ。恒久的な対策ではなく物価高対策や脱デフレのための時限措置として検討を求める。』(上記URL先より)

>物価高対策や脱デフレのため
>物価高対策や脱デフレのため
>物価高対策や脱デフレのため
>物価高対策や脱デフレのため
>物価高対策や脱デフレのため

これはやべえwww何言ってるのか1ミリも理解できないし理解したくないwwwwwwwwww


〇24年度の物価見通しも2%乗せは降参宣言(本来なら勝利宣言の筈なのに・・・・)か25年度の鉛筆舐めでクソ粘りか

出たないつもの謎の「関係者」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-17/S2NLU8T0G1KW01
日銀の24年度物価見通し、2%以上に上方修正の公算大きい-関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2023年10月17日 19:13 JST 更新日時 2023年10月17日 19:53 JST

→23年度は7月時点の2.5%から3%に近づく可能性が高い−関係者
→持続的・安定的に2%見通せる状況にないとの見方変わらず−関係者

さあもりあがってまいりました!!!!!

『日本銀行が30日、31日に開く金融政策決定会合で議論する新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2023年度と24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年度比上昇率の見通しが上方修正となる公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった。関係者によると、新たなコアCPI見通しは、23年度が7月時点の2.5%から3%に近づく可能性が高い。24年度については従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入るという。』(上記URL先より、以下同様)

という訳でこの前の共同は23年度が、というクソの役にも立たない観測記事でしたが、今回の「関係者」からの記事は24年度が2%乗せになる、という話になりますが、そうなりますと22年度、23年度、24年度と3年連続で2%超え(しかも22年度23年度は盛大に超え)状態になっているのに、物価安定目標の2%が達成されないとかいう申し開きが立たないような見通しになる訳で、これで今月の決定会合を手ぶらで逃げ切ろうとするのはさすがにあり得ないだろオメー、という話になる訳ですが、はてさてどういう言い訳をするんでしょうか、または政策修正するんでしょうかねえ、というお話。

まあ何ですな、23年度2.9%とか出した挙句に24年度が1.9%とかいうような幻想的な見通しを出した場合、物凄い腰折れ予想ということになりますので、その場合は声明文に記載されておられる「躊躇なく追加緩和」をすべきではないか、という話になる(もちろん見通しが頭おかしいのがいけないから別に今追加緩和するのが正しい政策ではないのだが、頭おかしい見通しを出したらそれに整合的な政策対応も頭おかしくなるわけですな、ガハハ)訳でございましたが、さすがにそこまで幻想的な見通しは出さないようですが・・・・・・・・

『一方、持続的・安定的な物価2%を見通せる状況には至っていないとの日銀の見方には変わりはないという。海外経済を中心に先行きが不確実な情勢が続いており、25年度については従来の1.6%から大きく変わらない見通しだとしている。』

アホなのかと思うのですが、3年連続で2%を上回る(しかも足元では大きく上回る)状況になっているのに、翌々年度に2%を下回る見通しになっているんだったら、やっぱりこれだって腰折れな訳で同様に「躊躇なく追加緩和」を今こそ実施して、折角2%超えになっている物価を維持するようにしないと行けない訳ですよ。これが足もと0%で先行き時間をかけて上がっていくのをキープするために金融緩和を維持する、というのならロジックは分かるのですが、せっかく物価が目標値を上回っている状態なのに、今の政策ではその状況をキープできません、っていう見通しを出しながら追加緩和をしないというのは頭おかしい、ということになりますし、大体からして「躊躇なく追加緩和」って声明文で宣言しているんだから、躊躇なく追加緩和しないのは詐欺だし怠慢だし無能、とまあそういう話になりますけど、25年度1.6%という幻想的な見通しを出してそれを言い訳にして何もしなかった場合、逆に「躊躇なく追加緩和」について質問するというプレイが記者会見で出てくれると嬉しいですね!!!!!!!!!111

モチのロンですけれども、そもそもその25年度の見通しが「金融政策の修正を行いたくないから鉛筆舐めて出すという政策から逆算した見通し」というポンコツあたおか見通しなのが間違いなので、躊躇なく追加緩和というのは大間違いのコンコンチキ政策ではありますけれども、あたおか見通しだしたら整合的な政策があたおかになってしまう、ということで大変に楽しみです。

しかしこれはワロタ。

『ブルームバーグの報道を受けて、外国為替市場では一時円が買われ、対ドルでは1ドル=149円70銭付近から、この日の高値となる148円84銭まで急騰する場面が見られた。』

(説明と市場の反応を追加して更新しました)

何の因果かこの時の動きリアタイで見てたんですけど、為替ちゃんの方にはこの記事効いたの一瞬であっさり味で戻ってしまい、横綱の方を見て面白がっていたらドル円あっという間に149円50銭レベルに戻っててクソワロタという感じでしたので、本当は為替の反応を書くよりも債券先物の反応を書いた方が良かったんじゃネーノと思うのだが、こうやって為替が反応しました我々のニュースは偉大なり、って宣伝するの見苦しいから勘弁してほしいわ(というかブルームバーグって最近「視点」とかなんとかいう記者のポエムが1日に何本も流れてきてヘッドラインが見苦しくてかなわんのでミュートできないかと思ってしまう、ポエムは自分の個人ブログでやってください)と思いました、ちゃんちゃん。


でまあ債券先物様におかれましては、

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
先物価格情報

長期国債先物
限月:23年12月限
取引日:10/18
夜間取引
始値:145.24(10/17)(15:30)
高値:145.30(10/17)(16:49)
安値:144.86(10/17)(22:52)
現在値:144.93(10/18)(05:00)
前日比:-0.33
取引高:16,485
(こちらはまだ取引終了前の数字なので現在値はイブニングの引けとは異なる数字になると思います)

ということで、こっちの方が素直に反応して下がっていますが、そらまあ一昨日の夜に神田大明神が来まして、20年国債入札が事前調整したのに華麗に滑ってしまい(さすがに引け際少しは持ち直しましたけど)、と来る中で展望レポートで遂に2%3年度連続達成、ということですので、そもそも黒田のアホウが政策変更しないとクソ粘りを開始ししていた時って22年度の後半から物価の伸びはダメになりますよとか言ってたのをまあドンドン先送りしている上に、その間足元の物価はホイホイと上昇を継続しているんですから、もはや申し開きが付かないはずですし、しかも今は総裁は植田さんに変わったんですから「前任が政策変更をしない根拠にしていた物価見通しと状況が異なりましたんですなあ」と言ってしまえば嘘八百の物価見通しを出さずに済むし万々歳の筈なのですが、さあどこで植田さんは踏ん切りをつけるんでしょうかね、という話。


大体からして賃金賃金言ってますけど連合ちゃんが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16BV30W3A011C2000000/
連合、賃上げ目標「5%以上」に 24年春季労使交渉
経済
2023年10月17日 21:50 [会員限定記事]

って仰せな訳ですし、まあそれ以前の問題として日銀が政策をいじりたくないために賃金賃金言うのってやっぱりダメダメな話で、物価に対して更にビハインドする賃金をターゲットにしたら政策がビハインドするだろというのもさることながら、そもそも論として賃金所得者世帯が世の中のすべてではなくて、個人事業主あり退職者世帯ありと色んな世帯が居るのに賃金にだけフォーカスするのおかしくて、社会厚生を考えるんだったら物価をメインにすべき(ということに植田さんは馬鹿じゃないので気が付いていて最近明らかに賃金推しのトーンをさげている訳ですな、うんうん)なのは変わらない筈で、このロジックがそもそもおかしい上に物価見通しもおかしいと来ているんですから、そらもう政策がゲロかうんこかというゴミにも劣るものが出てくるの当たり前なんですけど、植田総裁(とごく一部の政策委員)はその辺りの立て直しを物価という面から行う、というのをしているんじゃないか、と期待する所であります。

まあ兎に角今の日銀の政策にロジックの一貫性とか政策反応関数とか整合性とか自分で考える能力とか求めてもそれはダチョウに思考を求める位に意味がないので、どのような結果が出てくるのかまるで予想が出来ないというのが困りもんですが、2週間前とちょっと早めのスタートになりましたが、ここから事前観測合戦スタートって感じですかねえ、よー知らんけど。


〇遅ればせながら生活意識アンケート

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2310.htm(概要)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2310.pdf(全文)

全文から引用します。

・景況感悪化してるのかよ・・・・・・・・・・・

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』ですけど、

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』

『(図表1)景況感〔Q1、4〕』の<現在を1年前と比べると> <1年後を現在と比べると>を見てもありゃまあという感じですし、長期時系列の<景況感D.I.の推移>を見てもピークアウトに見えない事もないのですけれども、まあ1回だけなら統計の綾かも知れないので次回をみたいですよね。

『1-1-2. 景況判断の根拠』を見ると、

『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』

となっているのですが、収入増えてるだろと思う訳で、これも実質ベースのマイナスが大きいんじゃネーノかと思ってしまいますがよくわからないので判断保留・


・住宅ローン金利とかアホメディアが連呼するから日銀もこれはニッコリ

次の結果は頭痛くなったわwww『1-1-3. 金利水準』ですけど、

『金利水準についての見方は、「金利が低すぎる」との回答が減少し、「金利が高すぎる」との回答が増加したことから、金利水準D.I.はマイナス幅が縮小した。』

金利が鉋屑程度しか無いのに高すぎるとはこれ如何に????ではありますが、これは日銀が「金利の上昇は良くないですね(ニッコリ)」とドヤ顔で説明する根拠になってしまいますね、あいやー。



・どう見ても過度な物価上昇の影響です本当にありがとうございました

次が『1-2. 暮らし向き、消費意識』ですが日銀にとっては残念ですが当然の結果が待っていました。

『1-2-1. 現在の暮らし向き

現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』

そらそうよ。

『1-2-2. 収入・支出

収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少したものの、「減る」との回答も減少したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。』

とまあ収入は結構なのですが当たり前のように支出の方は、

『支出については、1年前と比べた現在の支出D.I.は、引き続き高水準となった。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

ナムナム。

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品(洗剤、雑貨等)」、「家電」が多かった。』

食料品と言えば日本農業新聞の参考記事を貼っておきますね!!!!

https://www.agrinews.co.jp/economy/index/188358
2023年10月8日
ブロッコリー高騰、平年の2倍 リンゴ「つがる」25%高 9月日農平均価格
(会員限定記事ですスイマセン)

https://www.agrinews.co.jp/news/index/188969
2023年10月12日
秋の味覚 猛暑で高値 野菜は産地リレー乱れ 果実は正品率低く品薄

https://www.agrinews.co.jp/news/index/190196
2023年10月18日
9月新米相対価格10%高 高価格帯銘柄苦戦も
(会員限定記事ですスイマセン)

・・・・・・・・基本生鮮の話(米は物価統計では生鮮扱いじゃないです)ではありますけど、まあこんな状況やでということでして、益々これは物価高しんどいですバイというのが続くんジャマイカと愚考するのですが。

で、話は戻ってさっきの続きですけど、

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

まあそうなるわな。旅行とか単価がアホみたいに上がっている(のをパンフレットで見てそっと閉じるだけのアタクシ)からアレですよね。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。

商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」といった回答が多かった。』

これさ、物価高を放置すると逆に節約志向に戻ってしまう、っていうパラドックスみたいな事にならんのかね、とか思ってしまいました。よー知らんけど。


・雇用環境はまあ統計の綾なのかなとは思うけど

『1-2-3. 雇用環境

1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が減少し、「かなり感じる」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は悪化した。』

となっていますが、長期時系列の<雇用環境D.I.の推移>を見るとまだ腰折れみたいな感じにはなっていないようにも見えるしきっと統計の綾なんじゃないかと(白目)。


・物価に対する実感はそらそうよ以外の感想が起きない順当な結果にw

みんな大好き『1-3. 物価に対する実感』に参ります。

『1-3-1. 現在の物価

現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。

1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+15.0%(前回:+14.7%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

ちょwwwww+15%wwwwwwwwwwww(でもまあ食品とか体感的にそんなもんだな)


でもって『(図表13)現在の物価に対する実感〔Q12、13〕』の図表がさらにひどくて、

<現在を1年前と比べると>の回答の「かなり上がった」が

3月:62.8
6月:66.3
9月:68.4

と半年で6割→7割って感じになっているのがもう酷い。

『1-3-2. 1年後の物価

1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台後半となった。

1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+10.7%(前回:+10.5%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

これまたやべーのは『(図表14)1年後の物価に対する見方〔Q14、15〕』でして、

<1年後を現在と比べると>の回答の「かなり上がる」が、

3月:33.1
6月:28.2
9月:31.6

となっているのですが、まあ確かに直近3カ月で食品の価格がホイホイと上がっている実感はあるので、ここにきて価格上昇見通しのギアが入り直した、って感じは強くなっていると思いますし、こんなの誰かが日銀のせいっていう犬笛をうまく吹いたら岸田批判のうちの何割かが日銀批判に飛んでくるぜと大変に懸念されるところであります。なおアタクシは犬笛を吹く能力も実力もありませんので静観静観。


そして日銀大好き5年後の物価

『1-3-3. 5年後の物価

5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が約8割となった。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+8.0%(前回:+7.5%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』

おいこら5年後の物価見通しあがってるじゃねえか。

『(図表15)5年後の物価に対する見方〔Q16、17〕』ですけど、

<5年後の見通し>の「かなり上がる」が

3月:35.7
6月:37.1
9月:38.7

で、<5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか>が

平均値
3月:+ 8.1 %
6月:+ 7.5 %
9月:+ 8.0 %

中央値
3月:+ 5.0 %
6月:+ 5.0 %
9月:+ 5.0 %

でして、さっきの1年後の物価同様、これは夏場に入って一段の物価上昇が体感的には起きたということになるんだろうなあ(平均値推移の方ね)という風情ではないかと思う訳です。

もちろん、この生活意識アンケートはご案内のように物価の数字自体が統計上の物価よりも断然上の数字で出てくるのですけれども、先般ネタにした大本営腹話術人形による腹話術ショーによりますと、インフレ期待が上がってきた場合に長期金利が上昇した時には、先んじてYCCの再柔軟化をしないとYCCが維持できない、という謎説明を腹話術人形がしておりましたので、これは何と申しますか・・・・・・・・・ゴクリ。

『1-3-4. 現在の物価上昇についての感想

1年前と比べて物価が『上がった』(注)と答えた人(9割台半ば)に、その感想を聞くと、8割台半ばの人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。』

とか

『1-3-5. 5年後の物価が上昇すると考える理由

5年後の物価について『上がる』(注)と答えた人(約8割)に、その理由を尋ねたところ、「最近物価が上がっているから」との回答が最も多く、次いで「中長期的に物価は上がるものだから」といった回答が多かった。』

とかいう辺りは正直判断致しかねるので保留という感じですな、なお以下は割愛します。半年ごとに日銀の政策への信頼度とかいうのがあるのですが、今回は調査タイミングじゃありませんので残念無念ということで。






2023/10/17

お題「神田財務官「金利」に言及の巻はキテますな/野口審議委員金懇会見:大本営の屁理屈を消化できてませんな(^^)」

ほうほう今更気が付きましたかそうですか
https://www.fnn.jp/articles/-/601240
岸田首相がスーパーを視察「野菜や肉、確かに高くなっている。思い切った対策を実行する」
政治部
2023年10月16日 月曜 午後1:38

円安阻止のために日銀をシバキ上げれば良いと思います!!!!!!!


〇神田大明神キタコレ!!!!

これは踏み込むなんてもんじゃないでしょさすがにビビるわwww

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-16/S2M3V7T0AFB401
為替の激しい下落時、国は「利上げか為替介入で対抗」−神田財務官
占部絵美、横山恵利香
2023年10月16日 19:23 JST 更新日時 2023年10月16日 19:33 JST

ちょwwwwwwwwwwwww

『神田真人財務官は16日夕、為替相場が激しく下落した場合には、国は「金利を上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する」と述べた。財務省内で記者団に語った。』(上記URL先より、以下同様)

まあ日本が顕著な資本流出をしているのかというとそういう話ではないけれども・・・・・・・・

『神田財務官は、足元の例として政策金利を引き上げたロシアや、為替介入を実施したイスラエルを挙げた。その上で、「非常に複雑な状況の中で総合的にファンダメンタルズを判断する」と説明した。金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」として見ながら、主要7カ国(G7)などの合意に沿って、必要な時に適切な対応をしっかり取ることに尽きると語った。』

>金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」
>金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」
>金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」

ひえーーーーー

『国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長は14日、円安は主に金利差が要因であり、経済のファンダメンタルズを反映していると指摘。介入の必要性を裏付けるような主要基準である市場の機能不全や、金融安定へのリスク、制御不能になったインフレ期待をIMFは認識していないと述べた。』

IMFがしらっと「円安は主に金利差が要因であり、経済のファンダメンタルズを反映している」と言ってしまうのはもしかしてこれはIMFに言わせることによって日銀をシバキに行ってるのではないかとうがった見方をしてしまいたくなるくらいには疑心暗鬼のアタクシ。

『神田財務官は、IMFの一職員の発言に「財務省の財務官は反論もしないし、コメントもしない」と述べ、この日の自身のコメントはあくまで「一般論」としている。』

しかし「金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」」とはぶっこんできましたなあという所ですが、これで今月何か日銀がやらかそうもんなら(あんまり事前報道も過熱しないし何か盛り上がりに欠けると思っていたのに・・・・・)金融政策は日銀から事実上召し上げの刑みたいな状況じゃねえのかという話に成り兼ねませんですな。いやもう植田総裁この際ガイアツを活用して先代の教えお大事とか言ってるカビの生えた老臣連中を蹴散らして暴れて頂いて良くってよ、とか思ってしまいますが、まあこれはこれで何かまた話がややこしくなりやがりましたなあという風情の案件でありますがさてどうなるのやら・・・・・・・・・・・・・


〇一応野口審議委員の金懇会見も見て差し上げましょう

ということで。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk231013a.pdf
野口審議委員記者会見
――2023年10月12日(木)午後2時30分から約35分
於 新潟市


・物価目標達成に向けた動きが金融政策のお蔭ではないと置物一派が宣言してどうするんだよ・・・・・・・

冒頭の質疑の次の実質最初の質問から。

『(問)二点質問がありまして、午前中の挨拶の中で野口審議委員がおっしゃられている「大きな転換点」という言葉に関わるところなんですけれども、直近の物価上昇ですとか春闘の水準を踏まえると、YCC撤廃なども含めた政策転換への距離感も徐々に縮まりつつある印象を持っています。この距離感ですとか見極めの時期、あるいはこの「大きな転換点」とするところの、こちらのお考えについて改めてお聞かせ頂ければと思います。(後半割愛というか次に)』

謎にクソ長い回答なのですが、この回答の前半部分は正直「お前は何を言ってるんだ」と思いました。しかしこれ全部が一段落になっているのさすがに見にくいんですけど、段落切りようがなかったのもまあ分かるw

『(答)まず最初の、私の午前中のご挨拶の中で「転換点」という言葉を使いましたけれども、これは大きく言えば、やはり 1990 年前後にバブルがはじけて崩壊してからいわゆる長期停滞と言われる状況が長く続いておりまして、その後 2013 年以降ですね、異次元金融緩和というのを始めてですね、若干、労働市場等の状況は改善しましたけれども、しかし、その中でもやはり物価と賃金が上がらないという状況が続いている。いったんはデフレに陥ってそれからデフレではない状況にはなったのだけれども、しかし、この目標の 2%というものにはなかなか安定的には届かないという状況が続いてきたという、こういう状況であったわけです。』

ダラダラ長いのもさておいて異次元緩和の前だって状況が良くなったことがあったのを丸無視している時点で学者にあるまじき歴史改竄ですが置物一派は学者じゃなくてアジテーターだと思えばまあそういうもんでしょうな。

『しかしようやくですね、今年、ベアが 30 年ぶり[の伸び率]に上昇したということですね。これは非常に大きいというふうに考えておりまして、』

これが金融政策の効果、と言ったら流石に吹く予定でしたが・・・・・・・・

『というのは、なぜ物価が 2%に達しないで、持続的に 2%に安定的に達するということができなかったのかということを考えますと、やはりその一つの大きな原因というのは賃金がなかなか上がらなかったということでありました。』

何で物価が上がらないのに賃金を上げる必要があるんだよ、と思うわけですが、

『これは、異次元金融緩和を 2013 年に始めて以降ですね、労働市場はかなり改善をしまして、そして賃金が下がるということはなくなったわけであります。』

実質賃金はその前は上がっていたりしましたけど、ということでこの人の説明かなり雑でこれで大学教授が務まるならアタクシはイェール大学の学長が務まるわ、と思いましたwww

『しかし、そうはいってもなかなか[ベアの]上昇率としては 1%にも満たない状況が続いている、こういう状況ですから、そういうことであれば物価(注)というのも当然 2%には届かないということになって当然であります。これは私が言っている物価と賃金のゼロノルムというものであります。』

遂に「賃金が上がると物価が上がる」というどう見ても順序が逆の話をおっぱじめていますが、なにせ置物一派は「2%物価目標で経済が良くなる」という順序が逆の主張をしてましたし、この因果関係を無視した説明はやっぱり置物一派だなーと思います。

『しかし、これがようやくですね、物価がとりあえずコスト・プッシュではありますけど、世界的インフレの影響の中で物価が上がったということ、しかしこれだけでは単にコスト・プッシュであって、そういう一過性のもので終わってしまうわけでありますから、これが賃上げにつながっていくということであれば、まさにこれが「転換点」ということになります。』

金融政策の効果ではなくて単なる神風でインフレ目標達成への道が出来ました、って思いっきり敗北宣言をしている、ということに気が付かないのかなあこの(ピー)は。


・転換点は分かったのだがじゃあ賃金を持続的に上昇させるために必要なパズルのピースは何なのかという話が・・・・・・

はい、質問の回答はさらに続きますが、後半はしょうもない循環話法を楽しむ部分になります。

『そうやって賃金が物価以上に安定的に上昇し続けるという状況、』

ここで話が飛躍するのも置物一派の得意技でして、コストプッシュで物価が上がるって時はまさに企業はコストが上がっているんで、そこで生活給としての賃金を引き上げるのは(従業員が生活苦になったり生活苦の余り転職されても困りますから)話は分かりますが、何でそこで「賃金が物価以上に安定し続ける状況」に飛ぶのか、その間に必要なピースについて説明がなくアプリオリに賃金が物価以上に上昇するのって何でですかねえ、と思うのですがその先を読みますと、

『まだ残念ながらそういった状況には至っておりませんが、少なくともこれまで 30 年間上がらないできた賃金が大きく上がり始めているということは、一つ大きな進展であったということで、私はこれを「転換点」というふうに名付けたわけです。』

賃金以上に物価が上がるためのピースが何なのかさっぱりわかりませんですねえ。

『しかし、とは言いながらですね、じゃあ転換した後にすぐ目標まで達成できるかと、距離感で言えば、これはなかなか、私自身はまだそんなに簡単にはいかないであろうと。』

ここで話が大本営の振り付けに戻るので、直前までは「コストプッシュでも何でも物価が上がって賃金が上がってきたのでここからは賃金が物価以上に上がる世界に」という話をぶっこみつつ、いきなり「簡単ではない」と来ました。じゃあ何で簡単ではないのか、その困難性を打破するための必要なピースってナンジャラホイと思うのですが、

『個人的な見方としてですね、そんなに簡単ではない。ようやく今年始まったばかりでありますから。それからまだベアでいって 2.1%、まだ 2%ちょっとというところであります。これではやはり 2%物価安定目標と整合的であるとは言えません。』

賃金上昇率の話にして説明を放棄しています。

『もう少しまず上がっていかなければいけないというのが第一。』

これ多分話で聞いていると流してしまいそうですが、こうやって文字起こしで見ると分かりやすいんだが、この野口大先生様の説明って「賃金が物価以上にあがるためには賃金が物価以上に上がらないと行けない」という進次郎話法そのものなんですよね、クッソっ笑うわ。

『それからもう一つは、これが持続的に続くのかと。本日の経営者の皆さまがたとのお話の中でも、一つは建設業界のところで、例えば国土交通省などからの支援、後押しというのもあって、賃上げというのは意外と進んでいると。しかし、これをずっと続けるのはなかなかきつい、もう今年は上げたけれどもちょっと来年はどうかなという意見も正直あるというのは私もお伺いしました。ですからそういうふうに考えますと、この勢いが更に増していくかどうか、ここはそんなに楽観はまだできないであろうと。』

なるほど。でもってもう一歩経済の後押しのために金融緩和政策が必要、とでも言えばまだ(内容の是非は兎も角として理屈の上では)話が通るのですが、野口大先生まさかのこれである。

『とりあえずは来年の春闘がどうなるかというところを見極めていきたいというところであります。それが一番目の質問への答えです。 (後半割愛、というか次に)』

来年の賃金が上がるかどうかは楽観が出来ないので来年の賃金がどうなるか見極めたい、ってお前は何を言ってるんだという話で、まあ酷い回答してるわとしか申し上げようがないし、しかも会見URL見れば分かりますが、これを一段落で言ってるということなので、たぶん切れ目なくああでもないこうでもないとダラダラ回答したんだろうなあというのが伝わって来る訳です。



・学者なのに説明の整合性が無いの勘弁してくれませんかねえという話

さっきの質問の2問目になります。

『(問)(前半割愛)もう一点はですね、今、日銀が目標としている 2%の物価目標を 17 か月連続で上回っているような状況です。3%以上も 12 か月連続ということで、こちらデフレ脱却ではないかという見方もあるんですけれども、こちらの現状について野口さんご自身どのようなお考えを持ってらっしゃるか、ぜひお聞かせください。以上二点です。』

どういう言い訳をするか、ということになりますが、

『(答) (前半割愛)それから二番目でありますが、お話があったように、確かに今もう相当長い期間2%あるいは 3%を上回っている状態ということでありますけれども、ただ重要なのはその中身ですね。物価の上昇というのが続いているといっても、それの原因は何かというところ、ここが一番大きな問題でありまして、』

以下アホのように説明がクドクドと長いのは勘弁して頂きたいんですが引用して差し上げます。

『これははっきり言いまして、われわれの分析では基本的には為替の影響を含めた輸入価格の上昇の影響であると、それが転嫁されてきている、そういう状況がいまだに続いていると。たしかに企業物価それから輸入価格はエネルギーを除けば低下トレンドに今はいるわけでありますけれども、しかし、これまでの上昇というのは非常に大きなものでありまして、それを企業が一遍に転嫁するということはなかなか難しいわけで、細切れにこれまで去年から今年にかけて転嫁してきたわけでありますけれども、しかしこれはやはり相当時間はかかってますね。中小企業など、今日もお話出ましたけれども、転嫁と言ってもようやく 5 割くらいが進展具合いかなというところだというお話を伺いました。そういう状況からいいますとですね、まだ転嫁の動きというのは続いていて、その基本的な原因というのは輸入価格の上昇であるということを考えますと、』

ということで、物価上昇の要因はほどんどが輸入物価のコストプッシュの転嫁だ、という説明をしております。それだけじゃねえだろと思いますけどまあそこは目をつぶりまして先に行きますと、

『この輸入価格というものは当然いろんな原因によって上振れしたりいったん上がった後にまた今度は下がっていくということになり、』

そもそも論として世界的にもインフレになっている中ですから横這いはあっても下がらねえんじゃネーノというツッコミもあるのですがそこもパスしますけど、

『その影響が剥落しますと、またその非常に低いインフレの状態になって、2%のインフレ率を安定的・持続的に達成するということは難しくなるだろうということは容易に想像がつくはずです。』

ちょwwwwwwwwwwwww

昨日ネタにしましたように、野口大先生は「この家計の消費抑制傾向はおそらく、実質賃金の上昇すなわち「物価上昇に負けない賃金上昇」が実現され、それが継続すると家計が確信するようになるまでは残り続けます。その解消には何よりもまず、現在はマイナスとなっている実質賃金上昇率が、輸入価格上昇要因の剥落と賃上げのさらなる進展を通じてプラスに転じることが必要です。」ということで、価格転嫁が剥落してインフレ率が下がるのが必要です、って挨拶の方で説明しておきながら、こちらでは輸入物価上昇の影響が剥落されたら非常に低いインフレになって2%は達成できない、と説明している訳で、説明に整合性というのが全くないという悲惨な状態になっているんですよね、いやマジでこれで大学教授って務まるもんなのか・・・・・・・・・

『ということは、やはり 2%が持続的・安定的であるためには何が必要かというと、これはもう繰り返しお話ししているように賃上げであります。』

そもそも論として何で物価上昇率が大きく下がっているのに大きく賃金上げなきゃいけないんですかねえ。

『賃上げというのが物価の2%の目標プラス労働生産性上昇率、これは仮に 1%だと、これは実際どうなるか、1%というのを事前に決め打ちするわけにはいかない、事後的にしか分からない数値ではありますけども、これまで大体平均してみるとそれくらい労働生産性の上昇率がありましたので、それを前提としますと、例えば 3%くらいがめどになるかなと。』

単にこれ賃上げ3%を言いたかっただけだろ。

『そのくらいになって初めて持続的な物価 2%の目標というのが達成できるというふうになるであろうということになるわけで、一番目の答えともつながりますけど、まだそこには距離があるというのが私の印象であります。』

ということで、全然説明になっていない、という時点でまあこの大先生の知力(以下自主規制)。


・長期金利が1%になっていないから再度の柔軟化は必要ないというお間抜け理論

こんな質疑がありまして、

『(問)一点、お願いします。今回の講演の方でも、YCCは先手を打たなきゃいけない、柔軟化していかないと、なかなか対応できないというお話がありました。7 月の決定会合で柔軟化をしましたが、今、長期金利の方が、アメリカの影響もあって上がりやすくなっていて、0.8[%]を付けたりとかしています。こういった状況を踏まえてですね、金融緩和ということは変わらないと思うんですけど、予防的措置の必要性っていうのを、どういうふうにお考えでしょうか。 』

という質問なんだから必要か必要じゃないかという話をすれば良いだけの事で、立場上必要じゃないって話をすれば良いだけなんだが、そのロジックがさっきの金懇での説明と合っていないのがクソワロエル次第でして、

『(答)今のところ 0.8[%]で、むしろ足もとでは若干下がり気味だということで、まだその距離は、1%という厳密な上限よりは、少し余裕はあるというふうにみておりますので、何かを慌てて、何かをやる必要は今のところなさそうだなというふうに個人的に考えております。』

その前にこんな説明をしているんだが、この説明もかなり間の抜けた説明でして、「金利が1%まで上がって居ないから必要ない」というすさまじく間の抜けた話でして、じゃあ1%に上がったら再度柔軟化するんですよね、って話になりますよね。

でも野口さん、直前に行った金懇挨拶の方では昨日ネタにしましたように「仮に今後、日本経済に2%の物価上昇が定着し、政策金利の引き上げが確実になれば、長期金利は当然、その政策金利の将来パスを織り込んで上昇していきます。(途中割愛)そのため、インフレ期待が上昇し始めるような段階では、イールドカーブ・コントロール政策による金融緩和の継続のためにも、ある程度の柔軟化が必要になるのです。」って言ってるんだから、本来この質問に対しては「7月の金融政策決定会合以降の期待インフレ率にさほど顕著な上昇は今の所観測されていなく、その点は9月の決定会合でも確認しましたので、再柔軟化は今の時点で必要ないのではないかと判断されます」と回答すべきであって、1%行ってないから再柔軟化は不要、というのは明らかに理屈の整合性が取れない訳ですよ。

でまあさっきのもそうですけど、理屈の整合性が(学者だというのに)取れないってのはまあ酷い話なんでございますが、何でそうなるかというと、そもそも大本営の理屈が全然整合性の取れない説明になっておりまして、かつては昭和温泉旅館とか言ってましたが最早その昭和温泉旅館も裸足で逃げ出すレベルのロジック崩壊大楼と化しておりますので、これを矛盾なく説明できない、というのがあるんでしょうなあと思いますし、ここのように自分でさっき言ってたロジックと違う説明をおっぱじめているのは、大本営の振り付けに関して内容がちゃんと整理できていないことの傍証でもなるな、とまあそう思う訳です。

しかしまあアレです。この「1%行ってないから再修正不要」理論って大本営としては1%付いたら死亡だと思っている(これが従来の0.25%や0.50%と今回の1%の大きな違いですのでこの点はとても重要なポイントになると思います)ので、そりゃ0.8%の所で必死こいてオペを乱打したんだな、というのも分かります、ということになりますので、月末月初のあの背水の陣っぽいムーブもそういうことなんだなと思った次第です。


・日本の長期金利上昇に関しての凄まじくアレな解釈だがこれは大本営がこうやって吹き込んでいると考えると・・・・

でまあそこで話を終わらせればいいものを何故か知らんがこの大先生、日本の長期金利に関する解説をドヤ顔(かどうか知らんが)でおっぱじめるのですよね。

『それよりも重要な問題としてですね、もし、今お話ししましたように、最近、足もとでずっと 0.8%でですね、7 月[のYCC柔軟化]以降に上がってきておりますけど、これは、圧倒的にアメリカの長期金利が上昇してきたと。』

wwwwwwwww

『これはアメリカの方では予想以上に経済が強いと、インフレもなかなか下がり切らないという状況で、いわゆる higher for longer、つまり、金融引き締めの状況が相当長引くであろう、こういうものの見方の織り込みが進みまして、それで、長期金利の方が、つい最近まで上がってきたということであるわけであります。それに影響を受けて、日本の方でも、かなりそれに歩調を合わせる形で上がってきたわけですが、』

ぷぷぷ。

『しかし、これは今後どうなるかというのはもう少し見極めが必要だな、これ以上、相当アメリカの長期金利の上昇ペースが速いですし、一方的に更に進むということも、それは可能性もゼロとは言いませんが、そうじゃない可能性もあるわけで、その辺を見極めていくというのが今の段階であって、何か今、慌ててまた更に再度調整が必要とは、とりあえず私は現在のところはみておりません。 』

全部米国長期金利の影響にしていますな。いやさっきの物価上昇も全部輸入物価上昇の影響にしているし、この人って経済とか市場ってのがもっと複雑に出来ているって発想がないのかねと思いますが、そもそも論としまして置物理論と言えばあの「日銀当座預金が10%増えると予想インフレ率が 0.44%上昇する」というマネタリーベース置物直線一気理論なので、置物一派たるもの物事は全部一面だけで説明できる、って凄まじい理論で今でもやっているのかもしれませんね。

しかしこの説明もまた雑な話で、じゃあ米国金利が高止まりしたらYCCの調整を再度実施するのかよ、という話になる訳で、これって結局「金利が上がって来ると逃げ水のようにYCCの上限を撤退させてなし崩しにする」という皆さんすっかり忘れたと思いますがYCC入れた時に申し訳のために残した声明文の「80兆円」文言と同じようにして形骸化しようというしょうもない大本営のセコイ思惑があるから、「金利が上がるとYCCの再修正」という最早それはYCCじゃねえだろ、という説明を大本営の振り付け通りに話をしてしまうとなってしまうんですよね、ということになろうかと思います。

まあ何ですな、インフレ期待がどうのこうのでレンジ拡大、とか言ってるのは全部後付けの屁理屈、というのが分かるのがこの野口審議委員の質疑応答だと思います。



・わざわざ補足の更問をして差し上げる親切な記者がいました(^^)

質問でわざわざ聞いて差し上げる親切な記者が居ましたのでご紹介。ちょっと先の方になるんですけど。

『(問)改めて、YCCの件なんですけれども、午前の講演でですね、インフレ期待が上昇し始めるような段階では、金融緩和の継続のためにもある程度の柔軟化が必要だと、こういうふうにおっしゃられてまして、そういうことを踏まえて、野口委員は足もとのインフレ期待をどのようにお考えになられていて、その観点からも、今YCCの更なる修正とか、そういったものは必要ないか、そういうお考えでいいのか、確認も含めてよろしくお願いします。 』

テラ親切wwwwwwwwwww

いやー記者から質問されるまで自分の金懇での説明とマッチしていないのに気が付かなったんだろうねー、という話ですが、そもそもYCC維持云々の金懇での説明が珍理論にも程があったし、どう見てもその珍理論は野口さんが頭捻った挙句の珍理論じゃなくて大本営屁理屈部の作り上げた珍妙な屁理屈にもなっていない屁理屈なので、そらまあ野口さんとしても自分の中で消化不良を起こしているから、さっきの質問に対しても本来だったら「インフレ期待の顕著な高まりは見られていないから現時点では再修正を急いでやるような局面ではないと考えています」って回答すれば一発なのに、こうやって助け舟をだされてやっと整合的な回答を出せるというものです。

という訳で回答は見ても別にどうという事は無いので割愛します(おい)。


・・・・・・うーん結局大してネタにしないとか言いながら結構ネタにしてしまったので時間が無くなってしまいまして生活意識アンケートとかFED高官発言とかは概ね明日送りになるのでありましたサーセン。






2023/10/16

お題「野口審議委員新潟金懇は覚醒した植田総裁に対する大本営の態度と思って読むと味わいがある件」

しかしまあなんですな。
https://jp.reuters.com/markets/us/LQYSWVXTORLGHOV26WFXPWLPFQ-2023-10-13/
NY市場サマリー(13日)ドル続伸、国債利回り低下 S&Pとナスダック下落
ロイター編集
2023年10月14日午前 6:40 GMT+9

『主要6通貨に対するドル指数は0.11%高の106.63。前日は、1日としては3月15日以来最大の伸びを記録した。週足では0.5%上昇する見通し。』(上記URL先より、以下同様)

からの、

『円は対ドルで、0.21%高の149.5円。RBCのチーフ為替ストラテジスト、アダム・コール氏は「介入リスクは明らかに高く、ドル/円の動きを抑制している」と指摘した。』

って介入リスクがあってすらインデックス対比で円が対ドルで弱いってこれ相当のアレとしか申し上げようがないのだが・・・・・・・・・・


〇野口審議委員金懇は大本営腹話術人形としての見どころをみましょう

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko231012a.htm(HTML)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko231012a1.pdf(PDF)
わが国の経済・物価情勢と金融政策
新潟県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2023年10月12日

引用はHTMLの方から行います。

・なんで腹話術人形かといえば(先週もネタにしましたが)この阿呆理屈を平然と説明するから

先に例の政策の部分だけ飲用しますけどね。

『柔軟化措置をこの段階で行ったのは、イールドカーブ・コントロール政策は本来、「先手を打って柔軟化していかないと維持が困難になる」という性質を持つからです。』

というこの屁理屈にもなっていない屁理屈を堂々と自分の意見としてぶっこんでしまう、っていうのは大本営なら兎も角として、腹話術人形として大本営の振り付け通りに動いているのでなかったら普通こういう恥ずかしい屁理屈は言わない筈なんですよね。

何故かと申せば、先日も申し上げましたけれども、長期金利ペッグ政策ってのはそもそも長期金利を固定する(あるいは上限を決める)ことによって長期金利の柔軟性を失わせる、つまり実施するサイドからすれば柔軟性を放棄ることによって緩和効果を出そうという政策な訳ですから、このペッグ水準を柔軟化するというのは政策の撤退を行っていることに他ならない訳です。

従って、「先手を打って柔軟化して行かないと維持が困難になる」ということ自体が屁理屈にしても相当無理のある話で、こんな屁理屈日銀審議委員になられよう、という程度の知能を持ち合わせていれば苦しいインチキ屁理屈なのが分からないとおかしいのでありまして、そんなのを平然と言ってしまうというのは、自ら進んで大本営の腹話術人形をやっている、という「YOUは何しに日銀へ?」というかそもそもガバナンス上問題のある政策委員なので不適格という話になる訳ですな、ナムナム。

まあ野口審議委員の場合ワンチャンこの屁理屈に何の疑問も持っていない、という可能性がありそうなのが更に恐ろしいのですが、その場合は識見がちょっとアレという話で、大本営のしょうもない屁理屈を垂れ流すにしても、屁理屈のレベルというものをもう少し考えて頂きたい訳で、こんな見苦しい言い訳を大本営の言うがままに垂れ流すというのは相当のアレ。

・・・・・・・とは言え、言い訳の出来のレベルが劣悪極まりなくてもそれを平然と垂れ流してくれるというのは大本営にしてみたらこりゃありがてえ、ってなもんだと思いますし、そうなると野口審議委員の今回の金懇講演と会見は大本営の本音が示されている、と思いますとそっちの方向で鑑賞するのが吉、と斯様な読み筋になります(個人の偏見です)。


・物価を強調していた植田総裁に対してのっけから賃金連呼をぶっこむということは植田さんと大本営の間に・・・・・・

『2.経済・物価情勢』の『(1)内外経済情勢』の冒頭部分がこれである。

『現在のわが国経済は、感染症禍から脱する中で、長年の課題であった「物価と賃金の好循環」実現に向けた動きが徐々に生じつつあるという意味で、大きな転換点にさしかかりつつあるように思われます。わが国経済は、1990年代のいわゆるバブル崩壊以降、物価と賃金の低迷に悩まされ続けてきました。しかし、2021年春頃から始まった世界的なインフレの影響は日本にも及び、わが国でも2022年春以降は、生鮮食品を除く消費者物価の前年比が2%を超える状況が続いています。そうした中で、本年の春季労使交渉では、30年ぶりの賃上げが実現されました。現在の最大の焦点は、この賃上げのモメンタムが今後も維持されていくか否かにあります。』

>現在の最大の焦点は、この賃上げのモメンタムが今後も維持されていくか否かにあります。
>現在の最大の焦点は、この賃上げのモメンタムが今後も維持されていくか否かにあります。
>現在の最大の焦点は、この賃上げのモメンタムが今後も維持されていくか否かにあります。

しっかしまあ何ですな、大本営ももうちょっとこうオブラートにくるめばいいのに、いきなり事実上の書き出しの所で「賃上げ」を強調しているというのが実に笑えるというか「この正直者!」と大向こうから声をかけて進ぜようという所であります。

だってさ、9月の植田総裁の読売インタビューに加えて、大阪懇談会での説明もそうなんですけど、植田総裁は明らかに「賃金上昇をメルクマールにするのではなく、あくまでも物価をメルクマールにしないといけませんよね」という説明を前面に押し出している、というか物価をメインでずーっと説明して、賃金は大事だけどそれは総合判断の中の大事な要素であっても賃金ドリブンじゃないよ、って話を思いっきりしていた訳ですよね。

然るに、この野口さんの金懇挨拶では一発目から「賃金が最大の焦点」と仰せになっておりまして、これは9月の植田総裁読売インタビューからの流れに対して思いっきりその前に障害物ぶん投げたようなもんでありまして、どっからどう見ても物価重視だと分が悪いのと、賃金を言い訳にしておけば来年まで問題の先送りが出来る、という大本営の事勿れ主義がある訳です。

しかしながら、足元においてはハトハトジジイからクラスチェンジして覚醒した(のか元々ハトハトジジイはカモフラージュで植田さん楚の荘王よろしく3か月鳴かず飛ばずをして、その間に人心を見極めていたのかは兎も角としまして)本来の金融政策である「物価重視」のスタンスであるべき金融政策をやろうとしている、という植田総裁名君伝説の始まりっぽい主張が出て来るわ、しかも9月会合主な意見に見られますように、賃金一点張りじゃなくて物価を重視した本来の政策をすべきという意見が少なくとも3人(ちなみに田村さんは最初からそうなので他2名ですが実はあの主な意見のうち1名は植田総裁とみているアタクシ)いる、というムーブになればそら事なかれ主義の大本営は困る(本来的には別に困らん気がするんだが黒田の手先になっていたのが脛に傷ってことなんでしょうねその心理はまあ分からんでもない)ということで、手足に使える人形を使って早速大本営が植田総裁に陰湿な抵抗を開始している、というのがこの冒頭部分で垣間見える訳でございまして、大変に味わいの深い冒頭部分になっておりますな、とまあ妄想爆裂乙とか言われそうですが、まあそんな妄想をしてみました。

しつこく申し上げますがこれアタクシの妄想成分が盛大に入っていますので、まあ話半分で聞いてちょとは思いますが、こんな読み筋が出来そうな「賃金アピール」なのでした。



・YCCを維持するためとか言ってドンドンレンジ拡大したらYCC維持じゃないんですけどねえ

でまあ経済の話とか見ても所詮は腹話術人形の話であって別に野口さんのオリジナルな話は無いのでありますので、その辺は全然得るものは無いという残念な内容ので全部飛ばしまして『3.金融政策』の『(1)イールドカーブ・コントロール政策の運用とその柔軟化』というさっき引用した部分にまでワープします。

ではまあ引かれ者の小唄あるいは大本営の屁理屈を腹話術人形から聞いてみましょう。最初の部分は実施した施策の話なので割愛しましてこの部分の2段落目から。

『日本銀行は本年7月にさらに、これまで「±0.5%」程度としてきた長期金利の変動幅を「目途」と位置付け直した上で、指値オペによって厳格に守る上限を0.5%から1%へと引き上げました(図表10)。これは、許容変動幅がその分だけ拡大したという点では、イールドカーブ・コントロールの運用がより柔軟化されたことを意味します。』

『ただし、「変動幅の目途」を超える0.5%から1%までの領域では、長期金利の水準や変化のスピード等に応じて機動的なオペを実施することも通じて、10年国債金利は緩やかに抑制されることになります。このようにインフレ期待などの変化を伴わない過度な金利上昇は抑制することも踏まえますと、この柔軟化は金融緩和の縮小を意味するものではありません。』

「金利上昇は抑制します、でも抑制する金利の水準は引き上げました」って金融緩和の後退以外の何物でも無い訳で、大本営話法にも程がありますよね。でまあさっき引用した部分に繋がるのですが次の段落、

『柔軟化措置をこの段階で行ったのは、イールドカーブ・コントロール政策は本来、「先手を打って柔軟化していかないと維持が困難になる」という性質を持つからです。』

まあこれがルンバな言い訳なのは先ほど申し上げた通り。

『仮に今後、日本経済に2%の物価上昇が定着し、政策金利の引き上げが確実になれば、長期金利は当然、その政策金利の将来パスを織り込んで上昇していきます。』

で??

『その段階で長期金利を無理に抑え込もうとすれば、イールドカーブは必然的に大きく歪みます。さらには、市場では長期金利の上限突破を狙った投機アタックが頻発し、最悪の場合にはイールドカーブ・コントロール自体が維持できなくなる可能性もあります。』

で???

『そのため、インフレ期待が上昇し始めるような段階では、イールドカーブ・コントロール政策による金融緩和の継続のためにも、ある程度の柔軟化が必要になるのです。』

アホなんじゃなかろうかこの理屈という所でして、お前ら昨年来インフレ期待が上昇している、って認識出して、この前の7月展望レポートでもインフレ期待が再上昇しているって認識示しているんだから、この理屈からしたら更に柔軟化するって話になるんだが、0%ぷらまい1%でも大概だけど1.5%とかにしたらもうそれはペッグでも何でもねえだろ、とまあそういう話になる訳です。

まあ何ですな、この屁理屈は次にYCCを事実上放棄するけどガワだけは残してYCCやってますと言い張るという何のためにやってるのかというと大本営の体面の為だけ、というクソのようにしょうもないプレイをする時の理屈な訳でして、こういう「負ける前の言い訳」が出ている時点でYCCの再々柔軟化はどっからどう見ましても遠くはない(今月かと言われるとさすがに自信はないけど)という話になりますわな。ナムナム。


・ひたすら賃金で説明するのですけど・・・・・・・・・

『4.物価安定を通じた経済成長実現への展望』っていう小見出しなんですけど、そもそも物価の安定と経済成長は別もんで、物価安定ってのは経済のサイクルを通じて計測上の物価が平均して若干のプラスで推移するって話で、そこには経済成長云々は関係ないんですよね。まあ経済成長実現ってのが名目ベースの話なんだったら物価が上がれば実質ゼロ成長でも名目成長はしますけど。

でまあその説明に『(2)重要な物価安定と経済成長との両立』というのがあるんだが、悪いんだが10回くらい読み直したけどこの小見出しと内容がマジでマッチしていないんですよね。理由が何か書いてあるのかと言えば、単に「経済成長していると良いですね」って話をしているだけで、物価が高すぎたり低すぎたりすると経済に対してマイナスの効用を与えるとは言ってるけど、物価が安定していることが経済にプラスの効用を与えるとは一言も書いていない(だってそれ自体は効用を与えないんだから当たり前だけど)訳でして、まあ読むに値しないしょうもない文字が並んでいるだけに過ぎません。

でまあ最後の小見出しがまたも賃金推しでして『(3)2%の「物価安定の目標」実現の重要性』となっているのですが、のっけからこれである。

『こうした日本の経験も踏まえると、経済が安定的に成長し続け、その中で人々の実質賃金が着実に上昇し続けていくためには、消費者物価が2%近傍で安定的に上昇し続けていくことが必要と考えます。』

物価低迷期でも実質賃金は上がっていましたし実質成長期もフツーにありましたし、大体からして今は物価が上がっているのに実質賃金下がっていますけどあんた何言ってるの??????

『それは、ゼロ近傍のあまりにも低い物価上昇率の継続は、物価や賃金が本来的に内在している強い固定性あるいは粘着性をより強めるように作用し、結果として経済の効率性や成長可能性を阻害することになり得るためです。』

とのことですが、それこそどっかの記事でチラ見したけど、今みたいな鉋屑しかない金利が上がっただけで経営に重大な支障を来すみたいな中小企業アンケート結果が出てるのを見ると、寧ろ低金利の長期化によって成長力が無い企業がそこらじゅうを練り歩いているという状況が起きてるんじゃねえのと思いますけどね。

・・・・・などと悪態を書いてみましたがやっぱりクソ面白くないのでここも以下飛ばして次の小見出しの『(4)物価・賃金のゼロノルム転換のための条件』に行くわwww

でもってその冒頭が・・・・・・・・・・


・価格転嫁が起点で物価安定が達成できるって置物理論の完全敗北宣言しているのに等しいのだが気が付いてるのかね

『日本にとっての現在の焦点は、2%の物価上昇が賃金上昇を伴って持続的・安定的に実現されるか否かにあります。その実現には、デフレと低インフレの中で日本に定着した物価・賃金のゼロノルムすなわち「物価も賃金も上がらない」という通念の転換が必要です。そのノルム転換にとって不可欠な条件とは、第一に企業による価格転嫁の進展であり、第二に2%を明確に上回る名目賃金上昇であり、第三にその「物価上昇に負けない賃金上昇」期待の定着です。』

ちょwwwwwwwwwwwww

次の部分飛ばして、何でこの価格転嫁が必要か、という話なんですけど・・・・・・・・・

『価格転嫁の一層の進展が重要なのは、それがなければ「2%を明確に上回る名目賃金上昇」という第二の条件の実現もまた困難となるためです。』

wwwwwwwwwwwwwwwwww

いやマジでお前リフレ派なのに何言ってるのって話で、期待インフレに直接働きかけるって政策は何処に逝ったのかという話だし、価格転嫁が物価上昇に必要ってそれただのコストプッシュドリブンだし、しかも外生的な価格ショックが起きないと物価安定目標が達成できないという単なる神風狙いだったら追加金融緩和だのマイナス金利政策だのというのは何だったのかというお話でして、いいから置物以下全員そろって明神礁にでも移住しろとしか申し上げようがない凄まじい理論に爆笑の発作を禁じ得ない。

でまあ以下しょうもない文字列が並んでいますが、最後が例の使命云々でしたが、ここがまた酷くて・・・・・・・


・つい直前に「価格転嫁の一層の進展が必要」と言った口が直後に「実質賃金上昇のために価格転嫁の剥落が必要」というとは

『この家計の消費抑制傾向はおそらく、実質賃金の上昇すなわち「物価上昇に負けない賃金上昇」が実現され、それが継続すると家計が確信するようになるまでは残り続けます。その解消には何よりもまず、現在はマイナスとなっている実質賃金上昇率が、輸入価格上昇要因の剥落と賃上げのさらなる進展を通じてプラスに転じることが必要です。日本銀行の当面の使命は、粘り強い金融緩和の継続を通じて、その状況を可能な限り早期に実現させることにあります。』

さっきは価格転嫁の一層の進展が重要と言って置いて、一転して実質賃金のプラス化のために価格転嫁の剥落が必要とか言ってる時点でアホなんじゃないかと思いますが、こうやって矛盾する説明をするのは何故かと言えば、詭弁学園の皆様の詭弁を見慣れていると大体わかるのですが、「こう言われたらこう反論する」という時に相反する屁理屈を並べておくことによって、どっちからの攻撃にも対応できる、という屁理屈の権化のようなことが可能になるからだと思います。

しかしここの説明も上記にあるように賃金上昇、賃金上昇ときている説明でして、明らかに賃金を前面にだしているのは、幕僚ファッショで植田総裁をハトハトジジイに仕立て上げて好き放題やってた大本営が、植田総裁の覚醒に伴いまして覚醒した植田さんの手足を必死こいて縛ろうとして改めて賃金を前面に出して来ました、ということになりますな。

まあ例えが下手くそかもしれませんけど、進取の意気に飛んだ新藩主に対して先代からの家臣が先代様のお告げ大事を旗印に既得権益の確保を図って新藩主を掣肘して、下手したら座敷牢に閉じ込めようというムーブになっているようなもんですが、正義はどっちにあるかと考えたらどう見ても・・・・・・・・・・



〇あ、しまった会見やってる時間が無いし生活意識アンケートもあるんだった

すいませんつい無駄に盛り上がってしまいました&週末はちょっと下準備している余裕が無くて時間が。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk231013a.pdf
野口審議委員記者会見
――2023年10月12日(木)午後2時30分から約35分
於 新潟市

・・・・・・とは思うのだが正直これ見るべきものはないとしか言いようがない。まあ人形だから仕方ないですね!!!!







2023/10/13

お題「賃金が構造的に上がりやすくなるのではという分析キタコレ/FOMC議事要旨ネタ続き」

ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-12/S2F1G8DWRGG001
米CPI、コアが2カ月連続で高めの伸び−FRBの方針裏付け
Reade Pickert
2023年10月12日 21:35 JST 更新日時 2023年10月13日 1:34 JST

前月比+0.3%だの+0.4%だのってのがそのまま続くと結局1年かけたら2%じゃきかなくあがる訳ですから伸び率鈍化で喜ぶほどでもないですもんねー。


〇賃金が構造的に上がりやすくなっているというスタッフペーパー(同日リサーチラボ付という豪華版)キタコレ

こんなのが出ました。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/wp23j07.htm
パート労働市場における留保賃金とその含意
2023年10月12日
古川角歩*
*日本銀行調査統計局

HTMLはアブストラクトですのでそちらをまずは引用しますが、

『要旨』

『本稿では、サーチ理論を用いて、わが国パート労働市場における留保賃金を推計し、その労働需給などへの含意について分析する。』

留保賃金ってなんじゃろ(無知でスイマセン・・・・・・おまけに無知って入れようとしたら何でワイのPCは鞭と変換するんだよ)、ということですが、これは後程ご紹介しますけど、今回は何とペーパーと同時に分かりやすい要約ページまで同時公開するという超越親切設計になっておりまして、そっちに説明がありまして、「留保賃金とは、家計がその水準以上の賃金ならば就職し、それより低ければ非就業を選択する基準となる賃金のことである。」という水準のことです。

『留保賃金については、個人の就業状態を追跡調査したアンケート調査の調査票情報を用いて、非就業者の留保賃金の分布を推計する。主な分析結果は次の三点である。』

ほうほう。

『第一に、年齢が低く就業希望がある人ほど留保賃金が低いことが分かった。』

そらそうでしょうね。

『留保賃金は、長期的には人口の高齢化などから上昇傾向にあることや、景気と連動して動くことが確認された。』

なるほどなるほど。

『第二に、本稿で得られた留保賃金の推計結果を用いて、実際の労働力フローや企業の人手不足感を高い精度で再現できることを確認した。』

へーへーへー。

『とりわけ、留保賃金が上昇するもと、十分に募集賃金を引き上げられていない地域ほど企業の人手不足感が強いことが分かった。』

募集賃金が引き上げられなくて人員の確保が出来ていない、というのはさくらレポート別冊のなかでもアネクドータルなデータとして報告されていましたので、現実ともフィットしていると思います。

『第三に、労働供給の賃金弾力性が低下に転じる賃金水準(所謂「ルイスの転換点」)と実際の賃金との乖離を算出すると、64歳以下の女性についてはルイスの転換点に近づきつつある可能性が示唆された。』

キタコレ!!!!!!!!!!

えーっとつまりこれ労働供給を支えていた構造に変化が生じて、構造的に労働供給不足になりやすくなる、というまさに米国とかの労働参加率あがらん問題とかになるような流れですね。


ということで本チャンはこちらです
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/data/wp23j07.pdf
パート労働市場における留保賃金とその含意

・・・・・でまあ本チャンの方を見るのが筋なのですが、何という事でしょう今回のペーパーは同時発表で「リサーチラボシリーズ」というお手軽解説版が出ているのでして、この気合の入り方が大変なもんでございまして、しかも内容が内容なだけにこれは「おおおおおお」と思わざるを得ませんね!!!!!!

ああちなみにそういう論評をすると「これはあくまでもスタッフによる分析であって、組織としての見解ではありませんですわ勿論こういう結果を経済物価情勢の分析の判断の一材料として使うことはあるかもしれませんけどねーおほほほほほ」という公式見解が日銀ちゃんから返って来るのですが、当然ですがしらっとペーパーだけ出すのに対して、わざわざ解説をくっつける、しかも同時(しばらくしてから出てくることは時々あります)というのは気合の入り方が違うと言われても文句は言えませんですの。



ということでそのリサーチラボの方に参りましょう。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab23j03.htm
留保賃金は上がっているのか?
―わが国パート労働市場における分析―
古川角歩(日本銀行)
Research LAB No. 23-J-3, 2023年10月12日
キーワード:
留保賃金、労働供給、人手不足、ルイスの転換点

ということで、いっちゃん最初の『要旨』はさっきと同じアブストラクトになりますので飛ばしまして、『はじめに』から参ります。

『家計が就業するか否かを決めるにあたり、労働経済学のサーチ理論(職探し理論)では、留保賃金という考え方がある。留保賃金とは、家計がその水準以上の賃金ならば就職し、それより低ければ非就業を選択する基準となる賃金のことである。』

先ほどの留保賃金の説明はこちらから引っ張って来ました(^^)。

『例えば、家計の留保賃金が高い場合は、企業からオファーされた賃金を受諾して就業する可能性は低くなり、逆に、留保賃金が低い場合は、企業の賃金オファーを受け入れて働く可能性が高くなる。』

そういう定義になりますな。

『このように、留保賃金は、非就業・就業の決定において起点となる概念であり、労働力フローや労働需給とも関連することが理論的に知られている(Burdett and Mortensen (1998))。』

ふむふむ。

『こうした留保賃金の考え方は、長期的に働くことを前提とした正社員市場よりは、短期的な雇用契約が多く、非就業と就業の間を人が行き来しやすいパート市場を分析する際に有用と考えられる。』

確かに。

『もっとも、わが国ではデータの制約もあり、留保賃金に関する研究はこれまでのところ一部にとどまってきた。そこで、本稿では、わが国パート労働市場における留保賃金を推計したうえで、その動向が労働力フローや企業の人手不足感に強い影響を与えていたことを実証した最新の分析である、古川(2023)の概要を紹介する。』


ということで、まさかの同時発表(あんまりこういうケースは多くない)というか解説付きペーパーということになるのでありました。

まずは小見出し『留保賃金の決定メカニズム』になります。

『留保賃金はどのような要因によって決まるのだろうか。理論的には、留保賃金は、就業していない家計が就業することで得られる効用と、非就業の状態にとどまることの効用が等しくなるように決定される。』

そうですね。

『標準的なサーチ理論モデルから導かれる留保賃金の特性として、本稿と関連するポイントは2点ある。』

『1つ目は、就業が難しいなんらかの事情を抱える家計は、就業するためにはそれに見合う賃金水準を要求するため、留保賃金が高くなることである。』

『2つ目は、留保賃金は、雇用の流動性とも関連していることである。』

最初のは直感的に分かると思いますが2つ目はナンデジャロと思うわけで、直後に説明がある訳ですよ。

『雇用の流動性が低い状況では、賃金が低い求人のオファーを受託してしまうと、その後も同賃金にとどまる可能性が高く、よりよい賃金を期待しにくいという機会費用が発生する。そのため、非就業者にとっては、低い賃金の求人オファーは受託せず、よりよい賃金のオファーが届くまであえて非就業状態にとどまるというインセンティブが発生する。』

おーーーーなるほど。

『一方、転職がある程度しやすい場合には、賃金が低い求人のオファーを受けることの機会費用が発生しない(よりよい賃金の求人があれば転職することが容易なため)ことから、こうしたインセンティブが働きづらい。そのため、雇用の流動性が高い労働市場では、留保賃金は、平均募集賃金などの外的な要因よりも、個人の内的な要因に左右される度合いが大きい可能性がある。』

なるほどこれは腑に落ちました。という訳で次の小見出し『留保賃金の推計』に参ります。

『留保賃金の推計にあたっては、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」(2016〜2022)の調査票情報を活用する。この調査は、全国の15歳以上の男女約5万人を対象として、同一個人の就業状態を毎年追跡調査しているものであり、前年1年間における就業状態や転職経験、収入など、幅広い設問を含んでいる。』

これは気合(費用ともいう)の入っている調査。

『同データを使うと、例えば、時給1,000円で働いている個人については、留保賃金は1,000円以下であると推測できるし、平均募集賃金が1,000円であるような地域で就業していない個人については、留保賃金は1,000円を上回っていると推測できる。』

そらそうだ。

『こうした情報を活用することで、特定の属性(年齢など)が留保賃金に与える影響を推計することが可能となる。ここでは、個人の属性として性別、年齢、および就業希望に関するダミー変数を用いて、こうした属性が留保賃金を何円程度押し上げる(押し下げる)か推計する1。』

脚注1ですが『1 パート労働市場は雇用が流動的であり、求職者に要求される技能も一般的なものが多いと考えられるため、前節で議論した通り、理論的には留保賃金は個人の内的な要因に左右される度合いが大きいと予測される。実際、古川(2023)は失業率などのマクロ変数を説明変数に含めた推計も行ったが、統計的に有意でなかったと報告している。』とのこと。

ということで・・・・・・・・

『まず、全サンプルを用いた推計結果を確認する(図表1(1) )。年齢と留保賃金の関係をみると、年齢が上がるほど留保賃金が上昇する傾向がある。特に、65歳以上は、平均的にみると15〜24歳対比で留保賃金が700円高い。こうした傾向は、先行研究の結果とも整合的である。』

『また、就業希望がある人と比べると、就業希望がない人の方が、留保賃金が高い。』

『就業希望があるにも関わらず就業していない人について、理由別の留保賃金をみると、「健康上の理由」や「家庭の事情」といった理由を挙げている人の留保賃金が高い。』

なるほど。

『こうした属性の人たちは労働の不効用が高いと考えられる。例えば、高齢になるほど就業に伴う体力的・健康的な負担が大きくなれば、労働の不効用は相対的に大きくなると考えられる。このため、本稿の推計結果はサーチ理論から得られる含意と整合的であると言える。これらの傾向は、男女別にサンプルを分けて推計しても同様である(図表1(2)、(3) )。』

例によって図表を貼る能力はアタクシには無いし、そもそも勝手に貼ってよいのか問題があるから貼る気もないので、図表関連は上記URL先を見て頂きたいということでよろしゅうおねがいするます。

『もちろん、留保賃金を調査したデータがない以上、これらの推計結果が本当に正しいのかを直接証明することはできない。もっとも、同推計結果から示唆される非就業状態から就業状態への遷移確率の予測値を、実際の労働力フローと比較すると、高い精度で一致している(図表2 )。このことは、上記の推計結果が妥当であることの証左になっていると言える。』

ほっほー。でもって次の小見出し『留保賃金の推移と労働需給との関係』に参ります。

『続いて、上記の推計結果に基づいて、非就業者の留保賃金の動向や、留保賃金と企業の人手不足感の関係を確認する。上記の推計で用いた属性別の人口は、総務省「労働力調査」から四半期ごとの計数を得ることができるため、推計結果を用いて非就業者全体の留保賃金の分布を得ることができる。』

だそうです(段々読んでいるアタクシが泡を吹いているのにはお気づきかと思います、汗)。

『まず、非就業者の平均留保賃金の推移をみると、2002年以降、感染症拡大期の短い期間を除いて一貫して上昇している(図表3(a) )。』

そうなんですね。

『同前年比を非就業者の属性の構成比変化で寄与度分解した結果をみると、年齢要因が長期的な上押し要因となっており、高齢化に伴って非就業者の平均留保賃金が上昇していたことが窺われる(図表3(b) )。』

なるほどなるほど。

『また、同賃金は、短期的には労働力フローを通じて各属性の構成比が変化することで、景気循環的に変動する傾向もある。例えば、2009年の金融危機直後には景気後退に伴って、意欲があるにもかかわらず就業できない人が非就業プールに流入したことが平均留保賃金を押し下げていた。また、感染症拡大時にも、対面型サービス業で働いていた若年層が失業したなどを受けて、年齢要因が一時的にマイナスに転じている。』

それはそうですよね。

『続いて、留保賃金と企業の人手不足感の関係を確認する。』

『非就業者のうち、留保賃金が平均募集賃金を下回っている割合が低いほど、企業は新たな働き手を見つけにくくなるため、企業の人手不足感が高まると予想される。』

ということですが、

『こうした関係が実際に成立していることは、都道府県データを用いることで確認できる(図表4 )。このことは、留保賃金対比で募集賃金をしっかりと上げられていないことが企業の人手不足感につながっていることを示している。』

さあだんだんもりあがってまいりました!!!!!(イヤソウジャナイ)

と、盛り上がってきたところで次の小見出しが『ルイスの転換点』ときましたわよ奥様!!!!

『最後に、わが国パート労働市場における論点として、これまで労働供給の増加を牽引してきた女性や高齢者による労働参加が頭打ちとなるもとで、賃金上昇率が加速に転じる可能性があるかどうか、という議論について検証する。』

もりあがってまいりました!!!!!!!!!!!

『先行研究では、女性や高齢者の追加的な労働供給余地が縮小し、賃金を上げても労働供給が増えにくい、つまり労働供給の賃金弾力性が低下すれば、更なる労働力を確保するために大幅な賃金上昇が必要となる可能性があることが指摘されている(図表5 )。このように、労働供給の頭打ちとともに賃金弾力性が低下に転じるポイントは、「ルイスの転換点」と呼ばれることもある。』

キタコレ!!ということで『図5.ルイスの転換点』のグラフとか見ますと美しさのあまり涙がでてしまいます(大袈裟)

『留保賃金の分布が分かれば、平均賃金が1%上昇したときに、その賃金で就業を希望する人が何%増えるか(=労働供給の賃金弾力性)を求めることができる。』

『このため、賃金弾力性が低下に転じる賃金水準=ルイスの転換点を定量的に求めることができる。』

なるほろ。

『そこで、再び「労働力調査」のデータを用いて、四半期ごとにルイスの転換点に対応する賃金水準を求め、同時点のバイト・パートの平均募集賃金が、ルイスの転換点対比でどの程度の水準にあるかを計算する。』

ということでその結果ですが、

『計算の結果、特に64歳以下の女性について、もともとルイスの転換点までの距離が短かったところ、近年さらに近づきつつあることが分かった(図表6 )。』

!!!

『直近(2022年第4四半期)では、実際の平均募集賃金がルイスの転換点の95%程度の水準となっている。』

!!!!!!!!!!

『これは、若年層の女性については既に労働参加が相応に進み、追加的な労働供給の余地が特に低下していることを表している。』

(;∀;)イイハナシダナー

とまあそういう訳でして、構造的に賃金が上がりやすいという話(よくよく考えてみればこれ金融政策の効果全然関係ないやん、というのが更にチャーミングなのですけどね〜)でありました。

『おわりに

本稿では、わが国パート労働市場について、留保賃金を推計しその含意について分析を行った古川(2023)の概要を紹介した。

先行き、労働力人口が天井に達することが予想されるもと、転職市場が拡大する中で、パート賃金は上昇傾向を辿っている。古川(2023)の分析結果は、留保賃金が、今後のパート賃金の上昇の鍵を握っていることを示している。また、転職市場が拡大し、終身雇用に対する考え方に変化の兆しがあるもと、正社員の労働力フローなどにサーチ理論を活用することも有益と考えられる。日本では、サーチ理論を使った分析は限られているが、今後の賃金・物価情勢を考えるうえでは、こうした研究が蓄積されていくことが望まれる。』


という調査分析が行われており、その結果がこのような形で示されているというのは、まあそういう事やぞ、って話だと思いますので、これもまた植田総裁が説明する「総合的な判断」の材料となるわけで、「賃金の上昇は春闘結果ガー」だけ言ってるような単純な話ではないし、春闘ガーの話をしているのは、所詮は対外的に細かい説明してもどうせ分からんどころか下らん誤読をされるのも面倒だから春闘ガーの話をしているだけ、という方便であるのが良く分かる、とおもいました。


〇そういえばポンコツの金懇があったようだが

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko231012a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
新潟県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2023年10月12日

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko231012a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 新潟県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

どうせ読む価値はないと思っている(でもまあ一応野良日銀ストーじゃなかったヲチャーを勝手に一人で名乗るアタクシなのであとで読みますが業務中に読んでるとトサカにきて業務に差し支えると思うので土日に読む)ので実はまだベンダーヘッドラインしか読んでなくて特に感想はない(月曜の朝までにネタが無かったら仕方が無いのでネタにする)のですが・・・・・・・・・

いやあれですね、ヘッドラインだけ見てたんで何とも言えないのですが、講演と思われる時間帯のヘッドラインで、「YCC維持のために柔軟化が必要」だか「柔軟化をしないとYCCが維持できない」とかいうのが流れて来て、大本営のクソ詭弁をそのまま垂れ流しているなあと思ったので、そういう意味では大本営の作文のトーンに変化があったかどうか、というのを知るのには便利かも知れないとはちょっとだけ思いますけど、しかしこの詭弁はひでえなと思いました。

だってさ、長期金利をバンドでペッグをしているのがYCCなのであって、長期金利バンドの上限水準が維持できなくなりそうにバンドを拡大するって、それどっからどう見ても「YCCを維持できていない」ということに他ならない訳ですよ。いやもちろん「バンドの水準を引き上げ角は経済物価の好転に伴い実質金利が過剰に低下したのでその調整」というのであればそれはそれで話の筋が通りますが、日銀ってそういう説明してないでしょ。

となりますと、バンドの拡大というのはどっからどう見ても「YCCが維持できなかったので戦線後退」という位置づけになる訳でして(そろもそも論として経済物価情勢を受けてレンジを拡大したのであれば本来は目標値にも変更が行われて然るべき)、この野口委員だか大本営腹話術人形だかよくわかりませんけど、そちらのお方の物言いって「YCCを維持できなくなったので柔軟化しましたがその結果YCCを維持しています」とかいう珍妙な詭弁を垂れているだけになるんですよね。

まあこれが大本営の高度な屁理屈(高度でもないか)な訳ですが、この屁理屈に丸乗りしているような説明があったやに見える訳で、なんでまたこんなクソ屁理屈を堂々と自分の言葉として発言できないと思うんですが、どういうことになってるのやらとは思うのでありました。


まあそれはしょうもない屁理屈の世界でありますが、会見と思われる時間帯にこれまたひでえヘッドラインが出ていましてですね、それは「実質賃金のプラス化が日銀の使命」みたいな発言をしていたようなんですけど、いやそれだったら物価低迷期には実質賃金プラスだっただろという話で、日銀が実質ベースの話をしだすといつも口汚く罵倒を繰り返していたのが置物一派であることを鑑みますと、まあ控えめに申し上げてお前はそれでも学者なのかというかそれ以前に人間なのかと小一時間問い詰めたいのですが、何をどうするとそうやって面の皮が厚くなれるのか、別にアタクシはそうなりたくはないからどうでも良いのですけど、ちょっとどういう思考回路をしているのか肩の上に載っているドテカボチャを(以下の記述は内務省検閲により削除されました)

といったところでしょうか。まあ月曜にネタにしますわさ。



〇FOMC議事要旨(その2):そもそも前提としての特に物価情勢と雇用情勢とリスク認識を確認しようの巻

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230920.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20230920.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
September 19-20, 2023
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 19, 2023, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 20, 2023, at 9:00 a.m.1

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の5パラ以降になります。

・労働市場:全体観は改善なのですが留保があちこちについてる状態

『Participants observed that the labor market was tight but that supply and demand conditions were continuing to come into better balance.』

昨日ネタにしたあっさり味風味の政策に関する部分にもありましたように、基本的な認識としては労働市場のタイトさに関して、水準的にはまだアカン奴なのですが、方向性としては改善している(これは物価も同じね)という話になっています。

『Most participants remarked that a range of indicators of labor demand were easing-as could be seen by declines in job openings, a narrowing of the jobs-to-workers gap, lower quits rates, and a reduction in average weekly hours worked to levels at or below those seen before the pandemic.』

概ね全体的にみると個別の指標が総じて改善を示している、という話ですが、

『However, several participants noted that labor markets remained very tight in some sectors of the economy, such as health-care services and education.』

『Many participants also observed that measures of labor supply, especially the LFPR, had moved up. Some participants commented that the increase in the LFPR for women had been particularly notable, although they expressed concern that challenges regarding the availability of childcare could affect the sustainability of this increase in participation.』

LFPRというのはスタッフ報告のパートにあるのですが、「labor force participation rate」の略語であります。前後の文脈でなんとなくは分かると思いますがさすがにアレなんで確認しておきました。

『Several participants noted that immigration had also been boosting labor supply.』

『Some participants observed that payroll growth remained strong but had slowed in recent months to a pace closer to that consistent with maintaining a constant unemployment rate over time.』

とまあああでもないこうでもないという話があって、全体的にはベターバランスに向かっているけど粒粒をみると必ずしもそうではないものがありまっせという指摘が並んでいますね。

『Most participants commented that the pace of nominal wage increases had moderated, and a few also mentioned that the wage premium for job switchers had come down. They noted, however, that nominal wages were still rising at rates above levels generally assessed to be consistent with the sustained achievement of the Committee's 2 percent inflation objective, given current estimates of trend productivity growth.』

おちんぎんの伸びに関してもモデレートになってきた、という全体の認識が示されますが、そのあとさっそくハウエバーとなる訳で、全般的には良い感じになってきているけどまだまだどうなんでしょ、みたいな論調ですね。

・物価:状況の改善の話をしつつしつこいまでに「とはいっても今の水準は怪しからん」の主張

『Participants noted that the data received over the past several months generally suggested that inflation was slowing.』

物価も全体観としてはslowingときますがすかさず返す刀で、

『Even with these favorable developments, they emphasized that further progress was needed to get inflation sustainably to 2 percent.』

ということですからこれはまあそう簡単に利下げ局面になるかよバーカバーカということですね。

『Participants pointed to the softening of price inflation for goods amid improving supply conditions and to declining housing services inflation.』

経済の供給が改善して財があがっているのと、住宅サービスのインフレが落ち着きつつあるというのを指摘していますね。

『Several participants remarked that, despite the recent rise in energy prices, food and energy prices over the past year had contributed to a decline in overall inflation. However, participants also noted that significant progress in reducing inflation had yet to become apparent in the prices of core services excluding housing. 』

しつこく「まだ下げたりません」が連呼されるのがチャーミング。

『Participants noted that longer-term inflation expectations remained well anchored and that shorter-term inflation expectations had been moving down from elevated levels.』

インフレ期待はアンカーされていると。

『Participants observed that, notwithstanding recent favorable developments, inflation remained well above the Committee's 2 percent longer-run objective and that elevated inflation was continuing to harm businesses and households-particularly low-income households. Participants stressed that they would need to see more data indicating that inflation pressures were abating to be more confident that inflation was on course to return to 2 percent over time.』

3度に渡って「そうは言っても物価の水準はケシカランのでどないかせんといかん」という話が出て来る訳でして、まあこの議事要旨、基本的には「今の状況を見ながらとりあえず様子見地蔵」と読むのが順当だとは思うのですが、この辺りでは結構インフレに関しては今の状況はまだ怪しからんという話になっているので、早期利下げ期待組はしょんぼりという感じでしょうか。


・リスク認識:不確実性の強調をしているので決め打ちダメなのと地蔵モードの正当化とみましたがどうかな

『Participants generally noted there was still a high degree of uncertainty surrounding the economic outlook.』

経済見通しはhigh degree of uncertaintyですって。

『One new source of uncertainty was that associated with the autoworkers' strike, and many participants observed that an intensification of the strike posed both an upside risk to inflation and a downside risk to activity.』

自動車ストの話が新しく出てこれは賃金上昇からのインフレ上振れ圧力になるんでネーノというのが最初に来ているのがへーと思いました。

『A majority of participants pointed to upside risks to inflation from rising energy prices that could undo some of the recent disinflation or to the risk that inflation would prove more persistent than expected.』

『Various participants noted downside risks to economic activity, including that credit conditions might tighten more than expected if the domestic banking sector experienced further strains; the possibility that the economic slowdown in China could result in a drag on global economic growth; or that an extended U.S. government shutdown could have negative, albeit temporary, consequences for growth. 』

全体観としてはインフレ上振れリスク、経済下振れリスクの認識ですが、

『Some participants remarked that an upside risk to their projections for economic activity was that the unexpected resilience that the economy had demonstrated so far could persist.』

『Several participants commented that a government shutdown might result in the delayed release of some economic data and that this outcome would make it more difficult to assess economic conditions.』

思ったより経済強く??っていう人が居たり、政府閉鎖問題の悪影響を懸念する人が居たりして、

『A few participants observed that there were challenges in assessing the state of the economy because some data continued to be volatile and subject to large revisions.』

締めが「経済データもリバイスされちゃうような不確実な状況だから難しいよね」という話で締めていて、結局これは「不確実だから決め打ちできない」という話をしているのと、これまた地蔵モードの正当化、という風に読みましたがどうでしょうかね。

以下は昨日ネタにした部分の政策の話になります。







2023/10/12

お題「FOMC議事要旨インスタント読み:先行き利下げはよーしませんけど利上げも慎重ですわこれは」

日経ェ・・・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD062RB0W3A001C2000000/
藤井聡太八冠が誕生、史上初の独占 将棋王座戦を制す
2023年10月11日 20:59 (2023年10月11日 23:36更新)

記事の中ではちゃんと公式タイトル独占に関して升田幸三先生、大山康晴先生、羽生善治先生の話を書いているのに、記事の見出しは公式戦全タイトルの制覇が史上初っぽく見える見出しにしちゃうのは何でなのかなあと思う訳でして、まあ王座戦が日経の主催だからはしゃいじゃったのかも知れんけど、まあこれは記者じゃなくて編集が如何なものかとオモタ。

ちなみに毎日だとちゃんと
https://mainichi.jp/articles/20231011/k00/00m/040/191000c
藤井聡太名人が将棋史上初の8冠 タイトル独占は羽生善治氏以来
毎日新聞 2023/10/11 21:00(最終更新 10/12 00:03)

と先人の足跡もちゃんと見出しに入れてるんですよね。

#しかし藤井先生凄すぎ


〇FOMC会見ネタを成敗する前に議事要旨が出てきてしまったので先に議事要旨を成敗するという失態orz

すいませんすいませんだって日銀がアレなんだもん。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20230920.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20230920.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
September 19-20, 2023
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 19, 2023, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday,
September 20, 2023, at 9:00 a.m.1

引用はHTMLの方から行います。毎度ですが『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の政策に関する部分からインスタント読みをします。8パラから12パラになりますな。


・政策の累積的効果とラグを考慮して今回は見送りなのは分かるが前回との整合性が謎ですな

何か前回とかと厳密に比較している訳ではないので実際の所間違えてたらゴメンやでなのですが、分量的にちょっとあっさりしている感はあるんですがまあ8パラから参ります。8パラは今回の決定に関しての話になります。

『In their consideration of appropriate monetary policy actions at this meeting, participants concurred that economic activity had been expanding at a solid pace and had been resilient.』

この辺りは声明文とかでも示されている全体観になりまして、

『While the labor market remained tight, job gains had slowed, and there were continuing signs that supply and demand in the labor market were coming into better balance.』

労働市場の過熱は改善に向かいつつあり、

『Participants also noted that tighter credit conditions facing households and businesses were a source of headwinds for the economy and would likely weigh on economic activity, hiring, and inflation. However, the extent of these effects remained uncertain.』

クレジットコンディションのタイト化も経済活動や雇用、インフレの落ち着きに効果を表しているんじゃなかろうかと思うのだがその程度については不確実性がある、といつもの話をしていますが、(ネタにしていませんけど)最近のFED高官(ジェファーソンとか)の発言でやたら「長期金利も上がってきたことだしこれは利上げのおかわりせんでもエエンチャウノ」発言が出ているのは、理屈の上からはこの話ですよね。

理屈の上では、というのはつまり理屈はそうだけど実際には単純に長期金利の上昇が進み過ぎるとイクナイと思っての「長期金利が上がれば追加利上げイラネ」発言でした、ってことでこの発言で市場の長期金利アイヤーを止めようとした、という読み筋も可能な訳ですがそれは逆に長期金利がヒャッハー低下することになリえる、というか現に下がっている訳でまあムツカシネ。

話は戻りまして、

『Although inflation had moderated since the middle of last year, it remained well above the Committee's longer-run goal of 2 percent, and participants remained resolute in their commitment to bring inflation down to the Committee's 2 percent objective.』

インフレに関してはインフレの話をしているパラがある訳ですが(6パラ)こちらも同様に「インフレがここの所落ち着いてきた」というのを最初にぶっかますも、返す刀で「そうは言いましても2%目標までは全然上ですよね、という話をしております。

『Amid these economic conditions, and in consideration of the significant cumulative tightening in the stance of monetary policy and the lags with which policy affects economic activity and inflation, almost all participants judged it appropriate to maintain the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent at this meeting.』

「significant cumulative tightening」と「lags with which policy」を考えると今回は金利据え置き、という話なんですが、じゃあ何で7月は利上げしましたねんという思いはアタクシ的にはあるのですけどね。

『Participants judged that maintaining this restrictive stance of policy would support further progress toward the Committee's goals while allowing the Committee time to gather additional data to evaluate this progress.』

引き締めスタンスを継続しながら引き続きデータを集めて政策効果の度合いを見て行きます、だそうです。

『All participants agreed that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings, as described in its previously announced Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet.』

バランスシート縮小に関しては全員のパーティシパントが一致して継続に賛成ですね。


・先行きの政策スタンスに関しては出だし威勢が良いのだが結局決め打ちの完全回避になっています

9パラは先行きの話。

『In discussing the policy outlook, participants continued to judge that it was critical that the stance of monetary policy be kept sufficiently restrictive to return inflation to the Committee's 2 percent objective over time.』

現状維持の部分では割とこう引き締め効果が出てきて良い方向に向かっているし様子見しますか、みたいな感じで書かれているように見えるのですが、先行きの話になるとまたいつもの勢いになって来て、金融政策のスタンスをsufficiently restrictiveにするのがcriticalとか文章のトーンの威勢の良さよ、という風になるのが訳分らんと言えば訳分らんのですが、まあ「ワシらも良く分からん」というのが示されてるんじゃないかな、と8パラの書きっぷりからの9パラの頭、という流れを見て思いました(個人の感想です)。

『A majority of participants judged that one more increase in the target federal funds rate at a future meeting would likely be appropriate, while some judged it likely that no further increases would be warranted.』

今回の場合はSEPのドットで既に分かっているので書かなくても、という気がするのでアレですが、年内利上げをA majority of participantsが適切と判断している、というのも入れていまして、この辺り「利下げヒャッハー」になるのに関しては釘を差している感があるんですよね、個人の感想ですけれども。

『All participants agreed that the Committee was in a position to proceed carefully and that policy decisions at every meeting would continue to be based on the totality of incoming information and its implications for the economic outlook as well as the balance of risks.』

とまあそうやって釘を差した後に「All participants agreed」として、この先の金融政策運営に関してはデータを見て総合的に判断して行くんですが、物凄くよく考えて判断して行かないといけませんですわよ、というので合意しておりまして、ひたすら決め打ち回避って感じでして、

『Participants expected that the data arriving in coming months would help clarify the extent to which the disinflation process was continuing and labor markets were reaching a better balance between demand and supply.』

今後数か月の間に出て来るデータは、インフレ鎮静化の程度や、労働市場の沈静化の動きなどが望ましい方向に進んでいくかどうかを判断するために非常に重要な時期である、ということで、

『This information would be valuable in determining the extent of additional policy firming that may be appropriate to return inflation to 2 percent over time.』

その内容次第で利上げのおかわりが必要なのかどうか判断することになる、と仰せでして、このパラグラフ頭の方では威勢の良い書き方になっているのですが、後ろに来ると「データ見ないと何とも言えませんなあ」というニュアンスが強くなるという中々の代物。

『Some participants also emphasized the importance of continuing to communicate clearly to the public about the Committee's data-dependent approach to policy and its firm commitment to bring inflation down to 2 percent.』

ずーっとこのパラって「先行きを慎重に見極めることで一致」みたいな話が多いのですが、最後だけ急に一部の参加者の話になっていますが、ゆうてこれは先行きスタンスがどっちかという話なのではなくて、「アタクシ達がデータディペンデントである、ってのを周知していくのダイジダイジネー」という話なので、結局このパラグラフでは「利下げとかそういうのは全然考えていない」「先行きは一切決め打ちできましぇん」の二つを言っているんじゃなかろうか、とアタクシは思いましたがどうでございますかしら。


・利上げ局面はおしまいで利上げするにしても引き締め度合いの微調整ですよというメッセージとオモタのだが

10パラに行きますと、

『All participants agreed that policy should remain restrictive for some time until the Committee is confident that inflation is moving down sustainably toward its objective.』

先行きスタンスの話のパラが2本目、という風情ですが、ここでも最初に「All participants agreed」と来まして、2%物価目標への持続的なインフレ鎮静化が確信できないうちは引き締め的政策を継続する、と先行きそう簡単に利下げしないですわよ、といううのをぶちかまします。

『A few participants noted that the pace at which inflation was returning to the Committee's 2 percent goal would influence their views of the sufficiently restrictive level of the policy rate and how long to keep policy restrictive.』

さっきのパラではあんまり議論ぽくなってなかったですが、こっちのパラは様々な意見が表明されるの図になっております。

でもって最初の数名(A few)は物価落ち着きのペース次第で十分に引き締め的な水準。と今思っている水準には変化が起こり得ます、と言ってまして、まあ物価の落ち着きペースがイマイチだったら利上げのおかわりをしますよという事なんでしょうかね(逆が起きる可能性も勿論ありますけど)。

『Several participants commented that, with the policy rate likely at or near its peak, the focus of monetary policy decisions and communications should shift from how high to raise the policy rate to how long to hold the policy rate at restrictive levels.』

数名(Several)の参加者は政策金利レベルは既に十分ピークに近い所にきているので、ここからはどの水準まで利上げするかという話よりも、どの位の期間引き締めを続けるかが重要な論点になる、とまあそりゃそうだという話をしてまして、

『A few participants noted that it would be important to monitor the real federal funds rate in gauging the stance of monetary policy over time.』

数名(A few)は実質金利の水準を計測するようにモニターするの重要と仰せですがそんなのできるのかいなという感じはしますね。

『Most participants observed that postmeeting communications, including the SEP, would help clarify to the public how participants assessed the likely evolution of the stance of monetary policy.』

殆ど(Most)はFOMC後のコミュニケーションにおいて、「participants assessed the likely evolution of the stance of monetary policy」についてよく説明すべき、という話をしていまして、まあこれは持って回った言い方ですが、先行き決め打ちしませんよという話と、先行き決め打ちしないんだから当たり前ですけど、利上げを前提とする局面ではなくなった、という認識を示していく必要がある、という話をしている、と読めばよいと思いますので、つまりは利上げはもうやらないかやっても微調整でおしまいという話なんでしょうな(もちろんこの後物価が予想外に反転上昇とかしたら話の前提が全部ひっくり返りますけど)。

『Participants observed that the continuing process of reducing the size of the Federal Reserve's balance sheet was an important part of the overall approach to achieving their macroeconomic objectives. Several participants noted that the process of balance sheet runoff could continue for some time, even after the Committee begins to reduce the target range for the federal funds rate.』

バランスシート縮小の話が最後にありまして、利下げ局面入りしたとしてもランオフは継続する必要があるよね、という指摘を数名(Several)がしていますね。


・中立金利水準がワカランネーという話がわざわざ入っているのですよね

11パラはクッソ短いのですが味わいがある。

『A vast majority of participants continued to judge the future path of the economy as highly uncertain.』

先行きの経済が「highly uncertain」とこれまた慎重スタンスと言えば慎重スタンスだし、単純に先行きの決め打ちをしない方便とも取れるのがあってからの、

『Many noted data volatility and potential data revisions, or the difficulty of estimating the neutral policy rate, as supporting the case for proceeding carefully in determining the extent of additional policy firming that may be appropriate.』

中立金利水準の判定が難しいので適正な利上げの水準も中々分かりにくいでござる、という話があって、まあとにかく先は分からんバイという話をやたら強調している感がありまして、まあ何ですかねえこれ「利上げはしないけど利下げもしないで様子見でござる」って雰囲気になっているのかなあという気はしました。

というのもですね、これは全くの個人の感想なんですけど、FOMCの議事要旨の場合、出すタイミングにおいてその時の時点で強調したいことについての記述が詳しくなる(つまり「言ってない議論は書いてないけれども、編集段階で若干のメッセージ性があるんでネーノって話ね)気がするので、もしかしたら足元では9月時点よりも慎重寄りになっているんじゃないかと思いましたが邪推の個人の感想なのでまあそれは外れてたらゴメンチョということで。


・リスクマネジメントでも利上げやり過ぎに注意って話をしている気がするのだが

12パラはリスクマネジメントアプローチとかいう何か微妙に忌まわしい話ですがwww

『Participants discussed several risk-management considerations that could bear on future policy decisions. Participants generally judged that, with the stance of monetary policy in restrictive territory, risks to the achievement of the Committee's goals had become more two sided.』

そらリスクは両サイドでしょうよ。

『But with inflation still well above the Committee's longer-run goal and the labor market remaining tight, most participants continued to see upside risks to inflation.』

とは言え今の経済情勢だとインフレ上振れリスクですわ、だそうでして、

『These risks included the imbalance of aggregate demand and supply persisting longer than expected, as well as risks emanating from global oil markets, the potential for upside shocks to food prices, the effects of a strong housing market on shelter inflation, and the potential for more limited declines in goods prices.』

その物価上振れを引き起こす要因というのをああだこうだと並べていまして、

『Many participants commented that even though economic activity had been resilient and the labor market had remained strong, there continued to be downside risks to economic activity and upside risks to the unemployment rate.』

返す刀で経済や雇用のリスクに関してはダウンサイドリスクだと仰せです。

『Such risks included larger-than-anticipated lagged macroeconomic effects from the tightening in financial conditions, the effect of labor union strikes, slowing global growth, and continued weakness in the CRE sector.』

こっちもその要因を並べています。

『Participants generally noted that it was important to balance the risk of overtightening against the risk of insufficient tightening.』

でもってほほーと思いましたが、タイトニングのやり過ぎリスクと不足リスクの「バランスを取る」のが大事でっせという話をしていまして、一方で利下げはよーせんという話ですから、これもまた先行きの利上げおかわりに慎重ということになるかな、と思いまして、まあ総じて「そう簡単に利下げするかよバーカバーカ」と言いながらも利上げのおかわりにはだいぶ慎重ですな、というのがこの部分だけで見るとメッセージとなっていますね、という感じで読み取りましたがどうでしょうかねえ。







2023/10/11

お題「3週間前なのに早速いろんなお漏らしが・・・・/植田総裁の金融学会講演今さらですが(その2)」

翔んで埼玉の続編はもうすぐ上映ですから惜しくもネタにできなかったですね!!!!!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231010/k10014220611000.html
“子ども放置禁止”条例案 取り下げる方針 自民党県議団 埼玉
2023年10月10日 18時15分

『その理由について田村団長は「私のことば足らずで県民はもとより全国的に不安と心配の声が広がり、多くの県民、団体などからさまざまな意見をもらった。改正案は現状と乖離があるとは考えていないが、私の説明不足によって乖離を生んでしまい、理解を得られる状況ではないと判断した。県民に心からお詫びする」と述べました。』(上記URL先より)

よく見ると往生際悪く「改正案は現状と乖離があるとは考えていない」とか言ってまして大変に見苦しいのですが、「私のことば足らずで」「私の説明不足によって」とか言ってますけど、たぶん足りないのは言葉じゃなくて知能だし、不足しているのは説明じゃなくて人間としての資質ではなかろうかと・・・・・・・・・


〇24年度と25年度の数字が無いのは無念だが・・・・・・・・(共同)

早速昨日はこんなのが出てたのだが
https://www.tokyo-np.co.jp/article/282786
日銀物価見通し上方修正へ 23年度、3%近くで検討
2023年10月10日 15時37分 (共同通信)

東京新聞から引用してますが元は共同なので記事内容も共同の転電になっています。

『日銀が2023年度の消費者物価上昇率の見通しを、7月に示した前年度比2・5%から3%近くに上方修正する検討に入ったことが10日、分かった。』(上記URL先より、以下同様)

これですね、第一報出たのは確かにこのタイムスタンプくらいの時間だったと思うのですけれども、第一報では上記の部分しか無くて、今朝見たらさすがに追加の説明がありましたね、という物件です。

・・・・・・・・いやあのさ、24年と25年の見通しが無かったら一切意味がないわけで、
今の日銀事務方の屁理屈だと23年が3%だろうが4%だろうが全部「基調的インフレはまだ2%行ってない、今後物価上昇率は下押しして安定的に2%達成するのには時間が掛かる」という論法で来るんだから、もはや問題なのは23年度ではなくて24年度25年度の見通しでありまして、23年度2.9%で24年度1.8%とかいう見通しだしてきたら爆笑して差し上げる予定なんですけど、肝心の24年度が幾らになるのかが書かれていないと、この部分だけでは意味がありません。赤点再履修。顔を洗って出直してきてください。

まあそんな第一報だったのでこの記事出た瞬間に一瞬ドル円が円高に動いたのですが、そもそも23年度の物価見通し+2.5%が冗談のように低い数値なのでここが上がるの当たり前の話過ぎて材料にならんわ、ということでニュースで円高に動いた効果は1時間も持たなかったような気がします。

と、思ってたら共同さん、この後追加を出していまして・・・・・・・・・

『日銀の想定以上に企業の値上げの動きが続き、足元で原油価格が上昇していることを反映する。30、31日に開く金融政策決定会合で正式に決め、経済動向や物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。』

日銀の想定がクッソ大甘というか、そもそも論として「政策の修正を行いたくない」という結論が先にあってそれに都合の良い見通しを出せ、という大本営の要請によりアイアイサーとばかりに鉛筆舐めているんだから(あくまでも個人の妄想です)こうなる訳ですが、物価の安定を図る中央銀行が一番大事な物価の基調が変わるかどうかという局面において判断を思い切り間違えるって、肝心な時に役に立たないという意味で全く持って存在意義が無いんですけど大丈夫ですかと思いますけど。

いかんまた悪態をついてしまった。まあしらっと共同さんこういうのを書いているのがチャーミング。

『7月に物価と金利上昇に対応するため、大規模な金融緩和策の柱である長期金利の操作で、容認する上限を0・5%から1%に引き上げた。今回の会合では物価見通しを考慮した上で緩和策が適切かどうか議論する。』

>物価見通しを考慮した上で緩和策が適切かどうか議論する。

物価見通しを考慮したら緩和策が適切じゃないのはアホでも分かると思いますが、とかいうのはさておき、しらっとこう書いてあるのは一般論なのかはたまた何なのかという感じですな。

『日銀が2日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で、販売価格について「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を差し引いた指数は、大企業製造業がプラス32、非製造業がプラス27と高水準にある。総務省が発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は、前年同月比3・1%だった。市場では23年度は前年度比で2%台後半から3%程度になるとの予想が多い。』

とまあそういう事ですが、まだ時期的には決定会合の決め打ちが出来るような状況でもないでしょうし、大体からして23年度の物価見通し引き上げって当たり前すぎてニュースにもならん話で、24年度以降の見通しがどうなってるか取材してみろやという話だし、まあ逆に「上方修正しない模様」だとクッソ面白いニュースなので是非報道して欲しいわ、という所ではあります。

ま、そんなニュースではあるのですけれども、こうやって五月雨式にいろんなもののお漏らしがこれから月末までほぼ3週間ある訳で、3週間の間突発的に出て来るお漏らしによってボラが上がるのかなあと思うと今からゲンナリですな。


〇日銀大本営新たな屁理屈を繰り出しているようだが屁理屈の出来が悪い、作り直し(日経)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1003C0Q3A011C2000000/
日銀、長期金利安定へ「関与」継続の公算 YCC撤廃後も
編集委員 清水功哉
ポジション
2023年10月10日 12:00 [会員限定記事]

例によって会員限定記事なので課金している方は記事の本チャンをご覧になるとよろしいかと思うのですけど。

『日銀の金融緩和政策の正常化観測や海外の金利上昇などを背景に、日本でも長期金利の上げ圧力が強まっている。4月の植田和男氏の日銀総裁就任前に0.4%台だった10年物国債利回りが今は0.7%台後半だ。中東情勢緊迫が原油高を通じて金利の上昇圧力を生む可能性も気になる。』(上記URL先より、以下同様)

ポエムは要らんのだが。

『ただし忘れてはならないのは、2%物価目標の実現見通しを背景に日銀が政策を正常化することと、長期金利への関与をやめることとは別の話という点...(以下会員限定記事続く)』

ということで以下は会員限定記事になるので詳しい解説は控えつつまあ会員の方は記事を読んでちょんまげという話なのですが、日銀大本営におかれましては「YCCの前から日銀は長期金利の低位安定を目指した施策を色々とやっているんだからYCC撤廃しても長期金利は基本的に低位で推移するようにするんです!!!!!111」という新手の屁理屈を繰り出しているようですので、10月決定会合の場でこの屁理屈について植田総裁が何か言わされる破目になって、またアタクシが悪態をつく、という展開が起きそうで今から頭がクラクラします。

えーっとですね、「長期金利低位安定の施策」ってのはそれ物価が低迷していて、ゼロ近傍だったり小幅マイナスだったりしていたとか、1990年近辺までに積みあがった資産バブルや様々な過剰の整理の過程での経済の構造調整が起きていた、とかそういう背景があって、短期政策金利が0.5%から引き下げていくというゼロ金利制約の中で、金融緩和政策の手法として使っていたものでございますよね。

然るに言うに事欠いて「2%物価目標の実現見通しを背景に日銀が政策を正常化することと、長期金利への関与をやめることとは別の話」とかいう屁理屈繰り出してくる日銀大本営、さすがにこれは屁理屈にしても出来が悪い訳でして、「2%物価目標が実現するので政策を正常化する」のであればそもそも緩和政策は要らんのでありまして、そんな中で何で長期金利を低位安定させる、という金融緩和政策が必要になるのかというとならないし、何なら物価目標が達成しようという中で金融緩和政策を継続したら物価が望ましくない上振れを起こすことになって、社会厚生上由々しき問題になる、ということになるんですけど、遂に日銀大本営屁理屈に困ってトチ狂ったのかという位に頭の悪い屁理屈にアタクシは泣きそうになりましたわよマッタクモウ。

ま、いずれにしましても日銀大本営とかいうのは超一流の大学のさらに超一流みたいな人の煮こごりみたいなもんですから、この人たちの屁理屈に理屈で対抗するのも中々難しいのですが、さすがにこの説明(日経新聞というイタコを通過しているので日銀のまんまの説明なのかというと微妙なのですけれども、リードの部分のこの説明は如何にも大本営の(ピー)辺りが言いそうだなと思いました、まる)は粗雑にも程があります。

まあアレです、黒田緩和の最終局面において、黒ちゃんが政策の修正をしたくない、というのに沿って最後の1年無茶苦茶な屁理屈(しかもコロコロとゴールポストを動かすという屁理屈の名に値しないレベルの見苦しい行為)を繰り返すもんだから、すっかり大本営の脳なのか良心なのかは知りませんけど破壊されてしまっているんだろうなあと思いましたこの屁理屈見て。

なお、ここで参考までに申し上げますと、この件で例えば記者会見で悪態をついた場合「別に必要のない金融緩和をしようとして長期金利への介入をするのではなく、正常化局面において長期金利が急騰して予期せぬ過剰な引き締めというマイナスが発生しないようにするためであって、金融緩和のために長期金利への関与をする訳ではないのその点は誤解なきように願いたい」と来るという応対話法まで思いついてしまう程度にはアタクシの頭もおかしいので念のため申し添えます(−−;

でまあそうならそもそも「関与」なるものは普通はしない筈となるんですけど、だいたいからして「指値にヒットしないためにアホみたいにその手前で買入を拡大」みたいな本末転倒感溢れる市場介入大好き(しかも下手くその極み)な日銀大本営ですので、こんなもん「関与」とか変な道具与えたらすぐにぶっ放してくるから、変な玩具は与えないに越したことはないと思います。



〇一方植田総裁はだいぶ真人間に戻ってきたようで中々結構ではあるんだが

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230930a.htm(HTML)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230930a.pdf(図表付PDF)
【講演】
中央銀行の財務と金融政策運営
日本金融学会2023年度秋季大会における特別講演
日本銀行総裁 植田 和男
2023年9月30日

・正常化局面で財務がグロテスクな事になるのは明らかなので説明も屁理屈成分が相当混じるのでした

ということで昨日の続き、というか少し飛ばして『6.中央銀行の財務と金融政策運営に関する基本的な考え方』から、

『最後に、以上の内容を踏まえて、中央銀行の財務と金融政策運営に関する日本銀行の基本的な考え方を整理します。これまで申し上げた内容と重複する点がありますが、しばしば寄せられる疑問にお答えする形で、ご説明したいと思います。』

日本銀行の基本的な考え、というのは要は屁理屈でして、植田先生としてのお考えを是非別途お聞かせいただきたいものです、というのを最初にお断りして日銀の苦しい屁理屈を鑑賞しましょう。

『(1)日本銀行の収益や資本が減少すると、通貨の信認が失われるのではないか』

はい。

『最も基本的な疑問は、「日本銀行の収益や資本が減少すると、通貨の信認が失われるのではないか」というものではないでしょうか。』

はい。

『この点、現在、日本を含め多くの国・地域で採用されている管理通貨制度のもとでは、中央銀行は、「物価の安定」を実現する観点から、金利の水準や通貨の発行量をコントロールしています。』

>「物価の安定」を実現する観点から
>「物価の安定」を実現する観点から
>「物価の安定」を実現する観点から

・・・・・・えーっとすいません、今日銀がやってることって「物価が2%超えの状態が1年半以上継続し、あまつさえ足元では政府の対策を抜けば4%の物価上昇(現にコアコアがそうですからね)という状態になっているのに、何故か物価2%達成していないと言い張ってデフレ期のような極端な超金融緩和政策を継続している」であって、さらに言えば「物価目標達成が展望できる局面になっても長期金利への関与を行うとか言ってる財政従属あるいは財政ファイナンス丸出しのスタンスまでお漏らししている」という状況でして、そもそも日銀の政策が物価の安定を実現する観点じゃなくて、やり過ぎた金融緩和の事態収拾をしたくないから問題の先送りをしつつ、ガバガバの財政への財政従属を行っている、という状況にしか見えませんよね。

ということで、この屁理屈、「日銀が通貨の信認を失われないようにしていれば通貨の信認は失われない」という循環論法に他ならないのですよね。

まあこの植田さんの講演についてはちょっと救いがあるのは以下の説明があることでして、

『したがって、通貨の信認は、中央銀行の保有資産や財務の健全性によって直接的に担保されるものではなく、適切な金融政策運営により「物価の安定」を図ることを通じて確保されるものとなっています。』

ということで、ちゃんと説明はしているんですよ。問題は日銀の今の政策がそうなっているか、という所な訳でして、肝心の金融政策運営の方が問題だから、その問題の例として日銀財務の話が持ち出されている、というのはまあ植田さん馬鹿じゃないから分かっていると思いますし、この点は10月会合での植田さんの奮起に期待したいし、期待外れだとまたハトハトジジイ呼ばわりが復活するかもしれませんなwww

『先ほど述べたように、海外中央銀行では、赤字や債務超過の事例がみられていますが、通貨の信認は維持されています。』

そうですね。

『それは、これらの海外中央銀行が「物価の安定」を実現する観点から、適切な金融政策を行っているからです。』

(;∀;)イイハナシダナー

『通貨の信認が、金融政策の適切な遂行により確保されるということが分かります。

ではあるのですが、財政ファイナンスを日銀にさせれば良いとかいうような事を平気で言う政治家とかがドブネズミのように繁殖している我が国でありますので、これが本当にできるのかいなと心配になって来ますけれども、ここを失敗すると日本どころか世界の教科書に「歴史上最悪の馬鹿総裁」として永遠に悪名が語りづがれることになり兼ねませんので、植田先生には頑張っていただきたいものです。


・逆ザヤ問題に関しては説明しているようで全然説明になっていないのでした

次が『(2)出口の局面で逆ざやが発生するのではないか。日本銀行の収益が大幅に赤字となり、長期間にわたり債務超過が続くのではないか』

『次に、「日本銀行は、出口の局面で逆ざやが発生するのではないか、収益が大幅に赤字となり、長期間にわたり債務超過が続くのではないか」という懸念についてです。』

これ「収益が赤字」っていうのは「広い意味では財政に穴が開く」って事なのですがそこは後程出てきます。

『確かに、大規模金融緩和の出口局面では、当座預金に対する付利金利の引き上げによって支払利息が増加するため、収益は下押しされます。もっとも、そうした局面では、経済・物価情勢の好転とともに長期金利も上昇すると予想されますので、保有国債がより高い利回りの国債に入れ替わることで、受取利息も増加すると見込まれます。』

よーしパパ保有国債の残存年数を計算しちゃうぞー。

『このため、実際に逆ざやが起きるのか、起きる場合に日本銀行の財務にどの程度の影響をもたらすのかについて、現時点で正確に予測することはできません。』

定性的には分かる筈なのに計算しないのは計算すると非現実的な仮定を置かない限り恐ろしいことになるからです。

『外部の有識者からは、一定のシナリオを設定したうえで、日本銀行の財務をシミュレーションしたものが発表されています。その結果をみると、シナリオの設定の仕方に応じて、様々であることがわかります。』

はい。

『収益の振幅度合いに影響を与える要因に関してご説明したように、例えば、国債の再投資を全く行わない、あるいは、短期金利が急激に上昇するといった前提を置くと、先行きの収益の減少の程度は大きくなります。したがって、こうしたシミュレーションを見る際には、国債の再投資の規模、イールドカーブの形状と変化、銀行券発行残高の動向などについて、どのような前提が置かれているのかにも留意する必要があります。』

完全にここは話を誤魔化して次の所に向かっているのでした

『とは言え、バランスシートの拡大・縮小に伴い収益が振幅するメカニズムが内在していることは確かです。その点に関して、「中央銀行の非伝統的金融政策の出口局面では、国庫納付金が減少し、国民負担が増加するのではないか」というご意見を頂くこともあります。』

はい来ました。

『グローバルにみて、中央銀行の収益は、最終的に政府に納付するという制度が一般的です。そのもとで、金融政策運営の結果として、中央銀行の収益が変動すると、それに応じて、納付金額も変動することになります。したがって、通常、国庫納付金は、バランスシートの拡大局面では増加する一方、出口局面では減少するという形で変動することになります。』

ときましたのですが、

『ただ、強調させて頂きたいことは、金融政策の目的はあくまでも「物価の安定」であるということです。日本銀行は、賃金の上昇を伴う形で、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指しています。中央銀行の財務は、こうした目的を達成するために行う政策の結果です。したがって、金融政策に対する評価は、「物価の安定」という政策目的の達成状況によってなされるべきものと考えています。』

ちょwwwww話誤魔化すなやwwwwwwwwwwwwwww

ということで華麗に誤魔化して終了の巻でした。


・これはどう見ても藁人形論法

次が『(3)日本銀行は、財務等への配慮を優先した政策運営を行うのではないか』なのですが、

『第三に、「収益や資本の減少が懸念されるもとで、日本銀行は、これを回避するように政策運営を行うのではないか」という指摘も耳にします。』

誰だよそんなこと聞いてるの????ということでどう見ても藁人形論法なので以下割愛。財政従属の話しでもするのかと思って期待したアタクシが馬鹿でした。


・最後にちょっとマシなので締めているので締め感はまあまあですね

最後が『(4)中央銀行は、いくら赤字や債務超過になっても問題ないのではないか』でして、

『だからと言って、「中央銀行は、いくら赤字や債務超過になっても問題ない」とは言えません。』

ということでまともな話になる。

『中央銀行の収益や資本の減少をきっかけに、中央銀行への信認が低下すれば、金融政策運営には悪影響が生じます。』

『学界や国際機関の議論についてご紹介したように、中央銀行の収益や資本の減少が信認の低下につながるメカニズムについては、様々な理論が示されています。だからこそ、このところ収益が減少している海外中央銀行では、一時的に赤字または債務超過となっても政策運営能力に支障は生じない旨を説明しつつ、同時に、財務の健全性確保のために、必要な各種の対応を講じているのです。』

今みたいな屁理屈オンパレードからまともな説明に戻らないと行けない、ということですな。


・ということでこのコーナーのまとめになりますが

『以上が、中央銀行の財務と金融政策運営に関する日本銀行の基本的な考え方です。』

『まとめると、通貨の信認は、適切な金融政策運営により「物価の安定」を図ることを通じて確保されるものです。そうした前提のもと、中央銀行は、やや長い目でみれば、通常、収益が確保できる構造にあるほか、自ら支払決済手段を提供することができます。したがって、一時的に赤字や債務超過になっても、政策運営能力は損なわれません。ただし、いくら赤字や債務超過になってもよいということではありません。中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策を巡る無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあります。日本銀行としては、こうした考え方のもとで、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていくことが適当であると考えています。』

と締めてまして、結局「物価安定の観点から適切な金融政策を実施する」という極めて当たり前の事を言っているのですが、その点で言いますとこの前から植田さん「賃金ガー」を前面にだすのではなくて、あくまでも物価をメインに説明するようになってきているので、相変わらず寝ぼけておられる日銀大本営というか事務方とは一味違ったものを10月会合で見せられるか、まあ結構な蛮勇が必要かもしれませんが「主な意見」を見ますと田村さん以外にも覚醒して真人間に戻った(と思われる)植田先生に賛同する向きがいるように見えますので、後世に千載の汚名を残さないためにも奮闘を期待したいものです、とこの前までのハトハトジジイ連呼は何だったのかという手のひらの返しっぷりで締めるアタクシでした。

#今週はFED発言が多い筈なので後半はそっちの追いつきですかね






2023/10/10

お題「今さらですが9/30の中銀バランスシートに関する植田総裁の講演を」

10月10日が平日というのは未だに違和感がある昭和脳。

〇定年延長ですかそうですか(日銀)

https://www.boj.or.jp/about/release_2023/rel231006b.htm
日本銀行職員の人事・給与制度の見直しについて
2023年10月6日
日本銀行

『日本銀行では、豊富な専門知識等を有する高年層の職員がより一層活躍できる環境を整備し、本行の安定的な業務運営を確保する観点から、人事・給与制度の見直しを行うこととしました。具体的には、2024年4月1日より、2年に1歳のペースで定年を満60歳から満65歳まで延長を行うとともに、全管理職を対象とした役職定年制の導入等を行います(注)。』

ほうほうそうですかそうですか。でもって注記を見ますと、

『(注)管理職については、満60歳でその役職を解き、マネジメント業務以外の企画業務を専門的に担うこととなります。』

だそうなので、理事になっていない場合は60歳でポストオフになるのね。

『これに伴い、本日、「日本銀行における職員の給与等の支給の基準」を別紙1 [PDF 114KB] のとおり一部変更するとともに、「事務職員・技術職員・庶務職員及びエキスパート職員の給与支給額、支給割合等」を別紙2 [PDF 146KB] のとおり一部改正し、それぞれ2024年4月1日から実施することとします。』

とのことですが、

https://www.boj.or.jp/about/release_2023/data/rel231006b1.pdf
別紙1
「日本銀行における職員の給与等の支給の基準」中一部変更

を拝読しますと、(引用者追記:<>は変更に伴う削除部分です)

『(1)給与等の区分

事務職員、技術職員、<及び>庶務職員及び企画専門職員(注)(以下「事務職員等」という。)の給与等の区分は次のとおりとする。

イ、給与……定例給与、諸手当、賞与

ロ、退職手当

(注)企画専門職員とは、役職定年に伴って、満年齢60歳に達する月の末日に管理職を退いた者をいう。

(2)定例給与
イ、定例給与は、俸給、資格給及び扶養手当からなるものとする。

(イ)俸給は、職種等の区分に応じて支給する。ただし、管理職及び企画専門職員(以下「管理職等」という。)については、業績に顕われた能力に応じて支給する。

(ロ)資格給は、資格等に応じて支給する。ただし、管理職等には支給しない。

また、資格給は、能力、機能度により加給または減給することがあるほか、担っている役割に応じて加給することがある。

(ハ)扶養手当は、扶養親族を有する者に支給する。ただし、企画役級以上<または>もしくはこれに相当する者または企画専門職員には支給しない。』

へーへーへーって感じなのですが、管理職等がポストオフすると自動的に企画専門職員になるとはこれまたエライ勢いで制度変更しますなと思った次第で、そんなに人足りないんかいなと思ってしまいましたわよ。

しかし何故か
https://www.boj.or.jp/about/release_2023/data/rel231006b2.pdf
別紙2
「事務職員・技術職員・庶務職員及びエキスパート職員の給与支給額、支給割合等」中一部改正

を見ると相変わらず、

『(4)満年齢 55 歳以上の者の俸給及び資格給の取扱い

満年齢 55 歳以上の者については、(1)及び(2)で定めた俸給及び資格給に以下の率を乗じた額をもって俸給及び資格給とする。ただし、本人の職責及び勤務成績に応じて、それぞれの率につき−<5>10/100から+<10>20/100までの範囲内で加減することができる。

イ、略(不変)

ロ、満年齢 58 歳以上同 60 歳未満の管理職以外の者
<55>65/100

ハ、満年齢 58 歳以上同 60 歳未満の管理職及び満年齢 60 歳以上同 65 歳未満の者
55/100』

となっていますが、ちなみに不変になっているのは、
https://www.boj.or.jp/about/services/kokai/kijun.pdf
日本銀行における職員の給与等の支給の基準

のPDF10枚目に記載がありますが、

『イ、満年齢 55 歳以上同 58 歳未満の者
80/100』

なので、55歳で2割カット、58歳で管理職4.5割カット(管理職じゃないと3.5割カットに若干変更)となっていて、給与カットするのは変わらんのかよと思いながらこの表を眺めるの巻となっておるわけです。定年延長する割にはそっちは変わらんというのも何ちゅうかなのですが、どうせまあ日銀の管理職レベルの人とか引く手あまただと思うので以下割愛。

まあ人様の待遇心配する前に自分(ここで床に穴が開きボッシュートされる)


〇植田総裁のバランスシートに関する講演は日銀の個別論を華麗に回避するという技が駆使されてます

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230930a.htm(HTML)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230930a.pdf(図表付PDF)
【講演】
中央銀行の財務と金融政策運営
日本金融学会2023年度秋季大会における特別講演
日本銀行総裁 植田 和男
2023年9月30日

しかしこういうのどうせ関係各位には講演あるの分かり切っているんですから、もっと前広に公表予定に掲載すれば良いじゃんと思うのですが、こういう講演があるというような公表すら渋るという時点でまともに対話する気なしってのが良く分かるわというかですね、端から全部日程公表しないというのなら話の筋は通っているんですけど、「公表予定」として出しているものを選んでいる、というのが日銀のしょうもない所でして、「この日程は事前に公表したい/したくない」というのを取捨選択しているという判断基準は何なのよといった変な作為をしているのが小役人ムーブっぽくて実に残念な所でありまする。

という悪態は兎も角。引用はHTMLの方から参ります。

・内容的にはまあ普通に普通の話をしているのですが・・・・・・・・・・

この話、内容的ににはまあ普通の説明となっていて、寧ろ日本金融学会でする話というよりはこんなの大学で学生向けに説明する話だろという話になるのですが、この講演の結論部分を拝読しますと、

『もっとも、中央銀行の財務と金融政策運営については、なお議論を深めていくべき論点が多いことも事実です。私としては、こうした点に関して、実務家とアカデミアの双方において、政治経済学的な観点も踏まえた形で、より一層、分析が進められていくことを期待しています。状況の変化が激しいこうした分野では実務家の議論が先行するものですが、理論的なパースペクティブを提供するアカデミアの役割も極めて重要であるということを申し上げたいと思います。』

という感じで『7.おわりに』の所に記述があるのですが、いや申し訳ないんだがこんなの普通に中央銀行のオペレーションとか見てたら分かる話(とは言えこのように体系だって説明できるのかと言われるとそれは無理があるのでそこはさすが植田先生と思う訳ですけど)で、どっかの大学の特別講義で説明するとかなら兎も角、「日本金融学会」で今更この話をされても「そんなことは言われんでもわかっとるわ」となるんじゃ無いでしょうかという所なのですが、まあ現時点でこの大学生向けの講義を受けている日本金融学会に「理論的なパースペクティブを提供するアカデミアの役割」なんてあるのかよと思ってしまいますし、だいたいからしてリフレとかいう邪宗門の排撃すらできない日本金融学会とか学会の名に値せんわクソの役にも立たねえドテカボチャが学者とか自称するんじゃねえよ肥溜めに頭でも突っ込んでろとしか申しあげようが在りませんな。

・・・・・・・・いかんまた悪態を。


・負債サイドと資産サイドの部分で長期と短期の区別が無いのは素なのか意図的なのかがよくわからん

というのは再掲になしますが、『2.中央銀行のバランスシートと収益』

『最初に、中央銀行のバランスシートの基本的な構造についてお話しします(図表1)。日本銀行をはじめとした主要中央銀行は、伝統的には、短期金融市場の資金量を調節することによって短期金利を目標水準にコントロールすることで、金融政策を行ってきました。こうした金融調節の手段として、金融機関に対する貸付けといった短期オペや国債の買入れなどを行いますが、これらは、中央銀行のバランスシートの資産側に計上されることになります。その一方で、負債・資本側には、金融機関の所要準備としての当座預金や政府の預金、発行した銀行券、資本などが計上されます。』

『次に、こうしたバランスシートのもとでの収益構造です。中央銀行は、買い入れた国債等の資産から利息収入を受け取ります。その一方で、負債側の銀行券や金融機関の所要準備としての当座預金は、金利が付されないという意味で無コストです。この差分で得られる収益が、「通貨発行益(シニョレッジ)」と呼ばれるものであり、中央銀行は、通常、この収益を安定的にあげることができます。』

という説明になっていまして、図表1ってのはまあ見てちょんまげという話なのですが、この後にBS拡大後の世界について話があるからそこで理解できるのか、という問題があるのですけど、この説明と図表の最大のペテンは「長期と短期の区別がない」ということです。

即ち、日銀バランスシートの負債サイドは発行銀行券と日銀当座預金になるのですが、このうち日銀当座預金残高というのは資金需給で伸縮し得るものでして、一方で発行銀行券というのは資金需給でこれまた伸縮し得るものではあるのですが、ベースの残高自体に対する増減がそこまで大きい訳ではなく、ベース残高自体は趨勢的な変化(一般的には国の経済規模に応じて拡大することになっている)をするものなんですよね。

これはどういうことを意味するかというと、日銀の負債は発行銀行券部分が事実上の長期負債、当座預金部分が短期負債になっていまして、この当座預金残高に関しては資金需給に応じて日銀が資金供給/吸収のオペレーションを金融市場相手に行うことによって、インターバンク市場の資金需給を調整し、その結果短期金利(翌日物金利)を安定的な水準に調節することができる、という仕組みになっていますから、発行銀行券を上回る長期資産を日銀が持ってしまうと、インターバンク市場の資金吸収が必要な時に長期資産を売却しないといけなくなってしまいます。という事になる訳でして、所謂銀行券ルールの意味合いって「成長通貨供給」とか日銀は説明するんですが、話はもっと単純で調節実務上の必要性があるんですよね。

という話はこの前もしましたが再掲という事で。


・でまあその後の量的緩和策によるバランスシートの変化だがここでも説明に変なテクニックがある

量的緩和を行ってからの変化という事で現在どうなっているかという話ですけど、

『こうした金融政策運営のもとで生じた日本銀行のバランスシートの変化については、大きく3点を指摘できます(図表2)。1点目は、長めの金利の低下を促す目的で買入れを拡大した長期国債が、資産側で大幅に増加したことです。2点目は、リスク・プレミアムの縮小を促す観点から買入れを開始したETFなどのリスク性資産が新たに計上されたことです。そして3点目は、資産側の動きに見合って、負債側では、金融機関の超過準備が増加する形で当座預金が大幅に増加したことです。』

『大幅な超過準備が存在するもとで短期金利を目標水準にコントロールするには、超過準備に金利を付すことが必要となります。このため、日本銀行では、グローバル金融危機時の2008年10月に「補完当座預金制度」を導入し、付利を開始しました。』

「大幅な超過準備が存在するもとで短期金利を目標水準にコントロールするには、超過準備に金利を付すことが必要となります。」と読んでいるとサラッと見落としてしまいそうになりますが、これもまた説明におけるペテン部分があります。

・・・・・と申しますのは、この説明では「〜短期金利を目標水準にコントロールするには、超過準備に金利を付すことが必要〜」となっていますが、もっと正確に説明をしないといけなくて、「超過準備に金利を付す」のが必要なのではなくて、「超過準備を吸収することが必要」といのが正しいんですよね。

でもってその超過準備の吸収の方法としては、@日銀が資産サイドで持っているものをインターバンクに売り切りを行う(要は長期国債の売り切り)、A短期の資金吸収オペレーション(一般的には売現先を実施するのですが、日銀の場合は日銀手形の上限付き売却という手段もある)、というのがあって、それ以外の方法として、B超過準備にプラスの付利を行うことによって超過準備が運用のためにインターバンク市場に出て行くことを避ける、という「不胎化による事実上の吸収」ってのがある訳ですよ。

つまりですね、この部分って「超過準備の不胎化」という事をキチンと説明しないと付利している意味が分からんアホウども(または分かっているのにインチキでそこを誤魔化して説明する)がワラワラと発生してしまう訳なのですが、まあどうせこの「超過準備の付利は事実上の資金吸収」ってのがうっかり人口に膾炙しちゃうと、「事実上の引き締めガー」とか言い出す輩が出てきてしち面倒だという思いがあるんでしょうなあと思う訳ですよ。だからここの説明って「不胎化による事実上の当座預金の吸収」って言ってないんだろうなあというのは把握した。



・収益に関する話の中では日銀の現在保有している長期国債の額とその平均残存の話を触れていないというテクニック

『3.バランスシートの拡大・縮小局面における収益変化のメカニズム』に飛びますね。

『バランスシート拡大・縮小に伴う収益の増減』という小見出しの所でもしょうもないテクニックが使われておりまして、

『次に、金融政策が引き締め方向に向かい、バランスシートが縮小していく出口局面で、一般的に中央銀行の収益がどのように変動するかを説明します。この局面では、資産側では国債等、負債側では当座預金が減少していくと考えられます。その際には、短期金利を上昇させるために、当座預金に対する付利金利を引き上げていくことになります。その結果、支払利息が増加し、中央銀行の収益は下押しされます。現在、インフレへの対応から金融引き締めを進めている米国連邦準備制度(FRB)や、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)などは、こうした局面にあり、実際に収益が減少しています。この点は、後ほど詳しく述べたいと思います。』

というのはまあ普通の説明なのですが、

『このように、出口局面入りしてからしばらくの間、中央銀行の収益は下押しされることになります。もっとも、その後は、当座預金の減少に伴い支払利息が減少していきます。その一方で、一定量の保有が必要な国債に関しては、いずれかのタイミングでは、満期償還時に再投資していくことになります。そうなれば、金利が上昇する中で、保有国債は順次利回りの高いものに入れ替わり、受取利息が増加していきます。』

はいこの説明もペテンですよね。いや確かに先ほどのバランスシートの基本の所でありましたように、発行銀行券見合いでは長期国債の保有が調節技術的に必要(そうしないとエライ金額の資金供給オペレーションをロールオーバーして行かないと行けなくなるので調節が面倒なことになる)なのですが、今日銀がもっている長期国債の残高というのは発行銀行券残高対比でこの世のものとは思えない額をもっている(久々に今度銀行券見合いになるまで再投資無しで何年かかるか計算してみるわwww)訳で、「一定量の保有が必要な国債」の一定量を気が狂ったように持っている(ついでに言えば長期共担も長期資金供給ですわよ)日銀が国債再投資とか寝言言ってたらバランスシートの正常化まで何年掛かると思ってるんだと小一時間問い詰めたい。

・・・・・・・のですが、

『このため、その時々の経済・物価・金融情勢とそれに基づく金融政策運営に依存しますが、やや長い目でみれば、通常、中央銀行の収益はいずれ回復していくことになります。』

ややどころか死ぬほど長い目で見ないと行けないのですが、そう言ってしまうのは「不都合な真実」って奴だから長期国債今いくら持っていて実際問題として適正な長期国債とのギャップっていくらなんでしたっけとかそういう話をしていない、というのはまあこれ明らかに意図的にやってるでしょ、と思いました。



よってこの次の小見出し、『バランスシートの拡大・縮小に伴う収益の振幅度合いに影響を及ぼす要因』では、

『(1)バランスシートの規模

第一の要因は、バランスシートの規模です(図表4)。金融政策が引き締め方向に向かう際には、主要な海外中央銀行がこのところ行ってきたように、当座預金に対する付利金利を引き上げることで、金利を上昇させていくことになります。その過程では、保有国債の利回りが付利金利を一時的に下回り、逆ざやとなる局面が生じ得ます。この場合、バランスシートの規模が大きければ、その分、収益を下押しする度合いも大きくなり、結果として収益の上下の振幅も増幅されることになります。』

「保有国債の利回りが付利金利を一時的に下回り、逆ざやとなる局面が生じ得ます」との仰せですが、元々買ってた国債の金利が米国よりもクッソ低い上に額がアホのように多い訳で「一時的に」下回るなんてレベルの話じゃねえだろ日銀の場合、というのがある上に・・・・・・・・・・・・

『(2)保有国債の満期償還時に再投資する規模

第二の要因は、保有国債の満期償還時にどの程度を再投資するかです(図表5)。保有国債の満期償還時に償還金額を全て新たな国債に再投資すれば、バランスシートの規模は維持されます。他方、償還金額の一部しか新たな国債に再投資しなければ、バランスシートは縮小します。バランスシートの縮小ペースは再投資の金額によって変わります。』

って言ってるんだが真面目に引き締めしようとしたときに今の常軌を逸したバランスシートを維持するのかよアホかという話ではあるのですけど、

『再投資を全く行わなければ、速いペースでバランスシートが縮小していくことになります。金融政策の引き締め局面では、長期金利は相応に上昇すると見込まれるため、この再投資の規模が大きければ、その分、保有国債の利回りの改善効果も大きくなります。』

とありまして、その後にやっと

『なお、こうした再投資による利回り改善のペースは、保有国債の満期構成によっても変わります。』

というのがしらっと入ってくるので、まあさすがにネグってはいないのですけれども、じゃあ日銀の保有国債および長期共担オペを加えて、どの程度のペースで満期が来るのか、という事をちょっと説明してみなはれという話ではありますなこれもまた。

まあ勿論の事ですが、

『利回りの低い国債が満期償還される一方で、利回りの高い国債が新たに加わるため、早期に満期を迎える国債が多ければ、その分、利回りの改善ペースは速まります。』

という話はしますが、じゃあ日銀の保有国債(+長期共担オペ)の満期構成についてちょっと説明して、というのはこれまた「不都合な真実」になりますので華麗にスルー、という感じで一般論として言っている部分としてはお手本のような説明なのですが、「じゃあ日銀の現状ってどうなんだったっけ」という話に関しては完全にスルーしていますし、しかも足元では物価が上がってきて目標達成も視野に、即ち金融緩和政策からの撤退も視野に入るという中において、長期国債の買入は増やすわ長期共担オペは実施するわで、バランスシートをさらにペースを上げて拡大している訳で、この植田総裁の説明に対して現地軍は勝手にバランスシートの拡大をしている、という恐ろしいまでの幕僚暴走が行われているという状態なんですが、そろそろ政策委員会の皆さんによる詰めが必要なんじゃないでしょうかねえ、と思ってしまいますわ。


ちなみにこの先は『(3)短期金利・長期金利の推移』、『(4)銀行券発行残高の動向』というのが残りの2点になり
ますけれども割愛します。


・例によって時間配分が下手くそなのと連休中の下準備をしてなかったので続きはあすちょろっと行いますが

すいませんすいません。

この講演、最後の『6.中央銀行の財務と金融政策運営に関する基本的な考え方』の所に、

(1)日本銀行の収益や資本が減少すると、通貨の信認が失われるのではないか
(2)出口の局面で逆ざやが発生するのではないか。日本銀行の収益が大幅に赤字となり、長期間にわたり債務超過が続くのではないか
(3)日本銀行は、財務等への配慮を優先した政策運営を行うのではないか
(4)中央銀行は、いくら赤字や債務超過になっても問題ないのではないか

というのがありまして、この部分もちょっとツッコミを入れないととは思っているので明日ちょっとだけこの辺をネタにしようかと思います。頭出ししておくと「何か循環論法になってねえのか」というのと、「物凄く肝心な「通貨の信認(日本銀行の信認と似ているようだがより高次の概念として、です)」の話をたぶん意図的にスルーしてやがるわ」という辺りになりますです、はい。





2023/10/06

お題「そもそも何でこんな1%に全然遠い水準で必死こいて介入をしているのかという点についての雑談」

いやー期初の1週間エライ色々とございますわな。

〇結局30年入札はこけましたがシャカリキになってる介入がどうなるかを愚考してみました

昨日の30年国債入札ちゃんですが・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20231005.htm
30年利付国債(第80回)の入札結果

6.価格競争入札について
(1)応募額    2兆2,346億円
(2)募入決定額   7,306億円
(3)募入最低価格  101円65銭
 (募入最高利回り)(1.716%)
(4)募入最低価格における案分比率 82.5531%
(5)募入平均価格  102円15銭
 (募入平均利回り)(1.691%)

ベンダーとかで出てた市場の足切り予想平均が102.10とかでしたので、45銭下での足切りとか(ノ∀`)アチャーな結果になりまして、まあ先物とかは瞬間反応したけど戻ったりしておりましたし、引けにかけては流石に少しは持ち直しましたけど、結局終わってみれば華麗にツイストスティープニングしてて先物(と比較するのもなんですが)と超長期って3毛以上のツイストスティープをやらかすという結果になりやがりました。

・・・・・・・いやまあ政策修正期待とか、運よくというか運悪くというか米国金利が下がって戻ってきて金利低下で入札を迎えてしまった、というのもあるんですけど、ここにきてご案内の通り日銀ちゃんが臨時輪番、追加輪番、5年共担オペのオファーと連発して不規則介入をしてくるもんだから、そもそも論として入札の事前ヘッジがしにくくなるわ、介入が入ってしまうので、本来は相場が下がった所で投資家の買いで止まってくれるべき所の前で介入によって止められてしまうもんだから投資家の買いが入りにくくなるわ、というような事になりますので、そりゃまあ入札の難易度は上がるわなという残念なお話になるのでありました。


でまあ今週に入ってからの流れって、あの昨年12月のレンジ拡大の時のラリラリ介入に段々似てきた(さすがにあの時ほどの狂気の介入ではないけど)雰囲気も醸し出しておる訳でして、何でこの水準で意地になっているとしか思えないような勢いで介入をするのか訳分らんという所ではありますが、さてここで7月のレンジ拡大の時の声明文を改めて確認してみましょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230728a.pdf

『A長短金利操作の運用(賛成8反対1)(注)

長期金利の変動幅は「±0.5%程度」を目途とし、長短金利操作について、より柔軟に運用する。10 年物国債金利について 1.0%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する1。上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買入れを継続するとともに、各年限において、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』

でもってこの脚注1が、

『1 現在の金利情勢のもとでは応札は見込まれないと考えられるが、当分の間、毎営業日、実施する。』

となっていまして、わざわざこの「現在の金利情勢のもとでは応札は見込まれないと考えられるが」とか入れてしまっているのが間違いの元というお話になっているんでしょうなあ、という所なのでありまする。

すなわち、この声明文では「1%は指値置いてるけどそこには行かないつもりですがな」という事を主張しているのでして、その前までのように「金利が上がったらもう来るもの何でも買うから0.25%(または0.50%)の金利は抜けさせませんよ見てくださいこの頑強な陣地」というのと指値の扱いが違う、ということになっていると考えるしかない訳ですな。

つまり、その前までは指値という最終防衛戦あるから楽勝ですよだったのに、建付けが変わったところで、本来だったらこの指値が強力な最終陣地になる筈なのに、なまじこの時に「1%は当分つかない」というのを言ってしまったがために、1%が付くとなると柔軟化の意味が無くなる、という藪蛇にも程がある話になってしまっているので、その前からシャカリキになって1週間で3回(9/29と10/4と今日)も介入をする破目になっている、という理屈になるんだ、としか解釈のしようが無い訳です。これが1%近辺でバカスカやってるならまだ話は分かるのですが、1%よりもまだ距離があるところで介入大戦争おっぱじめているのそう解釈しないと説明にならんですよね。

でも植田総裁の説明ってこうなっていたんですよね、というのを7月て入れ記者会見で確認して見ますと・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230731a.pdf

冒頭の植田総裁の説明(2ページの真ん中ちょっと上になります)

『運用の柔軟化の具体的内容ですが、長期金利の操作目標はゼロ%程度、変動幅は±0.5[%]程度に維持したうえで、現在の変動幅の位置付けをめどとして、イールドカーブ・コントロールを従来よりも柔軟に運用します。』

からの、

『これに伴い、市場の状況によっては、長期金利はその範囲、ゼロ±0.5%程度を超えて動くこともあると考えています。ただし、1%を超えて長期金利が上昇しないように 1%の水準では連続指値オペで金利上昇を抑制します。』

ということで、1%の指値をバックストップにする、というその前までと同じ説明をしている訳で、そう考えると本来は1%になったって良いんですよね、そのためにバックストップがあるんですから。

『0.5%から 1%の範囲では、長期金利の水準や、変化のスピード等に応じて機動的に国債買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施することで、過度な金利上昇圧力を抑制します。』

ということですが、水準はまだ全然1%でも何でもないし、変化のスピードっていう変化してましたっけとは思うのですが、こういうのの判断をそもそも現場に丸投げしている政策委員会が重大な責任放棄をしているんだから政策委員会にも大いなる問題がありますよね。


・・・・・・とまあ建付けについては冒頭の説明だと1%の指値がバックストップ扱いになっているのは変わらない筈なのですが、質疑応答になると話が怪しくなるんですよね、最初の幹事社の質問で(2ページの最後の方)、

『これ日銀としてですね、その長期金利、この特に 1%のとこなんですけど、1%までは認めるというメッセージなのか、もしくは 1%に行かせないというメッセージなのか、その辺の意図を教えて頂きたいのが一点目です。』(こちらは記者からの質問です)

と聞かれて、回答が(3ページの前半)

『今後、仮に 0.5%を超えて動く場合には、長期金利の水準や変化のスピード等に応じて機動的に対応することになります。そうしたもとで、長期金利が 1%まで上昇することは想定していませんが、念のための上限キャップとして 1%としたところでございます。』

「長期金利が 1%まで上昇することは想定していませんが」と余計な事を言っている(というかまあ想定問答がこれなんでしょうから「言わされている」という方が正しいかもですけど、笑)のがアカン訳で、声明文の表現だと「現在の金利情勢のもとでは(1%水準指値オペへの)応札は見込まれないと考えられるが」、とあくまでも「現在」の話をしていたのに対して、会見では声明文ではそう書いていない「将来」の話をしているのが余計な訳ですよ。

まあこれに関しては話は簡単で、長期金利ターゲットの柔軟化を実施するという措置をするのに対してあくまでも金融緩和継続だっていうアピールをしたいからこういう言い方をしたんでしょうけれども、これを言いだしてしまったので「1%までは上昇しない」と会見で説明した⇒「総裁様が1%上昇しないというのだから1%よりも前の方からシャカリキになって市場介入をしないといけない」、という忖度感溢れるプレイに走ってしまう、というのは別に小役人だけではなく、皆様の会社にも(ピー)とか(ピー)とかいう名称の付く部署辺りにうようよと転がっている茶坊主サラリーマン仕草あるあるの話なのでありまして、まあこの7月に「1%行かないアピール」というじゃあ何のために1%指値してるんだよというのをしたからこんなことになっているんですよね。よー知らんけど。


・・・・・・・・まあこの論点自体は確かに前から指摘している人が結構沢山おいでだったと思いまして、「つかないところに指値を置く」という説明を強調しすぎると、いざ金利が上昇するとその理屈が自分の首を締めて「指値の位置をつかないところまで再度後退させないといけない」という最早指値が何のためにあるのか分からない現象が発生してしまうので、金利上がったら日銀どうするんだよは言われていたと思います、

じゃあお前何でこれ今更言い出してますねんと言われますとですね、まあ先週から今週にかけて市場介入三簾コンボをぶっこんできて、しかもやればやるほど不発だし入札やりにくくしてしまっているという点で見事な逆効果というお笑い展開になっているから、というのもありますが、あたくしこの愚考をする際に改めて総裁会見読んでみたら中々いい話があったんですよ。質疑応答の質問の方は4ページの中ごろになりまして、それに対する回答の中で「これわwww」部分が4ページの後半から5ページの頭にかけてあるんですよね。

『従いまして、まとめて申し上げると、基調的な物価上昇率が 2%に届くというところにはまだ距離があるという判断は変えてございません。そういう中で、これまでの強い金融緩和の基調を維持することが適当という結論に至ったわけですが、』

というのが前提にありましたな、なんせ23年度CPI+2.5%で24年度CPI+1.7%でしたから。

『それと呼応するかたちで長期金利の変動幅についてはゼロ±0.5[%]ということを維持したわけでございます。』

からの・・・・・・・・

『ただし、先ほど申し上げましたように、物価の見通しには下振れもありますけれども、上振れリスクもあって、その不確実性がかなり大きい。足元を外したということを考えても大きい。これに対する対応も考えておかないといけないということで、』

はいここ重要。

『ある種、将来のリスク対応として、ゼロ±0.5[%]の外に 0.5[%]から 1[%]という枠を、柔らかなかたちでといいますか、全体が柔らかになっていますが、作ったということでございます。』

という建付けですよね。でまあ質疑の質問を引用しているとややこしくなるので飛ばしてますが質問は将来の事についても聞かれていましてそれに対応する回答がですね・・・・・・・・・

『今後は、その先どういうことになるのかについて何か展望があるかというご質問だったと思いますけれども、』

はい注目。

『それは今、考慮に入れているような範囲の外に物価見通しが上振れるというようなケースになると思いますけれども、』

>今、考慮に入れているような範囲の外に物価見通しが上振れるというようなケース
>今、考慮に入れているような範囲の外に物価見通しが上振れるというようなケース
>今、考慮に入れているような範囲の外に物価見通しが上振れるというようなケース

ほうほうほうほう。

『例えばですが、そういう際にはまたその時点で適切な対応を考慮していきたいというふうに思っております。』

>そういう際にはまたその時点で適切な対応を考慮
>そういう際にはまたその時点で適切な対応を考慮
>そういう際にはまたその時点で適切な対応を考慮

ということなのでありますが、これに対して直近の決定会合での総裁会見の説明では、

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230925a.pdf

3ページのケツ

『7 月会合での措置は、将来、7 月会合時点でみて、物価見通しが上振れする、あるいはインフレ期待が大幅に上振れするということになってそれがYCCの修正という予想につながる、それが更に場合によっては、不要な金利や為替レートのボラティリティの上昇につながるということを、できれば前もって抑制したいというための措置でございます。従いまして、そういう大幅なインフレ期待、物価見通しの上昇が 7 月から現在までの間に生じているというわけでは必ずしもないということだと思いますので、』

5ページの真ん中

『大まかな点としましては、足元 1、2 か月の物価動向をみた場合に、7 月の展望レポートで出した、あるいはそこでみていた姿と比べてということですが、どんどんインフレ率が上振れしているということではないですけれども、当時の見通しに比べて、当面は下がっていくという見通しを持っていたわけですけれども、その下がり方が少しゆっくり目かなという雰囲気はあるかと思います。ただそれが定量的にどれくらいのものかということについては、10 月の展望レポートに向けて精査してまいりたいというふうに思っています。』

とまあ玉虫色の表現をしていましたが、とは言え7月の見通しより弱いとか7月見通しインラインとは全然言ってない訳でして、そういう状況で金利が上がるのであれば、YCC運用柔軟化の趣旨を鑑みれば、本来この程度の金利上昇をこんな勢いでシャカリキになって介入する必要はない筈なのですが、まあそこは(ピー)なのでそうなってしまうんでしょうな、というお話ではありますけど、なんかやっぱりおかしくね???という思いは否めない所であります。

しかもご案内のように主な意見見たら思いっきり政策委員会の見方が強気化しているわけですし、そういう情勢の変化が起きている中での長期金利上昇ってのはごくごく普通にファンダメンタルズの改善を受けた金利上昇であり、投機筋によるファンダメンタルズを無視した売り浴びせ、といったものとは到底思えないので、その点から言ってもこの水準で必死こいて金利上昇を止めに掛かって、挙句の果てにヘタッピなので止めに掛かって却って逆効果、という面白おまけ機能までつけて介入をしている訳でございますが、いやそういうことなのか?????と思ってしまいますわな。


まあ7月の説明を鑑みますと、経済物価情勢に対する見通しの大幅な上方修正が起きるかもしれませんという展望レポートの時に、見通しを変えないとかいう幻想的な展望レポートを出すならともかく、そうでもないというのであれば、明らかにこれは少なくとも長期金利操作に関しては何かやらないと7月会合との整合性が取れない、ということになりますので乞うご期待と言った所ですし、その間にもヤケクソで無駄な抵抗が続くのか、というのも見ものではあるなと思うのでした。






2023/10/05

お題「予告追加輪番不発も更に無駄な抵抗を続けるとな/虫干しネタで総裁大阪会見」

日曜日辺り確か全然半袖モードだったのに朝夕の冷え方が急に来るの身体の調整が追いつかないんですけど、特に老体になってからのこれはorzorz

〇結局壮大な無駄玉を打ち無駄にボラを上げただけだった無念の予告追加輪番クソワロタ

昨日の輪番ちゃん
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of231004.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,500 2023年10月5日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,250 2023年10月5日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,500 2023年10月5日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,750 2023年10月5日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2023年10月5日

注目の追加輪番は追加輪番らしくレギュラーの6750億円をきっちり打って来る、という予想通りこの世のものとは思えない地獄オペを打って来ましたが、昨日の債券相場ちゃんは前場から10年スワップが1%になるわ5年金利が一段高になるわ(BB引けは3甘の0.34%)10年は取引最終盤で0.80%になるわと散々な結果となりまして、横綱ちゃんも

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年12月限

取引日:2023/10/04
立会区分:日中取引
始値:144.75(10/04)(08:45)
高値:144.77(10/04)(08:45)
安値:144.42(10/04)(15:02)
現在値:144.42(10/04)(15:02)
前日比:-0.54
取引高:26,360

まあ最後は調子に乗って叩き過ぎなんじゃネーノ感はありましたが、物の見事に寄り天安値引けという美しい相場になっておりまして、思えばこの追加輪番予告通知というのが出た時に円安に振れてまして、まあそのどの辺までが150円乗せに影響したのかは謎としても、150円に近づける効果はあったように見えます(個人の感想です)し、一方で債券市場の方は火曜の10年入札は市場の事前予想とベンダーが報じてた水準の4銭上という結構とんでもない所で足切りになるというクソ強い入札になりまして、そのまま値を上げていましたが、昨日の輪番の結果を見ますと(めんどいので10年の輪番だけ)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba231004.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 18,181 6,756 0.021 0.023 48.5

まあ前場引けの時点で下がってるからシャーナイナイなのですが、入札の足切り水準で0.770%、昨日の売参が0.760%でしたので、ヘッジしていないと無念の投げ輪番になってしまっている(ここでは火曜の前場引けの先物から計算してとかやりだすのが正しいのですがそれはさておきまして)という所に世の無常を感じるところでございます、南無阿弥陀仏。


結局ですね、この予告追加輪番って10年の入札を無駄に強くしてPDに掴ませる結果になったということなので、空振りどころかトータルで考えたらマイナス効果何じゃないかという位にセンスの無い物件だったのですが、まあそんな事を一発目の入札からやる、という日銀ちゃんが冷静な対応ができる訳もないので昨日の債券市場ちゃんでは・・・・・・・・・・・


さっきのJPXの先物日中足なんですけど、どうせ寄りになると更新されちゃうので書いて説明しますけど、昨日の横綱って13時直前に急にホイホイ上がった、といいましてもゆうて144.56⇒144.60とかではありますが、それまで昼寝してるような値動きだったから目立ったんですよね。

あれ何でやオペのお代わり通告時刻は13時じゃなかったっけフラインぐでもあったのかとか思う間もなく13時になったら今度はストンと先物ちゃん下がって、144.61⇒144.49というムーブになっておりまして、前場で10年スワップ1%とか思いっきりベンダーでもフラッシュが打たれていたので、日銀が無駄な抵抗第3弾で何かオペのお代わりをするんじゃないか、というのがあって、それが無かったのでストンと下がる、というお笑い展開を示していてこちとら爆笑の発作を禁じ得ないという所でありました。


〇また5年長期共担の予告という抵抗をしているんだが(予告したら円安になってました)

でまあ昨日の17時でしたかこのオファーというか予告が来まして、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr231004a.pdf
共通担保資金供給オペレーションの実施について
2023 年 10 月 4 日
日 本 銀 行
金融市場局

『日本銀行は、2023 年 10 月 6 日に、次のとおり、貸付期間を5年とする共通担保資金供給オペレーションを実施することとしましたので、お知らせします。』

貸付利率:  入札方式
貸付店:   全店貸付
オファー金額:オファー時に通知
期間:2023 年 10 月 10 日〜2028 年 10 月 10 日

このオファーが出る前って欧州時間でドル安だか円高だか知らんけど、ドル円って149円を割って148円80銭割り込んでいたんですけど、このオファーが出たらしっかりドル円149円を回復しておられまして、この人たちは一体全体何を無駄な抵抗を繰り返すのかという話ですし、散々無駄玉を打つ姿は、あの司馬遼太郎先生の「坂の上の雲」で描写されていた「完全武装の敵陣地に対してひたすら歩兵突撃をさせて徒に死者の山を築く第三軍司令部」というのを彷彿とさせる訳でございまして、とにもかくにも何やってるんだよという話。

まあイブニングの先物の方は米国金利上昇が一服してくれたから

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night

長期国債先物

夜間取引
限月:23年12月限
取引日:10/05
始値:144.42(10/04)(15:30)
高値:144.75(10/05)(00:57)
安値:144.39(10/04)(15:52)
現在値:144.67(10/05)(06:00)
前日比:+0.25
取引高:14,568
(何気に大商いだなオイ)

と水曜引けよりも値を戻して引けたんですけれども、よくよく考えてみれば(よくよく考えなくてもそうですけど)本日って30年入札というイベントがある訳で、何でお前はそう入札の前日に相場を戻そうとするのかと小一時間問い詰めたい訳でして、PDにわざわざ高値入札をさせて成敗でもしたいのかお前らはとしか申し上げようがない所であります。


さらにですね、この5年共担オペってのは当然ながら貸付金になりますので、国債のように最後の最後は売る、という事も出来ないので確実に5年間日銀のバランスシートの資産サイドに乗っかって来るし、しかも入札方式とは言え今の時点での5年金利マイナス幾らになるかは知らんけど、その金利での固定金利貸し出しになってしまいますので、今後2%物価目標が達成された暁には当然中立金利に向けて政策金利が引き上げられていくことになりますが、その際に飛んでもない逆ザヤ資産として露骨に残る(長期国債だとまあゆうて購入時コストはかなり真面目に計算しないと分からないけど、共担オペだったらオペ結果足し合わせて行けばアホでも計算ができる)ので、まあいろんな意味でこれ正常化後に禍根を残しまくるオペなんですよね。

ついこの前までのハトハト音頭で能天気盆踊りをしていた政策委員会の下であればワンチャンそれでも無い訳ではない、というプレイだったかもしれませんが、連日しつこく申し上げているように、どっからどう見ても政策委員会の流れがハトハト音頭の盆踊り大会は終わりました皆さん真面目に働きましょう状態になっておるわけでございまして、そんな中でハトハト音頭とかもっと前の黒田時代のノリで長期共担打ちまくる(挙句の果てに5年超の準備しました事務連まで飛んでくる有様)というのは、ちょっとオペに関して物事分かってる政策委員の方が市場局吊るし上げていいんじゃないのレベルに達していると思うんですけどねえ・・・・・・・・・・

しかも(まだネタにしてないけどこれはさすがに3連休にちゃんとまとめておきます、連休中にうぷするか火曜日にまとめてかはさておき)植田総裁が先週土曜日の金融学会で日銀のバランスシートに関してああでもないこうでもないという説明をして、ノーマルな状態の時のバランスシートに関しても色々と言及しているというのに、バランスシート拡大するわ、金融緩和の縮小・終了後にバランスシートに残り続けてアウトライト売却不能な貸出金として長期にわたって残り続けてバランスシートの正常化の足を引っ張るわ、という5年長期共担をぶっこんで来るというのって、これカジュアルに植田総裁に喧嘩売ってるとしか思えないので、総裁におかれましては売られた喧嘩は買うという勢いで是非暴れて頂きたいものだと切に願って止みません。

・・・・・まあ何ですな、これやってる方が植田総裁に喧嘩売ってるのに等しい事をしているとかそういう自覚がなさそう(個人の妄想による憶測です)なのが一段と怖い訳でして、まさに戒嚴司令官曰く(読み上げ放送したのはラジオ局のアナウンサーですが)「お前達は上官の命令を正しいものと信じて絶對服從をして、誠心誠意活動して來た」のノリでやってそうなのが何ともかんともでありまする、南無大師遍照金剛南無大師遍照金剛。



〇はいすいません完全に証文の出し遅れですが大阪懇談会での植田総裁の会見を今更確認しますね

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230926a.pdf
総裁記者会見
――2023年9月25日(月)午後4時30分から約35分
於 大阪市

だいぶ証文の出し遅れになってしまいましたのでサラサラと参りますが、


・リスクマネジメントアプローチの事実上の更問ありがとうございます

最初は「今日はどうでしたか」という話で事実上総裁による説明から入りますが、その次の質疑が決定会合後の会見でも質問が飛んで来てゼロ回答っぽかったリスクマネジメントアプローチに関する質問でした。サラトイアリガタヤ。

『(問)先週の記者会見の中で、リスクマネジメントについての総裁のコメントがありましたけれども、引き続き、日銀としては、拙速に引き締めするリスクより、遅くなってしまってそこから生じるリスクの方を小さいと判断している中で、政策のマネジメントをしているということだったと思いますが、その一方で、総裁、最近の読売新聞さんのインタビューの中で、積極的にビハインド・ザ・カーブを許容するわけではないというコメントもされています。ここのその二つのコメントを比較すると何かちょっと困惑するというんでしょうか、ここの二つのコメントについてご説明頂いてもよろしいでしょうか。』

過不足ない大変に素晴らしい質問です、ありがたいことです。

『(答)私どもとしては一貫して、物価の目標、2%を持続的・安定的にという目標を下側で達成できないことの問題の方が、逆よりも大きいというふうに考えてございます。それがリスクマネジメント・アプローチで、それに基づいた粘り強い金融緩和を続けております。』

ふむふむ。

『それはもちろん、結果として、インフレ率が目標を上回ってしまうという、ビハインド・ザ・カーブになるというリスクを抱えているものではありますけれども、積極的にビハインド・ザ・カーブになろうという姿勢とはちょっと違うというふうにご理解頂ければと思います。』

というのがゼロ回答とは違っていまして、再度デフレになるリスク(そんなのあるのか説はさておき)とインフレ上振れリスクと、どっちの方がその後何とかしやすいのかとか、その後の長期にわたる悪影響がどっちがデカいのか、と考えた場合にデフレになるリスクの方が対処しにくいからそっちにならんように注意する、という意味でリスクマネジメントアプローチの話をしています。

だからと言ってビハインド上等と言っている訳ではなくて、ビハインドすりゃいいとも思ってなくて、上方向でも下方向でもリスクの顕在化が起きないように注意はしますよ、というニュアンスにまあ頑張れば読めない事もない、というか植田さんの説明がそんな感じになってねえかというのがこの「積極的にビハインド・ザ・カーブになろうという姿勢とはちょっと違う」ではありますが、まあ内外情勢調査会でのあの衝撃の説明は、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230519a.htm
『これをわが国の現状に引き直しますと、拙速な政策転換を行うことで、ようやくみえてきた2%達成の「芽」を摘んでしまうことになった場合のコストはきわめて大きいと考えられます。逆方向の、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうリスクもありますが、こうした2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を「待つことのコスト」は、前者に比べれば大きくないと思われます。そうした意味で、先行きの出口に向けた金融緩和の修正は、時間をかけて判断していくことが適当だと考えています。』(これはご存知5/19内外情勢調査会での総裁講演)

となっていて、「コスト」というのがあったのが結構な衝撃だったわけですよね。政策のリスクとして対処しにくい、対処しやすいの話であればまだそこまでの衝撃は無かったのですが、「コスト」という価値判断に関わる言葉を使って説明したら、そら「インフレが再度下がってしまうのは大変に宜しくない事であるが、物価が上振れたままで高止まってしまうのは大した問題ではない」と言っているようにしか読めない訳で、そういう価値判断の話と、政策としての対応のしやすさとかそういう話って思いっきり別問題の筈だったので、植田さんそこまでこの会見で発言修正はしていないけど、5月19日にいっていた「コスト」のことを「問題」と置き換えることによって、ちょっと5月19日の物言いを修正しているな、とは思いましたが、これはあたくしの希望的観測が多分に入っている解釈なので、まあそこは割り引いて頂ければと存じます(おいおい)。



・決め打ちダメ!!!ゼッタイ!!!!!!!!!

こんな質疑もありました。この2つの質疑連続していまして、2問目が更問になっている感じです。

『(問)先週金曜日の会見の席で植田総裁が賃金・物価上昇の持続性の判定に当たって、強い総需要に支えられて賃金・物価上昇がうまく回っていくことが必要というふうにおっしゃいましたけれども、このときのその強い総需要というのが現状の日銀では潜在成長率を上回る成長率の推移というのをみているわけなんですけれども、強い総需要といったときには、今みているよりも強い成長率が条件となってくるということなんでしょうか。』

ちょっと今日ネタにしている暇がないのですが需給ギャップ日銀版、なんか計ったように超小幅マイナスでクソワロタ。

『(答)いえ、特定の強さを念頭において発言したわけではなくて、内需、特に消費と投資ですね、これが弱いもとで賃金・物価の好循環が続いていくというのは、なかなか考えにくいかなという趣旨でございます。ですから、潜在成長率に対応する部分を内需が何%上回っていないといけないかとか、そういうことを念頭においた発言ではございませんでした。』

まあアレです、冷静に考えてみますと物価安定2%っていうのは、概念的に言いますと「景気サイクルの中で平均的に2%程度の物価上昇が続いている」ということになりますので、そもそも論として需給ギャップがプラスじゃないと達成判断が、というのも何か変な話でありまして、寧ろ需給ギャップがゼロ近傍で基調的物価が2%近辺にいるんだからこれ達成じゃないのと言いたくなる気持ちはアタクシにはある。もちろんこれが一時的だったら困るじゃんという話になるのは分かるけど、需給ギャップがプラスにならないとダメ、というのもよくよく考えたら変な話なんですよね。


ということでじゃあどんなメルクマールがあるのか、という更問が飛ぶわけですが、

『(問)二点質問がございます。今の質問にも関連して、今日の懇談会でもご質問あったと思うのですけれども、YCCの撤廃やマイナス金利の解除、これは金利の引き上げになると思うのですが、こうした政策修正をどんなデータに基づいて判断していくのか。キーとなっているのは春闘の賃上げ率だとは思うのですけれども、これだけではですね、持続的・安定的な物価上昇と判断するには不足しているのかなとも思います。例えば日銀の短観ですとか、企業の決算・業績の発表ですとか、こういったものも判断材料になるのでしょうか。具体的にどんなデータをみていくのか伺えますでしょうか。(後半割愛)』

これに対して植田総裁は、

『(答)YCC撤廃あるいはマイナス金利の修正の条件、あるいはその前提となる物価目標の達成の見通しですね、これを判断するデータとして何を、という前半ご質問だと思いますが、これは恐縮ですが何度も申し上げていますように、これ一つでというデータを特定しては考えてございませんが、これも今日も申し上げましたように、その中でも非常に重要な一つとしまして、賃金上昇率の動きは注視しております。ただ、賃金上昇率が一時的に高くなったからといって、それが持続的・安定的にどうかという点を、賃金の面でですね、判断するには、それこそやはり様々な経済指標、直前のご質問にも出ましたような、総需要サイドがそのときどうなっているか、その先どうなっていきそうか、ということも含めてみないといけないと思いますから、改めて総合判断というふうに申し上げざるを得ないかなと思います。(後半割愛)』

ああだこうだ言ってますけど、結局「総合判断」ということで、決め打ちダメゼッタイというのが主な意見の方にもありましたけれども、この辺りでも植田さん「賃金一点張り」からは普通に脱却している(その結果ちゃんとハトハトジジイモードから脱却するのか、というのは話が別だけど少なくとも読売インタビュー以降のトーンはハトハトジジイモードから脱却しているように見えますよね)なとも読めました。

ということで超虫干しで今更ネタになってしまいました(だってあんな前向きな主な意見が出るとは思ってなかったんだもん!!!)





2023/10/04

お題「昨日の主な意見の政策部分の説明が足りなかったので改めますが明らかな変化を感じますよねこれ」

〇150円ワッショイは米国長期金利要因とは言え日銀が長期金利を無駄に抑え込んでいるのも罪が深い

あーきちゃいましたねーーーーー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014214841000.html
円相場 一時1ドル=150円台 その後円買い戻しの動きで乱高下に
2023年10月4日 4時24分

『3日のニューヨーク外国為替市場ではアメリカの金融引き締めが長期化するとの見方から円安が一段と進み、円相場はおよそ1年ぶりに一時1ドル=150円台まで値下がりしました。その後は円を買い戻す動きも出て乱高下しました。』

『3日のニューヨーク外国為替市場では円安が一段と進み、円相場は一時1ドル=150円台まで値下がりしました。1ドル=150円台をつけるのは、去年10月以来、およそ1年ぶりです。』

『アメリカでは、この日発表された求人件数が市場予想を上回ったことを受けてアメリカ経済は堅調で金融引き締めが長期化するとの見方が広がり、長期金利が一時、4.8%を超えておよそ16年2か月ぶりの水準まで上昇しました。このため、日米の金利差の拡大が意識されて円を売って、より利回りが見込めるドルを買う動きが加速しました。その後は円を買い戻す動きも出て、円相場は一時1ドル=147円台前半まで3円近く値上がりするなど、乱高下しました。(改行を一部削除してます)』(以上上記URL先より)

てかこれ覆面介入でもしたんかいな???まあ後日分かるけど。

直近に関してはこの辺を見ますと149円くらいみたいですね。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/JPY:CUR

(ロイターさんがウェブサイトをリニューアルしたんだが自分らの読ませたい記事のサムネばかりベタベタ貼ってこっちが見たい情報にリーチしにくくなってしまって史上最悪レベルの改悪でマジで元に戻してほしいのだがまあ別にロイターさんとしても金にならない読者は要らんっていうのも分かるからシャーナイですよね)


まあ米国長期金利主導ではあるのですが、日銀が無理くり長期金利を抑えにかかるオペレーションをしているのも日本サイドの原因としてあるのは明らかでして、せっかく9月会合で明らかになったように政策委員会の流れが従来のハトハトジジイモードから、タイミングは兎も角として政策を修正していき、物価目標達成を見据えたその先の話まで展望する、という状況になっているというのに、一方でそのような日銀政策委員や植田総裁からの情報発信が出ているというのにも関わらず、戦闘部隊の方は長期金利を無理くり抑えるべく臨時輪番に次は追加輪番でまあ今日実施されるのですけれども、金利を抑え込みに行っている、というのがまあ酷い訳でして、大量の追加国債買入を行っておいて堂々の為替介入ってのもできるのかいなとは思ってしまいますが、一応オペの話をとぼけておけば大丈夫なのでしょうかねえ、よー知らんけど。

まあこんな状況なので金利抑え込みオペレーションとかやるのは止めろというか、明らかに長期金利の上昇よりも円安進行の方がヤバイ話なんだから、その点から言っても自分の庭先だけ綺麗にしようという日銀お得意の庭先論を振りかざして長期金利の方ばっかりやってるのって、アホの極みにも程がありますな。まあ長期金利介入の報道が出るたびに円安に振れていってそのうち怒りの大鉄槌が下るまでやり続けるんでしょ。


〇9月主な意見ですが駆け足でやってしまったので再度気になったことについてのコメント追加とか

いやはやすいません。何か違くね、って指摘も読者様から頂いたりしたので。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230922.pdf

・そもそも今回のは思いっきりタカ派というか本来あるべき正しい道なんですがそれに振り切ってますよね

物価の方を思いっきりネタにしておりましたので、政策の方が最後駆け足になったので改めて政策の方を見ます。『U.金融政策運営に関する意見』ですけど。

政策に関してですが、昨日も書きましたがうまく書けてなかったので再度申し上げますと、今回の主な意見では政策判断のベースになる部分で「賃金の見極め」⇒「物価の見極め」へのシフトが大きく進んでいるのが一つ目の特徴ですよね。

『・ 先行きの物価見通しが上振れるかが不透明な中、運用を柔軟化した現行のイールドカーブ・コントロールのもとで、物価動向を見極めることが重要である。』

例えば3つ目のこの意見、途中に挿入句が入っているから一見するとわかりにくいのですが、挿入句を抜かしてシンプルにすると「先行きの物価見通しが上振れるかが不透明な中、物価動向を見極めることが重要である。」となる訳でして、どう見てもこんなの「物価が上振れるかもしれない状況だから要注意」と言ってるわけで、普通に物価上振れで政策修正という話になる訳ですよ。

でもって物価が理由で政策修正、となりますと従来言ってたような副作用対策でのYCC見直しとか、マイナス金利は副作用も大きいので解除するけどその先の利上げはまだまだ、というようなチャチな話ではなくなるわけでして、5番目の意見なんですけど、

『・日本銀行は「賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指して」いるのであって、その実現に「必要な時点まで」イールドカーブ・コントロールの枠組みを継続すると約束している。当然のことながら、イールドカーブ・コントロールの枠組みの撤廃やマイナス金利の解除は、あくまで、2%実現との関係で、その成功とセットで論じられるべきことである。』

この意見に関しても、「2%見極められないから何も変更しないもんね」と書いているようにも読めますけど、よくよく考えて見ると「物価を理由に政策の修正をするならばYCCもマイナス金利もセットで廃止」という話をしている訳ですし、しかも「2%達成の判断とセット」なのであれば、当たり前ですが2%達成の成功と言えるような時点で政策金利がゼロだとかいうのは明らかに過大な緩和になりますし、2%達成してるんですからその際には金融政策のスタンスは中立に舵を切っていないとおかしいので、これはマイナス金利解除だけではなくその先の正常化もセットになるよ、という話をしている訳ですよね。


でまあついこの前(8月ケツから9月頭の審議委員金懇4連コンボのうち特に後の2人)は賃金の見極めの話しばっかりが物価目標達成判断の必要条件、みたいな風潮だったのは高田さんの記者会見などでも示されていたと思いますが、

7つ目の意見ですけど、

『・予想物価上昇率に上昇の動きがみられ、やや距離はあるが、「物価安定の目標」の達成に近づきつつあるため、今年度後半は、来年に向けた賃上げ動向も含め、その見極めの重要な局面となる。』

これも「来年に向けた賃上げ動向も含め」とか頭の方の挿入句を外してしまえば「「物価安定の目標」の達成に近づきつつあるため、今年度後半は、来年に向けた賃上げ動向も含め、その見極めの重要な局面となる。」という話で、「やや距離はあるが」とか言ってるのに今年度後半とかいうこの決定会合の直後から始まる期間において「見極めの局面」なわけですから、これまた「賃金」というのは入れ込んでいるけど、どっからどう見ても春闘をみただけでは判断できないとかいうような悠長な話からは物凄い勢いで前のめり。

9つ目の意見でも、

『・政策修正の時期や具体的な対応については、その時々の経済・物価情勢や見通しに依存するため、不確実性が大きい。現時点で決め打ちできる段階ではない。』

ここでも「その時々の経済・物価情勢や見通しに依存する」という話になっていて、賃金ガーではないんですよね。いや元々これが当たり前の意見なのですが、昨年の7月の展望レポート以降、物価では政策修正をしない説明に無理が大きくなってきた段階で投下した黒田さんのトリック「継続的な賃金上昇」の呪縛がやっと外れたという流れになっているのでして、しかも単一の意見じゃなくてこのように並んでいる、というのが実に結構なお話ではあります。

てかさ、だいたい日銀って別に賃金ガーとか昔は全然言ってなかったし、この黒田さんのトリックだってどうせ屁理屈大魔王の雨宮さんの悪知恵だったとは思うんですけどね。

でもって10個目の意見なんですが、

『・経済・物価の不確実性が高い状況を踏まえると、様々なコミュニケーションを通じた実質上のガイダンスについても、政策対応の時期や順序についての自由度が過度に制約されないよう工夫していくことが望ましい。』

って部分のアタクシの書き方が分かりにくかったのですが、「実質上のガイダンス」というのは例えば「春闘の結果を見ないと判断が出来ない」みたいな事をさしていまして、この意見の結論は「自由度が過度に制約されないよう工夫していくことが望ましい」なので、要するに「先行きの決め打ちをするような発言は現在の段階において行うべきではない」というのがこの人の意見だと思いますし、何かこれってこの前の定例記者会見での植田総裁の発言チックなので、植田さんが政策委員会の皆さんに向けてこういう主張をしていた、と考えますとかなり味わいが深いものになるなあと思いましたんですが、昨日の書き方だとちょっとわかりにくかったですね、反省。

12個目の意見。

『・イールドカーブ・コントロールの柔軟化により、市場機能に一部改善の動きがみられるが、柔軟化を経ても、市場不安定化のリスクや市場機能面での副作用はなお残存している。イールドカーブ・コントロールは、この間の歴史をみても、多くの役割を果たした段階と考えられる。』

これ黒田時代の正当化にも見えるのですが、よくよく見直すと「イールドカーブ・コントロールは、多くの役割を果たした」というのは「役割果たしたからもう要らん」と言っている可能性もあるな、と思いました。

13個目の意見。

『・仮にマイナス金利を解除しても、実質金利がマイナスであれば金融緩和の継続であると捉えられる。こうしたことを、丁寧に発信していくことが重要である。』

まあこれ内田さんの意見とは思わなかったのですが、千葉金懇でこの手の話をしたかな、とあやふやな記憶で書いてしまいましたが(ログ整理大事だからやらないと、と言ってやらないのだが大事になって来たので過去のを後回しにしてでもやらないと、と3連休あることに気が付いてやる気をだしているワシが居る)、この論点はその前の7月YCC修正前の新聞インタビューだったような気がしてきました。というのは千葉金懇ではこの話してなかったわということで謹んでお詫びいたします。

でまあこの理屈、田村さんの意見だと普通(もうアタクシ的には田村さんはソフトバンクホークスじゃない方のタカ波ですけど、実際にはタカなのではなくて正統派ですからね!!!!)なのですが、田村さんの意見と思しき物件はその2個前のちょっと長い意見の方だと思うので、そう考えるとこれもまた田村さん以外でこういうのが平然と出て来る地合いなんですよね。

ちなみに14個目の意見ですけど、

『・当面は緩和的な金融緩和の維持が望ましいが、将来の出口局面にあたっては、イールドカーブ・コントロールのみならず、国債以外の資産買入れの要否についても検討すべきである。』

開店休業のETFとかはともかく、CPと社債の買入は続いていますからね・・・・・・・・・・・


とまあそういうことで、昨日の重複になって申し訳ないのですが、時間に追われてちょっと雑になってしまった反省ということで改めて「政策」の部分にフォーカスを当てたのですが、どこからどう見ましてもこれは政策委員会の潮目が変わるどころか議論の大勢は変わっている、というのを思いっきり示した主な意見になっておりまして、まあこれで何で9月声明文何も変更なかったのかは意味不明にも程がありますけど、この議論をしておいて10月末が何の変更もないハトハトジジババ集団のハトハト音頭とはどっからどう見ても成らないでしょ、としか申し上げようがない訳です。


〇さて今日は追加の長期輪番ですが

昨日の10年入札、いくら追加の長期輪番のアナウンスがあるからと言ってあんな上に札入るとは何やってるんだと思ったのですが、まあ債券市場ちゃんの方も完全に当局の一挙手一投足依存体質で薬物中毒でラリラリ状態になって鉄格子の内側にぶち込まれているような状態である、という悲しい事実が示された訳でして実に悲しいですし、これですと市場機能云々と言っても日銀の過度な介入との共依存状態になっております日には、そもそも市場の価格発見機能が見事な壊れ方をしていて、別に市場関係者がどうこうとかはどうでもよい話なのですが、それよりもアカンのは市場の重要な機能として「資源配分の最適化機能」というのがある訳で、資源配分の最適化機能が喪失しているとなると、これはそもそも資本主義の存立する基盤の問題なのですからアカンよね、とすぐに主語が壮大になるアタクシ。

まあどうせ「追加輪番」なので臨時輪番の時みたいな3000億円よりも通常の1回実施額であらされるところの6750億円とかいう臨時輪番2回分以上とかいう狂気の買入が実施されるんでしょうとは思うのですが、そうやって長期金利を抑えに行ってまた円安進んで神田大明神にバチクソ怒られてキャンタマ縮みあがって泣きながら政策修正すればいいんですよとしか申し上げようがないので6750億円のアナウンス入って円安進行するのを是非楽しみにしたいと思います。

でまあ別件でアタクシもこれ読者様に教わって気が付いたので恐縮至極なのですが事務連絡の方に(これがあるからオペの実務触っていない人でも事務連絡は見ておく必要がありますわ)こんなのがしらっと出てたんですな。

https://www5.boj.or.jp/
業務上の事務連絡

https://www5.boj.or.jp/bojnet/kaisei-tuuchi/tuuchi230925.htm
●日銀ネット関連
・2023年9月25日 「日本銀行金融ネットワークシステム利用細則(入札型電子貸付(共通担保資金供給オペレーション)関係事務)」の一部改正に関する件
・2023年9月25日 「日本銀行金融ネットワークシステム利用細則(金融調節等入札連絡事務)」の一部改正に関する件

この内容はまあ上記URL先に内容のリンクあるからまあみてちょという感じですけど、
https://www5.boj.or.jp/bojnet/kaisei-tuuchi/net15230925.pdf

『日本銀行では、事務合理化の観点から、8年超10年以内の貸付期間で行う共通担保資金供給オペレーションについて、貸付期間を分割して貸付けを行う事務上の措置を不要とすること等に伴い、標題規程の一部を別紙のとおり改正し、本年9月26日から実施することとしましたので通知します。』

とあるんですが、この期に及んで5年超の長期共担オペレーション実施の事務整備するとか、お前ら5年でも飽き足らずにもっと長い長期共担を実施する気なの???植田総裁の任期どころか10年オペやったら次の総裁の任期まるまるまで残るんだぞこのオペが、という話。

何ですかねえ、昨日は宮城事件を引き合いに出してみたんですけど、事変不拡大方針を陸軍省が取っているにも拘わらず勝手に現地軍が戦争準備をしているの図(その後ろには統帥権独立とか言って省部の言う事すら聞かない参謀本部がある)みたいな現地軍のムーブに、そのうち2.26事件でも起きるんじゃないかという感じでして、YCC政策見直しやマイナス金利解除も結構なのですが、政策のディレクティブの作り方の在り方についても考え直す必要があると思うんですよね。政策委員会が本来判断すべきような長期金利の介入に対する方策について何ぼ何でも現場に丸投げのし過ぎの弊害が、政策委員会の流れが変わる中で急速に顕在化している感が強いんですよね、まあ勝手読みのし過ぎと言いたければ仰っていただいて結構なのでありますが、ちょっとアタクシ的にはこれ色々とヤバくねえかと思ってしまいます。これ昭和軍部を例えに持ち出すまでもなくガバナンスどうなってるんだよという話(大本を辿れば政策委員会が丸投げしてるから悪いんだけど)。

まあアレですよ、
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%85%B5%E3%81%AB%E5%91%8A%E3%81%90
兵に告ぐ

『お前達は上官の命令を正しいものと信じて絶對服從をして、誠心誠意活動して來たのであろうが、』
『正しいことをしてゐると信じてゐたのに、それが間違って居ったと知ったならば、徒らに今迄の行がゝりや、義理上からいつまでも反抗的態度をとって』

とか思わす引用したくなるわけでして、まあ何かもう頭に血が上っているのかという感じのこの国債市場介入モードに関しましては、

『お前達の父兄は勿論のこと、国民全体もそれを心から祈ってゐるのである。速かに現在の位置を棄てゝ歸って來い。
          戒嚴司令官 香椎中將』

という呼びかけをしたくなる今日この頃ですが、あくまでもこれは例えで使っているのであってにちぎんちゃんに逆賊だの国賊だのと申している訳ではありませんので念のため申し添えますので重々お間違えの無いようによろすすお願いするます!!!!!!!!!!!

#しまった結局昨日のネタの訂正モードで終わってしまった




2023/10/03

お題「下期開始早々色々と風雲急にも程がある訳で短観とか主な意見とかオペお代わりとか」

いやもう何なんですかこの展開の速さは、ちょっとのんびりしてる場合じゃないですわよ奥様。

〇短観もお強かったのでまずはいつもの私家版チェック

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2309.pdf
短 観(概要)―2023年9月― 
第198回  全国企業短期経済観測調査

・業況判断DI:引き続き非製造業がバチクソに強い訳でこれは自律的な経済の強さですよね

         (6月短観)      (9月短観)
         現状→9月予測    現状→12月予測
製造業大企業   +5→+9       +9→+10 
製造業中堅企業  0→+2        0→+2        
製造業中小企業  ▲5→▲1       ▲5→0

非製造業大企業  +23→+20     +27→+21
非製造業中堅企業 +17→+12     +19→+14
非製造業中小企業 +11→+7      +12→+8

前回はこんな事書きました。

(7月5日に書いたアタクシの駄文より)
今回ってアタクシ的にすごいのが2ポイントあって、製造業中小以外の全カテゴリーで「前回の予想以上の数字が出ている」というのがあるのと、製造業の先行き見通しが「現状から改善」になっている事です。上でもかいてますけれども、短観のこの辺の数字だけはダラダラと見続けている不肖このアタクシの経験値分析もどきによりますと、基本的に現状判断がそこそこ強い場合は先行きの見通しが控えめに出て来る、というのが短観業況判断DIの仕様になっていまして(今回の非製造業を見ればお分かりになるかと)製造業ちゃんの方が3月短観で「前回対比期待外れ」だったのに対して先行きはちょっと改善してくれないかな〜って感じになっていたものが、6月短観ではそれ以上に改善して(除く中小)先行きも行けるじゃん!!ってなってるのはかなりの改善だな、と思いましたがどうでございましょうかしら。
(ここまで6月短観の業況判断を見て書いた駄文)

でまあ今回ですが、製造業に関しては前回の先行きDIが大企業だけしか達成できていないのですが、一方で先行き見通しの方は今回も上向きになっているのですな。まあそれよりも非製造業強すぎワロリンチョという感じですよね〜。


・企業の販売価格見通しは高止まりですなあ・・・・・・・・・

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:2.1%→6月:2.9%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%
3年後 3月:2.7%→6月:3.5%→9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%
5年後 3月:3.2%→6月:4.0%→9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%

大 企 業 製 造 業
1年後 3月:1.9%→6月:2.7%→9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%
3年後 3月:1.8%→6月:2.5%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%
5年後 3月:1.7%→6月:2.5%→9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%


大 企 業 非製造業
1年後 3月:1.1%→6月:1.5%→9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%
3年後 3月:1.6%→6月:2.2%→9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%
5年後 3月:2.2%→6月:2.6%→9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%

こちらはまあ前回書いたことは割愛しますが、9月会合の主な意見とか何か流れに変化ある感じですけれども、企業の販売価格は水準的には全然高止まりな訳でして、こりゃ強いわとしか申し上げようがないですし・・・・・・・・・

・企業の物価全般見通しも高止まり〜(全体もそうですがこちらは中小企業を)

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:1.8%→6月:2.4%→9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%
3年後 3月:1.6%→6月:2.0%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%
5年後 3月:1.6%→6月:1.9%→9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%

中小企業 製 造 業
1年後 3月:2.2%→6月:2.8%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%
3年後 3月:1.9%→6月:2.3%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%
5年後 3月:1.9%→6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%

中小企業 非製造業
1年後 3月:2.0%→6月:2.5%→9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%
3年後 3月:1.8%→6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%
5年後 3月:1.8%→6月:2.0%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%

まあアレですよね、報道ネタ的には全規模合計全産業という要するにオーバーオールの数字が下がり傾向になっているのをネタにするのかもしれませんけれども、こんなのどっから見ても「高止まり」にしか見えませんよねということで、こちらもまあ普通は「インフレ期待がしっかりしている」という風に読んで、期待インフレも2%の定着傾向が認められます我々の大勝利、と言えばいい筈なのですが、黒田の亡霊に憑りつかれているので何故かこれでも大勝利宣言にならないというのが意味不明ちゃんな日銀なのでありました。


・販売価格判断
        (6月短観)       (9月短観)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +34→+29       +32→+26
製造業中小企業 +36→+32       +30→+30

非製造業大企業  +28→+25      +27→+26
非製造業中小企業 +27→+30      +27→+29


・仕入価格判断
        (6月短観)       (9月短観)
        現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業  +52→+44      +48→+42
製造業中小企業 +66→+58      +61→+57

非製造業大企業  +44→+42     +43→+42
非製造業中小企業 +57→+57     +58→+56

う0んこの高止まり、という感じでして、価格関係は全般高止まりモードになっていて、これもう強いですわとしか申し上げようがない結果になっておりますよね・・・・・・・・・・


・雇用判断DI・・・・・は相変わらずの強さ

        (6月短観)      (9月短観)
        現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲13→▲15     ▲15→▲16
製造業中堅企業  ▲21→▲24     ▲22→▲25
製造業中小企業  ▲21→▲26     ▲21→▲26

非製造業大企業   ▲34→▲34    ▲36→▲37
非製造業中堅企業  ▲38→▲42    ▲42→▲45
非製造業中小企業  ▲43→▲48    ▲44→▲50

いやーーーーこの雇用判断DIの強さは何ですかという感じで、この強さならおちんぎんだって強いんじゃないでしょうか、と思います(なおワイ以下自主規制)けれども、のうのうと来年の春闘を見てもまだ分からないから来年の夏にならんと分からんとか言ってる場合じゃないのではなかろうか、と思う次第でありまする。


・需給判断と在庫判断

国内需給判断
        (6月短観)      (9月短観)
        現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲9→▲7        ▲9→▲7
製造業中小企業 ▲18→▲16      ▲21→▲20

非製造業大企業  ▲5→▲4        ▲4→▲4
非製造業中小企業 ▲9→▲10      ▲10→▲11


海外需給判断
        (6月短観)      (9月短観)
        現状→9月予測    現状→12月予測
製造業大企業  ▲6→▲3        ▲10→▲8
製造業中小企業 ▲13→▲11      ▲15→▲15

この需給判断に関しては絶対水準見ても多分しょうがなくて。前回対比で見ることになるんですけど、業況判断とか良いのに対して毎度この需給判断って妙に弱めに出て来るという物件になっていまして、(前回もナンジャコラと思いながら書いていた覚えがある)この数字ってあんまりあてにならないのかなあとか思ったり思わなかったり。

製商品在庫水準判断
      (3月短観) (6月短観)  (9月短観)
        現状     現状      現状
製造業大企業  +18    +20      +21
製造業中小企業 +16    +18      +19


製商品流通在庫水準判断
      (3月短観)  (6月短観)  (9月短観)
        現状      現状      現状
製造業大企業  +8      +10      +14


でもって在庫水準なんですけど、前回の短観の時に『「インフレノルムになって来ると、多少在庫を持っていても陳腐化しない限りにおいて在庫価値が上昇する訳だから在庫持ってても無問題」というムーブになってくる、とかそういう感じなのかというアクロバット解釈をしてみるのも一興。』などと書いたのでございますけれども、もしかしてこの想像そんなにズレてないんじゃないかな、という気がしてきました・・・・・・


・それから想定為替レートが相変わらず現状の水準から円高なんですけど・・・・・・・・・・・・・

『 (参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)』ってのがありますわな。

(3月短観)       
ドル円:上期 131.81 下期 131.62
ユロ円:上期 138.34 下期 138.23

(6月短観)
ドル円:上期 132.60 下期 132.27
ユロ円:上期 140.28 下期 139.95

(9月短観)
ドル円:上期 135.62 下期 135.88
ユロ円:上期 144.58 下期 144.66

うーんこの円高水準・・・・・・・・・・・・これ輸出的にはトップライン上振れ要因になるけど原材料コスト的にはアイヤーだし、価格設定にも影響するんとチャイマスカ的な。



〇エライ勢いでホーキッシュになった9月決定会合主な意見(なのにあの声明文はナンナンダ)

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230922.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2023 年 9 月 21、22 日開催分)1

皆さまご案内の通り、何か今回急に皆さん両手両足に何かを打ち込まれたのかという位の勢いで覚醒したようにホーキッシュになっていまして、それはそれで結構なのですが、一方で何ですかあの決定会合の7月と全く同じ声明文は、という話もありまして、これで展望レポートでどういうのを出してくるのか分からん(というかこれで10月の「手ぶら」はなくなったわとさすがに思うのですが)といった所ですが、この辺りはこの次にネタにするセンス皆無の追加輪番アナウンスに見られる「敗戦を認めたくない軍内部の叛乱」に通じるサムシングがあるんジャマイカとか考えると、これは粛軍待ったなしとなるのでそれはそれで野次馬的にはかなり面白そう(超不謹慎)。

ちなみに
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230728.pdf(7月会合主な意見)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2023/opi230616.pdf(6月会合主な意見)

でありんす。


経済の意見はクソどうでもよいので物価の所から。引用は基本今回の主な意見ですけど、たまに上記の7月主な意見や6月主な意見(はたぶん引き合いに出さない)を引用しますのでその時は()で注釈しますね。

・物価編:地味ですが大本営の大本営発表のトーンの腰が引けてるのは味わいがあった

なんせこの意見、今回は10個出ていまして、7月主な意見が8個、6月主な意見が10個なのですが、7月はYCC柔軟化があったのでそっちに意見の分量を食われてしまっていると思うので、とにかく主な意見における物価の話って今回も多いんですよね。

では10個全部拝読しようではないですか。

『・ 消費者物価をみると、輸入物価の下落に遅行して、漸く財価格の伸び率が低下しつつある。この点を踏まえると、先行きの物価上昇率は鈍化していく可能性が高いと考えられる。』

はいはい大本営大本営、といった所ですが、この大本営ちゃんですが前回の主な意見では、

『・ 消費者物価の上昇率は、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで低下した後、再び上昇率が緩やかに高まっていくとみられる。』(この部分7月主な意見より)

となっていまして、7月の時点では「低下する」を決め打ちしていたのですが、9月になったら決め打ちするのが怪しくなってきて、「可能性が高い」に後退しておりまして、大本営ですらこのように物価下がるという虚構を堂々と開陳するのに無理が生じている、という状況な訳なのですよ。

しかしそういう状況なのに何であの声明文、7月と全く同じ以下同文。

・・・・・・まあ何ですな、勿論今回のって大本営以外がホーキッシュ度合いを高めていまして、遂に黒田残滓を引きずる大本営に対して「お前らそれおかしくね??」という至極真っ当なダメ出しが始まった(始まるのか遅いわボケとは思うけど)という状況なのですが、肝心の大本営もこのようにさすがに自分たちの神州不滅というかデフレ不滅理論が無茶苦茶であることが事実をもって明らかになってきましたので、ご意見の方も腰が引けてきた、というのが実に心温まるものだ、とまあ斯様にアタクシは思いましたが如何でしょうか。


『・ 消費者物価上昇率は2%を上回る状況が続いているが、依然として輸入物価上昇の価格転嫁が主因である。今後も輸入物価上昇の価格転嫁が長引くことで、消費者物価上昇率が上振れた状況がしばらく続く可能性がある。』

コストプッシュだ、といってるのは大本営寄りなのですが、一方でなんかこれもしばらく続くとかいうトーンになっています。

別に同じ人の意見とは限らないのですが、似たような大本営発表をしているのが7月主な意見の物価のパートの2発目にもあったんですけどね。

『・ 物価の上昇率は、賃金上昇に伴って上押しされるものの、輸入物価の下落に伴う下押しにより、次第に縮小していくと考えられる。物価が再び反転するのは、海外経済の持ち直し後になると考えられる。』(この部分7月主な意見より)

こんなに勢いよく大本営発表をしていた方もおいでだったのですが、このような威勢の良い(というか悪いんですけど)ご意見がすっかり影を潜めてしまった、というのが今回の特色ですな。並べられている最後にはこんなのもありますし。

『・ 足もとの物価の強さ、更には、為替相場や原油価格の推移をみると、今後、物価が想定ほど下がらず上振れしていくリスクも相応にあり、謙虚にデータを見つめていく必要性が、従来以上に高まっている。』



・物価編:企業の価格設定行動などに関して

『・ 消費者物価は、運送料や公共サービス料金の値上げが想定されるもと、来年度も上昇が続くと考えられる。』

まあ全員がこう言う見解だったら展望レポートの見通しが凄い勢いで上方修正されますけど(特に2024年度)さてどうなるのやら。

『・ 値上げの持続性という面では、今後ペントアップ需要が減衰していく中でも、最近みられるような価格設定行動を続けられるかは重要である。』

『・ 企業の賃金・価格設定行動の一部には、従来よりも積極的な動きがみられ始めている。』

『・ 企業の前向きな賃金設定スタンスが広がりつつあるほか、設備投資意欲も維持されていることを踏まえると、賃金上昇を伴った物価上昇につながる好循環が生まれつつあると考えられる。』

この辺りが企業の価格設定行動に関する意見なのですが、7月会合主な意見では企業の価格設定行動に関する意見としてこんなのがありました。

『・ 最近の価格転嫁による高水準の企業収益見通しを受けて今年度は価格転嫁を急ぐ動きが一服する可能性はあるが、時間をかけて既往のコスト上昇を価格に転嫁する動きは続くと考えられる。』(この部分7月主な意見より)

『・ 今年度の物価見通しの上振れは、主として、輸入物価からのコスト・プッシュの影響が予想より長引いていることによるものだが、企業の賃金・価格設定行動に変化の兆しもみられており、物価面への影響を注視していく。ポイントは来年も賃上げが続くかどうかの見極めである。』(この部分7月主な意見より)

『・足もとの企業の賃上げや価格転嫁は、30 年近く抑制されていたペントアップ的な側面を持つ現象であり、賃金や販売価格がこれまでにないペースで上昇を続ける可能性もある。』(この部分7月主な意見より)

7月から強い事言ってる人も勿論いるのですが、7月会合の主な意見の時に比べて企業の価格や賃金の設定行動が強気化している事の指摘のトーンが明らかに上がっているのが見て取れると思いますが、そういう現状認識なのに何で9月会合声明文以下同文。


・物価編:賃金に関しての見解がエライ勢いで強気化している件について

『・ 市場の物価上昇率の見通しが昨年対比高まっているほか、大幅に上昇した最低賃金を将来に亘り更に引き上げるという政府方針表明等の動きもあり、来年の賃上げ率が本年を上回る可能性も十分にある。』

『・ 持続的な賃上げには、賃金・価格設定行動の変革や慢性的労働力不足への対応が必要である。企業が物価上昇に対応するベースアップを前提に事業戦略を推進するのか、賃金制度改革への取り組みも含め、注目している。』

『・ 価格転嫁が根強く続いていること、および為替円安と原油高から、物価上振れの可能性は高まっているが、これらはコストプッシュ要因に関するものである。政策対応との関係でより重要なのは、賃金上昇による価格上昇であるが、現状、この面から上振れが起こるのであれば、むしろ望ましいことである。』

なんか2番目と3番目は微妙にツッコミどころもありますがそこはさておきまして、7月主な意見とのトーンの違いはここでも楽しめまして、引用しているのの最初のはさっきの再掲になりますけど、7月主な意見って持続的賃金上昇の話ってあんまり無かったんですよ。

『・今年度の物価見通しの上振れは、主として、輸入物価からのコスト・プッシュの影響が予想より長引いていることによるものだが、企業の賃金・価格設定行動に変化の兆しもみられており、物価面への影響を注視していく。ポイントは来年も賃上げが続くかどうかの見極めである。』(この部分7月主な意見より)

ってこれさっきも出しましたが、賃金に関しては「来年も続くかどうかの見極め」とかいう話をしていた訳なのですが、来年がどうのこうのとか言ってる場合じゃない話が9月主な意見では盛大に展開されている訳でして、そういう見解が政策委員の皆さんの間に広がっているという状況であれば(通常の会合だってあるし同じフロアで常勤で出社しているんだし、通常の政策委員会も実施されているんですから、決定会合だけしか意見交換している訳でもないでしょうからね)、そら読売新聞のインタビューで植田総裁はああいう発言をするわな、という話になる訳ですわ。

『・ 消費者物価上昇率が今年度後半に2%を下回る水準に低下した後、再び2%に向けて上昇し、それが安定的に維持されるためには、本年の春季労使交渉を上回る賃上げがトレンドとして定着することが重要である。』(この部分7月主な意見より)

こちらもそうでして、春闘ベースの話でしたけど、今回の主な意見では春闘ガーというのがきれいさっぱり無くなっているのですよね。いやーあの春闘連呼は何だったのかと小一時間。

『・ 昨年来コスト・プッシュによる財中心の価格上昇が生じてきたが、今春の高水準のベア実現を機に、来年度以降の賃上げを検討する企業も増えており、賃上げとサービス価格の上昇が続く新たな局面が見込まれる。』(この部分7月主な意見より)

ということで、賃金に関する見解がエライ強気化している訳でして、これですと来年の春闘が出そろうまでどうのこうのとか言ってたのは最早なかったことにして考えないと行けないと思いますし、まあ日銀の得意技なんですが、その場だけはご尤もな屁理屈を構築するのが超得意な日銀の大本営参謀の皆様の政策から逆算した屁理屈というのを真に受けて「春闘の見極めとか言ってるから来年の春闘が出るまで何もしない」とかそういう政策予想をだすと、このようにあっさり味で梯子を外されるわけです。

ゆうて麿ってそういうクソのような屁理屈は嫌いな人だった(ので真っ正直に愚直にロジックを出していたら置物一派とか言うチンピラゴロツキに無茶苦茶な言いがかりとレッテル貼りをされてそれを鵜呑みにした安倍ちゃんによってアレされてしまった訳ですが)のでそこまででもなかったですし、まあ理屈そのものはただのクソ理論だったけど一応黒ちゃん初期は理屈には整合性もって臨んでいましたけれども、黒田中期(要はマイナス金利⇒YCC以降)から屁理屈で誤魔化す技が始まり、特に現実と政策が乖離してしまった最後の1年は晩節を汚すとはこのことかという位の屁理屈デコレーションだった訳ですが、植田総裁も最初黒田路線継承からスタートしたのでハトハトジジイ路線とかいう暗黒面に堕ちかけましたが、ここにきて黒田路線からの切断処理がおこなれるようになりますと、黒田路線最後に無理矢理構築した政策変更をしないための屁理屈については、先行きの日銀政策を予想するにあたって依拠しない方が良い、ということになろうかと思います。個人の感想ですけど。

まあアタクシは当然ながら黒田(と植田初期)時代の屁理屈をことあるごとに持ち出して、この時の屁理屈との整合性が取れないけれども当時この屁理屈を述べた理由と何故変更したのかについて明確な説明を頂きたいというツッコミを市場の片隅でブースカ言う予定ですがね!!!!!!!



・金融政策についてはご案内の通りに政策修正の大合唱になっているんですが何ですのこれは

やべえ物価の所を必死こいて読み過ぎたわ時間配分orz

こちらですけど、6月に主な意見をネタにした時に「物価は強気なのに何で金融政策は地蔵なのか」というのをアタクシも思いましたが皆様も思われたかと存じます。

でもって今回はご案内の通りで、何かもう見直し大合唱になっているんですが何で9月会合の声明文が以下同文という所でありますな。『U.金融政策運営に関する意見』から。

こちらは7月にはYCC柔軟化が決定されましたので、主な意見の金融政策に関しては柔軟化措置に関するコメントが多くなっていましたので、比較対象とはせずに(一瞬6月のと比較しようと思って6月会合URLも置いてみたんだがさすがに冗長になると思ったので比較引用はパスします)。

『・ 現時点では、賃金の上昇を伴う形で、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、イールドカーブ・コントロールのもとで、粘り強く金融緩和を継続する必要がある。』

はいはい大本営大本営。

『・ 金融緩和の継続を通じて賃上げのモメンタムを支え続けることが必要である。』

なんで金融緩和を継続すると賃上げのモメンタムになるのかが謎。

『・ 先行きの物価見通しが上振れるかが不透明な中、運用を柔軟化した現行のイールドカーブ・コントロールのもとで、物価動向を見極めることが重要である。』

物価動向を見極める、と来ているのがこれ中々味わいがあって、先日来の植田総裁の情報発信をネタにしてましてアタクシこのあたりの変化がかなり分かりやすく出ているな、と思ってこちらでも書いておりますのが、「政策反応関数に関連する説明が賃金から明らかに物価に寄ってきている」というものであります。

でまあそういう意味でもこの意見、誰だか知らんので植田さんなのか植田さんインスパイヤーの人なのかは知らんですけど、「物価の見極め」と来ているのは重要ですよね。

『・ イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化により、長期金利は比較的安定しており、追加的な見直しを行う必要はない。』

そらまあ9月会合の時点ではね、なお金融市場局が自分から長期金利の安定を壊しに行くという謎プレイを演じている模様なので後程。。

『・ 日本銀行は「賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指して」いるのであって、その実現に「必要な時点まで」イールドカーブ・コントロールの枠組みを継続すると約束している。当然のことながら、イールドカーブ・コントロールの枠組みの撤廃やマイナス金利の解除は、あくまで、2%実現との関係で、その成功とセットで論じられるべきことである。』

クッソ長いのですが、これ結局賃金なのか2%なのかどっちなのかがどっちつかず。

『・ 2%の物価安定目標を持続的に実現するためには、賃金上昇が定着し、それが価格転嫁されることでサービス価格を中心とした物価上昇が定着することが必要である。この点、賃金上昇のモメンタムが中小企業を含めて着実に強まっていくのか、賃金上昇に伴う労働コストの価格転嫁が着実に進んでいくのかという点に注目している。』

中小企業っていうのに中村審議委員みを感じますが、賃金上昇に伴う労働コストの価格転嫁に関しては先般ネタにした大阪懇談会での植田総裁の挨拶要旨によりますと、価格転嫁どころか先行きの賃金引き上げ分をフォワードルッキングに価格に載せる動きが一部とはいえ見られている、という物凄い強い話がありましたなあ。

『・ 予想物価上昇率に上昇の動きがみられ、やや距離はあるが、「物価安定の目標」の達成に近づきつつあるため、今年度後半は、来年に向けた賃上げ動向も含め、その見極めの重要な局面となる。』

来年の春闘を見ないをナントカカントカという話はどこに行ったのか、まあいい傾向ですけど。

『・ 物価目標達成の期待が確信に変わるには、企業の改革への取り組みに加え、新陳代謝やスタートアップ企業の資金調達強化等の取り組みが必要である。日本経済は今が正念場であり、企業の改革意欲を後押しすることが求められる局面である。』

まあこっちが中村審議委員かな。そういう話は金融政策マターじゃないんだよな。

『・ 政策修正の時期や具体的な対応については、その時々の経済・物価情勢や見通しに依存するため、不確実性が大きい。現時点で決め打ちできる段階ではない。』

つまり年内まで絶対に材料がそろわないので判断できません、ともいえない訳です。

『・ 経済・物価の不確実性が高い状況を踏まえると、様々なコミュニケーションを通じた実質上のガイダンスについても、政策対応の時期や順序についての自由度が過度に制約されないよう工夫していくことが望ましい。』

「様々なコミュニケーションを通じた実質上のガイダンス」って何だよそれという感じですが、後段の「政策対応の時期や順序についての自由度が過度に制約されないよう工夫していくことが望ましい」からすると「春闘を見るまでは政策修正はできる環境にならない」みたいな物言いって事なのかなと思いました。

『・ 「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現が、はっきりと視界に捉えられる状況にあると考えており、来年1〜3月頃には見極められる可能性もある。@流動性の確保・回復等による市場機能の改善、A出口を見据えた市場や社会とのコミュニケーション等、出口に向けた準備、環境整備を進めることがリスク・マネジメント上、重要である。』

どう見ても田村審議委員です本当にありがとうございました(田村さんじゃなかったらビビる)。

『・ イールドカーブ・コントロールの柔軟化により、市場機能に一部改善の動きがみられるが、柔軟化を経ても、市場不安定化のリスクや市場機能面での副作用はなお残存している。イールドカーブ・コントロールは、この間の歴史をみても、多くの役割を果たした段階と考えられる。』

出たな黒田時代の正当化。

『・ 仮にマイナス金利を解除しても、実質金利がマイナスであれば金融緩和の継続であると捉えられる。こうしたことを、丁寧に発信していくことが重要である。』

これこの前の千葉金懇で内田さん言ってましたよね・・・・・・

『・ 当面は緩和的な金融緩和の維持が望ましいが、将来の出口局面にあたっては、イールドカーブ・コントロールのみならず、国債以外の資産買入れの要否についても検討すべきである。』

良い話だ。田村さんだと思いますが田村さん以外だとこれまたビビる(^^)。



〇とまあこのように流れに変化があるのに徹底抗戦をする現場って何なんでしょうかね

まあ昨日はそんな訳で短観にこの主な意見ということで(主な意見の方が先に出た)期初から売りでしたが、午後にこんなのが。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr231002b.pdf
長期国債買入れのオファー日程の追加について

2023 年 10 月の長期国債の買入れについて、次のとおり 10 月4日オファー分を追加することとしましたので、お知らせします。

残存期間 :利付国債(物価連動債、変動利付債を除く)5年超 10 年以下
オファー金額: オファー時に通知


・・・・・・・・もうね、アホかと馬鹿かと。

あのですね、今日10年の入札があるから、その前にオペの予告ということなんでしょうけれども、こんな「額が幾ら打たれるか分からない」輪番(まあ何となくですけど通常輪番のメニュー追加ということは通常輪番並みに入れる気なんですかねえとは思うけど)を入れますよ入札翌日に、とか無茶苦茶不確実な事言われたらPDが入札に入れにくくて仕方ないじゃないですかというお話。

投資家の方だってこんなのがあったら入札が変に高い所で決着しやすくなる(そもそも今回新回号だから黙っていてもそれなりにニーズはあった筈なのに)ので及び腰というか様子見になってしまいますし、これは入札を寧ろやりにくくするだけの愚策としか申し上げようがなくて、いやどういうセンスをするとこういうことになるのかと。

そんなに売り込むの嫌なら昨日当日オファーで臨時輪番入れりゃいい(よくないけど)んだし、入札後の金利上昇がムカつくなら翌日(最悪当日の2時とかでも)に臨時輪番入れれば良いだけの話で、こんな入札跨ぎの予告ホームランしかも買入額未定ってわざわざ入札に対して不確実性を与えるだけで、こういうのやっているから債券市場がいつまで経っても流動性戻ってこないし、マーケットメーカーはオファービット出しにくいし、って状態になっているっての気が付かないもんなのかねと思う訳ですよ。


まあこれが6月辺りのハトハト音頭全開の時だったら話はまだ分からんでもない(入札跨ぎはちょっととは思うけど)のですが、ここもと急速に潮目に変化があるというのに現場はなおも徹底抗戦って何やってるんだよと思ってしまう訳でして、まるでこれは「宮城事件」(みやぎじゃなくてきゅうじょうって読みますよ、昭和脳だと読めるんですけど)を彷彿させるかのようなムーブになっておりますが、宮城事件関連で検索したら味わいのある記事が引っ掛かって来ますなどうでもよいけど。

https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230815-OYO1T50030/
玉音放送を巡るクーデター未遂事件…元近衛兵、証言を決意「戦争は一度始めてしまうと終わらせるのは難しい」
2023/08/16 06:00
戦後78年

戦争を「馬鹿金融緩和」に勝手に脳内で置き換えてしまったのは言うまでもありません。

https://bunshun.jp/articles/-/64657
閣議に乱入し、天皇に迫ろうと…終戦直前の“クーデター計画”に記された驚きの内容とは《玉音放送の内幕》
『日本のいちばん長い日』より#1
半藤 一利
2023/08/13
source : 文春文庫
genre : ライフ, 歴史, 読書, 昭和史

全然気が付かなかったのですが、今年の終戦の日は宮城事件関連の話が結構合ったんですね・・・・・・・・・・・・・







2023/10/02

お題「植田総裁の金融学会の講演のお題の選定は黒ちゃんの言霊信仰状態からの修正じゃないかと思ったんだが」

下期になりましたな。よろしゅうおねがいするます。

〇まーた臨時輪番いれやがったと思えばオペ紙不変攻撃なのだが・・・・・・・・・・

金曜日の債券市場、と言ってもロイターさんの記事拾いにくくなったので多少困るのでありますが(公開情報を受け売りしているのは無難で良いのよ)、

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 23年12月限

例によって多分当日の注文受付になってしまうと更新されてしまいますが。

取引日:2023/09/29
立会区分:日中取引
始値:145.04(09/29)(08:45)
高値:145.18(09/29)(08:56)
安値:144.89(09/29)(10:43)
現在値:144.96(09/29)(15:02)
前日比:-0.15
取引高:23,952

何か知らんけど前場ちょっと調子に乗って売ってる感があるなと思ったら13時にこれである。

(臨時輪番だけ引用)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of230929.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 3,000 2023年10月2日

ということで13時に臨時輪番をオファーしやがりまして、いやお前期末日の後場に臨時輪番オファーすんなやヴォケがというか、ハトハト発言の修正に掛かっている(まあどうせ大本営に言わせれば特に変わっていないということになるんですがそれはともかく)訳で市場に委ねるんじゃないのかと思う訳ですが、その舌の根も乾かぬうちにこの調子で、何ですかこの関東軍とおもいましたけど、どっちかというと戦争終わっているのに山岳ゲリラやってる旧日本兵みたいなアレなのかよと思ってしまうのですが、まあ一度指示出されたらMPMで指示が変わらない限り同じことをする、という意味では行動はああそうですかってな話なんですが、そもそもこの「指示」自体がクソ曖昧でオペレーション部隊の裁量になっている、というのは今後金融緩和政策を修正するにあたって直して行かないと、こういうオペが突如飛んでくるみたいなのは市場の流動性が戻らない要因の一つ(まあ最大の悪要因は過大な国債買入ですけど)ですわなと思うのでした。

上記の日中足、今日の寄付きちょい前以降は消えてしまうのでアレですが、このオファーがあった所で当然ながら横綱は反応しておられるわけで、144.90レベルから145.03レベルにスパイクした訳なのですが、その後は144.97-145.00辺りの水準でもみ合い、というと聞こえがいいのですが、どっからどう見ても市場にドッチラケムードが漂いまして、何かもう債券市場の中の人達の出鼻くじかれてやる気ナッシング相場になったんじゃなかろうか感の方が強い雰囲気を感じたのですがアタクシの勘違いでしょうか。

とまあそんな訳でドッチラケになった訳ですが、この臨時輪番オファーの時点でオペ紙はそら不変だわなと誰もが思う訳でして、案の定これである。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230929c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2023年10〜12月)

ー1年:1500(月1回)
1−3年:3500-6500(月4回)
3−5年:4000-7500(月4回)
5−10年:4500-9000(月4回)
10−25年:1000-5000(月2回)
25年−:500-3500(月2回)
物価連動:600(月1回)

7月終わりのMPMで中期後半と長期の上下限を250拡大したのから9月も変わらず相変わらず同じという動きでしたが10月もこれで同じ、ということになったのですが、昔の短期オペのように資金需給をスムージングするオペと違って今の輪番って市場に思いっきり介入するという意味ではオペの部分も金融政策なんですから、というのはまあこのQQEおっぱじまった時からそうなのでずーっと論点にはなるのですが、今のように政策的な方向性としては物価目標の達成が徐々に見えつつあるという流れになっている、という認識はさすがに示されている状況の時に、状況の変化を一切認めず次から次へと政策修正をしない屁理屈を並べ立てて政策修正を拒否していた黒田時代のオペレーションをそのまま続けている、というのは何なんでしょうかねと思ってしまう訳ですけど。

せめて金利下がっている時に輪番減らしておけば良かったのに、金利下がっても輪番減らさないで上がると増やす、というのばっかりやってるからこうなる訳で、全く困ったもんです。



〇土曜日に植田総裁日本金融学会で講演をしておった訳ですが

https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

『資料や統計などの公表予定、金融政策決定会合や総裁定例記者会見の開催日程などを掲載しています。原則として、毎週金曜日に更新されます (2023年9月29日更新)。』

なんかこの前の大阪懇談会が結局公表予定に出ないというプレイがあったのでああでもないこうでもないと悪態ついたら聞こえたのかどうかは知りませんが、今回は思いっきり、


9月30日(土)未定 ○ ● 【講演】植田総裁(日本金融学会2023年度秋季大会)

ということで直前も直前ではあるのですが公表予定に出ただけマシ(と言っても金融学会の日程なんぞ昔から分かっている話なので、直前まで公表しないで秘匿する意味is無いと思うんだが)ではあるのですが、まあこんなのがありました。

でですね、こちらの講演は内容自体がかなりちゃんとした話になっておりまして、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/data/ko230930a.pdf
中央銀行の財務と金融政策運営
―― 日本金融学会2023年度秋季大会における特別講演 ――

日本銀行総裁 植田 和男

どっかの邪宗門理論みたいに中央銀行は何ぼ国債を買って赤字になっても無問題、というようなあたおか話を植田さんがする訳もなく、まあ普通にちゃんとした話になっているのでまあ読めと思うのですが、これちゃんとした話なだけにネタにするとなると結構ねじり鉢巻きしないといけない物件ですのと、緊急性は全然ないネタなので後回しにします(おい)。

でですね、これちょろっとだけネットのベンダーニュース見たら揃いも揃って最初の所でお断りしてる「なお「出口」には距離があります。」というのをヘッドラインにしてて、いやそういうつまらん話をしにこの講演やってるんじゃないし、そもそも距離があるのにこの話をする、というのはどういうことなのかというのを考えろやヴォケと思う訳なので今日はその辺だけちょろっとネタにしまして中身の本格的な話は後日改めて。

・言霊信仰ののように一切語らなかった黒田路線からのシフトを意味する訳ですけどこの講演は

でまあ今話題にした最初の部分ですけどね。

『本日は、「中央銀行の財務と金融政策運営」をテーマにお話しいたします。』

はい。

『この論点については、海外の中央銀行が出口局面を迎えるもとで、注目度が高まっています。』

論点どころか実践ですからねー。

『一方で、わが国では、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、なお「出口」には距離があります。』

でまあここが思いっきりヘッドラインになっているのがもう何だかねという感じですが、問題はこの次でありまして、

『しかし、「出口」には距離がある現時点だからこそ、このテーマについて客観的に議論するのに適したタイミングであると考えたところです。』

まあ本当に距離があるのか、というとどう見ても距離は無いのですが、それはさておきまして、FEDはかつてQE2だのQE3だの言っている中で、それこそ客観的に見て出口は先、という時に出口政策の手順に関する基本的な考え方を示しました。まあ現実問題としてはそこで示したシーケンス(バランスシートの縮小をしてから短期政策金利の引き上げ)通りに全然ならなかったのですが、何せマジモンで距離がある時点での話だから実際にはシャーナイナイというのもありますし、それよりも事前にシーケンスに関して検討する中で論点の整理が行われ、そのことを世の中に知らしめる、というのが重要なことな訳ですよ。

然るに、まあ黒ちゃんにおかれましては言霊信仰スピリチュアル爺さんだったのかどうかは存じませんけれども、シーケンス以前の問題で出口という言葉を使う事によって悪霊が降臨する位の勢いで議論というかもはや言論を封殺していた訳ですので、上記の引用部分というのは大いなるチェンジに他ならない、というか普通のセンスしてたらこういうことになる筈なのですが、なんか知らんけどジャパンの統治組織においてはこの手の言霊信仰が謎に強い傾向にあるようで(個人の感想です)近年におけるその最たるものが「全電源喪失はあり得ない」だったと思うのよね。

ということで、ここにきて何か植田さん、大本営のハトハトジジイ振り付けから脱却しようとしているのではなかろうか(まあそんな中で臨時輪番オペ据え置きとかorzorz)という気が益々する訳ですが。

『また、私は、日本金融学会では、ちょうど 20 年前に「自己資本と中央銀行」と題する講演を行いました1。今日は、その続編ということになりますが、話の本質的な部分には大きな変更はありません。ただ、その後 20 年間の内外の金融政策の動きを踏まえて、この大事なテーマについてもう一度振り返り、確認作業のようなことを行ってみたいと思います。』


https://www2.boj.or.jp/archive/announcements/press/koen_2003/ko0310f.htm
自己資本と中央銀行
2003年10月25日、2003年度日本金融学会秋季大会における植田審議委員記念講演要旨

というのがあるんだが、これは残念ながらネタにして書き物にした物件ではないのでまあ改めてこれも含めれるかどうかは知らんけどねじり鉢巻きでどっかのタイミングでネタにしますが、今月は色々とネタ満載っぽいのが気になりますな。


・それはそうとこの図はいただけませんな(図表1について)

ちょっと飛んで『2.中央銀行のバランスシートと収益』の説明なんですけど、

『最初に、中央銀行のバランスシートの基本的な構造についてお話しします(図表1)。』

とあって以下説明が、

『日本銀行をはじめとした主要中央銀行は、伝統的には、短期金融市場の資金量を調節することによって短期金利を目標水準にコントロールすることで、金融政策を行ってきました。こうした金融調節の手段として、金融機関に対する貸付けといった短期オペや国債の買入れなどを行いますが、これらは、中央銀行のバランスシートの資産側に計上されることになります。その一方で、負債・資本側には、金融機関の所要準備としての当座預金や政府の預金、発行した銀行券、資本などが計上されます。』

という説明になっているのですけれども、PDFの21枚目の下半分に図表1があって『(図表1)中央銀行のバランスシートの基本的な構造』ってのがあるんですよ。

この説明なんですけど、次のページの図表2と合わせて読めば少しは分かりやすくなるのですが、これ単体で出してしまうとミスリードに成り兼ねないと思うのですよね。


と申しますのは、日銀の負債側の方に『当座預金(所要準備)』とあるのですが、本文に戻りますと・・・・・・・・・・・

『次に、こうしたバランスシートのもとでの収益構造です。中央銀行は、買い入れた国債等の資産から利息収入を受け取ります。その一方で、負債側の銀行券や金融機関の所要準備としての当座預金は、金利が付されないという意味で無コストです。この差分で得られる収益が、「通貨発行益(シニョレッジ)」と呼ばれるものであり、中央銀行は、通常、この収益を安定的にあげることができます。』

この説明、間違いではないのですが、図1のアカン所は、資産サイドの方がちゃんと「短期オペ」「長期国債」になっているのに、負債サイドの方が「当座預金(所要準備)」「銀行券」「自己資本」になっていて、負債サイドの方に長期負債短期負債の概念が抜けていることなんですよね(簿記脳ですから)。

つまりですね、中央銀行当座預金というのは、所要準備部分がある種の長期負債になる(世の中の総預金のベースの部分はそんなに短期的に増減するもんじゃないから所要準備の額自体も預金準備率操作を頻繁に行わない限りにおいてそう短期的に増減するもんじゃない)のですが、基本的に当座預金残高の総量自体は通常の経済活動というか金融活動によって盛大に上げ下げするもので、時によっては所要準備を割り込む場合もあるからその際には短期オペで資金需給の調節をして差し上げていた訳ですよ。

ということなので、この説明、コストの話は仰る通りなのですが、寧ろ負債の長期性(発行銀行券)と短期性(当座預金)の点をもう少し分かりやすいように示した方が良いのではないかと思うのですが、まあそれは図表2にあるよという事なのかもしれませんが、特に「所要準備」って書くと短期債務なのか長期債務なのかがわかりにくくなると思うのですよね。と思いましたがどうでしょうかしら。

なおちなみに、この図表1の芸の細かい所は、資産サイドの「長期国債」が「自己資本+銀行券」よりも少ない額になっておることでして、これは所謂銀行券ルールが持っているオぺーレーション上の意味を示している(日々の資金需給調節で必要な部分まで長期国債の保有が食い込むと資金需給調整のために長期国債のアウトライト売買をしないといけないというキチガイ事案が発生する)というのがこれまた大変に芸が細かいので、この負債サイドの絵は惜しいな(そもそもBSの絵でPLの説明をするのが微妙な気もするけど)と思ったのでありました。



〇しまった全然ネタの成敗が進まん

ということでまあ大体臨時輪番が悪いのと、そもそも月曜な上に朝起きても外が暗いからエンジンが入らんというのもあってただの雑談メモになってしまいましたすいませんすいません明日から頑張ります(短観もあるし)。