金融政策概観(2010年度下期前半分(2010年10月〜12月))

なお、今期より海外中銀ネタは「海外金融政策概観」というコーナーに収録しますのでそちらをご覧下さい。

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2010/12/30「端から札割れ確定のオペ実施で姿勢を見せたのか日銀??」
2010/12/29「月末スタートの全店オペが札割れとな」
2010/12/28「基金短国買い入れが急にハイペース実施に」
2010/12/22「政策決定会合レビュー/PD懇で魂の叫びが(^^)」
2010/12/21「3か月TB入札は若干流れたものの買いが入り強含み」
2010/12/17「市場雑談と日米金融政策の今後の展開に関する雑感と」
2010/12/16「3か月TB入札ゲロゲロも買いが戻る/水曜前場は極端なリスク管理相場でした」
2010/12/15「1年TB入札がゲロゲロに/火事ボーボーになってしまったターム物市場」
2010/12/14「まるっきり相場が落ち着きません/もうちょっと札割れ辞さずの供給姿勢が欲しいところで」
2010/12/13「2年金利上昇にオペで対抗するも・・・」
2010/12/10「大荒れ相場は続く」
2010/12/09「5年が0.5%とか2年が0.2%とか」
2010/12/08「ブッシュ減税継続で米債大暴落とな」
2010/12/07「基金社債買入レビュー/GCレートはとりあえず落ち着きましたが・・・」
2010/12/03「GCレートは何と0.10%割れに」
2010/12/02「入札は無事通過/GCレート低下」
2010/12/01「さて今日は入札と/2年金利上昇に対する白川総裁のコメントが・・・・」
2010/11/30「何と2年が0.20%に上昇」
2010/11/29「短国だけでなく中短期金利が上昇し市場が壊れ気味になっています」
2010/11/26「更に短国レート上昇」
2010/11/25「3か月TBが0.12%を越えて上昇」
2010/11/19「10年1.1%だの5年0.4%だのと」
2010/11/16「QE2が面白いことになっておりますが/10年は1%だわ1年短期国債入札は流れるわ」
2010/11/12「10年金利が1%に乗ってしまいました」
2010/11/11「GCや短国レートが下がりません/5年入札プレビュー/米国の短期金利が華麗に上昇」
2010/11/09「中短期ゾーンの金利が微妙に上昇している件について」
2010/11/05「米国はスティープニング/コール加重平均が0.104%」」
2010/11/02「決定会合前倒しってOISとかどうするんでしょ」
2010/10/29「謎の次回会合前倒しとか妙に強めの展望レポートとか/FRB謎のヒアリング実施」
2010/10/28「米国金利上昇/GCレートまた上昇」
2010/10/27「GCレートが妙に高止まりしていましたなあ/決定会合プレビュー」
2010/10/22「GCレートが下がらない件に関してなど」
2010/10/07「決定会合レビュー」
2010/10/06「思い切った緩和来ました!!!」
2010/10/05「決定会合に向けてヤクザのベンツにぶつけた状態になっている日銀ですなというプレビュー」
2010/10/04「決定会合プレビュー続き」
2010/10/01「決定会合プレビュー」

2010/12/30

○これはまた札割れを最初から意識したオペ実施とな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101229.htm

共通担保資金供給(全店)<金利入札方式>
オファー額 8,000
スタート日 2010年12月30日
エンド日 2011年1月12日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101229.htm

応札額 1,300
落札額 1,300

・・・・・前日に30日スタートの資金供給オペが華麗に札割れしているというのに更に打つとはこらまた露骨にも程があるプレイでございますなあと思いますけど、まあこんなもんっちゃあこんなもんなのかも知れません。

と申しますのはですな、やはり相変わらず日銀の資金供給スタンスが年末越えを通過したらしらっと自然体オペに戻ってしまうのではないですかねえという警戒感は残っているみたいでして、何せ債券市場と致しましても11月終わりから12月に掛けてこの絶賛金利上昇で長期もそうですけれどもマーライオン相場で胃腸を禿しくおかしくしたのは中短期ゾーンでございまして、まだまだその辺りに関しては気にする向きも多そうでしたので、札割れ覚悟の供給打ち込みというのは短期市場とか債券市場には「厚め供給を行っていますよ」ってメッセージとしては伝わったんジャマイカと思われる次第なので、一見無駄に見えるけどまあ打つのは「姿勢を見せる」という意味では宜しいんじゃないですかにゃとゆー感じで。

更に、足元ではドル円が怪しげな雰囲気を漂わせていますので、ここで日銀が資金供給の手を緩めただの何だの言われると円高になると直ぐにギャーギャー騒ぎ出す外野に絶好の日銀叩き材料を提供することになりかねませんので、ここは駄目押しのように資金を打ち込んでいるようにアピっておかないといかんでしょうという配慮も滲ませておりますな。

・・・・と一応ヨイショしておりますがね、ついこの前までのオペから見ると足元の供給姿勢が思いっきり違うように見えますなというか、はっきり言ってスタンスの振れが極端にも程がある訳でございまして、そもそも論から言えば何かの外的ショックでも発生した訳でもないのに同じディレクティブの元でこうまで極端に供給スタンスを振らすというのはどうなのよと思うのでありまして、いやまあ従来あたくしが悪態をついていた流れから申し上げますと「ようやく包括緩和の趣旨を反映した供給スタンスに近くなりましたなあ」という所なのですけど、同じディレクティブの元でこうまでスタンスを振らす余地があるというのを見せ付けてしまうこと自体が短期市場のボラ拡大の元になると思うのですよ。

いやまあポジショントーク的に申し上げればボラがある市場の方が色々とポジションのいじりようがあって結構は結構なのですけれども、金融政策運営という意味ではちょっとどうなのよと思います。今の包括緩和のディレクティブの範囲内で市場機能重視的なオペレーションが可能という事であれば、外部環境(というか米国でしょうけれども)が改善したらまたすっかり忘れたようにダマテンで市場機能重視に戻すかもねとゆー懸念は残るでしょうなあとか思うあたくし。


しかしまあ何ですな、とりあえず姿勢を見せたのか何だか知らないですけれども(単に一昨日札割れしたので「おかわり」を入れただけかもしれませんので^^)、もし姿勢を見せようとしているのであれば、どうせ包括緩和そのものが「他市場への働き掛け」を重視している(ように見える)訳ですから、「資金供給オペ連日の札割れ」という金利村の人たちにしか判らんような微妙なオペしないで「連日の国債買入実施(基金オペを前倒しして)」くらい打ち込めば面白いのですが(^^)。

資金供給オペが連日札割れというのは、まあ昨日とかも申し上げたように別に困った話でも何でもない(ただまあ札割れ恒常化というのもどうかなとは思いますが)のですが、報道のされ方によっては「日銀打つ手なし」みたいな報道をするアホウが出てもおかしくはない(というか今に始まった訳ではないですけれどもしょーもない報道が多すぎですからねえ)ので、金融市場へのアピールとしては昨日のオペは中々見せっぷりが良かったとは思いますけど、アピールの仕方は今後も工夫が必要かもしれませんですな(^^)。

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2010/12/29

お題「資金供給オペ札割れとな」

何か米国2年債が0.74%とか訳判らん展開になっとるのですが・・・

#本日は諸般の事情により雑談を簡単にで勘弁ざます

○共通担保全店供給オペが札割れとな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101228.htm

ここもと資金供給が多めに出ていましたので月末の所に関しては資金調達超というイメージだったのですが、更にダメ押しのように月末スタートの供給オペを実施。

えーっと、このオペってニーズあるんかいな(年末ですから今月の末初が4日ありまして、資金余ったサイドとしても出来るだけ運用しておきたいというニーズが高まるので、マーケットが全体として金が余っているっつー時に供給オペ打っても金いらんがな(というより運用したし状態)となる訳ですな)という感じで思っていたのではありますが、正直あんまり結果を気にしてなくて結果出て暫くしてから札割れに気がつくあたくし(大汗)。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101228.htm

応札総額5,984
落札総額5,984

・・・・・(^^)


いやあ足元で急に何か変なもんでも食ったのかと思う位に資金を積極的に供給するようになった日銀ちゃんの供給姿勢で、これでもかとしつこく資金を出してきまして、最後の最後に札割れでござるとなりましたが、昨日ちょっと書きましたように、基金短国買入はホイホイと毎週打つわ、札割れするまでオペを打つわという何がどうなってここまで急に極端に積極的になるのよという感じがしますけれども(まあ決定会合で何らかの議論がなされたのではないっすかねえと想像するに難くは無いのですが)、まーそーゆーことで貫禄の資金供給オペ札割れと相成りました。


○ところで資金供給オペ札割れを気にする必要があるのかという論点

てな訳で資金供給オペ貫禄の札割れということになったのですが、資金供給オペ札割れと言いますと、量的緩和政策で当座預金残高目標を設定していた時分に資金供給オペが札割れ大会になってエライコッチャでございますがなというのを思い出すのでございますが・・・・・

えーっとですな、現在の金融政策運営は当時と違いまして、当座預金残高に特段の目標があるわけではなく、潤沢な資金供給を行った結果として当座預金残高が増えるでしょという話になりますので、資金供給オペが札割れになっても別にそれ自体がエライコッチャな訳ではなく、それよりも「潤沢な資金供給姿勢で臨んだ所、金融市場のニーズが完全に充足されてしまったので札割れになったんですよ(キリッ)」とドヤ顔でアピールしておけば良いので、特に無問題という話ではないかと思うのですよ、って前も書いたような気がしますけどね。

ま、資金供給オペが毎回札割れだとさすがにそれはどうかと思いますけれども(市場のニーズを丸無視してオペを打ってますよっていうのもどうなのよっていう事でございます)、別にまあこういう感じでオペが札割れするのは構わんのではないっすかねえと存じます次第。量的緩和やってて当座預金残高の目標を設定しているときは、資金供給オペ札割れというのがディレクティブ未達に繋がるのでそらまあエライコッチャとなりまして、当座預金残高目標を達成させる為に短国買入をしまくって市場の短期国債の流通玉を全部吸い上げるような勢いとなって、FB入札が100円落札とかいうような素敵な事態になってしまった訳ですが、今回は別に札割れがディレクティブ未達の危機に繋がる訳ではなく、むしろ資金供給を行っている結果という事ですので、そんなに気にしなくてよいのかなあとは思います。


○とは言いましてもこの結果を受けてどうなるのかは気になりますなあ

などとゆー事をつらつらと考えた昨日なのでありますけれども、良く良く考えて見ますとついこの前まで市場機能がどうのこうの(というか一昨日も市場機能論全開のレポートがどうしたとか悪態をついていたと思いますが^^)というような話も日銀サイドから散々出ていたというのもございまして、この札割れを見て「これは市場機能低下を意味しているのでケシカラン」というような評価が日銀の中で為された挙句、「やっぱり市場機能維持の為にも短期金融市場で金利がある程度動いた方が良いでしょ」というような話になってしまうと元の木阿弥にも程がある状態になってしまうのでございますな。

つーことで、まーこの札割れ事態あたしゃ別に構わねえんじゃネーノとは思うのですが、日々のオペレーションに対してどうだこうだというのを判断するのは日銀の中の人たちでございますので、この結果どーゆー判断になって来るのかと言う点は1月の資金供給がどうなっていくのかというのを見ていく必要があるんじゃないですかね、と思うのであります。

まー何ぼ何でも市場機能維持重視ちっくなオペレーションの結果短期のターム物金利が上昇しましたよね、という認識はさすがに日銀ちゃんでも理解しているとは思っております(まー色々とアレな部分がありますから公的にはそのネタは微妙にスルーの方向になるとは思いますけど^^)ので(だから足元のオペ姿勢になったんでしょ^^)、いきなり1月に資金をホイホイ引いてまた市場機能重視と言う事にはならないとは思いますけれども、まー1月分の積み期間入りとなる1月後半の動きとかも見ていかないと中々安心は出来ないなあと思うあたくしなのでございました。


○まあ結局のところ超足元以外の金利コントロールというのは難しいということで

米国にしろ日本にしろ、今般の追加緩和措置の実施にあたって足元以外の金利に関して「低下を促す」的な政策の枠組みを作ってみた訳ですが、米国は長期金利という外野が見ても無理がありそうなネタを出して盛大に自爆している次第ですし、日本に関しても基金国債買入で2年までの国債を買うということで、明言はしていませんけどまあ常識的に考えれば「2年までの金利をベタベタにしますよ」と言わんばかりの枠組みを作ったものの、市場機能を残そうとした結果こちらも華麗にターム物金利上昇の巻ですし、まあ3か月とかの短国はすっかりモノナシになって0.11%台前半とかに金利は戻ってきましたけれども、2年金利は相変わらず0.2%と包括緩和って何でしたっけ状態に留まるの図となっておりますわな。

つーことでですな、やはりまあ中央銀行の金利コントロールを力技で出来る範囲っていうのは、これだけ市場で好き勝手動くようになっている時代には超足元およびその影響がある程度及ぶ範囲内の所限定であって、それを越えた部分に関して「金利の低下/上昇を促す」みたいな話って言うのは、やはり難しいのではないでしょうかというのがここもとの日米中央銀行が示した事なのかなあなどと思う年の瀬なのですよ。

つまりですね、鬼に笑われそうですが、来年の日米中銀の金融緩和政策の中では徐々に「市場金利のコントロール」的な話をフェードアウトさせて、あくまでも「時間軸効果の強調によってイールドカーブ形成に働きかける」という流れに持って行った方が政策効果がどうのこうのという点でややこしい事にならないでしょうね、という風にあたしゃ思うのですけど、日本はともかくとして米国の場合はセントルイス連銀総裁のブラードさんが出していたペーパー(去年今年の8月にネタにしましたが)にあるように「低金利継続のコミットメントを行うのは自らデフレ均衡に嵌りに行くようなもの」という見方も強そうでして、どういう風に落とし前をつけるのかは中々予想をしにくい所ではございます。

#ということで年始のFOMC議事要旨も楽しみなんですけどね

てな訳で諸般の事情により簡単な雑談で恐縮至極でございましたm(__)m

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2010/12/28

○市場は閑散なんですが話題は基金の短国買入ですかねえ

昨日のオペレーション。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101227.htm

ということで、短国の基金買入と長期国債(と言っても2年以内なので長期国債というよりは中短期ですが)の基金買入がオファーされたんでござんすが、特にこの短国の買入の方がここに来て毎週のペースで実施されているでござるという状態。11月から買入がおっ始まったのですけれども、当初はエライのんびりしたペースでの実施(あたくしの帳面によると11/9の次が11/30)でして、それが今月になってから13日、20日、昨日と急にペースが早まるの巻。

当座預金残高も昨日が21.6兆円で今日が見込みで22兆円乗せになりそうでございまして、何か足元急にやる気を出したのか何だか知りませんが、これまでの市場機能重視ちっくなオペとはまた打って変わって資金出す気満々っぽい動きになっておりまして、まあGCもコールも低位安定してますし、短国に至っては3か月以内辺りモノ無し無しのニーズ有り有り状態となってまして(まあ短国の場合は長い所でマーライオンをしていた人たちが粥代わりにお食事モードとなっておられるような気もしますけど)、そこへ来て上記のオペレーションと言う事で、何か急にターム物金利を下げる気になったのか、それとも潤沢な資金供給を実施というのはやりましょうって気になったのか、単に年末なので波乱防止に多く出しているのかってえのはサパーリ判りませんけど、オペのスタンスが足元ではちと違ってますかねえという所で。

まあ当座預金残高の方もそうですけど、短国買入に関しては前倒しでじゃんじゃん実施した場合、どの年限が入るかにもよります(まあ今の「絶対水準方式」だと普通に考えて残存の一番長いのが入るから11か月ものから12か月ものが入ります罠)けれども、償還で落ちが来ないとこのペースだと予算というか枠を使い切ってしまいますので、ペースをいじるのか途中で終了しちゃうのか、はたまた使い切ったらさっくりと増額しましょって話になるのか、微妙に需給に影響するのかも知れませんね。

まあ何にせよ、市場機能重視ちっくなオペレーションで短期ターム物金利が却って押し上げになってしまった(まあそもそも足元の資金取引の需給を市場に任せながらターム物金利の押し下げをするのは無理であって、市場を潰しに行く勢いで資金供給しないと押し下げはできませんです罠)ので、やはり厚めの資金供給と資産買入の前倒しを実施しましょうって事になったのであれば、(ポジショントーク的な論点はさておきまして^^)包括緩和政策との整合性という点では良い傾向ジャマイカと思いますけどね。

#とは言え年初どうなるかとかってなってみないと判らんのですけどね

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2010/12/22

お題「決定会合レビューなど」

まずは声明文比較から。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101221.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101105.pdf(前回)

○微妙に弱い印象を与えるのは景気現状判断部分の書きっぷりによります

景気判断の部分を見るとやや下がっているように見えます。

・総括判断

『わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる。』(今回)

というのは前回と同じです。

・輸出

『輸出は、横ばい圏内で推移している。』(今回)

輸出に関しては文章のワーディングの関係で微妙に前回と書き方が違いますが、内容としては横ばい圏という判断を据え置いています。

・企業収益・景況感

これは短観直後に出てくるのが仕様となっています(ので前回は該当部分は無い)のですが、ここの表現はやや弱めっぽい印象を与えますな。

『企業収益は、改善ペースに一服感がみられるが、増勢を維持しており、』(今回)
『企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(今回)

特に業況感の所が弱めっぽい印象を与えますわな。

・設備投資

『設備投資は持ち直しつつある。』(今回)
『設備投資は持ち直しに転じつつある。』(前回)

傾向としての設備投資の持ち直しが継続していますという事で若干引き上げとな。

・雇用・所得

『雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。』(今回)

変化ないです。

・個人消費

『個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。』(今回)
『個人消費は、耐久消費財に駆け込み需要の反動がみられる。』(前回)

ワーディングが変わっていますが政策効果の剥落が継続中という事でしょうか。

・生産

『こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、』(今回)
『生産は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

ということで今回下がったのは生産の現状判断なのですが、ここの部分の文章を一文そのまま引用するとこうなります。

『こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(今回、再掲)

ということで、景気の現状部分のまとめっぽい所が弱めの印象を与える表現になっているのが、今回の声明文を一見したところで「若干弱めかな」という印象を与えるのかなあと思います。


○包括緩和効果の自画自賛ですかそうですか

金融環境の部分が今回表現が変わっているのですけれどもね。

『この間、金融環境をみると、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。』(今回)

『この間、金融環境をみると、緩和方向の動きが続いている。』(前回)

短観(そういや短観をネタにしてないorz)を受けまして改善したというには今回の短観での判断DIってそんなに劇的な改善をしている訳ではない(貸出態度判断DIは全規模で若干改善しているがそんなに顕著な改善をしている訳でもなく、借入金利水準判断DIは大企業は改善しているけれども、中堅は変わらず、中小は若干悪化している)のでありまして、この「企業の資金調達コスト」ってもしかしてTIBORの事かいなという気もします。

ま、何はともあれ、何か予定調和っぽい金融環境緩和のアピールというのを感じる次第でありまして、自画自賛系の香りがプンプンと漂ってくるような気がするのは気のせいですかそうですか。


○その他に関しては殆ど変化なし

以下は前回と殆ど変わらないのでダラダラと引用。

・物価の現状判断

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(今回)

前回と全く同じです。

・先行き見通し

これもまた見事に前回と同じです。

『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、世界経済の成長率が、新興国・資源国に牽引される形で再び高まっていくと考えられることなどから、緩やかな回復経路に復していくとみられる。物価面では、引き続き、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。』(今回)

・リスク要因

米国経済に関するリスクだったのが米欧経済のリスクということで、今回のリスク認識は欧州のソブリン問題と金融機関問題へ関心がシフトしてるんでしょうなあということで。

『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米欧経済の先行きを巡って、なお不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(今回)

『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米国経済を中心とする不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(前回)

多分これ米国の下振れリスクの方は軽くなっていると思われまする。なお、物価に関してはリスク認識に変化がありませんです。

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)


○着実に進めるですかそうですか

決意表明文みたいな所から。

『日本銀行は、資産買入等の基金を通じた買入れを、すべての対象資産について開始した。今後も、総額35 兆円の基金を通じた多様な金融資産の買入れと長めの資金供給を着実に進め、包括的な金融緩和政策の効果波及を図っていく。』(今回)

『本日の決定により、リスク性資産を含む総額35 兆円の資産買入等の基金の枠組みが整ったことになる。日本銀行としては、週明けに基金による国債の買入を開始し、以後、順次他の資産の買入を進めることにより、包括的な金融緩和政策の早期の効果波及を図っていく。』(前回)

ということで、前回は「順次他の資産の買入を進めることにより」「包括的な金融緩和政策の早期の効果波及を図っていく」という威勢の良い表現だったのですが、今回は「総額35 兆円の基金を通じた多様な金融資産の買入れと長めの資金供給を着実に進め」「包括的な金融緩和政策の効果波及を図っていく」となっておりまして、まあ前回と今回とを総合して勘案いたしますと、包括緩和政策の力点って金利の押し下げよりもリスクプレミアムの押し下げにあるんじゃネーノという匂いがしてくるのですけど。

つまりですね、前回「早期の効果波及を図る」とあって、今回その「早期」がさくっと抜けているというのを勝手に妄想すると、「早期」に実施したかったのは各種リスク性資産の買入であり、まあ買入効果、というよりは買入期待効果だとは思いますが、REITの価格が上がってみたり、比較的格付けの低めな社債スプレッドの縮小傾向が継続している(社債の場合は買入効果より単に運用難のせいのような気もするが)というのが一定の効果を上げましたよね、という認識のもと、まあ長めの資金供給とかはチンタラとやってれば良かろうというお話なんじゃネーノとか思うのは被害妄想ですかそうですか。


ということで、声明文は景気の現状判断部分で若干弱めの印象を与える(ただし月報を見ないと判断しにくい)内容で、何となく空気読んだかなとも思いまする(^^)。


○総裁会見(詳しくは会見要旨出てから)

で、総裁会見ですけれども、ブルームバーグのヘッドラインは出だしからこんな順序でございました。

JBN 16:09 *白川日銀総裁:経済物価情勢の先行きの見方を反映―長期金利
JBN 16:10 *白川日銀総裁:調達コストや銀行収益を通じ経済物価に影響―長期金利
JBN 16:10 *白川日銀:長期金利の推移と影響を注意深く点検していく

・・・・で、イブニングセッションの債券先物は最初のヘッドラインが出た瞬間に8銭だか9銭位下を叩く人がいたようなのですが、その後のヘッドラインが出てきてさっくり戻ったようで(諸般の事情でリアルタイムで見てなくて日中足で確認しているので間違ってたらゴメンナサイ)すが、まあ何か祭り好きな人がいますなあとゆー感じでございます。

さすがに今回は長期金利動向について突っ込まれた時に無駄に正論発言をして火に油を注ぐような事をするのは避けたようで何よりなのですが、ヘッドライン見てても肝心の「長めの市場金利」即ちターム物金利と申しますか、1年とか2年とかの金利が上昇している点に関する質疑応答らしきものがあったのか無かったのかよー判らんという部分は若干残念感がございますです、はい。当座預金残高がどうのこうのとか、短国の利回りがどうのこうのというのはあったっぽいですので、今日の要旨出てから確認したいと思います。


○PD懇議事要旨が中々オモロカッタのだが時間が無い・・・・

月曜にはPD懇と投資家懇がダブルヘッダーだったのですが、両方の議事要旨が出ておりまして、PD懇の方だけとりあえず読んだ(朝イチに出たので)のですが、最後にあります債券市場動向に関する部分が特にオモローでした。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c221220.htm

『(4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』の最後の意見から。

『10月5日に日本銀行が示唆した包括緩和政策において、時間軸の明確化や長めの市場金利の低下を促すことを明示され、市場に対してコミットしたと市場参加者は認識し、そのコミットメントに基づき、特にこの下期以降、債券運用の計画やスタンスを固めていった。』

ほうほう。

『一方、現状では、そのコミットが薄れつつあるのではないかとの認識を持っている。例えば、12月14日にT-Billの1年物の入札の応札倍率が1.81倍、最高利回りが0.19%程度まで流れる結果となっているが、この間、このコミットメントに対するメッセージ等がなく、日本銀行の意識に対して懐疑的にならざるを得ない状況である。』

つまり声明文詐欺とな。

『日本銀行では、12月21日まで金融政策決定会合が開催されているが、足元の金利上昇に対する発言等については、当初の包括緩和政策からのコミットメントに対する認識度合いを再度推し量る意味でも注目している。』

まあ今回別にその辺り(ターム物金利の押し下げ)の話は無かったような感じがするので、この発言をした人の怒りゲージや如何に。

#なお、この発言をしている人はあたくしではございません(あたしゃ市井の無力参加者でございまして、このような場に出てくるなんてとてもとても^^)ので念の為申し添えます(^^)

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2010/12/21

今日の決定会合で資産買入規模をいじるという予想が為替市場の一部にあるというモーサテのコメントに朝から( ゚Д゚)ポカーンなのれすけれども・・・・

○3か月TB入札後付雑談

とまあそういうことで昨日は年内最後の3か月TB入札。償還が4月になるというのはあんまり関係ないと思うのですが、何か知らんが入札前はあまり盛り上がらずにWIで0.13%オファーとかやっていたらしいのですが、落札結果は平均0.1297%の足切り0.1319%で按分は32.1443%と事前のWIの感じからしたら比較的マシな結果に。どうも業者サイドがあんまり盛り上がらなかったようで、平均が0.13%割れとはなったものの、どっかの業者がごっそり落札したというのでは無かったっぽいですな。

ただまあセカンダリーでは買いが入って0.13%はあっさりビットサイドになったようで、最終的には0.125/0.130(その間のどこにあるのかは知らん)という感じでしたからまあ妥当っちゃあ妥当なのではありますが・・・・・


えーっとですな、昨日も書いたような気がしますが、足元では日銀が急に資金供給をバカバカ出すようになった結果、GCレートが0.100%近辺で推移している(=昨日も申し上げたように、ショートカバーやその他のお家の事情的な買い及び超過準備付利の範囲外の参加者によるGC買い以外で0.100%以下のGCの買いは無いはずなんですけどね)つー流れになっておりますし、更に申し上げますと昨日は基金による短期国債買入を入札にぶつけるタイミングで実施とゆーことで、それもまた「ほほー」という感じ。基金による短期国債買入は包括緩和実施決定当初は割とのんびりしたタイミングで実施していたと思うのですけれども、ここもとややそのペースが前倒しっぽくなっており、こちらもまた足元の短国市場やら2年やらの動向をちったあ気にしているかのような日銀の動きがある訳ですよ足元で。

となりますと、もうちょっと短国の買い安心感的なものが出てもおかしくは無い筈なのですが、昨日の3MTB入札が割とあっさり味で0.13%乗せとなった(その後買われましたけれども)というのを見ますと、これはまあ参加者の皆様におかれましては、足元の日銀の資金出し攻撃が所詮一時的なものに留まり、別に恒常的にGCを0.10%カツカツとなるレベルに押さえ付けて市場機能を抑えに行くようなオペをする訳ではないんでしょ、というようなイメージが比較的強いっつー事でしょうかねえと思うのであります。つーかもうちょっと露骨に申し上げますと、足元では日銀は多め供給で短期のターム物やら2年辺りの市場金利の上昇に配慮した動きをしているけれども、そのスタンスの持続性に対してはまだ全然信用してないっつー事だと思われる昨今の短国市場の動向、ということでありまして、「市場機能オペ」とやらを実施した結果として、包括緩和政策実施における声明文で謳われた「長めの市場金利の低下」というお題目に対して市場の信頼はゼロ近傍まで低下しているっつーこってすな。もう声明文詐欺には騙されませんよってなもんでござる。


と、いつの間にやら悪態になっているのがドラめもんクオリティなのでございますけれども(^^)、今日まで実施する金融政策決定会合におかれましては、足元で発生しております声明文詐欺状態に関して、ボードメンバーの中でのコンセンサス作りを進めて頂きたいものだと思います。即ち、包括緩和で示されている「長めの市場金利の低下」と白川総裁あたりが良く言及する「市場機能の維持」という話の折り合いをどの程度まで付けるのかとかというのをもうちょっと何とかしないと、オペレーションがどっちつかずになってしまって無駄なボラティリティーの元になるだけではないかと存じます次第でございます。

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2010/12/17

お題「諸般の事情で今日も雑談でご勘弁賜りたいでござるの巻」

米国債券市場って何か壮大な下落と上昇をやっているみたいなのですけれども一体全体何がどうなっているんだか・・・・

そういや相変わらず「長期金利差に注目して動く」というお話は引き続き流行っている、というかどっかの何とかストと言われる本職の筈の人まで大真面目に言う位に(はっきり言ってセールスやトレーダーが言うのは売買させる為のセールストークであったりポジションの正当化の為のポジショントークだったりするので、まあその場に都合の良い話を適当にするのは仕様のようなもん)流行りましたが、とりあえず大真面目に解説していた何とかスト連中は3か月前の日米長期金利の位置とドル円の位置を比較して見やがれと思うのはあたくしだけですかそうですか。

#ちと忘れたけど一昨日のモーサテで「為替市場は長期金利差に替わる新しい材料を探しています」と為替市場解説の人が説明してたのには盛大にコーヒー噴出しましたことよ(^^)

と軽く悪態をついた所で今日も雑談でありまする(汗)。


○今日も今日とて市場雑感

何か最近雑談ばかりでどうもすいませんm(__)m

昨日は米債ゲロゲロで戻ってきた割には比較的打たれ強い展開のような印象を受けたのですが、それは短期国債がやたら強くなって2年とか3年とかが前日比強くなっているという方に目が行きやすいあたくしの仕様によるものであるかも知れません(汗)がそれは兎も角。

火曜の1年TB入札がゲロゲロ入札で、水曜の3か月TB入札は入札そのものはゲロゲロでしたがその後持ち直しとなった訳ですが、昨日は中短期(の特に短い部分)は買い意欲強くて、新発3か月TBはたぶん0.12%レベルとか新発1年TBはたぶん0.15%レベルとかと相成りまして、まあ「長めの市場金利の低下を促す」という例の鷺文言の事をスルーして足元のGCレートが中心0.11位で推移して(ちなみにGCレートが恒常的に(瞬間的な話は別)0.10になるのは超越供給によって資金調達サイドが完全に消滅しないと中々難しいようで)という事になりますと、まー手前からの足し算という観点ではこの位のリスクプレミアム乗せろやという話になるんでしょうかねえというような気がしてきた(が、その状況は声明文詐欺ではないかというツッコミは勿論残存する)。

(注)以下お食事中の方に一部不適切な例えがございますのでご注意ください^^;

でまあ2年とか3年とかも堅調だったようで、まあどこのどなたが買っておられるのかは存じませんが、さすがにこうゲロゲロとやり過ぎて人心地ついて来ますと気がつけば人間腹が減っていたりするもんで、まずは胃に重くなさそうな味噌汁やら粥やら素うどんあたりから腹ごしらえをするのが人間の常という風に勝手に妄想すると話だけはうまく繋がる(^^)、実態はどうなのかはよー知らんが。

とは申しましても、悪酔いが残っているうちにうっかり勢いに乗って唐揚げ弁当とか食いだすと再度アレになってしまうリスクもございますので、これがまた匙加減の難しい所っちゅー事ですが、まー中短期の短い所が落ち着いてきてサガランチ会長になってきたのは比較的よい傾向ですかねえとゆー所で(サガランチなのは価格ね^^)。


あと、それが継続するのかどうかは兎も角としてなのですが、昨日はここもとの暴れん坊将軍相場で需給要因で無闇矢鱈と安くなっていたゾーンに見直し買いみたいなのも入ったような感じがせんでもないのも結構な話かなあとか思った次第でして、そーゆー歪みというかオーバーシュートを修正するような動きが入るというのは落ち着く中では必要な動きですかねえとか思うのです。

#ま、米債が大戻りしているので今度は逆のオーバーシュートをおっぱじめるとなるとまた落ち着かなくなるのだが・・・・・


○金融政策がらみで雑談雑感

・米国は時間軸政策になるんですかねえ

先日のFOMCステートメントなんですけど、「景況感は改善するけれども失業と物価は下方修正」という器用なことしてますなあとか書いた訳ですが、その後色々と人様とお話をしておりますと(という事なのであたくしがFOMCステートメントを見た時にすぐ気がついた訳ではないのは正直に申告しておくだよ)、「これは要するに時間軸政策(と場合によってはCEの併せ技)の明確化へのシフトの前振りなのではないか」というような事を思うようになったでござるの巻。

つまりですな、国債買入実施の目的の一つであった長期金利の低下に関してはどっからどう見ても無理筋というのが明らかになった訳でして、今後はそっちをFRBが強調するのは得策ではない(国債買入実施が失敗でしたとなってしまうから)のでありまして、まあ長期国債買入の規模自体は急に縮小とかするとそれはそれでネガティブインパクトになるので、その辺は適当に制御しつつも、今後の展開としてはやはり「時間軸の強化」を行って「景気が少々改善しても低金利政策を継続しますよ」という形でイールドカーブの手前を落ち着かせるようにして緩和効果を出してくるというのが妥当な落とし所なのでは無いかと思うのでありますよ。

で、その間に長期金利の上昇によって住宅市場の悪影響という事があった場合には、長期国債の買いではなく、MBSの買いというCE復活方向で対応して何とかするという風にするんジャマイカという感じで考えていたりするのですけれども、そーゆーような事をつらつら考えると「景況感は改善するけれども失業と物価は下方修正」という景気への見立てをFOMCが声明文の中で示したのは、要するに長期国債の購入で長期金利低下というロジックからの足抜けスキームなのではないかと考える次第で、それならまあそーゆー器用な話になるのかなあと。

ただまあその辺の長期金利に関する話に意地張って固執するようだと益々の複雑骨折になる懸念もあり、バーナンキさんがどう考えているのかはわからんですからねえ。


・来週最大のリスクは麿の会見でおじゃる

つーことで来週は月曜に3MTBの入札があって、火曜に決定会合が終了して、水曜に2年国債の入札があり、国内要因で言えば(民主党云々はおいといて)そこを無事に通過すれば年末まで無事モードという事になるのでしょうな。

#米国の国債入札が最終週にあるような気がするがorz

で、水曜の後場からの動きで月曜の3MTB入札はまあ大丈夫という感じになったと思われるのですが、何せ最大のリスクは決定会合。もちろん決定会合自体はどうってえ事のない現状維持になるでしょうし、スタンスとしては「ETFやJ−REITの買入も始めましたよ凄いでしょう!だから様子見ね」という所になるので特になんも期待はしてないと思われますけれども・・・・

で、小見出しにあるようにリスクは総裁会見でしてですな(−−;)、どこからどう見ても会見で「長期金利の上昇」やら「2年金利などの長めの市場金利の上昇」に関する質問が出て、しかも上手な質問をされた場合に麿が何を言い出すのかがリスクでしょうなあとゆー所で。

何せ麿は足元の状況がちょっと良くなると直ぐに安心して「市場機能」だの「バブル懸念」だの言い出して「日銀には危機感が足りない」と盛大に突っ込まれるようなノーガード発言をするのが仕様でございまして、お前は昨年米国に乗り込んで「偽りの夜明け」とか言ってた癖に同じ口がなんで国内でその発言をするかと大変に遺憾に存じますお方ですからして、今回の会見では「長期金利上昇は世界的な景気回復期待の広がりの結果でおじゃる」とか平気で言いそうですし(いやまあ確かに米国の経済指標が良くで金利が上がっているのだがそれこそ「偽りの夜明け」でしょそれって・・・・)、うっかりすると「米国の金利上昇はインフレ期待の上昇によるものでおじゃる」とか「デフレ脱却に向けた日銀の強い姿勢が評価されている証拠でおじゃる」とか更に要らん事を言い出して、折角鎮火モードになっている所に盛大にガソリンをぶちまけて再点火するリスクは否定できませんわな(^^)。

そうなると2年国債入札がまた銀行ドン引きになってうんこになったりすると年末まで大荒れ模様とかになってもおかしくはないのですが、まあそんな趣旨でそこらのお友達に意見を聞いたら皆さん心配しているから、逆にここまで懸念されていたら少々の発言では大丈夫なのかも知れませんが(^o^)、まあ出来れば来週火曜日は麿の着ぐるみを山口副総裁あたりが着用して会見に臨んで頂くと大変にありがたく存じます(ってしらっと失礼極まりない事書いてるな>自分)。

ま、米債の方のケロケロちゃんがどういう状態になっているのか、円債に関してもまだ気持ちワリーと思っている人がどの位いるのか、という辺りのポジション動向ってえのは人様の懐具合なだけに無力市場傍観者のあたくしと致しましてはサパーリ判らんですから(何と言う無責任^^)、その辺りのポジション整理が終わっているのか終わっていないのか次第という面も相当重要なファクターでございましょうなあという至極当たり前の結論でした。


○そういやメモメモ

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2010/resul062a.htm
流動性供給(第84回)入札において追加発行した国債の銘柄

変態銘柄と化しておられるチーペスト3兄弟(先物チーペストは#292ですが)の辺りがここもと(というかちょっと前からずーっとなのですが)更に変態となっていましたので、うっかりすると壮麗に全部#292かなとか思ったのですが、ちと前場引けに掛けて先物が下がりすぎちゃいましたので惜しくも今回の発行額は881億円でございました。

どうせなら3000億まるまる#292が出るような位置で前場を引かせて頂きまして、スクイーズ狙いとか下らん行為をする向きに鉄槌が下される事を心から望んで止まない所存でございます。まあこの限月のチーペストは久々にややこしそうですわなあという所で。

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2010/12/16

お題「短期国債が入札流れた後買い到来/その他市場雑談で勘弁」

米債10年3.5%に30年4.58%ですかそうですか・・・・

#昨日の反動で本日は軽めで勘弁m(__)m

○3か月入札がうんこだったけどその後は押し目買いとな

昨日は3か月TBの入札があった訳ですが。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221215.htm

(1)応募額 10兆5,437億円

(2)募入決定額 4兆4,327億6,000万円

(3)募入最低価格 99円96銭2厘0毛
(募入最高利回り)(0.1415%)

(4)募入最低価格に 75.9934%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円96銭2厘3毛
(募入平均利回り )(0.1404%)


えー、0.14%っていつ頃の数字か申しますと、昨年12月1日の10年国債入札の売りヘッジを終了した前場引け後に臨時決定会合開催のアナウンスという大変にお洒落なプレイによって長期国債のマーケットメーカーに大損を食らわした事によって著名な(と古傷を一々ほじくり返すのがあたくしの粘着質クオリティ^^)臨時会合によってターム物金利引下げの為に固定金利方式の共通担保オペを導入しましたってえのがございましたが、この直前の昨年11月30日の3か月TBが0.155%レベルでして、決定後の12月1日が0.125%レベルに低下となったのでありまして、つまりこれは「ターム物金利引き下げ政策実施した分が全部パー」という水準という事で、大変に素敵な結果であった訳ですな。しかも応札10兆しか無いし・・・・・

とは言いましても、どうも事前にはもっと悪い(0.145%乗せとか)のではっつー懸念もあったみたいで、これでも実は事前予想よりはマシな結果と言う事のようでござんす。まあ前日の1年入札が素敵な結果になったので参加者の方も耐性が出来ているというのもあったようですな(^^)。

で、まあさすがにその水準ってえのは何ぼ何でも安かろうという事になったと思われまして、落札結果発表後は買いがお越しになったようでBB引けは0.130%と実にこう普通の水準(って言いましても上にありますように、そもそも固定金利オペの導入を決定した時点で3か月TBが0.125%レベルに低下した事に見られますように、0.13%レベルだって金利水準としては結構高い部類じゃネーノと思うのですが、ただしGCが跳ねまくらない事が前提^^)と相成りました。

3か月TB入札が(入札結果単体で見るとどう見てもクソ入札ですが)無事に通過してセカンダリーでの買いも確認された事から、前日の華麗なうんこ入札だった1年新発TBなどにも安心買いというか何ぼなんでも拾えるでしょうというような感じで買いが来たようで、1年TBのBB引けは0.16%となり、これまたとりあえずマーライオン相場(つーか短国の場合はマー状態になるというよりは次から次へと発行されるものをどう捌くかという感じで、参加者がケロケロとマーライオン大会になる長めの債券とはちとテイストが違うと思いますけどね)から押し目のバーゲンハンティングモードになっている感じで誠に結構でございます。

#マーライオン連呼という事で、食事中のおよびシンガポール観光協会の皆様におかれましては大変に恐縮でございますm(__)m

まあこの短国は20日発行ですので、償還やら利金のキャッシュ潰しに来る人もいるでしょうし、そもそも3か月TBは(昨日も書いた気がしますが)6か月〜2年のような大手銀行さんの一人(一人じゃないけど)舞台という需給状況とは微妙に違いまして、投信(短期公社債投信など)やら信託(有価証券運用信託など)やら海外(中銀など)やらと、基本的に持ちきり系の最終投資家のバラエティーが相対的に広い商品なので、大手銀行がドン引きしたらそらまあシェアから言って悲惨になりますけれども、6か月以降ほど極端な壊滅をしないというのもあったのかなあとも思います。勝手な想像ですけど。

てな訳で、結局何かポジションが片付くまで甘くさせられて良く考えたらその間の最大の売り手って財務省なので財務省涙目の展開という気が思いっきりするのでありますが、やはり昨日散々悪態を付きましたように、長めの市場金利の低下とか言うのは声明文詐欺であって為替市場と株式市場がフェーバーならそんな事は気にしねえというのでしたら、振り出しに戻らないと一旦リセットされないと言う事ですかそうですか。

・・・と、書いているうちに「はて振り出しって幾らでしたっけ??」と思って昔のノートを引っ張り出したのですが、昨年の11月30日の時点では2年カレントが0.225%、残存1年の2年既発国債が0.170%で1年短国が0.165%、3か月短国が0.155%という水準でしたが、この時はGCが税揚げ前とドバイショック絡みの需給要因で上昇して0.15%とかになっていました。また、11月中のGCレートは概ね0.13%水準でして、そもそものGCの位置が違うという所(振り出しの前ですからね!)を考慮に入れてまあ上記の水準を記憶しておくのも吉かという感じですかねえ(って底打ちしてから書くなとかいう突っ込みは華麗にスルーの所存^^)。


○そういや昨日も長いところは中々強烈でしたが

いやまあ正直無力参加者のあたくしと致しましては何が何だかワカランチ会長なのでございまして、そういう話は有力参加者の方にお伺いされるのが吉かと存じます次第なのですが、前場特にワンダホーだったのは10時10分に「えええ!今日輪番ねえのかよおおおおおお!!」という華麗な日銀のスループレイ。

いやまあ別に概ね週に1本実施するのでどうせ昨日実施しなくても今日か明日には実施するという話なのですけれども、足元では6/12月利払い銘柄の振替停止期間の絡みで利付国債の買入系オペを見送り状態になっていて、昨日はレギュラー渡しが20日になった日でしたし、米国債券市場がゲロゲロマーライオン相場になって戻ってきた日でもあったので、ここぞとばかりに千両役者登場が期待されたのでございますが、そーゆー時に何故か輪番オペをスルーというのが日銀クオリティでございまして、8年とか9年とかが重くて重くて大変でござるとなっております債券ディーラーの皆様がまたまた大憤激という素敵な流れに。

いやまあ別に輪番はそーゆー意図で実施するもんじゃないですし、スケジュール感としては別に水曜でも木曜でも金曜でも大差ない話でしょと言ってしまえばそれまでなのですけれども、従来のパターン的には水曜に入るのが一番自然かなあと言う所でしらっと輪番スルーというのは中々こうお洒落なKY感が漂うのでありました。

まーしかし昨日の前場途中は先物99銭安とかやってましたけど、前場の引けは先物が80銭安で超長期1毛甘とかもうワケワカンネという豪快な動きになっておりまして、ナンジャソラという所でしたが、後場大いに相場が持ち直して(まあそれでもカーブが相当ぐちゃぐちゃな動きですが)その辺のムチャクチャ振りがややマイルドになったのは良い話なのかもしれませんがよー判らんです。

#またまた米債の馬鹿野郎が金利上昇してやがるのがアレなのですが

イールドカーブの動きがどう見ても需給です本当にありがとうございましたとなっていたのとかは、まあリスク管理相場ちゅうかマーライオン相場っちゅうかという感じなんでしょうなあと誰でも思いつきそうな事しか申しておりませんが、段々動き方が極端になっているのは最終局面近しとか思いたくなりますけれども、どうせ最終局面が近いとか皆が思っている内は最終局面じゃなくて、皆が地獄の1丁目に入りました棺桶に片足突っ込みました早く逃げて〜ってな感じにならないと最終局面にならないのが相場様クオリティではないでしょうかとも思うのでした。

まあ救いは前半で申し上げた短国市場が何となく底打ちしたような気がせんでもないという所でしょうけれども、これもまあGCがピョコピョコ跳ねるとなれば元の木阿弥になってしまう惧れもまだある(オペがそもそもGCの振れを容認するのかしないのかが判らないですしねえ)ので微妙ですけれども、短期が落ち着けばそこから中期、更にその先と波及するかなあとは思うのでありました。

#てな感じでしょーもない市場雑談でしたが、例によってこういう感じで書いておかないと直ぐに忘却しちゃうのがニワトリ並みの記憶力を誇るあたくしでございますので勘弁ということでよろしくお願いします。

#ということで、今日は昨日の3分の1の量でお送りいたしました(しかも全部与太話)

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2010/12/15

○1年入札がゲロゲロになった件

昨日は20年入札があったのですが、それよりも華麗に話題を攫ったのが1年短国の入札だったりしまして、そういう時に事前に注目とか何も書いてなかったりするのがドラめもんクオリティorz

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221214.htm

(1)応募額 4兆2,950億円

(2)募入決定額 2兆3,691億円

(3)募入最低価格 99円81銭1厘
(募入最高利回り)(0.1893%)

(4)募入最低価格に 98.5000%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円82銭4厘
(募入平均利回り )(0.1763%)

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

レートが流れた(正直あんまりあてにならないけど前日のBB引けが0.145%レベルで1年ゾーンの利付国債の居場所0.165とか0.17レベルだったような気がする)のもさることながら、応札倍率が2倍いかないってこらまたニーズの無い入札(ちなみに先月の1年TB入札は同じ発行予定額で応募額が7兆3744億円で落札利回りは平均0.1224%の足きり0.1255%でこのときも大流れとか言ってたりする(先月の15日の入札ね)のですが)でござんしたなあという所ですし、市場推計の落札結果では最終投資家札と見られる不明玉が1.2兆円もありまして、それだけ投資家が入れてもこの流れっぷりかよという中々驚愕の結果と相成りました。

でですな、その後落札結果にビックリして2年とかがまた5糸甘オファーとかの気配になりやがるという大変に素敵な展開になったのですが、その後さすがにこれはイカンと思ったのか13時のオペ(1年TBの落札結果発表は12:35)で日銀の資金供給が結構厚めにオファーされました。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101214.htm

共通担保オペ3本立てというのもさることながら、20日という国債償還日(のために需給上は資金余剰になるけれども、明らかにその余剰資金は日銀当座預金に積まれたままになるのが多くて、資金偏在が大きくなるであろうと思われる日なので、需給上は余剰だけれども、GCレポ市場的に言えば金の需給がタイトになるのです)スタートのオペを1本打ち込んだのは、先週金曜に16日スタートのオペを実施したのと同じようなテイストのするオペレーションな訳ですにゃ。

でまあこの供給を見てなのかどうか知りませんが、まあタイミングから言ってそういう感じなのでしょうが、1年新発TBとか2年とかもちっと先の中短期ゾーンとかに押し目買いだか見直し買いだか知らんけど入ったようなイメージで気配を回復しまして、結局引けでは2年は5糸強の0.225%となり、投げ投げゲロゲロとはならずに一息という感じではございます。

つーても短国とか全般に(そらまあ1年がそれだけ流れれば引っ張られるけど)甘くなりまして、BBさんの引けベースだと1年新発が0.170%(確か出合いベースではなかったかと)となって、先週入札のあった3か月は0.130%とか中々胸の熱くなるような利回りとなっておりまして、今日は3か月TBの入札あるんですがどうするんじゃろ(まあ1年と違って3か月は一定量のニーズがあって、金利水準上がれば上がるだけニーズ増えると思いますので1年みたいな大コケはしないと思いますけど)という風情になっている冬のひとときなのでございました。

で、以下マニア向け悪態その他が続くので興味のあるマニアの方はどうぞ。


○火事ボーボーになってからの消火は必要な資源が余計に掛かるという話

ということで1年TB入札で日銀ちゃんの庭で火がボーボーという事態になったものの、厚めの資金供給実施という消火活動によって大火災は回避できた訳なのですが、そこであたくしなんぞが思うのは「入札流れてから多めに供給する位なら何で前日のオペで出しておかないのよ」という論点でございます。

そもそもですな、昨日の朝の駄文でうだうだとマニア向けの話題としてこんな事を書いた訳ですが、再掲しますと・・・・

>金曜に16日スタートの共通担保を打ってニーズを集めたというのに何で昨日16日スタートのオペを入れないのか理解に苦しむ。3Mの基金共通担保のロールを入れただけですとまあ受け取る方としては「金利上昇を抑制してGCを押さえつける気は無いのですねえやっぱり」という事になるようですし、そもそも16日の積み初日のところってGCレポ市場での最大の資金の出し手さんである所の都銀さんがギリギリまで資金をあまり出さない傾向があるという事もござんすので、早速GCレートも少々ですが上昇したようでございます。結局GC上昇するのはおっけーという事でしたらどうもオペレーションがなんちゅうか一貫してねえんですよねえマッタクモウとゆー所で。(以上昨日の駄文より)

とゆー事でありまして、入札流れたのを見て金利上昇するのを抑制するようなオペレーションをするくらいだったら、そもそも入札が流れる前にGCレート放置プレイをしているんじゃないんですよというオペレーションを実施しておけば、もうちょっと結果は違っていた可能性はあると思うのですけどねえ。勿論、1年TBの主要投資家層でありますメガバンクさんのアベイラビリティー低下なのか1年なんぞ買ってる場合かヴォケという状況なのか知らんですが、まあその辺の事情があって、前日にオペを実施していても結果は同じだったかもしれない、というのはありますけれども、こうやってモグラ叩きのような事をやっていると、ターム金利は中々落ち着きませんし、そうなれば当然の如くターム物に対するリスクプレミアムが要求される訳ですから、「長めの市場金利の低下」という10月5日の包括緩和実施時の声明文にあります「金融緩和を一段と強力に推進する」という話との整合性が取れませんなあといういつもの悪態になるのでした。

それとですね、金利が上がってから火消し供給をするというのは、まずそもそも論としてドタバタ感が物凄いするのもありますし、更に言えばこのようなドタバタをやっているうちに市場の方は「日銀はどの位の金利上昇を容認するのか」みたいなゲームを始めてしまい、更なるドタバタを招くという惧れもある訳でして、どうせ金利上昇を容認しないのであれば、火が出てから火消しをするのではなく、火が出る前に水撒きをせっせと行って火がボーボーにならないようにした方が余計に沢山出す必要が無いような気がするんですよね。ここもとの調節って結局のところGCを抑える気があるのか無いのかとか、そもそもGC市場を気にしているのか放置プレイで市場の価格形成に任せようとしているのかとかも微妙でして、市場が日銀の包括緩和に関する真意を測りかねているが故にドタバタ状態となっている事から、この辺りに関するコンセンサスの構築に関しても時間が相当かかるんじゃないかなあと思われる次第で、その間のコストも掛かりますなあとか思うのですよね。


○そもそも包括緩和における「長めの市場金利の低下」とは何だったのかという話について

折角だから10月5日の包括緩和実施時の声明文のURLをつけて進ぜよう。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101005.pdf

『3.このような情勢判断を踏まえ、日本銀行は、以下のとおり、金融緩和を一段と強力に推進することが必要と判断した。』

『第3に、短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。こうした措置は、中央銀行にとって異例の措置であり、特に、リスク・プレミアムの縮小を促すための金融資産の買入れは、異例性が強い。この点を明確にしたうえで、市場金利やリスク・プレミアムに幅広く働きかけるために、バランスシート上に基金を創設し、多様な金融資産の買入れ、およびこれと同じ目的を有する固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うことが適当と判断した。このうち、基金による長期国債の買入れは、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで、臨時の措置として行うものである。このため、基金による買入れにより保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとする。』

つまり、3か月と6か月の固定金利オペおよび基金が実施する国債と短期国債の買入に関しては「金融緩和を一段と強力に推進するために」「長めの市場金利の低下」を実現させるものであり、「この点を明確に」するために「市場金利」に「幅広く働きかける」ための「基金を創設」した中の一環ですよ、という話をしている訳ですわな。

でですね、いやまあ確かに補完当座預金金利(=いわゆる超過準備付利金利)を下げていないという時点で怪しいと思う部分はございますけれども、ここの文言を素直に解釈致しますと、当然ながらここは一発市場機能の低下を辞さずにターム物金利の抑制を行い、その期間としても当初の3か月が先般6か月になり、今回は思い切って2年まで延ばしてみたのですね、という風に解釈するのが自然なんじゃないかと思うのですよね。異論は認めるが(^^)。

その上、当日の白川総裁の記者会見ではこのような話があった訳ですな。URLをつけて進ぜよう。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1010a.pdf

『今、リスク・フリーの金利は、相当低い金利になっています。特に短期の金利は非常に低いです。そうしたもとで、金融政策によって金融緩和効果を上げようとすると、論理的に残されている道は、従来より少し長めの方向かリスク・プレミアムに働きかけていくことになります。』

『日本銀行が潤沢な資金供給を行っている結果、今でも無担保コールレート・オーバーナイト物が、誘導目標水準の0.1%を幾分下回ることが生じていますが、今後、資産買入等の基金を通じて、一層潤沢な資金供給を行うと、日によっては、これがより大きく下回る可能性が高まることも予想されます。資産買入等の基金を通じて、長めの市場金利の低下やリスク・プレミアムの縮小を図ろうという目的を達成するためには、そうしたオーバーナイト金利の一時的な振れを明示的に許容する方が効果的であると判断しました。』

・・・・とまあこんな話までされたら、これはまあ日銀はターム物金利抑制の為に当然ながらそのベースになるGCレートを低位に押さえつけるオペレーションを行い、コールの下振れも容認するんですよね、という風に考えたくなる訳なのですが、実際には当座預金残高は17兆円から18兆円近辺でそんなに別にじゃぶじゃぶ感を出して来る訳でもなく、GCレートが0.12とかの水準に上昇しても特に気にしないで放置プレイという事になってしまった為に徐々に短期の金利が下がりにくくなって段々とポジションが重くなって来た所にQE2空振りで華麗に短期先物金利が上昇した米国市場という燃料が投下されて更に不安定になっていき、最後に大火災になったのが先月下旬からの展開という事になるわけですわな。

ところが、先日来審議委員とかの講演や会見を見ていて微妙にあれれと思っておりましたのは、(昨日も書いたかもしれませんが)白川総裁と森本審議委員とで包括緩和に関する政策の効果とか波及ルートとかの力点が微妙に違うことでして、覚えておられると思いますが、白川さんはどちらかというと「マインドの好転」に働きかけるという、為替ルートや株価ルートを用いた流れに重点を置いたような話をしていましたけれども、森本さんはストレートに「ターム物金利の低下」に力点を置き、もともと須田さんは国債買入追加に反対しているからまあ当然違ったアプローチではありますが、その中でも国債買入に関しては同様に「ターム物金利の低下」ルートの説明(須田さんの場合はそのルートの有効性に懐疑的なので反対したのですが)になっている、という具合に、そもそも政策委員会の中でも今回の包括緩和に関する政策波及ルートに関するコンセンサスが取れておらず、その微妙な部分が日々のオペレーションにも現れているのではないかという気がせんでもない次第なのでありまする。

まあそう考えますとオペに悪態ばっかりつくのも何でして、そもそも包括緩和とは何ぞやというのをもうちょっときっちりと詰めていただきませんと、短期金融市場および債券市場的には、日銀の行おうとしている事、およびその政策波及ルートなどに関する考察のやりようが無くて困る訳なのよねという所でございます。

正直言ってこのままだと「包括緩和」というお題目だけ出して期待だけ持たせておいて、盛大に梯子を外した結果として、1年の金利が2ヶ月前の5年金利に接近するようなアホウな上昇をしていて何が包括緩和じゃコノヤローという話だけに終わってしまうのでありまして、声明文で書いてあった事はつまり「声明文詐欺」であったということなんですねそうですかそうですかもう日銀の話なんて信用しませんからってえ事になるのを憂慮する次第なのでございますが如何なもんでしょうかねえ。


○誇大妄想VS誇大広告

何か小見出しが悪態状態になっているように見えるのは何かの勘違いです(^^)。

えーっとですな、これはどういう事かと申しますと、どこぞの逆さ絵のモデルのようなおじさんが議長をやっている某合衆国の連銀様との比較でどっちも悪態という話になるのでありますが(^^)。

FRB(って名前出すなら最初から出せと)の場合、ああでもないこうでもないとか言いながら、11月に実施した追加緩和の時には長期国債購入の本格的な再開において思いっきり「長期金利の低下」というのを政策波及ルートとして明示していた訳でございますが、まあその話ってその前から延々としていて(時に話が金利の低下になったり、期待インフレ率の引き上げになってみたりしてましたが)、それでQE2期待のヤッホーホトラララ相場になっていた訳でございますが、結果としてはやはり長期金利を中央銀行が直接コントロールをするのは無理(ただし市場をぶっ壊してしまえば話は別なのですが、その話はここでは措きます)という事になったというのがここまでの流れ。

つまりですね、FRBの場合は端から出来るかどうかが非常に怪しかった「中央銀行による長期金利のコントロール」に案の定(今のところ)失敗しており、しかもお洒落なのは今回のFOMCステートメントの時点ではその事をすっかりすっとぼけるという梯子外しプレイを炸裂させるという点において、緩和政策実施時点において自分たちの市場コントロール能力に関する「誇大妄想」をしていた事になるというのが残念ながら現状における結果ではないかと思われるのですよ。

然るに、日銀ちゃんの場合はその辺の分を弁えておられまして、包括緩和で実施するのはあくまでも「長めの市場金利」と言って長期金利を普通は意図しているとは思えないような言い方およびそれに則った行動(買入する国債が2年までですから)をしていたので、逆に市場ちゃんと致しましても、2年は確かにちと怪しい面もあるかもしれない(量的緩和の時だって2年は0.25%とかまで上昇した事があって、その後にコミットメントの明確化が行われた経緯がある)けれども、まあ市場機能はある程度封殺しながらGCレートなどをベタベタにして3か月くらいの金利は下限近くになっていくのでしょうね、ってな雰囲気を漂わせるような声明文および総裁会見を出しつつも、そこで当座預金残高をじゃぶじゃぶにして来るでもなく、どちらかと言えば市場での自由な価格形成に任せるというスタンスのオペレーションを実施していったという点で言えば、「その気になれば超ベタベタにもできるのにやらない」という面では包括緩和の「誇大広告」という感じがするのは気のせいですかそうですか。

いやまあ勿論の事、市場機能を全部日銀がやるようになるというのもデメリットがあって、そのメリットデメリットを勘案した結果現在のようになったというのだとは思うのですが、そうなのであればそうだという部分をある程度明確化(別に文章にする必要はなくて、今のようなどこに重点を置いているのかが良く判らんオペレーションという状態からもうちょっと判りやすくなるだけで良いと思うのだが・・・)して、スタンスをきっちりとして頂きたいものだと存じます次第っす。しつこいようですが、今の状態だと声明文にある「長めの市場金利の低下」が全然実現できていない所か(米国のせいという言い訳をするのでしょうが)包括緩和実施どころかその前段階まで金利が上昇していて、どこがどう長めの市場金利の低下で時間軸の明確化なのかさっぱり判らんですがな状態で、そらまあ為替と株が今の所フェーバーだったら別に金利市場がどうなっても困る人は少ないとは思いますけれども(というか再投資利回りが上昇するから緩やかな金利上昇およびカーブのスティープ化は派手派手でなければ大きくは困らないのではないかと)、米国市場が反転した時に「包括緩和実施前よりも金利が上昇しているのはおかしい」という話になった場合に、結局のところ日銀が火達磨になって生贄の羊にされる事を恐れているのでありまして、別にイチャモンをつけるのが目的な訳ではないという事については念の為申し添えたいと存じます次第でございます。

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2010/12/14

で、今日は米債が買われて戻ったので債券上昇ですかそうですか。

○5年カレント0.58%とか2年カレント0.23%とか(ただのメモ)

昨日の債券市場は米債売られて戻ってきたらお約束のようにゲロゲロ。更に昼前くらいから米債が売られて後場の寄りで窓を開けて下寄りする始末。先物はまたまた下がるわ、中短期がマーライオンだわで何がなにやらという感じでございましたが、8〜9年ゾーンから手前のうんこ振りと、中期のゲロゲロ感が大変に残念な相場展開となっておったようでございます。

つーかですな、何もここまで親の敵のように売らなくても良いのにとは思うのですが、まー相場が暴れ馬と申しますか、リスク管理状態とでも申しますか、何かそれこそ親の敵の如く成行売り状態になっているような向きがあるんですかねえという感じでして、月曜からまあよーやりますなあという相場でございました。ユーロ円金先も相変わらず堂々の順イールド状態となっておりますし、長いところもまあ良くやりますなあとは思いますけれども、2年の0.230%とか5年の0.580%というのは何か展望レポートだの包括緩和で時間軸の明確化だのという話と全然違う流れになっていると思われるのでございまして、足元金利と政策金利の推移の足し算である程度の所まで想定できる中短期ゾーンをせっせと売るのはそらまあリスク削減モードなんでしょうなあと勝手に想像するあたくしなのでございました。

一方で30年とかやたら堅調ですし、今日入札のある20年も比較的確り。長い所では10年カレントは堅調とゆーのは、よーするにマーライオン状態の向きがケロケロするモノが無い/少ないゾーンだと売りが無い/少ないので絶対水準で見た買い手の買いが相場の下げを抑えているということですね、わかります。

・・・・と誰でも書けそうなメモでスイマセンが、どうせ1か月もするとそのときの状況忘れてしまうのがニワトリ脳のあたくしの仕様でございますのでとりあえずただのメモで勘弁。


○当座預金残高目標もO/N振れも容認しているのだから札割れ辞さずでエエンチャウノ

以下世の中で20人くらいしか注目して無さそうなマニアネタ。

えーっとですな、昨日は金曜実施のオペを久々に気が効いてるじゃんと申し上げたのですが、昨日のオペはまたまた早速微妙なテイストを。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101213.htm

基金買入の短国を微妙に前倒ししたかのような雰囲気で実行しているのは一応短国金利の上昇に気を使ったのかなあとは思うのですが、金曜に16日スタートの共通担保を打ってニーズを集めたというのに何で昨日16日スタートのオペを入れないのか理解に苦しむ。3Mの基金共通担保のロールを入れただけですとまあ受け取る方としては「金利上昇を抑制してGCを押さえつける気は無いのですねえやっぱり」という事になるようですし、そもそも16日の積み初日のところってGCレポ市場での最大の資金の出し手さんである所の都銀さんがギリギリまで資金をあまり出さない傾向があるという事もござんすので、早速GCレートも少々ですが上昇したようでございます。結局GC上昇するのはおっけーという事でしたらどうもオペレーションがなんちゅうか一貫してねえんですよねえマッタクモウとゆー所で。

今月は20日に国債の四半期償還があるので資金需給上では20日に大幅余剰になり、確かにまあ16日の所の供給を厚くすると20日が大余剰になるのはなるのですけれども、そもそも20日の国債償還の所って資金の偏在が拡大する所でもあるので、その時点で資金は大余剰にしておかないとレポレートが上昇しやすくなると思われますが、その辺はどういうイメージなんだか。

もし「落ち着かせたい」「ターム物金利を低位で安定させたい」というのであれば、まずは今の債券市場の構造的にファンディングレートの基本部分となっているGCレートを落ち着かせないと話が始まらないのでありまして(これから利下げしますとか言うのであれば話は別です、為念)、そうするためには債券ディーラーのGCレポファンディングをトータルでオペ調達でまかなえる(まあ人によってはずーっとショートファンディングするのもいるでしょうからミクロで見たら全員が全員という事にはならんでしょうが)水準までオペを打っていくのが吉かと思うのですけれども。

勿論そうやって行くとどこかでオペが札割れとかいう事も起きるかも知れませんけれども、現在は当座預金残高目標を実施している訳ではないので、それによって目標が未達という事にもなりませんし、超過準備付利がある以上、利下げへの思惑が相当程度高まらない限り固定金利オペ(=基金共通担保オペ)が未達になる事も無いでしょう(資金の偏在とかも勘案すると固定金利オペ30兆円になってもおそらくそれだけでは足りないような感じがするのだがよー判らん)し、そもそも論として資金供給オペが札割れになったらそこで麿がドヤ顔で「我々は資金を非常に潤沢に供給しております、その証拠に最近は資金供給を行っても市場からの応札がその額に届かなくなっている位なんですよ凄いでしょう(キリッ)」とコメントすればヨロシアル。

しかもですな、コールレートが下振れをするのを容認していますから、市場で資金がじゃぶじゃぶになってGCが恒常的に0.10にちょっとだけ毛が生えた水準(0.100/0.105)とかになった結果としてコールレートが時々0.06だの0.05だのとかになっても全く問題無い所か、そうなった場合には麿がドヤ顔で以下同文。

然るに、GCは微妙にぶれるわ、コールはろくすっぽ下がらず包括緩和前と何がどう違うんじゃという状況になっているのは如何なものかと存じます次第でございまして、いやまあそら金利がベタベタになると商売上がったりという気もせんでもないのですが(苦笑)鐘や太鼓を鳴らして包括緩和でどうのこうのと銘打っておいて実は超短期のオペレーションは何も変わってませんですよえっへっへというのはやはりこう何と申しますか非常にアレなものを感じるものでございます。

と、誰も気にしないマニアネタでどうもすいません。

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2010/12/13

○2年辺りの金利の上昇を牽制したいのは把握したけど

金曜は米債上昇を受けて、というか米債が上昇したのでやっと買う気になったので、という感じなのでしょうけれども債券市場は威勢良く上昇した訳ですが、その間に2年のケツが重いのが気になるところでございました。つーか場中2年1毛甘とか出合っていたのはナンナンダという所でございまして、この辺の超短いゾーンの戻りが鈍いというのは包括緩和実施後のポジションの積み上がりが大きくてイカレポンチな状況の傷がそれなりに深いっちゅう事でしょうな。

で、金曜の資金供給オペですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101210.htm

何の変哲も無いように見えますが、金曜は年末越えの共通担保を2本打っていまして、更に2本目は16日スタートという微妙に先のスタートで打っているのが気が効いているオペであります。

と申しますのは、足元での資金需要への配慮をしたオペですなあという所がある訳でして、年末越えのニーズはあり手前で落ちる資金に関してはそんなに需要無いでしょ、という点と、足元での資金需要は積み最終日の15日までとその先では当然ながら違ってくるという点を考えたオペであるという事で、まあ要するにこういう感じで年末みたいなイベントの前には共通担保の入札方式の方で3週間から1か月程度(まあ市場の地合いによって違うけれども2か月くらいまで)のオペを入れていくと(まあそれでもショートファンディングばっかりする向きもいますが)市場のショートファンディングも軽くなってGCが落ち着きやすくなると思いますし、この辺の配慮を示してGCレートを落ち着かせたいというのが伝われば徐々に短国の金利から落ち着いてきて2年の0.2%台というのも落ち着いてくるかも知れませんな。

とは言いましても、結局のところGCレートがベタベタになるか、追加緩和への期待が出てこないとタームのリスクプレミアムを勘案してみると中々こう2年とかの金利って下がってくれないのかなあとも思われるところでございます。でもそれって「長めの金利に働きかける」という包括緩和のお題目に対してどうなのという感じがしますが・・・・・

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2010/12/10

禿しく訳の判らん相場展開が続きますが皆様お元気でおられますでせうか。

○底を打ったと思ったら調子に乗って持ち上げて下がったでござるの巻

昨日の債券市場ですがもう何が何だかという大変にカオスな展開。債券先物で言えば寄りから30銭ちょっと上がってまた同じくらい下がって前場引け近くは寄りの20銭上くらいとなり、入札の後は相場が豪快に上昇して70銭位上昇したと思ったら失速して逝き最後は高値から1円近く下がるとかもう訳判りません><;

何か前場から5年入札に向けた調整が入ってまして・・・と言いたいのですけれども、2年とかの中短期ゾーンが入札前の調整というようなレベルを超越した弱さを呈していまして、前場途中の安値近辺で確か2年カレントが2毛5糸甘の0.230%とか先週月曜に衝撃の0.21%とか言っていた筈なのですが(いやまあその間に新発出たから一応2年カレントの償還が1か月伸びてはいるのですが)更に驚愕の展開でして、何か親の敵のように中短期を外している人がおりますなあってな感じでして、5年入札に暗雲が。

でまあ入札の方はクソ大流れするかという懸念程ではない結果となりました(とは言っても前場引けの0.560/0.565の気配からしたら0.565/0.574ですし応札6兆しかなくて大概にうんこな入札だったのですが)上に、市場推計の落札結果で不明札が(たぶん)8000億くらいと比較的多く、いやあやっと投資家さん(まあ要するに銀行さんでしょ)がどどーんとケツ入れをしてくれましたなあという雰囲気になって相場様は上昇。

上昇する間に5年とか10年とかは先物の上昇について行っているようですし、何かこの間に3月限チーペストが挙動不審モードで3限とチーペストの辺りも買いモードになっていましたようで、相場は何か知らんが勢い良く上昇しやがって、さすがに「おいおい先週来時々やってる謎の急反発じゃねえかこんなに戻すと明日また米債次第でヤバイんじゃないの」とか仲間内で言ってたのですが(本当)、13時40分過ぎ(だと思う)の先物高値139円97銭から相場は失速。その後は途中で揉む所もあったようですが、何か引けに掛けて下げるわ下げるわという展開になりやがりまして、引け際は139円とび台まで下がるでござるの巻と。

カレンダースプレッドは拡大した後縮小してまして、素直に読めばショートロールがドカドカ入った後にロングロールがドカドカ入ったという事になるのでしょうが、こちらもまあ久々に良く動きやがりましたなあという感じです。それから先物に関しては、3月限チーペストは同じ償還に3銘柄あるというパターンで、12月限チーペストの289回債のような複数回発行銘柄じゃないのでちょっとした大きな買いが入ったりすると品薄になりやすい上に、昨今の先物回りドカ売られの影響で輪番オペにこのゾーンが結構打ち込まれているものと推測され、まあこちらも色々とありそうな悪寒。


しかしまあ何ですな、後場途中からの下げが正直さっぱりワカランチ会長でございまして、必ずしも昨日の場合は先物主導でもなかったような感じで、その間に現物の売買もそこそこ入っていたような感じですから、どこの誰が売ってるんですか><;という所ですけど、一昨日とか昨日の前場とかの動きとか見てても思うのですけれども、シャッター下ろしモードになっている向きが順番に出てきて循環物色ならぬ循環投げになっているのではないかという悪寒もするのでございます。コマッタモンダ。

何せ昨日の場合は5年国債入札がちょっと悪かったけれども、これはどう見てもバンク様ケツ入れです本当にカムサハムニダとなって相場も戻って安心感を漂わせて来た所にいきなり大鉄槌下るの巻という諸葛孔明の罠のような展開になってしまいまして、いやはや参ったとゆー感じではございました。昨日は後場の上げが途中から上げすぎだし、余計に上げたら今度は売りを誘発して余計に下がったでござるという感じかなあと思う次第でありまして、おじちゃん怒らないから昨日後場カチ上げ買いをした人ちょっと出てきなさいとゆー所でございます(−−;)。

つーことで相変わらずチョッピーな展開なので落ち着きませんが、米債様が落ち着いてくれたのかどうか知らんが昨晩はそんなに引け対比だけは動いていませんしそろそろ落ち着けやと思うのでありました。

#何の考察も無いただの相場後追いメモでどうもすいません


○2年カレントの引けが0.220%ですかそうですか

つーことでさっき書きましたように相場は何が何やらの素敵なカオスになっているのですけれども、その間に更にワカランチ会長なのは2年とかのゾーン。

昨日は前場中期の売りもさることながら2年とかの短い所も気配を下げまくりまして、カレントが0.23%ヒットとかやっておる訳でして、時間軸の強化とかより長めの金利の低下を促すとか何処に逝ってしまわれたのでしょうという大変にビューテホーな展開になっております。いやあ日銀様の庭のお向かいさんが大火災でボーボー山のボーボー鳥という風情となっておりまして、いやまあ米国貰い事故の面もあるにはあるのですが、そもそも包括緩和実施以降にあのステートメントの文言で普通に想定できるシナリオの「GCレートは0.10%カツカツでベタベタ、無担保コールは0.08%とか時々0.05%近くまで低下するかもね、まあマーケットは縮小するけどシャーナイナイ」という流れを見事に裏切るGC市場機能重視(??)オペレーションを実施して延々とGCがぶれるのを容認した結果、期待で積みあがったポジションの解消とかも入りだしてゲロゲロになりましたなあというのがありますので猛省を促したい所であります(まあ為替円高と株安の方は一服してますが、今の金利状況でもし為替と株が反転しだしたらどう見てもナントカ経済新聞を筆頭に日銀を釜茹での刑に処すべしというキャンペーンが打たれると思いまっせ)。

まあしかしここまで壮麗に崩壊してしまいますと、そう簡単に戻ってくれるわけはござーませんですわなという感じでして、昨日はまあ6月/12月利払い債の振替停止期間入りに関わる売買最終日の絡みもあったと思いますが、レギュラーネクストのGCは0.09%台に低下しているというのに、そんなのお構いなし状態の2年売りモードという事でございましたし、年末越えのオペは相変わらず0.11%の札が中心ですから必ずしも全部が全部金が余っているわけでもございません。短国買入も甘め(ただしこれは引けが強い分甘く見えるというテクニカルな分があるのでそこは割り引いて見る必要がある)でしたし、全体的に重かったりするんですなあという展開に落涙を禁じ得ません。

もうね、とりあえずオペをどどーんと出すとか、長めのオペ打つとか(基金共通担保の固定オペじゃなくて)、まあ足元でクーポン物の関係で国債の担保玉が薄い所なので超足元で別に金が無い訳ではないと思うのですが、まあここは一発何か危機感持ってますよ的な姿勢を(先週前半の当座預金20兆円攻撃みたいに)見せて、まあ見せたからといって直ぐに中短期ゾーンが落ち着く訳でもないでしょうけれども、大火災ボーボー状態を拱手して居る訳ではないですよという姿勢で落ち着きを取り戻させるようにしないと。長期とか超長期はまあ米国もらい事故で言い訳できるけど、さすがに基金買入を新設して「2年までの国債を新規に購入」と銘打っているのですから、2年の金利が包括緩和前どころか年初来最高水準に上昇しているというのは何ぼなんでも日銀としては言い訳が苦しいと思いますけどね。

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2010/12/09

お題「5年0.5%とか2年が再度0.2%とかまあ色々雑談を」

金融維新とかいう著書で「銀行預金は経営者が個人保証すべきだ」などと大層威勢の良い事を仰っていたお方が保釈保証金の供託能力がおありになるとは摩訶不思議な話ですなあ(ニヤニヤ)。

てな話はまあいいのですが、米債2年って0.6%なのね、ふ〜ん。

#しかし財政拡張ネタ(なので財政による景気拡大もあるけど財政懸念ネタもあると思うのだが)で米国長期金利上昇しているのに「金利上昇でドル買い」とか反応しているのは何っちゅう反応だよ為替市場・・・

○ゲロゲロなのは中期とか先物とかっすかそうですか

昨日の債券市場ですが、米国債券が大甘となった事から下落して推移した訳ですが、昼以降に米債がヘロヘロ(30年が4.4%とか10年が3.25%とか)になっていたり、輪番オペの超長期対象が前場の引けのビットサイドの向こう側の決着になっていたり、3か月TB入札がまさかの滑りの結果となってみたりとか、まあ微妙に雰囲気を悪くするネタが相次いで、先物が140円50銭切った辺りから下げが加速して安値更新してから更にゲロゲロに。押し目買いとかで戻ったりする中で中期の戻りがやたら悪く、如何にも中期に売りが出ましたとゆー動き。

んでまあ引け値ちゃんを見ますと2年が2.5毛甘の0.205%とまたまた日銀の庭先がボーボー炎上してますよ!!!という所でございますが、5年は華麗に10毛甘の0.515%となり(新発のWIは知らん)先物ちゃんの所はチーペストで12毛甘、先物価格では111銭安となって、10年カレントが7毛甘の1.240%とゆーことで10年よりも5年の方が甘いと言うお洒落な展開。どう見ても中期ゾーンぶん投げ大会です本当にありがとうございました。

先物ちゃんも何かカレンダースプレッド拡大してやがって(7年10年が5毛フラットしとるちゅうのに)当限が最終日前日だから先物に売りを被せる人が当限叩き売ってすかさずカレンダーでショートロールを入れて来るとゆーよーな動きがあってカレンダーが妙に拡大したのでは無いかと勝手に妄想するのであったりするあたくしですが、単なる妄想かもしれませんので念の為(^^)。

ということで、5年が何と0.5%乗せとなってしまった訳ですが、本日は償還が3か月伸びる新発5年国債ちゃんの入札でございまして、頑張ってここから3毛位甘くしたら夢の0.6クーポンまで展望できる(いやさすがにそれは無いと思うが、笑)というおそロシアな状態になっておりまして、包括緩和とは一体なんだったのかと(ちなみに包括緩和決定翌日の5年カレントの引けは0.20%でございましたが^^)いう所ですわな。


○3か月TB入札が滑っているのが気になるのだが

昨日の3か月TB入札結果。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221208.htm

(1)応募額 16兆1,912億円

(2)募入決定額 4兆3,994億8,000万円

(3)募入最低価格 99円96銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.1253%)

(4)募入最低価格に 2.3533%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円96銭6厘6毛
(募入平均利回り ) (0.1231%)

前回債は入札が流れた後でセカンダリーが好調だった事から0.12%ビットサイドとかやっていたりもしたのですが、入札は想定していた足切り水準よりも流れた(まあ按分極薄ですけれども)ですなあという感じで、まだ0.12%台なんですかそうですかという風情。

昨日の資金供給オペでも2本あったうち16日に落ちる方は0.100%でしたけれども、1月6日エンドの方はがっつり0.11%の札が入って平均落札利回りは0.111%(足きりは0.10%だけど按分極薄)に上昇していまして、まあ端的に申し上げればこの結果は日銀のオペによる資金供給姿勢に関して、「この前は厚め供給をして2年0.20%乗せに対応したけど、どうせ金利が落ち着いたらまた資金供給を引いちゃうんでしょ」と市場が認識していると言う事を示しているでしょうなあと思われる次第です。

即ち、足元では積み最終が近づく中で資金は余っているものの、次の積み期間になったらどうなのよという点とか、20日の国債償還に伴う資金余剰によってオペ残を落としてくるんでしょうなあという事を考えていますなというところでして、当座預金残高に関しても先週は20兆円ペースに拡大しましたが、レポレート下がったと思ったらあっさり18兆円割れペースになってきて、その間にオペが徐々に落ちて来てますし、まあそんな動きを見ていたら日銀のオペでGCをベタベタに押さえつけるというような動きが想定しにくいのは当然ちゃあ当然。その上追加緩和期待が皆無の今日この頃でありますから、そらまあターム物金利には当然ながら足元金利に対して期間のリスクプレミアムが乗りますわなという所でありまして、まあ要するに市場機能論とターム物金利の引き下げという話は両立しないんですよとっととどっちにするのか決めやがれとゆー毎度の悪態になるのでござました。

しかしまあ長期とか超長期は米国貰い事故で話を済ませても良いのかもしれませんけど、2年0.20%とかはやはり包括緩和実施時に示した金融政策運営に関する公表文の内容と話が一致しませんし、この辺りの金利が不安定、っつーか上昇している事が中期ゾーンの金利がアンカーされない事に繋がり、本来米国が少々動揺しても問題なかった筈の中期ゾーンに壮大なぶん投げ祭りを巻き起こしたとも言える部分は多々ございますので、もうちょっとその辺何とかならんのかねとは思うのですが、オペで工夫するって言いましても一旦「包括緩和で長めの金利に働きかけるって言ってたのは嘘八百だったんですね」と信頼を失ってしまった市場の信頼を取り戻すのはそう簡単に行くものではないですし、そもそもGCレートをずーっと押さえつける気も無さそうですし、そう考えますと中短期のアンカー度合いが強化されるのには残念ながら時間が掛かるかもしれません。

普通に考えたら時間軸もあるし中短期の今のレート形成ってどうなのよとは思うのですけれども、何せ市場の動きが普通じゃないですからねえ・・・・

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2010/12/08

うーん、株高でウヒャウヒャ言うよりも債券大下げの方がどうかと思うのだが、まあ不景気の株高でもええっちゅうなら別に良いのかねえ>モーサテの皆様

#と思ったら引けでダウマイナスになってやんの

○さあ盛り上がってまいりました!!

ブッシュ減税延長ネタで東京時間の昼間では10年米債が5毛甘程度だったと思うのですけれども海外時間になったら随分売り込まれたようで誠に香ばしい展開。30年が4.37%(13甘)で10年が3.13%(20甘ですと?)2年が0.53%(10甘)とか中々お洒落な展開ではございます(細かい数字は丸めているので勘弁)。

時あたかも先日の雇用統計が(陰謀論になってアレなのだが、最近の雇用統計は債券市場を動かそうとして最初の速報時点で微妙に手心を加えて後から改定しているのではないかと思ってしまうくらい絶妙な数字の出方をするんだが^^まあそれは兎も角)少々アレな数字でございまして、バーナンキ先生が「長期国債買入を更に拡大する気満々」という発言をした後でございまして、どう見ても通貨安政策です本当にありがとうございましたという風情でございます。

つーかさ、長期国債の買入で失業が改善するというのがサパーリ判らんのでありますが、まあ長期国債買います財政拡張しますで債券市場がビビットに反応というのも実にこう昔々の日本を思い出すのでございますけれども(^^)、市場の反応が通貨安政策的な反応をしている市場を見ますと、先般のバーナンキ議長がECBのコンファランスだか何だかで行った講演がお笑いに見えてくるのだが。曰く、

『Fully aware of the important role that the dollar plays in the international monetary and financial system, the Committee believes that the best way to continue to deliver the strong economic fundamentals that underpin the value of the dollar, as well as to support the global recovery, is through policies that lead to a resumption of robust growth in a context of price stability in the United States.』
(At the Sixth European Central Bank Central Banking Conference, Frankfurt, Germany November 19, 2010)

まー大体からして失業率がそうホイホイと改善するわきゃあ無いですから、こうなって参りますと、失業減らないのはQE2が足りないせい→QE3催促相場→QE3実施→失業減らないのは・・・・となりながらイールドカーブが華麗にスティープして元々の政策波及効果として説明している長期金利の低下という話がドンドン遠のくという楽しい話になるのでしょうか。

いやまあ物理的に買い捲ればそこまでのゾーンの金利は下がるかもしれないけど、30年は買い対象に入っている訳でもない(ちょっとしか買っていない)ですし、そもそもその前に財政マネタイゼーション懸念(つーか既にマネタイズ状態だが)から米国債買わねえよとか海外が言い出したらどうすんねんという所ですが、そうなった場合はもしかして国際決済通貨が日本円になるという胸熱の展開・・・は外準がその頃大幅毀損しているから無理か、残念無念(^^)。

まーいずれにせよ、実験室で数ミリグラムのオーダーで実験するようなもんではないですから、あまり盛大な実験をされても迷惑する人が多いのですけれども、米国はどうなるんだかという感じですな。


いやまあ欧州も大概に香ばしい事になっているのですが、これは不良債権処理の押し付け合い問題という話になっているので、ゲルマン野郎はちゃんと負担をしやがれと申しますか、アングロサクソンやらゲルマン共目線の報道を見ていると、南欧諸国に対する上から目線的なものを非常に感じるのでありまして、まあ貧すりゃ鈍すじゃないですけれども、北側の皆様が潜在的に持っているその辺りの意識が思いっきり露出してきて話が更にややこしくなっているのではないかなあなどと、個人的にはラテン系に親和性が高いあたくしは思うのであります。

まー現状ってのは救済などによって更にユーロ通貨圏の経済的な実質的な統合が高まるのか、それとも各国バラバラに戻って昔の大陸欧州に戻るのかという瀬戸際にあるんでしょうなあなどと柄にも無い大げさな事を思うあたくしなのでございました。スペインペセタとかポルトガルエスクードとか懐かしさにこれまた胸が熱くなる展開ではございますが。


ということで、まあどうでも良いのですが、日銀様に置かれましては米国ドルの財政マネタイズ系から来る恐怖のドル安リスク(さすがにそれをやると米国が輸出で潤う前に輸入物価と商品価格がスパークして死ねると思うので、よーやらんとは思うのだが・・・)も何となく感じられる事でもありますので、とりあえず自分の所の市場機能論的なGC上昇放置オペのような短期ゾーンのターム物金利上昇を誘発するようなトンチキオペをして隙を作るような事の無いように心からお願いしたいものでございます。

#日銀のオペがGCをベタベタにする気があるのか確信もてないので3か月だの6か月だのの短国の金利がイマイチ下がらないんだと思いますよ

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2010/12/07

○各種市場雑感

・先週末に社債買入オペがあった訳だが

すいませんすいません今更ですいません。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101203.htm

出来上がりの日銀購入レートの平均が0.181%で足きりが0.151%(按分は極薄ですが)という事ですが、2年カレントの金曜の引けが0.185%とかでござんしたので、まあ1年から2年のどこを入れるかにもよりますが、うっかりすると国債アンダーで日銀様お買い上げという中々結構な結果。

最初はもっとアレな銘柄をどんどん打ち込んでレートがそこそこ高いという流れになるかいなとも思わないでもなかったのですが、現実問題としては社債買入やる以前からクレジットスプレッドが縮小していて、かなりの銘柄のセカンダリーでのスプレッドが潰れていましたので、そもそものコストがそんなに良い訳でもないですから突っ込む物もそんなに無かったということですかねえ、よー知らんが。

ところで、話としてデリケートだから書きたくは無いのですが、一応申し上げておきますと、個社名を挙げて日銀の買入の対象になったならないという報道をしているベンダーがいるようなのだが、これクレジット市場の環境が良いから結果的には大きな問題にはなっていないようですが、平場でこんなのが報道として思いっきり表に出てしまうというのは、世が世ならテロ行為に等しい事案でありまして、報道機関としての節度もへったくれも無い(だから他社がこの件で追随報道をしない)行為にも程がありますし、報道するベンダーもベンダーだが、そもそも論から言えばどこかのどアホウがベンダーに話をしないと案件が始まらないのであって、そういうマターをベンダーに軽々しく話すアホウは市場に関わる人間として失格でありまして、話した数名のお方(元ニュースによればそう書いてあった)におかれましては可及的速やかに西方浄土への片道旅行をお勧めしたいものでございます。

#本件はスルーしたかったのだが、昨日もその1社だけ続報をドヤ顔で打ってまして、問題を全然認識してないと思われるので晒しageという事で

という話はまあ兎も角としまして、まあレートが比較的強い所まで入っておりますので、これだとAA格とかの銘柄でも十分ワークしそうでございまして、まー次回はシメシメとばかりに仕込が増えるのかもしれませんが、その時点で国債の金利の方がまた前のように低下しているとスプレッド的には美味しくなかったりするので(絶対金利的には美味しいが)、そのあたりをどう評価するのかはよーわからんです。


・GCレートの件

えーっと、先週後半にはGCレート華麗に0.10%割れとかもあったようでございますが、まあ昨日はとりあえずショートカバー的なビットが一巡したところで0.10%から0.105%とかいう感じのようです。足元でオペ残高が(買入と成長基盤強化を除いて基金共通担保を含む)44兆円ペースまでつみあがりましたので、業者のGC要調達額がオペで充足する形になり、0.12だの0.13だのでのGCでの資金調達ニーズが絶滅し、業者の全体のポジションがGCでの市場運用超になった事からレートの方は落ち着くでござるの巻。

今月は日銀券が月中で5兆円以上の不足地合い(日銀の公表した見込みによると前年比で6000億円の不足拡大になるのですが、今年は年末がロングじゃないですけど不足拡大というのは単純に営業日の問題なのか、実は経済活動が上向きで券の流通が活発化しているのかというのがちょっとだけ興味があります、どうでもいい話ですが^^)見込みになっていて、財政は3兆円弱の余剰地合いでトータルの資金需給は2.3兆円程度の不足超になりますから、まあ資金供給オペは入れやすく、オペ残は自然体でもそこそこの額になりますにゃ。ただまあ、個別の日足を見た場合には20日に財政の払い超が5兆円以上見込まれていますので、ここでオペ残を自然体で落としちゃうと微妙かなあという感じがしますわな。

結局のところですね、基本的にGC市場のレートを落ち着かせたいというのであれば、業者のGC要調達額をオペで充足させる形にして、トータルで見た業者の資金ポジションがGC市場での資金運用超になるようにしておかないと、結局のところ何らかの拍子でGCレートが上がる→資金出し手の目線が上がってしまう→そもそも資金の出し手が頭数少ないので直ぐにレートに反映→最初に戻る、という金利上昇スパイラルに嵌りやすい構造は変わらないと思われる次第。最大の資金の出し手の大手銀行さんが「0.105%じゃないとGCで資金出せませんと諦める」というような状態にならないと落ち着くというのはムツカシヤという事で、即ち「超ベタベタ状態」と「何かあったら突如金利上昇スパイラル」というどっちかしか選択肢が無いという希ガス。

で、金利コントロールしようとしても、先般申し上げましたようにGC市場って足元の資金供給オペにビビットに反応してくれない(先日付取引なので致し方ない)ので、「金利が跳ねる」→「慌てて資金供給を増やす」→「金利が下がるまで少々お時間が掛かる」→「その間に資金の出しすぎになる」→「金利が急低下」→「安心して資金供給を引く」→「気がついたら引きすぎになる」→「最初に戻る」の繰り返しという香ばしい流れに一旦嵌ると永久機関状態になりやすいので注意が必要という話ではございますな。うんうん。

ま、目先は直近のGCレート上昇放置プレイに起因する2年金利0.2%への上昇という事に関して日銀ちゃんがどの程度自分の所のせいなのよという認識をしているのかとか、それに対してマズーと思っているのかいないのかとかゆー所を今後の日々の調節を見ながら見極めていく展開という中々お洒落な日々になりそうではございます(ニヤニヤ)。

#また世の中で気にしているのが30人くらいしかいないネタになってしまったorz

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2010/12/03

○短期市場が面白状態で振り回される1週間ちょいでありました

・・・・ありましたって申しましてもあと1日あるんですがorz

さてさて、昨日のGC市場ちゃんにおかれましては、何かよー知らんのですけれどもGCレートが益々低下して0.10%とか0.10%切る勢いの水準と言うことのようで先週後半に金利が上昇して連日あたくしが湯気ポッポーになっておりました流れの真逆のような展開。

水曜に入札が行われた新発3か月TBに関しても昨日は0.120%が堂々のビットサイドで、0.11%台後半のどこか(よーわからん)が居場所だと思いますが、1日にして入札の落札レベルから1bp近く動いた計算になる中々お洒落(1bpってまあ他の市場から見たら屁のような数字ですけれども、その1bpでヒイコラ言うのが短期市場(特にキャッシュの)クオリティでございまする)な動きになっております。まあ足元GCが見事なまでの低下した割には1bpで済んでいるとも言えそうですが、あまりにも低下がどどーんと来たのと、これがどの位持続性が有るのかっていうのが結局のところ日銀の資金供給オペ次第という所があるので、こんなもんなのなんでしょうかね、よー知らんが。

と言う訳でございまして、先週金曜辺りからせっせと資金供給を実施して、基金オペの2回目を月曜に(やっと2回目というのも何なのですが)実施してという形で衝撃の2年0.20%乗せに対して資金供給オペで対抗した成果が出たというのか、資金供給オペが増えたから資金の取り手が急がなくなったのか、税揚げの資金繰りが見えてきたからバンクの資金がきっちり出てくるようになったのか、どこが主因かよー知らんですけれども(まあ資金供給オペがしょぼいとレートは下がらんというのはあるけど)、GCがすっかり低下しちゃいましたなあという所でござんすけれども、先般湯気ポッポーで悪態つきまくった時に申し上げたように(^^)、GCレートが上昇した後に低下させるべく資金供給を実施したら今度は資金供給攻撃が効き過ぎてレートが禿しく低下という楽しい事態になりましたな。

しかしここで安心して供給を引くと、またまたカウンターアタックになるのでございまして(^^)、まあ要するに本来的に言えば当日スタートの無担保コール翌日物と、スポネだのレギュラーネクストだのが主体のGCレポ取引では資金供給での微調整の匙加減が違うと言う事でして、どどーん即日オペで動かせば即座に需給がぶれてくるので少々上昇(低下)したのを見てから牽制供給(吸収)を打ち込めば良いというもんでもなく、もし安定させたいのであれば「金利が跳ねた時点で負け」という認識でオペレーションをして頂きたいもんだという所であります。

いやまあそこは市場機能ですよ、って言うのなら別にそれはそれで良いのですけれども、包括緩和の趣旨から言って(以下いつもの悪態なので詳細割愛^^)。まーあんまり足元のGCレポレートを乱高下させない方が宜しいのではないかと存じます。いやまあ乱高下してくれた方が商売的にはウマーな部分はあるんですけれども、包括緩和で長めの金利を下げますという金融政策の趣旨からしてもそうですし、大体からして足元で円高も株安も止まっているから良い様なモンで、これがまた反転してきたら包括緩和政策実施後に(長期金利はまあ言い訳できるから良いけど)短期国債やら2年の金利が上昇しているというのに注目されて「日銀何やっているんだ」と円高やら株安やらが復活した時にその全責任がおっかぶさってA級戦犯扱いで絞首刑になるだけの事でございますので、やはりまあ如何なものかと存じます次第ではございます。

いやはや、しかし本来無風な筈の短い所で1週間以上市場ネタを引っ張る事ができるというのは想定外にも程がある動きでございました事よ、ふー。

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2010/12/02

○まあ入札があった訳だが

昨日は10年の入札と3か月の入札があったのですが、10年入札というのに前場から中期(5年)が強くて、前場の途中からは10年も堅調となって入札となったのですが、落札はちょっと流れてしまい、1.2%クーポンの100円ヒット!!と思ったらいきなりそこから怒涛の切り返しという最早何が何だかわからん展開でした。まあ何か強い相場でしたねえという所でしたが、10年もさることながら、昨日は中短期が強かったので何か良い感じになったかなあと思ったのではございますが、一晩明けてみると米国10年債が17毛甘とか訳の判らん事になっているのでまたワカランチ会長に(汗)。

で、まあそれはそれとしましてマニア注目の3か月TB入札ちゃんの方はと申しますと、前場引けの所で0.125%はオファーサイドだったのと、前日はGCは低くて2年とかも戻ってきた中でも1年ゾーンは重くて6か月から手前のTBも売り物勝ちだったというのもありまして、入札そのものは0.128%レベルの所まで足切りになるかもというような話もあったみたいですけれども、蓋を開けてみたらその1つ上の刻みの所で足切りになるの巻。

んでもってセカンダリーも絶好調で0.125%どころか最後は0.120%のオファーも無くなるでござるの巻となっておりまして、そらまあGCレートが連日の資金供給および税揚げの資金繰りも見えてきましたねとかいうような諸々の要因でGC市場ちゃんにおける資金の巡りが良くなってきたことがサポートとなって0.10-105レベルまで低下しているっぽいので、買いの勢いがつきましたねとゆー所かと。

でまあこのGCレート0.105%辺りというのが安定的に続いてレートがベタベタになるのならば更にタームの方は安定化するのでしょうけれども、まあそこまでホンマニヤルンカイナという所に関しては微妙な気もする次第でございます。市場機能維持という名目でGCの振れを容認するのか、それともターム物金利の低位安定化を目的にGCを押さえつけるのかというまあ二律背反のどっちを取ろうとしているのかはよー判らんですからね。

ま、ここ1週間ほどの流れを見ておりますと、とりあえず2年の0.20%乗せは日銀的にはマズーだというニュアンスは判ったのですが、何せ昨日軽めの悪態と共に引用した総裁様の記者会見だと2年金利上昇しても海外のせいでおじゃるそんなのは知らないでおじゃると読めそうなコメントをしているのが実にこうアレな訳でして、その辺の麿総裁様のご意向を忖度致しますと、ここもとのオペレーションだけで「やあ日銀はやっとGCを押さえつけるんですね」と安心するのも早計のような気もせんでもない訳ですな。

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2010/12/01

○さて10年入札と3か月TB入札

昨日は何か知らんが中期が復活して超長期が弱いというインデックス長期化(+0.16年なので若干長め)の月にしてはなんですねんという展開でしたがまあそれは良いとしまして、今日は10年カレントが1.2%水準での入札ちゅうことで、だいたい地合いが悪くなると急に買い手がいなくなる(中期は銀行で超長期は生保というコア投資家がいるのだが)というお洒落なゾーンではございますが、今回は新発の償還が伸びますのでカーブの分だけ見た目利回りも高くなりますし、さてどうなるんでしょという所ですが、正直言ってどうなるのかは知らんがな(じゃあそこまでウダウダ書くなという突っ込みは却下^^)。

とか何とかダラダラ書いて頭のエンジンを起動したところで(おいおい)マニア注目の3か月TBちゃんの入札な訳ですが(^^)、昨日の短い所の動向はと申しますと、さすがに0.2%台の2年カレントというのは何ぼ何でも物価安定の理解と展望レポートの見通しを合計した場合に、一旦買ってみても負けはせんじゃろ(勝つかどうかは判らん)というところでの買いでも入ったか、2年カレントの引けは0.190%とかに低下しておりまして(つーか5年が強かったのでその影響かもしれませんが)、日銀の資金供給がやっとやる気らしきものを出した件も効いて来たかいなという感じっすけど、GCレートの方も0.11近辺とか超足元だともうちょっと下の水準とかになってきたのですが、短期国債自体はまだちょっと重いのかイマイチな状態だったようです。

てな訳で3か月TB入札を迎える訳ですが、まあ既発の感じからしても入札レベルが0.12%に乗せるというあたくしの記憶(と帳面)によれば半年以上前の水準に戻ると言う大変に胸の熱くなる状況な訳ですが、とりあえず0.12%台後半(話が細かくてスイマセン)のどこかで止まるってえ入札にはなってくれるでしょうという位のイメージしか沸かないのであります。まあここもと長期どころか中短期まで豪快な売りが出ていたような感じもございまして、その分の金が短期ゾーン最大の流動性を誇る3か月TBに流れてきても別におかしくは無いので、そーゆー金でも入ってくれば(カレンダーベースで月も替わりますし)そこまでコケないかもしれませんが、まあ昨日も売り物勝ちという感じだったですし、税揚げが明日なのでそこまでは資金繰りが読みにくいといのもあるでしょうから、まーそんなに劇的に強くなってくれるとも思えませんし・・・・

ということで、結論としてはどっちの入札もどっちに転ぶのかのイメージがよー判らんというのは別にあたくしが寝起きでボケているからというわけではございませんで(と思う^^)、ど〜も足元の相場ちゃんの動きって、一つ一つの動きは、例えば「中期に買いが入ったみたい」とか「短国が重いみたい」とか判るのですが、それが「ど〜してこのタイミングなのこの水準なの」ってのがサパーリ判らんがなというワケワカラン動き(と言うときは基本的に「お家の事情による」という事が往々にしてあるのでしょうなあと思いますけれども・・・・)になっているので、実際問題として足元の需給ってどうよというのを確認するのに丁度良い(特に長期ゾーンの入札は先々週の20年以降暫く無かったので)のかなあという誰でも考えるような当たり前の雑感をウダウダと書いてどうするという所ではございます。

まー10年の方は知らんが(おいおい)、短国に関して言えば、足元2年が0.20%とかまで上昇という素敵な展開を受けたのか受けないのか知りませんが、オペがその辺を意識しているのかも知れませんなあ的な動きになっている訳ですが、そもそも市場機能とやらを意識してGCレートがある程度ぶれる事を容認するようなオペレーションスタンスそのものが変わらないというのであれば(つまり今はタームが上がりすぎたから下げるけれども有る程度下がったらまた放置プレイに戻るという事ね)GCが0.11〜0.12で時々0.13とかいう状況だったら3か月は0.12位貰わないと間尺に合わないし、それより長いところはタームプレミアムが乗ってくるので、別に1年0.15で2年0.20でもタームプレミアム分ですから勘弁してね(はあと)という事になりますから、その辺明確にターム金利を潰しに行くのか、GCの日々の振れを容認するのかをはっきりしてくんなましという所ではございますわな。

#いやまあ追加緩和期待があれば足元が振れてもタームは低くなりますがね


○白川総裁講演を飛ばして会見の方を先に(つーかメモね)

講演なんですけど、香港の方もそうなんですけど、足元の円高傾向一服と株価の下落傾向一服にすっかり安心して毎度お馴染みの麿節と申しますか、低金利政策の長期化予想が金融の不均衡を招くでおじゃる的な、それは正論かもしれないが包括緩和を強力に推進すると言う状況でその話はせんで宜しいがな的なテイストを感じるものだったりするのでその悪態は後日(^^)。

会見につきましては、昨日ブルームバーグの記事から引用したネタの内容を確認しておきたかったので(^^)、当該部分をとりあえず引用するでおじゃる。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1011c.pdf

最後から2番目の質疑応答が素敵です(^^)。

『(問)先ほどの長期金利についての質問と多少重なるところがありますが、新発2年債の利回りが本日0.21%と、昨年以来の水準に上昇しています。この2年債の利回りは、日銀がやや長めの金利を低めに誘導するという政策目的の対象になっている金利だと思います。先ほどはもう少し長めの金利についてコメントをされていましたが、こうした2年債金利の上昇は、あまり問題視されていないという理解で良いのでしょうか。(後半割愛)』

これはこれは(^^)。

『(答) 最初の点ですが、金融市場は非常にグローバル化していますから、各国の国債の金利はグローバルな動きの中で変動しているという側面があります。これはFRBについてもそうですが、実際に国債の買入れを行った後は、金利が上昇しています。もっとも、だからと言って国債買入れの効果はないということではありません。やはり国債の買入れ自体は金利の低下要因になっていると思います。』

国債の買入どうのこうのじゃなくてお前らの市場機能重視だか何だか知らんがGCの振れを容認するオペレーション&追加緩和期待の後退がタームプレミアムを復活させているのですけれども。

『日本銀行の国債買入れも、長めの金利に働きかける中で、相応の影響を及ぼしていると思っています。ただし、先ほども申し上げたとおり、日本銀行の包括的な金融緩和政策は、これだけ金利水準が下がっている中でどのように政策効果を出していくかということで考えた政策ですから、是非パッケージとして捉えて欲しいと思っています。』

全く意味が判らん。これでは2年金利の上昇について別に懸念していないという風にしか読めないのだが・・・・

2年というのは日銀の庭先の隣くらいのゾーンでもありますし、質問にもありますようにそもそも包括緩和による基金買入という「リスクプレミアムの低下を促す」という新しいコンセプト(=従来の「成長通貨供給」ではない)による2年以下の国債購入を行っているのだから、その政策意図からすれば「足元での2年金利の上昇に関しては包括緩和政策で意図する方向とはやや違った動きを示している」とか何とか牽制するような話でもするのじゃねえのかという所でありまして、こーゆー事を麿が言うもんだから折角の思い切った(ETFにJ−REITにBBB格の2年社債の買取って買っているものの質から言えば随分と頑張った政策なんですよ、量の話しかしない人が多くて困りますが)政策の印象がしょぼくなるという点に関しては、まあ「この正直者!」というのは人間としては好感が持てますが、折角の政策に自分で火消ししてどうするんだという事で、可及的速やかに福井の俊ちゃん辺りと一緒に階段落ちして中身を入れ替えて頂きたく存じます次第でございます。

#いやまあ白川さんの話も良いんですけど、こーゆー火事場モードにおけるインチキパワーに関しては俊ちゃんの方が一日どころか百万年くらいの長がありますので

ああ今日も悪態になってしまったorz

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2010/11/30

○2年が0.2%乗せてみたり基金買入のレートが華麗に0.2%になったり

昨日の債券市場は何かさっぱり判らんのですが先物回りが一人旅のように堅調推移。長期ゾーンまでが比較的確りで超長期は妙に弱いのですけれども、まあそれはそれとして昨日も香ばしいというか何というかなテイストを醸し出していたのが2年ゾーンとかの短期ゾーンでございます。何せ昨日は一時0.21%が出合った(1毛5糸甘)というような素敵な展開になったらしいのですが、昨日は週末の厚め資金供給が継続した事に加え、基金買入での2年以内国債買切オペを1500億円実施致しまして、そちらの落札利回りは日銀の買入レートのベースで0.202%平均の0.201%足切りという素敵な結果。しかもこれって良く考えたら新発の299以外の銘柄でこのレートになっているのですから中々良い感じの遠投モードでございます。

恐らくその遠投モードの影響とかもあるのかなあとは思うのですが、ユーロ円金先は久々の順イールドが拡大していまして、足元のユーロ円TIBOR3か月金利よりも高い利回り(=値段は下落)となっておりまして、いろんなもののヘッジが打ち込まれており、そのヘッジ玉が大量に押し寄せて来るので、0.4%という絶対水準はどう見ても買いです本当にありがとうございましたという根来鉄砲衆が羽柴秀吉の大量の軍勢に圧倒されて絶賛大敗走となるの図というテイストも醸し出す金先市場というのも大変に物悲しい次第でございます。

まあそれはそれとして、1500億円ほどレーザービームで日銀にブツが投げ込まれた後暫くしたら13時の供給オペも引き続き厚めの供給を行ったのが好感されたのか、それとも連日の供給に加えて基金買入の国債購入を実施したのでやる気がちったあ有るのかということになったのか(基金買入の国債購入って実施要綱を決定した直後の11月8日に1回目を実施したのは良いのですが、その後は6か月掛けて購入というスケジュールをきっちり遵守するということで2度目が出ていないという状態でしたので・・・)はたまたさすがに時間軸から考えて0.20%乗ってたらさすがに負けはせんじゃろという事なのか存じませんが、若干買いも入って戻ったようで、2年カレントの引け値は0.200%となっておりました。

ただまあ相変わらず日銀の庭先である筈の1年ゾーンとかもうんこになっておりまして、来年11月償還の2年286回債は0.150%の引けとこれまた素敵なレート。今月は債券インデックスの年限長期化が0.16年程度と若干長めになりますので、それに対応してインデックス落ちの1年近辺債券の売りがどどーんと出ることが予想されるのですが、何せGCレポレートがこの前まで連日悪態をついた状態になっており、また中期以降の債券はまだ投げっぽい動きもあって(そろそろ止まると思うのですが)全般的に重いという状態になっておりますので、持っているのも中々しんどいという事で、それなら暫く持っていられるレベルまで甘くしておかないと厳しいっすという事でここまで甘くなったんでございましょうなあという所で。

とまあそんな状況ではございますが、とりあえず12月は年末(および外資系の決算月)という事もあるので厚めの資金供給をするのかなあと思わせてくれる動きになっているので、その辺りのスタンスが確認できましたらGCの目線も0.12辺りから0.105-11とかに下がってきて、徐々に短国のレートが落ち着けば先のほうにも波及してくるとは思うのですけれども、まあやっぱり年明けたら市場機能がどうのこうのスタンスになるリスクもありますし、そもそも連日悪態をついたように「包括緩和で長めの金利の引き下げを促す」というのが実際に日銀が出来るGCレポレートの低位安定をさせるという行為を伴わないというやるやる詐欺でしたねという認識がレポなどの方面で定着しつつあるんじぇネーノと思う(あたくしのお友達に聞いて回っているだけなので類は友を呼んでいる可能性が高い点には留意が必要です、為念^^)のでありまして、包括緩和実施当時に期待されたような2年くらいまでの金利がベタベタになって低位安定するでしょう、というのは(問題が日銀と市場のコミュニケーションの断絶に起因するものだけに)少々時間が掛かるのかもしれませんなあという所です。

でまあそんな中白川総裁は会見でこんな話をしておられるようで。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a81kh2YpRWyc
白川日銀総裁:長期金利上昇の背景に米長期金利の動向(Update2)

いやまあ長期金利は米国貰い事故の面は多々有ると思いますし、そもそも日銀の包括緩和で長期金利までコントロールするとは全くコメントしていませんでしたのでそちらは別に良い(実は良くない部分も有るけど今日はスルーしとく^^)のですが、2年金利の上昇に関しても長期金利と同じ文脈で話をするとか意味判らん。

『29日の債券市場では、新発2年債利回りが0.21%まで上昇、昨年12月1日以来の水準を更新した。日銀は包括緩和で長めの金利に働きかけることを政策的な狙いとして挙げているが、こうしたやや長めの金利の上昇は問題視していないのか、という質問も出た。』

『白川総裁は「金融市場は非常にグローバル化しているので、各国の国債金利も含めて、国際的な動きの中で変動を示している面がある」と指摘。「FRBの国債買い入れもそうだが、実際に買い入れを行った後、金利が上昇している。かといって、国債の買い入れの影響、効果がないということではなくて、この買い入れがある状況とない状況を比べてみれば、やはり金利の低下要因になっていると思う」と述べた。』(以上引用は上記ブルームバーグ記事)

長期金利はそれで良いのですけれども、実際問題として包括緩和実施後って短国の金利とか上昇してます(別に包括緩和直前に思惑で下がっただけではなくて、現実問題として足元で償還が来ている3か月物TBの入札時の平均落札利回りって11月22日償還の131回で0.1103%、11月29日償還の132回で0.1047%とかでして、その前からずーっと0.11%絡みだったのが足元では金利上昇して0.12%乗せとかになっているんですよねえ)し、それって海外市場がどうのこうのじゃないですよね。

つーかね、先般の包括緩和政策実施の時に物価安定の理解の明確化という事で実質的に時間軸政策の強化を行った筈で、その時間軸政策の強化とターム物金利の低下を促すという話って米国の金利がどうしたこうしたは関係ない筈の話でしょ(より長いところは別のファクターがあるが、時間軸を効かせに行ってる所は違うでしょ、という話)と思う次第でして、長期金利は兎も角、2年辺りの金利まで海外要因の一言で終了させるのはどうなんでございましょうかねえと思いますけどねえ。

#気がついたらまた悪態になっていました(−−;

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2010/11/29

○短国だけではなく中期辺りまでヘロヘロです

先週金曜は先物とかも下げましたが中短期の下げが目立つ展開。朝からちと弱めだったのですが、日中に投げっぽい動きが出たのかどうか知りませんが、中期ゾーンがヘロヘロとなりまして、前日に入札が行われた2年新発の引けは0.195%になりまして、5年カレントに至っては0.460%の引けとなっちゃいまして、包括緩和を実施した筈なのに中短期の金利が随分と上昇しちゃいましたなあという動きになっておりまする。

でまあ短い所に関してもグダグダとなっておりまして、残存1年の2年286回債(2011年11月償還)の引けも前日比1毛甘の0.145%となりまして、ついこの前の2年債利回りというか包括緩和実施直後の3年債の利回り水準まで上昇しているでござるの巻。

えーっと、毎日申し上げておりますが、より長めの金利を引き下げて金融緩和効果を出す、と包括緩和実施時に思いっきり仰っていた筈ですが、その後の動きはしつこく申し上げておりますようにGCレポ市場の金利を低めに抑えるような動きをするでもなく、それよりも資金偏在に対応した厚め供給を行わない事によってGCレポレートを包括緩和実施前よりも高めの水準になるのを放置する攻撃となってしまい、まあ要するにGCレポ市場的に言えば資金供給を実質的に絞っている状態になっている弊害が徐々に後ろの方に波及して来ましたなあという感じで甚だ遺憾の極みでございます。

米国のQE2が金利の引き下げに効かずに米国の2年などの金利が上昇し、QE2追加の盛り上がりどころかQE2早期打ち切りネタまで出る(それは現状では有り得ないと思うが)次第で、その結果日本の追加緩和への期待というか思惑が絶賛撤収となってしまったというのは勿論あるのですけれども、国内債券市場で足元起きているのは、GCレートが微妙に上昇した水準で安定している事から3か月などの短国市場が崩れだし、1年ゾーンにも波及しているという現象でもありまして、今回の中短期金利の上昇に関してはGCレートを低位安定させないオペレーションをしている「ターム物金利引下げやるやる詐欺」にも責任の一翼が思いっきりあると思いますがどうですかねえ。

つまりですな、日銀による包括緩和実施で時間軸の実質強化のような説明をするわ「より長めの金利の引き下げを促す」とか言うわという政策の方向性が示された訳でして、追加として2年以下の国債の購入ということで、普通に考えますと「2年以下の国債金利を低位安定させるようにしますよ」という施策を打った訳でして、その日銀の説明を額面通りに受け止めれば当然の事ながら、2年はもとより中期ゾーンの5年辺りまでの金利が低位安定状態になるという話になる筈ですわな。

然るに、ターム物の金利を低下させるようなオペレーションは実施されずに却って金利上昇となり、徐々にその影響がボディーブローのように効いてきた事から3か月だの1年だのの金利が上昇してきたと思ったら2年などにも波及し、5年は5年で全然下げ止まらない状態になるとかトンチキ以外の何物でもない訳でございます。何せ包括緩和実施の翌日の引け利回りって2年カレントが0.110%で5年カレントが0.200%でして、まあ勢いでやっちまった部分はあるにせよ、そこからの利回り2倍上昇ですよ2倍。

まあここまで来ますと投げ回転(回転していないような気もするが)みたいになってしまって、地合いの悪さに拍車が掛かりますので、まあ誰かが強力に買ってくれれば別ですけれども、勢いがついちゃっているのがひじょーに遺憾な中短期ゾーンという所でありまする。


で、更に悪態を申し上げますと、足元の金利上昇傾向ですが、米国の金利上昇の貰い事故での金利上昇という面も勿論ありまして、その米国金利上昇というのはどう見てもFOMCが最近強調する「長期金利コントロール」的な発想に無理があって、そのチョンボによるものである、というのはその通りだと思うのですけれども、少なくともFRBは大真面目に長期金利のコントロールを実施しようとして(今のところ)失敗しているのであって、それは単に「出来ない事をやろうとしたら(今のところ)失敗している」という文脈でございますが、日銀の場合はGCレートを抑えつけようと思えば抑え付けられる能力があるのに、市場機能重視だか何だか存じませんけれども、包括緩和で示された「より長めの金利を低下させることによって金融緩和効果をもたらす」って内容に沿えばGCレートの抑え付けを行う筈なのに、GCレートが上昇しても特に資金供給を増やす訳でもなく、という動きを(先週末近辺になってやっと資金供給が増えて来ましたが)しておりまして、これは怠慢なのか詐欺なのかどちらか存じませんが、市場参加者的には見事に梯子外しやがってコノヤローという所ではなかろうかと存じます。

つまりね、もともとできない事をやれると言って(今のところ)失敗しているFRBは単に大口叩きの失敗なのですが、GCレート上昇を放置してターム物から1年とか2年とかの金利を上昇させてしまった日銀の場合はできる事をやっていない結果なのですからこっちの方が問題じゃないですかねえという悪態な訳です罠。

でね、まあ思惑が外れてポジションが逆に行っちゃいましたなあというのは世の中良くある話でそれはそれでいつもの市場の光景として生温かく眺めるものなのですけれども、何せ今回に関しては「包括緩和」で示された方向性に対して日々のオペレーションで(結果から見ますと)思いっきり梯子を外された格好になっているのが如何なものかと思うわけでして、こ〜ゆ〜のやってしまいますと市場が日銀の言う事を信用しなくなるというのが最大の問題では無いかと思うのですよね。最初から市場機能とやらを重視するからGCレートは0.10%近辺に抑え付けるようなオペレーションを実施する訳ではありませんというニュアンスの話でもすれば(そらまあ露骨には言えませんが)良い訳でございまして、これでは「包括緩和実施で示された話と実際にやっている事が違うじゃないか」という話になって、日銀と市場の対話にも問題となると思いますというのは先週も散々書きましたけどね。

何かね、これってコールを0.10%に引き下げて超過準備付利の0.10%と同じにした後の妙な市場機能重視的なコールレートの微妙な誘導という2008年から2009年の時と同じようなテイストを感じるのでありまして、何だかなあという感が思いっきりするのでありまする。

ということで月曜の朝から悪態でございましたが、金曜はさすがに資金供給のオペを厚めに実施してきまして、今日の当座預金残高がほぼ20兆円になるような資金供給オペを実施してきまして、GCレポレートの方も0.11%〜0.12%の水準に低下したようでございます。まあこの調子で厚めの供給を継続すればGCレートは低下するとは思いますし、その状況が継続的になれば短国のレートが落ち着いて後ろにも波及していくと思いますけれども、債券市場ちゃん的には一旦投資家の投げモードになってしまうと投げ回転を止めて傷が癒えるのには時間が掛かるというものでありまして、まあ金曜も申し上げましたように、「金利が上昇してから対処する」というのは時すでにお寿司状態になっているとしか申し上げようが無く、甚だ遺憾でございますです。それにGC落ち着いたらまた平壌運転に戻ってしまうのであれば結局同じ事の繰り返しになりますので、学習効果の出来た市場参加者は日々の受給で決まるGCレートは兎も角として、短国のレート形成の前提とするGCレートをそこまで下げないですから、その点で言えばそう簡単にターム物金利ベタベタということにはならないんじゃないですかねえ、と思うのであります。

以上、マニア向けの悪態大会で短期だのオペだのにご興味の無い方にはポカーンな話ばかりで申し訳ございませんでした。

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2010/11/26

2年国債入札もヘロヘロだったのですが、それよりも感謝祭前の米国市場での中期債とかユーロドル先物の豪快な暴落は何だったのかが気になりまする。つーか米国であれやられたら2年入札ぱっとせんわな・・・

○短国が相変わらずな件に関してなど

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aLRqXgfJ020w
日銀が資金供給オペを拡大、TB利回り上昇で−証券会社の調達圧力も

ということでブルームバーグ報道によりますと水曜日に入札が行われた新発3か月物は入札時に0.12%手前で寸止めとなったのですが、その翌日であります昨日は0.123%だの0.124%だの(刻みがやたら細かいのは短期市場の仕様なので勘弁)と利回り絶賛上昇。

昨日の資金供給オペの結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101125.htm

短国買入のレートも上昇してますし、共通担保オペの落札平均利回りも特に短いタームに関しては強含みだしという所ですが、GCレートも(昨日の場合はレギュラーが月末でスポットは売れ残りモードの3か月新発短国発行日という要因はありますが)上昇傾向で0.13%だのその上だのというような水準を見に行くでござるの巻。

とまあそういうことで、一応気にしているのか気にしていないのか存じませんけれども、昨日の着地ベースでは当座預金残高を18兆円に乗せて来まして(元々の見込みだと18兆円ちょい割れ位)今日は18.3兆円くらいになる見込みになっておりますので、まあ上記URLにありますように一応資金供給拡大っちゃあ拡大なのですが・・・・・・


えーっとですな、そもそも無担保コール翌日物みたいに当日物取引だったら資金供給を拡大したらそれがビビットに市場金利に反応してくれるというメカニズムになるのですが、レポ取引は基本的に先日付取引ですから、先行きの見通しとか先行きの資金繰りとかを見ながらの取引になりますので、金利が上昇してから資金供給を拡大するのでは遅いんですよねって話は2008年のリーマンショック以降に発生したGC金利絶賛大上昇によるオープン金利上昇などの問題が起きた時に毎日のように悪態をついた筈なのですけれども、何が悲しゅうて同じ悪態をまた書かなきゃいかんのよという所でございまして、甚だ遺憾の極みでございます。

つまり、ちょっと落ち着くと直ぐに供給が絞り気味になって、GCレートが少々動いても気にしない供給をしている、と市場が一旦認識してしまうと、当然ながら価格形成がそれを前提としたものとなってしまいますし、先日付取引なので先の見通しをベースに動く関係上、金利上昇してから資金供給拡大してもその効果が出てくるまで数日のラグを伴う(従って低下するときも同じ理屈となるので、下げようとして資金を出すと途中で出し過ぎモードになってしまう)のでありまして、GCレートを低位安定させようというのであれば「金利が上昇してから供給を拡大する」のではなく、「そもそも金利が上昇しないように供給を行う」ようにしないといけないのでありまして、っていうのは2008年の時に学習効果として蓄積されていないのかと思う次第でありますが、まあGC上昇放置するスタンスなら別に関係ないのですが、気にするので資金供給拡大しましょうというのであれば、今の方式だと常に資金供給の拡大タイミングが時すでにお寿司状態になってしまうのですけどね。

これまた毎日悪態をついておりますように、包括緩和とやらで「より長めの金利を低下させることによって金融緩和効果をもたらす」と思いっきり声明文で表明しておりまして、そのために2年だのの国債の購入を新たに実施した訳ですが、当然ながらターム物金利を安定化させる為にはそのベースにあり、国債等債券取引業者のファンディングコストに影響を与えるGCレポレートを低位安定させなければいけない筈なのですが、このオペレーションのやり方は包括緩和の趣旨に沿っているのですかねえと小一時間問い詰めたいのですが。

で、ここで悪態の矛先がいきなりあらぬ方向に飛びますが(^^)、更にトサカに来るのはど〜でも良いタイミングで緩和しろ緩和しろ、緩和しても足りない足りないとかゆすりたかりのように散々煽っていた経済クオリティー新聞様あたりがこの辺りの事情をスルーしている所でありまして、あれだけ偉そうに金融政策のべき論だか何だかをぶち上げて日銀を追い込んだり、非不胎化介入がどうしたこうしたとか散々っぱら調節技術上の問題をミスリードするような論陣を張っていたくせに、肝心の短期金融市場動向に関して事後は何も見ないとか無知なのかやる気無いのか知りませんが、金融政策および短期金融市場関連の取材能力はどうなっているのかと小一時間でありますわな。株が上昇してドル安が止まっているからご機嫌なのかもしれませんが、その程度の認識で金融政策がどうのこうのとか社説や記事で書いて市場撹乱要因になるのは迷惑なんじゃヴォケと申し上げたくなる次第でありまして、誠に痛惜の念を禁じ得ません。

ということで、段々血圧が上昇気味の昨今でございますが(−−)、包括緩和で「長めの金利の低下を促す」とか言わなければ別にこんな悪態はつかない訳でございまして、つまり悪態の基本にあるのは「言行一致しないとは中央銀行のスタンスとして如何なものか」という所であるという点は念の為申し添えます。

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2010/11/25

○3か月TBが華麗に0.12%に上昇している件についてとか

しかしまあ昨日もグチモードでしたが、最近の相場の動き、というか相場様の動きのバックグラウンドと申しますか、動かしている人が何をどう考えて動いているのかがさっぱりワカランチ会長なので非常に悩む今日この頃。ということでただのメモでサーセン。


昨日は3か月TBの入札。でまあ落札結果ですが足切りは0.1192%の刻みの所まで届きまして按分はほぼ2割となったのですが、前回の入札では弱めの所から堅調コースになったのですが、今回はイマイチさんだったようで、何か知らんが0.12%とか外すお方もいたようで、12投げるなら最初から札入れるなよとか好き勝手なグチを申したくなりますが、まあニーズがそんなに無いのならそうなんでしょという話になる次第ではございます。

でですな、色々と背景はあると思いますけど、やはり何と申しましても「ターム物金利を押し下げる」という話をしている筈の追加緩和決定以降の資金供給オペレーションがターム物金利を押し下げる、即ちGCレートを0.10%〜0.105%辺りでベタベタに押し付けてターム物金利を上げさせない、というような動きになっておりませんで、それよりもGCレートが振れるのを気にしないようなオペレーションをしている所でございまして、追加緩和(包括緩和)決定時に『短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。』という話は何処へ行ったのでしょう(そもそもその為にコールレートの下振れを容認するようにディレクティブを変更したんでしょ)という所でありますわな。

いやまあ為替の円高傾向も一服しているし、株価も戻ってきているから結構結構というのかも知れませんけれども、短期金融市場(と債券市場でも短い所をちゃんと見ている人)的にはまあキツイ言い方をすれば騙し討ち食らっているようなもんでして、市場との対話って意味でどうなんでしょと思いますけどねえ。それで市場機能がどうのこうのとか言われましてもヘソが茶を沸かす訳でしてね。

というのが悪態ですが、まあその他つらつらとテキトーに考えるのは9年10年が上がっても下がっても重いって何か敗戦処理でもしている人でもいるんですかねえとか、今日の2年債入札を控えて、ところで2年の居場所で適正なのってどの位なのよとか、まあそんな所でありますけれども、2年に関しては追加利下げの可能性が殆ど無いということになってしまいますと、足元金利を差っぴいた出来上がりのタームプレミアムが2だの3だのというレベルだとしんどいという事になるのかなあ、と量的緩和時代の2年もの金利の位置を見ながら思うのでございましたです、はい。


と、毎度毎度おれさまにっきというかグチというかただのメモでどうもすいません。

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2010/11/19

何か債券市場ちゃんが暴れているので今朝も俺様メモを少々。

○入札前に超長期強くしちゃうから

昨日の債券市場ですが、超長期の入札だというのに前場から先物とかは下げるのに超長期は下がらないという嫌がらせのような展開。10時半過ぎにセットアップの売りでも入ったかと思ったらいきなりそこでも先回り買いなのか嫌がらせの買いなのか事前ヘッジの戻しなのか知りませんが、まあ20年入札だというのに20年が強くなって業者のヘッジコストが禿しく悪化するという入札。

まーこうなりますとショートカバー分はシャーナイから上のほうに入れるけど、そうじゃない分の札は下の方に入れてしまうんじゃネーノとか思いつつ、あとは投資家のニーズがどの位見えているか次第ですなあとか思っていたのですが、落札結果は平均はまあ前場引けの板の所でしたが、テールはちゃっかり下になるでござるの巻。

でまあその後相場が押したと思ったら戻して、ほほーと思っていたらもう一発下げて10年1.10%出合いとかやってあらあら状態。その後また急に中期と先物が大復活したと思ったら引けに掛けて先物とか長いところとかがゲロゲロになるという動きで、何と申しますかこう相場様の方は普通の動きとゆーよりは投資家のプチ踏みプチ投げみたいな動きとかも入っているんでしょうなあというようなテイストを感じさせる動きでありました。

でまあ引けにニケーイ平均(の現物インデックスの方)が1万両を回復したら更に叩かれて安値引け・・・・って思ったら引け後更に売られてしまって場中は10年1.1%がとりあえず押し目買いも来て何となく粘っていたような感じでしたが、イブニングセッションであっさり抜けてしまったでござるの巻。

まあ何ですな、確かに先日の超長期1.97%だか1.98%だかの所で結構な買いがあって相場が戻ったというのはそーなんですけれども、それは水準がその位置にあったから買いがあったのであって、1.9%そこそこで同じように買いが来るのかよと考えると厳しかったんですねとは後からだったら何とでも言えますけれども、入札前に変に戻った上に、カーブ的にも数日の間に強くしてしまい、ついでに入札当日の前場にも強くしちゃった結果、業者が入札行くのが厳しくなっちゃいましたねという残念な結果。

まあ今月の入札スケジュールでは中長期国債の新規供給が昨日までで、次は来月頭の10年入札まで無いというのと、月末のボンドインデックスの長期化幅がやや長めの月に当たる(と思った)というのがあるので、20年国債入札から先は需給が好転する一方というイメージがありますので、その分余計な先回り買いみたいなのとかが入ってしまったという所なのでしょうかねえ、よー知らんけどさ。


○更に俺様メモでありますが2年とか5年とか

正直最近の動きってよーわからんですタイという(この前も書いたか^^)ところなんすけど、まあひじょーにざっくりと纏めろと言われると、「包括緩和とQE2相場で作ったポジションのアンワインド」ってえところになるんでしょうなあって感じなんすかね、よー知らんが。

で、そのアンワインドと言えば地味に金利が上昇しているのが2年とかその後ろとかの中短期ゾーン。特に3年とか4年とかは売りが嵩んで需給が悪いようなのですが、2年カレントの利回りも昨日は(引け値は0.155%でしたが)0.16%とかまで上昇する有様。

えーっとですな、ヤケクソ緩和実施の時にあたくしも「潤沢な資金供給を実施して、2年以内の国債金利を0.10%まで下げるような買入を行い、更に時間軸を強化したんですから、2年までの金利が最終的には0.10%に近づくと言う事ですなあ」などと申し上げた口です(10月6日とか7日あたりにそんな事を書いているあたくしなのでございます)ので人の事は言えないのですけれども(超大汗)、あの緩和政策に米国がQE2をこれから実施という流れで、追加緩和の追加緩和だってあり得るでしょうというイメージを持ってりゃそらまあそう考えます罠、と自分の言い訳をするあたくし。

然るに、GCレートは何故か0.11%どころか0.12%水準で推移のが放置されるわ、米国様のQE2が意外や意外に非難轟々となってQE2のおかわりどころか途中で終了するのではないか位の話になってしまい、米国の金融市場ではQE2期待で積み上げたポジションの巻き戻し相場となってしまうでござるの巻(QE2実施時のロジックからしたら普通におかわりになる筈なのですが・・・・)となるわという事で、話が違うがなという状況になっているわけです罠。

つまり、日銀も追加緩和のおかわりが来るのは必至という見方だったのが、おかわりは無さそうですなあとなったという事で、その変化でこれだけやってしまうのもまーシャーナイナイなのかも知れませんが、前提がコロリと変わると変わるもんですなあという所です。特に前回の量的緩和時にはコールが既にゼロ状態で延々と続いており、今回の追加緩和時はコールレートの下げ余地が一応あるというのが違うのでありまして、その分だけ先の金利は下がる余地があった分だけ期待で動いた分の戻しもありますわな、という所なんでしょうかね。どうも表現がうまくなくてスイマセンが。

5年もまあそんな訳で、追加緩和実施時には0.2-0.3ですかなどと申し上げていたのがアセアセにも程がありますが、だって追加緩和のおかわりがあるのと無いのじゃ話が違う(別に追加緩和のおかわりは完全に無くなった訳ではなくて、米国の流れがまた戻ったらあっさり戻るでしょ)のでシャーナイナイという事にしておきましょう(汗)。

ま、その流れで短国の方に資金が戻ってきたんで今日の2か月とかは普通に無難だと思いますし、GCもさすがに馬鹿上がりはしなくなったかなあとは思うのですが、当座預金残高17兆円に何でそう拘るような調節なのかいなというのは疑問ではございまする。まあその話はまたいずれ。

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2010/11/16

○QE2が面白い事になりつつある件について

足元では2年債の動きも興味津々ですので、ブルームバーグ様におかれましては米国2年債(TickerコードのGT2かCT2でよかです)の数字も入れていただくと有り難いのですが(まあモーサテで判りますけど)・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/markets/index_americas.html

東京のだいたい朝6時の数字(上記URLより)

米国10年国債 2.924 0.133 97.453
米国30年国債 4.393 0.105 97.688

・・・・(つд⊂)
・・・・(;゚д゚)

昨日の夜見てた数字と何か随分違う気がするのだが・・・・

えーっと何だかまた金利が上昇しているのですけれども、これは一体全体何がどうなっているのでしょうかという所ですわな。いやまあQE2ヒャッハー相場でインフレ期待が上昇という事にすれば一応話としては通るのですけれども、単に勢いで上昇していると申しますか、その前のQE2盛り上がりの世界の中でトレジャリーロングの壮大なポジションが積み上がってしまった巻き戻しが起きてそれが雪崩みたくなっているという感じはしますが、実際のところはあたくしトレジャリーの専門家じゃないですからワカランチ会長。

でまあこの長期金利上昇ですが、先般ご紹介した9月のFOMC議事要旨(や他の連銀の偉い人の講演)の中でも「米国のモーゲージ金利が低下し、30年MBS金利がヒストリカルローまで低下したことによって、住宅ローンの借り換えが(可能な人は)進み、家計のバランスシート改善や消費回復に寄与している」という話になっておりまして、まあ大丈夫なんですかというのもありますし、QE2ヒャッハーで商品価格は上昇する中でしらっとドル高になっているのもお洒落な展開(まあドル全面高で日本的にはウッシッシですけれども)となっておりますわな。

という事で、市場金利だけ先にじゃんじゃん上昇して景気に悪影響を与えるわ肝心の物価はコストプッシュするものの景気が良くならないので結局企業のマージンで吸収する破目になるわというお洒落な展開が(なので行き先はデフレ均衡だったりするのですが)進展しつつある香ばしさに落涙を禁じ得ません。

ま、QE2ネタで引っ張りまくってポジションを無駄に積み上げさせたFRBの捌きにちょっと問題があったような気はする訳でして、前回の国債大量購入の時はまだ金融機関が飛ぶだの何だのという状況であって、危機の中でポジションアンワインドというか投げを止める為に国債購入のするする詐欺で投げモードになるのと止めさせていたけれども、AIGの問題などでガイトナーが立ち往生しそうになったのでFRBがお助け特攻したという流れでしたので、そーゆー意味では前回の国債購入やるやる詐欺(結局やりましたが)での引っ張りは無駄なポジションのつみ上がりが起きなかったとも言えるのですが、今回は何せ状況が金融危機とかでも何でもなく(物価と失業率はうんこですが)通常の取引が通常に行われている中だったのでちゃっかりポジションが積み上がって香ばしい展開になった、とか今勝手に考えてみたけどどうっすかね。

という事で、この流れだと「QE2やったけど何か金利上昇して景気は良くならないわ川下の物価は上がらないわ失業は改善しないわ」→「QE3催促相場」→「QE3やったけど(以下同文)」となるとか、最後はどこかで臨界点越えて爆発するとか、何かこうバーナンキ先生のお髭(先生の髭に粘着質ですかそうですか)が危機に瀕するような流れが起きそうですが大丈夫ですかねえ。

いやまあ「ポートフォリオリバランス」と「市場のインフレ期待(ホンマカイナという突っ込みはあるが)」というようなものは進展しているので、FRBとしては開き直るのかもしれませんけれども、これって本当の本当にFRBが想定していた流れなのかなあと思いますと、そうでは無いのではなかろうかっつー気がする次第でありまする。

いやまあ中長期債をあの勢いで買えばそのうちMKTに玉が無くなるからそうそう売りまくりって訳にも行かないような気もしますけれども、やはり「中央銀行が長期金利を力技で制御する」というのはあくまでも机の上の話なんですかねえ(もしやるならば会計制度などをいじって投資家のインセンティブ構造を変える方が話が簡単ですわな。そうなった場合に長期金利市場がインプライするものは変わってくると思いますけれどもね)という所ではなかろうかと存じます。

と、これだけ書いたら明日からQE2大勝利の展開になるかもしれないというのが市場様のおそロシアな所でございます、って最後の最後にヘッジクローズを入れるのに余念の無いあたくしはチキンにも程がありますかそうですかあっはっは(あほです)。

しかしこれは何と申しますか・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=avc.nSBjV83g
FRBに資産購入の中止を要請−23人のエコノミストらが公開状

そもそも失業率を直接どころか間接操作するのも大変なのにデュアルマンデートになっているという所の無理が低成長になって出てきましたっすかねえという所ですかな。

で、話は更に飛びましてこの辺りの論点も含めて、先日(って10月12日なんですけどね)カンサスシティ連銀のホーニッグ総裁(毎度FOMCで反対票を投入する人)がQE2に反対する論点を比較的コンパクトに説明した講演があって、これがまあ良い論点整理となっているのでそのうちご紹介するかも知れません。


○10年が1.05%なのもさることながら短国が・・・・

ということで日本の話に飛びますが、何か知らんが昨日は昨日でまたまた裁定ゾーンの真ん中あたりとか10年カレントとか売ってる人はいるわ、先物を叩く人いるわで引け後も米債が売られているのを見て1.05%を叩くわという素敵な展開に。

そんな中昨日は地味に1年短国の入札がありましたが、その結果は。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221115.htm

(3)募入最低価格 99円87銭5厘
(募入最高利回り)
(0.1255%)

(5)募入平均価格 99円87銭8厘
(募入平均利回り )
(0.1224%)

・・・・・これはまた盛大に流れてしまいましたな。いやまあここもと前から微妙に嫌味や悪態書いておりますように、GCレートが全然下がらない状況を放置プレイ状態になっているオペレーションというのが(今回の積み期間の頭辺りから)継続されていまして、足元では(どうせどっかの銀行様が盛大に中長期債を外した分の資金が滞留しているだけだと思いますが)トモネのGCとかがいきなり盛大に低下しておりますが、そうは言ってもスポネとかレギュラーとかは0.11%アイザー位までしか下がっておらず、中々GCが0.11%割れ定着という流れにならんのですな。

というのがさすがに1か月も続くと0.11割れの短国を商品在庫で持っている業者的には0.10%のオペの担保にぶち込まない限りファンディングコストが保有利回り対比逆鞘確定(最近の金利入札式共通担保オペの落札利回りは0.11%から下がってくれません)という大変に素晴らしい状態が継続されると言う事になりますので、兵糧攻めを1か月も続けられたらこうなるわなという所でございまして、いつの間にやら短国ちゃんも3か月が0.115%とか昨日の新発が0.125%とか金利が上昇しやがっております。

そうなると(もうちょっと長い所は米国の短期先物金利の絶賛上昇の影響もあるのでしょうが)2年カレントの引けは昨日見たら0.150%まで上昇しているし、3年とか4年とかもうんこになっているし5年カレントに至っては昨日は0.3%台後半まで来ているでござるの巻。

いやまあ1から10までオペのせいではないのですが、ヤケクソ追加緩和を実施する時には「長めのターム物金利の低下を促し金融緩和効果を出す」という話をして、「潤沢な資金供給を行った場合に無担保コールレートがディレクティブ水準を一時的に大きく下回る可能性があるのでディレクティブの変更をする」という政策決定をした筈なのですが、足元で行われているオペレーションってその話と違うんじゃないですかねえと言う所でございまして、これ米国の金利上昇でドル高になって株高になっているから外野からは文句があまり出てこないみたいですけれども、金利市場的には話が違いますがなという所ではございます。

#この前も書きましたが、2008年のパターンから類推するに、基金等国債買入の残高が増えてきたら何となく当座預金残高を増やすと言う逆算のオペレーションをするのではないかというのがあたくしの予想だが、為替がドル高傾向継続中だと糊代確保で増やさない可能性もあるかもね

いやね、まあ金利が極限まで低下してウゴカンチ会長になったらこちとらメシの種が無くなるのでポジショントーク的には話が違っても実際の業務運営上は困らないっちゃあ困らないのですけれども、金融政策決定のアナウンスでやるという話をしていた事と実際の動きが整合性取れているように見えないというのは如何なものかという感じがします、つーか為替と株が逆に行き出したら(米国のヒャッハー相場が巻き戻したら可能性あるでしょ)この間の日本の(長期は米国のせいにすれば良いけど短期ターム物金利に関しては)どう落とし前つける積りなのか今から心配しているあたくしでございまして、まあそれはきっと杞憂なんでしょうけどねえ(棒読み)。

#何時の間にか悪態になってしまった

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2010/11/12

○10年1%ですかそうですか(途中から米国金融市場雑感だが)

昨日の5年入札。前場は中期とか比較的堅調に推移させやがったせいで惜しくも0.3%クーポンのリオープン。0.4クーポンが業者ショート気味で0.3クーポンが業者ロング気味でしたので、0.4のショートカバーは進むものの0.3はいらない子状態になってしまいまして、入札そのものはまあ事前予想のどんぴしゃ状態だったと思うのですが、不明札少なくて業者中心っぽい内容だわ、セカンダリーの販売がそんなに盛り上がらないわとかやっておりましたら、前場から弱かった超長期に引っ張られたのかどうか知らんですが引けに掛けて10年310回債も1%と。

何せ追加ヤケクソ緩和によって普通はブル転しますので、それこそ昨日も申し上げましたように例えば5年は金利上がって精々0.3%でしょとかもう10年1%割れが定着傾向になるんでしょうなあとかいうイメージになる訳でして、そーゆー意味では何と申しますかナンジャコリャという所でございますが、ブル転しちゃってロングに入るタイミングが皆さん早くなったでしょうからその辺も影響しちゃったのかも知れませんな、よー知らんが。

まーしかし何ですな、QE2で米国金利が低位安定してドル安圧力が高まってそうなると日銀も追加緩和の追加緩和をしないと済まなくなるでしょうなあというような認識だったのですが、QE2のヒャッハー相場によって米国様に置かれましては金利先物市場で国債買入の期限来た所でいきなり利上げを織り込むかの如き動きになるとか斜め上にも程がある展開になってしまったのは正直ビックリですし、話の前提が変わってしまうがなという所ですわな。

つまりですな、先般のFOMC声明文を見ますと、ケシカランと言っているのは物価水準と失業率の推移であって、資産購入の絶賛拡大によって企図しているのは何かと言いますと。

『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to expand its holdings of securities. 』

ということで、望ましい水準への物価上昇を促すという事になっておりますので、足元のCPIなりPCEデフレーターなりがある程度改善しないと資産買入って止められないんじゃないの〜とは思うのですけれども、市場の方が勝手に期待インフレを盛り上げて長期金利(ただし10年まではFRBの力技で抑え付け状態になるのでしょうが)が上昇したり、金利先物市場が利下げではなく利上げサイクルを織り込みに行く、という話になると「中長期的な期待インフレ率の引き上げが具現化された」とも言えてしまう訳で、昨日も申し上げましたけれども金融政策の影響がリアルの物価に反映される前に「市場のインプライする期待インフレ率だけ上昇」となってしまった場合にはFRBはややこしい事になるのでしょうし、その場合って「いやそうは言っても資産買入引っ張るでしょ」という見方と「資産買入終了してFF引き上げに行くのでは」という見方がガチンコ対決になりそうですな。そしてそうなりますと短期金利のターム物上昇でめでたく日米金利差問題が解消されるという話になるのですけれども・・・・

ただ、足元で斜め上の展開になっているのは「QE2やるやる詐欺状態の引っ張りすぎ」によってポジションが大量に積みあがったものの巻き戻しが来ているからだとは思われますけれども、バーナンキ先生におかれましては(確かWSJだったと思いますが)どこぞの寄稿で「株価が上昇して期待形成に成功してFRB大勝利」とか喜んでいる場合なのかという点に関しては非常に怪しいなあと思うのでありまする。

#と、いつの間にか米国市場雑感になってしまった(大汗)

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2010/11/11

○GCとか短国とか5年入札とか雑感

・一昨日と同じネタだが5年国債入札

今日は5年入札ちゃんでございますが、追加緩和実施直後の10月6日に5年カレントが0.200%の引値となっておったのですが、昨日の5年カレントの引け(償還は一緒ですが今のカレントは10月6日のカレントとクーポンが違います。まあ利回りベースでは大差ないので勘弁)は何と0.350%となっておりまして、ふと気がつけば0.15%も上昇してやがるでござるの巻で久々に3か月日本円TIBOR(と比較する事に何の意味があるかと言われると意味は無いと思いますけど)の利回りを上回ってしまいました。

一昨日も書きましたけれども、追加緩和で時間軸の強化となりましたし、あの時点では米国次第では更に追加緩和の追加緩和みたいなイメージも強かった訳でして、普通に時間軸強化と更なる追加緩和の可能性というセットを勘案すればもう5年って磐石で0.20-0.30でしょというイメージで、0.30%になったら全力買いが入ります罠とゆー話だったのですが、うっかりすると0.4%クーポンが出てもおかしくない勢い(今日は米債反発したけど為替はドル高でどっちになるのでございますかねえ??)という全くの予想外展開にも程がある状況に。

という所までは一昨日の繰り返しみたいなもんですが、今日は5年国債の入札ちゃんでありまして、まあここで買ってやろうという人たちが買いを我慢しているんでしょうかねえとは思うものの、押し目買いらしい押し目買いが無いままにズルズルと下がるというこの動きは正直よーわからん所ではございます。まあ普通に考えた場合は入札で買いを確認して一旦ズルズル状態は終了って事になると思うのですが、どうも最近の動きは普通じゃないですからねえ。


・ここもとと同じネタだがGCとか短国とか

昨日は3か月TBの入札があったんですけれども、落札結果はこの通り。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221110.htm

(3)募入最低価格 99円97銭0厘0毛
(募入最高利回り) (0.1117%)

(5)募入平均価格 99円97銭0厘1毛
(募入平均利回り )(0.1113%)

・・・・平均利回り0.11%乗せキタコレ。

そらまあ足元のGCレートが中々下がらなくて、先週末にやっと0.11%近辺まで下がったと思ったら昨日辺りからまた上昇して0.12%水準に戻っていたりする訳で、短国を商品在庫として持っている債券ディーラーの在庫ファイナンスのコストが利回り対比厳しい状況が延々と続いていれば(固定金利オペで業者の在庫ファイナンスが充足できればその限りではないと思いますが、現状ではそういう状況でもなさそうですし)そらまあ0.11%割れの国債を在庫で持っているのは厳しいですわなあという所で、3か月TBちゃんも0.11%に乗りましたわなあという所でございます。

で、これまたいつもの雑感と言うか悪態になるのですが、GCレートが微妙に高い水準で推移しているのを放置プレイで当座預金残高を17兆円近辺で回していて、しかもその数値が「9月15日の介入実施直前の当座預金残高水準の15兆円+介入の2兆円」を意識してるんじゃないですかねえという水準なのが何とも香ばしい所でございまして、不毛な非不胎化介入論議を意識しているのは良いのですけれども「長めのターム物金利の一段の低下を促す」んじゃ無かったんでしたっけという悪態を申し上げたくなる次第なのですけれども、どうも為替市場の水準と株価の水準が変調にならないと経済クオリティペーパー様を始めとする外野の皆様は何も言わないのが仕様のようでありますので、念の為悪態を申し上げておきますです、はい。


・金先が順イールドっぽくなっている件について

これまた一昨日の雑談の続き

昨日の夕方6時くらい(エエカゲンな取り方ですいません)のユーロ円金先ですが、2010年12月限から順に各コントラクトを利回りに引きなおすと0.330%、0.325%、0.325%、0.330%、0.335%というような数値になっておりまして、微妙ちゃああ微妙程度の変化ではございますが、順イールドっぽくなっているのがチャーミング。

足元で米国様の短期物の先物とかが素敵な動きをしていて、QE2ちゃんが炸裂した先週木曜の高値(金利で言えば低いという意味)からここもと物凄い勢いで期先のコントラクトが売られて、どう見ても来年3Q(つまり国債買入終了と共に)に利上げです本当にありがとうございましたという価格形成になっていまして、米国ちゅうのは何と言うデジタルな反応をするんじゃこいつらアホじゃねえかと言う大変に素敵な展開になっているのが何となく影響しているのかなあとも思われますが、追加緩和の追加緩和期待で金先がどうのこうのというのは何処へやらという所でございます。

#先日の総裁会見では「TIBORなどのターム物金利が包括緩和の影響で低下しています(キリッ)」と麿は仰せでございましたがね(ニヤニヤ)

まー金先に関しては米国のアホウ展開というかある意味神展開となっている動きの貰い事故みたいな面もあるかとは思いますが、足元でGCレートがもうちょっと低くて短国が0.11%割れで0.10%接近とかやっていたら雰囲気はちと違っているのではないかという気も思いっきりする所ではございまして、何だかなあ感はするのでございます。


○金融市場だけ先に走り出しましたなあ

ふむふむなるほど。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=a7fq9jGKR9pQ
米国債:下げ幅縮小、NY連銀の購入額発表で−30年債入札は不調

『30年債は同年限の入札を嫌気し、下落する場面もあった。米財務省が実施した160億ドル規模の30年債入札で、最高落札利回りは4.32%と、市場予想の4.288%を上回った。応札倍率は2.31倍と、2009年11月以来の低水準。』(ブルームバーグニュースさんの上記URLより)

いやあ30年4.3%とか実に香ばしい展開でございますが(さっきブルームバーグのインターネットページを確認したら30年は前日比0.01%金利低下して4.238%のようですな)、結局前回の国債大量購入と同じパターンになりつつあるように見えるのが素敵な所でございます。

まーFRBとしては「30年金利の上昇は期待インフレ率の上昇によるものですから良い金利上昇」ってな形で正当化しちゃうのかもしれませんけれども、先ほど申し上げた短期物の先物の極端な振れっぷりとか(何ぼなんでもあの動きはおかしいと思うが)、国債購入絶賛拡大実施→QE2ヒャッハー相場で商品市場フィーバー→インフレ期待で長期金利上昇というような大変に素敵な速さで市場が反応しているわけでして(当たり前ちゃあ当たり前ですが)、金融政策が実体経済に効く速度と、期待で動く金融市場の速度とのギャップによって、期待した効果と違う結果が出てくるのではないかというような懸念が益々してくるのでありまして、バーナンキ大先生が髭を剃ってお詫びするのか、議会証言かどこかの講演辺りで髭を毟られるというような神展開になる悪寒も益々高まるのでございます。

何にせよちょっと捌きが難しくなりました罠>FRB

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2010/11/09

・市場雑談ですが・・・・

えーっとですな、当座預金残高17兆円攻撃を続けていたらやっと準備預金の進捗が進んできたのかどうか知りませんが、GCレートちゃんの方はようやく資金の出しが増えてきて0.11-0.115%とかの水準に低下して来ましたが、まあ今回の積み期間はGCレートが妙に高止まりましたな。

で、別にまあそれが直接影響している訳ではないのでしょうけれども、GCのレートが高止まりすると3か月とかの短国のレートが下がらなくなり、というか若干上昇モードになって0.11%オファーとかのレベルになっているのですが、それが心理的に圧迫しているのか、単に買わない言い訳に使われているだけなのかはサパーリ判りませんが、5年カレント物の金利がしらっと上昇。

いやまあ木曜に5年入札があるから買いの手が鈍るというのはあるとは思うのですけれども、この前のヤケクソ追加緩和によって時間軸は強化されるわ、コールの一時的な下振れは容認するわ、「長めのターム物金利の低下を促す」とか言われるわという流れからして、「5年は0.20-0.30のレンジですなあ」ってなイメージが市場の皆様に置かれましても作られたのではないかと思うのですが(あたくしもそんな事書いたと思う)、ふと気が付けば5年カレントが0.32%オファーとかに上昇しとるのよ。

一頃TIBOR3か月が5年金利の下限ってなイメージがあったのですが、追加緩和期待とかでそのラインをぶち抜けた後はすっかりTIBORよりも低い水準が定着していたのですが、そんなこんなでTIBOR3か月のレートに5年カレント国債の金利が再接近しているのがチャーミング(日本円TIBOR3か月は0.34%とかだったと思う)な訳です。

でですな、そもそも時間軸強化だの長めの市場金利抑制(2年国債の買入もまさにそうですわな)だのという追加緩和がありますから中期ゾーン辺りまでの金利が低位安定してその辺りが頭鉄板裏目無しという認識の下にその先の金利がどうなのよとゆー話をしている筈ですので、ここで5年カレント金利が何か特に抵抗もせずにダラダラと上昇して0.3%台に乗っても更にダラダラというのはちょっと話の前提が変わっちゃいますよねという所で、まあ裏目千両というようなテイストを感じるのでございます。

何かユーロ円金先のカーブを見てもフラットになってきてますし、追加緩和の追加緩和が実施される観測というか盛り上がりというかテンションの低下が背景にあるのか、単なる入札前の一時的な需給なのか(まあ入札で流れがあっさり変わるかもしれませんからねえ)はよー知らんですが、この辺りの動きを足元のGCレートやら短国レートの動向と絡めてこじつける(もしかしたらこじつけじゃないかも知れませんけどね^^)と、GCレートを高止まりさせるような調節やった結果市場金利が結局下がらないのって追加緩和実施で言ってた話と整合性が取れませんよねえとか言われ兼ねないと思いますけどどうなんでしょうかねえ(ってあたくしが率先して言ってますかそうですか^^)。

#なお、最後のパラグラフの最後の部分はこじつけ成分がかなり入っている点につきましては大事な話ですので念の為もう一度申し添えます(^^)

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2010/11/05

○米国様におかれましては何か経済効果出る前に市場だけ走る悪寒が

いやまあ常にこの手の話ばっかりするのが仕様のあたくしですがね(^^)。

さて、米国は今日も今日とてカーブのスティープが進行というか手前だけブルスティープと言うかって事で、まあとりあえず流動性相場と言うか金融相場モードをやっているというのは把握したってえ感じですか。

http://www.bloomberg.co.jp/markets/index_americas.html

米国10年国債 2.487 -0.081 101.188
米国30年国債 4.065 0.027 96.734
(東京の朝6時ごろの数字でござる)

今回の決定って10年くらいまでのトレジャリーに関して言えば市場の流通量を思いっきり買い上げる攻撃になるようですので、力技攻撃と言う事で10年の金利が低下しておられるようでございますが、その一方で30年国債の金利は正直にサガランチ会長。まあ流動性相場で株は上昇するわ金価格は上昇するわとリスク資産の価格が上昇し、おまけにまたドル安も進行してますから債券の長いところが売られるのはシャーナイナイという所でございますかな。

でまあ今回は「マンデート達成の為に必要な水準になるまで」資産買入を継続するという威勢の良い話をしていますので、長いところが金利上昇すると言っても力技で10年くらいまでの国債を買う攻撃をしていますので、そこまでの金利は需給要因の大勝利により低下というのが前回の資産買入と違うチャーミングなところではございます。

つーてもですな、国際商品価格は上昇するわドルは下がるわという流れを思いっきり作ってしまったので米国様におかれましては輸入サイドを中心に川上の物価上昇圧力が高まるのが必至という所かと存じますが、その川上の物価上昇圧力が消費者物価に跳ねるのか、それとも川下まで波及しないで中間部分でのマージン圧縮で吸収して企業業績の悪化に跳ねるのかというのも興味津々ですし、足元の30年債の金利がとりあえず上昇と言うほどの上昇はしていませんけれども、ここから上昇した場合に(10年とかの金利が力技攻撃で下がり続けたらさすがに後ろの金利がそんなに上昇しないと思いますけれども)米国の住宅市場(と家計のバランスシート調整の進捗が)大丈夫なのかとかも興味津々だったりするのです。

まあ行き着く先はコストプッシュのスタグフレーションになるか、それとも期待インフレは上昇したり川上の物価が上昇する中で企業収益なり住宅市場なりがコケてリアルの物価が上昇する前に副作用の方が先に出てくるとか、どうもこう碌でもない事ばかり考えるのはあたくしの根性に問題があるのでございますが、はてさてバーナンキ先生はどう捌いて行くのか生温かく見守って生きたいと存じます。

とりあえず足元では商品とかの価格が上昇して金融相場モードになるのでございましょうけれども、その後どうなるのかというのはよーわからん世界で頭の体操の世界でござんすにゃ。というか頭の体操をダラダラここで書いただけなのでしてどうもすいませんm(__)m



○GCが上昇したりコールが0.104%になっている件について

昨日の無担保コール翌日物金利(速報)。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp101104.htm

<平均> 0.104 %
<最高> 0.150 %
<最低> 0.080 %

さて、先般の包括緩和(もうちょっと言い方があると思うのですが・・・例えば「ダブル緩和(量的緩和と信用緩和のセットという意味で^^)」とかどうでしょうかねえ^^)によって決定されたディレクティブは以下の通り。

『(1)金利誘導目標の変更(全員一致(注1))

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す(注2)(公表後直ちに実施)。』(10月5日会合声明文より)

ということでございまして、更に総裁会見では、

『日本銀行が潤沢な資金供給を行っている結果、今でも無担保コールレート・オーバーナイト物が、誘導目標水準の0.1%を幾分下回ることが生じていますが、今後、資産買入等の基金を通じて、一層潤沢な資金供給を行うと、日によっては、これがより大きく下回る可能性が高まることも予想されます。資産買入等の基金を通じて、長めの市場金利の低下やリスク・プレミアムの縮小を図ろうという目的を達成するためには、そうしたオーバーナイト金利の一時的な振れを明示的に許容する方が効果的であると判断しました。』(10月5日会見より)

という話をしてた筈なのですが、足元ではGCレポレートも(東京レポレートのS/N取引の数字辺りを見ていただくと大体の目安になるのですけれども)ずーっと強含み状態になっていまして、昨日ちょっと足元のGCが下がってくれたようなのですけれども、ここもと延々と0.12%だの0.13%だのというような水準で取引されてたり、T/Nとかが逼迫すると更にその上のレートになってみたりというような動きが散見される訳でございまして、まあ要するにGCレポの金利が下がりにくくなっているのですわな。

でまあ何でそうなっているのかと見ますと、今積み期間では準備預金の残り所要を見ていると準備預金の進捗が遅く、まあ当座預金残高が若干抑え気味になっているのもあるのですが、恐らくはGCなどに資金を出したがらない(事務コストと事務リスクを考えたらスタッフが少ない金融機関(ってつまり外銀とかですな)だったらGCで12bp出すのと超過準備で10bpの比較したら超過準備を選ぶ人がいても全く不思議ではない)金融機関の所に超過準備が滞留して資金の流れが悪くなっているのでGCレートが上昇しやすくなっている、というのもあるのでしょうな。

更に言えば、全体の準備預金積み進捗がやや遅れているという事は大手銀行さんのところでの準備預金積み操作が従来よりも遅めになっているという事だと思われますので、それはつまりGC市場の主要な資金出し手さんの大手銀行さんの所で資金がそんなに余っていないという事になるのではと思います、よー知らんけど。


ということで、何を申し上げたいかと言いますと、足元GCが12bpだのという状況が結構続いているのですけれども、その辺りに関しては意図してやっているのか意図しないでやっているのか知りませんけど、上の方で引用した総裁会見での説明と整合性取れているんですかねえという話なのです罠。

即ち、GCレートが12bpだのという状況が(瞬間跳ねるのはまあ良いとして)それなりに続くと言う事になると、現状での金利水準からすると1年以内の国債持っていると逆鞘になってしまうので、債券ディーラーとしてはそうそう長く持っている訳にも行きませんし、投資家と言えどもファンディングコストという概念はある人が多いので、ベースの金利水準が包括緩和前よりも(極めて微妙ではございますが)レートが上昇しちゃってますよねという状態が続くのは、上記総裁会見にあります「長めの市場金利の低下」と話が合ってないように思えるんですけどどうなんでしょうかねえと言う所です。

しかも昨日に至ってはコールの加重平均が0.104%になっちまいまして、いやまあディレクティブは「0〜0.1%程度」と「程度」というヘッジクローズも入っていますので0.104%だからディレクティブの範囲内の世界ちゃあ世界なのですが、期末でも年末でも税揚げでもない日で0.104%ですかそうですかと言うところで益々2008年の頃に日々調節に悪態をついていた頃を思い出させる今日この頃なのでございまして、微妙なテイストを醸し出している次第です。

#なお、昨日は財政要因の払いが多いので資金需給的には余剰日ですけれども、財政要因で余剰の時の方が資金繰りのブレが大きいのでコールが上がりやすくなるというのはあるにはありますので念の為申し添えます。

何かね、資産買入が始まってから当座預金残高を増やすというような事を考えているのかなあという気がするんですけれども、そんなのんびりした話しててエエノジャロウカノウという気がする訳でして、何かそのあたりに2008年を思い出す今日この頃だったりするという訳なんですけど、判る人に判っていただければという雑談というか雑感と言うか悪態なのでございました。


#などという雑感を書いていたら時間がなくなってしまったので本日は何が何だか訳の判らない雑談だけになってしまって恐縮至極でありまする。なお、書くと言ってた決定会合議事要旨のネタが無いのは気のせいです(大汗)

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2010/11/02

○昨日書き忘れた決定会合前倒しネタ

えーっとですな、昨日うだうだと書いているときに超うっかり書き忘れたのでございますがね、今回の決定会合前倒し攻撃って良く良く考えたらOISのインターミーティング取引の前提条件がいきなりワープしてしまうという大変に素敵な話になるのですが、これってどういう話になるざますのでしょうか??元々決めた足でやるのか、それとも決済日がずれるのかとか、OIS取引なんぞやった事がございませんのでよー知らんですけれども、やはりレギュラーミーティングを動かすと言うのはそれに伴うデリバティブ取引とかにも影響しますなあと思います。

まあ全然騒ぎになっていない所をみますと、そもそも論として本邦の場合には足元でのOIS取引自体がどーでもいい状態になっているということなのかとは思いますけれども(^^)、大体からして(最近あまり言わなくなりましたが)一頃「OIS取引拡大で市場の政策金利の予想パスを知る」みたいな感じで妙に日銀様がOIS取引に肩入れして、わざわざインターミーティング取引を先のほうまで出来るようにという配慮もあって、かなーり先のほうまで通常会合の日程を発表するという動きがあった訳ですから、うっかりすると政策変更しちゃうかもよ的なイメージまで起こすような形での通常会合日程の変更というのは今までと違いますなあとニヤニヤする次第。

いやね、まあ政策効果(通常日程の変更が政策効果っつーのも市場が勝手に勘違いするプラシーボ効果にも程があるんでアホーな話ではありますが)の方がOIS市場のインターミーティング取引がどうのこうのなどというような問題よりも遥かに重要であると言ってしまえばそれまでなのですが、今回の措置ってやっぱり奇策は奇策だと思いますので、そうホイホイやるもんでもないかと思ったりしましたです、はい。


○せっかくですからFOMCプレビュー

まあここもと散々書きましたので何ですが、足元でのFRBの課題は先般公表されてCNBC辺りでは「プリンティングマネーで商品やゴールド高だぜヒャッハー」と雨公達が大騒ぎでござるの巻となった9月FOMC議事要旨にありますように、「短期の政策金利はゼロ金利制約にあるので、短期のインフレ期待を引き上げて実質短期金利の引き下げにより追加緩和効果を出し」、さらに「デフレの罠に一旦嵌ると日本のように脱出困難になるので、そこには間違っても近寄らないようにする」というのと、「30年MBS金利が歴史的な低水準にあることによって、住宅市場のサポートや家計のバランスシート改善の促進に寄与しており、長期金利や長期物の証券化商品の金利を低位安定させる必要がある」というのを同時に実施しないといけません罠。

つーことで、まあ今のところFRBは何だかんだと言いましても神様扱いになっておりまして、まあ何かやるとそれなりに意図する方向に市場ちゃんが反応してくれているという状態にあります(どっかの日本銀行のように仏様扱いとなっていると何をやっても中々笛吹けど踊らなかったりしますからねえ)ので、とりあえず「国債買入拡大して長期金利は上昇させず」というのは何とかなるとは思いますけれども、まあこればっかりは蓋を開けてみないとわかりませんな。

で、普通に思いつくのは、30年MBSがどうのこうのという事を勘案して買入国債は30年トレジャリーまで含めて「インフレ期待を引き上げながらも市場介入で金利を上げませんよヘッヘー」攻撃をしつつ、ガイダンス文言か物価認識に関する文言をいじって足元の物価水準は「極めて」望ましくないですよという話をする、という位でしょうかねえ。額は正直判らないのですけれども、前回ドカンと買入アナウンスしたら、10年金利で3.1%だったのが2.5%まで下がったと思ったらその後華麗に上昇して、1か月ちょっと経ったら3.9%まで上昇という大変に素敵な結果になったってえ点は考慮に入れてくると思いますけどどうなんでしょうかね。

という極めて普通のプレビューでどうもすいません。リスクは(1)そもそもFOMCのコンセンサスがどう見ても取れていない事(全然追い付かないのですけれども、連銀の偉い人の話が百家争鳴にも程があると思います)、(2)先般のNY連銀実施の謎アンケートに見られるように、市場とのミスコミュニケーションが起こるリスクが出てきたような気がする事、という感じでしょうかねえ。よー知らんがの。

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2010/10/29

何か色々と雑談的なネタの多い決定会合ちゃんでございました事よ。

○次回会合前倒しとかワケワカンネ

まずは声明文。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101028.pdf

資産買入の明細に関しての話は後ほどという事で、ワケワカンネというか昨日の後場に10年ゾーンの全力買い(引値を見ると10年がやたら強いのでそうなんでしょ)を誘発したのが決定会合前倒しの話。

『3.次回金融政策決定会合の開催予定日の変更

次回金融政策決定会合の開催予定日については、指数連動型上場投資信託(ETF)および不動産投資信託(J−REIT)の買入れを早期に開始できるよう基本要領の審議・決定等を行うため、11 月15 日および16 日から、11 月4日および5日に変更することとした。』

えーっとですな、つまりFOMCが2、3日の日程で実施されるのでその直後に設定しましたという話ですな。大体からして早期に開始するためにどうのこうのって言ったって、市場に問題が発生していて状況が切迫しているとなら別ですが、特に一刻一秒を争うタイミングでもないので、1週間程度前倒しする意味は無いですわな。

とゆー風に考えますと、普通にこれは「FOMCシフトですね」という発想になり、当然ながら「FOMCでの結果次第で円高が進行したら追加緩和措置を実施します」という思惑を盛り上げてくれと言ってるようなもんでして、別にこんな事しなくたって、必要ならば臨時会合開催して追加緩和すりゃ良いですし、そもそも為替介入の番ジャネーノという所であって、まあわざわざ思惑盛り上げてくださいという動きをするのはワケワカンネ。

まー普通に考えますとヤケクソ気味にやる気を見せるという話ですが、従来そういうことやってなかったのに急にやる所が毎度おなじみの「白川節で白川総裁的な威勢のいい話というか白川総裁的正論をぶちあげておいて、いざ差し込まれると急にポッキリ折れる」という白川日銀クオリティーを髣髴させる訳で、就任早々にイラク戦争で臨時会合を召集するという意味不明な攻撃をかました福井の俊ちゃんの「端から開き直りスキーム」に対して見せ方というか一貫性がねえなあという所ですが、その他に雑感を。

まー何ですな、この前倒しって今申し上げたようにわざわざ「期待を盛り上げて下さい」というような動きなのですけれども、これまた後で申し上げる展望レポートの内容がやたらめったら強気の見通しになっておりまして、期待を盛り上げるのは良いのですけれども、実際問題として来週の会合で追加緩和を実施という話になりますと、前回決めた追加緩和が実際にオペレーションに乗ってくる前に更に追加緩和ということで、じゃあ前回の決定はナンダッタンダという事にもなりますし、その上展望レポートが強い内容なのに更に追加緩和決定となりますと、この展望レポートでの景気見通しを1週間で変更したんですか意味判りませんねえという話になりますわな。

ということで、実はFOMC後に円高進行して、追加緩和の追加緩和をしますよという話になった場合に、どういう屁理屈を繰り出してくるのかが今からワクテカしている(している方もヤケ気味ですがorz)のであります。

あとですな、この「FOMCシフト」というのがあたくし的には実にこう味わいを感じる次第でしてですな、FRBに対する新手の嫌がらせではないかという気もするんですよ。9月の仕返しって奴ですな。まあ与太雑談ですが(^^)。

つまりですな、今回のFOMCシフトによって(1)FOMCによる決定は日銀が追加緩和の可能性を考える程のインパクトのある物なのか!!という思惑を与える事によってFRBに追い込みを掛ける、(2)日銀がわざわざFOMCシフトしないといけない位、FOMCで何をやるのかがまだ全然纏まっていないんですよおおおお、とアピールしてFRBに嫌がらせをする、(3)FOMCで何が決まるのかというような中銀同士の連携が全然出来てなくて、FRBがQE2で暴走気味なんですよお、とアピールする、などというようなFRBへの新手の嫌がらせを実施するという意図も実はあるのではないか等と考えるあたくしの根性及び性格が捻じ曲がっておりますですかそうですか(あほです)。

まあいずれにせよ、わざわざFOMCシフトするとか正直イミワカンネというかワケワカンネという感じでございます。


○資産買入明細に関して少々

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/mok1010f.pdf
「資産買入等の基金運営基本要領」の制定等について

内容がやたらあって(PDFで31ページ)中々めんどいのですが、こういうオペレーションに関しては「神は細部に宿る」じゃないですけれども、細かいオペの実施要綱の細かい部分が非常に重要になったりするので、あまり斜め読みベースでお話をするのは何ですからもっと読んでから書くなら書きますが、とりあえず簡単に。

・ETFとかは良く判らないのでパス

ETFとJ−REITの配分がもうちょっとREITが多いのかと思いましたけれども、まあこれはフィージビリティーの問題とかもあるのでしょうからとりあえずスルー、というかREITに詳しい人教えてジェネラル!


・国債と短国は金利的なインパクトはそんなに大きくないと思いますが

で、国債と短国なんですが・・・・

『7.買入方式

売買利回りの下限(以下「下限利回り」という。)を年0.1%とし、買入対象先が売買利回りとして希望する利回りから下限利回りを差し引いて得た値(以下「売買希望利回較差」という。)を入札に付してコンベンショナル方式により決定し、これにより買入れる方式とする。』(別紙2「資産買入等の基金の運営として行う国債等買入基本要領」)

ということは、輪番オペや短国買入と違いまして、出来上がり0.1%未満の利回りでの買入は行われないというのが第一の特色。それから、今回は「前日の引値対比の利回り較差入札」ではなく「絶対金利水準での入札」となりますので、この場合は当然ながら「対象となる期間のイールドカーブを潰す効果」というのがあるでしょうなあという所です。

ま、2年の金利とか大概に潰れていますけれども、ちょっと足元では若干上昇というのもありましたので、それはまあ普通に潰れるでしょうという所かと存じます。ただまあ・・・

『4.買入残高および貸付残高の上限

(1)買入残高の総額は5兆円程度、貸付残高の総額は30兆円程度を上限とする。
(2)3.(2)に定める買入対象資産ごとの買入残高の上限は以下のとおりとする。
イ、利付国債 1.5兆円程度
ロ、国庫短期証券 2兆円程度』(別紙1「資産買入等の基金運営基本要領」)

とありますので、1年から2年の国債に関しては1.5兆円ですから月割りすると1250億円とかになる訳で、マーケットインパクト的にはそんなにあるのかいな(うっかりすると2年新発国債が第U非価格競争入札で追加発行される方が多い)という所でございますので、そうバンバン潰すという話にもならんでしょ。勿論金利上昇のアンカーにはなるでしょうけれども。

あとですな、短国もかつての量的緩和で30兆円をやるのに他にオペ手段が無くなって短国買入を連発して市場の流通玉が無くなって毎度毎度100円(利回りゼロ)入札になるというようなお洒落な事案がございましたが、今回はそもそも短国の発行量が増えている事もありますし、今回の2兆円というのを全部3か月TBが入ったとして目の子計算をすると、月に6700億円とかになる訳でして、一見多そうですけれども、3か月物だけで週に4.8兆円発行されている短国の発行量から勘案するとまあそんなにインパクト無しという所でしょう。

それから、利付国債の方を「1年以上」としているのは何か微妙。短国の方に1年以内の利付国債を入れても良いと思うのですが、残存で切らないでカテゴリーで切る形にした結果、1年以内のところでは短国は入るけれども利国は入らないという珍妙な市場分断状態になるのですよね。まあそんなに価格形成に影響は無いでしょうが。


・CPと社債は影響ありそうですが

(別紙4)の「資産買入等の基金の運営として行うコマーシャル・ペーパーおよび社債等買入基本要領」から。

『4.買入対象

「資産買入等の基金運営基本要領」3.(2)に定めるCP等または社債等であって以下の要件を満たすもののうち、買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。

イ、「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)に定める適格担保基準を満たすものであること。ただし、格付および残存期間に関し、(2)ないし(7)に定めのある事項については、当該規定の要件を満たすものであること。

ロ、6.に定める入札を実施する日以前に発行されたものであること。』

2番目の方はまあ「買入オファーにぶつけて発行する」というあからさまプレイを避けるという効果の話なのでまあ良いとして、「適格担保基準を満たすもの」という条件がついているので、適格担保銘柄になっているもので、更に格付け要件があるという話ですな。で、どの辺りが適格担保になっているのかという話とかはよー知らんのでパスしますが、よくよく見ると上の方に『買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないもの』というのもありまして、よーするに個別審査するという事なのでしょうか。

まあオペ参加希望者向け説明会が実施されるみたいなので、その辺りで内容は見えて来ると思います。

『(2)コマーシャル・ペーパーおよび短期社債

格付について、次のイ、またはロ、を満たしていること。

イ、適格格付機関からa−2格相当以上の格付を取得していること。ロ、イ、に該当しないコマーシャル・ペーパーまたは短期社債であって、その額面金額または元利金の全額につき連帯保証している企業がある場合には、当該保証企業が、適格格付機関からa−2格相当以上の格付を取得していること。

(6)社債

格付について、次のイ、またはロ、を満たし、かつ、残存期間が1年以上2年以下であること。

イ、適格格付機関からBBB格相当以上の格付を取得していること。ロ、イ、に該当しない社債であって、その額面金額または元利金の全額につき連帯保証している企業がある場合には、当該保証企業もしくは当該保証企業が発行する社債(保証付社債を除く。)が、適格格付機関からBBB格相当以上の格付を取得していること。』

ということで、まあ今回はこの部分はインパクトあるでしょという感じですわな。

『5.買入残高の上限等

(2)一発行体当りの買入残高の上限は、CP等については1,000億円、社債等については1,000億円とする。ただし、CP等、社債等のそれぞれについて、買入れの時点において、買入残高が買入毎に日本銀行が別に定める時点における一発行体の総発行残高の2割5分を超えているものについては、買入対象から除外する。』

発行体の総発行残高の25%まで買うという事ですので、社債の場合は全体の発行額が多い場合には対象年限の銘柄全部買えちゃいますよ位のケースもアリエールなのかなあとちょっと思いました。

『6.買入方式

売買利回りの下限(以下「下限利回り」という。)を年0.1%とし、買入対象先が売買利回りとして希望する利回りから下限利回りを差し引いて得た値(以下「売買希望利回較差」という。)を入札に付してコンベンショナル方式により決定し、これにより買入れる方式とする。』

さっきの国債の時と同じ理屈になりますが、利回り絶対水準入札になりますので、これは該当する期間の社債・CPの銘柄間スプレッドが強力に縮小する要因になると思います。社債の場合1年を切るものは買入しませんので、まあ売るなら残存1年切る前に、ということになりますし、オペのタイミングというのもございますから投資家がオペを意識して外すのでしたら償還1年3ヶ月くらい前に売るのが吉と言う事に成りますかな(^^)。

というような事はとりあえず思いつきました。


○展望レポート一言メモ

いやーん、時間が無いわあああ(寝坊するあたくしが悪いのだが)。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor1010a.pdf

時間が無いのでメモだけなのですが・・・・

『▽2010〜2012 年度の政策委員の大勢見通し

消費者物価指数(除く生鮮食品)

2012 年度  +0.2〜+0.8 <+0.6>』

えええええええええ!この数字強すぎじゃないですかああああああ!!

と思って基本的見解を斜め読みしたのですが、やたらめったら見通しが明るくて、米国ってコケるリスクが大きいんじゃなかったでしたっけとか、前向きの循環メカニズムって新しい料理の名前でしたっけとか、突っ込みたくなるのですが時間が無いので割愛。

でですな、「2012年度が+0.6%だから2012年度まで利上げ無い」とか言ってるどこぞのモーサテの説明は素人にも程がある話でありまして、物価安定の理解におけるホライズンは「中長期的な物価見通しとして2%以内のプラスの数値で中心が1%」なのでありまして、例えば来年の今頃になって、2012年度の数字をそのまま引っ張って2013年度が+1.0%とかになったら、普通に「中長期的に+1.0%という水準が展望できますので現在の異例の緩和措置は正常化しましょう」ということが理屈上は可能になりますので、そこの数字だけで時間軸が伸びたという訳ではございま千円。

しかも「大勢見通し」で+0.8%が一番上の数字ですから、上下2名を切った数字のベースで+0.8%ということは+0.8%が2名いますよという話ですが、+0.8%だったらそれこそ思いっきり2013年度が+1.0%超えを展望できるという話でして、そらあーた時間軸全然伸びないじゃないのよというような話にも。

勿論、実際問題としてはこのような数字になる訳無いじゃんという経済見通しのもとで「結局緩和は長期間継続するでしょう」という予想はありでして、まあ昨日見た本職の皆様のレポートはさすがにそういう論理展開になっておりましたと思います(全部見たわけではないけど)が、まあモーサテちゃんで「+0.6%で+1%に満たないから2012年度までの現状の政策確定」みたいな話をしておりましたので念の為申し添えますという所でありますけどね(^^)。

一方で2012年度で0.0%予想をしている人もいまして(全員見通しの方にある)、エライまた今回は分布が広いですなあという感じでありまする。いやまあ先の話だから分布が広いのは良いのですが、中長期的な物価安定の理解の数値からすると微妙なラインにある所なので、ここでの広い分布というのは政策インプリケーションがありまくって何ともという感じです。

しかし何ですな、先ほども申し上げましたが、内容的に結構強めのレポートになっていまして、まあ今回の追加緩和を織り込んでいますからという話だとは思うのですけれども、それにしてもこれだと次回追加緩和する時にどういう屁理屈をこねてくるのかが非常にワケワカランチ会長でございまして、わざわざ自分の手足を縛るというマゾ属性疑惑も起こりそうな白川日銀恐るべしという所でございます。

いやまあ一応物価見通しに関しては「CPI改定の影響はスルーしてます」という逃げがありますし、経済見通しでは米国の景気は基本的に回復という話を大前提として維持していますので、そういう意味では「いやあ米国がこけちゃいましたわあっはっは」という逃げも打てそうなのでそれはそれで逃げ場はあるのですけれども、何もこんな強めのトーンの展望レポート(願望レポート)を出さんでもという感じでございまする。


ということで、色々とインプリケーションがあるのですが、表面的な話で突っ込み不足っぽくて誠に申し訳ないです。


○これは酷い

時間が無いのでニュースURLだけ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aISVTyn8TvIg
米FRBが国債購入規模予想で政府証券公認ディーラーに調査(Update3

『ニューヨーク連銀は、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)を対象に調査を実施。「国債購入が発表され、6カ月間で完了した」場合の名目と実質の10年物国債利回りの変化を推定するよう求めた。プライマリーディーラーは購入額がゼロ、2500億ドル、5000億ドル、1兆ドルの4つの選択肢から回答する。』(上記URLより)

おいおいおいおいおいおい・・・・そんなの大規模ヒアリングしてどうするんだよ。

何かこう市場との対話とか期待のコントロールに失敗しつつあるという感じがするのでありまして、これはバーナンキ議長がお詫びに髭を剃る日も近いのではないかとガクブルの展開でございます。

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2010/10/28

○米国金利上昇とな

ほほう。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aS8G3LXT8Hz0
米国債:10年債、6日続落−追加緩和が小規模にとどまるとの観測で

ブルームバーグによりますと米国10年債が2.720%で30年債が4.056%とゆーことのようで、30年が4%抜けちゃいましたなあ(とりあえず寸止めで粘っていた)というのもありますし、10年も2.7%とは随分戻りましたなあという所でございます。

でまあそれはそれで良いのですが、記事にありますように『30年債利回りは続伸。2年債利回りはほぼ変わらず。良好な経済統計の内容を背景に、FRBの金融緩和策では追加購入する国債の規模がトレーダー予想を下回るとの見方が広がった。』(上記URLより)ということで、何でもWSJとかにその手の記事が出たとか言ってましたけど、こりゃFRBの捌きが難しくなって来ましたなあという感じがするざます。

つまりですな、元々金融緩和期待で米国長期金利が低下してきたのは良いのですけれども、9月のMinuteが出る前後からその追加緩和ネタが「通貨(切り下げ)戦争」だの「プリンディングマネー」だのという扱いになってインフレ期待のような物が盛り上がったと思うので、実際に国債買入を大規模に実施したら瞬間は買われるにしてもその後ってやっぱ「プリンティングマネー」「財政マネタイズ」というネタで長いところの金利は上昇しても不思議じゃないと思っていたのですが、昨晩の米国債市場の結果からすると追加緩和の規模が小幅だとそれはそれで売られるという事なのでしょうか。

何か単に足元の経済指標がそんなに悪くないので、ここもと実は景気悪化の方を織り込みすぎていた反動が来ているだけなのかも知れませんが、金融緩和というか国債の買入の規模に関してもマーケットがどの程度の期待をしていて、規模によってどのような反応をするのかという点に関してFOMCの市場コミュニケーションがどのようになるのかをニヤニヤしながら眺めたいと思いまする。

一応あたくし基本的にメインで考えているのは、米国はそうは言ってもFOMC議事要旨などにあるように、長期金利(30年のMBSとか)低下によってゲロゲロの住宅市場の支えになっているというような認識でいると思われますので、長期金利(特により長い所)の金利をホイホイ上げるわけに行かずという事なので、そんなに派手派手に国債買入をぶち上げて「プリンティングマネー」の発想が先に来て市場だけ金利上昇で走っちゃうというのを避けるから、そんなに急にでかい規模での国債買入を打ち込まないかなあとか漠然と思っていたのですけれども、上記のニュースのような感じで「小規模だったら失望売り」が30年金利の辺りまでどどーんと来るのであれば、小規模というのも難しいのかなと思い出しまして、益々来週のFOMCが楽しみになって参りました。


まあいずれにしても「国債買入が大規模」→「期待インフレ率が市場だけ先行して盛り上がって長期金利上昇」→「長期金利上昇が景気の足を引っ張る」→「実際のCPI上昇率が回復する前に景気悪化でデフレの罠に」とか、「国債買入が小規模」→「期待インフレ率が上昇しない」→「引き続きCPI上昇率低下でデフレの罠に」などという神展開を見せていただきまして、バーナンキ大先生におかれましてはお詫びに髭でも剃って頂くという神展開になる事を妄想して止まないあたくしは性格に問題がありますですかそうですか(^^)。


○GCが下がったと思ったらまた上がったでござるの巻

昨日はGCレートまた0.12%水準に。

いやあ何か今週になってオペがGC放置プレイじゃ無くなって来ましたね何てことを昨日書いたのが変なフラグになったのかどうか知りませんが、昨日は資金供給オペがそんなに多くなくてまたさっくりGC0.12%水準に戻ってやがりますな。まあトモネとかは一応低いみたいなのですが、ど〜もGCの水準が暫く0.12%乗せで推移していたせいか、目線がちょっと高くなってしまっていて、ちょっとこう供給が気持ち少なめですなあとなるとあっさり0.12%に戻るというのも何ですなあという感じです。

いやまあ昨日もああでもないこうでもないと書きましたので繰り返しになっちゃうのですけれども、金融政策決定会合およびその後の会見などでの話のトーンだけ見ると直ぐにでもホイホイと資金供給を増やすかのようなトーンではございますが、一方で実際のオペレーションでそんなにホイホイと供給オペが出るでもなく、いつもと同じ状況ですなあというのって、2008年後半の動きを彷彿させる所ではあるのですけれども、まあ2008年の時みたいにGCレートがロンバート水準まで上昇してオープン金利が高止まりになってCPレートが爆発というような切迫したような動きではなく、単にGCが0.105/11なのか0.12/125なのかという話ではありますと言ってしまえばまあそれだけとも言えるので、この状況でいきなりどうしたこうしたというのがある訳では無いのですけど・・・・

で、ついでに話の筋が脱線しますが、確かにまあ介入の時の総裁談話とか見ますと威勢の良さそうな話をしていますが、冷静に今月の追加緩和の内容を読めば「向こう1年掛けて資産買入を行っていきますよ」という話であって、しかもその内容はこれから決まるという事でもありますので、そーゆー意味で言えば別に当座預金残高が現時点で大して増えていないで、GCレートに反映されるようにタイト目の資金供給オペが実施されていますなあという現在の状況は、まーそれはそれで良く良く考えますと別にインチキでは無いのですけれども、ど〜もこう何だかなあという感じがする訳ですな。そんなこんなでちょっとこう市場との温度差があるんジャマイカとゆー気がする今日この頃なのでありますが、別にあたくしの脳内妄想で考える市場との温度差というのがただの脳内妄想なのかも知れないので、その辺の判断は留保しておきます。ただ、例えば金先とか2年債利回りとかTB利回りとかのプライスアクション見てると温度差あるんじゃないの??って気はしますということで。

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2010/10/27

○GCが高止まりですなあと書こうと思ったら低下しました

まあ要するに小見出し書いたらそれで終了という話なのですが(^^)。

えーっとですな、9月の為替介入実施で非不胎化介入がどうのこうのという話が一瞬盛り上がった訳ですが、日銀当座預金残高ちゃんはそれ以降17兆円前後での推移という調節が続いておりまして、まあその数字ってどうせ介入実施した9月15日前後の当座預金残高15兆円に介入額の2兆円を足した数字を意識してるんでしょという所なのでございます。

でですな、その数値をそのままキープしていたら新しい積み期間に先週から入ったのですけれども、当座預金残高は相変わらず17兆かつかつの水準で推移するような資金供給という事で推移してたらGCレートが0.12%近辺で高止まりするでござるの巻。7月とか8月とかの数字を見てますと積み前半期間(つまり月の後半)は大体当座預金残高が18兆円ペースで回していまして、その点で言えば微妙に当座預金残高が少なめなのと、資金需給の関係で、当座預金残高水準が17兆円前後だとオペ残が31兆円近辺になってしまいますので(企業支援貸付を乗っけると4600億円ほどそれに乗りますけれども)、オペ残水準が少な目という感じになるのですな(例えば8月後半から9月前半はオペ残が35兆円から38兆円)。

でまあその結果として、積みの前半にしては資金供給がきつめという形になってしまいまして、GCレートが0.12%〜0.125%辺りで妙に高止まりする状態がここ2週間近く継続していまして、そろそろ悪態でも書いてやろうと思ったら一昨日辺りからGCレートが低下してきて昨日のGCレートもレギュラーで0.115%水準に低下と相成った次第で、ちょっとタイミングがずれたなあと思っているのであります(^^)。

ここへ来てのGC落ち着きに関しては、22日の財政揚げ超に対応して資金供給オペが増えて(企業支援抜きベースで)オペ残がやや増えたのと、今週になって当座預金残高が18兆円台になるようなオペレーションになって(今日は17.6兆円になるようですが)来たのが影響していると思われますが、よーするにそれまでは当座預金残高17兆円を意識していたのかどうかは知りませんが、そっちの方はきっちりキープする中でGCレートが0.12%レベルに上昇するのを放置プレイだったという中々こう意味の判らん動きになっておった訳ですな。


いやね、そんな中でも3か月TBは0.11%割れ水準で推移していましたし、(昨日は買いでも入ったのか0.105%レベルにまた低下)1年TBは0.11%辺りで推移していますし、そーゆー意味では「より長めの金利」は大して上昇しなかったのですけれども、追加緩和実施の時に1年は0.105%に低下して3か月は0.10%を買いそうな勢いだったのから比較するとやや残念な展開でもあります。というか2年国債の金利って昨日とか0.135%がオファーレベルだと思うのですが、追加緩和期待というか追加緩和やるんでしょ状態になってい先月末(9月末ね)の水準が0.130%だったので、それよりもレートが上昇しているというのもこれまた残念なお話でありますが、GCレートが0.12%水準定着とかになっちゃいますと、それよりも低い利回りの債券は業者的には持っているだけで逆鞘になりますから、そらまあその辺の利回りが下がりませんなあという事になりますわな。

てな訳で、何でGC0.12%水準が続いているのにオペが増えないのよという悪態でも書こうかと思ったのですが、さすがにそれはどうかという事になったのか今週になってちょっと供給オペが増えましたという所だと思います。


でですな、まあそのGCレートが微妙に高いのが続いているからオペを少し多めにしましたというのは良いのですが、ど〜もこの資金供給オペのスタンスが読みにくいというか明快じゃなくて、今週になって供給オペが増える前の状況を見ていると当座預金残高の17兆円水準を意識しているのか、それともコールレートが過度に下がらないように意識しているのかというイメージを受けるのですけれども、今週になるとGCの高止まりに対応したようなイメージがある訳です。一方で9月15日の介入前後の日銀の声明だか談話だかみたいなのとか、今月の包括緩和実施で示されている話によればもうちょっと威勢良く資金供給オペを実施して金利を下げましょうという話をしているようにも見えますしとゆー感じでありまして(ディレクティブでもコールの下振れ容認しているんですし・・・・)まあ要するに何をターゲットにしてどうしようとしているのかがヒジョーに読みにくいというか首尾一貫していないというかというのが何ともという感じです。

いやね、別に何がターゲットでも良いのですが、オペレーションの上げ下げをするのにどこの数字を見ているのかというのが一定していないように見えるというのはつまり金融調節がどんな感じで回っていくのかが読みにくいという話になりますわな。で、ここもとずーっとそうなのですが、追加の緩和みたいな措置が実施された後に妙に短期国債が強くなってから「あらら」と失速するというようなのが続いたりするのって、もちろん他の要因もありますけれども、オペが何見て打たれているのかが良く判らなくてGCが微妙な振れ方をするのも原因ではないかという気がするざます。

いや別にGCが振れるのが悪いのではなくて、GC放置プレイなら放置プレイな調節を一貫して実施していれば良いのですけれども、時にはGCを気にしたような調節をやるかと思えば、放置プレイみたいな調節になってみたりとか言うのが予測可能性を下げるのでやりにくくなるんですよねという話であります。ただまあエライ人の発言とかだと如何にも資金供給を景気良く実施しますよ的なニュアンスがある、とゆーのもありますので、何だかどうも訳判らんですなあというのがある次第でございます。


#と、延々と債券市場の人でもたぶん関心の範囲外というか何の話をしているのかさっぱり判らない話をしてどうもすいません


○決定会合プレビューのような雑談

まあ何ですな、展望レポートに関しては追加緩和実施しちゃいましたから今更どうのこうのという興味はあまり無かったりしますし、どうせ2012年度のCPI見通しって0%台前半になるのでしょうから時間軸は軽く見積もって2012年前半くらいまでは伸びるという話になるでしょうが、それは既に2年金利辺りをみればちゃんと織り込みまくっておりますので特に大ネタにはならんでしょう。

それよりも資産買入5兆円ちゃんの具体的な施策がどうなるのかというのが気になるのですけれども、国債と短期国債の3.5兆円分に関しては従来のスキームをそのまま流用すれば良いので別に問題なしでしょう。CPと社債の1兆円分に関してですけれども、今回の措置って前回実施したCPや社債の買入と違いまして、「市場が正常化したら応札無くても無問題」という訳にはいかないので、利回り競争入札みたいな方式にするのか、それとも指値にするにしても低い水準での指値にするかとかしないと「1兆円程度」の予算達成(^^)が出来ないわけでありますので、テクニカルにどうするのかはムツカシヤですな。

つまり、CPの場合は利回り競争入札で入れさせるしかないと思います(または例えば短国や国債の流通利回り水準での指値とかですか)けれども、そうなりますと当然ながら銘柄間の信用リスクスプレッドなど知った事かというレート形成がされることが予想されますので、日銀様のご購入対象銘柄に関しては銘柄間のスプレッドが素敵に縮小するでしょう、ということになるんでしょうな(発行量全部を日銀様がお買い上げするとは思えませんので本当にスプレッドが全部なくなるまでには至らないと思います)。社債に関しては売買参考統計値という便利なものがありますので、それ対比で幾らという入札方式を使う事もできると思いますが、流動性が相対的に低い債券に関しては結構この数字が微妙にアレだったりしまして、まあその数字は提供業者の鉛筆なめなめ成分もありますので、更にアレだったりしますなあとか思う今日この頃。利回り絶対水準入札にするんですかねえ。

更に残りの5000億円に関してはなお難しくて、ETFの場合は市場購入をするとしていつ買うのかとかの情報管理をどうするのとか、買った後の明細はどういう形で公表するのかとかも中々難しいとは思いますが、まーそれ自体は何とかなるでしょうという話だと思いますけど、J−REITに関してはそもそもの銘柄選定をどうするのかとかが難しいでしょうから、今回の会合で具体策が決まるのか時間的にどうなのよという気がしますです、はい。

恐らく国債と短国は直ぐに出るでしょうし、CPと社債も一応一回やっているので(ただし今回はスキームを変える必要はありますが)今回の会合で具体的な実施内容とか出るのかなあとか妄想しているのですが、ETFとJ−REITは今月間に合いますかねえという感じではないかと(次回じゃないですかねえ)存じます。


#ということで、何か今日はマニア向け雑談になってしまってどうもすいませんだって債券市場がひたすらFOMC待ちみたいになってるんですもん・・・・・

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2010/10/22

○市場雑談系の雑談

・20年国債入札でしたが

えーっとですな、まあ結局トレンドが出るような話にはなりませんでしたなあというありがちな結論なのですが、入札そのものは何となく前場引けよりも強くしてみたり、そもそも前場にそんなにコンセッションしなかったりという感じで中々結構な感じだったのですが、終わってみれば10年カレントの方が20年カレントよりも強いというワケワカランチな引けに。何か20年入札の落札結果出た後に20年から10年に入替でもしたのかよというような動きでございまして、前場のバランスでは10年のほうが弱かったので、なんちゅう嫌がらせのような動きですかという所ですが、まあトレンド出るような話にはなりませんですわなあという感じだったんですかね、よー知らんが。


・GCが妙に下がらない件について

先週更新をサボっている間に積み最終を迎えて今週は新しい積み期間に入っているわけですが、先週末の積み最終日とかコールの加重平均が0.098%とかいう大変にお洒落な数値になっていたのですね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/md101015.htm

いやまあディレクティブは『無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す。』ということで「程度」というのが入っているので0.1%をちょっと越えても「程度」の範囲内なのかも知れませんが、「包括緩和ですよ実質ゼロ金利ですよ」と鉦や太鼓で触れ回った直後にさっくりコールが0.1%に乗ったらそれはそれで極めて香ばしい展開になっていたかと思うと意味不明の感に耐えないのでありまする(−−)。

何かよー判らんのですが、足元のGCが妙に下がらなくて、0.10%台どころか0.11%〜0.12%辺りで相変わらず推移していて、一方でTBは3か月で0.105%で1年で0.11%というような感じになっているという微妙な展開。GCの資金のところがあんまり回っていないのか、ショートファンディングが溜まっているのか(まあその合わせ技っぽいですが)という所なのですが、そもそも論として別に今日明日に追加緩和の追加緩和で利下げが来る訳でもないと思うのに、何でそうショートファンディングが溜まるのかねという気はするざます。固定じゃな方のオペでも0.11%が取れるのですから、そんなにショートファンディングに傾くもんなのかなあとか不思議に思ったりする今日この頃なのでありますが、ど〜ゆ〜感じなのか教えてエロイ人という所です(結論は人のふんどしなのですが)。

あとね、「包括緩和」だの「介入資金も利用して潤沢な資金供給」と言っている割にはそんなにオペが増えてないような気がしますなあとか、6Mの固定オペってまだ2本しか打ってませんよねえ(あたくしの計算間違ってたらすいません)とか、まー微妙なところはありますな。つーか包括緩和でディレクティブ変更した時のイメージからするともっとオペがバンバン出て銀行はブタ積み(付利があるからブタには成らないが)をバンバン増やすという感じだったのですが、そんなに大手銀行さんが超過準備を積み上げている風も無く、何だかねえという感じはするのですが・・・・どうもこれって08年の時の何つーか微妙なオペレーションの匂いを感じるのは考えすぎですかねえ。

#08年の微妙なオペレーションというのは当時(09年の10月〜11月あたり)の悪態並べた駄文をご参照下さい(^^)

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2010/10/07

お題「決定会合レビューの続き」

ほほう米国金利10年2.4%割れに2年0.4%割れとな。

○市場メモ雑談

日経新聞の昨日の社説は「一日前の社説じゃないの」というふざけた内容だったようで、なんつーかもしかしてこの新聞社って実施された金融政策の効果に関して目先のドル円市場のプライスアクションだけ見て評価しているんじゃねえの頭おかしいんじゃねえのという非常に素敵な内容でありまして、まあ日経新聞は各種データだけ正確に報道すりゃええんじゃボケという感慨を深くする昨日の朝のひと時でありましたがそれは兎も角として市場メモメモ。

長いところに関しては、昨日は見事に10年ゾーン(というか9年近辺以降)の買いが強くて10年の所に向けたブルフラット恐るべしの展開に。中期は5年の所がカレントの引けを0.200%にしてまして、一時たぶん0.2割れとかにもなっていたような気がする(よく覚えてない)次第で、まあこちらも堅調ですけれども、さすがに水準が水準なだけに1ミリも売られない(というのはオーバーですが^^)けれども強くなるのも限界的という感じ。

まあ何ですな、強力時間軸攻撃で中期3年半あたりの金利まで0.12%だの0.125%だのという素敵な平坦化となっておりまして(と言う事はまあ3年半は0-0.1%状態ですなあという認識なんざんしょ^^)、辛うじてその後ろからカーブらしいものが発生するという状態な訳ですが、まあそれに引っ張られて5年も0.20%とかになっている次第で、さてそうなって来ると5年の0.2%水準が絶対水準として間尺に合うのかとゆー話になるんでしょうな、うんうん。

で、その先のほうまで手前からカーブを潰していくというのがよくあるお話なのでしょうが、そもそも金利の絶対水準が必要な収益に足りないですがなというお銀行様の懐事情もお有りなのかどうか知りませんが、より金利収入出るところに行かないととなりますと裁定ゾーンの後ろの方にもやってくるという話になりますし、更に言えば従来5年ゾーンでドンパチやっていた分に関しては強力時間軸で5年がウゴカンチ会長&水準が足りませんがなという事になりますと、その先で流動性が高くて利回り水準もまああるって話になるとやはり10年という話になるんでしょうなあ、ということで10年近辺に向けて強い買いご登場と。

一方で超長期はさすがにこの前のお縄先生ショック(本当にお縄要因で売られた訳ではないと思うけどすっかりそういうネタ扱い^^)で痛い目にあった記憶も新しいのでそっちでオリャオリャというのもまだ早いという事なのか、それとも今般の追加緩和によって資産買入を行うと言うあたりにさすがに影響有りと感じているのかどうか知りませんが、こっちは伸び弱し。10年が貫禄の高値絶賛大更新をする間に20年120回という8月の絶賛高値入札が行われた銘柄のお値段は昨日の引けでも99円3銭6厘という入札レベルからほど遠い水準というのが実に心温まる状況。

ま、オリャオリャ大会が「10年の0.8%台では利回りが足りない」とか言い出すと20年にもまた祭りの神輿がやってくるのでしょうが、とりあえずお祭りは裁定ゾーンの後ろで絶賛実施中ということで。


短い所ですが、昨日はTB3か月の入札が行われましたが、こちらの水準はこの通り。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221006.htm

(3)募入最低価格 99円97銭2厘5毛
(募入最高利回り)
(0.1035%)

(4)募入最低価格に 94.1870%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円97銭2厘6毛
(募入平均利回り )
(0.1031%)

いやまあいきなり0.10%に張り付いたらどうしようとか前日の時点では少々びびっておりましたが、そもそも資金供給ちゃんはこれから増えていく話で、足元で突如何兆円も打ち込まれた訳ではないということで、昨日はGC市場のレートも0.105%水準と特に派手な下げをした訳でもなく、まあ更に愚考するに、昨日は9年とか10年とかを買うのに皆様ご多忙のようで、3か月短期国債のことなんぞ知った事かという状態だったのではないかと(^^)。

いやまあ水準そのものは0.103%ですから十分低いですし、ど〜せこれから超過準備が積みあがって来れば徐々に0.100%に収斂するんでしょうけれども、まあ今回の「金利下振れ容認」はあくまでも自然体で低下するのはOKという事で、無理矢理コールを押し下げに行っているわけではないから当然ちゃあ当然でしたな(汗)。

昨日のコール。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp101006.htm
平均0.085%

一昨日のコール。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/md101005.htm
平均0.090%

ということで、まあ一応下がるには下がってますなあ程度のお話で、いきなり6だの7だのには下がりませんでしたな(大汗)。

それから、TIBORがちゃっかり下がっていて、リファレンス銀行の出したレートの変化を見ると中々こう味わいの深いものがあったり無かったりするのですが、その辺に関する考察は割愛いたします(^^)。



○総裁会見に関して、リスク資産買入に関する部分だけとりあえず引用

寝坊したので(汗)あまりこれをやっている時間が無い、正直スマンカッタ。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1010a.pdf

とりあえず重要そうなところと勝手にあたくしが認定した部分を駆け足で引用します。まず重要なのは資産買入に関して「各種のリスクプレミアムの縮小を促す」という点についてだと思うのですが、この点についての質問が多かったのは中々結構でした。大体上記会見要旨の7ページ目以降にその質疑があります。

まず最初に「もう少し噛み砕いて教えてください」という質問がありまして、それに対する白川さんの説明から。

『(答) 金利を考えると、国債に代表されるリスク・フリー金利にリスク・プレミアムが乗って、民間の調達する金利が形成されます。ここでリスク・プレミアムというのは、国債金利に上乗せされている金利の幅を表現しています。ETFあるいはETFを構成する株式、REITの場合には、エクイティなので金利ではありませんが、利回りをリスク・フリー金利と比較するとリスク・プレミアムと表現できます。そういうものを総称して、リスク・プレミアムという言葉を使っています。』

つまりETFやREITの価格を上げましょうという事にしか読めませんな(^^)。

『今、リスク・フリーの金利は、相当低い金利になっています。特に短期の金利は非常に低いです。そうしたもとで、金融政策によって金融緩和効果を上げようとすると、論理的に残されている道は、従来より少し長めの方向かリスク・プレミアムに働きかけていくことになります。』

さいですな。で、何の資産を買うか検討した云々の部分を割愛しまして。

『それから、ETFやREITについてですが、もちろん日本銀行の買入れの金額自体はさほど大きな金額ではないので、これ自体が需給的に直ちに価格を引き上げるものではありません。従って、いわゆるPKOではありません。ただ、私どもとしては、日本銀行がこうした市場で買入れを行うことによって、さらに幅広い投資家の買いが増えていけば、価格の形成にプラスの影響が出て、実体経済にも方向としてプラスの影響が及んでいくと考えました。』

いやあ、普通にマーケットインパクトあると思うのですが・・・・・

で、その後11ページの質問では「異例の措置を実施すると言ってますが、それは今現在が異例の状態なんでしょうか」という中々いい感じの質問がありまして、それに対する答えが中々いい感じで踏み込んでいます。

『それから異例の措置については、もちろん政策だけが異例ということではなく、経済の状況が異例であるからこそ、政策も異例になっているということです。改めて「異例」の意味について申し上げれば、長めの金利の低下、あるいはリスク・プレミアムの縮小といった世界に入ってくることによって、中央銀行が買入れた資産が場合によっては損失を計上する可能性があるということです。』

キターーーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーー!!!

『また、中央銀行が有する通貨発行権限は、国民の皆さんから中央銀行がお預かりしている機能であり、その機能を使って政策を遂行した結果損失が発生する場合には、国庫への納付金が減るというかたちで国民にも影響します。しかしながら、金融政策によって緩和政策の効果を更に追求しようとすれば、そうした世界に入って行かざるを得ないということです。』

(;∀;)イイハナシダナー

『また、様々な金融資産を買うということは、個別の資源配分に関与する度合いが従来に比べて強くなります。私どもも出来るだけ恣意的にならないよう様々な工夫を行っていきますが、例えば個別のCPや社債を購入すると「個別性」の問題が出てきます。その意味では、純粋に金融政策の世界から財政政策的な要素を秘めた領域に入っていくことになります。』

(;∀;)イイハナシダナー

で、途中を割愛しまして日銀のバランスシートに関する部分まで話が進む(^^)。

『日本銀行のバランスシートの問題は、「日銀は自分の庭先を綺麗にしたいのだ」というかたちで語られてしまうことが多いのですが、そういう問題ではありません。民主主義社会における中央銀行の本質的なあり方ということを考えた上で、物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現のために、私どもにどのような貢献ができるのかを、これからも一生懸命考えていきたいと思っています。』

中央銀行の政策が財政の領域に踏み込む件に関しての問題点をややキレ気味(かどうか知らんが)に指摘していますな。

で、その次の人の質問が素晴らしいので質問も引用しましょう(^^)。

『(問) 今後の緩和の一つの方向性は、リスク・プレミアムの縮小にあるとご説明頂きましたが、そもそもリスク・プレミアムが適正価値よりも大きくなっていないと、縮小を促していくという目的が成り立たないと思うのですが、過度にリスク・プレミアムを縮小させてしまうと、かえって民間のリスクマネーの流れを阻害することも考えられると思います。その上で、CPや社債について金融危機の時には、市場が壊れて大きくリスク・プレミアムが高まった経緯があったと思いますが、今はかなり解消されているという判断があると思います。更にリスク・プレミアムを縮小していくことがどのような意味を持つのでしょうか。また、J−REITとETFについては、株価指数や不動産価格が適正価格よりも低いというメッセージにも論理的にはなるかと思いますが、その点について、どのように整理しているのですか。』

何と言う素晴らしい質問(^^)。

『(答) リスク・プレミアムの状況は、金融市場、資産によって異なっており、一律に同じような評価は出来ないと思います。ただ、今言われたように、リーマンショック後の金融市場は、例えばCP市場、社債市場がそうでしたが、そもそも市場で取引ができない、発行ができないという市場機能が大きく傷んでいる時期でした。リスク・プレミアムが拡大し、取引自体が細っていたわけです。そのような金融危機、あるいは日本銀行の言葉で言うと「急性症状」の時期は過ぎ去っています。したがって、日本銀行は昨年の秋以降、個別の金融市場に介入する措置を順次完了しました。その点、現在のリスク・プレミアムが全般として大き過ぎると判断される状況では必ずしもありません。金融政策として、今よりリスク・プレミアムの水準を下げていくという形で、金融緩和の効果を追求しようとするものです。』

・・・・どう見ても価格支持政策です本当にありがとうございました(^^)。

『金融政策については、いろいろな議論がありますが、金融政策でもっとやることがあるのではないかという意見も一方ではあります。その「やるべきことがある」という議論は、言い換えると、必ずしも異常なプレミアムになっていない市場も含めて、「全般に金利水準を下げていく」ということに翻訳されます。』

いやまあ金利水準もそうですが、ETFとREITを買うということは(・∀・)ニヤニヤ。

『一方で、このような政策をやり過ぎると、副作用があるのではないかということも意識しています。今回公表した「時間軸の明確化」の中でも、金融面での不均衡が蓄積するリスクについて点検して、そうした観点から問題がなければ、という条件を付けています。』

と、一応副作用の話。

『これをやれば直ちに金融政策の効果が出てくるというものがあれば、むしろそれを言っていただきたいという思いです。それがないからこそ、このように効果と副作用を見極めながら、金融緩和の効果を追求していこうと我々中央銀行の政策当局者は等しく悩んでいるのです。』

最後はヤケクソ気味になっているのが実にチャーミング。

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2010/10/06

お題「今回のポイントはパワーアップした時間軸とリスク資産(ETFとREIT)の買入(だと思う)」

2008年12月の決定会合を思い出す展開でしたな♪♪昨日のタイミングで介入すれば完璧だったのに・・・・

#しかし「更にやれ」と言う話が今朝のモーサテで出るとは幾らなんでもお調子者にも程がある。煽り報道の意味が判っているのならモーサテのアホキャスターは肥溜めに頭から飛び込んでそのままの姿勢でまる1日は謹慎すべきであると思いますがねえ。一応仲間内で「次に日経あたりがクレクレ言い出すのいつか」の予想合戦をしたのだが、一番早いのでも来週月曜だったぞ

#雨公やら為替方面の解説の説明が聞いてて不愉快になってきた(佐々木融さんのは別)ので途中でモーサテ見るの止めたからどういう話をしているのか良く判らんですがピンボケの感じがすげーするです

ということであたくしなりにああでもないこうでもないと今回の決定について考えたり人とお話をしたのですが、これは読めば読むほど色々な味わいがありまして、まあその辺を何となく書いてみる。


○マクラ:前場の世間話

昨日の決定会合中の前場は当然ながら結果待ちでダラダラとしていたのでありますが、その間にお友達と話をしていたらこんな感じの会話を何人かとおなじよーにしていたりしてましてね。

ドラめもんの中の人「いやあ会合待ちですなあ」
お友達「何が出るんだかねえ」
ド「そういや○○レポート(海外レポートで日本の金融政策の飛ばしネタを書くので有名な割高レポート)では資金供給50兆円とか言ってるらしいね、人から聞いただけなんど」
友「何かさ、事前の話とかで煽られたけど、新型オペ拡大とか何かそんな事をするならやらない方が良いわな」
ド「そだね、何かアホラシカですぅ」

・・・・てな話をしていたら中々の結果が出たのでありました。いやあまさか「市場の予想以上の本格的な緩和」の方が出るとは思いませんでございました。素直に降参。


http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101005.pdf
「包括的な金融緩和政策」の実施について


○金利引下げは資産買入によるリザーブ拡大のおまけのようなもんです

最初のヘッドラインは当然ながら「別紙1」の

『当面の金融政策運営について

日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を以下のとおりとし、公表後直ちに実施することを決定した(全員一致(注))。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す』

でありますので、「えー利下げなのかよ〜」と思いつつ「固定金利オペどうすんだバンドにすると」と???感を持った訳ですが、良く良く見たら公表分の脚注にこのような記載が。

『補完当座預金制度の適用利率、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションの貸付利率および成長基盤強化を支援するための資金供給の貸付利率は、引き続き、0.1%である。』

預金ファシリティの0.1%金利が残ると言う事ですので、FED方式のバンド制という形になります。この場合はコール金利は低下(現状でも加重平均金利は0.09%近辺で推移していますが)するのですが、まあ第一勘でコールレートの加重平均が0.06%〜0.07%辺りになるという感じだと思います(将来的に超過準備が大きくなっていけば更に低下するかもです)けれども、取引自体が限界的な部分でして、短期国債のレートやらGCレートがどうなるのという話が問題かと。

で、まあ普通に考えますと、預金ファシリティ以下の金利で資金運用をしないといけない人と言うのは、よーするに預金ファシリティの恩恵を受けない人たちということになりますので、主なところとしては投資信託と生保と海外中銀などの海外勢という事になろうかと思います。で、米国の場合は短期市場におけるGSEといわれる人たちのシェアが大きいのでFFレート(やらT−Billの金利やら)がダダ下がりして制御不能になった結果として、FFの誘導目標のレンジというのが設定された訳ですが、日本の場合は短期金融市場における預金ファシリティの外側にいる人たちのシェアがそんなに大きくなく、TBの発行額はこの人たちの需要だけでは埋まらないので、結論としては「預金ファシリティレートより下の金利でも短国を買う人の需要」<「短国の発行額」という事になると思われますので、とりあえず短国のレートは最終的には0.10%に貼りつくという事になるんでしょう。

で、後で紹介するパワーアップした時間軸が入りますので、まあ常識的に考えて2年位のJGBの金利まで0.10%に貼りつくという形になって、それが後はどの年限まで効いて来るかという話になるかと思いますがその辺は後で。


とは言いましても、まあ日銀が公的にコミットしているのは無担保コール翌日物加重平均金利でして、その誘導目標を下げるのだから利下げは利下げ。実際問題としてはこの先に出てくる各種資産買入によって超過準備額が増えてしまうので、コール金利が低下するのは必至という状態になりますので、金融調節が苦しくならないようにコール金利の低下を容認するというFED方式と同じなのですけれども、当然ながら世の中的に「金利下げ」というのが見せ方として判り易いというのもありますので、公表文書ではこうなっていますわな。

『第1に、実質ゼロ金利政策を採用していることを明確化することとした。』

「明確化することとした」というように、実際は従来の金利も「実質ゼロ金利」と言っていましたので、そーゆー意味では今回は「利下げ」はどちらかと言うと以下に出てくる「資産買入拡大による日銀のバランスシート拡大」に付随して出てくるある意味おまけみたいなもんなのですが、そらまあレートカットの方が判り易いのでこういう書き方になりますわなという事です。良く工夫されていますなあと感心することしきり。

#ですので、朝のニュースで言えば「日銀、ゼロ金利政策復活」という見出しにしているモーサテと、「日銀、基金による資金供給急ぐ」という見出しにしている公共放送ではどちらのほうが政策を理解しているのかは明確という事になるのでありまして、経済専門番組が聞いて呆れるというものであります、余談ですが

ちなみに、「景気の減速場面で日銀はリザーブ拡大を行うからその時に誘導目標を0-0.1%という形にする」とだいぶ前から解説していたのはモルスタの佐藤健裕さんでした。さすがです♪



○パワーアップした時間軸はインフレターゲットにほんのちょっとだけ近づく(のかな?)

『(2)「中長期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確化』

『日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」(注3)に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく。ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする。』

で、その説明部分ですけれども。

『第2に、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続するとともに、その際の判断基準が「中長期的な物価安定の理解」であることを確認した。』

とございます。つまりですな、常識的に考えますと、「中長期的な物価安定の理解」というのが・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912c.pdf(昨年12月の「明確化」)

にありますように、

『ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない』
『中心は1%程度』

となりますので、何ぼなんでも+0.1%だの+0.2%だのというような数字が数か月続いた程度でいきなり金利正常化とか言い出すことはなかろう、てえ理解になりますわな。ただまあ物価安定の理解に関しては「中長期的な」というマクラがついておりまして、足元で物価上昇傾向が顕著になり、例えば翌年の予想物価上昇率が2%を超えそうというような状態になれば足元の物価上昇率が+1.0%を切っていても金融正常化から利上げという話になってもおかしくは無いのですが、まあそういう時にはさすがに誰も文句言わないでしょと思います。

前回の量的緩和時の途中で明確化された量的緩和政策の解除条件を比較すると、今回の方が解除条件がより景気フレンドリーになっているというのが判ろうかと思いますので念の為URLを乗せておきまする。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k031010b.htm(量的緩和時の解除条件)

そこの『2.量的緩和政策継続のコミットメントの明確化』をご参考に。

まあこれでちったあ(ベースの「中心1%」という数字が低いんじゃねえのという話はまあございますけれどもそれはさておきまして)インフレターゲットがどうのこうのという話にも0.5歩位かもしれませんが、歩み寄って来たとも言えそうだと思いますので、そーゆー意味ではインフレ目標導入どうのこうのという話にも答えた部分だと思いますけどどうでしょ。

しかも、声明文の中における今回の措置導入の背景説明部分にこのような話がありまして。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の下落幅は縮小傾向を維持しているものの、今後、景気の下振れなど実体経済活動の動きが物価面に影響を与える可能性には、注意が必要である。以上を踏まえると、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期は、後ずれする可能性が強まっている。』

展望レポートでの先行き見通しは月末に出てきますので、その時点でリバイスされますけれども、ここにあります文章をそのまま素直に読みますと、展望レポートでの先行き物価見通しは当面「中長期的な物価安定の理解」を下回るもしくはほぼ下限の水準になるでしょうから、その点を勘案すると時間軸は相当先に伸びるという風に理解するのが妥当という所でしょう。

で、市場インプリケーションとしては、先ほど申し上げたようにこの時間軸でどの年限まで0.1%の金利が波及するのかという話になろうかと思います。まあ普通に考えて中期ゾーンといわれる5年とかまでは金利が低位安定するでしょうなあという事になる訳ですが、そんな事を言う前に既に昨日の引けの時点で5年カレントは0.22%だったりしますけど(^^)。



○資産買入のキモはETFとREITの買入でしょ

『(3)資産買入等の基金の創設』

『国債、CP、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)など多様な金融資産の買入れと固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設することを検討する(注4)(別添2)。このため、議長は、執行部に対し、資産買入等の基金の創設について具体的な検討を行い、改めて金融政策決定会合に報告するよう指示した。』

バランスシート上に基金を創設ってナンジャソリャという感じですが、要するに特に変なSPCとかは作らないで日銀のバランス上でやるけれども、特別勘定というか別勘定というかで実施しますよってえ事ですな。で、その額ですが。

『2. 基金の規模

@ 基金の規模は、買入資産(5兆円程度)と、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション(30兆円程度)を合わせ、35兆円程度とすることを軸に検討する。

A 買入資産については、買入れの開始から1年後を目途に、長期国債および国庫短期証券は合計3.5兆円程度、CP、ABCPおよび社債は合計1兆円程度、総計の残高が5兆円程度となるよう買入れを進めることを軸に検討する。』

で、ここで引き算をしてみないと判らないのがETFとREITの額ですが、普通に引き算をすると「ETFとREITで5000億円」って話ですからこれは結構大きな額だと思うのですけどどうなんでしょ。上場REITって全部で3兆円とかの世界で、仮にREITを5000億のうち1000億買っただけでも時価総額の3%を吸い上げるという話ですから結構なインパクトあるんじゃないですかねえと思うのですが(REITは爆騰したんでしょ)、そっちをスルーしているレポートが多いのは何だかなあと思う次第で、そ〜ゆ〜意味ではこのリスク資産買入に関する部分の言及に力が入っていないレポートを書く奴はモグリと思われます(次に書くけど市場の反応のインプリケーション考えたら当然ここがポイントと気がつくでしょ)ので、この発表を見て「国債の3.5兆円は少ない」とか力込めて言ってる人はちょっとねえという所ですな(どこの誰とは言わないけれども)。

でですね、国債の買入の方もさることながら、こっちの方がどの位株価に効果が出てくるかと言う風に気にするのが普通の反応じゃないのかなあと思ったら、昨日は超長期がこの決定を受けて売られて中短期やら10年などの金利が低下する一方で15年超の金利が上昇したのを見て「うんうん普通の反応普通の反応」と思うのでありました。


会見でも(詳しくは今日出ます)「日銀に損失が出る場合も」とか「必要があれば拡大も」というようなヘッドラインが出てましたように、まあこの箱自体は増える可能性もある話ですし、それに伴いETFとかの買いが増えますよという話になったらそれはそれで中々の話だと思いますよこれ。

従いまして、(途中でトサカに来たのでチャンネル変えちゃったから良く判らないけれども)「FEDの買入額に比べて少ない」とか言っているモーサテあたりに出てきている為替市場の専門家とやらの人間は「買入資産の質を見ろ」という突っ込みを受けるべきでありますな。即ち、FEDは方向として「バランスシート内容の正常化」という事でMBSをトレジャリーに置き換えましょうみたいな話をしている中で、日銀は堂々のリスク資産「買入」でありまして、そのリスク資産の質がうんこであればあるほどヘリコプターマネーに近くなる訳でありまして、あっという間にトレジャリーへの正常化へと走っておられるケチャップ逆さ絵オヤジに比べて日銀のほうがよっぽど踏み込んでいる、という点に関して無頓着というのは如何なものかと存じます。



○信用緩和と量的緩和のセットという話ですが・・・・・

今回は「包括緩和」とか言うらしいのですが、まあその名前はどうでも良いのですが、今回の「信用緩和」は市場環境から勘案すると本当は「信用緩和」じゃなくて「資産市場への露骨な介入的な性格を有するもの」になるかと思います。

つまりですな、信用緩和というのは実際には「市場機能がぶっ壊れて市場の価格発見機能やら市場仲介機能が喪失しちゃったから中央銀行がカウンターパーティーリスクの受け手となって市場機能の復活を図る」というのがキモだった訳で、だからこそ各種資産買入プログラムに関してはFEDも市場正常化と共に撤退した訳ですよね。

然るに、今回の「信用緩和」ですけれどもCP、社債はもとより、ETF市場だって別に市場機能が喪失している訳ではない(REITは良く判らんけど)ですし、普通に市場として機能している訳なので、従来の文脈での「信用緩和」は不要な状況にある訳ですよね。

そういう中で資産買入を実施するというのは、実際には市場介入以外の何物でもない訳でして、声明文にありますように、

『第3に、短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。』

ってありますけれども、現状でリスクプレミアムが市場が壊れて異常値を示している訳ではない、という事を勘案するとこれはまあ相当の措置になると思いますし、本来的には通貨減価に繋がる話だと思うのですが、バーナンキ先生の洗脳が良く効いているらしい為替市場の皆様におかれましては、バランスシートの質は見ないで量ばっかり見て反応しているのが残念というか何と言うかな所でございます。


○銀行券ルール逸脱のあたりはまあ微妙ですよね

『このうち、基金による長期国債の買入れは、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで、臨時の措置として行うものである。このため、基金による買入れにより保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとする。』

『A 買入資産については、買入れの開始から1年後を目途に、長期国債および国庫短期証券は合計3.5兆円程度、CP、ABCPおよび社債は合計1兆円程度、総計の残高が5兆円程度となるよう買入れを進めることを軸に検討する。』

『A 買入れる長期国債、社債は残存期間1〜2年程度を対象とする。』

という事で、まあ(この先増えれば別ですが)この条件だと今回の追加買入分をいわゆる銀行券ルールの範疇に含めたとしても、実は銀行券ルールを逸脱しないんじゃないかなあと目の子の計算では思われますし、仮に超えても残存2年以内なのですから、まあ臨時措置でのマネー拡大という名目を立てているという感じですわな。



○とは言え色々と麿の顔(というと語弊があるが要は従来の日銀の主張ね)も立てている部分もありましてですな

とまあ随分とあちこち踏み込んだ政策決定だったのですが、一応麿の顔を立てている部分もいくつかあるのがチャーミング。上記の銀行券ルールに関する部分もそうですが、他に気がついたのをいくつか。

まず最初にあるのは、時間軸の中にある微妙な但し書き。

『ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする』

これは麿の大好きな「マクロプルーデンス」の論点を入れたものでありますが、結局のところ金融の不均衡の蓄積を含めたリスク要因なんぞ崩壊してみないとわからないものでありますので、そう簡単に「これが不均衡の蓄積だから解除します」とは言えんバイとは思うのでありまして、現実的にはまあ悪魔祓いの呪文みたいな効果しかないとは思います(それよりもCPI上昇が現実になるほうが先でしょ)し、その前に米国が金融正常化を行ってくるのが先で、日本が先行して解除とかまーどー見てもないでしょ。


それから、今回「ふーん」と思ったのは固定金利オペを「基金」に入れていること。

『この点を明確にしたうえで、市場金利やリスク・プレミアムに幅広く働きかけるために、バランスシート上に基金を創設し、多様な金融資産の買入れ、およびこれと同じ目的を有する固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うことが適当と判断した。』

固定金利オペをどさくさに紛れて「異例措置」である事を明確にするなんて言うところも微妙に麿の顔を立てているなあと思うのでありました(^^)。


○須田さんの反対理由

『(注4) 須田委員は、本文中、資産買入等の基金の創設を検討するに際し、買入対象資産として、国債を検討対象とすることについて、反対した。』

リスク資産の方は反対せずに国債の方を反対するとは妙ですが、どうせ買うなら意味のある買い方をしろという論点なんでしょうか。決定会合議事要旨をマニアとしては楽しみにしたいところです。


○会見ではいつものぶち壊しが無かったのがポジティブサプライズ(^^)

ヘッドラインを見ただけの感想で、会見内容を見てからまた明日続きをしますが、どうも今回に限っては「麿はやりたくなかったが実施したでおじゃる、こんなの効果ないでおじゃる」という総裁の麿節が出なかったようで、大変に結構なお話でございます。

#つーかそれが本来当たり前なのですが

詳しくは明日(^^)。


○しかし今回は短い時間に良くここまで纏めました!!!!

いやあもう企画局恐るべしという所でありまして、一応今日は思いついた点を全部書いたつもり(ですが、ちょっと抜けている部分もありそうです、時間が無いので勘弁)ですけれども、今回の声明文や実施される施策の内容を読めば読むほど非常に良く出来ている内容で、麿の従来の主張も踏まえつつもあちこちで踏み込んだ内容になっておりまして、しかもどう見ても資産市場への直接介入部分まであるというかなりの特攻振りでありまして、この枠組みを作って短い時間でここまでコンセンサス取って、ついでに言えばまあ殆ど情報漏れもしなかったのは素晴らしい頑張りだと素直に敬服する次第です。昨日まで散々悪態ついて(まあ基本的には悪態の方向はメディアと軽薄な市場と一部麿方面でしたけど)どうもすいませんでしたm(__)m

ということで、市場予想が抜けているような気がするが気にしないように(汗)

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2010/10/05

○しつこく決定会合プレビュー雑談

えーっとですな、正直言って今回何を決定するのかという話に関しては真面目に考えるだけ時間の無駄というか空しさの方が先に立ってくるという大変に遺憾な決定会合でございまして、「目立てば勝ち」の報道機関および政治屋連中および専門家としての倫理規制(昨日引用した権丈先生の言葉を使ってみました)が如何なものかと思われる一部の専門家の方々やら、何でもいいから相場の材料をクレクレというマーケットに押し込まれて最終的になんか適当な緩和演技をするというのもなんだかねえとゆーところでありまする。

いやね、緩和演技するんだったら押し込まれて実施するんじゃなくて先んじて演技しないと今般の決定会合前の報道で言われているように「報道が勝手に盛り上げておいて、いざ実施段階になるとてめえらの報道した内容だと足りないと言い出す」ってどこのゆすりたかりだと言った流れでして、これでまあ事前報道程度の追加緩和のようなものを実施した場合は、報道やら政治方面やらがどや顔で「踏み込みが足りない」とか言い出すだけだと思いますので、まあ本来やるならば「事前報道以上の施策(=輪番拡大とか当座預金ターゲット復活とか)をする」か「何もしないで景気の先行き見通しだけ声明文で下げて、次回以降にもうちょっと本格的な追加緩和(まあ要するに輪番拡大ですが)をする(会見ではまあ追加緩和に含みを持たせるとして)」のどちらかにした方がゆすりたかりの悪循環を一旦切る為には宜しいのではないかと思いますけどねえ。

ま、これも連日悪態ついてますが、そもそも成長基盤強化供給だってまだ1回しか実施してませんし、6か月オペだってまだ(勘定間違えてなければ)1回しか実施してませんわな。成長基盤強化は気の長めの話だからまあ良いとしても、6か月オペのアナウンス以降の効果がどうなっているから6か月オペ(なのか1年オペなのか知りませんが)の追加が必要とかいうのって政策効果の検証とかのロジックが完璧に抜け落ちている時点で茶番にも程がある訳で、まあ意味無いですわなという所で。

金利下げ方向に関しては、FRB(というかバーナンキ及び他の一部連銀幹部)が国債買入拡大方向を明確に示し、更に利下げ方向に関しては効果を疑問視する話が多く出てきた足元では、日銀がこれを実施しても正直あんまり意味の無い話になってきたと思われますので、普通に考えると金利引下げの可能性は低くなったと思います。もちろん当座預金残高ターゲットのような形をとった場合に、超過準備の拡大でコールレートが預金ファシリティを恒常的に下回る可能性が高まるので、その点での「結果としての利下げ状態」はあると思いますが、わざわざ利下げ方向で何かやっても足元の主要国中銀の動きからすると意味が無さそうに思われますがどうなんでしょうかねえ。

てな話をしていると同じ悪態の繰り返しになるのですが、先日の短観で追加緩和の材料にするのもちと無理筋っぽいですし、本当に何かやるのであれば、10月末の展望レポートに向けて経済情勢をじっくりと点検して、より本格的な対応ということで輪番拡大を実施する方が筋として綺麗だし、米国の金融政策の方向性(まあ長期国債買入拡大は良いとしてそれで長期金利を低下させるというロジックは無茶だと思います)に対抗という点でも、まあバランスシート拡大でインフレ期待に働きかける(事が出来るのかどうかは非常に怪しいですが)とか何とかいうネタは判りやすいですし、変なつぎはぎ政策やる位だったらそっちのほうが良いと思うんですけどねえ。

と、どうせ明日以降書いても意味が無くなると思いますので(苦笑)、今朝のうちに書いてみるのでありました。毎日同じネタでどうもすいません。

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2010/10/04

○決定会合が終わると意味がなくなるのでプレビューという名の超雑談

さてまあ今日明日が決定会合だったりするのですが、散々クレクレ攻撃になっている今日この頃でございまして、金曜のブルームバーグのニュースヘッドラインを見て茶を噴出しそうになったのはあたくしだけではありますまい。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aFErABecC11g
円金利先物、オペ拡大なら失望売りも−日銀の緩和策の内容に注目

すげえええええ!!勝手に市場と報道で煽っておいて「オペ拡大程度では足りないので失望売り」とか意味判んないです先生!!つーか別に金先が上がったから何なのよという感じもしますが(苦笑)、それは兎も角として、最早市場ちゃんと報道機関の煽りっぷりが実に香ばしい展開になっているとは思ってましたが、これでは漫画のナニワ金融道に出てきたヤクザの車にぶつけて全賠償の念書をうっかり書いた農家のアンチャン状態ですなあ(もちろん報道機関と市場がヤクザ側です)というテイストを醸し出している今日この頃でございます。

で、まあ今週何をやるのか存じませんが、まー今回思い切ってドカンと何かやるのなら別ですが、あたしゃしょうもないやった振りのなんちゃって緩和もどきをする位だったら今回は追加で何かをするのを見送る方がよっぽど宜しいんじゃないですかという気はするんですけどね。

つまりですな、上記URLにもありますように、市場(しかも日銀直下の短期金融市場ではなくてそれ以外(ちなみに金先は短期市場ちゃあ短期市場なのですが、日銀直下というよりはちとずれていると思います)の市場が煽る訳ですが)と報道機関の煽り(報道機関にして見りゃ「日銀の追加金融緩和」となればニュースネタですから喜んで報道しますわな)が最早素人がヤクザの車にぶつけてしまった状態と化しており、報道と市場がバンドワゴン状態になっておりますので、一回期待を外して冷やさないとやばいんじゃないでしょうかねえって所で。

でもまあ圧力が煩いのに対して撥ね付けるという程の気合も無いでしょうから(つまり気合も無いのに「麿はこう考えるでおじゃる」とか正論だけど地合いを考えろよというような発言をするのは逆効果という事ですな)まあ予想する方としてはなんちゃって金融緩和もどきのようなものをするのでしょうけれども、新型オペ拡大っつーのも何だかなあという感じですな。

さてじゃあ予想はなんですかという(まあ結局不毛な予想ですが)話ですけれども、新型オペを拡大する増額するよりも、現在の3か月を全部6か月にするほうがまだ「ターム物金利の一段の低下」という話に整合性があるとは思いますけれども、まあそもそもターム物金利自体がとっくの昔に6か月0.11〜0.115%、1年0.11〜0.12%とかに低下しているので今更何をターム物金利低下ですかと言うところではあります。まあTIBORを下げさせるという大技は残っていますが、そもそもTIBORはリファレンス銀行の鉛筆なめなめの集合体金利なので日銀がそいつを直接下げる方法は無い(と言う事になっている)のでありまして、市場金利およびクレジットスプレッドが下がりきっている状況で日銀手の打ちようが無いでござるの巻。

金曜はこんなんが出てましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a70BO6jMjDIM
日銀の利下げ観測が浮上−新型オペ拡充は効果薄く「滑稽」との声も

利下げの話がだいぶ増えているらしいのですが、当初から利下げ(というか誘導金利のバンドですな)を主張している人は別として、足元で利下げの話が出てくるというのは正直ピンボケじゃないのと思います。この前もなんか書いたような気がするんですけど、足元での米国連銀のアプローチが「長期国債の大量買入によって長期金利を下げて経済効果を出す」という話(そのアプローチが期待インフレ率を上げるという成功を来たした場合に長期金利って上昇するのでロジックが苦しくなるような気がしますが、まあその時はオトボケで量的緩和みたいな話をして誤魔化すんでしょうなと思います)をしていまして、FF金利の引き下げというアプローチは取っていないのでして、そんな中で日本が政策金利の引き下げ(しかも0.1%という一番低い金利を下げる)をするというのはピントがずれているように思えるのですよねえ、という所でございます。

で、短期国債買入を拡大みたいな話もあるみたいですが、それは何だかなあという感じもするのでありまして、その手の調節の細かい部分を一々MPCで決定するというのもアホのようなだと思います。それをやりだすと今度例えば短期国債の発行が減った時に短国買入を減らしたいのに下手に減らすと金融引き締めとか言い出すアホウが現れるでしょうから(本来的に言えば長期国債買入だってMPCマターにしなくても良いレベルの話だと思うのだが・・・・)、終いには「次回決定会合までの資金供給オペを累計で何十兆円実施します」とかMPCで決定するようになるんじゃネーノとか思ってしまう次第(^^)。まあ「資金供給の拡充」みたいな言い方をするかもしれないけど筋は悪いでしょうな。

ということで輪番拡大が筋だと思うのですが、問題は今の政治屋どもが輪番拡大を財政打ち出の小槌にしようとしている所でして、そこはどこからどう見てもバーナンキさんより白川さんが苦しい点だと思います。バーナンキの場合は別にまあ輪番拡大をしても財政打ち出の小槌の話は出てこないでしょう(まあやる事は財政マネタイズですけど)し、それ以前の問題として米国の場合は基軸通貨特権で財政マネタイズをしても問題ない(基軸通貨国の財政マネタイズは近隣窮乏化政策にも程がありますので他国的には大問題だが)のですが、基軸通貨国以外が財政の大幅マネタイズをすると行き着く先はジンバブエですから、その点でもハードルが違うでしょ、というのはある筈なので、まーその辺をどう折り合いつけるのかは難しいところだと思います。

その辺クリアできたら輪番拡大のほうが円高対策には効きそうな気がするんですけれどもどうでしょうかね。

あ、あと当座預金ターゲット復活と言うのもありますわな。付利金利残して実施というのは有るのかもしれませんが、はてさてそれってどうなんでしょうかね。まあ20兆円程度だったらあまり問題なさそうですが、これが30兆とかになったらややこしい話になりそうです。まあそっちも無い訳では無いと思いますけど・・・・

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2010/10/01

○決定会合プレビュー

何かすっかり来週追加緩和のようなものをするという話になっているようで、誠に残念というか訳判らんというか香ばしいというか金融政策が大衆迎合政策でございますかそうですかという所でございます。

で、よー知らんけどまあすっかり回りが追加緩和で盛り上がっているのですから最近の押し込みに弱い日銀としては期待を外した結果として円高に振れた場合に何言われるかとゆー点を考えると空振りという訳にも行かんのでしょうなあという感じなんでしょ。

須田さんが「事前の報道やそれに呼応した市場の動きに反応してその通りに金融政策を行うとキリが無いんじゃないか」と指摘してますし、かつてはアラン・ブラインダーFRB元副総裁が著書の中で市場などとのコミュニケーションの失敗の状況の一つの例として「自分の尾を追う犬」という表現をしていましたが、現在の日銀がまさにその通りになって、市場と一部のメディアに差し込まれる(まあそのメディアの背景に何があるのかを妄想すると色々と面白いのですが、あまりやると陰謀論者になってしまいますので深くは考察しない事にします)「自分の尾を追う犬」状態になっているのが実に香ばしいというか残念無念と言うか。

ま、それは兎も角として、事前報道のように「新型オペの拡大」という話でありましたらこれまた政策ロジック的に何だかなあという感じはするのでございます。

つまりですね、先日6か月オペ10兆円をこれから実施しますよというのをアナウンスした訳ですが、その6か月オペ10兆円ってえのはまだそのうち1回分の8000億円しか実施されていませんわな。つまり、前回実施したオペを拡充しますっていうのはそれはそれで話は通っているように見えますけれども、そもそもオペがまだ殆ど残高として実施されている訳でもない状態と言う事ですから、効果とか作用とかがわからん状態であって、本来はその辺りの効果が足りないから追加するとか、副作用の方が大きいからこの施策は縮小して他の施策を実施するとかいうのが政策アクションを起こす場合の本来の姿だと思うのですよね。

ここまでの3か月オペの拡大、6か月オペの導入にあたっては、前回導入を決定したオペが予定額全部実行された後に決定されたものでありまして、そういう意味では前に打った政策の効果などを勘案して追加を行ったというロジックになるのですが、今回もし追加で6か月オペ実施だか何だか知りませんが、オペを実施してという話になりますと、前に決定した事は何だったんですかっつー話になるんですけどねえと思うのですがどうでしょう。


とか何とか書いているうちにふと思ったのですが、もしかして6か月のオペがまだ1回しか実施されていないのって、既存の3か月オペを6か月オペに変更する布石だったりするんですかね、という気がしてきたのですが只の気のせいだと思いますのであまり気にしないで下さい(^^)。

まあ固定オペの残高か40兆円とかになりますと、じゃんじゃん介入して頂いて短期国債の発行額を増やして頂きたいというところでございまして、日経様の大好きな当座預金残高にリンクした非不胎化という話であれば、今般は当座預金残高が介入前の15兆円から17兆円くらいに増えれば万々歳という話になるかと存じますので(下記参照^^)、固定オペ追加とかすると追加のし過ぎになりますなあという所でございます(笑)。

http://www.mof.go.jp/feio/monthly/220930.htm
○平成22年8月30日〜平成22年9月28日における外国為替平衡操作額
2兆1,249億円


と言う訳で固定オペ拡大というのも何だかなあと思うのですけれども、まあ米国も長期国債買入とか言ってますから普通に考えると輪番拡大というのを本線として考えたほうが良いとは思うのですが、資産拡大を長期金利低下という波及効果で話をするバーナンキって大丈夫かなと思いますけど、日本の場合は今更ここから長期金利下がってどうするのという所でございまして、まー波及効果とかの理屈も大変ですなあという感じです。理屈捏ねる能力が卓越しておられる日銀企画の皆様ですから何か理屈は捻り出してくれるでしょうから、後は白川総裁次第という感じだと思うのですけどねえ。

しかしまあ何ですな、銀行券ルールを廃止して財政マネタイズを連想させても良しみたいな話をする人も多かったりするのですが、財政マネタイズしながら長期金利上昇抑制するのって難しいと思いますし、そもそも論として期待インフレ率を引き上げるような政策を行わおうとしているのに長期金利は上昇したら困るというのも虫の良すぎる話でして、輪番拡大そのものはあたくし的には別にまあ野放図な財政マネタイズの抑止が担保できればドンドン増やしても良いんじゃねえのと思う(ただし、現下の政治状況を見ていると財政マネタイズが始まったら物凄い勢いでそこかしこから財政出せ出せ財源はマネタイゼーションという事になって、歯止めがまるっきり効かなくなるとしか思えない(まるでいつぞやの軍事費のように・・・・)ので、まあ法的担保でも怪しいんじゃないか位の懸念はありますわな)のですが、輪番拡大でまあ最初は長期金利が下がるかもしれませんけど、必ずしも長期金利が下がるかどうかは怪しいんじゃないですかね。

つーか今書いたように、米国の場合もそうですけれども、資産買入によってインフレ期待を高めることに成功したら長期金利って上昇するんですから、金利低下で経済効果がどうのこうのとか言ってるバーナンキの理屈はさっぱり判らないし、極めて危ないロジックだと思いますので、是非とっとと資産買入を決定していただいてプギャーとなる神展開を望んで止みません。

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