金融政策概観(2007年度下期分)

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2007年下期

2008/03/31「ああ寝転がり」
2008/03/28「寝転がる人が居る変な期末」
2008/03/27「オペが妙ですね/珍妙な”長短逆転”記事」
2008/03/26「期末モード終了のお知らせ(か?)」
2008/03/24「ちょっと期末らしくなってきました」
2008/03/19「いきなり茶番劇になってしまった日銀執行部人事」
2008/03/17「日銀人事雑談」
2008/03/13「白川さんだけ通ったのは別に日銀の陰謀じゃない筈ですよ」
2008/03/12「結局2名拒否ですかそうですか」
2008/03/10「正副総裁人事が提示されました」
2008/03/07「さて正副総裁人事の提示ですよ」
2008/02/07「センター試験問題のお話(その3)」
2008/02/06「センター試験問題のお話(その2)」
2008/02/05「センター試験問題のお話(その1)」
2008/01/30「次の一手について愚考してみる」
2008/01/28「門間局長発言と渡辺金融相発言」
2008/01/25「金融機関損失の報道で何故か株式上昇の巻」
2008/01/24「これは素敵な利下げ催促祭り/総裁発言が中々良いことについて」
2008/01/23「政府と日銀の連携がどうも上手く行ってないのではないか」
2008/01/21「引き続き日銀総裁人事ネタ」
2008/01/18「日銀総裁論議に関する民主党岡田氏の奇妙な論理/日経に利下げネタ」
2008/01/17「これは素敵な時間軸」
2008/01/11「金先金利がとうとう逆イールド」
2008/01/10「伊藤元重先生が妙に日銀シンパな話を東京新聞でしています」
2007/12/21「ここで下方修正ですか・・・・」
2007/12/20「決定会合ですが材料にならないでしょうな」
2007/12/19「金融政策と金融調節を混同した議論が多いのは困ったもんですね」
2007/12/18「金融政策の枠組みに関する雑考をして見る」
2007/12/14「流動性対策追記/早速CPオペですがアリバイオペかな(笑)」
2007/12/13「欧米の年末流動性対策発表を読む」
2007/12/12「FOMCの中途半端な利下げ雑感/国債市場懇より」
2007/12/11「景気ウォッチャー調査また悪化」
2007/12/10「サブプライムまたまた雑感」
2007/12/03「コアCPIプラス復活に関して思う」
2007/11/29「国債市場特別参加者会合続き」
2007/11/28「サブプライム雑感:アブダビ投資庁のCITI出資」
2007/11/27「国債市場特別参加者会合から:超長期のゼロクーポン出しませんかね」
2007/11/19「サブプライムは刺し合いっぽくて嫌ですねえ」
2007/11/13「相場はますます亜空間」
2007/11/02「FOMC雑感/チェックすべき国会答弁メモ」
2007/10/29「携帯電話プラン採用せず/今週はFOMC/金融担当相に少々不安」
2007/10/26「20年入札の大受難/短期ゾーンは時間軸?」
2007/10/24「銀行貸出動向アンケート/GC市場雑感/FB入札ですが」
2007/10/22「中短期ゾーン強い(2年0.8%割れ)/展望レポート展望」
2007/10/19「テーマの無い相場で/今更ですが格上げ雑感」
2007/10/18「皆さんショートでしたか/サブプライム”飛ばし”雑感」
2007/10/16「全体的にトーンダウンしている感じですね」
2007/10/12「決定会合は拍子抜けに無風」
2007/10/11「TBとFBの銘柄統合/決定会合雑感」
2007/10/04「物価連動国債入札ということでCPI雑考続き」
2007/10/03「携帯電話の料金プラン」


2008/03/31

○ああ寝転がり

金曜の末初取引ですけど、レポGCは相変わらずオファーが残っているようですが、そもそもロットのビットが無いのでどうなっているのやらという感じ。まあお高めなのかねえとか思っておりましたらご丁寧にも31日スタートの国債買現先1兆円オファー。4月4日エンドで0.645/64という結果。この時間帯では4月4日までのGCレートは60割れでしょという話になっていたこともありまして、末初レート75で計算すると平均ベースで1日から4日までのレートが61となるので、やはり高めの結果。

で、なおご丁寧にも午後になると31日スタート2日エンドの共通担保オペ1兆円実施。しかもこちらのオペは応札限度が5000億円になってまして、まだ寝転がりクンが取れてないのかよという感じであります(寝転がっているのだから取らないのかもしれませんが)が、こちらの落札結果は71.3/70となりまして、1日から2日のGCが概ね60といった所ですので、どう見ても末初レート80台です本当にありがとうございましたという結果でございました。いやはや何とも。

これだとまあ本日のオペとかどうなるんでしょと思うのですけれども、まあどうせオペやらなかった場合に寝転がりの人がロンバートに行って、その挙句に「期末の資金供給が消極的だからロンバートに殺到することになり、日銀のオペが稚拙でケシカラン」とか言い出す人が出るんでしょうなあって考えるのがまあ普通の発想でありまして、朝方コールが高けりゃまたオペ打つんでしょうねってイメージが。まあしかしそれって結局足元見られてますなあっていう感も致しますが。


何か寝転がりの影響で期初入りしてからの足元にも不足感が出てしまいまして、金曜には1日スタートのCPが少々発行されましたが、何故かレートが期越えとあんまり変らない状態。いや長いのはまだ判るんですけど短いのも妙に高止まりしてまして、約定と受渡が期末期初を跨ぐので微妙に買い難いから札が集まらないという理由はあるにせよ、何のこっちゃという感じ。

勝手に思いまするに、上記の理由で最終投資家買い難い面があり(付け加えると、毎度期末明けになると足元レート急落してたので、期末越えの資金で出せるものは長めで出そうと言う動きが働いてたし)、一方で期末明け後の足元レートがオペ換算をするとあんまり下がらないという事からもちょっと読みにくいということで、バンクディーラーも積極的に札を入れにくかったという事なんでしょうけれども。

結局2日のところのGCレートもあまり下がらなかったようでございますな。うーむ。


○で、今日の朝の動きは注目と

注目ってったって興味本位ではありますが(笑)。

まあ寝転がっている人が素直にロンバートに行ってしまえばそれまでですけれども、どうせ朝はオペ催促でコールを取りに行くでしょうし、そうなった場合に只でなくさえ積み上状態の所ですが、まあオペを打ってくるのかどうか。そしてレートが落ち着いた後(落ち着かない可能性もあるが)に積み上がった準備預金を即日オペで減らしに来るのかとか、オペレーションがどうなるのか興味本位で注目したく存じます。あとコール取りに来ているネームとかね。

まあしかし直前になってバンバンオペを打つ破目になりまして、何だかまあご苦労なこってという感じですが、多分意識している訳ではない寝転がりクンの影響でいつもと違う期末になりましたなあって感じです。こーゆーの見てるとロンバートとコール誘導目標の差が25bpってのもどうなのかなという気はするのですが、いまは時節柄そういう訳にもいかないのが残念なところでございます。

しかし結局金曜に共通担保オペの71とか72とか(平均から逆算したら当然72の札も入ってますな)を入れてる人が意図せざる寝転がりクンだとしたら何やってるんだかって感じでございます。何なんでしょうこの期末はよく判りません(><)

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2008/03/28

では期末雑感。

○日経も長短逆転記事・・・・

例の「長短逆転」ですが、昨日は日経新聞3面にも「無担保コール翌日物が10年金利を上回り長短逆転」というような記事があったようで(普段読んでないのがバレバレ)、まあ共同通信(も一応金融市場記事はプロのはずですが)は兎も角として、日経新聞までもがそのレベルとは確かに本石町日記さんボヤクわなと(-_-)。

末初レートが跳ねるのは金利のある時代には常識でありまして、そもそも昔の低め誘導(すげえ昔の話ですが、コール誘導目標が公定歩合(当時0.5%)を下回る程度となってた時です)時代は末初取引のコールレートというのは普通に2%からご相談(末初が週末に掛かると3日だからしんどいので1.5%からご相談)からスタートして、期末の予防的ファンディングにメドついたり放出側の資金計画にメドがついて金が出てくると段々低下してくるのが一般的な姿。

従いまして、末初の無担保コールが1.5%になっても別に驚くような話でも無いのですけれども、何でそれが急騰とかいう話になるのやらということで、10年以上選手のおとーさんといたしましてはどうもねえって感じであります。

とゆーか、市場参加者ってのは過去のことを簡単に忘れるあるいは過去のことを勉強しないという特殊技能を備えているようでありまして(いやまあ長生きしている古狸は逆に恐怖の粘着質な記憶を持つのが多いのですが)、末初金利急騰とかいうネタが出てくるのはやはりそのせいなのかって感じです。まあ金融技術(笑)先進国の米国様だって5年毎くらいのペースで「過去のデータから言って何百年に1回しか起きないような相場の急激な変動」とやらをやらかすわけでして、この歴史から学ばないという不思議な仕様は本邦だけじゃないマーケット共通なのでしょうね。


○これって要するに「寝転がり」ですな

最初に申し上げますと、本項にはかつての業界専門用語(笑)が出てまいりますが、用語の意味を知りたかったらゼロ金利政策(量的緩和じゃない方)以前に短期市場にいた大狸に質問して下さいませ(^^)。

昨日も朝の9時半から国債買現先オペ1兆円実施。しかも足が4月2日って何かこう毎度毎度足の短いオペばかりでご苦労なこったと思ってたのですが、何でも水曜(=レギュラーの月内最終受渡日)の15時過ぎからGCレポの末初取引レートが上昇して、それまでロンバートの75だったのが77オファー(=資金の取りね)とかに上昇したそうで、昨日の朝もまあそんな感じだったそうですな。それならまあオペ打ってくるわという感じで、末スタート2日エンド仕方ねえのかなと思いつつ。

でも、例によって年寄り的な発想ですと、決算期末なんぞ資金の回りが悪くなるのは当たり前なので、そういう時にはまず最初に流動性の確保(モノにしろ金にしろ)を予備的に行って、一定のメドをつけておくもんだと思うのですが、どうも最近はレギュラーのGCのオファーを粘った挙句にオペ待ちというのをするのが流行らしいですな。最終的にコールでじゃんじゃん取れるラインでもあるなら別ですが、そうでもない人がオペ勝負というお方には「流動性リスク管理」という言葉を額に飾ってご進呈したいです。

で、そーゆー人がおいでになるので、古狸的常識で考えた場合にレギュラー最終受渡日の午後遅くにはGCでの資金取りニーズが減って(事前に予備的に取っていけば着地するでしょ)レート低下する筈なのに、あにはからんや取りニーズが残っておまけに期末だからロットで出す人だっていないので、スポ末の朝から77オファーでオペ催促とは何のこっちゃという感じでありまする。

まあ最後ロンバートで借りればいいし、それまでにオペがあればオペ勝負ってえ話になって、それが流行しちゃうとオペ依存症にも程があるという話になってしまう訳で、まあこういうの見ちゃうと市場機能がどうしたこうしたってのはどこに逝ったのでしょうという気が思いっきりする次第。


でですね、この最後まで取ろうとしないでオペ狙いという動きって昔の「寝転がり」と同じですなあと思うのですよ。市場レートが気に食わないから最後まで寝転がるって昔時々見た光景なのですが、そんなものを21世紀になって見るとは思いませんでした(-_-メ)。

これで寝転がっているお方の所要準備が多ければ物は試しに「ヤキトリ」でもやって公定歩合+3.75%の過怠金(と、あたくしが後生大事に保有している東京マネーマーケットの第5版には書いてありましたが、その制度って今どうなっているのですか)でも払わせたらどうでしょうとか超越的暴論を唱えたくなります次第であります。残念な事に(こらこら)ヤキトリすると所要準備不足だけじゃ済まなかったりする人が寝転がっていると思われるのと、そもそも連中は普通に相場を張っているつもりであって、寝転がっているという意識が無いであろうところがタチの悪い所なのでありますが。

いやあのね、資金ディーリングとかするなとは申しませんし、何でもかんでも成行でオファービットせいとは申しませんけど、資金っていうのはまず流動性を確保して、その上でディーリングする余裕のある時にディーリングをするもんじゃないのかねえと思う訳ですよ。期末で流動性が逼迫するのが目に見えているのに、いつものようにレートが気に食わないから市場調達しないでオペ狙いの寝転がりっていうのは何だかねえって感じでありますよ。ロンバートがあるからそういうインセンティブが働くっていうのは判るけどさ。

金融危機以来何度か流動性大逼迫で大変な思いをした化石世代のジイサンのグチではあるんですけど、何だかなあと思った不思議なスポット期末でありました。


あとこの話の流れとは関係ないですが。

オペに関しても月曜から末越え供給ラッシュしてるのって何だかねって感じでして、やるならベアスターンズ救済で信用収縮懸念がどうのこうのってのが話題になっている時(一定の警戒感もあってCPとかFBとかレート上昇しましたよね)にやるもんじゃないのかなあと思う次第ですし、足元積みが進捗し過ぎて引きたいのと、2日の税揚げにぶつけるつもりで売手を火曜に打ったんだと思うのですが、積みを削るだけだったら別に末越えで打たんでもよかろうと思う次第で、何かオペも足元の0.50%と積み進捗を過剰に意識してませんかねって気は思いっきりするのであります。


しかしCPのレートは見事に低下して3か月のスーパー最上位格付もので60bpを切ったところで新発が出たらしいのですが、足の長いタームに関しては運用ニーズありありというのがよくわかる結果でした。一方で4月前半足とかになると目先はいいけど戻ってきた時の足元レート低下が見え見えなので皆さんイラネ状態になってレートが妙に高止まりしていたのも中々楽しい結果でございました。ちょっとやり過ぎ感もありましたが。

とまあそんな感じで本日のネタは須田さんの講演じゃなくて超雑談でございました。

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2008/03/27

お題「相場雑談で恐縮至極」

まずは昨日の訂正。オペ金利の話をしてたときに国債買現先オペの落札利回りと同日に実施されたCP買現先オペの金利を取り違えておりました。すいませんすいません。

月曜実施された国債買現先のレートを「67.5/64」と申し上げたのはCP買現先でして、国債買現先は「65/64」でテールは特に流れておりませんでした。どっちかというと月曜はFB3か月カレントが確りしていた方が朝方的にはインパクトあったでしょうか。


○ツイストオペのツイストオペですか、わかりません(><;

昨日の朝方ある意味サプライズだったオペは9時30分にオファーされた国債買現先。3月28日スタート4月1日エンドで1兆円のオファーなんですけど、えーっと前日は3月26日スタート4月17日エンドの国債買現先を1兆円オファーして59.4/58となった後、午後に3月26日スタート4月2日エンドの売出手形を6000億円オファーして67.1/72となりました。

で、それを何だかねえとか申し上げたのですが、昨日はまたまた国債買現先を1兆円を上記のように実施しておりまして、午後には共通担保オペを2本立てで実施。しかもそのうち1本は4月8日エンド(8000億円)となっていまして、前日に出して引いたのは何だったんでしょうかという感じであります。

てゆーか、FBとかレポとかCPとかのレート絶賛低下とか引き続きやっていまして、FB3か月のカレントなんぞは昨日の日本相互証券の引けで0.565%となってまして、先週末の0.61%(実力はもうちょっと強かったらしいのですが)から4毛ちょっと強くなっておりますわな(前日比では1.5毛強)。何かオープンは金利絶賛低下している流れになっているのにそこに追い討ちオペってのも何だか、インターバンクの局地的な需給を気にしすぎなんじゃないっすかという感じが。

短期市場フォーラムとかやってたのはインターバンクだけではなくレポなどの市場も良くウォッチするって話じゃなかったのかなあと少々残念なんですけど、インターバンクもそんなにひっ迫している状況には見えない(むしろ金余り)ので、この供給オペ連発攻撃が何と申しますか。

#まさか国際協調のポーz(ry

きめ細かいオペレーションって奴なんでしょうが、さすがに供給して吸収してまた供給ってのは手厚いにも程があるように思える次第。いやあの足元でインターバンクが混乱している訳でもないのに、あんまりきめ細かいオペを打ちますと、「それでも日銀なら、日銀なら何とかしてくれる!(AA略)」とオペ依存症になって、肝心な時に市場がワークしなくなるんじゃないっすか。いやまあそこまで極端な状態にはなってませんけど、きめ細かいのも程ほどにって思うのであります。



○ええもう動きやがりましたな

昨日あたくしは「いやあ期内最終渡しでドタバタする人もおらんでしょう」と希望的観測を書いたのですが、そんなことを書いたら逆に行くところがドラめもんクオリティなのでありまして(涙)、朝から中期主導(のような気がしたんだが)で5年から先物が強くてもう大上げですよ先生って感じ。長期とか超長期とかがダメダメだったのでアンワインドのアンワインドのアンワインド(なげえよ)かとも思いましたが、5年がバランス上強いので5年の買いもあったんでしょということで。

いやまあ短観一発勝負なのか何だか知りませんが、何もこんな時に頑張るとは恐るべしという感じで、お蔭で月末渡でポジションがぶれて誠にお疲れ様でございますといったところですな。

上昇しただけなら兎も角、後場になったらいきなり下げやがったのが実にチャーミングな相場でありまして、先物様が前日比6銭安だったのですが、値幅77銭とはこれまた素敵な行って来いでございました。何が何やらさっぱり判りませんでしたが。

全然話は違いますが、色々動く中で相変わらず全銘柄引け値が対象現物国債のカーブとあまり関係ない値付けになっていて、やっぱり全銘柄BEIがマイナスのまんまとなっている物価連動国債に関しては落涙を禁じ得ませんな。



○何と申しますか

本石町日記さんのところでボヤキが。
http://hongokucho.exblog.jp/8245719/

そういやあたくしも昨日はブルームバーグ見てたら東京新聞が「短期金利が急騰して日銀が1兆円の大量資金供給実施」って記事を打っていたというのをみまして、よくよく聞いてみたら末初(31日スタート4月1日エンド)の無担保コールで1.5%だか1.25%の出合いがあったということらしいのですけれども、それと国債買現先1兆円は何の関係もねえだろとか思っておりましたら、どうもボヤキの元らしい記事を発見しました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008032601000393.html

えーっと、元ネタは共同通信みたいですけど、どこをどう突っ込んで良いのか頭が痛くなるような記事。東京新聞ってオリジナルで記事とか社説とかを書くときに中々良い視点で書くことがあるんで感心してたんですが、この共同記事のダダ流しはいただけませんな。

記事より。

『金融機関が手元資金を一時的に貸し借りする短期金融市場で26日、3月期末越え向け資金の一部取引で金利が一時、1・500%に急騰した。一方で、長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、2005年7月以来、約2年8カ月ぶりの低水準となる1・215%に低下した。』

末初の無担保取引で限界的な人が取り上がるのは当たり前ですし、昔(大手銀行がオーバーローンだった時)は別に限界的な人じゃなくても取り上がることもありました(今はロンバートのキャップがあるから適格担保出せば無問題ということでそんなに上がらないし、そもそも国内銀行金余り)が。

『一時的だが、景気後退入りする可能性を示すとされる長短金利の逆転現象が起きた。日銀は26日、28日に1兆円を市場に供給し、4月1日に吸収する公開市場操作(オペ)を通知、短期金利の抑制に全力を挙げている。』

もうね、アホかと馬鹿かと。で途中端折りまして。

『3月決算期末越え資金需要が増加している上、米サブプライム住宅ローン問題の影響で「地方銀行などが外資系銀行に資金を貸し渋っている」(外銀関係者)ため、短期金融市場に出回る資金が減少し、短期金利は上昇基調となっている。』

出し渋るそもそもの原因はてめえらがインチじゃなかったサブプライムに突っ込んで大穴空けて自分らの信用力を毀損しているからなのですが、「出し渋り」とカウンターパーティーが悪いかのような「外銀関係者」の発言は片腹痛いというか馬さん鹿さんというか。

で、短期金利は先ほどから延々と説明しているように絶賛低下していますが何か?

共同通信配信の記事のようですが、ここまで事実関係を誇張した記事も珍しい次第でありまして、とりあえずこんな記事をそこらにばら撒かれると迷惑というか風雪のルルとか言いたくなるレベルでございまして、配信した記者は大いに反省すべき(というかこれ切腹モノの記事レベルだと思うんだが)であろうかと思います。

共同通信の猛省を促したいです。

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2008/03/26

○デジタル相場にも程があります

昨日は足元のGCやら現先のレートが見事に急低下したり、新発CPのレートが低下したり、3か月から手前を中心としたTB/FBに買いが入ってレートが低下したり、オペのレートが低下してみたり(順序からするとこれ逆順です)と言うことで、いきなり期末モード絶賛終了のお知らせ状態。

いやあのですな、全然期末越え無警戒状態で3か月の共通担保オペで55bpとかだった時期から先週急にアホのようにレート上昇したと思ったら昨日は一日にしていきなり怒涛の低下っていう動きは誠にこうデジタルな動きでございまして、相場というより事務処理っぽくて侘び寂び(?)の無いこと夥しく誠に残念至極でございます。

まあ月曜の引けの時点でレートが下がりそうな雰囲気はプンプンしてましたが、何もあーた朝からいきなりFBをドカドカ買わんでも。お蔭で9時半にオファーされた国債買現先(期日4月17日)が平均59.4bpの足切り58bpと末初75で計算すると手前にちょっとだけプレミアムが乗りますか程度(後ろは55bpで計算)の結果でして、まあリスクプレミアムはどうしちゃったんでしょうねえという数字。

で、CP新発レートとかFBのセカンダリーとかがドカドカ低下しまして、売出手形オペという妙なプレイはあったものの、最終のGCは60割れと前日の67−69位から見事な急低下となりまして、足元も期末越えも資金が出てまして、今回はT+4で期末モード終了のお知らせという感じになってしまいました。


○手厚い供給にも程があります・・・・で売出手形カッコワルイ

先週はご案内の通り期末年中行事で足元も期越えもレートが上昇したのですが、そもそも論から致しますと、先ほども申し挙げましたし、あたくしも駄文で何度か申し上げたと思うんですけれども、それまでの期末越えとか足元がノーケアーモードにも程がある展開でありまして、普通は突如上がるんじゃなくてもうちょっとレートとかに動きが出る(いやまあ微妙に出てましたけど)もんなんですけどね。

んでまあ足元も期末越えも金の出がよろしゅうございませんなあという状態が一服した感じの月曜日には何か知らんが手厚いにも程がある資金供給が実施されました。即日オペに買現先にCP買現先に共通担保本店に全店で全部で5本ってちょっとまあ手厚い供給にも程があるという物でありまして、その上昨日にトドメのように国債買現先1兆円(前日も1兆円でしたが)となってレートが豪快に低下した(月曜は67.5/64でした。これもテールが長いなって感じなんですが←は間違いです。正しくは65/64)という結果になりましたです。

で、レートがドカドカ下がったのですが、あまりにも手厚い供給をしちゃったという反省でもあったのか昨日は午後になっていきなりスポットスタートの4月1日エンドで売出手形6000億円の打ち込みが行われました。一瞬札割れでまたレート上昇かという連想も働いたらしいのですが、札は1兆4850億円入って67.1/72というまあそんなもんですかという結果に。

前日もやたら手厚い供給オペ(CPなんか優良ネームの発行が減っているので数字上の発行残高以上に市場の玉不足感が強い(優良とは言い難いネームの発行は増えているという意味であります)のにCP買現先って何ですかって感じでしたよ)を打ち、当日朝9時に26日スタート4月17日エンドの国債買現先を打ち込んだらその他オープン市場のレートも思いっきり下がり、午後1時に26日スタート4月1日エンドの売出手形を実施すると言う結果になった次第でありますわな。

で、ちょっとそのツイストオペにはドタバタ感(というと穏やかですが、要するにカッコワルイというかマヌケというかなんですが敢えて申しません、って言ってますがな^^)が非常に強く漂うオペレーションでございまして、限界的な無担保コールの部分やデジタルな動きをする人たちにオペレーションが振り回されてどうすんのよという感想であります。



○まあ少し残ってるんでしょうけれども

どこぞの情報ベンダーを見ますと有担保の資金は回っているけど無担保に関してはまだまだ警戒とかいうようなポジショントークなコメントも拝読するのでありますが、そもそも論と致しまして期末になると信用力が比較的低いネームのお方のクレジットラインがキツクなるのは常識というか定説なのでありまして、普通そのような事を自覚している人は「直前になって無担保の資金が取れなくてもう大変」というようなことが起きないように事前手当てをしているものでございます。で、これだけレポやらオペやら短期国債やらCPやらのレートが低下してますので期末は波乱無しですなあとなるのが常識的な見方になるかと。

いやまあ最終微調整みたいな動きで局地的に高いコールとか発生するかもしれませんけど、それは限界的かつ小額の世界のはずでして(そうじゃない参加者がいるのなら世の中の迷惑なので退場していただきたいですが)、ファンディングという意味では期末越えのレートが軒並み低下した昨日で期末モード終了のお知らせのようででございます。はええええええよって感じですけど。

それから、モノに関して言えば今日がレギュラー受渡の期内最終日(=今日の受渡が3月末)になりますので、まあその部分に関しては残っておりますけど、期末ですのでインデックス系リバランスを控えている人以外にそんなにドタバタ動く必要がある人がいるとはあんまり思えない(閉店モードの人たちの絶賛閉店祭りは大きいのは一旦終了してますでしょ)ので、そうそう大変なことにもならんでしょうと楽観的なお話をしておきます。根拠が薄弱ですが(おい)。

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2008/03/24

○まあ期末ですなあ

金曜は何かしらんがトムスタートの2日物という珍妙なオペが1兆円打ち込まれて平均69の足切り68。いやまあ足元のGCが68じゃ取れない(レギュラーで70とか)のでそういう結果になるんですけど、今回に関してはそれまでのレートが思いっきり落ち着きすぎだったので何か期末になってようやりますなという感じであります。まあどうせ末初が1日だからロンバートで踏めば屁みたいなもんと楽勝体制に入るからそうなる位の話でしょうけど。

とは言え、まあ普通の期末っちゃあ普通の期末でして、期末前になると足元の出しが慎重になるというのはいつもの仕様。今回に関してはそこまでの楽勝状態がちょっと変だったので、これでまあ常識的なパターンになったという所でしょう。いつもだともうちょっと前に盛り上がって20日過ぎくらいからは段々落ち着くような気もするんですが。それから一部SCとかでも微妙な挙動の銘柄とかもあるみたいですが、普通期末になると借りにくくなる銘柄というのは事前に判っているものでして、手当てしないわキャッシュのディーラーにちゃんと言っておかないわというヘタクソはちょっとお前その席どけという感じなんですけどねえ。

ということでやっと期末らしくなりましたが、昨年の6月末(バーゼルUの四半期ナントカの最初)と比較すれば別に物理的にモノや金が出てこないという訳でもないので、別に悲愴感はございませんで、「ああ期末ですなあ」ってなもんですな。

別に信用収縮の影響では無いので念の為(^^)。

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2008/03/19

○いきなり茶番モードになった日銀総裁人事

実は月曜日に「福井・武藤再任案」ってのが出た時に市場では何考えとるんじゃという話にはなってたのですけれども、先物143銭高20年11毛甘という素晴らしい相場にそれどころではない状態でありました(^^)。

で、昨日。NHKの速報が情報ベンダーに出た瞬間に「田波さんって誰でしたっけ」となってWikipedia見たら仕事早すぎと感心しちゃいましたが、そういや大蔵事務次官でしたなって佐々波委員会とかの名前を思い出しましたよ。

いやあの財務事務次官経験者だからダメだと言ってるのに大蔵事務次官経験者出すか普通ってのと、田波さんには申し訳有りませんが、金融市場的に「誰でしたっけ」って感じの人がいきなり総裁ってあのその官邸何考えとるんじゃという所であります。

福井武藤再任の話あたりから官邸アホですかの声はあったというか、相場展開が日銀総裁人事どころの騒ぎではなかったのでまあどうでもいいや状態でしたが、さすがに今回の人選は福田首相に批判の鉾先が向うというか呆れ果てて一気に脱力というか。最初に出された人事案が評価高かっただけに代替案のしょぼさ(田波さんと西村さんには申し訳ないですが・・・・)に、日銀総裁人事ってそういうもんでしたかそうですかってドッチラケ感が漂うのでありました。

#てか次に相場の様子書きますが、まあそんな相場でありますので、日銀総裁人事は関心の優先順位で一気にどうでも良くなっているのが正直な所だったりしますが

まあ西村さんは別に悪いとは思わんのですけど、白川さんが政策実務オタク(失礼)な所にミクロ経済の西村先生ってのはバランス的に今一歩な印象が。やはりマクロに強くて金融政策理論に強い伊藤隆敏先生の方が白川さんとの組み合わせではバランスが良いのではないかと思うんですけどね。それで組織掌握力があって変な失言もしない安定感抜群の武藤さんがトップに居ればバランスがとっても良かったと思うのですが。

まあどっちにしても政治の混乱のせいでいきなり茶番劇になってしまいまして、日銀総裁ポストの重みに対する印象が一連の騒動でいきなり軽くなってしまったような気がするのは気のせいであって欲しいものであります。

#国民新党が賛成に転じた理由も意味不明・・・・

#それから民主の「国際金融に必ずしも詳しくない」って反対理由だと武藤さん拒否の理由にならんのだが・・・・

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2008/03/17

○日銀総裁人事

報道されている内容を見てますと、山口さんよりは黒田さんや渡辺さんが総裁候補の線が強そうでございまして何のこっちゃという感じ。

いやあのですな、元事務次官とは言え副総裁を5年務めて内部の人望も厚い(らしいですよ)人よりはついこの前まで現役の財務官を務めていた人を総裁にした方が財金分離とやらに資するという民主党の理屈が1ミリも理解できないのでありますけれども。むしろ逆で、落下傘でいきなり総裁就任する方がよっぽど財金分離に反すると思うんですけど。

大体からして財務官なら国際的なのでよくて事務次官ならダメとかどういう職業差別主義者だよとか思うんですが、それは兎も角として、日銀の味方のつもりらしい民主党様におかれましてはどう見ても日銀の邪魔をしています本当にありがとうございましたという感じですな。

白川総裁、渡辺副総裁、伊藤(元重)副総裁ってのはどうでしょうかねえ。無理でしょうけど。

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2008/03/13

○日銀正副総裁人事

金融政策の独立性とか言ってる民主党が自分の政党の内部事情によって(反対の方が党がまとまりやすい)日銀正副総裁人事案に反対。しかも民主党政調会長のコメントだか何だか忘れましたが、民主党のエライ人によりますと対案は無しだそうでございまして、もうアホかと馬鹿かと。政治で金融政策を引っ掻き回してるのはおめえじゃねえのかと小一時間問い詰めたい。

で、念の為本日も申し上げますが、これって別に日銀の陰謀でも何でもないというか、白川さんだけOK→日銀ウハウハ→やはり民主党と日銀がつるんでいて日銀ケシカラン、って想像を掻き立てられるという点で大迷惑以外の何物でもないと思います。

どう見ても武藤さんと伊藤先生が居るほうが対外的な説明が通りやすくなるから日銀ウハウハなんですけどね。

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2008/03/12

○さて日銀正副総裁人事

本石町日記さんが珍しくも血圧を上げて民主党の決定にお怒りになっておられます。
http://hongokucho.exblog.jp/8152784/

まあ今回のメンバー構成だと、やたらめったら叩かれやすい日銀としては政治方面への説明能力が高そうな武藤さんあり、学会も納得する(と思うんだけどどうでしょ)伊藤隆敏さんありということで、日銀の打ち出す施策に関して対外的に説得力が非常に高まりそうな期待がありましたんで、そういう点で言えば今回提案されたメンバーが通ってくれると日銀(の中の人)としても大変に心強いボードとなってハッピーですねって感じだと思うんですよ。ということで本石町日記さんが血圧を珍しく上げてエントリーを書いておられるのが良くわかるのですが。

#だから白川さんだけが通ったのは日銀の陰謀じゃなくて日銀としては思いっきり迷惑至極だと思うのでありますけどね

ただまあ、経済財政諮問会議のメンバーということで官邸色が強い伊藤隆敏先生がすんなり通らないかなあとあたくし如き傍観者のシロウトですら思うくらいですから、今回は民主党が思いっきり政府の餌に釣られクマーという所なんじゃないですかね。福田首相の反応も含めて今回はまあシナリオの範囲内なんじゃないですか。

今後の展開を勝手読みをしますと・・・・

もう一回同じ2名を提出してきてミンス様当然のようにもう一回拒否。

政府としては「わたくしどもがベストと思って出しましたが、民主党様がダメと仰せですので民主党様におかれましては何か名案でもお持ちなのでしょう是非それをお願い致したくご協議させていただきましょう」とタマを投げ返す。

ミンスに対案無しということになってプギャー。または、ミンスが出す対案に立ち直りが出来ないような粗を見つけてプギャー。

んでまあ最後に小沢さんが党を叩き壊していただくとなお面白いのでありますけど。あっはっは。

ま、時間切れになった所で山口総裁、渡辺副総裁で収拾するというのが落としどころなんじゃないですかね。(あと可能性としては植田総裁かもとは思いますが、いつの間にか下馬評から消えちゃいましたね・・・)今回官邸色が濃い伊藤隆敏先生が跳ねられてしまったので、榊原先生とか竹中先生とかの線は無くなってしまいましたですね(そもそも竹中先生が受けるとは思えませんが)。

いやまあこの反対の理由が「利下げ論者だからダメ」とか言うのであればその瞬間に民主党プギャー(だって政策論で反対するなら金融政策の独立性に反するじゃん)という話になると思いますが、さてまあどういう理屈をつけるのやら。それから今日は新聞各紙このネタで社説を書いてくれると思いますのでそれも読んでみたいと思います。

まあ武藤総裁、伊藤、白川副総裁ってメンバー構成ってさっきも申し上げたようにやたら叩かれる日銀としては対外的に心強いボードで、できればまあこのまま決まって欲しいとは思うんですが、ナントカに刃物を持たせてしまっているので致し方無しという所でございましょう。

#というか小沢さん何やっとるんじゃと思うのですけど

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2008/03/10

○日銀執行部人事

伊藤隆敏先生がもう一人の副総裁候補とはちょっとビックリでありました。経済財政諮問会議メンバーで官邸色が思いっきり強い上に、民主党が主張する「利下げケシカラン」に反する人だと思うんですけど、よく出してきたなあというか伊藤先生もこの窮屈なお仕事よくお受けしたなあという所で。

伊藤先生だったらまあアカデミックな部分を実務に則して反映させる為にどういう風に政策運営をして行けば良いかという点について色々と理論的な裏づけをしていただけるものではないかと期待する次第でございます。

で、人事承認って別に3人セットじゃありません(らしい)ので白川さんが承認されるのはまず間違いないとして、武藤さんが反対(しかし未だにその理由の意味するところが判らん)にあって伊藤さんが微妙となるんでしょうな。しかし「財務省の意向で低金利を引っ張るのはイクナイ」という話だったら伊藤先生の方がより却下される可能性が高い筈なんですが、状況はその逆という所に民主党のいう「意見を聞く」というのがお為ごかしである事の証明ですな。まあそれは兎も角。

えーっと、武藤副総裁がダメなら総裁の方は山口さんしか候補が居なさそうなんですけれども、どうするんでしょうかね。まあ白川さんが副総裁で一人入っておけばどうせ目先は金融政策変更なしでしょうから、4月末の展望レポートまでには何とかしていただかないと困りますが、そこまではまあ何とかしていただきたいものと存じますでありますです(段々ヤケクソになっています)。

伊藤先生も蹴られた場合は山口総裁、渡辺(前財務官)副総裁って所になるんでしょうな。事務次官経験者だけじゃなくて財務省出身者は全部ダメという話をしだしたら、民主党にも財務省出身者いますがこの人たちはどうなるの(そのうち指定職以上とか変な事言い出すんでしょうけど、笑)とまたも壮大なブーメランになるだけでして、ちょっと反対はしにくいと思うのですけど。

勿論民主党が反対しないですんなり決まってくれれば良いのですが、情勢としては中々厳しそうな感じ。財務省の事務次官から日銀副総裁って1枚どころか3枚は格下のポストに移って総裁就任を前に政治圧力で総裁就任がパーとは武藤さんちとカワイソス(えーっと、各省次長って旧官制で言えば勅任官のうち高等官(1等か2等かは存じませんが、親任官ではございませんな)なんで、日銀副総裁とはだいぶ格が違う筈なんですが。いやまあ時代は全然違いますけど)なのでありますが、この手の話ばかりは中々思うようにならんもんですなあという所で。

しかし本件でさすがに民主党各紙から叩かれていますな。ざまあ味噌。

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2008/03/07

○さて日銀執行部人事案提示ですよ

もうここまで来ますとどうでもええからはよ決めえやというところでございますけれども、結局ここまで引っ張った結果として新聞各社の論説が「民主党イイカゲンにせえ」という話で揃ってしまっていたようでありまして(昨日は日経がわざわざ1面に特別コラムを持って来ましたし^^)、まあ民主党は状況判断を間違えたとしか思えない次第でして、永田メール問題に匹敵するアホアホ対応っぷりに落涙を禁じ得ません。というかこの一件で政権獲得は無理になったでしょってな所でありますが。

で、別に中の人ではないあたくしとしては最早興味本位モードになっておりますが(おい)、まあ民主党も反対するならちゃんとした理由と対案を出して頂きたいものであります。

しかしまあ日銀の政策委員って兼職どころか本の出版もさせてくれなくて、仕事は無茶苦茶忙しく(金融政策決定会合しか話題になりませんけど、通常の政策委員会って週に2回やってるんじゃなかったでしたっけ)、ろくすっぽ休ませてもくれず、骨休めに海外旅行なんぞ行ける訳も無く、てめえの資産も運用できずで給料があんなもん(正直、ヘイゾー先生なんかがお受けになったら住民税払ったらスッカラカンとかなんじゃないっすか)いう中々酔狂なお仕事でございまして、他に候補いるんかいなと思う(その点で、山本幸三先生の「日銀の政策委員の年収が高すぎる」という非難は全くいただけないと思うんですけどね、あの先生政策論だけ話してれば良いのに余計なこと言うから・・・・)んですけどね。

面白そうだから勝手に予想すると武藤総裁、白川方明副総裁、伊藤元重副総裁でどうですか。ちなみにあたくしその辺の関連事情とやら全然知りませんので本当にただの予想ですよ。


○福井体制(たぶん)最後の金融政策決定会合

ということで、就任直後にいきなりイラク戦争をネタに緊急金融政策決定会合を招集したり、ABCPオペの実施の話をしたり(最初は震災手形復活かと驚きましたが、施策の段階で見事に信管が抜かれていたのには感心しました)と中々アグレッシブだったのでありますが、なお書き修正のあたりから逆方向にアグレッシブになりまして、何かまあネタとしては面白い人でしたなという感じです。

武藤さんにしても山口さんにしても、総裁会見で不規則発言とか死んでもしそうも無い人ですから、そーゆー点ではネタが無くなるじゃねえかと誠に遺憾な訳でありますが(ウソ)、まあ最後の会見くらい面白いこと言ってくれませんかね。「民主党は本行にとって最大の『無能な味方』であった」とか「水野審議委員のハシゴを外して誠に遺憾でありました」とか楽しい不規則発言を節にお願いしたく存じます。

ま、今回会合は変更なし、金融経済月報も殆どいじってこないでしょう。米国経済はやや下向きになるかもしれませんが、国内の雇用関連とか消費関連が良くは無いけど懸念してたほど悪くは無いので、底割れ懸念に関してはトータルすると微妙に後退しているんとちゃいますか。

ということで、午後らしい人事案提示をワクワクしながらお待ちしたいものと存じます。

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2008/02/07

お題「しつこく輪番の話」

北ハマー先生の具体的数値砲オソロシス・・・・・・

○しつこく昨日の続きですが

阿部編集長ブログにやや脊髄反射して無い頭を無理に使って煙を出しながら2日にかけてうだうだと書きました結果、あたくしも日銀病罹患認定を賜りまして恐悦至極でございます(^^)。

さて、改めて本石町日記さんのコメント欄をゆっくり読み直したら、コメントの中で「飛車」さんが既に話をまとめていた事に今更ながら気が付くの巻。ちゃんと読んでおりませんで飛車さんすいませんすいません。

で、コメント欄から勝手に引用させていただきたく存じますわけですが。http://hongokucho.exblog.jp/7972046/の真ん中あたりになると思います。

(引用開始)
Commented by 飛車 at 2008-01-25 00:30 x
先に学とさんが書かれている。

僕も、国債買いオペは当座預金残高を増やし、少なくともデフレでない時には当座預金を預金準備率ギリギリまで貸し出しに回す=マネーサプライ増加という話だと理解しています。次の段階として運用先である短期金融市場などで金利が下がり、もともと意思決定として行われていた「目標金利」が実現されるわけで。最初に、「誘導目標を下げる」という決断を下すところが不況期に適切な金融政策であります。買いオペはその実現手段の一つですね。

ただ、これ短期金融市場が整備されている国の場合で、プリミティブな中央銀行は公定歩合で直接的に金利の底を指定するだろうし、預金準備率を動かすだろうし、あるいは金額を指定して買いオペをやる事になるのかなと。

また、デフレ下では当座預金がブタ積みされて貸し出しに回らないという議論もありますが、それはここ50年で日本しか経験していない特殊事例ですので、放置w。

で、銀行券は当座預金を現金で出金したり、不良紙幣の返品みたいな経路で入金されたりしないと増減しないので、こちらは完全に市中銀行に対して中央銀行は受動的であります。

こういう理解でよろしいでしょうか?
(引用終了)

・・・・あたくしが2日掛けてうだうだと書いた話が既にまとめられておりましたですな、いやはやこれは恐縮でございます(汗)。

例の3番の選択肢ってあたくしは間違いとは思いませんけど、「今の主要国の金融政策の実態としては」国債の買入に誘導目標金利の引き下げが伴わないと緩和効果が相殺されちゃいますし、大量の超過準備の存在を放置して短期金利の低下を放置した場合は、金融政策目標のディレクティブ違反になってしまいますので、(あくまでも現在の)実務からすると、もうちょっと書き方があるんじゃないですかなあというお話を申し上げていた次第でありまして、「買いオペやると金利が下がるというのが間違い」とは申したつもりは無い(というかそんなこと言う人ってふつういないでしょ)んですけどね、まあいっか。

まあ、準備預金率操作を欧米英日では最近は殆どやらないけど中国ではしょっちゅうやっていますとか、状況によって使われるツールが違う(一時期の米国みたいに金利が目標じゃ無かったときは短期金利の乱高下が普通に放置されたことだってある訳ですし)んで、まあ大学入試問題の選択肢を作るんなら「金融緩和/引き締め」ってシンプルなものにした方が吉なんじゃねえのと存じます次第。


○償還乗換に関して少々

話は変りまして輪番オペの償還乗換に関して(結局輪番かよ^^)。

一昨日色々と引用したと思うんですが、現在は日銀が買入などを行って自分の所の持ちになった長期国債は償還になると割引短期国債に乗り換え(なので新発の引受ですよね)られまして、いつの間にか短期の資金需給調節オペレーションの中に紛れ込んでしまうという状態になっておりますと存じます。

えーっと、そうなりますと輪番オペの目的として確か「成長通貨の供給」ってえのがあったかと存じますが、以前は買い入れた長期国債がそのまま償還乗換で長期国債にロールオーバーされるによって確かに長期国債の残高が積み上がったんで、日銀の長期資産が増えるの図ということになってたんですが、方式変えた時点で、長期国債が償還したそばから短国に化けて短期調節の中に入っちゃうので、それって微妙にありかたが変化してますなあというお話でございます。

おまけに利回り競争入札での買入でほぼ全銘柄対象になっている関係上、テクニカルに中短期国債が輪番で吸収されやすくなっておりますので、日銀保有の長期国債のターンオーバーがやたら早くなっている(筈です。ちゃんと計算してないけど)ので、ますます「ちょっと長めの短国買入」化しつつあるような感じでして、それってどんな成長通貨の供給なのよという気はせんでもない。

まあ難しい所なのですが、ちょっとこの輪番の位置づけに関してはちょっと見直しが必要なんじゃないかと思います。ま、ずっと将来の話でしょうが。

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2008/02/06

お題「やはり金融政策と金融調節話の混同か・・・・」

ということで昨日は本人的には判り易く書いたつもりでございましたが、「おめーこれじゃわかんねーよ」という暖かいお言葉が太宗で誠に申し訳ございませんm(__)m

#ゆうちょ銀行が全銀に接続って・・・ダイジョウブナンデスカネ


○操作するのは「政策金利」ですというお話

あたくしが書き物しちゃったんで本石町日記さんの例のエントリー
http://hongokucho.exblog.jp/7972046/
のコメントがまた伸びておりまして恐縮至極でありまする。

で、何かテレビ番組で竹中センセイまでもがこのネタを取り上げていて、本石町日記さんの所のコメント氏が正しいという前提でお話をしますと、センセイはこのネタを「日本は政策の「イロハ」の「イ」ができていない例として取り上げられていました。」ということのようで。

いやあ残念無念としか申し上げようが無いのですが、オペレーションの技術的な話をしている相手に「政策のイロハのイができてない」とか言われましてもそれは話が噛み合わない(まあ本石町日記さんの元エントリーでオペレーションの技術と概念としての金融緩和/引き締めの違いについての説明を端折っているんで、釣り成分が入ってるかなあとは思うんですが)ですなあというお話。

昨日ご紹介した日銀のペーパーにもございますし、まあそれ以前の問題として竹中センセイあたりだったら先刻ご承知の介だと思うのですが、主要国(というか欧米英日)の中央銀行が金融政策を行う場合、操作するのは政策金利(オペ金利だのFF金利だのモノは違いますが)としての短期金融市場における金利でございますというのがこの駄文を書いている現在の状況でございますわな。

即ち、「中央銀行が行う金融政策」というのは(プルーデンスの話をするとややこしくなるし、そもそも高校の教科書では「銀行の銀行」という言葉がちょっと出てくる程度だったという記憶がありますのでここでは一旦スルー)政策金利の上げ下げによって行われるというのが欧米英日で現在実施されているモノでありますんで、政策金利が不変だと緩和/引き締めではございませんなあというお話になるというのが「現在の欧米英日での金融政策の運営」でありますってことですな。

ということで、例の設問の選択肢って「政策金利がどっちに行くかによっては適切だったり適切じゃなかったりする」というのがあったりする訳でして、2番の預金準備率操作って(中国では銀行の貸付を抑制する手段として使ってますけど)、実は預金準備率を引き下げながら政策金利の引き上げをやらかした場合(普通そんな事はやらないけど)やっぱり金融引き締めになるんじゃないですかねというお話になるんですわな。

もうちょっと判り易い(と本人が思っているだけ)言い方をしますと、「現在の欧米や日本などの主要国では金利操作で金融政策を実施しておりまして、預金準備率の操作(実際には殆ど使われない)や公開市場操作は短期市場金利を政策金利に誘導するための手段として使われております」という話になる次第ですが、んなこたあ高校の教科書に書いてるわけはございませんわな。


#・・・・・と、ここまで書いて気が付いたのですが、あたくしが高校生の時って規制金利時代でしたよorz(ジジイであることがバレバレ)

まあそれは兎も角。


○えーっとつまりですな

現在の欧米英日の金融政策運営という意味でお話しをした場合、例の選択肢のうち、明快に間違いな選択肢って1番「デフレが進んでいる時に通貨供給量を減少させる」と4番「好況期に市中銀行に資金を貸す際の金利を引き下げる」でありますというお話。

で、2番の「インフレが進んでいる時に預金準備率を引き下げる」はそもそも欧米英日だと預金準備率操作を金融緩和/引き締めの意味で使わない(調節の技術上実施する場合はあるんでしょう)ので何とも言えませんが、政策金利の変更が伴わないとすれば間違いになるって話なんでしょ。

では3番の「不況期に市中銀行から国債を買い入れる」って奴でございますが、昨日延々と引用致しましたように、公開市場操作による国債の買入というのは欧米英(と言いましてもそもそもユーロエリアでは国債の買入自体行っていませんが)では金融調節上の一手段としての位置づけでございますわな。するとど〜ゆ〜ことになるかと申しますと、これまた昨日も申し上げたように、国債の買入が増えた(そもそも設問では「増やす」と書いてないのも困ったもんなのですが)ぶんは、短期のオペレーションでの資金供給が減る(または吸収が増える)事になるちゅうお話であって、残念な事に「政策金利を変えないと短期のオペが長期のオペに振り替わるだけ」という結果になるんですよね。


・・・・という趣旨が本石町日記さんのエントリーと理解する次第なのでありまして、阿部編集長とか竹中センセイとかにおかれましては、人を罵倒する前にもうちょっと元の文章を読んでいただきたく存じます次第なのでありますけれども、過去のこの手の論争でいつも思うのは、「現在の金融政策実施における実務としては、このように行っているのでこうなるしかございませんのですが」と申し上げましても中々ご理解していただけないというお話でありまする。

#まあ高校の教科書という話であれば3番正解で無問題っすけど、その先の話となりますとね・・・・

まずは「現在の預金準備制度を利用した金融調節において、恒常的に大量の超過準備(急に引き出しが来たので系の不測の事態に備える予備的需要分を大幅に超えるという意味です)が存在する状態を放置していたら、短期市場金利はゼロ(または預金ファシリティがある場合そのファシリティ金利)まで下がってしまうので、金融政策の操作対象である政策金利がコントロールできていない事になる」という所からご理解を進めていただかないとどうにもこうにもという感じでございます・・・・・・




○量的緩和政策時代の生き残り?

えーっと、さっきしらっと欧米英と書きましたが、日本の場合はどうなんでしょと申しますと、速水総裁時代に導入された量的緩和政策下において当座預金残高目標に操作対象が変わり、この時に当座預金残高目標の引き上げと長期国債の買入額増額がセットになって金融政策決定会合で公表されるというのが続いてしまったんで、その時代のフレームワークに引っ張られてしまっている所が少々宜しくなかったりするっちゅう話ですわな。(ちなみに福井総裁になってからは当座預金残高目標引き上げても長期国債の買入額は増えませんでした、為念)

金利操作に戻った(また量的緩和に戻るかも知れませんがそのときはそのとき^^)時点で輪番オペの増減に関してはオペレーションの技術的マターに落としておければ良かったのかもしれない(定例実施モードに慣れきってますので債券市場の心の準備が全くできていないのが誠に遺憾なのですが、苦笑)んですけど、まあそもそも買入額がそこそこあるのと、参加者の方も輪番オペに関してそこまで割り切っている人はあんまりいないでしょう(それにそもそもの額がそこそこでかいし)と考えると急に輪番の位置づけを下げるというのも難しいのかも知れませんですね。


ということで、結局本日も煙に巻いてしまった気がする。うーん難しい・・・・

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2008/02/05

お題「話題?のセンター試験ネタですが」

えーっと元ネタはごぞんじ本石町日記さんの
http://hongokucho.exblog.jp/7972046/
でして、何か燃料投下だったらすいませんすいません。(それより自分への燃料ですか)

○まあ答えは3番でしょうが

で、その問題ってのがこちら。

「中央銀行が行うと考えられる政策として最も適当なものを以下から選べ」
1−デフレが進んでいる時に通貨供給量を減少させる
2−インフレが進んでいる時に預金準備率を引き下げる
3−不況期に市中銀行から国債を買い入れる
4−好況期に市中銀行に資金を貸す際の金利を引き下げる

さて、あたくしがn年前(10<n<30)に高校の政治経済の授業で教わったのは(さすがに手元に高校の教科書は無いので記憶ベースですが、あたくし一応政治経済は得意科目のつもりだったので記憶違いは無いと思料)中央銀行が行う政策としては、(1)公定歩合操作、(2)準備預金操作、(3)公開市場操作、でありまして、その(3)がカッコ書きで「オープン・マーケット・オペレーション」ってなっててその英語が妙にカッコイイなと思った記憶がございます。何せn年前のことですので、その後教科書の記述はどうなったのかは全然存じませんが。

んでまあこの問題ですが、1と3と4が不適当。当時教わった記憶によりますと「買いオペレーション」をすれば市中に資金が放出されるので金融緩和というお話になってましたんで、まあこれは3番なんですな。少なくともあたくしの勉強したn年前の「高校の教科書」で言えば。



○んじゃまあ何で「正解がない」という話になるかと申しますと・・・・

本石町日記さんは『それはさておき、まじめに考えると、@は間違いである。Aも間違いで、しかも預金準備率の操作はもはや金融政策の手段ではない。Bは、好不況に関わらず、日銀は国債を買い入れている。Cは明確に間違いである。』って説明しているのですが、これがまあ絶妙の釣りになってしまって話題沸騰になったのはコメント欄とかコメント欄で紹介されているFacta編集長阿部さんのブログなどをご覧になればお判りの通り。

えーっと、要するに「好不況に関わらず日銀の国債買いは行われておりますので、不況期だけ買うわけではない」って意味で「正解はない」と本石町日記さんは書いていると理解したんですが、「不況なのに国債の買入=金融緩和を行おうとしないとはケシカラン!ムキーッ!」という反応になってしまったのは誠に残念無念としか申し上げようがございませんです、はい。

いわゆる「成長通貨の供給」という意味での長期国債買入(輪番オペ)という論点(実はこれが少々アレという話はこの先で行います)で考えますと、成長通貨の供給だけに基本的には年がら年中供給すべきものでありまして、好況だろうが不況だろうが国債の買入は行なわれるというお話になって、「不況時に国債を買い入れる」と殊更に不況時を強調されましてもそれはちと妙という話になるちゅう事ではございますな。

まあ、設問が「以下の中で最も適当なもの」を選ぶということなので間違っている3番以外の選択肢が消え、結局3番が正解にはなるんで「正解が無い」というのも問題に釣られているんですがね(^^)。



○ところで輪番オペの額に一々意味を持たせているのは・・・・・

ご案内の通り、日銀では月ごとの長期国債買入額を金融政策マターとして変更があった場合(最後に変更になったのは速水さん時代に遡りますけど)に決定会合議決事項として公表してるのですが、主要国の中央銀行で長期国債の買入額に対してこのようにウェイトを置いてるのは他には無かったりするんだなこれが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research/data/ron0606c.pdf

こちらは何度かご紹介しましたが、大変よく纏まっているのでまあ読むべしと存じますもんですが、こちらの本文(いきなり本文なのでファイルのページと同じ)6ページ以降を読むとヨロシアルね。

『オペは、概念上、長期オペと短期オペに大別されることが多い。長期オペは、主に、銀行券など、中央銀行の安定的な負債に対応するものとして、長期的に資金を供給するための手段であり、国債の買入れがその典型例である。他方、短期オペは、主として一時的な資金過不足に対応するための手段であり、例えば、期間の短いレポ取引(債券等の売戻し条件付き買入れもしくは買戻し条件付き売却)や有担保の資金貸付けなどを通じて実施される。』

『金融調節において長期オペを用いると、一度に長期間に亘る資金供給を行うことが可能となり、短期金融市場において巨額の短期オペを頻繁に実施する必要性が低下する。この結果、中央銀行のオペにより短期金融市場における金利形成を歪めることを回避できるとともに、オペにかかる中央銀行・民間金融機関双方の実務負担も軽減することができる。他方、長期オペは中央銀行の資産の固定化にもつながるため、その規模が安定的な負債に見合わないものになると、資金過不足の変動に合わせて柔軟に金融調節を実施していくことがより難しくなる惧れがある。』

つまり国債の買入ってのは「足の長い資金供給オペ」でありまして、これをあまり打ち込みすぎると金融調節上短期で吸収オペを打たないといけなくなりますので、あんまり打ち込みすぎるのも良くないですし、逆にあまりにも打ち込みが足りないと短期の供給オペをやたらめったら打たないと回らなくなるという話。

打ち込みすぎたのを放置して量的緩和すりゃいいじゃないかとか言われそうですが、現在の準備預金制度を利用した金融調節手法(主要国は須らくこの手法ですわな)の下では、のべつまくなしに超過準備がある状態ですと翌日物金利が預金ファシリティ(ECB以外だとゼロ)まで低下するというのはご案内の通りかと。

でまあ日本の長期国債買入はご案内の通りと存じますので、上記のレポートから日本以外の長期オペに関する部分を引用致しますですよ。


『ロ) 米国
FRSでは、長期国債および短期国債の買入れを「永続的(permanent)な資金不足に対応する観点から実施するもの」と位置付け、国債保有残高の増加額が銀行券発行高の増加額に概ね見合うように買入れを行っている。国債の保有残高や買入総額に関しては、従来、FRSにおける金融政策の決定機関であるFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)がFOMC会合間の純増減額に一定の制限を設けていたが、2005 年2 月以降は、金融調節上の必要に応じて適宜決定する扱いとなっている。年間や月間の買入れ予定額は事前に公表されない。2005 年中は、24 回のオペにより、総額248 億ドルを買い入れている。買入れは金利競争入札により行われる。』

『ハ) ユーロエリアおよび英国
ECBでは、長期オペに相当するものとして、Structural Operationsと呼ばれるオペ手段を制度上設けているが、これまでのところ実施されたことはない。その背景は必ずしも明らかではないが、ユーロシステム全体のバランスシートに占める金・外貨資産の比率がそもそも大きく、長期オペにより固定的な資産を積み増す必要性がさほど高くないといった事情による面もあるのではないかと考えられる。

対政府貸付など、固定資産の比率がECBと同様にもともと高かったBOEでも、従来は、期間が1 年を超えるオペ手段を有していなかった。こうしたなか、BOEは、2006年5 月に金融調節の枠組みの見直しを実施するに当たり、その一環として、債券買入オペを導入する方針を明らかにした。当面は、年平均40 億ポンドの英国国債のほか、これを若干下回る額の外貨建債券を買い入れることが予定されている。BOEでは、買入債券の残高を銀行券発行高の推移に応じて調整していくこととしている。』

で、まあ実際にどう運用してますかという話ですが、まあそちらは上記レポートの本文11ページをご覧いただければと存じますです。米国では長期オペの残高が多く、ユーロエリアは長期オペが実施されていないって話(2006年前半時点での話です)でして、好況不況と長期オペが関係あるというよりは、中央銀行の資産負債構成および資金需給の振れ方に依存するというのが実務のお話になりますなあという話になるんですな。

・・・・と書くと、阿部編集長ブログ風に言わせれば「日銀病に罹患しているので実務レベルの話に持ち込んで煙に巻くとはケシカラン」となるんでしょうなあ(吐息)。


○まあ時代によってやる方法も違ってますから

さっきの資料の最初の部分にはこのような記述がございます。

『米国や英国、ユーロエリア1を始めとする各国の中央銀行においても、現在、金融調節によって短期の市場金利を誘導することを通じ金融政策を運営するという枠組みがとられている。したがって、金融調節の円滑な運営は、中央銀行にとって重要な課題であり、各中央銀行とも、それぞれが置かれた金融市場の環境等を踏まえつつ、金融調節に関する制度の見直しや運営上の工夫に努めてきている。』

ということで、主要国のMPCで出てくるのは基本的には金利操作でこの前の流動性供給のようにたまにプルーデンス(を利用した裏口利下げもありましたが^^)と言ったところでございまして、準備預金操作は特に金融政策としてどうのこうのという事でもないですし、オペに関しては金利操作を実施するためのツールでございますなあという話になりますと、あたくしがn年前に高校で勉強したのは何でございましたんですかという気もせんでもない次第。

まあボルカー議長のFRBの一時期みたいにマネタリーベースだかマネーサプライだかを直接の操作対象にして金融調節を行った例もありますし、この手の話って時代によって話が違ってくるので、高校であたくしが勉強したのはそれはそれで良いのでしょうかとも思いますし、とは言え現在実務的には金利操作が金融政策として使われているのに金利操作以外の選択肢だらけというのも何ですなあとか思うのもありまして・・・・(と微妙にお茶を濁す)。


○長期国債買入の償還乗り換えに関して

http://www.boj.or.jp/theme/kokko_etc/giketsu/index.htm

このあたりの下の方を見ますと、『「対政府取引に関する基本要領」の制定等に関する件』ってえのがあると思います。FBが実質日銀引受(直近何日か前の公定歩合よりも低い利回りで定率公募されるので応募が基本的にゼロとなり、残額が日銀引受になる)だった状態から公募入札方式に変更になったのを機に制定されたんですな。

http://www.boj.or.jp/type/pub/pb_geppo/kako02/giji99037.htm

『2.償還期限到来国債の取扱い
償還期限の到来する本行保有国債(政府短期証券を除く。)について、借換えのための引受けを行う場合には、予め年度ごとに当委員会の決定を経て行うものとする。』

ってえことで、さっきの上のほうにある中で『平成12年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けの方針に関する件』というのがあるように、日銀が保有する長期国債が償還になると借り換えの為の引受が行われるんですが、

http://www.boj.or.jp/type/pub/pb_geppo/kako02/giji99129.htm

にもあるように、基本的にここ数年は割引短期国債で日銀乗換えが行われておりまして、その後ロールオーバーしてるのかしてないのか正直良く判らん(利付国債に関しては割引短期国債で乗り換えているのは判るのですが、その後の割引短期国債がどうなっているのかは良く判らんという話です)次第でございます。

ではこの平成12年度より前はどうなっていたかというのは、日銀のサイトはどうも旧法時代まではフォローしてくれないようですし、財務省の国債発行計画を見ても「日銀乗換」としか書いてないので総額は判るのですが割引短期国債で乗り換えているのか長期国債で乗り換えているのかが良くわからん(さすがにここから先は専門家の出番を待ちたいですぅ)のでありますが、確か長期国債で乗り換えていたと聞いておりますです。はい。


さて、延々と訳の判らん話をしておりますが、長期国債を買入ましてもその償還が現金で行われた場合、その分を何も手当てしないで放置した場合には資金吸収オペと同じ効果になってしまうので、あれれ成長通貨の供給ってのはどこにって話になるんですよね。同じ理屈で償還乗り換えが足の短い国債で行われた場合には短期の資金オペの中に混じってしまうような気がするんですが・・・・・・というお話。

となりますと、長期国債買入って単なる「足の長いオペ」って話ですなという話になるんですけれども、この輪番オペが入札方式のテクニカルな要因によって残存の短い国債が入り易いのでやたらターンオーバーが早いのですなあとか言う話をおっぱじめると益々訳の判らん話になって来るのでまあ本日はこの辺で。

・・・・・結局わけのわからん実務の話になってしまいましたすいませんすいません。

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2008/01/30

お題「相場で振らされてるんで雑談ネタのみですぅ」

すいませんすいません。もう何が何だか。

○安定してるのは現物の1年くらいまででして

あんまりちゃんと見ないのですが、ネタとして面白いのでユーロ円金先のSEP08を見ておりますと(中心限月はJUN08)、先週水曜日に利下げ催促祭りを実施した時に99.535の高値をマークしてましたが、先週金曜には99.405まで安値つけまして月曜は99.460まで反発して昨日は99.425ともう何だか凄いですな。

一応0.5%割れなどという数字をたたき出さなくなったんで、先物市場などの利下げ催促祭り自体は一旦中断の巻のようでありますが、この間に1年TBとかって0.50%が0.485%位に下がってまた戻ったという感じ。3か月FBは0.53〜0.54位ということで、足元金利の足し算をしながら現実的に投資せざるを得ない実需筋さんの動きはそこまで盛り上がりませんでしたかねという所でしょうか(足元に資金を逃避させてその場を凌いでも金利変りませんですからね)。

もっと長いところの動きっぷりはもう一々書くほどでもないと存じますが、ドカドカぶれている間にふと見ますと昨日の引けで平均株価は先週頭の恐怖の急落(月曜火曜で日経平均1200円のトピ120下げ)前の金曜(18日ね)回復していないというのに、金利様の方といえば2年が低下(0.575%→0.545%)している中で後ろの方は全部上昇しやがっておりまして、5年が0.855%→0.900%、10年が1.390%→1.465%(以下面倒なので割愛)などと上昇しているのが実にチャーミングでございます。

えーっと、まあ米債様がスティープするのにそんなに付き合わんでも良いように思えるのですが(^^)、こうやって見ますとネタとしては「金融不安問題の解決策」→「実質ゼロ金利のようなネタ(かつてのFF1.5%とか)登場」→「長期金利は上昇ですよあっはっは」ということになるんでしょうな。本当にそうなのかは兎も角として、どさくさに紛れてこっそり長期金利が(カーブの形状変化により)上昇しているのがなんともです。

まあアレですな。福井総裁が利上げ路線にどう見ても白旗モードとなり、まあ後は後の人がご随意にってモードになったことから、従来の金利正常化路線でベアスティープという絵が描きにくくなったのは事実でしょうから、こーゆーチャーミングな事態になっちゃったりするのですけど、「金利引き上げ路線はちょっと無理ですなあ」となった所で長期金利は上昇しちゃうってなると、足元の政策金利と長期金利って必ずしも連動しない(というか利上げしたのに長期金利が下がったのがゼロ金利解除以降の展開ですし・・・・)次第でありますよって、まあ金融政策で長期金利の話までされると難しい(最近そういう話する人あまりいなくなりましたが)ですなあと思うのでありましたです。

ただまあ景気見通しおよびマインド面(マインド面に関しては正直株価次第でしょと思うんで、下がらないでじり高になってくれて報道機関が明るい話をすりゃいいのよ)が復活した場合は昨日ご紹介した水野審議委員のロイターインタビューにありますように、またぞろ正常化路線復活の線もあります(どんなに早くても半年以上はかかるでしょうけど)ので、今の2年とかちょっとこう楽観(というか経済に関して言えば悲観ですが)なんじゃねえのかと思うんですけど。「対策が何も効かないままダラダラと現状が維持される」って前提の金利に思えるのでありますが。(でも2年って全然金利あがらないんですよねー)


○協調利下げとかあるのでしょうかという与太話

べき論で言えば日米欧が景気下支えパッケージで減税(米国の場合はサブプラ問題の公的資金注入もセット)と利下げをセットでぶち込んでくれてV字回復したところで皆さん揃ってメジャードペースの正常化に復帰というのが美しいと思うんですがそれは兎も角として。

えーっと、どうにもこうにもそんな協調っぽい感じが欧州方面からも聞こえてこないですし、日本は日本で減税どころの騒ぎじゃないですし、そんな雰囲気が感じられませんな。これが各国実は既に握っていて、サプライズ効果出したいから発表まで雰囲気見せないでいるとかの大狸状態だったら凄いけど。

ということで、国際協調があんまりワークしないものの、日銀としても何かやらねえと格好つかないという場合に何がどうなるのか適当に考察するとこんな感じでしょうか。

その1:なんちゃって低め誘導+ロンバート下げ

もうね、低め誘導という文字を書いた時点で12年くらい前を思い出すので何だかねって感じですが、0.50%をちょっと下回る位に誘導するという超懐かしい作戦。ヒジョーにちょっとした金利下げ効果しかないのですが、ついでにロンバート下げておけば格好はつくでしょ。何となく政策金利いじってるし、公定歩合が下がっているので一般向けアナウンスには吉でしょう。短期市場の機能がまた低下しますが既に1年までイールドフラットと見事に低下しているのでそんなことはケンチャナヨ。

その2:時間軸復活

これは時間軸があると思われるところまでの金利が下がる(実際は期待でもっと先まで下がり、逆に期待の剥落とか逆方向の期待盛り上げが起こると時間軸がアホほど短くなる)ので中長期のカーブ形成に効くのですが、惜しいことに一般人向けに全然意味が判らないですな。

まあそもそも現在の金利もある意味「サブプライム問題が決着して米国経済の軟着陸が確認されるまで」という時間軸が効いているとも言えますが。

その3:輪番オペ増額

これは世間もセンセイ方にも受けそうですが、現在の状況で輪番(国債買い入れね)を少々増やす程度であればまあ単に資金供給オペのリバランスに過ぎないというお話もあったりするのですけどね(そりゃまあいきなり月に50兆も輪番やれば話は別ですよ、と一応書いておきます)。

本件に関しては本職の複数名の方が輪番オペの増額に関してレポートを(最近だったり暫く前だったりしますが)出しておられます(本石町日記さんの所にも関連エントリーあります)のでそちらをご参照下さいませ(と人のふんどしで逃げる)。

とりあえず思いつくのはそんなところですか。ABCPオペ復活というもっと意味のなさそうなものもありますけど、もはや全然アピールせんでしょ。

まあこんなこと書いてるあたくしも、ここんところ何度も書いてるように、大体からして何でアメ公のケツ拭きを国際協調せにゃならんのじゃという感情はあるのですけど(苦笑)。

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2008/01/28

○その他エライ人の発言とか

・門間調査統計局長の弱気発言

イブニングセッションで瞬間債券先物が跳ねた場面があったのですが、門間調査統計局長の講演報道が原因でありました。ということでメモメモ。

ヘッドラインでは門間局長が「一切動かせないほど硬直的ではない」と利下げ論に関して述べたとなってますが、記事内容も景気に対しては弱気となっています。

ブルームバーグ25日17時55分配信記事より。

『日本銀行の門間一夫調査統計局長は25日午後、都内で講演し、「世界経済は全体の連関が非常に密接になってきている」とした上で、「結果的に、外から見て協調と見えるタイミングでの政策変更が全くないとは言い切れない」と言明。「外的なショックが非常に強くなり、日本経済にデフレ圧力が強まるようなことが起こったときは、0.5%だからといってビタ一文動かせないかというと、そこまで硬直的に考えていない」と述べた。』

んでまあ当該記事の小見出しですが、『世界経済はますます一体感を強める』『あらゆる可能性を排除しない』『CPIは目先、さらに上昇も』『物価上昇が定着するとは言い切れない』『不確実性高く、一瞬とも気を抜けない』となってまして、内容的にも景気の先行きにかなり慎重というか警戒的になっておりました。

その割には債券市場が瞬間しか反応しなかったのは、まあそこまでの地合いかなあと思うのですけど、金先はちょっと戻っていましたんで、短い所に関しては反応してたみたいですな。


・衆議院予算委員会:有能な敵より質が悪いのは・・・・

あとですね、昨日は衆議院予算委員会で山本幸三さんが福井総裁などにツッコミを行っていたようですが、こちらに関しては会議録出てからじっくり読みたいと思います。現状の景気と物価の話をして利下げすべきという論陣を張ったようでして、まあその辺は主張として一貫してまして論戦は読んでおきたい所でございます。

そんな中で何かまたピンボケ発言してたのは例の人でして・・・・

『[東京 25日 ロイター]渡辺喜美金融担当相は25日午前の衆院予算委員会で2006年7月のゼロ金利解除後にダウとドルベースの日経平均がかい離を始め、どういう影響があったのか懸念持っていると述べた。』(25日10時43分配信記事より)

いや先生あの状況下でゼロ金利解除しなかったら円安が更に進行してドルベースの日経平均ってもっと下がったんじゃないでしょうかって気もするんですが。しばらく前も株価下がっている時にドルベース日経平均はそんなに下がってないとか発言して(厭債害債さんの所でネタになってました)失笑を買ってましたけど、何か日銀ケシカランという結論が先にあって話をするもんだから言ってることが支離滅裂で実に香ばしい。

何か例えてみますと、にわか仕込みの中途半端な知識を合コンでひけらかす小僧の自慢話が聞こえてくるのを隣のテーブルで失笑あるいは爆笑をこらえながら聞いている感じですな。

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2008/01/25

北ハマー先生が水曜の玉音放送(ラジオ日経の番組)で「株が下がっている時には株式から債券への資金シフトが起きる」などというお告げを出したら債券(特に長いところ)が・・・・・日本はまあそれほどでもないですが、米国債券市場まで曲げるとはさすが髪。


○まあ勢いで動いてるので後講釈するのもアレですが

昨日はSGでトレーダーが権限違反大取引やって大損ぶっこいたとかいうリリースがあったんですが、このリリースの前後あたりから欧州株式市場の絶賛大上昇に拍車が。前日に下がってたのをあたくしトリシェの利下げ否定発言かと思って昨日は悪態つきましたが、何かロイターニュースとかによりますと、このネタって前日とかも話になってたんですね。こりゃ失礼。

欧州銀行の損失→ユーロエリアでも対策が打たれる→各国協調行動期待→問題の早期解決期待→株は買いじゃん長期債は売りじゃんという絵を描いて相場が動いているとすれば、今までのパターンと違いますのでこれはオモロイんですけど、まあ金融機関巨額損失ネタがサブプラじゃないのが判明したので「なーんだ」となって前日に下がった分が戻った(上に米国の財政対応を好感した分が上積みになった)という所なんでしょうけれども(^^)。(追記:SGの敗戦処理に伴い株が下がったとの話もあるようですな。詳しくは厭債害債さんのところで)

ま、ここもとの相場自体が一日でダウが600ドル以上乱高下するようにもう何が何だかの勢い相場なのでございますが・・・・


んでまあ昨日の国内債券市場は前日の続きみたいな展開ではございましたが、さすがに2年の0.5%割れは何ぼなんでもそれは如何なものかということになったようで0.5%乗せに復帰致しました。と言っても相変わらず3か月FB対比逆イールドなのでありますが(苦笑)、1年以内のTB/FBに関しても昨日申し上げた素敵な逆イールドが若干緩和されましたねというところでございます(3か月が5糸強とか1毛強で1年は5糸甘)。

#どうでも良いのですが、先物ってマージンコールが掛かるから8000億円も飛ばす前に資金繰りで気が付くような気がするんですけど。その額さすがに資金繰りの誤差じゃすまないでしょ。

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2008/01/24

お題「素敵な利下げ催促祭り」

利下げ否定のトリシェのバカタレ発言で欧州株が下がりやがって不機嫌モードで寝た訳ですが、起きてみたらいきなり米国株大反発とは何のこっちゃでございますな(^^)。(追記:実は要因派別だったようです。25日のドラめもんをご参考に)

しかし公共放送様は何で「320ドル下がった!」って報道するんでしょうかねえ。報道してる時点で200ドルくらい上昇してるのに、何という不安煽り。

・・・・・なんですけど、きっと公共放送様が本格的に狼狽してるということはある意味底打ち近いということでございましょう(と都合の良い解釈^^)。

#(追記)と思ったら6時のニュースの時(あれま300ドル上昇)には「値上がりに転じています」って言ってますな。

#(なおも追記)7時のニュースのヘッドラインは「大幅値上がり」になりましたよ。あっはっは(^^)。



○これは素敵な逆イールド&ツイストスティープ

昨日の債券市場はご案内の通り、朝っぱらから2年が0.5%割り込むわ、1年が0.5%割り込むわ、金先のSEP09が0.5%割り込むわ(しつこい^^)ともうお祭りにも程がある展開。2年の高値0.485%ですよ先生。

で、そんな中で3か月FBの入札をやってみればこっちは0.54%台の落札となりまして(引けでは0.54%ビットの0.535%ちょっと出合いで0.535%ですが)、いやあもうこれまた素敵な逆イールドになっておりますですよ。

・・・・ということで引けを並べると2年より手前は見事に0.5%割れの引けが並び、6か月くらいが0.5%でその手前になるとレートがちょっと上がってGC並みになるという感じですな。どれがどう引っ張っているのだか判りませんが、OISのAPR-MAYの仲値が0.393%あたり(15時半ごろ拾った数字)になってまして、利下げ織り込みが半分近くじゃねえか(半分なら0.375%ね)よおおおおという数値になっております。どうみてもそれはただの祭り状態ですが、これはまあ利下げ催促ということで(^^)。


で、一方で長いほうは何かヘロヘロになっておりまして、昨日の引け見ますと2年が3毛強の0.495%となってる側から5年が引けの0.780%、一方で10年が2毛甘の1.335%で20年30年が3毛甘の2.040%に2.300%と短期で利下げ催促して長期金利絶賛上昇の巻。

いやまあこんな時って勢いで動いてるから一日の動きで後追い講釈しても仕方ないんですけど、これを講釈すると「日本は利下げを行い、その利下げが効果を発揮して景気がまた復活するんで長期金利は上昇!」って市場が申しているということになりますな。なおも我田引水的解釈を続けると、これは市場が「日銀の利下げと政府の政策対応を催促している」と捉えていただくと有りがたく存じます次第。

・・・どんどん解釈が胡散臭くなってきた気がしますが(苦笑)。


でもね、2年が0.5%割れっちゅうのはこれ何なんでしょと思う訳でして、利下げしてそれが効かないとかなら兎も角、利下げが効果出したら将来的には逆に金利調整のプロセスが早くなるという結果になる筈で、そこまで2年もかからんのじゃないのって思うんですけど。いやまあ1年とかの金利はまだ理解できるのですが、2年まで買い進むのは勢いとは言え、催促してるのに利下げ効かないって感じでちょっとねえと。

ま、このあたりは解釈の世界なんで人それぞれ理屈を捏ねるんでしょうけれども、かつての時間軸時代の金利体系に目が慣れてしまってて、勢いで2年とかまでカーブを潰しに来てるように思えるんですよね。本当に各国が協調して政策パッケージ(財政と利下げ)やったら実質ゼロ金利とかマイナス金利の世界になって、わりとさっくり復活するんじゃねえのと思うんですけどねえ。。。。


○一番美しいシナリオはパッケージ炸裂だと思うんですが

昨日も何か頭に血が上りながらうだうだ書いたのでありますが(汗)、今後の一番ビューテホーな絵を描くとすれば、今度のG7だか何だかで各国が政策協調して利下げと財政対応(減税が宜しいのではないかと思うのですが)パッケージを炸裂させて回復ですよ回復ってお話。トリシェ先生がやる気なさそうなのが実に遺憾なのですが。

さすがに政府サイドが「うちらは何も出来ません」って発言してるのマズイと思ったのか知りませんが、福田首相が「各国の協調が必要」みたいな発言をしてたらしいのが希望を持たせてくれます。

・・・でも昨日のまっちー会見のヘッドライン見てると何ですかねと思っちゃう次第でして、ブルームバーグのヘッドラインを並べますと。

JBN 16:19 *町村氏:景気の先行き心配しないといけないが企業部門は底堅い
JBN 16:24 *町村氏:日銀も政府と同じ認識で適切な金融政策行うと思う
JBN 16:25 *町村氏:日本経済は極めて堅調、拡大基調にある

最初のはまあ良いとして、政府の認識は2008年度実質GDP2.0%名目GDP2.1%の見込みで、しかも極めて堅調な拡大基調だったらあのその日銀の適切な金融政策って利下げにならないと思うんですが(苦笑)。

危機感無いなら仕方無いのですが、微妙に他人事モードっぽいのが何ともですねって感じです。そういや山本幸三さんが「日銀はゼロ金利に戻して量的緩和を」って提言するそうなんですが、政府に減税しろというような提言もして頂きたく存じますんですけどね(何か酒の方の中川先生が「政府何かやりやがれ」みたいな発言をしてたらしいとちらっとどこかで見たんですが)。量的緩和やってる間もシバキアゲ大会(あれも一種の官製不況って奴でしょ)やってる時って株価絶賛下落してましたように、財政というか政府部門の適切な対応も大事じゃないのかと思うんですけどね。


ま、5日前に自分達が閣議決定した経済見通しを華麗にスルーしてほぼ同等の見通しを出している日銀の見通しを下げるべきだとかいう大臣がいるようじゃあ話にならんのですけれども(とまた悪態)。



○福井総裁記者会見:「金利水準の調整」終了のお知らせ(^^)

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0801b.pdf

上のほうの結局またトサカモードの書き物してるうちに時間が無くなって参りましたのでとりあえず簡単に(汗)。

・今までは「現状維持か利上げ」でしたが・・・・

何という直球質問(^^)。

『(問) 本日の中間評価でもありましたが、景気判断が下方修正されていく中で、今後の金融政策としては、利上げではなく利下げを検討する過程にあると考えてよろしいのでしょうか。』

『(答) 今申し上げましたように、先行きの経済見通しについて基本的シナリオは大筋維持されており、これまでの金融政策の基本的なスタンスには変わりはありません。見通しの蓋然性と上下両方のリスクを丹念に点検しながら、金融政策決定会合でその都度適切な政策判断をきちんと行っていくということに尽きます。』

途中を大いに割愛して。

『最も蓋然性の高い見通しは、わが国経済が物価安定のもとで緩やかな拡大を続けるということですので、先行きの金融政策運営についての基本的な考え方は、これまでと変わりありません。『リスク要因は、変化の激しい環境の中では刻々と変わります。私どもとしては、それを十分フォローし政策判断の中にきちんと取り入れながら、的確な判断を重ねていきたいと考えています。』

となっておりましたが、例えば12月の定例記者会見ではこのようになっておったんですよね。

『一言で言えば、先行きの金融政策運営についての日本銀行の基本的な考え方は、これまでと全く変わっていないということであります。日本経済が物価安定の下で息の長い成長軌道を今後とも辿るのであれば、金利水準を徐々に引き上げていく方向にあるとかねてより申し上げております。この基本線にいささかの揺るぎもありません。』(これは12月ですので念の為)

・・・・本石町日記さんのエントリー(昨日ご紹介しました)で指摘されていたように、利上げとか金利の調整とかという話が見事に消えましたね。

どう見ても「金利水準の調整」終了です。本当にありがとうございました。


・株価の話

株価についての総裁のコメント。

『(答) 大きな背景としては既に申し上げました通り、米国を始めとする世界経済全体の不確実性を市場が強く認識している、あるいは国際金融資本市場における全般的な不安定性を引き続き強く認識していることがあると思います。結果として、様々な市場において、投資家のリスク回避の動きが、足許非常に強まっています。そうした流れの中で、世界的な株価の下落が急激に進行中だと私どもは理解しています。』

リスクリパトリと経済の不透明の合わせ技というのは確かにさよで。

『日本の株式市場についても例外ではなく、中央銀行としては十分警戒的な目でもってフォローしていかなければなりません。経済全体の分析を常に踏まえながら、冷静に事態の把握に努めていきたいと思っています。』

『日本の経済全体の姿や、サブプライム住宅ローン問題の波及については既に申し上げました。株価の下落については、そのこと自体が直接日本経済に対して、いわば逆資産効果、あるいは企業マインドや消費者マインドへの影響等を通じたネガティブな影響を及ぼすリスクがあり、注意深くみていきたいと思っています。』

正直、閣僚の発言よりも総裁の発言の方がちゃんとしてますなあと思うのですが・・・・・

ということで、足元の株価下落に関してもちゃんと警戒しているようですな。

時間が無くて詳しくご紹介出来ませんでしたが、結構警戒色が強い内容になっていまして、さすがに(当たり前ですが)「利上げ時期を模索する」というトーンはすっかり影を潜めておりますな。利下げまで行くかというとそれもちょっとまだって感じですけれどもね。

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2008/01/23

お題「相場のせいで少々トサカに来てますもんで・・・・」

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080122b.htm

米FRB75bp緊急利下げ。まあどうせ追い込まれるんだからもっと最初のうちに多めに下げてた方が良かったですねとは思いますが、遅れ馳せながらもやらないよりは遥かにマシということで、これで後は財政でしょ財政。

・・・・寄りは随分下がってたけど朝になったら戻りましたね。月曜日休みの分があるんだからこれでも上々でしょう。


で、金融経済月報とかの話の前に相場でトサカに来ているあたくしめの悪態成分のやや高めなクダ巻きモードで(^^)。


○何か連携大丈夫ですかという感じです

えーっとですな、皆様の周りでもそんな事例があるかも知れません(無い方が良いのですが・・・)けれども、出来の悪い組織と言いますか、責任の所在が曖昧な組織になりますと、目の前に問題や不具合があるのに、構成員の皆さんは文句は言うけど「じゃあこうして改善しよう」と誰も言い出さないまま事態が放置され、最後にどうしようもなくなるというのがございますわな。「改善しよう」と言い出した人(とか部門)に何故か問題解決が押し付けられるので、誰もが「雉も鳴かずば撃たれまい」モードになっちゃうって奴でございますよ、ええ。で、火中の栗を誰も拾わず最後に栗が破裂してそこら中で怪我人ってことですよ。ナムナム。


でね、何か昨日の閣議後の閣僚様の発言と、金融経済月報を見ると、そんな嫌な感じがしてきたのはあたくしが心配性だからなのであって欲しいんですけどどうもこう。

多分閣議後の閣僚発言だと思うのですが、ロイターの配信したヘッドラインと記事に少々口あんぐりのあたくし。


09:41RTRS-今の時点で景気対策考えていない=大田経済財政担当相
09:42RTRS-状況認識して日銀も金融政策を決定される=大田経済財政担当相
09:45RTRS-今日本でどうこうすることは難しい=株安・円高で大田経済財政担当相

・・・政府は何もしないで日銀やれですかそうですか。別に対策を打たなくても、それなりに考えているという姿勢を示すこともなく放置モードと取れる言い方は如何なものかと思うんですけど、まあこの大田さんの名誉の為に申し上げますと、一応気にしているというコメントも後に出ているんですけれども・・・・

09:46RTRS-金融資本市場動向はウォッチしていく=大田経済財政担当相

その前のヘッドラインの後では何か「手を拱いて見ております」って感じでちょっと弱いっす。

まだ大田さんは良いとしまして、極めつけは例によってこのお方でした。

12:35RTRS-日銀だけがメインシナリオ維持すると米欧とかけ離れる=決定会合で渡辺金融担当相
12:37RTRS-次の日銀総裁人事は大事、市場をわかっている人がやらないと危うい=渡辺金融担当相
12:37RTRS-マクロ政策として日本が打てるのは金融政策だけ=渡辺金融担当相

建築基準法改正の不手際とかは華麗にスルーですかそうですか、って言うか、何も「日本政府は何もしません出来ません」って取れる言い方をするのはそれこそ市場に足元見られるだけだと思うんですけれどもねえ。それで「市場をわかっている人」とか言われましてもヘソが茶を沸かしてしまいますわなあ。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-29888320080122
こちらにも記事がありまして、まあ最初の発言に関しては何となく良い事を仰っているように見えますけれども、まあちょっと待てと。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi-taisaku.html
こちらにありますように、先週金曜に「閣議決定」された「平成20年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」の中身は下のPDFにあるんですけどね。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2008/0118mitoshi.pdf

この5ページ目に「平成20年度の経済見通し」ってのがあるんですけれども、そこにはこのような記述が堂々ございます。

『こうした結果、平成20年度の国内総生産の実質成長率は2.0%程度(名目成長率は2.1%程度)になるなど、別添の主要経済指標のとおりと見通される。』

一方で日銀の展望レポート(今回中間評価で「やや下振れて推移」という認識をご披露してましたが)ですが、こちらの最後にございますように、10月末の時点(ですからサブプラ問題が今のようになる前ですよね)に出されたGDPの見通しは実質GDPで1.9%〜2.3%の中心値2.1%でございますわな。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0710.htm

・・・・いやあの日銀のメインシナリオ下げろというのは論議として非常に良く判りますが、それなら金曜にお前らが閣議決定した経済見通しは何なんだという話ですよ。自分の所の見通しを思いっきり下げているというのであれば日銀に文句つけるのも有りというか当然だと思うんですけども、自分達のメインシナリオと同じような日銀のシナリオを下げろと言う側からてめえらは何もしませんできませんってそりゃねえだろうよと。

何ちゅうかね、もう「言うだけ番長」にも程があるとしか申し上げようが無い訳でして、まあ批判するのは簡単ですんで(オマエモナーというツッコミが十字砲火ですかそうですか^^)とりあえず先生は閣僚とかはやらんで頂きたいと存じます次第でございます。


翻って考えまするに、小泉さんの頃は日銀が量的緩和で(意味があったのかどうかは微妙ですけれども)当座預金残高をアホほど増やす間に、「新規国債30兆円公約」をあっさり反故にしたり、為替絶賛大介入したり、最後はシバキアゲ止めて銀行に公的資金突っ込んだりと、実際にやってた政策は財政拡張攻撃と金融緩和攻撃のセット政策でして(その間財政拡張と言わせなかったのは政治的なお上手さ)、まあ30兆円を反故にして批判食らった時にもちゃんと泥を被った(というか泥を華麗にスルーしたというか^^)ように、政府ってやることかなりやってたと思うんですよね。

#株価とか戻ったのってシバキアゲを止めた所からですよね

一方で現在はてめえらは実質GDP2.0%って見通しを閣議決定しておいて実質GDP2.1%の日銀はケシカラン世界標準とかけ離れているとかもうアホか馬鹿かという感じでございまするな。


とまあ政府が何もしねえと言ってるのに悪態ついてる訳ですが、今月の金融経済月報がこれまた全然12月と変っていないというのも何だかなあという感じでございます。いやまあ確かに下がったのは株式市場とマインドだけでハードデータは変ってないでしょうとか言われるとそりゃそうなんですけどね・・・・・

ただまあ総裁会見ではさすがに利上げの話を封印したようで、まあそれは良かったですねという感じです。会見内容に関しましては日銀のサイトに今日アップされますが、本石町日記さんのところにエントリーがございます。
http://hongokucho.exblog.jp/7968380/

いぜれにせよ、何かこう政府と日銀がうまく連携できてなさそうな印象が伝わってくるような状況は如何なものかという風に思う訳ですよ、はい。


○金融経済月報の基本部分が全然変っていないんですが

12月にアセスメント下げた金融経済月報。今月も下げるでしょとか思ったら、こちらは前月と同じ文言が並んでおります。いやまあマインドは株価戻ったらあっさり戻るんじゃねえのとは思うので、悲観することも無いのかも知れませんけれども、12月に下げているのに1月変らずというのはちと不思議でした。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0801.htm(1月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0712.htm(12月)

えーっとですね、これがまた12月月報と思いっきり同じでして、違うのは金融市場で円高長期金利低下株安が進行しているって所と、先日公表された日銀短観に関連する企業の業況感に関する記述が外れた所だけでございます。あたくし的にはちょっと意外でしたけど。

まあそのあたり引用するまでもないですが一応。

『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している。』

『景気の先行きについては、当面減速するものの、その後緩やかな拡大を続けるとみられる。』

『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、当面は、石油製品や食料品の価格上昇などから、また、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

ということで、展望レポートの中間評価部分に参ります。

『わが国の景気は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、住宅投資の減少が長引いていることなどから幾分下振れて推移している。このため、2007年度の成長率は潜在成長率をやや下回る水準になるとみられる。』

まあこんな感じの表現だと思いっきり想定の範囲内ですにゃ。

『もっとも、生産・所得・支出の好循環メカニズムは基本的に維持されており、住宅投資が次第に回復に向かうことから、2008年度の成長率は、「見通し」に概ね沿って、潜在成長率をやや上回る水準になると予想される。』

でも決定会合の議論の中ではこの住宅投資大丈夫なのかってのが前から出てますよね。そういう意味ではリスクを見てますねってことでしょう。

『こうした「見通し」については、引き続き、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに注意する必要がある。』

『物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、2007年度、2008年度ともに、「見通し」に比べて上振れるものと見込まれる。この間、消費者物価は、石油製品や食料品価格が上昇していることから、2007年度は「見通し」に比べて幾分上振れるとみられる。2008年度は、石油製品や食料品価格の上昇の影響が残る一方、景気の一時的な減速の影響が現れることから、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ただまあ既に物価に関してはコアCPIが上昇したから金利正常化という話は12月の時点で封印モードになっているでしょというのは、12月時点は兎も角、現状では市場の共通認識となってますので、その点ではコアCPIが少々上昇しようとも(2%より高くなったら話は別でしょうが・・・)あまりそれで利上げを意識することはないので、こっちの数字が強めでもあまり驚きませんわな。

しかしCPI見通しに関しては上にあるように『景気の一時的な減速の影響が現れることから』とわざわざ入れているのが中々チャーミングですね。


○その他少々

・金先9月限高値99.520でしたっけ

ナイトセッションでそんなお値段がついていたようですが、まさに利下げ催促モードと言うか、来るのがはええええええよおおおおおお!!!って感じでまあビックリであります。OISのJUN-JULなんて仲値0.34%ってあーた利下げ織り込み50%超えてるじゃあーりませんか。

#まあOISが金先に裁定されてそんな値段になっているという気もしますが

2年国債は引けベースで0.525%で引け後に0.515%とかやらかしていたのですが、一方で3か月FBの引けは0.545%なんですが何という逆イールドでしょう。。。。。


・利下げに関するあたくしの今の雑感

いやね、もうちょっと考えまとめたら書くかもしれないし書かないかもしれないですけれども、上のほうで散々悪態ついたとおりでして、日銀が利下げして政府は絶賛緊縮財政とかしててもタマの無駄撃ちになっちゃいかねませんので、利下げするなら財政もセットで出していただきたいと思うと申しますか、財政セットでくるなら利下げも有りかなとは思いまする。というあたくしは財政重視な古い人ですかそうですか。

まー財政出すというよりは減税すりゃ良いと思う次第でして、定率減税の復活と恒久化(今度こそ本当の本当に恒久化)が個人消費に効くんじゃないでしょうかねと勝手に思ってるんですけど。

その辺が無いうちは利下げってやりにくいんじゃないかねえと思います。

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2008/01/21

○ところで相場メモ

金曜日ビックリしたのは2年カレントが0.56%の出合いがあったこと。どうも仕掛けなのか間違いなのかという出合いで、その後そんなに時間も掛からず0.565%のオファーがさっくりと出てきて引けは0.575%になってましたんで、まあ0.56%はご愛嬌としましても、結局先週月曜日に悪態をついたレベルに再度達しておりまして、もう何と申しますかそのレートが意味する日本経済見通しを見ると落涙を禁じ得ません。

それから、足元のGCとかのレートに関しては21日渡し抜けたところから落ち着いて、オペ金利も54bpから53bpへ低下してるんですが、金融系のCP新発レートが下がらないというかスプレッドついたまんまというか、こっちも気になります。先週からやたらとサムライ債とか出てるのもアレでございますしねえ。

#とまあそのくらいしか相場メモが無いのが誠にアレでございますが

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2008/01/18

○その理屈はちょっと違和感が

日銀執行部人事に関する意見が政治方面からちょろちょろ出てくるのですが、昨日は民主党の岡田副代表が日本記者クラブで講演し、武藤副総裁の総裁就任に対して難色を。

ソースは17日15時27分配信の日本語版ロイターです。

『岡田副代表は「今の副総裁(武藤氏)では財金分離に反する」とし、「財務当局の実務の最高責任者を務めた人が、金融の最高責任者になることに対する違和感を持っている」と武藤副総裁の総裁就任に難色を示した。』

・・・・・うーん、武藤副総裁の場合は執行部として5年間日銀の中の人になってた訳でして、その5年間は無視ですかそうですかという感じがするんで、それを財金分離に反するとか言われるとちょっとねえという感じはするんですけど。だいたい財金分離って大蔵省の組織改編に関して出てきた話じゃなかったでしたっけ。

でね、さすがにオカラ先生におかれましても役人出身ですよねというツッコミを受けるのを予想したのかどうか知りませんが。

『もっとも、「役人出身者が全部ダメということではない。党としてもそこまでは言っていない」と述べ、官僚出身かどうかが日銀総裁人事の基準にはならないとの見解を語り、「国会で議論をしていく中で、何らかの合意が得られるかも知れない」との見方を示した。』(これもソースは上記ロイター記事)

ということで、まあさすがに頭ごなしに「ダメ」という訳ではないんでしょう。

以下はあたくしの勝手な想像になるんですけどね、今までのミンス様が政府与党を非難するときに使っていた「日銀の独立を政府与党が邪魔している」というロジックがあったと思うんですけれども、次期総裁候補に武藤副総裁って話になった時に、ミンス様としては、「財務省事務次官が日銀総裁就任=財務省の日銀支配=日銀は困っているに違いない=日銀の為にも武藤副総裁の昇格阻止!」とか考えたんじゃねえのかなあって思うんですよ。

ところがあにははからんや、武藤副総裁は日銀の中の人になった時点で財務省の人じゃなくて日銀の人になってお仕事をやってらっしゃるというまさしく優秀な官僚としての本領を発揮していましたという訳でして、これまた今までの講演とかの文書を拝読した限りの想像になりますけれども、サービス発言で余計な波風を立てたりする今の総裁様と比較して、武藤さんの方が安定感があるし、何か下々の話も聞いてくれそう(総裁様の場合は何か俺様のいう事を聞けって雰囲気が)な感じだし、ど〜見てもやりやすいと思うんですよね。

で、ミンス様はその辺毎度お馴染みの読み間違えをしてたんじゃないのかなあって気がして、振り上げた拳をどう穏便に下ろすかという状況なんじゃネーノと存じますが。

大体からして下馬評に上がっている中に民主党のネクストキャビネットの財務大臣になった事がある榊原英資氏が出るという時点で財金分離とか今更何いってんだと思うんすけどね。そりゃまあミンス様が推してるという話は聞いてませんが、もし政治からの独立性とかミンス様が本気で考えているのだったら既に自分の所の政党色がついている榊原氏なんていの一番に却下するから候補の下馬評にすら上がらない筈なんですけどねえ。

以前にも引用しましたが、本石町日記さんが中々鋭い指摘をしていましたよね。ということで再掲。
http://hongokucho.exblog.jp/6974947/

『(引用者注:民主党が主張する)日銀を与党に抑圧された存在とみなす戦略は、仮に与党になれば日銀を抑圧するのが見え見えで、薄っぺらな感じである。』

とか悪態をついた訳ですが、良く考えたら半年前から同じ悪態をついていることを思い出しましたスイマセンスイマセン(苦笑)。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-01.html#za070806
(うまく飛ばない場合は8月6日の所をクリックありたし)


○日経に利下げ観測キター!などなど

例によって不見識なあたくしは日経新聞を購読してませんので、モーサテ様の「日経朝特急」コーナーがソースなのですが(汗)。

OIS市場で織り込んでいる利下げ観測が夏場に3割!ということでそろそろ来るかと思っていたら日経様が記事にしましたので、まあここは是非利下げ催促祭りをやっていただきたいものなのですが、何せ昨日も金先の9月限と12月限は順イールドのままで、要する金先の9月限だけで祭りをやっている感じなので、昨日も申し上げましたように祭り成分が不足しておりますというか、9月の3か月TIBORは6月よりも低下するのに12月になると元に戻るという織り込みっぷりはどんな器用な織り込み方なんだよと。

まあそう考えると価格形成が妙な分だけ祭り成分が濃厚とも言えないわけでもないという結論になったりするのですが(苦笑)。日経に出ると終了の法則が今回発動するのかどうかは良く判りませんけどね。

でね、昨日本石町日記さんが指摘してましたけど、次回の展望レポートにおける経済見通しって前提になる政策金利パスがこのままでは「今年のどこかでもしかしたら利下げ」という風になるのですけれども、それだと見通しを上方修正しないと話がおかしくなってくる(去年4月は年度内2回利上げ、去年10月は年度内1回〜2回の利上げを市場金利は織り込んでいたから)のですけれども、さてどうするんでしょ。

・・・と思ったら、誠に残念な事に3月に執行部が交代するので展望レポートの見通し作るロジックをいじることが可能でした。残念無念(^^)。

まあこの展望レポートの経済見通しロジックと言い、第一の柱、第二の柱と言い、基本的に金利水準の調整という名の利上げ路線を補強するようなロジックの作り方をしていたという所が経済情勢が変化しやがった現在になって益々今の金融政策ロジックが判りにくいですがなということになる原因になっているというのはまあ衆目の一致する所だと思うんですよ。

てなことで、まあ新執行部体制になりましたら、あまりこう先行きに一点張りするようなロジック構築をするのは避けた方が宜しいのではないかと存じます次第であります。

#いつの間にか話が変ってますがケンチャナヨということで。

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2008/01/17

○これは素敵な時間軸(あるいは利下げ^^)

昨日の債券市場ですが、前場は先物中心に強かったような感じでしたが後場になると現物がやたら強くなって長期超長期が先物を追い抜いてしまうという何かこう現物の踏みですかそうですかという動きでありましたが、そんな中で中短期も例によって確り。で、何と2年カレント国債の高値が0.575%なんぞになりやがりました。

先週金曜の後場寄り付きで0.58だか585だかをマークして「えええええ!」という感じだったのですが、改めて強くなりやがりまして足元のGCレポレートが相変わらず落ち着かなくて0.55%から0.58%のあたりで推移しており、ターム物のオペ金利は軒並み0.54%で揃っている(期末越えはまだ出てませんので念の為)という状況なので、要するにリスクプレミアムがろくすっぽございませんというレートになっちゃっています。まあ引けは一応押し込んだのですがそれでも0.585%でございます。

ちなみに1年TBカレントは何か品薄らしくて0.54%の引けになっている(なおその1つ前の引けは0.545%^^)ので、百歩譲って1年金利0.54%として2年0.585%ってどうよとエエカゲンに計算すると1年後スタートの1年金利が0.63%(かなりざっくり計算ですので念の為)ということですので、どう見てもリスクプレミアムがありません。本当にカムサハムニダ。

#まー要するに時間軸状態になってるって事ですけどね(じゃないとさすがにこれを正当化するのは・・・・)

でね、昨日って3か月FBの入札もあったんですけど、こっちの平均落札利回りは0.5655%で足切りが0.5683%となっておりまして(引けは0.560%です)、昨日もあたくし申し上げましたように、もはやこの辺はイールドカーブですらねえという状態で発行が多いゾーン重くなってそこのレートが上昇しますねえという大変香ばしい状態になっておられますわな。

ちなみに来月から3か月FBの発行が1回あたり3000億円くらい増発になるらしい(相場がこの調子で何か落ち着いて調べる余裕が無くてよー調べてませんが、これって例の埋蔵金論争によって特別会計の引当を一般会計に振り替えた為に資金繰り上発行量が増えたとか、引当に回す分が減るから資金繰り上発行量が増えたとか、そういう背景があると存じます)ので、3か月ゾーンに関しては12月の増発と合わせて昨年11月末対比で今年6月になるとしらっと8兆円近く増発になってるんですよね(=6000億円×13本)。何かこの調子の相場やってると足元から3か月あたりが一番重くなりそうな悪寒。やりにくいですわな。


○まあお祭りでもあるんでしょうが

とまあ一応そんな後付け理屈を並べてますけど、そもそもは金先のレートが何というか祭り状態になっている次第でして、この前お話した6月限と9月限の逆イールド様が昨日の場中は瞬間3bpくらいに拡大してた(記憶ベースなので間違っていただゴメンナサイ)という有様でして、利下げを意識しないとそういう数字は正当化致しかねますが何かという感じです。

んでまあそっちが引っ張っているのかOISが引っ張ってるのか知りませんが、某ベンダーで某証券さまが出しているOISの気配が5月会合から6月会合までで0.45%くらいで、6月会合から7月会合まで0.43%くらいになっておりまして、これはまた素敵な利下げ催促祭りの始まりのような板気配。

というように、現物金利じゃ無い所では現物のイールドフラット状態とは一味違った祭りモードっぽくなっている所がこれまた香ばしい状態になっておりまして、まあこりゃちょっと利下げ催促祭りでもやらかすんでしょうかねえという所ではあります。

とか何とか祭りと申し上げてますが、その金先におかれましては、9月限と12月限が順イールドになっているのが中々チャーミングでありまして、利下げ催促するならもっと期先の限月まで逆イールドにしやがれってんだいと思いますが(^^)。イマイチ祭り成分が不足しておりますというか9月限だけで祭りすんなよとか思うのですが、その理屈の無いところが金先クオリティ。

#だからあたしゃ「金先市場の金利が織り込む将来の政策金利パス」って分析を蛇蝎の如く嫌っているんですけどね

どうせ祭りをするならもうちょっと盛大に期先限月まで全部逆イールドやって頂けるとそれはそれでオモロイので許す(何を?)。

(追記:今書いた駄文アップしながらネットを見てるんですけど、本石町日記さんのhttp://hongokucho.exblog.jp/7946503/を見ましたら『ところで、市場が織り込む政策金利の経路を参考に経済見通しを作っていた日銀だが、軽く利下げを織り込み始めた場合の経済見通しはどうするんだろう。「利下げを前提とした経済見通し」になるんだろうか。政策金利不変での見通しに戻した、とか言わないでね。』ってのがありまして、これは気が付きませんでしたわと脱帽)

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2008/01/11

○金先の6月限と9月限が瞬間逆イールドとか

昨日もまたまた短いゾーン強含みに対して長期、超長期ゾーンが渋々ついていくという展開は変らずのようでして、2年カレントの引けが0.635%とはこりゃ参りましたとか思ってたら引け後に0.63%堂々のビットサイドなんぞになっておりましたし、5年カレントは0.905%(ちなみにそれは引けの1毛強)が出合ってたような気が。

武藤副総裁の講演や会見(講演は後ほど軽めにご紹介)そのものは利下げまでは踏み込んでないですけど、まあ利上げはムツカシヤですなあという感じだと思ったんですが、何せ相場様に勢いが付いてしまってますので、大変に素晴らしい展開が見られるのでありました。

で、小見出しの金先ですけど。

昨日もまたまた金先堅調だったんですが、引け後の動きを見てますと金先の6月限と9月限が金利ベースに引きなおした場合(呼び値は100−金利ね)に最大で1毛逆イールドと言う動きになりやがりました。

ちなみに3月限と6月限は結構な逆イールドなのですが、これはまあ一応後付け理屈をこねるとすれば3月限の清算値となる3月の3MTiborは期末越えになるのでプレミアムが乗るでしょうとか、6月になったらサブプライム問題によってゲタ履いているLiborのゲタが外れて低下して、Tiborも下がるでしょという正当化はできますわな。

でも、6月限と9月限だったら期末越えのプレミアム分がある筈なので、ここが逆イールドと言うのはちょっと如何なものかと思いますわな。それにですね、そもそも論としてサブプライム問題のリスクプレミアムのゲタが外れるという事は、サブプライム問題が片付いているという話になりますので、その頃には米国様景気の下振れ最大懸念が一個外れるのですから利上げの話が大復活しててもおかしくないと存じますので、やはりあのその6月9月で逆イールドなのはちょっとそれは調子に乗りすぎではないかと。

ま、もっとそもそも論を申し上げますと、ユーロ円金先そのものがバンクALMとディーラーとファンドの乱闘場みたいな市場なんで、あまりそういう理屈(というか屁理屈というか、汗)で考えても仕方ない市場であるというのがありますが、まあ一応この動きを解釈すると「利下げをちょっと意識してきました!」ということになるのでありました。キングオソロシス。

ちなみにTB/FBの利回りはというと足元が上昇して6か月とか1年は堅調なので益々フラット状態(3月償還はニーズがあるようなので確りですけど)となり、引け値ベースで3か月0.56%の6か月0.56%の1年(というかほぼ11か月ですが)0.575%とこれまた素敵な展開になってまして、利上げはどこへやらという水準でございますわな。ナムナム。

この前昨年の同時期対比での金利の話しましたが、ゼロ金利解除(2006年7月14日)直前対比にまで戻りますと、ゼロ金利解除の前日に行われた1年TBの居場所が0.655%−0.660%とあたくしの手控え帳面には書いてあります(なお14日の引けでは0.605%になってます)ので、オソロシスな事にゼロ金利解除直前よりも1年の金利が低下しているのでありますな。頭がクラクラして参りますが・・・・・・


○ちょっと余談みたいなもんですが

でね、昨今の米国様のイールドカーブが利下げ期待でスティープしてたりしますけど、上で申し上げましたように、政策金利引き上げた(または引き下げた)からって長期金利がフルスライドで上がる(または下がる)という保証は世の中別に無いというか普通そんなことは起きないのでありますよね。

それなのにバーゼルUのアウトライヤー規制って最近どうなってるのか知りませんが、当初大々的に言われてたのは標準的な金利ショックに対するリスクの計測ということで、「イールドカーブが100bp上方にパラレルシフトした場合の債券ポートの損失」がTier1の20%だか何だか忘れましたが、何かの閾値を超えるとアウトライヤー銀行として追加の自己資本増強が必要ってなってたんですわな。

お蔭でイールドカーブのパラレルシフトで損益がぶれない15年変動利付国債が・・・という話は耳にタコでございますが、そもそも論としてバーゼルUにおけるアウトライヤー規制の当初設定が空想の世界にも程がある(じゃあどういうカーブ形状の変化なら適切かと言われるかと申しますとそれはもう難しいとしか言いようが無いのですけどね、汗)次第でございましたということで、まあ不幸と申しますかBISは何やってたんですかねえと申しますかですわな。

まあそれは兎も角として、日銀新執行部人事関連でミンス様が財務省出身の人が適切じゃないかという理由として時々新聞などで拝見するのは「財務省出身だと国債利払い費削減を優先して低金利を継続させる懸念がある」というのがあるようですが、上のほうでうだうだ市況について申し上げましたように、低金利を引っ張った場合に長期金利がそのまま上がらないかと申しますと別にそんなこたあねえのでありまして、多分そ〜ゆ〜理論(?)を持ち出しますと、やはりミンス様は金融政策も金融市場も判ってませんなあと認定されかねませんので、もうちょっとどころではなく勉強された方が宜しいかと存じます。

#でも聞く人を間違えると某与党様の某議連のように(以下自粛)

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2008/01/10

○伊藤元重先生のインタビュー記事

ネットでは残念ながら査収できませんが、昨日(1月9日)の東京新聞朝刊経済面(9面)のインタビュー連載シリーズ『どうなる子年経済』の第2弾『金融政策』に伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授のインタビュー記事が。

で、その内容は本紙を頑張ってあたって頂ければと存じます次第(こら)ですが、記事中でデカイ字であったのは『利上げ 福井氏退任後か』と『他国水準との比較 重要』でして、前者はともかく後者はどんな通貨ペッグですかと思いましてその部分を拝読。

『ただ、金融政策は、金利の上げ下げでは無く、他国と比較してどの水準にあるかが重要だ。日本は短期金利(無担保コールレート翌日物)の誘導目標が0.5%と圧倒的に低く、超緩和状態だ。だから中長期的には金利を上げざるを得ないだろう。』

ほっほーと思いつつ質問部分を見ますと、質問の頭の部分では「世界基準と比べて低金利が続く日本経済」とマクラがありましたので、誘導尋問にでも引っ掛かったのかもしれませんが、他国と比較してどの水準かが重要っておっしゃいましてもそもそも物価上昇率の水準が違う訳ですから極端な話ジンバブエと日本の名目ベースの金利水準を比較しても仕方ない(ジンバブエドルは名目上は固定為替だったと思うのでジンバブエを持ち出すのは微妙に不適切です、為念)次第で、ってのはあたくしが指摘するほどのことも無いですな。

ちなみに、インタビューの流れとしては、そもそも東京新聞が金融政策に関する社説を出す時に最近(ここ1年ちょいくらいでしたかな)は「利上げを急ぐな」という論調であることを反映しているようで、日本景気には下振れ懸念あり、日銀の言う前向きの循環メカニズムはちゃんと機能してないのではないでしょうかというような感じでの質疑が続く感じになっています。

伊藤先生の景気認識に関しましては、基本的な部分での底割れまでは見ていないけれども下振れを意識しているという感じですかな。記事から引用します。

『日本経済のエンジンである企業業績は傷ついていない。問題は、企業業績が国民の所得増につながり、支出に向かっているかと、そうなっていないのが日本経済の大きな問題だと思う』

『天気予報でいうと、薄曇りで台風が近づいている状態だろう、国内外に下振れリスクがある。景気の拡大期間がこれだけ長く続くと、サイクルの波が低落傾向に向う可能性はある。08年はそうした不安を抱えながらの一年になるだろう』

ということで東京新聞ネット版に記事出てないかと改めて探してみたんですが、惜しくも記事はネット版にはアップされておりませんでした。まあその代わりと言っては何ですが本石町日記さんがエントリーをアップしてましたので(また今年もふんどしをお借りして恐縮でありまする)エントリーおよび皆様のコメントをご参照ありたしです。
http://hongokucho.exblog.jp/7920627/

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2007/12/21

お題「ここで下方修正ですか」

ネタにならねええええと覚悟してた決定会合が思わぬ展開でネタの山。何か最近いい感じで逆指標となっているのが誠にトホホでございます。

○景気見通し下方修正で全員一致です

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/k071220.pdf

ご案内の通り全員一致で現状維持。この結果が出て債券先物は10銭ちょっと上昇しましたが、そもそも市場が既に来年前半中の利上げ確率をまあゼロ近傍(^^)と織り込んでおりますので「ふ〜ん」で終了というところでしょうか。

あたくしは全員一致になったということは金融経済月報を下げてくるでしょうと思いつつ、これでもし下げなかったら絶好の悪態ネタとか不埒なことも考えていましたが(^^)、案の定月報も下方修正。あたくし的にはまだ暫く頑張るのかなあとか思ってた(執行部変ってからがらっと変えると踏んでいた)んでちょっと早めでしたが、まあ先日来申し上げている利上げが前提になっているかのような金融政策の現在のロジックの建て直しには良いお話ですな。

正直、今回は総裁会見よりも水野審議委員の会見を聞きたいところでしたが、報道されている総裁会見(のヘッドライン)によりますと住宅投資の落ち込みと中小企業下振れを理由に判断を変更したそうですので、11月7日の講演で物価の上昇が家計所得の実質的な低下に繋がる点や、中小企業の景況感の弱さを指摘してたことの流れなんでしょうと思われますです。はい。



○12月月報を11月月報と比較する

例によって例の如くですが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0712.htm(12月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0711.htm(11月)

・現状判断

『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している。』(12月)
『わが国の景気は、緩やかに拡大している。』(11月)

まあ言うまでもなしですが、「拡大」の前につくフレーズが長すぎです・・・


・現状判断の展開部分

『輸出や生産は増加を続けている。企業収益が総じて高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にある。また、雇用者所得が緩やかな増加を続けるもとで、個人消費は底堅く推移している。一方、公共投資は低調に推移しており、住宅投資は大幅に減少している。こうしたもとで、原材料高の影響もあって、企業の業況感にはやや慎重さがみられている。』(12月)

『公共投資は低調に推移している。一方、輸出は増加を続けており、企業収益が高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にある。住宅投資は足もと減少しているが、雇用者所得が緩やかな増加を続けるもとで、個人消費は底堅く推移している。以上のように、内外需要が増加する中で、生産は増加基調を続けている。』(11月)

今日は細々分けるのが面倒だったので全部ベタ引用しちゃいましたが、12月は11月対比で生産を「増加基調」から「増加」と上方修正していますが、住宅投資は「足もと減少」から「大幅に減少」と思いっきり下方修正してます。


・先行き判断

『景気の先行きについては、当面減速するものの、その後緩やかな拡大を続けるとみられる。』(12月)
『先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる。』(11月)

これはまた器用な見通しですな。


・先行き判断の展開部分

『すなわち、輸出は、海外経済が全体として拡大するもとで、増加を続けていくとみられる。また、設備投資や個人消費も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、増加基調をたどる可能性が高い。住宅投資は、当面低調に推移するものの、次第に回復へ向かうと予想される。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少傾向で推移すると考えられる。』(12月)

『すなわち、輸出は、海外経済が全体として拡大するもとで、増加を続けていくとみられる。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少基調で推移すると考えられる。』(11月)

なんでそういう器用な見通しになるかというと、住宅投資の減少は一時現象であり、今後は回復に向かうという以外は先行き判断を変えていないということなんですな。

ちょっと話が逸れますが、確かにまあ建築基準法改正の影響で住宅着工が遅れているのはエライコッチャなんですが、本当に需要が大盛り上がりだったら、供給が減った分だけ住宅販売が大盛り上がりになって住宅価格がもう大変なことですよ先生となると思うんですが、とんとそういう話を聞きません(販売数減るのはまあ供給の問題かもしれないけど、需要がそもそも強いのなら成約率が上がって然るべき)わなあと思いまするに、近年の強気にも程がある(とあたくしは思うのだが)価格設定によって需要が実は減退してて、建築基準法改正での着工減少は需要減退が顕在化する引き金になっただけじゃねえのかとか思ったりもするのでありますが。


・物価

『物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、ゼロ%近傍で推移している。』(12月)

『物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、ゼロ%近傍で推移している。』(11月)

全く同一文言です。いやまあ10月全国コアCPIがプラス転換したのでここを「若干のプラス」と書いたら早速「物価表現の非対称性」に悪態をつこうと待ち構えていたのですが、マイナス0.1%がゼロ近傍ならプラス0.1%もゼロ近傍ということになったのは待ちぼうけでした、って待ちぼうけの方が良かったのは言うまでもありません(^^)。


『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、当面は、石油製品や食料品の価格上昇などから、また、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(12月)

『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、目先、ゼロ%近傍で推移するとみられるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(11月)

先行き見通しは強くなっていますが、これが利上げに結びつくかと言えば、これまた先般ご紹介した水野審議委員の指摘にありますように、家計所得の増加を伴わない状況における物価上昇はただのコストプッシュなので利上げに結びつかないでしょという話になっている・・・・と思うんですけど。


金融環境に関してはいつものことですが割愛。



○もうちょっと月報ベースでの柔軟な動きが出来ると良いように思えます

いやまあ小見出しの通りなんですけど、せっかく毎月金融経済月報をだしているのですから、本来で言えば月報で現状判断(や先行き見通し)をホイホイいじるのもアリだと思うんでございます。もうちょっと柔軟に対応できんもんかと思います。

ただまあそれが難しい理由としては、やはりこれがまた展望レポートにおけるロジック展開に結びつくのでありますが、もともと展望レポートで出していたロジックが「前向きの循環」全開状態で先行きの政策金利調整(要するに利上げ)を全面に押し出した物になっている所が柔軟対応への阻害要因となっているんじゃないのかなと思うのであります。

即ち、先行きのアセスメントを下げる(今回もまあ下げてるには下げてますけれども、あくまでも先行きはヘッジ文言満艦飾ながら「拡大」になっているわけですし)と展望レポートのロジック修正という話になってしまいますので、話として重くなるんでしょうな。君子豹変大いに良かろうと思うのですが、豹変すると「それ見たことか責任取れ」となるのも残念なところであります(無責任になられても困りますが)。

でですな、そういうややこしい話にならないようにするためには、やはり展望レポートの段階ではあくまでも両睨み(世の中何が起こるか判らないんですから)でリスクアセスメントを淡々と記述し、展望の方はまあ上もあるし下もありますなあという形にして、目先の判断は月報ベースでホイホイいじっても良いんじゃねえのかとも思うんですよね。ただまあそうすると一々市場が反応するリスクがあり、ブラインダー元FRB副議長の指摘する「自分の尾を追う犬」状態になるかも知れませんが・・・・・まあ今回やっと判断下げましたけれども、市場の見る景気の先行きは量的緩和解除以降随分を揺れ動いた訳でして、その間日銀の判断が基本的な部分で全然変ってないんで、次第に市場との距離が出てきてるんじゃねえのかと懸念するのですよ。というか市場は既に福井総裁が何言っても反応しなくなっているんですけど・・・・・

ま、この辺りに関しては政策委員会の中の人たちが一生懸命考えてくれていると思いますが、少なくとも今生きてる展望レポートにあります「前向きの循環」というダム論的な前提はとっくの昔に崩壊してると思われますので、そのあたり1月の中間レビューで見直してくれることを期待したいですな。

#今年もあと1週間ですね

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2007/12/20

○そういえば決定会合ですな

まあ正直申し上げまして注目材料もへったくれもないのでありますが(何たる暴言^^)、恐らくは金融経済月報の内容も短観を受けた部分以外そんなに書き換えもないでしょうし、票決が9対0になっても8対1になってもあんまり関係ないと思います(まあ相場は短期的に反応するかもしれませんが)。強いて言えば月報でここもとのマインド悪化現象をどう評価するかという所でしょうが、月報段階でそう書き換えてくるとは思えませんですな。

一昨日も申し上げたように、現在の金融政策の枠組みと展望レポートのロジックを足し合わせるとそもそも利上げを継続しないと論理的に変ですよという壮絶なロジックとなっているのが現在の金融政策の枠組みでもありまして、どうせ月報で今月も「先行きについては景気は緩やかに回復」なんでしょうから、その判断を継続している以上は利上げしないと理屈の整合性が取れないというオソロシイ事に(-_-)。

てな訳ですから、正直票決がどっちでもあんまり本質的な問題ではない次第でして、今の金融政策の枠組みというかロジックを組み替える(一番早ければ来年の1月中間レビューで展望レポートの修正はできますけれども、執行部交代後の来年4月に出る展望レポートがタイミングとしては適当なんでしょう。幾らなんでもその頃にはサブプラ問題の帰趨も見えてくるでしょうというか見えてるといいですね^^)までは、何にせよやりにくいんじゃないでしょうかね。

#まあこれだけ先行き不透明モードの中で政策ロジックに殉ずるのもちと何だかなと思うのですが、現状維持賛成してる方々も展望レポートや月報をろくすっぽ下方修正しないですからねえ・・・・・

総裁会見注目という話もあるんですけど、確かにまた楽しい不規則発言が聞けるかもしれませんけど、もう退任まで政策いじれない状況の総裁会見に注目するのも何ですなという気はします(が、ネタにはしますよん^^)。

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2007/12/19

○資金供給の「総額」報道はかなり無意味というのに同意

今日は本石町日記さんのふんどしを勝手にお借りする次第ですが。
http://hongokucho.exblog.jp/7837445/

この前のパリバショックでECBとかが派手派手に資金供給した時にちょうど積み最終近かった日銀はお付き合い供給したのはいいけど積み最終でコール金利がアホほど低下。そういう意味では世界で一番緩和をしてた(2日間だけですが^^)中央銀行だったんですが、最後に積み最終だからテクニカルに吸収したら散々な言われようという実に落涙を禁じ得ない事態がございましたのはご案内の通り。

んでまあ今回も「大量の資金供給がどうのこうの」という報道が出ているのですが、その供給って各回のオペ金額の総額を計算しても意味ないでしょというお話が本石町日記さんのエントリーです。まあ市場の中の人的にはかなーり常識だと思うのですが、金融調節にあまりお詳しくない人もおいでのようですので念の為リマインドちゅうことですな。

>分かりやすい例として、「銀行券」と「財政等要因」による資金需給が中立だとし、銀行の予備的な資金需要が通常よりも1兆円多い状態が続いたとしよう。

から始まる説明がわかりやすいと思うのですが、続きの部分で本石町日記さんが指摘しているように、こういう時は当然ピークに合わせて長いオペを打ち込むのが本来のあり方で、短いオペを延々と打ち続けるのは意味がないというか実際問題としては予備的需要に応えていませんという話になります(だってオペがロールされるかどうか判らないですし、ロールされた時に自分の札が空振りするかもしれないし)ので、実は先を見越して予備的にタームもの供給を行っている方が足元でわけわからなく繋いでいるよりも供給「総額」は減るという事態が発生するのでございます。

とは言ってもこれって国内だけじゃなくて海外のそれなりにちゃんとしていると思われるメディアでも理解してないで報道してるだろってのが多いんですよね(吐息)。


○もう一丁人のふんどしですが

またまた本石町日記さんの尻馬に乗るあたくし。
http://hongokucho.exblog.jp/7833900/

んでまあこちらのエントリーの元を辿っていくと多分この記事なんでしょうなというのが見つかりました。ほうほうなるほど。
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/423801/

なるほど日銀が量的緩和政策を解除して資金を回収したら株価が下がりましたと仰せですな。いやまあ全くの無関係かと言われますと良く判りませんなあとしか申し上げようが無いですが、そもそもこのグラフを平成17年よりも前(要するに平均株価が最安値だった頃)に引っ張った時にどういう関係になるんでしょうかねえとあたしゃ思うんですけど、(部分だけ切り取って「回収したときに下がった」というなら、「増やした時には上がった」というのもないといけないと思うんですけどねえ)が、まあそこまでは一万歩譲って良いとしまして。

んでまあこちらのセンセイは『日銀資金は銀行など金融機関が企業や個人に貸し出す源泉で、言わば貯水ダムの水である。マネーがたまると、銀行はカネを放出する、つまり貸し出しを増やすよう圧力を受けるが、少なくなると逆に圧力が減る。』と仰せでありますが、そもそも量的緩和政策でゼロ金利になっている時に銀行は超過資金を保有するコストがゼロに近くなる(預金保険料率がどうのこうのというツッコミはここでは話がややこしくなるので措く)ので、そもそも超過資金があっても別に貸出が増えるわけではございませんが何かという感じですわな。

『銀行の貸し出しは都市銀行を中心に昨年半ばから減り方がめざましい。都銀などは中小企業向けに積極的に貸そうとしない代わり、余ったカネをヘッジファンドなどに超低金利で流し、ファンドはこの円資金をたたき売って高金利のドルやユーロで運用して荒稼ぎする。この結果円はドル不安にもかかわらず弱い。大企業は海外法人の為替差益で収益を増やすが、給与を上げないので一般の家計は改善しない。従って個人消費は今ひとつ盛り上がらない。』

以下の論議はもはや何を言いたいのか一々突っ込んでいると泣きそうになるので割愛しますが(^^)、結局銀行の貸出が増えれば良いのか減れば良いのかどっちだか判りません(><;という論理展開で、これで『経済がわかれば、世界が分かる』とか言われても困るんですけど・・・・・・

ま、それ以前の問題として予備的需要を大きく上回る規模の超過準備が発生するような資金供給を継続的に(単発ではないですよ)行うとコールレートは勝手にゼロ近傍に低下するのですけれども、その辺ご理解して書いてるのでしょうかねえ・・・・・

などと書いているうちにこの筆者様の名前どこかで見たことあるなあと思い出しましたら、日頃から勉強させていただいている「週刊オブイェクト」さんのところで今年7月に話題になっていたのを思い出しました。どうも何だか思い込みのお強いお方のようでいやはやですな。
http://obiekt.seesaa.net/article/49298967.html
(その他今年7月に関連エントリーがありますが適当に探してね)

という訳で本石町日記さんに勝手に乗ってしまった(荷物が重くてスイマセン^^)の巻でありました(超大汗)。

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2007/12/18

お題「金融政策の枠組みなどに関する雑考」

今日はちょっと目先を変えまして、ここのところつらつら考えている事をダラダラと申し上げますんで、思考の叩き台にでもして頂きますと幸いでありまする。

#ところで「インフレ懸念で株売り」ってインフレなら株買うじゃろ。「スタグフレーション懸念」ならまだ判るんですけど・・・・・


○というわけで1年9か月前の文書を読んでみる

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060309b.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0604.htm

どうでも良い話ですが、昔のリンク(自分が去年書いたものからリンクを拾ったら繋がらないのは如何なものかと。んで上が「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」で、下がその年の4月に出た展望レポートです。

2つの柱による点検ってえ奴ですけれども、これって暫く前にちょっと話題にしたと存じますが改めて。

(2)2つの「柱」に基づく経済・物価情勢の点検

 金融政策の運営方針を決定するに際し、次の2つの「柱」により経済・物価情勢を点検する。

 第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。

 第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。

(以上06年3月9日公表文書より引用)

まずこの2つの柱が判りにくいですなあというのは(何せBISが間違えたくらいですから)ございますわな。第1の柱が「メインシナリオの点検作業」であって第2の柱が「それ以外の点検作業」というのは以前お話したと思いますが、そもそもが「柱」という言葉でイメージされるものと違うでしょということですわな。

んでまあ2本の柱を立てるなら「上向き」「下向き」の点検をするというのであればまだ判りやすいんですが、これってその当時の経済物価情勢判断に伴い将来的な金利引き上げというか正常化というか、「金利調整」というか知りませんが、そのプロセスを円滑に進める為に使いやすい理屈を動員したという観が正直言ってございますわな。

んでまあ経済物価情勢がこの当時描いていたように進行してなくて、根本のシナリオが変調となっているので、徐々に論理的な整合性がおかしくなっているということでしょう。この先でご紹介する昨年4月時点(随分昔の気がしますが、まだ1年9か月しか経ってないんですよね)での展望レポートのロジックですが、基本的な部分ってえのは今でも変っていない訳でして、そのロジックで行けば利上げしてないと論理的な整合性が取れなくなっているという素敵な状態になっているのが現状の困った所であります。

もっと話が飛びますが、(ちと最近のことは置いといて)経済物価情勢として潜在成長率近辺での巡航速度の成長をしていながら物価が安定というのは本来ならば日銀ウハウハの展開の筈なのですけれども、そうなった時点で金融政策のロジックが利上げしないと変という状況になっているのが如何なものかという感じでして、まあ昨年の時点で景気を強気に見過ぎて、徐々に利上げしていかないと論理的に変という枠組み(枠組みと展望レポートの併せ技で出来た枠組み)にしちゃったのが残念なところです。

#しかしこの枠組み出た時に「ゼロ金利政策が長引く」とか解説してた人が多かったのは日銀文学の真骨頂を見せたとしか申し上げようが(^^)


○んでまあ展望レポートのロジック

んでまあ上の方にリンク置いときましたが昨年4月の展望レポートの論理を見るわけですが。

『第3に、企業部門から家計部門への波及がより明確になってくるとみられる。企業部門の好調の影響は、雇用や賃金の増加に加え、配当の増加や株価の上昇を通じて、家計部門にも波及している。そうしたもとで、個人消費は、着実な増加を続けると予想される。住宅投資も、都心部などで地価が上昇に転じる中で、金利の底値感が台頭していることもあって、緩やかな増加基調を辿る可能性が高い。この結果、家計支出は、国内民間需要の主たる牽引役になっていくとともに、その堅調が企業部門にフィードバックして、前向きの循環メカニズムが維持されていくと考えられる。』(2006年4月の展望レポート)

まあこの前向きの循環メカニズムに関してはここに至ってはどう見てもシナリオ崩壊(ただし個人消費がコケなければ来年も別に景気腰折れせんでしょというのが統計的な数字になってるようですが)だと思われるのですが、本年10月の展望レポートを読みますと相変わらず『生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続けると予想される。』となってるのが涙を誘うのでありまする。

ちなみに家計部門に関してですが、本年10月の展望レポートではこうなっております。

『第3に、好調な企業部門から家計部門への波及が、緩やかながらも着実に進んでいくとみられる。雇用者数の増加が続く中で、雇用者所得は緩やかに増加し、株式配当の増加など様々なルートによる波及も続くとみられる。賃金については、グローバルな競争や資本市場からの規律の高まり、原材料高などを背景に、中小企業を中心に人件費抑制姿勢が根強いことに加え、賃金水準の高い団塊世代の退職やパート比率上昇に伴う人員構成変化などもあって、やや弱めの動きとなっているが、労働市場の需給がさらに引き締まっていけば、徐々に上昇圧力が高まっていくと考えられる。こうしたもとで、個人消費は緩やかな増加基調を辿る可能性が高い。』(2007年10月の展望レポート)

まあ随分とトーンダウンしてまして、昨年4月時点で中に記載されていた『前向きの循環メカニズム』っていうのが外れているだけ現実は見てますねえとは思うんですけど、その前の『好循環メカニズム』が残っているところが何とも素敵でございまする。何かこの「循環メカニズム」って形を変えた「ダム論」っぽくてアレなんですけどね(^^)。



んでまあ昨年4月の段階での第1の柱、第2の柱ですけど・・・・・・

『まず、先行き2年間の経済・物価情勢について最も蓋然性が高いと判断される見通しについて点検すると(第1の柱)、(途中部分思いっきり割愛)わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高いと判断される。 』

『この間、より長期的な視点を踏まえつつ、確率は高くなくても発生した場合に生じるコストも意識しながら、金融政策運営という観点から重視すべきリスクを点検すると(第2の柱)、(割愛)中長期的にみると、経済活動の振幅が大きくなり、ひいては物価上昇率も大きく変動するリスクは意識する必要がある。一方、経済活動や物価上昇率が下振れした場合でも、(割愛)物価下落と景気悪化の悪循環が発生するリスクは小さくなっていると考えられる。』(以上2006年4月の展望レポート)

ということですが、この部分って実は今でもあんまり変ってない(どころかデフレスパイラルの可能性については「さらに小さくなっている」となっています)んですよね。うーむ何とも。


まあいずれにせよ、今のロジックだとちょっとこう話に無理があるように思えますので、論理をもうちょっと整理して判り易くしたほうが良いのではないかと思います次第。執行部新体制になった所が良い機会なんじゃないかと存じますが如何なもんでしょう。


○ところでこの先行き見通しも中々の謎なんですよね

んでまあ毎回一応話題になってくれる展望レポート最後の部分の例の表(審議委員の経済物価の大勢見通し部分ね)なんですが、これがまた何というか謎な部分があるんですよ。昨年4月の展望レポートに示された先行き見通しの表の注記にこのようなものがあるのは皆様ご案内の通りかと存じますが。

(注2) 各政策委員は、政策金利について市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の予想を参考にしつつ、上記の見通しを作成している。なお、10月時点の見通しでは、政策委員の見通しを作成するに当たって、先行きの金融政策運営について、不変を前提としていた。

でね、この『市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の予想を参考にしつつ』ってえのが謎というか曲者でして、例えば今年4月の展望レポート公表時点と今年10月の展望レポート公表時点では市場が織り込んでいた政策金利見通しって前者では「まあ本年度内に2回は利上げあるでしょ」だったし、後者では「本年度内に1回できるかどうか微妙になってきましたなあ」ですので、そもそも見通しの前提となる数字が違っているのですよね。

と言うことはですな、物価見通しも本来その政策金利パスに則って数字を変えないと話がおかしい(本年10月のケースで言えば、数字不変だったら実は見通し下方修正になりますよね。政策金利が前回比あまり上昇しないという前提にしたのに見通しを引き上げないんですから)という話になるのですけれども、そもそもそのパスがどこら辺にあるのか良くわからんので、出てきた数字を見ても下方修正なのか上方修正なのか判らんがなという事態になるざますわな。

#などと言ってるあたくしも何が何だかとなってしまう謎展開ですが(^^)

まあこの部分も本来は「政策金利不変」の予想をしてもらうとか、不変の場合と市場金利インプライドのパスを併記するとか、何かその辺のブラックボックスは外して頂きますとより判り易くなるんじゃないでしょうか。


以上、つらつら思っているお話をダラダラと並べましたが、まあ来年は新体制になる事でもありますし(全員留任したら凄いが^^)、もうちょっと判り易い枠組みを作っていただきたいなとか思いながら。。。。。

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2007/12/14

○例の流動性対策云々に関連して追加の雑談を少々

・ドル流動性対策の面とか

一昨日の夜に打ち出された施策ですが、昨日は各国の文書などをもうちょっと読んでみたのですが、要するに欧州系金融機関のドル資金繰りが短期金融市場の信用収縮によって息も絶え絶えさんになっているので、手持ちのドルがそんなにない欧州各国中銀がスワップ協定結びましたというお話でございますかな。タームの自国通貨の金は出るけどドルは出ませんということなんでしょ。


・裏口公定歩合下げみたいなもんですかという面とか

今回のオペですけど、連銀貸出でフォローしていたものをオペ方式に切り替えるという話でして、その最低応札レートがOISレートということですので、出来上がりのレートは多分公定歩合よりは安くなる(場合によってはFFより安くなるのかも知れませんが)と考えますと、連銀貸出の金利を引き下げる効果がございますわなという所になるんでしょう。

そんなら最初から公定歩合をどどーんと下げてFFとの差をもっと狭くすりゃいいじゃんよとか思うのですが、それはやらんというのは、連銀貸出が色々と借り難いという面があるにせよ、どうも「結局のところFRBは金利をどどーんと下げるのは避けたいのね」ってことなんでしょうなあと思うのです。

何か対策が今後も小出しになる悪寒がするんですけどねえ。。。。


・しかし1日待ったのはどう見てもトンマです

んでまあ今回の施策。FOMCミーティングが終わる時間に欧州中銀は閉店で日本は丑三つ時にも程がある時間帯だから同時発表するためにFOMCの翌日にしたという説が濃厚らしいんですけど、その1日の間に米債市場は強烈に金利低下して、流動性対策公表で今度は強烈に金利上昇となりやがりました訳で、米債やってる人たちからすれば余計な怪我人を続出させやがってコノヤロウとなってるんじゃネーノって感じです。再任大丈夫かバーナンキ先生。

やる気あんならマネタリーポリシーとは別にとっとと出しやがれと思う次第でして、1日待ったという所に脱力感を受けるのでしたよ。


○ほほうCPオペ

日銀のサイトには出てませんが、時事メインの報道する所(13日の早朝というか夜ですが1時29分配信)によりますと、12日23時30分に行われた稲葉理事の記者会見で「明日(13日)は変な即日オペとかやるんでしょうか」というような皮肉にも程がある質問が出てたそうですな。というか記者会見の内容が皮肉質問の連発でかなり楽しめるので記事は必見(^^)。

んでまあ昨日はCPオペが久しぶりに堂々実施されました(^^)。

買現先で期間は17日〜1月22日で3000億円。落札結果は4465億円の応札で3015億円の落札。平均が0.762%で足切りが0.71%(全取)となりましたが、他のオペの金利と比べると無茶苦茶高いんですけど、CPの実勢レートからするとまあこんなもんでも仕方ないかなというレート。ここまで上を取りに行かなくてもという感はしましたが、このオペでとりあえず3000億円分CPディーラーの年末越え在庫が軽くなった(現先だから後で帰ってきますが)効果か、CP発行レートも昨日は中盤戦以降ちょっと低下した感じですので、まあそれはそれで効果がありましたなあという所でございます。

まあCP発行レートが下がるのが欧米の流動性対策と何の関係があるかと申しますと全然関係なかったりするとか、CPオペやるのに忙しかったせいなのかどーか知らんが昨日はT+1の本店オペが無くて、足元のGCがいきなり上昇したためにレギュラーのところも上昇しちゃいましたね残念でしたねとかいうような無粋なツッコミはこの際行わないのがオトナの対応というものであります(って十分行ってますが^^)。

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2007/12/13

お題「何か施策が出ておりますが・・・・」

このニュース朝6時半と7時のNHKニュースでトップ扱いですよ。

で、先にお断り致しますと、昨晩の今朝ネタにつきあたくし以下を勢いで書いてますんで、誤訳とか勘違いとかご指摘いただけると心から有り難く存じます(ので声明文をまる引用しちゃってますけど)。


○何で一日遅れで実施するんだか・・・・

忘年会とかで酒飲んでる場合じゃなかったではありませんか。
http://hongokucho.exblog.jp/7816632/

で、日銀のウェブサイトではこの発表。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/un0712c.htm

日本銀行もまあお付き合いがよろしいですな(国内の年末越えはそこそこ高いと言っても別に取れなくて瀕死の人がいる訳でもなく)という所ですが、何で米国さんは今回の施策をFOMCと同時にやらなかったのかは良く判らんでございますな。まあ日本時間の夕方にCNBC(日経CNBCではない)で「利下げ以外の対策が打たれる」云々ってニュースが出たとかあったような気がしたのはこの話だったんですね。


○ということでFRBのサイトを見に行きました

で、まあFRBのサイトを見に行きますとこんな感じになってます。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20071212a.htm

Actions taken by the Federal Reserve include the establishment of a temporary Term Auction Facility (approved by the Board of Governors of the Federal Reserve System) and the establishment of foreign exchange swap lines with the European Central Bank and the Swiss National Bank (approved by the Federal Open Market Committee).

ターム物のオペやって外貨スワップのラインがどうのこうのと書いてますな。ドル資金調達が大変だからどうのこうのって話なんでしょうが、日本でかつてジャパンプレミアムなどと言われてた時には、スワップ取引使って泣きながらマイナス金利で円投させられて、外銀ウハウハだったのを思い出しますと、何たる至れり尽くせり。

Under the Term Auction Facility (TAF) program, the Federal Reserve will auction term funds to depository institutions against the wide variety of collateral that can be used to secure loans at the discount window. All depository institutions that are judged to be in generally sound financial condition by their local Reserve Bank and that are eligible to borrow under the primary credit discount window program will be eligible to participate in TAF auctions.

えーっと何せ今この場で斜め読みしてる(正直後で読み直すのに便利なようにここにコピペしてるという説がある^^)のでなんですが、スタンディングファシリティ(連銀貸出)の担保基準と同じ基準でこのオペに参加できますってことなので、実質連銀貸出の緩和って話のように見えますがどうでしょ。(12月16日追記:要するにセカンダリーディスカウントウィンドウをオペ形式にしているというイメージのようです)

All advances must be fully collateralized. By allowing the Federal Reserve to inject term funds through a broader range of counterparties and against a broader range of collateral than open market operations, this facility could help promote the efficient dissemination of liquidity when the unsecured interbank markets are under stress.

短期金融市場にストレス掛かってるからこういう施策をとりましたというお話なんですかねえ。日本では短期金融市場とかクレジット市場にストレス掛かるの散々見ましたので「まあ落ち着け」という感じですけど。

Each TAF auction will be for a fixed amount, with the rate determined by the auction process (subject to a minimum bid rate). The first TAF auction of $20 billion is scheduled for Monday, December 17, with settlement on Thursday, December 20; this auction will provide 28-day term funds, maturing Thursday, January 17, 2008. The second auction of up to $20 billion is scheduled for Thursday, December 20, with settlement on Thursday, December 27; this auction will provide 35-day funds, maturing Thursday, January 31, 2008. The third and fourth auctions will be held on January 14 and 28, with settlement on the following Thursdays.

The amounts of those auctions will be determined in January. The Federal Reserve may conduct additional auctions in subsequent months, depending in part on evolving market conditions.

左様でございますか。何か別にこんなに細々とスケジュール感を出さなくても「ジャンジャンやりますよ」で良い様な気がするんですが。まあいっか。

Depositories will submit bids through their local Reserve Banks. The minimum bid rate for the auctions will be established at the overnight indexed swap (OIS) rate corresponding to the maturity of the credit being auctioned. The OIS rate is a measure of market participants’ expected average federal funds rate over the relevant term. The minimum rate for the December 17 auction along with other auction details will be announced on Friday, December 14.

Noncompetitive tenders may be accepted beginning with the third auction. The results of the first auction will be announced at 10 a.m. Eastern Time on December 19. The schedule for releasing the results of later auctions will be determined subsequently. Detailed terms of the auction and summary auction results will be available at http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/taf.htm.

だいたいこの辺は実務的な話(最低応札金利がOISレートだとか、非競争入札をどうやるかとか)をしているように読めます。(12月16日追記:上でも書きましたが、最低応札金利がOISということは、実質的にはセカンダリークレジットウィンドウの利下げを行っているのと同じような効果があるといえそうです)

Experience gained under this temporary program will be helpful in assessing the
potential usefulness of augmenting the Federal Reserve’s current monetary policy tools--open market operations and the primary credit facility--with a permanent facility for auctioning term discount window credit. The Board anticipates that it would seek public comment on any proposal for a permanent term auction facility.

スタンディングファシリティが機能してねえからこういう措置をとりましたってのは正直でよろしいですが、何か月その状況を放置してたのよと考えると何ともこう米国当局様の出遅れ大丈夫かとか思っちゃいますが。(12月16日追記:まあドル資金のファンディングが大変ということですから欧州のせいでもあるんですけどね)


○全部見てたら時間が無いのですがBOEのサイトを見る

http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2007/158.htm

さすがにこれまで全部読んでたら時間が無いので端折りますけど、斜め読みしたらBOEもこんくらいの規模で出しますとかいう話をしてますね。で、担保基準の緩和をしてるんだかしてないんだか良く判らんが色んな担保とりますとも。

それはそれとして最初の所を読んで微苦笑したんですけど。

The Bank of England has already scheduled long-term repo open market operations (OMOs) on 18 December and 15 January. In those operations reserves will, as usual, be offered at 3, 6, 9 and 12-month maturities against the Bank’s published list of eligible collateral.

うちは既にターム物の資金供給を実施してるんですけどねと言ってるように見えますが気のせいでしょうか?一応以下引用だけ。

But the total amount of reserves offered at the 3-month maturity will be expanded and the range of collateral accepted for funds advanced at this maturity will be widened.

The total size of reserves offered in the operations on 18 December and on 15 January will be raised from £2.85 billion to £11.35 billion, of which £10bn will be offered at the 3-month maturity.

スケジュール感って出すもんなんですね。ふーんって感じですが。

The Bank will accept a wider range of high quality securities as collateral against funds advanced at the 3-month maturity. The additional categories of eligible collateral are:

wider rangeと言いながらhigh qualityと言い出すのはBOEの仕様ですかな。

・Bonds issued by sovereigns rated Aa3/AA- or above (in addition to those currently eligible), subject to settlement constraints.

・Bonds issued by G10 government agencies guaranteed by national governments, rated AAA.

・Conventional debt security issues of the Federal Home Loan Mortgage Corporation, the Federal National Mortgage Corporation and the Federal Home Loan Banking system, rated AAA.

・AAA-rated tranches of UK, US and EEA asset-backed securities (ABS) backed by credit cards; and AAA-rated tranches of UK and EEA prime residential mortgage-backed securities (RMBS).

・Covered bonds rated AAA

この基準が緩いのか緩くないのかは外債の専門家先生に判定してもらいますということで後日追記の所存。.

Securities must be denominated in sterling, euro, US dollars, Australian dollars, Canadian dollars, Swedish krona, Swiss francs, and, in the case of Japanese Government Bonds only, yen; and must be capable of being delivered via a settlement channel specified by the Bank.

何で円建てだけJGB限定なのかよく判らんが(^^)、まあ対象債券が無いとも言えるんですけど。で、以下引用だけしかしませんけど、実務的な話で、従前のスケジュールされてるオペは予定通りやりますよ&これは年末向けの期間限定措置ですよって話をしているように斜め読みしたのですけれども、ちゃんと読めたら追記するかも。

There will be no further changes to the scheduled operations on 18 December and 15 January. As usual, those eligible to bid in the operations will be the Bank’s OMO counterparties and the operations will be conducted as variable rate tenders with funds offered to successful bidders at the rate(s) that they tender.

Consistent with the Bank’s objective of keeping overnight market interest rates in line with Bank Rate, the Bank intends to offset the additional reserves taken up in the long-term repo operations in December and January in its other operations.

The Bank will review whether to make any changes to operations scheduled after January in the light of market conditions at the time.

The Bank will announce further operational details, including details of collateral and settlement arrangements, in a Market Notice on Friday 14 December.


○という訳で・・・・・

要するにスタンディングファシリティがちゃんと機能してないからこういう話になりましたってことでして、好感して株高とかトンマな話ですなあと思うんですが、まあ市場が誤解して上がっても効果としては効果ですんでよかったですねえ(棒読み)というところでしょうか。どっちかというと公定歩合を下げて担保基準を緩和して従来のディスカウントウィンドウがきちんと機能させるほうが筋なんじゃねえのとか思いますけど、年末近くてケツに火が付いて涙目モードということでございますか。ナムナム。(12月16日追記:それに加えて短期金融市場のシュリンクによって欧州系金融機関がドル取れずに大変な事になっているというのがありますんで、欧州もどうなのよというのはありますわな)

てなわけで、本石町日記さんのエントリーにございます指摘にあたくしも同意ですけど、いやあ海外の株式市場は無邪気に上昇しますねえとか言うあたくしはひねくれ者にも程がありますかそうですか。これでサブプライムローン問題が解消にとかちょっとあのそれは過大評価って奴じゃないでしょうかと思うんすけどね。

それから、本当は海外から邦銀に依頼が来たのどうのこうのというネタに関する雑感を書こうと思ってたんですが、まあ結論は本石町日記さんのお書きになっていること(http://hongokucho.exblog.jp/7815350/)に同意ですで終了でございます(^^)。

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2007/12/12

○さあまだまだ催促されますよ

米国FFと公定歩合0.25%引下げですが、何気にあたくしも0.5%思い切ってやるでしょと(雇用統計出たところでこりゃ出し惜しみの言い訳ができるかなと思いましたが)思ってた次第でして、何かケチな利下げですなあという感じですな。

んでまあ米国株式市場大下げの米債上昇ということでして、追加利下げを示唆してもこの有様ですんで、これはもう1月のFOMCに向けてクレクレ相場相次ぐといったところでしょうか。

#まあ下げた下げたと言ってもその前に上げてますから所詮レンジワークのままなんですけどね

実際問題としては信用収縮市場においては金利水準が高くても低くてもファンディングできない時はファンディングできない物でありますので、利下げして何の足しになるのよという所なんですけれども(利下げしてカーブをスティープさせることによって金融機関の期間収益へのフォローを行い償却原資を稼がせるというパスはありますが、そもそもファンディングできるかどうかという瀬戸際な人にはそれ以前の問題)、まあやらないよりはやった方がマシですし、下げ余地があるならあまり小出しにしない方が良さそうってのは日本のサンプルがあった気がするんですが。

先日発表されたサブプライム対策も結局の所利下げが最大の対策でしょとか言われるくらいですから、まあ利下げだけどどーんとやるのも癪なのかも知れませんが(^^)、何か当局間の連携がイマイチですなあという感が拭えない利下げ幅でございました。



○国債市場懇関連メモ

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c191207.htm

その前に投資家懇談会とかもあったんですが、そのあたりを端折りまして直近の市場懇からちょっとだけ。

・買入消却に関して

『・通常の買入消却については、15年変動債の買入規模を1.2兆円程度に大幅に増額するとともに、名目利付債及び物価連動債の買入規模についても、19年度よりは増額を図る方向で検討することとしたい。』

『・また、ストリップス化が円滑に行われるようになるまでの時限的措置として、新たにストリップス債の利札の買入消却を導入することとし、買入規模については半期に1回、各200億円程度で実施するという方向で検討することとしたい。』

というお話のようで、要するに買入消却が全体として増えるというお話でございますか。まあ参加者としては追加発行(流動性供給とか第U非価格とか)と買入消却が拡充されるのはアリガタヤなのですけれども、霞ヶ関埋蔵金ブーム真っ盛りの昨今ですので、変につつかれて両方とも減らせという話にならないことを祈ります。

ところで、ほとんど黒歴史化しつつある15年変動利付国債ですけれども、発行の方が6000億円×4回(第U非価格で追加される可能性はおいといて)で買入消却が1兆2000億円ですから、発行の半分を買入消却ってもう何か落涙モノなんですけど、意見を見るともっと落涙を禁じ得ません。

『・0.6兆円×4回ということだが、昨今の需給を踏まえると、0.5兆円×4回に減額して欲しい。』

というのはまあよしとして、その次からの意見が泣かせます。

『・新規発行額から買入消却額を控除した今年度のネット発行額は3兆円を切っているが、それでもダブつき感がある。20年度は、2.4兆円の新規発行に対して、1.2兆円を買入消却し、ネット発行額を1.2兆円とすれば、割安感を修正するという発行当局の意思が明確に市場に伝わり、非常に良いと考える。』

泣かせますなあ。

『・0.5兆円×4回への減額がより望ましいと考える。また、来年度以降、減額後も割安さが解消されず、一方で市場流動性を確保する観点から更なる新規発行の減額ができないというジレンマに陥るケースも考えられる。投資家は発行継続を強く要望していると思うので、大幅に減額しても割安が解消されない場合においても発行を継続する理由を考えておいた方が良い。』

・・・・・何と申しますか。

『・買入消却を1.2兆円実施しても、15年変動債の市中残高は増える訳であり、減額後の発行ロットとして、0.6兆円または0.5兆円のいずれが適当かと問われれば、0.5兆円が望ましいと考える。』

>15年変動債の市中残高は増える訳であり
>15年変動債の市中残高は増える訳であり
>15年変動債の市中残高は増える訳であり

『・割安さの解消に向けた当局のクリアなメッセージ性という点で言うと、0.6兆円ではなく、0.5兆円まで減額すれば、更に良いのではないか。』

しかしあーた発行が年間2兆円で買入消却が年間1.2兆円ってもうマッチポンプ状態と言われそうな状況ではございませんか。現在の状況ってざっくり言っちゃえば「アウトライヤー規制バブル」の後始末させられてる状態ですので、色々と悲しいお話になるのは仕方ない面はございますが、落涙を禁じ得ない状態ではございました。


・・・ところで、やはり発行当局におかれましては、超長期のゼロクーポンを適格機関投資家限定で良いと思いますので、課税玉問題をクリアした状態(この税金問題が常に一番のネックですけど・・・・)で是非発行して頂きたいものと存じます。

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2007/12/11

○景気ウォッチャー調査また悪化

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/1210watcher/bassui.html

現状判断が前月比▲2.7の38.8で先行き判断が前月比▲4.3の38.8ということで、マインド益々悪化となっております。で、そのネタで本石町日記さんが既にエントリーを上げてましてまあ左様でございますなとか読んでいたら何だかあたくしが名指しされておりますので(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7807558/

ええまあそうですな、都心の繁華街に出掛ける(世の中を観測するだけで買い物って何ですか状態ですが)のが趣味(なんちゅう趣味ですかというツッコミは却下)ですけど、これがまた毎週が数年前の年末状態という有様(土日の東京駅コンコースなんて凄いっすよ)でございまして、景気腰折れって何ですか状態になってますわな。

で、機械受注もそうでしたが、経済指標だけ見てると「個人消費がこけなければ大丈夫でしょ」という感じに見えるんですけど、結局このあたりって本石町さんも指摘してる二極化現象なんでしょうかなとか思うのですが・・・・

#ちなみに観光客と思しき人たちの購買パワーは中々なもんだと思いますよ。海外からの観光客も目に付きますし。

家計関連の価格上昇の影響が見られてるってのが非常に気になる所でして、個人消費がやっぱりコケましたとなりますとガクブルもんでございます(だからといってあたくしが個人消費を伸ばす訳ではないのが合成の誤謬ですかそうですか^^)。それこそ昨日ご紹介した水野審議委員講演における論点(とあたくしが勝手に解釈した)家計の実質所得低下の影響が顕在化ですからこりゃ困ったもんよというところでございますわな。

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2007/12/10

○サブプライム関連雑談

サブプライム救済策が出てまして、金利減免とかになってましたが、それって住宅ローンを証券化した商品にとってはまともにイベントオブデフォルトじゃネーノとか思った次第なのですが、その辺に関しましてのまともなレポートが全然ねえなあとか思ってたら、厭債害債さんの明快なエントリーが(^^)。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200712/article_2.html

まあ上記エントリーを読めで話は終了するのですが、今回のサブプライム対策って要するに「FEDが利下げする」以外は何だかね〜って感じでして、まあFEDは結局市場だけじゃなくて当局にも追い込まれて利下げですねえと言った所かと存じますわな。あたくし的勝手な予想をするとまだまだFEDはねじ込まれるでしょと思うんですけれども。

金利引き上げ先送りをしていわゆる「ゆとり返済」の破滅を先送りするというお話ですけれども、要するに「先送りしていれば住宅市況が回復して物件売って返済できるかもしれません」というお話だとなりますと、まさしくどこかで見たお話でございますなあとしか申し上げようがございません。

その上、今回の救済策で強調されていた「税金の投入は行わない」ってそりゃあのまんま「住専国会」の論議を思い出す次第でございまして、不良債権問題で日本を散々叩いたアメ公ざまあみろなどと不見識な発言をしたくなりますが、必ずしも対岸の火事で済まない(というか厭債害債さんの指摘どおりで、世界に問題を振り撒いているのがアメ公オソロシスなところ)のが残念無念(こら)。まあこりゃ当分迷走が続くでしょうなという感じがします。

ちょうど大統領選挙とぶつかってしまって、政治が思い切った動き(というか短期的に評判を悪くするけど実施すべき施策)ができないというのは悪い偶然でございますわなとしか申し上げようがございません。しかし皆さん他人事になると抜本対策の話をしますが、自分のことになると中々出来ませんなあと思うのでした。ま、あたくしも自らを省みればそうなんですけどね(汗)。

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2007/12/03

○コアCPIがプラス0.1%ですが

先週末は経済指標が色々と出ていたのですが、10月全国コアCPIがプラス0.1%ということで、数か月前に予想されていたよりもちょっと早かった感じがするのですけれども、まあプラス転換ですねというところです。

でもまあ今回のプラス転換って需要が盛り上がるとか雇用者所得が上昇するとかそういう形で上っているというよりは、単に原材料価格(というか企業物価というか)などの上昇が流通段階で吸収できなくなって消費者物価に跳ねてるんじゃないのというのが印象(本当の分析は本職の方がしていると思いますが)でして、物価上昇だから金利正常化だワッショイというのは何ぼ何でも話に無理があると思うんですがどうでしょ。

金曜は失業率横ばいでしたけど有効求人倍率ちょっと下がってましたし(内容が本当に悪いのかどうかはよーわかりませんが)、春先には先行きかなりいい感じに見えてた雇用まわりの経済指標も何かもたついている中での消費者物価上昇ってのは個人消費への悪影響を通じて景気下押しに働くんじゃねえのかいなと存じます次第で、個人消費がここからコケないことを祈るのでありました。

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2007/11/29

○国債市場特別参加者会合に関連して

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c191122.htm

ストリップス債の利札部分の買入消却がどうのこうのというお話を一昨日申し上げた次第でございますが、国債発行計画に関する話でどこの年限を増やす減らすという話はまたまた例によって目先のポジショントークする人がいたりして(ちゃんと長期的な視点で話をしてる人もいますので念の為)、毎度お馴染みのパターンですなあと言う感じでございます。

ま、それはいつもの仕様ですので良いとして、買入消却とか流動性供給入札とか原則リオープンとかの意見を見てましてあたくしも雑感。

・原則リオープンの話

『1銘柄当たりの流動性を増やすということは、結果的には、投資家、業者の双方にとってメリットがあると考えており、原則リオープンを全年限で実施する方向で進めていただきたい。』

『5年債、10年債については、現在の発行額で流動性は保たれていると考えており、今の段階で原則リオープンを実施する必要はないのではないか。』

『原則リオープンを実施していないことによって、銘柄数が非常に多くなっており、決済の際に必要玉が確保できないといった様々なトラブルを引き起す可能性を孕んでいると考えている。原則リオープンにより銘柄数が減ると、業者にとってはロング・ショートで多くのポジションを抱える必要性が薄れて資本のユーセージが少なくなり、B/S圧縮に繋がって、レポコスト減少とあわせ、ビジネスがやりやすくなるメリットがある。(以下割愛)』

原則リオープンに関してですが、時価評価を推し進めるとそんなの関係ねえな筈ですが、今のところ銘柄多いほうが簿価分散できるとかいうメリットはありますので、反対する投資家もいるというのは判らんではないです。ただ、あたくしの個人的印象を申し上げますと、簿価分散もさることながら償還タイミングの分散もそれはそれで再投資リスクを下げるためには便利なお話ではないかと思う次第でございます。そんなことを考えますと、本当は原則リオープンに適しているのは既に償還や利払いが四半期ごとに設定されている5年とか10年とか20年とか(タイミングずれてるけど15年もそうですね)に適用するのが吉な気がする次第。

#というか償還が無いのに入札するのも妙なので四半期入札で宜しいのではないかと存じますが・・・・

逆に2年国債などは毎月の償還と毎月の発行というのがバランスしていますし、年限的に短いゾーンに該当するので、TB/FBの親戚と認識して頂くと宜しいのではないかと思いまする。償還が4半期で発行が毎月というミスマッチが起きるのはこの年限ではバランスとしてどうよと思いますがどうでしょ。

ま、あたしゃ原則リオープンというよりは四半期発行でよかですたいな人ですので、原則リオープンは賛成でございますが。


・流動性供給入札と買入消却に関連して

あたくしはこの意見に大体賛成(自作自演じゃないですよ^^)なんですけどね。ちと長いんですけど段落わけしながら。

『残存15年ゾーン全体での流動性が不足しているとのことで流動性供給入札の制度が導入されたが、その結果、流動性不足が解消され、カーブの歪みが解消されたことについては非常に意義があった。この制度を拡大するスタンスとの認識であるが、その在り方について十分影響を考慮したほうが良い。不足しているゾーンを埋めるということに関してはマーケットメイクする立場としても影響は無い。』

左様でございますな。

『しかし、ゾーン全体としては足りていながら、その中で不足している銘柄を埋めるということであれば、業者にとって、銘柄だけ見ればショートが埋まるため有り難いが、各銘柄の過不足がバランスしてイールドカーブが形成されているので、不足している銘柄をピンポイントで供給すると、ゾーン全体としてはダブついてカーブが歪む可能性がある。』

誠に仰せの通りでございます。

『業者は、不足している銘柄には不足している銘柄なりの価格を付けてマーケットメイクしているが、追加供給されることにより、その価格が変わってしまうという不確定要素が増えることはマイナスである。業者として、いろいろなカーブの形で在庫を持ちながら営業しているが、カーブの形状が追加供給で変わるとなると、管理が難しくなる。』

『万人が納得するコンセンサスを作るのは難しいと思うが、新発債を在庫として持つことが多いので、少なくとも新発債に影響を与えるような制度は避けたほうが良い。手前の銘柄が不足していても、その銘柄が不足しているなりのカーブ形状があり、一方で新発債が生まれてくるが、新発債を持っている状態でその近辺の銘柄が供給されるとその部分のカーブが変わるので、マーケットメイクがしづらくなる。』

『不足しているゾーンを埋めるという制度は分かりやすかったが、拡大することについては様々な配慮が必要である。新発債の在庫は常に持っているので、そのカーブ形成が容易には予測できない要因によってふらつくと、業者としてはやりづらい。新発債に近い残存4年、9年、19年、29年は避けるなどの配慮があっていいと思う。』

まあそりゃそうですな。で、この問題なんですけど、現物国債の流動性に関しては、規制上品貸しが難しい人がいるとか、事務負担が重いので品貸しをする場合ではない人がいるとか(スクイーズ類似行為をする外道は論外)といったSCレポ市場の整備をするのが本筋じゃネーノかと思う次第。まあこの点に関しては財務省だけでどうこうなる問題じゃないですけれども。

#一番手っ取り早い解決策は証券決済のRTGSを止めて(DVPを止めろとは申してませんので勘違いの無いように)時点決済に戻す事なんですけど

現物国債の流動性問題という話を目にするたびに、本邦株式市場の信用取引制度って偉大だなあと感心するのであります。値付けのやりかたとか制度信用とか、日本の証券市場での決め事って物凄く合理的に出来ていると思うんですよね。ガイジンには判りにくいのでしょっちゅう文句がでるので、かつて債券先物で端末システムを変えたついでに値付けルールを変更したらエライコッチャな事が起きたのは年寄りの記憶には新しいですよね。

話が逸れちゃいましたが(苦笑)、一昨日申し上げた「ストリップス債の利息部分の買入消却」も、この流動性供給入札もそうなんですが、確かに現行の法令諸規則を考えるとこういう方法でやっていくのが早いというのは理解するのでありますけれども、本当はストリップスの元本にニーズがある(そりゃ再投資リスクなくなるしデュレーション伸びるからニーズあるでしょ)ならゼロクーポンの超長期を発行すればいい話ですし、現物国債の流動性って保有する機関投資家がレポ市場への品貸しを積極的に行えばそれなりに解消される問題なんで、まあそっちの方からのアプローチも欲しいなと(いうのをこの会合に求めるのはやや筋違いですけどね)思うのでありました。

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2007/11/28

○サブプライム雑感

アブダビ投資庁がどうのこうのという話に早速本石町日記さんがエントリーを→http://hongokucho.exblog.jp/7758681/

あたくしも「ちょっとタイミング早いんジャマイカ」と思うところでありますけれどもそれはそれとして、こりゃまさに「バブルの傷をバブルで癒す」の図ですなあと思った次第でございまして、何ともはーこりゃこりゃとしか(何のこっちゃ)言いようが無いですなあと思うのでありました。

まあ傍観者というか野次馬的に見ておりますと米国もまあ威勢良く炎上しますなあとか思うんですけれども、何が炎上かと言いますと当局間の連携とか危機感の共有とかがちゃんとワークしてねえなってえ所でございます。折角FEDが(端から見てると危機感持って動いてるのFEDだけにしか見えない)動いてる側から司法当局が張り切って粉飾叩きしてみたり、ご当局様に人材を沢山ご輩出されておられるどこぞの有力投資銀行様が火付け盗賊の如く不安を煽るレポートをじゃんじゃん出しているのを放置してみたり(という点についてはあたくしの方が異常な意見だと思いますが、あたしゃ非常時には非常時のルールがあって然るべきではないかと思いますんで)という有様では話にも何にもならんがなという感が。

今回の中東マネーネタで簡単に片付くのかどうかは知らんですが、当局(除くFED)の危機感がどうにもこうにもという状況ではどうもこれからも何かあるでしょと考えてしまいますです。

結局日本の教訓からあまり学んでませんなあと思う次第で、トホホ感が漂うのでありまする。

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2007/11/27

○国債市場特別参加者会合でふと思ったのですが・・・・

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c191122.htm

内容が盛りだくさんで詳しくは後日なのですが、ちょっと「??」だったお話がございまして・・・・・

いやまあストリップス債の買入消却の話しなんですけど、この意見を見てて素朴な疑問が。

『30年債の分離元本に対する投資家ニーズは非常に強く、40年債についても引き合いがある。現状の分離利息残高1,000億円は、各業者が抑えに抑えた上での残高である。分離利息の買入消却を導入することで、業者はストリップス化しやすくなり、市場も成熟していくと考えている。』

分離利息はロット細かいですし、分離すりゃ短いものが増えてしまうのでニーズが無いのはよく判りますが、それならストリップスのクーポンを買入消却するよりも真正面からゼロクーポン発行した方が良いんじゃないんですかと思うんですけど・・・・・

たぶん長期でゼロクーポンを発行した場合、償還差益に対する源泉税徴収の問題があって制度上の手当てが必要になるんじゃないかと思うのですが、ストリップス債と同様の制限を設ければ税務上の公平性は保てるんじゃないのかなあとか漠然と思う次第でして、わざわざ利付債発行してストリップス化するなどと手間掛けるよりも、直球ストレートで出した方が余計なコストが掛からないのではないかと存じますが。

#まあそう直球を出されると裁定機会が減るので困る人はいそうですが

30年債ならまだ判りますが、ついこの前1回債が出た40年債のストリップス化の引き合いがあるなら、40年のゼロクーポンを源泉徴収免除(非課税玉)扱いで発行できるようになって欲しいと要望する方が筋のような気がしますが。30年債だって「強いニーズがある」のならゼロクーポン発行したって消化できるんでしょ(^^)。

ま、もっと申し上げれば、もうちょっと金利水準があればの話になりますけれども、ストリップス債の利息部分の細かい部分って多分長いものなら長期マッチングというか年金感覚で個人に、短いものなら担保ニーズなどで一般法人など、要するにリテール窓販に使える(そのニーズが何千億もあるかと言われると少々困りますが)と思うのですが、これまた税制の問題が・・・・・・・何とかならんもんですかね。

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2007/11/19

○何かねえという光景

例によってサブプライム関連なんですけど、ここもとのサブプライム絡みの動きが、最近ますます「どこかで見た光景」っぽくなっているなあって感じでどうも気分が宜しくございませんわな。と申しますのは、先々週くらいからですかね、多分米国会計基準のレベル3資産がどうのこうのという話が盛り上がりだした所からのように思えますが、レベル3資産の保有額がどうのこうのという話をネタにして「どこそこはこれだけ持ってますよ」ってなレポートが色んなところから出てみたり、「サブプライムの最大損失は今以上に沢山ありますよ大変ですよ」というようなコメントをする人が出てみたりとなってまして、もういい感じで刺し合いのようになって来た所ですな。

先週はどこぞの会社から海外金融機関の保有するレベル3資産が自己資本対比幾らありますよというレポートが出てたんですが、自分たちの所に関しては華麗にスルーしている所が実に心温まる次第。もうちょっと前に出てた別のレポートでもそんな感じで自分の所は華麗にスルーして他の人がいかれてますよというの話をする事例が頻発しているのが何とも「う、うちよりこいつらの方がやられてるもんね」っぽくて誠に香ばしい。

ちょうどね、日本の不良債権がどうのこうのという話が出ている時に毎度毎度の如く「次はどこどこが危ない」という話が出たりして、見苦しい風説の巷になっていたのを思い出しちゃうんですよね。実にいやーな感じでありますな。

で、金曜にロイターの記事見ててコーヒー噴きそうになったのがございまして・・・・・

15:06 RTRS-サブプライム関連の投資はゼロ、下期も含めて損失は考えていない=日本生命社長

・・・・おもわず大木ひびき(追記:ツッコミはこだまでしたな^^)風に「そんな奴おれへんやろ〜」とツッコミを入れてしまいましたが、ニュース本文を見て思わず微苦笑。

[東京 16日 ロイター]日本生命の岡本圀衛社長は16日、生命保険協会長会見で、日本生命の運用でサブプライム関連への直接投資はゼロで、通期ベースで損失が発生するとは考えていないと述べた。

・・・・そりゃサブプライムに「直接投資」する投資家は中々居ませんでしょうな、というかどうやって直接投資するんだよという感じですので、この発言は確かに仰る通りでございますわな。ただしこれで「実はサブプライム関連じゃないCDOだったんですがやられが発生しています」とかになったらどうする積りなんでしょうかねえとか思うのですが、さすがは非上場企業だ、微妙な発言をしても心配ないぜと言ったところでございますな。

・・・・あたくしも刺し合いの一環を担ってますですかそうですか。


ところで、全然関係ない話ですが、昨今の動きを「コンプライアンス不況」と木村剛センセイが仰ってるようですけれども、不良債権問題やってる時に金融検査マニュアルなどを初めとしてシバキアゲ政策を推進したお前が言うなとしか申し上げようがございませんな。話と関係ないけど・・・

#お前がいうなというのを気にしてたら務まらないんでしょうけど

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2007/11/13

お題「決定会合ですが雑談」

サブプライム関連は大延焼モードでございますが、そもそものサブプライムの原資産から考えておまいら幾らレバレッジ掛けてたのかよと小一時間でありますな。

○ますます亜空間

昨日は株価指数がアホのように下げておりましたが、何か余りの動きに反応しそこなったのか単に月曜で投資家様会議で多忙だったのか知りませんが、外部環境がこれだけ動いたのに債券先物にしろ金先にしろあんまり動きませんでしたなあという結果になっておりました。

・・・・でもまあ仔細に見ると債券市場ではイールドカーブが超長期に掛けてフラットしておりますし、短い所でもちゃっかり金利が低下していますわな。

昨日は共通担保本店オペで8000億円の資金供給が行われまして、とうとう3月足のオペなんぞを打ちやがったのですが、こちらの落札レートが平均0.593%で足切0.59%となりました。先週水曜に実施された2月26日足のオペが平均0.603%で足切0.60%ですので3月足になったにも関わらずきっちり1つ下がりましたの巻。まあ先週木曜の2月15日足全店オペが0.59%足切でしたから下がるかなあとは思ってましたが。。。。

んでまあそんな状況ですのでFBの利回りも12月足まで(日本相互証券引けベース)0.53%と、それはGCや現先(大体0.53%〜0.54%ですから)で回した方が宜しいのではないかというレートですし、1月足で0.56%という状況は相変わらず(先週入札があった新発3か月は0.57%)で、金利の期間構造もへったくれもないというのは引き続き継続。こうなるとさてどこを潰しに逝くかといえば何かそこに存在するプレミアムを潰しに逝くの図となるので、短い所で言えば年末越えのプレミアムと、CPなどのクレジット物のプレミアムを潰しに逝きますよという話になるものかと。

その中で年末越えに関しては現実問題としてサブプライムだ何だというのがありますので、年末越えでファンディングの問題が生じるかもしれない(実際に最後の最後には何とかなると思いますが)ということで、潰しに逝くのはまずCPの方でしょうかという感じであります。

ということで最近SBの発行が多いせいか妙に(特に事業系の)発行が薄くなっているCP市場ではありますが、3か月ものの上位格付け銘柄で金融系で0.72%近辺まで下がるわ、事業系で(あんまり発行がないのですが)0.65%あたりになるの巻でして、まあ金融系はここもとのご時世なのでハンデつくのは仕方ない面がある(とは言え今までの流れから言えば結構つけさせられてる観があります)のですが、事業系はFB対比でもまあかなり潰れましたなという感じ。電力CPとかがこの期間で出てくると幾ら位になるのかをちょっと見てみたい気はするのですけどね。

なお、年内物に関してはFBとのスプレッドもっと薄くて事業系で0.55%近くまで下がっている有様ですんで、そういう意味では実需筋というか持ちきり前提な短期市場の最終投資家はまだ長いところに資金をそれほど持っていってないというか短い所の運用で凌いでいるという感じなのでしょうな。

・・・・でもまあ外部環境がこの有様で年度内(年内ではない)利上げって何ですか状態になりつつある亜空間な昨今ですので、どこかで年末越えを潰しに逝くのかなあとは思うのでありますが、さてどうなることやら。。。。


○金融政策決定会合ですが

まあ当然ながらノーケアーでして、注目材料はもはや完全に泥レス状態と化しているサブプライム関連問題の実体経済に与える影響に関してどう評価するのか(金融経済月報だと基本的見解部分ではあまり細々書けないのかなあとは思いますが)とか、総裁記者会見で狼ジジイ状態がまだ続くのかどうかとかが注目される所であります。

というか総裁会見はほとんどネタ会見になりそうな予感がしますが・・・・

ただまあ一応金利変更できないですがなの期待が定着するのは良くないという認識は変らないですし、すっかり忘却されていますけれども前回のFOMCでは一応リスクアセスメントを中立にしておりましたので、そーゆー点からもファイティングポーズだけは継続するんでしょうな。ちょっと現状からすると違和感ありありではございますが、もうこれはお約束芸の流れだと思って鑑賞するのが正しいオトナのあり方ということで宜しいのではないかと。


○ろくな指標が出ませんなあ

昨日出てたのが企業物価指数(日銀)に消費動向調査(内閣府)。

企業物価指数
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/cgpi/cgpi0710.pdf

消費者物価指数は上らないというのにこの有様。まあ全く同じ統計じゃないですから一緒くたにする訳にはいかないのかもしれませんけれども、川上の物価がまたまた上昇向きになっているのに川下は上りませんなあということで、どう見ても交易条件の悪化です本当にカムサハムニダ。というか企業物価上昇が消費者物価に波及するというシナリオも全然進みませんですわなあということで。ナムナム。

消費動向調査
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/2007/0710shouhi.html

ここを見ても総括判断が書いていないのですが、報道によれば総括判断を下げたようですな。ナムナム。で、どうでも良い事にケチをつけるのですけれども、確かにこの統計取ってるのは「経済社会総合研究所」ですが、内閣府トップの新着情報(http://www.cao.go.jp/news.html)で本件の見出しが「研究」というのは何だか妙ですな。景気動向指数とかも「研究」なんですけど、これって「経済」とか何かそういう名前にならんですかねえ。


#相場が亜空間入りしているので雑談で恐縮至極でありまする

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2007/11/02

○FOMCですが

昨日のFOMCでは利下げしたものの、現状を中立金利としたような表現をして何となく打ち止めっぽい表現になってたんですけれども、例によって勝手な予想をしますと今回の利下げって市場から「利下げクレクレ」状態になって利下げに追い込まれた(本当はもうちょっと様子見したかったんじゃないでしょうか)節がありますので、FRBとしては「市場に追い込まれて今後も利下げ継続」とか見られるのがムカツクので釘指し差したかったのではないかと邪推。

でもど〜せまた市場から利下げクレクレになるから12月にまた下げに追い込まれるんジャマイカ(サブプライム問題は抜本的解決なんぞは無理で先送り大作戦しか無いでしょうから)とか書こうと思ったのですが、早速ダウナス下落(と言ってもその前に上昇してるから大騒ぎする下げでもねえだろと思うのですが)で帰って来ちゃいましたね。

○昨日の参議院財政金融委員会での国会答弁

福井総裁と武藤副総裁が登場して結構多岐に渡る話題に触れていまして、チェックしておいた方がよいなあと思ったのですが、例によって会議録は直ぐに出て来ませんので後日要確認であります。

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2007/10/29

○当面採用せずですかそうですか

金曜日のCPIですが、まあ数字よりも注目されたのが携帯電話新料金プランに関してでございまして(笑)、そっちのQ&Aを早速チェックする人多しと言った所でありましたな。なお、CPI自体は思いっきり予想通りで11月にはコアCPIのプラス転換が見えて来ましたなというのもコンセンサスという所のようでした。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/4-1.htm

というのが注目されまくりの携帯電話に関するQ&Aでございましたが、要するに一般的に誰でも使えるプランで一番安いものにホイホイ乗り換えますよって話でして、今回特に話題になってたのはauの新しいプランに関してでありまして、全部採用された時に計算の方法によっては最大で0.6%だか0.7%だかCPIが下がるちゅう話でございますからそら注目されますわな。大体市場のコンセンサスは「まあフルに下がるような話にはならず、当面採用しないでしょ」でしたが、とは言ってもサプライズがあったらマズーなので警戒という感じでしたかな。

で、その部分は22-3-2と22-3-3が該当すると思うのですけれども、要するに新プランに乗り換えた人が多数になった場合に採用しますよという順当な結論になったようです。

『これらのプランは当面、最も安いプランの検討対象とはしません。』ということですが、こーゆーものをつい意地悪く読んでしまうあたくしと致しましてはこの部分を「今は採用しませんが、コアCPIがプラス0.5%近くに上昇したらそのあたりで採用しましょうか」と読んでしまうのでありました(^^)。仮に近いうちにいきなり採用するとコアCPIがマイナス0.5%(またはそれよりマイナス拡大)とかになって、ただでなくさえ最近「CPI統計の数値が生活実感と合ってない」と悪態をつかれつつあるのに、そこに燃料を投下してどうするんじゃいという話ですかなとか、意地の悪い見方をするのはあたくしの仕様であります(^^)。

まあそんな意地悪い見方は兎も角、市場としては「当面」の撹乱材料がとりあえず出てきませんなあというので(上に持ち上げられなくて)ホッと一息と言ったところ(市場の外の皆様向けに念の為申しあげますが、投資家と名がつく人たちは動きが過激でない限り金利上昇(=債券下落)大歓迎なのです)では無いかと思います。ホッと一息で中長期の金利が上昇したのはナンノコッチャという感じではございましたけどね。

ちなみに3か月だの6か月だのという所は微動だにせず、相場叩かれてるのに1年半くらいまでのゾーンは強いの何のということで、オフバランスの市場は兎も角として、現物債券の金利を見てると「12月〜1月/2月までの利上げがないと来年の6月までは利上げ無いでしょ」のシナリオを見て買う人が増えたんですかなという感じです。

#全然話が違うのですが、この携帯電話関連のQ&Aを今回全部更新したように見えるのですが、一般的な説明部分とか、禿携帯の部分とか前からあったはずで、差し替えたのか差し替えてないのかよく判らんのはちょっとどうかなと思いますが(もし差し替えているのなら前との変化がわかるようにして欲しい)



○今週はFOMCですが

今週のFOMCはかなり利下げを織り込みモードになっているというか利下げクレクレ相場になっておりますが、まあ投資銀行とかの決算があの有様では危機対応モードを継続するしかないですので、利下げするのか利下げを思いっきり見せておくのかどっちかになるんでしょう。

で、米国がそんな感じで危機対応モードとかやらかしている中で日銀が正常化路線を持ち出すのも話としてムツカシイですなとなるんですが、果たして米国の利下げ路線ってどうなるのよとか考えますと、「金利下げるけど、バランスシート調整(というか資産バブル崩壊というか)は長く続き、その間にドル安と物価上昇がやってきてスタグフレーション」とかつい碌でもないシナリオを想像するのですが、さすがにそれをメインシナリオにするほどの状況でもなさそうですんで、あくまでもリスクシナリオ。

で、そのリスクシナリオですと、ドル安対応でまたまたドル買い介入とかするんかいなとか、そうなると米国のスタグフレーションがこっちにも来るのかねとか、まあ色々と考えてしまうのですが、どうもこうスタグフレーションシナリオがリスクシナリオにちらちらしてくるのは誠に遺憾であります(ちなみにあたくし国内景気にはまだ基本的に強気(大分弱ったが)なんですけどね)ところですな。


まあ米国のサブプライム問題とか国内での建築基準法改正の不手際で住宅建築絶賛大落ち込み(これってどう見ても人災だと思うんだが)とか、日銀からしたら「うちと関係ねえ所で思いっきり足引っ張られたがな」という感じではありますが、その結果として経済状況がこうなっているのでまあ0.5%継続は仕方ないなという所で。

#この前も書きましたが、0.5%継続されると低め誘導時代を思い出して、ある意味居心地良かったりするのがオソロシス


○ちょっとだけ不安

あたくしどうもこの大臣様に対する点数が辛いので、つい見方が厳しくなってしまう点は割り引いて頂きたいですが・・・・・

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071026AT2C2600926102007.html

『渡辺喜美金融担当相は26日の閣議後の記者会見で、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で発生した損失について「どの程度あるのか分からない状態が続くことが一番不安心理を巻き起こす」と述べた。そのうえで「早め早めに適時開示することが大事だ」と強調した。』(上記URLの26日NIKKEI NET記事より)

それは正論ですけれども、恐らく問題は「まともに時価開示したら大変な話になる」ことであり、「そもそも時価が正しいのか」という所にあるのではないかと思うんですよ。問題大発生で全部叩き売りモードになっている時の「時価」と平常時の「時価」というのは物凄い勢いで違うというのは不良債権叩き売りの勢いで味噌も糞も売られた後に味噌の価格が急回復した我が国の事例を見れば明らかな次第でして、何でもかんでも「時価開示」すりゃ良いって問題じゃないと思うのであります。

だからこそSIVビークルの飛ばしじゃなかった凍結機関を作るとかいう話になっているはずでして、問題があまりにもアレになった場合にそのまま正論で大丈夫なのかねというのは少々気になる所ではございます。

てか、アメリカ様が凍結機関とか作って適当に先送りモードとかやってる中で日本だけ「叩き売り価格」を前提にした「時価評価」を馬鹿正直にやって、またも味噌も糞も叩き売りとなってオイシイ部分を海外にかっさらわれるのではないかという悪寒がするのでありますけど、何かこのセンセイは巧い事吹き込まれたら思いっきり乗ってしまいそうで何だかちょっと不安が・・・・・

いやまあ杞憂であることを望むのですが。

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2007/10/26

お題「受難の入札と時間軸復活(か?)と」

○20年入札でしたが

昨日実施された20年国債入札ですが、前場引け時点では2.145%−2.15%で、これに対して落札結果も平均と足切りがちょうどこの範囲内という事でしたので、この時点では順当といえば順当な結果。で、落札結果発表後先物が戻ってみたものの後続無く、その後中期がやたら強くなって長期ゾーンがヘロヘロになるというバランスとなってしまい、終わってみれば前場引けよりも先物が15銭上昇してるのに20年新発の引けは2.155%(実力はもうちょっと甘いと思うんですが)となりやがるという状態で、30年でヘッジでもしない限り(ここもとの状況からするとそのオペレーションは作りにくい)何でヘッジ掛けててもやられと言う涙のでるような状態でした。

ここもと海外市場がアホのようにぶれるので、中々事前ヘッジがやりにくくて当日にヨーイドンでヘッジ入れてそこそこ甘くしたんですが、レラティブバリューで買う人のパワーが減退している中で絶対水準バイヤーさんだけでは20年のニーズがイマイチでしたねということなのでしょうが、それにしても何も3毛甘にしなくても良いのにとか思うんですけれども、入札にぶつけて売り崩す人でもいたのか、単に新発出た分だけ重くなってその重みで崩れたのかは知りませんが、いずれにせよ期初からこの入札とは誠に遺憾でございます。

一方で中短期は強くて、こっちが相場を引っ張る中で仕方がないので嫌々ついてきた超長期ゾーンが先週の30年に昨日の20年という新規玉の供給で実はこの辺がついていく必要ございませんでしたなあということになったということなのかもしれませんが、それにしても余りといえば余りな展開ではございました。ナムナム。


○一方で中短期は時間軸復活(か?)

そもそも昨日の受難入札の一方を演出しやがったのが中短期の買いであることは間違いないと思うのですが、2年カレントの昨日の引けは0.765%ということで次に利上げがあった時の予想されるコール誘導金利に益々接近。というか次回利上げした時のGCレポとか現先の金利がこの辺じゃろという気もしますが、まあそんなレベルにまで低下。

今後の利上げ路線を見込むのであれば1回の利上げにしか耐えられない2年って如何なものかとか思うのですが、12月か1月に利上げができないと来年6月くらいまでは動きにくかろうとか考え出すと、第4次利上げが物凄い勢いで後ズレするという予想になってしまいますので、持ちきり前提で足元金利見合いで考えた場合に、第4次利上げで割り食う部分よりも第3次利上げが来るまでの鞘で稼ぐ分の方が多いでしょとかいう理屈が成り立ってしまうところがキングオソロシス。2年がその有様ですと、まあ中期ゾーン全体的に強くなるでしょうということで。

米国のサブプライム関連が泥沼モードになる中で、こりゃまあ米国また利下げするでしょとか欧州の利上げって何ですかそれって状態になっている中で、そもそも国内経済指標がイマイチな状態なのに金利正常化路線が正当化される訳もなくというのがコンセンサスになっているでしょうとなりますと目先利上げは難しかろうとなりますわな。んでまあ2月とか3月になりますと執行部の交代が待ち構えているのであまりイタチの最後っ屁みたいな動きはしにくい(後任が迷惑するじゃろ)と思いますし、民主党が何だか判らないですが後任人事でごねるらしい(確かに任期が5年もあるからごちゃごちゃ言うのも判らんではないが、何を持って適任と判断するのかがさっぱり見えてこない現状ではただの嫌がらせにしか見えないですわな)ので、金融政策で動くのも慎重にならざるを得ません罠。

で、新執行部になっていきなり動くというのもちょっと考えにくいとなりますと、6月まで亜空間発生となってもおかしくないですなあという計算が成立するので、サブプライム問題が物凄く運が良いことに年末までに片がつく(片がつく訳無いので、まあ官民揃って絶賛問題先送りで体力の範囲内で徐々に誤魔化しましょうというスキーム発動とか、どっかを血祭りに挙げた後に公的資金注入して一気にめでたしめでたしというスキーム発動とかになるんでしょうが)とかにでもなれば話は別ですが、12月または1月に利上げするチャンスが無ければ今の0.5%は暫く続きますなあと。何か昔々に延々と続いた「低め誘導」時代を思い出しますなあ(涙)。

おまけにここのところ日銀様のオペレーションもきっちり0.5%のディレクティブを守るようにどっちかというとやや緩めの調節が続いておりますので、足元金利が跳ねそうな感じもなく、ターム物も安定となってまして、まったりとした状態が続きそうな悪寒。


まあ皆さん考えることは似たようなもんですので、気がつきゃ3か月FBは0.575%まで金利低下するわ、6か月FBは0.60%まで低下するわとなってますし、何でそう親の敵のように供給オペするのかイマイチよく判らんのですが、連日絶賛大実施中の共通担保オペでは昨日とうとう1か月ものの平均レートが0.543%まで下がるわということで、この調子で3か月の本店オペ打ち込まれたら次は夢(調達サイドにとっては夢で運用サイドにとっては悪夢ですが^^)の足切り0.6%割れとかになりそうな気がしますな。CPの発行状況なんかを見ますと、今のところはさすがにそこそこある年末越えプレミアムが潰れて行くのを待とうということで発行してくるタームが短くなってきているような気が何となくしますし、この調子ですと金融政策の見方が完全に「当分無し」になるまではショートファンディングが増えることになりそうですにゃ。

1年以内のカーブも手前から徐々に潰れてきましたし、まあ次は一般債のスプレッドを潰しに(って既に結構潰れていますが)行くんでしょうなあとか思うのですが、そもそも短い一般債自体があまり在庫が無かったりするのですけど。

・・・と超短い所の話をしてますが、長いところになると短期ゾーンの金利が下がる側から超長期ゾーンがスティープするとか、もっと違った話になるので面白いのですけどね。まあ1年とか2年とかの金利の部分ってえのは正に時間との戦いの部分があるので、「いずれ利上げがある」と思っていてもその時期がちょっと違うだけでも判断をいじらないといけないですから。。。。。

#と、本日も雑感でしたが、今日のCPIはどうなるんでしょうかね

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2007/10/24

○主要銀行貸出動向アンケート調査

出たの月曜で今更の話で恐縮ですが・・・・

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0710.pdf

こちらですが、前回調査の7月で中堅中小企業の資金需要判断がドカンとマイナス(=需要減少)転換したのが話題になりましたが、今回調査では中堅中小のマイナスは復活したものの2ページ目のグラフにありますように何となくピークアウトしてトレンドが微妙に弱くなっているというような図になっておりますわな。

まーここから減少方向にズルズル落ちていくと誠に遺憾としか申しあげようがないのですが、4ページ目にございます資金需要減少の要因を拝読致しますと、大企業、中堅企業では資金繰りの好転や手元資金の取り崩しというのが資金需要減少のファクターとなっており、売上減少とか設備投資減少とかになっていない(サンプル少ないですが)のがまあ救いなのかなとは思われまして、そんなにズルズルとマイナス方向に落ち込む気もこのあたりを見てると思うのであります。

ちなみに3ページ目には資金需要増加の要因のアンケートもあるのですが、こちらを見ると資金需要増加のファクターが売上の増加と設備投資の拡大(中堅では手元資金の積み増しも)となっておりますので、内容そのものは最初のページで見るほど経済そのものに関してお先真っ暗ではないように思えますがどうでしょ。

とは申しましても、後ろの方には貸出運営スタンスや利鞘設定に関するアンケートがございますが、こっちを見てますと貸出利鞘とか微妙に縮小してたり(しかも中小は拡大)してますので、銀行経営的には中々大変ですなあという所なのかもしれませんな。


○GC雑感というか傍観

#以下延々と特殊世界のマニアックな話が続くので念の為申しあげます。

昨日のレギュラースタートのGCレートは前日の0.56%からスタートして0.53−54レベルまで順調に低下。一昨日は25日の国債発行(大した発行ではないけど)要因ということで0.56%まで上昇した訳ですが、月末要因でもあるのかと思えば昨日はあっさり低下したようで、よくよく考えりゃ昨日のレギュラーだと26日スタートですから金曜日スタートでオーバーナイトが3日ですわな。

先日来GCレポのレートがTB/FBとかCPとかターム物のオペとかの動きと必ずしも整合性の取れた動きじゃないですなあ(以前からその傾向はあったのですが)とか書いておりましたが、昨日のGCレートが「週末要因」で下がったとなりますと、GC市場が益々コールになってきましたなあ(とか書いても何の事やらと言われそうですが、まあ何となくニュアンス伝わりますよね、関係者の皆さんであれば^^)という感じです。何せ昨日は現先のレートは特に下がらず(というかCPとかちょっと重くなってきて強含みだったんですが)なのにGCは絶賛低下とか、半年くらい前だったら中々そういう動きはしなかったですねえという事も勘案しますと、GCレポ市場がオープン市場というよりインターバンクっぽくなってきたのかなあとの感を深くするのであります。

ま、将来的な展望という意味ではGC取引がレギュラーとかスポットが主体になるんじゃなくてトムとか当日とかが主体になる、というか最終的な姿はT+0のリスクフリーな資金運用手段になるんじゃないでしょうかというのは衆目の一致する所だと思いまするので(ただまあそこに至るまでにはレポ取引のT+0対応の事務体制整備というのがあって、0.5%ぽっちしか金利がない状態で新たに経営様が金を突っ込んでくれるのかという点は絶望的なものが・・・・)、GCレポ市場がオープン市場からインターバンク市場っぽくなっていくのは時代の流れというか要請でもあるんでしょうな。

ただまあこうなってきますと、インターバンクで無担保コールを機動的に取れないと色々と大変ですなあとか、この市場への資金の出し手として金はそこそこある(筈)だが別にこう主体的に相場を張りに行く訳でもない恒常的な資金出し手は、今は何となく先渡しで資金を出すリスク(大したリスクではないが)を取ることによってやや有利な運用をしている分がいずれ剥落するとなると、これからの資金運用ってまた一つ工夫をしないといけない(マーケット並みで良いというのなら別にそんなの関係ねえですが)ですなあとか、色々なことを考えてしまうのでありますが、あくまでも妄想的に考えている状態でありまして、今後ともご意見賜りつつ考えなきゃなあとか思うのであります。


○FB3か月入札ですが

昨日の3か月FB(前週発行のもの)は0.58%と0.585%をやってましたが(ところで引け時間帯にBBで引値合戦(業界用語)みたいな事をやってたのはどこのどちらで^^)、今日の新発はとうとう2月償還となりやがります。2月償還ですよ2月償還。

・・・・と盛り上がりたいところではありますが、何せ一昨日の2月エンド共通担保オペも何事もなかったかのように0.61%足切りでありましたので、2月償還でもそんなの関係ねえということで、入札段階だけでは既発債にちょっと毛が生えたレートになるんじゃないっすかね。さすがに0.6%割れでこれ以上エッサエッサと盛り上げるの厳しいでしょ。

1年以内の一般債もスプレッドがろくすっぽ無い物はともかく、それ以外の部分では格付けそこそこ高くてスプレッドがそこそこあるものから順に売れ売れみたいですし、FBも(さすがに年末越えの0.6%割れは飛ぶように売れるとはいかないようですが)まあ確りと債券と名がつく短いゾーンは強いようですな。CPはそんなに下がらないんで、純粋に短期資金の運用という観点なひと的にはそろそろ勘弁状態なんでしょうが、まあ債券強い攻撃であればこちらも確りなんでしょ。

・・・・・何かこう華麗に利上げの話がスルーされているような気もしないでも無いのですが、そのあたりはケンチャナヨということにしといて下さい(^^)。

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2007/10/22

○2年4毛強とはこれまた

木曜に案外動かなかったので、まったりとした相場とか金曜の朝書いたら金曜は中短期中心に相場爆裂。ナンノコッチャと思いながら見てますと2年が結局4毛強で0.8%を割り込むの巻と相成りました。いやあのその利回りは短期金利の足し算で考えてそれで良いのかよと思ってしまうのですが(0.8&割っちゃうとざっくり考えて利上げを2回強(多分2.5回以下)しか織り込んでないと思うぞ)、なんちゅうかこのタイミングで急に来やがりますかと実に不思議。

ま、今月は2週目に何だかよく判りませんが決定会合の票決で反対が増えるというお話とかそれ行けワッショイ相場のNY株式が伝染して強かった株価指数とかの影響なのか妙に売り込まれた分の反動はあったのかとも思うのですが、結局のところ相場が下げ止まって来たかと思ったらいきなり期初の買いってえ奴なんでしょうか。最終的にはこの前も申しあげたように「皆さんショートなんですね」ということだとは思いますが。

しかし2年から4年あたりまでが一番強いというこの展開ですが、要するに中短期買うのを十八番としている人が本格化買い出動した結果(追記:これ判る人には判りますよね^^)こんな有様になりましたっちゅうことなんでしょうかねえ。よーわからんが。


○展望レポートについて

金曜は全国信用組合大会で武藤副総裁の挨拶が行われ
ました。→http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0710b.htm

挨拶自体は簡単なものですが、その中でもサブプライムローン問題に関する話が出ておりますわな。

『このように、わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長続けていく可能性が高いとみられます。』

『もちろん、こうした先行き見通しへのリスク要因も十分念頭に置く必要があります。米国サブプライム住宅ローン問題に端を発して、国際金融資本市場において不安定な状況が続いているほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性があります。』

『今のところ、米国以外の地域の高成長によって世界経済全体としては拡大を続ける可能性が高いと思いますが、国際金融資本市場や世界経済の動きについては、引き続き注視していく必要があると考えられます。』

ということで、この問題がややこしくなってきた以降で言えば総裁の定例会見以外に岩田さん、武藤さん、須田さんの講演などがありましたが、皆さんこの調子で「金融市場の混乱が続くリスク」「米国経済の下振れリスク」に言及しておりまして、まあそう考えますと展望レポートがどうなるかを何となく妄想してみたくなるのであります。

えーっとですな、多分あたくし思いまするに、基本的なシナリオであります所の『物価安定のもとでの持続的な成長を続けていく可能性が高い』(再掲)というのは変らないと思うんですが、リスク評価に関しては思いっきり下へのリスクを意識するってえ書き方になるんでしょと思います。

あ、そういえば福井総裁が日本経済の先行きについて『確信を深めた』といったのを日経あたりで思いっきり報じてましたが、ありゃ「展望レポートで基本的シナリオまでは下方修正しませんよ」って意味でしかなくて、『先行き見通しにくい状況が続く』という方が重要ポイントでしょ。相変わらずですなあ日経は。

従って今後の展開としては「金利水準の調整(という名の利上げ)をしようと思いますが、どうも先行きがよく判りませんので様子見をするしかございませんなあ」と言いながら現在の金利水準が継続と言うことになるんでしょうと思う次第。で、その間に今月頭みたいに「やっぱ利上げか」という思惑が出たときには売られるけれども結局元の木阿弥になるというのが続くんでしょうな。

もっと短いゾーンだと既にかなりその辺は亜空間入りしておりまして(苦笑)、何せ短期国債のイールドカーブが階段状になるという要するに「そこまでのゾーンしか買えない」というニーズの量に利回りが比例しているとしか思えない状態ではございますので、利上げってなんじゃらほいという所になっているのです。まあここからやって行くのは、手前からこのカーブ(というか階段)を潰しに逝って、その後は(時間の経過と共に買える足が伸びてくるというのもありますが)例えば年末越えのプレミアムのような階段の段差を潰しに逝くような展開になるんでしょうな。実につまらん展開ではございますが。

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2007/10/19

○明確なテーマの無い相場ですな

昨日の債券市場は前日対比の引けカーブがナンノコッチャという動きでしたが、先物の上下をぼーっと見てますとどう見ても株価指数に逆連動です本当にありがとうございましたという動き。で、その株価指数はどう動いてたかと言うと、これがまたどう見ても上海株式見て下がったものがインド株式見て上ったとしか思えない動きでして、そういや去年も某掲示板株板の北浜先生スレッドのサブタイトルが【インドで】【引導】なんてのがありましたなあとか思いますとちょっとナツカシスではあります。

でもよりでかい日本市場が上海だのインドだのを見て動くというのはそりゃまあ他にネタもないから仕方ねえというのはありますけれども、誠にこう悲しいものを感じる次第ですわな。


さてまあ先物は置いといて現物の方なのですが、2年から3年あたりがやたら強くて5年も強く先物は弱め、10年ゾーンが強くて超長期は冴えませんって何かこう思想を感じないバランスなのでありますが、よーするに単に局地的な需給関係がそのまま現物の引け値に出てきましたよ〜って所なんでしょうかねえとしか申しあげようがゴジャイマシェン。その勝手な妄想に基づきますと、2年とか3年とかを買う人と、5年、10年のカレントを買う人が出てきて、超長期は来週入札もありますし、そもそも相場が戻ってしまったのでそんなに上はイラネということで買いの手が引っ込むというお話になりますが、はてさてそんなんで良いのでしょうか。。。。。


○そういや今更ですが日本国債格上げに関して

証券化商品関連の格付けで物凄い勢いでミソをつけた格付け機関でございますので、まあやっと格上げになって良かったですねえ(棒読み)というお話ではございますが・・・・・

http://www.moodys.co.jp/PDF/10008/0000009870.pdf

『「福田康夫首相率いる新政権が、歳出削減を主軸とした財政再建方針を継続する意向を示していることは、一般政府赤字の縮小と、2011 年までに一般会計のプライマリー・バランスを黒字化するという政府目標の達成につながるとみられる」とバーン(引用者注:ムーディーズのシニア・バイス・プレジデントの人です)は述べる。』

「小泉改革の一部見直し」みたいな話をしている福田政権になった途端に格上げで、しかも理由がそこにあるというのはひょっとしてそれはギャグで言ってるのかそれともアメリカ様のあt(規制中)。

と申しますか、格上げしてA1にしかならないとはセコイとしか言いようがございませんでして、当然Aa2くらいにはなるもんだと思っていたあたくしは「何だつまらん」という印象でありますわな。それ以前の問題として、国債がA1なのに財投機関債がAAAとかいうこの格付け機関のロジックは相変わらず1ミリも理解できない訳でして、所詮民間の営利団体である格付け機関をバーゼルUで有り難がってオーソライズしちゃったというのはやっぱり如何なのもかと思うのであります。

そのバーゼルUでも「中小企業向け貸出は分散効果が効くので低格付けの一般事業会社向け貸出よりもリスクウェイトが低い」とかいう珍妙以外の何物でもないロジックで運営されているのはだいぶ前に悪態をついた通りでございます。あーたリスク高い貸出100個集めても1000個集めても全体のリスクは変らんでしょうにとか思うんですが、まあ結局はその手の空中楼閣があちこちにあるというのは注意しないといけんちゅうことでしょうかね。

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2007/10/18

米国10年10毛強に3か月23毛強キター!

○皆さんショートだったんですねえ

昨日の債券市場は米国の株安やら国内の株安やらインド株式市場が急に大下げしやがったなどのような外部要因はあったのですが、あのそれにしてもそこまで上昇しますのかいなという威勢の宜しい相場になりました。何せ先週の金曜日に5年国債の入札があったわけですが、木曜の5年カレントの引けは1.28%とかやってた筈なのですが、昨日の5年カレントは1.165%だの1.17%だのということで、あのちょっと先生巻き戻しにも程があるという感じでございます。

まあ一応株安が原因って話になるんでしょうけれども、それよりは「買いたいけど様子見地蔵」な人が世の中多いからこういう話になるんでしょうなと思う次第でありまする。即ち「押し目で買いたい」→「でも買って下がると具合悪いから下がってる時は様子見」→「止まったのを確認して買いましょう」というのはまあ別にそれはそれでアリな話だとは思うのですが、そーゆー人が多くなると何が起こるかと申しますと、ここもとのように「買いが急に来たので」状態になりやすくなり、上る時の速度が速くなりますと言う事ではないかと。それにしてもこの速さはちと何と申しますか目がテンなんですけれども。。。。。

ま、要するにマーケット全体がショート(買わなきゃいけない状態で押し目待ちをするのもショートですから)ばっかりという状態になってるので、「下げる時はダラダラ」→「何かのネタで反発すると急上昇」という相場になりやすくなるのではないかという感じですわな。よく「上げ100日で下げ3日」などという相場格言(でしたっけ?)があるように、参加する人たちのロングが徐々に溜まっていって何かの拍子にロング総投げで急落ってパターンがございますが、そこまでは行かないにせよ、ちょうどまあその逆モードになっているということでありましょうな。ナンノコッチャという感じでもありますが、昨日はグングン上昇する相場に「いやあ皆さんそんなにショートだったんですねえ」と落涙を禁じ得ない動きでございました。今日も米債急騰して帰って来てるんですが(涙)。

ちなみに、じゃあ何でマーケット全体がショートかと言うと、そりゃまあ多分投資家の書いてる説明用紙芝居の9割くらい(というか多分全部)には「経済が緩やかながらも拡大しているので政策金利を含めて金利は緩やかな上昇傾向」って絵が描いてあるるからでしょうとしか申しあげようがございませんな。何となく相場が売られているときは紙芝居どおりですから、そこで逆張りしてそのまま下がろうものなら「お前は何をやっとるんじゃ」となる訳ですからね(^^)。実に悲しい説m(以下激しく自主規制)。

#そもそも多くの人が考え付くのと同じ発想&行動で相場に勝てるほど世の中甘くはないのですけれどもねえ


○サブプライムの問題先送り話

そもそも論としてプレーンな物が大好き(オプションくらいまでは手を出しますが)なあたくしは仕組商品と聞いただけで自動的にシャッターが降りる設定になっておりますので、ど〜も本件に関してはよー判らんという不見識発言をする訳ですが、同じく害債さんのこのエントリーをスタートにして勉強したいところでございまするという要するに人のエントリー紹介でありました。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200710/article_11.html
スーパーコンデュイット、M-LEC=SIV資産買取機構

ちなみに本石町日記さんの最新エントリーでもこのネタ
http://hongokucho.exblog.jp/7589624/
共同債権買取機構を思い出した=サブプライム支援基金

このスキーム、直感的に飛ばしっぽいと思ったのですが、どうもやはり飛ばしのようでございますな。人の国の時は散々批判して手を突っ込んでおいて自分の所では時価評価も誤魔化して問題先送りで清算しないとはさすがはダブルスタンダードのジャイアン国家でございますなあと思うのでありますが、逆に言えばそのジャイアン振りが露骨なので正直者と言えば正直者なのでありまして、腹黒紳士の人たちとは違うもんですなあという所でもございます(^^)。

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2007/10/16

○全体的に思うのですが

昨日ご紹介した先週の総裁記者会見では、所謂「ダム論」をしらっと否定までは行きませんが、「ダム論通りに行ってませんわなあ」というコメントをしておりましたが、今回のさくらレポートではいくつかの地域で判断を下方修正していますし、支店長会議での総裁挨拶からはやる気満々振りが窺えないと思える次第でありまして、まあ何と申しますかトーンダウンの予防線を張っている感じがプンプンするのですが気のせいでしょうか?

でですな、月末の決定会合で展望レポートが出る訳ですが、こちらに関してはさすがに金融政策の方向性(経済実態に合わせた政策金利の調整っていういつもの話)や、景気の見通しに関する基本的な見方(緩やかに回復)を変えるとは思わないのですけど、景気の現状や先行き見通しに関してヘッジクローズてんこもりのレポートになるのではないかと想像が逞しくなる次第なのであります。

#ま、それはあたくしの勝手な想像なので外れてもそんなの関係ねえということで勘弁してください(^^;


ということでさくらレポートから。

全文を読むとこれは中々オモロイのですが、まだ全文読めておりませんでまとめ部分と本文の総括部分しか見てないので甚だ恐縮でありますが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0710.htm(まとめ)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0710.pdf(全文)


○さくらレポートのトーンが落ちております

まとめページでも本文の冒頭でも良いのですが『T. 地域からみた景気情勢』っていう初っ端の文章。

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、ほとんどの地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』(今回のレポート)

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。』(7月のレポート)

読めば一目瞭然ですな(^^)。まあこういう感じでしらっと全体のトーンが下がっているのを読みますと、これまた前にご紹介した9月の金融経済月報で表現が微妙にトーンダウンしてたあたりからの一連の流れですかなあとか思う次第。まあ勝手読みのような気がしますけど(^^)。


んでまあその続きですが。

『すなわち、輸出は増加を続けており、設備投資もすべての地域で引き続き増加傾向にある。こうしたもとで、企業の業況感は、幾分慎重化しているものの、総じて良好な水準にあるなど、企業部門は好調さを維持している。』(今回のレポート)

『すなわち、輸出は増加を続けており、設備投資もすべての地域で引き続き増加傾向にあるほか、企業の業況感も多くの地域で良好な水準にあるなど、企業部門は好調さを維持している。』(7月のレポート)

どう見てもヘッジクローズ入りです。本当にありがとうございました。

『また、家計部門については、個人消費が、雇用・所得環境の改善傾向を背景に、底堅く推移している一方、住宅投資は、足もと、改正建築基準法施行に伴う着工の遅れ等から、すべての地域で減少している。この間、内外需の増加が続くもとで、生産も増加基調にある。』(今回のレポート)

『また、家計部門については、個人消費は、雇用・所得環境が改善傾向をたどるもとで、底堅く推移している一方、住宅投資は、足もとでは弱めの動きとなっている地域が多い。この間、内外需の増加が続くもとで、生産も増加基調にある。』(7月のレポート)

個人消費部分の「改善傾向」というのと「改善傾向をたどるもとで」のどっちがトーンが強いのかという話はさすがにワカリマシェン。何となく言い切っている今回の方が強い気はするのですがどうなんでしょうか教えて中の人って感じですわな(^^)。

住宅投資に関しては建築基準法関連の特殊要因が入っているのでまあこれはこんなもんでしょう。で、その次。

『こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向ないしは「横ばい圏内」にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。』(今回のレポート)

『こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。』(7月のレポート)

ま、総括判断に「横ばい圏内」が入ったのですからその部分が追加されるのは当然ですが、引き続き地域差が見られるというのは引き続き変らずでございますわな。

んでまあさくらレポートは実はこの部分よりも中身が物凄く面白くて、毎回いくつかのトピックスをピックアップして『地域の視点』として紹介しているのが非常に面白いのですよ。で、これを読んでまたネタにしようかと思ったら早速本石町日記さんのエントリーがございました(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7581091/


○総裁挨拶要旨

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/siten0710.htm

ま、こちらも当然ちゃあ当然ですが項目が一個追加。

『米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発して、国際金融資本市場において不安定な状態が続いているほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性がある。したがって、国際金融資本市場および世界経済の動向は、引き続き注視する必要がある。』

ということで、こっちもトーンダウン気味でありますわな。

あとまあホームページとかに出てこないと思いますが、大阪支店長や名古屋支店長のコメントとかもややトーンダウンの感じがしたのでありますが、手元に資料がないので脳内メモリーで書くのも如何なものかと思うので割愛しますけど、情報ベンダーのヘッドラインを見ておりますと、「何かこう全体的にヘッジ入ってますなあ」という感じが致しましたです。


○他の話を少々

・担保掛目の話

先般の金融政策決定会合で共通担保に40年国債を導入するどさくさで掛け目に関して見直しが行われてましたなあという話をしたのですが、読者様から「今回は定例見直しと40年国債導入対応がたまたまぶつかったので40年国債対応のどさくさで掛け目変更したように見えるだけではないでしょうか」(意訳)というご指摘を頂きました。

確かにご指摘の通りでして、昨年の10月にも見直しが行われているのでありました(汗)。でまあその時の公表資料にも『原則として年1回程度の頻度で、金融市場の情勢等を踏まえた検証を行い、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする』とございました。ご教示大感謝であります。

#だから10月に定例見直しするんですかな。


・積み最終日の話

何かコールが上昇してT+0のレポが上昇しておりましたが、まあ最終日に年金定時払いがぶつかり、おまけに国債が発行超なので致し方なしというところでございましょうか。まあそれは良いのですが、その余波だか何だか知りませんが、午後に実施されただいたい3か月の共通担保オペの金利が先週水曜比足切りベースで1つ、平均ベースで1つ半くらい上昇してるのはナンノコッチャという感じ(そのせいかレギュラーネクストのGCも0.60%だったようですが)であります。1月償還重いんですかね。

ではでは。

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2007/10/12

○全体的には「拍子抜け」ですかね

昨日終了した金融政策決定会合。市場の中の人たち的には今週になって「反対票が増えるのではないか」とか「ちょっとタカ派っぽい話が出るんじゃないか」というような期待というか不安というか、まあちょっとした思惑モードも入っていたような感じでありましたが、金融政策決定会合の票決も金融経済月報も9月と同じだわ、総裁記者会見は比較的穏健(に見える伝えられ方)だわという結果。

いやまあ別にそんなに慌てて利上げするこたあねえ(今利上げして将来に発生する問題の責任を押し付けられるのは上手くないでしょ)と思うので、この結果それはそれで良いのですけど、何か拍子抜けといえば拍子抜けな結果になりましたなという所でしょうか(^^)。

という訳で妙な盛り上がりは何だったんでしょうかという所でありますが、そもそも論として最近は「日本が利上げできるかどうかは結局海外次第でしょ」ということでサブプライムとか米国や欧州の金融政策がどうなるかとか、そっちの方が気になる中で衝撃の雇用統計過去分まで上方修正攻撃が来たので盛り上がってみましたという所だったんですかね。

ま、株高と円安もでかいと思いますが。



○決定会合が微妙に時間が掛かったので

昨日の金融決定会合の結果発表は13時半をちょっとだけ回りましたが、ここんところの決定会合は票が割れた場合でも13時前半に結果が公表されてたので、もうちょっと長くなったらより思惑が広がったかも知れません(^^)。と言ってるあたくしも「おやこれは時間掛かってますなあ」とか思い出して「何も無いとは思うけど、何かあったら笑えますなあ」とか雑談してる頃に決定会合終了という感じでした。あははのは。

そんな事もあったのかどーかは知りませんが、後場に入って債券先物が微妙に弱く推移してまして、決定会合の結果が何の事は無い8対1で現状維持だったということでいきなり買い気配になって値段が10銭ほど飛んでしまったのには微苦笑と言ったところでした。

決定会合のケツの時間が決まってないので、時間が掛かると色々と思惑が生まれるというのはこりゃまあ仕方ない部分がありますが、とは言えケツを常に一定にすることによって議論が途中で打ち切りになりましても宜しくない(何も無いのに延々とやるのも不経済ですし)というのは確かでありますので、こればっかりは今のやり方で進行する分には致し方無しの巻ではあるんでしょうな。

ということで、決定会合は出来るだけ13時くらいに終わらせるようにして下さい(^^)。

ちなみに最近の履歴はこちらをご覧あれ→http://www.boj.or.jp/theme/seisaku/kettei/index.htm


○金融経済月報は見事に変化なし

の一行で終了になってしまうところが甚だ困る訳ですが(^^)、今月の金融経済月報(基本的見解)は10月の短観を受けた企業の景況感の部分以外は9月分と全く記述は同じです。

最近は展望レポートや中間評価のタイミングで判断をいじってくるという観が強いので、今月末にもう一回ある決定会合で出てくる展望レポートの方が注目されるっちゅうことになるのでしょうな。

一応10月の月報はこちらです。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0710.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0709.htm

9月の月報と比較するといういつもの事をやろうと思ったのですけど、最初に申しあげた通りでございますのでこの際ヤケクソで短観に関わる部分を過去の月報と比較してみましょう。

・短観に関わる部分

『企業の業況感も、部門によって慎重さはみられるが、総じて良好な水準を維持している。』(10月)
『総じて良好な業況感が維持される中』(7月)
『総じて良好な業況感が維持される中』(4月)

ヤケクソで並べてみたら、今回の短観に関して日銀は慎重な評価をしているというのが判って誠に結構でありました(^^)。


○その他少々

・総裁記者会見

詳しくは今日アップされる会見要旨を見ましょうということになるのですけれども、今回「ほほー」と思ったのはブルームバーグニュースの記事見出しでして(^^)、総裁会見内容を報じるニュースのお題が、

『福井日銀総裁:金融市場は幾つか改善の動きも全体として不安定』

となっていまして、一目慎重な印象を与えますわな。ただまあ人々のインフレ期待というか懸念というか、物価観の変化がどうのこうのという所に言及した(というかさせられてるんでしょうが)あたりがちょっと「ほー」と思うところでもありますが。

・「適格担保取扱基本要領」の一部改正等について

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/k071011b.pdf

40年国債対応ということになってますが、よく見ると微妙に掛け目があちこちで変化してるような気がする(まあ1%とかの世界ですけど)のですが・・・・・

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2007/10/11

○FBとTBの統合発行

先日の「国の債務管理のあり方に関する懇談会」で公表されていたのが政府短期証券と割引短期国債の統合発行なのですが、要するに発行する名前を統合して(中身はTBとFBがごちゃごちゃになる)一緒くたにしますよというお話。

まあ実務上はTBもFBも一緒なので別にこれはこれで特に問題が無いと言いますか、最近のFBは2、3、6か月ものが発行されるので回号を見ても償還が直ぐに判らんという(ど〜でも良い事ですが)業務上ちと困る次第だったので、これでちょっとややこしくなくなるかなあとか思ったのですが、よく考えたらTBFBが統合されるだけなので、償還順と回号順は一致しないのは変らないですな(というか1年が出るからもっとややこしくなる^^)、残念無念。

でまあ統合発行するのは良いのですけど、ちょっと気になるのは、この措置やっちゃうとFBの日銀引受を復活させにくくなっちゃうんじゃないかなあという所。いやまあ勿論今みたいに公募発行をしてくれれば運用とか担保とか便利なんですけど、金融調節の面から考えた場合FB大量発行してる分で短期の資金供給オペに負担を掛けてるように見えるんで、実は両建てを落とすという観点からすればFBの日銀引受というのも悪くはないとは思います(がレート設定どうするかで問題がありますか^^)けど(ただし昔の「FB売却」オペは勘弁)。

まあ実務上は特にどうということは無い話だと思います。


○さて決定会合

というわけで本日は金融政策決定会合なのですが、何かここのところ急に「今日は反対票が2票になるかも」という説が語られておりまして、まあほうほう左様でございますかという感じではありますが、いきなり全会一致で現状維持→全会一致で政策変更というのも何ですが、徐々に反対票が増えていくってえのも何だかこう妙な予定調和の香りがして、何でしょうかねえという気もしないでもないざんす。

まあ一応当たらない予想をさせて頂きますと、今回に関しては水野さんの反対(+利上げ提案)のみで、米国サブプライム問題が片付いている訳ではない(上方修正された雇用統計の結果から逆算すれば、米国はサブプライム問題を別のバブルで解決させるというバブルで飛ばし作戦に出ましたなあとしか言いようがないので)次第なので、もうちょっと様子を見るという話になると思うんですが。景気ウォッチャー調査とかあまり良くないですし、もうちょっとインフレ期待が出て、コアCPIが明確に上を向いてくるとかじゃないとちょっと理由に乏しいかと。

で、乏しい理由の下で利上げをかますとコレ幸いとばかりに全ての害悪の原因を日銀に押し付けられるのは必定でありますので、別に国内要因で今すぐ利上げするほどの状態でもないのに利上げを急ぐこたあねえと思いますけどどうでしょうかね。

経済情勢以外の話を予想要因に加えるのも何ですが、正副総裁人事もありますし、12月の決定会合は年末近くなので短観後ではありますがちょっと金利いじりにくいようにも思えますので1月って所なのかもしれませんけど、正直よーわからんです。

それから総裁会見に関しては特に変な話は出ない(ヘッドラインで妙な打ち方されるのは警戒が必要ですが^^)と思います。それより金融経済月報でサブプライムの話をどう取り扱うのか(華麗にスルーを予想)が注目されるんですけどね。

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2007/10/04

○さて本日は物価連動国債の入札ですが

BEI安いといって突撃する人が増えないとどうにもこうにもという感じですが、何せこの商品「CPIの動向によっては元本割れすることもある」という素敵な商品ですんで、国内投資家的には買いにくかろうというのは相変わらず。まあそれは兎も角。

昨日喜び勇んで「携帯の通話料下がるじゃん」とか思っていたのですが、冷静に考えますと通話料下がるのと端末料金が上るのがバーターになっておりますので、古い端末そろそろダメポになっているあたくしには何の恩恵も無いという事実に気が付き涙目なのであります(笑)。

ということなんぞを考えているうちに禿しく不思議になってきたのでありますが(とか言い出すと債券市場に居ながら物価統計のことワカットランノカとか怒られそうですが恥を忍んで・・・)、まあその値付けが適正なのかという問題はありますけれども、今回の新料金プランって一応の話としては「通話料の下げと端末購入代金の上げがバーター」になっているはずで、単純に通話料がドカンと下がるという話じゃないですよね。それなのになんでこのプランがフルにCPI統計に跳ねるとCPI全体が0.4%も下がるのか不思議ですわなあということで。

同じ話って結局CPI計算には入らなかった禿携帯のホワイトプランにも言えるような気がるすん次第。あれって一定期間(2年とか)の解約縛りとバーターで通話料金下げている訳でして、利用者から見たら携帯キャリアに解約オプションを売ってそのオプション料を通話料金にまぶしているという話でして、それがCPI統計に跳ねると0.1%下がるとかで話題になりましたし、まあその統計結果がまともに物価連動国債を直撃するのでそれはそれで仕方ないのでありますが、何かこう釈然としないものがあるんですけど。

ま、これってCPIに対する通話料金のウェイトと端末料金のウェイトのバランスの問題に帰着するというお話を聞きかじってきたのですけれども、その辺のヤヤコシイ話はそのうち本職の方がレポート出してくれるのを期待。


かつて(だいぶ昔)は「消費税引き上げでCPIが上昇するから今の物価連動国債はお安いですよ〜」とかいうセースルトークもありましたし、マジでそれを見込んだBEIトレードとか入ってたと聞きますけど、何ちゅうか本当の意味での期待インフレ率と違うその手のテクニカルな話で振り回されてしまう物価連動国債って何なんでしょという感じは致しますです罠。

まあ何ですな、世の中の期待インフレ率が低いからその手のテクニカルな部分ばかりがクローズアップされるという事なのでございましょうけれども・・・・・

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2007/10/03

○入札後に出るよりは良いのかもしれませんが(半分雑談)

昨日は10年入札だというのに携帯電話料金プランという物価連動国債を売ってくださいと言わんばかりのネタがでてしまい、どうも10年国債入札もイマイチ盛り上がりに欠けるの巻でありました。そして明日は物価連動国債の入札となっておりまして、もう何か誠に落涙を禁じ得ないのでありますが、携帯電話料金一発でエライコッチャになるCPIって何なんでしょという疑問は何となく思うあたくしなのでございますが。

まーこれはBEIトレードやってたガイジンさんがリスク許容度低下しているであろうという問題もありまして、BEIの数字だけ見てるとちと安いような気がするんですけど、需給が需給ですからねえという所かと存じますです、はい。

でですな、財務省様のサイトにも掲載されてるし、計算上判り易いので「BEIが幾らだから市場の期待インフレ率がどうのこうの」ってお話が為されるケースをよく見るんですけど、現状では物価連動国債の参加者がやたら少なく、しかもBEIトレードしてるのっておおむね海外の人たちでして、そーゆー需給関係(ここのところは恒常的に需給が悪いのですが・・・)から出てくるBEIなので、あまりそれを市場全体の見方と言われてもちと違和感が。

とか書きますと「それなら参加すりゃいいじゃないの」とアカデミックな人たちから直ぐ言われる訳ですが、いざやろうとすると色々と制約があって参加しづらい→そういう人が多いと安いと思って買っても中々日の目を見ない→皆がそう思ってるので参加しずらい→ループとなる訳ですな。投資(でもディーリングでも良いですが)には「時間」の概念も必要でありまして、いつか修正されると思ってもそこまでにかかる時間がかかるようであれば別の事やってりゃ良いじゃんとなるんですよ、当分使う予定のない自分の手金使って参加してる訳じゃないんで・・・・・


ま、何はともあれトホホなニュース(てめえの懐具合という意味では携帯下がればウハウハですけど^^)でありましたことよ。小見出しにも書きましたが物価連動入札後じゃなかったのが唯一の救いですな。


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