金融政策概観(2012年度下期後半分(2013年01月〜03月))

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2012年度下期後半の見出し

2013/03/27「超長期が連日大暴れ/短期市場では現先やGCがゼロ近辺まで急低下」
2013/03/26「キプロス処理決まる/異次元緩和プレビュー雑談」
2013/03/22「麻生財務大臣が2%2年達成に対して机上の空論呼ばわりしてイイハナシダナー」
2013/03/19「雨宮理事が企画担当で復帰とな」
2013/03/18「キプロス預金封鎖で預金カットキタコレ!!!」
2013/03/15「もはや発言すると足引っ張っているとしか思えない浜田先生」
2013/03/14「浜田先生今度は「円安で景気回復」と通貨外交上問題のある発言を」
2013/03/11「浜田先生がいきなり従来と違う梯子外し発言を行い学者としての良心どころか人間性を疑いたくなります」
2013/03/07「4日の訂正とその他雑考/安倍さんや岩田さんが外債購入発言を続けたことから米財務次官お怒り」
2013/03/06「もはや何が何だかわからないけれども超長期債が日中大暴れ」
2013/03/05「黒田さんの所信聴取+輪番オペ1年以内ゼロ%落札で大ブルフラット相場キタコレ」
2013/03/04「異次元緩和のメニューを必死に考えてみた」
2013/03/01「リフレを煽っていた東京新聞にしてインフレフォビア報道ねえ/安倍ちゃん外債購入発言はやばいって」
2013/02/28「岩田副総裁候補の怪電波丸出しインタビュー/浅ましく岩菊先生をヨイショする何とかスト2名(ちなみにGSの馬場さんと第一生命経済研究所の熊野さんでどっちも元日銀というのが実にこう味わいがあるのですが)/竹中平蔵先生早速リフレから距離を置くとな」
2013/02/25「黒田総裁に岩田規久男副総裁とな/追加緩和オプションを考える」
2013/02/21「総裁人事憶測報道盛り上がる/円安になったから外債購入の必要性下がるとかもうねえ安倍ちゃん」
2013/02/20「外債購入発言の火消しをする側から日銀法改正発言をする安倍首相は相当のアレ」
2013/02/19「G20で通貨切り下げ合戦ダメという話になったのに外債購入発言をする安倍首相ェ・・・・・」
2013/02/18「武藤さん有力報道で市場反応/G20前に通貨切り下げを良い事とか言うなよ山本幸三先生/オペは綱渡り」
2013/02/15「G7やG20で為替の話が出ているのに岩田一政さんセンス無さすぎ/2年0.040%に金利上昇」
2013/02/14
「G7微妙に釘指され&カーニー総裁は曲者/黒田さん無責任発言は日銀次期ボード入り無しフラグ?」
2013/02/12「2年カレント0.025%/基金短国買入オファーを減額/麻生発言でヒヤリなど」
2013/02/08「2年カレントの引けが何と0.030%/固定金利オペ3週間物投入/3M新発も0.07%台」
2013/02/07「2年金利がイールドカーブを抉るように金利低下/6MTB入札も0.07%台」
2013/02/06「基金短国買入の金利が流れて足切り金利急低下/白川総裁副総裁と退任時期を合わせる辞任表明」
2013/02/05「基金国債&短国買入の1月末の状況アップデート」
2013/02/04「国債発行計画関連小ネタの補足」
2013/02/01「2年入札が激強で付利思惑時よりも何と利回り低下/固定オペ札割れ続く/岩田規久男先生の怪電波」
2013/01/30「各種雑談/2013年度国債発行計画はこれでもかと色々なテクニックと工夫を駆使しています」
2013/01/29「「物価の安定」に関する関連説明資料が麿イズム全開なのでネタに」
2013/01/28「麿が麿節で講演をしているものの市場がスルーと見事にレイムダックモードに(メモ)」
2013/01/25「為替操作批判を海外から食らう隙を作るのはどうかと/麿は麿会見でした」
2013/01/24「決定会合レビュー続き:早速為替操作とか物価だけ上昇したらとかの話が出るとか早過ぎにも程がある/また変なペーパーが日銀から出ました/付利下げ空振りで買入系オペ金利上昇」
2013/01/23「決定会合:関係各位の希望するワーディングを全部ごった煮にした結果がこれなのでしょうか」
2013/01/22「MPMに希望する事という雑談/茂木経産大臣が世界に恥を発信/浜田先生の電波が酷い件」
2013/01/21「みんなの党の仰天総裁候補リスト/とりあえず紙が出るようですが麻生さんと甘利さんが主導するなら」
2013/01/18「決定会合プレビュー(各施策に関して)/オペ結果などは更に色々織り込む/浜田先生ェ・・・・」
2013/01/17「白井講演は付利下げ示唆せずの筈だが/市場はいろいろ盛り上がる/為替介入発言続く」
2013/01/16「追加緩和報道来たけど本当に必要なのは麿の気合/再び安倍さんブレーンに悪態である」
2013/01/15「オペ金利や短期の市場金利が一気に低下/高橋洋一さんまたも法螺を吹くの巻」
2013/01/11「安倍首相のまたも台無しインタビューが日経に/オペ雑談/決定会合プレビュー雑談補足」
2013/01/10「オペがあちこちでお洒落な事に/安倍さんの小物感は何とかならんのか/決定会合プレビュー雑談」
2013/01/09「今年の基金買入の必要額計算/政策協定関連雑談/馬鹿晒し上げ」
2013/01/08「固定金利オペの崖とか営業毎旬報告とか」
2013/01/04「年末の経済政策に関する甘利さんと麻生さんの発言は安心感があるのですが・・・・」

2013/03/27

○超長期とか短期とかがあばばばばーというメモ

・超長期値動きヒドス

昨日の、というかここの所超長期テラヒドスな展開が続いておりますが、昨日は寄りではフラット→何か知らんがその後いきなりスティープ→その後また盛大にフラット(して先物も高値更新)→前場引けに掛けて失速→後場スティープ、というのは何となく把握した(もっと激しかったような気もしますが)のですが、その間何があったかというと特段無く、まあ一応黒田総裁の衆議院での半期報告で引き続き長い期間の国債買入についての発言があったというのが材料になった事にはなっていますが、たぶんその前からフラットしだしていたと思いますし、大体からして黒田さんの発言自体は従来から黒田さんが主張していた話ですので、それをネタに今さら超長期を買い上げるというのはちょっとワカランチ会長で、単なる後付のような希ガス。

つーことでまあ要するに需給というかちょっと大きめの売買が入るといきなり値段が飛ぶと言う大変に素敵な状況になっておられる、というのが足元の超長期様の状態で大荒れにも程がございます。いやまあ期末要因はあるかもしれないのですが、値動きが荒い→マーケットメーカーのオファービットが開く→さらに値動きが荒くなる→マーケットメーカーの(以下連続)という見事な一種のバンドワゴンのような状態になっていて、これがまあ通常だと値動きが荒くなると投資家の動きが止まって売買が止まるので単独での馬鹿動きが止まりますという風になるのですが、時期的に期末で期末特有の投資家の帳尻成行売買が入るのでバンドワゴンが止まらないんですかねえ、良く判りません><

何せ日中の動きもそーですけど、日本相互証券の引値で見ると月曜には10年-30年が6毛5糸フラットして、昨日は5毛スティープとかもう何だかねという所でございますぞなナンジャソラという所ですが、これじゃあ業者のオファービットも開かざるを得ません罠。


・短期ゾーンもあばばばばー

珍しくこんな所のURLを。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

そこのページにありますように、昨年の10月末から従来日銀が集計公表していた東京レポレートは日証協が集計公表しているのですが、そちらに『東京レポ・レート(一覧)』というのがあるのでそこをクリックすると素敵な物が(リンク先はエクセルになりますのでこちらかの直リンは行いません)ございまして、そこのT+1スタートの翌日物というのを見ますと昨日のレートがいきなり0.03%まで急低下しておりましてあばばばばーとしか申し上げようがない展開。

まー朝から(というか前日の引け後らしいですが)GCの買い(資金運用)意欲がやたら強くて一方で調達側は玉無し芳一となっておりまして当然ながらレートが全力低下となり、期末要因での現物買いとか、債券現先ニーズの拡大とかが背景にあるんでしょうけれども、それにしてもいきなりキターという動きになってあばばばばー状態。

昨日の3か月TB入札落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130326.htm

(3)募入最低価格 99円98銭9厘5毛 (募入最高利回り)(0.0403%)
(4)募入最低価格における案分比率 83.4790%
(5)募入平均価格 99円98銭9厘7毛 (募入平均利回り)(0.0395%)

期末期初の為(TB入札と発行が期末跨ぎを避ける)今回は発行日が木曜(28日)となり、足元のGCレート急低下物無し芳一モードに対する干天の慈雨となった訳ですが、何せ足元物無しを反映して平均は貫録の0.04%割れ(ちなみに先週の3か月は平均0.0417%足切り0.0421%)となったのですが、セカンダリーではショートカバー要因なのか0.03%まで出合った(さすがにその後少し押したみたいですが)とかナンジャソラ状態。

市場推計(というか金融ファクシミリ新聞さんの集計ですが)によりますと所謂不明玉は8000億円弱と通常よりも少なめ(ちなみに前回も1兆ちょっと切る程度)なのですが、良く良く落札分布みると大手証券さん2社合計で2.9兆円ほど落札していて、空振り業者さんがいたのですねという動き。

まーそんな状況ですからして新発TBが供給されるので普通だとGCレートが上昇してもよい筈の木曜スタートのGCレポレートもろくすっぽアガランチ会長となっておりまして、短国の買いなのかGCの買いなのか現先ニーズなのか、というか恐らく全部の合わせ技だと思うのですが、まあいずれにせよおそロシアとしか申し上げようがないあばばばばーな展開になっております。

まー期末になるとキャッシュ潰しニーズが炸裂して短国金利などがヒャッハー状態になるのは良くある話なのですが、今回は前日までは特に物無しという程でも無かったGCが急にヒャッハー状態になってレートが過激に低下というのがひえーという感じではありまして、期末期初の場合何がタチが悪いってTB入札を年度跨ぎで行わない事から新発発行が少々ズレる(まあ見合いの償還もずれてはいますが)ので玉無しヒャッハー状態になるとそれが暫く継続することで、ここへ来てヒャッハーとか恐るべし。


でまあ超長期の方はさておきまして、短期の方なのですが、金利低下するのは金融緩和政策効果とか喜んでいればよいかというとこれがまた微妙な所でありまして、よーは玉無しであばばばばーとかなっているという状況で、金利で解決している分にはまあシャーナイナイで済むのですが、日銀様の買入による絶賛玉吸い上げがあまりにも進展すると当座預金残高30兆円台時代にもありました「国債不足」状態になってしまいまして、それは即ち「優良担保不足」という事になってしまいまして、まあ既に瀕死状態ですけれども資金取引市場が担保制約面から干上がってしまい、何かのストレスに弱い質的な意味での(普段は顕在化しない)引き締まり状態になってしまうリスクが高まりますぞなもしとゆー所で。

まあ昨日てきとーに当座預金残高目標100兆円(でもまあ当預ターゲットやるなら100兆を目指してという話になるでしょあの人たちの事だから)とか申し上げましたが、50兆そこそこのこの状態で既にヒャッハー状態になってしまって本当に当座預金残高を目標のように積めるのでしょうかねえ短い所だけだと無理無理無理なんじゃネーノとまあそういう話になりますなあとか思った昨日のまるで堤防決壊の如き短期市場資金大奔流の巻でございましたとさ。

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2013/03/26

○キプロスェ・・・・・・・・・・

結局ハードランディングな内容で救済することになるとは。

http://www.consilium.europa.eu/homepage/highlights/eurogroup-reaches-an-agreement-with-cyprus?lang=en
Eurogroup reaches an agreement with Cyprus 25/03/2013

『On 25 March the euro area finance ministers reached a political agreement with the Cyprus authorities on the key elements paving the way for the future economic adjustment programme.』

『The aim of the programme is to form the basis for restoring the soundness of Cyprus' public finances and the viability of its financial sector. The programme's financial assistance envelope is estimated at up to 10 billion euro. 』

合意したのは良いのですが・・・・・・

『Conditions relating to the financial sector

Two of Cyprus' largest banks - Laiki and Bank of Cyprus - will undergo restructuring right away.

Laiki will be resolved immediately. This will be done by splitting it into a "good bank" and a "bad bank".

While the bad bank will be run down over time, the good bank will be integrated into Bank of Cyprus. Bank of Cyprus will be recapitalised through a conversion of uninsured deposits (above ユーロ100 000) to equity and with the full contribution of equity shareholders and bondholders.

"I would like to emphasise that none of these measures will affect deposits below 100 000 euro. There should be no doubts about that. We reaffirmed today the importance of fully guaranteeing these deposits in the EU", said Eurogroup President Jeroen Dijsselbloem.』

ということで、これ出てた時は何か知らんが株とか為替とか好感しててユーロ上がったり株が上がったりしていたのですが、国の救済の為という名目でいきなり銀行窓口締めていきなり大口預金カット攻撃とか中々強烈な攻撃でしょうに。

ステートメントはこちら。

http://www.eurozone.europa.eu/newsroom/news/2013/03/eg-statement-cyprus-25-03-13/
Eurogroup Statement on Cyprus 25/03/2013 - Statement

今回の救済条件はAnnexに記載がございます。

『Following the presentation by the Cyprus authorities of their policy plans, which were broadly welcomed by the Eurogroup, the following was agreed:』

『1. Laiki will be resolved immediately - with full contribution of equity shareholders, bond holders and uninsured depositors - based on a decision by the Central Bank of Cyprus, using the newly adopted Bank Resolution Framework.』

Laikiは預金保険を超えた部分の預金が全額カットになりますとな。

『2. Laiki will be split into a good bank and a bad bank. The bad bank will be run down over time.

3. The good bank will be folded into Bank of Cyprus (BoC), using the Bank Resolution Framework, after having heard the Boards of Directors of BoC and Laiki. It will take 9 bn Euros of ELA with it. Only uninsured deposits in BoC will remain frozen until recapitalisation has been effected, and may subsequently be subject to appropriate conditions.』

Bank of CyprusはLaikiのグットバング分を吸収(バットバンクは清算)して、預金保険を超えた部分の預金は当面預金封鎖されるとな。

『4. The Governing Council of the ECB will provide liquidity to the BoC in line with applicable rules.

5. BoC will be recapitalised through a deposit/equity conversion of uninsured deposits with full contribution of equity shareholders and bond holders.』

Bank of Cyprusの株式と債権は全額カット、預金保険を超えた部分の封鎖預金はBank of Cyprusの株式に変換されるとかオソロシスにも程があるんだが。

『6. The conversion will be such that a capital ratio of 9% is secured by the end of the programme.』

とまあそこまで荒療治をしてBank of Cyprusの自己資本比率が9%になるそうな。

『7. All insured depositors in all banks will be fully protected in accordance with the relevant EU legislation.』

預金保険範囲内の預金は全額保護されます。

『8. The programme money (up to 10bn Euros) will not be used to recapitalise Laiki and Bank of Cyprus.』

100億ユーロのEU/IMFからの融資はこれらの銀行への資本注入に使ってはいけません(預金カットの尻抜けになるからということでしょうな)。

『The Eurogroup is convinced that this solution is the best way forward for ensuring the overall viability and stability of the Cyprus financial system and its capability to finance the Cyprus economy.』

・・・・・・・・・と仰っていますが、金融(と観光少々)でメシ食っている国で国内第2位の銀行で預金保険を超過する預金を全額カットして、第1位の銀行では預金保険を超過する預金がいきなり株式に化けてしまうという豪快なプレイを行って「ensuring overall viability and stability of the Cyprus financial system」とか言われましても多分それは違うと思うんですけれども。誰もキプロスの銀行に預金せんじゃろ(小口は除く)と思うのですけれども大丈夫ですかね。


とか思ってたらこんな地雷発言が。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE92O01320130325
キプロス支援策のベイルイン、危機解決モデルに=ユーログループ議長
2013年 03月 26日 04:12 JST

『[ブリュッセル 25日 ロイター] ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は25日、キプロス支援の下での銀行のリストラ計画について、ユーロ圏銀行危機の解決に向けた新たなモデルになるとし、銀行部門を整理する必要のあるその他の国もリストラ実施を迫られる可能性があるとの考えを示した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・・・・orz

『同議長は未明に合意された支援策について、「リスクを低下させる」と評価。銀行が自力で資本を増強できない場合、株主や債券保有者に負担を要請し、必要なら預金保険対象外の預金者にも協力を要請するとの立場を示した。』

んな事言ったもんだから株は下がるわユーロは売られるわで火消し発言がユーログループの広報から出たようですが、これはその国のファイナンスが厳しい場合や、銀行の資本不足の場合などに、いきなり銀行預金カット攻撃が有り得るというこらまたハードクラッシュシナリオキタコレという話で、何なのこいつら金融危機からの教訓どうなってるのという所ではございますが、まあ四の五の言ってる余裕が無いのかも知れませんし、単に小国で欧州の洗濯機状態の特殊国家(なのに何故この国をユーロ通貨に加入させたのかの意味がさっぱりワカランというか当時の責任者出てこいという感じですが)だから気にしていないのかも知れませんが、まあこれで何かあった時に金融危機モード再来になるリスクというのは格段に高まったと言えるでしょうな。


○物は試しに「異次元緩和」を妄想してみる(たたき台^^)

2014年からオープンエンドの国債買入月2兆円を的中した(からと言って何かお得だったかと言われるとまあ困るのだが^^)このあたくしが(お得じゃないので自慢にもならない自慢)ちょっと異次元緩和とやらを妄想してみるのだが細かい計数について深く悩んでいないので計数の所詰めてそのうちリバイスするが先にここまでの想定を公開してみるテスト(^^)。

・たぶんポイントは「量の拡大」と「枠組みの簡素化」

昨日散々引用しました正副総裁就任記者会見(散々引用したので正直疲れたので今日はその反動^^)でございますが、黒田総裁の発言からは「2%目標の達成に向けて積極的に緩和を拡大する」というのと、「金融政策の枠組みを分かりやすくする」というのが伝わってくる訳で、ではその緩和によって何が起きるかというと「イールドカーブ全体を引き下げる」という効果という風になっています。

と考えますとまあ順当に考えれば「長期国債買入拡大」がメインになるというのはまあ誰でも予想できることでここまでは普通に考えられます罠。

一方で「分かりやすくする」の方はどうなんでしょとか考えると、これはもう妄想の世界になってしまいますけれども、あたくしの大予想(大妄想)では「当座預金残高の数値的な目標あるいはメド」と「基金と輪番を合わせた形のオープンエンド型長期国債買入」というセットをメインのメニューとして大々的に打ち出すという形で、メインディッシュは2皿とするっつーのでスッキリさせるとゆー所ではないかと妄想するのですがどうですかね。

でまあサイドメニューがリスク性資産の買入でして、現在のCPとか社債とかETFとかREITの買入に関しては当初の残高目途を達成するように買入を継続しますが、まあこちらはリスク性資産の市場が信用不安であばばばばーとかにならない限りはそんなに拡大しないという風にして、あくまでもオードブルのような扱いにするっちゅう所で。大体からして「量」が稼げないですし、ETFとかREITとかはこれ以上買うと市場規模対比で大丈夫か状態になりますし。

でまあ成長基盤強化の方はまあこれはこれで引っ込めると理念的にアレという事ですのでまあ継続になるんでしょうけれども、何せ市中金利の方がダダ下がり状態なのでニーズがあるのやらと。

んでもって固定金利オペと短国買入については目標残高から外して、当座預金残高目標を早期に達成するための資金供給手段として機動的(と言えば聞こえが良いが要するにガチガチの運用から逃れる)に活用ということで。

・・・・・・とごちゃごちゃ書いてみましたが、出来上がりとしてはこんな感じを妄想。

(1)当座預金残高目標(だかメドだか)100兆円

→まあ岩田副総裁の高級な理論によりますと80兆円でも1年半くらいで2%目標を達成するらしいのですが、念のためヘッジで20兆円積んで置くのと、桁が100兆円とかになると異次元っぽいじゃないですか!

(2)別建て管理としている資産買入基金の枠組みは本体でのオペに統合して、長期国債買入を月額5兆円で当面の間運営する

→オープンエンドの国債買入が月2兆円、輪番オペの国債買入が年間21.6兆円で月割りすると1.8兆円なのでオープンエンド始まったら月に3.8兆円の買入ですのでそれに1兆円おかわりをして月5兆円にすると年間60兆円。新規国債発行額よりも多いですよ(棒)。

でまあリスク性資産の買入は当初の基金による残高目標に向けて購入を継続。固定金利オペと短期国債の買入目標は廃止(固定金利オペそのものを廃止しても良いですが)して、当座預金残高目標の早期達成の為に当初ババーンと買入をするものの、国債買入が増えてくると暫時この量を調整するとか。

(3)いわゆる銀行券ルールに関しては物価目標の達成が見通せる事ができるまでは一時的に撤廃するものの、財政ファイナンスへの懸念を払拭する為に政府の中長期的な財政健全化に向けた取り組みを確認する(できれば政府に何かステートメントでも出してもらう)

などとまあテキトーにここまで考えるのは大した話では無いのですが、一番の問題はこのオープンエンド買入の年限割り振りをどうするのかというのと、出口政策のデザインをどう考えるのかという話(まあ出口に関しては当面とぼけて黙っていても良いのですが、そうは言っても何も考えずに投入するのは後後の事を考えると無責任なので公表するか否かはともかくとしてデザインは考えないといけませんわな)ですぞな。

で、年限割り振りですけれども・・・・・・

現在の形(年間買入額)

輪番オペ
〜1年:7.44兆円
1年〜10年:12兆円
10年〜30年:1.2兆円
変国・物国:0.96兆円
(輪番合計21.6兆円)

オープンエンドになった後の基金
1年〜3年:24兆円(2兆円×12)

でまあ合計45.6兆円になるのをここでどどーんと60兆円にするという事ですが、このまま年限割を継続すると、〜1年〜3年〜10年〜30年という割り振りになってそれは何か微妙に中途半端なので、〜5年〜10年〜30年位にザクザク切ってしまうというのはどうでしょうかねえ(実質的にAPPの買入年限が長期化されたようにみえる)とか思うのですがあまり受けないですかね。

あと、〜1年の部分は短国買入と統合してしまうという手もあるのですが、それをすると月5兆とか買えるのかねという説もあったり無かったりするので微妙。まあ1年〜5年〜10年とかにした方が綺麗な気もしますがそれで年60兆買うと普通に2年で当座預金残高100兆じゃ効かなく行きそうですにゃ。真面目に償還とか計算してないけれども。

で、細かい額についてはちょっと考えてみたものの、買う方に関しては国債発行計画の市中消化額を見ながら何となく適当に割れそうなのですが、バランスシート拡大ペースと平均残存期間の伸び方についてはまだ考えていない、というかさすがにそれは暇じゃないと考えられずそこまであたくしも暇では無いのでこの辺を見ながら考えてちょという所ですな、うんうん。

割り振り変えて中短期の金利を上昇させたら元も子もないので5年以下の配分はそれなりに厚くなる筈で、5年〜10年の所が新発有るのが10年だけになるのでそれほど増やせないという風になるのですが、そうすると見栄えが良くない(中短期偏重に見える)ので、APPの買入年限長期化という「見せ方」にこだわらないのであれば〜10年という形にしても良いのかもしれませんし、逆に〜2年〜10年という形にして、5年と10年の新発債のあるゾーンをどどーんと増やすような絵にした方が「見栄え」が良いかもしれませんね。

超長期に関しては元々月1000億円の所からだいぶ増発されましたので、まあ月3000とかにしても楽勝でしょ・・・・・・・などと書くと超長期ゾーンの投資家さんから苦情が来そうな気がするのでやっぱり具体的な計算は控えましょう(大嘘)。

などと今日はひたすら雑談で恐縮至極。

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2013/03/22

・麻生さんェ・・・・・・・・

ほほう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130321/k10013356431000.html
麻生氏 物価目標2%には一定の時間
3月21日 16時7分

『麻生副総理兼財務大臣は21日の参議院財政金融委員会で、政府と日銀の共同声明に盛り込んだ2%の物価目標について「いきなりそこまでいくのは簡単な話ではない」と述べて、目標の達成には一定の時間がかかるという見方を示しました。』(上記URLより、以下同様)

『この中で、麻生副総理兼財務大臣は、元大学教授で20日に就任した日銀の岩田副総裁が就任前の衆議院議院運営委員会で2%の物価目標を「2年で達成できる」と答弁したことに関連して「学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った」と述べ、否定的な考えを示しました。』

>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った
>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った
>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った

・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

『そのうえで、麻生副総理は「デフレからインフレに戻して、いきなりそこまでいくのは簡単な話ではない。20年続いた一般人の気持ちがインフレに変わるのは、そんなに簡単にはいかないという前提で考えている」と述べ、2%の物価目標の達成には一定の時間がかかるという見方を示しました。』

まあどうなるのやらという所で。

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2013/03/19

何かね、日銀総裁の評価をモーサテのゲスト解説者のどこぞの誰かさんがしているのですが、日銀総裁交代前後の相場パターンで「上昇型」を「一番良い形」とか言いながら「これらの相場は最終的に過剰流動性相場まで突き進んでいます」って最終的に全然良い形じゃねえかテレビに出てきて何を言ってるんだお前は朝三暮四のサルにも劣る馬鹿か今すぐ呼吸を止めろと朝から血圧が急激に上昇したのでテレビショッピングの血圧計をやはり買った方が良いでしょうかねえ。

○これは臨時会合無しフラグですね

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJU1846K510U01.html
雨宮大阪支店長が企画局担当理事に−黒田日銀の「異次元」政策支える
更新日時: 2013/03/19 00:00 JST

昨年大阪支店長に就任した雨宮理事がまたまた企画局担当で戻ってくるという事ですが、雨宮さんの後任が櫛田理事名古屋支店長で、櫛田さんの後任が宮野谷金融機構局長ですので、大阪と名古屋の引き継ぎを考えると普通に考えて来週月曜とかに企画担当に着任とかいう話になると思います。現在の企画担当門間理事も国際担当副統括(明日から統括ですかね)とはまり役に。

いやまあ別に理事が引継ぎ中でも金融政策変更するのは出来るでしょうけれども、キプロス地雷が火を噴いて金融危機世紀末伝説ヒャッハーとかならない限りそこまで急いで臨時会合をやる必要も無いところに来て、そもそも黒田さんも岩田さんも金融政策の技術的な話はずぶの素人と来ている訳ですから、これは臨時会合はございませんよといういい口実が出来て良かったとも言えますな。

でまあ黒田さん岩田さんじゃあ金融政策の技術論が華麗に素人ですので、ちゃんと具体化することのできる人がサポートしないとダメでしょという話になって企画担当の長い雨宮さんが戻るという話になった訳なのでしょうが、「異次元政策」というよりは「亜空間政策」(ナンノコッチャ)が色々と飛び出してきそうですなあという感じがして色々な意味で盛り上がって参りましたという感じではあります(^^)。

いやね、もう2月のミニッツもそうですし、3月の白井さんの謎提案もそうですし、黒田さんや岩田さんのコメントとかも見てますとそうなのですが、この調子だと「何か良く判らんけれどもとりあえず目に付いた政策から順にどういうロジックか判らんけど実行しようじゃないですか」みたいな超カオス状態になるんじゃネーノ(と考えますと木内さんと佐藤さんがそのカオスを収拾できるための存在として重要になる訳ですが)という気がしていて、それはそれでカオス鑑賞としてのお笑いネタになるかと思っていたのですが、まあ日銀的にはカオスを放置プレイという訳にも行かないでしょうという事ですねわかります。

まあしかし何ですな、黒田さん就任してすぐに何かやるって話も妙に盛り上がってはいますが、何か思いついたメニューを手当たり次第にやっていって「異次元緩和」とやるよりは、本当は色々と継ぎ足してダンジョン状態になっている複雑怪奇な現状の包括緩和政策を整理整頓してもうちょっとスッキリとした形にした方が良い訳で、それには少し戦線整理の時間が必要でしょとか思うので、本来は臨時会合をやってどうのこうのとやるよりは、最初から戦線を整理した形で出した方が「異次元」になるようにも思えるので、個人的には下手につぎはぎ拡大政策を打ち込まないで頂きたいと斯様思いますけどどうでしょ。


ということで土曜にこんなのがありましたけどね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130315-00001633-yom-bus_all
日銀、量的緩和復活へ…黒田新体制で転換
読売新聞 3月16日(土)3時0分配信

『日本銀行は、金融政策の路線を転換し、世の中に出回るお金の量を増やすことを目的とする「量的緩和」を7年ぶりに復活させる検討に入った。』(上記URLより)

いやあの今やってる包括緩和って量的緩和と信用緩和のハイブリッドで、直近はそのうち明らかに量的緩和にシフトしているのでして、7年ぶりに復活とか仰っている事の意味がさっぱり判りませんけれども読売新聞頭大丈夫かと思ってしまいますがそれはともかくとして。

まあ異次元言いましても実際に打てる弾って何でしたっけという事を考えますと、岩田副総裁がハーブアルパート&ティファナブラスの「ビタースイートサンバ」をBGMに会見に登場して「わんばんこ、いわきくでおま」とか言い出す(というネタは古いですかそうですか)位しか思いつかない訳ですが、確かに読売新聞が「量的緩和7年ぶり復活」とかそれ中身同じで看板書き換えただけぞなもしというのに簡単に引っ掛かるような状況であるという事を勘案しますと、その手の異次元というかイリュージョン緩和政策が展開されるかもしれませんねあっはっはと何だか俊ちゃん時代を思い出す展開もあるのかねえとか、まあつらつらと色々考えてしまった昨日のひとときではございました。

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2013/03/18

○キプロス預金封鎖で預金カットキタコレ!

http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031601001930.html
キプロス、預金封鎖を開始 口座引き出し凍結
2013/03/16 21:37 【共同通信】

『【ロンドン共同】欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日、全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。ロイター通信などが報じた。』(上記URLより)

ということでECOFINの要求によるものというのがへーという所(すいません最近スルーしていましたので後から知りました)ですが、これってまあEUの錦の御旗で実施という事ですからNY為替はこんな反応みたいですけど。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJP1XI6KLVR601.html
NY外為:ドルが対ユーロ下落、インフレ抑制で緩和継続観測
更新日時: 2013/03/16 06:54 JST

『モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナード氏(ロンドン在勤)は「キプロスのニュースは前向きに受け止められている。それがユーロにある程度の買い安心感を与えている」と述べた。』(上記URLより)

でまあキプロス救済は救済らしいのですけれども。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJQLKB6JIJUP01.html
ユーログループ、100億ユーロのキプロス救済策で合意
更新日時: 2013/03/16 14:14 JST

『3月16日(ブルームバーグ):ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は16日、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ(約1兆2500億円)規模のキプロス救済計画に合意した。』(上記URLより、以下同様)

『ユーログループ議長を務めるダイセルブルーム蘭財務相は会合後に記者団に対し、キプロスが支援を受ける条件として同国は10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税を実施すると説明した。ブリュッセルで15日午後5時(日本時間16日午前1時)に始まった同会合は10時間の討議の末、合意をまとめた。』

ひえええという所ですが。結構な課税だなおい。

『ダイセルブルーム議長は課税について、「キプロスの金融の安定に資することになり、全預金者に貢献を求めることは当然と思われる」と述べ、同国の金融業界が経済規模の5倍に上ることに言及した。』

『キプロスはユーロ圏経済の0.5%未満を占めるにすぎないものの、同国救済問題はイタリアやスペインの波及を阻止して債務危機の収拾を図りたいユーロ圏首脳の決意を試すものだった。ユーロ圏による救済はキプロスで5カ国目。』

ということですが、これって他のユーロ圏の弱い輪にある金融機関に対して取り付けモードになってまたまた域内の金融不均衡とかターゲット2不均衡拡大とかいう話になるんじゃネーノという懸念が物凄い勢いでする訳で、キプロス自体は小さな国ですし、国の構成的にそもそもこの国ユーロ圏に入れるのは兎も角として共通通貨を使わせて良かったのかよというような所(ダイセルブームオランダ財務大臣の指摘する国の金融業界規模をご参照、というのと後にもクリップ置いておく)ではあるのですが、そうは言いましてもユーロ通貨適用国にぶち込んでしまった以上、構成国の銀行預金をいきなりカットする攻撃に出てしまったのはマズーだったんじゃないのかなあとは思うのですけれども本当の本当に大丈夫ですかねえ。

どうもね、リーマンをコカした時もそうなのですが、「ここは特殊例だから」と言ってコカしてしまうというプレイは一度必ず当局者がやってしまう落とし穴みたいなもののようで、なんぼ特殊例と言いましてもそれが波及しないというのは中々難しいものではないかと思う(日本振興銀行のペイオフという事案はありますが・・・・)のでして、本当の本当に大丈夫なのかね、と思ったら直近はこうなっているのか。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJTMIE6TTDSD01.html
ユーロが対ドル、スイス・フランで下落−キプロスの混乱で
更新日時: 2013/03/18 05:06 JST

『3月17日(ブルームバーグ):17日の外為市場でユーロ相場は対ドル、スイス・フランで下落。ユーロ圏財務相会合はキプロス救済計画の一環として、同国の銀行預金への課税で合意した。』(上記URLより)

まあ何がどうなっているのか良く判らんのですが、1997年に散々ヒーヒー言わされましたあたくしと致しましては、本当の本当の本当にこれ波及しねえんだろうな大丈夫だろうなというのはやっぱり不安ではありますが、この事案が三洋証券になるのか日本振興銀行になるのか、後者であって頂きたい訳ですがとりあえずメモだけはしておきます。

ちなみにキプロスちゃんがどういう特殊事例なのかと言えばこの辺でもご参考に。

http://japanese.ruvr.ru/2013_03_17/108161906/
キプロス預金封鎖 ロシア人預金者の損失は約15億ユーロ

『キプロスの銀行口座保有者の半数近くはロシア人と見られているが、その損失額は、およそ15億ユーロになる見込みだ。』(上記URLより)

「あの」アイスランドだってユーロ通貨じゃなかったのに何でこの国ユーロに入れたんですかね。ユーロに入る前からタックスヘイブンとか色々とアレな国というイメージしかないのですが。

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2013/03/15

○ちょっとだけ政策面白観察雑談

政策面白観察というのはいつもの人関連のアレですが、先日の衝撃(あるいは笑劇)の「インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ」「物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善」という浜田大先生の発言にツッコミを入れたら何だか知らんけどあちこちで紹介されたらしくてPVが突如3倍に跳ね上がってこっちの方がビックラこきました訳ですが(^^)。

さてさて、あまり余計な話をしない方が良いのではないでしょうかというかはいはい満州と申しますかな浜田大大先生様でございますが、昨日も自民党の勉強会みたいなので発言をしたのがニュースヘッドラインにならんでいたりしたのですが、出てくるヘッドラインを読んでて前後矛盾してねえかとか思ったのだが残念ながらネット版のベンダーニュースだとその辺があまり無いなあと思ったらこんなのがあったのでURL貼っておきますね。

TRADER'S WEB FX
http://www.traderswebfx.jp/news/default.aspx?newscode=376281&dispmode=list&page=2#newshead
03/15 04:30【発言】14日のこれまでの要人発言
(上記URLですが、どうもニュースフィードのページがずれると読めなくなるので、読めなかった場合はニュース一覧のページを先の方に送って行って3/15の4:30のニュースの部分を見てください)

まあ何だ、こちらだと『「為替水準発言、ルール違反だと怒られた」』(上記URLより、以下同様)と言われているのにもめげずに堂々と『「通貨安戦争などという概念に問題」、「通貨安競争は変動制下ではむしろ望ましい」』と相変わらず飛ばす上に、「1ドル=98円とか100円というのがいいのではないか」』と具体的水準の言及キタコレという所で、なんかもう凄まじくお洒落なのですが、ここまでくるとマジデスカという感じですな。

んでまあブルームバーグから。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJMPME6TTDSN01.html
浜田内閣官房参与:円安のスピード速すぎるという感じはない (1)
更新日時: 2013/03/14 15:03 JST

先ほどのヘッドラインの内容の一部が記事でも確認できますので、どうも浜田先生におかれましては為替水準発言は別にしてもよかろう通貨安誘導は当然という所のようですが、安倍ちゃんの政策ブレーンという触れ込みになっている(英文ニュースヘッドラインだと大体Advisorとか書かれている)上に内閣府参与なんですから、折角内閣の皆さんも日銀もその辺は暗黙状態にして大人の対応モードになっているというのに何というぶち壊しという所ですが、この記事を読んでいて思いっ切り目を引いてしまったのは山本幸三先生関連の部分。

『山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、マネタリーベースがきちんと増えれば、「ドルは98円になるだろうと試算している」と発言。2月のブルームバーグ・ニュースのインタビューで1ドル=95円から100円が適正水準との見方を示している。』(上記URLより)

>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、
>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、
>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、

ほうほう、公式ウェブサイトに海外投資新聞のインタビューですかそうですかほっほー

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2013/03/14

○仰ることは一々ご尤もではあるのですが・・・・・・

残念ながらネットで拾えないのですが、昨日の東京新聞経済面では『「黒田日銀」2識者に聞く』ということで浜田先生と榊原英資さんのコメントが載っていたのですけれども、どうも浜田先生またインタビューアーに釣られてしまっているようで誠に残念。以下3月13日東京新聞朝刊経済面記事より引用します。『』内が東京新聞からの引用になります。実物を見たい方は頑張って探すか、たぶん中日新聞でも掲載されていると思うので(違ってたらすいません)中京地区の人にお願いしてくらはい(^^)。

何せ浜田先生のインタビューの方に書いてある見出しが『円安で景気は回復』と堂々記載されちゃっていまして、背景にはこんな質疑が。(−以下が質問で「」書きになっているのが浜田先生の答えです。「」書き内の()浜田先生の発言の補足を東京新聞の編集サイドが行っている箇所となります)

『−日本経済の回復に一番効くのは、円安につながる金融政策か。』

『「そうだと思う。円安は株価にも一番影響する。為替レートは市場で決まるが、最大のプレーヤーは中央銀行だ。日銀がどれだけのお金の量を出すかが、まず為替レートに影響する。金融緩和はあくまで国内(のデフレ解消が)目的で、円安は副産物と考えれば通貨安戦争の議論も起きない」』

・・・・・・・・その日銀の出す資金量が為替レートに影響というのは少々アレなのですが、まあそれはそれと致しまして「日銀が為替市場最大のプレーヤー」「日銀の行動が為替レートに影響」と言って「円安は日本経済の回復に一番効く」とまで言っておいて「円安は副産物」とか言ってもその理屈は為替誘導ケシカランという海外からの批判者に対してどう見ても通らないでしょと思うのですけれども、これがまたロイターとかブルームバーグの目に留まって英文翻訳されて米国財務省様あたりがムキーとならない事を願いたい物です。


『−円安で輸入品が値上がりしているが、給与は将来上がるのか。』

『「物価が1、2%上がっても正社員はしばらく我慢してほしい。賃上げは本当に業績がいい企業が自社で判断すればいい。企業業績を回復させる方が先。そうすれば(今は)雇われていない人も働くようになり、日本経済のパイが拡大して需要が増え二年ぐらいで賃金は上がるだろう」』

・・・・・・・・・何か既に大政翼賛的に賃上げしろ圧力になっておりますなあというのはさて置きまして、これも全くおっしゃる通りでマイルドインフレにしていた方が名目ベースが下がらないから色々な点で調整をするコストが低い訳ですから浜田先生の仰る事は全くもってその通りではあるのですが、「2年くらいで賃金が上がるまで物価が1、2%上がっても我慢してほしい」という話がデフレ均衡にすっかり慣れきっている日本社会で本当に通じるんですかという話を前から懸念しているのですよ。足元でも何か価格引き上げがあったら毎度毎度のように報道されてしまう(今朝は公共放送ニュースでツナ缶価格引き上げとかやってたぞな→http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130313/k10013182371000.html)ような状況ですし、大体からしてCPIベースで2%の物価上昇となると生活品目の価格ってもっと上昇していて、まあさすがに誤差で済まない額になると思うのですけれども、その状況で「我慢していれば賃金が2年くらいで上昇する」とか言われて我慢が出来るのかという考察が全力で欠如しておられるように見えるのが誠に残念な所です。

いや一昨日の岩菊先生の国会所信聴取でも思ったのですが、デフレ均衡からマイルドインフレ均衡に持って行こうという話はそらまあ普通に考えて反対する人は居ないのでその点では誠に仰る通りではあるのですけれども、「その為にどういう手段を用いてどういう経路によって実行するのか」「実際にその政策を行う際に現実に起きるであろうフリクション(今回だったら海外の為替誘導批判とか物価が実際に上昇した時の政治的問題とかもそうですし、よからぬ均衡とは言え均衡っぽい状況を抜けるとなればそれなりにエネルギーを使うのでその副作用がどうでるのかとか言う問題も含めて)をどう回避あるいは軽減していくか」という話をちゃんと考えていないでしょうなあというのが思いっきり伝わってくるにゃあと一昨日の岩菊先生やこちらでネタにした浜田先生のお話を見て思うのですけどどうでしょうかねえ。

つーことで「おれさまのかんがえたさいきょうのきんゆうせいさく」は結構なのですが、現実問題として実際に政策に落とし込む所での考察どうなってますねんという話なのでございますが、どうもその辺に関する考察を決定的に欠いたまま突っ込んで行こうという流れ(ご参考→http://diamond.jp/articles/-/30804?page=5の一番下の質疑orz)で、いやもう何だかねという所ではございます。

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2013/03/11

○おっしゃることはその通りなのだが今まで浜田先生何ておっしゃってましたっけ?????

金曜のニュースヘッドラインを見ていてさすがに何ぼなんでもという事でツッコんでみる。

日経クイックニュースより
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL080NO_Y3A300C1000000/
浜田氏「インフレ目標未達でも雇用・景気が回復すればいい」
2013/3/8 14:23

『浜田宏一内閣官房参与は8日に大和証券が都内で開いた講演会で「インフレ目標はあくまで次善の策だ」と述べた。「インフレ的な雰囲気を作らなければ(景気が)良くならないので、目標は必要」との認識を示しつつも、「インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ」と述べ、インフレよりも雇用と景気回復の実現が重要との見方を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URLより)

>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ
>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ
>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ

確かにその通りではありますが、それだったらこの前まで日銀が設定していた物価安定の目途1%だって「まずは経済の成長力を高めながら1%を当面の目途にして、経済の成長力が高まったらより高い数値を目指していく」という話だったと思いますが、今までさんざんっぱら日銀というか白川総裁をほとんど人格否定するかの勢いで批判というよりはもはや罵倒しておられたご発言との整合性はどこに逝ったのでございましょうか。

もうちょっと詳しいのがロイターに
http://jp.reuters.com/article/economicIndicatorsAndComments/idJPTK063058320130308
UPDATE1: 物価1.5%で景気回復すれば120点満点=浜田内閣官房参与
2013年 03月 8日 15:29 JST

『[東京 8日 ロイター] 浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)は8日午後、都内で講演し、金融政策で「消費者物価指数が1.5%に上昇し景気が回復すれば120点満点」と述べ、政府・日銀の物価目標である2%の達成よりも景気回復が重要との見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

えー何ですかそれという所ですが、実際にこのようなお話をしたんですかね。ブルームバーグ(何故か詳報がネット版だと取れない)でもそんな記載があったのでそういう話をしたんでしょう。

『安倍政権の進める経済政策「アベノミクス」は急激な物価上昇を招きかねないとの懸念もあるが、浜田氏は「誰もインフレが好きではないが、インフレ的な雰囲気を作らないと景気はよくならない」と指摘。「物価目標は次善の策。物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善」と述べ、機械的に2%の物価目標を目指す必要はないとの見方をにじませた。』

>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善

・・・・・・・浜田先生およびその周囲の皆様におかれましては、そういうロジックを今まで全力で罵倒していたとしか記憶がございませんが、もしかしてワタクシは木曜の夜のうちにパラレルワールドに急に飛ばされて来たんでしょうか????インフレ目標をグローバルスタンダードの2年で必達させて達成しない場合は日銀が明確な責任を取るべしとかいう話を今までしていたのって皆様じゃなかったでしたっけ???????

つーか雇用回復というのが実際問題として何を意味しているのか存じませんが、ジャパンの場合は失業率という数値水準そのものは他の先進国対比既に低く、問題になるのは最近佐藤審議委員や木内審議委員も指摘している「日本版フィリップスカーブ」で示される名目賃金の下方トレンドというかアガランチ会長状態の方であると思いますが、まさか「アベノミクスによって低水準の失業率が達成されている(キリッ)」とか言い出すんじゃないでしょうねえというのは兎も角として、物価目標を2年で達成だのデフレ脱却には数か月だの散々仰せだったのはあれは単に今の日銀執行部を政治的に叩きたいから方便として出した理屈だったんでしょうかと小一時間問い詰めたくなりますが如何でございましょうか。

『雇用については「景気回復の初期の段階では実質賃金が下落するが、新規雇用などが増え、じきにアベノミクスの御利益がある」と述べた。』

>アベノミクスの御利益がある

しゅ、しゅうきょうですかと苦笑してしまいましたが、他のベンダーでもこの「御利益」っての出ていたようですので本当にご発言されたんでしょうなあ(苦笑)。


さて、以前もネタにしたので今さらではございますが、ツッコミのお作法として過去のご発言というのを出して置く必要がございますので再掲致しましょう、ということで再掲できるという事はこのあたくし、パラレルワールドに飛ばされてジアザワールドに逝っている訳では無いというのが確認出来て誠に結構な事ではございますと(^^)。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

『12月5日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人である米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(76)は4日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、来年4月に任期満了を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

ほほう。

『浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩める
べきではないと主張。』

>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張
>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張
>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張

『さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。』

>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない


『浜田氏は白川総裁の実績について、デフレ脱却を実現できなかったとして「A〜C」の評価で最低の「C」とした。』

とのことですが、「物価上昇無き景気回復」でしたらこれまでも何度も示現していると思うのですけれども、これまでは散々っぱら日銀をケチョンケチョンに言っておきながら皆様ご主張の政策をいざ実施しようという話になったら実施する前から早速話が違うじゃないですかとは、まあ人には鬼のように厳しく身内には大甘にも程があるダブルスタンダードでありまして、経済政策のまともな論議とは思えないです罠というお話ではございます。

まあ何ですな、これ経済政策論議だと思うからこういうツッコミをする訳でして、権力闘争であってとにかく相手を引き摺り下ろすためには何でもやりますみたいな動きとして行われていたものであって、経済政策論議というのは体裁を整える為の見せかけでしたという事なんでしょうと思えばまあそういう事ですかとは思いますけれども、東大の教授やらイェール大学の教授やらを歴任して権威という事になっておられる浜田先生がそのような行為に手を染めているようにしか見えないというのは誠に遺憾の極みに存じますとしか申し上げようがございません。

と、罵倒成分を下げてツッコんでみましたけれども(^^)、に不肖このあたくし実際問題としてはこのヘッドラインを見た瞬間にトサカに来てコケコッコー状態であったのは言うまでもありませんが、土日を挟むと便利な事にコケコッコー成分が蒸発するという大変に能天気な仕様になっておりますので、とりあえずまあこんな所ではございますかねえ、まずは白川さんに謝罪しろよと思いますけど。

しかし何ぼ偉い先生かも知らんが、幾らなんでもこれは(以下全力罵倒文言になりそうなので割愛)と思いますし、大体からして従来から「強制力のあるインフレ目標を設定せよ」「2%必達」とかいうのに乗ってた皆様におかれましては盛大に梯子外されてどうなんでしょうねえと思います、つーかたぶん安倍ちゃんはまだ2%の物価目標は必達でそれが達成できれば世の中バラ色だと思って居そうですし、2年で達成させるというのも恐らく引き続き思っているんじゃ無いかとゆー気がするんですが、肝心の安倍ちゃんがこの辺の発言トーンの全面的な後退というか従来の日銀とどこがどう違うのかという内容に気がついたらどういう事になるんでしょうかねえとは思いますが、舌先三寸で言いくるめるんすかねえ(^^)。

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2013/03/07

なお、当該過去ログは取消線方式で訂正しておりますのでよろしくお願いいたします。

・訂正その1:良く考えたら俊ちゃんの一発目は「なんちゃって緩和みたいなもの」でしたという話

人間記憶というのは恐ろしい物で、月曜日に臨時会合の例として俊ちゃんの話をしたのですけれども、「あれ違くね?」とツッコミを頂戴して公表ドキュメントを見て大汗をかいた上に当時書いた駄文(というかメモですが、この時期の書き物はサイトにはアップしておりませんです)を読んだら勝手に記憶が改変されていた事に気が付くのでしたorzorzorz

ということで月曜の当該駄文を再掲。

(以下月曜の駄文より)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030325.htm/
本日の金融政策決定会合について
2003年 3月25日 日本銀行

『1.わが国の景気は、海外経済や株価、不良債権処理の動向など、先行き不透明感が強い中で、国内最終需要に明確な回復の動きがみられず、横這いの動きを続けている。

2.こうした状況のもとで、今般、イラクに対する武力行使が開始された。日本銀行としては、今回の事態が株式市場や為替市場などを通じて経済全体にどのような影響を及ぼしていくか注視するとともに、潤沢な流動性の供給などを通じて、金融市場の安定確保に万全を期す方針である(別添参照)。こうした方針のもと、補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。

3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』

ちなみに別添というのが当座預金残高目標の引き上げだったのですが、20日に就任して早々にこんなの実施されたのでひょえーと思いましたが、良く良く見ますとそれまでの速水総裁時代には当座預金残高目標の引き上げに輪番の拡大がセットだったのが外れて、その後も俊ちゃんは意味の判らないネタで当座預金残高目標を引き上げつつ輪番は増やさない、という事を実施していたのがチャーミング。

(ここまで引用終了)

えーっとですね、3月の元々予定されていた決定会合の公表文と比較すれば判るのですが・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030305.htm/
当面の金融政策運営について
2003年 3月 5日
日本銀行

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

 3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17〜22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、必要に応じ、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。』

ということで、3月5日の当座預金残高目標と25日の目標は同様、つまり当座預金残高目標の引き上げは実施されておらず、実際にこの時に行われたのは前の方の引用部分の2番にありますように「ロンバート貸付の公定歩合貸付の適用期間を全ての期間とする」というものでありました。

ちなみにこの措置はこの回が初めてではなく、2002年2月決定会合において3月積み期間(つまり3月期末)において全営業日でのロンバート貸出利用を可能にした(従来は積み期間中に5営業日のみ公定歩合適用で、それを超過すると+2.0%のペナルティ金利が適用されるという設定になっていました。詳しくはこの辺をご確認ください→http://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_a/index.htm/)事があったのですけれども、これを復活させて『補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。』(2003年3月25日会合声明文)という形になりましたというのが行われた措置です。

更に『3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』(2003年3月25日会合声明文)というのがまあ「追加緩和しますよ」的なニュアンスを醸し出している文言ですので、この時は「追加緩和」ではないけれども「緩和のようなもの」を実施したというのが正解でしたので謹んでお詫びして訂正致しますが、常盤橋公園で首から下を埋まるのはご勘弁ということで何卒伏してよろしくお願い申し上げます(−−;)

でまあ当時のメモを見たら、この時の臨時会合についてあたしゃ「必然性があるとすれば、「やった振り」というエクスキューズ。あるいは「柔軟な日銀」のアピールですか。」などと書いてあったりしまして(2003年3月26日の朝に書いていたのですが先程申し上げましたようにサイト未掲載です)していましたが、何でそんな悪態メモになっているのかと申しますと、同じメモで「さて、リップサービスなのか実際にやった時のインパクトを探るアドバルーンなのか今の所不明ですが、昨日の総裁会見では「国債買切を軸にオペ手段の多様化を検討」「株式指数連動型投信や不動産投信の購入の可能性は排除しない」「日銀のバランスシートは確かに大きくなっている」と、所謂非伝統的政策に踏み込むのか踏み込まないのか曖昧な発言で、債券市場にも株式市場にも配慮している所を窺わせてくれました。」(これまた2003年3月26日にあたくしが書いた俺様メモでサイト未掲載物件です)ってございまして、この時は「わざわざ臨時政策決定会合を開催して大した事はしなかったのですが、会見でやたらアピールをしたいた」ので、それは臭い芝居だろとか悪態をついていたというのが事実でした。

#量的緩和も大概に非伝統的政策なのですが、当時のアタクシはその辺の勉強(と知性と品性)が足りていなかったので、いわゆる非伝統的資産購入のようなものを非伝統的政策といって居たのではないかと思われます

・・・・・・・でまあ別に負け惜しみで言う訳では無いのですが、いつの間にかこうやって記憶が改変されてしまうのっていうのは、よーするにこの時の俊ちゃんの狸会見の記憶がどこかに残っていたり、その後もやれSARSだりそな銀行公的資金注入だと、追加緩和を突っ込む時の声明文にメインでは無いのですが、今にして思えば(というか当時も)ナンジャソラという理由の文言を突っ込んでいた訳で、まあそんなナンジャソラ追加緩和を実施した事のインパクトの方が大きかった為に、「臨時会合」という記憶と前後の俊ちゃんの芝居気たっぷりの緩和パフォーマンスの記憶によってそういう印象になってしまったという事であります。

んでもってね、そんな事から考えますと「印象」というのはこれまた大事だなと思うのでありまして、当時は俊ちゃんの緩和芝居について芝居だの何だの悪態をついていた訳ですが、結局印象として残るのは「福井総裁は就任してから積極緩和姿勢を見せた」という事になる訳でございまして、やはり期待に働きかけるという成分が強くならざるを得ない非伝統的金融政策においては、俊ちゃん的ハッタリというか見せ方というのが重要である、というのがポイントとしてあるんでしょうなあと改めて思ったりした昨日のひとときでした。

でまあそのハッタリによる金融政策効果の拡大というのを、恐らく俊ちゃんの例を見ながら活かしているのが逆さ絵おじさんだったりドラギの大爆笑先生だったり、つーかまあ逆さ絵先生の場合はそもそもお前出口何も考えてないだろという無茶振りな突っ込み方をしているので、「びりーぶみー」と言って抜かずの宝刀をどどーんと目の前に持ち出してきて本当に抜かずの宝刀のまま推移させているドラギの大爆笑先生の方が俊ちゃんの忍者ハッタリ君スキルを跡目相続していると思われますが、まあその辺の皆様がハッタリの重要性を理解して利用している中で、当時のハッタリ芝居に対してそのインチキを排除して真実一路でマッコウクジラ勝負に出て実は弾の無駄遣いになってしまっているのではないかと極めて残念なのが麿大先生である、とまあそう考えたりしますと色々と味わいの深い物があるなあとも思うのでした。



・ブレイナード財務次官キタコレ(ニュースクリップ)

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT834409120130305
新興国の管理為替相場、近隣窮乏化につながる恐れ=ブレイナード米財務次官
2013年 03月 6日 01:02 JST

ほうほう新興国ですかそうですか、と思って良く良く記事の本文を読んでみますと残念な記述がございました。

『20カ国・地域(G20)に、経済の競争力を高めるために為替相場を目標としないとするコミットメントの順守を求めた。財務次官は、日米欧7カ国(G7)声明で、各国の金融政策が国内目標を目指し、為替相場を目標としないことを再確認した点にも触れた。』(上記URLより)

おーのーと言った所ですが、この辺の通貨外交はどういう仕切りでやっていたんでちゅかねえというのが極めて気になる所ではございまする。

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2013/03/06

○とりあえず市場備忘メモ

やたら禿しく動いたので備忘メモ。振り回されてしまった方におかれましては誠にお疲れ様でしたというかご愁傷様でしたというか・・・・・・・・(-_-メ)

昨日は朝から前日の流れを引き継いで盛大にブルフラットをしまして、とにかく先物が大して上がっていなかった、というかちょっとマイナスだった9時位でもドンドン超長期が強くなるとか豪快な相場になりまして日本相互証券さんベースの高値は10年0.585%(-2.0)、20年1.450%(-4.5)、30年1.625%(-5.0)とまあ超長期フラットニングでござるの巻。先物の高値は145.38で6銭高ですから1毛強だったんですけど5年って大体引けより弱かった希ガス。

ただまあ前場途中からやや押し込みまして、10年ゾーン1甘水準、先物12銭安の145.20の水準、ただし超長期は前日比強いという素敵なカーブ形状で10年入札を迎えまして、落札結果が市場予想から1毛ほど流れたので今度は先物スココーンと下げ(15銭位)。最初は下げ止まったような感じもしたのですが、その後長い所とか弱くなって引け際に超長期がもう一発売られて引けは20年30年5.5甘とか中々華麗な展開となりました。

という感じだったっすかねえ。まあとりあえず何が何だか良くワカランチ会長でしたが、寄りの買いと後場の売りは何だったんでしょうかねえ。

・・・・・・・・一方、この間に6か月TB入札がありまして、幾らで掴まされることになるのやらと思っておりましたら落札結果は0.0458%/0.0478%の厚め按分ということで、連日のオペ金利低下で前日には輪番の出来上がりゼロ攻撃とかあばばばばーにも程がある勢いで推移していましたので、その勢いよりはマシな結果という感じですが、ただまあ冷静に考えると0.05%割れってナンジャラホイという結果ではあるのですがシャーナイナイ。

そしてこの間長期とか超長期の金利がどっひゃーという動きをする中で貫録のウゴカンチ会長となっておりまして(当たり前ですが)短国市場では0.05%割れの水準での気配で延々と推移するという安定感でありました(^^)。

というメモではございましたが、いやもう何が何だかワカランチ会長なのでとりあえずメモだけしておきますと言う感じですけど、盛り上がって参りますと相場が暴れるときもありますなという所なんですかね、よー知らんけど。

でね、10年入札でコケたので超長期62回の連想が起きるというのもあるかもしれませんけれども、超長期62回の時というのは(その前のクーポン推移をみれば判りますが)ブルフラット相場をその前にどどーんとやって何かもうそれが定着してすっかり現状がノーマルという感じになって、そのまま普通の気分のまま普通にに入札して落札結果も値段だけ見ると普通だったのだけれども投資家が全員引いていたという結果でして、昨日のようにお祭りワッショイ状態で入札に突入して不明玉もそこそこというのともちと違う希ガスでありまするというメモだけ置いておきます。

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2013/03/05

今朝のモーサテでは昨日のヨイショ記事にも程ある日経1面の話(主要国の期待インフレ率が上昇して云々という話だがBEIに消費税が含まれている事をどうも知らないようでして、何とか証券調査センターとか言ってたような気がしましたが消費税の話を無視してBEIの推移を説明すると誤認勧誘の恐れがありますのでご注意ください)と昨日の規久男先生の落語を見事にパクったようなマネタリーベースの話(MBが増えるから資産価格上昇はいいのだがMBの増加なら昨日今日に始まった話では無いのだが)ABE期待(=アセットバブルエコノミー期待だとよ)というコメントをしている大変に見苦しい方がおいでで朝から実に血圧の上昇する事でありますのでやはりあの番組のスポンサー様の通販で血圧計でも買った方が良いでしょうか????

○さあ盛り上がって参りました!

昨日の債券市場ですけれども、朝方からは早速ブルフラットした後うだうだしておりましたが、皆様ご案内のように下のメモのように黒田さんの所信聴取があったのですが、長い所の国債を買うという話をしていたという辺りがヘッドラインで出た所からまた金利低下。正直長い所の国債買いの話は普通に出てくる話だと思ったのでそんなに反応するネタかいなとは思いましたがまあやや買われたぞなもしとゆーところですし、大体からして質疑応答が流れ出した辺りから為替は円高に振れていた(つーても30銭位ですが)ように見えまして、まあ予想通りの内容という所だったんじゃネーノと思いましたけどどうなんでしょうかね。

んでもって昼に輪番の結果が出まして、これがまた足元の短期ゾーンの玉無し芳一状態を反映して残存1年未満の買入の方で足切りが盛大に流れて按分7毛5糸強(平均は4毛1糸強)となった事から、これは期近物を入れても出来上がり金利が1bp以下になるじゃあーりませんかという事でウッヒョーとなって後場は一段高へ。いやあのその輪番結果短期ゾーンじゃんとか思いましたが、まあ切っ掛けというのは恐ろしい物でありまして更にワッショイ相場となったあと、もはや何が何だかワカランチ会長ですが引けに掛けて超長期のフラットニングが更に来まして昨日の日本相互証券さんの引け利回りはたぶんこんな数字の筈(レートは単利)。備忘用に残して置く。

2年326回:0.040%(-0.5)
5年108回:0.095%(-2.0)
10年306回:0.295%(-2.5)
10年327回:0.605%(-5.0)
20年142回:1.490%(-8.0)
30年37回:1.675%(-9.0)
40年5回:1.810%(-10.0)

5年は0.10%を割るわチーペストは単利0.3%を切るわ超長期は爆発するわと誠にアレな展開になりまして、足元の短期債物無し芳一状態を反映してGCレートは下がるわTBは0.05%割れがビットになるわとさあ盛り上がって参りましたという風情になっておりまして大変にアレでございます。


○輪番キタコレ

ということでオペのメモはこちらに。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130304.htm
国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2013年3月6日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2013年3月6日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年3月6日 2013年3月27日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130304.htm
国債買入(残存期間1年以下) 6,424 3,104 -0.075 -0.041 18.0
国債買入(残存期間1年超10年以下) 6,249 2,505 -0.004 -0.001 17.8
共通担保資金供給(資産買入等基金)(3月6日スタート分) 9,150 8,006 87.5

・・・・・・・・・・おーのー!

まあ何ですな、先月の前半に基金短国買入やったらレートが急低下してその後前月末に入札があって不明玉だらけだった2年カレントがショートスクイーズ祭りになった訳ですが、今回の場合はその2月前半に金利があまりにも低下しすぎるのを警戒したのか何だか知りませんが買入系のオペをスキップしまして、そのツケが回ってきて先週は基金短国買入を3発実施してその買入金利が0.068/0.065→0.061/0.055→0.051/0.050と順調に低下した(オファー額はそれぞれ1兆、5000億、1兆)ように何か知らんが投資家買いもある中で日銀も玉を吸い上げてしまって昨日の結果と。

つーことで何か最近は日銀のオペのタイミングが丁度良く相場に燃料投下してみたり、先般は5年国債入札の日の前場にMPM議事要旨が出て基金買入の銘柄5年まで延長見解が出たりして相場を煽ってみたりと、何というかもう狙っている訳では無いのに日銀が相場の煽りに手を貸す格好になっているのが間が悪いっつーかなんっつーかという感じで実に味わいの深いものを感じますです、はい。

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2013/03/04

○異次元緩和メニュー雑考

異次元緩和とか言いましてもここから何をするんでしょというのを鼻毛を抜きつつ考えてもなにせ不肖この愚昧なあたくしと致しましては異次元脳が設定されておりませんのでイマイチ考えられないのですが。

・やる気を見せる為に早速臨時会合という手はあるにはあるのですけれども・・・・・・・・

俊ちゃんの場合は着任早々にイラク攻撃を理由に臨時会合を行ったのですが、しかし今読んでもこの追加緩和の理由がエクストリーム過ぎて

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030325.htm/
本日の金融政策決定会合について
2003年 3月25日 日本銀行

『1.わが国の景気は、海外経済や株価、不良債権処理の動向など、先行き不透明感が強い中で、国内最終需要に明確な回復の動きがみられず、横這いの動きを続けている。

2.こうした状況のもとで、今般、イラクに対する武力行使が開始された。日本銀行としては、今回の事態が株式市場や為替市場などを通じて経済全体にどのような影響を及ぼしていくか注視するとともに、潤沢な流動性の供給などを通じて、金融市場の安定確保に万全を期す方針である(別添参照)。こうした方針のもと、補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。

3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』

ちなみに別添というのが当座預金残高目標の引き上げだったのですが、20日に就任して早々にこんなの実施されたのでひょえーと思いましたが、(3/7追記:この記述は思いっ切り間違いで、当座預金残高は現状維持で、ロンバート貸出の適用日数延長と「追加緩和方法の検討の議長指示」でした。謹んで訂正いたします。また訂正記事を投入しました。)良く良く見ますとそれまでの速水総裁時代には当座預金残高目標の引き上げに輪番の拡大がセットだったのが外れて、その後も俊ちゃんは意味の判らないネタで当座預金残高目標を引き上げつつ輪番は増やさない、という事を実施していたのがチャーミング。

話はそれますが、速水さんも頑固ジジイだった事から麿と後任の関係がこうなって次の人は「気合は見せるけど実際には大したことをしない」攻撃になるとそれはそれで味わいがあるのですが、何せ今回の場合は俊ちゃんと違いまして後任のうち2名は従来の日銀の政策をケチョンケチョンにけなしておりまして(うち1名はその筋の方もビックリという言いがかりや中田カウス師匠もビックリの脅迫政策提言をされておられたような気がするのですが)、その人たちが着任した途端に急にトーンダウンとかしたら全力で悪態をつくべく手ぐすね引いているのですけれども、まあそうもいかんでしょうなあと思います。

でですな、臨時会合やって気合を見せるのは良いのですが、それで急に全然違う話が打ち込まれる、というのはさすがに話に無理があると思う訳でして、実際にフィージビリティー的に無理無理無理とか、そもそも枠組みを全面変更とかするのは厳しいでしょうと思いますので、まあ下手に頑張ろうとして臨時会合とかやったら却ってクレクレモードの株式や為替市場をガックリさせて出オチ状態になるのではないかと思いますがやるかも知れませんので別に無いと自信を持って言う気は無いです。


・思いつくメニューその1:オープンエンドの前倒し実施とか12月の残高目標前倒し

とは言いましてもしょうがないので異次元緩和とやらのメニュー(まあどうせ異次元をやるなら就任記者会見で黒ちゃんがボンテージファッションで鞭をもって登場して菊ちゃんが白ブリーフ一丁で現れて以下食事中の方もいるでしょうから自主規制という位の異次元をして欲しいですけれども)を考えますと、まず最初に思いつくのがこれ。

いやそれやってだから何ですねんというか、そもそもそんなハイペースを先にやって市場があばばばばーになるんじゃネーノとかいう気もしますが、いきなり何かやれと言われて最初に思いつくのがこれなのですが、ただまあこれをやると12月末の残高目標にコミットしていたのがコミットしないことになってしまいますので(残高目標を手前に倒せば一応コミットにはなるんでしょうが、オープンエンドだけ実施して残高目標を外すと12月末の残高目標を達成できるのかが微妙になる)、例えば9月末までの残高目標に変更(中間は気にしない)してその後オープンエンドとかですかねえ、良く判らないですけれども。


・思いつくメニューその2:コミットメント文言の変更

現在のコミットメント文言に関しては「適切な時期まで緩和を継続」となっていまして、それに対して宮尾審議委員が「2%達成を見通せるまで」緩和を継続という提案をして却下されているという展開が続いておりますが、まあここを宮尾審議委員の提案通りに通すという話ですかねえという所です。

ただまあ従来この提案1対8で否決されている訳でして、正副総裁全員が転向しても残念ながら4対5で否決されてしまいますが、従来反対していた人が賛成に回った場合は何で賛成するのかを小一時間問い詰めさせて頂く所存ですのでよろしくお願いい申し上げます(^^)。


・思いつくけどこれはねえ:基金買入の拡大とか年限延長とか

まあ拡大の方は展望レポートと同時に出すのであれば中長期的な物価見通しガーという話になるのですが、しかし単に拡大ですと何か異次元的な感じが全然しないですし、大体からして買入大丈夫かという気も。

でもって年限延長に関してはさすがにどういうロジックでやるのかという話を考えた場合に直ぐに臨時会合やってホイホイ決定できるようなもんじゃないような希ガス。


・思いつくけれどもこれをやったら全力で爆笑:当座預金残高目標に変更

何せ中田カウス岩田規久男先生におかれましては「当座預金残高が80兆円程度になればインフレ目標2%が達成」との事でございますので、この際もう色々と細かいこたあ気にしないで当座預金残高目標に切り替えてしまうという話題はあったりなかったり。

しかしですよ、もしこれを実施したらそもそも101兆円の基金残高達成した時よりに想定される当座預金残高よりも低い数字になるという点が実にこう大爆笑にも程がある訳でして、(時期を前倒しするという意味はまああるけど)見事なまでに緩和後退になってしまうので、お前らの今までの批判は何だったんだ今すぐマリアナ海溝ドラム缶クルーズツアーにでも逝ってきやがれという話になるのですけどね。

つーかさ、中央銀行のバランスシート政策は負債サイド(リザーブの残高)に注目するのではなく、資産サイド(どのような資産を資産サイドに置くのか)ですよねというのが最近のバランスシートポリシーの流れですし、まあ米国なんぞは明らかにそのバランスシート政策よりも時間軸のタイムコミットメントの方に重点を移しているので3周回遅れ位の話になるのでそういう意味でも爆笑ネタではありますがさてどうなる事やら。


まあ他に買う資産をクレジット物とかエクイティにするとかはあるけど、何せ金曜の社債買入オペが札割れ攻撃になってしまったくらいですからねえ・・・・・・・・・・・・

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2013/03/01

○マクラの積りで書いたら長くなりすぎたのでニュース雑談ということで

・物価が上がる前からインフレフォビア報道しかもお前らリフレ政策煽ってただろうに・・・・・・

えーっと、社説で散々金融緩和やれだのインフレ目標やれだの言ってた新聞が何で円安物価上昇で家計直撃という見出しで煽り記事入れるんでちゅかねえ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013022802000120.html
【経済】円安 家計を直撃 輸入価格上昇、4月から 2013年2月28日 朝刊

『電力会社と都市ガス会社が四月の料金を引き上げる。農林水産省は小麦の売り渡し価格を引き上げる。円安で輸入物価が上がっているのが大きな要因。安倍政権の金融大幅緩和方針を受けた円安で輸出企業の収益は改善しているが、家計にはマイナスの効果が顕著になってきた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・えーっと貴紙が社説で散々やれやれ言ってた政策の本質はそういうことなのですから当然の帰結であって「家計は暫く我慢していると景気回復の恩恵が回ってくるのでちょっとだけ我慢していればいいんですよ!!」って記事を書くべきじゃないでしょうかもしかして貴紙は会社ぐるみで思考能力の欠如した馬鹿でいらっしゃいますかとお問い合わせをしたくなるレベル。

つーかですね、まだ物価が上がっても居なくて、これで物価上昇してもCPI2%上昇は遥か彼方の世界であるというのに、この程度で一々メディアが騒いでいるのに2%の物価上昇目標って政治的な意味で達成できるんでしょうかねえと思う訳でありまして、日銀ガーとか言う前にこのメディアが煽るインフレフォビアの方を何とかする方が先決じゃないでしょうかねえ。

まあ昔から金融緩和にブーブー言ってた全国紙とかが物価上昇で庶民の生活ガーとかいうのはまあシャーナイナイなのですが、論説副主幹とやらがリフレ一派の皆様とつるんで日銀ガー物価目標ガーとか仰せになっていた新聞がこの有様というのがもうアホかと馬鹿かという所ではございますなあという事で。


・安倍ちゃんこの辺の発言が相変わらず脇が甘いんですけど・・・・・・

最近の安倍ちゃんって自分の発言で市場が動いたのにご機嫌なのと、最近円安が止まったのがあまり気分宜しくないのかどうか知らんけど、昨日もまたこんな燃料を投下しようとしてますな。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK062382120130228
UPDATE2: 日銀外債購入、麻生財務相「現状では断固回避を」・安倍首相「緩和手段の1つ」
2013年 02月 28日 12:59 JST

・・・・・・・・えーっとですから「海外市場において危機が発生した場合に逃避資金が過剰に日本に流入しても困りますので、海外市場の危機対策としての外債購入というのを作っておくのも検討に値しますなあ」というような趣旨で話をすれば海外も文句のつけようがないのですけれども、「緩和手段の1つ」と言って外債購入の話をしたら為替操作と批判される隙を与える訳でありまして、その辺を海外通貨当局と握っていないうちに話を出したら潰されるだけの話で海外から批判を食らうだけなんですけどねえ。


しかしまあ何ですな、安倍ちゃんの煽り攻撃でついに「異次元緩和」とか市場の期待に振り回されてどんどんハードル上げて大丈夫なんでしょうかと思いますが。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130228-00000034-bloom_st-nb
「黒田日銀総裁」案を国会提示、日本政府−安倍首相の異次元緩和を推進
Bloomberg 2013/2/28 11:09

まあ記事の内容はどうでも良いのですが、「異次元緩和」ということですから、つまり従来の「金利」とか「資金供給量」とか「リスク資産購入」とかそのようなディメンジョンの上を逝く緩和という事なんでしょうか最早良く判らんですな。

#最初ふと思い出したのが「亜空間殺法」ですが、まああれも「流れを変える為に動く」ということだからそれよりも大事なのはどう動くかという話ですねとか妙に納得(違)してしまいましたが亜空間殺法が何の事だか判らない人はぐぐる先生にでも聞いてくらはい^^;

何か大胆だの従来にないだのとか言っているうちにヘッドラインに堂々の異次元緩和(まあその前にも「次元の違う」という話はあったけどさ)ということで、始まる前からドンドンハードルが上がって大丈夫かという風に思いますが、しまいに会見で正副総裁が六尺褌で現れて(書いた本人が眩暈がしてきたので自主規制^^)を開催する位の異次元金融政策(違)でも実施しないと収まりが付かなくなるんじゃネーノと甚だ不安になる今日この頃でございます。

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2013/02/28

○日銀正副総裁人事関連で色々とニュースやコメントを拾って保存しておきましょう(^^)

・昨日の続きで岩田規久男先生ェ・・・・・・・・

もと切込隊長のやまもといちろうさんがこんなエントリーを投入されておりましたが、良く見ると記事へのリンクが掲載先の「海外投資新聞」じゃなくてウェブ魚拓になっている所に素敵な芸風を感じます(^^)。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/02/post-15ba.html
【祝】日銀副総裁候補・岩田規久男・学習院大教授がアブラハム「海外投資新聞」に登場

でまあこちらはこちらで鑑賞して頂くとして、アブラハム・グループさんご提供の海外投資新聞さんの記事は昨日もご紹介しましたがこちら。

http://media.yucasee.jp/offshore-news/posts/index/241?la=0005(直リン自主規制)
学習院大学岩田規久男教授直撃インタビュー
インフレ率2%は来年半ばに達成可能=学習院大学岩田規久男教授
2013.1.30

読めば読むほどクラクラしてくるので不肖このあたくし脳ドックにでも逝った方が良いのではないかと思ってしまう位のツッコミどころ多彩のインタビュー記事でございまして、いやこの認識で日銀副総裁ねえとか思うのですが、総裁と副総裁を入れ替えるべきだとおっしゃる方もおいでのようで世の中どうなってるんでしょうねえと呆れる今日この頃でございます。

ということで以下先ほどの海外投資新聞さんの岩田教授インタビューから引用しつつ少々ツッコミをしようかと存じますが、必ずしも全部のツッコミどころをツッコんでいる訳では無いので念の為申し添えます。

最初のインフレになるメカニズムの話もお前は何を言ってるんだという感じですが、一番素晴らしいのはこの辺りの話。

『――日銀は具体的にどんな政策をとるべきですか? 』

『前回の日銀の政策決定をみると、実際にはほとんどベースマネーは増えない。』

ほうほうそうですか。

『インフレ率を2%にするためには、日銀当座預金を昨年末の約40兆円の倍、70〜80兆円にすべきだ。 今の日銀の当座預金の増やし方のペースをみると、インフレ率が2%になるには早くても3年程度かかる。予想インフレ率と当座預金との関係には時期によって違いがあるので推測には幅があるが、今のペースでは遅ければ5年程度かかるだろう。』

・・・・・・・・・・・どうも良く判らないのですが、今の基金オペの残高が目標通りに積みあがると何処からどう考えましても年末の101兆円目標達成時点で日銀当座預金残高は80兆円は楽勝で到達する筈なのですけれども(佐藤審議委員が先日群馬で講演した時は90兆円〜100兆円に達するかもという話ですし、銀行券と財政要因中立と言う超イイカゲンな前提を置いて計算すると90兆円程度になるような希ガス)、そのペースで3年程度掛かるというのはそもそも前提においている日銀当座預金残高の拡大ペースを盛大に誤解されているとしか思えませんが大丈夫でしょうかきくちゃん先生。

『安倍総理が目指す「できるだけ早期」のインフレ率2%達成は、今のペースでは無理。逆に言えば今の日銀にはやる気がないということだ。日銀の姿勢が変わらなければ、今の株高も円安もしぼんでしまうだろう。』

えーっと、そもそも前提となる当座預金残高拡大ペースを間違えたままでやる気があるだの無いだの言われましてもただの言いがかりにしか見えませんが・・・・・・・・・


次の質疑も読んでいて愚昧かつ経済学士ですらない低能のこの不肖ワタクシにとりましては意味がワカランチ会長ですので就任記者会見の際には是非とも詳しい説明をお願いしたいと斯様に思うのでございますが。

『――国債買い入れオペでは札割れが起きています。当座預金を2倍にできますか?』

『それは今、日銀が1年物など短期の国債しか買っていないからだ。日銀はもっと長期の国債を買うべきだ。』

そもそも国債「買入オペ」では札割れ起きていないので質問者のレベルもアレなのですが、その質問を訂正することなく回答されるというのが大変素敵な訳でして、いやまあこれが黒田さんのようにそもそも財務省時代に金融政策に関連する政策の方面(理財局とか官房とか)を触って居なかったのでそんな細かい話は知らんぞなというのであれば致し方ないのですけれども、この木久扇規久男大先生におかれましては従来より日銀の金融政策に対して色々と批判をしている方でございますので、当然ながらこの辺りの事実関係を誤認したままで批判されますとそもそも議論が成立し得ないのでございまして、大丈夫なんでしょうか本当に。

それに「1年ものなど短期の国債しか買っていない」というのもかなりミスリーディングな言い方でして、基金国債買入は1年〜3年を買っていますし、輪番オペというのもありますので、まあ基金オペが時限的措置という名目で3年までの国債しか買っていないのでもっと長いのを買えと言いたいのは判りますが、この部分も事実関係をミスリードするような言い方をしているのがもう何だかねという所です。

『金融政策というのは、流動性が違う資産を交換するほど効果を発揮する。』

それって財政政策の領域になるような気がしますし、大体からして伝統的金融政策は金利操作でございますがなと思いますが一応突っ込まずに流しておきましょう(って突っ込んでいますが)。

『民間ではリスクのある長期国債は持ちにくい。したがって当座預金の流動性と同じ短期の資産を買ってもあまり意味がない。長期国債を買えば札割れは起こらない。』

????????????????????えーっとすいません意味がワカランチ会長ですし、これでは日銀が短期国債ばかり買っているかのような説明になるのですが・・・・・・・・・

『インフレ期待が生じたときには、民間は長期国債をもっていると価格リスクが大きくなるので持ちたくなくなる。そういう時にこそ、民間が持てなくなる長期国債を買ってあげるのが流動性を供給する中央銀行の役割だ。』

いやもうここのところが凄まじいとしか申し上げようがないのですが、インフレ期待が高進してフィッシャー効果だか何だかで長期金利が上昇している時に、長期国債を中央銀行が更に購入して流動性を突っ込んだら高進したインフレ期待が更に高進して火に油を注いでしまい大変な事になってしまうのですけれども大丈夫でしょうか??????????????

『大手メガバンクはすでに長期国債を減らしているが、地銀はまだかなり長期国債をもっている。インフレになると経営的な問題やシステム不安が起きてくる可能性があるので、その意味でも日銀はもっと長期国債を買うことが必要だ。』

えーっと、短期金利がゼロ制約になった後でより長い期間の金利下がると金融機関はよりリスクを取らないと必要な収益が出せなくなるので更に大変な事になるのですが。つーかインフレになるたって景気回復を伴うインフレだったら銀行経営ってウハウハになって少々の債券ポートのやられは本業とか保有株式とかでお返しできるんですけどねえ。

『さらに、インフレヘッジになる物価連動債をもっと発行すべきだ。』

えーっとそれは財務省に言ってください。ああそれからこの前の国債市場特別参加者会合で「国内投資家の需要が無いので発行再開しても消化が厳しいかも」という見解が大多数をしめていたんですけどねえ。

『長期国債を日銀が買う代わりに、物価連動債を機関投資家や個人などに買ってもらえばいい。こういう時にリスクをとれるのは中央銀行しかいない。』

もはや訳が分からんのでツッコミが出来ない・・・・・・・


しかしまあ一番酷いと思ったのはこのくだりでしょうなあ。

『――日銀は国債の直接引き受けをすべきですか?』

『それはありえない。それは日銀があまりにもかたくなに何もしないから出た議論。むしろ、日銀が財政ファイナンスをするのを避けるためにあるのがインフレターゲットだ。』

1つ上の質疑を見ているとインフレ期待が高まって金利が上昇したらどんどん長期国債買えとかどう見ても財政ファイナンス推奨です本当にありがとうございましたという所ですが、「何もしないから出た議論」とかエライ他人事のように仰せですが先頭切って仰せだったの貴殿だと思うのですが・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK062843420110708
復興国債の財源、日銀引き受けが需要創出に最も効果的=岩田規久男・学習院大学教授
2011年 07月 8日 16:59 JST

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22301220110721
復興債の日銀引き受け、景気浮揚と超インフレで意見対立
2011年 07月 21日 14:26 JST

・・・・・・・・・・えーするってぇと何ですな、岩田大先生様におかれましてはかつて仰っていた「復興国債の日銀引受」は政策提言としては単に為にする議論であって、本当に実行したら「ありえない」政策であったということである、とまあ斯様な話になるのですが、それって政策に携わる者としての姿勢として如何な物なのでしょうか?

つーか「日銀が言う事を聞かないので有り得ない極端な政策を突破口にする」とかそれただの「目的が正しければ何をやっても良い」理論であり、(自主規制)のロジックじゃないですかとゆーか、まあ恐喝みたいなアプローチでありまして、政策論争というのはそのような恐喝的手法を用いて為されるものではない、とまあ斯様に思う訳でございまして、恐喝で事情聴取を受けるのは中田カウス師匠くらいにして頂きたいと存じます次第でございます。

何か他にもツッコミポイントがある気がしますが、あんまりやっていると精神衛生によろしくないのでこの辺まで。

#しかしこちらの海外投資新聞さんの「識者の見方」のメンバーが何ともアレでございますな
http://media.yucasee.jp/offshore-news/columns


・早速ヨイショコメントキタコレという香ばしい世界

いやまあ何ですな、世の中が変わりそうになると早速ジャガーチェンジする方というのはどこの世界にもおいででありまして、そういう手合いがここもと観測されるようになっているのが大変に香ばしいとしか申し上げようがございません。

いやね、従来から岩田規久男先生みたいな主張を展開しておられました方がキタコレと言う事で色々と仰せなのは良かったですねえという感想なので別にツッコミを入れる類のものではありませんが、どこの誰とは申しませんがヨイショキターというのが人間の業をも感じさせて実に心温まる話となりますなあという所。

#あ、そういやかつてbewaadさんから(当時)切込隊長と共に「親リフレ政策な人々」と認定されておりましたので念の為申し上げますと、リフレ政策的なアプローチをあたくし別に全面否定している訳では無いのですが(過去ログみてくらはい)、「それはりくつとしては判るが実際に行ったら問題出るだろ」というのが引っ掛かっていた所でして、まあ要は理屈は判るが政策論としてナイーブにも程がある、という評価だったのですが、その後(概ね前回の日銀総裁人事騒動のちょっと前辺りから)事実を踏まえない批判とか極端すぎる政策提言とか出てきてまあ段々「ドン引き」モードになってきたという所なんですよねあたしゃ

とまあそれはそれとしてヨイショの鑑賞会でも。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIQUTO6KLVR701.html
日銀総裁に黒田氏起用へ、副総裁には岩田規氏と中曽氏−安倍首相 (1)
更新日時: 2013/02/25 19:37 JST

まあどこの誰とは申しませんが記事中のコメントを拝読しますとこんなのが。

『さらに「組織運営経験がないこと、さらに日銀内からの抵抗が強いことなどを背景に総裁候補にならなかった可能性はあるが、副総裁として、今後日銀が大胆な金融緩和を実行する上での理論的支柱として機能していくものと思われる」としている。』(上記URLより、当然ながらこの副総裁は中曽さんへの評では無く岩田さんへの評です)

・・・・・・・・・・り、りろんてきしちゅうですと???????

いやあのつい今しがた拝読いたしました「理論」によりますとその柱がもう何ちゅうか誠にアレとしか申し上げようがございませんで、今後この調子で「理論的支柱」として機能されますと耐震偽装も裸足で逃げ出す(以下自主規制)。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MISRSP6S972M01.html
【クレジット市場】反日銀黒田+和製フリードマン岩田、2%目標遥か
更新日時: 2013/02/26 10:56 JST

>和製フリードマン岩田
>和製フリードマン岩田
>和製フリードマン岩田

・・・・・・・・・・・・このヘッドライン見た時に吹いた俺の紅茶を返せと申し上げたい!!!!!!11


・ムーシャ先生がお壊れになられております

毎度のお告げ更新キタコレ。
http://www.musha.co.jp/4551
2013年2月27日ストラテジーブレティン (93号)
懐疑論を粉砕するQEの威力

・・・・・・・・・まあ正直申し上げてあたくしの腹筋を粉砕させるお告げの威力としか申し上げようがございませんですが、ちょっとここ2回連続で変な葉っぱでもキメて書いたんじゃないか位の勢いで何ぼなんでもちょっとアレにも程がありますがな。

でまあディスクレーマーが五月蝿いので一々引用して突っ込みませんが、というか突っ込んだらまたノリノリになって大変な事になるので割愛しますが、結論部分を見て腹筋粉砕どころか骨盤も粉砕するかと思いましたぞな。

というのはですね、最後の所で黒田さんがこれからやる強力リフレ政策について「三重野時代に行われたバブル潰しの逆を実施する」と総括しておられるのですが、三重野さんのバブル潰し(正直言って三重野さんだけがやった訳では無くそもそもこの時代日銀は財務省に従属していまして、矢面に立ったのが三重野さんでヒーロー扱いされただけだと思いますがそれは兎も角として)って結局やり過ぎてしまいましたねえという事なのですから、「三重野時代の逆をやる」となりますとそれは単に「バブル発生をさせてそれをやり過ぎてしまう」という国民厚生的に誰得の展開になるだけの話で、そらまあバブルでも起きてくれれば金融業従事者としては飯の種が飛躍的に拡大してウハウハなんですけれども、それで本当に良いんですかねえというような考察は無いのですねこの先生と大変に心の温まる文章でございました。


・竹中平蔵先生が変わり身モードに入っておられます

とまあそんな中で竹中平蔵先生のブルームバーグインタビュー記事が異彩を放つのは凄く気になるこのあたくしなのでございます(^^)。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIUYH06TTDT301.html
竹中氏:「黒田日銀」は脱デフレ好機、財政再建失敗なら100円超円安
更新日時: 2013/02/27 14:04 JST

『2月27日(ブルームバーグ):慶應義塾大学の竹中平蔵教授は、政府が日本銀行の新総裁候補に黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を提示する見通しとなったことについて、デフレ脱却の絶好の好機として期待を示す一方、その実現には「政府にも責任がある」とした上で、財政再建が進まなければ円が暴落する可能性があるとの見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

デフレ脱却には政府にも責任があるとか急に何か変な物でもお召し上がりになられたのかとおもいましたぞな。

『一方、安倍政権の3本の矢に関しては「1本目の大胆な金融緩和の矢は放たれた。2本目の機動的な財政政策は中長期の財政再建シナリオが示されていない。3本目の成長戦略はまだ始まったばかりで、どうなるか全く分からない」と指摘。2%の物価目標を達成する上で「困難があるとすれば、むしろ政府の構造改革が進まないことだ」と語った。』

>2%の物価目標を達成する上で「困難があるとすれば、むしろ政府の構造改革が進まないことだ」
>2%の物価目標を達成する上で「困難があるとすれば、むしろ政府の構造改革が進まないことだ」
>2%の物価目標を達成する上で「困難があるとすれば、むしろ政府の構造改革が進まないことだ」

・・・・・・・・・・まあ今竹中先生そっちの会議をやっているからというのもあるかもしれませんが、「デフレは貨幣的現象」と以前から全力で言っていた平蔵先生急に何という話を。

『為替相場では「当面は1ドル=95円くらいまで戻っても全く不思議はない」としながらも、「3本の矢に失敗しデフレを克服できなければ、また円高に振れるだろう。しかし、逆のリスクもある」と言明。「金融を思い切って緩和し、財政も拡大したが、財政再建ができなかったということになると、今度は行き過ぎた円安に振れる可能性もある。100円を超えて相当の円安になることは十分あり得る」と述べた。』

『竹中氏は「一気にそこまで行ったら、円がフリーフォール(暴落)というイメージになってくる。これは良い円安とは言えないだろう」と指摘。「賃金は遅行指標なので、輸入物価の上昇を通じて物価の上昇が速くなると、賃金との差が開き、国民の実質生活水準を下げる。そうなると安倍内閣に対する政治的な支持を弱めることになる」と語った。』(以上引用は上記URLより)

・・・・・・・・・良く言えば先見性が高く、悪態をつけばヤバイと思った時の逃げ足が凄まじく速く政治的立ち回りがお上手としか申し上げようがない竹中大先生様がこのようなヘッジを打ち出した、という事に対しては、いわゆる「炭鉱のカナリア」動向という事で注意すべきなのではないか、などと思ってしまった昨日のひとときでありました(^^)。

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2013/02/25

武藤総裁で規久男副総裁ならまああるかと思いましたがこれはちょっと債券市場的にアレな話ではありますが。

○黒田総裁に岩田規久男副総裁とな・・・・・・・・

昨日の夕方時事通信。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013022400093
日銀総裁、黒田氏起用へ=積極緩和派の元財務官−政府(2013/02/24-17:50)

はあそうですかという所ですが、今朝の公共放送と毎日新聞では以下の通り。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000007-mai-bus_all
<日銀人事>次期総裁に黒田東彦氏固まる 民主内に容認論
毎日新聞 2月25日(月)2時32分配信

『政府は24日、3月19日に退任する日銀の白川方明(まさあき)総裁(63)の後任に、元財務官でアジア開発銀行(ADB)総裁の黒田東彦(はるひこ)氏(68)を起用する方針を固めた。白川総裁と同時に退任する山口広秀(61)、西村清彦(59)両副総裁の後任には、日銀の中曽宏理事(59)と、物価目標論者で学習院大教授の岩田規久男氏(70)を充てる方針。安倍晋三首相は25日の公明党の山口那津男代表との与党党首会談で説明し、週内に国会に提示する。』(上記URLより)

これは中曽さん罰ゲームですなナムナム。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130225/t10015750521000.html
首相 日銀総裁に黒田氏起用の意向
2月25日 4時51分

『安倍総理大臣は、日銀の白川総裁の後任に、アジア開発銀行総裁を務める黒田東彦氏を起用する意向を固め、与党の幹部に伝えました。また、副総裁には学習院大学教授の岩田規久男氏を充てる意向で、25日にも本人から就任の承諾を得て、国会への人事案の提示に向けて、調整を本格化させることにしています。』(上記URLより、以下同様)

とのことですが・・・・・・・

『安倍総理大臣は、日銀の総裁について、大胆な金融緩和を実行するとともに、「国際金融マフィアになり得る能力も重要だ」などと述べ、各国の金融当局のトップなどと渡り合える能力が重要だという考えを示しており、黒田氏が適任と判断したものとみられます。』

だそうですが、先日ネタにしたように黒田さんこんな話をしておりまして、えーっとすいませんこういう発言って基本的に世界の中央銀行におけるメインストリームとだいぶ違うと思うのですけれども本当「各国の金融当局のトップと渡り合える」のでしょうかという懸念ががががが。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE91A01B20130211
ADB総裁の職に満足、日銀人事については答えられない=黒田氏
2013年 02月 11日 17:22 JST

『日銀をめぐっては「グローバルスタンダードである2%の物価目標を掲げたのは非常に画期的で正しい」と評価した。2%達成までに要する期間については「2年ぐらいが適切」との見方を示した。「日本国内に日銀が買うことができる金融資産は何百兆円もある」として金融緩和の手段は豊富にあるとの持論を改めて強調した。なお外債購入は「為替政策であり中央銀行の所管でない」として否定的な見解を述べた。』(上記URLより)

まあ何ですな、岩田規久男先生によれば当座預金残高77兆円だかで期待インフレ率2%が達成できるようですし、黒田さんによれば2年で物価2%達成できるそうですので、まあその叩いた大口を早速履行して頂きたいと存じます(ただしスタグフレーションで達成は却下)が、そんな中で日銀から副総裁になる方は大変です罠と思いますし、大体からして政治との対話とか誰がするのやらとか思うとこりゃまあ前途多難にも程があるわと思うのでした。

#しかしまあ何ですな、モーサテに出ている「債券ディーラー」が黒田さんのことを「バランス感覚」という評をしているのに朝から相当のけぞったんですがorz

岩菊先生はまあずーっとあの調子でしょうけれども、黒田さんの場合はそうは言いましても官僚でいらっしゃいましたので、実際に現実の壁にぶち当たった場合に現実に合わせてどうすべきかという事は考えて無茶苦茶路線に走るという形にはならないんじゃネーノといういうのがまあかすかな期待ではある(岩菊先生は現実がおかしいとか日銀が悪いとか言い出しそうですが^^)のですが、国債管理政策が重要な中で黒田さんのキャリアに理財局がろくすっぽ見当たらないというのも何だかなあ(国際と主税中心)という感じですし、まあ色々と先行きが思いやられる人事呈示ではありますぞな。

景気伴わないで物価だけ輸入インフレで上昇とか、国債管理政策がアチャーになってあばばばばばーとかいうのに成らないようにとか考えると結構なナローパスなのですが、言う事がかなーり極端な方が少なくとも2名執行部に入るという時点で先行き嫌な予感しかしませんですけれども、杞憂である事を心から望みたいと存じますです、はい。


○まあそれは良いが次に何が出来るかと言いましても・・・・・・・という雑感メモ

まあ何ですな、それはそれとして何をしますかという点ですが、これから黒田さんと岩田さんに「現実問題としてこのようになっています」という説明を一からしないといけないとか日銀の中の皆様ご愁傷様でございますとしか申し上げようがございません(しかも岩田さんとか「そのような日銀理論は要らん」とか聞く耳持たなさそうでオソロシス)が、現実問題として何をするんでしょうねえというのを現実問題に落として愚考。

・APPの拡大は「量」を出すなら国債しかないのですが・・・・・・・

まあ量を出せ出せと仰せの岩菊先生などにかかればAPPの拡大という話になると思うのですが、量を出すという話になったらまあ短期国債か長期国債。ただし短期国債は固定金利オペの札割れがあってその分の穴埋めに買入を拡大しないといけない(あたくしの目分量では5兆から10兆程度は固定金利オペの残高が減ると思うのだが)上に、既に金利水準から見るとここから10兆円規模での拡大とかすると短期国債市場自体が壊滅しそうな希ガス。

つーことでまあ長期国債の買入拡大の方がまだマシだと思うのですが、こちらもまた金利水準は中々大変な事になっておりまして、付利下げの思惑があるというのも理由ではあるのですが、2年が0.04%だの基金買入の金利が0.049/0.046だのとこちらもこれまた素敵な状態になっておりまして、こちらはこちらで2年国債市場が壊滅状態。

となりますと物理的に新発のある5年までAPP拡大とかいうのがこの前の1月議事要旨でも出ていましたが、何か5年まで拡大する理由も無理矢理になりそうではありますが、それよりも既に0.13%まで低下している5年を買うんですかそうですかという所な上に、現在の2年国債市場の壊滅状態が5年まで伸びるという事になりますと、つまりは中短期国債市場が壊滅モードになるというお話。

市場が壊滅するとワシらの食い扶持がどうのこうのというおとなのじじょうもありますけれども、まあそれよりも将来的な問題として、市場壊滅によってオファービットが思いっきり開くような市場の流動性壊滅モードになるのがアレな訳でございまして、市場の流動性が落ちると将来の出口政策に無茶苦茶困難が発生する、というか要は出口が出れない=インフレを適正な水準で止めることができないという問題が発生するでしょという話。

かつての量的緩和政策の場合は短期市場は見事に死んでいましたが、そうは言いましても2年だのというような中期国債市場の金利は死んでいなかった(一番潰れている時は瀕死でしたが)上に、まあそもそも物価がゼロからプラスになる段階という時期なのであまり上方に慣性のついていない時点(というのが早かったのではないかという話はさておきまして)での解除だった上に、オペが短期物だったので拡大した流動性を引くのもスムーズだったのですが、今度は足元から今のところは3年、もしAPPを5年まで拡大するとなると5年までイールドカーブが日銀の買入で歪みまくるとゆー状態になるので出口の時に相当ショックを与えないと厳しいでしょうねという希ガス。


・ということで個人的には輪番の方がまだマシとは思っていたのですが・・・・・・

てなわけで、5年までの債券市場を壊滅状態に追い込むよりは、より長い国債の買入である輪番の拡大と銀行券ルールの一時撤廃(条件として物価目標の達成のメドが付くまでというのと、財政健全化への取り組みが継続する事を入れる)と言う方が「より長期の国債を買う」という点と、「銀行券ルールの一時撤廃」という点でインパクト出せるので、少ない量で効果が出るんじゃないでしょうかというのと、5年まで国債市場を壊滅させるのはマズイでしょという事から考えて居た訳ですが、問題は新執行部のうち名前が挙がっている人が債券市場的にあまり常識的とは思えない話をすぐにおっぱじめてしそうな所でして、まあ輪番拡大はこの執行部ですと諸刃の剣どころか村正の妖刀にも程があるので(やるんじゃねーかとは思いますが)少々アレではございますな。


・リスク性資産の購入に関してはどうでしょうかねえ

ETFとかREITとかの買入拡大という話はあるのですが、これは量が稼げないので岩田先生的にどうなんでしょとか思う(つーかそういうのあまり肯定的じゃなかったような気もするんだが)所ではございますが、黒田さんだったらETFの買入拡大とか言い出すかもしれませんな、よー判らんけど。


・まあ問題は付利下げの方ですが

付利を下げますと資産買入の残高を100兆に積み上げるとかゆーのが物理的に困難になりますし、大体からして一旦下げて打ち止めとかそういう訳にも行かない(いったん下げたらゼロになるまで下げの思惑が続く)訳でして、付利の下げというのはまあやったらやったで今度は金融政策の枠組みを全面的に組み替えないといけないのですけれども、まあ問題はその事情についてこれからちゃんと説明してご理解頂けるかという話ですなあという所で。


・オープンエンドの前倒し実施とかですかねえ

他にあるとすればオープンエンド買入の前倒し実施という事くらいしか想像がつかないのですけれども、本当はコミットメントを途中で反故にするのってどうなのかという気はしますが、まあそこは適当にネグってしまうしかないですかねえという所です。ただまあ短国月10兆買入とかやられますと短国市場の金利がどうなるかとか想像したくないのですけれども・・・・・・・

などという所でしょうかね、良く判らんが。

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2013/02/21

○ニュース雑談

・何じゃこのニュースは?

昨日話題になって為替市場がぶれたのはご案内の通り読売ニュース。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130220-OYT1T00226.htm
日銀総裁人事大詰め…4氏に絞り込みか
(2013年2月20日06時58分 読売新聞)

でまあこれで武藤さんの名前が無いので円安ヒャッハーとか言っているのですが、そもそも日銀総裁人事で円安ヒャッハーというのをやると為替誘導ガーとか言われる訳であまりこの手のネタで市場に暴れてほしくは無いのですが、まあそれ以前の問題として武藤さんが候補に入っていないというのがもう何かアレの香り。

と思ったら時事通信がそのちょっと前にこのニュース。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130220-00000011-jij-pol
武藤、岩田両氏軸に最終調整=日銀総裁人事で―政府
時事通信 2月20日(水)2時31分配信

まあこっちの記事の方が普通っぽい。つーか読売ってこの前も公取の人事を事前報道してひと悶着起こす切っ掛けになっていたと記憶しているのですが(間違いだったらゴメンナサイ)、どこの放火魔だよという所で。


・この正直者!

このニュースはワロタ。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130220-00000051-biz_reut-nb
外債ファンドを検討する必要性は薄まった=安倍首相
2013/2/20 14:41 ロイター

『外債購入のため官民ファンドを設立するという話だったが、今でもそうかとの質問に安倍首相は「外債ファンドを検討すると決めたのは昨年11月くらいで、大胆な金融緩和を打ち出し始めたところだ」とし、「検討の必要性は薄まっている」と語った。さらに、大胆な金融緩和が軌道に乗っていること、3月に日銀人事が行われることなどもあり、必要性はなくなってきているとも指摘した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・これじゃあ「外債購入ファンドは円安誘導の為に行うんです」って言ってるようなもんでして、いやあのもし実施するんだったら何かもっともらしい言い訳(例えば岩田一政さんがこの前山本幸三さん所の勉強会で説明していた時には「海外で金融危機が起きた場合に危機対応として外債購入をするような機能を設ける」というような話をしていたとの報道でしたよねー)をしないとそもそも外債購入云々自体が出来ませんぞなもしという所でありまして、何でこういう事言っちゃうのかなあと思うのですが、そもそもそういう質問をするからこういうボロが出る訳でして、国益という物を勘案した場合には一々国会で為替の話とかするんじゃねえよ質問する方考えろこのヴォケという所ではございます。

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2013/02/20

昨日は安倍ちゃんの外債購入発言をマクラにしたのですが今日はまた安倍ちゃんアチャー状態なのでニュース雑談として昇格(^^)。

○安倍ちゃん・・・・・・・・・

外債購入発言はまずいだろと思ったら早速麻生さんと甘利さんが火消しに。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIFWTX6K512Y01.html
外債購入「ない」と麻生財務相、「首相発言は一般論」と甘利再生相も (1)
更新日時: 2013/02/19 12:25 JST

『2月19日(ブルームバーグ):金融緩和の手段として外債購入という考え方もあるという安倍晋三首相の国会答弁について麻生太郎財務相は19日、そうしたことはないと発言、甘利明経済再生担当相も一般論だったとの認識を示した。いずれも閣議後会見で語った。』(上記URLより)

そらまあG7G20であれだけ言われた後なんですからやっぱりマズイですわなと思ったのですがその一方で安倍ちゃんェ・・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK061727320130219
外債購入への発言控える、日銀法改正の議論は有意義=安倍首相
2013年 02月 19日 18:26 JST

『[東京 19日 ロイター] 安倍晋三首相は19日午後の参議院予算委員会で、外債購入については発言を控えさせていただきたいと語った。日銀法改正については常に視野に入れているとし、日銀法を時代を経て適したものにするためにどうするかは、専門的な知見を持つ人が議論していくことが有意義だと思うとの考えを示した。』(上記URLより)

いやまあ仰っていることは「法律は常に時代に合ったものにすべき」って文脈ではあるのですが、そもそもここに至るまで「俺様の言う事を聞かないと日銀法改正」という話をしていた流れというものがありまして、国内はともかく海外的に言えば中央銀行の独立性を侵害してるんじゃネーノとか言われたりしていたし、大体からしてその手のかなり乱暴な発言で市場が反応して居た訳ですから、やはり「日銀法改正」という話も為替誘導という文脈で受け止められやすいので、ちょっと発言は慎重にして頂かないと。

つーか、もうG7G20であれだけ釘を刺されたのですから「日本の要人発言を受けて円安」という展開になる事自体が日本の通貨外交的な意味で日本の立場を悪化させる訳で、兎に角為替に関しては「G7やG20でも認識を共有しているように為替レートは市場が決めるものです」という話と「日本はデフレ脱却の為に政府日銀が政策協調をしております」という話だけしておけば良いのであって、為替を目的にして金融政策を緩和的にしましょう言う事聞かないのはイラネとかそういう話は本音の所はどうであれ、それは「お作法」としてゆうてはならん事であるのですが、どうも安倍ちゃんブレーンとやらの皆様のお話をそのままご発言になっておられているようで、まあブレーン様におかれましては安倍ちゃんにちゃんと通貨外交とは何ぞやという話をご教授して頂きたい物だと存じます。とは言いましてもG7を受けた後に「通貨安競争は悪い事では無い」とか堂々と言ってしまう山本幸三先生とか見ていますと通貨外交がどうのこうのというレクチャーを行うのは期待薄ですので、毎度申し上げておりますようにブレーンとやらの換装をお願いしたいと存じます次第。

いやね、んなもん欧米当局だって通貨安でウハウハとかやっているのですし、こちとらその間円高でリスクオフを受けた結果相変わらずのデフレなんですから、お前ら落ち着いたんだったらちょっと返せやというのは当然だと思うのですけれども、まあそういうのって外交のお作法として平場で思いっきり当局者が表立って言う話では無いでしょという事で、そういうお作法まる無視で「通貨安競争は悪い事では無い」みたいな話を思いっ切りしちゃうとかいうセンスって、「それは言ってることは経済的観点から正しいが政治的に問題なのでフィージビリティーの面を考えて下さい」という話だと思うのですけどねえ。

つーか昨日も申し上げましたが、国会で為替の話とか未だに質問する議員様におかれましては国益と言うのが奈辺にあるのか、と言う事をもう少し考えて発言をして頂かないと困る訳でして、そもそも2%の物価上昇を目標にしようというのですからこの程度の円高修正では全然足りない訳でして(どこぞの安倍ちゃんの経済ブレーン先生によると2%でこの辺らしいですが、苦笑)、しらっと円安に持って行かないといけないのですから、通貨外交的に日本ケシカランと言われるような文脈に持って行くようなバカアホ質問をする議員様におかれましては可及的速やかに三途の川寒中水泳大会へのご参加をされてそのまま岸の向こう側に立たれますことを全力でお勧め致したくなってしまいますぞなマッタクモウ。

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2013/02/19

えーっと、これ安倍ちゃん何を言ってるのか会議録テキスト見ないと良く判らないのですけれども・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIE7TI6JIJUO01.html
安倍首相:外債購入の考え方も、日銀金融緩和−人事は近々提示へ (1)

『2月18日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は18日、日本銀行が進める金融緩和政策の手段について「国際的に議論になっている外債を買うという考え方もある」との認識を示した。個々の政策への詳細な言及は控えるとしながら、インフレ期待を高めるのが大切だとしている。』(上記URLより)

「国際的に議論になっている外債を買うという考え方もある」という最初の「国際的に議論になっている」が外債に掛かっているのか考え方に掛かっているのかは前後の文脈を読まないとさっぱりワカランチ会長なのですが、「金融緩和政策の手段として外債購入を考えている」という言い方をすると、それはいわゆる危機対応という見方をされないで為替誘導という受け止め方をされる(されるから株が反応したんですけれども)次第で、G20で盛大に「為替誘導ケシカラン」という話をしてきた翌日にプライムミニスター様がそういう話をするとか脇が甘いにも程があるのですけれども。つーか国会も為替の質問するんじゃねえよ変な発言が出たら国益に反するだろうがなどと思うこのあたくし。

まあいずれにせよこの辺の質疑応答を最初から最後まで通して読むと中々面白いものを見ることが出来そうで後日楽しみにしたいと存じます。

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2013/02/18

○為替関連ネタメモ

・武藤さんを軸に検討のニュースで円高株安とな

昨日の昼にロイターが次期日銀総裁人事で武藤さんを軸に検討というおまえら事前報道ルールとかの問題があるんだから憶測なんだかリークなんだか紛らわしい記事書いてるんじゃねえよゴルァというのが出ましたが、その後為替は円高に振れるわ株はドカドカ下がるわマッタクモウという展開でしたが、引けに掛けては若干持ち直しておりましたのでホッと一息。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI8H3G6K512T01.html
円一段高、G20警戒や日銀人事めぐる観測で買い圧力
更新日時: 2013/02/15 15:50 JST

『2月15日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円が一段高の展開。対ドルでは一時1週間ぶりの高値を付けた。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を間近に控えて、各国の当局者から通貨安競争に対する懸念が示されるとの警戒感を背景に円買い圧力がかかった。ドル・円相場は朝方に1ドル=93円12銭を付けた後、円がじり高となり、午前は92円台後半を中心に推移。午後には、日本銀行の次期総裁人事をめぐって、元財務事務次官の武藤敏郎氏起用の可能性が一部で報じられると、今月8日以来の円高水準となる92円25銭まで円が急伸した。午後3時37分現在は92円65銭付近で取引されている。』(上記URLより)

ということでしたが、金曜の感じですと武藤さんなら円高、岩田一政さんなら円安とかいう話がまことしやかに流布されていたようですけれども、正直言って岩田一政さんの外債購入ファンドとかって、既にG7(とその後のG20)で為替誘導を問題視されている中、為替円安誘導の為に設置するのは実現性に乏しいですし、何とか議連に提出した資料説明にあるような金融危機対策としてのファシリティーとして作るのであれば、金融危機発生時の円高阻止対策にはなるけど追加の円安誘導としては使えないので、岩田一政さんなら円安とかいうのも何も考えていないにも程があるのですが、まあ相場が動いてヒャッハーという人が一定量居るとこういう事になるんでしょうなあと。

寧ろ為替市場的な見方として積極派と見られる人たちがノミネートされて円安ヒャッハーとなった後、政策の実現可能性の壁にぶち当たって化けの皮がはがれた後の方が恐ろしいのでありまして、そーゆー意味では順当に穏当かつ常識的な方がノミネートされた方が日本の為には結構な事でしょうなあと思ってはいるのですが、その一方で直ぐにでも2%インフレ可能みたいな無責任な話を吹いている連中に総裁になって頂いてその無責任な駄法螺が駄法螺に過ぎなかったことを実証して頂いた方が、駄法螺連中が黙ってもう少し金融政策を巡る議論がまともになるのではないかという風に思ってしまうあたくしも居るのでありますが、その前に無茶苦茶な事になりそうなのでやはりお勧めできませんですかそうですか。


・話はそれるがちょっと悪態

武藤さん云々のロイターの記事はちなみにこちら。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91E01120130215
日銀総裁人事は最終局面、武藤氏を中心に絞り込み進む=関係筋
2013年 02月 15日 13:34 JST

『[東京 15日 ロイター] 複数の関係筋によると、政府は、最終調整している次期日銀総裁人事について、武藤敏郎・大和総研理事長を中心に一段と絞りこみを進めているとみられる。』(上記URLより)

というようなリードで展開されている記事なんですが、事前報道ルールが存在するのに何でこういう記事を書くのかという所で、武藤さんに何か遺恨でもあって嫌がらせでもしたいのかというような勘繰りをしたくなる訳ですが、何と言うかこの手の報道もそうなのですが、市場の後講釈記事とかでも最近はページビュー重視だか何だかのせいで兎に角受ければ勝ちみたいな感じの記事が(別にロイターさんだけではなく)多くのベンダーで目に付く訳でして困るのよね。

ニュースベンダーさんの記事って何の為に読むのかと言えば、ワシらだって全ての市場の出来事について1から100まで把握するのは無理な訳ですから、その辺についての情報を得ようとしているのですが、その中でまあ見る方としては読みながらポジショントークとかも勘案しながら読んで行くという事にはなりますけれども、ベンダーサイドでわざと曲解したような書き方するのは困るというか如何なものかという所です。特に最近の為替市場の動きとか見ていると、日本語のヘッドライン的にそんな話をして居る訳でも無いのに英文ヘッドラインがセンセーショナルでそれを見て急に反応するとかゆーのが目立つ訳でありまして、まあ何だかなあという風に思うので一言付け加えておきますです、はい。


・山本幸三先生ェ・・・・・・・・・・

話戻って為替ネタですが山本幸三先生これは駄目だろ・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI7TSG6TTDTF01.html
自民・山本氏:通貨安競争は問題ない、1ドル=95−100円が適正 (1)
更新日時: 2013/02/15 14:18 JST

『2月15日(ブルームバーグ):自民党の山本幸三元経済産業副大臣は、各国が金融緩和による通貨安競争を展開することは世界経済全体の成長に資するもので、まったく問題ないとの認識を明らかにした。ドル円相場については1ドル=95円から100円程度が適正水準との見方も示した。14日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。』(上記URLより)

ブルームバーグニュースのインタビューが行われたのが14日と言う事は、G7終わった後にこの発言をしていると言う事ですが、えーっと山本幸三先生ってこの前まで安倍さんが会長だか座長だかをしていた日銀法改正とかその手の勉強会の後任の親分やっている訳ですし、与党の要人発言という事になると思われるのにこれは何というセンス。

だいたいからしてこういう発言がポンポン飛び出すからG7やG20で名指しはされていないけれども思いっきり通貨安競争に釘を刺すようなコミュニケが出ちゃう訳でして・・・・・・・


・G20声明

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIBCEA6JIJUQ01.html
G20声明:競争力で為替レート目的とせず−日本名指し回避
更新日時: 2013/02/17 10:19 JST

『2月17日(ブルームバーグ):20カ国・地域(G20)の財務相は16日、各国が為替レートに影響を与えようとしないよう一段と強い姿勢を示し、日本を名指しすることは避けながらも、世界的な通貨戦争の観測の抑制に努めた。G20財務相・中央銀行総裁会議は2日間のモスクワでの協議の後、「競争力のために為替レートを目的としない」ことなどを明記した共同声明を採択して閉幕した。声明は3カ月前の会合で合意した声明よりも強い表現となり、日本の当局者は公の場での円相場に関する発言で圧力を受けた。』(上記URLより)

ということでG20声明。

http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g20/20130216.htm
http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g20/20130216.pdf
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2013年2月15-16日 於:ロシア・モスクワ)

『5.我々は、世界的な不均衡の持続的な削減を達成するために協力し、国内貯蓄に影響を与え生産性を改善する構造改革を追求するという、我々のコミットメントを再確認する。我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避け、そしてこの観点から、共に成長できるよう互いにより緊密に協働する、という我々のコミットメントを再確認する。我々は、資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避する。我々は、競争力のために為替レートを目的とはせず、あらゆる形態の保護主義に対抗し、我々の開かれた市場を維持する。』

うむむ、日本を名指しされなかったから良いとかいうのってそもそも話が違うように思える訳で、こうやって思いっきり話題になる時点でだいぶ負けのように思えますし、大体からして名指しなんぞされたらそれは余りと言えば余りの状態で論外でしょうにとは思いますが、この辺の距離感というか土地勘はそれほど詳しい訳では無いのでまあメモだけ。



○市場雑談というかオペ雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130215.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 10,000 2013年2月19日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年2月19日 2013年3月13日

ということでとうとう金曜も基金国債買入をスルーの図となりましてほほうという所。一方で基金短国買入は前回の5000億円オファーから1兆円オファーに増やしてみましたとな。

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130215.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 45,880 10,004 0.081 0.081 48.9
共通担保資金供給(資産買入等基金)(2月19日スタート分) 8,720 8,004 91.8

オペ結果は基金短国買入が0.081%の按分となりまして、水曜の3か月TB入札が0.0782/0.0802でございましたので、足切りよりはマシなレートではありますがそもそも足切りの按分が2%弱しかありませんでしたので、ちょっと安くなりましたかそうですかという所です。

でまあそれはそれとしてもう一つアレなのは固定金利オペでして、3週間物をここもと打ち込んでいて札割れを回避していたのですが、金曜はとうとう応札が8720億円まで減少しておりまして、そろそろ札割れの悪寒も漂ってくる状況。既に目標残高割れとなっている固定金利オペですが、この調子ですとやはり固定金利オペ残高の目標未達分を短国買入で埋めないといけませんですかそうですかという話になるんでしょうなあと思うのでありました。

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2013/02/15

○その他各種雑談である

・岩田一政さん・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI6RK56K510701.html
岩田氏:1ドル=90−100円は均衡回帰、リスク資産購入拡大も (1)
更新日時: 2013/02/14 12:48 JST

『2月14日(ブルームバーグ):次期日本銀行総裁候補者の岩田一政前日銀副総裁は14日、1ドル=90円から100円程度までは過大な円高修正の範囲との認識を明らかにした。自民党有志で作る「デフレ・円高解消を確実にする会」(山本幸三会長)の会合で講演した後、記者団に語った。』(上記URLより、以下同様)

いやあの具体的水準とか言うなよとか思ったら・・・・・・

『岩田氏の見解発表を受けて、ドル・円相場は1ドル=93円前半から一時93円64銭まで円売りが進行した。』

と言う風に市場が動いちゃったのがマズーと言う感じなのですが、ちょっと手元に英語ヘッドラインの控えが無いので何なのですが、具体的水準よりも英文ヘッドラインで大々的に出ていたのって以下の部分の最後の「外債購入」の所だったみたいで、そっちに反応した可能性もあるなあと思いますがあたしゃ為替が本職じゃないからワカランチ会長。

『配布資料では日銀の金融政策に2%の物価目標は「マクロ経済政策運営上、整合性のある目標」と指摘。それを実現するための将来の金融拡大策としては「いくつかの方法がある」と強調している。 具体的には超過準備に対する利息(現行0.1%)の引き下げ、買い入れ国債対象の年限延長、各種リスク資産の購入拡大のほか、金融危機対応としての財務省・日銀共同での基金を通じた外債購入を挙げた。』

何かね、今さら「金融危機対応としての」って何ゆうてますねんという感じではあります(いやまあ勿論再発の可能性はあるのですが、政策当局的に言えばテールリスク的な大規模な金融危機発生の可能性は大きく低下した、という認識にワールドワイドになっているのですから、そもそもそういう事を言い出すというのが中銀サークルの中で「お前は何を言ってるんだ」扱いされる話で、結局の所為替介入してマニュピレーションしたいんでしょと叩かれるだけだろと思う訳で・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI7Y756JIJYS01.html
G20、「通貨の競争的な切り下げ回避」再確認へ−声明草稿
更新日時: 2013/02/15 02:48 JST

『2月14日(ブルームバーグ):20カ国・地域(G20)は「通貨の競争的な切り下げ回避」を再確認すると同時に、「金融政策がもたらし得る波及効果」を監視する姿勢を示す。15、16日にモスクワで開催のG20財務相・中央銀行総裁会議後に発表される声明の草稿をブルームバーグ・ニュースが入手した。』(上記URLより)

まあ海外金融当局もが散々すっとぼけて実施しているのでそれはそれで華麗にスルーしていれば良いのですけれども、そうは言いましても何もG20直前のタイミングでわざわざ為替の具体的水準に言及するとか外債購入の話を持ち出すとか燃料を投下せんでも良い訳で、もうちょっと物言い何とかならんのかと思うと共に、こういうタイミングで会合を実施しちゃう「デフレ・円高解消を確実にする会」って単なるナントカな働き者じゃねえのかと思ってしまうのですけれどもねえ。


・2年0.04%に上昇とな(メモ)

昨日の日本相互証券の2年カレントの引けは0.040%に上昇しとりました。

いやまあ先週の2年ヒャッハー相場が凄かったのですが、余りと言えば余りの展開になったせいか日銀の基金買入でこれ以上市場を煽る訳にも行かんと反省したのかどうかは知らんですけれども、ここもと基金買入をスキップしておりまして、まあスキップした分は結局後にツケが回ってくるだけではあるのですが、とりあえずちょっとお前それはという利回りまで低下したものの他に買う人が居なくて、買う人候補の日銀の基金買入が後ズレしているのでそらまあ少しは売る人もいるでしょうという所で。

でまあこの金利上昇を見て今日辺り基金買入が入ってまた金利が低下して最初に戻るという展開になると実に馬鹿馬鹿しい展開で遺憾の極みになるのですが、基金買入が入ってまたオモシロ展開になるに100ドラクマと言うところですな、うんうん。


・追加緩和のオプションについて考えようと思っていたのだが・・・・・・(予告編でも無い備忘メモ)

どうせまあ緩和のおかわりの話が出てくるとは思うのですが、はてさて何をするのでしょうという話を書こうかと思ったのですが、いざ書こうとすると論点が上手くまとまらないので週末考えてみます(^^)。

基本的にはあたしゃAPPの買入銘柄の長期化(3年→5年)よりも物価安定の目標達成が展望できるまで(でも何でも良いのですが)銀行券ルールを一時撤廃して輪番を拡大した方が将来の出口まで考えた場合に実務的観点からするとフィージブルで筋が良いんじゃなかなあとは思うのですけれども、その論点を幾らか考えたもののもうちょっと考えてみますね、という所です。

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2013/02/14

諸般の事情で今日も雑談である。

○G7声明とかその関連雑談&カーニー総裁ネタ

G7財務大臣・中央銀行総裁の声明(仮訳)(2013年2月12日)
http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g7/cy2013/g7_250212.htm

『我々、G7の財務大臣・中央銀行総裁は、我々が長年にわたりコミットしている、為替レートは市場において決定されるべきこと、そして為替市場における行動に関して緊密に協議すべきことを再確認する。我々は、我々の財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そして我々は為替レートを目標にはしないことを再確認する。我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることに合意している。我々は引き続き、為替市場に関して緊密に協議し、適切に協力する。』

ということで、まあとりあえず足元で日本の金融緩和に関しては国内事情によるものですというのは話の上ではそうなっているのですが、そうは申しましても「金融緩和しなければ日銀法改正」とかあからさまに日銀に圧力掛けてみたり、「100円位までの円安を」とか色々な人から直ぐに数字が出てくるとか、まあ対外的に見てそれは如何なものかという言動がトマランチ会長ですからそらまあそう言われます罠というのがカナダ中銀カーニー総裁なのである。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI4BKC6TTDX101.html
週末のG20は日本を協議、G7は為替でG20に圧力−加中銀総裁
更新日時: 2013/02/13 03:14 JST

『2月12日(ブルームバーグ):カナダ銀行(中央銀行)のカーニー総裁は、世界の主要国は20カ国・地域(G20)の他のメンバー諸国に対し、為替レートを目標にしないよう圧力をかける方針だと述べた。日本の為替政策については、今週の財務相・中央銀行総裁会合で協議されると付け加えた。主要7カ国(G7)は12日、モスクワで開催されるG20会合に先立って声明を出し、経済成長の追求で自国通貨を安くする行動は取らないと約束した。』(上記URLより)

ということで次期BOE総裁のカーニーさん恐るべしという所なのですが、今度BOE総裁になった場合にはどういう事になるのかというのは先般議会証言のようなものがあったのでそれを読まないといけないのですが、量が多いのでまだ読み切れておりませんでその代わりにこんなのでも。


http://www.bankofcanada.ca/2012/12/press-releases/central-bank-policy-guidance/
Central Bank Policy Guidance May Be Most Useful in Extraordinary Times, Says Bank of Canada Governor Mark Carney

でまあこの本文は
http://www.bankofcanada.ca/2012/12/speeches/guidance/
Guidance

なのですが、今日は手抜きで(しかも昔のネタですが^^)最初のURLの方から参ります。

『Toronto, Ontario - While transparency is critical to well-functioning capital markets and effective monetary policy, forward policy guidance is best used sparingly by central banks in normal times, Bank of Canada Governor Mark Carney said today. In a speech to the Toronto CFA Society, the Governor discussed where policy guidance can be most effective and when it may be warranted.』

ということで政策ガイダンスがどういう時に有効かという話をしているのですが・・・・・

『“Central banks pursue transparency to be accountable in democratic societies,” Governor Carney said. Clear, open communications also enhance the effectiveness of monetary policy. Success in this regard requires transparency around what policy-makers are trying to achieve and how they go about achieving it, he added.』

政策の透明性が重要であるとな。

『Over time, the Bank of Canada has become significantly more transparent in discussing the forces affecting the Canadian economy, in order to help households, firms and financial market participants understand how monetary policy will respond over time. This communication not only promotes the appropriate formation of policy expectations, but allows those expectations to evolve efficiently as new information is received.』

政策の透明性という意味ではカナダ中銀に関しては期限付きの低金利政策というガイダンスを出したのですが、政策効果が出たので良しということでしらっとガイダンス期限前に利上げしているののどこが透明性なのかというツッコミを飛ばしたくなるのですが次の所を読むとなるほどというか何というか。

『The Bank of Canada occasionally provides guidance in normal times to give a sense of the imminence and degree of prospective policy action, and the important economic and financial factors influencing policy, the Governor said. “This guidance is never a promise, however. Actual policy will always respond to the economic and financial outlook as it evolves. Expectations of policy should do the same.”』

>This guidance is never a promise
>This guidance is never a promise
>This guidance is never a promise

・・・・・・・・・・その「約束では無いガイダンス」というのは何ですねんという気がするのですけれども、さすがにカナダの金融市場がどういう認識で要るのかはワカランチ会長でございますので何とも言えませんが、「フォワードガイダンスは約束ではありません、状況が変化したら変化します(キリッ)」とか言われますと、そもそもそのガイダンスは信用に足るものか、という風になるように思えるのですけれども、その辺ってどういう受け止めになっているのでしょうかねえ。

『More explicit policy guidance may be most useful in extraordinary times, Governor Carney noted. For instance, in April 2009, when conventional monetary policy had been exhausted, the Bank of Canada provided additional stimulus by committing to hold the policy rate at its lowest possible level, conditional on the outlook for inflation. “Our conditional commitment worked because it was exceptional, explicit and anchored in a highly credible inflation-targeting framework,” he said.』

はあそうですかという所ですが。

『Central banks needing to go further could also publicly announce precise numerical thresholds for inflation and unemployment. If additional stimulus were required, a framework change, such as adopting a nominal GDP-level target, may be worthy of consideration, Governor Carney said. He cautioned, however, that “the benefits of such a regime change would have to be weighed carefully against the effectiveness of other unconventional monetary policy measures under the proven, flexible inflation-targeting framework.”』

ということで最後に名目GDPターゲットの話が出ていまして、これが出た時に話題になっていたのはご案内の通りですが、どうもカーニー総裁の「ターゲット」というのは単純な目標値なのではなく、ガイダンス政策の一環としてのターゲットであって、(名目GDPなんて後付でしか判らないのですからそれを金融政策の目標としてリジッドに運営するとかそもそも運営的に有り得ない訳ですが)金融政策を運営する際にこういうのを見ながら運営しますよ的な見せ方としての「ターゲット」というフレキシブルターゲットというよりはだいぶ裁量成分の強い「ターゲット」なのではないかと思う次第。

しかしこのおじちゃんは堂々と「金融政策の透明性」とか仰せなのがあたくし的には不思議に見えるのですが、これはあたくしのカナダ中銀およびカーニー総裁の研究が不足している事に起因している可能性もオオアリクイなのでまだ結論は出せない所ではございます。

ただまあ一つ言えるのは、このおじちゃんかなりの強者だなあとは思う訳で、「ガイダンスは約束ではありません、状況の変化で金融政策が変わります」とか言いながら「金融政策の透明性」と言い切ってしまう辺り、良く言えば清濁併せのむという風情でもありますが、気合とハッタリとインチキ成分は相当にありそうで、このおじちゃんが「日本の為替政策ガー」と言い出しているのは今後のG7やG20においてかなりタフな相手になる可能性もあるなあとゆーことで、これはカーニー総裁の発言などの読み込みが必要ではないか(ちなみにバーゼルとかそっちの発言も多かった筈)と思われる次第。


んでまあBOE今の総裁のキングのおじちゃんはと申しますと・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI624P6K50Y501.html
英中銀総裁がポンド安の必要示唆-G7声明説明中に思わぬ発言
更新日時: 2013/02/14 02:01 JST

『2月13日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁は13日、英国経済の回復にはポンド安が必要かもしれないとの認識を示した。主要7カ国(G7)は前日、世界的な通貨戦争回避を目指し為替に関する声明を発表したばかり。中銀総裁が市場と対話する上での難しさがあらためて浮き彫りとなった。』(上記URLより)

ワロタという所ですが、昨日ネタにしたBOEの1月MPC議事要旨でもポンド相場に関連してああだこうだゆうとりましたが、要するに英国ポンド下げて景気を何とかしましょうという話だったのねというのは把握したが、しらっとこういうのを前任が言う訳で、カーニーさんどうしますねんという所ですな、あっはっは。


○えーっと、これは黒田さん外れフラグですか???

そういや休み中にこんなんでてましたぞな。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE91A01B20130211
ADB総裁の職に満足、日銀人事については答えられない=黒田氏
2013年 02月 11日 17:22 JST

『[東京 11日 ロイター] アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は11日、都内でロイターなどの記者団に対して、次期日銀総裁候補に名前が挙がっていることについて「ADB総裁の任期が4年近く残っており、今の職に十分満足している。仮定の話には答えられない」と述べた。』(上記URLより、以下同様)

と言う最初の部分はまあ社交辞令の類だと思うのですけれども・・・・・

『日銀をめぐっては「グローバルスタンダードである2%の物価目標を掲げたのは非常に画期的で正しい」と評価した。2%達成までに要する期間については「2年ぐらいが適切」との見方を示した。「日本国内に日銀が買うことができる金融資産は何百兆円もある」として金融緩和の手段は豊富にあるとの持論を改めて強調した。なお外債購入は「為替政策であり中央銀行の所管でない」として否定的な見解を述べた。』

2%達成が2年とか、買う事が出来る金融資産は何百兆円もあるとか、どうみてもそれ日銀総裁になったら自分で自分の首を絞める発言であって(だいたい何百兆円も買うということは当座預金残高が何百兆円も積みあがるという事なんですがどうみてもフィージビリティー丸無視にも程がある)、普通に日銀総裁就任を意識していたらその辺の話は適当に誤魔化すだろと思いますし、大体からしてそういうフィージビリティー丸無視の話を平気でするような中央銀行総裁が「国際金融マフィアのインナーサークル」とやらに入れるとは思えませんけど(少なくとも中銀サークルでは馬鹿にされるでしょ)どうしちゃったんでしょうかねえ。

とか考えて思ったのですが、これは黒田さん総裁就任の目が無くなったのを自覚したので無責任発言モードになったのではないかという推測をしてみましたが、実際にその予想が正しいかは存じませんので念の為申し添えます(^^)。つーかこれだけ大口叩いて(しかも買入できる資産が何百兆円というのは無理ゲーにも程がある)日銀総裁就任して2年で2%行かなかったので辞任しますとか恥ずかしいにも程があるので、逆にちゃんと考えているのかと不安になるのでございまするが・・・・・・・・


○FEDのあちこちからタカ派ハト派発言が出ている件について(メモ)

本当はちゃんと全部読みたいのですが時間とお家の事情によりましてまだ読めていませんけど(大汗)、最近は地区連銀総裁や連銀理事から特に資産買入に関連してタカ発言やハト発言がここぞとばかりにタカ派ハト派の両陣営(?)から飛び出していて誠に素敵な展開になっております。

低金利政策の閾値に関してはご案内の通りで明確なのですが、資産買入に関しては微妙にファジーな事に加え、どうも出口政策を意識しないといけない、という段階が何となくでも見えて来て初めて「えーっとこんなに長期債券買いまくっていて大丈夫か」という事に気が付いたのではないかと思われる次第でして、まあ今になって出口政策がおそロシアになると気が付いても時既にお寿司にも程があるのですが、突っ込むときに出口政策の設計何も考えてないで突っ込むのがメリケンクオリティなので仕方ないとしましても、そろそろその辺にビビりだした可能性はあるなあとニヤニヤしながら今後の推移を眺めたいと思います。

#そういう意味ではちょっとドル高に振れた方が物価抑制になって良いのかもしれませんね

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2013/02/12

本日は週明けおよび諸般の事情につき簡単メモだけで勘弁でありまする。

○市場メモというか何というか

・引き続き2年債メモとか

金曜も中短期ゾーンは強いというか何というかでありまして、ショートカバーモードになっている2年カレントの325回は別格の0.025%が多分ミッド位(他は0.030%〜0.035%)とか何かもう酷いとしか言いようがない状況でして、いやまあショートカバーだから仕方がない面はあるのですが、いくら基金国債買入オペがあるからと言いましても、そもそも基金国債買入オペは絶対金利ベースでの応札で行う(輪番は引け対比)訳ですからそんなに強くなっても日銀に外しにいけないですぞなとか思うのですけど、強くなった後どうなるんでしょうかねえ。

基金国債買入の中で新発2年の所のイールドが一番低いというお洒落な状態になっておりますので、まあ基金国債買入に今月どういう銘柄が入るのかが興味があるのですけれども、どういう銘柄が入るのかというのに加えて買入の金利水準がうっかり低くなるとこれまた基金国債買入の拡大が困難になるんじゃネーノという話を連想して更にアレな思惑にというような流が発生しそうで誠にアレでございまする。


・短国買入オファー額減額とな&固定金利オペ

金曜日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130208.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 5,000 2013年2月13日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年2月13日 2013年3月6日
国債補完供給(国債売現先)・即日)  405 2013年2月8日 2013年2月12日

と言う事で、先日の基金国庫短期証券買入で買入金利が急低下し、ついでに麿の3月19日退任前倒しが出てしまって中短期ゾーンの金利にも波及してアヒャヒャヒャヒャとなったのはご案内の通りですが、さすがにこれ以上短国買入の金利を下げてヒャッハー状態にする訳にもいきませんぞなもしという所なのか、それともどうせ3か月物しか入らないのでそんなに無理して買わなくても良い(今せっせと購入してもどうせ6月末の短国買入残高に反映しない)という認識にでもなったのかは存じませんが、買入のオファーロットを絞って参りました。

でもって結果は以下の通り
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130208.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 27,585 5,000 0.077 0.077
共通担保資金供給(資産買入等基金) 17,590 8,010 45.5
国債補完供給(国債売現先)・即日 12 12 -0.900 -0.900

ということで0.077%で決着しましたが、この水準は前日に行われた3か月TBの足切り水準になりますので、ロットを減らした効果てきめんという所ではあるのですけれども、そうは言いましてももし普通に短国買入を4−6月と同じ想定ペースで行うとなりますと、結局の所月に6.5兆円程度の購入が必要で、それを4週間で割るとやはり週に1.6兆円とかの買入をしないといけない訳ですから、1回のロットを減らしても買入の回数が増えるから結局同じ事です罠という感じはします。ただまあ買入のロットを減らして買入を均等に実施していった方が瞬間的な需給のゆがみが出にくいかなあとは思いますが、いずれにせよ調節部隊大変です罠という所です。


固定金利オペに関しては今回もまた3週間物という超短いオペを打ち込むことによって札はちゃんと入ったのですが、こちらに関しても基金国債や短国の買入が嵩むことによって超過準備が拡大するとニーズが落ちまして、その分基金残高が足りなくなる分については固定金利オペを基金短国買入に振らないといけなくなるので更に固定オペのニーズが下がる傾向に。とは言っても最終的にニーズがゼロになる事はないでしょうからどこかで止まるとは思いますが、この辺の感覚が正直未踏の地にも程があるので良く判らない、というのが一番困る所であります。

例えば先週の短国買入にしても、それまではまあ普通のレートで入っていたのですけれども、その感覚で普通にオファーしたら普通の応札で1.5兆円が埋まらなくてレートがすっ飛んでしまった訳ですが、徐々に未踏の域に入るにつれ、先週のような事象が時に発生してその度に市場がアチャーとなってという風なのは起きやすそうですな、と思ったのでありまする。


○ニュース雑談

・麻生さん日本語の使い方は慎重に

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK060969720130208
〔外為マーケットアイ〕ドル92円前半に急落、麻生財務相の発言で下げ加速
2013年 02月 8日 17:37 JST

『 <17:16> ドル92.53円に下げ幅拡大、麻生財務相「為替がわれわれの意図せざるぐらいに円安に振れた」ドルが92.53円まで下落。時事通信が、麻生太郎財務相が「為替がわれわれの意図せざるぐらいに円安に振れた」と発言したと報じたことで、円の買い戻しが強まっている。』(上記URLより)

ということで金曜の夕方に急に為替が動いてあれれと思ったらこの件と聞きどひゃーとなったのですが、これは国会での発言のようでして・・・・・・・・


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MHW8XA6K510X01.html
財務相:円安ペース速すぎるとの認識示す−ブルームバーグに対し (1)
更新日時: 2013/02/08 19:05 JST

『 2月8日(ブルームバーグ):麻生太郎財務相は8日夕、円安のペースが速すぎると述べた。同日の衆院予算委員会での円相場に関する自身の発言趣旨について、財務省内でブルームバーグ・ニュースの取材に対し語った。財務相は衆院予算委で、足下の株高・円安について、安倍政権下で大胆な金融政策と財政出動、成長戦略の3つを一緒にやれるという状態になったとした上で、「それが気分に跳ね返ってきて株が2000円上がってみたり、為替が妙にわれわれの意図しないぐらいに78円とか79円だったのが、いきなり90円になってきた」との見方を示した。』(上記URLより)

意図しないのは今の水準では無くて前の水準だったようですが、これ紛らわしいにも程がありまして、麻生さん発言もうちょっと注意してよというか、そもそも細かい話をしだすとベンダーに片言隻句拾われてニュースヘッドラインにされるんだから余計な事は言わないのが吉ですがなという所で。

まあこのブルームバーグの趣旨を見ると、意図しないのは元の水準に加えて円高修正のペースも意図しなかったのかもしれませんけれども、いずれにせよそもそも意図して為替がどうのこうのみたいな話はまたぞろ為替操作ガーとか難癖つけられるのでサービス発言も程ほどにという事で。


・えーっと、それですと麿再任が適切になりますが・・・・・・・

同じく国会ネタですが、国会ネタというのはこういうニュースヘッドラインで見るのではなく、後日公表される会議録を見ながらネタにする方が色々な意味で面白いのですけれども、残念なことに会議録が出るのって結構遅くでして(早くても2週間後くらいだったと思います、遅いと1か月位平気で出てこない)、その時にどういう反応があったのかとかが忘却の彼方に逝っているのが残念な所。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL080LV_Y3A200C1000000/
首相、次期日銀総裁「国際金融での説明能力重要」
2013/2/8 15:15

『安倍晋三首相は8日午後、衆院予算委員会で、次期日銀総裁について「金融は国際金融マフィアというかそのサークルの中のインナーとなり得る能力も重要だろうと思う」と指摘した。理由を「例えば大胆な金融緩和を進めればいわれのない批判も受ける場合があるが、その時にちゃんと説明していただく能力は大変大切だろうと思う」と説明した。みんなの党の江田憲司氏への答弁。』(上記URLより)

ちなみに某ベンダーで「いわれのない批判にちゃんと説明する能力が大切」という部分だけ出た時には思わず爆笑してしまいましたが、どうも文脈は上記のような事だったようですな(^^)。

えーっと、中央銀行業界のインナーと言えばどう見ても麿総裁が最適任にしか見えないのですけれども、安倍ちゃんも何かもうえーっという感じですぞなもしと申しますか、そもそも「金融政策は万能であっという間に効きますよヒャッハー」みたいな話をしている人たちって最近の中央銀行における金融政策の論点から見たら「お前は何を言ってるんだ」状態だと思うのですけれども、安倍ちゃんが誰を想定してるか知りませんが、その辺判ってないまま話をしていそうで誠にアレ。

#ということで本日は雑談をほんのちょっとだけで誠に恐縮至極

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2013/02/08

○市場雑談メモメモ

本当にメモだけですいませんすいません。

・2年金利何なんですかこれ??

昨日の2年カレントの日本相互証券の引値はついに0.030%でして、ベンダーとかにも出ていましたように0.025%の出合いもあったようですな。いやあのショートカバーなのは判るんですが、もう何だか力技の世界になっていて、以下でネタにしているように佐藤審議委員も付利を下げるだの撤廃だのというのについては否定的ですし、その論点として「日銀のバランスシート拡大政策に障害になる」という事なのですから、普通に考えて中々有り得ん話だと思うのですけれどもどうしてこうなった?????

つーか何か5年まで盛り上がっておりましたもう何だかねという所ですが、正直何がどうなってこうなっているのかというと理屈の世界じゃない希ガス。


・固定金利オペ札が入って良かったですね(棒)

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130207.htm
CP等買入(資産買入等基金) 3,000 2013年2月13日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年2月12日 2013年3月4日

>2013年2月12日 2013年3月4日
>2013年2月12日 2013年3月4日
>2013年2月12日 2013年3月4日

・・・・・・・・ついに固定金利オペの期間が1か月を切るものオファーとなりまして、そらまあここもと連日固定金利オペが絶賛札割れで連日固定金利オペの残高が減っていくという流れですので、市場のニーズがまだある短いオペを打ったというようで誠に落涙を禁じ得ません。

落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130207.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(2月12日スタート分) 16,865 8,009 47.5
CP等買入(資産買入等基金) 10,138 2,792 0.104 0.106 51.3

ということでさすがに札が入ったのは良いのですが、まあそうは言いましてもここもとの札割れ攻撃でこのオペ実施後ベースで固定金利オペの残高が21.8兆円(あたくしの手元集計ベースですいませんが)と、目標対比下ブレ状態になっておりますので、今後このオペどうするのとう問題は6月の中間目標時期に向けて資産買入が積みあがれば積みあがるほど問題がヤヤコシヤになってくるでしょうな。まあ今すぐバタバタするよりはもうちょっと様子を見てからの方が良いのかもしれない(資産買入残高がもっと増えた状態でどうなるのかも良く判らんので)ですけどね。


・3MTB入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130207.htm

(3)募入最低価格 99円98銭1厘0毛 (募入最高利回り)(0.0770%)
(4)募入最低価格における案分比率 89.3742%
(5)募入平均価格 99円98銭1厘1毛 (募入平均利回り)(0.0766%)

昨日の6M入札がまあご案内の通りだったのでこんなもんで収まりましたかという所ではありますけれども、そうは言っても0.07%台ですもんねえ・・・・・・・・うーむ。

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2013/02/07

○市場雑談メモ

・2年国債ェ・・・・・・・・・

昨日の2年国債は相変わらずの状況で日本相互証券の引値は新発の325回債で0.045%(2毛強)という数値。まあ前日の0.065%というのが出来値対比でちょっと弱めだったようにも見えますので前日比の方は兎も角としまして、0.045%とか昨日の無担保コール金利の最低0.065%よりも低いという利回り水準になりまして何がどうなっていますねんという話。

まあこの銘柄に関してはそもそも入札時にいわゆる不明玉だらけでショートスクイーズが掛かっているという要因はある、というかだいたいそれが要因でこの有様という所のようですが、この銘柄は超無茶苦茶需給となっているにしましても、他の周辺銘柄も強くなってしまっていまして需給というか力技的な物を感じる今日この頃。

しかも質が悪い事にファンディングコストよりも下の金利での水準と言う事になっておりますので、これマーケットメーカーとしては商品在庫をロングにしていれば逆鞘で、しかもその逆鞘が5bpとかいうようなこの金利水準下で無理ゲーとしか思えない水準になりますし、ショートすればスクイーズが掛かって買戻しが出来ずレポコストで死ぬ上に、スクイーズした方からすると日銀に放り込んで在庫負担を軽くするという荒業が可能なので大変、とまあそういう状況になるので、これはまあ困ったもんですなあという所ですが、そのうちかつての4年6年国債の一部特定銘柄のように「その銘柄のオファーはありません」「その銘柄のビットは6毛甘(0.10%レベルを想定してクオートしてみました^^)ですが何か?」(まあ当時は30毛甘とか言われてた記憶がありますが)みたいなクオートを全業者がおっぱじめるとかなるとかになりますと(まあここまで来ますとオファーは有りません攻撃にはなっているでしょうけれども)まさに流動性枯渇モードとなって国債流通市場の流動性が低下しますなあと誠に遺憾に存じますという所でありまする。

というメモでした。


・6か月TB入札

前日の短国買入がアヒャヒャヒャヒャになったので致し方ないのですが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130206.htm

(3)募入最低価格 99円96銭5厘(募入最高利回り)(0.0717%)
(4)募入最低価格における案分比率 25.3212%
(5)募入平均価格 99円96銭7厘(募入平均利回り)(0.0676%)

まあ無担保コールの最低金利よりも平均利回りが高くて良かったですね(棒読み)という所でございますが、こちらはそもそもショートスクイーズがどうのこうのというのではなく、単に日銀の吸い上げのタイミングが昨日申し上げましたように絶妙だった(わざとやったのか期せずしてそうなったのかは不明ですが、まあオペの本来の意味からすればわざとやるのはどうかという気もしますし、しかしながら基金オペの趣旨かつ最近のMPMの議論に則して言えば金利を下げようって事でわざとやったのかもしれませんがそれはワカランチ会長と申しますか日銀もその辺はよー言わんでしょ)ので需給が締まっておりますがなという代物であります(短国をわざわざショートする人は基本的に居ないのでショートが溜まってスクイーズみたいな現象は起きず、カレントであっても無い時には無いというクオートがきっちり帰ってくるのが昔からの仕様)。

まあこの水準で買うのって当座預金制度の外側にいる人(海外投資家と短期公社債投信など)と担保や決算の都合で国債残高を調整したいなどのニーズとして「モノとしての国債」が必要な人のニーズとなりますし、そもそも担保玉のニーズ言いましても補完当座預金金利よりも3bpも4bpも低い金利の担保が本当にコスト払って持つ必要あるのかという話もあって、それこそ決済用の担保とか資金調達用の担保というのであれば、その担保購入代わり金分超過準備として放り込んでおけばアベイラビリティーという点では同じだろという事を考えますと、まあ日銀の買入効果による需給の引き締めがどの程度効きますかねという話ではあろうかと存じますので、とりあえずは昨日申し上げたような感じになるんじゃネーノとゆー所ですが今日の3か月TB入札はどうなるんでしょうかねえ。まあ強いでしょうなあというのだけは判りますが(−−)。


・いやしかし何を期待しているのやら

まあ皆様ご案内の通りの相場でありましたがせっかくなのでメモを残して置く。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/index.html

日経平均株価 11,463.75 416.83 3.77
TOPIX (東証株価指数) 968.82 29.12 3.10

そういえばどこぞの安倍ちゃん経済ブレーンと称されるお方におかれましては「インフレ率2%が達成できれば、日経平均株価が1万1300円程度、円相場は1ドル=98円程度となると予測される」と仰せだったと昨年12月26日の金融ファクシミリ新聞さんが報道してましたけれども、11300円軽く抜けてますし為替も94円近辺とかになっておりますが、確か先月の全国CPIはマイナスだったように思えますが、実に素敵な計算ですなあとかいうのはこの前も申し上げたので良いと致しまして。

まーしかし何ですな、元々麿総裁が再任予定だったのが退任というのであればそらまあ大ニュースなのですが、昨日も申し上げましたように単に3週間ほど時間がずれるに過ぎない既定路線の踏襲なのにここまで株価がヒャッハーとか上昇するなよと思うのですが、まあ足元は理屈をどうのこうのゆーてもシャーナイナイな訳で、地合いが期待で株価上昇ヒャッハーという風になっている所なので何でもそれらしいネタを捕まえて反応という事で、まあこういう事になるわなという所です。

でまあこういう時に「既定路線が3週間手前に寄った事で何か経済のファンダメンタルズが大きく変化するんですか」などとヒャッハーと言っている人たち相手に問い詰めますとだから金利の人間は理屈ばっかり言ってうるせえと言われますし、売り向かおうもんなら踏まされて死ぬだけですので全くお勧め致しませんが(^^)、まあこう変に盛り上がってしまうと次の日銀総裁へのハードルが無駄に上がってしまって大変ですなあという所で。

更にアレなのは、そもそも為替やら株やらの人たちが期待する「大胆な緩和」というのが何なのかがさっぱり判らないというか、大体からしてその辺の人たちに「で具体的に何をしろと??」と質問すると具体的な答えが返ってこないか、それは既にやっておりますがなという事についての答えが返ってくる、というような状況だったりするので非常にナニでございますなあとゆー所で。

#まあだからこそハッタリと気合と見せ方の工夫をもうちょっとやっておけばという話なのですが


・市場雑談じゃないけどこれはまた

こ、これは・・・・・

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130207/k10015350351000.html
与党 日銀総裁の後任人事で苦慮も
2月7日 4時31分

『日銀の白川総裁の後任人事について、与党側は人事案を国会に正式に示す前に水面下で野党側と調整することも検討していますが、事前に報道された場合は原則として内示を受け付けないとした衆参両院の合意が維持されたことで、対応に苦慮することも予想されます。』(上記URLより)

ということでこのニュース数日前からどうするのよという話が出ておりましたけれども、これはまた混乱の悪寒が漂って参ります次第でありまして、大丈夫かという所でありますが、各新聞が勝手に「誰々に決定する方向で調整」とか飛ばし記事を書くとその人を潰せるという意味不明な展開になりますので、もうアホかと馬鹿かとっつー所ではございますが、これで本当に3月19日の就任間に合うんかいなという疑問もふつふつと。

つーかですな、麿も何か微妙に間が悪い罠と思うのですが、今回の退任公表のタイミングでこんな話にはなるわ、ちょうどその日に基金短国買入オペの利回りが急低下してしまったのでまたまた中短期金利の低下と絡めて退任ネタを使われて金利低下に拍車を掛ける格好になるとか、この手の間の悪さというのは麿総裁の仕様じゃねえのかという位の絶妙さで、最後の最後まで落涙を禁じ得ないあたくしなのでございましたとさ。

まあ麿におかれましては次はカナダ中銀の次期総裁辺りになって頂きたく存じますが。

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2013/02/06

○基金短国買入ェ・・・・・・・・

普通に債券の話をするなら10年国債入札の話だろ常識的に考えて、というツッコミはあろうかと存じますが、そこで昨日の基金短国買入の話をするのがこの変わり者のあたくしのクオリティ。

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130205.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 15,000 2013年2月7日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年2月7日 2013年2月14日 0.630
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年2月7日 2013年5月2日 0.630
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年2月7日 2013年4月8日

んでもってオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130205.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 29,640 15,001 0.070 0.087 23.8
米ドル資金供給(固定金利方式)(2月14日エンド分) 1 1
米ドル資金供給(固定金利方式)(5月2日エンド分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(2月7日スタート分) 3,440 3,440

>国庫短期証券買入(資産買入等基金) 29,640 15,001 0.070 0.087

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

大体ですな、金曜に1兆5000億円の基金短国買入をやったばっかりでまた今日やるとか何ですねんとは思っておりましたが、足切りレートが0.070%まで低下しやがるという事象が発生しまして、これがどういう事ですねんと申しますと、先週金曜日=1日の国庫短期証券買入は平均0.095%で足切りも0.095%でしたし、前日月曜の市場では大体残存3か月以内の短国のオファーが0.0925%から0.095%の間くらい(銘柄によって業者の持ち具合が違うので微妙に異なるが大体その位の居場所)となっておりました所だったのですが、いきなり足切り0.070%まで入るとかもう何だかなという所で。

まあ何ですな、大体普通のオファーにちょっと毛が生えた位の応札するとすれば0.091とか0.092とか0.093とかその辺で応札するのがごく普通のオファーサイドな札だとは思うのですけれども、木曜に発行総額5.7兆円(第T非価格競争入札も含めて5.74兆円)新発3か月の入札があって、金曜に1.5兆円の吸い上げを実施しているのに昨日も1.5兆円の吸い上げをしようとしたら玉無し芳一になってしまう訳でして、普通のオファー分だけでは1.5兆円の札に届かなかったのでギャグで応札した0.070%とかまで入ってしまったでござるの巻という所でしょう。平均が0.087%ですからまあ基本的な札は0.090%台の水準で入っているんでしょう。

んでもって今週って今日と明日に短国の入札があって、今日が6か月物3.5兆円程度で明日が3か月物5.7兆円程度の入札があるんですから何も入札前日の玉の薄い所でやらんでも木曜か金曜にやって下さいよとゆー風情なのですが、他の買入系オペやら国債入札スケジュールやらを考えたら日程がここしか無かったとかいう所なのかも知れん罠とは思う(というかたぶんそうです)のですけれども、3か月もの1本しかない入札の後に次の入札が来る前に合計3兆円の買入をオファーしたのはさすがにちょっとという感じです。

今回こうやって買入オペの金利が低下しますと、それに連れまして相場の位置が変わりますので、結果として今日明日の短国入札がやたら強い所で決着するという誠に遺憾な展開が容易に想定できるのですが、「入札激強」→「でも冷静に考えて日銀当座預金制度の外側の成行買いと日銀の基金短国買入以外に買い手が無い」→「そうこうしているうちに業者の在庫滞留」→「GCレート上昇」→「ファンディングコスト逆鞘を持っているのがキツイ」→「結局金利上昇して買いがやってくるまで水準訂正」→「水準訂正後のポジションは軽くなっているから買入オペの金利が低下しやすくなる」→「業者のポジション軽くなる」→「基金オペには冷やかしレートだけ放り込んでおくか」→「オペが強くてあばばばばー」→最初に戻る、という無限ループに入っているような気もしますし、大体からして日銀の基金国庫短期証券が市場の玉が薄い時に吸い上げとか、日銀の買入が狙い撃ちしてわざわざ短期市場というか短国の金利を作為的に下げたい、というのならまあ(あまり上品では無いが)良いとしまして、その辺を何も考えていないで実施しているならば、市場を自分から掻き回すようなオペの打ち方ってどうなのよとゆー所ですな。

しかしまあ何ですな、このオペ結果見て何かお調子者がジャンピングしたのか、はたまた店頭で持って行かれた(または既に持って行かれている)業者が泣きながら踏んだのかは知らんですけれども、後場の債券市場で2年新発債が0.055%(前日の引けから0.010%金利低下)が出合ったのにはビックリというよりは苦笑を禁じ得ない展開になってしまいました。

でですね、2年国債の0.055%も何だよと思いましたがもっと何だよというのはどこぞの某ベンダーの報道でありまして、どこのベンダーかは申し上げませんが、「付利下げの思惑復活」とか報道したバカスケがおりまして、幾らなんでも市場のプライスアクションに釣られ過ぎにも程があるわと市場の一部からはアホジャナカロウカこのベンダーという声が上がったのは申し上げるまでもございません。そうやって市場のプライスアクションを一々「市場が何とかかんとかを織り込んでいる」として報道するとバンドワゴン効果を拡大して、それこそ市場の自己実現的な暴走を促進する訳でございまして、まあマクロプルーデンスの観点からこのようなバカスケは市場から排除されるべきである、というのはだいぶ冗談の大袈裟成分ではありますが、そもそもお前何でこのタイミングで付利下げ観測が出てくるんだとか考えてからニュース記事書けよと思います次第。

そらまあベンダーさんもユーザーの頭数は減るわ経費削減でベンダー費用も削減対象だわということで、何でもかんでもオモシロヘッドラインにして商売繁盛を狙いたいということだとは存じますが、そらまあ何も知らん一般ピープルにはそれでもウケて商売になるかも知れませんが、幾らなんでもプロの方々が「ハァ?」というような記事を配信するのは如何なものかと思われますとゆーか、そういう与太記事書いていると経費削減対象に真っ先に挙げられるだけなんですけど大丈夫ですかねえと思いますけどにゃあどこぞのベンダー様。

#うむ最後は市場と関係ない悪態になっとる


○麿の退任時期が副総裁と揃うとな

昨日の夕方(18時20分過ぎ位)に出ましたが皆様既にご案内の通り。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130205/t10015315671000.html
白川総裁 来月19日付けで辞任の意向
2月5日 18時53分

元はと言えばお縄一派が引っ掻き回したせいで前回の総裁就任が1か月近くずれてしまったため、副総裁2名の任期と総裁の任期が不自然にずれてしまった為、このままだと2名の両副総裁だけ先に交代して総裁が1か月弱ぽつねんと残されるという形になりますなという状態でした。

でまあ日銀の政策委員に関してはいわゆる欠格事由に引っかかる(例えば泥棒をして禁固以上の実刑を食らうとか)以外では本人の意思に反して辞めさせる訳には行かないので、従来のように総裁副総裁3人セットで任期を揃えるためには本人が辞任しないといけないので辞任しました。とまあそれだけの事でそれ以上でもそれ以下でも無いぞなもしという所ですな。

#「突然の辞任表明に関係者から戸惑いの声も」とかモーサテは何を言ってるんだ

まー1つ言えるのは昨日は民主党が総裁人事に関する基準みたいなのを公表しておりました(後でちょっとメモしておきますが)ように、正副総裁の後任人事についてかなり進展して来ておりまして、3月19日の就任に手続き上間に合いそうだから総裁の任期を揃える形で退任しても大丈夫だろうという事になったんでしょうねという所ですわな。もしこれがまだまだ何も決まらず揉めまくっていて、下手したら3月19日就任に向けた国会承認が全然間に合いそうもないというのであれば、業務遂行の都合を考えると総裁が残っていた方が良いのですから退任とか先に言わんぞなという所で。

しかしまあわざわざ話題になるようなタイミングじゃなくて、何となく正副総裁の後任が決まってから退任時期を合わせる表明をしてもよさそうな気がしたんですが、もしかして国会承認の手続きの際に任期に関しても承認事項の中身に含まれるのでしたら、先に退任時期を合わせておかないと国会的にややこしい事になるので先に退任表明したんですかねえとか思うのですがおじちゃんそこまでのテクニカルな話がワカランチ会長なのでご存知の方教えてジェネラルなのでありまする。


まあ何ですな、麿総裁におかれましては就任時から最後まで(途中は平和な時代もありましたけれども)政治に振り回されて誠に残念に存じますという所ですが(大体もとは副総裁の筈だったんですし)、今回の騒動見て思いますに、総裁と副総裁2名をセットで入れ替えるという現在のやり方って今回のように「俺の考えに従え」系の人が出てくると政策ロジックのワープのような事になるリスクがあって、政策の継続性という観点からしてちょっとどうなのと思われますので、正副総裁の任期を1年半くらいずらすような形に変えられないもんかねと思うのであります。一応6名の審議委員とは任期がずれているので、変な馬鹿野郎政権が出てきて(ちなみに安倍ちゃんの事を指している訳では無い(本当)ので念のため)馬鹿野郎執行部を指名しても6名の審議委員が反対に回るというヘッジはついておりますが、まあそうは言っても正副総裁総取り替えというのも継続性的にどうなのという気はやはりするのでありましたです、はい。


しかし酷えなと思ったのはこれまたどこぞのベンダー(というか通信社)でして、このニュース見て早速「白川総裁前倒し退任で円が下落」とか報じていたのですけれども、昨日の夜前半(大体東京の夜8時前位)までの日中足を見るとユーロの対ドル相場とドルの対円相場の日中足の形がまるっきり同じで推移しておりまして(つまりユーロが対ドルで上昇するのと全くパラレルな感じでドルが対円で上昇していたという事)、どこからどう見ても昨日の夕方の値動きってユーロ主導だったと思いますぞなもしという話。まあそのユーロの対ドル昇龍拳状態って東京時間の夕方5時位からやっていたのですが、そもそもその昇龍拳が何で起きたのかが良くワカランチ会長で、ユーロ圏PMIのリバイスガーとか一応後付講釈はされていたのですけれども、そんなに目をひん剥くようなリバイスをしている訳でも無く、それよりも同じタイミングでイタスペ国債の金利が低下していたのでそっちの影響じゃネーノとか思ったのですが、じゃあそもそも何でイタスペ国債の金利が低下した(その前はイタスペ国債金利は上昇気味でユーロは対ドルで下がっていた)のかはあたくし存じ上げませんので甚だ遺憾に存じますという所。

NY市場での日中足まで見てないのでもしかしたら報道に釣られて雨人がジャパンの金融緩和ヒャッハーとかやったのかも知れませんが、他の数字見てるとこれ単に米国市場様における金利上昇株高を受けてドルが上昇しているだけのようにしか見えませんし、大体からして退任前倒しって言ったって2年も3年も前倒しになる訳では無くて、単に4月8日の退任が3月19日に前倒しになるだけの話で、その1か月違って何がどう違うのかお前はどういうタイムスパンで物事考えてるんだ日計りディーラーかよという話でございまして、そこまでヒャッハーと反応する事でも無いと思うのですけどねえ。こんなの単に円売り地合いだからでしょと思いますが。

まあ話題としては面白いしキャッチーだから日銀総裁前倒し退任で円安加速とか報道したいのは気持ちとしては判るのですが、一応プロ向けベンダーにニュース流している人たちだったらドル円だけじゃなくてドルユーロ見るとか欧州周縁国国債金利状況見るとか、その辺を見て「待てよ」となって頂きませんと(大体からしてこのニュース出た瞬間に為替動くかと思って目を皿のようにして見てたけどドル円5分間ほど殆ど動いてなかったし、円安キタコレとか思ってドルユーロ見たらユーロが上昇してて脱力したんですけどね)、ズレたニュースであっても活字として残るので、その瞬間その場に居合わせた人たち的には「こいつは何を言ってるんだ」となっても、その場に居合わせなかった人からすると「そうだったのか!」となって嘘から出た真という事案が発生するという、デマ拡大装置としてニュースベンダーが機能するという糞の役にも立たないどころか弊害モードになってしまいますので、もうちょっと市場後講釈について書く事について良く良く物事を考えて頂きたい物だと存じます。

つーかさ、さっきの「付利下げの思惑ガー」もそうですけれども、こんなのちゃんと見て無かったり、そもそもその辺に詳しく無かったりしたら全力で信じてしまいますぞなもしとゆー所でありまして、こうやって悪態をついている不肖このあたくしだって自分の専門外の事になるとメディアに釣られてああだこうだとか考えているんだろうなあと思います次第でありまして、もうちょっとメディアは報道するにあたって勉強して欲しいもんだとか思うのですけれども、面白センセーショナル報道に釣られて嘘から出た真って感じでNY市場が動いたんですかねえという所ではございまする。

いやまあこのようにあたくし申し上げておりますが、もしかしたらユーロの上昇と円安は独立事象で偶々パラレルに発生しているのかもしれませんので、そーゆー意味ではあたくしのこっちの悪態も的が外れている可能性はあるので外れていたらどうもすいませんという所ですけれども、欧州時間のプライスアクション見るとベンダーニュース程反応していたようには見えませんでしたという事で。

#なお、付利下げの思惑復活とかいうさっきの話に関しては全力で「それは間違い」と指摘させて頂きとうぞんじます(^^)

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2013/02/05

○例によって営業毎旬と保有国債残高の確認を

月初第2営業日に出てくる月末分の毎旬報告と保有国債明細ネタが定例ネタと化しておりますが、この定例ネタも2014年からはオープンエンド買入になるので良く良く考えてみるとテンポラリーネタなのである。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130131.htm/
営業毎旬報告(平成25年1月31日現在)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2013/mei1301.pdf
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/release/2013/tmei1301.pdf
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額


・銀行券残高と国債残高

最早誰も話題にしない所がオソロシスなのですが。

発行銀行券 82,639,979,362
(別表1)長期国債 65,436,618,746
(別表2)長期国債 25,886,702,130

ということで別表1が輪番分で別表2が基金オペ分ですが、合計は堂々の銀行券残高超えとなっておられますぞなもしという所で。まあ財政ファイナンスがどうのこうの言われないのであればこれは純粋な調節技術上の問題であって、調節技術上で言えば長期国債の残高があまり多いと短期金融市場の金利誘導を行う際に資金吸収オペ先行で実施しないといけなくなるので調節が窮屈になり、恐らくは(そういう事例が過去に無いと思うので確たることは言えませんけれども体感的に)金利誘導がテクニカルに難しくなるでしょうねとは思います。

が、ジャパンの場合には量的緩和状態だわ物価目標から遠い状態なので当分量的緩和状態は続くどころか拡大するわとなっておりまして、どこぞの先生などによれば当座預金残高77兆円で2%の物価目標達成へとかいう話になっていましたがまあそんな簡単なもんじゃないでしょという位の勢いでありますので、この辺りが問題になるのは出口ガーの米国の方でしょうなあという話でハポンの方はキニシナイという所でしょうな。

なので話が逸れますけど、長い物ばかりバカスカ購入している米国の場合、いざノーマライゼーションという話になった場合に酷い事になり兼ねないので、そういう意味で利上げと資産買入を分離して資産買入の拡大停止などを先にできるような建付けにしているのは、さすがにその辺の先を気にしているという事なんでしょうねえと。


・基金長期国債に関する雑考

ということで長期国債の銘柄別保有状況を見る訳ですが、まあ見ててほほうというのが幾つかあったのでその辺でも。なお、以下の数値は上にあるURLの数値およびその前月分のデータから電卓等であたくしが数字拾ってヘコヘコ計算したもので、一応検算らしきものはしたつもりではあるのですが、正確性は担保致しかねますのでデータは全て日銀のサイトにありますから皆さん自分で計算してちょ。

でまあまずは償還スケジュールなのですが・・・・・・(額面ベースで単位は億円ね)

2013年01-06月:11495
2013年07-12月:50965
2014年01-06月:92860
2014年07-12月:39374
2015年01-06月:51933
2015年07-12月:11032
(2016年償還銘柄の利付国債は一番早い償還が3月20日に来るのでしばらく買入対象外)

ちなみに12月末現在の数値は先月ネタにしましたのでそこから拾ってくるとこうなります。

2013年01-06月:12529
2013年07-12月:50965
2014年01-06月:86056
2014年07-12月:34842
2015年01-06月:46126
2015年07-12月:9153

前月との増減ですけれども・・・・・・・

2013年01-06月:▲1034
2013年07-12月:0
2014年01-06月:+6804
2014年07-12月:+4532
2015年01-06月:+5807
2015年07-12月:+1879

手前のマイナスは1/15償還の2年300回の分ですが、これを見ると買入の銘柄って特に1−3年の中で長い物ばかりが入る訳でも無いのねというのが(細かい銘柄別まではさすがに計算するのがめんどいので計算しなかったけどそれを見るとより判り易そう)ふーんという所ではあります。ちなみに1月発行の2年新発の324回債については4202億円が打ち込まれておりました。

#なお、どうでも良いですが増分合計が19022億円でして、受渡ベースで1月の基金国債買入は3回実施されてそれぞれ6003、6016、7003億円の落札でしたので合計して19022億円で数値一致しておりますな、当たり前の事ですが(^^)

でまあこの償還スケジュールと今後の買入の関係を見ますと、6月末までの買入については1月末の営業毎旬報告での長期国債残高が25.886兆円で、償還が1.2529兆円(訂正:1.1495兆円)、目標残高が34兆円ですので、あと9.2635兆円ほど買わないと残高到達しませんという話になります。これを残り月数の5で割ると1.8527兆円と出てくるので、1回に7000億円の買入を3回実施するとか、6000億円2回と7000億円1回とか、まあ何かそんなペースになるんでしょうな。

でもって12月末ですが、償還が5.0965兆円で基金の積み上げが10兆円ですので、これを6で割ると2.516兆円とかの数字となりますが、これに関しては買入対象から既に外れているのでこの額で確定という所になるでしょう。1回6000億円から7000億円が月に4発オファーされると思うと中々頭がクラクラして参ります。

んでまあへーと思うのは2014年前半でありまして、現状で償還が9.286兆円もありまして、これがまたおそロシアな事に買入銘柄が結構分散されていて残存1年ちょっとの銘柄もしらっと打ち込まれていると言う事を勘案すると2014年前半償還の基金残高ってもうちょっと積みあがると思いますが、月に2兆円の買入で12兆円のおかわりがあるのですが、今の時点では残高自体は3兆円弱の積み上げという形になるんですな、うんうん。

まあ2014年以降に関しては2兆円定額購入になりますのでこの計算をするのは基金残高の推移予想という意味では意味があるのですが、そもそも基金残高が幾らになるという意味での量での勝負というフレームから半分足抜けしつつあるのが足元の推移だと思いますのでその辺は単に興味本位での計算ではありまする。


・基金短期国債に関する雑考

こちらはと言いますと相変わらずのハムスター状態でして、前月対比で額面ベースの基金残高は20970億円増えているのですが、実は1月の買入は4回でそれぞれ10007、10004、10008、15009億円の買入となっておりまして合計で45028億円の買入を実施しております。当然なのですがその差分は償還でして、先月は基金短期国債の償還が24058億円ございましてもう権兵衛が種まきゃカラスがほじくるとはこのことですなという状態。

まあそれは良いのですが償還スケジュール。

2013年01-06月:114743
2013年07-12月:1882

何がお洒落と言いましても1月の買入によって2013年7月以降償還の銘柄の残高が1円も増えていない事でありまして、つまり1月に買入を実施した分は6月末までには全部償還の刑になるので結局残高目標達成に寄与しないという大変に素敵な形ですな。まあ3か月と1年がインバートしているんですから当たり前と言えば当たり前ですが。

つーことで、まあこちらに関しては買入ペースの推計もへったくれもありませんで、6月末の残高目標であります所の19.5兆円を単純計算しても3で割るペースでの買入をしないと追いつかないという話になりますわな。

ちなみに今後の償還額ですが

2月:43237
3月:33958
4月:33944
5月:1984
6月:1620

という形で3か月以内物に思いっきり偏重した買入になっているのが判り易い(買入の殆どは12月終わり以降に発行されたカレント3カ月物が順繰りに入っている格好)訳でして、これは基金短国買入の最終形が月10兆円のオープンエンドですから残高ベースで30兆円程度になるんでしょうなあというのは判りやすい図になるかと思います。

しかしまあ何ですな、固定金利オペの残高目標が行かないという事になりますと、その分が基金短国買入に振り替わってくる可能性があるのですが、5兆増やすと単純計算でその3分の1の買入が月額ベースで拡大するとか何という展開という所ではございまする。

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2013/02/04

○この前の雑談の補足というか続き

先週国債発行計画絡みで国債整理基金の取り崩しによって日銀の対政府現先が減るからという話をしましたぞな。

『そして国債整理基金の残高が圧縮になりますと・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130120.htm/
営業毎旬報告(平成25年1月20日現在)

たぶんここにある売現先勘定が減る(現在の当該勘定は基本的に対政府勘定)筈なので、日銀のバランスシートガーの人がそのうち面白い事を言い出すに1万ドラクマですが、現先の期間とかが良くワカランチ会長なのでどのようなペースで減るのか存じませんが、目に見えて減ってくる頃にはこの辺の話を覚えて居ない人が多いのでオモシロ発言が期待できそうですな(^^)。』(以上1月30日の駄文より)

という話をしたら読者様からツッコミを頂きまして、政府から見ると対日銀の買現先勘定が減る分は国債償還に回る形になるのだから、その分は民間の当座預金残高の増加要因になるので、日銀のバランスシート的には中立ではないのか???という質問でありましてこれは確かにと言う事でちょっとだけ。

これ書いているあたくしもついうっかり通常の金融調節フレームで物を考えるから反射的にこういう書き方をする訳でして、上記のように瞬間的に言えば国債償還によって民間(インターバンク)の資金余剰要因になりまして、これが通常の金融調節(金利誘導をやっていて特段の量的緩和政策を実施していない時)であれば、これによって発生する資金余剰分だけインターバンク市場での資金を日銀が吸収しないといけない(吸収しないでいると量的緩和状態になり最低でも預金ファシリティー水準まで短期市場金利が低下するから金利誘導政策にならなくなる)ので、それが売りオペであれば日銀のバランスシート規模は同じですが、買いオペのエンドをロールしない形での吸収であればオペが減るのでその分だけ日銀のバランスシートは縮小します。

然るに、現在は量的緩和政策を実施しているので、これによって発生した資金余剰を特段日銀が吸収する必要は無く、したがって日銀のバランスシートは変わらないという結果になるというのが正解になります罠。ただまあその時はそうなるのですが、政府部門における両建てが解消になって民間の資金余剰が拡大すると、まあどこかで資金供給オペが減るような形になってバランスは縮小するのかなあとか漠然とは思うのでありました。ということでツッコミ頂きました読者様にこの場でお礼をm(__)m

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2013/02/01

○市場メモ雑談

・2年入札でヒャッハー

昨日の2年国債入札の落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul070.htm

(3)募入最低価格 100円05銭0厘 (募入最高利回り)(0.074%)
(4)募入最低価格における案分比率 21.7671%
(5)募入平均価格 100円05銭8厘 (募入平均利回り)(0.070%)

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

前場引けの新発気配が0.075/0.080でして、まあ前々日の基金国債買入オペの買入レートが0.076/0.072なので、0.07%台前半になっても良いのかもしれないのですけれども、平均0.070%と言う事はどう見ても100円06銭で札をどどーんと突っ込んだのがいるだろおいおいとか思う間もなく市場はショートカバーヒャッハー状態になって2年ゾーンの引けは軒並み0.065%になるの巻。

何せ市場推計でいわゆる不明玉が21600億円とかありまして、ほとんどの業者が絶賛空振りショート状態になってしまいまして、こんなのショートをSCレポでキャリーしてても(ちなみに発行日来月15日なので暫くは買い手のファンディングコスト負担も売り手のレポコスト負担も無いのですが)コストばっかり掛かる話な上に、うかうかしていると日銀の基金国債買入に突っ込まれて流動玉自体が減ってしまうという恐れもありますからそらまあカバーします罠という事で。

何がヒャッハーと申しましても、付利下げ思惑ガーとか言ってたMPM前よりも2年カレントの金利水準が低下していることで、いやまあ確かにこれから基金国債買入の積み上げが進むのですけれども、何もあーた買入の積み上げが進みまくった最終形を今からやってどうしますねんという所で、何がどうなっているのやらという所ですがちょっと大量購入した人どういうロジックで買ったのか教えてジェネラルって絶対教えてくれないでしょうが、つーか誰が買うのよ、とゆーおそロシアな入札ではございました。

んでまあ昨日は3MTBの入札もあったのですが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130131.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛 (募入最高利回り)(0.0972%)
(4)募入最低価格における案分比率 3.0816%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘8毛 (募入平均利回り)(0.0960%)

・・・・・・・ということでこちらは前週の3MTBと利回り的には平均足切りともに同じでして、どう見てもインバートです本当にありがとうございましたという流れなのですが、折角2年金利が絶賛低下したというのに別にそれをネタにして為替市場が動いたように見えない訳でして、付利下げで為替に影響云々とゆーのはちょっと話の筋としてどうなのか、とまあそういう所ですな、つーかバカスカ買えば金利はそらまあ下がる罠という所で、付利あっても需給を思いっきり締めれば下がりますという事でありました。


・固定金利オペェ・・・・・・・・・・

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130131.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年2月4日 2013年4月4日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130131.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(2月4日スタート分) 6,880 6,880

ということで今週月曜に2か月ものにオペの期間を短くしたら札は入ったのですが、その後の固定金利オペは札割れが継続しております。ただまあ期落ちの方も札割れ物のロールとなっている場合もあって、日によっては札割れオペでもロールでは増額になっているケースもあるにはあるのですが、あたくしの手計算集計ベースによりますとこのオペ後の2月4日時点での固定金利オペ残高は23.5兆円(計算があっていれば235858億円)と、目標の25兆円に少々足りない状態で、年末は26.8兆円あった固定金利オペ残は現象中なのでありますた。

でまあオペ残減ってますけど当座預金残高は相変わらず貫録の40兆円超え(今日は今の所44兆円になる予定)で推移しておりまして、今後国債買入が増えると当座預金残高は更に拡大することが予想されますので、基金固定金利オペへのニーズが減るという流れが想定されます。まあ固定オペが減るとその分当座預金残高が落ちるのでニーズは発生するかもしれませんが、固定オペ自体も目標額設定してやがりますので、これを大きく割るという訳にも行かず、そうなると短国買入が更に増えて・・・・・という事になって更に固定オペのニーズが落ちるというお洒落なスパイラルの悪寒がががが。


○あら時間が無い

時間が無いという恐ろしい事に気が付いたので今日のネタがここで終了しちゃうのですが、宿題備忘用にちょっとだけメモメモ。岩田規久男先生の「当座預金残高77兆円で2%達成」という怪理論なんですけどね。

えーっとですね、何故かネット版のブルームバーグで検索しても記事が出てこないのが困るのですけれども、30日のニュース(最終版の配信時間が16時23分でした)で岩田先生が「物価目標2%達成に77兆円供給を」というような話をしていたというインタビュー記事があったのですな。

ニュースが何せ引っ張ってこれないのでアレなのですが、先生77兆円の当座預金残高だったら年内にたぶん達成するんじゃないかと思うのですけれども。昨年12月末の当座預金残高が47.2兆円でして、その時点から資産買入等の基金が36兆円増えるので77兆円とか行ってもおかしくない計算になると思うのざますが。

つーか(記事にはあるけど)77兆円の積算根拠が何か読んでもワカランチ会長ですし、何なんでしょとか思ったのですがもうちょっと当座預金残高がどうのこうのみたいなのを考えて纏めるかもしれないし纏めないかもしれません。しかし77兆円の当座預金残高に持って行くと何でインフレ(というか説明によるとインフレ期待みたいですが)が2%に上昇するのかのプロセスが頭の悪いこのあたくしにはさぱーりワカランチ会長ですの。

という話以外にも小ネタがあったような気がするのですが時間の都合で勘弁。

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2013/01/30

○ニュース雑談

・微妙にこの手の話が出ますのう

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130130/t10015154471000.html
国会で代表質問へ 与野党の論戦開始
1月30日 4時44分

『一方、民主党の海江田代表は、安倍政権の経済政策は公共事業に偏った旧来型のものだと追及するとともに、2%の物価上昇率を目標として掲げた金融政策は実質賃金の引き下げにつながる可能性があるなど、副作用は無視できないとただす考えです。』(上記URLより)

・・・・・・・・・いやおまいらもデフレ脱却とかゆうとった訳で、名目賃金をどうするかに関してはそらまあ政労使で協議する話で副作用とか言われましてもとは思いますが、まあ一般向けニュース番組とか見てると昨日の夜の公共放送ニュースとかでも春闘絡みで物価が上昇しても賃金が上昇しないと云々というのをニュースにしておりますし、まあインフレフォビアが物価が上昇する前からおっぱじまるとかどんだけ様式美なお約束の展開ですねんという所でありまする。

この前(しばらく前に)ネタにした浜田先生の「名目賃金が(当初は)上昇しない方が良い」という発言とかリフレ政策の本質的な意味からしたら極めて正しいのですけれども、その物言いはどう見てもpolitically incorrectです本当にカムサハムニダという所でございまして、経済ブレーンとやらの皆様が安倍ちゃんに変に理屈としてはそれは正しいのだが政治的に拙かろうという理屈を吹き込んでしまい、それを安倍ちゃんがそのまま放流するとアベノミクスどころの騒ぎじゃなくなるのでこの辺りは慎重対応して頂きたいものであると思います。まあ麻生さんや甘利さんはその辺のバランス取って話が出来ると思うのですけれども・・・・・・・

つーか、実際に物価が上昇しだしたらインフレフォビア炸裂で「やっぱり急に2%まで持ち上げるのには無理があるのでもっと漸進的なアプローチにしましょう」とかいうような話になるかもしれませんねえという予感はせんでもない、つーか債券市場が(まあ少々動きがあるにはありますが)絶賛低金利なのってそういう事も予感してるんですかねえ。


・いつか見た無法発言に似たような香りがするのですが・・・・・・・

ちょっと前のニュースですがこれは何ですねん。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000016-asahi-soci
都、東電と全面対決へ 売電解約、50億円支払い拒否へ
朝日新聞デジタル 1月24日(木)10時1分配信

長期随意契約がどうなっているのかの内容がこの記事だけだと判らんから何とも言えませんが、契約に沿って請求する違約金の支払いを拒否して『「東電の主張する金額は払う必要はない。払わないと言い切れば(都の)勝ち。都を敵に訴訟を起こせるのか」』(上記URLより)とか言ってるんだったらもう何言ってるんだかという所でおっちゃんの前任が銀行だけに外形標準課税して訴訟起こされて敗訴したの覚えてないんでしょうかと思いましたがな。

・・・・・・・・つーかこの発言を見てマジでビビッて東京都公募公債の発行要綱を調べてしまいましたが、繰上償還条項は無かったのでほっと一息しましたけれども「買入消却」を何か勘違いして妄言を吐かない事を切に願うものでございます。

まあそもそもどういう契約になっていてどういう理屈で「払わない」と言っているのかがこの辺の記事だけだとさっぱり判らないので軽々に判断はできないのですけれども、一昨年の5月に飛び出したどこぞの官房長官(当時)の無法発言を思い出す次第ですが、これソースが朝日新聞で朝日と言えば反原発のアンチビジネスモードなのでアンチビジネス方向にバイアスが掛かっている可能性があるという点は割り引いた方が良いと思いますけどね。


○基金買入系のオペオファー額拡大とな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130129.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 15,000 2013年1月31日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 7,000 2013年1月31日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年1月31日 2013年2月7日 0.630

ドルオペの方は兎も角として、基金買入のオペオファー額が短国1.5兆円、長国7000億円に絶賛拡大と相成りましたが、そらまあこれから今年基金買入の残高を増やそうってえ話をするんですから買入のペースを上げないといかんぞなもしという所ですかな。特に短国に関しては12月末の9.5兆円から6月末の19.5兆円に拡大するので、概ね3か月物が入ると考えても月に6.5兆円の買入をしないと追いつかない訳でもうオペハムスター状態になるのはシャーナイナイと言う事で。

んでもって結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130129.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 42,204 15,009 0.096 0.097 41.2
米ドル資金供給(固定金利方式)(1月31日スタート分) 0 0
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 14,577 7,003 0.072 0.076 76.0

ということで、短国の方は0.097/0.096ですから概ね先週の2か月TBと3か月TBの平均落札から大体同じ(若干金利が低いです)水準という所ですが、国債の方は出来上がり0.076/0.072ということですので、まあこっちの金利は低いぞなもしという所でして、最近すっかり言われなくなってしまった「日米2年金利差ガー」の理屈からしますとまあドル円が円安方向にという事に寄与する話でまあ結構な事ではありますな。

などと言いつつも、残存3年辺りの金利が0.10%をやや大きく割る水準に沈むという事になりますと、そこまではGCレートがサガランチ会長で推移するでしょうという事を勘案しますと短い所を扱う業者の中の人ファンディングコスト逆鞘大変ですなあという所でもあったりします。



○国債発行計画

http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/jgbpress_20130129.html
平成25年度国債発行計画の策定等を行いました

ということで国債発行計画の概要説明はこちら
http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/jgbpress13.pdf

発行総額の話とかカレンダーベースの話とかは皆様ご案内の通りですが、その年限割り振りがほほうという所で。

『○ 年限別のバランスのとれた増発と30年債市場の育成』

ほほう。

『本年4月からの国債市中発行については、市場のニーズ・動向を踏まえ、平成24年度補正予算に伴う2月からの増発と合わせ、バランスのとれた年限構成により増発を行いつつ、平均償還年限を着実に長期化(7 年11 ヶ月)。』

『30年債については、現在の年間8回発行から、毎月発行に移行し、市場を育成。』

ということで、今年度補正で5年と10年を増発しましたが来年度当初では2年と30年を増発するというバランスを取りつつ平均償還年限の長期化は今回も実施という事で、低金利政策の時間軸が効いているうちに平均残存年限を長期化する事に加えまして、日銀の基金オペによって市場的にニーズが超過して付利金利以下に金利水準が沈んでいる2年も増発するというのもお洒落です。


『○ 物価連動債の発行再開』

『物価連動債については、償還時の元本保証を設けた新たな商品性により発行を再開。具体的な再開時期等については市場関係者を交え検討。』

計画に数字が載っているからと言って必ずしも発行に至るかはワカランチ会長ではあるのですが、物価目標を政府日銀で共有した(共同声明ですから)このタイミングで発行再開というのが打ち出されるのはタイムリー過ぎにも程があってこれまたお洒落(^^)。

『○ 国債整理基金残高の圧縮による借換債の発行抑制』

『従来、国債整理基金残高により備えてきたオペレーショナル・リスク(大規模災害やシステム障害等により借換債発行ができない事態)に対しては、日本銀行からの一時借入による対応が可能となったことから、基金残高を当該一時借入の対象外である国債入札の偶発的な未達に備えた水準まで圧縮することとし、圧縮分を国債償還に充てることにより、借換債の発行を抑制。(基金残高見込み平成24年度末10.2 兆円→平成25 年度末3兆円』

ということで、何かどこぞの新聞とかで埋蔵金ガーとか報道していたので????だった(不勉強でスイマセン)のですが、読んで理解しましたぞな。ということで日銀の方を見る。


○国債整理基金残高圧縮や国債発行計画に関連して日銀の措置とか

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129b.htm/
「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」の制定に関する件

『日本銀行は、平成25年1月25日に開催した政策委員会において、日本銀行法(平成9年法律第89号)第34条第2号に基づき、非常時に政府からの要請を受けて行う一時貸付けについて、その適切な実施を確保する観点から、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)の特則として「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」を別紙 [PDF 94KB]のとおり制定することを決定しましたので、お知らせします。』

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130129b.pdf
「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」

『大規模な災害、電子情報処理組織の故障等の事由により、政府(政府短期証券の発行が認められていない特別会計であって、大規模かつ頻繁に民間からの資金調達を実施しているものに限る。)が既存の対民間債務の借換えのために予定していた民間からの資金調達を行うことができず、政府内において採り得る手段を講じてもなお、当該債務を返済できない事態にある場合に、政府からの要請を受けて行う一時貸付け(日本銀行法(平成9年法律第89号)第34条第2号に定める貸付けをいう。)の取扱いについては、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日付政委第51号別紙)によらず、本特則に定めるとおりとする。』

ということで、具体的には例えば3か月TB発行日(現在の発行額は1回辺り約5.7兆円)の前日夜などに大震災が起きたりして、TB発行日に発行代わり金の払込が行われなくなって発行に穴が開くけど償還の方はしないといけません、というような緊急事態が発生した場合、従来ですとそのような事態に対応するために国債整理基金でその分の資金を保険としてプールしていた分で対応していたのですが、今回日銀からの融通を可能にするという措置ですな。

『(1)貸付期間は、必要と認められる最短の期間とし、原則として1営業日とする。
(2)必要と認められる場合には、政府からの借換えの要請に応じる扱いとする。
(3)政府が日本銀行に返済することができる場合には、日本銀行は、(1)に定める貸付期間の満了日到来前であっても、直ちに、返済を受ける扱いとする。』

そらまあそうですなという話で、これ自体はその通りですなという話。

そして国債整理基金の残高が圧縮になりますと・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130120.htm/
営業毎旬報告(平成25年1月20日現在)

たぶんここにある売現先勘定が減る(現在の当該勘定は基本的に対政府勘定)筈なので、日銀のバランスシートガーの人がそのうち面白い事を言い出すに1万ドラクマですが、現先の期間とかが良くワカランチ会長なのでどのようなペースで減るのか存じませんが、目に見えて減ってくる頃にはこの辺の話を覚えて居ない人が多いのでオモシロ発言が期待できそうですな(^^)。


http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/
平成25年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けならびに平成24年度および平成25年度における国債買入消却への対応に関する件

『1.平成25年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、次のとおり定めること。

(1) 償還期限到来国債(ただし、資産買入等の基金における買入残高分を除く。以下同じ。)のうち、利付国債額面総額11兆7,000億円については、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。

(2) 償還期限到来国債のうち、「平成24年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けならびに平成23年度および平成24年度における国債買入消却への対応に関する件」(平成23年12月22日決定)に基づき借換引受けを行った割引短期国債については、償還期限到来国債である利付国債の額面総額が(1)に定める金額を下回ることになると認められる場合に限り、当該差額につき、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。

(3) (2)の借換引受けの要否については、総裁が決定すること。』

ということで日本語が難しいですが(^^)、よーは償還乗換は通常通り実施するけれども再乗換は実施しませんぞなという話(ただし現在予定されている償還乗換分が事前に買入消却によって減った場合、減った分だけの再乗換は行いますので総額11.7兆円(額面ベース)はFIXですよという話)でありますけれども、そういやこの償還乗換を捕まえて「日銀は既に大量の国債を引き受けている」と主張するアレな方々がおいでで、相変わらずそれに釣られている方々がおいで(つーか議員まで真顔でそういう話をするのが困りもんなのだが)で誠に遺憾の極みに存じますとしか申し上げようがございませんのでこの辺の文書を穴のあくほど読むなり100回写経するなりしろやと思うのでございます。

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2013/01/29

○「物価の安定」についての考え方に関する付属資料もお洒落であったりするので少々

「物価の安定」についての考え方に関する付属資料
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130123a1.pdf(本文)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130123a2.pdf(図表)

冒頭部分がどう見ても燃料投下です本当にありがとうございましたという話をこれが出た直後にネタとした訳ですが、中身の方も良く良く読みますと色々とお洒落。

つーかですな、図表の方は兎も角として、説明の本文だけで9ページ分もあるとかゆーのは「説明」としてどうなんでしょという気はします。いやまあ勿論内容的にこの位説明した方がという気持ちも判らんでは無いのですが、誰向けの説明とか考えるとこういうのは総裁講演なり何なりでやった方が良さげな気もします。量が大杉で一般ピープル読まんと思いますぞ(つーかマニア以外市場の人間でも読まん)。

・冒頭の部分は正論だが燃料投下

『1.「物価の安定」とは何か』という所もそうなのですが、図表の冒頭がのっけから生活意識アンケート(そういや直近のをネタにしてない・・・・・)の調査結果でありまして、『(図表1) 物価上昇に対する家計の受け止め方』ってあーたその通りなのですが燃料投下にも程があるぞなもし。せめてこの図表が総務省あたりのアンケート調査とかにでもしておけば良いのですが(そらまあ自分の所で入費掛けてるんだから使うのは正しい態度ですけど)、日銀の実施したアンケート調査でこう出ているんです(キリッ)とか出すと日銀批判の際に悪意満々で藁人形論法も辞さず(と本人たちは思っているかどうか知らんが明らかに藁人形論法持ち出して日銀がこう言っただのという事例は散見されますけどねえ)な皆様に対して絶好の燃料投下になる訳で。まあ日銀におかれましては良く言えばその辺人が良いのでそういう因縁つけ系がどういう因縁をつけてくるのかというに対してどういう風に見えるかという意味での「見せ方」の工夫もした方が良いんじゃネーノという希ガス。

でまあ内容に関してはこの前話をしたので割愛しますが、望ましい物価上昇の姿とはこういうもんです(キリッ)っていうのもまあ中銀として仰る通りではあるのですが、2%の物価上昇を早期に実施したいのでしたらコストプッシュも辞さずじゃないと厳しいような気もしますけどね。


・物価をどのようにして見るかというコーナー

『2.「物価の安定」の数値的表現』というのが次のコーナーですが。

『物価情勢を点検していく際、物価指数としては、国民の実感に即した、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標が基本となる。この点、速報性を備えている消費者物価指数(総合)は引き続き重要である。』

という所から始まりまして説明がありまして、この辺りは折に触れて日銀からペーパーが出ているので大体読んだことのある話ではあるのですが。

『こうした一時的な変動要因を取り除いた基調的な変動を捉えるための指標として、わが国では、これまで、消費者物価指数の「除く生鮮食品」や「10%刈込平均値」が、総合指数のトレンドの捕捉力、先行きの総合指数の予測力という観点から、比較的良好な実績を示してきており、この結論は最近までのデータを用いても変わらない(図表2)。ただし、それらの指標だけをみれば十分ということはなく、一時的な要因や特殊要因を認識し、基調的な動きを正確に把握するよう努める必要がある。』

刈込平均値云々については元々日銀のペーパーで説明があったのですが、まあ極めてどうでも良いツッコミをするとそのペーパーって「著者見解ですが日本銀行の組織としての見解ではありません」となっているものの気が付くと説明の中にも織り込まれているという次第でありまして、あのヘッジクローズは何なんでしょうとかいうのは大人の態度じゃないですかそうですか。

『このように、わが国では、消費者物価の基調的な変動を表す指標として「除く生鮮食品」や「10%刈込平均値」が有用であるが、一時的な撹乱要因が物価に与える影響は、各国ごとの経済環境や物価指数統計の作成方法等によって異なる点には留意が必要である。』

キタコレ。

『この点、米国のエネルギー関連価格は日本よりも変動が大きいため、米国では基調的な変動を捉える物価指標として、食料のほかエネルギーを控除した指標(いわゆるCPIコア)を用いることが一般的となっている。』

コアコアを使わないのは何でやとよく言われる件の説明ですな。まあ刈込平均の話とこの辺に関しては以下の日銀レビューがオヌヌメ(最初のレビューは脚注で紹介されています)。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/data/rev06j07.pdf
消費者物価指数のコア指標
2006年4月

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/data/rev06j02.pdf
金融政策の説明に使われている物価指数
2006年2月

刈込平均の話自体はもっと昔からあって1999年とかにペーパー出ていますのでお暇な方はどうぞ。


・物価指数のバイアスに関して

でまあその後にこのネタが。

『「物価の安定」を具体的な数値として示すに当たっては、従来と同様、@物価指数の計測誤差(バイアス)、A物価下落と景気悪化の悪循環への備え(のりしろ)、B家計や企業が物価の安定と考える状態(国民の物価観)、の3つの観点を踏まえて検討した。』

2番目と3番目の話は従来通り、つーかまあ1番目も従来通りではあるのですが、バイアスの部分の技術的な話をしつつ「上方バイアスはよく言われるほどさほど大きくない」という説明をしているのがチャーミング。

『第1の観点である「バイアス」についてみると、わが国の消費者物価指数は固定基準ラスパイレス方式に基づいて作成されており、基準年における財・サービスの消費バスケットが5年間にわたり不変であることが前提となっている。こうした指数の前年比には、@相対的に価格が低下した財・サービスの消費バスケットにおけるウエイトが上昇する傾向が反映されない(ウエイト効果)、A価格下落の激しい耐久消費財について、時間の経過とともに指数水準が大きく低下することで、消費者物価の前年比に対するマイナス寄与が実態よりも小さくなる(リセット効果)、といった理由で上方バイアスが生じることが指摘されている。』

『この点、参考指数として別途公表されている連鎖基準指数には、こうしたバイアスが生じないとされている。そこで、固定基準年指数の前年比から連鎖基準指数の前年比を差し引くことにより、バイアスの動きをみると、基準時点からの時間の経過に伴って拡大する傾向があるものの、均してみれば定量的にさほど大きくないことが確認できる(図表3)。』

ほほう。

『さらに、こうした上方バイアスだけでなく、近年では、調査対象が大規模店舗中心となっていること、家賃について品質調整が行われていないことなど、下方バイアスの可能性も指摘されていることを併せて考えると、全体としてみれば、物価指数の計測誤差を物価の安定の数値表現において勘案しなければならない程度は小さいと考えられる。』

下方バイアスキタコレですが、ここに脚注がありましてこの説明が更に興味深い。本文3ページの脚注4なんですけど。

『消費者物価指数に下方バイアスが生じる可能性としては、例えば以下の3つが指摘されている。第1に、消費者物価の調査対象店舗は販売数量または従業者規模等の大きい順に選定されているが、近年、大規模店舗の価格競争は激化し売上もやや弱めに推移しているため、統計作成上は物価指数が弱めに出る可能性があると考えられる。第2に、消費者物価における民営家賃は、賃貸住宅の経年による品質劣化の調整を行っていないため、下方バイアスが生じているとの見方がある。民営家賃の消費者物価(除く生鮮食品)に占めるウエイトは2.8%と小さいが、これは16.2%のウエイトを持つ持家の帰属家賃にも利用されるため、全体としての影響は小さくないと言われている。第3に、耐久消費財の一部に適用されているヘドニック法(価格と各機能の関係を回帰分析を用いて推計し、機能向上分を価格下落と捉える品質調整の手法)について、例えばパソコンの機能が向上したとしても、全ての人がそれを使いこなすことが難しいとみられる現状では、品質調整が時として過剰となり、結果として下方バイアスが生じる可能性も指摘されている。』

まあ帰属家賃の所とヘドニックの所は特にそうですなあと思いますぞな、ではあるのですが、何か2%って数字が本当はおまいらの想像するよりも高いぞなもしという話をしたいというのは判りますな。というかこの後にその話がでるのですけどね


『以上3つの観点からの検討の結果は、これまでと大きな変化はない。こうしたもとで、従来の「中長期的な物価安定の目途」から「物価安定の目標」へと表現を代えたうえで、その目標を消費者物価の前年比上昇率で2%としたのは、以下の認識に基づく。』

んでもってこの先に「では何で今回2%にしたのか」の説明がありますが、こちらにつきましては決定会合時に出ていた説明と同じ何だかこう苦悩の屁理屈という所でありますのでスルーします(^^)。


・おまいら物価指数が2%になったらこんな事になるんだぞという燃料投下キタコレ

『3.わが国の消費者物価変動のミクロ的な特徴点』というのが燃料投下。

『わが国の消費者物価の品目別変化率の分布をみると、第1に、最頻値が若干のプラスながらも、耐久消費財の大幅なマイナスが全体の平均を押し下げる姿となっている(図表6)。こうした傾向は米国を含む海外でもみられるが、日本では耐久消費財の下落が特に大幅になっており、中でも、テレビなどのデジタル家電、パソコンといった品目において、わが国の下落率が大きい。これら品目は、日米でほとんど同種の製品が販売されていることを併せて考えると、耐久消費財価格の下落率に関する日米の違いには、統計作成上の手法(調査銘柄のサンプリング法、品質調整法など)や小売段階の競争環境に関する違いが、影響している可能性が高い。』

耐久消費財の価格下落で日本のCPIは米国対比で低いとな。

『第2に、1990年代後半以降における日米の平均的な消費者物価上昇率の格差である2.6%のうち、内訳を寄与度でみると、家賃が0.8%、サービス(除く家賃)が0.9%となっており、これらサービス部門全体では1.7%(寄与率で約65%)となっている。こうしたサービス価格の上昇率に関する日米格差の背景としては、後述のとおり、わが国企業は、需要の減少に対し、雇用の削減よりも賃金の引き下げで対応してきた面が強く、その結果として、労働集約的なサービス部門の価格が米国よりも下落しやすかったことが考えられる(図表7)。』

これは良く言われる話でして、後の方での説明に出てくる図表11を見ると判りやすいのですが、日本では失業率が比較的安定する中で時間当たり賃金の上昇率を抑える(というか99年以降で見ると日本は殆ど上昇していませんがorz)事によって労働需給を調整するのに対して、米国では時間当たり賃金の上昇率は安定する中で失業率はぶれまくるという現象ですわな。

でまあこの次が実にチャーミングかつ微妙な燃料投下。

『いずれにせよ、耐久消費財については、技術革新による低価格化が今後も進行するとみられるほか、機能や品質の向上分も物価指数上は価格の下落として処理される。これらを背景に、耐久消費財の価格は日本経済の成長力強化が進むもとでも、相応のペースで下落が続くと予想される。』

・・・・・・・・・・・(^^)。

『したがって、消費者物価の前年比上昇率が2%となる状態においては、非耐久消費財や医療・教育等の公共料金、家賃等を含むサービスの価格は2%以上上昇した状態となる可能性が高い。』

>非耐久消費財や医療・教育等の公共料金、家賃等を含むサービスの価格は2%以上上昇した状態となる可能性が高い
>非耐久消費財や医療・教育等の公共料金、家賃等を含むサービスの価格は2%以上上昇した状態となる可能性が高い
>非耐久消費財や医療・教育等の公共料金、家賃等を含むサービスの価格は2%以上上昇した状態となる可能性が高い

キタコレ(・∀・)


まあ何ですな、話はそれますけれども「アベノミクス」の最大の試練は普通に考えて「物価が実際に上昇しだした時」であろうと思う訳で・・・・・・・・

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130129/k10015127621000.html
春闘スタート 賃金引き上げどこまで
1月29日 4時42分

『一方、経団連は円安が進み株価が上向いているものの、海外経済の先行きが不透明なうえ、電気料金の値上げなど企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いているとして、賃金などの1%引き上げを「経済や企業の実態を無視したものだ」と批判しています。』(上記URLより)

えーっと、政府と日銀で連携して物価上昇率目標2%の数値を共有したばっかりなのですが、経団連様におかれましては国策にご協力する気が無いとでも仰せなのでしょうかというのは半分冗談ですがそれはともかくとして、まあ初期段階では物価が上昇するけど名目賃金は上昇しませんという現象は普通に起きる(というかそもそもマイルドインフレは名目がプラス推移した方が実質ベースの調整をするコストが軽いから望ましいのであるから物価がゼロからプラスになる際にはそうならないと変ですが)のでありまして、そうなった時にどうなるのよというのは衆目の一致する所であろうかと存じます。

いやね、小泉首相時代のように端から「痛みに耐えて頑張ろう」とか「米百俵」とかいう話をしているのでしたら実際に物価が上昇した時点でも「ここを暫く我慢すればトリクルダウンで皆さんハッピーになるんですよ」という話で行けるのかもしれませんが、小泉さんの改革やって結局トリクルダウンになりましたっけとか格差ガーとかいう話になってしまった訳で、その理屈で世論ガーの皆様が納得するのかどうかが怪しい上に、そもそも安倍ちゃんにおかれましてはその辺の覚悟があるような感じには思えず、何か早期に2%物価上昇を達成すると景気は良くなるわ失業は減るわ賃金は上昇するわ宝くじは当たるわ水虫は治るわでもうウハウハですよというようなバラ色の未来しか見ていないのではないかと思われる節がある訳ですな。

今はまあ真面目な話物価は上がらず資産価格と円高調整をしているだけ状態だから良いようなものの、本当に早期に2%物価上昇を目指そうというのであれば為替ルートを使わざるを得ず、それは国内消費者的には誰得物価上昇(得するのは外貨で稼げる人)という話になった際に「こんな筈じゃなかった」となった際のバックラッシュがオソロシス、というのはまああたくしも何度も申し上げていますが、日銀の説明でしらっとそういう話が出ているのがチャーミングというか親切というか誠実と言うかではあるのですが、何もそんな燃料投下せんでもという気もしないでもありませんですな。まあ独立組織(政策運営上の実態的に独立なのかというツッコミはさておいて)としての良心で警告しているという所ではあるんでしょうけど。


・ゼロ金利制約のもとで物価上昇率が高まるメカニズムとな

小見出しからして誠に苦しい説明になりそうですな、と思ってしまうのですが、実はこの話の後半になるといきなり麿節が炸裂するというのが(つーかまあこの文書そのものが麿節テイスト高いのですけど)チャーミングというかこの正直者というか燃料投下というかコミュニケーション政策上あまり上手く無いのではという所なのですけどねえ・・・・・・・・・・

『物価上昇率は、基本的に、以下の3つの要因によって決定されると考えられる。』

ほほう。

『(1)マクロ的な需給バランス:』

キタコレ。

『消費者物価の上昇率とマクロ的な需給バランスの間には、やや長い目でみれば、緩やかな正の相関関係が存在する(図表8)。すなわち、経済全体の需要が供給能力との対比で増加し、マクロ的な需給バランスが改善すれば、数四半期のラグをもって、消費者物価の上昇率は高まっていく。その意味で、物価上昇率を高めていくためには、先行して景気の改善が生じることが必要である。』

・・・・・・・・・ってそんな話でどうして「早期に目標達成」が出来るのかと小一時間。

『もちろん、例えば輸入物価が上昇する場合には、物価上昇率が先行して高まることもあり得るが、この場合、交易条件が悪化し家計や企業の実質所得は減少するため、景気の改善を伴わない物価上昇となる。』

まあ日銀としてそこまでヤケクソになる訳には逝かない、というのが良心なのでしょうが、ここで突如日銀が社畜根性を発揮して「まあ早期に達成しようとするとやはり輸入物価に働きかけるのが手っ取り早いですよね、ええ誰得なんですけれどもだって国民を代表した皆様がそれで良いって言ってるんですよ仕方ないじゃないですか後で泣いても知りませんよ」と来ない所がまあ日本も捨てたもんじゃないという所でもあり、日銀燃料投下してて大丈夫かと思う所でもあります。

つーかこういう説明を安倍ちゃんのお友達の方々が安倍ちゃんにうまく説明できれば良いのですが・・・・・・・


『(2)予想物価上昇率:予想物価上昇率は、賃金・価格設定行動を通じて、実際の物価上昇率に影響を及ぼす。企業や家計は、先行きの物価変動を考慮に入れて販売価格や賃金を決定しようとする。企業や家計の経済的意思決定は、短期的な物価予想よりも、中長期的な物価予想によって規定される面が大きいと考えられる。』

『(3)輸入物価:輸入消費財の価格の上昇や下落は、消費者物価に直接的な影響を及ぼすほか、石油ショックのような原材料の価格の変化は、コストの変化を通じて最終的に消費財の価格に影響する。』

ふむ。

『日本経済の緩やかな物価下落には、循環的な要因と構造的な要因の双方が作用していると考えられる(前掲図表8)。循環的な要因として、リーマン・ショックによる景気の落ち込みがきわめて大きかったため、マクロ的な需給バランスの回復がなお道半ばであることが挙げられる。リーマン・ショック後に一時−8%近くにも拡大したマクロ的な需給バランスは、最近では−2〜−3%程度に縮小しているものの、物価を押し上げていく力は、なお十分強まるには至っていない。』

まあこれは良いとしまして。

『日本経済の緩やかな物価下落には、こうした循環的な要因だけでなく構造的な要因、すなわち慢性的な需要不足も大きく影響している。』

まあそらそうなのですが、これを言い出すと政治将校から敗北思想と言われて人民裁判送りになると思う訳でございますな。んでもって構造要因の説明がクソ長いのがもう構造要因を強調したいというのは判るのですが、これを強調すると「日銀は金融政策無効論を唱えている」という話になってまあ政策の説明上宜しくないと思うのですけどねえ。

『日本経済は、1990年代半ば頃からマクロ的な需要不足基調で推移するもとで、消費者物価(除く生鮮食品)は、1990年代後半以降、2007〜2008年頃の一時期を除けば、緩やかな下落基調を続けている。この間、金融危機発生以前の米国では、安定的に3%前後の経済成長が実現するもとで、マクロ的な需給バランスは、循環的な変動を示しつつも、平均的にはゼロ近傍で推移してきた(図表9)。日本経済が、積極的な財政・金融政策を続けてきたにもかかわらず、マクロ的な需要不足基調から抜け出せない背景には、趨勢的な経済成長率の低下という構造的な要因が作用している。』

どう見ても麿節です本当にカムサハムニダ。

『すなわち、1990年代初頭のバブル崩壊の後、それによるバランスシート調整に時間を要した。加えて、同時期に、急速な少子高齢化やグローバル化など日本経済を取り巻く環境は大きく変化したが、これに対する労働・資本など生産要素の産業間・企業間の移動が円滑に進まず、経済構造の適応が遅れた。そのため、経済成長率が趨勢的に低下し、企業や家計の中長期的な成長期待も低下トレンドをたどった(図表10)。』

で、この程度で終わらない構造問題の説明が続くのです。

『成長期待の低下は、不採算の経済活動に代わる新たな事業や企業を生み出しにくい経済構造とも相まって、企業がコスト削減や価格競争で生き残りを図る状況を作り出してきた。こうしたもとで、わが国企業は、出来るだけ雇用確保を優先しつつ、主として賃金引き下げによってコスト削減を図った。その結果、わが国の失業率の上昇は、米国に比べて緩やかなものにとどまったものの、従来は下方硬直性が強いと考えられていた賃金には、1990年代末頃から慢性的な低下圧力がかかり続けるようになり、このことは、労働集約的なサービス部門を中心に緩やかな物価下落要因として作用した(図表11)。』

ここの部分をもっと強調して説明した方が良いと思うのですけどねえ。

『また、1990年代半ば頃からわが国企業の価格支配力が低下し、価格競争が激化してきたことは、例えば短観の販売価格DIと仕入価格DIの乖離にも表れている(図表12)。』

とまあこの辺が賃金の部分と価格政策の部分になりますが、この次に少子高齢化労働力人口減少キタコレになるのですがちょっとトーンが違うような気も・・・・・・・

『1990年代以降、少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少するもとで人口一人当たり潜在成長率が大きく低下したことは、人々の成長期待の低下を通じて、中長期の予想物価上昇率に対する低下圧力として作用してきた。この点、海外主要国では、人口一人当たり潜在成長率と中長期の予想物価上昇率の間に相関は認められない(図表13)。』

ほえ?

『このことは、日本の緩やかな物価下落は少子高齢化が直接的な原因なのではなく、少子高齢化に対応した新たな経済構造へと転換するスピードの遅さや、ひとたび成長力が低下した際にそれが賃金の引き下げや価格競争に直結しやすいわが国の企業行動等によって、緩やかな物価下落が生じやすい状況が続いてきたことを示唆している。』

えーっと、まあ確かに構造部分の話をする中ではここにあるような結論の分析をしているのですけれども、この部分に関してはもっと日銀はアピールしないといけなくて、一般的には「日銀は少子高齢化や生産年齢人口の減少がデフレの原因だと主張している」という風に取られている(この前浜田先生のインタビューだかでもそういう風な認識の下で日銀批判をしている文脈がありました)のでありますぞなもしという所なので、「確かに少子高齢化も課題だけれども本当の問題は成長力強化のための経済構造改革であり少子高齢化はきっかけに過ぎない」というこの部分の主張をもっと全力で行わないと、「日銀は少子高齢化をデフレの原因として敗北思想に陥っている」という風な世間様の認識を改められないと思いますのでもうちょっとアピールの仕方や説明の仕方を考えるべきだと思いますぞな。具体的にどうすりゃ良いのかが今ぱっと思い浮かばないのがあたくしの頭の悪い所なのですがorz

『以上の認識を踏まえると、政策金利が実質的にゼロ金利の状態にあるもとで、日本経済がデフレから脱却するためには、金融面からの後押しに加え、成長力の強化を通じて、マクロ的な需給バランスを改善することが不可欠である。』

ですのでまあ細かく読めばまあそうですねとなるのですが、細かく読まないとこの部分とかも敗北思想にしかみえませんぞなもしという話になる訳でして。

てなかんじでまあ背景説明が延々と続いて肝心の波及経路ですけれども・・・・・・・・・

『こうした金融緩和政策の効果波及経路は、金融緩和によって企業や家計が十分な資金を低コストで調達できる緩和的な金融環境を作り出す第1段階と、企業や家計が緩和的な金融環境を実際に活用して資金を調達し、これが投資や支出の増加を通じて、マクロ的な需給バランスと物価の好転につながる第2段階に分けられる。』

ということで毎度の2段階論になりまして。

『現在、第1段階については、強力な金融緩和の効果がしっかりと発揮されており、金利面でも、資金調達の容易さの面でも、きわめて緩和した金融環境が実現している(図表14、15)。ちなみに、量という観点から、中央銀行の資金供給額の国際比較を行っても、銀行券と当座預金の合計金額であるマネタリーベース、より広義のマネーストックいずれの対名目GDP比をみても、日本は先進国で最大となっている(図表16)。』

『第2段階で、こうした緩和的な金融環境の活用が進んでいけば、金融緩和の効果は実体経済や物価にも大きく現れてくると考えられる。それだけに、幅広い主体による成長力強化への取り組みが進み、緩和的な金融環境がより広範に活用されるようになることが、デフレからの脱却の鍵を握っている。こうした観点から、日本銀行自身も、「成長基盤強化を支援するための資金供給」を拡充したほか、金融機関の希望に応じて無制限の資金供給を行う「貸出増加を支援するための資金供給」を昨年末に導入するなど、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すよう、最大限の支援を行っている。』

という毎度の説明でありまして、この先が『5. 成長力強化の重要性』という事になるのですが、まあこれはこれで説明としてのロジックは判るのですけれども、非伝統的金融政策の遂行にあたって気合とハッタリというのも大事である、という観点から致しますと、こういう説明を延々とするのはまあ正論ではあるのですけれども気合とハッタリというインチキ成分に甚だしく欠ける話でありまして、自ら非伝統的金融政策の政策効果を減殺するようなリスクもある、つーかまあ世間様的な評価としては「日銀は自分の出している政策が効かないと宣伝している」という風に誤解する向きも相当量いると思われるという次第でして、まあ誤解と敢えて書いてみましたけれども、ちょっと悪意を持って解釈すると金融政策の限界論などっていうのはこのように前面に出すのではなくて、まず最初に「どうです凄いでしょう」という話を延々として最後の最後に「でも金融政策は万能薬じゃないんでそこんとこヨロシク」という風にしらっと説明する、というのが気合とハッタリとインチキには必要だと思います。

とか何とか今更もうこんがりと焼かれて店頭で吊るされている北京ダック状態の麿様に説教しても時既にお寿司でございますので如何ともし難い所ですが、こちらのペーパーも技術的な説明部分とか背景説明部分とかは見るべきものが沢山あるのですが、金融政策の効果云々の部分とかになると麿節全開モードとなっておりまして、麿は最後まで麿でおじゃると店頭で吊るされながらも仰せになっているというのだけは把握しましたが、もうちょっと麿節成分何とかならんかったのかねとは思いますがね・・・・・

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2013/01/28

○しかしまあ何ですな(麿節関連)

ということで延々と総裁講演を引用したのですが、今回の最大の見どころは講演内容というよりは「市場の反応」でございまして(-_-メ)、結構麿テイストなヘッドラインがホイホイとベンダーを賑わしていたように見えるのですが、決定会合直後の麿節キターで反応した為替市場は今回は華麗にスルー状態。

まあ何ですな、(あたくしもそうですけど)決定会合直後にはああだこうだと解釈しながら麿節にもキターとか反応していた訳ですが、2晩ほど経過して色々と考えてみると、結局の所「麿総裁の在任中は金融政策はとりあえずウゴカンチ会長で、問題は次の執行部になってからですよね」という認識がすっかり人口に膾炙してしまった結果、まあ麿節が出ても華麗にスルー状態になってしまったのではないかという所でございます。

麿節キターで市場が要らん方向に反応してその度に大騒ぎになるというような事象が発生しない、というのはまあ結構っちゃあ結構な話ではあるのですが、一面実に残念な傾向でもありまして、まあ何と申しますか申し上げるのも何ですが書いているうちにあたくし急に何かを思い出して北京ダックを食いたくなったのですがここの話の内容と全く関係ない事をお断り申し上げますので念の為申し添えます(-_-メ)。

市場がスルーするのをいいことに更にこれから退任までに麿テイスト前回の情報発信を連発しそうな悪寒もする訳で、いやまあ麿様におかれましてはそのような信念の発露をされたいとか、説明したいというお気持ちは判るのですけれども、あまりそこらじゅうに喧嘩売るようなプレイは残された日銀の後輩の皆様がケツ拭きで苦労する事になりますので、そういう話は5月以降にして頂きますように伏してお願い申し上げたく存じますm(__)m

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2013/01/25

お題「ほぼ総裁会見ネタであります(出遅れてスイマセン)」

そういやネタにするの忘れてましたが、MPM結果の翌日にムーシャ先生から素晴らしいご託宣が参りました!!

http://www.musha.co.jp/4450
2013年1月23日ストラテジーブレティン (89号)
安倍さん、これじゃ駄目だ

素晴らしいのでこれでお告げの更新を永遠に止めて頂きたく切に願うものです。

・・・・・・・・一応マジレスすると、冒頭にあるように『昨日の政府日銀の共同声明は、中身のないものであった。「2%のインフレ目標と2014年からの無期限の資産購入」、つまり今年中何も変わらない。1%の物価のめどすら達成がおぼつかない中での期限を決めない2%のインフレ目標は「無」に等しい。』(上記URL先の武者先生のお告げより)というのはまあ仰せの事はさいですなとは思いますが、実際に緩和の実弾を打ち込まれており、今までのゼロ金利だの量的緩和だのも見ておりました金利市場の中の人的に申し上げますと、この前からあたくし申し上げておりますように、日銀に足りないのは「実弾」ではなくて「気合とハッタリ」なのでありまして、その「気合とハッタリ」に向けた一歩である(相変わらず麿は麿なのですが)と考えれば「画期的」とまで言うのもどうかとは思いますが、まあ意味はあるんじゃネーノとは思いますけどね。


○引き続き口先介入してますなあ

また言うとりますなあ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MH33HM6TTDTH01.html
西村内閣府副大臣:対ドル100円問題ないとの認識、浜田氏と共通 (1)
更新日時: 2013/01/24 16:17 JST

『政府・日銀が2%の物価安定目標を明記した共同声明を発表した後、欧州の一部や韓国などから日本の金融政策が「通貨安競争」につながると批判する声が出ている。西村氏は批判について「苦しい中で金融緩和をやってデフレから脱却しようとしているので、その部分を欧州から『おかしい』と言われる筋合いはない」と反論。欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債を購入したことなどを挙げ、「東日本大震災の後の苦しい中、デフレ状況が続いている中、財政は非常に厳しい中でも欧州を支えてきているので全体として日本の政策を評価してほしい」とも語った。』(上記URLより)

とゆー主張をするなら具体的水準について聞かれても黙っていれば良いのにまあ言いたくなるのは目立ってナンボの政治家クオリティだわなと思いますが。

『1ドル=88円台をつけていた24日午前の為替相場の状況について「あまり数字は言わない方がいいと思う」としながらも、「110円とか120円とかくると、さまざまな輸入物価が上がってくるので目配りは必要だと思うが、まだまだ円高修正の途上にある」と指摘。その上で、「今、円安の悪い面を意識する状況ではない。もう一段の円高修正、円安は十分あり得るし、期待したい」と述べた。一段の円高修正は100円を視野に入れているのかとの質問に対しては、「浜田先生も100円でなんの問題もないと言われているが、私自身の認識も共通している。今の90円前後のレベルで円高修正は進んだかと言われると、まだ終わっていないという認識だ」と語った。』(上記URLより)

んな具体的水準言わなくても「行き過ぎた円高の修正は当然である」とでも言っておけば良い訳で、これだけ具体的水準の話をするのが習慣状態になってしまうと今はまあ上手く行ってるから良いけど、いつまでも上手く行くわけではないですし、逆に行きだしたらオタオタして醜態を晒しだすのが今から見え見えですので、為替については発言する窓口を絞るのと、あまり余計な事を言わないというのを早いうちに確立しておいた方が良いと思いますけどねえ。


大体からして具体的な水準についてああだこうだと言うとこういう因縁をつけられる元になる訳ですから。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MH4WY76KLVSH01.html
ドイツ首相:日本の円安政策を懸念、ECBの流動性もリスク
更新日時: 2013/01/25 01:42 JST

『同首相はスイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会での講演後の質疑応答で、市場シェアを伸ばすために為替相場を操作する国について懸念しているかとの問いに、「今の日本を見ていて全く懸念を感じないとは言えない」と述べた。一方、中国は為替政策の転換を求める20カ国・地域(G20)からの圧力に対し「よく反応した」との認識を示した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・何を言うとるんじゃこのオバハンはとは思いますが、因縁つけられるような発言を鉦や太鼓を鳴らしながら行っている人がいると絶好の因縁ネタになりますのでもうちょっと物事を考えた方が良いと思います。つーか「あまり数字は言わない方がいいと思う」と言った口で数字についてペラペラ喋るとか口が軽過ぎじゃわ。

なお、そもそも110円やら120円やらで目配りが必要とか仰せなのが意味不明でありまして、既に「望ましくない低インフレ均衡」(というのはセントルイス連銀ブラード総裁の表現ですが)に陥っている状況から早期にどどーんと物価上昇率の位置を変えようって事をしたら結構無理してコストプッシュで行かないと無理無理無理なのに、政権の皆様におかれましてはコストプッシュじゃ無くて早期に2%物価上昇とか思っているのかも知れませんけど、そんな虫の良すぎる話はございませんぞなもし。

昨日の諮問会議後の安倍ちゃん発言を見ておりましても安倍ちゃん引き続き「早期の2%物価上昇」をお望みのようですが、本気でそれをやるとコストプッシュしないと難しいですから、その時は多分「国民の生活ガー」が「世論ガー」になって安倍ちゃん的にも「こんな筈じゃなかった」という話になるような気もしますが、たぶんその時は時既にお寿司になっているような希ガス。んでもってまあ何とかより現実的なモデレートな路線で行きましょうよとゆーのがこの前の共同声明にも含まれていると思うのですが、まだ安倍ちゃんの思い入れ(というか思い込みだがorz)が現実的モデレート路線を受け付けない状態というのがまあ何ともアレですなあという所でありまする。


○では麿会見(決定会合後の会見)から

共同声明公表した時の会見録って財務省見ても内閣府見ても官邸見ても見当たらないのでシャーナイナイということで決定会合後の会見に参りましょうず。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1301a.pdf

・共同声明の説明がクソ長いのですが

『(問) 本日、政府とデフレ脱却に向けた共同声明を取りまとめられましたが、この取りまとめに至った理由と背景をご説明下さい。』

というのが実質最初の質問(最初は「今回の決定についてご説明ください」というのがお約束なのでその次から実質的な質疑)に対する説明がまるまる1ページ半とか何ぞそれ。

『(答) ご質問は、理由と背景ということですが、まずは趣旨から説明したいと思います。多少、発表した文書の繰返しになりますが――発表した文書を、全ての方が読まれるとは限らないので――、多少の重複はお許し下さい。その上で、理由についてもお話をしたいと思います。』

ということでマジでクソ長いのですが以下引用します。

『まず、本日公表した政府と日本銀行の共同声明は、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政府と日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組むことを文書で明確にしたものです。日本銀行としては、日本経済が現在置かれている状況に照らして、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」という日本銀行法に定められた理念のもとで、日本銀行の使命を果たしていくために、政府との連携強化が必要と判断しました。』

ということですが、共同声明およびその翌日に出てあたくしがネタにした物価目標説明の文書にございます「連携強化」なのですが、2%の物価目標に関して「政府の成長力強化の施策を前提にして」というロジックになっているのはそら本来的に言う「役割分担」「責任分担」になってねえだろと思うのですけどねえ。つまりこの次に麿が話していますけど・・・・・・・

『そこで示しているように、日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識しています。この認識に立って、日本銀行は、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率で2%とし、この目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指すとしています。』

でまあ安倍ちゃんは昨日の経済財政諮問会議の後にも・・・・・

http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_34046/
物価上昇目標2% 「3ヵ月後に道筋を」1月24日

というお話をしているのですが、安倍ちゃん的には「これで日銀が2%達成の絵を描けさせるでしょう」とまだ思っているかもしれませんが、共同声明文の中にこの麿総裁の言う文言が埋め込まれており、それが内閣府や財務省の連名でも出ている以上、日銀的にはその「具体的な道筋」の中に「これから政府が骨太の方針を出して成長力を引き上げる戦略が決まって、成長戦略が効果を表すと2%に向けて上がっていくぞなもし」という話で政府に下駄を預ける攻撃の絵になりそうな悪寒。まあそこは大人の対応で露骨にそうは書かないでしょうけれども、実質的にそういう表現が出てきた時に安倍ちゃんどういう反応するんでしょうなあ。

『その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していくということです。』

第二の柱はいつもの話。

『同時に、政府は、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組みを具体化し、これを強力に推進すると共に、さらに、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組みを着実に推進することを表明しています。』

でまあここに関して財務省オソロシスというのは既に申し上げた通り。

『ご質問の趣旨というか、理由について、もう少し噛み砕いて申し上げたいと思います。まず、今回の連携強化ということになりますが、そもそも政府と日本銀行との連携自体は、日本銀行法のもとで、日本銀行は、政府と十分な意思疎通を図ることが謳われており、実際、常日頃からそうした十分な意思疎通を図っています。そうした一般論に加えて、現在の日本経済の置かれた状況を考えてみる必要があると思います。』

はあそうですか(棒読み)。

『日本銀行は、強力な金融緩和を推進し、金融環境は非常に緩和しています。この緩和された金融環境、例えば、今、上場企業の43%位が実質無借金で、手元現預金も非常に多く積み上っていますが、日本銀行の作り出しているこの緩和的な金融環境がもっと活用されれば、もっと大きな金融緩和の効果が生まれてくると思います。この点で、政府の様々な競争力あるいは成長力強化は、日本銀行の金融緩和と並んで必要な取組みです。』

『今、成長力強化のことを申し上げましたが、成長力強化によって金融緩和の効果がさらに引き出されてくるということです。また、日本銀行は、現在、強力な金融緩和を行っており、国債を大量に買い入れているわけですが、もしこの国債の買入れが、内外の市場で、中央銀行による財政ファイナンスであると受け取られると、長期金利が上がり、却って金融緩和の効果が削がれてしまいますし、金融機関経営に対する悪影響を通じて、金融が経済を支える力にも悪影響が出てくることになります。その面では、持続可能な財政構造をしっかりと作っていくことも大事であり、そういう面で政府との連携も必要になってくるわけです。これは大きな流れです。』

『それから、このごく足許の2013 年〜14 年という経済の見通しを見ると、物価安定のもとでの緩やかな経済、景気の回復という見通しの実現の蓋然性が少しずつ高まってきていると思います。2013 年度の経済成長の見通しは、そのようになっています。そういう局面をとらえて、政府と日本銀行が連携を強化するということは、先程申し上げた大きな状況認識の中でも、適切であると判断しました。』

まあ最後のとってつけたような説明に関してははあそうですか(棒読み)としか申し上げようがない所ですが、その前の部分の説明が従来の話と同じ、というのはまあご案内のように共同声明の中に政府も日銀も安倍ちゃんも言いたい事を織り込んでごった煮にしている結果でもありまして、つまり麿ワールドも織り込んでいるのですわな。


・なぜ2%なのかの理由はどう見ても前提条件付です本当にありがとうございました

『(問) 2%の目標に関してですが、これまで日銀は、「当面1%を目指して金融緩和を続ける」と言ってきており、その1%という数字がまだ現時点で必ずしも見通せていない段階で、1%という数字を無くして2%という目標を置かれたわけですが、その2%の数字の根拠と、その実現可能性を日銀としてどうみておられるのかについて、総裁の見解をお聞かせ下さい。』

そらまあ当然の質問。

『(答) 日本銀行は、従来、「物価安定の目途」として、2%以下のプラスの領域であるとし、その上で、当面は1%を目指すと言っていました。また、成長力強化の取組みが実を結んでいくと、これは徐々に上がっていくという認識をかねて示していました。』

『ご質問は、実現可能性ということですが、これは過去を振り返ってみると、1980 年代後半のバブル期の5 年間の平均が+1.3%、それから1985 年以降2011 年までの平均が、確か+0.5%だと思います。そういう意味で、この「2%」という数字を達成していくためには、相当思い切った努力が必要だと思います。』

で、日銀が相当思い切るのかと申しますと・・・・・・・

『日本銀行自身は、こういう形で、強力な金融緩和を推進するということですが、同時に、様々な主体による成長力強化の取組みは非常に重要であり、様々な主体による相当な努力を必要とすると思います。もちろん、そうした努力なしに成長力が上がっていくというわけではありません。そうしたことに向けて、政府も、民間も、それから日本銀行も、それぞれの立場で努力をしていくことは大事だと思います。その上で、実際にどの程度成長力の強化が図れていくのか、あるいは、エコノミストの言葉で言うと、予想インフレ率がどの程度上がっていくのかということは、これもまたしっかり点検をし、金融政策運営を行っていきたいと思います。』

ということで、こちらも共同声明に埋め込まれている文言や、物価目標の説明文書にあるような説明にもありますように、「皆さんの努力が必要」という話をしているのが何だかアレでございまして、「目標」というのだから自分の所で達成させるもんじゃねえのかと思うのですが、どうもこの麿イズムによりますと1%なら自分で行きますが2%は皆さんも頑張ってちょと言っているようにしか読めないのですがどうでしょうかねえ。


・2%目標をどうやって達成するのでしょうか?

『(問) 2 点お伺いします。先程の質問に対して、2%という数字を達成するためには、「相当思い切った努力が必要だ」と総裁はおっしゃいました。現在、日本銀行は、その2%に到達するための手段を持っているのかどうか、それをさらに検討していく余地はないのかどうか、その点をお伺いします。(2点目はオープンエンドに関する質問だが割愛)』

とまあそういう質問が来るのですが。

『(答) まず、日本銀行として、どのような手段があるのかということですが、今回、日本銀行は「包括緩和」を始めて以来、資産の買入れ、あるいは別途の政策手段ですが、成長基盤強化支援、貸出増加支援を行ってきました。中央銀行の金融政策は、基本的に、金融市場から資産を買い入れるということ、あるいは貸し付けるということですから、そうした手段を使っていくことになります。(以下引用割愛)』

ということで、どのようなパスで物価が上昇するのかという話は完全にスルーしているのがチャーミング。


更にツッコミは続く。

『(問) 2 点伺います。総裁は、先程、2%の実現可能性について、「相当な努力が必要だ」とおっしゃいましたが、昨年までは、過去に経験していない物価を目標に掲げると、長期金利の上昇などがあって、非常に経済に悪影響が及ぶというように、かなり1%に固執してご説明されていました。これが、相当な努力をすれば実現できるのだと変わった理由は何なのか、もう一度詳しくご説明願います。(2点目は独立性の質問だが割愛)』

『(答) まず、2%の話です。今回、2014 年度の消費者物価上昇率の見通しは中央値で+0.9%になっています。従って、本日、数字は出していませんが、2015 年度以降の経済・物価情勢を考えた場合、どういう姿になるのだろうかということは、当然皆さん関心があるわけです。』

そうですね(棒)。

『そうだとすると、その先の世界について、私どもがどのように考えているのかは、やはり示す必要があると思いました。』

で????

『先程来、繰り返し申し上げていますが、2%については、成長力強化の取組みの進展に伴い、それに応じて上がっていくという意味で2%を設定しています。しかし、今、現実にそうした取組みが直ちに効果を表しているわけではありません。』

一方で安倍ちゃんは引き続き「早期達成のパスを示せ」という話をしている訳で今後どういう事になるのがオソロシスではありますが、幸か不幸か次回の諮問会議における金融政策集中点検の時にはカウンターは麿では無いのでしょうな。まあ中の企画の人たちは同じなんでしょうけれども。

『従って、金融政策の運営に当たっては、そうした取組みのもとで形成される国民の物価観、予想物価上昇率を点検していくことになります。今回、共同声明にも、日本銀行の金融政策の目的をはっきりと書いています。これは、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことであり、物価だけをみて機械的に金融政策を運営するわけではないこと、金融政策は柔軟性が大事であるということを、私は先程も明確に申し上げたつもりです。』

ふーん。

『究極の目的は、とにかく物価だけを上げていくということではなく、あくまでもバランスのとれた経済の姿を実現していくということです。』

まあそれはそうなんだが「とっとと物価を上げろ」と言われている訳でコストプッシュも辞さずと言った方がヤケクソにも程があるけれどもレジームチェンジによろしいのではないでしょうか、なんてゆーのは無責任ですけどね。

『私が度々紹介している、国民の物価上昇に対する受止め方ですが、8 割以上の国民は、物価上昇については「どちらかと言えば、困ったことだ」と答えていると同時に、デフレ克服もして欲しいと願っています。それは、バランスのとれた経済の姿をできるだけ早く実現して欲しいということです。そうしたことをしっかり点検しながら、行っていくということです。(以下引用割愛)』

でまあその麿イズムが出たのが昨日ネタにした物価目標の説明文書の中においてあたくしが「燃料投下」と悪態をついた部分になるということで、まあ最後まで麿は麿で、安倍ちゃん相手には燃料を投下し続けるのが仕様になっている、と言う事が示されているのではないかと思いますと誠に遺憾の念を禁じ得ません。


・中々鋭い上に見事な大物が釣れたしつもん

その後の質問で見事なのがあります。

『(問) 2 つお聞きします。先程、できるだけ早く2%を実現することを意識した場合に、期限を定めない買入れ方式に変えたことについて、より効果的だと判断されたとおっしゃいました。今までの時間軸といいますかコミットメントは、物価上昇率1%を見通せるようになるまでゼロ金利と資産買入れを続けるというものでした。今回は、1%が消えて2%という目標になった一方、時間軸の約束については、いつまでか全く分からない、より裁量的になったとも言えるのではないかと思います。』

これは仰る通り。

『そうした状況にもかかわらず、買入れ方法の見た目を変えただけで、どのような効果があるのでしょうか。コミットメントは、中央銀行の行動を制約することによって金利に影響を及ぼすものと思いますが、そういう制約が曖昧になったとすると、どのような効果が見込まれるのか。これが、1 つ目の質問です。』

実にすばらしい。

『もう1 つ、先程、成長力強化以外で予想物価上昇率が上がった場合に、物価上昇率2%という上限がそうしたことを防ぐ効果があるとおっしゃいました。今回、2%というピンポイントで目標を掲げたわけですが、中央銀行がピンポイントで物価上昇率を目標として掲げる場合、だいたいプラスマイナス1%前後のレンジが意識されているのが基本的な常識ではないかと思います。2%をピンポイントで挙げたことで、今おっしゃったように2%以上はよろしくない、つまり2%が上限でありそれ以上は看過できないという認識をお持ちなのでしょうか。安倍首相は、首相になる前ですが2〜3%が望ましいという見方もされていました。白川総裁は、2%は上限でありそれ以上は容認できない、そういうお考えなのかどうか教えて下さい。』

これが釣果抜群の素晴らしい質問。


ということで最初の答えの方から。

『(答) 1 つ目のご質問の趣旨を必ずしも明確に理解したわけではありませんが、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とし、これをできるだけ早期に実現することを目指すという方針です。この方針のもとで、消費者物価の前年比上昇率が1%を超えることを見通せない現状においては、2014 年初以降、当分の間、毎月13 兆円程度の買入れをしていくという考え方です。』

『先程も申し上げた通り、物価の上昇率は長らく低い状態が続いてきたわけです。この物価上昇率が、現実に上がって、例えば、1%を超えてくる見通しになってきたその時に、どの様な予想物価上昇率の変化が起きてくるのか。あるいは、成長力強化の取組みが実を結んでくる時に、今これだけの金融緩和を行っているわけですから、その時にどういう影響が出てくるのか。これを、今の段階で正確に見通すことができれば、もちろんそういうコミットメントあるいはガイダンスもできるでしょうが、そういう見通しをすることが現時点では難しいということだと思います。』

これは酷い麿節。

『そうした状況の中で、私どもが将来の金融政策運営について、一定のガイダンスを与えることを考えると、先程申し上げた方式が最適と判断しました。』

これじゃあ1%超えたらそろそろ尻がムズムズしてきますとか言ってるようなもんで、まあどうせその時に麿は居ないからどうでも良いと言ってしまえばそれまでですが、言わずもがなの話をして麿の愛する日銀の後輩の皆様すっかりいい迷惑にしか見えませんが。


んでもって次の質問の答え。

『2問目ですが、日本銀行は、従来、物価の安定について2%以下のプラスの領域と判断し、その上で、当面1%を目指すと申し上げていました。2%以下のプラスであるという考え方は、今回の決定会合の議論でも、変わっていません。』

>2%以下のプラスであるという考え方は、今回の決定会合の議論でも、変わっていません
>2%以下のプラスであるという考え方は、今回の決定会合の議論でも、変わっていません
>2%以下のプラスであるという考え方は、今回の決定会合の議論でも、変わっていません

当然ながらこのヘッドラインが出た瞬間に「麿節キター」という声が市場に飛び交ったのは言うまでもありません。

『海外の常識についてですが、色々な中央銀行があり、例えば、比較的数字をピンポイントで挙げているECBは「2%」、正確には「below, but close to, 2%」として2%以上を容認しない、2%が上限であるという趣旨の表現をしています。もちろん、現実の物価上昇率は、様々な要因でオーバーシュートすることがありますが、中央銀行の考えという意味では、例えばECBがあるということです。』

ということで従来と同じと言わんばかりの物言いというのは如何なものかと思っておりましたら、何故かその発言がインターネット版のニュースで拾えないのが極めて遺憾の極みなのですが、昨日ネタにした物価目標に関する関連資料の記者説明の席上、日銀の神山政策企画課長が「2%はピンポイントで上限であり下限である」という説明をしたというヘッドラインが出ておりまして(ブルームバーグには出ていた)、結局どうなってますねんとゆーのが謎なのでございます。

つーかさ、折角「目標」を入れてその数値を引き上げてという形で「チェンジ」をしようとしているのに、「変わりません(キリッ)」とか説明するとか何をゆうてますねんという所で、新しい物を掲げるという弾打ち(今回は実弾系ではないが)をしているのにそれを「変わりません」とか言ったらダメだろというか、んだったら突っぱねろよと思うのですよ。

でまあ突っ張れないで受け入れる、というのであれば、文言の方でそれなりに実は取っているのですから、後は満面の笑みで「今回は変わりましたよどうです凄いでしょう」と言うのが正しい正しくない以前の問題で「お得」じゃないか、つーか変わらないとか言ったら何のためにコスト払って弾撃ちしているのか全くもって意味不明にも程があるぞなという所でありまする。

とは申しましてもどうせ麿様におかれましてはあと3か月以下同文。


・この質問は酷い

『(問) 先程、共同声明について、独立性に様々な配慮がなされているというお話がありました。確かに、非常に工夫の凝らされた、妥協というか合意が盛られていると思いますが、安倍首相は、就任前から、あるいは衆院選の前から、日銀法改正をちらつかせながら非常に厳しい要求を突きつけてこられた。一連の経緯を全てみると、世の中では、日銀の独立性は侵されたのではないか、あるいは、政治の介入を招いたという印象が非常に強いと思います。改めて、一連の経緯も含めて、総裁は、独立性は維持されているとお考えになっているのか、お聞かせ頂きたい。また、一連の交渉あるいは状況の中で大変厳しい立場に立たれてご苦労されたのではないかと思いますが、独立性を守るために辞任しようという思いがよぎられたことがなかったのかどうか、伺います。』

途中までは良いのですが、最後の部分はこれは何ぼなんでも・・・・・・

『(答) 独立性についてのご質問ですが、先程、別の方にお答えした通り、中央銀行の独立性は国際的に確立された考え方です。中央銀行に独立性を付与し、持続的な経済・物価の安定を図る観点から中央銀行が金融政策を行うという事態が仮に崩れると、そのこと自体が国民経済に相当大きな悪影響を与えるわけです。そうした独立性の重要性は、政府においても十分認識されていると思いますし、また、十分認識するインセンティブがあります。』

『もし独立性を尊重しないということになると、これは、結局は国債の金利に跳ね返ってきて、直ちに財政にも響いてくるわけです。そういう意味で、私は、独立性は尊重され、十分な配慮がなされていると思っています。中央銀行として、独立性をもって運営しているかどうか、最終的にどのような金融政策を運営しているかということは、金融市場の参加者あるいは皆さんが判断することなので、この場では、私の考えを申し上げたいと思います。』

『日本銀行に定められた使命、つまり、長い目でみた経済の安定を図っていくという1 点に照らして、金融政策を運営していくということです。そうした思いは一貫して変わっていませんし、そういう思いでこの数か月も臨んで参りました。』

とまあそう答えたのですが、その後幾つかの質疑の後にこの記者ったら・・・・・・

『(問) 先程の「辞任について考えなかったか」という質問に答えて頂いていないので、答えて頂けるならお答え下さい。』

いやさすがにこれはちょっとどうかと。

『(答) 私は、総裁に就任して以来、総裁としての責任をしっかり果たしていくのが私の務めだと、一貫して思っています。』

ということで、最後の付利の質問で昨日ネタにしましたような物凄い勢いでの全否定モードとかになってしまったのはこの辺りで麿先生も相当トサカにきておられたのではないかと愚考します。


・ではまあ最後の付利の話でも

再掲しておきます。

『(問) 今回の会合の前に、市場の一部では付利の引下げを見込む動きがありました。かねて白川総裁は付利の引下げに否定的な見方をしていると思いますが、その考えは変わっていないのでしょうか。』

『(答) 付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです。全く同じことを、もう1 回ここで申し上げたいと思います。』

ここまで再掲で。

『金融政策は、金融市場や金融機関を通じて、企業や家計の金融環境に働き掛ける政策であるため、金利水準が低下するもとでの金融市場の機能や、金融機関が貸出を行うインセンティブ如何で、経済に働き掛ける力は変わってきます。』

ほう。

『例えば、金利がゼロに近づくと、短期資金市場の流動性が著しく低下し、市場参加者が必要な時に市場から資金調達できるという安心感を損なう惧れがあります。また、預金金利をこれ以上引き下げることが難しい中で、資産運用金利の低下は金融機関の収益に悪影響を与えます。その場合、結果として、金融面から経済に働き掛ける力はかえって低下する可能性があります。』


『各国の中央銀行では、それぞれが置かれた状況に応じて、金融政策の効果が最大限発揮されるよう、金利水準を選択しています。そうした判断の結果として、付利金利は各国毎に異なっています。例えばユーロ圏では、当座預金への付利金利は現在ゼロ%となっています。これは、短期資金の取引において、中央銀行に依存する度合いが高く、短期資金市場が事実上機能していない、存在していないということから、付利金利をゼロ%としても、追加的な副作用が限られると判断された結果だと認識しています。』

『一方、その他の主要国では、短期資金市場が引続き機能しており、日本は0.1%、米国は0.25%、英国は0.5%と、完全なゼロ金利にはしないことで、市場機能の維持と金融緩和との両立を図っています。』

ということなのですが、バランスシートの拡大を意図した政策を実施しているかどうか、という点で説明した方がクリアカットじゃないのかと思うのですけれども、記者の人たち向けには無理なのでしょうかねえと思います。金融市場向けに説明するのでしたらバランスシートを拡大する為にどうしたら良いのかという観点から説明するとあたくしの経験則から(サンプルが超限定的ですが^^)してまあ大体理解されるんですけど。

『わが国の場合、2000 年代前半の量的緩和期の経験等を踏まえ、「超過準備への0.1%の付利と、0〜0.1%程度の金利誘導目標」という組合せのもとで、金融緩和効果は最大に発揮されると考えています。』

ということでした。今回の会見はやたら麿先生の説明が長い質疑が多く(状況的に当たり前だが)引用するものを選ぶのが若干いつもよりホネでしたぞなもし。

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2013/01/24

お題「レビューは続くよどこまでも・・・・ですが今日は概ね雑談コースである(汗)」

昨日ああだこうだ書いたのですが、読者の皆様お気づきのようにまだ書く論点がありそうだし言い忘れた点がありそうだなと思いつつも、今日は諸般の事情で雑談系で終始する所存。

そういやBOEの12月議事要旨をネタにする前に1月議事要旨が出てしまうというつうこんのいちげきが出てしまったような気がしますが・・・・・・・・・・orzorz


○英国が通貨安競争懸念とかワロスワロス

そのBOEですが。

http://www.asahi.com/business/update/0123/TKY201301230129.html
日本の金融政策、欧州から懸念の声 英中央銀総裁ら
2013年1月23日13時8分

『【ロンドン=星野眞三雄】政府と日本銀行が「2%」の物価上昇率の目標を盛り込んだ「共同声明」をまとめたことに、欧州から懸念の声が相次いでいる。英国の中央銀行、イングランド銀行のキング総裁は22日夜、北アイルランドのベルファストで講演し、「通貨安競争」を批判した。キング総裁は講演で、通貨安を通じて輸出を増やそうとする国が増えているとして、「いくつかの国はその達成のために措置をとった」と指摘。日本を名指ししなかったものの、安倍政権が進める金融緩和で円安を促す政策を牽制(けんせい)した。』 (上記URLより)

つーことでスピーチはこちら
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech631.pdf

なのですが確かに6ページの辺りに“currency wars”がどうしたこうしたとか仰せのようですが、お前らずっと「ポンド安で景気刺激」という話を金融政策決定会合でしていて議事要旨にも思いっきり載せていて(何度もネタにしたと思いますが)、さすがのFRBでもそこまで露骨に言わないのに何ちゅう露骨な通貨安礼賛というスタンスだった訳で(ついこの前まではユーロ安のせいで英国ポンドの実効為替レートが上昇して困ったもんだみたいな見解も議事要旨で示されております)、お前のその口が何を言うのかこのバカスケと思う訳で、お前は衣をつけてフライにして芋と一緒に盛り付けたるわとゆー所でありますな。

まあ何ですな、こういうのに一々ビビッていたら円安でデフレ脱却景気回復とか言ってられなくなりますので、政権の中の皆様におかれましては「米国に次ぎ中国にならぶ経済規模のジャパンの景気回復は世界経済に資するので皆様にとっても良い事ですが何か?」と論点を外してスルーしておけば宜しい訳でありますが、こーゆーの鬼の首を取ったように政権批判に使ったりするメディアがいるから困りものですよねえ。


○これまで散々煽っていた癖に今さら何を言ってるんだという記事が

東京新聞(中日新聞)と言えば経済ニュースネタのバランスが昔は良かったのですが、何時の間にやらそのニュースの書きっぷりが日銀財務省悪玉論陰謀論の流布に傾いて何だかなあという論陣を張るようになった(どこぞの某先生などとつるんでいる長谷川なにがしとかいう論説副主幹が影響しているようですが)のですが、その東京新聞の昨日の紙面を見てのけぞってしまいましたぞな。

1面にあったのがこれ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/economic_confe/list/CK2013012302000178.html
【経済Q&A】日銀2%目標で景気は 未知数の無期限緩和 物価急上昇の懸念も 2013年1月23日

記事署名人がいつもの論説副主幹様では無いのですけど、従来東京新聞様におかれましては2%のインフレ目標を設定するともう景気は良くなるわ皆さんの雇用環境は良くなるわウハウハですよという主張を展開しておられた筈なのですが何ぞこれという所っすけど。

3面にあったのがこれ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013012302000116.html
【核心】雇用賃上げ 物価高だけなら痛手 2%目標導入 2013年1月23日

『日銀が、安倍晋三政権の強い求めで、物価上昇率2%の達成を目標に掲げた。ただし、収入が増えないまま物価だけ上がったら、暮らしはどうなるのか。二〇〇〇年代の好景気下でも賃金が下がり続けたように、これから物価が上がっても所得が増えない恐れがあり、物価目標だけでは国民の生活向上の公約は空手形に終わりかねない。(木村留美)』(上記URLより)

というのは記事のリードで本文は昨日の東京新聞朝刊を見てちょという所ですが(んなもんお持ちではないですかそうですか)記事の題字が先ほどの所にあったような形で『物価高だけなら痛手』というのが大々的に踊っておりまして、記事内容に関しても「中小企業はもちろん大企業も賃下げ圧力で大変です」、「グローバルな価格競争の結果民間企業の年間給与総額は1997年のピークから25兆円も下がりました」、「経済活動が活発にならないと賃金が上がりにくいですよ」、「賃金が上がらないまま物価が上昇して更に消費税増税になったらもうエライコッチャですよ」とかいうような感じで「物価だけが上がるかも知れませんね」みたいなお話。
前日の夕刊にもこんなのありました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013012202000251.html
【経済】給与増えず景気悪化の恐れ 日銀物価目標2%を決定 2013年1月22日 夕刊

ちなみに、朝刊の経済面には「危うい日銀の独立性」というデカイ題字での解説があって、「政府介入 国債信用下落も」とかいう題字が踊っているのですけれども、お前ら今まで散々政治介入煽って(安倍首相インタビューとかも先般日経新聞がどどーんと出した同じ日に長谷川論説副主幹聞き手の別のインタビュー(趣旨は大体同じですが)が掲載されるという大変に力の入った状態でしたぞなもし)いたのに今更どの口がこんな記事書くのかよとかもうワロスワロスとしか申し上げようがございません。

大体からしてまだ物価がインフレモードどころかコアCPIマイナス街道なのに今からインフレフォビア煽ってどうするんだこのバカスケという所でございまして、とにかくインフレ目標2%導入した途端にメディアの論調から早速インフレフォビアが出てくるとかもうアホかと馬鹿かという所でありまして、大体からしておめーらがそういう状態だからデフレマインドが定着するんだこのドアホウとゆー所です罠。まあ昔から変わらず安定のインフレフォビアクオリティなのも居ますけど、東京新聞の場合はこれまで散々っぱらインフレ目標導入を煽って積極緩和の論陣を張っていたのに、いざ物価目標導入されたらその途端にこの論調とかもしかして貴紙は馬鹿でいらっしゃいますかと丁重にお尋ね申し上げたい心境ではございます。


○1つの正論であり丁寧な説明ではあるのだがこれは諸刃の剣にも程がある資料が投下されますた

総裁会見のテキストを鑑賞したり月報を鑑賞したりしてたらこんなネタが投下されやがりました。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130123a.htm/
「物価の安定」についての考え方に関する付属資料(注)

(注) 本文書は、1月21、22日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定された「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」に関連して、「物価の安定」についての考え方の背景を説明する付属資料である。

つーことで
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130123a1.pdf(本文)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130123a2.pdf(図表、1M少々あるので注意)

んでまあ本文から引用しますが。

『1.「物価の安定」とは何か』というのが最初に来るんですけどね。

『「物価の安定」は経済や国民生活の基盤である。日本銀行は、日本銀行法に定められているとおり、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念として、金融政策を運営している。』

確かに日本銀行法では「目的」と「理念」がこう書いてありますな。

『(目的)
第一条  日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2  日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。

(通貨及び金融の調節の理念)
第二条  日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。』(以上日本銀行法より)

なのでまあ仰せの通りなのですが、これはまた「何で日銀法で物価の安定が「目的」になっていないのでしょうかやはり日銀法改正」という話になりそうな燃料投下でこの正直者としか(苦笑)。

『この理念に照らして、「物価の安定」を概念的に定義すると、「家計や企業等の様々な経済主体が、財・サービス全般の物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」である。そうした円滑な経済的意思決定を可能とし、経済の持続的な成長と整合的な「物価の安定」は、特定の物価上昇率を短期的・一時的に実現することではなく、やや長い目でみて持続可能なものでなければならない。』

つまりコストプッシュなどで無理くり物価を上げても誰得でしょというのはまあこれはこれで正論ではあるのですが、デフレ均衡状態にある現状においては、コストプッシュでも何でも良いから、一旦物価の上昇を起こして「マインドセット」の変化を促す事も毒薬っぽいですけれども行うという考えはどうなんでしょうかね。いやまあ普通に考えて日本に強く根付くインフレフォビアから政治的に無理無理無理という事なのでしょうが・・・・・・

まあここまでは理念的な話だから良いのですがこの次がどう見ても燃料投下です本当にカムサハムニダ。

『この点、日本銀行が四半期毎に実施している「生活意識に関するアンケート調査」によると、8割程度の国民は、性別、年齢、職業を問わず、一貫して物価上昇は望ましくないと回答しており、国民は単に物価が上がるという状態を望んでいる訳ではない(図表1)。』

どう見ても燃料投下です本当にありがとうございました。

『この調査結果は、国民が望んでいる「物価の安定」とは、雇用の増加と賃金の上昇、企業収益の増加などを伴いながら経済がバランスよく持続的に改善し、その結果として物価の緩やかな上昇が実現する状態であることを示唆している。』

そらまあそうなのですが、インフレ目標掲げて選挙に勝った、と言ってもまあ投票する方どころか報道機関でもインフレ目標のもたらす物についての想像は欠如していただろうなあというのは先ほどの東京新聞の報道っぷりなどをみると推測するに難くは無いのですけれども、そうは言いましても安倍ちゃん的にはインフレ目標などが国民の支持を受けたという事になっている訳で、わざわざこんな燃料を投下する必要がどこにあるのかと小一時間問い詰めたい。大々的に公表するんじゃなくて「個別ご説明」での話ならまだ判るのだが、これって「政府VS日銀」というフレームアップをしたがるメディアに絶好の燃料投下じゃねえかと思うのだが。

というのもあるのですが、「国民が望んでいるから」みたいな書き方というのは別の意味で諸刃の剣な面があって、じゃあ何のために金融政策を独立した専門機関が遂行しているんだという逆ねじくらわされたらどう答えるのか聞いてみたい訳ですよ。国民が望んでいるからこの政策をやりますとかいう形で短期的な視野狭窄状態での政策を行わないようにする為におまいらは独立した専門機関として機能しているのではないかと小一時間。

そらまあ民主国家ですからして、中央銀行と言えども国民の声から無関係という訳にも行かないというのはその通りなのですが、こういう時だけ「国民の声」を都合よく持ち出してくるのは却って自分の首を絞める事になり兼ねないのであまり持ち出さない方が良いと思うのですけどねえ。

つーかさ、既に先程ネタにしたように、早速インフレフォビア顕在化の兆候が出ている訳でして、別に日銀がこんな所でアピールしなくても勝手に「世論ガー」「庶民生活ガー」状態になってくると思うのですけどねえ。(でまあそれによって1%になるかならないかのうちに結局「世論ガー」に押される格好で今度は金融緩和終了圧力が掛かる、というのが日本経済にとって最悪のシナリオであると思います)


とまあ悪態を並べましたが、2番目以降の小見出しを並べますと・・・・・・

『2.「物価の安定」の数値的表現』:こちらは物価指数のどの辺をどう見るかという話(という部分はまあヲチャーは既に知っていないといけない話ですぞな)から始まり締めは何で目途を目標にしたのかという話です。

『3.わが国の消費者物価変動のミクロ的な特徴点』:短いけどこれまた興味深い

『4.ゼロ金利制約のもとで物価上昇率が高まるメカニズム』:ああだこうだと説明しているのですが、結局の所結論は本文7ページ(PDFだと8枚目)にありますように、

『以上の認識を踏まえると、政策金利が実質的にゼロ金利の状態にあるもとで、日本経済がデフレから脱却するためには、金融面からの後押しに加え、成長力の強化を通じて、マクロ的な需給バランスを改善することが不可欠である。』

ということで、成長力の強化を通じてマクロ的な需給バランスを改善するのが不可欠なのは判ったが、その手段が日銀に無い以上、2%物価目標というのは何なんですかというツッコミが飛ぶような話の展開は避けておりますな、まあそうなるのは立場的にそうだろうなとは思いますけど。

でまあ最後の小見出しが、

『5. 成長力強化の重要性』という結論になるのですが、まあ日銀の今回のロジックからすると「政府と日銀の政策協力によって成長力の強化をすると言う事になっているのだから、その政府による成長力強化への施策も込みで物価上昇率2%を目標にしてるんですよ」という話になっているという所ではございます。


なお、今申し上げました日銀的ロジック(ってまあアタクシが想像しているだけですけれどもまあ普通に関連文学を読むとそうなるでしょう)につきましては岩本康志先生が既に指摘しておりまして、本来のインフレ目標じゃないんじゃないかと厳しい指摘をしておりますのでご参考までに。

http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/37854954.html
「2%物価目標のために政府がまず責任を果たす」と政府と日銀が共同声明
2013/1/22(火) 午後 11:03


○付利下げ無し関連雑談

今日は雑談シリーズですが、総裁会見(ネタはすいません明日やります)で付利について聞かれた麿総裁様はこのように仰せになりました。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1301a.pdf

質疑の19ページ目、最後の質疑になります。

『(問) 今回の会合の前に、市場の一部では付利の引下げを見込む動きがありました。かねて白川総裁は付利の引下げに否定的な見方をしていると思いますが、その考えは変わっていないのでしょうか。』

キタコレ。

『(答) 付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです。全く同じことを、もう1 回ここで申し上げたいと思います。(以下延々と説明があるが割愛^^)』

>付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです
>付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです
>付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです
>付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです
>付利については、この記者会見の席でも、本当に何回答えたかというぐらいです


・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

まあこの関連の本チャンの話は明日ですんませんという所ですが、付利下げネタを全力で煽り報道をしておりましたどことは申しませんがB社とかR社などというようなベンダーがあった訳ですけれども、決定会合関連ニュースの中で付利下げ関連でこのようなのが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MH1ZMH6K50ZO01.html
日銀は2%目標掲げるも、事実上ゼロ回答−「面従腹背」で市場は失望
更新日時: 2013/01/23 10:37 JST

『会合前、金融市場では付利が引き下げられるとの見方が一部であったが、白川総裁はそうした思惑を一蹴した。しかし、次期総裁の有力候補の1人である武藤敏郎大和総研理事長は21日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで、金融緩和を進める上で「タブーをあらかじめ作ると柔軟性、大胆さが失われる」と言明。「今の日本はデフレ脱却のための金融緩和が最優先であって、副作用がどの程度心配されるかはっきりしないのに副作用を強調するのは適当ではない」と語った。』(上記URLより)

・・・・・・・・・いやもうね、「くやしいのうくやしいのう」って感じの記事で誠にこの正直者という感じですが、武藤さんはそこの記事にもありますように「副作用がどの程度心配されるかはっきりしないのに副作用を強調するのは適当ではない」とは仰せですが、明らかに副作用があるのがはっきりしている政策でメリット(具体的な目的として言われている銀行貸出拡大や円安誘導への効果)がどの程度あるかが良く判らないという政策までタブーを設けずに実施するとは一言も仰っていないと存じますがねえ。

という一発ネタ雑談でありました。まあ現行の包括緩和の枠組みを全面的に組み替えるという事になったら付利のあり方も変わるかもしれないとは思いますけれども、現行の枠組みは付利0.10%を前提に作り込んでいるので、現行の枠組みを所与とすると中々難しいのではないですかねえとは思います。

んでまあその結果昨日は・・・・・・・

国庫短期証券(第340回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130123.htm

2か月もの(3月22日償還)ですが。

(3)募入最低価格 99円98銭5厘0毛 (募入最高利回り)(0.0977%)
(4)募入最低価格における案分比率 8.5881%
(5)募入平均価格 99円98銭5厘0毛 (募入平均利回り)(0.0977%)


輪番オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130123.htm

米ドル資金供給(固定金利方式)(1月25日スタート分) 0 0
国債買入(残存期間1年以下) 13,861 3,102 0.015 0.015 93.7
国債買入(残存期間1年超10年以下) 10,562 2,506 0.015 0.015 93.3
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月25日スタート分) 4,480 4,480

ということで、2MTB入札は0.0977%(薄い按分ですが)一本値になるわ、輪番オペの残存1年以下は前日比甘になるわと中々の結果の中、固定金利オペは3カ月物(5月1日エンド)でしたが貫録の札割れ継続でしたな(^^)。

#ということで雑談シリーズで勘弁でした

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2013/01/23

お題「決定会合レビュー:関係各位全員の入れたい事を入れて煮込み料理にしてみましたと言う事ですか」

や、やばい!!モーサテ見たら「2014年からの買入だからダメ」(これは昨日の夕方から市場反応の後付講釈でベンダーにも出ていた説明なのでロジックは知っていたが)とか「時間軸が短い」(モーサテに出てきているコメンテーターの解説)とかオモシロ解説が展開されておりまして、もう全力で悪態付き解説をしてみたいのだがそれを始めるとどう見ても肝心のレビューが終わらないので我慢我慢。

そういえばこんなのありましたが。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90K05920130121
独連銀総裁「日銀の独立性危険に」、通貨安競争に警告
2013年 01月 22日 07:57 JST

『[フランクフルト 21日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのバイトマン独連銀総裁は21日、中銀の役割を拡大し大胆な緩和政策を迫ることは、各国の競争的な通貨切り下げを招くリスクがあると警告した。』(上記URLより)

ということですが、今までユーロ安で散々ウハウハ生活をエンジョイしているお前らのその口が言うかという所ですし、大体からして誰のせいでこっちは円高で苦労させられてんだという話でありまして、お前はザワークラウトと一緒にズッペにぶち込むぞとゆー所ではございますな。

という話は兎も角として今回の決定会合結果なんですけど、ヘッドラインを読んでも何が何やらわからず、声明文を一読しても?が頭の中を駆け巡り、二読すると??となり三読すると????となるという大変に素敵な結果となりまして、もうどこからどう突っ込んで良いのやらサパーリワカランチ会長という実に素敵な内容でありまして正直一晩経っても?????が頭を飛び交っているという状況でありまする。



○最初にあたくしなりの纏め感想を

今回の決定会合なのですが、まあ色々と考えてみたのですが、「とりあえず関係各位の言いたい事を全部織り込んだらこのようなわけのわからない結果になりました」というのが結論でありまして、何か変わったのかというと何だか良く判らないという結果。

実はまあ先日来プレビュー雑談でああだこうだと申し上げていたのは、今回は政府サイド、というか安倍ちゃんサイドがこれだけ気合を入れているのですから、日銀もこの際政府の土俵に乗る代わりにその代償として「政府と日銀の役割分担」「政府と日銀の責任分担」というのを明確にしたものを新たに打ち出して、それに伴い日銀も追加で新たなステージの緩和を打ち出す、ということで、「日銀の金融緩和(特に国債買入)が財政ファイナンスとされないような担保を確りと確保」した上で「銀行券ルールの一時的棚上げによって長期国債の買入拡大(つまり基金オペでは無く輪番の拡大)」を実施する、というような「政府と日銀の間のより踏み込んだ連携と、より踏み込んだ金融緩和政策の実施」という「新たな次元のチェンジ」というのを期待していたのですよ正直言って。

しかしながら、何か出てきたものはと申しますと、従来の延長線上の中に政府サイド、しかも安倍ちゃんだけでは無くてどさくさに紛れて財務省まで言いたい事を盛り込み、一方で日銀はと言うと安倍ちゃんの言いたい事は盛り込んだけど日銀の従来の主張は盛り込んだままというようなブツを出してきたというのが正直申し上げてナンジャソラという感じであります。結局「お互いの主張を確認し合いました」という感じで、まあそれはそれで共有認識になるというのは結構な事ではあるのですが、お互いの主張をぶつけてそれをアウフヘーベンしていくみたいな話にはならんかったんですけど、まーそこまで「握れる」状態になっていなかったという事かも知れませんな安倍ちゃんと麿の間は。

まあ冷静に考え直してみれば残り任期3か月の麿総裁様の所で派手なチェンジは出来ないからお互いに従来の主張を確認し合って後の事は次期執行部でやってくんなまし麿の方は最後まで麿でおじゃるよとかそーゆー話になるのはシャーナイナイですし、そもそも法的に制約力の無い文書で何かの担保を取れるとか思うのが玄宗皇帝なのでありましたとか反省をしているのですが、何か事前の盛り上がりっぷりについ不肖このあたくしも釣られてしまって色々と「新しい何か」に期待してしまったのは不徳の致す所であります。

とは言いましても、今回は前回の前原ペーパーという「紙」から「共同声明」方式にステップアップしましたとか、まあその紙の内容に関しても若干は進んでいるとか、そういう意味では一から十まで従来の延長線上という訳でも無く、そもそも話が従来からワープしてみたりとか色々と香ばしい物もあるのですが、はてさてこれどこから料理して良いのやらという所でございますが、声明文の順番通りに料理しながら関連事項に関していくつか愚考を述べてみたいと思います。

あ、そうそう、先に申し上げておきますが、市場のプライスアクションにすっかり後付で釣られた格好で「付利下げや撤廃」思いっきりあるべし予想を急に持ち出してきた債券何とかスト各位におかれましてはちょっとおまいら何で急にその予想になったのかの理由を説明してみろやとか思うのでございまして、内容によっては市場後追い主義者として顕彰させて頂きたく存じます。んでもって「付利の引き下げや撤廃が無いと市場が失望」みたいなこと言ってた奴ちょっと出てこいとか思いますけどにゃ。


ということで今回出た文書は以下の通り。

別紙含めて9ページもある声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122a.pdf
「物価安定の目標」と「期限を定めない資産買入れ方式」の導入について

その英語版
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2013/k130122a.pdf
Introduction of the "Price Stability Target" and the "Open-Ended Asset Purchasing Method"

金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122b.pdf

英語版
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2013/k130122b.pdf
The "Price Stability Target" under the Framework for the Conduct of Monetary Policy

政府と日銀の「共同声明」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)

英語版
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2013/k130122c.pdf
Joint Statement of the Government and the Bank of Japan on Overcoming Deflation and Achieving Sustainable Economic Growth

実際はあと1つオペ実施要綱の改定がありますがこれは純粋に基金オペがオープンエンド方式になる事に対応してオペの実施方法についての規定を手直ししたものになりますのでまあこちらの詳説は割愛します。

まずは声明文の冒頭から。

『1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、金融緩和を思い切って前進させることとし、@「物価安定の目標」を導入すること、A資産買入等の基金について「期限を定めない資産買入れ方式」を導入することを決定した。また、政府とともに共同声明を公表することとした。』(声明文より、機種依存文字は原文ママ)

・・・・・・ということで

○物価安定の目標の導入に反対が2票キタコレですが

まずは物価安定の目標ですが。

『(1)「物価安定の目標」の導入(注1)』(声明文より、以下暫く声明文からの引用)

でまあこの(注1)で反対票があった話がありますがそれは後ほど。

『日本銀行は、物価安定についての考え方に関する議論を行い、「物価安定の目標」を導入することとした。あわせて、別紙1のとおり、「金融政策運営の枠組みのもとでの『物価安定の目標』について」を公表することとした。』

別紙1というのとさっきつけたURL先の文書の中身は同じです。

『すなわち、日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。』

何だこりゃ。

『日本銀行は、上記の物価安定の目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』

まあ極めて有体に言ってしまえば「安倍さんがいうから2%にした」というのは衆目の認めるところではあろうかと存じますが、物価安定の目標に関する文書に移りますとこれがまた素敵な悪文文学が鑑賞できまして誠にアレでございます。

URL再掲します。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122b.pdf
『金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について』

『1.日本銀行は、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念として、金融政策を運営している。日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、昨年2月に導入した「中長期的な物価安定の目途」を上記理念に照らして点検した。その結果、「物価安定の目標」を新たに導入するとともに、金融政策運営の枠組みを改めて示すこととした。』(以下暫く上記物価安定の目標から)

というのはさっきの声明文と同じマクラ。

『2.「物価の安定」を概念的に定義すると、「家計や企業等の様々な経済主体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」である。そうした「物価の安定」は、持続可能なものでなければならない。』

これは従来通りの話。

『3.今回新たに導入した「物価安定の目標」は、日本銀行として、持続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率を示したものである。』

と、まあここまでは従来の物価安定の考え方、目途と同じ事を言っているのですが、ここで話がワープします。

『日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、「物価安定の目標」を中心的な物価指標である消費者物価の前年比上昇率で2%とすることとした。』

声明文とここまで同じ構成なのでさっき悪態を入れても良かったのですが、書き物の構成上ここで悪態を申し上げますが、「取り組みの進展に伴い持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している」って実際に進展した結果として高まった訳でも無いのにいきなり今回「高まっていく」とか何でそうなるねんという話です罠。

いやね、もしそういう認識があるのでしたら展望レポートの中間レビューで見通しが大きく上方修正されているとかそういう物に認識が示されると思うのですけれども、実際の展望レポート中間レビューにおきましては、2013年度の見通しについては今回の補正などの効果を見て上方修正しているものの、よりロンガーランとなる2014年度の見通しは10月見通し対比以下のようになっております。中心的見通しのレンジと中央値の10月見通し⇒1月見通しになります。

実質GDP
+0.2〜+0.7<+0.6>⇒+0.6〜+1.0<+0.8>
国内企業物価指数
+3.7〜+4.4<+4.2>⇒+3.8〜+4.5<+4.1>
消費者物価指数(除く生鮮食品)消費税率引き上げの影響を除くケース
+0.4〜+1.0<+0.8>⇒+0.5〜+1.0<+0.9>

・・・・・・・・ということで、2014年度の見通しに関して特段大きな変化が生じている訳でも無い、という現状認識の下で何で「持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率」を引き上げる事が出来るのかと小一時間問い詰めたい訳ですが、この次の「何で変えたのか」という説明部分が実にアレです。

『4.従来は「中長期的な物価安定の目途」として、「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域、当面は1%を目途」としていた。今回、「目途」から「目標」という表現に代えたうえで、その目標を消費者物価の前年比上昇率で2%としたのは、以下の認識に基づく。』

さあ悪文鑑賞会ですよ!!

『日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。』

それはさっき聞いた。

『現在の予想物価上昇率は長期にわたって形成されてきたものであり、今後、成長力の強化が進展していけば、現実の物価上昇率が徐々に高まり、そのもとで家計や企業の予想物価上昇率も上昇していくと考えられる。』

>今後、成長力の強化が進展していけば
>今後、成長力の強化が進展していけば
>今後、成長力の強化が進展していけば

願望ですかそうですか。

『先行き、物価が緩やかに上昇していくことが見込まれる中にあって、2%という目標を明確にすることは、持続可能な物価上昇率を安定させるうえで、適当と考えられる。』

とりあえず威勢の良いことを言ってインフレ期待を引き上げよう、という理屈になっているように読めますけれども願望ベースの物をぶち上げて何時まで経っても行かないと信認ってどうなるんでしょうかねえとかまあそういう観点で反対が出たんでしょうなあという事ですが、次の目途⇒目標の説明が日本語で書いてある文章なのに100回読んでも何が何やらワカランチ会長。

『「目途」から「目標」という言葉に変更したのは、わが国において、柔軟な金融政策運営の重要性に対する理解が浸透してきている状況を踏まえたものである。』

理解が浸透してるならどっちでも良いような気もするのですが何なんでしょうかね。

『金融政策の効果は、経済活動に波及し、それがさらに物価に波及するまでに、長期かつ可変のタイムラグが存在する。金融政策は、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点から、経済・物価の現状と見通しに加え、金融面での不均衡を含めた様々なリスクも点検しながら、柔軟に運営していく必要がある。』

ここで日銀の従来からの主張(別にこれそのものがおかしいという訳では無く当然の話だけど)が登場して、フレキシブルターゲットという金融政策運営上外す事のできない論点を含めています。

『こうした考え方は、各国で広く共有されており、とくに、世界的な金融危機以降、海外主要国では、金融システムの安定へ配慮することの重要性を対外的に明確にするなど、金融政策運営の柔軟性という視点が強く意識されるようになってきている。わが国でも、この1年間で、こうした考え方に対する理解が着実に拡がってきている。』

いやー当初安倍さんが吠えていた「インフレ目標」導入の説明って「目標を超えたら引き締めればよい」とかどう見てもリジットなインフレ目標だったような気がするんですが。と考えますとこれは安倍さんを筆頭にするワカランチンの皆様のご理解が着実に広がってきていると読み替えるとまあ判りやすいのかもしれませんな。

『こうした状況を前提とすると、「目標」と表現することが、日本銀行の考え方を伝えるうえで、わかりやすく適当であると判断した。』

まあ有体に言ってしまえば衆目の一致するように「安倍ちゃんがやかましいですから安倍ちゃんこだわりの"2%"の物価"目標"というワーディングを入れました」という事になるのでしょうが、その一方でこちらの文面にもありますように「フレキシブルターゲット」というのは入れているので、その辺で言えば実質的には「只でなくさえ遠い目標値が更に遠くなった」というのが変化ですが、フレキシブルターゲットという部分は同じですよという話です罠。

悪文悪文申し上げておりますが、そらまあ今回に関してはどう見ても大人の事情です本当にありがとうございましたという事ですから、その大人の事情が大人の事情であればあるほど文章構成が悪文化するのは否めないという所でございまして、よくもまあこれだけの文章を捻りだしたわと感心する所でもありますけどね。

いちおう綺麗に言ってみますと「目標」とするのは気合を見せる為ですが、従来は「目標」と言うと金融政策運営の中で「フレキシブルターゲット」というのが伝わりにくかったので使うのは控えておりました、というのがここの部分の理屈にはなっておりますということなので、まあ悪文なりに後半の方は説明にはなっているのですが、前半の2%については明らかに説明に無理があるわと思うのでございました。

まあ大人の事情なのですからそれを斟酌すべきという考え方も勿論あるのですが、そもそも今回の共同文書云々とかの流れって政策委員会の外側で執行部が政府と話をしてきてアウトラインを進めておりますぞなもしという時点で話に預かっていない審議委員の皆さんから筋論で反対する人がいてもおかしくは無いわという所でしょう。

『(注1) 賛成7反対2(賛成:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、反対:佐藤委員、木内委員)。佐藤委員と木内委員は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とすることに反対した。』(声明文より)

その結果、2%へのワープによって従来ハト派審議委員という扱いだった佐藤さんと木内さんという証券エコノミスト出身のお二方が反対に回った訳ですが、これはこの2名がタカ転換した訳では無く、政策委員会の中心の軸が急にワープしたからこうなった、ということでありまして、まさに「金融政策変更の「中原三原則」の面目躍如という事ですが、ちなみにその話は2005年5月18日に時事メインのコラム「金融観測」の中で紹介されていた話でございますので、それをネタにさせていただきまして2005年5月20日に書いたあたくしの駄文から引用して再掲させていただきましょう。

(以下2005年5月20日に書いたあたくしの駄文から、ちなみにこのころの話題は当座預金残高目標の「なお書き修正」です。何のことか判らん人は年寄りに聞くなりあたくしの過去の駄文なりを読んでちょ)

『一昨日の時事通信社「時事メイン」のコラム「金融観測」に「政策変更『中原三原則』の教訓=日銀欠陥は健在?」という記事がございまして、中原伸之元審議委員の披露した「三原則」を敷衍しつつ昨今の政策論議の混迷を辛口批評していた(ちなみに配信時刻は18日の18時24分)。

この「中原三原則」というのが非常に面白かったのでご紹介させていただきます。詳しくは当該記事をご覧下さい(^^)。

日銀の政策変更に関する三原則(By中原伸之元審議委員)

日銀は
(1)突然に
(2)それまでの議論と180度逆の方向に
(3)十分な説明も無しに
政策を決定する。

まさに至言といえましょう。で、同コラムによりますと、中原伸之さんはこの三原則これに量的緩和政策に関連した「プラスワン」というのを指摘されておりまして、できないできないと言ってきた政策を上記三原則に基づいて導入して、「やった後で『効果がない』という原則もある」ということだそうです。』(以上当時の駄文より)

・・・・・・・・・まあやっちまったものは取り消せないのですから、今回の「ワープ」に関しましては後からそれを打ち消すような事をしないで、本当に物価が持続的に上昇するパスへ向けて努力するという姿勢を継続して頂きまして、金融政策運営にあたっても「物価目標の達成に向けて」というのをより前面に出して頂きたいとまあ斯様に思う所でございます。

反対理由に関しては総裁会見でもコメントあったようですが、考えられる理由は2つあって、一つはこの「中原3原則」に通じますが「従来の目途の数値を引き上げるに足る理由になっていない」ということであり、もう一つは「そもそも達成のツールもなく、達成に向けたグラウンドデザインも無い中で出来もしない目標を出すのは金融政策じゃねえ」という事でしょうか、議事要旨見れば判るでしょうが。

つーかさ、昨日も申し上げましたが、そもそも昨年の2月に物価安定の目途を導入した時に「物価安定の目途達成に向けた金融政策」という見せ方をしながら追加緩和を実施したのに、その後あっさりもとに戻って通常の景気判断に伴う金融政策運営になってしまったから今回のテイタラクになったんじゃネーノという風に思う訳でありまして、まあ麿様におかれましては残り短いですが「やった後で『効果が無い』という原則」だけは止めて頂きたいものだと切に願うものであります。

で、「目標」に戻りまして・・・・・・

『5.デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現には、幅広い主体による成長力強化の取り組みも重要である。日本銀行としては、成長力強化の進展状況および家計や企業の予想物価上昇率の状況について、今後とも丹念に点検していく。この間、政府も、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取り組みを強力に推進するとともに、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進すると表明している。』(以下物価安定の目標からの引用に戻ります)

表明している、というのは共同文書の事ではありますが、この辺は大体従来の目途での説明と同じですかな。

『6.金融政策は、「物価安定の目標」のもとで、今後とも、次の2つの「柱」により経済・物価情勢を点検したうえで、運営する。』

ということで、結局数値が上がったものの運営する柱とかその辺は同じと言う事です。

『 第1の柱では、先行き2年程度の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。 第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。とくに、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因として、金融面の不均衡について点検する。 以上2つの「柱」に基づく点検を踏まえたうえで、当面の金融政策運営の考え方を整理し、展望レポート(経済・物価情勢の展望)等を通じて、定期的に公表していく。』


・・・・・・・・・・ということで物価安定の目標に関する文章はここまでなのですが、この「目標」を見てあれれとあたくしが思ったのは「2%という数字は出たのだが他の定義は何処にあるの????」という事であります。

つまりですね、従来の物価安定の目途では

『4. 「中長期的な物価安定の目途」の背後にある「物価の安定」についての基本的な考え方については、以下のとおり、これまでと同様であることを確認した。』(2012年2月14日公表の『「中長期的な物価安定の目途」について』から)

『「中長期的な物価安定の理解」とは:金融政策運営に当たり、各政策委員が、中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率(06 年3 月導入)』(2009年12月18日公表の『「中長期的な物価安定の理解」の明確化』から)

などのように説明がありまして、ついでに言えば2006年3月10日公表の『「物価の安定」についての考え方』という文書で細々と書いてあるのですけれども(あまりにも長いので引用するの大変ですからhttp://www.boj.or.jp/announcements/release_2006/mpo0603a.htm/を見てちょ)、今回は「2%」という数値は書いてあるものの、それが実現ベースの数値なのか、見通しベースの数値なのか、それも見通しが足元の数値なのか中長期的な数値なのか、中長期的だとすればタームはどの程度なのか、という辺りについての定義がネグられているように見えますな。

いやまあ従来の「物価安定の目途」の書き換えだからそれは従来通りですよ、という話なのでしょうけれども、「中長期的な〜」とかいうのを今回外しているのは何となく安倍ちゃん向け配慮のようなものを感じるのはあたくしだけですかそうですか。

まあこの文言もツッコミだすと止まらないので次に参ります。


○オープンエンドキタコレ

長期国債2兆円大当たりと自画自賛させて頂きます(^^)。

声明文より。

『(2)「期限を定めない資産買入れ方式」の導入(注2)』(声明文より、以下同様)

導入だけは全員一致。

『日本銀行は、上記の物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進する(注3)(注4)。その際、資産買入等の基金の運営について、現行方式での買入れが完了した後、2014 年初から、期限を定めず毎月一定額の金融資産を買入れる方式を導入し、当分の間、毎月、長期国債2兆円程度を含む13 兆円程度の金融資産の買入れを行う(資産買入れ額の内訳は別紙2のとおり)。これにより、基金の残高は2014 年中に10 兆円程度増加し、それ以降残高は維持されると見込まれる。』

こちらには反対ありですな。

でまあ別紙2ですけれども。

『(別紙2)

2014 年初以降の「資産買入等の基金」の月間買入額

総額: 13 兆円程度
うち長期国債: 2兆円程度
国庫短期証券: 10 兆円程度

(注1)長期国債と国庫短期証券については、最近の買入れの平均残存期間を前提とすると、上記の月間買入額により、基金の残高は2014 年中に10 兆円程度増加し、それ以降残高は維持されると見込まれる。
(注2)長期国債と国庫短期証券以外の金融資産については、残高を維持するように買入れを行う。
(注3)固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションは、25 兆円程度の残高となるように実施する。
(注4)日本銀行は、資産買入等の基金とは別に、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。』

ということで、注1から順に解説しますと・・・・・・・・

毎月の買入額の12倍が年間の買入額になるのは当たり前ですが、その購入している銘柄が例えば全部2年カレント物だと買入の残高は長期的に見ると2×12×2=48兆円になりますとかまあそういう計算になりますよね。

で、長期国債が全部2年、短期国債が全部3か月のカレントだと置きますと(一番流動性があって応札玉が豊富な物なのでこの置きは自然)長国の買入が48兆円、短国の買入が30兆円という残高になりますわな(短国は10×12×0.25)という事です。

んでもって今の基金買入残高目標が2013年末で長期国債が44兆円、短期国債が24.5兆円になっていますので、あたくしの置きで計算すると長期的に見れば基金残高は2013年末から比較して長期4兆、短期5.5兆円拡大することになるので、まあ10兆円増えるというのは(こちらは実際の買入実績を見ているのでより綺麗な置きでしょう)違和感ないですな。

しかしまあワロタのはさっき冒頭で紹介した「2014年からのオープンエンド開始だと積極的では無い」とかいう話で、いやあの基金の残高拡大ペースって2013年の方が思いっきり多いのですけれども何でそういう評価になりますねんという所で、とりあえず足し算はできるけど引き算が出来ない人が世の中に大杉勝男だというのが良く判ったわという所でございまする。

んでもってこれなんですけど、どう見ても短国市場にしわ寄せが来ておりまして、基金残高9.5兆円に持って行くだけで短国レートが0.09%台に沈んだというのにそれから20兆残高増えるという事になったら付利金利維持したままでも短国レートゲロ下がりする可能性はあるなあとか思います、というか恐怖の玉不足状態になるのは勘弁と言う感じなんですけど、まあ来年の事は来年になって悩むことにしましょう(違)。

んでもって固定金利オペ維持というのがしらっと入っているのですがこれは付利金利を下げないフラグということですね判ります(^^)という所なのですが、まあ次の総裁になった時に〜という思惑はど〜せ続くでしょうとは思うのでありまする。


でね、オープンエンドにするのは良いのですが、償還再投資についてもひっくるめての数値となっているので、実際に買入が始まった場合に購入する債券の平均残存が幾らになるかによって基金残高が増えたり減ったりするという形になりまして、極端な言い方をすれば長期国債の方で全部1年物が入れば基金の長期国債残高は24兆円になっちゃいますし、全部3年物が入れば72兆円になる訳で、2013年末の目標額44兆円対比で上振れるのか下振れるのかは実は蓋を開けてみないとワカランチ会長になるというのがまあアレな所。

だから今回の声明文には「金融緩和の強化について」と書けなかった(オープンエンド方式によって基金の残高が将来的に増えるのか減るのかが足元で決め打ちできないから)のですが、まあその辺りちゃんとしてるわなと変な所で感心するのがドラめもんクオリティですが、ちなみに会見では「追加緩和」と言っていたようですね。そらまあ時間軸伸びる(普通に考えるとそうだが以下いちゃもん有り)んですから当たり前ですが。

『(注3)佐藤委員と木内委員は、2%の物価安定の目標を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することに反対した。』

『(注4)宮尾委員より、別途、実質的なゼロ金利政策について、消費者物価の前年比上昇率2%が見通せるようになるまで継続するとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:宮尾委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員、木内委員)。』

ということで、佐藤さんと木内さんは2%物価目標に反対しているのですからそうなるのかなと思います(または宮尾さんと同じようにタイムコミットメントの所で引っかかっているのかもです)し、宮尾さんの提案はこれはこれで判ります。

つまり、今回はどさくさに紛れて「それぞれ必要と判断される時点まで継続する」という風にしらっとタイムコミットメントが思いっ切りコミットメントから裁量判断に格下げされておりまして、まあ2%に行く前に「物価だけ上昇して庶民の生活ガー」とかいう話が出てきた時に堂々の緩和縮小とかできる布石が散りばめられているとかナンジャソラという感じで、まあ元々の2%目標に無理があるという認識有ればこそなんだろうなあこの文言とか味わいの深い物を感じるのでありました。まあ普通に考えたら時間軸は伸びるのですが、アリエールなのは緩和している間に世間の風向きが変わって「デフレ脱却したものの2%も物価が上がったら困るぞな」の大合唱になった際という所です。まあ目先は時間軸が更に伸びるという認識で良いと思います。

まだまだ書きたい事はあるのですが時間と量がアレの為最後に共同文書について簡単に。


○共同文書:どさくさに紛れて「財政再建」が入るとか財務省恐るべし

URL再掲。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)

平成25年1月22日
内閣府
財務省
日本銀行

『デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のため、政府・日本銀行は別紙のとおり政策連携を強化し、これを共同して公表するものとする。』(以下共同声明より)

ということで、前回の前原ペーパーとの違いですけれども、一番の違いはここでして、「組織として」の内閣府、財務省、日銀が「声明」として出したという事で、文書としての格付けは引き上げになっている筈です。前回は前原、城島の各大臣と白川総裁の署名だったので、組織が出しているのか組織のトップの個人が出しているのかワケワカランチ会長だったので、同じ「紙」でも重みは確かに引き上げになっているのですが、「画期的」とまでいう話なのかはよーわからん。

まあ外交プロトコルに例えるのか適切なのかどうかは判らないですけれども、組織として紙に落としたというのはたぶん法的な強制力は1ミリもないでしょうけれども、文書としてはだいぶ重くなっているとは思います。

『デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)』

『1.デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、以下のとおり、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組む。』

はあそうですか。

『2.日本銀行は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを理念として金融政策を運営するとともに、金融システムの安定確保を図る責務を負っている。その際、物価は短期的には様々な要因から影響を受けることを踏まえ、持続可能な物価の安定の実現を目指している。』

『日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取組の進展に伴い持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。』

『日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』

前原ペーパーとの対照比較とかしたいですが時間と量の関係上スルーしますが、今回前原ペーペーから進展しているのは2%の数値は兎も角として「これをできるだけ早期に実現することを目指す」というのが入っていること。その一方であの展望レポートの予測数値は何なんでしょとか思いますけれども、まあこの文言を入れたのが日銀に対して突きつけられた追加要求。

『3.政府は、我が国経済の再生のため、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、日本経済再生本部の下、革新的研究開発への集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進する。』

まあ組織が変わっていたり、やる事の説明がやや変わっていたり、更に中身が具体的になったりはしておりますなという所。

『また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。』

>持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する
>持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する
>持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する

ということで、今回政府サイドで入った目玉商品はこれでして、まあ骨太の方針を策定する際にはこの辺りを踏まえた話をしますぞなってのが今から予告ホームランされたということですねわかります。

『4.経済財政諮問会議は、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況、その下での物価安定の目標に照らした物価の現状と今後の見通し、雇用情勢を含む経済・財政状況、経済構造改革の取組状況などについて、定期的に検証を行うものとする。』

ということで、定期的な点検について経済財政諮問会議で行う、と具体的に定めたのも今回の違いということですな。


まあ何ですな、これに関しては今後の運用次第という面がありますが、何となくアレだなと思うのはベンダーヘッドラインベースだからあまりあてにならないのですが、麿は麿で「金融政策だけではなく他の思い切った努力が必要」という話をして、安倍ちゃんは安倍ちゃんで「2%の目標は日銀の責任」と言ってたというようなヘッドラインが流れていて先行きどうなるのやらと極めてアレなものを感じるには感じますな。


○時間が無いので続きは明日ですがまあ金融政策に関しては次期執行部に委ねるということでしょう

この辺りはまあ会見読んだり更に文書の読み込みをしてみたいと思いますが、とりあえず見た感じの印象ですと、今回は関係各位が思いっきり自分たちの主張をごった煮にして、日銀もまあ大人の配慮はしたものの現実の金融政策運営における裁量部分は確保しているというような感じですなあと言った所ですか、良く判りませんが。

ただまあ今回の(だいたい)追加緩和に関しては先の話はしたものの手前の話はしていない、という事でありますし、固定金利オペ維持とか思いっきり従来の包括緩和の方式自体は継続という風になっておりまして、現象としての足元のオペレーション自体には変化が起きるものでは無いという事でして、「2%目標に無制限緩和と共同文書入れまして、あとは次の執行部と相談して下さい」というような麿の声が聞こえて来るのはあたくしの幻聴ですかそうですか(^^)。

ということで、まあ実弾は殆ど打たずに今回は見せ方で勝負したという形で、先々に関しては次期執行部になってから改めて仕切り直しだなあとか思ったのでした。(その間に急速に株安になったり円高になったりしたら話は別ですが)

あと、今日の2か月TB入札と明日の3か月TB入札が付利下げ目先無しがほぼ確定でどういうレートになるのかについてでもワクテカしておきたいとゆーのを付け加えまして以下続きは明日、というか一晩考えても中々頭が整理しきれんぞなもしという所ではございましたとさ。

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2013/01/22

○まあしつこくMPMプレビュー雑談

プレビュー雑談も今朝限りですからね(^^)。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130121b.htm/
明日の金融政策決定会合の開始時刻について

ということで8時から決定会合でお疲れ様ですという所ですが、とりあえず政策オプションに関する雑考やら何を出したらどうなのという雑談は大体昨日までにしましたけど、まあこの声麿に届けという「これだけはやって欲しくない」というのを少々。

今回はMPMの後に会見があって、恐らくその後に麻生さん、甘利さんとの共同会見があるという段取りになっているかと思います。そらまあ麿様におかれましては極めて不機嫌で有ろうことは想像に難くない、というかそういう想像をされる時点で既に如何なものかという所ではありまして、正直なのは人間としての美徳であっても非伝統的金融政策によって期待形成を図るという政策遂行においてはそれが阻害要因になる事もありますぞなもしとゆー所でございまして、今回は折角政府を巻き込んで色々とやる訳ですから、麿はやりたくないでおじゃるとかいうのを顔に出して結局愚図愚図した結果ズルズルとなし崩しモードになるよりは、この際日銀もやる事やるから政府にもやる事やるように「文書」の内容について政府にも踏み込んだ対応を織り込ませろよとか思います。

でまあ文書がその辺ぱっとしないと結局日銀へのクレクレだけが残るという事になり、ナンノコッチャという物になってしまいますし、文書の出来がそこそこであっても会見でまたまた麿が「この正直者!」というモードになるのは勘弁して欲しいものです。

いずれにせよ、今回は単に日銀が押し切られて中途半端な物を出すというのが一番良くない結果であって、出すなら出すでちゃんと政府に対する要求項目も入れないといけませんし、そういうのを出す時には麿もご機嫌の笑顔で対応しないといかんでしょと思うのですけどねえという所ではございます。


あとですね、これは昨年の2月に物価安定の目途を出した時に折角緩和したのにその後いつの間にか元に戻ってしまった話なのですが、今回の追加金融緩和に関して「景気判断で緩和」をするのか「物価目標達成の為に緩和」をするのかというのは重要な論点であります。

つまりですよ、昨年2月の追加金融緩和の際には景気見通しなどを引き上げながら追加緩和を行い、同時に物価安定の目途を出した訳で、あの瞬間は日銀の金融政策がより「物価安定目途(でも目標でも良いが)」を意識した形での金融政策ロジックという形になった筈なのですけれども、いつの間にやらその辺が曖昧になってしまい、気が付いたらいつもの「景気判断による追加緩和」というロジックに戻ってしまったのが極めて残念な話なのですよ。

従いまして今回もう一つの重要な点と致しまして、まあ中身云々の前にヲチャー的には重視したいのは「追加金融緩和のロジック構成」なのであります。で、そこで懸念されるのがこの前の支店長会議後に出たさくらレポートが景気判断を下げていた事でして、これは「景気判断での追加金融緩和」というロジックを前面に打ち出してくるという従来型の金融緩和措置をそのまま継続してくるのではないかという悪寒を十分に漂わせるものなのですよね。

そもそも昨年2月の物価安定の目途と景気判断を引き上げながらの追加金融緩和措置、という所でより物価目標(でも目途でも良いが)を強く意識した形での金融政策措置、すなわちよりインフレーションターゲッティング的な金融政策運営ロジックになった、という風な見せ方をしていた筈でありまして、あの時のロジックをそのまま前面に打ち出していたらその後こういう風にはなっていなかったんじゃないでしょうかねえとか思いますので、まあ今回は政府にも出すもん出してもらう代わりにもう一度ロジックのレジームを変えて頂きたい物であるとまあ斯様に思うのですが、それはあたくしが思っているだけで麿が中々首を縦に振らないだろうなあとか思うので困った事でおじゃるよ。

てな所ですかねえ。まあ今回は麻生さんや甘利さんとの会見というのも控えていますので、ロジ的にはかなり厳しい物があるでしょうからMPMが3時まで続くとかそういう事にはならないで欲しいですけどまあそれはどうでも良いです。


○この流れに乗るしかない!と乗ったらアレな見出しが出てしまった茂木経産相ワロスワロス

昨日は日本記者クラブで茂木経産相が会見をしたそうな。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGYPEX6K510001.html
茂木経産相:日本企業に明るい兆し、デフレ・円高脱却を強調
更新日時: 2013/01/21 16:55 JST

でまあこちらの纏め記事のほうでは最後の方でさらっと書いてありますが・・・・・・・・

『きょう、明日と開かれている日銀の金融政策決定会合に関しても言及した。昨年2月14日の会合で日銀が公表した消費者物価指数の前年比で2%以下のプラス、当面1%とする「中長期的な物価安定のめど」については「国際的に見てもおかしい」と指摘。他国ではより強い「目標」としており、しかも2%が国際的な基準だと述べた。』(上記URLより)

でまあニュース自体はベンダーで15時過ぎにヘッドラインとして出ていたのですが、この「目標」云々の部分ですが、本人がどのような文脈で言ったのかは存じ上げませんが、ブルームバーグニュースの英文ヘッドラインでこのように報じられていてワロスワロス。

BN 15:12 *MOTEGI:WORDING OF BOJ'S INFLATION ''GOAL'' IS STRANGE
BN 15:12 *MOTEGI:OTHER COUNTRIES USE INFLATION ''TARGET''
(以上1月21日ブルームバーグニュースのベンダーヘッドラインより)

まあ何ですな、日銀も英文ではご案内の通り「The Price Stability Goal in the Medium to Long Term」と言っておりまして、英語ヘッドラインを打たれたらどうしてもこうなるわというのがまあある意味日銀における諸葛孔明の罠みたいなもんですが、つまり茂木大先生におかれましては「めどという言い方は日銀が英語で表現している「ゴール」と比較して表現が弱いので良くない」とでも言えば問題は無かったのですが、「国際的に見ておかしい(キリッ)」とか言ったらFRBもご使用になっている「GOAL」が「STRANGE」であると言ってしまったと報道される訳でしてまあワロタわ。

http://www.boj.or.jp/en/mopo/outline/sgp.htm/
Recent Conduct of Monetary Policy toward a Sustainable Growth Path with Price Stability

http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2012/k120214b.pdf
The Price Stability Goal in the Medium to Long Term

これがもし「ゴールという表現がおかしい」とか言ってたらやば過ぎなのですが、まあ茂木さんがそこまで判って発言しているとも思えませんので、日銀の「物価安定の目途」だって中長期的なゴールと言う意味で表現しているのだ、という日銀の宣伝を聞かないで藁人形に向かって「国際的に
おかしい(キリッ)」とか言ってるんでしょうなあと。

まあ繰り返しになりますが、「日銀の目途という表現では、中長期的なゴールとして英文で表現している言い方と比較して判りにくいので表現を改善した方が良いのではないか」とか言えば建設的な話になる訳でして、日銀(だけじゃなくて他のケースでもそうだと思いますが)批判するのに相手のロジックを踏まえた上で相手の土俵に乗って批判しないとそもそも批判にならんぞなと言う所です。

というか再掲になりますが、

BN 15:12 *MOTEGI:WORDING OF BOJ'S INFLATION ''GOAL'' IS STRANGE
BN 15:12 *MOTEGI:OTHER COUNTRIES USE INFLATION ''TARGET''
(以上1月21日ブルームバーグニュースのベンダーヘッドラインより)

ってなヘッドラインを世界に向けて盛大に流されてしまいまして、日本のTrade MinisterはFRBの「Longer-Run Goals」も知らないで金融政策の話をしているという風に見られてしまいはいはいワロスワロスというか恥ずかしいぞなもしという所です。つーか経済産業大臣が金融政策の話してどうすんだと思いますが、MPMの前に「乗るしかない!このビックウェーブに!!」てな感じで乗ったら盛大にやっちまいましたなワロスワロスという所です。

Longer-Run Goals and Policy Strategy
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20120125c.htm

大体これ出した時にも「デュアルマンデートを踏まえたバランスアプローチ」というのを前面に出していて、ロンガーランのゴールではあるが短期的に達成すべきターゲットでは無いし、雇用のマンデートとのバランスを取って運営するという話をしているのでありまして、いわゆる茂木さんがいう「目標」というのとは違う話なんですけどねえ。

ちなみにECBも別にTARGETとは言ってませんで、どちらかというと「中長期的に2%あるいはそれを下回る水準」というのは書いているけれどもあとは煙に巻き系の表現になっているのがECBクオリティであります。

http://www.ecb.europa.eu/mopo/intro/objective/html/index.en.html
Objective of monetary policy

「国際的に見てもおかしい」とか、「他国ではより強い「目標」としており」という茂木さんの認識の方がどうも国際的に見て如何なものかという感じでして、そもそもインフレ目標をリジットに運営するのではなくフレキシブルにロンガーランの目標として運営するというのが今の金融政策の国際的なメインストリームで、おっさん何週遅れているんだよという所なんですけどねえ。

というかそういう話を時の閣僚が世間に向かって吹聴すると真面目な話日本人として恥ずかしいのでもうちょっと下調べ(ただしいつもの駄法螺吹きの安倍ちゃん取り巻き連中から聞くんじゃダメですので念のため)してから発言して欲しいものだ、と斯様に思うのであります。

で、今日も盛大に駄法螺先生に釣られてみるのが次のコーナーになりますぞなもし。


○浜田先生の釣り針があまりにも盛大で俺様が釣られクマーな件について

一頃某ウォッチマン先生を電波浴としてネタ切れの際にネタにしておりましたが、最近は浜田先生があまりにも豪快な釣り針を垂らして来るので生産性は無いのですが今日もつい釣られクマーであります。

ダイヤモンドオンラインでの浜田大先生のインタビュー記事なんですけどね。

http://diamond.jp/articles/-/30804
論争!日本のアジェンダ【第15回】 2013年1月20日
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」

とのことでございまして、これがまあ盛大な釣り針で俺様が釣られクマーでありまして誠に結構な電波浴であります。2ページ目にまた毎度の「円高で家電業界ガー」の話をしているのですが世の中他にも輸出産業あるんでちゅけどねえとかまあその辺のツッコミはスルー致しまして4ページ目のあたりから話がもうアレになってくるのが実にアレなので4ページ目に参りましょう。

http://diamond.jp/articles/-/30804?page=4(上記の4ページ目のURL)

『――では、日銀はインフレターゲットに向けて、どんなことができるでしょうか。』(上記URLより、以下同様)

という質問に対してああだこうだという話をしている中で最後にのけぞる話が。

『また、後でちゃんと売却(市中から資金を吸収)できるなら、国債を直接引き受けてもいいのではないか。』

・・・・・・・・・・・・・・いやーあのですなあ、中央銀行に財政ファイナンスをさせる事によって、政治サイドが財政規律を安易に考えてしまうというリスクが極めて高まるから中央銀行の財政ファイナンスっていうのは一般的に行わないようにする、というのが世界の常識でありまして、「あとでちゃんと売却できるなら」ってお前その担保が取れないから中央銀行の財政ファイナンスは禁止されてるんだろう何を言ってるんでしょうかこの人は・・・・・・


更に5ページが素晴らしい。
http://diamond.jp/articles/-/30804?page=5(以下の『』内はこのURLからです)

『――とはいえ、日銀が国債を大量に買い入れても、市中銀行が企業への貸し付けや運用などにお金を回さず、準備預金残高が積み上がって行くだけで、インフレ期待は醸成されないのではないかという意見もあります。』

まあこれは質問する方も明らかに分かっていないのですが答える方が更にそれに拍車を掛けるとかもうね。

『そうですね。現在日銀は預け金に0.1%程度のわずかな金利を付けています。それは主に、銀行間の短期資金の仲介を行なう短資市場の保護を目的にしていますが、預け金の金利がゼロに近い市中金利と比べていくらか有利なため、市中銀行の資金が日銀に戻ってきてしまうという、金融緩和に日銀自身がブレーキをかける現象を生んだ。その結果企業への貸し出しにお金が回らず、これは悪いやり方だと思います。』

「短資市場」って何でしょうその市場聞いた事ないんですけどという所ですが、これは「日銀は短資会社の保護の為に云々」という毎度おなじみの陰謀論が頭にあるから「銀行間の短期資金の仲介を行なう短資市場」などというわたくしども市場の人間が聞いた事の無い言語を発せられたのではないかと愚考致しますが、まあそれはともかくとして、「市中銀行の資金が日銀に戻って来てしまい企業の貸出に金が回らない」とか根本的に短期金融市場、というかそもそも資金需給とかの仕組みそのものを全く理解していないですぞな。

この前ああだこうだ説明しましたから詳しくは去年の12月10日と12日にあたくしが描いた駄文を読んでちょという所ですが、そもそも日銀当座預金残高自体は市中銀行の貸出金が増えても減っても瞬間的には同じでありまして、それは市中銀行の中での勘定間振替に過ぎない話であり、それ自体は超過準備(「預け金」というのがこれまた何じゃそりゃですが)の付利がある無しとは別問題です。大体からして「市中銀行の資金が日銀に戻って来てしまう」も糞も市中銀行の資金は日銀の当座預金勘定に置いてある物であり、仮に市中銀行が他の市中銀行に資金を預け替えてもその市中銀行は同様に日銀の当座預金勘定に資金を置いている訳ですからして、「市中銀行の資金が日銀に戻ってきてしまう」とか言ってる時点でこの先生本当に「金融の専門家」なのかよと疑問がふつふつと沸いてくるのでありました。

そもそも浜田先生は前の方で「もっと国債や色々な資産を買え」(あほらしいので引用はしてませんが)という話をしているのですが、日銀当座預金残高が積みあがるのがケシカランとか言ったらそもそも日銀に「資産を買え」という話との整合性が取れない訳で、こんなレベルの話しかできない人間が「金融政策の提言をする」というのが何かの悪い冗談にしか思えません次第で、浜田大先生におかれましては白川さんについて「道を間違えた」とか無茶苦茶に評していますが、貴殿のご覧になっている道とやらは貴殿の脳内のみに存在する空想上の物であって、早急に然るべき医師などのご診断をお受けになられた方が宜しいのではないかと斯様思うのでございます。


しかしこの先がもっとホンモノの風格を漂わせるアレです。次の質問に対する答えがまさにホンモノの風格でありましてこれはもう何と表現したら良いのでしょうか、先ほど引用した部分の続きになります。

『――日銀は外国債などを購入して円安誘導すべきという声も以前からありましたが、それは金融政策の枠を越えて、為替介入と捉えられる可能性があります。他国から批判されることはないでしょうか。』

『政治的なコンセンサスは必要だと思いますが、経済学者は法律家と違い、法や政治的意味での行為の正当化に興味はありません。外債などを買えば円は安くなるため、金融政策にとって非常に有効です。実体を伴わない法律論でとるべき政策をとらないのは、筋違いではないでしょうか。』

>法や政治的意味での行為の正当化に興味はありません
>法や政治的意味での行為の正当化に興味はありません
>法や政治的意味での行為の正当化に興味はありません

政治的意味での行為の正当化に興味はありません、という意味が良く判らないのですが、政治的意味で行為が正当かどうかというのは民主主義社会における広義の政府部門のありかたとして基本だと思いますし、それ以前の問題として法的な意味での行為の正当化に興味が無いとか法治国家としての基本的な問題を逸脱した越権行為をしてヨロシとかお前は北の将軍様の所にでも逝って経済政策とやらの実行をしてくれやヴォケと思うのですが。

つーか「政治的なコンセンサスは必要だと思いますが」とは言ってるけどその後半部分って「法的や政治的にどうかというのは興味なく、経済学的観点で純粋に必要だと思うので」って論理展開になっているようにしか見えませんが、そもそも「Politically Incorrect」な政策をアベノミクスとか言いながら実行するというのは無理じゃろと思う訳で、フィージビリティーまる無視で経済政策運営のアドバイスするとかスターリンの所にでも逝ってきてくれという所ですが。

大体からして、ちょうど昨日もネタにしたブラード総裁の「金融政策が財政政策の領域に踏み込んだ場合の問題」というような話にもあるように、そもそも法的や政治的意味での正当性が金融政策のどこまであるのか、というような話が非伝統的政策の遂行に当たって色々と論点になっているというのにその一方でCPや社債を買えと言う話は平気でする(先ほどのページにあって引用はしなかったのですが)とか、どうもこの先生の釣り針が大きすぎて不肖このあたくし人間の出来が悪いせいか盛大に釣られクマーになってしまいまする。


しかしそれだけで終わらないのが浜田先生クオリティ。
http://diamond.jp/articles/-/30804?page=6(6ページ目になります。以下の『』での引用はこのURLから)

『――では、こうした金融政策をやれば、経済はどのような経路で上向くことが考えられますか。デフレから脱却して「名目成長率」が上がり、それがどう実質成長率の上昇に結び付いて行くのでしょうか。』

まあこの質問者もちょっとレベル的にどうなのかという気もしますが、この答えが何とも素敵です。

『物価が上がっても国民の賃金はすぐには上がりません。インフレ率と失業の相関関係を示すフィリップス曲線(インフレ率が上昇すると失業率が下がることを示す)を見てもわかる通り、名目賃金には硬直性があるため、期待インフレ率が上がると、実質賃金は一時的に下がり、そのため雇用が増えるのです。こうした経路を経て、緩やかな物価上昇の中で実質所得の増加へとつながっていくのです。』

フィリップス曲線の部分の()内はさすがにダイヤモンドの編集者が書いた話でしょとか思いますが、まあその()内の説明無茶苦茶ですがなとか思いますけどそれはともかくとして、「物価が上がっても国民の賃金はすぐには上がりません(キリッ)」ってじゃあアベノミクスは国民生活水準を切り下げる事によって景気を回復しようって話ですかそれって政治的に通る話には到底思えませんが大丈夫ですかとか思うのですが、何せ浜田大先生におかれましては「法や政治的意味での行為の正当化に興味はありません(キリッ)」って言ってのける人ですから。つーかこの賃金の説明名目の話と実質の話がごちゃごちゃになっていて良くわからんぞなもし。

『その意味では、雇用されている人々が、実質賃金の面では少しずつ我慢し、失業者を減らして、それが生産のパイを増やす。それが安定的な景気回復につながり、国民生活が全体的に豊かになるというのが、リフレ政策と言えます。』

リフレ政策ってシバキアゲ政策だったんですか(棒)というのもありますが、そもそも「生産のパイを増やす」って今問題なのは需要不足であって需要不足の中で生産のパイを増やしたら余剰生産力が更に上がってデフレ要因になるんじゃネーノという話なんですが。

『よく「名目賃金が上がらないとダメ」と言われますが、名目賃金はむしろ上がらないほうがいい。名目賃金が上がると企業収益が増えず、雇用が増えなくなるからです。それだとインフレ政策の意味がなくなってしまい、むしろこれ以上物価が上昇しないよう、止める必要が出て来る。こうしたことは、あまり理解されていないように思います。』

>名目賃金はむしろ上がらないほうがいい
>名目賃金はむしろ上がらないほうがいい
>名目賃金はむしろ上がらないほうがいい

もはやここまで来ると何が何だかさっぱり判らないですが、と申しますか「こうしたことは、あまり理解されていないように思います(キリッ)」とかワシも理解できんわヴォケという所ですが、浜田大先生におかれましてはそもそも実質所得が減って家計の購買力が落ちる中でどうやって持続的な物価上昇が起きる事が出来るのかというメカニズムについて判るようにご説明を願いたいものでありまして、雇用者所得が伸びないで物価だけホイホイ上昇するとかになったらそれこそ日本に根強いインフレフォビアが更に火を噴きアベノミクスどころの騒ぎじゃなくなるだろうよと思うのですが。

まあ(このインタビューではあまり詳しく話をしていませんが)浜田先生はとにかく金融政策だけで何とかなるという話をこの前などもしておられました(日経のインタビューなど)ように、そもそも金融政策、財政政策、成長戦略の3点セットで行こうというアベノミクスと違う話をしているので何が何やらという所で、金融政策で緩和的な環境を作り、短期的に財政政策で需要を支えて時間を稼いでいる間に成長戦略で潜在成長率の引き上げを図るという話をしていると思うのですけど何なんでしょ。


・・・・・・・・・とまあそういう事で超弩級釣り師であり駑馬もビックリの浜田大先生様の面白言説を本日も鑑賞させて頂きましたが、まあこの先生、喋れば喋るほどボロがボロボロ出てくるのが仕様のようでございまして、まあこう言っちゃあ何ですがアベノミクスで槍玉に挙げられ全ての悪の元凶扱いされておられる日本銀行様におかれましては、変にその動きに対して反発するよりも調子に乗って快調に怪電波言説を流す浜田先生などの動きをニヤニヤしながら眺めて行けば、何ぼなんでもこらちと変だぞという事になって、「調整インフレしても誰得でしたねえ、さて皆さん!」ってな感じでそこから日銀はまた話を始めれば良いのではないか、とまあそんな風にも思うのですけどどうでしょうかねえ。

つーかさ、そもそも問題なのはネタとして面白くてセンセーショナルで部数が稼げれば良いという発想の元で売らんかな先にあり気で、その道にそれなりに詳しいプロやセミプロから見てどこからどう見ても有り得ない怪電波を垂れ流すような人材の言説をセンセーショナルに取り上げるというメディアの在り方も大いにケシカラン訳でして、そういうのが横行するからいつまで経ってもそもそも事実認識がおかしいとか、話がトンチンカンで全く実務上のフィージビリティーが無い提言とかが出てきたりする訳で、挙句の果てには内閣府参与に納まってしまったりするという次第。メディアは猛省すべきだと思いますがね。

さらにこの先生、こんな駄法螺までお吹きになっていますが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGWSUB6JIJUS01.html
浜田氏:物価や円相場への影響行き過ぎたら緩める必要−金融緩和
更新日時: 2013/01/21 00:00 JST

『1月21日(ブルームバーグ):内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は20日、日本銀行の金融緩和で円相場や物価に行き過ぎた影響が出てきた場合は、緩和措置を緩めればよいとの認識を示した。NHK番組に出演後、都内で記者団の質問に答えた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・えーっとすいません、物価に行き過ぎた影響が出てから「緩和措置を緩める」とかやっていたら金融政策の物価に対する波及効果が出てくる時間から考えてどこからどう見ても間に合わないと思うのですけれども、というかお宅のお仲間のウォッチマン先生も「物価が上昇するのに時間が掛かる」とか仰せでした筈なのですが、物価が上昇するのに時間がかかるのに緩和措置を緩めるだけで何で物価の行き過ぎた影響が直ぐに緩和出来て望ましい状態になるのかさっぱりわからないのですけどねえ。

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2013/01/21

あちこちで話題になっているからもう一々悪態つかないけど、ドル円110円でもう警戒とか2%の物価目標やる気あるのかよと思いますし、エルピーダ云々とか完全に言いがかりにも程があるわ>どこかの誰かさん

と思ったらモーサテにその一派が登場だが顔を見た瞬間にに聞く価値が存在しない言説が展開されるのが明らかなので今日は他放送を見ることにします。

ところでこの記事の最後にしらっと凄い話があり題名の方がどうでも良い件について。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2000K_Q3A120C1EE8000/
浜田参与、日銀総裁就任「全くない」 健康を理由に固辞
2013/1/20 19:32

『みんなの党の渡辺喜美代表は19日の安倍晋三首相との会談で、首相の助言役である浜田氏を、岩田規久男学習院大教授、竹中平蔵慶応大教授、高橋洋一嘉悦大教授とともに次期総裁の候補として提案していた』(上記URLより)

最初の3名は兎も角として最後の1名をノミネートするという渡辺さんの神経を疑うとしか申し上げようが無いのだが・・・・・・・

#まあしかし本人やる気ないのにあれだけ好き勝手に「数か月以内にデフレ脱却可能」で「2-3%の目標も早期に達成可能」とかまさしく外野の無責任な態度としか思えませんけれどもねえ。つーかそういう人間が「政策提言」とかして良いのかよ?????

しかしまあ何ですな、日銀に足りないのは緩和よりも「気合とハッタリ」であると思うこのアタクシから致しますと、つらつら考えるにもうこの際次の総裁福井の俊ちゃんで良いんじゃねえのとか(^^)。俊ちゃん相変わらずお元気みたいですし。

と言いつつ怖いもの見たさでモーサテ見たら日本の物価連動国債のBEIのグラフが出てきましたよあーっはっはっは。つーかインフレ目標が問題になっているんじゃなくて「財政ファイナンス」や「日銀法改正」まで持ち出して「ストックの財政赤字が巨額に上っている国」で「首相と目されている人(の後首相になりましたが)」が「財政をどんどん出すと言いながら大胆な金融緩和を中央銀行に求める」という事が懸念されるべき問題の本質なのにインフレ目標の解説を延々としている時点で明らかに懸念する人たちの聞きたい事の趣旨を外して説明するという卑怯論法であって如何なものかという所なのですけれどもねえ。


○ということで紙が出るようですが

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130121/t10014932121000.html
2%の物価上昇率目標を共同声明に
1月21日 4時46分

『安倍総理大臣が大胆な金融緩和を求めるなかで、日銀は、21日から2日間、金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇率を目標とすることを政府との共同声明に盛り込む方針です。』(上記URLより、以下同様)

はあそうですか。

『そのうえで、政府と日銀が一体となってデフレ脱却を目指す姿勢を強調するため、麻生副総理兼財務大臣、甘利経済再生担当大臣、それに日銀の白川総裁が22日そろって発表する方向で調整を進めています。』

ということで共同記者会見みたいなのをするのね。ふーん。

『安倍総理大臣はデフレからの脱却には大胆な金融緩和が必要だとして、2%の物価上昇率を目標とする共同声明を政府と日銀で取り交わすよう求めており、先週、18日には麻生副総理兼財務大臣と甘利経済再生担当大臣が白川総裁と会談し、重ねて政府の方針を伝えました。』

しかしまあ何ですな、本来金融政策に関する事は決定会合で議論するというのに執行部が政府と話をしてきて政策委員会がそれを追認だったら何のために委員会を作って政策決定しているんだかという話で、主要先進国で普通に行われている金融政策の委員会制度であったり独立した金融政策がという話はどこ逝ってるんでしょとか思う訳ですが、しかも出てくるの紙の法的建付けはどうなるんでしょうかねえとかまあ不思議なツッコミどころが多いです罠。

『日銀は21日から金融政策決定会合を開きますが、共同声明について、日銀が目指す物価上昇率を、前の年に比べ2%のプラスとすることを目標として明記し、これに向けて金融緩和をすすめること、目標の達成時期は盛り込まず、具体的な手法については日銀に委ねる方向で調整しています。』

そらまあ1ドル100円如きの「円高水準」で充分だとか仰せの政府の腰の砕け方からしますとそー簡単に2%行くかよとか思う訳でございましてねえ。

『また、政府の役割も明記し、成長戦略や財政再建の推進も盛り込む見通しで、22日、日銀としても決めることにしています。』

だそうで、まあ先日も申し上げましたように政府が財政再建推進について何らかの強いコミットを入れてくれるのであれば財政ファイナンスと見なされない為&通常の金融政策運営上のオペレーション技術上の問題(なので量的緩和金融政策をしている時に限って言えばは技術上の問題は生じないが当然出口では問題が生じる)となります銀行券ルールの・・・・・というのが話としては綺麗な気がしますけどね。

ちなみに麻生さん
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK059372720130118
UPDATE2: 麻生財務相、日銀総裁・再生相と連帯強化めぐり意見交換 協議「かなり進んだ」
2013年 01月 18日 15:00 JST

『詳細は協議過程にあるとして言及を避けたが、日銀がこれまで実施してきた金融緩和策について財務相は「企業が銀行にお金を借りる需要がない限り、日銀がいくらお金を刷っても全然効果がなかった」として、今回の協議でも「政府としてきちっと予算(編成などを通じ)で対応するのかが、日銀の一番の心配しているところだろう」と指摘。「(お金が市中に)出なかったら意味がなくなる。日銀に押し付けるとか、物価が2%へ上昇しないのは政府の責任とか、そういった話にならないよう、双方できちんと連携を密にするのが、今回の一番大事なところ」との考えを示した。財務相はまた、日銀がリーマン・ショック以前から実施してきた緩和策を「そこそこ日銀も出している」と評価。「いくら出しても波及効果が出ないとの言い分が日銀側にもあると思う。それは事実だ」としたうえで、「金融緩和をすれば必ず景気がよくなるということはない。金融緩和と成長戦略と財政出動が一緒になって、初めて経済成長ができる」と、成長戦略や財政出動の必要性を重ねて強調した。』(上記URLより)


んでもって甘利さん
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90J00820130120
2%の物価目標達成、日銀が主体的に責任を負う=甘利経済再生相
2013年 01月 20日 13:18 JST

題名見ると一瞬えっと思いますけど・・・・・

『一方、2%の物価目標達成の責任については「日銀が主体的に責任を負う」と指摘。「成長と財政再建、国債の信認を失わないことを両立させていくことが政府の責任だ」と語った。「日銀は日銀としてやるべきことをやる。それは物価目標2%。政府としてやるべきは、成長と財政再建にきちんと責任をもつことだ」と繰り返した。』(上記URLより)

成長と財政再建にきちんと責任を持つということですので、日銀に何から何までおっかぶせるという話では無いのは把握しました。まあこの2名がやっている間はそうそう無茶苦茶な筋悪話にはならないと思うのですが何せ変なのが変な話を吹き込んでそれを真に受けるトップがねえ・・・・・・・

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2013/01/18

お題「決定会合プレビュー雑談再び/オペその他雑談」

しかしここの所延々と「金融政策決定会合での追加緩和観測が」という話になっているのですが、そんなもん観測も糞もコンセンサスじゃないのと思う訳で、円売りの本当の理由は別の所にあるでしょと思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・

#と思ったら日経が記事書いているのか、ふーん

○決定会合プレビュー雑談中間まとめ(^^)

ご案内の通り今回のMPMについては「紙が出る」「2%のインフレ目標というのをより明確に打ち出す」というのに加えて「追加緩和が出るでしょう」という所まではコンセンサスなのですが、では何が出るのかという点についてはまるっきりコンセンサスがないのですな。しかしまあ何ですなと思うのですが、まるっきりコンセンサスが無いのに「サプライズが無いと失望」とかいうコメントが時々ベンダーなどに乗るのだが、あれをコメントしている人はそもそもその「サプライズ」の定義を明確にしてコメントしろと思う訳で、コンセンサスの無い中でサプライズも糞もねえだろと存じます次第で、基本的にそういうコメントを見ると貴殿の頭に詰まっているのはもしかしてオガクズか何かでございますでしょうかとか申し上げたくなる次第ではありますが。

などという悪態はともかくとして(^^)。

・今回のポイントは「為替市場への働きかけ」ではないかと思われる点

まず基本的な考え方として、今回は政権との間に何らかの「紙」を出して政府とのコラボレーションを強調するという事が必要であるという点、更に11月決定会合議事要旨で示された「為替市場への働きかけ」という観点というのは「事実上より高めになった物価目標の達成」という点からして重要であるという点、というのがあると思います。

・・・というのは何を申し上げたいのかと言いますと、今回何かの緩和メニューを出すのであれば、「従来の政策枠組みの延長線上での追加緩和」というのを出すのは見せ方として稚拙にも程がある話で、それこそが「失望」となるのではないかとあたしゃ思うのですよね。

つまり、従来の枠組み延長線上で物事を考えてああだこうだという話をする傾向のある金利市場プロパーの発想ですと為替市場などの他の金融市場や一般ピープル向けとしたメッセージとしてどうかと考えますと、今までの流れから見るにどう見てもアピール不足ではございませんかという事で、金利市場プロパーの発想を一旦外して考えるのが必要であろうとまあそういう風に思うのですよ。


・そもそも日銀に足りないのは「緩和」ではなくて「気合とハッタリ」ではないかと

まあ小見出しの通りで終了なのですが、これだけ凄い勢いで国債買入を拡大したりして、(一時ドイツに追い抜かれてましたが)主要国の中でも全力で国債金利の水準が低いという状況ではありますし、社債やらETFやらREITやらまで購入するとかお洒落な事をしている日銀ってやっていることそのものは大概に素敵な緩和をしておりますが、では日銀に何が足りないのかというと「実際のタマ」なのではなくて「気合」であると思うのですよね。

でまあその「気合」というか「見せ方」というかがどうも足りないというのが問題であって、「デフレ脱却に積極的では無い」という批判についてはあたしゃ実施している施策そのものを見ればただの言いがかりにしか見えないのですが、それらの施策を実施するにあたっての気合とか見せ方が非常に残念で折角の政策が無駄打ちになっているという風に思うのでありますわな。例えばですなあ・・・・・・

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0117/jj_130117_4727020133.html
デフレ脱却の意志と能力条件=日銀総裁人事で安倍首相
時事通信1月17日(木)18時12分

『【バンコク時事】安倍晋三首相は17日午後(日本時間夕)、同行記者団に対し、次期日銀総裁人事について「デフレ脱却の強い意志と能力を持つ方が条件だ」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・この趣旨の発言安倍ちゃん外遊に出る直前にもしていましたけれども、そもそも日銀だって「デフレ脱却の強い意志を持って」緩和政策を行ったり成長基盤強化政策を行ったりしている訳ですし、大体からして永久デフレが良いとか思う奴が世の中のどこにいるのかと小一時間問い詰めたい訳でございまして、安倍ちゃんをしてこう言わしめてしまい、それに対して突っ込みがあまり入らない(もちろんあたしゃこれは何を言ってるんだ安倍ちゃんとか思いますので日銀にも同情するんですけどけど・・・・・)、という現状を麿は重大な危機意識を持って認識すべきであり、あんさんの信念やら意地やらとかはともかくとして、日銀の事を考えてもうちょっとその辺の「姿勢の出し方」というのを考えた方が良いのではないかとか時既にお寿司にも程があるのですがまあそう思う所であります。

とまあ何を今さらという話をしたのは、先ほどの「金利プロパーの発想で良いのか」という話にも繋がるのですが、今回の追加金融緩和実施に当たって必要なのは「タマ」をどうするのかでは無く、より「見せ方」を重視しないといけないという事だと思うのですよね。


・「物価目標の実質引き上げ」を見せるか「景気の現状判断引き下げ」を見せるか

これはまあ実際に何やるかという話の前段階になりますけれども、今回日銀が追加緩和をするとして、そのロジックとして上記のどちらをより強く見せるのかというのがこれまたポイントになると思うのですけれども、そこでちょっとうーむと思ったのは先日のさくらレポートで思いっ切り景気の現状判断引き下げが出てきた所でして、追加緩和するのに一定の名目を立てているというのはあるのですが、それって「従来の日銀の発想の延長線上」にあるという事でもありまして、まああたくしとしては日銀の為には如何なものかという所なんですよね。

つまり、今回「チェンジ」を見せて「日銀の積極的な姿勢」というのを見せるのであれば物価目標の2%をより強く見せるという動きと共に、その物価目標達成をより確実にする為に追加金融緩和を実施する、という見せ方をしないと「チェンジ」にならないと思いますし、そういう「見せ方」をすれば中身に関しては実は債券市場が今妙に期待している(と言われている)事をやる必要は無いのではないかと思うのですよね。

従来はその辺の「見せ方」がヘボの為に資産等買入基金をバンバン拡大して、金利市場の方は「薙ぎ払え!」状態で金利がドンドン潰れるという絶大な効果を発揮しながら、一歩金利市場の外に出てしまうと「日銀の緩和は積極性に欠ける」とか言われてしまうというどう見ても無駄打ちです本当にありがとうございましたという事になってしまったというのがこれまでの流れなのでありまして、政策委員会の皆様および麿大先生様におかれましてはその辺の状況を斟酌した「見せ方」を考えて頂きたいと切に願いたいものです。


ということで具体的な施策についてのあたくしの現状の考え方。


・付利を動かすのは万策尽きてからであるしそもそもその発想が金利プロパーのしょぼい思考であるという点

おまいら市場の値動きに釣られ過ぎと思うのですが、足元での短期および3年まで辺りの国債のプライスアクションにすっかり釣られてヒャッハー状態となっている債券市場の皆様におかれましては、本職の何とかストの皆様でも結構大真面目に「付利引下げ」を予想している人がおいでのようですが、まあそれはどうかと思いますし、大体からしてその発想は金利プロパーの発想だろと思うのですよ。

つまりですね、債券市場的に言えば付利が5bpとか動くとそれこそヒャッハーではあるのですが、冷静に考えてみると元々10bpしかない付利金利が5bp下がったとか言ってもそれは債券市場はヒャッハーなのですが例えば為替市場の人から見れば「So What??」ってなもんで、下手したらその日数時間しかネタにならないだけでしょと思うのですよ。

これがECBとかBOEみたいにベースレートが0.75%だの0.50%だのという水準にあるのでしたらまだ0.25%だとかインパクトのある金利引き下げをする意味があるのですけれども0.05%ですよ0.05%・・・・・・・・

#あたくしも短期の利回りの話をするときに0.001%刻みでああだこうだという話をドヤ顔でしていますけれども、あれはその市場プロパーという意味で騒ぐ話(まあロットがデカイので刻みが屁でも影響はあるというのもあるけど)であって、他市場の人から見たら「だから何なんですか???」と言われる話じゃろと思いますからねえ

これが付利金利マイナスにするとか衝撃的な事でもやるのであれば話は別ですが、「為替市場への働きかけを強める」という発想で行うのが「小出し感」満載の付利金利引き下げというのはこの前から延々と説明しているようにデメリットの方が大きい割には為替市場に与える効果は瞬間芸の世界でありますし、一旦付利金利を下げたら当然ながら市場が「次は幾ら」と催促するでしょうし、他市場の目からしたら「何で(マイナスはともかくとして)ゼロにしないんでしょう小出しにも程がありますねえ」でおしマイケルだと思うのですよ。

先ほども申し上げましたように、市場価格の方がヒャッハー状態になっているのでそれに釣られているというのと、ベースレートが変わるというのは債券市場的には大事件になるというのもあって、付利をいじる件って他市場よりも債券市場が妙に盛り上がっている観があるのですけれども、それこそ金利プロパー的なしょぼい発想ではないかとまあ斯様に思うのでございます。


んでもって付利金利撤廃のデメリットの話は散々申し上げた通りで、そもそもバランスシート政策を実施するという事とリアルゼロ金利の導入というのは実務上矛盾する話であり、フィージビリティーが無い(のでバランスシート政策を放棄または縮小するのであればリアルゼロ金利政策も有り得る)という話で、付利引下げに関してもいったん下げるとゼロにいつなるのという催促相場になるのが自明である以上同じ結果になるでしょと思いますがどうでしょうかねえ。


でね、それに加えて申し上げますと、日銀の今やっている施策って資産買入等基金だけではなくて、成長基盤強化というのも行っているのですが、これらの施策って「付利金利0.10%」の存在を前提にして仕組みを作っている訳でして、そこの所を細々と説明していると話がオワランチ会長になるのでおまいら成長基盤強化貸出の内容を読みなはれという所ですけれども、そもそも鳴り物入りで始めたこの成長基盤強化という「物価安定のもとでの持続的成長へ向けた最近の政策運営」の重要施策の枠組みが崩壊するような施策を何の準備も無しで実施するとかまあ普通に考えて有り得ませんぞなもしという話にもなります。

http://www.boj.or.jp/mopo/outline/sgp.htm/
物価安定のもとでの持続的成長へ向けた最近の政策運営

大体からして短期や2年辺りの市場金利を下げて為替市場に働きかけたいというのであれば、現在行っている基金買入をバンバン増やせば需給関係上金利が下がる訳であって、付利をいじる必要が本当にあるのかと思いますし、まあ何度も申し上げているようにそれで為替が動くのってはっきりいって瞬間芸でしょという話で、メリットデメリット勘案したら全然割に合わない話だと思います。


・基金オペの「無期限無制限」という「見せ方の工夫」

そういやどこかのコメント見てたら「無期限無制限化をすると今のコミットメントの破棄になるので出来ないのではないか」というようなのがあったような気がするのですが、それは知恵が足りないコメントではないかと存じます次第。

つまりですよ、現在の基金オペは2013年末までの基金残高に対してコミットをしているのですが、これは生かす形にして、2014年以降の基金オペに関して「無期限無制限」というのを入れればヨロシというのがあたくしの愚考する所でありまする。

国債買入で言えば今後の期落ち額が前月末の買入状況を勘案すると(この前計算したのの再掲)

2013/6まで:12529億円
2013/12まで:50965億円
2014/6まで:86056億円
2014/12まで:34842億円
2015/6まで:46126億円
2015/12まで:9153億円

となっていまして、来年前半は期落ちを埋めるのだけで言えば月に1.5兆円弱の買入が必要になりますので、まあそれにおまけを載せて切りの良い所で「月に2兆円のペースで購入を行い、物価目標(なのか目途なのか知らんが)の達成が展望できるまでこれを継続する、ただし経済物価情勢の変化に応じてこの額や構成は常に見直すこととして毎月の点検を行う」というような形にすればどう見ても「無期限無制限」です本当にカムサハムニダという風になると思うのですけれどもどうでしょうか。

でまあ当然ですが1年の間に物価目標が達成すれば(する訳ないが)んなものは無かったことになりますし、下手に買入期間の延長と10兆円とか拡大するとかオペレーション上無理が重なるような事をする位であれば、「見せ方の工夫」で「無期限無制限」というのをして、逆に状況が間違って好転してくれた場合のフレキシビリティーも確保できるんじゃないですかねえと思うのですよね。

まあそれだけだとアレだから基金買入拡大もセットにする(この場合は2013年中に拡大)というのもあるでしょうし、そこでどう見てもオペレーション上は勘弁島倉千代子ではありますが、短国の買入を更に拡大という無理ゲーを打ち込むことによって「短期市場金利の引き下げ」もアピールしちゃうといいう手もあるでしょとか思います。


・輪番増額と銀行券ルールの一時的(物価目標達成までの)撤廃

これはこの前もちと書いたと思いますが、政府との共同文書を出す際に「日銀は財政ファイナンスの為に国債買入をバカスカ増やしているのではないですよ」という点を明確に示すことができるのであれば、中長期的な財政規律が担保されるという前提の下、どうせ量的緩和政策を実施しているのですからオペレーション上の問題も小さい事ですし、金融政策の正常化までの範囲内で銀行券ルールを一時的に撤廃したうえで輪番増額というのは話としては綺麗だと思うのですよね。

つまり、政府と日銀の協力というのがアピールできる上に、特にの為替の投資家などからの評判の悪い(まあ評判悪いのはオペレーション上の技術論を理解して無いという面はあるのですが)銀行券ルールを外し、しかもこれですと買入拡大をするのが基金オペよりも長い期間の国債になるので、この場合はそんなに派手派手に買入を拡大しなくたってインパクトがあると思うのですけどどうでしょうか。

勿論これやるには「共同文書で政府にもタガを嵌める」という作業が必要で、それが本当に出来るのでしょうかという大問題がありますけれども、出来上がりの絵としては美しいと思いますし、「従来の延長線上と違った緩和策」という見せ方にもなりますし、今まで出てきた施策よりもオペレーション上無理が無いのですけれどもどうでしょうかね。


・そういや忘れてたが基金オペの買入国債年限長期化

市場のプライスアクションからしてこの期待もあるんだったというのを忘れていましたが、正直言ってこれはピンとこない話でして、基金国債買入がオペレーション上もう無理ぽとでもいうのであれば話は別ですが、別に無理が生じている訳では無い状況で長期化をする必要ってないでしょと思います。

更に申し上げますと、先程来申し上げておりますように、他市場や一般向けへのアピールという事を考えた場合、普通に考えられている「3年→5年」というのは、これまた債券市場的にはヒャッハーな話ではあるのですが、他市場的には「So What??」な話では無かろうかと思われる次第でありまして、それやる位なら上記の輪番の方が綺麗ですしコストが小さいでしょと思うのでございまして、まあこれは金利市場プロパー的な発想ですよねとか思うのでした。


えーっと、論点ってそんな感じでしたっけ???まあETFとかREITとかの拡大云々とうのもありますけれども、そもそも当該市場が全然期待していないようですし、いずれにせよ量が稼げる話では無いのでおまけであるかも知れませんね程度ですかね。



○オペ雑談とか要人発言雑談

プレビュー雑談が思いのほか長くなったので簡単に。

・2本立てワロタ

うむ。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130117.htm
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2013年1月21日
国債買入(残存期間10年超30年以下) 1,000 2013年1月21日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月21日 2013年4月25日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月21日 2013年7月22日

・・・・・・オペの期落ちって8688億円なのに何で2本立てと思ったら良く良く見たら21日に期落ちが来る固定金利オペは6/28-1/21の3985億円と9/13-1/21の4703億円の2本立てだったのですが、こんなの期落ち分1本でロールすれば良いのにと思ったら・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130117.htm
国債買入(残存期間1年超10年以下) 10,008 2,504 0.004 0.005 56.8
国債買入(残存期間10年超30年以下) 3,957 1,007 0.002 0.004 16.1
共通担保資金供給(資産買入等基金)(4月25日エンド分) 4,240 4,240
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月22日エンド分) 120 120

そら3か月と6か月を同時に打ったら6か月に札入らん罠と思いました、つーか120億円も札が入った方がびっくりじゃわwwww


・甘利さんとかの発言があったようですが

昨日は東証引け際にドル円市場でドルが昇龍拳状態になってナンジャソラとか思ったら甘利さんが今度は火消し発言に加えて1ドル100円がどうのこうのとか話をしたとか言ったらしい(らしいというのはあたくしソースが見つからなかったので)ので引け後にはまたまた89円台とかになっていてワロスワロスという所ですが。

いやまあ結果何とか収拾できているから今のところは何とかなっていますけれども、何かこの調子だと先が思いっ切り思いやられるわと思うのでありました。



○浜田先生ェ・・・・・・・

浜田大先生様の日経インタビュー記事がありまして、中々香ばしさが溢れているとの通報を頂きましたので慌てて拝読したので折角ですからツッコミを。

『−−日銀は具体的にどう緩和をすべきか。

▼包括緩和を 「多様な資産を買う包括緩和が必要だ。今はまだ買入の量が少なく効果が出ていない。いつまでに緩和をやめるという必要も無く、インフレになりそうになるまで続けると言えばよい。物価上昇率が2〜3%まではいいが、3%が続きそうなら引き締めを考えないといけない」』(1月17日日本経済新聞朝刊3面左上のインタビュー記事より、なお参考にしているのは
13版です)


・・・・・・・・・まあインタビュー内容全体的に非常にツッコミどころが多いのですが、もうこの部分見てのけぞってしまいましたぞな。

あんさん先月ブルームバーグの取材に「数か月でデフレ脱却可能」とか仰っていましたけど、その具体策について(まあ質問者の質問どころが素敵なのですが^^)「多様な資産を買う包括緩和が必要だ」とか何だその無責任極まりない答えはという所でございまして、多様な資産とは具体的にどのような資産をどのような形で買うのが金融政策として適切かとか、そういう青写真は一枚も持ち合わせてないのでしょうかこの大先生様は。

んでもってそんな青写真も無いのに「数か月でデフレ脱却可能」とか良くもまあ無責任に吹けるわと思うのでありまして、そらまあ昔は偉い人だったのかも知れませんがこういうのを「麒麟も(以下自主規制)」というのだろうなあとか思い、人間晩節を(以下自主規制)などと感慨を持ったこのあたくしなのでございました。

で、足りないとか仰せですがその具体的数値はどうなってるんだというようなツッコミ所も有る訳ですが、しかもその次には「いつまでに緩和をやめるという必要も無く」などと仰せになっているのがこれまた意味不明でして、今の日銀の資産買入基金は別に2013年末を以て終了するのではなく、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力な金融緩和を推進していく」という表現で示している訳でして、「いつまでに緩和をやめる」とか別に具体的な時期を指して言っている訳では無いのですけどねえ。

目途の1%の数値が低いから良くないとか言うのであればまだ話は分かるのですが、「いつまでに緩和をやめるという必要も無く」って言われましても日銀としても「あのーすいません私たちはいつまでに緩和をやめるという具体的な時期を示しては居ないんですけど公表文書のどこをどうお読みになられるとそうなるのでしょうか???」と言った所ではないかと存じます。

いやね、「今の日銀の表現だとあたかも2013年の目標を達成したらそれで終了するような誤解を与えるから表現の仕方に工夫が必要」というのなら話としては判るのですが、この浜田大先生の言いぐさですと単に日銀が現在行っている金融政策の枠組みを理解できていなくて勝手に俺様解釈した挙句に日銀に文句言っているという究極の藁人形論法を展開しているだけにしか見えないのですけれどもまさしく麒麟も(以下自主規制)。


んでもってですな、今のゼロ状態からそれこそ浜田先生のお告げ(=先日来ご紹介している先月の浜田先生のブルームバーグ電話インタビュー記事)によりますと適切な金融政策を実施する(その適切な金融政策というのは浜田先生の空想上の存在なのではないかという疑念が大いにあるというのは只今申し上げた通りですがそれは兎も角として)と数か月でデフレ脱却可能で2−3%のインフレ目標達成も可能との事だったと思いますが、そんな強力な金融緩和をしますと、「3%が続きそうなら引き締めを考えないといけない」とかのんびりとした事を行っていたら金融政策の物価に対するタイムラグを考えますとインフレが物凄い勢いで高進するように思えるのですが、その辺は大丈夫なのでしょうかとか思ったりもする所でございまして、その辺に対する具体的なプランはどうなっているのかについてもご説明を賜りたい物だと思う所でございますが、まあその辺は良いとして更にあれだったのは次の質疑応答でしょう。

『−−アベノミクスをどう評価するか。

「今は賃金や物価が硬直的でインフレ懸念が少ないから金融政策が役に立つ。利用できなくなったら成長戦略で実体経済を良くするしかない」』(先程と同じく1月17日日本経済新聞朝刊3面左上のインタビュー記事より)


・・・・・・・・・・えーっと、「金融政策が利用できなくなったら」ってどういう状況のことなのかがそもそもさっぱり判らないですし、大体からして賃金や物価が硬直的だから金融政策の効きが悪いんじゃネーノとも思うのですが、それに加えて金融政策が無効になるまで成長戦略は実施せず金融政策だけで対処させて置いて「これやってダメだったらこっちにしますか」とか焼畑農業経済政策ですかそうですかと言う所でございまして、何ちゅう無責任極まりない態度なのでしょう実体経済は大先生の実験道具じゃないんですけど何考えてるんでしょうかとかとっても不思議ですなあという所でございます。いやもう何がどうなるとこういう姿勢になるのかが浅学菲才のこのあたくしにはさっぱり理解致しかねる次第でございまして、浜田大先生のインタビュー内容を拝読いたしましても何ら納得ができないのでございますが、恐らく安倍様におかれましては極めて頭の出来がおよろしいのでこの浜田大先生の理論の深遠さについてご理解されてブレーンとして登用されたという事なのでしょうと存じまするに、誠にアレなものを感じざるを得ませんなあと言った所でしょうか。


まあ何ですな、金融緩和をすれば需要がそのまま弾力的に拡大するとか、需要が足りない分は財政を打てば良くてその財政制約はありませんぞなとか、何か前提にその手のアレなものが漂っておられるのではないかこの先生とか思ってしまいたくなる話です(今行っている非伝統的政策って色々な物に制約がある中でさてどうしましょとして行っている政策ですよねえ・・・し、大体からして為替だって相手のある話でしょうしとか、何か色々とツッコミどころが満載のような気がして浜田先生大丈夫かという風に思ってしまったのはあたくしが大先生の高尚な理論を理解できない頭の弱い無知蒙昧人間だからですかそうですか。

とまあそういう悪態でした。この記事なんですが「主なやり取りは以下の通り」とあったので、詳細は週末のヴェリタスにでも出るんでしょうかワクワクテカテカ。



○リアルマイナス金利には預金金利のマイナス金利化が必要ですけれども・・・・・・・・

さて、これはまあ論点整理のために友と雑談をしているうちに気が付いた与太話に近いのでまあ与太話として読んで頂ければと存じますけど、まあ「日銀当座預金に滞留している金を動かしたい」という意味でのマイナス金利がど〜のこ〜のという場合、超過準備付利金利だけマイナスにしても単に超過準備が減るだけで意味無し子ちゃんである、というのは申し上げた通りで、実際問題として「金を動かしたい」というのであれば預金金利までリアルマイナスにして「金を使わないと損」状態にする必要があるのですが、金融機関的にはまあ世間様の手前もありますし、日本の場合は特に「貧乏人の方お断り」というようなプレイが出来ないというのが仕様になっておりますので、まあどう見てもリアルマイナス金利って無理ですぞなもしと思っていたのですが、ここに一つ手段があるじゃネーカというのが以下の豆知識なのであります。


その名も伝家の宝刀「臨時金利調整法」

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO181.html
臨時金利調整法(昭和二十二年十二月十三日法律第百八十一号)最終改正:平成一九年六月一三日法律第八五号

『第二条  内閣総理大臣及び財務大臣は、当分の間、経済一般の状況に照らし必要があると認めるときは、日本銀行政策委員会をして、金融機関の金利の最高限度を定めさせることができる。ただし、金融機関の金利の最高限度が、他の法律に基づき定められ得る場合は、この限りでない。』

つまり臨金法を発動して金融機関の預金金利の上限をマイナス金利に設定してしまえば、「いや国策で預金金利をマイナスにしないといけなくなりましたので誠に恐縮ではございますが」という事で堂々のリアルマイナス金利が可能になるというお話(^^)。


ちなみにこれが最後に発動されたのがペイオフ絡みの時(もうちょっと正確にいうと当座預金については臨金法の適用で無利子になっている筈ですので今も発動されてはいるのですよね)でして・・・・・
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/f-cho20020225-sir/s4.html
臨時金利調整法による流動性預金の金利規制とその考え方

『1 基本的考え方

(1)平成14年度1年間の流動性預金の全額保護は、ペイオフ解禁に際して、決済機能という流動性預金の特殊性を踏まえた特別な措置を講ずることにより、全体としてペイオフ解禁の円滑な実施を目指すもの。

(2)現在、無利息とされている当座預金を除き、臨時金利調整法による預金金利の規制は行なわれていないため、預金金利は各金融機関が自由に設定しているところであるが、預金全額保護という預金者の安心感に便乗して、金融機関が長期的に持続不可能な著しい高金利を付して普通預金を集める行動に走れば、ペイオフ解禁の実施に際して、かえって、種種の混乱が生じる可能性があり、特に通常の金利では資金調達ができなくなった金融機関がそのような行動に走った結果、破綻することともなれば、社会経済的コストは極めて大きなものとなると考えられる。

(3)このため、モラルハザード防止との観点から予防的に金利規制を行う必要があるが、基本的には、預金金利の水準は、各金融機関の主体的な経営判断によるべきとの前提は維持し、必要最小限の規制に留めるのが適当。』

ということで実際には臨時金利調整法の定めにありますように日銀政策委員会が決定しまして・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/mpo0302a.htm/
流動性預金に関する金利の最高限度の定めの変更について
2003年 2月14日

『○ 本日、日本銀行政策委員会は、次のとおり決定した。

1. 臨時金利調整法第2条第2項の規定による平成15年2月3日付発議に基づき、金融機関のいわゆる流動性預金に関する金利の最高限度の定めの変更については、金融審議会の答申のとおりとし、別紙1のとおりとすること。

2. 金融庁長官及び財務大臣に別紙2のとおり報告すること。 』

めんどいので別紙1と別紙2はURL先見てちょ。

なお、こちらにも簡単に説明があります。
http://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/pfsys/04109006.htm/

・・・・・・・とまあそういう事でございますので、リアルマイナス金利を実施したいのであれば、臨時金利調整法に基づき「金融機関の預金金利について上限金利をマイナス金利にする」というお洒落な物を見つけてしまったので、ドヤ顔でご報告させていただきたいと存じます(^^)。

#有名な話だったらすいません・・・・

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2013/01/17

お題「白井審議委員講演から少々あんど付利撤廃に関しての論点少々/市場雑談等の雑談」

新年早々どうも色々とネ申々の理力が働いているのではないかと思う今日この頃ではございましてですなあ・・・・・・・・(^^)

ムーシャ先生
http://www.musha.co.jp/
ストラテジーブレティン
2013年1月15日 (88号) This time is different、今回は本物か !! 〜絶滅危惧種、日本株投資家の復活〜
2013年1月1日 (87号) 安倍政権誕生と東アジア地政学の展開、緒に立つ日本復活

ということで先生ご機嫌で強気レポートを出すのですが、レポート出す→その日は株が上がるのに翌日から株下げというちょっとお洒落な展開が2回連続で起きているとか中々おそロシアではあるのですが、前回は下げが2日で終わって戻りまして、さて今回もその程度で済んでくれるでしょうか(ニヤニヤ)。

北ハマー先生からはこのようなご指摘が。
http://twitter.com/kabuwakitahama/status/291167646265790465
北浜流一郎@kabuwakitahama
『日銀総裁人事について、 経団連会長が容認するしない 発言はないのじゃないか。 日銀は
経団連のためにあるんじゃない。 nikkei.com/article/DGXNAS…14:59 1月15日(火)』(上記URLより)

・・・・・・・・何という正論。これは曲げないで欲しいですな(^^)。

などというどうでも良い与太話は兎も角と致しましてネタの先入先出モードで白井審議委員講演ネタ。


○白井審議委員講演:付利下げ検討ヘッドラインはどう見てもベンダーのヘッドライン詐欺です本当にカムサハムニダ

副題がなげえよという事ですが、どうもベンダーのヘッドライン詐欺というか煽りが酷いのでおもわずこっちも小見出しに書いてみた訳ですが(−−)。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko130116a.htm/
チャレンジングな経済環境下での我が国の金融政策

ちなみに本チャンの講演テキストはこちら(英文です)。
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2013/data/ko130116a1.pdf
Japan's Monetary Policy in a Challenging Environment

Speeches at the Bank of Italy and the Eurasia Business and Economics Society Conference Held in Rome (January 11th-12th)

なお、七面倒臭いので英文原文では無く邦訳の方から引用することを予めお断り致します(汗)。


・内容は非伝統的金融政策の論点整理

でまあ冒頭の所から引用。

『まず、本日のプレゼンテーションの流れについて簡単にご説明致します。本日の話題の中心は、日本銀行がバブル崩壊後の1991 年に最初に政策金利を引き下げて以来、およそ20 年にわたって実施している金融緩和政策についてご紹介することにあります。時間の制約もございますので、そのなかでも2つのタイプの「非伝統的な」金融政策について焦点をあてていきたいと思っています。』

キタコレ(・∀・)

『まずは、第1 期の金融緩和の枠組み、すなわち2001 年から2006 年にかけて実施したいわゆる「量的緩和(Quantitative Easing <QE>)」政策についてお話いたします。そのうえで、第2 期の金融緩和の枠組み、すなわち、2010 年から現在にかけて実施している、いわゆる「包括的金融緩和(Comprehensive MonetaryEasing <CME>)」政策についてご説明いたします。』

包括緩和の事をComprehensive Easingというのは認識していたけどCMEというとシカゴ商品取引市場を最初に思い出すので何だか違和感があるのですががが(−−)。

『そして、最後に、構造的問題とそれがマクロ経済に及ぼしている影響についてお話し、こうしたきわめてチャレンジングな経済環境のもとで日本銀行なりに取り組んでいる施策についてご紹介していきたいと思っています。』

とまあ最後のパートは人口動態の問題などの日本経済に対する影響という話になっています。

んでもってこちらの講演なのですが非伝統的金融政策に関する論点整理となっておりまして、非常に丁寧かつ手際よく内容が纏まっておりますし、読んでいてまあそんなに違和感が起きるような内容(つまり効果などに関するおまえそれは俺様評価にも程があるだろというFEDのペーパーなどで良くあるパターンは特段見受けられないという事であります)でして、まあ英文の方を読むのも何ですので日本語の方を一読されることを推奨致します。

でまあ他にネタが無いのであればこの講演を細々と題材にしたい所なのですが、ご案内の通りの市場状況でございますので、そっちの備忘録もなどと思いますと本日は遺憾ながら甚だ簡単に参りたいと存じますm(__)m


・QE政策の効果に関する部分から

『(3)量的緩和政策は効果的だったのか?』というお題の部分から引用。

『実証的には、QE 政策の効果とそのトランスミッション・メカニズム(政策効果の実体経済や金融資本市場への波及経路)は、図表7 で概念化していますように、(1)第一段階として金融緩和から金融資本市場への波及経路、(2)第二段階として第一段階から実体経済や物価への影響に分けて見ることができます。』

まあ今の包括緩和でもこの観点は同じですけど。

『鵜飼(2006)論文では、特に第一段階に関連する量的緩和政策の既存の実証文献をまとめて、先ほどもご説明いたしましたQE 政策の3つの柱である(a)当座預金残高を増やすことでバランスシートを拡大することがもたらす効果、(b)時間軸政策が短期金利の将来経路に及ぼす効果、(c)長期国債の買入れによる日本銀行のバランスシートの構成変化がもたらす効果に分けて分析しています(前掲図表4)。このうち、(a)と(c)はポートフォリオ・リバランス効果とシグナリング効果を通じて、(b)はシグナリング効果を通じて金融資本市場に働きかけることが想定されています。』

でまあ講演の後半パートになる包括緩和あるいはそれに関連して触れられているFEDのバランスシート政策(LSAP)についてで論点として指摘もされているのですが、実際問題としては2001年からの量的緩和政策においてはバランスシートの構成を意図的に変化させる方向でのポートフォリオリバランスはあまり謳っていなかった(バランスシートのサイズを拡大することと金利の名目ゼロ化によるポートフォリオリバランスの話は導入当時から行っている)のですな。

『実証分析結果では、QE 政策の効果は、主として時間軸政策を通じて、イールドカーブを下方に押し下げること(すなわちシグナリング効果)を通じて確認できることが明らかにされています。(a)と(c)によるポートフォリオ・リバランス効果については効果があるという研究とほとんど確認できないという研究の両方があり、明確な結論は出ていません。』

ふむ。

『ただし、長期国債の買い入れについては、リスクプレミアムの引き下げにはほとんど影響がないとの結果が出ている一方、株価については、量的緩和が資本流出を促しその資金を海外のヘッジファンド等が活用して日本株に再投資することで株価の上昇に寄与したとの分析が見られます。』

『QE 政策の効果の第二段階については、それがマクロ経済状況に及ぼす影響を分析した研究は少ないようです。このうち、日本銀行のバランスシートの拡大が総需要や物価に及ぼした効果は限定的とする研究がある一方、QE 政策が生産に対して統計的に有意な影響を及ぼしたものの、コアCPI に対してはほとんど影響がないとする研究が見られます。』

ほほう。

『QE 政策の総合的評価については、2006 年に、当時の福井俊彦総裁の講演のなかで触れられています。すなわち、第一に、潤沢に流動性を供給することで金融システムの安定化に寄与しており、特に金融システムの安定性に対して根強い懸念があったときに大きな効果があったことです。潤沢な流動性供給は、増大する金融機関の流動性需要を充たし、それにより1990 年代後半の金融危機の際に見られた大規模な信用収縮の再来を回避できました。第二に、QE 政策を継続する「約束」をすることで、日本企業の回復を下支えする極めて緩和的な金融環境を形成したことです。特に、銀行の貸出金利や社債の発行金利は、イールドカーブがフラット化し、リスクプレミアムも緩やかに低下しました。』

『その一方で、日本銀行は、これまで、QE 政策の副作用として、金利がゼロ%まで低下したことで裁定の機会が失われたことや、市場からの資金調達の必要性がなくなったことで銀行間市場が縮小した点を指摘しています。また、金融機関のクレジットラインが縮小し、金融機関の内部で資金部門の人員削減やシステム投資が抑制され、取引基盤が弱まったとの指摘も聞かれています。』

まあそうですな。

『そうした点に加えて、より厳しい事実は、これだけの金融緩和策を実施しても、銀行の融資活動が活発にならなかったことです(図表8)。』

キタコレ。

『この原因は、大量な不良債権を抱える金融機関のバランスシートの悪化に対処するための政策対応が遅れたことにありますが、部分的には、多くの人々が不動産価格や株価がいずれは戻ってくるであろうと期待したことで、金融危機の可能性や景気後退の可能性を認めなかったことに求められます。実際、後に、多くの専門家が公的資金を金融機関に供給する必要があるという点で合意したあとでさえも、公的資金の注入は国民の反発に遭いました(白川 2012)。同時に、企業もバランスシート問題と3つの過剰(雇用、設備投資、債務)を抱えていたことで、投資等の総需要への下押し圧力は大きかったわけです。ただし、こうした状況下にあっても、日本銀行が供給する流動性が銀行の融資活動に及ぼす効果は、小さいながらも統計的にはプラスの効果があったとする研究も見られます(Bowman et al. 2011)。』

とまあ現在の欧米における金融政策の論点も踏まえながらの説明になっていて中々興味深い話が展開されているのですが引用しだすとキリが無いので金融政策の論点部分は皆さん読んでちょ。


・付利引下げ云々の所はどう見てもベンダーのヘッドラインがミスリード

でまあ白井審議委員講演という事でベンダーがヘッドラインを打っていたのですが、あたくしが確認した範囲内ですとB社とR社のヘッドラインはこの講演の中での付利下げのメリットとしてその可能性を指摘している「短期市場金利の引き下げによる円安効果」という部分ばかりを全力で引用しておりまして、おまいら講演テキスト全文を真面目に読めやこのヴォケとしか申し上げようが無い訳ですよ。

つまりですね、市場の短期ゾーンの国債金利がご案内のように低下しているという現状がありまして、まあ単に自己実現的な金利低下から付利下げへの警戒が高まってフィードバックループ状態というかバンドワゴン効果状態になっているというのが足元での現状なのですが、ベンダー各位におかれましては市場がそういう風に動き出すと「市場が何々を織り込みに行ってるぜヒャッハー」と頭の中がお祭りモードになってそちらの方向にバイアスが掛かったヘッドラインを打ちたがり、それが更にバンドワゴン状態になるとゆー誠にうんことしか申し上げようのないフィードバックループを生む傾向にあるというのは毎度の仕様ではあるのですがまたかよとうんざりする所。

ということで付利云々の部分を全部引用しちゃるからよく目ん玉開けて読めやベンダー各位という所でございますけれども、本文12ページあたり(小見出し『(3)量的緩和(QE)と包括的金融緩和(CME)はどのように違うのか?』の途中から、PDFファイルで13ページです)からになります。

『第三に、CME 政策では、政策金利の誘導目標として0〜0.1%程度を維持する一方で、補完当座預金制度(2008 年10 月導入)の下で適用金利(付利金利)0.1%が適用されています。』

ということで説明開始。

『これに対してQE 政策では短期金利はゼロ%に達していたなかで補完当座預金制度は導入されていませんでした。当座預金の超過準備に対して0.1%を支払っている理由はいくつかあります。』

『ひとつには、先ほどQE 政策の評価のところでも指摘いたしましたが、(付利がないと)銀行間市場が縮小してしまい金融機関がいざ必要なときに市場から即座に資金調達することが難しくなる可能性にあります。』

『また、これに関連していますが、付利金利があると銀行間市場の金利に下限が生まれますので、その分だけ市場金利の変動は小さくなると考えられます。これにより、日本銀行は市場金利を大きく変動させることなく銀行間市場に十分な流動性を円滑に供給できるという利点があります。』

『さらに、将来の話になりますが、学術的には、景気回復局面で中央銀行が過度なインフレを引き起こすことなく、金融政策の正常化に向けて円滑に移行できる利点が指摘されています(Svensson 2012)。付利金利があらかじめ維持されていれば、たとえ当座預金に多額の超過準備が残されていたとしても、(市場金利の下限を形成する)付利金利を引き上げることで市場金利も引き上げることができると考えられるからです。』

で、その後がベンダーヘッドラインで出ていた話。

『その一方で、付利撤廃で期待される効果もあるようです。例えば、国庫短期証券やそのほかの短期金利が低下しますので、米国など他国との金利差をもたらすことで為替相場を円安方向に後押しする効果が期待されます。』

『この他、付利撤廃がもたらす影響が定かではないのが、金融機関の貸出行動への影響です。一般論として、付利金利を撤廃すれば金利の付かない当座預金に預けておくよりも民間貸出を増やすインセンティブが高まるという見方がある一方で、付利収入を失うこと等により金融機関の収益が低下すると信用リスクのある民間貸出を伸ばすインセンティブがむしろ阻害される可能性も指摘されています。』

付利の話とちょっとだけ違うので白井さんはここでは触れていないようですが、先般ご紹介したBOEの11月(だったと思います、ちなみに12月議事要旨はとっくの昔に読んでいるのにネタにしていませんすいませんすいません)議事要旨で政策金利の引き下げのデメリットとして後者の論点を指摘している向きがございましたぞな。

『いずれにしましても付利金利の長所と短所について、その撤廃の有無が経済・物価にどのように寄与するのかを含めて理解と議論を深めていく必要があるように思います。』

という結論でして、どう見てもこれを読んで次回会合で付利下げヒャッハーとか早期付利下げヒャッハーとか言い出すのは筋違いにも程があります本当にありがとうございましたという話ではございますな。

更にこの次に米国の例がございまして。

『海外では我が国と同じようなアプローチを、米国連邦準備制度(FRB)が採用しています。FRB は政策金利(フェデラルファンドレート)の誘導目標を0〜0.25%に設定しながら、付利金利を0.25%に維持しています。おそらく、銀行間市場の機能を維持するという狙いがあると思われます。一方、欧州中央銀行(ECB)では2012 年7 月に政策金利(主要リファイナンスオペレーションに適用される固定金利)を1%から0.75%に引き下げた際に、預金ファシリティの適用金利を0.25%からゼロ%へと引き下げています。ゼロ%に設定した理由は、ユーロ圏では銀行間市場が欧州債務問題の深刻化とともに分断されてほとんど機能しておらず、中央銀行からの借入れに依存する金融機関が多いという実態を踏まえて、銀行間市場の機能を阻害する問題が限定的と判断されたのではないかと考えられます。』

という所なのでして、ヘッドライン詐欺には十分注意しましょうというお話でした。


・念の為もう一つの論点を補足しておきますよ

でですね、更にあたくしなりに付け加えさせて頂きますと、先ほど引用した部分にもありましたように、付利下げ論議の中で良く言われる論点として「付利金利を撤廃すれば金利の付かない当座預金に預けておくよりも民間貸出を増やすインセンティブが高まるという見方」というのがあるのですが、そもそも現在日本や米国、英国の実施しているバランスシート政策というのはバランスシートの構成に焦点を当てて政策を進めるという論点が強い(一番強いのが米国で、日本、英国の順になっていますぞな)訳でありまして、つまり「超過準備が多いのがケシカラン」的な発想というのはそもそも現在の包括緩和あるいは米国のQE(とCEのハイブリッド)政策のフレームワークを理解していれば出てこない発想になるんですよね。

即ち、「超過準備が減るようなインセンティブを金融機関に与える」という事は中央銀行のバランスシートを縮小せしめることになる訳でして、中央銀行のバランスシートの資産サイドを縮小させるような政策を実施するというのは(出口政策を実施するなら別ですが)本質的に従来の政策フレームワークの全面的な見直しに繋がるという事になるのでして、そう簡単に付利下げ撤廃という話って「バランスシート政策」を前面に打ち出している時にはできない筈なんですよ。

では何でECBが預金ファシリティー金利をゼロに下げて平然としているかという話ですが、そもそもECBは量的緩和政策を実施しておりませんで、実施しているメインの政策になるフルアロットメント方式のLTROおよびMROとOMT(国債買入は抜かずの宝刀状態ですけれども)は前者はバランスシート拡大を企図している訳では無い流動性対策であり、OMTに関しては国債買入実施した場合に出た流動性は吸収するという事を明言している(OMTの導入を公表した時の声明文や会見での説明をご確認ください)のでありまして、そもそもECBの非伝統的政策は量的緩和政策の観点からのバランスシート政策では無くて、いわゆる信用緩和政策に特化している(ので先日ネタにしたように預金ファシリティが減った事をドラギ総裁が「金融市場の改善の傍証」として提示している訳です)ので平然としていられる、という事になりますぞなもしという所です。

その辺を全然斟酌しないでデンマークの預金ファシリティーガ〜とかECBはゼロ金利だから〜とかゆー観点で付利金利の話をするのは誠に遺憾に存じます議論という事ですな。

念の為バランスシート政策に関する白井さんの講演での説明部分を引用しておきますね。

『第二に、CME 政策は日本銀行のバランスシートの「資産側」に注目し、同基金残高の「量」そのものよりも長めの金利やリスクプレミアムの引き下げ効果を重視しています。これに対して、QE 政策はバランスシートの「負債側」にある日本銀行当座預金残高に注目し、しかもその残高の「量」を増やしていくことを金融市場調節方針の柱として重視しているという違いがあります。つまり、CME 政策では、金融緩和によって長めの金利やリスクプレミアムの下げ余地があるのかどうかが重要です。したがいまして、当座預金の大きさはもはや達成すべき「目標」ではなく、金融緩和措置の実施によって「内生的に」決まると考えられています。』

でまあ付利金利撤廃ってそう考えると無い議論ですよねという事になる(現在の政策フレームワークがどう見ても機能しないし効果も無いという事になったら話は別でしょうが)のですが、名目ゼロ金利制約が近い状況下での付利金利の引き下げというのはテクニカルにありそうに見えるからそういう話をする何とかストの方とかも散見されるのですが、実際問題として非伝統的政策を実施するような名目ゼロ金利制約下においては、この金利の引き下げは市場に対して更なる引き下げから金利ゼロ化に対する思惑を強めるだけであって、結局金利のゼロ化に追い込まれるだけなので引き下げという選択肢というのは机の上での話としてしか存在しないでしょとまあそう思いますけどねあたしゃ(詳しくは明日にでもプレビュー雑談を再度纏めますわ)。

ということで他にも読むと色々と興味深いので皆様におかれましては一読推奨、と申しますか、昨日はヘッドライン見て「何と!」と思って講演テキストに当たった方も多いかと存じますけれども(^^)。


○市場雑談というかメモ

・3か月固定金利オペも札割れとな

昨日のオペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130116.htm
社債等買入(資産買入等基金) 1,000 2013年1月22日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月18日 2013年4月23日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130116.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月18日スタート分) 6,470 6,470
社債等買入(資産買入等基金) 2,019 1,000 0.151 0.177 59.3

・・・・・・・・・麿トレード(違)期間内でもオペ札割れと誠に遺憾な結果でございますなあ(棒読み)。そらまあターム物の国債金利が下がっているんだからしょうがないけど。


・まさに朝三暮四(^^)

昨日の債券市場ですけれども、まあその前日から10年が強くなってきたとゆーお話をしておりましたが、昨日はいきなり寄りから超長期2毛強(だったかな?)テイクンとか何やってますねんという相場展開で華麗にブルフラットの巻。

まあ何ですな、それだけが原因では無いとは思うのですけれども、一昨日から昨日に掛けての変化と言いますと勿論株為替というのはございますが、補正に伴う国債発行スケジュールの変更が示されたとゆーのがございまして、従来より30年国債中心に超長期ゾーンの増発が懸念されるので30年って買いにくいですよねとか何とか言うて特に30年が虐待されていたのですな。

んでもって一昨日の夜の時点で懸念されていた30年国債の早期増発が無いというのがきちんと判ったという事になるのですが、増発そのものは市場の事前見込み通りだった筈ですし、大体からして補正後の今年度の増発は見送られているけれども後年度は増発するのが見込まれている訳でして、2月からの増発と4月からの増発と30年というマチュリティーの投資を行う際にその2か月のどこがどう違うのかと小一時間問い詰めたいという所でございまして、「増発がとりあえず2か月先送りになった」でいきなりのブルフラットとか笑ってしまった方も多いかと存じます。

勿論これは引き金に過ぎなくて、まあ買われる時には他の理由が色々とあるのでしょうけれども、タイミングがタイミングだっただけにまさに故事成語の「朝三暮四」を思い出してしまい、債券市場の投資家諸兄は狙公の飼ってるエテ公並みかと思ってしまったのはあたくしだけですかそうですかいやまあそんな事思うのってただのブーメランなのですけどね、ウッキー!


○為替に関する発言に悪態を書こうと思ったら時間ががががが

なので諦めて発言のURLだけ貼っておく。

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK059158720130116
円安は産業によっては逆風、水準見極め重要─石破自民幹事長=経団連
2013年 01月 16日 11:07 JST

・・・・・・・・・・・・・・・・orz

もうアイヤーとしか申し上げようがございませんが、90円にも逝って無いのに日和るとか全くもって意味がワカランチ会長でして、為替ルート使わないとデフレ脱却ってそう簡単に出来ないでしょとか思うのに折角のいい流れを止めてどうするのやら。大体からして(引用しないけど)昨日は地方公務員の給与削減の話とか、そもそも名目所得が上がらない中でデフレ脱却とか出来るかよヴォケというのも出ていましたし、どこがどう「2%の物価目標を共有して」なのかと問い詰めたい、思いっきり問い詰めたい、小一時間問い詰めたい。


http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK059202520130116
UPDATE1: 「過度な円高が是正されている段階」というのが政府の見解=為替で菅官房長官
2013年 01月 16日 17:01 JST

『[東京 16日 ロイター] 菅義偉官房長官は16日午後の記者会見で、甘利明経済再生担当相や石破茂自民党幹事長から円安を容認しないような発言が出ているが、安倍政権として意図的にしているのかとの質問に、「意図的では全くない」と否定。「過度な円高が是正されている段階」というのが政府の見解だと述べた。』(上記URLより、以下同様)

ということで火消しをしようとしていますが・・・・・・・・・

『円安のデメリットに触れたこれらの発言について、菅官房長官は「石破幹事長の発言を見たが、普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか。業種によっていろんな反応が出るのは当然だろう」とした上で、「政府の見解としては、過度な円高が是正されている段階、ということだ」と述べた。』

>普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか
>普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか
>普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか
>普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか
>普通のことを言っているのを(市場が)過度に反応し過ぎではないか

いやはや今まで市場を散々煽ってその結果を政策の成果だの何だのドヤ顔で仰せだったのに今度は市場の反応に文句垂れるとかもう何だかねえという所でありまして、大変に香ばしい展開になっておりましてさあ盛り上がって参りましたという所ですか。

・・・・・・・などと申しておりますが、本気でデフレ脱却する気があるならもっと円安に振らないといかんでしょうし、まあさっき引用しませんでしたけど、白井さんの講演の中でリーマンショック以降の円高について「他国からの安全資産の受け皿」という表現で婉曲(でもない感じだが)に円高はおまいらのせいじゃヴォケという話をしているように、んなもん100円割れの円高水準なんぞ他国の苦労の引受状態だったんだから堂々と是正させろと言うべきでしょと思うのですけど何で90円如きで円安がどうのこうのの発言になるんでしょうねえ。

ということで、先日安倍ちゃん向けに平野耕太さんの漫画「ヘルシング」の一節を引用させて頂いた訳ですが、折角ですので再掲させていただきます(なお、漫画につき句読点がございませんので引用者が趣旨を損なわないような積りで句読点を補記しております)。「最後の大隊」少佐がリップバーン中尉に向けたセリフから。

少佐:「魔弾の射手」の終幕(ラスト)を知っているかね中尉、歌劇の最後、狩りの魔王ザミエルをもて遊んだカスパールは、ザミエルによって地獄へと連れ去られ、その骸(むくろ)は谷底へと投げ捨てられる。亡霊を装いてたわむれなば、汝(なんじ)・亡霊となるべし。中尉、心せよ、君の前にも魔王(ザミエル)が現れよう
(少年画報社YOUNG KING COMICS刊:平野耕太「ヘルシング」第5巻第5話「DF」83ページより)

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2013/01/16

最近ネタが無暗矢鱈と投下される訳ですが、さてその中で後日の事を考えて備忘録(一応この駄文は俺様備忘録という建付けですので念のため)として何を残すべきかというのがアレでして、皆様も相場記録とか残していて「何でこんなしょうも無いのを残していて肝心なのが無いのよムキーッ」と後日大後悔時代になる事があろうかと存じますがこのワタクシも同様にorzでございますなマッタクモウ。

○追加緩和のニュースキター(・∀・)と申しましてもまあ織り込み済み

公共放送ニュースのサイトに朝5時過ぎに投入されたネタでありますが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130116/t10014823791000.html
日銀 追加の金融緩和策を検討
1月16日 5時11分

『日銀は、来週開く金融政策決定会合で、デフレ脱却に向け政府と取り交わす文書に2%の物価上昇率の目標を盛り込むとともに、景気の回復を後押しするため、追加の金融緩和策を検討することになりました。』(上記URLより)

という事ですが、まあ先週プレビュー雑談申し上げましたように今回のMPMで何かの「紙」が出て物価安定の目途の書き換えがあって、それに合わせて何らかの追加緩和措置が出る、という所まではダンディール扱いになっている訳で、まあ見事に今回のさくらレポートも(後で軽くネタにしますように)現状判断下方修正という事になっておりますので、追加緩和に向けた地均しキタコレという事で。

んでもって更に投入されたネタはこちらですが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130116/n67930310000.html
経済再生相 政策会合に出席へ
1月16日 5時35分

『政府と日銀の連携強化を巡って甘利経済再生担当大臣は、今月21日からの日銀の金融政策決定会合にみずから出席し、政府として経済成長の実現に総力をあげる方針を伝える一方で、大胆な金融緩和に取り組むよう、日銀に要請する意向を固めました。』(上記URLより、以下同じ)

まあ従来だと経済財政担当大臣という所でしょうが、経済財政諮問会議などを主管するのが甘利再生担当大臣になりますのでまあこれ自体は特段異例という話でも無いでしょう。

『政府と日銀は、連携強化に向けて今後の金融政策について文書を取り交わすことにしており、安倍総理大臣が15日、関係閣僚や金融の専門家らと意見を交わすなど、調整が進められています。そして、これまでの調整の結果、文書にはデフレからの脱却に向けて金融政策の目安となる物価上昇率の目標について、2%が明確に盛り込まれる方向となりました。また、日銀の独立性に配慮するため、文書は政策協定など拘束力のあるものにはせず、「共同文書」や「共同声明」などとする方向で検討が進められています。』

とのことですが、既に現在の物価安定の目途は「2%」を盛り込んでおりまして、2%が明確に盛り込まれる方向とか言われましてもナンジャソラという所ではありますし、大体からして大胆な金融緩和という話で言えば他の買っていないREITだのETFだのまで購入しているという大変にアレな中ですし、FEDなんぞは資産買入に関して見直しがどうのこうのという話が出て、ECBでは(昨日ネタにしましたように)「超過準備の水準がシュリンクしていますよ!!」とドヤ顔(会見のTranscriptで当該部分に!マークが入っているのがワロタ訳で)でドラギ総裁がお話をするという中でありまして、別にやっていないのかというとやっているでしょと思うのでございます。

などと一応申し上げますが、しかしながら従来の問題はやはり「見せ方」でありまして、何でそう麿におかれましてはハッタリ成分が無いのよと思う次第。そもそも非伝統的政策を何で実施しているかというと名目ゼロ金利制約があるので他に何か方法が無いのかという所から始まっている訳ですからハッタリでも何でも使えるものは使うというのがやはり必要なのではないかと考えますと、ハッタリ成分が無いのはともかくとして、ご丁寧にそのハッタリ成分を潰して回るというのはさすがにどうなのかというのはございます。

とまあ考えると、実は「見せ方の工夫」によって実質的な追加をあまり行わなくても色々な「大胆な金融緩和」は出来るんじゃネーノと思うのでありますがその辺の話はまたMPMプレビュー雑談のアップデートの時にでも。

んでもって結局「紙」は「紙」になりそうなのが残念無念な所で、どうせ出すなら日銀だけああだこうだ言われるのではなく、政治サイドに対して中長期的な財政運営の健全化、即ち日銀にとってみれば金融緩和政策を財政ファイナンスと見なされて誰得インフレの発生するリスクを最小化するとなれば、日銀だって言われっぱなしという事にはならず、まあ手ぶらにはならないと思うのですが、ここの紙にどのような事を政府サイドとしての責務という形で織り込ませるか、というのが日銀の今できる努力の部分でしょうなあとか思うこのあたくしでございましたぞな。

#なお、付け加えますとネットの方には「NEW」としてこれらのネタが投下されましたが、番組の方は雪に注意とか大島渚さんの訃報とかの話がトップから続いておりまして、緩和そのものは織り込み済みですなあという公共放送の認識が示されているというのがこれまたお洒落でございます


○謎の有識者会議で結局どっちの話をしていたのか良くワカランチ会長ですが

まあこの関連ネタばかり書いても生産性が無いでしょとか言われるとそれまでなのですけれども、一応つくべき悪態はついておかないといかんでしょうからという事で。


昨日は謎の有識者会議が挙行されたようでして・・・・・

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL150LX_V10C13A1000000/
官房副長官「首相と有識者の会合、日銀総裁人事の話はせず」
2013/1/15 14:27 。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

『安倍晋三首相は15日昼、首相官邸で内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授や竹森俊平慶大教授らと日銀の金融政策を協議した。会合には菅義偉官房長官のほか、麻生太郎副総理・財務・金融相、甘利明経済財政・再生相といった経済閣僚も加わった。終了後記者会見した加藤勝信官房副長官は「具体的な人事の話はもともと議論の対象になっていないし、発言は一切なかった」と明らかにした。人事について「資質うんぬんの話はまったくない」と述べた。』(上記URLより)

という報道になっていて、ブルームバーグとかもこんな感じのヘッドラインを出していたのですが、昨日は共同通信だけ何か一人我が道を行く状態で「日銀総裁人事を検討する有識者会議が実施された」とか「動き出した次期総裁人事」みたいなヘッドラインをバンバン流すので、政府のスポークスマンが否定しているのをこれまた何で総裁人事の話にこだわるかねとか思ったのですが、まあ元々安倍さんが公共放送の番組でそういう趣旨の会合だという話をしていたそうですな。

http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011301001636.html
日銀総裁後任選びで有識者会議 首相主導15日に開催
2013/01/13 19:26 【共同通信】

『安倍晋三首相は13日、出演したNHK番組で、日銀の次期総裁人事について有識者らの意見を聞く会議を15日に開くことを明らかにした。現在の白川方明総裁は4月8日に任期が切れる。安倍首相自らが主導して後任選びを本格化させる。』(上記URLより)

・・・・・・・・・ということでなんのこっちゃというか、そもそも安倍さんはこの前の決定会合での話とかもそうなのですが、何でそう重要案件に関して軽くホイホイと喋ってしまうのやらと思うのですがそれは兎も角として。

最初に引用した日経クイックニュースによりますと「内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授」様がご臨席遊ばされたとの事でございまして、まあ連日しつこく引用しておりますが、浜田大先生におかれましてはほんの1か月ほど前に・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

『12月5日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人である米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(76)は4日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、来年4月に任期満了を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した。浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張。さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。』(上記URLより)

とまあこのように「今以上の金融緩和」とやらを実施することによって、数か月以内のデフレ脱却が可能であり、しかも「2、3%のインフレ目標を設定」して「より金融緩和に積極的」になれば「同目標の達成は困難ではない」とまで大口をお叩きになっておられる訳でございまして、そのような素晴らしい金融政策の具体案をお持ちの方が今まさにそこにおいでであるという事は、次期日銀総裁候補としてふさわしい人物は浜田宏一大先生しかいらっしゃらないと存じますがどうなんでしょうかねえ(棒読み)。

まさか「より金融緩和に積極的」になれば達成できるがその具体案は日銀の中の人間が考えろなどという意味不明の事はないですよね浜田大先生様と思うのでございまして、これだけ散々大口叩いて時の宰相に吹いている訳でございますからして、その具体的な方法も持っておられるのは常識的に考えて当然である、としかそのような即効で成果をあげるような具体案が思い浮かばない浅学菲才の不肖このあたくしなんぞは思うのでございます。

いやね、お勉強の出来の程度が極めてアレな学校に行って「この生徒たちがちゃんと勉強すれば半年で東大京大どこでも合格できるのにその指導が出来ない教員は無能である」とか大口叩いて「じゃあ具体的にどのような勉強方法をすればよいのでしょうかああそれ以前に生徒たちをどうやって勉強するように仕向けるんですか具体的に教えてください」と突っ込まれたらいきなり逃げ出すといったような例えを物は試しにしてみましたが、当然ながら世界的権威であらされるところの浜田大先生様におかれましてはそのような事も無いと存じますので、是非とも日銀総裁になっていただきまして大先生様のお考えになられる適切な金融政策を実行して頂きまして早急にデフレ脱却を図って頂きたいものだと存じます。

まあ勿論あれだけ大口叩いて白川総裁に不合格の採点までされた事でもありますので、大口の通りの成果、まあ4月に就任するのですから今年の末にはCPIが1%程度までの上昇というのは当然達成頂けるものであると確信する次第でございます。


更に付け加えますと・・・・・・

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012121100003&g=pol
安倍氏、金融専門家と会談=「お墨付き」狙う?【12衆院選】
(2012/12/11-00:02)

『自民党の安倍晋三総裁は10日夜、日銀の金融政策に批判的な米エール大学の浜田宏一名誉教授と党本部で意見交換した。安倍氏が「(浜田氏に)ご指導いただき、大きく政策のかじを切っていく」と決意を強調。』(上記URLより)

とまあこのように安倍首相も浜田大先生のご指導を頂いてこれまで色々と金融政策に関してご発言されたということでありますので、今までのご発言がまさか駄法螺だったなどという事は有り得ないと存じますし、まあ日銀の組織運営がどうのこうのという細かい話は副総裁に実務者を配して固めれば良いとも言えますし、あっという間にデフレ脱却できたら日銀の立場も良くなる訳ですからそらもう日銀だって全力で支えるでしょう是非浜田大先生の日銀総裁就任を願いたいものでございますなあ(棒読み)。

・・・・・・・・・まあ一応嫌味の通じない方に念の為申し添えますと、ここまで全部ただの皮肉というか嫌味でございまして、これだけ散々駄法螺吹いた上に日銀総裁人事のプロセスにも関わろうってんですから、そこまでやるならお前やれやこの(自主規制)としか申し上げようがない訳で、まあ当然ですが「数か月以内にデフレ脱却」という位ですから年末位にはCPIが1%位には楽勝で上昇している筈で、それが達成できるかどうかの青写真も何もないのに好き勝手言うとか無責任にも程が有る上に、ここまで散々中央銀行の政治的中立性をズタボロにするような結果を招いているのですから、日銀総裁やって数か月で成果出さなかったらリアル切腹と言いたい所ですがそれは何ですので、まあ肥溜めに頭から飛び込んで頂いて余生はそのまま肥溜めの中で安らかに送って頂ければと斯様に存じます次第でございます。

#この悪態さすがに食傷ですかそうですかとは思うのですが、ブレーン様が駄法螺を吹き続けるのでこちらも悪態を延々と続けるという流れになっているのでありまする

しかしこの手の人事の話が人選段階からこうボロボロと話が出るというのは候補者とされた人に取ってみたらただの晒し物プレイであり、選定する方にとってみたらこらまあ楽しいおもちゃでございます罠とか思うあたくしの人間性は歪んでいますかそうですか。いやもう斯界の権威であらされる所の浜田大先生が数か月でデフレ脱却可能と仰せで何故か選定側に回っているというのを見るとどうしてもそういう風にしか思えないもんでね。何で昨日の会議で「浜田先生が総裁をやって頂いて数か月でのデフレ脱却を実行して頂くのが一番早いのでは?」という話にはならないのかが不思議ちゃんなのですけどねえあたしゃ。

あともっとどうでも良いのですが、今回の会合で「大胆な緩和が必要で参加者の意見が一致」との話ではあるのですが、安倍ちゃんがいつも口癖のように「同じ意見の方を起用」というような趣旨の発言をするのと合わせて考えますと、どうも安倍ちゃんにおかれましては「意見の多様性」というものを本質的にお認めにならないのではないかと思われる節がございまして、それってやろうとしていることの方向性が正しい内には問題が発生しないのですが、もし何らかの過誤があった場合に意見の多様性が無いとレビューと申しますかPDCAと申しますか、まあそういうチェックが働かないという事になりますので、修正が効かずにエライコッチャになるという重大なリスクを本質的に孕んでいると思うのですよね。いやまあ閣僚とか日銀総裁とかだったら「同じ意見の人」を呼んだ方が良いのでしょうけれども、その調子で「有識者会議」とかまで反対意見の人を全然呼ばないとかいうようなノリでやるのはさすがに如何なものかという風に思いますちゅーか、だからこそ安倍ちゃんって物事が逆に逝きだすと急にヘロヘロになるんじゃネーノとか思うのですけどどうなんでしょうかねえ。まあ余計な事ですけど気になったので。

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2013/01/15

「クルーグマンは”安倍さんが深く考えていない”と言っていますが安倍さんは深く考えていると思います」とかモーサテのゲスト解説者がコメントしているのを聞いて朝から壮絶にのけぞってしまいましたがつまり「私も安倍さんのブレーンになりたいから呼んで下さいお願いします」ってことですかそうですか貴方には失望というか絶望しましたよ個人名を出すのはアレですから割愛しますけど郵便事業会社の略称みたいな外資系証券の何とかスト先生(1月27日追記:この先生何か25日のニュースで同社を退職していたことになってるんですけど)。

・・・・・・ただまあそれを言う時に微妙に沈んだ口調なのは実は「考えているけれどもその考えの内容がアレ」という皮肉なのかも知れませんが真意はどうなんでしょうねえ(−−)。


○その前に金曜の訂正

何か最近毎日のように読者様からのツッコミを頂きまして誠に恐縮至極に存じますが、金曜に書いたオペの期落ちの額が間違えておりましたのでご報告をばという話です。

金曜日の駄文では15日の期落ちは3207億円で16日の期落ちが10725億円とゆー数字を申し上げていましたが、あたくしの手元集計での期落ち管理をちと間違えておりまして、実際は15日の期落ちが13932億円で16日の期落ちが4318億円になるのでした(15日の10725億円の期落ちと16日の4318億円の期落ちの期日をそれぞれ1日後で計算していた)ということで該当箇所は訂正しておりますが、謹んでお詫びいたしますです。つまり木曜のオペは13932億円の期落ちに対して990億円のロールというお洒落な事になっておりまして、15日のロールが終わった所で固定金利オペが25兆円まで残高が落ちるという結果になるのでありました。


○短い所が色々とウヒョーになった話から金融政策が旧法帰りしてないかという雑談へ

昨日は6か月TBの入札があったりオペがあったりしたのですが・・・・・・・

まずはオペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130111.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 6,000 2013年1月16日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月16日 2013年7月16日

国債買入の結果は前場引け後の昼休み時間に出るのですが・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130111.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 17,783 6,003 0.055 0.081 6.5
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月16日スタート分) 1,430 1,430

ということで基金国債買入なのですが、残存1年〜3年だというのに平均買入利回りが0.081%になるわ足切りは0.055%になるわというおそロシアな展開。まあ前場から5年とか強くて短い所のビットは強かった(前引けで5年が2毛強ビットとか)のですが、入れる玉が無い訳でも無い(この前の輪番の場合は残存1年以内で、まあこちらは確かに入れる玉が無いのですが)というのにおまいら札入れ渋り過ぎぞなもしという所でありまして、この結果を見てウッヒョーとなった(3年までの国債が0.08%だの0.06%だので日銀に打ち込めるという話なのですから当たり前ですが)中短期は後場の先物寄りを待たずして3毛強の0.16%貫録の出合いとかになりやがりましてもう寄りから大爆発。ショート銘柄とかで何かオソロシスな出合いもあったようですが、とにかくまあエライコッチャになってさすがに日本相互証券の引値でも2年は軒並み0.080%などに低下しやがるという結果。まあ後場イチからはさすがに若干強さが緩和されたものの実にこうエライコッチャになっておりました。

6か月TB入札の結果はこちら。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130111.htm

(3)募入最低価格 99円95銭7厘 (募入最高利回り)(0.0897%)
(4)募入最低価格における案分比率 7.6482%
(5)募入平均価格 99円95銭8厘 (募入平均利回り)(0.0876%)

ということで貫録の0.09%割れという結果になっておりますが、まあ前場の引け時点から0.09%割れはシャーナイかもねという話でしたけど足切りが0.09%割れの所で按分が7.6%ってあばばばばーにも程があるのですが、何せ直近に実施されている3か月TBの足は4月の前半でして、まーそういう事言うのも何ですが麿総裁の任期が切れる前でございますので、それ以降にアレな総裁が来てアレになった場合のリスクを考えた場合により長い期間の短期商品でロットの揃うものの供給が今年に入って初めて打ち込まれた、というのが昨日の6か月TB入札でございましたので、まーシャーナイナイなのであります。

しかしまあ何ですな、良く良く考えてみると麿総裁の任期が終わるからどうのうこうのという話って、市場では普通にそういう動きしているからそれはそれとして現実として捉えるのではございますけれども、総裁副総裁が変わると金融政策がどうのこうのという風に市場が見なすというのも本来の筋論から言えばおかしな話でありまして、本来現在の制度上の建付けは金融政策は政策委員会・金融政策決定会合の席上における9名の政策委員による合議で行われるものであり、総裁副総裁のクビを挿げ替えたからどうのこうのとか、新聞に出る首相の圧力インタビューやら総裁のお呼び出しが出てそれを持ち帰ってどうのこうのとか、そんな感じで受け止められる状態というのは何のために政策委員会の委員を別途任命して合議制での金融政策運営という建付けをやっているのかという話でございまして、まあ元はと言えば民主党政権時代にどこぞの馬鹿が決定会合に乗り込んでああだこうだとおっぱじめた辺りから話がおかしくなっているのですが、益々酷い話になっておりまして、そもそも中央銀行の政治的中立性とかどこに逝ってるのやらという所ではございます。

ま、その辺に関してはそのうちまとめた雑談にでも。




○産経電波浴シリーズというか困ったブレーンの人たちというか

はいはい電波浴電波浴。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130108/dms1301080708000-n1.htm
金融緩和で給料はいつ上がる? 効果波及まで1〜2年の遅れ
2013.01.08

例によって例の如く安倍さんの経済ブレーン様とかいう触れ込みのウォッチマン先生ですけれども、相変わらずツッコミどころは多いのですがめんどいのでこの部分をば。

『というわけで、金融緩和は半年以内の円安、株高をもたらし、その結果、1〜2年以内に輸出や消費、設備投資が増えて景気回復、雇用増加につながる。さらに、2〜3年以内に貸出増加が起こるという波及メカニズムになる。本格的に賃金が上がり出すのが遅れるが、物価上昇も景気回復とともに遅れるので、その間は賃金交渉次第である。』(上記URLより)

>物価上昇も景気回復とともに遅れるので
>物価上昇も景気回復とともに遅れるので
>物価上昇も景気回復とともに遅れるので

えーっと・・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

あのー、物価は「数か月以内」に上昇するという話じゃなかったでしたっけという事でありまして、まあ兎に角その場その場で適当に都合の良い話をしているのが安倍さんの経済ブレーン様という話でございまして、こういうのを法螺吹きというか曲学阿世の徒と言うかという所ですが、そもそも学の体を成していないので曲「学」阿世というのも学問に失礼ですかそうですか。

つーかこんな法螺吹きをブレーンにしている時点で「深く考えている」もあったもんじゃないわと言うか、深く考えていたら普通気が付くだろと思うのですけどねえorzorzorz

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2013/01/11

日経新聞の紙が手元に無いのでイマイチ良く判らないのですがさて・・・・・・

○これはまた何と申しますか

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1003G_Q3A110C1MM8000/
「日銀、雇用拡大も責任」 安倍首相インタビュー
「円高是正、ともに努力」 (1/2ページ) 2013/1/11 2:02
情報元 日本経済新聞 電子版

『安倍晋三首相は10日、日本経済新聞のインタビューで、日銀の役割について「実体経済にも責任を持ってほしい。雇用を最大化することも頭に入れてもらいたい」と述べ、金融政策を通じて雇用拡大に努めるべきだとの認識を示した。為替水準に関して「日本は為替によって競争力を失っていた。(円高を)是正するのは政府と中央銀行の責任だ。努力し続けなければならない」と強調した。』(上記URLより)

全文が手元にございませんのでアレですが、またこの「雇用の最大化」の話をしてるのかよという所で、じゃあとりあえずその雇用の最大化とはどういう概念で、それをどのような手段を用いてどのような手段で達成するのかを筋道立てて(金融政策は万能だから日銀は全知全能の能力がありというのは筋道ではありませんので念の為)ちょっと説明していただけませんでちゅかねえと思うのですけど。


http://www.nikkei.com/article/DGXNZO50490160R10C13A1EA2000/
首相、にじむ日銀不信 7年前の量的緩和解除
2013/1/11 1:53 情報元 日本経済新聞 電子版

『安倍晋三首相がインタビューでにじませたのは、日銀への拭いがたい不信感だ。首相と日銀はどこですれ違ったのか。首相の発言から浮かぶのは、日銀が7年前に政府の反対を振り切って断行した量的緩和の解除だ。』(上記URLより)

>日銀が7年前に政府の反対を振り切って断行した量的緩和の解除
>日銀が7年前に政府の反対を振り切って断行した量的緩和の解除
>日銀が7年前に政府の反対を振り切って断行した量的緩和の解除

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(゚Д゚)ハァ????

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2006/k060309.htm/
金融市場調節方針の変更について 
2006年 3月 9日 日本銀行

というのがございましたが特段の反対提案はございませんでしたぞな。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2006/g060309.htm/
金融政策決定会合議事要旨(2006年3月8、9日開催分)

『V.政府からの出席者の発言』

財務省からの発言(の最後の部分)は以下の通り。

『本日の議論および先程の議案に照らせば、これらの点について、日本銀行にも認識を共有して頂けるものと理解したので、量的緩和政策の解除については、政策決定会合のご判断を尊重したいと思う。日本銀行におかれては、景気回復を持続的なものとし、デフレからの脱却を果たすことが重要な政策課題であることを踏まえ、逆戻りすることがないよう、責任を持って金融面から経済を支えて頂きたいと思う。引き続き、政府の経済政策と整合的な、適切な金融政策の運営に努められることを期待している。』

内閣府からの発言(の最後の部分)は以下の通り。

『日本銀行におかれては、量的緩和政策の解除の検討に当たっては、この政府の経済政策の基本方針との整合性を十分考慮頂き、引き続き政府・日銀一体となったデフレ脱却に向けた取り組みを行って頂くことを改めて強く要望する。また、量的緩和政策解除の場合には、これまでの金融政策の目安が消滅することから、市場や国民の経済に対する予測可能性を高め、期待を安定化させるという国民への説明責任を果たすため、今後の日銀としての金融政策の透明性のある枠組みを示して頂くことを期待する。』

まあ他にも発言がありますが、上記URL先にございますので読むと判りますし、まあそもそも当時の記憶を辿っても『政府の反対を振り切って断行した』という流れでは無くて、小泉首相と福井総裁はその辺の連携きっちりやっていたようにしか理解しておりません(小泉さんが腹の中でどう思っていたかは兎も角、表に出てくる動きは連携をきっちり取っているかたちだったですよね)が、もしかして速水総裁の時のゼロ金利解除と話がごっちゃになっているのではないかという悪寒が。

でまあそのごっちゃになっているのが安倍首相の話ベースなのか、日経新聞がそう言っているのかが(記事全文読めないから)ワカランチ会長なのですが、日経がそういう話をしているのであればちょっとお前大丈夫かという話になるのですけれども。つーか安倍ちゃんが勘違いしているんだったら日経新聞その場で訂正してやれよと思いますけど。

てか、「首相と日銀はどこですれ違ったのか」ってそもそもの安倍ちゃんの事実認識が間違っているのであれば、すれ違ったのは安倍ちゃんに嘘八百を吹き込んだ「経済ブレーン」とやらである可能性が高い訳で、権力者に嘘八百を吹き込む茶坊主とかまさに奸臣の名に値するとしか思えんのだがそもそものインタビューを読んでいないので判断保留。


http://www.nikkei.com/article/DGXNZO50490100R10C13A1EA2000/
首相、日銀へ関与継続 政策ゆがめる恐れも
2013/1/11 1:36 情報元 日本経済新聞 電子版

『安倍晋三首相は10日の日本経済新聞のインタビューで、デフレ脱却が実現するまで日銀の金融政策への関与を続ける姿勢を鮮明にした。日銀が従わなければ、日銀法改正に踏み切る可能性もちらつかせる。首相の強い意向を受け、政府・日銀の連携を確認する共同文書には2%の物価目標を明記することが固まった。政治が金融政策への影響力を強めるのは国際的に異例で、政策をゆがめるリスクもはらむ。』(上記URLより)

>政治が金融政策への影響力を強めるのは国際的に異例で、政策をゆがめるリスクもはらむ
>政治が金融政策への影響力を強めるのは国際的に異例で、政策をゆがめるリスクもはらむ
>政治が金融政策への影響力を強めるのは国際的に異例で、政策をゆがめるリスクもはらむ

・・・・・・・・・・・・・・・えーっと、そう思うのでしたら安倍ちゃんにわざわざ喋らせければ良い話でして、あんさん自分の所でインタビューしてそれを大々的に1面トップ記事に据えて「政治が金融政策への影響力を強める」動きを煽っておいて3面(モーサテの日経朝特急コーナーでちらっと出ていたのを見ると3面にこの記事があったっぽいので3面と書いたのですが違ったらスイマセン)で「政策をゆがめるリスクもはらむ」とか如何にも良識派っぽい書き方するとかマッチポンプなんてレベルを越える自作自演じゃねえかどの口が言うと思いますがねえ。

ということで、安倍ちゃんが金融政策でああだこうだ言い出すと財政マネタイズ懸念で財政サステイナビリティ懸念で財政インフレ懸念とかそっちの話が浮上して誰得円安とかになってしまう恐れというか危うさの方を感じるのでいい加減黙って欲しいもんだと思いますが、外交とか安保とか教育とかその辺りで今は動けないからと言って行った日銀叩きですっかり調子に乗ってしまっているのはどうも危ういですなあと思う所で。

まあそんな事を申しましても記事全文読んでいる訳では無いので実際にどういう話をしているのか良く判らんのですが、少なくともヘッドラインとリードだけ見ているとこりゃまたせっかく筋の悪くない流れになってきたのにまたまた筋悪方向になってやがるぞなという印象を与える訳で、やはり安倍ちゃん経済政策について喋るとおっかないですなあという風に思うのでありました。

つーかさ、日銀が緩和するとか物価目標共有するとかの方向になっているんだから黙ってニッコリしていれば良いのに何ちゅうケツの穴の小さい人間だこの人はとゆー悪態は昨日も申し上げたので以下割愛。


○昨日の話の続きというか補足である

昨日決定会合プレビューということで付利撤廃の影響に関する想定をああだこうだと書いたのですが、読者様からツッコミを頂きましたので感謝しつつ更に話を発展させてみるのです。

昨日あたくしこのような事を申し上げましたのですが・・・・・・・

(昨日の再掲)付利金利に関しては一発実施しちゃうと次のタマが無くなるという問題点がある上に、付利を無くしてしまうと日銀当座預金残高の積み上げに支障を来しますので、そのバランスの反対側にある資産の積み上げが同様に支障を来すという話になり、つまり「量で勝負」の政策が実施しにくくなりますぞなもしという弊害が思いっきりあります。(ここまで)

でまあここでツッコミが飛んできたのですが、趣旨としては「日銀が資産買入を行ったら当座預金残高が拡大するのだから、資産買入そのものは(マイナス金利でどんどん国債が買えるので)制約が無いから当座預金残高の積み上げは出来るのではないか」というお話です。

確かにまあそういう観点もございまして、実はどっちになるのかが実際になってみるとワカランチ会長な部分があるなと思うのですよ。つまり、現状の超過準備10bpという状況と、付利無しという状況の間で、金融機関が超過準備を積みたがるか積みたがらないかという行動にどのように変化が生じるのかが正直良くワカランチ会長な所があるのですな。

もし、付利ゼロになっても金融機関がせっせと手持ちの国債をマイナス金利でオペに突っ込んでその見合いの超過準備をゼロ金利で積み上げると言う事になりますと、当座預金残高の積み上げに支障はないのかもしれませんが、金融機関として「金利収入がゼロ」となる資産をバンバン積み上げるという行動をするのかというのがちと微妙ではないかと思う所でありまして、金利収入がゼロの資産はそんなにホイホイ積めませんなあという事になると、買入オペが札割れ状態になるという可能性もあって、日銀の意図する資産買入が出来ない可能性があるんじゃネーノとまあそういう話。

まあそこを抑止する意味で国債買入や短国買入のオペについて出来上がり金利がマイナスでも応札が可能(なので落札が可能)という風にこの前仕組みをマイナーチェンジしているので、もしかしたら札割れにはならないのかもしれませんが、その場合は恐らく短国などの金利のマイナスが結構深くなる可能性があり、その一方でどこからどう見ても預金金利とかはマイナスにできる訳がありませんので、金融機関的にはマイナス金利になっちゃうと収益圧迫要因になってしまう(調達の預金金利はゼロ制約に引っかかっているのに運用サイドの市場金利が低下してしまうので)という中々奥が深いというか傍から見ると訳のワカランチ会長な事になる、とまあそういう話になりますな、うんうん。

ちなみに国債などが軒並みマイナス金利になってしまうと短期金融市場の取引は大幅にシュリンクすることが想定されますし、短期公社債投信は軒並み閉鎖に追い込まれる事が想定されますし、金融安定化という観点からも如何なものかというのは昨日も申し上げた通りです。

でまあこの話って色々と考えると面白いのでついああだこうだと長広舌をふるってしまいますが、まあ最大の問題はこの政策で狙う効果とのバランスでありまして、そもそも為替に働きかけたいという意味で付利下げ議論というのが行われる訳ですが、この措置によって為替が本当に継続的に円安方向に逝くのですかと考えますと、よく言う日米金利差って米国金利には影響されるけど日本金利ドリブンで動かないだろとか、大体からして為替市場のテーマもかなりいい加減というかその場その場でホイホイ変わる話で、去年の3月4月とかにあれだけ「日銀当座預金残高が昨年対比減少しているから円高だ」とか喚いていた為替市場様が日銀当座預金残高が既往ピークをバンバン更新する中で何も話題にもせず市場のネタにもしない、というようにまあ短期市場をぶっ潰してまで付利撤廃を断行しても期待されるような効果って出ても一時的じゃネーノと思いまするに、まあ付利撤廃は愚策の類だと思いますけどね。

そもそも0.10%固定金利で出している各種のなんちゃら支援貸出が全部ワークしなくなるという現在の仕組みとの整合性という問題もあるのですがそれはこの前罵詈雑言と共に説明したと思いますので割愛。


ということで積み上げが困難になる、というよりは積み上げが難しくなる可能性がある、と言った方が適切かもしれない(よーはどうなるのかが今一歩想像つかない面があり、それは金融機関の行動が変化するかどうかに依存するという事ですな)なあと思いましたので、ご指摘頂きました読者様に感謝感謝でございます。


○今日もオペ雑談

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130110.htm
CP等買入(資産買入等基金) 3,000 2013年1月16日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月15日 2013年7月8日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130110.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月15日スタート分) 990 990
CP等買入(資産買入等基金) 11,186 2,766 0.115 0.121 56.4

15日の期落ちは3207億円ございまして(追記:期落ちの計算間違えていました。15日の期落ちが13900億円で16日の期落ちが4300億円でした)今回は990億円ロールされましたということで、そこそこ入って良かったですねえ(棒読み)という所ではございますが、今日は16日スタートのオペの日となる訳で、期落ちが貫録の10725億円(追記:期落ちの計算間違えていました。15日の期落ちが13900億円で16日の期落ちが4300億円でした)ございますので、どのくらいロールされるかワクワクテカテカしながら眺めたいと存じます。足元年末の戻りとか短国の発行とかの要因で若干GCレートが強含みですけれども、だからと言って6か月間を0.10%で固めようという動きにはどう見てもならず、単に共通担保オペで入れる担保の種類によってニーズがあるか無いかの差が出るんでしょうなあとか思うのでありました。

あと、CP買入に関してはレートが上昇(12/18オファーは0.108/0.098)していますが、これは年末年始にかけて日銀買入分の期落ちになったCPの中にやや金利実勢のお高めの銘柄があったからとまあそういう事で深い意味は無いと思われます。

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2013/01/10

お題「オペ雑談とかニュース雑談とか決定会合プレビュー雑談とか」

ふむふむ。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130108/waf13010822390027-n1.htm
橋下市長「どんな学校なのか。最悪」 市教委と学校の対応に怒り
2013.1.8 22:38 (1/2ページ)

なるほど。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-03/2012100304_01_1.html
橋下氏、体罰あおる「大阪市独自の指針必要」2012年10月3日(水)

ほっほー(ちょっと昔だが)。
http://www.asahi.com/special/08002/OSK200810260045.html
橋下知事「手を出さないとしょうがない」 体罰容認発言
2008年10月26日22時49分

・・・・・・・・・・・orz

○昨日の続きとかオペ雑談とか

・結局みんなの党は誰を選びたいのでしょうかねえ

昨日はみんなの党の江田先生が「財務省出身はダメ」などと仰せになっておられた日銀総裁人事ではありますが、読者様から色々とご指摘というかご感想を頂きましたのでその雑談でも(^^)。

いやですね、白川総裁なんですがwikipediaをソースにするのもアレですが、wikipediaを拝見いたしますと「シカゴ大学経済学修士」であらされまして、博士号持ちでは無いようで誠に残念。岩田一政さんでも意中にあるのですかねえとか思うのですが、岩田さんって経済学博士持ちじゃなかったような気もしまして、はてさて誰の事を意味しているのやらと禿しく謎が謎を呼ぶのでありました(−−)。

つーかさ、「財務省出身はダメ」とか形式だけで跳ねると思えば「博士号持ちじゃ無いとダメ」とか形式だけでオッケーとかワケワカンネとしか申し上げようが無く、博士号持ちはそらまあ偉いかも知れんけど、ノーベル賞の田中耕一さんだって博士号持ちじゃないぞな(受賞の際に名誉博士号が授与されたそうですが)というか、別に経済学博士持っていなければどうのこうのって話じゃないでしょうと思う訳で、何なんでしょこの政党はと思うのですけれども。

まあそれ以前の問題として江田先生も官僚上がりだろと思いますけど、自分の官僚出身は良くて財務省出身はダメとか面白いですねえ。

なお、超どうでも良いのですが、昨日ネタにした江田先生の発言ってもうちょっと色々な話があったようでして、神奈川新聞ニュースによりますと・・・・・・・

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1301080018/
みんな・江田氏「小沢氏らは政党交付金返上を」/神奈川
2013年1月9日

趣旨は判らんこともないのですが、政党交付金返上をとか他にドヤ顔で言う権利があるのは共産党だけじゃネーノとしか思えないのですが・・・・・・・・・・・・


・オペ雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130109.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 10,000 2013年1月11日
国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2013年1月11日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2013年1月11日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月11日 2013年7月5日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130109.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 46,530 10,007 0.095 0.096 6.8
国債買入(残存期間1年以下) 6,239 3,103 -0.045 -0.007 0.1
国債買入(残存期間1年超10年以下) 9,964 2,502 0.000 0.000 96.9
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月11日スタート分) 275 275

という事でほえーという結果が色々とございましたな。

基金短国買入ですけれども、オファーが1兆になりましたぞなという所ですけど、これはまあ昨日ネタにしたように償還と今後の積み上げを考えると普通に4-6月期で月6兆円とかの買入をしないといけないという計算になるので、まあこの位の勢いでオファーをしないといけないんでしょうなあとは思います。今回はどこからどう見ても火曜日に入札のあった新発3か月短期国債が入っているので、これについてはまた4月にロールしないといけませんぞなもしという話っすな、ナムナム。

輪番ですけれども、1年以下の所が超極薄按分ですけれども4毛5糸強まで入っておりまして、えーっとそれって0.055%ですかそうですかという感じですが、利付に関してはもう売る玉があんまり無いんでしょうなあと存じますです、はい。

で、ワロタのは固定金利オペでございまして、前日の10日スタートは意外に札が入ってこれは良かったですね(棒読み)とか申し上げていたのですが、昨日は何と275億円の応札。11日のエンドは8006億円ございまして、まあものの見事に殆どロールされませんでしたという凄まじい不人気入札。

でまあ固定金利オペに関してはデコボコはあるでしょうけれども、趨勢的に減る傾向になるでしょうと思う訳で、それは勿論付利下げまたは撤廃への警戒というのもありますし、それが無くても基金オペ拡大に伴う国債買入の絶賛拡大によって日銀当座預金残高がアホのように積みあがり、おまけに買入の方が0.10%以下の利回りでも買入という状況になっている関係上、短期市場金利には低下圧力が掛かりやすく、上期は更に短国の買入が大幅に拡大されるというのが見えているだけに、共通担保の中でもファンディングが付きにくい物に対するニーズとしての0.10%6か月固定物以外ってそんなにニーズ無いでしょうなあというのもあります。

で、基金残高を落とす訳にはいかないので、固定金利オペ残高がどう見ても行かないという事になりますと、短国買入にその分を振らないといけなくなり、そうなると益々短国の金利に低下圧力が掛かるので固定金利オペのニーズが更に減るという大変に素敵な循環になることが想定されますなあなどと思いながら結果を眺めるのでありました。

しかしまあ何ですな、発行残高からみたら20兆とか楽勝だろとか思ったのですが、実際に買入が9.5兆円行われた実績をフローベースとして考えると、既に上期の目標残高の19.5兆円も相当にヘビーな買入になるぞなもしという事になりまして、これに固定金利オペからの振替が発生するとか思うと胸熱の展開orz


○ニュース雑談

昨日はこれが実施されましたぞな。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE90800C20130109
日銀、「物価目標2%」の主張踏まえた金融政策を=安倍首相
2013年 01月 9日 21:56 JST

『[東京 9日 ロイター] 安倍晋三首相は9日夜、経済財政諮問会議の初会合で、日銀との連携を強化する方針にあらためて言及したうえで、日銀に対し、自らが先の総選挙で主張してきた2%の物価目標を踏まえて金融政策を運営するよう求めた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・何つーかね、どうせ言わなくても日銀がその辺の導入するという流れになっていて、財務省とかと調整しているんでしょとゆー中で何でまたわざわざ言うかねこの人はと思う訳ですよ。

だいたい圧力というのは正面切って掛けて相手の顔を潰しながら行うよりも、他にやりようがあると思いますし、物事をスムーズに進めたければいい加減その物価目標2%とか細々した話は動き出した後は下々に任せて黙っておいて、日銀が目標設定した時に「歓迎したい、評価する」とか何とか相手に花を持たせてやりゃ良いと思うのですけれども、これじゃあ「日銀が色々と検討してやる気を出して設定した」という図にならないで「安倍首相の圧力で実施した」としか世間の評価が起きない訳で何だそりゃという所であります。何つーかそのケツの穴の小ささが非常に気になる訳ですけど。アベノミクスとか言われてすっかり舞い上がっているのか何だか存じませんけれども、まだこの期に及んで「俺が俺が」になってしまうのかねという所で。

いやまあ下々の者でしたら「俺が俺が」で自分をアピールしないといけないかも知らんけど、人の上に立つ立場の人間がひたすら自分のアピールだけに熱心だと下の立場の人間としてはやってられるかヴォケという事になる訳で、トップのあり方として如何なものかという風に思うのでございますけど治らないでしょうなあこの小物感は。一国の宰相になったのですからそろそろどっしり構えて欲しいと思うのですがねえ。

どうもあたくしこの手の「小物感」のある政治家諸氏が嫌いなようでして、一々気になってしまうのはあたくしが神経質だからですかそうですか。ちなみにご案内のようにあたくしが嫌いな「小物感」のある方としては維新のツートップなんてまさにそれが当てはまりますけれども、安倍ちゃん系の小物感とゆー意味ではみんなの党の党首様に関して昔からそんな感じですなあとか思うのでありますがどうですかね。


とまあそんな悪態はともかくとして。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130109-OYT1T00685.htm
財政規律堅持を明記へ…政府・日銀「政策協定」(2013年1月9日17時38分 読売新聞)

『物価上昇率2%のインフレ目標を目指し、政府と日本銀行が結ぶ事実上の「政策協定」に、中長期的な財政規律を堅持すると明記する方向であることがわかった。デフレ脱却に向けて政策を総動員する一方、政府が財政再建にも配慮する姿勢を示すことで、長期金利の上昇を食い止める狙いがある。』(上記URLより)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90802W20130109
経済財政諮問会議、財政健全化も大きな課題の一つ=菅官房長官
2013年 01月 9日 16:55 JST

『[東京 9日 ロイター] 菅義偉官房長官は9日午後の会見で、きょう第1回目の会合を行う経済財政諮問会議の役割に関して、財政健全化も大きな課題の一つになるとの認識を示した。』(上記URLより)

とまあそんな感じで、実は甘利さんと麻生さんの発言もニュースヘッドラインで出ていて中々安定感のある事仰りますなあと安心感を与える訳ですが、菅さんも中長期的な財政健全化の重要性について言及という事で、それが政府と日銀の共同文書に織り込まれる方向というのはまあ結構な話。

と申しますのは、つまり共同文書だか政策協定だかアコードだか知りませんが、まあその手の文書を締結するのに「日銀は物価をとにかく上げる事、あとは知らん」とかいうようなふざけたものになりますとアホか馬鹿かという話になる訳で、誰得財政インフレでもやりたいなら兎も角としまして、経済的に意味のある物価上昇を目指すという事であれば政府もそれなりの政策を実施しないといけませんぞなもしという話になる訳ですから、まあその辺がちゃんと織り込まれる中で財政健全化に関する取組というのが共同文書の中で担保されるのは良い傾向でしょという話であります。

2%の物価目標明確化とかいう話になると、当然ながら金融緩和の長期化および強化という事になる訳で、その一方で政府の方が財政赤字ダダ漏れ垂れ流し状態になってしまいますと、それは財政ファイナンス拡大で財政の維持可能性懸念とかそっちの方に話が逝く訳でございますからして、その辺を担保する(まあ実際にできるのかという論点もあるのですがそれはそれとして)文言が共同文書に盛り込まれるのであれば日銀としても緩和強化をしやすくなりますぞなもしという話でもあろうかと思います。


○ということでだいぶ早いが決定会合プレビュー雑談

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130110/t10014701791000.html
政府・日銀の連携強化 合意の在り方焦点に
1月10日 6時2分

つーことでMPMプレビュー雑談ですが、どういう形なのか知りませんがとりあえず「紙」が出るというのと、物価安定の目途に関して2%という数値をより明確に見せる(中間目標1%という数字を引っ込めるんでしょ)というのはコンセンサスとして、まあそれだけだと何なので追加で何かをするでしょというのもコンセンサスだと思うのですが、はてさて何をやるのでしょうというのがこれまた難しい。

・付利金利をいじる件について

補完当座預金制度の適用金利(=超過準備の付利金利ね)を下げる件については先般の会合で石田審議委員が提案して否決されましたが、物価上昇の為に効きが良い為替ルートに働きかけるという観点から短期市場金利を下げるという理屈はそれはそれで理屈としては有りますわな。

ただまあこの時って付利金利を中途半端に引き下げても「次の引き下げ」を催促されるだけの事で、無駄に小出し感を出すだけ損ですから、まあ下げる位なら撤廃じゃネーノとはあたしゃ思いますけれども、この部分は意見が分かれるかも試練。

ただですね、付利金利に関しては一発実施しちゃうと次のタマが無くなるという問題点がある上に、付利を無くしてしまうと日銀当座預金残高の積み上げに支障を来しますので、そのバランスの反対側にある資産の積み上げが同様に支障を来すという話になり、つまり「量で勝負」の政策が実施しにくくなりますぞなもしという弊害が思いっきりあります。

また、前回の量的緩和政策の時と違いまして、国債等の買入が出来上がりマイナス金利での落札が可能になっていますので、恐らく想像されるのは残存の短い国債や短期国債の金利がマイナスに沈んでしまい、そうなるとプラスの金利のリスクフリー資産が無くなってしまい、短期公社債投信などが軒並み閉鎖に追い込まれるとかそういう話になると、リテールの証券取引にも影響を与える話になる話になりますし、大体からして決済系が完璧にコストセンターになってしまうと決済システムへの投資がしにくくなるとか、それらのインフラにも悪影響が出そうな気が。

そもそも付利撤廃して為替市場にそんなに効くのかとか考えますと、何か盛大な無駄玉撃ちに終わりそうで、コストとメリットのバランスが全然とれていないようにしか思えません。

ついでにこんなのもありまして。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130108b.pdf
プレス・リリース 2013 年1 月6 日
中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは、銀行の流動性基準の修正を承認

2ページ目にこんな記載が。

『GHOS はまた、中銀預金が最も信頼できる(時には唯一の)流動資産であるため、LCR 規制と中銀ファシリティの関係はきわめて重要である点に合意した。バーゼル委は、この点につき、2013 年中も作業を継続する予定である。』

ということで、内容をちゃんと読んでないので何ともアレですが、中銀の預金ファシリティが急速に縮小するような施策というのは危機管理の観点的にもどうなんでしょとも思うのですけどね。


・基金の拡大とか期間延長とか偽オープンエンド化とか

基金の拡大というのもまあ有りそうな話ではあるのですが、短国の買入に関しては既に先ほどうだうだと申し上げたようにフィージビリティー的にかなりキツくなっているというのが市場の中の人的な実感でありまして、じゃあ国債増やすかという話になるのですが、何となく今回のような「チェンジ」を出したい時に基金国債買入という代わり映えのしないのもなあという気はします。

昨日纏めましたように、国債に関しては今後の買入スケジュールを考えるとややデコボコがありますので、その分を均すような感じで買入を拡大するというのはありそうですけどね。

あと、偽オープンエンドと申しますか何と申しますかですけれども、現在の基金買入は「いつまでに残高をいくらにする」という見せ方になっていますが、それに関して「物価安定の目途達成まではこの残高を維持し、状況によってはこの残高を見直す」とか何とか入れて何となくオープンエンドのように見せかけるというのはありますかねとか思うけどどうですかね。

まあどうせやるならより物価への波及効果が高そうな資産価格ルートという事で、ETFとかREITの拡大をした方がまあ良いんじゃないのと思いますが、残念なのはETFやREITだと量が稼げない点。ただ「チェンジ」を示すのならETFやREITだと思うのですけれどもねえ。


・輪番オペ拡大

2009年の麻生政権の時に総合経済対策(の補正予算)と輪番月4000億円拡大がセットになった(公式にはセットではございませんので念の為)という事案がありまして、この時は2000億円がコンセンサスだったので4000億円拡大でどひゃーとなったというのを何となく覚えていますが、今回の財務大臣が麻生さんで実質的な日銀のカウンターパート(安倍ちゃんとはたぶん会話が成立しない状況でしょあの人の物言い見てると)でしょうから、まあそういう想像はできますぞな。

補正で国債増発と輪番拡大というコンボに関しては過去の事案があるので想像はできるのですが、ここで問題になるのは「財政ファイナンス懸念」という所になります。特に麿先生におかれましてはその辺に対してうるさいでしょうなあという所。

しかも所謂銀行券ルール抵触問題という意味で言えば(本職の方々が色々と計算しているレポートが有ると思うのでそれでも見てちょと存じますが)輪番に関してもこれ以上ホイホイ拡大していると輪番部分で銀行券ルール抵触というのが見えてくるというのがこれまたネックでありますぞなもしという話。

ただまあこの銀行券ルールにしましても、本来的に言えば「財政ファイナンス懸念払拭」というのが制度の趣旨でありまして、つまりどういう事かと申しますと、中央銀行が財政赤字の財政ファイナンスをダダ漏れ状態で垂れ流しておりますと、それは当然ながら長期的に維持可能では無いので行きつく先は財政インフレ爆発でワイマールドイツという話になる訳で、国民厚生的に誰得展開になるので中央銀行としてその歯止めのようなものをしておきたいですよね特に日本の場合ストックベースの財政赤字は洒落にならない数値ですよね、とまあそういうのが背景にある訳ですよね。

とまあ考えますと、今般の共同文書作成にあたって中長期的な財政規律の堅持と財政健全化に向けた取り組みが担保されるのであれば、その範囲内において銀行券ルールを一時的にネグるのは別に変な話でも何でも無いですし、大体からして基金オペというような方便を使っておりますが、日銀のバランスシート全体で言えば既に発行銀行券以上に長期国債の残高がある訳でして、問題は銀行券ルール堅持がどうのこうのではなく、赤字財政ファイナンスの垂れ流しを行わないという事であるのでそこをどう担保するかという話になりますぞなもしという風に思うのですよ。

従いまして、共同文書作成とか骨太の方針の作成によって小泉政権の時のように(少なくとも姿勢という意味では)財政健全化の方向性を担保して、中銀財政ファイナンス懸念が起きないようにするという形づくりが無いと輪番もそうホイホイは拡大できませんなと思いますし、銀行券ルールに関しても一時的にネグるとしても将来の金融政策正常化においては元に戻すという事になると思いますので、当然ながら出口においては輪番買入停止(場合によっては保有国債売却)というのも起きますよという話になるでしょうな。


・念の為銀行券ルールのオペ技術的な意味について

でまあ話はずれますけれども、念のためこの件について簡単に解説しますと、日銀のバランスシートというのを考えてみるとよろしいかと思いますが、日銀の資産負債項目は色々とございますが、資金需給とかオペレーションという事からざっくりと説明しますと・・・・・・・・(ちなみに前も同じ事書きましたのでご存知の方はスルー推奨)

負債項目は発行銀行券と当座預金になりますが、このうち発行銀行券というのは多少の出入りはありますけれども、基本的には経済の成長に伴って拡大する傾向にあるという整理になっていて、基本的な部分としては長期負債のようなものになります。一方で当座預金残高は各種資金需給要因でぶれますけれども、底溜まりの部分は法定所要準備預金部分で、その上澄みが出たり入ったりする短期負債。

一方の資産項目は国債などとい共通担保オペなどによる貸出になりますが、これは基本的に資金供給見合いで持つものになりまして、そのうち長期国債が長期資産になるので長期資金の供給、通常の資金供給オペは一般的に短期資金の供給となる訳ですな。

でもって、金融市場調節という観点からしますと、長期の負債に対しては長期の資金供給を割り当てて、短期の負債についてはデコボコが発生する分を機動的に均さないといけないので短期の資金供給を割り当てるのがオペレーション的にやりやすく、銀行券+底溜まりの法定所要準備預金以内に長期資金供給、即ち長期国債の残高を抑えておかないと、金融調節がやりにくくなるという話ではございますな(技術的な観点でいえば足りない所に供給をしていった方が資金偏在を均しやすいから)。んでもって更に言えば、先ほどは底溜まりの法定準備預金も含めましたけれども、調節技術上資金供給オペについても一定の底溜まりが有った方がよく、ある時はオペ残0である時は10兆円というよりは、ある時は10兆円である時は20兆円とした方が、オペに参加してファンディングを行う金融機関の資金繰りが安定しやすいのですな。

つまり、銀行券ルールって財政ファイナンスに対する歯止め的な意味合いという話にはなっておりますが、実は調節技術的にも意味のある話です。ただまあ現在のように量的緩和状態になっていると銀行券ルールをぶち抜けて長期国債を持っていてもオペレーション上の問題は起きません罠という話でして、そもそも金融政策が正常化されて量的緩和状態から脱却する時には長期国債の保有残高は減らざるを得ない(そうしないと短期で資金吸収しながらのオペレーションになるので非常にやりにくい)のですな。

以前もこの話書いた(しかも複数回)と思いますが、まあご参考までにまた書いてみましたと言う事で。


#プレビューに関してはもうちょっと練ったらまたアップデート雑談をするかも知れませんししないかも知れません

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2013/01/09

公共放送朝6時のトップニュースキタコレ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130109/t10014673061000.html
緊急経済対策 国の支出10.3兆円に 1月9日 6時1分

『政府が11日に閣議決定する緊急経済対策の全容が明らかになりました。この中では、震災からの復興や防災対策に、3兆7000億円を投じるほか、大規模な公共事業に伴う地方自治体の負担を軽くするための交付金を1兆4000億円計上するなど、総額で10兆3000億円となることが固まりました。』(上記URLより、以下同様)

『また今回の対策には、こうした財政支出に加え、税制面での支援策として、従業員の給与や雇用を増やした企業に対し、給与の増加分の一定割合を法人税から減税する措置の創設や、研究開発を行った企業に対して行っている減税措置の拡充などが盛り込まれる見通しです。』

ほほう(^^)。


○またもオペ関連雑談

・固定金利オペのロール状況第2弾

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130108.htm
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年1月10日 2013年1月17日 0.660
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年1月10日 2013年4月4日 0.640
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月10日 2013年7月4日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130108.htm
米ドル資金供給(固定金利方式)(1月17日エンド分) 0 0
米ドル資金供給(固定金利方式)(4月4日エンド分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月10日スタート分) 4,905 4,905

ドルオペはまあどうでも良いのでスルーしまして固定金利オペの話ですけど、固定オペは今回も札割れではあるのですが、実は今回については10日のオペ期落ちが1740億円となっておりまして、折り返しで何と増額ロールになっているのがお洒落な結果。

まあ札が入って良かったですねえ(棒読み)という感じなのですが、利下げリスクをあまり気にしていないのか、そうは言っても資金繰り上一定額は入れておくという話なのか、共通担保オペですから国債以外の共通担保のファンディングとか考えるとまあこの位のニーズはあるのかなどと色々と想像は働くものの、人様の懐具合に関する話なのでまあ良くワカランチ会長である。


・基金オペ国債と短国の償還額チェック

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1212.pdf

2ページ目に例によって基金国債買入の残高がありますのでヘコヘコと集計してみました。なお、例によってヘッジクローズですがこの集計はあたくしが手で行っていますので計算結果に関しては(検算もしたのでたぶん大丈夫だと思いますが)内容無担保無保証という所で。

今後の償還予定額はこうなりますぞな(ただし額面ベース)。

2013/6まで:12529億円(前月比変わらずなのは当たり前ですが)
2013/12まで:50965億円(11末は50839億円)
2014/6まで:86056億円(11末は83460億円)
2014/12まで:34842億円(11末は28579億円)
2015/6まで:46126億円(11末は38566億円)
2015/12まで:9153億円(11末は7256億円)

んでもって今後の基金増額が2013/6まで+10兆円、2013/12まで更に+10兆円となりますので、今年前半の買入額は112529億円、後半の買入額は150965億円、来年前半の買入額が86056億円(ただしもう少し増える余地あり)となります。これを単純に6で割ると今年前半が月に1.9兆円弱、後半が2.5兆円強、来年前半が1.5兆円弱という話になりますな。まあ相変わらずの買入ペースではございます。


日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/release/2012/tmei1212.pdf

でまあお洒落なのはこっちでして・・・・・・

2013/6まで:93773億円(11末は69578億円)
2013/12まで:1882億円(11末は1882億円)

まあ何ですな、足元で3か月TBと6か月や1年TBの利回りが実力ベースでインバートしている状況(長めの所に金利低下リスクを睨んだニーズがある上に、発行量が思いっ切り違うというダブルの要因による)なので長めの短国は札が入らん罠とは思いましたが、今月は残存1年物のTB333回の買入は貫録の0億円で、6か月もの(ただし6/20償還だが)のTB329回の買入も933億円とこれまたお洒落な結果になっております。

つーことでまあ何ですな、今年の前半は残高を10兆円拡大しないといけない上に来て償還が今の時点で9.4兆円あるという大変に素敵な状況。現在の市場環境だと結局の所3か月TBの新発近辺とそれからちと短い辺り(札の入り方を見ると必ずしも新発だけでは無く、在庫状況の調整でも入っている感じはありますが、基本的に発行量の多い3か月物TBが入っている)しか札が入らないという流れは続きそうです。となりますと、前半の3か月に購入した短国は償還の刑になると考えますと後半3か月で19.4兆円購入しないといけませんぞなという状態。

つまりですよ、月に6.4兆円強の購入が必要ということで何たる無理ゲーというのが結論でありまして、利下げの思惑がどうのこうのという以前の問題で需給関係で今年の4-6月期は短国金利の一段の低下が想定されますぞなもしというのが結論になるのでありました。いやはや何とも。



○政策協定がどうのこうのという雑談

政策協定の文書ができるとかそういう話のようですが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130108-00000056-jij-pol
日銀との協定、文書作成で調整=雇用責任は負わせず―麻生財務相
時事通信 1月8日(火)13時7分配信

『麻生太郎副総理兼財務・金融相は8日の閣議後記者会見で、安倍晋三首相が主張している政府と日銀の政策協定(アコード)について「文書できちんとしたものにしたい」と述べ、締結に向けて日銀と調整を進めていることを明らかにした。麻生財務相は6日、「協定という言葉にこだわる必要はない」と発言していたが、これを修正した格好だ。』(上記URLより、以下同様)

まあ安倍ちゃんが文書にこだわっているのでしょうけれども、どうもその辺のプロトコルを理解しないでやたらと文書にこだわってみたりしているんでしょうなあと思われるのが誠にアレ。

『また、安倍首相は日銀に雇用に対する責任を求めた経緯があるが、麻生財務相は「雇用は政府も関係する話なので、日銀だけに(責任を)負わせるつもりはない」と指摘。その上で「今の段階では物理的にも時間的にも無理という感じがする」と語り、文書に盛り込むことには否定的な考えを示した。』

誠に当たり前の話でして、大体からして2%の物価上昇率目標だってどこをどうやると達成できるのかという事を真面目に考えますと、今の日銀の持ってるツールで何をどうやっても普通の方法でちゃっちゃと2%の物価上昇達成とか無理ゲーにも程がある訳で、2%目標を達成しろという話をするのであれば、日銀としては「じゃあもっと強力なツールを寄越せ」というべきであって、どうせ安倍ちゃんがあの調子で聞く耳持たずで、日銀叩けば円安株高になるという変な学習効果(85円からの円安は別の要因だと思うのですが)を得てしまった以上、ここは日銀の戦術として取るのは「条件闘争」の世界でしょと思う訳ですよ。

つまり、2%の目標設定はしますけど、2%に持って行こうとするならば強烈な円安に持って行かないとそう簡単には達成できませんよねとゆーよーな話を持ち込んで為替介入を日銀主導でバンバン実施しますけれども、その分の通貨外交のケツは当然政府が持って頂きながら、介入権限はこっちに寄越せとか、資産価格上昇の為に色々なリスク性資産を買いますけれども相場が逆に逝ったらその分の損失は政府がちゃんと見て貰いますとか、まあ要するに「俺たちを丸腰で放り出してさあやれと言われても出来んわ」という話をするしか無いでしょとか思うのですけどねえ。

というような状態なのに雇用に対する責任とか何のこっちゃという所ですし、大体からして米国だってデュアルマンデートのバランスアプローチで色々と苦労しているという状況なのにどこまで無理やらせるねんという所ではありますが、どうも安倍ちゃんに変な話を吹き込んでいる方々におかれましては日銀は全知全能の神の如くなんでも出来るのにやっていないからケシカランという奇妙奇天烈な世界観をお持ちのようでして、最早世界観が変な方に何をゆうても始まらんです罠というお話ではありますなと。


ちなみに菅さんも微妙にアレでして。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130107/k10014636421000.html
官房長官 “日銀と政策協定で調整へ”1月7日 17時48分

『菅官房長官は、午後の記者会見で、安倍総理大臣が物価上昇率の目標を2%に設定する政策協定を日銀との間で締結する考えを示していることについて、「衆議院選挙を通じて掲げたことは必ず実現する」と述べ、協定を結ぶ方向で調整を進める考えを示しました。』(上記URLより、以下同様)

いやだから政策が実質的に行われれば紙の有無って問題の本質じゃないでしょとか思うのですが、菅さんも何だか変な世界観に漬かっておられるようで誠にアレ。

しかし「衆議院選挙を通じて掲げたことは必ず実現する」と仰せの割にはこんな事案もありましたがねえ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121221/stt12122121130013-n1.htm
「竹島の日」式典を見送り 安倍自民、日韓関係改善に現実路線
2012.12.21 21:08

・・・・・・などという悪態はともかくとして、

『そのうえで菅官房長官は、記者団が「政策協定は強制力があるものとなるのか」と質問したのに対し、「基本的にはそのように思っている」と述べました。』

とのことですが、法律的に根拠の無いものを政策協定でどうのこうのとか言われましても困るがなとも思いますし、大体からして日銀に2%目標の話ばかり強調していますが、紙に落として政策協定を作るとなったら当然ながら政府側も2%目標達成に向けた施策をするという話になる訳で、そちらの方にも強制力ありますし、で、その強制力は良いのですが内閣の構成が変わったらどうなるのとか、その辺に関してもどういう考えなのだかさっぱり見えないまま「政策協定」という言葉だけが一人歩きするとかもうアホかと。

もしかして菅先生におかれましても日銀が全知全能の神で云々という世界観の信者で政府の行為とは何ら関係が無く日本銀行がホイホイと物価水準を引き上げる事ができる、とまあそういう認識でおられたりするともう何だかなあという所になるのですけどね。

いずれにせよ、2%達成とかいう話で無理ゲーの目標設定に対して何かしろと言われたら為替を強烈に円安に持って行く(少々の円安での輸入価格上昇は企業サイドが価格転嫁しないで吸収してしまうのが今の状況なのであって、輸入価格上昇をどう見ても転嫁しないと無理ですがなとなる位の円安に持っていかないと物価が目に見えて上昇はせんでしょ)か、資産価格を無理矢理持ち上げるかという話になるのですけど、それって結局の所「売却できる資産を持っている人」がウハウハになって一方でそういうの持っていない人は物価の上昇が先行して政治的フリクションが大きすぎるようにしか思えないのですが、安倍さんとか菅さんとかその辺の結末を理解して物を言っているように見えないのがオソロシスなのではございます。


○その他ニュース悪態

・馬鹿キター

政策協定繋がりでこんなニュースがあったんですけどね。

http://mainichi.jp/select/news/20130108ddm001010043000c.html
政府・日銀:政策協定に「雇用安定」 2%物価目標、時期示さず
毎日新聞 2013年01月08日 東京朝刊

『先進国の中央銀行では、米連邦準備制度理事会(FRB)が、雇用の最大化を目標に設定。12月には失業率の数値目標を導入した。』(上記URLより)

>12月には失業率の数値目標を導入した
>12月には失業率の数値目標を導入した
>12月には失業率の数値目標を導入した
>12月には失業率の数値目標を導入した
>12月には失業率の数値目標を導入した

・・・・・・・・・・・度し難い馬鹿発見。

12月FOMCの結果を報道する記事を見たらその時点でこんな書き方になっているのね毎日新聞。

http://mainichi.jp/select/news/20121214k0000m020089000c.html
米FRB:景気下支え強調 金融政策に失業率目標
毎日新聞 2012年12月13日 21時42分(最終更新 12月13日 23時53分)

『米連邦準備制度理事会(FRB)は12日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利政策を「少なくとも失業率が6.5%を下回らない限りは継続する」とする方針を決定した。』(上記URLより、以下同様)

と、最初の時点ではちゃんと書いてあるのですが・・・・・・・・

『「経済情勢と金利に明確な関係性を示すことで、政策の透明性が高まる」。バーナンキ議長はFOMC後の記者会見で、失業率などを政策目標として示す狙いを解説した。これまではゼロ金利解除について「少なくとも15年半ば」と時期を示していたが、雇用など経済情勢との関連が不透明だった。このため、今回は「1-2年先の物価上昇率が2.5%を上回らず、失業率が6.5%を下回らない限りは異例の低金利を継続する」と、目標となる経済指標の数値を明示した。』

えーっと、記者会見で「6.5%の数値は金融政策の目標数値では無い」と何度も議長は強調しておられたのですが・・・・・・・・

まあFOMC直後は確かに記者会見での説明とか質疑応答の内容とかが文書に落とされていない状況ですからこの時点で誤解する人が居るのも有り得る話だから百歩譲ってこの時の勘違いは勘弁するにしても、1か月経過して未だに「FRBが失業率の目標数値を導入」とか無知蒙昧にも程がある話で、これが日本の3大紙と言われる毎日新聞社のレベルだと思うともう何だかねという所であります。

#3大紙ではない電波浴御用達新聞もございますがそれはそれとして

毎度申し上げておりますように、あたくしが思うメディアに求められる機能というのはゴミ情報やゴミ言説をフィルタリングすることであって、いまどきインターネットを徘徊すれば玉石混交と言うか石だらけですけど色々なオモシロ情報やオモシロ言説が転がっている訳ですから、少なくとも事実誤認のまま報道するとかいう事をされると何のためにメディアとして存在しているのかという話になります(ので電波浴御用達新聞とかどこぞの新聞の事を評しておるわけですが)がなという所で、毎日新聞社におかれましては猛省を促したい物でありますな。


・ナントカな働き者キタコレ

毎度の無能なナントカさんのクオリティは相変わらずで。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130107-00001185-yom-pol
みんな渡辺氏「安倍内閣に誕生プレゼントだ」
読売新聞 1月8日(火)16時48分配信

・・・・・・・・・・いやあの経済対策で忙しい中変な法案だされましても邪魔なんですけど。

まあしかし昨日の白眉はこれでしょうな。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0801P_Y3A100C1PP8000/
みんな江田氏、日銀次期総裁に財務省OB拒む考え
2013/1/8 18:41

『江田氏は日銀総裁に求められる資質として「博士号を持ち国際的な人脈がある。市場との対話もできる」との条件を示し「財務省OBはこうした条件に合致しない」と指摘した。渡辺喜美代表も8日の役員会で「旧来型の天下り人事は認めない」と強調した。』(上記URLより)

おまえらどこのお縄一郎だと思うのですけれども、それはそれと致しまして江田先生の仰せとなる日銀総裁の資質を見ますと、どこからどう見ても白川方明総裁様の再任が適切としか思えませんけれどもどういう理屈なのでしょうか。

つーかさ、「市場との対話もできる」とかまで入れてそんな資質求めるとか誰がいるんだよという話で、そうなるとそもそも中央銀行の経験が相当長くないとまずダメですがなという話になるとしか思えませんがねえ。

と今日は雑談大会で勘弁でした。

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2013/01/08

麻生さんに任せておいた方が良いと思うのですけどねえ・・・・
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013010700289&g=eco
日銀との協定、結ぶ方向=副総理発言打ち消し−菅官房長官(2013/01/07-13:05)

大体からして本石町日記先生も指摘してるけどアコード締結するにしてもその法的根拠とか法的性格とかどうしますねんという問題とか起きる訳で、それよりも「表沙汰にしないで誘導する(というかまあ圧力を掛ける訳だが)」麻生さんの方がカウンターとしては手強いでしょと思いますけどね。表立ってこられたら「では政府との責任分担はどうするのでしょう」とかそういう話になってくる訳で、「日銀がインフレ引き上げを図る側から政府が公務員給与の給付水準を削減するデフレ政策をするのは如何なものか」とかそういう話になるだけだと思いますけどねえ(その件は日銀は言わないでしょうが^^)。

○オペ雑談

・固定金利オペの崖キタコレ

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130107.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年1月9日 2013年7月3日

オペの結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130107.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月9日スタート分) 2,430 2,430

・・・・・・・札割れキタコレという所ですが、そらまあ7月3日まで0.10%でファンディング固めますかという話でありまして、11月決定会合議事要旨で示されていますように、円高是正の為に短期市場金利水準の押し下げを図ろうというような動きも出ている(その結果として短国買入拡大10兆円を上期に打ち込むという無理ゲーが投入された訳ですが)訳で、下手したら超過準備付利金利の撤廃あるいは引き下げもという話(まあ弊害が大きいので効果がちゃんと出る確信を持って実施して頂きたい訳ですが)がある中で誰が6か月の固定金利のファンディングをしますねんという話になりますわな。

とは言いましても、このオペは折り返しの前となるオペも札割れしていまして、8000億円のオファーにはなっていますが、元のオペが3803億円となっていますので、何気に6割くらいはロールされていると思いますと結構札が入っているじゃんとも思うのですが、まあ減額ロールという結果になりましたぞなもしという所であります。

1月は固定金利オペの期落ちがこれからバカスカ到来しまして、ざっと今週来週の落ちだけでみても10日1740億円、11日8006億円、15日3207億円、16日10725億円、17日11217億円、18日4544億円となっております(と思うのですがあたくしの手元集計ベースなので期落ちの集計間違えていたら間違えですので本人合っているつもりで書いてますが内容無担保無保証でお願いします)次第で、この辺りがどう見ても悉く減額ロール(というか札そもそも入るのか位の勢い)になりますと固定金利オペの残高目標が6月末に行くのは難しくなりますわなという所で。

まあその分短国の買入を増やすとかいう話になって、更に短国利回りの低下要因になり、足元と長めの短期国債利回りの盛大なインバート状態が更に深くなる(今でも既にインバートしておりますが)というお洒落な事になるのですけどね。

ちなみに今日は3か月TBの入札ではございますが、年末は0.095%割れでの落札が続いておりまして、最初は年末要因かもとは思っていましたが、どう見ましても一時的要因ではないという状況ですので年明け後もこんな状態続くんでしょうなあという所で。


・営業毎旬報告キタコレ

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121231.htm/
営業毎旬報告(平成24年12月31日現在)

長期国債 24,078,396,939
国庫短期証券 9,562,295,823
コマーシャル・ペーパー等 2,052,555,835
社債 2,915,150,538
指数連動型上場投資信託 1,468,785,640
不動産投資信託 110,771,051
共通担保資金供給オペレーション 26,895,400,000
合計 67,083,355,829

ということで、目標が
長国24兆円
短国9.5兆円
CP2.1兆円
社債2.9兆円
ETF1.6兆円
REIT120億円

でしたので、CPも未達になってしまいましたが、まあCPは償還がある上に超短い期間の物までありまして、それこそ月末償還物を打ち込まれると買った物が速攻で償還になってしまいますので、まあシャーナイ面があるのですが、予定通りにETFとREITが未達となりましたぞなもしという所で。

2%の物価上昇目標がどうのこうのという点からすると、為替ルートと資産価格ルートを使わないといけませんよねという話で、そもそも論で言えば従来の麿先生の話のように成長力を強化して経済の基礎体力を高めて所得と物価の前向きの循環をしていくというのが本筋ではあるのは仰せの通りなのですが、それやって何年かかりますねんという事からじゃあもっと何とかせえという話であれば為替と資産価格使うしかないでしょと思われる次第。

#それによる物価上昇って一般ピープル的にはコストプッシュでオッペケペーになる話だと思う訳で、売る資産を持っていない人にとっては目先残念なお話でして、これ今は別にどうって話では無いですけど物価上昇(最初に来るのは燃料価格の上昇でしょうが)が起きた所でインフレフォビアが炸裂するのが最大のリスクだと思うのですけどまあそんな話はさて置きまして

と考えますと、まーすっかりネタにされて無いから良いようなものの、リスク性資産の目標未達(しかもETFやREITについてはその気になれば行けそうな所結局買入を行わないで未達になったのですし・・・・)というのは日銀の「姿勢を見せる」という点で如何なものかというのは引き続き悪態をつかさせていただきたいと存じます。

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2013/01/04

○ニュース雑談

・経済政策はこのお二方ですね判ります

先週金曜の夕方にはこんなニュースが。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2800S_Y2A221C1000000/
「日銀総裁、学者はふさわしくない」 麻生財務相
2012/12/28 20:02

『麻生太郎副総理・財務・金融相は28日、共同通信などとのインタビューで、2013年4月に任期満了を迎える白川方明日銀総裁の後任は「健康、組織運営、語学の3つを兼ねている人が望ましい」と述べた。学者は組織を運営したことがなく、日銀総裁にはふさわしくないとの考えを示した。〔共同〕』(上記URLより)

何となくどこぞの誰かさんを想定した発言のような気もしますが、あたくしが勝手に愚考するにどこぞの誰かさんの場合は日銀総裁に間違ってノミネートされても就任後に資産公開以下自主規制。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MFQ1V76S972J01.html
甘利再生相:日銀総裁人事、国益資すれば財務省OBも排除せず (1)
更新日時: 2012/12/28 19:00 JST

ということでどう見てもこれは武藤総裁フラグが全力で立っているようにしか見えませんが、良く良く考えたら俊ちゃんも5年間おあずけの後に総裁になった事ですし、武藤さんも同じケースということはこれは武藤さんの5年間でゼロ金利政策も解除されるのではとか無理矢理なこじつけをしてみたくなるこのあたくし(^^)。

でまあこの甘利さんの記事ですけれども、

『財務省出身者の起用については「財務省の人でもそれは適任者もあればそうじゃない人もある。朝から晩まで財務省のことしか考えないということであるならば不適任だと思うし、省益ではなくて常に国益を考えている人であればどこの省の人であろうともその人材は使うべきだということだ」と強調した。』(上記ブルームバーグ記事より、以下同様)

武藤さんが副総裁時代には日銀副総裁として尽力された事はご案内の通りですのでこれはまさに武藤さんフラグなんですが、その後にもほほうという話が。

『甘利氏は、安倍首相が日銀に2%の物価目標設定を求めていることについては「そこに向かっていく政府と中央銀行の連携と意思の強さを市場に向かって明示することが大事だ」と語った。具体的な達成時期を明示することに関しては「中央銀行と政府が物価上昇目標を掲げて何年何月までという表現をしている国は世界中にない。中長期的にそこに向かっていくとかいろんな表現、もっと幅のある表現をしている」と否定的な考えを示した。』

>中央銀行と政府が物価上昇目標を掲げて何年何月までという表現をしている国は世界中にない
>中央銀行と政府が物価上昇目標を掲げて何年何月までという表現をしている国は世界中にない
>中央銀行と政府が物価上昇目標を掲げて何年何月までという表現をしている国は世界中にない

・・・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

先週の木曜にネタにした「安倍さんの経済ブレーン」様によります電波浴とは大違いで、まあ実に常識的な話が展開されております次第でございますが、何気に安倍さん取り巻きのアレな方々がちゃっかり排除の方向になっているように見えますと申しますか、そもそも政権の中に入ったという事で元々経済政策に関してはアレな所のある安倍さんはガツンとかますのはやるけれども、実際にどうのこうのというのは麻生さんと甘利さんが主導して色々とやっていくんですね判りますというのが見えてきましたなあとかいうのが何となく判る大納会のニュースではありました。


・ほほう

大晦日の日経1面トップ記事はこちら。

http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS2900N_Q2A231C1MM8000/
公的資金で製造業支援 工場・設備買い取り
官民、5年超で1兆円 補正に計上へ 新たな投資促す
2012/12/31付 情報元 日本経済新聞 朝刊

記事内容のメイン部分が惜しくも会員向けの為時事通信のニュースを貼る。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121231-00000018-jij-pol
公的資金で工場買い取り=製造業支援で検討―政府
時事通信 2012年12月31日(月)11時55分配信

『政府が、電機や素材など国内製造業の競争力強化に向け、公的資金による工場や設備の買い取りを検討していることが31日、明らかになった。工場・設備の買い取りで企業の手元資金を厚くすることで、新たな設備投資や成長分野の育成を促し、国内雇用の維持や空洞化防止につなげる狙いだ。安倍政権が新設した日本経済再生本部で詳細を詰める。』

『工場や設備の買い入れは、日本政策投資銀行や新設する政府系機関が民間のリース会社と共同出資で設立する特別目的会社(SPC)が担う。企業はSPCにリース料を支払って工場や設備をそのまま使用し続けると同時に、売却で得る資金を設備投資や研究開発に充てる仕組みだ。』(上記URLより)

日経の記事(31日の日経本紙の方は読んだので^^)の説明を見ると手元資金云々よりも企業の設備に係る償却負担を軽減して財務負担を軽くするという趣旨だったように思えますが、まあ要するに形を変えた産業再生機構的なイメージを持ったんであたくし的にはほほうと思ったのですけれどもどうですかね。

為替誘導(しかも露骨にならない範囲内で)で円安にして製造業支援がどうのこうのという話をするよりは、まあ使う金が少ないで済みますし、企業のバランスシート調整を政府が支援という筋であればなるほどという感じ(このニュースの反応をネットで拝見するとあまり評判が芳しくないようですが・・・・・)はしますけどね。

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