相場見通しあるいは後講釈(2004年上期)

こちらはあまり当らない相場見通しやら相場後講釈やらを書いております。目先の話をかなり大真面目に書くと呪いが掛かったかのように大外れするのがある意味売りなんですが。。。


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2004年上期

2004/09/28「材料の整理メモ」
2004/09/08「また高値入札か!(5年国債入札)」
2004/09/02「10年債入札予想」
2004/08/27「2年債入札レビューとおまけの雑談」
2004/08/26「相場の話:重い現物債&2年国債入札」
2004/08/25「相場雑談」
2004/08/20「相場は次の材料待ち」
2004/08/19「書くことがないので相場の話を継続して、自分の検証までしました」
2004/08/18「またも相場後講釈」
2004/08/17「相場後講釈」
2004/08/13「5年国債入札レビュー」
2004/08/10「またも相場後講釈」
2004/08/09「今日も相場の話」
2004/08/06「なおも相場上昇」
2004/08/05「暴騰に脱帽」
2004/08/04「10年入札後講釈」
2004/08/03「買い手不在?」
2004/08/02「8月相場見通し」
2004/07/30「2年債入札その他」
2004/07/22「相場雑感」
2004/07/21「15年変動入札後講釈その他」
2004/07/20「15年変動利付国債入札」
2004/07/16「入札に関る雑談」
2004/07/13「材料の整理」
2004/07/08「壊れっぷりモード全開の相場」
2004/07/07「悲劇の10年国債入札」
2004/06/30「連日落ち着かない相場」
2004/06/29「相場の戻りも腰砕け」
2004/06/24「輪番オペサプライズ/その他」
2004/06/23「落ち着きのない相場への愚痴」
2004/06/18「20年国債入札レビューその他」
2004/06/17「波乱相場の後講釈」
2004/06/14「怒涛の相場の後講釈」
2004/06/11「なおも売られた相場の後講釈」
2004/06/10「またやってしまった叩き売り相場」
2004/06/09「中期債の悲劇またもリターンズ」
2004/06/08「5年国債入札」
2004/06/04「10年債の受難は続く」
2004/06/03「お腹一杯になってきたのか?」
2004/06/01「10年国債入札」
2004/05/25「20年国債入札」
2004/05/20「第2次変動国債バブルはリスク管理ブームから」
2004/05/19「先物の建玉/5年国債レビュー」
2004/05/18「5年国債入札」
2004/05/12「相場レビュー」
2004/05/11「10年国債入札」
2004/05/07「下げはダラダラ上げは急速」
2004/04/30「大荒れのぶち切れ相場後講釈」
2004/04/28「5年債の空中戦」
2004/04/27「ネタも無いので相場雑感」
2004/04/23「20年国債入札レビューと相場を動かす勇者」
2004/04/19「新たな居場所を見つけた債券相場」
2004/04/15「相場メモ」
2004/04/14「5年国債入札レビュー」
2004/04/13「5年国債入札予想」


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2003年下期(工事中)
2003年上期(工事未着工^^)
2002年下期(工事メド立たず)





2004/09/28

お題「お休み中材料の整理メモとか入札の話とか」

まー今朝もまだフニャフニャ状態でありますので本日もまたメモ状態だったりする訳ですが。

○審議委員の講演等

植田審議委員の記者会見内容要旨が先々週末にアップされておりまして、先週は岩田副総裁の講演とありました。で、まだ内容のほうは精読できていないのですが・・・・

「展望レポート(正式名称は経済・物価情勢の展望)」の発表といった日程が控えている時期に複数の委員の講演日程をぶつけているというわけなのですが、植田審議委員の記者会見によれば「審議委員の出張日程は何ヶ月も前に決まっている」そうですので、まぁ展望レポートの発表を前に各審議委員がある程度意見表明をする機会を作っているっつー事でありますので、市場ではあんまり材料になっていなかったのではないかという気もするのですが、こちらはチェックをする必要があるかと思われます。

ざっと見た限りでは、常に緩和バイアスが掛かっている岩田副総裁はいつもどおり、植田委員はあたくしの休暇前にご紹介したように「こりゃ債券売り材料にはならないでしょ」という感じではありましたが。まぁ明日にでもご紹介。


○政府税調の議論

新聞を斜め読みしただけなのですが、定率減税の廃止と言うことで、まぁ相変わらず取りやすいところから取るというか、中堅リーマン層から取るというお得意の攻撃が出るかって印象であります。取りやすい所から取ると言う徴税都合優先の姿勢は如何なものかと思うのですが、それはそれとしても相変わらず中流というか割と安定的な市民層を叩くのは、社会の不安定化に繋がる話なのでどうなのかな〜とは思うわけで。

まぁ社会の階層分化というか、よーするに宗主国様の社会形態のような両極化を進めるという政策運営ポリシーが現在の内閣の方針でもありますので、こういう流れは致し方ない(あたくしは全く支持しませんが)所ではありますが。

でもこの2極分化推進政策って、某宗主国様のように人口の多くの部分が地方の中小都市というか村に毛の生えたような地域に住んでいる国でやる分には軋轢もそんなに多くない(訳は無いとは思うが)のかも知れませんが、日本のように人口の多くの部分が一部の都市部に集中している場合はどうなのかな〜と思う訳でして。人口の集中度合いが高いっつーことは社会階層の分化に伴う軋轢がより高まる事に繋がり、結果としては社会の不安定化が促進され、社会的コストが大いに高まるのでは無いかと思うのですがね。


○2年国債入札

話は変って2年国債入札。

一応カレントクーポンは0.1%という事になります。ただ、過去3ヶ月の入札は0.2%クーポンで行われていまして、今回クーポン引き下げになりますとちょっと先々の需要が見込めないのではないかと思うわけであります。

まー以前ドラめもんで申し上げましたが、いわゆるキャッシュつぶしという意味での投資としての2年国債に対する需要はいまや変動利付国債に取って代わられているという現状があるようです。実際の価格変動リスクがどうのこうのという以前に新BIS規制上の市場リスクという意味においては、15年変動利付国債は6ヶ月(=金利改定期間)ものの固定利付債と同じ扱いになるのに対して、2年債は2年ものですのでごく単純に言うとリスク量4倍で、クーポン収入はというと15年変動利付国債が高いという訳ですな。そりゃ債券投資部門としては2年債そんなに要りませんわな。

基本的には資金ポジション見合いという事になるので、短期金利動向の見通し次第と言うことになると思うのですが、今後も量的緩和政策が継続すると言う確信と申しますか、まぁ要するに0.1%クーポンが当面続くと言う見通しになるようでしたらまた話は別でしょうが、現状の市場環境はそこまで見ているという感じではないですので、今回もまた入札だけはそこそこ堅調かもしれませんが、しばらくは業者のもちになると思われます。0.2%クーポンならだいぶマシなんですけど。

まぁ現状イールドカーブがブルフラットしているのに変動15年利付国債の取引価格が上昇していると言うことは、そこまでの金利低下をまだ市場は織り込んでいないって話ですから、相変わらずこのゾーンは需給が悪いままで推移するものと思われます。


という訳で、本日もまた甚だ簡単でした。

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2004/09/08

○また高値入札か!

昨日は注目の5年国債入札がありました。入札前のパターンは毎度お馴染みというか何と言うかなんですが、5年ゾーンだけ突出して堅調という形になって入札を迎えまして、おまけに落札結果は(事前予想というよりは事前覚悟どおりとは言え)入札直前の既発5年債の取引実勢から見るとどう見ても1毛は割高なものとなりました。

まさにキングオブ割高入札といった所でありますが、入札前の事前先回り買いって奴が入っていなければ入札前から5年独歩高になる訳はございませんので、わざわざ入札を割高にするような性格の悪い動きをして一体全体何の得になるのだろうと市場の片隅でこっそりと棲息するあたくしなんぞは思うのでありました。

特に、昨日の前場の場合は5年ゾーンは確かに堅調そのものだったのですが、4年以下の中期債は無茶苦茶重くて長期やら超長期はもう駄目駄目状態というテイタラク。例えば割安だった中期ゾーン全体が堅調というのであれば判らない事もないのですが、2年〜5年あたりのイールドカーブ見ると4年近辺の方が5年よりもマシなような気もするのにそっちはゲロゲロという状況で「5年だけ独歩高」というのは如何にも無理があるというものであります。で、入札後は「やっぱりセカンダリーの買いがありませんな〜」となった所で平均株価が少々上昇したので先物中心に売り党の狙い撃ち(^^)で仕方なくヘッジも入るの図。


・・・・・で、このパターンなんですが、3ヶ月前に行なわれた入札とまるで同じパターン。入札直前に買いが入ってアフォのように強くなって大割高入札になった後に梯子外しの刑。おまけに申し上げますと直前の10年入札も同じパターンでして、6月の10年入札は「入札絶好調」→「入札後ブルフラット」→「上がったらやっぱり買いがなく先物ヘッジ叩きの刑」→「翌日以降の長期ゾーンボロボロ」という展開だったのですが、これって先日の10年入札と同じようなパターンです。

なんたる学習効果の無い相場なんでしょうというのが率直な印象なのですが、まぁ巻き込まれるあたくしも人のことは言えませんわな。とほほのほ。

ちなみに、6月相場といえば5年入札後に「捏造武藤ショック」(未だにあのレポートは許し難いのですが、何のお咎めも無いんですかね。個別株の推奨絡みで随分せっせと難癖つける筈なんですけれども)によって中短期金利絶賛大上昇しましたが、今回はさすがに同じアフォな事はしないと思いたいですな。先日の総裁講演あたりを下げ材料ネタにして煽る人が出たりして。

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2004/09/02

○今後の需給を占う入札

本日は10年新発国債の入札が予定されています。今回入札される新発国債は償還が3ヶ月長くなる最初の発行(2年債は毎月償還なので別と致しまして)です。10年、5年、20年国債に関しては償還が3ヵ月毎(なのに発行が毎月なのは如何なものかと思ってるのですが、その話は別としまして)なので、投資家さんのポートフォリオを考えれば当たり前なのですが、償還が延びた時が一番ニーズがあるという事になります。で、その後3ヶ月に渡って同じ償還の国債が発行されるので、時間の経過と共に品薄感が解消していきまして段々売れなくなるというのがお馴染みのパターンです。今回の償還は9月ものって事になりますが、9月償還の国債は9月〜11月まで発行され続けまして、投資家ニーズは9月>10月>11月って形になる訳ですな。

そういう訳でして、今回の入札は「償還が新しくなった債券の初回入札」という事ですので、まぁお約束どおり(^^)にきっちりとニーズが集まるかというのは最注目点でしょう。この入札がこける(まぁこける事は無いと思いますが)と来週火曜日には5年入札が控えているので相場には俄かに緊張が走るという形になりそうです。

今回の入札に関しての強弱材料を並べると、

強材料
・経済指標に弱いものが連発している
・8月の相場上昇+フラットニングが急速で、買い遅れ組がいる
・償還が延びている(上記)
・相場の勢いが上向き(何のこっちゃ)

弱材料
・相場上昇で10年ゾーンが買い進まれており、相対的な割安感に乏しい
・週末に米国雇用統計の発表を控えている
・そもそも相場が戻りすぎで、絶対水準バイヤーは過去のしこり玉の整理で売りに回っており、いきなり買うのも躊躇される

まぁ特に米国雇用統計に関しては、ここの所毎月のように「サプライズ!」な結果が出るという豪快な状態が続いておりまして、雇用統計後に債券相場が下ぶれた場合に申し開きが出来ないというお馴染みの言い訳もありますな。

そもそも入札だけを見れば、期内最終月なんで「シェア争い」などと言った要因(それを要因と言うのか?)がありますので、入札は無難に終わるでしょう。そんな意味では入札以降に相場を頑張って持ち上げて10年ゾーンを堅調推移に持っていけるかが注目材料になるでしょう。


と、ありきたりな話ですが、入札に関してはまぁそんな感じ。いつも大予想が外れることで評判の高い(涙)あたくしの今の時点での予想はと言いますと、「入札はやや過熱気味」「セカンダリーの販売はスローになるが、相場が下がらないので結局持ち上げ攻撃になる」という感じでありまする。まぁあたるも八卦あたらぬも八卦(ではなく外れ率が高いほうが価値がありますが^^)と言う事で。一応大真面目に予想したことを書きましたんでそこの所よろしくです。

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2004/08/27

お題「入札レビューと雑談」

相変わらず相場の方向感が無いせいか、ちょっとした投資家の売買フローで妙に相場が動くという日々が続いております。特に材料が出ていないのにまぁ上がったり下がったりして、先物なんぞは連日上げと下げの日替わりメニュー。方向感が無いので手がかり材料として目先筋が投資家のフローに提灯つけるから尚余計に質が悪い展開が続くのですが。

○2年国債入札レビュー

昨日入札が行なわれた2年新発債なんぞがまた無茶苦茶でして、今週に入ってから2毛ほど売り込まれて前日には新発WI取引の引値が0.18%などというお値段をやっていたのですが、昨日の市場では前場0.19%まで押し込んでおいて前場引け直前にいきなり買い戻し攻撃で0.175%まで戻り、入札の平均&最低価格は100円6銭で0.169%という有様。ちなみに、この2年債を押し込んでいる間って3年とか4年のゾーンの国債はやたらめったら堅調でして、これは一体どういう事なのか??と頭の中に?が1万個位飛び交っておりました。

以前は2年国債は「キャッシュ潰し」用の債券投資資金退避所として選好されていた事もあるのですが、相場水準全体の下落によりまして、いわゆるキャッシュ潰しと言うか、弱気筋の買い対象銘柄は変動15年国債へと変化しておりまして、正直言って投資家層の厚みが以前ほどではなくなってきているのではないかと思う次第であります(別に確証をもって言っているお話ではありません)。で、ますますこの2年国債は一部大手投資家の動きに左右されやすい動きを示すようになっておりまして、正直あたくしのような無力ディーラーにとっては(゚д゚)ハァ?って動きが多い訳です(-_-メ)。

昨日も書きましたが前提としての量的緩和という梯子を外された後にもこの発行量で入札をするのはかなり厳しいものがあるでしょうな。価格変動リスクが何気にある割には絶対水準としての金利が低いからこそ投資家の買いが細って15年変動利付国債に向っている(というのはあたくしの脳内現実かもしれませんけど)わけでして、大手銀行さまあたりが買ったり売ったりしていたり、大手の有力証券会社さまがドカンと落札して平気な顔をしている(かど〜か知らんが)為にそこそこ値持ちしておりますが、これとて前提条件に量的緩和という資金ジャブジャブ状態があるからですからね〜。

勿論、イールドカーブの2年ゾーンを膨らませても良いというのであれば話は全然別ですが。


○ネタも無いので以下雑談(^^)

小ネタをば。

・原油価格と債券相場

原油価格がどうしたこうしたというので株式市場や債券市場が妙に乱高下するというパターンはだいぶ崩れてきたようですが、まぁ基本的に「原油価格上昇」→「株式相場下落」→「債券相場上昇」という動きだったと思う訳です。

で、あたくしつらつらと考えるに矢印の最初はまぁ良いのかもしれませんが、その次の矢印ってどうよって感じな訳ですよ。原油価格上昇はインフレ要因なのではないかと(^^)、まぁ原材料価格上昇が一般物価の上昇に直結しないで企業部門で吸収されるから企業業績が悪化して株価下落という話なのでしょうが、結構不思議な理屈ですな〜などと思う訳です。

・米の作況と債券相場

時事メインとか日経とかに出ていたお話の受け売りですが、昨年の米凶作から一転して米が豊作と言うことで、コアCPI(米は「生鮮」食料品ではないそうで)にマイナスの影響を与えるそうですが、大和証券SMBCの白石氏の試算によりますと、最大で0.4%のマイナス効果があるそうですな。

普段でしたら「ああそうですな」で終了する話なのですが、何せ金融政策がコアCPIに一点張りをしているという量的緩和政策のコミットメントがありますので、これがまた量的緩和の出口が遠のくとかいう話になってくると色々と楽しそうな思惑が出てきそうでございますな。既に早場米は店頭に出回っておりますし、それ以前の問題として個人的な体感としては5月くらいから米の小売価格って下がってきている印象ですので、劇的な変化って事にはならないような気もしますが、本格的に新米が店頭に出てくる9月後半だか10月だかの後のコアCPIの変化は(ネタとして)注目されるかもしれませんな。

・スーパーマーケット売上と折り込み広告

あたくしの棲息している地域の近所に某大手スーパーがある訳ですが、ここが寄越す新聞折り込み広告が5月の連休明けくらいから妙にしょぼくなってきているのですな。具体的には見開きだった広告がペラ1になってみたり、衣料品広告に出てくるモデルのおにいさんおねいさんの人数が激しく減ってみたり、週に3回出ていた広告が2.5回に減ってみたりとか。ちなみに広告に気合が入っていたのは昨年の春先くらいから冬くらいまででしたが。

まぁ統計でもスーパーマーケットの売上がどうも伸びていないとでておりまして、ほうほうなるほどと思いつつ週末の広告はどうなるのでしょうな〜と思う訳であります。週末の広告といえば定番は不動産の広告なのですが、余り真面目に見たことが無いので今度真面目に見ることとしますか(謎)。


という訳で、本当のネタは本日以降の経済指標って事ですな。

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2004/08/26

お題「今日も甚だ簡単に相場の話」

本質的には週末から月末にかけて出てくる経済指標が相場の本命なので、ある意味中休み状態なのですが。

○現物債が重いわけだが

昨日の債券相場、前場はそこそこしっかりだった現物中期ゾーンだったのですが、輪番オペが通過した後の後場になっていきなり中短期から8年ゾーンあたりまで現物が全部重くなるという脅威の展開。銘柄間の需給にデコボコがあるので微妙に強かったり売り込まれていたりするのですが、全般的には2年から8年位のゾーンが満遍なく叩かれるという状況でした。

3年ゾーンあたりでは前場は前日比5糸甘レベルのオファーなんぞを威勢良く買って引けが堂々のビットサイドだったのに、後場になって相場が下落しているどさくさに紛れていつの間にやら1毛甘どころか1.5毛甘くらいまで叩かれるという事でして、3年ゾーンで日中にそんなに上がったり下がったりするというのも中々豪快な展開であります。どうせまた例によって例の如く売りが出たんでしょうが、これだけ甘くなって2年債入札とはこれまた中々寒い展開ではございます。

○今度は「5年の0.75%」に注目してみると

そんなこんなで5年債がズルズルと下がって気が付けば昨日の引け値ベースで0.755%ということで、誤差を押して言えば「5年0.75%」な訳ですが、このゾーンがまた滞空時間が短いのですよ先生って感じであります。過去の数字をつらつら眺めているとこの近辺も滞空時間が短いという状態。で、その滞空時間の短い5年の0.75%の時の他年限の位置はと言いますと、直近の0.75%の時と比較すると(ある意味当たり前ですが)若干のデコボコはありますが概ね似たような位置。債券相場急落時の通過点であった6月の5年0.75%の時と比較すると、現在は2年債が甘く、10年、20年が強いという形になっておりまして、「量的緩和政策の解除の可能性を視野に入れつつも、景気の先行きに関しては強気一辺倒状態からは脱却している」という事になる訳ですな。

・・・・・そう考えたら別に普通の状態ですな。

てな訳で、あまりにも中期債が弱体なので驚いていたのですが、良く良く考えるとこの程度では微調整の一環ということですな。と申しますか、20年国債の入札前に延々と時間をかけて20年ゾーンを売り込んでいた為に、単にイールドカーブが元に戻る動きの中でやたらと過激なフラットニングが起きているように見えるだけだったりする訳でした。

ちなみに、5年債の引け利回りが昨日と同じ0.755%であります2週間前の8月10日の引け値を昨日と比較致しますと、先物が3銭安で、2年は変わらず、10年が1毛強くて20年は(70回債同士で比較すると)3毛強って感じでして、2週間前の水準に戻って(30年の記録が手元に無いです。スイマセン)ややフラットニングしたかな〜という所のようですな。ここからのフラットニングはどうかな〜って感じですかね。


○2年国債入札雑感

まぁこの2年国債自体は特にどうという事も無い入札になるのでしょうが、昔のように量的緩和政策が半永久的に続くのではないかと思わせるような状況であれば消化に問題はないのですが、最近は一応量的緩和政策が終了する場合がどうのこうのという事をまともに意識するようになってきている訳でして、威勢良く買われるという訳にも行かない訳です。

で、過去においてはこの2年債が相場の高値圏においては「投資資金の一時退避先」として選好されていた時代もございましたが、最近は変動利付国債の方が好まれているのではないかという節が見られるようになっております。理由としては、

(1)相場の下落リスクが意識されるようになり、過去に保有していた変動利付国債の価格が復活。塩漬け状態が解消されたので売買がしやすくなった。

(2)いわゆるBIS2次規制や、金融庁検査だの日銀考査だので「金利上昇リスク」に関して喧しく言われるようになって来るという流れが根底にある(アウトライヤー規制なども含めまして)ために、リスク管理上「6ヶ月債」扱いになり、かつ金利上昇への備えになっていると言い訳可能で、とどめに期間利回りがそこそこ取れるという変動利付国債の方が下手な短期債より投資しやすい。

(3)発行額が増えてきて、流通市場でまともに値段がつくようになってきた為に売買がやりやすくなった。

という事が挙げられるかと考えられます。まぁそんな感じですので、あたくしと致しましては、どうせ短期金利がぶれるようになったらヘッジがやたらやりにくい2年ゾーンの発行残高を膨らませるのはイールドカーブの安定形成という事を考えますと、あまり宜しく無いとも言えます(恐らくカーブ上2年ゾーンが恒常的に膨らむ形になってしまい、中期ゾーンのイールド全体に上昇圧力が掛かりやすくなる)ので、当局様に置かれましては、来年度あたりの発行計画では2年ゾーンの発行を減額して15年変動利付国債の発行を増額するということも(安定消化優先ならば)ご検討いただくと幸いではないかと思う訳です。


では〜(^^)/

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2004/08/25

お題「まぁ雑談という感じですが」

相変わらず新聞を読んでもテレビを見ても出てくる話題がオリンピックなもんで、何だかんだと言っても結局流されてしまうあたくしはどうもオリンピック以外の話題に目が行かない訳でして(何のこっちゃ)、相場のお話と愚にもつかない世間話をば。

○相場概況

先日ドラめもんでお話した「10年の1.6%の滞空時間があまり長くない」っつー話ですが、ここの所連日上がったり下がったり訳の判らん方向性皆無の相場展開が続き(だから相場の話をネタにしにくいのですが)ながらも、徐々に10年1.6%水準というのが新たなレンジの中心になりつつあるようでございますな。と、あたくしが書くと良くレンジを抜けるという話はこの際気にしないようにしましょう。

と、10年ゾーンは比較的堅調なのですが、どうも気になるのが中期ゾーンでして、ここもとの相場でレンジ内で相場が上下する間に上がっても下がっても軟調という実に困った状態。特に目立つのは4年ゾーンを中心としたあたりなのですが、この辺のゾーンと言えばご存知の通り大手銀行勢の債券ポートフォリオの核になっている部分。

無力ディーラーのあたくしは今一歩良く判らんのですが、どうもここもとの相場水準上昇でようやく日の目を見ることになった塩漬け債券に対して改めてヘッジの売りなのかスワップの払いなのかオプションを利用したヘッジ(コール売りとかシンセショートとか)なのか知りませんが、まぁ実弾の売りも含めまして売りが登場しているようで、中期ゾーンの中でも買い手の多様性に欠ける3年〜4年ゾーンの需給悪化に大いに影響しているようであります。大手銀行が売りに回ると買い手がいないのよこれがまた。

長期ゾーン以降に目を向けますと、昨日の20年国債入札は事前に随分カーブ上で売り込んでいた割には落札結果自体は前場引けでのオファーサイドが最低落札価格(しかも按分比率が半分ほど)となっておりまして、順調と言えば順調なのですが別に過熱する雰囲気もなし。で、その後は特にカーブ上伸びてくる雰囲気も無いという訳で、事前に散々売り込んで準備万端の雰囲気だった割には「ハァ?」という感じの入札でした。サプライズもなければ失望もないという面白くない入札でした。で、30年ゾーンと言うのは正直良く分らないのですが、どうも堅調だったのは先週の金曜くらいでして、相変わらず頭の重い展開が続いております。

と言う事で、実は10年ゾーン以外の現物債はやたらめったら重いというのが実情でして、現物債の需給関係から全然相場が上がらないというのもある様です。そこまで原油価格と連動してど〜するのって気はするのですが、NY株式→日本株式→日本債券って感じで取り敢えず債券先物が動いてくれるので先物はそれなりに上がったり下がったり致しますが。


売買状況はと申しますと、上がったら売りたい組の売りは取り敢えず一巡。下がったら買うという人はいない訳ではないですが、今まで散々下に持っていかれてやっと売れたばかりですので、一般的には中々ここでいきなり買うという訳にも行かないようです。従って変動利付国債が買われちゃったりするのですが。

そんな感じで板が薄いという状況が継続しておりますので、ここの所連日「引けにかけて突然先物が上昇して現物が堅調になる」という訳の判らん動きが起きておりますが、ど〜考えてもパッシブ系の新規資金が入ってきて、インデックスベースでのパフォーマンスに負けないためにいわゆる「引け握り」が入ったとしか思えない動きです。大したロットを買っている雰囲気も無いのですが、物の見事に反応する所をみますと、やはりこれも板が薄いことの影響かと思います。


まぁ経済指標が週末近くから出てきますのでそちらをお楽しみにってことなのでしょうな。


○ニュース雑談

三井住友の提案は中々笑えました。まるでどこぞの債券ディーラーのような提案だと健やかな笑いを提供させていただきましたな。で、「どこぞの債券ディーラー」っつーのはどーゆー事かと申しますと・・・・・・

ご存知のように債券の売買は店頭での相対売買な訳ですが、即時性を求められるような売買は大体電話での発注になるのでして、まぁそれなりの規模の投資家様の場合は数社に同時に引き合いを出す訳です。で、まぁ売買が成立するのですが、業者の色々なお家の事情だったりディーラーが間抜けだったりした場合に「お前それはおかしいだろう」というレートが他社から出て残念な思いをすることもある訳です。

特に、需給関係でレポが異常にタイトになっている銘柄なんかでミスレートがあった場合に、業者間スクリーンに「てめぇ今のレートは何なんだ」という対抗注文が出る場合がある訳ですな。例えばレポがきついから業者が安くオファーしないというか出来ない銘柄を安くオファーされて、取引を他社に持っていかれたような場合に、「そのレートはビットサイドだろう」と堂々のビットを入れるといった具合に。

こ〜ゆ〜場合にはレポが鬼のようにタイトになっていて誰も敢えて強いビットを叩かないという状況になっている銘柄にビットが入るので、余程無茶苦茶なビットなら叩かれますが、少々強い程度のビットは叩かれません。と言ってもそれなりに引け値ベースで言えば強いビットになりますので、叩かれるとタイトだけど割高な銘柄のロングポジションが発生するという諸刃の剣。素人にはお勧めできません(^^)。

まぁここまで書いたら何を言いたいかはお分りかと存じますが(^^)、今回のSMBCの提案も「叩かれないことを見透かした嫌がらせビット」なのではないか、などと書くと関係者から怒られそうですが、まぁ性格のひねくれたあたくしはそう思うのでありました。


しかし、ニュースを見ていると「?????」な話が一つ。今回の合併の株式交換比率提案に対して、どこの報道でも「UFJ株式の現在の価格水準からすると30%のプレミアムを乗せている」と言っているのですが、現在の株価が大体SMBC=1でUFJHD=0.7だったら、UJFのプレミアムは0.3÷0.7だから40%にならないのでしょうか???こういう計算の話は素人なのでよー判らんのですが。。。。


ではでは。

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2004/08/20

お題「次の材料待ちですな」

と言ってしまうと話が終わってしまいますが、まぁどうも手ががりになるものが無い割には相場の方はよく動くというものです。

○1.6%というのはもしかして居心地が悪いのでは

ご存知のように6月に債券相場がいきなり下落したのですが、この時終値ベースで10年が1.6%近辺にいた期間というのを見ますと6月3日の1.58%と4日の1.595%の2日間でした。その前は延々と続いていた1.5%挟みの展開となっていまして、この後はと申しますと7日に1.67%で8日は1.70%となりましていきなり1.6%をぶち抜けるという展開。

この時の新発10年国債は260回債ですので、現在の10年新発262回国債と償還が同じという事で、単純に利回りを比較するのも(6月から見ると債券の残存期間が2ヶ月短くなっている訳ですから)話としてはややインチキの類に属するのですが、まぁその辺は勘弁していただくと致しまして(^^)。

260回債は1.6%クーポンだったのですが、この入札の時は平均落札価格から引受手数料相当額を差っ引いた実質的なコストを利回り換算すると1.538%だったりする訳でして(まぁその後下がった訳ですが)、その後一気に1.6%をぶち抜けるの巻という事ですので、相場の下げ過程での1.6%近辺の滞空時間は極めて短かったりするというお話ですな。

で、ここもとの債券相場ですが、8月に入ってからの債券相場絶賛大反発においても実は1.6%近辺でいる時間があまり無かったりするのですな。先週の月曜火曜という事ですから8月9日、10日が1.62%となっていましたが、その後は1.6%台後半になったと思ったら4−6月期日本のGDP様のお力でいきなり1.565%までぶち上げるの巻という壮絶な展開。

ま、うだうだと10年新発債の動きを書きましたが、ご覧のように「10年1.6%」という水準は滞空時間が短い傾向にある訳でして、そう考えますと今週になってから大して材料も無いのに先物の40銭とか10年の4毛くらいの値幅を取ったりしているのは、この位置が実は居心地が悪いのでどちらかに動きたがっているのだが、決定的な材料に欠ける為に動けずに結果として妙に不安定な動きをしているのではないかと勝手に思ってみたりもする訳です。または出来高の少ない価格帯なので安定レンジを形成するためには暫く動く必要があるのかも知れませんが。


○またまた変動利付国債

昨日の業者間取引でやたらと目立ったのは変動利付国債の大量なる取引。弱含みながら大量の取引が行なわれていたことから、ど〜せまたどこかの投資家様がドカンと売りを入れたってことなのでしょうな〜というのは容易に想像出来る訳であります。

相変わらず変動利付国債は理論価格がど〜のこ〜のというお話よりは需給で動く債券なもので、正直ここまで何で値持ちしているのかという状況だったので、割高は割高なんですが、ヘッジ商品でもある(ことになっている)変動利付国債をこの高値圏(もっと上がるのかも知れませんが^^)で売ってくるのも中々の動きではないかと。相場観なのか割高割安の観点で売っているのかはよ〜わからんので判断には苦しむのですが。

あたくしが思うに、過去の捕まり玉整理モードに入っている絶対水準バイヤーの投資家様が最近の10年1.6%割れ水準で売りをぶつけておりますので、この変動利付国債の出物(債券で出物というのも何か間抜けな表現でござんすな)は絶好の資金退避先として吸収されていくのではないかと。

ま、今日以降の変動利付国債の動きにも注目したいと思います。



ってな訳で、お題のように「次の材料待ち」状態でして、まぁ来週には20年に2年と入札が2発待っておりますし、夏休み明けモードになってくるのではないかと思いますので、今日はNY株安債券高でちょっと(ではなくもしかしたらまた40銭だったりして^^)上昇って感じなんでしょうが、それはそれという事で様子見というのが吉かと。

おまけついでに申し上げますと、先日ドラめもんでご紹介した日銀前副総裁の山口泰さんのインタビュー記事の掲載された時事通信社の「金融財政」が昨日付けで出ておりますので機会がございましたらご一読を。ちなみに記事ご紹介のリードの最後には、

『最近では、論理的な筋道の通った政策論は希少なだけに、理論派で鳴らした山口氏の熱弁は傾聴に値する。』

とあります。改めて拝読いたしましたが誠に同感で、あたくし元々債券ディーラーながらマネーマーケットが長いという特異体質なために一応勉強している積りでしたが、金融政策についてもっと勉強せねばと思いつつ、昨今のもはやブームになっているのではないかとまで思ってしまう「論理的な筋道不在の政策論」横行を嘆く訳であります。とくにどこぞの経済新聞は目の玉よく磨いてから読めという感じでございますな。お問合せはあたくしではなく時事通信社へ、って良いのか??

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2004/08/19

お題「またも相場雑談」

時の経つのは早いもので8月も既に19日になってしまいました。少年老い易く学成り難し(謎)。

オリンピックの話で話題満載状態のせいか、何だかドラめもんのネタがあまり見つからない(あたくしが何気にオリンピックをせっせとチェックしているせいという説はありますが)ので、またも相場の話あたりで勘弁。しかしNHK以外が実況している競技の放送シーンをダイジェストなんぞで見ると、激しく喧しく、勘弁していただきたいものです。まぁ日本快進撃の為に益々オリンピックに注目してしまうのですが(^^)。

○不思議な相場

昨日の債券相場は別に材料も無いのにやたらと堅調でして、印象としては「何でこんなに強いの?」という動きでありました。しかも朝方は20年や30年ゾーンがやたらと重いのに10年と先物は無闇矢鱈と堅調に推移しておりまして益々意味不明。まぁ後場になって20年や30年が一気に強含みになりましたので話は何となく分るという展開にはなりましたが。

しかし一昨日にいくらでも買う機会はあった訳でして、特に世の中変わった(米国のCPIがそんなに重大な経済指標とは思えませんが)訳でもないタイミングで戻るとは恐るべしとしか言いようがありません。まぁ「お家の事情」で昨日にしか買いを入れる機会が無いというお方の買いとしか考えようがありませんが。

で、「お家の事情で買う日限定投資家様」の買いで相場が見事に戻るのは結構なのですが、その戻り方が先物こそ下げた分の6割しか戻してませんが、20年債なんぞでは前日の下げを殆ど打ち消すという実に豪快な戻りでありまして、まぁそこまで戻るかフツーってなもんであります。

6月以来の下落相場と今月に入ってからの戻り相場という動きが取り敢えず一巡して、売り方にしろ買い方にしろポジションの整理が大分進行してきた為に、皆さん慌てて動くといううよりは「次の作戦検討中」モードになっているのではないかと思います。様子見状態の人が多い中で「お家の事情の買い(まぁ要するにパッシブ運用系の新規資金配分な訳だが)」が入るとその影響が(商いが薄いだけに)でかいという事でしょうな。

○ところであたくしのごたくの検証

いやもう先生こりゃ参ったというのはまさにこの事でございまして(超大汗)、一昨日のドラめもんでは「変動利付国債が値崩れして、先物9月きりの買い戻しの動きも目立ち、相場の下を見ている人が減ってきているのでは無いでしょうか」と書いたところ、不意打ちのように相場が下落。で、昨日は「下がると変動利付国債に買いが入ってきますので、やっぱり相場の下落リスクって意識されているのね」と書いたらこの有様。おまけに先物は結構売られちゃったりしてるし・・・・・

まぁあたくし根が売り好きな上に、基本的に順張りが大好きな人間ですんで(と、言い訳が始まるのだが)、訳のわからん板薄相場展開になりますと、目先の相場についてのコメントが見事なまでに外れだすという素晴らしい傾向がある訳でして(涙)、誠に遺憾に存じますが、読者の皆様に置かれましては大変に参考になるのではないかと思っております、とほほ。


○で、めげずに相場の話をする訳ですが

まぁ実を申しますとさっぱり訳がわからなくなっているのですが、どうも上で申し上げましたように、ある程度のポジション調整はカタがついて、参加者の多くが様子見というか作戦会議中状態になっているようですので、今暫くはレンジを形成するという順張り型のあたくしには辛抱が必要な相場が継続しそうであります。動かなくてはいけないようなお方に置かれましては、狙っているオペレーションは逆張り感覚で入るのが吉かと。

あたくし的に気になっているのが、株式市場における売買代金の低迷傾向であります。東証1部の売買代金1兆円割れというのはもう普通の状況になって参りましたが、昨日は一昨日に続いて売買代金が8000億円台となっておりまして、玉の回転が悪くなっているのではないかと勝手に懸念している訳でございますな。米国株式は再度復活してきましたが、どうも日本株が目先パッとしないのでこれまたアレなのでございます。

どこぞの提唱する「景気回復で金利上昇キャンペーン」に私たちはまんまと嵌っていたのかもしれませんな。


#どうもネタがございませんので目先の相場話で甚だ恐縮です。

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2004/08/18

○昨日の債券相場

まぁしかし相場が下がらんの〜という話をした側から債券市場下落というのも中々情けないのですが、昨日のドラめもんで羅列していた状況が昨日の相場変動でどうなっていたのかと言うことを少々。

その1:やはり押し目買いが入る変動利付国債

昨日は時間の経過と共にイールドカーブ全体に売り圧力がかかるという表現がしっくりくるような相場の下がり方でありまして、何気に10年債1.6%まで金利上昇の巻。で、そんな相場が展開されているうちに、月曜に陥落の気配を見せていた15年変動利付国債は押し目買いの動きが目立つ展開になりまして、月曜は売り注文の指値が徐々に下がるという「いかにも在庫が重そう」な雰囲気を醸し出していた業者間気配は昨日は一転して「買いたい人多し」の雰囲気を漂わせる状況となりました。

ここもとの相場上昇局面で過去の高値掴み玉の整理がだいぶ進行しているのですが、玉整理をした分の余剰資金がどこに行くのかというのは当然注目される点であります。で、その資金が中期ゾーンに向うなどというのがお馴染みのパターンだったのですが、中期債は相変わらず出遅れたまま。昨日のように相場水準が下落しても、玉整理で売った分の見合いの買いらしき動きは見られず(冷静に考えれば「やっと日の目を見た」債券をたかが50銭や1円下がっただけで買い戻す訳は無いのですが)と言う事で、ちょっと相場が押してくるとすかさず変動利付国債の買いって事なのかな〜って感じです。

やはり昨日の変動利付国債の気配は一種のダマシでしたかね。

その2:先物9月限一人旅継続

昨日の相場でも先物はちょっと下がるとすかさず買いが入るような動きが目に付きまして、その一方で最割安の10年234回債は業者間で売り指値置きっ放し状態が継続という有様。まーよく考えれば今までの「チーペストスクイーズ攻撃」が「上げ相場」とか「チーペストの流通量不足」とか「フェイル慣行の不備」とかいろんな要素によって仕掛けが容易だったということもある訳でして、冷静になってみるとイールドカーブの中で7年はどうなってるの?というお話が優先されてくるというものなのでしょう。

で、先物っつーのは現物債を主にディーリングしている人だけがやっている訳ではないので、時にこういう事にもなるのでしょうか。どっちにしても割高化したり割安化したりしやすい状況になるんでしょうな、今後とも。当面は先物9月限は割高一人旅状態になりそうです。

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2004/08/17

お題「毎度おなじみの相場後講釈」

朝っぱらから某公共放送でオリンピック体操団体競技が絶賛放映されているのですが、実況アナウンサーが米国の選手が鉄棒で技を失敗した時に嬉しそうな(というかやたらと力の入ったというか)声を出すのは、曲がりなりにも「スポーツの祭典」なのですからいかがなものかと。らしからぬ実況ですな。

他国の演技どうのこうのとは関係なく日本男子はきっちりと演技をこなして総合点で2位米国に大きく(大きいのかどうかよく判らんのですが)差をつけて金メダルって結果でしたので大変素晴らしい結果でありましたな。これぞ見事なメダル獲得なんでしょうな。そんな場面に出くわしたということで、まぁ早起きすると良い事ありますにゃ(^^)。

最後の種目だったから仕方無いのかもしれませんが、いきなりつけたテレビ画面で実況放送アナウンサーが声裏返らせて大盛り上がり状態ですと放送のペースにこっちがあわせるのに苦労しますな。最初からちゃんと見てろと言われそうですが・・・・・・(^^)。


という世間話はさておきまして、金融政策は夏休みですが債券市場の方は解釈がムツカシイ動きが色々とある訳で、昨日の相場から気になった点を羅列しておきます。思考のたたき台にでもしていただけると幸いです。


○これは「循環物色」ですかな

昨日の債券市場では朝方こそ10年ゾーンを中心に相場上昇というまたもブルフラット状態でしたが、10年やら20年などの戻りから比較して出遅れ感のあった中期ゾーンが途中から復活しまして、その一方で長期ゾーンが弱くなりまして7年(先物)以降のイールドカーブはスティープ化しました。

まぁ同一人物が入替売買をしているかどうかはともかくと致しまして、相場全体を通してみると「長期(超長期?)売りの中期買い」となっており、相場水準全体で見れば買われているので「トータルで買い越し」の図であります。特に後場途中からは平均株価が戻り歩調になってきている事も委細構わず先物を中心に相場上昇ってのは誠に力強いというか、板の薄い中を随分頑張ってますなぁというか。まぁとにかく循環物色でネット買い越し状態という図が益々鮮明になってきております。


○やっと弱体化の兆しを見せる15年変動利付国債

銘柄による需給に強弱はあるのですが、昨日の業者間取引では15年変動利付国債が結構売り物勝ちな状態でした。まぁ売り物が出てくるのはここもとの相場戻り局面で毎度のように見られる光景なのですが、昨日の場合は「下を叩く」という動きが見られた事が先週までと違ったところであります。

一応理論価格がどうのこうのという話になりますと、この変動利付国債って10年〜20年のイールドカーブがフラット化すると価格が下がるらしい商品なのですが、昨日の場合はカーブがスティープ化して中期ゾーンの金利は低下しているのでお値段上がっても然るべきなのですが、それまで散々フラットニングする中で全然値下がりしなかった事の反動って奴ですね。

昨日の「下を叩く動き」なんですが、昨日一日だけのダマシかもしれませんので断定するのはまだ早いと致しましても、さすがに変動利付国債の需給悪化が顕在化してきたという事なのではないかという気がしております。気がするだけの状態なんですが(^^)。

以前にも申し上げたように、この変動利付国債は理論価格がどうのこうのというよりは、購入者(主に銀行というか預金金融機関というか)が「債券相場の下値リスク」を意識しだすと買いが入りやすくなるという商品でありまして、買いの手がとうとう引っ込んだのか売りが出たのかは判りませんが、ともかく「債券相場の下値リスク」に関しての意識が薄れてきたという事なのではないかと思います。


○先物9月限の独歩高

今の債券先物はイールドカーブ上では7年に連動することになっているのですが、先物の受渡最割安銘柄の10年234回債がレポコスト勘案後のネットベーシスでマイナス状態で取引されておりまして、昨日に至っては最早業者間のベーシス売買の買い気配値も碌なものが出てこなくて、アウトライト取引で前日よりも1銭は安い所まで叩かれると言う状態。残存流通量が激しく多い債券な事もあり、毎度のようなスクイーズ狙い(大体からして前回も見事に大不発しましたが)の仕掛けも元々困難な所へ来て、ど〜考えても需給が激しく悪い状態が続いているので、この#234は売り物勝ちな状態が継続しております。

で、今までの常識からしますと、最割安銘柄の需給が悪い場合ってのは連動する筈の先物も売り物勝ちになるのですが、この限月においては現物債の需給をあざ笑うかの如く先物一人旅状態でして、教科書的に言えば「おいおい」状態の受渡最割安の現物債が先物よりも割安状態という有様。

色々と解釈は可能なのでしょうが、激しくざっくりとした言い方をすれば、残存7年の現物債がイールドカーブ(というか前後の関係と言うか)では既にこれ以上買い進むのに無理がある状態で、先物が尚も引っ張って割高になっているという状況だという事なのでしょうな。先物買い圧力恐るべし。

特に昨日の相場では上記のように「ベーシスの売り」ではなく、「アウトライト売買で売り注文晒しっぱなし」「ちょっと安いビットでもぶっ叩く」という状況になっておりまして、先物9月限の買い戻し圧力、つまり投資家ヘッジの買い戻し圧力が顕在化して来たっつー事なのでしょうな。


ところで、話は全然違いますが、先週金曜日に先物建玉が速報ベースで3000枚ほど増加して、昨日は確定ベースで1000枚ほど減少してから前日比1500枚ほど減少となっておりまして、こういう動きに関して思惑の存在を指摘する人もいると思いますが、事務上の問題という面もありますのであまりナーバスになる必要はないかと思います。

と言いますのは、先週金曜日のように現物債の売買が猛烈にぶつかって相場が動く時というのは、現物債のマーケットメークしてると必然的に先物の売り買いがどっちも増える訳でして、処理すべき伝票量が莫大になる訳です。取引所に転売買戻しの報告する時限っつーのは売買高がなんぼあっても同じですんで、売買が錯綜した時にはいちいち転売買戻しの紐付け処理をしている事務的な余裕がない場合っつーのもありますので、「とりあえず全部両建て」という処理になってしまう場合もある訳です。で、後から修正報告出したり、翌日の売買で売り買い両方を転売買戻し扱いにしたりする訳ですな。


本日はそんな所で。

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2004/08/13

○5年国債入札レビュー

リオープン発行という事で「まるで売れないのではないか」という懸念も当初はあった入札ですが、蓋を開けてみれば大手業者揃い踏みの落札。というかやはり業者主体の入札という事のような気もしますが、何となく背後に大手銀行勢がいそうな落札状況でもありました。

で、ただでなくさえ高値入札(平均落札価格の100円12銭は前場引けのオファーサイドから見ると3銭近く、つまり5糸以上高い)だったのにその後は新発国債の割高落札レベルに合わせるかのように中期ゾーンが堅調になるという大技。

「新発を買う」どころか「戻ったら売りたい」という人も結構おいでになる中でしっかり堅調になりましたが、例によって業者だけでそういう持ち上げパワーを発揮するのは無茶な話でして、5年ゾーンあたりに投資家様のそこそこ大量なお買い上げがあったという事でしょう。

戻り待ち(というか過去のナンピンの玉整理なのですが)の売りをこなしつつ上昇って事ですので、戻り待ちで売った人が相場が堅調推移を続けた場合にど〜ゆ〜動きをするのかという事には注目したい所でして、また買いなおしって事になりますとなお一段高の可能性も。ただし、今のところは、ナンピン玉整理と思われる「買い下がりが捕まったまま」の方々の戻り待ち売りの次のアクションは「変動利付国債の買い」という方面に向っている(変動利付国債が思いっきり値持ちしているからそう思うのですが)ような雰囲気でして、「債券相場は当面の天井」感をもっているというオペレーションに徹している雰囲気ですな。

ま、「高値警戒感のあるうちは下がらない」というのが相場の法則ですので、当面は相場は下がらんということで宜しいのではないかと(^^)。


#皆様も夏バテに注意しましょう、とほほ。

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2004/08/10

お題「昨日の相場点描」

ふと気がつくとドラめもんがただの相場講釈になっておりまして季節柄ネタが切れやすいとは言え、市場というか金融経済政策というか、まぁその類のモノに斜めから斬り込む(オーバーですな)あたくしとしては極めて遺憾な日々でもある訳です(-_-メ)。


○塩漬け銘柄復活!

昨日の債券相場、最初は先物独歩高コースかとも思われましたが、色々とやっているうちに気がつけばイールドカーブはフラット化致しました。相場が上昇しながらフラットニングとは恐るべしといった所でしたが・・・・・・

ま〜しかし昨日は相場上昇に伴って過去に捕まった債券の処分売りが目立ちまして、特に債券相場急落(しつこく書くと「捏造的武藤ショック」で中短期が売られた6月第2週)の1週間前に絶賛大人気入札が行なわれた(応札倍率59倍ですよ先生)1.6%クーポンの260回債の売りが目立ちました。他にも急落前に捕まっていた中でクーポンが低くてもう塩漬け状態になっていた銘柄に売りが出ておりました。

この260回債は、入札直後からじりじり下落した後に急落に捕まりましたので、利食い売りをぶつける間もない上に、当時は10年カレント債はこの銘柄しかなかったので押し目買い(というかナンピン買い)の対象になり続けるわ、元々のコストが高いから売るに売れないわという恐怖の銘柄になっておりました。その為に業者のショートがエライコッチャになっておりましてつい先日までやたら割高に売買されていたのですが、ふと気がつくと昨日は業者間でフツーに出合うフツーの銘柄となっている訳で、まー随分売りが出たものかと。

急落開始時の10年260回債は1.6%割れの水準にいまして6月5日の週にまずは米国雇用統計を受けていきなり1.6%台後半に下落したあとに中短期債主体に1.7%もぶち抜けという状態でしたので、やや足りなかったですが、まぁ概ね急落前の水準が見えてきたのが昨日の高値近辺でしたな。売りが出るのも当然でございます。


○しかしなぜかフラットニング

そんな感じで、ど〜も「捕まった物のヤレヤレ売り」という意味では長期債に売りがわんさか御到来という気が思いっきりしていたのですが、イールドカーブ自体は上記のようにフラット化。まーあたしゃよ―判らんのですが、中期債の売りと長期債の買いが相当な規模で(同一人物による入替売買かどうかは別にして)出ていないと、こ〜ゆ〜動きにはならないですから、まぁ今更ここでフラットニングかよ!とは思いますが、相当の動きがあったに違いない。

しかし中短期が伸び悩んでいるのに20年2.2%だの10年1.6%だのよーやるわというイメージ。10年と20年は急落前の水準をほぼ回復しているのですが、2年は急落前は0.1%台前半でしたし、5年は0.7%割れ(ただし対象銘柄の償還が3ヶ月違うので、比較するなら0.7%ちょい乗せというのが正しい)でしたので、出遅れが目立つというものです。

短期金利が引っ張って金利上昇って何か所謂「良い金利上昇」って奴なのですが、そこまで見るのはちょっと先走りすぎではないかと思いますが、イマイチよ―判らんという物であります。


○変動利付国債の動き

密かにあたくしが注目していた変動利付国債ですが、昨日は当初の相場上昇後に何時の間にか業者間取引で売りが嵩んで参りまして、概ね前日比25銭安レベルまで出合いまして、先月発行の29回債は100円まで出合いました。

で、これで終われば「とうとう変動利付国債から長期債なんかへの乗換が始まりましたか(^^)」という事になるのですが、ここで脅威だったのは25銭安の出合いという話を聞きつけた(かど〜かは知らんが)人(多分投資家さま)からの買いが入った(らしい)こと。後場にかけて平均株価が戻り歩調になったこともあるのでしょうが、売られた分を半分ほど戻して終了となりました。

まぁ下がった所で投資家様の買い登場ということでありますので、そ〜ゆ〜意味では「長い目で見た場合の相場下落に対する懸念」というのはまだまだ払拭されていないという事では無いかと思います。

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2004/08/09

お題「懲りずに当らない相場見通し」

○金曜日の相場に関して

しかし何ですな、ど〜してこう相場の話を書くと見事に外すかっつー感じで、こーやってレビューしていて情けないですな。これでも本人大真面目に考えて見通しを書いているのですが・・・・・・・とほほ。ちなみに、あたくしこりゃマズイと思えば慌てて方針転換しますので必ずしもここで書いてある見通しとポジションが一致している訳ではありません、あしからず(^^)。

という言い訳は兎も角として先週末の債券相場。相場が下がらないというのはま〜予想通り(つーか米国債券高株安なので当らないほうがおかしいですな)でしたが、イールドカーブが見事にスティープ化致しました。フラット化継続は朝の30分くらいでして、金曜日のドラめもんでも申し上げましたが「気がつけば超長期ゾーンが6月初頭以来の2.3%割れ」ということで、それに対して中短期ゾーン(5年とか2年とか)の戻りがイマイチですので、比較感から一旦売りが出たという事でしょう。

まーしかし先週末の債券市場では、どう見ても5年債に今更ながらそれなりのロットの買いが入っているようでしましたが、いまさら買いですか先生と申しますか、そんなに弱気に傾けていたのねって感じでございますな。資金運用者じゃないから判らないんですけど、運用に際して一応調達コストの見合いというか、運用利回りのメドみたいなのは無いのかな〜と思ったりもするのですが、まぁ確かにインデックス対比でのパフォーマンスがどうのこうのと言われる運用者は絶対水準で相場に入れないですわな。ご同情申し上げます。

結局今回は絶対水準を重視して買い下がっていた人の勝ちという結果になったのですが、もともと「金利に蓋をする」などというお節介発言に反応して3月に1.3%割れなんぞをやってからひたすらズルズルと下落した相場ですので、今回の戻り程度では絶対水準買い下がり組みは「やられが回復途上」程度だったりするのが残念な所ですが。


○注目は中期債と変動利付国債

金曜日の債券市場では超長期債が伸び悩んだのに対して5年ゾーンは上記のように買いも入り(売った人もいるようで売買交錯の雰囲気でしたが)、今週入札があるというのに途中からは堅調。

上で買って捕まっている絶対水準バイヤーの戻り待ちに対して、ポジションをアンダーウェイトしていた人たちの買いのぶつかり合いは、アンダーウェイト組のポジションの方がでかく、外部環境の後押しもあって(今日もありそうですが)買いの圧勝(と言っても買い方も踏みなので圧勝しても全然嬉しくないでしょうが)でしたが、ここに「5年新発国債2兆円供給攻撃」があった場合にど〜なるのかというのは注目というのは衆目の一致する所。

もう一つ地味に注目したいのは変動利付国債であります。

監督官庁が「金利上昇リスクに対するリスク管理」に注目するなどとしつこく情報発信するもんですから、金利上昇リスクに対する備えになっている(ことになっているだけで、実態は金利上昇が短期金利主体で来るのか長期金利主体で来るのかで全然違うのですが)変動利付国債が絶賛大人気状態となりました。

確かこの商品の理論価格は10年〜20年のイールドカーブの形状によって変化する筈なのですが、最近はそ〜ゆ〜事はお構いなしで、「相場の先行き不安が拡大すると買われる」という訳のわからん(というかわかりやすいというか^^)動きをしております。

で、ここへ来てイールドカーブはフラット化するわ債券相場は上がるわという美しい相場展開になっておりまして、ヘッジと称して変動利付国債をかなりお持ちになっている投資家様が特に銀行業態のお方に増えていると観測されておりますが、この人たちが変動利付国債をじっと保有しているかというのが何気に注目な訳ですな。

この変動利付国債、相変わらず気配値は堅調でして、先月発行の新発変動債もオーバーパーを維持しておりますが、さすがに木曜あたりから業者間のブローカースクリーン上では売り注文がやや増えてきた感じですが、いまだに気配は堅調なまま。

この商品が値崩れする場合というのは実弾の売りが出た場合でございますので、今のところ小口の売りはあってもそれなりにでかく持っている人は売りに回っていない訳でして、上記の理屈(というか屁理屈)に即して言えば「相場参加者はまだ金利上昇懸念を持っている」という事にもなるのでしょう(勿論、監督当局対策にもち続けるという意味もあるのでしょうけれども)。

金利上昇懸念を持っている人がまだ多いという事は逆説的に言えばまだまだ相場には上昇余地があるというかそんなに下がらないっつー事でしょうな。変動利付国債がどこまで値もちできるかには密かに注目したいと思います。


では今週もよろしくお願いします。金融政策決定会合は無風でしょう。金融経済月報もよほどとんでもない強気がでなければ相場に無影響でしょうな。

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2004/08/06

お題「いやはやびっくり」

○素晴らしいフラット化

一昨日の相場上昇も驚きでしたが、昨日の相場上昇はなおもまたも驚き。途中までは「下がらんのは仕方ありませんな」という感じでしたが、後場途中から超長期だの10年だのの買いに拍車が掛かる格好。まぁ仕掛けがどうのこうのとかいう話もあるでしょうが、この上昇あんどフラットニングの場面ではど〜考えても投資家様の長期ゾーンご購入やら長期化入替に伴うフラット化圧力があったのは確実ではないかと。

昨日も申し上げましたが、業者の仕掛け如きでここまで相場を持ち上げておまけにフラットニングなどという攻撃が出来るような市場でもない(と思うんですけどね〜)という事で、投資家様昨日も債券ご購入または長期化取引大参加という風情でありました。特に長期化入替が出てくる場合に売りがぶち込まれやすくなる2年だの3年だのというゾーンの債券が昨日は全然上がらない(どころか取引時間中は下がっているものまであった)状態でして、状況証拠からすると長期化入替が行なわれていたのでしょうな。

という事で先物は7月高値を抜いたわけですが、7月高値近辺ではイールドカーブがごちゃごちゃ動いた事も蟻、まぁ昨日の状況に一番近いと思われる7月8日の終値を比較しますと、2年、5年は7月よりも安い状態が継続(7月8日は5年が0.8%割れで2年は0.155%)しているのに対して、10年は3毛ほど金利低下(1ヶ月償還が短くなっている事を加味すると実質1〜2毛の金利低下ですな)なのですが、20年が6.5毛金利低下ですよ先生って事でして、この相場の戻りは長期債への熱烈購入意欲に支えられたものですなってことになるんでしょう。


○「上がってから大挙購入」の動きは死なずという事で(-_-メ)

つい先日「買い手不在でズルズル下落」「でも上を買ったり下を叩いたりする人が居なくなって大変冷静な相場(^^)」などと申して居た筈なのですが、この2日間の上昇はまさしく「上がってからご購入」という動きの連発。

20年債が2.3%台の時に2.4%では買いを検討という筈だったのが2.4%どころか2.45%でも買いの手が見られず。で、下値確認して2.4%前半になって買いが来る所まではまぁ理解の範疇に入ってましたが、2.3%前半になってもまだ買いの動きというのが恐るべき話でして、昨日の高値2.265%(さすがにその水準はショートカバーだとは思いますが)には開いた口が塞がらない(と言いたいですが、相場が激しく動いていたのでそれどころではありませんでしたが)思いでした。

2.4%台後半を買いそびれて、そもそも買おうかな〜って思っていた2.4%あたりまで慌てて買うのはま〜致し方無いとは思うのですが、なにゆえ先月来その値段で幾らでも買う事のできた2.3%台を買い?????と思うと(しかも外部環境に先月と今月で劇的な変化があったとは到底思えないんですが・・・・・)面白い相場と喜ぶよりは、この国の債券運用(というか資金運用というか)は一体全体どうなっているのかと言う事に思いを至らせて深く悩む者であります。その日暮らしの対顧ディーラーじゃああるまいし、どこで長期債を買うとかの方針はど〜なっているのかと。

・・・・・また読者様のご機嫌に触るような事を書いてしまった(;;)。


まぁ昔から相場が一番大きく動くのは「ポジションの踏み投げ」であると言われておりますが、この2日間の見事な相場上昇(というか今日もまた上昇相場をやってくれそうですが)はまさに「ポジションの踏み」状態であります。気がつけばここ数ヶ月来見ていないようなフラットニング状態になっているというのが実に香しい所でして、「あーた戻るにも限度ってぇのがあるでしょうに」と申し上げたいところな訳でございまする。


○ではこれからどうなるのでしょ

と、ひたすら相場の愚痴を申し上げましたが、当らないという定評の高い(とほほ)あたくしの目先のお話を致しますと、何だか今一歩考えが纏まっていないのですが、以下のような感じ。

上記のようにフラットニングのやり過ぎ状態であると思ってまして、取り敢えず現状は「あとどの位踏みが残っているのか」というお話かと存じます。で、今月は20年と30年の新発国債が出てくるのに対して償還はそんなに無いのでインデックスがだいぶ長期化される(というお話を人から教わったのですが^^)訳ですので、相場が上昇するわフラットニングするわという状況を見せられると、人間心理として「やっぱ長期や超長期を入れないといけないよな〜」となってくる訳で、当面長期化圧力が掛かりやすく、よって相場は下がりにくい(または上昇)。

で、その長期というか超長期ゾーンの需給逼迫が頂点に達するのが30年国債入札直前という事になるわけでして、これまさにどこかで見た記憶のある「振り向けば買いなし」の30年国債入札などというものを見る事ができるかも知れません。

などと今は書いてますが、本当に需給が逼迫してきて30年国債の入札を迎えたら上記のような事はすっかり忘却して「ニーズあるので入札問題なし」とか言っているに違いない>あたくし

問題は既に業者の在庫が重くなっている中期債の動向でして、来週には2兆円の新発債、しかも0.8%か0.9%のリオープン発行が必至(0.7%になるかもしれないが)という状態で真っ当に消化できるとは思えません。このポジションがある程度解消できないと持続的な相場上昇は難しいでしょうな。

20年とか30年は糸の切れた凧状態なので、暫く放置というか傍観なんですが、中期ゾーンの需給を注目すべきでしょう。一昨日は中期ゾーンが妙に堅調で相場の上昇に拍車が掛かりましたが、さすがに息切れ状態となっていた昨日。イールドカーブのフラット化進行を見て見直し買い(または入替の買い)が入るかどうか注意しましょう。

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2004/08/05

お題「いや〜参りました」

自信満々(な訳でもないが)に相場について語ると派手に大外しするという毎度お馴染みのジンクスが昨日も炸裂しておりまして、汗顔至極とはこの事でございます(-_-メ)。

○久々にご登場「上がった所での買い」

昨日の債券相場、朝っぱらから先物一人旅で相場が上昇し、先物の上昇が止まって揉みあいになると現物の気配が何となく追いついていくという怪しい気配。あやしいですな〜と思っていたら、後場になって先物が下押しして、膠着状態になった所で急に5年ゾーンの気配が強くなりまして、超長期ゾーンも強くなり、終わってみれば先物も高いですが20年以降が強く、4〜5年ゾーンもやたらと堅調となりました。

まぁ先物の動きもそうですが、相場全体が20年2.4%割れだの10年1.8%割れだの5年0.85%だのという豪快な上昇をしたというのは、さすがに業者の踏みだけで行けるものではない(だいたいからして業者は入札直後だから全体を均すとロングポジションになってますが)ものでして、背景には「投資家様の大量ご購入」があったかと思います。

相場大暴れ大上昇の他の要因としてつい先日(つーか入札の当日だからつい一昨日)に「買い手不在の相場下落」と申し上げたように、直前までの下げ相場において大した買いが入っていなかった事もあるかもしれません。昨日の相場の戻りではお約束のように出るフツーの投資家さまの「戻り待ちの売り」が少なかったというのが正直な印象。

戻り待ちの売りが少ない所に「上がってきたので買い」というもう3ヶ月近く見る事の無かった投資家行動が爆裂しましたので、業者もビックリ仰天でございました。


○投資家の買いというか踏みというか

昨日は上記のように途中から5年ゾーンがやたらと買われる形になりまして、後場途中からの日経平均株価の戻りに対しても下げにくくなり、現物債が激しく堅調になっていった訳です。5年債と言えば、来週木曜に2兆円の新規発行、しかも既発の0.8または0.9クーポン発行となりそうな相場の位置にいる訳ですが、そこでいきなり5年ゾーンに買いがご登場となった次第。0.9%のアンダーパーになっていた時も勿論、一昨日の債券市場でもやたらと上値が重かった5年ゾーンなのですが、相場が散々戻ってから買いが入るとは恐れ入った次第であります。

市場でのもっぱらの話は5年国債にカバードコール(コールオプションの売り)を掛けていた大手の投資家さまが、相場が想定以上に戻ったので現物債を買い直しに入ったというものでして、仮に、仮にですけど、その話が本当であれば(状況証拠は濃厚に本当であると語っておりますが)、コール掛けておいてぶち抜けたら現物を改めて買うという行動に対してあたくし「もうね、アホか馬鹿かと」という某匿名掲示板用語で小一時間問い詰めたくなりますな。お前は相場が上昇したら売却する積りでコールオプション売ったんちゃうのかと。上がって売る気が無いならオプション売るんじゃねぇこのヴォケが。

・・・・つい取り乱しましたが(^^)、


6月の妙な相場暴落一段落以降、めっきりと「下で叩き売る」「上で買い上がる」という投資家(つーかそれはディーラーのやる事です)行動が見られなくなっていたのですが、ここへ来ての「上がってから買い」攻撃は、一頃大人しかった一部大手投資家様の行動パターンが変化した事を意味するかも知れませんので、本日以降の動きも注意したいと思います。

大手の一角を占めるような投資家さまが「戻って買い上げ」「下がって叩き売り」というマーケットクラッシャーのような行動を取っていただきますと相場としては実に面白い展開にはなるのですが、振り回されるマーケットメーカーはこの夏バテ状態の中でまた疲れる日々が復活しそうでございます(-_-メ)。

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2004/08/04

お題「10年入札無事終了」

金融政策関連は何だか夏休み状態。来週の金融政策決定会合までネタ無しという雰囲気が漂っておりまして、まぁ相場が暇ならネタ探しという所でしたが、10年国債入札の日はさすがに動くというものでありますな。

○10年入札日に超長期の買い

昨日の債券相場、前日まで駄目駄目状態だった20年国債の気配が途中から消えておりましたが、30年債なんぞが妙に強い出合いが散見されておりました。超長期ゾーンが堅調で10年債はと言いますと10年カレントは強いけど、8年〜9年ゾーンは駄目駄目という状態でありました。

で、まぁ入札の方はと申しますと、事前のプライストークよりやや強めの結果となり、市場観測による上位落札業者はまぁ大手といわれるところが順当に落札した形。でもって野村證券さまが久々の満額落札となりました。

で、以下は市場の片隅から業者間現物債気配(と債券先物)のプライスアクションを目を皿のようにして(いない場合も多々ありますが^^)眺めているあたくしの想像する「昨日は何があったか」っつーものです。

状況証拠から行きますと、昨日の債券相場は前場時点から超長期ゾーンにそこそこの買いが入ったという感じ。で、その買い方が割とおじょーずな買い方で、注文をばら撒いて相場の買い煽りを誘発するような「お取引先全社にご発注モード」では無く、まぁそこそこ体力のある大手のマーケットメーカーに注文を出したということでしょう。

受けた業者も10年国債入札があるのでいきなり持っていかれた超長期(20年とか30年)を派手に買い戻しすると自分の首を締めるので入札まで我慢して、10年国債を大量に落札してから20年、30年のカバーを行なってイールドカーブをフラット化させれば、少々割高に落札した10年新発国債も利益になるので目出度し目出度し。というのがシナリオになりまして、まぁ相場水準も十分に安い所にありますので、昨日の後場(というか落札結果発表後の動き)は上記シナリオ通りに展開したようでありますな。


という事で、昨日の10年国債入札はまぁ順調な結果なのですが、いざ引けてみると、先物(7年)〜10年で前日比1.5毛フラット化しているのですが、良く良く見ると堅調なのは精々9年位までで、8年あたりの現物債は引け値ベースこそ確りとしていますが(イールドカーブの整合性の問題があるから)どうもパッとしない展開。20年やら30年は当然の如く激しく堅調なのですが、10年債までの部分を見た場合はちょっと???が飛び交うような感じであります。

どちらかというと「10年国債に買いが入って相場が堅調になった」というよりは「20年国債やら30年国債に買いが入った為にカバーニーズを巻き込んで10年ゾーンが堅調になった」という感じが漂ってくる値動き。まぁ先月来散々安くされた20年だの30年だのが戻るのはあまり不思議ではないのですが、10年を調子に乗って持ち上げるほどに10年ゾーンに買いが入っているのでしょうかって事でして、本日以降の動きを見たいと思う訳ですよ。戻った1.8%台前半の10年にリアルの買いが入ってくれるのかという事ですな。

ま、とりあえず20年の2.5%なんぞを叩き売る必要は無いということが判明したという事でして、取り敢えず「まぁ当面の下値固めをしました」という程度が昨日の10年国債入札の評価と見ておいたほうが良いと思います。今日も10年に買いが入るのなら話は別ですが。世の中には相変わらず短絡的に行動する人がおりまして「相場が下がらないから上がる」と戯けた事を言い出して今日あたりは当初先物を買い上げる人もいそうですが、「下がらないから上がる」というのは間違いでして、債券市場の場合(だけではないですが)はコンスタントに債券が新規発行され、その間に償還だの利払いだのがあって、資金の流入と流出がある訳ですから、その辺のバランスっつーもんがあるのでは?と思う訳で、「下がらないけど上がらない」という状況があって然るべきでしょうな。

まぁ上を買ったり下を叩く人(何て偉そうに言っているあたくしも良くやっているというのはナイショです)がいないと相場が動かん(7月のように)ので業者もやる事がなくなる(ので、どう考えても経済的意味のない変動利付国債の入替売買なんぞを推奨したりする向きもあったようですが)訳ですから、上記コメントもまた自分の首を締めるという罠が(^^)。

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2004/08/03

お題「どうも買い手不在のようですが」

○昨日も買い手不在

本日は10年国債入札。激しく久し振りに1.9%クーポンの10年国債なのですが、どうにもこうにも盛り上がりに欠ける展開になっておりまして非常に遺憾な訳でございます。

先週末は月末恒例のインデックスプレーヤーの長期化取引も不発(お蔭で毎度馬鹿馬鹿しい月末高値状態が避けられたのは大変に結構でありますが)となりまして「あれれ」と思っていたら、昨日の債券相場も米債大反発やら東京株安やらにも関らず下落と相成りました。

5年ゾーンに売りが出たような雰囲気でして、5年38回債が節目と見られていた0.90%というレベルをあっさりとブレイクしてしまった後は益々買いの手が引っ込むという形になってきました。おまいら0.9%の100円は買い出動するんじゃ無かったのかと嘆いても買い手来たらずという状態でズルズルと下落しました。

○入札前のパターンは継続するか?

最近の入札は「安く落札しようとして入札のあるゾーンを売り込む」→「安くなりすぎた当該ゾーンに先回りの買いが入る」という動きが目立っておりました。先月の入札は全てそのパターンでして、入札当日の前場に何故か入札対象ゾーンが堅調になるという動きになっております。

昨日の債券相場では、10年ゾーンは朝方こそ先物などの他年限対比弱く推移していたのですが、上記の通りに5年ゾーンの売りが引っ張って相場を下げる(中期債の売りを打ち込まれると先物を叩いて凌ぐしかないので)という展開になってきてからは特に10年カレントものを中心にしっかりとした展開(もしかしたら入替売買えで10年が買われたのかもしれませんが)となっており、10年ゾーンが入札前に見直し買いが入る兆候は既に現れてるわけですな。

という事でして、本日もまた「入札前に10年ゾーンが他年限比堅調になるか」という所はちょっと気にしております。それなりに投資家さまのやる気というか購入意欲を現すものだと勝手に定義しておりますので。


○どちらにしても誰も上を買わない相場ですな

小見出しの如し。別に派手派手に売りをかます投資家さんがいる訳ではないのですが、兎に角相場が戻った時の買いが全然無いというのがここのところの下落相場の特徴であります。「上を買う人がいない」→「下がるとちょっとだけ買うのみ」→「碌に相場が上がらない」→「買った人も利食いのチャンスが乏しい」→「買い余力の低下」→「相場の戻りで買う必要なし」・・・・・ってな状態で気がつけば日々五月雨式にじり安状態。

まぁ債券ってのは放置しておくと利払だの償還だのとキャッシュが入ってくるので、全員が放置プレイ状態になってもそこそこ値保ちする筈なのですが、ご存知のように発行>>償還という状態が続いておりまして、まぁ量的緩和政策で何とか消化しているという状況なのでしょうな。特に中期債に関しては。

最近の相場の特徴として「大手銀行を始めとした銀行勢の積極的な売買の後退」というのが挙げられると思います。まぁありていに申し上げますとバンクポートの債券運用ってのは兎に角上層部からの収益プレッシャーが厳しくて、目標達成のためには単にデュレ―ションマッチングで淡々と買っているだけでは不足で、超過収益を上げるために色々とディーリングみたいな動きをしていた訳ですな。

その売買が今年度に入ったあたりから目立たなくなってきたのですが、6月の相場下落あたりから特に「動かないバンクポート」という傾向が顕著になってきているわけですな。勝手に理由を愚考すると

・景気回復に伴いトレジャリー収益依存から本業回帰へ

⇒まぁ本当に景気回復しているのかは甚だ謎だったりもしますが、どうも上層部の動きはそういう感じ。また業務の多角化も推進中なので人員は必要。既に(ポートではなく)債券トレーディング部門を縮小しようという動きも有るとか無いとか。

・金融庁と日銀が「金利上昇リスク管理」を五月蝿く言う

⇒金融庁にしても日銀にしても「金利上昇時に問題にならないような債券投資をしろ」とおりにふれてアナウンスしているわけですな。まぁUFJHDの受難(最近の見苦しい行動を見ていると段々受難というよりは自業自得のような気もしてきましたが^^)を見せ付けられれば銀行経営者様に置かれましては、金利上昇リスクへの管理を気にするしかありません。

そうなりますと、下手に債券投資部門で1年ちょっと前のようにポジションをパンパンに膨らませた挙句に金利が上昇して債券投資部門討ち死にしましたなどという事態を引き起こした場合にどんな災厄が起こるか判らない(担当役員のクビだけでなく監督当局の検査で何言われるかわからないから)という恐怖がある訳で、まぁ自然と銀行の積極的な債券売買は抑制されますわな。

最近も相変わらずイールドカーブの動向をまるっきり無視する形で15年変動利付国債が堅調なのは「金利上昇リスク管理」へのプレッシャーがドライブしているのが主要因ではないかと思う訳です。短期金利が本格的に上がりだしたらひとたまりも無い商品性のような気もしますが、一応金利上昇リスクへの管理が出来ている商品という事になっていますので。

全盛期というか昨年の債券相場絶賛大上昇の最後の頃は20年国債までせっせとご購入されておられた大手銀行(メガバンクだけではありません)さまが最近はめっきり変動15年国債ばかり売買(ってこの商品を細かく入替売買とかする行為に何の意味があるのか不明でして、ただの業者のカモにされ・・・・くわばらくわばら)するという有様で、大変に香しいものを感じる訳でございます。

しかしこの調子で金融庁や日銀のご指導が効果を発揮して長期金利がじりじり上昇して国債管理政策で財務省は頭を益々痛めるの図ってのも一種の「合成の誤謬」ですな。


ま、今回の入札は久々の1.9%クーポンなんですが、惜しくも「同償還3回目は売れないの法則」とぶつかるので、入札よければその後販売苦戦、入札悪けりゃその後何とか捌いて一息って所かと思います。

では。

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2004/08/02

お題「8月相場展望あるいは雑談」

早いものでもう8月(って同じセリフ金曜も言ってますが)と相成りました。7月の債券相場は終わってみれば実におとなしい動きでして、先物の値幅が1円77銭。しかも安値は7月1日につけて高値は7月7日につけているので、先月は月初につけた値幅の範囲内でグダグダ動いていたっつー事ですな。現物債もしょぼい動きだったのですが、年限によって動きが微妙に違いまして、終値どうしで比較すると実は20年とか2年とかは月末終値が月初よりも安くなってます。特に20年に関しては1ヶ月のロールダウンを考えますと随分安くなりましたな〜という感じでしょうか。

で、8月なのですが、今月は立ち合い初日が2日という事ですので、「2日新甫は荒れる」などということも言われそう(手元の「商品相場用語辞典」を見ると新甫って当限が納会したあとに生まれる期先限月のことだそうなのですが)ですが、まぁつらつらと考えてみるかという感じ。

○皆が警戒している時は動かない?

8月は参加者が少ない中で値段が飛びやすいという事になっている上に今月は30年国債の入札もあるので長期ゾーン揃い踏みという頭の痛い状況となっております。で、そんな月がやって来るのは皆さん既に判っている訳ですので、どさくさに紛れて30年債の気配を毎日少しずつ安くしているというのが実は注目材料(材料とは言わんのですが)でございます。

まぁ30年債などというのは相変わらず流動性というものが碌に無い債券。発行量が3000だの4000億円ですから致し方なしという感じ。感覚的には大昔の2年国債並みの発行規模でして、品借りができるだけ遥かにマシですが、まぁヘッジもやりにくいですし、一部の大手マーケットメーカーと一部の大手機関投資家様で勝手にやっているという印象が強いですな。せめて20年債並みに発行量を増やしていただかないと中々手を出せません。

で、まぁそんな商品ですので、どこかでポジションが大きく動くと大きく気配が変わるの巻になります。で、派手にイールドカーブを動かすと直ぐに反対売買が入るというパターンが出来ている昨今でありますので、再来週の30年国債入札に向けて毎日毎日少しずつ気配を安くしているのではないかと勝手に想像しているわけですな。派手に動かすと反対売買を食らって却って強くなるという罠がありますので、日々匍匐前進という事で(^^)。


という訳で、この30年債の匍匐前進(というか匍匐後退か)ぶりを見ておりますと、既に「8月相場警戒モード」となっていると見た方が良いわけですな。先月末は期待されていたパッシブ系の買いもどうも不発だったようですが、不発の割にはそれほど下がっていない(真価は本日の相場で問われそうですが)のは「不発リスク」を意識している参加者が多かった(相場水準が既に安値圏にあるのもありますが)ということでもあろうかと。

つー訳ですので、それなりに債券市場は「下げ警戒」状態にはなっているかと思います。下への警戒は出来ているとは言え、そもそも7月に相場が碌に動いていないという事は、投資家さまのポジションが碌に変わっていないという事である訳で、相場の下げに対して買い余力があるのかというと疑問があるのが問題点と言えば問題点ですな。


○量的緩和解除の思惑

日経新聞がわざわざ1面で取り上げた「量的緩和解除の手段を検討」という福井総裁発言(?)のお蔭で見事に中短期ゾーン、特に2年国債あたりが弱体化したのが7月後半の相場という事なのでしょうか。

そもそも日銀のWebにその発言がアップされていない訳ですから確認のしようが無い訳で、ソースに当れない状況では眉に唾をつけて解釈すべき(先日の小泉首相の「日朝国交正常化1年以内に開始」発言を報道各社が伝えたのですが、この内容と官邸HPで発表された首相発言の趣旨が全然違っていたということがありましたな)なのですが、例によって見事にマッチポンプに引っ掛かって中短期のスワップやら金先やらが売られたのが2年債を引っ張った形になったように見えます。

最近の日経新聞は益々「景気回復キャンペーン」が大好きなようでして、とにかく「景気回復で金利上昇」という方向に話を持っていきがちに見える訳ですな。日経新聞がそういう雰囲気を盛り上げだしますと、現場は兎も角として偉い人たちが段々その気になってくる訳でして、「本業回帰、トレジャリー収益には依存しない」というお話になってきやすくなります。結果として出てくるのは「偉い人からの売り指令」ってやつですので、まぁ8月相場が荒れるとすれば、入札が20年、30年とあって普段よりも需給が悪化しそうな超長期ゾーンではなくて、量的緩和解除の思惑というか亡霊というかマッチポンプというか、まぁ中短期から崩れる形になるのではないかと思います。


月初という事で簡単な相場展望(ただしいつも外れる)でした。

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2004/07/30

気がつけば7月も終了となってしまいました。で、ふと見ると今月はまぁ碌に値幅を取っていない相場なのですが、イールドカーブが結構激しく動いた事もあって(終わってみればこれもレンジ内なのですが)先物の値幅以上に相場が振り回されたという印象を強くします。

○2年入札および今月の入札レビュー

昨日の2年国債入札なんですが、前週は0.165%だの0.175%なんぞにいた筈だった2年ゾーンが先週末から親の仇のように売り込まれだしまして、入札前日の一昨日は安値0.22%まで売られてしまったというのがさすがに「売り込み過ぎ」だったようですな。入札堅調で入札後も堅調推移。

とは言いましても、落札結果自体は「事前のプライストークより若干強かった」程度のもので、応札額も10兆円そこそこと今期に入ってからのスーパー盛り上がり状態からやっと脱却する事が出来たようです。大体入札の翌日(つまり今日)に金融政策決定の指標である物価指標が出るというのに、大いにポジションにしようって勇者は(満期まで保有できる体力がある方、すなわち最終投資家なら別ですが)中々現れないと見るのが妥当な判断ですから、そんな事も総合すると「堅調だが過熱感なく順調な入札」という事になったかと。前回のように滅茶苦茶な過熱入札(2年債でテールが2銭はいかがなものかと)にならなかったのは大変結構かと思います。

今月実施された国債の(除く短期国債)入札は総じて落ち着いたものとなりましたのですが、あたくしの感覚的印象では、国債市場特別参加者制度の導入も含めた「シェア拡大意識」的な動きが落ち着いてきた事や、大手銀行の債券投資部門の積極的というかディーリング状態というような売買が沈静化してきたことが効いているといった所ではないかと思います。

その大手銀行さまたちの最近の戦場が中期ゾーンの国債やスワップやらユーロ円金先やらというわけでして、毎月お約束のように出てくる「量的緩和早期終結の思惑」で売られたり買い戻されたりと、最近では中短期ゾーンの方がよっぽど値動きが派手になって参りました。背景に何があるかは今一歩存じませんが、景況感の改善を背景にトレジャリー収益へのプレッシャーが緩和されているのか、それとも日銀、金融庁が揃って「金利上昇へのリスク管理体制」の検査を強化すると言っている事を意識しているのかという感じで、10年債はおろか20年債まで振り回して大暴れした挙句に討ち死にしたつい1年前とは隔世の感がございます。

ま、この方が本来あるべき姿なんでしょうな。

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2004/07/22


○昨日の相場点描

昨日の債券市場、後場の先物値幅は9銭。イールドカーブはそんな中でもしっかり動くというマーケットメーカー泣かせの展開でした。具体的には先物の水準が碌に変わらないのに、先物VS10年の力関係が勝手に1毛近く変化(10年が強くなる)するという攻撃でして、うっかり10年ゾーンの現物債を売ったら、先物が全然動かないのに勝手にやられてしまう蛇の生殺し状態。最近お馴染みのパターンで入札を翌日(=今日)に控えた20年ゾーンが堅調になるという動きが影響したと思うのですが、先物の水準は寄り付き後大して動かずにイールドカーブだけ動くの図。

中々お笑いだったのは15年変動利付国債でして、10年以降のイールドカーブがフラット化して中期債が軟調なのですから理屈の上では売られる筈なのですが、終わってみれば100円5銭まで業者間で買われるという有様。既発債から比較して妙に安い入札結果だったので割安修正が起きたということなのでしょうが、それにしても相変わらず間の抜けた値動きだな〜と笑ってしまいました。昨日のドラめもんで勝手に憶測していた「もしかして大手業者の一部は新発債ショートなのでは?」というのが当たりだったのではないかと(^^)。

○夏枯れか大荒れの前兆か?

昨日の相場はまぁ夏枯れ相場の雰囲気アリアリ状態でした。概ね7月というのは途中から夏枯れ状態になりつつ相場堅調というのがよくあるパターンでして、今回も順当に行きますと夏枯れモードになりそう(20年入札って一応相場の注目材料扱いされるのですが、1回の発行量が少ないので余程の事が無い限りマーケットインパクトが無いのが実情)です。で、市場関係者が夏休みモードになって、大手機関投資家の偉い人が夏休みに入ったあたりでいきなり仕掛け花火が炸裂して8月に大荒れというのがありがちなパターンですが、今年はこの2日間で行なわれたグリーンスパンFRB議長の議会証言で米国金融市場がやや荒れ模様になってきましたので、8月を待たずに一暴れあるかもしれませんな。

8月を待たずに相場がそこそこ暴れるとなると、その反作用という事で8月相場は例年の大狂乱大荒れ相場にはならないのではないかと勝手に期待(マーケットメーカーはあまり大荒れ相場だと大体ボロボロにされるからなんですが)している今日この頃。

○20年国債入札

20年国債は既発の20年70回債のリオープン発行という事になりそうで、2.4%クーポンの100円近辺であればまぁそんなに売れないという話は無いと思います。この債券、入札以降で殆ど絶対水準が2.3%台後半で小動き(大きく外れていた入札日ととパッシブ系の買いがやたら入った月末日前後くらい)という摩訶不思議な債券でして、昨日の引け値が2.38%ということでして、まぁレンジの下限に近い所にいるという感じですので、益々入札は無難になりそうですね。

今月の入札が回を追う毎に割安な水準で決まっているのが少々気になるのですが。


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2004/07/21

お題「相場の雑感」

猛暑といえば経済効果があるという事になってますが、気温39度じゃあ外出する元気も湧かなくて、あまり経済効果が無い様な気もしますな。かくいうあたくしも昨日は尻に帆掛けてお帰りしてグタグタになっておりました。なんぼなんでも35度は切ってくれませんと如何なものかと(-_-メ)。

あまりにもグタグタなので本日は昨日の相場の愚感想などを。

○相変わらず上を買う人はいないようで

昨日は米債高に株安という事でお約束のように債券先物が買い気配になってスタートしたのですが、持ち上がったのは先物だけ。先物は日経平均株価指数の動きにつられて上がったり下がったりしておりましたが、肝心の現物債はと申しますと、相場が上がれども現物債の気配はついていかず、下落する過程では現物債の下げにはブレーキがかかるという思いっきり動意の薄い状態でした。

まぁ上昇局面で戻り売りが(少しはありますが)出る訳でも無く、下落(と言っても先物ベースで前日比変わらずですが)局面でも買いがある訳でもなし(中期債が堅調で超長期債が軟調でしたが)という事を反映した相場つきだったという事でして、実に平穏な相場ということでしょう。

総じて申しますと、相場水準自体はやや中途半端なのですが、投資家さまの戻り売り水準も若干引き上げられておりまして昨日もまた寄り付き後の上昇局面での戻り売りは「思ったより少ない」という状態でして、昨日に関していえば先物が80銭に乗っかった大引け間際になってやっと投資家さまからの戻り売りが出てきたという感じです。

上値を買う人は相変わらず居ないのですが、戻り売り水準が引き上げられているのでその分だけ相場は下がりにくくなっておりまして、下がらないけど上がらないという相場展開。まぁ「7月は反発」のジンクスどおりになってきているという事でしょう。


○リーズナブルな入札

15年変動利付国債の入札が行なわれましたが、前場から大盛り上がりという動きには全然ならず、というか前場には新発債の気配がまともに建っていないという素晴らしい状態になっており、入札前の撃ち合いのような美しい光景の無い状況で入札を迎えました。

肝心の発行αは珍しくも前場引けのオファーサイドよりも安い97となりました(ただし97に入れた札の按分は無いに等しい1%でしたが)ので、まぁ入札した人思いのほか目出度し目出度しの巻となりました。

今月に入ってこれで3回目の入札ですが、今まで前場引けのオファーサイドの向こう側を取りあがるような無茶苦茶な水準で行なわれていた入札が徐々にまともな水準に落ち着くようになってきているのは極めて結構なお話であります。今回の入札では入札後の振り落としも大して見られずという状態になってきまして、次第に「割高入札」→「入札後暴落」というアフォのような展開が崩れてきております。そろそろ投資家の皆様に置かれましては、入札段階で玉確保をすることを検討されると業者のあたくしとしては大変に有り難いわけでございますな、と我田引水(^^)。


○今回の入札で気になった事を勝手に推測

以下勝手な憶測ですので話半分で。

今回の入札なんですが、市場観測によりますと、最大額を落札したのが三菱証券さんの1200億ちょっとで、以下の業者は3桁の落札額。(まー不明札が3000億強あるのですが)最近の銀行業態のニーズから考えて上位2社(2位がみずほ証券さんの800億ちょっと)以下の落札が思ったより少ないという印象。

入札がアフォのように強くなってしまって落札が出来なかったというのであれば話は別なのですが、今回の入札結果は先ほど述べましたように別に割高というほどの結果でもないまともな結果。もうちょっと業者の落札額が多くなっていてもおかしくないと思った訳ですな。

前回の入札あたりから妙に「15年変動利付国債はニーズが高い」という話が盛り上がり(あたしゃ「リスク管理バブル」とでも命名したいですが)まして、前回入札は入札前日までに大割高水準に到達し、暫く調整を余儀なくされたという結果になりました。で、今回の入札でもその「2匹目のドジョウ」を狙って「平均握り(イールドダッチ形式の入札なので正しくは発行握りですが)」の顧客ニーズに対して「ど〜せ割高入札になるでしょ」高を括って幾分かショートで対応していた大手業者がいたのではという風に勝手に憶測しております。あるいは既発の在庫がそこそこあるのかも。

発行αが思ったよりまとも(と言っても事前予想は98か97かでしたが)になったので「んじゃショートカバー」という動きもあったのではないかと思います。何せ業者間の安値が確か99円97銭でして、前回の入札後のアフォのような崩れ方からみると全然ましな入札だったので、ややショートカバー的な買いの手が早めに入ったということかと。

以上、この項ははっきり言ってあたくしの勝手な想像の産物ですが、まぁ弱小業者はこんな事も考えながら板読みをしているというご参考までに

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2004/07/20

○15年変動利付国債

先日「何で入札前に既発債売る必要があるのかね〜」などと悪態をついていた15年変動利付国債。先週末は何とどこからともなく買いが入っていきなり絶賛強含み。まぁ相変わらず需給だけで動くというのは驚きませんが、入札前日にわざわざ買いを入れる神経は相変わらず訳の判らない物であります。こんな債券でプロップトレーディングしているディーラーがいるとはあまり思えないので、いずれ最終投資家様の買いだとは思うのですが、入札前日に気配を強くしてどうするんでしょうな。理解不能。

前回債の入札では直前1週間にアフォのように大盛り上がりしたのですが、今回は入札前前日まではまぁ落ち着いており、今回はまともな入札になるかと思ったのですが、この調子では発行αがまた強くなってしまい、一旦振り落としをやるという毎度毎度のパターンになりそうな雰囲気。まー業者のあたくしがこんな事を言うのもアレですが、正直言って入札後の振り落としで買いを入れたほうが吉かと。ただし振り落とし局面では体力に比例して業者も頑張って抵抗するので、沢山買いたい人については入札で買うしかないと思いますがね。

大昔(去年の12月)の国債投資家懇談会でBISの2次規制案を受けまして「変動利付国債の発行増やせ」の大合唱が起きました(昨年12月5日のドラめもんご参照)が、最近では「当局が金融機関に求めるリスク管理に対応するために変動利付国債は必要不可欠」という事を誰もが言うようになって参りました。んな事でして、貸出が伸びずに預金は絶賛増殖中(政府部門の赤字が増えて民間部門の資金需要が増えないなら民間部門の黒字は貯蓄に回るしか無い訳ですから)という状況でリスク管理がやかましいって事ですから、今回も金融機関中心にニーズが高まる事でしょう。

いや、昔っから言ってるんですけど、金融引締め局面になったら短期金利の方が先に上がるんだから、短期調達だとエライ事になるんですが。金融引締め局面になっても余資ありまくりだというなら別に構わんのですが。BIS2次規制のリスク管理って言ったって、ストレステスト=イールドカーブの平行移動ですので、そういう意味では変動利付国債の現在の商品設計は見事にストレステスト完全対応。所詮は砂上の楼閣ですが、まぁいっか。



今月に入ってからの入札は10年、5年と来て本日は15年変動利付国債なんですが、過去2回は入札当日の前場に当該ゾーンに買いを入れるというアフォな動きがあってショートカバーの為に入札が割高になってしまうという展開が続いております。

すぐ後に入札という大量に玉が出てくるイベントがあるのに、その前に買いを入れて肝心の入札の水準を高くしてしまうという動きを見ておりますと、あたくしとしては「晩ごはんにごちそうが待っているのに、おやつを大食いして肝心のごちそうを楽しめなくなる子供ちゃん」を想像してしまう訳でして、まー頭の良い方々が寄ってたかってやっている事は子供並みって光景に大変香ばしいものを感じる訳であります。

ま、市場ってのは人間の欲が出てしまうから仕方無いのかも知れませんがね(^^)。あたくしも人のことは言えませんし、あはは。

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2004/07/16

お題「諸々の雑談」

○上を取りあがらない入札

昨日の5年国債入札、前日まで5年37回債(前月債)を局地的に割安水準まで売り込んでおりました反動が発生してしまいまして(というか10年売り→5年買いの動きが前場からあったらしいですが、相変わらずはた迷惑な動きです)、前場の引け時点で既に前日までの割安状態が見事に解消。

で、入札なのですが、入札時点での5年37回債の気配から適正と思われる水準が概ね0.845%程度でして、価格に直すと100円25〜6銭。で、入札の蓋を開けてみれば平均落札価格が100円27銭で最低落札価格100円26銭。しかも最低落札価格での応札も80%以上となっておりまして、ますます穏当な入札になってきております。

市場推計の落札分布も見事に分散されていて、おまけにどこかの最終投資家さまが大量に応札した雰囲気もないという業者主体の入札となりました。前回の10年国債入札に引き続きまして、今回の入札も「穏当な入札結果」「業者に幅広く分散された入札」という結果になりまして、ようやく世の中穏便になってきていると言えるかと。

入札が過熱しないのは大変結構。まぁ今までが悪いのでして、過熱するような入札が続きすぎて業者は疲弊するわ、入札時点で玉を確保しようとする(大量に玉が供給されるのですから入札のタイミングで買うというのは合理的な筈なのですが)投資家さまも過熱入札に巻き込まれて割高な所で買う破目になるという激しくアフォな事態が発生して次第に意欲を失うわという動きが顕在化してきたということでしょう。

上を取りあがらない入札になってきているのは、相場自体の方向性を下にみているお方が多いせいもあるとは思いますが。


○15年変動利付国債の謎

来週の火曜日、というか営業日ベースで言えば明日なんですが、15年変動利付国債の入札が行なわれます。で、その入札を前に先週とか先々週あたりから妙に既発の変動利付国債に投資家(まー銀行業態と観測されてますが)の売りが出ている訳ですな。

この商品の本質はヘッジ商品に近いものでして、リスク量を抑え、長期金利上昇に備える商品って話なのですが、なぜか新発債が出る前に売りが出るというのは甚だ謎なわけであります。まぁ割高だから売っているとかポートの全体調整の一環で売っているとかなら判らんでもないのですが、どうも憶測を逞しゅう致しますと、新発債を購入する前にオーバーパーになっている既発債を利食いしているように見えるわけですな。で、まーあまりケチをつける気はないのですが、変動利付国債ってそんなにちょこちょこ売ったり買ったりするような商品なのかな〜と疑問が起こるわけであります。

財政赤字が累積的に増加するなかでは資金循環のバランス上、銀行部門の預金もまた勝手に増えていくという状況にあるので、債券投資部門での運用圧力が掛かる上に、本業が相変わらずヘロヘロな状況ですから経営からの収益プレッシャーが強いというのもあるのでしょうが、銀行業態の債券運用で相変わらず債券売買益をつよーく意識するような動きがあるという傍証なのではないかな〜とも思う訳です。

まー買ったままホールドされてしまうと業者が干上がるからあの手この手で投資家さまに売買をたくさんしていただくような雰囲気を作るというのもございますので、あまり「バイアンドホールドの勧め」を説いていると自分の存在意義がなくなるという諸刃の剣でございますが(^^)。

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2004/07/13

お題「材料の整理」

昨日の債券相場、6月国内企業物価+1.4%に反応したというよりは単に株価指数先物が上昇したのに反応したのではないかと思われる節がありますが、いきなり朝から下落。5年国債があっさり0.8%台後半(0.86%)まで売られてしまいました。で、後場になると長期債がやたらと重くなってイールドカーブスティープ化。木曜に5年入札があるので5年ゾーンがもっと売られるかと思えばこれがまた妙に堅調になってくるという不思議な展開。

で、午後2時半頃から急速に先物を中心にせっせと上を買い上げるような買い方で相場上昇。イールドカーブ上で先物が一番強いという金曜日の裏返しのような相場になって終了の図となりました。最終的には相場が反発したので、昨日のドラめもんで申し上げた「債券は一旦反発する場面があってもいいかなとは思いますが」という状態にはなっているのですが、前場売られて後場反発というのは全く想定にない動きでして、正直、相場予測はまたまた例によって大外しの巻です。とほほ。

昨日は大した材料もないと思われるのに訳の判らんタイミングで債券相場はいきなり上昇してくれましたが、債券市場の材料に関してちと思考整理を致しますので、たたき台にでも使って頂きますと幸甚でありまする。

○物価動向

昨日発表された国内企業物価指数は6月速報が+1.4%で原油関連の寄与が0.5%分あるというお話。昨日は選挙で負けたのが効いているのか判りませんが、細田官房長官が「企業物価上昇が消費者物価に波及してデフレ脱却」などというような妄言を発しておられるようです。物価が現象として上昇すりゃあ良いって話じゃなくて需給ギャップの解消が伴わないと只のスタグフレーションになってしまうと思いますが、まぁいっか。

で、本日まで実施されている金融政策決定会合では、所謂「展望レポートの中間評価(形式は普段の金融経済月報です)」が討議されまして発表の運びになります(発表は3時)。

先月日銀から出た金融経済月報の時点で既に景気回復モード全開状態である事はご紹介したと思いますが、その後に出てくる日銀審議委員の講演などを見ておりましても景気回復に関しては確信を強めている状態。雇用情勢が悪化に転じないか(交易条件の悪化が雇用に皺寄せされないか)という点と、個人消費の好調さが持続可能かという点が国内の懸念要因で、海外経済の懸念要因は例によって中国と米国という事になっておりますな。

で、本日の金融経済月報なのですが、昨日の企業物価指数も月報の作成に加味される訳ですので、まぁCPIに関しても益々強気な内容になっていく事でしょう。で、それを材料に短期金利が不安定になると困るので記者会見では楽しい迷走発言が聞かれることになるでしょう。またも債券市場不安定化と見ました(-_-メ)。


○政治方面

選挙はご覧の通りの結果。自民党単独では最早民主党に対抗できない訳でして、公明党またも勝利という感じですが、肝心の自民党が弱体化するのでは頭の痛いところでしょう。サラミ戦術絶賛進行中(とかいうとクレーム来るかな?)の公明党さまがいつまで連立の枠組みを維持するかというのも気になりますが、それは兎も角と致しまして。

選挙前に出していた「51議席確保」も既に随分低い目標でしたが、選挙が終わってみると「51議席の目標設定は高かった」などという実に香ばしい妄言を聞く事ができて極めて心温まる選挙戦ではありましたが、まぁ政権死に体ですわな。福田官房長官の辞任がやはり相当のダメージだったかとあたくしは思っております。

まー改革を進めるとか言ってますが、例によって例の如く民間叩きの改革はすれども財政の発散は止まらずの図というのが容易に想像できる訳でして、財政問題という観点から見た場合には債券が買いとなるような話は想定できない訳です。政権が弱体化すれば財政大盤振る舞いへの誘惑が強くなる訳ですし、おまけに公明党の発言力が強くなって益々財政改革どころの騒ぎではないかと(しかし公明党というとどうしても地域振興券でしたっけ、あの印象が今でも強烈ですな)。

もっと穿った見方をすると、政権のたがが緩んだこのどさくさこそ日本銀行さま悲願の「量的緩和からの脱却」のタイミングであるという発想もなきにしもあらずという妄説を唱えておきましょう(^^)。



○目先の需給

毎度お馴染みの相場パターンから申しますと、6月下落、7月反発、8月急落で9月に小戻し(春日大社のお告げではありません^^)という動きでございます。大体この時期は昨年もそうですが、暑さのせいか景気回復だの金融引締めだのというお話が盛り上がる傾向にあります。まぁ今年も着々とそのパターンに嵌りつつあるのではと言う感じ。

で、先日行なわれた10年国債入札は入札前に持ち上げすぎて爆死してしまう悲惨な入札になってしまいましたが、今週の5年債は0.8%クーポンになってしまうと見事にリオープン。そもそもこの債券は0.818%の平均価格で入札された後に1%まで下落している訳でして、0.8%割れでめでたく売却していれば別ですが、普通に買っている人にとってはまぁどこで買っても簿価上げになってしまうというオチが待っております。最終投資家の積極的な買いは期待しずらいでしょう。ディーラーみたいな足の速い人は買うかも知れませんが。

つー事で、今週木曜日の入札が今後を占う上では最大の注目入札ではないかと思う所であります。20年より注目って感じですか。ありきたりな意見ではありますがね。



○日銀の地ならしが相場撹乱要因という妄説を提唱

先ほど申し上げたように、日銀の景気に関する見方は益々強気になり、もっと穿った見方をすれば、政権のタガが緩んだチャンスに量的緩和解除へ向けての地ならしをしたいと考えているのではないかと勝手に憶測を逞しくしている今日この頃のあたくし。

で、そういうことを考え出すと、日銀の悪い癖で、訳の判らん地ならしをおっぱじめるという傾向にありまして、市場がそれを受けて突っ走るというまさしくマッチポンプというかバンドワゴンというか、市場と日銀二人三脚の自爆テロをおっぱじめたがる悪癖がある訳です。本来、こういうのは市場に任せておいて、あまりにも目に余るオーバーシュートがあった場合に牽制しるというのが本来の「市場との対話」だと思うのですが、日銀の場合は自分から相場のモメンタムを作ろうとする訳で、いい加減にしていただきたいと常日頃から思うあたくし。

とは申しましても、そういう中央銀行とそういう市場が我らが債券市場でもありますので、日銀の楽しいマッチポンプ攻撃がまた開始される懸念があるのが一番の撹乱要因にならなければ良いな〜と思っております。

とりあえず本日の総裁会見では、金融経済月報の他に、先日の国際コンファランスの開会挨拶という格好の突っ込み材料(7月6日のドラめもんでご紹介しましたのでご参照ください)がありますので、何を言い出すのかは注目してみておきたいと思います。引け後の話ですから今日の相場には関係ないですが。

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2004/07/08

○壊れっぷり全開の相場

昨日の債券相場もかなり酷いものでした。米国ナスダック市場の大幅下落を受けて高寄り。最初は中期ゾーンの上値がやたらと重くなっている中で長期債、超長期債が堅調でしたが、前場引け際あたりから調子がおかしくなってきたと思えば、後場になってまたまた逆転。20年債は前場には先物(=7年)よりも利回り低下幅が大きかったのに、終わってみればイールドカーブ上一番売られる形になりました。5年VS10年でも、一時は10年が5年より3毛強利回り低下という昨日の中期大堅調を逆転させる展開でしたが、終わってみれば1毛弱までスプレッド縮小。

ま〜とにかくイールドカーブが良く動く訳でして、業者が受けた売買をまともに出す(受けた人がそのまま出すという事が常に行なわれているわけでは必ずしも無いと思いますが)のもあるでしょうし、相場の動きが速いので投資家の動きも速くなっているのかも知れませんし、まぁ真相はよく判らんというのが正直なところですけど、どちらにしてもマーケットの懐が浅くなってきていると言うことでしょうな。困ったものです。


○やはり上を買う人はいないという事

昨日の債券相場は株価指数が軟調地合いで昨日も東証1部値下がり銘柄数1000超という「おいおい」という状態でしたが、債券市場の方は朝方高寄りで大引けは安いという見事な陰線を引く形。

まぁ朝方高寄りした時点で10年が1.735%だの5年が0.77%だのと上昇してしまう訳なのですが、当たり前のように寄った時点から戻り売りというかヤレヤレ売りが出てくる訳です。状況証拠から見ますと、昨日の場合は5年ゾーンあたりの中期債に結構な戻り売りが出たような感じです。

まぁ債券先物にはヘッジ売りだの日経平均先物との裁定(なぜ裁定というのかあたくしには激しく意味不明なんですけどね、あんなの単に両方のスペキュレーションでしょう)取引だの、純粋なスペキュレーションの売買など入りますので、ついつい現物債の居場所を軽視してよー動いてくれるのですが、結果から見ますと昨日もまた「10年の1.75%割れ、5年の0.75%近く」での現物債の戻り売り意欲の高さというものを見せ付けてくれたということになったようです。

結局昨日も「相場を持ち上げすぎ」という結果でして、まぁ上を買うのはインデックス系のパッシブ的な買い位しかない(その買いが月末に集中するのがまた問題なのですが)ということが見えてしまったという感じです。

と言っても、下を叩くようにして現物債を売る人もいない訳でして、これがまた難しいところなんですけどね。

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2004/07/07

お題「相変わらず落ち着きの無い債券相場」

ま〜連日疲れる相場です。

○久々に見た脅威の相場

昨日の10年国債入札。入札があるというのに10年ゾーンが朝から堅調で中期ゾーンが弱いという中々業者泣かせのパターン。碌に相場が下がらないで入札を迎えてしまったので、事前ヘッジが想定どおりに出来なかったということもあったようで、入札の結果はプライストークよりも珍しくも弱いものになりました。

と、まぁそこまではありがちな話で、前場の10年買いは何だったんでしょうな〜という所なんですが、昨日の場合は札入れが終わった後場の寄り付きがいきなり先物売り気配。前場の引けから先物ベースで14銭も下落した上に、前場堅調だった10年ゾーンの現物債の気配が前場引けよりも弱体化するという状況。

状況証拠から見ますと、後場の寄り付き前に10年に結構な売りが出て相場水準が下落すると同時に、10年ゾーン直撃弾被弾ということで一気に弱くなったと言う事でしょうか。超長期ゾーンも妙に弱くなっておりまして、売りが出たのは10年ではなく超長期なのかも知れませんが、超長期の売りでここまで10年を弱くするのは結構大変ですので、10年も出ていたと見るのが妥当かと。

で、もっと悲惨なのは、ヘッジ売りなんかが溜まったあたりで、それまで売り物勝ちだった中期ゾーンに買いが入った事でして相場は中期債と債券先物を中心とした買い戻しモード。終わってみれば新発10年国債は終値ベースで1.780%と、入札時点での最低落札価格とほぼ同じ。債券先物は前場引けから32銭も上昇して135円45銭だわ、5年ゾーンの5年37回債は前場引けの0.825%から0.785%と利回り低下するわという有様でして、まぁ入札でみた地獄の業火って感じでした。


まー入札の日、しかも札入れ終了した後に(もしかしたら札入れ終了直前に出ていたのかもしれないという気がするのですが、状況証拠を仔細に見ると)10年(あるいは超長期)に売りをぶつけてくるというのは激しいエグイ動き、というか相場壊して何が楽しいのか良く判らんというお話でございます。実際に世の中で何があったのかは存じませんが、巷間言われているような10年ゾーンへの売りや5年ゾーンへの買いなんぞがあったとすれば、「まぁようやるわ」という印象です。まさに相場破壊神。


○大口の売買に翻弄されつづける状態

という事で、昨日もまた前場は中期軟調10年堅調だったのに後場に大逆転して中期堅調10年軟調という動きになったのですが、この手の動きは最近しょっちゅう続いております。

どこかで大口の売買、しかも入替形式の売買が出るといきなり長期債と中期債の力関係が大逆転。しかもその動きが日替わりで起きてみたり、昨日のように日中にいきなり変化してしまうというような動きが起きるわけでして、まぁ無茶苦茶な相場になっております。先物の動きだけ見ていると平穏無事に見える相場ですが、もう現物債市場はシッチャカメッチャカでございます。困ったものです。

まーそんな感じで、日々イールドカーブが無茶苦茶(しかも何のトレンドも無いところが凄い)に動く訳でして、まさに一部の大手投資家さまがディーラー状態になって振り回しているというような状態になりつつあるという感を強くするものであります。相場の上下に関しても、急落前の水準に戻ったのは兎も角として、外部環境に振り回されている状況であるのも言えるかと思います。日銀短観が出る前にいきなり暴騰した挙句、出てきた短観で寄りから値を飛ばして暴落した所なんぞはまさしく恐るべしという
所でしょう。

「相場は先行きを織り込んで動く」とはよく言われることですが、最近の債券市場は動きを見ていても「この相場は何を織り込んでいるのか訳わからん」としか思えない訳ですな。何せ短観前に暴騰していざ短観が出ると暴落って幾ら何でもアフォ過ぎです。


という事で、まだまだ相場の受難は続くのであります。しかし何でそんなに皆で何か追いつめられたかのような売買と申しますか、市場参加者全員ディーラー状態と申しますか、とにかく不安定極まりない動きが続くようであります。


○入札に対する不安も出てくるわけで

今期の当初は入札が行なわれると「事前にヘッジ売りが入って当該ゾーン軟調」→「入札堅調」→「その後も割安修正の動きで当該ゾーン堅調」→「ウマー」という動きだったのですが、次第にそのパターンが崩れてまいりまして、ついに今回の入札では入札後に地獄の業火に焼かれる破目になってしまいました。

入札後に何のチャンスもないと判っていて入札をするのはアフォでありまして、こうなってくるとドンドン入札をする気が無くなって来るのは理の当然。一応国債市場参加者狙いだとか落札シェア争いだとかいうのもありますので、札割れみたいな話にはならないでしょうが、さすがに今回の入札後大崩壊は業者としては頭が痛いお話であります。只でなくさえ最近入札で良い事が無いので、次回以降の入札への不安というのも出てくるわけですな。

勿論、入札前のパターンが上記の黄金の法則に則っていれば、それほど不安もないので、結局はそのとき次第って事ですが、まぁ業者が慎重姿勢になってくるようになるでしょうな。



#という訳で、本日は相場に関する愚痴でした。

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2004/06/30

○相変わらず落ち着かないのですが

例によってあたくしが「こりゃ駄目だ」と書いたら上昇とありがちな相場展開になったのですが、昨日の債券市場は前場途中まで中期債の特に3年〜4年ゾーンがやたらめったら売られておりまして、もう駄目駄目状態でした。ところがいつの間にやら超長期債ゾーンが軟化して中期ゾーンが次第に堅調になるという有様。3年ゾーンあたりの債券が安値前日比1.5毛甘(=+0.015%)から最後は1.5毛強と、日中の利回り変化幅が3年債だというのに3毛もあるという相場。

別に相場に関する材料が出たわけでもない(強いて言えば2年国債入札)のにこれだけ動くというのは、まさに相場の内部要因(要するに投資家の売買動向)で振らされるという実に不安定な状況が継続しているということでしょう。本来短期金利が安定すると踏んでいればそんなに動く筈ではない3年とか2年のゾーンが今月の9日(捏造された「武藤ショック」レポートが出回った日)以来まぁ動く動く。

という事で、結局この中期債のうちより期間の短いゾーンが不安定化しているというのは、まぁ何だかんだと言っても、相変わらず量的緩和政策の時間軸への見方が分かれてるというお話である訳ですな。まぁ健全と言えば健全ですが、もうちょっと落ち着けって感じです。

イールドカーブのドタバタ振りも凄まじいのですが、何だかポートフォリオの長期化をする人と短期化をする人がいるようで、連日どころか一日の間に「長期堅調+中期ボロボロ」というのと「中期堅調+長期ボロボロ」というのを先物あたりを軸に入れ替わり立ち代わり展開するという有様。先物の値動きだけ見ているとあまり動かない(と言っても動くが)相場なのですが、中短期の不安定さも含めましてイールドカーブの暴れ馬状態もありますので、まともに店頭でマーケットメークしている業者はもう連日ロデオ状態であります(-_-メ)。

というわけで、あたくしも電池切れな訳ですな、とほほのほ。

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2004/06/29

○また腰砕けか!

昨日の債券市場、先週末に日銀総裁発言を受けたのかど〜かやや謎ではあったのですが、中期のスワップの受けやら先物の持ち上げ何ぞでまぁ相場は上昇していた訳です。しかし、寄り付き後上昇したのもつかの間でして、またまた中期ゾーンに売りがでてしまい、時間の経過と共に中期ゾーン、しかも3年〜4年あたりが7年(=先物)よりも売り込まれるという激しい展開になってしまいました。

「そろそろ落ち着いたでしょう」と思わせておいていきなり派手派手売りが出てしまう攻撃というのは今月の相場で既に3回目。「2度あることは3度ある」などと申しますが、これはさすがにいかがなものかと思われますな。念のため確認しますとこんな感じ。

6/16(水)→14日に5年安値1%、2年安値0.25%をマークして「おいおい」という状態になった後、林財務事務次官、谷垣財務大臣と金利上昇に対するお怒り発言が連日炸裂して相場反発。福井総裁の会見は市場金利に対してニュートラルも、米国債がG議長発言で大爆騰して、一気の大踏み上げスタート。しかし上がった所で超長期債に戻り売りが出てしまい、一気の相場冷却。日中値幅なんと1円50銭。

6/22(火)→17日引け後に10年1.94%、5年1.005%という驚愕の安値をマークして財務省様大激怒の巻。財務大臣の強硬なる金利上昇抑制発言に「金利上昇は良くない事だ」という記事のオンパレードで財務省様のお怒りを感じて(?)大買い戻し大会になった週末。月曜もそこそこ堅調で、米10年国債が4.7%を割り込んだ事を受けて円債相場も上昇したのですが、いきなり5年ゾーンに戻り売りが出てしまいこれまた相場冷却。

で、まぁ今回は前週末の米債上昇に東京都区部CPI6月分が警戒された程の良い数字にならなかった為に反発。月内最終受渡のパッシブ買いなんぞで上昇したところで福井総裁の記者会見で後押しされた筈が中期債の戻り売り爆裂。うーむ。


とまぁ戻る度に現物にドカンと戻り売りがでてしまって相場のマインド急低下って事になっている訳で、2度でも十分にアレなのですが、これで3度目って事ですので、こりゃさすがに「相場は戻りにくい」というお話になってきたでしょうな。しかも今回は当局発言ではなくて経済指標を受けて戻った相場だっただけにショックがでかい訳。とは言いましても、元々この3回の「相場腰砕け」の特徴として、(1)相場の反発が始まる直前の日の終値から先物ベースで概ね1円上昇したところが高値になって戻り売りご登場、(2)相場の戻りがやたらと早く、1日半程度で1円上昇している、という所がありますわな。

要するに戻る時に戻りが早すぎ。値固めしないからこうなる訳。

という事で、相変わらず不安定な相場で、足の速い動きが続いているという事が言えるかと思います。ま〜こりゃ当分大変な相場が続きそうですな。中短期債に売りが出て米国で2年債が売り込まれた翌日に2年国債の入札があるし・・・・・・・

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2004/06/24

○謎の輪番オペ

昨日いつものように行われた日銀の長期国債買入。前場の雰囲気では中期債の4年ゾーンから長期債の9年ゾーンくらいまでやたらと需給が悪く重そうな雰囲気を漂わせていたのですが、蓋をあけてみれば応札額が過去最低水準の応札倍率となってしまう3661億円となっておりました。

最高落札利回りが+0.034%で平均落札利回りが+0.040%ということでしたので、まぁ最初から落札する積りの札は適正水準に入って、入ったらラッキー(実際は後場相場が上がっているのでアンラッキーだったりするのですが^^)札がほぼ全部落札になったという事です。あの前場引けでの現物債の重さ(というか重いように見える状態)は何だったんだという感じですな。

じゃあ現物債の需給が実は悪くなかったのかと言いますと、これがまた全然そうではなく、入ったらラッキー(の積りがアンラッキー)札のカバーで先物は上昇したのですが、現物債の気配はそれについて行かずという有様。その後短期化入替と思われる動きがあったようでして、いきなりイールドカーブが前場と大逆転してしまったのでぐちゃぐちゃになってしまいました。

というわけで、そんな状況証拠から類推される応札額のあまりの少なさなのですが、考えられる理由はこんな感じ。

・売りをぶち込まれている銘柄がオペ対象外
→どう考えても中期ゾーンの中で一番需給の悪そうだった5年35回債なのですが、「直近発行2銘柄はオペ対象外」という規定によりまして、5年債のオペ対象外は37回と35回(35、36、35のリオープンの順で発行されているため)です。周辺のオペ対象銘柄の需給は激しく良好なので、ヘッジでオペに入れようにも入れられなかった。

・実は前場引けの時点では需給が変わっていた
→後場になってイールドカーブに変化をもたらした「短期化入替」の動きの一部が前場に入っていて中期債の業者の在庫が捌けていたので応札額が少なかった。

・業者疲弊で元気なしの巻
→前場引け際の現物債の重そうな雰囲気を見て「ど〜せ入らんでしょ」とやる気をなくしてしまった業者が応札を控えた(落札されそうなゾーンはそれなりにヘッジをしておく必要のある年限なので)為に極端に応札が減った。

まぁ2ヶ月に1回くらいこういうことが起きるので、輪番オペってのも中々楽しい(あたくしは踏まれましたが)事もある訳ですな。


○イールドカーブ動きすぎ

昨日は超長期国債が前場の先物40銭割れで前日比3毛甘(+0.03%)のレベルのビットがやっと叩かれていたのに、終わってみれば先物が80銭なのに超長期国債軒並み4.5毛甘に売りが並びまくるという凄まじい展開。先物40銭上がって現物40銭以上安くなっているんとは何たる相場。その前日には先物5銭安で5年が1.5毛甘で20年が2毛強という無茶な動きもありましたが。

まぁマーケット全体が様子見ムードになっていてるのと、そこはかとない不安があるので、どうしても投資家様の少々の売買で業者が「やっぱり長期化だ!」「やっぱり短期化だ!」と右往左往(提灯つけている筋もいそうですが)するという有様。恐らく昨日もそう大騒ぎするような規模での入替があったとも思えないのですが、まぁここまで過激に動くとは超長期国債恐るべしといった所ですが、これでは大手の投資家さまにおかれましてもマーケットインパクトがでかくなりすぎでポートフォリオのリバランスに苦労するのではないかと思います。

まことにご愁傷様としか申し上げ様の無い事態ですが、相場がそこはかとない不安心理に覆われている状態で、相場が壊れた状態が継続しているうちはまぁこんなものでしょう。暫くは大きなポートフォリオの組換えはマーケットインパクトが今までの3倍くらい掛かると思って臨んで頂きますとマーケットメーカーと致しましては幸甚であります。

ま、そういう事ですから、一昨日の中期債売り(どうも中期の単純売りと中期売り超長期買いの入替がぶつかったのが「巨大中期売り」に繋がったようですが)で修復しかけの相場を荒らしてしまい、低下しつつあったボラティリティーも上昇させてしまった訳でして、相場の為に実に惜しまれるところではあります。

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2004/06/23

お題「相場雑感」

毎日血圧の上がる相場が続く訳でして、血圧が上がりながら考えるよしなしごとをつれづれなるままに。

○まぁ持ち上げすぎたのも何なのですが

一昨日から昨日に掛けての債券市場。一昨日の引け際から突如債券先物が上昇して5年ゾーンを中心に中期債がやたら堅調となりました。市場観測では引け際に5年カレントゾーンに買いが入ったという感じで、業者間気配もまぁそれに則した動きでした。

で、昨日の債券市場。前日引け後の余波で、海外市場で米債が買われた事もネタにして中期債中心に相場は堅調で、先物なんぞは前日の引け直前で重そうにしていた133円75銭レベルから見ると何と70銭以上の上昇。まぁそんなに慌てて戻るなって感じではあったのですが・・・・・・・

様子がおかしくなったのは前場の途中からでして、5年債の気配が妙に弱くなってきたと思ったら後場に入っていきなり先物の乱高下が始まってしまい、またも相場が凶暴化。気が付きゃ5年ゾーンが先導する形で相場が下落するという最も雰囲気の悪くなるパターンで相場は元の木阿弥になってしまいました。


そんな訳で、月曜(除く引け際)に続いて落ち着いてくれるかな〜と思わせてくれた債券市場なのですが、中期ゾーンと先物の凶暴化と共にまたまた地合いが不安定になってしまいました。何がイカンと申しましても、これで「戻りかけたらまた現物に売りがぶちかまされて押し戻される」というのがここの所の下げ相場で3度目の出来事になってしまったのが誠に遺憾に存じます♪(古いね、つーかご存知ですか?)って所な訳でございまして、さすがに3度もやると最早相場様意気消沈と言った所でしょう。


○何で売るかね〜

まぁ一昨日の引け際に買いで持ち上げ攻撃というのも如何なものかと思うわけですが、昨日は「やっと相場が中期債から落ち着いてくる」と皆さんが思っている所での中期債主導の下落って事ですから、現象としては一昨日の引け際の持ち上げ攻撃分を剥落させただけなのですが、心理的にはちょっとショックのでかい下げだと思うわけですな。

まぁ世の中(というか大手投資家様)で実際にどういう動きが起きているのかは無力ディーラーのあたくしは存じません(ので、却って業者間の気配で色々と想像する推理力が身につきますわな)が、まぁ昨日はどう見ても5年債の前回発行の34回債、35回債に大規模な売り爆弾が投下されたとしか思えない動きな訳でして、結構な単売りが出ていたんでしょう。ちなみに20年ゾーンだけが死ぬほど堅調だったので入替ベースの売りもあったと思われますが、相場全体が下落しているのでトータルでは勿論売り優勢ですな。

特に相場が見事に壊れてしまって先週末から修復作業が行われているというお日柄な訳ですので、つい1ヶ月前の相場のようにまぁそこそこ安定していた時と比べて市場が耐えられる売買のロットが低下している所であります。業者の方もまだ相場に対して半信半疑って状態だった訳でして、そこにいつもの調子で現物の売りをぶつけられますと、業者もそうそうロングで耐えられない訳でして、どこかで「ヘッジ合戦」が始まってしまい、しまいには「売り攻撃」も入ってしまう訳ですな。

まぁそんな事で、見事に自分で自分の首を締めるような売り(その前の買いも如何なものかとは思うが)が出てしまった訳ですが、まぁ何と言うか「何でそんなに慌てて売るかね〜」って感じではあります。

財務省様渾身の「金利上昇ケシカランキャンペーン」で戻ってくれた債券市場ですが、こりゃまた当面落ち着きは望めないでしょうな。折角低下に転じてくれた先物オプションのインプライドボラティリィティーも昨日の後場途中からまたまた上がりだしているし。ナムナム。


○2年ゾーンに見る不安定さ

2年ゾーンの気配っつーのもこれまた不安定な訳であります。先週の月曜日の0.25%というのはやり過ぎでしたが、その後も0.2%台で推移していた2年債は一昨日に久々に0.2%割れ。それはいいのですけれども、昨日はまた例によって極端なお話で、一時0.175%買い気配という所まで2年ゾーンが値を戻したのですが終わってみれば中期ゾーンの売りに押されたのかヘロヘロになって0.195%買い気配というレベルまであっさり下落。

ご存知のように期間の短い債券ほど「目先の金融政策がどっちに行くか」という事に影響を受けやすいのでして、そ〜ゆ〜意味では2年ゾーンがこれだけ不安定に動くというのは、口では「量的緩和解除は当面ない」と言っていても皆様どこかに不安を持っているという証拠でもある訳です。


で、この2年ゾーンなのですが、今月発行の2年211回債と同償還に5年13回、14回という債券がございます。この中で5年13回という債券がまた極端に需給の悪い銘柄でありまして、例えば2年211回が0.175%買い気配って状態の中で業者間での出来値は堂々の0.2%という有様。同償還でおまけにこっちの方がクーポン高いという債券なのですが、引け値ベースでも単利2BP、実力では2.5〜3BPお安いという素晴らしい状況であります。

これを何とこじつけるかは色々とこじつけようがあるのですが、まぁこの利回り格差は「流動性プレミアム」に起因するというのは衆目の一致する所であろうかと思います。市中流通玉が多く、おまけに新発債ということで、売買をする時にスムーズに行きやすいからその分2年債が割高であっても選好されて恒常的に利回りが低いって事ですな。

と、さらっと流してお気付きかと思いますが、そもそも「流動性プレミアム」なんぞが付くというのは、「買って持ちきり」を前提としていないという投資行動が2年ゾーンの債券であっても行われているという事を意味する訳でありますな。2年ゾーンを買って持ちきる積りならば5年13回を買えばよろしいのにそうはならんという訳ですから、まぁ事ここに至っては「2年ゾーンは安心して持ち切り」という事もできない状態に陥っているという訳なのでしょう。ナムナムナム。


てな訳で本日はただの落ち着かない相場に対する愚痴シリーズでした。
あ〜疲れるだよ。。。

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2004/06/18

「20年国債入札その他レビュー」

昨日は20年国債入札が行われましたが、相変わらず入札前に事前の先回り買いが入りまして入札は業者のカバーも巻き込んで堅調。落札結果は良好で、結果発表後はヘッジ売りなんかで先物が下落する中で新発超長期国債は当初値持ちしておりました。

先物は下がったものの超長期国債が堅調って事で、安心感が広がったために先物が買い戻し優勢となり、前場引けレベルを上回って先物が上昇していったのですが、先物の上昇と共に「入札裸隊」のロング外しの売り注文がうじゃうじゃとご登場。上値が思いっきり重くなった所で勝負があったようです。

結局ヘッジ売りが出てきましたし、どうも現物債も「こりゃ駄目じゃん」という現物債売りも出たようで、またまた相場が下落してしまいました。


相場が下落するのも困りものですが、より懸念されるのは相場のボラティリティーが上昇している事。引け値ベースでみた場合、相場はじり安商状という事になるので表面上のボラティリティーは余りあがっていないと思うのですが、日中の値幅が非常に派手になってきており、先物オプションのインプライドボラティリティーが上昇してとうとう7%くらいまで上昇しているようです。

段々「リスク値」がでかくなってきている相場という事で非常に困った状態です。まぁ悪い時には全てが悪く働くということなんでしょうが、一昨日のグリーンスパン議長の議会証言で余計な踏み上がりをやってしまったのが売りを誘発してしまったという事でしょうな。

こうなってくると債券相場は機関投資家による「囚人のジレンマ」状態になってくる(既になってますが)のでして、保身的合理的行動>>>経済的合理的行動というサラリーマンの悲しい行動特性が悪い方向に働いてくるというものです。


あたくしの相場ごたくのいつものパターンですと、これだけ悲観的な書き方をすると相場は反発する筈なのですが(^^)。
(後日追記:モノの見事にこの日の債券相場は反発しました)

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2004/06/17

「昨日の債券市場に対する愚痴」

いや〜、ありゃ何だったんでしょう。グリーンスパン議長の議会証言のタイミングが丁度ショートの残っている所だったので、円債も大踏み上げから始まったのですが、超長期ゾーンの上値が妙に重くなってきたあたりから「あれれ?」という感じになって参りました。中期ゾーンがが確りしているけれど超長期が重いと言えば先週金曜日の相場(中期の利回り低下で長期、超長期の利回り上昇という脅威の相場)を連想させる訳でして、そうなると今度はまた「やっぱり売るか」という動きになってきて気が付けば雪崩のように投資家様の現物債売り。

超長期債が売られてしまうのは「量的緩和政策の堅持+景況感の大幅前進」というセットなので自然な動きといえばそれまでなのですが、相場が余計に戻った分だけ反動も大きく、何と先物や長期債、超長期債は月曜の安値を切ってしまいましたな。困ったものです。

まぁ戻りすぎると売りが出るからまずは値固めしてから動けって感じなのですが、結局益々相場変動がでかくなってしまい、地合いは益々不安定に。どうも投機筋に踊らされている気もしますし、また投資家サイドもちとポジション動かしすぎ(投機筋だけでは相場を作っても一時的に過ぎませんから)なのではないかと思う訳ですな。

まぁ一昨日の戻り相場のように、中期ゾーンが戻る中でいきなり途中の年限を飛ばして5年カレントが買われるというのも激しく理屈に合わない展開でしたので、昨日のスティープニングは理には叶っている動きではありました(が動きすぎです)。

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2004/06/14

「相場四方山話」

○先週末の債券市場

先週末の債券市場、途中からは完全に2年〜4年ゾーンが一番しっかりという展開。特に5年ゾーンなんかと同じ勢いで利回りが上昇していた3年ゾーンが相対的に売られすぎになっていたということで最も堅調な推移となりました。

とは言いましても、前場と後場にそれぞれ1回ずつ先物の下げと共に「おいおい大丈夫か」という動きになる事もありまして、中々ヒヤリとさせるものもありましたので、ま〜中短期の地合いについても必ずしも予断を許すものではないかとは思いますが。

それよりも驚きなのが長期、超長期ゾーン。

「利回りの絶対水準に着目した買い」ってのは利回りの絶対水準が高いより期間の長いゾーンに入るってことですから、まぁここ数日の「金融引締め織り込み相場(なんたるアフォな話だ)」では中期債が引っ張って下落する故に長期債、超長期債がやたらと堅調だったということではあります。

で、散々堅調になった超長期やら長期ゾーンが先週末は入替ベースだか何だか良く判りませんがいきなり大崩壊。それまで散々堅調推移をしていた反動なのか、先物上昇しているのに20年債なんぞはあれよあれよという間に売られまくりという実に香しい展開。こうなってくると「20年国債入札がもうすぐありますな〜」なんて事も言い訳に使われるわけで、まぁよくやりましたというイールドカーブの動きになりました。


○利上げモードのオーバーシュートの反動

昨年の9月(というか8月末)には「利上げ織り込みモード」というか「VaRショック」によって大手銀行様を始めとした銀行勢の投げスパイラル現象という凄まじい相場が起きまして、瞬間最大風速で2年債が0.28%、5年債が1.035%まで売り込まれました。で、日銀総裁が「量的緩和を断固として継続する」という意思表明を講演で行った為にパニック売りが収まった訳です。

で、この時に何が起きたかと言いますと、まぁ連日のように起きたのが「イールドカーブ大暴れ合戦」でございました。相場の全体水準が方向感を持ちながらイールドカーブが動くのであれば、まぁ上がったり下がったりする間の程度問題なので仕方無い面もあるのですが、先週末の債券市場のように「中短期債は利回り低下なのに長期債は変わらずで超長期債は何と利回り上昇」みたいな間の抜けた相場が暫く続く事になるかと思います。

そ〜いえば昨年の9月にも「オファーサイドで売った筈の10年新発債が何故か20銭先物が下がっているのに同値でしか買い戻せない」などというような大変に血圧の上がる展開がありました。特に昨年9月は相場大崩壊後の復活場面と債券先物の中心限月交代がぶつかりまして、大変な相場が日々続いた(実はその週夏休みでのうのうと相場の見えない所へ遊びに行っておったので良く判らんのですが)わけで、まぁ一旦相場が壊れてしまうとその治癒には時間が掛かるという物であります。

恐らく、20年国債入札の後で暫く入札がないので、そのあたりが落ち着きどきなのではないかと思います。


○まぁ相手にされてないから良いようなものの・・・・・・・

朝のテレビニュース番組によりますと、竹中大臣が長期金利上昇について相変わらず「景気回復を反映した前向きなもの」っていうようなお話をしているそうな。まぁ懸念発言もしていたようですが、竹中大臣の御○放送局様がおんみずから「長期金利上昇に楽観的」と報道するようですので、ニュアンスは「ノープロブレム」って奴でしょう。

このセンセイ、妙な所で市場万能主義みたいな所がありまして、どうも市場というのは勝手に暴走する癖があり、横並び意識が強くて巨大化が進んでいる日本の債券投資家の行動様式がそれに拍車をかけて無駄にオーバーシュートするという認識はないようです。市場は常に将来を織り込んだ均衡価格を形成するとでも思っているようですな。

ま、そう考えればこの債券市場の状況もノープロブレムなのですが、ご存知のようにインチキレポートにまんまと嵌って金先市場で集団自殺が起き、その流れが債券市場を直撃するという実に馬鹿馬鹿しい動きが起きるような市場でありますので、竹中大臣さまのようなナイーブな発言は実に困ったものであります。その前に林財務事務次官、谷垣財務大臣が立て続けに「金利の急激な上昇は好ましくない」と発言。しかも「長期金利」では無く「金利」と言って「金融引締め織り込み相場はケシカラン」という意図を伝えるという芸の細かさまで見せてくれているというのに、こ〜ゆ〜アフォが余計な事を言うと見事にぶち壊しになるので勘弁していただきたいものであります。

そういえばこの大臣、昨年の9月にも大暴落の最中に同じような金利上昇容認というか楽観発言をするわ、10年長期国債入札の結果発表で相場が動く時に唐突に「新型国債の発行がどうのこうの」などと間抜けな発言をして債券市場の崩壊に大いに貢献した前科がございます。まぁ発言が余りにも間抜けなので債券市場でこの人の言うことをまともに相手していても仕方が無いというコンセンサスが形成されているらしいのが唯一の救いであります。

困った大臣ですな。全く。


○ところで長期金利上昇して大丈夫なの?

毎日まとめは似た話なのですが、現在の経済状況って確かに景気が循環的には回復しているのかも知れませんが、民間部門の問題を産業再生機構のような機関にぶち込んだり、破綻金融機関に無理矢理税金を突っ込んで穴埋めしてみたり、その他信用保証協会やら何やらとセーフティーネットを政府部門の負担で張り巡らせているという意味において、単に「民間企業部門の問題を政府部門に付け替えて問題の延命を講じているに過ぎない」という構造的な問題を抱えているとしか思えません。

だいたい、景気が回復しているのに財政赤字の拡大が留まる事を知らずって事は、民間部門の黒字を出すために財政部門が絶賛大赤字を垂れ流しているという構造になっていることではないかと思ってしまう次第でして(激しく単純な理解で本職の人が聞いたら大笑いされそうな論理ですけど)、そんな中で金利をホイホイ引き上げた時に財政が持つんでしょうかね〜???とっても不思議です。

金利を上げると財政が持たないので、増税をするか財政を絞るかって話になりますが、所詮財政底上げ景気でありますので、どっちにも耐えられなくなって景気腰折れ→また金融緩和→振り出しに戻るの図、って感じですか。何回かやっているうちに着実に体力が落ちてきそうな流れですな。

ま〜どうなることやら。一応本件には秘蔵のネタも熟成中ですが、秘蔵なだけにとりあえず熟成終了したら出すかもしれません(^^)。

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2004/06/11


「昨日(2004/06/10)の債券市場」

昨日の債券市場、朝っぱらからまたも金先やスワップが叩かれてしまい、現物債市場では超長期ゾーンは前日比変わらずだったり前日比利回り低下と買い優勢なのに、中短期債はボロボロ。3年〜4年ゾーンあたりが一番利回り上昇幅が大きいという展開を連日やってしまいました。

しかも質の悪い事に、前場安値をマークした後に反発して「やっと安心か」と思わせておきながら、後場になりまして2年〜4年ゾーンがもう一発売られる有様。市場予想比強い数字が出た機械受注(こんなブレの大きい経済指標でも反応するようになった債券市場はやはり「政策変更警戒モード」なのですが)の発表後には業者間取引のスクリーンで見たお値段としては、2年ゾーンで前日比+5BPだの3年ゾーンで+6BPだのという見事な売られっぷり。大引けにかけてはさすがに2年ゾーンの+5BPなんぞはやりすぎでしょうという感になったのか買いが入るようになってきました。

一応ミニセリングクライマックスをやったような雰囲気もあるのですが、今一歩灰汁抜けって感じもしないので、まぁ何ですな。どうにもこうにもって感じです。恐ろしいことに2年新発債が0.25%をマークってもう思いっきり金融引締め織り込み相場になっている所がすげぇ所です。もうアホかと馬鹿かと。

まぁ絶対水準利回りの上昇を見て買いが入るのは、当たり前ですが期間の長い物から順にって事になりますので、昨日の債券市場では20年や10年どころか、5年ゾーンよりも3〜4年ゾーンの利回り上昇がでかいという実に涙の出るような動きになりました。


昨年の債券相場絶賛大暴落炎上大会の時は、2年新発債が瞬間0.28%(だか27だか)まで売られてしまい、マーケットメーカーをあ然とさせましたが、とうとうその水準にまで接近している訳でして、昨日のドラめもんで申し上げた「マーケットメーカーそんなにロングじゃないでしょ」という見方もそろそろ怪しくなってきたかも知れませんな。さすがに2年新発債の0.25%が叩かれるようでは、どこぞの業者の店頭では売りをぶつけられている(のでそのままあるビットを叩く)と見るのが妥当なような気もして参りますわけ。「大本営被弾!」「そこにある業者間スクリーンのビットを叩け!」ってな感じかと。

ちなみに、0.95%で一旦抵抗した感のある5年債ですが、単利ベースの昨年安値は1.035%(ただしあたくしの手控え帳ベースですが、まぁその辺ですので)でした。うーむ。

まぁこの辺まできて尚も2年ゾーンなんぞの叩き売りって事になりますと、昨日申し上げた「偉い人の売り指令」という最終兵器の炸裂が懸念される(既にちょこちょこ出ている雰囲気でありますが)ところであります。ときあたかも週末でありまして、一番危険なお日柄ではあります。

「コツン」と来た気もするんですけどね〜。

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2004/06/10

「またやってしまった叩き売り相場」

昨日の債券市場、普通のリズムで言えば反発する筈なのですが、朝からユーロ円金利先物市場がアフォのように下落、どっちが先なのか良く判りませんがスワップ市場で2年〜4年ゾーンが崩壊して、そのあたりの現物国債も叩き売りモードとなりました。まさか5年よりも3〜4年の方が利回り上昇幅がでかい状態になるとは思いませんでした。まさに利上げモードというもうアホかと馬鹿かという動き。

まぁ色々なことがあった昨日の市場。順不同で色々な感想ならびに見解をつらつらと。多分一本一本の内容を極めて良心的かつ真面目に書き出すとそれだけでまともなレポートになりそうなのですが、とりあえず本日は言いたい放題モードで参ります。

○また銀行か!

昨年の絶賛大暴落相場で、2年債の0.15%あたりから「量的緩和政策が早期に終わる訳ねーだろ」と後から考えればどう見ても正解な発想で証券会社のディーラーはこのあたりのゾーンを買い向ったものですが、信じがたい事に瞬間0.27%まで下落するという相場で皆「何じゃこりゃ」と投げされられて驚くべきやられになってしまったという経験があります。そのせいか、証券会社のディーラー、要するに店頭でまともにマーケットメークをしている業者は昨日の相場大下落で買い向っている雰囲気は見られず、ま〜冷笑しながらポジションのリスクを確認していた(ここ数日の動きから言って、5年新発債で無駄な落札をしていない限り中期債でパンパンのロングになっている業者はいないと思われます。つーか5年落としすぎていてもヘッジかかって入ると思われます)って感じなのでしょう。

どうもこの年限を派手に売るとなると、自己資金豊富かつスワップ市場などでのヘッジが円滑にやりやすい銀行さまの姿が浮かんでくる訳ですな。証券会社ってのは何だかんだといっても手元流動性の問題がありますので、あまり「自己資金運用で中期国債を買う」という発想にはならないのですが、銀行業態ですとディーリング勘定であってもそういう発想が出やすいので、中期債の持ちがそこそこあったのではないかと思います。で、また大遠投合戦で見事に炎上されたのではないかと思い、痛惜の念を禁じえないものでございます。


で、昨日朝っぱらから絶賛大暴落祭りで炎上合戦を演じていたユーロ円金利先物市場ってのは物の見事にスペキュレーターしかいないというまるでどこぞの国の商品先物市場のような市場であります。で、本来「将来のTIBOR3ヶ月物」を取引している筈なんですが、昨日の中心限月の終値(だと思いますが久々に見たのでもしかしたら単に夜7時の価格かもしれませんが)が99.80でございますが、この意味する所は「来年3月中旬(最終清算日いつだかわすれました)のTIBOR3ヶ月もの(国内円だかユーロ円だかも忘却していますが、この議論では大きな問題ではない)金利が0.20%」という事であります。

ということは、この値段を真面目に売買しているスペキュレーター、ちなみに殆どバンクディーラーの皆さんですが、この方々は「来年春には量的緩和解除、しかも解除後の足許金利は0.25%」というまぁ激しく想像を絶する水準を真面目に売買しているという事になるわけであります。昨日馬鹿馬鹿しく叩き売られた債券市場で2年国債が0.20%をマークして市場参加者が全員あぜんとしていたのですが、それですら0.20%な訳ですから、もはやこの「来年3月の3ヶ月もの金利0.2%」というのは何と言うかもうアホかと馬鹿かと。

実需筋の入らないマーケットというのは斯くの如しという事かもしれませんが、短期金融市場は銀行の市場業務の根幹なんですからもうちょっと物を考えて売買して欲しいものです。他の限月なんてもっと滅茶苦茶な値段で売買されていますが最早論評する気も起きませんな。


で、一番困るのは、こういうユーロ円金利先物市場の価格を捕まえてどこぞの経済新聞社あたりが「金融市場、来年の量的緩和解除を織り込む」などとアフォな見出しを出す事でしょう(ちなみにあたくしは全然読んでませんので、本当に今日の見出しがそうなっているかは存じません)な。で、その新聞記事を見た「偉い人」が現場に向って「量的緩和の解除が近いようだがちゃんとヘッジはしているのか」とか言いだして東京大空襲状態になる事ですな。

それだけは勘弁いただきたいものです。

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2004/06/09

「中期債の悲劇またもリターンズ」

本職でありまする5年国債の入札、まったくもうエライコッチャでありまして、さすがに疲弊いたしておりますので今朝は軽く雑談。

○値持ちしない入札リターンズ

昨日の5年国債入札、前場の引けにかけて5年既発債やら6年ゾーンやら見事に弱い中で入札を迎えたのですが、あまりにも順調に前場に中期債が弱くなったので、事前ヘッジのショート筋が「どこで応札しても利食いですがな」という状態。応札姿勢は「ショートカバーの高めの応札」+「在庫手当にやや安目の応札」と予想されたのですが、またも妙に強めの結果になりました。

で、落札結果発表後には散々乱高下しましたが、ふと気が付いてみると前場の引けよりやや安目のところまで先物6月限が戻る中で、新発5年債が0.83%あたりの出合いとなっておりました。前場引けより上昇しても0.825%のオファーが買われずという実に情けない入札。

何せ入札の最低落札価格を利回りに換算すると0.82%でございまして、この入札は物の見事に一度たりとも利が乗らないままという実に素晴らしい入札になってしまいました。前回の10年債では一応お助けシーンがありましたし、先物なり中期債なりでヘッジして今まで引っ張れば、まぁ何の問題もありませんでしたが、この5年債はどうなってしまうのでしょうか?

総じて、碌でもない入札をやった債券というのは後々までロクデナシ銘柄となって嫌われる傾向があります。落札して不良在庫が残ってしまった業者の大安売りセールが出るために、安目に買えた投資家様が多くなり、コストが良いので利食いの売りが出やすいって事なんでしょうな。


で、まぁこの入札が弱い背景は色々と説明できそうですが、あたくしの感じる印象としては、

(1)5年債の主力投資家である大手銀行様がここへ来て益々リスク回避傾向が強くなってきており、利回りの変化が結構ある5年債を投資する気分になっていない(ここまで来たら5年債でも変動利付国債でも同じだと思うが)ようですな。

(2)大手銀行様の積極的な動きが乏しいので、入札で瞬間的に捌けるという美しいパターンが崩れ、「入札で捌けないのでセカンダリーが安くなる」→「待てば安くなるので入札前後でのニーズが減る」→「ますます入札で捌けなくなる」→「マズー」という悪循環サイクルが始まる。

(3)にも拘らず、国債市場特別参加者募集絶賛キャンペーン実施中なので、落札実績確保をしたい大手業者が入れ替わり立ち代わり割高な水準で応札を行うので悪循環なのに割高。しかも悪循環サイクルが意識されるので、逆に「酷い目に遭う前に早めに実績を確保しておきたい」という意識が起きやすい。

という感じなのでしょうか。相場観だのグローバル物価上昇だのという話が勿論根底にあるのですが、局地的な部分を見るとそんな気がします。

しかし何ですな。単にショートカバーだとか落札結果発表後に即刻買いに来る分の在庫を押えるとかなら別なのですが、在庫を抱えることが確実なほどのロットを無駄に高値入札をして落札して、結果その反動で入札後に値崩れを起こすという現象を続けていると・・・・・発行側としてはわざわざ割高(=発行コスト安)で落札してくれるから良いのかもしれませんが、その後の円滑な消化がうまくいかないのであれば長い目で見れば発行側にもデメリットがある訳で、このアフォな消耗戦も勘弁していただきたいものでありますな。


○ちと怪しい2年〜4年の動き

日本相互証券発表の債券終値ベースでは何となくイールドカーブの変化はそれなりに滑らかになっているのですが、昨日の債券市場では、場中の取引を見ておりますと、個別銘柄の需給要因というのはありますが、どう見ても5年ゾーンの利回り上昇幅よりも3年や4年ゾーンの利回り上昇幅のほうがでかいという「中途半端な中期債」が売られるという実に胡散臭い状態になっております。

日中の2年債の動きも結構荒く、この年限にして昨日の日中に0.14%と0.15%の間を動くという状況。まぁ大体0.15%というのは一つのメドの金利でありまして、本気で金融引締めが視野に入ってこないとここから下を叩くわけには行かない水準(激しく単純計算しかも甘めの見積もりをしても、短期金融市場で資金調達して2年債投資をするとして、目先がほぼゼロ金利なのですから2年債が0.15%水準ならば1年後から短期金利が0.3%になって損益トントン)になります。

また、短期金利が引き上げになってその他の条件が全く変わらない(んな事は無いが)で、イールドカーブだけ平行に上方シフトが起こる(訳は無いが)とすれば、引き上げ幅一定ですから元々の金利の絶対水準が低いゾーンほど痛手がでかい(1.0%のものが1.2%になったら利回り2割高だが0.2%が0.4%になったら利回り2倍ですな)と言う事になりますので、金融引締め観測が真面目に考えられるようになると、イールドカーブ的な観点から言いますと2年とか3年とか言ったゾーンの債券は叩き売りモードに入りやすくなります。

逆に長期金利が先行して上昇するのは引締めが遅れるリスクを意識した場合という事ですので、まぁどっちにしても痛し痒しと言った所ですが、ここまでかなり頑張って堅調推移していた2年ゾーンが心理的な節目である0.15%を超えるようですと、日銀のケツに火がつくという雰囲気になってくるかと思います。


しかしど〜してここまで売り込むのかは理解に苦しみますな。まぁ落ち着けって感じがするのですが(^^)。

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2004/06/08

「5年国債入札入札に絡んでまとまりの無い話をつらつらと」

何がどうなってこんなに債券が下落してしまったのかが訳の判らぬままによくもまぁ下がりました債券相場。今朝はNY市場で米株高米債高。シカゴ日経225先物が11500ってことで、まぁ本日のNY市場分は既に昨日のうちに織り込んでいたという感じですから、東京の債券市場は昨日ほどの下げは無いとは思いますが・・・・・

○5年0.8%の滞空時間

本日の入札は昨日の引け近辺で入札をするとすれば概ね0.8%クーポンの0.78%〜0.79%近辺ではないかという感じ。ふざけた需給要因によって直近発行の5年既発債の利回りが、0.6クーポンの35回債と0.7クーポンの36回債で無意味にハンデがついていまして、適正水準がどこにあるのか激しく怪しい(入札前の取引は値付け合戦なので当てにならない)訳であります。

で、この「5年0.8%」という水準なのですが、非常に滞空時間の短かった水準であります。昨年の9月にパニック的に売られた時にマークしたのですが、日本相互証券の債券終値(ただし単利ベースで恐縮ですが)ベースで、昨年9月1日と4日、そして同じく0.8%クーポンで償還が3ヶ月延びる5年30回債の入札のあった日である9日と10日と僅か4日であります。この前後は相場としては上から急落していってあっという間に下にぶち抜けて再度戻ってまた下がって猛反発という実に驚異的な展開でありました。

で、これがまた惜しい事に、昨年9月の0.8%クーポン入札日の手控帳を見ると「休暇で旅行中♪」などという能天気な文字しかありませんで、ドラめもんのネタにしようとしていたあたくしは朝からしばし呆然とするのでありました。何があったのか判らんではないか。(どうもこの入札は所謂「不明札」が大量にあったそうですが)まぁこの後威勢良く上昇しているところを見るとさすがにこの時点での「5年0.8%」は量的緩和を前提にすると無理があったということでしょうか。


○今回の5年0.8%はどうなのか。

昨年の金利上昇は色々とテクニカルな背景はありますが、りそな銀行絶賛御救済スキーム大発動に端を発した株価上昇を背景に過剰な債券ロングの振り落としがあったという事が基本。この時には時間軸というものが存在しており、相変わらず消費者物価の下落基調の出口が見えてこないという状況にあるのに、何故か2年債の金利が瞬間最大風速で0.26%と1年後あたりに0.5%まで短期金利を引き上げるという所まで織り込む水準まで上昇しておりました(5年0.8%台の時はだいたい2年が0.2%近辺でした)。

よーするにですな、前回は「短期調達の投資家(要は大手銀行だが)が碌にヘッジをしていなかったので超越的振り落としが入った」というのと「量的緩和の時間軸への疑い(正確に言いますとマーケットが勝手に勘違いしているだけなのですが)」というのが背景にあったという事にしておきますと、今回の債券市場に関しては、「大手銀行を始めとする短期調達の投資家は既にデュレーションの短期化やら変動利付国債の購入などでリスク量は断然少ない」「量的緩和に関しては出口政策話があったりCPIプラスが近そうな雰囲気を出している」という違いがあるので、今回の金利上昇の方が前回と比べて遥かにまともな金利上昇であると言えるかと思います。

あくまでも自分勝手な想像ですが、景気回復(というか株価の上昇と物価の持ち直し)を背景にして長期金利がダラダラと上昇するのは「量的緩和解除」を展望すれば実は好ましいお話でありまして、それこそ「相場が勝手に織り込んでくれて市場後追いで緩和解除」というありがたや節状態になるのではと思う訳であります。

前回のゼロ金利解除の時は金融市場にいなかったのでいま一歩よく判らんのですが、残っている資料なんぞを見ると、どうも日銀がゼロ金利解除への期待を散々煽って市場が後追いした形になっていたようで、今回はといえば、徐々に出口政策の話なんかで雰囲気作りはしてますが、さすがに量的緩和解除モードを煽らず(というかゼロ金利に慣れてゼロ金利依存症になっているようですが)に何となく金利が徐々に上昇中って感じですから、まぁこれはこれで無問題かと。


○で、話し変わって現在の問題とすれば・・・・・

問題があるとすれば、連日この場で罵倒しているように、「ゼロ金利政策を長期化する事によって長期金利を抑制する事ができる」という激しく間抜けな理解に基づく「時間軸の長期化」論議があることですか。最近の「インフレ参照値」に関する議論の中には、昨日の日経金融新聞朝刊に代表されるように妙な誤解を元に論議しているものが多うございまして、「インフレ参照値=金融政策のCPIペッグ(んな事は岩田副総裁も言ってませんが)」であるかのようなお話もあって益々混乱する訳であります。

元はといえば中原審議委員が「CPI時間軸の0%を引き上げるという考えもある」という驚愕のアフォな話を講演でしたのが論議の混乱の始まりだったんですけどね。

先日の時事通信社による岩田副総裁のインタビューによりますと、岩田副総裁も「長期金利の跳ね上がりを防ぐ為に時間軸の長期化を強調するのは、景気回復期においては逆効果になる」という時事メイン「金融観測」コラム筆者氏の新語「カタパルト効果」についてご理解いただいたような節がありまして、もうちょっとまともな議論が今後展開されるのではないかと期待される所ではあるのですが、昨日の日経金融新聞を見ていますと、相変わらず日本経済新聞社様におかれましてはお判りではないようで。

別に日経新聞がお判りでない事には「アフォじゃの〜」と笑っていれば良いのですが、余計な事にこの新聞様の記事は金融市場に対して会議室から指示を出してくるという至極迷惑な「偉い人」たちに影響力がある大メディア様であらされるのでありまして、激しく困る訳ですよ。何とかしてくれって感じですな。



○おお!肝心の話をしていないではないか!!

と、入札の話をする積りが全然違う話になってしまいましたので最後に思いっきり目先の話。

並みの神経をしている業者は入札の事前ヘッジをそこそこにやっておりまして、しかも昨日の下げでは5年ゾーンもかなりの勢いで下落しましたので、5年を売りながら他年限を買ったりしてヘッジをしてもヘッジロスもそんなに出ていない筈。昨日の相場の下げの主役は中期債ではありませんので、別に5年を今慌ててぶん投げる必要のある人はいませんな。

発行量2兆円はしんどいですが、業者のショートカバーもありますので入札は問題無いでしょう。問題があるとすれば、前場中に「先回りの買い」とか言って買いに来るお調子者が出るリスクですが、前回の10年入札で先回り買いをしたお調子者かつ大馬鹿者のお方は、そのお蔭をもちまして入札がアフォのように割高になってしまい、「振り返ればノービット」状態を作った挙句に長期債火だるま状態という実に香しい結果を生み、高値入札に参加した業者もろとも見事に炎上という素晴らしい結末になりましたので、さすがに今回は懲りて参加しないと思うんですけどね。

とはいえ、ショートカバーニーズやら「5年0.8%の100円なら売れるでしょう」というつい先週10年の1.6%で同じような話をしていたような気がする根拠レスな安心感もありますので、まぁ入札自体は問題なく、最初に述べたように5年既発債の水準が不透明な点もありますので、結構堅調な入札になるでしょうな。

入札が堅調だからその後相場が上昇するかというと激しく疑問ですが。


では〜(^^)

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2004/06/04

「10年新発債の受難は続く」

昨日の債券市場もまたレンジ内でしたが大暴れ。朝方は先物を叩く動きになり先物独歩安モードだったのですが、時間の経過と共に長期ゾーンの上値が重くなって前場の引け後には10年債の1.6%という節目をマークしました。

まぁ一昨日の引けレベルまでに先物でヘッジが出来ていれば、先物レベルで137円40銭あたりで10年債の1.6%100円を販売していれば、一昨日の引けベースでの対比でとりあえず損はしていないという計算が成り立ちますので、世の中では前場に先物が137円50銭を割り込んで40銭近辺で推移する間(延々とこの間新発260回債は1.595%−1.600%の気配が続いておりました)に、とりあえず最終投資家さまの需要が旺盛な1.60%で在庫を捌いたものかと思われます。

で、在庫さえ軽くなってしまえば売ったヘッジに用はないので、先物の買い戻しが入りやすくなる所で株式市場で謎の急落が発生したこともあって債券先物は買い優勢の猛烈大反発になった訳ですな。

世の中のどこかでデュレーションの短期化をそこそこの規模でやっていた人がいるようで、イールドカーブは結局見事なスティープ化となってしまい、昨日の下げ局面で10年債をある程度捌いて(まぁ普通にマーケットメークしている業者なら余程のマヌケでない限り在庫は捌けていると思いますが)いないと、この相場の振幅で益々安くなってしまった10年新発債が頭痛の種になりそうですな。


○リズム悪化の予感

昨日のドラめもんで申し上げたように、「入札後に当該年限の割安修正が起きて業者ウマー」というウマーな流れがめっきり駄目駄目状態になってきまして、おまけに今回の入札では落札結果発表直後と昨日の前場の先物が137円40銭近辺にいる時の2度しか無事に逃れるチャンスが無かったという中々厳しい状態であります。

おまけに10年国債入札直後だというのにいきなりイールドカーブがスティープ化ということで、10年ゾーンが駄目駄目になってしまうということですと、「あの過熱(したようにしか見えない)入札は一体全体何だったんでしょう」というのも兎も角、上記の「ウマー」なリズムが完全に崩れてきたというのが業者としては頭の痛いところ。

また、激しく間抜けなのは、来週火曜日に5年国債が2兆円も世の中に入札という名前で出てくるのに、世の中が「長期売り→中短期買い」で動いていること。中短期債が思いっきり堅調になったタイミングで入札が実施されたら、見事に高くなった所で入札をさせられるという碌でもないパターンになる訳ですから、益々業者は頭が痛いところであります。あたくしも来週の入札のことを考えると大変に血圧が上昇してくるというものでありまする、とほほ。

まぁそんな訳で、だいたい6月ってのは昔から債券需給が変化(概ね崩れる方向で変化するのですが)しやすい月であることも勘案すると、今回の入札における「業者ウマー」構造の変化というのには、そこはかとない不安感を持っているわけでございまする。いや、あくまでも予感程度のお話なんですけどね。

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2004/06/03

「お腹いっぱいになってきたのか?」

昨日の債券市場、朝方から先物6月限とやたら割安になっていた6年ゾーンの現物債だけ堅調で、その前の日に入札の実施された10年債は弱々しい展開。ちんたらと先物が上がったり下がったりしているうちに10年ゾーンは益々弱くなってしまい、終わってみれば先物が前日比14銭上昇している間に10年新発債は前日と同じ1.56%、しかもこの1.56%という日本相互証券の終値はど〜考えても過大評価で、実力は前日比利回り上昇の1.565%となりました。

入札時の先物価格(=入札日の前場引け値)が137円82銭でして、落札平均価格から引受手数料を勘案した平均落札利回りは1.538%でありまして、入札時点から見ると先物が6銭下落している間に10年新発国債は0.027%(日本相互証券終値ベースでは0.022%)の利回り上昇となっておりまして、先物の価格下落よりもはるかに威勢良く価格が下がっているという中々寂しい結果となっております。

昨日の入札の結果は良好そのものという素晴らしい内容であった筈なんですが、翌日からいきなりこれとは何なのよって感じでありまして、何でおまいらそこまで高値入札をしたのよという所でございます。

ま、それ以前の問題と致しまして、入札日の相場状況も何だか変でございました。落札結果発表の瞬間には先物がやや上昇して、一呼吸置いてからもう一回上昇したのですが、殆ど値持ちせずに相場は下落。あれよあれよという間に入札時点のレベルである137円82銭まで先物が下落してしまいました。で、この時に10年新発債はどうなっていたかと申しますと、既に1.545%での取引になっておりまして、最低落札価格から手数料を勘案した利回りが1.539%であったことから致しまして、既にこの時点で負けゾーンに入っているという大変に情けない状態でして、まぁ昨日も弱含みとなったのもやむを得ないのかも知れません。


と、延々と相場の細かいお話を並べましたが、要するに今回の入札は「ほとんど勝つチャンスの無かった入札」という壮絶なる割高入札になってしまったというお話になるわけ(ただし、話をしているのは債券市場の中だけの話ですので、もしかしたら円金利スワップなどだと勝つチャンスあったのかも知れませんが、普通に考えるとヘッジロスがでかいのでヘッジ負けしていると思います)であります。

ここの所、入札といえば「事前にヘッジの動きが嵩んで当該ゾーンを売り込むことによって水準を安くする」→「入札でやや高い水準を落札(それでも前から見ればまぁ安い)する」→「落札後はそのゾーンが堅調になる」→「参加者ウマー」というのがパターン化されていたのですが、遂にその黄金のパターンが崩壊している訳でして、業者としては激しくトホホな結果になっており、結構深刻に受け止めている人も多いのではないかと思う訳であります。

実は前回の20年国債も入札当日にはスーパー大爆発したのですが、その後はといいますと翌日こそは20年堅調推移でしたが、それ以降はぱっとしない動きで、とうとう昨日は駄目駄目状態の10年新発債よりも駄目駄目モードとなっており、ここ数回の入札では堅調推移攻撃で皆ウマー状態というのもあまり続かなくなっていく傾向になっております。そして今回の「入札した分ほぼ討ち死に」というマズーな展開になった訳でして、極めて涼しいものを感じる今日この頃でございます。


まぁこの現象、色々と講釈は可能なのですが、よーするに入札によって世の中に新規に玉が絶賛大供給される状況に対して、最終投資家さまの需要が次第に追いつかなくなっているというのが根底にあるのかと。相変わらず資金が金融市場内部でのみジャブジャブって状況は厳然としてございますが、以前のような底なしデフレ感が払拭されて来た以上、債券投資に慌てて向う必要もなくて、「まぁじっくりと構えて相場が下がったらちょっとずつ買っていきますか」というスタンスになってきているという事なのでしょう。

10年債の1.5%が買いのメドだった筈がいつの間にやら1.55%が岩盤という扱いになり、入札が終わってみれば今度はそこもあっさり突き抜けて昨日は1.57%で2度跳ね返されたという展開。うっかりしているうちに、押し目買いの水準がドンドン切り下がっている訳でして、これは中々のものかと思います。

まぁあたくし最終投資家ってのをやった事がありませんのでよ〜判りませんが、この程度の速度でちんたらと価格下落=利回り上昇が起きる状況ってのは「相場が下がって困る」というよりは「投資環境が徐々に改善してきている」というレベルのお話であって、比較的居心地のよい相場下落なのではないかと思う訳です。何せ債券投資は満期になったり利息が入ると再投資しないといけないという悲しい永久機関モードでありますので。

そんな感じでダラダラと推移する債券市場ではありますが、どうも今回の全然値持ちできずに相場が下落してしまった(しかも大した材料も出ていないのに)入札というのは、業者のお腹いっぱい感が反映されているだけなのかも知れませんが、どうも全般的に債券市場が「お腹いっぱい」状態になっているのではないかと思うところであります。


いつものパターンですと、そう書くと逆に行くので今日は堅調か?

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「10年国債入札」(2004/06/01)

日程的にやむを得ないのですが、10年国債の入札がいきなり月初の初日に行われるというのは中々なものです。あたくしの記憶に間違いなければ月末だの月初だのに国債(除く短期国債)の入札があるのは初めてではないかと。

まぁそれだけ国債の発行量も増えているし、色々と訳のわからん種類の国債を発行しているので入札日程が押しまくっているということなのでしょう。国債投資家懇談会あたりではこの上変動利付国債の発行年限やら商品性の多様化を要望しているようですが、これ以上商品増やしたら入札が追いつきませんな〜。四半期発行すれば話は別ですけどね。


さて10年入札。今回は前回債から比較して償還が3ヶ月延びるので、最終利回りが償還が延びる分だけ高くなります。よって何となく利回り上昇した分だけ心理的に買いやすくなり、常に3ヶ月償還の延びるタイミングでの入札は好調な入札になるという激しく馬鹿馬鹿しい法則がございますので、まぁ常識的に考えると入札特に懸念なしであります。

おまけに昨日もやや無理矢理気味に長期ゾーンを叩く動きが見られておりまして、新発国債のクーポンが久々の1.6%に設定される可能性があります(というか多分そうなる)。大体「初物は割高でも買い」という青果市場あるいは鮮魚市場のような法則が生きている債券市場でありますので、この面から見ても入札まるで懸念なし。

まぁそういうよく見える動きとは別に、現場でヒーヒー言っているあたくしの目から申し上げた「場の雰囲気」はと申し上げましょう。昨日の債券相場では、朝方は海外の株高あんど債券安ってことで先物が売り叩かれたのですが、この時は10年ゾーンは案外堅調な推移でした。その後は時間の経過と共に先物が買い戻されて10年ゾーンは弱含みという展開になったので、終わってみれば10年が一番弱いという動きになりました。

まぁ世の中で10年ゾーンにドカンと実弾の売りでも出ているのかもしれませんが、昨日の債券先物やら現物債やらのプライスアクションを見る限りでは現物債に派手な売買があった雰囲気は見られず。まぁ明日の入札に向けて何となく10年ゾーンを安くしておきましょうって売り方のように見えました。

最近の入札では、落札して抱えた玉が瞬間蒸発するという事は起きない(強烈な入札になった前回の20年国債ですら瞬間蒸発していないと思います。業者が抱えているものと思われ。)上に、何だかんだと言って割高入札になる傾向がありますので、入札前に時間を掛けて当該ゾーンを事前に割安方面に持っていかないと、業者としても激しくしんどいものになります。そんな訳で、まぁ毎度毎度上記したような入札前の相場作りを行っている訳ですな。

これで事前に実弾売りが出ていると調整しっぱなしという事になるのですが、まぁ昨日の推移だけから勝手に大予想すると、入札に向けた無理矢理売りって感が強いので、まぁ入札自体は問題ない物と思われます。


・・・・・・と、割高割安分析のような頭の良い分析が皆無という我ながら情けない分析(あたしゃー基本的に動物的感覚で売買してますんで)でございますが、まぁこういうポイントで大真面目に書くのはまともな会社のまともなレポートではよ〜フォローせんと勝手に思っていますので、割高割安分析はちゃんとした会社のちゃんとしたレポートをご覧下さい。あたくしは「相場のモメンタムを検討すると、今回の入札にはあまり死角が見当たらない」と申し上げておきます。あえてその中で死角は何か?って言えば「皆が入札に対して懸念を持っていない」という事でしょうか。無警戒なときに碌な事がないというのはこれまた定説であります。

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「20年国債入札」(2004/05/25)

見事に手がかりの無い相場でして、昨日は一体全体何の為に市場が開いていたんだってくらいの感じでありました。そんな中で迎える20年国債入札なのですが・・・・・

○そこはかとない安心感

20年国債が毎月入札になるまでは何かと材料視されておりましたが、ようやく毎月の入札というのに慣れてきたせいか、あまり入札それ自体を「イベントリスク」(日程が決まっている行事にイベントリスクもへったくれも無い訳でして、債券市場参加者の横並び意識の反映ですな〜と思うのですが)扱いすることは無くなってきたようです。

相場自体も何となく上がるにも下がるにも材料不足って感じでありますので方向感なし。まぁ何とかなるでしょうという雰囲気が漂っております。


○入札も段々こなれてきた感じです

前回の20年国債入札では、その前に30年国債の入札があって20年よりも長いゾーンに玉が供給された影響もあって、当初は入札前に頑張って20年ゾーンを売り叩く動きがありました。平均株価も12000円近辺で推移するわ、米国金利は上昇傾向を示すわという状況でしたので、相場全体を売り叩くような感じで入札のあった週は相場が下落。

しかし、あまりにも勢い良く相場が下落してしまったので、入札を待たずして最終投資家様の買いを呼び込んでしまい、事前ヘッジが過大になってしまう形になってしまいました。結局入札当日にはショートカバー先行になってしまい、前場から20年激強。煽りが入る形になってただの割高入札(前場引けから平均落札が15銭くらいお高い入札)となってショートカバー終了。

その後、20年債は入札翌日の引けだけはまぁ堅調でしたが、結局期待されていた月末のパッシブ系の長期化も空振りとなって結果としてはただの高値掴み入札になってしまいました。


4月からは「日本版プライマリーディーラー制度」の導入に向けて妙に落札シェアを意識した国債入札姿勢が妙な割高入札を演出しております。しかし、前回の20年国債の入札と先日の15年変動利付国債の入札のように、事前に煽られた入札はその後碌な事が無いという結果が続いておりますし、また、前回の2年国債や5年国債入札のように、特定業者が妙に割高な落札をして世の中の札をごっそりと持って行っても、特段ショートカバーで踏みあがるという動きも見られなくなってきております。まぁ特定業者が買占めをして頑張って割高に持っていくというような市場では無くなりつつあるのかと思えば結構なお話なのですが。

まぁ相場全体が「金利低下トレンドをっほっほ(^^)」という雰囲気に著しく欠ける状態でありますので、当たり前といえば当たり前なのですが、最近はめっきり「新発債完売\(^^)/」という事も無くなってしまい、業者も時間を掛けて売り捌く覚悟ができております。さすがに国債の大量発行もたいがいにしないと消化不良モードになるのではないかと思ってしまう訳です。つーか量的緩和のジャブジャブモードが終了したらどうなるんでしょうな。よーわからんが。


○事前ヘッジと申しますか

てな事もありまして、最近の入札では事前に当該年限の水準を徐々に訂正していってとりあえず安いところで入札を迎えようとする動きが顕著になっております。どちらかというと入札に向けて「ヘッジを売り叩く」というよりは「何となく買い向かう動きが乏しい中で徐々に売りが嵩んでくる」という雰囲気(大手有力業者が実際何を考えてやっているのかは知りませんが)で水準訂正をおこなっているようですね。

で、まぁこの調整もなかなか微妙なお話でして(^^)、4月の20年国債入札のように事前に水準を訂正しすぎてしまうと入札を待たずして強力買いを呼び込んでしまい、入札がショートカバー合戦の場になってしまうという諸刃の剣。次第に学習効果が現れてきたのか、最近の入札では露骨な売り崩しを一気に行う向きもなくなってきました。平和なことで大変に結構なお話であります。


てな訳で、珍しくもあまり材料視されない20年国債入札。まぁ先月の米国金利上昇に端を発した株安米債安なのに何故か日本の債券高相場やら、日銀発の時間軸の長期化がどうのこうのという無駄な情報発信による相場の妙な撹乱が落ち着いてきた証拠ではないかと思うのであります。

ま、ちょっと水準下げながら何とかするんでしょう。別に相場の上を追っかけて買っていくお調子者の投資家様もおいでにならないことですから、結局入札が好調であっても別に買い進む必要は無いと思うんですけどね。まぁ買い進まれた方が業者は助かりますが。


おまけ:時間軸長期化は何だったんだという雑談

今書きながらふと思ったのですが、金融政策決定会合後の定例記者会見で散々火だるま状態にされながら否定というか「その点は今話す事ではない」とコメントしていた「時間軸の長期化」問題。

昨日の日経新聞には山口前副総裁の寄稿が載っていたそうですが、そこでも「ターゲットの安易な変更は金融政策への信頼感を失わせる」と至極当り前の指摘をされています。どうも中原審議委員の講演は相当の大反響を呼び起したようで(^^)、あたくしのような市井の理屈捏ね太郎までもが「驚愕の講演」などと評したくらいですから、金融政策あるいは日銀ウォッチャーや政策に関る人々にとっては激しく評判が悪かったということでしょう。

まぁ考えている案の一つを事前にアドバルーンを上げて反応を見るというやり方はよく政治家がやることではありますが、そういうのは市場を無用に撹乱する要因なので、セントラルバンカーのする事ではないかと思う訳ですよ。結局散々叩かれまくって総裁が別のコメントをするというのは何というかどうも格好の良いものではないかと思いますがねぇ。ま、中原審議委員の場合は事前にアドバルーンを上げるという意識ではなく恐らく素で「この案は素晴らしいアイデアだ」と思ってぶち上げた節があるようですけれども(^^)。

まぁどちらにしても恐らくは米国債金利の上昇やら原油価格の上昇などから「金利上昇の幻影」を見てしまって何か急に「出口政策で時間軸長期化」などと言い出してしまったのではないかという感じですよね。

本気で市場の安定化をしたかったらてめぇら暫く黙っていやがれって感じです。

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「第2次変動利付国債バブルはリスク管理ブームから?」(2004/05/20)

本日は15年変動利付国債の入札が行われる訳ですが、昨日の日経クイックなんぞでは「第2次変動国債ブーム到来」などというお話になっており、何か盛り上がりそうな入札であります。

きちんとした理論的検討はあちこちの真面目なレポートが出ているのでそちらを読みながらお勉強すると致しまして、あたくしはあたくしらしく非理論的な愚考をば。

○長期金利上昇へのリスク管理体制監督というお話

そもそもこの変動利付国債と言うのは商品性としてイールドカーブのフラット化に弱いという性質がございます。で、短期調達の人にとっては短期金利上昇に伴うイールドカーブのフラット化、即ち「本格的な金融引締め局面」に弱いという性質があるわけです。全くの自己資金で運用するのなら短期運用と比較した機会損失にしかなりませんが、この人の場合は長期金利の低下に伴うイールドカーブのフラット化でいきなりクーポン減少って話になりますわな。

とまぁそんな商品ではあるのですが、だいぶ前(昨年12月5日)のドラめもんで「澎湃として湧き起こる変動利付国債のニーズ」などという偉そうなお題で変動国債のニーズが増えるらしいですな〜というお話をしております通りでして、どうも金融機関のリスク管理がどうのこうのと最近五月蝿くなってきているせいか、第2次BIS規制による「ならず者規制(アウトライヤー規制)」の導入を待たずして変動利付国債のニーズが高まるようです。

ちょっと記事を見ていないのでアレなのですが、「金融庁が長期金利上昇に対する銀行のリスク管理体制の検査を強化する」という記事がでてみたり(したらしいですな)、日銀からも「リスク管理体制の検査がどうのこうの」と言われておりますので、どうもまた例によって例の如く「思考停止の賜物としてのリスク管理ブーム」が発生して変動利付国債に余計なニーズの発生が起きてしまってしまうのではないかと危惧する次第であります。


○バーゼル委員会の示した「監督原則」再掲

念の為同じ話を致しますと、バーゼル関連ペーパーって事でこの辺→(http://www.boj.or.jp/intl/03/data/bis0309b.pdf)に「金利リスクの管理と監督のための諸原則」というお題の文書がございまして、その中でどういう管理手法でリスク管理をするのかって話が延々と書いてございます。

で、この辺を読めというお話なのですが、死にそうになるほど膨大な文章ですので、当該部分をご紹介した所を再掲致します。

(再掲スタート)
『7.当委員会は、金利リスクを特定の対象として自己資本の手当を義務付けることは現時点において提案していない。しかし、全ての銀行は、金利リスクを含め、引受けたリスクを支えるに十分な自己資本を保有しているべきである。監督当局は、銀行が自らの負っている金利リスクを支えるに足る資本を有していないと判断した場合、金利リスクの削減、同リスクを支える資本の増強、ないしその両者の組み合わせを要請しなければならない。』

要するに、過大な金利リスクを取っている銀行に関しては、追加的な自己資本の増強を求めるか、金利リスクの削減を強要するかということを行うというのがバーゼル委員会のお考えだと言うことです。で、過大な金利リスクとは何ぞやというお話がこの続きに出てまいります。

『監督当局は、“outlier”銀行の自己資本充実度に対して特に注意を払わなければならない。標準化された金利ショック(200ベーシス・ポイント)ないしこれと同等のショックに伴って発生する銀行勘定の金利リスクについて、Tier1とTier2の合計額に対して20%を超える経済価値の低下が生じる場合は、“outlier”銀行と定義する。また、個々の監督当局は、国内銀行システム全般に対して追加的な自己資本の賦課を決定することもできる。』

この“outlier”っつー言葉なのですが、手元にあるポケット版の辞書には載って無かったのですが、「アウトライヤー規制」というのは「ならず者規制」「突破者規制」などとも称されているそうです。まぁそんな感じですよね。

で、要するに(要するにも糞も無いが)過大な金利リスクとして上記のように「200ベーシス(要は2%)の金利変動というショックがおきた」場合に、「Tier1とTier2の合計額に対して20%超」のやられが発生するような状況が定義されているわけであります。

で、ペーパーの後ろの方に計算の方法について丁寧に書いてあるのですが、ざっと申し上げますと、要するに現在のイールドカーブがそのまま上方に2%平行移動した場合に金利ポジションでどれだけの損失が発生するかというお話になる訳でございます。この時のやられ額が「Tier1とTier2の合計額に対して20%超」となると、当該銀行は「ならず者」扱いとなり、より多くの資本を求められちゃったりすることになるというのが、所謂「アウトライヤー規制」という事になります。(以上です)

まぁどうせ監督官庁の行う検査っつーのは概ねBISの出しているこの手の文書に準拠する訳でして、長期金利上昇へのリスク管理がどうのこうのという動きにはこのあたりの指針が参考になるのでしょう。

ちなみに、これも再掲ですが、金利ショックに対するリスク量とやらの算定方法の一例として、このペーパーの最後の方にある「付属文書4」の「標準化された枠組みの一例」というところで、指摘しているのは『固定金利商品は満期までの残存期間により、変動金利商品は次回金利改定日までの残存期間により』銀行のバランスシート上の金利リスク測定のためのマチュリティーラダーに振り分けると記載されております。

とまぁこういう点を総括すると、どうも監督官庁の言っている「長期金利上昇へのリスク管理」というお話によりますと、6ヵ月ごとに金利改定が行われる変動利付国債は長期金利上昇へのリスク管理が出来ているというお話になる訳ですな。

本当にそれで良いのでしょうか?


○監督基準の落とし穴

最初に申し上げた通りですが、日本で発行されている変動利付国債は「短期金利フロート」なのではなく「長期金利フロート」でありまして、商品特性として「イールドカーブの形状変化によって損益が発生する」というものになっております。

しかし、再掲コピペで絶賛増量した上記の「監督原則」に基づきますと、「金利ショックへの対応」として具体的に述べられているのが「現在のイールドカーブがそのまま上方に2%平行移動した場合に金利ポジションでどれだけの損失が発生するかというお話」な訳でして、この「長期金利フロート商品」が対監督当局上ではノーリスク商品という扱いになってしまう訳ですな。おまけにポートフォリオ上のマチュリティーラダーでは「6ヶ月もの債券(半年毎に金利改定があるから)」として扱われるというとっても低リスク商品だという話になってしまう訳です。

で、昨年の「画一的なVAR管理で国債の連鎖的投げ売り相場」という実に馬鹿馬鹿しい相場があった訳ですが、この時も「量的緩和の時間軸が存在し」「景気回復が本格的であるという確信が持てるような状況とはとても言えない」タイミングで1年半後(つまり来年早々)に短期金利が0.5%位引上げになるところまで織り込む水準まで2年国債が売り込まれ、瞬間的には1年後(今年の夏)に同様の引上げがあることを織り込むような水準まで跳ね上がるという激しく間の抜けた相場が展開されておりました。

要するにVARの閾値をヒットしたから保有国債を売却するという「監督当局に対する言い訳を優先した行動」が先にありきで、本来おこなうべき「経済のファンダメンタルズを総合的に分析して将来の金利動向を判断する」という行動がどこかに逝ってしまっていたわけで、相場としてはダイナミックではありましたが、日本経済の将来展望を考えると誠に血圧の上昇するような日々であった事は記憶に新しいかと存じ
ます。


ということで話を戻すと、この「監督基準」をまともに適用してリスク管理をやるというお話になりますと、「想定する金利ショックはイールドカーブの平行移動」「ポートのマチュリティーラダー管理上は6ヶ月もの債券」ということになるので、対監督当局上の言い訳的にはこの商品の肝心のリスク特性が見事にスルーできるという素晴らしい結論になるという想像ができてしまう訳です。

何せ昨年の前科がありますので、「対監督当局への言い訳>>>>経済的合理的判断」という行動がまた発生しないとは言い切れないわけですし、最近の銀行VS金融庁のぶつかり合いをみていると、どうも銀行としても「監督当局への言い訳」を優先しておかないと首筋が寒いという雰囲気も漂ってくる訳でして、まぁそんなこんなを考えますと「長期金利上昇への備えをしていますよ」という言い訳の為に無駄なニーズが発生していくのでしょうな。この変動利付国債ってヤツは。


目先は「時間軸の長期化がどうのこうの」とかいうお話で足元金利が押えられるという観測が強いので、「買っても安心」感が強いですが、余計な金融緩和の長期化というのは将来の金融引締め局面で強烈な引締めを必要とするという結果を招く訳ですから、本当に問題となる金融引締め局面が近くなったという認識が強まった時の反動が激しく恐ろしいというか、恐らく「VARショック」のようなアフォな事がまた起きるんでしょうな。


ま、監督官庁がきちんとフローターの商品特性を把握して金利上昇への管理体制の検査とやらを実行していただければ何の問題もないのですけれどもね〜♪


本当は金融政策決定会合に絡んで別のお話もしようかと思ったのですが、例によって時間と分量の関係で以下省略。まぁここの所散々書いた事の延長というか結局同じことを書くだけの事になりそうですので、問題無しという事で一つよろしくです。

ちなみに、昨日の時事メインのコラム「金融観測」の「政策委とALM委の相似=時間軸の”VAR化”懸念」は絶品コラムでありますので、時事メインが入っているお方は是非ご一読をお勧めします。なお、あたくしは時事通信社の回し者ではありませんので念の為(^^)。

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「先物の建玉/5年国債レビュー」(2004/05/19)

入札なのに二日酔いという状況でしたが、こういう時の方が余計な事を考える余裕がないので却って緊張かつ集中して相場に没頭できたりするのですが、やはり安酒は宜しくないというものでありますな。シナリオ通りに手が振れたのはよかったのですが、二日酔いはキビシーです。しかも前場引け間際に急激に復活するのが因業なあたくし。

○インチキの香り高い債券先物の建玉

昨日の債券市場、寄り付き前から妙に巨大なクロスが入っておりまして、おまけに後場の寄付きにも少々クロスが入っておりました。あたくしの勝手な推計によると前場の寄り付きで6000枚から7000枚程度、後場の寄り付きで2000枚程度という感じでした。

寄り付きのクロスを見たところで「これは先物の両建を落として買い戻し圧力が減ったという雰囲気を出して先物を売り込ませようとしているのではないか」と頭痛のする頭で考えていたのですが、まぁ案の定と申しますか、ちょうどGDPで売りやすくなった上に中期ゾーンに売りが出た事もあり先物は見事に売り込まれました。5年国債も先物でまともにヘッジしていないと苦しいという中々痺れる展開になりました。

入札前の前場引けが先物安値引けで、まぁこういう時には「入札前に相場を安くしておいて後場反発」というのが良くあるパターンなのですが、朝のクロスの印象がやたらと強かったあたくしは「こりゃヘッジの先物売り(5年ショートの先物ロングをドテンする格好ですな)下叩いちゃったな〜」と嘆きつつも「ど〜せ今日は先物を売りやすくしている日よ」と開き直っていたら何と後場にもう一発相場下落でありましたな。とちょっと自慢入ってますが。

で、肝心の先物建玉はと申しますと、昨日は6000枚ほど建玉減少となっておりまして、どこからどう見ても新発5年国債の在庫に対するヘッジ売りが入っていない訳がないのに建玉が減少という摩訶不思議な相場展開。ちなみにどこからどう見ても先物の売り建玉の踏み上げが起こったとしか思えない一昨日の先物建玉は前日から碌に減っておらず(1000枚以下の減少です)、目の前で相場の値動きを見ているディーラーの目からすると激しく不自然な建玉の増減(つーか減ですが)状況。こうなってきますと「両建てによる建玉残高操作」的な動きをしている人がいると思った方が良いのではないかというのがあたくしの勝手な見解でありまする。

つまり、債券先物の高水準の建玉をネタにして「先物の踏み上げ圧力」を意識させたり、「買い戻し終了」を意識させたりして提灯筋を誘ってみたり、ヘッジでの先物建玉を踏み上げさせたり投げさせたりしようとしているのが建玉操作的な動きの目的なのではないかと勝手に想像している所であります。

あたくしの個人的というか体感的な想像ですので、この信憑性は全く保証いたしかねますが、そういう考えもあると言うことで思考のネタ程度にお考えいただければ幸いであります。まぁ公式なレポートでは思っていても書けないでしょうな〜。


○新発5年債の売れ行きが低調な一つの理由(か?)

昨日入札の行われた5年国債は3月に発行された0.6%クーポンの35回債のリオープン発行となりました。で、まぁリオープン発行な訳ですから同じ債券が2ヶ月前に発行されているのですが、この債券は発行されてから波乱万丈の旅(^^)を続けておりまして、発行時は0.59%をちょっと割れていたのですが、その後いきなり堅調推移で0.5%を割り込む勢い(割ったかどうか忘れました^^)まで買われたのですが、その後0.7%近くまで下落して0.6%台後半での推移。で、入札前に0.6%を割り込んで0.57%まで上昇とまぁ見事に最近の値幅を全部やっている訳ですな。2ヶ月存在しているんだから当たり前ですが。

で、この債券をお持ちの投資家さまにしてみますと、最初は高値掴んだところで急落の刑を食らったので損出しするのも馬鹿馬鹿しいのでホールド。下がった所で簿価下げの為にナンピン買いを行っている(そのために業者はこの銘柄ショートになって結構苦しかったのですが)訳でして、戻りで利食いもあったようですが、まぁ皆様0.6%台後半で何だかんだと買っておられる訳です。

で、まぁいつも事前予約してくださるお客様なんかに「今回の新発どうっすか〜♪」などとお声を掛けますと帰ってくる驚愕の返事は「簿価上げになるから買えないよ〜♪下がったら買いに行くからよろしくね。」というお話。まぁ一般化するのも何なのですが、こういうケースもよく考えりゃあるわな〜と思ってしまう訳であります。毎日ポジション評価を時価で値洗いされている(企業会計的には別して、ディーラーの評価という意味です)ディーラーがうっかりしてしまうポイントですな〜と思った次第であります。

まぁそういう方々が買いに入るのは0.65%からという感じだそうですんで、とりあえず最初の下げでそこまで行ったら買いは入るでしょう。2回目以降は知らんが。


もう一つ考えていた事があったのですが、うまく纏まらない上に時間の都合もありますので本日はこんな所で。m(__)m

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「5年国債入札」(2004/05/18)

○悩める外部環境

まさかここまで下落するとは思っていなかったのですが日経平均10500円まで行ってしまいました。ま〜株式市場の方は専門家に評価をお任せする致しますが、どうも雰囲気的にはよろしくなさそうな感じ。日本が渾身の介入、というよりは渾身の米債ご購入攻撃があちこちに効いていたんでしょうかね〜。今にして思いますと・・・・・

そんな状況下で昨日は4月の企業物価指数速報が発表されていましたが、国内企業物価は前年同月比0.5%と、2月にゼロまで復活して以来3月の0.2%に引き続き順調に(?)上昇しております。本来ならこの指標は債券市場に影響を与えてもおかしくはないのですが、何せ昨日は株価は下落するわ、時間軸の強化がされるという思惑が今やコンセンサス状態になるわという状況だしたのであまり問題になりませんでした。

とはいえ、4月の東京都区部消費者物価もそうですし、昨日発表の企業物価もしかりで、今後原油価格上昇がそれなりに効いてくるという可能性を考えますと、物価動向は懸念される所でありますな。これで株価がヘロヘロになったらどうするんでしょうな。


○で、5年国債入札なのですが

株価は下がるは時間軸は強化されるという思惑が台頭するわという状況にありますんで、とりあえず先物には買い戻し圧力が入り易いわけですな。何となく「買い戻し圧力が入りやすい」というのをネタにして提灯買いをしている人もいそうな雰囲気がしますがそれは兎も角と致しまして。

現在は先物の買い戻し攻撃が進んでいる状態ですが、債券弱気筋の大手機関投資家さまが諦めて現物を買いだすとこりゃまた大変ってことになるのですが、今までの所は「売り込まれていた先物の買い戻し」の域を出ない上昇ですんで、相場の上昇は先物一人旅状態。

そんな状況で5年国債入札を迎えるのですが、本日の入札を業者的にごたくを並べると、@相場が急騰して来たところなので投資家の買いニーズが掴みにくいA先物に買い仕掛けをされやすい環境にあるのでヘッジで先物は売りにくい(結局は売るのですが)と言う事でやりにくいったらありゃしない入札であります。まぁこの5年国債が順調に捌けるようなら相場の基本シナリオを変更と言う話になるので息の長い上昇相場になる可能性もありますが、大体今までの傾向では入札だけは堅調でもその後結局駄目駄目になっておりますので、結局は「販売状況に注目」というありきたりの結論になるのでありました。

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「昨日の相場で思ったことをつらつらと」(2004/05/12)

○順調といえば順調でしたが・・・・・

昨日の10年国債入札。前場の早い時間は10年ゾーンを引き続き売り込む向きがあったのですが、例によって売り込み過ぎて1.53%レベルまでやってしまったら事前に買いが入るというお馴染みのパターンで先物VS10年カレントの関係は寄り付きから1毛改善してほぼ先物にスライドという形で入札を迎えました。

で、結果の方はご存知の通りで足切り99円95銭(大体1.53%)で按分40%というのがまぁほぼ予想通りとなりましたが、平均の100円ちょうど(1.526%)というのはちょっと高いという印象ですな。その割には応札倍率が2.3倍程度で盛り上がりに欠ける入札でした。とは言え、前場引けの10年259回債(既発分)の気配1.525%から比較すると受渡が11日先になっている分割高な入札だったので、相変わらずの割高入札ではありましたな。

ここの所「入札だけ業者が頑張ってしまう」という傾向にありますので、入札が割高になる分の保険ということで、新発債の周囲(今回の場合は259回のリオープンが確実になってきてからは259回債を狙い撃ちで)を頑張って叩いて安くするという傾向があります。今回もまた事前に結構頑張って10年259回債を叩いた(上に当日前場に買いが入ったようですし)ので、もうちょっとショートカバーが入るのかな〜と思っていましたが、昨日申し上げたように「リオープンは売れないの法則」「同償還3回目は売れないの法則」が効いたようですな。


○いつも外れる(トホホ)今後の展開大予想

入札前のプライストークで皆が揃って同じような話をしていたのが笑えるところなのですが、今回の入札では皆さん「入札はまぁ堅調でしょう」「ここまで10年を叩いた事だし幾ら何でも10年確りする筈だからとりあえず入札後はフラットニング」「でも・・・・・トレンドはスティープだからどこでポジション手仕舞うかですな〜」とまぁ判で押したように(あたくしを含むのですが^^)同じコメントでしたな。

落札結果発表後の動きを見ますと、結果発表後は中期ゾーンに売りが出た(らしい)のも影響して先物が下落する場面では10年ゾーンは頑張って値持ちして、先物との関係で言えば前場引けよりも1毛近く強くなり、割高入札が正当化されて目出度し目出度し。しかしその後相場が反発して前場引けのレベルを上回ると入札裸ロング隊の外しがさっさとご登場。10年ゾーンが伸び悩みかという雰囲気が漂ってくると引けに掛けては再度10年ゾーン弱含みとなりまして結局は10年の実力は前場引けとあまり変わらない(発表されている引け値ベースでは確りしてますが)状況になってしまいました。

てな感じで細かく見ていますと、やはり皆さんこの新発債は持ちにしたくないというのが本音のようでして、確りしている時は何となく業者はふんばるのですが、ちょっと頭打ちの動きが見られると「いち抜けた〜」攻撃が出てくるようですな。

相場水準が下がりながら推移する場合はここ1ヶ月(も過去もそうですが)跳ね返された1.55%レベル(実は前回は1.57%まで売られておりましたが^^)が押し目待ちの人のターゲットですんで、そこが新発債の在庫を抱えた業者の絶好の逃げ場でしょう。相場水準が上がると誰も買ってくれないので、10年ゾーンが確りするという業者ニッコリの動きになるには相場水準の下げしかなさそうです。


で、来週は5年国債の入札があるのですが、ここまで散々堅調推移してきた5年ゾーンは昨日入替ベースと思われる売りがあったようでしていきなり弱含みの展開。何せ今月の場合は同償還の既発5年債が0.6クーポンと0.7クーポンですのでどう考えてもリオープン発行は必至の情勢。また「リオープンは売れないの法則」が爆裂するのではないかという懸念がある上に、既発債では0.7%クーポンの36回債の方が需給が悪いので、「入札前に水準を安くしておく攻撃」が出ますとリオープンが需給の悪い方の36回債になる訳で、中々販売に苦戦しそうです。

ということで5年ゾーンを安くする動きが出てきますと、今まで堅調だった5年が安くなり、相対的に10年が確りしてくれるかもしれません。以上を総合するとあたくしの基本的大予想は「下げなら5年〜先物主体で長期は比較的確り」「上げなら先物主体で中期も長期も置いていかれる」という感じでしょうか。あまり上昇しそうもないのですがね。

と、勢いでこんなに大予想(笑)してしまいましたが、また赤恥をかく結果になるのではないかと恐怖する次第でもあったりします。アセアセ。


○しかしまぁよく動く現物債

昨日に限らずなんですが、日中にイールドカーブが良く動いています。特に特定年限に玉が大量供給される入札日にその傾向が顕著なのですが、昨日の5年VS10年とか5年VS20年あたりで見ますと正直、先物の日中値幅に匹敵するようなカーブの動きがありました。

業者間の板気配を見ながら勝手に想像すると、昨日の現物債の動きは@入札ヘッジの10年売りA10年押し目買いと中期の売りB5年売りの10年買いC10年または5年売りの20年買い、というような順序で現物に動きがあったようですな。斯様に想像(外しているかもしれませんが)出来てしまうほどに現物債の動きがまともに業者間の板気配に出てきてしまうのですが、これじゃあある程度以上の規模の投資化さんは自分のちょっとした動きでマーケットインパクト爆裂といった感じでしょうからやり難いこと夥しいでしょうな。

そのカーブ形状の乱高下も中々なのですが、一昨日あたりから妙な動きをしているのは2年債。連日のように日中に5糸甘と5糸強が出合うという妙に不安定な動きを示しております。普通このゾーン日中ちょこまか動くんかいな??と思うのですが。

まぁこの謎の2年債の動きもよーわからんのですが、どこかで売り買いやっている人がいるんでしょう。何とも不可思議でありまする。


現物が妙に色々と動く(しかもあまりトレンドがない)というのは、相場の膠着観というか手がかり材料難というか、まぁ取っ掛かりに欠ける相場展開なのかと思われる次第であります。暫くはトレンドが出来そうもないんでしょうな。


と、やたら細かい話になって恐縮ですがそんな感じで^^。

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「10年国債入札」(2004/05/11)

数字を駆使した分析は本職の方々に敵いませんので(汗)、トレーダーらしく入札を心理的(?)な点から愚考してみる訳で(^^)。

○リオープンは売れないの法則

今回は1.5%クーポンの259回債リオープン発行になるのはほぼ確実かと思われます。で、リオープン発行となるとこれがまた売れないという実に下らない経験則がございます。何で売れないかと申しますと、

@新発債と同じものが既に出ているので「新発債なので買いたい」という人の購買意欲を刺激しない。
A発行量が多くなるので需給が悪くなるという印象を与える。何だかよく判らないのですが、国債市場では需給の悪い債券に買いが入りにくいという不思議な構造があります。
Bリオープン発行になる位ですから何回か相場の押し目が発生しており、入札レベルよりも安い水準で買うチャンスがあったというケースが多い。

という所でしょうか。特に今回の259回債に関しては4月6日の入札時点では1.51%(平均落札価格)でしたが、何度も1.55%をマークしに行きまして、既に1.5%のアンダーパーだからといって有り難がられるような状況ではないかと思われます。おまけにこの間に1.45%−1.55%の往来相場を振幅速度を素早くやっていましたので、割と足の早い投資家さんは1.45%近い水準で一旦戻り売りをしている訳でして、259回債は業者に在庫が結構あると思われる節がございます。そんな債券をもう一発1兆9000億円発行と言う事ですから、ちと今回は厳しい事になるかと思います。


○同償還3回目は売れないの法則

10年債(2年債と15年変動以外もそうですが)は償還が3ヶ月毎なのですが、何故か発行は毎月実施。昔から激しく不思議に感じているのですが、まぁこういうものだと皆さん慣れているようですので何で4半期発行にしないのかという話は置いておくと致しまして。

償還が3ヵ月毎で発行が毎月って事になりますと、当然ながら同じ年限の10年債が3ヶ月間連続して発行される訳でして、最初に発行される分は「新しい年限の債券が出た!」という事で人気化しやすく、回を追う毎に同じ年限の債券の発行残高が増えてくるので段々「お腹一杯」になる人が増えてくるというのは理の当然であります。

と、考えますと上記の「リオープンは売れないの法則」と同じような理屈なので笑ってしまうところではありますが、まぁ毎回毎回似たような現象が起きているわけでして、余程外部環境が良好でない限り同償還3回目の発行というのは荷もたれ現象が生じやすい訳です。


○前月との比較

相変わらず視点がミクロなあたくしはあまりまともな割高割安分析をしないのですが、前月の10年債入札前日と比較すると10年の位置が概ね同じ(リオープンになると言っている位ですから当たり前ですが)なのに対して20年は(いい加減にいえば0.1%くらい)甘くなっており、5年や先物は、5年は0.67%などと0.6%後半だったのが昨日は0.61%、先物は単純比較(先物の想定クーポンが激しく高いので本当は7年の利回りで見たほうが良いのですが)で90銭高い水準ですのでこれもまた堅調。2年はまぁ同じところ(0.13%)にいるということですので、前月と比較してイールドカーブ全体の中で割高なのか割安なのか今一歩判りかねる所ではあります。(と、いい加減なことを言ってますが、本職に言わせるとちゃんとした割高割安分析をするに違いない)

国内の他市場環境はと申しますと、昨日の暴落が効きまして日経平均株価は1000円安く、TOPIXは110ポイント安い。ドル円は8円円安ドル高。長期金利がレンジ内で派手に動きながらも結局安定しているのは何だかんだと言って外部環境要因が債券の買い方向と売り方向になるように打ち消しあいながら動いている為なのでしょうか。

日銀の金融政策は金融経済月報、展望レポートと政策自体に変化はないけれども景気認識は強気の度合いを強くしているという訳で、まぁこちらは債券の売りというかイールドカーブのスティープ化要因な訳ですか。

だからどうかという話になるのですが、まぁ元々コアな投資家層が良く判らん10年国債なので、積極的な買い手が出てくる可能性には乏しく(ど〜せ毎月20年債が出てくるので、生保さんや年金さんは20年を買いますわな)、やはり楽観は禁物。ただしレンジ内で派手に動きつつも1.55%は何度もサポートされている訳ですので、まぁ下がっても1.55%だという妙な安心感もあります。それがまた怖いんですけどね。


という訳で今月の入札第一弾の結果、というよりはその後の在庫の消化状況に注目かと思います。まぁそう簡単に捌けないと業者も覚悟していると思いますけれどもね。

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「下げはダラダラ上げは急速」(2004/05/07)

昨日の債券相場は株価指数先物に連動というか逆連動というか債券先物が株価指数先物の下げに反応して買い戻し(なのか新規買いなのか判りませんが)が威勢良く上昇しました。何と債券先物の一日値幅が90銭となるほぼ一方的な上昇になりました。

具体的にチャートだけ並べると必ずしもそういう訳ではないのですけれども、毎日目を皿のようにして債券市場を眺めているあたくしとしては、最近の債券市場は「下げる時はダラダラと相場が下がるけど、反発する時には急騰しますな〜」という印象を改めて深くした昨日の相場でありました。

この傾向は年初の長期金利低下祭りが一服してから始まったような感じなんですけれども、特に4月以降に顕著になってきた感じであります。今までの上げ相場では「上げはダラダラ下げは急速」だったのですが、その裏返しみたいな動きになっている訳でして、まぁ自然な動きといってしまえばそれまでなんですけれども。

最近の多くの投資家様は「急騰した翌日に戻り売り」「下落した翌日に押し目買い」という極めて冷静な動きに徹しているのですが、本日売りから入るのか買いから入るのかは注目される所ではないかと思います。最近毎日のように参加してドンパチしている人って海外ファンド系の先物と銀行の大きい人たち位しかいませんですから。

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「水曜日(4月28日)はぶちきれ相場・・・・」(2004/04/30)

と言うことで相場のお話。水曜日の債券市場は荒れ模様でございまして、朝から中期債の4〜5年ゾーンが過激に売り込まれまして、逆に10年ゾーンはやたら堅調。しかも20年、30年ゾーンは軟調という事で、イールドカーブの整合的な動きという観点からするとかなーり支離滅裂な動きでありました。まぁ終わってみればまたも先物独歩高だったのですが、何をやっているんだという展開。

まぁ材料目白押しの連休を前に(早速米国GDPとイニシャルクレームで米国金融市場荒れ模様のようですが)してポジションクローズの動きがあったんでしょうが、それにしても激しく強引な相場展開でして、相変わらずマーケットインパクトっつーのをよく考えて売買しているのか良くわからんお方がおいでのようで。困ったものであります。


おまけに2年国債入札は事前のプライストークでは「まぁそのレベルは入るでしょう」と思われていた99円94銭(0.130%)の按分が僅か6%になってしまいまして、(ちなみに前場引けでの入札前売買では0.135%で取引されてましたが)またも1社が驚愕の落札をしたようであります。

落札結果発表直後に踏みあがるのかと思えば、逆に前場から無茶苦茶に相場を振らされてしまいぶち切れモードになっていた中期債ディーラーが激怒激怒大激怒!!状態になって「投資家需要が盛り上がってねぇのにそんなに一人占めするんじゃねぇヴォケ」と新発債やら既発2年債に売りをぶつけて(というか元々そんなに業者が大きくショートだったわけでもないのでしょうな)何の事は無い入札前よりも気配が弱くなってしまいました。

3月の日銀による国債買入実績、要は週3000億円ずつ行われている輪番オペでぶち込まれている国債を見ますと、買入総額1.2兆円のうち7000億以上が2年国債でして、まぁ元々2年国債に爆発的なニーズがあるわけではない(あるなら7000億円もぶち込まれません)っつー事です。

毎回2年債の入札が妙な盛り上がり方をしますが、別にその後踏みあがる所も無い訳でして、要するに皆さん欲しいのは「入札実績」であって「玉そのもの」では無いということなんでしょうな。確かに今後のことを考えると早いうちに入札実績を稼ぎたいところなんでしょうけれども、入札後1分も持たずに価格が崩れるような入札をする行動がプライマリーディーラー制度導入の本旨に叶っているのかどうかという事に関してはもうちょっと考えた方がいいのではないかと思うわけでありますな。まぁそこまで財務省も細かくチェックできないでしょうが。

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「5年債の空中戦」(2004/04/28)

昨日の債券相場の主役は先物(というか7年の現物債)でありました。どうも強力な買いが入ったようでして、一昨日はとてつもなく上値が重かった先物が一夜明けるといきなり独歩高モードと相成りました。まぁ日替わりで強くなるゾーンが交代するのは勘弁していただきたい所ですが、相場がボックス圏になって投資家様(除くディーラーみたいに動く人)の商いが低調になってくると「日替わりイールドカーブ」という動きなるという傾向がありますんで、要するに今の相場が思いっきり「商いの薄いボックス圏相場」になっていると言う事でしょう。

そんな中で、最近日々大暴れするのが5年債であります。先週末からその傾向が顕著なのですが、日中に5年債の売買が交錯しているようでして、5年ゾーンの値動きが他の年限と比較するともう激しい激しい。下手をすると日中のイールドカーブの動きの方が先物の値動きの方がでかいという場面もありますな。

5年ゾーンは銀行業態の主戦場になっておりまして、戦場には強力兵器でばっかんばっかん撃ち合いが行われているようなのですが、平和愛好家のあたくしと致しましてはあまり撃ち合いに提灯をつける気も起きず毎日唖然としながら眺めております。その見ているだけの感想ではあるのですが、先週金曜日にはリアルの大口売買のぶつかり合いだったようですが、それ以降はどうも大口売買がぶつかっているわけではないようですな。で、どういう状況になっているかと申しますと、中期ゾーンが大戦争モードになってしまっているので業者が余計な手出しをしないというスタンスになってしまい、本来そこまでマーケットインパクトがね〜だろ〜と思われるようなロットの売買でも簡単にぶれてしまうという困った状況に陥っているようですな。

先物も先ほど申し上げたように独歩高になったり独歩安になったりするのでヘッジに使いにくく、おまけに中期債の値動きが激しいということで、常に市場に強制参加状態のマーケットメーカーと致しましては血圧が上がりっぱなしの状態であります。ヘッジが効きにくい状態な上に尚もヘッジがしにくい債券で撃ち合いをしていただくのはあたくしの健康の為に勘弁して頂きたいものです(^^)。

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「いつもの相場雑感」(2004/04/27)

見事にネタが無いので相場を見ながら考えた事をつらつらと。

○相変わらずのダラダラとした相場

昨日の債券市場、現物債の受渡日が4月30日で、本日の受渡日が連休明けの5月6日になることもありまして結構な買いがあるのではないかと期待されておりました。で、昨日は輪番オペという「日銀様3000億円お買上げ」までもがあったのですが、蓋を開けてみれば超長期ゾーンや中短期は堅調でしたが、債券先物やら長期ゾーンはやたらと重くて終わってみれば前日比16銭安と、見事に拍子抜けの展開でありました。先物の売買高も13381枚とやたらと盛り上がりを見せた先週末の半分近くになっておりました。

まぁ平均株価が上昇した割には下がらなかったというお話もあるのですが、NRI-BPIが0.09年延びると言う事や連休のキャリー取りの動きへの期待が大きすぎたのかも知れません。


で、相変わらずの相場ですなぁと思うのは現物債の動きであります。前場は3年ゾーンも5年ゾーンもしっかりしているのに4年ゾーンの5年25、26回債だけやたらと売られ(実弾で売りが出たのか、4年の預金保険機構債の発行に絡むヘッジなのかは不明ですが)、後場では先物(7年)と5年よりも6年ゾーンの方が堅調だったり(引け値ベースではイールドカーブは綺麗に引かれていますが)というように、特定の年限が前後と関係なく強くなったり弱くなったりしておりまして、まぁ引き続き「動意薄の中で一部の売買で動いていますな〜」という展開になっております。

特に相場が戻った後にこの傾向が顕著になっているのは、多くの投資家様がひたすら「ターゲットが来ると買うけど、来ない限りは何もしない」という方針に徹している事の反映なのかな〜と思います。下がりゃー買いが入るのですが、別にキャピタルゲイン狙いの動きではないので、上がると買いが細ってしまい、ダラダラと時間が経過するうちに入札があるって感じです。

外部環境が外部環境なだけに、攻めの債券投資をする雰囲気ではない(一部銀行業態のおおどころで頑張っておられる人もおいでのようですが)ので、償還+新規資金流入VS国債発行という静かな対決となっているのでしょう。どうも国債発行の方が優勢のようで、気が付けば「1.5%では買いが入る」だった筈の10年は「1.5%割れは中々厳しいですな」になったり「0.6%乗せは堅いですな」って5年債は「0.6%前半はやはり重いっすな」となっている訳で(^^)。

一応3月終わりからの「スティープニング+相場下落」という流れは止まっているような雰囲気ですが、どうも引き続きぱっとしないようですな。

#何て書いたら相場大反発したりして(汗)

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「20年債入札レビューと相場を動かす勇者」(2004/04/23)

昨日の20年国債入札、前場引け時点での既発債の気配から算出される適正と思われる価格やら事前のプライストークよりとてつもなく強い結果になりまして、こりゃまたビックリという入札でありました。

落札結果発表前には妙に煽りを入れる動きがありましたが、結果発表後は「20年入札が順調」→「買わない理由がなくなりました」→「では中期債でも買いますか」という謎の(気持ちはわからんでもないが)論理展開で中期債に買いが入り、先物と3年〜5年が引っ張って相場が持ち上がるという業者泣かせの展開になってしまいました。

入札が割高な上に結果発表後に別のゾーンに買いが入って相場が持ち上がってしましましたので、肝心の超長期債が売れずにヘッジが担がれるとはまた血圧の上がる展開でありますが、おまけに一晩明けたら米国株式が上昇と言う事で、ヘッジを軽めにした人も頭が痛いという心温まる展開になりましたな(金利も低下しているからどっちに反応するのか激しく謎ですが)。


最近いつも思うのですが、今は経済状況から考えて債券投資を「攻め」の姿勢で行う時代では無い訳でして、即ちキャピタルゲイン狙いではなくて債券投資の本道でありますインカムゲインをどう効率的に取っていくかってお話だと思うんですな。

そんな中で相変わらず一部では自分で相場を持ち上げたり叩き落としたりするような派手派手売買をする人、っつーか大手銀行さんなんですけど、まぁそんなお方がおいでな訳ですな。めっきりキャピタル狙いの売買ってのが減ってきている中で相変わらず「攻め」の債券投資の幻影から抜けられない一部の勇者が売買すると、売買の出たゾーンの債券が何か親の敵のように買い上げられたり売り叩かれたりするので、実に香しい展開を示してしまうわけです。冷静に売買する投資家様にとっては絶好のカモですので、まぁ勝手に暴れてもらった方が良いのでしょうけれども(^^)。

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「新たな居場所を見つけた債券相場」(2004/04/19)

金曜日の債券市場は先物と20年だけが安いというイールドカーブという点で考えれば実にまぁ不思議な展開になりました。で、引け際には突如20年債もしっかりという動きになった後、引け後はまた20年失速という動き。

世の中で言われているのは(というか現物債の板気配を見るとそのまんまなのですが)20年債売り→10年債と30年債の買いっつーのと7年(または先物)売り→5年債と10年債の買いってのが入りましたという事のようです。引けはまた例によって長期化(あるいは新規資金設定)に伴う引け値ギャランティー取引の買いがあったということで。


最近の債券市場の特徴として、普段落ち着いている時には入替売買の動きがまともにマーケットに出てみたり、引け値ギャランティー取引によって買いが入ったゾーンが引け際に突如強くなってみたりという動きが見られるようになります。投資家様がキャピタルゲイン狙いの売買に動かずに、インカム収入を取りつつ割高割安を見ながら割高なものを売り割安なものを買うという動きに徹している事が要因な訳ですが。

期初からの債券市場は何だかんだと言いながらも株価上昇に日銀の景況感の強気化、国債入札への懸念ということでイールドカーブのスティープ化と相場全体水準の下落という形になり一応トレンドらしきものを形成して動いておりました。

で、5年入札前後から137円を挟んで上下40銭でやたらと不安定に上下する動きが続いていたのですが、金曜日は先ほど申し上げたような相場展開を示した事は、債券相場もようやく期末期初から続いた下げ&スティープのトレンドも終了して現在の位置でそれなりに落ち着いた展開になってくるのではないかと思います。

・・・・・と書くと良く外すのですが。

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「相場メモ」(2004/04/15)

本題に入る前に相場の話。一昨日は5年国債入札のタイミングで10年、20年国債に投資家様の買いがお入りになりましたが、この買いのタイミングが絶妙(あるいは最悪)であって、業者のショートとかヘッジが一掃されてしまったというお話を昨日しましたのはご記憶にお有りかと思います。

で、その晩に米国の経済指標で俄かに早期利上げ観測が爆発して米債絶賛下落となってしまい、米株は下がるも日本株はあまり下がらんという状況においては当然ながら国内債券相場は下落モードとなってしまう訳であります。まぁ余計な買いのせいでショートを一掃してしまったのが下げの勢いをつけてしまったということでありまして、もはや笑ってしまうしかありませんな。

で、本日は30年債入札。5年債入札で変に相場が戻ってしまったのが災いしそうな雰囲気であります。ちょうど先週末にテロ懸念で相場が妙に戻ってしまった後に5年入札に向けて下落してしまったリズムと同じような感じですな。どうなる事やら。

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「5年国債入札レビュー」(2004/04/14)

入札は直前のプライストーク通りの結果という感じでして、市場推定の落札業者の顔ぶれを見ておりますと、まぁ銀行主体の落札となっているという感じでしょう。量的緩和政策が当面継続するというのは上下をやった挙句にやっと0.10〜0.15%で落ち着いた2年債の動向にも現れていますが、この辺の金利が時間軸に関する市場の見方を反映しております。つまり、2年債のカレントものの金利がぶれださない=時間軸に関する見方が安定しているという事ですので、その限りにおいて、さすがに5年の0.7%は投資に値するという事なのでしょう。

入札はやたらと割高に見えますが、まぁ昨日の場合は前日から下げていた相場でして、5年ゾーンの気配も前場引け間際にやや安くしたという事もありまして、業者の事前ヘッジもかなり入っていたと思われます。思ったよりショートカバーの札もあったという事でしょう。

○入札結果は良好でしたが

さて、落札結果は直前予想通りで「入らなかったカバー」が入るとは到底思えない内容だったのですが、何故か先物が威勢良く上昇。そのうち20年債を中心に長期ゾーンがいきなり派手派手に強くなりまして、一時は5年は全然上がらないのに先物は景気よく上昇という所謂「ヘッジ股裂き状態」という大変に血圧の上がる展開になりまして、別に先物でヘッジしている訳でもないあたくしの血圧も先物の上昇と共に絶賛急上昇しておりました。

まぁ業者間気配を見ただけで「これは20年債に買いが入りましたな〜」という感じなのですが、30年債入札を前に何となくショート気味になっていると思われる(もしかしたら30年はまだ在庫が苦しいのかもしれませんが)所で買いが入るとは相場水準的には非常に理解できる動きですが、性格の激しく悪い買い方でした。

結局現物を持っていかれた業者ショートカバー以上の買い(=上がったのを見て追随買いをする投資家さまの買い)は存在しないので、引けにかけては何となく全般的にしっかりという展開になったようでございまして、あたくしの血圧も低下するというものであります。

という事でして、「5年国債の入札結果が良好で相場が上昇した」という後講釈は微妙にずれていまして、単に割安な20年国債に強力買いが入ったのがタイミングよく(あるいは悪く)新発5年債ヘッジのカバーを誘発したというのが正解かと。

その後相場上昇を見て5年新発にも買いが少々入ったというのは業者間気配を見る限りは本当ではないかと思いますが。


というのが昨日の相場講釈。

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「5年国債入札」(2004/04/13)

先週末はテロ懸念、というよりは一旦利食いを入れる言い訳ができたので株式市場が下落したという感じでしたが、結局週初は日米共に株価上昇と相成りました。よって先週末上昇した債券市場はまたまた下落となっております。

本日の5年債から絶賛増発入札が始まります。0.7%クーポンという事でまぁそれなりに消化は可能だと思うのですが、じゃあ大手銀行さまがどの位積極的に残高の積み増しに動くかという話になりますと、株価というか景気への見方次第となるでしょう。

昨日はさすがにだいぶ話題になっていましたが、日銀の金融経済月報では景気判断を前進させていますし、まぁ株価も本格下げの気配なし。という事になりますと、別に今から渾身の買いを入れなくても良いというお話になるので入札でドカンとぶち込んでその上まで買いあがるといった気合の入った買いは中々難しいかと思います。

とは言っても、10年債買う位なら一時的に資金をこのゾーンで運用しておいて相場下落のタイミングを見ながら徐々に長期債に入れ替えていくというオペレーションも魅力がありますので、とりあえず大崩れはないかと。

問題は皆が「まぁ何とかなるでしょう」と思っている所なんですけど。結局業者の持ちになった場合、益々先物にヘッジ売りが入る事によって、将来的にヘッジの解除や掛けなおしといった動きで先物が乱高下しやすくなりそうですな。

ま、正念場は正念場であります。30年債の方がもっと寒そうですが、こちらはあまり真面目にウオッチしていないのでコメントは控えさせていただきます。

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