金融政策概観(2012年度上期前半分(2012年04月〜06月))

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2012/06/29「固定金利オペの猫の目は大概に止めた方が良いと思う件について」
2012/06/28「金利コリドアに関する理解が変じゃねえのと思う市場のECB利下げに関する議論について少々」
2012/06/27「基金オペの打ち方が幾らなんでもヤケクソすぎてこれは如何なものかと思います」
2012/06/26「当座預金残高が過去最大を更新したのに緩和拡大とコメントしないのは何故でしょうかリフレ派さん」
2012/06/25「3か月オペのロールを6か月で実施とか涙ぐましい小細工を続けるオペ部隊」
2012/06/22「審議委員の空白やっと解消へ」
2012/06/20「6か月固定オペを新規投入とか連日のヤケクソが目立つが調節の涙ぐましい努力は続く」
2012/06/19「基金オペで色々と涙ぐましい努力が見られます」
2012/06/15「3か月TB入札は堅調」
2012/06/14「決定会合プレビュー雑談続き/まだ一部審議委員人事にごねるアホウがいるのか」
2012/06/13「決定会合やらFOMCやらのプレビュー雑談やら悪態やら」
2012/06/12「空席の審議委員にモルスタ佐藤さん、野村木内さんがノミネート/オペ関連雑談」
2012/06/07「グローバルクレクレ相場/3か月固定オペも札割れ/審議委員の提示があるとな」
2012/06/04「債券市場高値更新/6か月オペは大幅札割れ」
2012/06/01「欧州大火災時に何も人口動態がどうのこうのという講演を中銀総裁の立場でやらんでも・・・・」
2012/05/30「2年国債入札で前代未聞の事務ミスによる入札やり直し」
2012/05/28「基金国債買入の割り振り変更」
2012/05/25「輪番の買入におけるマイナーチェンジは市場局で実施可能とな」
2012/05/24「これは実費だけでいいので応札したいですねww」
2012/05/23「武者先生のギリシャのお告げキタコレ/日本国債格下げキタコレ/短国入札等」
2012/05/22「決定会合プレビュー雑談」
2012/05/21「今度は輪番オペが札割れ」
2012/05/18「米国追加緩和でリバースオペは難しかろう/3か月T入札/超過準備マイナスは実務的に難しい」
2012/05/17「金融ファクシミリ新聞の付利下げ思惑与太記事で基金国債買入が札割れ」
2012/05/16「物価に強気なコメントが出てみたり消費税発言が出てみたり銀行の国債保有の記事が出てみたり」
2012/05/15「財政マネタイズを防ぎたいのは判るが妙にスイッチの入った状態の麿/世界クレクレ観察」
2012/05/14「保有外貨資産のガイダンス公表とな/企画担当雨宮理事が異動とな」
2012/05/11「短国入札は0.10%割れが続く/トレーディング勘定のリスクはVaRからドローダウンシミュレーション」
2012/05/09「基金オペ札割れ大会キタコレ」
2012/05/02「決定会合レビュー(その2)景気判断は引き上げ/基金買入が微妙にしょぼい件について」
2012/05/01「決定会合レビュー(その1)資産買入関連は満額以上の回答」
2012/04/27「お縄ショックならず/情けない政治情勢(自民党&大阪維新)/決定会合プレビュー」
2012/04/24「金融政策決定会合前に債券先物143円マーク/古川元久経済財政大臣の非常識政治干渉発言」
2012/04/23「竹中平蔵先生、10年前のインフレターゲットと今のインフレターゲットは違いますが」
2012/04/19「BOEポーゼン委員が資産買入拡大提案を取り下げとな/三重野元日銀総裁ご逝去」
2012/04/18「ドイツ証券安達誠司さんの日米金融政策解説が本職とは思えない杜撰な件について」
2012/04/13「固定金利オペの見直しが必要ではないかという件」
2012/04/11「決定会合結果に関する周囲の反応等の話と悪態」
2012/04/10「オペ関連の雑談/自民党のマニフェストが荒唐無稽すぎる件」
2012/04/09「引き続き審議委員人事雑談」
2012/04/06「審議委員が欠員ですなあ&決定会合プレビュー」
2012/04/05「自民党のお馬鹿な日銀法改正案/当座預金残高だけで為替は決まりません/麿にも悪態」
2012/04/04「自民党は民主党よりも無茶苦茶な理由で審議委員反対決定」
2012/04/02「自民党も河野龍太郎さんの審議委員就任に反対方向へ」

2012/06/29

○またもオペ雑談

ただの粘着ですかそうですか(^^)。

オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120628.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年7月2日 2012年9月27日

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120628.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月2日スタート分) 15,033 8,009 53.3

ということで3か月固定オペをまたまた新規で入れてきたのですが、もともと今月は20日以降月末に掛けてのオペの期落ちが少なかったうえに、3か月のロールを6か月で実施するという荒業プレイによってロールの札が減ったのもあって、まあ3か月のニーズはあったということでめでたく応札が1.5兆円入って良かったですね(棒読み)という所ではございます。

まあ何と申しますかオペ残高確保の為になりふり構わずという風情でありまして、そらまあ5月の決定会合議事要旨見たら政策委員会から「まあお前ら頑張れ」とか実務上のフィージビリティー的に限界のある状態までオペ拡大して後は現場にマルナゲータとか現場からしたらナメトンノカヴォケという所ではございましょうけれども(−−)、まあそんな中でも頑張る所がジャパンのクオリティーっぽくて実に素敵ではございます。

・・・・・・・ただですな、3か月のオペのロールが6か月になるとか、そんでもって減った3か月の分を今度は新規で入れるとか(それこそ今回のオペのエンドでのロールが6か月になったら「創刊号は200円」の某ディアゴスティーニ商法かという所ですが^^)、あまりオペの打ち方が猫の目状態になってしまうと、そもそも現在は量的緩和状態を実施している中で、そういう環境下において別に固定金利の3か月とか6か月とかそんな長い資金ってニーズが多い訳では無いのでして、資金のアベイラビリティーに問題があるという状態だと固定金利にニーズがあるのは欧州見れば判りますけど、日本の市場環境的には、資金のアベイラビリティーよりも担保足りなくなる方がリスクというまあある意味贅沢な悩みではありますが、そーゆー状況にある訳でございます。

そして、固定金利オペにニーズの出るもう一つのルートとしては長短金利差での鞘抜きニーズという話になるのですが、基金国債買入をホイホイ拡大した結果として、1年どころか3年まで金利が0.10%に張り付いてしまいますと、そもそも6か月の資金を固定しても鞘抜けるものが無い(たとえば1年金利が0.15%だったら6か月を0.10%で固定したら後半6か月が0.20%でブレークイーブンとかそういう話ね)のでございまして、益々ニーズございませんなというお話。

つまりですよ、そういう次第でそもそもニーズが無い中でまあそれはそれで一定の札が入るのはどうしてかと考えた場合に、「安定したファンディング」というニーズが有る訳でして、国債ディーラーからするとまあ当然ながら国債売買における在庫ファイナンスのニーズがありまして、売買で結構その必要額はぶれますけれども、そうは言いましても根っこの部分でのファンディングのニーズがありますので、そこに関しては3か月の固定オペをロールしながら対応しまひょかという話になりますがなという事ですな。然るに3か月のオペのエンドが6か月になるとか、急に新規がホイホイ入ってくる(まあ総額減った分の補填したいのは判るけど)とか、あまり猫の目をやられますと入れる方的に「安定したファンディング」のニーズを満たさなくなりますがなとゆー事になって、却って札が入らなくなる可能性がありますので、まあ残高確保に色々と工夫したいのは良く判りますし、工夫大変ですねえとか思うのですけれども、市場的にはそんな事情もあると思われますので、工夫も程々にというのが吉なのではないかと愚考する次第だったりしますです、はい。

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2012/06/28

○ECBの利下げ期待はまあ良いとして関連論点がおかしい件について

まあ実は市場のお仲間さんと話しながら色々と考えたので折角だからメモにしておくとかそういう話だったりするのですが、まあECBの利下げ云々に絡む話で何か変じゃねというのがどうも目に付くのよ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5O5TU6JTSE801.html
ECB、利下げに伴う中銀預金金利ゼロを問題視せず−当局者

『協議が非公式だとして匿名で語った同当局者によると、利下げ実施となれば下限政策金利である中銀預金金利を現行の0.25%から引き下げることを伴うが、政策委員会の大半のメンバーは問題視していない。ただ、この関係者は利下げは確実ではないとも語った。ECB報道官はコメントを控えた。』(上記URLより)

・・・・・・・?????としか申し上げようがないのですけれども、どうも欧米市場発のレポートとか見てるとこの手の話が多くて(逆に「預金ファシリティー金利をゼロに下げられないからECBは利下げができない」という意見もあったりする)、趣味の中銀ヲチャー(中銀ウォッチャーというのはおこがましいのでヲチャーを自称^^)をしておりますあたくし的に思いまするに、そもそも何でMRO金利下げるのと同時に預金ファシリティー金利を下げなきゃいかんのかと小一時間問い詰めたい訳でございます。

そもそも常設ファシリティ―作るのは金利回廊を形成することによって市場金利の上限と下限をまあ大体形成する(正確に言えば貸出ファシリティ―は担保が無いと利用できないので無担保の金利は貸出ファシリティー金利を上回る可能性はある)為に作る物ですが、そのコリドアの幅を幾らに設定するのかは別に勝手に決める世界でありますし、そもそも量的緩和政策のような形でインターバンクに所要準備を遥かに超える資金供給を実施した場合には理念的には市場取引金利は預金ファシリティー金利まで低下した所で張り付く形になるので、量的緩和政策の実施と共に日本や米国の場合は預金ファシリティー金利を政策金利と同水準(その後どちらの中銀も政策金利をバンドにしてそのバンドの上限が預金ファシリティー金利になっていますがな)にしている訳で、利下げするのに同時に預金ファシリティー金利を下げないといけない義理は無いのですけど、まあ未体験ゾーンだからどうも実感として湧かないのでしょうかね。


更にこんな話とか。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M695YN6TTDS001.html
ドラギ総裁、未知の空間に足を踏み入れるか-FRB議長は敬遠

『6月27日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、米連邦準備制度理事会(FRB)が敬遠しているトワイライトゾーン(未知の空間)に金利を設定することを真剣に考えている。ECBの利下げは信頼感改善や貸し出し促進、成長拡大につながるもようだが、下限政策金利である中銀預金金利がゼロ以下に下がることにもなるかもしれない。0.25%からの中銀預金金利引き下げは、てこ入れを図ろうとしている短期金融市場に悪影響を与えかねないことが政策当局者にとって障害となっていたが、もはやタブーではないと、ユーロ圏の中銀当局者2人が15日に語っている。』(上記URLより)

まあさっきのニュースの関連記事ではございますが・・・・・・・

『フランクフルト・トラストの資産配分責任者クリストフ・キント氏は、「金利引き下げは現在の状況では心理的に重要な効果をもたらすだろう」と分析。「マイナス金利は不合理な概念ではない。ただ、ECBが望むような効果が実現するかどうかは分からない」とくぎを刺した。中銀預金金利がゼロ以下になれば、銀行は過剰流動性をECBに預けることを控え、代わりにその資金を融資に回すことが考えられる。ECBへの預金は1日当たり約8000億ユーロ(約79兆円)に上る。』(上記URLより)

・・・・・・・・えーっとですね、現在欧州が直面している問題というのは金融市場の短期的な問題としてはリスクオフという名前の信用収縮でございまして、信用収縮している時に上記のような「中銀預金金利がゼロ以下になれば、銀行は過剰流動性をECBに預けることを控え、代わりにその資金を融資に回すことが考えられる」という効果が起きるのでしょうかという設問に関しては2001年に実施した日本の量的緩和政策およびそれに付随するゼロ金利政策を見れば答えは出ている筈でして、信用収縮だったりバランスシート制約があってそもそも金融機関がリスクテイクできないという状況下では、そもそも金利が高いから貸出をするとかそういう状況にはなり得ない訳でございまして、市場取引がそれによって活性化する訳ねえだろと存じます次第。

いわゆるポートフォリオリバランス効果が働く為には、そもそものバランスシート制約が無い(または極めて少ない)状況であることが前提として必要であり、銀行間取引にしろ融資にしろ、そもそも信用収縮があったりバランスシート制約があったりする時にはそのそもそも論となる問題が解消されない限りにおいてどんな餌を吊るしてもポートフォリオリバランスは期待されるような効果を発揮できないでしょという話でして、日本の例もそうですし、大体からしてサブプライム問題発生以降の米国金融市場だってそんな感じだった訳で、今さらECBは何を言ってるんだという感じですが、まあ報道がそもそも正しいのかどうかがワカランチ会長なのであまり罵詈雑言を放つのは避けますね(^^)。


それにですな、そもそも金融市場が信用収縮モードになっている時というのは短期金融市場における市場機能が低下している訳でして、金融機関のファンディングを円滑に回すためには中央銀行が短期金融市場のカウンターパーティーとなって取引を回さないと行けないのでありまして、それこそFEDも日銀もそういう形での短期金融市場への関与を行っている訳ですが、当座預金金利ゼロだのマイナスだのにして流動性を中央銀行に持たせない政策を実施したら、中銀が短期金融市場のカウンターパーティーとして取引を回すのが却って困難になり、危機下における短期金融市場というか金融機関のファンディングが更に機能低下する訳で、却って危機を拡大するリスクを抱えますがなという事になりますわな。

大体からして信用収縮しててバランスシート制約のある中で中銀の当座預金に所要準備以上置くなというような話に成ったら、金融機関は何をするかと言ったら国債買うか安全な海外の国債(まあ今だったら米国債とか英国債とか日本国債とかでしょ)しかしない訳で、単に安全国と見なされる国の国債金利が低下してそれこそこっちが大迷惑というだけの話でありまして、まあアホな事は勘弁して欲しいものだと思うのですけれども、さすがにこの程度の話ECBは普通に判っていると思うので、単なるポジショントーク含めた煽りを受けて記事にしてるという感じだとは存じますがねえという所で。

あと、利下げは景気判断に基づく話で金融危機対策とは実は別問題だと何度いったら判るのやらという感じではございますけどね(金融危機が実体経済に悪影響を与えるから利下げというのはまあ有るけど)。

#ということでまあ短期市場の皆様におかれましては何を今さら話のメモで誠に恐縮至極

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2012/06/27

○オペ雑談メモ

毎日工夫をこらしたオペを打っているのは判りますが・・・・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120626.htm

米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年6月28日 2012年7月6日 0.670
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年6月28日 2012年9月20日 0.680
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月28日 2013年1月21日


http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120626.htm

米ドル資金供給(固定金利方式)(7月6日エンド分) 0 0
米ドル資金供給(固定金利方式)(9月20日エンド分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月28日スタート分) 3,985 3,985

ドルオペの方はまあ良いとしまして、昨日は固定金利オペのオファーがあったのですけれども、何故か3か月物のオペのロールを6か月で打つという「創刊号は300円」のディアゴスティーニ商法もビックリのオファーを実施。まあ普通にやっていると6か月物のオペって中々札が入らない(しかも20日越えて当座預金残高が空前の状態になっているという中ですし)のでこういう戦法を取って札集めようというお気持ちは判るのですが、この前はまあ3か月オペを新規で入れたからその分の振替で3か月のロールを6か月で打ってもまあそうですねえとは思いましたが、さすがに2発目となるとややアレな雰囲気が。

いやですね、基本的に固定金利オペってロール前提でオファーしているという風に市場の方も思って段取りを組んでいる筈でして、3か月のオペの落ちが6か月になるとかいうのを乱発されますとやはりそれは「事前の段取りが狂う」という話になると思いますので、その方が札が入るかもしれないから打ちたくなるのは判るのですけれども、さすがに段取り組んでたのがいきなり変更とかになりますと、今度は「ロールが必ずしも同じように入らないかもしれない」というのを前提に置いた応札をする(つまり安心して応札できないという話)事になると思いますので、目先はともかく、将来的な継続的な見方をした場合に却って応札が減ることになりゃせんかという気は何となくするんですがどうでしょうかね。つーか8000億円(細かい事言うと8004億円)のロールに対して応札が3985億円しか無かったというのは(ちなみに前回の攻撃時は8011億円のロールに6899億円が応札)単に資金ニーズがという話だとは思いますが、こじつけてしまえば固定金利オペの運営に関して不確実性が出てきたのでオペの応札が減ったとも言えない事はございませんと存じますです、はい。

まーそんな事言ってる場合じゃないという位の技術的な固定金利オペの限界に至っておりますがなといってしまえばそれまでの話ではあるのですが

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2012/06/26

○何となく雑談ネタみたいなものを少々

・当座預金残高が絶賛拡大している訳ですが

昨日の当座預金残高速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx120625.htm
当座預金残高 425,500

本日の当座預金残高予想
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp120626.htm
当座預金増減 +9,600

ということでございますので、本日は日銀当座預金残高が43兆円台に乗る予想となっている訳ですが、今年の3月とか4月に前年の震災対応流動性供給の影響で前年比のマネーが減って日銀は金融引き締めしているから円高になってケシカランとか言っていた人たち、特にどこぞの何とかスト様におかれましては当然ながら足元の状況を捕まえて日銀の金融緩和が進んで大変に素晴らしいとか褒めるんでしょうねえと存じまして、目を皿のようにして某証券や某証券からのレポート配信を楽しみにしておったのですが、あたくしが見た所その手のレポートらしきものは全く拝読できないという甚だ残念な状態。

まあ何ですな、つまりおまいら日銀の引き締めガーとか抜かしていたのは単にその場で日銀にいちゃもんをつけただけだったんちゃうのかと小一時間問い詰めたい訳でありまして、世の中色々な言説を拝見しておりますと、まあメディア系電波発信装置系の人々は良くやる手段ではありますが、統計とかデータを自分の都合の良い時だけ引用してああだこうだという手段がありまして、本職の何とかストとかが大真面目にこの手の手法を用いるというのも昨今では(まあ一部とはいえ)目に付く所でありますので、よーく監視する必要があるかなあと個人的には思っていますが、一々それを並べて晒しあげとかするほどマメではありませんので気が向くと監視するだけという所ですな、うんうん。

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2012/06/25

○日々是オペ雑談

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120622.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 7,000 2012年6月26日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 3,000 2012年6月26日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月26日 2013年1月17日


結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120622.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 11,063 7,013 0.000 0.000 59.8
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 8,342 3,000 0.002 0.002 60.0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月26日スタート分) 6,899 6,899

ということでオペのオファーが毎度の如く必死なのですが(^^)、金曜につきましては基金国債買入の配分が8000/2000→7000/3000と変わりましたがトータルは同じ。応札の状況見ると割り振り的にはこんなもんという感じでしょうか。

そして金曜日に更にアレでしたのは固定金利オペの方でして、こちらに関してはロールの実施なのですが「3か月物のロールを6か月物で実施」という荒業にも程がある攻撃。まあこの前新規で3か月物を入れましたのでその分を6か月に振るという手は確かに有りなのですが、何というかその発想は無かったわという所でございまして、6899億円も応札があって良かったですね(棒)という所でございますが、とにかく残高達成の為にご苦労なこったという所で実に涙ぐましいものを感じるのでメモだけしておくのであります。

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2012/06/22

○審議委員空白解消へ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5X53H6JIJUO01.html
野村・木内、モルガン・佐藤氏が日銀審議委員就任へ−衆院も人事に同意

『6月21日(ブルームバーグ): 野田佳彦政権が提示した日本銀行審議委員に野村証券の木内登英氏、モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕氏を起用する人事が21日午後の衆院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決した。参院も20日の本会議で可決しており、両氏の人事は国会で承認された。これにより、2人の審議委員の空席が解消される。』(上記URLより)

ということで何はともあれめでたい事でございますが、お二方におかれましては早速次回の展望レポート中間レビューから金融政策論議の活性化にご尽力いただきたい物である、と斯様思う次第でございまして、ボードメンバーが置物になって執行部が独走モードになるというのが一番ケシカラン流れですからね。

まあ今回は展望レポートの中間レビューというタイミングで、1名じゃなくて2名同時に就任になるので、早速執行部ペースの香りのする昨今の流れに棹を差して頂くような方向での期待を勝手にしておりますあたくしですけど、まあ一つそんな感じで(^^)。

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2012/06/20

○今日もオペ雑談

こう毎日オペでネタが投下されるとか中々胸の熱い展開ではありまふ。

火曜日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120619.htm

米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年6月21日 2012年6月28日 0.650
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月21日 2013年1月15日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120619.htm

米ドル資金供給(固定金利方式)(6月21日スタート分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月21日スタート分) 3,207 3,207

ドルオペ坊主は兎も角としまして、昨日は月曜に続いて固定金利オペを新規でオファーするというプレーに出てまいりました金融市場局。まあ丁寧な言い方をしますと「さまざまな方法を使って積極的に資金供給オペを実施」とか何とかいうのですが、まあ短期市場関係者的に申し上げますと「ヤケクソのオペ乱打」ってな感じがするんですが口が悪いですかそうですか。

6か月オペの新規とかこらまたよー打ちますなという所ではあるのですが、やはり6か月オペだけに前日の3か月とは違い普通に(まあ予想通りです)札割れとなったのですがとりあえず年末残高を3200億円積み増せてよかったですね(棒読み)という所で。

まあ何ですな、昨日も申し上げましたようにこのオペ乱打状態は新たな政策インプリケーションを与えるものでは無く(あったらMPMで何かアナウンスする)、従来MPMで決定している金融調節方針の踏襲という事ではあるのでござんすが、固定金利オペを新規に打つにしても一応明らかに資金余剰日になる所を避けてみたり、足元での固定金利オペの期落ちが妙になかった(28日まで期落ちが無い)りするとか、6月20日の大幅余剰(財政要因で7.3兆円の資金余剰見込み)を意識したのかねとか、まあ一応資金需給もみながら淡々とオペを打っていたというのが従来の姿。

然るに、何でこのタイミングでというのはよーワカランチ会長ではございますけれども、直近はその淡々とした打ち方から一転して髪振り乱しての追い込みとゆー感じでありまして、大体からして20日は資金大余剰日なのは端から明らかで、何もなくても当座預金残高が40兆円近辺という状態なのに、その日スタートで新規の資金供給オペ打つ(ちなみに基金国債買入も20日スタートで1兆円オファーしていた訳で、合計で1.8兆円の新規資金供給である)とか中々画期的というかヤケクソというかっつー風情ではございまする。


先ほど申し上げたように政策インプリケーション云々という話よりは、これは市場金利の絶賛低下によって資産買入等基金の残高目標の達成がしんどくなりそうという事で、まあそもそも包括緩和では「長めの市場金利の低下」と「リスクプレミアムの縮小」を企図しているのでそれはそれで札割れ上等とか言いたいのでしょうけれども、MPMのアナウンスとして65兆円(来年6月末では70兆円)というのをぶち上げております関係上、札割れ上等未達やむなしとか開き直る訳にも行かず(まあ経済物価情勢が順調に目途達成寸前とかなら兎も角ね^^)、まあ髪振り乱してオペ頑張るしかないですが、面白いからこの際資金需給とかあまり気にしないで毎日固定金利オペ打ってくださいとかまた調節部隊の方々が色々と頭を捻っている(と思われる)中で無責任な野次馬発言ですかそうですか。

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2012/06/19

○オペ雑談というか備忘録である

昨日は色々とオペで不思議現象があったので。

月曜のオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120618.htm

CP等買入(資産買入等基金) 3,000 2012年6月21日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 8,000 2012年6月20日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 2,000 2012年6月20日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月20日 2012年9月21日

落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120618.htm

CP等買入(資産買入等基金) 4,730 2,956 0.006 0.008 19.9
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 11,731 8,018 0.000 0.000 68.3
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 7,368 2,008 0.001 0.001 59.6
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月20日スタート分) 18,500 8,008 43.3

(上記URL先ではオファーバック順に表記されているのですが、オファー順に順序を改変しています)

まず最初にあれと思ったのは基金国債買入でして、今回は1〜2年と2〜3年の各買入予定額が8000億円と2000億円と相成りまして、ここもとの買入オファーはオファー日ベースで直近から順にさかのぼると18日:8000/2000、7日:6000/2000、5月25日:3500/3500、5月16日:6000/1000(でこの16日の買入のうち1〜2年が札割れして話題になったのだが)とまあ毎回変更するわ今回は額が増えるわと中々お洒落。

何で増えましたですねんという話は正直ワカランチ会長ではございますが、落札結果を見るとまあ札は普通に入っているので、その辺は札が入るという読み筋(ヒアリングなどはしている筈)でオファー額を決定しているのでしょうけれども、(1)買入を前倒し実施しているようなアピールをしてみた、(2)今後も買入が増えて来ると段々札割れの可能性が高まってくるので、そんなら買える内に残高を確保しておく、というまあ概ね2種類の読み筋(あるいは合わせ技)があるかと思われます。


でまあ後場にこれまたありゃーと思ったのは3か月固定金利オペのオファーでありまして、既に3か月物オペに関しては(この前1回札割れしましたけど)残高目標行っておりまして、何で新規で打つのか正直謎展開。上記の結果の通りで18500億円の応札があったのですけれども、先日ちょっとネタにしたように固定金利オペの期落ちが暫く無い中でGCレートが微妙に高いという状態だったので札は入る展開ではあったと思うのですが、何でこのタイミングで新規を入れたのでしょうかねという感じ。

20日になると国債償還で財政資金が7兆円とかの払い超になりまして、まあその7兆に関しては即座に市場に出るかどうかというとこれまた微妙なので20日直後って資金が偏在しやすい状況にはなるのでそれに対応したという説は無い訳でも無いのですが、んな資金偏在なんぞ暫くしたら解消しまして金が余りまくって来る話ですし、大体からして20日の資金偏在を気にするならもっと前にオファーしないといかん話。

とまあ考えますと、これまた将来の札割れ対策で先に残高積んで置けば償還ロール時に需要が完全になくなってオペが坊主になるという事も避けられる(資金需要的にニーズの無い時に新規を入れても坊主になるだけだが、オペの落ちがあると少なくともその分だけは資金需要が発生する計算になるので)ので、札割れ対策で糊代作ったとかそういう話になるんですかね。

まあ何ですな、とりあえず残高に目標数値を置いているだけに、札割れ対策も考えてオペを色々と(オペ部隊の裁量範囲内で)いじっているという所に涙ぐましい努力の跡を感じる次第でございます。基金国債買入に関してはケツの残高目標だけ決まっているので、途中のオファーをどうするかは市場局の裁量になりますが、固定金利オペに関しては毎回8000億円のオファーという風にしていたというのがありまして(この辺→http://www.boj.or.jp/announcements/release_2010/un1003d.pdf)この後オペ残高拡大していく中で前述の頻度とかは形骸化しているのですけれども、毎回8000億円というのが微妙に生きているような感じですよね。MPMで議決しないといけないのかはよく判らん所ではあるのですが、8000億円というアナウンスを1回やっているので有耶無耶のうちに変えるのも変という事でしょうかね。


つーことで、まあ特段の政策アナウンスメントを意識している訳でも無い(逆にアナウンスメントを強調したいのであればMPMで鉦や太鼓を打ち鳴らして宣伝するもんですから)とは思いますが、ちょっと面白かったので小ネタでありました。

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2012/06/15

○いつもの市場雑談

いつものオペ雑談である(^^)。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120614.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月18日 2012年9月20日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120614.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月18日スタート分) 22,770 8,008 35.2

昨日の3か月固定金利オペはこれまた応札2兆超えとエライ多い額になった訳でございますが、13日と15日に共通担保金利入札オペの期落ちが各1兆円あった(今月の頭と先月のケツに実施したオペ)為にオペ的にニーズがあった事と、固定金利オペの足が来るのが次は6月26日でして、暫く買入以外の資金供給オペが無い(資金需給的には余剰モードに突入するのでどこからどう考えても金利入札オペが追加で入るとは思えない)とゆーよーな一時的な需給要因でしょうなあと思われる次第ではございます。

ただまあ傾向としては昨日の3か月TB入札に見られますように・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240614.htm

5.価格競争入札について

(1)応募額 112兆2,786億円
(2)募入決定額 5兆3,144億8,000万円
(3)募入最低価格 99円97銭4厘5毛 (募入最高利回り)(0.1011%)
(4)募入最低価格における案分比率 0.8955%
(5)募入平均価格 99円97銭4厘9毛 (募入平均利回り)(0.0996%)

・・・・・・ということで、辛うじて0.10%乗せの所の足切りで決着(一つ上の札の99.9750円はレート換算で0.9921%となる筈)したのですが、按分は何と1%割れとなりますので、按分狙いで満額(5.7兆円)応札しても510億円しか入らないという誠に残念な状態で、そらまあメインの札は0.9921%の所に入ったのでしょうなあ(じゃなかったら平均が99.9749にならん)とゆー所でございまする。少しでもコスト下げようという事で応札限度の残り分を皆さん揃って足切りの所に突っ込んだ結果応募額は貫録の2打席連続100兆超えと相成りましたという事でございますな、うんうん。


でですな、つまり入札参加した皆様におかれましては直近の3か月TBのコストがどう見ても0.10%割れとなっておられる訳でございまして、まあそーゆー状態ですと基金短国買入にこの銘柄を打ち込むインセンティブは中々沸かないでしょうなあとか思われる次第で、先日はオファー額を減額するという大技で札割れを回避した基金短期国債買入ですが、この調子ですとどう見ても札が集まりません本当にありがとうございましたという所でしょう。

んでもって3MTBにこれだけ需要があるという事はすなわち短期市場で潰さないといけないキャッシュは相変わらずアホのように存在するということでもありまして、最近は1年以内とかの金利って国債は当然のように0.10%割れた所じゃないと買わせてくれませんし、一般債とかもモノナシになってインデックス落ちの売りが出ると右から左へ瞬時に捌けてしまい業者の皆様在庫スッカラカン(ただし一部のアレな銘柄を除く)という大変にビューテホーな状況でもございます。

ということはですな、まあ引き続き固定金利オペに関しては今回のオペこそ絶賛大応札になりましたけれども、今後の展開を考えた場合にはやはり3か月などという長い期間は要らんがな、ましてや6か月なんぞ、とまあそういう話は続き、金融市場局の頭痛は続くという所でございましょうな、うんうん。

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2012/06/14

○決定会合プレビュー雑談

一応予想に関しては昨日のFOMCプレビューで申し上げた通りでありまして、今回はまあ無くて、審議委員2名が上手くすれば加わるであろう(まあどちらの会社も承認されたら可及的速やかに就任へ向けて動くでしょ)次回の会合が展望レポートの中間レビューなのでさてそこで考えましょうという話になるんでござんしょうなというのが予想。

あとは麿先生の会合後会見が注目されているらしいのですが、ここもとのトーンから致しまして麿先生におかれましては退任までの残り時間は麿スイッチが入った状態になっておられるものと思料されますので、残念ながら緩和クレクレの皆様が喜ぶようなサービス発言連発という訳には行かないのではないかと懸念というのもこれまたあたくしの予想でございまする。

まー何ですな、あたくしのべき論なんぞここで申し上げてもハナクソにも満たないのですけれども折角だがら申し上げますと、現在の日銀の場合FRBのエバンス先生やローゼングレン先生などのように鉄砲玉として緩和主張する人がいる訳では無しとゆー状態でございますので、本来は麿様におかれましてはもうちょっと物の言い様というものを工夫して頂きまして、緩和政策をちゃんとやっているしこれからも継続するでおじゃるというのをアピールした方が良いと思うのですよね。

だって日銀の場合はETF買ったり社債買ったりと、ETFは兎も角として社債とか債券市場の投資家的には民業圧迫にも程がある力技をかましてクレジットスプレッドを盛大に潰すというような他の中銀もやらない豪快なプレーをしている部分もある訳でござーまして、せっかく包括緩和の中で色々とやっている側から麿が第二の柱がどうのこうのとか金融の不均衡がどうのこうのとか、いやまあそれはそれで正論は正論だけど、そんな事言いだしたら金融緩和のアピールにならないだろというような台無し発言をしてどんだけ勿体ない事になっているのか、とまあ市場的見方として思う訳で、結局の所そうやって発言が台無しでやってることはそこそこ踏み込んだ(まあ国債買入が足りないとか言う説もありますが、まあ結果としての債券市場金利は碌でも無い事になっていますわな)というセットですと、何の事は無い「コストばっかり掛けて何やってるの」状態になってしまうと思うのですよ。

つーことでべき論その1としては麿様におかれましてはそのご主張はご主張で結構でございますし、中央銀行総裁という政策に携わる人間として発言したいというのもあるとは存じますし、まあそのお気持ちも理解できないでは無いのですけれども、そーゆー発言は任期切れまでは封印して頂きたいと思うのでありますが、まあ無理でしょうなあと思いまする。

でまあ後は包括緩和の枠組み的な雑談になりますが、先般来粘着質のように申し上げておりますように、そもそも65兆円がどうのこうののうち、固定金利オペの残高維持が困難になってきているという素敵な現象で、資金需給状況によっては買入系のオペでも短い所を中心に残高大丈夫かねというケースもホイホイ出てくるという状況下ですので、まあここの部分、特に固定金利オペをどうするのかを考えた方が良いかと思います。

それから、昨今の総裁会見などで主張していた「金利が重要」というロジックを援用致しますと、当然ながら現在の包括緩和の枠組みにおいて重要になるのは「リスク性資産におけるリスクプレミアムの軽減」という話になりまして、その理屈からしたらまあ色々と指標を持ち出すと割安水準にあるということになっている株価指数についてのお助けという文脈でETFの買入をもうちょっと派手に拡大して頂きまして、将来日銀様の心配される「金融市場の不均衡拡大」の際には強力な火消しツールとして使える道具を今からコレクションしておくろいうのは如何かなと存じますです、はい。

なお念の為付言しますと「リスクプレミアムの軽減」というのは「味噌でも糞でもリスクプレミアムを圧縮します」という事では無く、「市場の価格発見機能が何らかの状況で阻害されている状況を是正する」という話でして、それこそクレクレが嵩じて「BBBのアレな銘柄も買え」みたいな話をするのは筋違いなので、まあ今の株式市場の価格形成が別に問題ないとかいう話になってしまうと上記の屁理屈も中々苦しくなるのですけどね(大汗)。


○まあさすがに今回は通るでしょうけれども

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5JCEA6K50XS01.html
日銀人事:自民・影の財務相は前向き検討、緩和派の一部には慎重論

はあそうですかという感じですが、これはアホかと思ったわ。

『自民党の西村氏は「経済界、経済の実態が分かる人というのもこれまで入っていたので、そのあたりどういう考えかをただしてみたい」とも述べ、政府側に説明を求めたい考えも示している。』(上記URLより)

・・・・・・・お前らが日銀人事を与野党対決のツールにして言いがかりにも程がある理由(河野さんは別に金融緩和に否定的じゃねえだろと)でこの前の人事を反対して候補者晒し者にしておいて経済界の人間がノミネート受けるとか思っているのが意味が分からないのですけれども。前回の総裁人事で民主党の動きも散々批判された訳ですが、自民党の場合その劣化バージョンで反対してる訳で、「経済界、経済の実態が分かる人」がノミネート受けないのは政府がどうのこうのの前にお前のせいだお前のと存じますが、自民党の劣化極まれりという事で甚だ遺憾の極みに存じます。

つーかさ、まあさすがに西村さんは前向き検討みたいですけれども、この人選で反対とか言い出したら、選ばれるのはネタ芸人アナリストで金融政策実務の理解が全然ない空論言い出す人とか、嘘成分の高い説明を繰り広げる人とか、未だにマネーガーしか言えない人とか、まあそんなネタ芸人しか残らないと思うのですが、どうも自民党の財金の暴走振りが止まらないのは如何なものかとしか申し上げようがございませんです事よ。

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2012/06/13

お題「金融政策プレビュー雑談/色々と悪態/オペ雑談」

お題の順序と違いまして悪態雑談からスタートである(^^)。

○経済クオリティーペーパーがこれというのはねえ

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC1100W_R10C12A6EE8000/
日銀審議委員、緩和積極派に白羽の矢 政府人事案
2012/6/11 22:50 情報元 日本経済新聞 電子版

・・・・・・・・もうこの「積極緩和派」という表現が既に党派的な決めつけにも程があると思うのでして、まず経済物価の先行き見通しに対する見立てがあって、金融政策のフレームワークとしてどういう考えなのかというのがあった結果として現在の状況下で金融政策をどうするかって話になると思うのですが、いきなりこんなレッテル張ってまた緩和煽り報道とか何考えてるんだと。

いやね、確かにタカとかハトとかいう分類はありますけれども、FEDウォッチの真似事を公表文書(というか各地区連銀の講演など)を読みながらやってて思うのですけれども、そのタカだのハトだのという立ち位置だって状況に応じて変化しうるのですよね。

毎度ネタにしているセントルイス連銀のブラード総裁が一番わかりやすいですけれども、QE2実施の時には「長期国債の大幅な買入増額がデフレ均衡入りのリスクを引き下げる」という話を真っ先にしていたのでハト派分類でしたけれども、足元では「経済のギャップが大きいという議論において、そもそも平常時として見ているリセッション前という考えはおかしい。何故ならリセッション前の水準というのは信用バブルで嵩上げされた分があるから」というような話をしていて、失業率を下げる為にこれ以上の緩和のおかわりをするのに反対している訳でタカ派分類になりますがな。

ではブラード総裁が急にドテンしたのかというとそうでは無くて(まあ議論のフロントランナーに立ちたがるという傾向は有りそうですけど)、主張そのものは色々と出ていますが話の筋は基本的に通っている(元々「長期国債の買入には賛成だが、低金利の長期化政策には反対」という主張とQE2実施前からしていた)のでありまして、物価重視の姿勢と、経済のギャップに対する認識の結果として今のような流れになっているとゆーことですな。

QE2前後でハト風からタカ風に変わったのってミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁もそうかなと思うのですが、(この前ネタにしかかっている奴ですけど)コチャラコタ総裁の場合は現在の失業率について自然失業率が実は結構高くなっているのではないかという考察(もし現在の雇用情勢がNAIRUより大きくギャップがあるのなら物価はもっと下がっていないといけないのではないかという説明をされるとそれはそれでほほーと思ってしまう^^)をしていて、失業率を下げるのは自然失業率を引き下げるための財政経済政策で行うべきで、これ以上の緩和拡大は物価の上昇を招くと言って追加に反対姿勢。

ついでに申し上げればFEDのハト派と言ったって、ボストン連銀のローゼングレン総裁のようにそもそも景気物価の見通しがFOMCメンバーの中心的な見方よりも弱いという直球ストレートの人もいますし、シカゴ連銀のエバンス総裁の場合はある意味デュアルマンデート忠実ということで、失業率の高止まりに関してもディスインフレ懸念時と同様に対策をすべきであって、その時は一時的に物価の上振れをすることを容認しても良いというような人もいます罠。イエレン副議長の場合はハトだけども物価の上振れ容認というのは良くないと以前は説明していました(最近はその話はスルーしているが、バーナンキ議長の先日の記者会見を見ると「失業を1%下げる為に物価を引き上げてインフレ期待を不安定にさせるのは害にしかならない」というような話をクルーグマン批判の文脈による質問の時に話をしていましたので、まあ執行部は物価上振れ容認は却下でしょうな)し、同じハト派分類でも依って立つロジックが少しずつ違うのですよね。

#昨夜の米国はエバンスが追加緩和主張したから緩和期待高まるとか報道されているのですが、エバンスが追加緩和主張するのは当たり前で、それを好感するとか意味がわかんねえのだが、要するにクレクレ相場なんだというのは把握した

#そういう観点からすると日銀の場合は各政策委員が地方回りして行う金融経済懇談会の説明が基本的に決定事項に対する説明になっているので、どのようなロジックで考えているのかというのが見えてこないので困るちゃあ困る訳ですな

などとドヤ顔風味でお送りいたしましたが(自爆)、まーよーするにタカだのハトだのというのはその時々の経済物価情勢と、経済物価における構造的な部分の見方、そして金融政策運営におけるロジックなどがまずあって、その結果として足元の金融政策運営的にどうよという結果が出るのであって、いきなりタカだのハトというのを超えて「緩和派」とかレッテルを張って言うのはナンセンスとは言わないがミスリード(大体からしてご本人方もいい迷惑でしょ)だし、「経済クオリティペーパー」を自称するのであれば、「日銀の見方よりも景気に慎重な人たちがノミネートされた」という文脈で説明すべきであって、政治部記者が風雲永田町みたいな調子で書くような記事見出しで読者を釣るというのは如何なものかと思うのでございますがどうでしょうかねえ。


しかしまあ何ですな、それよりもずっこけたのは同じく日経様のお出しになられている所の日経ヴェリタス様の今週号の1面見出しでありまして、曰く「金利消滅という戦慄 中央銀行の国債丸抱えが生む歪み」っておまいらこれまで散々金融緩和煽り報道をやっておいて何を言ってるんだそういうのマッチポンプって言うんだとか思わざるを得ない題名でして(いやまあ詳しい記事読んでないというか題名見た瞬間に読む気を失うのですが)、まあ中身ちゃんと読んでないから、そんな煽り見出しを書いて人間として恥ずかしく無いのかとかは申しませんけれども、日本経済新聞社様におかれましてはそこらのイエローペーパーや電波浴向け新聞じゃないんだから、もうちょっと落ち着いた論調で冷静な紙面を展開して頂きますと有り難い、とまあ斯様に思うのでございますが、まさか本紙のデザインが電波浴新聞に似たリニューアルをしたのは御社の電波宣言だったとかそういう事では無いですよね。

いやまあちゃんと冷静な紙面を展開して煽りでは無い冷静な経済報道をして頂ける可能性があるのは経済クオリティペーパーであられる所の日本経済新聞社様だけだと期待しているので悪態も出るというものでございます(あたしゃ購読して無いけど^^)。



○今日もオペ雑談

毎日オペの結果で雑談とかどこまで粘着なのかというツッコミは謹んで却下。

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120612.htm

社債等買入(資産買入等基金) 2,000 2012年6月18日
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 2,000 2012年6月14日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年6月14日 2012年6月21日 0.660
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月14日 2012年9月13日


結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120612.htm

社債等買入(資産買入等基金) 5,794 1,987 0.100 0.125 13.9
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 3,312 2,004 0.000 0.000 60.5
米ドル資金供給(固定金利方式)(6月14日スタート分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月14日スタート分) 10,294 8,007 77.8

(※オファーバックの順に記載されるので表示順序をオファーと同じに改変しています)

午前の基金短国買入ですけれども、今回は2000億円にオファーを減額(前回の実施は5月15日のオファーで3000億円)しているのがほほうという感じ。いやまあ市場状況をヒアリングした結果3000億円だと札割れしそうだから減らしてみましたという話だと思いますけど、その努力が功を奏して札割れは回避されまして良かったですね(棒読み)という所でありまする。

まあ金融政策決定会合を前にまた札割れになるとどこぞの経済クオリティーペーパー様を始めとしてメディアが鬼の首を取ったように報道して(お前が言うなと言われそうですが^^)ちょっとまあ都合悪い罠とかゆーのもあるでしょうから札割れ回避の為にオファーを減らしたって話だと思うのですけれども、まあこーゆー苦労をする位ならば昨日も雑談風味で申し上げたように、この際札割れ上等のスタンスでただしもう市場が食えないと言ってもオペを突っ込むわんこそばスキームで「ほら積極的に資金供給や資産買入してるでしょ」とやるというのもどうなのかなという気は若干せんでもないっすな。ただまあそれは包括緩和における基金オペのフレームワークというか説明をマイナーチェンジしないといけないので今オペ部隊が勝手にそうする訳にもいかないでしょうけれども。

んでもって午後の3か月オペは無事に札が入って良かったですね(棒読み)という所ですが、まあこの前打った共通担保本店オペの金利入札物の1兆円の落ちもありましたので、そらまあロールの札入りますなという所ですかそうですか。今月は後半以降年金定時払いと国債償還要因で物凄い勢いで資金余剰になる筈ですので、今後のオペの札の入り具合としてはどうなのかねという気はします。


でですな、以下あたくしの与太話(その前も与太話ではないかという論考は行わないのがお約束)となりますけれども、そもそもこの前の折角工夫してオファーした年末越え6か月固定オペの残念な結果を見れば判りますように、長いオペにニーズが無いのでありますからして、この際3か月オペも期間短くしまして1か月物にして6か月物オペも無しにして、札割れ上等で資金需給とか丸無視して毎営業日2兆円オファーし続けると、全部入れば残高40兆円になるし、入らなくて残高行かなくても「いや我々は40兆円まで出しますと言ってるんですが市場が〜」と開き直れるとか最早与太レベルになっておりますが、その位の事をやったらお互い面倒じゃないような気がするんですが(毎日入るとなると市場も楽だし1か月物なら担保繰り的にも窮屈さが少なくなる)この際ヤケクソで如何でしょうか(^^)。

というような与太話が出る位に固定金利オペとかを始め、包括緩和の枠組みがオペレーション技術的に少々窮屈になっているという状況でもございます。でまあその包括緩和における基金残高達成の為により長い期間の国債買うとか、よりしょうもない技とかもあるとは思いますけれども、それで残高を無理矢理達成させることによって何の効果があって、その一方でそれって誰得なのでしょうかねえという観点もある訳でして、まあ何と申しますか・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5HJ8W6JTSE801.html
IMF:円は中期的観点から幾分過大評価−声明

『日本銀行の金融政策に関しては、日銀による最近の金融緩和が景気回復を支えデフレ脱却に寄与するとし、日銀が掲げる物価目標達成へ向け、資産買い入れ拡大含めた一段の緩和を実施し得ると述べた。』(上記URLより)

昨日はこんなのがありましたが、いやその資産買入拡大を含めた一段の緩和を技術的にどう捌いて行くのかというような話はIMF様的にはどうなのとか思うのでありまして、政策論は政策論で結構なのですが、実務的観点が欠如した政策論をなんぼ打ち込まれましてもノイズにしかならん訳でして何だかねえとか思うのでありました。


○FOMCプレビューというか当たらない予想

ということでそろそろ当たらない見立てをしておくのだ(^^)。

えーっとですな、まあ正直そんな自信満々のドヤ顔で決め打ちできるような感じでも無いのですが、地区連銀総裁の中でも追加緩和策に反対するお方もそれなりにいる中ですし、バーナンキのこの前の議会証言でもあまり前のめりな話をしない、まあ前のめりな話をすると市場のクレクレに拍車を掛けてLSAP拡大をしないと市場が許さん状態になるのを避けるというのもあったでしょうが、話の内容的に「モーゲージ金利は既に歴史的水準に低下している」とか「足元の雇用指標の悪化は構造的なものか一時的なものかはまだ見て行かないと判断しずらい」とかいうように、追加のLSAPお変わりでバランスシート拡大というような派手派手政策をするような論拠を潰すような説明をしていたとゆーのを文字通りに解釈すると、やはり今回は追加緩和のようなものはやるのでしょうが、バランスシート拡大方向のLSAP単純拡大は無いと見ましたが自信は全くありません^^;

つーことでまあ不胎化QEだかツイストオペ延長だか知りませんが、その手の「バランスシート拡大は伴わないけれども長期資産の買入拡大継続」というのを実施するというのが本命で、ただしそれだとちと弱いので、声明文におけるフォワードガイダンスにおいて「異例の低金利が〜」というのに加えて「現在のバランスシート規模が〜」というようなのを加え、ガイダンス文言の中に金利だけでは無くバランスシートの量に関する記述を加えるという風な事をあたしゃ考えております。まあ全然自信ないですけど(しつこい)。

んでもって会見では逆さ絵のおじさんが引き続き「欧州債務問題に伴う金融混乱などが起きた際に必要ならば行動する用意はある(キリッ)」とおでこを光らせて発言すれば無問題というか市場のクレクレ的にはその程度で大丈夫のような気がするんですけど、そもそも米国市場のクレクレってどの位クレクレなんでしょうかね。よーわからん。


でまあついでに日銀ですけれども、まあ今回は何もなしでしょう。国会議決後になりますけれども、21日に承認の段取りとなりますと、木内さんと佐藤さんの現在所属する組織の段取りにもよりますけれども、7月の決定会合は展望レポートの中間レビューも伴いますので、7月会合から間に合うでしょうとゆー事も考えますと、まあ今回何か決定しちゃうのもねえという丁度良い大義名分が立つというものでございます(^^)。

つーかですな、まあこれはあたくしの勝手読みベースですけれども、FOMCが大規模LSAP拡大を行うのでなければ、まあそうそう為替がドル安に振れる事も無いでしょうとは思います(ただし最近は緩和期待→リスクオン→米債売り→ドル円でドル高みたいなオモシロな流れになっているので、緩和が足りないと逆に米債買いになって米金利低下でドル売りとかに成りかねないのがヤヤコシヤではある)ので、それなら日銀もとりあえず今月は様子見して(そもそも包括緩和の枠組みを何とかしないと実務的観点から打つ玉が少なくなっているので玉の無駄打ちはしたくないでしょうし)次回の会合をお楽しみに!という事になるんでしょうな、とまあ勝手に妄想するのでありました。

なお、以上の予想はあたくしのただの妄想でありまして、自信があるかと言われますと知らんがなとお答えせざるを得ませんので念のため申し添えますm(__)m


とまあそんなこんなで最初から最後まで雑談でどうもすいませんでした。

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2012/06/12

お題「審議委員人事ノミネート/今日もオペ雑談その他」

ということで世に雑談のネタは尽きまじという事です(^^)。

○これはまあ良さげな人事ということで感想と雑談

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5GB5H0YHQ0X01.html
政府:日銀委員にエコノミスト2氏を提示−21日ごろに採決見込み

『6月12日(ブルームバーグ):政府は議院運営委員会両院合同代表者会議で、空席となっている日本銀行の審議委員に野村証券の木内登英チーフエコノミスト(48)とモルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト(50)を起用する国会同意人事を提示した。衆参両院の議院運営委員会での配布資料で11日明らかになった。』(上記URLより)

昨日の夕方に「17:20に提示される」というニュースが出てワクワクテカテカしつつもどこの芸人何とかストが出てくるのやらと微妙にげんなりして待っておりましたが、ブルームバーグ見てたらヘッドラインに佐藤健裕さんと木内登英さんの名前が出てきて「ほほう」と思うと共にちゃんとした人がノミネートされて個人的に少々びびっていた一部の「マネーガー」みたいな変なのが出てこなくて誠に結構と思いましたです、はい。

債券市場的には木内さんはあまり馴染みは深くない(野村で債券系と言えばまず最初に出てくるのが松沢さんのイメージが)のですが、基本的にはマクロエコノミストだったと記憶しておりまして、あまり金融政策に関して積極的にああだこうだという話をするという印象も無いのですが、まー普通にちゃんとした話を展開する人で、変な何とか派みたいな感じの人では無かったかと。

で、あたくし的に今回ヒットと思ったのは佐藤さんのノミネートでして、佐藤さんって債券市場的にはまあ知られていると思うのですが、ご本人そんなにメディアとかに出たがるお方ではない筈で、この前ノミネートされた河野さんや、今回の木内さんと比べると失礼ながら世間一般的な知名度としては低いと思うのですが、佐藤さんもマーケット云々というよりはエコノミスト系の方でして、経済の見立てという点では物価動向に関して早い時期から10%刈込平均の重要性を指摘していたりとか(だいぶ昔に思いっきり佐藤さんのお名前出してネタにさせて頂いた事があるもんで)、安定感があってレポートもよく拝読してたりするもんで、これはほほうという感じでございます。

木内さんの金融政策に関する見解って不覚にもあまり詳しく存じ上げないので何ですが、佐藤さんについては基本的にかねてより緩和バイアスの主張となっていまして、まあそのように報道されていますが、そもそもそれは党派的な緩和云々というのと話が違うとあたくし理解しておりまして、佐藤さんは経済見通し、特に物価見通しに関して厳しい見立てをしていて、その結果として金融政策見通しが「追加緩和」という予想になるという事であって、別に緩和が先にありきという話ではないと思うのですが、どうも報道を見ると「緩和派」的な言い方されているのも何だかなあという気もせんでもないがまあいっか。


木内さんの方は不覚にもあまり詳しくないですけれども、まあお二方とも基本的には経済の見立てに関してフラットな方だというイメージがありまして、それはすなわち巷の何とかストでも良くあるパターンのであります所の「変なポジション的なバイアスを掛けて結論先にありきで材料を拾ってくる」というような傾向(そらまあ人間だからある程度主張にバイアスが掛かるのは仕方ないのですが程度問題という意味で)はあまり無いお方であるという風なイメージですけどどうでしょうかね。

まあお二方ともマーケット系とは言いましてもエコノミスト系でして、マーケットの視点でという意味ではマーケット系なのですが、足元で非伝統的な政策を推進する中で実は重要でもある調節実務の細かい話に関してはそれほどお詳しくもない(つーか調節実務の細かい話をマニアに詰めているとそれだけで労力が掛かるがな^^)と存じますので、そーゆー点から日銀事務方ペースに巻き込まれないようにご留意頂きたいと存じます、はい。


しかし昨日ニュースヘッドライン見ててずっこけたのはこのお方の発言。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5G49L6KLVR401.html
自民・鶴保氏:金融緩和に消極的な人には否定的−日銀審議委員人事

ベンダーのニュースヘッドラインで最初にこんな感じで出てきたのですがね。
17:56JBN:*鶴保氏:日銀審議委員候補者については個人的には付き合いない

まあ上記記事を見ると自分からこの発言しているのが微妙なので良く判らんのですけれども、まず人事案が出てきて最初に出た発言が「個人的に知っているか」というのは政治に携わる人間として如何なものかと思うのでありまして、自民党は政権に復帰したら知っているか知らないかが先にありきの人事をしますと宣言している、あるいはそういう意識が常にあるから上記のような発言が出るんじゃネーノとか禿しく懸念して「また自民党の劣化か」という悪印象を与えるのに中々効果があったと思うのはあたくしの性格がおかしいからですかそうですかorz

いやまあ「ご存知ですか」と普通に質問されて普通に素で答えただけだと思うと言うか思いたいのですが、それにしてはベンダーのヘッドラインで最初に出たのがこれって何かヘッドラインの打ち方がアレなのか鶴保さんが素でまず最初に「知ってるかどうか」という話をする人なのかは元記事見ても判らんので判断は保留しますけどね。

とまあそんなどうでも良い悪態は兎も角として『その上で、金融緩和に消極的な人物を評価するかとの質問に対しては、否定的見解を示した。』(上記URLより)って相変わらず何を言ってるんだこの人はという感じでして、そもそも河野さんだって今の時点で金融政策の正常化しろとか主張している訳では無いですし、大体からして金融政策を今後どうするのかという件については、経済物価情勢とその先行きの見立てに依存するのであって、中央銀行が無限にジャンジャンマネタイズして政府のお財布になってジンバブエだヒャッハーとか無茶苦茶言うのなら兎も角、普通に何の条件も無く未来永劫緩和しろとか言う話は無いでしょと思うのでございまして、緩和派じゃないとダメ的な言い方って相変わらず何なんでしょうねと思うのでございますがどうなんでしょ。

まあ何時からか、と言われると良く判らん(何となく橋下旋風以降かなという気はしますが)のですが、自民党の主張が妙にエキセントリックに暴走気味になっていて、おまいら政権に復帰する気はないのかよという劣化具合が目立ちまして、あたくし的には甚だ遺憾というか、先般の審議委員騒動に日銀法改正の話ですっかり呆れ果てている次第ではございます。


しかしまあ何ですな、水野さんが退任した後マーケット系の方が審議委員に居なかったのですが、今度はいきなり2名就任(ただし国会承認されればの話ですが)というのも何ですなあと思うのでありまして、元々今回の空席って財界のお方(中村審議委員と亀崎審議委員)の後任だった筈で、前回ノミネートされた1名は伊藤忠商事の方だった訳でして、まあ前回の審議委員騒動で「こんな与野党対立の政治的なおもちゃにされた挙句にあの(=もともと財界で名を成している方から見たら罰ゲームみたいな)待遇でやってられますかとゆー事で誰も受けてくれなかったとゆーのが背景にあるんでしょうなあとしか思えない訳でして、そっちの観点からしますと、まー財界人誰も受けないだろうなあというのは予想されていましたが、それにしてもさびしい話ではあるなあと思うのでした。

なんつーかね、財界人のような金融政策の非専門家が審議委員になるのはどうのこのという主張もそらまあ話としては分かるのですが、あたくしが最近思うのは、たとえば麿に対して普通に対等に物言いできるという意味では日本を代表するような大企業で副社長だの上級役員だのの経験がある方というのは執行部の止め役として重要だと思いますし、例えばFOMCでは各地区連銀が地域差を反映した感じで経済見通しなどの違いを金融政策の主張に反映させる(シカゴは万年ハト派でダラスは万年タカ派みたいな傾向とか)ような機能がありますが、日銀の場合はそれをある意味実業界出身の方が担っているんじゃネーノとも思うのでございまして、東京で金融市場や経済データを見ている人たち(まあミーも含めましてですな)とはまた違った視点で意見の多様性を担保する、という意味で実業界出身の方が審議委員になるというのも重要ではないかと思うのでございまして、今回はちょっと無理でしたが、やはり将来的には実業界出身の審議委員も居た方が良い(今は東電出身の森本さんだけね)と思うのですけどどーっすかね。


さらに今回思いましたが、まあ現在は国会が消費税関連法案に向けて与野党で話をまとめましょうモードだからそんなに問題にならないと思うのですが、前回は国会が対決モードだったからとか、河野さんは運が悪かったですねえとしか申し上げようが無いですな、ナムナム。


#と、しょうも無い雑談を思いつくままに書いたら長くなってしまいましたorz


○固定金利オペ札割れ祭りは続く

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120611.htm

国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2012年6月13日
国債買入(残存期間10年超30年以下) 1,000 2012年6月13日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月13日 2013年1月10日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120611.htm

国債買入(残存期間1年超10年以下) 8,333 2,508 0.015 0.017 58.0
国債買入(残存期間10年超30年以下) 5,167 1,005 0.017 0.018 39.0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月13日スタート分) 1,740 1,740

債券市場的には輪番がどっちもちょっと甘かったような気がする方がアレですが、にちぎんかんさつにっきの著者であります所のヲチャードラめもんから致しますと6か月オペの方が色々とアレなインプリケーションの山でありまする。

まずですな、最初にオファーされて「????」だったのはこのオペの期間でありまして、いやまあ短期市場の市場慣行的に「6か月物」というのは期間が「6か月応当日以上7か月応当日未満」のものを差すので、6/13〜1/10も6か月物ちゃあ6か月物(普通は6か月ロングとか言うけど、ここまで長いと一般的かどうかしらんが7か月ショートと言った方が・・・・・)なのですが、普通に年末越えは7月スタートからオファーされると思ったのでかなーり意外感。

もしかしたらオペ打つ側として、ここもと6か月物のオペが絶賛札割れ状態で未達が連発して6か月の固定オペ残が12兆7000億円近傍まで落ちているので、年末越えにしたらもうちょっと札集まるとかトラタヌ皮算用をしたのかとも思うのですけれども、現状は期間の長いオペにそもそもニーズが無いのでありまして、年末越えガーとか言ってもそもそも年末だから流動性枯渇してとかいう懸念は足元である訳でも無く、それよりも年末越えの担保繰りを今からFixする方が保有債券在庫繰り上の観点からリスクあるだろという状況でもある訳ですから、そもそも期間を延ばして札が集まるとかあまり考えない方が良いと思われる次第で、誠に残念な結果でございましたなあ(棒読み)という感じ。

今回のオペの札割れですが、折り返し前の元のオペは普通に8000億円だったので、これでまた残高が落ちまして、あたくしの手計算ベースですと明日の時点で6か月のオペ残高は121,270億円まで落ちるという大変に素敵な状態になる予定であります。金融市場局(または企画局)涙目の展開。



○ということで65兆円の枠組みをどうするかという問題が引き続きテクニカルに絶賛発生中

つまりは市場のキャパ的というかオペレーション技術的というか、まあそういう意味で現在の包括緩和の枠組みで打つオペの限界が出ているという素敵な状態になっているのが昨今の動きではございまして、今週もMPMありますけれども、折角2名の審議委員が次回から(国会承認されればの話ですが)加わるという事もございますので、7月の展望レポート中間レビューに合わせましてこの辺りも議論して頂きたく存じますが、その際に技術論で執行部のペースに(以下同文)。

まあそれはそれとして、とりあえず固定金利オペの6か月というのがどう見てもイラネという状況下で、「オペ残高65兆円!」とかぶち上げております手前、中々この数字を引っ込めるのも難しく、しかしながらそもそも固定金利オペが札割れする(とか短い期間の買入オペもそうですが)のって包括緩和による金融緩和によって金利水準が下がった事と、買入の拡大も含めた潤沢な資金供給によって起きたテクニカルな自然現象でして、この自然現象を65兆円の為に是正しようとするとそれはそれで変な事になりますがなという話。

でですな、あたくしが最近その手の雑談しながら思うのは「この際札割れ未達に関してはシャーナイナイと割り切る代わりに、オペに関してはジャンジャンオファーしまくる事によって「麿は積極的に資金供給や買入を提供しているのですが市場が要らないと言っているので仕方がないでおじゃる。食い過ぎでおなかパンパンの人に無理矢理食わせる訳にもいかないでおじゃるよ。」とゆー感じで開き直れないかなとゆー事。

つまりですな、まあ65兆は目標として置きまして、買入などのペースに関しては現在の均等割ではなくて、もっと早期に残高を達成する勢いでオファーを行い、残高がそれで一杯になればなったで拡大余地が出来る訳ですし、札割れが続いて中々残高行かなくても「ほれこの通り、残高目標は年末どころかもっと早くに行くように物凄い勢いでオファーしているんですからシャーナイナイじゃないのよ」と市場のせいにする攻撃というのはできんもんかなと。

均等割りでやって行って札割れ未達とかになるよりは、いやもう物凄い勢いで実施してますよってやっておけば、まあその時点で印象が違うと思う(まあそういうの為替市場とか見てくれない可能性があるのでそれはそれで「買入ペースをもっと加速させます。固定金利オペのオファーももっと増やします」って宣言するとかしてアピるのは重要)ので、ど〜せ未達になるなら最初からもっとバシバシオペ打って置けばいいじゃんと逆転の発想で逝くのはどうっすかねえ。とか妄想してみました。

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2012/06/07

○世界的クレクレモードとな

昨日は東京時間の夕方以降から欧州株が上昇してて経済指標も別に良い訳でも無いのでどうしたのという所でしたが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M57PW46S972M01.html
米国株:今年最大の上げ−欧米の景気刺激策の導入観測で

『6月6日(ブルームバーグ):米株式相場は続伸。主な株価指数は今年最大の上げを演じた。欧米の当局者が景気刺激策を講じるとの思惑から買いが膨らんだ。』

『投資会社ホランド(ニューヨーク)のマイケル・ホランド会長は「市場は中央銀行が世界経済の弱さをかなり認識し、対処方法を模索しているとみている」と指摘。「大規模な売りがあっただけにバリュエーション(株価評価)は低く、それは今日のような日に相場を押し上げる一助となる」と述べた。』(上記URLより)

まあ実体経済に関しての話だとこんなんだったりしますけど、これのどこが「世界経済の弱さをかなり認識」なのかはよくわからん。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M57JP86S972801.html
米地区連銀報告:経済「緩やかなペース」で拡大−雇用横ばい


・・・・・・・・まあ金融緩和催促でリスク資産の下げ相場をやるのもアレですけれども、金融緩和期待でリスク資産が上昇して事前に盛り上がるというのもある意味でオソロシスな話で、さてそうなりますと実際に中銀がどういう行動をすると市場がどういう反応をするのか、という話になる訳でして、下手な見せ方をすると市場が却って要らん方向に暴れだすリスクがあるので中央銀行のプレゼン(というかハッタリ)能力が問われる局面となっているような気がする訳でして、こういう局面では麿の麿節というのは(いやまあ麿の仰っている事はそれはそれで1つの正論である事はその通りなのですが)お願いだから封印して置いて下さいなとか思うのですが、どう見ても任期間近なので麿節全開モードになっているのが足元での市場との対話の齟齬に繋がりそうな悪寒が致しますな。とまたも悪態。

しかし今日のモーサテのニュース字幕「ECB利下げ見送り」とかクレクレにも程がありますなあとか思う次第で、全く最近のメディアは売らんかな精神でキャッチーなヘッドラインを出すのが仕事と勘違いしてるだろうと小一時間問い詰めたいのですが、日本だけの傾向じゃないようにも見えまして、これらの煽りモードが市場のボラを無駄に高めているようにも見えます罠。

あと思うのですけれども、まあ欧州圏の場合実体経済的に利下げというのは話としては選択肢なのかもしれないけれども、それは欧州債務問題の火消しとは別問題であって、欧州債務問題はリクイディティーじゃなくてソルベンシーの問題になっているのでECBが利下げしたからリスクオンとか発想が短絡的にも程があるだろとか思いますが、市場が祭りモードになっているのでそういう論考で動く訳では無いんでしょうけどね(−−;


○固定金利3か月オペも札割れキタコレ

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120606.htm

国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2012年6月8日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2012年6月8日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月8日 2012年9月7日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120606.htm

国債買入(残存期間1年以下) 3,930 3,123 0.000 0.004 72.6
国債買入(残存期間1年超10年以下) 11,631 2,500 0.007 0.007
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月8日スタート分) 4,305 4,305

輪番オペの1年以内が札割れしなかったのは良かったですねえ(棒読み)という感じですが、その一方で3か月の固定金利オペが初の札割れとなってしまいました。

まあ何ですな、月末にGCが上昇してコールが上昇したもんで共通担保の金利入札1兆円というのを打ち込んでいたのですが、先週打ったのは兎も角としてどう見ても今週の1兆円は朝から金が出てきてGC下がってきましたねという中での追い打ちオペだったこともあって(応札1.2兆円でしたし)資金ニーズが全力で充足されてしまい固定金利オペのニーズが低下しちゃいましたなという残念な結果に。

つーことでまあ6か月オペに関してはご案内の通りロールする度に札割れとなりまして、現状での残高が(あたくしがエクセルで手計算しているベースなので正確性は担保致しかねますが)12兆円そこそこまで落ちてきておりまして、この調子だと10兆円の残高目標達成がテラヤバスという状態になっているのですけど、3か月が札割れ(しかもいきなりオファーの5割ちょいとな)とかうーむですわなあと存じます次第。

まーちょっと金利入札オペ出し過ぎだったですねえという所だとは思うのですが、札割れがある程度恒常化してくると自己実現的に札の入り方が悪くなってくるので、はてさて今後どうなるんでしょうと申しますか、調節課の皆様におかれましては誠にご愁傷様でございますと申しますかという所でございます。ナムナム。


○受ける人いるんですかねえ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M56QD76KLVRA01.html
藤村氏:空席の日銀審議委員人事、国会会期中に提示したい (1)

『6月6日(ブルームバーグ):藤村修官房長官は6日午後の会見で、2名が空席となっている日銀審議委員候補について21日が会期末となっている今国会に他の同意人事と一括で提示したい考えを明らかにした。具体的な提示の日時については国会側と調整中という。』(上記URLより)

はあそうですかという感じですが、債券市場的に申し上げますと日経ヴェリタスのアナリストランキングでエコノミスト部門1位だったお方が何か凄い理由によって国会で否決された後でございますので、どこのイロモノアナリストが出てくるのでしょうかとドッチラケモードではないかと思うのですが気のせいですかそうですか。

経済界の方にご就任頂くのが結構なお話だとは思うのですが、審議の過程であの騒動になった後でそもそもノミネートされる時点で罰ゲーム(難癖つけられて落とされたらキャリア的に傷が付いちゃいますし)にも程があるとしか思えませんが、さてどのような方が出てくるんでしょうかとまあ生温かく待つとしましょうかね。

日銀政策委員人事が明らかに政治のおもちゃになっているというのは困ったもんにも程がある訳で、まあ例の騒動以来自民党には呆れ果てて支持する気はすっかりなくなったのですが、どうも最近は選挙のために目立てば勝ちみたいな暴走議員様があちこちで散見されて甚だ遺憾にも程があると存じます(一昨日出てた民主党の117人の署名も呆れましたが)。

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2012/06/04

○市場雑談

・まあ円債も高値更新しているのですが

金曜もまあ高値更新してましたけど。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPTK081869220120601
〔金利マーケットアイ〕国債先物が夜間で144円台に上昇 欧州時間でもリスクオフ不変
2012年 06月 1日 17:49 JST

金曜はザラバベースだと確か10年が0.805%とまたまた5糸高値更新して5年が0.195%などと0.2%を割りやがるというような動きで10年とかどこのセルゲイ・ブブカかよというような5糸高値更新攻撃が続いておりますが今日はどうなるんでしょうかねえ。

んでまあそれはそれで良いのですが、ど〜も米国やらドイツやらと話が違いますなあとか思うのはここもと超長期の伸びがイマイチさんな所でございまして、5月14日の週では金融ファクシミリ新聞の付利金利ネタで中短期ゾーンが強くなった時に長い所がブルフラットしやがったのですが、足元海外の長い方の金利が威勢よく下がる中では今一ブルフラットしないというのが不思議っちゃあ不思議(まあ色々とこじつける事は可能ですけれども)でございまして、ジャパンの皆様におかれましては米欧債券市場のようなあばばばばーな展開になっておられないという事を示しておられるという状況でございまして、つまりマーライオン相場になるために必須であります所の全員参加の酔っ払い症状も食い過ぎ症状も無いという冷静な宴席モードとなっているようで誠に結構というかオモロクナイ(不謹慎)というか。


・GCレートは高いけれども6M固定はいりませんですかそうですか

金曜日の東京レポレート
http://www.boj.or.jp/statistics/market/short/trp/trp120601.htm/

翌日物
T+0 0.104
T+1 0.111

ということでまあ金曜も足元だけカネナシの影響でGCレートはやや高め(高めって言ったって0.11%とかなのですが、それは先生3年の金利が0.10%な訳ですし)に推移しておりました。木曜には15日エンドという財政払いの日にエンドをぶつけた金利入札の本店オペを1兆打ったら2兆7000億円も応札があった訳ですけど・・・・・・・・

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120601.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年6月5日 2012年12月3日

毎度おなじみの6か月オペに対しまして・・・・・・・・

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120601.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(6月5日スタート分) 2,545 2,545

またまた札割れとなったのですが、その応札の減り方が中々残念でございまして、オファー日ベースで5月18日が2698億円、5月8日が3260億円、4月25日が5715億円とゆーことで4月27日の決定会合での6か月オペの減額決定前から既に割れていたのはいたのですが、オペ減額を決定して未達上等という風になってからとゆーものの応札の半分も入らないという大変に素敵な展開が継続しておりまして、この調子でやっておりますと15兆円の6か月オペの5兆円減額どころか10兆円位落ちてしまうんじゃネーノというような風情になっておられます。

ちなみに、「札割れ」というのは「応札が目標額行かなかったという現象」の話で、オペという意味で言えば応札が行かない結果として目標額に届かなかったので「未達」と言った方がオペレーション実施側の言い方としては正確、札割れしても目標額に行く場合がある(応募未達になった場合の残額をシ団引受するような昔の10年国債入札のようなケース)ので札割れと未達は意味が微妙に違いますけど、まあこっちは市場で応札する側なので札割れと言ってしまいます。

しかしまあ足元でGCがやや上昇しているわ2週間のオペを打てば応札が2兆7千億円入るわという状況だというのに、6か月の固定オペの応札が減るとか何という残念なお話ではないかと思うのでございます。つまりですな、5月18日のオペの時って例の金融ファクシミリ新聞の付利金利引き下げネタで、まあ短期市場の人間的にはそれはお前普通に与太ネタだろ(そもそも論旨に与太成分が高かったのは先日申し上げた通り)という状況ではあっても、まあ足元そんなに資金がひっ迫して居た訳でも無いですし、万万が一付利下げになったら固定金利で調達する6か月が盛大に大ヤラレになってしまいますので、札が入らないでしょというのは判るのですが、金曜もこの有様とはという感じ。

まー要するに金曜の結果で分かったのは「現状の金利体系からすると6か月の固定金利オペにはそもそもメリットが無いのでニーズが無い」という(まあ今に始まった事では無くて前から指摘はされていましたけど)ことが明白になったという所なのでしょうな。逆にこれまで良く札が入っていましたわという感じなのですが、それはそれでまあ以下自主規制という感じですかそうですか(^^)。

でまあ今申し上げましたように、このペースで残高が減っていくと10兆円の維持も危ないような気がする(6か月オペは7月実行分から年末越えになる)のですけれども、「未達が続いて行きませんでした」となった場合にどうするんでしょうかねえ。


○オペ未達関連雑談というか悪態というか屁理屈というか

この前ちょっとだけネタにした件なのですけどね。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE84N05W20120524
緩和効果は「量」で測れないと日銀総裁が強調、「金利」が大事
2012年 05月 24日 19:56 JST

まあこのヘッドラインの打ち方にはロイターの悪意を感じる次第で、本来の総裁の発言意図は「緩和効果は『量だけ』では測れない」と強調したとすべきであります。つまりそもそもの質問が毎度のマネタリーベースガーの質問なんですから、「マネタリーベースの数値だけ見て測るのは正確では無い」という話をしている筈(国会の会議録を見ないと確定はしませんが、従来の総裁の説明を持ち出せばそうなるので、上記URL記事にある『日銀の白川方明総裁が金融緩和の効果を測るのは「量でなく金利」だと発信し始めた』(上記URLより)というのは明らかに悪意を持った記事でありまして、財務省を見習って日本銀行も今後は公開質問状をこういうベンダーには送り付けるべきではないかと思いますけど如何でしょうか。

大体からして「金利を下げる為に量を出している」って前から日銀は説明している(声明文でも何でも見れば判る)訳で「発信し始めた」とか急に意見を変えたようなニュース記事にどう見ても何もない所にわざわざ波風を立ててニュースにしようという愉快犯的放火魔のようなテイストを感じてしまう次第(なので本来的に言えばこうやってURL張るとアクセス数が増えてベンダーの馬鹿記者や馬鹿営業や馬鹿経営者が「ほらヒット数が高いでしょ」とドヤ顔になるのであまりURL張りたくは無いのですが引用する手前やむなしorz)。

・・・・・・・・・いやまあすいません話が逸れてしまいましたが、まあこの件に関してはもう一つの側面があって、上記のように固定金利オペが市場金利の下限張り付きによって(ちなみに金曜は久々に2年カレントが0.10%オファーになっていたようでございます、これまでは0.10%ビットでしたのでこれは画期的(違)ですな)応札がハイランチ会長となる中、そうは言っても固定金利オペの残高目標もあるので短いオペを入れにくいという状態で、結果として昨年対比ベースの当座預金残高が(昨年に関しては震災向け供給の余波がありますが)増えませんし、うっかりすると固定金利オペ6か月の残高目標が未達になりそうな勢いになってきたというのもあって、そーゆー先行きへの布石というのもあるんでしょうなあとは思います。

でですな、それはまあそれで良いのですけれども、包括緩和政策によって金利という面では確かに金利が3年まで0.10%張り付きになって全力で緩和効果が成果として現れておりますし、社債やCPに関してもスプレッドが潰れて投資するサイドとしては大概な民業圧迫状態になっておられるという状況でこれまた緩和効果の成果が出ているのですけれども、その一方で包括緩和で買っておられます所のETFに関しましては欧州債務問題やらを受けて絶賛下落しております訳で、こちらは包括緩和の効果が現れておりませんがさて如何致しましょうかと存じますが・・・・・・・

とか言われたらどうする積りなのでしょうかねと思うのですけど(^^)。2000億円とかしょぼい事言わんともっと買ってくんなましとゆー気はするんですけどにゃあ。外債を買って海外に金を流すよりも国内株式市場に直接金が行くETFの方が良いと思うのはポジショントークの屁理屈ですかそうですか(^^)。

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2012/06/01

○市場的にはスルーしてた麿講演ではありますが・・・・・・

まあ市場的にスルーでもあったので斜め読みだけして昨日ネタにしませんでしたけれども、どさくさに紛れてまた地雷を盛大に踏みに逝っておられる麿クオリティな講演だったようなので少々ネタに(^^)。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120530a1.pdf
人口動態の変化とマクロ経済パフォーマンス―日本の経験から―
(日本銀行金融研究所主催2012年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳)

まあ何ですな、ネタ的には別に今の市場動向云々に関する話とか金融政策運営に関わる話とかをしている訳でも無いので市場的にどうという話でも無いのですが、麿の得意技の「一般的に申し上げますと」攻撃によってまた例によって例の如く変な地雷踏んでおられるのではないかと思う講演なのではございます。

・人口動態の変化に関する考察が重要という話ですが・・・・・・

『1.はじめに』から。

『今年のコンファランスのテーマは、「人口動態の変化とマクロ経済パフォーマンス」です。このテーマを議論する上で、日本ほど格好の事例を提供している国はないと思います。日本の総人口は2007 年をピークに、生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じています。老齢人口比率、すなわち、総人口に対する65 歳以上の人口の比率は1990 年の12%から2010 年には23%と急速に上昇しています(図表1)。過去20 年間、日本経済の成長率は徐々に低下してきました。この期間の前半の低迷は主としてバブル崩壊の影響でしたが、後半期の低成長には、急速な高齢化進行という人口動態の変化が様々なルートで影響を与えています。』

という話でございまして、日本の低成長が長続きしている要因としての人口動態の変化っつーテーマは、これまでの世界においてあまり例が無いのでこの考察が重要であるし、将来的には他の主要国でも同じ問題に直面する可能性がありますよね、というまあ仰せご尤もな話をしているんですよね。

『生産年齢人口、すなわち、15 歳から64 歳までの人口一人当たりGDP 成長率をみると――これは短期的には人口動態の変化にあまり左右されない指標ですが――、日本はG7諸国の中では最高です。しかし、高齢化に伴う生産年齢人口比率の低下の影響を受ける、総人口一人当たりの実質GDP 成長率はG7諸国の平均並み、そして、総人口の減少の影響を受ける実質GDP 成長率は下位グループに位置しています(図表2)。』

ふむふむ。

『新古典派成長理論では通常、人口と生産年齢人口の区別はなされませんが、この違いを明示的に考慮することなしには、日本が現在直面しているような問題は分析できません。』

ここでしらっと新古典派をdisっているのですが、去年の同じ国際コンファランスでも

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110601a.pdf
バブル、人口動態、自然災害
―― 日本銀行金融研究所主催2011年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳 ――

『次に第2の研究課題として人口動態の問題を取り上げます。ケインズは、1937年に行った「人口減少の経済的帰結」という講演の中で「人口減少期には、総需要が期待を下回り、過剰供給の状態が継続しやすい。従って、悲観的な雰囲気が続く可能性がある」と指摘しています。ケインズは、伝統的なマルサス流の人口増加懸念論とは対照的な視点を提供しました。新古典派成長理論では、経済変数は、一人当たりGDP、一人当たり資本ストックというように、「一人当たり」で議論されることが多く、これでは日本が現在直面しているような問題を扱えません。』(上記URL先にある昨年の金融研究所コンファランスでの講演より)

『日本は急速な高齢化と生産年齢人口の減少といった人口動態の変化期を迎えています。日本経済の現在と将来を考えるために、人口の規模や構造の変化を分析しようとしたケインズの視点が、より重要になってくるのではないでしょうか。この点、先進諸国はもちろんのこと、今後は、エマージング諸国も同様の課題に直面することが、高い確度で見込まれていることに言及したいと思います(図表8)。』(上記URL先にある昨年の金融研究所コンファランスでの講演より)

ってな話をしていまして、まあ新古典派的な見地からの日銀批判も多い中でこういうネタを打ち込んでくるという事ですが、だいたいロジックとして「いやおまいらの批判なんだがそもそもの立論の前提が日本の現実と合っているのか」という反論が日銀的な反論となっていたと記憶しておりますので(細かいツッコミは頭の悪いあたくしは対応できませんのでご勘弁)また新古典派disかと思ってしまいましたですが。

ちなみに、上記の去年の講演ですがネタにしたのは遅くて去年の6月28日でした(汗)
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/hatsugenshirakawa11-01.html#shirakawa110628


『過去10 年以上にわたって、海外におけるマクロ経済政策の論議に当たっても、日本の経験は頻繁に引用され、様々な政策提案もなされていますが、人口動態の違いを考慮することなく一般的な結論を引き出すと、時として、ミスリーディングなものとなる危険もあります。』

『人口動態の変化に伴う問題は、日本だけでなく、諸外国にとっても今後、重要性を増していくと考えられます。例えば、中国の生産年齢人口の増加率は1990年から減少傾向をたどり、2020 年にマイナスになると予想されています(図表3)。他のアジア諸国にとっても、高齢化はやがて到来する現実です。欧州をみると、ユーロ圏周縁国では、2007 年までは移民流入が人口増加に大きく寄与してきましたが、金融危機後に債務問題が深刻化する中で、移民の流入テンポが鈍化、ないし流出が進み、足もとでは人口成長率の鈍化や減少から潜在成長率の低下に直面している国もみられます。』


・でまあ何が地雷の第一弾かと申しますと・・・・・・・

『人口動態の変化とマクロ経済のパフォーマンスというテーマの下で議論すべき点は数多くあり、私の短い挨拶ですべてをカバーすることはできませんが、以下では、いわば「人口問題先進国」として、日本の経験の幾つかをお話しします。最初に、日本の人口動態の変化に関する事実を簡単に説明し、次にそのマクロ経済のパフォーマンスへの影響を取り上げます。最後に、人口動態の変化に伴う課題について触れてみたいと思います。』

で、最後のまとめの『5.おわりに』では、

『以上、人口動態の変化が日本経済に様々な影響を与えていることを説明してきました。振り返ってみると、世界的な信用バブル崩壊が起こるまで、バブル崩壊のもつ深刻な意味は学界でも政策当局者の間でも十分な理解がなく、日本の経験は日本に固有の出来事と片付けられる傾向がありました。同様に、急速な高齢化や少子化のもつ意味についても、この問題のもつ重要性と比較すると、必ずしも十分な理解があるようには思えません。しかし、ウィリアム・ぺティの「政治算術」やマルサスの「人口の原理」を持ち出すまでもなく、経済学はもともと人口問題を研究対象としていました。経済政策の立案にあたっては、人口動態の変化とその政策含意に関する基礎研究が欠かせません。今回の会議が、そうした基礎研究の蓄積に貢献することを期待して、開会の挨拶に変えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。』

という事で、今回のコンファランスって金融政策がどうのこうのという話とはあんまり関係なく、さらには現下の金融政策運営に関するインプリケーションは1ミリも無い話でありまして(だから市場が1ミリも反応しなかったのですけれども)、人口動態の変化が現在一般的とされる経済理論による考察の中でカバーできないような影響を与える可能性があるので、人口動態の変化に関する考察を経済理論の中に取り込んでいく事が大事ですね、というまあ一般的な話をしておられるのですよね。

・・・・・・でですな、その一般的な話は話で結構だと思うのですが、日本の足元で問題と言われて毎度毎度ああだこうだ言われているのってデフレがという話でありまして、デフレに関する言及もこの挨拶中にあるのですが、ここでは人口動態の話をメインにしている事もあって金融政策要因の話って華麗にスルーしているので、悪意を持って読まれると「金融政策要因の話をしないで長期デフレの要因を人口動態に求めるとか日銀は相変わらず責任逃れの理論構築に熱心である」という批判が飛んでくるの大楽勝という所ではございますがなという所ですがな。

まあ責任逃れの理論構築とまではあたしゃ思いませんけど、それにしても日銀総裁という金融政策の元締めの立場で、デフレ脱却しようという話をしている筈の中で、人口動態という短期的にどうしようもない問題を成長の鈍化やデフレ、財政赤字拡大の要因ですね(中でそういう話がある)というような説明をするというのは、やはり「何をのんびりした話をしているんですか」という印象を対外的に与え易いと思うのでございまして、学者としての白川さんが話をするなら別に結構ですけれども、日銀総裁というお立場を踏まえますと、あまりこの手の「学術的な」話を連発するというのもどうかと思うのですよね。そういうのは副総裁とか金融研究所の所長とかにでもやってもらうのが宜しいんじゃないでしょうか。

#と思うとやはり武藤総裁、伊藤&白川副総裁の組み合わせだったよなあとか思いますが

後でニュースクリップしておきますが、足元で消費税法案問題に関して何か進展しそうな流れになる中で、またぞろ次のネタという事で日銀法改正ネタが飛び出してくるというタイミングの中でありまして、まあ何と申しますか間が悪いという所でございまして、この辺の政治的なセンスの方も少しは何とかして欲しいものだと思うのでございますけれどもねえと存じます次第。どうせその辺の配慮とかしているとは思えませんですからねえ。

いやまあその辺のリアクションも覚悟の上でネタ投下しているのであればそれはそれで結構なのですが、2月以降の麿節一般論講演が現実に行っている金融政策との話の整合性という観点からして少々アレではございませんかという風になっておりまして、それは結局の所金融政策運営の元締めが出すメッセージとしてはコミュニケーションの混乱を招くという弊害に繋がるように思えるのでございまして、頼むからあと1年「一般的に申し上げますと」というのを我慢して頂きたいものであります。

#と言っても任期切れが近くなると政策委員の皆様がフリーダム発言をするというのが毎度の仕様になっているので麿の場合も益々「一般的に申し上げますと」攻撃が激しくなるのではないかと思われるので今から頭が痛いのですけれども・・・・・・


・悪態ばかりでは何なので本論を読んでみましょう

『3.人口動態の変化が日本の経済に与えた影響』という所ですが。

『次に、人口動態が日本のマクロ経済のパフォーマンスに与えた影響という観点から、経済成長率、物価上昇率、経常収支の3点について、整理したいと思います。』


ということですが、まあここは興味深い話ではあります。

『経済成長率』

『まず、人口動態の変化が日本経済に与えた影響のうち、最も重要な経済成長率に与えた影響を取り上げます。ソローの成長理論モデルでは、全人口が労働力だと仮定されています。この場合、労働節約的な技術進歩のある場合の長期均衡状態では、一人当たり成長率は技術進歩率によって決まり、マクロの成長率は人口成長率と技術進歩率、すなわち労働生産性増加率の和になります。日本のように高齢化から生産年齢人口が減少し始めた経済では、仮に労働力率を一定とすると、労働力人口も減少し労働供給が制約されるため、労働節約的な技術進歩がない限り資本収益率が低下し、マクロの成長率には下押し圧力がかかります。』

『過去10 年間の日本の現実の状況に当てはめて言うと、労働力人口は年率0.3%の減少、労働生産性は0.8%の増加、成長率は0.6%ということになります(図表8)。ただし、このような分析は高齢化や人口減少の影響を考える上での第一次近似としては有用ですが、政策を考える上では、以下で述べるように、他の要因を取り込んだもう少し現実的なアプローチが必要です。』

ほう。

『第1は、労働力率が長期的に変化する可能性です。例えば、日本の女性の労働力率は国際的にみて低く、特に30 歳代の労働参加率が一旦低くなるという「M字カーブ」の傾向が顕著であり、現在でもそうですが、近年、そうした傾向は徐々に変化しています(図表9)。』

『第2は、総人口一人当たりの成長率と労働力人口一人当たりの成長率の違いです。ソローの成長モデルでは、全人口が生産年齢期にあり労働力人口に一致すると仮定されていますが、高齢化が進むにしたがって両者の乖離は大きくなります。』

なるほろ。

『非労働力化した高齢層のウェイトが高まっていく過程では、総人口一人当たりの成長率は、労働力人口一人当たりの成長率よりも低くなります。生産要素の供給力という観点では、労働力人口一人当たりの成長率が重要ですが、財やサービスの需要を支える消費者の平均所得という観点では、総人口一人当たりの成長率の方が重要です。前者の成長率が高くとも、後者の成長率が低下すれば、需要削減圧力が加わり、経済成長率を押し下げると予想されます。』

『第3は、いわゆる「スペンディング・ウェーブ」の影響です(図表10)。日本の1980 年代後半の資産バブル発生のひとつの要因は、この時期にベビーブーム世代が住宅購入を最も活発に行う年齢層となり、住宅購入を活発化したことです。同様に、1990 年代後半以降の自動車等の国内販売の減少には人口動態の変化も大きく影響しています。一方で、高齢化の進展は医療や介護といったサービスへの需要増加を意味します。現在、日本の消費のうち、約40%は60 歳以上の年齢層によるものであり、今後、その比率はさらに上昇すると予測されています。そうした潜在需要の増加に応じて供給体制が変化すれば、潜在成長率の低下は緩和される筈です。』

ふーん。

『第4は、財政バランスの変化を通じる影響です(図表11)。急速な高齢化は財政赤字の拡大をもたらす大きな要因となりました。言うまでもなく、高齢化の進展は、成長率の低下に伴う税収の伸び率低下や、医療、介護、年金等の社会保障関係費の増大を通じて、財政赤字の拡大要因となります。また、将来の財政バランスに関する不確実性が高まれば、現役世代の消費抑制要因となり、成長を下押しする可能性があります。』

ふむふむふむ。

『さらに、政治プロセスを通じる影響も考えられます。』

ほう。

『高齢化は当然のことながら選挙民の平均年齢の上昇を意味しますが、高齢者の投票率が高く、また、高齢者が社会保障制度の維持の選好を有するとすれば、その程度に応じて、財政赤字が増大する傾向が生じます。』

>高齢者が社会保障制度の維持の選好を有するとすれば、その程度に応じて、財政赤字が増大する傾向が生じます
>高齢者が社会保障制度の維持の選好を有するとすれば、その程度に応じて、財政赤字が増大する傾向が生じます
>高齢者が社会保障制度の維持の選好を有するとすれば、その程度に応じて、財政赤字が増大する傾向が生じます

・・・・・・・・・・いやまたこれはこれは(^^)。

麿様におかれましてはピュアに現象面の話をしているだけだと思うのですが、これはつまり「財政再建の為に年寄りは早く三途の川手漕ぎクルーズ船ツアーに出掛けろやヴォケ」という話の裏返しみたいな事なのですけれども、何もあーたそんな話を中央銀行総裁のお立場の方が言わんでもという盛大な地雷発言がこんな所にもあるのが麿の一般的に申し上げますとプレイのオソロシスな所でありまするorz


『第5は、金融資産選択を通じる影響です(図表12)。特に、経済成長に欠かせないリスク・マネーの供給という観点からは、高齢者の増加が家計の金融資産の選択を通じて、どのような影響を与えるか検討する必要があります。しかし、家計の金融資産選択は、年齢だけでなく、労働所得の動向や、住宅の選択などと同時に決定される問題です。日本については、高齢者になれば他の条件を一定として株式保有が増えるのか、あるいは株式を売却し、国債などの安全資産選好を強めるのか、といった点について、マイクロ・データを用いた分析結果が十分には蓄積されていません。今後の研究が期待される分野です。』

てなまあそんな話をしております。んで物価上昇率と経常収支の所まで引用していると全文引用状態になって何やってんだという事になりますので(^^)、まあ物価上昇率の所だけちょっと引用してみます。

『人口動態とマクロ経済のパフォーマンスとの関係で、次に取り上げる論点はデフレとの関係です。人口動態とデフレと言うと、一瞬、その論理的な関係が理解しにくいかもしれませんが、先進国のデータを横断的にみると、興味深いことが分かります。すなわち、2000 年代の10 年間について先進24 ヶ国の人口増加率とインフレ率を比較すると、両者の間に正の相関が観察されるようになっています(図表14)。この事実は、マネーの増加率とインフレ率の相関が先進国で近年弱まってきていることと対照的です(図表15)。この関係をどのように解釈すべきでしょうか。』

という事で、まあそれはそれでさいだっかとは思いますが、そもそも図表15の部分って「マネーの伸び率とインフレ率」って名前ですけれども、比較しているのが「マネーの伸び率−実質成長率(%ポイント)」と「インフレ率(%)」で、人口動態の変化によって実質成長率が変わっていますがなという話をしている後に実質成長率控除後のマネーの伸び率を引いてインフレ率と比較するのって何か妙な気がするんですけど、あたしゃ頭が悪いので良くワカランチ会長でございます。

つーのもありますが、そもそもこう言いだすと当たり前ですが「日銀はデフレ脱却に金融政策が効かないと言っている」というようなメッセージを与えかねない話でございまして、何かもうちょっと物の言いようっつーのは無いのかねとか思うのですけどどうなんでしょ。

『人口変動とインフレ率の相関に関しては、両者が景気循環を起点として共変動している側面を反映している部分があります。例えば、欧米では、景気の変動が需給ギャップを変動させてインフレ率を変動させると同時に、移民の流出入によって人口の増加率が変化するよう作用した側面があります。しかし、日本のように、移民の流出入が人口変動に及ぼす影響は無視できる国では、景気変動が人口変動をもたらした度合いは小さいと考えられます。その日本についてみると、1990 年代以降、インフレ率と人口変動率の間に正の相関関係が観察されるようになっています(図表16)。これには、高齢化に伴う経済の所得形成力の低下も影響してきたと考えられます。』

という話で、まあそれ自体はファクターの一つとしてあると思いますが、金融政策要因に関する説明が無いとちょっと立論に無理矢理感が出てくるので、まあ正直言って最初の成長の話に止めておいた方が「中央銀行総裁の講演という意味では」吉だったんじゃネーノという風に思いますがどうなんでしょうかねえ。

・・・・・といった所でまあ中身自体は足元の金融政策的に何かインプリケーションがあるかと言うとまるでございませんが、図表が多くてふーんと思いながら読めるのでお暇な方はどうぞという所でありまする。


○あわせてお勧め

とか書くとどこぞのあたくしの嫌いな密林みたいでアレですが(^^)。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/wp12j06.htm/
長期金利の変動要因:主要国のパネル分析と日米の要因分解

『要旨

本稿は、日米を含む先進10か国のフォワードレートに関するパネル分析を通して、長期金利の変動要因について検証したものである。インフレ予想や自然利子率を左右する労働生産性の上昇率に加え、財政状況や対外ファイナンス、人口動態も長期金利に有意な影響を及ぼすことが確認された。』

>人口動態も長期金利に有意な影響を及ぼすことが確認された。
>人口動態も長期金利に有意な影響を及ぼすことが確認された。
>人口動態も長期金利に有意な影響を及ぼすことが確認された。

キタコレ。

『主たる分析結果は、以下の通りである。第1に、財政指標としては、フロー変数(プライマリーバランス)よりもストック変数の説明力が高く、また、ストック変数としては、グロス政府債務よりもネット政府債務の方がフォワードレートに対する説明力が高い。第2に、対外ファイナンス指標としては、フロー変数の経常収支よりも、ストック変数のネット対外債務の説明力が高い。政府債務の増加のすべてを海外からの借り入れでファイナンスした場合には、国内からの借り入れに比べ、フォワードレートの上昇が約2倍となる。第3に、高齢化の進行は、金利の上昇要因ではなく下落要因として作用している。高齢層の金融資産需要、特に安全資産に対する需要の強さなどを反映しているとみられる。』

>高齢化の進行は、金利の上昇要因ではなく下落要因として作用している
>高齢化の進行は、金利の上昇要因ではなく下落要因として作用している
>高齢化の進行は、金利の上昇要因ではなく下落要因として作用している

ほほう。

『また、パネル分析で推計されたパラメータを用い、日米のフォワードレート変動の寄与度分解も行ったところ、日本では、政府債務の増加が金利上昇圧力として作用する一方、団塊世代の引退に伴う急速な高齢化の予想や、ネット対外債権の増加が金利低下を促してきた。米国では、2000年代入り後、ベビーブーマーの引退に伴う将来の高齢化が織り込まれ始めたことが、金利低下圧力となっている。』

ということで、本文はこちらですがまだ斜め読みしかしていないのでネタにするかどうかは不明。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12j06.pdf
長期金利の変動要因:主要国のパネル分析と日米の要因分解


○ニュースクリップである

時間がねえええのでURLだけ張っておく

・日銀法改正ネタがまた来ましたのう

http://mainichi.jp/select/news/20120601k0000m020046000c.html
日銀法:民主党有志議員が改正私案 政治関与強める内容
毎日新聞 2012年05月31日 20時15分(最終更新 05月31日 20時46分)

いやもうね、財政問題で欧州問題がアレとか言ってる中でこういう「中銀に対する政治の影響力を強める法案」を「プライマリーバランスが真っ赤っ赤」の国の「政権与党議員」が出して、しかも「財政マネタイズ」を主張しているとか、何とも素晴らしいセンスで頭がくらくらしますが。

http://www.asahi.com/politics/update/0531/TKY201205310171.html
自民「尖閣の国有化」「日銀法改正」 衆院選公約第2弾

・・・・・・・・自民党っていつからネタ政党になったんですか????????

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2012/05/30

○2年国債入札で事務ミスとな

昨日の2年国債入札ですが後場になりましてこんなのが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul014.htm
入札結果発表時刻の遅延について

『本日の2年債入札については、入札事務トラブルの発生により、結果の発表時刻は、予定時刻(12時45分)から遅れる見込みです。発表時刻については、状況が判明次第追って発表します。』

システムトラブルと書いていなかったので何でしょ???という感じでして、入札データを何らかのミスで飛ばしたとかそういう世界なのかね????などと妄想も膨らんだのですが、しばらくの間ステータスが「原因調査中」となっておりまして、そのうち「入札のやり直しの方向で対応」となりまして・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120529b.pdf
再入札の実施について

『本日の2年債入札については、再入札を実施します。オファー時刻は14時00分、申込締切時刻は14時30分、結果発表時刻は15時15分とします。』

ってな事になったのですが、ベンダーなどの報道によると「日銀の事務ミス」という話でシステムトラブルでは無く、日銀ネットで同様に応札するという事なのでまあシステム的に重大な問題が有った訳では無いと一安心。

しかしこの「再入札の実施」的なニュースが流れた時に何故か債券先物が上昇して高値143.43円(+0.20円)とかになって、たまたまの偶然なのかどうかは知らんですけれども、それは買い材料じゃないだろと思いながら眺めるの巻。

んでまあ落札結果はこの通り。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul014a.htm
2年利付国債(第317回)の入札結果

6. 価格競争入札について
(1)応募額 24兆2,699億円
(2)募入決定額 2兆4,780億円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘 (募入最高利回り) (0.100%)
(4)募入最低価格における案分比率 52.4544%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘 (募入平均利回り) (0.100%)

・・・・・・・・・・・・\(^o^)/

日銀の資産買入等基金および輪番オペの買入最低レートが0.100%即ちこの銘柄ですと100円となる訳でございますので、即ちこの国債100円で買っててきとーに保有して日銀に売却してもキャピタルゲインは鐚一文無く、保有期間利回りに関してもクーポンが0.10%なので日銀当座預金に置いて超過準備状態にしている時と同じ利回りという大変に素敵な結果となりました。

いやまあ既に短国で0.10%割れというのがありますのでこんなもんちゃあこんなもんなのかもしれませんが、いやあの仮にも2年債ですよ2年債という事でございまして、しかも100や500とかの端額の話じゃなくて、新発が2兆7000億円(実際は第U非価格のおかわりもあるのでもっと多い)出るとゆー中で0.100%ですかそうですかという所ですし、しかもお洒落にも程があるのは第U非価格入札もがっつり入っているという状態。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul014b.htm
2年利付国債(第317回)の第U非価格競争入札結果

6. 募入決定額 1,511億円

・・・・・・・・・・まあ素敵(^^)。

ちなみに、こういう状況を「100円で財務省から買って100円で日銀に売却する簡単なお仕事」とも申しますが(違)、超マニアックな話をすると同じ100円でもまあ少しだけ工夫の余地は無い訳でも無いような気がします。まあゴミみたいな話なのでここではスルーします(ニヤニヤ)。

http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/20120529.html
2年利付国債(第317回)の再入札について

『本日実施された2年債の入札において、国債入札の事務を行う日本銀行で事務トラブルが発生したことを受け、入札をやり直し、再入札を行いました。関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。今後、このような事態が発生しないよう、日本銀行とともに、再発防止に努めてまいります。』

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120529c.pdf
本日の2年債の再入札について

『本日実施された2年債の入札において、日本銀行での事務上の問題から、一部の参加者について入札データを入力できない事象が発生したことから、財務省と調整のうえ、再入札を行いました。再入札については17時に事務手続きを終了しています。関係者の皆様には、ご迷惑をお掛けいたしました。お詫び申し上げます。日本銀行としては、今回の事態を踏まえて、再発防止に努めてまいります。』

まあ10年国債とかだったらそれこそエライコッチャでして、ろくすっぽ動かない2年国債だったのでまあ市場に与えるダメージとかも大したことでは無くて(入札やオペで日銀ネットの打鍵していた事もございますあたくしと致しましては、応札でトラブル状態になった入札参加者の日銀ネット打ち込み担当者や担当ディーラーの皆様におかれましては寿命が1年くらいは着実に縮まったと思いますので誠にご愁傷様としか申し上げようがございませんが・・・・・・)不幸中の幸いという感じでしたな。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK081590620120529
UPDATE1: 国債入札トラブルは応札限度額の誤入力が原因 複数チェックも機能せず=日銀
2012年 05月 29日 21:56 JST

『[東京 29日 ロイター] 日銀は29日、同日に行われた2年物国債の入札で事務上のトラブルが発生し再入札を行う事態になったことについて、業務局の職員が別の年限の国債入札画面に入札参加者毎の応札限度額を入力したため、本来のデータが更新されず、応札できない参加者が発生していたことを明らかにした。国債入札に関する事務を3人態勢でチェックしているが、それも機能しなかった。日銀では、市場に混乱を与えかねない重要なミスと認識しており、可及的速やかに再発防止策を策定する。業務局の杉浦俊彦総務課長が語った。』(上記URLより)

との事ですが、まあ第T非価格競争入札の応札限度額の更新を入力ミスしたという話のようで誠に残念という所ですが、まー入札の方式が色々と複雑になっているのでこういう事は起きえる話で、今回はその件数がアホのように多かったのでどうしようもありませんでしたってな話でしょうか。事務は堅確に願いたい物であります。

しかしロイターこれは言い過ぎwwww
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPTYE84S04W20120529
国債入札で異例のやり直し、今後の安定消化に課題も
2012年 05月 29日 20:05 JST

事務ミス捕まえて「安定消化に課題も」ってそこまで言う話じゃねえだろと思うのでありまして、ロイターのマッチポンプクオリティの高さを垣間見る記事ではございますなあと思うのでありますけどね。そらまあ事務ミスは勘弁してとは思いますけれども、じゃあこの手のミスを減らすために第1非価格止めますかとか第1非価格の限度額更新を年イチにしますかとか、オファーバックの時限を遅くしますとかって訳には行かないでしょうし。

ただまあフェイルセーフみたいな枠組みが有った方が良さげな気がしますけど(具体的にはイメージが無いが、汗)。

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2012/05/28

○基金国債買入の年限割り振りを手直しとな

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120525.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 3,500 2012年5月29日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 3,500 2012年5月29日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年5月29日 2012年8月30日

固定金利オペの方は良いとしまして、基金国債買入の割り振りが1年〜2年と2年〜3年をどちらも3500億円にして、ついでに(これはオペのオファーを見ないと載っていないのですけれども)1社辺りの応札限度額を拡大してオファー満額まで応札できるようにしました(従来は確かオファーの半分まで)。これはまあ前週の水曜日に基金国債買入の1年〜2年が6000億円のオファーに対して4805億円しか応札が無くて債券市場的には見事な3年以内ゾーンへの点火状態になってしまったとゆー素敵な事態を受けての割り振り変更。

まー何ですな、前回の実績からすると(前回は応札が4805億円&7008億円)こういう割り振りになるんでしょうなという所でもあるのですが、従来が6000億円&1000億円のオファーだったのでこらまたいきなりどどーんと3年の買いを増やしましたなあという話でございまして、その割り振りを見た債券市場は5年とかの中期ゾーンが強くなってみたり先物が上がってみたりしていましたが、超長期が弱くてなのかこの後に示すオペの結果で意外に1年〜2年の応札が多かったのをネタにしたのかどうかは知りませんが、まあ後場は謎の下げでしたが、まー中短期は堅調という事で。

オペ落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120525.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 9,575 3,506 0.000 0.000 36.6
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 6,156 3,520 0.000 0.000 53.9
共通担保資金供給(資産買入等基金)(5月29日スタート分) 18,690 8,005 42.8

ちなみに固定金利3か月オペの応札がやたら増えている(前回木曜日の応札は11010億円、前々回火曜日の応札は9980億円)のもチャーミングでこれはこれで話題ちゃあ話題なのですけれども(足元で当座預金残高が低水準という話で、3年の国債よりもGCレポ金利の方が高いとか何ともアレ)それはスルーしまして、応札のバランスが今回は9575億円&6156億円に。

2年〜3年の落札利回りはまあ誰もが予想するように利回り較差0.000%(前回は平均0.011%で足切り0.010%)となりましたので、貫録の3年まで0.100%で日銀様お買い上げ確定と相成りましたからしてそらまあ3年ゾーンまで0.10%よりも甘いオファーが出なくなる罠とか思うのですけれども、1年〜2年の応札が今回多いとは何ぞねという所でして、応札がこうなりますと次回のオファーも3500億円&3500億円でやるのかねという気もせんでも無い。

まあ今回の場合は決定会合後の総裁会見で(あたくしが金曜に引用したように)補完当座預金制度の付利金利の引き下げに関して全力で否定していたというのが効いたのと、その前まで1年〜2年の方に思いっきり寄せて買っていて2年〜3年はおまけという感じだったのが急に半々になったので(そもそも2年ゾーンは新発の供給があるので需給的に違う筈ですからして)需給的に1年〜2年の方が本当はありました(特に売る必要も無かったので持っていただけで買入が減るとなると話が変わる罠って事でしょ)という所ですかね。

木曜に出てた輪番の買入内訳変更についてもそうなのですが、今回の基金国債買入の割り振りに関しては基本的には金融市場局マターで実施しているので、それには基本的には政策的意図は無いという建付けになっている(もちろん2年〜3年の買入が増えればその分だけ将来的に買入が大変になってくるだろうなあとかその手の思惑が出るのはシャーナイナイなのですけど)ので、今後も市場動向を見ながら割り振りが変更になるのは有り得る話とゆー事ではあろうかと思います(もともとそういう風にアナウンスされたたし)。ただまあ割り振り直したら今度は手前の応札が多くなったとか皮肉な展開で金融市場局カワイソスと言ったところですな、うんうん。

つーことで、まあ今後割り振りが変更になってもそれは技術的対応というのが建付けとなるっちゅう事ではございますけれども、そうは言っても技術的対応という名の下に「なお書き修正」をした事もあります(「なお書き修正」はMPMでしたけど)ので、割り振りが変われば変わったで何かの意志がーみたいな解説は出てくるのは仕方ないでしょうなあとは思うのでありました。ただまあ大事な事なんでもう一度申し上げますと、今回の対応はあくまでも「買入が大幅札割れとかして資産買入等基金の残高達成が出来なくなる事を防止するための技術的対応」ではございますので念の為。

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2012/05/25

次のネタはまあマイナーネタだが付随する小ネタもあるので。

○輪番のゾーン別内訳のマイナーチェンジ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120524a.pdf
長期国債買入れにおける物価連動債および変動利付債の買入金額の変更について

『日本銀行では、物価連動債の市中残高が減少していることを踏まえ、長期国債買入れにおける国債種類・残存期間による区分別の買入金額について、下記のとおり、物価連動債を1,200億円減額し、変動利付債を1,200億円増額することとし、次回買入れより適用することとしました。なお、買入総額(年21.6兆円)など、長期国債買入れの運営に係るその他の事項については、変更ありません。』

ということで、物価連動国債に関しては足元では市中残高が減少してきておりまして、まーどこかで減額するんでしょうなあと思っておりましたし、今回は減額をするけれども買入そのものは続く(半額になる)という形ですので、まあ政策インプリケーションは無い措置ではございます。

最初このリリースが出る時に情報ベンダー見てたら「輪番の買入内訳の変更」というのだけ出ていたので一瞬「あれ?」と思ったのですが、日銀のサイトを見に行ったらこれがあったのでなるほどと思った次第。

・・・・・・・・という事だけですと小ネタにもならないのですが、ここから先が小ネタなのです(^^)。

今回の輪番のゾーン別内訳変更なのですが、金融政策決定会合(長いからMPMで勘弁)での決定では無いのですよね。と申しますのは、先ほどの公表文書に『2012年5月24日 日本銀行金融市場局』とありましたように、リリースしているのが「金融市場局」という事ですので金融市場局の判断によって(最終決定権限者は誰だか知らんが多分理事(いわゆる執行部)ですよね?教えてジェネラル!!)決定されましたというのを示している訳ですよ。

でまあその辺があたくし的には「あれ?」と思った次第でして、輪番のゾーン別内訳ってMPMマターじゃなかったのか???とか思って過去のリリースをあたくしの当時の駄文(俺様備忘録ですから^^)を見ながら調べてみました。


前回に輪番の買入のゾーン別内訳が変更になったのは2009年3月のMPMで輪番の買入額が拡大になった時です罠。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/k090318.pdf

『2.金融市場における年度末越えの資金調達は概ね目処がつきつつあるが、年度明け後も、後述するような厳しい金融経済情勢を背景に、市場の緊張が続く可能性が高い。このような状況下、日本銀行は、金融市場の安定を確保するため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であると判断した。こうした観点から、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくため、長期国債の買入れを以下の通り増額することとした。これまで年16.8 兆円(月1.4 兆円)ペースで行ってきた長期国債の買入れを、4.8 兆円増額し、年21.6 兆円(月1.8 兆円)ペースで実施する(当月より実施)。』(2009年3月MPM)

ということで、確かによく見るとMPMで決定した声明文の中には総額の話しか無くて、内訳については別建てでリリースされています。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0903a.pdf
長期国債買入れにおける残存期間等区分別買入金額の変更について

『本日の政策委員会・金融政策決定会合において、長期国債買入れの増額(年16.8兆円→21.6兆円)が決定されたことに伴い、国債種類・残存期間による区分別の買入金額を下記のとおりとし、次回買入れより適用することとしました。なお、買入対象国債や買入頻度など、長期国債買入れの運営に係るその他の事項については、変更ありません。』

ということでよくよく考えてみると、当時の増額時には基本的に当初決めたバランスを維持するような感じでの増額でして、「増額」そのものには政策的なインプリケーションがございましたが、「割り振り」については政策的なインプリケーションが無かったなあと思うのですよ。

ただ、この時は上記にあるように「政策委員会・金融政策決定会合において、長期国債買入れの増額(年16.8兆円→21.6兆円)が決定されたことに伴い」とありますので、おそらく金融政策決定会合でこの部分の話もあったんでしょう(議決したのかどうかは謎、というか議事要旨見るとそっちには載っていないっすな)なあとは思われますです。はい。

#ちなみにその時の議事要旨。最後の方に声明文と声明文別紙があります。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2009/g090318.pdf

あとね、先ほどの2009年3月MPM後の『長期国債買入れにおける残存期間等区分別買入金額の変更について』をよく見ると、リリースしているのが『2009年3月18日 日本銀行』とあって、金融市場局の名前が無いのが判ると思いますが、MPMで議決した事をリリースする場合には部局名では無くて「日本銀行」としてリリースする(ただし今日の最初のネタになった総裁会見要旨を見れば判るように、別にMPMマターじゃなくても「日本銀行」という名前でリリースしている公表文書はあるので、「日本銀行」とあるもの全てがMPMを通ったものとは限らない)ので、まあこの時はMPMを通っていそうな感じだなあとか思われるのですな。

よりわかりやすいのは当初の輪番ゾーン別買入導入でして・・・・・

そもそも輪番のゾーン別買入(と変国物国30年の買入追加)が行われたのは2009年1月のMPMでございます。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/k090122.pdf

ここの別紙にある『本日の措置について』に『5.長期国債買入れにおける対象国債の追加および残存期間等区分別買入れの実施(公表資料4・5参照)』というのがありまして、その公表資料4・5というのは

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0901b.pdf
「国債売買基本要領」の一部改正について

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0901c.pdf
長期国債買入れの当面の運営について

というのがありまして、こちらはそもそもが声明文の別紙と紐が付いている形になっていますので、これは明らかにMPM議決マターであるという話になるのですが、そらまあこの時は初回ですからMPM通しますでしょうし、新しい買入が増えたので当然MPMを通ったんですなという所でしょう。

つまり、実は輪番のゾーン別内訳に関しては執行部で変更することも出来るという話だったのね(現に今回はそうなっている)という所なのですが、まあ常識的に考えて例えば1年未満をゼロにして全部超長期に振りますというような「政策的インプリケーションやアナウンスメント効果のある場合」というのはMPMで議決するという事になるんでしょうねえと言うのが今回の措置で判りました。

まあ今回はMPM当日に出すとその辺が判りにくくなるので、今回の内訳変更には政策的なインプリケーションは無いですよ、というのを強調する為にあえて1日ずらして発表したという事でしょうかね。よー判らんですけど。


ちなみに更に関係ないですが、2009年1月の『長期国債買入れの当面の運営について』を見ていて改めて気が付いたのですけれども・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0901c.pdf(再掲)

『6.長期国債保有に関する方針
日本銀行が保有する長期国債の残高は、発行銀行券残高を上限とする』

・・・・・・・当時あたくしの書いた駄文を読み直してみたら、この表現の部分を完全にスルーしている所が汗顔の至りでございます(内訳の分析する方に頭が行ってました)が、いわゆる「銀行券ルール」がMPMによる議決を経て明文化されたのってこの時だったんですねというマニア話でございます。それまでは会見での発言や国会答弁などで所謂銀行券ルールの話をしておりまして、まあ当たり前のように受け止めていたのでこの文言をスルーしてしまいましたが(汗)、実はそういうのがあったんだなあとか改めて確認作業をするうちに認識したのでドヤ顔で皆様にご披露でござるの巻とゆー所でございます。

#まあ日銀の中の人からしたら当たり前の話でしょうけれども、汗

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2012/05/24

・これは・・・・・・・・・・・(^^)

日銀のページの中にこんなコーナーがあります。
http://www.boj.or.jp/about/ct/index.htm/
調達関連情報

で、そこの5月23日の所にこんなのが。
2012年 5月23日 日本銀行に関する記事等の分析作業の委託先選定にかかる公募の件
http://www.boj.or.jp/about/ct/ct120523b.pdf

『入札についての公募
平成24年5月23日

日本銀行政策委員会室では、日本銀行に関する記事等の分析作業の委託先選定に関する入札
(総合評価方式による一般競争入札)への参加者を、以下の要領で公募します。

日本銀行政策委員会室審議役(広報関係)

1.入札に付す事項

(1)案件名

平成24年7月1日〜平成25年6月30日までの間の日本銀行に関する新聞・TV・雑誌等の報道振りを分析し、今後の広報対応についての提言を含めた報告書を提出し、役職員向けの説明会を開催する。

* 報告書の提出、説明会については、分析対象期間を@平成24年7月1日〜12月31日、A平成25年1月1日〜6月30日、に区切り、各々について実施する。』

こ、これは!!!!!!!

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2012/05/23

為替市場のモーサテコメントで今日も「日銀の追加緩和期待」とか言ってるのだが何なんでしょ。と申しますのは、そのコメントの人その後「日銀の政策が注目されている」と言った口が直後に「金融政策での円安誘導は一時的」と言ってしまうのでして、おまいらは「単なる一時的効果でも相場が動いてくれ」と思ってクレクレゆうとるのかと小一時間問い詰めたいのですが。

でまあ暫くだんまりだったこの先生がこのお告げを。
http://www.musha.co.jp/3968

>ギリシャのユーロ離脱は回避される可能性が強いのではないか。
>ギリシャのユーロ離脱は回避される可能性が強いのではないか。
>ギリシャのユーロ離脱は回避される可能性が強いのではないか。

・・・・・・・・・・・・orz

ご参考
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M4FY0L6VDKHW01.html
米国株:引け前に失速、ギリシャがユーロ離脱準備との報道で


○格下げですかそうですか

ご丁寧に他国比較まで掲載の公共放送。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120522/t10015299901000.html
フィッチ 日本国債1段階格下げ
5月22日 18時47分

フィッチのページはこちらですが、リリース内容は会員登録(最近のリリース見るのであれば無料登録)しないと読めないようで残念無念。
http://www.fitchratings.co.jp/web/

ということで、公共放送ニュースから。

『格下げの理由として、日本の債務残高がGDP=国内総生産に対して2倍を超え、世界で最も比率が高いこと、財政赤字削減に向けた取り組みが遅れており、しかも政治的なリスクに直面していること、政府が目指す消費税率の引き上げは、法案成立に向けた国会審議の見通しが不透明なことなどを挙げています。日本国債の格付けは、去年1月にアメリカの大手格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ」が、去年8月には「ムーディーズ」が、いずれも1段階下げ、上から4番目の水準にしました。また日本の格付け会社、「R&I・格付投資情報センター」も、去年12月に初めて、最上位の「AAA(トリプルエー)」から1段階格付けを引き下げていました。』(上記URLより)

はあはあそうですかという所ですが、肝心の債券先物ちゃんはこのリリース出た瞬間7銭だか8銭だか下がったみたいなのですが、あっという間に元に戻るでござるの巻と実に残念な展開。為替に関してはドル円で30銭位円安に振れていましたがユーロがそのタイミングで下落してたので対ユーロではウゴカンチ会長となっておられて貫録の無反応モードではございました。

まあ一応AA落ちなのですけど反応しませんなあちゅー所なのですが、かつてA2とかイミフ格付けをしていたMoody'sというのもありましたので、はあA格ですかそうですかふーんってなもんで華麗に話が終了という所なのでしょうな。


○市場メモというかなんというか

市場メモ言いましても足元3年までの金利が貫録の0.10%(つーか2年ゾーンとか引けの0.10%にビットが並んでいるような気がするんだが)で推移し、日銀がうっかり基金国債買入残高達成のためにより長めの債券買うとか言い出した日には只でなくさえウゴカンチ会長の中期ゾーンが益々ウゴカンチ会長になるという予想が出来る残念な状態で市場メモもへったくれもという感じっすけど。

・2か月TB入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240522.htm

(3)募入最低価格 99円98銭3厘0毛
(募入最高利回り)(0.1017%)

(4)募入最低価格に 3.2891%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円98銭3厘2毛
(募入平均利回り )(0.1005%)

ということで平均0.10%キターとか喜ぶわけですが、まあ冷静に考えますとこの結果って単に応札の刻みの問題で、応札の刻みが99.9835=0.0987%、99.9830=0.1017%とゆー風になっておりまして、まあそうは言っても0.10%割れで全部の札要らんがなという事もありますので、0.10%に乗った所に按分狙いで札が入るのですが、この0.10%乗せのレベルがいつもの3か月TBだと0.1002%相当になる一方で、今回の2か月TBでは0.1017%となっていたのでその分だけ平均利回りが上がっただけという感じっすかねえ。

ただまあ4月の2か月TB入札はタイミングが期初近くで玉が足りないというのも影響したのと、一部の業者さんがどどーんと落札したのもあって足切りは0.1017%でしたが、平均は0.0989%と0.10%割れだったので、その時よりは落ち着いた結果という感じではございます。まあ短国のニーズはニーズでありますが、物が無くてヒャッハーというよりは0.10%では物は出てこないけれどもちょっと強めを買う積りなら買うこともできますなあという所でしょうか。まあGCも0.10割れで沈むとかではないですし。


・公社債売買動向

一昨日のニュースなので今さらネタですがメモだけ。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK080902820120521
UPDATE1: 4月公社債投資家別売買状況、都銀の売り越し5.1兆円と過去最大
2012年 05月 21日 10:33 JST

都銀の売り越しが大きかったのと売買高がやたら多かったのと、超長期の海外の買い越しがやたら多かったのが話題になっていたのでクリップだけしておく。超長期の海外の買い越しが多かったから足の速い海外勢の売る前に売っておくかって人が出たのではというような後講釈も一昨日&昨日の超長期スティープの中で出ておりましたのでメモメモ。まあ超長期入札のセットアップもあるんでしょうけど。

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2012/05/22

昨日はブラックマンデーでもやるのかと思ったら平均株価が上昇(トピはマイナスでしたが)してほえ?という感じでしたが、早速底打ち発言がモーサテで出てたからまだ下がるな(今日は上がるでしょうが^^)。

まあブラックマンデーはこちらですかそうですか。まあこーゆーニュースを見て「メシウマざまあwwwww」とか言うのがあたくしの人間性の至らないところなのです。
http://www.bloomberg.com/news/2012-05-21/facebook-shares-drop-below-ipo-price-in-german-trading.html


○さて今日明日は決定会合ですが

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M47F7807SXKX01.html
日銀会合は現状維持へ、欧州緊迫で一段の円高・株安なら追加緩和も

『5月21日(ブルームバーグ):日本銀行が22、23日開く金融政策決定会合は、前回会合で追加緩和に踏み切ったばかりということもあり、現状維持が予想されている。もっとも、欧州債務問題の深刻化により円高・株安が進行しているため、金融市場が一段と混乱して景気の下振れリスクが高まれば、追加緩和もあり得るとみられている。』(上記URLより)

ということでさすがのクレクレの皆様におかれましても3週間前に追加緩和のアナウンスをしたばっかりなのにクレクレという話にはなっていませんな、と言いましてもまあ何だかんだ言って為替が対ドルでまあそんなに動いていませんですし、国会は本格的に消費税関連法案やってますしということでそんなに外野がうるさくも無いようで誠に結構w

先日来書いておりますように、クレクレがどうのこうの言う前に足元で包括緩和の枠組み自体が政策目的(ということになっている)長めのターム物金利の低下を促すというのを達成しちまった結果としてその政策の実施に無理が生じているというのがございまして、まあ相変わらず為替方面や株式方面ではクレクレの話も相次いでおりますけれども、短期金融市場どころか最近だと債券市場方面的にも言えるのが「いやあのここから何の追加しますねん」という話でございます。何せ輪番の残存1年未満まで札割れ(0.10%のフロア外せばまだ入るけれどもそれは単なるオペ先に対する収益プレゼントだし、付利を下げた場合は金利水準が変わって同じ事態になり、利下げ効果よりも市場が極端にシュリンクする弊害の方が大きい)しちゃうような有様で、さてここから何をどうしますのやらという話。

まあ数字積み上げるだけなら買入の対象銘柄を延長しろとかいう話になると思うのですけれども、そうすると中期の金利が益々動かなくなる上に投資家としても(金利が下がった当初は儲かるから良いけど)利回りがコスト割れになる年限がどんどん延びてくると収益確保をどうしますねんという話になるでしょうし、銀行とかまだしも年金運用とか益々利回りがアレになる(運用会社的というよりは基金的な意味において)訳で、まあ債券市場投資家的にはもはや有難迷惑という所で、最近すっかり追加緩和ネタでも盛り上がるというよりは(先週の水曜の相場に見られるように)悲鳴に似たモードとなっているような気がするのはあたくしのポジションの都合フィルターが目に掛かっていますかそうですかorz


といういつもの話はさておき、今回注目するのは麿先生の会見でございまして、何せ前回の展望レポートで比較的強気の話をしたらその途端にリスク要因として挙げていた欧州問題がアヒャヒャヒャヒャとなった(とりあえず選挙結果出るまで中休みっぽいが)とか、ネタが政治だから軽めに流しているように見えた夏季電力問題が関西方面で実にアレな事態になっておられるとか、リスクネタが色々と出ている訳ですよね。

しかしながら、連休明けとかの朝日新聞での麿会見では無秩序財政マネタイズへの警鐘を鳴らしてみたり、先週は前田調査統計局長がブルームバーグで物価見通しに強気な趣旨の話をしたりと、まあそれはそうなのかも知れないけれども足元の市場動向を鑑みるともうちょっと空気読めよというか誤ったメッセージを送るリスクがありまっせ(幸か不幸か海外要因での相場の動きの方が大きかったので結果としてこれらの動きが市場にあまり影響を与えたようには見えなかったが)と思うのでございまして、さて明日の会見で何を言い出すのやらというのが少々不安が残るものでございます。政策委員会室または企画局におかれましては、今から恐山に出張してイタコ連れてきて俊ちゃんの生霊を召喚して麿に会見の間だけでも憑依される事をお勧め致したいものでございまする。


まあね、そういう比較するのも何ですが、一方のFEDの場合って昨日ネタにしたFOMC議事要旨みても、実は経済見通しに関して強気の話をする中で、「でも必要があったら追加緩和しまっせウッシッシ」というメッセージを送り続ける事によって、ハト風味を出すという事をしておりまして、いやまあ確かにそれはそれでインチキ的でどうかという気もするのですけれども、「経済見通し強気」→「緩和政策の出口政策」という連想から市場が走らないようにするという事に配慮している訳ですよね。

で、その結果としてFEDって最近は正直それ意味的にどうなのというツイストオペとか、目くらましのコミュニケーションポリシーでお茶を濁している(QE2をやったのはもう一昨年ですがな)のに緩和風味を維持し、一方の日銀はETFを買うわJ−REITを買うわ社債を買うわとかまでやる上に、3年までの金利を0.10%までぶっ潰すという攻撃までしているのに緩和が足りない風味を株式市場や為替市場に送ってしまっているとか、どう見ても折角打っている玉の効果を自分から台無しにしているとしか思えない勿体ないにも程がある運営になっておりますがなと思う次第で、麿におかれましてはまあ今さら俊ちゃんや逆さ絵のマネしろとも申し上げませんが、せめて折角出した政策については誤ったメッセージ出さないでねと思うのでありました。結局債券市場と短期金融市場だけ金利潰れてハイ終了では残念過ぎます。

まあそこで懸念されるのは残り1年だから麿モード全開とかになるような心境になっておられると甚だアレという事ですが、まあこれは明日の会見をみないとワカランチ会長ではございますけど、そもそもメディアは麿モードの発言をすると思いっきりそれを拡大してヘッドラインを打つ傾向にあるので、そもそもそこからご注意ありたいってここであたくしが言っても意味も効果も多分1ミリも無いのですが斯様思うのでございました。


#うーむ、わけわかんない雑談になってしまってどうもすいません

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2012/05/21

○金曜も札割れ祭り

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120518.htm

国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2012年5月22日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2012年5月22日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年5月22日 2012年11月26日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120518.htm

国債買入(残存期間1年以下) 1,747 1,747 0.000 0.000
国債買入(残存期間1年超10年以下) 11,920 2,506 -0.004 -0.002 24.9
共通担保資金供給(資産買入等基金)(5月22日スタート分) 2,698 2,698

・・・・・・・・ということで前場に行われた輪番オペの残存1年以下が貫録の札割れという大変に素敵な事になりました。つーかまあオペのオファー出た時に札割れ必至って話はしておりましたので結果自体は驚きでは無いのですが、ああ輪番も割れましたかねえという所でございまする。

ちなみに、輪番オペは前日比の利回り較差での入札になるのですが、出来上がりレートが0.10%未満になる応札は無効になる(基金短国買入や基金国債買入との平仄を取るためって事でしょうが、実はこれ最近(確か2月の緩和強化以降)になって入った条件ね)という風にオファー時に示されているので、まあ1年以内の利付国債の引値が水曜の基金国債買入(2年以内)札割れ祭りの時に軒並み0.10%となってしまい、そのままその水準が貫録のビットサイドとなっておりまして、そらまあ応札入らん罠という所ではあるのですけれども、先週前半までは1年どころの利付国債は0.10%だと一応オファーサイドで札は入っていたという状態だったのがきっちりひっくり返しましたなあとゆーのがきっちりとだった事を考えますと判っていた結果とは言え誠にアチャーではございます。

そういや武士の情けで名前は出さないが、どこぞのベンダーのコメントでどこぞの証券会社の債券何とかストの肩書の方が「基金オペは0.10%の下限金利があるけど輪番オペの札割れは想定外」とかコメントしていましたが、日銀オペ先なら輪番の下限金利がある事を把握して然るべき(日銀からのオペ入札要綱(オファー締切時刻とか決済方法とか書いてある日銀ネット経由で示されるブツ)に書いてあるのだが、一般向けにはそこまでアナウンスされていない)でして、債券何とかストとして誠に残念ですので顔を洗って出直して頂きたいものでありますな

#ま、オペの細かい話っていうのはそれだけ注目されてないちゅー話なんでしょorz

しかしまあ残存3年以内の引けが揃いも揃って0.10%で並んでしまいまして、まあさすがに3年どころは0.10%オファー出るんでしょうけれども、1年以内の利付国債まで札割れするとか短期から2年とか位までの市場休業のお知らせという大変に困った状態。多分残存2年くらいまでで0.10%で買えるのってGCレポだけじゃネーノという有様(まあそのGCだって足元当座預金残高がやや減っているので買えているだけだと思いますし・・・・・・)になっておりまして、こうなってくるとそもそも日銀の包括緩和による資金供給自体が物理的に出来なくなっていますなあというお話です罠。

だからと言って付利金利下げたらどうなるかと言いますと、それは金利水準が平行移動しただけで札が入らないのは同じ事になりますので問題の解決にはならないです罠。ちなみに付利金利下げないで応札の方で0.10%割れを容認したら札は入りますが、その場合は日銀当座預金取引先に対する単なる収益プレゼントになってしまいますので、もはや何のために資金供給をやっているのか意味が分からんですがなという話ですな。

・・・・・・・という事で輪番オペネタなのですが、午後には6か月固定金利オペが今回も堂々の札割れになっているのもまあアレでございます。固定金利オペの6か月物は年末までに5兆円減額なのですけれども、オペを普通にロールオーバーしていく中で札割れが連発していく中で減額という流れになっているのですが、この調子だと減額しすぎて5兆円以上落ちるんじゃないかと懸念される次第。

まあいずれにせよ「長めのターム物金利を下げる」という目的を達成すると同時に市場は開店休業になるわオペの札は入らないわという大変に素敵な事態になっているのですが、この調子でオペの札が入らないといなった場合に日銀としてはどういうロジックで説明(というか言い逃れ)をするのかが見ものではございます。つーか枠組み自体をどうにかした方が良さそうな気もするけど。

ちなみに3月〜4月の積み期間の当座預金残高ですけれども、都銀とその他が増えていて信託がやや減っているという感じですかそうですか。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf

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2012/05/18

○何となく市場雑談

・米国の緩和おかわり雑考

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M45R4B6JTSE801.html
NY外為:ユーロが続落、欧州危機の波及を懸念−円は上昇

というような感じでブルームバーグではそういう話は無いのですが、モーサテちゃんではまたまた今月の決定会合で日銀が政策据え置きの見通しから円高とか意味不明なコメントを為替コメント屋さんが出していましたけど、まあ足元では米国の2年債金利ってここもとじり高なんですよね。

恐らくツイストオペのおかわりをする際には不胎化長期国債買入みたいな手段(長期国債買いとリバースレポでの資金吸収のセット販売)になるというような見立てなのかなあとか勝手に思っているのですけれども、確かにまあ足元で米国の場合物価が別に下がりそうな感じでも無い中で追加緩和のおかわりでバランスシート拡大とかやるのは文句出易そう(昨日出ていたFOMC議事要旨では確かに条件によっては追加緩和の必要性を認めるっつー意見は増えていたようですが、物価と失業のバランスどう取るのかという論点ではそもそもFOMCメンバーの中でも見解が割れている)なので、あまりバランスシートを拡大したくないちゅー事でしょうな。

しかしですな、リバースレポ打ちながら長期国債買入ってのも欧州があばばばばーでドルファンディング的にどうよというような雰囲気も醸し出している中で、短期市場の資金吸い上げを伴うオペレーションってどうなのよという気もするんですが、その辺はどういう折り合いをつけるんでしょうか。まあ海外のドル調達に関してはスワップ協定あるんだからそっちでやってちょという話になるのかもしれませんが。


・3か月TB入札とか

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240517.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘0毛
(募入最高利回り) (0.1002%)

(4)募入最低価格に 2.5518%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円97銭5厘3毛
(募入平均利回り )(0.0990%)

先週の平均落札は99.9752で足切りの按分は3.7793%でしたので、着実に強くなっておられるという所でございまして誠にアレではございますが、まーこの辺りに関しては引き続き堅調モードですけど、海外などからアホほど買いが来てレートがどんどん沈むという程の事にもなっていないというのはほほうという感じ。

あと、付利下げがどうのこうの的な話に関しても、昨日あたくしが申し上げたような感じでまあ短期市場的には「それは仮にあるとしても最後の最後の話ですがな」という認識ですので、付利下げ懸念でもっと買うとかいうのは現実問題としてちょっとねえとゆーのもあるんでしょ。ただし一昨日の3か月固定金利オペに関しては応札が減っていまして、まあロール時点での資金需給とか債券ディーラーの現物債ポジション状況とかによってこの辺の応札状況も変化するので一概には言えませんけれども、「別にまあ入れても入れなくても良いや」的なものに関してはわざわざ突っ込みに行かない動きというのもあったかも知れませんねという所でしょうか。

ついでに申し上げると、一昨日の付利下げ/撤廃云々で盛り上がったタイミングでは金先が結構出合って99.670で期近から期先までフラットとかいうような盛り上がりを示していましたが、まあ付利が間違って下がった時のヘッジというか、どうせTIBORが上昇する可能性は極めて低いんだから宝くじ感覚で買えるわというイメージだか何だか存じませんけれども、まあそんな感じで強かったのにこれまたほほーと思ったのですけれども(昨日は悪態書くのに忙しくてこの辺のネタをスルーしてどうもすいません)、昨日はあっさり味で元に戻った(と言ってもまあ1ティックとか0.5ティックの世界ですけど)のははいはいワロスワロスという感じでございましたとさ。


・まあ超過準備が積みあがってもしょうがないからという議論は判らんでも無いが

市場雑談とはちと違いますが昨日ちょっと人と雑談してた時に出た話をメモ程度に。

いやね、まあ超過準備が積みあがってもそれが日銀当座預金に積みあがっているだけだと意味ないじゃんとかいうような議論はイメージとしては判るには判ります。まあそもそも「量的緩和しろ」というのは「超過準備が積みあがるような資金供給をしろ」という話なのだから「マネーを出せ」と言いつつ「超過準備を銀行が抱え込むのはケシカラン」とかいうのは、意味不明にも程があるのですがそれはそれとして。

でね、ソース探すの面倒だからソース割愛しますが、先般国会だかどこかでそういや民主党の誰かさんがこの超過準備抱え込みケシカランの論点から「マイナス金利の検討を」云々みたいな話をしてたらしく、「超過準備にペナルティーを課した場合にマイナス金利みたいな事になるけれどもその場合どうなるの??」という思考実験雑談をしたのよ。

まああたくしが思いまするに、そういうことになりますと超過準備を持つのが大いなるやられポンチになってしまいますので、皆さんが保有する日銀当座預金残高を圧縮してくるでしょうとなるので、それはつまり量的緩和政策をやろうと思って資金供給をしようとしても誰も応札しなくなってマネーが減っちゃいますよって話になるので、実は意味なしという話です罠。

更に申し上げると、みなさんが必要最低限のキャッシュしか持たなくなり、特に所要準備の少ない人の場合はそれこそ資金繰りバッファーギリギリまでしか日銀当座預金を置かなくなるという事は、短期金融市場に何らかの外的ショックがあった場合は勿論、通常の資金需給が何らかの事情でぶれた場合に短期金融市場にストレスが掛かりやすくなるので、まあ通常の話なら兎も角、外的ショックのようなケースの場合にはそれこそ危機があっという間に伝播しやすくなるという話になるので、どう見てもメリットよりもデメリットの方が大きいだろと思うのですよね、実務的観点からして。

#まあだからこそ「量的緩和政策は金融システムの安定に寄与する」という事なのですな

結局ですな、実務的観点の無いお方が時々マイナス金利とかいう話ってするのですけれども、実際にワークしない話をしてもしょうがないでしょという話ではございますなというのがここの結論でございました。

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2012/05/17

○基金国債買入(2年以内)札割れの巻&1年短国がアヒャヒャヒャヒャ

昨日のオペオファー(のうち基金国債買入だけ引用)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120516.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 6,000 2012年5月18日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 1,000 2012年5月18日

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120516.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 4,805 4,805 0.000 0.000
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 7,008 1,004 0.010 0.011 19.9

・・・・・・・ということで2年以内の方の基金国債買入が札割れしたのですが、昨日は金融ファクシミリ新聞(普通の人は知らないと思いますが)が「付利金利引き下げへの思惑」というどう見ても与太記事かポジショントークをそのまま書いたかのようなしょうもない記事が出て、丁度まあ世界リスクオフ態勢になっている中で、2年とかの辺りの中短期債で業者がショートしている銘柄とかで降参のショートカバーが0.10%割れ水準に入るでござるの巻となりやがり、2年ゾーンが業者間で0.10%貫録のビットサイドが並ぶわ、ショート銘柄だと0.10%割れのビットになるわともうアヒャヒャヒャヒャ状態。

んでもってまた日銀も何でそのタイミングで基金国債買入入れるのよとか思うのですけれども、基金国債買入を打ち込んだらそらまあ札が足りない罠という当たり前の結果になって、この結果が出たのが昼休みなもんで、後場の寄りでは世界リスクオフ(何せドル円で円安進行していたのに株安が進行するという大変にお洒落な展開)も相まって先物窓開けて寄る有様。

んでもって12:35に落札結果が出た1年TB入札ですけれども、結果はこの有様。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240516.htm

(3)募入最低価格 99円90銭0厘
(募入最高利回り) (0.1003%)

(4)募入最低価格に 3.7749%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円90銭1厘
(募入平均利回り )(0.0993%)

うむ、一応0.10%カツカツに札を入れるものの、応札限度額がやや少ないので按分薄いの判っているから上にも札入れないとマズーだろという事になってまあ普通に0.10%割れになってしまった次第という事のようですが(応札限度まるまるを足切りに入れても出来上がりが3ケタ億円にしかならねえ)、こらまたあちゃーな結果でもありますが、こうなりますとまたまた基金短国買入の残高積み上げ大変だなと思う次第。

まあ昨日の債券市場のうち長期や超長期とかが強いのは付利云々よりも東京時間からおっぱじまっていたリスクオフ祭りの方が効いているんでしょうなあとは思いますけれども、短い所に関してはこの流れが続いて昨日の日本相互証券の引値は2年債は軒並み全部0.10%(つーかまあ0.10%はビットサイドで0.10割れの出合いがあちこち散見されていたわけだが)でまだ基金国債買入に入らない5年90回(2015/6/20償還)の引けまで0.110%(1毛強)と相成りまして、まあ見事に中短期ゾーンのカーブがぶっ潰れてしまいましたとさ。

まー0.10%割れでビットあるなら売って日銀当座預金に入れておけば良いという議論はあるかもしれませんが、付利下げの可能性は兎も角(次に悪態交じりに書きますが普通に考えて付利下げは追加緩和のオプションの中で一番有り得ない選択肢)として、一応債券運用という仕切りの中で運用している人たちとしては、その債券運用の残高とかの問題とかもありますし、そもそも超過準備をアホのように積み上げて良いものかという議論が無い訳でも無いとか、まーそーゆー感じの制約があって、いきなり直ぐにホイホイと動くわけにも逝かないちゅー所なんでしょうな、よー知らんけど。(0.10%割れの水準で売ってウハウハとか言っても売った金で結局0.10%割れでしか債券を買えないのであれば意味なしにも程がある訳ですし^^)

日銀当座預金と関係ない所の人たちは他に買うものなければ0.10%割れを買わないといけませんし、まあ何と申しますかアヒャヒャヒャヒャではあるのですが、この流れはどう見ても誰得展開ではございますなという事で。


○明らかに話の筋がおかしい付利下げ観測記事なんですけどねえ

ということでまあ昨日はグローバルリスクオフ(さっきも言ったけどドル円での円安を見ながら株が下がるとか残念にも程がある展開)もありましたが、先ほど申し上げた金融ファクシミリ新聞の付利下げ観測記事も影響したでござるの巻。

ただですな、この記事って短期市場を普通に把握していると「そもそも話の筋がおかしいのでただの与太記事あるいは誰かのポジショントークだろ」で「また金ファクの与太か」というレベルの話なのですが、まあ債券市場的にこのじり高展開で「買わないとちとアレだけど今買うのも何だしなあ」的な人がうようよいる状態の中でギリシャの再選挙でさらに欧州蜃気楼モードになっている人たちの背中を押した格好になって、しかも東京時間(というかアジア時間)のリスクオフ祭りも入りアチャーな展開になってしまいました。おまけに言えば基金国債買入とかまたそんなタイミングで打つなよというタイミングで日銀が買いを入れちゃうし。

でまあ記事に関してはネットとかに出ている話では無いので簡単に趣旨を踏まえつつ悪態をつきますと、日銀当座預金の付利金利引き下げを何で行うのかという理由が、「積みあがっている超過準備が使われていないとデフレ脱却に寄与しないから、超過準備の積み上げインセンティブを無くす」という話。

もうね、短期市場ちょっとでも判っていたら一秒でその趣旨がおかしすぎるにも程があるというのが判る話で、記事中にも投信の人のコメントとして「日銀はインフレ目標を打ち出したのだから超過準備を市場に放出させないといけない」とか何とか言っているのがあったのですが、いいからそのコメントした投信会社の人間出てこいという所でございますわな。

超過準備を市場に放出して、超過準備持っている金融機関の資金が他の人の所に行ったとしても、それは結局市中を回って最終的にはどこか別の金融機関へと還流する物であって、超過準備減らねえわというのは短期市場をちょっとでも理解していたら常識にも程がある話でございまして、お前それでもファンドマネージャーかよと小一時間問い詰めたい訳でございます。大体からして超過準備が積みあがるように金融調節をするのが量的緩和政策なのであって、しばらく前には日銀当座預金残高が、前年対比で震災による流動性供給分が剥落したのでケシカランとか言われていると思ったら今度は超過準備がケシカランとか、批判するならもうちょっとまともな批判しろと思うのでありますけどねえ。

という事で、まあ論理展開がおかしい観測記事とか真に受ける方がアレなのですが、観測記事書くのは別にお止め致しませんけど、明らかに与太かポジショントークみたいな論理的に破綻しているヘッドライン詐欺のような記事を書くのは、超狭い業界紙ではあっても如何なものかという感がする訳でございまして、いやあのイエローペーパーのゴシップ記事並みの内容の観測記事を掲載とかいう話ですと、イエローペーパー並みのお値段しか払う価値なしという話でもありまして、結構お高いお値段取っておられる金融ファクシミリ新聞様なのですから内容は幾らなんでも吟味して頂きたいものだと思われる次第で、関係者の猛省を促したい所です。


○付利下げは普通に考えて優先順位かなり低い筈

えーっとですな、そもそも付利下げに関しては優先度低い筈でして、それこそ今月の決定会合で付利下げとかになったらあたくしが全身白塗りで暗黒舞踊をする姿をようつべにうぷしてやるわ(キッパリ)という位のお話。

まず政策ロジック的に言いますと、先ほどの超過準備云々の論点はまあ論外なのですが、一応悪態ついておくと、付利金利下げたからと言って超過準備が減るという話では無いのでそもそも意味が無いです罠。

ただまあ金利が下がるから良いじゃないかという話は勿論あるのですが、その0.10%の金利を下げるメリットと、ただでなくさえターム物の金利が(先ほど申し上げたように)ターム物どころか3年まで下限張り付き状態になって市場が機能しなくなっている中で、更にその市場機能を低下させてどうするのよという話でもありまして、市場機能を殺しちゃうと外的ショックに弱くなる訳で、それこそ欧州問題があばばばばーになって国内の資金市場がややこしい事に成った時にどうするのよとかそういう話。

それにね、名目ゼロ金利制約の中で行うべき政策は「更に名目金利を下げる」というルートよりも本来的に言えば「実質金利を下げる」というルートであるべきであって、それはつまりインフレ期待を高めるというような話なのでありまして、まあ一応日銀は成長基盤支援がどうのこうのとかやっていますが、即物的には(本当に効くのかという議論はさておいて)バランスシート政策を進めてインフレ期待に作用させると良いなあといような政策をするとか、資産価格ルートや為替ルートに効かせる政策をするとか、まあそっちが主眼でしょと思うのですよ。

ということで、まあ資産買入系か時間軸系が追加の政策としての順序であって、そもそもただでなくさえ市場機能が瀕死になっているのが問題という現状でその市場機能死亡に止めを刺すような付利下げあるいは撤廃とか普通に有りませんからというのがまあ本項の結論なのでございました。

#副次的には成長基盤強化貸出とか固定金利でやってるので付利下げたら騙し討ちモードというのもある

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2012/05/16

○ニュースクリップというかなんというか

・前田調査統計局長インタビュー

ブルームバーグで日銀の前田栄治調査統計局長のインタビューが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M408MO1A74E901.html
前田日銀調統局長「物価の潮目変わる兆し」、13年度末以降1%近づく

『5月15日(ブルームバーグ):日本銀行の前田栄治調査統計局長は国内の物価情勢に「潮目が変わる兆しも出ている」と述べ、実体経済に大きな変調がない限り消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)上昇率は「2013年度末以降1%に近づいていく」との見方を示した。14日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)

ほほう。

『日銀は4月27日、13年度までの見通しを示した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表。コアCPIの前年比上昇率について、見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、日銀が当面の物価安定のめどとする「1%に遠からず達する可能性が高い」と表明した。前田局長の発言は、コアCPI上昇率が13年度末にも1%に近づいていく可能性があることを示唆したものだ。』

そ、そうなんですか。

ということで、まあ内容は記事読んでちょという所でございますが、まあ強気の見通しなら強気の見通しで結構なのですが、先日の麿朝日新聞インタビューでの財政再建路線の重要性強調に加えて物価見通しに強気なのが出てくると、何か政策インプリケーションがあるのでは無いかとか思惑を呼びかねない(というか任期1年の麿スイッチモードが何か影響を与えているのかとか妄想が妄想を呼びたくなる訳で)次第で、どうもねえという感じではございますけれども、足元では欧州火がボーボー状態で英独米の長期金利が順調に低下するという有様なので債券市場的にはヌルー状態になっていると存じますが、どうもにちぎんかんさつにっきを趣味にしている口からすると微妙にアレなそれを感じないわけでも無いですなあとか思ってしまうのでありますた。


・藤井民主党税調会長キタコレ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M40Q2I6KLVR401.html
藤井氏:消費増税失敗なら大手銀の国債売りも−インタビュー (1)

『5月15日(ブルームバーグ):民主党の藤井裕久税制調査会長(元財務相)は、野田佳彦首相が目指している消費税増税関連法案の国会成立に失敗すれば、日本国債の格付けが引き下げられて大手邦銀の国債売りを誘発する危険性があるとの認識を示した。14日に行ったブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)

まあ0.8%台の金利が1.0%位に上がっても蚊に食われた程度の話なんですけどね。

『藤井氏は大手銀行の日本国債への対応について「メガバンクはもう売りの態勢だ。名前は言うのはやめておくが、いつ売ろうか、という勉強会を立ち上げている」と指摘。』

そんなのいちいち勉強会を立ち上げてやるものじゃないと思うのですけれども、最近のメガバンク様は売買するのに一々勉強会立ち上げるんですか????

『その上で、社会保障と税の「一体改革が通らないと格付け会社はマイナスの評価をして国債は売られ、金利高が始まる。金融機関は大損になるので早目に売ってくる」との見通しを示した。』

まあ何ですな、確かに長い目で見たらどう見ても売りなのですが、目先一体改革が通らないで仮に解散総選挙になるとかになったからと言っていきなりハイパーインフレ懸念で国債投げ売りとか話が飛躍にも程があるとは思いますけど。つーか日銀法改正の動きの中で財政マネタイズに歯止めが掛かりません懸念が出るような結果になる方がマズイような希ガス。

いやね、先日の朝日新聞での麿インタビューって別にそういう政治的な話ではなくて、中央銀行家として「中央銀行による無制限財政ファイナンスは信用喪失に起因する不可逆的な通貨価値毀損を招く可能性が高いから避けるべき」という極めて当たり前の話をしているというのが真意だとは思うのですけれども、タイミング的にこんな感じで藤井さんのコメントとか出ちゃうと、麿の意図しない所で発言が政治的色彩を強めてしまうリスクがあるから、もうちょっとその辺の地雷を踏まないようにした方が良いのではないかと思うんすけどね。

下手に政治的な動きに巻き込まれるとその結果として負け側に立った場合にその後より酷い目にあって、それこそ復興国債100兆円引き受けろとか言い出すような話になったら目も当てられないと思うのですけれどもねえ・・・・・・・


・銀行決算とな

公共放送ニュースから

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120516/t10015146281000.html
銀行業績 国債の売買益に頼る構図鮮明
5月16日 4時31分

『大手銀行グループ3社のことし3月期の決算が出そろい、貸し出しが伸び悩むなかで国債などの売買で上げた利益が過去最高の水準となり、銀行の業績が国債の売買益に頼る構図が鮮明になっています。』(上記URLより、以下同様)

『3つのグループが保有している国債の残高は、三菱UFJが48兆円、みずほが34兆円、三井住友が28兆円と、総額およそ110兆円に上り過去最高となりました。このため、日本の国債価格が下落した場合、銀行の経営に大きな影響が及ぶことを懸念する指摘も一部に出ています。』

何か国債暴落したら困りますよ的な話をサポートするかのようなお話。いやまあ他の条件に何の変化もなくて市場金利だけ急上昇したらそらまあ困りますが、普通に景気が良くなって金利が上昇している時は貸出ポートフォリオの内容が良くなっているのですから銀行ウハウハというかその方が有り難いんですけどね。

#最近やっと少しはその辺の「金利上昇すると国債の価格が下がって大変」の話に関して「そもそも金利上昇する背景によって違うでしょ」という前提が入るようになって来たような感じですが。

『これについて三菱UFJの永易克典社長は、「国債の保有がここまで大きくなるとリスクは常に考えなければならない。今すぐ問題にはならないが、5年、10年先を考えると非常に大きいテーマだ」と述べました。』

まあ一般的な話でスルーと。

『また、みずほの佐藤康博社長は、「日本は外貨準備が世界一多く、国債の90%以上は国内で消化されているため、日本の国債金利が急に跳ね上がる状況ではない。ただ、グローバル化が進み、ギリシャ問題が突然、引き金になるかもしれないため、日々、市場から送られるサインを見逃さないことがリスク管理のうえでは極めて大事だ」と述べました。』

ほほう。

『さらに、三井住友の宮田孝一社長は、「急な混乱が起きるとは想定していないが、償還までの期間が2年弱の短い国債を持つようコントロールしている。とにかく大事なのは、財政健全化の道筋が示されることだ」と述べました。』

財政健全化は仰る通りなのですが、「償還までの期間が2年弱の短い国債」だと国債投資で銀行の預金コスト賄えないと思うのですけど・・・・・・・・・・・・・・・・???????

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2012/05/15

○なし崩し財政マネタイゼーションを避けたいのは判るけど(雑談である)

日曜の朝日新聞に記事があったようで。

http://www.asahi.com/business/update/0513/TKY201205120656.html
「通貨安定へ財政再建を」 白川・日銀総裁が政府に注文
2012年5月13日8時18分

『インタビューは11日に行った。白川総裁は「(金融市場で)日本の財政が持続できないと思われれば、国債が売られる。国債を大量にもっている金融機関は大きな損失を被り、経済に悪影響がでる」と指摘。そうしたとき、金融システム危機を防ぐため、日銀が国債を大量に買い支えれば、通貨の安定が失われて「制御不能なインフレになるのが歴史の教訓だ」と述べた。』(上記URLより)

残念ながらインタビュー内容は朝日新聞の購読者じゃないと読めない上に、日曜の本紙記事ですので普段購読してないと手に入ら無さそうという残念モードでございますが、まあ要するに「安易に財政マネタイズすると大変な事になりますよ」という話をしているのですが、麿的に言えば「これだけ色々と緩和措置やってるんだから財政再建にしっかり取り組んでくれないとどこかでエライことになるんで政治は緩和要求ばっかりしないでやる事をやってくれ」ってなもんでしょう。

しかし朝日の見出しも「通貨安定に財政再建を」って微妙にミスリードにも程があって、これだとどうせまた日銀批判してる人たちが「通貨安定しろという日銀は今の円高を容認していてケシカラン」という風に言いだすに1万ドラクマ。


でまあ昨日は昨日で公共放送ニュースがこんなネタを。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120514/k10015092541000.html
日銀保有国債 流通紙幣超える見通し
5月14日 4時53分

『日銀は金融緩和強化のため、国債の買い入れを拡大していますが、その結果、ことし年末には保有する国債が92兆円程度と、日銀が発行している紙幣の額を上回る異例の規模になる見通しで、金融市場などでは国の借金依存が進むのではという懸念も強まりそうです。』(上記URLより)

ということで、昨日公共放送ニュース見てて何でまたこのタイミングで(金融調節に関するレポートは連休明け直後に出ていたので昨日のニュースで改めて取り上げられるというのはタイミング的に妙なので)と思いながら見ておったのですが、これを前述の日曜の朝日新聞での麿インタビューと合わせてみますと、ってどうしてもこういうのってシンクロさせて考えたくなっちゃうところが陰謀脳かもしれないのですけれども(汗)、何か急に麿大先生におかれましては「なし崩しの財政マネタイズに向かわないようにするのはセントラルバンカーとしての責務でおじゃる」というスイッチが入ってしまった感の漂う展開になっているように見えるのはあたくしの気のせいでしょうかどうでしょうか。

いやまあ確かに無限に財政マネタイズしながら財政のタガは緩みっぱなし(少なくとも自民党政権時代は一応追加の赤国発行をあまり増やさないようにという雰囲気はあったけれども民主党政権になってからはゆるふんにも程がありますからねえ)という状態がサステイナブルではないので、中央銀行家としてそれに警鐘を鳴らしたい、というのは仰る通りで極めて正論ではあるのですが、何もあーた足元で欧州債務問題が再々再度位(もはや何度も火を噴くので忘れたわ)火を噴いて市場があばばばばーになっているタイミングで急にそんな話をおっぱじめなくてもと思うのでありまして、何と申しますかこの前の展望レポートと言い、何ともタイミングの悪い話にも程があります。

まあ間が悪いのは日銀の伝統芸能みたいなもんなのですけれども、何ちゅうか足元でこんな状態になっている中で急に麿にスイッチが入った的な雰囲気になっているのが実にこう気になる所ではございまして、よく日銀審議委員の皆様が任期の最後の方になるとフリーダム発言をしだして中々オモシロスという現象があったりするのですが、まさか麿様におかれましても任期残り1年切ってきて急にスイッチ入ってしまったのではないかと思うとそれはそれで足元の経済、というか欧州とかの情勢を勘案すると少々アレなものを感じざるを得ない所ではございます。

○クレクレは世界のトレンド(違)

そういやネタにするとか言って(しかも連休の数時間を潰して逐語読解したのに)FOMC後のバーナンキ議長の会見ネタを見事に放置プレイにしております(が、会見記録を打ち出したものにペン書きしたものだけだと保存上アレですのでいずれ俺様備忘録にしてアップはしますけど、新ネタが投入されるので中々アップする気力がわかない)次第ですが、先般はECBの定例理事会(珍しくバルセロナで開催なのだがマドリッドではなくカタランで開催というのは何ですねんと少々思った。皆でバシリカに昇格したサグラダファミリアでも見に行ったのか?)もございまして、小見出しのような事案があったのでオモシロスということで小ネタである。

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20120425.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
April 25, 2012

ちなみにこれ初稿版だと28ページあるのですが、現在FRBのサイトにアップされているのは23ページ組になっていまして、どこをどうすると5ページ減るのかはまだ細かく見ていない(というか保存したつもりだったのだが初稿版をあたくしのPCに落とすのを失念していたようなのでネタにするときに困るなあとか思っているあたくし。持ってたら誰かくらはい)のですが、初稿版だと21ページ目ですけれども最終稿版だと17ページ目にその質疑はございまふ。

Market News InternationalのSTEVE BECKNER記者からの質問

『STEVE BECKNER. Steve Beckner of Market News International. Mr. Chairman, good to see you. There’s been some concern in markets about what will happen to bond yields at the expiration of Operation Twist on June 30th and some speculation on what the Fed might do-might need to do to keep downward pressure on yields. Is that a concern that you share? And do you and your colleagues feel the need not to disappoint these kinds of market expectations?』

クレクレキタコレという感じですが、要するにオペレーションツイストが終わった後のおかわりにが無かったら長期金利が跳ねると市場が懸念しておりますけども、その考えをFedは共有していますか?そして市場のオペレーションツイストのおかわり期待をがっかりさせないようなことをする必要性を考えていますか?という質問ですな。

逆さ絵おじさんのお答え。

『CHAIRMAN BERNANKE. Well, to your last point, the purpose of monetary policy is to achieve our objectives of maximum employment and price stability, it’s not to disappoint or not disappoint investors. So we will take actions based on those economic objectives and not try to achieve certain market outcomes.』

えーっと、つまりこうですね。

>the purpose of monetary policy is not to disappoint or not disappoint investors.
>the purpose of monetary policy is not to disappoint or not disappoint investors.
>the purpose of monetary policy is not to disappoint or not disappoint investors.

・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

ちなみにこの後に説明が続きますけれども、その内容は「バランスシートポリシーとしての資産買入効果は買入のトランザクションの額(その間に幾ら買いましたか、という話)ではなくて、買入の残高が影響するので、残高が維持されている分には緩和効果は継続すると我々は考えている」という話をしておりますが、まあこれは従来からバランスシートポリシーの説明の中で行っているものですな、今日の小ネタのテーマとは別ですが折角ですので引用しておきます。

『There’s some disagreement, I think, about exactly how balance sheet actions by the Federal Reserve affect Treasury yields and other asset prices. The view that we have generally taken at the Fed, in which I think-for which I think the evidence is pretty good, is that it’s the quantity of securities held by the Fed at a given time rather than the new purchases-the flow of new purchases-which is the primary determinant of interest rates. And if that theory is correct, then at such time that our purchases come to an end, there should be relatively minimal effects on interest rates at that time. And that, in fact, has been our-generally our experience in previous episodes where we have launched a program and then allowed it to come to a natural end.』

『Of course, we’ll continue to monitor the situation, and if we believe that financial conditions for whatever reason are inconsistent with our macroeconomic objectives, then we will act to fix that. But, again, our expectation is that, at whatever point that the purchases end, that financial markets being quite forward looking will have anticipated that, and that the effects ought to be moderate.』

最後にはこの会見での特色でもある「でも必要ならやります」発言があるのですが、どうも次の一手についてはさてどうしたもんかモードになっているっぽいなあと思うのでありました。


で、先日はECBの定例理事会もあった訳ですが。

http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is120503.en.html

Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Barcelona, 3 May 2012

こちらの質疑応答では質問者の方が素敵な質問を飛ばしております(^^)。

『Question: Was there a discussion at all about moving the interest rate to the downside because there was speculation in the market, but you know, they are a little bit like children who need more candy. Was there a discussion at all about this?』

>they are a little bit like children who need more candy.
>they are a little bit like children who need more candy.
>they are a little bit like children who need more candy.

・・・・・・・・・ワロタ。

ちなみに今回は利下げの議論は出てませんというのが答えですが一応引用します。

『Draghi: No, we did not discuss any specific move on interest rates but we certainly discussed our general monetary policy stance, which we found accommodative in view of an economic outlook that is becoming more uncertain.』

あと、これは別の視点ですが、スペインは頑張っているんだからextra helpポルファボールという質問もございましたのはまあ会見場がバルセロナなので致し方なし。

『Question: You have been talking for the last days with Spanish and Catalan authorities. Here we have the impression maybe that after all the cuts, all the austerity, all the reforms, there is no reward from the markets or from the ECB. So these people say that the ECB now should give extra help to countries like Spain. What could you say to those people?』

ドラギ先生のお答え。

『Draghi: I would say that the government of Spain has made a very significant effort in policy reform. It is a series of reforms that - I don’t need to remind you - have been taken in a very short time. We have to acknowledge this significant effort. The measures that we have taken, namely the LTROs, have been successful in avoiding a major credit crunch. And of course we would need time to see how this money and when this money will propagate to the real economy, making credit conditions less difficult than they are today. But we can actually see quite clearly that we have avoided an otherwise major credit crunch, worse than what we are seeing today. So these measures, from this viewpoint, have been successful. I think that, and this is true for a variety of countries in the euro area, there has been significant progress on the fiscal front. I think that perseverance, given the amount of progress that has already been achieved, is very important in order to reap, in the end the gains. And together with this, structural reforms are also very important.』

ああだこうだとお話をしていますが、まあ要するにゼロ回答でございます。

ちなみに、こちらもまだネタにしていませんが、時節柄金利の上げ下げの話よりも財政問題に関する質疑がやたら多かったという感じでございます(さらっとネタにする予定)。

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2012/05/14

○日銀外貨資産がどうのこうの

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120511b.pdf
保有外貨資産の管理に関する見直しについて

『2.外貨資産の保有目的

上記の環境変化を踏まえ、日本銀行が保有している外貨資産の活用方法として現在必要と想定される目的を改めて整理すると、以下のとおりである。』

ということで、『国際金融協力』『わが国金融機関に対する緊急時の外貨資金供給』『成長基盤を強化するための資金供給』という説明をしているのですが、これってそもそも別紙の方にあるように・・・・

『この基本要領は、日本銀行が保有する外貨資産(日本銀行法施行規則(平成10年大蔵省令第3号)第9条第2項に規定する外国為替及び外国通貨で表示された資産をいい、日本銀行法(平成9年法律第89号)第4章に規定する業務で使用している保有資産を除く。以下「日本銀行保有外貨資産」という。)を安全性と流動性を重視して管理するために必要な基本的事項を定めるものとする。』

となっているのですが、施行規則を見ると日本銀行法施行令とか財務省令とか出てきてアレなのですけれども、私の理解が間違ってなければそもそもの経緯は本石町日記さんの所で以前説明があったこれ(→http://hongokucho.exblog.jp/5646115/)ですよね。

何かどさくさに紛れて日銀の外貨資産保有が思いっきり正当化されているような気がするのは気のせいですかそうですか。


○まあ何ですな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120511c.htm/
理事の発令について

門間企画局長が理事に就任。山本理事が退任となって理事の担当に一部異動が。

http://www.boj.or.jp/about/organization/tanto.htm/
総裁・副総裁・理事の担当

山本理事の後に早川理事(大阪支店長)が入って早川理事の後に雨宮理事が入って雨宮理事の後に門間局長が理事となって入る、という流れになっておりまして、まあ人様の人事はよーワカランチ会長ではございますが、ふーんと申しますか何と申しますか。

門間局長の後任に内田さんが就任したのですが、当日何と一般紙でニュースになっとったわ。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120511-OYT1T00938.htm
日銀企画局長に49歳内田氏、異例の若手抜てき
(2012年5月11日18時50分 読売新聞)

『日本銀行は11日、金融政策の企画・立案を担う重要ポストの企画局長に、同局ナンバー2の審議役より3年後輩にあたる内田真一氏(49)を抜てきする人事を発令した。内田氏は1986年入行で、4月まで新潟支店長を務めた。同日付で理事に昇格した前局長の門間一夫氏(54)とは入行年次で5年の開きがあり、現職の局長で最年少となる。』(上記URLより)

とりあえずクリップだけしておくことにしておきますわ。

しかしこの記事はどう見ても維新の会というか大阪市特別顧問のウォッチマンさんの自意識過剰宣伝ですなあと思いますけど。ってかこんなしょうも無いのを全国紙に書くなよ産経新聞。夕刊フジ位のゴシップ記事位にしておけと。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120512/fnc12051223460000-n1.htm
日銀理事の大阪支店長転出 「維新の会」対策?
2012.5.12 23:46

『11日付で発令された日銀の幹部人事が市場関係者の臆測を呼んでいる。金融政策を立案する企画局担当の雨宮正佳理事の大阪支店長への転出が、大阪市の橋下徹市長率いる「大阪維新の会」対策との見方だ。』(上記URLより)

・・・・・・・・いやあのギャグでも中々思いつかないと思うのですけれども、どこの市場関係者なんでしょうか。市場関係者とやらで真面目にそんな話をする方はちょっと医師の診察を受けられることをお勧めしたいのですが、もしかしてそれは記者様の脳内にいらっしゃる市場関係者でしょうかねえ。

とまあ最後は産経電波浴で締めてうまくまとまったわ(違)。

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2012/05/11

○短国入札は引き続きアレ

一昨日と昨日は6か月、3か月の短国入札があったんですけどね。

6か月TB入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240509.htm

(3)募入最低価格 99円95銭1厘
(募入最高利回り) (0.0999%)

(4)募入最低価格に 17.3962%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円95銭1厘
(募入平均利回り )(0.0999%)


3か月TB入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240510.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘0毛
(募入最高利回り) (0.1002%)

(4)募入最低価格に 3.7739%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円97銭5厘2毛
(募入平均利回り )(0.0994%)


・・・・・・・・・いやまあ何と申しますかという入札なのですが、3か月の方に関しては足切り0.1002%というのが前回4月26日の入札でも起きていまして、この時は按分8.6901%となっていましたが、今回もまた0.1002%の足切りだわ按分は3.7739%に低下するわ(したがって応札の方は前回が77.9兆円だったのが今回は97.9兆円に増えてますな)と言う事で、益々ニーズが高まるの図となっておりまする。足切りの所に按分狙いで札入れても満額入れても2000億円少々しか入らないとか中々お洒落な展開ですわな。

それとまあアチャーだったのはその前の6か月TB入札の方でして、平均と足切りが0.0999%と相成りまして0.10%割れという華麗な展開。まあ今回の入札は応札の刻みをイールドに直すと99.952円=0.09792%、99.951円=0.09997%、99.950円=0.1021%となっていましたので、0.09997%の所になるわなあとは思われていましたので、結果自体は市場予想通りではあるのですが、それにしても0.10%はどう見てもビットサイドです本当にありがとうございましたという風情になっているのが実にお洒落。

先日基金短国買入が絶賛大札割れになったという話をしましたが、当然ながらこの2回の入札とも0.10%は全力でビットサイドとなっておりますからして、0.10%での売却というのはどう見てもサービスレートとなるという状況の中、日銀にわざわざサービスレートで売却するお人好しもいない訳でございますからして、しばらくは基金短国買入打てませんなああっはっはという事でございまする。

足元、欧州がアレな影響がどの程度効いているのかはよー存じませんけど、まあ国内勢だけではなく海外の買いもやや強めというのも効いている結果としてまたも0.10%割れモードという事になっているのかなとは思いますが、しかしながらやはりここもとの基金買入攻撃による買入拡大も効いているんじゃないかという風にも思われる次第で、この調子で順調に短期債やら2年ゾーンやらの吸い上げが進んで行きますと、どうしても余剰資金の潰しをするニーズは高まるでしょうし、2年とかまで0.100に接近してくると(2年カレントはこの前まで0.105/0.110の気配でしたが、最近は0.100/0.105になっていたりしますがな)短国のレートが付くようになるまで時間が掛かる可能性も懸念される次第で。

マーケットが0.10%だと短国全力買いという流れになっておりますと、基金短国買入の残高4.5兆円達成とか大丈夫なんでしょうかねえ(ニヤニヤ)。


・・・・・・と申しますか、まあそもそも資産買入等基金なのですが、当初より固定金利オペとか短国買入とかも残高に入れて勘定してましたけれども、短い所に関してはある意味政策意図を十分に達成している訳でもありまして、CP買入以外の短期物に関しては資産買入等基金の枠組みから外した方がすっきりする、というかオペレーション上の苦労が減るような気がするんですけどどうでしょうかねえとは思います。ただまあそうすると見かけの基金の数字が激減しちゃうのでそれはそれで難しい面がある(短期金融市場的には多分みなさん大歓迎で、正直それによって引締めになるとかいう話は1ミリも無いのですが、相変わらずマネーガーとか言う人や日銀当座預金残高ガーとか言う人たちがいるので話がヤヤコシヤとは思うのでございまする。



○これは重要そうな物件のような気がする

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120510a.htm/
バーゼル銀行監督委員会による市中協議文書「トレーディング勘定の抜本的見直し」の公表について

『バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委」)は、5月3日、「トレーディング勘定の抜本的見直し」(原題:Fundamental review of the trading book)に関する市中協議文書を公表しました。詳細につきましては、以下をご覧ください。』

で詳細なのですが。

プレスリリースの仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel120510a1.pdf

市中協議文書のサマリー部分の仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/data/rel120510a2.pdf

なのですが、その市中協議文書のホンモノはこちらにありまして、これがまたPDFで99ページしかも(当たり前ですが)英語に計算式が飛び交うというスーパードメスティックハクション大魔王のあたくしは見た瞬間に卒倒してしまう代物ですが、何か内容を理解しておいた方が良さそうな気がするんですけど誰か解説して下さいお願いしますお願いします。

http://www.bis.org/publ/bcbs219.pdf(重いので注意)
Basel Committee on Banking Supervision
Consultative document
Fundamental review of the trading book

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2012/05/09

○基金オペ札割れ祭りキター

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120508.htm

CP等買入(資産買入等基金) 3,000 2012年5月11日
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 3,000 2012年5月10日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年5月10日 2012年5月17日 0.640
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年5月10日 2012年11月13日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120508.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 144 144 0.000 0.000
米ドル資金供給(固定金利方式)(5月10日スタート分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(5月10日スタート分) 3,260 3,260
CP等買入(資産買入等基金) 4,640 2,965 0.010 0.011 94.1

でまあCPとドルオペはスルーして本日のネタは基金短国買入と6か月固定オペなのですが、もう何というかね・・・・・

>国庫短期証券買入(資産買入等基金) 144 144 0.000 0.000
>国庫短期証券買入(資産買入等基金) 144 144 0.000 0.000
>国庫短期証券買入(資産買入等基金) 144 144 0.000 0.000

実はまあ基金の国庫短期証券買入は前回4月25日に実施されてまして、この時も1742/1742と札割れだった(オファーは3000億円)のですが、今回は何とまあ144億円ぽっちしか入らないというお洒落な状況。

何でそうなりますねんという話ですが、直近の3か月TB入札は26日に行われたものでしたけどこの時の落札結果が0.1002%/0.1002%と0.10%カツカツの入札だった上にその後投資家の買い(海外も含め)が入って0.1002%レベルのモノはすっかり持って行かれてそもそも0.10%で出すものがあるかいな状態になっている、という背景があって、その上1年とか6か月とかの短国の在庫もすっからかんである、というような状況があるのですけれども、何ぼなんでも144億円というのは残念過ぎる札割れ。

そらまあ基金買入によって国債は買うわ短国は買うわという風になっている中でございますから黙っていても当座預金残高が積みあがってきますし、短い所の金利は1年まで0.100%とかになっている状況ですからして、短国買入にわざわざ0.100%で入れなくても店頭で売った方が良いお値段で売れますがなという状態ですから札割れになりますなあという所です。

その上国債買入によって当座預金残高が勝手に積みあがるという流れがこれから見え見えという状態でして、まあ海外次第の面もありますけれども、短国市場に関しても資金余剰感が高まってくると日銀オペに入れなくても良いや攻撃になる時間帯が長くなる可能性があって、そうなりますと基金オペの残高目標の達成としてどうよというような懸念も出てくるんじゃネーノという所ではございます。

まあ何ですな、金利を下げるという意味ではより長い所をドバドバ買うようになっているのですから、今さら短国買入をバカスカ実施しなくても良いのではという気もする訳でございまして、この際短国買入を減らしたらとか思わないでも無いのですが、これまた短国買入を減らすとその分国債買入を増やさないと基金残高が減ってしまいますので(^^)、中々大変ですなあと思うのでありました。

ちなみに今週からは短国の入札がT+2ペースになりまして、従来毎週水曜だった3か月TB入札が木曜になるのですが、今日は6か月TBの入札でございまして、足元の玉スッカラカン状態の中どういう入札になるのかと考えると今からおそロシアなのでございますがさてどうなるでしょう。


でもって6か月固定金利オペの方も札割れ。

まあ先般の決定会合で6か月オペは減額ということになったのですけれども、何故かオペの方は普通にオファーされておりました。まあ今回のオペはそもそも最初に入れた6か月オペシリーズなのでロールなのかなとも思いますが、昨日もお約束のように貫録の札割れになっておりまして、もしかしてこの調子で普通に札割れが続いていけば自然体でオペ残5兆円減るんじゃないかというような勢いではございます(ちなみにあたくしの手控えで計算したら今回の結果的に減額ロールとなるオペによって6か月オペの残高は13.8兆円になってまして、あと3.8兆円減らすと間尺に合う勘定)。

いやまあそれで自然体でオペ残減ってきそうな勢いでもあるのですが、そういう自然体の減らし方をしているとどのタイミングで固定オペの残高が10兆になるのかがイマイチ判らんですなあという気もしますし、大体からして日銀的には残高のコントロールが大変じゃネーノとも思いますがどうなんでしょ。


いずれにせよ、どうも足元でこうオペの大量札割れ祭りを見せられますと、益々資金余剰感が高まって参りまして、ただでなくさえキャッシュ潰すものが無くて泣きそうな短期資金運用部門の人たち涙目の展開という所でございます罠。

つーか短国買入とか残高維持大丈夫かとも思いますが、まあ何ぼなんでも永遠に10割れ水準って事も無いとは思いますので何とかなるとは思うのですけれども、今週後半以降少し玉が供給された後のオペ応札状況をニヤニヤしながら眺めたいとは思います。この調子がしばらく続くとなるとオペ残高達成問題的にはどうなのよという感じがいたします。

まあ正直1年以内のオペとか買入に関しては基金残高から外した方が調節も楽になるし基金の運営も楽になる(CPは残すとして)とは思うのですけど、それを外すと基金の残高でござると言ってるものが30.5兆円ほど(短国は4.5兆なので本当は30.45兆円)落ちてしまうので見栄えがががががという問題がorz

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2012/05/02

お題「決定会合レビュー続き&早速基金国債買入オファー」

いやあドル円80円台に戻っていて良かったですね(棒読み)。

昨日は資産買入ネタをあーでもないこーでもないと書いたら時間が無くなるとゆー誠に遺憾な展開となりましたが、まあどうせ明日から連休だから書きそこなった話についてまた連休中にまとめておけばいいやと思っている人がいるのはこちらです(と言って読者の皆様を期待させると外せなくなるのでネタ投入する気になるという効果がある)。

#まあ全部投入できるかどうかは知らんが

ということで昨日の続きとかその他少々。

○声明文比較:景気判断引き上げでござる

声明文の景気判断が引きあがっている件につきまして今さらですが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120427a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120410a.pdf(前回)

金融経済月報の出る回(前回)と違うのと、展望レポートの公表および追加緩和措置の実施があったので体裁がやや違いますがまあ見てみましょう。

・景気判断および海外経済

『海外経済をみると、欧州債務問題が金融市場に大きな混乱をもたらすリスクは低下し、米国経済も緩やかに回復している。こうしたもとで、わが国の経済は、なお横ばい圏内にあるが、前向きの経済活動に広がりがみられるなど、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。』(今回)

というのがまずあるのですが、これに対応する部分は前回の声明文から拾うとこうなります。

『わが国の経済は、なお横ばい圏内にあるが、持ち直しに向かう動きがみられている。』(前回)

『景気のリスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、国際商品市況の動向、新興国・資源国の物価安定と成長の両立の可能性など、世界経済を巡る不確実性が引き続き大きい。』(前回)

ということで、今回はまず「前向きの経済活動に広がり」とか「持ち直し明確」とか現状判断を引き上げていまして、しかも(これは全くもって意味が分からんのですけれども)欧州債務問題のテイルリスク化についての懸念の後退を思いっきり示しているという展開。海の向こうでは2日前に出てたFOMC声明文で「金融市場の束縛は経済の見通しに顕著な下方リスクを与える」と前月に出していた「金融市場の束縛は緩和されてきたが」という前回付けた上方修正チックな文言を削除している中ですので更に目立ちますがなと思います。


・先行き経済見通し

『経済の先行きについては、本日公表の展望レポートで点検したとおり、新興国・資源国に牽引されるかたちで海外経済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

これに関しては相変わらずという感じでして、前回はこうなっていますわな。

『先行きのわが国経済については、新興国・資源国に牽引されるかたちで海外経済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

ということで、まあ基本的なシナリオは同じです。


・先行き物価見通し

『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、展望レポートの見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が高い。やや長い目でみれば、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復する蓋然性は高いと考えられる。』(今回)

『消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)

ちなみに前回展望レポートの昨年10月での声明文ではこうなっています。

『しかし、物価の安定が展望できる情勢になったと判断されるにはなお時間を要すると予想されるうえ、国際金融資本市場や海外経済の動向次第で、経済・物価見通しがさらに下振れするリスクにも、注意が必要である。』(昨年10月の2回目会合)

で、昨年のこのときは上記の見通しに基づきまして基金の国債買入を5兆円拡大していますので、まあそーゆー意味では展望レポートでの見通し点検→金融緩和強化というのは前回に引き続き今回も実施でござるの巻となっていますわな。


○今回もまあ形としては2月14日路線の踏襲である

次のパラグラフですが。

『日本銀行は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力な金融緩和を推進している。こうした日本銀行の政策は、長めの金利およびリスクプレミアムの低下や、金融市場の安定等を通じて、経済活動を支えている。また、実質的なゼロ金利政策等の推進は、景気の改善につれてその効果が強まっていくと考えられる。』(今回)

はあそうですか。

『本日決定した金融緩和の一段の強化は、これまでの措置の累積的な効果と併せ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復することを、さらに確実なものにすると期待している。』(今回)

こちらに関しては2月14日のと比較するのが吉。

『日本銀行は、先行きの内外経済の不確実性がなお大きい中で、最近みられている前向きの動きを金融面からさらに強力に支援し、わが国経済の緩やかな回復経路への復帰をより確実なものとすることが必要と判断した。このため、今回、わが国経済のデフレ脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けて、日本銀行の政策姿勢をより明確化するとともに、金融緩和を一段と強化することを決定した。』(2月声明文より)

まあ基本的には似ていますが、前回は「政策姿勢の明確化」であり今回は「経済の成長経路への道筋を確実にする」となっていまして、そういう意味では今回の方が押し上げ的なニュアンスを(理屈の上では)強めているという所ですわな。

まあ今日は会見ネタが間に合わない(すいませんすいません)と思うのでスルーしますが、当然ながら総裁会見でも今後も押し上げやるのかという質問がありまして、これがまた麿が麿だけに微妙にやるんだかやらないんだか判らんような表現になっていましたけど、まー普通に考えてどんなに遅くても10月の展望レポート時点で経済物価情勢に大した進展がなければ何らかのおかわり措置の実施があるでしょうと思うのが素直な見方になるのではと。

ちなみに中間レビューで何かあるかというのはちょっとクレクレ頻度が高いような気もしますが、昨日うだうだ書きましたように一応次回に関しては国債買入を5兆円乗せる(乗せると来年の前半も基金国債買入が月2兆円ペースの買入になって短い所の吸い上げ大会にも程がある状態が続いて中短期ゾーン中心の運用をする所涙目が続くのですがorzorz)余地があるので、それでも入れるんでしょ。


○日銀というか麿の心の叫びキタコレ

政治にボールを投げているつもりなのですが、どう見てもボールが届きません本当にありがとうございました。

『上記の強力な金融緩和の推進に当たり、日本銀行は、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から問題が生じていないかどうかを確認していく。わが国の財政状況が厳しく、そのもとで日本銀行が強力な金融緩和を推進していることを踏まえると、財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかりと確保することが、金融政策の効果浸透や、金融システムの安定および経済の持続的な成長にとって、きわめて重要である。』(今回)

・・・・・・・・・・・麿心の叫びキタコレという感じですが(^^)、まあ要するに「財政マネタイズを目的に買入をしている訳ではありませんよ」と言いたいのと、「日銀にクレクレ言いながら財政再建に向けた取り組みどころか復興国債100兆円発行して日銀に引き受けさせろとか言い出す政治家逝って良し」と言いたいというのは良く判りますが、まあ残念なのはその玉が飛んでいるという認識は無いでしょうなあという所です。

会見でもこれに対応したオモシロ質疑があったのですがそれは明日か明後日にでも。

#最後のパラグラフはいつもの話なので引用割愛


○昨日の基金国債買入なのでございますが

昨日のオペオファー(固定オペの部分は引用割愛)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120501.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 6,000 2012年5月7日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 1,000 2012年5月7日

という事で、早速のオペオファーで残存2年と3年で分けるというのがあったのですが、このオファー額を見て市場的には「えええええええええええええええ!!!!」という反応がまず最初に。

いやね、確かに2年は新発が毎月の発行が27000億円(第U非価格があると更に増える)あって、一方で3年ゾーンは新発が無いので市場の流通玉が少ないというのは判るのですけれども、やはりこの比率は「何だ3年ゾーンまで買うと言ったのに必要最低限しか買わないとかやる気ないんだ」というイメージを第一感で与えるシロモノで、当然ながら昨日の債券市場では朝方堅調だった5年ゾーンがこのオファーを見てやや失速して債券先物もやや失速。

で、オペの結果ですけど
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120501.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 14,282 6,007 0.005 0.005 53.0
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 6,588 1,005 0.021 0.024 3.2

出来上がりの利回りで一番強い所で0.121%まで入ってまして、昨日の3年ゾーン(2015年3月償還物)の引けが0.125%だったので、アベレージも含めて引けよりも強い所まで入ってくれたので、まあ市場予想より強かったということでホッとしてその後気配は戻ったので不幸中の幸い。


でまあこれに関しては色々と見解が分かれる所だとは思うのですよね。つまり結果を見ればオペのオファーする所がちゃんと需給を見て適正な額を入れたという話ではあるのですけれども、そうは言いましても入れる方だってそもそも昨日の引けより弱い所に入れるのがアホラシカ(どうせ買入は続くので)というのもあってそんなに入れなかった可能性もある訳でございまして、まあ結果的にはこれでオーライなのかも知れんし、実務上はこんなもんですかねという所なんですけどあたくし的にはややどうかという気が。

つまりですね、オファーがあった時の市場のファーストアクションを見れば判りますように、「1000億円」という額には「必要最低限しか実施しませんですが何か?」というニュアンスをまあこのオファーを見ると受け止める訳でございまして、これ債券市場しか反応して無いから良いようなもんで、こういう数字を見て「日銀は3年に買入年限を伸ばすと言ったのに結局必要最低限しか買っていなくて消極的」とか言われてしまうと、「折角買入の年限を伸ばすという積極策を実施したのに消極的と言われる」という意味不明あるいは台無しにも程がある展開に成りかねない次第でありまして、せめて「5000vs2000」の比率くらいにしておいた方が「見せ方」として適切だったのではないかと。

まあそうするとそのうち2年ゾーンの買入よりも3年ゾーンの買入の利回りが低くなるという無茶現象が発生しかねないのですが、そうなったらそうなったで「新発債の発行がある2年の買入の方がニーズがあるようですので3年の買入予定額を減らしますね、なんてマーケットフレンドリーなんでしょ私たちって(はぁと)」とか何とか言って是正すれば(いやそこまでやらんでもその前に是正しておけば良いのだが)良いんじゃネーノと。

あとね、どうせしばらく買入が続くことを考えると、先に3年ゾーンを買って置いた方が後で3年を買うよりも出口政策の際に保有銘柄の平均残存が結果的に短くなるんじゃないのかなあというのと、基金買入の償還が早く来ない分だけ当面の残高維持が楽になるのではないかなあなどと思ったんですけどね。


ということで、何と申しますかあまり「小出し感」を与えるような見せ方をするのも残念というか、下手に小出しする位なら何もしないで「やる時はやるよ〜」とやるやる詐欺でもしておくというどこぞの逆さ絵オヤジあるいは福井の俊ちゃんスキームの方がお得感があるのでございまして、折角色々とやってるんだから具体的な実務部分で小出し感を出さなくても・・・・・とは思うのでありますけどどうでしょうかね。まあもちろんこの辺りは見解が分かれると思うのであたくしの愚意見必ずしも市場のメジャーな意見かというとよくワカランチ会長ではありますが。

ということで、結局総裁会見ネタをスルーしてしまいました連休中に更新します(宣言)。

#昨日も書いたけどバーナンキFOMC後の記者会見ですけど全文マジで面白い(色々な意味で)ので連休中の読み物にお勧めであります。ただし真面目に注釈とか入れながら読むとかなり時間を食いますので念のため

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2012/05/01

さて今回の追加緩和策、普段から見ている人的には良く作り込んだと評価したい追加策で、まあそういう言い方はあまり良くないですけれども「満額回答以上」の追加緩和で評価高いと思うのですが、ドル円が(別の要因で)円高になったから「予想通りでしたね」とか言うモーサテの(以下悪態につき自主規制)。

まあ今回の追加緩和策については作り込みが細かいので単純に「結局5兆円でしたから」とか言う(自主規制)さんが出るのも仕方ない面があるにせよ、「国債購入10兆円拡大」が報道で前面に出なかったのは説明のハッタリが足りなかったのではないかという気もします。

ということでレビューであるが、そのようにエラソーに言うあたくしも全部ポイントを抑えてレビューできるのでしょうか(汗)。抜けがあったら教えてつかーせ。

声明文より。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120427a.pdf


○資産買入等基金の拡大と期間延長と買入対象銘柄年限の拡大にETF等買入も!

ではまずは資産買入等基金の拡大の内訳を引用してうだうだと解釈してみる。

『(1)資産買入等の基金を65兆円程度から70兆円程度に5兆円程度増額する。その内訳は次のとおりとする。

@ 長期国債の買入れを10兆円程度増額する。

A 指数連動型上場投資信託受益権(ETF)の買入れを2千億円程度、不動産投資法人投資口(J−REIT)の買入れを百億円程度、それぞれ増額する。

B 期間6か月の固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションについては、応札額が未達となるケースが発生している状況を勘案し、5兆円程度減額する。

(2)買入れ対象とする長期国債の残存期間については、今回の増額分を含めて多額の買入れを円滑に進め、長めの金利へ効果的に働きかける観点から、従来の「1年以上2年以下」を「1年以上3年以下」に延長する。社債についても、長期国債と同様に、買入れ対象の残存期間を延長する。

(3)基金の70兆円程度への増額は2013年6月末を目途に完了する。なお、本年末時点における基金の規模は従来通り65兆円程度とする。』

というのは3ページに別紙があるのですが、まあ別紙読んでもこらまあ何が何だか判るまであたくしのようなマニアでも5分くらいは掛かるかもしれませんなあという代物ではございます、良く出来ているけどね。

つーことで小見出しをバカスカ投入しながら気が付いたポイント並べてみる。


・「基金5兆円程度拡大」の表現はまあ何ですな

『(1)資産買入等の基金を65兆円程度から70兆円程度に5兆円程度増額する。その内訳は次のとおりとする。』

まあこれはこれで従来「基金の残高が幾ら」という数字を出していたのでシャーナイナイな面もあるのですが、そこはやはり海の向こうの逆さ絵オジサンを見習って「これをやるんですよ!!!」というのを物凄い勢いでアピールするというのもあって良かったんじゃないかな、と後付としては思うのです。

つまりですな、基金の総額の話は最後の方に書くとして、「国債10兆円買入拡大!!」「ETF2000億円買入拡大!!」「J-REITの買入も拡大!!」とかいうのをアピールする為に、「資産買入等基金による国債やETF、J-REITの買入を拡大します」という表現にするというのは・・・・・・まあクソ真面目な日銀だけにちと厳しいのでしょうか。

何せ金曜の市場ですけれども、最初に「基金の5兆円増額」というのがヘッドラインに出てしまい(まあその後の一般メディアの報道もそうですが)、その瞬間に為替は円高に派手に振れて、その後「国債買入10兆円増額」「ETFなどの増額」のヘッドラインが出たのでいきなり為替はドテン円安方向になったという流れでございまして、微妙なテイストでございました。

まあその後東京時間の13時から急に米国債が買われてユーロが下がって円高に振れて残念な展開になったのですが、これは別要因という所ではあると思いますけれども、もうちょっとハッタリを効かせると出方も違ったような気もせんでもないという所ではございます。

まあ今回の施策に関しては非常に良く作り込んでいて、実に素敵な追加緩和であって、冷静にこの内容を読むとかなり頑張った上にサービスというかお土産まで付いているというのは判る人には判ると思うのですけれども、「パッと見でわかりやすいハッタリ」というのを示すというのも「市場(ただし足元の短期金融市場や債券市場ではない)への働きかけ」という意味では重要な論点かも知れないなと思うのです(が、そうなったらそうなったでハッタリケシカランとか言い出すかも知れないですが、笑)。


・国債買入の拡大によって「月2.2兆円程度」のペースの買入になりそうです

今回は10兆円の買入拡大なのですが、「うち5兆円は12月末までの買入」となりますので、現在の「月1.5兆円程度の国債買入」が「月2.1兆円程度の国債買入」に買入ペースが拡大する結果になりますので、この部分だけ見ると「買入期間を延長しないで5兆円の国債買入拡大」となった形。まあ国債買入が更に加速となるのでございますな、うんうん。

ちなみに、基金買入の3月末数字ですけれども、基金の国債買入の銘柄別明細はこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1203.pdf

の2ページ目にありますように、実は年内に償還の来る銘柄の買入がありまして(2年299回以前、5年69回以前、10年246回以前)、額面合計が4971億円ありますので、この分も買わないといけないので、実際には5.5兆円を8か月で買い増ししないといけませんとなりまして、これを8で割ると6800億円チョイとなりますので、実際には月に2.2兆円ペースの買入が必要になりますがなという話になります罠。


・半年の期限延長分には買入拡大余地もありそうな感じですなあ

んでもって残りの5兆円部分の拡大は半年期限を延長した事になるのですが、こちらに関しては単純に月割りすると6か月なので8000億円少々の買入ペースになりますが、同じように計算すると(あたくしの足し算が間違っていなければ)償還分9746億円が乗っかってくるので、月1兆円の買入ペースになりますわな。

でまあこの半年部分をあと5兆円オンすると月の買入額が1.9兆円程度となるので、そんなこんなを考えると次回何かしましょうとなった場合には「次の半年で買入をする国債をあと5兆円乗っけまひょか」という話になるんでしょうなあ、何かバナナのたたき売りみたいでアレですけどね。


・ETF、J−REITの買入拡大は久々でまあ良かったんではないかいな

ここもとの基金拡大に関してはいつも「国債の買入」拡大で終始していて、そもそも包括緩和でリスクプレミアムに働きかけるのでしたら既に下がっている金利よりも中々アガランチ会長の株式市場にという話をこの前書いた訳ですが、今回はその「信用緩和」部分にもフォーカスしてETFやJ−REITの買入を拡大したのはまああまり期待されて無かったので(そっちの市場には)ポジティブサプライズだったんじゃないですかねえ。どうせなら2000億円と言わず5000億円とか思ったけどまあいっか。


・固定金利オペ6か月物縮小は調節技術的には評価が高いけど皮肉な面も

まあ固定金利オペに関しては「より長い期間の物の買入等拡大」の影響でそもそものニーズが無くなってきたというのがありまして、先般も金利競争入札オペの残高がゼロになるとかいう泣けるような事態になっていたりしておりまして、固定金利オペの残高を基金の残高としてカウントしている以上、こっちの残高維持のプライオリティーが高くなるという事情もあって、オペレーションの自由度を却って悪化させているという状態だったのは何度も申し上げております通り。

従って今回固定金利オペの中で特にイラネ状態の6か月物が5兆円減るのは調節技術的には大変に結構な話で、これで金利競争入札方式のオペが入れやすくなるなあ(まあ買入が増えてるから実際にはやっぱり当座預金残高が増えて来るのであまり変わらないような気もせんでもないけど・・・・)とは思います。

まあ言ってみれば「6か月固定金利オペ→3年(今回買入銘柄の足を延長している)までの買入」という日銀版オペレーションツイスト(ただし売りが伴う訳では無い)もどきみたいな話ではありますけれども。

でまあ残念無念なのは、これはある意味身から出た何とやらなのですけれども、そもそも資産買入等基金という「等」に本来買入でも何でもない固定金利オペを含めていた結果として、今回の追加緩和策の見せ方が「基金拡大5兆円」となってしまったことですが、これはまー最初に固定金利オペを基金の残高に入れる事によって出来上がりの数字を大きく見せようとしていた(んでしょ??)ツケをここで払わされることになったというブーメラン現象でもあって中々皮肉な味わいではございます。

ちなみに、固定金利オペが減っても資金需給上必要なオペレーションは金利入札方式で実施されますので、そういう意味ではこちらのオペが減る事と日銀当座預金残高の増減にはあまり関連が無いという事実がありまして、まあ例によってどこぞの本職の癖にお前は目ん玉をどこに付けているのだというようなとある金利債券系何とかストの方が「基金の65兆円が変わらないので日銀のバランスシート拡大ペースは変わらない」とか言っているレポートを金曜日に拝読しましたが、まあそこらの素人なら兎も角、金利債券系の何とかストを看板にして商売している本職がそういう事を言うとか一回三途の川の片道切符ドラム缶クルーズツアーにご参加される事を強くお勧めしたいと思われる次第でございます。

#うむ、また脱線悪態に


・買入対象銘柄の「3年への延長」に社債もしらっと含まれるとな

んでもって買入の対象期間ですけれども再掲すると・・・・・

『(2)買入れ対象とする長期国債の残存期間については、今回の増額分を含めて多額の買入れを円滑に進め、長めの金利へ効果的に働きかける観点から、従来の「1年以上2年以下」を「1年以上3年以下」に延長する。社債についても、長期国債と同様に、買入れ対象の残存期間を延長する。』

国債の3年までの買入よりもひえーと思ったのは社債の買入銘柄の対象期間も延長になった事でして、買入社債の対象玉が減ってきているのはありますし、国債の方と平仄合わせるというのもまあ判りますけれども、ある意味ETFよりもリスクがデカイ可能性もある(ETFは価格変動リスクだが社債は飛んだら元本ですからねえ)社債の買入対象銘柄の期間を延長するとはやるなあという感じ。

これでまあ社債ディーラー歓喜の展開になりますし、3年辺りから手前の日銀買入対象銘柄を持っている投資家も持ち玉が上手くすれば(最初のうちは玉が多いから必ずしも0.10%にならないかもしれませんが)0.10%で日銀に打ち込むことが出来るというウハウハにも程がある展開。

ただまあ問題は「売った後に買うものがねええええええ!」という話なのですが、社債市場に関してはポジティブにも程がある話。正直こっちの3年への延長は予想して無かったわ、というか延長するとか中々のチャレンジャー。


・国債買入のやり方にも配慮があるのがすげえええええ

展望レポート(まで今日は間に合わない)の後辺りにしらっとこんなのが出てました。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120427d.pdf
資産買入等基金の国債買入・社債等買入の当面の運営について

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、資産買入等の基金の運営として行う国債買入、社債等買入について、買入対象の拡大等を決定しました。これらのオペレーションについては、次回実施分より、当面、以下のように運営することとします。

1.国債買入

・ 買入対象銘柄を「残存期間1年以上2年以下」と「残存期間2年超3年以下」に区分し、それぞれのオファー金額を定めたうえで、同時に入札を行う。
・ オファー金額については、実施の都度、通知する。

2.社債等買入
・ 残存期間による区分は行わない。
・ オファー日およびオファー金額については、従来通り、あらかじめホームページ上で公表する(5月、6月分については公表済み)。』

国債に関してはご案内の通り、2年ゾーンに新発国債がありまして、一方で3年ゾーンには新発国債が有りませんという事で、当然ながらここの部分には流通玉の量の差があるのです。その一方で今の基金による買入のやり方というのは0.10%という下限金利対比の利回り較差競争入札になっていますので、絶対金利水準によって入る物が決まるという流れ。

つまりど〜ゆ〜事かと言いますと、普通にやっていると3年に近いゾーンの玉がバカスカ吸い上げられて、一方で供給が毎月アホのようにある2年カレント近辺の吸い上げが減ると言う事になるので、需給の関係から2年と3年の金利が並ぶところまで3年の金利が下がるどころか、需給が歪み易くなるので瞬間芸として2年と3年の金利が逆イールドになっても不思議では無いという展開になる訳ですな。

まあ固定金利オペだの買入だのの拡大によって足元のGCレートと1年TBがうっかりすると瞬間風速でインバートするようなもんの債券市場版が発生するというおそロシアな話になるかもねえというような話をしていた訳ですが、この国債買入の期間別対応によって3年ゾーンの需給が日銀買入のせいで無用にタイトになるというのを避けられそうな感じではございます。

オファー金額は買入実施の都度通知というのは、まあこれは現実問題として応札状況とかを見ながら考えるという話になる訳で、初めてやる事ですから仕方ないというかこうせざるを得ないと思います。ただまあいずれ日銀の買入額によって需給のブレが生じるのは云々的な指摘は出てくるなあとは思います。


金曜は3年ゾーン(次回から買入対象になる2015年3月償還物)が0.125%になって(引値も5年87回や10年268&269回で0.125%でした)おりまして、一方で2年カレントは最初0.105%出合ったあと、良く考えたらしばらく2年が入らないんじゃネーノ(上記リリースはまだ出ていなかった)となって0.110%が出合ったりしてたような気がするのですが、まあ上記リリースによって2年カレントが妙に重くなる事も無しという事ですな、うんうん。


○ということで買入等拡大に関して

総じて申し上げますと、これはもう物凄い勢いで良く作り込んでいる上に、市場の期待値が低かったETFなどの買入の拡大など、金利以外への働きかけに関しても配慮しているという中々頑張った内容で、お土産付きという辺りに2月の追加緩和や、もうちょっと前で言えばかつての輪番4000億円増額と同じようなテイストを感じる訳でして、現状の中ではかなりの頑張りだったと思います。


○と、ここまで書いたら時間がががががが

いやまあ連休だったんだから連休中に準備しろよと言われると申し訳ございませんとしか言いようが無いのですけれども(汗)。

買入の明細についてうだうだ書いているだけで終了してしまいましたが、今回の声明文およびその内容に関しては他にもインプリケーションが続々(^^)なので頭出しだけ。

・景気判断引き上げながらの緩和拡大

これはまあ2月もそうでしたが、今回についても展望レポートにおける景気判断の引き上げに緩和の拡大がセットになりまして、そーゆー意味では2月の緩和拡大と同じ路線を継続していますよというのが示されています。

まあ金利債券系の人たちには先刻ご承知の話かとは思いますが、どうも為替とか株式とかの人たちには中々そのあたりの確信が持たれていない(のはそもそも麿が麿節で講演とかするというのがアレなのですが)ので、この部分は改めて確認できましたという所でしょう。


・この部分は泣いた

声明文の項目5番に全債券市場関係者が泣いた、かどうかは知らんが(^^)。

『5.上記の強力な金融緩和の推進に当たり、日本銀行は、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から問題が生じていないかどうかを確認していく。わが国の財政状況が厳しく、そのもとで日本銀行が強力な金融緩和を推進していることを踏まえると、財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかりと確保することが、金融政策の効果浸透や、金融システムの安定および経済の持続的な成長にとって、きわめて重要である。』

>わが国の財政状況が厳しく、そのもとで日本銀行が強力な金融緩和を推進していることを踏まえると、財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかりと確保することが、金融政策の効果浸透や、金融システムの安定および経済の持続的な成長にとって、きわめて重要である

というのはこれは泣けるというか政治にボールを打っているのでしょうが、まあその政治家諸兄がボールがあるという自覚が無いのが残念過ぎます。

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2012/04/27

お題「決定会合である」

しかしまあ外野の盛り上がりっぷりを冷ややかに眺める債券市場の中の人っていう図も珍しいちゃあ珍しいですな。

しかしダウ上昇を受けて「FRBの自信ですね」とかいうモーサテの某コメンテーターに聞きたいのだが、じゃあ何でバーナンキはあんなにハト派発言してガイダンス文言は変えてないのでちゅか???

しかもそも次の為替コメントする電話の人が「米国の経済指標でFRBの追加緩和期待が」とか言っててもうお前ら金融政策を自分たちのセールストークに適当に使ってるだけかよと朝からトサカである。

さて、決定会合プレビュー雑談の前に雑談である

○お縄ショック来ねえええええええええええ

お縄先生お縄ならず
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100806-849918/news/20120426-OYT1T00244.htm
陸山会事件、小沢氏に無罪…元秘書との共謀否定

昨日の債券市場ですが、NHKが無罪を報じたのがベンダーに出たのが10時直後だったと記憶しておりますが、その瞬間に債券先物が5銭ほど下がったんですけど後続全くなくて、それどころか現物債が堅調推移していたせいもあってその後は前日比プラスになって上をトライしにいく有様。

小沢無罪→消費税関連法案がマズー→財政懸念で小沢ショック再来ネタはあっさり味で粉砕されてしまいました。つーか1審判決前から小沢ショック再び来るかもねみたいな話をみんなでしていたらそらまあショックは起きんわなという事で、不意打ち食らうからショックが起きるという論点からすれば、昨日の場合はお縄先生がリアルお縄になった場合に債券先物買い攻撃とかが見られたのかもしれませんな。

とは言え、財政再建への不透明感が高まって、その一方で日銀に政治家がゆすりたかりをするという状況が強まると、財政マネタイズとかそっちの連想をだんだんしやすくなってくる訳で、とりあえず昨日の反応は昨日の反応としてまた今後はどうなのよという話でしょうな。


○これバーターにならないと思うのだが

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M30N8F1A1I4H01.html
自民・西村財金部会長:日銀法改正、消費増税と併せ今国会で議論を

まあ個人的には自民党の財金部会は債券市場的観点からすると暴走し過ぎにも程があるので誰かもうちょっと抑えろよと思うのですが、まあひところの河野太郎とかもそうですけど、声が大きくて過激な話をするというのが議論をリードするようになると、そらまあ素人ウケするかもしれないですけれども、リアルビジネスや金融市場などからの評判がどんどん悪化して政権担当能力大丈夫か的な話になるので自民党の事務局もっと頑張れやと思うのですがそれは兎も角。

えーっと、まあなんとなくこの手の話は聞こえていない訳でも無かったのですけれども、消費増税と日銀法改正バーターとかイミワカンネ。つーかどうせ消費増税法案は骨抜きになりそうなのだが、消費増税で増収になってもその一方で日銀法改正してデフレ何とか議連の皆様の仰るような大規模財政マネタイズみたいな事になったら国債管理政策の方が大崩壊してしまうので財務省的にどう見てもマイナスだと思いますけどねえという所でございます。

つーか1年でコロコロ変わる政府と物価変動率に関わるアコードをその度に締結するとか、金融政策の波及に関するタイムラグとか、そもそも中長期的な物価の安定と足元の物価をトラックさせるのは別の部分もあるとか、そういう観点はどうなってますねんという感じではあります。

大体からしてインフレターゲットの本家(?)の英国の場合は、政権が基本的に4年間は続くような制度設計になっていますし、そもそも英国の場合は現実問題として足元の物価数値をターゲットに近づけるようにホイホイと金融政策をいじっている訳では無いですよね(もし厳格なインフレ目標なんだったら総裁の首は何回飛んでいるのかと)という話なんですが、どういう法案になるのか知らんですけど、英国とかで色々とやった挙句にフレキシブルインフレーションターゲットの枠組みに収斂され、まあ日本でもそっちの方になってきましたよねって状況で何でまた時間の針を逆に戻すような話をするのやらという所でございます。

ただまあ毎度のように申し上げたいのは日銀に2%やれやれ言っている皆さんはいざ物価が上昇した時に選挙民の皆さんに「これが正しい姿なのでお前ら文句言うなヴォケ」ときちんとお話しなかったら人間として如何なものかという所ですわな。たぶん今の計測方法のCPIで2%インフレとかになったらメディアが先頭にたってインフレフォビア煽りまくり大会になると思うのですけどね。


○読売新聞なのでバイアスに注意して読む必要はありますが

昨日と今朝のヘッドラインにワロタ

原発再稼働問題に関しては読売新聞は再稼働支持のスタンスな上に、橋下大阪市長に対する報道ヘッドラインの打ち方が基本的に批判スタンスっぽいので、その分は割り引いて読む必要があるというのは注意しましょう。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20120426-OYT1T00545.htm
節電に住民支持ない場合は再稼働容認…橋下市長
(2012年4月26日12時35分 読売新聞)

『関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に反対している大阪市の橋下市長は26日、市役所で報道陣に、「原発を再稼働させなくても(今夏の電力需要を)乗り切れるかどうかは関西府県民の努力次第。相当厳しいライフスタイルの変更をお願いすることになる。その負担が受け入れられないなら、再稼働は仕方がない」と述べ、節電策に住民の支持が得られない場合、再稼働を容認する意向を示した。』(上記URLより)

大阪市長の分際で何で「関西府県民」の生活についてああだこうだと言うのか良く判りませんが、良く言えば現実を見据えた発言とも言えますし、悪く言えばお得意の切所で人に責任おっかぶせて逃げる攻撃とも言えますが、ナンジャソラという所でございます。つーか何とか顧問とかの優秀なブレーン(笑)を集めて何の入れ知恵を受けているのやらと。

と思ったらこのニュースクリップしようとして開けたヨミウリオンラインみて更に吹いた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120427-OYT1T00015.htm
橋下市長「大飯原発の再稼働認なければ増税も」
(2012年4月27日07時13分 読売新聞)

『大阪市の橋下徹市長は26日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が認められない場合、代替エネルギー促進などにかかる行政コストの確保のため、「増税も検討しなければいけない」と述べた。橋下氏は関西広域連合の7府県2政令市の首長による委員会で発言し、「もし再稼働を認めなければ(府県民に)応分の負担がある」とし、新たに発生する住民負担分を明示することを提案した。』(上記URLより)

んなもん最初から分かっているから「安全性の確認をしながら再稼働しないと経済が持たないでしょ」という話が出ていたと思うのですが、ギリギリになってこういう話になるというのが橋下クオリティ、というか最近の日本政治というかテレビ政治のクオリティなのではないかとorzになる朝のひとときでございましたとさ。



○はいはい後追い後追い

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M33UUE6KLVR401.html
米S&P:スペイン格付け「BBB+」に下げ−見通しネガティブ

ノーコメントである(−−)


と、雑談大会になってしまいましたが決定会合プレビュー雑談でも。


○正直予想をするのは無駄というか空しいのですが一応

期待が高いのは債券市場以外なんですけどねえと思いながら5兆だ10兆だでそれが多いだの少ないだのお前らバナナの叩き売りかよと他市場の野次馬が言ってるのを見ると大変に遺憾の極みなのですが、まあフィージビリティーというものを考えながら予想らしきものを。

もともとあたしゃ買入期間を半年延長して基金の国債買入残高を10兆増やせばとか申しておりました(展望レポートで再点検したらまだ物価の目途に到達するのに時間が掛かりそうなので買入期間を延長する、という理屈)が、まあ何か事前に色々な話が出てしまってあんまり面白くないので他にどういうのがあるかを考えてみるという話ではございます。

ちょうど25日付で野村證券さんが「為替市場参加者のサーベイ」という何というタイムリーなとサーベイレポートというのを出していて、まあ中身は野村さんにお問い合わせ下さいという所ですが、為替市場などは(ある意味当然だが)年限がどうのこうの的なテクニカルな話には興味が少なくて、特に海外の為替投資家としては買入額と、コミュニケーションポリシーについて興味があるというのは、そらまあFRBがそうやっているからその辺りから考えたくなるからなんだろうなあとか思いましたが、まー拝見するにFRBとの比較みたいなのが意識されやすいんだろうなあというのは把握しました。

正直債券市場的にFRBの比較とか言われても、そもそも市場の構成が違いますし、財政状況にしろ物価状況にしろ違うのですからナンジャソラという(全く意味が無いとは言わないが)所なのですけど、まー何せ非伝統的な政策をある意味非伝統的に効かせる(市場などの期待に働きかける、という意味ではいわゆる金融市場環境からどうのこうのという伝統的波及経路以外のパスを考えないといけないのではないでしょうか、とも思う訳です)という事ですから、正直アホラシイのですけれども、「見せ方」も麿流よりは俊ちゃん流でどうよという感じかなと思いまする。

と、前置きが長くなりましたが、まあとりあえず「基金国債10兆円増額+買入期間半年延長」を本命にはしておくが本命になり過ぎたので逆に無いような気もしている今朝のあたくしなので、まあ何かねえかと妄想する。

・ETFの買入拡大

いやね、あたくし思いまするに、最近の政治方面からの財政マネタイズ圧力(緩和とか言ってるけど日銀法改正を声高に唱えている人って「復興国債を日銀に引き受けさせて復興財源に」とか平気で言う人たちですから、まあ普通に考えてそっちに話がエスカレートするでしょ)を考えると、実はここからは国債買入拡大する方が却ってリスク(財政マネタイズによるインフレは「信認の喪失」によって起きるのだから起きるときは不可逆的な非線形で起きるでしょ、というのは(債券)市場屋さんとしての感覚で、その時は信認の喪失が伴うので必然的にインフレターゲットも信認を失っており、制御には強烈なコストが伴うでしょという話っすな)になるんじゃネーノとか思わんでも無い。まあここで10兆程度ならまだ大丈夫でしょうけど、さすがに無制限無期限っぽくなってくるとマズーなんじゃ無いですかね。

ということでETFなら5000億円でも買入拡大すれば株式市場には良い下支えになりますし、正直この水準から金利ルートに働きかける位だったら上昇余地の大きい(と思うのですがダメかな?)株式市場に開き直って働き掛けた方が買う額少なくても効果は大きいような気がするんですけどね。ついでに言えば「下がったら買う」みたいなしょぼいことしないで完全日割りにするとか、サイコロでも振って買う日を決めるとかした方がより良いような(^^)。

そもそも「包括緩和」は金利ルートと資産市場のリスクプレミアムルートというのがある訳で、最近はすっかりその「金利」というよりは「量」ばっかりがクローズアップされてしまうといういつのまに「量的緩和」になってるんだよという話ですけれども、包括緩和の趣旨を考えますと金利は低位安定している訳ですし
ここからの限界的な金利低下余地を考えると、ETFに突っ込むのも良いのではないかと思う次第。

ただまあETFだけですと、先ほど申し上げております為替屋さんとかの「量がすべて」みたいな観点に合わないので、今回に限定して言えば国債の買入拡大もセットにしておかないといかんのでしょうが。


・その他のリスク資産はどうよ

まずCPについては金利低下が限定的にも程があります(なんせCP金利は0.110%を平気で割るような水準の物がゴロゴロだし、普通でも0.120%までよーアガランチ会長)し、そもそも増やすにも玉がありません。

社債については買う玉が市場にございませんのでこれまた無理、大体からして社債スプレッドだって今さら縮小させてどうするという所。

REITは正直よー判らんのですが、流動性とかからしてどうなんですかねとか思うのですが、おまけにちょろっと買うとかその程度の話になるのでしょうなあ。どうもREITは個人的にはちょっとなあと思う所があるのですが、まあ本論と関係ないから割愛(^^)。

つーことでまあ普通にETFが良いんじゃないですかというか、買うものそれしか無さそうな感じかと思います。あとね、この前お友達と雑談してた時に中々お洒落な論点を出していたお友達がいるんですけど、ETFだったらそれこそ資産バブルが発生した時の出口政策というか引締め策を実施する時にすばらしく強力な玉になるんじゃネーノとかいう話も(まあ真のバブルだと売りを1兆ぶつけても吸収されるかもしれませんが)ってのはまあネタ的でもありますが。


・買入期間は今回延長しないとすると幾ら国債を買えるのか

バナナのたたき売りみたいな話でアレですが(−−)。

買入期間の延長をすると10兆拡大とか見栄えの良い数字が出せるので元々あたくしはその説を出していたのですが、それだと買入ペース自体はそんなに早まらないというのがありますので、じゃあ買入期間を今年の末にしたままで買入ペースをどの程度拡大できるかという話。

現在の基金国債買入が大体年末までに月1.5兆円の買入ペースですが、買入期間をそのままにして買入拡大となると、拡大分がモロに買入ペースに乗って来る形になります。で、切りのいい数字で5兆か10兆かという話になると思うのですが、年末まであと8か月ありますので、5兆円の買入拡大なら5兆円を8で割ると6250億円ですから、まあ大体月に2.1兆円ペースになりますわな。

つまり10兆円の買入拡大となりますと、何と買入ペースが月に2.7兆円とかになってしまいまして、新発2年国債の毎月の発行量まるまる買うというそれはまたアレな図になってしまいます。

でもって買入の玉はあるんかいなという話なのですが・・・・・・

一昨日のオペレーションより

オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120425.htm

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120425.htm

という感じで、足元で短国はニーズが多いようで(今週の3MTB入札もまあ普通に確りだし現先のニーズとか強くてレートは低いだよ)しらっと短国の買入は札割れする中でも国債買入の方は貫録の1.8兆円応札となっています。

2年カレントまで0.105%だの0.11%割れだのとかやるような中(新発は発行日が先で日銀に当分打ち込めないので除外してちょ)ですと、最早この辺はカレント近辺を打ち込んでもより短い所を打ち込んでも同じや状態になっていて、それよりもどこかの投資家から売りが出たから受けた玉を日銀に入れるか状態になってますし、金利の絶対水準的に日銀超過準備付利金利水準に低下していれば、ブタ積みに抵抗さえなければ0.105%の2年債をホールドするのと日銀当座預金に入れておくのの差がそれほどないという話になりますので、そういう意味では玉も出易かったりするような。

とか何とか考えますと、まあ5兆円だったら買入期間延長しないでもいけると思いますけどどうでしょうかね。


・購入銘柄の期間をより長くする

まあこれされると債券投資家的には瞬間的には儲かるかも知れないけれども、カーブが潰れて収益機会が無くなる民業圧迫状態で、それでより長い所を買えば金融システムレポートで悪態をつかれるという大変に遺憾な状態でございますので(ニヤニヤ)ご勘弁というのもありますけれども、それ以前の問題として今しがた申し上げましたように、買入期間を延ばさなくても買入拡大は可能である、という話ですし、そもそも3年に延長という声も多いのですけど新発債の出ていないゾーンを買入対象の一番ケツにすると債券市場の需給がそこで歪み易くなるし、買入対象玉がそんなに増える訳でも無いからどうなのかなあとは思います。

5年にするのは理屈的にどうなのよという感じですしねえ。


○で、結局どうよという話だが・・・・・・

まあ何にせよ今回の緩和おかわり(しなかったらそれはそれで凄いが)については「景気判断によるもの」ではなくて「物価安定の目途に向けての決意表明」的なものでございますので、やるやらないという所まではまあ理屈で行けるかもしれませんけど、その先の内容がどうのこうのに関しては正直言ってロジカルに考えてもシャーナイナイという所です。

つまりですな、この前の2月の政策決定とか、もっと昔の話をすれば2009年3月の輪番拡大が市場予想(というか意味不明に事前報道されていた)の月2000億円ではなくて4000億円になった時とか、もっともっと昔の当座預金残高35兆円攻撃とか、まあその手の時のパターンになるのか、それともまあ普通のパターンになるのかというのは結局の所気合の話になって来てしまいますので、こればっかりは麿の頭の中をスコープでのぞかないと判りませんなという所です。

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2012/04/24

○何となく雑談

・相場後付雑談等

昨日は債券先物が143円ついてみたり(引けは142円95銭)10年カレントが0.910%ついてみたりとやっておりましたが、後付で言われていた「日銀の追加緩和見通し」にしたってフランス大統領選挙でサルコジ大統領が危なさそうという話にしたって月曜に急に出てきた話でもないのに何でじゃろとゆー感は拭えないのですけれども、まあ相場後付コメントとか見てても妙に強気な話が多かったりしますし、何なんでしょうねえと。

ま〜どちらかと言えば債券市場が1%割れるか割れないかという水準という手の出しにくい所で延々と膠着する間に何となくショートみたいな状態(債券の場合は投資家的に言えば何もしないでいると時間の経過と共に自動的にポジションがショート目になってくるので)になる投資家が増えているとかの状態があって、段々買わないでいるのご勘弁モードになってきて、どこかで買いにいかないといけませんなという雰囲気で我慢できなくなったのでとりあえず言い訳探しということなのでしょうか、わかりません><;

それから昨日から国債決済のT+2化が開始しまして、特段何か起きたというような感じではなさそうですけれども、実際問題としてはその決済が回る明日になったら判りますがなという所でしょう。

ちなみに3か月短国の入札に関しては今月中はまだT+3で行う(つーか短国の入札はスケジュール上T+4の時とかもあるので、そもそもその辺は柔軟にやっているのですけど、特に3か月物以外の場合)ようで、連休の合間に発行償還が来るのを避ける(のと営業日ベースでの償還日程が立て込むのを避けるため)に本日は3か月TBの入札が行われる(発行日は金曜日、当然ながら償還が同様に金曜にある)のですが、こちらは(最近短国入札ネタをすっかりスルーしてますが)何せGCから1年TBまでの金利差がろくすっぽ無いという素敵な市場になっていることもございまして、「0.10%だとニーズがアホほどあり、0.10%を割ると買う人が急に減る」という毎度おなじみの展開が続き、その市況に沿った落札結果になるでしょうなという事で。

これが海外の買いがどかどか来るとかとゆー話になるとまた話が変わってくるのですけれども、現状ではそこまでの話でもなさそうなので、まあ安定推移とゆーかウゴカンチ会長とゆーかという感じでしょうなあ。


・そういや月曜に悪態書かなかったので一応メモ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2R3NP6KLVR401.html
古川元久経済財政相:日銀は資産購入計画を見直すべきだ−WSJ紙

『4月20日(ブルームバーグ):古川元久経済財政相は日銀が資産購入プログラムを見直すべきだとの見解を明らかにした。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで語った。同相は日銀がデフレとの闘いをより効果的にすべきだと指摘した。WSJによると、同相は日銀がより償還期間の長い国債を購入することが可能だと主張。同相は日銀がその手法や規模を含めて、資産購入プログラムをさまざまな方向で検討すべきだと語った。』(上記URLより)

・・・・・・・・いやあの閣僚が具体的手段について要望するとか何なんでしょうね。で、より長いのを買えは良いんですけど、どうもこの辺の議論でスルーされているのは「出口政策で国債売れるの?」という話なんですよね。まあ米国がそのうち身を切って実行してくれると思うのですけれども、出口政策で長期国債をバカスカ売りますよという話って日本の場合は特に「運用部ショック」というトラウマがあったりしまして、そもそも欧米の百万倍くらい気を遣いながら丁寧にやっている国債発行計画のお蔭もあって順調に国債消化できているんですけど、出口政策で国債売る話になった時にかつてのボルカーショックもビックリとかになった場合、特に日本の場合国債発行計画とか大丈夫かいな的な面がある。とゆー論点がやはり債券市場の人的は気になるんですけどどうなんでしょ。

つーかまあ現役閣僚が具体的手段についてああだこうだ言うとか何だかねえという感じで、夏に向けて電力需給逼迫の問題も出てきて電力会社叩きをしている訳にも行かなくなって来たので次は日銀叩きですかそうですかとか言ってはいけません。

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2012/04/23

○日銀ネタの前にツッコミどころの多そうなインタビュー記事から

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2QACL0D9L3501.html
日銀は変化球やめ国債購入の直球投げよ−竹中氏

『4月20日(ブルームバーグ):慶應義塾大学の竹中平蔵教授は、日本銀行はデフレ脱却のため、成長基盤強化の資金供給のようなその場しのぎの「変化球」ではなく、マネー供給の手段である国債の購入という「直球」に徹するべきだとの認識を示した。また、金融の専門家が少ないことなど、政策委員の資質にも問題があると指摘した。19日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)

とのニュースではあそうですかという感じですが、読んでてツッコミどころが幾つかあったのでまあ突っ込んでみる。成長基盤強化は一応日銀の理屈としては長期的な話なんですが、それがその場しのぎの変化球という批判はまあ考え方の話だからそれはそれでアリだとは思うのですが・・・・・・

まずね、これなんだけど・・・・・・

『2月の決定の2週間前、2003年7−12月の決定会合の議事録が公表された。竹中氏は当時、経済財政政策担当相として会合に出席した。「私はインフレ目標を真剣に考えてほしいと主張したが、支持したのは中原伸之審議委員(当時)だけで、非常に強く反対された。10年前に拒否したものを今やることにどういう正当性があるのか、きちんと説明してもらいたい。それが説明責任だ」と語る。』

えーっと、そもそも10年前にお話をしていたインフレ目標と今世界の中央銀行が標準的に実施している「フレキシブルインフレーションターゲット」は看板こそ「インフレ目標」ですけれどもその政策運営の枠組みって全然違うのですが、それを丸無視してドヤ顔で「インフレ目標を10年前に〜」とか言うのって竹中先生ほどの方ならば判っていない訳が無いと思いますので、どう見ても自分の宣伝でのミスリードです本当にありがとうございましたという感じですがな。

大体からして英国を見れば判るように(ちなみに今日はネタにしている暇が無いと思うのですが、BOEの前回MPCの議事要旨を見ると景気に関してはともかく、インフレに関してはかなり先行きが怪しげになってきているという感じで、BOEの悩みが深くなっているなあという感じなんですけどね)10年前に議論になっていたような厳格な意味でのインフレ目標の設定って意味あるんですかという話ですよね。当時だとインフレ目標をエアコンの自動温度設定みたいな例えで説明するのが良く見られた話(たとえば本石町日記さんの昔のエントリーでこの辺のコメント欄とか→http://hongokucho.exblog.jp/7198751/)でしたが、そう単純なものでは無いというのは今になったら見えてきたと思うのですけどね。

まあそれはそれとしてこの話はどう見てもトートロジーです本当にありがとうございましたというのがありまして・・・・・・

『国債の大量購入、その結果として、日銀のバランスシート拡大がもたらすデメリットについて、竹中氏は「唯一考えられるのは、どこかでデフレからインフレに変わり、ハイパーインフレが起こらないかという、漠然とした不安だ」と指摘。「実はそのために、インフレ目標がある。インフレ目標には上限があるので、インフレが高くなりすぎたら抑えればよい」という。』

この理屈は百万回くらい拝読しているのですが、通常の景気拡大におけるディマンドプルで起きるようなインフレだったらそれはそれで正しいのですが、市場の片隅におります所のワタクシのような者が思いまするに、問題なのは「財政マネタイズ+財政発散による財政インフレ懸念」の方でありますがなと思うのです。特に最近のように財政健全化の取り組みの方はと言えばどこぞに飛んでいきそうな勢いの話が飛び交う(さすがに政府サイドの閣僚レベルでその話が飛び出して居ないのが救いなのですが)中で日銀への緩和圧力は露骨に掛かる(審議委員人事に対して「追加緩和に消極的だからケシカラン」と言って反対するとかそれを金融政策に対する政治圧力と言わずして何を政治圧力というのでしょうかねえ)という状況の中ではその不安が起きる訳ですよ。

でですな、財政マネタイズ+財政発散というような状態で財政インフレ発生という事になった時っていうのは、そもそもが財政や中央銀行に対するコンフィデンスが失われるという事態になっている訳でして、そういう時に「インフレ目標がある(キリッ)」とか言われましても意味の無い話ではないかと思うのですよ。だってそもそもインフレ目標が信用されない事態になった時に何やったら効くんですかという話で、インフレ目標があるからどんどん国債買っても大丈夫とか随分とそらまたトートロジーな話だわと思うのでございますけどね。

『その上で「察するに、日銀は政府を全く信用していないということだ。政府が何をするか分からないので、自分たちのバランスシートを守ろうとしている」と言明。「もし日銀の政策委員が政府を信用できないというのであれば、要請された段階で、私はあなたを信用できないからやらないと、そこで拒否すべきだ」としている。』

まあ何ですな、全く信用していないかどうかは兎も角、中央銀行の独立性云々っていうのは政府が選挙ウケする為に無制限財政マネタイズみたいなのをさせたくなるような事態を排除する為に設定している話なので、この理屈も大概にどうかと思いますけれどもねえ。ただまあ現状の政府自体はそこまで無茶な話をしている訳では無くて、まあ懸念されるのは自民党が政権取ったりした時の話っすけどね。

というような雑談でありましたとさ。まあ審議委員人事に関して言えば、学者先生だけにしてしまうと現在のような非伝統的政策を行うに当たってはオペレーション技術に関する問題というのが色々と重要な論点になりますので、逆に執行部ペースになってしまうのではないかと思いますし、議論の多様性という意味では実業界の人がいた方が執行部ペースにならないのではないか、という風に思うのですけれどもねえ。米国の各地区連銀総裁だって先日ネタにしたNY連銀ダドリー総裁の地域行脚の様子とか見れば判りますようにメインストリートの状況把握とかをする為に時間と手間を掛けているのですからして、別に実業界出身でも良いと思うのですけどねえ。

まあそもそも逆さ絵オヤジが学者出身とは思えない政策ロジックの一貫性無視状態のどこの福井の俊ちゃんだよという状態になっているのですが^^;

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2012/04/19

・英国の追加資産購入拡大をポーゼンさんが取り下げたとな

Minutes of the Monetary Policy Committee Meeting held on 4 & 5 April 2012
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Pages/mpc/pdf/2012/mpc1204.aspx(結論だけ)
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2012/mpc1204.pdf(議事要旨本文)

『Regarding the stock of asset purchases, eight members of the Committee (the Governor, Charles Bean, Paul Tucker, Ben Broadbent, Spencer Dale, Paul Fisher, Adam Posen and Martin Weale) voted in favour of the proposition. One member of the Committee (David Miles) voted against, preferring to increase the size of the asset purchase programme by a further £25 billion to a total of £350 billion.』

・・・・・・・・・・追加資産購入拡大を提案し続けていたアダム・ポーゼン委員じゃなくて今回の追加資産購入拡大提案はマイルズ委員だったとはほほうという感じですが、議事要旨はこれから読む。


・三重野元総裁ご逝去

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120418a.htm/
三重野 康 元日本銀行総裁の逝去について

まあ平成の鬼平と言われてバブル退治に活躍したらバブル退治どころか日本経済も退治してしまいましたねえというような話で、実にタイミングが悪い時に鬼平タイプが就任しましたねえとか言うような感想で片付けてしまうのはちょっとアレ。

金貸しの手先をちょっとだけやっていた実感からすると、金利少々引き上げた位でそう簡単に投機熱って収まらないのでございまして、要はそこに対してホイホイとファンディングが付くような状態であれば投機資金って絶賛投入されるという風に思う次第で、もちろん利上げも効いているとは思いますが、それよりも総量規制とか3業種への貸出枠規制とかの方が「こうかはばつぐんだ」状態だったような気もします。その辺の規制関連は大蔵省と日銀の両方がやっていた話ですし、利上げどうのこうのよりもプルーデンス政策のウィングが効いていたって気もするのですが、別に根拠のある話では無いのでそう自信満々にいうことでもありません(汗)。

大体からして当時は「バブル退治は正義」という風潮だった訳でして、その辺りの反省とかそもそも何でバブルになりましたねんというような反省とか、まあそっちの方の話をしないで日銀ガーの一方でFRBは偉大とかいう話をしてもしょーもないですなとか思うのでありました。

じゃあお前は何をどう分析するのかと言われますと能無しなのでどうもすいませんとしか言いようが無いのが残念な所ですが(自爆)。

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2012/04/18

○本職がこれはマズイだろと思うインフレ目標解説

こんなのがありましてですな。

http://mainichi.jp/feature/news/20120413org00m020018000c.html
エコ・ピックアップ:日銀と円安 似て非なる「インフレ目標政策」
2012年04月16日

『◇金融政策の力を信じるFRBと及び腰で被害者意識強い日銀
 ◇安達誠司(あだち・せいじ=ドイツ証券シニアエコノミスト)』
(以下上記URLおよび4ページ組になっているのでその先の記事から引用となります)

・まあ単純化し過ぎのレッテル貼りというのはスルーしますが

日銀はFRBやECBと違って株式ETFは買うわREITは買うわ社債は買うわCPは買うわとゆーよーに信用緩和という面で言えば随分と積極的な面もあるので、「及び腰」というのは必ずしも当てはまらないとは思いますけれども、まあこれは日銀の「見せ方」というか麿が海外に出掛けちゃあ一々台無し講演をしてみたり「一般的に申し上げれば」攻撃で台無し発言をしたりするというのがあるから、まあ及び腰と批判されても半分以上は文句言えない面があるでしょうなと思います。本当はその辺に関しての解説をするのが本職の何とかストのお仕事とは思いますけどね。

んでもって金融政策の力を云々というのは、日銀の説明的に言えば「日本の場合は成長期待がすっかり弱まっている為、緩和的な金融環境を作っても中々実体経済に向かってくれない(だから成長基盤強化策を同時に行っている)」という話であって、別に金融政策が全く効かないと言っている訳ではなく、金融緩和によって作り出す緩和的な金融環境が実体経済に波及する経路が弱いのが問題(米国はまだそんなことにはなっていない)というお話で、その辺をもっと丁寧に解説するのがおまいらの仕事(なお一応付け加えるとその説明は3ページの部分でしているのだが、「日銀の被害者意識」という話になっています)で、単純にレッテル貼りするならアジビラというか産経電波浴レベルだろうとこれまた思うのですけれども、まあ日銀的説明も言い訳に聞こえると言ってしまえばそうでしょうなあと言う事でこの辺りはスルーである(してないけど^^)。


・FRBが目標達成の時間的経路を明示化とな????

『◇「目途」が持つ意味

 FRBと日銀が採用するインフレ目標政策(インフレターゲティング)はその運営、政策哲学という観点からみて「似て非なるもの」であると考える。そもそも、インフレ目標政策とは、中央銀行が誘導すべき最適なインフレ率の水準を、「目標値(objective)」として明示するだけではなく、その目標値の実現に「コミット(約束)」する必要がある。』

まあ最近のフレキシブルターゲットの流れではコミットメントという話は無いですけどねえと思うのですがさて・・・・・・

次のページになりますが(一応URL付けとくわ)・・・・・・
http://mainichi.jp/feature/news/20120413org00m020018000c2.html

『FRBのバーナンキ議長はインフレ目標政策の発表に際し、インフレ率2%という数字がFRBが金融政策の遂行によって特定することが可能な「長期的な目標値」であることを明確にアナウンスし、その目標に到達するまでの時間的な経路をも明示化した。』

えーっと、確かに物価に関しては長期的に決められますという話をしていましたが、時間的な経路の明示化ってしてましたっけ?????

『「異常な低金利局面が14年終盤まで正当化される可能性が高い」「資産売却(という出口戦略)は15年からになりそうだ」などの発言がそれだ。』

????????????

・・・・・えーっと、それは「目標に達するまでの時間的経路」じゃなくて単に異例の(「異常な」とは言ってないと思いますが・・・・・・)低金利政策という超緩和的金融政策を継続する期間に対するガイダンス文言であって、別にデュアルマンデートの達成時期について明示しているものではございませんが。というかバーナンキ議長に「late 2014になったらマンデートは達成できるというコミットメントですか?」と質問したらどういう答えになるんでしょうかねえ。

大体からしてその文言だってその前は「mid 2013」って言ってたのが先般「late 2014」に変わったのですけど、そうやってホイホイ変更して良いもののどこがどう「目標に到達するまでの時間的な経路をも明示化」となるのかと小一時間問い詰めたいのですけどねえ。

更にツッコミますと、このガイダンス文言は「金融政策を継続するコミットメントではなく、現状の経済状況および先行き見通しを踏まえたガイダンス(だからご案内みたいなもん)文言であって、経済状況が変われば金融政策継続の時期も変わる」という説明をFRBは何度もしてますがな。バーナンキの会見でもそうですしFOMCの議事要旨でも何回も出ていますけれども、それを「政策目標達成のコミットメント」と言うのは嘘八百にも程がありますがな。

大体からしてFOMCが示すSEPではデュアルマンデートに関わる数値の先行き見通しが示されていますが、前回のSEPで失業率に関して「longer-run」で示された望ましい数値は見通し期間中には到達しないという先行き見通しを示していますがな。

つーかね、そもそもFRBが実際問題として目指しているのは単純に足元の数字なのでは無くて「中長期的な数値」なので見通し期間中に「中長期的に見た場合の失業率がデュアルマンデートに則した範囲内になるという見込みとなる」という達成が出来るかもしれないという面があるので、まあ見通し期間中に中長期的な目標が達成できているのかどうかというのは現時点での見通しだけでは判らんというのもあるんですけどね。

まあいずれにしてもFRBがデュアルマンデートの「目標達成に向けた期間と経路を明らかにした」というのは虚偽表示にも程がある訳で、FRBと日銀を比較して日銀を批判したいというのは判りますし、まあそれはそれで一つの手法ではありますが、自分の論拠に使う事実関係を自分の説明に都合の良いように誇張するとか、これが産経新聞の某みたいな電波だったら電波浴扱いしておけば(どうせ産経ですし)良いのですけれども、本職がそれをやるのはダメなんじゃないかと思いますけどねえ。つーか投資勧誘資料でそういう事やったら誤認勧誘で金商法違反と言われても文句が言えない話なんですけれども、本職のアナリストがそういう姿勢でいる(まさか無知でこういう説明しているとは思えないのでわざとでしょ)のは職業倫理を疑うレベルですがな、と思いますが如何でしょうかねえ。


・日銀の目途がどうのこうのですかそうですか

『一方、日銀の白川方明総裁は、あくまでも追求すべき「目標(objectiveもしくはtarget)」ではなく、「(中央銀行の総意としての)目途」であるとして、達成義務のある「目標」であることに否定的な見解を示した。つまり、今回の「物価安定の目途」は、政策審議委員各自が「物価が安定している」と考えるインフレ率の単なる集計値である従来の「物価安定の理解」から、中央銀行の「総意」になると定義を変えただけで、政策的な達成義務はないと言明したのである。』

だそうです。まあ政策的な達成義務はないと言明とか随分とこちらは悪意で解釈してますなあ(達成に向けて努力するという話をしていて、単にその達成時期に関して明言できないという説明だとしか思えないのですが、まあ極端に悪意で解釈すれば時期を明言しない努力目標に意味があるのかという言い方は出来ると思うので、そこはツッコマないが)という感じですな。

つーかね、これは書いている人のテクニックの問題ですけれども、FRBの示した『principles regarding its longer-run goals and monetary policy strategy』にはobjectiveとかtargetという言葉は使っていなくて、日銀の英文版(ただし正本は日本語版なので英文版はあくまでもご参考ではありますが)でもgoalという単語を使っているのですが、この書き方だと(この部分は先ほどのFRBガーの所の続きね)如何にもFRBが示しているのはobjectiveとかtargetであるかのような印象を与えるような操作をしている所とか(FRBがobjectiveとかtargetとかいう言い方をしている、とは一言も言っていないので別にその点で嘘八百を書いている訳では無いが)、最早アジビラのテクニックといった風格を漂わせるホンモノの香りを感じます。

ご参考→http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20120125c.htm

んでもって、フォワードガイダンスに相当する文言だって日銀は出している訳で、それが「中長期的な物価安定の理解」であり、金融政策決定会合での声明文で出たりもする話ですが、「当面は中長期的にCPI前年比+1%を目途として強力に金融緩和を推進する」という説明をしていまして、展望レポートでの経済見通しとセットになると金融緩和って続きますよね、という話をしている訳ですから、FRBのフォワードガイダンスと実際問題としてそんなに変わった話をしている訳では無いっつー話になる筈なんですけれども、日銀に関する説明が随分とこらまた過小評価ですなあ。

ご参考→http://www.boj.or.jp/mopo/outline/sgp.htm/

そもそも本職なんだからその辺を解説するのが仕事だと思うのですけれども、その辺の説明を日銀批判につなげるような形で公平性を失する比較を行ってひたすらFRBのやっている事を賛美して日銀のやっている事を貶めるとか、アナリストとしての職業倫理はどうなっているのかと小一時間問い詰めたい所でございます。

当面の目途の1%数値に関しての話とか続いて、まあツッコミどころがない訳では無いが、そこは色々な意見があるところだと思うのでスルー。


・以下雑談になるわけだが(雑談その1)

まあね、日銀の「見せ方」が金融市場、というか短期金融市場などのような普段から日銀の動きを見ているので日銀文学的な説明が通じる人には判るけれども、そうじゃない人にとって判りにくい、というか折角やっている事を一々しょぼく見せてしまう一方で、俊ちゃんの生霊が乗り移っているかのような逆さ絵おじさんの説明(はっきり言ってここまでやっている事に関しての逆さ絵おじさんの説明って論理的整合性もへったくれも無いし、長期債これだけ買って出口政策の時に長期債売れるのかよとか思いますけど・・・・・)との比較、という意味からしますと、日銀の説明には工夫の余地が相当あるとは思います。

大体からして日銀だって「金融政策によって金融市場の緩和的環境は作れるがその先の波及経路が成長期待の低下で弱まっている」という話をしながら非伝統的な金融政策を実施しているのですからして、本来的には「金融市場(というか金利市場)」だけを相手にする説明ではなくて、もうちょっとその外側に対して説明をするにはどうしたら良いのかという所を意識して(いやまあ意識していない訳では無いのでしょうが・・・・・)説明するという事が必要ではないかとは思います。

ただまあそれをやり過ぎると今度は「自分の尾を追う犬」になってみたり、政策が大きくビハインドしてしまう結果としてまたぞろ資産バブル発生させるという同じチョンボを繰り返す(どう見ても米国はそうだろ)という事になるので匙加減が難しいのですけれども、ただまあ非伝統的政策を実施するという事は、説明に関しても非伝統的な部分がないといけないのかなあなどと思うのでありました。


・雑談その2はまた悪態

とまあそういう事でどこぞのエコノミスト様(って署名入り解説記事の名前まで引用しておいてどこぞのもクソも無いですが^^)の針小棒大解説をネタにしてみた訳ですが、まあこちらの先生におかれましても、当然ながらFRBと日銀の公表文書とか読んでいる訳ですから分かっていて書いているのだと思います(無知だったら救いようが無いが)。

日銀の姿勢が消極的に見えるので良くないとか、まあそういう文脈で日銀を批判するというのであれば別にまあそういう批判はありだと思うのですけれども、先ほど来盛大に突っ込んでみましたように、こちらの先生の説明は事実関係について自分の意見に都合の良いように捻じ曲げて説明している訳でございまして、(これで3度目になりますが重要なのでまた申し上げますと)本職のアナリストとしての職業倫理を疑わざるを得ない解説を一般紙で行うとか、ちょっといくらなんでも酷過ぎ。

陰謀論みたいになるから書きたくはないですけれども、お前はそこまでして日銀審議委員の空席でも狙っているのかとか小一時間問い詰めたい次第でございまして、何つーか戦前の昭和日本で相手党の政権を攻撃するに際して統帥権干犯問題とか持ち出した結果、政党政治を終わらせてしまう原因を作った上に国まで焦土にしてしまう流れを作った政党政治家の姿みたいなのが被ってしまう・・・・・というのは大袈裟ですかそうですか。

まあ何だ、とりあえずこの先生はこれでも百回読んどけと思いますけどね。
http://www.saa.or.jp/ethics/standard.html

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2012/04/13

○オペ雑談

引用大会で意外に時間を使ったのでさくらレポートネタは明日以降に持ち越しで勘弁でありまして、ちょっとだけ雑談ネタ。

まあ次回の会合で追加緩和(のようなもの)がどうのこうのという話は相変わらずでございまして、その内容に関してもああだこうだという話が出ているのですが、オペレーション技術的な観点からしますと、基金オペの内容に関して組み換えというか見直しが必要じゃないかと思うのですよ。

つまりですな、現在オペ技術的に一番ネックになっているのが「固定金利オペ」でございまして、6か月オペが何度か札割れになりましたというネタはあたくしが数回駄文で申し上げました通りかと思うのですが、足元では金利入札オペの残高がゼロになっていまして、固定金利オペだけで回している格好になっています。でも・・・・・

12日の資金需給速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx120412.htm
当座預金残高 359,200

13日の資金需給見込み
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp120413.htm
当座預金増減 +27,900

とまあこんな状態でありまして、今日には当座預金残高が38兆円ペースに乗るという状態になっておりまして、まあ要するに資金需給ってそれだけぶれるんだから単月の当座預金残高がどうのこうのとか一々言うかねとも思いますが、このように当座預金座残高が積みあがって余剰資金溜まって来ますと(特に6か月の)固定金利オペに応札するインセンティブが下がってくるという問題がある訳です。つまりですな、資金需給的に余剰資金が溜まる時期になる(あるいは近づく)と固定金利オペ残高の目標を達成する為に金利入札オペを抑制的にしないといけないとかアホウな問題が発生するのでございまして、何が何やら状態になるのですな。

今後は買入系のオペの残高が増えてくるのも当然ながら資金需給には効いてきますので、そうなりますと固定金利オペの残高維持が益々窮屈になり、固定金利オペ残高維持の為に資金供給オペの実施がやりにくくなるとかどう見ても本末転倒です本当にありがとうございましたという展開が見え見えな訳でございまする。つーかもう見えているけど。

つまり何が言いたいのかと申しますと、元々は固定金利オペからスタートしているから仕方ない部分はあるのですが、買入系のオペが拡大されて行く中で固定金利オペの存在理由も存在するメリットも低下している、つーか足元では邪魔化している訳でございまして、この固定金利オペに関しては純粋にオペ技術論として考えた場合に見直すというか、実施額の大幅削減をするのが必要じゃないですかねえと思うのですよ。まあ極端に言えば固定金利オペ全廃して金利入札オペに戻して、その一方で買入系に回せばとか思いますけれども、さすがに35兆は中々しんどいでしょうなあとか思うと、固定金利オペの増やし過ぎはどう見ても失敗だったなあという感じになって参りました。

つーても、この状態って後になるほどしんどくなってきそうですから、4月会合とは言いませんけれども、どこかのタイミングで基金オペの内訳見直しとかをした方が良いのではないかと思いますです、はい。

という何が何だか判らない雑談で恐縮至極。

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2012/04/11

○総裁会見についてはテキスト出てから詳しく書きますが簡単に

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M296I26JTSEM01.html
日銀総裁:特に念入りに点検へ−次回の政策決定会合
更新日時: 2012/04/10 18:19 JST

『4月10日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は10日午後、定例記者会見で、27日の次回金融政策決定会合について、経済・物価の見通しを「特に念入りに点検し、そうした見通しに基づいて適切な金融政策を行っていきたい」と述べた。』(上記URLより)

ということで、今回の総裁会見のベンダーヘッドラインを見ておりますと、概ね「次回に〜」「次回に〜」の連発でありまして、まあ次回の政策決定会合に向けて点検しますよとか展望レポートは大事とか、普通に読むと次回の会合で何かそれらしいことをしましょうかねえというのを示唆する内容って感じですわな。

例えばブルームバーグ(プロフェッショナル版)の日銀関連のヘッドラインを一部だけ引用するとこんな感じである。ちなみに決定会合後の定例記者会見のエンバーゴが外れるのは16時30分でございます。

16:31 JBN *日銀総裁:次回会合では特に念入りに点検し適切に政策運営
16:32 JBN *日銀総裁:物価上昇1%めどに強力に金融政策を推進する
16:34 JBN *日銀総裁:次回会合の判断を予め予断持つのは慎む
16:34 JBN *日銀総裁:展望リポートは非常に大事

というような感じで、これを見てまあ債券先物は7銭位上がった(まあ誤差とも言えますけどね^^)のですが、英語のヘッドラインを見ますと(まあ正しくはロイターととか時事とかのヘッドラインも見ないといけない訳ですが)こんな感じ。

16:32 BN *SHIRAKAWA SAYS WILL TAKE APPROPRIATE POLICIES
16:32 BN *SHIRAKAWA : WILL CAREFULLY EXAMINE PRICE OUTLOOK AT NEXT MEETING
16:33 BN *SHIRAKAWA SAYS NO CHANGE TO EASING TO END DEFLATION

とかなんとかいう感じでして、日本語のヘッドラインで出てくるニュアンスだともう「次回が〜」の連呼なのですが、英語だとあんまりそういうニュアンスがヘッドラインでツタワランチ会長だったせいもありまして、ドル円市場を(債券先物もそうですよ)16時半前から目を皿のようにして見ておった訳ですが、会見公表前の水準が大体81円10銭近辺で、その後81円00銭近くまで下がったものの、結局はあまり動かずでおそらくニュース詳細が出た辺りでは81円20銭とかその辺りまで反応している、という感じでして、まあこれまた誤差ともいえる数字ではございますけれども、今回の総裁会見は特段台無し発言も無かったようで誠に結構。


○ということで市場の反応らしきものメモ

えーっとまあ昨日の市場ですけれども、決定会合の結果は12時09分に出た訳ですけれども、その前に何故か81円70銭とかにイントラデイで円安になっていたのですけれども、その後20銭程度円高に振れましてまあそうだろうなあとか思っておりましたら14時過ぎ位だったような気もしますが、まあ欧州勢がもさもさと起動する時間帯と思われる頃には81円30銭とか20銭とかになっておりましたなあという所でしたわな。

んでもって総裁会見に対する反応は上記の通りで、一瞬円高になりかけたものの、会見内容が伝わるとまあ誤差の範囲内で円安気味という感じではございましたという所ではないかと思います。

株価は思いっきり為替連動みたいな感じに見えました。まあ引け後にソニーだのシャープだのがお洒落な決算を出しやがりまして、おまけに欧州債務問題ガーのネタ復活で今日はあばばばばーの悪寒がしますけど、まあそれは本当は金融政策決定会合と関係ないのですが、ど〜せ鬼の首を取ったように言い出す人がいるんでしょうなあ〜というのに百万ドラクマ。

債券市場が一番ワケワカランチ会長だったのですが、上記のように昼休み中に結果が出た訳ですけれども、後場の寄り前にいきなり業者間スクリーンのビットがポコポコ叩かれて先物は前場から10銭位下で寄る有様。実はお友達から「何でこんなに売られてるんだよ〜」と電話を受けて最初債券じゃなくて為替の事だと思っていた位に寝ぼけたあたくしなのでございましたが、そもそもここから先の追加緩和って量的緩和とかの世界なんですから追加緩和が即長期金利低下につながるのかどうかって怪しいだろとか思う(瞬間芸では金利低下で反応するでしょうけれども中期的に見た場合に、って話ね)のでありまして、わけわかんねーとか思ってたらその後は引けに掛けて絶賛上昇ブルフラットとなって、まあ良く判らん反応ではございましたことですよ。


○ということで何か違う気がするのだが

先週末の米国雇用統計の流れに加えて欧州債務問題ガーとか言ってNYダウ様が今朝も絶賛下落という事で、NYではドル円が80円台で戻った訳ですが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M298Z56JTSE801.html
NY外為:円が5日続伸−FRB議長の景気認識受け−80円台

ちなみに9日の講演で示されたFRB議長の景気認識受けとか言ってますが、バーナンキ講演のテキストは昨日の東京時間の昼間には出ていましたので、それは単に後付の言い訳に過ぎないと思います(ちなみにバーナンキ講演を読んだらいきなり出落ちのようなお前が言うながあって吹いたのだがそのネタは今日は間に合いそうもないので割愛、内容的には金融監督に関わる話で、Financial Stability関連のもので、金融政策に関する話はスルーでした)けれども、まあ日銀会合と総裁会見の前後の動きを見たらこういう話になると思うのですが・・・・・


共同通信から。
http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012041001002626.html
NY円、80円台へ上伸 1カ月ぶり高値
2012/04/11 01:07 【共同通信】

『【ニューヨーク共同】10日のニューヨーク外国為替市場は日銀の追加緩和見送りを受けて円買いドル売りが先行し、円は一時、1ドル=80円85銭をつけて3月上旬以来、約1カ月ぶりの円高水準となった。円は対ユーロでも一時、105円台をつけ、約1カ月ぶりの高値となった』(上記URLより)

ロイターから。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE83906U20120410
円上昇、日銀追加緩和見送りなどで=NY市場
2012年 04月 11日 06:22 JST

ということで、何かロイターと共同はこういう話をしているのですが、さすがのモーサテも今日は追加緩和見送りガーとかいう話してません(そもそも先ほどの総裁会見にあるように次回会合での追加緩和のようなものについて、それなりにサービス発言が出ている訳でございますし・・・・・・)次第で、たぶん決定会合前後および総裁会見前後の動きを見ますとそれ以外の要因で動いたんじゃネーノと思うのですけどねえ。

どうもロイターと共同は追加緩和煽り報道をする傾向にあるようで、まあ正直ロイターはベンダー代が高いのでブルームバーグとの2択を迫られたら当然のようにカットするから普段見ない(ので精神衛生には良いが悪態ネタに困る^^)のですけれども、共同はブルームバーグとかからヘッドラインが流れてくるので(-_-メ)。

http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012041001002264.html
日銀総裁、過度の緩和期待けん制 「物価情勢は確実に改善」
2012/04/10 19:02 【共同通信】

というか会見では「市場の細かい動きに一々対応するのは如何なものか」という事で、かつてアラン・ブラインダーFRB副議長が指摘していた「市場との対話は大切だが、市場との対話を重視しすぎると『自分の尾を追う犬』となってしまうリスクがある」(だいぶ意訳)というような話をしているのですが、このニュース最初共同がベンダーに流していたヘッドラインには「過度の」が抜けていまして、「日銀総裁、緩和期待をけん制」とかどう見てもお前それは違うだろうというヘッドラインを流していて盛大に画面に向かって突っ込んでしまったのはあたくしでございます。

あのですな、その追加緩和煽りと日銀は追加緩和に消極的という方向にバイアス掛ける報道って何考えてやっているのか知らんですけれども(というかだいたいわかるが)、アジビラ作成業じゃないんだからもっと淡々と報道して頂きたいと思うのですよね。

その反動であの筋の悪い日銀審議委員反対騒動とか日銀法改正のネタとかが飛び出してくるという環境つくりにも手を貸しているという点で言えば共同通信様におかれましては(以下猛烈に悪口雑言になるので自主規制)。


○これは予想通りのクオリティですが相変わらずヒドス

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M291QD0UQVI901.html
民主・デフレ脱却議連の宮崎氏:日銀の追加緩和見送りは「遺憾」

『4月10日(ブルームバーグ):民主党の宮崎岳志衆院議員は10日、日本銀行が同日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を見送ったことについて「誤った判断だ」との認識を示した。見送りが満場一致だったことに関しても「政策委員会の構成が不適切であることが裏付けられた」と指摘した。』(上記URLより、以下同様)

『追加緩和見送りについて  「大変、遺憾だ。誤った判断だと思っている。2月に行った緩和効果がはげ落ちようとしているわけだから、インフレのめどを設定した以上は、それを達成するためにここは緩和すべき場面だ。市場の期待を裏切るし、マーケットとの対話に完全に失敗している」』

・・・・・・まあ予想通りの反応なのでこんなもんでしょうとは思いますが、2月に行った緩和効果がはげ落ちようとしているとか、金融緩和の効果を株式市場と為替市場の短期的な値動きだけで判断されても困るのですけどねえ。大体からして株にしたって為替にしたって一義的に金融政策で動く訳では無くて、他にも色々なファクターで動くもので、足元では欧州債務問題のスペインへの再点火とか、年初来あまりにも調子が良すぎた米国経済指標の反動とかがあると思うのですが、それを捕まえて「金融緩和効果がはげおちようとしている」とか何なんでしょうかね。


そらまああたくしらは市場で飯食ってますから市場の動きで一々ああだこうだ言いますけれども、本来金融政策の効果というのは資産市場とかじゃなくて実体経済に対して波及させるものであって、しかもその効果っていうのは半年とか1年とか良く判らないけど時間的ラグをもって波及するもので、株価の動きを見て「緩和効果がはげおちる」とかムキーッとなるとかどんだけ近視眼なんだよというかどこの株屋の回し者だよと思う次第。大体からして最近出た経済指標だとCPIも上がったし景気ウォッチャー調査も上がっているんですけどその辺はスルーで株価と為替だけ見て効果ガーですかそうですか。

つーか、「市場の期待を裏切るし、マーケットとの対話に完全に失敗している」とか昨日の市場の反応のどこをどう見るとそういう結論になるのかさっぱり判らんのですけれども、勝手に市場を持ち出さないでくれよとか思いますわ。

為替が1円動いたとかで一々大騒ぎして追加金融緩和しろとか決定会合の度に言ってたらキリが無いにも程があるだろアホウとか思うのでございまして、まあ結局の所その辺のクレクレというよりは最早その筋の方のベンツに車ぶつけたかのような反応をするゆすりたかり的なのに一々対応してたらゆすりたかりが更にエスカレートするがなと思いますので、まあ淡々と次回に追加緩和のような物をするというので宜しいんじゃないですかねえと存じます次第でございます。

何か他にも悪態いう積りだったのですが忘れたので(アホです)今日はこんな感じで(^^)。

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2012/04/10

○オペ関連雑談

オペ関連のネタが色々とあったのにスルーしまくっていましたのでまとめてメモをしておきます。

・社債買入オペ貫録の札割れ

先週金曜の資産買入等基金による社債買入ですが・・・・・・

オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120406.htm
社債等買入(資産買入等基金) 2,000 2012年4月12日

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120406.htm
社債等買入(資産買入等基金) 772 772 0.000 0.003

ということで貫録の大幅札割れとなったのですが、前回の3月9日は2165億円の応札があったのでいきなりずいぶん減りましたなという感じでございますが、単に応札可能玉の問題か期初のせいなのかは良く判りませんが、それにしても前回対比で結構応札減りましたの。

でまあしつこく申し上げておりますように、このオペレーションに関しても残高は基本的に目標額としておいております関係上、札割れが続くとマズーな話でございまして、これが恒常的になるようですと、オペのオファー頻度を上げるしかありませんけど、それでも足りない場合は何等かの振替措置を取ることになるかどうかという話になろうかと思います。

まあそれで国債買入増やしたら喜ぶ人いるからそれはそれで目くらましに宜しいんじゃないですかねとか思いますけどにゃ。


・共通担保金利入札貫録の残高ゼロとか基金共通担保オペとか

先日ネタにした金利入札方式の共通担保オペですけれども、順調に(?)期落ちをロールしなかったのでめでたく先週水曜日に金利入札方式の残高ゼロと相成りましたけれども、足元では2月21日の国債償還要因に加え、年度末から年度初にかけての財政払い(交付税とか諸々の財政執行による)によって資金需給が余剰に振れて、3月前半に11兆円あった共通担保金利入札方式のオペ残がゼロになっても(その間に6か月物の固定金利オペが1.6兆円打たれているので実質的には足元ではオペ残が前月対比で大体10兆弱減ったイメージ)当座預金残高自体は3月前半よりも10兆円位増えておりますな。

つーことで、足元ではGCレートも多分0.10%をちょっと割る位が実力のようですし、昨日の2か月TBもほぼ0.10%水準(まあまともにロットを買いに行ったら0.10は買わせてくれないでしょ)という感じで、足元は資金余剰感ありありという流れ。

んでもって今後の基金による国債と短期国債買入の拡大が待っておりますので、今月はそのまま余剰で推移するので共通担保オペの金利入札は(もしかしたら国債決済期間短縮対応で新しくメニューに加えた本店オペ先日付方式の午前中オファーというのを事務周りの練習を兼ねて実施するかもしれませんけど)入れにくい状態が続くでしょうな。

つーかですな、資金の余剰感が強いので、共通担保の固定金利方式の方も中々こうあっぷあっぷでして、3月29日には6か月物のオペが8760億円応札とか素敵な事になっていましたが、先週金曜の3か月物オペも応札が9445億円とかになっていまして、これまたオペ残確保大丈夫ですかという感じですわな。

まあこちらに関しては金利入札方式オペの残高を絞ったりして(というかゼロにしてますが^^)何とか固定金利オペに誘導するようにしていますけれども、現実問題として資金余剰が溜まってくるとオペ残確保は中々大変ではないかと思います。まあ端的に言ってしまえばメガバンクさんとかに超過準備額を拡大して貰うしかやりようが無いと存じますが、それをやるとゆー事は基金オペに「ご協力」の札をという事に繋がりますが、基金オペの金利というのは最初の作り込みの時点で「固定金利」になっているので、間違って利下げのような事をすると「ご協力の札に対する背信行為」になるのがお洒落というものです(^^)。


・どうでも良い豆知識の整理(誰得豆知識ですが)

ちなみにどうでも良い豆知識ですけれども、ECBのLTROの場合は適用金利は実を言うと固定金利ではなくて「期中のMRO金利の平均」となっていまして、つまり期中に政策金利が変更になった場合、フルスライドでLTROの適用金利って変更になります。また、日銀の実施した施策の中で前回実施した企業金融支援特別オペについてはこれまた期中のコール誘導水準金利の平均となっていましたが、この固定金利オペは何故か期中固定金利に設定されています。

まあ固定金利にしておいた方が、いざ利上げ近しという話になった時に応札がわんさかやって来るという効果がありますし、逆に変動方式にしちゃいますと応札が全然来なくなって(特に長いもの)絶賛大札割れになるというのがあるのと、そもそも途中でコールの誘導目標をレンジにしているので元々の金利水準の設定が出来ませんがなという話でもある(補完当座預金金利にするという手はあるが、通常時は金利コリドアを作る関係上補完当座預金金利での貸出にしたらサービスレートにも程がある)という事で、まあ利下げの可能性を考えないで設定したんでしょうなあという所で。



更にどうでも良いですが、これ書くときに念の為調べた訳ですが。

2009年12月の固定金利オペ導入時にはこう決めたのですけれども・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0912a.pdf
の別紙

『ロ.固定金利方式
貸付日における誘導目標金利(本行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準をいう。)を貸付利率とする方式。』

2010年10月5日の決定会合で包括緩和を実施してコールの誘導目標をレンジにした時にこのような特則を出しております。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2010/un1010a.pdf

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、当分の間、下記1.ないし3.の利率については、それぞれの規定にかかわらず、年0.1%とすることを決定しましたので、お知らせします。』

となっておりますので、まあ最初に決めていた時には想定外の事態になっていたんですねえというのが判るかと思われます(^^)。


・ということでまあ続いて雑談だが

しかしまあ何ですな、先ほど上の方でさらっと流した訳ですが、資金供給オペの残高(除く買入)が10兆円減っても日銀当座預金残高が10兆円増える、という位に資金需給ってぶれるものですし、大体からして財政の出入りって予算審議だの執行だのの関係でぶれる事もこれまたあったりしますし、更に昨年は震災関連での予備的資金需要によって超過準備が積みあがるという格好だった訳で、それに対して単月の当座預金残高のブレで日銀の供給姿勢ガーとか言ってる人たちちょっと来なさいという話ですわな。

いやまあ素人さんがその辺判りにくいというのはシャーナイナイでして、何せ先日の生活意識アンケートにありますように、「日銀のホームページを利用した事が無い」人が貫録の93.6%な訳ですからして(という事は1日何回も日銀のサイトを見ている、というかそもそもあたくしのPCではブラウザーのホームを日銀ページにしているので当たり前なのですが、そういうあたくしは変態中の変態ですかそうですか^^)、まあ別にそれはそれで良いのですが、そーゆー人たちにきちんとした話をしないといけない何とかスト(誰とは言わないけれども金融政策の話になると突如話の内容が無茶苦茶になる人のことですがね)の方が「金融引き締めをしたような収縮」とかいうのが有罪とゆー感じですわな。

大体からして昨年同時期の短期市場金利とか短期物の社債レートとか良く見ろやドアホウとか思う訳で(以下この前と同じ悪態になるので割愛)。


いずれにせよ国債の買入系はまあ何とでもなるでしょうし、短期国債に関してもそう常に0.10%割れ恒常化という事にもならないでしょう(とはいえ0.100%張り付きでしょうけれども)から何とかなるにせよ、足元の余剰感が高まると固定金利オペに関してはしんどいですし、社債とCPについては玉の関係でという面もあるので中々大変だろうなあとは思いまする。

以上誰得マニア雑談でした。


○その他ニュース等雑談

・ああ自民党

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120406/stt12040601150000-n1.htm
生活保護削減、防災に200兆円集中投資 自民次期衆院選マニフェスト概要判明
2012.4.6 01:14

えーっと、防災に200兆円集中投資って財源はどこにあるんでしょうか?????
もしかして日銀引き受けでプリンティングマネーでもするってんでしょうか?????

あのね、プリンティングマネーなんて一回やったら歯止め効かなくなるでしょという話で、プリンティングマネーを止めるなんて不人気な施策を民主主義国家で選挙に負けたくない政治家がやりたがるわけがないから、仮に法律で縛ったって次の政権党がひっくり返したらそれまでの話でしょと思うのですけれども、どうやってプリンティングマネーの歯止めをかけるつもりなんでちゅかねえ????????

いやね、民主党のウソツキ財源マニフェストも大概に酷かったですけれども、あれは一応無駄削減だの何だの言ってるだけ脳味噌の内容としては疑いがあるけれども、財政を考えるという意味での意識はありましたわなあ(現状認識は無茶苦茶でしたけれども)という事で、河野さんの日銀審議委員反対の時と同様に野党民主党がやっていた事の劣化コピー、というのも民主党に悪い位に筋が極端に悪化している自民党って何なんでしょと思う訳よ。

しかし何だか良く判りませんが、公共放送では自民党のマニフェストに関してこの200兆円の話が出ていないのが(テレビでも同様)何なんでしょという感じです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120409/k10014319831000.html
自民 政権公約の骨子を発表
4月9日 17時43分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120410/n64281210000.html
自民 消費税率10%政権公約
4月10日 6時7分

まあいずれにせよ、ちょっと自民党の財金関連の議員様たちが暴走し過ぎじゃないですかねえと思う次第で、日銀審議委員人事の一件で金融(というかまあ基本は金利系になるとは思いますが)市場関係者の支持を相当暴落させたと思われますが、更にこの200兆円云々は何ぼなんでもちょっとねえと思いますが大丈夫か自由民主党。

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2012/04/09

○決定会合プレビューとか審議委員人事雑談の続き

金曜に書いたので大体まあそんな感じなのですが、今回の決定会合で何らかの追加緩和みたいなのをするとさすがにアホウ政治家の皆様が「日銀に政治的圧力掛けたら大勝利」と更に調子に乗るのが明らかにも程がありますので、まあ普通に考えて今回は何もなしというか下手に追加緩和すると信認問題になりますので現状維持。まあドル特則の内容決定だけでしょう。

で、これまた金曜にも申し上げましたが、4月27日の展望レポートで緩和のおかわりのような感じで基金国債買入残高目標を10兆円増やしつつ買入の期間を半年延長するのかねとか思ったのですけれども、あのアホウ政治家の大騒ぎで逆に日銀やりにくくなってしまったという感じはする(同じ理屈で政治家が調子に乗るから)のでして、それでしたら10月の展望レポートで見通し期間が1年延びる所で・・・・・という話ですが、まあそこまで待つのもねえという感じです。

まー雇用統計がこれまた測ったようにうんこな結果が出て追加緩和期待がまた米国に出てきそうという流れでございますので、その辺の空気読みながら4月27日に「展望レポートで点検した結果物価安定の理解実現の為には時間がやや掛かるようなので買入期間を半年延長し、その結果として残高は来年の6月末には国債10兆増えますよ」とかまあそんな話で。

でまあ審議委員人事に関してはかんべえさんがこんな話を。
http://tameike.net/comments.htm(<4月4日>(水)の所をご覧ください)

勝手に引用させて頂きまして恐縮ですが、以下引用致します。

○河野さんは非常にまともなエコノミストで、業界内の評判もいい。私から見れば、リフレ論に対しても充分に理解がある人だと思う。ところが自民党がダメ出しをしてしまった。これでは2008年の民主党のやり方と変わらない。というか、政策の中身に口を出している分だけ劣化コピーといえる。日銀の審議委員というのは、本質的に楽しい仕事ではないのだから、こんなことを続けていると、まともな人は誰も引き受けなくなってしまうのではないか。既に少なからぬ経済学者が、「こんなことに巻き込まれるのは御免被る」というモードである。

○で、もう一人の伊藤忠相談役、渡辺康平氏がさらにお気の毒なのである。3月23日に、日経がこの人事を「抜いた」(ちなみにネット上では、この記事はもう消されている)。で、2008年にゴタゴタがあった際に、「事前に漏れた人事はダメ」という合意が与野党間にできたのだそうだ。つまり「日経に抜かれたからつぶされた」人事なのである。そんな記事、載せるなよ。とりあえず、しばらく日経さんは伊藤忠商事にはお出入り禁止でしょう。こんな話、日経にはきっと出ないと思うぞ。

(『かんべえの不規則発言』2012年4月4日より一部引用)

あたくしが連日湯気ポッポ―で悪態書いて金曜の更新忘れで血圧上昇で倒れたのではないかと言う勢いでもあったりするのと違いまして、冷静かつきっちりとポイントを押さえるかんべえさんさすがです。参りました。

ちなみに、これは多分ネットとかで不特定多数向けアップされるような物では無いリサーチレポートなので引用はしませんが、河野龍太郎さんご自身が審議委員否決を受けましてレポートを書いておられます(金曜の午後に配信されていると思います)ので必読。しかし河野さんも書いておられますが(文章の意味が取りにくいと思うので追記しました。でそこをフォントを小さくしています)河野さんて別に「インフレ目標に反対」している訳では無くて、あくまでもリジッドなインフレ目標に反対であり、フレキシブルインフレターゲットは大賛成しているのでして、その河野さんの主張を思いっきり曲解して「インフレ目標に反対」だから審議委員に不適切とか言い出した山本幸三先生って、「前提となる根拠がおかしい状態で問題追及をした人」という意味では永田偽メール事件とやってることが大差ない、というよりも人事一本潰しているだけに永田偽メールよりも酷いわと存じます次第で山本先生におかれましては(以下罵詈雑言と受け止められる可能性がある表現を含むかもしれませんので謹んで割愛)。


どうもね、血圧下げるためには悪態が無いといかんですわorz

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2012/04/06

○審議委員が欠員ですなあ&決定会合プレビュー

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120405a.htm/
審議委員の退任について

『中村清次政策委員会審議委員および亀崎英敏政策委員会審議委員は、4月4日任期満了により退任しました。』

ということで退任した後任はまだ決まっていないというのはご案内の通りでございまして、まあ連日悪態ついておりました通りでございますが、これでまあ当分7名体制になるという事ですな。どう見たってあんな言い方で否決されたら後任人事の人選そのものが大変になってくるわなと思われます。

んでもってそういや悪態の限りを尽くした(という程でも無くてもっと悪態を書こうと思えば書けない事も無いけれどもインターネットは公共の場所なんでまあそこは節度を持ってですなあとかお前が言うなですかそうですかあっはっは)訳ですが、よくよく考えたら来週の月曜火曜は4月決定会合第一弾だったのでプレビューでも。


んーっとですね、今回については前回検討を指示したドル特則貸出1兆円枠に関する具体的な施策が決定される、というのがは普通に予測可能でございますが、それ以外に何かあるかというとこれはまあ難しい罠と思います。

大体からしてですな、ここまで直球ストレートに政策委員人事を盾にして「金融緩和しろ」プレッシャーを国会の方がしてくる、しかも野党から、というような事をやった直後に追加金融緩和とかしたらそれは中央銀行が議会野党(ただし片方の院で過半数確保中)からの政治的圧力に負けて金融緩和したというストーリーがあからさまになり過ぎじゃろと思う次第でありまして、逆に追加緩和しにくくなったじゃねえかヴォケと思うのでございます。

って話を書くの忘れたなあとか昨日思っていたら、ブルームバーグで「Political Pressure on BOJ May Backfire, Capital Economics Says」って記事があって(ちなみに昨日の9:05の配信記事です)おお先に言われてしまったわとか思ったのですが、ネット版には記事が無かったのが残念無念で引用できませんでしたが、「政治的な圧力は早期の追加緩和に対して裏目に出るだろうとCapital Economics社は指摘している」と記事が結んであって、いやまあそう考えるだろ海外だってと思うのでございました。

ちなみにですな、2月の金融政策枠組みをそのままロジカルに考えると、4月27日の日銀展望レポート公表の時に先行きの経済物価見通しを点検した結果、「中長期的な物価安定の目途」の達成までの時間が依然として掛かるという判断に至った結果として、今年の末まで実施することにしている資産買入等基金の買入等期間の延長を行うのが適切という風になって、基金の買入期間を半年延長して2013年6月までにして、その間に国債買入の現状のペースを維持すると6か月で9兆円(1.5兆円×6カ月)積み上げられるのですから、そこに1兆円おまけをして国債買入を10兆円拡大する、というのがまあとりあえず普通の流れかなあとか思っていたのですけれども、こうまで露骨に追加金融緩和しろ圧力を掛けて議決にまで反映させる(だからこそ前回の民主党の反対以上に今回の自民・公明(みんなの党はそもそも評価対象外なのでどうでも良い)両党の反対は問題が多いというか政権担当能力に疑問を抱かざるを得ない行動という話なんですけどね)とかされた直後に追加緩和するのも何だかなあという感じはせんでもない。

なお、ロジカルにとか申し上げましたが、景気判断的に言えば追加金融緩和を4月にする必然性は1ミリも無いという点については念の為申し上げておきます。

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2012/04/05

○いまどきリジッドなインフレ目標に中銀総裁の解任権セットとかorz

昨日の10時半にブルームバーグニュース(ネット版ではなくてプロ向けの方ね)でこの件のヘッドラインが出たのとほぼ同時に株価指数先物が一気に1万円割れとなったのは何ぼなんでもただの偶然だと思いますけど、為替も債券も何もなかった中で株価指数先物(と株価指数)だけがスココーンと下げたのは何だったのか(・・?)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1XM2F6TTDS001.html
自民党:政府が物価変動率目標定め日銀に指示−日銀法改正案原案
更新日時: 2012/04/04 10:42 JST

『4月4日(ブルームバーグ):自民党は4日午前の財務金融部会で、日銀法改正案原案を公表した。原案は、政府が物価変動率目標を定めて、日銀に指示し、物価変動が目標と著しく異なった場合には内閣に対し正副総裁の解任権を与えることなどを盛り込んだ。部会は報道陣に公開された。』(上記URLより)

・・・・・・・orz

まあ報道ベースの話だけで悪態つくのも何ですが、まあ大体この辺の人たちの従来からの発言から内容は想像出来る次第なのですが、この「物価変動が目標と著しく異なった場合は」という辺りにリジッドなインフレ目標の香りを感じる訳でして(だいたいこの人たちは「裁量的な金融政策はケシカラン」という話が多いので想像はつく)、それでしかも「正副総裁解任権」とかこらまた随分とリジッドなインフレ目標ですねという所で。

でまあ皆様ご案内のように、BOEは2年以上に渡ってインフレ目標を逸脱した状態が続き、FRBだってデュアルマンデートの片方の失業率はこれまた2年どころではなく高止まりしており、FRBの失業率見通しも2014年とかその先というようなタイムホライズンでやっとマンデートに近い水準が見通せるかどうか、というような物を出しておられる、というような世界の状況の中でありまして、世界的にインフレ目標政策と言われるものが、「物価を目標に向けて短期的に合わせに行く」というよりは「金融政策運営の説明として使い、実際問題としては経済の諸条件を勘案して政策を運営する」というような流れになっている中で、ガチガチのインフレ目標を設定するわ正副総裁の解任権を与えるわで、しかもそのインフレ目標がその時々の政権の都合でホイホイ変わる可能性があるとか、こらまた随分斜め上というか時代錯誤というか何だかなという話ですなあ。

ま、その政府がどのような手続きで物価変動率目標を定めるのかとか、その逸脱をどう認定するのかとか、どういう場合に解任権が発動されるのかとか、この記事だけだと良く判らんですけれども、まあ世界的に主要先進国の金融政策の枠組みが「中長期的にインフレを目標値に合わせるようにするという政策運営という形での金融政策の説明」という流れになる中で、今さら時計の針を戻すようなリジッドなインフレ目標設定な上に、どこのハンガリーだよというような解任権セットとか、LDPが金融政策に対してそういう認識ですよとか海外に報道されたりして益々政権取る気が無いのでしょうか(あるいは政権取ったら日本はG7じゃなくなってアジアのエマージング国家になりますよ宣言というか)っつー所ですな。

#ご参考→http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2012/120307d.html

LDPが政権取ったらいつマネープリンティング始めるか判らんですよ宣言を海外にも行うというよな流れになって良いのかねと存じますけどオラシラネ。


そういえばモーサテ見てたら自民党の茂木政調会長も河野さんに対して「日銀の審議委員として全般的な資質に問題がある」というコメントをしているという画像を拝見いたしましたが、つまりLDP様におかれましては債券市場で高評価を受けている債券エコノミストの方は「政策運営の一環を担うことに全般的な資質として問題がある」とお話になられた、という風に理解する次第でございまして、そんなに債券市場がケシカランならケシカランでもそらまあそういうお考えという事のようでございますが、あんたらが政策実行するのに必要な国債消化するのに債券市場が必要なんじゃないですかと思うんですけど、自民党様におかれましては政権の座に就かれるにおきましては国債消化なんぞ気にしないで政策を実行して頂けると斯様仰せな訳ですね、まあ頑張って下さいな。それとも国債全部中央銀行に引き受けさせて爆発的なプリンティングマネーを実施して財政大インフレを起こして国家債務問題をチャラにしようという深慮遠謀ですかさすが自民党の皆様は考えることが深いですなあ(棒読み)という所でしょうかねえ。

ま、メディアは面白がって政治圧力がどうのこうのといういつもの報道しかしていないようですが、ここもとの一連の流れって前回の民主党による馬鹿騒動からレベルが1枚も2枚も斜め上の問題を孕んでいると少なくとも金利市場の人間としては認識するのが多分一般的な感覚じゃないかと思う次第でございまして、こらまあ金利関係の人たちによる自民党の支持率は大暴落でござるの巻だと存じますけどね、つーかこの状態の自民党だと金融財政問題に関して危険過ぎ(失敗したら取り返しのつかない事になるというリスクが高いという意味です)だわなと存じますけどねえ、金利市場従事者的な感覚からすると。

・・・・・などと悪態を並べておりますが、上記URL先だとあっさり味の記事になっていますが、ブルームバーグのプロ向けの記事の方だと同じ自民党でも甘利さんが「正副総裁解任権はやり過ぎじゃないか」みたいな話をしているというようなことが伝わって来ておりまして、まあ自民党自体がこれで一枚岩という話でも無いのでしょうが、そもそもこの財政金融部会長の西村さんがネクスト財務大臣とやらになっておられますし、政調会長もさっきのような有様という状態で、政権から離れて期間が長くなって地位が人を作るじゃないですけれども、河野太郎先生のようなアレとか、まあ声の大きいアレな方が目立つようになってすっかり野党が板についてこられましたな。もうこのまま万年野党になってろと。


○あら日経もこの記事っすか

http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE6E2E3E7E0E4E0E2E2E6E2E6E0E2E3E09797E0E2E2E2
追加緩和後にマネー急減 「不十分?」外国人が注目 日銀「震災後の反動」
2012/4/4付 情報元 日本経済新聞 朝刊

『マネーの量は市中に出回るお金(紙幣と硬貨)と金融機関が日銀に預ける当座預金残高の合計であるマネタリーベースで見る。3月中の平均残高は前年同月比0.2%減った。これは量的緩和解除の影響で最後にマイナスを記録した2008年8月以来(以下は有料会員記事なので割愛)』(上記URLより)

マネタリーベースは確かにこうなっておりますが・・・・・
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1203.pdf

そもそも昨年の3月は東日本大震災とその後の停電だのどこぞのメガバンクのシステム障害だのというような色々な件の合わせ技によって予備的資金需要が物凄い勢いで拡大し、それに対応するために日銀もバンバン資金供給オペを打ち込んだので、その前の震災発生までは当座預金残高が18兆円前後で推移していたものが、14日に25.6兆円、17日に31.4兆円、22日には国債償還要因もあって41.6兆円と拡大した訳でして、それが減ったから引き締めとか何じゃそらアホかという感じですし、じゃあその間に円安が爆発的に進行したんですかとご質問申し上げたい次第。

現在は予備的資金需要も無くて金融市場の緊張も国内には無いという中で今日の見込みで当座預金残高が35兆円に到達するという事で、短期金融市場の資金余剰感は全然違う(昨日の3か月TB入札は平均で預金ファシリティを下回る0.10%割れですけれども、昨年の同時期の3か月TBは0.105%レベルです。2年国債の金利は昨年同時期の0.205%レベルに対して足元では0.115%ですがな)のですけれども、おまいら日米2年金利差がどうのこうのとかついこの前まで言って置きながら急に3月になって前年比の当座預金残高がどうのこうのとかお前は何を言ってるだ(アスキーアート割愛^^)という所でございます。

つーかマイナスになったら円高になるならその前延々とプラスの時に円高傾向になって居なかったのかよオラオラオラという感じでございまして、まあ上記URL先だとコメントしている何とかストの方のお名前とか出てこないのですが、記事全文を読むとまあお名前出てくるんですが、そういうその場その場で適当に面白そうな事を整合性無くレポートするからお前は日経ヴェリタスのアナリストランキング(ちなみに債券エコノミスト部門)が前年対比で急落するんだよボケナスなどというような事は大人のあたくしは申し上げたりは致しませんが、全く何なんでしょうね。

ちなみに今月は当座預金残高かなり増えるのですが、昨年4月は何せ月の頭が40兆円で、前半の積み期間は震災対応供給の余波があって30兆円台後半で推移していたので、今月は前年対比でちょっとプラス程度になるんでしょうが、それでまた日銀の資金供給姿勢がどうのこうのとか、何というかその昔のトン調節の時代と全然違うのに何を昔の基準で話をしているのやらと存じますがねえ。

#いかんどうも悪態が止まらないですな

しかし今良い事に気が付いたのですが、上記記事でボケナスエコノミストが仰せになっておられるように、本当の本当に海外投資家が日銀の当座預金残高推移を見て為替のポジションを動かして相場が動く、というのであれば、メガバンクの皆様におかれましてはブタ積みの積み上げをいじれば当座預金残高の総量も動かせますから為替が思いの通りに動いてポジション大儲けですよ!!!!!!!

・・・・・なお、ブタ積み(0.10%付利だからブタではないが)をいじっても為替が思い通りに動かなかった場合はあたくしではなくボケナスエコノミスト様の方に文句を言って下さい(^^)。


○バランスを取ると称してまた悪態

バランス取る為に麿にも悪態なんですけどね。金融政策に関する議論が全然冷静な話にならないで(毎日湯気ポッポーのお前が言うなですかそうですかorz)言いがかりみたいな話が横行するのって、麿も言わずもがなの余計な燃料投下をするから何ですよね。

それはまあ1月のロンドンのこれとか
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/ko120111a.htm/

3月の米国でのこれとか
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/ko120326a.htm/

まあ話としてはこれはこれで正論なんですけれども、1月のあの話をした直後の2月14日にどう見てもFOMCの後追いの気合で追加緩和です本当にありがとうございましたというようなのを実施して、その後またまた3月に米国に行って「頼もう!」とかやる訳で、そらまあ海外の現状に対してはこれら一連の講演がたぶん正鵠を射た話だとは思う(1月は不良債権問題の話も多かったですわな)のですけれども、まあこの前はキャバクラで嬢に「こんな所で働いてちゃいかんよ」と説教垂れるクソジジイという例えを出したような気がしますが、日本の状況からしたら日本向けにはこんな話をしている場合では無いわけで、というのは当然麿もご存じだとは思いますけど、こういう話をしたら日本の現状をこう認識していると受け止められるリスクがある(実際問題1月のはそうでも無かったけど3月のは話題になりましたわな)んだからもうちょっと物事配慮しろよと思う次第。

そういうような、長期間にわたる緩和政策をコミットする弊害がどうのこうの言う話をしたかったらその前にまず自分の足元で物価安定の目標達成の道筋が見えるような話に持って行ってくれという訳ですからして、海外出るとこういう話をいきなりして回るから妙な事になる訳ですがな。

いやね、麿のこれらの考え方はそらまあ正論は正論だと思いますし、その信念も判るのですけれども、日本における冷静な金融政策論議の発展と麿の信念とどっちが大事なんだよと思う次第でございまして、最近のバーナンキ議長に俊ちゃんの生霊が乗り移っているとすれば最近は麿に速(シャレにならないので自粛)。

もうね、海外の麿講演は日本語訳載せない方が良いんじゃないですかねえ(-_-メ)

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2012/04/04

○自民党もすっかり「昔の民主党」状態になってしまいましたねえ(吐息)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1W6SY6K50XS01.html
BNPパリバ・河野氏の日銀委員人事案、自民も反対−同意は困難に
更新日時: 2012/04/03 18:17 JST

『4月3日(ブルームバーグ):野田佳彦政権が国会に提示した、日本銀行の審議委員にBNPパリバ証券のチーフエコノミスト河野龍太郎氏を充てる人事案は、野党が多数派を占める参院で同意を得るのが厳しい情勢となっている。すでに不同意を表明している公明、みんな両党に続いて最大野党の自民党も3日開いた「国会同意人事に関するプロジェクトチーム」の会合で反対する方針を決定した。』(上記URLより、以下同様)

ということで、本当に河野龍太郎さんの審議委員人事がお流れになるような感じになって参りましたが・・・・・・

『自民党の岸田文雄国会対策委員長は記者会見で、河野氏について「不同意という方針で自民党は臨みたい」と明言。その理由に関しては「本人の考え方、政策的な問題、さまざまな見地を総合的に勘案して、と聞いている」と指摘した。』

との事でございますが、こちらの記事中にもございますように、つい先日日経ヴェリタスが発表致しました「債券アナリスト・エコノミストランキング」でエコノミストの第1位(昨年は第2位)に選出されたんですよね、ちなみにこのランキング集計したのってだいぶ前(2月中)ですので、次期審議委員人事とか全然関係なく(そもそもマーケットから誰かが選ばれるとは誰も想定していなかったと思う)選出されましたねというのと、今回のランキング見てまして個人的には違和感もそんなに無いランキングで、妥当な感じだと覆ったんですけどまあそれはそれとして。

『河野氏はエコノミストとしてキャリアを重ね、1日付「日経ヴェリタス」が報じた「債券アナリスト・エコノミスト人気調査」では、エコノミスト部門で昨年の2位から首位になった。』

つーことで、まあ債券市場という金利のマーケット参加者であります所の機関投資家(これは機関投資家の会社単位で答える)のランキングな訳でして、まあ一部何だかそれ会社のネームでランキング入りしてるんじゃないかなあというような人も居ない訳でも無い(まあ近年は割と違和感ないランキングになってきたけど)とゆー気もするけど(-_-メ)、当然ながらランキング入りする方というのはそれなりに市場で飯を食っている人たちが「認める」存在であると思うのですよ。そらまあ1から10まで全部が全部を信奉しているというような人はいないでしょうけれども、まあ主張があまりにも無茶苦茶だとランキングの上位には入れませんわなと思う次第。


つまりですな、まあ自民党様におかれましては『「本人の考え方、政策的な問題、さまざまな見地を総合的に勘案して、と聞いている」』とまあ随分とアレな理由でして、アグレマンに対するペルソナ・ノン・グラータじゃねえんだから、もうちょっと説明しろやボケナスとか思いますけれども、まあそれは兎も角として、自由民主党様は「債券市場の機関投資家が高く評価するエコノミストは日本銀行の政策委員として不適切である」とまあ斯様仰せとの事のようでございまして、誠に恐れ入った事でありまする。少なくとも金融市場を知っている人から見たらこの言いぐさってただのインネン付けにしか聞こえないんですけどねえ。

まあ自民党様がそのように債券市場をご認識であらされる、という事は今回の行動によってよーく分かった訳でございまして、その調子で政権なんぞ取られますと、いずれ債券市場などというような物はケシカランとか言い出すとかまあそういう事でございますかそうですかいやあ困ったもんですなあ債券市場の片隅で飯を辛うじて食わせて貰っている身と致しましてはと、誠に遺憾の意に堪えない所でございます。


更にですな、

『反対の急先ぽうである自民党の山本幸三衆院議員は「インフレ目標政策に反対しており、日銀寄りの発言しかしていない」と指摘。みんなの党の渡辺喜美代表も、河野氏について国会内で一部記者団に「あまりにも役所寄りのスタンスが激しいので反対する」と語っている。』

とのことでございまして、まあみんなの党は所詮は(伏字)なのでどうでも良いのですが、自民党の山本幸三先生におかれましては「日銀寄りの発言しかしていないのでダメ」との事でございますので、これはつまり日銀ケシカラン死んで良しと仰っておられるという事でありますが、まあ山本先生が以前よりそのような話をしているのは別にまあ一つの見解としてそれはそれで別に全否定するような話でも無いですし(ただし最近の山本先生は以前と違って批判してくる筋が無理筋というか言いがかりレベルになっているのが気になります。たとえば輪番の償還乗換と新規発行国債の財政マネタイズを意図的に混同して「日銀は直接引き受け(償還乗換の事)やっているのだから復興債も引き受けろ」みたいな事を言い出すとかね)、批判が全くないのも不健全な話ではございます。

しかしですよ、その山本先生の見解に自民党が機関決定して乗りました、ってえ事はすなわち、自民党が政権与党になったら政治サイドから金融政策に干渉しまくりますよ日銀とは対決しますよと高らかに宣言したようなもんですわな。それが長い目で見てどういう弊害があるのかは歴史が示す通りじゃないかと思いますけどねえ。

#インフレ目標政策に反対云々がゴロツキの言いがかりレベルだろという話は先日書いたので割愛

いやね、日銀法改正でも何でもやりたきゃやればとは思いますけれども、どうせあんさんら日銀にあれやれこれやれとクレクレは言っても、結局その結果責任を取る気はサラサラなくて、上手くいかなかったら「日銀が下手くそだから悪い」とか言うんでしょとしか思えないですけどねえ。


つーことでまあ何ですな、前回の民主党による正副総裁人事でのゴタゴタも大概に酷くて、武藤さんは「財金分離」とか言い出して反対するわ、伊藤先生に至っては「郵政民営化に賛成だからどうのこうの」とかどこの与太者のインネンだよという感じではありましたけれども、政策スタンスがどうのこうのというような反対では無かったですけれども、今回の自民党、公明党の反対って「日銀寄りなのでケシカラン」とかいう話で、しかもその対象が「債券市場では高く評価されているエコノミスト」を捕まえて「政策スタンスに問題がある」だの「日銀寄り」だの言っているとゆーのが前回よりもある意味深刻なお話。

つまりまあ自民党や公明党は市場がどうのこうのとかどうでも良いし、政権取ったら中央銀行にバリバリ政治介入しますよ大喧嘩しますよという話をしているという点で問題がより深刻、っつーかお前ら政権取る気あるのかよ今からそんな宣言してと思うのですけどねえ。

いやね、これがまだ「証券業界などのような利害関係の強い所の出身者は不適切」とかなら理屈として判らんでもない(もちろん世界的にみたら「んなアホな」ですけれども)のですけれども、反対の理由があまりにも豪快過ぎてちょっと何だかな状態ではございます。

確かにそもそもはこの前の正副総裁人事でお縄一派が訳の分からない理屈にもならない理屈で人事に反対して政局にしようとしたという政局優先の態度を取った事が原因で、今回はその仕返しを受けているという図でもあるのですが、この事を別の角度から考察致しますと、選挙に勝つためには屁理屈で日銀総裁人事に反対してみたりというような目的の為にどんな筋悪の事でも行う、という行為に出て、更にはウソツキマニフェストで選挙に臨み、最終的に全てが破綻して政権担当能力の著しい欠如を垣間見せると共に国益を著しく損なうという誠に残念な政党と同レベルになってしまわれた、という事でもございます。まあ野党生活が長くなった結果として文字通り「貧すりゃ鈍す」を地で行く存在になられたという事でもありまして、こらまあ次の選挙で自民党に投票したらかつての民主党政権交代時の二の舞になるのが見え見えではございますなあ、と申し上げたくなる次第という事です。

正直、自民党には期待していたので、こんな所で政権取る気ありません宣言を見ることが出来るとは思いませんでしたよ本当にがっかりだわ。

#とまあそういう悪態ではございましたとさ。

しかしこの調子で産業界からの審議委員就任とか誰も受けないわなとか思うのでありまして、東電会長人事並みの罰ゲーム化とかオソロシス。まあ素人がなるのがケシカラン的な意見もありますが、逆に産業界の声を直接反映させるという発想があっても別にそれはそれで有りだと思うのですけどね。むしろ金融業界出身で、オペレーションとか短期市場とか債券市場とかの実務っつーかまあ実情の理解が中途半端に生半可の状態だと日銀ペースに乗せられてしまう恐れもありますが、産業界出身という一本の柱を確り持っていると、それはそれで日銀ペースと違う柱になって良いのかなとも思います。

まあこの調子だと2名欠員がしばらく続きそうですわな。大体からして「債券市場の評価が大変に高いエコノミストはダメ」とかなった日にはこら暫く市場からの審議委員ノミネートとか無理だろ(逆に次にまた市場関連の人をノミネートしたら、どういう反応をするのかね)と思いますし、実業界から出るとも思えませんとかなる訳で、さてどうなるんでしょうねえ。つーか審議委員決まらないと7名中3名が執行部になってしまいますから、ボードがより「日銀寄り」になっちゃうんですけどねえ(ニヤニヤ)。

#ああ悪態ばかりでこんなに書いてしまったorzorz

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2012/04/02

○何でこうなるのやらという感じですが(審議委員人事)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1OAFF6S972A01.html

『3月30日(ブルームバーグ):野田佳彦政権が国会に提示した、日本銀行の審議委員にBNPパリバ証券のチーフエコノミスト河野龍太郎氏を充てる人事案に黄色信号がともっている。公明、みんな両党が反対を表明、最大野党の自民党も反対の方向で調整している。』(上記URLより)

ということで、まあみんなの党はどうでも良いのですが、公明とか自民が反対するというのがワケワカラン。


で、公明党ですが・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1OH696KLVR401.html
公明:河野氏起用反対を正式決定、考え方に異論−日銀審議委人事

『3月30日(ブルームバーグ):公明党は29日、政府が国会に提示したBNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏を日本銀行審議委員に充てるとする国会同意人事への反対を正式に決めた。河野氏の金融政策の考え方に党内に異論あるため。遠藤乙彦衆院議員が30日、国会内でブルームバーグ・ニュースに明らかにした。』(上記URLより)

・・・・・・・・「考え方に異論」って何じゃそらというか、ペルソナノングラータじゃねえんだからもうちょっと理由を説明してくれやという所ではございますが、いずれにせよ「金融政策にタカ派だから反対」みたいな話だとすればそれもまた不見識っつーか何つーかな話で、つまりハト的な金融政策を行って仮に副作用が出た場合は公明党さんは政治責任取ってくれるんですかと借問致したい訳でございます。

つーかさ、そもそも公明党さんの最大支持母体さんって今の計測方法でのCPIが+1%とか実際になった日には「物価上昇で庶民の暮らしが大変」というような話を真っ先にしそうなイメージがあるのですけれども、そういう意味ではいい度胸してんじゃんという気もするんですけど、まあ何にせよ他の党なら兎も角公明党がハト派じゃないから反対みたいな話をするとは意外、つーかその辺のコンフリクト判って話してるんでしょうねえとか思うのでございますけどにゃあ。つーかそもそも河野さんってタカとかハトとかあまり色が無い人なんですけどねえ(緩和的政策を野放図に長期化するのは弊害がって話を捕まえてタカ派とか言うのは言いがかりレベルだと思うのだが・・・・・・)。

あとですね、そもそも合議制でやっている委員会の人選なのですから、タカ派もハト派も居て多様な意見を揃えた方がよりチェック機能が働くと思う次第でして、「考え方が違う」と言って反対するという事は、それ即ち「日銀政策委員は全員同じ考えであるべき」という主張をしているようなもんで、どこの民主集中制あるいはファッショだよと思ってしまいます。つーか普通政府の委員とか諮問会議とかでも色々な意見の人を集めると思うのですけどねえ。まあそこまで言うなら公明党は金融政策に政治責取れるんかいというさっきの話に成る訳ですけど。

財政のサステイナビリティ確保への努力とか何もしないで垂れ流しを続けて金融緩和も続けろという話を延々として財政インフレとかになったらあんさんらが議員辞職してお詫びとか切腹してお詫びとかでは済まない位の大変なことになるんですけどねえ。


で、自民党に関してはさっきの最初の方の記事に戻りますが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1OAFF6S972A01.html
BNPパリバ河野氏の日銀人事案、同意に黄信号−自民も反対で調整へ

『河野氏起用に反対している自民党の山本幸三衆院議員は河野氏について「インフレ目標政策に反対しており、日銀寄りの発言しかしていない」と指摘。同党内では「否決すべきだと思って働きかけを強力にやっており、成功すると思う」と反対での意見集約に自信を見せた。すでに政務調査会や国会対策委員会幹部にも働きかけているという。』(上記URLより)

えーっと、そもそも「インフレ目標政策に反対しており」とは何のことだか意味が判らないのですけれども。河野さんのレポートとか全部を熟読して覚えている訳ではないですけれども、特段インフレ目標政策に明確に反対とかしていないと思いますし、大体からしていわゆる「フレキシブルインフレーションターゲット」っていう金融政策の枠組みってえのは主要国の金融政策の常識というか、政策の枠組みがそこに収斂されて来ているという状態であって、今さら「インフレ目標政策に反対」とかいう人居ないと思いますが。

そらまあ暫く前まで良く言われていた「裁量を排した金融政策運営」という意味でのインフレ目標だったら反対する人が多い、というか既にそんな運営で上手くいかないというのは英国を見れば一目瞭然(英国はもう2年くらいインフレ目標上回って物価が推移しているけれども、「見通しとしては今後低下する」というのを建前にして、実際には財政再建やら金融市場の安定化をサポートする為にも必要という認識でやっているのでしょうが、まあ金融緩和を継続しているけれども、これが裁量を排して運営しているとは普通思えませんわなあ)で、そんな政策を信奉していないとダメとかいうのであればそれはお前の方がおかしいわと存じますが、まさか山本先生は未だにそのようなカビの生えた政策フレームワークを信奉していないから反対とか仰っているのではないですよね。

大体からして、「インフレ目標政策に反対」だと、今の日銀の金融政策の枠組みが「インフレターゲットと呼んで頂いてもそんなに変わりはない(ただしフレキシブルインフレーションターゲットという話だよ、というころざんすわな)」という事なのですから、「日銀寄り」にならないと思うのですけどねえ、あっはっは。

つーことで、山本先生の反対運動の理由がどう見ても言いがかりというか、河野さんの主張のどこをどう理解すると「インフレ目標に反対」になるのかさっぱり分からない次第で、ゴロツキの言いがかりかよっつーレベルにしか思えない訳でございまして、まあ何というか「非理法権天」とかいう言葉がございますが、非は理に勝てず、理は法に勝てず、法は権に勝てず、権は天に勝てずと言いまして、まあ無理矢理の話であっても権によってああだこうだと出来るでしょうが、天道恐るべしとか思うのですけれどもねえ。

いやあのですな、公明党の場合は政策への考えがどうのこうのとかいう話ですが、山本先生の場合はどう見ても言いがかり(あるいは曲解)というのが凄いとしか思えない次第で、そんなんで良いのか自由民主党。

まあ何ですな、そこまで言うなら山本先生におかれましては是非とも日銀の審議委員になって頂きたく存じます次第。いやマジでそういう方が1名入ればそれはそれで(ちゃんと議論が成立すればの話ですけれども)面白い議論が見れて宜しいんじゃないでしょうか。

・・・・・・・しかしまあそもそもの話を考えると日銀正副総裁人事においてお縄一派がかつて政局にしようとして、財金分離とか難癖つけたのが事の発端(しかも自分たちがあれだけ財金分離とか言ってた癖にいざ与党になったらお縄一派の皆さんが金融政策にクレクレ言いまくるという見苦しさよ)で、その仕返しを受けているとも言えるのですけれども、野党生活が長くなって公明党や自民党までが同じような話を始めるようになるとは誠に残念至極でございまして、次の選挙で投票する先が益々無くなって参りましたとしか言いようがない(共産党は狂信的反原発なのでアンチビジネスにも程があるのでアタクシ的にはオミット)次第でございますなあという事でorzorz

まあしかしこの騒ぎで財界人とか審議委員の引き受け手が益々無くなりそうですなあ。

#ああ期初から悪態になってしまいました

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