鈴木人司審議委員

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鈴木さんの略歴(日銀Webより)

昭和29年1月8日生

昭和52年3月 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和52年4月 (株)三菱銀行入行
平成14年5月 (株)東京三菱銀行 市場企画室長
平成16年5月 (株)東京三菱銀行 市場企画室長 兼 情報企画室長
平成17年6月 (株)東京三菱銀行 執行役員市場企画室長 兼 情報企画室長
平成18年1月 (株)三菱東京UFJ銀行 執行役員市場企画部長 兼 本店東京ビル出張所長
平成19年2月 (株)三菱東京UFJ銀行 執行役員クレジットポートフォリオ戦略部長
平成20年4月 (株)三菱東京UFJ銀行 常務執行役員市場部門長 兼 金融商品開発部長
平成20年5月 (株)三菱東京UFJ銀行 常務執行役員市場部門長
平成20年6月 (株)三菱東京UFJ銀行 常務取締役市場部門長
平成23年5月 (株)三菱東京UFJ銀行 専務取締役市場部門長
平成24年5月 (株)三菱東京UFJ銀行 専務取締役
平成24年6月 (株)三菱東京UFJ銀行 副頭取
平成26年6月 (株)三菱東京UFJ銀行 常勤監査役
平成28年6月 (株)三菱東京UFJ銀行 取締役常勤監査等委員
平成29年6月 (株)三菱東京UFJ銀行 顧問

(実質的な前職:三菱東京UFJ銀行副頭取)

詳しくはこちら→https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_suzuki.htm/

2021/12/06「鈴木審議委員金懇:個人の将来不安問題、企業の成長期待、気候変動問題などの話が良い(その2)&会見も同様」
2021/12/03「鈴木審議委員(もしかしたら最後かもしれない)金懇はまずまず結構な内容でした」

2021/12/06

〇鈴木審議委員の金懇と比較してみる企画(再掲)と会見要旨を拝読の巻

実際問題としては金懇が2日連続とか中1日置いて九州と西日本(だったかな?)などのような金懇会見まで乗り込んで質問ぶっこむ某記者さんや某記者さん泣かせの日程ってのも何回かあったのですが、オンラインになってその辺の物理的移動制約が無くなったので大分と神戸とか割と移動が七面倒な日程も余裕のよっちゃんイカソーメンなので、別にそういうイヤガラセを考えたのかどうかは存じませんが、どうもアタクシには日銀の事務方様が安達さんと鈴木さんを比較しろと言ってる気がするので比較するのでありまする。

鈴木審議委員兵庫金懇(HTML版はまだです)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211202a1.pdf

・再掲ですがさっきの安達さんの部分と比較すると問題意識の深さがだいぶ違いますな。

金曜日に時間が無くて無理くりベタ張りしたものの再掲になりますが、『4.「物価安定の目標」の実現に向けて』の『(賃金上昇に向けて)』という所になります。金曜にもベタ貼りしましたので再掲恐縮ですが。

『こうした状況から賃金を高めていくうえでは、企業が成長分野の事業に資源を機動的に振り向けていくとともに、労働者が必要な再教育も受けつつ、より付加価値の高い仕事を求めて企業内あるいは企業間を柔軟に移動できるようになっていくことが必要です。』

まあリカレント教育で柔軟な移動、とかいうワードを見ると昭和40年代かつ1960年代生まれという設定になっている中の人としては首筋が寒い方ばっかり(以下の文言は内務省検閲により削除されました)。

『この点、感染症の影響により、そうした経済構造の変革が遅れることとなった可能性には、留意が必要です。』

ということで、

『経済活動が大きく下押しされているもとでは、政府や日本銀行が、企業の存続と雇用の維持のために積極的な政策対応を取ったことで、企業倒産数や失業率の上昇は限定的なものにとどまっています。これにより、わが国の経済は、ある種の連続性を保つかたちで回復に向かうことができていますが、他方で、感染拡大以前から存在していた非効率な事業の存続も可能になっている面もあるものとみています。』

この問題認識の時点で鈴木さんと安達さんのラベルの差が出る訳でして、鈴木さんはきちんと「感染拡大以前から存在していた非効率な事業の存続も可能になっている面もある」と認識しているのに、安達さんの場合は初手から「一方で、コロナ禍の前から収益性が低く、将来的に債務返済が滞るリスクが高かった企業が延命しているのではないか、といういわゆる「ゾンビ企業論」の意見が、」という形で一々悪意のあるレッテルの貼り方をしていて、貫禄の差を感じますな。

『このため、感染症の経験を経て、デジタル化や脱炭素化に向けた世界経済の潮流が一層加速する中で、成長分野へのシフトを促すかたちで、わが国の経済構造の変革を進めていくことの重要性はより高まっています。こうした中で、金融政策面からも経済を下支えすることで、事業転換を含む社内資源の再配分や他社との提携・統合などを通じて、企業がより生産性の高い分野に資金や労働者を振り向けていく動きを支援していきたいと考えています。』

もうちょっとあるのですがここで切ってしまいますけど、まあ鈴木さんのお話自体も御伽噺っぽい所は多分にありますけど、安達さんの何かとりあえずいろんな言葉を並べてみたって感じの話ではなくて、ちゃんとロジック繋がって説明しておりまして、どっちが本職の何とかストなのよって世界ですな、うんうん。


では会見に参りますが。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk211203a.pdf
鈴木審議委員記者会見要旨
―― 2021年12月2日(木)
午後2時30分から約30分
(神戸市・東京間オンライン開催)

日銀の金融政策的に言えばコロナオペ絡みの各種オペの扱いしかネタが無いので質疑が特におもろいわけでもなかったりするのですが備忘も兼ねてメモっておく。

・卒業(ちと早いけど)の辞が色々と悲しそうですな

『(問) 来年の 7 月に任期満了を迎えられますけれども、もしかしたら今回が最後の記者会見の機会になるかもしれないので伺いたいのですが、ボードメンバーとして日銀の意思決定に関わられてきましたけれども、就任前に抱いていた日銀のイメージと比べて、何か発見があったこと、印象に残っていることなど、この 4 年半ほどの在任期間を振り返ったご所見をお聞かせ頂きたく思います。』

8か月も前なのに早くも卒業の辞を聞かれるのは金融政策が悪い意味で無風なので致し方なし。


『(答) 40 年間、民間の金融機関にいて、一般の方と比べれば日本銀行を訪れる機会があり、日本銀行の役職員と接する機会もあったということですし、一方では過去に審議委員をやられていた方など様々な方から前もって教えて頂いたこともありますので、そうした意味において想定の範囲内だったということです。』

誰に聞いたんだろう(ニヤニヤ)。

『個人的には 2017 年 7 月に就任して、当時は景気も非常に順調な状況で、除く生鮮の消費者物価上昇率も、確か着任時が 0.4%、毎月上昇して、2018年 2 月には 1%に達していました。結果的には、その後、0.7%と 1%の間を行き来しながら、その後は残念ながら下降していくわけですが、そうした中において、1%をみた段階から、2%には遠かったにせよ、例えば米国が前回利上げしているのは 1.3%くらいの物価からですので、ようやく金融政策の正常化に向けた議論ができる可能性があるのではないかと期待した時期もありました。』

おー。

『世の中、様々なことが起きるのが常なわけですが、様々なことがあって、現在に至っているということです。』

ほうほうほうほう。

『日本銀行の政策委員会では、きわめて活発な議論を行っており、』

??????????????

『様々な意見の方がおられて、様々な議論において、健全に議論していると思いますが、』

??????????????????????????

『世の中の様々な事情があったにせよ、結果的に日本経済、金融経済、物価情勢が必ずしも良くなることなく任期を終える可能性が高いということについては、残念に思うところです。』

何か別にさっきの????の所って言わなくても話が繋がる部分なのですが、これはいわゆる一つのぶぶ漬け話法って奴ですよね!!!!!鈴木さん!!!!!!!


・とりあえず鈴木さんにはCP社債買入の縮小と(社債の)買入年限の短縮化(元に戻すだけだが)は頑張って欲しい

『(問) 今の質問に関連して、大企業の資金繰りが改善しているという現状があるわけですけど、社債・CPの買入れについては、市場機能とか年金などの運用に与える影響への懸念も聞かれています。その点については、鈴木委員はどのようにお考えでしょうか。』

運用に与える影響ってまあそれは金融市場的には重要だけど、それよりなにより「資源の適正配分を阻害する」という観点でツッコミを入れて欲しいんですけどまあいいです。

『(答) 社債・CP市場については、発行の環境やレート、投資家の動向といった全体感からすると、昨年の春先のような状況からは大きく改善して、それが継続しているという状況にあると考えています。一方で、ご質問にあったような年金や保険会社といった投資家の方々からしてみると、一部、日本銀行の買入れによって、スプレッドがかなり縮小しているといった声もありますので、基本的には、市場の動向、それから資金繰りの動向をみて、これから判断していくということだと思います。中小企業向けでのコロナオペよりは、その辺がもう少しはっきりしてくるのではないかと個人的には考えています。』

微妙な表現をしていますが、中小企業向けのコロナオペは継続するけど、金融市場からの各種買入措置については、大企業などの資金繰りに特段の問題が発生している訳でもないので縮小する、という理屈付けをするなら、まあ話としての筋は通っている(是非の問題はさておく)ので、そっちの方向になるんかいなと思いますけど、いずれにせよ12月会合で結論出すとは思われません(継続するなら12月決定はあり得るが縮小するにしても別に1月会合まで待って何ら問題は無い)。


・気候変動対応と中央銀行

金懇挨拶のテキストでも色々と良い話をしていましたが。

『(問) 本日、午前中の講演でも取り上げていらっしゃった気候変動対応オペですが、金融面では市場中立性への配慮が重要で、気候変動対応融資を金融機関の判断に基づいた融資にバックファイナンスするので、そういう中立性は保てるのだというご解説だったかと思いますが、気候変動に対する投融資に日銀がバックファイナンスすること自体が中立的ではないのではないかという疑問があったりするのですが、どのようにご説明になっていらっしゃるのでしょうか。』

これは無慈悲な砲撃wwwというかまあ鈴木さんに日銀公式じゃないものを喋らせようという諸葛孔明の罠。

『(答) 先ほども申し上げましたが、日本銀行から金融機関への融資、バックファイナンスというのは、コロナオペが 80 兆円くらいで、そのほか全部合わせて百数十兆円あります。今回の気候変動対応オペは、資金供給といってもゼロ%ですので、そんなにインセンティブがあるということではないですが、』

しれっとお茶目な事を(ちなみに成長基盤オペの場合は4年間固定金利でしたが、コロナオペは1年ごとに金利がリセットされてしまうという違いも何気にある)。

『例えば気候変動対応に物凄く大きなインセンティブがあるような形で資金供給を行うとすると、中立性に関して疑義が生じる可能性があるかと思います。あるいはグリーンなファイナンスであれば有利なものだが、ブラウンなものはだめにするとか、そういうことをすると中立性に影響がありますが、』

ほうほうそうですかそうですか。

『金融機関では今TCFDなどがあり、グリーンボンドにも様々な国際的な基準がありますので、それらに基づいて判断されたものについてバックファイナンスをさせて頂くということで、ある意味で金融機関を通じて気候変動問題への関心を広めていこうという内容ですので、』

日銀公式を踏まえながらも、チョイチョイと「盛大に旗を振るべきなのは日銀ではなくて他の所でしょ」という主張が行間からあぶり出しのように上がって来るのはアタクシの錯視ですかそうですか。

『中立性に大きな疑義が生じるような取り組みにはならないと考えています。』

なお、これに対して更問がありまして、

『(問) 全て金融機関の判断に任せるということであれば、普通のオペと変わらないのではないかという気もするのですが、どのようにお考えでしょうか。』

これは無慈悲wwww

『(答) 実態として、中央銀行が全て 1 件 1 件の取引について判断や審査をするのは、現実的ではないと考えています。』

完全に蒟蒻問答で逃げておりました。




2021/12/03

〇鈴木審議委員の今回の金懇はまずまずでございましたです(個人の感想です)

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211202a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211202a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
兵庫県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 鈴木 人司
2021年12月2日

経済物価情勢に関する説明部分は基本的に展望レポートに沿った日銀公式見解になっていますので、もう面倒だからそこは全部ぶっ飛ばして政策の話になります。


・グリーントランジションと金融政策の話の途中から面白くなります

『3.感染症と気候変動問題への金融政策面での対応』という小見出しまでワープします。

『次に、世界が直面している2つの重要な課題である、新型コロナウイルス感染症への対応と気候変動問題について、金融政策面での取り組みをお話ししたいと思います。』

ということですが、最初はこれまた日銀公式の話をしているだけでおもんないわーと思いながら読むのですが、小見出し『(2)気候変動問題への対応』の途中から面白くなります、ちなみにこれ講演テキストの本文7ページの頭からになります。

『そのうえで、気候変動問題への対応を進めていくことが今後のわが国の経済にとって如何に重要であるかについて、新たな資金供給制度に対する見方と併せて、私の考えをお話ししたいと思います。』

はい。

『気候変動問題に対する意識が世界中で高まる中、デジタル・トランスフォーメーションに加え、今後はグリーン・トランスフォーメーション、すなわち、温室効果ガスの発生による気候変動を抑制し経済成長に繋げるような産業構造や社会経済の変革への対応が、企業価値を決するとも言われています。企業活動を取り巻く環境の変化として、今後、温室効果ガス排出量制限などの規制に加えて、炭素税や排出権取引といった「カーボン・プライシング」の導入が、各国・地域で進んでいくものとみられます。これにより、企業活動が気候変動に与える影響がコストに明示的に反映されるようになると、企業はそうしたコストをより意識して意思決定を行うこととなります。その結果、例えば、製造業を中心に、使用エネルギーを化石燃料から電力に切り換えるとともに、より安く、より環境に配慮した電力が利用できる立地に活動拠点を移転する動きが拡がっていくものと考えられます。』

ほうほうそれでそれで??

『こうした中、わが国では、東日本大震災後の原子力発電所の稼働停止もあり、欧米諸国と比較して電源構成における化石燃料による火力発電の割合が高い状況にあります。また、わが国の産業用電気料金は世界の主要国の中でも高水準にあり、再生可能エネルギーから生み出されるものに限ればさらに割高となります。』

なるほど。

『このような状況が続けば、これまで人件費や為替変動リスクを削減する観点からグローバルに地産地消を進めてきたわが国の企業が、電力にかかるコストと調達可能量の制約を避ける観点から、工場等の海外移転を加速させる可能性があります。』

さっきの誰かさんの「グリーントランジションで燃料価格高止まりが定着するかも知れませんので物価上昇しまっせ」という考察と比較するのが失礼になるくらいちゃんとした考察がここにはございますね!!!!!!!

『これを防ぐためには、国内において、気候変動対応にかかる様々な技術の研究開発投資や、そうした技術を用いるための設備投資を拡大していく必要があります。』

そのために気候変動オペを入れたんですよ、という説明をする訳ですよ。誰かさんの金懇とは大違い。

『具体的には、@使用エネルギーを化石燃料から電気や、水素等のカーボン・フリーな代替エネルギーに切り換えていくとともに、A再生可能エネルギーによる発電能力の引き上げや、B二酸化炭素の回収・再利用等を並行して進めていくことが期待されます。そのためには、産学官が一体となった取り組みが不可欠です。グリーン・トランスフォーメーションで世界に後れを取ることでわが国の産業の空洞化が加速することのないよう、財政・制度面での政府の一層の取り組みに期待するとともに、日本銀行としても新たな資金供給の仕組みを通じて気候変動関連分野での民間金融機関の多様な取り組みを、しっかりと支援していきたいと考えています。』

まあこの辺りははいはいそうですかって話ですけど。


・グリーンオペとミクロ資源介入問題

今の続きになります。

『そのうえで、こうした取り組みを進めていく際には、金融面では市場中立性への配慮が重要となります。』

全くで。

『特に、わが国の産業は相当規模が間接金融で支えられており、その背後では、融資先企業とのきめ細やかなコミュニケーションに基づき、変化する資金ニーズに柔軟かつ適切な範囲で応えるという、金融機関の目利き力が重要な役割を果たしています。』

節子、それは昭和時代の話や、と思いますがまあ先を読んでみましょう。

『こうした中、中央銀行が個別の資源配分に直接介入する形で、グリーンな経済活動を支援し、ブラウンな経済活動を抑制するといった政策を進めていくと、金融システムに様々な歪みが生じる可能性があります。』

ほいほい。

『この点、今回の資金供給制度では、金融機関が自らの判断に基づいて行う気候変動対応投融資をバックファイナンスする形をとっていますので、そうした金融システムへのマイナスの影響を回避できるものと考えています。』

何か無理矢理な説明なのですが、この考察をするだけでもまあ良しとしましょう。



・物価見通しの話も誰かさんとはラベルの違いを見せつける

次が『4.「物価安定の目標」の実現に向けて』という小見出し。

最初のうちはまあどうでもよいので途中のコーナーから参ります。『(将来不安による個人消費の弱さ)』という部分で、その前までは物価が上がらん理由の日銀公式ベースの話をしていて、ここからが鈴木さんの話になります。

『私は、これに加えて、人々が将来の増税や年金受給額の減額等への不安を抱いていることや、賃金上昇への期待が高まらないことが、家計の消費意欲、ひいては値上げに対する許容度が高まっていかないことに繋がっているものとみています。』

イイハナシダナー。

『こうした観点から、まず財政政策と経済活動の関係について、私の考え方をお話ししたいと思います。』

ここの話自体は仰せ御尤もなのですが、将来不安の話と中期的な財政健全化の話を結びつけるのは基本的にあまり筋が良くないというか、セクト的な反対を食らう論旨構成だと思う。まあ引用しておきますけど。

『感染症の影響により経済が大きく下押しされる中、わが国をはじめ、各国で大規模な財政支出が行われています。これが、景気の底割れを防ぎ、経済を成長軌道に戻していくうえで必要不可欠なものであることに、疑う余地はありません。そのうえで、その財源は将来にわたって確保していく必要があることに留意しなくてはなりません。例えば、英国では、感染対策の財源確保を目的として、2023 年に約 50 年振りとなる法人税率の引き上げを行う方針が発表されています。また、これまでにはわが国でも、東日本大震災からの復興にかかる財源を、所得税などに上乗せする形で確保してきています。今回の感染症対策にかかる財源を将来確保していく過程では、経済活動に大きな影響が及ぶ可能性があると考えられることから、財政健全化を巡る今後の議論を注視していく必要があります。』

別にここのコーナーで話をせんでも良かったとおもう。

『次に、賃金に関するお話をしたいと思います。』

ここからですな。

『2013 年以降、日本銀行による大規模な金融緩和と政府による機動的な財政政策のもとで、需給ギャップが改善し、労働需給がタイト化したことで、女性や高齢者の労働参加が進みました。その結果、感染拡大前までは、就業者数が増加し、これに伴い雇用者所得も増加を続けていました。他方で、一人当たりの賃金の上昇率は、2013〜2019 年の平均で、名目ベースで+0.5%、実質ベースでは−0.5%にとどまっています。2014年以降は8年連続でベースアップが実現しており、感染症の影響を受ける中にあってもこの動きが途切れていないことは喜ばしいことです。』

『もっとも、ベースアップの水準については、連合が発表している集計が可能な企業の結果では8年間の平均で+0.5%程度と、2%の物価目標と比較すると低い水準にとどまっています。』

と来てからの小見出しが『(賃金上昇に向けて)』です。

『こうした状況から賃金を高めていくうえでは、企業が成長分野の事業に資源を機動的に振り向けていくとともに、労働者が必要な再教育も受けつつ、より付加価値の高い仕事を求めて企業内あるいは企業間を柔軟に移動できるようになっていくことが必要です。この点、感染症の影響により、そうした経済構造の変革が遅れることとなった可能性には、留意が必要です。』

微妙に突っ込みたいこともあるが時間がないので飛ばして次。

『経済活動が大きく下押しされているもとでは、政府や日本銀行が、企業の存続と雇用の維持のために積極的な政策対応を取ったことで、企業倒産数や失業率の上昇は限定的なものにとどまっています。これにより、わが国の経済は、ある種の連続性を保つかたちで回復に向かうことができていますが、他方で、感染拡大以前から存在していた非効率な事業の存続も可能になっている面もあるものとみています。』

誰かさんの金懇とだいぶ格が違う。

『このため、感染症の経験を経て、デジタル化や脱炭素化に向けた世界経済の潮流が一層加速する中で、成長分野へのシフトを促すかたちで、わが国の経済構造の変革を進めていくことの重要性はより高まっています。』

『こうした中で、金融政策面からも経済を下支えすることで、事業転換を含む社内資源の再配分や他社との提携・統合などを通じて、企業がより生産性の高い分野に資金や労働者を振り向けていく動きを支援していきたいと考えています。』

『これにより、企業収益の増加が賃上げに繋がり、先行きも賃金が着実に高まっていくという期待を家計が抱くようになれば、将来への不安が和らぐことで安心して所得を消費に回していけるようになります。その結果、家計の値上げに対する許容度が高まることでコストの価格転嫁が容易となった企業の収益力が高まり、さらなる賃金上昇に繋がっていくことを期待しています。』

・・・・・・いやーさっきの誰かさんの金懇は何だったのか、という感じですな。

#時間もないのでこの辺で、会見と補足は週明けで勘弁してつかあさい