金融政策概観(2013年度上期前半分(2013年04月〜06月))

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2013年度上期前半の見出し

2013/06/27「3年間でデフレ脱却??どうもヘッドラインバイアスのせいみたいだが安倍さん発言に注意」
2013/06/19「株価下落で要人発言が微妙にアレ/当座預金残高80兆円越えに」
2013/06/18「リオープン方式の手直しと物国再開に関する市場懇談会と投資家懇談会より」
2013/06/12「クレクレに屈せず筋を通した決定会合のレビューである」
2013/06/11「株式市場急反発キタコレ/決定会合雑談/早川元理事と水野元審議委員の悪態キタコレ」
2013/06/10「為替市場にボラ伝染/決定会合しつこくプレビュー」
2013/06/07「30年国債入札はセットアップ効果で堅調/さて黒田緩和直後の水準まで戻りましたが・・・」
2013/06/06「第三の矢が盛大にあらぬ方向に刺さっている件について/その他市場メモ(物国発行再開など)」
2013/06/05「本当にやりそうな勢いの報道が続くので更に2年オペの論点整理」
2013/06/04「ドル円100円割れアチャー/Tapering発言が続くわけだが/2年オペですと??????」
2013/06/03「金曜の訂正/短国買入は普通の結果に」
2013/05/31「国債買入またもマイナーチェンジ/TB入札堅調」
2013/05/30「トリプルイシュ―10年カレントで補完供給とかGCレート急低下とか」
2013/05/28「月曜の株式市場は今年2番目の下げと言われても違和感が^^/当座預金残高70兆円越えキタコレ」
2013/05/27「金曜の市場では日経平均指数中心に株が盛大に乱高下/甘利さん・・・・」
2013/05/24「超大荒れ市場のメモとかその時の要人コメントとかのクリップ」
2013/05/23「決定会合レビュー:今後はベンダーバイアスによるヘッドラインリスクが高まりそうです」
2013/05/22「日経新聞「大機小機」に盛大な死亡フラグか/債券市場が落ち着かないです/麻生さんけん制発言」
2013/05/21「米債金利上昇の円債下げに追い打ちを掛けた黒田総裁の台無し発言」
2013/05/20「中期を捌かせるオペ実施なのだが謎のオファー方式になる/決定会合プレビュー」
2013/05/17「何だか最早よく判らないが債券市場反発で5年国債入札も堅調/当座預金残高は銀行中心に拡大」
2013/05/16「水曜日の債券市場で日銀のシグナルオペ実施」
2013/05/15「更に債券売りが加速して5年が何と0.40%に金利上昇!」
2013/05/14「週明け債券市場も急落して連日の1円安/黒田総裁はG7終了後でも放置発言」
2013/05/13「ドル円100円を受けて10年0.70%も黒田総裁は放置プレー発言」
2013/05/10「ドル円が100円とか債券市場雑感とか」
2013/04/30「展望レポートが希望的観測の積み重ねになっている件」
2013/04/25「中期が今一歩安定しない/プレビュー雑談続き」
2013/04/24「MPMプレビュー雑談」
2013/04/22「短期オペを緩まずに実施して金利の上昇を抑制しています」
2013/04/19「国債買入方式変更キタコレ/入札メモ」
2013/04/18「1年オペ取りやめも相場は崩れず/当座預金残高70兆円キタコレ/懇談会は普通の話で」
2013/04/17「1年オペ連日の打ち込み/物国WG開始/今度は実務担当者との懇談会」
2013/04/16「シグナルオペ連日の実施で短期を安定化へ/引け際にわざと売り崩す売り方あり」
2013/04/15「国債買入2発実施したものの引け際の「展望レポートで物価見通し1.5%」報道で台無しの1円安」
2013/04/12「シグナルオペ2発に入札札入れ後に国債買入前倒し実施のアナウンスなどヤケクソで意思を示す日銀」
2013/04/11「中期債崩れて5年0.30%まで上昇のゲロゲロマーライオン襲来!」
2013/04/10「火曜日の相場は中短期が変調で5年またまた0.20%台で2年も甘い」
2013/04/09「月曜も相場は荒れるのでした」
2013/04/08「金曜の相場は最低金利を盛大に更新した後一転して金利が2倍に!/中原伸之さんの見識」
2013/04/05「決定会合レビューと雑談」
2013/04/03「決定会合プレビュー雑談/国会笑劇場で黒田さんは暴走気味の発言&安倍さんの発言がこれまた酷い」
2013/04/02「期初の値上げで早速インフレフォビアキタコレとな」

2013/06/27

○これはヘッドライン詐欺なのかどうか判らんが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130626-00000140-jij-pol
3年間はデフレ脱却に集中=安倍首相
時事通信 6月26日(水)18時31分配信

『安倍晋三首相は26日の会見で、中長期的な政策課題に関し、「基本的には3年間はそこ(デフレ脱却)に集中したい」と表明した。』(上記URLより)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL260SM_W3A620C1000000/
首相「今後3年間は基本的にデフレ脱却に集中」
2013/6/26 18:35

『安倍晋三首相は26日夕の記者会見で、デフレからの脱却に関して「日本は15年間デフレ経済が続いていたが、脱却するのは歴史的大事業と言ってもよく、そう簡単なことでないと認識しているし、覚悟している」と強調した。そのうえで、参院選後の政権運営に関して「今後3年間は基本的にはそこに集中したい」との方針を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URLより)

最初時事通信のヘッドラインだけしか見なかったのでヘッドライン詐欺なのかと思ったのですが、その後調べてみたらクイックでも「3年間はデフレ脱却に集中」というヘッドラインが出ているのですね。うんうん。

・・・・・・・・・えーっとですな、まあ安倍ちゃんの事ですから恐らく「デフレ脱却」というのは「景気を良くすること」という意味で説明していると思うのですけれども、このヘッドラインがそのまま海外とかに出ちゃいますと「2年で2%の物価上昇目標はどうなったんだ」という風に取られるリスクがある訳でして、もうちょっとこの辺の物言いというのは言葉を選んで頂いた方が吉かと存じます。

「物価目標2%達成」よりも手前の「デフレ脱却」を3年間かけて行うとかだと最早話が全然違いますがなという所でして、かの浜田先生はついこの前このように仰せだった訳ですし。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

数か月だったのがいきなり3年とか随分話が違いますなおいおいという所ですけれども、まあ詳しい記事を見るとこういう話になっているので・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOZV9Y6K50Y401.html
安倍首相:参院選でねじれ解消を、3年間は経済に集中−記者会見
更新日時: 2013/06/26 19:11 JST

『参院選後の政策課題としては「15年間続いたデフレから脱却をする、これは歴史的な大事業だといってもいい」と指摘。ねじれを解消した場合は「政治の安定を得た3年間、基本的にはそこに集中していく」と述べ、デフレ脱却など経済再生を最優先課題に取り組む方針を示した。』(上記URLより)

まあ憲法改正ガーとか戦後レジームの脱却ガーみたいな話はともかくとして経済優先という事を示したかった(本当にそうなのか選挙までの方便なのかは知らんけど)という事なのでしょうが、言葉遣いはもうちょっと慎重にして頂きたいものでありますな。最近の市場は米国の金融政策動向と新興国の資金フローと中国の短期金融市場などの動向に注目が行っていて、日本の話に関しては恐らくの所スルー状態になっているのでこのヘッドラインで相場が反応した気配が全くなかったのが不幸中の幸いという所ですけれども。

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2013/06/19

○その他少々人様の発言鑑賞会

・甘利さんブルームバーグインタビュー

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOKNBC6S972P01.html
甘利再生相:市場にへつらうために政策打ってない
更新日時: 2013/06/19 00:00 JST

『甘利氏は最近の株価や為替などの動きについて「市場の動きはそれ自身、もちろん大事だが、市場にへつらうために政策を打っているわけではなくて、政策の後、市場がついてくるという自信を持っていればいいと思う」と指摘した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・・・・「市場にへつらうために政策打ってない」ってまさに正論でございますな(棒読み)。


・ローゼンェ・・・・・・・・・

ローゼン閣下のご発言、ではあるのですが何かこれ文脈の中でジョークが混じっただけのような気がするんだが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130617-00000151-jij-pol
国の借金「刷って返せばいい」=財政ファイナンスを容認? ―麻生財務相
時事通信 6月17日(月)22時21分配信

まあ何ですな、そうは言いましてもジョークでも言ってよい話と超越大地雷の話がある訳で、やはり財政ファイナンスみたいな話はジョークにしてはマズーのような希ガス。


・人様の発言鑑賞とは別だが投資減税なのこれって?????

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130617-00001403-yom-bus_all
設備投資の経費算入、すべて初年度に…財務相
読売新聞 6月17日(月)22時50分配信

減価償却を前倒しOKという話なのですが、結局の所トータルの減価償却額自体は同じである訳でして、単に税効果が前倒しになるかどうかという話なので、そらまあ効果は全くないとは言いませんけれども、それこそ「朝三暮四」のエテ公じゃないんですから「初年度一括償却が出来るからさあパパ設備投資バンバン拡大しちゃうぞー」とは成らないのではないかと思うのですけれども企業経営というタイムスパンから考えて。

いやまあ一括償却が出来る額よりちょっと大きい程度の投資だと何か初年度一括が出来るのオイシイような気もするのですが、大規模な設備投資をするのに一括償却が出来るからじゃあ大規模投資しますかというとそういう判断にはならないんじゃネーノ????

このての「朝三暮四」スキームというのは投資のタイムスパンが非常に短い期間であります所の金融市場の皆様(インクルードミー!ですぞな、汗)におかれましては狙公が飼っているエテ公の如くウッキッキーと大喜びするのでありますが、残念ながらエテ公よりは判断のタイムスパンが長い人間様にはどの程度効果があるのやらというか、これを「投資減税」と宣伝するのも何だかなあという気はするんだがオラシラネ。


○さあ20日が近付いてまいりましたよ(当座預金残高関連雑談)

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節(毎営業日更新)

18日の速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130618.htm
当座預金残高 755,100

19日の見込み
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130619.htm
当座預金増減 +4,400

ということでございますが、6月20日と言いますと毎度お馴染み四半期の中長期国債償還日でございまして、20日には財政絶賛払い超になりますので大変に素敵なことが待っておりますよ!!!

上田八木短資さんのレポート(というかデイリー)である。

http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html
HOME → 上田八木レポート/マーケット情報/デイリー・シグナル

上田八木短資さんの予想ベースになりますが、上記URLにありますように20日は財政が4兆5000億円の払い超になりましておまけに貸出増加支援オペの3兆円のスタートがあるので堂々の当座預金残高83兆円キタコレという事でございまして、これでもう物価上昇率2%行ったも同然ですね良かったですね岩田副総裁様!!!!!!!!!

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2013/06/18

○PD懇議事要旨と思ったら夕方には投資家懇議事要旨もあったのでつらつら鑑賞

PD懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/20130614.html

投資家懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/130614.html

以下PD懇の議事要旨と投資家懇の議事要旨から引用するので引用元に関しては一々断りますね。

・10年債のリオープン方式の変更について

今回読んでいて鑑賞物として一番面白かったのは10年債のリオープンに関する部分ですな、あたしゃ。

『(2) 10年債のリオープン方式について

・日本銀行の金融緩和を受けて、今後、銘柄によっては、流動性が低下することも懸念されることから、1銘柄当たりの発行量を十分確保するため、市場実勢にかかわらずクーポンを同一として、強制的にリオープン発行することの是非を検討してはどうかと考えている。また、10年債の強制リオープンの是非を検討しているのは、将来のチーペストとなり得る銘柄の流動性を懸念するためである。

 この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、賛成・反対が分かれた。賛成の立場からの主な意見としては、足元のボラティリティの上昇やレポレートの高止まりを受けて、強制リオープン方式は流動性確保に資するというもの。他方、反対の立場からの意見としては、簿価分散の観点や100円に近い価格で購入できることの魅力を挙げられた。このほか、強制リオープンは他の年限にも必要であるとする意見や需給がタイトになった場合には流動性供給入札を工夫することで対応できるといった意見もあった。 

こうした意見を踏まえ、リオープン方式の見直しについて改めて意見を頂きたい。』(PD懇より)

つーことで10年国債のリオープン方式についてですが、全力賛成方向の意見はこんな感じ。まずはPD懇から。

『・10年債の強制リオープンには賛成。30年債、40年債においては、強制リオープンによって買いにくくなっているという声は聞こえるが、入札に悪影響は出ていない。3か月ごとにしっかりカーブを作ることが大事なので、年間4銘柄を希望する。

・直近ではトリプルイシュー銘柄であっても、レポがタイトな状況であり、10年債は将来のチーペスト銘柄となることを考えると、日本銀行による買入れが続く限り、リオープン方式の方が望ましいものと考えている。

・10年債の強制リオープンには賛成である。加えて、流動性の落ちている20年債も強制リオープン方式にするべきである。

・超長期債の先物が検討されているということもあるため、20年債も含めリオープンの対象にしていただきたい。ただ、流動性供給入札の改善等によって対応できるならばそれでもよい。最終的には、投資家の声を踏まえて決定していただきたい。

・流動性維持の観点からすればリオープン方式が望ましい。ただ、10年債に特定する必要はないものと考えており、20年債についても同時に考えるべきものである。しかし、性急に結論を出すのではなく、投資家行動にも影響を与える可能性があるので、しっかりと議論する必要がある。金利上昇などの悪影響が出ないのであればリオープン方式でよいのではないか。』(PD懇より)


一方で消極的な賛成とか慎重意見はこんな感じ。

『・10年債に限った話ではなく、20年債も含めた議論が必要。投資家の投資行動に何らかのネガティブなインパクトを与える可能性があることを考慮すると、リオープン方式への移行は慎重に考えるべきである。流動性供給入札である程度カバーできるのではないか。

・リオープン方式をとること自体に反対するつもりはないが、まずは流動性供給入札の対象にカレント債を加えることを検討できないか。

・必ずしも発行量の少ない銘柄だけ流動性が極端に落ちているわけではない状況を鑑みると、当局案へのニーズを感じない。投資家から特段の意見も聞かれないし、流動性供給入札で対応可能ではないか。

・証券会社の視点からすると、流動性改善に繋がる強制リオープンは望ましいが、将来の安定消化を軸に置いて、国債市場全体を俯瞰した長期的な視点からは、強制リオープンでなく、現状維持とする方がベターである。5年債及び10年債の安定消化を支えてきたのは国内預金系金融機関であり、同金融機関にとっては、強制リオープンによる簿価通算が、新たな投資機会の制限になり得る。例えば、相場下落局面においては、リオープン債購入により簿価が下落し、購入した瞬間に評価損が生じることとなり、反対に、相場上昇局面においては、リオープン債購入により評価益状態にある簿価を上げてしまう。また、計3回発行される同一銘柄に対しては、1回目、2回目の購入に慎重になることが考えられ、加えて、銘柄数の減少により、セカンダリー市場での投資機会も制限されてしまう。そこで、日本銀行の買入れによる流動性低下がテンポラリーなものであると考えると、流動性供給入札の増額等により、テンポラリーに対応するのがよい。なお、10年債リオープン方式を検討するのであれば、20年債についても同様に検討すべきである。

・消極的ながら賛成である。将来、チーペスト銘柄の流動性が低下することの影響は非常に大きい。しかし、最終投資家の投資行動を踏まえると、銘柄数が多い方が国債市場の安定に資するため、他の方法を考えるべきである。直近10年新発債のレポがタイトになるという局面があったが、例えば、日本銀行の補完供給オペ等の対応によりレポ市場の機能改善が図られるのであれば、その方がよい。ただし、そうした方法がないのであれば、強制リオープン方式に移行することもやむを得ない。

・足元で流動性が落ちていることや、将来チーペスト銘柄になる際にショートスクィーズやレポレートのタイト化が懸念されることから、反対ではない。ただ、ネガティブなインパクトが懸念されるのであれば、慎重に判断すべきである。

・強く反対する訳ではない。ただ、メリットは大きくないと考える。10年以下の年限は、セカンダリーでの売買も含めて流動性を確保することを考えれば、むしろ銘柄数の多い方にメリットがある。また、10年債は日本の金融のベンチマークになっているため、強制リオープンという形によって実勢から大きく乖離したクーポンが維持されるのは望ましくない。流動性供給入札の改善(発行額増額、日本銀行の買入対象セクターに合わせて流動性供給入札の対象年限を5年〜10年、10年超に変更すること、カレント銘柄も対象に加えること等)によって各銘柄の流動性を確保できるのならば、その方が効果は大きい。なお、10年超の年限については、カレント銘柄の売買比率が高く、リオープンの弊害は生じないため、20年債の強制リオープン方式を検討してはどうか。

・20年債も同時に検討して頂きたい。安定性、流動性はどちらも重い問題である。あらかじめリオープンという形を採るよりは、時価・簿価の乖離額が大きくない、例えば0.1%程度の差しかないような市場実勢であればリオープンにするというような柔軟な対応を一時的に導入し、影響を注視しつつ以後の対応を検討してはどうか。日本銀行の買入規模が進んだ段階で、どのような市場構造になるかを見極めながら慎重に議論を進めるべきである。』(PD懇より)


まあ色々と見解があるのですが、一番のポイントになるのは「投資家行動に負のインセンティブを与えるか否か」という部分であって、ではそもそも何でそういう事になるのかと言えばそれは「簿価通算などの会計上の問題」というのが一番デカイという話になりますぞなという話。まあ債券市場の中の人的にはそんなの当たり前の論点ではあるのですが、意外にこの辺の話って市場の外の人は詳しく無かったりしますし、あまりその手の会計制約が無い人だと実感としてワカランチ会長だったりしまして、うっかりしたら市場の人間よりも金融機関の主計部署の方が詳しいんじゃねえかという気がするんだが、つーかあたくしも判らん時には主計関連の人に聞かないとさっぱりワカランチ会長な物が多かったりする。


では投資家はどうかと言いますと・・・・・・・

『・流動性が高まるという観点からリオープンを支持する。銘柄の数については特に簿価等を気にする必要はないので、少しでも流動性が上がることが好ましいと考えている。

・年間発行銘柄数を定めたリオープン方式を行うことは問題ない。現状ではシングルイシューやダブルイシューの銘柄の需給がタイトになる傾向があり、市場参加者に安心感を与えるためにも年間4銘柄の発行がよいと考える。

・簿価通算に対するこだわりが無く、頻繁に銘柄を入れ替える投資信託も保有していないため、強制リオープンにより年間4銘柄程度発行されれば、オペレーションは十分に可能ではないか。

・いずれもメリット・デメリットがあると思われるが、どちらかと言えば、流動性を上げるためにリオープン方式の方がよいのではないか。ただ、年間1銘柄と絞り過ぎるのは問題であり、ある程度償還が分散した方がよいと思われるので、年間4銘柄がよいのではないか。

・日本国債の銘柄数は他国に比べても多いと考えており、これ以上銘柄数を増やすよりは、銘柄数をまとめて1銘柄当たりの流動性向上を図ったほうがよいと考える。

・簿価通算が制約されるという考えにも一理あるが、強制リオープンが望ましい。例えば10年債でオファーを取りに行こうとすると、最近の市場では、証券会社はレポ取引でポジションをショートに傾けたくないため、実際に保有する在庫しか買うことができない。強制リオープンにより1銘柄当たりの発行額を増やせば、証券会社のオファー能力が向上し、在庫管理も容易になることから、セカンダリーマーケットの円滑化にもつながると思う。また、リアルマネーにおけるアセットマネジメントの側面から言えば、多数の口座を保有・運用する場合、発行銘柄が分散すると運用のオペレーションが非常に困難になるため、強制リオープンにより銘柄ができるかぎり集約されれば、取引はより円滑に行うことができる。』(投資家懇より)

というのがリオープン賛成方向でして、

『・投資家としてはカレント銘柄へのニーズや簿価分散の観点から銘柄数の減少は利便性を欠くため現状維持が望ましいと考える。大幅なオーバーパーやアンダーパーの場合、投資し難くなる。また、銘柄の入れ替えニーズや市場環境に応じた柔軟な投資のためにもある程度銘柄数は維持していただきたい。

・簿価の関係もあるので銘柄はある程度バリエーションがあった方がよい。また、金利が大きく上下し、クーポンと実勢金利が乖離した場合に、リオープンが必ずしも流動性を向上させるかについては、議論があると思われるので、積極的に賛成という立場ではない。』(投資家懇より)

というのがリオープン反対方向なのですが、結局の所「簿価問題」が思いっきり主計的に問題になる業態の人以外に関しては「それよりも今のスカスカ流動性を何とかしろ」というのに加えて「銘柄が多すぎると管理が面倒なんじゃ」というニーズの方が強いという所ですな。

業者が割と慎重な割には投資家の方がリオープン賛成っぽいのが中々興味深い所で、まあ業者としては銘柄少なくてリオープンの方が管理的にも楽だし変なスクイーズ掛かりにくくなるので結構という話だとは思うのですが、そうは言っても入札で在庫を一定量持つことを考えると投資家が買わないという話になると困る罠というのもあって、それなりに慎重論が出るのはその辺の感覚も含めてという所だとは思うのですがどうですかね。

しかし投資家懇の方にある意見のように「例えば10年債でオファーを取りに行こうとすると、最近の市場では、証券会社はレポ取引でポジションをショートに傾けたくないため、実際に保有する在庫しか買うことができない。」というような状況になっている方でまあ投資家も困ったという感じになっているでしょうし、簿価がどうのこうのという話については業態によってはその辺がかつてほど五月蝿く無くなっているという所もあるんでしょうなあとも思えるのですが、この辺の見解を鑑賞していると実に味わいが深いというものでありまする。

まあ何だ、話が拡散してしまったが、「市場安定化」という観点での話をする際に、その輪番の日程がどうだこうだとかポーションがどうだこうだとか言うのも勿論無視はできないのですが、それよりも投資家行動という意味ではその行動を規制する各種計理会計規則やら諸規制というのがどういう風にワークしており、その結果としてどういう行動制約が発生しているのか、という点についての考察が必要でして、その手の話をPD懇や投資家懇だけではなく通常のヒアリングなどでも蓄積している財務省の方が日銀よりも一日どころじゃなくて百万年くらい長がありますなあと思うのでありました。

ってまあ財務省は国債市場における発行体であって、日銀はこれまで短期金融市場が主戦場だったのですから日銀はそういう事がワカランチ会長状態なのって当たり前っちゃあ当たり前なので、この辺りの対応を比較して日銀はヘッポコというのはさすがにちとカワイソスではあるのですが、直近の日銀総裁様の盛大な債券相場持ち上げ→盛大な梯子外しという攻撃を打ち込まれた後にこういう議事要旨を見せられますと益々アレですなあという感は拭えないのでありますた。


・結論は「10年債は0.2%ずれたら新銘柄」「20年債は強制リオープン」

まあご案内の通りですが。

『・7月以降の入札において、

@ 20年債については、簿価分散のニーズも限定的であったということで、完全なリオープン方式、すなわち3か月間同じ銘柄で通す形とする。
A 10年債については、今後はクーポンが0.1%動く場合でも新銘柄とはせず、リオープンとし、0.2%以上動いた場合は新銘柄にする。
B2年債、 5年債については、もともと月々の発行ロットが大きいため、現状維持とする。

 この10年債のリオープン方式については、6月償還の7月、8月の入札について実施することとしたい。9月は償還が3か月延長されることからいずれにしても新発債となる。10月以降のリオープン方式については、7月、8月の状況を見ながら、そして9月の国債市場特別参加者会合及び国債投資家懇談会において議論させていただきたい。』(PD懇より)

つまり20年債に投資する投資家的には簿価通算がどうのこうのという話はあまり関係なく、それよりもいいから流動性を何とかしろという話である一方で、10年債の主要投資家には簿価通算がどうのこうのというのが引き続き問題になるという業態がありますな、という極めて分かりやすい結果に(^^)。


・物国再開である

これも既報だがせっかくのメモなので残して置く。

『○物価連動債の発行再開について、以下のように説明を行った。

・物価連動債の発行再開に向けては、入札実施方法等の実務的な課題を検討するため、4月と5月にワーキング・グループを開催した。ワーキング・グループでは各検討課題について、一定の意見集約を図ることができたため、今般、検討結果を「最終報告」として取り纏めた。具体的内容は資料2のとおりである。

 ワーキング・グループにおいては、発行再開時期等については、PD会合や投資家懇でも議論すべきであるとされた。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際、発行再開時期は今年度下期から、発行頻度は、四半期に一度とすべきであるとする意見が大勢であった。

こうした意見を踏まえ、当局としては、発行再開について次の案を提案したい。

 ・今後、経済・金融環境に特段の変化がなければ、物価連動債の発行入札を今年10月と来年1月に行う(1月債はリオープン方式を予定)。
 ・発行額は3,000億円とする。
 ・入札方式は、価格ダッチ方式とする。
 ・10月の発行再開以降に行う買入消却入札については、1回債から7回債も対象としたうえ、買入額は現状程度の規模とする。
 ・発行再開する銘柄については、買入消却入札の対象としない。

 ・PDの応札義務・落札義務は、従来同様とする。すなわち、応札義務は、入札ごとに、相応な価格で発行予定額の3%以上に相当する額を応札すること、落札義務は、10年債と合わせた「長期国債」の区分において、直近2四半期ごとに発行総額の1%以上を落札することとする。』(PD懇より)


ということで物国再開ですなあという事ですが、消費税増税に関する判断先送りとかなったらいきなりの出オチにも程があるので、出来得れば物国発行再開時点では消費税増税に関する意思決定が終わっている事を強く希望致します。つーか増税見送りとか言われたら物国折角再開するのにいきなり最初からケチがががががが。



・市場に関する見解から少々

最近の市場に関する意見を少々引用しておきます。

『・異次元緩和以降、理由は何であれ長期金利は急上昇し、かつボラティリティも大きく上昇しているが、これには2点問題点があると考えている。1点目は、マーケット参加者のリスクテイク能力が低下したことである。これは、保有している債券の含み損益が悪化したことや、VaRが拡大したことによる。2点目は、流動性が大きく低下し価格形成機能が壊れてしまったことである。以上、2つの点から、マーケットは外的ショックに脆弱な状態になっていることを危惧している。今後は、中期財政計画や、消費税の引き上げについての改めての是非等、財政に関する政治的な局面を迎える。仮に中期財政計画や消費税の引き上げに伴う議論の中で財政規律に対する信認が低下することになれば、マーケットが不安定化し、想定外の金利上昇も起こり得るので、是非とも政治家には財政規律の信認を国際的にもアピールして頂くことを希望している。』(PD懇より)

『・日米欧の中央銀行が大規模な金融緩和による資金供給をしている中で、株高・債券高があったが、米国で出口論が出たとたん、米国債金利が上昇、新興国からフローが出始めるなど、資金の流れが変わりつつある。投資家としてグローバルに投資しているが、かなり慎重に対応しなくてはならないと考えている。実際に米国で出口がいつ来るのかを占うためには、これからの経済指標・実体経済がどうなるのかをよく見ないとならないが、そういった話をするだけでマーケットがボラタイルになる状況を見ていると、日本が今後、出口を議論する際にも、難しい状況になることが予想される。また、日本国債に関しては、黒田総裁が全体的にイールドカーブを下げるということで、金利が低下することを心配していたが、今の水準ならば投資妙味が出てきたと思っている。ただ、ボラティリティが高すぎるため投資がしにくい状態にあるので、ボラティリティの落ち着きを見計らいつつ、投資を考えていくつもりである。いずれにせよ、米国もそうだし、日本もそうだが、ボラティリティを抑える施策または市場との対話を引き続き期待したい。』(投資家懇より)

とまあそういう所で。

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2013/06/12

お題「決定会合レビューである」

えーっとですね、引け後の動きがあばばばばーだった上に結局おはぎゃーで戻ってきたようなので元々考えていたお題の題名を次の小見出しの方にせざるを得なくなったのですけれども、今回の決定会合、出た時には(少なくともアタクシの知り合い関連では)「筋を通したじゃん」だったんですけどね。

決定会合結果はご案内の通りでただの現状維持で何も追加が無かった上に結果が出たのが11時48分で昼飯ちょっと遅かったら結果に間に合って無かったわという所でした(^^)。だって何かあると思ってんだもん(言い訳)。

ということで・・・・・・・・・・・


○クレクレに屈せず頑張った!感動した!!

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130611a.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。

2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する。

@ 長期国債について、保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行う。
A ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
B CP等、社債等について、本年末にそれぞれ2.2 兆円、3.2 兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持する。』

・・・・・・・・・ということで今回は事前に散々盛り上がった報道は何だったんでしょうという事で2年オペ導入などのような逐次投入無しとなりました。事前の報道があれだけ盛り上がってもうダンディールかと思わせた上に他市場方面からはやれETFのおかわりだREITのおかわりだとゆーのまで出るわ、債券の方でも一部では2年超のオペだろというような話まで出るという大変なクレクレ状態になっておりましたというのはご案内の通りではございましたが、それらのクレクレを華麗に一蹴する今回のゼロ回答でありました。

いやまあ何ですな、不肖このあたくしなんぞも事前の盛り上がり報道にすっかり騙されまして2年オペ導入という話になってその理屈どうやって整合性付けるのか楽しみだわとか嫌味タラタラ状態でMPM結果を待っておりましたが、べき論、というか元々の政策である「2年で2%達成」「目標達成の為に必要な政策は全て投入した」という原則を崩さず、市場のクレクレを華麗に一蹴したというのは恐れ入りましたと申しますか、感動した!!という所でございまして、これは素直に評価させて頂きたいと斯様思うのであります。市場のクレクレに弱いとか悪態ついてどうもすいませんでしたm(__)m

実際問題として今回何か打ち込んだら、瞬間は市場が好感するかも知れませんが、一旦クレクレの味をしめてしまいますと市場というものは基本的にクレクレのゆすりたかり体質となるものでございまして、MPMの度に「今度はコレをクレクレ」という話になって行きましてキリがないので、今回一発目に原則を通したのは非常に宜しかったと思います。

とにかく、昨今の金融政策に関連しては日銀の政策(あくまでも政策であって調節ではありません。と申しますか現在の金利市場で言う「市場との対話」というのは現場のオペ頻度がどうのこうのというようなレベルで解決する問題ではない)に関するロジックが複雑骨折モードになった結果、この先の金融政策運営、というかありうべき金融政策の変更に対しての予見可能性が著しく低くなった事が最重要な大きな問題の一つであると思われまして、この決定によって「市場がクレクレと言ってもそう簡単にクレクレには応じねぇんわヴォケ」という意思表示が示されることによって、金融政策の予見可能性が若干なりとも改善することを望みたいと考えたりしています。景気が明らかに悪化しない限りは追加緩和政策のようなものは実施されませんね、というのが判ったかと思われます。

更に申し上げれば、クレクレを跳ね付けるだけのポリティカルリソースが黒田総裁にはあった(これが某どこぞの麿だったら同日引けの市場終値を見た政府方面や与党方面から今すぐ三途競艇で転覆してこい位は言われても全く不思議では無い訳ですから)というのがあったのでその辺通すことができた、という点は大きいなあとか思うのですが、正直申し上げて先週の第三の矢の発表以来ドタバタっぽい印象を市場というか世間に与えていた政府方面の動きも含めて、ここで態勢の立て直しが行われて非常に良かったと思った訳なのですが・・・・・・・・・・



○MPM後の反応に関してメモメモ

ただまあ当然ながらクレクレを袖にされた訳ですから為替はいきなり99円台から98円割れレベルへと1円以上すっ飛んでしまい、株式市場は現物後場寄り付き前の先物市場で13200円割れの水準(前場引け時点では13500円近辺の水準だったと思う)まで叩き落されてしまいまして、はてさて債券はどうなるのやらと思いましたが前場引けが142.79(↓17銭)だったのですが後場のスタートは142.60(↓38銭)近辺でのスタートとなり、株安債券安円高という展開に。

債券の方はと言うとそらまあシャーナイナイなのですが2年(0.13%とか)とか5年(0.3%台乗せ)とか弱くて先物とか長期債が売られて一方で超長期はまあ比較的堅調という感じでしたが、まあ今週末5年入札あるので水準訂正した方が良いともいえる所ではあってカレント0.3%台シャーナイナイという気もせんでも無い。

株や為替の方は割と値持ちしていて、ドル円98円台前半で日経平均が13300円近辺で持っていた感じでしたが、まあ案の定というかアチャーというかなのではあるのですが、今回のMPMに関しては海外投資家連中の方が無暗矢鱈と期待していたという話が多かったのを反映したのか何だか知らんですけれども、海外投資家の皆様がお目覚めになられたからかどうか存じませんけど引け近くになって株は結局また下がってきて債券も何か先物とか下げて終了。

ということでまあアチャーだった訳ですが、その後黒田さんの会見タイムになったら黒田さんの会見のせいなのか他の要因なのか知りませんが、あちこちの市場であばばばばばーという状態になりまして、あちこちの株は下がるわ通貨は訳判んねえ動きをするわ債券は米債とか2.25%とかまで上昇するわ(その後戻ったと思ったら2.3%近辺まで来てやがりましたな)で円債の先物の方もイブニングでは結構下がっていたりしたという動き。

まあ何ですな、国内の方では基本的にまあ「クレクレは甘え」という日銀のメッセージにいったん失望する動きではあったものの、そうは言っても冷静に考えてこの方が筋が通っているし姿勢がきっちりしている、という評価になっていたようなプライスアクションに見えたのですが、海外タイムになって何か諸々の要因が絡んでいるのか何だか知らんですけれども流動性低下相場があちこちに飛び火しているの図とゆーよーな感じになっているのがちょっとアレではございます。


ということでこの反応はヒドスという感じなのですがねえ。

http://jp.reuters.com/article/idJPTJE95A03520130611
円が対ドル・ユーロで上げ幅拡大、日銀の緩和コミットメントに疑問
2013年 06月 12日 03:57 JST

『[ニューヨーク 11日 ロイター] - 11日午後中盤ののニューヨーク外為市場で、円がドルとユーロに対し上げ幅を拡大している。日銀が11日の金融政策決定会合で市場の乱高下に対する措置を打ち出さなかったことで、日銀の緩和措置に対するコミットメントが疑問視され始めたことが背景。』(上記URLより)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO7XZS6TTDS401.html
NY外為:円が上昇、対ドル3年ぶり大幅高−日銀政策維持で
更新日時: 2013/06/12 04:55 JST

『6月11日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場では円がドルに対しここ3年で最大の上げとなった。日本銀行が追加刺激策を打ち出さなかったことが手掛かり。』(上記URLより)

まあ妙に期待していたからというのはあるにせよ、「コミットメントが疑問視」とかお前は何を言っているんだという所で、良く良く考えたら2年オペのネタ最初に言い出したのロイターでしたから(自主規制)なのかもしれませんが、ちょっとねえという後講釈になっております罠。



○とはいえボラティリティー高めたり流動性上げたりしているのは異次元緩和以降な訳で

まあ何ですな、ここで態勢がやや立て直しモードになったのは結構な話とは言いましても、市場の方はと言いますと円債に始まった流動性低下ボラ上昇モードが円株から為替から海外の株やら通貨やらにまで飛び火しているような感じでして、もちろん日銀だけではなく、FEDのTaperingトークや5月に威勢よく利下げして次もありそうな勢いで話をしていた筈のECBが急に日和モードになったとかいう形で、金融政策の先行きの予見可能性が全体的に不安定化しているというのが大本の背景としてあるんじゃネーノというのは皆様もご同意頂けるのではないかと存じます。

とは言いましても、そもそもの発端はジャパンの異次元緩和で、その後海外金融当局が(米国は別ですが)あちこちで追加緩和政策を実施してワールドワイド的流動性ヒャッハー相場になってしまった所に黒田さんの梯子外し攻撃で債券市場とのコミュニケーションに齟齬が生じてきゃりーがマーライオン相場が発生してそのゲロが日本株式市場からゲロゲロと伝染してしまいましたなという話ですから、まあ槍玉に挙げられてしまうのはシャーナイナイではあります罠。

で、まあ日銀は先週までに見られていたドタバタ感(まあ2年オペに関しては外野が勝手に騒いで勝手に盛り上がった訳ですから日銀的には貰い事故みたいな面もあるのですが、第三の矢公表以降の政府の動きがあまりにもアレ)から態勢立て直しになって、「余程経済状況が悪化しない限りは追加緩和なんぞ知らんがな」という事になって金融政策の予見性が再び高まって来たのではないか、と思われる所(ではあるのですが、会見の方のヘッドラインの出方がまた悪意成分がありそうなのが遺憾という話を後で書きます)なので、そーゆー意味では少しマシになるかもしれないなあとは思っていますけどね。

つまりですね、日銀の異次元緩和のロジックが最初に言っていた話である「イールドカーブ全体に強力な低下圧力を掛ける」だの「長期金利の低下を促す」だのという話が「ああ長期金利を低下させるんですね」というメッセージとして捉えられるものだったのに、株高円安になって「状況が改善すれば金利が上昇するのは自然」だの「実質金利は低下している」だの言いだしたのがロジックの揺らぎと受け止められてジャパンの債券市場があばばばばーのきゃりーがマーライオンになった次第という話でありまして、さらに今回の2年オペ云々の話もそうなのですが、最初の時点でのボタンの掛け違いによって「黒田日銀は何をしでかすか判らん」という予見可能性の低下に繋がって、それがボラ拡大と流動性の低下につながった、という話でありまして、正直言って0.6%から先の金利上昇(すなわち5月の頭以降ですな)ってオペの技術論でどうこうという問題ではないと思うのですね。

そこに来てFEDのTapering(しかもその前の5月1日のFOMC声明文では資産買入のペース縮小と拡大の両にらみの文言が入っていたのに・・・・・)に直近ではECBが軽く梯子を外しに来る(と言いましてもドラギ先生の場合は「うちはボラを与えないようにやっています(キリッ)」と言っているのは昨日ご紹介した通り)とか、金融政策の方向性などについての予見可能性が低下しているのでボラ拡大流動性低下であばばばばーという動きになっている、というのが今回の特色という事でしょうかねえ、まあアタクシの解釈が合っているかは自信全くないですけどね。

しかしまあ何ですな、金融政策の予見可能性が少々落ちたという背景からこれだけワールドワイドなゲロゲロをやってしまうというのは逆から考えますと「どんだけ金融政策依存の資産市場なんだよ」という事でもありまして、そらまあ逆さ絵オヤジもガス抜きTaperingをしたくなる罠と思う次第ではございます。何にせよオソロシスではありますの。

・・・・・・で、念のため申し上げますと、これで株が下がったり円高に振れたりしたのを見て次回会合でやっぱり2年オペ導入とかなってしまいますと(他に外部ショックだのあるなら別ですけれども)元の木阿弥どころか市場催促での追加策やっぱりねえとなりますので元の木阿弥以下になってしまうので注意が必要ではあろうかと思います。


○ということで前振りがアホほど長くなりましたが声明文比較

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130611a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130522a.pdf(前回)

決定事項に関する部分は先ほど引用したとおりですのでその後から。

・景気現状判断:総括判断は持ち直しに引き上げキタコレ

『わが国の景気は、持ち直している。』(今回)
『わが国の景気は、持ち直しつつある。』(前回)

キタコレ(・∀・)!


・現状判断需要項目別:海外を微妙に下げて生産を引き上げ

『海外経済は、引き続き製造業部門に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている。そうしたもとで、輸出は持ち直しつつある。』(今回)
『輸出は、海外経済が昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かうもとで、下げ止まっている。』(前回)

・・・・・・・・・・えーっとですね、これ前回の「昨年来の減速した状態」という表現があるのが曲者で一見すると上げているのか下げているのかがヒジョーに分かりにくいのですけれども、良く良く見ますと「製造業部門に緩慢な動き」というのを出している上に、「全体としては」という毎度おなじみのヘッジクローズが入っていますので、これ微妙に引き下げですね。

『設備投資は、非製造業が引き続き底堅く推移するなか、全体としても下げ止まりつつある。公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、引き続き底堅く推移している。』(今回)

『設備投資は、非製造業が引き続き底堅く推移するなか、全体としても下げ止まりつつある。公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底堅さを増している。』(前回)

ということでここは変化なし。

『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は持ち直している。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。』(前回)

つーことで生産の判断は引上げ。

金融環境・物価に関しては特段の変化はありませんが比較引用。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっている。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっている。』(前回)

こちらも全文一致。


・ところで予想物価上昇率って・・・・・・・・・・・

実は最後にこんなのがありますけれども。

『予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる。』(今回)
『予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる。』(前回)

前回から入りました予想物価上昇率云々なのですけれども、これ金融経済月報の本文とか図表の方に解説があるとは思うのですが、どこからどう見ても前回決定会合以降BEIって盛大に縮小しているように思えるのですが、どちらにその「上昇を示唆する指標」とやらがあるのかおじちゃん頭が悪いからワカランチ会長であります。

・・・・・・・・・ということで、何かこの辺りの文言を拝読しますと大本営発表の香りが漂ってくるという鑑賞の仕方をするのが正しい(嘘)ヲチャーとしての有り方ですなうんうん(大嘘)。


・先行き見通しの文言だが

『先行きのわが国経済については、金融緩和や各種経済対策の効果もあって国内需要が底堅さを増し、海外経済の成長率が緩やかながらも次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、次第にプラスに転じていくとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、マイナス幅を縮小したあと、次第にプラスに転じていくとみられる。』(前回)

物価の所は先般の東京都区部物価指数に示されたようにプラス転換が見えてきたので「当面マイナスを縮小」というのを取っ払っていまして若干の上方修正とも言えますが、そもそも2年で2%を目標にしているので見通しのオンラインですよという所でしょう。

経済の所ですが、国内需要に関して「底堅く推移」が「底堅さを増し」となっているのは普通に上方修正になるのですが、その一方で「金融緩和や各種経済対策の効果”から”」というのが「〜”もあって”」という文言に代わっておりまして、つまりこれは金融緩和や各種経済対策の効果以外のファクターが国内需要の底堅さを増す要因として考えられるという事を意味するのですけれども、はてさてその「もあって」の所に該当するものは何なんでしょというのがあたしゃーワカランチ会長でしたけどどうなんすかね。


・リスク要因以降は全文一致

透かし読みをして確認したので自信を持って「全文一致」と申し上げます。つーことで以下は今回分だけ引用。

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済や新興国・資源国経済の成長力など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

ちなみに木内委員の提案も前回と全く同じです。

『(注)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』


つーことで、総括判断とか上がっているのですが、ファクターを見るとそんなに大きく判断変えるほどの話かねという感じでもありまして、まあ総じて言えば直近の展望レポートや金融経済月報で示した見通しにオンラインで乗っているというような話だと思われまして、まあそうだとすれば追加金融緩和政策の実施というのは話としてロジック崩壊を招くことになりますので実施しない方が政策ロジックとして筋が通っていますねという話ではございますなという事で。


○会見詳しくは今日の要旨を見てからですけれども、ヘッドラインバイアスを見ると色々注意が必要ですねという話

でまあ会見の時間以降に各市場があばばばばーになっておりまして、どこからどこまでが総裁会見の影響なのか知らんですけど、まあヘッドラインを見るとうーんという感じではあるのでメモ気味に書いておく。

これはブルームバーグの記事ですけど。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO7XS66K50Y501.html
日銀総裁:「必要になったら検討、現時点で必要ない」−1年超オペ
更新日時: 2013/06/11 18:28 JST

『6月11日(ブルームバーグ):黒田東彦総裁は11日午後、定例記者会見で、同日開いた金融政策決定会合で期間1年超の資金供給オペ導入を見送ったことについて、長期金利のボラティリティ(変動)が足元で低下していることなどから、「今のところそういう必要性はない」との認識を示した。一方で「将来、必要になったら検討する」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・なんかこの書かれ方だと「じゃあボラが上昇したら2年オペを実施するのか」みたいな印象を与える訳でして、「必要な措置は全て打った、クレクレは甘え」という印象を与えた今回の決定の効果を思いっ切り下げてしまうような感じなのですが、これ実際に会見要旨を見ると印象が違ってくる可能性もある(というか多分黒田さんの事だから「クレクレは甘え(キリッ)」が本旨だと思うのですけどねえ)のですけれども、最初にベンダーヘッドラインが出てくる方が先なので、ヘッドラインでこういう書かれ方をされるという辺りをもう少し考えた言い方をした方が良いかも知れないと思いますし、受け取る方もベンダーヘッドラインを見て一々反応しすぎない方が良いかもしれません。

例えばブルームバーグだとこの辺のヘッドラインってね・・・・・・

JBN:16:37*日銀総裁:長期金利の動向を注視している
JBN:16:38*日銀総裁:将来必要になった時は検討する−1年超のオペ
JBN:16:39*日銀総裁:現時点では変動率低下し必要ないと結論ー1年超のオペ
(昨日のブルームバーグニュースヘッドラインです)

というような感じになっていましたし、共同通信がベンダー向けに出しているヘッドラインの中で日銀総裁会見詳報というのがあるのですがそこの詳報8とかね・・・・・・・

KYO:17:58 日銀総裁会見詳報8 中銀は金利全体に相当影響与えられる
(昨日共同通信がベンダー向けに配信したニュースのヘッドラインです)

という風に、もう共同通信さんったら債券市場の人間が(#^ω^)ピキピキってなるツボをよく心得ているんだからお茶目ねえという風情の素敵なヘッドラインを打ったりしてまして、前回の総裁会見でも申し上げましたが、どうもベンダーヘッドライン的には「市場にボラティリティーをまき散らす黒田さん」という絵がオイチイようでして、黒田さんの発言の中からそういう部分をヘッドラインに打ってくる傾向が更に顕著になってるなあという印象を受けた次第。

まあこういうの勘弁して欲しい所ではあるのですが、そうは言いましてもベンダーも商売でしてヘッドラインとして「おいしい」所を取りたくなるバイアスというのが掛かるのは致し方ない面はありますので、受け止める方もそうなのですが黒田さんも余計な一言(さっきの共同さんのヘッドラインだって別に発言していない事を書いている訳では無いでしょうから、まあ黒田さんが一言多いんですよねえと思うのですよ)言わないようにして、特段決まっていないのならばドラギ先生のように「テクニカルには準備が出来ているし道具立てとして揃っていますがネバープレコミットですが何か?」という形で対応する方がエエンデネエノという気はするのでありました。


○貸出増加支援制度云々

MPMの結果が出るのとほぼ同時だったか直後だったかという感じでしたがこんなリリースが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130611a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施予定

『貸付実施の通知日時 2013 年6 月18 日(午前9 時30 分)
貸付日 2013 年6 月20 日
貸付日における貸付予定総額 31,519 億円
貸付先数 70 先』

はあそうですかという所ではあるのですが、オペレーション要綱

http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm/
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領

を見ましてもイマイチどういう段取りなのかワカランチ会長なのですけど、貸出実施の通知日時の1週間前に実施予定が出るという建付けなのか何だかよく判らんぞなもしという所です。

まあ貸付限度額自体は要綱の中にありますように、

『(1) 当該貸付先による平成24年10月から12月までの各月末における貸出(政府に対する貸出、地方自治体に対する貸出ならびに金融機関等および預金保険機構その他の別に定める公的法人に対する貸出を除く。以下同じ。)の残高の平均額に対する、貸付毎に別に定める四半期の各月末における貸出の残高の平均額の増加額 』(基本要綱より)

となっていますので事前に限度額判っていますし、審査期間とか事務的な面とか考えたら1週間くらい前に出るのは別におかしくは無いのですが、タイミングとしてMPMの直後に出てきて、しかもMPMでは市場のクレクレにゼロ回答という「クレクレは甘え(キリッ)」という毅然とした姿勢を示している所ですので、ここで「3年物の貸出をやっていますよ〜」というのを同時に近いタイミングで出すというのは何か変な配慮みたいな印象を与えて正直言って如何なものかという気がしましたけどね。まあ厳しい言い方を敢えてしますと小賢しいって所っすかねえ。別にこれはこれで既に決定した施策を通常通りに実施するというものなのですから、こういうタイミングでは無くて普通に淡々と出せば良いのであって、わざわざMPMの発表にぶつけるような形に(結果的かもしれないが)なっているというのもどうなんでしょうかねえと思いますけどね。しかも今回は事前のクレクレがあった訳ですから何とも間が・・・・・・・・・

#なお、これら関連の貸出で今年度末の残高が13兆円(12年度末比10兆円近くの増加)を見込んでいたりするのですが進捗どうなってましたっけとか気にしてはいけません^^;

とまあそんな所でありました。

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2013/06/11

何でまたよりによって維新と連携模索になるのよ・・・・・・・・
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00247726.html
安倍首相ら、維新の会の山田 宏氏と会談 参院選後の連携協議か(06/10 20:59)

それはそれとしてブラード総裁は物価目標主義者(とにかく物価重視)だけにこういう話になるんだろうなあと思いつつ内容は暇なとき(たぶん週末)に読む。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO6LL56TTDS201.html
米セントルイス連銀総裁:低インフレが緩和長期化を正当化
更新日時: 2013/06/11 04:10 JST


○いやあ毎日ワケワカランチ会長ですなあ(市場雑談メモ)

・株式市場キタコレですが

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO5DMQ0D9L3501.html
日本株ことし最大上げ、米雇用伸びや円高一服を好感−全面高
更新日時: 2013/06/10 15:32 JST

REITだけ上がってないんですけどそれはそれとしまして(−−:

米国の雇用統計がてきとうに良かったので各市場勝手に好感してヒャッハーは良いのですけれども、またまた引け近くに先物が暴れて、今回はこれまでの引け際叩きおとしではなくて引け際にウェールズとなって高値引けするわ現物引け後に更に上がるわと何やっているんでしょうねえという所っすけど、まあ昨日の場合はこれまでの動きと違って日中に上げたり下げたりするのではなくて日中ひたすら上昇モードという感じでしたので、そのあたりはちと違うかなと思いましたが良く判らんので詳しい人に聞いてください。

まあ何ですな、ここまでの下げが過激だったから戻りも過激なのかもしれんですし、今日のMPMに何か期待しているのかもしれんですけれども、まーそうは言いましてもMPMでの何かの期待がという話がベースにあって為替とかもそういう話をしているとなりますと、これは日銀何かしないと許さんという市場のクレクレ状態になっておりまして、はてさてどうなるのでしょうかねえと存じますですけどにゃ。


・債券市場の方は上がったり下がったりですが・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO0GDP6JTSE801.html
債券は上昇、日銀政策期待で中期ゾーンに買い−先物は限月交代
更新日時: 2013/06/10 16:03 JST

朝は下で寄った後に何故か上昇しまして10時10分に輪番が無くてしょぼーんとなってなのかどうか知らんけどまた下げたのですが、後場途中からまたまた上昇して引けとかになっていたようですが、何か正直何でそうなったのかがサパーリワカランチ会長な展開。店頭は閑散みたいだったようですけど何でまたこうホイホイと振れたんでしょうかねえまあいいけど。

為替の方も昨日は上がったり下がったりやっていまして、日中の振れという意味では昨日は株式市場の方は(終値前日比で言えば凄い動いたのですが)意外に大した事なかった感があります(一方通行だったから)けれども、債券と為替は何かまあ昨日の特に前場はやたら振れていた印象が(後場はお疲れなのか途中大人しい値動きでしたが)。

ということで、少しは落ち着きだしているような気もしますが、はてさてどうなるんでしょうかねえ。


○早川元日銀理事のブルームバーグインタビューなど

そんな昨日の相場にこんなのがありましたが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO0GBX6JTSES01.html
異次元緩和はばくち、株安は政権へのイエローカード―早川前日銀理事
更新日時: 2013/06/10 12:53 JST

『6月10日(ブルームバーグ):前日本銀行理事の早川英男富士通総研エグゼクティブ・フェローは、足元の円高・株安は安倍政権に対するイエローカード(警告)だと述べた。また、日銀の異次元緩和は良く言えば実験、悪く言えばギャンブル(ばくち)であり、それにより長期金利が振れるの当然で、日銀はじたばたすべきではない、と語った。』(上記URLより、以下同様)

異次元緩和で長期金利が振れるのが当然というのはまあそうなんですけれども、何せその前に散々っぱら長期金利どころかイールドカーブ全体に強力な低下圧力とか吹きまくっていましたから、その部分での梯子外しがまあ問題になっておりまして、中々じたばたすべきではないと言いましてもその前の段階で間違えていたので難しい論点ではございます。

『早川氏は7日に行ったインタビューで「仮に、参院選後に経済構造改革をないがしろにし、憲法改正などという方向に走ったら、今はまだイエローカード1枚だが、今度はレッドカード(反則で一発退場)が出る可能性がある。その時は株価はもっと下がる可能性がある。一番怖いのは長期金利の反乱だ」と言明。アベノミクスの鍵を握っているのは「黒田東彦総裁ではなく、やはり安倍晋三首相だ」と述べた。』

でまあここだけ読んでいるとケチョンケチョンに見えてしまいますが良く良くその後を見ると別にそこまでケチョンケチョンな訳でも無い。ブルームバーグは過激な見出しやリードをつけるのを自粛すべきだと思いますけどねえ。

『早川氏は「株価は異次元緩和前の水準に近づいているが、昨年秋に比べればまだ高いし、為替は円安水準だ。ギャンブルとしては今のところうまく行っている方ではないか」と指摘。「もともと大胆な金融緩和は成長戦略までの時間稼ぎだったと考えれば、十分時間は稼いだし、政権の支持率は大きく上がったので、成長戦略に取り掛かるためのポリティカル・キャピタル(政治資本)は相当蓄えることができた」と語る。』

そうですな。

『その上で、金融市場が不安定化している背景について「恐らく1つは、安倍首相が参院選後、蓄えたポリティカル・キャピタルを成長戦略ではなく、憲法改正などに注ぎ込むのではないかという心配が底流にずっとある」と指摘。「期待を込めて言えば、市場の警告を真剣に受け止め、参院選後にやるべきことをやれば、これも決して悪くないということになるが、逆方向に行くと大変なことになる」と話す。』

まあそうじゃないですかと思うのですが、先ほどありましたように維新との連携とかまたぞろ憲法改正関連ですかそうですかというのが安倍ちゃんェ・・・・・・・という所ではありますな。


しかししらっとこの辺がケチョンケチョン。

『日銀は4月4日、量的・質的金融緩和を導入し、2年を念頭に2%の物価目標の実現を目指すと宣言した。日銀のチーフエコノミスト的な存在である調査統計局長を2001年から6年以上務めた早川氏は、その実現可能性について「全くそんな感じはない」と語る。』

あちゃー。

『日銀は4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、生鮮食品を除く消費者物価の前年比が15年度までの見通し期間の後半にかけて「2%程度に達する可能性が高い」と表明した。早川氏は「恐らく日銀の見通しが民間の見通しとこれほどかい離したことはない。前から展望リポートは願望リポートと言われていたが、まさに願望リポートになってしまう。日銀エコノミストにとっては結構大変だと思う」という。』

ということで、中々はっちゃけているインタビューでございましたのでネタに。


・ちなみにご紹介してませんでしたがこんなのもあります(3週間前の記事ですいません)

もと日銀という事ではこんなインタビューもあったのですがネタにするタイミングを逸していましたので、せっかく早川さんのネタが出たのでご紹介。

http://toyokeizai.net/articles/-/14043
グローバルな視点を欠く異次元緩和
水野温氏・元日本銀行審議委員に聞く(上)
2013年05月22日

http://toyokeizai.net/articles/-/14046
上昇した実質金利の低位安定化が急務
水野温氏・元日本銀行審議委員に聞く(下)
2013年05月22日

上下版だわ合わせて11ページ組だわとなっておりますが、(上)の最初の2ページくらいでエールを送っているように見えるのですがその後段々ケチョンケチョンになっているのが味わいが深いというものでありまする(^^)。つーかこの時期黒田総裁が「実質金利が低下している」を連呼している中だったので(日付をご確認あれ)で「上昇した実質金利の低位安定化が急務」とかこらまた手厳しい(^^)。

何せ11ページもあります(と言っても一問一答なので読むのがしんどい訳では無い)ので内容に関してはまあ読んで味噌という事で。

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2013/06/10

うーむ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130608-OYT1T01131.htm
平均年収?総所得?首相「150万増」コロコロ
(2013年6月9日13時19分 読売新聞)

いやね、朝日とかがこのネタ報じているならふーんなのですけれども、読売がこういうトーンの報道というのがちょっとビックリ。

○市場雑談とかまあそんなのを

・円関連の為替市場まで流動性低下病が伝染ですかねえ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO0Z6E6S972N01.html
NY外為:ドルが上昇、予想上回る雇用増で緩和策の縮小観測
更新日時: 2013/06/08 06:56 JST

えーっと、実際は雇用統計出た瞬間に94円台までドル安になってうひょーとなってたら次の瞬間には反転して96円台とかもう無茶苦茶な動きをしておりました訳で、木曜のドル円も急に値がすっ飛んだのですけれども金曜のドル円も何が何だかさっぱりワカランチ会長な値動きをしておりました。

日本の株式市場、というか日経平均がそうなっているという感じではありますが、ご案内のように株式市場の(日経平均インデックスの)値動きがやたらとチョッピーになってきたのがここの所の傾向ではございましたが、先週の中盤からはドル円まで値動きがポンポンすっ飛ぶようになってまいりまして、とにかく円関連の市場があちこちで流動性低下症状というか日中ボラティリティーの急拡大というか、そういう症状が起きておりまして甚だ遺憾の極み。

まあボラが全然ないとそれはそれで困りますが、しかしながらこの調子でポンポンと日中の値が動きまくりの飛びまくりとなりますと、みなさん手を出しにくくなりますし、ある程度のロットが捌きにくくなるという状況になるので何かあった場合に色々と問題が発生すると思いますけどね。で、結果からの後講釈になりますけれども、このハイボラティリティー蔓延状態を生んだのってちゃんと詰めないでとにかく派手な施策を打ち込んでしまった上に、ロジックがちゃんと詰めてないから金利が上昇した時に総裁が梯子外し発言をして債券市場のボラを更に高めた結果がこの有様ですよマッタクモウという所でして、明日の定例会見でその辺の考察をして頂きたいとは思いますが、まあどう考えてもあのおじちゃんそういう反省しないでしょと思うので期待薄。


・債券市場では謎の10年(?)売りだった訳だが

金曜の債券市場はまあ当然ながらドル円おはぎゃーの影響で上昇スタート。でまあ輪番オペのオファーも行われまして結果は以下の通り。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130607.htm
国庫短期証券買入 35,510 10,001 0.003 0.004 72.5
国債買入(残存期間5年超10年以下) 16,045 5,004 -0.049 -0.041 2.6
国債買入(残存期間10年超) 7,450 3,001 -0.035 -0.030 100.0

短国買入の方はまあ良いとしまして輪番オペですが結果は強くなりまして、ここもと輪番やると毎回強い所まで入るという格好になっているのですが、一つには業者もこのボラ高いたか〜い相場でポジションをそんなに拡大できないから入れる玉があまり無いという上に、株式市場もボラたかいたか〜いで昼飯挟みのリスクが更に意識されるとゆー所で、その辺あまり気にしなくても済むような投資家札が無いと札が全般的に引き気味になるということでしょうな。

でもって輪番の結果がウヒョーという感じだった上に、後場寄りから株式市場が一段のゲロゲロモードになったので、後場寄りは堅調スタートになったのですが、12時40分とかその辺だったと思うのですけれども、突如先物が下がったと思ったらさらに下がって垂直落下となりまして、何だ何だという感じでいましたが、どうも10年とかの気配が盛大にうんこになっておりまして、どう見ても10年(か9年か知らんがその辺)売りです本当にありがとうございましたという風情(ちなみにGPIFさんの中期運用比率がどうのこうののニュースの前だったのでそのニュースやニュースを受けた株価急反発とは別だと思われ)。

でまあ金曜の引けは先物の当限が9銭高(先限は1銭高)で超長期の引けは2毛強で5年の引けは1毛強なのに10年の引けは1.5毛甘という大変に素敵な引けになっておりましていやもう何だかねという所です。


・株式市場も大暴れでしたな

何故か記事の本文が消えていますが。

http://jp.reuters.com/article/idJPT9N0EF02D20130607
GPIFの中期計画の変更について午後3時から説明=厚労省
2013年 06月 7日 13:25 JST

金曜日の後場にこの発表が出て株式市場では(金曜は日経平均とトピの前日比の値動き率の乖離が終日酷かったのですよ、日経が強い方向での差がデカス)一旦値を戻して前日比プラスキタコレとかやっていたのですがまたまたここ数日と同じ傾向で引けに掛けて急に叩き落されて結局日経こそ前日比0.21%の下げで済んでいましたがトピは1.29%の下げだわ東証1部は上げ229銘柄の下げ1443銘柄だわと中々のアレな相場。で計画出たら株先下がっておりましたが・・・・・・

新興市場とかも大変にアレな状態とかになっておりまして、何かもう以前の債券市場大暴れもビックリというような暴れっぷりでこら困ります罠と思うのですけれども・・・・・・・・・


○「追いまくられてる」感を出さないようにした方が良いと思いますが

まあ先々週土曜の「2年物固定金利オペ」辺りからそうではあったのですが・・・・・・・・・・

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0601Q_W3A600C1000000/
法人減税「検討対象に」 官房長官
2013/6/6 17:09

『菅義偉官房長官は6日午後の記者会見で、成長戦略に盛り込んでいない法人税減税が「検討対象になっていく」と述べた。「国際競争に勝てる環境を政府が整備することが大事だ」と語ったうえで、政府の経済政策として法人実効税率の引き下げも議論するとの見通しを示した。』(上記URLより)

いやまあ法人減税は期待されていた話ではあるので出ること自体は市場的には結構なお話ということになるのですけれども、「第三の矢」を打ち込んだらその矢が盛大に空振りで株価が盛大に下がってしまった後から後出しでこういうのが出てくるというのは、市場の方からすると「株価が急落して慌てて決定していないものを後出しで出してきた」という風にしか受け止めない訳ですよ。

でまあ金曜のGPIFさんの件につきましても、まあこういうのを今日の今日とかで決められる話では無いですし、しばらく前からその手の観測報道もありましたように、まあ予定通りの行動だったのかもしれませんけれども、「今日の15時から発表します」とか唐突に午後に出てくるわ、しかもそのお日取りが丁度為替市場がぶっ飛んでおはぎゃーになった日だったわという風になりますと、そういう意図が無くても市場の方は「政権の中の人たち必死だな」という風に受け止めてしまいます罠という所です。

つーか更にこれですし。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE95800G20130609
秋に成長戦略第2弾、思い切った投資減税決めたい=安倍首相
2013年 06月 9日 12:01 JST

いやね、市場的には投資減税とかも施策としては打ち込んで頂きたい類のものだと思うので、そういうの出すなという話じゃないのですけれども、何かもうこの前出した第三の矢に対する反応が良く無かったら急に打ち出した的な印象を受ける訳でして、「この政権は市場の催促に弱い」という風に見られると市場と言うのはドンドン催促をしてくるものでありまして、もうクレクレ状態というかゆすりたかり状態になってくるとキリが無いですがなと思いますので、ここもと出てくる動きは何だかなあというかちょっと懸念ではありまする。


○どうでも良い話ですが

・米国市場関連

雇用統計の反応は分からんですな。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO1EZF6VDKHS01.html
米国債:下落、雇用統計受け量的緩和縮小の観測継続
更新日時: 2013/06/08 06:58 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO10JX6S972801.html
米国株:続伸、雇用統計を好感−S&Pは2日間で1月来大幅高
更新日時: 2013/06/08 06:45 JST

為替と債券VS株式で反応が違うのですが結局どっちですねんという感じだが、まあ量的緩和拡大ペースの縮小(ベンダーとかでも普通に「量的緩和縮小」とか書かれていますが、実際には買入拡大ペースの縮小であって、量的緩和自体は拡大が続く、という点についてすっかり忘れて反応してねえかという気もするんだが)観測の方が読みとして合っている希ガス。つーか景気判断以外の部分でのペース縮小を意図しているように見えるのですけどね、この前のローゼングレン総裁の講演もそうですがもうちょっと前のウィリアムス総裁の講演もそうですし。

たぶん欧州テールリスクを懸念される中でQE3打ち込んでみたのは良いけれども、テールリスクがだいぶ下がった所でふと気が付けば今の買入ペースがそもそも多すぎだったという認識が共有されているような気がするのだが、というのは先週も申し上げましたな。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO151D6VDKHU01.html
グリーンスパン氏:FRBは資産購入縮小を−行動開始は必須
更新日時: 2013/06/08 01:19 JST

『グリーンスパン氏は7日、経済専門局CNBCに出演し、「FRBのバランスシート上にある過剰水準の資産への対処は、早ければ早いほど良い。誰もが過剰との見方で一致している」と指摘。「縮小開始の時期だけでなく、政策転換の時期も課題だ。当局がこれを実行するために望む裁量の余地全てを市場が与えてくれるわけではない」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・お前だけには言われとうないわと逆さ絵先生が言い出しそうですな(^^)。


・浜田先生ェ・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE95608920130607?sp=true
インタビュー:アベノミクス心配ない、法人減税不可欠=浜田参与
2013年 06月 7日 19:08 JST

まあどうでも良いのですけれども。

『──名目金利上昇を抑えるために日銀がやるべきことはあるか。

「日銀が長期国債を買えば長期金利を下げる直接の効果がある一方、インフレ期待も高まるので、実質金利が同じであれば、名目金利は上がる。国債を買えば買うほど債券が安くなるということにもなり、それを防ぐためには国債だけでなく、いろいろなものを買えばいい」』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・・色々な物を買ったらさらに名目金利が上がるような気がしますがまあいいです。


・山本先生ェ・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MO0DYC6TTDSB01.html
自民・山本氏:1ドル110円もおかしくない−通貨供給量拡大で (1)
更新日時: 2013/06/07 17:13 JST

『山本氏は、日銀の黒田東彦総裁に対しては「批判とかいろんな中傷も含めて言われるかもしれないが、そんなことに一切、耳を傾けるな、断固として命がけで決めたことをやっていくんだという姿勢だけ示しておけばいい」と指摘していることも明らかにした。』(上記URLより)

・・・・・・・・・いやまあ仰りたい意味は分からんでも無いのですが、前例のない異次元政策を実施しているのですから、実施した政策が本当に有効なのか、効果よりも副作用が大きくないのかという点については本来「走りながら考えていく」という手法が必要なのでありまして、「批判に一切耳を傾けるな」ってあーたその政策が100%無謬であるという前提になっていて何というアレな話と言うか、黒田さんには「断固として命がけ」って命掛けさせるとかいやまあいいですけどね。

とは申しましても、何せ今回の場合、最初の時点で黒田さんも「必要な施策は全て実施した(キリッ)」って大見得切った訳ですからして、山本先生の仰るような態度で進むほうが筋は通っております次第でございまして、わずか2か月にして2年オペの実施などと言うような「耳を傾ける」ようなことはなさらない方が吉ではないかと思いますがね、うひょひょのひょ。


○更にどうでも良いが2年オペ打ち込みの理屈ってどうするんでしょうね(棒読み)

まあ報道各社のあの調子ですと明日は2年オペがどのような形で打ち込むのか知りませんけれども、実施するという話になるんでしょうな。でまあ予想としては打ち込みが行われると致しまして、はてさてそのロジックがどうなるのかというのが楽しみであります(棒読み)。

まあ大体先日来書いておりますのですが、良く良く考えたら今月って普通に考えると経済物価情勢に関する現状判断を引き上げるか横ばいかという話になりますし、先行き見通しに関しても特段下げる話も無い上にこの前出た東京都区部のCPIは大方の予想よりも良かったという状況でありまして、経済の現状判断や先行き見通しを下げる訳にも行か無い中で「追加金融緩和」を行うというのがそもそもロジック的に無茶です罠。

勿論物価見通しを下げれば追加緩和できますけれども、それはわずか2か月前に「2年で2%」「必要な手段は全て取った」と標榜した事の自己否定になりますのでそれは無理(逆に言えば物価見通しの低い木内審議委員と佐藤審議委員は2年オペに賛成する理屈があるというのが皮肉な話)ですよねという話。

つーことで、まあ追加金融緩和と称して2年オペを打ち込むのはロジック的に恥ずかしい事この上ないので、そうなると「オペレーション上の施策」として「マネタリーベースの拡大を円滑に行う為の施策」とか何とか言って実施するんでしょうけれども、それにしても2年で2%とかの整合性どうするんでしょうねえという所で、逆に展望レポートで強気の物価見通しを出している政策委員の皆様におかれましてどのようなロジックで賛成するのかというのを議事要旨が出た時にニヤニヤしながら鑑賞したいというものでありまする。

つーことでまあ予想としては2年オペ実施なのですが、べき論的にはどうかねえというか、先ほどの政府の醸し出しているドタバタ感と相まって「政策催促するとドンドン追加が出てくるで〜」という印象を与えてしまい、クレクレ相場の連発が今後行われて非常に見苦しい展開になるのではないかとまあそういう懸念があるのです。

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2013/06/07

ドル円があばばばばー(追記:一時95円台とか無茶苦茶な動きになったのです)で皆様おはぎゃあございます(−−;

#ちなみに公共放送ニュースは5時も6時も7時もトップがドル円ですよ

○市場メモ雑談

・短期市場関係雑談

3MTBである
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130606.htm

(3)募入最低価格 99円98銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0802%)
(4)募入最低価格における案分比率 20.7890%
(5)募入平均価格 99円98銭0厘2毛 (募入平均利回り)(0.0794%)

ということでアベレージは0.080%割れでして、0.080%の刻みの所で切れるという形になりまして、引き続き堅調な訳ですが・・・・・・・・

東京レポ・レート
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

日証協はエクセルだけじゃなくてPDFか何かのデータ(別にHTMLでも良いけど)も出すべきと思いますがまあそれはさて置きまして、またまたGCレポレーとはTKRRで観測できるように絶賛低下しておりまして、これはまあ物無芳一であるという状況の下で業者の在庫がスッカラカンの中でGCで金を出したい人は普通にワサワサと居ますねいう状態なのでこういう現象が観測されるのですが、10日に短国発行が2本(水曜の新発6Mと昨日の新発3M)あるのでそこで若干需給が変わってレポレート上がるかもとか思ったのですが、良く良く考えたら入札が2発入った直後のこのタイミングでまた日銀が高性能掃除機の如くバキュームオペを打ち込んでくるので需給は少々アレな状態が続くということですかわかりません><;

つーか20日になると償還が来てその時の市場の位置しだいだけど待機資金になるとまたGCとか短国のニーズががががという事でしょうかねえ。何せCPも発行があまり多くない(と思うのだが単に体感的な印象で書いているので本当に集計取ると違うかも知れん)せいかレートがアガランチ会長どころか低い所で収斂して低位安定の助となっておりますもんで、短期市場は今日もゼニウナール状態であるという事でありました。


・30年国債入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul017.htm

(3)募入最低価格 100円35銭 (募入最高利回り)(1.881%)
(4)募入最低価格における案分比率 3.4188%
(5)募入平均価格 100円67銭 (募入平均利回り)(1.865%)
 
昨日は前場もせっせとセットアップ状態で、どこまでセットアップしますねんとか思っておりましたら、足切り水準は大体市場の事前予想辺りで落ち着きましたのですが良く見ると平均の方が割と堅調な水準でして、そらまあ前日までも含めて超長期散々セットアップしたんだから落ち着いた入札になれよとゆー所でしたがセカンダリーが堅調だったのか何だか知らんけど超長期その後フラットニング(と言っても20−30はスティープしてますが)してましてまあひとまず安心というかそらあれだけセットアップして更に弱かったら勘弁という感じでしたが。

#おじちゃんよく判らないのですが何で昨日は4年辺りの引けが甘いの???って売りが出たんでしょうが


○振り出しに戻るモードですがさてどうする(決定会合プレビュー与太話)

ご案内の通り昨日の株式市場では日経平均株価途中では13000円の所で妙に抵抗して反発したりしていましたが、引けに掛けて失速して結局12904.02円とかになっていました。つーかトピックス対比で日経が無暗矢鱈と堅調だったのはアレは何ぞという所ですが。

まあ大体4月5日の水準近辺まで戻った訳ですがなどと言っているうちにドル円まで円高になって参りましたが、良く良く考えてみれば異次元緩和を打ち込む前にはトピは1000くらいでしたしドル円は93円位でしたし日経は12000円そこそこでしたし、そこから見たらまだ異次元緩和ローンチ直後のスタート時点に戻ったに過ぎないのであります(キリッ)。

・・・・・・・・・・ということで振り出しに戻った割には金利ちゃんの方だけ異次元の上昇をしておりまして、誠に異次元にも程があるわとかただの金利上げ損じゃねえかヴォケなどというようなことをいうのは信心が足りませんので注意しましょうという風情ですが、そういやBEIの縮小昨日はやっと止まって居ましたが拡大したBEIも縮小しやがりましたなあ(棒読み)などという事は言ってはなりません。

まあこうしてみますと、債券市場的な言い方(などと偉そうに申し上げていますが、別にあたくしが市場なのではなくて債券市場の中の人として考えた場合にやっぱりこういう感じなんだろうなあというのを市場の中の人とかとの雑談を元に勝手に組み立てているだけですので念の為ヘッジクローズを長々と入れさせて頂きます^^)をさせていただきますれば、ドル円が100円突破して長期金利の上昇がおっぱじまった5月10日(10年金利で0.590%→0.695%)の引け後にロンドンだか何だかで黒田総裁が金利上昇に対する放置プレイ発言をしたのがどう見ても失敗でしたよねという話。

改めて鑑賞してトサカに来たい皆様はこちらをどうぞ(^^)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf

つまり、あの時点でもう少し「無秩序な金利上昇が起きないように注意する」とか言っておけば債券炎上初期段階だったのでその後のきゃりーがマーライオン相場にならなくても済んだかもしれない(済まなかったかも知れないけどさ)ということでありますし、結果からしてみたらあの時の一連の発言によって債券市場には「黒田総裁は所詮為替市場とか株式市場にしか興味が無くて金利に関してはどうでもいいと思っているだろう」というような不信感が生まれてしまったという事になっており、その不信感とそれ以前(異次元緩和ローンチ前も含む)の金利を下げる云々によって起きた黒田総裁への期待との落差がねえと思うのでありまする。

だいたいこの手の不信感って一度発生すると中々消すの容易では無いですし、大体からして市場との対話云々とかゆうとるけど別にその手の会合にオッサン出てくる訳でも無いですし、オペ手段改善で何とかしましょうという話だけなので、「チッうっせーな、反省してまーす」ってな所なんでしょどうせなどと言ってしまうのは日頃から世間的にどマイナーな世界に生息して僻み根性が強くなっているからですねどうもすいませんすいません。

・・・・・・・てな悪態はともかくとして、株価どころか為替まで何か振り出しに戻るモードになって参りまして、辛うじて4月4日後の水準にはありますものの、これは何とも残念無念という所になっておりますので、益々追加緩和クレクレ圧力が高まってくるものと思料されます。例えばこの話とか。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNYJAP6KLVRA01.html
東証REIT指数が一時急落、日銀が次回会合で買い増し見送り報道で
更新日時: 2013/06/06 15:08 JST

「見送り報道で」ってその報道したのおまいらじゃねえかという気はしますがそれはさておき、何かもう2年オペといいクレクレモードになって参りましたのが誠にアレ。

でまあ何か2年オペに関しても続々と「導入を検討」という報道が相次いでおりまして、堀がすっかり埋まって大坂夏の陣の如き風情を醸し出しておる所ではあるのですが、何せ「実質金利は低下しています(キリッ)」とか言ってたBEIも急降下して元の木阿弥近辺になる(物国の引けを何で見るかでちょっとズレる)状況で為替も株もこの有様となりますと、益々クレクレ軍勢が押し寄せて大変に素敵な状況になるという所です罠。

・・・・・・・んーっとね、本来的に言いますと、「2年で2%達成のためのツールは全て投入した(キリッ)」と言ったのに足元の状況見て急に追加打ち込むとかドタバタ感が拭えないですし、さらには黒田さんが散々Disっておられました「戦力の逐次投入」モードに戻る話ですし、その上市場のクレクレに対応して(ちなみに2年オペって市場参加者懇談会みたいなのではそういう意見出てたと報道されていましたが、じゃあ市場が全体としてそれが無いと死んじゃうというような話でも無いと思う、まあその時の2年金利とかの上がり具合にも依存するけど)早速追加施策を投入となりますと、今度は「市場のクレクレに一々対応する」という非常に残念な展開が見えて参りますので、本来のべき論から言えば「2年で2%達成に向けて着実に進んでますよ、東京都区部のCPI見ましたか皆さん(キリッ)」と堂々と構えておけばヨロシとは思うのですよね。

ただこの雰囲気だと何かやらないと市場(って債券と言うより他の市場)が許さんという感じになりつつありまして、さてどういう反応をするのかというのを生温かく見守りたいと思うのであります。まあ債券は何かやるよりも「梯子を外して正直スマンカッタ」の一言で良いような気もするんですけどねえ。

ということで、何の雑談にもなっていませんが、要はこの調子だと為替市場や株式市場の軍勢が雲霞の如く押し寄せてきて外堀内堀埋めて大坂夏の陣モードになるんですがさてそこで平然としてられるのでしょうかねえ難しいんじゃないですかねえ、というのが結論なのでした(べき論は先ほど申し上げたように別ですけど)。

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2013/06/06

今朝は「経済指標が弱くて株安」なのですか何だか良くワカランチ会長ですね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNX6506S972Q01.html
米ADP民間雇用者数:5月は予想下回る伸び、増税など影響
更新日時: 2013/06/05 22:59 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNXSD36TTDS001.html
米国株:続落、S&P500は1カ月ぶり安値−統計が予想下回る
更新日時: 2013/06/06 05:23 JST

○第三の矢がどうのこうのというメモ

まあ今にして思えば月曜のモーサテで大田弘子さんが出てきて全力のドヤ顔で「大衆薬のネット販売解禁が目玉政策」とか言ってて見てるこっちは???だったのですがその違和感を大事にすべきであったと思うのでした。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNW45N0YHQ0X01.html
日本株は大幅反落、成長戦略失望で午後崩れ−金融、電力中心
更新日時: 2013/06/05 15:57 JST

『6月5日(ブルームバーグ):東京株式相場は大幅反落。米国金融当局の量的緩和政策の縮小観測が引き続き重しとなる中、政府の成長戦略第3弾に対する失望も加わった午後の取引で崩れた。金融株を中心に、電機など輸出関連株まで幅広い業種が下落。安倍首相が電力システム改革法案の成立に意欲を見せた影響で、電力株は大きく売られた。』(上記URLより)

・・・・・・ということなのですが、実際には安倍さんの講演(下にURL置いときます)が出た当初は威勢よく株式指数が上昇(日経平均ベースで100円超ホイホイと上昇してた)して為替も円安に振れていたのですが、途中から急に失速しだしまして、その後さらに下がってあばばばばーという感じになって、またまた下げの非のお約束のように日経平均は引け成りだか何だか知らんけど、最後の最後に値段を飛ばして引け前の持ち直しを全部飛ばすの巻という展開。

そんなあばばばばーな相場の中で某4755だけは前日比プラスで推移していてプラスで引けた辺りが(9984もプラス推移してたけどさすがに最後はマイナスになってた)実にこう何と申しますかまあどうでも良いです。

つーことで、まあ選挙前なのにそんなややこしい調整が必要なもの出るのは難しいと思う訳でして、何を期待していたんでしょうかというのと、そもそも最初の所では上昇で反応していたっちゅーのも良くワカランチ会長で、失望で崩れたという絵は描きやすいですけれどもどうなんでしょうかね。まあちょっと吹き過ぎて変に期待を煽り過ぎた所に、まあ事前に報道されていたものと同じ程度だったので何か隠し玉があるとか過大に期待してた分が剥落したとかそういう事ですかねえ、良く判りませんけど。


安倍ちゃんの講演はこちら。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0605speech.html
平成25年6月5日 安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」(内外情勢調査会)

ふーんという所ではあるのですが、金融屋としては誠に残念なお知らせが少々ございますな。

最初の『1.健全な成長サイクルへ』の『(新たな朝を迎えつつある日本経済)』ですけどね。

『振り返れば、世界では、90年代後半から、IT革命と金融資本が世界の成長をリードし、経済のサービス化が進みました。しかし、富の分配までを金融が支配する、「行き過ぎた金融資本主義」は、2008年、リーマンショックで挫折しました。』

Oh・・・・・・・

まあ内容については話が色々あって何がどうなのかとかよー判らんですけれども、規制緩和とかの話はしているのですが、前半の部分が産業政策ちっくな感じがするのが少々気になるなあと思ったのだが気のせいでしょうかね。


で夕方には素案が出ているようですが手抜きでニュースの方だけ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNWXYJ6JTSEC01.html
名目3%、実質2%の成長率目指す−10年間平均で、成長戦略素案 (1)
更新日時: 2013/06/05 19:17 JST

『6月5日(ブルームバーグ):政府は5日夕、成長戦略の素案を公表した。安倍晋三首相が同日の講演でも表明した国家戦略特区の創設や規制緩和などを盛り込んだ上で、国内総生産(GDP )成長率について今後10年間の平均で名目3%、実質2%程度を目指す方針を示した。』(上記URLより)

・・・・・・・・えーっと、これ以前からこういう数字が出ているから驚きはないのですが、今後10年間で「名目3%、実質2%」だと日銀の出している物価安定目標との整合性が無いように思えるのですけれども何かあたくし計算間違っていますかねえ????????

つーか日銀に物価目標2%を打ち出させて、じゃなかった日銀が打ち出していますし、しかもその2%って2年程度で達成という話をしている筈なのですが、その一方で名目3%だと実質1%近くになるような気がして仕方ないのですが、これだけ堂々と出されますと書いてるあたくしの方が何か盛大に勘違いをして恥を晒して回っている可能性があるのかなと思いつつ書いているので皆さん教えてジェネラル!

ちなみにブルームバーグだけではなくロイターも「名目3%、実質2%」と仰せで。
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE95406U20130605
今後10年の平均で名目3%・実質2%成長目指す=成長戦略素案
2013年 06月 6日 01:44 JST

まあ何だかよく判らんので本職の人が色々と評価するのを見たいですし、大体からして今回の成長戦略に関してはまた参議院選挙終わって(普通に与党が勝つでしょうという前提の下)本格的なものが出てくるんでしょという期待はしておきますけどね。


○市場雑談メモ

・6M入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130605.htm

(3)募入最低価格 99円95銭9厘 (募入最高利回り)(0.0818%)
(4)募入最低価格における案分比率 99.9345%
(5)募入平均価格 99円95銭9厘 (募入平均利回り)(0.0818%)

ということで0.08%レベルで決着となりまして、先週の3か月が物無芳一状態での入札で平均が0.08%割れとなりましたが、月末のレポあばばばばー状態は一服してまあやや穏当な結果にはなったのですが、さてこの0.08%台前半というレベルでどの位まで超過準備付利を超越したニーズ(日銀非当預先のニーズだけで充足するとはさすがに思えないのですが)が入って来るのかというのはまあ今日の3Mとその後の展開を見るという所ですかね、よー判らんけど。

ただまあ短国買入もせっせと実施されている訳でして、そういう状況も勘案すると短国の金利って上がっても限界あって、当座預金残高が増えてくる中で超過準備付利を超越したニーズも段々高まるのではないかとか考えますと方向性としては金利がホイホイ上昇というイメージも中々起きませんなあとゆーことで。


・物国発行再開関連

昨日の朝の金融ファクシミリ新聞で出ていたと思ったらロイターが続報を。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE95402I20130605
政府が物価連動債の発行再開で最終調整、今秋にも3000億円
2013年 06月 5日 13:27 JST

『[東京 5日 ロイター] 日本政府は5日、物価連動債の発行再開に向け最終調整に入った。複数の政府筋が明らかにした。まずは今秋に2000─3000億円発行することを目指し、銀行や証券会社などの関係者と協議を本格化させる。』(上記URLより、以下同様)

キタコレ!

『現時点で有力なのは今年10月に3000億円、来年1月に3000億円をそれぞれ発行する案だ。新たに発行する物価連動債は元本保証するタイプに切り替える。また、課題である流動性を確保するため物価指標との連動係数を細分化し、取引が成立しやすい環境を整える。初回利率は0.1%に設定し、「価格ダッチ」と呼ばれる方式での入札を想定している。』

ということでして、具体的な時期とか額とかが出てくるというのは(金ファクさんの所でも10月に3000億円とかいう話はありました、念のため)これは従来よりもやる気元気井脇な感じでございますな、うんうん。

しかし連動係数の細分化とか元本保証タイプという事になると、プライマリーディーラーだけではなくて投資家サイドの方でも色々と準備をしないといけない話になりますので、10月に出すなら出すで可及的速やかに商品詳細を公表して頂かないと「手対応になるのでお許しを」という所が続出して残念な事になりますので一つその辺をよろしくお願いしたいものであります、などという話は発行当局は先刻ご承知の助だとは存じますが一応書いてみる。


・輪番とか超長期とか

昨日は輪番オペの打ち込みが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130605.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,000 2013年6月7日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 5,000 2013年6月7日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 5,000 2013年6月7日

中期と超長期でしたが結果は強め。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130605.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,803 2,002 -0.004 -0.003 41.0
国債買入(残存期間3年超5年以下) 19,719 5,005 -0.030 -0.022 29.2
国債買入(残存期間5年超10年以下) 16,995 5,005 -0.029 -0.017 81.5

1〜3年以外の結果が堅調となりまして、後場の寄りから先物が上昇して始まった訳ですが、その後株式市場がご案内のようにあばばばばーとなる中で債券先物ちゃんは143円を奪回したのですけれども、引け際20分ちょいの所から失速するわ超長期はうんこだわという展開になりまして、どんだけセットアップするねんとゆー事ですか分かりません><;

まーとりあえず本日は30年国債の入札で、この後超長期ゾーン対象の流動性供給入札が来週の火曜日にあって再来週の火曜日に20年国債入札なんですが(その間に来週金曜に5年国債入札があるぞな)何か買いが来ればホイホイ強くなって入札を意識するとホイホイ弱くなるとか、中々落ち着きませんなあという所ではありまする。

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2013/06/05

○引き続き2年オペ関連雑談というか

日経も昨日報道しておりましたようで。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC0301K_T00C13A6EA2000/
低利資金を長期供給、日銀検討 金利上昇抑制へ追加策
2013/6/4 1:35 情報元 日本経済新聞 電子版

『金融市場の動揺が続くなか、日銀は長期金利の上昇を抑えるための追加策の検討に入る。0.1%の低利資金を金融機関に供給する期間を現行の最長1年から2年以上に延長するのが柱となる見通しだ。金利が急上昇した際に日銀が長めの低利資金を提供して金融機関に余裕を持たせ、国債を買いやすくすることで、金利上昇を抑える狙いだ。』(上記URLより)

ということで何かロイターに続いて日経も報道しておりましてさあ盛り上がって参りましたのかどうか知らんですが、昨日何となくああだこうだ書いたのですが、更に追加で論点とか考えてみたので整理してみる。


・アナウンスメント効果はあるでしょうけれども

共通担保資金供給オペレーション基本要領
http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo33.htm/

こちらのオペ実施要綱にあるように1年以内の貸出が可能なのですが、これを例えば2年にするとかいう形にして、かつその固定金利方式(ちなみに固定金利方式の金利は『貸付日における誘導目標金利(本行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準をいう。)を貸付利率とする方式』なのですが、2010年10月5日に誘導目標水準をバンドにしたので固定金利方式の特則が出ていて0.10%となっております)を実施すれば2年で0.10%の資金供給が出来ますよという話で、何となくこれによって2年までの金利が超安定しそうな感じに見えますし、金利が上がりにくくなってくるように見えます。

でまあその「ように見える」というのが重要でして(^^)、そーですねとか思うと長期金利が上がりにくくなりそうに見えるので他市場が好感するでしょう(まあ色々とファクター有れども株価がど天井つけて下がった所では10年金利1.0%であばばばばーというのがあった訳ですから長期金利と関係ないとは言わせない)ということで、そーゆー意味でのアナウンスメント効果はあるでしょうなあと思われる次第。

ついでに言えば、「追加緩和の投入」という話になりますからして、米国様が量的緩和拡大ペースの見直しがとか言ってる中での逆方向という話ですから為替市場にはそれなりにアナウンス効果がある・・・・・筈なんですが最近の動きは単に米国長期金利ドリブンで訳わからん動きをしているだけのような気もするので良くわかりませんな。まあでもアナウンス効果とゆー意味では実は金利市場よりも他の市場に効きそうな希ガス。

しかしまあ何ですな、反応係数は為替ですかそうですかとか嫌味の一つも以下自主規制。


・実際は「とりあえず一発打っておしまい」になりそうな気がするのだが・・・・・・・

まあ別に2年に延長するならどうぞという感じではあるのですが、じゃあ実際にこの2年オペをバカスカ打つのかという事になると色々な意味で実際に使えるのか怪しげな部分がありますがどうなんでしょうねえという気はします。

まずそもそもの実需がどの位あるのかという点に関しては昨日も申し上げましたが、これって基本的に銀行勘定のALMマッチング位しかニーズが無い(もちろん2年の金利が上昇した際には鞘取りニーズが発生するかもしれませんがそれはそれでそもそもオペを実施できるのかという論点があるのは後述)ですし、大体からしてALMマッチングだったらわざわざ担保繰りを2年間FIXしなくても円金利スワップなどもある訳で、はてさてそんなにニーズあるのかいなというのは正直謎。まあMPM後に1発打てば1兆とか2兆とか札は入ると思う(根拠レス)のですけれども。

ということで実需があるのかがそもそもアレなのですが、それを言い出せばドラギの大爆笑先生のびりーぶみーだって結局発動してないのですから、まあ抜かずの宝刀であっても宝刀があるのと無いのでは話が違いますからして、宝刀を授与しておく、という選択は別にあっても困らないので宝刀を授与するの決定しても別にエエンチャイマスカ位なのがまあ実際にその辺の参加者のニーズを勘案すると判断される次第で、これ正直制度が出来ても別に短期の人たちはふーんよかったですね(棒読み)で終了して、短期から遠い所でウヒョーと盛り上がる(かどうか知らんが)という話になりそうな悪寒。「世界で使えて自宅で圏外」ですなうんうん。


・ディレクティブとの整合性について

えーっとですな、これ昨日も申し上げたのですがもうちょっと敷衍してみますね。

これはこの前のMPMの声明文。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130522a.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』

こちらにありますように、実際問題として金融政策決定会合では毎回「次回金融政策決定会合までの金融う市場調節方針」を決定しているんですよ。つーかそうじゃなかったら毎回MPMやってる意味が無い訳ですけれどもね。

つーことは、実際に金融市場局に対して委ねられている方針は「次回の決定会合までの金融調節」ということですからして、本来的に言えばそれを大きく逸脱するようなオペレーションを金融市場局の一存で実施できてしまうという政策の建付けというのは如何な物かという話になる筈であります。

これ現在は金利誘導になっていないからまだファジーになっているのですけれども、例えばの話そろそろ金融緩和解除しないと行けないという判断を政策委員会が行おうとしている中で、金融市場局がここで解除すると世間がうるさいから止めましょうとか勝手に判断して0.10%固定金利オペ2年物を大量に打ち込んでしまうとかいうような幕僚勝手に暴走装置を組み込むことになるので、共通担保オペという通常オペレーション手段にそのような装置を組み込むのって本質的には現在の制度の建付けとあまり整合的では無いという話っすな。

まあそれを言い出すとじゃあ1年は良いのかとかという話になりますが、確かに金利誘導を普通に実施している世界では基本的にオペの期間って3か月以内というかだいたい数週間から1か月半程度で、期末期初だけ期末資金のニーズに対応で少し早めに打つとか、そういうのが一般的な運営になっていましたし、そもそも固定金利じゃなくて金利競争入札方式だったらその辺は別に問題がそれほど大きい訳ではありませんぞなもしという所で、そもそも1年オペでも通常的に実施するものかというと違いますよね(特に固定金利方式)という話ではないかと思われます。


・2年で物価目標達成との整合性

これは昨日書きましたので繰り返しになりますが、そもそも「2年で物価目標達成」という話をしている中でそのケツの期間を大きく上回る固定金利資金供給をして良いのか(今なら兎も角今後の話ですけど)という話であって、逆に「日銀は2年で物価目標達成を見込んでいないのか」という誤ったメッセージを与えるリスクも無い訳では無いと思いますけどねえという話ですな。


・2年金利が上昇した時に本当に2年オペが打てるのかという論点

まあこのオペなんですけれども、「短い所の金利が上昇した時に金利上昇を抑制するのに使う」という話だと思うのですが、じゃあ短い所の金利が上昇した時に本当に2年オペが打てるのかという話もあるのですよね。

つまりですな、その金利上昇が経済物価情勢を踏まえた形での金利上昇だった場合、2年間の0.10%での金利での資金供給によってその上昇を抑制しよう、という行為は先ほど申し上げたディレクティブとの整合性という問題にかかわる話になると思うのですよ。

もちろん日銀サイドもそんな時に2年オペを実施するというのではなく、何らかの形で市場が経済物価情勢を逸脱というかチョー先走りというか、そういう形で動いてしまってあばばばばーとなった時にあばばばばーを回避するために宝刀炸裂という話になると思うのですけれども、じゃあ実際問題として金利上昇という現象に対してそれがどっちなのでしょうというのも分かりやすい時は良いのですがワカランチ会長な時もある訳でして、意外にこれ実際に適用するのって政策の有り方とかを整合的に考えた場合には難しい話なんですよね。


・ロジカルには????ですがロジカルじゃないですから(^^)

とまあつらつらと再考してみましたが、よーするに実需があるかどうかがそもそも怪しげな上に政策論としての整合性を取って運営するのが必ずしも楽な話ではない、という割と怪しげな宝刀になるのがこの2年固定オペという事になるのですけれども、何せ異次元緩和以降って何かその辺のロジカルさがどこかへすっ飛んでおられるのではないかというのがまあ先般来のシャッチョーさんのご発言であったりするのでして、まあロジカルにこの辺の話をゴリゴリ詰めていくと色々と事前に決定すべきことはあるだろうと思うのですが、輪番オペの実施方法と同様に今回もその辺を全然詰めないで現場にマルナゲータとなるのではなかろうかと斯様妄想するこのあたくしでございましたとさ。

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2013/06/04

きゃりーぱみゅぱみゅ効果の凄まじさを実感する月の始まりでしたな(違)。

○市場関連メモ

・ドル円がおはぎゃー

ほうほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNU2A16TTDS001.html
NY外為:円が対ドル上昇、99円台−緩和縮小観測が後退
更新日時: 2013/06/04 05:12 JST

東京の夕方もドル円100円飛び台までやったのですがきっちり跳ね返していたのですが、ISM製造業でぶち抜けて98円台までやって戻るの巻となったんですかね良くわかりませんが。

まーご案内のように日経トピともに4月の緩和打ち込み直後の水準まで戻ってしまいましてドル円もその後を追うの巻となっておりまして、今日の株式市場がドル円に反応するのかNY株式に反応するのか知らんけど、少なく見てあと日経で500円少々、まあ1000円程度下がったら異次元緩和ローンチ前の水準に株が下がる(ドル円は94円から95円辺りなのでまだ糊代がありますけど)という事になってしまいまして、一方でだいぶ下がっては来ましたが10年金利は0.80%(まあ円高株安になったらもう一発金利低下するでしょうけれども)近辺とかゆー話でありまして、何と申しますかまあいいです。

#まあドル円は5月が無かったことになったと思えば良いだけの話なんですけどね


・オペ関連雑談メモ

例によってオペの確認。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130603.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,000 2013年6月5日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 5,000 2013年6月5日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年6月5日

中短期を今回何故か2本立てにしているのですけれども、昨日の場合は株式市場を受けまして(他にも理由があったっぽい)債券市場が堅調推移していましたので、普通に1年〜5年でオファーをすると残存1年の所(このゾーンちょうど月末のインデックス大幅長期化に伴い売りが出ている筈ですし)の札ばかりが入ってしまう事になるので、それではマズーという事で年限を2本立てにしたんでしょうかね、まあ良く判りませんけどその辺は気を使った(債券市場に気を使ったのか、単に1年どころばかり打ち込まれると平均残存が短くなってしまうからそれは困るという気の使い方かも知れませんけどね!!)のすかねえという気はしました。

でまあ結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130603.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,558 2,002 -0.001 0.002 34.0
国債買入(残存期間3年超5年以下) 21,278 5,003 -0.030 -0.022 21.4
国債買入(残存期間10年超) 6,254 2,002 -0.025 -0.020 99.3

中短期の輪番の平均が両方とも若干実勢より弱いかも知れないですけれども、まあ別に想定の範囲内の世界で無問題ということで堅調になったのか、株式市場がご案内の通りのあばばばばーになったから堅調になったのか存じませんが、その後も債券市場はキタコレとゆー展開になってましたし、何気にここの所中期債がやたらと堅調に推移しているというのが中々心温まる展開ではあるのですが、その件に関しては補足を下に。

しかし0.4%やってた5年カレントが0.3%割れまで一気に駆け上がる(昨日の引けは0.295%)というのはちょっとうーん何ですかねえ来週入札有るんですけど大丈夫かなあという気はするが来週の事は雇用統計出てから考えれば良いですね分かります。

なお、今月の輪番ですけれども、四半期末月は利付国債の利払いに関わる振替停止期間がございますので、日程的にかなりタイトで入札の前日とかもホイホイ輪番が入って結果として入札が強いレベルで実施されるリスクとゆーのがございまして、まあ強くても売れれば良いのですが、強すぎで業者の持ちになっちゃうとまたぞろ余計なボラの元を呼ぶので、運営は中々難しい状況が継続するんでしょうなあと思われる所です。



・こういうのはちゃんと中身を見ないとベンダーバイアスに引っかかる可能性がありますが

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNTS8N6TTDU001.html
米アトランタ連銀総裁:今夏に資産購入縮小を検討か
更新日時: 2013/06/04 01:59 JST

『6月3日(ブルームバーグ):アトランタ連銀のロックハート総裁は、今月以降に米連邦公開市場委員会(FOMC)が月間資産購入(850億ドル)のペース減速を検討する可能性があると述べた。ロックハート総裁は3日、米経済専門ケーブル局フォックス・ビジネス・ネットワーク(FBN)のインタビューで、「ペース減速を検討できる時期が迫りつつあると考えている」と述べ、「それは6月の会合を意味しているわけではない。ただ、素晴らしいとは言えないが前進している景気の勢いというものに応じて、資産購入の縮小を真剣に考えることができる時期に差し掛かってはいる」と述べた。同総裁は今年、FOMCの議決権を保有していない。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は訪問先ストックホルムで米金融当局の債券購入プログラムは向こう3カ月の間に縮小が始まる可能性があり、年末までに終了することもあり得ると発言した。』(上記URLより)

ここまでトークが盛り上がるとは・・・・・という感じでして、俊ちゃん時代の地均しの推移を改めてチェックしないととか思っているうちにあれよあれよとゆー推移ですが、FRBもかつての俊ちゃん時代の地均しを参考にしているのですかねえとか思いつつ昨今のテーパリングトークを見るのでありました(ということでネタは続く)。


○2年オペの実施観測ねえ

まあ金曜も堅調だったのでただの流れなのかも知れませんが、昨日はこんなのも話題になってましたようで。

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0EC2VW20130531
日銀、次回決定会合で金利安定のため期間2年以上の資金供給議論へ=関係筋
2013年 05月 31日 23:53 JST

なんじゃこの関係筋ってという所ですがまあそれは兎も角として。

『[東京 31日 ロイター] - 日銀は長期金利の乱高下を抑制するため、現在1年以下に限定されている資金供給オペの期間を2年以上に延長することを議論する。今後の市場動向を踏まえ、早ければ6月10、11日開催の次回金融政策決定会合で具体的な検討に入る。金融機関による国債購入をしやすくすることで、長期金利の変動を抑制し、景気回復に水が差さされるのを防ぐ狙いがある。複数の関係者が明らかにした。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・・ふーんという感じですが、「金融機関による国債購入をしやすくする」ってあーたそれポートフォリオリバランス効果狙いの真逆の話じゃないのかと思う訳で、この関係筋とやらがロイターにそういう説明をしているんだったらちょっとあんさん大丈夫かという所ですが、まーこれは幾らなんでもロイターの記者が勝手にそう解釈しただけと言う風に思います、というか思いたい。

#仮に実施した時に大真面目に「金融機関による国債購入をしやすくする」とか言い出したら不肖このあたくし爆笑の発作を起こして笑い死にするかもしれないので勘弁してちょ

まあ何ですな、基本的には「やるならどうぞ」という感じですけれども、そもそも「2年で物価安定目標を達成します(キリッ)」と言ってローンチしている異次元緩和政策なのでありますからして、まあ今くらいだったら良いですけれども、あと半年とか経過した後に2年物オペを実行する、という話になった場合にはえーっと確かあと1年少々で目標達成するのに2年物の固定金利(変動金利の場合は話が別だがその論点は後で)オペなんて実施して良いのでしょうか(本来物価目標を達成したら異次元緩和は縮小方向になるものであり、異次元緩和縮小する際に0.10%固定金利オペがその先まで残るという形になると本来政策として行うべき緩和縮小を阻害するから)という話になります。

更に言えば、うっかり変なタイミングで2年物の固定金利オペをローンチすると、「確か4月の時点で2年で目標達成という話をしているのに、これからまた2年の固定金利資金供給をするという事は、そもそも2年で2%の目標達成が難しいと考えているのではないか」という誤ったメッセージを与える事に繋がりかねないとゆーリスクもありますので、意外にこの方式はロジック的に苦しいものがあるのですよね。


んでもって肝心のニーズの方なのですが、そもそも業者の場合は担保繰りが固定化する長いオペにあまりニーズは無いですし、2年債と紐付けで供給受けて鞘抜きとか言ってもそもそも0.10%とのスプレッドが殆ど無い状態で鞘抜きとかアセットの無駄遣いにも程があるのでまあそんなにニーズ無いでしょう。基本的にはALMマッチングの観点から調達の足を長くFIXできるのであればウマーという大手銀行中心のニーズになると愚考するのですが、他にニーズありましたっけ???

これで一頃の欧州みたいに金融システムがあばばばばー状態になっていて、ファンディングでゲロゲロマーライオンという状態であれば借入のニーズは当然の如く湯水のように湧いて出て来るのですが、どこからどう見てもジャパンの短期円資金市場にそのような問題が無いので、そっちのニーズは明らかに皆無、となりますとALMマッチングニーズ位しか主要な実需が考えられない訳で、そういう観点からすると変動金利では何の意味も無いので固定金利での実施となるんでしょうな。

ちなみに、さらにどうでも良いのですが、固定金利オペ2年とか実施しちゃいますと、量で勝負じゃなくてやっぱり付利金利撤廃とかで金利さげるお!とかいう話になった時に、2年の固定金利オペに応札してファンディング付けた分が盛大に含み損になってしまいまして、先行きの政策選択肢をやりにくくする(まあ大規模な量で盛大に勝負している時点で付利は下げにくいのだが)のでどうなんでしょうねえと。

もっと付け加えますと、現在の共通担保オペの期間を2年までおっけーとするとなりますと、共通担保オペ自体は常設の調節手段となりますので、つまり「日銀は2年までの金利に影響を与えることもある」というのを将来の出口後も継続するという話になって、それはそれで金融政策運営に変な期待を読んでしまい、これまた却って手枷足枷になるかもしれませんので、如何なものかと思われます。じゃあ臨時措置で実施すれば良いじゃないという話になるのですけれども「必要な措置は逐次投入せず全て投入した(キリッ)」と言ってから2か月やそこらで「やっぱり追加措置」となるのもトンマにも程があるのでどうなんでしょうねえという気はしますがどうっすかねえ(ニヤニヤ)。


まあつらつらそんな事を考えますと、イールドカーブの引き下げだの長期金利の引き下げというのもそうですし、年限2倍もそうですけれども、異次元緩和をローンチする前後、というか特に直後ですが、シャッチョさん後先考えずに威勢のいい話をし過ぎちゃいましたねえという所だと思う(しかしこんなに早くに色々とツッコミどころが出るとは正直思いませんでしたわ)のですが、後先考えずにおっ広げた大風呂敷のせいで色々と苦労しているという認識がもしかするとシャチョーさんにおかれましては皆無なのではないか疑惑が一番気になる所です、といつもの悪態になってしまいましたなすいませんすいません。

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2013/06/03

重要なことですがきゃりーさんのマーライオンシリーズCMは昨日で終了(の筈)です。

○市場雑談系である

・金曜の訂正

金曜の駄文ですが、国債買入のマイナーチェンジに関して「超長期の買入は同じ」とかアホウな事を書いてしまいましたが、買入回数が1回増えていますので中短期と超長期が増えて中長期が減ったというバランスになっておりますな(何故そうなったのか謎だがコピペ中に取り違えていたようで)。過去ログは取り消し線引いて訂正致しましたのでよろしくお願いいたします。誠に申し訳なし。

まあ何ですな、当初の場合は超長期の買入額について市場キャパというか従来の買入額との差を考えてこの位でしょうかねという数字を置いて、そこから平均残存2倍になるように鉛筆舐めたら中長期が厚いビュレットになったのですが、今回は中短期を増やさないと市場が安定しないという所から逆算したらこうなりましたという話っすな。

まあ今後もこんな感じでチマチマとマイナーチェンジの方は行われると思いますので、その点では市場動向見ながら買入を進めていくという姿勢は明らかにという所ではあるのですが、問題は買入の工夫云々だけではなく債券市場から見ると盛大に梯子を外しておりますシャチョーさんたちのスタンスがどうなってるのよ系の話になっているようにも思えるところがアレなのですけどね。


・一応オペメモ

昨日のオペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130531.htm
国庫短期証券買入 10,000 2013年6月4日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年6月4日 2013年9月5日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130531.htm
国庫短期証券買入 34,363 10,003 -0.003 -0.001 21.7
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(6月4日スタート分) 2,035 2,035

ということで昨日は短国買入のオファーがあったのですが、落札結果はまあ普通の結果になりまして、木曜の短国入札の勢いはナンダッタンダという話になるのですが、需給という意味では木曜に短国入札やって玉が供給されたので物無芳一状態は一旦解消という事のようで、一瞬3月末の再来かとびびっておりましたがそこまでヒドスな話にはならなかったようですな。

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2013/05/31

○市場雑談メモ

・国債買入の6月以降についての内容が公表されたとな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130530b.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

ということで鑑賞。

『1.買入金額

毎月7兆円強程度を基本とする。ただし、政策効果の浸透を促すため、市場動向を踏まえて弾力的に運用する。』

・・・・・・・・ということなのですが、「2年で2倍を前倒しでその前に2倍到達もありえますよウッシッシ」という形にしないままで「弾力的に運用」というのは実は運営的に難しい話でして、金利上昇してるからさあ前倒しで買いますかとしちゃいますと、買入ペースが年度縛りになっているので、年度の後ろの買入が減ってしまうという計算が出来てしまうので、「後ろの買入が減るのは需給不安に繋がる」とかそういうオモシロ状態になるに1万ドラクマ。

前回のMPM後の会見で黒田さん全力で年度ペースの前倒しを否定してたのがちょっとどうなのと思った訳でして、別に前倒しで買うのに対してフィージブルなのであれば緩和効果を前倒しで出す話なのですから問題ないじゃないのと思うので、否定するという発想がイマイチよく判らないのですけど、これは「2年で2倍にするのですがもし市場状況が可能であれば前倒しで達成していきます」っていう話とセットにしないと却って現場がやりにくいと思いますけどどうでしょう。

まあそういう意味ではこれは基本的に抜かずの宝刀になるんだと思いますけれども、一応ホイホイ金利が上昇した時にはそれなりに止めが入るという姿勢を見せたってえ事じゃないですかね。あまり弾力的にやり過ぎると朝三暮四の法則(違)になりそうな気がしますが。


買入対象銘柄と買入方式(コンベンショナル方式)については同じ(当たり前)なのでまあ良いとしまして。

『3.国債種類・残存期間による区分別の買入金額
別紙のとおり

4.買入頻度
月8〜10回(営業日)程度(必要に応じて回数を増やすことがある)』

買入頻度については別紙(次のページ)を適当に組み合わせて頻度を上げるということのようですが、では別紙の方を従来と比較してみませう。

<当面の月間買入予定>の所を見るとこうなるようで

  〜1年:1,100程度×2= 2,200程度
1年〜5年:5,000〜7,000程度×6=30,000〜42,000程度
5年〜10年:4,500〜6,000程度×6=27,000〜36,000程度
10年〜:2,000〜3,000程度×5=10,000〜15,000程度
(変国物国は割愛)

でまあ合計が7兆程度になるという数値にするそうですな。

5月の買入は予定時点でこうなってましたが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130418d.pdf

  〜1年:1,100×2= 2,200
1年〜5年:6,000〜7,000×5=30,000〜35,000
5年〜10年:6,000〜7,000×5=30,000〜36,000
10年〜:2,000〜3,000×5=10,000〜15,000 2,000〜3,000×4=8,000〜12,000(5/31追記:何をどうコピペミスしたのか判らんのですが間違えておりましたので訂正いたします。誠に申し訳ございませんので謝罪はしますが賠償はしません)
(変国物国は割愛)

5月は合計が7.5兆円なので単純比較すると数字が合わなくなってしまうのですけれども、とりあえず「中短期を落ち着かせる方が金利が落ち着きます」という要望にお応え(?)して中短期を厚めにして、もともと発行量対比で買入が大杉だろという中長期部分にしわを寄せた形になっており、バランス的に超長期をここから削るとデュレーション2倍の方が厳しくなるので(7.5兆円対比でみたら減っても変では無い)(5/31追記:そこはちゃんと計算して改めて訂正します)超長期の方は維持増加(5/31追記:間違えておりましたので訂正します)となっておりますな。


まあ実際問題どうなのでしょうかとは思うのですけれども、もうちょっと小分けにするのかなとか、中期と超長期にもうちょっと傾斜するとかやるのかとも思いましたが、まーそこまで過激に変更という感じではなくて、マイルドに変更してみましたよということですかよく判りませんが。

あとまあ今回お洒落なのは別紙の数値に悉く「程度」というのが付いていることでして、書いていてあまりにもうっとうしいので回数の方の「程度」を省略しちゃいましたけれども、本当はオファー回数、一回当たりオファー金額、合計のすべてに「程度」というのが付いていまして、調節課の方にあんじょうよくやっといてくれやという事ではございますなという話。

とは言いましても、まあ先ほども申し上げましたが「全体としての買入スケジュールを前倒しする」という選択肢を総裁が否定するという(正直これはチョンボだと思うのですけれども)発言をしやがっているので、そうなると現場的にもあまりバンバン前倒しってやり難いんじゃないのとは思うんですが、これがまた皆がやり難いよね〜と思った頃にちょっと月の買入を一杯だけおかわりとかするといい感じでサプライズになったりしますので(^^)、あまり決め打ちしないようにしておきますね。


・短国入札&GCレートェ・・・・・・・・・・

昨日の3MTB入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130530.htm

(3)募入最低価格 99円98銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0802%)
(4)募入最低価格における案分比率 16.5280%
(5)募入平均価格 99円98銭1厘1毛 (募入平均利回り)(0.0758%)

先週の3MTB入札は0.0938%/0.0942%でごじゃりまして、まあ素敵に金利が低下しておじゃりますなあという所ですが、そらまあ足元短期市場ではゼニが唸りをあげておられますので致し方なし。

・・・・・・ではあるのですが、市場推計のいわゆる不明玉が2兆以上とかありまして、えーっともしもし何でまたこんな金利水準でバサッと買うのよ誰よそんなニーズあるのは???と思ってしまう訳なのですが、まあレポレートの方を見るとさもありなんという話になるのでございました。

http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

時系列データの方は「東京レポレート(一覧)」の方を見ると吉(リンク先はエクセルなので直リンしません)でして、水準を見るのはそこのT/N取引レートを見るのが吉なのですが、ご覧になれば判るように今週に入って絶賛低下傾向となって、水曜が0.075%で木曜が何と0.048%ということで何か今年の3月末を彷彿させるような(そこまでではないが)あばばばばー状態になっておりまして誠にアレ。

シグナルだの短国買入だのバカバカ実施した上に財政要因とかで日銀当座預金70兆円オーバーとなっているのもあるんですけれども、何でまたこの時期に急に短国やレポのゾーンに金がうじゃうじゃという状態になったのやらという所ではございまして、まあうじゃうじゃのお金が長いゾーンにお出掛け頂くまで続くんでしょうかねえこの傾向、よくわかりませんが。


・流動性低下病が株式市場の方に伝染したようで

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNL0FL0UQVI901.html
日本株は大幅反落、米政策や欧州懸念で全面安−午後崩れる
更新日時: 2013/05/30 15:46 JST

まあ何ですな、日経平均先物が一番値動きが理不尽なように見えますけど、昨日も引け際の最後の最後に突如日経平均株価(現物インデックスの方)が100円以上ワープするとか何やってるんでしょうかと思うのですが、こうなりますと値動きが激しくなるような取引所売買システムってどうなのでしょうかと(あたしゃ高速売買対応云々の話が出る度に一応悪態はついているのですけど)思いますけどねえ。何か日経平均の寄与度が高くて品薄の銘柄がビュンビュン値動きして先物がビュンビュン値動きするとか如何な物かと思うのですが・・・・・・・・・

まーいずれにせよ債券の流動性低下病が株式指数先物の方に伝染とかどういうことですかねと存じますが、しかしまあ日経平均ベースでは5月の上げを全部お返しとか何という相場という事ではございますな。

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2013/05/30

○市場メモ雑談

・相変わらずの盛大なプライスアクションで

何故か昼の時点のニュースが引っ掛かってくるのですがロイターから。
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0E93MG20130529
〔金利マーケットアイ〕国債先物が株高で軟調、中期の需給不安で売りも
2013年 05月 29日 13:23 JST

米債が10年2.1%台キタコレとなっておりまして円債も10年0.965%(6毛甘)とかでおっぱじまったものの、何か知らんがその後は押し目買いだか何だか判らんけど反発となりまして、ホイホイ相場が戻るわ輪番が堅調で後場の寄りは10銭高とかになるわという中々素敵な値動き。

ではあるのですが、中期ゾーンが相変わらず重そうにしているのが雰囲気を良くしない所でして、午後1時前くらいから中期は下がるわ先物は下がるわでふと見ると米国債が10年2.2%とかになっているわという事で、どっちが先なのかワカランチ会長ですけれども前日もそうだったのですが、午後になって米債と円債が下がるというワケワカメな流れで下がったと思ったら引け近くに今度は切り返すとかもうお子様には良く判らん相場です><;

まあ何ですな、そのワカランチ会長なのはどうでもよい(良くないが)のですが、とにかくプライスアクションが落ち着かないというのは困ったもんだという所でございますが、最近は日経平均先物もすっかり落ち着かない病になっているようで、一々値動きが飛んでいるのを見ますと兎に角日中ボラを何とかして頂きたいものである(と言ってゼロになられても困りますが世の中何事も程々というのが大事)とゆー所ではございますな。


・オペ雑談

昨日は色々なオペがございましたが・・・・・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130529.htm
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月31日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月31日
国債買入(物価連動債) 200 2013年5月31日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月31日 2013年6月6日 0.600
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月31日 2013年8月22日 0.610
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月31日 2013年7月9日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2013年5月29日 2013年5月30日
(注3) 国債補完供給(国債売現先)・即日の売却対象銘柄は、10年利付国債328回です。

この中でマニア的に興味があったのは物国の輪番と昨日の国債補完供給。

結果は以下の通り。(一部のみ引用)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130529.htm
国債買入(物価連動債) 1,092 201 -0.650 -0.699 41.0
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 130 130 -0.400 -0.400
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日の売却銘柄は、10年利付国債328回です。

まず物国の買入なのですが、買入価格は平均で基準価格較差69銭9厘安で最高落札が65銭安となっておりますが(以下自主検閲により割愛^^)。

あとへーと思ったのは国債補完供給で10年328回ってあーたそれ10年カレントじゃないですかしかもトリプルイッシューなんですけどどうしましたのよという事ですが、まあ深い意味があるのか無いのかは判らんです。まあ補完供給が発動されるのはショートになっていてお願いが入るからではあるのですが、その背景として物凄い勢いでショートになっているからかというとそうでも無いしょうも無い理由でもお願いが入る事もありますので、こればっかりは当事者じゃないと良くワカランチ会長ながら面白かったのでメモだけしておくので誰か詳しい人教えてジェネラル。


・レポ金利が低いですな

当座預金残高72兆円攻撃ということで、ここもとのシグナルオペや短国買入の累積によってすっかり短期の方は物無芳一というのは昨日も申し上げましたが、TKRR見れば分かりますようにレポ金利が絶賛低位推移となっておられます。

ということで今日は短国と2年の入札があるのですが、中短期が重いのを反映してるのかどうか知らんが昨日は2年カレントのBB引値が1毛甘になっておられる(もうちょっと弱い気もするが)一方で短国の方は玉無芳一になっておりますので、短国は堅調になって2年はどうなるんでしょうかね良く判りませんけど。

というただの備忘メモでした。


・輪番オペの頻度がどうのこうの

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNJYXG6K50YH01.html
日銀幹部:「より頻繁、より少額」で意見一致−国債購入オペ
更新日時: 2013/05/29 20:01 JST

『5月29日(ブルームバーグ):日本銀行は29日午後、市場参加者との意見交換会を開き、国債買い入れオペに関して、「より頻繁に、より少額で」行うことで意見が一致した。日銀幹部が記者説明した。日銀も買い入れ頻度を現在の8営業日から「10営業日プラスアルファ」にする方針を示し、30日夕に6月以降の国債買い入れの日程を公表することを明らかにした。 』(上記URLより)

だからもうこの際全部日割りにしてだなあ(違)。

というのはともかくとして、まあ輪番オペの頻度がどうのこうのという話はテクニカル的には改善点であるのはその通りではあるのですが、それよりも問題なのは最初に「金利を下げる」とぶち上げておいて盛大に梯子を外した格好になっているシャッチョーさん(でどうもそのシャチョさんは梯子外したとか思って無さそうな所が誠にアレ)の姿勢の一貫性になっているような気がするんですがね、事ここに至っては・・・・・・・・・

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2013/05/28

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130527/k10014871641000.html
日経平均 下げ幅ことし2番目
5月27日 16時5分

木曜金曜のスーパージェットコースター相場の後なので「下げ幅2番目」と言われてもそこまで下がった感がしていない所がオソロシス。

○市場雑談メモメモ

・株式市場の下げ幅2番目ですかそうですか

まー何ですな、上記のように「今年2番目の下げ幅」だったようなのですが、昨日の場合は寄りで下がってその後は14,000円を切らずに推移してまして、金曜日の安値を割らなかったのであんまり落ちた気がしなかったのですが、良く良く見たら値幅は取っていましたなという感じですし(苦笑)、まー相変わらず先物の板はスカスカで現物株価指数の方も15秒の更新ごとにホイホイ値段が変わってまして、まー木金よりは値動き的にはマシでしたけれども板の方がスッカスカやがなという状況は何かどこぞの債券市場とかいう所で見た光景にも似て誠に遺憾の極みに存じますな。

などと思ってたら引け後の夜間セッションで先物が金曜の安値を割り込んで下がっていましたが、ドル円が何気に101円割れとかやってるのが影響してるんですか分かりませんが。

まあこれでインデックスは5月の上げを全部お返しする格好になったのでございますが、良く良く考えましたら5月の上げを株式市場が全部お返ししている中で債券市場は下げをお返ししていませんなあ(ちなみに4月末は0.6%割れだぞな)と思いますとアレではございますな。


・当座預金残高70兆円ですよ!!!!

27日の当座預金残高増減速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130527.htm
当座預金残高 680,100

28日の当座預金残高増減見込み
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130528.htm
当座預金増減 +43,800

・・・・・・・・・どう見てもこれは本日日銀当座預金残高が70兆円到達という事でありまして、何と異次元緩和ローンチから2か月も経たないうちに木久扇師匠がつい先日提唱されておられましたインフレ率を2%にするしかも来年半ばには達成という素晴らしい量的緩和拡大が達成されましたよ!やったねパパ!!

・・・・・・・・・・・・・えーっと、今年に入って日銀当座預金残高はいい感じで拡大傾向に有る訳ですが、その間の物価上昇率っていやまあどうでも良いですけれどもね。

ということで、木久扇師匠の高座はいつ実施されるのでしょうかこの当座預金残高と物価の関係について詳しくご説明を賜りたいと存じますので宜しくお願いいたします。

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2013/05/27

○市場雑談というかメモになっているかどうか怪しいがメモをしておく

・おもわず株式市場の方を先にメモ(^^)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9WMV07SXKX01.html
日本株は乱高下の末に反発、輸出一角や不動産、電力高い
新日時: 2013/05/24 15:42 JST

『5月24日(ブルームバーグ):東京株式相場は、乱高下の末に反発。きのうの米国株の底堅さや為替、国内金利動向の落ち着きから企業業績への期待が戻り、電機や精密機器など輸出関連株の一角、不動産や建設など金利敏感業種の一部が高い。電力株も上げた。』(上記URLより)

NY市場は100ドル以上下げた後に住宅関連指数が強い事もあって戻って、夜間取引で株価指数先物は上昇しておりましたので平均株価が200円以上上昇してスタートして一時は15000円台を回復した訳ですが、その後大幅下落して14000円割れもやった後に結局戻る、ということで前場523円高まで上昇して後場は502円安まで下落して下で引けるのかと思ったら今度は反発して結局128円高だった訳ですな。

もう何が何やらなのですけれども、後場指数先物が急落を始めたころ(12時45分過ぎ位から後だったかな)には債券市場では先物がホイホイ上昇してみたり、ドル円で円高ドル安が進んでみたりしていましてどうしましたのやらという所ではあるのですが、とりあえずアチャーと思うのは株価指数先物の板がスカスカな事。

金曜の場合は昨日の今日という事で板がスッカスカとなったというのもあるのかもなのですけれども、それにしても板がスカスカの中で指数先物の価格がビュンビュン飛ぶとゆーおそロシアな展開でありまして、株式市場に関しては指数が下がりましたなあとかいう話よりも指数先物の板がスカスカになっている中で値が飛ぶことが気になりますな。

つまり、これが一時的現象ならまあそういう事もありますなあという話なのですけれども、そうではなくて債券市場で見られた(というか今でもそうだが)流動性低下現象が株式市場にも波及するというのでありますとちょっとアレな訳ですが、さてどうなりますやら。

#平均株価の寄与度の高いどこぞの銘柄の動きとかがこれまた如何なものかという感じですが


・債券もまあ色々とございましたが

大事な事ですが(違)きゃりーがマーライオンのCMは2日まで放映ですからね!!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9VL06JIJUX01.html
債券先物は下落、値動きの荒さや株反発で−日銀国債買いオペが下支え
更新日時: 2013/05/24 15:46 JST

『5月24日(ブルームバーグ):債券市場で先物相場は下落。最近の値動きの荒さを背景に売りが先行した。日本銀行が2日連続で長期国債買い入れを実施すると持ち直したものの、国内株価が上昇に転じたことなどから買いは続かなかった。東京先物市場で中心限月の6月物は前日比53銭安の141円98銭で始まり、87銭安の141円64銭まで下落した。午後の取引開始後には日銀買い入れオペの結果を受けて水準を切り上げ、株価が一時急落に転じると1銭安まで戻す場面もあった。しかし、株価が再び上昇すると伸び悩んで、結局は21銭安の142円30銭で引けた。』

『現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは同4.5ベーシスポイント(bp)高い0.88%で始まり、一時0.905%まで上昇した。その後は徐々に水準を切り下げ、午後に入ると0.825%まで低下。午後3時前から横ばいの0.835%で推移した。前日には一時1.00%と昨年4月5日以来の1%台に乗せたが、そこでは買いが入って0.8%台前半に大きく水準を切り下げた。』(上記URLより)

ということでまあ記事的にすればまあそうですなという事ですが、債券市場ちゃんの方はいきなり50銭以上下がって142円割れでスタートして始まった後に甘利さんの発言があった辺りから一段安になって10年0.90%台まで金利が上昇したわけですが、日銀が短国とか国債とかの買入をオファーしてやや持ち直しましてうだうだとやってまして、前場引けは前日比58銭安の141.93銭で終了。

輪番オペの結果が強くて後場の寄りは前場引けから40銭位上昇してスタートしたもののその後はそれほど踏み踏みにならないなあとか思ってたら株式市場の方がやや失速、とか思っているうちにモリモリと下落してきて、しかも平均株価の方が威勢よく下げるという木曜の株価上昇時点での逆みたいな売り方をしている間に債券先物はホイホイ上昇。

ところが、その後ご案内のように株価指数先物が下落してあばばばばーとなる中で何故か知らんけれども債券先物については誰か遺恨でもあるのかと言いたくなるくらいにやたら上値が重いというか売っている人がいて株価指数が豪快に下落して前日の安値を切った場面でも債券先物ちゃんは前日比1銭安の所までしか戻りませんでしたな。結局債券先物は前日比21銭安の142.30で終了とな。


・輪番オペとかキタコレ

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130524.htm
国庫短期証券買入 15,000 2013年5月28日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,000 2013年5月28日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月28日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月28日 2013年6月28日

まあ午後の1か月固定オペは良いとしまして、10時10分のオペタイムでは短国買入と輪番の打ち込みということで、輪番に関しては前日に引き続き2日連続での打ち込みとなりましたし、短国買入も市況悪くないのに打ち込みと、まあやる気を結構出した打ち込みではございます。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130524.htm
国庫短期証券買入 39,215 15,006 -0.003 -0.002 98.1
国債買入(残存期間5年超10年以下) 8,375 6,001 0.000 0.042 5.8
国債買入(残存期間10年超) 5,520 3,001 0.028 0.041 21.8
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月28日スタート分) 2,350 2,350

落札結果ですけれども、5年超10年以下の方が平均4.2毛甘というのは大体前場引けの実勢なのですが、足切りの引け変わらずというのがどう見ても激強の結果でありまして、まあその結果を受けて後場寄りは先物値段飛んでスタートした訳ですが、平均の方が実勢という事はまあ普通に必殺の札もあって、ただそれだけでは札が足りずに冷やかし札がサックリ入りましたという結果ですな、うんうん。

基本的に輪番で入れるときに、もともとロング持ちの投資家が(自分または委託で)入れる時には素のロングを入れるのですから「入れたいレベル」で入れるのか、それとも「捌きたいロットがあるのでその分必殺で」入れるのかという判断の世界になると思いますが、業者が入れるとなりますと必殺で入れてヘッジ解除していればまあ良いのですけれども、そうじゃない場合って前日の木曜がそうでしたので思いっきり意識したと思いますが、株式市場の方が11時半まで営業しているので、オーバーランチのリスクがある(従来よりオーバーランチのリスクはあったのですけれども、株式市場が11時半まで営業するようになった上に前日のアレですので)ので札が引いてしまいましたとかそういう話ですかね。しかも金曜の場合は前日比安い所での輪番ですからロングを洒落で入れるという選択肢もない(ただの投げになる)でしょうし。

まあ必殺系の札が減った結果流れましたなというのは結構なお話ですし、この調子で強い輪番が続くのかも知れませんが、はてさて今後どうなるやらという所です。

あと、短国買入なのですけれども、こちらは前日の3MTB入札が結構堅調な結果で終了したので強いのかなと思ったら比較的実勢に近い所で決まっていまして、こちらはこちらで少々へーという感じなのですが、投資家札でも入りましたかね??業者の在庫水準は結構軽いんじゃないかと思うのですけれどもねえ。


○甘利さんェ・・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94N00E20130524
経済再生は順調に進展、日銀も市場との対話実践=甘利再生相
2013年 05月 24日 10:44 JST

『再生相は株価の大きな下落幅について「想定外とか想定内とか言うことが、市場に無用の混乱を与えることになるのでコメントしない」と評価を避け、「市場関係者はいろいろな思いで(取引に)参加している。不安や疑心暗鬼、いろいろあると思う。その動きにいちいちコメントはしない」とも述べたが、同時に「アベノミクスは順調に進展している。日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している」と指摘。政府・日銀の取り組み姿勢を強調した。』(上記URLより)

>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している
>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している
>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している

・・・・・・・・・・・・・orz

でまあロイターの上記記事のタイムスタンプだと10時過ぎになっていますが、実際には9時35分前後に共同とかクイックとかが「日銀は市場との対話を実践している」とかいうヘッドラインを打っておりまして、そのヘッドラインが出た直後辺りから債券先物がズルズルと下落した訳でございまして、まあ実際問題として発言を全部通しで見るとちょっと印象が変わるのかもしれませんけれども、この発言を見ると債券市場的には「ああそうですかこの債券市場の動きでも対話をきちんとやっているという認識なんですかそうですか金利上昇容認なんですね」という風に受け止めて更にスネてしまいますがなという所でございます。


そういや金曜にネタにしようかと思ったもののその時間のプライスアクションをちゃんと見ていなかったので良く判らんなあと思って確認してから引用しようと思ったのですが、木曜にもこんな事案があったのよね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN8TKY6S972F01.html
ロンドン外為:円急伸、100円台−甘利再生相の発言後 (引用者注記:これは23日のニュースです)
更新日時: 2013/05/23 17:54 JST

『5月23日(ブルームバーグ):ロンドン時間23日午前の外国為替市場で円が急伸、1ドル=100円台となった。この日の日本株下落について甘利明経済再生担当相が「ろうばいせず」やっていくと述べた後に上げ幅を広げた。』(上記URLより、念のためもう一度追記するとこれは23日のニュースです)

でまあ金曜に確認してみたら確かに甘利さんの緊急会見での「ろうばいせず」云々のヘッドラインが出た所でオリャーと円買いドル売りになっておりましたようで誠に遺憾の極みでございますな。

つーかさ、例の「甘利越え」もそうなのですが、甘利さん微妙にサービス発言成分が多めになっておりまして、そういうのって上げ相場の時は良いのですけれども、波乱相場になって来ると発言が一々裏目に出るリスクが高まるので、安倍さんや麻生さんを見習ってあまりコメントをしない方が無難な気がするんですけれどもとは思います。つーか内閣府ってこの前も余計な黒田発言公表で債券市場の下げを助長するような事をしておりましたが、頼むから静観してくらはいと思うのでありました。

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2013/05/24

いやもう何と申しますか・・・・・・でしたなあ。

各市場でボラ上昇するわランコルゲするわ値幅は取るわということで、市場動向はまあご案内の通りですが、俺様備忘録につきテイクノートしておくぞなもしということでまずは市場メモ(とてもじゃないが全部フォローできませんけどね)。

○本当に備忘録になっているかどうか自信は無い市場雑談備忘録メモ

・10年1%に上昇したり戻ったりですが(債券ネタメモ)

逆さ絵先生の議会証言、というかその後のQ&Aを受けて貫録の米債2%乗せ(つーか2.04%近く)になったということで国内債券市場売りスタート・・・・・はまあ良いとして、いきなり寄りから1円安とか何ですねんそれはとなりまして、ちょっと戻ったものの結局サーキットブレーカー発動で、その後10年カレント1%出合いとかもう何だかねという展開になった訳ですな。一方で株式市場は米株下がっても日経平均激強なのですがトピの方はあまりアガランチ会長という最近までの日経平均だけやたらサガランチ会長(浮動株が僅少の癖に平均株価の寄与度がやたら高い株がございましてですな・・・・)という状況でもうナンジャソラという所でした。まあ1%付けたらさすがにまたも登場節目で押し目買い攻撃で反発してましたけど。

とか何とかゆうとるうちに10時10分に日銀渾身(かどうか知らんが)のオペ実施と相成りました。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130523.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年5月27日 2014年5月27日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年5月27日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月27日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月27日 2013年6月27日

上の3つが10時10分打ち込みのオペなのですが、期間1年の固定金利オペのオファーを本来だったら13時に行うのが定例的な時間の所をわざわざ10時10分にオファーするというのが最初の渾身でして、次の渾身は国債買入でして・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/offer013.htm
流動性供給(第142回)入札

1. 発行予定総額 額面金額で3,000億円程度
2. 発行日 平成25年5月27日
3. 発行対象国債

利付国庫債券(10年)第297回から第324回まで ただし、第298回、第305回及び第309回を除く
利付国庫債券(20年)第58回から第106回まで ただし、第59回から第61回まで、第64回、第70回、 第71回、第79回、第81回から第84回まで、第86回、 第92回及び第105回を除く

ご覧の通りでこの日は財務省による流動性供給入札(既発国債の追加発行)が行われる予定になっていまして(で予定通り行われましたが)、中長期国債入札日に中短期の国債買入をオファーする、というまあ以前から可能性についてはアナウンスされていましたけれども、モロにぶつけたのって最初だったような気がするんだが(5/25追記:15日に既に実施していましたすいません)、まあシグナルオペの方はちゃんと鉦や太鼓で宣伝していたようですな。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN2KB66TTDSA01.html
日銀国債買い入れ、応札倍率「1年以下」上昇し、「1−5年」は低下
更新日時: 2013/05/23 15:29 JST

こちらのニュースは1日終わってからの記事なので落札結果とかも反映されていますが、まあそれはそれとしまして、上記URL記事にありますように、今回の日銀によるシグナルオペに関しては・・・・・・

『一方、日銀は午前の金融調節で、固定金利方式の1年物共通担保資金供給(全店)2兆円も同時に通知した。5月27日にスタートし、期日は来年5月27日となる。1年物オペは長期金利が0.9%台に急騰した15日以来となる。同行金融市場局は今回のオペについて、長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応するため、とのコメントを発表した。』(上記URL先より)

ということで、今回は「長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応するため」という建付けになっておりまして、えーっと前回シグナルオペを思いっきりアナウンス付きで実施した時の理由はなんでしたっけと思って過去の自分の駄文など読みますとありました。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067730320130515
UPDATE3: 日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
2013年 05月 15日 14:50 JST

『資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。』(上記URL先より)

となってまして、前回は「金利の急激な上昇に対応」ということで金利の水準が上昇したという事について言及していましたが、今回のシグナルに関しては「長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応」ということで、どさくさに紛れて「金利上昇に対処」という風に読める文言を避ける格好になっているというのがチャーミング。

まあよーするにですな、前日の決定会合後の会見でも見られましたように、金利の絶対的な水準感に対してああだこうだという事を決定的に言わなくなっている、というのが現在の日銀のエライ人たちのクオリティとなっておりますし、上昇云々という水準感を連想させる文言を使うとシグナルオペ実施が長期金利水準に対するコミットメントと取られ、そんな事言ったって長期金利水準の絶対的な制御何ぞ無理ですがな(そういえば長期金利もコントロールできるかの如くの触れ込みで長期国債購入の拡大と年限長期化を提唱した筈だったのに黒田総裁が会見ではその辺を思いっきりトーンダウンしてたりしますがそこは後ほど)という状況下で、下手にコミットしていると取られたくないというのもあるんでしょうが、今回「水準感」を思わせる文言を外したのが実にチャーミングな世界ではあります。

でもって輪番オペ結果は1〜5年が割と強い結果、というか応札する札があんまり無かったんじゃネーノ的な感じではありましたが、それはそれとして輪番確りですなあとか思ったら菅官房長官が「黒田総裁は市場との対話がうまくできている」みたいなまたおまいら債券市場をピキピキ言わせるのかよというのがあって、はてさてどうなったもんかなと思ったら債券市場の前場引け近辺から前場引け(11時半)までの間に株式市場が下がったのが効いたのか上昇したりしましたが、しばらくは先物ベースだとマイナスに逝ったり戻ったりみたいな感じで、途中までは株安債券安チックな感じになっておりましてほほうという感じ。

しかしながら後場中盤以降はご案内の通り株式市場があばばばばーの阿鼻叫喚(あれだけ現物指数の数値が飛ぶのをみたのは初めてかもしれん)となって、株安が前日比6%だのやりだして債券先物ちゃんは猛然と戻ってまさかの1円高でまたサーキットブレーカー来るか位の勢いまで行ってましたが、まあ先物の値動きが速いわ速いわという所で、先生!うちの先物ちゃんが過呼吸で悶絶してるんです!!状態の過呼吸悶絶相場と相成りましたのはご案内の通り。

ということで、10年債は1.0%までやっておきながら後場は0.80%近くまで低下するとか中々素敵な値幅を取っておりましたが、そらまあ日経平均の値幅が1500円近くやる相場ですからそういう事もありますわなという事なのですが、まあとにかく大きく動きましたという事で。

んでもってあっしの駄文だけでは何ですのでベンダーの後付講釈を。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN6RN56S972N01.html
債券は大幅上昇、株急落や日銀オペで買い−米QE縮小観測で朝方下落
更新日時: 2013/05/23 16:27 JST

『5月23日(ブルームバーグ):債券相場は大幅上昇。米量的緩和策(QE)の縮小観測を背景に売り先行したが、日本銀行が大量の資金供給オペで過度な金利上昇をけん制し、中国経済への懸念をきっかけに内外株価が急落したことを受けて買いが優勢となった。』(上記URLより)

中国経済の懸念ちゃうやろというのはさて置き、まあ株価指数がドタバタ動くようになっている中で債券先物もドタバタ動いてたりしてたので何か関連はあったかも知れんねとは思うのだが最早さっぱりワカランチ会長でしたな、うんうん。



・一応オペとか短国入札とか

日銀渾身のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130523.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月27日スタート分) 12,605 12,605
国債買入(残存期間1年以下) 7,205 1,101 0.002 0.006 2.8
国債買入(残存期間1年超5年以下) 15,745 7,001 0.019 0.028 94.3
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月27日スタート分) 1,820 1,820

えーっとですな、2兆円の1年固定は札割れですけれども、まあ12605億円ですから応札はそれなりにありましたよねという話ですが、輪番に関しては前場の引けの5年ゾーンの位置からしたら結構強い結果になっていました。これで後場猛然と戻るかというとまああまりそれは関係なかったような気がせんでも無い。つーか昼休みの菅官房長官発言で「日銀の市場との対話はうまく行っている」とかコメントしておいおいおいという感じではありましたが。

3か月TB入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130523.htm

(3)募入最低価格 99円97銭6厘5毛 (募入最高利回り) (0.0942%)
(4)募入最低価格における案分比率 68.8905%
(5)募入平均価格 99円97銭6厘6毛 (募入平均利回り) (0.0938%)

債券市場も株式市場もあばばばばーだったので華麗にスルーされているようですが、地味に3か月TB入札の金利が今回も低下となっております。まあこれに関しては先般来日銀の短国買入が多めに入っていることが影響与えて来たかなあとか思うのですけれどもどうでしょうかね。


・・・・・・・・でね、まあどうでも良いのですけれども、良く良く考えてみると日銀がシグナルオペで今回「ボラティリティの上昇に対応」とか言って午前にオペを打ち込んだ訳ですが、終わって見れば前場よりも更に激しいボラとなっていましたな債券市場とか考えますと、別にこのシグナルオペのせいでは無いのでただの言いがかりではあるのですが(^^)、何と言う皮肉という所ではございますなあっはっは。


・各市場でボラが上昇というのもねえ

公共放送も当然ながら大々的にお取り上げ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/t10014801051000.html
東京市場 大荒れの1日に 5月23日 20時52分

『23日の東京の金融市場は、大荒れの1日となりました。朝方はまず、債券市場が大きく動きました。取り引き開始直後の午前9時すぎに日本国債を売る動きが強まり、10年の長期国債の利回りは一時、1%ちょうどまで上昇し、およそ1年2か月ぶりの水準になりました。これは、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が国債などを買い入れる金融緩和を今後、縮小するのではないかという見方から、アメリカの長期金利が上昇したことに引きずられた形でした。』

『外国為替市場ではこうしたアメリカの金融政策への見方を背景に、ドルを買って円を売る動きが強まり円安が進みました。さらにこの円安を受けて東京株式市場では、朝方、輸出関連の銘柄を中心に買い注文が増えて日経平均株価は300円以上も値上がりしました。』(上記URLより、以下同様)

ということでここまでは良いのですが。

『しかし午前11時すぎ、債券市場で変化が起きます。』

残念!11時過ぎは債券市場は昼休みですぞな!!

『日銀が長期金利の行き過ぎた変動を抑えるため、金融機関に資金を貸し出す形で1兆円を超える資金を供給する措置をとったことで、長期金利は0.8%台まで低下。資金の流れが株式から債券へという方向に変わってきます。』

・・・・・・・・・・・・・・何という残念な説明。でまあ以下は全部中国経済指標のせいにしておりますので引用割愛なのですが、まあそれはそれとして前場確かに日経平均株価は16000円に接近とかもう何だかねという状況になりーの、その間にトピと日経の上昇率が1%位乖離しーのとなっておりましたし、それ以前の問題として先週末近くから日経が高値更新している間に新興市場がゲロ下げしてたりとか、連日上昇するのは日経平均の寄与度の高い品薄銘柄だったりとか、さすがにナンジャコリャという動きではありましたので、どこかで休憩してよという感じではあったのですが何も4ケタ下げんでも・・・・・・・・・・

(5/25追記:プライスアクション的に言いますと、前場引けに掛けて債券先物がやや戻って、日経平均先物が急に下がりだしたので全く外した話では無いのですが、「資金の流れ」としてのCashではなくて先物主体でしょう、というかそれしか考えられない)

まあ株式市場に関してはインデックスベースで見れば大体大型連休直後(日経とトピで違ってまして日経はそこまで調整してないと思う)の水準まで調整したという風情ですが、ではこの間何が起きていたかと言いますと各国の中銀が利下げを実施して「グローバル流動性相場がやって来たぜヒャッハーヒャッハー」とやっておった訳ですので、そーゆー意味ではとりあえず過剰流動性ヒャッハー相場に水をぶっかける形になったというような上澄み部分の振り落し(何で最初の変換で「付利お年」となるんだよorzorzorz)をやったような話かも知れませんが、やはりあの日経「大機小機」の大勝利宣言がどう見ても死亡フラグです本当にありがとうございましたという所ですがカトーさんねえねえどんな気持ちどんな気持ち(AA略)って所で。

でまあ別に相場の位置的にどうのこうのというよりも、やはり債券もそうですけれども株式市場ちゃんのほうもボラが上昇しているというのがちょっとねえというのは有りまして、まあそれの元をただせば異次元緩和によってボラは上がるわ海外の金融政策にスピルオーバーして海外含めて資産市場に流動性相場期待を巻き起こすわとか、そーゆー辺りについてはやはりまあ異次元緩和の異次元パワーというか亜空間殺法というか何かオソロシスなものを感じるのでありました。


○色々とコメントさせられて大変ですなあ

何せ昨日の場合は・・・・・・・

前場はこれ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014779011000.html
長期金利1年2か月ぶり1%まで上昇
5月23日 12時18分

後場はこれ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014791821000.html
日経平均株価 13年ぶり急落
5月23日 15時51分

ということでコメントさせられているのですが。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0E40K720130523
UPDATE 1-日銀が適切に対応していく=長期金利上昇で菅官房長官
2013年 05月 23日 11:45 JST

『日銀の市場との対話はうまくいっていると思うかとの質問に、官房長官は「うまくいっていると思う。全幅の信頼を置いている」と答えた。さらに「株が上がれば金利が一時的に上がるのは、ある意味で自然なことだ。そうしたことも踏まえ、日銀では金利動向が落ち着くような形で市場調節や市場取引全般に関して、これまで以上に密接な意見交換の場を作っている。安心して見ているし、適切に対応されるだろう」と語った。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・orz

これ株式市場が債券の前場引け以降謎の急落を開始してたし、まあ債券自体も戻り基調になっていたこともあって、官房長官発言について特段注目されなかったので良いようなもんで、長期金利上昇が「自然」だの、日銀の市場との対話が「うまくいっている」だの、もしこの発言がそれこそ1%付けて株が絶賛上昇しているタイミングとかでリリースされたら更に債券の下げに拍車を掛けるようなキーワードが並んでおりまして、まあこれに関しては材料にならなくて良かったですねとしか申し上げようがない話でして、いやまあ金利上昇に関して何か安心感を与えるようなコメントをしましたというお気持ちは十分にくみ取れるのでありますが、具体的なコメントをする場合っていうのは余程注意してコメントしないと、却って「何をズレた話をしているんだこの人は」という風に受け止められて逆効果になり兼ねない(昨日偶々ならなかったのはラッキーの世界)のですよ。

特に債券市場(の中でも特に円債)に置きましては、個人投資家の参戦が無いからポピュラーじゃありませんので、大体からして日陰者とかマイナーという認識があって世の中に中々知られていないという風に思っている人が多いと思われる所でして、「ど〜せ皆に理解されないんだ〜」とウジウジとしておりますと不肖このアタクシのように普段からブツブツと微妙な悪態を付くのが仕様になる、という風になるものでありまして(お前は特殊だろこのヴォケとか言われそうですが^^)、そもそもが「ああこの人債券市場理解してないで喋ってるなあ」というのに対してくらーい反応を示すのが仕様となっている、と考えられる節が大いにございますので(^^)、債券市場に関するコメントの際にはあまりややこしいことを言わない方が吉だと思います。


しかしまあ当然ながら株式市場に対する反応の方が大きい訳で。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94M07420130523
訂正:日本経済は堅調に回復、うろたえる必要ない=株急落で甘利再生相
2013年 05月 23日 20:22 JST

『再生相は日経平均が急落した原因として、HSBCが日本時間午後に発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が7カ月ぶりの低水準となったことに言及。「このことを受けて、日経平均は連続で上がり続けていたので、利益確定売りのタイミングを探していた投資家が集中してしまったためだと思う」と分析した。』(上記URLより)

うむ、そういう細かい話を一々せんでも良いと思いますけどねえ、というか「うろたえる必要ない」とかわざわざ会見を実施して発言する方がヘイヘイピッチャービビってるよ!という印象を与えるので別にわざわざ会見を別途設定とかせんでも良いと思うのでして・・・・・


http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94M07920130523
株式市場についてはコメントしない=安倍首相
2013年 05月 23日 19:50 JST

『[東京 23日 ロイター] - 安倍首相は23日夜、国際交流会議「アジアの未来」であいさつし、株式市場についてはコメントしないと語った。』(上記URLより)


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014798941000.html
麻生氏 コメントはしない
5月23日 19時10分

『株価の急落について、麻生副総理兼財務大臣は、23日夕方、財務省で記者団に対し「基本的に株価は上がったり下がったりするものだから、私の立場としてこれがいいとか悪いとかをコメントするつもりはない」と述べました。』(上記URLより)

ってな感じで、安倍ちゃんや麻生さんみたいな対応で問題ないと思うのですけど、まあ何にせよ相場の暴れで昼は金利、夕方は株式とコメント求められてお疲れ様でございました。

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2013/05/23

○決定会合レビューその1:市場雑談というかクレクレというかベンダーヘッドラインキタコレというか

えーっとですな、昨日はご案内の通り金融政策決定会合があったのですが、昨日の債券市場では寄りは下だったのですが前場引けに掛けて先物がホイホイ持ち直してプラス圏内。何で先物上がりますねんという風情でしたが皆さん???という感じで、ベンダーとかでは「金融政策決定会合で長期金利上昇に対応した何らかの施策が取られるとの期待もあるようで債券市場上昇」とか書かれていてナンジャソラと思っていた訳ですが・・・・・・・・

決定会合の結果は12時7分とかあっさり味時間に出ておりまして、当然ながら別に何も出なかった訳ですが、後場の寄りでいきなり先物が禿しく窓を開けて下で寄ったのにはさすがに爆笑の発作を禁じ得ませんでしたというかこういうのを大草原不可避状態というのかという所wwwwwwwwwwwwww

でまあまたまた崩れて10年0.90%とかになってナンジャソラとか思ってたらまた途中から猛然と切り返すとかわけでの判らん相場になって引け際には超長期が失速して終了とかもう何が何だかワカランチ会長ですが、中短期が終日確り目だったような希ガス。

イブニングでは黒田総裁の記者会見のヘッドラインで実質金利が下がっている云々とか、金利は跳ねあがらないでしょう云々とか多分その辺りだと思うのですが、そういうヘッドラインが出た所で先物が下がった(その後夕刻に下がったのは為替要因だと思うのだが)のも中々チャーミングで、まさに「クレクレは甘え」が債券市場に降りかかってくる(どうでも良いが今変換したら最初に「付利かかってくる」とか出たのですがorzorz)となという所で。


しかしまあ何ですな、昨日のベンダーヘッドラインを見たらMPM結果出た後には「長期金利に関して言及なし」とかわざわざ打たれちゃうし、会見のベンダーヘッドラインもまあわざわざ債券市場関係者が(#^ω^)ピキピキとなるようなのを選んでいるのが実にチャーミングでございまして、かつての麿時代にベンダーヘッドラインを見ながら暴れていた株式市場や為替市場の関係者諸氏から見ますと「思い知ったか債券市場」という所でしょうなあと考えますと実に味わいが深いというものでありまするorzorzorz

何かね、「実質金利は低下している」とか「長期金利上昇の影響大きくない」とか「巨額の国債買入はリスクプレミアム圧縮する効果がある」とか「長期金利働きかけに一定の効果ある」とかもうヘッドラインの打たれ方が一々債券市場の神経を逆なでするような代物になっているのが中々お洒落でして、どうも前後の文脈を見ますと一応色々と気は使っていて、この前みたいに長期金利上昇は自然とかそういうスットコドッコイの発言はしなかったようなのですが、そらまあベンダー的にはオモシロヘッドラインを打ちたくなるのが仕様(なお一部そうではないベンダーもあると思いますが)なので、そーゆー意味ではメディアの「異次元緩和VS債券市場」みたいなフレームアップ的報道バイアスによるヘッドラインリスクが債券市場的には今後も高い状態が続くんだろうなあ(債券が戻ったらそのヘッドラインリスク問題は終わりそうな気がするが)という所ではございます。

ということで、総裁会見ネタに関してはこれはちゃんと全文を読まないとベンダーバイアスに乗せられてしまう可能性があるので明日にしますぞなもしという所です。


○決定会合レビューその2:声明文を確認

今回の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130522a.pdf

経済に関する部分は先月の金融経済月報(4/5)の概要部分と比較するのが吉
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1304.pdf

前々回(4/4)の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

現状維持なのはまあスルーしまして景気に関する部分ですがこれは上方修正です。

・経済現状認識

『わが国の景気は、持ち直しつつある。』(今回)
『わが国の景気は、下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。』(前回月報)

総括判断が引上げですな。

『輸出は、海外経済が昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かうもとで、下げ止まっている。設備投資は、非製造業が引き続き底堅く推移するなか、全体としても下げ止まりつつある。公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底堅さを増している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。』(今回)

『海外経済は、昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かっている。そうしたもとで、輸出は下げ止まっている。設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底堅さを増しつつある。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。企業の業況感は、再び改善の動きがみられている。』(前回月報)

輸出は同じ、設備投資は「全体として弱め」から「下げ止まりつつある」に引き上げ、公共投資と住宅投資は同じ、個人消費は「底堅さを増しつつある」から「底堅さを増している」と引上げ、生産は「持ち直しに向かう動きもみられている」から「持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」とこちらも引上げ、ということで生産と設備投資の引き上げが目立ちますな。


・金融環境、物価の所では予想物価上昇率がどうのこうのという謎文言が

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっている。予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる。』(今回)

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回月報)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年の耐久消費財の動きの反動から、小幅のマイナスとなっている。』(前回月報)

まあこの比較はどうでも良いのですが、今回最初に読んでナンジャコラと思うのは・・・・・・

>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・はてこれは何なんでしょうと申しますか、この辺が上昇してフィリップスカーブが上方シフトして云々と言う屁理屈じゃなかったロジック構成になっております関係上、この内容が具体的に何を指し示すのかというのが非常に重要でありまして、まあその辺多分金融経済月報の全文を見ると書いてあるかとは思うのですが、会見のニュースを見た感じではここの質問が無かったみたいなのが極めて遺憾(あったらゴメン)でして、これが何なのかは非常に気になります。

えーまさか物価連動国債のBEIガーとか言っているんだったらおまいら板の薄い中で物価連動国債の買入やってBEI拡大に散々寄与しておいてそれを捕まえて政策効果が見られる(キリッ)とか言い出すのはどう見ても自作自演の誹りを免れない話でありますが、まあまさかBEI一点張りという事は無いでしょうと信用しておりますので本日の金融経済月報における記述を穴のあくほど拝読させていただきたいと存じます(迫真)。


・先行き見通しの中で金融緩和の効果という文言があるのね

『先行きのわが国経済については、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、マイナス幅を縮小したあと、次第にプラスに転じていくとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回月報)

さっきの予想物価上昇率と言い、実質金利ガーの総裁発言と言い、ここでの「金融緩和」文言と言い、何か自画自賛的な香りが漂ってくるような気がするのは読んでいるあたくしの心が濁っているからに違いありませんね(白目)。


・リスク要因は同じっぽいですが・・・・・・

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済や新興国・資源国経済の成長力など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)

『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(前回月報)

まあ同じっぽいですけど念の為3月会合の声明文の当該箇所を。

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(3月決定会合声明文より)

回復力とか書いてあるのが成長力とかになってたり、日中関係の影響というのが抜けてたりしていまして微妙にリスク認識が楽観的になっているような気もするがまあそもそもの基調判断が上がっているのですけどね。


・最後の部分なんですけどね

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(今回)

(注)というのは木内さんの反対意見。

『このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

となっている訳ですね、これは4/4の声明文と比較なのですけど。

『日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(注1)。』(4月4日決定会合声明文、冒頭部分)

(注1)というのは木内さんの反対意見で今回も同じ。

『その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(4月4日決定会合声明文、緩和継続期間に関する部分)

『今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(4月4日決定会合声明文、最後の部分)

・・・・・・・・ということで、まあこれは文章を長くしないという現体制の仕様によって文章が短くなったので削除された、という風に見るのが普通だとは思うのですが、4月4日の異次元緩和のローンチの際には「2年程度の期間」「できるだけ早期に」という実現期間が入っていたのに今回抜けているのは何なんですねんとか、同じく異次元緩和ローンチの際に説明していた金融政策効果の波及ルートの「長めの金利」部分を削除しているのは何ですねんとか、まあその辺も気になる人は気になりますな。

前者の2年程度の期間云々に関しては木内審議委員の反対提案で、

『木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された』(今回)

とありまして、中長期的に目指すという提案をしていますし、まあまさかいきなり2年間のタイムフレームが崩れるわけは無いので2年程度云々に関しては単に文章量の都合ということなのでしょうなあという所です。

で、後者の金融緩和政策の波及ルートの話を削除している方に関しては確かに文章量の都合だとは思うのですけれども、こちらは何せ前回「長めの金利を通じた波及ルート」というのを入れているのに肝心の長めの金利とやらは上昇しやがっておりますので、ここの部分を強調するのはツッコまれる元になるということでこっそりと削除している感も漂う訳で、ややアレな香りも致しますな(ニヤニヤ)。


・木内審議委員の反対提案がより明確化

『木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された』(今回、再掲)

『木内委員より、@「2年程度の期間を念頭に置いて」を削除、Aその次に「2年間程度を集中対応期間と位置づけて、『量的・質的金融緩和』を導入する」との一文を追加、B「『量的・質的金融緩和』の継続」の段落を削除するとの議案が提出され、反対多数で否決された』(前回)

前回は「2年程度の期間」について反対していましたが、今回は明確に「中長期的に目指す」という提案をしていまして、まあ前回のもそういう意図だったとは思いますが、今回は2%を2年とかそんな無茶振りするのはやめえやという意思が明確化されたなと思いましたです、はい。

#ということでまあそんな所で

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2013/05/22

昨日は某経済新聞本紙のコラム「大機小機」で筆名カトーさんが大勝利宣言をしていたのが話題になっていたようで、変な死亡フラグ立てるなしとか思った訳なのですが、それはそれとしまして大勝利宣言をするのは物価上昇と共に雇用者所得が上昇して、雇用が拡大する中で経済が前向きに拡大していって財政も好転していくとかそういう状況になってから大勝利宣言をすべきものであって、株が単に急角度で上昇したからウハウハとか何なんですかねそらまあ金融業者はこの相場でウハウハですからそれはアリガタヤですけれども、それを以て政策の勝利宣言って・・・・・・

などとは思いましたがまあどうでもいいです。

○市場雑談メモ

・値動きが派手派手でお子様には分かりません><;

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN35836JTSEF01.html
債券は下落、40年債入札結果低調で売り優勢−黒田総裁発言の余波も
更新日時: 2013/05/21 17:06 JST

『5月21日(ブルームバーグ):債券相場は下落。きょうの40年債入札結果が低調だったことを受けて、長期や超長期ゾーンを中心に売りが優勢となった。前日に日本銀行の黒田東彦総裁が景気回復に伴う金利上昇を容認する発言をしたことの影響も残ったとの見方もあった。 東京先物市場で中心限月の6月物は、前日比5銭安の142円07銭で開始後、プラスに転じて、15銭高の142円27銭まで上昇した。しかし、午後零時45分の40年入札結果発表後に水準を大きく切り下げ、2時すぎには53銭安まで急落。終了にかけて下げ幅を縮め、結局は23銭安の141円89銭で引けた。』(上記URLより)

何か最初前日比上昇だったんですけど結局マイナスになる中、何故か20年が堅調に推移してて40年国債入札がズッコケて瞬間30銭安だか何だかその辺まで下がったもののいったん持ち直し、と思ったら上値が重いので段々じり安シーザーになって2時位に先物が落札結果発表直後の安値切ったらゲロゲロになったものの、10年カレント0.90%が見えた所で何故か切り返して引けに掛けて先物が物凄い勢いでホイホイ戻りました、とかそんな感じですかよく分かりません><;

でまあ20年が何故か堅調で先物から10年が売りでも出ているのかやたら弱くて長期は先物対比弱くて、まあ相場戻る中で10年とか戻らず(というか下げの時から弱かった)で、引値見ると10年の所が一番甘いとか中々残念感の漂う展開ですので、長期ゾーンが全般売り物だったんでしょうかねえ良く判らんけれども。

まあ何か微妙に下がって戻ってという感じですが値動きが急に出てきてドタバタ動くとかな上に結構な動きをするので無力参加者であります所のミーなどは何がなにやらワカランチ会長というか動き出すともう何だかねという所で困ったもんでございましてまずとりあえず値動き落ち着けやという所でありまする。


・麻生さんの発言が債券下落に対してやや牽制的と

まあ市場が反応して居たという訳でも無いですけれども。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE94K00620130521
日銀は市場との丁寧な対話を、円相場にコメントせず=財務相
2013年 05月 21日 09:21 JST

『東京 21日 ロイター] 麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、21─22日開催に金融政策決定会合を開催している日銀に対し、市場との丁寧な対話をしてほしいと期待感を示した。長期金利が不安定に推移するなかで日銀決定会合に対する期待を尋ねられ、財務相は「黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた。引き続き丁寧に対応してもらいたい」と述べた。』(上記URLより)

ということで市場との丁寧な対話をとかいやあのおじちゃんが株高で円債からのシフトでウッシッシみたいな発言しているのに黒田さんに要求するとは何ですねんとヘッドラインを見た時に思いましたが・・・・・・・

>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた
>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた
>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた

お、おう・・・・・・・・・・・

いやー何ですなあ、あれだけ一生懸命懇切丁寧に説明していたどこぞの麿前総裁涙目の展開という所ではあるのですが、麿先生の場合は発言する側からダイナシーな話をするのもありますし、更には発言をわざわざ金融引き締め的な部分をやたら強調したり、政府との対立みたいな部分をやたら強調するようなメディアはいるわ、自殺者もエルピーダメモリーの経営危機も皆さんの失業も日銀の金融政策のせいですよと宣伝する人たちはいるわという事で、散々っぱら足を引っ張られておりました次第で、まあさすがにこう言われると(ハッタリが足りないとかあたくしも悪態ついてましたけど・・・・)麿カワイソスと同情の念を禁じ得ませんな、うんうん。

でまあそれはそれとしまして、

『国内投資家の投資スタンスに関連し「株、国債、現預金など、いろいろな形で分散するのは当然だ」としたうえで、1500兆円の個人金融資産のうち約880兆円は現預金だと指摘。「これが株に回り、新しい投資にカネが回る余地が出てきたことに特に反対していない」と述べ、最近の国債から株への資金シフトに違和感はないとの認識を示した。』(上記URLより)

これロイターの記者のまとめ方がおかしいと思うのですが、前回麻生さんは「国債から株へのシフトが起きて〜」というような言い方をしていたのですが、今回は「新しい投資にカネが回る」という言い方にしていて、恐らくこの部分は債券市場の足元の下落を受けて、「債券からの資金流出を容認」と取られないように発言を工夫している感がありまして、市場との対話云々の部分と合わせて考えますと、財務省の事務方が麻生さんに対して債券市場下落を容認するかのような物の言い方を微妙に避けるようなブリーフィングをしたんだろうなあと勝手に想像するのですがどうでしょうかね。

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2013/05/21

○昨日も債券市場が下げやがったので少々

・下げに結果的に追い打ちっぽくなった総裁発言とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN2GOO6JTSE801.html
債券は大幅下落、黒田総裁発言や株高受け−先物は一時1円近い下げに
更新日時: 2013/05/20 15:47 JST

『5月20日(ブルームバーグ):債券相場は大幅下落。前週末の米国債市場で長期金利が上昇したことや国内株高への警戒感に加えて、日本銀行の黒田東彦総裁の発言も売り材料となり、先物は一時1円近い下げ幅となった。東京先物市場で中心限月の6月物は、前週末比25銭安の142円44銭で始まり、142円50銭まで下げ幅を縮めた。その後は徐々に水準を切り下げる展開。午後の開始後に一段安となり、一時は95銭安まで急落。売買が一時停止となるサーキットブレーカー発動まであと5銭に迫った。結局は57銭安の142円12銭で引けた。』(上記URL先より)

まあ前週末の海外市場の展開からして債券下がります罠という所だったのですけれども、後場ヘコヘコ下げたのは結果的にはこのせいという事になっておりますが、実は最初「黒田総裁発言で下落」とかベンダーに出てたのですが「黒田総裁発言ってどこにあるのよ?」という感じだったりしてましてですな(汗)。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0CV00V20130520
経済・物価の先行き見通し改善で金利が徐々に上昇していくのは当然─黒田日銀総裁=内閣府幹部
2013年 05月 20日 11:59 JST

『[東京 20日 ロイター]内閣府幹部によると、日銀の黒田東彦総裁は20日の月例経済報告等に関する関係閣僚会議で、経済・物価の先行き見通しの改善で金利が徐々に上昇していくのは当然だとの認識を示した。』(上記URLより)

まーこれに関してはちょうど(狙った訳でも無いのですが)昨日再度ご紹介したG7後の黒田総裁会見での発言とあまりカワランチ会長だったりすると思うのですけれども、まあつまりきゃりーがマーライオン相場になってシグナルオペとか実施した後になっても特にこの前の発言との認識に変化はありませんですという話をしている、とまあそういう風に債券市場が取ってしまうのは致し方ない所ではあります。

ただまあこれ関係閣僚会議での発言という事になっていますので、そーゆー意味では債券市場と関係ない所での金利上昇のいいわけけとしてのロジックでもあるので、全くその辺の認識が変わっていなくて黒田総裁的には株高円安が正義なので債券市場何でしたっけそれとかいう認識で全て走っているかというと必ずしもそうでは無いのじゃないの発言した場所が場所だけに・・・・・・・などとちょっと気休めを言ってみるテスト。

・・・・・・・とは言えですよ、例えば逆さ絵のおじさんが長期金利の上昇に際して「景気が改善して長期金利が上昇していくのは当然」(キリッ)とか言い出したら米国債券市場がどのようなゲロまみれ相場になるかと想像致しますと、まあ発言として出たのはどうなのかねえと思う次第。さっきのブルームバーグニュースの記事によりますと、

『日銀の黒田総裁は20日、月例経済報告の関係閣僚会議で「経済・物価の先行き見通しの改善によって徐々に金利が上昇していくのは当然」との見方を示した。一方、「日銀の巨額の国債買い入れによる強力な金利低下圧力の下で長期金利が大きく跳ね上がるとは考えていない。いずれにしても市場関係者と密接なやり取りを続けていく」とも述べた。議終了後、内閣府関係者が記者説明した。』(前掲ブルームバーグニュース記事URL先より、脱字と思われる部分は原文ママ)

ということのようですが、まあ確かに「徐々に上昇」するのは自然なのですが、足元の金利動向のどこがどう「徐々に金利が上昇」なのかちょっと小一時間問い詰めたい次第でございまして、先々週末のG7関連での発言でもピキピキ逝っていた債券市場の中の人たちとしてはそろそろドッカーンとなってくるレベルですが市場との対話とか大丈夫ですかとか思うのですけれども株式市場と為替市場との対話ができていれば金利市場なんてあんなものはどうでも良いんですねああそうですかすいませんですねえという風情でして、ネットだと会員向け記事なので引用できないのですが、日経クイックさんの所のNQNニュースでは「はしご外し」とか思いっ切りお怒りなコメントが出てたりして誠にアレでございますな。

つーかこんな発言何で公表するのとゆー所でいやまあ内閣府ですから債券市場がどうのこうのとかご存知ないのでしょうけれども、言うのも不用意だが公表するのも不用意にも程があるわと「内閣府関係者」に八つ当たりしたくなる所ではありますな、とほほのほ。


・まあしかし何ですな

4月4日に異次元緩和をローンチした時の総裁会見を蒸し返してみる。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf

会見要旨本文10ページ目より。

『2点目は、市場参加者との対話についてです。これは、従来から金融市場局を中心に色々な形でやっているわけですが、今回の「量的・質的緩和」が、これまでと次元の違う規模であり質であるため、スムーズにオペレーションを行うには、かなり幅広い関係者から、単にオペの状況だけでなく、もう少し広く金融資本市場の動向等も含めて対話をしていく必要があるだろうということです。そういう形で、市場関係者の協力を得る必要もあるし、また、市場に無理なプレッシャーを与えることなくスムーズに「量的・質的緩和」をする必要があるということで、かなり幅広い相手と、幅広いイシューについて、より高いレベルで対話することを考えています。』

「市場関係者の協力を得る必要もあるし」「市場に無理なプレッシャーを与えることなくスムーズに「量的・質的緩和」をする必要がある」との事でございましたが、その協力するのって債券市場なんですけれどもど〜見ても債券市場とのコミュニケーション的には梯子外しとしか思えませんが何かというような大変に素敵な発言を(先週の金利急上昇を受けても)なさるとは誠に結構なお話ではございますなあと存じますが、まー救いがあるとすれば今週の金融政策決定会合での黒田総裁発言で少々梯子外し的な発言が出ても昨日の相場で織り込んだかもしれませんので、ちょっとだけ普通の発言(「経済実態を逸脱した急激な金利上昇は問題だ」くらいのごくごく普通の話)をすれば好感するかもしれませんですねという所ですかねえ。良く判らんけどさ。

ちなみに、昨日は4月12日の講演を引用しましたが、12日と言えば緩和打ち込んだ後に金利が上昇しちゃった後だったりしまして、そういう意味では4日の会見と12日の講演での表現の違いというのも面白いのですよね。つまり金融緩和の波及効果の説明なんですけどね。

上記URLの4月4日会見要旨本文7ページ目より。

『これは、先程も申し上げたように、長めの金利をさらに下げていく、あるいは資産価格のプレミアムに働きかけていくことによって、より十分あるいは迅速に資金需要に対応できるようになり、その結果、これまでよりも、当然、資金需要が出てくるわけです。このような形で、かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ、リスクプレミアムを縮小していく効果があります。』

「長めの金利をさらに下げていく」、「かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ」ですなあ。

一方で10年金利が0.5%後半で推移してた(12日に0.60%を抜けましたが)4月12日の講演ではこうなっております。講演本文の7ページ目より。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf

『第1に、長期国債やETF、J−REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』(上記URLの4月12日黒田総裁講演より)

既にこの時点で金利が上昇しているのでしらっと「長めの金利の低下を促し」となっておりますが、まあ元々決定会合での公表文書の方では

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

『イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。』

『今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。』(以上上記URLの4月4日金融政策決定会合声明文より)

ということで、イールドカーブ全体に対して金利低下を「促す」とは言ってますが下げるとは言ってませんよねとか、政策の波及効果に関しても「長めの金利を通じた波及ルート」とは言ってますが下げるとは言ってませんよねとか言い逃れができる日銀の作文力恐るべしとしか申し上げようがない所ではあるのですが、まあそうは言いましても4日の黒田総裁の大見得からしたら梯子外しやがったなコノヤローという所でありまして、まあどこまでそのロジックで進んで行くのかを冷え冷えとした目で眺めたいと存じます。


・ボスがボスですのでシグナルオペが無かったんですねわかります

昨日のオペオファー

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130520.htm
CP等買入 4,000 2013年5月23日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月22日 2013年6月24日

・・・・・・・ということで順当に(まあ期待もしてなかったでしょうが)シグナルオペのようなオファーもなく短国買入も無し(というか短国の需給をこれ以上締められても却って市場が不安定になるから勘弁だが)という事でございますが、確かにまあレベル的にシグナルオペやった先週水曜の水準からみたらまだまだ上なので実施しなかったんでしょうなあというか、そもそも変にシグナルオペ乱発すると逆方向に無用なメッセージを与えるのを懸念しているのかどうか知りませんが、まあ普通にシグナルオペ無しという風情。

つーてもまあせっせと市場局がオペレーションしている側からボスがダイナシーな発言をしてしまうという図になっている中でせっせとシグナルオペを打つのも空しいんですかそうですかという所で、調節担当部署様におかれましてはそもそも無茶振りをされている中でのオペレーションに同情の念を禁じ得ない所でございまする。

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2013/05/20

○オペ雑談

昨日のオペですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130517.htm
国庫短期証券買入 20,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,000 2013年5月21日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月21日 2013年6月21日

とまあ引用すると4本のオペなのですが、金曜のオペは色々と味わいというか何というかなオペでございまして・・・・・・・・

まずは10時10分のオファーですが、国債買入の中短期がオファーされたのはまあ良いとしまして、何故か今回はそのオファーが3年の所での分割が無くて、1年超5年以下と年限的に中短期全部攻撃になってしまったのが債券市場的に「えー」という内容。

つまりですな、この時の債券市場って前日の続きでまあ上昇していた訳なのですけれども、オファーの有った時点での相場の位置からすると前日に入札のあった5年とか、それよりもまあ重そうにしている4年とかそーゆー年限が入らないで2年近辺しか入らないじゃネーノという事になってナンジャソラ状態。と思ったら先物に叩きが入りまして前場引けに掛けて下落したので結局輪番はたぶん中期も入れられる位置になったのですけれども何とも微妙な事になりましたなという所です。

一応この買入って額は多目にオファーしているのでその点では気を使っているのですが、相場が上昇している中で1年〜5年のオペを実施しますとそら短い所しか入らんわという事になりまして、がっくりして先物の叩き料理が入りましたというのが中々遺憾ではございましたが、オペ結果自体がそんなに悪いというものでも無かったので後場は持ち直しとなりまして、まあ先物の叩き料理で中期が外せて良かったですね(という風になっているのかどうか知らんが結果だけ見るとそうなる)というお話。

んでもって10時10分のオペでもう一つ不思議だったのは短国買入2兆円のオファーでございまして、確かに入札後ではあるのですが、そもそも金曜に申し上げましたように前日の新発3MTBの入札が好調(0.10%の2つ上の刻みの所で足切り)となり、セカンダリーも確りという展開で推移していた訳で、何もここで短国の需給を日銀が締めに行かなくても良かろうとゆー話で、日銀がとりあえず短期ゾーンの金利だけは力技が可能なのでという事で短国の需給を締めに来るとなというのが少々アレ。

ただまあ13時のオペで前日に引き続きましてシグナルオペは実施されていませんでしたが、まー木曜にやらないのに金曜にやるのはおかしいというのと、輪番オペ結果が崩れなくて債券市場も切り返していたのでそもそもやる必然性が乏しかったので実施しないでしょうなあと思うのですが、良く良く考えてみますと短期ゾーンの力技攻撃として前日シグナルオペを打たなかった分の穴埋めに短国買入を実施したんかいなという気もせんでも無いですな、よーわからんけど。

ということでまあシグナルオペは(地合いからしたら当たり前だが)実施されなかった訳でございますが、このシグナルも中々使い方が難しいなあと思う訳で、債券安に振れた時に打つにしても変な打ち方をするとコミットメントっぽくなってしまって、それを維持できなくなると更にあばばばばーになってしまいますので益々調節担当部署涙目という所ではございましてボードからマルナゲータの刑を食らっている某金融市場局におかれましては同情の念を禁じ得ません。財務省みたいに普段から全年限である意味ポジションを抱えているのと違うので慣れてないわなあというのは何となくわかるので猶更。


○決定会合プレビュー雑談

今週火曜水曜は金融政策決定会合ですな。

何せ「やるべきことはすべて投入した、戦力の逐次投入はしない」(キリッ)って大口叩いて政策を打ちこんでおりますので、まーここで何か投入するとゆーのも何か残念感が漂うので普通に考えると従来の枠内で何とかしやがれという話になるとは思います。

つーかね、G7での黒田総裁発言とか最近の麻生財務相発言とか見ておりますと、「景況感が改善する中ではある程度金利が上昇してもシャーナイナイ」という風なニュアンスの発言をしやがっておりますし、ここで良く良く4月の金融政策決定会合後に行われた黒田総裁の根性論全開の講演を改めて読みますとですなあ・・・・・・・


・想定問答を想定すると・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf
量的・質的金融緩和── 読売国際経済懇話会における講演 ──2013年4月12日

本文3ページより。

『質の面では、長期国債の買入れ額を増やすに当たり、買入れ対象を超長期の40年債を含めて全てのゾーンの国債に拡大したうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長しました。これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより、経済・物価への働きかけを強めていくためです。』

という事で「今の金利上昇は景況感や期待の改善、すなわち経済物価への働きかけが強まった結果であり、もし大規模緩和による長期国債購入拡大が無かったら金利はもっと上昇していたので買入を行っているのが効果がある」(キリッ)という認識を持ち出すことによって金利上昇知らんがなという風に言い逃れができるというのが恐ろしい所です。

つまり、足元の金利上昇に関してまあ普通に市場の中の人たち的には「物理的に買入量が市場の通常キャパからして巨大シェアとなる強烈な金融緩和アナウンスによって市場の流動性が縮小したのでそのリスクプレミアムで金利上昇してるだろ」という風に思ったりしていると存じますが、そこを盛大に認定すると負けになる訳で、その辺は買入の具体的運用でカヴァーしろや金融市場局という事でマルナゲータ状態が続くんでしょうなあと思われる訳ですが・・・・・・・・

本文4ページより。

『しかし、こうした仕組みはやや複雑でわかりにくく、金融緩和に対する日本銀行の本気度が市場や国民になかなか伝わらないという問題がありました。このため、今回、「資産買入等の基金」を廃止したうえで、長期国債の買入れ方式を一本化しました。また、先行きの買入れ目標を年間約50 兆円という国債保有残高の増加分で示すこととしました。こうした工夫によって、私どもの金融緩和の意図が、よりストレートに市場に伝わるようになったと考えています。』

ということでして、金融緩和の意図が伝わったのでこういう風に株式市場が上昇したじゃありませんか(キリッ)と言われますと大体ぐうの音も出ないのでありまして、まあ意図は伝わったけれどもその意図を伝えた代償として債券市場の流動性リスクプレミアムが拡大しましたよねという風には債券市場の中の人たち的には共通認識だと思うのですが、何せ株価と為替の動きが動きなだけに、どうせ日銀がそのうち出してくる分析ペーパーを見ると「期待の改善による金利上昇ですよねこれって」という定量分析が出てくるというのがオソロシスな訳です。

ただまあですね、本文6ページなんですけど。

『第1に、長期国債やETF、J−REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』

金利上昇しているのに資金調達コストの低下とな!と突っ込んだ場合の答えは実は後にあるので、まあそう突っ込まれた場合の答えは用意していますし、しかもケシカラン事にここに書いてあるのは長めの金利の「低下を促し」であって低下は促すけれども市場の前提条件が変わったらそのベースが違ってくるもんねテペヘロと言われると債券市場的にはグギギギギとなるしかないのが残念な所。

『第2に、日本銀行が長期国債を大量に買入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていくことが期待されます。これは、教科書的にはポートフォリオ・リバランス効果と言われるものです。長期国債の買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。』

これまた債券市場の中の人的に申し上げますと何がポートフォリオリバランスじゃヴォケという所ではあるかと存じますし、大体からしてポートフォリオリバランス効果に関しては資産買入政策を実施すると必ずと言って良いほど最初のうち宣伝されるけれども、徐々にフェードアウトするという代物であって、これを大真面目に言われると甚だアレなのですけれども、恐ろしい事にこの点については「既に効果が出ています」(キリッ)という事になっているのですよね(後掲)。

『また、第3に、物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます。』

つーことで、株価上昇に見られるように「期待の転換」が進んでいるのであって、名目金利が若干上昇しているかもしれませんが期待の転換はインフレ期待の上昇に作用して、実質金利が低下すれば民間需要が刺激されることが期待できるのですよ文句あっかゴルァと言われますとこれまた債券市場的にはグギギギギとなる訳ですな(#^ω^)ピキピキ。


でまあここで参考になるのがG7終了後、つまり先々週のきゃりーぱみゅぱみゅマーライオン相場のスタート直後に行われた黒田総裁の会見でして、これも既にネタにしましたけれども。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf
黒田総裁記者会見要旨 (5月11日)―― G7 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨

上記URL先の本文2ページより、というかこの前も引用したが改めて確認。

『先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。』

アイヤー。で途中を飛ばして。

『もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。』

あばばばばー。

『当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。』

でまあこの会見ってナンジャソラとか思った訳ですが、想定問答がどう作られるかという理屈を想定問答作る方に回って考えてみると、まあ今回の決定会合でもこんな感じのロジック構成で会見が進んで行くのではないかという悪寒はするのがアレな所です。


・まあつまり「短い所の強力なアンカー」と「市場の流動性」が大事だったんですねということで

まあ何ですな、足元の金利市場を見ますと小見出しの通りという話で終了しちゃうのですけれども、金利をアンカーさせたいというのであれば、「これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより」というような認識がそもそも間違いでしたぞなもしという事であります。

でまあ流動性、すなわち市場機能というのもご覧の通りという事でありますので、そうなりますと「金利を低位安定させる」という意味では麿方式、というと格好が悪いので白川ドクトリンという方が格好良いのですが、まあ麿方式の方が市場オリエンテッドで実態に即した戦法でしたなという所ではあるのですが、「金利が低位安定したって株価が上昇して円安に振れて期待が転換しないと意味が無いでしょ」と言われると相変わらずぐうの音も出ないのですけどね(−−)。

でまあ期待の転換は良いのですが、問題は株式市場がヒャッハーとやっている「期待の転換」がちゃんと実体経済に波及してくれないと単に株式市場を無駄に持ち上げて債券市場の流動性を潰して終了しましたよねという風にならないで欲しいものですがそれは兎も角として、金利を落ち着かせるという気があるのかどうか知りませんが仮にやるならどうするんでしょという雑談を少々。

まー市場の流動性に関しては正直言って今さらどうしようもない所があって、それこそあたくしが半分冗談半分本気で申し上げておりますが、全営業日に渡って均等買入をして市場の需給に対して出来るだけ影響出さないようにするとか、あとはまあ金利が上昇したらジャンジャン買うようにするとか、まーどちらもやや極端な話にはなりますが、いずれにせよ従来の方式だと色々と運用が難しいです罠とは思います。

でまあそれはそれとして「短めの金利のアンカー」ですけれども、何せ「2年で2%」と言っているだけに時間軸政策というのが難しいという所ですが、まー市場動向見れば明白なのですが、実は買入国債の平均年限7年と言うのが無理があって、本当は金利を抑えたければ従来のように3年までの金利を強烈にアンカーさせるという方が良いのですけれども、「分かりやすい方式」とか言って基金オペを無くした手前そう簡単に白川ドクトリン復活みたいな措置できませんよね(ニヤニヤ)。

あと、一部のコメントとかで「3年LTROみたいなのをすれば」というのがあって、まあ手としてない訳では無いのでしょうけれども、ECBみたいに変動金利方式にしたら何の意味も無いですし、一方で固定金利にした場合にどの程度のニーズがあるのかというのも少々謎な面があって(ALM的な発想だと3年の固定調達をすれば長期債持っているポートのリスク量が減る筈なので、その意味ではニーズがありますな、つーか1年固定金利オペに札が入るのって同じ理由ですよね。業者にはニーズが無いのですから・・・・・)、ちょっとどうなんでしょうとは思いますし、大体からして「2年で2%」をすると言いきっているだけに3年の固定金利オペというのは政策ロジック的に入れにくいと思いますけどどうっすかね。

ということで結論は無いので特に何か投入されるという事は無く、債券市場が無駄にボラを上げたり変なリスクプレミアムで金利が上昇するのはケシカランという見解が表明されてめでたしめでたしという所でしょうかね、よー知らんけど。

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2013/05/20

○オペ雑談

昨日のオペですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130517.htm
国庫短期証券買入 20,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,000 2013年5月21日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月21日 2013年6月21日

とまあ引用すると4本のオペなのですが、金曜のオペは色々と味わいというか何というかなオペでございまして・・・・・・・・

まずは10時10分のオファーですが、国債買入の中短期がオファーされたのはまあ良いとしまして、何故か今回はそのオファーが3年の所での分割が無くて、1年超5年以下と年限的に中短期全部攻撃になってしまったのが債券市場的に「えー」という内容。

つまりですな、この時の債券市場って前日の続きでまあ上昇していた訳なのですけれども、オファーの有った時点での相場の位置からすると前日に入札のあった5年とか、それよりもまあ重そうにしている4年とかそーゆー年限が入らないで2年近辺しか入らないじゃネーノという事になってナンジャソラ状態。と思ったら先物に叩きが入りまして前場引けに掛けて下落したので結局輪番はたぶん中期も入れられる位置になったのですけれども何とも微妙な事になりましたなという所です。

一応この買入って額は多目にオファーしているのでその点では気を使っているのですが、相場が上昇している中で1年〜5年のオペを実施しますとそら短い所しか入らんわという事になりまして、がっくりして先物の叩き料理が入りましたというのが中々遺憾ではございましたが、オペ結果自体がそんなに悪いというものでも無かったので後場は持ち直しとなりまして、まあ先物の叩き料理で中期が外せて良かったですね(という風になっているのかどうか知らんが結果だけ見るとそうなる)というお話。

んでもって10時10分のオペでもう一つ不思議だったのは短国買入2兆円のオファーでございまして、確かに入札後ではあるのですが、そもそも金曜に申し上げましたように前日の新発3MTBの入札が好調(0.10%の2つ上の刻みの所で足切り)となり、セカンダリーも確りという展開で推移していた訳で、何もここで短国の需給を日銀が締めに行かなくても良かろうとゆー話で、日銀がとりあえず短期ゾーンの金利だけは力技が可能なのでという事で短国の需給を締めに来るとなというのが少々アレ。

ただまあ13時のオペで前日に引き続きましてシグナルオペは実施されていませんでしたが、まー木曜にやらないのに金曜にやるのはおかしいというのと、輪番オペ結果が崩れなくて債券市場も切り返していたのでそもそもやる必然性が乏しかったので実施しないでしょうなあと思うのですが、良く良く考えてみますと短期ゾーンの力技攻撃として前日シグナルオペを打たなかった分の穴埋めに短国買入を実施したんかいなという気もせんでも無いですな、よーわからんけど。

ということでまあシグナルオペは(地合いからしたら当たり前だが)実施されなかった訳でございますが、このシグナルも中々使い方が難しいなあと思う訳で、債券安に振れた時に打つにしても変な打ち方をするとコミットメントっぽくなってしまって、それを維持できなくなると更にあばばばばーになってしまいますので益々調節担当部署涙目という所ではございましてボードからマルナゲータの刑を食らっている某金融市場局におかれましては同情の念を禁じ得ません。財務省みたいに普段から全年限である意味ポジションを抱えているのと違うので慣れてないわなあというのは何となくわかるので猶更。


○決定会合プレビュー雑談

今週火曜水曜は金融政策決定会合ですな。

何せ「やるべきことはすべて投入した、戦力の逐次投入はしない」(キリッ)って大口叩いて政策を打ちこんでおりますので、まーここで何か投入するとゆーのも何か残念感が漂うので普通に考えると従来の枠内で何とかしやがれという話になるとは思います。

つーかね、G7での黒田総裁発言とか最近の麻生財務相発言とか見ておりますと、「景況感が改善する中ではある程度金利が上昇してもシャーナイナイ」という風なニュアンスの発言をしやがっておりますし、ここで良く良く4月の金融政策決定会合後に行われた黒田総裁の根性論全開の講演を改めて読みますとですなあ・・・・・・・


・想定問答を想定すると・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf
量的・質的金融緩和── 読売国際経済懇話会における講演 ──2013年4月12日

本文3ページより。

『質の面では、長期国債の買入れ額を増やすに当たり、買入れ対象を超長期の40年債を含めて全てのゾーンの国債に拡大したうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長しました。これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより、経済・物価への働きかけを強めていくためです。』

という事で「今の金利上昇は景況感や期待の改善、すなわち経済物価への働きかけが強まった結果であり、もし大規模緩和による長期国債購入拡大が無かったら金利はもっと上昇していたので買入を行っているのが効果がある」(キリッ)という認識を持ち出すことによって金利上昇知らんがなという風に言い逃れができるというのが恐ろしい所です。

つまり、足元の金利上昇に関してまあ普通に市場の中の人たち的には「物理的に買入量が市場の通常キャパからして巨大シェアとなる強烈な金融緩和アナウンスによって市場の流動性が縮小したのでそのリスクプレミアムで金利上昇してるだろ」という風に思ったりしていると存じますが、そこを盛大に認定すると負けになる訳で、その辺は買入の具体的運用でカヴァーしろや金融市場局という事でマルナゲータ状態が続くんでしょうなあと思われる訳ですが・・・・・・・・

本文4ページより。

『しかし、こうした仕組みはやや複雑でわかりにくく、金融緩和に対する日本銀行の本気度が市場や国民になかなか伝わらないという問題がありました。このため、今回、「資産買入等の基金」を廃止したうえで、長期国債の買入れ方式を一本化しました。また、先行きの買入れ目標を年間約50 兆円という国債保有残高の増加分で示すこととしました。こうした工夫によって、私どもの金融緩和の意図が、よりストレートに市場に伝わるようになったと考えています。』

ということでして、金融緩和の意図が伝わったのでこういう風に株式市場が上昇したじゃありませんか(キリッ)と言われますと大体ぐうの音も出ないのでありまして、まあ意図は伝わったけれどもその意図を伝えた代償として債券市場の流動性リスクプレミアムが拡大しましたよねという風には債券市場の中の人たち的には共通認識だと思うのですが、何せ株価と為替の動きが動きなだけに、どうせ日銀がそのうち出してくる分析ペーパーを見ると「期待の改善による金利上昇ですよねこれって」という定量分析が出てくるというのがオソロシスな訳です。

ただまあですね、本文6ページなんですけど。

『第1に、長期国債やETF、J−REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』

金利上昇しているのに資金調達コストの低下とな!と突っ込んだ場合の答えは実は後にあるので、まあそう突っ込まれた場合の答えは用意していますし、しかもケシカラン事にここに書いてあるのは長めの金利の「低下を促し」であって低下は促すけれども市場の前提条件が変わったらそのベースが違ってくるもんねテペヘロと言われると債券市場的にはグギギギギとなるしかないのが残念な所。

『第2に、日本銀行が長期国債を大量に買入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていくことが期待されます。これは、教科書的にはポートフォリオ・リバランス効果と言われるものです。長期国債の買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。』

これまた債券市場の中の人的に申し上げますと何がポートフォリオリバランスじゃヴォケという所ではあるかと存じますし、大体からしてポートフォリオリバランス効果に関しては資産買入政策を実施すると必ずと言って良いほど最初のうち宣伝されるけれども、徐々にフェードアウトするという代物であって、これを大真面目に言われると甚だアレなのですけれども、恐ろしい事にこの点については「既に効果が出ています」(キリッ)という事になっているのですよね(後掲)。

『また、第3に、物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます。』

つーことで、株価上昇に見られるように「期待の転換」が進んでいるのであって、名目金利が若干上昇しているかもしれませんが期待の転換はインフレ期待の上昇に作用して、実質金利が低下すれば民間需要が刺激されることが期待できるのですよ文句あっかゴルァと言われますとこれまた債券市場的にはグギギギギとなる訳ですな(#^ω^)ピキピキ。


でまあここで参考になるのがG7終了後、つまり先々週のきゃりーぱみゅぱみゅマーライオン相場のスタート直後に行われた黒田総裁の会見でして、これも既にネタにしましたけれども。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf
黒田総裁記者会見要旨 (5月11日)―― G7 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨

上記URL先の本文2ページより、というかこの前も引用したが改めて確認。

『先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。』

アイヤー。で途中を飛ばして。

『もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。』

あばばばばー。

『当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。』

でまあこの会見ってナンジャソラとか思った訳ですが、想定問答がどう作られるかという理屈を想定問答作る方に回って考えてみると、まあ今回の決定会合でもこんな感じのロジック構成で会見が進んで行くのではないかという悪寒はするのがアレな所です。


・まあつまり「短い所の強力なアンカー」と「市場の流動性」が大事だったんですねということで

まあ何ですな、足元の金利市場を見ますと小見出しの通りという話で終了しちゃうのですけれども、金利をアンカーさせたいというのであれば、「これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより」というような認識がそもそも間違いでしたぞなもしという事であります。

でまあ流動性、すなわち市場機能というのもご覧の通りという事でありますので、そうなりますと「金利を低位安定させる」という意味では麿方式、というと格好が悪いので白川ドクトリンという方が格好良いのですが、まあ麿方式の方が市場オリエンテッドで実態に即した戦法でしたなという所ではあるのですが、「金利が低位安定したって株価が上昇して円安に振れて期待が転換しないと意味が無いでしょ」と言われると相変わらずぐうの音も出ないのですけどね(−−)。

でまあ期待の転換は良いのですが、問題は株式市場がヒャッハーとやっている「期待の転換」がちゃんと実体経済に波及してくれないと単に株式市場を無駄に持ち上げて債券市場の流動性を潰して終了しましたよねという風にならないで欲しいものですがそれは兎も角として、金利を落ち着かせるという気があるのかどうか知りませんが仮にやるならどうするんでしょという雑談を少々。

まー市場の流動性に関しては正直言って今さらどうしようもない所があって、それこそあたくしが半分冗談半分本気で申し上げておりますが、全営業日に渡って均等買入をして市場の需給に対して出来るだけ影響出さないようにするとか、あとはまあ金利が上昇したらジャンジャン買うようにするとか、まーどちらもやや極端な話にはなりますが、いずれにせよ従来の方式だと色々と運用が難しいです罠とは思います。

でまあそれはそれとして「短めの金利のアンカー」ですけれども、何せ「2年で2%」と言っているだけに時間軸政策というのが難しいという所ですが、まー市場動向見れば明白なのですが、実は買入国債の平均年限7年と言うのが無理があって、本当は金利を抑えたければ従来のように3年までの金利を強烈にアンカーさせるという方が良いのですけれども、「分かりやすい方式」とか言って基金オペを無くした手前そう簡単に白川ドクトリン復活みたいな措置できませんよね(ニヤニヤ)。

あと、一部のコメントとかで「3年LTROみたいなのをすれば」というのがあって、まあ手としてない訳では無いのでしょうけれども、ECBみたいに変動金利方式にしたら何の意味も無いですし、一方で固定金利にした場合にどの程度のニーズがあるのかというのも少々謎な面があって(ALM的な発想だと3年の固定調達をすれば長期債持っているポートのリスク量が減る筈なので、その意味ではニーズがありますな、つーか1年固定金利オペに札が入るのって同じ理由ですよね。業者にはニーズが無いのですから・・・・・)、ちょっとどうなんでしょうとは思いますし、大体からして「2年で2%」をすると言いきっているだけに3年の固定金利オペというのは政策ロジック的に入れにくいと思いますけどどうっすかね。

ということで結論は無いので特に何か投入されるという事は無く、債券市場が無駄にボラを上げたり変なリスクプレミアムで金利が上昇するのはケシカランという見解が表明されてめでたしめでたしという所でしょうかね、よー知らんけど。

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2013/05/17

気温の振れ大きすぎですが、債券市場と同様にボラは適当な所で収めて頂きたい物です。

○債券市場反発&シグナルオペはスルーなどの市場関連ただの備忘メモ

・とりあえず5年入札無事(かどうか知らんが)通過とな

昨日の債券市場ニュース。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPTK067784320130516
〔金利マーケットアイ〕夜間取引の国債先物はしっかり、海外勢の買い戻し
2013年 05月 16日 17:38 JST

米債が無事に戻って堅調スタートとなって、朝から10年とか5年とか強かったということで前場から堅調。後場は株式市場というかインデックスが一段と弱含みになったのが効いたのかどうか知らんが、株価の軟調な上に5年国債入札も堅調な結果になって更に確り。つーか5年国債入札結果を見てから買いましょうという人がそれなりにいたのかどうか知らんけれども、如何にもという感じで落札結果発表後に一段と強くなったのですが、超長期って最後前日比甘になってやがるのね。

まあ相場戻りましたのでシグナルオペ効果で良かったですねと言いたい所ではありますけれども、ただまあどちらかというと市場の厚みとボラの低下を伴いながら堅調推移してくれないと何だかなあという感じではありまして、戻るにしろ急ピッチというのはどうもねえという所でして、いいから少し値動き落ち着けと思うのでありますた。


・相場が堅調だったのでシグナルオペ無しとな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130516.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月20日 2013年6月20日

ということで、13時のオペタイムで昨日はシグナルオペの実施無しという事でしたが、まあその前に既に相場は5年10年(と先物)中心に堅調ワッショイでしたし5年国債入札も堅調でしたし、ついでにその後の相場も強かったので、安心してシグナルオペを実施しなかったようですが、日銀の思惑通りシグナルオペが無い事に関しては全然キニシナイという風情だったようですので誠に結構な話(やや棒読み感)。

まーシグナルオペに関しても諸刃の剣な所がありまして、これでまた金利が上昇した時にどういう風にするのかというのによって「意思を不必要に示す」という風になってしまう惧れもある訳でして、そらまあこれで債券市場がこのまま戻ってくれればその辺悩まなくても良いのですけれども、うっかり何かの拍子(一番足を引っ張りそうなのは米国債動向なのですが、とりあえず2%手前で綺麗に反転してくれたので一安心)で債券市場がまた下落するような場合にシグナル出さないとこの前のはナンダッタンダということになりますし、下手にシグナルだすと今度は勝手に市場がコミットメントと受け止めて却って話がややこしくなるリスクもありますので、まあ運営難しいですよね、というか昨日も黙って1年オペ打っても良かったような気もするんですけど。一日だけ打って終わりだと如何にもピンポイントっぽく見られちゃいますから・・・・・・・・


・3か月TB入札はまずまず

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130516.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛 (募入最高利回り) (0.0982%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.7843%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘7毛 (募入平均利回り) (0.0974%)

前日の1年TB入札が何故か足切り0.10%乗せになったのでどうなのよという見方も当初はあったのですが、前日の1年TBの状況を見て、こりゃ3Mが入札で0.10%に近い所まで行くかもしれないじゃあーりませんかという見方が蔓延したら「じゃあ買いますか」という話になったようで、何の事は無いリアルマネーの実需筋の買いを誘発して0.10%にはトドカンチ会長な落札結果であっさり収まりました(^^)。

まあ何ですな、このゾーンに関しては0.10%になると絶賛キャッシュ潰し(次にメモだけ置いているけど業態別当座預金残高を見たら超過準備の潰しニーズは素晴らしくあるでしょうというのが分かります)ニーズが発生しますので、通常の日銀当座預金制度の外側の人たちのニーズと、時々あったり無かったりするけどある時にはバシバシ来る海外系のニーズに加えてまあ買いイント高まるという事でしょうな。0.08%台とかになるとニーズ減るんでしょうけど。




・業態別当座預金残高

4月積み期間分が更新されました。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf

まあ何ですな、都銀の超過準備が増えてまして、主に銀行業態の超過準備が増加傾向というのは大体イメージ通りなのですが、最近は増加率的な観点からすると信託銀行の超過準備がどどーんと増えているのねというのは何故なのか知ってる人教えてジェネラル!

さて上記URL先による当座預金残高の平残レベルの合計(積み期間ベースなので4月と書いてあるのは4月16日から5月15日になります、為念)ですが・・・・・・・・

昨年12月:46兆4891億円
今年1月:41兆0957億円
今年2月:43兆5767億円
今年3月:53兆6800億円
今年4月:65兆6340億円

・・・・・・・・・木久扇師匠の緻密な理論によりますと当座預金残高70兆から80兆程度で早期の物価目標絶賛達成可能という話でございましたので、もうそろそろ物価が上昇しだしてくるんですよね(棒)。

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2013/05/16

今朝の米国株式市場コメントってモーサテもまあこんな感じでしたな。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMUWBF6K50YQ01.html
米国株:続伸、製造業活動弱く緩和継続観測−指数は最高値
更新日時: 2013/05/16 05:27 JST

・・・・・・・・・・・なんかね、雇用統計強くて「景気が良い」って買われて今度はNY連銀製造業指数が弱くて「緩和継続」って買われるとか楽しそうですなあ(白目)という所ですが。

#えーっと、モーサテによりますと某新聞の1面では今日はツッコミどころ満載の市場後講釈をしているようですので若い衆の勉強課題に如何でしょうか


○昨日に関しまして色々と雑記

・もはや何が何だか良くわかりません・・・・・・(・ω・;)

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPTK067665920130515
〔金利マーケットアイ〕夜間取引の国債先物は強含み、海外勢のショートカバー
2013年 05月 15日 17:03 JST

昨日の夕方の状況がヘッドラインになっているから何ですが、ここの時系列のヘッドラインを見るだけでお腹一杯になってしまいますぞ。まあ上記URL先の説明とあまり大差ないのですが俺様メモということで。

つーことで、何だか知らんけど昨日の債券先物はとんでもない下で寄ってその後「さすがに今日は輪番実施するんじゃネーノ」と言う期待があったのかどうか知らんけど徐々に戻り、その間(前日からそんな感じでしたが)超長期とかは割と堅調に推移するでござるの巻。

でもって10時10分の輪番タイムには1年以下と10年超という債券市場的に需給が悪くなさそうなゾーンの輪番が入るという謎展開でしたが、まあ逆に考えれば今日の5年入札の後に明日にでも中期の輪番入るんですからそれはそれで結構なお話ではないかとの評価もありましたな。

輪番の結果はまあ普通、というか10年超の輪番とか10年超のカーブが盛大にフラットしているのですから当然ながら10年ちょっと越えしか打ち込まれないと思うのですが、まあ普通の結果で後場もまあ堅調。というか何か知らんけど5年とか10年とか堅調になったり、シグナルオペキタコレとかあって何故か先物前日比プラスとかになって相場上昇。

なんでまたこんな所で相場戻りますねん変な所で戻すなよとか悪態をつきながら見物しておりましたら引け近くに何か先物大失速して結局前日比22銭安で終了しているのですけれども、結局上髭引いて下髭のほとんどない大きめの陽線を引くという先物のローソク足ってこれどういう類の線でしたっけとか思うのですが、昔は罫線の本とか買って勉強した筈だったのにすっかり忘却している自分が残念なのですが、そういや千代田書店も店頭販売止めて久しいですなあうんうん。


まー何ですな、昨日妙な所で戻った後にまた下がってしまった訳ですが、よーするにここもとの相場展開の中で中々総投げっぽくもならないし、板の方はスカスカなのでちょっと動きがあるとそっちの方にワサワサ動くという事でしょうし、買いで戻るのはまあ兎も角として先物ベースで当日安値から1円じゃ効かなく戻っちゃうとかいうような状態とゆーのは、まあ売りたい人だけじゃなくて買いたい人も相応に待ち構えているんでしょうねえとか、ごく当たり前の事ではあるのですが思ってしまいましたぞな。


・輪番オペとかシグナルオペとか

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130515.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年5月17日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月17日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月17日 2013年6月19日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年5月17日 2014年5月16日

午前に実施された輪番が上の2発で、午後に実施されたシグナルオペを含む資金供給オペが下の2発になりますがまずは輪番オペ。

まー昨日の相場的には先程申し上げたように輪番オペ対象のゾーンってどっちもそれほど需給が悪い訳でも無いゾーンでして、大体からして引値表を見れば判りますように、需給が悪そうに見えるのって中期と先物とそのちょっと先(昨日の引値表見ると超長期の手前ゾーンも含まれそうですが)ですし、今日は5年入札があるのでまあそっちの方が需給がががががという所ではあるのですが、何せ今日5年の入札があるのですから、黙っていてもそこで新規に玉が供給される訳でして、実は輪番で吸い上げるなら入札の後に吸い上げて貰った方がアリガタヤという話。

つまりですね、入札前に中途半端に買入オペ打ち込まれて需給を改善させちゃったり、うっかり需給をひっ迫させちゃいますと入札の水準が強くなってしまいますので、強くなった所で入札をしてその後はお助け無しとなりますと相対的にコストが悪くなった所で市場の皆様のロングが拡大するのでその後の捌きに苦労するぞなもしという話で、それよりも入札を安い所でやってその後に日銀の買入で需給を改善してくれた方がまあやりやすいです罠と思いっきり参加者的ポジショントーク満載にも程がありますが(-_-)、まー今日入札やって明日中期の輪番があった方がウッシッシという所だったのでこれはこれで良かったのかも知れませんな。

ただまあ別に事前アナウンスしたからと言ってスケジュール通りに買入を実施しないといけないという訳でも無いですし、大体からして月割りで買わないといけないというものでも無いのですからして、金利が上昇しているという事はつまり日銀の買入に応じるニーズが拡大しているという事を意味するのですから、ニーズが拡大している時にドンドン前倒しで買って誰かが困る訳でも無いので、あまり杓子定規に月割りせんでもよかバイと思うのですけど、そこまでの思い切りを見せていないのが惜しい所です。

まあ今日は米債が2%手前でクルリと反転しましたので無問題ですが、米債が前日までの調子で金利上昇して2%台乗せとかになってると円債も連れ安になってもおかしくなかったので、そういう時のタマに「前倒し買入で朝三暮四スキーム」攻撃を残しているのかも知れませんけどね!!


でもって後半のシグナルオペですがまたまたロイターから。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067730320130515
UPDATE3: 日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
2013年 05月 15日 14:50 JST

『[東京 15日 ロイター] 日銀は2営業日先となる17日付で総額2.8兆円を市場に資金供給すると発表した。共通担保方式で4月16日以来1カ月ぶりに供給額を2兆円追加し、急ピッチな国債利回りの上昇に対応する狙い。市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが、これらをけん制する政策当局の姿勢が伝わり、安心感から長期金利の指標10年物利回りは低下に転じた。』(上記URLより)

>市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが

ほほう(・ω・)

『1カ月物への応募は2080億円にとどまったが、1年物には2兆3174億円の応札があり、日銀は2兆0012億円を落札した。この結果、実際の資金供給額は2.2兆円余りとなった。資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。』(上記URLより)

という事で、金融市場局様からわざわざそのような説明まで有りましたという事でして、つまり明白なシグナルオペ。でまあ金融市場局様におかれましては最近は国債買入砲の打ち込み方につきまして裁量権が拡大している訳ですから、このシグナルオペには「この調子で金利上昇継続したら国債買入の絨毯爆撃しちゃうよ〜♪」って意味も含まれますので、やっと好感しましたかとゆー話なのですが、どうせなら前日の短国買入の方で気が付いてよとは思うのですが、やはり短期市場の人たちとそれ以外の人たちでは短期関連の日銀のアクションや市場のアクションに関しまして当然ながら見ている細かさが違いますので、短期市場に判るようなオペであっても債券市場に必ずしも伝わる訳では無いので、こういう打ち方が「見せ方」として必要だったという話ですな、うんうん。

そういや日銀が2003年にシグナルオペをやった時も最初に「おー」とか言ったのは短期市場のうち営業局時代の積み上積み下調節による毎日の対話(のようなもの)時代の現場を知っている人たちで、某ベンダーで丁寧な解説があって急に気が付きましたとかいう懐かしい事案がありますように、まー日頃から細かいシグナルオペをやっていたような大昔と違いますので、シグナルって見せ方もあからさまに実施するとか鉦や太鼓で宣伝するとか、色々と工夫が必要となるんでしょうねえとか思ったのでありました。

まあそれはそれと致しまして上記ベンダー報道の金融市場局コメントなのですが、「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」(先ほどのロイター記事より)とのことで、まーこれ以上細々と言い出す訳にも行かないでしょうからこんな表現になるのでしょうけれども、「やや長めの金利」とは何ぞやとか「急激な上昇」の「急激」が問題なのか「上昇」が問題なのかという辺りとかは煙巻きモードになっている訳で、この辺に関しては今日以降のオペがどうなるかというので推測するしかありませんなあという所です。

本当は日銀のシグナルオペなんぞなくても市場が日銀の政策に対応して「市場がこういう動きをすることによって金融政策の効果が実体経済に波及して欲しいですなあ」という動きをしてくれれば良いのですが、シグナルオペをしたということは「意志を示した」ということになりますので、今日以降のオペ動向も注目される訳で、ちょっと相場が戻った程度でシグナルを止められると「ああ日銀は単にスピードに文句言っただけですね実は金利上昇容認なんですかそうですか」という解釈をされるリスクがあります(リスクがあります、というのは地合いによってはそういう解釈をしない可能性もあるので書いているこのアタクシも決め打ちが出来ないという事で、この手の市場センチメントというのは実にムツカシヤなのですよねえという話)ので、まあとりあえず1年オペの応札が満額以上に入っているうちは継続してた方が良さそうな気もしますが、あくまでも気のせいですので市場動向をせっせとヒアリングしておられる金融市場局の情勢分析次第ではございますな。

いずれにせよ、とりあえず水準そのものなのかスピードなのか、それともその合わせ技なのかはさっぱりワカランチ会長ではありますし、やや長めの金利とは何ぞやというのもありますけれども、まー1年の金利が馬鹿上がりしている訳では全くないという事ですし、「短期市場の」とは一言も言ってない(と思われる)のですから市場動向考えたら普通に中長期国債市場(か中期なのか知らんが)をイメージしているのでしょうから、「こっからホイホイ金利上昇するんだったら国債買入砲を当初予定以上に打っちゃいますよウヒョヒョヒョヒョ」とゆーのだけは判明した、とゆー解釈で宜しいかと思います。

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2013/05/15

お題「また相場が売られてしまったので相場に煽られネタが飛んで雑談大会になりますたorz」

債券市場のお告げがこんな所にあったとは不覚(違)
http://www.jiji.com/jc/c?g=ent2_ent2&k=g130259
きゃりーが「マーライオン」のモノマネ(2013/05/11)

#ちなみにこのシリーズは6月2日まで続くそうですな。

そういや米国金利上昇の後付理屈に「QE早期縮小観測」らしいのですが・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMSZT36VDKI701.html
米国債:10年債利回りが上昇−量的緩和の縮小検討の観測で
更新日時: 2013/05/15 05:07 JST

プロッサーのオッサンってタカ派が一枚看板の言ってみればタカ派芸人(失礼)でしかもFOMCでの投票権今年は無いのですけれども、このオサーンの発言で反応したとか絶対ただの後付理屈だろと思いますけどねえ。

#しかしその一方でQE縮小思惑関係なく株がワッショイというのも味わいがありますな


○5年が0.40%だと???

・公共放送もネタにするとな

公共放送ニュースのネタになっていたのか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014563811000.html
長期金利さらに上昇 国債売る動き続く
5月14日 16時15分

『長期金利を巡っては、投資家が株式などに資金を振り向けるため、国債を売る動きを強めていましたが、14日の市場について関係者は、「国債が売られて価格が下落してきたことで、損失を一定の範囲内に抑えようという売り注文が銀行などから多く出され、長期金利の上昇につながったようだ」と話しています。』(上記URLより)

>投資家が株式などに資金を振り向けるため、国債を売る動きを強めていましたが

・・・・・・・・・・まあ話として分かりやすいからこういう報道になるのってシャーナイナイな面はあるのですが、直近で債券利回りが連日上昇している間に株式は何ぼ動いておりますねんという話でございますが、大体からしてそんなグレートローテーション(笑)みたいな動きって直接起きませんがなとゆー所ではございますが、でもまあこの公共放送ニュースの場合最後に「国債が売られて価格が下落してきたことで、損失を一定の範囲内に抑えようという売り注文が銀行などから多く出され、長期金利の上昇につながったようだ」ってコメントがあるだけ出来が良いですな、うんうん。

昨日の引けを備忘で。

2年328回:0.135%
5年110回:0.395%
10年328回:0.855%
20年144回:1.660%
30年38回:1.780%
40年5回:1.660%

何がオッペケペーって5年が昨日は0.40%とかやりやがった訳ですが、先物1円安の時に0.40%だったのに引けで先物戻っても0.395%の引けという所で、延々と0.1%台で推移していた5年金利がニバイニバーイどころか3倍に上昇しているとかえーっとですねという所ではございますが。

昨日は30年国債の入札があって、入札自体はごくごく普通の結果、というかこの地合いで前場の引けの板辺りの平均落札とか堅調じゃねえのとゆーところで、落札結果出た後は先物様値持ちしていたはずなのですが、その後から何故か急にスココーンと下がってしまい、昨日は結局サーキットブレーカー発動しなかったのですが先物3営業日連続で1円下落する場面が発生するとはきゃりーぱみゅぱみゅ効果恐るべし(違)。


・一応シグナルオペもあったんですけどにゃあ

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130514.htm
社債等買入 1,500 2013年5月20日
国庫短期証券買入 15,000 2013年5月16日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月16日 2013年5月23日 0.620
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月16日 2013年6月18日

ということで昨日は10時10分のオペタイムに短国買入1.5兆円の打ち込みがあったのですけれども、先週金曜に2兆円の短国買入が実施されまして入札がその後まだ行われていないというタイミングですので、このオペ自体は別に打たなくてもよさそうなタイミング、と申しますか、短国に関して言えば1年辺りのTB(および利付も含めて)についてはやたらとニーズがあって明らかに3か月と比較してインバートしている状態で全く問題が無く、3か月TBは1年以内の中では一番需給が重そうではあるのですが、別にそれで相場がコケるとかいう話でも無いので、入札のレベルをあまり強くしない方が業者も投資家もハッピーだとゆー所でして、どうせ買入するなら入札前にやるよりも入札後にやってくれた方がやりやすいんですけどねえと思う次第。

つーことで、まあ昨日の短国買入自体は短期市場的には意外感があった筈で、これはシグナルオペみたいなもんだったと思う(というのは別にシグナルオペだと一々宣伝する訳では無いのでこっちが勝手に想像するだけなのだが)のですが、まあ短期ゾーンについては確り(とは言っても昨日とか2年の引けがちと甘くなっているので少々アレな気もしますが)でしてもっと後ろの方の話になっているからなのか、単にスルーされているからなのか知らんけど、結果的にはシグナル不発となっていて、今日明日の入札に向けてTBの気配だけ堅調にしただけとなっておりましたのは残念無念。


・まあ世の中そんなもんでしょうなあという所ですが

まあ債券相場の扱いなんぞそんなもんですからねえとは思うのですが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014556101000.html
長期金利の上昇は「当然の流れ」
5月14日 11時8分

『麻生副総理兼財務大臣は、このところの長期金利の上昇について、国債を売って株式に買い換える人が増えていることが主な理由だとしたうえで、「株価の上昇傾向が強ければ当然の流れだ」と述べ、投資の環境を考慮すれば自然な動きではないかという認識を示しました。』(上記URLより)

えーっとだからそういう動きじゃないんですけれどもという所ですが、株価が上昇して為替が円安傾向になりますと大体当局の皆様におかれましては調子に乗ってこういう話をするのが仕様でございまして、そういえば2003年の夏も竹中なにがしとかいう人(だけじゃなかったけど一番目立った罠)が金利が上昇するのは普通みたいな発言を債券市場がキモい時に行って相場があばばばばばーになったりしたことがありましたなあとか思うとまあ所詮債券市場なんてそんな扱いの日陰者ですからええどうもすいませんねえとブツブツと悪態をつくので債券の人間は暗いとか景気が悪いとか言われるんですねわかります(><;

『また、甘利経済再生担当大臣は、「金利が上昇すれば国債の利払いに跳ね返り、財政再建への影響が当然ある。政府・日銀が市場としっかり対話するなど、金利の変動が小さくなるよう引き続き努力したい」と述べ、金利が大きく変動するような状況は、国の財政再建の観点から好ましくないという認識を示しました。』(上記URLより)

まあ別にあまりややこしい事言わんでも良くて、甘利さんのこの程度の発言をしておけば良いのですけれども、大体こう株が上昇して政策当局の皆様が株高ヒャッハーとなると債券市場の事など知ったことか株が上がっているんだから細けぇこたあ良いんだよという発言をおっぱじめるのは何時まで経ってもカワランチ会長で誠に遺憾なのですが、来週の決定会合後の会見で黒田さんが要らんことを言わないようにお願いしますって昨日も書いたか(−−:)。


ちなみにこんなのもあったぞなもし。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067636120130514
UPDATE1: 株価上昇で債券から株式に資金がシフトしている=長期金利上昇で菅官房長官
2013年 05月 14日 16:38 JST

『[東京 14日 ロイター] 菅義偉官房長官は14日午後の会見で、債券市場で長期金利件が上昇していることについて、株価上昇で債券から株式に資金がシフトしているとの認識を示した。また、市場の動きに逐一コメントすることは控えたいと語った。』(上記URLより)

まあね、これって麻生さんとか菅さんとかの問題ではなくて、スタッフの皆さんちゃんとブリーフィングしてよという所なのですけれども、実際問題として別にこの3日で急にアセットアロケーションが変わったとかいう話じゃないので、こういうヘッドラインを打たれるような話をされちゃうと元々ど〜せ債券市場なんてどうでも良いと思ってるでしょうから仕方ないですねえとか僻む債券市場の皆様が更に僻んでしまいますので(-_-メ、市場の中の人たちが見て脱力してしまう「市場の状況認識」を下手に言わないで、先ほどのような甘利さん発言みたいな感じで済ませておいた方が吉なんですけどねえ。



○さて来週はMPMですのう

来週は金融政策決定会合な訳ですが、昨日あたりから「決定会合で何か対策だせやゴルァ!」というような趣旨の紙とかコメントとかが散見されるようになっておりますが、昨日の下げを受けまして今日辺りは更にこの手の債券コメントが出るんでしょうなあということでまあ雑談なんですけど(^^)。

・デュレーション7年が拙かったのか長期金利下げをアピールしたのが拙かったのか

まあこうやって中期の金利があばばばばーとなってしまいますと後付の話にはなるのですが、中短期の国債をガシガシ購入して中期までの金利をガッチリ抑え込んでイールドカーブの手前を強烈にアンカーさせるという麿方式の方が金利全体の安定化には効いていたんですねえというのが判ったのでして、何か「長期金利を下げるためにはもっと長い国債を買え」とか「短期の国債買うよりも長期の国債を買うのが効果がある」とか言ってた話は何だったんでしょうなあというお話になるのですが、まあいまさらそう言ってもシャーナイナイ。

ただまあ論点として考えますと、買入国債のデュレーションを7年近辺にするという事にして中短期ゾーンの需給を悪化させてしまったのがアレだったのか、それともイールドカーブ全体を押し下げるというのをアピールしまくったのがアレだったのかというのは微妙な所でして、円安になって株式市場が上昇しているんだから目的は達成されてるんじゃヴォケと言われますとそれはそれで仰せの通りなので困ったもんですな(^^)。

今回の異次元緩和のロジックって本来は「長期国債大量購入でイールドカーブに影響を与える」→「金利が下がるのでポートフォリオリバランスで資産価格に好影響」→「インフレ期待が上昇」となってまあそうなったらフィッシャー効果で金利も上がるかもしれませんけれどもそれはそれ、という話だったはずなのですが、そのイールドカーブの影響の方をすっ飛ばして金利が上昇しちゃっているのが誠に遺憾というか何というかなのですけれども、そらまあ株価と為替に効いてるから良いんだよと言われてしまえばはあそうですかという事なのですが、お前さん「イールドカーブ全体に効果」って散々連呼していたのはナンダッタンダとゆー話になった場合にはやはり市場(ただし債券)とのコミュニケーションがボロボロになっていますよねという話。

まあこれ株高円安がキープされているから良いようなもんで、金利上昇で株価に影響とか為替に影響とかそういう話になった場合(そういやちょっと前に日米20年国債金利差がとかモーサテで言ってた為替の専門家さんがいましが何で足元で円高にならないんでちゅかねえ)いやもうねえという事になるんですけれどもその時はオラシラネ。


・まあ買入の前倒し実施をせっせと行うという辺りですかね

そもそも異次元緩和実施ということで「戦力の逐次投入はしない」「2%目標達成のためにやれることは全て投入しました」という話を4月の4日にしたばっかりでありますので、ここで債券市場お助け措置をあらたな政策枠組みとして投入するとか言いますと「えーっともしもし先月の話は何だったんですか」とか「つまり4月の政策は検討不足のまま投入したんですね失敗ですね」とかいう事になりましてそれこそ進退問題とは言いませんが、まあ先月切った大見得というか大風呂敷が早速綻びですかそうですかという大変に残念な話になりますので、普通に考えると「4月に決定した政策の枠内でどう工夫するか」ってのを(仮に何かお助けをするのであれば、ですけれども)行うというのが自然という事になります。

まあ本当に中期の金利をアンカーさせたいのであれば、時間軸の強化を実施するのが正解(2003年の債券ゲロゲロ相場を止めたのは時間軸のコミットメント明文化(明文化したのは相場が落ち着いた後で、その前に俊ちゃんによる強力なコメントが出た、というのが時系列的には正しいです、念のため)なのですよね)ではあるのですが、何せ今回の政策枠組みでは「物価目標達成2%を2年で達成」を一枚看板にしておりまして、今いきなり「いやーやっぱり2年は無茶だから5年くらいの長い目で見てねテペヘロ」とか「経済が良くなれば1%だっていいじゃないにんげんだもの」とか言い出す訳にも参らず(将来の時点になった場合はまた話は別だけど先月の今月でそれは有り得ない、という意味です念の為)、時間軸を強化しようが無いのが残念な所。

となりますと、まあ「2年で実施する」と言ってる国債等の買入についてペースを前倒しして実行するのもアリエールですよという話(と同時またはその前から実際にバシバシと購入しないといけませんが)くらいしかすることが無い訳でして、それもスケジュール事前公表とかしちゃうと買入が無制限フルアロットメントで実施とか言うのであれば別ですが(それは今の買入方式だったら有り得ん)、そうじゃない限り地合いが悪い時にはそこに皆で売りをぶつけに行くだけで、しかもその時に高く売れるのであるから他の時には流動性が落ちるだけ、という残念なパターンになりますので、まあ事前公表とかしない方が良いのじゃないのかねと思うのですが、ここは見解が分かれそうな所なので見解保留。

出来得れば中短期金利をアンカーさせる為に「買入国債の平均年限2倍」というのを引っ込めて頂ける方が良くて、少なくとも相場が落ち着くまではもうちょっと中短期を厚く買った方が良いようには思えるのですけれども、ニバイニバーイの看板の手前難しいですかねえ。問題が中期ゾーンに波及しているので、まあとりあえず中期ゾーンの火消しをどう実施するかという話にはなるのですが、つーかたぶん中期を火消しできれば直近では超長期とか下げ渋りだしているので落ち着くんじゃないのとは思いますけど。

他にはあまり思い浮かばないのですが、まあ今日辺りは何とかストの皆さんから色々なコメントが出てくるのではないかと期待しておりますが、よーするに中短期ゾーン、つーか中期ゾーンの金利上昇を止めて落ち着かせれば後は買入効果が効いてくる「筈」なので、その辺に的を絞った作戦を展開していただければと。

#あと「市場との対話」的にはとりあえず偉い人が債券市場が脱力するコメントを避けて頂ければ・・・・・・・


ということでただの雑感会になってしまいましたすいませんすいません何かネタがあった筈なのですが相場のプライスアクションですっかり頭からネタが飛んでしまいましたですよorzorzorz

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2013/05/14

○2日で先物2円下げとな!!

・金曜はまあ判るが月曜も先物1円下落とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMPI5V6TTDS201.html
債券は大幅下落、サーキットブレーカー発動−円安・株高や入札警戒で
更新日時: 2013/05/13 15:42 JST

・・・・・・・・まあ金曜はドル円が暫くずーっと逝きそうで逝かなかった100円を抜けてついでに101円とかあっさり逝ってしまいましたから1円下がるのもまあシャーナイナイなのかも知らんが昨日も1円下げとなという所で。

昨日は大体想定通りの国債買入が実施されまして、落札結果の方は前場引けの実勢から5糸から1毛以内の程度のちょっと弱めという感じだったのですが、別にまあそこまで馬鹿売られという筈では無いのですが後場寄りから上記URL先にありますように一段安とかもう何だかねえという展開で、13時37分とかに100銭安の売り気配(その前に1回付いたけれども戻った)となってサーキットブレーカーになるわ10年0.80%になるわとゆーことで。

まー地合いが地合いだからとしか申し上げようが無いのですけれども、日銀ちゃんの国債買入に向けて売りをぶつけてその時だけはロットが捌けるのですが、それ以外の時間に現物債の流動性が落ちてロットが捌けませんぞなという誠に遺憾な流れになっておりまして、まあ皮肉な話ですが日銀の買いがてきとうに入るからそこに皆さんが行列を作るので中々ポジション整理が進まないというのもあるんですかねえよく判らんけど。普通だったらもっと早くに投げる人が投げるので整理が進むと思うのですけどねえ。

ということで昨日の日本相互証券さんの引け。

2年328回:0.120%
5年110回:0.330%
10年328回:0.775%
20年144回:1.625%
30年38回:1.760%
40年5回:1.785%

さてさて黒田総裁がノミネート、という話が出たのが2月の最後の週末だったのですが、その直前になります2月22日の引けでも見てみましょう。

2年325回:0.040%
5年108回:0.130%
10年327回:0.725%
20年142回:1.720%
30年37回:1.915%
40年5回:2.065%

・・・・・・・・・・・・orz

まあ何ですな、2年の金利とかは付利金利が間違って下がったらどうしましょというヘッジ仮需部分があったので金利が上昇するのはシャーナイナイな部分があってここは仕方ないのですけれども、えーっと5年が0.3%台って良く考えたら今年の年始(なので2%物価目標の前である)とかで5年が0.2%に乗った時にこれはまた金利上昇しましたねとか言ってたのは何だったんでしょという水準でありますな。まあ超長期の金利に関してはフラットニングした分金利水準が2月22日水準から上昇しておりますのが辛うじて格好が付いておりますが、10年までの金利が黒田総裁ノミネート前から比較して金利上昇ですかそうですかという所で。

いやまあドル円が8円くらい円安に振れてて平均株価は3000円位上昇しているんで金融緩和の効果が出ているんです(キリッ)とか言われてしまうとはあそうですかとしか申し上げようが無いのですけれどもね。

#あ、そうそうモーサテの日経朝刊ご紹介コーナーで長期金利上昇ネタについて「水準的には問題ありません自然な姿です」とアナウンサー氏だけではなくご登場の何とかストさんが発言しているのを見て(#^ω^)ピキピキっとなった債券市場関係者の方はいらっしゃいますか〜〜っと


・(#^ω^)ピキピキピキ

黒田総裁のG7終了後の会見内容がアップされました。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf
黒田総裁記者会見要旨 (5月11日)
―― G7 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨

『【問】円安が進んで日本では株高になって結果的に資金が債券から株に移るということが今起こっているような気がします。そうなると、日本では、長期金利の上昇が起こるだろうと思っているのですが、それは金融緩和の効果をある程度削ぐ可能性も出てくると思うのですが、こういう資金の流れが債券売りの加速につながって長期金利が上昇した場合、その悪影響というのが懸念されると思うのですが、今の時点でどうなのでしょうか。特に金曜日、債券売りが相当加速したようなので、そういう懸念が今強まっているのかどうかも含めてお願いします。』

グレートローテーションとかウソコケとか思いますが、まあそれはそれとしまして金曜日に債券が大幅に下落した事を踏まえての質問とわざわざ断っての質問。つーかこれ質問のマクラにわざわざグレートローテーションみたいな威勢の良いことを言ってるのって記者の引っ掛けだろ先生怒らないから正直に答えなさいという所ですが。

『【答】先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。』

あいやー。

『一方、日本銀行は、今後、年間50 兆円のペースで国債の保有残高を増やしていくわけで、それだけ国債を市場から買い取っていくということです。私どもは、短期的なボラティリティの高まりという形で価格が乱高下したことに対しては、オペのやり方を若干調整し、ボラティリティも低下してきており、長期金利が跳ねるようなことは予想していません。』

いやだから金曜日にボラが上昇して長期金利が10bpも上昇した事についての質問なんですけどねえ。大昔みたいに長期金利が3%とか有る時の0.1%と違って金利の絶対水準がここまで低くなっている中での10bpってインパクトでかいんですけれども黒田さんその辺の感覚が無いという事でしょうかと嫌味の一つも申し上げたくなる次第。

『もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。』

いやだから長い目で見てとかいう話はしちゃダメなんよこういう時に・・・・・・・・

つーことでございまして、長期金利がこの辺りの水準でうだうだする中で来週の金融政策決定会合を迎えた場合、この前の展望レポートにおける会見での記者様のツッコミ振りから勘案致しますと全力で長期金利上昇の1点に絞って集中砲撃をされるのが火を見るより明らかでありまして、その際にオッペケペーな回答をしてどうせ株が上がって為替が円安になっていたら債券市場なんてどうでも良いんですよねという債券市場を更にピキピキさせることの無いように某局におかれましては想定問答集の作り込みをよろしくお願い申し上げたい所ではございます。

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2013/05/13

○円安で10年0.70%とな!という備忘メモ(備忘メモにもなっていない説もあるが)

金曜日の債券市場ですが、まあ円安に振れておまけに101円台まで進みやがりまして、一段安になってサーキットブレーカーがまた登場の巻とかになっておりましたのはご覧の通り。まあ今回の下げでは押し目買いもありまして、サーキットブレーカーで止まった後上で寄ったりしてたのはまあこの前のゲロゲロ相場とは違う所という感じですかねえ、よー知らんけど。

まあ2年とかがゲロゲロにはなっておりませんのでそこまでの悲壮感はないのですし、押し目買いがワサワサということですが、10年と先物が親の敵のように売られて進行という状況のようです。先物は102銭安の143.70で終了してBBさんの引けベースでは10年が0.695%で10.5毛甘なのですが、場中は0.70%とかもう何もかも皆懐かしいレベルをマークしていて何ですねんそれという風情でありましたことよ。

債券先物の売買高が54523億円とか水曜木曜が2兆割れ(目標は1.4兆円台)とかやっていたのが嘘のような先物大活況で、まあそれだけ現物の売買もあったんでしょうかねえよー知らんが。


○しかしそんな中で黒田総裁の(債券市場的に)脱力発言ががががががが

でまあそんなオッペケペーな債券市場でありました金曜の引け後ではございましたが、夜になりまして黒田総裁が英国で発言したヘッドラインが出ていまして、TRADER'S WEB FXさんの所でちょうど良いのが有りましたので引用。

http://www.traderswebfx.jp/news/default.aspx?newscode=386630&dispmode=list#newshead
05/10 20:07
【発言】黒田日銀総裁「債券市場のボラティリティは落ち着いてきている」

・・・・・・・・・まあ大体引用のような感じのヘッドラインがまさに出ていたのですけれども、円安に振れて債券先物が1円下がって10年の金利が0.1%上昇したその日の引け後の発言が「債券市場のボラティリティは落ち着いてきている」ですかそうですかorzorzorz

まーこーゆー発言を見せられますとどうせ黒田総裁は為替の人ですから為替が円安になって株が上昇すれば債券市場なんぞ知ったことかというご認識であらさられまして、国債管理政策とかやっていないだけの事はありますなあなどと嫌味の一つも申し上げたくなる所ではございます。

ブルームバーグニュースの報道だとこんな感じ(これはG7後に出ていた方のニュース)。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMKLJQ6JTSER01.html
麻生財務相:G7で円安批判なし−「緩和に理解深まった」と黒田総裁
更新日時: 2013/05/12 00:28 JST

円安批判なしとの事で盛り上がっていますが、次のネタのバーナンキ講演とか見ていると本当にそうなのかというのは実は少々アレな気もするのですがその話はさて置きまして、黒田総裁様の長期金利に対するコメントはこう報道されています。

『一方、総裁は国内長期金利の動向について「オペのやり方を若干調整しボラティリティは低下してきている」と指摘。「当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう」との見方を示した。』(上記URLより)

>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう
>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう
>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう

・・・・・・・・・・・・・ほほう。量的質的金融緩和の実施前の4月3日から10年とか20年の金利って0.15%位平気で上昇している(もはや4日の引け水準と比較すると泣けるので比較しない)のですけれども、さすが国債管理政策にご興味の無い黒田総裁様だけの事はありまして長期金利の0.15%なんぞは誤差の範囲内ということですかそうですかいやまあ10年0.4%でも0.5%でも0.7%でも低金利で有ることは変わりないですもんねえ(白目)。

更にロイターのニュースがもうちと詳しい。
http://jp.reuters.com/article/jpG20/idJPTK067398320130510?sp=true
UPDATE1: 為替レートは基本的に市場で決まる、水準や動きにコメントしない=黒田日銀総裁
2013年 05月 10日 21:17 JST

5月10日の21:17JSTですのでまあ出たての時と同じような感じだと思いますが。

『円安で株高が進んでいる一方で長期金利が上昇していることに対し、日銀として金融調節上の工夫の必要があると思うか、との質問には「国債の金利については基本的に低い水準で推移している。量的・質的緩和の発表直後はややボラティリティが高まって上下に振れた。その後、市場関係者との対話やそうした対話で出た意見を踏まえ、オペの方法を調整した結果、市場はだんだん落ち着いてきている」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・ということでして、別に長期金利の上昇なんぞ知った事かヴォケというような発言をした訳では無さそうですけれども、まあ長期金利が0.1%上昇した日にこういう認識を示されますとちょっと何だかなあという所である点はカワランチ会長。

でまあどうでも良いのですけれども、この前の黒田総裁の定例記者会見見てても思ったのですけれども、今回のこの黒田発言の報道されっぷりとか見ておりますと、何か記者の皆さん既にハネムーンモードからすっかり脱却してツッコミモードになってきてるからこそ、黒田総裁の発言が債券相場の中の人が見たら(#^ω^)ピキピキってなりそうな書かれ方になっているのではないか、とまあ斯様に思った週末のひとときなのでございましたとさ。

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2013/05/10

○ということで市場雑談メモ

・ドル円100円とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMJM7E6S973201.html
NY外為:円、対ドルで100円台に下落−09年4月以来の円安
更新日時: 2013/05/10 05:00 JST

『5月9日(ブルームバーグ):9日のニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで下落。4年ぶりに1ドル=100円台に下げた。日本銀行のデフレ脱却に向けた対策が円安の背景にある。』(上記URLより)

なにゆえこのタイミングで急にドル円100円となという感じでして、どうもこの辺の記事とか見ても理由がワカランチ会長という感じですわな。デフレ脱却に向けた対策ガーとか今に始まった話では無いですし、それよりも今月に入ってECBから始まって欧州非ユーロ圏とか豪州とかインドとか韓国とかが利下げして日本以外の金融緩和合戦状態になってこれはどう見ても金融緩和スピルオーバーです本当にありがとうございましたという風情ですし、イニシャルクレーム強いとか言ったって米債が馬鹿売られしている訳でも無いですし、何なんでしょうねえ。

でまあこのタイミングで何で急に動くのよというと後は日柄的なものしか思い浮かばないのですけれどもはてさてどうなんでしょうかねえ、、、、、、、、、、、、、、


・6Mと3Mの短国入札はまあそこそこではあるが

昨日の3M
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130509.htm
(3)募入最低価格 99円97銭7厘5毛 (募入最高利回り)(0.0902%)
(4)募入最低価格における案分比率 55.1872%
(5)募入平均価格 99円97銭7厘7毛 (募入平均利回り)(0.0894%)

一昨日の6M
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130508.htm
(3)募入最低価格 99円95銭5厘 (募入最高利回り)(0.0888%)
(4)募入最低価格における案分比率 20.5732%
(5)募入平均価格 99円95銭6厘 (募入平均利回り)(0.0868%)

ということで、6Mと3Mを単純比較するのも何ですが、一昨日の6Mよりも3Mの金利が上昇という結果になっておりまして、じゃあ何でですねんと考えますと先週木曜日(つまり先週末)に短国買入が1.5兆円行われたのですが、この時に応札が5.6兆円と割とあったのですけれども、その後短国買入が実施されない中で入札が2本(いやまあ償還もあるのですけれども)実施という事で需給が重くなってきているので入札レベルがやや金利上昇しましたねとかそういう話。

でもってどうせ今日は短国買入があると思いますのでその分だけ需給が改善するでしょうねという話になるのですけれども、何だかまあ日銀の買入一発で需給がころころ変わるとか誠に遺憾な市場ですなあという所で。

あとまあどうでも良いのですが、日銀の短国買入額が拡大して保有残高のシェアが拡大すると短国の発行時点で実質的に市場消化額的に瞬間的に増額ロール状態になるんですなあとか思ったりした次第。長期国債だとあまり気にならない(発行と償還が足ずれしているので)のですが、短国の場合は2か月物以外に関しては基本的に償還日に新発が発行されるというロール形式での発行になっているので、日銀が途中でホイホイ購入してしまうと、その購入分に対応する償還は短期金融市場の資金需給的に言うと財政払い超要因を減らすことになる(国債持ってるのが市中じゃなくて日銀だから)ので、そのぶんだけ発行の瞬間は実質的に市中の消化に負担を与えているという事になります罠。

もちろんその分は日銀がどうせ購入するので最終的に消化されるのですけれども、瞬間的には日銀の買入が却って入札時の瞬間的な需給を悪化させる可能性もあるとか考えたら皮肉なもんですなあとか思いましたが、まあそれが新発国債の引き受けを行わない事による市場でのチェックが入るという意味でもあったりするのかなあとかふと思ったのでメモ。


・ウゴカンチ会長というか何というか

何か最近の債券市場様って長期国債買入があるか無いかでまず動きがあって、長期国債買入が無いと何となくズルズルと弱い日は弱くそうじゃない日は凪。んでもって長期国債買入の有った時は結果が市場予想よりも強いか弱いかで動きがあって、どっちもないと助けて先生!相場ちゃんが息をしていないの!!(AA略)状態になるという誠に遺憾な相場が展開されているような気がするのですが気のせいでしょうか。

つーかですな、流動性が無いからオファービットが開いて、オファービットが開くから投資家が動くと売買コスト掛かるし、業者の方も流動性供給したがらないしで更に流動性がアレという展開になるのですが、普通こういう時はどこかでその連鎖が止まるものなのですけれども、何せ日銀様がダイソンの掃除機の如くバキューム買入を実施しますので、投資家にしても業者にしても世の中で一番良いビットを出してくれるのがバキューム掃除機様であらされますので売りたい時にはバキューム様の所に逝けばヨロシという状況ですと何時まで経っても市場の流動性が戻らんですわなあという所で。

んでもって買う方はと言いますとこれは入札でという事になりますと何のことないまあこの異次元緩和打ち込まれた時に言われていましたけれども、財務省から買って日銀に売るというのがお仕事化していくということですかねえどうなんでしょ、という愚痴でした。

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2013/04/30

○決定会合レビューその1:声明文が一言モードで一瞬ビックリしました

1日会合で展望レポートの回なのですが、決定会合の結果が出るのが以外に遅めではてさて何を揉めているんだかと思いましたが、決定会合結果は13時35分に出ましてその結果はこちら。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130426a.pdf
当面の金融政策運営について

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』

表記は4行でして、4行コメントになるケースって例えば中銀為替スワップのように形式上金融政策決定会合を実施しないといけない時だったよなあとか思いまして、最初これを見た時に「分かりやすい金融政策の一環か」とびびったのですけれども、ちょっと待てよと過去の金融政策決定会合の声明文を確認しようと思ったらこれがまたワロタとしか申し上げようがないのですけれどもここの所「展望レポート」と「金融政策変更(要するに追加緩和)」がセットになっている回が続いておりまして、「展望レポートだけ」という決定会合は2011年4月の2回目会合まで遡るのでありました。

ということで、4行コメントの決定会合結果公表は2011年4月28日の声明文でもありましたけれども、異次元緩和実施の次回会合だったのと、何と2年ぶりの「追加金融緩和の無い展望レポート」だったので一瞬市場もビックリという所でしたぞなという事で。

ご参考:2011年4月28日の金融政策決定会合声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110428a.pdf


○決定会合レビューその2:展望レポート基本的見解の数値を確認

ということで何か消化不良モードで金曜の債券市場は引けを迎えたのですが、15時に展望レポートの基本的見解が公表されました。

つーことで基本的見解を見た訳ですが・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf(前回昨年10月)

・まずは数値をレビュー

実質GDP見通し

2013年度+2.4〜+3.0<+2.9>
2014年度+1.0〜+1.5<+1.4>
2015年度+1.4〜+1.9<+1.6>

前回見通し

2013年度+1.9〜+2.5<+2.3>
2014年度+0.6〜+1.0<+0.8>

※この間期中の潜在成長率は平均して0%台半ばと推計して変更ありません(本文1ページの脚注2)

コアCPI見通し(消費税増税の影響を除く方)

2013年度+0.4〜+0.8<+0.7>
2014年度+0.7〜+1.6<+1.4>
2015年度+0.9〜+2.2<+1.9>

前回見通し

2013年度+0.3〜+0.6<+0.4>
2014年度+0.5〜+1.0<+0.9>

ちなみに何故か「国内企業物価指数」の見通し表示が無くなったのはコストプッシュとかそういう話ですかそうですかとかまた邪推してしまいましたがそれは兎も角としまして、物価見通しの下の数字が2015年度で1%割れとなっておりまして、これはどう見ても佐藤さんと木内さんが1%以下の数字を出してきて出るかヴォケという話をした事が反映されておりますが、そもそも金融緩和の実施と円安と株高は行きましたけれども、アベノミクスで言う第3の矢などがこれからどうしますかと言ってる中であって、その内容を見極める前に政策効果として織り込んでいきなり強い数字を出せるかヴォケと言った所だと存じますが、この数字が出たことによって茶番化を避けられたとも言えるのでして(お二方は展望レポートの物価見通し記述部分に反対したようでございますな)誠に結構であったとは存じます。

いやね、政策として目指すぞエイエイオーというのはそらまあ高い目標を目指すというのもアリエールだとは思うのですけれども、ではその目標達成の為に現状および先行きをどのように分析するのか、という所で思いっきり始まっても居ない政策効果を次から次へと織り込んでしまうとかゆーのを拝見しちゃいますと、大和魂があればオーエンスタンレー山脈でもアラカン山脈でも徒歩行軍で踏破してポートモレスビーもインパールも攻略できるんですよとかいうようなアレな話をつい思い出してしまうのはあたくしがネガティブ思考の非国民だからですかそうですか誠に申し訳ございません。

なお、2015年度で目標数値に行くという見通しに関してはまあそういうのが出るでしょうねという風な下馬評でしたので特段市場への影響はありませんでしたしサプライズではありませんでしたが、下限が1%切っているのを見て「木内さんと佐藤さん頑張りましたなあ(何を?)」という話にはなっていたんじゃないですかね、よー知らんけど。


○決定会合レビューその3:展望レポート基本的見解をつらつらと読んでみる

・見れば判るように分量が大幅に減っています

二つのファイルを見れば判りますように、前回の基本的見解がファイルで19枚(本文17ページの見通し数値の図表が2ページ)に対して今回の基本的見解がファイルで8枚となり、本文が前回の17ページから6ページにとほぼ3分の1まで少なくなりやがりました。

でまあどの辺が減っているのかと言いますと、一つには前回までの基本的見解で示されていたここまでの経済物価情勢のレビューとして4ページ分あった部分がバッサリと無くなりまして、いきなり『1.わが国の経済・物価の中心的な見通し』からスタートしているというのが1点。

しかしそれでも減る本文は4ページ分でございまして、他に何を削っているんですかという話ですが、これはまあ「全体的に削っていますなあ」としか申し上げようがないのですが、よーするに説明が簡略化された、と言えば聞こえが良いのですが、見通しの表明に止まっていてその背景説明がろくすっぽ無いので、「お前の予想は分かったがその説明根拠は何なんだ」という質問に対して何ら回答になっていないという誠に遺憾の極みとしか言いようがない状態だと思う次第。

いやまあ「シンプルで分かりやすい説明」という趣旨は分からんでも無いのですが、見通しを表明するのに対してその背景部分を簡略化するというのは「説明」じゃなくて「モノローグ」になってしまうと思うのですよね。勿論長ければ良いというもんでは無いですけれども、今回の展望レポートの見通しに関しては市場というか民間エコノミストの見通しに対してやたらと強い内容になっている(従来から強かったですけれども今回は更に)訳ですから、どうしてそういう事が言えるのかという点について基本的見解の部分で説明をしないと、「説明に無理があるからボロを出さないために説明をしなかったんじゃネーノ」と邪推をするのはあたくしだけですかそうですか(^^)。

ということで基本的見解部分に少々ツッコミ。


・花も嵐も乗り越えて〜:消費税引き上げの影響評価に変化が

まずは『1.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(1)経済情勢』から。

ちなみに経済情勢の点検部分のようなものも冒頭の冒頭にあるのですが、それはほんの2行1文でありまして、まあそこは4月金融経済月報と同様であります。

『わが国の経済をみると、下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。先行きは、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、本年央頃には緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

とまあここまでが金融経済月報で示されている目先の見通しと同じね。

『その後は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が維持されるもとで、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』(今回)

ちなみに前回は消費税率引き上げの影響に関してこのように説明していました。

『ただし、年度(引用者追記:2014年度)の成長率は、上期を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が出ることから、小幅のプラスにとどまる可能性が高い。』(前回)

ということで、消費税率の引き上げによる駆け込みの反動を大和魂で乗り越えるとの勇ましい見通しになっておりますが(−−;

『こうした見通しの背景にある前提は、以下のとおりである。』(今回分、以下断りの無いのは全部今回分です)

ということですので前提を拝読するのですが、先ほど申し上げましたように前提の説明がどうも雑というか願望レポートというかモノローグと言うかという感じでありまして・・・・・・・・


・円安の影響をどこまで見てるんだか

『第1に、海外経済は、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの前提のもとで、米国や中国などを中心に、緩やかながらも次第に成長率を高めていくと考えられる。こうした海外情勢に加えて、為替相場の円安方向の動きにも支えられ、わが国の輸出は増加していくと見込まれる。』

まあ確かに米国の株価とかは調子良いですけれども、最近の主要国海外中銀の見通しを見ると普通に下振れ警戒モードになってきているように見える訳でして、その中で海外経済は堅調でついでに円安で輸出増加という事ですけれども、これは前提としてどの程度の継続的な円安を見てるんだよと思うのだが。


・期待の転換は分かるのですが資産ルートの方はどれだけ見てるのかね

『第2に、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を着実に推進していく中、金融環境の緩和度合いは一段と強まっていくと考えられる。すなわち、「量的・質的金融緩和」は、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、期待の転換を通じて予想物価上昇率を上昇させ、実質金利を低下させる効果が期待できる。これらが民間需要を刺激する効果は、景気の改善につれて強まっていくと考えられる。』

期待の転換で予想物価上昇率を上昇させるという話は思いっきり気合の世界なのでまあ頑張ってちょとしか申し上げようがないのですけれども、それはそれとして長めの金利や資産価格を通じた波及ルートというのはどのくらいの効果を見ているのやらと思いますし、大体からして長めの金利って本当の本当に期待が転換したら上昇するじゃんと考えますと、資産価格ルートというのは金利部分の話をすると話がややこしくなるような気がします。まあ展望レポート以前からの問題かもしれませんが。


・公共投資ェ・・・・・・・・・

『第3に、公共投資は、各種経済対策や復興関連予算の増額などから、当面、高水準で増加を続けるとみられる。』

この「当面」の時間軸が基本的見解を見ただけではワカランチ会長(実際には背景説明を含めた全文というのが土曜日に出ていまして、こちらである程度の説明はあります)ですし、大体からして「政府が財政健全化への取り組みを強める」からこそ「銀行券ルールの一時停止」を決定したはずなのに、展望レポートの前提に財政支出の高水準の増加を前提にするというのは何なんでしょうね。


・第三の矢が必要ですねわかります

『第4に、政府による規制・制度改革や企業による内外の潜在需要の掘り起こしなどの取り組みが徐々に進展し、企業や家計の中長期的な成長期待は、緩やかに高まっていくと想定している。』

まあここはアベノミクスの第三の矢に期待する部分ですな。


・2013年度に早速雇用者所得改善の効果が出るとな!

で、この後が先行きの景気展開の展望である。

『以上を前提に、先行きの景気展開を展望すると、2013年度は、公共投資と輸出の増加を起点とした生産・所得・支出の好循環が働き始めるとみられる。』

早くも好循環とな!

『すなわち、設備投資は、企業収益の改善や金融緩和効果を背景に、防災・エネルギー関連投資や老朽化設備の更新需要などもあって、緩やかな増加基調をたどると予想される。』

金融緩和効果とかホンマカイナとは思いますがこの次が中々威勢がよろしい。

『個人消費は、家計のマインド改善や高齢者の高い消費意欲に加えて、雇用者所得の改善も徐々に後押しとして作用していくことから、底堅さを増していくとみられる。』

>雇用者所得の改善も徐々に後押しとして作用
>雇用者所得の改善も徐々に後押しとして作用
>雇用者所得の改善も徐々に後押しとして作用

・・・・・・・・・えーという感じですがこの後にもこの話が出てくるのだ。

『こうしたもとで、日本経済は、本年央頃には緩やかな回復経路に復していくとみられる。その後、2013年度下期には、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が相応の規模で発生すると予想されることから、年度全体の成長率はかなり高めになると考えられる。』

駆け込みで高成長になる点については以前からの話です。


・2014年度から2015年度は花も嵐も乗り越えるそうです(棒読み)

『2014年度から2015年度にかけては、消費税率引き上げによる振れの影響を受けつつも、輸出の増加や金融緩和効果に支えられた国内民間需要の前向きな動きが続き、基調的には潜在成長率を上回る成長が見込まれる。2014年度までの見通しを、1月の中間評価時点と比べると、成長率は、「量的・質的金融緩和」の導入、金融資本市場の状況の好転、公共投資の増額などにより、上振れて推移すると見込まれる。』

消費税引き上げの反動で下をやるという話はどこへという感じですが、後段の輸出の増加とかどこまで円安の影響を見ているんだかという感じですし、金融緩和効果に支えられた国内民間需要の前向きな動きって従来金融緩和効果が中々需要の拡大に繋がらないのが悩みの種という話だったのに随分とこりゃまた強気ですなあと思うのですがまあそうですかと。


・労働需給が引き締まって名目賃金が次第に上昇しますってよ素敵じゃありませんか奥様!!

続いて『(2)物価情勢』ですがこれがまた強気というか何というか。

『先行きの物価上昇率を規定する要因を点検すると、第1に、マクロ的な需給バランスは、緩やかな改善傾向をたどり、見通し期間後半にかけて需要超過幅を拡大させていくと予想される。』

先程纏めましたように、実質GDPの見通しが政策委員の中央値で2013年度+2.9%、2014年度+1.4%、2015年度+1.6%と3年間平均で+2.0%の成長となっていて、潜在成長率を0%台半ばで見ていますのでまあ需要超過になります罠。

『この間、労働需給の引き締まり傾向は明確となり、名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる。』

>名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる
>名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる
>名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる
>名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる
>名目賃金にも次第に上昇圧力がかかっていくと見込まれる

・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー(ただし嘘泣きと棒読み)

『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、足もと上昇を示唆する指標がみられる。』

ほう。

『先行きも、「量的・質的金融緩和」のもとで上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくと考えられる。』

日銀の強力なコミットメントによって2%に上昇するんですねわかります(棒)。

『第3に、輸入物価については、為替相場の動きが当面の上昇要因として働くうえ、国際商品市況が世界経済の成長に沿って緩やかな上昇基調をたどるとの想定のもと、見通し期間中、上昇を続けると見込まれる。』

それってコストプッシュいや何でもないです。つーか海外景気にずいぶん強気で。

『以上を前提に、消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向をたどり、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている。今回の2014年度までの消費者物価の見通しを、1月の中間評価時点と比較すると、上振れしている。』

だそうです。


・上振れ要因とな!!!

次が上振れ下振れ要因の話ですけどね。

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、国際金融資本市場の動向が挙げられる。欧州債務問題が国際金融資本市場の動揺と世界経済の大きな下振れにつながるテイル・リスクは後退しているが、欧州情勢を巡ってはなお不透明感が強く、今後の市場の展開を含め引き続き注意していく必要がある。』

『第2に、海外経済の動向に関する不確実性がある。米国については、バランスシート調整の進捗や住宅市場等における金融緩和効果の強まり、新型エネルギーの好影響などを背景に景気が上振れる可能性がある一方、財政問題などから下振れる可能性もある。また、緊縮財政の影響が続く欧州や、持続可能な成長経路との対比で過剰設備を抱えているとみられる中国では、成長率の高まる時期が想定よりも遅れる可能性がある。海外経済の成長率が想定通り高まったとしても、世界的な設備投資の回復が相対的に遅れる場合には、わが国の輸出や鉱工業生産は、資本財・部品のウエイトが高いだけに、十分な恩恵を受けられない可能性もある。』

まあこの辺はそうですねという所です。

『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、規制・制度改革等の今後の展開次第によって、上下双方向に変化する可能性がある。』

上もあるのか!

『第4に、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の規模は、その時々の実質所得や物価の動向によって大きく変化し得る。』

まあさいですね。

『第5に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下するような場合には、人々の将来不安の強まりや経済実態から乖離した長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋が明らかになり、人々の将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』

えーっと、そもそも財政再建の道筋が明らかにならないとダメじゃなかったのという気がするんですけれども、まあそれは兎も角として、この後に「リスクは上下にバランス」という中々お洒落としか申し上げようがない認識が示されていまして、前回の展望レポートも大概に強いわと思ったのですけれども、リスクは下で見ていたのに今回はリスクがバランスとは大きく出たなという感じです。
物価固有のリスクについては以下の3点。

『物価に固有の上振れ、下振れ要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向について不確実性が高い。企業や家計の予想物価上昇率が過去の緩やかな物価下落を反映するかたちで形成され、これがなかなか高まらない可能性がある一方、期待の転換により予想物価上昇率が比較的早期に上昇する可能性もある。』

きたいのてんかんによりひかくてきそうきにじょうしょうですかそうですか。

『第2に、マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度についても不確実性がある。企業が、厳しい競争環境が続く中でも、需給バランスの引き締まり度合いに応じて価格や賃金を引き上げていくかどうか注意が必要である。』

どうなんでしょうねえ。

『第3に、国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸入物価の動向や、その国内価格への転嫁の状況については不確実性が高い。』

それはコス(以下同文)。


・第1の柱、第2の柱の点検

『3.金融政策運営』のパートにもう入ります。

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、見通し期間の後半にかけて、日本経済は、2%程度の物価上昇率が実現し、持続的成長経路に復する可能性が高いと判断される。』

(キリッ)って感じですなあ。まあそらあたくしだって日本国民としてこの強気前提が沢山あるナローパスシナリオが達成できると良いですねとは思いますけれどもふーんとしか言いようがない。

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向など不確実性は大きいものの、リスクは上下にバランスしていると評価できる。物価の中心的な見通しについても、中長期的な予想物価上昇率の動向を巡って不確実性は大きいものの、リスクは上下に概ねバランスしていると考えられる。』

リスクは上下にバランスだそうですわよ奥様!

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、現時点では、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されない。』

この程度の状態でバブルとか言う人は豆腐の角で頭をぶつけた方が良いと思いますのでこれは全面同意。

『もっとも、政府債務残高が累増する中で、金融機関の国債保有残高は高水準である点には留意する必要がある。』

オマエガナーとか言ってはいけません。


・先行きの金融政策運営は特段のインプリケーション無し

『先行きの金融政策運営については、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』

『このような金融政策運営は、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』

まあここは前回会合での声明文と同じ話なので特段の変化はありません。


○詳しくは展望レポートの全文を読まないといけませんが時間ががががが

PDFが重いのでクリック注意。土曜日に公表されています。

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304b.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210b.pdf(前回)

このクソ重いファイルを開けますとページ数を見た瞬間に分かりますように、まあ結局展望レポートの背景説明を含めた全文も結構短くなっておりまして、どの辺が短くなったのやらという話や、背景説明の部分などがどうなっているのかという話をしないといけないのですが、どう見てもやりだすとオワランチ会長になりますので明日できればやります。

・・・・・・・とだけですと折角土曜日に公表されたものをせっせと読んだのに全然書かないのもシャクですので印象だけ先に書いておきますとこんな感じでしょうか。

その1:結局の所政策効果の波及経路が期待以外に従来とどう違うかが分からない
その2:展望レポート23ページ以降に背景説明が詳しく書いてあるのですが、前回と認識を変えている部分について。「前回対比なぜ変わったのか」の断りが無いのが多く、飛躍の背景が分からない
その3:物価見通しのメカニズムも同様でして、前回の1%も大概に怪しげな説明だったのに、基本的な話があまり変わらない中でフィリップスカーブのシフト以外に物価見通しが引きあがる説明がさっぱり見えてこない
その4:おまけにそのフィリップスカーブについても、前回はその通りに行くか不確実としているものが、今回は上方シフトを所与とした上で2%行く話になっており、ますます無理矢理感が高まっている

という所でしょうか。ついでに言えば前回の展望レポートは無理気味の説明をしながらも何とか辻褄を合わせようという努力をしているというのが行間から漂っていたのですが、今回は良く言えば自信満々で悪く言えば説明不足という感じでして、分量も減ってますし関連説明も減っていますし、うーむという感じではございました。

でまあ詳しくは明日にでも。

なお、黒田総裁の記者会見も実は土曜日にアップされておりますが時間の関係上本日はパスしましたのでURLだけ取りあえずおいておきますね。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304d.pdf

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2013/04/25

モーサテによりますとついに為替市場で20年債利回りをネタにするようになったようですが、20年債利回りが低下すると投資家の海外シフトが起きるとかすいませんそんなに急に為替オープン投資がバンバン増える訳無いわヴォケと存じますけど、20年債利回り注目という文字を見てさすがに吹いたわ。

○決定会合プレビュー雑談および関連市場雑談

ということで市場雑談のようなメモを先に。

・短期は安定しましたが中期が案外ですの

昨日はまあ大方の予想通りに中短期+中長期の国債買入が実施ということで、これで残り1回の中短期+変動国債は30日のオファーでまあ確定でしょうな。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130424.htm
国債買入(残存期間1年超5年以下) 5,000 2013年4月26日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 5,000 2013年4月26日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月26日 2013年5月31日

でまあオペ結果ですけれども。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130424.htm
国債買入(残存期間1年超5年以下) 28,788 5,008 0.003 0.006 27.4
国債買入(残存期間5年超10年以下) 19,150 5,000 -0.003 0.000 80.0
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月26日スタート分) 13,155 8,008 60.9

中短期の方が若干弱かったという結果だった訳ですが、来週も買入あるのは見えている中であるにも関わらず今回突っ込もうというのがあったんですねえというのが大方の評価になっていまして、短期ゾーンは安定しているものの何気に中短期の取り組み改善が遅れているという感じだったのが債券市場的にはふ〜んという結果だったようですな。

一方で短期の方ですけれども、先週の頭辺りでは短国のレートも0.10%に接近していましたし、何か知らんけど利付国債の短い所とかも重そうで0.10%超という水準で推移していましたが、その後日銀の短国買入攻撃に加えて短期ゾーンは買いもあったみたいで水準が訂正されて、先週木曜の3M入札が平均0.091まで金利低下したと思ったら今週になって火曜辺りからは0.09%がビットサイドっぽくなって昨日は0.09%は明確にビットという感じで、こちらはすっかり安定したでござるの巻。

いつもだとここが安定してくると中期もあっさり安定するという感じだったのですが、やはり異次元緩和ちゃんによって国債買入の中心ゾーンが短い所から後ろに動いたので需給って変わっちゃったのかね(1年以内の短期ゾーンに関しては資金が余りまくっている関係で金利はアガランチ会長なのですが)とか思う昨日のひとときでした(ついでにこの話の展開上関係ないのですが昨日はまた超長期が弱くて、毎日シマウマ相場状態で何やってるんですかと思うのですが)。


・ということで時間軸政策の方が「金利」には効きますねという雑談

まあ金利に効くというのと物価に効くというのは話の問題が違うので、だから時間軸政策にしろとゆー気はサラサラ無いのですが、長期国債買入を行って金利を低下させることによって政策効果ガーと言っているので、まあ金利が下がりやすい政策をするなら時間軸的な要素をツッコんだ方が良いですねと思われる次第。

ということで、今回の展望レポートと同時に時間軸に関する何かが出るんじゃネーノという話もあるようでして、昨日は展望レポートの数字がただの情報局プロパガンダ数値になるとゆー悪態を申し上げましたが、時間軸の方に関しての雑談を。

えーっとですね、時間軸に関してですけれども「2年で2%達成」というのを出しているので、これ時間軸って伸ばしようが無いのが残念な所ですし、大体からして2年で2%達成させる勢いでの緩和を実施するということは、ガイダンス文言で「2%達成するまで実施」とか言い出したらそれは緩和のやり過ぎになりますよねという話になりますし、その「2%達成は足元の数値じゃなくて中期的な見通しベースですよ」となりますと更に曖昧になってしまうので時間軸長期化効果が出ませんぞなもしという話。

米国で時間軸がワークしてるのって物価の方が安定している中で失業率目標のロンガーランの数値まで行く時間が相当長いという見通しになっているからワークするのですが、日本の場合そもそも物価を押し上げて早期に目標達成という見通しになっているので、時間軸をより長く効かせに行くと物価安定目標を上の方に乖離させますよと宣言するようなもんで物価安定目標というのと自己矛盾を起こすというのが残念な話。

まあ結局2%なんて無理くりの数字じゃなくて1%を当面目指してその後2%にしていきますので1%達成したからと言っても緩和政策は継続ですよってロジック展開に持っていった方が時間軸としては効くのですが、まあそれではレジームチェンジにならないので駄目ですと言われるとはあそうですかとしか申し上げようがないのですけどにゃ。

大体からして英国という不思議国家は別にして主要国全体として信用バブル処理とか人口動態の変化とかの中で潜在成長率低下してて物価に関してもディスインフレ傾向になっていて実はそっちの方が「ニューノーマル」なんじゃないですかとゆー中で、日本のCPIが趨勢的に2%とかになれるのかよという気もするんですけどね。

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2013/04/24

○明後日は決定会合ですが一応雑談

明後日はMPMで展望レポートが出るのですが、先般ネタに致しました宮尾審議委員の講演と記者会見にありますように、まあ端から2%2年達成を信じている(ようにしか見えない行動を取っている)黒田総裁の記者会見とか見ても多分糞面白くない訳でして、それよりも宮尾さんの講演というか記者会見にありましたように、どこからどう見ても気合以外のロジックが無い2年で2%物価上昇達成に対してどのような屁理屈を繰り出して来るのかが非常に楽しみでございます(棒読み)。

ちなみに宮尾審議委員の講演での物価上昇行きますよロジックの場合、気合の部分以外につきましては19日の駄文でご紹介しましたが、海外経済が回復しますよという話になっておりまして、それ異次元緩和全然関係ないじゃないですかという所が実に香ばしいのですけれども、緩和政策の効果はどうなのでしょうかという辺りにつきまして、まあどうせ有耶無耶に期待の話だけして誤魔化すのは火を見るより明らかなのですが、異次元緩和政策の実行によって物価目標引き上げというロジックがちゃんと成立しているのかがツッコミどころになるんでしょうな。

あと注目されるのはこれまた宮尾審議委員講演後の記者会見で説明していた所ですけれども、『今回、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%目標を達成できるよう必要な政策を決定したということですので、その政策効果を織り込んだ形でどのように見通しを示すのが望ましいのか』(宮尾審議委員の岐阜での記者会見より)という事で大本営発表をする気満々の茶坊主審議委員の皆様がどのくらいの頭数おいでになって、その結果物価見通しの大勢レンジがどう出てくるのかというのも野次馬的には実に興味がある所です。

まあどうせ凄い上の数字が出てきて、ただでなくさえ願望レポート(と言い出したのは本石町日記大僧正ですかね)と揶揄されることの多い展望レポートですが、もはや展望とか願望というよりは大和魂が有れば物価が2%行くんです位の情報局発表精神標語状態になるんでしょうが、2名ほど下の数字を出す方がおいでになりますとレンジが広くなってもうちょっとマシな物になるとは思うのですけどねえ。つーかSEPだって出てくる数字が無茶苦茶レンジが広い(ロンガーランの所だけでしょ集中してるのは)訳でして、別にレンジが広くたっていいじゃないかと思うのですが、ここで来年度の数字が1.5%とかに集中したらもうワロスワロスとしか申し上げようが無くなる訳で、先日の宮尾審議委員会見のような無慈悲な質問が飛んできて面白い会見が見られることになりそうで楽しみになるというものですなあ(棒読み)。

とまあプレビュー雑談と言いましてもただの悪態な訳でして、大体からして総裁がMB2年で2倍で物価が2年2%という信者でありますので、実際に時間が経過して実績が出るまでの間は「行くと言ったら行くんです」(キリッ)という事で済ますのですからして、会見がクソ面白くならないでしょうというのはその辺が背景にありますし、じゃあ市場の反応はと申しますと、不思議理論を持ち出す為替市場は兎も角として債券市場ちゃんではどうせ来年度1.5%とかの数字が出てきても「はいはい情報局発表情報局発表」ということで債券市場の皆様は華麗にせせら笑って終了でこの数字が出て時間軸が短くなるとかゆー話にならんでしょとは思いますが、誰か勘違いして時間軸短期化とか言い出すのかなあ(^^)。

しかし「2年で2%目標達成」するんだったら金融政策のタイムラグ考えたら緩和の大幅拡大を実施する期間は2年間ではなくて例えば1年で2倍にしてその後は維持、とかそういうもんじゃないのかねと思うのですけどね。目標達成してるのにその直前まで莫大な金融緩和を継続して拡大したらどう見たって目標達成後に物価が上方にオーバーシュートすると思うのですが、そこの説明をついぞ聞いた事がございませんので是非お話を聞かせて欲しいものです。

というただの悪態でしたが、まあ要するに物価見通しがどの程度ジャガーチェンジするのかのみ(あと強いて言えば苦しい屁理屈の鑑賞)が見ものというあまり面白くないMPMになるのでありました。

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2013/04/22

○まずは金曜の訂正

金曜の国債買入に関する駄文ですけれども、今月の実施回数を「2回」と書いたのですが、良く良く考えると「中短期2回」「中長期2回」「超長期1回」「変動国債1回」ですので、3回で実施すると考えるのが妥当でして、そう考えますと今月は先週金曜日に実施して、あと2回実施というのが普通の考え方でしたすいませんすいません(過去ログ分は訂正線で訂正しました)。

んでもってMPM結果が出る日と流動性供給入札のある日が恐らく外されまして、約定と受渡しが月末跨ぎになるのを避けるのでしたら今日と水曜(か木曜)かなあと思います。今月の大型連休は中3日が営業日なので30日オファーの2日受渡の可能性もあるのですが、月末は債券インデックス関連の売買が入るので、その日に大規模な国債買入を入れるとか投資家的には大迷惑としか申し上げようがなく、民業圧迫にも程があるので月末にオファーするのは止めなはれとは思うのですけれどもね(中長期や超長期が入らないならそこまでの大迷惑では無いが)。

○その他オペ関連

・短国買入を緩まずオファーとな

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130419.htm
国庫短期証券買入 15,000 2013年4月23日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 5,000 2013年4月23日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年4月23日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月23日 2013年5月28日

ということで国債買入が実施されたのですが、短国買入も1兆5000億円オファーされていまして、木曜の3か月TB入札が0.09%台前半まで強い結果になる中で更に追撃のように短国買入のオファーということで、こちらはもう落ち着いておりますがなという所ですが短国買入を入れる所が何気にチャーミング。

金曜のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130419.htm
国庫短期証券買入 55,934 15,006 -0.004 -0.003 52.0
国債買入(残存期間5年超10年以下) 19,169 5,003 -0.018 -0.013 47.5
国債買入(残存期間10年超) 7,100 3,001 -0.055 -0.047 28.1
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月23日スタート分) 9,780 8,005 81.9

まあ一応オペ結果を置いておく訳ですが、短国買入応札5.6兆円ですからまあオペオファーはしておいて良かったという事ですかね。いずれにせよ先週からの1年オペ打ち込みに加えて短国買入を緩まず入れてきていまして、とりあえず短期の金利はアガランチ会長であるというのが明確になっていますなあという所でありまふ。


・まあフラットするのは判るのですが

金曜の日本相互証券さんの引値

2年:0.125%(-0.5)
5年:0.220%(-1.5)
10年:0.580%(-0.5)
20年:1.430%(-6.5)
30年:1.545%(-6.0)
40年:1.555%(-5.0)

国債買入のスケジュール変更がアナウンスされたのを好感したということになっておりまして、まあ木曜のアナウンス以降超長期が益々堅調になっていて金曜は朝っぱらから超長期が吹っ飛んでおりましたので、まあそういうことだと思うのですけれども、確かに5月以降超長期の買入額がもしかしたら増えそうですよねとゆーのは判るのですけれども、増えるったって1000とか2000とかの話の筈なんですが、何故か10年20年が盛大に6毛もフラットするとかワロスとしか申し上げようがないのですが一応メモだけ置いておきます。実際は何がこういう動きを引き起こしたのでしょうか誰か教えてジェネラル。

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2013/04/19

公共放送ニュースになっていて正直ビックラこいたわ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130419/t10014026443000.html
日銀の国債買い入れ 入札回数増へ
4月19日 5時44分

『日銀は、新たな金融緩和策の下で大規模な国債の買い入れを始めていますが、買い入れの規模が大きすぎて、債券市場が混乱したことから、入札回数を増やして、1回当たりの買い入れ額を減らすことになりました。』(上記URLより)

ということですが、この記事後の方に誤植があるのですが、その誤植がそのままニュース画面に出ていたのでちょっと残念無念。

○市場雑談関連

・国債買入オペの運営を手直し

時間的には後になるのですが、昨日の夕方に上記公共放送ニュースでも話題になってしまいました国債買入オペの運営見直しが公表されまして、それで債券市場がホイホイ買われるというのも何だかなあという感じなのですが、まあそれは場中の超長期入札以降の流れという所なのでしょうけれども。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130418d.pdf
当面の長期国債買入れの運営について(2013年4月18日)

ということで結果は以下の通り(物が図表なのでレイアウトを改変しています、あと変国物国は変更ありませんのでゴテゴテを避ける為に引用割愛)

今月の残り分(2回実施)(4/21追記訂正:良く考えたら3回実施が妥当でした)

残存期間:1 年以下 今月分終了
残存期間:1 年超5 年以下 5,000〜6,000を2 回
残存期間:5 年超10 年以下 5,000〜6,000を2 回
残存期間:10 年超 3,000を1回

5月分(8回実施)

残存期間:1 年以下 1,100を2回
残存期間:1 年超5 年以下 6,000〜7,000を5回
残存期間:5 年超10 年以下 6,000〜7,000を5回
残存期間:10 年超 2,000〜3,000を4回

(注1) 原則として、2つの残存期間区分を同時にオファーします。
(注2) 買入対象銘柄の残存期間が重複する利付国債の入札日(流動性供給入札を含む)には、原則オファーしません。また、物価連動債および変動利付債の買入は月の後半に行います。
(注3)残存期間1年超5 年以下については、残存期間の区分を細分化して同時にオファーすることがあります。

ということで、元々のがどうなっていたかと言いますと・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130404d.pdf
当面の長期国債買入れの運営について(2013年4月4日)

今月の残り2回分

残存期間:1 年以下  今月分終了
残存期間:1 年超5 年以下 10,000を1回(第5回)
残存期間:5 年超10 年以下 10,500を1回(第4回)
残存期間:10 年超 3,000を1回(第4回)

5月分(合計6回)

残存期間:1 年以下  1,100を2回
残存期間:1 年超5 年以下 10,000を3回
残存期間:5 年超10 年以下 11,000を2回と12,000を1回
残存期間:10 年超 2,000を1回と3,000を2回

・・・・・・・・ということで、今月分に関してはどさくさに紛れて(幅を見ているのですが)中短期と中長期の買入額が増える可能性があり、5月分に関してはこれはもうあからさまなのですが従来総額8000億円の買入を予定していたのがこれまた幅を見ているのですけれども8000億から1兆2000億円の間で買入が行われるということでしらっと超長期買入増額の可能性の刑ワロタという所でございまして、20年国債入札やった日の引け後に「超長期の買入額が来月は増えますお」とか売り方虐殺ショーにも程があるというものです(−−)。

でまあこれまた幅があるのですが、その分どこが減っているかというと中長期(5年超10年以下)の部分が減る可能性があって、トータルの7.5兆円程度というのは同じという数字になっておりますが、もともと新発の供給される額対比で何ぼなんでも中長期ゾーン多くねえかという話だったので気持ち修正したというのもあるでしょうな。

更に中短期の部分について(注3)にあるように「オファーする場合には細分化も」という話をしているのは、恐らく普通にやっていると中短期の所で2年近辺ばかりが入ってしまう可能性が高く、そうなった場合に買入国債の残存期間長期化というディレクティブに対して運営が苦しくなるからという事ではないかと思料されます。

んでもって回数が増えて1回の買入額は減ったのですが、中短期、中長期ともに相変わらず6000とか7000とかってのはまだ多い気がするんですけど、まあ物理的にこれ以上回数増やすのしんどいとゆーことなのですかね。特に中長期に関しては1回の買入はアッパー5000だと思ったのですけれども。

つーことで、トータルの買入額は同じですが、(1)超長期の買入が増える可能性がある(2)中短期の買入で2年ばかりが入らないようになる可能性がある、という2点からすると、従来の施策よりも日銀の買入年限がやや後ろに倒れるという風に単純に読むと思えますので、一応地味に市場フェーバー(売り方アンフェーバー)という事ですがそこまで買われるものなのかというイブニングの反応についてはオラシラネ。

あと、国債入札の日にも買入を打ち込む可能性がある(ただし入札と同じ年限は被らせない)というのはそうしないと日程組むのが死ねるという事でしょうけれども、回数が月8回で入札日も有りという設定だと微妙に読みにくいちゃあ読みにくいですし、中長期国債の買入に関しては依然として1回のポーションが大きいように見えますので、もうちょっと回数増やした方が良かったかもしれませんねとか思いますが、これに関しては走りながら考えるしかないので、今後もMPMと企画からマルナゲータの刑を食らった金融市場局の工夫は続くのでしょうな。



・一応入札メモというか何というか

3か月TB入札はここもとまでの0.10%直前という水準から低下して0.09%台前半での決着。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130418.htm

(3)募入最低価格 99円97銭6厘5毛 (募入最高利回り)(0.0942%)
(4)募入最低価格における案分比率 6.3662%
(5)募入平均価格 99円97銭7厘1毛 (募入平均利回り)(0.0918%)

連日の1年オペ攻撃(は火曜までで一旦終わりましたが)によって当座預金残高は増えるわGCの買いは増えるわで金余りじゃわという状況になりやがりましたのでそらまあ金利も下がりますぞなという事ですが、その一方で「当面は」資産買入拡大を実施するためにはどう見ても超過準備付利金利水準を下げる訳にも行かない(相変わらずこの点について付利金利は利権みたいな阿呆言説が時々聞かれるのですが、まあさすがに最近まともな本職でそういう事を言う人は居なくなってきましたかね)ですし、これからアホのように買入を拡大するというのを勘案すると付利って動かないでしょ、と思った場合の3MTBの居場所ってどんなもんなんでしょうかね。

でまあ「当面は」と申し上げましたのは、買入拡大しても物価がアガランチ会長ですよという話になった場合に、じゃあやっぱり買入拡大よりも付利下げですなとかまた言い出す可能性が無い訳では無いので別に未来永劫付利下げの思惑が浮上しないというもんでも無いという事は恐らく短期関連の皆様の意識には必ず存在しているものと思われますので「当面は」と書いた次第でございます(−−;少なくとも向こう半年くらいは関係ないと思いますけどね。


20年入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul005.htm

(3)募入最低価格 99円45銭 (募入最高利回り)(1.536%)
(4)募入最低価格における案分比率 97.2413%
(5)募入平均価格 99円66銭 (募入平均利回り)(1.522%)
 
前場引けの新発発行前取引の板が1.510/1.515で終了していまして、そこから見ると落札結果的には流れたような感じではあるのですが、まあ元々流れるでしょうという予想になっていたので「予想通り流れましたなあっはっは」という所で、アベレージが若干甘かったかも知れんが、まあ問題はこれが売れるかどうかという話ですよねという所。

んでもってまあ投資家の買いが来るのか来ないのかがワカランチ会長だったのですが、結局のところそこそこ買いも来ましたね良かったですねコストも良い所で落札できて良かったですねとゆーよーな感じで債券市場は堅調推移となったようで何よりという所でございましょうか。

後は今日あるかどうか知らん(あと2回だから今日やりそうなもんだが来週2回でも違和感ない)(4/21追記訂正:良く考えたら3回実施が妥当でしたので金曜と来週2回ですな)ですけれども、国債買入が変に滑らなければ異次元緩和の異次元債券市場シリーズも一旦落ち着いて、今度は日銀買入で玉無し芳一相場というそれはそれで逆の方向性で困った相場になるんでしょうねアヒャヒャヒャヒャという所ですが、その前に売り方殲滅ショーがあるんですかねよー知らんけど。

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2013/04/18

○オペとかその辺関連メモ

・1年オペ見送りましたが特にこけなかったようで

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130417.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月19日 2013年5月24日

ということで午前に1年オペが無くてついでに午後の固定金利も昔の基金オペロール分になる1カ月物だけとなりまして1年オペもう終了かよ残念無念とか思ったのですが、そもそも火曜の1年オペの応札減ってたし、まあ昨日は東京レポレートのT/Nが下がっておりましたようにGCレートが下がっておりましたし、1年TB入札も0.10%割れレベルで結構不明札もあって短期の金利が0.10%割れ水準でアンカーされていましたし、大体からして連日の1年オペで日銀当座預金残高が積み上がっていたとか、まあ市場が沈静化していたからオペ実施無くてもとりあえず落ち着いておりましたという所で、債券市場ちゃんにも特段の悪影響は無かったようで何より。

まあ昨日応札がゼロになるまでやったらどうよ的な事を申し上げたあたくしとしては落ち着いたからと言って直ぐに止めちゃうのってあまり推奨しない(結果的に問題ないだろうと資金需給動向を見て判断したのでしょうが、シグナルオペみたいにして実施したものなので、需給動向以外の面も考えるというか、市場がナーバスになっている時なので無駄でもどうせタダなら打っておくというのも大事だと思うのですよね)のですが、まあ中短期金利がとりあえず安定したという話なんですかね。正直言って5年が0.2%台にいるうちはあんまり安定した感はしないのですが。


・当座預金残高がオールモースト70兆円ですよ木久扇師匠!

昨日の日銀当座預金残高実績速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130417.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (4月17日<水>分)

>当座預金残高 697,200
>当座預金残高 697,200
>当座預金残高 697,200

・・・・・・・・・・・・・木久扇師匠の精緻な理論によりますと『インフレ率を2%にするためには、日銀当座預金を昨年末の約40兆円の倍、70〜80兆円にすべきだ。』との事でございましたので、早くも69兆円ですよいやあこれでインフレ率2%達成ですね良かったですねところでどういうメカニズムで物価に波及するんでちゅかあたくし頭が悪くてさっぱり分かりませんぞなウェーハッハッハという所でございますが、そんなことより昨年の4月辺りに震災要因による予備的資金需要分が剥落して日銀当座預金残高が減ったのを捕まえて「引締めで円高になったケシカラン」とか言ってた何とかストの皆様におかれましてはこの日銀当座預金残高の直近の拡大と為替市場の関連につきましてのコメントをぜひ頂戴したいものだと思うのでありますた。


・懇談会は普通の話だったんですかねえ

昨日の引け後に市場参加者との懇談会の第2弾が実施された訳ですが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLEA2V6KLVS501.html
日銀幹部:長国オペ1回当たり金額減らし頻度増やすこと検討
更新日時: 2013/04/17 19:41 JST

『4月17日(ブルームバーグ):日本銀行は市場参加者との意見交換会で大勢を占めた意見を踏まえ、長期国債買い入れオペの1回当たりの金額を減らして、頻度を増やすことを検討する。日銀幹部は17日の意見交換会後、長国買い入れオペに関して議論が集中したことを記者団に明らかにした。現在は1回当たり1兆円程度で4月に5回、5月に6回実施する予定。市場への影響が大きいため、出席者からは、金額を小さくして高い頻度にした方が良いとの意見が多かった。』(上記URLより)

アベノミクス三本の矢の第一弾としてイールドカーブ全体を押し下げるような異次元金融緩和をしているというのに債券売り叩いて金利上昇させて国策に反するような非国民な売り方はまとめて消毒して殲滅だヒャッハーなどというようなイベントは無かったようで誠に残念でございますが(^^)、まあオペの一回の額自体がマーケットインパクト的に大きい部分(特に中長期の1回1兆はインパクトでかいだろと思います)については見直すのが吉という事でございますが、この際ヤケクソで全営業日に渡って日割り実施するという方向・・・・・にはならないでしょうが(する方も受ける方も事務が爆発するわ)、まー週に2本程度のペースにしてポーション減らした方が良いでしょうねえとは思います。それから適当な柔軟性は残して置いた方が変な狙い撃ちされずに済むと思います。

このニュースを受けてイブニングセッションで債券先物は大した反応はしていなかったような気がするのですが、その前後から欧州市場でユーロがあばばばばーになっていたので債券先物はホイホイ上昇していましてどっちの要因かワカランチ会長だがユーロあばばばばーでドイツ国債とか強くなっていた方に引っ張られていたんじゃネーノと思うがよーわからんけどな。


・ということで超長期入札と3M入札

つーことで今日は超長期入札と3MTB入札なのですが、3か月の方は昨日の1年国債もまあ特段問題なく通過していますし、足元は先ほど申し上げましたようにGCレートも落ち着いていますし当座預金残高は盛大に積み上がっておりますし、大体からして日銀のオペが短期市場の金利跳ねあがりを許さんというスタンスですのでまあ特段どうという話でも無いでしょ。

でもって超長期なのですが、ここもと連日調整モードで昨日も10年くらいまでは落ち着いた展開の中超長期だけパッとしませんなあ状態で推移しておりますが、さてこちらの入札がコケるかコケないかという話です罠。

まー日銀の買入も拡大しましたけれども、短期ゾーンのように直接手を突っ込んでヒーヒーと言わせるというよりは、まず中短期を落ち着かせることによって長期以降に波及するという従来の制御手法の思想に則って考えるとまず中短期がそこそこ落ち着きつつある(5年0.25%近くで落ち着いたというのもどうかと思うが)所でさあ後ろに波及ですよとなった所で改めて買入効果に注目が集まるというような展開になるんですかねえ良くわかりませんが。

ちなみに2003年の相場下落の時に良く行われた嫌がらせプレイというか売り崩しプレイの手口としては「10年入札の落札結果発表後に5年に大量売り」とか「20年入札の落札発表後に10年に大量売り」というような手法が良く見られておりまして(ちなみに10年入札直後に5年をドカンと売って翌日に新発政地債を全部ツモ切りというのが一番お洒落)、誠に遺憾の極みの展開が続いていたのを昨日のように(というのは大袈裟ですが)思い出してしまう所ではございますのでまあ入札もそうなのですが落札結果発表後に国賊プレイが炸裂するかも傍観したいと存じます(−−;

#まあ入札滑ってもセカンダリーで買われれば無問題だと思いますがね

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2013/04/17

相場様が中々落ち着いてくれないのでメモが増えるのであります(−−)

○市場雑談っつーかオペ雑談

・連日の1年オペ打ち込みが続くのでありました

昨日は海外要因などもあってだと思うのですが債券朝から強かったのですけれども、それにも手を抜くことなく朝のオペタイムに1年物固定金利オペを連日の打ち込み。

つまりこの一番上の奴ですの。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130416.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年4月18日 2014年4月18日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年4月18日 2013年4月25日 0.640
CP等買入 4,000 2013年4月19日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月18日 2013年5月23日

ということで昨日もきっちり1年物オペを2兆円という多分札割れするだろうなという規模で実施してさあ必要ならいらっしゃいませ皆さんどうぞと意志を引き続き示すの巻。

一応オペ結果

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130416.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月18日スタート分) 10,230 10,230
米ドル資金供給(固定金利方式)(4月18日スタート分) 1 1
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月18日スタート分) 1,910 1,910
CP等買入 10,610 3,980 0.099 0.102 48.4

1か月オペの方は札が入らない割には1年オペの方は札が入るという展開は続いておりまして、今回も1兆とか札入っていましてほっほーという感じですが、木曜以来の連日シグナルオペと言いますか1年の0.10%資金絶賛大供給によって「短期の金利が0.10%を大きく上回るような事態は絶対許さん」というのをきっちり示しているという事で、昨日も申し上げましたが、こーゆーのは短期の人とかそっち方面に近い人とかにはよーく伝わるのですけれども、まあ債券の人的には伝わる人もいれば伝わらない人も居る(短期やって無いで長期金利系プロパーだと特にそう)ので、実際問題として中短期ゾーンの金利が低位で安定するのを確認しないとその辺を信用しないと思われます。

つーことでまあここまで来ますとこのオペに関しては応札がゼロになるか中短期国債の金利が先般の政策決定後に上昇した分をある程度奪回するまで、と申しましても付利下げ思惑で下駄履いた分を幾らで見るのかが難しいですが、追撃の手を緩めることなく実施するという感じで中短期を落ち着かせて中長期金利も落ち着かせるスキームという事で宜しいんじゃないでしょうかと思うのでした。何せこのオペの場合は買入系のオペじゃないので別に札が入らないからケシカランという物ではなく、札割れが大きくなるということは市場の鎮静化を意味するので実は札割れ上等というものでもありますから、そーゆー点ではオペをホイホイ打ちやすいというものでして、まーこれだけ連日やったのでしたら中途半端に変な所で止めないで頂ければと存じます(^^)。


・5年国債入札一応メモ

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul004.htm
5年利付国債(第110回)の入札結果

(3)募入最低価格 100円10銭 (募入最高利回り)(0.279%)
(4)募入最低価格における案分比率 14.9212%
(5)募入平均価格 100円15銭 (募入平均利回り)(0.269%)

前場引けの気配が0.265/0.270で27ヒットで、前日から利回り水準低下して入札を迎えてしまった上に相場のボラがボラですから1毛(=5銭)流れるのはまあシャーナイナイでして、事前の評価的にはまあ何とかなるんでしょうけれども本当に札足りるのか大丈夫かという話もあったので懸念されていたような事にはならずに良かったですねという結果。

何か知らんけど後場途中から相場様は一段高になったのですが引け近くに超長期が失速してブルスティープというか超長期がモドランチ会長状態になったのがちと残念ですけれども、まあ中期がコケるとエライコッチャになりますのでコケなくて良かったですねという所で。


○これまたメモですがWGとか懇談会とか

・物国WGキタコレ

月曜日に出ていましたのですが(汗)。

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_ilbe/press_release/bukkoku20130415.html
物価連動債の発行再開に関するワーキング・グループを開催します
平成25年4月15日

『物価連動債の発行再開に向け、市場関係者を交え、具体的な入札方法や発行再開時期等を検討するため、物価連動債の発行再開に関するワーキング・グループを開催することとしましたのでお知らせします。なお、メンバー及び第4回会合(※注)は以下のとおりとなっております。

1.メンバー
国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーのうち、参加を希望した者

2.第4回会合
平成25年4月22日(月)

3.その他
議事概要・資料については、会合終了後、財務省ホームページにて公表予定 』

ということですので、まあ実際問題として入札の方法をどうするのか(新型の発行に合わせて既発の買入消却を実施するとかその手の話がありますよね)とか、その手の事務的な詰めを行って後はニーズを見ながら発行再開へというお話のようで。

まあ流動性が無くて新規発行が無いからニーズが無いという鶏が先か卵が先かみたいな話もありまして、発行再開したらニーズが広がる可能性もありますし、やっぱりニーズ的にはイマイチでしたという可能性もあるしよー判らん所ではあります。まあ某副総裁の言う「銀行が出口政策でニーズ」というのはちょっと考えにくいですけど、BEIにも金融政策的に注目されるでしょうというのもあって時期的には宜しそうな感じではありますね。


・対話第2弾ですな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130416c.pdf
「市場調節取引実務担当者との意見交換会」の開催について

今回は「実務担当者との意見交換会」とのことで、本日の引け後に実施のようですけれども、式次第によりますと説明コーナーがあって自由討議コーナーがあるみたいですが、もうこの際説明する日銀の皆さんが北斗の拳よろしくモヒカンスタイルで「ヒャッハー!売り方は消毒だ〜!」と言って登場した方が意図が良く伝わってよろしいのではないでしょうか是非ご検討くらはい(嘘)。

まあ国債買入の日程について市場状況的に必要ならば前倒しも辞さず位の発言が出てくるのではないでしょうかとは思いますが、実際問題として国債買入の日程を事前公表した方が良いのかしない方が良いのかというのも難しくて、事前公表しちゃうと「じゃあいついつまでは買入無いじゃんヒャッハー売り叩きだぜ〜」というのも出たりするし、かと言って全部ブラインドだと「今日はオペがあるのか無いのか」で一々相場がぶれることになるのでそれもそれで何だかなあという所で、一長一短ではあるのですが、あまり硬直的な運営にならない方が良いでしょうなというありきたりの結論になるのでした。

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2013/04/16

○市場雑談メモ:とりあえず短期の金利をアンカーさせると

・金曜に引き続き月曜も引け際に崩れるとな

昨日の債券市場ちゃんですが、前場からシグナルオペに短国買入があったりしまして、「とりあえず短期ゾーンを落ち着かせて全体に波及させましょう」という冷静に考えたら元々の麿システム時代(つーか麿システム以前も含めて)の金利アンカー作戦(オペ詳細は次に書きます)に出ましたなという所で、中短期は比較的しっかりだったのですが超長期が何せ朝から弱めでどうもパッとしませんですなあという展開。

でまあそれはそれと致しまして、昨日は引け前15分弱の所から急に5年の気配が弱くなったり元々ヘロヘロだった超長期の気配が更にヘロヘロになったりと、そらまあ今週は5年(今日)と超長期(木曜)の入札があるからコンセッションしても良いのかもしれませんが、それにしても金曜に引き続きまして昨日も引け際に相場が崩れるという形になっていまして、金曜に関しては丁度まあ変なニュースフローが出ていたからそれを理由にすることは出来るのですが、昨日に関しては引け際に何かの材料があった訳でも無かったのでして、どうもこの「連日の引け際売り」というのは相場を意図的に下げようとしている人でもいるんじゃネーノとか思ってしまいたくなるのは気のせいですかそうですか。「イールドカーブ全体を押し下げる」と総裁様が仰せだというのに連日引け際に売りとか国策への協力姿勢が欠如している第五列と言った所でありまして誠にケシカラン話でありますなあ(棒)。

まあしかし何ですな、黒田総裁が総裁ノミネートって話になったのが2月の25日でございましたのでその前営業日である所の2月22日の引けと単純にカレントの居場所を比較すると(カレントの償還が3か月伸びていますが)昨日の引けは2月22日対比で10年は8毛(同銘柄で比較すると9毛)金利が低下していますけれども、先物チーペストとか5年とか2年とか盛大に金利が上昇しておる次第でありまして、その一方で超長期に関しては20年で20毛程度、30年で30毛程度の金利低下になっていますので、結果から見ると今のところは「イールドカーブ全体の押し下げ」というよりは「ツイストオペの実施」状態になっているのがワロタという所ではございますな。


・とりあえず「短期をアンカー」攻撃で全体の落ち着きを待つということで

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130415.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年4月17日 2014年4月10日
国庫短期証券買入 20,000 2013年4月17日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月17日 2013年5月22日

ということで、昨日はまたまた午前中に固定金利オペ1年物の打ち込みを行いまして、更に金曜に1兆5000億円打ち込んだ短国買入のおかわりを更に増し盛りの2兆円で打ち込みというオペレーションを実施。

えーっと、従来通りのペースでの短国買入を実施という事になりますと、大体月に5兆から6兆円程度の買入を打ち込みをしておくとペースが同じと言う感じになる筈なのですが、金曜月曜の2営業日でいきなり3兆5000億円の短国買入を実施という盛大な勢いでのオペ打ち込み。しかも1年物固定金利オペは連日ホイホイ打ち込んでいますので、短期物のオペレーションを実質的には拡大するような勢いでの打ち込みになっておりますな。

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130415.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月17日スタート分) 15,078 15,078
国庫短期証券買入 55,036 20,002 -0.004 0.002 8.3
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月17日スタート分) 1,150 1,150

短国買入が5.5兆円も応札があるのが結構ヘーという感じで、そんなに打ち込む物があったのですかいなとは思うのですが、まーそれはそれとしまして1年までの所の金利上昇を抑えることによってその先の金利もアンカーさせて行きましょう、という姿勢が伝わったオペでございました。

まあ残念なのはそういうオペをせっせと打っても元々日銀のオペがどうのこうのというのに債券市場プロパーだと(短期ゾーン兼務だとこういうのにビビットに反応するのだが)イマイチ反応しませんので、日銀様の努力空しく2年の引けは5糸甘の0.13%(今帳面見たら0.13%って黒田総裁ノミネート前の5年金利だわw)に上昇するわ5年は0.270%(1.5甘)だわというのは先程も申し上げましたが、いずれにせよまずは日銀が自由自在にホイホイ打ち込みができる短期ゾーンのオペを使って1年の金利を0.10%アッパーで確りアンカーさせることによって、その後ろの金利を徐々に落ち着かせてボラも下げて行きましょう、というような良く良く考えてみれば従来の日銀が行っていたオペレーションの基本的な発想(3年までの金利をガッチリ抑えることによって後ろの金利を抑えるという戦法)に立ち返ってみましょうね、とゆー話になっているのも実に味わいの深い物を感じるのでありました。

#ちょっと落ち着くとホッとして直ぐに追撃を止めるのが日銀の悪い芸風なのでそれには注意したいが


・つーことで後は時間軸強化・・・・・・・・なんですけど・・・・・・・・

市場雑談から少々脱線気味になりますが、先般2003年相場との比較って雑談をしたと思いますけれども2003年相場ってシグナルオペの実施とかの後、最後に中短期あばばばばーとなって俊ちゃんの時間軸への強力発言があって、その発言を裏付ける為のコミットメント強化がその後のMPMで実施された訳なのですな。

つーことでまあ相場を落ち着かせるという観点で言えばやはり時間軸の強化というのを入れるというのが吉ではあるのですけれども、金曜のニュースにもありましたように展望レポートの物価見通しが引き上げだの(今日はネタの都合上明日回しになってしまうのですが)さくらレポートでの全地域景気判断上方修正だのとゆーよーな鉛筆舐め舐めじゃなかった景気物価判断の上方修正が打ち込まれている状況。

更に黒田さんは「2年で2%達成」を連呼している上に、そもそも打ち込んでいる政策自体が目先1年は良いとしてその後のフィージビリティー大丈夫かという代物なのでそれを3年4年とか続けるような話にも持ち込みにくいですし、大体からして2年で2%達成できます(キリッ)とか言ってるのに2%達成しても延々と超大規模緩和拡大をしたらそらマズーだろとか、まあ色々と考えますとこの時間軸をどうやって強化したら良いのかが意外に難しい気がするのですがどうなんでしょうかね。

まあ日銀企画の皆様が色々と知恵と工夫というか悪知恵と屁理屈というか存じませんが(^^)、現状のフォワードガイダンスをさてどうやって強めましょうかみたいなのをせっせと考えているのでは無いかと勝手に愚考するのでありますが、2年で達成を連呼しすぎたのと、そもそも2年先までのスケジュールを示してしまっていて、その内容が大規模にも程があるという点で時間軸政策との整合性が取りにくくなっていますなあという所ですが、企画が何かお洒落な物を考えてくれるに違いありませんので次回決定会合を楽しみに待ちましょう(棒読み)。

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2013/04/15

相場がマーライオンなので致し方ないのですが、金曜の駄文は朝からゲロだのうんこだの爽やかな朝のひとときに誠にケシカラン表現の連発でございましたなどうもすいません。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ML9H5Q6JTSE801.html
円上昇、1ドル=97円63銭−米財務省が通貨安競争回避求める
更新日時: 2013/04/15 05:05 JST

ふーん。


○またまた市場メモ雑談その1:今日も私家版相場概況のようなメモ

金曜の債券市場ですが、火曜に中短期が変調になったと思ったら水曜にマーライオン襲来となって木曜ヤケクソのシグナルオペに加えて30年国債入札の札入れ終わって後場寄る前という何ともアレな時間帯(そういうのは本来応札に間に合わせる為には10時位までには出せよと思うのだが)に国債買入2回分まとめて明日実施するだよああそれから短国も買うよのアナウンスがあり、でも30年入札が滑ったので13時に再度シグナルオペ実施とか色々と日銀による強い意思表示あるいはヤケクソ劇場が展開された訳ですが、金曜はその肝心の国債買入が実施されたのでありました。

こう見るとなかなか盛大だわ(後場のオペは後ほどネタにするので引用割愛)

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130412.htm
国庫短期証券買入 15,000 2013年4月16日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 10,000 2013年4月16日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年4月16日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年4月16日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 11,000 2013年4月16日

ちなみに買入対象外は2年312、313回、5年90回、10年308〜313回、20年24〜26、28〜30と32回、30年1回のようでございますな(たぶん合ってると思うが内容無保証)。

でもって前場の引けが22銭安の144.51銭ですが先物回り(ただしチーペスト近辺は対象外)以外だとそこまでゲロゲロでは無くて20年超とかは比較的強めに推移していたのですが、昼休み中に出た国債買入等の結果は以下の通り(後場の分割愛)。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130412.htm
国庫短期証券買入 68,565 15,003 0.003 0.006 6.4
国債買入(残存期間5年超10年以下) 29,166 10,007 0.006 0.018 3.4
国債買入(残存期間10年超) 8,133 3,004 0.010 0.011 81.0
国債買入(残存期間1年以下) 4,644 1,103 -0.007 -0.002 45.0
国債買入(残存期間1年超5年以下) 44,307 11,001 0.015 0.022 73.1

短国は置いときまして、1年以下は直近ゲロゲロしている間に買いがさすがにここには入って物無芳一状態なのでこれまた置いときまして、それ以外の結果が全般的にやや甘めなのと、1年超5年以下の応札が4.4兆円とちょっと多いですね、というのはありましたが、後場寄りからいきなり先物が144.14銭近辺(だったと思う、あまりにも速くて前後場足真面目に取っておかないと判らなくなる)と前場引けからいきなり40銭近く下落してスタートし、やっと前場ちょっとマシになったと思った板がまたスカスカになってゲロゲロとなるのでありました。

しかしまあ確かに国債買入若干弱かったかも知れんが、後場寄りで前場引けから40銭近く下げて(その後143円台とかになって行くわけですが)取引しないといけないほどの悪い結果だったっけという感じではございまして、まあ何なんでしょうねえという所で。

でまあしらっとシグナルオペを金曜も打っていたのですが、その時間は既に相場様が前日に引き続いてヒャッハー状態になっておりましたので、甚だ遺憾ながらスルー状態。つーかまあ黒田総裁の講演ヘッドラインが出ていた(これがまた少々アレなのだが次に)のでそっちを見ていてシグナルオペに気が付かなかった説もあるのだがwwww

という事でシグナルオペ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130412.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月16日 2013年5月21日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2013年4月16日 2014年4月3日
国債補完供給(国債売現先)・即日 2,342 2013年4月12日 2013年4月15日

とまあそういうことで、またまた1年物のシグナルオペを打ち込んでみたものの肝心の債券市場は反応しておりませんでしたな、残念無念。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130412.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月21日エンド分) 2,030 2,030
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月3日エンド分) 13,470 13,470
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 80 80 -0.400 -0.400

固定金利オペに1兆3470億円もオファーがあったとなという所ですが、シグナルオペをせっせと打ってもあまり反応しないどころか引けに掛けては残念なニュースヘッドラインが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKZ8NS6JTSEI01.html
日銀が物価見通しを1.5%以上に上方修正へ、14年度−異次元緩和受け
更新日時: 2013/04/12 14:53 JST

こちらの更新日時にありますように、ベンダーヘッドラインの方も14時50分過ぎ(52分だったかな)に出たのですが、先物のティックを見るとこのタイミングで先物下がった感じではございまして、まあ金曜の後場は先物から10年が弱かっただったのですけれども、引けに掛けて更に先物から10年が売られて引け直前にサーキットブレーカー状態になって1円安で引け申さずとなってイブニングの寄りも遅れるの巻となりましたです。

つーことでBBの引けは2年0.125%(+1.0)5年0.255%(+5.0)10年0.620%(+7.0)20年1.460%(+5.0)30年1.550%(+4.5)40年1.525%(+4.0)で先物は100銭安の143.73円の気配という事で、日銀渾身の買いとシグナルオペ再びだというのに残念な引けとなっておりましたですな、うんうん。


つーことで金曜の相場ですけれども、まあオペが滑ったのは滑ったのですが、前場の引けから後場の寄りの間に40銭とか先物がぶっ飛ぶほど滑ったオペなのかと言われますとちょっと???でありまして、何もそこまで親の仇のように売らなくてもとは思う次第で、そんな下叩くなら国債買入で3毛甘でも入れておけばよいじゃんと考えますと、何か相場崩そうとしているのかとも思ってしまうぞなもしという所で。

日銀による国債買入がとりあえず2発分打ちこまれて結果が出た訳ですから、少なくとも後場に日銀の買いがある訳では無く(当たり前)とゆーことで、買入結果が出て、まあ応札も多かったという事ですからここで売りをぶつけると相場は下がりやすいというのは確かにあるのですが、まー何というかアレでございますなあと思ったのでした。

ということで金曜の相場ですが、国債買入前倒しをしても残念な事に金利が上昇したという点では空振りとなりましたが、まあ考えようによっては本当にこの大量の国債買入が出来るのかという問題が有った中での金利上昇でございますので、この際ヤケクソで国債買入をバンバン前倒しして実行して売り方殲滅ツケロ買いの勢いで買入を進めておくと後の運営が楽になるかもしれませんですね(違)。



○市場メモ雑談その2:「市場との対話強化」を空しく見せる残念なニュースでしたな

先程URLを付けたニュースを再掲。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKZ8NS6JTSEI01.html
日銀が物価見通しを1.5%以上に上方修正へ、14年度−異次元緩和受け
更新日時: 2013/04/12 14:53 JST

『4月12日(ブルームバーグ):日本銀行は26日公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2014年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比上昇率の見通し(中央値)を0.9%から1.5%以上に上方修正することを検討している。4日の金融政策決定会合で、2年で2%の物価安定目標を実現すると表明したことを受けて、それと整合的な見通しを示す。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

とまあそういう事でどう見ても鉛筆舐め舐めです本当にありがとうございましたというのはともかくと致しまして、債券市場が不安定になっている時に「展望レポートの物価見通しを大幅に上方修正」という取りようによっては時間軸に影響を与えそうな(というのも債券市場はどうせコストプッシュ以外で物価なんぞ上がるかヴォケと高を括っているから中短期がアンカーされる、というか先週木曜に中期が盛大に戻ったのはまあそういう辺りやね)ヘッドラインが打たれるようなコメントをベンダーにするという日銀関係者ェ・・・・・という所であります。

何つーかさ、「市場との対話の強化」とかMPMで謳っているんだったら、展望レポートの物価見通しの部分って思いっきり時間軸に跳ねてくる話で、しかも足元で債券市場が荒れていて、更にアンカーされている筈の中短期がコケている、という状況なんだからこういうの出るタイミングじゃないだろと思うのでして、こういう所で「やっちまいやがって」というのをやらかすのが日銀の芸風で、もともと国債発行しないといけない部署(つまり財務省)と比較して債券市場に対するメッセージの出し方とか、そもそもの債券市場に対する配慮の仕方とかを分かっていない(からこそ10年国債入札日の前場引け2分後に臨時決定会合のアナウンスをしちゃうというようなプレイが炸裂するのだが)のは、まあ元々債券市場がどうのこうのというのに対してそこまで詳しくないっつーかそこまで細かく見なくても済んでいた(問題は足元の短期市場とかの方なので)から慣れの問題という面はあるのですが、それにしてもこういうの出ると「市場との対話」というスローガンが台無しになるのでもうちょっと物を考えて頂いてベンダーなどに対応して頂きたいとまあ思うのでありました。

ちなみに、展望レポートで大本営発表よろしく物価見通しが上方修正される件については日銀の行動パターンからすると大体自明ではある話なのですからして、通常の状況であったら「はいはい願望レポート願望レポート」と逝った所で済まされてしまうものだったのかも知れませんが、日銀の国債買入絶賛前倒しの効果空しく金利が上昇している中で、しかもこれはブルームバーグの悪意としか思えないのですが、そのタイミングの金曜引け間際という所でヘッドラインを打つというブルームバーグニュースの債券市場破壊工作ですかそうですかと申し上げたくなるようなタイミングの設定というのもございましたなという所ではありまして、その辺りで下げが増幅された面はございますな。

つーことで繰り返しになりますが、まあ今回の展望レポートが盛大に願望レポート&大本営発表モードになるのは普通に考えれば特段のニュースでも無いのですが、今まさに債券市場が不安定という所でこういうのが出ると普通の話であっても市場に変な影響を与える可能性がある、というような所でポロリが出てしまうとゆーよーなこの手の積み重ねが(債券だけじゃなくて)「市場との対話」というお題目を空しくしてしまいますのでご注意を願いたい物であると存じます、はい。

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2013/04/12

お題「色々と市場とかオペ関連でドタバタでしたのでその辺のメモ雑談」

何というか毎日大騒ぎであるが、さすがにマーライオン襲来に対して放置プレイで市場をゲロまみれにする訳には逝かなかったということなんでしょう。まあ中期が落ち着けばねえって所ですな、うんうん。

○だいたい昨日の概況私家版メモ

ということで何となくしか書けないがざっくり書いてみる。違っていたら教えてジェネラル。

ブルームバーグの記事である。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ML0X7M6TTDST01.html
債券は上昇、日銀があす買いオペ実施と発表−30年債入札は低調な結果
更新日時: 2013/04/11 16:22 JST

『4月11日(ブルームバーグ):債券相場は上昇。日本銀行があすに長期国債買い入れオペ2回分を同時に実施すると発表したことを受け、買いが優勢となった。一方、きょう実施の入札が低調だった30年債の利回りは上昇が続いた。東京先物市場で中心限月の6月物は前日比40銭安の143円76銭で始まり、一時は143円40銭まで下落。しかし、日銀が今月予定している長期国債買い入れの2回目と3回目を12日に同時に実施すると発表。午後の取引開始後には144円59銭まで上昇。その後は弱めの30年債入札結果を受けて下げる場面もあったが、徐々に買いが優勢となり、終了間際には144円77銭まで上げ幅を拡大。結局は57銭高い144円73銭で引けた。』(上記URLより)

ということでまあ上記の通りなのですが、俺様備忘録ということで俺様備忘をしておく。


・シグナルオペキタコレ

昨日のオペオファー

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130411.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2013年4月15日 2014年4月15日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月15日 2013年5月20日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年4月15日 2014年4月7日

ということですが、前日の債券相場で中期がゲロゲロマーライオンになった上に夜の黒田総裁の会見(昨日ネタにしましたように)で金利市場に関して「ある程度あり得る動きだ」だとかゲロまみれになって貰いゲロしそうになって涙目になっている市場からしたら「知らんがな」と言われたとしか思えん発言(「市場を注視して点検する」ともゆうとったのだが)をしておりまして、ゲロゲロは今日も逝くとばかりに中短期弱いという残念な状況。

つーことで上記にあるオペオファーの一発目が10時10分に打ち込まれまして、何と1年物固定金利オペしかも1兆5000億円ということでシグナルオペキターとゆーお話。しかも全店オペでして、10時10分に打つのは普通は先日付本店オペなので、つまりは通常のタイムスケジュールを逸脱したオペという「意思を示すオペ」となった次第で日銀の意志を受けて(かどうか知らんがたぶん)相場はちょっと戻ったものの結局シグナルオペパワーは続かずに前場引けは143円69銭で(▲47銭)終了の巻。うむ残念。

なおオペ結果は応札2.6兆円でありましたとさ。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130411.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月15日スタート分) 26,310 15,003 57.0


・国債買入ニバーイニバーイとな!!!!!!

でまあ3か月TB入札と30年入札の札入れも終わった所で後場寄りからどうなるんでしょうなあなどとゆー12時15分(でしたよね)に日銀から荒業第2弾のオファーが。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130411a.pdf
長期国債買入れのオファー日程について

『当面の長期国債の買入れについては、「当面の長期国債買入れの運営について」で公表しているところですが、このうち、4月の2回目(残存期間5年超10年以下および残存期間10年超)、3回目(残存期間1年以下および残存期間1年超5年以下)については、4月12日(金)に同時にオファーすることとしましたので、お知らせします。なお、4月12日(金)には、このほか、国庫短期証券買入れもあわせてオファーする予定です。』

・・・・・・・・・・・・・・・・・(Д)°°

ということで前場のシグナルオペちゃんがイマイチ効きが宜しくなかったので第2弾の砲撃が行われた訳ですが、何と事前にアナウンスしていた予定(確かに日付は書いてませんでしたが)をいじって「明日国債買入ニバーイニバーイですよ」という砲弾の打ち込みが参りましたが、ニバーイニバーイに新たなバージョン発生とかワロスワロスとしか申し上げようがございません。

などとワロスとか言ってる場合ではなく、当初市場のコンセンサスとして金曜には国債買入4月2回目の打ち込みがあるだろうなあとは思っていたのですが、3回目分、つまり中短期ゾーンの買入分について盛大に前倒し実施となったのでそれはサプライズ。

そらあーた来週あると思っていた1兆2100億円(内訳は中短期(1〜5年)が1兆1000億円で短期(〜1年)が1100億円)の国債大購入がいきなり明日になりますよとなりましたら当然なのですが、後場の先物寄り付きは盛大に値段がすっ飛んで上昇してスタートし、踏まされてしまった方もおいでだとは存じますが、踏み踏みの怪我人が処理された所でまた先物ヘロヘロしだして(つーか値がポンポン飛ぶから何が何だか)30年国債の落札結果発表タイムへ。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul003.htm

(3)募入最低価格 105円20銭 (募入最高利回り)(1.545%)
(4)募入最低価格における案分比率 1.0416%
(5)募入平均価格 106円36銭 (募入平均利回り)(1.492%)
 
前場引けが1.47%とかその辺で、まあ相場が大荒れモードなのですからビットが引くので平均がこの程度なのはまあシャーナイナイなのでしょうが、足切りが盛大に流れてしまってしかもモノが30年なので5毛流れても価格に直すと1円とかになるのでアチャー感が漂うということで、落札結果発表後またまた先物などゲロゲロうんこ状態に。

ちなみに、時間が前後しますが中短期ゲロゲロマーライオン相場の中しらっと3か月TB入札も実施されたのですが、こちらの落札結果は(短国の落札結果発表は12:35で中長国の落札結果発表は12:45な)前日の2か月および月曜の6か月と同様に0.10%の直前の所で足きりになるという結果で、これが0.10%台乗せると更に雰囲気が悪化する所(まあ0.10になったらさすがに買いが入るとは思うのだがそれまでの2年ゲロゲロマーライオン状態を見ると手が引いてもおかしくなかった)でしたのでこちらはホッと一息という所でしょう。



・日銀怒りのシグナルオペ第2弾ワロタ

オペオファー再掲である。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130411.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2013年4月15日 2014年4月15日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月15日 2013年5月20日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年4月15日 2014年4月7日

でまあ13時の定例オペタイムに何と通常の旧基金固定金利オペのロール分に加えましてヤケクソで1年物のオペしかも2兆円とかどう見ても札割れしそうな巨大ロットでのシグナルオペのオファー2発目が行われました。

でまあ最初のうちあまり反応してなかったようにも見えたのですが、日銀怒りのシグナル2発に国債買入ニバーイニバーイ攻撃という盛大な大砲撃による日銀の意志が伝わったのか(どうかは知らんが)中期に盛大に買いが入ったようで5年とかの中期がズンズングイグイ上昇しまして、何か前日の引け後とかに0.30%やっていた筈の5年は引け近くには0.20%割れとかの気配まで買われまして、カーブ的にも先物よりも中期が強いというゲロゲロマーライオンの後にすっきりしたら腹が減ったので盛大に食いますか状態でオソロシスという展開。

一方で入札がうんこだった超長期はその後も弱かったのですが、引けに掛けて中期主導でぐんぐん上昇する中でこっちがヘロヘロになって、BBの引けベースでは5年20年がそれぞれ7毛強の5毛甘で12毛ツイストスティープとか何なんですかこの相場は、ということで最早他市場とか気にしている暇もなく大暴れの相場なのでありました。



○2003年の6月から8月を5営業日でやっているんですねわかります

シグナルオペと俗に言われる(日銀がそうだと公式に言う訳では無いと思った)オペなんですけれども、相場がゲロゲロマーライオンになってシグナルオペ実施!という意味では2003年8月27日に打ち込まれた「手形オペ9か月」が著名なのですがいかんせん10年前の事なので知らない若い衆も多いでしょう(ドヤ顔)。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/ope/m_release/2003/ope0308.htm/
短期市場オペレーション(2003年8月)

そこの『現先および手形買入・売出方式によるオペレーション』の辺りを見て頂きたいのですけれども、この時期は手形オペの本店オファーが4か月物、全店オファーが6か月物で打っていたのですけれども、27日突如9か月期日のオペを打ったのですよ。

でまあこの時期って2003年6月の高値から金利が上昇する流れの第2弾で中期がゲロゲロに崩れてゼロ金利政策しててCPIもマイナスなのに2年カレントの利回りが0.2%台に上昇するとか5年カレントの利回りが8月頭の0.3%台からこの週には0.6%台に乗ったと思ったら0.65%も上回るとか、見事な中短期ゲロゲロ相場になっていたのですよ。

つーことでこのシグナルオペ実施して短期の人間は「うひょー」と思ったのですが債券方面にそれが伝わるまで30分ほどかかったようですが(とその時のメモ書きには書いてある)、うんこゲロゲロ状態から反発してその日は戻りましたという展開ではございました。

・・・・・・・つーことでですね、何か「盛大にブルフラットして高値マーク」→「超長期売られて相場下落」→「一段落して相場落ち着いてやや戻る」→「今度は中期に売りが出て相場崩壊」→「日銀のシグナルオペ炸裂」という流れって2003年6月から8月に掛けて盛大にやっていた動きを5営業日でやったような感じを受けましたなあ、という雑談メモでありました。

ちなみに2003年8月27日以降どうなったかと言いますと、翌日も9か月オペ実施したのですけれども、その後やっぱり中期ヘロヘロになって2日後には5年0.7%近くになって、翌週(9月頭)の10年国債入札の落札結果発表後に中期債の大量売りにスワップ払いで9月2日には0.97%まで金利上昇という誠に残念な展開になったのですが、この間に政府高官が「長期金利は一喜一憂するレベルでは無い」とか要らんことを言ったりして(ちなみに塩爺財務大臣は火消し発言をしていたんですがそれ以外が要らんことをゆうとったみたい)うんこに拍車を掛けるという動き。

でまあ9月3日には5年1.035%のザラ場安値付けたのですが(この日はもはや現物売れないのでスワップの払いでズタボロになっておりましたようで)、福井総裁が「時間軸は揺るぎないものとして約束(キリッ)」と発言してやっと火消しになった(後日時間軸に関するコミットメントの強化がMPMで行われた)という大変にお洒落な展開でしたが、まああたくしのメモもだいぶアレですのでこの時の状況に関しては当時生息していた年寄りに聞くのが吉と思います。


○国債買入のスケジュール前倒しに関連して

つーことでまあ国債買入のスケジュールが変更になった訳ですが、元々はこう書いてありましたな。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130404d.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

『日本銀行では、本日の金融政策決定会合における決定を踏まえ、当面の長期国債買入れを下記のとおり運営することとしました(4月5日以降に実施する同買入れより適用)。』

で、(付:長期国債買入れの月次の運営方針)というのがあった訳ですが、こちらにありますように、元はと言えば「こういう日程でやりますよ」とアナウンスしたものがあっさり変更になってしまいました、という事であります(いやまあ2回目と3回目を同じ日にしただけですと言い訳はできるのですけれども)ので、まー日銀としてはちょっと見苦しい動きであります罠。

とは言いましても中短期債市場がマーライオン状況になってこの調子では本来耐性の有る筈の方まで貰いマーライオンになってしまうという恐れがあるという非常時でありますので、この際お掃除部隊緊急出動も止む無しとなったという事でしょうな。

まあそんな訳ですし、大体からして怒りのシグナルオペ2発とか、もう強烈に意思を示したとゆー所ですから市場がうんこゲロゲロ状態になったら更なる前倒し、というかそれこそ5月分を前に寄せるのも辞さず、というようなことになるのでしょうなあと思われますが、ただまあそういう事になってしまいますとオペの予見可能性が下がるので、一発のオペの大きさが大きさだけに市場に無駄なボラティリティを与えるという点では良からぬ事でもあったりします。

でまあ事前に買入日程を公表するとか、もっと買入のポーションを細かくして実施日数を増やすとか、まあ今後も色々と工夫をしないといかんでしょうなあとは思うのですが、しかしまあ見事なまでに相場が振り回されるとか異次元政策だから仕方ないのですが勘弁ですなあ。



○で、意見交換会

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ML338T6KLVRA01.html
日銀が市場参加者と意見交換会、短期国債購入を維持−オペ公表も検討
更新日時: 2013/04/11 19:25 JST

『4月11日(ブルームバーグ):日本銀行は11日午後、市場参加者との意見交換会を開催した。市場関係者から最近の国債市場のボラティリティ(変動)の大きさに不満が示される中、短期国債の買い入れ規模を従来程度に維持するとともに、長期国債の買い入れの日程を今後も公表する方向で検討することなどを伝え、市場の安定のために柔軟に対応していく方針を示した。』(上記URLより、以下同様)

『意見交換会には日銀から内田真一企画局長、青木周平金融市場局長が出席。民間からは日銀の金融調節の取引対象先のほか、機関投資家など46金融機関の関係者が参加した。出席した日銀幹部によると、最近の国債市場のボラティリティの高さについて出席者の間から、これほど大きく政策が変更したのでやむを得ないとの意見があった一方、不満を示す声も聞かれたという。』

いやそら不満タラタラだろ常識的に考えて・・・・・・・

『同幹部はその上で、これまで資産買い入れ等基金の枠組みの中で行っていた固定金利方式の共通担保資金供給オペは今後大きく減少していく一方、短期国債の買い入れについては、15兆円以上ある現在と同程度の残高を維持する方針を伝えたとしている。』

ほうそうですかという所ですが、まあ今後色々と工夫する中で試行錯誤が発生して、その試行錯誤の際にまた怪我人が続出するのではないかと思うと遺憾の意を禁じ得ませんな。

『日銀はこうした事態を受け、これまで日程を公表していなかった長期国債の買い入れについて、4月の2回目(残存期間5年超10年以下および残存期間10年超)と3回目(残存期間1年以下および残存期間1年超5年以下)の買い入れを12日に同時にオファー(提示)するとともに、国庫短期証券買い入れのオファーも併せて行うことを公表した。』

しかしさすがに短国買入とかまで事前アナウンスというのは今回は事態が事態だけに仕方なかったのかも知れんが、さすがに如何なものかと思いますぞな、つーかあたくしは長国買入に関しても事前アナウンスするよりもポーション小さくして買入頻度を上げる方が良いと思うんですけどね。ここは正直意見が割れるところだと思いますが。


という事で今日は雑談大会でどうもすいません。

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2013/04/11

短期に干天の慈雨とか言ってたら雨どころの話では無かった件についてということで、市場があまりにあまりなので他のネタがすっかり脳内から飛んでしまいマーライオンメモとその他雑談で勘弁である。

○中期でマーライオンとな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKZ7LB6TTDSU01.html
債券は大幅安、30年入札を警戒−夜間取引でサーキットブレーカー発動
更新日時: 2013/04/10 18:10 JST

『4月10日(ブルームバーグ):債券相場は大幅安。市場ではあす実施の30年債入札への警戒感が出ており、売りが優勢だった。午後に入ると2年や5年などの中期債利回りが急上昇。長期・超長期債の利回りも軒並み水準を切り上げた。東京証券取引は夜間取引で債券先物売買を一時停止するサーキットブレーカーを発動した。』(上記URLより)

ということで昨日の債券市場ですけれども、前場から2年とか弱くてうーむという感じではあったのですが、どちらかと言うと長期超長期の方が弱くてスティープ気味だった(20年がヘロヘロ)筈なのですが、午後になって長い所は少し持ち直した感じの一方で5年とかの中期が弱くなってきましたなあとか言ってたら14時20分位から中期と先物が更にヘロヘロになってきて引け際には5年とかドンドン甘くなって先物は安値近辺で引けるわですが先物よりも中期の方が弱くなってBBの引けは先物51銭安(CTDは5.5甘)に対して10年5.5甘(0.580%)で20年6.5甘(1.360%)で30年6.5甘(1.450%)とかに対して5年7.5甘(0.275%)とか5日の先物2円90銭下げた時(つまり先物がここより1円下の143円台)よりも盛大に甘くなるという展開で2年も引けは0.120%とかにしやがっておりました。

んでもってイブニングになっても更に中期がゲロゲロマーライオンになってしまいまして、上記ブルームバーグ記事によりますと5年は0.305%だの2年は0.130%だのと実に盛大な中短期ゲロゲロ相場になって、イブニングセッションで前日の引けから1円下がってサーキットブレーカー発動とか、はあそういう風にサーキットブレーカーが発動するんですか(先物の当日終値対比で変な所で発動するから最初何の事だかワカランチ会長でしたぞな)といったオシャレな展開になっておりましたぞなもしという所ですが、ニバーイニバーイどころか2年や5年の利回りが3倍になっておりましてジェシーもビックリの展開おそロシアでございまする。


つーことで昨日は最後の方になって中期が盛大にコケてしまいまして、まあ売りがあったから下がったと言ってしまえばそれまでなのですが、何で売りが出ますねんとゆー所でございまして。いやまあ超長期はオファービットが飛んでしまったので流動性リスクプレミアムが高まったという事なのでしょうが、2年とかそこまで関係ないだろとか思うんですよね。まー元々付利下げヘッジの仮需があったのと、日銀の中長期以降の買入絶賛拡大(買入国債の平均年限を長くするのだから当たり前)という日銀の動きに対応するには長期化必須→じゃあ中短期外しますかというのがあって重くなった、という状況になってはおったのですな。

でまあ一方でどこからどう考えてもこれから日銀がせっせと買うから金利がそうそう上がる訳も無しという事でロングで何とかなるでしょという状況で、まあ皆さんいい感じで腹いっぱいになっている所にマーライオン襲来となってゲロゲロ相場になってしまいましたという所なのでしょうが、2年の金利にしても普通に考えて0.10%髭で止まるだろとか思っていたら2年も(入札から弱かった)カレントだけではなくオフザランも0.10%台乗っけてあっさり上昇し、5年も0.20%って一回止まった(金曜日に)水準だったのにそれを抜けた所で全員ロング状態の中でマーライオン到来という事で、リスク耐性の低い(この文脈で言うリスク耐性の高低というのは投資額の規模とかに比例する訳では無く、MTM損益をやかましく言われるとか、ボラティリティー対比でみたリスク値をやかましく言われるとか、まあそういう人たちから順にリスクに対してセンシティブになるので大手だからリスク耐性が高いとか中小だから低いとかいうものではない)人がもらいゲロ状態になってしまったんでしょうかねえという所でありまする。

つまり満員電車で・・・・と例を書こうと思いましたが爽やかな朝のひとときに対して極めて遺憾極まる文章になりそうになったのでここは自主規制という事で(−−;


いやまあ「中短期は盤石」という前提で相場が形成されていましたので、その中短期がこのように盛大にコケますとあちゃーというところでありまして、「長期債を買って長期金利を下げる」という理屈に関しても実際問題としてフラットニングが盛大に進んでいる場合(FEDのツイストオペでも実は中短期の金利って上昇したのだが、そもそも米国の場合は日本と比較してイールドカーブが断然スティープしていたので長期がマーになった訳では無い)には中短期の金利のアンカーが弱まると素敵な相場になるんですなあと改めて(何度も再認識させられている気がしますが)認識するのでありました。

つーても別に今回の措置で中短期のアンカーが外れたとは思ってませんですし、どうせこんなの中短期から長期超長期への資金シフトと、付利下げ対策仮需の剥落による需給要因に加えて皆がブルになっていたからでしょ所詮はと思っていますけれども、まあ中短期がどの程度のペースでほぐれるのかというのがマーライオンモードが止まってしれっと元に戻るまでに掛かる時間に影響するでしょうねえという所で。絶対水準的には5年の0.30%って何ですかそれという所ではありますのでねえ。

まあしかし中短期マーライオンの一環で残存1年以下の引けが軒並み0.105%になっているのにはワロタという所ではございまして、超過準備付利よりもお得な利回りですよ超過準備から振らないんですかねえとか思ってしまいましたぞな(まあロットを買いに行ったら買わせてくれないのかもしれませんが)。


まあしかし国債買入の規模がでかくて市場にボラを与える(毎日「今日は買入あるか」というので動くとかもうね)ということで、結果として流動性リスクプレミアムを拡大させております以上、市場のボラを下げる為にやはりヤケクソで良いですから「国債買入オペを完全日割り制で実施」という先日書いたネタのご採用も検討されるということで如何でしょうか(^^)>金融市場局様


○ということで本日はこんなのがあるそうで

一昨日アナウンスされておりましたが。

「市場参加者との意見交換会」の開催について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130409b.pdf

『日本銀行では、本年4 月4 日の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」に伴う対応として、市場参加者との対話の強化を決定しました。その具体的な取り組みの一つとして、以下の要領で「市場参加者との意見交換会」を開催します。今後も適宜の間隔で会合を開催する予定です。』

本日はこんなのが行われるようですが、巷間言われている所によりますと今回は記念すべき初回ということもあってなのかどうか知りませんが、40先の役員クラスの方がご参加されて対話とか意見交換とかするそうですが、まあ正直役員クラス集めて意見交換って何の意見交換しますねんという所で。

まあ何ですな、そもそもこの市場参加者との対話の強化というのは声明文にもありましたように『上記のような巨額の国債買入れと極めて大規模なマネタリーベースの供給を円滑に行うためには、取引先金融機関の積極的な応札など市場参加者の協力が欠かせない。』(4月4日決定会合後の声明文より)というのがお題でありまして、つまり「金融機関の皆様におかれましては国策で有ります所の本行による国債買入に協力してくださいね(はあと)」という為のものという事ですので、つまりは戦時中の貴金属供出の如く金融機関の国債を自主的に(−−)供出(対価は払われますが^^)して国策に協力しましょうという話を役員連中集めて実施という事ですから、どう見ても「対話と圧力」です本当にカムサハムニダという解釈をするのはあたくしの性格が歪んでいますかそうですか。

まあ次回以降も役員連中集めるのでは無くて普通に実務担当している人たち(の中で上席連中)を呼んで意見交換会をやるとは思うのですが、このアナウンスして初回だしまあここは一発偉い人集めて実施しましょうとか言ってたらいきなり足元の債券市場でゲロゲロマーライオン相場が発生するというこの出オチ感溢れるタイミングの絶妙さが日銀クオリティという所でございまして、実に味わいの深い物を感じる昨日の相場ではございました。

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2013/04/10

○市場メモ雑談

昨日の債券市場ちゃんも先物値動きの方は相変わらずてきとうに飛んでいましたけれども、現物の方がワケワカランチ会長(というかまあ判らんでも無いのだが)で短い所は2年カレントが0.10%乗せたり5年の0.20%が引けになってしまったり(金曜は0.21%とかの出来はあったけど引けでは戻った)といやあの中短期何でそんなに重いのというか、日銀買入効果だか何だか知りませんが、5年カレントの所とそのちょっと先の所の利回りがインバートしているとか中々意味不明な展開。

まあ中短期に関しては単売りもあるし後ろへの入替もあるしという事なのでしょうけれども、5年0.20%ってそうなのかとゆー所で????ではございますが、まあ日銀の吸い上げが始まると需給関係がスチームローラーの如く押しつぶすことになるのでしょうなあっはっはorzorz

で、昨日も超長期がヘロヘロの巻となっておりまして、いやまあ7兆円買入キタコレでフラットした反動なのかも知れませんが、昨日の場合はシマウマでは無く月曜に続いてのスティープで明日の30年入札までヘロヘロで金曜辺りに入りそうな超長期含めた国債買入で需給改善ですかそうですかという所ですか、よくわかりませんが><


まあ何ですな、一旦相場が大暴れしてオファービットが開いてしまい、まあウハウハの人も居るでしょうけれども怪我人も出ていると思われる状況で特にマーケットメークに関しては慎重にならざるを得ないという展開が続きますと、流動性リスクプレミアムが乗っかってくるんですなあという実にこう残念な展開ですが、どうせ買入以下同文。

でまあ買入が進んだ後の相場というのを想像するのがオソロシスなのですが、この調子ですと流動性リスクは残ったままで日銀買入の需給でリスクプレミアムを叩き潰すという形になって、債券市場が機能低下したままで緩和政策が続くという事ですから、実際に緩和政策が効果を発揮して物価上昇して目標達成という事になって今度は正常化から引締めに向かわないといけない、という時になって機能低下した債券市場は金融政策の正常化プロセスを消化できないという実にシャレにならない展開になりそうで非常に懸念される所ではございます。大体からしてゼロだったものを2年で2%やろうという超強力政策なのですから、当然ながらオーバーシュートで今度はインフレが望ましくない水準まで高進するリスクを内包している政策なんですからねえ・・・・・・・

とか何とかこの政策のエンドゲームの図を考えていると絶望ばかりが出てくるのは気のせいですかそうですかどうもすいません。


それからオペ雑談ですが短国買入とか。

昨日のオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130409.htm

国庫短期証券買入 15,000 2013年4月11日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年4月11日 2013年4月18日 0.640
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月11日 2013年5月16日

昨日の結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130409.htm

国庫短期証券買入 77,305 15,002 0.022 0.024 84.1
米ドル資金供給(固定金利方式)(4月11日スタート分) 1 1
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月11日スタート分) 15,980 8,006 50.1

固定金利オペが順調に残高を増やしておりまして、まあ目先(というのはそのうち政策が効かないと言ってヤケを起こして付利を下げたり撤廃してとか言い出すリスクがあるからですが、まあそんなことしたら当座預金100兆は兎も角として170兆とか絶対無理だろと思いますが)付利の引き下げは無いとゆー話になり、短国などの金利も上昇して中短期も引けだけ見ればちょっと重そうということでこういう結果。これもまあいずれ日銀の買入効果が出てくると状況変わるのかも知れんが。

そんなわけで短国買入も1兆5千の買入に対してせっせと買入が入るの巻で、まあ当面MB目標達成のための調整玉という扱いではあっても、そらまあ短国買入をジャンジャン減らして当座預金残高を大幅に減らすってのは見せ方として良くないでしょうから買入は続くということで。

でもって短国買入も基準利回り対比の利回り較差入札になったので、出来上がり幾らというのが基金オペと違って一覧性が無いのが遺憾ですがまあこれは毎回大体どのくらいになるのか確認しないといかんです罠という所ですが、昨日は2毛甘ですかそうですか。

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2013/04/09

円相場に関しては海外の方がノリノリですなあ。しかし「日本の機関投資家の買い」って言いますけど普通為替ヘッジ掛けてくるもんじゃないの?円投するにしてもそれは全体のごく一部のポーションになると思うが(まあそのごく一部が為替を動かすと言われればはあそうですかという所ですけど)。まあノリでも何でも動けば後付で正当化されますけれどもね。


○まずは市場雑談

・2年中国も6か月短国利回りもニバーイニバーイ!!

丸八真綿の回し者になった筈では無いのですがあちこちでニバーイニバーイが炸裂するのはもう何なんでしょうかという所ですが昨日の6MTB入札結果。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130408.htm
国庫短期証券(第357回)の入札結果

(3)募入最低価格 99円95銭0厘 (募入最高利回り)(0.0997%)
(4)募入最低価格における案分比率 77.6315%
(5)募入平均価格 99円95銭3厘 (募入平均利回り)(0.0937%)

ということですが、先週(の緩和前に)入札が行われた3か月TB入札が平均0.0465%で足切り0.0481%でしたので(3Mと6Mの差がありますが)前週の短国入札から見て華麗に利回りがニバーイニバーイと高見山大五郎さんまた現るの巻だったりしますが、足切りが0.10%にここまで接近するとは中々お洒落な結果ではございました。

背景としてご案内の通りですが付利下げが当面無くなった(とは言いましても年末位になってこの緩和政策が当初企図していた効果が全然出ないとか、物価は上がれどもただの円安によるコストプッシュドリブンだったとか、まあそんな破目になった時にはヤケクソで「やはりMBではだめなので利下げ」とか言い出す可能性は考えておかないといけないのがオソロシスなのですけれども)という事で、とりあえず「付利下げヘッジでの運用ニーズ」というのが無くなって来ている上に、てきとーに色々と置きをしてからの算出になりますが、とりあえずMB目標行かす為の短国買入って入るにしても今年の後半以降になってバカスカ入る可能性がありますなあという程度で、足元でそこまで親の仇のように短国の買入がオファーされないでしょという見通しもあり、更に期初で少し売りが出てみたりとか、諸々の要因でGCのレートも0.100から0.101とかそんな水準。

そんなこんなで0.10%割れを大きく割る短国のニーズ自体がやや弱まっている(そうは言っても投信とかは自動購入分がありますけど)ので札の無い所自然と着実に買いが入るレベル(どう見ても0.10%に少しでも髭が付けば無尽蔵にビットが湧いて出てくるという感じですから)まで金利が上昇したということでニバーイニバーイとなるのでした。


ちなみに、2年国債に関しては金曜にも0.090%ヒットしていたような気がするんですが、何故かカレントの引けは0.085%になっていましたけれども、昨日のBB引けは0.095%とこちらも絶対水準で明らかに買いがあるのを背にしたところまでヘロヘロ化となりまして、この新発に関しては入札時より弱めでしたので利回りニバーイとは行きませんが、既発に関しては平気で0.05%割れ水準をやっておりましたので、こちらもまたニバーイニバーイと色々な所の金利が微妙に面白い数値を叩きだしているのが何ともお洒落ではございます。


・昨日も大概に壮絶な相場

金曜のイブニングで引けから1円位上昇するわ雇用統計で米債は強いわでこれは1円高の買い気配からスタートかとか思っていたら144円91銭(+89銭)でスタートしてもはや何が何だか判らないのですが先物だけの値動きで言えば50銭位下がってまた50銭位上がって70銭位下がるとか盛大な動きを9時半前までにやりましたが、その後は上昇。期待の国債買入もオファーされして上がったあと下がって結局前場引けに向けては上昇して144円90銭(+88銭)で前場終了。

でもって国債買入については超長期が予想より弱く、5年超10年以下に関しては平均の4毛5糸強はまあそんなもんなのでしょうが、足切りが7毛9糸強まで流れたので後場寄った直後にサーキットブレーカー。ブレーカー解けて145円25銭で寄った後は今度は一転して下がって途中で一度戻したものの引けに掛けてヘロヘロになって国債買入が弱かった超長期が弱くて、先物は144円34銭(+32銭)で終了したのですけれども超長期は20年9毛5糸甘で30年10毛5糸甘とか金曜のスーパーツイストフラットの翌営業日はツイストスーパースティープとか毎日カーブがツイストしてしかもそれがトレンドじゃなくてシマウマ相場(木曜と金曜は2日連続フラットでしたが)とかどんだけロックンロールな相場なんだよという所で。

しかもイブニングでは円安が進行しているのに何故か先物が40銭位上昇しているというワケワカランチ会長な相場で、しかも何で先物が上昇しているのか判らんというのが何ともはやという所ではございまする。


○流動性プレミアムと(結構大真面目なのだが)オペは日割りオファーにしたらどうだという世間話

どうでも良いツッコミだが昨日はこのページにオペオファー内容が更新されるまでの時間が妙に長かったのですが今日以降は改善されますよね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm

ということで(どういうことだ)国債買入オペのオファー。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130408.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 10,000 2013年4月10日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年4月10日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年4月10日 2013年5月14日

ちなみに金曜から資産買入基金の共通担保が全店オペ固定金利方式に名前が変わっていますので念のため申し添えますってどうでも良いのですがお待ちかねタンホイザの国債買入。

対象銘柄は10年293回以降と超長期40回以降と30年債と40年債。ただし除外銘柄は10年308回〜313回と40年1回となりましたが、昨日はまあ先物クソ高(つーか金曜が先物クソ安だったのだが)なのでまあもとより先物回りは入らないとゆー状況でしたが、結果は先ほども申し上げましたが以下の通り。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130408.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 20,505 10,000 -0.079 -0.045 80.8
国債買入(残存期間10年超) 6,337 2,002 0.016 0.023 26.6
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月10日スタート分) 15,250 8,009 52.5

つーことで超長期の平均2毛3糸甘がちょっと甘い感じで中長期の平均4毛5糸はまあこんなもんだけど7毛9糸の足切りは流れましたぞなという事でしたが、まあこの結果を見て次回はもうちょっと札を引くようになるのかも知れませんし、しばらく慣れるまで時間が掛かりそうですなあという所で。

というのはまあ前振りのメモ。


でまあその結果はともかくと致しまして、ここもとの相場様の動きとか見ておりますと、国債買入が入るかどうかの思惑で相場がウロウロしているのもそうですが、大体からして日銀がこれから馬鹿買いするという事ですから、いずれ債券市場の流動性が日銀の馬鹿買いによって大きく低下するでしょうという思惑を先取りしたかの如くオファービットが開いている訳ですよね。

んでもって流動性が低下してオファービットが開きますと、投資家サイドから見たら売買の執行リスクや執行コストが上昇しますので、もし投資予定の債券利回りが変わらない状態だとするとこれらのリスクやコストの分だけ目に見えない(売買しなければ一応顕在化しないから)運用利回りの低下に繋がる訳ですよ。

となりますと、他に条件が変わらずに流動性が低下すれば、投資家的発想からしますと流動性低下に伴うコストやリスクの拡大分だけ利回りが上昇してくれないと従来と同じ投資収益が期待できませんよねという話になるので、つまりは流動性リスクプレミアムが乗っかってしまうという状態になって価格の低下(金利の上昇)要因になってしまうという話。

確か1998年だったと思いますが、東証のアホウが債券先物のシステムを変更して狂ったように値段が飛ぶ設定に変更して暫くした時にどこかの誰かが先物に成行で巨大な買いを入れて一瞬でストップ高になってその後板が解けた途端に今度は売り板になって元に戻るとかいう変態相場が発生して、その後先物がヘッジに使えない(指標とカレント以外の流動性があまり高くなく、今よりも圧倒的に先物でのヘッジをマーケットメーカーが使っていた)ので売買が滞るようになって金利上昇の一因になってしまったという素敵な事案がございましたが、まあそれを思い出しました(正確に言うとこの時あたくしは債券の隣で株をやっていたのでやってるなあというのを見ていただけなのですが)という所。

つまり何を申し上げたいのかと言いますと、日銀の債券馬鹿買いアナウンスによって流動性の低下を先取りした形になった上に、昨日の結果にありますように1回の国債買入オペの市場インパクトが巨大になってしまって、流動性の低い所に成行巨大買いが入る、というような状況になっていまして、一方で日銀の馬鹿買いはこれから残高が増えていくものの今のところはまだ始まったばかりで現実の玉吸い上げはまだまだ、というような市場状況によって、債券市場に流動性プレミアムを発生させてしまって、その結果として金利が上昇していますぞなという結果になっている(TBや2年などの金利はこれとは別で買入が従来の想定より減る分の需給要因と付利下げが当面なくなったので付利下げヘッジの仮需が剥落したせい)のかなあとか思ってみましたけれどもどうでしょうかね。まああたくしのイメージなんですが。

でまあ流動性というのは一回落ちると戻るのに時間が掛かるのですが、今回の場合は日銀がこれから国債をどんどん吸収しますから流動性プレミアムの分は需給でいずれ吸収されてしまうのでしょうが、流動性プレミアムの方はこの後落ち着くのかそれとも需給がタイトになってそのままオファービット開きっぱなしなのかは正直ワカランチ会長ではございます。2年以下に関しては逆に従来日銀の買入と付利下げ思惑の仮需も加えてやたらとタイトになっていた需給が緩和されるのでオファービットは落ち着くんでしょうけれども。

つーことでで、まあ今後に関しては日銀の買いで需給が締まるので別に金利が馬鹿上がりとかはしない(日銀の馬鹿買いが今後も継続するという前提に立った場合なのでそれがコケるとなると話は別ですが目先それを心配する必要は一ミリもないでしょう)でしょうけれども、将来の出口政策ガーという風になった場合の流動性プレミアムは中々素敵な事になりそうで、それもまた望ましくないパスで不本意な形で出口とかなった時には更に凄い事になるんだろうなあと何年先の話になるか知りませんが、ここもとの動きはよーく覚えておこうと思います(というかその為に駄文を残しているのだが^^)。


とまあそーゆー事で前振りが長くなった(つーか多分この前振りもあたくしの言いたい事であるが)のですが、流動性の無い相場で市場残高対比で買入の額が明らかに大きそうな国債買入を実施するにあたって、金曜月曜の相場を見るとやはり「各回の買入のインパクトがでかすぎ」という事になるのではないかと思います。そもそも流動性が下がっている相場の中で政策的意図による成行買いが巨大インパクトで入る、という事になると元々下がっている流動性を更に下げて、結果として(いずれは需給で調整されるにせよ)流動性リスクプレミアムを更に拡大させる、というのはあまり上手く無い話じゃネーノとか思うのですよ。

でもってそれに対しての対策ですが、オペの日程を(FED方式で)事前にアナウンスするというのはオペの予見可能性を上げることによって流動性リスクプレミアムを下げる効果があると思うのですけれども、これだけ市場インパクトのある買いとなりますと事前アナウンスするとそれに向けてマニュピレーションが起きてしまう惧れもある訳でして、それもどうかという希ガス。

てなわけで、これあたくし的には別にギャグでは無くて結構大真面目に考えたのですが、この際国債買入オペ「毎営業日に分けて買う」という風にしたら、毎日日銀による一定の買いがあるという事で相場のアンカーみたいになるかどうかは知らんですけれども、少なくともオペの予見可能性が高まりますし、一回の買入のインパクト自体は低下するので「今日はオペがあるか」とかいう事で相場が一々ランコルゲしなくて済むと思うのですがどうでしょうかねえ、などと言うと事務が回りませんかそうですかすいませんすいません。

などと言いつつも折角思い立ったので物は試しに計算すると大体この辺のデータを使う。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
「量的・質的金融緩和」の導入について(の4ページ目の別紙)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130331.htm/
営業毎旬報告(平成25年3月31日現在)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(3月末)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130404d.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

声明文別紙にあるように年末には長期国債の残高を140兆円にするのですが、営業毎旬報告の3月末から数字を拾うと現在の国債残高が91.3兆円(ちなみに12月末の営業毎旬報告を見ると89兆円になっています)になっていて、3月末の国債銘柄別残高で輪番+基金の償還を銘柄ごとに拾うと額面ベースで15.6兆円になりますから、140-91.3+15.6=64.3兆円の積み上げが必要で、これを4月から12月までの月割り(9か月)で計算すると7.2兆円弱という数字が出てきますが、現在のところでは当面の長期国債買入の運営についての所にありますように、とりあえず4月は6.2兆円で5月以降は7.5兆円弱の買入になりそうな感じ。

でまあこれをヤケクソで営業日ベースで日割りにしてしまいまして、年末までだいたい38週間あって平日の銀行休業日が9日あるので、大体36×5で180営業日位年末までありますので、64.3兆円を日割りすると3600億円位になりまして、それを買入額の月間予定で比例配分して買入をしつつ、札の入り方を見てデュレーション調整をしたい時には1か月位前にはアナウンスするというのでどうでしょう(って既に買入始まっているからこの計算の前提が違っているので本当はもっと真面目に計算しないといけませんが)って所で。

#ちなみにシャレで計算したら中短期(1〜5年)が1450億円位、中長期が1650億円位、超長期が400億円位という数字になりました(1年未満が100億円位)。でまちがって札が割れたらキャリーオーバーという事で^^;(さすがに物国変国は従来通り)

まあオペレーション的に誰得にも程がありますけれども、やはり中長期ゾーン1回1兆という買入はインパクトありますので市場の流動性が飛ぶのかオペの度に日銀に高値掴ませて価格がその度に飛ぶとか、特に買入が進むと更に凄まじい事になりそうなのでこの際ヤケクソでご検討されるというのは如何でしょうか^^;

・・・・・・・・ってオペ対象先も事務が回りませんかそうですかすいませんすいません(−−;

でまあ人のふんどしになりますけれども、厭債害債さんのエントリーが心に沁みます。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201304/article_2.html
困った
作成日時 : 2013/04/08 19:17

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2013/04/08

○別の物が色々とニバーイニバーイ!

・正直目の前に板がある訳では無いので正確性は保証しかねますがメモを残して置く

ま、目の前に板が有って手を振らないと行けなかったらメモをしている所の状況では無いような気がしますが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKQ1F46KLVRW01.html
債券は大幅反落、急激な金利低下警戒−東証サーキットブレーカー発動
更新日時: 2013/04/05 16:12 JST

『現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp)低い0.375%で開始し、一時は0.315%と、4日に記録した過去最低水準0.425%を更新した。しかし、直後から水準を切り下げ、午後に入ると16.5bp高い0.62%まで上昇。午後4時すぎからは0.505%で推移している。2年物の327回債利回りは3bp高い0.09%と、1月8日以来の高水準を付けた。5年物の109回債利回りは一時6.5bp高い0.21%まで上昇。新発5年債利回り としては昨年9月20日以来の高水準を付けた。20年物の143回債利回りは一時29.5bp低い0.845%と、03年6月以来の低水準を付けたが、その後は1.17%まで上昇。午後2時半からは1.135%で推移。30年物の38回債利回りは32.5bp低い0.925%と過去最低を記録したが、その後は1.225%まで急上昇した。』(上記URLより、ここで書かれているブルームバーグの引けはBBの引けとやや違っているので注意)

金曜の債券市場ですが、国債買入の年限別内訳が出たのが前日の夕方6時ごろで、その辺りで先物上げ現物強くなるの巻をやっておりましたし、まあとりあえずあの流れだと買わないと(というか踏まないとというか)いけない人が先に買いを入れざるを得ない流れでしたからシャーナイナイなのですが、朝から先物は34銭高146円38銭とかで始まって10年0.375%で20年は1%割れるわ8時50分位に10年0.33%とかで10年が13毛強で20年25毛強とかやってて多分これまた9時前(たぶん55分とか)に10年0.315%(12毛強)とかもうエライコッチャ。

とか何とか思ってたら9時直後位から先物が下がってきて一方で超長期はサガランチ会長で先物前日比変わらない位まで下がって30年21.5強出合い(つーてもオファービットが飛んでいるから最早ワケワカラン)とか盛大にフラットしておりましたが、先物の方はヘロヘロで中期もヘロヘロ。10時には先物145円台(確か10時で13銭安の145.91)とかになり、10時10分の国債買入タイムで今日は国債買入無しということで先物が更にヘロヘロ。10時20分くらいには40銭安とかの水準にまで下がって気がつけば5年が0.14%出合ってて10年も0.4%台に戻るの巻。

前場引けでは先物が34銭安で5年が1.5甘位で10年が2強位で20年が10強位で30年はワカランチ会長。まあ日銀の金融緩和がより長い所を買いますよという内容で、おまけに輪番の短い所の買いが減っている事から見られるように、この日銀の買入に乗っかるとなれば長期化入替をするのが妥当という事になりますので、入替の反対側になります中短期がヘロヘロになりますがな、という話のようで。

でまあ後場も145.67(37銭安)位で寄ったと思ったら超長期対象の流動性入札の結果が思ったよりうんこで先物さらに一段安になって13時ちょい過ぎにはついに先物100銭安の145.04まで下落。このサーキットブレーカーの発動要件がイマイチ良くワカランチ会長なのだが、100銭安を付けただけでは直ぐに止まらなくて、何か100銭安が明確な売り気配になると止まるのだか何だかみたいで、13時3分くらいからサーキットブレーカー発動。

で、その間にも5年とか10年とかの気配が弱くなりまして、15分間停止後に144.50近辺で寄ったように見えたのだが即座にスココーンと下落して13時20分には200銭安に下落して24分位からまたサーキットブレーカー登場。それが解けてまたまたスココーンと下げて安値は2円94銭安の143円10銭まで下げて10年の安値は0.62%(18.5毛甘)なのもひえーなのですが、もっとひえーだったのは5年が0.21%(8毛甘)までマークした事で、おいおい5年金利0.2%台かよと思いましたが、先物が良く考えたら290銭も下げているのですからそういう事ですかそうですかというオソロシアな展開。

んでもってその後は買いでもあったのか今度は戻る戻るで13時45分位には安値から2円位戻って145円前半とかになったと思ったらまたその後落ちるとかもう何が何やらでしたが、結局15時の引けは144.02銭で前日比202銭安で2年カレントは何か0.09%(3甘)とかまでやっているとか盛大なおそロシア相場でした。

と思ったらイブニングで謎の上げをやっていて、夕方には先物が東証の引けから1円以上上昇しているしおまけに週末の雇用統計は弱かったのでもしかして今日は寄らないまま1円上昇して買い気配になって寄りからサーキットブレーカーですか分かりません。

なお、ほとんど走り書きのメモと先物の日中足を見ながらのメモですし、相場があの有様でございますのでこの辺のメモの正確性は一切保証致しかねますので念の為。


・要らんもんがニバーイニバーイ!

もう今年の債券市場の流行語大賞は異次元緩和のキーワード「2倍」で問題無いと思うのですが、そのニバーイニバーイはMBとか日銀購入の長期国債平均残存だったと思うのですが、金曜の債券市場ではこんなものがニバーイニバーイに(^^)。

5年の金利がニバーイニバーイ:3月4日に所信聴取でより長い国債を大量に買って異次元緩和みたいな話をした時に5年金利は何と0.095%(短い輪番がゼロ金利落札になった影響)になっておったのですが、まさかの0.21%まで金利上昇

10年の金利がニバーイニバーイ:つーか1日の高安で0.315%〜0.620%ってどんだけ動いているんだよ

というように要らんもんまでニバーイニバーイになるのが異次元緩和恐るべしという事ですが、そういやオプションのボラもいきなりニバーイニバーイになっていたようですなおそロシア。


・まーしかし流動性が落ちる市場の将来を暗示しているんですかねえ

大体からして新発の7割位をこれから買って行きますよ、とまあそんな事を仰せになっている日銀ちゃんの追加緩和な訳ですが、後で再度引用しますが、総裁の記者会見でちょうどまあ債券市場の皆様にとってイメージしやすい回答がございましてで、それは「新発の7割も買って価格形成に影響でないのか」という質問に対して、「いや価格形成に影響があるのはフローよりも買入のストックだから大丈夫ですよ」というウソも大概にせえと思う説明がありまして(後掲します)、そこでこのような発言があるのですよ。

『ちなみに、これまでのいわゆる資産買入等の基金では、残存期間1〜3 年の国債を買ってきましたが、その際も、実は、グロスの買入れ額は発行額の7 割に達していました。今回やろうとしていることは、いわば全てのゾーンに拡げてやっていこうということであって、これまで以上に市場金利の形成をそれぞれのゾーンでやり難くすることは意図していません。』
(4日の総裁定例記者会見より)

・・・・・・・・・orz

えーっとですね、特に3年以下のゾーンって買入が進んできて(と付利下げの思惑もあって)金利水準が補完当座預金金利を恒常的に下回るようになってからというもの、オファービットが離れてしまったのではないかと存じますし、まとまった大玉を捌こうと思ったらもはや新発で買うかオペにぶつけるかというようになってしまっていると思います。でまあ黒田さんの話によれば「これが全ゾーンになる」という話でありまして、どう見ても「全てのゾーンで市場金利の形成をやり難くする」ようにしか見えないですよね。つまり債券市場の皆様におかれましては大体3年とか2年とかのついこの前までのセカンダリー流動性の無さが全ゾーンに波及する、と思っておくと大変精神衛生上宜しくないのではないかと存じますのでまあそんな可能性があるっちゅーことで。

まあ今回の場合は入替売りの売り食らったのと短期の需給が変わる(今まで馬鹿買いされていた短期ゾーンの馬鹿買いが若干なりとも緩和される)というファクターで中期が弱くなって相場が下がったもんで盤石中期がコケるという事でそもそものイールドカーブの前提があららというのもあったとは思いますが、ただまあ普通に考えてこれから日銀が馬鹿買いするのですからオファービットが飛びながら金利が低下するとかそういう感じなんでしょうな。

でも金曜みたいに何らかの拍子で売りが入ると流動性が無い分だけエライコッチャになるリスクがございますなあ、というのが金曜のご教訓だったんでしょうかねえ、良く判らんが。


・物価連動国債の引けェ・・・・・・・・

BBの引けだと直近の数値がネットで拾えないのですが、売買参考統計値(まあ国債に関してはそれほどBBの引けと違わない筈)の4月8日版、つまり金曜の引けを見るとですなあ。

ダウンロードはこちらのページから適当に落とせます(全銘柄だすと結構な量なので注意)
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php

・・・・・・・えーっと、全銘柄売買参考統計値前日比変わらずという素敵なプライスになっているのですが、もしかしてこれはBEIが大幅に変化したという事でしょうかとか言いたくなりますが、一応(これもまた後の会見の所でネタにするかもしれませんが)物価目標の中でBEIを参考にするとか何とかすっかり話題になっている事でもありますので以下自粛という事で。

#いやまあ金曜の相場でそこまで手が回らんというのは判るが(^^)

○中原伸之さんの正論キタコレ!!!

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE93306B20130404
インタビュー:急激な円安や金利上昇心配=中原元日銀審議委員
2013年 04月 5日 08:42 JST

『[東京 5日 ロイター] 元日銀審議委員の中原伸之氏は4日、ロイターのインタビューに応じ、日銀が打ち出したマネタリーベース(資金供給量)を2年で倍増させる量的緩和について、あまりに急激・巨額な金融緩和であり、「急激な円安や長期金利上昇などが起きないか私も心配」と懸念を示した。中原氏は2001年の量的緩和導入の先導役だった。』(上記URLより、以下同様)

ということで。

『これまでも中原氏は、安倍晋三首相の事実上のアドバイザーとして、現在は50兆円超の当座預金残高を年末まで100兆円に引き上げるなどの量的緩和策の再採用を提唱してきた。ただ同氏は2012年末に138兆円だったマネタリーベースを14年末に270兆円まで拡大するとの日銀の発表について「あまりに急激な金融緩和で驚いた」と指摘した。』

そうですよね〜。岩田副総裁の精緻なる理論による試算について先般山本幸三先生が同じくロイターのインタビューで答えていましたけれども、そちらによりますと『山本氏は、日銀副総裁に就いた岩田規久男氏が学習院大学教授当時に作成したシミュレーションから、消費者物価上昇率2%達成には、現在145兆円のマネタリーベースを160兆円─170兆円に増やしていく必要があるとした。』ということですし、『さらに消費者物価指数を3%にするためには、マネタリーベースを180兆円程度に拡大させる必要があるとし、ドル/円は108円程度、株価は1万3600円程度になるだろうと試算する。』(先日来引用している4月3日のロイター記事より)でしたもんね、と毎日しつこいこのあたくし。

まあ上記数字は並べられると胡散臭さ爆発で、まあ計算についてはもうちょっと差があるのかもしれませんけれども、それにしてもその辺のシミュレーションから見たらMBを年末に200兆円、来年末には270兆円にする、という事になったらMB増やせと言ってた人たちの数値からしたら物価が騰貴して大変な事になるよね、という話を誰かしないのかと金曜も申し上げましたが、今回こうやって従来からの主張と整合的な見解が出てきたのはホッとしましたというか中原伸之さんの主張がさすがとしか申し上げようがございません。

『「市場と駆け引きしながら政策を出していくのが資本主義経済での中央銀行だが、今後2年間の政策の手の内を見せてしまった。リーマン・ショックのような危機が起きた際に追加手段が残されていないのでは」と懸念。先々の政策を縛る今回の発表手法は「戦時中の統制経済を連想させる。日銀の『資産倍増計画』だ」と表現した。』

まあ今回は(後で引用しますが)まず最初に手を全部打ちました、という風に言ってますからね。

『その上で「巨額な資金供給を行うのに必要な国債を市場から買い集めることが可能なのか、政策の実効性も不透明だ」「量は質に転嫁する。急激な金融緩和で円安や長期金利上昇が起きかねない」と懸念する』

正直、当座預金100兆だって結構怪しいのに170兆とかどうやってやりますねんと思いますよ。

『更に「従来政策からの大幅な方向転換にもかかわらず、審議委員が全員一致で決めたのには驚いた」と述べ、委員らの有識者としての見識が問われると同時に「結論ありきで会合が進んだ印象」と警戒感を示した。』

別に凄く新しいことを始めた訳では無くて、やっている事は従来やってたことを全部まとめて大緩和したという所ですが、とは言いましても従来は「非伝統的政策は効果と副作用がよく判らないので斬新的に実施していきましょう」というのがいきなり全部打ち込む方式になったのと、そもそもその出す額といい購入する国債の年限と言い(正直言って平均5年程度とかで月5兆から精々6兆だろと思ってましたしそれでも随分大きい話だと思ってましたぞな)凄い事になっているので、まあこういう風に言われますといやーあっはっはという所でしょうかねえ(だからこそこれもしつこく言いますが3月会合の白井提案が余計過ぎ)。

ということで気が付いたら記事全部引用していましたが(すいません)、まあ後半の方に関しては兎も角として、冒頭の部分にあります「これはMBの出し過ぎ」という点に関しては岩田副総裁およびリフレ派諸氏の見解をぜひお伺いしたいものでございます。というか岩田副総裁については記者会見の場などがあると思いますので、記者の皆様におかれましてはこの辺りに関しての質問を是非ともお願い致したいですよね。それに対して従来の主張と整合的なお答えをしないというのはつまり岩田さんやその周囲の方々におかれましては尤もらしい話を適当にでっち上げて権力者に吹き込んでいたというまあ曲学阿世の徒って言うんでしたっけそういう方々だったという話になりますわなあとゆー所で。

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2013/04/05

お題「いやこれは色々と凄いですなという決定会合レビューと一部雑談」

もしかしたら間に合うかもとは思いつつ、今回具体的な細目がちゃんと作り込めないんじゃないかと思っていましたが、時間的制約も厳しい中今回の会合で全部のネタを出すとは具体案練り込んだ事務方(企画局と金融市場局)のご苦労は相当な物だったと推察されます。いやあお疲れ様でした。

あとポイントが高かったのは一部を除いて全員一致だった所で、これはまあ随分と色々頑張りましたなあという所ですね。

では声明文を読んでみましょう。


○看板とディレクティブに関して声明文から:内容がかなりスッキリしました

声明文はこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

・ということで「量的・質的緩和」とな

まあ元々包括緩和っていうのは「量的緩和と質的緩和のハイブリッド」という建付けだったのですが、まあここは題名を挿げ替えた方が「チェンジ」感を出せる、という事なんでしょうね。

まあ本来は昨年のバレンタイン緩和の時に物価安定の目途を出した時に「物価1%行くまでバンバン緩和継続」という話のはずだったのですが、いつの間にやら何故か普通に経済見ながら緩和を調整ですよ何言ってるんですかという話になってしまったのですが、前回の物価目標2%の所で物価目標に向けて緩和を継続しますというのが明確になって今回が仕上げという形になりましたですな、はい。


・ニバーイニバーイ!

最初の看板部分の文書を見て高見山のニバーイニバーイ!とか言っても最近の若い衆はワカランチ会長ですかそうですか(つーか判るのアラフォー以上?)。

『(1)「量的・質的金融緩和」の導入

日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(注1)。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。』

2年間というのは従来から黒田総裁や岩田副総裁が言ってた話ですが、まあ「念頭に置いて」という事で完全に2年でやりますという話ではないですが、こういう風に文言に盛り込むというのはそれなりに意味がある話。

でまあその2年間に行うのが「マネタリーベース2倍」「長国保有額2倍」「ETF保有額2倍」「長国買入平均残存期間2倍」ということでニバーイニバイ!というのが今回の宣伝キーワードですねわかりますという事ですが、どうも高見山を思い出してしまうのはジジイだからですかそうですか。

で、「量・質ともに次元の違う金融緩和を行う」と異次元緩和という文言で締めておりまして、まあ全部織り込んでみましたという所ですな、うんうん。

ということで内容につきまして。


・MB目標ということですがまあ当座預金残高目標みたいなもんですな

『@マネタリーベース・コントロールの採用(全員一致)

量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、金融市場調節方針を以下のとおりとする。「マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」1

1 この方針のもとで、マネタリーベース(2012 年末実績138兆円)は、2013 年末200兆円、2014 年末270兆円となる見込み(別紙)。』

ということで別紙の方に『マネタリーベースの目標とバランスシートの見通し』というのがありまして、MBの数値自体は日銀の出しているマネタリーベースの集計が毎月でていまして・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1212.pdf(12月末)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1303.pdf(3月末)

ここで出ている数値は月中平残なのですが、たぶん「2012年末」と書いてあるので暦年の年末で、別紙にある2012年末数値が138兆円とあるので末残になるのでしょうな。でまあそのマネタリーベースですけれども、上記の表にありますように、日銀の定義としては「銀行券」+「貨幣」+「日銀当座預金残高」となりますが、まあ銀行券と貨幣に関してはそれほど極端に増えたり減ったりはしない筈なので、まあ事実上日銀当座預金残高目標みたいなもんでしょう。

とは言え、ここで日銀当座預金残高目標復活みたいな言い方をすると過去それは本当に効いていたのかという話が蘇って来る訳で(^^)、そーゆー意味ではここで看板のすげ替えを行った方が美しいというのと、MBだとニバーイニバーイになるからMBにしたんですねとか、MBにした方が何か新しい企画っぽくて「チェンジ」っぽいんじゃないかとか、まーそんなこんなで看板を変えたのでしょうな、うんうん。


・長国買入の規模は予想を上回りました

『A長期国債買入れの拡大と年限長期化(全員一致)

イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う2。また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱3 から国債発行残高の平均並みの7年程度4 に延長する。

2 毎月の長期国債のグロスの買入れ額は7兆円強となる見込み。
3 「資産買入等の基金による長期国債の買入れ」と「金融調節上の必要から行う国債買入れ」を合わせた全体の平均。
4 長期国債買入れの平均残存期間は、金融機関の応札状況によって振れが生じるため、6〜8年程度と、幅をもってみる必要がある』

ということでこの長期国債買入の方が市場予想を上回った訳ですが、今回の「量的緩和」が先程のMB増加で、「質的緩和」の主な部分はこの長期国債の買入の拡大と年限長期化という事になったという事ですな。

で、MB拡大が年間70兆円程度(今年は9か月で62兆円)になるという量的目標が有る中で、そのうち50兆円が長期国債で賄いますという事になり、それを償還分も含めて幾ら買いますかとなると大体月7兆円強となりますよ、とまあそんな感じで答えの7兆円が出るようです。

んでもってその7兆も市場予想を上回っていたいたのですが、それよりもひえーだったのは買入が「国債発行残高の平均並みの7年程度」という所で、月7兆を単純に新規発行のシェアで比例配分すると超長期ゾーンが1兆どころの騒ぎではない額(10年超の発行は2割以上ありますので)になって、もともとの市場予想では「まあ増えるだろうけれども5000億とかでしょ」という話だったので市場どっひゃーとなってスーパーブルフラットしたのはご案内の通り。


・国債買入の内訳

この内訳に関しては夕方に市場局から出たのですが、その前は「この内訳いつ出るんだ??」という話になっていまして、あたくしも「どう見ても即時実施の筈なのに(黙っていると即時実施)従来のゾーニングで明日からどうやって買うんだろ???」とか思っていたのですが、毎回個別にオファーするとかなったらオペの予見可能性下がるわなあとか思っていたのですがね。


http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130404d.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

『1.買入金額
毎月7.5兆円程度(ただし、今月は6.2兆円)

2.買入対象国債
利付国債(2年債、5年債、10年債、20年債、30年債、40年債、変動利付債、物価連動債)

3.国債種類・残存期間による区分別の買入金額

利付国債(変動利付債、物価連動債を除く)
残存期間:1年以下     月間:0.22兆円
残存期間:1年超5年以下  月間:3.0兆円
残存期間:5年超10年以下  月間:3.4兆円
残存期間:10年超     月間:0.8兆円
変動利付債 隔月:0.14兆円
物価連動債 隔月:0.02兆円

4.買入頻度
原則として月6回程度(今月は5回)

5.買入方式
コンベンショナル方式による入札
・利付国債(変動利付債、物価連動債を除く):利回較差入札方式
・変動利付債、物価連動債 :価格較差入札方式』

ということで、超長期はさすがに兆円とかにはならずに8000億円になりましたが、8000億円でも超長期の買入は今まで1000億円ぽっちしか無かったのでこれはこれで多いのですが、超長期から逆算すると5年から10年のゾーンが厚くなって1年以下が減るという結果になって、何気に5年超も多いですねという感じです罠。

んでもって今回の買入方式は利回り較差入札なので基金オペのような絶対利回り水準方式でなく、特定のゾーンばかりアホほど入るという事は無くなりますが、ゾーニングが細かくなりましたのである程度買入年限は制御できるのでしょうが、今回市場局マターになっているので、MPMを経なくても札の入り方見ながら配分をいじってくる、ということになるんでしょうな、うんうん。


・ETF、J−REITに関してはまだ価格上昇余地がありますかそうですか

『BETF、J−REITの買入れの拡大(全員一致)

資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ−REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う5。

5 CP等、社債等については、本年末にそれぞれ2.2 兆円、3.2 兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持する。なお、CP等、社債等、ETFおよびJ−REITの銘柄別の買入れ限度については、従来通りとする。』

>資産価格のプレミアムに働きかける観点から
>資産価格のプレミアムに働きかける観点から
>資産価格のプレミアムに働きかける観点から

・・・・・・・・・・・ほほうそうですかまだプレミアムを圧縮する余地がありますかつまり今のお値段はまだ上昇余地がありますとまあそういう事ですか、などと言ってはいけません。「価格に働きかける」とは言っておりませんのでね(棒読み)。

ETFに関しては2年間で2兆円買うそうですが、随分日銀のシェアが増えてしまいますのでETFもっと編成しないといけませんねえ。んでもってREITに関しては5%ルールの関係もあるからこんなもんで限界でしょ。


・フォワードガイダンスは微妙な修正

『C「量的・質的金融緩和」の継続(注1)(賛成8反対1)(注2)

「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』

従来のフォワードガイダンス。

『日本銀行は、上記の物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置(注1)を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進する(注2)。』(3月決定会合声明文より)

ということで「安定的に持続するために必要な時点まで」という事ですが、この2%の数値がアクチュアルなのか見通し数値なのかとかの辺りは引き続きファジーですなあ(一応フレキシブルターゲットという話だからその辺はファジーのままになるんでしょうが)という所ですが、「安定的に持続するために」というのもまあ決意を示したのは判るのですけれども、ゼロから2年で2%まで持って行くパワーで緩和したら途中でペース下げないと2%行った後に上にオーバーシュートするんじゃないのとか色々と謎な部分はあるけれどもまあその辺の出口は知らんがなということですねわかります。


・ということでディレクティブは何なんでしょと言いますと・・・・・・

まあ要するに@〜Bになるのですけれども、従来基金買入によってやたら細々と色々な物の目標残高がついていたのが、今回大幅に簡素化され、その分だけ現場の裁量というか現場で頑張ってください状態になるのですな。

考え方を整理する為にディレクティブを整理すると以下のようになる筈。

(1)「マネタリーベースを、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加させる」
(2)「長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。」
   「長期国債買入の平均残存期間を、7年程度に延長する。」
(3)「ETFを年間約1兆円買入」
   「J−REITを年間約300億円買入」
(4)「CP買入残高を年末に2.2兆円にしてそれ以降残高維持」
   「社債買入残高を年末に3.2兆円にしてそれ以降残高維持」

でまあ3番と4番はおまけみたいなもんで、眼目は(1)と(2)で、長期国債の買入に関して(2)を充足させるように買いますが購入方法は市場局にお任せ、MBを増加させるトータルの数字と、長期国債買入の数字は決まっているけれども残りの部分は市場局にお任せ、とまあそういう感じになります。整理の為に書いておきますね。


○銀行券ルールの扱いなど

『(2)「量的・質的金融緩和」に伴う対応』から。

『@資産買入等の基金の廃止

資産買入等の基金は廃止する。「金融調節上の必要から行う国債買入れ」は、既存の残高を含め、上記の長期国債の買入れに吸収する。』

まあこれは当たり前ですが問題の銀行券ルールは・・・・・・・

『A銀行券ルールの一時適用停止

上記の長期国債の買入れは、金融政策目的で行うものであり、財政ファイナンスではない。また、政府は、1月の「共同声明」において、「日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」としている。これらを踏まえ、いわゆる「銀行券ルール」6を、「量的・質的金融緩和」の実施に際し、一時停止する。』

以前申し上げていたと思いますが、そもそも銀行券ルールの時限的撤廃に関しては1月に共同声明を出す時にやったら美しいんじゃネーノという風に思ったのですが、まあ今回になったのは麿が次の人用に取っておいたのか、単に麿が麿だったからなのかはワカランチ会長。

これ政府が「財政健全化なんぞ知らんがな」とか言い出した時にどうなるのかは見ものではありますがさてどうなるんでしょうかねえ(棒読み)。


○対話の強化とな

『B市場参加者との対話の強化

上記のような巨額の国債買入れと極めて大規模なマネタリーベースの供給を円滑に行うためには、取引先金融機関の積極的な応札など市場参加者の協力が欠かせない。市場参加者との間で、金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換を行う場を設ける。また、差し当たり、市場の国債の流動性に支障が生じないよう、国債補完供給制度(SLF)の要件を緩和する。』

つーかこれだけの買入をしろとなりますと銀行とか手持ちの国債を供出しないといけませんですねとかどこの戦時中だという話になる訳でございまして、対話じゃなくて対話と(自主規制)ではないかなどとは良い子の皆さんは言ってはいけません。

なお、先程の国債買入の内訳もそうですし、短国買入や固定金利オペの目標撤廃にもありますように、従来の緩和政策でやたらめったら短期市場に負荷を掛けていた部分が長期の方に移りますので、相対的に言えば短期金融市場には干天の慈雨状態になっておりまして、昨日もそんな感じの気配になっていた(出来はたぶんない)ようですが、これは短国とか2年とかの下がり過ぎ金利がやや是正される(つーても0.10%までは上がらんでしょうけれども)ようになるでしょうなあという所です。

あと国債補完供給制度の要件緩和ですけれども。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130404c.pdf

まあとりあえずそうしてみましたという所ですが、買入がバカスカ進むと流動性が死ぬほど無くなるのでして、スクイーズ祭りとかになるのでもっとこう景気よくホイホイと流動性供給をして頂きたいのですけれども、『なお、再売却時の期間利回りは、マイナス3%とします。』というのが何だかなあという感じではあります。まあいずれこの辺ももう少しホイホイ物を出せるようにして頂かないと市場のマーケットメイクそのものが出来なくなりますぞなもしという事になり兼ねませんので。



○まあこれは当然

『(3)被災地金融機関支援資金供給の延長

被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションおよび被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置を1年延長する。』

まあ当然ですな。



○政策の波及経路に関して

最後が経済の認識などの部分と、今回の政策に関する説明。

『2.わが国経済は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。先行きは、堅調な国内需要と海外経済の成長率の高まりを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は足もと小幅のマイナスとなっているが、予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がみられる。また、ここ数か月、グローバルな投資家のリスク回避姿勢の後退や国内の政策期待によって、金融資本市場の状況は好転している。』

今回は政策変更があったので前回と比較しにくい(のと前回のを引用すると長くなる)ので前回分の引用を割愛しますが変化について簡単に。

現状認識:「持ち直しに向かう動きもみられている」というのが新たに入る
先行き見通し:結論は同じですが背景の「堅調な国内需要と海外経済の成長率の高まり」が上方修正
物価:「予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がみられる」というのが新たに入る
金融資本市場:「グローバルな投資家のリスク回避姿勢の後退や国内の政策期待」ということで状況好転としている

まあ1秒で言えば上方修正です。


で、政策の説明部分。

『日本銀行は、1月の「共同声明」において、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束した。今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』

ということで「期待の転換」というのをポイントに入れていますな。まあ普通じゃ2%そう簡単にいかないから期待とか入れない訳にも行きませんがね。


という事で声明文を駆け足で読んでみました。


○雑感やメモなど少々

・為替などの反応

まあ債券はブルフラットしましたが、為替は一旦円安に振れたあとうだうだし、欧州勢が起きたころからもう一発円安に振れて株価とかもそれに連動する感じでして、まあ為替に関しては海外の反応の方が良かったですねと思ったら96円台ですかそうですか。


・短期市場に干天の慈雨だが長期債にはイナゴ到来

さっきも書きましたが大事なので2度繰り返しますが(^^)、「対話との強化」の中でも「当座預金を積んでもらわないといけない」という表現がありましたように、どう見ても付利下げは有り得ない選択肢になりました本当にカムサハムニダという所でありまして(会見でも「今は必要ない」という話をしてた筈)、しかも短国買入の目標は無くなる(MB目標から逆算の帳尻オペになる)し1年以内の国債買入は減るしということで短期市場干天の慈雨、というか単に短期市場方面で発生していたイナゴによってぺんぺん草も生えない状態だったのが、イナゴ様が長期債方面に向かっただけで結局国内円金利部門トータルではモウカランチ会長に拍車が掛かるので干天の慈雨とか喜んでいる場合でも無いのですがorzorzorz

#どさくさに紛れて日銀の資産買入をイナゴ呼ばわりしているのは気のせいです

あと、金利ディレクティブが無くなるのと、上記のように短期の資金供給オペが帳尻オペになって予見可能性が下がる(固定金利オペは淡々とロールのオファーだけ入るのですかねえ)ので、足元金利だけは需給要因で振れやすくなると思います。そういう点もFFレートっぽくなるとゆーことでしょうな。


・しかしこれポートフォリオリバランスって本当に効くのかね

どう見てもこの買入が累積するとイールドカーブは牛の昼寝になってもう円金利市場はモーモー言いながら涎を垂らすしか仕事がなくなってしまうのですが、問題はその金が円金利市場から外にでるかという話でありまして、昨今は金融規制だ何だと言ってちょっとリスクをたくさん取るとあちこちから人がすっ飛んで来てなんでそんなリスク取ってるんですかと小一時間問い詰められるという大変な状況になっているのが金融機関の仕様になりつつあるという次第で、そっちの方を緩和した方が元手要らずでポートフォリオリバランス効果を発揮できるのではないか、と総量規制だの貸出枠管理だのというものを金貸し現場で見ておりました(歳がばれますが)もと金貸しの手先であります所のあたくしは思うのですけどねえ。

という雑感はまた後日詳しく考えてみる。


・まあエンドゲームが気になりますな

まあ何ですな、買入するのは良いとして、このエンドゲームがどうなって、その時に為替市場とか資産市場とか金利市場とかがどうなるのかというのをつらつらと考えているのですが、まだ結論はでなくてこれまた後日色々と書いてみようかと思いますが、1年くらいこれやって物価が全然アガランチ会長となった時にMBや国債買入増やしても効かない→の矢印の先がどうもヤケクソ方面の予想しかできず、その時のエンドゲームがおそロシアというネガティブ志向はダメですかそうですか・・・・・・・・


・ところで岩田副総裁の精緻な理論によりますと・・・・・・・・・・(^^)

ちょうど昨日山本幸三先生のロイターインタビュー記事をネタにしておいて正解でしたな。ということで昨日の再掲。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93204D20130403?sp=true
インタビュー:2%達成にはマネタリーベース拡大を=自民・山本氏
2013年 04月 3日 15:54 JST

『山本氏は、日銀副総裁に就いた岩田規久男氏が学習院大学教授当時に作成したシミュレーションから、消費者物価上昇率2%達成には、現在145兆円のマネタリーベースを160兆円─170兆円に増やしていく必要があるとした。』

『試算は、リーマンショック後のマネタリーベースの量と予想インフレ率の目安となるブレークイーブン・インフレ率(インフレ期待を測る代表的な指標)の関係からはじき出したもので、同時に円レートや株価との相関式に当てはめると、ドル/円は98円、株価は1万1600円になるだろうとしている。』

『さらに消費者物価指数を3%にするためには、マネタリーベースを180兆円程度に拡大させる必要があるとし、ドル/円は108円程度、株価は1万3600円程度になるだろうと試算する。』(以上上記URLより)

・・・・・・・・・・・・えーっと、今回の決定ってマネタリーベースを年末に200兆円、来年末には何と270兆円にするという物ですが、岩田先生ならびに山本先生の精緻な理論に基づきますと今回の決定でしたらどこからどう見てもマネタリーベースの出し過ぎとしか思えない訳でございまして、「こんなに出したら物価目標が大幅に上に逸脱してしまうではないか」と言って反対するべきではないのでしょうか(棒読み)。

岩田副総裁におかれましては今回決定された数値の積算根拠および、従来のご主張との乖離に関しての説明をじっくりとして頂きたい物でありまして、説明できないのでしたら従来の精緻な理論はただの与太話でしたと言う事になると思うのですけれども如何でございましょうかねえwwwww

#いかんまた最後に悪態で締めてしまった

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2013/04/03

○決定会合プレビュー雑談

公共放送ニュースから
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130403/t10013633681000.html
黒田総裁の下 初の金融政策決定会合
4月3日 4時7分

『具体的には、大量に資金を供給するために日銀が買い入れている国債について、これまで償還までの期間が3年以下のものに限っていましたが、より長い国債に対象を広げて緩和効果を高めることや、株式を組み込んだETF=上場投資信託などの買い入れを増やすことなどを検討します。』(上記URLより、以下同様)

暫く前に話をしていた時には「国債の買入が3年以下」とか思いっきり変な事を言っていましたが「大量に資金を供給するために」ということで包括緩和の基金オペの話をしているので表現が修正されていますな。しかし包括緩和って単に資金供給するだけではなくてそのほかの効果も狙っているという建付けなのでやはり説明が微妙なんですけどね。

『さらに、金融緩和のためと市場に必要な資金を安定的に供給するために設けている2つの国債の買い入れの枠組みについて、1つに統合して分かりやすい政策に変えることや、日銀が財政の肩代わりをしないよう設けている自主的なルールについても見直しを検討する方針です。』

ということで、公共放送によると資産買入等基金の買入対象国債年限延長とETF買入拡大と基金オペと輪番オペの国債買入の統合と銀行券ルールの見直しというメニューとなっております。

はあそうですかという所ですが、ETFって既に日銀の買入シェアが結構な量になっている筈でこれ以上買えるのかいなという気もするんですけれども、それ以上に???なのは基金国債買入の対象年限の長期化と基金国債買入と輪番オペの統合の両方がメニューになっている点で、いやあの普通に考えたら基金と輪番統合したらその時点で対象年限の長期化もへったくれも無くなって実質的に長期化になるので何かそこを出すというのも変な話だと思うんですけどね。

でまあ問題は昨日も日中延々と国会に黒田総裁が呼び出されておりましたように、国会対応で本当に検討が間に合っているのかよという所でして、その辺を煮詰めないで変に中途半端な事をするくらいなら方向感だけ示して何も議決しなくても良いじゃんとは思っていたのですが・・・・・・・・・


○市場雑談メモをはさんで更にプレビュー雑談は続く

・為替が円高というのも兎も角として株価にビックリしたぞな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKKH9G6S972E01.html
大胆な緩和持ち越しの公算も、市場は失望の懸念−黒田日銀あす初会合
更新日時: 2013/04/02 06:00 JST

『4月2日(ブルームバーグ):日本銀行は3、4の両日に新正副総裁の下で初めてとなる金融政策決定会合を開く。追加緩和に踏み切るとみられているが、正副総裁が就任間もないため、政策委員会をまとめきれず、大胆な金融緩和は4月2回目の会合である26日までずれ込むとの見方もある。その場合は金融市場で失望感を生む可能性がある。』(上記URLより)

つーのもあったのかどうか知らんですが、昨日は朝っぱらからドル円92円台に突っ込んだ上に株がどどーんと下がってトピが2.5%以上下げたりした時はナンジャソラと思ってしまいましたが、これはまたクレクレキタコレなのか何だか知らんですが、市場の期待にお答えする黒田総裁に対しても容赦ないですなオソロシスという所でした。その後戻って前場引けにほぼ下げを戻したと思ったら昼休みに円高に振れて後場寄りからまたGDして下落したとかもう何が何やら・・・・・・・・・


・超長期暴れ過ぎ

昨日の債券市場はその辺の円高株安などもあってか高寄りしたのですが、10年国債入札がイマイチで何故か先物が盛大に叩かれる(その後引けに掛けてやや戻しましたが)という暴れん坊将軍な展開でしたが、それはそれと致しまして超長期は朝から強いという相場でござんして、先週金曜は強烈にツイストフラット、月曜はスティープで昨日はフラットとかもう何が何だか分かりません何やってるんですかマッタクモウ。

普通は期末特有の成行売買が一巡するとちったあ冷静になるんですけれども、何か期末の余波なのか新たに暴れている人がいるのか、期初のお家の事情成行売買というフローが今度は入っているのか知らんですけれども、どこまでやるのこの大暴れ超長期という所で誠に遺憾に存じます、という雑記メモでした。


○ということでプレビュー雑談続き

まあ何ですな、そんなこんなで債券市場の方は良いとしまして、昨日の午前の早めの時間では日銀の異次元緩和が出遅れるとかいうのも売りネタにしていた節があるという株式市場様でございまして、こうやって市場がクレクレ言ってダダをこねますと黒田さんの場合何か我慢しないでクレクレに対応しそうな懸念がするのですよね。

もちろん、今回の会合で新しい枠組みが全部出来ればビューテホーなのですけれども、新輪番(というのかどうか知らんが)の割り振りをどうするのかとか、銀行券ルールに変わる財政ファイナンスへの歯止めをどうするのかとか、ついでに基金オペの他の部分をどうする(特に固定金利と短国の所)のかとか、まあ論点はアホほどある中で全部まとめられるんでしょうかねえというのは甚だ疑問。

一部やるというのもあまり美しくないのですが、とはいえ単なる「検討指示」だけだとどうもクレクレタコラが愚図って大騒ぎしそうな所ではありまして、そんなの4日に決定するのか26日に決定するのかの違いじゃねえかその3週間に何のちがいがあるんだ別に緊急事態でも無いのにとはあたくし何ぞは思ってしまいますが、まあクレクレはそんな事容赦しませんから、どうもこの辺の催促モードを見ると単なる検討指示だけでは厳しそうですなあという事で、頑張って全部出てくるのかどうかを見たいと思います。

まあ最終系としては基金と輪番の統合で、あたくしが考えているのは1年未満の輪番を短期国債買入の方に統合しちゃって単なる短期資金供給オペレーションの一環にしてしまい、1年超の所で1年〜5年〜10年〜30年というゾーニングという(それで月4兆でも一応増えているのですけれども5兆かなあ)のですが、1年未満云々はグロスの買入額を嵩上げする為に継続するかもしれませんね、というか多分そっちの方がありそう。

当座預金残高目標まで今回決定するのだと間に合わないと思うのですが、当座預金残高目標にしておいた方が目先は短国をバカスカ買う事になるのですが、目標達成後は徐々に短期国債の買入分が長期国債にリプレースされる形になって短期オペの方が楽になるので個人的にはオヌヌメなのですがどうでしょうかね。

リスク性資産はETFの買入拡大位はあるかもしれないけど、市場規模から逆算するともうそんなに買えないので変にしょぼい額を出さない方が良いような気がしますけどやるかもしれませんね。社債とCPの拡大はイラネ。

時間軸はもしかしたらクロちゃんキクちゃんがやりたがるかもしれませんが、そもそも「2%を達成するまで緩和」というようなコミットメントをするのは金融政策が物価に与える影響のタイムラグを考えたら有り得ない、というか2%物価目標の理念に反する結果になるのでロジック崩壊ですからまあ従来から出ている宮尾さんの提案ベースをどう考えるかという程度でしょう。


・しかし白井さんェ・・・・・・・・

しかしまあ何ですな、この「基金と輪番の統合」話ですけれども、2月のMPM議事要旨にその辺の話が、

『長期国債買入れについて、何人かの委員は、買入れ対象年限の需給が今後さらにタイト化していく可能性を考えると、基金の積み上げを進めていくためには、残存年限のより長い国債を対象とする判断を行うこともあり得ると述べた。このうち複数の委員は、長期国債買入れにおいて残存年限のより長い国債を対象とする場合、効果と副作用を十分に検討する必要があるが、分かりやすさなどの点では、基金における長期国債買入れと金融調節上の観点から行っている国債買入れを統合することも選択肢になり得ると述べた。』(2月会合議事要旨より)

という風に出ていたので、実は今回会合ですんなり議決されてもそんなに突拍子もない話では無かったのですが、3月会合で白井審議委員が余計な事に基金と輪番の統合に関して提案をして1対8で否決されてしまっているのがうんことしか申し上げようがない。

つまりですよ、3月会合でこの提案⇒却下が無かったら「なるほど2月からこの件は検討していたんですね」ということで4月会合一発目で導入されても「ほほう」という所で話が済んでいたのですが、3月会合で1対8で棄却されたものが総裁副総裁が変わった途端の4月1回目会合でいきなり通るとかなりますと他の審議委員は何考えてるんだという話になってしまう訳でして、そういう意味で政策のフリーハンドを無駄に阻害した提案でありましたなあとしか申し上げようがないのですが、白井さんがそもそもどういう意図でどういう内容の提案をしたのかというのが議事要旨を見ないとワカランチ会長というのが困ったものであります。

と申しますのは、例えば3月の白井さんの提案では統合によって生じる幾つかの論点(ゾーニングとか買入総額とか銀行券ルールとか)を練り込んでいないのでこんなの議決できるかヴォケということで却下されたというのであれば、今回ちゃんとその辺を練り込んでいるので賛成できますね、という理屈だって有るとは思うのですが、その肝心の白井さんの提案内容が判らないと、前回却下で今回オッケーとなる変化の背景が見ている方としては見えないので、単なる豹変にしか見えなくなってアカウンタビリティーの観点上如何なものか。とまあそういう話になるんですよね。

これね、MPMの議事要旨がMPMでの承認事項になっている、という日銀法の実務上の欠陥としか思えないのですけれども、次回のMPMの前に前回のMPM議事要旨が出ないと、前回でどういう議論をした結果今回の決定に繋がる、という金融政策の一連の流れが外に対して説明しにくい状態が延々と続くのでありまして、この手の実務上のテクニカルな問題(総裁の任期問題もそうですが)が運用しているうちに幾つか見つかっているので日銀法の改正というか手直しはして欲しいもんだとは思うのでありましたとさ。


○国会笑劇場ニュース雑談

・まあ国会では喋ってもよいのですけれども&段々物の言い方が雑になってきましたよ大丈夫ですか

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKMB3A6KLVRE01.html
黒田日銀総裁:基金と輪番オペを合体、日銀券ルールは廃止審議へ (1)
更新日時: 2013/04/02 17:52 JST

『4月2日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は2日午後の衆院予算委員会で、長期国債の買い入れについて、資産買い入れ等基金と、成長通貨供給のために行っている輪番オペを統合する考えを示すとともに、日銀券ルールも廃止を含め審議する必要があると述べた。』(上記URLより)

まあ国会ですから良いのですけれども何かさすがにペラペラしゃべり過ぎじゃないですかねえと思いましたがそれより後の方の記事内容にワロタというか何というか。

『大胆な金融緩和に反対票が出る可能性については「政策委員会は9人の委員からなる合議体なので、賛否がいろいろあるというのは当然だ」と指摘。その上で「合議体として、既に1月に2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現する、そのために金融緩和を推進するということまでは、政策委員会としての決定事項なので、その時の賛否に関わらず、それを実施していく義務がある」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・いやあの否だったら実施しちゃいかんと思うのですけれども先生お疲れのようでこちらの記事小見出しにも『賛否あるのは当然だが実施する義務ある』とか合議制を総裁が自ら無視したような言い方をしているように書かれてまして表現には注意した方が良いかと。

まあ黒田さんは「細かい政策の具体的部分に賛否があるのは当然だけれども、2%の物価目標を決めたのだからそれに向けて金融緩和を実施していく義務がある」という話をしたのだと思いますが、ちょっと表現がアレという所ですな。


でまあそのアレな表現はもうちょっと先にも。

『その上で「私としては、金融政策の効果が浸透していく期間として、通常2年程度のタイムスパンを考えるというのが多くの中央銀行の例なので、2年程度の期間を念頭に置きながら、期待に裏付けになるような量的にも質的にも大胆な金融政策を行うということでなければならないと思っている」と語った。』(上記URLより)

・・・・・・・・・えーっともしもし?2年間で達成すると言ってるのに金融政策の効果が2年程度のタイムスパンで浸透するんだったら「2年で達成」って出来るんですか大丈夫ですかというのが最初にありますし、大体からして効果が浸透するまで2年もタイムスパンがあるんだったらこの前発言していた「2%の目標を達成するまで金融緩和」なんて実施したら2年分も金融緩和をオーバーシュートさせて打つことになってそれは2%インフレを大幅に上に逸脱するリスクが高いんじゃないでしょうかおじちゃん大丈夫ですか国会に7時間も呼ばれてお疲れになってませんかという所ですな。

その後にこういうのもありまして。

『黒田総裁はまた「何としても2%の物価安定目標を、2年という期間を念頭に置いて実現したい、実現する必要があると考えており、国債、特に期間の長い長期国債を含めて、量的にも質的にも、大胆な金融緩和を進める必要がある」と語った。』(上記URLより)

いやだから効果が浸透するのに2年かかるのに何で2年で物価目標が達成できますねん・・・・・・

てな訳で、何か段々ボロが出てきている気がするんですが、ボロが出るのはせめて夏まで我慢して頂きたい(まあその間に成長して頂ければ良いのですが^^)という所でございまする。


・安倍ちゃんそれはちょっと今までの話と違うだろうよ・・・・・・・

これは酷い。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKLX016S972Y01.html
安倍首相:日銀の物価目標2%達成、できない場合もある−衆院予算委
更新日時: 2013/04/02 12:03 JST

『4月2日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は2日午前の衆院予算委員会で、日本銀行が目指す2%の物価安定目標の2年間での達成は世界経済の動向などによってはできないこともあり得るとして、その場合は日銀が政府や国会に説明責任を果たせばいいとの認識を示した。前原誠司氏(民主)への答弁。』(上記URLより)

・・・・・・・・・何か浜田大先生の生霊が憑依したのかと思いましたが、確か白川総裁時代には2%の物価目標について外部環境のせいにするとか敗北主義者で人民裁判で吊るされるべきであり目標達成しなかったら断頭台送りだとばかりの勢いで安倍大先生様はお話をしていたとしか記憶しておりませんが(つーか元々3%って言ってただろ安倍ちゃん)、自分のお気に入りを総裁副総裁に送り込んだらいきなり豹変とか何なんですかちょっともう。

いやまあできない場合もあるのはそら正論なのだが、今までそのような事を言う日銀ケシカランとか散々言ってた人間がどの口で言うのやらという所で。

で、それが英文になるとこうなる。

http://www.bloomberg.com/news/2013-04-02/abe-says-boj-may-miss-2-price-goal-should-global-economy-change.html
Abe Says BOJ May Miss Price Target If Global Economy Changes
By Isabel Reynolds & Mayumi Otsuma - Apr 2, 2013 8:00 PM GMT+0900

『Japanese Prime Minister Shinzo Abe said that the central bank shouldn’t pursue a 2 percent inflation target “at all costs” and may fail to achieve it should global conditions change.』(上記URLより)

ブルームバーグだけじゃなくて他の英文メディアでも「Abe Says BOJ May Miss Price Target If Global Economy Changes」というような表現になっていて、これじゃあ「姿勢が後退」としか海外も受け止めないだろと思うのですが。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53504800S3A400C1MM0000/
黒田日銀総裁、大胆緩和「期待を裏打ち」
2年で物価2% 衆院予算委 2013/4/2付

『安倍首相は日銀が2%物価目標を2年程度で達成できなかった場合、「政府や国会に説明責任を果たせばその通りだとなる」と指摘。従来より日銀に柔軟に応じる姿勢をみせた。自民党の山本幸三氏や民主党の前原誠司氏らの質問に答えた。』(上記URLより)

「従来より日銀に柔軟に応じる姿勢をみせた」って言われるわなあ・・・・・・


・無税国家のパラドックスネタキタコレ

同じく安倍ちゃんの答弁ネタ。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK064581320130402
UPDATE1: 中銀がデフレ脱却に効果与えることできなければ、財政ファイナンス可能になる=安倍首相
2013年 04月 2日 10:04 JST

これニュースの題名が訳わからん書き方をしているからアレですが、要するにいわゆる「バーナンキの背理法」とか言われている奴の話で、「中銀が国債買い続けたら必ずインフレになりますよ」という話です。

でまあそれはそれで話の筋は通っているのですけれども、そもそもその「中銀が国債を買い続けたら必ずインフレになる」(=インフレにならないのであれば国債を全部中銀がマネタイズしてもインフレにならないと夢の無税国家が誕生するけどそれは有り得ないから、という事です)という話って、単に「中銀が政府の財政マネタイズを無限に実施したら必ずどこかの時点財政インフレが起きる」という話をしているのに過ぎないのであって、その財政インフレというのは只の誰得インフレであって政府部門の信認崩壊や信用秩序の崩壊を伴うものなのでして、だから中銀はインフレを起こせます(キリッ)とか言われましても困るのですが。

つまり、中央銀行が何でも良くてヤケクソになって良ければインフレは直ぐに起こせる(中銀が便所紙買入オペと称して便所紙を1メートル100億円で買いオペすれば一瞬でハイパーインフレですよやったねパパって所でしょ極端に言えば)訳で、でもそうやってインフレを起こすのは国民経済に対して何の意味があるインフレ何ですか意味があるインフレにしないとダメですよね、という事でさてどうしたもんかという話をするのであって、いわゆるバーナンキの背理法と言われる話ってレトリックとしては面白いのですが、だから中央銀行はインフレ起こせます(キリッ)とか言われましてもあまりにもナイーブ過ぎてそれは政策論の中で真面目に話す事では無いと思うのですけれどもねえと思うのですが。

まあ安倍ちゃんが勉強しようとしているという努力は把握したが、もうちょっと努力の方向性を検討した方が良いような気がします。

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2013/04/02

・ニュース雑談その1:インフレフォビアキタ―ーーー!!!!

昨日は朝から公共放送は特にそうなのですが、他の民放(除くモーサテ^^)で生活品の価格が上がりますよ大変ですよの大合唱が正直喧しかったぞなもし。

ということで昨日の公共放送ニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130401/k10013575261000.html
4月 食料品など値上がり 4月1日 4時23分

『1日から4月です。これに合わせて、生活に身近な食料品などの価格が値上がりします。』(上記URLより)

っていう感じであのすいませんCPIまだマイナスなんですけどこの程度の話で一々騒いでマインド冷やすなよとか思うのですけれども、まあこれは公共放送の毎度の仕様でありまして、こんな状態の中で物価目標のCPI2%なんて政治的に達成可能なんでしょうかねえというのは前から申し上げている通りで、世界標準は結構なのですけれどもそもそもこの程度の物価上昇で一々トップニュースになっちゃう(ええちなみにあたくし見てた時間帯のトップニュース毎回(公共報道のおはよう日本では毎時と30分にヘッドラインを流す)このネタだったんですけれどもねえ。

でまあ公共放送の物価上昇云々は仕様なのでまあ何時もの話としまして・・・・・・

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013040100558
物価上昇への対策を=山口公明代表

『公明党の山口那津男代表は1日午後、首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議で、最近の円安に関し「負の側面として国民生活に影響が強い食用油、小麦の価格、ガソリンや重油、電気料金など、値上げラッシュの気配がある」と指摘。円安に伴う物価上昇対策に迅速に取り組むよう政府に求めた。(2013/04/01-15:08)』(上記URLより)

・・・・・・・・・・・えーっと、これは4月1日のギャグですよねorzorzorz

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