金融庁・銀行経営関連

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最近すっかりオモシロネタが無いので2013年度も継続利用orz

2015年度(までいきなりワープ)
2016/01/25「債券市場流動性に関するBISのペーパー」

2013年度
2013/09/04「レポ取引とデリバティブ取引に関する規制関連(FSBとバーゼル)」
2013/05/02「米国流動性規制に日銀から意見レター発出」

2012年度
2012/10/18「バーゼル委員会が国内システム的に重要な銀行にも規制を厳しくと」
2012/10/17「外銀に預金保険?/MMF規制関連」

2011年度
2012/03/02「日商会頭はこういう時だけセイフガーとか言わないようにしてほしいもんですが」
2012/02/27「AIJ投資顧問事件のとばっちりキター」
2012/02/24「謎の投資顧問会社が謎の損失を出しているのですが何で一般化した報道をされるのやら」
2012/01/13「金融庁と日銀がボルカールールに意見書提出」
2012/01/11「バーゼルの流動性リスク管理関連リリース」
2012/01/10「IMFが邦銀にストレステスト???」
2012/01/06「JCR内海社長のイイハナシダナー」
2011/09/29「東証が立会時間の変更を」
2011/08/24「日本振興銀行旧経営陣損害賠償訴訟を提起される」
2011/07/06「東京AIM債券市場に関しての加筆訂正」
2011/07/05「東京AIM債券市場に関して」
2011/06/09「震災被災者の2重ローン問題で自民党が住宅ローン債権放棄を”義務化”するとはこれ如何に」
2011/06/08「東証社長が上場している個別企業に関してコメントするのはおかしいのではないか」

2010年度
2010/09/10「日本振興銀行がペイオフに」
2010/06/30「国債決済期間短縮の行程表/格付けの公的利用を控えるそうですが」

2016/01/25

○バーゼル関連で興味深いペーパーが(編集時追記:債券市場の流動性に関するバーゼルペーパーです)

BISグローバル金融システム委員会報告書「債券市場の流動性」の公表について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160122d.htm/

『BISグローバル金融システム委員会(Committee on the Global Financial System <CGFS>)は、1月21日(現地時間)、以下の報告書を公表しました。

Fixed income market liquidity
(債券市場の流動性)

報告書の要旨部分(日本銀行仮訳 [PDF 211KB])
プレス・リリースおよび報告書(原文<国際決済銀行ウェブサイトにリンク>)』

ということでBISサイトの該当ページはこちら(英文)
http://www.bis.org/publ/cgfs55.htm(概要)
http://www.bis.org/publ/cgfs55.pdf(フルテキスト35枚組)

でまあこっちをネタにして話をすると格好が良いのですが、惜しくも読み込めている訳が無いので(大汗)、とりあえず報告書の要旨部分の仮訳で勘弁してつかあさい。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/data/rel160122d.pdf
グローバル金融システム委員会報告書
「債券市場の流動性」
要旨(日本銀行仮訳)


つーてもこちらも6枚組だったりしまして結構あるのですが、まあお話自体は別に日本にフォーカスしている話ではないので主に海外ネタというのもありますが、日本の課題でしょうなあと思われるのがちょこちょこありますな。

『1.流動性の供給減少と需要増加 』の所ではこの辺りがそうですよねという感じで。

『ベンチマーク債券市場においても市場が脆弱化?

国債市場、特にベンチマーク銘柄の取引市場では、市場の様々な指標からみると、(通常時の)流動性に変化は殆どないように見える。しかしながら、こうした市場においても、(ストレス時に)流動性が急低下しやすくなっていることを示唆する兆候が幾つかみられる。こうした市場の脆弱性の原因を特定することは難しいが(下記参照)、最近の市場でのストレス事例は、一部の市場では、アルゴリズム取引の台頭が流動性に影響しているかもしれないことを示唆している。』

『流動性の二極化が継続

国債のオフザラン銘柄や社債等のその他の市場については――そもそも厚みに欠けている多くの市場を中心に――更に流動性が低下する二極化の兆候がみられている。これらの市場では、既存のディーラーのマーケット・メイク能力低下が、彼らが提供してきたサービスを代替する存在が限られていることから、流動性へより大きく影響したとみられる。


でもって・・・・・・・・・・・・・

『価格ではなく、主に量を通じて調整

こうしたトレンドは、潜在的には取引コストの上昇要因となるものであり、最終的には発行市場における資金調達コストを引き上げる可能性があることを意味している。しかしながら、これまでのところ価格(コスト)ベースの指標――ビッド・アスク・スプレッドや流動性プレミアム――が大幅に変化する兆しはみられない。多くの市場参加者は、この理由のひとつとして、新たな状況への調整が主に価格より量を通じてなされていることを指摘している。例えば、多くのディーラーが大きなポジションを保有することに対して消極的となっており、大規模な取引の執行には、より複雑かつ時間がかかるようになっていると聞かれる。このほかの理由として、以下の幾つかの要因が相互に絡み合い市場流動性に影響を与えていることが挙げられる。』

ということで以下で規制要因、技術革新要因、金融政策(による市場抑圧)要因を指摘していますが、この「価格ではなく量で調整」という事象については、それが行き着いた結果として起きた事例としていわゆる「運用部ショック」があると思うの。

運用部ショックって運用部国債買入停止がトリガーになったから運用部ショックとか言われていますけれども、あれって元をただせば東証のシステム変更(その前の年の10月だか11月だか)によって当時殆どのヘッジ取引が集中していた債券先物市場の価格が無茶苦茶飛びやすくなって、債券市場のヘッジツールがワークしにくくなり、その結果として大口取引に対してマーケットメーカーが取引リミットを設けるようになって(ヘッジしようとすると値が盛大に飛ぶんだから仕方ない)、大口の「量」が捌けなくなったという事が背景にあって、別に運用部買入のどうのこうのが本当に悪かったのかというとあくまでもきっかけだっただけの話なんですよね。

つーことで、実は量で調整するという市場流動性って、APPによって市場流動性を吸収することによって金融政策効果を出そうとしている政策を戻すときに物凄い勢いでリスクになるので、この「量で調整」が行き過ぎると出口政策そのものが出来なくなるというオソロシスな事態を呼び起こす訳で、市場流動性なんぞ潰しても金利が戻れば戻るだろとか政策当局って割と安易に考えている節がだいぶあるので懸念されるポイントではありますな。


でもって『3.新たな状態への移行 』という章を見る。

『マーケット・メイカーの耐性強化

マーケット・メイカーによるリスクテイクは、市場の厚みを増すことを通じて、市場流動性を拡大させうる。同時に、マーケット・メイカーによるリスクテイクは、それが適切な資本や頑健性のあるリスク管理手法による裏付けがなければ、彼ら自身の耐性を損ないうる。マーケット・メイカーの耐性維持にはコストがかかるが、金融危機前に彼らが提示していた取引価格には、こうしたコストが反映されていなかったことが示唆されている。割安な流動性サービスが提供されていたのは、主要金融機関に対する公的セクターからの暗黙の支援に対する期待によるものであった。こうした状況で、主要マーケット・メイカーは流動性急低下の連鎖が生じうる源泉となっていた。』

『危機後の規制改革はこうした脆弱性に対して、銀行の市場、カウンターパーティおよび資金調達リスクに対する耐性を高めることで対応することを目的としている。市場が安定期にある場合はこうしたリスク(脆弱性)と市場流動性との関係は薄く見えるかもしれないが、仮にこうしたリスクが顕在化することがあれば、それは市場に極めて重要な影響を与えうる。』

・・・・・・・・・・・・まあ言いたいことも分からんではないのだが、そもそもマーケットメークのリスクを下げるには市場流動性が無いといけないので、マーケットメーカーの資本が弱いのが原因というような話をされるのもちと違和感が。本文の方を真面目に読んでいないので端折られている感はあるけれども、この論法だとマーケットメーカーに対する資本賦課を上げれば流動性が上がるような話になりそうだが、そもそも論としてそうなった場合にはマーケットメーカーをやるインセンティブが下がるので流動性下がって、流動性が下がると更にリスク取り難くなるというような方が現場労働者的な感想になるんだが。

という疑問に対しての説明はある。

『耐性のあるマーケット・メイカーと耐性のある流動性―トレードオフ?

規制によってもたらされたマーケット・メイカーの耐性強化は、市場仲介コストを上昇させている。このことによって、金融仲介機関の耐性強化と、市場流動性の耐性強化との間にトレードオフがある、との誤った印象が生じているかもしれない。』

ほうほう誤っているとな。

『現在と金融危機前の流動性コストをそのまま比較することは、市場機能の変化が進展していることを無視しており、ミスリーディングである。中期的にみれば、金融仲介機関の耐性強化によって、市場がストレス下にあってもより上手くリスクを吸収することが可能となり、市場が混乱するリスクを低下させることができるはずである。


そ、そうなのか?????

『また、技術進歩や、それに伴い現在進んでいる変化(新たなプラットフォームへの流動性の集中やオーダーマッチングの効率性向上等)も、ディーラーによる即時サービスのコスト上昇による影響を和らげる一助となるはずである。


オーダーマッチングとかの話はその通りだと思うのですが、それによる効率化でポジションリスクを取らなくても済むようになる問題と、何かあった時にマーケットメーカーがリスクを取って流動性バッファーになれるという問題は話の次元が違うように思える。


『新しい市場環境への政策対応

市場参加者による移行が進んでいる中で、関連するリスクを注視していくことは、政策当局にとって引き続き課題である。また、流動性供給やその頑健性の変化は、金融政策の波及経路や中銀オペレーションの有効性にも深く関係しうる。こうした観点からは、流動性の状況を仔細に確認していくとともに、新しい流動性供給主体や取引プラットフォームが市場参加者間のリスク配分に与える影響についても評価していく必要性がある。政策当局は、電子取引の普及から流動性の高い市場で重要性を高めているアルゴリズム取引の影響を更に分析するとともに、ストレス時への対応策としての市場慣行の有効性について評価を行う必要があるかもしれない(サーキットブレイカーの長短所等)。


まあ最後の話に関しては一般的にそうですねという話ですが一応まとめっぽいので引用しておきました。



でもってもう一本

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160122c.htm/
BIS市場委員会報告書「債券市場における電子取引」の公表について

というのがあって、BISとは別件ですが金融取引技術絡みで

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160122a.htm/
ITを活用した金融の高度化の推進に向けたワークショップ(第1回「求められる金融ITの変革」)を開催

というのがありまして、後者の方は市場取引とかではなくて金融取引(与信とかも含めて)における金融関連でのIT技術活用という話も金融の今後という意味では重い話だったりするのですが、時間と頭の整理の都合上パスという事で勘弁。






2013/09/04

○今度はレポ取引に関する規制関連ドキュメントが出ております(ただし英文orz)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130903a.htm/
金融安定理事会による「シャドーバンキングの監視と規制の強化:証券貸借・レポ取引のシャドーバンキングリスクに対処するための政策提言」の公表について

でまあ原文(市中協議文書と含む)はこちら。

http://www.financialstabilityboard.org/publications/r_130829b.pdf
Strengthening Oversight and Regulation of Shadow Banking
Policy Framework for Addressing Shadow Banking Risks in Securities Lending and Repos

でまあレポ取引に関する金融安定化に対するリスクがどうのこうのという説明が最初の方に延々とあるのですが、小見出しだけ引用しますと・・・・・・・

『1.1 Pure shadow banking risks』

『(i) Using repo to create short-term, money-like liabilities, facilitating credit growth and maturity/liquidity transformation outside the banking system
(ii) Securities lending cash collateral reinvestment』

『1.2 Risks that span banking and shadow banking

(i) Tendency of securities financing to increase procyclicality of system leverage
(ii) Risk of a fire sale of collateral securities
(iii) Re-hypothecation of unencumbered assets
(iv) Interconnectedness arising from chains of transactions involving the re-use of collateral
(v) Inadequate collateral valuation practices』

中身に関しては本文4p(PDFの8ページ)以降にこの辺の説明があるのですが、よーするにレポ取引によって資金ポジションのレバレッジやクレジットエクスポージャーのレバレッジを拡大し過ぎた場合に、問題が発生した時にレバレッジの解消によるカウンターシクリカルな金融システムへの悪影響とか、対象資産のファイヤーセールによる悪影響の波及とかがリスクですよ云々というような認識を示しているように読めました。

いやまあそうですなとゆー所ではあるのですが、こんなの米国みたいに証券化商品とかのレポがホイホイ行われているケースではそうかも知らんが、日本のレポ取引って多分99.9%は国債の在庫ファイナンスとショートセールのカバーのために行われている国債流通市場の円滑化の為のツールであって、金融安定化へのリスクとか言われてもお前は何を言ってるんだ状態でして、やんちゃやってる所になんでそうじゃない所が合わせないといかんのよとこの手の規制ネタを見ると毎度思うのでありまする。

んでまあ本文6ページ(PDFの10ページ)に『2. Policy recommendations related to improvement in transparency』ってのがあってああだこうだと政策提言が書いてあるのですが、説明部分が付いていて読みにくいので、政策提言の方は本文20ページの『Annex 1: Policy recommendations on securities lending and repos』というのを見るのが吉かもしれません。

で政策提言のうち「集中清算機関で決済されない証券のレポ取引に対するヘアカット規定」に関するパブコメは本文22ページに『Annex 2: Proposed regulatory framework for haircuts on non-centrally cleared securities financing transactions (for public consultation)』というのがありますのでそれを読んでちょという所ですが、どうも見た所、さすがに「格付けの高い国債」についてはこの規制の対象外っぽく読めた(本文25p〜27p辺りをご覧あれ)ので、これでいきなり国債流通市場に影響ががががという話にはならんとは思うのですが良く判らん。

あと、この集中清算機関というのに日本の場合JGBCCが入るのかどうかの定義もよく判らん(入りそうな気がするが)ですなという事で、要するに紹介したものの解説になっていないじゃないかというツッコミはしないようにお願いします(^^)。


じゃあこのFSBのペーパーでどの辺が影響しそうかというのですが、まあ当然ながら不肖このアタクシもザクザクと斜め読みしただけですし、その前の流れをちゃんとわかっている訳では無いので誠に恐縮ではございますが、もっともメンドクサというのは本文40ページ(PDFの44ページ)にあります『Annex 4: Different approaches to data collection (in relation to Policy Recommendations 1-3)』という所にある辺りでしてですな。

『The data that public sector officials need to support their financial stability monitoring needs can be collected in several ways: through (i) regulatory reports, (ii) compulsory market surveys, or (iii) a trade repository (TR). Standardisation of the information collected is important to make it comparable across national markets and get a broad picture of the activity in securities lending and repo markets as they become more global.』

まあ要するに金融安定化のためにという錦の御旗の元、監督当局は市場の状況をより詳しく把握すべきという事で、その結果として何がどうなるかと言いますと、市場参加者が出すべき報告がより一層マンドクサになるという話になりそうなのよね。

具体的には本文46ページ(PDFの50ページ)以降に『Annex 7: Summary of Market Surveys on Securities Lending and Repos』とあって、色塗りの綺麗な表が3ページほど続いているのですが・・・・

『In January 2013, WS5 conducted a stock-taking exercise of the existing official market surveys and other forms of data reporting on securities lending and repos. The following tables summarise the responses received from Australia, Canada, ECB, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Spain, Switzerland, UK and US. The data items are taken from Box 1 of the November 2012 Consultative Document (Proposed information items for enhancing transparency/disclosure in securities lending and repos). The data sources of these jurisdictions are also summarised in Section 4 of this Annex.』

レポや証券貸借取引に関連するどのようなデータサーベイが現在実施されているのか、ということを各国の状況を並べて表示していて、その後のセクションで各国(地域も含む)の状況についての説明文があるのですが、まあ説明文はともかくとして図表をみるとサーベイをすべき(?)項目について色々とありますなあという所でして、FSB肝入りで更に細かく市場モニタリングをしようという話になるのでしょうから市場参加者としては益々事務手間増えますにゃあという所ではあろうかと存じます。

まあシャーナイっちゃあシャーナイ話なのですけどね。

#という雑談ネタでした


○似たような話だがこんなのも

これを出しているのはバーゼルとIOSCOの方ですが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130903c.htm/
バーゼル銀行監督委員会及び証券監督者国際機構による、中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制に関する最終報告書の公表について

公表文仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130903c2.pdf

さっきのレポに関してはレバレッジの監視や野放図な拡大防止という趣旨が最初にあるのですが、まあ規制の趣旨としてはこっちも論点的には似たような話なので、折角日本語があるから引用しておきますにゃ。本文1ページ目(PDFでも同じ)の『背景』から。

『2007年に始まった経済・金融危機は、銀行やその他の市場参加者の金融・経済ショックへの耐性が極めて脆弱であることを明らかにした。特に店頭デリバティブ取引に関し今次金融危機によって明らかとなったことは、これらの取引を通じた不透明かつ過度なリスクテイクを制限し、そのシステミック・リスクを低減するために、店頭デリバティブ市場の透明性向上や、店頭デリバティブ取引やその参加者に対する規制強化が必要になるということである。そこでG20は、2009年に、店頭デリバティブ取引に伴うシステミック・リスクを低減するための改革プログラムを開始した。2009年に当初合意された通り、G20の改革プログラムは、以下の4つの要素から構成されている。』

『・ 標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は、適当な場合には、取引所又は電子取引基盤を通じて取引されるべき。
・ 標準化されたすべての店頭デリバティブ取引は、中央清算機関(CCP)を通じて決済されるべき。
・ 店頭デリバティブ契約は、取引情報蓄積機関(trade repositories)に報告されるべき。
・ 中央清算機関を通じて決済されないデリバティブ契約は、より高い所要自己資本賦課の対象とされるべき。』

ようするにお前らプレーンなデリバはセントラルカウンターパーティーで決済しろやというのはまあ今に始まった話ではありませんがそういうことね。


で、ちょっと飛ばして『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制の目的』という所から。

『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制には、主に以下の2つの効用がある。』

『・ システミック・リスクの低減:』

まあそう来ますな。

『標準化されたデリバティブ取引のみが中央清算に適している。デリバティブ取引の多くは標準化されておらず、中央清算できない。2』

『2 IMFによる「国際金融安定性報告書」(2010年4月)の第3章では、金利スワップ取引の4分の1、クレジット・デフォルト・スワップ取引の3分の1、その他店頭デリバティブ取引の3分の2は、中央清算が可能なほど十分に標準化されたり、高い流動性を有したりしていないと推測している。』

ほっほー。

『これら中央清算されないデリバティブ取引の規模は想定元本でみて数百兆ドルに及び3、今次危機で顕在化したものと同様の、システミックな伝播・波及リスクを有している。』

『3 最近行なわれたBISの調査(デリバティブ取引に関する定例市場報告)によると、2012年6月時点における店頭デリバティブ取引の残高は、想定元本でみて総額639兆米ドルに上る。』

ふむ。

『中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制により、デリバティブ取引の相手方が債務不履行となった際の損失を相殺可能な担保資産を確保し、こうした伝播や波及の効果を低減することが期待される。また、証拠金規制には、より広くマクロ・プルーデンス面でも効用があり、不安定化をもたらし得るプロシクリカルな変動に対する金融システムの脆弱性を低減するとともに、金融システム内の無担保エクスポージャーの積み上がりを抑制できる。』

つまり標準的なデリバティブ以外のデリバティブ取引のコストを証拠金規制やバーゼル3での資本賦課によって高めることによって、そういう取引をバカスカ拡大させないでござるとまーそういう事を企図しているということですねわかります。

『・ 中央清算の促進:』

ふむ。

『多くの法域において、今後、ほとんどの標準化されたデリバティブ取引は中央清算が義務付けられることになる。しかしながら、証拠金をCCPに差し入れる必要が生ずることなどから、清算にはコストがかかる。中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制は、そのようなデリバティブ取引に伴う高いリスクを反映することによって中央清算を促進し、G20の2009年当初の改革プログラムをより効果的なものにする。これは、システミック・リスクの低減にも寄与し得る。』

んでもって証拠金規制は主要な金融取引を行う各国が包括的に掛けろという話が続きます。

『仮に証拠金規制が国際的に整合的でなければ、その実効性は損なわれ得る。証拠金規制の緩い法域への取引シフトにより、以下の2つの懸念が生じる。
・ 証拠金規制の実効性が損なわれる(規制の裁定)。
・ 証拠金規制の緩い法域で活動する金融機関が、競争上優位となる(不平等な競争条件)。』

まあそらそうですなという所で、具体的にどういう思想での施策をという話はまあ中身を読んでくらはい。

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2013/05/02

○日銀から出ていたドキュメントから少々

・これはどんどん主張していただきたいです

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130501d.htm/
連邦準備制度理事会による外銀規制の市中協議文書へのコメントレター発出について

『日本銀行は、2013年4月30日、連邦準備制度理事会が公表した外銀規制の市中協議文書に関して、コメントレターを発出しました。内容については、以下をご覧ください。』

ということで。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130501d1.pdf(正式版)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130501d2.pdf(抄訳)

でまあ手抜きで抄訳の方をメモメモ。

『我々は、本規則案(外銀等に適用される厳格なプルーデンス規制および早期矯正措置にかかる規則案)に対してコメントする機会を歓迎する。このレターは、本規則案についての我々の主な懸念を慎重に考慮するよう貴理事会に求めることを目的としている。我々は、本規則案が、(1)グローバルな金融システムの安定性向上を目的とする国際的な取組みと整合的でない点、および(2)その流動性規制を画一的に適用しようとしている点について懸念を有している。』

どういう事かと言いますと・・・・・・

『1.国際的な取組みとの整合性の尊重

我々は、本規則案が、米国金融安定の確保という貴理事会の問題意識に基づくものであると理解している。しかしながら、本規則案がグローバルな金融機関を対象とする以上、バーゼルVやG-SIFIsへの対応といった、現在も継続している国際協調の取組みの有効性を妨げるべきではない。

こうした見地から、我々は、外銀等の母国が国際合意に適合した規制、監督、モニタリングの体制を有している場合には、母国基準を満たした外銀等の米国拠点、特に米国支店・代理店網については、いかなる追加的な規制や手続も講じないよう求めたい。

また、我々は、早期矯正措置について、バーゼルVやこれに準じた母国基準と整合的な形で、資本水準等のトリガーが設定されるべきであると考える。さらに、矯正措置の発動前には、母国当局とホスト当局間の既存の連携枠組みを活用することが適当と思われる。』

勝手に俺様基準作ったら国際的な整合性取れないだろうし大体からして本国の方でちゃんと規制監督受けてるのに何でお前の所で追加的に1から100まで監督されないといかんのじゃお前ら他の国を馬鹿にしとんのかヴォケそもそもクレジットバブル起こしたのはどこの国か考えてから物を言えという事ですね分かります。

『2.より柔軟な流動性規制の枠組み

日本銀行は、わが国金融機関の財務状況やグローバルな流動性リスクについて、海外拠点も含めた形での考査やモニタリングを実施してきている。本枠組みは、国際金融危機に際しても十分に機能したものであるが、こうした経験に基づく我々の知見を踏まえると、流動性規制案には以下の懸念がある。』

でこの指摘がまさにご尤も。

『・外銀等の米国拠点、特にその米国支店・代理店網にまで、母国本部の流動性支援に依存しない流動性バッファーを保有させることは、グローバルベースでの効率的な流動性管理を阻害しかねない。これはまた、グローバルなリスク管理の分断や、グループ内での資金調達・運用構造の変化に伴う米国内・外拠点のリスク特性の複雑化を招きかねない。

・さらに、外銀等の米国拠点に対して米国内で継続的に流動性バッファーを保有させることは、外銀等の非米国拠点において国際決済通貨であるドル流動性の一時的な逼迫が生じた場合に対する対応能力を低下させることに繋がりかねない。これは、一時的かつ局所的な流動性の逼迫をより深刻にする可能性もある。』

米国だけで営業している金融機関と同様の流動性規制と一緒にするとか無理ゲーにも程がある話というのはこの流動性規制の話が出た時に結構のけぞった訳ですが、まあ当然ながらその指摘ですな。

『こうした流動性規制案の負の影響を踏まえれば、例えば、わが国のように、母国当局・中銀がグローバルベースのモニタリングを綿密に行っている国を母国とする外銀等の米国拠点は、規制の適用対象とすべきでない。我々は、外銀等の米国拠点、特にその米国支店・代理店網に対する流動性規制は、画一的な方法ではなく、柔軟に適用されるべきであると信じている。すなわち、流動性規制の適用にあたっては、まず母国当局・中銀による規制、監督、流動性モニタリングの実施状況、そして外銀等の個々の資金調達構造や米国金融システムに対するリスク特性を考慮すべきである。』

大体からしてお前らが羹に懲りて膾を吹きまくっているのに何でこっちが合わせなけりゃならんのだ従来からワシらはちゃんとやっとるんじゃということですね分かります。

『我々は、貴理事会が、上記を考慮し、我々の要請に沿った形で本規則案を修正することを求めたい。もし上記に関し質問があれば、遠慮なく連絡していただきたい。』

原文はこの通り。

『We would like to kindly request that the Board take into consideration the above and amend the Proposed rule in accordance with our requests. Should you have any questions concerning above, please do not hesitate to contact us.』

何か日本語にした方が怖いんですけど(^^)。

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2012/10/18

・こんなんありましたぞな

バーゼル銀行監督委員会による「国内のシステム上重要な銀行の取扱いに関する枠組み」の公表について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel121016b.htm/

『バーゼル銀行監督委員会は、10月11日、「国内のシステム上重要な銀行の取扱いに関する枠組み」(原題:A framework for dealing with domestic systemically important banks)を公表しました。』


プレスリリースの仮訳の方を。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel121016b.pdf

『2011年11月、バーゼル委はグローバルにシステム上重要な銀行(G-SIBs)に関する最終規則文書を公表した。G20首脳は2011年11月のG20サミットでG-SIBの規制枠組みを承認し、バーゼル委と金融安定理事会に対し、同枠組みを国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)まで拡張するよう要請した。』

ほほう。

『グローバルな観点からは全てのD-SIBsは重要でない一方、そのような銀行の破綻はシステミックでない銀行と比較して国内の金融システムおよび経済に、さらに重要な影響を持つ可能性がある。こうした銀行の中には、その(破綻や損失による)影響が、本来グローバルではないものの、クロスボーダーの負の外部性をもたらすものもあり得る。』

ほうほう。

『こうした背景に対して、バーゼル委はD-SIBsに関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定した。この枠組みは、銀行がストレス下にある場合および銀行の破綻が国内経済に与える影響に焦点を当てることによって、G-SIBsの規制枠組みに対する補足的な視点を取り入れている。』

それでそれで?

『D-SIBsの規制枠組みは、G-SIBsの規制枠組みを補完することから、バーゼル委は、各国当局がD-SIBsであると特定した銀行に対して、G-SIBsの規制枠組みの段階的実施と同様、2016年1月1日から原則を満たすよう求めることが適切であると考える。』

>G-SIBsの規制枠組みの段階的実施と同様、2016年1月1日から原則を満たすよう求めることが適切である
>G-SIBsの規制枠組みの段階的実施と同様、2016年1月1日から原則を満たすよう求めることが適切である
>G-SIBsの規制枠組みの段階的実施と同様、2016年1月1日から原則を満たすよう求めることが適切である

・・・・・・・・orz

いやまあバーゼルさんの仰ることも重々わかるのですが、どうしてこう財政締めろ(はバーゼルでは無いが)だの金融機関の規制枠組みを強化するだの、この景気がグローバルにアレな中にシバキアゲモードになるかねという所でございまして、1990年代後半から2000年代前半までの日本が不景気化のシバキアゲでどんだけエライコッチャだったか(途中にITバブルはありましたが)という件についての考察はお前らどうなってるねんという気がするのであります。かつての日本の場合はバランスシート調整を大量に血を流しながら何とか目処付けた所で海外経済という神風が吹きましたけど、今は世界揃ってあばばばばーでございますからのう・・・・・・

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2012/10/17

○規制云々の話が出ましたので小ネタを

・何でそうなるし??

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20121016-OYT1T01404.htm
外銀国内支店の円預金、預金保険制度の対象に

・・・・・・・うーむ、何かそんなことすると預金保険制度にまたまたストレスが掛かるリスクが高まるような気がしますし、大体からして「故日本振興銀行スキーム」を盛大に実施して集めた円預金が盛大に海外に流出して本国の方で使い込まれてお父さんとかされちゃうといった場合に誰得な話になると思うのですが。故日本振興銀行の場合はそうは言いましても不良債権せっせと作ってもまあそれは主に国内で費消された(のかどうか本当は知らんので推測で書いています、為念)でしょうが、外銀の東京支店が金をせっせと集めて全部本国に持って行ったらただの国富をドブに捨てるスキームになるのでご勘弁願いたい物でございます。

いやまあ預金保険制度の対象にするからその代り外銀の活動に関して本国まで乗り込んで行ってちゃんと経営を行っているのかをモニタリングして、必要であれば改善命令を出すとか言うのであればそれはそれで意欲的な話なのでどんどんやれと思いますけどね。

つーかね、別に何でもかんでも保護すりゃ良いものでもなくて、「これは保護されていませんよ」というような形できっちり周知することによって、自己責任原則というのも普及させないといかんと思いますけどなあというのって変ですかねえ。いやね、何でもかんでもいざとなると「お上」が出てきて何とかしてくれるみたいな発想が意識のどこかにあると、金融商品に見せかけた訳の分かんない詐欺商品とかに対する判断のハードルが下がって、その手の詐欺商品にホイホイ引っ掛かる人が後を絶たない、という事になりゃせんかと思うのですけどねえ・・・・・・・・・

#あ、別に外銀の預金をdisってる訳では無いので念のため申し添えます^^;


・MMF規制の話

http://www.fsa.go.jp/inter/ios/20121012-2.html
IOSCO(証券監督者国際機構)による最終報告書「マネー・マーケット・ファンド(MMF)に関する政策提言」の公表について

『IOSCO(証券監督者国際機構)は、10月9日、「マネー・マーケット・ファンド(MMF)に関する政策提言」と題する最終報告書を公表しました。内容については、以下をご覧ください。』

ということですが、この最終報告書の原文が8Mもある(みたいです)上に何か知らんがIOSCOのサイトが糞重くて全然ダウンロードできないという素敵な代物なのでまだ内容を読めませんというか読む気力が起きないので是非ここは金融庁様の仮訳をお願いしたい所ですが(すぐ人に頼るダメダメですなあ>あたくし)。

リリースの仮訳がでております。
http://www.fsa.go.jp/inter/ios/20121012-2/01.pdf
IOSCOによる最終報告書
「マネー・マーケット・ファンド(MMF)に関する政策提言」の公表について

『IOSCO 代表理事会は10 月3−4日にマドリッドで開催された会合で本報告書を承認した。米SEC の多数派の委員は本報告書の公表に反対したが、その他に反対はなかった。』

ますます報告書見たい所ですな。

『MMF の資産運用残高合計は約4.7 兆米ドル(2012 年第1 四半期末時点)であり、世界の集団投資スキームの約5 分の1 を占め、その市場規模は相当なものである。重要な信用及び流動性供給源であるMMF が金融危機を招いたわけではないが、2007−2008 年にかけての金融危機におけるMMF のあり方は、MMF が金融危機を蔓延させ、増幅すらさせる可能性を持ち合わせていることを浮き彫りにした。』

という国もありますがそうじゃない国もありますぞなもしという所ですが・・・・・・

『MMF の規模、特徴及びシステミック・リスク性は各国により大きく異なる。したがって、政策提言の適用も各国の既存の法規制構造の特殊性のみならず、各国の状況次第で、法域毎に異なる。』

『政策提言は全てMMF 市場の安全性と頑強性のために重要である。しかし、いくつかの政策提言の適用は、MMF 市場ひいてはより広い金融システムの機能に対する破壊的な影響をもたらさないよう段階的に実施されるべき場合がある。』

仰せの通りでございまして、国によって存在の意味合いが全然違うものをグローバルに一律規制みたいな話に持って行くのは如何なものかという論点からしましても結構なお話だと思いますし、それこそさっきの白川総裁のいう現実的なアプローチという意味では、話としては理に叶った措置ではないかと、このリリースの仮訳だけを見たら思う所でして、国際交渉の中で現実的な解決に落とし込む事ができたという点で政策当局の動きに対して評価できる話だなあとか思うのでございました。

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2012/03/02

・AIJ関連

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120301/k10013402661000.html
AIJに運用委託 一部企業基金公表
3月1日 12時35分

まあ誠にお気の毒としか申し上げようがございませんが、何ぼなんでも半分をこんなわけわかんない運用に突っ込むとかちょっとねえ・・・・・・という感じはしますが、それに関連してこのニュースには腰が砕けた。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120301/k10013411351000.html
日商“投資運用会社 国が監視を”
3月1日 17時46分

『今回の問題について、岡村会頭は、「非常に驚いている。規模の小さい企業などで作る組合などが、運用を委託していたケースが多く、そういう組合がAIJの運用状況や経営の実態を把握できていなかったことが、一番のポイントだ」と述べました。そのうえで、岡村会頭は、「年金の運用を委託している組合が、投資運用会社の経営に立ち入って運用状況などをチェックできる能力があるかというと非常に難しい。国が投資運用会社をどう監視していくか考えざるを得ない」と述べ、再発を防ぐため、国が投資運用会社の運用状況を監視するなどの対応をとる必要があるという考えを示しました。』(上記URLより)

・・・・・・・いやそうじゃなくて「内容の分からない物には投資しちゃだめ」っていう投資する時の基本を抑えれば良いという話で、こうなる側から「セイフガー」とかいうのに「規制緩和が重要」「官僚主導はケシカラン」とかいう(岡村さんが普段そう仰せなのかは存じませんが)のってお前は何を言ってるんだ(AA略)としか思えんのですけどねえ。

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2012/02/27

○早速大騒ぎキタコレ

ヤフーニュースのヘッドライン一覧を見るだけでゲップが出そうですが。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/aij/news_list/
AIJ投資顧問の企業年金資金消失問題
ニュース 45件中1〜45件を表示

まあ何ですな、厭債害債さんがエントリーを上げておられますのであたくしがああだこうだ申し上げる必要も無さそうですのでとりあえず厭債害債さんのエントリーを張るだす。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201202/article_2.html

纏めの所の・・・・

『やはり気になるのは規制当局との関係です。今回はまた慌てて投資顧問に一斉に調査が入っているみたいですが、所詮当局がどんなに頑張っても普通の世界で詐欺犯を完全に排除するのは無理だと思います。むしろ、こういう事件をきっかけに妙な規制ばかり増えてくるのが怖いのですね。もうリスク管理の世界では実際に起こっている話ではありますが。』(上記厭債害債さんのURLより)

というのが全くもって同意でありまして、早速このような動きが。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20120224k0000e040165000c.html
投資一任業者:全263社を調査へ…金融担当相
毎日新聞 2012年2月24日 11時57分

http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012022401043
来週にも一斉調査=投資顧問対象、AIJ問題受け−金融庁
(2012/02/25-00:37)

ということで早速ヒアリングがどうのこうのとか言う話が金曜日の時点で出た次第でございますが、はっきり申し上げて今回の事案って特殊事案のような気がするんですけど、まあこういう特殊事案で急に大騒ぎされますと普通に法令諸規則を遵守して運用やってる運用会社さんには飛んだとばっちりにも程がある訳で、早速あちこちの新聞では運用会社全てが無茶苦茶かのようなミスリード記事が乱発されているのがアレでございます(まあ毎日と産経という金融経済記事に関してはアレの2大巨頭みたいな所ですが)。つーか普通に考えてこの事案が特殊とか思わないのかね最近のメディアの皆さんは。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120224-00000089-mai-bus_all
<企業年金>揺らぐ信頼 投資顧問会社調査へ
毎日新聞 2月24日(金)21時41分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120225-00000119-san-bus_all
企業年金 揺らぐ土台 ずさん運用、高まるリスク
産経新聞 2月25日(土)7時55分配信

・・・・・・・えーっとね、そもそもこの会社の内容とか見ればアレ感爆発で普通の事案じゃないとかゆー感覚にならんのかねと思うのですが、最近のメディアは一々大げさに騒ぐのを仕事と勘違いしているんじゃないですかねえ。こんな特殊なインチキくさい会社の事案捕まえて「企業年金揺らぐ土台」とか、イカサマ未公開株投資詐欺があるから株式取引が全部胡散臭いとか言うのと同じくらい極端な話だろとか思うんですけどねえ。

で、尻馬に乗るのが得意な言うだけ番長(とか言うと出禁になるんでしたっけ)の前ナントカさんがこのように仰せのようで。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120226-00000050-jij-pol
年金消失で政府に提言=民主・前原氏
時事通信 2月26日(日)16時14分配信

・・・・・・・・ああまたかという感じでございます。

しかしまあ何ですな、許可制にすると官僚のナントカがどうとかとか言って登録制にして事後的に厳罰主義というような流れにしたらまあ言っちゃあ何ですがこのような事案というのが起きる可能性はそらまあ高くなるでしょと思うのでありまして、いざ問題事案発生して大騒ぎして今度はまたいきなり規制とかゆー事になりますと、許可制で官僚の権限ガー天下りガーとか喚いていたオメーら政治家およびメディア連中は従来の主張との整合性を良く考えなさいませと存じます次第ではございます。

まあこの事案に関しては、最初から詐欺のチャリンコ経営だったのか、入口は単にヘタクソなだけでそのヘタクソを誤魔化すためにチャリンコになったのか(いずれにせよ途中からはチャリンコ経営でインチキしないと全額飛ばすとか無理だと思うのだが)判りませんが、厭債害債さんのおっしゃるように、『ニュースを見ればすでに一部では過去に「第二のマドフ」とささやかれていたらしいのですがそれでも評価が高かったという声があったようですし、そういうところに対してもほとんど監督が働いていなかったという点を考えると、暗澹たる気持ちになります。日本でも悪意を持ってだまそうとしたら、これほどまで簡単に引っかかってしまうということで、もうこれは監督の限界を感じざるを得ないのではないかと思います。』(先ほどの厭債害債の所のエントリーより)というのに同意なのでありまする。

まあ何はともあれ調査する方もされる方もお疲れ様でございます。外国投信でFOFとかになってるのとかの調査がどうのこうのとか大変そうですよね。

#国内資産の場合は普通に牽制効いているとは思いますが、運用成績の報告をした結果「どうやると毎年ベンチマークに負けるんでしょうか御社って随分ヘタクソですね」とか言われたらそれはそれでorzですなあ(違)

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2012/02/24

・なんぞこれ

日経新聞のニュースより、(URLがクソ長いので記事へのリンクはニュースヘッドラインに貼ります)
http://www.nikkei.com/(←こちらはトップページです)
受託年金2000億円、大半が消失 AIJ投資顧問
「高収益」と虚偽 金融庁、きょう業務停止命令
2012/2/24 2:01 情報元 日本経済新聞 電子版

『国内独立系の投資顧問会社、AIJ投資顧問(東京・中央、浅川和彦社長)が企業年金から運用受託していた約2000億円の大部分が消失していることが23日、証券取引等監視委員会の検査でわかった。長期にわたって高い運用収益を上げているとの虚偽の情報を顧客に伝え、実態を隠していた疑いがあるとして、金融庁は24日、AIJに業務停止命令を出す。年金運用会社のずさんな実態が判明したことは、企業年金の運営に深刻な影』(上記URLより、以下有料記事なので引用不能^^)

年金運用会社のずさんな実態が判明したことは、企業年金の運営に深刻な影(強調は引用者ね^^)

・・・・・・・・?????????????????

さて、この記事だと肝心の文末が判りませんが、基本的にこの文脈だと語尾が「深刻な影響を与えそうだ」となっていると決めつけて以下悪態を書きますけれども、間違っていたら深く陳謝して当該悪態部分に訂正線を入れさせて頂きたく存じますので教えてちょ。

えーっと、これって単に個別企業の問題でしょ。何で『「年金運用会社」のずさんな実体が「企業年金」の運営に深刻な影響』って普通名詞の扱いになるの????日経新聞さんは年金運用会社に何か恨みでもあるんすか???

つーかこれ何をどうすると虚偽の情報を顧客に伝えるように出来るのかがさっぱり判らんのですが、ちゃんと牽制機能がワークしていれば虚偽の情報を長期に渡って報告とか出来ない筈ですよね。

と思ったら公共放送ニュースはこのように
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120224/k10013250411000.html
AIJ投資顧問 業務停止命令へ
2月24日 6時12分

『金融庁では、証券取引等監視委員会とともに、運用の実態や年金資金の損失の状況などを詳しく調べることにしていますが、顧客の企業年金などへの影響が懸念されます。』(上記URLより)

うん、普通の報道である。これはあくまでも個別企業の事案であって、被害が起きているのもこの会社に委託していた個別の顧客企業の話でありますからして、こういう話であれば穏当であります。

つーことで、この手の報道する時はもうちょっと用語の使い方を丁寧にして頂きたいと思うのでありまして、これじゃあ知らない人が見たら「年金運用会社」というものはずさんであるという印象操作に与する事になりかねませんわな、と思うのでございます。まあ一事が万事でこの手の丁寧さに欠ける報道によって起きるミスリード(金融機関の休眠預金問題で金融機関が批判されるとかもあれは報道の仕方がミスリードにも程があるからそうなる)によって「世論」とやらが変な風に沸騰してしまう事は国民経済的にも益に繋がらないのではないかと思うのでございます。

でまあ何ですな、さっきの民主党の皆様の話にもつながるのですが、説明する方は(自分を省みても思うのですが)普段の話をするときって共通の前提認識があるからその前提認識部分をすっ飛ばして話をしがちなのの延長を対外説明時に行ってしまうという事になりがちだと思いますので、自戒も含めて対外説明時には良くその辺を注意しながら説明したいものだなどとふと思うのでありました。

#長期不活動口座の問題にしたって「私たちは時効の援用をせずに、いつまでもお客様の預金であると認識してお預かりしているのですが、税務当局から利益扱いするようにと指導されているのでやむなく(というとどうせ税務当局が怒るので「やむなく」が使えないのが困るのだが・・・・・・・)利益扱いします。口座が復活したら損失扱いして通常の預金口座と同じ形に戻りますので、お客様の預金を勝手に懐に入れている訳ではありません」とか丁寧に説明してちゃんとそういう風に報道されているか確認する、って所になるんでしょうかね。よーわからんけどさ。

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2012/01/13

○ボルカールール関連

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120112a.htm/
ボルカー・ルール(案)に関する米国当局宛のレターについて

『金融庁及び日本銀行は、2011年12月28日、米国の金融規制当局が公表したボルカー・ルール(案)の市中協議文書に関して、米国当局宛に連名でレターを発出しました。内容については、以下をご覧ください。』

ということで内容はこちら。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel120112a1.pdf(原文)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel120112a2.pdf(抄訳)

めんどいので抄訳から。

『このレターは、ボルカー・ルール(案)に関する我々の懸念に対して、適切な考慮を求めるものである。2点指摘したい。』

『第一に、金融規制の国境を越えた影響について適切な考慮を行うことの重要性と、影響を受ける国との協調の必要性について指摘する。金融規制の域外適用に関して、母国当局が規制・監督の主要な責任を負っていることについては、米国も異論はないものと確信している。日本市場に対する悪影響が潜在的には深刻であること及び日本の銀行における関連取引のコストが大きく増加することを踏まえると、ボルカールール(案)の域外適用を控えるか、「支配」及び「関連会社」の定義を修正し、外国の銀行グループに支配される米国外のジョイント・ベンチャーや現地法人を含まないようにしていただきたい。』

いや全くでございます。

『我々としても、監督の質を更に高めるよう鋭意努めており、米国における日本の金融機関の活動について、綿密かつ効果的な監督を継続していく所存である。』


『第二に、我々は、ボルカールール(案)が、日本国債の取引に悪影響を及ぼすことを懸念している。』

ほほう。

『ボルカー・ルール(案)は、日本国債の取引コストを増加させ、米国の銀行の日本における現地法人の撤退につながるおそれもある。日本の銀行の中には、米国業務からの撤退や業務の大幅な縮小を強いられるところが出てくる可能性もある。このような反応により、日本国債の流動性や価格に更なる悪影響が及び得る。』

ふむふむ。

『現下の情勢において、世界のソブリン市場で同様の事態となる可能性がある。これを踏まえ、規制適用除外対象の証券を大幅に拡大し、日本国債を含めるようにしていただきたい。』

全くですな。

『我々の意見の詳細は、別添を参照されたい。別添においては、ボルカー・ルール(案)がもたらす以下の点に言及している。』

『1. 外国の銀行グループに属する米国外の拠点に対して、ボルカー・ルール(案)が直接に適用される点。

2. 規制適用除外証券が米国債等に限定されているため、日本国債及び他のソブリン債市場に対して深刻な悪影響が生じ得る点。

3. 短期の為替スワップ取引に対する規制により、米ドルの資金調達が困難になる点。

4. 米国外のファンドに対する投資決定に対して不確実性を生じさせる点。』

『また、この場を借りて、ドッド・フランク法716 条のいわゆるスワップ・プッシュアウト条項に関して、米国内銀行と比較して外国銀行が差別的な取り扱いを受けることとなっている点を再度指摘したい。本条項の起草者も、預金保険の対象となっていない外国銀行支店等を本規制の適用除外条項から除いているのは、意図しない結果だという議会証言を行っている。法案提案者が当初意図していたように、預金保険の対象となっていない外国銀行支店等についても、免責条項を含め、米国内銀行と同様の取り扱いがなされることを確保していただきたい。』

ということで結局抄訳を全部引用してしましましたが、こういうのはガシガシやって頂きたいと存じます次第で、金融庁と日銀の健闘を希望致します。

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2012/01/11

○とりあえずバーゼルV関連ネタのメモ(後で改めて読むかも)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120110b.htm/
中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループによるプレス・リリース「中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループがバーゼルIII流動性基準及び基準実施状況の評価についての戦略を承認」の公表について

『バーゼル銀行監督委員会の上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは、1月8日、バーゼルIII流動性基準及び基準実施状況の評価についての戦略について、プレス・リリースを公表しました。詳細につきましては、以下をご覧ください。』

ということで、詳細はこちらだが後でくわしく読んでみる所存。まあ流動性規制に関しては今年の金融市場にも影響を与える話になる筈だと思っていますので(あとは短期金融市場に関する規制(流動性規制と被る)および資本規制に加えて中央銀行の担保政策)本件は要確認かなあと。

バーゼル委員会のリリース
http://www.bis.org/press/p120108.htm
Basel III liquidity standard and strategy for assessing implementation of standards endorsed by Group of Governors and Heads of Supervision
8 January 2012

仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel120110b.pdf

一応ちょっとだけ引用しておく。

『バーゼル委は、バーゼルIIIに加え、バーゼルII及びバーゼルII.5(すなわち、2009年7月の市場リスク及び再証券化の取扱い強化)の実施を評価する予定である。また、総裁・長官グループは、評価結果を公表するというバーゼル委における合意を承認した。バーゼル委は、結果公表に関する手続きを議論し、定義する予定である。総裁・長官グループはまた、最初のピア・レビューは、欧州連合、日本、及び米国における実施評価とすることにも合意した。これらのレビューは、2012年の第1四半期に開始される。』

ほう。

『流動性カバレッジ比率に関して、総裁・長官グループのメンバーは、銀行は安定的な資金調達構造と、ストレス時に流動性ニーズを満たすために利用可能な高品質の流動資産を保有するべきである、との中心的な原則を改めて確認した。流動性カバレッジ比率が実施されれば、その100%の閾値は、平時における最低基準となる。しかし、ストレス期には、銀行はその流動資産プールを利用することが予想され、結果として最低要件を一時的に下回ることもあり得る。バーゼル委は、平時に積み上げられた流動資産は、ストレス時に利用されることが意図されていることを明示的に定め、流動性カバレッジ比率のルール文書を明確化することにより、この原則を更に説明することを求められた。また、バーゼル委は、流動性プールの利用が正当化される状況について追加的な指針を提供する予定である。更にバーゼル委は、流動性カバレッジ比率の働きが中央銀行の政策を阻害したりこれと抵触したりすることがないよう確保すべく、ストレス期において中央銀行が銀行といかに関わり合うかについて調査する。』

中々お経ちっくでアレでございますが(単にあたくしの頭が悪いだけ)、まあ要するに流動性カバレッジの比率が高めの所に設定されそうな話で、そうなりますと即ち金融機関のレバレッジが掛けにくくなりますよねと思うのですが、それで良いのか金融業界と思う面もだいぶあったりする。まあバーゼルクオリティだからこうなるのですけれども。

『また、総裁・長官グループは、流動性カバレッジ比率を最低基準として2015年に導入することへのコミットメントを再確認した。メンバーは、ネット資金流出の水準についてのいくつかの調整とともに、高品質の流動資産プールに関する個別の懸念に対応することにより、流動性カバレッジ比率の鍵となる側面を最終化することに向けた、バーゼル委の焦点の当て方、作業の道筋及びスケジュールに係る提案を完全に支持した。現在検討されている修正は、いくつかの鍵となる側面にのみ適用され、規制枠組みの根本的なアプローチを大きく変更するものにはならない。』

まあ規制強化になりそうな悪寒。つーか流動性カバレッジどうのこうのとか言われると、商業銀行というか預金金融機関はそらまあそもそも流動性バッファがあるから良いけど、投資銀行とか証券業者とかの場合はそもそもが商品有価証券を在庫に持ってクルクル回すのがお仕事であって、そういう人を捕まえて流動性カバレッジとか言われると商売するのに大変ですがなという話になるような気がするんだが、要は投資銀行なんぞするなという事ですかねえ。

『総裁・長官グループは、バーゼル委に対し、これら3つの点についての提案を2012年末までに最終化の上で公表するよう指示した。キング総裁は、「流動性カバレッジ比率の狙いは、銀行に平時には健全な資金調達構造と十分な流動資産を確実に保有させることで、中央銀行が、最初の貸手ではなく最後の貸手としてのみ役割を果たすことが求められるようにすることにある。流動性カバレッジ比率はいくつかの銀行にとって大変な課題となるかもしれないが、強固な流動性の枠組みがもたらす便益は、これに伴う実施コストを上回る。」と述べた。』

そうですかねえ。何かバーゼルの庭先論になって金融が委縮する結果経済の停滞を招いたりしませんかねえ。

ということでとりあえずメモでした。

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2012/01/10

○金曜に微妙にネタになっていたネタ

WSJより(全文は有料記事だが検索エンジン経由の場合見れる場合もあり)
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203471004577142400394236924.html
Japanese Banks Get 'Stress Tests'

ということで何でまたこの時期にストレステストよという感じですが。

『TOKYO-The International Monetary Fund is conducting "stress tests" on Japanese banks to gauge how vulnerable they are to a potential drop in the value of their huge holdings of Japanese government bonds, people familiar with the matter said. The move could sharpen investors' focus on the risk to Japan's economy from its ballooning debt.』

『Credit-ratings firms, investors, and even Japan's central-bank governor have expressed concerns about the growing debt, now equal to about twice the country's annual economic output, but much of the attention has been on the government's ability to sustain its large budget deficits. 』(以上上記URLより、以下は有料記事)

以下は有料記事の為引用しませんけど、まあ話としては日本の財政がアレで金利が急騰したら日本の銀行がエライコッチャであることを懸念するのでストレステストをするでしょうというような記事ですが、まあこの手の記事によくある毎度おなじみのソース、『people familiar with the matter』って奴なのが実にこうアレな上に書きっぷりがどうも日本に対して悪意ある記事だわとか思う訳で、日本の心配する前にお前らの心配しやがれや雨公はと思ってよくよくこの記事のクレジット見たら『By TAKASHI NAKAMICHI』って海外メディアに良く存在する反日あるいは侮日日本人ですかそうですかこんなの日本入国拒否モンだろこんなのという感じではございましたです、はい。

ちなみに、IMFでは「Financial Sector Assessment Program (FSAP)」というのをやっていまして、過去のレポートとかこちらを見ると出ています。

http://www.imf.org/external/NP/fsap/fsap.aspx
Financial Sector Assessment Program (FSAP)
Last updated: Monday, November 14, 2011

んでもって年ごとのソート(デフォだとそうなっている)と国ごとのソート(Sort By: Date | Countryという所をクリックするあるよろしある)ができますが、日本の場合は2003年の9月に実施されています。

http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.cfm?sk=16865.0
Japan: Financial System Stability Assessment and Supplementary Information
Published: September 5, 2003

でまあURL先にテキストへのリンクがあったりしまして、まあこれを読むと前回は不良債権問題がどうのこうのというような話と、この時も金利が上昇するとどうのこうのという話をややしているように読めた(超斜め読みなので違ってたらゴメン)訳ですが、IMFクオリティで庭先掃除的というか他人事というか、まあ何だかそういう話は平常時にしておけやヴォケというようなレポートのような風情を感じるのでありました。


なお、どうでも良いがその関連でIMFのページ見てたらこんなのがあるのに気がついたので、暇だったら読んでみようかと存じます(まあサマリー見た所で何となく内容は想像できるので暇なときに)。

http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.aspx?sk=25483
Bank of Japan’s Quantitative and Credit Easing: Are They Now More Effective?

『Summary: This paper asks whether the BoJ’s recent experience with unconventional monetary easing has been effective in supporting economic activity and inflation. Using a structural VAR model, the paper finds some evidence that BoJ’s monetary policy measures during 1998-2010 have had an impact on economic activity but less so on inflation. These results are stronger than those in earlier studies looking at the quantitative easing period up to 2006 and may reflect more effective credit channel as a result of improvements in the banking and corporate sectors. Nevertheless, the relative contribution of monetary policy measures to the variation in output and inflation is rather small.』

ほうほうそうですか。

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2012/01/06

○イイハナシダナー(;∀;)な雑談:JCR内海社長の年頭所感

日本格付研究所様の社長様の年頭所感が素晴らしいので引用。

http://www.jcr.co.jp/top_cont/report_desc.php?no=2012010410&PHPSESSID=a213d0243dd4fe4a999491694415a73a
【年頭所感】格付会社のあり方
日本格付研究所代表取締役社長 内海 孚 2012年01月04日

『2011年ほど、格付が市場とメディアを賑わせた年はなかったろう。それによって、格付について、その根元から考えさせられることになった。』

全くでございます。

『その先頭に立つのが、1格付会社による米国国債の格下げであった。』

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

『米国の行政府及び議会の財政赤字削減についての交渉の難航が、この国の政策立案の機能不全という認識を生み、それが格下げにつながったということであろう。しかしながら、米国経済が破綻したら、この世界で破綻を免れる国も、多国籍企業も存在しないという事態になるだろう。その意味で、米国債の格付は、少なくとも現段階ではこの世界における格付の基軸となるべきものである。従って、その格下げには、慎重な上に慎重であることを要すると思う。』

イイハナシダナー(;∀;)

という感じでバッサバッサと他の格付け会社を斬る様はまさに講談の荒木又右衛門状態ですので、その辺は上記URL先の全文をご覧いただくと吉かと。

で、まとめの部分。

『格付会社は、格下げによって国や企業の資金調達を困難にし、その命運を絶つことができるという意味で、慎重な上にも慎重な配慮が必要である。少なくとも、市場の動きに便乗したり、これを徒に加速したりすることは厳につつしまなければならない。』

>市場の動きに便乗したり、これを徒に加速したりすることは厳につつしまなければならない
>市場の動きに便乗したり、これを徒に加速したりすることは厳につつしまなければならない
>市場の動きに便乗したり、これを徒に加速したりすることは厳につつしまなければならない

『その意味で、格付会社は私企業であるが、公共財としての側面を併せ持つという認識に立って行動することが求められる。』

『JCRの行動基準を振り返るとき、我々と他社との基本的姿勢の違いは、上記マンソー教授の云う「格付先のSurvival」について可能な限り配慮するかどうかというところにあったのではないか。その意味で、この論文によって力づけられるところは大きい。今後も、混乱が続くであろう市場の中で、今や、米国の証券取引委員会(SEC)及びEUの格付規制当局のいずれにも登録を認められ、欧州主要国によって適格格付機関として認定されているわが国唯一の格付会社として、我々はその基本的姿勢を、確固として守って行くことが重要であると痛感される。』

まあ何ですな、マジレスしますとこの辺りって賛否の分かれる論点ではあるとは思いますが、少なくとも金融に関連する規制などのあり方がプロシクリカルに事態を悪化させるように作用するという流れの中に現在の格付け会社の行動もある、というのはご指摘の通りではございますので、これは中々良い論点のお話ではあろうかと存じます次第。

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2011/09/29

・東証の新システムで立会時間が変更になる件

一昨日の発表で恐縮でありますが。

http://www.tse.or.jp/news/03/110927_a.html
次期Tdex+システム及び第3次ToSTNeTシステムの本番稼働について
2011/09/27 更新

『当取引所は、先物取引及びオプション取引を取り扱う「次期Tdex+システム」並びに株式及びCB等のToSTNeT取引を取り扱う「第3次ToSTNeTシステム」を、平成23年11月21日から本番稼働させることを決定いたしましたのでお知らせいたします。』

ほほう。

『※ 平成23年11月19日の本番移行テスト後に最終稼働判定を行います。※ 本システム稼働に併せて、現物市場及び派生商品市場における昼休みの短縮並びに派生商品市場におけるイブニングセッションの延長等の取引時間の一部見直しについても、平成23年11月21日から実施いたします。詳細につきましては、以下の「取引時間の一部見直し」を参照下さい。』

冬季も節電しないといけないんじゃなかったでしたっけ???というツッコミは兎も角として、「取引時間の一部見直し」のPDFファイルを見たら微妙にアレな記述が。

http://www.tse.or.jp/news/03/b7gje60000020052-att/20110927_leaflet(TradingHours).pdf
東京証券取引所は、幅広い投資者層の取引機会を拡大する観点から、現物市場及び派生商品市場における取引時間を一部拡大します。

で、よく見ると債券先物取引の時間がこうなるのですか。

国債先物取引
9:00 - 11:00 ⇒ 8:45 - 11:02
12:30 - 15:00 ⇒ 12:30 - 15:02
15:30 - 18:00 ⇒ 15:30 - 23:30

イブニング23時半までやって誰得なんだよと思うのですが、先物2分間延長というのがまあ何かの意味があるのでしょうけれども何で2分とか延長したんだか。大体からして東証は商売したいから時間延長したいのは判るが、国債入札とかオペとかの都合もあるんだからあまり昼の時間の立会長くするんじゃねえと思うのですけどねえ。まあどうしても「時間を変更したかった」んでしょうけれども。

あと、これって投信の設定解約の基準時間とかにも影響与える可能性があるような無いようなという感じ(たぶん現物株式の立会時間に変化がないから変化がないという結論になるとは思いますけどよー判らん)ですが、まあ前々からやる気だけは示していたのでその辺の話はついているんでしょう、とは思います。

11月21日からは引けのお時間にはご注意を(^^)。

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2011/08/24

○超雑談だが

http://www.dic.go.jp/kanzai/sekinin1.html
日本振興銀行の旧役員に対する責任追及訴訟の提起について
平成23年8月23日
預金保険機構

『3.同銀行は、平成19年12月以降、株式会社SFCG(現在破産手続中)から合計17回にわたり総額1705億円に及ぶ大量の貸付債権を額面で買い取りました。これは、SFCGに対する実質的な信用供与であり、同銀行破綻の大きな原因の一つでした。調査の結果、この買取りのうち、平成20年10月及び同年11月の2回にわたる合計460億円の貸付債権の買取りについては、買取対象となる貸付債権自体の価値に大きな問題があったこと、連帯保証人であるSFCGの資金繰りが悪化し、その支払能力が極めて低くなっていたこと、それにもかかわらず大幅な担保不足が生じていたこと、これらの事実が旧役員にも明らかとなっていた中で、旧役員全員が取締役会において賛成して承認決議をし、その結果、買取りが実行され、その後、現に買取債権を回収できずに損害が生じていることなどが判明しました。当機構は、整理回収機構の代理人弁護士とも協議を重ね、この買取りの承認は旧役員の取締役としての善管注意義務に違反する行為であり、これによって生じた損害については、当時の取締役7名に対し、会社法423条1項に基づく賠償責任を問えると判断しました。』

ほほう。

『4.また、木村剛が、同銀行の役員を辞任した昨年5月以降、その近親者らに対し、強制執行の引当てになるはずの自己の責任財産を散逸させていたことも判明しました。当機構は、この点についても整理回収機構の代理人弁護士と協議し、この行為は民法424条に定められた詐害行為に該当し、取消しの対象となるから、近親者らの手に渡った財産を木村剛のもとへ取り戻し、強制執行の引当てにできると判断しました。』

詐害行為取消請求権キタコレ。金貸しの手先をやってた時にはよくこの言葉を使っていましたなあ(遠い目)。

まあ何ですな、こちらの銀行さんは設立当初から「1000万円までは預金保険でカバーされるのがポイントです」(木村氏のブログは惜しくも閉鎖されているので当時の素敵な言葉はどっかのキャシュでも拾ってこないと無い)とか預金保険機構制度にフリーライドする気満々という素晴らしい設立理念をお持ちでございましたので、まあそーゆー意味では悪質性が高いっしょと思うわけでして、どんどんこういう提訴をしていただきたく整理回収機構様および預金保険機構様におかれましては頑張って頂きたいものだと存じます。

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2011/07/06

○東京AIM関連ネタの続き、というか訂正とか補足とか

昨日は東京AIMの特定投資家向け債券市場に関するネタを書いたのですが、早速ご指摘を頂きましたので謹んでお詫びして訂正しながら関連ネタの続きを致したく存じます。ご指摘頂きました読者様には感謝感謝でございます。

昨日もURL付けましたが東京AIMのリリースおよび資料はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf

でですな、こちらの資料を見るとPDFファイルの39ページ以降にQ&Aのコーナーが延々とございまして、そこの『売買制度(業務規程等)』(PDFファイルの53ページ)という所にこのような記載がございましたでありまする。

『Q47 上場債券の売買は取引所外で行ってもよいのですか。

A47 従来の債券と同様、取引所外において売買を行っていただいて結構です。』(強調部分は引用者による)

・・・・・・という事でございますので、昨日書いた時には市場集中義務があるかと勘違いしてああでもないこうでもないと書きましたが、全面的にあたくしの確認不足でございましたので、関係者および読者の皆様に陳謝すると共にここに謹んで訂正させていただく所存でございます(が賠償は致しません^^)。

と、訂正をした上で更にQ&Aを見ると謎の記述が同じページの最後の方に(^^)。

『Q51 取引所取引は、課税玉と非課税玉のどちらを前提としていますか。

A51 債券利子に係る税制上、債券の利子に関して課税対象となる債券(課税玉)と課税対象とならない債券(非課税玉)がありますが、取引所における売買は課税玉を前提としています。これは取引所が非課税玉を前提としようとしても、取引所での取引においては受け渡しの対象となる債券の過去の保有者の履歴を特定することができないため、取引所外での売買を通じて課税対象となる者(個人及び資本金1 億円未満の法人)が保有した履歴を持つ課税玉が受渡債券に入る可能性があるからです。課税玉の混入が排除できない以上、課税玉を前提とした売買とせざるを得ません。したがって、経過利子から税額相当分を差し引いた金額を売買代金に加算した金額を受け渡すことになります。』(強調部分は引用者によります)

えーっと、特定投資家向けの債券市場なのに何故課税玉前提に???ということで、市場集中義務どころか、よくよく見るとそもそもこの建付は「取引所での取引を前提にしていない」というかなり謎のプログラムになってますな。

#つーか、その後に続く理由の所読んでいて思ったのですが、債券先物の最終決済をする時って取引所経由になるのですが、利払い銘柄以外を受け渡そうとすると自動的に課税玉扱いになるのかと一瞬悩んだが、そもそも国債の場合は今の振決だと課税玉にならないという話になるんでしたっけとか書いているうちに頭から湯気が出てきたので後で調べる(汗)

じゃあこのプログラムで東京AIMはどうやって儲けるのと思いますと、どうもプログラムに登録する際に口銭払わないといけないとか、そっちの方で商売をするようで、この市場って開示の仕組みの改善を取引所が行うけれどもセカンダリーは知らんがなという取引所としては良くも悪くも画期的な施策。つーかまあ個人的に申し上げますとセカンダリーの方を放置プレイで発行だけ取引所がやりまっせというのは何だか取引所虫が良すぎというか美味しい所だけ取っていくんかいという気がするのでありますが。


でね、その点で申し上げますと、Q&Aの次のページ(PDFファイルの54ページ)以降に『法令、その他』というのがあるのですけれども・・・・・・

『Q55 上場債券の勧誘を行うに当たって、金融商品取引法に基づき締結が求められる譲渡制限契約について教えてください。

A55 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、発行体と投資家との間及び証券会社と投資家との間でそれぞれ譲渡制限契約を締結することが求められます。

また、TOKYO PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合には、特定投資家向け売付け勧誘等に該当し、勧誘を行う者と投資家との間で譲渡制限契約の締結が必要となります。

参考条文:
特定投資家向け取得勧誘について、金融商品取引法2 条3 項2 号ロ(2)、令1 条の5 の2 第2 項3 号、定義府令12 条1 号ロ、11 条の2 第1 項

特定投資家向け売付け勧誘等について、金融商品取引法2 条4 項2 号ロ(2)、令1 条の8 の2 第3 号、定義府令13 条の6 第1 号ロ、13 条の5 第1 項』

『Q56 上場債券に関する告知義務について教えてください。

A56 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。当該告知については、書面の交付は必ずしも要求されていません。また、TOKYO PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合にも、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。

参考条文:
金融商品取引法23 条の13 第3 項1 号、開示府令14 条の14 の2 第3 号』

ということで、法令の定めに従いまして譲渡制限契約と告知義務があるんですけど、これって漏れると金融商品取引法に堂々の抵触になるのですが、何か現実問題としてこの譲渡制限契約と告知義務の遵守に関して事務的に漏れなく回るんかいなという疑問がございまして、うっかりミスで金商法違反の業者ホイホイ状態になりそうな悪寒がするのでございますがどうっすかねえ。

それと、取引所に上場する商品なのに実質的に取引所では取引が無いとなりますと、時価の問題どうすんのという話もこれまたある(複数社による価格提供があればというハードルの高い前提つきですが、場合によっては売買参考統計値が出るとゆーケースもあるみたいですけれども、他のベンダーとかは価格を出しそうもないですし・・・・)とゆー感じで、とりあえず東京AIMが鳴り物入りで作ってみたものの、セカンダリーの整備がかなりのやっつけ感が漂う内容となっておりまして、今日び財務省様だってセカンダリー市場における円滑な売買取引が遂行される事に対して非常に細やかに気を使っているというのに、とりあえず発行だけ整備してセカンダリーはあと皆さんで何とかしてね(はぁと)的なこの滑り出しはどういうクオリティなのかと甚だ微妙なものを感じるのでございました。

ということで、内容の訂正はございましたが、結局disり気味であることには変わりが無かったりするのがドラめもんクオリティーでございます。

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2011/07/05

○そういやこんなのがありましたな

だいぶ前のネタですがうっかりスルーしてたので今更備忘メモメモ。

http://www.tse.or.jp/news/30/110517_a.html
2011/05/17 更新
当社子会社TOKYO AIM、プロ向け債券市場「TOKYO PRO-BOND Market」の制度を発表 
〜 規程・規則につき金融庁から認可を取得 〜

んでもってTOKYO AIMのプレスリリースのページはこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/page/news/press_release

内容はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf
(PDFで56ページもありますので注意)

で、表題ページの所にこんな話が。

『「TOKYO PRO-BOND Market」は、2008年の金融商品取引法の改正により導入された「プロ向け市場制度」を活用して設立、運営されます。新市場の主な特徴は以下の通りです。

・ 既存の債券市場の大部分を占めるプロ投資家を対象とし、発行体と投資家双方の利便性を向上させる柔軟な制度を導入
・ 発行時の開示書類を大幅に簡素化し、発行体の起債手続きを効率化
・ 英文のみによる発行開示および継続開示が可能となり、海外の発行体の発行コストを大幅に削減
・ ユーロMTN と同様のプログラム上場を可能とし、市場環境に応じた機動的かつ柔軟な起債を実現』

という事で、まあ要するに現在のガチガチの開示規則をプロ向け限定にすることによって緩和して、ユーロMTNプログラムと同様に機動的な発行をできるようにしますよという話であります。

でね、まあ趣旨は判るのですが、本件の最大の疑問って「で、何でその債券の売買を取引所集中しないと行けないのですかあああああああああ?????」という事でございまして、これって単に規制緩和してくれりゃ良いだけの話じゃネーノと思うのでありますわ。大体からして債券の場合、店頭売買で業者が在庫持ちながら(またはショートセールしてレポしながら)マーケットメイクしてオファービットを投資家が払う(払いたがらない投資家も散見されますが健全な市場がサステイナブルである為には投資家はask-bidのスプレッドはきちんと払うべきであると思いますが)のが普通の流れでありまして、そこに取引所が入って場口銭の形でask-bidスプレッドを取って行かれますと流通業者的にこの債券を扱うメリットって何ですねんという話になり、そうなると当該債券の流動性が出なくて投資家にもメリットが低く、結局発行体も使わないんじゃネーノという悪寒も。

いやまあユーロMTNプログラム分を取り込みましょうという話になるだけの話になるのかも知れませんけど、CPの発行も電子CP化によって便利になっていますし、こちらがどの位の市場になって行くのかは生温かく見守りたいと思うのですけれども、先ほど申し上げたようにこれって別に取引所に集中させてどうのこうのという話じゃなくて単に規制緩和してくれれば良いだけの話のような・・・・・

ま、確かに取引所が一枚噛んだ事によってこれらのスキームが出来たというのはあるとは思いますけど、何か微妙なテイストを醸し出しているような気がしますです、はい。


(追記:上記部分の認識に相当事実誤認がありまして、翌日に訂正エントリーを作成しました)

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2011/06/09

○住宅ローンの免除を義務化・・・・・・ですと??????

昨日の公共放送ニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/k10013379991000.html
二重ローン問題 支援策の原案
6月8日 4時54分

『東日本大震災に伴う、いわゆる「二重ローン」問題で、政府と民主党は被災者の負担軽減を図るため、金融機関から中小企業に対する債権を買い取るファンドを新たに設けることを柱にした支援策の原案をまとめました。』(上記URLより)

ということで話が出ているのですが、最後の一文に呆然。

『この問題について、自民党は、住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており、今後、与野党の調整も行われる見通しです。』(上記URLより)

>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており

・・・・・(;゚д゚)

住宅ローンの免除の「義務化」ってナンデスカソレ????????

えーっと、つまり「津波で流されるような住宅に融資を行った銀行は貸し手責任があるのでローンは債権放棄すべきである」とまあ自民党様はそのように仰せだという事で理解すれば宜しいのでしょうか。で、その放棄した分の穴は金融機関が被れという大変にワンダホーな認識でおられるという風に理解すれば宜しいでしょうか???

今朝(というか昨晩遅く)のニュースで続報がありましたが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/t10013408961000.html
二重ローン対策 民主が原案了承
6月8日 23時48分

『二重ローン対策を巡っては、自民党なども住宅ローンの免除を金融機関に義務づけるなど独自の案をまとめており、民主党では、来週から野党とも協議を始め、合意できる部分があれば、改めて政府側に提言していくことにしています。』(上記URLより)

いやね、報道ベースの一言だけで、自民党の案そのものを見ている訳じゃないからまさかに自民党が枝野発言もびっくりの「国家による債権放棄の強制」法案を作ろうなどとは思いません(というか思いたくない)でして、これは公共放送が自民案をちゃんと理解しないでローンの免除に関わる部分を端折って紹介しただけだと思うのでありますが、民間企業である銀行の債権放棄をそう簡単に扱われても困る訳でございまして、「被災者がカワイソウ」の感情論先行でそこの部分だけ部分最適の行動とかされても困りますがな。

大体からして「義務化」とか言うのって国家による私権の強制的な収奪に他ならないのでありまして、義務化して債権放棄した分の穴を政府が全部埋めてくれるとでも言うのなら兎も角、そうじゃないのに「義務化」と言い出したら自民党の方が枝野官房長官のはるか上を逝くという話でありますが大丈夫なんでしょうか自民党。

まさか「銀行は金があってケシカランので負担させればよい」とか素敵な事でも考えているのでしょうかとも懸念される次第でありまして、その「何かとりあえず金が有りそうだから取って来る」みたいな暗黒中世国家もビックリの発想が出て来るのは立法に携わる者としての適格性(以下同じ悪態なので割愛^^)。


それにさ、住宅ローンの免除分は国が埋めますみたいな話をした場合であっても、それってローンの残債によって不公平がでまくる話ですし、そもそも家を自己資金で買っていた人や住宅ローンを完済した人には何の救済も無いという意味不明な展開になると思うのでして、それなら津波などで被災して自宅が流されちゃったという人に対して、当時の固定資産台帳(とかが流れているのかもしれませんが・・・・・)などを参考にしながら住宅流れた分の相当額あるいはその一部を国が救済措置として支給するみたいにするほうが話の筋じゃネーノという気がするんだが。

もしね、本当に強制放棄という話になるんだったら、今後銀行が住宅ローンを出す時には火災保険に加えて地震保険などを鬼のようにガチガチに取って貰ってその保険証券にも担保設定しないとおっかなくて融資できませんがなという話になるのでございまして(当然ながらローンの審査も厳しくしないといけませんわなあ)、つまり目先の被災者救済の為に将来の住宅ローン借入者のコストが増大するという甚だトンチキな結果を招くのではなかろうかと存じますけどあたくしのイメージ間違っておりますでしょうかねえ。

つーかさ、そんなに貸し手責任言われるんだったら自由民主党様辺りに貸している銀行さんもそのうち何言われるか判らないからさっさと回収される事をお勧めしたく存じます次第ですなあウェーハッハッハ。

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2011/06/08

昨日の悪態の補足をさらっと。

○やはり東証の社長がそもそもコメントをすべきではないという論点について

昨日東証の社長のインタビューに関してああだこうだと申し上げましたけれども、お仲間の人たちとその後も話をしていましたら「そもそも東証という取引所運営機関の人間が個別企業に関するコメントをすること自体が不適切にも程がある」という論点を皆さんから頂戴しました。

確かにその通りでありまして、今回のような「法的整理」という問題となりますとそれは上場廃止などにも繋がる問題(というか斉藤社長はその手の処理策に関しても言及しているようですし)であって、個別企業の上場廃止云々に関わる問題っていわゆる「重要事実」並に扱いが重要なモノであり、かつ取引所そのものの中の人がそのような問題に関して見通しなどを発言するっていうのはコンプライアンス上どうなのよという論点がそもそも論としてありましたなあという所でございます。

つーかさ、今回は社長コメントだったけど、東証の審査部門とか売買管理部門の担当者が外部に向けて個別企業の問題についてホイホイと勝手に発言したらマズイんじゃないかと思うわけなのですが、東証はそーゆー件に関して内部的にちゃんと規制してるんでしょ、何で社長が率先してあんな話するかなあという所で、まあこの社長ただの目立ちたがり屋の軽率なお調子者だったのですかねえとガッカリ感が否めない次第でございまする。

というかさ、取引所の立場ある人が上場している個別企業の問題について規定に則った以外の対応やコメントをするというのは、月曜の株式市場で実例を示したように株価に重大な影響を与える場合がある訳でございまして、全くもって不適切極まりない行動(=発言の内容云々以前に個別企業の経営見通しに関して取引所の社長という立場の人間が発言するという行為)によって株価を下げた斉藤社長の行為は罪万死に値するというかとっとと社長辞めろやヴォケという感じでしょうかねえ。

ご参考までに野村證券の証券用語集のリンクを張りますが、意味が何かあるわけではございませんので念の為申し添えます(^^)。
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/i/innsaida.html

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2010/09/10

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100910/t10013898191000.html
日本振興銀行 破たん処理へ

ペイオフ発動キターーーーー(・∀・)ーーーーー!!!!!!!!

#6時台前半の公共放送では全国ニュース(天気予報やスポーツも含む)時間帯でこのネタを扱わず、関東地方のニュースでも全然ネタになっていませんでしたな。6時半からのニュースで2番目のニュース、7時は最初のニュースでした


○ということで振興銀行破綻とな

まあこの銀行は銀行と言いつつ肝心の決済業務をやっていないに等しいので別に潰れても決済システムに影響を与えて金融システムにリスクを与えるという事にはならないでしょうし、まあ平日にいきなりコカしても一般ピープルの日常生活を直撃する訳でもなくとゆー所っすから、まあそれはそれで「ほほー」ってなもんですが(というかね、内国為替業務をやらない銀行を「銀行」と呼ぶべきなのかというのって非常に疑問なのだが)、何せペイオフ第1号ですから色々と実務のテストケースとなるのでしょうなあ。

まあそのうち閉鎖されるのではないかと思われるので、無くなる前にこちらのページでも鑑賞しておきましょう(^^)。

http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/07_/index.html
週刊!木村剛 powered by ココログ: 07. 銀行はどこへ行く? バックナンバー

先入先出法よろしく(違)先に逝ってしまわれたのが振興銀行とは恐るべしという所でございますな。

http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2004/04/post_10.html
2004.04.21
祝!日本振興銀行開業と「投資戦略の発想法」10万部突破

大体からして手前の会社が開業するのに「祝!」とかつけるのって日本語の用法として如何なものかと思います(「感謝」とか「ありがとうございます」と書くもんだと思うのだが・・・)がそれは兎も角として、まあこちらにございますところの、

『本店一店主義を貫きローコストで運営する分、高めの預金金利でお客さまにお返しをするという経営方針です。いずれにしても1000万円までですから、元本と利息がすべて預金保険でカバーされるというところがミソです。』

というのを身を切って実践していただけるとは思いませんでした(のではなく、http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsa04.html#fsa050105てな感じでかつてもあたくし悪態ついてましたけどね)が、確か「金融維新」とか何とか言う本で「銀行経営者は預金を個人保証すべし」(創立時は落合社長に個人保証させるという構想があったけど直前でコケました)とか仰っておられましたので、当然ながら木村先生におかれましては丸裸になってペイオフに伴う国民負担を減らすべくご尽力賜り、経営責任とやらを取っていただける物と心から期待致したく存じます。

しかし何ですな、

『ということで、拙著「投資戦略の発想法」(講談社)で主張している年間生活費2年分にあたる「生活防衛資金」は、日本振興銀行の定期預金で蓄えていただけると幸いです。』

というのを真に受けたら生活防衛資金がペイオフ手続きによって暫く払い戻しができなくなったでござるの巻となりました預金者様におかれましては誠に残念としか申し上げようがございませんが、今回のペイオフは「初回だから色々と段取りとか決まってない」という面と、「そもそも規模が極めて小さいからそんなに名寄せとかややこしくないでしょう」という面がありますが、ペイオフの手続きに実際にどの位時間が掛かるものなのかという時間的な目安が付く最初のケースになると思いますので、まあ「預金保険の範囲内だから安全」と言っても「ペイオフ食らったら実際に引き出せるまでどの位の時間が掛かるのか」という事務的な問題に一般預金者が気が付いたりしてくれる(かどうか知らんが)ケースになるかなあ何て思う朝のひと時でした。

早速切込隊長がエントリー上げてますな(^^)。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2010/09/post-3097.html

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2010/06/30

○金融庁から国債決済関連の話が

こんな行程表が出ている訳だが。
http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100629-1.html
国債取引の決済リスク削減に関する工程表について

まあこの件に関しては日銀と金融庁が妙に熱心のようですが、書いてある話には微妙にツッコミどころというか何と言うか。

まず決済期間の短縮化ですけれども、アウトライトT+2にするのはまあ何とかなるでしょうけれども、T+1にするとなりますと、レポが実質T+0になるというのもありますし、同じ理由で資金管理もT+0になるわけで、そらまあ業者さんはそれでも対処できると思うのですが、そもそもベースがファンディングになっていない投資家サイドはそんな資金管理をするような業務フローにもなっていないしシステム手当もできていない訳でして、そうホイホイと参加できるものでもなし(つーか時差の関係上アウトライトT+1というのは海外から見たら実質T+0になると思うのですが、受渡とか大丈夫ですかね)。

決済リスク削減は判るのですが、資金管理とかの問題が今度は生じるのでありまして、その辺のバランスをよーく考えて推進して頂かないと部分最適が全体最適にならないというような制度デザインになり兼ねないので、ご当局の関連部署様におかれましては、決済リスク削減の1点でゴリゴリ特攻されるのではなく(いやまあそうじゃないとは思うのですが・・・・)バランスを考えて頂きたしという所でしょうか。

つーか、証券決済を短縮するという話になると、リテールの株式売買とか、投資信託の設定解約とかにも影響してくる話で、結構重い話になると思いますからね。


それからJGBCCの態勢強化に関してですが、確かにまあJGBCCに決済を集中するとネッティングとかの効率は良いと思うのですけれども、システムの頑健性という観点からすると何でもかんでも国債決済をJGBCCに集中させるよりは、カストディーの信託銀行などでも決済を行っているという状況になっていた方が、JGBCCに何か事故があった場合に全取引がいきなり止まるというようなトンデモナイ事態を起こさなくて済むのではないか(まあ日銀が止まったらしょうがないですけれども、日銀の場合はJGBCCなんぞと比較にならない位に強固に作ってありますから)と何となく思うのですけれども、違ってたらすいません。



○金融庁からこんなのが(格付けに関して)


http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100628-1.html
企業内容等の開示に関する内閣府令(案)等の公表について

その別紙っていうのがこちらなんですけれども。
http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100628-1/01.pdf

『T.経緯

信用格付業者に対する規制の導入(本年4月1日施行)に伴い、指定格付機関制度を廃止し、信用格付業者制度に統合する予定です。同時に、格付の公的利用が投資者による格付への過度の依存を招いたとの問題意識を踏まえ、格付の公的利用のあり方について見直しを行う必要があります。』

・・・・・『格付の公的利用が投資者による格付への過度の依存を招いた』ってまるで投資家が悪いみたいな(いやまあ確かに問題は大有りですが)話ですが、そもそも(以下保身の為激しく自主規制^^)。

いやまあ見直しをする必要があるという認識に関しては同意する所であります(棒読み)。

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