福井総裁の村上ファンド出資問題関連駄文等収容所
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とりあえずこちらにも駄文を置いときます(リンクとかも作らないといかんですね)。
まずは書いたのを溜めておきます(よって下のほうが古い文)。ちなみに、あちこちでご引用頂きました「2月の解約はまずいでしょ」ってのはここにございます。

2006/10/17「10月定例会見ではまるで他人事モード」
2006/10/12「何かしらっと一部寄付しているようですが」
2006/09/20「まだ精算金がわからないんですか??」
2006/08/15「定例記者会見で突っ込まれたのですが・・・・」
2006/06/30「今度は外貨預金/山本幸三氏が総裁辞任論」
2006/06/28「諮問会議設置・・・だそうなのですが」
2006/06/22「首相と官房長官発言に少々妙なものを」
2006/06/19「15日の総裁定例会見のファンド出資問題質疑部分」
2006/06/16「参議院財務金融委員会での答弁感想」
2006/06/15「村上ファンド問題の議論が活発なブログ紹介」
2006/06/14「福井総裁の村上ファンド出資問題勃発」


2006/10/17

10月13日の定例記者会見(http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0610b.pdf)で村上ファンド問題の質疑はおまけのようにしかありませんでした。以下記者会見について書いた17日のドラめもんから当該部分を。

同じ質疑の中でおまけのように村上ファンドについて質問がありまして、その後の追及が何もないとはどういう事なのかと存じますが、福井総裁のご説明はこれだけでございました。

『私としては解約の手続きは終わっていますので、戻るものはなるべく早く一括して戻してもらいたいと思っていますが、先方の事情はよく分かりません。部分的に戻ってきたということでございます。今後どうなるのかちょっと分からないでおります。』

精算の明細が判らないのに一部だけ金が返ってくるなんて金融取引の常識的に有り得ないと思うんですが、どういうファンドなのよ???

ってか、どう見ても「私のせいじゃないですよ」モードになってますな。こんなエエカゲンな事で終了で良いんでしょうかねえ(まあしぶとく粘着するあたくしもあたくしではありますが)。





2006/10/12

○さてさてファンド出資問題

えー、昨日の参議院予算委員会に出席した福井総裁は村上ファンドへの資金拠出問題に関して「日銀総裁就任時に拠出を続け、結果として利殖行為ではないかという批判をいただいたのは、不明の致すところであり深く反省している」と答弁したそうですな(ブルームバーグニュースより)。で、朝のテレビを見てて「はあ?」と思ってNIKKEI NETをチェックしたらこんな記事が。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061011AT2C1102W11102006.html
村上ファンド拠出金、返還の1400万円寄付・日銀総裁
日銀の福井俊彦総裁は11日の参院予算委員会で、自身が村上ファンドに拠出した資金について「まだ全部は戻っていないが、部分的に戻ってきた資金については今般、寄付を実施した」と明らかにした。民主党の広野ただし氏への答弁。(以上上記URLより)

反省云々も広野氏への答弁なんで同じ話の中と存じますが・・・・

えーっと、9月8日の定例記者会見で福井総裁はこのように仰せになっておられました(20日のドラめもんで触れました)。

『村上ファンドについては、解約を申し出たのは2 月で、実際の解約は6月と申し上げておりましたが、最終的にファンド側からいくら戻されるのか連絡を受けていません。こんなに時間がかかると思っていませんでしたが、そういう状況ですので、いずれまたきちんとご報告したいと思います。』

上記URL先の関連記事にこんなニュースもありました。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061011AT3L1106011102006.html
日銀総裁、日赤などに1400万円寄付・村上ファンドの資金戻る
日銀は11日夕、福井俊彦総裁による村上ファンドへの資金拠出問題に関し、総裁が約1400万円の払い戻しを受け、うち1000万円を日本赤十字社(東京・港)に、約400万円を留学生支援のための慈善団体に寄付したことを明らかにした。(以上上記URLより)

全部解約してるのに出資金の一部だけ先行して戻ってくる(配当分はまあさておきまして)ってどういうファンドなんだよという疑問が激しく沸き起こりまして、益々訳の判らん不透明なお話ですなあというのもあるのですが、それ以前の問題として、「きちんとご報告したいと思います」ってのは資金が戻ってきた事に関して黙って寄付をして、参議院予算委員会で質問されたからお答えすることだったんでしょうか。上記ニュースの書き方だと、日銀の政策広報は福井総裁の答弁を受けて明らかにしたという風に読めますが、どう見ても遅れた事後報告です。本当にありがとうございました。

あのですな、そういう「何がどうなってるんだか良くわからんぞ」っていう不明瞭あるいは不透明なことが多過ぎなのが本件で福井総裁が非難される一因(というか個人的には大きな原因だと思うんですけど)だというご認識は全然持って無いでしょうと小一時間問い詰めたくなるんですけど。

下衆の勘ぐりはしたくないですが、このタイミングで公表に至るというのは、政治日程を勘案してタイミング測っていたんじゃネーノとか、北朝鮮の問題で世間の話題がそっちに行くから今がチャンスだといきなり公表したとか色々と下らない妄想を逞しくしたくなるんですよね。如何にも話題としてスルーされそうなタイミングを狙ってるとしか思えないのはあたくしが下衆だからですかそうですか。

福井総裁は「深く反省している」とご答弁なさっていたようですが、反省しているなら「一部が返戻される運びになりましたのでご報告します」って事前に報告するもんじゃないのかと思う次第でして、実は総裁様におかれましては「いやあ何か事故にあっちゃったよ不運不運♪」程度のご認識しかお持ちになっておられないのではないかと申し上げたくなる次第でございます。

本件に関してカリスマ(苦笑)総裁様を問い詰める訳にも行かないで、結果として後出し報告になってしまっている(という光景は容易に想像できるのですが、もしそうじゃなくて日銀の中の人たちもこの件を知ってて公表タイミングを測っていたのならセンスを疑う)日銀政策広報の中の人が不憫でございますな。などとあたくしのような片隅に棲息する下衆に言われたくはないですかそうですか(笑)。

しかしまあ話は戻りますが、解約の損益が確定しないのに資金だけ一部が戻ってくるって言うのもワケワカランですな。それじゃあ税務処理困ると思うんですが、そんなファンドに出資してた機関投資家大丈夫かってまた同じ話に戻る次第です(笑)。明細も判らないで資金だけポンと返って来るなんて金融の常識からして有り得ないんですが(概算で返還するってのあるのかね??)。そういう点に関してもご説明賜りたい所ではございますな。プロ中のプロ(笑)の運営するファンドとしておかしいだろ・・・・

#どうも本件に関してはどこまで行ってもグダグダですなあ。






2006/09/20

(これは9月8日の定例記者会見での質疑応答です。単純タイプミスを一部訂正)

・ところで村上ファンド

村上ファンドに関して質問したのは一人(しかも他のついででしたが)いましたんでそのお答え。

『村上ファンドについては、解約を申し出たのは2 月で、実際の解約は6月と申し上げておりましたが、最終的にファンド側からいくら戻されるのか連絡を受けていません。こんなに時間がかかると思っていませんでしたが、そういう状況ですので、いずれまたきちんとご報告したいと思います。』

ここのところが未だによく判らんのですけど、村上代表が逮捕された時には確か「ファンドのうち6割くらい現金でもっているので解約がきても大丈夫」というようなコメントがファンド側から出されていた筈でして(具体的なソースは失念しましたのでお示しできませんが)、あのコメントは一体全体何だったんだという話になりますわな。何度も同じ話で恐縮ですが。

それに2月に解約申し出て9月になっても清算価格すら判らんってそんな計理やってるファンドって何なのよという話でして、そんな不透明極まりない(というか強く言えば杜撰なファンドへ投資をしていた機関投資家がいた筈ですが、この人たちはそれで良いのでしょうかって話になりますわな。自己勘定の資金なら兎も角、他人勘定部分を突っ込んでいるとしたら、それは委託者に対するプルーデンス上問題ありませんですかねえ。

どうも本件は「金融関係者として常識的に考えて不可解極まりない」という部分が未だにございますわな。






2006/08/15

(これは8月11日の金融政策決定会合後の定例記者会見での応答です)

○ところでファンド拠出問題なんですが・・・・・

ここの質疑応答に関しては何だかなあ感が。

『(問)先月の記者会見の質疑応答でもありましたが、総裁は村上ファンドに対して6月末での解約を申し出ていたかと思いますが、その結果はどのようになっているのでしょうか。』

『(答) 具体的にいつどの程度の金額が戻されるのかについて、まだ連絡を受けておりません。従って、今はまだ何もわからない状況です。』

2月に申し出して、6月末付けの解約をしたのに8月になっても金額が判らんってどういう管理状況になっているんだ村上ファンド。

それに物凄く疑問に思うんですが、確か村上代表が逮捕された時にファンドは「現在ファンドの現金部分が沢山あるから解約が来ても心配ないぜ」というような趣旨の発表をしてたと存じますけど、福井総裁の解約処理にこんなに時間がかかるのに「現金部分云々」の話は別に関係ねえじゃんって思うんですよね。

このあたりにも象徴されてるような気がするんですが、村上ファンドに関してはどうもこう皆様から出てくる話を突き合わせて見ると話に整合性が取れない部分が見受けられるように思える次第で、これがまた何とも「胡散臭さ」というものを醸し出す原因の一つとなっているのではないかと思料。

で、何で日銀総裁たる立場の人がそういうもんを継続して取引してたんでしょうなあという話になる訳ですが、まあそれはともかく、ではファンド解約の方はどうなってるのよって質問の続きはこうなってます。

『(問) 問い合わせはされたのでしょうか。』

『(答) 特に問い合わせはしておりません。』

まさか有耶無耶のうちにフェードアウトしようってんじゃあ無いでしょうね。

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2006/06/30

○福井総裁のファンド出資問題の周辺話題雑感

・外貨預金がどうのこうのというお話

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060629AT2C2903I29062006.html
「日銀総裁が12万ドルの外貨預金」民主が公表

って記事がございました。為替介入をする権限は財務省にありまして、介入に関しては日銀は単に財務省のパシリなので、外貨預金があってもインサイダーでも何でもないですわな。よってこれをネタに何か民主がいちゃもんをつけた場合は単に己の無知蒙昧振りを宣伝するだけでして、市場関係者からの格付けが投資不適格級に下げられる(既に・・・という事は申しませんが^^)だけの事でしょうな(笑)。

まあそれはそれで別にどうでも良いのですが、記事にもありますように、『日銀は27日に、福井総裁が保有する金融資産を公表したが、預貯金の内訳は出していなかった。』ってのがちょっとどうだったのかなあと。今や本件はただのワイドショーネタになっている訳でして、世の中でのニュース報道では「政府・日銀が為替介入」って言い方をする事を勘案したら、外貨預金がありますよってのも公表して、記事にある「民間人の時に設定した契約に基づき継続保有しているもので、職務との関連で何ら問題ない」って公表もして、介入の仕組みもついでに説明れば別に問題は無いって話になるにと思うのでありました。

こうやって小出しに出てくると何でもかんでも色眼鏡で見られる訳でして、実際には何の問題も無い話までぐちゃぐちゃ言われるわけですわな。よってプロ的には「外貨預金無問題」と思っても、「よー知らん人たちがどう思うの」ってのを意識しないといけませんですわなあという事ですよ。

しかし日経の記事もこりゃどうよと思うのは、記事中に『日銀は財務省とともに外国為替市場で介入をしているが、日銀には外貨預金を禁止する明確なルールはないという。』と、いかにも日銀が自らの意思で介入できるような書き方をしてるのが実に嫌らしいですな。日経の見識を疑う。

ちょっとだけ話が変りますが、上記記事にある日銀の公表「民間人の時に設定した契約に基づき継続保有しているもので」って説明はどういう文脈で行われているのか存じませんが、その説明を推し進めると「村上ファンドの場合は継続保有を途中で止めたので不適切行為」って逆ねじ(あたくしは途中で解約したのは不適切行為と思ってますけどね)くわされるのでは無いかと思うんですが。。。。。ま、どうでも良いけど。

そして、本件に関してですが、みのもんた様のコメントを聞こうかと朝ズバ!を7時から見てたのですがネタになってませんでしたな(その前の時間は知らん)。そりゃ「介入を決めるのは財務省だから無問題」で終了でしょうからネタにならんわな。哀れ民主党。


・山本幸三議員が辞任を求めたそうですが

読売新聞から
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060629ia29.htm

ご本人のメールマガジンなんぞ読んでいる訳無いですので、実際にどういう文脈で辞任を求めているのかは存じませんが、報道されている内容によりますと、概ね上記記事にあるように「日銀総裁にはあらゆる情報が集まり、金融政策を左右できる」「そのようなポストで資金拠出や株保有を平気で続けるのは(総裁の)資格がない」というこだとされています。

・・・・はて、その理由でしたら本件問題が表面化したときから状況は変っていないのですが、このタイミングで急に辞任を求めだしたのは何の理由があるんでしょうか。えーっとまさかとは思いますが「小泉首相が擁護していたから当初はそんな事はいえませんでしたけど(以下激しく自主規制)」って理由ではないですよねえ。

ま、市場で7月利上げ説が濃厚、というか7月利上げ(ただしその次は直ぐには行われない)を前提に動いていることが影響してるんじゃないのって風には思うのですが、タイミング的には・・・・(苦笑)。

ちなみに、ちょっと前のニュースを見てるとこんなのがサルベージされます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060614-00000232-reu-bus_all
「日銀総裁の村上F問題、金融政策影響せず=山本幸三氏」
この記事にありますように「8月のCPI改定を見てから利上げを検討すべし」ってのが山本氏の見解ですんで。ちなみに何でこの時は辞任云々の話をしてないんでちゅかねえ〜。

なお、ご本人のウェブサイトでそのうち理由についてご説明があると思いますので、それ次第では本稿の扱いが変るんですが、あくまでも現時点での報道内容を元に書いております事をお断りしておきます。

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2006/06/28

○日銀諮問会議設置&関連雑談

日銀からこんな発表が。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/un0606h.pdf

「役員の金融取引等に関する内部規程等の見直しに関する諮問会議」って名前がなげえよと思いながら拝見するのですが、2ページ目のメンバーを見て「うむむ」と唸るあたくし。

いやまあこのメンバーの各人の識見を疑うものでは全然ございませんが、何を基準に選定したのかイマイチよー判らんというのが正直な所。ど〜せ「諮問会議」なんだからもうちょっとインパクトある人として中原伸之元審議委員でもお招きすればウケが良かった気がするんですが。日銀の強い影響の下にあると世間的に認識されている(事実関係はさておいて)短資会社の人(ちなみに加藤さんの能力識見に文句つけてる訳ではないので念の為)をメンバーに入れるのは外部アピール的にちと下手なんじゃないですかと言うあたくしは意地が悪いですかそうですか。まあ能力本位で選んだらこうなったという事だと理解しておきますけど、もうちょっとこう何かアピール度ってのも考えていただけると宜しいのではないかと思うんですけど。


本件どうも福井総裁引くタイミングを逸してしまった感じで、傍観しててひじょーに痛々しいのですが、まあ一通り本件の収拾はやっていただいてからまた改めてお考えをいただきたいものだと思う次第。昨日は小泉首相の毎度お得意の「一般論として」語るヒヤリとする発言が出ました(前日の公明党神崎党首発言を肯定する発言)が、それによって債券先物とか反応しちゃうような市場状況ってのは一頃前からすれば考えられない話でして、まあ日銀の政治からの独立性に関する市場からの信頼が毀損とは言いませんが、微妙に低下しているというのは否めないと思います。

韓リフ先生昨日のエントリー「総裁は「一時休業」するのも案かも」
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20060627#p4

本石町日記さん昨日のエントリー「焦点は「2月解約」と村上ファンド捜査の行方」
http://hongokucho.exblog.jp/5129115/

を読みつつ深く頷くあたくしなのでありました。本石町日記さんの上記エントリーの『避けるべきは、事件が(私から見て)中途半端に終息し、その一方で「濡れ手に泡」という批判に抗し切れずに総裁が辞任を余儀なくされることであろう。肝心なところが不明なまま、なぜか端っこにいた総裁が善意を仇で返され、見当違いの批判で消えていく。こうなると、なんだか不条理劇のようである。』という点に同意ですな。話の方向をワケワカラン所(=ゼロ金利を強いておいて大儲け)へ持って逝った野党(特に民主党)とメディアは逝って良し。

そして、韓リフ先生の上記エントリーの次にあるエントリーの最後の部分『で、もうこの路線対立は完全ネタ切れで各論者のブログをみまわしても情勢変化待ちの状況ですね(=みんな飽きてる状況』ってのは全くその通りでございますね、いやはや何とも。

まあ色々と思うことはあるものの、例によって論理的な書き方ができなさそうなので本件は今後の推移を見たいと思います。ニュース映像を見る限り福井総裁相当お疲れのようにお見受けしますが大丈夫でしょうか。

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2006/06/22

○首相発言&官房長官発言のトーンが・・・

こういうのは報道だけで判断するのは慎重にしないといけないのでメモメモ程度なんですけど。

昨日のブルームバーグニュースが報じる(12時38分配信)ところによりますと、小泉首相は福井総裁の「早め」発言に対して官邸で記者団に対して「金融政策は、政府と協力し、日銀としてどう判断するかだ」と発言したそうです。また安倍官房長官は福井総裁の村上ファンドへ資金拠出問題に関して、午前の定例会見で、福井総裁に職責をまっとうしてほしいという考えに変りはないとしながらも「国民の信頼が必要だ。やるべきことをしっかりとやってほしい。資産公開など内規の見直しをすべきだというのが国民の声。これなしに国民の信頼を得ることは難しい」と述べた(11時49分配信)そうです。

どっちもちょっと引っ掛かるなあ。最近の首相は金融政策に関しては「日銀が独自に判断すること」という言い方(イヤミっぽい言い方の時もありましたが^^)をしてたように記憶してるんですが、一般論としての政府と協力というのは見たことあるけど、日銀の判断という言葉の前に「政府と協力」って言い方してたかなあとちょっと気になります。官房長官は福井総裁の村上ファンド出資の件に関して「国民の信頼」という言い方でちょっと厳しい言い方してるなあと。うーむ。

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2006/06/19

お題「15日の総裁記者会見あれこれ」

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0606c.pdf

○無念のPDF29ページ

総裁定例会見が29ページにも及ぶPDF形式で出たのは今回が初めてのことのようです(本石町日記さんのコメントによります)。ちなみに通常は会見翌日の夕方までにはアップされる会見要旨ですが、金曜の場合は夜7時になってもアップされず、深夜に見たらアップされていたのですが、ファイルのプロパティ見ると夜10時近くにファイルが出来たようですね。日銀事務方の皆様のご苦心のほどお察し申し上げます。

29ページある中で金融政策に関するお話は4ページちょっとでして、残りは延々と村上ファンドへの出資問題。

○在任期間中の解約が・・・の方が適切だったのかなあ

先週水曜に「2月に解約したのがマズイでしょう」として「2月に解約した理由ってこういう感じだと言われたら困りますわなあ」というのを書きましたら多くの方に引用されまして恐れ入ります。で、その時に「解約するのなら過去の経緯を開示して堂々と解約すればよかったのに」と書いたので「2月解約がマズイ」という主張になってしまいましたが、つらつら思いまするに在任期間中だったらいつ解約しても問題は問題だったような気も。

でもまあそうだとすると市場の人たち(だけじゃないですが)が口を揃えて言う「総裁就任前に解約すればよかったのに」というのと話が微妙に混乱するので益々話がややこしくなりますが。

まあそっちの話は一旦置きますと、金曜に申し上げたように、「在任中に投資判断をしたのはマズイ」ということかと思います(実際は投資判断じゃなくてホリエモン逮捕で「こりゃ持ってるのが判るとヤバイ」って思ったと邪推してますけど)。

まあ書きながら自分でまだ上手く話を煮詰めて無い事に気がついたので、もうちょっと練ってみますが、「2月じゃなくても解約はマズイ」「その上2月というのはタイミングが最悪」というのがあたくしの見解であることを申し上げさせていただきますね。


○事後報告とは随分甘いルールですなあ

日銀のルールはどうなっているのかという話に関して会見の6ページ目にこんなお話が。

『(水野理事) ルール上は、動かしてはいけないというルールがあるわけではございません。動かした場合には、その報告をするというルールになっています。』

国会でも似たような話を聞いたのですが、こうやってちゃんとしたテキストで見たのは初めてでして、聞いたときから「ええっ!」と思ったのですけれども改めて活字でみるとやはり「これは如何なものか」です。

あのですな、事後報告だったら「やっちまった」らそれまで何じゃないかと。本人をクビなり何なりにして利益返上させることはできるかもしれませんが、「やっちまった」後で信用が傷つくのは日銀という組織でしょ。

普通の証券業務やら運用業務やってる会社だと、役職員の個人的な投資判断行為に関しては、事前に申請して然るべき部署で承諾を受けてから行うのが常識(どこからどこまでの商品が対象になっているのかは各社個別に違いますが、基本的に自社で投資情報を流している商品や、利益相反の可能性が起きる商品は対象になります)でして、「やった後に事後報告」なんてルールで運営してる会社は聞いたこと無いです。

どう見ても大甘ルールです。本当にありがとうございました。


○株式とファンドは別と言うのは詭弁でしょ

投資判断をしたのはおかしいのではないかという質問に対して。質問は6ページ目で答えは7ページ目。

『(総裁) 私は、株式については極力売却しないでおこうと思っています。余程資金繰りに窮しない限り、株式については即、実現損・実現益がでるということになりますのでそれはしません。しかし、このファンドの場合は解約を申し入れてからずっと先になるまで実際の清算が行われませんので、その間どう相場が動くかわかりません。要するに結果がわからない仕方の解約でありますので、そういう意味では、何らかの情報を利用して利益を得るために売買をしたのではないかという問題を避けるためのルールからは、遮断されているという理解であります。ルールの管理者もそういう理解であるということです。』

どうも国会で民主党のアホウどもが「儲かったのが怪しからん」「低金利で庶民は喘いでいるぞ」と実に下らぬ論点でツッコミを入れているのでそのことが頭にあったのかも知れませんが、この答えって(引用してないけど)質問の論点からずれているんですよね。問題は「儲かった」ことじゃあ無いと思うんですけど。

まあそれは兎も角として、この答えはちょっと・・・・でございます。損益が出なけりゃ良いとかいう問題かと思うんですけどねえ。

まずですな、「余程資金繰りに窮しない限り」って言ってるけど、そういうアフォな事が起きないように日銀総裁ってのは待遇されている筈でして、在任期間中に売買が生活上必要になるような事はないでしょ。

それからですな、「ファンドの場合は解約を申し入れてからずっと先になるまで実際の清算が行われませんので」って話ですけど、別にファンドやら投信やらだって可及的速やかに清算されるものが遥かに多い訳でして、この理屈は意味判らんですな。「ファンドなら良い」の理屈になってないとおもうんですが。


#これはまあ取っ掛かり部分でして、延々とやってますが本日は簡単にこんなところで。まあ続きはやるかもしれないしやらないかも知れないです。

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2006/06/16

○福井総裁問題:答弁はちと苦しそうな印象なんですが

国会中継のインターネット放送を見たのですが、民主党の平野議員の追及はズレまくってて20点と言ったところですな。しかしそのズレ質問「ファンドの収益はいくらだったのか」に対して「ただいま精査中」は如何なものかというように、福井総裁の答弁は輪を掛けて如何なものかという感じでしたな。

あのね、確定申告してる(ファンドの帳簿上の損益に対して納税するなんて税制ありましたっけ???と甚だ疑問はありますが)のに収益の額判らんってことはないでしょう。確定申告書の控えくらい保管してるでしょ、申告する時には明細つけるんだから見りゃすぐに判る筈なんですけど。

それとも何ですか?福井総裁は一読してわからない位に多岐に渡って譲渡所得(本件所得?が譲渡所得なのか配当所得なのか雑収入なのかという問題は正直判らんので科目に突っ込まないで下さい^^)が発生してるんでしょうか???

と、意地の悪いツッコミができてしまうのはちょっとねえ。

で、共産党からは前日に引き続き昨日もまた大門議員が登場して突っ込んでましたが、富士通総研の行為に突っ込みをしても仕方ないと思うんですが。そんな中で福井総裁は富士通総研時代に複数企業の社外取締役をしていた関係で複数の企業の株式を保有しているって答弁をしてました。

で、その株式については凍結しているという表現をしてましたが、まあ信託してるとかいうような明確な形じゃないんでしょうなあと思わせるものがございました。それじゃあ何だかなというのもありますが、もうひとつツッコミをさせていただきますとですな・・・・

総裁は富士通総研時代に保有していた株式を「凍結」しているとご答弁されているということは「日銀総裁の在任期間中に個別株式の売買行為を行うのは不適切」という認識はお持ちだという話になると存じますが、ファンドの解約だって売却行為(法律的な形式は措く)じゃないのかと思いますがね。そっちは凍結でこっちは解約という行為の整合性が取れませんわな。極端に言えば「社外取締役を引き受けた時にはその企業の社会的貢献を応援するつもりで受けましたが・・・・」ってな具合で株も売れますよって話にならんかね。

総裁就任時に売却するか在任期間中は売買できないようにきちんとした形で信託なり何なりするかが必要だったと思うんですが、個人の管理に任せたままで推移してファンドを2月に非公開で解約というのが返す返すも痛恨事でしたな。


ま、本日は衆議院財務金融委員会で吊るし上げが待っておりますけれども、昨日までの答弁と矛盾する話がでてきたらさすがにアウトになりそうな予感。


○信認とか期待とかを扱うのだから・・・・

今一歩生煮えのような気がするので論点がグダグダになってしまうかもしれない点は先にお断りしつつ、今日は別の論点を。

本件の推移を受けまして、今朝のモーサテでのゲストコメンテーターもそうですが、早速あちこちのレポートで「本件によって7月のゼロ金利解除の可能性は後退した」(ちなみに短期ゾーンの利回り形成状況を見てるとまだ7月利上げリスクは結構ありで見てるようです、為念)とか「今後日銀は政府に対して意思を通しにくくなった」というような見立てが出てくるわけですよ。当然のことですけれども。

そういう見立てが広がってくると、「官房長官がゼロ金利継続と言ってるから政策金利はいじることができない」というような金融政策決定プロセスと本来関係ない筈の読み方になってくる次第でして、これはやはり日本銀行の政策に関する信認が低下するってお話になるんじゃないでしょうかって思うのですよ。

金融政策ってのは金利操作(この前までは日銀当座預金残高の操作)を使って物価などの経済を安定化させるというもんですが、そこには「中央銀行の政策運営に対する信認」とか「市場のインフレ期待」などというような必ずしも理屈でスパッと割り切れるかというと中々難しいものがある訳でして、金融政策が所期の目的通りに機能するためにはそういう信認とか期待とかいうものを大事にしないといけないと思います。

確かに推定無罪かも知れませんが、「政府に庇われた」人が中央銀行のトップで今後の金融政策への信認ってどうよとか考えると、総裁がこのままでいるのは日銀の為にも良くないような気がするんですけど如何なもんでしょう。

・・・・思いは色々涌いてくるのですが、やはり文章にするのが難しいです。全然論理的じゃなくてスイマセンスイマセン。きっと本石町日記さんがクリアなエントリーをしてくれるでしょう(と人に振る^^)。

#何か今日の天気のような気分でございます

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2006/06/15

○さて金融政策決定会合ですが(話は全然別^^)

当然のように本日の政策変更に関してはノーマーク。会合後の記者会見に関しては、本来注目されるべき金融経済月報だの先行きの金融政策に関する総裁発言などというものがちゃんと出てくるのかは・・・・まあどうなんでしょう(苦笑)。今日の定例記者会見に関しては一般紙やらテレビ局やらがわんさか襲来して大変な事になるんでしょうな。政策広報の皆様におかれましては誠にご苦労さまでございます。

で、その一般紙なんぞがどういう質問をするのかというのが気になる所でして、昨日の朝はどこぞのコメンテーターがテレビのニュース番組で「低金利政策をしながら総裁は高利回りのファンドで儲けてケシカラン」などという思いっきりピントが斜め上に逝ってる話をしてましたが、そんなレベルの質問を意気揚々と会見場でするのは勘弁して頂きたいものです。

まあ今日の記者会見と、今後予定されている国会での閉会中審議でどういう対応をされるのか見ていきたいものです。

で、まあ本件に関しては田中秀臣先生、bewaadさん、本石町日記さん、ぐっちーさんのブログでの議論や、各ブログへのトラックバック先のブログでの見解などを読みながら勉強させていただいております。大体こちらの読者様ならご存知とは思いますが、念の為URLを置いておきます。当該記事のリンクを入れれば良いのですが、ちと面倒なので(おい)トップページで勘弁。

・田中先生(Economics Lovers Live)
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/
・bewaadさん
http://bewaad.com/
・本石町日記さん
http://hongokucho.exblog.jp/
・ぐっちーさん
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55

#URLを置いて終了とは手抜きではないかというツッコミはしないように(笑)。


で、真面目な話の中でいきなりおちゃらけるのがドラめもんクオリティなのですが(こら)、では福井総裁は辞任することになるのかという点につきましては、兜町の撃墜王であらされるところの髪様がこんなコメントをしてました→http://blog.livedoor.jp/orion3/archives/50580431.html

>辞任はやむなしではないか。

・・・首が繋がりましたか福井総裁。


というおちゃらけ話はともかく、本件が訳の判らん政治的取引の材料になってしまい、結果として金融政策運営に変な影を落とすような事があってはいかんのではないかと思います。(まあ今の結論先にありきみたいに見える運営も如何なものかとは思うけど)

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2006/06/14

お題「福井ショックと言いたかねえが」

昨日の参議院財政金融委員会で明らかにされた福井総裁の村上ファンドへの拠出問題。ニュースが出たときは「まあ99年だから民間人だし、1000万円ってのは一般人感覚から言ってちょっとどうかと思うなあ」ってのが第一印象。ここの所福井総裁が村上ファンドのアドバイザリーボードを昔やってた話とかは夕刊紙ネタだったので、それはまあ兎も角として、あっしなんぞは「いっせんまんえんですかそりゃまたすごいおうえんですねえ」と棒読みになっておりました。でもまあそれは過去の話でしょうと思ったら・・・・・

よくよくそのニュース記事を読んでおりますと、共産党の大門委員からの質問に対して「数ヶ月前(その後記者からの質問に対して2月と答えたそうですが)に解約の申し出を行った」というお話。こりゃマジイダロとか思っていたわけですが。


○それと利上げは別問題だとは思いますが・・・

後場途中からは思いっきり平均株価崩壊あんど金先債先大幅上昇の巻と相成りました。まーこの手の話題に食いつきが宜しい海外の皆様なんぞが盛り上がりそうなネタとしては「福井総裁退任必至」→「ゼロ金利解除困難」→「金先買ってウマー」というお話になるんでしょうけど、まあそのネタはさすがに無理筋の読みでしょう。ま、株式市場がゲロゲロですから利上げをやりにくいというのはあるかと思いますが。

昨日の市場では前場は株安でも金先やら2年債やらは弱い展開での推移してまして、さすがにちと先週木曜はやり過ぎでしたかって感じだったのですが、思いっきり逆襲の図になったのはいやはやこりゃ参りましたなあという感じです。


○「数ヶ月前の解約申し出」はどう見てもマズイでしょう

本件に関してですが、99年に村上氏の志を応援する為に云々というのは富士通総研理事長という立場だからまあそこまで言う事は無いとは思います。1000万円をポンと出すというのは随分おかねもちですなあ(棒読み)という印象はありますし、本人公職に戻る気があるのならちょっと脇甘いでしょうという印象は拭えませんが。

で、どう見てもマズイのはその「数ヶ月前の解約」ですわな。

1.投資判断(相場が下がる)として解約したのであれば金融政策運営の責任者である日銀総裁という立場を勘案すると日銀の行動倫理の内規に抵触しそうな気が思いっきりします。しかも2月に申し出との事ですからその直後の3月に量的緩和解除してるのはまさにタイミングがアヒャヒャヒャヒャヒャですな。

2.村上ファンドを保有しててマズイと思って解約したのであればこれまた問題。何故この時点で急にマズイという認識になったかという点で突かれだすと、あーたファンドの違法性への認識があったのか捜査ターゲットになってるという認識があったのかなどと突かれ放題。

まあね、「よくよく考えたら日銀総裁が特定のファンドに肩入れしているような印象を与えるのは良くない」と思ったので解約するちゅうのであれば、そもそもの拠出の経緯と現状についてアナウンスして、その上で解約をするって青天白日の下で行うべきだったんじゃないですかね。どうみても「こっそり解約した」としか思えない行動は実に情け無いとしか申し上げようがございません。

本件では与太話盛り上がりましたが、周囲でも「解約はマズイ、持ちっぱなしで何もしてないって状態の方がまだ言い訳がつくでしょう」って話になっておりましたな。「本来日銀総裁に就任した時点で解約するもんじゃねえのか」というのは認識が一致しまくってましたけど。

与太話の一環として「阪神ファンとして怪しからんので解約を申し出た」ってネタで逃れるという案もありましたが(笑)、解約申し出が2月だと残念ながらその言い訳も無理筋の香り(爆)。

という訳で、あたくしと致しましては「拠出したこと」よりも「2月にこっそり解約したこと」の方が大問題であって、福井総裁におかれましては公職の高い地位にあるものとしてその行動に問題があるということで辞任していただきたいと存じます。


○まあしかし脇の甘いことで

・・・・しかし脇が甘いとしか言いようがないですな。

福井総裁は以前も木村剛氏肝いりの金融雑誌の創刊号を飾るという騒ぎを起こしてましたけど、「志のある人を応援する」というお心は男気として誠に美しいのですが、一歩間違えると「広告塔として利用される」という結果になるわけですわな。

結果的に悪徳商法の広告塔になってしまったタレントさんが暫く仕事を干されるのと同じようなもんで、総裁としてはそのお立場を良く踏まえて行動をしていただかないといかんと思う訳ですよ。

#今回の場合はまあ広告塔をやってたわけでは無いのですが。

あっしとしては福井一座の円環性「市場との対話」芝居にはほとほと呆れ果てておりますので、とっとと武藤副総裁に総裁の座をお譲りいただきたいと思うのですけど。武藤さんの就任以降の言動を拝見してますと、別に財務省寄りの金融政策運営するとも思えず、まあバランス取れた運営するんじゃないのかと思うのでありました。

#ネタの宝庫が辞めてしまうと書き物のネタに困るのですが(爆)。

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