安達誠司審議委員

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安達さんの略歴(日銀Webより)

昭和40年7月4日生

平成元年3月東京大学経済学部卒業
平成元年4月大和証券(株)
平成7年3月(株)大和総研
平成13年1月富士投信投資顧問(株)
平成13年6月クレディ スイス ファースト ボストン証券会社 東京支店
平成16年10月ドイツ証券会社東京支店
平成25年1月丸三証券(株)
平成25年3月丸三証券(株)調査部 経済調査部長
平成26年3月一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了

(前職:丸三証券調査部 経済調査部長)

詳しくはこちら→https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_adachi.htm/

2021/12/06「内容の無さに思わずその3/DXが人への投資という珍解釈を堂々と唱える会見の説明に呆れて先を読む気が起きない」
2021/12/03「大分経済界の人々に対してこの内容の無さは失礼極まるという低レベルの金懇でした(その2)」
2021/12/02「3回目の金懇挨拶だが中身のスッカラカン具合に突っ込んでいたら思わず2回シリーズに(その1)」

2021/12/06

〇やっぱり虫の居所が悪いので安達審議委員の大分金懇ネタ続き

安達審議委員大分金懇
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf

HTML版が出てきたのでHTML版の方から引用します。

・為替市場の円安の悪影響に関する話をしているのだが論拠が案の定ペラペラ

『(3)為替相場の物価等への影響』って小見出しがありまして、

『このところ、為替相場の物価等への影響がメディア等で話題になっているため、その点についてお話したいと思います。』

というのがあるので読んで差し上げる。

『最近、円安の動きがわが国のインフレ率上昇に繋がることに関して、「悪い円安によるスタグフレーション」のリスクを指摘する声や、その流れを止めるために日本銀行は早急に金融政策の修正を図るべきであるとする声がメディア等で聞かれます。』

「早急に金融政策の習性を図るべき」という表現に悪意を感じますね。

『スタグフレーションの定義は、論者によってまちまちではありますが、一般には、持続的なインフレ率の上昇と、景気の悪化が同時進行する現象を指すと思われます。』

ほうほう。

『10月28日に公表した日本銀行の展望レポート(「経済・物価情勢の展望2021年10月」)における、景気とインフレ率の見通しの中央値を確認すると、実質GDPは、2021年度が前年度比+3.4%、2022年度が同+2.9%、2023年度が同+1.3%、また、消費者物価指数(除く生鮮食品)は、2021年度が前年度比0.0%、2022年度が同+0.9%、2023年度が+1.0%となっており、現状も今後も、スタグフレーションとは程遠いと考えています。』

それはただのお前らの見通しの話でファクトベースの話しじゃないんですけど。

『これは、例えば、第1次オイルショック時に実質GDPがマイナス成長となり、消費者物価が前年比20%を超える上昇率を示したような状況とは全く異なります。』

これはただの高インフレじゃろ、スタグフだったら第2次オイルショックの方が適切な気がするんだがまあそれは良いとしまして次に行く。

『為替相場の水準について具体的にコメントすることは差し控えますが、一般論としては、円安がわが国経済に与える影響は、様々な要素の相互作用の結果として決まり、その時々の内外の経済物価情勢によって変化し得ると言えると思われます。そう申し上げたうえで、私自身は、このところの為替相場の動きが、例えば、スタグフレーションに繋がるような「悪い円安」の状態にある、とは考えていません。』

おんどれが考えていないのは分かったんだがその根拠がおめえらがお手盛りで出していて、しかも特に物価見通し全然当たっていない展望レポートってのは何なんでしょうか、せめてファクトベースで輸入品の最近の価格動向とかそういう話をしてくれませんかねえ。

『むしろ、このところの円安は、日本企業の海外子会社の収益の増加や輸出企業の収益への寄与を通じて、企業の設備投資を下支えしたり、海外企業による日本での工場建設等の「企業立地」の検討を後押ししたり、わが国にとってプラスをもたらしている面があると思います。』

先日ネタにしたように、最初の部分でも「企業の設備投資スタンスの積極化に裏打ちされる成長見通しの改善」について言及していたので、お前は何を言ってるんだという気はするけれども、まあ前半の方で話をしていることと話が繋がっているのでこれは一つの意見ですが、輸入物価が今後どうなるとか資源エネ価格がどうなるとかそっちのコストプッシュの話は「ぼくたちのかんがえるしょうひしゃぶっかしすうのさきゆきみとおし」だけが根拠とは情けない。


・「金利平価説」とか日銀の政策委員が堂々と口に出すなよ

でもってその次。

『なお、円相場は、中長期的なタイムスパンでみると、比較的狭いレンジ内で推移しているとみています(図表11)。』

という所なんだが、

『「金利平価説」的な考え方でみると、市場において、わが国と米欧の間の金利差が大きく拡大するとみられておらず、そのもとで円相場が比較的狭いレンジで推移している状態にあるとも言えると思います。』

ちょwwwそこらのヘッポコ何とかストかよって感じなのですが、インフレ国の方が金利が高くて、価格平価的に考えたらインフレ国の方が通貨安になる、ってかそもそもお前ら日銀が円高放置してたからデフレが止まらんとか言ってた話しはどこ行ったって問題で、現在って資本取引を背景にした通貨取引の方が貿易為替よりも格段にデカいから、平時の短期的にはキャリートレードの方が大きくて、んでもって見かけ的に金利先高観が出るとその通貨が上がる、とかそういう現象が起きているってだけの話で、中長期的に見た時に金利平価とかナンジャソラの世界なので、民間ヘッポコ何とかストが言うのなら兎も角、中央銀行のお方が「金利平価説」とか言わないで欲しい。

いやこんなの「市場において〜金利差が大きく拡大するとみられておらず、そのためにキャリートレードのような資本取引をドライブとした為替トレンドが起きにくくなっている事が為替市場の安定に繋がっていると思います」みたいな感じで、そんなヘナチョコ用語使わんでも説明できるじゃろ、と思うんですけどねえ。

『日本銀行を含む多くの中央銀行は、為替相場の水準を金融政策の目標とせず、あくまでも2%の物価安定の目標に向けて金融政策運営を行っていますが、主要先進国がともに2%の物価安定の目標を目指していることは、為替相場を安定させている一因になっているとも考えられます。』

ってこの説明も、消費者物価指数の実績値がここまで違ってきてしまうといつまでも言えるかどうかは分からんので、何とかの一つ覚えのようにこれを連呼するのもどうかと思いました。


・コロナオペの延長に関してのご説明だがそもそも論の方がアレ

『3.金融政策』のパートに参る。最初はどうでもよいので飛ばして、

『コロナオペの来年4月以降の取り扱いについては、今後、日本銀行において、新型コロナウイルス感染症の動向や、それが企業金融面に及ぼす影響等を丹念に点検しながら、検討していくことになります。』

『そう申し上げたうえで、私自身が感染症への政策対応として意識すべきと考えている論点についてお話させて頂きます。』

『まずは、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、企業による事業の継続を支援する観点から、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる姿勢にあることを指摘しておきたいと思います。今後、もし、感染が再拡大し、公衆衛生上の措置を再び取らざるを得ない状況になった場合等には、企業の資金繰りを支える必要が生じる可能性があります。コロナオペのあり方は、感染症の動向に依存するところが大きく、その動向や企業金融面への影響を見極める必要があります。』

そらそうなんだが、マクロ的にそれ必要なの??って話は無いんですよね。大体からしてこれ「企業の資金繰り支援」って言ってるんですが、実際には金融機関向け貸し出しに対してのオペであって、別に資金繰り困難企業のケツ持ちをする訳ではないですし、そういうのはケツ持ちをする公的金融やら制度融資やらの方でカバーできる問題ではないかと思うんですけどね、まあいいですけど。

『一方で、コロナ禍の前から収益性が低く、将来的に債務返済が滞るリスクが高かった企業が延命しているのではないか、といういわゆる「ゾンビ企業論」の意見が、識者の間にあることも承知しております。仮にそれが現実に起きてしまうと、産業の新陳代謝、及び、新規開業などが阻害され、特に地域経済において、経済活性化の妨げになることが懸念されています。』

何で「特に地域経済において」なのかの理由がさっぱり分かりませんが、それよりも何よりも「懸念されています」じゃ無くてそういう問題が起きてるから潜在成長率は下がりっぱなしだし、物価目標は全然達成しないし、なのではないかと思うのですが、そういう考察は無いんですね。

『コロナ禍入り後の2020年以降の企業の倒産件数について、歴史的な低水準で推移していることは良いことと言えると思いますが、あわせて、成長が期待できる分野において新しい企業が誕生することも意義のあることと考えます。さらに、金融システムの観点からは、コロナ禍に累積した企業債務が、将来、不良債権となって、金融システムのリスクとして顕在化しないかといった視点も意識する必要があるように思います。この点は、地域金融機関の経営上も重要な論点であり、与信先企業の健全性の見極めにあたっては、特に、地域に密着した営業基盤を有する地域金融機関の役割が大切なように思います。低採算企業の再生がテーマになる場合は、企業再生ファンド等の民間資金の役割も重要と思われます。』

何かフワッとした事しかお話してませんよねーと思うのですが、これを鈴木審議委員の金懇テキストと比較すると良く分かると思いますので続いて鈴木審議委員(金曜は時間がマジでなかったので単にベタ貼りばっかで恐縮至極でございました)の金懇ネタの続きに参ります。




〇安達審議委員の記者会見は冒頭の所で読んでるアタクシが固まってしまってその先が頭に入らないんですが・・・・・・・・・・

さて安達審議委員の記者会見なのですが。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk211202a.pdf
安達審議委員記者会見要旨
―― 2021年12月1日(水)
午後2時30分から約30分
(大分市・東京間オンライン開催)

冒頭の所で物凄く意味がよくわからない話があってその後を見ても内容が頭に入らない(まあ内容は無いんだけど)という珍説明があってですね・・・・・・・・・・・

最初の、

『(問) まず、本日の懇談会でどのような内容をお話しされたのか、教えてください。』

ってのの回答なんだが、ここは基本斜め読みしかしないんですけど、途中で物凄い勢いで引っ掛かってしまったアタクシがいる訳ですよ。即ち上記URLの2ページ目の第2パラグラフの冒頭なんですけど、こんな説明がありましてですね、

『こうしたもとで、都市部への人口流出が続く大分県においては、今後、DXの推進等を通じてサービス産業の生産性を上げる必要がある、つまり「人への投資が重要である」という意見も伺い、非常に印象に残りました。』

??????????????????

DXの推進って基本的に省力化とか効率化の話であって、人手を減らして生産性を上げましょうって話だと思うのですが、この接続詞の「つまり」というのはどういう事でございますでしょうか???????????????

いやさすがにここまで堂々と言われると、言われたアタクシの方が何か間違っているかと思ってしまう位なのですが「つまり」って接続詞は前後がイコールとか前の話をサマライズしたものが後ろの部分とか、そういう言葉だと思うのでして、DX推進と「人への投資」って寧ろ相反する概念とチャウの???と思うんですが。

そらまあ人間だから言い間違えってのは存在するんで、単なる言い間違えなのかも知れないと思ったのですが、これって会見「要旨」であって、単なる言い間違えしてたら要旨をテキストに落とすときにチェックが入って訂正される(実際問題として映像確認できる総裁記者会見の映像を見ればお分かりになると思いますが、言葉使いとかは要旨になった段階で発言意図を損なわないようにしながら修正されることはしばしばある)と思うのですが、訂正入ってないのが不思議ちゃんなんですがどういうことなのこれ?

いやまあDXの推進等、の「等」の部分にDX推進して効率化したので人材の再教育を行うとかそういう話が含まれている、ってことなのかも知れないけど、これは「つまり」ではなくて「それに加えて」とかそういう話しなんじゃないかと思うのだが、何ちゅうかこれだと「DX推進が人への投資」と言ってるとしか読めなくて、お前は何を言ってるんだ状態になるんですけど、ここ何とかならなかったのかしら、と思いました。

なお、他の内容は特に見ることも無いのでパスします。




2021/12/03

〇安達審議委員大分金懇:これは翌日の鈴木さんと比較させるための日程ですか(個人の妄想です)

ということでまずは昨日の続き。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
大分県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年12月1日

・(続きの前に)相変わらず審議委員の金懇日程の組み方に・・・・・・・・・

今申し上げましたように、よく考えたら翌日に鈴木審議委員の金懇がぶっこまれていまして、さはさりながら展望レポート出たのはだいぶ前だし、12月のMPMったって別に何かある訳でもない(コロナオペに関しては何も考えずにノーズロ延長するなら12月にやってもおかしくは無いのですが、欧米主要中銀が金融緩和縮小(しかしどうでもいいのですが、正常化路線で金利が1%かそこら上がるのを「引き締め」っていうの止めてもらえませんですかねえと思うんですよね、1%の政策金利が引き締め的って資本主義の敗北じゃろ)の流れとなる中、空気だけは読む今の日銀がコロナオペカードを12月に切る訳が無いと思いますので(個人の妄想です)。

という訳で、まあ12月半ば過ぎになると金懇やりにくいというのはあるので昨日一昨日と連発だったんでしょうけれども、次にネタにします通りで、今回の鈴木審議委員の金懇は(ちょっと前回の出来がやる気ナッシングというかな感じの残念感漂うものだったのに対しまして)まあ審議委員の講演としてのクオリティに仕上がっているだった訳ですな。

然るに、安達大先生の金懇、何せ昨日ネタにしましたように、「直近のサプライチェーン問題が特定の業種を中心に広がりを見せつつ影響しています」の説明の図表で示している鉱工業生産とか世界貿易量のグラフが2008年からの時系列、しかも産業別でも何でもないという、わざわざ大分県地元経済界の重鎮に集まって(オンラインとは言え)頂いて話すにしては、そこらの駆け出し小僧何とかスト見習いでもそんな図を使って説明せんじゃろ、というレベルの作品を出しておりまして、内容云々以前の問題だし、わざわざ時間を割いて下さっている地元経済界に対して失礼極まりないような物件なのですな。

・・・・・・ということで、今回の無駄に2日連続金懇とかいうプレイ、これは「安達さんと鈴木さんの金懇の内容を比較して下さい」という金懇日程組んでる中の人たちのイヤガラセプレイキタコレと懐かしく、と申しますのは一時期木内さんの金懇が計ったかのように、FOMCしかもライブ会合となりそうなところの翌日にばかり設定される(ので注目されない)、というようなプレイがあって、こんなの「計ったように」じゃなくてどう見ても計って設定してるじゃろ、というような陰湿プレイが垣間見れて大人の世界コワイヨーと思った(個人の感想です)のですけれども、さては今回はわざと安達さんと鈴木さんの出来の違いを比較しろという企画を練ったな、などという妄想を逞しくしてしまうアタクシは陰謀脳にも程があるので今の話は全部アタクシが夢の中でみたせん妄ということでよろしくお願い申し上げます。


さて、せん妄から目覚めたことですので(^^)昨日の続きから少々(なお政策インプリケーションは無いので、単にアタクシの悪態節の鑑賞にしかならないので飛ばして頂いて結構ですわよ)。

昨日は『(2)物価情勢』の『(わが国の動向、見通し)』というコーナーで、『しかし、最近では、次に述べる幾つかの要因を踏まえて、物価上昇率が高まっていく可能性が高まったと考えています。』というののその1の謎説明の何と途中で話が終わってしまいましたのでその続きからになります。

・高付加価値云々の話ってまあ言いたいことは分かるんだけど微妙にポリティカリーにアレな感も

要因その1、ってのが企業の価格設定行動の変化、って話なのですが、その背景にコストプッシュに堪えられない、というのが何故か無くて、前半では今回の需要喪失には価格弾力性がある訳ではないので値下げが起きなかった(という所までは良いとして)。さらに政府日銀の資金繰り支援策で値下げをして売り上げを確保する動きが起きなかった(その説明はどうかと思う)、というのがあったのですが、それに加えてこういう説明が。

『また、コロナ禍が落ち着きつつある現在、企業が自社の財・サービスの価格を引き上げる動きを徐々に見せ始めています。コロナ禍をきっかけに、特に消費関連業種では、顧客ニーズの構造的な変化を見極め、過去に多くみられた「薄利多売」のビジネスモデルを転換し、高付加価値でマージンの厚いビジネスの展開を志向する先が増え、しかも売上を伸ばしている、という話も聞かれるようになりました。これらの動きは、企業の価格設定行動の変化を示しているように思われます。』

って言ってるんですが、そらまあ一つの考え方ではあるかも知れないけど、依然として食品スーパー行けば頑張って安売り目玉商品ぶっこみながら商売している訳で、確かに巷間聞くお話では高級腕時計(置き引きをしてはいけません)やら高級車やらが売れる、みたいな高級品売れてます話もありまして、それって単なる格差拡大チャウのとかって気がするのよね。いや個別企業の行動で高級品志向しましょうって動きが起きるのは別にそらそういう企業もいるわなという話だと思うのですけれども、高級品バカ売れで(日本はそういう意味では物価が大して上がってないから良いようなものの)一方でCPIが5%とか言い出されると、そら政治的にフリクション起きるわ、となっているのが米国であり欧州であったりするわけで、何ちゅうかまあ別に良いんですけど、この例を安易に持ち出すのってそろそろポリティカリーに微妙な時間帯になっている気がするんですよね、というのは個人の感想ですが。

まあそれよりなにより、企業の価格設定行動の変化、という話の中にコストプッシュの影響の言及がないってのがもうその時点でなんだそれって感じはします。


・12月の短観での設備投資のところは注目せんといかんなこりゃ

物価上昇率が高まっていく可能性というののその2です。

『第2の要因は、経済情勢のところで指摘した点とも重なりますが、企業の設備投資スタンスの積極化に裏打ちされる成長見通しの改善です。』

何か無茶苦茶大きくでたぞオイ。

『最近の企業の設備投資は、「資本ストック循環」(図表9)という観点からみると、将来の収益見通し、より専門的な言葉では「期待成長率」、の上方修正を伴った積極的なスタンスに変わってきている印象を受けます。』

だそうなんだが、その割には一斉賃上げのご要請(まじでこの「ご要請」攻撃止めろやボケと思うけど)に対して結局経済界猛反発してたりする訳で、本当の本当にそんなに企業のスタンス強いのけ???????

#ちなみに図表9を見てもどこがどう期待成長率が上がっていると読めるのかがさっぱり分からないのでだれかこの表の見方教えてくださいアタクシ経済学という学問は大学で何もしてないもんで

『企業が、自社の経営環境について、前向きな見方をするようになっているということは、自社の財・サービス価格の引き上げを通じた利益率の上昇も視野に入れた、収益から設備投資への「前向きな好循環」が起きつつあるといえるのではないでしょうか。』

仰ることがその通りだったらその通りなのですが、それならもっとお賃金に反映しても良さそうなもんだと思う訳ですけど、まあ設備投資スタンス云々って言ってるので12月短観の設備投資計画でもじっくりと見るように楽しみに待っております。

『企業が価格の引き上げを通じてマージンを拡大させることは、今後賃金の引き上げにも波及する可能性があり、2%の「物価安定の目標」を実現するための大きなカタリスト(触媒)になることが期待されます。』

ということなのですが、結局これ「私はこう思っています」だけの話しだったような気がせんでもないですな。


・節子、それはただのコストプッシュだし非資源国から資源国への所得移転や

次のは仰ることはその通りなのだがズッコケ三銃士な説明。

『第3の要因は、エネルギー価格が高止まりする可能性があることです。』

いや確かにそれは物価上昇要因だがただのコストプッシュなので実質成長の下押し要因になると思うのですが・・・・・・・

『他国においてもエネルギー価格の上昇が足もとインフレ率上昇に大きく寄与していますが、日本においても、携帯電話通信料等の影響を除くベースでみた足もとのインフレ率の上昇の約半分はエネルギー価格の上昇によるものです。先行きのエネルギー価格は、不確実性があり、どこかのタイミングで反転し、インフレ率の低下要因になる可能性はあります。』

でもってこの後が中々お洒落で・・・・・・・・・

『しかし、現在のエネルギー価格の上昇は、従来とは異なり、比較的長く持続する可能性も否定できないと考えています。』

ほうほうそれでそれで???

『その要因として、世界的な気候変動リスクへの対応によって代替エネルギーへの転換を志向する動きが指摘できると思います。』

ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwwww

『主要国は、気候変動リスクへの対応として、二酸化炭素排出量の大幅な削減にコミットしようとしています。そのもとで、世界的にエネルギー源を石油や石炭といった化石燃料から、太陽光、風力、水力、地熱といった代替エネルギーへ転換する必要性が各国の共通認識となっています。そのため、従来は、原油需要が拡大した局面では、原油供給量が増えることでエネルギー価格の上昇が抑制されましたが、今次局面では、代替エネルギーを模索する動きがあるもとで、原油需要に見合うかたちで原油供給量が増えず、結果としてエネルギー価格の上昇が続いています。こうした動きは、今後も長く続く可能性があるように思います。』

現象としては全くその通りなのですが、グリーントランジションを推進してオペまでぶっこんでいる日銀の中の人、しかもそのオペぶっこむのの決定に参画した張本人がこれを正面切って言ってしまうのってさすがにマズくねえか、と思うのですよ。

だってね、エネ価格高止まりが続きます、ってのは日本の場合は単純にコストプッシュ要因になる話で、そら物価にはプラスかも知れんが、実質成長にはマイナス要因になる話な訳で、こういう説明すると、「私は日本の実質成長にマイナスになる事を分かっていますがグリーントランジションを推進しております」って正面切って言うようなもんな訳でござんして、いやそういうの民間金融機関の何とかスト辺りが言うなら別に結構なんですが、政策当事者としてグリーントランジションの旗振り役の一翼を担っているんだったら、こういう他人事みたいな説明するのはちょっとまずいんじゃないでしょうかねえ、と思うのですよね。

つまりですな、グリーントランジションって日本にとっては目先はコストプッシュになる話なんだけど、それを上回る日本経済へのメリットがあって旗振りをしているんです、って言わないと「経済下押ししてまで物価目標達成したいのか」と逆ねじ食らわされるじゃろ、と思うのですがどうでしょうかねえ。


・ポストコロナの物価がどうしたこうしたという能書きがあるのだが・・・・・・・・・

さっきのところはその後とってつけたように中長期的なインフレ期待の言及がありますがどうでもよいので飛ばしまして次の小見出し『(ポストコロナの物価情勢の注目点)』に参ります。

最初の時点から色々とおかしくてデスネ、

『以上のように、先行き物価上昇率が高まっていく可能性についてお話ししましたが、物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには、賃金上昇率が高まっていくことが必要になると考えられます。』

この時点で既に「お前は何を言ってるんだ」状態でして、そもそもさっきの説明にあった「その2」にあるように「企業の期待成長が高まっているように見受けられる」というのが正しいんだったら、賃金上昇が当然ながら追随していかないとおかしい訳でありまして、その2で見ている要因の通りだったら「賃金上昇率が高まっていくことが必要になる」もへったくれもなく、高まるのが自明ですわな。

さらにですよ、「物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには」って言ってるんですが、「その3」で示した資源価格の高止まりってどこからどう見ても日本国民の皆さんにとって悪いインフレにしかなり得ないものでありまして、さっき言ってたことと全然話が違ってるのは何ぼ何でも酷くねえかってお話。

まあこれ置物一派によくみられるパターンなのですが、説明のパートパートで言ってる部分部分ではそんなに変な事を言っている訳でもないのですが、全体を俯瞰してストーリーを構築している訳ではないために(個人の想像です)、一つ一つのパーツレベルではあっていても、全体を構築すると前後の話が全然整合しない、という物件の典型が今回の安達さんのこの説明だわ、と思う訳ですよ。

確かに単独で今の部分、すなわち「物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには、賃金上昇率が高まっていくことが必要になると考えられます。」というのはこれ単独で見れば仰せの通りなので、置物一派の説明ってボケーっと読んでいるとパーツパーツでの説明は部分的には仰せの通りだから、ついうっかり読み流してしまうんですよ。でもってこうやって一歩一歩立ち止まって読んでみると、改めて話の全体に整合性が無いのが分かる訳です。

・・・・・・ただこれって置物一派にとどまらず、近年ジャパンのあちこちで見られている事案だったりする気がしまして(個人の感想です)、それがモロに良く見えたのが近年のコロナ対応なんかだったりするんじゃないのかねえ、とか思うと、ジスイズザパニーズクオリティなのかもしれないな、とため息が出てしまう所です。


まあ一応その先を読んで進ぜよう。

『現時点では、残念ながら、賃金上昇率が高まっていく動きはまだ明確にはみられていません。しかし、私としては、コロナ禍を通じた企業・家計の行動変容が、人々の「物価観」を変え、それを通じて企業による賃金設定にも、賃金の上昇に繋がり得る変化が生じる可能性に注目しています。』

『新型コロナウイルス感染症は、いつかは収束するとはいえ、当面、ウイルスが完全に撲滅されることは想定しにくい状況です。ワクチンの効果が相応に期待できるとはいえ、感染症との共存を余儀なくされる状況においては、特に飲食・宿泊・娯楽といった対面型サービス業で感染抑制に相応のコストをかけ続ける必要が生じる可能性があります。また、わが国における高齢化の進行を踏まえると、価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が、個人消費全体を牽引していく可能性も考えられます。このような高付加価値の財・サービスを提供するため、企業が従業員により高い賃金を支払う動きが出てくる可能性があるのではないかと考えています。』

『これらを踏まえると、ポストコロナという局面は、企業、とくにサービス業が、販売価格を引き上げ、さらに従業員の賃金も引き上げるうえで良い機会になるかもしれないと考えています。』

うーんこのフワフワした説明。そもそも企業の価格設定行動(その1ね)成長期待が上がるから物価上昇が定着するかもしれないってさっき言ってたのだから、「コロナ禍を通じた企業・家計の行動変容が、人々の「物価観」を変え、それを通じて企業による賃金設定にも、賃金の上昇に繋がり得る変化が生じる可能性に注目しています。」ってのさっきと逆の話をしているようにしか見えなくて、何ちゅうかこの話をするならどっちかにしてくれよという感じなんですよねー。単にこれだと循環論法になっているようにしか見えない。


・・・・・・・などとネチネチやってると時間がいくらあっても足りない、という恐ろしい状況になっているので、どうせ政策インプリケーションも無いので安達さんの金懇講演ネタはこの辺にして(虫の居所次第では続きをやるかもしれませんが)鈴木さんの金懇ネタに参ります、と言っても大分時間が怪しいが。




2021/12/02

お題「安達審議委員大分金懇は特に政策へのインプリケーションも無いのだがネチネチ読んでたら不覚にも明日に続いてしまった(その1)」

尾身クロンキタコレ
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20211201/1000073272.html
ペルー滞在歴ある20代男性オミクロン株感染確認 国内2例目
12月01日 17時18分

キタコレはまあいいとして(よくないが)南アで発見されたとか言ってたのに何故ペルーに早速輸入?さているアルね。


〇安達審議委員が金懇をしていたのだがヘッドラインも碌になかったので気が付かなかった訳だが

まだHTML版は出ていないのでPDF版の方から引用しますけど。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
大分県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年12月1日

まあ前回の安達さんの金懇読んだときも思ったのだが、こんなつまらん話しか出来ない人だったのだったっけと大変にガックリする内容で、そらヘッドラインも碌に出ないわ(いやまあワシが月初だから忙しかったのはあるんだけど)という感じですよねー。


・経済の3つの特徴という事ですが・・・・・・・・・・・・・・

最初のご挨拶はすっ飛ばして経済物価情勢の説明からまずは参りましょう。『(内外経済の現状)』ってところなのですが。

『新型コロナウイルス感染症を巡る状況は、引き続き不確実性を伴っておりますが、先ほど申し上げたような明るい兆候もみられるもとで、経済情勢にも変化の兆しがみえつつあります。以下では、最近の日本を含む世界経済に共通していると考えられる3つの特徴についてお話ししたいと思います。』

ということで話があるんですが、これがまた内容がありきたりすぎて貴方マーケットエコノミストだか何だかやってたのに小僧が相場コメント書いてるような話しか出来んのかよと思いました。

『第1の特徴は、サービス消費の底打ちと持ち直しです。これまでの新規感染者数の増加局面では、多くの国・地域において、人流抑制を目的とした公衆衛生上の措置が講じられたため、飲食・宿泊・娯楽等の対面型サービス業の多くが事実上の営業停止状態を余儀なくされました。しかし、ワクチン接種の進展等によって、それらの業種における営業活動は多くの場合は再開され、業況は持ち直しつつあります(図表2)。』

まあ状況説明だからここは勘弁するけど、

『この点は経済にとって明るい材料といえますが、感染症の動向は不確実性が高い状況にあり、サービス消費がすぐにコロナ禍前の水準に戻ると考えるのは楽観的だと思われます。』

以下の部分が浅すぎにも程があるんだが。

『実際、日本の状況をみると、一部で期待されていたような「リベンジ消費」、すなわち、コロナ禍で抑圧されていた消費が経済活動の再開を機に一気に拡大する現象は、今のところまだみられていません。』

これが「コロナの先行きが不確実性が高い状況だから」で片づけるのは表面的過ぎにも程がある訳で、生活様式に変化が起きている可能性(即ち構造的な変化の可能性)とか、日本の場合特にそうだと思いますけど、コロナ対応の一連のドタバタで政策に対するコンフィデンスって相応に落ちていると思うのですけれども(個人の感想です)、それによって個人の消費支出が防衛的になっている可能性は無いのかね、とか、米国におけるリベンジ消費どころではないヒャッハー消費の要因っていうのは、そもそも論としてコロナ感染症の今後の動向云々よりも、財政バラマキまくった結果の家計へのウェルスの拡大に加え、株高とか住宅価格上昇による家計資産ウハウハのヒャッハー消費とか、そういう要因があるのではないかと思われる(個人の感想です)のであって、ジャパンとはまた状況が全然違うのに「リベンジ消費が出る」とか考えたオメーらが楽観にも程がある、とかそういうような論点が経済学部すら出ていないドシロートのアタクシでもホイホイと論点として思いつくのですが、そういう考察は一切ないというのが大変に素敵ですね!


・DXはまだしも気候変動関連が成長力のある設備投資に直結するという話に無理があるのではないか

以下続きます。

『第2の特徴は、企業の設備投資の積極化です。世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大は、家計や企業の行動様式、例えば人々の働き方等に大きな変容をもたらしました。また、それはデジタル・トランスフォーメーション(DX)に代表されるような企業の新たな設備投資需要を生み出しました。』

『加えて、今年のノーベル物理学賞で気候変動問題に関連する研究に賞が授与されるなど、気候変動問題に対する世界的な意識の高まりもあり、企業によるカーボンニュートラルに向けた設備投資需要も今後大きく拡大する可能性が出てきたと考えられます。』

ってのもこれ日銀公式の説明をダダ流ししているだけなのですが、DXったって本格的な意味でのDXというよりは単なる情報化投資だったりするんでネーノとは思いますが、まあDXで投資が出る話はまだ勘弁するにしても、気候変動問題に関する云々ってあるけど、カーボンニュートラルに向けた設備投資需要で成長戦略、みたいな話を日銀はやたら推す(どころかオペまでおっぱじめる)のですが、そもそも何で政府が推進しないと行けないのかという時点で、このマターは市場原理に任せてやって行くと進展しない、という話なのでありますからして、それは即ちこの関連で出るかもしれない設備投資って、市場原理的な意味では微妙なアレな設備投資ってえことじゃなかろうかとか、そういう話になるんでネーノという気がふつふつとする訳でございまして、こんな「気候変動関連で成長」みたいなのを政府部門が言うのって何なのよ、と思う。

民間の一企業が「乗るしかないこのビックウェーブ」って言って気候変動対応に関する政策対応の変化がビジネスチャンスってのは思いっきりよく理解できるんですけど、政府としてアグリゲートしてみたら、気候変動対応におけるトランジションによって(実際の真相はわからんけど)昨日ネタにしたラガルドインタビューでドイツの新聞ちゃんが指摘していたように、「グリーントランジションでエネルギー価格が高止まり」みたいに、トランジションされる方が今度は設備投資を抑制したりする(から価格が上昇しても増産されない)んだし、そこらの民間企業みたいに「よーしパパビジネスチャンスだぞー」などというノリでこの話をするのって広義の政府部門としてその姿勢は如何なものかと思うのですけどまあ個人の感想です。

『わが国の視点では、設備投資は足もとまで持ち直しの動きをみせていますが(図表3)、先行きも設備投資需要が堅調を維持するならば、資本財の分野で高い国際競争力を有する製造業にビジネス機会をもたらし、企業の輸出や生産の拡大にも寄与するものと思われます。』

『また、日本銀行が、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けていく局面にあることも、こうした新たな設備投資需要を支える一因になると思います。』

あーはいはいって感じですが、そもそも物価目標の実現はできるだけ早期に達成する、という政府との共同文書はまだ存在しておりますし、日銀様におかれましては何でこんなややこしい政策をするのか、という問いに対しては「このやり方をするのが一番早く、かつ望ましい方向で物価目標を達成できると考えています」っていう嘘八百でも良いんですが、そういう前提がある訳でして、目先の景気とか目先の消費みたいな話にこの金融緩和による効果がどうのこうのという話をするのは結構なのですが、DX推進だの気候変動対応だの(特に後者)というような壮大かつ時間もかかるテーマに対する設備投資が、QQEによって推進されるってのは、お前さん物価目標を早期に達成する気無いんですね、という事につながると思うんですけどどうなんでしょうかねえ。


・供給制約云々の説明部分が色々とみてらんない件について

『これまでお話しした第1と第2の特徴は、経済にとって明るい話題でした。一方で、次にお話しする第3の特徴は、今後の経済情勢を考える上での懸念材料とも言えるもので、今後も注意深くみていく必要があると考えています。』

ほうほうコロナかなんかですかねえ。

『第3の特徴とは、経済における供給制約の影響です。』

さっきは需要が出るという話をしていて今度は供給制約がマイナスとの事ですが。

『昨年来、日本を含む世界経済は、様々な供給制約に直面してきました(図表4)。2020 年度後半頃からは、自動車用の半導体不足が大きな問題となってきました。コロナ禍で、当初、自動車販売が急減するもとで、世界の半導体メーカーは、比較的マージンが薄いと言われる自動車用の半導体の生産を抑制していました。』

ふーん。

『一方で、自動車自体の需要は、コロナ禍で「人との接触機会をなるべく減らす」という人々の行動変容もあり、予想外の急激な増加を見せました。こうした中で、自動車用の半導体の供給不足が発生しました。』

と、この説明だけですと単に今まで適正価格じゃなかった半導体価格が適正な水準に上がるという動きであって、そらまあ自動車産業的には痛いかも知れんけど、経済全体で見たらツーペーなんでネーノ、と思ってしまうような説明から始まる時点で読んででどうもこう(ノ∀`)アチャー感が抜けない。

『その後、本年入り後には、自然災害や工場火災などの影響により、供給不足はさらに強まりました。本年夏にかけては、自然災害や工場火災に起因する供給不足の問題は緩和したものの、主に東南アジア諸国での感染症急拡大に伴う工場閉鎖等から、半導体だけではなく、他の自動車部品の生産も止まり、新たな供給制約が顕在化しました。』

何ですかね、安達さんのこの説明って上記部分から先の話を単純にすれば良いだけの話じゃないの、と思うのでありまして、少なくとも最初の自動車半導体の生産が減った後に需要が来たんだが、の部分って、単純に元々マージンの薄い商売をしていたものの需要が無くなったから生産を止めた、っていう話にしか読めない訳で、それは供給制約の話ではないんじゃないでしょうかねえ。

『供給制約がみられる産業は、自動車に限らず、白物家電等の他の財にも波及しつつあり、企業の輸出や生産の下押し要因となっています(図表5および6)。』

という話は良いんだが、この図表5および6ってえのを是非とも最初のURLのPDFの方をポチっとなとしていただきまして、講演テキスト本文のケツにある図表5と図表6というのを見て頂きたいのでございますのでURL再掲しておくわ。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf(URL再掲)

図表5ってのが本文図表込みで20枚ある今回の金懇挨拶要旨の16枚目で、図表6が17枚目にあたるのですが、図表5ってのが『世界貿易量(季節調整済、2010年=100)(注)世界貿易量は、世界実質輸入。2021/3Qは、7〜8月の値。(出所)オランダ経済政策分析局』ってあって2006年以降の世界貿易量総額の推移が一本の線で表示されているだけの物件、図表6ってのが『鉱工業生産(季節調整済、2015年=100)(出所)経済産業省』というこれまた2006年以降の鉱工業生産の推移を一本の線で示したものになっております。

・・・・・・えーっとすいません、このコーナーってコーナーの冒頭の所で、「最近の日本を含む世界経済に共通していると考えられる3つの特徴についてお話ししたいと思います。」って言って話をおっぱじめていて、その中で供給制約の話をしていて、主に半導体を中心にした話を今してたと思うのですが、その説明を補強するための図表として何で2006年からの時系列を引っ張ってきているのか全く意味が分からんし、しかも「供給制約がみられる産業は、自動車に限らず、白物家電等の他の財にも波及しつつあり、企業の輸出や生産の下押し要因となっています」ってあるなら、もうちょっと個別の産業にブレークダウンした図表出してくれんと、全然話に広がりが出てこないんですけど、こんなプレゼンで良く今まで何とかストやってたなと感心してしまう図表のチョイスに腰が砕けました。

『供給制約の影響は、予想外の需要の急拡大により深刻化したわけですが、港湾労働者における感染症の拡大に起因した港湾機能の低下による物流面での制約も影響しており、その背景は複雑です。』

その辺の話しであれば全部感染症が原因なのではないでしょうか(鼻ホジホジ)。

『また、供給制約の解消の見通しは、今後の感染症の動向次第でもあり不確実性が大きくなっている印象を受けます。現時点で、このような供給制約は一時的との見方を維持していますが、今後の動向を注意深く見ていきたいと考えています。』

ということで、何ちゅうかまあ日銀公式見解を垂れ流すにしても、垂れ流し方というのがある訳で、こんなんだったら展望レポートの説明を延々としてた方がエエンでネーノと思ってしまいました(個人の感想です)。



・海外金融当局の物価上昇定着警戒についての言及が半年ほどアップデートされていないような気がしますが

次の『(2)物価情勢』という小見出しから少々。『(海外の動向)』の中身はどうでもよいのですが、結論が泣けた。

『次に物価情勢についてお話しします。このところ、米欧諸国では、インフレ率が中央銀行の目標値である2%を上回る状況が続いています(図表7)。このインフレ率の上昇には、先に述べた世界的な供給制約に加え、原油や天然ガスをはじめとするエネルギー価格の上昇等が影響していると考えられます。また、特に米国では、コロナ禍入り後に労働市場から退出した「無業者」の労働市場への復帰が予想以上に緩慢となっており、足もとでは労働需要の拡大に労働供給が追いついておらず、これにより賃金の上昇圧力が高まっています。』

『もっとも、米欧諸国のインフレ率の上昇については、需要・供給サイドともに、コロナ禍における一時的な要因が影響しており、それが中長期的な物価上昇圧力、例えば、中長期の予想インフレ率の上昇に波及していく可能性は小さいというのが米欧当局の現時点の中心的な見方となっています。』

「可能性は小さい」とのことですが、別に今から始まった訳ではなくて、しばらく前のブレイナード、クラリダ連続攻撃の辺りから、「期待インフレのアンカーが外れるとは見ていないけれども、リスクには注意しないといけない」という情報発信をFEDは行っている訳で、「メインシナリオとしては見ていないが、可能性が小さいと楽観している訳でもない」というのが今の米欧当局の中心的な見方にしかアタクシには見えないのでございますが(賃金の急速な上昇に言及したパウエルとかね)、アタクシいつの間にパラレルワールドの向こう側に飛ばされてしまったんでしょう、と思いました(個人の偏見です)。



・企業の価格行動変化云々の部分で無駄に日銀政策アピールをしているんですが・・・・・・・・・

でもってその先は日本の物価の話で、『(わが国の動向、見通し)』というコーナーになるのですが、最初の現状の数値の説明部分はさておくとしましてその先を拝読。

『私自身は、コロナ禍入り前は、わが国の物価の先行きについて、慎重な見方を持っていました。すなわち、わが国経済は、もはやデフレではない状況にはあるものの、相応のデフレ圧力は残っており、インフレ率はゼロ%近傍で推移するのではないかと考えていました。』

まあその話の前にこの説明も無茶苦茶で、デフレではないけどデフレ圧力で物価はゼロ%近傍っての、それあんたら置物一派が散々罵ってた麿時代と同じ状況なんですけど、としか申し上げようがないのであって、アタクシも鋼鉄の面の皮と心臓を持ちたかったなあとここまで来ると羨ましくなるような説明はクソウケタ。

というのは兎も角として、

『しかし、最近では、次に述べる幾つかの要因を踏まえて、物価上昇率が高まっていく可能性が高まったと考えています。』

ということで、

『第1の要因は、企業の価格設定行動の変化です。コロナ禍において、企業、特に消費関連サービス業は、急激かつ大幅な需要減少に直面しましたが、過去の大幅な需要減少局面でみせたような激しい価格競争を今回は行わず、価格低下を小幅にとどめたり、価格を据え置いたりする行動をとっていると考えられます。』

『これは、今回の需要減が公衆衛生上の措置という人為的な要因や感染症への警戒感によるものであり、企業経営者は、価格を下げても売上増加につながらないと判断したことが一因と推測されます。』

まあ日銀公式もこれなのですが、そもそも論としてこの間のコストプッシュ要因の話をしていないのはインチキ成分が強くて、この間にコストプッシュが起きていて、そもそも下げようにも下げれません状態だったという話をスルーしているのは毎度気になる説明ですな。

とは言えここまではまあ勘弁するんだが、

『政策面では、政府による各種支援金や実質無利子・無担保融資、および、日本銀行による新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ(以下、コロナオペと言います)といった資金繰り支援策が、事業の継続を支え、企業による激しい価格競争を回避させる要因となった可能性もあると思われます。』

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いやあの企業が多く存続したら競争圧力のこるじゃん、という話はどこ行ったって感じですし、話しの都合上先の方にワープしますが、後の方の政策に関する部分の中で、

『一方で、コロナ禍の前から収益性が低く、将来的に債務返済が滞るリスクが高かった企業が延命しているのではないか、といういわゆる「ゾンビ企業論」の意見が、識者の間にあることも承知しております。仮にそれが現実に起きてしまうと、産業の新陳代謝、及び、新規開業などが阻害され、特に地域経済において、経済活性化の妨げになることが懸念されています。』(これは金融政策に関するパートからの引用です)

ってのを言っている訳でして、何ちゅうかこの説明自由自在って感じが何とも。

いやまあ行間を読めば「企業の資金繰りを支援することによってヤケクソ倒産セールのようなダンピングを起こさせなかったので価格競争が起きなかった」という事を言いたいのかなとも思うのですが、その前段で「これは、今回の需要減が公衆衛生上の措置という人為的な要因や感染症への警戒感によるものであり、企業経営者は、価格を下げても売上増加につながらないと判断したことが一因と推測されます。」というのを入れてしまっている以上、同じ理屈で倒産セールしたって売れないものは売れない、って事にならんかと思うので、なんかこの我田引水説明をわざわざする必要がないと思うんですよねー。


・・・・・・・あらま、内容が無いとか言いながらネチネチと読んでいたら時間が無くなってしまいました。下準備しとけという声が飛んできそうですが(すいませんすいません)、どうせ大したことのない記者会見とまとめて明日成敗致します。別に政策インプリケーションは1ミリも存在しなくて、単にアタクシがネチネチと悪態を書くというだけの読み物になりそうで読者の皆様には甚だ申し訳ない物件になる気しかしません(だから最近はFRB7割ECB2割って感じのローテーションになってしまうのです)けれども、何卒ご容赦の程をお願いいたします(ジャンピング土下座)。