布野幸利審議委員(のコーナーの予定地)

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布野さんの略歴(日銀Webより)

昭和22年2月1日生

昭和44年11月 神戸大学経営学部卒業
昭和45年 4月 トヨタ自動車販売(株)入社
昭和51年 5月 米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了
平成12年 6月 トヨタ自動車(株)取締役
平成15年 6月 米国トヨタ自動車販売(株)社長
平成17年 6月 米国トヨタ自動車販売(株)会長
平成18年 5月 トヨタモーターノースアメリカ(株)取締役会長
平成21年 6月 トヨタ自動車(株)代表取締役副社長
平成25年 6月 トヨタ自動車(株)相談役 (株)国際経済研究所代表取締役
平成27年 7月 1日 日本銀行政策委員会審議委員に就任
(実質的な前職:トヨタ自動車代表取締役副社長)

詳しくはこちら→http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_funo.htm/

2015/07/03 「就任記者会見で早速「副作用のない政策に効果は無い」と置物一派をdisる」
2015/07/02「布野さん就任」
2015/04/22
「森本審議委員の後任にトヨタ自動車元副社長の布野幸利さんがノミネートという超朗報」

2015/07/03

○布野審議委員の就任記者会見は実に心が洗われまして今後のご活躍に大いに期待したいです

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1507a.pdf

・最初に抱負を聞かれての部分ですが実に常識人ですな

『(答) 抱負につきましては、皆さんもご承知と思いますが、私は、40数年間、実体経済と言われるところに身を置いて参りました。その中の感想ですが、日本の実体経済には色々な良いところがあるということです。例えば、お客様本位の商品やサービス、モノづくりや改善を進める伝統、人材を大事にする経営、またイノベーションを進めていく人材の層の厚さです。日本は、そういう実体経済を通して、自らを豊かにもできるし、世界にも貢献していけると思っています。』

うむ。

『そういったことを実現するためには、やはり実体経済の持続的成長が必要であり、また、そのためには、物価の安定や生産性の向上など、色々なことが条件として満たされないといけないと感じています。』

インフレ目標2%を達成すれば何もかも上手く行くという置物理論に拠っていないですな。

『今回、審議委員に就任させて頂くということで、私の過去の経験等を踏まえ、現場からのフィードバックなど鋭意収集し、実体経済と金融政策の相互作用に注目し、私の特色を出しながら、役目を果たしていきたいと思っています。』

『私は、実業、産業界の出身ということで、金融界や、他の方々と比べますと、経歴が多少違いますから、総裁、副総裁はもちろん、審議委員の方々、また、理事の方々の考えに耳を傾けながら、勉強しつつ役目を果たしていきたいと考えています。』

期待しております。


・政策の副作用について言及とな

『(問) 先程の質問とも重なるのですが、これまで「量的・質的金融緩和」が日本経済、物価に与えた効果について、もう少し具体的に、どういう経路でどういう部分に効果を発揮したと考えておられるのか、また、今の緩和は相当大規模なものですが、今後この緩和を進めていく上で副作用についてどういった点に特に委員は注目されているか、教えて下さい。』

ということで・・・・・・・・・

『(答) 先程申し上げた通り、今までのところ、色々な形で、国民一般も、企業人も、経済に少し明るいところが見えてきたと感じていると思います。副作用については、薬品業界にいる私の友人の話によると、副作用のない薬はないそうです。「良薬口に苦し」という言い方もありますが、やはり、副作用は常にウォッチしていかなければいけないと思っています。色々な政策を展開していく中で、副作用がどういう状況にあるかについて、今後、他の委員との意見交換や、理事や様々な方々と協力しながら、鋭意ウォッチしていきたいと考えています。』

>副作用のない薬はないそうです
>副作用のない薬はないそうです
>副作用のない薬はないそうです

・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

つーかまあ布野さんのこの発言こそが常識的な考えであって、先般のMPM議事要旨でどこぞの阿呆がほざいていた「副作用は理論的にも無い(キリッ)」とか言うのがゴミクズにも程がある訳でございまして、布野さんが政策委員会に出席してそのような阿呆の阿呆節を聞くことになった場合にどのような感想を持たれて、どのように見解を述べられるのかというのは見てみたい(見れませんが)ですなあという所ではあります。


・2%達成に関しての見解は「2%は必要だがある程度柔軟対応の余地あり」かと思われます

当初のヘッドラインでは2%必達っぽいのが出ていましたがその前後の質疑を長くなりますがここはポイントに成りえるのでドカドカ引用しておきます。


まずは必達っぽい発言の部分。

『(問) 先程から何度か質問が出ていますが、改めてお聞きします。2%の物価目標は先程、きっちりとやっていくことが重要というお考えだったかと思いますが、必ず2%という数字を達成していくのか、あるいは、1.8%なのか1.9%なのか、2%に近いところまで行ければ良いのではないのかというようなお考えなのか、その辺りの厳密性というか、2%という数字についての拘りについては如何でしょうか。』

とありますように実はその前から質疑がありますのでこの後引用しますね。

『(答) 確かに、2%は必要といいますか、やらなければいけないと思っています。』

という所が切り取られてどこぞのベンダーでは大々的に出ていましたが、別のベンダーですと必ずしもそうなっていませんでしたね、というのは昨日引用したどこぞじゃないほうのベンダーの記事URL通りです。

『ただ、そこに作用してくるファクターが日々刻々変わっているわけで、その意味では、昨日、今日のギリシャでも、これが例えば──今はそこまで見えていませんが──、展開次第では影響が出てくるかも分からないものを含んでいます。そういう意味では、先程申し上げたように、経済は生き物ですから常に変わっており、その中で2%を念頭に、色々なことをどういう形でやっていくかということだろうと思います。』

「経済は生き物ですから常に変わっており」ですな。

『民間企業には色々な会社がありますが、私の知る範囲――トヨタやその他の会社──の言い方では、常にPDCA(Plan、Do、Check、Action)を回しながら前進していくという考え方があり、あくまでも、目標を見ながら、プランを実行し、チェックして、リアリティを持って政策展開をやっていく、戦略展開をやっていくということです。受験勉強でも「傾向と対策」という言葉がありますが、これは普通の常識といいますか、傾向を見ながらリアリティを持って対策を打っていくことが、実体経済を踏まえたある種の取組みの理念、思想であると私は思っています。そういう見方で2%も見ていきたいと思っています。』

ということで、ここの全部を見ればCPI2%に対してのガチガチなリジッドな考えではないですなというのが分かりますが、しかし布野さんご本人には全くその意図はないと思いますが、PDCAとか、目標を見ながらリアリティを持ってとか、「必要な施策は全部実施した(キリッ)」とか「マネタリーベースをこれだけ出せばインフレ期待はこれだけ上がる(キリッ)」というような現執行部に対して結果として盛大に刺しに行っていることになっているのが何とも味わいがあります。

つーかですね、まあ布野さんが一般的な常識人であって、今の政策が常識の範囲を盛大に逸脱している(やっていることもさることながらピーターパンとか言い出すその思想の方が更に・・・・・・)というだけの事なんですけどね!!!


でまあ2%関連の質疑を更に引用。

『(問) 今、日銀が2%の物価目標を実現するうえで、2年程度を念頭にできるだけ早期にということで、かなりスピード感を意識しているところですが、一部の委員の方には実体経済の成長や失業率の低下に伴って、ゆっくりでも良いから物価を安定的に実現を達成すれば良いという見方があると思います。実体経済をウォッチしていきたいというお考えであるということは、それほど物価目標を達成することにスピードや時間的な期限というものは考えなくて良いのではないかと思っていらっしゃるということでしょうか。』

時間を切るか中長期的かローリングターゲットかという話。

『(答) ガイダンスという意味合いで、2%をきっちりと達成していくことは、重要な観点であるという認識は持っていますが、私が申し上げたかったのは、その次に来るのは何かということです。2%の背景には、例えば、デフレ脱却であるとか、持続的成長があって、その中での2%と考えています。従って、2%を達成することの重要性に加えて、生産性のアップをきちんとやっていくことが、むしろ大きな命題であると申し上げたかったわけです。』

明示的には言ってません(現時点で当然ですけど)が、無理繰り2%に引き上げれば後から他の結果がついて来る的な置物=ジンバブエ理論でないことは確か。で、このちょっと後にさっきの質疑がありました。


『(問) 物価と金融政策についてお聞きします。先程2%の物価目標をきっちり達成するのが重要とおっしゃっていましたが、現在、物価は0%近傍で目標には程遠いような状況にあると思います。現時点で、布野委員は追加緩和の必要性をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。』

『(答) これは、金融政策決定会合で議論することで、今、なかなか言うのは難しいと思います。ただ、先程申しましたように、繰り返しになりますが、きっちり見ていって──そのためにも今14回やっているわけで──、その中で PDCAを回していくと私は思っています。そういう有り様が、ミーティングの有り様でなくてはならないのではないかと思っています。』

うむ。

『ちょっと例え話をしますと、ミサイルが当たるように常に短いピッチで計算してターゲットに向かっていくのが重要なファクターではないのかなと思っています。ちょっと混乱させた表現かもしれませんが、ミサイル以外では、昔、明治の大砲という話があります。明治の大砲というのは、ずっと向こうのターゲットに向かって、計算してボンと打つと、風が吹いてずれるということです。そういうアプローチよりも、状況が変われば、そこで対策を立てて、Plan、Do、Check、Actionを展開しながらやっていく、その代わり、やはり心に定めたターゲットというのは、きちんとそれを踏まえて前進していく。これは、会社の経営ですと、非常に常識的な話であると私は思っています。そういう経営の考え方というか理念を続けていくことが持続的成長にもなるし、また生産性を高めていく手立てにもなると思っており、これが現場で色々なことをやってきた私の経験からの視点です。』

若干難しいのですが、やはり「走りながら考える」というアプローチをすべきという事であって、QQE当初のような「必要なのは全部打ったから2年後には物価目標達成だぜヒャッハー」というのは「明治の大砲」ということになるのではないかと思います。


・政策委員会について

この質疑は中々。

『(問) 2点お伺いします。(前半割愛)2つ目は、今のボードの状態なのですが、昨年10月の追加緩和で5対4に割れています。今後どうなるか分かりませんが、ボードの意見が割れているという状態、それは政策の発信力に何らかの影響があるというか、望ましくない状態とお考えなのか、色々意見は百花繚乱あった方が自然で望ましいということなのか、ご所見をお願い致します。』

『(答)(前半割愛)会合で票が割れていることについては、私は、むしろ健全ではないかと思っています。本来、色々な意見があるから会合を開いているのであり、最初から1つの意見であれば、あまり会合も機能していないという感じです。色々な意見があるから、会合を開くのではないかというのが、ごく一般の生活感覚だと思います。』

(;∀;)イイシテキダナー

『家庭の中でも、家族会議をする時に、父親の意見と母親の意見が違うから家族会議をやるのであって、一緒であれば別に会議をする必要も特にないと思います。率直にそう思っていますので、あまり票が割れた、割れないということを取り上げるよりも、やはり議論の中身の方が重要だろうと、ごく率直にそう思っています。』

ですなあと思いますが、自分の言葉で話そうとしてたとえ話をふんだんに使っているのですが、最初のうちは良いと思うのですが、時間の経過と共にベンダーがそのたとえ話を面白おかしく切り取ってヘッドラインを打ってくる可能性もあるかなとそこだけちょっと気にしています。ただまあたとえ話そのものが話の筋を外さないようになっているのでそんなに違和感はないのですが。


・人となりについて

こういう質疑は良いですね。

『(問) 先程、実体経済におられた経験を、金融政策に反映させていきたいという話の中で、海外経験も長いという話をされていましたが、そのバックグラウンドを理解するために、トヨタ時代に、海外のどういった国に身を置かれて、そこで主にどういった仕事をされてきたかを、もう少し具体的に教えて頂けますか。』

『(答) 私は、1970年にトヨタへ入社しましたが、すぐに担当したのはアジアで、具体的な国はフィリピンです。そこで、車のCKD──車を全て部品にしてある国に送って組み立てるもので、現地では部品を調達しない初期的な段階の国に対するものです――の方式で、フィリピンに輸出する仕事をしていました。その後、米国のビジネススクールに行き、帰国してからオーストラリアの仕事に携わるようになり、その流れで1980年代に入って2回、計9年間、オーストラリアに駐在しました。1990年代初めに日本に帰り、その後ずっとアジアと中近東の仕事を東京でやっていました。』

『90年代後半から、仕事で初めて米国に行きました。また行ったり来たりですが、日本に帰ってきて取締役になり、最後は2006年から2009年まで米国に行きました。ちょうどリーマン・ショックも向こうで経験して大変だったのですが、その時は、米国およびカナダを含む北米の責任者をやっていました。その後、2009年に日本に帰って、それからは副社長となり、主に海外全体の責任者をやっていました。引越しの回数も、40数年間に20回以上ですし、海外出張もつい最近まで毎月しており、ホテルで年に100日以上過ごすような生活をしてきましたので、新聞やデータを見てもその裏を、フィーリングというか肌感覚で分かるような人間になっているのではないかと思っています。私はそういう経歴です。』

いい質疑です(^^)。


『(問) やや毛色の違う質問ですが、横顔的なこと、お人柄を教えて頂きたくお伺いします。まず、座右の銘と、その志をどのように審議委員という立場で体現していけると思っているかと、ご趣味と休日の過ごし方を教えて下さい。』


『(答) 座右の銘と言えるのかどうかわかりませんが、「リスペクト」ということが一番大事だと思っています。』

ということで・・・・・・・

『実は、座右の銘とするのに少し躊躇があるのは、トヨタウェイというものの中に「チャレンジ」、「改善」、「現地現物」などと共に「リスペクト」が入っているので、私が言うと、そこから拝借したのではないかと言われるからですが、私は「リスペクト」が一番大事だと思っています。』

『それは、お互いに「リスペクト」があることによってチームワークが形成されるということで、これは多分、今の審議委員および総裁、副総裁を入れた9人の中であるとか、審議委員と理事との関係、日本銀行の行員の方との関係、日本銀行の支店と本部との関係、そういうところに、お互いに尊敬する気持ちがなければ、経営の第一歩も踏み出せないと私は思っています。座右の銘というかどうかはともかく、「リスペクト」が基本的に全てのことのベースであると思っています。』

これは心が洗われます(;∀;)。

『休日の過ごし方は、私はゴルフも下手ですし、色々なことができない人間ですから、基本、妻と散歩するぐらいです。その散歩も、横に並んで歩くという散歩ではなく、私の歩調はゆっくりしているので、私が3メートルくらい後ろからついて歩いて散歩をするくらいです。』

三歩下がって歩く夫とな(^^)。

『その他には、本を読むぐらいです。本を読むことについてちょっと言いますと、私は非常に本を読むのが速いのですが――斜め読みが速いと言いますか――、審議委員の話が出てから、皆が結構、この本を読んだら良い、あの本を読んだら良いと提案してくれるので、それを読み始めたら、意外に私は本を読むのがそんなに速くないなと実感しております。』

もしやその本の著者の所に岩田規久男とか原田泰とかいう文字が存在していたのではないでしょうか???

『結構、経済学の本は難しいなと感じており、自分が非常に本を読むのが速いと少し自負があったのは、何のことはない、好きな本を読んでいたから速かったのです。新しい分野に1年生で入るわけで、本を読むスピードを上げることも結構しばらくかかるのではないかなと思います。』

(^^)。

『多分、5年を終える時には速く読めるようになっていると思いますが、目下のところ、そういう状況です。あまり要領が良くない不細工な人間なので、趣味もそんなにはありません。』

真面目で割と直球なお方ですな。政策委員会で異次元発言するのが少なくとも3人は居そうなのだが布野さんどういう思いになるのやら。


『(問) 質問は2点です。1点目は、この仕事を引き受けようと思った理由についてです。2点目は、審議委員というのは非常に高い専門性を求められるお仕事だと思いますが、ご自身の自己評価として、マクロ経済や金融政策についてどのくらいお詳しいと考えていらっしゃるか、その2点についてお願いします。』

これ最後の質問なんだが、ここまでの質疑応答聞いてて2番目の質問するかよと思うのだがまあそれは兎も角。

『(答) 引き受けた理由は、お話があって、私も結構歳をとったので、お国の為になるのだったら良いかなと思ったのが背景です。ご存じのように、私は相談役でしたので、この2年間は、セミリタイヤメント、フルリタイヤメントになった時のライフスタイルに向かいつつありました。民間でずっとやってきて引退するわけですが、こういうチャンスを頂ければ、お国の為にやるのも1つのチャレンジかなと思ったのが背景です。』

期待しております。

『専門性等については正直申しまして、委員の方々の中には、一生涯、命を懸けてマクロ経済学に取り組んでいる方がおられるわけですから、私がその方々と競争をしてどうこうということは考えておりません。』

まあ今の政策委員会ではそういう学者様が異次元脳なのがどうしようも無い所なのです。

『そういう意味では、先程の「リスペクト」と関係するのですが、そういう専門性を高く持っている方を尊敬しつつ、私としては、私の経歴を踏まえた上で、私が補完的といいますか、貢献をしていけるかを振り返りつつ、前に進んでいきたいと思っている次第です。』

(;∀;)イイハナシダナー

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2015/07/02

○布野審議委員就任&森本審議委員お疲れ様でした

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/rel150701b.htm/
審議委員の発令について

『布野 幸利
日本銀行政策委員会審議委員に任命する

平成27年7月1日
内閣

なお、森本宜久政策委員会審議委員は、6月30日任期満了により退任しました。』

ということで森本さんですが、就任後最初の金懇デビューで微妙発言というか言葉尻をとらえられてヘッドラインを打たれて相場を動かしてしまったのが災いして、その後対外発言が慎重になられてしまった(その間に出身母体でアレがありましたし)ので、対外的な意味では地味な方という感じで終始していましたが、昨年10月の追加緩和への反対という所で重みを発揮されましたなと。

やはり産業界で経営者をやってこられた方というのは、どこぞの変な理論だけで突っ走るというような事は当然ながら無いですし、組織運営の重みというのも考えているのでしょうから、そういう方が反対に回った昨年10月の追加緩和というのはやはり意味を良く考えるべきではないか、というような話は当時からあった(というかナンジャコラと言ってた人たちは大体指摘していましたが)と思いますし、最近の「ピーターパンのように信じれば空を飛べる(総裁)」とか「QQEの副作用は理論的にも存在しない(決定会合での誰かの発言)」とかを見ますと、そんなノリでQQEの運営をやっている執行部が謎の追加緩和とか言い出したらそら森本さんが反対するわなというのが後付で良くわかりますし、そうなってみると森本さんの反対というのは実に意味が深いものだったんだなあと分かります。

なお石田さんも反対していましてやはり企業経営の方なのでやはり同様に10月の反対というのは重いのですが、石田さんの場合は通常からちょっと独自主張があった分だけ、「普段温厚でニコニコしている人が怒り出す怖さ」みたいなのは森本さんの方にあったかなあと思うのでした(^^)。


で、布野さんの就任記者会見に関しては本日アップされますので詳しくはそちらからになりますが、せっかくですのでロイターさんの記事から少々。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0ZH3BR20150701
UPDATE 2-目標2%の達成重要、柔軟な政策対応にも言及=布野日銀審議委員
2015年 07月 1日 21:00 JST

ということで、こちらでは「柔軟な政策対応にも言及」となっていましたが、最初のヘッドラインベースではベンダーヘッドライン的には「2%の達成が重要」「2%に到達すべき」というようなのが踊っていましたので、最初のヘッドラインだけ見ている人たち(就任記者会見は会見中継のような企画はないので本人の生発言の確認は不能)は「布野さんはアクチュアルの物価2%達成に拘る人」という評価をしてしまうかも知れませんが、今日出る会見要旨を良く確認しないとヘッドライン詐欺で変な先入観をもってしまう可能性があるので注意したいところです。

でまあそれで終了しても何なので上記ロイター記事からで、以下の『』部分は上記URL先からです。

『布野委員は、日銀が現在進めている量的・質的緩和(QQE)の効果について「これまでのところ、うまく行っている」とし、日本経済は「この2年ほどで未来が見えるところまできた」と政策効果を評価した。』

まあこれは順当。

『ただ、足元の消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の前年比上昇率はゼロ%程度で推移し、日銀が目標に掲げる2%には大きな距離がある。物価の現状について「デフレ脱却は前進しているが、まだ本格的ではない」と述べ、「2%をきっちり達成していくことが重要だ」と強調。追加緩和の必要性については「今言うのは難しい」と述べるにとどめた。』

この「2%をきっちり達成していくことが重要だ」というのがヘッドラインで強いトーンで打ち込まれていた感じがあって、そちらの印象が(ヘッドラインをリアルタイムで見ていた人には)強かったように思えます。

『そのうえで「経済は生き物で変化する」と繰り返し、物価2%の「目標を見ながら、リアリティを持って政策展開・戦略展開をやっていくのが常識」と主張。「傾向を見ながら対策をやるのが、実体経済を踏まえた取り組みの理念だ」と語った。』

ということで、実際は2%リジッドな物価目標というような話なのかというとそこもまた微妙な気がしますし、そらまあ実業界の実務家の方からしたらピーターパン理論やらMB直線一気置物理論やらというようなのに殉ずるというような事は無いでしょと思うので、常識的な見解が出てくることが大いに期待できますな(^^)。

『大規模な金融緩和を続ける中で「副作用のない薬はない」と認めながらも、「副作用は常にウオッチしていかなければならない」と注視していく姿勢を示した。』

(;∀;)イイハナシダナー

まあ置物だかジンバブエだか知らんですが(さすがにそれ以外の人間が言ったら卒倒する自信がある)QQEには理論的にも実証的にも副作用はない(キリッ)とか言い出しているという首の上に載っている物体に何らかの不具合があるのではないかというような方の存在する決定会合で、常識人の真ん中にいるように思われる布野さんがどういう感想を持ち、どういう動きをするのかというのは楽しみですな、うんうん。

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2015/04/22

○森本審議委員の後任候補も産業界からで目出度い事です

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NMXDY76K50XZ01.html
日銀審議委員にトヨタ相談役の布野幸利氏、森本委員の後任
2015/04/21 11:40 JST

『(ブルームバーグ):政府は衆参両院の議院運営委員会理事会で、6月30日に任期が満了する日本銀行の森本宜久審議委員の後任にトヨタ自動車相談役の布野幸利氏を起用する人事案を提示した。衆参両院の議院運営委員会の配布資料で21日明らかになった。任期は5年間で、国会の同意を経て任命される。』(上記URLより)

これから5年間とかQQEで広げた風呂敷をどう無事に畳むのか(間違って2%行くにしろ順当に2%行かないにしろ)というどう見ても赤紙という中で審議委員就任をよくぞお受けになられたとゆー所でございますが、メーカーからの審議委員となりますと新法以降ですと三木審議委員(新日鉄副社長)以来という事になりますな(追記:なお中原伸之さんは東燃ですからメーカーですけど2代目オーナーなのでだいぶ違う)。

ちなみに三木審議委員で過去の講演を見たらこんなのがあって最初の所が新法施行から1年経っていない時期の講演で中々でした。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_1998/ko9812b.htm/
栃木県金融経済懇談会(12月3日)における三木審議委員挨拶要旨
---- 平成10年12月3日、於宇都宮グランドホテル
1998年12月8日 日本銀行

こちらでの説明でもございますが、審議委員って通常の業務執行に関して言えば日銀の取締役みたいなもんですので、まあ置物副総裁のような浮世離れした学者が何人も揃いますと結果としてそういう管理ができる人の所に加重負担ということになってしまいますので、変な置物学者がこれ以上増ますと、もうやめて!中曽副総裁のライフはゼロよ!!という事になってしまいかねませんので日銀的にもホッと一息という所ではないでしょうか。

でまあトヨタ自動車出身だから円安政策に賛成云々というようなコメントも散見されますが、そらまあ出身母体が輸出メーカーですから経済を見るときにまずはその視点になるというのはあるとは思いますが、企業でトップのレベルに立つ方ですので日銀審議委員という役職にご就任された場合にはより広い視点での政策判断を行う、というその職務に忠実な行動をするもんだと思いますので「トヨタ出身の方が審議委員就任なので円安ヒャッハー」という反応って(まあそういう反応したくなるのは分かるけど)布野さんに対して失礼じゃないのそれとは思うのでございますけどねえ。

まあいずれにせよ変な置物副総裁理論の人が来てクソの役にも立たないジンバブエ理論の亜種とかを振り回された日には日銀政策委員会が益々のお笑い劇場になってしまうと懸念しておりましたのでめでたしめでたしという事で。リフレ派をまたねじ込んでくるのかと思ってましたからねえ。

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