金融政策概観(2007年度上期分)

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2007年上期

2007/09/27「フェイル雑考/CPオペ実施」
2007/09/26「ベースマネーコントロールはあくまでも金利操作の結果であります」
2007/09/25「ゆうちょ銀行の準備預金上の扱い/米国利下げで長期金利上昇」
2007/09/21「FBがやたら強いですね/慎重な見極め発言が目立つ総裁定例記者会見」
2007/09/20「金融政策決定会合レビュー」
2007/09/19「FOMCは0.5%の利下げでした」
2007/09/18「さて決定会合です」
2007/09/14「目線が変ってきました(笑)/利上げ経路を大予想」
2007/09/13「半年前に戻った相場/15年変動利付国債の話続き」
2007/09/12「15年変動利付国債の受難(国債市場懇談会から)」
2007/09/11「利上げ思惑益々盛り下がってまいりました/国債市場懇」
2007/09/10「雇用統計キタコレ/与謝野官房長官外準積極運用を斬る」
2007/09/07「ECB利上げ見送り/OISの利上げ織り込み度合い/その他」
2007/09/06「何というこの運用圧力/その他」
2007/09/04「与謝野官房長官の発言」
2007/09/03「格付け雑感」
2007/08/30「FOMC議事要旨/GCレポだけ妙に高いのですが」
2007/08/24「票決は8対1/ヘッドラインで動く慌て者/米国の動きに既視感が(苦笑)」
2007/08/23「利下げの噂で米国短期債が暴落するとは/決定会合プレビュー」
2007/08/22「さすがにレポレート低下/TIFFEの上場新商品/ロンバートは鬼っ子?」
2007/08/21「週明けもレポ高止まり/連銀貸出について(その2)/格付け雑考」
2007/08/20「株価下落の中での17日相場/FEDのマル公下げその他」
2007/08/17「GCレートがやたら高いです/その他金融政策雑談」
2007/08/16「積み最終日も大変でした」
2007/08/15「BOJとECBの資金供給に関して」
2007/08/14「さすがにキャッシュ化一服か/資金供給雑考再び」
2007/08/13「金曜日の相場レビュー/ECBの資金供給雑考」
2007/08/10「あちこちで盛り上がってまいりました!!」
2007/08/09「3か月FB入札も流れる/大田大臣発言は無問題でした/中川幹事長雑感」
2007/08/08「急にFBレート上昇/なぜか総裁発言を引用する大田大臣」
2007/08/07「結局株価次第でしょ/日銀総裁人事床屋政談」
2007/08/06「早速日銀総裁人事に干渉する民主党/一般債のスプレッド拡大」
2007/08/03「またまた相場雑談とサブプライム雑談」
2007/08/02「福井総裁の悪運は尽きず?その他」
2007/08/01「相場点描とサブプライム関連」
2007/07/31「8月利上げ織り込み50%/CPIの刈り込み平均」
2007/07/30「選挙結果雑談と金融政策への影響勝手読み」
2007/07/26「FB入札利回り低下/8月利上げをスキップすると・・・」
2007/07/25「なおも下がるオペ金利」
2007/07/24「オペレート益々低下」
2007/07/23「久しぶりに動意づいてきました/日銀のオペの打ち方が妙です」
2007/07/20「ロンバートに関する雑談」
2007/07/13「決定会合レビューいろいろと」
2007/07/12「さあ決定会合です」
2007/07/10「景気ウォッチャー調査/最低賃金引上げ論議」
2007/07/09「英文で見ると益々解釈が難しい第2の柱」
2007/07/03「予想ど真ん中の日銀短観」
2007/07/02「四半期ごとに期末とはこれいかに」
2007/06/28「内閣府のロジックは正直よーワカラン」
2007/06/27「BISも第2の柱を勘違い」
2007/06/22「必見!第2の柱の正しい理解はこうなのでした」
2007/06/21「4月27日決定会合の議事要旨から」
2007/06/18「決定会合で大ショートカバー相場」
2007/06/15「中短期の逆襲/人のふんどしですが」
2007/06/14「相場雑談その他雑談」
2007/06/13「藤井財務事務次官会見/先日の福井総裁発言フォロー」
2007/06/12「5年国債入札プレビュー/決定会合プレビュー続き/サーバーのヘドニック」
2007/06/11「こんなに動くとは驚きです/決定会合プレビュー」
2007/06/08「先物出来高9兆円とは」
2007/06/07「8月利上げ100%織り込みですな」
2007/06/06「色々とあった相場でしたので」
2007/06/05「さて10年入札と6か月FB入札ですが」
2007/05/31「8月利上げ織り込み度合いは80%強ですかな」
2007/05/30「注目したい3か月FB入札」
2007/05/29「国債市場懇で30年債ストリップ利息の買入消却話が」
2007/05/28「CPIで利上げ予想時期がちょっと前倒しになったかな」
2007/05/24「国会でのNHKフライング報道論議再び」
2007/05/23「4月会合でロンバードの回廊幅問題が議論されていたようで」
2007/05/10「利上げ警戒モード?/レポ指標レート公表へ」
2007/05/09「相場が動きませんなあという話」
2007/05/08「相場には影響なかったけど論点はあった3月会合議事要旨」
2007/05/02「それほどタカでも無さそうな総裁記者会見」
2007/05/01「やや弱気になった展望レポート」
2007/04/27「展望レポートを予想してみよう」
2007/04/26「先行き悪化の前に駆け込み利上げという珍説を斬る」
2007/04/24「8月利上げ説、否定はしないけど難しいと思うぞ」
2007/04/23「衆議院財務金融委員会での半期報告質疑」
2007/04/20「利上げ観測相場は1日だけだったのかなあ」
2007/04/19「利上げ観測とはこれまた面妖な」
2007/04/17「内閣府も消費底打ち」
2007/04/16「物価認識の非対称性再考」
2007/04/11「金融経済月報に見る物価認識の非対称性」
2007/04/09「決定会合の注目点」


2007/09/27

○フェイル雑考

昨日期末のレポ状況に関して駄文を少々書きましたが、どうも知人友人から教えて頂きました所、「特に期末だから全くどうにもならない」という銘柄がある訳ではなく、どうも特定銘柄でバッドフェイルをしている人がいて、それが期末とぶつかってややこしい事になっているようですな。

なんつうかね、確かにまあ受渡でのフェイルと赤残を意図的に埋めないフェイルって外から見てると区別つかない(強いて言えば振替国債の寄託機関でありますところの日銀なら判ると思うのですが)のですけど、本来SCのレポを埋めるのはマーケットメークしてる(プロップだってそうですが)業者として責務だと思うんすけどね。いやまあてめえが赤算放置して顧客との関係でややこしくなるだけなら勝手にどうぞなのですけど、そーゆー輩に限って相手方が業者だったりして他の業者を巻き込んでしまったりう訳でして、まあ如何なものかと思うのでありますが。

まあフェイルの慣行に関しては業者だけではなくて最終投資家(「フェイルしたら出入り禁止」「フェイル3回やったらオペ出入り金利禁止」のような物理的なペナルティーよりは経済的なペナルティーの方がバッドフェイルの抑止になると思うんだが)もより一層考えていかないといかんように思えるのでありますが、まあ突きだすと結構利害関係者(というか行儀の悪い人)の間でややこしい議論になる悪寒。

ということでまあ書いてみただけなんですけど(おい)。

#要はね、昔みたいに「ループ取引おっけー」にしてくれりゃ問題大軽減と思う次第。そういう意味で言えば現物株式の制度信用における「零銭」「逆日歩」って(要するに株不足)のは天才としか言いようがございませんですわなと思うのであります。


○CP現先オペ実施ですかそうですか

昨日はCP買現先オペ実施。3000億円のオペで9月28日〜11月14日という期間でしたけど、応札は3693億とまあ低調でございます。

いやまあいざという時のためにオペを温存するのは判らんでもないのですけれども、オペってある程度恒常的にやってくれませんと、特にCPの場合は応札する玉の問題もありますのでどうなんですかと思う次第でありますが、そもそも論として企業の格付け絶賛向上の流れが続く中でCP市場は甚だ安定的というか正常化というか、実に真っ当な値付けになっている(TB/FBの方が「国債というモノ」を買いに来る人がいるので歪むケースが・・・・^^)ので、別にまあオペ自体イラネという気もします。とは言え、世の中何が起こる判らんので、CPオペのノウハウを残しておくという意義があるんでしょうなというのも理解はしてますけどね(^^)。

そういや共通担保の27日スタート1日エンドの1兆円のレートが平均0.688%って割と確り目ですな。末初が0.74%位のイメージになると思う(計算間違ってたらゴメンナサイ)んですが、ロンバートに行けば0.75%で借りれるのだからオペでそこまで上に行く必要があるのかにゃあとも思うんですが、一気にロットを捌くにはオペが便利ですから使うってことなんですかね。よーわからん。

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2007/09/26

○おまけの余談にしては重い余談

本石町日記さんのエントリーですが、注目はコメント欄。

http://hongokucho.exblog.jp/7470766/

コメント欄でオモロイ話になってると思ったら例によって話が噛み合わないまま終了してますな。残念無念。

実務的には準備預金残高を積み最終日にちょうど終了するように(追記:ここの表現変でした)するようにではなく、余るように(かつての時点決済時代ならきちんとトン調節でしたが、現在はRTGSの資金繰りバッファーとかもあって一定のブタ積みがある。また準備預金のキャリーオーバーが有りの場合ちょっと違いますけどその話までするとややこしいので割愛)増やした場合、預金ファシリティ金利近傍(日本や米国だったら預金ファシリティが無いのでゼロ%ですわな)に短期金利が必然的に低下しちゃうというのは積み最終直前に国際協調(??)でやたら資金供給した結果積みが進捗し過ぎて積み最終日にコールがゼロ近辺まで下がりやがった8月の積み最終近辺の動きがまさに実例だったと思うのですけれども・・・・・

で、もっとうだうだ書こうかと思ったのですが、そのうちネタ切れになったらちゃんと整理して書く事があるかも知れません。lukeさんのコメントにあるように「金利操作をすると結果としてタイムラグを伴いベースマネーに変化が起きることになるでしょう」というのが現在あちこちで行われている準備預金制度を利用した金利操作手段で取ってる実務的なお話だと思う次第。

つまりですな、準備預金制度を利用した金利操作をしている時には「直接」ベースマネーを操作するのではなくて、金利操作の結果(世の中のマネーに対する需要に変化が生じるはずなので)ベースマネーが変化することもあるでしょうという途中に色んなクッションが入っているラジコンというか何というか、そういう動きしかできないんですという話だと思うんですけど。

#書いてて説明しにくくなってきたのでよく整理して出直してきますかも知れないっす

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2007/09/25

○まもなく郵政民営化ですが・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/nt_cr07/ntyucho0709a.htm

要するにゆうちょ銀行の準備預金分については別書きで「その他」扱いしますよというお話。ゆうちょ銀行発足するけど資金繰り管理の面で他の金融機関並み(一部の外銀とかでもたいがいアフォかという動きをするのも暫く前にはいましたけどその比では無さそう)の管理はできませんという事でありまして、綿貫センセイあたりが「それ見たことか」と喜びそうなネタではありますが、まあこんなマニアックな話では世間様へのアピールも出来ませんし、そもそもこの話の意味する所も何のコッチャでしょうから(^^)、ちょうど世の中が自民党総裁選モードでよかったですねということで(本当か?)。

実務上は極めてまともというか、こうするしか無いという施策ですので、これ自体は適切なのですけれども、こーゆー事になるという時点で郵政民営化のやり方が拙速に過ぎたんじゃないのかと思う次第でありますな。郵政三事業に関してはナショナルミニマムとして必要な部分を国営化して、他の部分に関しては規模縮小(ということで、郵政解散の時に民主党が「郵貯の規模縮小で預入限度額を半減」という施策は賛成してたんですけどねえ)が筋だったんじゃねえのと相変わらず思ってるんですけどねえ。

などと書いておりましたら、例によって本石町日記さんが既にエントリーをあげておりますので、そちらもご参照(とか言わなくてもご覧になってると存じますが^^)されるのが吉かと存じます。まああまり暴れて民業圧迫するのだけは勘弁して頂きたく存じますが、フツーの金融機関になったら利用者的には別にメリットねえような気がするんですけど。

しかしこの話って郵政の公社化時点で当座預金目標をテクニカルに2兆だか3兆だか引き上げたときに「量的緩和が終わったら郵政公社の準備預金が判らないと皆さんの過不足が判りませんって事になるんでしょうかこのままだと」とか駄文を書いた覚えがある(過去ログには無いかもしれませんが)のですが、そのときから結局ろくすっぽ進展してないですねってお話でありまして、(ついこの前までゼロ金利だったコールの部分で資金繰りの精緻な管理の為に投資するのは物事の優先順位からして後になるのは重々承知していますが)ナンノコッチャと言ったところでございますです。はい。


○末初レート(国債は)落ち着くの巻

先週末のGCレギュラーネクストは27日スタートの翌日物でして、本日の国債レギュラー渡しは28日で中間期末になるのでありますけれども(早いね)、27日スタートのGC取引も特にレートが盛り上がるでもなく0.6%近傍での取引らしいですわな。んでまあ末初のレポも0.75%とかでやってるらしいので、極めて順当かつ盛り上がりの無い展開でありまする。金曜日は国債買現先が実施されましたが、こちらもレート落ち着いてまして、水曜の共通担保と比較すると末越えで期間短くなっているのにレート低下ということで、まあGCレートが落ち着いているというか順当な数字になっているのと平仄を合わせる感じ。

ただまあCPとかの現先レートはやや確り目で、末越えのコールは気配がよくわからんですけれどもそんなに下がってなさそうな感じでもありまして、要するにファンディング付きやすいものとかの金利は上がってもロンバートが頭で、無担保とかの金に関しては今週になってもうちょっと動きが出てくるのでしょうかというような話になるんでしょうかにゃ。

SCレポに関しては一部の特殊銘柄でエライコッチャになってましたようですが、あまりこう全体的に大変という話は聞きませんな。まー6月末の時と違いまして、債券相場の水準がだいぶ違う所におりまして、投資家様がどっちかというと戻り売りモードで市場にそもそも流動玉が多いという状況がございます(その分短期国債などに皺寄せが逝ってて3か月FBが凄まじい事になっている訳なのですが)ので、まあ良かったですねという感じでありますにゃ。

余談ですが、昨年の相場はゼロ金利解除まではもう物凄い勢いで利上げが続くのでエライコッチャとか逝って相場下をやらかしましたが、ゼロ金利解除後は織り込み過ぎて下がりすぎた相場が戻るわ、CPIが市場予想以上に下に改定されるわという事で、年の前半下げの後半上げという感じでしたのはご案内の通り。で、どういう事が起きたかと申しますと、年前半はカレントとかやたら買いが多くて常に強い展開になり、年後半はカレントの買いが下がらないと来ないの巻きになり常にヘロヘロの展開となってましたが、はてさて今年はどうなるのやら。


○何かスティープしやがってますが

米国利下げ以来先週は米国金利がいい感じでスティープしやがりまして、さすがに今週は落ち着いてきたようですが、先週は利下げしてから3か月TBの金利は低下する一方で10年国債金利は20毛くらい上昇するの巻となりました。

いやまあ今回の措置はあくまでも「信用市場への対応」がメインで「それが景気に対する予防的措置」なので、短期金利を下げることが大事なんでしょうけれども、米国市場のテーマが「インフレ懸念でスティープニング」になっちゃったのは皮肉としか言いようがございませんで(運悪く原油価格が上昇してたのもありますが)バーナンキ先生大変ですわな。

そんな米国金利上昇を受けて日本の金利も中長期金利は気持ちよく上昇しやがりまして米国利上げが伝わって以来債券先物は148銭も下がるわ、10年カレントは18日の引け1.525%から21日引けで1.675%と15毛上昇するわとこちらも上昇の巻となりましたわな。まあグローバルスティープニングとか言うのかも知れませんけど、米国は確かに原油価格上昇すると直撃食らいますし、ドル全面安も進行してますし、気持ち悪いには気持ち悪いのかも知れませんけれども、少なくともドル全面安では日本に輸入インフレは発生しませんし、そもそも日本のインフレ懸念って何ですかって話ですから、一緒くたにするのは如何なものよという感じが致しますです。

まー米国のカーブの動きも止まったような感じですので、落ち着くんジャマイカとは思いますけど・・・・・

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2007/09/21

お題「だいたい総裁記者会見」

総裁会見の前に何となく短い所のお話でも。

○FB入札とか

昨日の3か月FB入札ですが、平均落札価格が利回り換算で0.555%で最低落札が0.560%という結果でして、何ですかそりゃというレートでしたが、その後またまた強くなって日本相互証券の引けは0.545%なんですけど出合いベースでは0.54%ということで、あの一応所有期間のファンディングコストとか考えて欲しいんですけどそのレートと逝った所では存じますところで(涙)。

ということで、このあたりに関しましては現状では「利回り商品」じゃなくって「モノ」状態になってるの図っぽくなっておりますが、まー運用資金が余ってるのがチョー短い所に来てしまっているようでして、1年以内のゾーンに関しては国債と名が付くものがやたら堅調で、その流れで高格付けの一般債も堅調という有様でして、誠に香ばしい展開となっております。期末越えのあたりも10月償還のFBとか今週になってちょっと気配が弱くなってましたけど昨日は反転ということで、いやあ何かとにかく強いですねえという状況ですにゃ。

まあ何ですな、ここもとのECB利上げ停止、FRB利下げという動きと、サブプライム訳判らんモードということで、日本の金融政策に関しても時間が止まってしまいましたなあ(チャンスがあるのは12月ですかね)ということで、特に金融政策に左右されるチョー短いゾーンはエセ時間軸と申しますか、亜空間と申しますか、まあ何か妙な空間に入ってしまいましたなあと逝った所でございます。ナムナム。


ということで総裁記者会見ですが・・・・

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0709a.pdf

まず読んだ印象を申しますと、複数のメディアでは「日銀総裁は利上げ姿勢崩さず」ということでまだまだ早期利上げの意欲満々っぽい報じられ方ですけれども、会見要旨を見ておりますとやたらと「慎重に見極める」「不透明要因」を持ち出しておりまして、ヘッドラインで威勢の良い発言として報じられている部分はどっちかと言いますと、質問者が「もう利上げできないでしょホレホレ」というのに対して(本音は本音なんでしょうが)「言わされてる」発言という感じを受けたんですけど(^^)。




○最初の説明部分が留保つきモード

毎回そうなのですが、会見の冒頭は今回の決定会合の結果と背景の説明になります。で、その説明部分なんですけれども、今回は留保つきモードが目立つ印象です。物は試しに前月の同じところと比較してみる(全文引用すると長くなるので一部になっちゃいますんで、ちゃんと見たい場合は日銀サイトへおねがいしたく)のでした。

『本日の決定は多数意見を背景とするものですが、多数意見では、経済・物価情勢について、これまでに公表された経済指標から、わが国経済は引き続き緩やかに拡大していることを確認しました。一方、金融市場においては世界的に不安定な状況が続いているほか、米国経済の下振れリスクが高まるなど、世界経済について不確実性が増大しているという認識です。従って、金融市場や世界経済の動向を引き続き注視する必要がある、との判断となりました。』

このあたりですが、前月会合時ではこんな感じでした。

『その背景となる経済・物価情勢についてみますと、前回の政策決定会合以降、あるいは前月以降、いくつかの指標が明らかになり、日本経済は引き続き緩やかに拡大していることを確認しました。その一方で、金融市場は、世界的に振れの大きい展開となっており、その影響を引き続き注視する必要があると判断しました。』(8月23日総裁会見)

ということで、金融市場限定の「振れの大きい展開」だったのが「米国経済の下振れリスクが高まる」「世界経済について不確実性が増大」に昇進(?)していますので、金融経済月報ではしらっと「全体として」となってた所ですが、実はリスク見てるのねと言ったところでありましょうか。

同じ発言の続きですが、こんな感じで留保つき発言が増えてるなあという感じをこの字面見てると受けます罠。

『企業部門の状況については、来月初の短観で改めて確認していきたいと思います。』

『一方、冒頭で述べましたとおり、世界経済を巡る不確実性は増大している状況にあります。私どもとしては、今後公表される経済指標や情報、内外の金融市場の状況等を引き続き丹念に点検し、見通しの蓋然性とそれに対するリスクをさらに見極めたうえで適切な政策判断を行っていきたいと考えています。』

ちなみに、2番目の方は冒頭発言の最後の部分になるのですが、この部分も前月と比較するとやはりトーンダウンを印象つけられますわなあという感じで。

『今申し上げましたとおり、日本経済は生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持される中で、先行き、物価安定のもとで息の長い成長を続けていく蓋然性が高いけれども、今後公表される指標や情報、内外の金融市場の状況などをさらに丹念に点検し、見通しの蓋然性とそれに対するリスクを一層見極めた上で、適切な政策判断を行っていきたいと考えています。』(8月23日総裁記者会見)


○FOMC関連

会見要旨の5ページから6ページのあたりですが、FOMCの結果を受けてどうよという質問に対する総裁の答。ちと長いので適当に段落分けしつつ当該部分を引用します。

『それから、米国経済の方ですが、FOMCのステートメントをご覧になったと思います。日本時間では今朝早く出たものですが、これは日本語で言えば、金融市場の混乱から生じるかもしれない経済全般への悪影響を未然に防ぐという書き方になっています。8月以降の金融市場の混乱が、もはや米国の実体経済に強い下振れの効果を及ぼしつつある、という判断に立っているわけではないと思います。』

『「Today's action is intended to help forestall some of the adverse effects on the broader economy」となっており、つまり経済に悪い影響がいくらか及んでくることに対して、先回りして手を打つという、そのような感じの表現になっているわけですので、FRBは将来の不確実性というものを認識していますが、確実に非常に悪い状況になるというところまで判断しているわけではなさそうです。』

とこの辺までは「明確な下向きではない」となってますが・・・・

『私どももほぼFRBと同じような見方に立っており、これまでのところ住宅市場の調整は、事前の予想よりは少し延引気味、遅れ気味であると。現在も米国の住宅在庫の水準はなお非常に高いわけですので、これからも住宅調整の期間はそう短期間のうちには終わらないかも知れない。』

『その過程で米国の住宅価格に対する下押し圧力がさらにどの程度出てくるか、住宅価格の上昇速度が鈍ったり、あるいは場合によっては下落するという場合には、いわゆる逆資産効果を通じて米国の個人消費に影響が及んでくる可能性がある。』

逆資産効果キター!

『そのリスクがあるということですので、リスクの筋道というものを頭の中に置きながら、これから米国経済の調整過程がどのような形で全うしていくか、かつまた時間的な距離はどれくらいの幅を持って見ておけば良いかということを、これからしっかり読まなくてはいけないということではないかと思っています。現在のところ、少し当初の予定よりは時間はかかるかも知れないけれども、いわゆるリセッションに至るということではなくて、いずれ経済が底を打って米国経済自体の潜在成長能力近傍に緩やかに成長が戻っていくという標準シナリオは崩れていないのではないかと見ています。』

ということでして、ポイントは「時間の距離が伸びました」ということなのかなあと勝手に理解した次第であります。



○日本経済の下振れリスクは否定するけど留保つき

日本経済の下振れリスクが高まっているのかという質問に対する答えの部分(9ページ)から。

『日本経済については、足許までの動きは概ね展望レポートで示した標準シナリオに沿って動いてきており、これから先もそれから外れることなく、物価安定のもとで緩やかではあっても息の長い成長が続く蓋然性が高いという点では判断は変わっておりません。ただし、日本経済を取り巻く環境と世界の金融市場、そして世界の経済、特に米国経済、といった環境要因に不確実性が高まっているということですので、その相互作用がどのように出るかということは従来以上に慎重に点検していくというように申し上げております。』

ここでも慎重に点検というフレーズが出てますが、大体こう「言わされる」部分以外では「標準シナリオ通りだけど時間の距離が伸びたand/or不確実性が増した」とういうトーンになっている希ガス。



○威勢の良いヘッドラインを打たれた質疑応答を

要旨12ページから13ページの部分になります。これは質問も引用するだよ。

『(問) 先程の金利の質問にも関連しますが、現状の金利水準について以前総裁は、金利が変わらない状態が長く続いた時のリスクとして、市場に歪みを生じたり、あるいは安定した成長を目指す中で波を起こすリスクを説明されましたが、現状そのリスクは、後退してしまったのか、変わらないのか、あるいは増大しているのか。また、先行きについてこのリスクが増大する可能性があるのか、変わらないのか、といった足許と先行きについて、このリスクをどのようにみておられるかお伺いします。(後半割愛)』

これは良い挑発(^^)。

『(答) まず前者のご質問については、先程の質問に対して、一定の具体的なあるべき金利水準というような意味での目指すべき具体的なレベルは意識していないと申し上げました。そのように申し上げましたが、現状の金利水準は、実質2%前後で安定的に成長し物価は極めて安定した状況にあるという経済の実勢との対比でみれば、やはり相当低いところにあり、この大幅に緩和的な金融環境が提供され続けているということは否めない事実です。』

『こういう状況がいつまでも続くという認識が市場に定着した場合には、明らかに資源配分の歪みを生ずるような方向に資金が使われていくということは疑いようがないと思っております。従って今後とも標準的なシナリオどおり経済が動いていくのであれば、金利調整の必要性にいささかの変化はなく、私どもとしても重要な政策課題になり続けると思っています。』

で、ここから先が言わずもがな発言。

『これまで皆様方からも度々円キャリー・トレードはどの程度リスク要因として膨らんでいるかという質問を受けました。今の時点で振り返ってみると、幾ばくかやはり低すぎる金利水準に端を発する一つのディストーション(歪み)だと言えると思います。私が言わなくても市場関係者の多くの方がそのように認識しておられます。マスコミの皆様方もそのように認識しておられ、最近の市場の変化の中で多少その歪みは吸収されているという状況ですが、将来に亘ってまた日本銀行はいつまでも金利を据え置くという安易な認識が市場に定着した場合には、同じこと、あるいは同じ以上のこと、あるいは別の形のリスクが膨らむ可能性は十分にあると認識しておかなければならないと思います。』

わざわざ聞かれもしない円キャリ話を言うところなんぞを見ますと、日銀執行部としての福井「総裁」は経済物価情勢における時間の距離が伸びたという認識はしているのですけれども、福井「政策委員」としましては「低金利の継続イクナイので何とかしたいですなあ」というのがあるのかなあと思わせてくれました次第。

でもまあ会見全体のトーンは福井「総裁」になってるように見えますんで(^^)、一部のメディアが言うほど「やる気満々」には見えませんですけど・・・・・

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2007/09/20

お題「金融政策決定会合とか金融経済月報とか」

昨日の時事メイン10時33分配信記事によりますと、FOXテレビのインタビューでグリーンスパン氏は「FRBには無分別な判断をした一部の投資家を結果的に救済することになっても経済の安定を維持する義務がある」といった趣旨の発言をしたそうですな。言わんとすることは判りますけど、あたくしの感覚からすると、この先生今はドイツ銀行グループのアドバイザリーだかなんだかやってて報酬も受け取ってる立場でありますからして、利害関係人(しかもドイツ銀行グループはサブプライム問題での被害がでかいと言われてますし・・・・)による利益誘導発言ですがなとか思ってしまう(言うなら利害関係人じゃない立場で言えと)のですが、もしかしてあたくしの感覚がおかしいんでしょうか????


と前置きの悪態が長くなりましたが決定会合あれこれ。


○水野審議委員が利上げ提案でしたか

決定会合どう見ても現状維持(「利上げ見送り」というのもよく考えたら変な言い方ですな、トリシェみたいに予告ホームランしてるわけじゃないんですから・・・)なのに、13時回っても決定会合が終わらねえとか思ってたら8対1でございました。結果出る前には「利上げと利下げ提案が出てたら面白え」とかギャグを言ってたのですが、利上げ1票だったか惜しい(笑)。

水野審議委員の先日の講演によれば、今回は一旦様子見モードになるという意味で現状維持に賛成しても何らおかしくはないと思ったのですが、米国の利下げをあくまでも「予防的措置」であって、景気悪化ではないというロジックで利上げを出してきたということなんでしょうかね。詳しくは議事要旨みないと判りませんけど。

まあそのロジックはロジックと致しましても、その発想の中に、「一度出した方向性を引っ込めるのは簡単にできない」というのがあって「方向性の自己目的化」状態になっているとなりますとそれは如何なものかと存じます次第でして、それって例えは良くないけど、支那事変おっぱじめたら全然エグジットできず結果はご存知の通りとなった人たちを思い出してどうもねって所であります。そうではない事を切に希望致します次第です。

ま、方向性を一度出したら状況が変っても自己目的化ってのは困りますけど、さりとてコロコロとドテンドテンされても困りますけれどもね。市場的には何か変な仕掛けみたいな動きでその後下がってたみたいですけれども、ふーんという感じであります。

・・・と微妙に悪態をついているようですが(苦笑)、後でご紹介する金融経済月報を見ると微妙な形で下方修正(普通は下方修正とは言わないが、月報(ただし基本的見解のみ^^)読みが趣味のあたくしには下方修正に見える)をしていますが、よく見りゃサブプライムの話がねえええええというのもありまして、基本線に変化が無いとなれば例の「確信度の問題」になるので、現状維持のロジックもそりゃどうなのよという事になるのがアレなのでございますが。

#水野さん、あえてドンキホーテ(安売りの殿堂じゃない方)を買って出ているのかも知れないですけどね



○総裁記者会見のヘッドライン研究(??)

月報の前に記者会見の話なのですが、今回の会見に関してブルームバーグと時事メインとロイターの打って来るヘッドラインを眺めていたらオモロイ傾向があるように見えました。

と申しますのは、ブルームバーグとロイターは総裁の「タカ派」的な部分を前半のヘッドラインに打ってまして(しかもロイターは日本語よりも英語の方がよりタカの印象を与える打ち方)、時事メインでは「注視する」というのを最初に出してきているという印象でして、最終的には日銀のサイトに今日アップされるものを読むということになりますが、印象違いますなあという所でございます。特にブルームバーグニュースでは総裁記者会見の記事の見出しが『福井日銀総裁:今後も想定通りなら金利調整の必要性変わりない』となってまして、いやあタカ派ですなあ(誰が?)という感じです。

で、研究とか言ってるくせにブルームバーグのヘッドラインのスクリーンショット取り忘れている間抜け振りがドラめもんクオリティなのですが、ロイターと時事を比較してみると面白れえのです。最初から数本を並べてみるとその印象の違いが明確なので引用してみますね(^^)。なお日付とかベンダー名(JIJIとかRTRSとか)とか「福井総裁」ってあたりは割愛してますのと、手元の紙ベースの記録なので念の為。

(時事メイン)
16:32 国内経済、8月会合以降で大きな変化はない
16:33 米経済は下振れリスクが高まり、世界経済の不確実性が増大
16:33 逆資産効果を通じ米消費に悪影響与えるリスクある
16:33 市場動向を引き続き注視する必要がある
16:33 米経済、いずれ潜在成長に戻るシナリオ崩れていない

(ロイター日本語版)
16:32 海外中銀の適切な政策判断は日本経済にとって好ましい影響
16:32 米経済、サブプライム問題波及し、景気下振れリスク高まっている
16:32 ECBやFRBの政策で日銀の判断が狭められることはない
16:32 米国経済の調整、当初予想よりも少し時間かかるがリセッションには至らず
16:33 水野委員は利上げを提案、金融市場注視も世界や日本経済拡大の可能性高い

(ロイター英語版)→BOJ'S FUKUI SAYSが全部頭につきます
16:31 CURRENT RATES VERY LOW COMPARED WITH JAPAN'S ECON CONDITIONS
16:32 CAN SAY YEN CARRY TRADE A MARKET DISTORTION RESULTING FROM TOO LOW RATES
16:32 DOES NOT SEE NEED FOR NOW TO DRASTICALLY CHANGE SENARIO IN BOJ OUTLOOK REPORT
16:32 DOUNSIDE RISKS FOR U.S. ECONOMY RISING
16:33 WANTS TO LOOK AT TANKAN TO JUDGE CAPEX STRENGTH

一応早いものから5本分を引用した積りですが、印象違いますなあという所で(^^)。ブルームバーグを入れてないのは単にスクリーンショット取り忘れで他意はありませんけど、先ほど申しあげたようにタカ派的な印象を与えてくれますな。



○微妙に下方修正&サブプライムの話がねええええ(金融経済月報)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0709.htm(9月分)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0708.htm(8月分)

殆ど中身が同じという所が何ともでございますが、違っている点は2箇所+α。

・現状判断部分における住宅投資

『住宅投資は足もと減少している』(9月)
『住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(8月)

・先行き判断部分における海外経済の部分

『輸出は、海外経済が全体として拡大するもとで、増加を続けていくとみられる。』(9月)
『輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けていくとみられる。』(8月)

で、注目すべきはこっちの方でありまして、「海外経済の拡大」と言い切ってたものに「全体として」というヘッジクローズ(苦笑)が入っている所に、先行きの不透明さが高まったという心が現れているというものであります(^^)。

ちなみに、物は試しに英語版(http://www.boj.or.jp/en/type/release/teiki/gp/gp0709.htm)を読んでみたら海外経済が云々部分はこのようになっておりました。

『Exports are expected to continue rising against the background of the expansion of overseas economies as a whole.』(9月)
『Exports are expected to continue rising against the background of the expansion of overseas economies.』(8月)

このas a wholeがあるのと無いのとではどうニュアンスが違うのよという話に関しましては英検1級不合格(受験だけなら誰でもできるというツッコミは謹んで却下^^)のあたくしにはよーワカランチ会長ですけど、どうなんすか?


で、もう一丁気が付いたのは今回の基本的見解部分にサブプライム関連のお話がねえええええということであります。とは申しましても、前回も景気の基調判断部分にその話はなくて、金融面で『為替・資本市場では、米国の住宅金融問題に端を発した世界的な不透明感の高まりを背景に、わが国でも、前月と比べ、長期金利は低下し、株価は下落している。』という形にしかなってないんですが。

で、書きながら物凄く勝手な解釈を思いついたんですが、サブプライム問題の影響が前月段階では「金融面」であったものが、景気の基調判断における海外経済部分に「全体として」という言葉に昇格したとも言えるのかもしれませんが、それはちと強引な解釈ですかそうですか(^^)。

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2007/09/19

お題「ほほう0.5%」

昨日はまさしくFRB待ちでございましたな。で、結果でましたな。

モーサテがいまだに「今日は日銀利上げするのか」とか言ってたり、その線で解説コーナーやってるのは、他にネタが無いので引っ張ってるのかも知れないですけど、ちょっと何だかねって感じです。こーゆー報道やりやがるから「日銀の利上げバイアス」が国内金利市場の人たちが見るよりも遥かに過大に伝わるんじゃねえのかと思うのですけど。

ということで声明文

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20070918a.htm

FED文学には詳しくない(日銀文学だって詳しくはねえが^^)ので内容無保証でございます(いつもそうですけど^^)なのですが、声明文の原文をつけながら読みますので一つ勘弁。

金融市場(クレジット市場)の混乱が景気に悪影響を与えるという部分を強調し、景気の先行き不透明感が高まったとしているので、まあ予防的とは言いつつも景気配慮の利下げになるんでしょうと思うのですけれども、インフレ圧力は緩和されたけど残っているという文言が残ってまして一応インフレ警戒もしてるという内容っぽいでありまする。うーむ苦しい。

The Federal Open Market Committee decided today to lower its target for the federal funds rate 50 basis points to 4-3/4 percent.

ところであたくしうっかり八兵衛にも程があるのですが、つい先週は米国市場は50bpクレクレ相場で、25と50の両睨みだったと思ってたんですが、50って思いっきりサプライズだったんですかそうですか。ちなみに最後の最後にありますけど、公定歩合もフルスライドで下げています。

Economic growth was moderate during the first half of the year, but the tightening of credit conditions has the potential to intensify the housing correction and to restrain economic growth more generally.Today’s action is intended to help forestall some of the adverse effects on the broader economy that might otherwise arise from the disruptions in financial markets and to promote moderate growth over time.

経済情勢は今のところ緩やかに推移してますけど、クレジット市場の収縮が住宅市場の調整に拍車をかけて経済に悪影響を与える懸念が高まったので、予防的に利下げすると仰せのようでございます。

ということで、「予防的措置でちょっと多めに利下げ」ではあるのですけれども、「信用収縮→住宅市場悪化→景気悪化」というロジックでもあるので、「景気に対する措置を早めに打ってみました」ということになるんでしょう。じゃあその景気なんですけど、後のほうでは「景気見通しに不透明感が高まった」と言ってまして(後で引用します)、明確な悪化とは言ってないですけど、まあトータルで見れば「悪化の懸念もあるので予防的措置でちょっと大きめに下げてみましたよ」という事になるんでしょうか。

さて、我が国に戻りまして、水野審議委員が先日言ってました「米国が景気悪化懸念を理由に利下げした場合は議論の前提が変る」という面に関してはどうでしょとなる次第。日銀の景気判断の前提としては「米国経済は緩やかだけど拡大継続」というものでしたが、何せFRBさまが予防的利下げ(しかもちょっと多め)を行ったということでありますので、こりゃまあ一旦様子見モードに入るのには良い言い訳ですな(^^)。

てな訳で本日は水野審議委員も一旦利上げ提案見送りになるのかとは思うのですげれども、予防的措置であって景気悪化懸念の利下げじゃないから米国経済はメインシナリオ通りというやや強引な解釈で利上げ提案したらそれはそれで芸風としては面白いですが、まあやらんでしょうと思うんですけど。振り上げた拳を引っ込めるのにはいいタイミングですから。



まーしかし信用収縮対応で利下げして時間稼ぎ、でやや市場が驚く幅で多めに下げる事によってアナウンスメント効果もということなのですけれども、信用収縮対策はプルーデンス政策の問題でして、本当に無茶なことになると少々の金利操作は気休めにしかならんという話は日本の例から(以下いつもと同じ話^^)。

Readings on core inflation have improved modestly this year. However, the Committee judges that some inflation risks remain, and it will continue to monitor inflation developments carefully.

コアインフレは落ち着いているけど、インフレリスクは残っていると仰せで、今度もインフレの動向については注意深く見るとも仰せなのが泣ける所でありますな。

Developments in financial markets since the Committee’s last regular meeting have increased the uncertainty surrounding the economic outlook. The Committee will continue to assess the effects of these and other developments on economic prospects and will act as needed to foster price stability and sustainable economic growth.

さっき申しあげたように、前回(定例)会合以降の経済見通しには不透明感が高まっているということですが、最後の文は微妙でありまして、「必要ならば適切な行動を取る」というのは利下げ継続と言っているようでもありますけれども、その前にしらっとインフレリスクが依然としてございますがと仰せでもありますので、信用市場の混乱がおちついて住宅市場の調整がソフトランディングしたら不透明感解消かつインフレ懸念で利上げやらかすこともできますなあという感じですか。まあ金利下げても問題の本質的な解決にはならず、解決するまでの時間稼ぎと解決のコスト低下(がまあ大事っちゃあ大事ですけど)に寄与するに過ぎないので、そうそう簡単に利上げに転換できないとは思いますが。

ただまあ困りやがるのは米国株式市場が案の定派手派手に上昇しやがったことでして、資産価格上昇するはインフレ懸念が拡大するわと仮になっても信用収縮は信用収縮で相変わらずとかだと、次にやることが難しいような気がしますがね。「バブルの傷をバブル発生で何とかする」というのは勘弁ありたしですけど。

以下の引用は割愛しますが、今回の決定は全会一致ということでその点でもFRBのボードメンバーの「やる気」を見せたということではないかと思います。

ということで、珍しく不慣れなFOMCステートメント読みなんぞをやらかしてしまいましたが、本職でも何でもないので内容無保証(引用文はコピペしてるから正確の筈ですよ^^)でして、間違い解釈してたらご指摘賜りますと幸甚であります。

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2007/09/18

モーサテ様で貧乏人向け特攻ローンの実例の話してるんですが、世帯月収が20万円なのに頭金なしで7000万円の「夢のマイホーム」を購入とか、英語が苦手でローン契約内容を理解している云々の問題じゃなくて借りる方が足し算すらできないとしか思えません次第でして、恐るべし米国人。どっちもどっちというかこんな連中救済する必要あるんかいなと思う次第。まあこれは幾らなんでも超越的に極端なケースなんでしょうが。

○さて決定会合

今週の金融政策決定会合は連休明けの今日と明日というちと早めの日程になっておりますが、まーどう見ても今回は利上げ見送り間違いなしでして、全然材料にならないのではございますが(苦笑)。

んでまあ今回の注目材料ですが、前回の金融経済月報(基本的見解部分)では米国発の信用収縮問題に関して基調判断やリスク要因としては華麗にスルーし、金融面の現状部分で触れていましたが、今回の金融経済月報でどのような扱いになるのかと言うところでしょうか。ただまあこのあたりは微妙ではありまして、8月会合後の総裁記者会見の中で福井総裁は「毎月の月報ではあまり大きく方向を動かすことはございませんですが」というように取れる発言をしておりましたので、もしかしたら今月も華麗にスルーなのかもしれません。ただし、7月会合の議事要旨では複数の委員からの指摘として「情勢は毎月変化するものだから展望レポートおよび中間レビューをあまり特別扱いするのは如何なものか」という意見もあったようですので、もしかしたら今月は何かあるかなあとも思うのですが・・・・・

まーFOMC次第という面も思いっきりございまして、先日の水野審議委員の講演にありましたように、要するにFRBが米国経済の下向きリスクを唱えて利下げすれば水野さんも利上げ提案引っ込められるし、日銀も「いやあ米国経済に下落リスクがあると向こうの中銀が言ってますからねえ」としらっと日和見モードに入る事もできるという点で、実はどっちに転んでも日銀的には「余裕を持って」対応できるのかも知れませんな。福井総裁的には無念かも知れませんけれども(^^)。

というような感じですので、先週も申しあげたように、まあ順当に考えると次に利上げするタイミングが有るのは12月がワンチャンスと言ったところではないかと思うのですよね。可能性は市場が見てるほど低くは無くて、全く無いと思うのはちょっとやり過ぎ感もあるのですが。


そういえば、英国の住宅ローンを熱心にやってた挙句に(金繰りつかずになって)現在虫の息でありますところのノーザンロック銀行(詳しくは知らんのですが、汗)に対するBOEからの金融支援(先週末からそんなヘッドラインを見たような記憶がありますが、具体的な動きは週末にあったんですね)というお話に関しては本石町日記の最新エントリーをご参照されると吉かと存じますが、今朝のNHKニュースのヘッドラインでは同行の取り付け騒ぎの画像を放映しておりまして、あまり思い出したくない光景でありますことよと思いました。

#そして取り付けモードだというのに銀行に並ぶ行列が整然かつ静かに画面上からは見えまして、まさにエゲレスクオリティとか思いましたけど、気のせいですので悪しからず(^^)。

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2007/09/14

NYの利下げクレクレ相場をどう捌くのか、バーナンキ先生ドウスルドウスル。

○目線が変るとはこういうことで(笑)

昨日のあたくしの駄文、後から見て「ありゃりゃ」と思った箇所がございまして、それはこちらでありました(汗)。

『FRBはFF下げそうだわ、ECBの利下げも微妙だわ』(昨日の駄文)

・・・・ECBは利下げじゃなくて利上げでしょうがということで、謹んで訂正するのでありますが、まあ要するに文章書いているあたくしの脳内が利上げモードでも何でもなくなってしまったのが手に出てしまったということでありますな。このタイポは思いっきり無意識でやらかしましたのが何とも(苦笑)。

と、アセアセになっていたあたくしなのですが、そんな昨日に電話がやってきて話をしてたら「おお!」というのがあったんですよ(^^)。「OIS市場で利上げ確率がマイナスになっているって話を聞いたんですけどどうよ」って言われてほほうと思ってベンダーの画面を見たら、9月からのBOJタームのOISのレートが0.51〜0.52%になっておりまして、画面を見ると確かに「Probability」の所が−1%ちょっととなっております。

うーむ、これは末初のレート上昇を見て計算してるのかとか思っていたのですが、画面をもう一度見たら、その「Probability」の続きにあったのが「25bp BOJ Rate Cut」とありまして「そりゃマイナスだわ」と納得した次第(利下げ確率マイナス1%=利上げ確率1%ですわな^^)であります。

なるほど、頭の中に最初に出てくる言葉が利上げじゃなくて利下げになってきているのはあたくしだけじゃないと安心(??)したあたくしなのでありました(^^)。ちょっと見つからなかったのですが、どこぞの本職さんのレポートでも何か頭の中から利上げの言葉が抜けてしまった微苦笑レポートがあったらしいとも聞きましたし、まあ何とも。


ちなみに、昨日の1年TB入札は案の定0.7%にちょっと届かずでありますし、それよりも「えええええ」って感じなのは3か月FBの0.555%でありまして、いやあの昨日とか足元(積み最終日近くという要因はあるんですけど)金利上ったりしてるんですけどちょっともうその利回り何よということで、全く利上げ観測が盛り上がらないというか盛り下がりにも程がある展開になっておりますわな、合掌。



○んじゃあたくしの利上げ経路予想はどうよとなりますと・・・・

まあ何せ政局もカオスですし、FEDはFFは下げそうだわECBは利上げ(^^)しそうもないわでありますし、今頃が回答期間の10月短観が良い数字出る訳ないですから、10月の利上げはどう見ても苦しい。FF下げで打ち止め感でも出れば話は別ですが、市場の勢いは全然そんな感じでもないですし、そもそも信用問題というのはそう簡単に不安一掃とはならないですからして、11月に利上げ環境が整う感じもないでしょ。CPIもまだ11月までの発表数値で強くなるのも無理ぽでしょうし。

ということでですな、12月にワンチャンスあるかなとは思うのですけれども、このワンチャンスと言えども、株式市場が平均株価で1000円位は上で、コアCPIもプラスになり、GDPの数字も復活して・・・と言った感じで「文句の出にくい」状況にならないと難しいでしょうなあと思うのですが。あ、それからこの時点で米国は利下げモード終了&欧州利上げ再開になってナイト。

1月〜3月の利上げは8月や9月に利上げができていれば「経済物価情勢の改善に応じた政策金利の調整」路線を淡々と継続と言う意味でやれたのでしょうが、12月までに利上げしてなくて1月〜3月に利上げするとなりますと「政策金利の調整(=利上げ)再開」となりますが、3月の執行部交代前に「再開」ってのはどうも「やり逃げ」の観が否めないですし後任を縛るのはイクナイという話になるのでやりにくいでしょとなりますわな。そして12月に利上げできてたとしても、その時点で第4次利上げが3か月後にできるような経済物価情勢になっているとは思いにくい(なってりゃ目出度いですが)ですので、やっぱり1〜3月利上げ難しかろうとなるのであります。

てなわけでして、結論は「12月に1回やれるかもしれないけど、年度内はできて1回」となるのでありました。当たるか外れるかは完全無保証です(というか外すの得意ですから^^)ので投資判断は自己責任で(^^)。


○床屋政談というか雑談

小ネタ雑談で恐縮至極。

・安倍退陣による不幸と悪運と

同じく昨日知人と電話で与太話相場観の意見交換をしていた時に指摘されてハッとなったことがあります。それはと申しますと「こんな辞め方されちゃあ松岡さんが浮かばれないよぉ」という指摘でありまして(涙)、まあ勿論松岡さんが何故死を選んだのかというのは他人には判らないですけど、どうも辞めるに辞められずに進退窮して死を選んだんじゃないかとか思って安倍ちゃんの突然の退陣を見ますと何とも申しあげようがございません・・・・

そしてですな、どう見てもお助けだったのは舛添厚生労働大臣。WE法案を「家族だんらん法案」はねえだろと思う次第ですし、他の動きも見てると数ヶ月もすれば馬脚でまくりの悪寒でしたので、見事なお助けになりましたな、悪運の強いお人よ。


・ローゼン閣下残念無念

福田元官房長官総裁選出馬というニュースが夕方に飛び込みまして、相場はほぼ終わっているのであたしゃてめえの脳内だけでまた祭りになってしまいました。祭り疲れで今日はもうダメポなのでありますが(苦笑)それは兎も角。

古賀、谷垣、山崎派などが清和会の総裁候補を支持するってのが実にこうオモロイ話でありますが、昨日の朝のニュースの時点で日本テレビがやたら反麻生なニュース(安倍ちゃんが「麻生に騙された」と言っていたという話をしてた云々とか)を出してたので何かあると思ったらこれですかそうですか。

津島派が乗ってくれないとローゼン閣下はそもそもの勝算が厳しいというのに額賀さんが出馬意向と来てます(何か出馬できなさそうですので額賀さんの涙目ぶりのほうが凄いのか・・・)し、ローゼンオワタという感じですが、福田さんだったら安定感抜群だからこの際良いんじゃないでしょうかという(実はあたくしこの前の自民党総裁選前にどこぞの情報ベンダーのアンケートに「小泉後継は福田がよかろう」と答えてましたわ。すっかり忘れてたけど^^)感じでございますわな。

福田さんも確か各省の大臣はやってない筈でしたが、官房長官としては小泉内閣の初期を上手に捌いて安定政権の基礎を築くのに貢献してたようにも思えます(安定しきっていた安倍官房長官時代とは違うかと)し、大臣やってないけど何故かサラリーマンを17年(でしたっけ?)やっているのもポイント高かろうと存じますので、安倍ちゃんのような事にはならないと思いますがどうでしょう。

・・・そして、麻生銘柄とか言って買ってた人残念無念というかテラアホスと申しますか。まさか樹海逝きはいないでしょうけどまあナムナムナムということで。

#しかし福田に小沢じゃ角福戦争再びですか・・・・


・ところで福田後継で債券相場や金融政策への影響は

・・・・正直申しあげまして、経済閣僚や官邸の人事がどうなるのかさっぱり判らん状況では何とも申しあげようがございませんです。谷垣さんとかの財政健全化路線で来るのか、それとも地方への配慮路線で来るのか、はたまた町村派が中心になって中川前幹事長の上げ潮路線復活なのか、イールドカーブがどっちに逝くのかそれによって全然違いそうですわな。

まあいずれにせよ、金融政策に関しては暫く「低金利継続で景気をささえてね」攻撃になりそうではございますけど・・・・・

ということでですな、正直申しあげて自民党総裁選来週水曜にして頂きたいのですが。内閣が判らないとこっちとしても予想のしようがない(予想しても当たらないというツッコミは却下)です。

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2007/09/13

○これは失われた半年ということですな(涙)

そもそもがFRBはFF下げそうだわ、ECBの利下げ(利上げですがな・・・・)も微妙だわという状況となりつつある中で、国内ではGDP改定値が予想より弱いわ、景気ウォッチャー調査は下向いてるわという有様で昨日の3か月FB入札があったわけなのですが、平均落札が0.574%で最低落札が0.578%と0.60%どころか0.58%も買わせてくれないという大変にニーズの高そうな入札になりやがった挙句に、安倍ちゃん辞任の報道で「こりゃまあ金融政策フリーズですなあナムナム」という思惑が益々高まった(のかどうか知らんけど)ということで、新発FBの引けは0.560%(日本相互証券)となりやがりましたですよ先生。

んでまあ6か月FBは0.620%ちゅうことで、まあこのあたり見てますと年内利上げ無しどころか、「次の利上げは次の総裁で」という感じにまでなってくるのかなあという所です。まあそれはちょっと勢い余っているかもしれませんが、年内どんなに早くても12月でしょうなという感じですと、その次は精々次の夏以降となる訳ですから、思惑としてはそうなるでしょうねえということでまことにテラオソロシス。

じゃまあこの短い所のレベルってどうなのよという話なのですが、FBの利回りだけ見てると、これは3月〜4月のレベルかなという感じです。3か月だけで言えば3月ごろのレベルなのですけれども、6か月や1年は4月終わり頃のレベルという感じでして、ええもうこの半年色々と大騒ぎしたのは何だったんでしょうかと脱力感を拭えないのでありました、とほほのほ。

しかしあの一応期末越えもありますし、別に足元いつまでも資金余剰のまんまじゃないと思うのですが(そんだけサブプライム問題の根が実は深いというのならまあそれも正しいのかもしれないですけれども)、0.56%ってそりゃねえだろと思うんですけどねえ、とまだ意地張ってますかそうですか(^^)。


○15年変動利付国債から色々と

昨日の駄文で国債市場特別参加者会合の15年変動国債の話をしましたが、後で読み直してみたら引用した発言者に向けて一方的に悪態をついているようにしか読めない書き方になっておりましたのはあたくしの不徳(というか文章力の欠如)によるものでありまして反省反省。平にご容赦賜りたしでありますm(__)m

ではあたしゃ何を申しあげたかったかと言いますと、引用した発言の人向けじゃなくてですな、国債市場特別参加者会合の議論の方向がどうもこう「中長期的な国債発行、安定消化」の話じゃなくて「目先のポジションに有利なポジショントーク」に走るのがちょっとどうなのよという話なのでありますわな。業者が基本的な参加者だからある程度仕方ない面はあるのですが、一応これはれっきとした公的な審議会なのでありますから、ポジショントーク丸出しってのもどうなんでしょうかねえと思うのでありますよ。

それにしてもこの15年変動利付国債に関しては、業者も投資家も(おまけに当局の一部でも)「イールドカーブがフラットニング(特にベアフラット)した場合にやられる債券」という特性について理解して無かったのか敢えて目をつぶっていたのか存じませんが、金利上昇ヘッジとかバーゼルUのアウトライヤー規制対策商品だとかいうことで無用なニーズを発生させて、実際に短期金利が動き出したら討ち死に(その前にもウルトラ債券高のブルフラットで討ち死にしましたけれども、この時はベースレートがゼロで受取金利のフロアに救われた面がありました)して「もうイラネ」って悲しいお話であります。

まあ結局のところ、銀行のポートフォリオに「イールドカーブのスティープニングをヘッジするニーズ」があったのかよ(15年変動利付国債はイールドカーブがフラットするとやられる債券なので、ひっくり返して言えばスティープニングのヘッジになる)という話になる訳でして、カーブがスティープするということは基本的に短期調達長期運用の銀行業態としては収益環境が改善することになる(確かに手持ち債券の評価はベースでは食らいますが、再投資レートは改善しますし、そもそも貸出利鞘が改善する話になる)筈なので、そんなにドカドカ買う必要があったのかと。銀行全体のALMって考えたら債券ポートフォリオの中でオマジナイとして持つ位のものだったんじゃないかと思うのでありますがなどと今更言うのは簡単ですけど、まあそういうことで。

結局ですな、この手の仕組モノっていうのは、結局どういう方向にリスクがあって、そのリスクはてめえのところの資産負債状況や収益構造からして取るべきものなのかというようなことを考えないといかんのじゃないかなあとか思うのでありますよ。変にプレミアム取れるから仕組調達するとか、仕組運用するとか、別に端からやらないという必要もないですけれども、やるならやるでよく考えるべきではないかと思うんですよね。

とまあそんなところで。

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2007/09/12

○15年変動利付国債の受難

昨日ご紹介した国債市場特別参加者会合ですが、よく見りゃもうひとつお題があってそれは15年変動利付国債のお話でございました。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c190907.htm

ということで、こちらの最後の方に15年変動利付国債の話があるのですが、この意見は何と申しますか。

『15年変動債については1回あたり7,000億円の発行でよいが、リオープンする必要はないのではと思っている。15年変動債はかなり高い水準から減額が進んでおり、どの水準になったらフェアバリューに戻るのかといった印象がある。恐らくマーケットでは、減額についてかなりの部分を織り込んでいることもあって、現在は多少カレント部分の割安が解消されているものの、基本的には割安な状況が維持されている。』

昨日ご紹介しましたが、流動性供給入札の話をしている中での話の趣旨は「流通量が少なくなると流通市場での売買が円滑に進まないので追加発行してくれ」というものだというのに、こちらでは発行を減らす話はあるわ、リオープンもイラネとか言われると落涙を禁じ得ません。もちろん、この前には原則リオープン発行でよいという人もいまして、そっちの方が多分意見としては多数派なんじゃねえのかという気はするのですが。で、この人の意見中々アレなのでその続き。

『こうした中では、今後さらに1回5,000億円に減額されることも考えられ、またリオープンして1兆円を維持するのかという議論が繰り返し生じてしまうと思っている。』

しかし、「銘柄毎の発行量」が多いか少ないかで15年変動国債のバリューが割高になったり割安になったりするという話をしているように見えますが、その理屈はおかしいだろ。「全体として」15年変動利付国債の発行量が多いか少ないかというのが問題じゃないっすかねえ。で、その続きが更に落涙。

『やはり15年変動債は最終的にはexitするということも含めて、投資家の意見を中心に議論をしていく銘柄ではないかと思っている。』

いやあ皆さん揃ってニーズがあるからドンドン発行しろとか逝っておきながら2年ちょっとでエグジットですかそうですか。と思ったら別の人からもこんな意見が(涙)。

『15年変動債については、個々に新規の発行銘柄を減額したところで、理論値と実勢価格の乖離幅が縮小するのか、という疑問を正直なところ持っている。15年変動債については可能な限り減額の幅を大きくする形で、最終的にはexitというところまで議論を進めていく段階に来ているのではないかと思う。今年度下期についてであれば、1回あたり7,000億円で原則リオープンということに異論はない。』


いやはや何ともという感じなのですが、発行体も何か減額する気が満々っぽいのはその前の発行体様のご説明にございますわな。

『19年度下期の国債発行については、市場には15年変動債の減額を求める声があるものと承知している。当局としても、15年変動債の市況を踏まえれば、納税者に不利となるような水準での発行を極力回避するという観点から、これを減額することはやむを得ないと考えているところ。』

ここで水準論議が出てくることがもう何か減額する気満々という感じでありますわな。国債発行って安定消化が大事なんじゃなかったのかなあとか思う訳ですけど。いやまあ15年変動利付国債自体無くすっていう方向ならまあそれはそれでも仕方無いのですが・・・・

せっかくプレーンじゃない国債発行したというのにですな、本来この国債はイールドカーブに影響を与える債券なのですから安易な増額には慎重であるべきであったのに(と後講釈なら何とでも言えるとか言われそうですが、商品の特性上イールドカーブがフラットすると討ち死に商品だというのはアウトライヤー規制バブルが発生する前の債券相場大上昇時にも発生してた筈)アウトライヤー規制バブルで勘違いニーズがアフォのように発生した市場の言うことをホイホイ聞いて発行を増やした挙句にこの有様というのは何とも残念としか申しあげようがありません。まあこれはこれで確かに撤収モードなのかもしれませんが、市場の言うことをあまりホイホイ聞くのも如何なものかという教訓にしていただけると誠に幸いに存じますところでございますです、はい。


話は変りまして、この一連の流れの中で???だったのはこの人。

『15年変動債については流動性が著しく乏しくなっているので、減額については優先して実施して頂きたい。リオープンについては特に意見はないが、利払いについては分散するような形で検討して頂きたいと思っている。』

減額したらもっと流動性が無くなると思うのですが・・・・・(-_-メ)

ま、このあたりの意見が妥当なのではないかと存じますけどいかがかしらん。

『15年変動債については、1回あたり7,000億円で原則リオープンでよいと思う。全体的には、確かにマーケットではフェアバリュー対比で割安に放置されている一方で、個別銘柄を見た場合には、20番ないしは30番台の一部のように、過去に発行量の少なかった銘柄等で非常に流動性の落ちているような銘柄もあるので、相応に1銘柄あたりのボリュームを確保して頂いた方が後々禍根を残さないという気がする。』

実は国債のモノの決済を完全RTGSから外して、昔みたいにネッティング可能(即ち売った先からレポするループ取引オッケー状態)に戻せば、かなりの部分流動性問題が解決できるんですよね。よくありましたよ、「えーっと、その銘柄レポ付きなら5毛強ですけど、レポ無しだと出せませんなあ」というような引き合い(^^)。

ま、そんな所で、何か寂しいですけど撤収になっちゃうんでしょうかねえ・・・・

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2007/09/11

○盛り下がってまいりました!

米国雇用統計に続いて日本のGDPということでまあ思いっきり相場上昇になりやがりました(おまけに景気ウォッチャー調査も悪かったですな)が、正直申し上げまして世の中では金利が下がって困る人だらけであります(と思う)次第でして、相場が上昇してますが何というか「いえーい♪」って感じの買いではなく、「もう仕方ねえから買うか」という渋々な感じがするのはあたくしの一方的な見方ですかそうですか(苦笑)。

という訳で金利があちこちで下がっているのでありますが、2年の4毛強(0.775%)とか、3か月FBの3.5毛強(0.580%、ちなみに出合いベースは0.575%も)とか何たる水準という感じであります。単純に計算しても2年の0.75%とかになると「半年後に利上げして、その次の利上げが1年後」というような織り込み方になりますし、3か月の0.6%割れってついこの前の積み前半でGC0.6%台に乗っかってた筈なんですけどそれで良いのかというレートになっていまして、当然ながら11月までの利上げ織り込み殆ど無しのすけでございますわな。

と、まーそういうことで、物凄い勢いで盛り下がって参りまして、次に波乱になるのは何でしょという感じなのでありますが、ちょっと波乱になるとすれば例によって期末越えの無担ファンディング部分かなあという程度ですわな。そもそも足元こんなに下がっている上にタームの金利も落ち着いているのですが、その割には期末越えの資金供給が威勢良く行われている印象がありまして(個人的印象論だから間違ってたらゴメンナサイ)、そのココロは期末越えのファンディングについて日銀は結構目配りしていまして、とりあえずオペ打って金を出しておくことによって妙な取り上がりを予防しようってえ所なのではないかと勝手に想像してますが如何でしょう。

んでまあ期末も盛り下がると波乱らしきもの無いですなあという感じですが、一応景気と物価に関してそれなりに強気なあたくしとしては、まあ年末近くになればCPIもプラスになってきて景気指標も持ち直すでしょうから、そこまでは果報は寝て待てスキームしかございませんかなあという感じでありまして、その頃になって指標が良くなってくればまた日経あたりが鉦や太鼓で利上げを煽るでしょという感じであります。

ま、あたくし世間(というかメディアというか日銀を批判したがる人)が言うほど日銀に利上げやる気満々感があるようには見えないのですが。とりあえずここまで上げて御の字なので、まあ次に上げられる時に上げられればいいですねというような感じじゃねえのかとは思うのですけど、月末から来月に掛けまして須田審議委員(27日)、岩田副総裁(4日)と講演が並んでおりますので、このお二方(でも岩田副総裁は個人的にはハトでも講演内容は執行部として行いそうですけれど)の講演でも注目・・・・って月末までネタがねえのかよ!と逝った所でありますな。(FF下げは最早織り込み済みなのですが、その内容に関しては注目ですけどね)


○国債市場懇談会

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c190907.htm

えーっとまあ議事内容に関しましては「ほうほうそうですか」という感じなのですけど、どうも何だかねえと思うのは「市場の声とやらをある意味聞きすぎなんじゃないのかなあ」って所なのであります。

いやね、今回の議事内容のお題を並べると、40年国債発行するのは発行するので良いのですが、その後のお題が流動性供給入札の範囲拡大で、その次が原則リオープン発行の対象拡大なんですが、後ろの2つのお題が「国債の銘柄ごとの発行量を増やしましょう」って話なのに、40年国債発行する話は新しい年限の物を出すという話でして、話の次元が違うからこれはこれでよいのかもしれないですけれども、何となくこう出てくる施策が頭と尻で別の方向になってねえかという気がしないでもないですわな。

で、40年国債なんですけど、今でも30年国債の流動性がアレな状況で40年国債と言われましてもねえという感は否めませんが、どーせガイジンさんが楽しくいじくりまわすでしょうし、国内投資家が買うかという議論になりますと、正直身も蓋も無い意見ですが、「ボンドインデックスに採用されるようになったら、ここの年限を飛ばす訳にいかない(カーブの一番ケツなので代用品が無い)のでインデックス系の投資家が渋々買うでしょ」という位しか思い浮かばないですが、まあ1回1000億なら何とでもなるのではないかと存じますが。

流動性供給入札の年限拡大や緊急流動性供給入札の話なんですけど、意見の中にもありましたけれども、そもそもの流動性供給入札の意義は昔に発行された関係上、発行量が少なくて流通玉が枯渇している(昔は資金構造が違ったのもあるけれども、RTGSじゃなかったので売った先からレポできたので流通玉はある程度何とかなった)銘柄の流動性を供給するものでありまして、一時的にタイトになってるから発行増やすというのは如何なものかと思う次第。10年カレント追加発行とかそれはさすがに(気持ちは物凄く判るが)ちょっとどうよという感じなのであります。

それならば、少なくとも国債入札参加者に対してスクイーズ規制というかレポ市場への品貸しを積極的に行うようにさせるとかの施策を行うべきだと思いますし、仮に対応するとすれば、日銀の国債補完供給(要するに売り切りでは無くレポ)で対応するのが筋じゃないかと思います(と言っても日銀は持ってない物を出すわけに行かないですし、その分財務省が追加発行して日銀が引き受けた場合、後処理が問題になりますので技術的に無理があるのですけど・・・・アセアセ)が如何でしょ。


○武藤副総裁のジャパンソサエティでのスピーチですか

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/koen0709a.htm

まあ今回は一般的な話に終始しておりますが、前回お話した時にひと騒動あったなあと懐かしく思った次第です。と申しますのは、前回2004年6月7日のスピーチも英語で行われたのですが(上記URLは邦訳です)、前回はこのスピーチの英文(本文)の方だけが翌日に日銀のサイトにアップされまして、英語ページなだけに当時の参加者そこまで細かくチェックする人もあまりいないのを良い事に、その英文の解釈を明らかに恣意的に解釈して「武藤ショック」とかいう流れでお話をしたレポートがどこぞのエコノミストだかストラテジストだか知りませんが、まあそういうひとから出されましたんですよ。

で、その恣意的解釈な内容が何せ武藤さんの発言であって、しかもこのときは金利が上るような地合いだったのでさあ大変となって債券市場(というか中期債)は大いに驚愕してやたら売られたのであります(スピーチの本文見た人から順に買戻しモードになりましたが^^)が、今回早速邦訳がアップされたということは政策広報の中の皆様は2004年の悪事例をご記憶になっておられると見ました(^^)。お疲れ様であります。

ちなみに、そのとき怒りまくって書いた駄文はこちらです。暴言モードになっているのは若かりし頃なので勘弁してください。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/hatsugenmutoh.html#mutoh040610

(当時書いたリンクはリンク切れなのですが、その時のスピーチはこちらです→http://www.boj.or.jp/en/type/press/koen/ko0406a.htm


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2007/09/10

安倍首相の政治信条を貫くなら心中すべき法案はテロ特措法じゃなくて憲法改正とか教育とかだと思うのですけれども・・・・・らしくないなあ。

ということで、しばらくは国会見てるほうがオモロイかも知れませんな。金融政策関連は争点になりそうもないけど。


○雇用統計キタコレ

ご案内の通り先週末の米国雇用統計は予想を大幅に下回るNFPマイナス。何か後から上方修正の香りもしないでもないのですが(苦笑)、これはこれでFRBが利下げをする良い言い訳になりました。「金融市場の混乱回避で一時措置として利下げ」というのは何だかんだと言いましても政策ロジックとして苦しいところであります(一時措置と言って下げた後更に下げる時にロジック変更となるので話が苦しかろう)ので、下げるならストレートに「景気の腰折れだか悪化懸念」という方がやりやすかろうということで。

しかし雇用統計を受けて利下げ期待が高まった筈なのに米国株式市場大幅安ということは、米国株式市場ではもしかして「景気は悪化してないけどFRBは利下げしてくれる」とでも思っていたのでありましょうか。もしそういう動きで米国株式市場がやたら堅調だった(というか下がった下がったとか言ってもダウ平均株価高値から大して下がってないじゃん)のであったらナンノコッチャ感は否めません。というかそんな楽観で金融市場が動いていたら、景気悪化がある程度見えてこない中で利下げかましたらバブル発生間違いなしですな。ナムナム。


まーそれはそれと致しまして、米国が利下げする場合のロジックに「景気悪化」というのが出てくるとなりますと、それこそ先日の水野審議委員の講演で出てまいりました「議論の前提が変ってくる」という話になりますので、これだけ市場から散々催促されると9月に米国がどうせ利下げに追い込まれるのでしょうが(本当はやるやる詐欺で上手く引っ張れる方がオイシイと思うので、良い経済指標がでるといいですねと思うが)、その時のロジックに注目としか言いようが無いですな。で、米国単体で言えば景気悪化を全面に出した方がスッキリしてますが、そうするとインフレ警戒の姿勢を崩していない他の中銀(日本はインフレ警戒じゃなくてただの正常化ですが)の足を引っ張るという面もあり実にややこしいですな。




○またまた与謝野官房長官

官房長官記者会見の内容ってのは何故か官邸のHP見ても見当たらないのでありますが(誰か知ってたらご教示頂きたく存じます)、金曜のブルームバーグニュースによれば前の金融大臣がご執心だった外準の積極運用に対して与謝野さん7日午後の記者会見でこのように発言したそうですな(外準が過去最高を更新したことについて)。

『手堅く運用するほうが、後で考えると「良かった」という結果になる。国の資産だから、慎重の上にも慎重に運用する必要がある』

『運用とか為替のリスクとかいろいろ考えなければならない』

『これだけ外貨準備をもった国は、世界の通貨市場の安定とか、為替市場の安定などについて常に留意しながら、そう極端な動きをしないで、他の方に影響を与えないように、徐々に動いていくという心配りが必要だ』

とまあ前の金融担当大臣路線を見事に否定しておりますわな。あたしゃ外準積極運用なんて業者のカモになるだけだから(そりゃまあ業界人としては大金をわざわざ落としに来る巨大カモが発生するのでオイシイ話でありますけど)止めとけというのは既にこの話出たときに書いた次第でして、業者(銀行とか証券とか)が外準積極運用を提唱するのは十中八九ポジショントークでありますので、金融業界に顔がお広いらしい現金融担当大臣様におかれましてはポジショントークに乗せられないようにして頂きたいところでありますが(などと書くと業界から総スカンですかそうですか^^)、この件でもひと悶着起きるのかも知れませんな。

前任金融担当大臣の東京金融街構想なんてどこの誰にそんな筋の悪い話吹き込まれたのとか言いたくなりましたが、現金融担当大臣様におかれましては一つ落ち着いて頂きたいものだと思いますが、あたくしかつて悪態つきましたように、このセンセイどうも「中途半端に知識があって、功名心旺盛でパフォーマンスが得意」っていうパターンのお人にしか見えないので・・・・・しょうもないぶつかり方するんでしょうね。

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2007/09/07

台風がやかましくて参りましたので今朝は簡単で恐縮。

○ECBは利上げ見送り

まあ前日の時点で声明が出てたので利上げしないというのは織り込み済みではございました。しかしまあ昨日はご丁寧にも朝一発目にイレギュラーのオペ実施をしてまして、期間1日で平均4.13%の足切り4.06%で422億ユーロの(当初落札予定額は決めてなかった)落札というのが早々に出たので益々利上げ無しのすけモードではございましたので利上げ無し自体は兎も角、トリシェ先生利上げ方向の旗は降ろさずだったとの報ですわな。

とまあそんな訳で、頼みの(???)ECBが利上げ見送りという最中に小島よしおよろしく「でもそんなの関係ねえ」と日銀が利上げするかと言ったらまあさすがにそれは無いでしょという感じですが、既に国内市場は9月無理でしょ状態になっていますのでこれ自体は影響なく、それよりも毎度お馴染みの「9月ダメだと10月ダメ」理論によって年内無理じゃねえのか状態になりつつある(少なくとも短期国債の利回りやら2年国債の利回りなんぞを見てるとそんな感じでございますわな)我が国の市場の見方が「やっぱECBは利上げ方向なのかねえ」となって影響でるのかが興味津々。

まあアレでございますよ。日本の金融政策という面で言えば、そもそも単体ベースでインフレ懸念が顕在化しているというのなら兎も角、CPI上りだすのせいぜい年末近くという状況で、コアコアがマイナス0.5%とかいう数字を出されてますと(救いなのは10%刈り込み平均がここのところごくごく僅かなプラスの牛歩モードながらも上昇は上昇という感じになっているとか、東京都区部のコアがゼロまで戻ったとか)目先利上げするとなれば、海外がインフレ懸念で利上げする中で日本も金利の調整をしますよという感じで話を持って行かないと理屈として苦しかろうと妄想するのでありました。いやまあ福井総裁が記者会見で海パン一丁で登場して「でもそんなの関係ねえ」と踊りだして利上げの背景説明(説明にならんが)したらオモシロイので許す(ってウソですからね^^)。


例によって外部要因待ちという主体性の無いにも程がある流れではありますが、次の利上げに関する思惑が盛り上がるのはECBが利上げするか、FRBの利下げに打ち止め感が出るかしないと厳しいでしょうなあと言った所で、正直これ以上中央銀行チェックするのかよ面倒ですなあと存じます(^^)。


○OISの利上げ織り込み度合い

ご案内のように9月利上げなんぞ関係ねえという価格形成が行われている短期市場(以外もそうですな)でございますが、今回は10月の決定会合が2回あるために9月20日からのインターミーティングタームが10月11日エンドになるのでありました(よって期間21日)。

んでまあ情報ベンダーで某業者様がお出しになっているインディケーションによりますと昨日のレートが0.525%−0.535%とのことで、0.25%の政策金利引き上げ織り込み度合いは0.5%VS0.75%だと思って計算すると4%の織り込み度合いとなるとのことで。

・・・・ってまあそれはそれでよいのですけれども、あーた期末期初というのが世の中ありまして、今回だとインターミーティングの21日に対して3日間期末期初があるざますので、その分ベース高くなるでしょうと思う訳でして、例えば今年3月末の期末レートと同じレートを末初レートと想定して0.715%(3月末も末初は3日ありました)を置きますと単純な算術平均(OISは複利積み上げ方式なので単純算術平均だと微妙にズレがでるのですが、ここはざっくりで勘弁)を出すと0.5307%となる訳でして、これは見事に上記オファービットの真ん中。

ということで、どう見ても9月利上げ織り込み0%です。本当に以下略。


○FRBはどうするんでしょうな

まあつらつら雑感ではありますが、一番ややこしいのはFRBでございまして、市場の方がもう勝手に利下げクレクレ状態になっている中でインフレ懸念の方は相変わらずという有様ですから、どこをどうすりゃ良いのでしょうかという話になるのですけど、担保基準の緩和方向よりも金利引下げの方がやりやすいということで金利引下げが先行しそうな悪寒。実際問題として以前から何度も申しあげてますし、10年選手以上の方々なら身に沁みていると思いますが、本格的な信用収縮モードになると市場メカニズムが壊れるので市場経由の調節は効かないのでありまして、後出しでプルーデンスが出てくる手遅れモードが一番不吉な絵かと存じます。

そんでですな、じゃあFRBがどうすりゃいいのかというのを極東の無力市場関係者でありますあたくしが勝手に妄想しますと、これはもう「やるやる詐欺」しかないでしょうと思うのであります(次善の策はプルーデンス炸裂)。幸か不幸かいわゆるグリーンスパンのプットが何となく生きていまして、しかも公定歩合引下げをさっさとやったことも妙に評価されて、市場は「バーナンキなら、バーナンキならきっと何とかしてくれる」(AA略)状態になっておりまして、市場金利が勝手に利下げを織り込んでおりますので、この調子で沈静化するまで「やるぞやるぞ」と見せかけて出すものはあまり意味無いものを出すと言う「やるやる詐欺」コースが宜しいのかと存じます

結局1回下げると1回だけという訳には逝かなくなりますんでね。


○LIBORが高いという話(ひとことだけ)

前々から高かったのですが、最近はモーサテなどでも話題になってますけど、円金利でみればTIBORがありますので上昇歴然(^^)。

で、報道各社の皆様に置かれましては、なぜこの件を「ユーロプレミアム」と煽り報道しないのでしょうか。日本の時だけ「ジャパンプレミアム」とか言って大々的に報道するのは自虐にも程があります(-_-メ)。

ではでは。

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2007/09/06

お題「材料は外からですので・・・・・」

なんか今日は富裕層向け金融ビジネスのニュースが出てましたが、その話をしてて「具体的には金融資産1000万円以上」とかいうお言葉が出ると激しくずっこけるのですけれども。そりゃ桁が2つ違います(千歩譲って1つ)がな。日本の個人金融資産の一人当たり平均幾らでしたでしょうかと小一時間問い詰めたくなるのですけどねえ>某公共放送


○何というこの運用圧力

昨日のFB3か月入札でございますが、平均が0.65%を割り込むんでしょうなあとかのんびりした事を申しあげておりましたが、入札の結果は平均0.634%で足切りが0.638%と12月10日償還だというのに何ですかその利回りはという結果。おまけに引け値(日本相互証券)ベースでは0.62%になっているという有様でして、純粋にこの利回りを保有期間中に予想される現先やレポ金利の足し算と比較して考えた場合に、下手したら足元金利の足し算に負けそうな悪寒のする利回りなのですけど、買いは多いちゅうことのようで誠に何とも。

まあ相変わらず債券と名前がつく短いゾーンのモノは人気高いようで、ゾーン的にはこのあたり新発一般債いうものは普通出てこない(短いゾーンでコンスタントに量が出るのはCPですんで法律上は短期社債ですけど債券扱いじゃない)ので既発の売り物が出てくると世の中の在庫が増えるの巻なのでしょうが、どうも高格付けもの中心に売り物出てもあっさり吸収されるようで、キャッシュ潰しのニーズが強いというところでしょうな。相場が上昇して迎える期末らしい光景ではあるのですが、今回に関しては直前の利上げ観測とか、海外信用収縮の波及懸念(というか巻き添え懸念というか)によるキャッシュ厚めに保有の動きとかあったのでいつもよりキャッシュが多かったですねえというのもあったのかなあと思うのでした。


昨日は後場から株価指数が威勢良く下落したのもフォローになったとは言え、中長期ゾーンでも諸々の新発一般債がここぞとばかりに山のように出たのも構わず相場上昇とか、ここに来まして運用圧力の強さに正直「ひえ〜」と脱帽なのでありまする。ナムナム。


○しかし織り込みがデジタルになりますなあという感想

長いところでも結構その傾向があるように思えますけど、より短い所に関しては特にその感を強くするあたくしなのですけれども、利上げだけじゃなくて期末越えとか、月末越えとか、その手の材料の織り込み方が最近益々デジタル化してるんジャマイカと思うのでありますよ。

例えばね、昨日もちょっと触れましたが、FBの落札利回り推移なんぞ見てますと、8月の週3発入札の時に行われたFB落札結果見ますと、7日の6か月が0.734%−0.750%で、8日の3か月が0.726%−0.745%といきなり上昇。10日の2か月に関してはまあちょうど信用収縮炸裂モードで資金抱え込みの動きがあった分で流れたというのもありますが、何と0.747%−0.771%と、まあこのあっという間に盛り上がる動きが何ともなんですが、9月に入ってからの金利の下げ方(というかタームものレートの潰し方と言った方が実感があるのですが)もまた織り込みデジタルコースで、9月利上げ無しどころか10月も11月も利上げ無しのような勢いでFBの金利が低下するわけよ。まあ需給要因もあるからそこは割り引かないといけないけど。

もっと端的にはGCの動きとかもそうなんですが、いくら足元の需給が反映するって言いましても、カレンダーベースで8月末までのレートが妙に下がらないで、9月になったとたんに急に金が出たのでコースになるとは何たること(だってGCって基本先日付渡しなんですから、カレンダーベースじゃなくて受渡ベースで動かないと変)という風に思うのでありますよ。

何と申しますか、低め誘導(キングナツカシス)以来政策金利がロクに動かないというのが10年どころでなく続いていたせいか(それでも低め誘導時代には何度か利上げ観測で短期金利が上昇したことはありましたが)全体的に政策金利が動く事に関しての反応がデジタルになるのかなあなどと思うのであります。というか政策判断の材料が「与えられる」のを待っているというか、上手く表現できませんが、要するに思考力が低下してるのじゃないかなあなどとエラソーな事なんですけどね。織り込み具合がゼロと1の間をデジタル的に飛んで、しかも動きが横並びってイメージが強いのですよねえ。

まあそのうちこなれてくるんでしょうけれども、この調子ですと今は表面的には無警戒に見える期末もあるとき突然織り込みモードになるんでしょうなと思うのでした。

#だから日銀は期末越えのオペを結構なペースで打ってるのでしょうけれども


○相場の材料は外からですな

ECBが何か声明を出しているらしいのですが、報道ベースでしか見ておりませんので内容知らず。たぶん報道されている内容によりますと、こっちがECBに対して「まあまあ落ち着いてよ」と申し上げたくなるような感じがするのですが気のせいかな?

それは兎も角として、昨日は為替市場方面から内閣退陣の噂が出て(鴨下大臣の記事が出てたのが噂発生の元のようですな)株は下がって債券上昇とか、何かもう相場のネタが金利市場のそとからやってくる事の方が多そうな感じ。正直言ってちょっとくらいのタカ派発言が政策委員から出ても反応しないんじゃないかというような勢いであります。

まあ先ほどから申しあげておりますように、運用圧力が高いという問題があるので仕方ないのでしょうけれども、こういうときには日清食品が来年1月から17年ぶり値上げとかいうようなニュースが出ても華麗にスルーするのが金利市場クオリティで、今見てるのは海外の中央銀行の動きと、何か出てくる買い材料といったところでありましょうな。

どこぞの情報ベンダーのコメントに出てましたが、相場を一番動かすものは「恐怖感」でありまして、今は「金利が低下する」のが恐怖なのでありましょうなあ。

#本業多忙のため雑談に終始して正直スマンカッタ

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2007/09/04

○これはまた

昨日の夕方に各社ベンダーに出てたヘッドラインは中々アレでございました。というのは与謝野官房長官のインタビュー記事でありますが、例えばブルームバーグニュースの3日18時24分配信記事によりますと・・・・・

『9月3日(ブルームバーグ):与謝野馨官房長官は3日午後、首相官邸で報道各社のインタビューに応じ、日本の財政状況に関し、税制改革に本格的に取り組んで財政健全化を進めなければ、長期金利を1.5-2.0%の水準に10-20年の長期間にわたって保てるか疑問との認識を明らかにした。その上で、高い名目成長率を目指すことによる税収増で財政健全化を目指す考え方と「インフレ政策だ。悪魔的政策で国民には迷惑な話」と批判した。』

長期金利を1.5%〜2.0%の水準に10年〜20年キープってえことになりますと政策金利はどう見ても1.5%までしか上昇できませんのですが・・・・・・うーむ。財政健全化路線炸裂だとイールドカーブもフラットしそうですけど、はてさてどうなることやら。

#しかし悪魔ってあーた(苦笑)

まあこの路線だと財政健全化が先に来るので実は金利引き上げがやりにくくなる可能性もあるなあなどと漠然と思うのであります。財政健全化先行で景気をサポートするために低金利継続という要請になるのかも知れませんわな。必ずしも日銀に追い風なのかは微妙じゃないでしょうかねえ。

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2007/09/03

○格付け雑感

先週末の市場ではブッシュ大統領が住宅ローン問題で対策発表するという話が切っ掛けになり債券先物は寄り付きの136円01銭からスタートして135円割れまでやらかしたあとで大引けに掛けてインデックス系と見られる買いで戻して135円35銭で終了ということで、大台替わりを3回やるとはこりゃ参りました。

そんなニュースの中でしらっと見つけたのが(ブルームバーグニュースで見たのですが)米国格付け機関の社長が辞任するというモノでした(手元にソースはない)のですが、理由は「家族との時間をとるためであって、サブプライムとは関係ない」という風になっていますが、どう見ても敵前逃亡です。本当にありがとうございました。

まあ何と申しますか、余りにも露骨な動きなので笑うしかないのですが、そもそも格付けに権威が付与される中でその格付けが高いけど利回りは良いという魔法の商品(魔法でも何でもなくてプライシングが実際のクレジットリスクを反映していなかっただけの話ですが)が出てしまい、それが売れてしまうというのが間違いの始まりということですわな。バーゼルUで「格付けによるリスクウェイトの調整」という手法が導入されて、高格付けが制度上の優位点となり、その制度上有利になる商品のプライシングがおかしくなるというのはこの手の規制や制度があると必ず発生するお約束のようなもの。最近の日本では「15年変動利付国債バブル」が発生してエライコッチャになったのは皆様ご案内の通り。

まあ格付け問題とかバーゼルUとか、これからも香ばしい展開が待っているようですので、ヲチ対象ですわなという雑談でありました。

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2007/08/30

○見事に釣られますた

さて、自戒とは何ですかと申しますと、昨日あたくしの駄文でいつもの悪態をついたところなのであります。恥を忍んで再掲すると、「それに「利下げクレクレ相場」だった筈なのにFOMC議事要旨が先行き景気懸念で嫌気とは。」と言って悪態をついた次第なのですけど、この「FOMC議事要旨で先行きの景気懸念が示された事を嫌気して株価が下がった」というのは毎度お馴染みの某テレビ番組ニュースの相場後講釈を鵜呑みにした結果なのでありますな。

で、改めて米国市場後講釈をあちこちで見たら別の講釈が多うございまして、こりゃ釣られたかと思って8月7日FOMC議事要旨を何となく読んでみた訳ですよ。

http://www.federalreserve.gov/fomc/minutes/20070807.htm

えーっと、これどっちかというとインフレ警戒のような気がするんですけど。

『The data on core inflation received during the intermeeting period were favorable, but meeting participants believed that the readings for the past few months likely had been damped by transitory factors and did not provide reliable evidence that the recent level would be sustained.』

から始まるインフレ関連のパラグラフの締めの文はこうなっていまして。

『On balance, participants continued to agree that risks to the outlook for sustained moderation in inflation pressures remained tilted to the upside.』

ということで、これはインフレ警戒スタンスが継続しているという話になりますわけでして、某テレビ番組以外の後講釈が「FOMC議事要旨で期待されているほど利下げの話が出てなかった事に失望して株が下げた」というのがまあ後講釈としては筋が良さそうな感じですわな。あくまでも「後講釈としては」でして実際のところは知らんですが(^^)。

ただまあそもそもですな、8月7日のFOMCって公定歩合下げる前の時の話でして、まだこの時点ではサブプライムのクレジット市場への影響に言及しながらもインフレ警戒スタンス変えずで米債が売られてたりしてたので、その時の議事要旨がややインフレ警戒スタンスになっているのは当然と言えば当然のような気もするんですけどね。

まあいずれにしましても、あたくし恥ずかしながら某テレビ番組に豪快に釣られてしまいますたということで、ちゃんと1次資料に当たらないといかんちゅうことでございますわな。

ただまあ人間全部一次資料を見てられるほどヒマではありませんので、要は「情報は複数のコースから取りましょう」ということになるのかなと思うのでありますが、まあ本当は「発言の一部を切り取って針小棒大にヘッドライン打つ」とか「相場を単に傍観してる人のテキトーな後講釈」(何かオマエモナーって言われそうですが、アセアセアセ)とかいうようなのを報道関連の皆様が極力排除していただけると尚結構ということなのでしょうけれども、何せあたくしが駄文で時々悪態ついておりますように、本職のお方の中からも「いや、そのりくつはおかしい」という講釈が飛び出すのが市場クオリティでありますので、中々大変な事ではありますわな。

とかエラソーに言ってますけど、これかなり自戒が入っておりますので一応申し添えます(^^)。


○GCレポだけ高い面妖な動き(メモ)

正直良く判らんのですが現象面としては実に不可思議なのれす。

昨日実施された3か月FBの入札ですが、平均落札は0.666%ということでその後も確りで日本相互証券の引け値ベースでは0.655%でございました。既発のFBも非常に確りで、償還日の関係で期末越えの担保に使えない(純粋な余資運用の人には関係ないが)10月1日、10月3日償還のFB以外は軒並み0.65%あたりと、利上げ観測どこへやらの勢いでありますわな。CPレートもまちまちながら低下気味ですし。

という中で何故かGCレポだけ妙にレートが高止まり気味なのが謎なのでありまして、0.6%半ば近くで張り付いているのはナンノコッチャという感じです。コールもオペも金利低いんですけどねえ・・・・・

そんな状況ですので、現先レートとかもまあ高めだったりして、実に不可解な動きなんですが・・・・・

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2007/08/24

○8対1でしたな

決定会合の票決は8対1で水野審議委員は利上げを提案。

今利上げすべきかという話はさておいて、フォワードルッキングの金利調整という政策ロジック的に言えば「足元の確信度合い」という謎のファクターを加えずに展望レポート中間レビューの7月というタイミングで利上げを提案した水野審議委員の方が筋論としては筋論でありますなということで、今回日和らなかったのはそれはそれで筋が通ってると思いますわな。

まあ今回水野審議委員が現状維持賛成に回りますと、どう考えても9月で審議委員の多数がいきなりひっくり返るという図は想像しにくいところであります(まあ今までの例で言えばいきなり変るというのもありましたけど^^)わな(信用収縮が思いっきり収拾して株価も為替も7月の頃に戻っているというのなら別でしょうけど)。

そして昨日は面倒なのでスルーしましたが、9月スキップした後10月の短観とか見て足元の確信度合いとやらが高まるのかと言えば、調査期間までまだ暫くあるから何ともいえませんが、今の調子だとどう見ても短観がよくなるとは思えませんので決め手弱し。展望レポートの見直し時点とか言ってると10月末になり、そうなるとじゃあGDP見てからの11月・・・と話がズルズルと延びるの巻という話になるかなとか思ってましたんで、その点で言えば水野さんが現状維持にひっくり返った場合にはあとあと金融政策の思惑という点では効いてくるところだったかも知れませんですわな。

まあこれで水野さんはタカ派としての確固たる地位を獲得しましたので、30日の講演をワクワクテカテカしながら待ちたいと存じます。


○だからそう慌てて反応しないように

昨日の総裁記者会見。当然ながら質疑応答が沢山あって情報ベンダーの記事読むだけでも結構めんどいので会見要旨出るまでご勘弁いただくということでヘッドラインの考察だけ(^^)。

昨日はロイターを主に見てましたが、ヘッドラインの一発目で見事に債券先物が反応しやがりました。

『シナリオに強い確信もてれば政策変更していく』
『低金利継続のリスクの問題意識はしっかり持っていく』
『単純に他国の金融政策の影響は受けない、独自判断で』
(ロイター日本語版より、以下ソースは昨日のロイター)

これで先物を10銭ちょっと叩くのもご苦労なこったというかお祭り好きな人いますねえというしかございませんが、その間にロイターの英語版では実はこんなヘッドラインもあったりするのですよ。

『BOJ'S FUKUI SAYS ADJUSTMENTS IN FINANCIAL MARKETS MAY TAKE TIME』

で、言うまでもございませんがその直後に日本語版でもこの部分が

『クレジット市場の機能停止、ほぐれるのは数週間では難しい』

と出やがりまして、あっという間に下げた分が戻るというご苦労様にも程があるという値動きをしやがりました。だからそう慌てて反応するなよと思いつつ、英語と日本語のヘッドラインの順序が微妙に違う点についてロイターに何か意図でもあるんですかねえとかついつい意地の悪い読みをしたくなるのがドラめもんクオリティなのであります。いずこも同じで困ったもんよ。

会見全体のトーンは(斜め読みしただけですが)特に利上げに積極的にやる気だしてるという感じには見えませんでしたけどね。

ところで日経記事では「9月利上げ不透明に」ってなってますけど、金利市場的には既に9月無理で10月ですかねって感じになっていましたので、何かこうピンボケ感があるのですが、まあ為替とか株の人たち的にはそんなもんなのでしょうかね。



○これはどこかで見た光景でありますなあ

さて、昨日書きました5億ドル云々でございますが、内容としては大手銀行4行が連銀貸出を各行とも5億ドル借りましたよ皆さんも借りるといいですよ流動性が確保できますよって公表だったそうですので、とりあえずそれ全部足すと20億ドルなので2500億円位のお話でしたなこりゃ失礼。

ま、それはそれで良いのですけど、信用力が高いと見られる有力銀行が横並びで連銀貸出を受けて(ちなみに、金取れなくてヒーヒー言ってるともっぱらの話題にされている欧州系のどこぞの銀行様もお借りになっていたようですが、そっちは普通にしらっと連銀貸出ご利用のようで^^)「皆さんも借りましょう」てなお話はどう見てもセレモニーです。本当にありがとうございました。

そしてこの別に借りても借りなくても同じっぽい所が率先して借りるしかもどう見ても横並びって姿に既視感がありますなあと思っていたらそれは我が国の公的資金注入の第1弾(金融再生委員会がどうのこうのとかやってた時でしたっけ??)で、当時相対的に不良債権問題による傷が浅いと評価されていたどこぞの銀行が率先して申し込んでどう見ても○○ですとか言われてた誠にアレな物がございましたが、まさにこの既視感・・・・・(^^)

そういやあカントリーワイド社の優先株を引き受ける所も出てきたとかいうニュースを聞くと益々・・・・・・・(^^;


○おまけでレポレート低下(時間無いのでメモだけね)

国内の円資金取引はどう見ても一昨日の時点で落ち着いてるのに、昨日も国債買現先に短国買入と打ちましてGCレートがあっさり0.6%割り込みました。何たる下げの勢いの良さ・・・・・

CP、FBも確りしてまして、少なくとも国内円の短い所の信用不安は(もともと別に無かった事もありまして^^)完全に落ち着いたと評価していいんじゃないでしょうか・・・・・

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2007/08/23

○利下げのウワサで短期債急落という事で(^^)

昨日の引け後のロンドン時間のお話。何か株式が威勢良く上昇してて米国トレジャリー短期債がアホのように売られておりまして、そいつを横目に円債先物イブニングセッションも売られておりました。

何じゃコリャとか言ってたら「何か米国でFF緊急利下げのウワサだそうだよ」というのが駆け回っておったようでして、この手のうわさというのは聞いた人間が裏を取ろうとして他の人に「〜という噂があるらしいけどどうよ」と聞くので、「〜という噂が流れているという噂が流れていますなあ」というヤヤコシイ事になります(^^)。まあそれは兎も角。

ここもとの米債特にトレジャリーの短期ものに関しては、フライト・トゥー・クオリティにも程があるというのか、FF下げ何回織り込んでるのよという動きでございましたので、巻き戻しということなのでしょうけれども、利下げのウワサで短期ゾーン売られるとは中々香ばしいですわな。引けてみれば米国債10年5毛甘はまあ良いとして、米国債2年が14毛甘とは笑わせてくれます。

ま、真面目に後付け講釈しようとすると「信用不安を織り込みすぎた分、FF下げで信用不安が解消されるとの見方から巻き戻しが起きた」となるのでしょうが、FF下げても問題の解決にはならん(先送りは出来るが)のでこの講釈もかなりインチキなのであります。まー結局はですな、「群集心理で右や左に大騒ぎモードだから仕方ないんですよ」という何の説明にもならない説明しかございませんわな(^^)。

これをモーサテがどう解説するかと楽しみにしてましたが、やはり講釈不能だったようで(仕方ない罠)、欧州株の上げを「米国の利下げ期待」、米国株の上げを「大型のM&A」、米債の下げを「米国株の上げ」と無理矢理講釈致しましてご苦労様でございました(^^)。

#LTCMが飛んだ後の最後の利下げ前後でも利下げで米国中短期債が猛然と売られたそうですね^^;


しかしまあ米国連銀貸出5億ドル出たから(追記:翌日補足しましたが大手4行で各5億です)流動性が潤沢と市場に安心感(モーサテのコメンテーターの発言なので若干アレですが)とか、英国でレンディング・ファシリティが3億ポンド出たから信用不安とか、おまいら1000億円にもならねえ金で何動揺してるんだと、信用不安問題に関してはここ10年で散々とんでもないものを見せてもらいましたあたくしたちとしては思うのでありました。

ま、逆に考えればインタバンクに1兆だすよりLLRの100億の方が効果絶大(冷静に考えれば当たり前ともいえますが^^)ということでございますよオッホッホ。


○決定会合プレビュー

本日までの金融政策決定会合。利上げの可能性はマイナス1億%(政策委員全員が妖術師から集団催眠術でも受けないと無理)くらいでございますのでそれはどうでも良いのですが、総裁記者会見で何が出るのかというのと、金融経済月報で何が出るのかというのと、票決がどうなるのかという3点が注目されるところでしょう。

まず総裁会見ですが、どうせ今回の会見では「9月利上げなんて出来ないでしょうねえホレホレホレ」と記者様がツッコミを入れて、それに対して「先の事は決めうちしませんので、9月利上げ無しと断言することはできませんが何か?」というリアクションが発生。で、最近妙にセンセーショナルなヘッドラインを打ちたがるどこぞの情報ベンダーあたりがややHawkishなヘッドラインを打ち込むという所までは読めます罠。

で、そのヘッドラインに対しての市場の反応ですけど、月曜くらいの感じですと「また空元気か!」と華麗にスルーという感じだったかもしれませんが、今週になって徐々に株は確りしてくるわ為替はまた戻ってくるわ、おまけに米国短期債は売られるわという状況になっているので、ちょっと反応するのかもしれませんね。まあそこを織り込みに逝った結果が昨日の引け後の2年0.895%(金曜は0.815%の引けだったんですけど・・・・)なのでしょうかとも思えます。

まあど〜せ「経済物価情勢に応じて政策金利の調整を行う」というのは出てくるのであまり驚かないようにありたいものです。


次に金融経済月報ですが、個人的にはこれが一番楽しみでありまして、中身がどうなるというのはこれこそ中身見るまで判りませんけど、ここもとの金融情勢の変化をどう評価し、先行きのリスク要因に加えてくるのか注目ですね。

それから票決。7月にはロジックを通して(利上げの是非は兎も角として)男を上げた水野審議委員ですが、さて今回どうするのでしょうか。現状維持に回れば「日和りましたな」と悪態をつかれ、利上げ提案すれば「この状況で利上げとはどういう神経」と悪態をつかれそうな状況でありまして誠に痛惜の極みでございますけど、やはり金融政策決定会合にはタカ派とハト派の芸風をお持ちの方がいらっしゃらないとオモロクありません(というか両方いないとバランス取れないしぃ)ので是非奮起(何の?)を期待したいところでございます。と無責任にも程がある放言でしたすいませんすいません。

ま、全員一致になると「こりゃもう9月はむりぽで一番早くて10月でっしゃろ(10月も短観がこのままだとよくなる訳ないので苦しいのではという論点は華麗にスルー)」という市場の見方(たぶん9月利上げよりそちらの方が多いと思う)を補強するでしょうねというくらいの予想はつきますな。

しかし7月利上げしなかった事に関して考えれば考えるほど本当に福井総裁って悪運が強いですねと感心することしきりであります。何か地雷原の中を砂利満載のダンプで突っ走ってるのに地雷を全然踏まないというか、地雷を踏んでも何故か不発というか。。。。。

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2007/08/22

○連日の供給でさすがにレポレート低下ですな

昨日も先日付スタートの資金供給が実施されていましたが、国債買現先が23日スタート28日エンドとはこれまた見事に「是非ご利用下さい」と言わんばかりの応札する方に優しいオペでございました。しかも1兆円。こちらが「使いやすい」オペだったこともあって落札利回りは0.64%全取だったのですが、午後には共通担保本店が23日スタート9月21日エンドで実施したらこちらは前日と似たような期間でしたが落札利回りは足切りベースで前日比2毛低下とだいぶ落ち着いた展開の巻。

さすがにこれだけ威勢良く先日付の資金供給を打ってくれるとちったあ落ち着くようで、前日も上昇して「えー」となってたレポや現先のレートもさすがに取引終盤は0.7%割れとなったようで、まあさすがにねという感じです。

そんな中で本日は3か月FBの入札が行われる訳ですが、誰がどう考えても今月の利上げ無し(その割りにやたらと牽制発言が出ているのが良く判らんのですけど・・・・・)という状態ではあるのですが、GCだの現先レートは妙に確りしておりますし、まあ9月前半の積み後半は今の調子だと金利がまたダダ下がりするんでしょうけれども、9月後半になると積み期間は変るわ期末だわということで、新BISの悪影響にも程がある6月末の状況から類推するにろくな事が起きなさそうな悪寒でありまして、そーゆー意味では利上げ無いからと言っても利回り重視スタンスだと中々利回り低い所まで突っ込みにくかろうと思うのですが。

あとは「短期国債だったら何でも買いますよ」状態の買いがどのくらいあるのでしょうかというお話になるかと思います。WIの0.715%ってのは既発対比ちょっと利回り高く引けつけ過ぎなんジャマイカという気もするのですけど。どの位ニーズがあるのかちょっと注目。


○翌日物金利先物の上場

月曜にTIFFEから公表がありましたので既にご存知の方も多いかと存じますが。
http://www.tfx.co.jp/newsfile/07/070820_j.html

商品概要は上記URL先にリンクがあるのでそこをご覧いただけると宜しいかと存じますが、OISが相対取引なので一応カウンターパーティーリスクがあるという事と、それ以前の問題として標準取引ロットが巨大過ぎてパンピー手が出せませんわというのもありましたので、この商品はまあ一応発展を期待したく存じます次第で、悲惨なアイデア倒れ商品に終わったスワップ先物の二の舞にならないようにお願いしたいものであります。

で、その商品内容なんですけど、ざっとみて「?????」だったのは取引単位が「元本3億円」であることです。1枚3億円ってあなたそりゃ使いにくいったらありゃしませんということで、どう見ても死亡フラグです。本当にありがとうございました。

いやまあね、元本1億円の0.01%(1bp)が1万円で、3か月(金先ですね)だと(90/360で4分の1ということで)2500円でして、今回は1か月だから12分の1になるから3の倍数にしないと端数が出て処理に困るというのは良く判るのですけれども、1枚3億というのは如何にも不自然なので、ここは端数発生も辞さずで1枚1億円(にすると1bpで833.3円になるのですけど)というのはどうなんでしょ。まあ建玉の関係で変な調整金が出てきそうなので難しいですけどね。

#などということはパブコメ出せですかそうですか。

(追記:ちなみにこの新商品なんですが、始まると言う中で外野はそこそこ話題にした割りに肝心のマネーの人たちでの盛り上がりがやたら低調。どうも諸般のヤヤコシイ話もあるようですが、行き着く先は企画倒れの死亡フラグが立ちまくりのようですな)

○ロンバート(及びその類似物)はどうも嫌われますなあ

昨日見てたニュースの中で「ありゃま」と思ったのは「英中銀がスタンディング・ファシリィティに基く貸出を実行したと発表したら相場が動いてしまいましたな」というニュースです。日本語版ロイターのニュースを見ますとこれが配信時刻が昨日の19時33分でありまして・・・・・

『(ロンドン21日ロイター)21日午前の欧州外為為市場(原文ママ)で、イングランド銀行(英中央銀行)が前日にスタンディング・ファシリティーを通じて3億1400万ポンドの貸し出しを実行したことを受け、ポンドが下げ幅を拡大している。(以下割愛)』

で、関連してGilt先物が動いたというニュース(単に元ニュースを検索する積りで間違って引いたのですが^^)を英語のほうのロイターニュースを見るとこれがまたうーむなのであります。日本時間19時42分配信の記事なんですけど、面倒なのでヘッドラインと最初のところだけ引用。

『UK gilt futures soar as BoE lends at penalty rate
LONDON,Aug21(Reuters)-British gilt and rate futures extendes gains on Tuesday after the Bank of England said it had lent money via its resort standing facility for the first time in more than a month.』

えーっとpenalty rateですかresort standing facilityですかそうですかということで、まあいずこの国でも話は同じなのかなあという感じでありますけれども、、中々難しいもんですなあというのを感じた次第でございますです。だからこれはあくまでも政策金利のコリドアを形成するものであってペナルティーではない(ないとまで言い切ると少々アレでございますが・・・)という認識を如何にして広めるのかは今後の中央銀行業界(?)の課題なんでしょうかねえ。

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2007/08/21

○レポとオペが妙に高いのですが

昨日もまたまた日銀の資金供給オペは気持ちよく実施されておりまして、即日オペ実施で当座預金残高は10兆円になるわスポットスタートの現先オペに共通担保オペが打たれるわとせっせと供給状態。しかしオペ結果の方はと申しますと、即日オペのオーバーナイト物のレートが0.64%の按分という何ですかそのレートはという高さで、1週間程度の期間で打たれた買現先レートも0.634%/0.62%と前日比若干上昇するわ、1か月の共通担保も0.642%/0.64%とこちらも利上げ懸念無いくせに確りのレート。

んでまあこちらのレートが高いこともありまして、GCレポ取引も高止まりの巻となっておりまして、昨日は0.7%台での取引だったらしく、こりゃまたどうしたもんよという感じでありまする。そしてタチの悪い事に、オペやらGCのレートは高いというのにTB/FBのレートは相変わらずでして、昨日の日本相互証券の引けベースではレート若干上昇したものの、先週発行の新発3か月FB468回で0.690%とどこからどう見ましてもGCから逆鞘です。本当にカムサハムニダ。

ま、3か月間この有様が続くわきゃあねえ(というか積みが進捗してくりゃどう考えても低下するっしょ)と思うので、逆鞘は逆鞘で一時的現象ではあると思うのですが、GC0.7%台という状況ですと半年以上のTB/FBも足元と変らんという有様でして、何たる国債選好状態としかもうしあげようがございませんですわな。ナムナム。

何がどうなって資金の出が悪くなってるのか微妙ではございますけど、まあ為替などを含めてドタバタと動きがあるので資金繰り読みにくいとか、国内で特に大きな地雷は無いにせよ、昨日も申しあげた疑心暗鬼モードがあったりとかまあ兎に角「読みにくい」の一言に尽きるのかなという感じです。多分積み後半を待たずして落ち着いてくるとは思うのですけどねえ。


○ディスカウント・ウィンドウについてちょっとだけ

公定歩合引き下げと共にNY連銀総裁とコーンFRB副議長が大手金融機関と電話会談を行って連銀貸出(ディスカウント・ウィンドウの事ね)の利用をしましょうとのお告げという報道がございましたが、18日6時7分配信のブルームバーグニュース記事を拝読致しますと、『クリアリング・ハウスの発表資料は、「二人は窓口貸し出しの活用を促すとともに、活用は力強さの表れだとの認識を示した」とした。』そうでございますが、何というか利用を躊躇わなくていいですよって言いたいのは判るのですが、「力強さの表れ」とはもう何と申しますか・・・・

ということで、その連銀貸出ですが、まあちゃんとみるべえと思いましてFRBのサイトをみたら、連銀貸出専用サイトがあるとは不勉強にも存じませんでしたすいませんすいません。
http://www.frbdiscountwindow.org/index.cfm


で、そちらのサイトを読みますと連銀貸出の仕組についてのドキュメントとか読めるのでありますが、何となくそういやちょっとだけどこかでレポートとか見て昔勉強したような気もしないでもないのですが、まあそこは追々勉強するといたしまして(こら)、上記URLの右側のテーブルにあります所のCollateral Margins Tableというのをクリック致しますとPDFその他のフォームで担保掛目を取得できますわな。例えば見やすそうなのですとこちらのPDFなんぞ如何でしょう。
http://www.frbdiscountwindow.org/discountmargins.pdf

こいつを拝読致しますと、結構いろんなものを担保にとってくれるようでして、表の一番下の方を見るとConsumer Loans-SubPrime Credit Card Receivables というのまでございますかそうですか。掛け目60%ですけど、疑心暗鬼モードになってファンディングがつかねえという状態になりますとちょっと変なもんはレポもつかねええええよとなるでしょうから、お助けモードとしては中々宜しいのではないでしょうか。

ただまあこちらのサイトをざっと見たのですけれども、今回の公定歩合引下げはFF対比で100bpあった貸出金利(本当はプライマリーとセカンダリーのレートがあるとかややこしいのですがそのあたりはちょっとネグらせてちょ)が50bpに下がりましたよ使いやすくなったでしょうという施策ではあるのですが、惜しくも担保基準の緩和は実施されていないようでございますな。

ま、別に連銀が購入してくれる訳ではないのですが、目先ファンディングが付くというのは時間稼ぎには役立ちますし、恐らく今は味噌も糞も一緒くたにファンディングつきませんよ状態になっているものと思料されるので、そのうち味噌のほうにはちゃんとレポ市場などで金が付くようになることでありましょう。そうなればちったあ落ち着くんジャマイカ。

ということで、今回はとりあえず「いまここに連銀貸出あるんだから使いなさいよ」という施策でございましたが、ブルームバーグニュースNYの山広さんのコラムの出だしは中々手厳しゅうございますわな。
http://www.bloomberg.co.jp/news/column.html
(多分暫くすると移動しちゃうと思うので後日リンクはりかえ予定)

『これまで、「弱さの象徴」だったものが、電話会議で突然「強さの象徴」と言われても、銀行関係者は面食らったはずだ。しかし、そこは、金融システムの維持という当局と共通の使命を持つ金融界首脳。「金融界の代表は非常に前向きに反応した」という声明が発表された。この時代がかった舞台装置は金融市場の混乱が続くなかで、連銀が一層窮地に追い込まれていることを図らずも示す結果になった。』

いやーあっはっはっは。

#まあしかしここでも言及されてますが『グリーンスパンのプット』ってのは中々香ばしいですな。「グリーンスパンなら、グリーンスパンならきっと何とかしてくれる」(AA略)ということで(^^)。


○格付けがコロコロ変る件について

えーっと時間がなくなってきたので簡単に、というか人のふんどしでございます(^^)。

最近勝手にふんどしをお借りしております厭債害債さんのところで格付けに
関する考察がございまして、誠に仰るとおりかと存じます。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200708/article_12.html

で、この格付けといえばあたくしども少々歳を食った市場関係者が思い出すのはアジア通貨危機に際した格付け会社の物凄い勢いでの格付け変更。まあ外貨建て格付けだから通貨問題にある程度振り回されるのはやむを得ない面がございますが、この推移は中々香ばしいですなあということで、当時の皆様なつかしの銘柄、って今も元気な会社様の格付け推移でも。

韓国産業銀行(KDB)外貨建て長期銀行預金格付(Moody's)
(ちなみに本日現在の格付けはA2であります)
10/27/97 A2
11/27/97 Baa2
12/10/97 Ba2 Neg
12/21/97 B1
01/09/98 Caa1
12/18/98 Caa1 Pos
02/12/99 Ba2
ということでこの先の格上げも中々慌しいのですが以下割愛(^^)。

いやまあただの雑談なのでだからどうしたと言われると困りますが(^^)

#それから話変りますが、同じく害債さんのこのエントリーにも激しく同意。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200708/article_13.html

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2007/08/20

お題「信用収縮と申しますか」

○GCというより先日付のレートが上昇なのか

先週末は実に派手派手な相場でして、正直最後の方は見てて吐き気を催すような動きでありましたが、そんな中で超短い所の金利が何とも。

金曜は前日に引き続き即日オペ供給して積み上拡大してたり、スポットスタートの国債買現先オペに共通担保オペと供給はしてるのですが、GCレポレートはといえば引き続き高止まり、というか上昇傾向みたいでして、0.65%レベルから上昇して最後は0.70%台になったようでして、足元資金供給をしてもどうも下がりません(どころか上昇)なあという感じになっております。

要するにGCの資金出し手がろくすっぽ資金を出さなくなってきているというのでしょうけれども、GCだから出さないというよりは、何かあたくし思いまするに先日付スタートの資金繰りをいつもよりも思いっきり保守的にしているという動きが現れているのではないかと思うのであります。

具体的にどこどこがお危ないからそこに資金が出てきませんというのであれば逆に問題は局地的なのですが、現状だと「何か突発事態が起きると困るから手元流動性を確保しておきましょう」となってしまう次第ではないかと。クレジット物とか仕組物とかに色々チェックが入るような状況であればまあ仕方ないのかなあとは思いますし、どこから何が飛び出すのか良く判らんという状況であれば、今のところは(日本なんか関係ないはずなのだが)仕方ないかなあと思うのであります。結局のところ、全体的、というか世界的な信用収縮の状況が見えてくれば(今の問題はどこで何の問題が起きているのががさっぱり掴めていないことであり、具体的な病巣さえ判れば他の人たちには問題ありません)落ち着いてくると思うのですが・・・・・

しかしまあ何ですな、金曜の時事メインコラム「金融観測」(17時03分配信)で『疑心暗鬼の厄介なところは、根拠もなく疑われること。』と指摘されてましたが、こういう状況になってしまうと市場メカニズム経由での調節をしても効果が大して出てこないというのが問題なのですわな。量を出したり金利を下げれば済むという問題ではない(市場に任せておくと肝心の所には回らない)のが信用収縮のオソロシイところだというのは幸か不幸か日本の皆様学習済みでございますが、向こうの中央銀行はさてどう出る?


○FEDの公定歩合引下げ

散々報道されておりますので皆様ご存知の通り。
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/press/monetary/2007/20070817/default.htm

『Financial market conditions have deteriorated, and tighter credit conditions and increased uncertainty have the potential to restrain economic growth going forward.』

さようでございますな。

『In these circumstances, although recent data suggest that the economy has continued to expand at a moderate pace, the Federal Open Market Committee judges that the downside risks to growth have increased appreciably.』

ということで、経済のダウンサイドリスクに言及してるのですが、前の所から繋げて読みますと、金融市場の混乱が収まればダウンサイドリスクもございませんわなあという風に言ってるようにも見えるのでありまして。まあ微妙な表現ですわな。

実際にはFF下げてないので要するに日本でいうロンバート金利の引下げに過ぎないのでありまして、これだけでの経済的効果は大したことはない(そもそも連銀貸出はあんまり使われたがらないようですし)ですが、「緊急会議を実施」して「経済のダウンサイドリスクに対する懸念に言及」したというのがインパクトとして大きい訳でして、そーゆー点では「見せ方」がお上手ですなあという所ではあります。

で、できるだけこの措置を有効にする為にということで連銀貸出を使いましょうってお話も出ているわけでして(^^)、あたくしも不勉強で連銀貸出の適格担保基準存じませんのですが(おい)(追記:皆様ご教示ありがとうございます。こちらに詳しくはございますです、はい)これによって市場でファンディングがつき難くなってしまったモノに関してそこそこ勘弁できる金利(こうなりゃFF+0.5%で金取れれば御の字でしょ)で金取れれば助かる人も増えそうですな。適格基準がキツかったらあまり関係ないですけど。。。。

まー話は難しい所ですけど、先ほども申しあげましたように信用収縮に伴う流動性問題というのは金利下げてマーケットメカニズムに任せたからと言ってどうなるものでもない(日本でもインターバンクの事実上の保証と政府による救済姿勢への転換が決め手になったのですな)ので、まずは開示によって問題の所在を明らかにすることと、その問題が余計な所まで拡散しないようにプルーデンス的方策を打つというのが本筋でありまして、まあ利下げだの何だのというのはそのための時間稼ぎ効果しかねえと思うのでありますが(別のバブルを発生させて問題を先送りするのは、その次に発生する問題が更に凶悪になるだけなので論外)。


○そういえばこんなのありましたな

さっきちょっと言及した時事メインコラム「金融観測」の金曜日17時03分配信の記事ですが、記事のお題は『世界を救う秘密兵器は・・・=今こそ使える日銀ABCPオペ?』というモノでして、確かにこれは究極のアナウンスメント効果(^^)。

鳴り物入りで始まったABCPオペですが、信用不安の解消と量的緩和によるゼロ金利によって日本ではABCPが相対的な運用商品となってしまったのでオペやっても応札がろくすっぽなく、暫く前にお蔵入りになってのでありますが、今こそABCPオペの再開の検討を指示とでも政策決定会合でやれば、勘違いしたおガイジンさまが涙を流して喜ぶのではないかと存じます。日本のABCPと海外のABCPだとモノが大分違うので、一緒くたにすること自体が話として大間違いのコンコンチキなのであります(日本のABCPの裏付け資産は海外対比物凄い勢いで真っ当と思われます)ので、日本で実施したからどうなのよというのがありますが、まあそれはそれでありますよ(^^)。

そちらの記事のまとめですが、ABCPオペがもしかしたら世界を救うかもしれないという指摘をして、最後に『金融政策ではなく、オペで世界を見返すところが日銀らしい。』で結んでいるのですけれども(^^)、金融政策にはプルーデンスというモノもあり、危機対応という意味でのプルーデンスの優秀さはもっと評価されるべきではないかと思うのであります。

ところでもうひとつの究極兵器といえばセンター担保(以下敢えて自主規制^^)。

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2007/08/17

お題「いやはや何とも」

ロンドン時間で為替がぶっ飛んでいる時にブルームバーグのクロスカレンシーマトリックス画面見てたんですが、これだけ画面がチカチカするのは久々に見たですよ。引き入られるように見入ってしまったです・・・

ということで、物事をゆっくり考える余裕は無いので雑談でご勘弁ありたいと思うのであります。


○カテゴリーごとに動きが違って何が何やら(短期のメモ)

昨日の短期市場ですが、コールは朝からビット確りで、打つのか打たないのかどうなのかと思ってた即日オペは実施の巻となりましたが、こっちの落札レートが平均0.580%に足切り0.56%と結構高い感じ。結局この日は終日ビットが確りでコールの加重平均は0.535%(まあ別に目を剥くほど高いわけではないが)でした。

で、レポの方は国債現先オペが0.62%足切り(平均0.623%)ということで0.6%台前半に落ち着いたと思ったら時間が遅くなってからまた上昇して0.6%台後半になったようで、このあたりは妙にレート確りと。

一方で8月利上げに関しては(毎度お馴染みの著名海外レポートで8月利上げありうべしというどう見ても暑さで頭に来てしまったとしか思えない記事が債券市場の一部では話題になってましたが)短期市場の人で真剣に利上げありと思う向きはいませんということで、TB/FBは強いという有様で解くに9月償還までの期内物はついこの前までモノが出ててゲロゲロだったのが嘘の様にモノなし状態で、FBの利回りが足元のGCや日銀のオペレートよりも低いという素晴らしい人気振りのようですわな。うーむ。

一番右往左往しないCP(何故なら購入する人が基本的に持ちきり前提であり、現先などの商品在庫としてのディーリングポジションはありますが、相場の上下を取りに逝く意味でのポジションを取る人が居ないから動きが派手にならない)はFBレートの上昇(3か月FBで月初から目の子で8bpくらい上昇して4bp戻った所)にもまあやや(目の子で4bpくらい)レート上って只今ちょっと戻ってきてるという感じですか。まあCPに関してはこの状況では持つ側にどうしても「調達コスト」が意識されてしまうので仕方ないかなあという感じです。

ということで、正直短期の商品カテゴリーごとに何が何やら独自の動きをかましているという感じでありまして、もうワケワカランよパトラッシュと逝った所でございますが、てめえの備忘も兼ねてメモメモなのであります。


従いまして、コールが何となく上昇しているのを見て「8月利上げを警戒して準備預金を早めに積む動きがあるのでは」とか講釈するのは間違いもいいところ(とか言って本当にその気で積んでいたらゴメンナサイですが、そういうアホウは可及的速やかに退場すべきではないかと存じます)ですので、間違い後講釈に騙されないように注意しましょう。というか一番間違えられると困るのは政策委員k(ry



○非不胎化介入をすると金利がゼロ近くまで低下するという実例

最近この話あまり聞かなくなったので世の中ご理解も進んだのかなと思うのですが、「短期金利の誘導操作と非不胎化介入は両立しないんですが」というお話がかつては短期市場の中の人以外に中々ご理解いただけなかったという記憶がございます。

でですな、今般の積み最終日騒動をご覧頂きますとご理解頂けたかと存じますが、積み最終日近くに超過準備だらけで準備預金の積み終了先が続出した場合と言うのは、火曜日のコール市場に見られますように金利が大幅に下がるわけですわな。火曜だって売出手形でせっせと吸収しても加重平均0.235%と。

従いまして、中央銀行が準備預金所要額を大きく上回る資金余剰を放置することをコミットした場合には「積み最終を前にして所要準備がゼロになるから金利下がるでしょ」→「そんならその前も金利が低くて然るべき」ということになりまして(ちょっと切り方がざっくりなのは勘弁)短期金利の誘導目標金利の設定と矛盾することになるんですわな。

大昔にこの周囲の論点でエライ人たちが論争になってたような気がしますが、今回は期せずして良い実例が出たというものであります(^^)。非不胎化するなら利下げしたほうが判りやすいってことですわな。

#まあそれ以前の問題として、現在の日本の制度では外為特会が他通貨買いしたらFBが発行されて市中公募されるので、純粋な意味での非不胎化は起こりえないですけど、それはまあケンチャナヨ

量的緩和時代に後付けとして為替介入額に見合うだけの当座預金残高引き上げが行われていましたが、あれはゼロ金利だから技術的に可能だった訳でして、超過準備放置して政策金利誘導をするのは(ゼロ以外では)技術的に困難ということで一つよろしくお願いしますですぅ(誰に?)。


○来週は決定会合でしたなあ

昨日の引け後には米債2年は飛ぶわ、為替は飛ぶわとなっておりまして、午後6時の時点で2年カレントは0.83%まで金利低下し、とうとう4月中旬まで戻ってしまいましたよ我々のこの4か月は何だったんですか(苦笑)と逝った所でございます。

まあ何ですな、トドメのように為替がぶっ飛びやがりまして、こりゃまあどこをどう叩いても利上げ強行するのは無理難題(しかし適正水準というものが一番判りにくい外国為替というのはいつも動きが豪快ですな)というものです。というかここでやったらどう見ても暑さでアタマに来てしまったとしか思えません。頼むから大人しくしててくださいお願いします。

・・・とまあそれはそれとして、今回注目するのは、金融経済月報などで米国発の信用収縮という金融問題と、為替、株式市場に関してどのような言及があるのかという事と、もっと判り易いのは決定会合での票決がどうなるのか(というか水野審議委員は今回も利上げを提案するのか)と逝ったところでしょうか。

一応当たらない予想をしておくと、市場の急変に関しては「一時的なものなのか今後実体経済に影響を与えるのか注視する必要がある」程度で済ませて利上げ無し思惑に一定の牽制をする感じで、水野さんは利上げ今回も提案(フォワードルッキングでの利上げだから)するような気がするんですがどうでしょうかね。据え置き反対票が増えるとそれはちとビビルが。

一旦利上げ提案が0になってしまうと「こりゃ9月も利上げ無しですなあ」となるかなと思います。2年ゾーンなんぞ見てると既にこの相場付きは9月どころか利上げペースが3か月以上後寄せになるような価格形成となっておりまして、それもちとどうなのよとは思うのですけれども、思惑は生みやすかろうという感じでございます。

ま、しかし7月利上げしてなくて良かったねという所で福井さんの悪運(失礼)の強さにホトホト感心。


#何かもうちょっと書こうかと思ったのですが、暑いのでじゃなくて時間がちと無くなったのでこの辺で勘弁。

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2007/08/16

お題「またまたええもん見せてもらいました」

と申しますか、疲れる積み最終日でありましたが(^^)。

○売出手形即日の足切りが高ええええ

昨日はご案内の通り積み最終日にしてスーパー積み上となっておりましたので、朝からコールは0.2%台にさっくり低下しておりまして、当然の如く15000億円の売出手形即日吸収が9時20分にオファー。で、その結果を見たらもうなんちゅうか腰が砕けてしまったのですが、平均落札0.501%はいいとして按分レートが0.75%ってあーたそれは何よという感じで。

でまあ応札のほうも19000億円弱となってまして、参加者の皆様が全員トンの資金繰りやってたら札がそんなに少ない訳はないと思われる(目の子で3兆ちょっとになる筈)ので、き資金繰りのマージンを相当多く持っていた大手銀行さんがいて、そのお人が(単数か複数か知らんが)応札しなかったという事でしょう。しかし0.75%に応札するとは相変わらずいい感じで楽しんでますなあどっかの誰かさん(^^)。

ということで、この落札結果出た瞬間は0.50%台の出合いもあったコールですが、結局そんなもんは瞬間の話だったようで、その後もコールは低かったようなのですが、12時50分の即日手形売出(ちなみに朝のは3時同時処理で昼のは5時同時処理)5000億円は平均0.687%の足切り0.74%とこちらも高かったようです。

まあそりゃそれで現象としては理解致しますのでありますが、同日公表の無担保コール翌日物取引に関する公表を見ますと平均0.330%で最高利回りが0.550%の最低利回りが0.070%ということでして、コールよりも激しく高い売出手形のレートというのは、日銀のオペ先で札入れた人はウハウハでありますが、そうじゃない人にはどうも釈然としませんなあという感想が少々。積み最終日で超過準備を抱えた人がいたという特殊要因の下ではありますけどね。

ちとここから先の話は微妙ではございますが、売出手形打ったからコールの加重平均が0.33%と昨日よりマシなレートになったというのはあるかも知れないですけど、そもそも論として売出手形の応札を正直に上のほうまで落札させないで、適当な所で札切ったらどうなのよという気もちょっとしたんですけど、じゃあその判断はどういう風にするのかと言われると難しいのかもしれませんね。旧法時代の金融調節を色々と楽しませてもとい経験させて頂いておりますあたくしと致しましては、別に「このレートは不適切と判断したので(要するにケシカランので^^)札は切ります」というのがあっても別に構わんと思うのですが、頭がアナクロですかそうですか(^^)。

しかしまあ売出手形の0.75%だの0.74%だのというのは中々楽しいエンターテイメントでありましたことよという所ですが、資金繰りバッファー持ち過ぎの人がいたのが原因という希ガス。。。



○でもトムやスポットは高いのよね

と、コールレートが絶賛低下する中で次の積み期間にかかる金利は昨日も絶賛上昇というこれまた面妖な展開。朝からトモネが0.65%を超える水準で推移してたりという動きだったようですが、午後に実施された共通担保本店オペは10月29日エンド(17日スタート)の2か月もので平均0.720%の足切り0.71%とこちらはFB並みのレートなんざますが、9月利上げだと思って計算してもちと高いというレートになりますわな(ただし足元を幾らで置くのかが難しいので一概に割り切れないのですけれどもね)。ということで足元がちと高いというお話になる訳で。

このオペ結果も影響したのかどうか知らんけど、レポGCレートは0.70%に乗っかってしまうという結構なレートでございまして、8月利上げを警戒しているとは思えないのですが、何でこう資金の出が悪いのよいう感じです。まあ勝手に類推するに、ここもとの海外信用収縮(と言ってもこっちはそんな動き無くてただの対岸の火事の筈なんですが)を受けて資金繰りが保守的になった結果、当日になるまでは資金の運用に慎重になっている人たち(というかレポの資金出し手ですな)が多いですということなのでしょうか。それにしてもあまりと言えばあまりのこの違い。裁定はたらかねえのかよおおおおと存じますが。

短期の運用が慎重になっているのならFBはどうなのよと申しますと、昨日の新発3か月FB入札は入札時点ではちょっと押して平均落札で0.739%の足切りで0.745%となりましたが、こちらは買い優勢でございまして引けは0.715%ってあーた買入手形よりレート低いじゃあーりませんかということでございます。こっちはまあ確りな訳でして、要するにちょっとだけ先渡のところだけ妙に金が出てこないというワケワカラン状況なんですな。何のこっちゃという感じですが、GCレポで資金を積極的に出す人と、FBやらCPやらを買う人は別の理屈で動いているということでございましょうなあといったところです。

CPに関してはお盆モードかつ月の真ん中で閑散時期にあたりますが、まあレート的には長めの所で気持ち低下して、短い所はGCレポレートなどがサガランチ会長なのを反映してあんまり下がらないというか気持ち程度強含み横ばいという感じでしょうか。



○暑いので(?)その他は雑談小ネタで勘弁

・しかしまあ良く戻ってきましたなあという感じで

引けでとうとう5年1.2%で2年0.9%でございますが、似たような水準っていつでしたっけと思うと、機械受注が下ブレして1QGDPが予想通りなるも弱めの結果になった5月17日が5年63回引けが1.200%とか帳面に書いてあります。この頃は米債も平和で10年米国債が4.7%とかでございましたわな。

この日の2年256回の引けが0.855%で10年285回の引けが1.620%、20年94回の引けが2.060%で30年26回の引けが2.270%でございました。引け値だけ単純比較するのは少々雑なのですがケンチャナヨということで昨日の引けと比較すると30年の引けがイマイチ追い着いてませんが、他はまずます。2年はさすがに一応利上げに敬意を表してちょっと高くてもいいでしょ。

ということで、要するに米国のインフレ懸念だの何だので米債が5%台を突破した6月の香ばしい相場が全部無かったことになったと思えば腹も立たん(何に?)ということでございましょうか。この2か月は何だったのよと言いたくなりますが(^^)、それもまたいつものことなのでしょう。


・8月利上げは無いとして・・・・

やはり8月利上げは鬼門でしたということがまさにここもとの動きで出てまいりましたが、どこをどう考えても来週の利上げは無理ということで、それでは注目するのは何かと言いますと、利上げ提案が出るかとか利上げ賛成票が出るか位のところですな。フォワードルッキングだけど目先不透明感があるのでという理屈で今回は堂々見送りとしても、それはそれこれはこれという利上げ論がどのくらい出てくるのか注目したいです。

どうせなら決定会合の結果公表分の中で「利上げしたいのですが米国住宅ローン関連商品市場の混乱があるので今回は様子見」というのが出てくると香ばしいのですが、それは縁起が宜しくないですかそうですか(^^)。

あたくしの勝手かつ根拠レスな予想は、ECBが利上げすると思われる9月に利上げをぶつけるか、その利上げ後の動きを見てから10月に利上げをぶつけるかというものですが、その頃には一応「いやまあそうは言いましても日本はあまり関係ないですしぃ」となって世の中落ち着いているというのが前提、というか無理しなくて宜しいのではないかと存じますので、何卒一つ慎重なご対応をお願いいたしたく。

#いやあしかし室内にいても熱中症になりそうですね、今日の東京は

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2007/08/15

お題「ここもとの資金供給に関するちょっとした考察2つ」

企業年金基金連合会が不動産投資という報道にガクガクブルブル。

○即日吸収はテクニカルな問題(BOJ編)

昨日のコール市場ですが、先週末からの日銀による足元資金供給攻撃によりまして準備預金の積みが豪快に進捗しまして、朝8時の準備預金予想公表時点で準備預金62000億円とのお告げ。残り所要の1日当たり金額が27300億円で積み終了先の前日残高を足しても31800億円ですので、概ね積み上3兆円ということになりました。もう国内大手銀行さんなんぞ朝から金イラネでノービット状態。

で、0.40あたりからスタートした無担保コール翌日物はあっという間に0.3%台に低下して9時20分の調節タイムを迎えたのですが、即日吸収(翌日エンド物)が6000億円で、引いても積み上24000億円ですかそうですかということでレート益々下がるの巻。オペ結果の方も平均0.183%と0.2%を切る有様(足切りは0.22%で応札は22800億円)となりましてまあ低い低い。

12時50分になってもう一発即日吸収を1兆円行いまして、こちらは芸が細かいことに(というかそうしないと後で申しあげますが明日のオペに超負担がかかるので当然なんですが)16日エンドと2日物。こっちは平均は0.403%と上昇したものの相変わらずレートでありましたが、足切りは0.52%まで流れたのでまあマシですな。その結果を受けて瞬間コールも強くなりかけたのですが、やはり金余り恐るべしということで、最後は0.01%までやらかしていたようです。結局加重平均金利は0.235%でありまして、今般のECBの派手派手指値オペに端を発した資金供給合戦(笑)で結果的に最も緩和的な対応になっているのは日銀であるというのは奥が深い(^^)。

まあ何ですな、結果としては月曜の即日供給が余計だったという見方もあるのですが、金曜時点でGCレポ取引が瞬間0.70%の気配まで金利が上昇しておりまして、足元の金利とスポットのレポ金利の間に乖離がありまして、月曜の朝の時点でもスポットの現先レートなどが一部で高止まりしてたという状態でありましたので、あの資金供給は即日スタートのターム物(翌日物だったら意味なかったけど)供給という意味はあったとあたしゃ思います(スポットスタートだけ打っておけば良かったとも結果から逆算するといえますけど)。

昨日の朝のコールの状況はちと極端。というか、GCレポ金利の方は0.6%前半で推移しておりまして、足元金利は低いの何のという状態でして、確かに積み期間が16日から変るというギャップはあるのですが、そもそも8月利上げがあると思っている現場労務者は100人中0人であると思料される状況で何でそうGC出しを抑えるのかなあと、この市場の不思議ぶりに感心するやら呆れるやら。



ということでですな、昨日の9時20分の即日吸収というのはコールと準備預金状況をちゃんと見てれば打って然るべきというか頼むから打って下さいませ状態であったのでありますが、そのオペレーションについて金融市場局の担当者のコメントが一々ベンダーに出るというのは何のこっちゃという感じでありました。まあ情報ベンダーが揃って取材したんだと思いますが、答える方ももうちょっと詳しく「今日吸収しないと準備預金の進捗が進みすぎて明日の調節に技術的支障を来たす」という説明をしたほうが判りやすかったんジャマイカと。

などと思ったらどこぞの情報ベンダーの市場解説ニュースでどこぞのエコノミスト様かつ世間的には著名BOJウオッチャーということになっているお人のコメントとして、今日の資金吸収は少し驚き云々というのがあったのには落涙を禁じ得ませんでした。おまい市場動向見ないでオペに関する論評するなよと小一時間(苦笑)。

まあそれは余談ですが、昨日も結局は所謂積み上状態で終了しておりますので、昨日の準備預金39600億円(うち積み未了先残高32700億円)に対して、本日の所要準備が20600億円となっておりますので、所要準備に積み終了先分を足した24500億円(便宜的に計算してますけど、積み最終日ってもうちょっと精緻に計算した方が良い希ガス)に対して既にこの時点で積み上モード。本日は年金定時払いの関係で財政が払い超でオペ含めても14300億円の余剰ですが、財政払い超のうち「その他」(要するに郵政公社)に回る分がいくらなのかこちらでは良く判らんので最終的には8時の発表を待つという話になりますが、どう考えても今日もまた資金吸収が必要になるのでしょう。

それでですな、今日も資金吸収すると見た目は2日連続で資金吸収してますよこりゃ日銀協調性ありませんなあとかイチャモンをつけて来る人が出て来そうな気がするので申しあげますと、本日吸収するのは全く他意なく(というか昨日も他意ないですが)純粋にテクニカルな問題でございますので、勘違いして「すわ日銀利上げ準備」とか「日銀は世界の資金供給に背を向けてケシカラン」とか言い出して風雪のルルにならないようにご注意ありたいものです(^^)。

そういや昨日は引け後に妙に金先が売られてたのですが、まさか昨日の吸収を何か勘違いしたおガイジン様が売っているのであったらかなり香ばしいお話ではあります。まあおガイジン様におかれましては今後とも日銀の金融政策に対する不勉強と誤解を元にピントのずれた商内を続けて頂きまして、おガイジン様の虎の子を日本に落として逝って下さりますと甚だ幸いでございます(^^)。

更に余談ですが、おガイジン様云々に関しては丁度昨日の引け後にロイターニュースで「ユーロの下落はサンタンデール銀行(BSCH)が米国クレジット市場に大きな額(幾らだか忘れました、汗)のエクスポージャーがあるとのスペイン紙の報道から」というのを見て(ちなみにブルームバーグではドイツのGDPが市場予想より弱かったからという講釈に。オモシロイデスネ^^)、ネットでスペインの新聞をいくつか探したのですが、そこの経済ニュース欄見たら「日銀が巨額資金吸収」というのを(共同通信ニュースの転電みたいでしたがスペイン語はよく判らないので勘弁)デカデカと報じてまして、「なるほどこうやって勘違いする人が出てくるんだろうなあ」と変に感心しちゃいましたとさ(^^)。



○スタンディング・ファシリティは何のために(ECB編)

昨日もECBはオペ打ちましたが額が77億ユーロで足切りが4.09%となっておりました。まあそれは良いのですが木曜の指値オペってありゃ何だったのとつらつら考えますと、ロンバートの存在意義に関わる論点もございましたなあというお話もある訳で。

ここで復習を兼ねて便利なものをご紹介しますと去年の6月に出た『主要国の中央銀行における金融調節の枠組み』という奴でして→http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research/ron0606c.htm

上記URL先にPDFファイルのリンクがありまして、金融政策がどうのこうのというお話をする人必読であろうかと思いますと1年前にもお話したので既にご覧になっているお方も多かろうと存じますが。

でね、PDFの方の13ページ目からスタンディング・ファシリティの説明がございますので引用させていただきたく。

『マクロ的な資金過不足が適切にコントロールされていれば、個々の民間金融機関における資金過不足は、基本的に、金融市場を通じた資金の相互融通により調整される。しかし、現実には、様々な制約から必ずしもこうした調整が円滑に行われず、民間金融機関が資金を調達(運用)するために借入(貸付)金利を大幅に引き上げ(下げ)ざるを得ない状況に陥り、短期の市場金利が金融調節上の誘導目標から大幅に乖離する事態が起こり得る。』

今回の騒動のようなケースもそうでございますな。

『このため、各中央銀行では、オペによる金融調節を補完し、短期の市場金利を安定化させる仕組みとして、中央銀行が民間金融機関からの申込みを受け、ごく短期間、予め定められた金利により受動的に資金貸付けもしくは預金受入れを行う制度を設けており、これをスタンディング・ファシリティと呼んでいる。日本および米国では、貸付ファシリティのみを設けている一方、ユーロエリアおよび英国は、貸付ファシリティと預金ファシリティの双方を設けている。』

ECBのサイトを見れば書いてありますが、ECBの場合は貸付ファシリティ金利が「Marginal lending facility」の5.00%で誘導金利が「Main refinancing operations Minimun bid rate」の4.00%で預金ファシリティが「Deposit facility」の3.00%という事でして、適格担保さえ持っていれば1%余計に金利を払えば制限なく資金調達が可能なのでありますわな(日本の貸付ファシリティは補完貸付制度。ユーロに預金ファシリティがあるのは準備預金の所要額が大きいので金融機関の資金コストを軽減するためだと記憶してます)。

然るに先週木曜のECBのオペレーションというのは、オペを指値で4.00%で実行するというものでありまして、要するに何をやっているのかといえば、貸付ファシリティの金利を瞬間的に引き下げましたというお話。まあそれはそれで良いのかも知れませんけど、冷静に考えて見ますと、貸付ファシリティの金利は「何かあった時に短期市場金利のキャップになるもの」として設定した筈ですので、その肝心の「何かあった時」に貸付ファシリティ金利を無視して指値オペを実施したら何の為に貸付ファシリティ金利を設定したのか意味が良く判りませんなあというお話でございます。オペにしたって貸付ファシリティにしたって適格担保必要なのは同じでして、貸付ファシリティ使えば無制限で金は出てくるんですからね。


このインプリケーションなのですが、実は欧米での誘導目標金利と貸付ファシリティの金利差でありますところの1%というのは実はでかすぎなのではないかという論点にも繋がるのではないかと思うのであります。「何かあったとき」に折角用意してある貸付ファシリティの存在が無いかの如きオペレーションを打ち込んだECBはやっぱちょっと慌て者のうっかり八兵衛だったんジャマイカと思うのでありますがね。9.11の時みたいに明らかに決済リスクがある(大手決済機関の入ってるビルがアレでございましたから)状況なら兎も角、何かまあちょっと取りあがってる人が居ますなあ位の状態でいきなり大見得切ってご登場して却って資金の抱え込みを煽る結果になる(先日ご紹介した本石町日記さんのブログ紹介で現場の人たちの見解が沢山読めますな)わ、貸付ファシリティの存在意義は何なのという話になるわと、ネタとしてはオモロイECBのプレイでしたが、ちょっと撃たずもがなの無駄玉撃った印象がございますですな。

ちと話が逸れましたが、今回のECBの指値オペ打ち込み攻撃は貸付ファシリティの存在意義って何なのよとか、貸付ファシリティの金利設定が広いのが良いことなのかとか、色々と論点を与えてくれるECBの対応でありました。

#何かトリシェがFEDの真似して声明みたいなの出してるみたいでございますが、その点については今日はパス。

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2007/08/14

お題「昨日の相場を見ながらつらつらと雑感的雑談あるいは悪態」

○さすがにキャッシュ化一服(か?)

昨日の債券市場では5年30年で6毛という強烈なツイストスティープ相場になるわ、その割に15年変動国債の引けは前日比安くなるわとワケワカラン相場でございましたが、あちこちでアンワインドの動きが起きているということなんでしょうかねえとしか感想は無いということで、要するに何が起きちょるのかワカランチ会長。ポジション閉じ攻撃の流れ続くというのであればまだ色々と信用収縮の影響は続くの巻というところでありましょうか。

より短いところですが、金曜に一部で散見されたフライト・トゥー・キャッシュもどき(言い切るとちと大袈裟なのでもどきね)の雰囲気も一服しまして、金曜日に前日比甘くなっていたFBの期内物とかのレートも何となく小じっかりのようです。引け値を並べてみると期末越えの所に若干のプレミアムが付くのですが、基本的に短期国債のイールドカーブはフラットになるの図ということで、まあ先月末から見ればベアフラットと言ったところでしょう。GCレートは0.64%くらいということで前日比若干の低下ですが、こちらはまだ高めですな。

そうは言いましても、月曜相場らしく別に売買が活発だった訳では無いので、ここから売りでも買いでも何か大口が来たらまた動意付いてくるのでしょうな。カレンダーベースで次の積み期間になるとちょっと変るかも知れませんな。

ただまあ国債と比べて一般債やCPに関してはまだ威勢良く戻るという訳にも行かないようで、国債対比ファンディングコストが高く付く分だけこういう時には業者が在庫として持つのが重くなる(まあこの程度では屁のようなもんでしょうが)次第でありますので、戻り局面ではスプレッドが開くかなという感じです。

CPとか短い一般債に関しての救いは2年ゾーンの金利がやたら低下していることでして、足元から1年とかの金利を一番真面目にヲチしておりますと如何にも割高に見えてしまうのが2年ゾーンなのであります(が、もうちょっと目線が長めの人からすると話は別)よって、2年国債と対比して見ると1年とか6か月がお買い得に見えるという所でしょう。

#しかしいくら8月利上げ無しだからと言っても2年0.925%ってちょっとそれはどうよという気がするのですが・・・・・


○芸の細かいオペ

昨日の日銀は本店即日オペと国債買現先。即日オペは金額こそ6000億円と減額となりましたが、そもそも積み最終が近くて積みが金曜の1兆円で威勢良く進捗しましたので、オペ前日比減額でも効果的には十分な所へ加えまして、今回のオペは珍しくオーバーナイト物ではなくて1週間物という期間でして、目先数日の資金を確保しておくと安心という人にはお勧めのオペでした。

で、その後に国債買現先を打ち込みまして、こちらは15日スタートの1週間ということで、目先のGCレートや現先レートの上昇に困る人には丁度良い(ただし8月利上げあるという可能性を100%否定できないので若干入れにくいかも)オペでしたわな。即日オペの方は兎も角、こっちの現先は足切りが0.61%となりまして、妥当と言えば妥当なのですが、案外低いところで決着しましたなあ(本当に必要だったら0.65%からご相談だと思ったんで)という感じで、先ほど申しあげましたレートの落ち着きに寄与したのではと思料されるところでございます。

ま、こういうの見てると、日銀の調節のマニアックさというのは地味ではありますが実に有効だということで(^^)。




○海外はとりあえず資金供給で安心感でよかったですねえ

ECBは月曜もオペ実行ということで、一応市場後講釈的には「資金供給によって安心感が広がった」ということになっているようで誠に結構でございます。

でもまあ冷静に考えて見ますと、オペそのものはオペ適格担保が必要なわけでありまして、今回問題になっている金融工学を駆使した商品群(笑)にファンディングがついている訳ではない(筈なのですがどうでしょう)訳でして、無駄な取り上がりによって発生する無意味な金利上昇には対処できておりますけれども、別に物事の本質でありますところの本尊の問題は1ミリも解決していない訳でありまして、そりゃまあこの措置自体は必要不可欠ですが、それを持っていきなり大安心という講釈は如何なものかという所であります。

まあ確かに目先の流動性問題をクリアしてしまえば、塩漬け攻撃によって時間が物事を解決するという事は言える訳でありまして、中央銀行としてはそのための時間稼ぎをすることはできますので今回はそういう措置を取りましたってえことなのでありますけれども、まあ安心感が出るのは結構な事です。

何せどこぞの国に置かれましては、金融緩和しようと資金供給しようと、肝心の監督当局がシバキアゲモードあるいは動かんモードになっていたので、流動性は何とかなっても信用不安は何ともならんという時代がございまして、それを見てたクチと致しましては、毛唐どもがいきなり「時価算出の停止」だの「解約受付停止」だのと抜かしますと、日本の金融機関に対して好き放題やってたお前らのその口が言うかと実に香ばしいものを感じる次第でして(いつの間にか話が逸れましたが^^)、結局の所こ〜ゆ〜時にはLTCMの時もそうですが、「一度瞬間凍結」というのが一番即物的かつ実践的解決法でありましょうなあと思うのであります。「瞬間凍結」って何じゃいとなりますが、要するに「時価会計凍結」「含み損開示凍結」でございますな、ハーコリャコリャ(^^)。


○暑さに頭がやられてるのでその他悪態を少々

・米国市場のび太論

サブプライムサブプライムと騒ぐ割には良く見りゃ平均株価とか全然下がってない米国市場でございますが、何かこう情報ベンダーあたりで話が出てくる論調を拝見致しますと、てめえらは人に時価会計だの会計の透明性だのやかましい割には、こ〜ゆ〜時にはいきなり不透明炸裂ですなあというのは先ほども悪態申しあげた通りなのでありますが、FF先物とか見てると金利も引き下げろとご催促のようで誠に香ばしい。

というのを見ながら暑さにやられている頭が思うのですが、この政策対応クレクレ攻撃をみてると、「いざとなったらドラえもんが何とかしてくれる」と言ってるのび太君の姿が米国市場と重なる次第でありまして、サブプライム問題→対応のため米国利下げ→株に買い安心感って論理展開はどう見てものび太くんです。本当にカムサハムニダ。

まあ米国お得意のダブスタダブスタって奴でしょうけれども、本件は今後の頭の体操課題なのであります(^^)。


・クオンツは勝ち逃げが難しいなあと思う訳で

いわゆるクオンツ系のファンドがあちこちでバカンスシーズンと共に西方浄土に片道切符のバカンスにお出掛けの昨今でありますが、だいたいまあこの手の運用って統計的に過去の数字を取ってどうのこうのって話なんですが、5年に1回くらいの頻度で市場で碌でもない事が起きた時に血の池地獄送りになるというのは如何なものかと。

大体ですな、クオンツ運用様の理論によると「めったに起きない事が起きた」と言うとる割には5年に1回位のペースでこの手の騒ぎが起きるということは、こりゃどう見てもクオンツの限界部分ではないかと思う訳で、やはりどこかで定性的な人間様の判断で勝ち逃げをしないといかんのじゃないかと思うんですよね、とクオンツなどというものとは無縁の現場叩き上げの先任軍曹は存じますのであります。

#ま、定性的な判断を入れてしまうとクオンツじゃなくなるのですが

順張り系でも逆張り系でも良いのですが、そもそも対象資産の流動性が皆無になった場合にどうなるのかとかいう極めて定性的な人間様の勘や経験に依存するようなお話を判断に入れるのが難しい(というか市場の板に張り付いている人間じゃないと無理でしょ)というのがクオンツ様でございまして、基本的に平時の市場を前提にしている節がありますので、長期的に見るとどこかで必ず市場がグチャグチャになる時がありまして、そのときに逆ポジションを持っていると死亡というのが弱点ですわなというところでございます。

じゃあそんな大災厄的状況まで考えて統計分析しろとなると、恐らく取れるリスク量が小さくなりすぎて運用としてワークしないのでしょうかね。まあそれこそアジア通貨危機みたいな時とか古くはニクソンショックとかスターリン暴落とか(古過ぎ^^)今よりももっとトンデモないマーケットの急変は良くありましたからね。

ということで、暑さに頭がやられているせいで妙に悪態の多いあたくしでございました。

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2007/08/13

お題「金曜日の相場レビュー(ただし短い所だけ)」

金曜の市場でありますが、てめえのポジションの損得は別に致しまして「久々にいいもん見せてもらいましたわ」というのが正直な所であります(苦笑)。


○まあさすがに今月はお見送りでござんしょうか

金曜の金融市場はご案内の通りの結果。まあ誰がどう考えても金曜にもし決定会合があったら100%利上げなしとしか言いようが無いですが、来週の水曜木曜までに市場が落ち着くかと言えば市場混乱の元ネタがこれからどう波及するのか不透明にも程があるという状況ですんで、それこそ先週の米国株式みたいに200ドル上ると思えば300ドル下がるというような不安定な状況は暫く続くでしょ。

それでですな、にわか予想屋さんとして8月利上げについて考えますと、今までの政策変更と違いまして今回は「スケジュール的に後が押してる」という状態ではない訳ですな。量的緩和解除の時は30兆円を引くのに掛かる期間、ゼロ金利解除の時はCPIの基準年改定、前回の利上げの時はコアCPIのゼロへの低下(その後マイナスに)ということで、「後になるとちょっといちゃもんつきそうな状況」があったのですが、まあ今回に関してはそういうネックは見当たらないということは、裏を返せば別に今月でなくてはならぬという事でもないという事ですな。だから別に8月に固執することもなかろうとは思いますが如何でしょ。

さすがにこんな所で変な意地張って利上げしてアメリカ発の信用収縮の原因だとか言いがかりつけられる結果を招くようなトンマな事はしないと思うのですけど・・・・・


ということで、金曜の即日オペ1兆円なんですが、ありゃもしかして金融市場局から政策委員会に向けた「シグナルオペ」だったんでしょうかねえ(^^)。


○流れたFB2か月入札

金曜日にちょっと注目と言ってたFB2か月物の入札でありますが、ご案内の通りの債券金先大暴騰相場でありましたが、超足元に関しましては案の定キャッシュ化の動きが一部にございまして、9月償還とかの短いFBに換金売りですかそれはという連想をしたくなるような豪快な売りが入札前からあったらしくて、そのあたりは何故か前日比レート上昇しやがるの巻。寄り前の朝イチには直前の3か月FB466回が業者間で3.5毛強の0.710%が出合っていたという状況下で手前の方は甘いという状況になった訳ですな。

そんな訳で、もともとが償還ロールじゃない純粋新発の2兆9千億円というのは中々厳しいものがありますなあという事で、入札は平均0.747%で足切りは何と0.771%となりました。まあ期末越え要因があるからこの時期2か月と3か月が逆イールドになっても良いのですけど、今回に関して言えば一応利上げ観測とかある中での価格形成になりますので、3か月の方が高くて然るべき所なんですけど、結果は今週の短期の入札の中で一番利回り高いの図。世の中ではエッサエッサと金利が低下している中での金利上昇ですからまあ目立ちますわなと思うのですが、惜しくもモノが2か月FBなだけに世間の注目は浴びませんでしたな。

んでまあさすがにもうちょっと長いところはレート低下してた(何せ2年は8.5毛強の0.940%ということで、後場は特に2年あたりの中期の中でも短いゾーンが上昇相場を引っ張るの巻でありましたから・・・)こともありまして、セカンダリーでは買いも入って来まして引けは0.715%と戻っておりましたが、日本相互証券の引け値ベースを見ましても8月9月償還物はこの市場環境下で前日比レート上昇ということで、見事に超短期ものだけレートが上昇するの巻と相成りました。ナムナム。


○GCレート大いに上昇

どっちが先かという話になりますと難しいのですが、既発FBにドカンと売りが出るような動きを反映致しまして(というかそもそも既発FBに売りが出たのは足元の資金を一応抱えておこうという動きの一環ではないかと思う)GCレートも上昇しまして、先ほど申しあげた期内ものFBレートだけ上昇の要因にもなった(まあ一連の現象ですのでどれがどれというのは無いのですけど)ということであります。

当然ながらこーゆー時には中々動きが起きないのでありまして、レポ市場の方はいつもよりも始動が遅かったようですが、15日スタートのGCが0.65%なんぞに上りやがりました。その後0.70%の気配とかまで逝きやがったらしいのですが、最後の最後には資金の出し手も出てきたようで0.70%と言った状態は解消されたようなのですけど、まあ随分上がりやがりましたなあという所です。そりゃFB451(8月27日償還)の日本相互証券引け値が0.650%になりますわなという所であります。

こちらはまあ8月利上げ観測が後退してるのですから、資金繰りに関して別にまあそこまで厚めに持っておくこともあんめえというようなメドが付けば資金の出し手も出てくるでしょうという事で、落ち着けば落ち着くでしょうけど・・・・


○資金供給雑考

毎度お馴染みの本石町日記さんですが、今回の一連の流れに関して最新の2本のエントリーはお勧め(というか1本目のリンク先はまだ全部読んでないですけど、汗)

http://hongokucho.exblog.jp/
市場混乱のBehind the Scenes=ブログ紹介も兼ねて
ECB緊急・無制限オペの考察

んでまあ、2本目の『ECB緊急・無制限オペの考察』に関しては確かにちょっとECBの対応が大袈裟すぎた感というのにあたくしも共感するのであります。上記エントリーより引用させていただきます。

『この点、ECBの15兆円オペは、不安がなんとなく漂う程度の状態でいきなり表舞台に出てきた感が強い。緊急オペでしかも無制限となると、「何か大変なことが起きている」という印象を与え、さほど問題を感じていなかった銀行も不安になって応札するから、巨額のオペになってしまったのではないか。そして、その巨額さが周辺市場に不安をもたらし、キャッシュ需要を高めた可能性もある。』

まあこのあたりの匙加減というのは難しい面もありまして、資金供給が中途半端だと金クレクレが殺到してレートが必要以上に上昇して水面下で金利上昇してますなあとこっそりやってたのが表面化して却って大騒ぎになるとかいうのもありまして、変にオペを打つことによって結果として煽りになることもございます。

で、金曜ですが、シンガポールとか韓国とかでは「必要なら出すけど別に出さないもんね〜」という姿勢でしたが、日銀はご案内のようにオペ実施。まあ協調性を出しておくとか、政策委員会に向けて8月利上げすんなコノヤローとかシグナルを出す(かどうか知らんが^^)とか、色々とオトナの事情があるのでしょうが、朝のコールで別にくだんのネームが金を取りに逝ってた訳でもなく(当たり前です)、国内銀行なんぞは落ち着き払ったものであったという状況で、果たして積み進捗し過ぎるような即日1兆円ってどうだったのかなあという感も拭えません。

世界協調資金供給→ということは不測の事態が起きるのかも→そんな状況でいつも通りの資金繰りするよりは保守的に逝こうではないか→世の中資金の抱え込みモードに・・・という図になるというのも一面では言える(朝から過激にガンガン取り上がる人がたくさんいたのなら兎も角)のでして、そもそも本件は国内金融機関には関係ない(無くはないけど精々蚊に食われた程度の話)ですので、そのうち資金繰りのメドというか見極め付いたら落ち着くでしょうと思うのですが。


ということで、ECBの今回の措置ですけど、本石町日記さんのところで議論されているように、ちょっと派手に動きすぎだったような気もする訳でして、雉も鳴かずば撃たれまいとは良く言ったものであります。

さてさて、余談になりますが「特に誰も不安を感じていないときに登場した中央銀行」という偉人伝がございました事を皆様覚えておられますでしょうか、それは2003年3月25日のことです。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k030325.htm

『こうした状況のもとで、今般、イラクに対する武力行使が開始された。日本銀行としては、今回の事態が株式市場や為替市場などを通じて経済全体にどのような影響を及ぼしていくか注視するとともに、潤沢な流動性の供給などを通じて、金融市場の安定確保に万全を期す方針である(別添参照)。こうした方針のもと、補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。』

で、ロンバートの日数制限を外したまま今に至るのでありますが、これって単にロンバートの日数縛りを外したかっただけで決定会合やったんとちゃうのかと(^^)。ま、福井総裁就任直後で何か速水さんのときとは違うって雰囲気だしたかっただけだと思うのでありますけどね。


しかしまあ何ですな、この手のクレジット案件ってエンロンとかLTCMとかアジア通貨危機とか(以下延々と続く)5年に1回くらいやらかすものでありまして、まあ「AAAなのにL+50で回る魔法の資産担保CP」とかいう話が出て、おまけにそれがどこぞの金融新聞や公社債情報あたりでネタになってエライ人が「うちでもこの勉強をしてるのか」とか言い出す頃に碌でもないことが起こるというのは毎度お馴染みのパターンではございますが、今回カモになったのは誰なんでしょうな。

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2007/08/10

お題「あちこちで誘爆モードですかな」

盛 り 上 が っ て ま い り ま し た !

○どうもトリガーがあちこちで引かれたようで

毎度お馴染みメリケン様の貧乏人向け特攻住宅ローン問題が火吹きというお話でありますが、後付けで申しあげるのも何ですが、一昨日とかも微妙にどこぞの住宅ローン会社がサブプライムよりちょっとマシな貸し出し先に相当する「オルトA」級のローンの受付停止したとか、S&PがオルトAを担保にする証券を格下げする可能性があると発表した(ニュースソースは8日の日本語版ロイター10時44分配信記事『米住宅ローン問題がサブプライム以外に波及、貸し出し停止の動きも』です)とかあって実にいやーな悪寒はあったのですが・・・・・

昨日インパクトがあった話と言うことになってるのはBNPパリバがサブプライム問題で3本のファンドの価格算出や解約などを一時停止しましたってニュースでありまして、この話が広まると米国債は暴騰するわ、円債もイブニングセッションの先物大上げだわと実にてーへんなことになっておりますわな。と思ったらNYダウはゲロ下がりですかそうですか。

ところで、メディアが「サブプライム問題再燃」とか言うのは如何なものかと思う訳で、地雷はずっとあるのですから再燃もへったくれもないと思うのですが、FEDあたりのエライ人が大丈夫と言うから大丈夫とか逝って安心感が出るどんなプリオン脳だよとか悪態をついてるあたくしとしてはなーにやってんだかという感じではありますな。

ところで、「欧州の銀行におけるサブプライム問題に対応してECBが資金供給オペやったので不安心理が広がり株が下がった」とかいう後講釈をどこぞのテレビ番組がしておりました。まあど〜せ米国市場の中の人たちがそう講釈してるんでしょうが、2月の株安でもそうでしたが、メリケン連中はど〜してそう人のせいにするのが得意なのでございませうか。どっちもおまいらがそもそもの原因ジャマイカと小一時間。


○フライト・トゥー・クオリティで済みますかな

昨日ECBがオペを打ち込む前なのですが、ユーロ市場でのドルデポのトムネク(翌日スタートのオーバーナイトね)のレートがいきなり50毛ぶっ飛びやがりまして(東京19時にブルームバーグの端末叩いたら前日5.32%に対してBID5.80%/ASK5.85%とか出てやがったですぅ)、こりゃ来ましたなあという感じでございます。まあこんなの出てたから資金供給打ち込んだのでしょうけれども。

でですな、まあ米国では教科書通りに短期債大上げして20毛強とかやらかしやがっておりますが、本当にうんこの投げ合いモードになってしまうと「フライト・トゥー・クオリティ」とか逝ってる場合じゃなくて「フライト・トゥー・キャッシュ」になっても何ら不思議ではないというのは10年ほど前に取り付け騒ぎのようなものがあちこちで誘爆してたどこぞの国での市場の動きでヒーヒー言ってた頃を思い出だすと結構冷汗モンなんですよね。まあその片鱗が昨日のユーロデポトモネクレートいきなり50毛上昇に現れていると思うのであります。ご注意あらされるのが吉ではないかと。

一応若人のために申しあげますと、日本で証券お陀仏さんとかやってた時は、要するに「流動性が落ちるもの」が全部ゲロゲロになったんですよね。当時だと「非上場中期利付国債」(現先オペや輪番の対象外だからという理由ですが、まあそれよりも持ってた人が換金売りしたのがでかいんですけどね。当時はロンバートのような便利なもの無かったですし)とか「事業債・金融債」(担保不適格ですし、そもそも金融債はそのセクターズバリですし)とかがエライコッチャになったんですが、それに加えて中期(というか2年あたりの中期の短めの所)ゾーンのイールドカーブが随分膨らんだなあという感じでしたな。今にして思えば売られたモノが中短期ゾーンのものだったという需給要因が大きかったと思うのですけど。

別に今回同じような事が起きるかどうかは知らん(日本は大丈夫でしょ)ですけど、換金性というか流動性が一枚落ちるものは換金売りの対象になり易い(本当にボロボロになってしまうと売るにも売れないから)ので要注意だったりすると思うんですよね。まああとはフライト・トゥー・キャッシュの動きで「換金したいけどあんまり損は出せません」という時には真っ先に叩かれるの短期国債だったりするケースもあるので、まあ換金大会モード入りするのかどうかは見極めておかないと足元掬われますなという所でありましょうか。

ま、海の向こうならともかく、日本で換金大会というのは遠い話だと思うのですが、米国や欧州の市場でどのへんがズタボロになるのか(そりゃまあABSとかCPODとかがボロボロになるのは当然として)見たいものであります。と対岸の火事モードでありますが、まあ注意注意といった所で。


○ところで昨日は短めのFBがゲロゲロになってましたが

まあ今日の相場付きは全然違う可能性も高うございますので、メモメモと逝ったところでございますけど、6か月FB入札を機に火曜から本格化したFBのゲロゲロ状態が昨日も継続して、日本相互証券の引け値ベースで言えば例えば8月27日償還のFB451回は昨日の引けで5毛甘の0.600%でありますが、火曜の引けベースでは0.500%でありまして、2日で10毛甘とはこれまた豪快な売られっぷり。

何か先週末まではソイヤソイヤと短期国債買い攻撃だった銀行勢がいきなり外し攻撃に回っているというのが主因のようですけれども、何という極端から極端への転換と逝った所でございますですが、モノ出たせいでGCレートも上昇とか(0.55%)何やってるんだかという感じであります。いやあの大手銀行の皆様におかれましては自分のマーケットインパクトというものをよくご考慮されてオペレーションをされていただきたいものだと思うのでありますが、ど〜もどっかのポイントを超えると「よそがやる前にやらねば」モードになっちゃうんでしょうかね。心理は判らんでもないが・・・・・

ま、今日はご案内のような状況で帰ってきましたので、ちったあ戻すとは思うのですけれども、とりあえず不透明な時にはキャッシュ持ての法則は、そーゆー時代を経験している日本の方がよっぽど理解しているというお話もある訳で、世の中モノが多いところで新規に2か月FB発行とかどうなんでしょうね。

ということで今日のFB2か月入札も微妙に注目。

#えーっと、8月利上げ云々に関しては正直判らんですが、結局株価次第でしょうといういつもの印象。今回に関しては8月できないとその後できないという状況でもないから慌てることもないと思いますけどね。

#それから、米国利下げどうのこうのとかで盛り上がってますけれども、本件の問題解決で金利操作を使うのは一時の気休めにしかならず、プルーデンスの出番だと思うのですけどね。米国もなーんか勘違いしてますな

#独り言が大杉で恐縮ですけど、結局のところこれって「グリーンスパンがITバブル崩壊後の処理で緩和引っ張りすぎた弊害」が今になって出てきてるんでしょと思うのですがどうでしょうかねもういい加減マエストロとか言うの止めて欲しいもんです

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2007/08/09

お題「益々盛り上がって参りました/その他少々」

しかし機械受注のヘッドラインに反応しなかったのは少々驚きでしたですね〜>昨日の債券

○3か月FB入札も流れました

火曜日の6か月FB入札が事前予想よりも低調でしたというお話は昨日致しましたですが、昨日は第2弾で3か月FBの入札があった訳です。3か月FBと言えば先週は入札が0.66%−0.67%という金利でやらかした後0.65%レベルまで金利が低下しとった訳ですが、昨日は入札に向けてWI取引の板が威勢良く叩かれて入札前に0.7%乗せとなってしまいました。で、落札結果は利回り換算すると0.726%〜0.745%と2毛近くのテールだわ、おまえその利回り昨日の6か月FBと変らんジャマイカという実に香ばしい展開となってしまいました。

まあ当たり前ですが、1週間前の3か月FB464回の引けは0.700%まで上昇(出来値もあったようですが)しちゃいやがりましたし、新発466回の引けは0.735%ということで、先週金曜の「この強さは何なんですか(><;」という状況(GC0.49%出合いとか如何なものかと思ったんですけど)はどこへやらという状況。地合い変化とはオソロシイものなのでありますが、今回の場合は昨日も申しあげたように、特にこの間に経済指標が出たわけでも無く、日銀のエライ人の発言が出たわけでも無く、一体全体何がこの変化の切っ掛けなのかワカランチ会長ではあります(><;

#いやまあ尤もらしい後講釈垂れろと言われれば適当にそれらしい要因をいくつかでっち上げることはできないでもないが

今週に入ってGCレートも上昇しておりますのもご案内の通りでございますが、それまで日銀様の資金供給オペも効果を発揮しやがりまして0.50%で張り付きモードだったものが上昇の巻で、昨日は前日の0.51%→0.52%から、0.52%→0.53%と上昇して、その後0.55%くらいまでの上昇もあったらしいですわな。それまでが0.50%でベタ凪だったこともあって「エライ上りましたなあ」という感じではありますが、冷静に考えればそれまでのGCレート0.55%近くで推移するのがフツーでしたので、まあもともとの居場所に戻っただけなのでありますけどね。

でもまあチョー短い所をいじってる人にとってここの5bpは物凄くでかい話でありまして、そもそも先月19日の3か月FB入札をピークにレートが低下という現象が発生してたのは足元のGCレート低下も大いに寄与してた面がございましたこともありまして、FBのレートが軒並み上昇の巻と相成りました。そこまでの低下が調子に乗り過ぎでしたんで、その反動って所でしょうか。


調子こきやがってと言えば月曜の引けで0.955%なんぞをマークしやがった2年カレント。月曜の朝の駄文(勿論金曜の相場を受けて書いている訳ですが)で「なんぼなんでもここから8月利上げスキップしても中期の低下余地乏しいでしょ」と書いたら火曜の駄文で懺悔を書く破目になったあたくしとしては、昨日の引けで4毛甘の1.005%になって頂きまして誠に慶賀の念にたえません。などと感情論モードですが(あほ)、まー米国の信用収縮云々とかCPIとかで中短期ゾーンが強くなった中でちとやり過ぎ分の修正モードなんでしょうかな。今日は5年国債入札というのがアレでございますが、米債が9毛甘とかやらかしているので入札段階で調整してくれりゃ逆に何とかなるでしょう。と思いますが。


ま、そーゆーことで昨日の共通担保全店オペは10月23日足で平均落札0.705%(足切り0.69%の極薄按分)などとなっておりましたが、8月10日〜10月23日の期間で8月23日から0.75%で電卓叩く(末初1%)と0.713%などという数字になります(8月16日〜0.75%で計算すると0.736%)ので、こりゃまた織り込み度合い復活ですなあという感じであります。本格的に織り込みに逝くなら来週になってから(かつ来週時点で株式とか米国とかが変調じゃないのが前提条件)と思っていたあたくしとしては???なのであります。

#これで実は「来週はエライ人が夏休みだからその前に利上げヘッジをしておけ」とかいう話だったら笑うしか無いのですが(^^)。

とりあえず、金曜の2か月入札を無事に抜けるまでは織り込み度合いとか足元のGCレート推移とかに神経質(来週になるとT+3が次の積み期間になるのでまたややこしいのですが)になるんでしょうかね。金曜の2か月FBは足が10月3日なので、ポートで半期末債券残高の調整するのにはもってこいではあるのですが、期末期初に償還前の振替停止期間に掛かってしまいますので資金繰りという面ではちとアレですなあという微妙なモノとなりますな(つまり生保年金は買えるけど銀行は買いにくいということで)。償還見合いの発行ではなく単発モノなので、はてさてどうなることやらという感じです。


○殊更ヘッドライン打ちまくるものだったのでしょうか(昨日の続き)

昨日大田経済財政担当相の記者会見での発言について「何でこんなに大田さんが福井総裁の発言を紹介するの」とか思って駄文を書いた訳ですが、やはり1次ソースを見ないでヘッドライン見ただけで書き物をするのは早とちりになる事もあるの巻と逝ったところでありましょう。というお話。

とりあえず内閣府のサイトを見ますと、各担当相の会見へのリンクがございます。で、そこを拝見致しますと、月曜と火曜の記者会見として掲載されているのは経済財政諮問会議後の会見と、月例経済報告の関係閣僚会議後の会見でありまするな。

リンクのページ→http://www.cao.go.jp/kaiken_youshi.html

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0806/interview.html
http://www.cao.go.jp/kaiken/0609ota/2007/0807kaiken.html

上が月曜の経済財政諮問会議後の会見で、下が火曜の月例経済報告等関係閣僚会議後の会見なのですが、まあURL先ご覧いただければお判りのように、福井日銀総裁の発言として大田さんが紹介しているのは、火曜の月例関係閣僚会議の発言のようですが、別にまあ福井総裁の話がメインじゃないようにしか見えないのでありますし、福井総裁はいつもの原則論の話をしているようにしか見えない訳でして。そんなにバカスカヘッドライン打つもんなのかという気がするのであります。

何かね、最近のブルームバーグニュースの日銀関連のヘッドラインの打ち方って殊更目立とうとしてるようにってバイアスが掛かってねえかという気がするんですよね。前もお話したような気がしますが、かつて日本語版ロイターがそんな感じでミスリードなヘッドライン打ってみたり、長期国債落札結果発表直前のザラ場にいきなり「どこぞの格付け機関の人が日本国債の格付け変更について検討を示唆」みたいなヘッドライン打って世の債券ディーラーを激怒させたという実績がありましたけど(ちなみにその時ですが、実はこの話もっと前に格付け機関の人のコメントは出てまして、明らかにタイミングを悪意で狙ったとしか思えませんでした)、あんまりヘッドラインをセンセーショナルに打とうとするとしまいに誰もニュース見なくなる(あるいは経費削減で情報ベンダー削減する時に真っ先に槍玉に上る)ぞと苦言を呈しておきましょう。



○やたらと人のせいにするのは責任ある地位の人間として如何なものか

小見出しが長いですかそうですか。

さっきの大田担当相の会見ですが、短い方で火曜の会見を見ますと、月例関係閣僚会議で自民党の中川秀直幹事長が日銀に八つ当たりしていたというお話がございます。

『閣僚会議でのいろいろな質問、御意見については、私の方から簡単に主なものを御紹介します。まず、中川自民党幹事長から、やはりこの選挙の結果、地方の声、有権者の声というのはなかなか景気回復が実感できていないというのがあると。その理由としては、名目成長率がなかなか上昇していかないと、見通しが達成できていないという面があると。これは、日銀の政策変更に責任があるのではないかという御質問がありました。』

日銀は地域間格差の解消もしろと仰せですかそうですか。というかこの文面だとまだ大したこと無いですけど、これがメディアの記事になると「選挙に負けたのは日銀のせいと発言」という方向になってしまう次第でありまして、大体からして日銀の政策に文句あるなら内閣には金融政策決定会合における議事延期請求提案できるんですし、政府が財政使って何かするとか出来るでしょうにと思う訳でして、定率減税廃止だって別に延期すりゃ良かったじゃんとか申しあげたいんですけど。

と申しますか、先日も中川幹事長のサイトを見てたら『安倍総理への期待値は最大41%である』というかなり強引な世論調査解釈をしているコラムがあったんですけど、幹事長のコメントにどうもねえ感が。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=616

『結果としてこのような事態になってしまったことについて、幹事長たる私の責任は重い。』

とこの一文は誠におっしゃる通りなのですが、その先はナンノコッチャという感じでして・・・・

『その責任において、敗因検証の一環として、例えばこの農相問題について、「このまま静かにしていれば局面は変わる」などとの「根拠のない楽観主義」をもとにした忠言があったかどうかの確認が必要である。そうした忠言は、先の大戦でサイパン島陥落後も本土決戦を唱えるに等しいもので、国家運営上の危機管理の大失敗である。(以下割愛)』

忠言があったかどうかの確認が必要であるってあーたが自民党幹事長なんですからちゃんと身を挺して苦言を総裁に言上するのが勤めなんじゃないですかねえという感が。何というか、幹事長の例えから言えば、本土決戦を唱える動きに対してその時は声を上げないで、戦争に負けてから急に「軍部が全部悪い」とか言い出すようなもんでしょ。無力ないち市井人なら兎も角、幹事長たるお方の発言としては何ともまあという感じでして・・・・・

まあ、中川幹事長の忠言に安倍総裁が聞く耳持たずモードだったのであればこういう発言が出てくるのも不思議ではないので、内情はそんな所なのかも知れませんけどね(そうだったら中川さんごめんなさい)。

ま、メディアの伝え方というのもありますし、官邸と幹事長の距離が本当はどのくらいあるのかとか下々の者は存じませんので、そのあたりで苦労しておられたのが出てしまったというのが実情なのかもしれませんけれども、何かどうも中川幹事長から伝わるのが「〜が悪い」というのが多かったですなあという印象が強かったですな。まあお疲れ様でございました。

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2007/08/08

○急に盛り上がってまいりました

昨日の債券市場は長期ゾーンや超長期ゾーンが強うございまして、終わってみれば先物も前日比高くなっていましたが、短い所は先週までのやたらめったら強い状況からちと変調。で、その変調がユーロ円金先とかにも出てきて、それが影響したのかイブニングでは債券先物にも影響出てたようですな。んでまあその短い所ですけど・・・・・

多分実際には月曜の途中から何かあったのかもしれませんが、昨日は朝から今までやたら強かった短いところがちと妙な感じになってまして、業者のオファーで微妙に安いのがちらほら出てみたりしてたようなのですな。で、あまり注目してなくて、まあどうせ確りなんでしょとか高を括ってた6か月FBの入札が意外に流れるの図となりました。前日の段階では「まあ0.72〜0.73%だけど0.73%届くかねえ」という感じだったと思うのですが、入札終わってみたら平均落札価格が利回り換算で0.734%くらいで最低落札価格が0.750%くらいと結構流れたのであります。

まあ「利上げ後の足元金利は0.75%」というのがありますので、0.75%だととりあえず利上げ食らってもコール対比チャラという(本当はGCとかと比較する方が良いんですけどね)精神的支え(?)もありますので、とりあえず0.75%レベルは止まり所ではあったのですけれども、セカンダリーもあまり好調とは言えなかったようで、日本相互証券の引けは何とか0.740%にしてますけどそれはどう見てもオファーサイド。ということで、平均落札よりも安いところで引けるとはちょっとアレレ感漂うのでありました。

それはそれとして、もうちょっと短い所にも何か売りが出ておられるようでして、日本相互証券の引けよりちょいと甘い売り板が出てたとかいうお話があったり、GCレポレートが暫く延々と0.50%で張り付いてたのが上昇となって、0.51%→0.52%レベルとなってきたと久々に動意付いて参りました。

2年カレントの引けが0.965%で前日比甘くなっていたりとか、今まで散々ショートスクイーズ掛かって前月発行債と引けが逆イールドという遺憾な状態だったTB423回が日本相互証券の引け値ベースで422回とやっと単利並びになりました(0.780%)なあとか。まあ短い所がそんな感じということで、多分引け後の金先とかに影響でてきて(あまり参考にするのも何ですが)OISレートがちょっと上昇してみたりとか、何でこんなタイミングで??と思うものの、何か動意が出てきたような気がしますわな。

従いまして本日の3か月FB入札が注目となる次第なのですけれども、何せ先週の3か月FBは11月5日償還だというのに0.66%−0.67%の入札などと(昨日も申しあげた気がしますが)償還まで保有前提の持ちキラーさんとしてはちとご勘弁頂きたいようなレートになりやがっておりましたので、もうちょっとご調整頂きたく存じますところではありますわな。

7月18日の3か月FB入札で0.69%台をやってた訳でして、何ぼなんでも0.7%位にならんもんかと思うけど、まあそんな訳にもいかんでしょうね。記憶ベースでいつのことだか咄嗟に思い出せない(ノートを引っ張り出して探すと言う超アナログなあたくしですので)のですが、そういや以前も、暫く延々と強い→6か月TB(当時)入札が流れえて安そうに見える→翌日の3か月FB入札がもっと流れて前日の6か月の割安さが解消される→アヒャヒャヒャヒャというのがあったと思うのですが、単純な需給によるものか、急に8月利上げへの警戒モードが高まったのか、どうもよく判らん所がございます(てかいつもそんなことは判らんのですが、汗)。


○妙な出方で「福井総裁発言」が・・・・・

一昨日の経済財政諮問会議以降、情報ベンダーを見ておりますあたくしが「何か妙ですな」と思っているのが「福井総裁発言」でございます。

何が妙かと申しますと、福井総裁が発言したものがヘッドラインに出ているのではなくて、「福井総裁の発言」として大田経済財政担当相が発言しているものがヘッドラインを飾るという状態でして、例えばブルームバーグニュース(ネットのやつじゃなくて本格的な奴ね)で「日本 内閣府・総務省」のカテゴリーでヘッドラインを並べると、延々と『日銀総裁:なんちゃらかんちゃら−経財相』というのが並ぶと言う何とも違和感のある状態。一昨日の経済財政諮問会議後の会見と、昨日の閣議(経済財政白書を提出したのですが)後の記者会見(だと思うのだが)で福井総裁の発言が大田さんから話されているの図に見えるのであります。実に妙な気が。。。。

まあ会見要旨を見ると実はただの(毎度お馴染みの)ベンダーミスリードなのかもしれないですけど、一見すると何とも妙でありまして、福井総裁の発言について大田さんが延々と紹介(経済財政諮問会議直後の会見で紹介するのは判るけど)しているように見えるのは何か意図でもあんのかとか思いたくもなりますわな。

ちなみに、紹介されている福井総裁発言は毎度お馴染みのお話から大きくずれるものではなくて、要約しまくると「景気は良いです、物価は上がりにくいですけど、金利の調整は徐々に行います」という奴ですな(^^)。まさかこの一連の流れが「政府も8月利上げ容認」とか取られるのか??という気もあまりせんのですが・・・・

まあ実は会見要旨見てみたら大した事無くて、情報ベンダーのエサになりやすい釣り(意識してるかどうかは兎も角)エサ発言を大田さんがしただけというオチとは思うのですが、とりあえず情報1次ソースに当たる前にヘッドラインを見てしまう市場の人としては(同時に出るときには1次ソースも見ますが、記者会見とか国会答弁はどうしても後出しになりますからねえ)ちと気になったので。

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2007/08/07

○結局一番わかりやすい指標は株価な訳で

昨日の債券市場ですが、米国市場の不安定さを受けましてまたまた上昇。そしてあたくしが朝の駄文で「中期ゾーンって8月利上げスキップでここから低下余地ろくに無いでしょ」と書いた事が髪様効果を発揮したらしく(涙)、2年0.955%5年1.300%、10年1.750%、20年2.155%の引け(日本相互証券、単利)となりまして、5年から先物が引っ張ってのブル相場とは、自らの髪様振りに落涙を禁じ得ないのであります。明快なビュー(というか妄想)を書くと綺麗に逆に逝くとは我ながら甜菜現るですな。

と朝一から自虐ネタではありますがそれは兎も角として、まあ何だかんだと言いましても、債券(短期も)市場が8月利上げに関する判断をせえって話になった場合、勿論機械受注とかGDPとかございますが、日々ベースで言えば結局のところ一番ネタに使いやすいのは株価という感じっすな。米国の貧乏人向け住宅ローンのトランシェが爆発している問題に関しては、何せ聞いて回る人によって言ってることが思いっきり違いまして、おまけにこの言ってることに一定の説得力があるものの決め手が無い(からこそワケワカランので不透明不透明と言われるのだが)と来たもんで、正直その現場にいるわけではないあたくしには理解しかねるものがありますし、まあ結局判らんとしか言いようが無いですな。よって判断不能。

そんな訳で暫く株価に振らされる動きが続くと思うのですが、この2年0.955%というのはちょっとそりゃ利上げペースがちょっと遅くなると言う読みになってやせんかと思うのですけれども。この水準見てると1年ゾーンの一般債が安く見えてきますなあとか思ったらさすがに短いゾーンの一般債が捌けてきましたなあというのは昨日申しあげた通り。

まー結局のところ利上げするしないってえのは福井総裁などの発言を引用すれば「確信度合い」の問題というファジーな世界でありますので(苦笑)、そうなると(GDPが弱けりゃ話にも何にもなりませんが)判りやすいのは株価となるですわな。決定会合まであと2週間になりましたので、まあそのあたりまで株価がどうなるか。米国株価はどう見ても高値波乱もいい所でありますので2週間で落ち着きそうもないですけどねえ。

#で、今朝は2年米債10毛甘で帰ってきやがりましたですか


○ところで米国はどうなるのやら

米国株価指数は上昇しておりますが、今朝もまた住宅金融が破綻とか熊証券のシャチョーがクビとか香ばしいニュースが出ているようで、まあこりゃどうなるのやらと言う感じですが、前回に起きたLTCM問題と比較して考えて見た場合、

(1)今回はLTCM問題と違って各所に幅広くリスク分散(というかリスク飛ばしというか^^)が行われているので、食らった人たちは多い(何せワールドワイド)かもしれないけど、一人一人の額は小さいので何とかなるでしょ

というのが楽観論な見方で、

(2)前回はLTCMやその他幾つかのファンドが無茶しやがったのが原因だったけど、その点で言えば病巣がはっきりしていたのでFRBは緊急奉加帳+救済スキーム発動で問題の凍結化が瞬時にできたけれども、今回はどこがどういう形でリスクの移転が行われているのか判らんので問題の瞬間凍結スキームが図れず地雷が続々爆発しだすと本来爆発しなくても良い物まで誘爆するかもしれんでっせ

というのが悲観論な見方となるのかなあと思うのですが、あと言われているのは

(3)実体経済との関連で言えば住宅価格の下落スパイラルになるかがどうかがカギ

というところでしょうか。んでまああたくし的には(1)or(2)だとやや(2)気味に考えているのですが、(3)に関しては正直全然ワカランチ会長なのですけど、住宅ローン会社がヘロヘロになって貸出余力が無くなるという事態が日本のバブル崩壊の引き金を思いっきり引いた「総量規制」に似たような効果が出るのかどうかという所がポイントになるのかなあと思うのであります。

ということで、この問題でFEDが動くとすれば利下げというのはちょっと筋違い(たぶん利下げをするとその場は凌げるけれども将来にもっと碌でもない資産バブルかインフレが起きると思う)でして、住宅関連与信が急激に収縮しないように手を打つというプルーデンス対応になると思うのです。

#ということで、米国長期金利がソイヤソイヤと反応してるのは利下げ期待のし過ぎジャマイカと思うんですけど

ま、抜かずの宝刀よろしく「利下げするかも知れんよ」という期待だけ見せて何とかなるのが一番オイシイのでしょうけれども。

#と思ったらWSJの社説も利下げするなですか(理由がドル安懸念というのも何のこっちゃでありますが)そうですか


○日銀正副総裁人事床屋政談(おい)

さてまあ昨日はどこぞの鳩ポッポの発言に激しく反応しましたが(笑)、今朝のニュースを見ておりますと(見ただけでソースは無い)民主党は国会同意人事に関して事前に候補者を国会で審査会みたいなものをすることによって、候補者の見解を聞くように要望とのこと。

これはまあ正論に見えるお話でして、このあたりが制度上担保されれば、逆に言えば「本人の見解も聞かずに反対するのは如何なものか」という話になるので、武藤、岩田両氏の目が復活しても何らおかしくはないかなって思うのでありました。まあ鳩ポッポがあれだけ露骨に名指ししちゃうとひっくり返すの大変は大変だと思いますが。

#だからこそ責任政党を目指すのなら後から撤回できなくなるような断定的発言をするのは避けるべきではないかと思うのですけど

しかしまあ民主党は誰を想定してるのかが良くわからんところでありまして、昨日引用した本石町日記さんの指摘にもありますように、正直民主党の金融政策に関する意見は「お前ら何も考えてないだろう」としか言いようが無い尻滅裂と逝った所でありまして、政策もねえのに日銀総裁人事には意見があるとは恐るべし。

という悪態は兎も角として、民主党の経済関係といって最初に思い出すのは榊原英資大先生なのでありますが(^^)、まさか「元官僚」という理由で武藤、岩田両氏に反対してるのに榊原さんとか言い出さないですよね。民主党のネクストキャビネットの財務大臣までやってるんだから、それをやらかしたらまさに政治任用なのですが、ブーメラン政党なだけにやらかしかねない所がオソロシスであります。


ま、政治的な理由でワケワカラン人を引っ張ってくるのだけは勘弁していただきたいものであります。

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2007/08/06

○もうね、アホかと馬鹿かと

土曜の新聞にも大々的に掲載(何せ東京新聞でも1面記事になってましたし)されてたので皆様ご案内の通りとは存じますが、民主党の鳩山幹事長が日銀正副総裁人事で存在感を出すと言う動きに出るそうですわな。

で、民主党鳩山氏の発言によりますと(ソースは東京新聞やブルームバーグニュース)『武藤さんに関して新しい状況が存在しているとは思わない。考え方を買える環境にはない』だそうですが、そのような節穴の目しかない鳩ポッポはもう少し勉強すべきではないかと存じます。おまいの首から上は鳩なのかと小一時間(鳩の方が視界は広いか^^)。

まあね、前回の副総裁就任時点ではほんのちょっと前まで財務省事務次官でしたから、百億歩譲れば財務省支配云々を言うのは(どうみてもただの言いがかりだが)まだ理屈として通らんこともないですけど、日銀副総裁に就任して5年近く経過し、その間の武藤副総裁は誰がどう見ても日銀の執行部としての行動。就任当初は財務省の代理人と見られることも無かったとは言わないけど、その色眼鏡はご本人の実績で皆さんとっくの昔に外していますわな。その5年近くの実績をまるで見ないで「新しい状況が存在しているとは思わない」とはもうアホかと馬鹿かと

日銀副総裁としての5年近くの実績をまるで無視とは恐れ入る論理でありますが、それだったらてめえの政党で最初に「ネクスト財務大臣」に据えたお方は元財務官僚で、しかも選挙の洗礼を受けた代議士さんでもなかったですけど、あれが適正でこちらが不適正な理由が1ミリも理解できませんですわな。それから「元なんちゃら」が何年経っても問題になるなら、おまいら揃いも揃って元自民党だったり元官僚だったりするじゃねえかと問い詰めたくなりますわな(-_-メ)


前回の正副総裁の就任では民主党は武藤さんと岩田さんは「元官僚」というので反対。福井さんの反対理由は何だか覚えてません(たぶん不祥事で辞めた人間が復活するのはケシカランだと思うが)けど反対となってまして、福井さんの理由は兎も角として、官僚全部ダメってあーたそりゃちょっと幾ら何でもおかしいじゃないのよ。おめえの政党には元官僚(大蔵官僚もいますなあ)何人いるのかとってさっきと同じか(笑)。

ちなみに、東京新聞の4日土曜日の経済面(7面)解説記事では「あるエコノミスト」のコメントとして『次期総裁を天下りの有無でしゅん別するのではなく、市場と対話できるかどうか、で考えてほしい』とありましたが、まあ左様でございますわな。政府与党側が何か怪しい事をおっぱじめているというのなら兎も角、野党が率先して日銀総裁人事を政治ネタにするとは思わなかったですよ。まあこの発言で民主党の金融市場からの支持率は(元々そんなに高いとは思わないけど^^)大暴落したことだけは間違いないと存じます。


しかし何ですな、本石町日記さんが民主党の金融政策に関する国会での発言が支離滅裂である事を指摘した暫く前のエントリーでこんな指摘をしていたのには脱帽であります。

http://hongokucho.exblog.jp/6974947/
民主党はワンボイス主義を=金融政策論議で考える党戦略

『民主党の経済(特に金融系)戦略は、個人的には政府系金融機関(含む郵政)などの主張(国営のまま縮小)は支持できるが、金融政策については@独自のポリシーがない(与党に抑圧された日銀という対抗戦略のみ)Aトンデモ系の利上げ論が横行−しているという印象だ。特に、日銀を与党に抑圧された存在とみなす戦略は、仮に与党になれば日銀を抑圧するのが見え見えで、薄っぺらな感じである。』(上記エントリーより、強調部分は引用者による)

与党にはなりませんでしたが、早速正副総裁人事にあまり意味のない理由で口を出している訳でして、「与党になれば日銀を抑圧するのは見え見え」というのが見えて参りましたですね。

でね、民主党は上記本石町日記さんの指摘のように、国会では「与党に抑圧された存在」という流れで色々と政府への追及をしていたのですが、東京新聞(正直言って、経済記事や経済関連の社説のレベルは結構まともな部類に入ると思う)の経済面解説記事の見出しには微苦笑を禁じ得ませんでした。曰く、『日銀総裁人事 政治に揺れる「独立」 混乱、国際評価に影響も』という事でして、どう見ても民主党が中央銀行の独立性を損なっているとの評価です。本当にありがとうございました。


などとあんまり外野が武藤さん武藤さんというと贔屓の引き倒しになりかねませんので(って別に場末で叫んでるあたくしの駄文は関係ないですけど)まあ悪態は今日だけにしますけど、ちょっと民主党の政権担当能力に暗雲どころか土砂降りの大雨がという感じでございます。ど〜せ自爆クオリティーの民主党だから何か自爆するとは思いましたが、早速金融市場が呆れる攻撃に出るとは思いませんでした。


しかしそう考えるとトホホなのは、外準の積極運用だとか東京金融街構想だとか与党から出てくる話にもどう見ても空想ファンタジーの世界から出てきた物が散見される(特に金融庁の大臣と副大臣方面)ことでして、とにかく中途半端に「お勉強」したファンタジーの世界で訳の判らん施策を出すのは止めて頂きたいと思うのでありますよ。


○その他相場雑感

ここもと一般債のスプレッドが拡大してますなあとかいう話もありましたが、短い所は月末恒例のインデックス落ち銘柄の売りとかもあって月末あたりはちょっと重そうにしてまして、国債というかTBFBからのスプレッドもちょっと拡大してたのですが、何せ皆様ご案内(かど〜か知らんが)の通り、1年ゾーンのTBで0.8%を堂々割り込み(カレントのTB423回は需給要因で無駄に金利が低いので要注意)の巻ということでもありますので、スプレッドで云々する人は兎も角、絶対水準バイヤーとしてはまあこのゾーンの一般債くらいしか買う物ねえなという所ではあります。

何せ金曜は一応5糸甘になってくれたとは言え、11月5日償還のFB464回が相変わらず0.655%とか絶対水準バイヤーとしては少々ご勘弁いただきたい水準ですので、まあ絶対水準で手をだせるのはCPか一般債となる次第。とは言えそればっか買う訳にも参りませんので(バランスがおかしくなる)ここもとのオペ打ち込み攻撃には運用サイド青息吐息、調達サイドウハウハと逝った所でありましょう。

んなわけで、月末辺りにはそこそこありました世の中の在庫も先週のFB入札が強かったあたりからサクサク捌け出してきたようでして、格付けがそこそこ高い物に関しては比較的落ち着いた推移といった所でしょうか、ただし短い所限定の話ですが。


しかし、もうちょっと足を長くしてみると、相変わらず2年カレント国債が1%を割っている次第でして、どうも直感的にはそりゃちょっと強いんジャマイカというか、これじゃあ8月利上げが無しでも最早金利低下余地あるのかよという感じなんですけど、それを言い出すと中期全般何か強いっすねえという気もしてしまうのがアレな所でありますが、2年とか3年とか需要強いですもんね、やはり金余りというか運用難というかちゅう所なのかもしれません。

まあいずれにせよ、米国の信用スプレッド問題がどういう動きを見せるのかと言う話と、GDP統計見ないと何とも決めうちの仕様がございませんなあといういつもの結論で結局は様子見なのでありました(またそれか)。

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2007/08/03

お題「相場点描とサブプライム雑談(というか放言)」

参議院議員に当選して登院する前に娘のキャディーですか、そしてこれからもキャディーやりたいんですか。まあ実績ある人が落ちて在外から帰国後に選挙に行った事ない人が当選する訳ですから、それもやむなしということでしょうかねえ(吐息)。

○相場点描

昨日は米債がちと売られた事もありまして、ど〜せ10年入札があるということもありまして前場は弱目に推移し、後場の寄付きには株が何だかよく判らんのですが(バスケットですか?)窓開けて下に逝ったと思ったら債券先物は窓開けて上という感じで、株価指数がランコルゲする間に債券先物も振らされるの巻でありました。ふ〜。

アメリカの信用収縮問題を措きますと、GDPがそんなに悪くなければ利上げ自体はまあ8月に行われても全く不思議ではない(というかそういう認識で織り込んでましたから)のですが、まあ信用収縮問題が実体経済に影響を及ぼすかどうかという話になると一番手っ取り早い指標が株価と言うことになる(それが正しいかというとかなり怪しいのでありますが^^)ので・・・・ってのが後講釈としては成立しますが、よーするに他に見るもん無いから株価見てイントラデイの動きがパタパタとなるっちゅうことでやんしょ。


しかしまあ相変わらず資金供給オペはよく打たれまして、おまけにレートは低いと来たもんで、昨日の共通担保オペは8月6日〜9月19日の1か月であった訳ですが、平均0.550%で足切りが0.54%という有様。本当に8月の利上げを全力で織り込みに逝くと次の積み期間から足元金利は上昇(まあさすがに16日からロンバートというのは極端な話で、全力で織り込んだ場合にコールで60bpに毛が生えた位になるんでしょうけれども)する筈というのも皆さん華麗にネグっている今日この頃でありますわな。

そりゃまあFBの9月償還は買い来るわ、証券業者の資金も足元余り気味ですからGCは0.51%とかやってる(またぞろ0.50%に突っ込みそうな勢いですけど)わということですから、手前の金利を決定会合まで0.50%で置けばこれはこれでまあまあのレートなのかも知れませんが(段々計算するのが面倒になってきてるだろというツッコミは謹んで却下^^)、いやはやという感じですな。ま、ど〜せ取るなら9月の変な足で資金取るよりも10月足の方がよい(利上げに掛かるかもしれないし、6月末越えであの状況だったんで9月末越えは気分良くないですし)でしょうと思うので、ニーズねえぶんだけ9月のレートが下がっても仕方ない面はありますわな。とかくと益々9月足のFBが買われる理由がワケワカランのですが・・・・・

で、まあオペに意味を求めるのは不毛な話ではございますが、敢えてギャグの積りで意味を求めてみると、これはきっと8月に利上げするから皆さんちゃんと低いうちに資金取っておきなさいね(はあと)という親心なんですよ、な、なんだってー(AA略)。
・・・あくまでもギャグですので本気にしないように(^^)。


まあしかし何ですな、やはり何事も先走りすぎた織り込みというのは宜しくないというのと、市場が織り込んでいるからと逝って政策変更すりゃあいいってもんじゃないというところでございましょうか。6月から8月後半の利上げを織り込んだら途中でこんなことが起きることがあっても不思議じゃありませんでしたな。あまりにも早期に決めうちモードになったもんであたくしもその積りになってた点は素直に反省反省。


○米国サブプライム雑感というか雑談

今朝もまたどこぞの住宅ローン会社が火の車などという報道がございまして、まさに盛り上がって参りましたと逝ったところでございますが、厭債害債さんのブログ(http://ensaigaisai.at.webry.info)を拝読しておりまして色々とサブプライム問題で頭にいくつか浮かんで来たので害債さんのふんどしをお借りして・・・・

ちなみに、インスパイヤされた(これって便利な言葉ですな、と言って反応してくれるのはのまネコ騒動をご存知の方ですかな)のは害債さんの最新エントリー。→http://ensaigaisai.at.webry.info/200708/article_1.html

『これまで米国発の市場騒乱がヘッジファンドなどの過剰なポジションテイクとずさんな流動性管理によって行われてきた例が多く見られる。(略)LTCMのように知能指数の高いコドモがマーケットで遊んで迷惑をかけまくったケースなどまだましで、最近のサブプライム問題などそもそもおつむまで相当ヤバイひとたちがやっているとしか思えないし、案の定おかしくなった。アメリカの方にこの辺のことは言われたくないですなぁ。』

激しく同意致しましたので引用させて頂きましたですm(__)mちなみに他の論点も頷くところ多でございますのでご覧あれ。

ちょっと前のNY株価なんぞでも何でもかんでも上げ材料にしてワッショイワッショイという感じで動いていた(ように端からは見えたのですがどうでしょう)わけで、まあ正直言ってちょっと調整して頭冷やせやというところでありますわな。火の粉が対岸に飛んでこられると迷惑なのでそれは勘弁ですが(何というご都合主義>あたくし)。

で、このサブプライムと言えば最近関連商品の格付けがバカスカ下げられて実に香ばしいことになっておりますが、最近は格付け機関にも批判が向いているとよく報道されるのですが、それを目にする度に「何のこっちゃ」感が拭えないのでありまする。

そもそも格付けは元利払いの安定性についての論議でありまして、途中の価格変動リスクに関しては華麗にスルーと言うのが本来の趣旨だと思う訳で、ど〜せ運用利回り嵩上げする為に「これは高格付け」とか言い訳に使って確信犯(誤用)で買ってたてめえらが悪いじゃろとか思うのでありますけど、まあこの手のCDOだかCPDOだか何だか忘れましたが、国内でも「高格付けで利回りも高い魔法の商品」的にどこぞの業界雑誌で紹介されてたりしてましたなあと思いますと、これらの商品がどのように散らばっているのか興味津々。

しかしですな、よく個人向けに売ってる「ナントカ輸出金融公社発行の株価指数参照型ナントカカントカ債券」とかの債券格付けがAA格だのAAA格だのと言われても買う方は参照株価で動くもんだと思っていると思うんですが、それに対して今更格付けの問題がどうのこうのとか何を今更という感じでございます。

とまあそんなこと考えると、絶賛適用開始になりましたバーゼルU格付け別のリスクウェイト調整とかやっているのが中々空しく見えてくるのがあら不思議(というよりは、格付けオッケーなら行けちゃう人向けに商品設計工夫してるんでしょと思うのですが)と逝ったところでございまして、色々とオモシレエナーと思うのであります。

ところで、昨日あたり報道されてたベアスターンズ傘下の3本目のファンドが解約一時受付停止云々ですけど、3本目のファンドはもうちょっと格付けの高いトランシェ中心と聞いておりましたが、これはそろそろ延焼モードなのか、単にちと先走りで保守的になっているだけなのか、見極めが必要でありますな。

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2007/08/02

○福井総裁の悪運(失礼)は尽きずの図

昨日はご案内の通りまさに巻き戻しという言葉がピッタリの円高進行に株安。後場に入って株安がより進行したこともありまして債券やらユーロ円金先やらも後場に入って一段高と相成りました。さすがに平均株価17000円割れともなりますと、市場心理的には「まあ別に利上げ直ぐにやらなくてもいいんジャマイカ」という方向に傾きやすくなる次第で、そもそも織り込み度合いが絶賛低下中の短い所なんかも尚確りの巻。

3か月新発FB(8月6日発行で償還はとうとう11月入りでありますよ)が0.66%−0.67%での入札だったんですが、落札結果発表後に買いがご到来して、終わってみれば日本相互証券の引けベースで0.65%ということで、まあ強いもいいところであります。

まあそんな市場ではありますが、こうなってくると7月利上げをしなくて良かったですねという話になる訳でして(^^)、そもそも論として今年2月に出た馬鹿言説にも程がある「日銀の金融調節がヘボだから世界同時株安を招いた」に見られるように、ただでなくさえ言いがかりに近い非難を浴びやすい日銀でありますので(それは過去のトラックレコードが芳しく無いという点で日銀にも原因があるのですが)、まあ利上げしてたら今頃全部日銀のせいにさせられる所でしたので、その点で言えば福井総裁の悪運(こら)は未だ尽きずと逝った所でございます。運が良い人をトップに戴くというのも重要な話でありますにゃ。

余談ですが、サブプライムの話は最近になってようやく「この問題は2月頃から表面化しだしましたが・・・」という言説が一般的になってきたようですが、2月の頃には何故か日銀のせいにする論説が散見されましてちょっと閉口したもんです。今回の信用収縮からの巻き戻しモードを捕まえて「日銀の8月利上げを織り込みに行ったから」とかいう人は言いがかりにも程があるのですが、さすがにそれはないでしょうね。、



んじゃまあ8月利上げがどうなるかってお話ですが、正直次の決定会合まで20日もある訳でして、その間ど〜ゆ〜動きをするのかはよ〜わからんとしか申しあげようが無いっすけど、メリケンの信用収縮に関する影響なんぞは(爆発してトリガーの引きあいになってうんこの投げ合いになれば話は別ですが)10日や20日で片が付くものではないと思料されますので、結局のところどこかで踏ん切りが必要ですよってお話になるかと思う訳ですよ。そうなりますと各種経済指標がそこそこ確りであることもさることながら、結局は金融市場がそれなりに安定してないとやりにくいってことになるんでしょう。

短期市場の水準を見てますと、ここもとうだうだ申しあげているように8月利上げ織り込み水準も低下してますし、長期債も1.7%台半ばに突っ込んでしまいやがっておりますように、ここまで来ると別に8月利上げをしなくても市場にとってさほどのサプライズではない(というか値段だけ見れば半々よりちょっと利上げ無しモードなのでして、やってもやらなくても半分織り込み済みで半分サプライズですわな^^)ので、日銀としてはこれは見事なフリーハンド状態(あたくし的にはまあ別に無理しなくても良いんジャマイカとは思いますが)ということで、これまた何という悪運の強い福井日銀(^^)。

そんな中で米国クレジット市場がアヒャヒャヒャヒャになっている余波で弱含みになっている本邦のクレジット関連がちとアレでして、債券相場自体が確りしている中なので、ただでなくさえ対国債スプレッドが拡大しやすいところですから、少々困ったちゃんにはなっております。まあ株価が下がりやがった事から(株価とクレジットは必ずしもリンクするものではないのだが)もう一段の売りが出るとちょっとマズーなんですけど、まあ短い所から徐々にスプレッドに関しては落ち着いてくるんじゃないかなあとは思いますですよ(サムライ債とかは当分どうしようも無いと思いますが)。


○日銀正副総裁人事

などというものを話題にするのは早いのですが、民主党様におかれましては、前回の福井総裁、武藤副総裁、岩田副総裁という人事に全部反対というただの嫌がらせとしか思えないプレイにでておりましたが、さすがに今回はちゃんと考えるでしょうと思う次第。そもそも正副総裁全員入替というのも何か政策の連続性とか考えると(他の審議委員がいると言いましても、正副総裁の重みは違うっしょ)どうなのよとあたくし的には思うところでありますので、できれば総裁は武藤さんか岩田さんという気もするんですけど、ミンスはどう出るのやら。

前回3名に反対した理屈を持ち出してダメだしをすると、武藤さんも岩田さんもダメという話になっちゃうんですが、さすがに今回はもうちょっとまともな行動を取ると思いますがね。

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2007/08/01

特攻住宅ローンに関する懸念材料って奴は全貌が中々判らんのでありまして、日替わりで思惑は動くでしょうけれども、その度に一喜一憂されると見てるほうが疲れますがなという感じですな。昨日は満面の笑みで今日はやたら深刻そうな表情で報道ってのはどうも(苦笑)。

しかしここもとの円の巻き戻し(対円で4円とか対ポンドで10円とか)は海外旅行予備軍のあたくしには天の助けでございますな(不謹慎)。


○相場点描

週明けからの債券市場はと申しますと、週末の米債上昇選挙結果はあの有様というのを受けて月曜は買いなのかと思えば相場は下がるわイールドカーブはスティープ(そっちは何となく「財政拡大」という連想でカーブが立つというのは判らんでもないけど、そんなに今日明日反応するものなのかいな)するわという相場。まあ鉱工業生産が確りではあったんですけどそれにしても何たる相場。

と思ったら米債下落して失業率も3.7%に低下した昨日は朝方は弱かったものの時間の経過と共にクイクイ上昇の巻。まあ個人消費関連指標が弱かったというのはあるんですが、失業率3.8%以来めっきり雇用環境の改善ルートでの景気下支えと物価上昇に強気になってしまっているあたくしと致しましては、この数字で下がらないのもちと驚き桃の木。月末のインデックス系さんの長期化にぶつけて相場を持ち上げたというのはあるのかもしれません(その割には最後の最後に先物失速しちゃいましたが)けど、どうもイメージと合わない相場でありますなあという感じでありまする。


んでまあ短い所ですが、TBFBの利回りは相変わらずでありまして、何でその辺買うのかイマイチ良く判らんのですが、9月償還、というか期内物の短期国債は絶賛大人気らしいですわな。単純に足元金利(あるいはGC)との比較で利回りを考えて買うという話になりますと、8月利上げと9月利上げの当たり外れによって思いっきり損得がでてしまうゾーン(しかも現在の水準は8月利上げがあまり織り込まれてないのですが・・・・)なのでありまして、単純に利回りベースで買う人のロジックでは無い買い方なんでしょという感じです。

オペ金利はオペ金利でこれまた相変わらずでありまして、共通担保本店オペの8月23日エンドは平均0.512%の足切り0.51%と遂に決定会合2日目エンドでもレートはカワランチ会長。10月17日エンドは平均0.633%で足切り0.63%なのですが、毎度お馴染みの計算をすると、8月23日から0.75%だと0.687%とかになって、9月19日から0.75%だと0.599%となりますので、これだと8月利上げ織り込みが50%以下になるんですかそうですか。まあ悪くないファンディングですなあと思うのであります(本店オペだから全店オペよりもレートが下がりやすい)。


ところで、ここんところ債券相場は堅調なのに何か一般債の水準が甘くなってますわなあという話もございますんですが、こりゃまあ例の貧乏人特攻ローンあぼーん→メリケンのクレジット市場青息吐息→こっちに波及って図でございましょう。特にサムライ債などのスプレッドが実に香ばしい展開になっておりますけど、こーゆー時って若気の至りでスプレッド拡大初期に全力買いしたくなる若人(かつてのあたくし^^)がいたりして悲喜こもごもの展開が想定されますな。スプレッド絡みで市場が大騒ぎになるとそれはもう恐ろしい展開になるのですが、外から見てると学習効果が働かない理由として、参加者が数年タームで入れ替わってるというのがあるかなあ何て思うあたくしなのでありました。まあ年寄りも残ってますけど、最近は業界の景気が良いので若い衆も随分増えましたからねえ。

正直、証券会社が飛んだり銀行が飛んだりした時とか、アジア通貨危機の時の一般債市場のスプレッドの豪快な動き(債券市場の中堅以上の人に向って「ダルマラ」「インダキアット」と言って反応するのは当時クレジット物をいじってた証拠ですのでお試しあれ^^)にから見たら、ここもとの動き自体は「ふ〜ん」程度ではあるのですが、市場規模自体が拡大している(と思うんだが)ので、実額ベースでは食らってるというのはありまして、はてさてどうなるのやらなどとまるでひとごとのように語るあたくしなのでありました。



○資金繰りが付かず資産売却キター!

と言ってもニュースのヘッドラインだけですけど、メリケン様の住宅ローン会社様が資金繰り回らずに資産売却もでございますかそうですか、これは香ばしい。

資金繰りが付かずに資産売却というのは実にこうトリガーな訳でございまして、我が国で見られた光景で最近あったのはエンロンがエライコッチャになってサムライ債が豪華格下げになった結果、評価損で日々決算型の追加型公社債投信(要するにMMF)が元本割れ→驚き桃の木で他のMMFにも解約到来→資金繰りで売り→・・・という具合でひところ短期(2年以内)の一般債どころか国債まで大変な事になったという事案でしたわな。換金売り恐るべしなのであります。

まあこの住宅ローン会社の行動がどの位の地雷で、誘爆するものなのかどうかなんてあたくし知る由もございませんので読みもへったくれもないのですが、ちょいとばかり気になるニュースなのでありました。ナムナム。

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2007/07/31

お題「8月利上げ織り込み50%?/CPIの刈り込み平均」

とりあえず言ってみただけなのかと思えば、マジで居座るとはテラスゴスという感じですが、これじゃ皆様も指摘してるように「お灸が足りないようで」となって次の衆議院選挙でまた香ばしい事になるんじゃないですかねえ。というか今回思いっきり割りを食った公明党がぶち切れる悪寒が。

しかし金曜月曜はこの世の終わりのような勢いで話をしてて、今朝になったら満面の笑みでご対応というモーサテのあの調子は(気持ちは分かるが)ちょっと何とかならんのかと思うのでありますけど。これぞ一喜一憂ですわな>特にニューヨークの皆さん

#しかしメリケン様の御託を垂れ流すにしても、「財政支出が拡大すると景気が悪化する」、「日本の内需が弱いので日本経済は良くない」っておまえ話が無茶苦茶矛盾してるだろうと。財政締めて景気が良くなるってどんな理屈だよ・・・・>モーサテさま


○困ったときの織り込み50%(か?)

選挙ネタのために華麗にスルーしていましたが、ここへ来て日銀の資金供給オペ金利が織り込み50%攻撃になって参りました。そういや2月後半の金融政策決定会合前の積み期間に掛かるGCレートが丁度織り込み半分(というか足して2で割る数字)だったなあと思うのでありまして、まあ世の中良く出来てるというものであります(^^)。

その資金供給オペレートですけど、27日金曜の全店オペでは10月10日エンドで平均0.643%で足切り0.63%となっていました。んでまあこのレートなんですが、いつものようにコールレートの足し算をして見ると、8月23日から0.75%、末初1%とした場合には0.676%で9月16日から0.75%として同様に計算すると0.581%となりますので、足して2で割ると0.628%とかになりまして、まあ大体その辺が目線なのねというお話になるのでありました。

そして月曜のオペ金利なんですが、これまた本店オペで8月1日から9月7日の期間で平均が0.554%で足切り0.54%となりましたが、こちらの期間が8月23日から0.75%だとすれば0.601%となりまして(8月利上げがなければ当然0.500%)この出来上がりもまあ何となく半分くらい(足切りがちと低いですが)という出来上がりになっているのであります。うーむ奥が深い。


まあこうなってしまうと結局のところメリケン様の貧乏人向け特攻住宅ローン問題に端を発する信用収縮が実体経済にどの位の打撃を与えるのかという所の不透明感がどの位払拭されるのかというあたりが利上げに向けた一番気になる所ではありまして、「んなもん判らんがな」としか言いようが無い上に、何せ決定会合まであと20日以上ある訳ですからその間どうなるのかも判らんがなでありまして、そうなるともはや利上げするかしないかはサイコロ博打の世界でもありますわな、ということでこのレート形成になりやがったかという感じであります。

しかし相変わらずFB/TB利回りは香ばしい状態でして、9月10日償還のFB454回の日本相互証券の引けが0.53%とかで、利回り考えて持ち切りするには(そもそも論としてコールと比較すべきもんじゃなくてGCと比較するもんなのですけどGCも低いんで・・・)利上げ織り込み30%以下という数字(さっきのざっくり計算をご参照)はなんぼなんでもちょっと勘弁しいただきたく思うのでありますよ。まあ利回りじゃない買いとか入ってるんでしょうけれども・・・・んでCPレートはそんなに下がってないとか、商品毎に独自色の強い動きが相変わらず継続しているのでありました。


○刈り込み平均またキターということで

先日ご紹介した野田審議委員講演ですが、金曜のCPIを見てそういやこんな事も言ってましたなというのを思い出したので改めて追加でありまする。講演の真ん中あたりなのですが、物価についてお話している部分にこんなくだりが。

『物価情勢の判断に当たって物価指数をみる場合、私としては、物価の基調的な動き、言い換えれば、根源的なインフレ圧力とそのトレンドを重視したいと考えています。』

『例えば、消費者物価では、総合指数(ヘッドライン)やそれから生鮮食品を除いたコア指数だけではなく、それから更にガソリンや灯油などの石油製品などのように変動幅(振れ)の大きい項目や制度的な要因で一時的に変動している項目を除いた指数とか、価格変動の大きな項目を上下に一定の比率で除いた指数(刈り込み平均指数) 、更には、上昇項目数と下落項目数の差など、様々な数値を総合的に捉え、基調を判断するようにしています。』

『物価指数の動向を「フォワード・ルッキング」な判断に結び付けていくには、指数の基調的な動きが重要であると考えるからです。』

というころで、ここでヘッドラインやコア指数以外で物価を見るツールとして刈り込み平均を具体的なものとして挙げておりますが、これ見て思い出した方もおられると思いますが、先般西村審議委員が海外で講演をした時にも同じように刈り込み平均についての言及がございました。だいぶ前に日銀のペーパーで紹介された時にはだいぶ話題になったのですが、ここへ来ていきなり復活とはこれまたど〜したもんよと思えば金曜のCPIですよ先生。

ということで、金曜に公表されたCPIなんですが、こちらの10%刈り込み平均(くだんの日銀ペーパーはトレンドを見るのに一番トラックレコードが良いと指摘しています)が6月全国の数値で3か月連続でプラス(と言ってもプラス0.1%にもなりませんけど)でして、昨年来落ち込みモードだった状況から下げ止まってプラス推移になっておるわけですな。うーむ奥が深い(^^)。

#この刈り込み平均を算出をして時系列グラフも出している本職の方のレポートが出ていますよん(ネタバレで申しあげますとあたくしが拝読したのモルガンスタンレー証券の佐藤さんのレポートでございます^^)。まあ社内で本職の方がいたら計算してもらっておいた方が吉ジャマイカと存じます。

まあ何と申しますか、刈り込み平均CPIがプラテンしてきたと思えば審議委員の講演で刈り込み平均の言及が出てくるとか何というああいえばこういう状態とか意地悪く解釈したくもありますが、確かにまあ何でもかんでも網羅して説明するのは無理ですから、どうしてもピンポイントでその時のポイントに言及するのは仕方ないとも言えます。ただ、日銀の場合はその「持ち出すポイント」がどうもこう自分の政策運営ロジックに都合の良い数字が出ているものを殊更に拾ってきてるんじゃねえのという嫌いがありますわなという所でございます。何だかね〜。

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2007/07/30

お題「選挙ですから床屋政談でも」

正直申しあげて、「過半数取れなかったら政界引退」という小沢さんの発言を聞いたときには「ついにこの人もヤキが回ったか」とあたしゃ思いましたんですよ。失礼なことを思ってすいませんすいません。お見それ致しました。

選挙結果を受けて相場見通しをどうしましょうかというお話の前に、手元にあります東京新聞12版を見ながら雑談でも(ということで野田審議委員の会見までは辿り着かないものと思料されます)。

○選挙雑談

・東京地方区

保阪候補が落ちて、メディアを引き連れて期日前投票しに逝ったら住民票を在外から戻し忘れて東京地方区での投票が出来なかった丸川候補が当選とは何という事と呆れておりますが、共産党が次点にも届かないというのにも驚きが。まあそれはそれと致しまして唯一ネ申(おい)が最下位を脱出しているのにもかなりの驚きがございました(^^)。最下位脱出したんで、とりあえず地獄の火の中に投げ込むのは勘弁してください。


・比例代表

共生新党が維新政党新風に負けているのにはかなり笑ってしまいました、うひゃひゃひゃひゃ。前回の比例獲得議席と比較して公明がドロップしているんですね。しかしそう前回比強烈に差が出ている訳ではないので、地方区における民主の選挙戦術が上手かったということなんでしょうか(でも1議席違うと言うのは物凄い事なのですから、やっぱり基礎票も伸びてるってことなのかね)。

・出口調査

各社の出口調査を8時に急いでメモを取ったのですが、レンジを取ってるNHKは別にしてTBS以外大外ししてないですなあということで、今回も実は開票速報見てたの精々1時間だったというあたくしなのでありました。なお、東京MXTVは悠然と大井競馬中継をやっておりました(^^)。

・その他

公明党が地方区で取りこぼすとは(しかも首都圏とか愛知とかで)これまた驚きでありました。13議席鉄板と最初から決め付けておりましたよあたしゃ。こちらも何てこったいという感じですわな。

でね、まああたくしが個人的に極めて好感度を低く設定している自民党の中川幹事長が幹事長辞任とのことなんですけれども、何であたくし的好感度が低いのかという点について選挙戦を見てて気が付いた点があるんですよ。それはですな、「この人他人のこき下ろしばっかりですなあ」という印象が強いという所でして、野党なら兎も角、与党の幹事長として如何なものなのかってのがあったのかなあという所で。年金番号の未整理問題で一時自民党のサイトに「基礎年金番号制度に移行した時の厚生大臣は菅直人でした」とか宣伝(?)してたのが代表例(中川さんの差し金ではないのかも知れないけど)ですが、定率減税廃止しておいて「日銀の利上げのせいで景気が浮上しない」とか批判するとか、どうもこの幹事長(安倍さんもその観がありますが)は口を開けば他者批判って印象が強いんですよね。中川さんブログのご本人のコラム見てても何か人の批判が多いですしねえ。

#と、ここまで書いて自分にブーメランである事に気が付くあたくしなのでありますが・・・・・(滝汗)

これは自民党員の方のブログで見掛けたんですけれども、選挙戦では「気をつけよう、甘い言葉と民主党」などと中川さん仰せ(追記:といか自民党のサイトにございましたよ)だったようで、まあ民主の政策に関してはそれはどうなのかというのがありますが、それをお前が言ってどうすると思うのでありまして、何と申しますか、口を開けば批判というようなネガティブな事ではいかんのですなあと最後はアヤシイ人間力教室みたいなまとめになるのでありました(^^)。

#そして自分にブーメラン(^^)


○それはそれとして金融政策への影響

前から市場で言われてたのは「与党の勝利か大敗ならまあスッキリするのでよろしくが、中途半端に負けて安倍首相が続投して内閣が死に体になると困りますなあ」というものであったのですけれども、安倍首相が続投表明とは想定外の展開です。まあ民主党にとってはウハウハとしか言いようが無いですけど、これは見事な死に体で困るパターン。

ただまあ選挙結果そのものが市場に無茶苦茶影響を与えるかというと、目先の短期的な変動はあるにせよ、その先という意味で言えば来年の3月までは政府の予算だって決まっているんだし、政府部門からの動きに極端な変化がある訳でもないんですから、まあ中期的には別のファクターが働くのではないかと存じますが。

んでまあ先週金曜日はサブプライム問題益々表面化→米国金利低下に端を発して、おまけにコアCPIは相変わらずマイナスということで、相乗効果で国内の債券市場は上昇しまして、短期に関しても(CPは辛うじてまだそんなに低下してませんが)金利低下の巻で、10月29日償還のFB463回の利回りが0.640%(3.5毛強!)の引けだわ、9月26日償還のFB457回の利回りが0.560%(2毛強)の引けだわと、これは見事な8月利上げ織り込み剥落モードでありまして(ま、9月3日償還とかとっくの昔に0.520%の引けだったりしますけど^^)、誠に何てこったいと逝った所でありまする。

先週あたくしは「8月利上げスキップするなら「逆地均し」ですかねえ」などと申しあげておりましたが、こうなってくると別に逆地均しをしなくても超短い所では8月スキップしても大丈夫モードになっているのがオソロシスであります(ただし長い所はまだ8月利上げが大本線です)わな。まあ7月利上げしてなくて良かったねとしか言いようが無いので、そういう意味では福井総裁の悪運は尽きずと逝った所で(^^)。

まあ日銀は否定するでしょうけれども、8月利上げできるかどうかの最終的なファクターは株式市場がこの選挙結果や米国発の混乱でコケるかどうかってのと、来月出てくるGDPが悪い結果にならないかって所になるとあたしゃ見立てておりますので(違っていたらごみんなさい)、まあ暫くは短い所のポジション運営は難しいのですが、現在資金不足期間によって、資金供給オペが打たれやすくなっているのが金利押し下げ要因として働くので、当面は利上げスキップモードになり易い展開となるでしょうな。

で、短期市場が今申しあげたモードになっている事もありまして、8月利上げに関してはスキップするという手もありそうですけど、まあ「確信度合い」の筋論で言えば8月やらないと9月やるのは難しいかもしれないので、(べき論で言えば別に待っても良いんジャマイカと思うが)出来るもんなら8月にするんでしょうね。

#と、雑談与太話に終始して面目ない

#あ、たぶん米国利下げ(しないとおもうが)観測は関係ないと思うので一応

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2007/07/26

○新発3か月FB入札利回りが低下など

昨日は新発3か月FBの入札が実施されました。んでまあ利回りが低下しましたなっていう話は短期地方だけではなくてそこそこ話題になっていましたのでご案内の通りであろうかと存じますが、まあ他にネタもないので(^^)そのあたりのお話から。

昨日実施された3か月FB入札ですけれども、7月30日〜10月29日の期間で平均落札価格の利回り換算が(財務省発表の数字は両端ベースの数字ですので、一般的な売買呼び値の片端ベースの数字と違います、いつも申しあげてますが)0.679%と0.68%にも届かん結果となりやがりまして、最低落札価格が利回りれ0.683%とかいう結果。日本相互証券の引けでは0.675%となっていますので、入札後の状況もまあ堅調ということで。

ちなみに先週の新発3か月FBは、スタートエンド共に1週間手前になってたんですが、平均0.691%で足切り0.695%でして、8月利上げとか言ってた筈なので、その織り込み度合いが変らなければ当然ながら今週のFB利回りが上昇して然るべきでありますから、金利が低下したというのはアヒャヒャヒャヒャと逝ったところですわな。

#と申しましても昨日突如金利が下がった訳ではなくてその前から利回り低下ドライブになっていたのはこちらでもうだうだと申している通りでありんす。

ちなみにですな、例によって例の如く足元からのコストの単純なる足し算をして逝きますと、当然ながら0.68%なんぞになる訳がございませんでして、まあ今回の積み期間に関してはGCレートも0.50%定着かというような勢いですから百歩譲って0.50%としまして、8月16日以降の金利に関して(ど〜考えてもそれは安い前提なのですが)8月利上げを100%織り込みコール金利ということで0.75%、期末期初をロンバート予想金利ということで1.00%として計算して逝っても0.711%とかになる筈でありまして、だいたい目の子で8月16日以降の金利がさっきの計算から5bp下がると0.67%あたりになる筈なのであります。

そもそも論でいえば、以前はGCレートがコール誘導目標から5bp上というような前提でお話をしていた次第でありまして、まあ資金供給オペ実施攻撃(今月は資金不足月なので資金供給オペが実施されるのでありますが)によってGCとコールがろくすっぽ変らんという状態ですので手前の0.50%換算に関しては良しとしましても、何と申しますか後半0.7%換算ですかそうですかという所ですわな。「利上げなしで0.55%、利上げすると0.80%」に対する0.70%と考えますと、ここだけ見ると何と8月利上げ織り込み度合いが60%に低下したという言い方も出来ます罠。アヒャヒャヒャヒャ。

#なお、他のレート形成を見ればお判りのように、短期市場の中の人の大方の見方がそんなに織り込み低下している訳ではございませんので悪しからず。FB独特の需給要因(国債というカテゴリーなので選好されるとか、大量ロットが捌ける商品なので選好されるとか、まあ色々と有利な点がありますので)がありますんでその辺は過大評価しないのが吉。


ま、オペ金利も相変わらずでありまして、何か昨日珍しく打った短い期間の国債売現先(7月26日〜8月2日)が平均0.505%の足切り0.51%(資金吸収オペ=応札する人からすると資金運用なので足切りレートの方が高い)ということで、いやはや0.50%の応札が1500億円くらいは入りやがりましたですぅということで、金が余りますのおという所でした。

んで、午後になったらまたまた資金供給オペが実施されたのですが、7月27日〜8月17日の期間で平均0.512%の足切り0.51%となりました。月曜に実施された共通担保オペで8月16日足の平均0.512%最低0.51%だったんで、今回も同じレートですかそうですかって話なんですが、よくよく見れば(と言うか良く見なくてもそうですが^^)オペのエンドが次の積み期間にしらっと入っておりまして、月曜には1日間だったのが昨日は2日間次の積み期間に突入の巻なのにしらっと同じレートということは、実質的にはレート低下ということですわな(8月利上げが無いと言うのなら同じですけど^^)。

とまあそんな状態ですんで、こっから月末に掛けて出てくる経済指標はそんなに威勢の良いものではないと予想されているらしいですから、その辺と相まって「8月利上げ実は無いんジャマイカ」というのが相場ネタとしては使われやすくなりますわなあという感じなんでしょうか。というか昨日なんか2年カレントが一時1%割れなどという何じゃそりゃというレートをやらかしていました(そこまでやらかすためには10月利上げに後ズレしないとしんどいですがな)ので、まあそーゆー意味では既にやっているんでしょうけれどもね。


○8月利上げが本命ではあるのですけど・・・・・

そもそもあたくしは「2度ともGDP見て利上げしたと言われるのは避けるんじゃねえの」ということで8月利上げは難しかろうなどと申しあげておりまして9月とか10月とかの大予想だったんですけれども、じゃあ8月利上げをスキップしたら9月になるのかという話になりますとこれがまたヤヤコシイ。

量的緩和解除が3月だったんで、9月は期末だから上げないというのは余り関係無さそう(ただし量的緩和解除しても3月には当座預金を引かなかった点は留意が必要)なのですが、現状維持判断から利上げおっけーの判断になる為に持ち出される「確信度合い」という点を勘案致しますと、8月の決定会合から9月の決定会合までの間に何かでかい経済指標ありましたっけという指摘は出てきそうでして、それに対して10月となりますと短観はあるわ、10月末の会合には展望レポートの半期見直しがあるわということで、ロジック的には10月に確信度合いが高まりましたという方が美しいというか筋が通っておりますわな。

とは申しましても、そんな美しい国じゃなかった美しいロジックなんぞケンチャナヨというのが福井日銀クオリティでもありますので、別に8月スキップして9月という借金返済繰延交渉風の流れになっても何らおかしくはない次第で、正直よー判らんのでありますけど、市場の思惑としては「8月スキップなら9月スキップ」という話は出やすそうな予感

まあしかし8月スキップするならそろそろ「逆地均し」(苦笑)をやっておかないと市場がまたブーブー言いそうですが、はてさてどうなるのやらといった所であります。まあお手並み拝見。

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2007/07/25

○オペ金利昨日も下がってましたな

という話を(ネタも大してないので^^)しようと思ったら本石町日記さんのエントリーが(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7180632/

#で、いつもコメント盛り上がる本石町日記さんのエントリーなんですが、このネタに関しては今朝の5時時点でコメント0件という所に哀しみを感じるあたくしなのですが

昨日もまたまた資金供給オペが実施されていた訳ですが、共通担保オペが7月26日〜10月11日という期間で、落札平均レートが0.657%で足切りが0.65%と中々良い感じでレートが低下しておられます。毎度お馴染みの計算を電卓叩きながら行いますと、今回の積み期間0.50%+8月後半以降の積み期間0.75%+期末期初1.00%として単純に平均すると0.692%位になる(と思うんだが)ので、まあ8月利上げだと思えばこれで調達すれば悪くはございませんですなあ。この平均0.657%って8月後半以降の積み期間0.70%+期末期初0.95%で計算すると0.655%とかになるので、まだ8月利上げメインである事には変り無いですけれども。

で、まあ昨日は「もしかしてGCレートを下げようとしてるのか」というようなことを書きましたが、まあ本当の本気でそう思っている訳でもございませんでして(おい)、多分資金需給に合わせて淡々をオペを実施し、無担保コール翌日物金利の水準を見て調節ということで、特段の意図はないかと思うのですが(本石町日記さんのエントリーでも同趣旨の説明がございましたですので上記URLご参考されたし)、タームのレートが下がっているのにも構わず淡々と供給というのを見ると、何か意図でもあるんじゃないかとか思ってしまうのはあたくしの頭の中身が旧法時代から抜けていませんですがそうですか^^;

このタームのオペ金利低下によりまして、FB利回りあたりにはモロに影響が出てまいりまして、昨日の日本相互証券の引け利回りを拝見致しますとカレントのFB462回債は前日比5糸強の0.665%ということで10月22日償還だというのに何たるレートという感じであります。今日入札が行われる新発3か月FBの利回りも低いですなあとしか申しあげようがございませんですわな。先週の0.69%台というのはちょっと遠くになりにけりという感じでございます。合掌。んでまあCPのレートに関して言えば気持ち下がったかもしれないくらいの変化という所のようでございますかな。まあこの調子のレート形成が続くと影響してきそうですけど。

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2007/07/24

○またオペ金利低下してますが

昨日も資金供給オペが景気良く打たれておりまして、何か金利はまたまた低下の巻となっている訳です。即日オペはまあ措くとしまして、資金供給オペが3本実施されやがりまして、金融政策決定会合までのオペレートの低さと、9月エンドのオペ金利の低下っぷりに「え〜」という感じであります。

国債買現先7月25日〜8月8日と、共通担保7月25日〜8月16日がそれぞれ平均0.519%の0.512%とまあ見事に別に金要りませんが何かレートへの道を邁進しておりまして(足切りはどちらも0.51%)先月の四半期末でプチ期末モードだった6月末とは大違いの巻なのであります。何のこっちゃという感じですが。

このオペ金利低下、というかよーするに足元金要りませんなあ状態によってGCやら現先金利は低く(0.51%近傍)なりまして、FB金利にはマトモに跳ねて来ました。そりゃまあいざとなったらオペ担保にぶち込めば8月会合まで0.51%で金が付きますし、それ以前の問題として資金が余ってきてる所にオペ攻撃ですからレート低下するのは当然なのですが、一方で基本的に持ち切り前提の人が入ってくるCPのレートはそこまで下がらんという状態になってまして、TB/FBレートとCPレートのスプレッドが妙に開いてきました。CPレートが上昇してスプレッドが開くのではなくTB/FBレートが低下して開くというパターンも時に見られるのですが、何かねえって感じではあります。

んでまあ9月エンドのオペ金利ですけど、共通担保オペのもう一本は7月25日〜9月20日で平均落札レートが0.616%で足切りが0.61%とこれまた低い水準でありまして、とりあえず今回の積み期間を0.51%で計算した場合に後ろのレートが0.68%という計算になる(計算間違えてなければ・・・)ということで、まあ確かに8月利上げと決まった訳じゃ無いですけど、そのレートは低いですなあと思うのですが、ほぼ同期間のFB456回(9月18日償還)の日本相互証券の引け(は既発になるとそもそもの売買が低調な銘柄も多いので必ずしもアテになるとは限らない点要注意ですが)が0.585%というそりゃ何じゃというレートですので、まあ何だかねえという感じです。

そんなFBなどと違いまして、先ほども申しあげたCPレートは引き続き8月利上げを大体織り込み体制が継続しておりまして、上位格付けの同じ足だと(周囲のレートなどから勘案すると)0.68〜0.70%辺りになると類推されましてまあ結構なスプレッドとなっておりますわな。うーむ。

ま、オペの影響だけじゃないんでしょうけれども、GCレートやショートタームのTB/FB金利が落ち着いている、というよりは低いですがなという状況の中でもタームのオペを打っているという状況に「もしかしてGCレートを下げようという意図があるんじゃないかいな」という見方をしたくもなる今日この頃であります。ちなみに、昨日の即日オペ(翌日物)のレートは平均0.525%で足切り0.52%と物の見事に足元とタームのレートが逆転してる(別に資金需給の特定日じゃないのですけど)のも何のコッチャでありまして、もしかしてタームやGCが下がってるのはケンチャナヨで足元だけ見てるのかいなという気もしないでもない。うーむ。

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2007/07/23

お題「月曜なので相場雑談」

自民大敗予想が喧しい中で群馬県知事選挙は与党公認候補が勝ちましたなあ。まあそんなもんじゃないですかね。

○動かないと悪態をついてたら動く訳だが

先週金曜はそれまで動意があんまり無かった債券市場が比較的威勢良く上昇(と言っても2毛5糸位の話ですが)し、先物ベースで132円とか10年カレントが1.9%割れとか節目を越えたので、まあ上りましたなあという感じでした。ここの所米債に釣られて寄りで値が飛んだ後は動意なしというような相場が続いていたのですが、珍しく寄り後にホイホイ上昇したのも「こりゃまた動きましたなあ」という感じを受けるものでありました。

まあ何と申しますか、もうとっくの昔から8月利上げで確定のような感じで相場が織り込んでいるので、今更8月利上げがあってもイベントリスクでも何でもない(無かった場合の方が香ばしい展開が期待できますわな^^)という状況になってると思うんですよ。でね、皆で8月利上げって思っているのに相場は値持ちしていまして、ついでに8月に利上げがあっても「事前予想通り」となり、そんなに大崩れすることもねえ(大崩れする位ならその前に相場が下がるがな)というのであれば、まあ取りあえず買って置けば期間収益稼げるしという話になってもおかしくはないという物ですな。

というようなことで、10年1.9%割れと相成ったとは思うのですけど、じゃあ金利が威勢良く低下するほどまで買うのかよとなるとその辺はどうなんでしょうかねえという所でして、月末に掛けて出てくる経済指標とか、超目先的には週末下落しやがった米国株式を受けた日本株式(あたくし的にはそんなに連れ安にならんと思うが)とか、何かもう一丁フォローが欲しいところではありますな。

ただ、あたくしの気のせいかも知らんけど、利上げのような基本的には金利が上がるほうの材料を意識しながらも値持ちするというような市場の中の人以外にには「何のこっちゃ」という展開(中の人的にはこのような光景はよくある事なのですが、何でそうなるのかと質問されると非常に説明しにくいのですわな^^)が続くと、期間収益を拾いに来るロングが段々溜まってくる(特に今回の場合は予想されるイベントまで1か月ありますから)結果、案外下に弱い相場になってくるかも知れませんな。

でも利上げがサプライズになるのには、次の利上げペースや利上げパスの目先到達点とかに関して今の市場コンセンサス(がどこにあるのか少々謎なのですが、たぶん1−3月期にあと0.25%までは織り込んでいて、目先到達点は1%〜1.5%の間くらいで見方が分かれそうな感じですか、1%に近そうな気もしますが)を外すような話が出てこないと難しいんじゃないですかね。

んでまあ本来8月利上げだろうが9月利上げだろうが長期金利にはどうでもいい話なのですが、まあここまで8月利上げを織り込んで、というよりは織り込まさせておいて(というと政策委員会の中の人は「地均しはしとらん」と言うんでしょうが^^)8月の利上げが無かったらサプライズになりそうな勢いでして、ここから出てくる経済指標がそんなに威勢の良いものじゃ無かったらどうするんでしょうかねえとワクワクテカテカ(完全に物見遊山モードの発言ですが)。


○引き続きロンバート予想は1%(か?)

金曜日は二発目になります期末越え共通担保オペが行われましたが、期間が7月24日〜10月5日と前回実施とケツが同じでスタートが4日後ろ平均落札が0.670%で最低落札が0.66%で、按分比率が9.9%と薄い按分になり、前回からレートは上昇していますが、8月利上げ織り込み+末初レートが1%という計算からすると、前回よりもスタートが後に寄っているのでまあこんなもんでございましょう。

そもそも8月利上げが決まった訳ではないですからその点も割り引いて考えないといけない(FBの利回りは相変わらず8月利上げを8割くらいしか織り込んでないです)ですけど、まあ値段の付き方がどう見てもそうなってますんで、短い市場的にはロンバート1.25%というのはあまり意識されていないのかなあという感じですな(ちなみに、末初レートが25bp違う場合、このオペ期間にその25bpをまぶすと1bpになりますわな)。

というのはまあ先週金曜にお話したのと同じなのですが、どうも最近気になるのは日銀の資金供給の打ち方でして、足元資金が潤沢になっている筈なのに何故かタームの資金供給は威勢良く打ち込まれておりまして(金曜の共通担保オペは月末越える8月15日エンドで平均0.526%、足切り0.52%)、その影響でGCレートが0.52%〜0.53%水準で全然上らない状態になってます。ど〜ゆ〜事情があるのか存じませんが、ここへ来て金利を抑え付けようとしているのではないかという気もする動きがちと不思議。

まあ物凄い裏読みにも程があるのですけれども、ロンバートが125bpになった時にGCレートや現先レートが跳ねないように今から落ち着かせておこうとしてるのかな?なんて(実際にはオペレーション部隊はそのような事情を斟酌して動く事はあり得ないというのは理解してますが^^)ヒマなもんでついつまらん事を考えてしまうのであります(^^)。

それともゆうちょ銀行が準備預金適用先になるのでそっちの資金繰りを巡る思惑で市場が不安定化しないようにという配慮なのかもしれません(というか普通に考えたらそっちの方が本命ですが)なあとか、まあ色々と考えてしまうのであります。

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2007/07/20

○ロンバートがどうなるのかという雑談

3月期末の市場結果を受けて4月の金融政策決定会合でロンバートとコール誘導目標の回廊幅について論議があったというのは以前ご紹介しましたが、その後は福井総裁が6月の定例記者会見(金融政策決定会合後の会見)でわざわざ「別にそれは急ぐ話ではありませんが(意訳)」と発言してましたが、改めてそのあたりをチェック、って元発言は死ぬほど長いので一部を引用します。

(6月15日の総裁記者会見要旨より)
『金融市場局は色々と苦労していますが、最近は0.5%近傍で比較的円滑に誘導目標金利が市場で毎日実現できているという状況になってきています。量的緩和政策を脱却して、資金の出し手も取り手も、国内外の金融機関も市場の中での資金繰りに相当慣れてきて、金融市場局における市場のオペレーションが円滑に行えるようになってきました。結果として、誘導目標金利の0.5%前後が円滑に実現しやすくなってきています。』

誠にその通りでございます。

『そういう意味では、補完貸付金利との幅をもう少し引き上げていっても良い可能性がこの先はだんだん出てくると思いますが、まだよく分かりません。郵政の民営化をはじめ、市場には色々と資金繰り円滑化要因もあれば、不円滑化要因もまだ色々と孕んでいますので、この先の市場の変化をきちんととらえながら――別にこれは急ぐ課題ではありませんので――、ゆっくり点検しながら適当な状況にもっていければと思います。今非常に不適当な状況であるとは思っておりませんので、時間をかけて検討していけば良いと思います。』

ということで「郵政民営化」と物凄い勢いで名指しされておりますが、まあこの前は某公社債情報専門誌の記者座談会形式のコラムでSCレポ市場での波乱について同じように物凄い勢いで名指しされてましたが、いやあこうなってみると郵政民営化ってフィージビリティーをろくに検討しないで勢いで強行したってえのが良くわかる話ですなあという所ですが、正直こちら金融市場は政治が後先考えずに特攻したケツが回ってくる訳でして「ですなあ」などと他人ごとのように言ってる場合でも無かったりしますわな(苦笑)。

#ま、インターバンクの資金需給調整のケツは日銀に回ってくるのですが


んでまあ上記引用した中で「時間をかけて検討していけば良い」という発言がある訳ですので、今のところロンバートが次回引上げになって125bpになるって感じもあまりしないという所なのかという感じでありまして、一昨日初めて行われた9月期末越えの共通担保資金供給のレートが平均落札0.670%で足切り0.66%となっておりましたが、この期間が7月20日〜10月5日。で、このレートはさてどういう数字なのよと思って電卓を適当に叩くと、7月20日〜8月15日を0.50%、8月16日〜10月5日を0.75%、その間の末初レートの9月28日〜10月1日を1.00%として計算すると大体この落札水準とになると思われますので、「なるほど色々考えてますなあ」という感じです。

#ま、それ以前の問題として、3か月のFBレートとかまだ8月利上げを全部織り込んでない(まあ当然ですが)上に末初レートの跳ね上がりもあまり織り込んでませんという感じですが。

ロンバートがどうなるのかは良くわかりませんが、こちらに関しては次の利上げ時に票が割れるのかもしれませんね。ただまあ期末前に利上げするんだったら125bpまで持って行かないかもしれませんけど。

最初100bpにしておいて期末やら郵政民営化に伴う作業が一巡した所で125bpに引き上げるという手もあったと思うのですが、「ロンバートだけ動かす」というスキームはゼロ金利解除の時に早々に福井総裁が会見で否定してしまったのがここに来てちょっと痛いですな。

#というわけで本日も雑談なのでした

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2007/07/13

お題「金融経済月報の現状判断が・・・・」

ヤケクソで8対1予想をしたら当たるとはこれいかにorz

○というわけで8対1

この8対1という結果を受けてちょっと債券先物上昇しましたけど、まあ7対2と8対1は事前予想のストライクゾーンということで何ともという所でしょうか。昨日も書いたように、8対1ですとまあ8月やってもやらなくてもどっちでもあまり不自然さは無いですので、そーゆー意味では日銀(というか政策委員会)は8月のアクションに関してフリーハンドを確保していると解釈できそう。よってこれから次回会合までの経済指標を見て「8月やるのかやらないのか」という話になるんでしょうな。ただし市場の予想大本命は8月という線は崩れてませんけど。


○現状判断が細かい部分で下方修正されている月報

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0707.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0706.htm(前回)

今回は展望レポートの中間評価がありまして、そっちで物価の見通しを強めにしているのが話題になるんでしょうが、文書を頭から読んでいると何かトーンダウンっぽいのが気になるのでありますよ。まずは展望レポートの中間評価。

『わが国の景気は、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に概ね沿って推移すると予想される。物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、2007年度は、「見通し」に比べて上振れるものと見込まれる。2008年度の上昇率は、「見通し」に概ね沿ったものとなると予想される。この間、消費者物価は、2007年度、2008年度とも、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということで、物価の先行きを上振れで予想してるのですけど、経済情勢に関する現状判断部分に関してはちょっと下方修正してるのが気になるのですよ。

・景気の現状、住宅投資と生産

『住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(7月)
『住宅投資も、振れを伴いつつ緩やかに増加している。』(6月)

住宅に関しては販売業者の出し渋り(先高感による)の要因もあるのでまあ下方修正即良くない話かというとその辺微妙なのかもしれませんけど。

『内外需要が増加する中で、生産は、足もと横ばいながら、基調としては増加を続けている。』(7月)
『内外需要の増加が続く中で、生産も増加基調にある。』(6月)

生産の現状についての表現がちと苦しめですなあ。


・民間銀行貸出

普段余り見ないのですが、金融面にも表現の変化が。

『民間銀行貸出は緩やかに増加している。』(7月)
『民間銀行貸出は増加している。』(6月)

『CP・社債の発行残高は前年を上回って推移している。』(7月)
『CP・社債の発行残高は前年を幾分上回っている。』(6月)

ということで、差し引きチャラなのかもしれませんが、銀行貸出の伸びが鈍化しているというのもちょっと気になったですよ。


・物価に関して原油価格反落の表現が消える

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、ゼロ%近傍で推移している。』(7月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移している。』(6月)

『消費者物価の前年比は、目先、ゼロ%近傍で推移するとみられるが、』(7月)
『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響が残ることなどからゼロ%近傍で推移するとみられるが、』(6月)

ふむふむ。

ということで、先行きに関しては物価については原油価格などの反発が数字としてはフォローになるのかもしれませんが、景気の現状判断部分で認めているような細かい下方修正があるというのはどうなんでしょうかねって気にはなる所であります。


○ヘッドラインの打ち方として如何なものかと思うのですが

昨日の引け後に行われた福井総裁記者会見なのですが、その内容が報道されたのは16時20分くらいからでありまして、その途中で債券先物がいきなり8銭くらい下がった場面があったんですけど、たぶんそれはこのヘッドラインに反応したものと思われます。

『この動き続けば政策変更しても間違いないとの確信へ』(ブルームバーグ)

このヘッドラインを打ったのはブルームバーグニュースでして、同社のニュースではその後の総裁会見まとめ記事のお題も同じく『日銀総裁:この動き続けば政策変更しても間違いないとの確信へ』になっております。

でね、他のニュースベンダーはどう報道してたのかと言いますと、たまたまあたくしが確保致しましたのは時事メインとロイター日本語版ですので、そちらのヘッドラインを見ますと・・・・

『概ねシナリオに沿う動きが続けば政策変更の確信につながる』(時事メイン)
『私自身はシナリオどおりの動き続けば将来利上げ間違いなしと確信』(ロイター)

ややロイターの方がトーンが強いですが、メインのヘッドラインですと、「まあいつも通りの発言ですなあ」となりますわな。ちなみにクイックを見てる人と話をしたんですけど、「何で急に下がったのかわからなかった」と言ってまして、ヘッドラインの印象では「まあいつもの発言だな」という所だったようです。

さて、その肝心の発言ですが、当のブルームバーグニュース12日17時57分配信の記事によりますとこうなっております。

『――総裁個人としては、シナリオの蓋然性について確信を高めつつあるのか、それとも何の変化もないのか』

『私自身は肩に力を入れて判断する事はもともとできない立場にある。経済情勢は極めて丹念にフォローしているつもりだ。4月に出した展望リポートの線に沿って、全体の太い動き、そして色々な側面から見たここの動き、総合しながらいつも判断しているが、個々の動きについてはもちろん若干精粗まちまちだと思うが、総合してみた場合、太い流れとしては標準シナリオにおおむね沿って動いているという今日の結論の通りに私も素直に思っている』

『したがって、この動きが続けば、それは将来、政策変更を行って間違いないという確信につながると思うが、現在のところどこまでそういう心境が進展したのかというのを自分で測定するのは難しいと思っている』

ここの文脈を読んでおりますと、どうもブルームバーグのヘッドラインはミスリーディングじゃないのかねと思いますわな、というかこういう報道する時って当然記者の方が現場で話を聞いている訳でして、その会見場での発言ニュアンスを汲み取った結果としてヘッドラインのトーンが決まってくると思うのですけど、ブルームバーグ以外は「まあいつもどおり」(標準シナリオ通りなら徐々に金利調整というのはそもそも公式見解ですから)という印象を与えるヘッドラインを打っている訳でして、ブルームバーグだけ妙にセンセーショナルな印象を与えるヘッドラインというのはちょっとねえと思うのでした。

というか、最近ブルームバーグニュースのヘッドラインがちょっとセンセーショナル路線に走ってるんじゃないかという気がします。ひところ日本語版ロイターがセンセーショナルかつミスリーディングなヘッドラインで市場の顰蹙を買いまくった時代があったのですが、まあちょっと立ち止まってお考えになられた方が良いんじゃないでしょうかねえって余計なお世話ですかそうですか。

#ま、詳しくは総裁会見要旨を見ないとね

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2007/07/12

お題「さあ決定会合です」

延々と8月利上げ織り込み態勢で来てるんで、ようやく7月会合キタコレという感じであります。織り込みが早すぎるのも良くないですなあ。

○投票状況と相場展開(ただし当たるかは無保証)

という話は既にゲップが出るほど本職の方々からレポートが出ておりますので、今更あたくしのような者がしゃしゃり出るお話でもないのですが、吉例により(??)あたくしも予想など。

昨日の(あたくしが勝手に注目してた)3か月FB入札は若干流れたもののまあ引き続き8月利上げ8割くらいの織り込みになっております(正確に言うと9月末の末初3日間の金利が微妙なので、もうちょっとレート高くないと間尺に合わないのであるが)のですが、ちょっと気になるのは9月末エンドの新発CPレートが上昇して、逆に7月エンドとかの新発CPレートは低下気味となってたことでして、より実需レートに近いCPを見ると「ちょっと8月利上げ態勢でフンドシ締め直し」って所なのかも知れませんな(より短い所にニーズがシフトしているということですから)。

んでまあ中長期ゾーンに関しては昨日はサブプライムがどうのこうのという米債を受けて上で寄って、時間の経過と共に現物が先物に追い着いていく展開で、5年あたりも強いという実に5年国債落札した業者ウハウハの展開。たまにはこういう事もなきゃいけませんな(^^)。織り込み度合いを見るのは正直よくワカランですが、皆で織り込んでる8月利上げが後ズレするとちょっと上に持っていかれるリスクもありますわなあというのは薄々気にしてる所でしょうからね。


で、肝心の予想ですが、多分短期が8割くらい織り込みということでありますので、市場予想の予想(何のこっちゃ)としては「利上げ提案が出て2名賛成、現状維持は7対2で賛成多数」という所ではないかと思うのであります。よって8対1だと若干8月利上げが怪しくなって短い所確りになるんでしょうが、何せ昨日の相場でちょっとそのあたりやらかしてますので、限界はあるでしょ。そもそもより長い金利にとっては、ど〜せ8月が9月にずれたとしても大差ない(短期市場にとってはおおごとですが)ので、後は米国市場次第という毎度お馴染みの取っ掛かりネタ無し展開となるのではないかと思料。「8月どころか9月も出来ないんじゃネーノ」という発想が頭に浮かびだすと全く別の風景になるのでありますが。

ということで、9対0の時に「8月は無し」となって、その次の9月もやばいのかなあという話になりだすというのが相場的には一番スペクタクルな展開であるわけでして、ちょうど昨年12月みたいな香ばしい展開が発生して、利上げに関する火消しと火点けが交錯してやるやる鷺モードになってお祭り騒ぎとなるのでしょう。
#まあそれは疲れるので勘弁して欲しいのですが。

でまあ6対3ですと「8月利上げ間違いなし」になるので、現在8割織り込み位の3か月FBあたりの金利が甘くなる訳でして、あんまり精緻に計算してません(のはいつもの事ですが)のですけど、目の子で3毛少々修正するんですかな(別に100%織り込む義理は無いので)。そして、短い所で次の注目になるのは「ロンバートが幾らになるか」となる筈だったんですが、先般福井総裁が余計な発言もとい早期のロンバート幅拡大の否定的な発言が出てましたんで、あまりそっち方面での思惑から想定末初レートが跳ねる(どうせロンバートになるのでしょうから)と期末越え金利はもうちょっと上昇しやすくなるんですけどね。(追記:何言ってるのか判りにくいですね。よーするに「ロンバートがらみの思惑での末初レート上昇は余り心配しなくても良かろう」という話です)

まあ今回の利上げ(早くて8月ですが)ではロンバート引き上げ幅に関しては意見が割れると見ました。


○あたくしの票読みと利上げ賛成しそうな審議委員のスタンス予想

さて、ここまで書いてあたくしの票読みを全く書いてない事に気が付いたので、あたくしが書くと外れるの法則があるので遺憾なのですが書くとします。ずばり「水野さんが利上げ提案するけどそっちの賛同者無しで8対1」ということにしておきます。なお根拠は全然ございませんで、単に一番微妙な結果なのでそうなるとボラが上るかなって位です(こら)。

もうちょっと真面目あたくしが今見ている審議委員の皆様のスタンスを書きますと・・・・

水野さんは為替とか資産価格とか、まあ所謂「将来的な大きなリスクとなりかねない資源配分を惹起する事態」に対しての警戒感が他の審議委員よりも強そうですので、利上げの着手が必然的に早くなりますわな。須田さんはフォワードルッキングな金利引き上げ路線と申しますか、まあざっくりと言ってしまえば中立金利水準に向けての金利調整を淡々と行うという考えのように見えますので、ペースが早くなる事はないでしょうがそろそろ利上げと言い出しても何らおかしくはない。

で、この前の1月会合で利上げに賛成した野田審議委員は正直スタンスがつかみにくいのですが、1月会合の議事要旨を見ますと理由のうち3番目に『Bこのタイミングで政策金利水準を引き上げておくことが、フォワード・ルッキングな金融政策運営の考え方に適っていること』というのが入ってますので、やはり須田さんに近い感じがしますな。ロンバート0.4%の時にも反対しましたし。

新しい審議委員は益々良く判りませんが(おい)、就任時の記者会見とかを見てると、亀崎さんは平均的、中村さんは若干ハトという感じでしたんで、今回は特に動かないと思うのですがどうでしょう。

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2007/07/10

○景気ウォッチャー調査

内閣府のサイトにある抜粋版は
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/0709watcher/bassui.html
でありますが、景気ウォッチャー調査またまた悪化ですわな。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/0709watcher/menu.html
のリンクから詳しいの読めます。で、まあ抜粋版にありますように、

『家計動向関連DIは、気温が高めに推移したことからエアコンなどの動きは良かったものの、ガソリン価格の上昇に加え、税負担感の増加を指摘する声もみられ、低下した。』

ちゅうことで税源移譲の影響がでましたわなあという事でして、一般リーマンの皆様ですと給料日に気が付いたとは思いますが、普通納税の皆様ですと6月頭に市区町村役場から納税額通知というオソロシイものがやってきて呆然となられた方も多いかと存じます次第。まあ6月の数字に跳ねて来ます罠というところでありますが、本当の効果(?)は一般リーマン様が呆然となられる6月給与以降という気もします(が、そもそもが天引きですので、賞与などの総支給ベースが増えていると意外に気にならないのが源泉徴収クオリティでもありますので、何とも言えませんな)。

いやまあ人の事は言えないのですが、何となく税源移譲で定率減税廃止分が相殺された気になった上に、これまた何となく景気が良いという雰囲気で久々にちょっと消費してみるかという気分になっていた(最近の飲み屋の人入りを見てるとそういう気がするのであるが^^)のがここでどうなるのやらという所で、個人消費の今後は予断を許さんのかも知れませんな。


○最低賃金引上げですかそうですか

珍しくNHKニュースのサイトから引用(いずれリンク切れ)。

http://www3.nhk.or.jp/news/2007/07/10/d20070710000001.html

『9日夜に開かれた「成長力底上げ戦略推進円卓会議」には、塩崎官房長官や大田経済財政担当大臣のほか、経済団体や労働団体の代表らが出席し、今年度の最低賃金をめぐって意見を交わしました。この中で、厚生労働省の担当者は「従来どおりの指標に従った決め方だと、時間給で平均5円程度の引き上げになる」という見通しを示したのに対し、出席者から「引き上げ幅が小さすぎる」といった意見が相次ぎました。』

何かこの成長力底上げ戦略推進円卓会議っていうネーミングに落涙を禁じ得ませんが、タクシー運賃の値上げは罷りならんのに最低賃金の引上げはドカンと行え(と言っても700円以下にしかならんようだが)とはこれまた何と申しますかご苦労なミクロ介入でございますな。

#というか選ky(自粛)?

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2007/07/09

○唐突ですが金融政策の第1の柱第2の柱リターンズ

BISにも間違えられた金融政策の第2の柱に関してですが、昨年3月の『新たな金融政策運営の枠組みの導入について』を改めて見るのでした。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060309b.htm
で、この英語版を読んでみようという無謀な企画が今朝の雑談なのであります。正直読んでるの1箇所だけなのでアレでございますが。
http://www.boj.or.jp/en/type/release/zuiji_new/k060309b.htm

第1の柱、第2の柱の日本語版をまずは読むのである。

『第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。』

良く見りゃこれも難しい表現でして、「日銀が今見ているメインシナリオが、物価安定の下での持続的成長に該当するか点検」って何か持って回ったような言い方ですな。そもそもメインシナリオがそうじゃない時だったらどういう対応をしていくのでしょうか(まあそのときは緩和的または引き締め的な政策をしますって話なんでしょうが)。

『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。 』

んでまあ、この第2の柱の冒頭部分の『踏まえつつ』の「つつ」が重要でありまして、長期的な視点を踏まえた部分と踏まえてない部分がございますという話、要するに基本シナリオ以外の部分が第2の柱になるちゅうことなんですけれども(詳しくは6月22日の駄文をご参照下さいませ)、正直もうちょっと判り易く書いてちょと思うのであります。

で、これが英語になるとどうなるのでせうか。

『The first perspective is examining, as regards economic activity and prices one to two years in the future, whether the outlook deemed most likely by the Bank of Japan follows a path of sustainable growth under price stability.』

第1の柱は向こう1、2年の経済物価情勢に関する蓋然性の高いシナリオが物価安定の下での持続的成長のパスに乗ってるか点検って読めますのでなるほどと。

『The second perspective is examining, in a longer term, various risks that are most relevant to the conduct of monetary policy aimed at realizing sustainable growth under price stability. More specifically, for example, the Bank of Japan may examine risk factors that will significantly impact economic activity and prices when they materialize although the probability is low.』

第2の柱なんですが、日本語で『踏まえつつ』となってる部分が『in a longer term』となっているように見えるのでありまして、ここを見ると「つつ」のニュアンスがちゃんと伝わるのかなあという気もせんでもない。というか逆に『in a longer term』を入れないで様々なリスクの点検をするという文章にした方がニュアンスが伝わりそうな希ガス(と言っても日本語本文にあるのを書かない訳にもいかないですから仕方ないのですけれども・・・・)。

・・・・まあそれって日本語の文章でも同じなんですけれどもね。日本語難しいがな。


ということで本日はあたくしの語学力の関係上これだけなのでありますが、よくよく考えてみたら海外投資家(というかアクティブなファンド筋)が日本の金融政策がらみで「何を考えとるんじゃ」という動きをしてくる事が多々ございます(最近は平和ですが)ので、英語でのリリースも暇があれば(中々ヒマとエネルギーが捻出できませんが^^)見ないといけませんな。

しかしこれは兎も角として、議事要旨まで英文リリースしてるのでありまして、こりゃ作るの大変ですわなあと思います。

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2007/07/03

お題「短観その他少々」

東京は毎日蒸すわ雨は碌に降らんわと最悪ですな。

#しかし質への逃避で買われた(ことになっている)米国債金利の低下を好感して米株式買われるってのも(マジで言ってるのであれば)何たる都合の良い後付け・・・・

○例によって短観

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0706.pdf

短観の内容に関しては本職の皆様がちゃんとした分析をしているのですが、まあ予想のど真ん中で、内容的には特に利上げが加速したり減速したりするものでは無かったというお話のようです。まあ例によって「前回の予測指数がどの程度達成できているのか」というのを見るのであります。

・ヘッドライン

            (3月時点)       (6月時点)
            現状→6月予測  現状→9月予測
製造業大企業   +23→+20    +23→+22
製造業中堅企業  +16→+12    +13→+14
製造業中小企業  +8→+7      +6→+4

非製造業大企業  +22→+23    +22→+23
非製造業中堅企業 +5→+4      +8→+7
非製造業中小企業 ▲6→▲10      ▲7→▲10


大体ご覧になればお判りのように、基本的に先行き予測指数にはクセがあるのですが、現在のように「景気がいい」と言われるときには先行き見通しが慎重に出やすくなるのですな。で、今回なんですけれども、前回までとちと違うのは(1)前回調査で出た先行き予測についての達成度合いがマチマチ(今までは大体前回の慎重予測をぶち破る内容だったんですが)な事ですが、これはまあ絶対水準が絶対水準なだけにニャンとも。で、(2)としては、先行きの予測指数でして、こちらの数字が実は3月時点での先行き予測と比較して強くなっていることでありますかな。まあ先行き慎重なのは変りありませんが、3月時点よりも先行き予測DIが好転しているのは株価や為替などが要因なのか、何となく販売価格が上昇しているのが要因なのか、何だか良く判らないですけど、ちょっと強いなあと思いましただよ。

ちなみに前回は(1)は前回の先行き慎重度合いよりも良い内容(=達成度合いは良好)で、(2)に関してはマチマチですが、非製造業大企業以外は先行き予測DIが前回よりは悪化、ただしそもそもの発射台が下がっていた、という感じでしたので、前回調査時点からトータルして考えると、昨年9月調査をピークにそれ以降やや低下気味だったマインド面に関しては、この3月で歯止めがかかり、今回の6月調査で先行きへの堅調さが戻ってきましたという所になるのでしょうか。シロート見立てですけど。


・雇用判断

前回は製造業での雇用不足感拡大は一服したという数字でしたが。


            (3月時点)       (6月時点)
            現状→6月予測  現状→9月予測
製造業大企業    ▲7→▲8      ▲6→▲9
製造業中堅企業  ▲8→▲9      ▲6→▲9
製造業中小企業  ▲6→▲8      ▲3→▲7

非製造業大企業  ▲19→▲19    ▲17→▲19
非製造業中堅企業 ▲13→▲14    ▲14→▲17
非製造業中小企業 ▲14→▲16    ▲9→▲13

今回は前回予測よりも不足感の拡大は無いという結果。これまた多分統計のクセだと思うのですが、先行きの雇用人員判断に関してはだいたい「固め」に出る傾向がありまして、人が余ってるという雰囲気の時には先行き判断が余剰気味に、不足感があるときは先行き判断が不足気味に振れやすいようですので、先行き予測をトレンドとして信用しすぎるのも何なのですが、どうもここ2回の数字だけ見てると「人員判断」的には不足は不足としてもさすがにその不足拡大感はこの辺までというところでしょうか。

で、今回もまたいつも派手派手に振れる証券業の業況判断DI(^^)。

        (3月時点)       (6月時点)
        現状→6月予測   現状→9月予測
証券業    +34→+52     +34→+52

どう見ても大本営発表です。本当にありがとうございました。


○ところでCPIはイマイチで雇用の数字は良かった訳ですが・・・・・

以下妄想モード全開でありますので念の為申しあげますが。

先週末に出た指標はCPIがイマイチで雇用は結構という数字。まあ誠に結構な数字の出方(インフレ無き経済成長ですから)でございましたが、金融政策という話になると、本職の方によりますと6月の全国コアCPIも▲0.1%とマイナスになりそうですという事ですので、さて8月にコアCPIマイナス状態で利上げするのかいなという話は生じるのであります。

でですな、全て妄想モードで話しが進みますが(^^)、ゼロ金利解除と前回の利上げに際しては、ゼロ金利解除の直後にCPIの基準年改定が待ち構えておりましたし、前回の利上げ後はまあ本職の方々の予想通りでエネルギー価格とか通信料金とかの影響でコアCPIがゼロに低下した訳でありまして、そーゆー意味では「ここで利上げをかましておかないとタイミング的にちとマジイ」というのもあったんではないかと勝手に妄想(当然ながら政策委員会としてはそんな事は全く考えていないとなるでしょう、為念)されるのですな。で、今回に関してはどうなのよという話ですが、問題はコアCPIのプラス転換がいつ頃になってくれるのかの読みとなるのかなあと。

つまりですな、コアCPIマイナスなんで8月利上げをスキップしても9月とか10月くらいに(即ち7月や8月の全国コアCPIが)CPIのプラス転換が見えて来るのが確実なのであれば、敢えてコアCPIマイナスで利上げをする冒険をする必要もないと思うのですけれども、まあコアCPIのプラス転換がもうちょっと先(本職の方がたによれば年末あたりらしいですけど)だというのであれば、そこまで引っ張るという選択肢は無さそうなので、やっぱ8月かなあ何て思うのですな。

以上、思いっきり妄想で語っておりますので念の為。ちなみにあたくしのべき論で言えば、全国コアCPIのプラス転換を見届けてからの3次利上げ、その代わり先行きの金利調整ペースはもうちょっと早くなるというのでまあ大丈夫なんじゃないかとは思うのですが、今までの金利調整の流れが着手を早めにしてそのかわりペースをゆっくり(という言い方も変ですが)となっているように見えますので、今更福井総裁のもとでこの流れを変える訳にもいかんでしょうなあという所で。

まあそんな訳で変な裏読みを披露させていただきました。

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2007/07/02

○四半期ごとに期末とはこれいかに

先週末の無担保コール翌日物取引は加重平均金利が0.605%となったのですが、朝から0.65%台での推移で、結局追加資金供給をして何とか0.605%まで加重平均金利が低下したということのようで。

まーコール以前に月末越えのレポ取引でも0.6%台となっていましたし、レートそのものは上昇するのねという所でしたが、結局「新BIS規制導入で四半期決算末も決算扱い」というのが理由だということになって、決算期末の如き展開になったということのようです。本当に四半期末の決算が本決算並みに色々とややこしいのかどうかはあたくし存じませんが(^^)。

一応後講釈によりますと、四半期末の決算で国内勢の無担保資金放出が慎重になるというのと、海外勢の半期決算がぶつかったということのようですけれども、この調子で3か月ごとに決算期末扱いされたら誠にあわただしいことですわな。多分別の事情が原因だと思うのですがSCレポ市場でも最近はややこしい事になっておりますし、期末でもないのに期末モードとは勘弁して欲しいものです。

#というか、BISの規制で末残調整しなきゃいけないってのがそもそも論として時代遅れな規制じゃのうという気もするんですが、本当に規制するなら平残でしょ平残。


○一応CPIに反応しましたな

金曜の債券市場は、ちと弱めに出た東京都区部CPIと、ちと強めに出た雇用関連指標に対してどう反応していいのかよー知らんという感じだったのですが、後場に入ってグングン上昇して、前日(木曜)のわけわからん下げ分を全部消す戻しになりましたですな。

まあアレでございます。この調子だと7月末に出るはずの6月全国コアCPIはマイナス→何ぼなんでもコアCPIマイナスで利上げするのはどうなんでしょというのが市場の人たちの頭の中をかすめなかったとは言えまい。ただまあ雇用関連の指標が結構しっかり目で、雇用需給のタイトさが出ていることもありまして、そうは言っても方向性は変わりにくいでしょというのもあろうかと。

最近の短い所は足元のSCレポがぐちゃぐちゃになっている方ばかり気になって何が何だかあたくし正直よー知らんのでありますが、まあ先週入札のあった10月1日エンドの新発3か月FBの利回りがしらっと低下していることもありまして(CPレートはやや高かったけど月末越えて発行が少なくなるゾーンに入ったのでよくわからん)、まあこのあたりも少なくとも7月利上げの可能性は全然見なくなってきましたわなという感じであります。

まあいずれにせよ本日の短観に注目ですが、前回比ちょっとだけ悪くなるくらいがコンセンサスなんでしたっけな。どっちかというと「8月利上げキビシイ」となった時の相場かち上げの方が相場としてはぶれたときにぶれそうな希ガス。

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2007/06/28

○大田経財相の理屈もよーわからん

まあ報道ベースのお話が元ネタなので断言するのも何なのですが。ソースは27日のブルームバーグニュース15時15分配信のニュース。

記事のお題が『大田経財相:踊り場と呼ぶ状況ではない−景気回復基調はしっかり』というものでして、昨日の午後都内で講演したという記事であります。その中で大田さんはデフレについてこのように言及しております。以下当該記事より引用。

『また、デフレについては「物価が持続的に下落する状況を言う。持続的に下落するという状況は終わっている。しかし長く続いたデフレが後戻りしないかどうか注意している」と指摘。そのうえで、「日銀も非常に注意深く金融政策を運営している」との認識を示した。』

後半はまあともかくとして、デフレが「物価が持続的に下落する状況」であり、その状況が終わっているというならデフレ脱却であり、その「デフレが後戻りしないかどうか注意している」というのは何のこっちゃなのであります。じゃあ景気の先行きに関して弱気なのかといえば、お題にあるように別に弱くはないですわな。記事ではこうなってます。

『景気の現状について、「足元でやや生産が弱い状況にある」としながらも、「踊り場と呼ぶほどの状態ではない。景気の回復基調は、しっかりしている」との見方を明らかにした。』

ちなみに、これは5月の話ですが、金融政策決定会合に出てくる内閣府の中の人の発言は議事要旨を引っ張るとこうなります。

『経済の現状については、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している。物価の動向を総合的にみると、いまだデフレを脱却していない。』『先行きの経済・物価については、上振れリスクよりもむしろ世界経済の動向等がわが国経済に与える影響等が今後の経済動向の鍵になると考えられ、そうした観点から下振れリスクには十分留意する必要があると考えている。』

日銀の金融政策ロジックも難しいですが、内閣府の経済物価情勢に関する見解と、その見解によって導き出される行動ロジック(散々時期尚早といいながら2月会合で議決延期請求しなかったこととか)も何だかこうさっぱり意味が判らないのですが><;

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2007/06/27

○BIS年次報告

本題に入る前に別の話ですが、BIS年次報告の中でオモロイ記述があったという話を本石町日記さんが。あたくしも言われて年次報告斜め読みしたら、『The second move was based on the second perspective』(本年2月の利上げは金融政策の枠組み第2の柱を基に行われた)という所を見てのけぞったのでありました。BISも日銀の公式見解を否定っていうのはまあ本石町日記さんのご指摘の通りで、例の枠組みがムツカシイってのがあると思いますが、BISが実は(第2の柱を物凄い勢いで誤解しているという意味で)あたくしと不勉強振りで大差無いという事でもあろうかと(え?)。

ちなみに同報告の中で日本の金融政策どうのこうのというのは4ページ(実質3ページ)ほどの分量でありまする。本石町日記さんの当該エントリーはこちらです。最初のコメントに対する次のコメント氏の豪快な釣られっぷりに乾杯→http://hongokucho.exblog.jp/7023721/

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2007/06/22

お題「あたくしの大いなる間違いについて(第2の柱関係など)」

ということで、本日のドラめもんは是非ご覧下さい。いやあの昨日書いた内容っておめえ間違ってるだろと思ったお方は別に良いのでありますが・・・・

昨日書きました4月27日の議事要旨関連に関するお話で、読者の皆様のご指摘によりあたくしの大勘違いが判明したのは「5月14日の日経記事に関する話」と「第2の柱に関するあたくしの理解(というか誤解)」でございます。まずは日経記事関連のお話から。


○日経報道を否定する福井総裁インタビューがございました(汗)

物価安定の理解に対するバラツキという5月14日の日経新聞記事を紹介がてら昨日は4月27日の議事要旨をご紹介しましたが、その部分を再掲すると

『こうした議論を踏まえて、委員は、「中長期的な物価安定の理解」の具体的な数値についての議論を行った。多くの委員は、概ね1%を中心値として、上下0.5%ないし1%程度の範囲との見方を述べた。』

『さらに別の一人の委員は、1%よりもゼロに近いプラスの値を中心に考えていると述べた。』

(4月27日金融政策決定会合議事要旨より)

となります。まあこの時点で報道されていた「マイナス0.5%−プラス0.5%」というのが微妙ではあったのですが、頭から「これは誤報」と申し上げるわけにも行かず、他のレンジの部分が合っていたので「実は誤報じゃなかったのかなあ」と悩んでしまい、間違いと言い切る自信が無かった次第でありまして(汗)。

で、読者の皆様からご指摘を頂いて始めて知ったのであります(という時点で自分の不勉強ぶりを恥じ入るしか無いのですが)が、週刊東洋経済の6月16日号に福井総裁のインタビュー記事が掲載されておりまして、その中で5月14日の日経報道に関する質問と答えがございました。インタビューの真ん中あたりになりまして37ページ下段になります。

そこで、福井総裁は日経記事に関して明確に否定しておりまして、各審議委員のレンジは0%−2%であると発言していました。ご教示頂きました読者の皆様に大感謝すると共に、自らの不明につきましてここに謝罪させていただきたく存じます。



○『新たな金融政策運営の枠組み』に関するあたくしの大誤解

本日は自分の不勉強ぶりを晒す文書ばかりでして、こういうのを「穴があったら入りたい」って心境だなあと思うのですが、自分の間違いはちゃんと訂正しないとネットの文章はキャッシュになって半永久的に残るんで、きちんと直さないといけないです。ということであたくしの大誤解をご紹介しましょう(超大汗)。

昨日あたくしはこう書きました。

(昨日のドラめもんより)
・・・・とつらつら考えますと、この金融政策の第2の柱ってのは「より長期的な展望でのリスク要因」というよりは単に「サブシナリオの点検」なんじゃねえのかという気もしてきた(冷静に考えたら展望レポート見た時点で気が付いても良かったように思えますが、そこはあたくしの不勉強の致す所)のであります。(つまり時間のスパンが同じじゃねえのという意味です)

・・・・何だかこの「第1の柱」と「第2の柱」の区別が良く判らなくなって参りました><;
(以上昨日のドラめもんより)

で、読者の皆様からご指摘を受けまして、改めて昨年3月の文書を読んでみたあたくしが愕然としてしまいましたんですよ(滝汗)。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060309b.htm

『(2)2つの「柱」に基づく経済・物価情勢の点検』

『金融政策の運営方針を決定するに際し、次の2つの「柱」により経済・物価情勢を点検する。』

『第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。』

『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。』

目の玉かっぽじってよく読んでみますと、第1の柱はあたくしの理解しております通り、先行き2年以内のメインシナリオに対する点検であります。で、肝心の第2の柱なんですが、「上記メインシナリオ以外のサブシナリオ・リスクシナリオに対する点検」なんですね。『より長期的な視点を踏まえつつ』というのをいつの間にやら『より長期的な視点を踏まえ』と脳内変換して理解しておりました。何たる勘違いと大いに愕然とするあたくしなのであります。いや正直申し上げて、改めて読んだ瞬間にリアルで冷汗でまくりでした。

あたくしが把握したことをもうちょっと詳しく整理してみます(ということですので、もしあたくしの理解に問題ありましたらご教示賜りますと大変ありがたく存じます。えーっと合ってっても「それで大丈夫」って教えていただけるともっと嬉しいのですが、汗)のでお付き合い下さい。

この第1の柱、第2の柱ってえのは、「物価安定の下での持続的な経済成長」を点検するための判断ファクターが2つあるというお話でありまして、じゃあその「物価安定」とは何ぞやというのが展望レポートで示される「中長期的な物価安定の理解」および2006年3月10日の日銀公表文『「物価の安定」についての考え方』であります。

即ち、先行き2年以内の経済物価情勢に対するメインシナリオが「物価安定の下での持続的な経済成長」に合致しているかどうかを点検するのが第1の柱でありまして、それ以外のサブシナリオ・リスクシナリオに関しての点検および、より長期的な観点、即ち2年を超える期間を展望した場合に、目先2年のシナリオでは「物価安定の下での持続的な経済成長」に合致するけれども、その先まで考えた場合にそうはならないリスクなどを点検する、というのが第2の柱であるということとあたくしは理解致しました。即ち、これらの「柱」はあたくしたち市場参加者が良く使う言い方の「相場シナリオ」なのではなくて、相場シナリオに則った「点検作業」なのであります。うーむ書いてて判ったような判らんような表現ですが、もうちょっと良い表現があるのかもしれません。

そうなりますと、昨日申し上げた「第1の柱と第2の柱の時間軸が同じなんじゃないか」というのは、第2の柱が見ているのは第1の柱でフォローされない部分の全てなのですから、見ている時間のスパンが重なるのは当たり前という事になるのですよ。いやあもう思いっきり誤解もいいところで、自分の不勉強ぶりに情けない思いでございます。

で、こういう位置づけになっているからこそ、6月15日の福井総裁記者会見で「第1の柱と第2の柱に等しくウェイトを置いている」という発言が出るのだと理解致しました次第。「メインシナリオだけでなくてリスクシナリオにも十分目配りしていますよ」というメッセージだったと言う事なんですね。



○ただまあこれ誤解を誘発しやすいのは確かだと思うんです(と言い訳)

えー、こういうのを俗に「引かれ者の小唄」などと申しますが(爆)、あのその一応言い訳になっちゃいますけどちょっとだけ申し上げますね。

先ほども申し上げましたが、市場参加者が相場見通し会議なんぞのようなイベントを実施する際には、時間軸とその間のメインシナリオを中心にして頭の中を整理しながら話をすると思うんですよ普通。そしてサブシナリオとかリスクシナリオとかは「メインシナリオの前提を崩す場合」というような扱いとしてある意味セットで考えるものになると思うんですなこれがまた。

で、一方で先ほどご紹介した「新たな金融政策の枠組みの導入」の説明文書での「第1の柱」「第2の柱」は第1の柱と第2の柱の中で同じタイムスパンと別のタイムスパンが混在しているので、市場参加者が普段慣れている頭の中の整理法とちょっと違っている訳でして、こりゃまあ誤解を誘発しやすい書き方だと思うんですよ。ついでに申しあげると、「より長期的な視点を踏まえつつ」って部分がまた誤解を誘発しやすい訳でして、もうちっときっちりと「第1の柱で点検された見通しに対する様々なリスクや、より長期的な視点に立った場合に重視すべきリスク」というような書き方にしていただけますとクリアカットになったのではないかと思います。冗長な文書があまり美しくないのは理解できますが、時にはくどく説明するのも大事なのではないかなあと思ったのでありました。



そんな訳ですから、昨日ご紹介した4月27日の決定会合議事要旨において、『また、下振れの場合として、経済情勢の改善が足踏みするリスクがあるほか、経済情勢が改善する場合でも物価が上昇しない状況が続くリスクもあるとの点で認識が一致した。』とあるのはまさしく第2の柱の点検であるということになる訳です。

で、ここもややこしいと思うのですが、『経済情勢が改善する場合でも物価が上昇しない状況が続く』のがリスクとは何のこっちゃ(それが一番望ましい姿ではないかという意味ね)と瞬間思ってしまうのですけれども、これは物価が上昇しない状況が続き、物価指数の数値に過度にファーカスして政策運営を行うことによって、経済情勢の改善に見合った政策金利の調整が遅れ、より将来において必要以上に経済情勢が過熱するリスクがあると言いたいのかなと思ったのですけれども、その理解で合っておりますでしょうか。。。。


ということで、議事要旨の続きとか武藤副総裁の講演+記者会見とかネタが全部繰越になってしまい、本日はあたくしの無知蒙昧を披露する場となりました、アセアセ。

(追記:一応上記の理解で第1の柱、第2の柱の整理は合っているようです^^)

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2007/06/21

お題「決定会合議事要旨(4月27日)」

日銀からはネタを3本投下していただいた訳ですが、まあ3本とも惜しくも相場にはインパクトになりにくかったようですな。まあ想定の範囲内ってのもありますが、寄り付き10分前に決定会合議事要旨のように読むのに時間がかかるものを出されても精査してるヒマがないという感じも致しましたです。ま、昨日は法人企業統計があったのでそっち優先でもあったんですが(^^)。

ということで3本まとめてやっつけるのは重いので今日は決定会合議事要旨で力尽きるものと存じます(汗)。まずは4月27日の議事要旨から。(追記:と思ったら案の定時間切れになったので今日はこの要旨チェックだけで勘弁願います。明日二日酔いじゃなかったら頑張るだよ)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070427.pdf
(4月27日の議事要旨)

重大な追記:読者の皆様の指摘によりまして、この日に書いた内容に大いなる誤解や大いなる勘違いが連発していることを知りました。ということで、翌日にこの内容を確認、というよりは書き直しのエントリーを作成致しました。詳しくはこちらをご覧下さい。

○1か月前の新聞報道の裏を取ってみる(^^)

旧聞もいいところですが、5月14日の日経新聞(諸般の事情で手元にあるのが国際版なんですが)3面に「物価安定の目安、日銀にバラツキ」というお題で記事が出たんですが、その見出しに『消費者物価 小幅マイナス容認論も』『金融政策 微妙な影』とございまして、記事のリードには『この(引用者注:物価安定の目安)討議の際に一人の委員は下限は小幅マイナスでよいと主張した。』とございまして、記事ではこの主張が「プラス0.5%〜マイナス0.5%」であったという報道でした。

・・・で、まあ今回の議事要旨で該当する部分は要旨の11ページ以降(PDFファイルでは13ページ以降、以下同じようにファイルと要旨のページが違うのでご注意)になるのですが、具体的な数字を議論してた部分は本文12ページですな。

『こうした議論を踏まえて、委員は、「中長期的な物価安定の理解」の具体的な数値についての議論を行った。多くの委員は、概ね1%を中心値として、上下0.5%ないし1%程度の範囲との見方を述べた。』

で、問題の委員と見られる人の部分はこうなります。

『さらに別の一人の委員は、1%よりもゼロに近いプラスの値を中心に考えていると述べた。』

なるほど幅が1%で中心がゼロに近ければプラス0.5%からマイナス0.5%というのも似たようなもんといえば似たようなもんでもありますな。記事では『マイナスの下限を主張した委員は、中長期的に望ましい水準はゼロ%より少し上』となっていたのでまさに記事の通りだったりします。なるほどなるほど。

というかそもそも論として、金融政策決定会合での議論内容が議事要旨公表前に表に出ること自体が如何なものかという話がありますわな。リークする方もする方だし書く方も書く方。しかも書いてるのが日本の経済クオリティペーパーと自他共に認める日経新聞って所に落涙を禁じ得ませんが。

ちなみに、上記日経記事によりますと9人の委員が示した望ましい物価上昇率の図まで出てまして、もう思いっきり見てきたような記事になってますが(図を文章で説明するのはめんどいのでお暇な方は古新聞を漁って下さい)、その図と議事要旨の記述を比較してみると日経の記事の方が詳しかったりする(概ね議事要旨の記述で裏を取ると大体正しそうな感じです)のですな。ちなみに議事要旨での記述はこのようになっております。

『多くの委員は、概ね1%を中心値として、上下0.5%ないし1%程度の範囲との見方を述べた。このうち何人かの委員は、中心値は1%より若干低い水準を考えていると付け加えた。これに対して、一人の委員は、1%から2%程度の範囲が適当と述べた。また、別の一人の委員は、0%台後半との意見を示し、さらに別の一人の委員は、1%よりもゼロに近いプラスの値を中心に考えていると述べた。』

どう見てもリーク記事です。本当にありがとうございました。

・・・という話は兎も角、この記述と日経の記事併せて見てると、望ましい物価上昇率のレンジは0%〜2%で示されてて中心値が1%になってるけど、最頻値取りに行ったら1%切るんジャマイカという気がするんだけど。。。。。。


○2つの柱の検討部分でちと判らなかったんですが><;

本文8ページより。

『第1の柱、すなわち、2008年度までの経済・物価情勢について最も蓋然性が高いと判断される見通しについて、政策金利に関して市場金利に織り込まれている金利観を参考にしつつ点検すると、委員は、わが国経済は、生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大が続く可能性が高いとの判断で一致した。』

まあそうですか。

『第2の柱、すなわち、より長期的な視点を踏まえつつ、金融政策運営という観点から重視すべきリスクの点検を行った。この点に関して、委員は、金融政策面からの刺激効果が一段と強まる可能性がある中で、中長期的にみて、経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながるリスクに留意する必要があるとの認識を共有した。また、下振れの場合として、経済情勢の改善が足踏みするリスクがあるほか、経済情勢が改善する場合でも物価が上昇しない状況が続くリスクもあるとの点で認識が一致した。』

ここの部分が正直良く判らなかったんですが、「また、下振れの場合として」云々が「第2の柱の検討」に掛かるのか、単に経済物価情勢の先行きの下振れリスクなのかが読んでて微妙に判りにくいんですよね。で、仕方が無いので展望レポートの該当箇所を読んでみるとこうなります。

(展望レポートより)
『第2の柱(略)を点検すると、経済・物価情勢の改善が展望できる状況下、金融政策面からの刺激効果は一段と強まる可能性がある。例えば、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて、中長期的にみて、経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながるリスクがある。一方、前述のような下振れ要因が発生した場合、経済情勢の改善が足踏みするような局面が考えられる。また、経済情勢の改善にもかかわらず、物価が上昇しない状況が続く可能性もある。』

ということですので、展望レポートの記述と議事要旨を合わせれば、先ほどの「下振れの要因として」云々は第2の柱の検討だということになりますです。はい。

じゃあ引用部分で書いてある「前述のような下振れ要因」とは何ぞやという話になりますと、そのちょっと前のあたりで示されている経済物価情勢の先行き展望の中で発生しうる下方向の不確実性ということになると思われます。

・・・・とつらつら考えますと、この金融政策の第2の柱ってのは「より長期的な展望でのリスク要因」というよりは単に「サブシナリオの点検」なんじゃねえのかという気もしてきた(冷静に考えたら展望レポート見た時点で気が付いても良かったように思えますが、そこはあたくしの不勉強の致す所)のであります。(つまり時間のスパンが同じじゃねえのという意味です)

・・・・何だかこの「第1の柱」と「第2の柱」の区別が良く判らなくなって参りました><;

#判らなくなった所で時間切れなので続きは明日以降・・・

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2007/06/18

○全員一致でショートカバーにビックリ

金曜の金融政策決定会合はわれわれの昼休み中にあっさり終了して結果は全員一致。まあだいたい市場が予想してた通りだと思ったのですが、後場寄りから先物に買いが入って先物は20銭ほど(前場引けが21銭で寄り付き直後の高値が42銭)上昇しやがりました。

確かに金融政策決定会合が近くなるにつれリスクシナリオが浮上してきたのは判るんですが、そのリスクシナリオを意識したスケベショートがそんなにいやがったとは恐るべしとしか申し上げようがありません。というか、リスクシナリオを意識する余りメインシナリオになったのに動くというのは実に香ばしい。そんなに気にしてたんですね。まあ正直あたくしも気分は似たようなもんでしたんで人の事を笑えませんが(汗)。

ただまあ金曜の駄文でも書きましたように、木曜あたりから中短期ゾーンの逆襲とか起きてましたので、現物買う人たちは「さすがにここまで来ればメインシナリオ通りまで全部織り込みでしょ」と思い出したという所ではないかとは思います。リスクシナリオまで気にしてやりすぎるとは誠に香ばしい相場なのでした。


○総裁会見でビックリ

で、まあ債券市場の方は「そうは言ってもまあメインシナリオ通りだし」ということで後場のビックリ上昇後は落ち着いたもみあいになったんですが、引け後の総裁記者会見でご案内の通り先物更に上昇。大引けが30銭でしたが、総裁会見のヘッドラインが出てくるといきなり10銭ほど上昇して、イブニング引けにかけて一段高となって53銭で終了の巻。為替とか金先とかも反応しておりまして、金先12月限は99.000まで買われる場面があるわ、為替はご案内の通り海外で円一段安で帰ってくるわと、どう見ても総裁会見が燃料投下です。本当にありがとうございました。

でまあその総裁会見の内容はどうせ今日の午後とかにならないと日銀のサイトにはアップされませんのですが、そりゃまあヘッドライン見たらあたくしも「ありゃりゃ」と思いますわな。例えばあたくしが見ておりましたブルームバーグニュースのヘッドラインから「ありゃま」と思ったのは3つありましてこんな感じ(出た順序とは違いますので念の為)。

『市場が青信号だからといって政策変更行うわけではない』
『政策変更するには確認すべき事項が非常に多い』
『補完貸付金利とのスプレッド拡大は急ぐ課題ではない』

3番目のはちと別の話ですけど、2番目はブルームバーグニュースの配信記事の題名にもなってましたし、最初のも「市場が織り込んでいても利上げしない」→8月利上げ織り込み相場だが8月利上げをする訳ではない→こりゃ8月利上げも無いでしょ→こりゃエライコッチャという連想が働きやすいヘッドラインなのでありまして、まあ恐らく今朝の本職の皆様のレポートの中で「8月の利上げにも消極的」とか言い出して元気になる債券強気派が出るに100ジンバブエドル(^^)。

で、まあそういうヘッドラインを出されると、普通だったら特に驚倒しないはずのヘッドラインであっても意味がありそうになってくるのです。曰く、

『設備投資と消費の持続性判断にはより確証ほしい』
『円安が即、リスク要因というほど単純ではない』
『中間評価と政策変更の可能性は全く無関係』

今回政策変更しなかったんですからこういうのは当然ではあるのですけれども、上記のようなヘッドラインが出るとこういうのも燃料になり得るのでありますよ。まあ心理的なもんなのでこれがこうと定性的に話すことができないのがムツカシイ所なのですが。

でまあ肝心の記事を読んでみますと、これらの発言の流れ自体は、7月利上げに関しての質問を打ち込まれて、それに対して否定的なニュアンスでの発言をした流れ(ちなみにあたくしが読んだのは15日18時01分配信のブルームバーグニュース)でやっちまいやがりましたなあという感じのようですな。そして「市場が青信号云々」は市場が7月利上げを20%織り込んで8月利上げを80%織り込んでいますが如何でしょうかとかいうチョー引っ掛け質問を受けての発言で、おまけにそれは言わずもがなのサービス発言に見えます。何やってんだか。


あたくしが勝手に想像するに、この前から書いておりますが、福井総裁としてはこれ以上の早期利上げ観測が盛り上がられても困るので、とりあえず7月利上げ観測が盛り上がるような燃料の投下を避けようと思って、そのニュアンスで発言したら、いつもの福井仕様によって逆方向へのサービス発言が飛び出したと逝ったところなのではないかと思うのですが、まあ今日出る総裁会見要旨を良く読んでみるのが吉だと思いますのであたくしなりの最終判断は保留です。ただまあ参考になりますのは例によって本石町日記さんのエントリーでございます。

http://hongokucho.exblog.jp/6982104/

で、コメントのところにもありましたが、ロンバードの拡大を否定したのがあたくしにも激しく意外でございました。というか今時点で否定する理由が良く判らん。

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2007/06/15

関東地方で雨が降って梅雨入り宣言した翌日(今日のことですが)には天気回復の予報で、向こう1週間の予報によりますと早速「梅雨の中休み」だそうです。「梅雨入り宣言できる時にやっておこう」ということのようですがまるでどこかの国の(以下割愛^^)。

○中短期の逆襲

昨日は前日に引き続き2年とか5年とかお強くございまして、一昨日安値1.605%とかやらかしてた5年新発の引けが1.55%とか、一昨日安値1.10%の2年新発の引けが1.06%とかもう先生エライコッチャでございますがなという感じ(一方で超長期が弱いのは発行要因とかがあるんでしょう、よー知らんが)です。特に2年に関しては火曜の引けよりも強くなっちゃってる次第でして、そこまで買うなら何故火曜に買わん(いやまあ火曜にも買ってるのかもしれないですけど)とか思うのですけれども、勢いというのはキングオソロシス。

もっと短い所も逆襲しているようで、最も落涙を禁じ得ないのが今週火曜に入札が行われた2か月FBでして、入札の平均は0.56%だったのですが当日の引けは0.57%で、水曜には0.585%の引けにされたと思えば昨日の引けは0.57%とまあ何と慌しいことでございますことよという感じです。昨日入札が行われた1年TBは落札こそ弱かったですがその後は堅調という動きでしたんで、まあ昨日のどっかのタイミングで短い所の様子見軍団から水準および中期の強さに触発されて動きがでたという事ではないかと勝手に解釈するのでありました。

まあいずれにせよ、中短期が落ち着いてくると全体的な浮き足立ちっぽい感じが払拭されてくるんジャマイカとは思うのですが、金融政策決定会合に米国CPIがあるので待ってる人もいることでありましょう。

・・・と思ってますけど、もしかして一昨日の途中からの動きは、「様子見してる人が多いうちにこの水準で登場しよう」→「あ、やっぱり下げ止まったじゃん、俺も買わなきゃ」→「俺も俺も」という流れで、今更様子見モードじゃ無いのかも知れませんが、あまり人の懐事情に興味は無いのでよー知らんです。


○少々気になった記事から

国交省、不動産鑑定の監視強化・価格算出の基準を統一
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070614AT3S0801613062007.html

国土交通省は不動産の「時価」を決める材料となる不動産鑑定の監視強化に乗り出す。不動産の証券化商品の市場が拡大していることを踏まえ、一般投資家などが不測の損害を被るのを防ぐ狙い。鑑定の根拠となる収益見積もりなどの情報開示を義務付けるほか、不動産鑑定士が不適切な評価をした場合などの登録取り消し制度を積極的に活用する。(以下割愛)

ということで、このニュースだけだと何とも良くわからんのですけれども、記事のお題にあるように「価格算出の基準を統一」というのを本当にやらかすのであればそれはちょっと待てと思うのですよ。

そりゃまあ収益還元法の賃料見通しがバラ色のメルヘン爆発とか実は費用を過小計上してるとかいうのは問題ありと思うのですけれども、「基準を統一」というのにはちと引っ掛かりますわな。これが「一定の算出方法を押し付けてそれ以外は罷りならん」という代物になりますと、画一的なリスク管理手法を導入させてマーケットが集団レミング状態になってしまったどこぞの国のどこぞの市場の悪夢が蘇ってきてしまうのはまあ杞憂なんでしょうけれども、どうも何だかねえという感じが致します。

ま、不動産鑑定根拠の情報開示を、ごく基本的な金融知識しかなくてもわかるような形で行うように義務つけるとかして、その「わかるような形」に関してガッツリ規定して判断は投資家に任せるけど内容に関して虚偽があったら超厳罰適用とかいう風に持っていただけると宜しいのではないかと思うのですけれども、まあ現実問題としてそれもムツカシイのでしょうね。

だいたいからして価格算出の基準が人によって違う(不動産は金融商品じゃないから利用価値に関して人によって違う部分があるでしょうし)から売買が活発化するんじゃろと思うので、あまり鋳型に嵌めるような事は賛成できませんなあと思うのでした。

・・・などと書きましたが、単に記事のお題に釣られただけだったかもしれないなあという気も致します(汗)。


○人のふんどしですが

おなじみ本石町日記さんからですが、思いっきり同意したので引用させていただきたく。
http://hongokucho.exblog.jp/6978444/

『改めて思うのは、金融政策は印象論である、ということだ。何度か述べているように、日銀は地価上昇の抑制を半ば念頭に置いて利上げしようとはしておらず、基本的には「第一の柱」(持続的成長・物価安定)を目的に金融政策を運営している。残念ながら、この姿はあまり伝わらず、「第二の柱」が広く(海外にも)浸透しているわけだ。』

『変な理屈で利上げ論をぶつ向きは、日銀のためにを思った応援団では全然ないと私は思うんだが。』

というのはあたくしも同意でございますが、市場との対話路線で日銀というか政策委員会は動いてるんですけど、印象として第二の柱が主役になっているかのような解釈をされてしまうってえのは、市場との対話があまり円滑に機能してないってことじゃねえのかと思うのですけどねえ。

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2007/06/14

お題「相場雑談その他」

アメリカ様も上ったり下がったり忙しいですなあ。

○下に逝ってこいでございましたが

何か昨日の債券市場は豪快に色々と動きがあったようでございまして、引けの利回りだけ見てると穏当なのですけれども、朝っぱらからいきなり2年カレントが1.1%とかやらかしたと思ったら押し目買いご到来とか、超長期ゾーンがゲロゲロに売られたと思ったら買いご到来で猛然と切り返して結局先物パラレルで引けてみたりということですんで、まあちょっとしたプチ祭り状態だったですなあということのようで。

まーこれで落ち着いてくれれば良いのですが、米国市場が今朝は10年4毛甘やってから切り返して9毛強とかやらかしてますので、まあこれは落ち着いたとは言い難いですからやはり米国の物価指標が揃わないとにゃんともですかいな。

でもまあ昨日の超長期大売られ→切り返しとか(2年の1.1%はちょっとインチキっぽい気がするんですが)、本職のお方で債券強気のレポート書いてた人たちの降参モードが益々増えてきてる雰囲気(そりゃまあこの動きじゃ仕方ないですけど^^)なんぞからも、助さん格さんもういいでしょう的なもんは感じるんざますが(^^)。


○で、ちとアレなのはFBとかでして

ということで長いところは祭り状態だったようですが、短いところでは3か月FBの入札があったんですが、こちらは昨日申し上げた0.62%という訳に逝かなかったようで、平均0.63%でしたが足は流れて何と0.64%台。その後も上らずで0.645%とかやらかしてようです(BBの引けは0.64%になってましたけど)。まあこれなんですけれども、単に買いの手が引っ込んでるだけで、別に7月利上げを警戒してどうのこうのというのではないと思いますけど、一昨日の2か月新発FBも引けが0.585%と入札の平均落札利回りから2日で2毛5糸甘くなっちゃっいましたし、まあ雰囲気は宜しくはございませんわな。

間が悪い時にはそういうもんなんですが(苦笑)、GC取引のスタートが18日ということで積み最終日を抜けて来た影響もあってGCのレートが再び0.55%を超えて0.56%〜0.57%とかになったのもこれまた感じが悪い訳でして、いつも言ってる「8月決定会合まで0.55%でその後は0.80%」という前提で良かったんでしたっけ(実は本当に利上げを織り込むなら8月後半の積み期間入りしてから足元金利が上昇する)というのもあるかも知れないなと思うのでありました。

そんな訳で短い所から6か月くらいまでって比較的落ち着いていたんですが、昨日はちょっと雰囲気が悪くなっております。まあ今日の1年TB入札を通過すれば月後半は入札の頻度が減るので、今日明日あたりが一番需給が悪くて来週から徐々に落ち着くとは思うのですが。


○ところで「データ重視のフォワードルッキング」とは?

本日から金融政策決定会合でございます。で、材料が出るのは明日ですので本日の所はど〜でもいいですし、プレビューもどきは今週頭に既に申し上げておりますので(^^)特にコメント追加するほどの事はございませんが、ちょっと雑談。

今の金融政策の枠組みは実にこうロジックを全体的に見るとワケワカランのですが、あたくし(だけでないと思いますが)がいつも理屈を理解するのに困るのが「フォワードルッキングだけど足元のデータがどうのこうの」ってお話。

いやね、第1の柱でも良いのですが、1年半とか2年とかのターム(が確か第1の柱でしたよね)での先行き見通しがきっちりと確立されているのであれば、足元での経済指標なんぞぶれる訳ですから、足元の一時的ブレは気にせずに淡々とメジャードペースでの利上げをしても良い筈ではないかと思うんですよね。そこに「足元のデータ重視」ってのが入ると、単に「足元の指標が良い時に利上げしますよ」って言ってるように聞こえてしまう訳でして、そんならメジャードペースで利上げして、その間に経済が悪化する見通しになったら利上げを止めたり利下げするというロジックにしてくれた方が何ぼ判りよいかと存じます。

ま、そうされると先行きの政策金利シナリオが揃ってしまってオモシロクナイという話は兎も角として(苦笑)、まあそこまでの自信満々さも無いから「フォワードルッキングなんだか足元ルッキングなんだかよく判らん」という現在の状況になっているんでしょうなあとは思うんですけどね。

いずれにせよ、今更ロジックの立て直しも無理でしょうから、総裁が変ってからで仕方ないと思いますが、もうちょっとこう理屈を判りやすくして欲しいものです。(判りやすくなるとこっちの駄文のネタが無くなるのが痛し痒しですが、笑)。


○この前お話してたサーバーコンピュータのヘドニックに関して

一昨日引用した挙句に「結局ワカラン」で終了した企業物価統計でのサーバーコンピュータのヘドニックなんちゃらの日銀ペーパーですけど、von_yosukeyanさんがスラド日記にエントリーを上げておられました。恐縮至極にございますm(__)m。

http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/406158

いつもながら勉強になりますです。しかしさらっと例えに入れた「律速段階」に反応するとは(^^)。ええあたくしそんな関連のことをメシの種にしようとしていた時期もございました。あたしゃどこをどう間違えてこの世界に入ってきたんでしたっけ(笑)。

しかしこのヘドニックってのも家電製品のスーパー値下がり(物価統計上の)を見るに、効き過ぎるような気も致しますですわな。住宅でも効くようですが、帰属家賃のヘドニックとかも興味はあります(がどうせ理解できませんけどね^^)にゃ。

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2007/06/13

○藤井次官の会見

http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_jim20070611.htm
一昨日の会見でしたが、あたくしは情報ベンダーのヘッドライン見てて「ほほう」と思ったんですけどあんまり話題にはなって無かったですな。QEを受けてデフレ脱却の時期について質問された答えた部分から。

『経済全体としては息の長い景気回復が続いている姿が、今回のQEにおいても確認されていると思います。そういうことから言いまして、デフレという表現を使うような経済状況ではなくなってきていると思います。』

『また、大田大臣の方は、デフレ脱却は視野に入っていると、こういうような言い方もされていると承知しております。デフレ脱却に係る判断につきましては、これは前も申し上げていると思いますけれども、諸々の物価指標等を総合的に考えた上で、内閣府が中心となって検討されるものというふうに考えております。』

ということで、尾身大臣は既に上記のような話をしておりましたが、藤井次官もちょっと踏み込んだ感じがしますわな。で、当然ながらその点についても質問されました。

『(問)先程の日本経済の状況で、デフレという表現を使うような状況ではないというようなお話をされましたけれども、これまでは大臣の個人的見解として伺っていたんですが、そうすると、次官もその考えに賛同されるのか。既に個人的見解を超えつつあるという認識なのか。』

『(答)財務省の言わば政策決定の最高責任者は大臣ですから、私共、まあ大臣がどういう物の見方をされているのか、承知しておりませんけれども、今までの経済の大きな流れというものを見る限りにおいてはですね、まさしく大臣がおっしゃっているということであろうと思います。』

まあ現状ではマーケットの方が8月利上げ1点張りモードになっていますので、逆の趣旨の発言なら兎も角、今回は特に反応する必要は無かったということではありますけど、個人的には「おお」と思ったのでクリップクリップ。


○国会会議録ヲチ

ひねもす国会会議録(^^)。

・5月29日の参議院財政金融委員会

富岡委員(民主党・新緑風会)からの質疑応答は日銀短観などの調査で零細企業が網羅されてないのは判断を誤るもとではないのかとか、まあお馴染みの格差社会がケシカラン的な質問で、その間に「これが美しい国ですか」とかもう正直くだらねえのですけれども、質疑の最後の方で先般OECDの報告書だか何だかで利上げを慎重にという話があったことに関して総裁に質問してたんですな。で、それに対する答え。

『OECDの方々とは日本銀行もいろんな形で対話を続けてきておりまして、基本的な認識に非常に大きなそごがあるというふうには思っておりません。先般のOECDのレポートは表現的にややそういうふうな形になっておりますけれども、現在各国中央銀行、少なくとも先進国の中央銀行の金融政策の基本的なスタンスというのは、足下の物価だけを見ていて金融政策の責任が全うできると、こういうふうに考えている中央銀行は一行もございません。』

『やはり先行きの経済をどういうふうに深く読み、そして将来につながる金融政策をするかという点がむしろ共通のスタンドポイントになっていると、こういうふうに認識しておりまして、日本銀行の今取っておりますスタンスは、足下の物価を無視するということは一度も申し上げたことはございません。現在の物価を更に将来に引き延ばしてどういうパスが想定できるかと、その望ましい蓋然性のシナリオを持つことができるんであれば、それを実現できるような金融政策を必要なタイミングでやっていくということでありまして、将来につなげる立体的な枠組みという点で御理解をいただかなければならないと、こういうふうに思っています。』

まあ別にいつも通りの発言をしているのですけれども、情報ベンダーに乗せられると「足下の物価を無視するということは一度も申し上げたことはございません」がクローズアップされるので、第一印象として「福井総裁慎重ですな」となるのですけど、よく見りゃいつも通りでした(^^)。ただまあ勝手に福井総裁の考えを憶測致しますと、先行きの利上げシナリオの達成に自信がついてきてその分発言に余裕が出てきたという事ではないかと思うのですけれども。

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2007/06/12

○警戒しつつも何とかなるでしょという訳ですが

本日は5年国債入札。相場の水準がご案内の通り物凄い勢いで修正されましたので昨日の引けから引っ張ると1.5%台半ば近くまで修正されてしまったとなると思うんですが、まーここまで水準訂正すれば何とかなるでしょという感じは致します。ただまあここもとの相場下げ局面においてはど〜考えても中期ゾーンに実弾が打ち込まれていそうですんで、よーするに「売りがここで止まる」のなら下げ止まるし、「売ってた人が買い戻す」のなら一旦は反発コースになっても不思議じゃないっすなあ、ってまあ当たり前の話ですけど

ということでですな、こーゆー何だか祭り状態になってる時ですと、水準どうこうというよりは勢いと申しますかモメンタムの方が重要になる(だから相場はオーバーシュートするのですけれども^^)ので、心理面に影響与えまくっている米国債の動向次第ですなあという感じです。米国市場の後講釈をどこぞの番組で聞いてると、株式市場的には金利急上昇が一段落したという見方らしいのですが、数字を見ると10年5毛ちょっと甘いようなのでまだまだでしょうな(というか米国株式市場の楽観というか外部環境を都合よく解釈する才能に驚倒するのですが)。まあ米債に振り回される円債ってのもどうなのかよと思いますが(苦笑)。


んでまあ心理面ということになりますと、「中期ゾーン=金融政策動向に影響されやすい」という発想がございますので、今週の金融政策決定会合で利上げ時期への見方が前倒しになるとテラオソロシスという発想になって積極的に買いにくいという理屈が成立するのが誠に遺憾でございますわな。

正直3か月FBとか2年中期国債じゃないんだから8月利上げの見方が7月利上げになってどこがどう違うんだと小一時間問い詰めたい訳でして、「半年毎に0.25%の利上げ(=8月に利上げしてその次は来年の1−3月期)でとりあえず来年の今頃は1%」というコンセンサス(正確に言えばコンセンサスかどうかは怪しい次第で、単に市場の価格形成がそうなっているからそうだという話ね)を覆すような話でも無いと中々ここからドカドカ下叩く訳にもいかんと思うのですけどねえ。

従いまして、利上げのペースが早くなるとか、実は経済物価情勢がもっと良くて政策金利引上げのゴールが結構上の方にあるのかも知れないとか世の中が思いだせば、世の中の風景が変るでしょうし、そうじゃなければ「景気は巡航速度で物価が上りにくい」というのが基本的なテーマですから(あたくしは失業率4%割れを見てちょっとその基本テーマもどうなのよとは懐疑モードなのですけどね)、攻勢終末点に来たら止まるっしょ。


と、ぐだぐだ書いた挙句に「今日の入札はよー判らんけど、入札で止まったら相場も止まるでしょ」という結論にならない結論なのでした。ナンノコッチャと言われそうですが(汗)。

#先物のヘッジがワークしやすいので、1円も売れなくて全部業者の持ちになってフルヘッジしたら(んな事は現実には起きませんが^^)目の子で額面の半分くらい先物売ると思います



○8月利上げで落ち着いた市場に手を突っ込むでしょうか

などというと「日銀は地均しなどしていません」とか政策委員会様におかれましては仰せになりそうですけど、まあこっちの感覚としてみれば、量的緩和解除の無理矢理1か月前倒しなんぞは「手突っ込んで地均し」にしか思えませんでしたし、まあそれ以外でも市場の対話というよりは・・・っていうのが散見されたのはあたくしが以前から折に触れて悪態をついておりますとおり(^^)。

んでまあ現在の市場でございますが、短い所では綺麗に8月利上げを前提にした値付けで落ち着いてしまった(昨日も金利水準は落ち着いた状態でした)ので、2か月先の話をブレ無くきっちり織り込むとはこれはまた中々面白い話であります。普通こんな先の話で意見が揃うってのも珍しいと思うんですが。

まあ政策委員会様(の利上げ路線の人)におかれましては、この市場の8月利上げ1点張り路線に乗っかって淡々と市場的にはノーサプライズの利上げをするのか、それとも前寄せしたり後寄せして市場を引っかき回して下さるのか、一応ワクワクテカテカしながら決定会合を待ちたい(週末ですが)と思うのであります。

べき論はこの際どっかに置きますと、市場があっさり8月利上げで収斂したので、それに乗れば無難に利上げできちゃうというのは政策委員会様におかれましてはもうウハウハの展開でございましょうなあとは思います。先行きの経済に自信があるんだったら別にこの(短期の)落ち着いた状況を叩き壊しに逝く必要は無いと思うんですが・・・・


○何だかよく判らないけど奥が深そうな資料

http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/pi/ecgpi09a.pdf
ヘドニック法の適用実績:汎用コンピュータ・サーバ(うち、サーバ)(2007年6月時点)

こういう話に全く不案内なあたくしには正直何が何だかよく判らんのでありますが、結局この結果は物価統計にどのような影響を与えるのでしょうか><;

いやまあ良く判らないんですけど、色々と指数化するのって大変なんですなあというのだけは把握致しましたが、特にコンピュータの性能向上となると、だんだん向上する場所が変っていると思うんで、指数化するの難しくねえかとか思うのですけど。

例えばシロートのあたくしが辛うじて認識してるのは鯖ではなくてあくまでもパソコンですけど、例えばかつてはCPUのクロック周波数が使う側にとっては重要でした(ので、PC雑誌にオーバークロックがどうのこうのとか記事が良く出てたと記憶してるんですが)が、性能が向上しやがって、化学反応でいう律速段階が別の場所に移った今はCPUのクロックがいくらってあんまり気にされなくなったと思うんですよね。実際には今でも重要なファクターなのかもしれませんが。

などと何となく聞きかじりと記憶だけでテキトーなたわごとを申しておりますが、このヘドニックちゅうのも何かムツカシアルね。勉強しないととは思うのですが、偏微分の記号を見るとマーライオンになってしまうあたくしにはちと荷が重すぎでしょうな(涙)。

追記:と書いたらvon_yosukeyanさんがスラド日記にエントリーを上げておられました。恐縮至極にございますm(__)m。

http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/406158

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2007/06/11

お題「正直ここまでやるとは驚きました」

正直申し上げまして、相場の動きで何か気分的に浮き足だっておりましたよ先週は。落ち着いて物を考える感じではありませんでしたなあ。特に後半かなあ。

○こうなると米債が落ち着くと落ち着くんでしょうな

というのはまあ市場の中の人なら大体そう見てると思うのですけれども、よくよく考えたら円債が米債に連動する義理もないんですが、まあアレですな、根拠レスであってもそう考えて動く人たちがいて相場にインパクトを与える事例が続けばマーケットなんちゅうものは自己実現しますから。

先物も売られるの巻なんですけど、中期ゾーンも弱くて(というか中期が売られるから先物も売られるんでしょうけれども)引けベースの2年1.04%だの5年1.50%だのこりゃまた良く下がりましたなあという感じではあります。2年に関しては1%だと「3か月後から半年後毎に0.25%のペースで利上げをすると2年間の政策金利の平均が1%」という一応のメドみたいなのが言われてましたが、例によって例の如くリスクプレミアム寄越せ状態となるの巻となっちゃいました。

5年になると足元金利の足し算という訳に行かないので本当に適正なのは幾らかというのは判らんですけど、今よりも早いペースでの利上げまで予想されていた昨年のゼロ金利解除前の7月6日の引け(ただし単利)を見ますと、あたくしの手元の手書き帳面ベースでは5年が1.510%で10年が1.975%で20年が2.340%で30年が2.605%と申しております(2年はベースレートが全然違うので比較する事も無いでしょ)が、先週金曜は5年が1.500%で10年が1.725%で20年が2.230%で30年が2.410%という事ですんで、先行きの利上げペースの予想が昨年ほどの勢いが無い事の反映でもあるんでしょうが、あたくし的には「バランスこれでいいのかよ」という気はしますです。いやまあ気分の問題ですが。

などと適正水準がどうのこうのというごたく(しかも結論なし)を並べましたが、実は小見出しに書いたように、現在の動きは適正水準がど〜のこ〜のというではなくて、米債の動向を中心にしたモメンタム系の動きになってますんで、モメンタムを止めるものはモメンタムということですから結局米債次第ということでしょ。金曜は機械受注も景気ウォッチャー調査も予想より弱い数値(特に景気ウォッチャーは弱め)でしたが、相場の勢いはそんなことはケンチャナヨ状態でしたから、冷静になったら経済指標に目が行くんでしょう。


ただし、あたくし暫く前から申し上げているような気がするんですけど、「景気が拡大する中で物価が上りにくくて、長期金利は上昇しにくい」っていう世界的(というか日本と米国ですかいな)なテーマ(あるいは都合のよい話)に変調が出るとなると世の中また風景変らんかなあと思うのでありますけど、そりゃまあ先の話でっしゃろ。



○さてまあ今週は金融政策決定会合ですが

今週末は金融政策決定会合。積み最終日に決定会合のケツがあっておりますので、ここで政策変更したら事前にコールが上昇することも無いのですが(笑)、まあさすがに今回政策が変更になる事はございませんとして、今回ちょっとだけ気にしてるのは「利上げ提案誰か出すかな」(誰かってまあ出す人は一人しか予想できませんが)という所でしょう。これが出ると7月利上げ説にも現実味が出てくるので、8月利上げの線で金利形成が収斂されている短期ゾーンがまたぞろ大騒ぎになって全体的にも影響を与えそうな悪寒。

#まあ選挙の与党勝利が鉄板ならともかく、この状況で利上げした日にゃあ他人の責任追及するのが大好きなどっかの幹事長に格好の責任転嫁じゃなかった責任追及燃料を提供するだけですから賢明な福井総裁は避けるでしょうと思う訳ですが。

折角市場が8月利上げを織り込んでくれたのですから、このまま特に余計な波風というか前倒しにする事も無く、まあ7月に短観が良いのを確認して利上げの提案が出て否決されるも雰囲気出てきて、8月か9月あたりに利上げって流れで無理が無いと思うんですけどどうなんでしょうかねえ。

量的緩和解除の時には、市場が4月あたりで織り込んでいたものを無理気味に3月解除に引き寄せて実施したのですけれども、あの時は30兆円を引く時間とCPIの改定を天秤に掛けるようなスケジュール感があったんでしょ(政策委員会の人たちに聞いても絶対にそれは否定されるでしょうが^^)と思う次第でして、まあどうせ精々半年ペースくらいでちんたら利上げする位で御の字という現状ではスケジュールのケツが特に無いでしょ(強いて言えば福井総裁の任期ですけど・・・)ということで、さすがに今回強引に前倒しをしてくるとは考えにくいところであります。

西村審議委員の会見で見られたように、ここもとは政策委員の皆様の発言が慎重というかあまり無理な言い方になっていないのは、先ほど申し上げたように「市場が8月利上げをきっちり織り込んでいるのでこれ以上無理することもないでしょ」という余裕ぶっこきモードと見ましたが如何でしょうか。

という訳で、利上げ提案に関しては正直判らんのですが、少なくとも週末の総裁記者会見でそんなにやんちゃな発言は出てこないと思いますよ。

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2007/06/08

お題「債券先物出来高9兆円ですかそうですか」

盛り上がってまいりましたなあ♪

○そもそも金利下げ観測ってのがねえ

昨日(というか今朝)米国債券市場はモーサテさまによりますと10年国債5.138%と16毛6糸甘とは実に素晴らしい展開。利下げ観測後退で徐々に利上げ観測ってえ話らしいのですが、そもそも論として、海の向こうから何となく(あたしゃ別に米債が本業じゃないのでそんなにマジメには見てませんが)FRBおよび中の人の言動を見てますと利下げ期待が発生するのがワケワカランとあたくし的には思っておりまして。

たぶん米国市場的にはバーナンキ議長といえば副議長時代のイットバブル崩壊後の思い切った政策金利引下げが印象強くて、金融緩和的という意識があるんジャマイカなどと勝手に想像するんですが(全く的外れだったらゴメンナサイ)、バーナンキ議長の発言などを追ってみると(そんなに詳細に追ってませんけど)どちらかというと「きっちりインフレターゲット」という感じがする訳ですよ。他のエライ人たちも大体同じですしねえ。

で、そんな事を考えると米国ではインフレの数字(コアPCEデフレーターとか)が既にターゲット水準から高い所にいるんですからFRBへの利下げ期待ちゅうのが起きる方がどうもよく判らんかったなあという感じなのでありました。まーここもとの動きはやっとインフレ懸念に対してきちんと市場が評価しだしたって事ではなかろうかと。

・・・・などとほぼ部外者がエラソーに言う頃に相場というものは一旦底/天井を打つものなのであります(こら)

#というかそこまでの何でもかんでもワッショイワッショイ状態だった株価が1週間で3%くらい下がったっていいじゃないかという気もしますけどにゃ


○しかしまあ先物出来高9兆円とは

昨日の債券市場では、前日に何となく相場が戻った事やら米国の株安債券高でこりゃ反発ですかねとか誰もが思っていた所にあの有様で6月限は132円を割り込む場面もございました。何かこう先物の売り方が昔懐かしい「崩すような売り」って奴でして(その後の戻りでも「如何にも」って感じのビットの入り方をしてた場面があったようですが)、あたくしが小僧だった古き悪しき時代(笑)を思い出すような感じでございました。年寄り(あたくしも含む)ワクワクテカテカの展開。

まー先物の回転も効いてるのか何だか知りませんが、それにしても出来高9兆円(というか9.4兆円ですか)とは久しぶりに見る数字(5月23日に8兆円出来た時にも驚倒しましたが)のような気がするんですが、こういうのがあっても良いでしょ。

・・・・とはいえ、何かこう相場的に「どこかの誰かが派手にぶん投げて相場が壊れた」っていう感じが漂ってこない(実はそういう動きもあるのかもしれないですが)のがまた過去の下げ相場とちょっと違う感じはする次第でありまして、売りらしき売り(先物は別として)は新発債の発行くらいしか思い浮かばないのでありまして、ちとこう勝手が違うなっていう感じも致します。「売り」というよりは「買いが引っ込んでいる」という所ではないかと。


○地味に下げ止まるチョー短いゾーン

2年が1.03%マーク(引けは1.02%)などとこちらもまた実に香ばしい展開になっておりましたが、そんな中で地味に気配が堅調になっているのは火曜と水曜に入札が行われたFBだったりするのですなこれがまた。昨日の日本相互証券の引け利回りは今週の新発3か月FBが0.595%(昨日は0.600%)で新発6か月FBが0.690%でこっちは火曜の引け0.700%から2日掛けて1毛低下となっております。

まあ昨日や一昨日の新発の引けがちとビットサイド寄りだったというのもあってその修正分と言えない事もないのですけれども、それよりもとりあえず「8月利上げ織り込み水準」という水準感が共有され、何となくレベルが見えて落ち着いたところでホッと一息の買いが入って来たという感じなんじゃないかなあと(ディーラーは別ですが、投資家的には「何だか落ち着きどころも判らずワケワカラン」という状況で相場に突撃するのは二の足を踏むようでして)思うのであります。保有期間中の資金コスト見合いでの動きがより強いCPレートに関しても、ここ2日ほどで落ち着き所が見えてきて買いが徐々に強くなってきたような気がしますし。

てな次第でして、そうですなあ半年位のゾーンあたりまでですかなあ、素早く織り込みやがったこともありまして一旦ここで止まる感じでありますな。でも7月利上げは大して織り込んでいませんので、すわ7月利上げとかなるとまたひと騒動ありそうですが^^;

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2007/06/07

○8月利上げが織り込まれたのはどの辺だ

昨日のFB入札ですが、昨日の駄文でうだうだ述べた通り、8月23日から0.80%、その前が0.55%で単純計算をすると出来上がりが0.6%となるという日数なんですけど、平均落札価格が利回り換算で0.598%くらいで最低落札価格が利回り換算で0.600%くらいと、前日の6か月FBに引き続きまして絵に描いたような所で足切りになってしまいました。で、昨日の日本相互証券の引けは0.600%となっていたようですが、前日の6か月FBが昨日は確りしてしてて引け値が前日比利回り低下とかしてやがったですぅでしたので、まあこの0.600%というのも普通に考えてビットでしょ。

てな訳で、一応8月の決定会合の手前0.55%、後ろ0.80%という所が止まり所となっている訳でして、まあ大体これで8月利上げを織り込んだ水準で、8月までに利上げが無ければ丸儲けということですからこんなもんでっしゃろ。

まあケチをつけようと思えば(昨日ケチつけるのを忘れてましたので)、利上げ観測が高まった時には準備預金の積み進捗ニーズが高まるのでそもそも8月利上げ懸念となれば16日(=積み初日)から金利上昇するんじゃないですかとか、足元とGCのスプレッドが金利の絶対水準に関わらず5bpというのは本当にそれで良いのかとか、まあ色々とケチのつけようはあるのですけど、何となくこれで座りが良いのでこれはこれで宜しいのではないでしょうか(何たるイイカゲンな)。


ここのところGCレートが弱含み(ややこしいのですが、短期のレートの話をするときは主体が「金利」なので強含み=金利上昇ですわな。債券市場の場合は債券が主体になるので相場が強含み=金利低下ということで^^)となっておりますが、準備預金の積みがやたら進捗しているとか、タームのオペで資金がきっちり取れてるとか、足元に資金があるのでTB/FBの在庫が重くないとか色々と要因はあると思うのですけど、ここのところGCは0.55%を割り込んで推移しているようでございますな。そんな状況もありますので、ひところちょっと上昇が目に付いたCPレートもさすがに上昇一服のようですし、そーゆー意味では半年くらいまでのところは織り込み具合が収斂してきてとりあえず落ち着きましたなあという所ではないでしょうか。


○2年1%とか

まあそんな感じで6か月くらいまでの所が何となく8月利上げの線で見方が収斂されてきたような価格形成(相場には自己実現性があるので、必ずしも8月利上げだと思ってない人も相場がそういう値動きになっていてその考えを覆すような材料でも飛び出さなければ、そう派手に成敗しに逝く訳にもいきませんわな)になってる中で、1年とか2年(とか3年もかな?)とかどうもパッとしません。2年カレントは堂々の1%台乗せですし、前日1枚しか99.00割れしてなかったユーロ円金先の12月限も98.990なんぞが出合ってたりと、こっちのゾーンの居場所がやや修正されている感じ。

そりゃまあ3か月や6か月がGCレートの足し算で価格形成してるとなると、今まで政策金利の足し算で「こんなもんでっしゃろ」とか言ってた1年や2年辺りもちょっと見方を改めないといけませんなあという事になるのは止むを得ないところであります。ということでちと弱いんですわな。これが「大体半年毎に0.25%ずつ政策金利上るんでしょ」という漠然とした読み筋をもっと前傾させるような読み筋でも出てくればなお大騒ぎなんですが、そうじゃなければまあ上昇するのもGCと足元のスプレッドにリスクプレミアムらしきものを目の子で乗せて・・・って辺りで止まるんでしょうな。

#そのリスクプレミアムがワケワカランのでオーバーシュートしやすくなるのですけど

もっと長くなると期待インフレ率がどうのこうのとかの話になるのですけど、まあ2年くらいまでは足元金利の足し算で説明がつきやすい範囲ですから。

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2007/06/06

お題「相場雑談をいくつか」

あまりまとまった話ではなくどちらかというと小ネタ陳列と逝ったところです。

○またあたくしの事前予想(妄想)が外れる訳だが

昨日の10年入札の事前妄想
→米債も戻ってきたし事前の買いとかヘッジの戻しとか入ってややこしい入札になりそう

結果:入札を10年伸び悩みで迎え、落札結果は順当(若干落札分布にいつもと違うものがあったんですがそれは後ほど)だったのにその後相場ゲロゲロに

6か月FB入札の事前妄想
→こりゃムツカシイ入札だからニーズ次第で強い入札になるのかダダ流れ入札になるのか

結果:事前に相場水準が8月利上げをほぼ(ケチをつけようと思えばつけられますがそれは後ほど)織り込みの水準まで訂正されたので実に普通の入札

・・・・・・(-_-メ)

どう見ても逆指標です。本当にありがとうございました。

という訳で、まずは6か月入札に関して。


○8月利上げ織り込みですわなあ(6か月FB)

その6か月FB様でございますが、平均落札価格が利回り換算で0.696%くらいで、最低落札価格が利回り換算で0.700%くらいという結果になりまして、何か引け値は0.700%とかになっていたようですけれども、はてこのレートは何ぞやと考えますと、例によって例の如くあまり緻密ではない電卓で計算できる似非ブレークイーブン利回り計算を「8月の決定会合まで0.55%で利上げ後が0.80%」という前提で行いますとまあ丁度良さそうな数字になるのでありました。

ちなみにこの6か月FBは6月11日〜12月10日でございますが、さっきの前提で計算するとまあ0.700%となると思いますので、8月利上げになっても心配ないぜというレートであるというお話になろうかと思います。

同じ理屈で今日入札が行われる3か月FB(発行日6月11日で償還9月10日)をアバウトに計算致しますと、まあ0.600%になると思いますので、本日の入札が昨日と同じような感じで動くならこのあたりがメドかなあという感じが致します。


それから、入札と話は違いますが、昨日は2か月ちょいの期間となる共通担保オペ(8月15日エンド)が実施されたのですが、こちらの落札結果が足切りは0.57%でまあそんなもんかなという感じなのですが、平均落札利回りが0.584%ということですので、もしかしたら0.60%から札が入ったのかもしれないという結果でして、こりゃまたレートが高めですねえという感じであります。ちなみに月曜の共通担保オペは7月23日エンドで平均0.561%の足切り0.56%でしたので、エンドが伸びたっちゅうのもあるのですが、ちょっと上りましたなあという感を受けました。

まあ何となく雰囲気が盛り上がり、というかちょっと今までの楽観はどうなったのよという動きが垣間見られるのでありました。で、またまた話が脱線しますが、昨日の福井総裁の国会答弁(記事のヘッドラインしか見てないので引用とかしませんが)が何となく火消しっぽい感じになってましたし、西村審議委員の会見でも慎重(よく見りゃ結局「展望レポート通りでございます」なんですけど)な物言いが目立つのは、市場がこの通りの有様で利上げをせっせと織り込みに逝ってるので、別にここから変に地均しをする必要も全くなく、まあ余裕をぶっこいているのかなって勝手な想像をするのでありました。


○こりゃまた妙な動きでしたな

で、10年入札ですけど、市場推定の落札上位では某大手様が結構落札してたんですが、その他の上位メンバーの中に常連であります所の他の大手さんのうち2社ほどのお顔がございませんで、若干いつもとテイストの違う感じではございました。まあ足切りが事前予想(らしきもの)よりも1銭高かったこともあるのかも知れませんが、通常だと償還が変る新発はそれなりにニーズある筈なんですがどうだったんでしょうか。

まあそれよりも久々にこりゃやりやがったなというのは落札結果発表後の動きでして、結果は順調だったのでちょっと先物とか上昇してきた所に先物だか中期だかがいきなり下落。その後ちょっと止まったかに見えた後また売るという誠に嫌がらせのような動きを示しておりましたわな。

誰が何をしたのか存じませんが、前場確りしてた5年ゾーンが引け値を見ますと先物並みになっておりますので、まあ順当に考えれば先物の叩き料理か5年の実弾ぶちかましと逝った所かと思うのですが、売り仕掛けして相場下げたいんでしょうが、入札後にマーケットがロングになった所で売るとは何たる嫌がらせ。というか前場に売ってくれれば入札がもっと安くなって皆さん(除く財務省)ハッピーだというのに誠にケシカラン話でして、地獄の火の中に投げ込まれるべきものでございますわな。

んでまあ今朝は米国10年債4.997%(ソースはモーサテ)ですかそうですか。はあはあなるほど。


○1枚ですかそうですか

昨日のユーロ円金利先物市場。あたくし的には金先は銀行ALM(およびそれを受けてる業者のヘッジ)と海外ファンドの隔離格闘場だと勝手に勘違いしておりますので(何たる偏見)、正直あんまりちゃんと見てないのですが、昨日引け後は2007年12月限が99.000とかになってたのでつい見てしまいました。

で、16時過ぎに金先が99.000をマークしてほほうと思ってたらその後99.005になったり99.000になったりしてたんですけど、99.000オファーになったところであたくしワクワクテカテカしてたら、これがまた待てど暮らせどダウンティックを叩く人が現れず。「あたくしが小僧の頃はこういう時は必ず節目を抜いた新値を付けに行くのがお約束みたいなもんだったのに」と世の中変りましたなあなどと思ってたら16時54分に98.995が付きましたよ先生♪

と思って出来高みたら98.995の出合いは1枚でして、その後99.000、99.005とか戻っている次第でして、(18時以降の板は見てないから知らんが)99.000割れがせっかく出来ても出来高たったの1枚じゃあニュースにも出来ませんがなという感じですな。売るなら100枚くらい売って下さいな金先なんですから。。。

#というか歩み見てると1枚で何か付値らしきことやってる人がいるようですが、何の意味があるんじゃ?

ま、そもそも金先のイブニングセッションを延々と20時まで営業してそんなに参加者いるのかよという議論もあるので、まあこれはこれで仕方の無い現象なのかもしれませんが、何かこう古き悪しき時代とは隔世の感がございますなあと逝ったことを思った次第でございまして。

#ちなみに、トレーダー(ディーラー)と言われる人種には最高値(とか歴史的な高値とか言われるもの)を買って(安値を叩くというバージョンもあります^^)武勇伝とする人と、最高値を売って武勇伝とする人(さっきと同じで安値を買うというのもあり)の2種類がおりまして、どっちでもまあ生き残る人は生き残るし、討ち死にして退場する人は退場するのですが、そんな与太話は機会がございましたらいずれ。

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2007/06/05

○10年入札と6か月入札

昨日は米国様の金利上昇を受けて海外の金利が上ると日本の金利も上るという相変わらず意味がさっぱり判らない理屈(だって日米欧で金融政策のステージが全然違うでしょ)なのですが、まあそういう理屈で相場を張る人がいれば相場はそう動くという毎度お馴染みの自己実現性によりまして朝っぱらから10年1.8%だの5年1.4%だのまあいい感じでポイント付けまくり。

10年入札も控えてますのでヘッジ売りもしたくなる所なのですが、さすがに水準が水準なだけに投資家押し目買いも入り、ここから下を叩くのも如何なものかということで戻ったんでしょうが、今度は「威勢良く下がっている内はオソロシイので手が出せないけど、下げ止まりを確認したら買えますがな」という人も出てきたんでしょうかね、何か引け後も戻っておりましたが、正直何がなんだか><;

んでまあ本日はその10年入札と6か月入札があるのですけれども、10年の方についてつらつら妄想しますと今日の入札は前日に下やって戻ってきてるので、こりゃまたムツカシイですなあという感じがします。どうせなら昨日の相場今日やってくれれば皆さん(除く財務省)ウハウハだったんですが、世の中そう都合よく行かないもんですなあ。おまけに今日は米国金利が低下して戻って来ましたので、米国金利追随型の人が買ったり、事前の先回り買いとか余計なものが入って入札前に余計な動きをしそうな悪寒。ちとややこしいことになりそうですな。


で、6か月FBのほうがまた訳判らん次第なのれす。WI取引をとりあえずスルーして既発債からレートを引っ張ると、11月12日償還の既発6か月FBが0.660%で12月20日償還の1年TBが0.690%と申しておりますので、その間のどこかという話になるのでしょうかねえ。で、そのレート何ですが、足元のGCレートが0.54%〜0.55%(オペに叩き込めば1か月半で0.56%くらいで回る)ですのでとりあえず今の所は10bpちょっと取れるのですが、途中で利上げがあると普通にフルスライドして考えてもGCやオペレートが0.8%位になるのは必定でして、今度は10bpちょっと負けの巻となるので、まあいい塩梅といえばいい塩梅なのですが、こりゃまあ利上げ織り込み具合とリスクプレミアム幾らで見るのよって話になりますな。8月利上げだと思うとちょっとこのレベルは持ち切り前提では買いにくかろうという感じ(そもそも利上げ後のGCレートが今と同様に律儀に足元+5bpで収まるかどうかの保証は無いのですから)ですな。

6か月FBは発行が2兆円しかない(「しか」ないってのも何か冷静に考えると凄い話ですね^^)ので、ちょっとどこかのニーズが入るとあっさり片付いてしまいますし、まあそんなこともあるので往々にして6か月ゾーンって3か月や1年と比べて(持ち切り前提で考えた場合)割高になる傾向がある(いつも割高な訳ではないです、為念)ので、ニーズが無くなると一挙に修正が起こる事もありと、中々これもムツカシイのであります。特に金融政策がどうのこうのって話があるときは。

まーそんな訳ですので、今回の入札は先月のような無難な入札になるというよりは「ニーズが入って超確り」か「ニーズが来なくてダダ流れ」の両極端を予想(それは予想ではなくて両建てだというツッコミは正解です^^)するのでありました。

・・・・さて、こんなに好き勝手書いて、また外してしまうのがドラめもんクオリティ、と最初から予防線を張るのがオワットル。

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2007/05/31

○8割強の警戒でございますかな

昨日のFB入札ですが、6月4日発行9月3日償還で平均落札利回りが(例によって財務省公表数字は経過日数を両端で計算してるので通常の呼び値と違いますのでご注意)0.575%位となりまして、引けも0.575%となっておりました。テールが8厘でちょっと広がりましたが、まあそこの所はケンチャナヨ。

で、この0.575%とは何ぞやということになるのですが、FBの利回り=GCレートの足し算(ただし複利無考慮^^)として、8月の金融政策決定会合までのGCレートを最近めっきり落ち着いているので0.55%(ちなみに国債買現先オペは17日物で0.55%でした)と置きまして、8月23日以降のレートが幾らでしょとこれまた単純計算ですけど電卓叩くと0.76%位になると思います(計算間違えてたらスマン)。で、昨日申し上げたように利上げした後のGCレートを0.80%(コールとのスプレッドが今と同じだとする)とすると織り込み度合いが84%という誠にそれらしい数字が出てくるのでありました(^^)。

来週もFBの入札が当然のようにありますので、今回出来た階段がこの調子で続くのかというのが注目される所でありますが、まあ今回は9月償還に敬意を払った感じですにゃ。短期金利との比較での持ち切り/現先対応のニーズが主というか殆どでありますCPのレートは8月半ば過ぎあたりの償還から若干上昇しているようですので、まあ目線が短期市場にフォーカスしている投資家的にはさすがに8月利上げのリスクは注意しているという所のようですね。

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2007/05/30

結局短いマーケットが何月の利上げを織り込んでいるのかどうもよく分かりません><

○9月償還のFBが入札になる訳ですが

昨日は雇用関連の数字がよろしく、消費の統計もよろしいということで、またまた相場が下がってしまった訳ですが、さすがに雇用関係の数字に関してはこれがこのまま改善続くのか大注目って事でしょうか。2年新発のクーポンが1%になったのでこれは1%100円まで売るのかと瞬間思ってしまいましたが(笑)、さすがにそれはちょっとという感じでしたな。

ちなみに、3か月後(ただし発行日から3か月なことに注意)から半年毎に0.25%利上げで誘導目標金利を積み上げていくと2年1%になるんで、まあメドの1つではあるのですが、実際のコストはコールじゃなくてGCじゃないですかというようなツッコミは兎も角、以前国債市場懇で話題になっていたと思うんですが、持ってる間の逆鞘にどの位我慢できるかという問題もあるので、まあ売るときは売るでしょ(^^)。

問題は雇用関連の改善によって、現在市場での常識というか定説となっております「経済は確りであっても物価は上りにくい」(よって政策金利が上ってもイールドカーブはフラット化)というのが「本当にそれで良いのでしょうか」という疑問が生じると大変に香ばしい相場展開が待ち構えておるのですが、はてさてどうなるんでしょ。


と、小見出しと違う話が続きましたが、本日入札される新発3か月FBの足は9月3日。8月の決定会合が22、23日ですので、8月に利上げがあったとすれば最後11日間が足元0.75%(たぶんGCレートは0.80%〜0.85%位になるんでしょ)という計算になりますので、これをどの位織り込みに逝くのかが気になるところです。

・・・・と申し上げたのですが、既発の3か月FBの利回りというのがこれまたアレでございまして、8月20日償還も8月27日償還も0.555%とGCレートとまるで同じ水準という状況でございまして(先週までは一応451回は450回以前の銘柄と差がついてたのですが、月曜になって買われてレートが並びやがりましたのですぅ)、ここだけ見てると8月利上げ織り込み度合いは堂々の0%だったりするのですな、ナンノコッチャ。

とは申しましても、CPの発行レートの方は一応8月末償還ものになると微妙にレートが上昇しておりまして(と言っても別にこうビビットに上昇してるわけではなく気持ち上昇程度のようですが)、こっちを見てると何となく8月警戒モードが入っているという感じのようですな。ま、別に100%織り込むのはアリエネーと思いますので、さてまあどの辺までやるのかしばらくは当てっこモードになるんでしょうにゃ。

OISとか金先は織り込みが早くなる傾向があるので、実際の居場所がどこなのかがリアルタイムで把握しにくいですけど現物の居場所も見ないと「市場はどういう政策変更を織り込んでいるのか」が見えてこないと思うのでした。

でね、まるで利上げ関係なしモードのFBレートなんですけど、商品カテゴリーが国債でありますので、短期金融商品としての利回りベースでの買いとはちょっと違う買いが入っている場合もありますので、ニャンとも判りにくいのでございます。ここの所毎回のように炸裂する不明札1兆だの2兆だのという人は今日も登場するのでしょうかねえ。

そういやまた話が飛んで恐縮ですが、足元金利の足し算する時に注意しないといけないのは「利上げを織り込みに逝った場合に準備預金の積み上げニーズから足元金利に上昇ドライブがかかる」ということですわな。最近だと1月、2月にそんな事がありましたんですが、マジ織り込みモードになるとそんな所まで織り込みに逝きますので、現物金利見る際にはその辺に注意しましょう。

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2007/05/29

○ストリップス債のクーポン部分の買入消却

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c190525.htm

先週金曜に行われた国債市場特別参加者会合で買入消却に関する議論が行われていた訳ですが。

『また、ストリップス債残高が伸び悩んでおり、諸外国との比較をみてもわが国のストリップス化率は非常に小さいものとなっている。将来におけるLDI運用の広がり等を展望すると、デュレーションが長いストリップス債の元本部分に対する潜在的なニーズは高いものの、クーポン部分については今後もニーズが見込まれず、こうしたニーズの偏りが市場の拡大を阻害している旨、市場参加者から意見がある。』

『こうした状況を踏まえ、当局では、市場参加者からの要望があるということであれば、ストリップス債の市場の育成にはずみを付けるため、当面の間に限って買入消却を実施することを検討したいと考えている。もっとも、クーポンあるいは元本のどちらかのみを買入消却すると、残る片方が再統合できなくなるというデメリットもあり、そうした点も踏まえ、ストリップス債の買入消却ニーズの有無や、買入消却するとした場合の規模、さらにはストリップス債市場を今後どのように育成していくべきか等、意見を伺いたい。』

ということで議論が行われています。まあ確かに残存30年とかのゼロクーポンのニーズは物凄い勢いでありそうですが、分離後の利息部分残存6年のゼロクーポンなんて誰が買うのよって言われれば確かに仰せの通りでございますな。

で、ふと単純に思ったのは「元本部分のニーズがあるのならゼロクーポンの30年国債を発行すれば良いじゃないの」という事なんですが、よくよく考えたら(というか実はそのネタで仕事仲間と世間話して指摘されたというのが正解なのですが^^)、割引国債は償還差益に対する課税問題がある(割引短期国債と政府短期証券は特例扱いだったと思うんですが)んでしたな。残念無念。

過去(というか大昔の金利があった時代)の国債窓販実績から勘案しますと、マル優や特別マル優で利子が非課税扱いになるということで利付債が基本的に選好されてた(で、マル優や特別マル優の人はクーポン収入が好きですし)と思うんですが、長期の割引債ってのもニーズ無いわけじゃないと思うんですが。とは言いましても米国のトレジャリーゼロくらい割引率(というか利回りというか)が高ければの話なのかもしれませんが。

まあどっちにしても償還差益に関する源泉徴収(発行時に源泉徴収される、源泉徴収という表現が正確かはちと怪しい)問題はクーポンへの源泉徴収問題も絡みますので、一朝一夕に改善できる話じゃないですけど、そんなにストリップスの元本にニーズがあるんならクーポンの買入消却するのもまあ時限措置(のようですが)として良いでしょうが、償還差益に対する発行時源泉徴収問題をクリアして超長期のゼロクーポンを発行した方が話が早そうにも思えますが。将来金融商品関連課税が総合課税化するようになって、所謂課税玉問題がクリアになったら個人にも売れると思うんですけど。


などと言う話ですが、半分以上自分の古い記憶で話をしているので、実はそうではありませんという指摘がございましたらマジで教えてくださいませ。一応書き物をネットに晒している身としましては間違いをそのまま残しておくのは本意ではありませんので、その場合この辺の記述に打ち消し線打って(消すのはそれはそれで自分の間違いっぷりを忘れてしまうので良くないのですよ^^)正しいこと書かないといけませんので。。。。詳しい人教えてくださいませm(__)m

#と、クレクレ君になっているドラめもんなのでありました

(追記:確かにこの手のニーズが一定量あるようで、超長期のゼロクーポン(ただし課税玉では意味が無い)は必要かもしれません。40年国債発行する前にこっちをやった方が良さそうにも思えるのですが・・・・)

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2007/05/28

○利上げ予想時期が微妙に前倒しでしょうか

金曜日に公表されたCPIは一応事前予想通りに4月の全国コアが▲0.1%となりました。中身の詳しい話はあたしゃ専門家じゃないので知らんですが、年度替りに伴う価格改定がそんなに来てないらしいですな、よー知らんが。

でもまあ何か金曜は(というか木曜からそうだったんですけど)中期ゾーンと先物中心の売りでまたまた安値引けとなってしまいまして、2年0.915%とか5年1.3%とか中々やるなその金利上昇という感じです。先物の出来高が先週水曜以降は久々に多かったですし、何かこう「盛り上がって参りました!」って感じでございますな。

寄りではCPIの数字が予想通りだったことを受けて為替こそ円高に振れたのですが、金先は指標発表後上昇で反応し、債券も朝は買い(というか買い戻し)で反応してて、どっちかというと前日までにマイナス幅縮小は織り込んでより警戒モードから売られてたと思ったのですが、その後も売りが出るとはちとビックリではありました。

いやあのですな、多分次回の利上げって概ね8月(前回利上げから半年、参院選後)から10月位までの予想で収斂してたと思う(7月予想とか年内無しというストラテジストの方はいますが、短期国債の価格形成状況を見るとまあそれは市場的には読みの範囲外かと)ので、その利上げ時期予想が8月に収束したとしても、短期は兎も角5年とか先物とかにそんなに影響するのかと思ってしまうのですけれども、まあ現実に売ってる人にはそれなりの理屈があるんでしょう。


○ということで、注目するのは2年入札と3か月FB入札

今週は火曜に2年国債、水曜に3か月FBの入札があるんですけれども、水曜以降の相場で5毛近く居場所が変った2年カレントものの入札がどうなるのかがまず注目。とりあえず目先は2年カレント0.95%くらいを目指しにやってる感じは致しますが、はてどうなんでしょうかな。2年くらいの金利になりますと(少々無理はありますが)足元金利の定積分みたいなイメージで考えられない事もないのですが、まあ8月に政策金利0.75%になって年度内に1%になるとか思うとそりゃまあ今までやってた2年0.8%台ちゅうのもちょっと割高モードということでしょうか。

それから水曜の3か月FBですが、こちらは足が9月4日と9月に突入します。前回のFBは8月決定会合越えではありましたが、8月の会合が少々後寄せになっている関係上越えた後の経過日数が少なくてイマイチ反応しにくかったので、そーゆー意味では今回の入札で既発債とハンデをつけてくるのかが注目かなあとは思います。それから、ここに来てどう見ても利上げないでしょという7月償還物へのニーズは高まっているようですし、まあ8月利上げをどのくらい織り込みに行くのかという所でしょう。全部織り込みに逝くのはさすがにやり過ぎだと思うのですが、まあ9−10月に利上げと予想してた人(あたくしもそうですけど)がその予想時期を8月に前傾してきている観(あたくしはまだ前傾してませんが)はあるようで。

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2007/05/24

お題「5月10日の参議院財政金融委員会続き」

まあ昨日は先物が8兆も出来てたとかFB3か月の入札が思いっきり無風だったとかございましたが、そのようなネタは華麗にスルーしまして、昨日ちょっとご紹介した5月10日の参議院財政金融委員会での質疑応答から参ります。と申しますのも、昨日申し上げましたように、参議院・新緑風会の平野達男委員が先般のNHKフライング報道についてツッコミを入れておりましたんで、「おお!」と思ったからなんですが。

ということで、ソースは参議院HP→会議録情報→30日以内に行われた会議→財政金融委員会で5月10日の会議(今朝の時点ではトップなので指定しなくても出てきます)でございます。平野委員の質疑応答は大体真ん中あたりでして、その中で3番目の質疑お題がNHK報道問題です。大体質疑の半分以上をこれに割いているのでありました。


○追加利上げ提案云々報道のタイミング

に関する質問に対する福井総裁の答弁から。

『御指摘の報道は、私も電光掲示板で見ておりました。そのときには明らかに金利変更の議長提案はしておりませんでした。そういうことでございますので、提案を行う前の報道という意味では、私は憶測に基づく報道ではないかというふうに申し上げているわけであります。』

で、憶測という表現じゃなくて事実かどうかという質問に改めて総裁が答弁。

『今申し上げましたとおり、私が議長として提案を行う前に報道されているという意味では、事実ではないということであります。』

まあ「結果としては事実でした」ってことなんですから、この質問のやりかたじゃなくて、ど〜せなら「議長提案をする前だったということは既に別のところでご答弁いただいていましたが、実際は報道時点で議事はどの段階だったのでしょうか」と突っ込んでくれた方がオモロカッタと思うのですが。提案してなくても議事の方向が利上げで収束するタイミングだったのか、その全然前だったのかによっても話が違ってくると思うんですけどね。(ただまあその話って議事録公開前に任意ベースで詳しい答弁をするのが本当に出来るのかという点も考えないといけなさそうですが)


○過去にもフライング報道があった話も出てくるのでした^^

平野委員の質問から。

『ブラックアウトルールというのがございますが、これは日銀の内規です。この委員会の中でもいろいろ議論がございまして、当然、財務省も内閣府も政府全体としてこれは遵守すべきものだと、守るべきものだということで、財務省からも内閣府からもそういう答弁がございました。』

『過去のいろんな報道を見ますと、量的緩和の解除、十八年三月と、ゼロ金利の解除、十八年七月の報道でも、これは私は知らなかったんですが、後で聞いたら、日銀総裁がその提案をした直後に、量的緩和の解除の提案をしました、あるいはゼロ金利解除の提案をしましたという報道が流れたそうですね。そうしますと、ブラックアウトルールというのは、要するに総裁のその記者会見まで一切そういう情報は外に流れないということになっているわけです。にもかかわらず、報道は推測でも何でもない、経過報告をしているわけです。』

『今回の二月二十一日は経過報告どころじゃない、事実に反する報道をしちゃったからまたこれいろんな問題が出てくるわけですが、このブラックアウトルールというのは、今までの財務省、内閣府、情報漏えい、情報の漏れはなかった、二月二十一日もなかったというふうに理解してよろしいでしょうか。財務省、どうでしょうか。』

えーっと、ブラックアウトルールとちょっと本件は別問題だと思う(単なる情報管理の問題)のですが、まあそれは措くとして、情報漏洩がなかったかという質問になっておりますが、当たり前ながら財務省、内閣府、日本銀行ともに既に情報漏洩が無かったことを確認済みであるという答弁になっております。


○憶測フライング報道をするという報道機関のあり方とは

という論点になっている訳ですが、これまた平野委員の質問から。

『そうしますと、マスコミさんは、もしそれが今皆さんがおっしゃったことが事実だとすれば、全く事実に基づかない報道をしたと、完璧に憶測に基づく報道をしたということになるわけです。それか、皆さん方の調査が甘くて実は漏れていたという、二つに一つなわけですね。そこで、こういう憶測報道、あえて憶測報道としましょう、あるいは金融担当大臣はもっと厳しく言いました、揣摩憶測と言いました。私、本当そのとおりだと、いいと思います。そういう憶測報道がなされるというこの状況につきまして、日銀総裁はどのように思われますか。』

福井総裁の答弁。

『マスコミの基本的な在り方というところにも絡む問題でございますので、余り私の立場で軽々なことは申し上げられませんけれども、金融政策決定会合における決定内容というのは、私どもは明確にこれは公表すると、決定が終わればそんなに時間を置かないで公表することでございますので、公表を待って明らかにされると、そのことをマスコミあるいは市場関係者により十分理解していただきたいと、私どもはそれを強く願っております。』

で、まあ願ってるだけじゃなくて厳正な対応をして欲しいと言う話を平野委員がしております。この話の部分だけで紙に打ち出すとA4で1ページになってしまうので、適宜割愛しますが。

『(前段の情報管理の部分割愛)ところが、今回は、この金利引上げというのは、もうこの短観どころじゃなくて、大変なその情報、情報というか、市場に対するインパクトは物すごく大きいわけです。もちろん、マスコミですからいろんな要するに予測報道をすることまでは制限できませんよ。ところが、報道自体が、先ほど提案をしましたという、これはプロセスの報道なんですよ。ところが、プロセスの報道をやること自体実は、ブラックアウトルールが出されている状況においてはやること自体おかしいんですよね。そして、もっと言えば、NHKさんは、ある報道機関からの、NHKさんに対する報道によると(ブルームバーグニュースの取材の件だと思います、引用者補足)、いや、しっかりとした取材に基づいてやっていると言っているんです。それが事実だとすれば、だれかがそれに対する、利するような報道を流している。ブラックアウトルールというのは、途中で余計な報道が出てきて市場に混乱を与えさせないということが、これが社会的正義ですよ。』

『(中間割愛)今回の案件については断固として、市場に対してこれ悪影響を及ぼすんですから、強い姿勢で臨まないかぬと思います。ましてや、NHKがやった後、日経新聞まで後でテロップ流したんですよ。日経新聞は、私は日経新聞愛読しているから余り悪口も言いたくもないけれども、本来ブラックアウトルールが分かっていて、この状況の中にそういう報道するというのはおかしいというのは分かんなくちゃならないんです。しかし、日経新聞のみならず、共同通信とか全部流したでしょう。(中間割愛)これは、遠慮して言うというんじゃなくて、じゃ、マスコミに、だれに対してそういうことに対していやそれはおかしいじゃないですかと言うんですかということなんです。本来であれば、私は、日経新聞辺りがこの報道自体がおかしいんだと、日本の報道姿勢がおかしいんだという報道をしていただきたかった。』

『ところが、そのマスコミ、日経新聞にしたって、今この財政金融委員会でこれだけの議論しているんですが、一言も報道していない、その後。それは自分が、要するに日経新聞は、その二月二十一日、NHKの多分報道を見てばばっと流しちゃったからでしょう。だけれども、そういうこと自体がおかしいんだということはだれかが言わなくちゃならないと。唯一私が言ったと思うのは、金融担当大臣言っていると思うんです、揣摩憶測が渦巻く市場はおかしいと、不健全だと。だけれども、それはもっと、それ以上の言葉は私は総裁として、今決定会合をやっているときにそんな憶測を流されることは本当に不健全だと、困ると、そういうことを強くはっきり言っていかないと、マスコミだって悪気があって言っているわけじゃないです。(以下割愛)』

ということで、質疑はこの後山本金融大臣と平野委員との間で、報道のありかたという論点になるのでありましたが、まあお暇でしたらご一読ありたし。(これ以上引用すると長くなりすぎるので^^)


○山本金融相の「報道と相場」のお話

とは申し上げましたが、山本金融大臣の答弁からそのあたりの部分を引用致します。

『しかしながら、今、私が近年の報道と相場というテーマで考えてみますと、一面トップに上場廃止というように書かれれば廃止されるだろうというように思うのが一般投資家の考えでございます。そうすると、やっぱりそこに損する人、得する人が出てくるわけでありまして、そこに根拠がなければやはりそれは誤った報道であり、先ほど先生御指摘されたようにインサイダーの懸念がございます。また、黒字予測を急に赤字にしたりする決算報告だってそうですし、また犯罪事実があって捜索差押報道ということもやはりそこは行き過ぎた報道ではないか。しかも、捜索差押えをしていないにもかかわらずその三十分前に報道されるだとかいうことがもしあるならば、やはりそれはインサイダー取引や相場操縦の懸念がございます。』

『そんなことを考えましたときに、必ずしも最も決定に携わった方々からの情報発信以外の部分で、そうしたニアリーであるかもしれないけれども誤った報道を出すことによって、市場関係者が損得をするという、この部分についての規律というものを我々は議論しておく必要があるだろうというように考えております。』

で、まあこういう意見を切り取るとどこかの人が「権力による報道規制はケシカラン!」とか言い出しそうな気もしますが(苦笑)、まあやはりこう市場の中の人としては、山本大臣の指摘に同意することと致します。

#という訳で、今日は引用だらけで膨大な量になってしまいスイマセン。結構どこを切るかで悩むんですよね。引用だけでも結構時間食うので、やはり国会会議録ネタは扱いがムツカシイのでありました(^^)

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2007/05/23

お題「ロンバートに関する議論・・・かな」

昨日公表された議事要旨は4月9、10日分だけでしたので、先日日経新聞が報道していた展望レポート作成決定会合の内幕話らしき記事に関する話は次回のお楽しみといった所のようで。

で、今回はその4月9、10日の決定会合議事要旨から。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070410.pdf

○ロンバートに関する議論が行われた訳だが

本文8ページ(ファイルでは10ページ)目の「V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」の頭の部分で興味深い議論が。

『短期金融市場の動向について、多くの委員は、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、期末最終営業日に上昇したが、総じて0.5% 前後でしっかりとコントロールされていると述べた。(途中割愛)このほか、補完貸付の利用額が期末最終営業日に増加した点を踏まえ、複数の委員は、補完貸付制度が有効に機能したこともあって、期末を波乱無く越えることができたと述べた。』

で、その次にこんな話が。

『一方、別の複数の委員は、補完貸付制度が金融機関行動や市場機能に与える影響を吟味する必要があると述べた。こうした議論を経て、これらの何人かの委員は、今回の期末最終営業日の短期金融市場の動向は、今後、短期金融市場の機能向上や補完貸付の適用金利のあり方について検討する際に参考となるとの認識を示した。』

これをあたくしなりに解読致しますと、期末だと言ってガンガンロンバートが使われるちゅうのは、ロンバートが金利回廊設定としての機能はしているけど、市場機能という意味では金利回廊が狭くねえかという論点で「複数の委員」が話をしていたということですわな。

まあ利上げ前では足元0.25%VSロンバート0.40%でしたけど、今回は足元0.50%VSロンバート0.75%で回廊の幅は広がっているのですが、誘導目標が倍になっているのに回廊の幅は倍まで広がっていないという見方も出来る訳でして(というのも妙な理屈ではありますが、苦笑)、さてまあこの誘導目標とロンバートの金利差をどうするのという議論は次回の利上げの時に課題になるのかもしれませんな。

・・・・というような話を同じように読む人はいると思いますので、恐らく本職の人からも「次回利上げ時にロンバートの幅が拡大するのではないか」という指摘あるんじゃないかなと思います。次回の誘導目標75bpでロンバート125bpってのも微妙に座りが宜しくない気もしますんで(何たる根拠レス^^)、どっちかと言うと誘導目標が100bpになった時にロンバートの幅を拡大して150bpにする方が座りがよさそうにも思えますが。


○これは・・・・・

本文7ページ(ファイルの9ページ)から。

『多くの委員は、既往の原油価格反落の影響や携帯電話の低料金プラン導入の影響などから、3月の消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比は、2月に続き小幅のマイナスになる可能性が高いと指摘した。一人の委員は金融経済月報の「ゼロ%近傍」という表現は、こうした小幅のマイナスを含む意味であると付言した。』

4月の金融経済月報が出たときに「物価表現の非対称性」などと悪態をついた訳ですが(笑)、一応気にしている人はいたんですかそうですか。本当にカムサハムニダ。


○内閣府の方は引き続き注文多いですな

まあ今回の決定会合議事要旨ではあまり「おお!」というのは見当たらなかった訳ですが、最後の政府出席者からの発言を見ると何と申しますかねえという感じも。本文10ページ(ファイル12ページ)の真ん中あたりに『また、内閣府の出席者からは、以下の趣旨の発言があった。』から始まるくだりがあるのですけれども、この部分が長い長い。で、その2番目ではこうなっておりますです。

『先行きの経済・物価については、上振れリスクよりもむしろ世界経済の動向等がわが国経済へ与える影響や企業部門から家計部門への波及等が今後の経済動向の鍵となると考えられ、そうした観点から下振れリスクには十分留意する必要があると考えている。』

『(前半割愛)日本銀行におかれては、政府の政策取り組みや経済の展望と整合的なものとなるよう、市場の動向にも配慮しながら実効性のある金融政策運営に努め、経済活動や物価の下振れリスクを考慮して、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を維持することにより、責任を持って金融面からしっかり経済を支えて頂くことを要望する。』

いやあのそれだけ言うなら2月に議決延期請求をするという行動を示していただきたかったんですけど。というか今の金利水準がその「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境」なのかどうかの内閣府様のご意見が良く判らんのですよね。大変恐縮ですが「言うだけ番長」の香りがしますなあという感じではあります。


○これは別件ですが参議院財政金融委員会でもロンバートの話が

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/166/16605100060011a.html
上記URLでちゃんと見られるかちと怪しいのですが、その場合は
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/main.html
から見ると吉かもしれません。5月10日の参議院財政金融委員会会議録より。後半の西田実仁委員(公明党)の質疑の中盤あたりから。

(西田委員の質問から抜粋です)『特に長短金利の形成システムということについてで、まず短期金利でございますけれども、これはちょっとやや技術的な話ですけれども、短期ゼロ近傍金利は、今、日銀の金融調節に時として異常な現象が出来してきておりまして、それは突発的な巨額の日銀貸出しの実行であるというふうに思います。今年の一月二十六日に一兆二千七百億、二月十六日が一兆七百、二月二十一日が一兆八千百億、三月三十日は二兆七千八百億円と。日銀貸出しがこの今申し上げたところでも非常に突発的にまた巨額に出ているわけですね。これはなぜでしょうか。』

ということで、ロンバート貸出に関する質問があったんですけれども、稲葉理事の説明の後に西田委員からは「それはそれとしてロンバート貸出に対する金融機関の行動審査みたいなものも必要ではないか」というような趣旨の質問がありまして、福井総裁が説明を。ちと長いですけれども。

『市場関係者の行動は、できるだけ日本銀行がいわゆる口頭指導でお行儀を正すというよりは、できる限り市場の中で適切な行動を取らなければ、あるいは読みを誤ればペナルティーを受けるということが望ましいというふうに思います。ですから、本来ですと、資金繰りの予測を誤った金融機関は市場の中で非常に高い金利で最終的な帳じりを合わせるというふうなのが一番いいわけでございます。』

『しかし、そうはいいましても、私どもは政策金利を目標とする、今であれば〇・五%前後と、この金利を実現しなければいけませんので、両方の要請を満たしていくために、補完貸付制度といって市場の中で普通に取れる金利よりは少し高い金利を払わなきゃいけない。そういう意味では市場の中で罰則金利を払いながら帳じりを合わせる金融機関が時として出ると、こういう仕組みで運営しているわけであります。諸外国の中央銀行でも多かれ少なかれ似たような仕組みになっています。』

『今の補完貸付金利の水準が十分そういう両目的を達成するために適切な高さに設定されているかどうかというのは、今後また経済がより望ましい方向に行き市場の機能もより円滑に動くようになった場合に今の水準が適切かどうか、つまり目標としている政策金利に比べて補完貸付金利が幾らか高いわけですが、この高さが十分かどうか、もっと高い方がいいんじゃないかというふうなことはこれから更に検討していく課題として残っているというふうに思っています。』

ということで、まあロンバートの幅がいつまで経っても0.25%の訳は無いとは誰もが思っているでしょうが、幅拡大は案外早めに論議になってくるのかもしれませんな。ただまあこれ自体は一般論のお話でもありますし、先ほど引用した決定会合議事要旨も単に3月期末を受けた「時候の世間話」みたいな面もあると思いますので、これだけを見て「すわ、次回からロンバート拡大」と騒ぐのは早計でしょう。

#ま、足元100bpの時はロンバート150bpでしょ

ちなみに、この時の質疑で平野達男委員(民主党・新緑風会)がNHKのリーク報道問題を突っ込んでおりまして、ほうほうなるほどと思いながら読んだのですが、その話は後日。それと、今回引用した西田委員なんですが、前職は東洋経済副編集長だそうですが、質問の内容が物凄くアレでございまして、東洋経済大丈夫かと誠に憂慮の念に耐えないのでありました。まあ読んでみると凄いですよマッタクモウ。

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2007/05/10

お題「何となく利上げ警戒ですか」

いやあの昨日「こりゃどうにも動きませんなあ」という話をしたらいきなり当日にこの有様なのがドラめもんクオリティなのですけれども。

○FB入札は堅調でしたが

昨日実施されたFB入札は0.565%挟みの落札となりまして、引けは0.565%ということで、先週入札の1週間短いFBが0.56%でありますからまあ順当な結果でございましたが、一昨日の6か月FBは0.615%と前日比5糸甘。まあ一昨日の引け時点で0.61%は思いっきりオファーサイドでしたんで0.615%でも仕方無いのかもしれませんが、もうちょっと長いところを見ると、ユーロ円金先が昨日も小甘かったり、2年が1毛甘の0.86%だったりとなってまして、目先7月位までの話じゃなくて、秋口に掛けての利上げ警戒モードっぽい雰囲気を値動きは示しておりますな。

ということで、うごかねえんジャマイカなどと昨日書いた途端にこの有様という所に髪様モードを感じるのですけれども、まあ強いて後付け理屈を並べるとすれば、(1)来週出るGDPがどうも強い数字になるでしょう→前回利上げの時はGDPが最後に背中を押す格好になりました。何のかんのと言ってもGDPの数字が強いと政府部内を納得させやすいですからねえ、(2)翌日(というのは今日)福井総裁の講演があるので、何か利上げ前のめりな姿勢が出てくるんジャマイカ、(3)月曜日午後に公表された3月の決定会合議事要旨で岩田副総裁と推定される発言の中に「0.5%という水準は市場機能の面から必要」という今まであまり岩田さんが言及しなかった論点が出てますなあ、などという辺りなのでしょうか。


そうは言いましても、新発3か月FB(8月6日償還)の入札が堅調だったということは、「利上げの警戒はあるけど7月会合までの利上げはねえだろ」という事かとは存じます。あたくしのべき論は別にして(べき論で言えばコアCPIの上昇基調が明確化するまで利上げ待って何の実害があるんだとは思いますが)予想屋(は別に本業ではないが)さんとして考えても最速で8月でしょと思うので、まーこの流れはそんなもんかなと思います。

なお、3月の決定会合議事要旨ご紹介するときにスルー致しましたが、財務省からの出席者からの発言にこのような部分があったのは注意しておくべきではなかろうかと思うのですが。

『先月、政策金利の引き上げが決定されたが、その経済への影響が現れるまでには時間を要することも踏まえれば、現在の金融市場調節方針のもとで、引き続き経済を金融面から支えて頂きたいと考えている。』

ということで、先般の利上げが経済に与える影響を確認する前に次の利上げを行うとなると、内閣府だけではなく財務省からも「それはいかがなものか」砲撃が飛んで来るんじゃねえのと勝手に想像しておりまして、まあ今のようなちんたらとした物価の動きだとどう頑張っても秋口以降ということになるんじゃないですかねえというのがあたくしの勝手な予想なのでした。

ちなみに8月だとまたGDP見て利上げといわれてしまい、基本的に「単一のデータに依拠しない金融政策」というのを強調している今の流れから考えると、よほど差し迫らない限り2打席連続でのGDP直後利上げは避けてくるんじゃないのというのもこれまた予想屋さんとしてのあたくしの見解。そう考えると11月も同じ理由でパスとなりますんで、短観見た後の10月なんて所を勝手に本命にしてみますが(べき論は別よ)どうでしょうかね。

しかしまあこれで来週のGDPで強い内容が出るとちったあ祭りモードになってくれるんですかな。ワクワクテカテカ。


○レポ指標レートに関して

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0705a.htm

こちらに議事概要へのリンクがございまして、リンク先ファイルを見るとPDFファイルで議事概要が読めるのですが、議事内容は正直言って関係者以外が読んでも何が何のことやらという所と存じますので別に一読はお勧めしませんが(^^)、まあ順調に進んでいるようで何よりであります。というか思いっきり実務担当者が揃ってるから話が具体的で良いですなあと思うのですけれども。

最後のスケジュールを拝読致しますと、5月中旬くらいにパブコメ取って7月くらいから具体的に公表するって事になるようでございますな。レファレンス方式になるのはあたくしも賛成。

で、今回の案では、ちゃんと個社別のレートを開示するということですので、将来このレートの重要性が高まって来た時にポジショントーク祭りになってしまう惧れはさほど高くないとは思うので、その点もまあ宜しいんじゃないですかねえと思う次第です。トレーダブルレートを出すわけでは無いんですが、レート聞きに逝ったら全然違うレートが出るなんて事のないようにお願いしますね(はあと)。

まあ具体的な部分に関しての議論も面白いというか興味深いものがありまして、極めてテクニカルな話が延々と続いているのですが、将来的に資金取引市場がこっちに移行していく(と良いな^^)というイメージはあたくしも持っておりますので、短期市場に何となく関心のあるかたはお読みになって「なんですかわかりません><;」という部分はそこらの知ってそうな人に聞くということで^^;

#さてあたくしも聞いて回らナイト(^^)

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2007/05/09

お題「相場雑談など」

○6か月FB入札と3か月FB入札

大型連休の関係でしばしスケジュールが無かった短期国債の入札が昨日から戻って来ました。ということで昨日は6か月FBの入札がございましたが、落札結果はまあ穏当に0.61%近辺となって、引けも0.61%(はオファーのようですが)とまあそんなもんかなって結果になりました。穏当は穏当。

今回の6か月FBは11月12日償還でして、まあ目の子になりますけれども、手前からGCレートを何となく積み上げて行ってどこで利上げなのと考えると9月とか10月あたりの利上げを織り込んでいる(期末要因とかそもそものベースGCレート幾らで置くかとか目の子な部分が多いですのであくまでも適当ね)という所でしょうか。先月発行された10月10日償還の6か月(今は5か月ものですが)FBの利回りが0.580%などとなっておりまして、この1か月の金利に階段が出来ているという点を注目すると10月利上げ警戒とかになるんですが、そもそも前月の6か月FB入札が踏み踏み入札で、銘柄の需給が全然違うから必ずしも10月一点張りの利上げ警戒では無いと思います。

まー4月期初のスーパー金余りモードからちょっと冷静になっているという事でしょうかな。運用資金が余っているのは相変わらずのようなんですけどね。


で、本日は3か月FBの入札がありまして、今回から8月償還物になるのですが、どう見ても7月会合まで(8月頭の償還なので)の利上げ警戒は無いに等しい(警戒すべしというストラテジスト様もいますが、価格形成的には無警戒もいいとこ)というところですので、まあ運用する方としてもこっちの方が買いやすかろうというのはあると思います。よって昨日の6か月よりもこっちが本命でしょうな。レート的にもまあ既発債の7月後半償還ものの引けが0.56%でベターっと並んでいますので、入札は0.56%台で決着(0.57%まで流れれば目出度いが)すればするんでしょうなあという感じですか。

まあ3か月0.565%くらいだと勝手に想像して、そこから6か月が0.61%ってどうよって考えると、8月スタートの3か月が(例によってチョー乱暴な目の子計算ですので念の為)0.655%とかになるんですか。利上げ時期の置き方によりけりですけど、まあこんなもんちゃあこんなもんですけど、リスクプレミアム自体はもうちょっと欲しいかなって気もしないでもない。と申しますのはですな、一応理屈の上からは「手前3か月で抜けているのだから後半でここまでやられても無問題」という発想は成立するのですけれども、やはりそのやられ部分というのはやられ部分として厳然と存在しますので、そのやられがちょっと目立つ形になる(利上げ後の0.61%だとコールから14bp、GCから20bp程度逆鞘になる)のもあまりうまくない話だという訳でして。

という訳で、前月の踏み踏み入札(先月の頭は妙に6か月ゾーンの債券が買われておりましたな)で品薄になっているFB441に変りましてカレントがFB447になってくれましたので、まあ何となく短期国債市場が秋口の利上げを警戒しているというのが形に出てきた感じな昨日の入札ではございました。


○えーっとこんなレートで良いの??

昨日は6月4日の税揚げにぶつける形での国債売現先オペも実施されておりました。4000億円で5月9日スタートでエンドが6月4日なのですが、このレートが何と平均0.555%(足切り0.56%)なんですが、これってこんなもんで良いのでしょうか?うーむ。応札刻みが0.01%なのですから0.55%で札を入れた人が2000億円分はあるという計算になるのですけれども、積み期間が変ると何となくレートが強含みという最近のお約束のような展開が今月も発生するとそれは途中から負けそうな気もするんですが・・・・・

まあ先月の新しい積み期間から準備預金見込み額の公表が前倒しになって下さったのが影響して、朝一から妙に資金を取り上がる人が減ってくれて、結果としてコールが上りにくくなってGCなどのレートも上りにくい雰囲気にはなっておりますので、0.55%ですかそうですかというところなのかもしれませんし、このオペレートがホンモノになるのかちょっとこの先の動きに注目しておきたいと思います。


○まあしかし運用圧力は強い訳で

などと極めて細かい話を注目するとか申しておりますが、何せ展望レポートも出ちゃいましたし、コアCPIは▲0.3%だしと言うことで、3か月くらいのスパンのチョー短い所では注目するような話もないというのが実際のところなのであります(苦笑)。相変わらずCPレートも低位安定してて、おまけに発行体によるスプレッドも絶賛縮小し、短期国債とのスプレッドも低水準で安定と来た日には「やあ皆さん運用圧力大変ですね」ってなもんでございます。おまけに昨日なんぞは5年ゾーン1.5毛甘とかやっている中で1年ゾーンあたりの2年債の引けが強くなっているような次第で、またこのゾーン買い来てるのかよと行った所でああ運用圧力運用圧力。

まあね、こうなって来ますと次に相場が動いてくれそうなネタは何でしょかという与太話に花が咲くのでありますが、結局出た結論は「えーっと、来週GDPが出て決定会合もあるけど、GDPで強い数字が出て決定会合でいつもの公式見解がでたところで、ガイジン様あたりが『早期利上げ!』と勘違いしてビックリ売りでもしてくれますかなあ」と行った甚だ何も考えない他力本願(←という使い方は誤用ですので念の為)丸出しの話くらいしか出てこないのでありました(爆)。

細かい話をすれば、6月に向けて需給的にちょっとタイトになりやすくなる(超短い所の話ね)というのはございますので、その辺くらいなんでしょうけれども、特に方向性が出そうな感じでもないかなあって所です。


#と、延々と話をして結論が「動きませんなあ」で恐縮至極

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2007/05/08

お題「3月の決定会合議事要旨」

相場的には特にインパクトありませんでしたが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070320.pdf

○岩田副総裁の現状維持賛成に関して

本文8ページ(ファイルでは10ページ)に岩田副総裁と推定される人の現状維持賛成に関する見解がございます(PDFをテキスト引用してるので機種依存文字があります)。

『この間、一人の委員は、前回の利上げについては、4月の展望レポートで十分な経済・物価情勢の説明を行うまで待つ余裕はあったと思うが、@一旦決めた政策の方向性を細かく変更することは市場に無用な混乱を与える惧れがあること、A 0.5% 程度の金利水準は市場機能の維持・強化の観点からも必要と考えられることから、現在の金融市場調節方針を維持することが適当であると述べた。』

ということでして、まあこのあたりを読みますと、岩田副総裁が2月に利上げに反対した理由は「まあそんなに急がなくてもよいんじゃないでしょうか」というタイミングの問題であって、景気の先行きに関して強い懸念があって利上げに反対するという訳では無かったということなのかと推察されるのであります。もし景気の先行きに強い懸念(というか先行き悲観と言うか)があるのなら利下げ提案するでしょうから。。。。

念の為再掲しますが、3月8日に岩田副総裁が講演を行った時の記者会見(講演内容は日銀執行部としてのモノでして、政策委員としての岩田さんの見解は記者会見で示されておりました)で、2月の決定会合での利上げに反対した理由について以下のように答えています。同日の会見要旨から。

『今ご質問で実体経済について触れておられましたが、賃金あるいは個人消費の弱めの動きは──2006 年12 月の金融政策決定会合後の記者会見でも総裁が触れたと思いますが──、現在、必ずしも払拭されていない、そしてIT部門を中心に生産面で軽度の調整が起こる可能性もあるという状況のもとで、物価上昇率の先行きに不透明性が強いということが、私が反対した半分の理由です。』

『もう半分の理由は、私どもは現時点では2007 年度までしか成長率や物価の見通しを出していませんが、中長期の意味での物価安定が重要だということを考える場合、やはりそうした点も含めて展望レポートなどで丁寧に説明してからでも遅くはないのではないかという点から反対票を投じました。』

ということで、不透明なのは物価であって景気先行きに関して特に悲観しているとかいう訳ではない(楽観はしてないと思うけど)という所なのでしょう。まあ元々岩田副総裁は量的緩和時代には景気に関しては強気に見る傾向のある人でしたし。


で、この2番目の理由、『0.5% 程度の金利水準は市場機能の維持・強化の観点からも必要と考えられる』とはこれはこれは。市場機能云々といえば福間前審議委員(この会合の時はまだ審議委員でした)の得意のネタ(とか言ったら失礼ですね^^)でございましたが、岩田副総裁が市場機能維持強化の論点を出すとは少々意外というか新鮮というか。あまりその方面からの話に関する印象が薄かったもんで。

ちなみに、この部分をとりあげてブルームバーグニュースがややセンセーショナルっぽくヘッドラインを打っていましたが、惜しくも(??)市場は反応しておりませんでした(^^)。

まあ余程景気が失速してこない限り残念ながら次に利下げがあるという選択肢は無さそうですな、というかそんな経済状況になられたら困りますが(苦笑)。


○利上げ後の短期市場の動向

岩田副総裁(と推定される人)の見解の続き部分から。

『2月の利上げ後の短期金融市場の動向について、多くの委員は、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、月末にかけて一時上昇する場面もあったが、0.5% 前後にしっかりとコントロールされていると述べた。また、これらの委員は、ターム物金利も横ばい圏内で推移しており、2月の利上げは、市場の金利観に大きな変化を与えずに、順調に消化されたとの認識を示した。』

というかターム物金利が横ばい圏内なのは12月以来延々と利上げするのしないのとやっていた上に、次回の利上げはど〜せ早くて(2月利上げ時点での市場の一般的な予想としては)選挙シーズン以降だから早くて8月9月でまあ10−12月期じゃないでしょうかという解釈だから金利がぶれなかったという事かと。ま、そーゆー意味では「市場の金利観に大きな変化を与えずに、順調に消化された」ともいえるのですが。

コールレートが2月末に上昇してどこぞのストラテジストが「日銀の金融調節がヘボだから円キャリーの巻き戻しが起きた」という意味不明の言説を公表して市場の失笑を買っていましたなあ何て事を思い出すのですが(笑)、まあ決定会合時点では余裕余裕と言った所なんでしょう。テクニカル的には相変わらず積み前半に金利が高止まりして積み後半のある時点から金利が急に下がるという(コールの加重平均ベースだとあまり動いてないんですけど、レポとか現先のレートあるいは雰囲気ベースだと相変わらずその傾向は継続してますな。ややマイルドになってきた感じですが)傾向はまだございますけど、まーそのテクニカルな話まではケンチャナヨということでしょうか。


○市場との対話について

で、その続き。

『市場との対話について、多くの委員は、合議制による意思決定のもとで日本銀行が発信すべき情報は、経済・物価情勢に関する判断や金融政策運営に関する基本的な考え方であり、この点に関する市場の理解をより十分に浸透させる努力が必要であると述べた。』

『また、多くの委員は、「新たな金融政策運営の枠組み」に基づきフォワード・ルッキングな政策運営を行っていくことについて、適切な情報発信に努めていくことが重要であり、そうした観点からも、2008年度までを見通し期間とする4月の展望レポートにおいて、経済・物価情勢の見通しとリスク評価、それを踏まえた政策運営の基本的な考え方をしっかりと整理し、分かりやすく示していくことが重要であるとの認識を示した。一人の委員は、その際、「中長期的な物価安定の理解」について金融政策運営との関係を改めてよく説明する必要があると付け加えた。』

という事を議論しておりまして、その点を受けて今般の展望レポートならびにその後の総裁会見などで説明されているのですが、相変わらず何と申しますかこうワケワカランのですよね。この前も書いたと思うのですが、そもそも「中長期的な物価安定の理解」で示される消費者物価がヘッドライン(総合)の物価指数であり、展望レポートで示される審議委員の物価見通しの数字がコア(除く生鮮食品)の物価指数という時点で話がややこしくて敵わんのですが。

結局「何か特定の経済指標に一点張りしてる訳ではない」といいたいのでしょうけれども、どうもその辺りを変に説明しようとするから話がややこしくなると思うんですけれども。


○あとはややおまけですが・・・・生産について

まあどうでも良いのですが(^^)、本文6ページ目。

『生産について、委員は、昨年10〜 12月期の大幅増加の反動から足もと小幅の減産となっているが、均してみれば増加基調にあり、先行きも、内外需要の増加を背景に、増加基調をたどる可能性が高いとの認識で一致した。』

なるほど、これが3月の金融経済月報(基本的見解)で『生産も増加を続けている』→『生産も増加基調にある』となった背景でございますかそうですか。


○おまけ2・・・消費者物価について

『多くの委員は、既往の原油価格反落の影響や携帯電話の低料金プラン導入の影響などから、2月の消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比は、小幅のマイナスになる可能性があると指摘した。複数の委員は、3月以降についても暫くは同様の状況となる可能性があるとの見方を示した。』

『もっとも、物価を巡る基本的な環境について、多くの委員は、設備や労働といった資源の稼働状況の高まりを踏まえると、今後とも潜在成長率を上回る成長が続くのであれば、消費者物価への上昇圧力が高まっていくと考えられると述べた。一人の委員は、マクロ的な需給ギャップの改善と消費者物価の上昇との関係が近年変化している可能性があるほか、サービス価格は非製造業の賃金の影響を受けやすいことにも留意すべきであると指摘した。』

この潜在成長率ってのも推計の世界なんで、本当に消費者物価への上昇圧力が高まっていくのかっちゅう話はありますけれども、まーこの部分に関してはいつもどおりのお話になっておりますな。展望レポートで示された通りです。

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2007/05/02

お題「総裁記者会見、それほどタカでもなさそうな」

報道段階では「CPIマイナスでも利上げ」というヘッドラインが踊っていた為にホーキッシュな印象を受けましたけど、会見要旨を見ると地均し的なニュアンスはあまり受けませんでした。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0705a.pdf

○CPIマイナスでも利上げ云々について

本文4ページ、5ページのあたりです。「経済・物価情勢の改善」という点についての突っ込みに対する答から。

『経済と物価を分解して別々の部品のように判断するのではなく――経済と物価は有機的につながっていますので――、経済が想定通り拡大する中で経済全体の循環メカニズムがどうか、最終的に経済が物価にどのようなメカニズムで変化を及ぼしつつあるかということを、全体として判断して改善ペースを確認した上で金利の調整を行うという意味です。物価がマイナスでも景気が良ければ行うのかという質問に対しては、答えられません。ダイナミックな姿をきちんと認定しなければわからないということだと思います。』

ということで、再度念押しの質問。

『(問)物価がマイナスの状態でも金利水準の調整を行う可能性はあると解釈してよろしいのでしょうか。』

『(答)物価が短期的にどのような動きをするのかということを無視し得ませんが、金融政策運営上大事なことは、やや長い目でみて物価の基調的な動きがどうかという点を判断することだと思います。従って、目先物価の動きが弱いとか、あるいは場合によって前年比マイナスという状況がみられることがあったとしても、経済の拡大メカニズムがしっかりしており、長い目でみて物価の基調もしっかりとしている場合、先程申し上げたような経済・物価の好ましい方向への変化のペースが十分確認できるのであれば、それに則して金利の調整を行っていかなければ、かえって資源配分等で後々好ましくない結果、ひいては安定的な景気の拡大ではなく、波を打った景気の変化に結びついてしまう惧れがあると考えています。』

ということで、確かにこれを見ると「げげえ〜」という感もあるのですけれども、普段から想定問答集の範囲内の答えを見慣れておりますと、「はあはあそうですか」という感じでございまして(^^)、特にこう前のめりになって想定問答から一歩踏み込んだ発言をしているという印象です。

まあ昨日ご紹介したように、展望レポートの(上振れ・下振れ要因)部分で物価上昇率の先行きに関して『上振れ・下振れ両方向の不確実性があることに留意する必要がある。』と言及してますんで、下振れ要因として挙げている中で経済に対するネガティブ要因となりそうな賃金動向に対する日銀の今後の見立てには注意しておく必要はあるでしょうな。

ということで、あたくしの勝手な印象&解釈ではありますが、この物価マイナスでも利上げの可能性云々は、「早期利上げするぞコノヤロー」の地均しではなくて、「まあそうは申しましても絶対に利上げしないという訳でも無くてですなあ」という可能性を否定するのを避けましたってあたりが妥当ジャマイカと存じます。


とは申しましても、例によって例の如く、きっちりと予防線というか伏線(またの名を罠^^)を張っているのが日銀クオリティでございまして(^^)、昨日もご紹介しましたが、展望レポートの最後の部分で「物価安定の理解」の点検をしていましたが、そこにはこのような記述が。以下本年4月の展望レポートより引用。

『「中長期的な物価安定の理解」の検討に当たっては、(1)消費者物価指数の計測誤差(バイアス)、(2)物価下落と景気悪化の悪循環のリスクに備えた「のりしろ」、(3)物価が安定していると家計や企業が考える物価上昇率、を考慮した。』

『この点、バイアスは、昨年の基準改定を踏まえても、引き続き、大きくないと判断される。』

『「のりしろ」に関しては、企業部門の体力や金融システムの頑健性が高まっていることから、物価下落と景気悪化の悪循環が生じるリスクはさらに小さくなっていると考えられる。』

『また、物価上昇率の変動が小さい中で、物価が安定していると家計や企業が考える物価上昇率には、大きな変化はないとみられる。』

一瞬読んだ時に「はて?」と思いましたが、念の為昨日は知人友人とこれはどう解釈するんだとお話をした結果の解釈は・・・・

(1)CPIの上方バイアスは大きくないのでゼロ近傍でも好々
(2)デフレスパイラル再突入に対するバッファーは企業部門や金融システムが健全化し、強化されているので少なくても好々
(3)企業や家計は引き続き物価があまり上昇しないことを物価安定と理解しているので、そんなに物価が上らなくても好々

となりましたがどうでしょうかね。まあそうやって物価が上らない状況でも無問題ですって理論は撒かれているのでありました(^^)。


○「経済・物価情勢の変化に応じて」→「改善の度合いに応じたペースで」

昨日ここを引用しませんでしたが、展望レポートで微妙に表現を変化させているのでありました。先ほど引用した質問の前半部分です。

『(問) 展望レポートについてお伺いします。金融政策の部分で、これまでは「経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行う」となっていましたが、今回は「経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで」と変更されています。表現を変更した理由をお聞かせ下さい。』

『(答) 「経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペース」というのは、特に新しい意味を持っていません。これまでもしばしば申し上げてきたように、金利の調整について事前に一定のスケジュール感を持ち、そのスケジュール感に則って一定のペースで金利の調整をしていくということではありません。フォワード・ルッキングに判断して金融政策を行っていくといっても、足許までに出てくる全ての情報をつぶさに分析し、先々の経済・物価の姿を抽出しながら、その変化に則して金利政策を行っていくと申し上げてきました。このことを短い文章でもう一度表現しておきたいということです。』(この後半部分は先ほど引用した部分です)

ということで「特に新しい意味を持っていない」と言ってますが、公表文書の表現が変るというのに意味が無い訳は無いのでして、確かに総裁の発言にあるように現状のスタンスを表現したものかも知れませんが、それは裏を返せば昨年4月の展望レポートを出した時点ではゼロ金利解除からその先の利上げをある程度スケジュール感を持って展望していたってことだったんジャマイカと思うのであります。これまたあたくしの勝手読みではありますけど(^^)。


○えーっと結局わかりません><;

最後の質疑応答から。

『(問)「中長期的な物価安定の理解」についてお伺いします。導入されて1年経ちましたが、金融政策の運営の関係について、市場においてもわかりにくい部分があると言われています。これまでは、あくまでも念頭に置くものでこの数字が政策を縛るものではないとおっしゃってきましたが、今回の展望レポートでは、「物価安定の理解に沿って」という表現がかなり重要な位置付けとして語られていると思います。「中長期的な物価安定の理解」と金融政策の運営の関係について改めてお伺いします。』

これまた鋭い質問ですな。で、その答え。

『(答)大変重要な点であります。いわゆるインフレーション・ターゲティングではない「中長期的な物価安定の理解」という新しい概念でありますから、それをどのように金融政策運営上意識しているかということは、できる限り詳しく説明していく必要があると思っています。ほぼ1年経過したところで点検しましたが、金融政策運営上、私どもがこれをどのように位置付けているのかということについても、従来よりわかりやすく説明したいという気持ちをもって今回の点検作業をしました。』

から始まって物凄い勢いで長い説明(1ページ半くらい^^)が続くのでございますが、あたくしこれ読んでおりまして結局なにがどういう話なのかどうも判りかねる次第でございまして、誰かこの部分をあたくしに判るように説明していただけると誠にありがたく存じます(><;

そもそもですな、中長期的な物価安定の理解で言われている消費者物価指数ってヘッドライン(=総合)の物価指数だという話だったのに、展望レポートで示される政策委員の見通し数値で出てくる消費者物価指数がコア(=除く生鮮食品)の物価指数という時点でもうかなりお手上げなんですよあたしゃ。

中長期的な物価安定の理解と目先の見通しに関しては考えている時間軸が違うというので、別のモノが出てくるということなんでしょうけれども、このあたりが実に曖昧模糊としているのが何ともという感じなのでございます。

何だかんだと引用長くなりまして恐縮至極。

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2007/05/01

お題「展望レポートは前回よりも弱めになったように見えます」

結論を先に言えば、内容的には弱くなった印象です。その中で利上げのポーズを見せるのはちと無理あるんじゃネーノという感は致します。

総裁記者会見で「物価マイナスでの利上げの可能性」って威勢の良い話が出ていると報じられてますが、まあそちらに関してましては本日出るであろう会見要旨をじっくりと読んでから改めて申し上げますが、展望レポートが弱いのをそこでバランス取りに行くのは無理筋の香りが。。。。

ということで、本日は展望レポート4月号(の基本的見解)を前回10月号と比較して読んでみるの巻でございます。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0704.htm(今回4月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0610.htm(昨年10月)

○で、まず結論

先ほどもちょっと申し上げましたが、全体的な結論を先に申し上げると、内容的には弱くなった印象で、利上げに関するロジックがより「バブル警戒」にシフトした為に論理展開に無理っぽいものを感じるという所です。ただまあバブル警戒にシフトした分だけ物価水準が低めでも利上げする理屈(あたくしには屁理屈に思えますがまあそこは措く)が通せるといえば通せるので、その点からの利上げ警戒を残させるって事にしてバランスを取ったのでしょうか。(よって総裁会見での物価マイナスでも利上げの可能性言及もその一環でしょ)

先行き見通しが強いので先行き順調に推移すれば利上げって理屈じゃないところが、まあ現実的といえば現実的ですけれども、ちょっと目先の利上げはやりにくい感じですなあ。


○経済見通しに関して

まずは冒頭部分ですが、

『好調な企業部門に比べると、家計部門の改善テンポがやや緩慢であるが』(今回)
『企業部門は幾分強め、家計部門は幾分弱めとなっているが』(前回)

とありますように、家計部門の改善が弱いという事をより強調しています。まあ確かにその通りでございますけど、冒頭にこれがありますので、まあトーンダウンですなあという感じを受けましたです。で、先行きですが、成長率の部分にちょっとふ〜んです。

『成長率の水準は、2007年度、2008年度とも、潜在成長率を幾分上回る2%程度で推移する可能性が高い。』(今回)
『成長率の水準は、2006年度は2%台半ば、2007年度は2%程度と、潜在成長率近傍に向けて徐々に減速する可能性が高い。』(前回)

でね、前回と今回比較すると、今回の2008年度の実質GDPの大勢見通しが+2.0〜+2.3(中心+2.1)%でして、前回の2007年度は+1.9〜+2.4(中心+2.1)%ですので、多分これは同じ数字と見てよいはずなのですが、前回は「潜在成長率近傍」で、今回は「潜在成長率を幾分上回る」ですな。前回の場合は「上ったあと巡航速度に下がる」という予想になっており、今回は2007年度の見通しが下方修正されていて「巡航速度のまま推移」という形になっているので、表現を工夫していると言えばそうなのかもしれませんが、前回の伝で言えば「潜在成長率近傍で推移する可能性が高い」となるんじゃないのかなあ。。。


企業部門から家計部門への所得移転と個人消費に関して。

『第3に、好調な企業部門から家計部門への波及が、緩やかながら着実に進んでいくとみられる。グローバルな競争や資本市場からの規律の高まりを意識した企業の人件費抑制姿勢は続くとみられるが、雇用者数の増加が続く中で、労働市場の需給がさらに引き締まっていけば、賃金の上昇圧力は徐々に高まっていくと想定される。』(今回)

『第3に、雇用者所得や配当の増加などを通じて、好調な企業部門から家計部門への波及が進んでいくとみられる。雇用者数は着実な増加を続けるとみられる。賃金の上昇は、これまでのところ、企業の根強い人件費抑制姿勢などから緩やかであるが、労働市場の需給が着実に引き締まってきていることを踏まえると、いずれは上昇が明確になる可能性が高い。』(前回)

「進んでいくと見られる」→「着実に進んでいくと見られる」というのと「(賃金の)上昇が明確になる可能性が高い」→「上昇圧力は徐々に高まっていくと想定される」ということで、先行き見通しが随分と穏やかになったという印象を受けます。結果として個人消費に関しては・・・

『個人消費は緩やかな増加基調を辿る可能性が高い。』(今回)
『個人消費は、着実な増加を続けるとみられる。』(前回)

どう見てもトーンダウンです。本当にありがとうございました。


○物価見通し

まあこれは見ての通りですが一応メモメモ。

『先行きは、原油価格の動向にもよるが、前年比でみて目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大するとみられる。その結果、2007年度はごく小幅のプラス、2008年度は0%台半ばの伸び率となると予想される。』(今回)

前回とは比較致しませんです。


○上振れ・下振れ要因に関して(その1)

引用してると終わらなくなりそうな予感がしてきたので、ここの部分はちょっと引用しませんけど、読んでてふーんと思った点を。

説明している分量ですが、米国経済に関する言及が前回比増えております。また、米国のインフレに関しては前回の「インフレ予想が高まる可能性」が「インフレ圧力が減衰しない可能性」に変化してまして、米国のインフレに関してはよりリスクを強調してるんじゃないのかという希ガス(これは勘違いかも知れないので本編を読んだ方が良さそうですけど)。

それから前回はさらっと触れていたIT関連財の在庫調整に関連する部分が要因の一つとして昇格(?)しているのが注目されるところであります。説明もやや詳しくなっておりますね。


○上振れ・下振れ要因に関して:金融面をより強調してバブル警戒にシフト(か?)

まあ誰が読んでもここは気が付くと思いますが(^^)。

『第3に、金融環境などに関する楽観的な想定に基づく、金融・経済活動の振幅の拡大である。』(今回)
『第2に、企業の投資行動の一段の積極化である。』(前回)

ということで、今回はより金融面への注目を強くしていますわな。

『企業や金融機関などの財務面での改善が進む中、実質金利が極めて低い水準にあることから、金融・経済活動が積極化しやすい環境にある。』(今回)

この部分に対応する前回の言及はこの先で引用する中にある『極めて緩和的な金融環境のもとで』という部分かと思います。

『また、大都市で地価の上昇傾向が明確化してきているなど、資産価格の動きも、そうした行動を活発化させる方向に作用すると考えられる。』(今回)
『また、大都市を中心に地価の上昇地点が広範化してきていることなど、資産価格の動きも、民間需要を押し上げる方向に作用することが考えられる。』(前回)

ということで、金融環境、地価動向に関しては前回よりも表現を結構強めにしておりますわな。

『こうした中で、仮に、期待成長率や資金調達コスト、為替相場や資産価格の見通しなど、先行きの採算に関する楽観的な想定に基づいて金融・経済活動が積極化する場合には、金融資本市場において行き過ぎたポジションが構築されたり、非効率な経済活動に資金やその他の資源が使われ、長い目でみた資源配分に歪みが生じるおそれがある。』

『このような行動は、短期的には景気や資産価格を押し上げることがあっても、その後の調整を余儀なくされ、息の長い成長を阻害する可能性がある。』(ここまで今回)

『もっとも、極めて緩和的な金融環境のもとで、企業が、期待成長率や資金調達コスト・為替相場見通しなど、採算に関する楽観的な想定に基づいて投資を一段と積極化する場合には、成長率が一時的に大きく上振れる反面、その後は資本ストックの過剰な積み上がりの反動が生じ、調整を余儀なくされる可能性がある。』(前回)

ということで、今回に関しては思いっきりバブル警戒シフトになっているように見えますな。まあ正直ここくらいしか前回対比で表現が強めになっている部分(細々とした所ではもうちょっとありますが)は見当たらないという感じです。ここを強めにしたのはそれこそ「金利当分据え置きでワッショイワッショイ」とならないように釘をさしたという風に解釈したんですけどどうでしょうかねえ。


○物価上昇率の先行き部分

当たり前ですが、ここはトーンダウンです。

『次に、物価上昇率の先行きについても、上振れ・下振れ両方向の不確実性があることに留意する必要がある。』(今回)
『次に、物価上昇率の先行きについても、上振れ・下振れ両方向の要因に留意する必要がある。』(前回)

要因が不確実性に化けておりますな。

『景気拡大が続く中にあっても、賃金の上昇テンポが生産性との対比で高まっていかないような場合には、物価への下押し圧力が根強く残ることが考えられる。』(今回)

『景気拡大の長期化にもかかわらず、生産性の上昇が継続し、賃金の上昇が遅れる場合には、物価が上昇しにくい状態が続くことも考えられる。』(前回)

賃金の上昇が遅れるが高まっていかないに化けた結果、物価に関しては上昇しにくいが下押し圧力に化けたのでありました(^^)。

それから前回は『第3に、潜在成長率の影響である。』ということで、潜在成長率の上昇が物価の押し上げ要因になるという部分がごっそり抜けております。まあ全体的にトーンダウンもいいところ。


○金融政策に関して

基本的には上記の「上振れ・下振れ要因」で引用した部分を踏まえていますので、前回との比較結果も同じようになります。よって引用は一箇所「ほほう」と思った部分だけ。

『ただし、企業部門の体力や金融システムの頑健性が高まっていることから、物価下落と景気悪化の悪循環が生じるリスクはさらに小さくなっていると考えられる。』(今回)

『ただし、金融システムの安定が回復し、設備、雇用、債務の過剰が解消されてきていることから、それが物価下落と景気悪化の悪循環に転化するリスクは小さいと考えられる。』(前回)

ここに関しては表現を強くしていまして、デフレスパイラルへ再突入のリスクをより小さく見ているという所は「こりゃ表現強くしてますな」って感じです。まあ好景気が続いているってのならそうなんでしょうけど。


○「中長期的な物価安定の理解」の点検、政策委員の見通し

という箱が出てまして、ここの点検を実施してるんですが、CPIの計測誤差とCPIの糊代に関してどっちも小さいですかそうですかというのは何となく把握しましたが、イマイチあたくし腑に落ちない点がありますので総裁会見などを見てから再度お話するかもしれません。

で、政策委員の見通しなんですけど、大勢見通しではなくて最後の表にあります全員の見通しの中で、コアCPIの見通しの下限数値が▲0.1%になっていた訳でして、えーっとこれは岩田副総裁でございますな(^^)。

まあその他気が付いた事が有りましたら明日。

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2007/04/27

○ところで今日の展望レポート大予想

まあ短期国債とかCPとか社債とかのちょっと長めのターム物金利を見てると、市場参加者が警戒する利上げ時期は、「8月以降のどこか」という感じでして、8月のリスク(先日の日経金融新聞でも指摘されていた2QGDP結果次第での利上げ)も意識しながらもまだ本命にするほどではなく、秋口(10月)以降に関しては警戒感高まるという感じだと思います。10月だと短観、11月だと3QGDPと行った所ですか。

#GDP見ての利上げという形を2回連続を避けると考えたら10月かもね

という状況の下で展望レポートが出るのですが、直近のコアCPIがマイナス(今日また出ますけど)の状況下でそんなに気合の入った利上げ前のめりレポートは出ないと思うんですよね。とりあえず余計な軋轢は回避しつつ、コアCPIの反転上昇と各種経済指標の好転を待つという格好じゃないのかなあというのがあたくしのドタ勘。

ただし、そーゆー姿勢を見せると今度は「当分利上げ無しでワッショイワッショイ」と市場が過剰反応するリスクもありますので、本石町日記さんの表現を勝手にお借り致しますと、「今のところ、景気は良くなり、物価も上がると思っている。いずれ利上げできると思うが、でも先のことは良く分からん。利上げできる経済情勢になればそうしようと思うが、今はなんとも言えないなあ」ってことになると思うんですよね。

そんなことをつらつら考えますと、今回の展望レポートはそうむやみやたらと強気を打ち出すわけにも行かず、とは言え先行き経済情勢が好転したら利上げをするという姿勢は堅持ってなりますから、バランスをある程度取ってくるんじゃないかと勝手に予想してみます。例えば審議委員が出す物価やGDP見通しの数値を強めに出してくるなら本文の表現は穏当に、本文強めなら見通し数値は穏当にって所でしょうか。整合性という意味では本文の表現を抑え目にしながらも先行きの見通し数値は強めにしておくもんなのかなあと思いますが。

なお、これはすべてあたくしの勝手な妄想ですので念の為。

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2007/04/26

モーサテでサブプライムの事例紹介をしてまして、その事例に驚倒。なんと「月収50万円の人間が9000万円の家を購入、しかも月の返済70万円」なんてお話でして、ローン出す方もそうだが、買う方の頭の中身はどうなっているのか理解致しかねますな。まあ極端な事例だとは思いたいのですが、どう見てもスポンジ脳です。本当にありがとうございました。

○さすがにそれはどうかと思うぞ

展望レポートとCPIが出るまではまあ取っ掛かりのネタも乏しいのでつらつらと色んなレポートとか見ておった訳ですが、早期利上げを警戒すべしって主張する人のレポート見てたら早期利上げを警戒すべき根拠の一つとして「夏場以降個人消費が落ち込む可能性が高く、利上げをするなら6月あたりまでにやっておかないと」というのがありました。

・・・・いやあのさすがの日銀と言いましても、個人消費のような景気にモロに響く部分で先行き悪化を見てたら利上げをする訳ないでしょうと思うのですけれども。「エコノミスト氏は先行きの個人消費低迷を読むけど、日銀はそれを見ていないので楽観して利上げをするかも」っていうのならまだしも。。。

というと、この前CPIが先行きマイナスもって議論しながら利上げした(2月の会合要旨参照)のではという話がありますが、物価の場合はまあ景気は良いのだけど物価に関しては特殊要因で先行きちょっと低迷するからって理屈を持ち出す(実際問題としてはその要因で物価が上ってる時は特殊要因扱いしてないので反則の感は否めませんけど、とりあえずそれは措く)のはあるやも知らんけど、景気の先行きに悪化要因があると思ってるのに利上げするのは流石に無いでしょうよ。

物価は上りにくいけど、生産や投資、消費などが絶好調で景気はウハウハだから利上げできるという見通しで早期利上げを警戒するなら話が通るのですけれども、「先行き悪化するかもしれないからその前に駆け込み利上げ」ってのは倒錯した議論もいいところですわな。だいたいからしてフォワードルッキングって言ってるんだからねえ。

・・・・とここまで書いてふとネットを見に逝くと、本石町日記さんが既にこのお話をしておりまして、あたくしはただの二番煎じ(しかも論点は本石町さんが尽くしているのであたくしはただの出がらし)であることが判明して誠に残念至極でございます(超大汗)。
http://hongokucho.exblog.jp/6778925/

>これは、同じ「想定問答」であっても、いつも聞いている
>場合と、たまに聞く場合とでは、受ける印象が異なること
>を意味しているのかもしれない。同じ言葉でも解釈が
>異なり、同じ想定問答でも、聞く頻度によって印象が
>異なる。市場との対話は、それほど難しい。
(上記エントリーより)

確かにそうですね。どうも海外投資家が時に金融政策絡みで国内的に見ると「????」という反応やらかして突如債券先物を叩いてみたりユーロ円金先を叩いてみたり(というかスワップとかやってるんでしょうけど)するのは、『「想定問答」をいつも聞いている』かどうかという所にあるのかも知れませんなあと思うのでした。

以前は海外発の金融政策関連の思惑が国内投資家も巻き込んで大騒ぎという事例が多うございましたが、最近は「実はこいつらピント外れな思い込みで動いてる曲がり家ジャマイカ」(2月の決定会合当日の前夜からの動きは圧巻でしたな^^)という認識が国内投資家の間で共有されているようでありまして誠に結構なことでございます(^^)。

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2007/04/24

○まあ全否定はしませんけど・・・・

日経金融新聞ネタですけど、20日の日経金融新聞「ポジション」欄のお題は『8月利上げ説は本当か』となってまして、今年の8月の決定会合が8月22日、23日の両日に設定されていることが8月利上げ説の発端だというお話です。例年8月はお盆前に決定会合があるのですが、今回後に寄せたのは4−6月のGDPが出た後に検討する時間的余裕を置いて、GDPが良かったら利上げするのではって話のようですね。

2月の利上げの時には結果からみるとGDPが決断の最後の後押しをしたようになっていますから、そーゆー意味ではGDP見て利上げクルーと思うのも有力な考えでありまして、そこに8月会合の後寄せが加われば「日銀は8月利上げを狙ってる」という思惑がやってくるのもむべなるかな。

・・・・それはそうなのですけど、そもそも利上げが暫く無いでしょって見通しの基礎にはコアCPIが秋口まで低空飛行を続けるってのがあった筈でして、そっちの状況が変るなら別ですけど、さすがに次の利上げは無理してこないと思うんですがね。まあコアCPIの上向き傾向をきっちり確認できる秋口以降(くらいにはそうなっていると良いのですけどね)で十分だと思うのですけど。で、最初の利上げを引っ張る代わりにその後のペースは淡々とメジャードペースって方が吉に思えるのですが。

と、予想なんだか願望なんだかよく判らん話になってますが(汗)、まあさすがにコアCPIがゼロだのマイナスだので利上げするのは割と空気を読むのが得意な福井総裁はやらかさんと思うので、やっぱベースとしてCPIが一番重要じゃないかと思うんですけどね。

あともうひとつのツッコミとして、日銀(というか福井総裁)は「単一のデータに依拠した金融政策は実施しない」と常日頃言ってますわな。となりますと、2月にど〜見てもGDPの結果が背中を押した利上げってのをやった後、また今度の利上げもGDPが後押ししたって形になっちゃいますと、市場的には「GDPが金融政策判断上極めて重要なファクターで後はカス」ってえ思惑を招きかねない訳でして、それは避けてくるのではないかという風にも思えるのですけど・・・・いかがでしょうか?って裏読みにも程がありますですかそうですか(^^)。

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2007/04/23

お題「4月17日の衆議院財務金融委員会半期報告」

夕張市長選挙で羽柴誠三秀吉氏次点のニュースに驚倒。

しかし民主党は今回も鉄板で圧勝して競り合いに弱いと言う結果ですな。参議院選挙も事は無しって感じですね。

先日ちょっとネタにしました4月17日の衆議院財務金融委員会の議事要旨が早くもアップされていましたのでそこからまあヒマネタになりますが。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009516620070417009.htm

ちなみに、「金融政策のプロ」でPh.Dをお持ちの著名議員様によります「美しい国の美しい金利」云々という珍質問に関してはbewaadさんのエントリーに同感するものであります。それからコメント欄の一国民さんのコメントにも深く同意。エライ人の「お言葉」を使って擦り寄る茶(自粛)の図ですな。

まあそれは兎も角として、ふ〜んと思った質疑を。

○第2の柱で利上げをしたのではないかという質疑(佐藤氏)

自民党の佐藤ゆかり委員から。委員会質疑なので質問はこの前と後に沢山並んでおりますが、途中部分を切り取っております。

『ところで、これら二回の利上げについてですが、当時のコア消費者物価を見てみますと、前年比で、旧系列ベースでも〇・五%前後の時点で二回の利上げが実施されております。その一方で、昨年三月の量的緩和の解除の際に、日銀の政策委員の方々の中長期的な物価安定の理解というものが公表されておりますが、当時の政策委員の方々の中心値は一%でございました。すなわち、その二回の利上げの時点では、この政策委員の方々の中心値であります一%よりも低い消費者物価の前年比の次元で利上げが行われたわけであります。』

『要するに、受ける印象といたしましては、これらの二回の利上げについては、物価に照らした政策判断であったというよりは、むしろ、福井総裁御指摘のように、緩和効果が経済の一部にいびつな形で出現をしてくる、そういうこと自体に対する収拾の意味合いの方が強かったのではないかというふうに思われるわけであります。実際、現状を見てみましても、今回の景気回復局面では都市部の不動産向けの貸し出しが拡大しまして、そういったことから不動産価格が一部で大幅に上昇するなど、日銀の御指摘どおりの、いわば一部の経済部門に緩和効果がかなりきき始めたというような状態も散見されたわけでございます。』

『その結果、バブル的な影響が一部の部門において発生するのを回避するために、中小企業や地域経済など回復がおくれる部門にとりましてはむしろ早過ぎるかもしれないようなタイミングで二回の利上げが行われ、万が一、その結果、緩和効果の波及というのがその時点でとまってしまうようなことになれば、これはまことに残念ではないかと思われるわけでありますが、そこで、もう一度福井総裁に確認をさせていただきたいと思います。』

これは良い指摘ですが、総裁の答弁はこうなっておりました。これまた例によって前半割愛しますが、前半は一般論でございました。

『そういう視点から、私ども、既に、量的緩和からの脱却、ゼロ金利からの脱却、そして、極めて慎重ながら、緩やかな金利の引き上げというプロセスに入っているわけでありますけれども、物価安定とい視点を一度も視野から外したことはございません。現実の足元の消費者物価指数は、原油価格の変動等を受けまして多少のアップダウンをしており、現況、足元では、消費者物価指数が前年比若干マイナスという状況になっておりますけれども、今後の経済は、政府の見通しあるいは私どももシナリオとして置いておりますややロングランな持続的かつ安定的な成長というものを土台に考えますと、やや長い視点で見ますと、日本の消費者物価指数は緩やかな上昇基調をたどっていくであろう。私どもが中長期的な物価安定の理解として政策委員会のメンバーとして共有しております〇%から二%という範囲内にこの物価指数が入っていく。そういう視野を踏まえながら金融政策の運営を行っているということでございます。』

ということで長い上に、佐藤委員の後続の突っ込みが無いのが非常に残念なのですが、中長期的に0%〜2%に入るという視野で運営するとなっている中で0.5%のCPIで利上げしてる割には物価上昇圧力が強いという訳でもないというのはどうもこう何だかな感は拭えません。ちなみに物価安定の理解に対する説明文はこちらにございますので。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/mpo0603a.htm

ところで、ここ読んでて「おお!」と思ったのは総裁答弁の中に『足元では、消費者物価指数が前年比若干マイナスという状況になっております』ってある部分です。皆様ご案内の通り、あたくし日銀公表文書(金融経済月報とか福井さんや武藤さんのスピーチ要旨)でCPIは「ゼロ近傍で推移」となってて、マイナスという数字を随分と避けますなあと散々悪態ついてましたが、福井総裁はさすがにそのあたりの政治的な空気を読むのはお得意なようで、この場で「ゼロ近傍」というとまたツッコミを食らうと見たんでしょう(かどーかは知らんが^^)。

まーいずれにせよ、「足元のCPIがマイナス」という表現が福井総裁の口から出たことにはある意味ホッとしましたよん。



○そのミクロ介入的金融政策はどうなのかと(佐藤氏)

金融政策の波及効果に関して佐藤委員が質問してるのですが。

『こういった観点で、従来、日銀の金融調節の手法を少し見てまいりますと、いわゆる銀行が中心的な参加者でありますコール市場というものが主軸となりまして、それでコールレートというものが政策金利として置かれて、そこで日々の金融調節というものが行われてきているわけでありますけれども、その一方で、企業金融というのは今非常に多様化をしてきている時代にあります。そうしますと、この日銀の日々の金融調節が、銀行がメーンな参加者でありますコール市場を主体としたもので果たして波及効果として万全なものが期待できるのかどうかという観点も上がってくるのではないかと思います。』

『そういう意味で、これからは、やはり、以前から議論が上がっているとおりでありますが、場合によっては株式あるいは社債等もより積極的に公開市場操作の対象に入れるような形で、そして、より公開市場操作そのものに近いような形式で日銀の金融調節を行うような、そういったお考えあるいは検討、取り組みのようなものがお考えの中におありになるものかどうか、そのあたり、波及経路の改善という意味でお伺いしたいと思います。』

公開市場操作という用語を誤用してますがなという突っ込みはさておき、こりゃまた思いっきりどミクロ介入な話をしてますな。一時期のように金融機関がヘロヘロになって金融仲介機能にガタが来るので日銀が介入しなきゃいかんというのなら兎も角、今更ミクロ介入もねえだろうと思うのであります。まー稲葉理事が答弁してますが、答弁の方は普通の話をしてますので引用省略。



○まともに竹中氏の名前をだして次期総裁論議(近藤氏)

民主党の近藤洋介委員から。最初に中央銀行総裁としての資質という質問をして、『職務の公正性』という話を引き出してからこんな質問を。

『日本銀行の総裁の条件として、いわゆる選挙に出た経験のある方、そして、ある政党に所属をして活動した方というのは、私は個人的には余り好ましくないと考えるんです。過去、日本銀行の歴史をひもといて、日銀の事務当局に昨晩伺いましたが、福井総裁までで二十九代、日銀総裁がいらっしゃるようでありますが、日銀総裁になる前に国会議員であった方、貴族院議員は除きますが、いわゆる選挙で選ばれた国会議員の経験を経て日銀総裁になった方は戦前もいらっしゃらなかった、こういうことであります。』

『私は、そういう意味でも、これは明文化されておりませんが、中央銀行としての一つの良識なのかな、こう思っておりますが、総裁の御見解はいかがですか。』

これはまた露骨な質問ですなあ。勿論福井総裁は「それは政府と国会が判断すること」と答えるしか無いのですけれども。で、まあその後になると思いっきり竹中氏の名前が出てくるのでした。

『そこで、私は、具体名で恐縮ですが、こういうふうに全国紙でも「竹中氏の名」というのも出ているので、あえて触れさせていただきますけれども、竹中平蔵前総務大臣の名前が取りざたされたりするというのはちょっと異常だなと思います。』

『なぜなら、国会議員になられた方というのは、やはりそれなりのさまざまな、幾ら公正性、中立性を担保しようとしても、やはりああいう形で、しかも、党公認で出られてしまった、今はやめられたとしても、ああいう形で活動された方というのが、今、随分早い序盤戦で、さまざまな雑誌だけでなくてこういうところにも出ているというのは、名前が取りざたされているというのは、私は、日本銀行の中立性、公正性を担保する意味でも非常によくないことだな、こう思うんです。非常に残念だなと思いますし、こういった方のお名前、私は、竹中さん個人も大変不幸だなと思います、御本人の意思とは全く別なところで勝手に書かれるわけですから。これは新聞社の勝手でありますけれども。』

『しかしながら、日本銀行の公正性、中立性を担保するという意味では、やはり、あれだけ激しい選挙戦を戦われた方が、今はおやめになったとしてもどうかな、一政党のためにかかわった方が日本銀行の総裁として名前が浮上するというのは、これは大変公正性という観点からも残念だ、こういうことを御指摘申し上げたいと思うわけであります。』

で、この後は先般の日銀の政策に関するアンケート結果を持ち出して政策の中立性がどうのという質問になっておりますが、正直言ってテーマを拡散させすぎ(竹中氏を叩いてると思ったらその次は1月の利上げ騒動での自民党の対応を批判し、その次に利上げ批判になるという流れで、結局全部突っ込みが出来てない)だと思いますがね。


そして先日の本石町日記で書かれてましたが、「ルールを守れ」ということで理事を退席させた近藤委員が伊藤達也委員長に質問時間オーバーを指摘された部分は笑いました。

『済みません、後ろに座られる方は御退席いただきたいということを申し上げているんですが、ルールを守っていただきたいと思います。余りこのことで時間をとりたくないので、よろしくお願いいたします。』

そして質問時間がオーバーした所で伊藤委員長曰く、

『近藤君に申し上げます。申し合わせの時間が過ぎていますので、おまとめをください。ルールをお守りください。』

(^^)。

えーっと、その他にも質疑が色々とあるのですが、まあこの手のものを紹介してるとキリが無いので皆様テキトーにご覧下され。

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2007/04/20

○そういや早期利上げの思惑はどこへ

昨日は中国の利上げ懸念だか何だか知りませんが株価指数が威勢良く下げる中で堅調な債券市場の巻。前日0.85%の引けだった2年カレントも0.835%まで低下しておりまして、まあ一昨日の5月だか6月利上げ云々という話はどちらに逝ってしまったのという感じ。

当然ながらTB/FBは昨日も動かずですし、CP発行レートの方も特に上昇する雰囲気も無く(と言ってもここからもう一発下がるほどの勢いも無いんですけど)まあ極めて落ち着き払った展開でございまして、一昨日のアレは一体全体何だったんでしょうか。

・・・・ということで、昨日は「利上げ云々相場は持って2年入札まで」などと申し上げましたが、そもそも書いた時点で終了していたということですかそうですか(超大汗)。

そもそもですな、ここの所の総裁や副総裁の発言などを見ておりましても、あたくし別に利上げに前のめりな印象は受けないのです。ただまあ読みようによっては早期利上げに積極的って読めるのかもしれませんが、そこはどちらかというと現在の金融市場が「ど〜せ選挙まで利上げできない」といった見方が強いので、いやあのそうじゃなくて経済物価情勢次第でございますからって話をするために原則論を強調してるって思うのですけど、ど〜でしょうかね。

#いやさすがにコアCPIがゼロやマイナスで利上げは無いと思うんですけどね

しかしまあ昨日市場参加者な知人と話してたんですけど、「どういうルートでまことしやかに風雪が回るんでしょうなあ」って感心しましたよ今回は。。。。。ま、だいたい日本の金融政策に関る与太話もとい思惑は海外為替市場から来る事が多いと思うんですけどね(^^)。

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2007/04/19

お題「早期利上げ観測とははて面妖な」

なんちゃらショックで下げた後不死鳥のように復活して市場最高値を更新しにいくという値動きを20年弱前に極東の国で見た覚えがあるんですけど・・・・・

○早期利上げ観測ですかそうですか

今朝になってニュースでも話題になっていますが、今回はまた見事に出所がわからないという早期利上げ観測。昨日は前場から債券先物も威勢良く叩かれまして(その後戻りましたけど)、10年1.7%をあっさりブレイクするわ、金先も叩かるわということでしたが、肝心の国内債券市場の中の人たちは「はて何のこっちゃ?」って感じなのでありました(苦笑)。正直、遅い時間になってから「何か為替の方で利上げ前倒しとかいうデマが流れているらしいぞ」という話を聞いて「また勘違いガイジンか!」と呆れてしまったというのはここだけのハナシです(恥)。

まあね、6か月TB0.565%などというのも10月まで利上げ無しの一点張り過ぎでちょっとそりゃどうよというのはあるんですが、何がどういう理屈になると利上げが前倒しになるんだかという感じですにゃ。何でも最近日本の金融政策に関する観測レポートが曲がりまくることで著名などこぞの海外レポートでも利上げが早まるという話を出したとか言われてたそうですな。

ということで、どうも為替だか海外だかというのが今回の震源地のようですけど、日本の金融政策に関する見方をレポートするならまずは債券市場とか短期市場(除くデリバティブ市場^^)を見たら如何でしょうかと思うのですが、ど〜もこの為替だのガイジンだのという人たちは日本の金利市場はローカルドメドメの頭の弱い連中がやってるとでも思っているのか、市場の価格形成を見事に無視した俺様理論が出てくるのが恐ろしいところです。まあそーゆーのも出てくれないと相場らしくなくてつまんないからどうぞやってくださいってなもんですけど(^^)。

大体からして、「当面日本のコアCPIがゼロどころか小幅のマイナスで推移する」っていうのが「ど〜せ早期利上げできないでしょ」っていう見方の背景にあった筈でして、先日の総裁の国会答弁やら金融経済月報で強気な話はでてますけれども、さすがにコアCPIマイナスで利上げもう1回はやらんでしょうと思いますし、福井総裁もそこまで特攻する訳にはいかんでしょ(てかさすがに周囲が止めるでしょ)と思うんですけどね。何か物価が絶賛大上昇するって話でもありましたっけ?

丁度都合の良い事にこれから大型連休越えの資金がどうのこうのという話も出る時期ですんで、ターム物金利に動意がちったあ出てくるかも知れませんが、展望レポートでそんなど派手な物が出てくるとは思えず「事前に上ると材料出た時に下がる」のパターンになるんジャマイカという感じですな。この利上げネタを引っ張るにはもうちょっと良質の燃料が無いと難しいんじゃないでしょうかねえ。ということでこの利上げ云々相場は持って2年入札までと大予想(すると外れるのがドラめもんクオリティと最初から逃げを打つ^^)。


○CPレート下がってたんですけど・・・・

などとまあ柄にも無く変な予想もどきをかましちゃいましたが、昨日はCP発行レートが何と前日から見て低下しちゃってるというのがあって、それにあたくしが煽られているという節があるのは否めません(おい)。

昨日のスポット受渡は20日でして、CPの発行がやや増える日であったのですが、期末越えで発行されたCPの期落ちも同様に20日以降から多くなりまして、ここもと足元の資金潰しというか消化ニーズがTB/FBやCPに入っていてCPに関しても在庫がかなり軽くなっているというのが背景事情としてある状況。で、そもそも期末越えだと各種お家の事情とか、そうでなくてもまあ念の為手元流動性は厚めにという発行体の人も多いと思料されますので、調達圧力よりも運用圧力の方が勝る状態になってしまいまして、発行がやや多い日だというのに金利が低下する次第と相成りました。

前日までの感じだと上位格付けのCPで7月償還ものが0.6%乗せ、6月償還ものが0.59%〜0.60%に近いところという感じだったのですが、昨日は運用側の運用圧力だのCPディーラーの在庫確保(運用と現先玉)圧力だのという勢いの勝ちでございまして、世の中金利が上る(しかもそのネタは金融政策ネタ)中で見事に7月償還もので0.6%割れ続出とか6月償還もので0.58%台続出(銘柄によって若干差がありますが)とかいう有様。新発3か月FB(7月23日償還)の引けが0.575%であることを勘案するとこれはまた素晴らしい運用圧力と言ったところでございます。うーみゅ。


ちなみに今申し上げましたようにFB入札は0.575%レベルでの入札になって、引けもまあそのあたりということでして、オペの金利なんかもちょっと上昇したのを見ると、一応金先下がったりしたのに敬意を表しているのか、それとも調達サイドは調達サイドでちょっと大型連休越えとか気にしてるのかもしれませんね。

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2007/04/17

○消費底打ちですかそうですか

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070416AT3S1601L16042007.html
4月の月例経済報告、「生産に弱さ」へ変更

ってことで、こちらの記事のお題は「生産に弱さ」というのを前面にだしてますが、記事中にもありますように、『月例報告は各論の判断で、個人消費を前月までの「おおむね横ばい」から「持ち直しの動きがみられる」と上方改定する半面、生産を「緩やかに増加」から「このところ横ばい」へと下方改定したのが特徴だ。』(上記URLより)ということで、個人消費に関して底打ちという話になったのが少々気になった所です。

トータルでの情勢判断に変化は無いのですが、前回の利上げに対して決定会合で内閣府の代表者が発言してたのは、

『現在は、デフレから脱却するかどうかの正念場であり、また消費も足もと弱いという極めて重要な局面であることに鑑みれば、責任を持って金融面からしっかり経済を支えていただくことが重要であり、利上げを急ぐ局面ではないものと考える。』

ということ(2月決定会合議事要旨より)でして、まあ物価の方がご案内の通りというのはございますが、消費に関してこのタイミングで月例経済報告で底打ちを認めたというのは、2月に利上げに対して時期尚早っぽい見解(を出したにしては議決延期請求をしてませんが)を出した懸念の一方が片付いたという意味になりますので、ちょっと頭の中にいれておかねばという感じです。

テレビニュース(というかモーサテですが)が報じる所によれば、大田大臣の会見では「底は打ったけど賃金等の上昇に力強さが見られないので先行きの増加は極めて緩やか」というように慎重姿勢は崩していませんけどね。



○まあ予想される内容ですが

特にネタにはなりませんでしたが、信託大会における総裁挨拶要旨(武藤副総裁が代読してます)から。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0704c.pdf

『物価面では、既往の原油価格反落の影響などから、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は、足もとゼロ%近傍で推移しています。しかし、より長い目で見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、景気拡大が続くとみられることから、基調として上昇していくと考えられます。』

まあ既に金融経済月報や総裁記者会見で見慣れておりますが、どうにも「マイナス」という表現を使いたくないようでございますな(^^)。「特殊要因が影響して直近では足もとマイナス0.1%となっておりますが」でいいじゃんとか思うのですがねえ、ってあたくしも相当の粘着質ですかそうですか(笑)。

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2007/04/16

○物価認識の非対称性再考

先週11日水曜の駄文で申し上げました物価認識の非対称性のお話の続きでございます。あたくしの探し方が悪いのかも知れませんが、金融経済月報(の概要)で足元のコアCPIについて「ゼロ近傍で推移」っていう件にここぞとばかりに反応した人があまり多くないような気がしたんですが、これって「日銀文学」的には注目だと思ったんでそのお話を蒸し返すの巻。

プラス0.1%が「小幅のプラス」であって、マイナス0.1%が「ゼロ近傍」って表現になったのは、プラスマイナスの表現としては非対称なものでございますというのは水曜に申し上げましたけど、勝手に憶測を逞しくするとこの調子ではコアCPIが再びプラス0.1%になったら「小幅のプラス」って表現になるでしょうから、結果としては「小幅のプラス」→「ゼロ近傍」→「小幅のプラス」という流れになる訳で、ここの表現だけ見ていると何ら問題の無い流れとなるという素晴らしいお話。

で、かねてより「現在はコアCPI一点張りでの政策運営をしている訳ではない」というのが政策委員会のロジックになっておりますし、利上げを決定した2月の金融政策決定会合議事要旨にありますように、2月の時点で『大方の委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比の下押しに働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると指摘した。』(2月会合議事要旨より、3月27日の駄文で紹介しております)って状態ですな。その上で現在のコアCPIは(何故か)「ゼロ近傍」である訳ですからして、現在の政策金利水準が十分に緩和的であるという政策委員会の認識に照らし合わせると、色々出てくる経済指標が良くてCPIがちょっとプラス程度だったら堂々追加利上げだってやらかしておかしくないという推測も成立すると思うのです。

まあ短期市場の価格形成で言えばどう見ても10月の展望レポートが出る前の利上げはありえねえという感じになっておりますけど、情報ベンダーがストラテジストとかエコノミストにアンケート取った結果では8月〜9月に利上げの予想が結構多いというのはその辺りの「やらかすかも知れない」なリスクを意識してるのかも知れませんな。


で、話がちと飛ぶのですけど、さっきの3月27日の駄文を再掲しますとこんな事をあたくし申し上げております。

(3月27日に書いた文章より)

ということで、大方の委員はマイナスの可能性を指摘してるのですが、最終ページにございますように、当日公表された声明文では

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。』

という風になっておりまして(ちなみに月報も同じ)、マイナスの可能性に関してはここでは触れてないんですな。今月(3月です)の月報でもマイナスの可能性については書いてなくて、今月の総裁記者会見でしらっとマイナスの可能性についてコメントしております。

(以上)

ということでございまして、2月の声明文(&月報)と今回の4月月報のどちらでも「コアCPIマイナス」というのをわざわざ避けているように見えてしまうのは、どうも何だかねえって感は拭えないのであります。

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2007/04/11

お題「4月金融経済月報:物価認識の非対称性ですか?」

2か月FB入札が流れたという話もありますがまずは金融経済月報から。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0704.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0703.htm(前回)

○真っ先に目に入ったのは第5段落

今回の金融経済月報を紙に打ち出した所であたくしが一番注目していた部分は第5段落目でございます(^^)。

『物価の現状をみると、国内企業物価は、既往の国際商品市況の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて弱含んでいる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移している。』

「ゼロ%近傍で推移している」ですかそうですか。さてここもとの月報で足元のコアCPIの推移をどう表現していたかというのを過去の月報を並べて見ますとこうなります。

2006年4月月報〜2007年1月月報
→『プラス基調で推移している。』
2007年2月月報
→『小幅のプラスで推移している。』
2007年3月月報
→『原油価格反落の影響などからゼロ%近傍となっている。』

2月月報公表の時点で判っている全国コアCPIは12月分でして、この時は前月の+0.2%→+0.1%になって、先行きもゼロとかになりそうって見方でしたので「プラス基調」の旗を降ろしたと思うんですが、+0.1%の時には「小幅のプラス」と表現してて、▲0.1%の時には「ゼロ%近傍」というのはプラスマイナスというものを0%を中心にして考えた場合に表現に非対称性がございませんでしょうかと申し上げたくなります。何で「小幅のマイナス」と言わんのでしょうか。


○こういう文学的処理(?)はどうかと思うのですが

という訳で、この部分に真っ先に目が逝ってしまうあたくしのこの性格もどうにかならんかと思うのですが(などとは毛頭思ってません^^)、次に考えてしまうのは何で「小幅のマイナス」じゃなくて「ゼロ近傍」にしちゃうんでしょうかねえということ。

あのですな、こういう非対称な表現をすると「+0.1%の時にはプラスと認識していて、▲0.1%の時にゼロ近傍と認識するということは、日銀(の政策委員会)には物価に対する見方にバイアスが掛かっていないか」と突っ込まれる事必定じゃねえのかとあたしゃ思うんですけどねえ(会見では突っ込みがなかったらしいですが^^)。となりますと、あの「物価安定の理解」で示したレンジにはどういう意味があったんでしょうかという話になりそうですな。

ま、あたくしが勝手に妄想するに「マイナス」って表現を使いたくなかったので「ゼロ近傍」で流したというような話じゃないかと思うんですよね。でもね、毎度お馴染みの物価はプラス基調を続けるという先行き見通しに対して自信満々なのでしたら現状に関して「マイナス」と表現しても別に無問題だと思うんですけどねえ。「マイナスを認めているじゃないか」という突っ込みには「これは一時的要因です、先行きプラス基調です」って堂々主張すりゃいいじゃんと思う訳でして、そうならんのは実のところ先行きに自信が無いからじゃないんでしょうかと妄想が入るのはあたくしの邪推ですかそうですか(--)。

まああれだ、そういういろんな突っ込みをされちゃう表現をするのはどうなのよって所ですな。

つーことで、まずはいつもの逐条比較(?)の前に気になった物価表現の部分についてひとくさりでした。以下通常モード。


○景気認識に関わる部分は短観を受けた箇所以外前月と同じ

前月と同じですし、上のほうで能書き垂れたので引用は割愛。短観に関する表現は『総じて良好な業況感が維持される中』となっておりまして、短観の評価としては「総じて良好な状況が維持されている」ということになっているということですわな。まあ当然ちゃあ当然ですが。

現状認識、先行き見通しとも個別に展開した部分まで前月と表現に変化はございません。


○国内企業物価の先行き見通しから「弱含み」を削除

『物価の先行きについて、国内企業物価は、国際商品市況の下げ止まりに伴い、目先、横ばい圏内の動きになるとみられる。』(4月)
『物価の先行きについて、国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(3月)

ということで、国際商品市況に対して「反落」→「下げ止まり」という認識から「弱含み」が削除されましたな。まあその川下への波及がどうもジグザクしてるのが昨今の国内物価クオリティのようですが。


○原油価格下落(反落)の先行きに与える影響を微修正

『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響が残ることなどからゼロ%近傍で推移するとみられるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(4月)

毎度お馴染みの「より長い目でみるとプラス基調」攻撃ですが、よく見ると3月と表現が違います。3月は目先の要因とされている原油価格に関してこうなっていました。

『費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移するとみられるが、(以下同文^^)』(3月)

「反落の影響」→「反落の影響が残る」というのは表現としてどうなのよと考えますと、「〜が残る」という部分には「もう影響は終了なのですけれども、ちょっと余韻がございます」ってものを感じる(まあ原油価格もここもと比較的落ち着いてます)のですがどうなんでしょう。


という訳で月報はまあそんな感じでございます。内容自体は前月と思いっきり同じで、物価先行き見通しの表現をちょっとだけ強めにしていると言った所ではないでしょうか。

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2007/04/09

○さて金融政策決定会合ですが

まあ今回の場合は短観とCPIをどう評価するかって話だと思うんですが、基本的な線は既に先週の武藤副総裁挨拶で示されているとおりで、「景気の基調は強く、CPIのマイナスはあくまでも一時的」という線での話かと思います。一応総裁記者会見は注目ということになっておりますが、そんなに突拍子もないことは出ないかなと。注目するとすれば先週武藤副総裁が「正常化」というフレーズを持ち出していた点に関して福井総裁がどうコメントするかですかね(そんな質問が出ればの話ですが)。

あとは亀崎、中村の両氏の就任記者会見も行われると思うのですが、どのような話をするのか(そんなに変な話は出てこないと思いますが)も注目しておきましょう。

金融経済月報は特に変化無いと思いますが。

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