金融政策概観(2015年度下期上半(2015年10月〜12月))

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2015年度下期前半の見出し

2015/11/30「新物価指数を出した途端に頭打ちを示唆/短国買入また2500億円なのだがスキップできないのか」
2015/11/27「3M入札は平均▲8bp台でセカンダリーは▲10bp乗せ」
2015/11/26「10月2回目会合議事要旨は従来の地蔵からどちらにも動けるような感じに変化しているように見える」
2015/11/25「1-3年輪番減額/総裁定例会見(続き)」
2015/11/24「短国買入2500億まで減額したが何か中途半端/白塚ペーパーのアップデート&日銀版コアコア指数発表開始へ/総裁記者会見はロジック崩壊&質問にまともに答えないグダグダ会見」
2015/11/20「3M▲11.2bp、1Y▲13.8bp、6M▲14.4bpという異世界で2年金利も低下/決定会合声明文の内容だと本来追加緩和の筈ですが現状維持ねえ」
2015/11/19「短国金利一段と低下に拍車が掛かる」
2015/11/10「短国レート低下中なのに短国買入を盛大に実施とな/総裁講演では2%に向けた進展ではなくデフレ脱却をアピールしつつ賃金上昇期待を強調」
2015/11/09「総裁講演は賃金の上昇見通しをやたら強調」
2015/11/06「10月1回目会合の議事要旨は賃金上昇で物価が上がるという大勢見解ですな」
2015/11/05「展望レポート基本的見解のリスクは物価の下方向と賃金動向が示されていますな」
2015/11/04「展望レポート基本的見解:物価見通し先送りも除くエネのコアCPIの強さを強調とな」
2015/11/03「物価見通し先送りと現状維持の従来からの整合性の説明がまるでハチャメチャな総裁会見」
2015/11/02「大して議論時間も無くあっさり現状維持+物価目標達成時期半年先送り/日経が展望レポートのフライングリーク記事を出すの巻」
2015/10/30「今日のMPMは物価目標後ずれですね/短国の100円は遠い/FSRの巻末コラムをまとめて確認」
2015/10/29「10年30bp割れなど追加緩和待ちモード/ブルームバーグがまた火付け火消しヘッドライン」
2015/10/28「追加緩和で色々雑音多い決定会合プレビュー/内容充実の金融システムレポート」
2015/10/27「浜田参与は雇用改善を強調して追加緩和不要と物価目標はどうしたのかという発言/FSRは不動産ネタが増えたようで」
2015/10/26「本田参与に麻生財務相も追加緩和不要発言」
2015/10/23「日経も生活品価格上昇を否定的に報道?/山本幸三さんは消費増税のリカバーで財政を出すものの増税延期をすると失敗だから延期しないとワケワカラン屁理屈を」
2015/10/22「社債取引情報公表へ/旧3本の矢でGDP600兆円??/MB直線一気理論が行かないのは消費税のせい??」
2015/10/21「黒田総裁追加緩和に否定的/早川前理事の悪態/国際コンファランスでのネタなど」
2015/10/20「さくらレポートも特に下方修正無し/中原伸之さんが追加緩和不要と梯子外し」
2015/10/19「国債T+1導入の進捗状況/信組大会での総裁挨拶は物価の1%超えを妙に協調」
2015/10/15「日米金利ともに低下/折角サーベイやっても市場は機能しているの結果では」
2015/10/08「追加緩和の示唆も無い決定会合も失望反応は一瞬で終了」
2015/10/07「IMFが追加緩和が適切とコメント」
2015/10/06「決定会合プレビュー雑談」
2015/10/02「ブルームバーグがまた悪質なマッチポンプヘッドライン(追加緩和を煽って冷やす)」
2015/10/01「鉱工業生産悪化ですが大丈夫でしょうか/インフレ期待はアナウンスと強力緩和ねえ・・・・」

2015/11/30

○日銀謹製物価指標を満を持して出したらどう見ても頭打ちを示唆している件

金曜はお待ちかねの日銀謹製(というか総務省ベースの物を日銀が加工している物件の筈でございますけれども)の物価指標キタコレの日でした。

http://www.boj.or.jp/research/research_data/muipre.pdf
消費者物価の基調的な変動

日銀の更新情報の方では『2015年11月27日 基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)[PDF 131KB]』とありまして、基調的なインフレ率を捕捉するための指標と大きく出ましたなという所ではあるのですが・・・・・・・・・・

(1)総合(除く生鮮食品・エネルギー)・総合(除く食料・エネルギー)
(2)刈込平均値・ラスパイレス連鎖指数
(3)上昇・下落品目比率

につきまして

10月総合(除く生鮮食品・エネルギー) 1.2
10月総合(10%刈込平均値) 0.6
10月上昇品目比率−下落品目比率 39.7

となっていまして、グラフはあるものの時系列の数値が無い(一応時系列統計データ検索サイトは見たのですが今の所取れなさそう)のが惜しいのですけれども、グラフを見た感じですと日銀コアコアと刈込に関しては前月対比で横ばい推移、上昇品目マイナス下落品目に関しては、上昇も減って下落も減っているのですが、上昇の減り方の方が大きくてネットの比率数値は前月よりも少なくなっている、という結果になっておりまして、何と申しますか日銀が満を持してリリースした途端に頭打ちを示唆する結果を出す破目になる、という辺りに侘び寂びの世界を深く感じさせる毎度お馴染みの日銀クオリティというのを醸し出していまして実に味わいの深い内容となっております。

・・・・・・などと言っているとお前は満を持して作ったポジションが天井買いの底値売りではないかという声が聞こえてきた気がしますがアーアー聞こえない聞こえないという事でよろしくお願いします。


○短国買入2500億円実施ですかそうですか

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of151127.htm
国庫短期証券買入 2,500 2015年12月1日

どうせそういう打ち方になるんだろうなあとは思っていたのでたぶん市場的には違和感がないのですけれども、何ちゅうかその2500億円ってのが何ともな感じで、別に札自体は(1年カレントが残っている筈だし新発の3Mも発行日渡しとか金曜の約定とかだと米国が感謝祭だから玉そのものは残って居るだろという感じなので)別に2500のオファーじゃなくてもあるんだし、やらないならやらないでゼロにしておいた方がいつまでもあると思うなそのゴミ箱という事でオペトレードヒャッハー的な動きにも水をぶっかけられるとは思うのですが、何というかこの微妙な額でのオペが続きますのうという感じで。

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba151127.htm
国庫短期証券買入 11,849 2,500 0.031 0.034 38.0

3毛4糸平均の3毛1糸足切なので、3Mカレントを入れると負け、1つ前の3Mだと入札よりは金利低くて、6Mカレント(が残っているかどうか知らんが)だと毎度の大勝利で1Yカレントだと入札平均からみてそんなにワークしない(レート的には平均より2糸程度強いアベです)という結果ですが、何せ木曜の2年入札でもいわゆる不明玉がそこそこ多めにあるという時点でお家の事情的な買いが見えている格好だし、3Mに関してはドル調達の反対側の人たちがちょっとやそっとのマイナス金利では屁でもない状態なので、別にこの結果を受けて短国が軟化する訳でもないというのが世紀末感を漂わせる状態で、今週の3M入札の所でどこまで流れてくれるのかというのが課題となりますので、つまり木曜まではどもならんという事で一つよろしくという感じなんでしょうねえ。

まー今回に関しては各種規制の初回ケースの上に米国の利上げタイミングとぶつかったというのがあって、従来と情勢が大幅に変わった為に四半期末のドル調達が爆発した感はあるのですが、では次回以降はどうなのよと言いますと、背景にある制度の面というのはあまり変化が起きないのですから、そうなると本質的には日本勢の海外投資のうち、短期市場調達(や足の速い預金での調達)で積んでいる資産が減らないと調達そのものが減らないのでそこは簡単な話ではないでしょうと思うのですよね。

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2015/11/27

○短国3Mェ・・・・・・・・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20151126.htm

(3)募入最低価格 100円00銭9厘5毛 (募入最高利回り)(-0.0353%)
(4)募入最低価格における案分比率 10.1132%
(5)募入平均価格 100円02銭3厘2毛(募入平均利回り)(-0.0863%)

前場の引けに掛けてビットが湧いてきて前場引けではマイナス10bpでの出合いとかになってビットになってという気配でしたので、そこから考えると流れたという評価も出来るのですが、前回の入札と比較すると足切水準が同じ(価格ベースで)となっていますが、平均落札はマイナス8.6bpと異世界レートになっておりまして、先週の短国買入減額も焼け石にウォーター的な効果でしたかそうですかという感じで実に焦げ臭い展開になっております。

結局のところ円からのドル調達の反対側にいる人海外の人たちってマイナス10だろうが20だろうがワークするのでこの人たちは値段関係なく(マイナス100とか言われたら話は別でしょうが)買いに来るのですが、あとその辺の水準で買うのは日銀のオペと国債残高調整のお家の事情でマイナスでも仕方ないから買うみたいな人(なお関係ないかもしれませんが、市場推計のいわゆる不明札が2兆円弱ありました)という事になって、海外の需要は多めにあるとは言え、それだけで全部捌けるのかが微妙だと思えば、絶対入れるマンの札は前場引けのレベル位(かそれよりも強く)でも入れてくるでしょうし、いずれ売れるとは言えその間のキャリーコストも考えるととかなると全部そこで突撃する訳にも逝かず、ということで札が分かれたんでしょうなあとは思われます。


ということで本日の短国買入がどう入るかというのもこれまた注目されますが、まあ札自体は先週買入減額しているから1年は浮いているでしょうし、昨日の3Mはまだ海外が感謝祭やっているから買いに来てないでしょうから残りはあるでしょうし、もうこの際兆円レベルで買入オファーして買入金利水準の出来上がりをマイナス30とかマイナス50とかお洒落なレートにして、翌日の日経新聞辺りに「大幅なマイナス金利での買入はシニョリッジのオペ先への漏出を意味するのではないか」位の書かれ方をして頂いた方が焼け野原に更にガソリンブチ込んで紅蓮の炎という風情になるのですけどねえとかもうヤケクソ状態。

てな訳で11月の短国は全銘柄マイナスだわ2週目からドマイナスだわで、11月頭の3M短国の金利が低いわとか言ってたのが遠い昔のようでございますけれども、全銘柄マイナスで推移されますと普通に運用で短国を買うというのは見事に出て行け状態になっているのですけれどもそれってもっと先の話(物価目標達成したら金融正常化をしないといけないんでは無かったでしたっけ)を考えた場合に大丈夫ですかというのは毎度申し上げている通りでございます。


ということで本日も10時10分と11時半に注目ということで。

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2015/11/26

○10月30日MPM議事要旨のトーンが変わってきているように見えますが

白井さんの海外講演に続き金懇まで入っているのですが(そもそもFOMC議事要旨もあるしドラギのおっちゃんの講演とかカプランさんの講演とかもあるのだが、汗)多分順序としてこっちの方がネタとしてはピコーンと来ましたので。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2015/g151030.pdf

・ナシナシからアリアリへのトーン変化

えーっとですね、今回は展望レポート出た回の議事要旨という事で、割と色々な見解が織り込まれる格好になっていたのですが、従来は議事要旨を見ても「ああ日銀は当分様子見で動かないなあ」という印象が強くて、追加緩和みたいなのも無ければ政策の見直しみたいなのも無いだろうなあという感じだったのですが、今回は読みようによっては追加緩和を期待しても良いし、政策の転換(2%は動かさないけれども2年とかそっちの転換で枠組みが変わる)も期待できそうな書き方になっているというのが印象として強いですな。

一応総裁会見とかでは従来の政策を継続して2016年度後半に2%到達ですよという話になっているのですけれども、この議事要旨を見るとそこまで今の政策を継続しながら様子見地蔵となる、というよりは今後「どちらにも動ける」ように伏線を色々と張りに来たのではないかとあたしゃ思ったのですが、まあそれはアタクシの感想であって皆様がどうお考えなのかは存じませんけれども一応そういう感想ですがなという事で以下引用の巻です。


・経済情勢の検討部分である

例によって『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』からで海外経済からちょっと引用しておきますね。

『海外経済について、委員は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いているとの認識を共有した。』

『複数の委員は、中国をはじめとする新興国の動向は引き続き予断を許さないものの、海外経済について一部にあった過度な悲観論は修正されつつあるとの見方を示した。ある委員は、先進国は内需牽引型の自律的な回復軌道を歩みつつある一方で、輸出依存型の経済である新興国・資源国は中国の影響を受けて減速しており、両者の違いが顕著になっているとの認識を示した。』

うむ。

『先行きについて、委員は、先進国が堅調な成長を続けるとともに、その好影響が波及し新興国も減速した状態から脱していくもとで、海外経済は全体として緩やかに成長率を高めていくと予想されるとの見方で一致した。そのうえで、何人かの委員は、新興国経済の減速が想定以上に長引いたり、大幅なものになった場合には、先進国経済にも影響が及ぶというリスクシナリオに言及し、今後、先進国が新興国経済の減速のインパクトに抗して、自律的な回復を持続できるのか見極める必要があるとの認識を示した。』

ということでリスクは下。でもって海外の地域別の展開の後に日本の金融環境の話が出てくるのですが、これは展望レポートの回の時の仕様で、他の回では経済の項と金融環境の項が分かれるのでちょっと書き方が変わるのですけれども、これ自体はお作法の問題だと思われます。

『わが国の金融環境について、委員は、緩和した状態にあるとの認識で一致した。委員は、マネタリーベースは日本銀行による資産買入れの進捗を反映して大幅に増加しており、企業の資金調達コストは低水準で推移しているとの見方を共有した。委員は、企業からみた金融機関の貸出態度は改善傾向を続けているほか、CP・社債市場では良好な発行環境が続いており、企業の資金繰りは良好であるとの認識で一致した。委員は、資金需要は運転資金や企業買収関連を中心に緩やかに増加しており、銀行貸出残高は中小企業向けも含めて緩やかに増加しているとの認識を共有した。』

まあここは順当。

『以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。』

ということで・・・・・・・・・・・

『わが国の景気について、委員は、輸出と生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっているが、国内需要の面では、前向きな投資スタンスが維持されているほか、個人消費が底堅く推移しているなど、家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと作用し続けており、緩やかな回復を続けているとの認識を共有した。』

お、おぅ・・・・・・・・・・

『ある委員は、わが国経済においては、交易条件の改善からマクロの所得形成のメカニズムは頑健であり、外生的ショックへの耐性が相応に備わってきているとの認識を示した。』

まあそうかも知らんがマクロの所得形成が家計の所得の所までいやまあいいです。

『輸出について、委員は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっているとの認識で一致した。委員は、その背景として、中国をはじめ新興国・資源国経済が減速する中で、世界的に貿易・生産活動が停滞していることや、IT関連需要の弱さが挙げられるとの認識を共有した。』

『複数の委員は、9月の中国向けの輸出が、スマートフォンの新モデル投入の影響から、情報関連財を中心に大きめの増加に転じたことをポジティブな動きとして指摘した。』

ほほう。

『先行きの輸出について、大方の委員は、当面横ばい圏内の動きを続けるとみられるが、その後は、新興国経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかに増加していくとの見方で一致した。そのうえで、ある委員は、構造的に輸出が伸びにくくなっている可能性を考慮すると、先行きの輸出の増加ペースは慎重にみておく必要があると付け加えた。』

「ある委員」の見解の方が分があるように思えますが。

『設備投資について、委員は、企業収益が明確な改善を続ける中で、緩やかな増加基調にあるとの認識で一致した。委員は、先行きも、企業収益が明確な改善傾向を辿る中で、緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。』

うーんこの。

『一人の委員は、今後、設備投資の積極化が期待されるとの見方を示したうえで、その際、非製造業を含めて企業が生産性向上や省力化に繋がる工程の改善を併せて図ることの重要性を指摘した。』

ただのべき論に見えますが。

『この間、ある委員は、短観の設備投資計画に比べると機械受注や資本財出荷は弱めであり、ミクロレベルでは人手不足などから設備投資を見合わせたという話も聞かれていることを指摘し、現時点の高い設備投資計画は下方修正される可能性があると述べた。』

うむ。

『雇用・所得環境について、委員は、労働需給が着実な改善を続けるもとで、雇用者所得は緩やかに増加しており、先行きも、経済活動や企業業績の回復につれて、緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。』

まあ所得が2%物価上昇に整合的な上昇をしていないけどな。

『複数の委員は、名目賃金は、毎月勤労統計のサンプル替えの影響で基調が読みにくくなっているが、実態としては緩やかに上昇しているとの見方を示した。』

確報でまた下がっていたけどね。

『一人の委員は、パートの時間当たり名目賃金が安定的に上昇している点を指摘して、物価を安定的に上昇させるという観点からは、時間当たり名目賃金の動向が重要であると述べた。』

そらそうなのだが全体としてそうならないと厳しいですよね。

『個人消費について、委員は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移しているとの認識を共有した。複数の委員は、7〜9月の実質消費支出と実質小売業販売額がいずれも前期比プラスとなっていることを指摘して、個人消費は天候不順の影響などによる一頃の弱さからは脱しつつあるとの認識を表明した。ある委員は、インバウンド消費の寄与が小さいスーパーの売上高がしっかりしていることは、家計所得の着実な増加の効果の現れであり、個人消費のベースは相応に強いとの見方を示した。』

『複数の委員は、雇用環境の改善の好影響を受けにくい年金世代の消費の動向が個人消費全体に与える影響については不確実性がある点に注意を促した。もっとも、このうち一人の委員は、タイトな労働需給を受けて勤労世代の実質所得は堅調に増加すると予想されることから、個人消費全体としては底堅さを増していくと考えてよいとの認識を示した。』

まあこの辺は先の状況見ないと何ともという感じなのですが、世帯所得が上がるのでウマーという展開よりはやはりパーヘッドの所得が上がる方がウマーな訳でして、生活補填の為に世帯所得を上げようと非正規雇用に参加という状態で世帯所得が上がるという場合だとそらまあ名目の消費は増えているのかも知れませんが、マインドセット的にどうなのよというのはある訳でして、まあ実感としてマインド上がるかという話だったらやはりパーヘッドの所得が物価上昇に整合的に上がっていかないとサステイナブルにならないような気がします。

住宅投資は飛ばしまして生産。

『鉱工業生産について、委員は、新興国経済の減速に加え、在庫調整の動きもあって、このところ横ばい圏内の動きとなっているとの認識で一致した。先行きの生産について、委員は、当面横ばい圏内の動きを続けるとみられるが、その後は、新興国経済が減速した状態から脱し、在庫調整が進捗するにつれて、緩やかに増加していくとの見方で一致した。 』

まあその肝心の海外は下振れリスクですけどね。


・展望レポート経済部分

展望レポートの点検部分に参ります。『2.経済・物価情勢の展望 』から。

『経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、委員は、家計、企業の両部門において所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調を辿るとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に緩やかな増加に転じると考えられるとの認識で一致した。』

『そのうえで、委員は、わが国経済は、2015 年度から 2016 年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けるとの認識を共有した。大方の委員は、その後、2017 年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持するとの見方で一致した。』

今の建付けで問題なのはその速度なんですけどね。

『大方の委員は、7月の中間評価時点と比べると、2015 年度は、輸出のもたつきや個人消費の鈍さから下振れているが、2016 年度と2017 年度は概ね不変であるとの見方を共有した。』

ということで毎回のように下方修正というか後ずれしている訳で、「2年程度を念頭にできるだけ早期に達成する」という呪縛を何とかしないままで平然と2度目の先送りをやっているのが意味不明というか、ロジックが訳分からなくなっている原因(なので後の方の政策提案で佐藤さんが今回も提案していますけどね)。

『この間、ある委員は、所得から支出への循環メカニズムの作用は、成長期待が低いもとでは力強さが見込めないとの考えを示した。別の一人の委員は、見通し期間中、基調としては潜在成長率に概ね見合った成長が維持されると述べた。 』

前者が佐藤さんで後者が木内さんに見えますが、緩やかでも循環メカニズムが効いているのならばそれはそれで良いのではないか、という発想に立って政策運営をすることによって、今のような短期勝負(というか長期化すると爆発する)政策の継続といういずれかの時点で大激突必至でそうなると今度は政策の継続性に疑問が生じて逆に期待形成がおかしくなるというリスクを避けるのが吉だと思いますな。

『2015 年度から 2016 年度の景気展開について、委員は、輸出は、当面横ばい圏内の動きを続けた後、新興国経済が減速した状態から脱していくもとで、既往の為替相場の動きによる下支えもあって、緩やかに増加していくとの見方で一致した。設備投資について、委員は、過去最高水準にある企業収益や金融緩和効果が引き続き押し上げに作用する中、国内向け投資の積極化などもあって、増加を続けるとの認識を共有した。ある委員は、人手不足が続くもとで、企業は設備投資によって生産性を向上させる必要性が高まっている点を指摘しつつ、こうしたことも設備投資を押し上げる要因として働くとの見方を示した。』

輸出と設備投資に関しては大体毎度この調子なのですが、見通し通りに出てこないですよね。

『委員は、個人消費について、雇用環境の着実な改善が続き、賃金が上昇していくことや、エネルギー価格下落による実質所得の押し上げ効果が働くことなどから、緩やかに増加すると予想されるとの見方を共有した。』

『2017 年度にかけては、委員は、2017 年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、設備投資の増加ペースが資本ストックの蓄積に伴って低下していくとの見方で一致した。』

おう2016年度後半に2%になるころに所得の増加がそこまで追いつくのかという話はスルーかよ。

『もっとも、委員は、輸出が、海外経済の成長などを背景に緩やかな増加を続けるとともに、国内民間需要も、緩和的な金融環境と成長期待の高まりなどを受けて底堅く推移するとの認識を共有した。また、委員は、見通し期間を通じて、潜在成長率は緩やかな上昇傾向を辿り、中長期的にみた成長ペースを押し上げていくとの認識で一致した。 』

成長期待と潜在成長率についても上がるという見通しの中で全然上がらない訳でして、特に潜在成長率に関してはもう何年その見通しでやっているんだと小一時間。いやまあ政策当局として上がらないという話をするのはイクナイというのは分かるんだけど、その辺の置きが全然達成できない状況が延々と続く中なのに前提が毎度これというのもどうなんでしょうかねとは思います。


・展望レポート物価部分

『物価情勢の先行きを展望すると、大方の委員は、消費者物価の前年比は、@物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていく、A2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016 年度後半頃になる、Bその後は、平均的にみて、2%程度で推移する、との見方を共有した。』

お、おぅ・・・・・・・・・・・

『これらの委員は、7月中間評価時点と比べると、2%程度に達する時期が後ずれしているが、これは主として原油価格下落の影響によるものであり、物価の基調は着実に改善しているとの認識で一致した。』

はいはい原油のせい原油のせいなのですが、逆に原油価格が需要要因じゃなくて供給要因で上昇しだしたら物価にはプラスだけれども経済にマイナスになる訳ですがその時に何を言い出すのでしょうかね。

『物価の基調が改善していると判断できる理由として、多くの委員が、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比が、今年の春先からプラス幅を拡大しており、直近9月には 1.2%まで上昇していることや、消費者物価(除く生鮮食品)の上昇品目比率から下落品目比率を差し引いた指標がはっきりと上昇していることなどを指摘した。』

今度出す幾つかの日銀版物価指数(つーても総務省の数字をベースに出してくる筈ですが)を例にだしていますな。

『この間、複数の委員は、需給ギャップの改善がやや遅れている点も2%の達成時期の後ずれに多少寄与していると付け加えた。』

そらそうよ。

『なお、ある委員は、2016 年度後半頃に2%程度に近づくと考えているが、この見通しは、大方の委員の見通しを包摂する上述の表現と広い意味で整合的であると述べた。』

白井さんとみられますが、また金懇で「私言いましたよね」のクオリティが炸裂している件は後日。

『こうした大方の委員の見方の一方で、複数の委員は、見通し期間中には2%程度に達しないとの認識を示した。このうち一人の委員は、下振れリスクはあるが、エネルギー価格の影響を除けば見通し期間を通じて前年比1%前後の上昇率は概ね維持できるとの見方を示した。』

佐藤さんと木内さんキタコレですが、一人の委員は佐藤さんでしょうな。でもって佐藤さん(と思われる人)がここで1%という数字を出しているのは中々味わいがあって(前からそういう見通しですが)、目標として2%を目指すのはそうなのですけれども、現在の成長力等を勘案すると1%程度の物価上昇が整合的というようなかつての白川ドクトリンの継承を含意していたり、1%程度を維持ということでデフレ状態ではないという説明を含意していたりみたいな話で、後の方でローリングターゲットの話とか出ていますな。


・でもって需給ギャップ

『委員は、物価の基調を規定する主たる要因である需給ギャップと中長期的な予想物価上昇率について議論した。』

ほうほうという所ですが、そういやマネタリーベース直線一気理論はどこに逝かれたのでしょうか?

『まず、需給ギャップについて、委員は、輸出のもたつきの影響などを受けつつも、労働需給の引き締まり傾向が続くもとで、労働面を中心として、着実に改善傾向を辿っているとの見方で一致した。先行きについて、委員は、2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長が続くもとで、需給ギャップは、プラス(需要超過)に転じた後、プラス幅を一段と拡大し、その後2017 年度には、プラスの水準で横ばい圏内の動きになるとの認識を共有した。』

まあ問題はそのペースで2016年度後半に2%行くのかという話ですが。

『一人の委員は、原油価格の下落は、中長期的には、家計の実質所得と企業収益の増加をもたらし、消費と設備投資にプラスの影響を与えることで、需給ギャップを改善させるとの認識を示した。』

言いたいことは分かるが中長期的に原油価格が下落しっぱなしだと見通しの前提と違うのでは。

『この間、ある委員は、過去のデータから作成した需給ギャップによるフィリップス曲線を前提にすると、需給ギャップがゼロの時の物価上昇率は1%以下であり、2%の物価上昇率を目指すには予想物価上昇率の引き上げと需給ギャップのさらなる改善の双方が必要であると指摘した。』

先般の日銀レポート(調統謹製の方)でも粘着性の高いコンポーネントの価格が上がるためには期待の引き上げが必要という話がありましたね。


・予想物価上昇率の話が途中からグダグダになっているのだが

『次に、中長期的な予想物価上昇率について、委員は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとの見方を共有した。』

翌月に「弱めの物も見られるが」になっていた気がしますが。

『委員は、労使間の賃金交渉で、本年のベースアップが昨年を上回っていることや、価格改定の動きに拡がりと持続性がみられることなどを指摘しつつ、企業の賃金・価格設定スタンスは、特に本年度入り後、明確に変化しているとの認識を共有した。』

賃金は全然足りないし、価格設定はここからの消費次第でしょうな。

『ある委員は、消費者は、購入頻度の高い商品などが値上がりしていることを敏感に感じ取っており、国民の間ではデフレではないという意識が広まってきているとの見解を示した。』

敏感もへったくれも散々報道されているのですが。

『別の一人の委員も、家計は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比が0%程度で推移するもとでも、物価は大きく上がっていると実感しており、今後も下がっていくとは予想していないとの見方を表明した。』

ちなみに生活物資の価格設定は実質値上げ的な形の方が目立つようになっていますけどね、単に個人的なアネクドータルな話ですけど。

『複数の委員は、こうした家計の実感を勘案すると、物価情勢などの説明の仕方には十分な注意が必要であるとの見解を述べた。一方、複数の委員が、エネルギー価格下落による実質所得増加の効果が剥落することにより、家計の値上げに対する許容度が低下するリスクに注意が必要であるとの認識を示した。』

えーっとちょっと待て、今更何でそんな話になるんだという感じで、元々は「物価が上がるとバックワードルッキングでインフレ期待が上がってウマー」という話をしていたじゃねえかよおまいらという所で、この議論だと2%に向けてホイホイ物価が上昇する時に家計所得の上昇が伴わないとマズーという話になっていて、そらまあその通りではあるのですが何を今更という感じではありますし、それって「何が何でも2年で2%」というのと話が矛盾するだろと思う次第。

『別の一人の委員は、企業や市場の予想物価上昇率の指標の一部にみられる弱さには留意すべきであると述べた。』

うむ。

『こうした議論を経て、大方の委員は、賃金の上昇を伴いつつ、物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは着実に作用しているとの認識で一致した。そのうえで、委員は、企業収益の水準や労働需給の引き締まりの割には、賃金の上昇がやや鈍い点に留意が必要であるとの認識を共有した。』

『先行きについて、大方の委員は、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を推進し、実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想物価上昇率も上昇傾向を辿り、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂し、企業の賃金・価格設定スタンスは積極化していくとの認識を示した。』

賃金が上がらないのだったら物価目標達成も後にずれて然るべきみたいな話にも見えますなあ。

『これに対して、一人の委員は、中長期的な予想物価上昇率が、2%程度に向けて次第に収斂していくのは難しいとの見方を示した。』

木内さんですな。

でもって上記の続きに物価の基調の所でコストプッシュだけではない的な話があって、その後にリスク要因の話があるのですがその辺は華麗にスルーしまして(さすがに大杉なのと時間の関係)、


・金融政策運営の話でも両にらみというか何というか

やっと『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』に到達(汗)

現在の政策継続が適切という話のあとこんなのが。

『ある委員は、多くの国民や企業経営者の間では、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮し、デフレ脱却は進んでいると評価されており、現在の政策を持続することにより、こうした信認を保つことが重要であるとの見方を示した。』

『別の一人の委員は、日本銀行が物価の改善基調を維持するように政策運営を行っている限り、日本銀行の物価安定に対する信認が失われることはないとの見方を示した。』

前半のはああそうですかという感じですが、後半の「別の一人の委員」の見解って丸め過ぎているので一瞬何のことか分かりにくいのですが、これは「物価の改善基調を維持する政策を実施というのには別に今の政策をそのまま継続することを意味しません」と考えれば要は政策の持続性を勘案したらQQE自体は継続しても中身を変えるのはあり得るでしょということをしらっと記載しているのですなこれ。

『そのうえで、多くの委員は、第2の柱で点検したとおり、見通しに関するリスクバランスは、経済・物価ともに下振れリスクが大きいため、リスクの顕在化によって物価の基調的な動きに変化が生じ、「物価安定の目標」の早期実現のために必要があれば、躊躇なく政策の調整を行うべきであると述べた。』

ということでここを読みますとオー追加緩和という話になるのですが、その前にある予想物価上昇率に関するグダグダ部分とか、直前のしらっと入っている少数意見なんぞも見ますと、結局の所今回の議事要旨は先ほど申し上げたように「なしなし」から「ありあり」を見据えているんだなという事を見せにきているんじゃねえかと思った次第。

『このうち一人の委員は、追加緩和の手段は様々なものが考えられ、必要であれば追加緩和の手段に限りはないと付け加えた。』

手段はあっても実際に出来るのかどうかは別問題ですけどねえ。

『複数の委員は、2%の達成時期が後ずれすることと、「2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」というコミットメントとの関係について見解を述べた。』

キタコレ!

『これらの委員は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」の早期実現にコミットすることで、人々のデフレマインドを転換し、予想物価上昇率を引き上げることは、デフレ脱却という目的そのものであると同時に、「量的・質的金融緩和」の政策効果の起点であり、そのもとで、企業や家計の物価観は大きく変化してきたとの認識を示した。』

でもまだ2%達成には足りないという結論が調統謹製のレポートにありましたよね!!!!

『このうち一人の委員は、予想物価上昇率を引き上げて2%にアンカーし直さなければならないという課題に直面する日本銀行にとって、このコミットメントは必要な装置であるとの認識を示した。』

それは良いのだが既に2年半たってそのようなことを言う状況なのにコミットメントが本当に必要なのでしょうか却って信頼損ないませんかねえというお話ですして、先ほど出ていた「物価の改善基調を維持するように政策運営を行っている限り、物価安定に対する信認が失われることはないとの見方」というのがそれに対するカウンターだと思うのですがね。

『この間、見通し期間中には物価上昇率は2%程度に達しないとの認識を示した複数の委員は、これとは異なる見解を唱えた。』

『このうち一人の委員は、このコミットメントは常に先行き2年程度を念頭に置く一種のローリングターゲットと考えていると述べた。もう一人の委員は、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指していくべきであるとの考えを示した。』

ということで佐藤さんと木内さんキタコレな訳です。


・割と早かったのは木内さんへのいちゃもんが無かったからですかそうですか

でもって最後に毎度の木内さんの反対提案。

『一方、一人の委員は、「量的・質的金融緩和」の効果は、実質金利の低下一巡に伴って限界的に逓減しており、国債市場への影響など副作用が既に効果を上回っていると述べた。そのうえで、この委員は、@長期国債保有残高の増加ペースを、段階的減額を視野に入れて、「量的・質的金融緩和」導入時を下回る水準まで減額すること、A「物価安定の目標」の達成期間を中長期へと見直すとともに、金融不均衡などのリスクに十分配慮した政策運営を行うこと、を主張した。また、これは、早期の「量的・質的金融緩和」終了や金利引き上げに向かうものではないことを指摘した。』

という所で今回の議事要旨が終わっていまして、「理論的にも実証的にも副作用は無い(キリッ)」とか威勢の良かった木内さんへのいちゃもんが無くなっていたのにはほほーと思いまして、これは遂にいちゃもんつける元気がなくなったのかどうかは知りませんが、前回もだいぶ短くなっていましたが今回は遂に削除というのが何とも。まあ当月2回目だからもう面倒なのでスルーしているのかも知れませんが、そうだとすればそもそも論としてMPMでの議論が議論になっていないでただの意見発表会で決定は全部執行部オンリーという話になっている惧れがあるので、それはそれであまり健全な姿ではないのですけどねえ・・・・・・・・・・・・

とまあそういう感じで、何ちゅうかちょっとグダグダな感じがしまして、基本は現状維持なんでしょうけれども、何かの拍子に変な物が飛び出してくる将来の可能性を示唆する議事要旨と思った次第です。

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2015/11/25

○1−3輪番減額とな

昨日の債券相場ではこんなのがありましたな。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of151124.htm

国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2015年11月26日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2015年11月26日
国債買入(残存期間5年超10年以下)4,000 2015年11月26日
(輪番以外は割愛)

中期の輪番は1-3、3-5ともに4000億円でやっていたのですが、昨日は突如1-3の輪番を減額と来まして、金曜の短国買入の2500億円への減額が来ましたという直後に今度は1-3の輪番減額ということで、シャチョーが会見でオペレーションの限界について問題ない(キリッ)と大見得を切った手前、その直後に短国買入や1-3の輪番という今一番金利がド低下してマズーとなっている所のオペで極端な結果が出ないようにという配慮キタコレというのが何とも。

ちなみにここ減らして年内の国債残高80兆円目標大丈夫かという点ですが、

営業毎旬報告

昨年12末
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac141231.htm/

資産項目中の「国債」の内訳
(単位:千円)
長期国債 201,767,624,480

ということですので、今年の末に80兆円オンする為には281.77兆円の残高にすればヨロシアルね。

でもって10月末の残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151031.htm/

長期国債 270,994,824,175

でして、270.99兆円まで残高が積みあがっているので残り10.78兆円購入すれば良いのですが、10月の輪番の月跨ぎ分が10/28の中長期輪番の1.2兆円、11月の輪番は中期輪番が8000億円が4回で今回を含めて残り2回が7000億円になるので買入額が90600億円、12月の輪番をそのまま中期7000億円で継続した場合には輪番での買入額が87600億円になりまして、年末跨ぎの輪番を入れるか入れないか(日程を逆算すると全部年内輪番に押し込むことは可能の筈)というので差が出るのですが、これを全部足した上で、

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
10月末ので計算すると年内償還が71421億円、11月10日ので計算すると72122億円となっておりまして、この差分(701億円)って償還銘柄が打ち込まれる1年以内の輪番になりますので、1年以内輪番が全部12月償還銘柄を打ち込まれるという計算を置きまして10月末の所から計算した上にさっきの買入の方を調整しますと、

残り必要額10.78兆円
10月末以降の買入分18.74兆円(さっきの足し算から2400億円を引く)
償還額7.14兆円(2年2銘柄と5年2銘柄と10年3銘柄と変国物国各1銘柄)

となりますので11.6兆円ので1兆円以内の差というギリギリにも程がある状態ですが足りている勘定になりますし、実際は額面ベースと買入価格ベースの差があって、今は変国と40年カレントともうちょっと売られれば30年カレント以外がオーバーパーなので基本この額面よりも上ぶれる(数%ですが)筈なのでまあ着地をそこまで合わせるかねとは思いますけれどもそういう計算。

なお全部手計算(表計算ソフトは使っていますが)なので計算漏れあったらスイマセンですけれども、他の人も計算していましてほぼ皆さん「これで行けるやんギリギリだけど」という結論になっているのでそういう事で。


・・・・・・・・・という訳でここで減額して最後の着地を無駄に綺麗に調整しに逝った、という考え方は勿論成り立つのですが、何せその前に短国買入を意味不明に拡大しているという前科のある中でのここでの買入減額なのでどう見ても短期ゾーンの金利低下に配慮というか、極端な結果が出てくるのを懸念という感じですな。というかそもそも減額できるのであったらもとより1-3の金利って年末ガーの話がクソ盛り上がりする前から低位で張り付いていたのですから、11月の頭から1回500億円減額しても良かったんじゃネーノとは思う次第で、まータマとして残しておいたのでしょうけれども、打つタイミングがアレすぎて実に味わいがあるというものですな。

でまあ市場に配慮(?)の成果として(かどうか知らんが)昨日の中短期ゾーンの金利は2年が一時3毛甘のゼロ%まで金利上昇するというチャーミングな展開となりましたが、結局マイナス0.5bpに戻して終了して、2.5毛甘は2.5毛甘ですけれども所詮はマイナス金利ですかそうですかという結果になっておりました。

でもってこちらの配慮に短国市場が反応したかと言いますと、最早短国市場ちゃんは入札の日と短国買入の日以外は流動性が皆無で、どこかの投資家が売りに来るとその銘柄だけ流動性が発生する位の勢いになっているので居場所がよくワカランチ会長ですけれどもまあ概ね引けは変わらずとなっていまして、せっかくの火消しプレイなのでまあいちゃもんつけるのも何だなとは思うものの、日銀の対オープン市場(インターバンクではないという意味なので債券市場も含めて)に対するオペレーションの昔からの仕様であって伝統芸能状態なので仕方ない面はありますが、「散々燃えて焼け野原になった後に火消人登場」という時既にお寿司感の漂う展開になる、というのは直近で言えばリーマンショック後のGC市場やCP市場を見ても(全然直近じゃないけど)良く分かるというものでありまして、また日銀の伝統芸能が登場かと残念感をぬぐえません。

まーしかも火消しと言っても買入残高を拡大することには変わりないのが残念な所(ディレクティブ上仕方ないけど)でして、2013年の債券急落みたいに日銀が買入を続けて逆方向のオペレーションをしているのであればいずれ火消が効いてくるのですが、所詮は買入のペースをちょっと緩めてみましたというだけの話ですし、大体からして来年は買入を拡大しないといけません(ちなみに償還は額面ベースで38.2兆円あるので118.2兆円の買入な)ので結局買入は拡大するわ国債の市中消化は減るわで単にちょっと延命しただけの話になるんですけれども、まあこの時点でいきなり極端に輪番が飛んでオペの限界と言われるのがどう見てもマズーだという認識なのは把握しました。

でもって昨日もしつこく申し上げましたが、短国の恒常的なマイナスというのを何とかすると中短期の需給も相当緩みますので輪番の維持可能性がやや長くなる(金利が無いものを買うから無茶なのであるものを買う分には何とかなる)とは思いますが、まあ今の建付け上できないのが残念無念なところで、恒常的に短国がドマイナスという状態が続いたらどう見ても持たないですなあと思うのでした。


○総裁会見ネタの続きを少々

上記の検算してて自分で計算間違いに気が付いて時間を空費したので(汗)ネタが溜まる中消化が追いつかないの巻ですが昨日の続き。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1511c.pdf

・そもそも原油安はグローバルの需要減退ではないかという質疑

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は原油安と物価の関係についてです。先般公表された展望レポートでは、原油の想定レートを引き下げられましたが、足許ではドバイが 40 ドル程度になっており、さらに現在の想定を大きく下回って推移しております。この背景には、中国経済、新興国経済の減速の影響もあると言われていますが、そうであれば需給ギャップという面を通じて、日本の物価の基調、先行きに対する一段の下押し圧力になるという要素も含むと思います。今の原油価格を念頭に置いた場合、2%の達成時期がさらに遅れるリスクをどのように考えているのか、その場合、こういう状況の中で原油要因と言いきれるのか、総裁はどのようにお考えでしょうか。(後半割愛)』

「と言われていますが」じゃなくて背景がそういうことだったらマズーなのですがそういう点は考えていないのでしょうか、という質問の方が端的な答えが出たと思いますが。

『(答) 1 点目については、2 つ関連した質問をされているわけですが、1 つは、「ドバイ原油が1 バレル 50 ドル程度と言われていたものが 40 ドル程度になってきていることの原因として、例えば中国経済の減速というのが効いているのではないか、そうだとすれば、それ自体として、日本経済等に影響が出るのではないか」ということだと思います。』

うむ。

『今の時点で、40 ドルになっていることの原因を需要・供給で細かく分析するのはなかなか難しいと思いますが、中国の経済自体は、ご承知のように、IMFも今年の成長率を 6.8%とみていますし、中国政府も 7%程度の成長をするだろうと言っているわけですが、そうしたもとで、中国自体の原油の輸入量は依然として着実に伸びています。従って、中国が原油の輸入を大きく減らして、それが例えばドバイ等の市場に大きく影響しているという指摘は、あまり当っていないのではないかと思います。』

現実に減らさなくても先行き減ると思ったら価格下がるだろいい加減にしろ。

『ただ、その他の新興国とか世界の経済の動向が影響しているかもしれません。一方で、イランその他からの石油の供給が増えるのではないかという見方もあり、供給面が原因かもしれないということで、必ずしも 40 ドルになったということが中国の減速が原因であるという指摘はあまり当っていないと思っています。』

要するにゼロ回答。

『そうした上で、もう 1 つの「50 ドル程度から緩やかに上がっていくと想定していたのが、足許 40 ドル程度まで落ちているではないか」ということですが、想定はあくまでも一定の期間をとってみた場合であり、ドバイもWTIも、それからブレントも、日々あるいは週毎にもかなり振れていますので、もう少し長い目でみてどうなるかをその時点で考えればいいと思います。』

はいはい人のせい人のせい。

『足許で短期的に振れているからといって、直ちに 2%の「物価安定の目標」の到達時期が後ずれすると今から決める必要は全くないと思います。元々展望レポートの前提には、原油の先物価格を使っていますので、今後もその市場の動向には十分注意していく必要があると思いますが、ごく短期の動きで何か直ちに変える必要はあるとは思っていません。(後半割愛)』

ということで全然答えになっていないのですが別の質問から。

『(問) 総裁が就任される前の金融政策運営においても、GDPが 2 四半期マイナスだとかCPIがマイナスになることについて、やはり、人々の期待がアンカーされていないから、ということも言われていたと思います。今までのところ、金融政策は所期の効果を発揮しているということですが、金融政策の所期の効果と成果というのは違うような気がしていて、金融政策の所期の効果が発揮されているのであれば、様々な原油安や海外経済の減速等もありますが、2 四半期連続のGDPマイナスやCPIもマイナスという状況は避けられたのではないかと思います。所期の効果と成果は違うのかどうか、その辺をお伺いします。』

中々イヤミなツッコミなのですが、回答はと言いますと・・・・・・・・・

『(答) 「量的・質的金融緩和」について、考えていたところの所期の効果は発揮していると思っています。ただ、これはどこの中央銀行でも政府でも同じですが、日本銀行にとっても、例えば、原油価格が昨年の夏以来 6 割程度下落するなど、予想していなかった状況が起こって、それが物価上昇率にかなり大きな下押し圧力になっているということは事実です。』

はいはい原油のせい原油のせい。

『物価上昇予想、期待が 2%程度の目標にアンカーされている米国でも、足許の物価上昇率はほとんど 0%ですし、欧州でも同じです。具体的な足許の物価上昇率は様々な要因によって影響されますので、金融政策の効果がないということでは全くないと思っています。』

効果が無いという質問をしているのではなく、達成できていないのだから成果が無いのではという質問をしているのに効果の方に話を変えて答える藁人形論法というか想定問答丸読みというか。

『それから、GDPの 1 次速報値が前期比マイナス 0.2%となり、2 期連続のマイナス成長であることは事実ですが、この 7〜9 月期は 4〜6 月期と違って、最終需要はかなり大きく伸びています。GDPのベースで小幅のマイナスになったのは、主として在庫投資がかなり大きなマイナスになったことによるものですので、4〜6 月期とはかなり様相が違っているのではないかと思っています。』

はいはい在庫在庫。でも本当にロバストだったら在庫調整ですかさずマイナスになるような経済にはならんのと違いますかねえ?

『いずれにしても、物価安定を目標として、具体的にはほとんどの国で2%の物価上昇──これはどこの国でもそうですが、総合指標で物価が 2%程度上昇するということ──を目標にして、金融政策を運営しています。そういう点についても、日本銀行と他の中央銀行との違いはないと思います。』

ということでやはり説明になっていないのでした。


・これは質問がダメダメ感なのでさらしておく

こんなのがありました。

『(問) 2 点お伺い致します。(前半割愛)もう 1 点は、それと関連してドルの調達コストが上がることで相対的に円を調達するのが有利になった海外投資家が日本の短期国債に非常に入ってきていて、それによって短期金利が非常に大きく下がってマイナスが深くなっています。この点について、イールドカーブが一部の年限だけ非常に下がるということについて、何か問題等をお考えになっていらっしゃるかどうか教えてください。』

一部の年限だけじゃないし、問題なのは最終投資家が買えないような金利水準まで低下していることによって市場の頑健性が損なわれる懸念なんですけど何か質問の時点で「一部の年限だけ」とか本質的な問題になっていないような聞き方をしている時点でダメダメにも程があるので質問者の猛省を促したい。

『(答)(前半割愛)2 番目の短国の金利が一部マイナスになったことの原因については、ご指摘のことも含めて色々な指摘がありますが、短国の金利がマイナスになっているというのは、ある意味「量的・質的金融緩和」が相当効いているということでもありますので、現時点で特に何か問題があるとは考えていません。』

とまあそう答えるわなという所ですが、実際にはこの翌々日に短国買入を大幅減額している辺りが色々と味わいがあるというものです。

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2015/11/24

○短国買入ェ・・・・・・・・・・・・・

ということでまずは市場メモである。

金曜は長い方は流動性供給があったので注目は短国買入になったのですが・・・・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of151120.htm
国庫短期証券買入 2,500 2015年11月25日

うーんこのという買入で、さすがに市場が爆発しているから買入を減らしたのか、それとも単に札が無いのか訳分からんオファー額でして、少なくとも1年新発はオペ用で持ちになっていると思われた(3Mはベーシススワップ絡みでの買いがリアルに入っているのだが1Yだとスワップ絡みとはあまりならない筈なので)のでこの額を見てどうにもこうにもという感じで、3M辺りはこのオペオファー出た後に強くなっていたりしてもうワロタとしか申し上げようがない展開。

たぶん1Yカレントの札はそこそこあった筈だし、前日に年末越えの短国引けが軒並みマイナス3bpとかに強くなっていたので入れることのできそうなものも増えているとは思ったのですが、2500億円というオファー額が何とも中途半端でこれは札が無いのかと思ってしまう人が出てもおかしくは無い展開(さすがに札あるだろとは思ったものの)。


でもって落札結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba151120.htm
国庫短期証券買入12,070 2,500 0.030 0.048 54.3

ということで1.2兆円の札かよ少ねえなと一瞬思ったのですが、最近オペを一人で封鎖させないようにという考えなのかどうかは知らんのですが、応札限度額がオファー額の半分というケースが多くて、今回もそのパターンという中での1.2兆円だとまあ札は結構ありましたなという結果で、足切平均からしてカレント銘柄が入りましたなという結果ですが、何せ6Mと1Yカレントがオペ用状態になっているだけに特に新発1Yが浮いてきたようで、その後は3Mよりも1Yの方が金利が浮く(というかマイナスが縮小する)格好になって引けベースでは1Yカレント571回がマイナス10.6bp(前日比3.2毛甘)で3Mカレント572回がマイナス10.4bp(前日比0.8毛甘)となっていましたが、既にオペに持って行かれている6Mカレントはマイナス14.3bp(前日比0.1毛甘)とあまり気配が変わらずの巻となりましたな。

でまあベンダーとかの後付講釈見ていると市場に配慮したというよりも単にMBの進捗的に短国買入をそんなに打たなくて良いからという解説もあるのですが、仮にそうならばそもそもその前の短国買入で(6Mや1Yの入札週でもないのに)1.5兆円の買入を打つ必要はない訳でして、市場の需給が逼迫する前に短国買入を積み上げておきたいという背景が無ければ1.5兆円もわざわざオファーしていないのであって、金曜の2500億円に関しても着地をにらんで減らした、というよりは市場があの有様でさすがにヤバいと思いながらも、でも買入残高はまだ積まないといけない(何でそういう計算になるのかは良く分からんのだが民間が把握していない財政のブレとかがあるんでねえの)という状況なので買入はやっぱりしたいんですけどというようなイジマシイというかショボイというかな小市民的なサムシングの方を感じるんですけどね。そこで2500億円ぽっちの為にオペ打つのかよという感じでございまして。

しかしまあ何ですな、どうせ市場に配慮するなら買入見送りにすればと思いますし、1.2兆円札が湧いて出てくるんだったらそもそも応札限度満額にして打ったらもっと札あったんじゃネーノ(つーか5000億円で応札限度満額でも札もっと入っていたんチャウの)とか、色々と中途半端なオペ打ちやがるなあと思う訳で、まあすべてはその前の短国買入1.5兆円が需給の逼迫感に拍車を掛けて市場が調子に乗ってしまう事になった訳で、前の週の短国買入1兆円にしておけばもうちょっと違ったと言いますか、金曜の買入をここまで減額しなくても済んだと思うのですけどねえ。


ということで、まあ戻ったと言いましても所詮はマイナス10bp(6Mはマイナス14bp)の世界ですし、何気に2年の引けとか更に進んでいて2年カレントの引けがマイナス3bpとかになっている訳でございまして、何ちゅうかもうオペ減額したものの市場の方が壊れてしまっているようで、こりゃまあ戻ることがあってもプラスの水準に戻って推移するような普通の市場になるのかどうかという点に関してはかなり怪しい感じで、破断界超えてしまったかもねという時既にお寿司状態なのではないかと思いながら乾いた笑いを浮かべて板を見るのでありましたとさ(白目)。

いやまあどうせなら金曜の短国買入は何も考えずに1.5兆円の入札を行っていただいて出来上がりの落札金利がマイナス20bpだのマイナス50bpだのという凄まじい金利になってくれて翌日の日経新聞の1面か経済面を堂々と飾るような展開になって頂きますと問題が世間様にも知れ渡ってオペレーションの限界みたいな話が出易くなりますので、その結果として短国馬鹿買入も見直されてくるとかなると実は災い転じて福となすではあったりするのですが、そらまあオペレーションの限界という話が出るのはマズーでしょうからね。

#札割れ(もどき)対策という意味では短期の需給を無駄に締めないようにすればイールドカーブの手前が極端なマイナスに突っ込まなくなるので、オペレーションが持ちやすくなるので短国買入は極端に言えばゼロまで減らした方が(オペを持たせるという意味だけで言えば)お得だとは思いますけどまあやらんわな


○日銀満を持して(かどうか知らんが)物価コア指数関連のペーパーキタコレ&日銀コアコア公表とな

・新指数キタコレ

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20H64_Q5A121C1000000/
日銀が新物価指標、今月から公表 除く生鮮・エネは27日午後2時に
2015/11/20 12:00

『日銀は20日、消費者物価指数(CPI)に関連した新たな物価指数の公表を今月から始める方針を明らかにした。総務省によるCPIの発表日の午後2時ごろに「生鮮食品とエネルギーを除く指数」、「上昇品目数と下落品目数の比率」、価格変動の大きい上下10%の品目を除いて算出する「苅込平均値」の3つの指数を発表する。』

『またCPIの発表から3営業日以内に、物価上昇率ごとに品目を分類した時に品目数が最も多くなる「最頻値」、物価上昇率の高い順に品目を並べた時にちょうど真ん中にくる中央値に、品目ごとのウエートを加味した「加重中央値」を公表する方針。』(上記URL先より、原文ママ)

普通トリムドミーンの平均って「刈込平均」というと思うのですがまあそれは兎も角としまして、総務省の向こうを張って日銀コアコアとか刈込平均を出してくるという事のようですな。

でまあ金融政策月報や展望レポートでも堂々示している位ですから、低い数字ばっかり出てくるコアCPIではなくてほらこのような数字ですよというお話をする為に出してきました、というお話でしょうし、その結果として金曜の債券市場はこのニュースを受けて「物価目標を行ったことにする攻撃が遂に正式にキター!!」という話になって、その前3日連続で前日比引けとかになっていた先物も下がって長期超長期が1.5毛ほど甘くなるという攻撃になりましたですな。


とまあそういうことですので、面白おかしく説明すると「コアCPIが上がらないのだから別のコア指数を作れば良いじゃないか」という荒業に出たという事になりますが、もはや伝統芸能と化している日銀の微妙な間の悪さという事を勘案しますと、これを出したは良いけれども出している内に日銀コアコアの数値が頭打ちから弱含みに転じてくるというようなオモシロ展開になってしまうのではないかという死亡フラグ的なものを感じるのはアタクシだけでしょうかそうですか。



・ということで新指数よりもこっちを読むべし

金曜にコア物価指数に関する2本のレポートがありまして、まずは1本目。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j11.htm/
消費者物価コア指標とその特性
― 景気変動との関係を中心に ―

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j11.pdf
消費者物価コア指標とその特性
――景気変動との関係を中心に――

まずは最初のエグゼクティブサマリーから。

『本稿では、現実に観測される消費者物価の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた所謂「コア指標」を幾つか試算したうえで、それらと景気変動との関係を中心に考察する。』

キタコレ。

『具体的には、わが国の消費者物価を対象に、従来から利用してきた「除く生鮮食品」、「除く食料・エネルギー」、「刈込平均値」に加え、最近金融経済月報等で活用している「除く生鮮食品・エネルギー」、品目別価格変動分布において最も頻度の高い価格変化率である「最頻値」や、価格上昇率の高い順にウエイトを累積して 50%近傍にある価格変化率である「加重中央値」といったコア指標の景気循環上の特性について分析する。』

ということで、こちらが思いっきり先ほどの日経記事と被っていますが、日銀コアコアと刈込と上昇下落割合を総務省と同日に出して、最頻値や加重中央値をその後だすという事ですから、つまりこれから日銀が出す数値の解説という大変に親切(かどうか知らんが)なペーパーですね。

『これらのコア指標と景気変動の関係をみると、除く生鮮食品・エネルギーをはじめ変動の大きな品目を予め控除したコア指標は、需給ギャップとの連動性が相対的に高い一方で、最頻値や加重中央値といった分布のシフトを表すコア指標は粘着的で、需給ギャップとの関係も弱めとなっている。』


で、『はじめに』から少々。

『本稿では、わが国の消費者物価を対象に、従来から利用してきた「除く生鮮食品」、「除く食料・エネルギー」、「刈込平均値」に加え、最近金融経済月報等で活用している「除く生鮮食品・エネルギー」、品目別価格変動分布がどの程度シフトしているかを端的に示す新たなコア指標として「最頻値」と「加重中央値」の試算値を算出する。次に、これらコア指標と景気変動との関係について、需給ギャップとの連動性(フィリップス曲線)を中心に、定量的な分析を行う。最後に、得られた分析結果を基に、最近の物価上昇の特徴点やその背後にあるメカニズムについて考察する。


ということで、最初の『コア指標の考え方と試算方法 』というのはご案内のお話だとは存じますが、きちんと説明があるので折角の機会なので引用させて頂くぞな。

『物価の基調的な変動を捕捉することを目的として、様々なコア指標が試算されているが、大別すると2つの方法に分けられる1。』

さいですな。

『第1の方法は、変動の大きな品目を予め特定し、そうした特定の品目を除いた物価指数をコア指標とする方法である。』

うむ。

『日本銀行では、従来、「除く生鮮食品」を重視してきた。さらに、最近では、原油価格の変動が大きくなっているため、その影響を直接受け易いエネルギー関連品目(石油製品・電気代・都市ガス代)も生鮮食品と併せて除いた「除く生鮮食品・エネルギー」の動向を注視しており、金融経済月報や展望レポートでこれを公表している。米国では、総合から食料とエネルギーを除いた「除く食料・エネルギー」が重視されており、わが国でも同指標は総務省から毎月公表されている。』

『こうした方法で作成されるコア指標については、@取り除く品目のウエイトが大き過ぎると、家計が実際に直面する生計費から乖離する惧れがあること、Aどの品目を除くべきかは、各国の経済構造やその時々の外部環境に応じて変化し得るという意味で、優れて実証的な問題であること、に留意する必要がある。』

ってサラッと書いていますが、このAって置物リフレ一派の皆さんが日銀にいちゃもんつけるときに米国コアガーとか言ってやたら有り難がってみたりという話とか、そもそも論として物価目標は良いのだが「Aどの品目を除くべきかは、各国の経済構造やその時々の外部環境に応じて変化し得るという意味で、優れて実証的な問題」なのにグローバルスタンダードで2%(キリッ)というのにも微妙なサムシングががががが(ちなみにこの点については「コアではなくてあくまでも政策目標は総合指数」という返事が返ってくる見込み)。

『第2の方法は、予め特定の品目を控除することなく、消費者物価を構成する個別品目の価格変動率の分布から異常値などの影響を機械的に取り除く方法である。』

うむ。

『図表2では、例として、「量的・質的金融緩和」開始前である 2013 年 1 月時点と、直近 2015 年 9 月時点を対象に、生鮮食品を除く524 品目について、観察された価格変化率の度数分布(ヒストグラム)を示している2。両時点で分布の形状を比べてみると、最近時点において分布は全体として上昇方向(右方向)にシフトしていることが見てとれる。こうした分布の「シフト」を定量的に捕捉するためには、分布の平均値(概念としては「総合」と同じ)を計算して、その推移をみればよいという考え方はありえる。』

『ただし、それでは一時的な撹乱要因や異常値による歪みの影響から物価の基調的な変化を把握することが困難な場合もあるため、「平均値(mean)」に代わって、「最頻値(mode)」や「加重中央値(weighted median)」、「刈込平均値(trimmed mean)」が考案されている(図表3、4)。』

でもってその数値の説明部分は割愛しまして(というか引用していると全文引用になってしまう)、その数値の特性についての部分に飛びます。

『実際に作成した各種コア指標をみると(図表5、6)、除く生鮮食品・エネルギーは、最頻値や加重中央値に比べ、景気変動に応じたアップダウンが大きくなっている。実際、除く生鮮食品・エネルギーと最頻値の前年比変化率の格差をみると(図表7)、需給ギャップと明確な正の相関を示しており、除く生鮮食品・エネルギーは、最頻値や加重中央値よりも、景気との連動性が高いことが確認できる。』

ほほう。

『これは、景気拡張局面において、@除く生鮮食品・エネルギーは、需給ギャップ改善の影響を受け易い一部品目の価格上昇に牽引され、品目別価格変動分布を上昇方向(右方向)に歪めるかたちで上昇する傾向がある一方、A最頻値や加重中央値は、そうした品目が一部に限られている間はあまり影響を受けないこと、すなわち、需給ギャップが改善しても、これらの指標で捕捉される分布全体のシフトには時間がかかることを示唆している。』

価格の粘着性があるものと景気感応度が高いのがあるという事でしてその辺の説明が続くが飛ばしまして。

『各種コア指標と需給ギャップの関係について、さらに詳しく考察するため、インフレ予想を考慮した簡単なフィリップス曲線の推計を試みた。具体的には、各種コア指標を対象に、需給ギャップに加え、インフレ予想としてバックワード・ルッキングな要素(過去の実績に引き摺られる慣性効果)とフォワード・ルッキングな要素(インフレ目標に影響を受ける中長期のインフレ予想)の双方を説明変数として取り込んだ、「ハイブリッド型フィリップス曲線」を推計した。』

・・・・・・・・・・と微妙にこのインフレ予想を出してくる辺りが怪しげな感じになってきますが。

『推計結果をみると(図表9)、第1の変動の大きな品目を除いたコア指標の方が、品目別価格変動分布のシフトを表すコア指標よりも、総じて需給ギャップとの連動性は高めとなっている。本稿で焦点を当てているコア指標についてみても、除く生鮮食品・エネルギーの需給ギャップにかかるパラメータ(計表中のα)は統計的に有意でサイズも大きめとなる一方、最頻値や加重中央値の同パラメータの有意性は低く、サイズも小さめであることがわかる7。』

『さらに、除く生鮮食品・エネルギーについて、@家賃、A公共料金(除く電気代・都市ガス代)、Bそれ以外の価格弾力的セクター(=除く生鮮食品・エネルギー・家賃・公共料金<除く電気代・都市ガス代>)に分けて同様のフィリップス曲線を推計してみると、@とAは需給ギャップに殆ど反応しない一方、Bの需給ギャップにかかるパラメータはかなり大きいことから、除く生鮮食品・エネルギーの景気との連動性の高さは、価格硬直的な家賃や公共料金以外の品目によってもたらされていることがわかる。』

ということになりますが、その先の解説はこれまた飛ばしまして結論に近い所に参ります。

『以上の分析結果を念頭に、最近の最頻値や加重中央値の動きをみると(前掲図表6、図表 11)、着実に伸びが高まってきているとはいえ、0%台前半から半ば程度となっており、1%を明確に上回っている除く生鮮食品・エネルギーと比べ、改善ペースはなお緩慢となっている8。こうした最近のコア指標間の動きの違いについても、上記で説明した需給ギャップに対する感応度の違いが大きく影響している可能性が高い。』

ほほー。

『実際、近年の除く生鮮食品・エネルギーの前年比の寄与度分解をみると(図表 12)、@家賃が小幅の下落を続け、A公共料金(除く電気代・ガス代)も、自動車保険料や高速道路料金の値上げ一服の影響から、足もとではプラス寄与を縮小するなかで、B景気感応的なそれ以外の価格弾力的セクター(除く生鮮食品・エネルギー・家賃・公共料金<除く電気代・都市ガス代>)がプラス幅を明確に拡大していることが、全体の伸びの押し上げに寄与している。』

つまり・・・・・・・・・

『換言すれば、財を中心とする景気感応的な品目の価格上昇は、品目別価格変動分布を上昇方向(右方向)に歪めるかたちで、このところの除く生鮮食品・エネルギーの上昇率の高まりに寄与しているが、こうした品目の動きがなお一部にとどまっているために、分布全体の上昇方向(右方向)のシフトには時間がかかっていると考えられる。』

というのが一定の結論でして、最後の所にあるまとめに飛びますと・・・・・・・・・

『最近の動きをみても、最頻値や加重中央値の上昇ペースは、除く生鮮食品・エネルギーと比べやや緩慢となっており、これには需給ギャップの改善に対する感応度の違いが影響しているとみられる。先行きの最頻値や加重中央値が一段と上昇し、品目別価格変動分布が上昇方向(右方向)にシフトするためには、需給ギャップの改善に加え、インフレ予想ないし物価の「ノルム」がよりはっきりと高まっていく必要があると考えられる。


ということでして、こちらのペーパーで論じられている話はそうですねえと思うのですけれども、この結論ですと粘着性の高い品目の価格が動かないことには物価目標2%を安定的に維持するのは難しいですねえという話になっているような気がするんで追加緩和マダー(すべきとは言ってない)という気もするのが中々味わいがあります。


・白塚さん久々のリバイスキタコレ!

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j12.htm/
消費者物価コア指標のパフォーマンスについて

本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j12.pdf
消費者物価コア指標のパフォーマンスについて


量的緩和解除の時に
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/rev06j07.htm/
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/data/rev06j07.pdf(本文)
消費者物価指数のコア指標

ってのがありましてそのアップデートという所ですな。

まずはエグゼクティブサマリーから。

『日本銀行は、金融政策の運営に当たって、毎月公表される消費者物価から基調的な変動を見極めるため、総合指数に混入している一時的な撹乱要因を除外した各種コア指標を利用している。もっとも、こうした撹乱要因は常に一定とは限らない点を踏まえ、本稿では、わが国で利用されているコア指標のパフォーマンスについて、分析期間を通じた安定性に注目して検討した。その結果を総括すると、除く生鮮食品、刈込平均値のパフォーマンスが総じて高いことが確認されたが、同時に、原油価格の大幅な変動の影響を受けた一時的なものである可能性が高いとはいえ、足許、除く生鮮食品のパフォーマンスが低下していることも確認された。』

基本は従来通りという事ですね。

『物価の基調を的確に判断し、対外的な説明を行っていくうえでは、指標としての定着度の高さも踏まえると、引き続き除く生鮮食品を中心的な指標としつつも、刈込平均値、除く生鮮・エネルギーなど幅広い指標を活用していく必要がある。』

ということで本文の内容ですが、攪乱要因に関する分析結果が示されているのですが、思いっきり手抜き引用して(すいません)足元の物価基調に関する結論部分『(足許の基調的な変動の捕捉力の評価)』から。

『足許の基調的な変動の捕捉力に関する 2 種類のアプローチでの検証結果を踏まえると、全体として、刈込平均値、除く生鮮食品のパフォーマンスが安定して高いことが確認された。ただし、除く生鮮食品は、最近時点において、原油価格の大幅な変動から、一時的な可能性が高いとはいえ、足許のトレンドの捕捉力が悪化していることも確認された。』

では『先行きの基調的な変動の予測力 』の方に参りますと、これまた途中の分析を全部飛ばすというこのペーパーの趣旨を分かってるのかお前と小一時間問い詰められそうなプレイをして結論を引用しますと『(予測力テストのまとめ)』に飛びます。

『以上、予測力テストの結果を総括すると、刈込平均値と除く生鮮食品のパフォーマンスが総じて高いと判断される。ただし、基調的な物価変動の捕捉力と同様、最近時点においては、原油価格の大幅な変動から、除く生鮮食品の信頼性が低下していることも確認された。』

ということでして、2006年の分析とほぼ同様とはなっていますな。でもってまとめ。

『本稿では、わが国で使われているコア指標を包括的に取り上げ、それらのパフォーマンスについて、@トレンドの捕捉力、A先行きの基調的な変動の予測力という 2 つの観点から、統計的な手法に基づく検証を行った。その際、物価の基調的な変動をわかりづらくしている一時的な撹乱要因は、その源泉や影響の度合いなど、金融経済環境の変化に伴い、時間を通じ可変的であることを踏まえ、コア指標としてのパフォーマンスの時間を通じた安定性に注目し、分析を進めた。』


まあそこの部分引用していませんが(汗)。

『その結果を総括すると、除く生鮮食品、刈込平均値のパフォーマンスが総じて高いことが再確認された。ただ同時に、原油価格の大幅な変動の影響を受けた一時的なものである可能性が高いとはいえ、足許、除く生鮮食品のパフォーマンスが低下していることも確認された。』

ということで再確認されましたが、

『こうした点を踏まえると、基調的な物価変動を的確に判断し、対外的に説明していくうえでは、指標としての定着度の高さも踏まえると、引き続き除く生鮮食品を中心的な指標としつつ、刈込平均値、除く生鮮食品・エネルギーなど、幅広い指標を活用していく必要がある。同時に、各種コア指標のパフォーマンスについても、時間を通じて変化している可能性が高いことを念頭において、必要に応じ、今後とも点検していくことが望ましいと考えられる。』

ということで上の方のペーパーに話が続く、という感じですね。


○11月会合の総裁会見ですがロジックは混乱するわ質問に答えないわでもうグダグダ

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1511c.pdf


・のっけから全然質問に答えていないの巻

最初の質問から。

『(問) 月曜日に発表された 7〜9 月期のGDPは 2 期連続のマイナス成長という結果が出ました。企業が投資を先送りする姿勢が強く出ていまして、景気の停滞感が強まっているという見方もあります。以前、総裁は生産等の低迷は一時的で、7〜9 月期はプラス成長になるとの見通しをおっしゃっていたかと思いますが、今回の結果を踏まえて、国内の景気認識と今後の回復の道筋について、改めてご所見をお願いします。』

設備投資出る出る詐欺に関しての所感をうかがいたいという事ですが・・・・・・・・・・・

『(答) ご指摘の通り、7〜9 月の実質GDP成長率の 1 次速報値は、前期比マイナス 0.2%、年率マイナス 0.8%と、小幅ながら 2 期連続のマイナス成長となりました。』

『内訳をみますと、マイナス成長の主因は在庫投資であり、個人消費は底堅く推移しているほか、輸出も増加に転じるなど、最終需要は全体として増加しています。こうした内容は、わが国の景気が緩やかな回復を続けているとの評価に沿ったものと考えられます。』

そういや(今日ネタにしている暇はないが)ダラス連銀のカプラン総裁が米国の在庫減に関して「先行きへの懸念があって在庫積み増しを止めている動きもみられるようだ」的な発言をしていたりしましたなあ(なおカプランさんはダラス連銀クオリティでタカ派的講演でしたけど)というのを思い出す。

『先行きについては、先程申し上げたように、企業収益が過去最高水準まで増加していることなどを背景に、設備投資が緩やかに増加すると考えられるほか、個人消費も、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移すると考えられます。』

考えられるじゃなくて現実に設備投資の足取りが期待外れな事に関しての質問なんですが。

『輸出や鉱工業生産は、当面横ばい圏内の動きを続けた後、緩やかに増加に転じていくと考えています。従って、わが国の景気は、企業部門・家計部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続して、緩やかな回復を続けていくと考えています。最初に申し上げた通り、マイナス成長の大きな原因は在庫投資のかなり大きなマイナスですので、在庫調整が進んでいることを示していると思われますし、在庫投資を除く内需と輸出を加えた最終需要は、全体としてかなり増加していると思います。』

ということで質問に答えるのではなくて想定問答を丸読みしているのが良く分かる質疑が冒頭に出るもんだから(妙に質疑が長いわと思ったのだが)その後の質疑も結構突っ込まれるの巻。


・再度突っ込まれて渋々認める設備投資出る出る詐欺

ちょっと先帆の方で設備投資について更に質問が来るのだ。

『(問) 設備投資についてお伺いします。先程の話でも前向きな投資スタンスという表現を維持されていますし、企業の収益が過去最高の水準まで上がっているということで、緩やかに回復するだろうという見立てでしたが、9 月短観で出ているような設備投資計画に比べると、先日出たGDPの数値は非常に悪くて、かなりギャップがあると思います。企業収益は上がっていますが、人口減少であったり、マーケット・シュリンクという中で、将来展望がなかなか開けないということであれば、いくら儲かっても投資をしないというのが、今の企業のスタンスではないかと思います。総裁がおっしゃる通り、緩やかにでも設備投資が回復していくためには何が必要なのか、そこがなかなか増えないというようなご懸念が今のところないのかどうか、その点についてお願いします。』

うーんこの。追加緩和でマインド上げさせる的な質問をしているつもりなのかも知れませんが、それよりも先行き見通しは兎も角何でここまで上がっていないのかについての説明を求めた方が良いような気もする。

『(答) ご指摘の通り、今回のGDPの 1 次速報値をみますと、7〜9 月に設備投資が若干減少したということは、その通りでして、先行指標である機械受注をみても、7〜9 月は前期比マイナスになっています。』

どうも2度突っ込まれると認めるようだ。

『ただこの機械受注も、4四半期連続で増加した後ですので、均してみると、緩やかな改善の基調が続いていると言ってよいと思います。』

だから緩やかな改善如きで2016年度後半に物価2%行くような需給ギャップの改善が進むのかと小一時間。

『ご指摘の通り、9 月の短観でも、多くの業種、企業規模で設備投資計画がむしろ上方修正されてかなり強いものになっています。それに比べると 7〜9 月期のGDPの 1 次速報における設備投資が小幅のマイナスになったのは、やや意外とまでは言えないかもしれませんが、強めの計画に比べると設備投資の出方がやや遅れているとの印象を持っています。短観その他のアンケートでの設備投資計画は、年度の初めは非常に高くて、後半にかけて少し下方修正されて着地する傾向があるのですが、そういった傾向を踏まえても、設備投資は年度全体ではかなり大きな伸びになる可能性があると思っていますが、今後設備投資がどのように出てくるのかを十分注視していく必要があると思っています。』

結局ただの願望。

『中国をはじめとする新興国の経済の動向などのリスク要因があり得るわけですし、あるいは企業マインドなどの動向も十分注視していきたいと思っていますが、基本的には史上最高の企業収益のもとで、かなり強い設備投資計画となっていますので、若干遅れがあっても設備投資は出てくると思っています。ただ、今申し上げたようなリスク要因も今後とも十分みていきたいと思っています。』

リスクは海外のせいだそうだがマインドの為に去年は追加緩和したんじゃなかったでしたっけ????


・予想物価上昇率が一部で弱いという文言に関連して

そらこうくるわ。

『(問) 今日の公表文の中で、予想物価上昇率について、「このところ弱めの指標もみられている」と書かれていますが、予想物価上昇率は、足許悪化しているというご認識なのかどうかを確認させて頂きたいのと、そうであれば、予想物価上昇率は非常に重視されている指標なわけですから、必要な措置を検討しなければならない局面が近づいているのではないかと想像されるのですが、この点についてのお考えをお聞かせください。』

『(答) 今回の公表文の中では、予想物価上昇率について、「このところ弱めの指標もみられているが、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。」としています。「このところ弱めの指標もみられているが」と付け加えたのは、各種のアンケート調査あるいは物価連動国債を用いたBEIなど、様々な指標の中で、原油価格下落の影響などもあったかもしれませんが、いくつか弱含んだ動きがあることを率直に認めたものです。』

今まで認めていなかったのを率直に認めるとかヘソが茶を沸かしますな。

『ただ、こうした指標だけでなく、企業の価格設定スタンスや家計の支出行動も、予想物価上昇率の動きを反映したものです。ご承知の通り、消費者物価を構成する品目のうち、上昇した品目数から下落した品目数を差し引いた指標は、はっきりと上昇しています。それから、食品や日用品などについての日次あるいは週次の物価指数も、4 月以降、プラス幅の拡大傾向が続いています。こうしたことは、本年度入り後、企業の価格改定の動きがかなり進んでいるほか、家計でも、雇用や所得環境の改善を受けて、以前よりも値上げを受容するようになっていることを示していると思われます。従って、「やや長い目でみれば、全体として上昇している」という評価を変える必要はないと考えています。』

だったら何で急にここに来て書いたんですかねえというのと、プリエンティブに政策対応をするんじゃ無かったですかねえという感じですが、つまりは昨年10月の追加緩和のスタンスは完全に放棄するに至った、というのがこの説明のインプリケーションですな。

さらにどうでも良いのだが、ここらの引用を見てもお分かりのように、最近の総裁会見は説明がやたら長くなっていて、しかも言い訳成分が高めという形になっておりまして、これはつまり説明が苦しいので想定問答を丸読みするような感じでああでもないこうでもないとやらないと持たない、という状況に有ることを示しているのでしょうな。


ちなみに関連して賃金の質問が後の方にありましてですな、

『(問) 春闘関連で 2 問伺います。(前半割愛)その春闘の要求額が弱めになる背景として、やはりCPIの弱めの動き、0%近傍で推移しているということが理由としてあるようです。そういう意味では、原油安という一時的な要因が理由だとしても、将来の予想物価上昇率に原油安も含めたCPIの弱さも影響してしまうのではないかと思うのですが、その点についてご見解を教えて下さい。』

『(答)(前半割愛)2 番目の点は、個々の家計や賃上げ交渉をされる方の考え方等にもよると思いますが、原油価格の下落は無限に続いていくわけではなく、あくまでも一時的なものですので、それが剥落すれば当然、それによって物価が上がるといったことも十分考えておられるとは思います。』

質問の答えになっていない・・・・・・・・・・・

『確かに足許で物価上昇率が0%程度で推移していることは、今後の物価あるいは賃金に対して、何らかの影響を与えている可能性はあり、幾つかの予想物価上昇率の指標は、このところ若干弱めになっていますが、企業の価格設定行動やその他をみていると、予想物価上昇率は長い目でみれば上昇していることに間違いはないように思います。』

思いますじゃなくてそこについて補強する為に追加緩和、というのが昨年だったのだがさっきと同様で昨年のスタンスは完全に放棄されていますな。

『具体的に来年どのような春闘の結果が出るかは十分注目していきたいと思いますが、足許で原油価格の下落の影響で消費者物価の上昇率が 0%程度になっているということが、来年の春闘に決定的に効くとは考えていません。ただ、この辺りは十分よくみていきたいと思っています。』

おお去年言ってたことと全然違うじゃないかよこれで物価がこの先落ちだしたり春闘ぱっとしなかったら後追い緩和実施かよ大丈夫かという所ですな。


・オペの限界に関しての質問ですが

『(問) 2013 年に大規模緩和を始めた当時、日銀の方も含めて「この政策は、4 年も 5 年も続けられるような政策ではない」という声を聞きましたし、現在もそのような認識の方がいらっしゃいます。一方で、2016 年度の後半頃という物価上昇の達成、それ以降も安定的になるまで続けるということですので、そうするとやはり 4 年、5 年経ってくるだろうと思います。総裁は、この大規模な金融緩和を 4 年、5 年続けても問題ないという認識をお持ちだと思うのですが、その辺りのお考えを教えて下さい。』

ですなあ。

『(答) 2013 年の 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入して以来──昨年の10 月にはこれを拡大していますが──2 年半強です。今後、原油価格下落の影響が剥落するにつれて、物価上昇率が 2%に段々近づいていくと思っていますが、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、それを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を続けるという考え、つまり、元々、カレンダー・ベースで時間を限った政策ではなく、アウトカム・ベースといいますか、2%の「物価安定の目標」を実現することを期限にしているということです。どのくらい続くのかは事前には言えません。』

おいこらてめえ2年で達成する為に必要な政策を全部投下したんじゃなかったのかよふざけるな。

『現在の見通しでは 2016年度の後半頃には 2%に達するのではないかとみていますので、今の「量的・質的金融緩和」を続けることに何ら問題が生じるとは思っていません。2%に達する時期がそれよりももう少し延びたら何か問題が生じるかというと、おそらく生じないと思います。』

まあ立場上そう言うしかないけどな。

でもってこの質疑の奇怪なのはここで終わりにすれば良いのに何故かこの後延々と説明があること。

『「量的・質的金融緩和」を続けることの問題として、幾つか議論がされていると思いますが、1 つは国債の買入れ自体について限界が来るのではないかということです。最近、IMFのペーパーが出て以来、そうした議論が活発ですが、私どもはそうした限界に直面するとは全くみていません。』

根拠がないというかお前全部買えないっていってたじゃねえか先月は。

『それから、日本銀行の財務に対する影響については、従来から繰り返し申し上げている通り、財務を考慮はしますが、それに影響があるからといって 2%の「物価安定の目標」を早期に達成するための金融緩和を続けないとか、やらないといったことは全くありません。』

緩和を継続するのはそらそうですけれども、203高地に延々と肉弾突撃するのではなくてやり方に工夫というのがあってしかるべきではないか、というのが副作用論の人たちの見解なのだが、相手の懸念の論旨を挿げ替えてこういう反論するのはジンバブエ先生お得意の藁人形論法ですね!!!!

『しかも、そのうえで引当金の拡充という形で、市場の一部にある日銀の財務に対する懸念を払拭して、「量的・質的金融緩和」に対する信頼感を高めしっかりしたものにしようとしているわけですので、問題が生じるとは思っていません。』

問題はそれだけじゃないんですけどねえ。

『さらに、金融システムに影響が出ないかということですが、これも、半年毎の「金融システムレポート」で詳しく分析して示していますが、これまで金融システムに何か問題が生じていることは全くありませんし、今後も現在の「量的・質的金融緩和」を続けることによって問題が生じることは予想していません。』

いや国債100%買ったら問題生じるだろ。

『もちろん、金融システムの状況については、常に十分分析し把握して、問題があれば適切に対処していきたいと思っています。いずれにしても、現在の「量的・質的金融緩和」を続けることによって何か問題が生じる、あるいは限界が来るとは考えていません。』

ということで、何か知らんが聞かれもしないのに延々と説明しているのは怪しい。


・つーことでローリングターゲットへのツッコミキタコレ!!!

『(問) 2 つ前の方の質問と重なりますが、目標達成までの期間というかスケジュールについて、総裁のご発言は、「最初から state contingent(状況に依存)で、別に 2 年ということではない」と理解してよろしいでしょうか。それとも、ある程度成果が出てきたこと──日本人のデフレ・マインドからの脱却が成功したということ──で、「2013 年から 2 年」ということではなく、「毎回の会合から 2 年程度」という、世界的な、普通のインフレ・ターゲットに少しずつシフトしてきたという理解でもよろしいのでしょうか。』

(;∀;)イイハナシダナー

『(答) そういうことではありません。あくまでも、2013 年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入した際に申し上げた通り、「2%の『物価安定の目標』を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」ことにコミットして、それに沿って「量的・質的金融緩和」を続け、また拡大してきたわけです。』

ワロタ。

『それと共に、2013 年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入した際にも明確に申し上げた通りに、元々きっちり 2 年という期間を限ってその間だけやるということではなく、あくまでも 2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで続けるという、アウトカム・ベースの「量的・質的金融緩和」であると申し上げているわけです。』

安定的に持続も糞もその前に達成時期がドンドンずれているのですが。

『これは米国のQE3もそうですし、他の中央銀行、多くの中央銀行の量的緩和も同様だと思います。』

ちなみにこれまたネタにしていないのですが、先々週にシカゴ連銀のエバンス総裁が物価ターゲットの到達時期に関して「経済にスラックがあってヘッドウインドがある状況においては物価ターゲットに達する時期が2年程度というよりは4年ほど掛かるというのも念頭に入れる必要がある」的なお話をしていたりしまして、アウトカムベースは兎も角として「2年」というのは同様じゃないんですがそれは。

『目標については、あくまでも 2 年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するというコミットメント──2013年4月のコミットメント──は変わっていません。一方で、いつまで続けるかについては、これも 2013 年 4月に申し上げた通り、2%の目標の実現を目指し、それを安定的に持続するために必要な時点まで続けるということで変わっていません。』

という説明になっていない説明ですなあという所です。


今回の会見、もうちょっとツッコミ部分があるのですが時間の関係で続きは明日ということで(汗)。

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2015/11/20

○短国がさらに大変なことになって2年カレントも更に金利低下

もはやMPMよりもこっちの方がネタとして大きいだろうという感じですが、債券市場ちゃんは先物見ると何か前日比変わらずというのを3日ほど見ているような気がするのですが、短期の方が連日碌でもないことになっておりまして、

http://jp.reuters.com/article/2015/11/19/idJPL3N13E25O20151119
News | 2015年 11月 19日 15:10 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が前日比変わらず、長期金利は横ばいの0.295%

『無担保コール翌日物の加重平均レートは、0.07%台後半になる見通し。朝方は地銀、信託、証券などを主な取り手に0.076─0.078%を中心に取引された。大手行は0.07%付近で調達。ユーロ円金利先物は小動き。新発3カ月物国庫短期証券は一時前日比0.043%低いマイナス0.120%で取引が成立した。20日にも予想される日銀買い入れへの期待が利回り水準を押し下げた。』(上記URL先より)

ということで朝からまた調子に乗って短国が強くなっていましたが、結局引けでは3Mカレントが3.5毛強のマイナス11.2bp、1Yカレントが4毛強のマイナス13.8bp、6Mカレントは変わらずでマイナス14.4bpという異世界に旅立ってしまわれまして(それは良いのだが来週の新発WIの引け何とかならんのか)、年末越えがアレという事を反映して年末越えの所と12月足の所で利回りに段差(勿論逆イールド)が発生するという正解でもう魔界入り状態になっております。

でまあ当然ながら中短期ゾーンは強いという事で2年カレントの引けはまたまた5糸強くしておりましてマイナス2.5bpとかになっておりまして、もう首がキューと絞まる首絞め相場と化しておりましております。


でですね、会見テキスト見てからまた悪態つくと思うのですが、短国のマイナスに関して昨日の総裁定例記者会見でツッコミが全然足りないダメ質問の典型みたいなのがあって、それに対して大本営発表の回答が返ってきたみたいなのですが(あまりちゃんと聞いていなかったので)オペの維持可能性云々という話はこの次にしますけれども、それはそれといたしましてうーむと思うのは、このまま飛んでもないマイナス金利状態を続けてしまうと、普通の投資家が完全に排除されてしまって、その結果として市場が日銀とブローカーと海外だけになってしまう、という市場参加者の偏りが酷くなってしまい、金融安定化の観点で言えば市場のショック耐性が非常に脆弱になってしまうのではないかと危惧されるのですよね。

つまりですね、市場というのは多様な取引動機や多様な性格というか性質というかの資金が参加することによって、その間のニーズが調整される事によって市場として機能する訳であって、ごく一部の性質の同じな参加者だけが入っている市場というのは平常時はそれでも別に機能するでしょうが、何らかの大きな環境変化が生じるような場合に突如極端から極端に振れるような市場になってしまうんじゃないですかねえという話なのですよね。

でまあ日銀と海外しかいない(ブローカーは値動き有れば参加しますが別に投資家では無いので安定保有する訳ではない)ような市場を日銀がせっせと作りだしてしまうような事が起きかねないというのが今の状況な訳でして、まー確かに今回は海外要因でニーズが高まったという貰い事故な部分はあるにせよ、その状況変化にも関わらず短国買入をせっせと継続して行くってのはMB目標達成的には正しくても「金融政策運営の第二の柱」的にどうなんでしょうかねえと思ったのですが、良く考えてみたら当分出口が無くて出口の時には黒田総裁も退任しているからその時に大変な事が起きるとか考える必要が無くて後は野となれ山となれってスタンスで臨んでいるんですね!!!!!!!!!!!(憤怒)


でもって短国はご覧のとおりという状況を見ますに、昨日も申しあげましたがこの調子で中短期ゾーンがおかしくなってくる(つーか先物近辺のプライスアクションとか見るに長期に掛けても今に始まったわけではない市場のアクティビティ低下が更に凶悪化しているように見えるのだが)という状況が続いた場合、そんなに遠くないどこかで発生するであろう交通事故みたいな輪番札割れが起きた時に今の短国みたいなぶっ飛び相場にいきなり移行してしまうリスクもあるんじゃネーノと別に根拠はないけど体感的に思うのでありますよ。

えーっとですな、輪番って昔も交通事故チックな札割れあるいは札割れ寸前で大流れというケースは時々あったのですが、その時はまあそうは言っても市場は今ほど死んでいる訳でもないですし、そもそも日銀の買入が市場に対してドミナントだったというほどのことは無かったので、それこそたまたま輪番入れる人たちがメンドクセーとか今日は出したくないんだよなーとか言いながらちょろっとしか札入れなかったら流れちゃいました的な状態だったのですが、市場が散々圧殺された後に発生する輪番札割れっていうのは今までのケースと違うようにも思えるのですよね。今までのケースと同様だったら出合い頭の輪番札割れとか起きてもその後札がワサワサやってくるのでその後しばらくはヘーキヘーキとなるのですけれども、中長期の国債に関しても輪番拡大でドンドン投資家の持っている国債が減ってくる中で段々市場の厚みが怪しくなる中でございますので、逝った途端に煉獄編状態になる、となりますとそれこそ政策の限界とか副作用とかいう話になってしまい、QQE爆発で日銀は武蔵坊弁慶状態の立ち往生とかになったらどうするんでしょうかねえ。ああ黒田さんは別に落下傘で来ているのだからどうなっても良いんでしたっけこりゃ失礼いたしました。

とまあそういう中で本日は短国買入デーでございますが、巨神兵によって燃やされ状態になっております短国市場ですので精々落札結果見ながら出来上がり金利でも計算して卒倒でもしてようかと今から念仏を唱えておりますが、海外要因剥落するまでとか言ってもここまで水準がおかしくなってしまった後なので、ここから先についてもどう動くか想像しにくい(したくない)という感じで、短期の方で煉獄モードが続くと当然中短期国債の方も影響を受けまして、そうなりますと日銀の国債買入の限界も手前に引き寄せられるという事になると思うのですがどうするんですかねえ。海外中銀のデポに付利するとか短国の需給を緩和する方法は無い訳ではないとは思うのですけどねえ。

#ちなみにMBは「約」80兆円なのですから約の範囲内で調整してもエエンヤデ(吐血)


○金融政策決定会合レビューだがこの声明文で現状維持だと昨年と整合性が取れませんが

声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151119a.pdf

前回(というか月報の出ている回との比較ですので10月7日分)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151007a.pdf

・経済面と金融面は基本的に全文一致

ということでご案内の通りなのですが

『わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。』(10/7)

から始まるのですが、経済面は全文一致でありますな。

『海外経済は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。輸出や鉱工業生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)
『海外経済は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。輸出や鉱工業生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(10/7)

うむ。

『一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益が明確な改善を続けるなかで、緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直している。公共投資は、高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)

『一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益が明確な改善を続けるなかで、緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直している。公共投資は、高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている。この間、企業の業況感は、一部にやや慎重な動きもみられるが、総じて良好な水準を維持している。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(10/7)

ここでは企業の業況感に関する文言に変化がありますが、これはご案内のように短観出た直後の仕様なのでつまりこでは全文一致のようなもんです。


・一番大事な所で・・・・・・・・・・・・・・・

ということで物価。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、このところ弱めの指標もみられているが、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(10/7)

>このところ弱めの指標もみられているが
>このところ弱めの指標もみられているが
>このところ弱めの指標もみられているが

・・・・・(゚д゚)

おうてめえら先月末の展望レポートで『この間、予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる(図表 33)。 』(10月展望レポート全文の18ページより)って言ったたじゃねえか何を今更弱めの指標も見られるがだよというお話ですし、昨年の追加緩和の時には、

『ただ、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクもあると考えられます。』(昨年10月31日の追加緩和時の総裁記者会見の冒頭説明部分より)

と言ってたのに、今回は漫然と「このところ弱めの指標もみられているが」とか涎垂らしながら言ってる場合かよこのスットコドッコイと申しますか、少なくとも昨年10月31日の追加緩和に賛成した総裁副総裁に白井審議委員は追加緩和を何故提案しないのか全く理解に苦しむ訳でございますし、原田さんだって置物一派として何で追加緩和提案しないのでしょうと全く理解致しかねる所でありますな(なお石田さんと佐藤さんと木内さんはこの時反対していますし、布野さんは就任前の話ですからこの4名が追加緩和不必要というのは別に違和感ないです)という所でして、元々昨年10月の追加緩和以降ロジックがグダグダになっておりますが、遂にここまでロジックが崩壊したかと落涙を禁じ得ない所であります。

前回の追加緩和では上記引用した発言にもありますように、期待が低下するリスクに対してプリエンティブに対応したのですが、今回は一部の指標に弱めの数値が見られる、というまさにプリエンティブな対応が求められるという話になるのに今回は現状維持とか益々分かりにくいですし、どうも会見では「これはあくまでも一部のものです」みたいな話をしていたっぽいのですが、その程度のどうでも良い指標の変化をわざわざ金融政策決定のステートメントに書くのはもっとおかしいので、ロジック崩壊なので無ければ「短期間で2%を達成する」という短期間の部分を放棄しに逝っているとしか思えないのですけど一体全体何でこの期に及んでこういう認識を示しているのかが謎にも程がありますなということで。

しかしまあ何ですな、2年で達成とか大見得切った挙句に延長に延長重ねて2%到達時期の見通し実質3年半以上になる(しかもただの見通しで実際に達成できるのかは極めて怪しいとしか申し上げようがない)上に予想物価上昇率の方は2年半散々マネタリーベースを拡大しやがった挙句に「このところ弱めの指標もみられているが」って置物MB直線一気理論はどうなったのでございましょうかと小一時間問い詰めたいというか置物師匠とジンバブエ先生をお白州に引き出して取り調べをしたいものでありますな。


・先行き見通し、リスク要因は全文一致

とついうっかりトサカに来てまたコケコッコーと血圧を上昇させておりましたが気を取り直して。

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(10/7)

全文一致全文一致。

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(10/7)

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。』(今回)

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。
』(10/7)

でまあ毎度のように木内さんのいつもの提案が出て残りの全員が否決するというのがあった訳ですが、オペレーションの弊害もさっき申し上げたように出てきていると思うのですからもうちょっとそういう話って出てないのかねえとか思いますし、木内さんに賛成増えないかとも思いますが、まあ木内さんの提案もちょっと現実に落とし込むのに断層があるので「段階的減額を視野に年間70兆円増加ペースに変更」ということにして、段階的減額を強調することでいきなり45兆じゃなくても良いじゃんという気もするんですけどね。

なお、日銀の現状の建付けで言えば「金利が低下しているのは効果(キリッ)」となりますけれども、名目ゼロ金利の所には壁がやはりある訳でして、正の名目金利が低下することと、負の名目金利のマイナスが深くなってくることというのは金融環境という面で考えた場合に必ずしも同等な事象ではなく、名目ゼロ金利の問題がある以上(つまりリテール預金などにマイナスチャージをする訳に行かない以上)、名目ゼロ金利の部分と市場における負の名目金利の間のギャップは金融システムの中で誰かが負担しないといけないという話になり(一方でそこで日銀に国債売りつけてウマーという人もいるから全員が負担している訳ではない、為念)、それは金融システムに負担を強いるという意味で全体としての金融環境への悪影響があるし、その金利水準が大きく下がってくるというのは副作用じゃないのかねと思うのですけれどもね、市場が壊れてどうのこうのというのもありますけれども。

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2015/11/19

○そんな事より短国がウギャー

昨日の3M入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20151118.htm

(3)募入最低価格 100円00銭9厘5毛(募入最高利回り)(-0.0357%)
(4)募入最低価格における案分比率 38.4183%
(5)募入平均価格 100円01銭0厘4毛(募入平均利回り)(-0.0391%)

・・・・・(;゚д゚)

おう先週よりもマイナスが拡大してるじゃねえかよという感じですが、ゼロからマイナス1bpの間くらいでウダウダしているうちは割とその辺で粘っていましたが、一旦突き抜けるともういきなり異世界に飛んでしまうというのは相場様に良くある仕様ではあるのですが、12月末越え5週間前(発行日ベースで)のタイミングでこのマイナス拡大(しかもここに向けて連続して金利が低下更新していく)というのはちょっともうねという所ではあります。

でもって昨日の市場推計落札分布によりますと所謂不明玉が3兆円以上(発行は4.8兆円で価格競争入札は4.4兆円)あるというのがこれまたアチャーという感じでして、この銘柄に関しては引値を10毛以上入札から強くでもすれば別ですが、基本的にオペトレードに使える銘柄にはならない(ここから先もバンバン短国買入が入れば別だがMB目標との絡みでそこまでする意味は全くない)ので、オペ狙いで最低落札金利更新銘柄をオリャーと突っ込んで買っていくインセンティブは無いでしょと思われるので中々こう謎な3兆円不明攻撃ですなあという所ですが、まあ12月末残調整登場の巻なのかそこまで海外ニーズがあるのかは想像がつきませんですけど、こういうのが爆発相場の誘爆パターンではありますな。オソロシス。


でもって昨日の引値は先々週の6Mカレントが変わらずのマイナス14.4bp、火曜の1年カレントが1.4毛強くなってマイナス9.8bp、昨日の3Mカレントがマイナス7.7bpとなりまして、入札レベルを更に超越する利回り水準に低下していましたし、夕方の海外タイムでは引値よりも金利の低い所でも出合っていたようでもうあばばばばーという有様ですし、短国爆発で利付の短いゾーンも誘爆して2年カレントの引値はマイナス2bpだわ残存3年1か月まで引値がマイナス金利だわとゲロゲロマーライオンというよりはマーライオン吐血状態という風情の相場になっておりましてもう大変。

まあ需給逼迫感がある中の年末とか期末とかの跨ぎって事前警戒しますから早い時期に前倒し需要が発生しやすく、そこに来て日銀が短国買入を謎の増額をするもんだから爆発に勢いを付けてしまうというのがアレでして、まあ日銀としても12月の需給逼迫を考えて12月に買入を減らそうと思って前倒しで買入をしようとしたのでしょうが、こういう従来と違うパターンの時って先行きが読みにくいから予備的需要が発生しやすくなるので、従来のパターンで考えて12月逼迫するからその前に前倒しというのは民間需要を日銀が思いっきりクラウドアウトして市場の逼迫に拍車を掛ける結果になるということで、まあ悪意を持って1.5兆円買っているならそれはそれで意図なので納得いかんがそうですかと思うのですけれども、そうではなくて前倒しとか考えて突っ込んだのであれば実に間の悪いというか間の抜けた話ですが、この間の悪さこそが日銀クオリティとしか申し上げようが無いのが遺憾にも程がある所です。

でまあ明日が短国買入の日なのですが、さて更に大爆発炎上中の短国市場を受けて明日はどういうオペレーションになるのかというのは昨日は死んだ魚の目と申し上げましたが、どうもアタクシの目が昨日の爆発相場によってガラス玉にリプレースされてしまったようなので、ガラス玉のようになった目で明日のオペタイムを待とうかと思います(って待つのは明日になってからだけどな!)。


しかしここまで短国レートが突き抜けてしまいますと、日銀買入ペースが落ちたとしても市場の方がどういう形で収まるのか良く分からなくなってしまいましたが、これで来週の3Mもこの調子で推移されちゃうと11月の短国入札は最初の3Mだけは1bp以内のマイナスでしたがその後は全部盛大なマイナスになってしまいましたなという展開でして、毎度申し上げておりますように主な短国というのは3Mでして、3Mというだけに普通に平準買いをしていたら3か月で保有が全部入れ替わってしまうという中で、1か月まるまるマイナス突き抜けとかもうガラス玉とならざるを得ませんがなもうちょっと何とか工夫できんのかよ短国買入と思うのですけれども全体を見て判断するんじゃなくて自分の庭先を言われたとおりにお掃除するのがお仕事だから仕方ないですよね!!!!!!!(吐血)

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2015/11/10

○黒田総裁講演である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/ko151106a.htm
2%の「物価安定の目標」実現に向けた課題
―― 内外情勢調査会における講演 ――

ちなみに昨年の内外情勢調査会の講演は8月1日に行われています。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140801a1.pdf
最近の金融経済情勢と2%の実現に向けて
―― 内外情勢調査会における講演 ――

ということで・・・・・・・・・・・・・・

・2%達成進展アピールからデフレ脱却進展アピール????

挨拶冒頭部分から。

『しかしながら、これからご説明するように、日本経済のファンダメンタルズはしっかりとしており、企業や家計を取り巻く環境は、数年前に比べて大きく好転しています。また、物価の基調も着実に改善しています。日本銀行が一昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」は、デフレの脱却に向けて所期の効果を発揮していると考えています。』(今回)

ほほう。では昨年ですけれども・・・・・・・・・・

『前回、当調査会でお話しさせて頂いたのはちょうど1年前でしたが、私はその場で、「量的・質的金融緩和」の導入後、3つの好転がみられているとお話しました。金融の好転、期待の好転、経済・物価の好転です。その後も、「量的・質的金融緩和」が所期の効果を着実に発揮する中で、これら3つの好転は着実に続いており、日本経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっています。』(昨年8月)

つーことで何ですな。別に2%の看板自体は下げていない(そもそも題名が上記のようになっていますから)のですが、QQEの効果に関する話をする時には最近すっかり「デフレ脱却」を連呼するようになっています。

まあこの辺りは政府がデフレ脱却宣言して景気づけしましょうとか賃上げ進めさせようとかいう流れを受けているのかなあとも思うのですが、そうなりますと益々政府のデフレ脱却宣言とかの流れを受けて日銀の大勝利宣言とかが出てきそうな焦げた感じをしないでもない。

などといきなり前回と比較してみましたが、比較しないで鑑賞もします(^^)。


・一応その後に2%の話はあるので念のため

さきほどの続き。

『日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を着実に推進し、緩和的な金融環境をしっかりと継続していきます。そうしたもとで、企業や家計の経済活動は活性化し、日本経済は潜在成長率を上回る成長を続けるとともに、2%の「物価安定の目標」は、必ず達成できると考えています。』(今回)

そもそも潜在成長率並みの成長で2%になっていないと物価安定目標が達成しているとは言えないのではないかというツッコミはさておきまして、一応こういう説明はしているので念のため申し添えます。


・とは言いましても・・・・・・・・・

一旦最後の方にワープしますが、最後に企業の成長期待が足りなくてケシカラン(意訳)的な話をしている中での結論部分なんですけどね。

『この2年半、2%の「物価安定の目標」の実現を明確に約束し、「量的・質的金融緩和」を進めてきました。日本経済は着実に改善し、その実現に向かっています。日本銀行は、引き続き、2%を目指し、過去に例を見ないこの大規模な金融緩和を続けていきます。本日お話してきた通り、現時点で、日本銀行は、現行の政策を継続することで、2%を達成できると考えています。ただ、同時に、新興国経済の減速の影響など、経済・物価の下振れ要因も認識し、注意深く点検を続けています。今後とも、毎回の金融政策決定会合において、経済・物価の現状と先行き、様々なリスク要因、金融資本市場の動向などを十分吟味し、政策判断を下していきます。そして、2%の早期実現のために必要と判断すれば、躊躇なく対応します。』(今回)

てな話で最後纏めているのですが、昨年は・・・・・・・・・

『日本銀行としては、我々の2%実現への取り組みと並行して、成長力強化の動きが着実に進展していくことが望ましいと考えています。ただし、潜在成長率がどのようなペースで上がるにせよ、2%の「物価安定の目標」はできるだけ早期に実現すべきだと考えています。これは「物価さえ上がれば良い」と思っているからではありません。2%の物価上昇を早期に実現し、そこにアンカーすることは、企業や家計の積極的な行動を促し、それ自体として、成長力を高めることに貢献すると考えるからです。』(昨年8月)

とか

『日本銀行としては、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することで、企業や家計が前向きな経済活動に取り組みやすい環境を作りたいと考えています。そのもとで、日本経済が活力を取り戻し、再び力強く成長することを期待して、本日のお話を終わらせて頂きたいと思います。』(昨年8月)

とか何とか話をしておりまして(ちなみに付け加えるとこの時は「何で2%なのか」というテーマの説明も入っていた)、とにかく早期に物価を2%に上げてバックワード的に期待形成という話をしていた訳なのですが、ここに来てその手のバックワードというかアダプティブな期待形成の話を思いっきりトーンダウンした格好になっています(そらまあトーンダウンさせないと追加緩和という話になるからというのもありますが)ので、まーこの2%の達成時期に関しては事実上のローリングターゲット状態になっていまして、後は政府との握りの文書をどう弄って(または解釈して)話をまとめて「2年」という無駄な看板から名誉ある撤退を果すかというステージになっていますなあと眺めているのですがどうでしょうかねえ(ニヤニヤ)。


・メカニズムの話は苦しいですなあ

ここは前年と比較する部分ではないので今回のを鑑賞しつつ。

『(高水準の企業収益と積極的な設備投資スタンス)』という小見出しですが・・・・・・・・・・・

『はじめに、日本経済の現状と先行きについてお話します。ご承知の通り、このところ、中国をはじめとする新興国経済の減速が明確になってきており、これがわが国の輸出や生産にも影響を及ぼしています。また、今年の4〜6月期は、天候不順の影響などから個人消費も幾分弱めの動きとなりました。こうしたことを受け、展望レポートにおいても、2015 年度の実質経済成長率は、7月の中間評価時点の1.7%から1.2%に下方修正しています(図表1)。』(以下暫く今回から)

という書き出しと上記の小見出しェ・・・・・・・・・・・

『もっとも、企業収益は過去最高水準で推移しており、雇用・所得環境の改善は続いています。企業部門・家計部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと作用しており、日本経済は緩やかな回復を続けていると判断しています。』

下方修正しているのに改善が続き循環メカニズムが働いているとな。

『このように、輸出や生産のもたつきにもかかわらず、企業収益が増加を続けるというのは、わが国の過去の景気回復局面ではあまりみられなかった現象です。その背景としては、2つの点を指摘できます。』

ほうほう。

『第一は、内需がしっかりしていることです。過去の景気回復局面では、輸出の増加を起点として、製造業の企業収益と設備投資が増加するという展開が一般的でしたが、今回は、内需の底堅さを背景に、非製造業の回復が目立っています。この点は、短観の業況判断DIや企業収益で、製造業よりも非製造業の改善がよりはっきりしていることからも確認できます(図表2)。内需を中心とした景気回復では、海外経済の減速から輸出の伸びが鈍化したとしても、それに対する景気全体の耐性は、過去のパターンと比べて相対的に高くなっていると考えられます。』

って言ってるんですけど図表の方を見るとその内需が確りしているという話の中で出ているのって「短観のDI」というサーベイ数値と企業利益の数値で、肝心の内需に関するハードデータじゃないんですよねえ。

『第二に、新興国経済の減速もあって原油をはじめとする資源価格が下落していることが、交易利得の改善を通じて、価格面から収益の押し上げに寄与していることです。すなわち、数量面でのマイナスを価格面のプラスが相殺するという、一種の自動調整が働いています。それに加えて、為替円安にも支えられた海外からの配当・利息の受取増加なども、このところの企業収益の改善に寄与しています。』

円安はともかくそれは資源価格が見通し通りに上がったら価格はマイナスになるし、別にそれによって数量が出るとは限らないと思うのだが。

『このように好調な収益環境のもとで、企業の設備投資スタンスは積極化しています。9月短観における2015 年度の事業計画をみると、全規模全産業の設備投資計画は前年比+6.4%と、6月短観における+3.4%からさらに上方修正され、高めの伸びとなっています。』

ということで、まーた短観かという感じでして、結局アンケートかよという所なのですが、一応後の方で図表9というのがあって、そこで設備稼働率の話が出ているのが救いと言えば救いではありますけれども、機械受注とかそういうのは出てこないのがチャーミングとしか申し上げようがない。


・雇用は威勢の良い話をしていますが・・・・・・・・・・

『(雇用・所得環境の改善と底堅い個人消費)』に飛びます。

『次に、家計部門の動向についてご説明します。家計支出の重要な決定要因となるのは、言うまでもなく雇用・所得環境です。この点、労働需給は引き締まり傾向が続いています。有効求人倍率が、足もとでは1.24 倍と1992 年以来の高水準となっているほか、失業率も3.4%と1997 年以来の水準まで低下しています(図表4)。特筆すべきは、輸出や生産のもたつきにもかかわらず、労働需給に引き緩みがみられないことです。実際、短観の雇用判断DIをみても、企業の人手不足感は一段と強まっており、労働市場は「完全雇用」と言って良い情勢にあります。』

賃金ェ・・・・・・・・・・・・

『企業収益が過去最高水準で推移し、労働需給のタイト化が継続するもとで、賃金には上昇圧力が生じています。毎月勤労統計で賃金の動きを確認すると、所定内給与は、2年連続でベースアップが行われたことなどから増加しています(図表5)。各種のアンケート調査をみると、夏のボーナスも多くの業種・企業で昨年を上回った模様です。』

ここで昨日の統計に関するニュースを確認しましょう。

http://jp.reuters.com/article/2015/11/09/idJPL3N1302F520151109
News | 2015年 11月 9日 10:30 JST
9月実質賃金は前年比+0.5%、夏季賞与が2年ぶり減=毎月勤労統計

まあ毎勤は色々と議論がありますけれども、「ベースアップしたから賞与の原資が減ったのでボーナスは減額な」というような話が出ても不思議ではないような気もしますがががが。


『このように、雇用・所得環境は着実に改善しており、昨年の消費税率引き上げ後に落ち込みがみられた消費者マインドは、全体として改善傾向にあります(図表6)。4〜6月の個人消費は、軽乗用車の販売不振や、長雨などの天候不順の影響から幾分弱めの動きとなりましたが、各種の販売統計などをみると、7月頃からは多くの分野で増加に転じており、全体として底堅く推移していると判断できます。』

この辺は今後の統計を見ないと何とも言えませんけれどもそんなに盛り上がっている気もしない。


『以上のような企業・家計の両部門における前向きの循環メカニズムのもとで、先行きのわが国経済は、本年度から来年度にかけては、足もと「0%台前半ないし半ば程度」とみられる潜在成長率を上回る成長を続けると予想されます。2017 年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想されます。』

という結論になっていますが、まあ説明は相当苦しいようにしか見えませんがどうでしょうかねえ。


・2%達成の説明は需給ギャップとインフレ期待なのは前回と同じですが・・・・・・・・・

『3.物価動向と2%の「物価安定の目標」実現への道筋』という小見出しは見事に去年と同じでして、そこの小見出しも『(物価の現状と見通し)』『(需給ギャップの動向)』『(中長期的な予想物価上昇率の動向)』となっていて途中までは今回も同じです。

でまあ説明の路線自体は相変わらずなのですが、昨年のこの部分を見ておりますと実にこう侘び寂びの世界というものを感じてしまうのでサルベージして鑑賞しましょう。

『「量的・質的金融緩和」を導入した当初、ここまで物価上昇率が高まってくるとは多くの方が予想していなかったと思いますが、日本銀行の物価見通しは、導入直後の昨年4月の見通しから、ほとんど変わっていません。「量的・質的金融緩和」が、所期の効果を発揮し、ほぼ見通しどおりに物価が上昇してきているということです。導入時に私どもが想定したメカニズムは次のようなものです。』(昨年8月)

・・・・・・・・・・・・・・・(−_−;


ちなみに予想物価上昇率に関しての記述はこう変化しています。

『次に、中長期的な予想物価上昇率については、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられます。予想物価上昇率を把握する方法としては、まず各種のマーケット指標やアンケート調査などがあります。これらについて最近の動きをみると、幾分弱含んでいるものもありますが、総じてみれば、原油価格の大幅な下落にもかかわらず、横ばいとなっています(図表11)。また、実際に経済活動を行う企業や家計がどのような「物価観」に基づいて行動しているのかという点も重要です。』(今回)

『次に、人々の中長期的な予想物価上昇率は、全体として上昇してきているとみられます(図表13)。このことは、賃金や価格設定などの行動にも影響を与え始めています。例えば、春闘でもみられたように、労使間の賃金決定において、物価上昇率への意識は高まっています。また、企業の価格戦略をみても、デフレ下では消費者の低価格志向が強かったことから、コストカットを優先した低価格戦略が多くみられました。しかし、最近では、価格に見合う物であれば多?値段が高くても受け入れる消費者が増えており、品質や機能面などで付加価値を高めながら販売価格を上げるといった動きもみられています。』(昨年8月)

ということでまあ徐々に話が「基調」に寄っているのが(実際の物価がアレなのですから当然ちゃあ当然ですが)味わいがありますな。


・賃金上昇の話キタコレだが物価目標は日銀だけで達成するのではなかったのか?????

でもって今回の違いは『(賃金と物価の関係)』という小見出しがある所です。

『この点に関して、賃金と物価の関係について、もう少し詳しく申し上げたいと思います。わが国の過去のデータをみると、賃金上昇率と物価上昇率は概ねパラレルに動いていることが分かります(図表12)。』

なおこの図表12の物価上昇率が何故か日銀の目標の総合物価指数ではなくて「総合除く生鮮食品、エネルギー」という日銀コアコアになっているのがお洒落な所です。

『しばしば、「物価だけが上がって、賃金上昇がそれに追いつかなければ、実質所得が低下し、消費にマイナスの影響を与える」といった意見が聞かれますが、?なくとも経済全体としては、そうした事態が持続的に生じることはありません。』

そらそうだがアダプティブな期待形成ェ・・・・・・・・・・

『物価上昇に賃金が追いつかなければ、消費が減?し、値上げを維持することが困難になります。逆に、賃金が上昇すれば、企業は利益を確保するため、値上げを行う必要が生じ、物価は上がります。つまり、実際に生じるのは、「賃金も物価も上がる」状況か、「賃金も物価も上がらない」状況のいずれかです。賃金上昇と物価上昇は、いわばコインの裏表のようなものです。日本銀行が現在行っている「量的・質的金融緩和」は、決して無理に物価だけを引き上げる政策ではなく、経済のメカニズムに従って、賃金の改善を伴うかたちで緩やかな物価上昇を実現しようとするものです。』

それは分かったのだが置物師匠はミルトン・フリードマンの「物価はいかなる場合でも貨幣的現象」というのを持ち出して日銀の政策だけで物価目標を達成するという話をしていましたし、それが2年とか言う話ではなくて長期的という文脈であれば黒田総裁もそういう話をしていましたが、その辺はどうなったのでしょうか??????

『先行きの物価情勢については、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を推進し、実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想物価上昇率も上昇傾向を辿り、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくとみられます。企業の賃金・価格設定スタンスも積極化し、賃金上昇率の高まりを伴いながら、物価上昇率も次第に高まっていくとみています。』


とは言っているものの、最後の『4.経済・物価の先行きに関するリスク要因』の物価の部分では、

『この点に関して、物価への影響という意味では、来年度にかけての賃上げの動向に注目しています。賃金上昇率と物価上昇率は概ねパラレルに動くこと、基調的な物価上昇率が既に明確に上昇していることは、既に申し上げた通りです。』

『家計が実質的な賃金や所得を維持するためには、足もとの表面的な消費者物価上昇率の低下にかかわらず、こうした基調的な物価上昇率が賃上げに反映されていくことが重要であり、蓋然性の高いシナリオでは、相応の賃上げが行われると考えています。』

ふーん。

『もっとも、新興国を中心とする海外経済の動向によっては、企業が不透明感を強く意識して、賃上げに対しても慎重になるリスクが考えられます。また、賃金上昇率が十分に高まらない場合には、消費者の物価上昇に対する抵抗感が強まり、物価の上昇ペースが下振れることになるリスクがあると考えられます。』

海外以前の問題でそもそも日本の成長期待が高まらないとダメなんじゃないですかねえ。


ちなみに経済のリスクに関してはアジア新興国と中国の話に集中していますが引用はパスしまして最後の所になるのですが・・・・・・・・・


・企業向けに「いいから動けよ」というトーンが更に高まるの巻(気持ちは分かる^^)

『5.デフレからの脱却に向けた課題』という小見出しがあってまた「デフレ脱却」ですか(ちなみに昨年はそういうのはない)という感じですが、

『以上、日本経済は、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて着実に歩みを進めていますが、まだ途半ばであり、新興国経済などのリスク要因にも目配りする必要がある状況です。そこで最後に、デフレからの脱却と2%の実現に向けて、「企業行動」と「金融政策運営」の課題について述べたいと思います。』

と言ってますが金融政策の話は「この通り実施していますので達成しますし必要なら調整します」以外の話はないのでどうでも良くてですな、

『繰り返しになりますが、現在、企業は過去最高水準の収益を上げており、労働市場は完全雇用の状態にあります。経済のメカニズムからすれば、こうしたもとでは、企業は将来に向けた設備投資を行うとともに、更なる生産活動を行うための労働力を確保するべく、賃金の引き上げを行うことが期待されます。実際、企業は前向きな設備投資スタンスを示しているほか、賃金についても、ベースアップの実現もあり、緩やかに上昇しています。しかし、程度の問題として、企業収益が歴史的な高水準となっていることと対比してみた場合、これまでのデータで確認される設備投資や賃金の伸びがやや鈍いという印象は否めません。企業が高水準の収益を獲得しながらも、なお支出活動に慎重さを残していることは、企業の現預金の保有がこのところ一段と高い水準に積み上がっていることからも確認できます(図表16)。』

図表16ワロタ。


『企業が高水準の収益を、設備投資や賃金支払いなどの支出に必ずしも十分振り向けず、その多くを手許の現預金として保有していることの背景には、現状においても、広い意味での「デフレマインド」が必ずしも払拭されていないということがあると思います。別の見方をすれば、企業が現在の高収益を一時的な追い風によるwindfall profit であると捉えており、なかなか積極的な活用に踏み出せないでいるということかと思われます。』

まあそうじゃろ。

『このような状態から抜け出し、企業がこれまでのマインドセットを大きく転換することは、デフレだった期間の長さを考えれば、もちろん簡単なことではありません。しかし、やるべき方向性は明確です。要は、「日本経済はデフレから脱却しつつある」という見通しを踏まえ、ポストデフレ時代の新たな経営戦略をしっかり立ててもらうことです。』

でその結果2%目標が全然達成できなくて当てが外れても日銀がケツ持ちしてくれる訳でもないのですけどねえ(というかデフレ云々よりも自分の事業分野に関する成長期待だろ常識的に考えて)。

『こうした見通しを持った企業にとっては、デフレのもとでは報われなかった「前向きの行動」が全く違ったものに見えるはずです。そうした行動なしには、将来の収益を生み出し、現在の企業価値を高めることは難しいと認識されるでしょう。全ての企業が一度に変わる必要はありません。そうした見通しを持つ企業の数が増えるに従って、経済は活性化していきます。そして、この流れは積極的な企業を中心に既に進行していますし、これが定着すれば先に流れに乗った企業が勝ちます。』

・・・・・・・・・・・・(−−;

でこの後日銀の金融政策の話をしていますがそこはさっき申し上げた話なのでパスしますが、ちなみに昨年12月に経団連で『「2%」への招待状』という講演していたのですがね。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141225a1.pdf
「2%」への招待状
── 日本経済団体連合会審議員会における講演 ──

『要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。ご清聴ありがとうございました。また、企業経営者の皆様にとって、言わずもがななことを申し上げた点ご容赦ください。どうか、良いお年をお迎えください。』(昨年12月)

まあ昨年も大概な話はしているのですが、今回の方がもっと「てめえら動けよゴルァ!」という感じが出ていて大変に結構ですな(−−:

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2015/11/09

○肝心の総裁講演ネタを満を持して投下しようとしたら時間が足りないことに気が付くアタクシ(アホです)

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko151106a1.pdf

時間がないので(すいません朝の起動がボケボケでしたので)明日に続きますが今回は全体的な感想と最初の部分から少々。


・冒頭のお話

『このところの経済情勢をみると、中国をはじめとする新興国経済の減速の影響から、わが国の輸出や生産に鈍さがみられています。また、物価面では、原油価格の大幅な下落の影響などから、消費者物価の前年比は0%程度まで低下しています。』

原油と新興国。

『しかしながら、これからご説明するように、日本経済のファンダメンタルズはしっかりとしており、企業や家計を取り巻く環境は、数年前に比べて大きく好転しています。また、物価の基調も着実に改善しています。日本銀行が一昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」は、デフレの脱却に向けて所期の効果を発揮していると考えています。』

デフレ脱却??物価目標2%達成のためにやっているんじゃなかったでしたっけ????

『日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を着実に推進し、緩和的な金融環境をしっかりと継続していきます。そうしたもとで、企業や家計の経済活動は活性化し、日本経済は潜在成長率を上回る成長を続けるとともに、2%の「物価安定の目標」は、必ず達成できると考えています。本日は、「展望レポート」の内容を紹介しながら、日本銀行の経済・物価見通しや金融政策運営に対する考え方について、お話したいと思います。以下ではまず、経済・物価見通しについて、最も蓋然性の高いと考えられる中心的なシナリオをご説明し、その後、このシナリオに対するリスク要因をご説明したいと思います。』

ということで話が始まるのですが、2%の目標に関しても「達成の時期」の話がしらっと抜けておりまして、元々はデフレ脱却がどうのこうの聞かれると日銀は「デフレ脱却は2%物価目標達成の通過点に過ぎない(キリッ)」ってな感じで、デフレ脱却を定義づける事について特段重要視するような事もなく、そんなもん達成するじゃろ位の勢いだった筈だったのに、先ほどの所では「デフレの脱却に向けて」所期の効果という形での説明になっておりまして、段々「デフレを脱却したので所期の効果が上がりましたよQQE大勝利!!!!」という話をしだすのではないかというか、そういうモノの布石のような気もしないでもない。


・内容については明日で勘弁(大汗)

でまあ内容の方ですが、基本的には「賃金」に物凄い勢いで期待しているのですが、その賃金上昇のメカニズム的には需給ギャップをベースにしておりまして、労働需給がひっ迫するにつれ賃金が上昇する筈でしょというのがベースになるんですな。

ただ、それだけだとフィリップス曲線的に見た場合に相当のプラスの需給ギャップが無いと賃金との関係での物価2%というのは難しいので、インフレ期待の引き上げでフィリップスカーブを上方にシフトするという話になると思いますが、まあいずれにせよ「企業のマインドが上がって労働分配を増やすとか投資を増やすとかしないと前向きの循環メカニズムで2%達成が難しい」という認識のもとで、企業にお願いしているんだか鼓舞しているんだか分からん話になっておりますな。

まあ何ですな、元々マネタリーベースを拡大したら2年で2%の物価目標を金融政策だけで達成できる、と置物リフレ直線一気理論が大口を叩いたのでただの自業自得にも程があるのではありますけれども、ここから先のメカニズムを回すためには金融政策で何かするという話ではない状態になっていますよね、という事なので、こういう説明だかお願いだか恫喝だか知らんけど、営業活動(?)をしないといけないってのにもやや同情の念は起きて参りますな。いやー説明が苦しい苦しいとしか申し上げようがないです。

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2015/11/06

○10月1回目の決定会合議事要旨である

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2015/g151007.pdf


・経済情勢の検討部分はまあ基本的には展望レポートの話と同じなのですが・・・・・・・・・・・・

例によって『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から。

『海外経済について、委員は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いているとの認識を共有した。先行きについても、委員は、基調として先進国を中心に、緩やかな成長が続くとの見方で一致した。』

ということで・・・・・・・

『地域毎にみると、米国経済について、委員は、米ドル高や新興国の減速などから鉱工業部門は力強さを欠いているが、家計支出に支えられて回復しているとの認識で一致した。また、米国経済の先行きについて、委員は、当面、鉱工業部門は力強さを欠くものの、堅調な家計支出を起点として民間需要を中心に成長が続くとの見方を共有した。』

『複数の委員は、9月の雇用統計は市場予想対比下振れたものの、やや長い目でみれば、失業率などでみた労働市場のスラックは着実に縮小していると指摘した。別の委員は、米国の個人消費が堅調な背景には、低金利環境が続いていることがあり、利上げによって耐久財消費などに負の影響が生じるリスクに注意する必要があると述べた。』

まあ米国はこんなもんですかな。

『欧州経済について、委員は、輸出の緩やかな増加基調や、消費者心理の回復基調を背景に、緩やかな回復を続けているとの認識を共有した。一人の委員は、これまでのところ景気は緩やかな回復を続けており、自動車販売も好調であるなど、個人消費の堅調さは維持されていると述べた。複数の委員は、難民問題が経済に影響を与える可能性に懸念を示した。欧州経済の先行きについて、委員は、緩やかな回復を続けるとの見方で一致した。』

おお自動車orz

『中国経済について、委員は、総じて安定した成長を維持しているが、製造業部門を中心に幾分減速しているとの認識で一致した。ある委員は、既往の賃金上昇により家計の可処分所得が増加しており、海外旅行の状況にもみられるように、最近の株価下落や製造業の低調さのもとでも、家計のセンチメントは低下していないとの見方を示した。一方、別の一人の委員は、自動車販売が落ち込むなど、製造業全般に勢いがなく、原材料や部品の海外からの輸入が低迷していることを指摘した。』

なるほど。

『中国経済の先行きについて、委員は、製造業部門を中心に幾分減速しつつも、当局が景気下支え策に積極的に取り組むもとで、概ね安定した成長経路を辿るとの見方を共有した。そのうえで、複数の委員は、中国経済の先行きについては不確実性が高く、その減速が想定以上に長引くリスクには注意が必要と述べた。』

まあそうですな。

『新興国経済について、委員は、減速が続いているとの見方を共有した。このうち、中国以外のアジア経済について、複数の委員は、中国向け輸出の鈍化やI T 関連財の需要の弱さなどを背景に減速しているとの見方を示した。別の一人の委員は、マレーシア、インドネシアなどの資源国や、政情不安のあるタイでは、経済の減速が続いている一方、フィリピンやベトナムでは消費や輸出が堅調であり、アジアの中で状況は二極化していると指摘した。先行きの新興国経済について、委員は、当面、減速した状態が続くが、その後は、先進国の景気回復の波及や金融・財政面からの景気刺激策などによる内需の持ち直しから、成長率が徐々に高まっていくとの見方を共有した。』

とまあそういうことで中国とアジア新興国は下振れの話をしているのですが、相変わらず結論は先進国が伸びてくるのでそのうち戻るでしょうと。



でもって国内。

『わが国の景気について、委員は、輸出と生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっているが、国内需要の面では、前向きな投資スタンスが維持されているほか、個人消費が底堅く推移しているなど、家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと作用し続けており、緩やかな回復を続けているとの認識を共有した。』

そ、そうなのか?????

『ある委員は、従来の日本経済の回復パターンでは、輸出の増加を起点に、製造業の企業収益・設備投資が増加したのに対し、今回の局面では、内需の堅調さを背景に、非製造業が回復を主導しており、海外経済減速の景気全体への影響が相対的に小さくなっている可能性を指摘した。』

だったら何で円安に振ったのよ(結果論とはいえ)。

『景気の先行きについて、委員は、所得から支出への好循環が続くもとで、緩やかな回復を続けていくとの見方で一致した。』

はて。

『輸出について、委員は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっているとの認識で一致した。委員は、その背景として、中国をはじめ新興国・資源国経済が減速する中で、世界的に貿易・生産活動が停滞していることや、IT関連需要の弱さが挙げられるとの認識を共有した。何人かの委員は、ウエイトの大きい東アジア向け輸出の減速を懸念材料として指摘した。』

『先行きの輸出について、大方の委員は、当面横ばい圏内の動きを続けるとみられるが、その後は、新興国経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかに増加していくとの見方で一致した。そのうえで、多くの委員が、中国を含む新興国経済の減速が長引いた場合のわが国の輸出や国内景気への影響については注意が必要であると指摘した。』

中国の下振れ懸念と。

『企業収益について、委員は、新興国経済の減速にもかかわらず、円安や原油安の効果もあって明確な改善を続けているとの認識を共有した。多くの委員は、9月短観における本年度の事業計画において、売上高経常利益率が過去最高水準となっていることを指摘した。』

『この点に関連して、複数の委員は、資源価格の下落が、幅広い業種に好影響を与えていると述べた。』

それは世界需要の後退によって発生しているのではないか??

『また、ある委員は、海外経済の減速は、数量面ではマイナスに働く一方、資源価格の下落を通じた交易条件の改善がプラスに働き、後者が前者をある程度相殺する結果、ある種の自動調整が働いているとの見方を示した。』

それは良いのだが、だったら海外経済が持ち直して資源価格が上がってシナリオ通りに推移したら「幅広い業種に好影響」の裏が出てくるという話になるのだが・・・・・・・・・・・

『一方、別の一人の委員は、最近の収益改善は円安や資源価格下落といった要因に支えられており、企業が必ずしも恒常的な所得増加とみなしていないため、支出拡大に繋がるにはなお時間を要するとの見方を示した。』

現実問題として労働分配は増えないわ設備投資の出はまだまだだわという状況となると、この「別の一人の委員」の見解の方が妥当に見えるのですけどねえ。

『設備投資について、委員は、企業収益が明確な改善を続ける中で、緩やかな増加基調にあるとの認識で一致した。多くの委員は、9月短観の2015 年度の設備投資計画は、過去最高水準の利益率が見込まれるもとで、企業の設備投資スタンスがしっかりとしていることを示す内容であったとの見方を示した。』

まあスタンスは確りなんですが。

『先行きの設備投資についても、企業収益が明確な改善傾向を辿る中で、緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。多くの委員は、これまで公表された設備投資の先行・一致指標では設備投資の明確な増加が確認できないものの、企業マインドが総じて良好な水準を維持していることなどから、先行きは増加していくとの認識を示した。』

という話なのだが、結局の所さっき出ていたように「恒常的な所得増加」となるための成長期待がまだ高まっていない訳で、収益が良くたって成長期待が無かったら将来に備えて保守的になるでしょと思うのですが・・・・・・・・・・・

『もっとも、このうち複数の委員は、9月短観では年度上期の実績を踏まえた修正が行われていない可能性があることなどを理由に、設備投資計画が示すよりは幾分慎重にみる必要があると述べた。』

ですなあ。

『雇用・所得環境について、委員は、労働需給が着実な改善を続けるもとで、雇用者所得は緩やかに増加しており、先行きも、経済活動や企業業績の回復につれて、緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。』

『委員は、新興国経済の減速を受けた生産活動の低下にもかかわらず、9月短観の雇用人員判断DIは、企業の人手不足感が一段と強まっていることを示しているとの認識を示した。何人かの委員は、名目賃金は、毎月勤労統計のサンプル替えの影響で基調が読みにくくなっているが、実態としては緩やかに上昇しているとの見方を示した。』

まあ上昇が物価に対して足りてない感は満載ですけどね!

『この点、企業収益が高水準の割には、賃金上昇率が緩やかなものにとどまっている背景として、ある委員は、小売や介護など相対的に低賃金の業種での雇用増が全体の賃金上昇率を抑制している可能性を指摘した。別のある委員は、パートの新規求人倍率は足もと非常に高く、新規のパート採用が難しくなっていると指摘し、今後の賃金動向をみるうえで、パートから正規社員へのシフトが行われるかどうかが一つのポイントになるとの見方を示した。』

最初のマクラでご紹介したように、そもそも非正規雇用を入れる理由が「賃金の節約」が4割とかいるという状態(しかし「賃金の節約」という発想は節約する所間違ってないですかねえ)なのに上記のようなのんびりした認識で大丈夫かよと思いますし、これもまた企業の恒常的な所得拡大期待をどうやって付けていくかって話じゃないですかねえ。つーか賃金節約って目先的には正しいかも知らんが、企業単体としてもそれで良いのかというのもありますし、経済全体で見れば個人所得が消費の源泉なんだからそら先行き盛り上がらんわという所ですが、物価をコストプッシュで上げたからどうなるという話でもないのは2年半の実験で見えてきましたしねえ。


『個人消費について、委員は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移しているとの認識を共有した。多くの委員は、販売統計や家計調査をみると、7〜8月の個人消費は増加しており、雇用・所得環境の着実な改善や消費者マインドの改善傾向を背景に、個人消費は底堅く推移しているとの見方を共有した。』

まあこれは今後を見ていくしかないがそんなに強いのかなあという疑問はある。

『ある委員は、自動車販売について、軽自動車の税制変更の影響は残るものの、昨年の消費増税の影響が薄れつつあり、新車販売も一部では持ち直していると述べた。』

ほう(布野さんの指摘ですかね^^)。

『一方、ある委員は、8月の消費が増加したことには、新車投入効果や猛暑といった要因以外にも、このところの消費マインドの改善も影響していると述べた。そのうえで、この委員は、サーベイ調査によれば、先行きについては収入と支出のDIが悪化しており、今後の消費が必ずしも順調に増加しない可能性もあると指摘した。』

『また、別の委員は、所得の伸びが緩やかにとどまる中で、物価上昇が、家計の消費行動や消費マインドに影響しないか、注意深くみる必要があると述べた。』

極私的感想としてはこれらの見解に賛成。


『鉱工業生産について、委員は、新興国経済の減速に加え、在庫調整の動きもあって、このところ横ばい圏内の動きとなっているとの認識で一致した。多くの委員は、企業の生産活動は、内外需要の緩やかな増加を背景に持ち直してきたが、新興国経済の減速の影響や世界的なIT関連需要の弱さに加え、軽乗用車の在庫調整が長引いていることもあって、このところ横ばい圏内の動きとなっているとの見方を共有した。』

『先行きの生産について、委員は、当面横ばい圏内の動きを続けるとみられるが、その後は、新興国経済が減速した状態から脱し、在庫調整が進捗するにつれて、緩やかに増加していくとの見方で一致した。ある委員は、8月の生産が幅広い業種で低迷しており、短観の先行きの業況判断も悪化が見込まれているため、予測指数が下方修正される可能性があると述べた。』

この後に出た生産統計が踏みとどまってくれてほっと一息という所ではないでしょうか。


・金融政策に関しては鑑賞場所はたぶん2か所

『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』である。

『金融政策を運営するうえでの物価動向の判断について、委員は、「物価安定の目標」は安定的に達成すべきものであり、金融政策運営に当たっては、物価の基調的な動きが重要であるとの認識を共有した。』

まあ最近ずっとこれですけれども・・・・・・・・・

『多くの委員が、8月の消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比がプラス幅を拡大し、1.1%まで上昇したことや、消費者物価(除く生鮮食品)の上昇品目比率から下落品目比率を差し引いた指標がはっきりと上昇していることなどを指摘し、物価の基調は改善を続けており、こうした点では昨年とは明確に異なっているとの見方を示した。』

昨年と違うのはその通りだが、基調で持ち出してくるものが政策スタンスの後付説明に都合の良いものを色々と出してくるというのがどうもね(ちなみに昨年10月1回目(追加緩和前)は複数の委員がコアコアの上昇に一服感がみられるという指摘をしていたよ)。

『ある委員は、物価の基調が改善している背景として、マクロ的な需給バランスが改善傾向を辿っていることや、企業や家計の物価観が変化していることなどを挙げた。一方、何人かの委員は、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比の上昇には、円安に伴う食料工業製品や家電製品の値上げが影響している面がある点には留意が必要と述べた。』

ということで、執行部ペースの基調ガーだけでもなさそうなこの議論。

『委員は、2%の「物価安定の目標」の実現に当たっては、賃金の上昇を伴いつつ、緩やかに物価上昇率が高まっていくことが重要であるとの認識を共有した。』

予想インフレが上昇するのがすべての起点だったのではないでしょうか岩田副総裁様???

『この点、多くの委員は、企業収益が過去最高水準となっているにもかかわらず、名目賃金の上昇ペースは緩やかなものにとどまっているとの見方を示した。また、何人かの委員は、今後の賃金動向を決めるうえで、来年の春闘におけるベースアップを含めた賃上げが重要であると述べた。』

お賃金キタコレ。

『これらの委員は、様々な指標でみると物価の基調は着実に改善しており、そうしたもとでは、賃金もバランス良く上昇していくことが重要との見方を示した。』

別に物価が上がったらと言って企業が賃金を上げるとは限らない希ガス。

『このうちある委員は、政府による成長戦略や構造改革の着実な実施と、日本銀行による「量的・質的金融緩和」の推進により、企業が賃上げを実施しやすい環境を維持・促進していくことが引き続き重要であると述べた。』

・・・・・・・・だったらマインドを更に上げる為に追加緩和、という話をせんのか????(中長期的に継続するというコミットというのなら分かるけど)


でまあ毎度の木内さんの提案と反対意見。

『一方、一人の委員は、「量的・質的金融緩和」の効果は、実質金利の低下一巡に伴って限界的に逓減しており、国債市場への影響など副作用が既に効果を上回っていると述べた。また、日本銀行の国債購入に限界が生じると意識されれば、タームプレミアムが大幅に上昇するリスクがあり、国債購入の持続性を高めるためにも、当面の購入継続方針の表明とともに、買入れ額の減額措置を行う必要があるとの認識を示した。』

国債買入の持続性ではなくて、QQE政策を長期的に維持可能な施策にする、というほうが見栄えが良いのではないかと思います。

『そのうえで、この委員は、@長期国債保有残高の増加ペースを、段階的減額を視野に入れて、「量的・質的金融緩和」導入時を下回る水準まで減額すること、A「物価安定の目標」の達成期間を中長期へと見直すとともに、金融不均衡などのリスクに十分配慮した政策運営を行うこと、を主張した。また、この施策は、早期の「量的・質的金融緩和」終了や金利引き上げに向かうものではないことを指摘した。』

副作用が上回っているからという話なのでいきなり45兆円なのですが、拡大ペースについてはちょうど来年はMPM8回なのですから、年間80兆円ペース(実際は償還分の購入を含めるとフローでは120兆円)から毎回10兆円ペース減らして行って来年には国債残高維持まで戻す方が美しいというか乗りやすくなるような気がするんですけどね(途中でペース変わると買入フローの調整が途中で来るのですが)。


でもって反対見解ですが。

『これに対して、一人の委員は、現時点での国債買入れの減額は、長期金利の上昇をもたらし、経済に悪影響を及ぼす可能性が高いと指摘した。』

どうせ上昇したって長期金利1%も下手したら行かないと思うのだが、その程度の金利上昇に耐えられない経済でどうやって安定的に2%の物価上昇が出来るのかという気はしますがまあそれはそれとして。

『また、別の委員は、重要なのは国債市場の流動性、機能度、取引量、厚みなど、様々な観点から市場の状況を把握しつつ、国債買入れを継続することであると述べた。』

??????????木内さんはそこに問題があると言っているのにナンジャコラ。


ちなみに前回の反対見解ですが。

『これに対して、ある委員は、中国経済が減速しており、その影響が懸念されるもとで、金融緩和の程度を縮小することは適当ではないとの見方を示した。別の一人の委員は、「量的・質的金融緩和」はタームプレミアムの押し下げ以外にも、予想物価上昇率への働きかけなど、複数の経路を想定した政策であり、政策効果は幅広い観点から分析していく必要があると述べた。』(9月議事要旨より)

となっていまして、当初は「QQEの副作用は理論的にも実証的にも見られない(キリッ)」とか威勢の良かったいちゃもんが徐々にトーンダウンしているようで実に香ばしいですな。


#サラサラやる積りだったのだが思いのほか引用大会になってしまいました(大汗)

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2015/11/05

○展望レポート基本的見解の続きでリスク認識の所では賃金攻撃である

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1510a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1504a.pdf(前回)

つーことで昨日の続き。『2.上振れ要因・下振れ要因』から。

まずは経済情勢の方から。

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。先行きの海外経済を巡るリスク要因としては、中国をはじめとする新興国経済の減速の影響、米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、資源価格下落の影響、地政学的リスクなどが挙げられる。』(今回)

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。先行きの海外経済を巡るリスク要因としては、米国経済の成長ペースやそれが国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、新興国経済における持続的な成長に向けた構造調整の進展度合い、資源価格下落の影響、地政学的リスクなどが挙げられる。』(前回)

海外なのですが、ここに「中国をはじめとする新興国経済の減速の影響」と思いっきり入れたのと、「米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響」と要するに米国の利上げとそれによって発生する影響なのですが、下振れという位なので利上げで新興国がウギャーとなるとかそっちの懸念ですかねえ。


『第2は、2017年4月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動の影響や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。』(今回)

『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、規制・制度改革の今後の展開や企業部門におけるイノベーション、家計部門を取り巻く雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。』(今回)

『第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下するような場合には、人々の将来不安の強まりや経済実態から乖離した長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、人々の将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(今回)

第2〜第4は前回と全文一致(無駄に量が多くなるのも何なので前回分を引用していませんが、ご確認したいかたは上記URL先からご確認ありたし)となっていまして、今回は中国および新興国と米国利上げの影響ってんですから結局の所大体全部新興国になっております。


物価ですけれども。

『上述のような経済の上振れ、下振れ要因が顕在化した場合、物価にも相応の影響が及ぶとみられる。それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。中心的な見通しでは、賃金の上昇を伴いながら実際の物価上昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇し、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していく姿を想定しているが、その上昇ペースには、実際の物価の動きやそれが予想物価に及ぼす影響の度合いなどを巡って不確実性がある。この点では、エネルギー価格下落の影響から現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある。また、賃金と物価の関係を考えると、来年度に向けた労使交渉において、既往の基調的な物価上昇や先行きの物価見通しがどのように織り込まれていくかが重要である。』(今回)

『上述のような経済の上振れ、下振れ要因が顕在化した場合、物価にも相応の影響が及ぶとみられる。それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。中心的な見通しでは、賃金の上昇を伴いながら実際の物価上昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇し、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していく姿を想定しているが、その上昇ペースには、実際の物価の動きやそれが予想物価に及ぼす影響の度合いなどを巡って不確実性がある。この点では、エネルギー価格下落の影響から現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある。』(前回)

前回と比較しますと、最後の「また、賃金と物価の関係を考えると、来年度に向けた労使交渉において、既往の基調的な物価上昇や先行きの物価見通しがどのように織り込まれていくかが重要である。」というのが入っていまして、まずここで賃金キタコレという所なのですが、前半では実際の物価が0%で推移している事が予想物価上昇率を押し下げるリスクという話をしているのに、賃金に関しては何故か既往の「基調的な」物価上昇というのがなんかこうアレでして、昨日(というか一昨日)ネタにした総裁会見でも「バランスの良い物価上昇」とかいう発言がポロリと出ていたように、物価だけホイホイ上昇してもそれはインフレ期待の上昇が却って経済成長を委縮させる(費用の増加というマインドを招くので)ので、結局インフレ期待は上げないといけないのだけど、その間に所得や収益の拡大期待が伴わないと意味がないという認識が背景にあるんでしょうなあ的なサムシングを感じるのでありました。



『第2に、マクロ的な需給バランス、とくに労働需給の動向がある。中心的な見通しでは、労働供給面で、近年の高齢者や女性による労働参加の高まりや最近みられているパート労働の正規雇用化が、今後もある程度続くことを前提としているが、この点を巡っては不確実性があり、その動向によっては賃金・物価に影響する可能性がある。』(今回)

これは前回と全文一致。


『第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度が挙げられる。すなわち、先行きの海外経済の不透明感などから企業の賃上げに対するスタンスが慎重化する場合や、そうしたもとで消費者の物価上昇に対する抵抗感が強まる場合には、物価の上昇ペースが下振れるリスクがある。また、公共料金や一部のサービス価格、家賃などの価格硬直性が想定以上に強い場合には、消費者物価指数の上昇率の高まりを抑制する要因となる可能性がある。』(今回)

『第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度、すなわち、企業が財・サービス需給や労働需給の引き締まりに応じて、販売価格や賃金をどの程度引き上げていくかについて留意する必要がある。この点、労働需給の引き締まりを背景として賃金の改善ペースが上振れ、物価にも影響を及ぼす可能性がある一方、消費者の物価上昇に対する抵抗感が強い場合や企業の賃上げに対する姿勢が慎重な場合、販売価格や賃金の引き上げがスムーズに進まない可能性もある。』(前回)

ここの部分が結構変わった所でして、従来は上振れの話を入れていたのですが、今回は下振れの話ばかりになっているというのが1点、更に「先行きの懸念から賃上げが期待ほど行かない」→「賃上げ期待が弱まって価格上昇による消費の落ち込みが大きくなる」→マズーという話をしているのが目立つ所で、それなら追加緩和したらどうなのよとも申し上げたくはなるのですが、その辺りについては追加緩和したから良くなるってもんじゃないという認識(なのか単に総裁会見でうっかり言い間違えたように実はオペの限界が近づくのがマズーだから追加緩和しないだけなのかは知らんが)でいる、という建付けになっているようですな。

それから家賃などの価格硬直性というのが出ていて、これはもう石田審議委員が以前から提唱している「帰属家賃除く物価指数」の出番がキタコレかも知れませんよ(って確かその数字になると強い数字が出る筈)というのは考えすぎですかそうですか。


『第4に、原油価格といった国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸入物価の動向や、その国内価格への波及の状況によっても、上振れ・下振れ双方の可能性がある。』(今回)

こちらは前回と全文一致。


・第一の柱、第二の柱

最後の金融政策運営の所ですけどね。

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、わが国経済は、2016年度後半頃に2%程度の物価上昇率を実現し、その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していく可能性が高いと判断される。』(今回)

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、わが国経済は、2016年度前半頃に2%程度の物価上昇率を実現し、その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していく可能性が高いと判断される。』(前回)

ご案内の通りで半年後ずれ。

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい。物価の中心的な見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向などを巡って不確実性は大きく、下振れリスクが大きい。』(今回)

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向などを巡る不確実性は大きいものの、リスクは上下にバランスしていると評価できる。物価の中心的な見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向などを巡って不確実性は大きく、下振れリスクが大きい。』(前回)

ということで今回は経済リスクもバランスから下振れでして、物価達成期間は後ずれするわリスクバランスは下になるわなのですが、そうは言っても見通しは変わらないし2%は行きまぁすと言って現状維持というのは去年の追加緩和と比較すると論理的整合性が無いにも程があるのですが、最近の会見などでの説明の延長でみれば追加緩和なっしーという話になっておりましたのでそらまあ予想も割れましたなという事で。

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、現時点では、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されない11。もっとも、政府債務残高が累増する中で、金融機関の国債保有残高は、全体として減少傾向が続いているが、なお高水準である点には留意する必要がある。』(今回)

『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、現時点では、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されない11。もっとも、政府債務残高が累増する中で、金融機関の国債保有残高は、漸減傾向が続いているが、なお高水準である点には留意する必要がある。』(前回)

金融機関の国債保有残高の話をする前にオマエガナーという感じでして、長期国債の保有残高に関しては民間金融機関と日銀の保有がこの先逆転コース(1年少々先でしたっけ)になるのにお前は何を言ってるんだという気がするのでこれ書く必要あるのかねとは思いますけどね!!!!

最後のこれは前回と同じです。

『金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(今回)

ということで賃金が上がらないこと、先行きの成長期待や所得期待が伸びないことについての懸念を示している、という話でありますので、そういう意味では来年の賃上げ時期というのは今の政策に対する一つの決着を求められる時期になるんじゃないでしょうかねえと思うのですけどね、来年9月には長期国債保有が発行残高の4割になることですし!!!!!!!!!

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2015/11/04

○展望レポート基本的見解の確認を

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1510a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1504a.pdf(前回)

前回4月のと適宜確認しながら(全部やるかどうかは分からん)鑑賞ということで。

・まずはメインシナリオの経済情勢から

『わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかな回復基調を続けている。』(前回)

既に月報の表記でご案内の通りの新興国経済の影響入りですが結論は同じですね。

『海外経済は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。輸出や鉱工業生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっている。一方、国内需要の面では、企業部門において、収益が過去最高水準まで増加していることなどを背景に、前向きな設備投資スタンスが維持されている。家計部門においては、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費が底堅く推移し、住宅投資も持ち直している。』(今回)

『企業部門では、輸出、生産が持ち直すとともに、収益は過去最高水準まで増加しており、前向きな投資スタンスが維持されている。家計部門については、雇用・所得環境の着実な改善が続き、個人消費も全体としては底堅く推移している。』(前回)

総括判断の材料としてあげている個別需要項目の説明が海外の所でヘッジクローズが入っています。

『先行きを展望すると、家計、企業の両部門において所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に緩やかな増加に転じると考えられる。そうしたもとで、わが国経済は、2015年度から2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想される4。2017年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想される。』(今回)

『先行きを展望すると、国内需要が堅調に推移するとともに、輸出も緩やかに増加していくと見込まれ、家計、企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続すると考えられる。そうしたもとで、わが国経済は、2015年度から2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想される5。2017年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想される。』(前回)

国内需要についての表現ですが「家計、企業の両部門において所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続」というのを今回は頭に持ってきておりまして、その結果として国内需要が前回の「堅調に推移」から「増加基調」と上がっているということで、とにかく「内生的な循環メカニズムがワークする」という前提が思いっきりビルトインされている見通しということですな。

とまあそう考えますと、来年に向けて賃金がもっと上がらないと話にならんという話だと思うのですけれども、それがコケるかどうかって概ね来年の1-3の辺りで状況が見えてくると思われますから、今のシナリオで粘るというのも賞味期限はそんなに長くない。


・見通しの背景説明の変化を確認

『こうした見通しの背景にある前提は、以下のとおりである。』(今回)から先に参ります。

『第1に、日本銀行が、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続する中で、金融環境は緩和した状態が続き、景気に対し刺激的に作用していくと想定している5。』(今回)

これは毎度同じなので前回との比較はスルー。

『第2に、海外経済については、先進国が堅調な成長を続けるとともに、その好影響が波及し新興国も減速した状態から脱していくとみられることから、緩やかに成長率を高めていくと予想している。』(今回)

『第2に、海外経済については、先進国が堅調な景気回復を続け、その好影響が新興国にも徐々に波及する中で、緩やかに成長率を高めていく姿を見込んでいる。主要国・地域別にみると、米国経済については、民間需要を中心とした成長が続くと予想される。欧州経済については、債務問題に伴う調整圧力が残り、暫くの間低インフレが続くとみられるものの、個人消費の回復や輸出の増加などに支えられ、緩やかに回復していくと見込まれる。中国経済については、当局が構造改革と景気下支え策に同時に取り組んでいく中で、成長ペースを幾分切り下げながらも、概ね安定した成長経路をたどると想定している。』(前回)

前回丁寧に説明しているのに今回はあっさり味に変更しています。一般的にはあっさり味になるのは自信があるからというパターンなのですが、今回内訳の話をしなくなっているのは(先の方で海外の下振れの説明がありますように)見通し自体を細かく説明しだすと怪しげな部分が出るから華麗にスルーしたものと見ました。

『第3に、公共投資は、現在の高めの水準から緩やかな減少傾向をたどった後、見通し期間の終盤にかけては下げ止まっていくと想定している。』(今回)

これは前回と同じ。

『第4に、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みと内外需要の掘り起こしなどが続くとともに、デフレからの脱却が着実に進んでいくにつれて、企業や家計の中長期的な成長期待は、緩やかに高まっていくと想定している。』(今回)

でまあこちらの文言も前回と全文一致なのですが、アベノミクス新三本の矢に関連するような文言をちょっと入れておいた方が綺麗だったようにも思えますが、元々新三本の矢は単に前の三本の矢の三本目だから変わらないですかそうですか。


・見通しの年次別展開

まずは2016年度に掛けて。

『以上を前提に、見通し期間の景気展開をやや詳しく述べると、2015年度から2016年度にかけては、輸出は、当面横ばい圏内の動きを続けた後、新興国経済が減速した状態から脱していくもとで、既往の為替相場の動きによる下支えもあって、緩やかに増加していくと考えられる。設備投資は、過去最高水準にある企業収益や金融緩和効果が引き続き押し上げに作用する中、国内向け投資の積極化などもあって、増加を続けるとみられる。』(今回)

『以上を前提に、見通し期間の景気展開をやや詳しく述べると、2015年度から2016年度にかけては、輸出は、海外経済が回復し、これまでの為替相場の動きも下支えに働くことから、緩やかに増加すると考えられる。設備投資は、企業収益の改善や金融緩和効果が引き続き押し上げに作用する中、国内生産強化の動きなどもあって、しっかりと増加するとみられる。』(前回)

輸出の見通しは4月で「緩やかに増加」なのに10月が「当面横ばいでその後緩やかに増加」ですし、「増加する」という語尾の部分が「増加していく」と何か微妙に自信なさげな語尾になっていてだいぶ下方修正(なのだが方向性は変わらないのでメカニズムには変化がない、というのが日銀の理屈)。

なお英文版のこの部分を比較しますと・・・・・・・・・・・

『For fiscal 2015 through fiscal 2016, exports are expected to remain more or less flat for the time being, and after that they are likely to increase moderately as emerging economies are expected to move out of their deceleration phase and given support from past foreign exchange rate developments.』(今回)

『For fiscal 2015 through fiscal 2016, exports are expected to increase moderately owing to the recovery in overseas economies and support from past foreign exchange rate developments.』(前回)

となっているので、先行きの「増加」の部分について前回は「expected to increase」になっているのですが、今回は「likely to increase」となっておりまして、輸出の先行きについては表現がずいぶん弱くなりましたなあという感じです。

一方の設備投資の見通しは「増加を続ける」と威勢が宜しい。


『個人消費は、雇用環境の着実な改善が続き、賃金が上昇していくことや、エネルギー価格下落による実質所得の押し上げ効果が働くことなどから、緩やかに増加すると予想される6。こうした内外需要を反映して、鉱工業生産も、当面横ばい圏内の動きを続けた後、緩やかに増加していくとみられる。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続き、賃金が増加していくほか、2015年度にはエネルギー価格下落による実質所得の押し上げ効果や駆け込み需要後の落ち込みからの回復も見込まれることから、伸びを高めると予想される7。こうした内外需要を反映して、鉱工業生産も、緩やかに増加するとみられる。』(前回)

生産の見通しでも同じなのですが、当面横ばいでその後増加、の英文表現がさっきの輸出と同じでして、目先の見通しが横でその後上がるとは思いますが・・・・・的な感じで味わいがある。

『Reflecting these developments in demand both at home and abroad, industrial production is expected to remain more or less flat for the time being, and after that it is likely to increase moderately.』(今回)
『Reflecting these developments in demand both at home and abroad, industrial production is expected to increase moderately.』(前回)


続いて2017年度。

『2017年度にかけては、2017年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、設備投資の増加ペースが資本ストックの蓄積に伴って低下していくとみられる。』(今回)
『2017年度にかけては、2回目の消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、設備投資の増加ペースが資本ストックの蓄積に伴って低下していくとみられる。』(前回)

てなわけで2017年度の見通しは変わらないのですよね〜。まあそこを変えたら金融政策アクションに影響が出るからということでしょうけれども。

『もっとも、輸出が、海外経済の成長などを背景に緩やかな増加を続けるとともに、国内民間需要も、緩和的な金融環境と成長期待の高まりなどを受けて底堅く推移すると予想される。この間、潜在成長率は、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどり、中長期的にみた成長ペースを押し上げていくと考えられる。こうしたもとで、2017年度は、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると見込まれる。』(今回)

『もっとも、海外経済の成長などを背景に輸出が緩やかな増加を続けるとともに、緩和的な金融環境と成長期待の高まりなどを受けて国内民間需要は底堅く推移すると予想される。この間、潜在成長率は、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどり、中長期的にみた成長ペースを押し上げていくと考えられる。このため、わが国経済は、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると見込まれる。』(前回)

ということで、手前だけ下げて先は変わらないという形なので物価見通しが後ずれしても無問題というお話になる、というのが日銀の理屈ですな。


・物価に関して

『消費者物価の前年比は、エネルギー価格の下落の影響から、生鮮食品を除くベースでは0%程度となっているが、エネルギーを除くベースでは1%を上回るなど、物価の基調は着実に改善している。』(今回)
『消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、このところ0%程度で推移している。』(前回)

わざわざ基調を今回入れているのがお洒落ですね!!!

『物価上昇率を規定する主たる要因について点検すると、第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給バランスは、新興国経済の減速を背景とした輸出のもたつきの影響などを受けつつも、労働面を中心として、着実に改善傾向をたどっている7。すなわち、失業率が緩やかに低下し、3%台前半で推移するなど、労働需給は引き締まり傾向が続いている8。』(今回)

『物価上昇率を規定する主たる要因について点検すると、第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給バランスは、着実に改善傾向をたどっている8。すなわち、失業率が緩やかに低下し3%台半ばになっているなど9、労働需給は引き締まり傾向が続いている。こうしたもとで、所定内給与が増加するなど、賃金の改善も続いている。』(前回)

ちなみに脚注によれば構造失業率が3%台前半とあるので、既に完全雇用状態という認識なのですね。所定内給与の言及を外しているのもチャーミング。


『設備の稼働率は、輸出のもたつきの影響などがみられるが、わが国経済が緩やかな回復を続ける中、上昇傾向にあると考えられる。先行きについては、マクロ的な需給バランスは、本年度末にかけてプラス(需要超過)に転じた後、2016年度にプラス幅が一段と拡大し、需給面からみた賃金と物価の上昇圧力は、着実に強まっていくと予想される。その後、2017年度には、マクロ的な需給バランスは、プラスの水準で横ばい圏内の動きになると見込まれる。』(今回)

『また、駆け込み需要の反動の影響が収束してきたことから、設備の稼働率も高まっている。このため、マクロ的な需給バランスは、本年度前半にプラス(需要超過)に転じた後、2016年度にかけてプラス幅が一段と拡大し、需給面からみた賃金と物価の上昇圧力は、着実に強まっていくと予想される。その後、2017年度には、マクロ的な需給バランスは、プラスの水準で横ばい圏内の動きになると見込まれる。』(前回)

とまあこのように説明しているように、需給ギャップのプラス化に関して4月の見通しでは年度前半にプラスに転じて16年度に掛けてプラス幅が一段拡大、となっていたのに対して、今回は本年度末にかけてプラスに転じるという見通しになっております。したがって原油が原油がと(昨日ネタにした)総裁会見では連呼しているのですが、そもそも論として需給ギャップの改善が遅れている訳でして、とりあえず新興国のせいということにしてその遅れに関しての政策対応をしないような建付けにしていますけれども、この需給ギャップ改善が遅れるというのは2%物価達成のメカニズムが遅れるということでもありますので、何度も遅れましたなあで済ませてはいられない(2年程度を念頭に出来るだけ早期に達成するという建付けであるならば)ように思えますがねえ。


『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。こうした予想物価上昇率の動きを受けて、企業の賃金・価格設定スタンスは、特に本年度入り後、明確に変化している。労使間の賃金交渉においては、企業業績や労働需給に加え、物価動向を賃金に反映する動きが拡がっており、本年のベースアップを含む賃上げは多くの企業で昨年を上回る伸びとなった。また、価格改定の動きについても、拡がりと持続性がみられている。このように、賃金の上昇を伴いつつ、物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは着実に作用している。もっとも、企業収益が過去最高水準にあり、失業率が3%台前半まで低下していることとの対比でみると、賃金の改善の程度はやや鈍い点には留意する必要がある。』(今回)

『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。こうした予想物価上昇率の動きは、実際の賃金・物価形成にも影響を及ぼしていると考えられる。例えば、労使間の賃金交渉においては、企業業績などに加え、物価動向を賃金に反映する動きが拡がりつつあり、本年のベースアップを含む賃上げは昨年を上回る伸びとなる見込みである。』(前回)

ということで、実際の賃上げとかを見た結果というのと、東大物価指数に示されるような日常品価格の上昇をここぞとばかりに強調して「中長期的な予想物価上昇率が変化したからこうなっています(キリッ)」という説明になっています。

その結果として「このように、賃金の上昇を伴いつつ、物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは着実に作用している」という文言が入っておりまして、ここのメカニズムに関してのアピールたるやという所ですが、最後に「賃金の改善の程度はやや鈍い点には留意する必要がある」と入れている辺りは日銀心の叫びという事ですな。


『先行きについては、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を推進し、実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想物価上昇率も上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくとみられる。こうしたもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは積極化していくと考えられる。』(今回)

『先行きも、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を推進し、実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想物価上昇率も上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくとみられる。』(前回)

ということで「企業の賃金・価格設定スタンスは積極化していくと考えられる。」というのがこれまた日銀心の叫びという感じで中々チャーミング。

『第3に、輸入物価についてみると、これまでの為替相場の動きが、輸入物価を通じた消費者物価の押し上げ要因として作用していく一方、原油価格をはじめとする国際商品市況の下落は、当面物価の下押し圧力となる。』(今回)
『第3に、輸入物価についてみると、これまでの為替相場の動きが、輸入物価を通じた消費者物価の押し上げ要因として作用していく一方、原油価格をはじめとする国際商品市況の下落は、当面物価の下押し圧力となる。』(前回)

これは全文一致。


・ということで物価見通し文言

『以上を踏まえ、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比の先行きを展望すると、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『以上を踏まえ、消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)の先行きを展望すると、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)

まあここは変わらないというか変えれないですぞな。

『2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度後半頃になると予想される。その後は、平均的にみて、2%程度で推移すると見込まれる9。』(今回)

『2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度前半頃になると予想される。その後は、平均的にみて、2%程度で推移すると見込まれる10。』(前回)

原油価格の置きは5ドルほど下がっています。

『7月の中間評価時点と比較すると、2015年度と2016年度については、原油価格下落の影響などから下振れているものの、2017年度については概ね不変である。』(今回)

『2016年度までの消費者物価の見通しを1月の中間評価時点と比較すると、やや下振れている。』(前回)

とまあそういうことで、結局2017年度の所が不変というのはつまり「今の政策対応のままで行くことには変わらん」という話なのですが、じゃあ追加緩和をしたらそれが早まるという見込みにはならんのかという話については、大体物価の所で示されていると思いますが、既に政策の効果で企業や価格の行動に変化が生じているので追加緩和を特に実施しなくてもこの変化は継続する。という建付けになっているっつーことですな。

でもってこの後の上振れ、下振れ要因の所の変化が更に味わいがあるのですが、時間と量の関係で明日ということで勘弁してくらはい。

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2015/11/03

お題「総裁会見が色々とアレな件について」

朝のドラめもんなのですが文化の日の夕方に書き出して夜にのうのうと更新となりまして、早い時間にお越しになられた方(がいたかどうか知りませんが)には誠に申し訳ございませんでした。

ということで今回の総裁定例会見なのですが・・・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1511a.pdf

まあ今に始まった話ではないのですが、総裁会見に関しては最近質疑が噛み合わないケースが多くなっておりまして、そらまあ2年で2%と言っておきながらこの有様なのですし、昨年の追加緩和の時と今回の現状維持との間のロジックが飛んでいる(正確に言えば昨年の追加緩和のロジックが飛んでいた)わですから、そらまあロジックの整合性で攻めてもそもそも整合性を無視しているのですから仕方ないのですけどねぇ・・・・・・・・・・・といいつつ鑑賞するのでした。

・いきなり「2年で2%」と見通しの先送りの整合性ツッコミキタコレ

『(問) 展望レポートで、物価上昇率が2%程度に達する見通しが、従来の「2016年前半頃」から「2016年度後半頃」に変更されています。一方、「2年程度で2%」という従来の表現について維持するのであれば、その理由についてご説明下さい。』

(・∀・)ニヤニヤ

『(答) ご承知の通り、日本銀行は2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することにコミットしています。「2年程度」という表現は、物価安定目標の実現に関するこのコミットメントにおいて、「できるだけ早期に」という際に念頭に置いている期間を示したものです。』

ほう。

『実際の目標達成時期は原油価格の動向などによりある程度前後するわけですが、だからといって、「念頭に置いている期間」を変える必要があるとは考えていません。』

念頭に置いている期間は変えないけど実績評価は期間を気にしないんですね!!!

『こうしたコミットメントによって、人々のデフレマインドを転換し、予想物価上昇率を引き上げることは、デフレ脱却という目的そのものであると同時に、「量的・質的金融緩和」の政策効果の起点でもあります。そのもとで、実際に、企業や家計の物価観は大きく変化してきています。』

当たり前なのですがコミットが達成できていないのに予想物価上昇率が上がるのかという質問はこの直後に飛んできておりますので後程。

『今回の展望レポートで、2%の達成時期が「2016年度前半頃」から「2016年度後半頃」に後ずれしましたが、これは主としてエネルギー価格の下振れによるものです。物価の基調は着実に改善しており、先行きについても、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、2%を実現していくとみています。』

はいはい原油のせい原油のせい。

『もとより、今後とも、毎回の決定会合において、経済・物価の現状と先行き、様々なリスク要因、金融資本市場の動向などを点検したうえで、物価の基調的な動きに変化が生じ、「物価安定の目標」の早期実現のために必要になれば、躊躇なく調整を行う方針です。』

ああそうですか。


・次の質疑が何せ凄い事になっているのですよ

次の質疑は聞いていて途中で呆れた記憶があるのですががががが。

『(問) 先程のところに絡むのですが、2年程度で2%というお話は変えられない、政策の効果の起点であるというお話がありましたが、総裁がご就任されてから2年半が過ぎて、少なくとも半年前に16年度前半とおっしゃり、今度は16年度後半とおっしゃり、2回先延ばしされています。先延ばしをされていけばいく程、先程おっしゃった企業や家計の物価観の変化とか、日銀はそう言っているけれど、どんどん延びていっているではないかということで、信じられなくなっていくのではないかという懸念があると思います。それであっても、この枠組みは変えないということでよいのか、むしろ形骸化しているのではないかと思うところもあるのですが、そこを改めてお伺いしたいのが1点です。(後半割愛)』

そらそうよ。後半の方も中々イヤミな質問なのですが前半部分の質疑だけでも凄いので鑑賞ありたし。

『(答) まず第1点ですが、先程申し上げたように、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメント自体は、2013年の1月に金融政策決定会合で決定し、政府・日銀の共同声明でも謳われています。それを踏まえて、2013年の4月に「量的・質的金融緩和」を決定するに際して、2年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するということで、「量的・質的金融緩和」を導入して、それをずっと実行してきました。』

結果は2年で達成の筈が達成時期見通しが4年になってしかもその2016年度後半に達成できると思っているのは日銀だけなんですけどね。

『そうしたもとで、もちろん内外の様々な変動というものは予想外のものも起こるわけでありまして、特に昨年の夏以降のかなり大幅な原油価格の下落、それが予想物価上昇率にマイナスの影響を与え、デフレ脱却を遅らせるという懸念から、昨年の10月に「量的・質的金融緩和」を拡大したわけです。その結果をみますと、原油価格は引き続き下落し、生鮮食品を除く物価上昇率も下落してきたわけでして、足許0%程度になってきていますが、幸い、予想物価上昇率はさほど変化なく、長期的にみれば予想物価上昇率は上昇するという傾向は維持されています。原油価格は足許で、今年の初めあるいは7月頃予想していたよりさらにどんどん下がるということではないのですが、その頃予想していたレベルから緩やかに上がっていくということは、まだ確認されていません。また、先程も申し上げたように、天候不順の関係で、4〜6月に消費が弱かったということも事実です。「量的・質的金融緩和」自体は、2013年の4月に導入され、昨年の10月に拡大され、所期の効果を発揮していると考えていますが、今申し上げたようなことの影響、特に原油価格のかなり大幅な下落という影響によって、足許の物価上昇率自体は0%くらいまで落ちて、まだそこから上がってきていないということは事実です。ただ、今朝発表されました消費者物価の動向、これは9月の数字ですが、生鮮食品を除くところでは確かにマイナス0.1%で横ばいでしたが、生鮮食品とエネルギーを除いたものではプラス1.2%と、前月よりさらに上昇しておりまして、先程ご説明したように、あるいは展望レポートの中で詳しく書かれています通り、物価の基調は確実に改善してきていると思っています。』

これ文字でみても呆れる位にひたすら答えになっていないのですが、会見の中継聞いた時でもひたすら長話をして誤魔化す気が満々というか答えになっていないと思った次第ですし、日銀コアコアの1.2%を今回も強調しているのですが、これが頭打ちとか下げだしたりした日にはどこからどう見ても申し開きが立たないのですが、その時は別の指標でも出してくるのでしょうか???

『従って、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、物価上昇率も原油価格のマイナスの影響が剥落する来年度の後半頃には2%程度に達する可能性が高いとみていますので、「量的・質的金融緩和」政策に対する信認が崩れているとか、あるいはそれが低下する惧れがあるとは今のところ考えていません。いずれにしても、物価の基調に変化が生じて、できるだけ早期に2%の「物価安定の目標」を実現するために必要があれば、躊躇なく追加緩和であれ何であれ、金融政策の調整をするということに変わりはありません。(後半割愛)』

ちなみにここで黒田総裁も同席している2013年3月の正副総裁就任記者会見での岩田副総裁のお言葉を確認してみましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf

『2つ目は、そういう意味で、2年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、「自分達のせいではない。他の要因によるものだ」と、あまり言い訳をしないということです。そういう立場に立っていないと、市場が、その金融政策を信用しないということになってしまいます。市場が金融政策を信用しない状況で、いくら金利を下げたり、量的緩和をしても、あまり効き目がないというのが私の立場です。』(2013年3月21日岩田副総裁の発言)


・そもそも原油のせいだけではないのではという質問

さっきの質問には後半がありまして(だから質問も答えも合わせると上記の倍くらいある)・・・・・・

『(問) (前半割愛)もう1点は、先程から物価の下振れは原油の影響だとおっしゃっているのですが、展望レポートを詳細にみると、前回中間評価の7月時点では、オイルの影響が寄与するのはマイナス0.7〜0.8%であるとおっしゃっていて、今回の展望レポートではマイナス0.9%と、ほとんど原油のマイナス寄与度が変わっていないにもかかわらず、出来上がりの消費者物価の予想は大きく下げられています。』

なるほど。

『つまりこれは、原油以外の他の要素が随分効いているから物価が上がっていないのではないかと思わざるを得ないと思います。それは、例えば賃金とかそういうものが上がっていないということであれば、原油にしても賃金にしても、日銀が追加緩和したら急に上がるものではないわけで、そうすると、日銀が金融緩和しているから物価が上がるのだというところと齟齬が出てくるのではないかと思うのですが、この2点をお願い致します。』

この答えがまたアレ。

『(答)(前半割愛)それからもう1つ、原油価格だけでなく、他の要因もあったのではないかという点につきましては、展望レポートをよく読んで頂ければ分かると思いますが、まず、成長率については、2015年度は下方修正していますが、2016年度、2017年度はほとんど変わっていません。2016年度は、0.1%ポイント下方修正になって、2017年度は逆に0.1%ポイント上方修正になっています。物価については今年度と来年度と下振れして、2017年度は前と変わらないということです。』

ほうほうそれでそれで?

『物価見通しの修正の背景には、基本的には原油価格が圧倒的に大きな要因であったと思いますが、今申し上げたように2015年度については成長率も下方修正していますので、そのことの影響もあったと思います。それは、先程申し上げたように、例えば4〜6月の成長率がマイナスになっていますが、消費が弱かった、あるいは第1四半期の米国の成長率が低かったということ、あるいはアジア諸国の成長率が減速していたということもあって、第2四半期の輸出が弱かったというようなこともあります。このように、成長率自体、今年度について若干下方修正したという影響も、物価には何がしかの影響を与えていると思います。物価の基調を判断する上で一番大きいのは、もちろん需給ギャップと予想物価上昇率ですが、需給ギャップは引き続き改善していますし、予想物価上昇率も長い目でみれば上昇しているということに変わりはありません。』

展望レポートの説明見れば分かるのですが、需給ギャップの改善については4月の展望レポートから比較しますと思いっきり改善が後ずれしていまして、4月の見通しでは今年度は途中から需給ギャップがプラスに転じてその後も堅調に推移するという触れ込みになっていたのが、今回の見通しでは今年度中は需給ギャップがマイナスからゼロ近傍で推移という見通しになっておりまして、そもそも論として需給ギャップの改善が遅れている、というのがあるのですよね。

然るに、需給ギャップの改善が遅れているという話をしないで「引き続き改善」とかお前は何を言ってるんだという説明でもう何だかねという所。

『そうしたもとで、賃金も2年続きのベアが実現し、雇用・所得環境も改善しています。今申し上げたように、足許の実質成長率が下方修正されたことなども影響はしていますが、2016年度前半頃に2%程度に達するという見通しが、2016年度後半頃に半年くらい後ずれしたことの1番大きな要因は、やはり原油価格であったと思っています。』

いや需給ギャップの改善が遅れているんですけど。

『なお、賃金につきましては、企業収益が史上空前の水準にあり、労働市場は極めてタイトになっていて、人手不足が拡がっていますので、今後さらに上昇していくだろうと思っています。』

でも展望レポートでは賃金の伸びが弱いという話をしていて、それって要するに期待に働きかけるルートの効きが弱いという事なんじゃ無いですかねえ。まあいずれにせよ質問に対してあまりまともに答えていないなあという印象。


・物価だけ上がっても仕方がないという説明を丁寧にさせるというナイスな質問

ちょっと先に行きますがこの質問は素晴らしい。

『(問) 総裁は、物価の基調は高まってきていると繰り返しおっしゃっています。そして足許で原油安により物価が下押しされていますが、一巡すればこの直接的な下押し効果がなくなるのは客観的な事実と思います。その上で、今回、追加緩和は実施されませんでしたが、それは今、逆に追加緩和をしてしまうと2%を目指す上でやり過ぎになる、行き過ぎてしまうリスクも懸念されているのでしょうか。』

(;∀;)イイシツモンダナー

『(答) そこは非常に微妙な判断がいるところだと思いますが、従来から申し上げている通り、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することが私どもの目標ですが、その場合、物価だけ上がればよいのではなく、賃金も上がっていく、企業収益も増えていく、経済全体がバランスのとれた形で目標を達成するのでなければ、持続的・安定的に達成することは非常に難しいと思います。ですので、早期に達成するために必要であれば躊躇なく調整する用意はありますが、その場合も、物価の基調、あるいは経済全体をよくみて、総合的に判断して決めていくことになると思います。』

元々は物価目標の水準は潜在成長率などとは関係なく決まるものであって、それの水準としてはボスキンバイアスだの政策金利の発動余地だのを勘案して2%というのが適切という話をしていたはずなのですが、この答えですと「何が何でも2%」なのではなく「バランスの良い形で達成すべき」という木内さんや佐藤さんや石田さんの説明のような話をしているように見えるというのが実にチャーミングで、こういう答えを出させた質問者ナイスです。

『今回、展望レポートで示している通り、また金融政策の決定についての公表文にもある通り、物価の基調が着実に改善しているもとで、現在の極めて緩和的な金融政策を維持し、今後とも着実に実施していくことによって2%が達成できるという判断になったわけです。従って、ご指摘のようなことも委員方の頭には色々あったと思いますが、基本的には、先程申し上げたように、物価の基調は着実に改善している、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮している、従って、今の政策を維持していくことによって、物価安定の目標が達成できる、という判断です。』

まあこちらはふーんとしか申し上げようがない。


・基調が強いと言ってるけど所詮日銀コアコアで+1.2じゃないかというツッコミへの応答が見苦しい件

まあ当然ですが今回の質疑応答は質問がだんだん辛辣にはなっているものの、何せ答える方が相手の質問に対して(回答に困る質問の場合)まともに答えないという態勢になっているので文字になったものの鑑賞物としては楽しいのですが、会見中継聞くと話が同じところをグルグルと回るメリーゴーラウンドかコーヒーカップかという風情でして。

『(問) 総裁は物価の基調が着実に改善しているとおっしゃって、その根拠として「除く生鮮エネルギー」の数字が足許1.2%まで上昇しているとおっしゃっています。確かに足許上昇傾向にあるのですが、それでも「除く生鮮エネルギー」でも、目標とする2%には遠く及んでいない1.2%にしかまだ上がっていません。』

(;∀;)イイハナシダナー

『2年半過ぎて、しかも昨年10月に追加緩和までして、まだ「除く生鮮エネルギー」でも1.2%しかきていないというのは、逆にいえば、そもそもQQEの波及メカニズムが想定通り働いていないのではないか、または、そもそも2年という期間に無理があったのではないか、という考え方もできると思うのですが、その点どのようにお考えでしょうか。』

(;∀;)イイハナシダナー

『(答) 前段については「量的・質的金融緩和」を導入し、また昨年10月に拡大してきた時の波及メカニズムというのは、詳しくご説明していますけれども、その通りに所期の効果を発揮していると思っています。ただ、その一方で、昨年の夏以来の大幅な原油価格の下落であるとか、あるいは新興国の経済の減速であるとか、その他、色々な状況があったことも事実です。メカニズム自体は基本的に所期の効果を発揮していると思いますが、様々な要因が重なって足許で、生鮮食品を除く消費者物価の対前年比がマイナス0.1%という状況になっています。物価の基調を判断する場合には、もちろん基本的には需給ギャップと予想物価上昇率が重要であり、さらには賃金の上昇率であるとかその他様々な指標を総合的に勘案して判断する必要があると思いますけれども、物価の基調が着実に改善しているというのは変わりないと思います。』

何と見苦しい(というか聞いているときは聞き苦しかったです)説明。だいたいからして、マネタリーベース直線一気理論だかマッカラムルールだか知らんけど、最初に言っていた寝言じゃなかった理論を遥かに超えるMB拡大を行っているのに、需給ギャップの方は兎も角として、期待インフレ率が2%でアンカーされていない(アンカーされているなら目標達成ですがな)というのは何故なんでしょうかねえ。

『また、2年程度を念頭において「量的・質的金融緩和」を導入し、今日に至っているということでありまして、結果的に2年半経ってまだ2%に達していないということは事実ですが、先程申し上げたような状況ですので、そもそも2年程度を念頭に置くことが無理であったとか、無駄であったというようなことは全く考えておりません。』

「2%に達していない」とかもうすぐ達成しそうなレトリック使っていますが都合のいい数字出してきてやっと1.2なのであって、元々言ってた数字はゼロ近辺のままですし、達成見込み時期がドンドン後ずれしているのですけどねえ。


・賃上げに期待という部分の質疑ですが・・・・・・・・・・・

『(問) 展望レポートを拝見すると、来年の賃上げに向けた期待というのが非常に強く窺われるのですが、今後賃上げが可能な経済物価情勢の環境を整備するという観点から、場合によっては日銀として政策対応を行う可能性というのはあるのか、日銀として何ができるのかということも含めて教えて下さい。』

これは露骨には言っていませんが、前回の追加緩和を評価するときにはマインドに働きかけて企業の賃上げにも寄与云々というのをしている訳でして、そういう実績がある中で今後の賃上げ動向が重要というのであれば、またこのタイミングで追加緩和すべきなのではないか、という意味が込められていると見ました。

『(答) 先程申し上げた通り、物価だけ上がれば良いということではなくて、賃金も上がり、物価も上がり、企業収益も改善していくという経済全体が好循環を遂げる中で、物価が着実に2%に向けて上昇していくということが一番望ましいわけです。その観点から、当然、賃金も上昇していくことが望ましいわけです。』

実際にはそうなのですけど当初の置物理論だと起点が予想物価上昇率の引き上げで、それが進むと勝手に賃金も物価も上がるという話じゃなかったでしたっけ?????????

『足許、企業収益が史上空前の水準に達しており、労働市場は有効求人倍率でも完全失業率でも、どの指標でみても大変タイトで完全雇用状況になっており、色々なセクターで人手不足と言われる状況にあります。企業収益が好調で労働市場が極めてタイトということですので、現に賃金も上がっていますし、今後さらに上がっていくということは当然予期できるところです。ただ、確かに足許の賃金は上がってはいるのですが、労働市場が極めてタイトな割には、あるいは企業収益が史上空前のレベルにある割には、賃金が上昇していないことも事実ですので、今後さらに上昇していくことが十分期待できると思います。』

その場合政策当局者としては単純に期待するのではなくて、何で想定通りに賃金が伸びないのかということについて考察して、金融政策で何らかの対策が取れるようならば取るようにする、というのがお仕事であって、理屈の上では賃金が上がるはずだからこれから上がる、というので良いのでしょうかねえ。

『日本銀行として、賃金引き上げに何か直接働きかけるということは、日本銀行の機能、権限、責務と離れていますので、そういうことは考えていませんが、色々な機会に今申し上げたような分析であるとか、考え方は申し上げていきたいとは思っています。』

期待に働きかけることによって賃金引き上げにも寄与するんじゃなかったんでしたっけ???????


・これは華麗な藪蛇答弁

この質疑聞いている時に「7割ってフローとストックを間違えているんじゃないのか??」とは思ったものの、資料にあたって確認している暇がなくて????のままだった件ですが・・・・・・・・・・・

『(問) 先程、総裁は、手段には限界がないというお話をされましたが、今、国債の購入が日銀の金融緩和の主な柱になっていると思います。国債の市場規模は無限に広がっていくわけではなく、規模があります。これだけの大量の国債買入をしていくと、これを続けていくことによって、買入れの余地が少なくなっていくと思います。この点について総裁は、どの程度懸念を持っていらっしゃいますか。(後半割愛)』

でもって問題の答弁ですが。

『(答) まず1点目については、もちろん、国債をどんどん──特に新規発行額を超えて──買っていけば、いずれ買入れに限界がくるだろうということは観念的にはその通りですが、これまで大量に買ってきましたが、今の時点でも、実は国債の発行残高の3割弱です。確かBOEは、国債発行額の7割ぐらいまで買い進んだと思いますが──別に、7割まで買うと言っているわけではありませんが(注)──、今の時点で買入れに限界がすぐ来るとか、考慮しなくてはいけないということにはなっていないと思います。いずれにしても、2%程度に達するのが2016年度の後半頃とみていますが、そうした意味で国債の買入れが困難になって、2%の「物価安定の目標」が達成できなくなるようなことにはならないと思っています。(後半割愛)』

この回答は「2016年度後半ごろに物価が2%程度に到達するという前提の下では」国債買入が構造的に壁にぶつかるような事は考えていない、という話をしたかったようなのですが・・・・・・・・・・・・・

『(注) BOEの国債買入れ額は、正しくは、国債発行額の約4割でした。』

この「でした」ってのが狙った訳ではないのでしょうがやっちまった感が伝わるチャーミングな語尾ですがそれは兎も角として。

・ここで突然ですが藪蛇の検証をしてみましょう(超イイカゲン版なのは勘弁)

えーっとですな、物凄い雑な計算になりますが・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/data.htm
統計表一覧

こちらにある『最近5年間の国債及び借入金並びに政府保証債務現在高の推移 Excel』の数字を見ると普通国債と財政投融資特別会計国債で6月末で843兆円(普通国債のうち短期国債を除いています)になっていまして、年間30兆円弱(四半期展開でみると直近は28〜29兆円程度)ほど増えている計算のようですな。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac150930.htm/
営業毎旬報告(平成27年9月30日現在)

こちらの『資産項目中の「国債」の内訳』を見ますと長期国債の日銀保有額が9月末で263兆円弱となっていまして、さっきの840兆円を850兆円に補正(四半期で7兆円の計算として)したとして現在の日銀保有長期国債が発行の30.9%程度となります。

でもって日銀の買入は四半期ごとに20兆円(年間80兆円)残高が増えるのですから、物凄くざっくり言えば、来年の9月末の時点で長期国債発行残高がここから30兆円増えている間に日銀の長期国債買入残高が80兆円増えるのですから、その時点でほぼ4割に到達(39.0%とかになった)という大変にセクシーな事になるのですな。

つまりですね、買入の限界についての話でBOEのネタを出したのは良いのですが、7割じゃなくて4割という数字を出したせいで「これだと来年の秋には限界ですか!!」というような話になってしまいますし、なるほどそういう事だから買入の増額も出来ませんわな(単純に年間80兆円を100兆円にすれば来年9月の比率は堂々の41.3%になるので2016年度後半になる前に40%を軽く超えてしまうがな)というような意地悪なツッコミまで出来てしまうという華麗なる藪蛇と相成ったのでございました。

ちなみに短国の場合ですけれども、短国金利がホイホイ下がりだしたのって昨年の4〜5月で、マイナスに突っ込んでしまったのが昨年9月となっていまして、この間って国庫短期証券の市中発行額に対して日銀の買入(償還乗換等の市場を通らないものを除く)残高が25%程度から30%程度に上がる過程で発生した事象となっておりましたので、まあここもと債券市場がすっかり需給だけでアレな相場になっているのもむべなるかなという感じですが、なるほどストックベースで4割とかになるとそらもう大変ですな、などというような計算をしている人が月曜および文化の日には債券市場の中で軽く100人くらい出て居そうで、これはまた黒田総裁やっちまったなという感じですが、恐らくこういう話でオペの限界がという話があちこちで言われ出すとムキになって強気の情報発信が飛んでくるに1万戦時国債。


・置物理論に対するツッコミには正面から答えません

ということで今回の会見の後付白眉の部分を通過してしまいましたが、

『(問) 先程から総裁は、物価だけが上がる形ではなくて、賃金とともにバランスよく上がることが必要と繰り返していますが、そもそも異次元緩和を導入した際には、物価が上がれば企業収益も改善するし、実質金利が下がり、企業の行動も前向きに変わり、ひいては賃金も上がっていくという姿を描いていたと思います。なぜ今、物価の基調は改善しているにもかかわらず賃金が上がりにくい状況が続いているのでしょうか。それを上げるためには、金融政策ではない他の政策が必要だということなのでしょうか。』

置物disキタコレ。

『(答) 先程申し上げた通り、昨年、確か20数年振りだと思いますが、ベアが実現し、今年はさらに業種や企業規模の拡がりを伴って、賃金は上がってきています。2%の「物価安定の目標」が達成される時には当然、賃金もそれに見合って十分上がっていなければなりません。そうでなければ、物価が持続的に2%程度の上昇を続けることはできないわけで、あくまでも賃金と物価は車の両輪といいますか、賃金が上がれば物価も上がる、物価が上がれば賃金も上がる――逆に言うと、物価が上がらないと賃金も上がらないし、賃金が上がらないと物価も上がらない――という関係に中長期的にはあるわけです。』

確か浜田先生は雇用の拡大の改善の為には実質賃金が一時的に低下する事が重要とのお話をしていましたが何時の間にパラレルという話になったのでしょうか。

『その意味で、物価が上がっていくに際して、やはり賃金もバランスよく上がっていく必要があるし、現に上がってきてはいるのですが、先程申し上げたように、史上空前の企業収益と極めてタイトな労働市場・雇用状況に比べると、若干、上がり方が鈍いかなと思っているわけです。ただ、今後、そこは上がっていくだろうと思っています。』

その「思っています」は聞き飽きましたし、大体からして思っていますで2年の目標が2年ほど後ずれしているんですけどねえ。

『日本銀行としてできることは、従来から申し上げている通り、労働市場も含めた需給ギャップを改善していくとともに、将来の物価上昇予想を2%の「物価安定の目標」に次第に近づけて行き、そこにアンカーすることを通じて、賃金も十分に上昇していく環境を実現するということだと思います。政府は政府で、従来から政労使会議や官民対話とか色々なことをやっておられますが、そうしたことも重要な要素であると思っています。ただ、日本銀行としてできることはあくまでも金融政策を通じて、賃金や物価がバランスよく上がっていくことを期待する、ということに尽きると思います。』

期待に強力に働きかけるという話で去年は追加緩和をして、今年まだ賃金の上昇が望ましい水準より低いのでしたら追加緩和なのではないですかねえ。

・・・・・・・そろそろ誤解する人が出てきそうなので申し上げますが、あたくしは追加緩和なっしー予想をしていましたし、短期勝負を前提にしている作りになっているとしか思えないこの政策を続けるのがそもそも無理があって、より長い期間維持可能な緩和政策を打ちながら、2%の物価安定と整合的な成長経済にしていきましょうという政策の建付けに変更しないと無理があるし、マネタリーベース直線一気理論とかマッカラムルールとかアホかと馬鹿かと思っておりまして、上記の追加緩和何でしないの悪態は昨年の追加緩和との整合性という意味で悪態ついているだけですのでアタクシの思うべき論とは別ですから念のため申し添えます。


・最後の質疑も質問に対して全然答えていないのでその酷さを鑑賞しましょう

最後の質疑(実は最後のあとに質問しようとした記者が居たが華麗に時間切れ攻撃で却下されて居たはず)がこれまた質問と答えが全然合っていない典型なので見物しましょう。

『(問) リーマン・ショックの後に展望レポートをみていて、日本の潜在成長率は緩やかに上がっていくとずっと言われているのですが、ここ何年か、潜在成長率が下がっていて、そのため経営者が企業収益が最高であってもなかなか賃上げや設備投資をしないというふうに言われています。』

『日本の場合、やはり潜在成長率が上がらないと期待もなかなか上がらないので、さらにお金を使おうというインセンティブもなかなか上がらないと言われます。現状、設備投資は計画ではすごく強いのですが、工作機械受注や先行きの指標をみていると、設備投資がすぐに出てくる様子はないです。その辺のところ、先行きの設備投資動向と、金融政策で潜在成長率を上げることをサポートすることができるのかどうかをお伺いします。』

この質問の惜しいのは「そもそも展望レポートでは毎回先行きの潜在成長率が徐々に上がるパスを置いているのにそうなっていないのは、見通しの前提が根本的にダメなんじゃないの」という切り口で突っ込んだ後に後半の質問をすれば面白かったと思うのですがそれは兎も角。

『(答) 今ご指摘の点は、2つ全然別なことを言っておられると思うのですが、一つは潜在成長率が下がっていく、あるいは下がっていると、なかなか企業は設備投資をしないのではないかという話です。』

『これは、日本で言われているだけではなく、リーマン・ショック後の米国や欧州でも色々言われていますし、最近の新興国の状況についても言われています。そうした要素はあるとは思いますが、潜在成長率がリーマン・ショック後に下がってしまったかなり大きな理由は、いわゆる全要素生産性がガタンと落ちたのではなく――純粋に技術進歩率が低下したというよりも――、労働力人口がずっと減ってきたということと、リーマン・ショック後に企業が設備投資をだいぶ控えたので、資本の貢献がプラスからマイナスになってしまったということです。』

だったらそもそも潜在成長率が上がるという見通しをずーっとしているのはどうなんでしょうかねえ。

『しかし足許では、女性の就業率がかなり上がっており、労働の貢献もずっとマイナスではなくなっていくと思いますし、資本については、設備投資が少しずつ出てきていますので、企業の生産の国内回帰もあり設備投資自体も国内に少しシフトしてきています。従って、潜在成長率が今後少しずつ上がっていくことは十分想定できることだろうと思います 。』

いやそれマイナスカバーしてプラスになるほどに寄与しないと直感的に思うjのだが。

『2番目の点は、日銀の短観や、各種の設備投資計画のアンケート調査の結果は大変強いのです。足許これまでのところ計画が極めて強い割には、まだ十分に設備投資が出てきていないことは事実ですので、今後出てくるとは思います。また、新興国の減速状況がどうとか、マーケットのボラティリティーが高まったとか、色々な不確実性を指摘される人もいますので、計画通りに全部出てくるかどうかはもちろんわかりませんが、9月の短観では、その6か月前の状況が上方修正されるくらい強いので、その計画自体は当然、各企業の売上や利益の予想、究極的には潜在成長率の動向なども踏まえたうえで出てきている計画ではあると思います。ただ、計画が強い割に、まだ足許では十分設備投資が出ていないことは事実ですので、今後とも企業の設備投資がこの計画に沿ってどの程度出てくるのか、十分注視していく必要があると思っています。』

・・・・・・・結局肝心の「金融政策で何をするの」という質問には答えずじまいなのでした。

とまあそういう訳で、引用大会で無茶苦茶長くなってしまいましたので休日更新したのだが更新時間が夜なのでただの前日下書きと変わらんことになってしまって正直スマンカッタ。

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2015/11/02

○決定会合レビュー

・終了時間がめったやたらと早かった件について

結果はご案内の通りで現状維持。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151030a.pdf

・・・・・・なのはさておきまして、
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2015/index.htm/

を見ますと公表時間が出ているのですが、展望レポートの出る会合で12:22に公表というのは黒田体制になってからの中では圧倒的な短さで、その前に昨年4月展望レポートが12:51公表というのがあったのですが、この時は消費増税の影響が出だす前で、その前の駆け込みだので物価が堅調に推移して黒田総裁からは市場エコノミストは間違えましたなウハハハハ(超意訳)的な情報発信まで出るという状況になっておりましたので、そらもう楽勝気分の回だった訳で、その時よりも公表時間が早くなるたあどういう事ですかと申しますか、これ木内さんの反対提案が無かったらうっかりしたら12時前に終わっていたんじゃネーノ状態。

ということはつまり今までの展望レポートよりも論点が無かったという話になる訳で、そうなりますと追加緩和の是非についての議論があったとも到底思えない状況ですよねというお話でありますので、そらもう追加緩和とは何の事ですか状態というお話になるという事なんすけど、どちらかと言えば置物リフレ派の皆さんが何で追加緩和を提案しないのかが意味不明という所ではあります。


・市場の反応に味わいが

http://jp.reuters.com/article/2015/10/30/idJPL3N12U2SN20151030
News | 2015年 10月 30日 17:18 JST
〔クロスマーケットアイ〕バズーカ不発に市場は動揺せず、日銀にイエレンの「助け舟」

『[東京 30日 ロイター] - 日銀は追加緩和を見送ったが、市場の動揺は最小限で抑えられている。物価見通しを引き下げながら、政策維持というわかりにくい決定だったが、直後の株安・円高は限定的で日銀に対する信頼感は保たれたようだ。原油さえ落ち着けば物価は上昇基調に戻るという強気な見通しを疑問視する声も多いが、同じく物価に強気な予想を示した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が、日銀にとって思わぬ「助け舟」となっている。』(上記URL先より)

ということで結果が出たのが12時半前でしたけれども、初期反応としては株先が下がってドル円が円高に振れたのですが、その後はあっさり味の切り返しとなっておりまして、債券市場も前場は何か知らんが月末だというのにそこそこ先物とか長い所とか甘かったのですが、後場に入ると徐々に値を戻しだして、しかも株や為替が切り返しているのに債券も戻るの巻で、危うく先物前日比プラス引けになるんじゃないかという勢いでナンジャソラとしか申し上げようがない。

とりあえず「追加緩和が無かったら株安円高でエライコッチャになる」と主張していた金融緩和クレクレの何とかストの皆様におかれましてはこの理由という解説して頂きたいと存じますが、これは「市場でポジションを持って走っている人たちは緩和クレクレの解説する皆さんが言うまで追加緩和を期待していなかった」という事で、その一方で緩和なっしーで見ていて緩和なっしーの結果売られたら買いますかという人がそこそこ居たという事なんでしょうかねえ、よー知らんけど。


今回思考実験として面白いとアタクシが勝手に思っている件としましては、この市場の反応と日銀の信頼感という所をどうリンクさせるかという点で、今の所上記ロイター記事のように「日銀に対する信頼感が保たれたので失望売りが出なかった」という話になっておりますが、必ずしもそういう解釈じゃない可能性もあるのでは?と考えるのですよ。

つまりですね、失望アギャーとならなかったのは追加緩和観測が続いている(ので日銀が2%達成に向けて追加緩和実施は必至、という信頼感)という見方もあるのですが、そうではなくて決定会合前から散々打ち込まれている政府方面からの「追加緩和をやってこれ以上円安に振るな」とか「物価だけ強引に上げても却ってよくない」とかいうようなメッセージの方を重視していて、実際にポジションを持っている人たちがこの辺りの動きに対して流れの変化を感じ取っている(ので今までと違って追加緩和に動かないとみているので失望をしない)という事が起きているのかも知れませんなあというのは有りませんかねと思うのですよ。

まー後半の方はアタクシが今の政策の限界とか2%そもそも行かないだろとかその辺のことを念頭に置いた結果として今の「2年で2%」の建付けと、その建付けを前提にした今のMB超越拡大政策を何とかしないと目標達成する前にオペレーションが爆発してどうしようもなくなる事を懸念しているからそう思っている、というのが多分にあると思いますので本当にそうなのかと言われると分からんとしか申し上げようがないですけどね。

なお、「2年で2%」と言っているのに2016年度後半に達成だと既に「4年で2%」になっているように思えるのだがそこについては形骸化しているのかしていないのかが意味不明モードではありますが、見通しとして政策継続期間が長くなるようであれば短期決戦を前提にしている今の政策建付けを何とかするという話になるのでしょうからまだ粘るという事なのでしょうけど大丈夫ですかねえ。



・何で公表前に報道が出るんでしょ

でまあその結果が出た後に展望レポートが出る時間でもないのにこんなのが。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF30H0E_Q5A031C1000000/
物価上昇15年度0.1%、2%目標は半年先送り 日銀が下方修正
2015/10/30 14:19

>2015/10/30 14:19
>2015/10/30 14:19
>2015/10/30 14:19

・・・・・・・・・あのーすいません、展望レポート基本的見解の公表時間は30日の15時なんですけどどうして40分も前に報道が出ちゃうんでしょうか???といいつつ上記URL先より。

『日銀が30日の金融政策決定会合で取りまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の内容が明らかになった。焦点の消費者物価(CPI、生鮮食品を除くベース)の見通しは2015年度が従来の前年度比0.7%上昇から0.1%上昇に、16年度は1.9%上昇から1.4%上昇にそれぞれ下方修正。17年度は消費増税の影響を除いたベースで1.8%上昇で据え置いた。実質国内総生産(GDP)の見通しについては15年度が従来の前年度比1.7%増から1.2%増に、16年度は1.5%増から1.4%増にそれぞれ引き下げた。一方、17年度は0.2%増から0.3%増に引き上げた。』(上記URL先より)

でまあ実際に出てきた数字はその通りだったのですが、何をどうするとこういうフライング報道なのかお漏らし報道なのか知らんですが、何でこうやって出てくるのか良く分からんですし、仮にお漏らしがあったとしても公表時間までは情報管理しろよと思う訳で何で出しちゃうのかねえと思いますし、こういうのをやっている日経新聞が普通にこの後の総裁会見に出てきて普通に質問するのも釈然としないという事案ではございました。


○ということで展望レポート基本的見解

今回の基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1510a.pdf

前回(4月)の基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1504a.pdf


・いきなり最終ページからネタにしますが

今回の基本的見解の最終ページ(12ページ)に『▽政策委員の経済・物価見通しとリスク評価』というのがあるのが一番目につきますね。でまあ例によってこういうのをテキストサイトに貼り付けるスキルはございませんので図表の方は上記URL先を見て頂きたい(というか皆さんご覧になっていると存じますが)のですが、脚注の方を引用しますと・・・・・・・・

『(注1)「金融政策決定会合の運営の見直しについて」(2015 年6月19 日)において、来年1月以降、「政策委員の見通し分布チャート」にかえて「政策委員全員の経済・物価見通し及びリスク評価」を公表する方針を明らかにしていたが、後者について、時系列での比較が可能となるよう、今回から先行的に公表することとした。

(注2)実線は実績値、点線は政策委員見通しの中央値を示す。

(注3) 、△、▼は、各政策委員が最も蓋然性が高いと考える見通しの数値を示すとともに、その形状で各政策委員が考えるリスクバランスを示している。は「リスクは概ね上下にバランスしている」、△は「上振れリスクが大きい」、▼は「下振れリスクが大きい」と各政策委員が考えていることを示している。』(今回)

ということで従来のファンチャートみたいなのから今回はドットチャートっぽく変化します。

従来のチャートですと、「中心的な見解」のメディアンを中心にして1つの見通しのリスク認識っぽい見せ方になっていまして、政策委員会として出てくる結果というのは1つですので、これはこれで出し方としては一つの考え方になりますが、どちらかと言うとBOEのファンチャートっぽい感じで出ているので、ビューとして元々1本で出している場合にはリスクアセスメントが分かりやすいという代物。

一方で、今回出したドットチャート(と勝手に言ってますが)の場合は各政策委員の個別のビューが見やすくなっていまして、出しているシナリオは1本になるけれども、そもそもそのシナリオがメディアンを使ったもの(従ってケースによっては途中のパスの中でそのメディアンの人が変わっている可能性もあり得る)となっているのが日銀の建て付けになっていますので、個別ビューの分布が見やすい方が分かりやすいなあと思いますので、今回のドットチャートは中々のスマッシュヒットだと思います。


・・・・・・・・・・でまあそれは良いのですけど、今回のCPI見通しのドットチャートを見ますと、2017年度で(2017年度平均で、という意味)2%に乗っているのが4名(どう見ても執行部とジンバブエ先生でしょ)しか居ないというのが謎なのですよ。

つまりですね、基本的見解の冒頭部分の物価見通しなんですけれども、

『2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度後半頃になると予想される。その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していくとみられる。』(今回)

となっているのですが、「2016年度後半ごろに2%程度に達して、その後安定的に持続する経路に移行」となっているのに、2017年度平均で2%になっていない人が5人いる(うち2名は総裁会見によればこの記述に反対していますが)のでして、2017年度平均が1.6〜1.8%の数値になっているのに「2016年度後半ごろに2%程度に達して」となるのが良く分からんとしか申し上げようが無い訳でして、基本的見解の記述とドットチャートのドットとの整合性が????になっているのが謎。

つまりですな、そもそも論として「2016年度後半ごろ」という見通しの記述に端から「ごろ」を使って後ずれ容認を意図しているのか、それとも「2%程度に達する時期」という2%に対して「程度」を使って「1%台後半であれば2%程度も同様」と解釈しているのか、という辺りについていずれかを容認していないと展望レポート基本的見解の表現との間にズレが生じているように思える訳ですよ。

でまあこれが1名とかならまだしも、執行部がどうせ2%以上の所に置いているので、ジンバブエ先生と思われる(という想像が正しければ置物リフレ派の方々が追加緩和を主張しないロジックは分かるのですが、そもそも2%行くと思っているその根拠についてご説明を賜りたいのでございますが、何せジンバブエ先生におかれましては6月の時点で物価は今年の秋ごろから上向き始めると仰せですけどね!)審議委員だけしか17年度2%以上に見通しを置いていないのに、物価見通しの記述が何故こうなるのかは「2%程度」の定義か「2016年度後半ごろ」の定義が執行部と(除く1名の)審議委員との間で齟齬がある(なお木内、佐藤の両委員はそもそも反対しているのでまた別)のではないかという話で、ドットチャート単体では中々ナイスなスマッシュヒットなのですが、肝心の展望レポートの記述でドットチャートとの間に微妙な差があるのがやや台無し感を。


ちなみに、前回はドットチャートは無かったですけれども、4月展望レポートでは2016年度平均の中心的な見通しが+2.0%になっていて、2017年度の中心的な見通しが+1.9%になっておりますし、7月中間レビューでも2016年度平均の中心的な見通しが+1.9%で2017年度平均の中心的な見通しが+1.8%になっているので、まあ16年度前半に達成して安定的な軌道と言う表現との齟齬があまり目立たなかったのですが、今回は図表と文言の差が非常に気になるところではありますな、うんうん。


なおどうでも良いが物価のドットの2017年度を妄想すると、2.1%が師匠とジンバブエ先生で、2.0%が総裁副総裁で下振れ印が中曽さん、下の2名は低い方から木内さん、佐藤さんで、真ん中の3名ですけれども、リスクが下向きの2名のうち1名は「私言いましたよね」の白井さんであることは間違いなく、残り1名はどちらかと言えば石田さんだと思うので、リスクがバランスしている1.7%なのが布野さん、下振れで出しているうち1.6%と1.8%のどっちをどっちにするのかが難しいですが、一応石田さんの方を下にしてみますかね(正直微妙)。



・ではまず概要から

『2017年度までの日本経済を展望すると、2015年度から2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。2017年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想される2。』(今回)

『2017年度までの日本経済を展望すると、2015年度から2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。2017年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想される2。』(前回)

脚注2というのは消費税増税時期の前提ですが、そこまで含めまして成長の基本的なシナリオに変化が無いというのが結論だそうな。

『消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)は、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる3。2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度後半頃になると予想される。その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していくとみられる』(今回)

『消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)は、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる3。2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度前半頃になると予想される。その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していくとみられる。』(前回)

半年後ずれキタコレとなっております、原油価格の置きは前回対比で5ドル程度下がっています。


『従来の見通しと比べると、成長率の見通しは、2015年度について、新興国経済の減速を背景とした輸出のもたつきや天候不順の影響などによる個人消費の鈍さから下振れているものの、2016年度と2017年度については概ね不変である。物価の見通しは、2015年度と2016年度については、原油価格下落の影響などから下振れているものの、2017年度については概ね不変である。』(今回)

『2016年度までの見通しを従来の見通しと比べると、成長率の見通しは概ね不変である。物価の見通しは、やや下振れている』(前回)

足元は下げたけれども先行きは変わらない、という話でして、しかも足元の下振れについては長期化するような要因ではありませんというお話。

『金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(今回)

『「物価安定の目標」のもとで、以上の中心的な見通し(第1の柱)と、これに対する上下双方向のリスク要因(第2の柱)を点検した4。金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(前回)

これが物凄い勢いでチャーミングなのですが、前回と比較して分かりますように、第一の柱、第二の柱の点検という文言が無いのですよね。

とは言えこのツーピラーズの点検は基本的なあり方ですからして、当然ながら基本的見解の本文中にはこの点検の内容がある(8ページ以降)のですけれども、今回の大きな変化として「経済見通しのリスクは下振れ」となったのがあり、ついでに物価のリスクについても新たなポイントとなる下振れリスクが打ち込まれているという事で、リスク認識の所が変わっているのですよ。

ところが、ここにありますように今回はその第一第二の柱の点検云々という文言をしらっと外しているのが大変にチャーミングでして、リスクアセスメントが前回対比結構下がっている感が強いのを最初の概要部分だけ見ていると見逃してしまうように書いていまして、まあ下振れ強調されて雰囲気が悪くなると期待が悪化するとでも思っているのかもしれませんが、そこには大本営いや何でもないです。


・ということでリスク認識部分を先に鑑賞すべきである

まずは『3.金融政策運営』から2つの柱の点検。

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい。物価の中心的な見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向などを巡って不確実性は大きく、下振れリスクが大きい。』(今回)

『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向などを巡る不確実性は大きいものの、リスクは上下にバランスしていると評価できる。物価の中心的な見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向などを巡って不確実性は大きく、下振れリスクが大きい。』(前回)

物価の下振れは同じなのですが今回は経済も下振れリスクキタコレということで、今日はネタにしませんというかテキスト出るの本日ですが、総裁会見でも「物価達成時期は後ずれしてリスク認識は下振れ大きいに変化しているのに何でプリエンティブに追加緩和をしないのか」という質問が来るのは当たり前田のクラッカー。


ではリスク認識の所で『2.上振れ要因・下振れ要因』でありますが、まずは経済の部分。

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。先行きの海外経済を巡るリスク要因としては、中国をはじめとする新興国経済の減速の影響、米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、資源価格下落の影響、地政学的リスクなどが挙げられる。』(今回)

『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。先行きの海外経済を巡るリスク要因としては、米国経済の成長ペースやそれが国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、新興国経済における持続的な成長に向けた構造調整の進展度合い、資源価格下落の影響、地政学的リスクなどが挙げられる。』(前回)

「中国をはじめとする新興国経済の減速の影響」というのと「(米国の)金融政策運営」というのが入りましたな。

『第2は、2017年4月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動の影響や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。』(今回)
『第2は、2017年4月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動の影響や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。』(前回)


『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、規制・制度改革の今後の展開や企業部門におけるイノベーション、家計部門を取り巻く雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。』(今回)
『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、規制・制度改革の今後の展開や企業部門におけるイノベーション、家計部門を取り巻く雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。』(前回)


『第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下するような場合には、人々の将来不安の強まりや経済実態から乖離した長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、人々の将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(今回)

『第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下するような場合には、人々の将来不安の強まりや経済実態から乖離した長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、人々の将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(前回)

ということでそれ以外が全文一致ですので、結局の所海外が下振れ要因の変化なのですが、その部分で今回「下振れリスクが大きい」と来ているのという状況になっておりまして、それだけ海外を懸念しているともいえますし、意地悪く見れば見通しよりも成長が鈍化して推移した場合に「海外のせい」と言いのがれをすることが出来るのであれば「内生的なメカニズムは途切れていない」と言い張ってしまうという荒業を炸裂させるのかも知れず、両方の見方が出来るなあと思うのでした。


でもって物価。

『上述のような経済の上振れ、下振れ要因が顕在化した場合、物価にも相応の影響が及ぶとみられる。それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。中心的な見通しでは、賃金の上昇を伴いながら実際の物価上昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇し、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していく姿を想定しているが、その上昇ペースには、実際の物価の動きやそれが予想物価に及ぼす影響の度合いなどを巡って不確実性がある。この点では、エネルギー価格下落の影響から現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある。』(今回)

『上述のような経済の上振れ、下振れ要因が顕在化した場合、物価にも相応の影響が及ぶとみられる。それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。中心的な見通しでは、賃金の上昇を伴いながら実際の物価上昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇し、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していく姿を想定しているが、その上昇ペースには、実際の物価の動きやそれが予想物価に及ぼす影響の度合いなどを巡って不確実性がある。この点では、エネルギー価格下落の影響から現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある。』(前回)

途中までは全文一致なのですが、今回これが新しく入っているのだ。

『また、賃金と物価の関係を考えると、来年度に向けた労使交渉において、既往の基調的な物価上昇や先行きの物価見通しがどのように織り込まれていくかが重要である。』(今回)

つまり賃金が目論見通り上がらないと日銀の心が折れるという事になるようだが大丈夫なのかね????


『第2に、マクロ的な需給バランス、とくに労働需給の動向がある。中心的な見通しでは、労働供給面で、近年の高齢者や女性による労働参加の高まりや最近みられているパート労働の正規雇用化が、今後もある程度続くことを前提としているが、この点を巡っては不確実性があり、その動向によっては賃金・物価に影響する可能性がある。』(今回)

『第2に、マクロ的な需給バランス、とくに労働需給の動向がある。中心的な見通しでは、労働供給面で、近年の高齢者や女性による労働参加の高まりや最近みられているパート労働の正規雇用化が、今後もある程度続くことを前提としているが、この点を巡っては不確実性がある。』(前回)

これまた途中までは全文一致なのですが、今回は労働需給の所でも賃金の話が登場ということで、賃金連呼キタコレですな。


『第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度が挙げられる。すなわち、先行きの海外経済の不透明感などから企業の賃上げに対するスタンスが慎重化する場合や、そうしたもとで消費者の物価上昇に対する抵抗感が強まる場合には、物価の上昇ペースが下振れるリスクがある。また、公共料金や一部のサービス価格、家賃などの価格硬直性が想定以上に強い場合には、消費者物価指数の上昇率の高まりを抑制する要因となる可能性がある。』(今回)

『第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度、すなわち、企業が財・サービス需給や労働需給の引き締まりに応じて、販売価格や賃金をどの程度引き上げていくかについて留意する必要がある。この点、労働需給の引き締まりを背景として賃金の改善ペースが上振れ、物価にも影響を及ぼす可能性がある一方、消費者の物価上昇に対する抵抗感が強い場合や企業の賃上げに対する姿勢が慎重な場合、販売価格や賃金の引き上げがスムーズに進まない可能性もある。』(前回)

こちらですけれども、前回は上ぶれの話と下振れの話が混じっていましたが、今回は下振れリスクの話でございまして、しかも公共料金、サービス価格、家賃などの価格粘着性についての言及が入りましたのも何ちゅうか微妙なテイスト。


『第4に、原油価格といった国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸入物価の動向や、その国内価格への波及の状況によっても、上振れ・下振れ双方の可能性がある。』(今回)
『第4に、原油価格といった国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸入物価の動向や、その国内価格への波及の状況によっても、上振れ・下振れ双方の可能性がある。』(前回)

これは全文一致でございますな。


#という所で本日は勘弁、基本的見解のメインシナリオ部分はの続きは明日で(超大汗)

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2015/10/30

http://jp.reuters.com/article/2015/10/29/boj-qqe-idJPKCN0SN0CU20151029
Business | 2015年 10月 29日 14:56 JST
焦点:日銀、QQE維持の公算 物価目標達成時期の先送り検討へ

『[東京 29日 ロイター] - 日銀は30日に開く金融政策決定会合で、現行の量的、質的金融緩和(QQE)政策の維持を決める公算が大きい。ただ、原油価格の下落や新興国を中心とする海外経済の減速で、2%の物価目標は2016年度前半から遅れ、達成時期の先送りが議論される可能性が高い。』(上記URLより)


ということで直前の報道を拝見しますと「展望レポートで手前の物価や成長の見通し、2%到達時期の見通しが下がる」「追加緩和の可能性はあるけどあんまりなさそう」というような感じになっているかと思われます。でまあ今回の追加緩和以外の話で言いますと、何とかストの皆様の所ではこの先の政策について「追加緩和無し」と「追加緩和有り」の見方を変更している人がここに来て現れていたりとかで、見方というか考え方が微妙に揺らいでいるようですな。

まー何でこんだけ色々な見解が出るかと考えますと、第一にそもそも日銀の行動反応関数が何が何だか分からなくなっていることで、前回の追加緩和がそれまでの説明を覆して打ち込まれた上に、その時に理由になった「原油価格の低下によるインフレ期待や物価の基調への悪影響」が更に懸念されそうな今年の頭辺りでは動かずを決め、その後2%達成時期は延びるのに「基調」を持ち出して動かず。しかもその「基調」を説明するのに持ち出してくる指標がコロコロ変わる、とまあそういう状態になっていて予想しろと言われましても、どこに力点を置くのかで論建てが全然変わってくるぞなというお話。


でもって第二にはオペの限界という話で、FSRでは(まだネタにしていないけど)市場の流動性は保たれています(キリッ)という話なのですが、市場そのものが息をしていない状態で碌に売買する人居ないし、輪番と入札しかネタが無いというか、そもそも入札で流れてもどうせ明日輪番だからとその後コケないし、入札が無駄に強くてもどうせ明日輪番だからとそのまま値持ちするしとか、もう何だかねという状態になっている訳ですが、来年は今の枠組みのままでも月間10兆円ほどのフローでの買入を実施しないといけないという状態なのにこれ以上追加できるんですかと考えますとフローの買入が来年のどこかで爆発するリスクも真剣に考えた方が宜しいですし、大体からしてバーゼルVのレバレッジ規制が今年からお試し期間開始している中で、ここからMBを80兆円拡大するためには超過準備が80兆円増えないといけないのですが、そんな量の超過準備誰が持つんでしょと考えるとそっちで爆発する方が現実的かも知れませんが、いずれにせよこの先1年は続けられても2年は持たない枠組みになっているのではないでしょうか。


ここに外野の事情なども加わるのですが、「オペレーションが向こう1年から2年位のタームで完全に限界を迎える」という中で、2%物価到達までの時間が従来以上に掛かる可能性というのを意識した場合には、「コアCPIが2%を見に行く前にオペレーション的に政策が回らなくなる」という最悪の状況が発生するリスクを念頭に置かないといけないでしょと思うのですよね。

つまりですな、今回の展望レポートで衆目が一致するのが「2%到達時期見通しがまた後ろに倒れる」という事だと思いますが、2%到達時期見通しが後ろに倒れるという事なのであれば、今申し上げた「物価がいかないのにオペ大爆発」という一億玉砕ポツダム宣言シナリオという最悪シナリオの可能性が更に高まるという事になるのですから、尚更の事追加金融緩和とかもっての外という話になる(今の政策建付けだとMB拡大ペースを引き上げることが追加金融緩和なので)訳で、政策の維持可能性という観点から考えると追加緩和は無いでしょとなる筈です。


ちなみに余談ちっくになりますが、そもそも前回の追加緩和の時は2%物価到達時期見通しっていうのは変化していなくて、「追加緩和効果によって2%物価到達へ力を加えることになるので物価2%到達時期は変更しませんが何か」という話になっていましたし、大体からして追加緩和を実施するのに2%物価到達の見通し時期が後ろにずれるのであればお前は何の為に追加緩和をしているのかと小一時間な訳で、金融緩和効果で物価を行かせますというのを主眼にしている以上、追加緩和するなら物価見通しは不変(=従来シナリオのオンラインとする為に追加緩和をするのだから)であるべきで、「追加緩和しますが物価達成時期は遅れます」じゃあ最初から敗北宣言をしているようなもんなので、間違って追加緩和した場合は当然2016年度前半に2%というのは変えないのが今の政策の建付け上妥当な態度だと思いますがどうでしょうかね。


てな話はさておきまして、アタクシはご案内の通りで、どう計算しても2年は続けられない(運が良ければ1年位は続くかもしれないけど)この政策の建付けの性格上、2%達成で目標達成に視野的な話ができないのであれば、政府との共同文書の基本的な骨子に立ち戻って黒田日銀になって勝手に置物理論に拠って加えられた「2年で達成」という縛りと、その縛りによって突っ込んだマネタリーベース置物一気理論を棄却して、より長い期間粘り強く緩和政策が可能な枠組みに転換しないと無理でしょと申し上げている訳ですな、うんうん。

なので追加緩和があるとすれば(これも先日申し上げましたが)政府方面がすっかり2年どころか2%達成の方まで興味が無くなっている(ような情報発信が続く)という梯子外し状況にトサカに来てヤケクソになって無理心中追加緩和を打ち込んでくるという可能性と、来年の早い時期(下手したら年末)に政府のデフレ脱却宣言的な威勢の良い勝利宣言が出るときにしらっと長期的な政策枠組みに政策を転換するので最後に景気づけに追加緩和をしてもオペが爆発する前に撤退ができるという所まで見据えた追加緩和、という位しか思い浮かばないのですけどねえ、という所ではあります。

最近の債券市場の惨状振りを見ていると来年4月ごろ追加緩和とかのんびりした話の前にオペの弊害の方がもっと顕在化する(とまだ良いのですが市場がそのまま死んでしまうのが一番恐ろしい)んじゃネーノ位の事も気になるというものでございまする。


○市場雑談メモ

・タカ派チックなFOMCでも先物プラスとな!!!

昨日の債券市場はFOMC様を受けて金利上昇した上に鉱工業生産が予想よりも強いという日銀ニッコリの指標まで出たのでて長い所とか弱くて超長期2甘だの何だのやっていたはずなのですが、輪番が普通に入って普通の結果で結局サガランチ会長になったと思ったら引け前になってナンジャソラという感じで相場がホイホイと強くなって債券先物は何と前日比プラスの引け。

結局FOMCの12月利上げ示唆とは何だったのかというプライスアクションになってBB引けは30年近辺以外全ゾーン引け変わらずで、5年は相変わらず3.5bpだわ2年は相変わらず0.0bpだわ10年は29bpだわとなっておりまして、追加緩和期待にしても何じゃそら状態でありますな。

なんかこうなってくると追加緩和無しになっても追加緩和無し→債券下落→追加緩和無しで売られたところを買おうとしていた人が千客万来→まさかのドテン上昇とかになって、後付講釈として追加緩和無しで株や為替が動いたのを受けて債券買いとかいう解説になるんじゃないか位のオソロシスなものを感じるのでありました。


・3M短国だが100円足切が遠いですなあ・・・・・・・・・・

うむ
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20151029.htm

(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛(募入最高利回り)(-0.0018%)
(4)募入最低価格における案分比率 15.9838%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘0毛(募入平均利回り)(-0.0037%)

今回は足切が前回よりも5毛安くなりましたが相変わらずのマイナス金利入札での決着となっておりまして、どんだけマイナス街道続きますねんという感じですが、6Mと1Yがオペ専用機になっていて3Mがあまり入らない筈なのですが、そうは言いましても中々ゼロ金利に近づいてこないというのは、まあこれだけマイナス続いている中ですから皆さんすっかりスッカラカンになってしまってニーズが常にあるとか、規制絡みのドルファンディングの影響による担保ニーズとかがやはり根強いということなのでしょうかねえ、良く分からんけど。

○FSRでは今回の注目ネタがBOXにまとめられていて分かりやすいので鑑賞鑑賞

FSR全文から
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr151023a.pdf

先般引用しましたが、こちらの巻末に

BOX1 海外M&A 関連貸出と与信管理
BOX2 賃家業向け貸出と与信管理
BOX3 与信ポートフォリオの変化と信用リスク分析の高度化
BOX4 地域金融機関の有価証券ポートフォリオのリスク分析
BOX5 不動産市場の状況について
BOX6 金融マクロ計量モデルの改良

というのがあって、まあこの辺を注意していますよいうメッセージ性がありますのでメッセージを鑑賞しようじゃないかという企画である(^^)。

なお、図表がいっぱいあるので内容を見ようと思ったら上記URL先を見に行ってちょ。


・海外関連貸出を調子に乗ってやっているようだが与信管理ちゃんとしろですかそうですか

『BOX1 海外M&A 関連貸出と与信管理』を鑑賞。

『日本企業によるM&A が活発化するもとで(前掲図表IV-1-8)、海外M&A 関連貸出は、大手行の貸出増加を支える主な要因の1 つとなっている。海外M&A案件は、買収に伴う非金利収益(M&A アドバイザリー手数料や幹事行引受手数料等)が大きいほか、買収後の取引機会の増加も見込まれる。こうしたなか、大手行では、海外M&A 案件に積極的に取り組んでおり、グループ証券会社との連携強化等を進めてきている。』

『以下では、主にコーポレート・ローンを念頭に、海外M&A 貸出における信用リスク管理上留意すべき点を挙げる。』

ということで・・・・・・・・・・

『第一に、比較的短期間で審査を行う必要がある点である。競合が激しい海外M&A 案件では、企業から案件を持ち込まれてから1〜2 か月程度で必要なデューディリジェンス(due diligence)を行い、少数行で大口のブリッジローン実行にかかる与信判断を行うことが求められることが多い。ブリッジローン実行後は、いずれかのタイミングで、社債やシンジケート・ローン等によるリファイナンスが行われるのが一般的である。ブリッジローン実行段階では、こうした債務の切り替え等の実現可能性も含めて、適切に審査を行う必要がある。』

『第二に、海外事業のリスク特性の複雑さである。海外事業については、商慣習や法制等の違いを踏まえての審査が必要となる。また、所在国の経済情勢や為替水準の影響も考慮する必要がある。』

『第三に、買収企業にとって規模が大きい海外M&A 案件は、企業の将来性に多大な影響を及ぼす可能性も考えられる。実際、2014 年以降の日本企業による海外M&A 案件をみると、大口案件を含め、取引額(買収価額+被買収企業の純負債)が被買収企業の期間収益の20 倍を超える取引の比重が高まっており、一部では過熱感が指摘されている(図表B1-1)。また、買収に際して計上した「のれん」が買収企業の純資産対比でかなり大きい案件もみられる。』

第一と第二はまあ一般論ですが第三の最後の辺りからメッセージが。

『大手行は、相対的にリスクが大きいと見込まれる案件等を中心に、通常の財務分析に加え、海外拠点や現地コンサルティング会社等を通じた実態把握、買収先企業の経営陣との面談等を行っている。また、買収企業の財務の健全性を担保するために、国内企業向けシンジケート・ローン等に比して保守的なコベナンツ条項を課すケースもみられる。』

と言いつつ・・・・・・・・・

『今のところ、海外M&A 関連貸出における大口の信用コストの計上はみられていないが、潜在的な影響の大きさに鑑み、海外M&A 関連貸出に取り組むに際しては、@海外事業のリスク評価態勢の検証・整備、A為替や海外経済動向等を織り込んだストレス・テストの充実、BM&A 実施後の買収企業のモニタリング態勢の充実等を進めておくことが必要である。』

ということで拡大するのは良いけどザルになるなよというメッセージが来ておりますな。


・アパートローンェ・・・・・・・・・・・・

『BOX2 貸家業向け貸出と与信管理』というのがもうね。

『近年、地域金融機関を中心に、個人や個人設立の資産管理会社等に対する賃貸不動産向け貸出(以下「貸家業向け貸出」)が増加している。これは、土地所有者、富裕層の資産運用や節税ニーズ等の高まりを受けて、各地域で貸家着工が増加していることを反映している(図表B2-1、図表B2-2)。』

さいですな。

『一方、貸家に対する需要をみると、わが国の総人口は減少に転じているが、@高齢化や晩婚化を背景とした単身世帯の増加などに伴って世帯数がなお増加していること、A都市部や市街地への移住等の社会移動があることから、需要も相応に増加しているとの指摘がみられる。』

ほほう。

『実際、足もとの貸家着工は、空室率の低い都道府県ほど高い伸び率となっているほか、世帯数の増加との間に強い相関関係がみられる(図表B2-3、図表B2-4)。』

それは分かったがそっちは供給の話なのではないか??

『もっとも、貸家業向け貸出は、対象物件の経済的耐用年数が長く、融資期間が10 年以上、中には20 年を超えるものも少なくない。この点、やや長い目で貸家を巡る需給環境をみると、貸家着工と将来の世帯数予測との相関は必ずしも高いものではない。』

そもそも節税ニーズで建ったものに本当に需要予測が存在しているのでしょうかねえ。

『ここでの分析は都道府県単位の粗いものに過ぎないが、現実の融資実行に際しては、個々の物件の所在地における貸家需給やその見通しを踏まえて判断していく必要がある。』

ということですが、先ほどアタクシがツッコミを入れた辺りはおそらく書いている日銀でも先刻ご承知の助で、以下の説明を見ると「お前ら担保有るからってホイホイ出すんじゃねえ」というメッセージを非常に丁寧な口調で説明しているようにしか見えないのは気のせいですかそうですか。


『貸家業向け貸出の与信管理では、融資期間の長さなど事業特性を踏まえた入口審査と中間管理の両方が重要である。』

事業特性とな。

『まず、入口審査では事業主や施工業者等が策定した収支計画の妥当性の検証を行った上で、家賃以外の収入や担保保全の適切性を確認する。収支計画の検証に当たっては、対象物件の立地、周辺の家賃設定・空室状況等を確認すること、先行きの家賃収入(入居率×家賃水準)や貸出金利に一定のストレスを負荷しつつ、修繕費見込み等も勘案した収支シミュレーションを実施することが有効である。この点、考査等では、ストレスの妥当性が検証されていない、対象期間が短い等の課題がみられる。』

基本は収益返済らしいのですが、節税マンションの場合を念頭において「家賃以外の収入」という文言が入っているのがチャーミング。

『貸出実行後は、一定の頻度で空室率や収支の計画と実績を比較し、乖離がある場合はその事由を分析した上で、事業主に対する収支改善支援、入口審査基準の調整等、所要の対応を講じていくことが必要となる。また、所在地別、築年数別、債務者属性別の延滞率やデフォルト率など、データの整備を図るとともに、ポートフォリオ・ベースで分析・管理を行っていくことも有用である。』

不動産って特殊性が強いからポートフォリオベースの分析ってあんまり馴染まないような気もするのだが、個別データを集めてできるだけ一般化した分析もしろと言いたいのは分かります。

『現状、与信費用が増加している訳ではないが、融資期間を通じた中間管理が求められる。』

ということでこれは要するに今後与信費用が増加するリスクがあるんじゃネーノというメッセージですな。


・不動産市場に関して

『BOX5 不動産市場の状況について』も鑑賞。

『今回の金融活動指標では、「不動産業実物投資の対GDP 比率」が趨勢からの乖離幅を広げ、引き続き「赤」となった。ここでは、最近の不動産市場の状況を、取引・価格動向や、金融面の動向など、幅広い観点から点検する73。』

うむ。

『不動産の取引金額は、高水準で推移しているが、2007 年頃の水準には至っていない(図表B5-1)。物件タイプ別にみると、引き続きオフィスの取引が活発である。主体別では、足もとは、J-REIT が再び取引シェアを拡大している74(図表B5-2)。海外投資家は、リーマン・ショック前の投資物件の処分の動きと、新規の物件取得の動きが併存するもとで、ネット買越額は概ねゼロ近傍となっている(図表B5-3)。』

取引金額としては全体として見た場合にまだ過熱している訳でもないがREITの買いが目立つと。


『不動産価格は、全国的に下げ止まりつつある。地価の対GDP 比率は、過去からのトレンド並みの水準で推移しているほか、個別地点ごとにみた商業地価(鑑定価格)の上昇率の分布には、過去の2 度の不動産ブーム期にみられたような上方への広がりは、観察されていない(図表B5-4、図表B5-5)。東京23 区の商業用不動産の取引価格分布をみても同様である(図表B5-6)。』

不動産価格に過熱の状況も無いとな。

『J-REIT のイールド・スプレッドも、縮小する動きはみられない(図表B5-7)。もっとも、オフィスビルの空室率が低下している東京都心部では、賃料の本格回復に先行する形で、投資家の購入スタンスの前傾化を映じた高額物件取引も散見され、投資家の期待利回りが過去最低水準を更新する地域もみられている(図表B5-8、図表B5-9)。なお、地方圏においてはこうした動きは一部にとどまっている。』

つまり都心部の局地的な現象が起きているだけよ。


『金融面の動向をみると、J-REIT では高水準の資金調達が続いているが、レバレッジの高まりはみられない(図表B5-10)。』

ほうほうそうですか。

『銀行の不動産ファンド向け投融資を形態別にみると、大手行が貸出を幾分増加させているほか、地域銀行のエクイティ投資が増加している(図表B5-11)。J-REIT 以外の上場不動産業者(主に大企業)も資金調達を増加させているが、不動産ブーム期にあった2007 年頃と比べると低水準にとどまっているほか、借入は限定的である(図表B5-12)。「不動産業実物投資の対GDP 比率」の投資主体は、概ねこの上場不動産業者(主に大企業)に該当しているとみられるが、投資は今のところ、手元資金や資本調達によってファイナンスされている部分が大きいとみられる。』

ここまでは問題なしという説明。

『一方で、中小不動産業者(うち低信用先)における有利子負債残高(前年比)の分布は、不動産業のデフォルト率が急速に高まる直前の2000 年代半ばほど顕著ではないものの、足もと、上方への広がりがより明確になりつつある(図表B5-13、図表B5-14)。』

ここでちょっと指摘が入っています。

『以上みてきたように、多くの指標は、リーマン・ショック前の不動産ブームの頃を下回っており、不動産市場全体としては過熱の状況にはないと考えられる。ただし、不動産業大企業の実物投資の増加に加えて、J-REIT・海外投資家の物件取得が活発化しており、東京都心等では高額物件取引もみられている。また、銀行の不動産関連投融資も積極化しつつある他、中小の低信用先の資金調達では借入れが増加する兆しも窺われている。これらを踏まえると、不動産市場の状況については、引き続き注意深く見守っていく必要がある。』

ということで、まあこういうので「問題があります」とかレポートをドドーンと出すわけには行かないというのは大人の事情として良く分かるので、まあこの辺のニュアンスでお察しという話なので前回の纏め部分を出してみますね。

『以上みてきたように、最近の不動産市場では、景気の回復等に伴って、取引や金融活動が徐々に活発になってきている。不動産価格については、現状、過去の不動産ブーム期にみられた過熱感は、全体として窺われないが、オフィス物件を中心に取引金額が高めの水準にあること、海外投資家など投資家の不動産投資スタンスが積極化してきており、J-REIT 価格が上昇していること、不動産向け貸出が徐々に伸びを高めており、低信用先の資金調達も増加傾向にあることなどを踏まえると、先行きの不動産市場の動向については、注視していく必要があると考えられる。』
(2015年4月のFSR全文のBOX5から)

・・・・・・・・まあニュアンスとしては半年前の記述よりも若干警戒感は出ているようにも見えますね。

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2015/10/29

○市場雑談その他

・10年30bp割るわ5年4bpだわで本日は3M入札

http://jp.reuters.com/article/2015/10/28/idJPL3N12S2BK20151028

『<15:14> 国債先物は続伸、5年債1月29日以来の低水準


長期国債先物は続伸。27日の米債高を材料視した買いが先行。FRBの早期利上げ観測が後退していることに加え、日銀の追加緩和観測がくすぶる状況で、海外勢を巻き込んだ短期筋のニーズが強まった。現物債は堅調。長期ゾーンは先物に連動性を強めたほか、超長期ゾーンは日銀オペで同ゾーンの結果がしっかりだったことが材料視された。中期ゾーンも国内銀行勢の需要が観測されており、5年債利回りは1月29日以来の低水準となる0.040%を付けた。』(上記URLより、以下同様)

なんちゅうかこの売り向かう動きも無く無抵抗で金利が下がっている感じがするこの盛り上がりに欠ける中での金利低下更新、というのはお祭り感もヒャッハー感も昂揚感もなく、どちらかと言いますと絶望とか書こうと思ったが目から水が出てきた。

『長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比8銭高の148円61銭。一時は148円63銭と1月20日以来の高水準を付けた。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp低い0.295%と4月28日以来半年ぶりに0.3%を割り込んだ。』

ということで誠にアレな展開で2年カレントも0bp出合いとかみたいで、スポ末のレポ市場とかはレートは下がったものの7月みたいな大荒れという訳ではなくて、まあコストの所で解決するレベルのお話だったようですが、バランスシート調整とか、それに絡む為替ファンディングの辺りとかは毎度の仕様でございますので、特に12月末を迎えていく中では怪しげな展開が待っているのでしょうなあと思うのでした。

でまあそんな中で本日は3M入札ですが、当然ながら年末を越えられる短国なのでニーズあるでしょと思いますが、そうは言いましてもオペに入っているのは多分6Mが多くて次に1Yとかだと思われますので、3Mの在庫自体はあるように見えるのですが、でもちょっとマイナス辺りで妙に安定してしまっているのはナンナンデショという所ではあります。

一応付利下げ警戒とかあるのかも知れんですけど、それは枠組みの変更を伴う話だから直ぐに打ち込める政策じゃないと思うのですよね〜。


・またブルームバーグの微妙なインタビュー記事大会

昨日は時間の順にこんなんでました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000066-bloom_st-bus_all
柴山首相補佐官:30日の日銀会合での追加緩和、「不思議ではない」
Bloomberg 10月28日(水)10時6分配信

・・・・・・・・・・・なんか記事見ても一般的な話をしているだけのように見えるのですが妙にキャッチーなヘッドラインに仕立て上げるのがブルームバーグクオリティ。最初ヘッドライン見た時には柴山氏の「僕言いましたよね」スキームかと思ったけどそうでもなさそうですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000026-bloom_st-bus_all
浜田内閣参与:日銀は緩和必要ない、エネルギー除く物価上昇する限り
Bloomberg 10月28日(水)11時0分配信

でまあ1時間後にこれを出すとかいうことで、ブルームバーグは何をしたくてこういうヘッドラインの乱れ打ちをしているのかという感じではあるのですが、それ以前に良く良く考えてみるとブルームバーグのこの手の記事って出てくるのが政権ブレーンだか関係者、という事にはなっているけど実際問題としてはやや微妙なメンバーのお話は多いし、観測記事になると「事情に詳しい関係者」ということで話が出てくるのですが良く良く見たらそのメンバーは単に証券会社の何とかストではないかと小一時間問い詰めたいようなケースがあったり(というかそもそもあそこの日銀サーベイについてもメンバーの数集めようとして石やらドテカボチャやらが混在しているとしか思えんのだが)という事で、何ちゅうかインタビュー記事をホイホイ出すその心意気は壮としたいのですが、微妙なヘッドラインをバカスカ流されてもねえとは思うのですよねえという事で。

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2015/10/28

○決定会合プレビュー雑談というか何というか

・朝日新聞がこんなの出してましたな

http://www.asahi.com/articles/ASHBV5WZMHBVULFA02V.html
日銀、追加緩和を議論へ 物価上昇めざし賃上げ促す構想
2015年10月27日14時38分

例によって全文は読めないのですが、上記URL先にはこのような説明が。

『日本銀行は30日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を議論する。日銀内で浮上しているのは、追加緩和で企業心理を改善させ、賃上げを促す構想。新興国経済の減速で国内景気の先行きに不透明感が出て、物価の上昇要因となる賃金の伸びが鈍る懸念があるためだ。ただ、追加緩和を不要とみる会合の委員もいて、結論はなお流動的だ。』(上記URL先より、以下同様)

>追加緩和で企業心理を改善させ、賃上げを促す構想

・・・・・・・・・・?????

『そこで、日銀が目標とする前年比2%の物価上昇を貫徹するとの決意を追加緩和で示せば、企業が「日銀の言うとおり物価が上がる」と信じ、賃上げに動くのではないか、というのが追加緩和構想の狙い。』

そもそも2年で達成と大見得を切ってしかも超越マネタリーベース拡大を実施している上に昨年追加緩和をしているのに達成時期は更に後ずれするという状態なのに、何で「日銀の言うとおりに物価が上がる」という話になるのか分からんし、そもそも物価が上がるから賃上げをするのではなくて、賃上げ自体は企業が粗利をどこに振るのかという話になるのですからして、自分の所の成長期待が高まらないのに賃金をホイホイあげられるのかと小一時間ではございますな。

まー賃上げが課題なのはわかるのですが、賃上げの為に円安に振ってコストプッシュで物価を上げようとかいうのも何だかなあという感じでして、それよりも賃金改定時期の前に政府がデフレ脱却宣言した方が話が早いでしょと思いますけどねえ。


・残り少ないカードとな

今朝の日経らしいですが
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF27H0M_X21C15A0EE8000/?dg=1
追加緩和の必要性見極め 日銀、30日に決定会合
2015/10/28 2:00日本経済新聞 電子版

『日銀は30日開く金融政策決定会合で経済・物価見通しを下方修正し、物価上昇率2%という政策目標の達成時期を従来の「2016年度前半ごろ」から先送りする。景気と物価を支えるため、追加金融緩和に踏み切るかが最大の焦点となる。日銀は残り少ない緩和カードで最大の効果を得られるように、慎重に緩和の必要性とタイミングを見極める。』(上記URL先より)

「残り少ない緩和カード」と来ましたかそうですかという所で、以前のように2%早期達成できないならドンドン追加緩和みたいな話はすっかり影を潜めていまして、安倍ちゃん取り巻き方面からの追加緩和牽制情報発信もそうですけれども、追加緩和おかわりクレクレな話からの転換というか、置物理論の2年で2%と心中する気はないというトーンが益々高まっているという風に思えるわけなのですが・・・・・・・・・・・・・


・今週追加緩和の見通しやや減少とな

ブルームバーグから
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWTDTK6K50XY01.html
日銀追加緩和で市場予想は拮抗、「30日なし」が若干優勢−サーベイ
2015/10/27 15:25 JST

『(ブルームバーグ):日本銀行が30日開く金融政策決定会合で、追加緩和に踏み切るかどうか市場の予想はほぼ拮抗(きっこう)する中で、追加緩和なしが若干優勢だ。』(上記URL先より、以下同様)

ほほー。

『ブルームバーグが21日から26日にかけてエコノミスト36人を対象に行った調査で、16人(44.4%)が30日会合で追加緩和を予想した。前回調査における30日会合の緩和予想(36人中15人=41.7%)は上回ったものの、10月6、7日会合を合わせた緩和予想は17人(47.2%)だったので、ここからは後退した格好。追加緩和観測は1カ月前と比べるとやや盛り上がりに欠けている。』

そらそうよ。

『日銀は30日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で2017年度までの成長率と生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)の見通しを公表する。いずれも下方修正は必至で、「16年度前半ごろ」としていた2%達成時期も先送りする公算が大きい。もっとも、足元でエネルギーを除く物価の上昇が進んでいることに加え、政治的な圧力も高まってないことから、市場の見方も分かれている。』

ということですが、確かに従来の「2年で2%」路線を重視するのであれば追加緩和10月でも時既にお寿司位の話ではあるのですが、そもそも論として「2年で2%」のセッティング自体が無理があったし、それだけ単独で早期達成をさせようとしても却って経済にマイナスということも見えてきた中で、従来の短期決戦前提の政策枠組みとオペレーションの枠組みで良いのか、という話を考えたらどうなのよ、というのがアタクシしつこく申し上げておりますネタなのですが、まー確かにそれを言い出すと「日銀の説明を前提にしない話を予想にする」という事になるのでよー言いませんわなという事になるとは思うのですけど、枠組み変更という話がボチボチ位しか出てこないのも何でじゃろとは思う今日この頃ではございます、はい。

いずれにせよ昨年の追加緩和以降(特にコアCPIの上昇が落ちだしてから)って政策ロジックについては当初との整合性がグダグダになっていますし、大体からして物価に対するアセスメントとかでも1年前くらいは知らんがなと言っていた東大日次物価指数を急に持ち上げたりとかいうのに始まって、綺麗に言えば「ロジックの整合性よりも結果を出すのが重要」という事になるのですけれども、まあ傍から見ておりますと「やりたいことが先にあってそれに対してロジックをその場のご都合で組み立てて取りあえず何とか説明をする」というプレイになっておりますので、もとより政策ロジックの継続性を考えながら政策の予想をするのは不可能、というかそれで考えると間違いの元という状況になっておりますので、枠組みが今のままの内はあまりロジカルに政策を予想しても無駄うちになるでしょうなとは思うのでした。

○FSRキタコレ

つーことでFSR

http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr151023.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr151023a.pdf(全文)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr151023b.pdf(概要)

前回分はこちら
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr150422.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr150422a.pdf(全文)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr150422b.pdf(概要)


・要旨というか紹介ページの方で前回比較をしてみませう

比較する意味があるのかというツッコミはさておきまして(汗)。

『要旨:金融システムの総合評価』から。

『わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融仲介活動は、より円滑に行われるようになっている。』(今回)
『わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融仲介活動は、より円滑に行われるようになっている。』(前回)

全文一致ですな。

『金融システムの機能度』から。

『金融機関は、国内外の貸出において、リスクを取る方向での業務運営を引き続き指向している。国内では、大企業のM&A向けや内外事業展開等に伴う資金需要へ積極的に対応しているほか、成長性や業績回復を見込んだ下位格付け先への貸出や企業再生関連の貸出等への取り組みにも広がりがみられる。こうしたもとで、国内貸出は企業向けが牽引する形で緩やかな増加を続けており、企業規模、業種、地域のいずれの面でもさらに広がりが出てきている。』(今回)

『金融機関は、引き続き、国内外で貸出を積極化している。国内では、リスクを取る方向での業務運営を指向し、成長事業の育成・事業再生への取り組みを強めている。こうしたもとで、金融機関の国内貸出は、企業向けを中心に緩やかな増加を続けており、企業規模、業種、地域のいずれの面でも徐々に広がりが出てきている。』(前回)

ということで国内に関しては貸出などが拡大している話になっていますので、金融緩和効果とか成長基盤だの貸出増加支援だのの効果も出ているというネタになりますな。


『海外でも、本邦企業のグローバル展開を支え、成長力の高い海外諸国の金融ニーズを取り込んでいく観点から、融資に積極的に取り組んでいる。非日系企業を中心とした取引先拡大等を企図して、貸出債権を買い取る動きもみられている。こうしたもとで、海外貸出は高めの伸びを続けているが、このところのアジア経済減速を受けて伸び率は幾分鈍化している。』(今回)

『海外においても、本邦企業のグローバル展開を支え、成長力の高いアジアなど海外諸国の金融ニーズを取り込んでいく観点から融資に積極的に取り組んでおり、海外貸出は高い伸びを続けている。』(前回)

アジアがコケ気味なので表現が変わっているのがチャーミングですが、海外も引き続き拡大という話になっておりますな。

『有価証券投資では、高水準の円債残高を維持しつつ、投資信託等による運用を一層積み増すなど、リスク・テイクを徐々に強めていく姿勢を継続している。生命保険会社・年金などの主要機関投資家でも、リスク性資産への投資を増やす動きが続いている。』(今回)

『有価証券投資では、高水準の円債残高を維持しつつ、外債、投資信託など運用の多様化を図り、リスク・テイクを徐々に強めていく姿勢を継続している。この間、国内長期債投資を中心としてきた主要機関投資家でも、リスク性資産への投資ウエイトを高める動きがみられている。』(前回)

とはいえここの内訳に関しては(これまでもそうですが)ポートの状況に関しては主体によって異なるという話は本文で展開されております。たぶんその辺までネタにしている時間が無いのですけれども(汗)。

『金融資本市場を通じる金融仲介は、エクイティ・ファイナンスが引き続き高水準であるほか、CP・社債の発行環境も良好である。こうしたもとで、企業・家計の資金調達環境は、より緩和的となっている。この間、家計の金融資産運用は、預金中心の構図に大きな変化はないが、投資信託等への純流入が続くなど、リスク性資産の比重が高まってきている。』(今回)

『金融資本市場を通じる金融仲介は、エクイティ・ファイナンスが引き続き高水準で推移するなど、良好な発行環境が維持されている。こうしたもとで、企業・家計の資金調達環境は、より緩和的になっている。一方、家計の金融資産運用は、預金中心の構図に大きな変化はないが、このところ投資信託等への純流入が続くなど、リスク性資産の比重が徐々に高まっている。』(前回)

CPや社債の発行環境は良好というのが書いてあるのですが、これ本文見れば分かるのですが肝心の発行の方って特に伸びていないのですけど、そこは「銀行の貸出姿勢が積極的である」ということで話を丸く収めておりますが、わざわざCP社債の話を入れるのねとふーんと思いましたです(発行がバシバシ増えているなら入れる意味も分かるのですが残高伸びていないのに何で?という意味)。


『金融システムの安定性』はまあ不安定とか出たらマズーではありますのでお察しですけど。

『以上の金融仲介活動において、過熱を示す動きや過度な期待の強気化といった金融面の不均衡はみられていない。』(今回)
『以上のような金融仲介活動において、過熱を示す動きや過度な期待の強気化といった金融面の不均衡はみられていない。』(前回)

そらまあ見られますと言い出すと第2の柱が登場しますから。

『不動産市場は地域差を伴いつつ徐々に取引が活発になっているが、全体としては過熱の状況にはないと考えられる。金融機関は、全体としてみると、充実した財務基盤を有している。自己資本比率は規制水準を十分に上回っている。』(今回)

『金融機関は、全体としてみると、充実した財務基盤を有している。自己資本比率は規制水準を十分に上回っている。』(前回)

でまあここで不動産市場がという話が出ていて、昨日申し上げましたように最後のBOXの所でも貸家向けの貸出と与信管理の話と、不動産市況の話がありますし、こうやって紹介ページの所というある意味新聞1面みたいなところに確りと不動産の話を載せているのは一応のメッセージと受け止めて置けば吉かと。


『金融機関の負っているリスクは、前回レポート時から概ね横ばいとなった一方、自己資本は内部留保の蓄積等から増加した。こうしたもとで、金融機関のマクロ的なリスクと財務基盤の適切なバランスは引き続き確保されており、金融システムは相応に強いストレス耐性を有している。』(今回)

『金融機関の負っているリスクは、前回レポート時に比べて信用リスク量の減少等からやや減少し、自己資本は利益の蓄積等から充実が進んだ。こうしたもとで、金融機関のマクロ的なリスクと財務基盤の適切なバランスは確保されており、金融システムは相応に強いストレス耐性を有している。ただし、経済・金融のショックの背景、程度、速さなどによっては、金融システムの安定性に影響が及ぶ可能性がある点には留意が必要である。』(前回)

ここの説明が妙にあっさりになっていますが、こちらに関しては別に留意をしなくなった訳ではなくて、今回のFSRの位置づけを年度の中間レビューみたいな形にしていて、リスクアセスメントの所は前回との変化を中心にしている事から、前回と同様の話となる部分は概要の所で軽めになっているという建付けになっているからだと解釈しましたがそういう事で宜しいのでしょうかね。

『資金流動性に関しては、金融機関は、円資金について十分な流動性を有している。外貨資金は引き続き市場性調達の比重が高い調達構造となっているが、銀行の安定調達基盤の拡充に向けた取り組みに進捗がみられた。一定期間調達が困難化しても資金不足をカバーできる外貨流動性を確保している。』(今回)

『また、資金流動性についてみると、金融機関は、円資金について十分な資金流動性を有している。外貨資金は市場性調達の比重が高い調達構造となっているが、一定期間調達が困難化しても資金不足をカバーできる流動性を確保している。』(前回)

前回との違いはボルカールールなどの各種規制がより強化というか規制の本格的な実施が始まったものが有る点で、それへの対応が進んでいるという事なのでしょうが、そうは言いましても国内の短国市場やらに外貨ファンディング絡みの影響が出たりするケースもあったりするように見えますので規制効果オソロシス。

『この間、アジアなど新興国経済の減速に対する懸念が強まるもとで、夏場以降、国際金融資本市場のボラティリティが高まった。わが国においても、株価が下落するなど海外市場の影響が及んだが、金融機関の財務基盤や金融システムの安定性への影響は、今のところ限定的なものに止まっている。』(今回)

『この間、資源価格が大幅に下落し、国際金融資本市場では幅広くボラティリティが高まった。ボラティリティの上昇は、ある程度本邦市場にも及んでいる。』(前回)

まあここは4月からはだいぶ変わりましたからね。


・最後の部分がちと書き方が違う

でもって最後が『マクロ・プルーデンスの視点からみた課題』である。

『将来にわたって金融システムの安定を維持していくには、引き続き、金融機関のマクロ的なリスクと財務基盤の適切なバランスを確保していくとともに、先々の脆弱性に繋がっていく可能性がある金融システムの構造的な変化に対しても、着実に対応していく必要がある。

金融機関のマクロ的なリスクは、内外貸出や有価証券投資でリスクを取る方向の業務運営を進めるもとにあっても、総じて抑制されている。もっとも、これは、近年における安定的な金融環境の継続(信用コストの低位安定、市場ボラティリティの低さ)による面が大きく、この間、信用、市場、資金流動性など各種のエクスポージャーは増加を続けている。金融機関は、引き続き、積極的にリスク・テイクを進めている分野におけるリスク対応力の強化を図っていく必要がある。とくに、海外業務では資産の拡大に対応した外貨の安定調達基盤の拡充や与信管理の充実が、市場運用ではリスクの横断的、多面的な把握と管理が重要と考えられる。また、大手金融機関のシステミックな重要性の高まり、地域金融機関の基礎的な収益力の低下といった構造的な課題は、前回のレポートから変わっていない。

日本銀行は、金融システムの安定確保に向けて、モニタリング・考査等を通じてこれらの課題に対応していく。』(今回)


前回は『将来にわたる金融安定の確保に向けて』というお題なのですな。

『わが国の金融システムは安定性を維持しているが、将来にわたってこれを維持していくには、引き続き、マクロ的な視点からみて、金融機関のリスクと財務基盤の適切なバランスを確保していくとともに、先々の脆弱性に繋がっていく可能性があるリスクの構造的な変化に対しても、着実に対応していく必要がある。

マクロ的なリスクの蓄積の観点から注目しておくべき点としては、(1)金融機関の国際業務、海外エクスポージャーの拡大、(2)金融機関の資産負債管理における市場運用の重要性、マーケット・エクスポージャーの高まりが挙げられる。リスクの構造的な変化の観点から注目しておくべき点としては、(3)大手金融機関のシステミックな重要性の高まり、(4)国内預貸業務(とくに地域金融)における収益性の低下が挙げられる。また、(5)家計の資産選択行動の変化や、(6)国際金融規制の実施に伴う金融システムへの影響を注視していく必要がある。

以上の点を踏まえて、個々の金融機関が対応していくべき経営面の課題としては、(1)リスク・テイクを積極的に進める分野、とくに海外業務と市場運用におけるリスク対応力の強化、(2)大手金融機関におけるシステミックな重要性への対応、(3)地域金融機関における基礎的収益力低下への対応が挙げられる。

日本銀行は、引き続き、金融システムにおけるマクロ的なリスクの蓄積状況や構造変化に関する実態把握と分析、ストレス耐性の検証等を行っていく。そのうえで、リスクの所在や課題を提示しつつ、幅広い関係者との間で認識の共有や協議を行っていくとともに、所要の対応を講じていく。金融機関との間では、量的・質的金融緩和による緩和的環境を活用した前向きな金融仲介活動を幅広くフォローしていくとともに、上述の諸課題に対応していく観点から、(1)国際業務、(2)ALM・市場運用、(3)大手金融機関のシステミックなリスク特性と経営管理、(4)地域金融機関の収益力、(5)産業力強化・企業活力向上に向けた取り組み、(6)金融機関・証券会社等のマーケット業務と金融商品販売業務の動向、に関する実態把握を強化し、意見交換を行っていく。』(前回)

前回はこの『将来にわたる金融安定の確保に向けて』の所での金融機関のリスクアセスメントとか金融機関に内在するリスクに関するアセスメントとかの所にやたら力が入っていた感じで、概要の方でもそんな感じの書き振りになっているのですが、今回は中間評価という事もあるのか「マクロプルーデンス」という書き方で割とあっさり味の概要につくってあるのですが、その一方でBOXの方で纏められているのは「与信管理」「ポートフォリオ分析」「不動産市場」というお話になっていますので、今回はリスク管理手法と与信管理の中で一部分野に関する注目を入れているという感じになるんでしょうかね、よくわからんけど。


・ストレステストシナリオのお手本を投下とな

本文の最初の所ですけれども、『(今回の特徴)』というのがありまして。

『今回のレポートにおける編集・分析面の特徴は、次の5 点である。@年度半ばの中間的なレビューと位置づけ、X章のリスク分析やZ章の金融安定に向けた課題に関する部分を中心に、年度初(前回レポート)からの変化を中心とした記述にした。』

『Aこれまで分離していた金融機関の円・外貨金利リスク、株式リスクを「市場リスク」として統合した。金融機関の有価証券投資において運用の多様化が進み、各種のリスクを横断的にみていく必要性が高まっていることに対応したものである。B金融機関が積極的にリスク・テイクを進めている分野(M&A 関連貸出、貸家業向け貸出、有価証券投資等)についてBOX を設け、リスク管理上の留意点を提示した。』

ということで金融システムレポートだから当然ちゃあ当然なのですがリスク管理の話が今回は力入っていますし、そのリスク管理も統合的にやりなさい的なお話になっておりますな。

『Cマクロ・ストレス・テストのモデルやシナリオ設定方法等を拡充するとともに、個々の金融機関が行うストレス・テストの参考に資するよう、方法論やデータの開示を拡充した。シナリオ設定の考え方に関する「別冊」を公表するほか、テストに関する主要データを日本銀行ホームページからダウンロード可能とした。』

http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsrb151026.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsrb151026a.pdf(本文)
マクロ・ストレス・テストのシナリオ設定について

でもってこちらの概要ページから表計算ソフトにデータを落とせるというモノになっております。とりあえずアタクシも落としては見ましたがそのまま放置プレイだったりしますが。

『Dアジア経済の減速、夏場以降の市場ボラティリティの高まりを踏まえ、X章のリスク分析やY章のマクロ・ストレス・テストにおいて、金融機関への影響や留意点についての説明を加えた。』

という話はありますが、不動産の所はここで書くとやや刺激的なのかスルーしているようで。ただBOXで説明があったりするのでそちらも気にはしている(だいたい日本の場合バブルキタコレは不動産ですから)という事でしょうな。


・それは良いのですが元々FSRって金融市場レポートと統合した筈なのですが・・・・・・・・・

とまあそういう感じで別冊がホイホイと出たりする益々充実のFSRなのですが、甚だ寂しいのは金融システムレポートって金融市場レポートと統合して出すようになった(2011年10月号から)のですけれども、金融市場レポートの方が扱いとしてドンドン影が薄くなっているように見える訳でございまして(書いてある話分量等はまあ同じちゃあ同じなのですが)そらまあQQEで金利市場の流動性を叩き潰す(というかそもそも長期金利に直接働きかける政策を実施しているのだからそうなるのは当然)ようになっているのでその辺をゴリゴリ分析すると日銀が悪いよ日銀がとなって不都合にも程があるというような大人の事情は理解するのですが、すっかりプルーデンス物になってしまいましたなあという所ではあります。

ちなみに市場の流動性指標に関してはオファービットスプレッドが縮小しているとかいう指摘はあって、だからこそ流動性は維持(キリッ)みたいな話がありますが、ちょっとした売買が入るといきなり無抵抗状態でイールドカーブが動くという今の市場動向を見るに、スプレッドが縮小したというよりは単に投資家の方が大玉を振り回せなくなっているだけという気がするんですけどねというネタだけ申し上げておきますです、はい。

#本文ネタについては追々投下するものがあったら投下します(汗)

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2015/10/27

やはり追加緩和不要とな
http://jp.reuters.com/article/2015/10/26/hamada-boj-idJPKCN0SK0P220151026
Business | 2015年 10月 26日 17:12 JST
30日の日銀会合、労働市場タイトな中で静観あり得る=浜田内閣参与

『[東京 26日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は26日、ロイターとのインタビューに応じ、市場で追加金融緩和観測が広がっている30日の日銀金融政策決定会合では、雇用情勢の改善が続く中で日銀が追加緩和を見送る可能性があるとの見解を示した。』(上記URL先より)

>雇用情勢の改善が続く中で日銀が追加緩和を見送る

・・・・・・・・・・物価安定目標いや何でもないです


○FSRが出たと思ったら早速別冊が(予告メモ)

まあ別冊自体はFSRの中に「これについては間もなく出る別冊を参照しやがれ」というのがあったのですかさず出る予定だったと思われますが。

http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr151023.htm/
金融システムレポート(2015年10月号)

http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsrb151026.htm/
マクロ・ストレス・テストのシナリオ設定について

ということで出ているのですが、今回は金融機関の経営課題がどうのこうのというよりは全体的なマクロシナリオの話とか、あとは個別案件でFSRの最後にある本文95ページ以降の

BOX1 海外M&A 関連貸出と与信管理
BOX2 賃家業向け貸出と与信管理
BOX3 与信ポートフォリオの変化と信用リスク分析の高度化
BOX4 地域金融機関の有価証券ポートフォリオのリスク分析
BOX5 不動産市場の状況について
BOX6 金融マクロ計量モデルの改良

というのが纏まっていて、しかも不動産融資ネタが2つに増えているぞなという辺りがございますので、最初から読んでいくとふむふむと流してしまいそうな場合は本文95ページから最初に読むと面白いのではないかと存じます(アタクシの超主観ですが)、はい。



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2015/10/26

○追加緩和必要なし攻撃がまた来ていますな

http://jp.wsj.com/articles/SB12707975987092023884404581310451683937480
金融緩和より財政出動を=本田内閣官房参与
2015年10月23日 14:20 JST

『【東京】安倍晋三首相の経済顧問を務める本田悦朗内閣官房参与(明治学院大客員教授)は、停滞する日本経済の再生のためにも、最大5兆円規模の追加的な財政出動策を打ち出す必要があるとしたが、日銀が新たな措置を講じなければならない状況にはないとの見方を示した。本田氏は、民間消費を迅速に引き上げるため、低所得・無収入家庭に属する2200万人に最大5万円の現金を給付する措置を補正予算に盛り込むべきだと提案した。』(上記URL先より)

金曜はWSJの他に共同通信でもこのネタが投下されて、共同がヘッドラインを出した時(夕方だったかな)に為替市場が反応しておりましたが、リフレ派方面からは今回は完全に「財政ガー」という話になっておりまして、置物MB直線一気理論を用いれば金融政策だけで物価目標が達成できてその結果全てが上手く行くという話はすっかり無かったことになっているのですが、まあ置物一派の逃げっぷりが凄いと申しますか、おまいら元々2%目標どころか3%目標の方が良いとか言ってただろうがと小一時間問い詰めたいですな。

しかしまあ何ですな、ドラギのおっちゃんのインチキ攻撃(この先でネタにします)に加えまして中国様の利下げまで来ましてすっかり為替市場やら株式市場の方が日銀的にはウマーな方向になっておりますので、これは追加緩和を打たなくても無問題という感じになってきておりまして(というかもう一発円安になる方が物価には良いけど景気に良いのか微妙ですし)、益々様子見モードという所でしょうな。


その前にはこんなのありましたな。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151023-00000039-reut-bus_all
麻生財務相、30日の追加緩和に慎重 「金融でできること限られる」
ロイター 10月23日(金)12時34分配信

『物価が上がらない原因は「カネがないのではなく、需要がない」ためだとも説明。「黒田日銀総裁もそこを考え、需要が出るためには、たとえば、企業の内部留保が賃金などに回ることによって働いている人の可処分所得が増え、消費が増えることを期待していると思う。(金融政策と需要増の)両方が相まっていくことだ」と述べ、「今すぐ日銀の金融緩和だけで本来の目的にはなかなかいきにくい状況にある」と語った。』

『2%の物価目標の妥当性に関して「オープンエンドで進んできたその方向は間違っていない。2%目標を今この場で変えることは考えていない」と述べ、枠組みの変更は必要ないとの認識を示した。』(上記URL先より)

物価は貨幣的現象なので中央銀行の金融政策単独で達成可能という話に砲撃を盛大に加えていますが、もともと麻生さんはこういう主張をしているのでいつも通りではあるのですけれども、まーこういう流れになったのはコストプッシュのような形で物価だけ上げても意味がないどころか実質所得の低下を通じてマズーであり、本来期待していた企業収益からのトリクルダウンの方がワークしにくい、ということで、段々選挙モードになってきて政権全体としてもそういう流れになってきたというお話なんでしょうね(軽減税率とかの話もそうでしょうし)。

でもって2%物価目標の妥当性云々の所ですが、「オープンエンドは正しい」という事でして、枠組み変える必要はないとは言っていますが、2年で達成するために派手な政策を実施するのが正しいのかという話をしていない(ここで報道されている限りは)のでありまして、そういう意味では「2%の物価上昇が安定的に推移するのに整合的な強い経済を作るまで緩和政策を続ける」というような形での政策枠組みの変更は別に否定していない(たぶんその時には「政策の枠組み自体に変化がある訳ではなくて手段が違っているだけ」と強弁する)ので、まあ色々と含みのあるお話ですなあと思うのでした。ただ麻生さんの発言がそのまま安倍ちゃんと完全一致する訳でもなさそうなので微妙ですけどね。


とまあそういう訳で、今回に関しては政権サイドの方から物凄い勢いで「いいから余計な事すんな」とばかりに追加緩和けん制発言がバカスカ出ていますし、置物リフレ一派の皆さんもここに来て口裏があっているかの如くの牽制モードになっておりまして、黒田さんを皆で羽交い絞めにしているの巻ということで、常識的に考えると益々追加緩和をしない方向にしか思えないのですが、政権とも示し合わせてサプライズ演出をするためのプロレスで実はサプライズ追加緩和という荒業は考えられないことも無いですが、前回の追加緩和の時は置物一派の皆さんは追加緩和追加緩和言ってましたので、さすがにそれは無いかなと。

でまあ周囲からこれだけ羽交い絞めになる中で黒田さんがランボー怒りの追加緩和とかやったら最早爆笑するしか無いのですが、まあその点だけはちょっと気になるけど普通に考えてそれは無かろうという感じではないかと。

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2015/10/23

ほほう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO93148890T21C15A0EE8000/?dg=1
物価2%上昇の品目2割超す 食品など値上げ増
2015/10/23 0:54日本経済新聞 電子版

『モノやサービスの一部に価格上昇の波が広がっている。消費者物価指数の伸び率を支出額に応じた品目割合でみると、約4分の1が前年同月より2%以上、上昇している。品目の数でも上昇が下落を上回る。』(上記URL先より、以下同様)

これは新手の2%達成に向けた説明ですかと思ったら・・・・・・・・・・・・

『原油安が物価全体を下押しする一方、パンやセーターなど生活実感に近い物価が上がる形だ。景気の足踏み状況が長引く恐れが出る中、日銀の金融政策の運営も難しくなっている。』(以下の記事は会員ページになります)

あれ???物価が上昇するのが目標なのに日経新聞まで悪い話扱いにするの??????


・なんじゃこの提言は

毎度おなじみのコーゾー先生ですが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWLWXK6S972901.html
自民の山本議員:最大2.5兆円給付を、年金受給・低所得者や育児支援
2015/10/22 16:12 JST

『(ブルームバーグ):自民党の山本幸三衆院議員は22日、年金受給者や低所得者などへの最大2兆5000億円の現金給付を2015年度補正予算に盛り込むことを求める文書を公表した。村井英樹衆院議員とともに所属している岸田派有志の提言としてまとめ、安倍晋三首相らに最終的に提出する考えだ。 』(上記URL先より、以下同様)

金融緩和一本槍の山本先生もすっかり2%物価目標でどうのこうのの話を引っ込めているようで結局置物リフレ一派の皆さんは肝心の置物教祖様を日銀に置き去りにしてすっかり梯子を外しているという状態で置物先生に同情したくなる位の勢いですな、1ミリも同情しないけど。

『17年4月からの消費税率の10%への引き上げ延期は、アベノミクスの失敗とみなされる恐れがあるため難しいと山本氏は予想した。このため、消費税上げをスムーズに乗り越えるためには、機動的に予算措置を講じ短期的に景気浮揚させることも重要であると2兆5000億円給付の狙いを説明した。 』

何が何だか分からないのですが、消費増税のせいでアベノミクスが失速したので再浮揚させないといけないと言いながら消費増税の延期はアベノミクス失敗と見なされるので難しいって政権の体面の為には良くない政策を実施するのも止む無しと言っているのと同じなんですけど貴殿はそれでも責任ある政治家なのかと小一時間問い詰めたい訳で、庭先だけ綺麗にすれば良いというような話はだいぶ呆れますな。

『現在の経済状況について山本氏は、14年4月からの消費増税の影響もあり、企業収益の改善が所得分配を通じて「消費が増加するという流れを作りきれていない」と指摘した。好循環の阻害要因を政策的に取り除くため、補正予算では大胆かつ分かりやすい所得再分配を実施すべきである、との考えを示した。』

と言ったって恒久的措置にするならまだ話は分かるのですが・・・・・・・・・

『年金受給者4000万人に1人当たり3万円で1兆2000億円、低所得者1000万世帯に各4万円で4000億円、児童手当の拡充として1800万人の児童1人当たり5万円で9000億円を配分することを山本議員らは求めている。このうち年金受給者と低所得者は一部重なるため、実際の所要財源は小さくなる見通しも示している。財源としては15年度税収の上振れ分や14年度の剰余金、外為特会などを挙げた。』

と言っている位なのですから補正一発だけの措置であって、そんな一発だけの配分によって消費増税のマイナスが山本先生のいうようにQQEの効果を全部打ち消すくらいの超強力な効果があるのに対抗できるとは思えませんけどねえ。

という雑談ではあるのですが、置物リフレ派の皆さんが最近すっかり蜘蛛の子を散らす勢いで撤収するなかで完全に日銀だけ放り出されているというこの状況に世の無常というものを感じる今日この頃ではございます。

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2015/10/22

○社債取引情報が出るとな

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/torihiki/index.html
社債の取引情報

『本協会では、社債の店頭取引における実際の取引価格を公表する「社債の取引情報の報告・発表制度」を設け、以下に発表しています。』

社債市場活性化のなんちゃらで進んでいた話の一環でして。

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/torihiki/seido/index.html
社債の取引情報の報告・発表制度について
平成27年10月20日

詳細版はこちら
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/torihiki/torihiki/seido_syousai.pdf
社債の取引情報の報告・発表制度について(詳細版)
平成27年10月20日


詳細版の方から引用しておきます。

『<本制度の趣旨>

これまで、日本では、社債の店頭取引における実際の取引価格を公表する制度はなく、取引当事者以外の第三者が取引価格を把握することは困難でした。

社債の店頭取引の価格情報としては、日本証券業協会(以下「本協会」といいます。)が発表する売買参考統計値のほか、情報ベンダー又はその他の機関が発表している価格等がありますが、これらは気配等に基づき算出又は評価した価格であり、実際の取引価格ではありません。このため、本協会では、平成 24 年7月 30 日に公表された「社債市場の活性化に関する懇談会」の報告書「社債市場の活性化に向けた取組み」において、社債の流通市場の活性化のため、本協会が社債の取引情報の発表を行うことが提言されたことを受け、「社債の価格情報インフラの整備等に関するワーキング・グループ」において検討を行い、日本で初めての取組みとして、社債の取引情報を発表する制度を設け、平成 27 年 11 月2日より開始することとしました。 』

とまあそういうことですが、

『(1) 発表対象の社債の取引

次の@及びAの両方の要件(以下「発表基準」といいます。)を満たした社債の取引のうち、1取引の取引数量が額面1億円以上の取引です。なお、次の@及びAの「銘柄格付」及び「発行体格付」とは、いずれも信用格付業者(金商法第2条第 36 項に定義する信用格付業者)から取得した格付(非依頼格付を除く)をいいます。

@ 当該社債の銘柄格付がAA格相当以上であること
A 当該社債の銘柄格付を二以上取得していること、又は、当該社債の発行体格付を二以上取得していること 』

とありまして、さっきのこちらのページ
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/torihiki/index.html
社債の取引情報

の中に、

発表対象銘柄一覧/発表停止銘柄/発表中止銘柄等
次月分(xls,170kb)

というのがありまして、銘柄一覧見ますと上記の発表対象の社債の取引の条件にあるAA格相当以上というのは最高格付けがAA−以上で2社以上からの格付けを取得している発行体の銘柄という事のようですし、発表においては、

『(5) 発表停止の取扱い

更新判定日において発表基準「AA格相当以上」を満たしている社債であっても、その後のクレジットイベント等の発生により当該社債の利回りが急上昇し、マーケットにおいて実質的には明らかにAA格相当と取り扱われていない社債については、社債の取引情報の発表を停止することが適当であり、外形的には発表基準を満たす社債であっても、次の@「発表停止基準」に該当する場合、又は、A「申請に基づく発表停止」により発表停止の決定を行った場合には、発表停止基準に該当した日又は申請に基づく発表停止の決定を行った日の翌営業日から当該社債の取引情報の発表を停止します。』

『新たに発表対象銘柄となる社債(更新判定日において新たに発表基準を満たした社債)については、予定していた発表月の第一営業日からの取引情報の発表を停止します。なお、発表停止となった社債については、本協会ウェブサイトにおいて発表することとしています。』

とありますので、まあこの公表によってクレジットイベント発生時の妙な売り煽りを助長する的な事が起きないような工夫がしてあるのはWGが色々と考えて作りましたなあという所ではございます。

実際に公表が始まってまた微妙に影響が出るとは思うので11月以降については注目ですな。

○追加緩和ネタの外野ネタから少々

・これはどういう意味なのやら

http://jp.reuters.com/article/2015/10/21/abe-idJPKCN0SF08T20151021
Business | 2015年 10月 21日 13:26 JST
GDP600兆円に向け旧「3本の矢」を一層強化=安倍首相

『[東京 21日 ロイター] - 安倍晋三首相は21日、官邸で開いた政府与党連絡会議で、名目国内総生産(GDP)600兆円の達成に向け、アベノミクスの旧「3本の矢」を一層強化する考えを示した。その上で、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かい、「1億総活躍社会」を実現すると強調した。』(上記URL先より)

うむむ。

新三本の矢って要するに構造改革やりますよ成長戦略やりますよという話をしているので、まあその中身が兎も角として方向性としてやっと空振りだった以前の三本の矢の三本目を打ち込んできましたぜヒャッハーという事になったと理解しているのですが、ここに来て旧3本の矢とか言い出すのは何なんでしょというところではあります。

まあ財政出すとかの文脈で話をしているような気もするのですが、これを言い出すとまた元の金融政策一本足打法に戻るのかよとか思われるので如何な物かという感じはします。まーそういう話ではないとは思うのですけれども、債券市場はスルーしていましたけど他の市場はこれに反応して追加緩和ヒャッハーみたいな動きをしたような形跡もあるようですので・・・・・・・・・・・・


・訳の分からん理屈で久々に電波浴

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWIFVO6KLVRZ01.html
「黒田総裁は天の邪鬼」、30日は追加緩和ない可能性も−高橋洋一氏
2015/10/21 11:38 JST

何が凄いと言いましても、自分たちのマネタリーベース直線一気理論がワークしていないことを全部消費増税のせいにしていることでして・・・・・・・・・・・・

『高橋氏は、14年4月の消費増税の影響は軽微だと発言していた黒田総裁は予測を間違ったと述べ、「消費増税をしなかったら物価は既に2%に達していたのではないか」とみる。消費増税が実施されるのであれば、「中央銀行としてはその影響をもう少しきちんと予測しないといけなかった」と述べ、「このまま何もしなかったら16年度前半の2%達成も無理だろう」という。』(上記URLより、以下同様)

『消費増税が実施されれば、いくらマネタリーベースを増やしても物価目標2%を18年4月までの黒田総裁の任期中に実現するのは無理だと述べた。消費増税の影響を短期間で補うだけの力は金融政策にはなく、「増税が実施されれば黒田総裁はお手上げだろう」と語った。』

金融政策がへっぽこだからデフレ脱却できなくて、適切な金融政策を実施すれば早期にデフレ脱却できて2年程度で2%物価目標達成できるという理論は何だったのでしょうかねえと思いますし、そんなに消費増税が強力なんだったら消費税を撤廃したら物価はどのくらい上昇するのかぜひご教授賜りたいものです。

『高橋氏は追加緩和の具体的な手段としては、「マネタリーベースの量が予想インフレ率に影響を及ぼすので、マネタリーベース目標を増やせばよい。10兆〜20兆円増やせばよい。買うものは何でも良いが、最後は出口を考えないといけないので、一番大きな市場である国債が無難だ」と指摘。』

ほほう。

『その上で、「マネタリーベースを増やすと、少なくとも過去のデータから見ると半年くらいのラグで予想インフレ率が上がる。予想インフレ率が上がると実質金利は下がるので、その分だけ設備投資の有効需要が増えて消費も増える。為替が円安になることで需要創出効果も出る。それで需給ギャップが縮まり、結果的に物価が上がっていくというプロセスだ」と言う。』

でも消費税の影響が大きいって何だよその理論という所ですが、この半年のラグってやたら主張するのですがどこか別の所で見た事あるなあとか思っていたら、読んだのにまだ読書室に登場していなかったような気がする「歴代日本銀行総裁論(吉野俊彦、補論鈴木淑夫・2014年講談社学術文庫)」の補論部分にあるのに気が付いたのでご報告しておきます。

つまりですね、1974年の森永総裁時代に1973年の大インフレ(狂乱物価)が起きた原因を当時の調査局などに分析させた結果として、『@マネーストックの増加率と約六ヶ月後の国内物価の上昇率とのあいだに高い相関関係が認められること』(「歴代日本銀行総裁論(吉野俊彦、補論鈴木淑夫・2014年講談社学術文庫)462ページより引用)というのがあるのですけれども以下自主規制。

『マネタリーベースと物価の関係について高橋氏は「やりながらでないと分からないところがちょっとある。アクセルを踏んだ時、どのくらいエネルギーとリンクするのかは非常に難しい。ただしアクセルを踏めば、ある程度エネルギーが上がっていくことは間違いない。どのくらいのスピードになるかは、スピードを見ながらアクセルを調整するとしか言いようがない」と説明している。』

えーっとすいませんそれ踏み過ぎて暴走したらどうするんでしょうかと思いますし、「分からん」じゃあ政策にならないですし、だったらQQE導入当初に「必要なものは全部打った、逐次投入はしない」と言っていた日銀を猛烈に批判しないといけない筈なのですが大丈夫ですかというか、要するにマネタリーベース直線一気理論がその計算通りに全然行ってないことの言い訳にしか見えませんで、往生際が悪いと申しますかぬ(自主規制)という慣用句が宜しいのか存じませんが、まあ理屈が思いっきりワークしていないのを全然認めないとは知的誠実さis何処とは思うのでございました。

ということで「消費増税ガー」というのであれば、消費税率引き下げあるいは撤廃で物価目標は達成出来ますって主張しないと話の筋が通らんと思うのですけどねえという電波浴なのでした。

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2015/10/21

○こんな記事出てましたようで(黒田総裁のインタビュー?記事@CNBC)

http://www.cnbc.com/2015/10/11/bank-of-japan-governor-kuroda-says-inflation-in-line-indicates-october-easing-unlikely.html
(URLが長いのでリンクは途中までで貼っています)

BoJ's Kuroda hints October stimulus is unlikely
Geoff Cutmore | Nyshka Chandran
Sunday, 11 Oct 2015 | 10:50 PM ET

ということで先週頭の記事なのでちと古いのですけれども。

『In an interview on the sidelines of an International Monetary Fund meeting (IMF) in Peru, Kuroda told CNBC that Japan's inflation rate was in line with the central bank's expectations.』(上記URL先より、以下同様)

ということなのでインタビューみたいですけど。

『"If necessary, we can further ease our monetary policy but at this moment the inflation dynamics is as we anticipated. So, at this stage we just continue QE, but if necessary we can adjust."』

物価の基調は予想通りに推移しているそうです。でまあちょっと飛ばしまして先の方に。

『Kuroda, however, continued to be a cheerleader despite rising evidence of a weaker economy, insisting that current policy was paving the way for strengthening underlying inflation.』

微妙にCNBCの悪態を感じる。

『"If you look at it [headline inflation] carefully, energy items may be declining by about 1 percent or reducing the CPI rate by 1 percent, but non-energy items are raising CPI by about 1 percent, so they are cancelling out," he told CNBC .』

はいはい原油のせい原油のせい。

『"Unless oil prices decline further, the negative impact from oil will eventually dissipate, fade out, disappear and then 1 percent inflation is quite likely to come and because of the reduced output gap, and tight labor market conditions, I think we can approach 2 percent inflation sometime next year."』

しらっと「sometime next year」になっているのがチャーミングでして、2016年度前半だったのではないかと小一時間なのですが、まあ年度と言われても説明しにくいからこういう言い方で表現したという事で一応従来と同じ話をしていると整理しておきましょう(棒)。

あと黒田総裁のコメント部分(この記事は””で括られている部分が幾つかあるのですが、黒田さんのコメントじゃないどこぞの何とかストとかのコメントがあって紛らわしいので注意)は最後の所にございます。

『Commodity prices are a double-edged sword for Japan. The nation is one of the world's biggest oil importers so it benefits from cheaper prices but at the same time, its exports suffer because lower oil prices hurt emerging Asian nations dependent on commodity exports. Those emerging markets buy more than 50 percent of Japan's exports.』

ここはCNBCのコメントでして、微妙にさっきのもそうですが悪態成分が入っていまして「黒田総裁は原油が戻ればというけどそれ経済にマズーじゃないのですかねえ」としているのですが・・・・・・・・・・

『On oil, Kuroda refuted speculation that a price recovery would hurt Japan, saying it would instead reflect a stronger global economy.』

ということで、そこは問題ない(原油価格上昇=世界経済の拡大なので)的な話をした模様。

『He also ruled out taking a page from the European Central Bank's book, saying he wasn't considering using negative interest rates on bank deposits as a way of stimulating the economy.』

マイナス金利否定キタコレ!!

『"We don't think it's necessary. The ECB certainly introduced negative interest rates but after that, they embarked on QE and we have been implementing a large-scale asset purchase program for more than two years, so I don't think it's necessary to make interest rates negative."』

ここの黒田さんの説明は確かにそうですよねという所で、そもそもECBの場合はマイナス金利の方が先にあって、あれをやった時には「ああLSAP政策方向じゃないのね」と思われたのですが、なぜかそのあとLSAP政策を打ち込んでくるという謎プレイをしておりまして、単にマイナス金利やっても思うように効かなかったからつぎはぎで突っ込んできた感が強いのですが、まあ他の話についてが適当に誤魔化すことも多いのですが、マイナス金利とかの付利をいじってくる政策に対しては妙に威勢よく否定してくる黒田日銀という所ですな。

テクニカルな論点からすればQE政策でMB拡大政策をする場合には、超過準備を積み上げやすくしないとそもそもAPPに対する売却インセンティブが下がってしまうので、そのためには超過準備に一定のメリットを与えないといけない、という話ですから付利はいじれないという事なので、皆さんがそれを強く認識しているのでしょうねえとは一応額面通りに取るとそうなります。これだけ否定するから騙し討ちあるでという意見も別に否定はしませんが、ただそれよりもMB拡大政策とのフリクションという技術的な問題の方が大きいのでやらんとは思いますけどね。

ただまあ何ですな、利息払って集めている超過準備って日銀が売出手形なりのような形で資金吸収しているのと経済的にどこが違うのか(要求払性の違いとかはあるけど)と考えますと、そもそもそのMBの意味は何なんですかという話をしたくなりますがそのようなことを言ってはいけません(^^)。


○早川さんの毎度の悪態来ました

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWB10X6S972U01.html
直前発表の統計が日銀の背骨砕く公算も、30日に会合−早川元理事 (1)
2015/10/19 11:31 JST

『(ブルームバーグ):元日本銀行理事の早川英男氏は、30日開かれる金融政策決定会合について、追加緩和の手段が限られる中で、「ここは取りあえずいったん様子を見るというのが、いかにも日銀が考えそうなことだ」と語る。一方で、会合前日に発表される「9月の鉱工業生産が悪かったら、方針は1日で変えられる。日銀はそこで背骨を砕かれる可能性もある」と語った。』(上記URL先より、以下同様)

まあそういう風に言われるだろうなという事で、前回の定例記者会見で黒田総裁が前代未聞の「生産統計が弱いかもしれませんが製造業はGDPの20%ですからそれを過大に評価する必要はありません(キリッ)」という耳というか目を疑う説明をしたんだとは思います。

つまりですね、

『日銀は2001年3月19日、量的緩和を導入した。その1回前の2月28日の会合で、当時ターゲットだった無担保コール翌日物金利を0.25%から0.15%に引き下げたが、引き金になったのが当日発表された鉱工業生産だった。当時、調査統計局長として決定会合に出席した早川氏が「ショッキング」と形容したほど大きな打撃だったことが、10年後に公表された議事録で明らかになっている。』

『早川氏は当時を振り返り、「もともとITバブル崩壊で米国経済が悪くなっていたので、どこかでショックが来るかもとは思っていたが、予測指数と全く違う数字が出てきたのでびっくりした。これは無理だと。あんな数字が出れば、ここは何もしないでよいという話にはならない」と語る。』

『さらに、「既に公表されていた貿易統計が悪くてやばいなと思っていたが、思った以上に生産が悪かった。今回もまずは貿易統計、そして生産だ。貿易統計に基づく生産の予想も外れることもある。生産が悪かったら金融政策は1日で変えられる。9月の生産、それに10月の予測指数の改定が出て、これで日銀は背骨を砕かれる可能性もある」としている。』

というように、従来日銀は生産統計の所はハードデータとして重視して情勢判断をしているので、早川さんの説明のように過去でもこういう話がありました的な説明をしていまして、当然ながら足元生産が怪しげな状態で推移しているのですから、戻りが見られないどころか悪化コースとかになった時にどういう説明をするんだよという事だと思うので、まあ生産統計注視という話なんでしょうな。

ただですな、そこで浅ましく粘るのが黒田日銀クオリティだと思う訳でして、おそらく早川さんの指摘するリスクシナリオになっても知らんがなというか下記の早川さん指摘のメインシナリオのままで突っ張って来るのではないかと愚考します。

『早川氏は「15年度の成長率と物価は大きく下げざるを得ないだろう。成長率は1%前後、物価は0.5%はさすがにもう難しい。一方で、0.2%だとあまりに悲惨なので、0.3〜0.4%くらいは行くのではないか」とみる。』

鉛筆を舐めるんですね分かります。

『16年度については「成長率はあまり変えないのではないか。物価はちょっと下げるくらいで1.6〜1.7%程度か。見通しが下がった要因は原油であり、原油を除けば全く想定通りというストーリーではないか。そういうストーリーを組むことに無理はない。16年度前半の2%はさすがに無理なので、16年度中には、とか何とか言うのではないか」という。』

先程の黒田総裁の記事でもまあそんな感じっぽいですよね。

『その上で、「今回どうしても追加緩和をしなければならないほど日銀のロジックが崩壊しているかというと、そこまでは行っていない。確かに成長率は下がったが、それは極端な話、日銀のせいではない、物価の下方修正はもっぱら原油のせい、2%達成のタイミングの後ずれもしょせん原油のせいだと言い張ることができる」と語る。』

ですので、生産がもう相当ダメなのが出てくればという話で、今の感じの平常運転だとおとぼけで現状を継続となるんでしょうというのが早川さんの見立てで、ブルームバーグは毎度のようにヘッドラインが詐欺気味なので困りますが、早川さんの予想のメインは現状維持、ただ日銀の心が折れるとすれば生産、という指摘をしているという話ですし、まあ一応日銀見物に余念のないこのアタクシも生産ダメだとどうするんでしょと思います。そういわれるのがマズーだから総裁がこの前のオモシロ発言をしたと思うのですが。

『民間エコノミストの間では、円安による食料品の値上がりであり、円安効果がはげ落ちると止まるとの見方もある。早川氏は「円安効果がかなりあるのは事実だが、一方で賃金が効いているのも事実だ。今の勢いで上がっていけば、16年度前半は苦しくても16年度のどこかで2%に近づくというストーリーを書けなくはない」と語る。』

早川さん割と「賃金上がるから物価は上がるはず」派ではあるのです。

『ただし、「心配なのはコアの賃金だ。企業は史上最高の収益をため込んでいるし、足元のCPIがゼロ近辺に低迷しているだけに、労組もベア要求には及び腰だ。昨年のベアが0.4%、今年は1%くらいほしかったが0.6%で着地した。来年は最低1%は行ってほしい。仮に来春のベアが今年を下回るようなことになれば、2%物価目標の実現は長期戦、消耗戦にならざるを得なくなる」という。』

どう見ても長期戦です本当にありがとうございました。

『早川氏は「昨年の経験から、ここで追加緩和を行って一段の円安になったからといって、ベアが上がるわけではない。』

まあそうですな。

『量的・質的緩和は短期決戦が前提だったが、どこかの時点で長期戦、消耗戦を前提にしたスキームに変えていかないといけないだろう。』

アタクシが追加緩和よりも(実際は敗戦処理だが)「転進」をどうするか考えないとマズーでしょと思うのはまさにここでして、長期的に継続できる政策フレームに組み替える(その時に長期間継続のコミットを出す必要は出るでしょうなあ)ことをしないと政策の設計上限界が来てしまいますし、転進するにしたって戦況が丸見えになっているのですから、何でもいいから大勝利的な取り繕いができるタイミングで何とかしないと。

『少なくとも、マネタリーベースを増やしたらデフレマインドが払しょくされるという問題ではないことは十分証明済みだ」としている。』

最後に置物リフレ理論に砲撃を怠らないのが早川クオリティ(^^)。


○先般の国際コンファランスの議事要旨が出ていましたが・・・・・・・・・

例のピーターパン発言が開会挨拶で炸裂したやつですが。

http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk34-4-1.pdf
「金融政策:効果と実践」
―2015 年国際コンファランスの模様―

以下の引用部分は上記PDF資料からとなります。まあ面白いので読んでちょ。

・最初にちゃんとピーターパンの話を書いているのですからこれは大真面目ということですね

『開会挨拶において、黒田は、中央銀行が現在直面している様々な課題を提示したうえで、ピーターパンの物語の一節「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう(The moment you doubt whether you can fly, you cease forever to be able to do it)」を引用することで、そのような課題解決に向けた前向きな姿勢と確信の重要性を強調した。』

という事なのであれは中央銀行は強気スタンスであるべきだという大真面目な話のようですが、さっきのCNBCインタビューでもチアリーダーとか言われているから伝わっているのですかねえ(ニヤニヤ)。


・置物MB直線一気理論が全然採用されていない件について

3ページ目からが『3. 政策パネル討論』という所なのですが・・・・・・・・・・・・

『伊藤による座長のもと、チェケッティ、グッドフレンド、メノン、中曽、パパデモスの 5 名のパネリストによる政策パネル討論が行われた。冒頭、伊藤が、黒田の開会挨拶に沿って、@非伝統的金融政策の効果と波及経路、A予想物価上昇率、B先進国の間における金融政策の方向性の相違がもたらす国際的な波及、C長期停滞、の 4 つのトピックを提示した。各パネリストは、これら 4 つのトピックのうちのいくかに関するプレゼンテーションを行った。その後、コンファランス参加者を交えた一般討論が行われた。』

ということで、

『チェケッティは、「非伝統的金融政策:伝播(transmission)と波及(spillovers)」と題してプレゼンテーションを行った。まず、金融政策の伝播に関して、@投資コストの低下、A株や不動産、その他資産の価格上昇、B非金融法人や家計の純資産の増加、C銀行の資本や貸出能力の改善、D資産価格のボラティリティの低下、E自国通貨への減価圧力、といった金融緩和が実体経済に伝播する経路について議論した。』

『これらの経路の多くは、家計や企業のバランスシートに影響を与えるほか、いくつかは必然的に国際的な波及を引き起こすと指摘した。次に、金融政策手段には、伝統的な政策手段である短期金利だけでなく、フォワード・ガイダンスや量的緩和(QE)、資産買入れといった非伝統的な政策手段があることを示しつつ、金融政策手段について議論した。そのうえで、金融環境を変える際に、両者は同様の伝播経路を持つことから、非伝統的金融政策とされる政策には、伝統的金融政策と特段異なる点はないと主張した。』

どうもマネタリーベース直線一気でインフレ期待がどうのこうのみたいなお話ではないようで。

『グッドフレンドは、「米国の経済情勢と中央銀行政策に関する見方」と題するプレゼンテーションを行った。まず、米国経済に関する最新の見通しを紹介した。その中で、労働参加率について、米国で労働市場への参加意欲がそがれている可能性について懸念を示した。次に、中央銀行政策に関する見方に話題を移し、中央銀行政策の分類、その波及経路および財政政策的特徴に着目して議論を進めた。』

『ここで、中央銀行政策は 4 つのタイプに分類できると紹介し、第 1 のタイプは純粋な金融政策であると述べた。これは、銀行の準備預金を調節し、インターバンク金利に関する予想が長めの金利に及ぼす影響を通じて、経済活動に影響を与える。第2 のタイプは信用政策である。これは、信用スプレッドを低下させ、信用リスクを納税者に移転する。第 3 のタイプは付利政策であり、文字どおり準備預金への利払いである。第 4 のタイプは QE 政策(グッドフレンドの言葉によれば、債券市場キャリー・トレード政策)であり、ポートフォリオ・リバランス・チャンネルや信用チャンネルを通じて作用する。これらの政策手段は、中央銀行ではいずれも単に金融政策と呼ばれているが、仕組み、波及、金融的な費用と便益、中央銀行や納税者へのリスク、金融財政当局間の財政移転への含意、といった様々な面で、著しく異なると強調した。』

ちなみにこの人の中での1の説明が(これだけ読むと)間違ってませんですかという気がするのでありまして、金利政策における政策関数は短期市場金利(良くあるケースは銀行間取引翌日物金利)であって、準備預金調節は短期市場金利を政策目標水準に着地させるために実施するものなので、ここでのグッドフレンド氏の説明だと因果関係を逆にしていないかという希ガス。


・中曽さんはブラードなどが言う「複数均衡論」に乗っているとの由

次のプレゼンターの部分を飛ばしまして中曽さんの所。

『中曽は、「日本の失われた 20 年と QQE による脱却」と題してプレゼンテーションを行った。その中で、長期停滞に関する日本の経験と、日本銀行の量的・質的金融緩和(quantitative and qualitative monetary easing: QQE)による日本経済のデフレ均衡からの脱却について中間評価を行った。』

ほう。

『日本の失われた 20 年に関して、1990年代以降の長引く景気低迷は、米国の長期停滞論に関する最近の議論と同様に、デレバレッジや金融仲介の機能不全、人口動態といった複合要素に起因すると述べた。しかしながら、もうひとつ非常に重要な要因としてデフレがあった点を強調した。』

ほー。

『そして、日本経済は、失われた 20 年の後半の局面において、デフレ均衡に陥っていたとする仮説を支持したいと述べた。』

キタコレ。

『すなわち、1990 年代の日本の銀行危機後に生じたデフレが予想物価上昇率を引き下げ、長い時間をかけてデフレ期待が自己実現した。これに対し、日本銀行は、デフレを完全に終わらせるため、2013 年4月に QQE を導入したと説明した。QQE によるデフレ均衡からの脱却についての中間評価としては、QQE は、名目金利の引下げと予想物価上昇率の押上げを通じ実質金利を引き下げることにより、需給ギャップと物価上昇率を押し上げたと述べ、所期の効果を発揮していると指摘した。最後に、QQE によるデフレ均衡からの脱却メカニズムに対する理解を促すものとして進化論的ゲーム論(evolutionary game theory)から得られた着想を紹介し、プレゼンテーションを締め括った3 。』

まあ所期の効果は2年で2%なんですけどね!!!!!


・こういう所でもこんな間違いが平気で出てくるのか・・・・・・・・・・・

でまあその先の中身も興味深い論点が出ているのですが、ECBの政策を説明しているパパデモスさん(ギリシャ中銀)の討論部分での説明がアレなので引用。本文7ぺージになるのですが。

『門間一夫(日本銀行)や植田和男(東京大学)によるマイナス金利についての質問に対して、グッドフレンドは、マイナス金利政策がユーロ圏の国々でのみ機能している事実は、ユーロ圏がそれほど深刻な状況にあることの証左であると述べた。』

まあそれよりもLSAPやる前だから入れられたという事だと思いますけどね。

『また、欧州では、マネー・マーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)が、米国と比べて発達していない点にも言及した。』

これは分かる。

『パパデモスは、ECB による預金ファシリティへのマイナス金利は、主に銀行の資産を準備預金から貸出へ向かわせることを企図していることから、信用緩和政策、特に、長期資金供給オペにとって補完的かつ支援的な役割を果たしていると述べた。』

お、おぅ・・・・・・・・・・・・・・

えーっとですね、そもそも市中銀行の準備預金と貸出の所には直接的な関係は無いのでして、貸出そのものは当該銀行の中で(貸出債権)/(預金負債)の記帳が発生するだけの問題であって、そこに準備預金は介在しませんので「準備預金から貸出に向かわせる」という時点でお前大丈夫かという所なのですが、そういやECBの高官発言でこの手のがあって仰天した覚えがあるのですが、こういう認識が背景にあるのかよと頭がクラクラするのでありました。

という所で時間と量の関係上本日はこの辺で勘弁。

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2015/10/20

○支店長会議総裁挨拶を一応確認

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/siten1510.htm/(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/siten1507.htm/(7月)

『(1)わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。先行きについても、緩やかな回復を続けていくとみられる。』(今回)
『(1)わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。先行きについても、緩やかな回復を続けていくとみられる。』(7月)

ということでまあここの部分って基本的に直近のMPM声明文から特にはみ出るようなのは出てこないので新味は特に無いですな。でもって以下の部分ですが、7月挨拶の時はちょうどギリシャの選挙とかあったのでそれに関する言及があって、そこの部分が今回削除されているという流れで後は全文一致になります。

しかしですな、

『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。先行きについても、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(今回)
『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。先行きについても、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(7月)

というのを毎度の如く繰り返しているのですが、この「当面0%程度で推移」というのが3か月経っても変わらんという状況と「2016年度前半に物価2%達成」というのを組み合わせますと、それは「物価の動向が見通し通りに行っていない」という話になる筈なのですが、何故か物価の基調攻撃で見通し通りという理屈になるところがオソロシス。


○さくらレポートの現状認識に特に下方修正は無いとな

さくらレポートである。
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer151019.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer151019.pdf(全文)

なお前回の概要はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer150706.htm/

・現状認識は全地域横ばいとな

でまあ概要の方からで『I. 地域からみた景気情勢』から。

『各地の景気情勢を前回(15年7月)と比較すると、全ての地域で景気の改善度合いに関する判断に変化はないとしている。』

ほほー。

『各地域からの報告をみると、輸出や生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、国内需要は、設備投資が緩やかな増加基調にあり、個人消費も雇用・所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移していることなどから、全ての地域で、「緩やかに回復している」、「回復している」等としている。』

設備投資は「増加」なのではなくて「増加基調」なのですかそうですかという話ですが、この部分前回7月の判断と比較するとこうなります。

『各地の景気情勢を前回(15年4月)と比較すると、8地域(東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)で、景気の改善度合いに関する判断に変化はないとしているほか、北海道からは、生産の増加などを踏まえて判断を引き上げる報告があった。』(7月)

『各地域からの報告をみると、内外需要の緩やかな増加を反映して生産が持ち直している中で、雇用・所得環境が着実な改善を続けていること等を背景に、全ての地域で、「緩やかに回復している」、「回復している」等としている。』(7月)

ということで、この後の項目別展開で出てくるのですが、生産の方が下がったのはさておきましても、今回の判断で思いっきり出ている「設備投資」の判断なんですが7月時点での判断と比較するとやや強気度合いが減っておりまして、今回の所で殊更設備投資を出してくるという辺りに大本営発表いや何でもないです。


ということで全地域の矢印は横向きになっているのですが、コメントは変化しているのがありますな。

関東甲信越:「緩やかな回復を続けている」→「輸出・生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、緩やかな回復を続けている」

東海:「着実に回復を続けている」→「輸出や生産に新興国経済の減速の影響などがみられるものの、設備投資が大幅に増加し、住宅投資・個人消費が持ち直していることから、着実に回復を続けている」

近畿:「回復している」→「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、回復している」

ということで、関東甲信越と近畿ってこれ横向きなのかよという気もする訳ですが、更にややこしいのは東海の判断でして、やたら説明が長くなっているのは何ですかという所ではありまする。


・需要項目別判断

『公共投資は、近畿から、「増加している」との報告があったほか、3地域(東北、関東甲信越、四国)から、「高水準ながら横ばい圏内の動きとなっている」等の報告があった。一方、5地域(北海道、北陸、東海、中国、九州・沖縄)からは、「高水準ながらも、減少傾向にある」、「緩やかに減少している」等の報告があった。』(今回)

『公共投資は、東北、関東甲信越から、「緩やかに増加している」、「足もと増加している」との報告があったほか、近畿、四国から、「高水準で横ばい圏内の動きとなっている」等の報告があった。一方、5地域(北海道、北陸、東海、中国、九州・沖縄)からは、「高水準で推移しているものの、減少している」等の報告があった。』(7月)

近畿が引き上げ、東北と関東甲信越が引き下げ。


『設備投資は、3地域(北海道、北陸、東海)から、「一段と増加している」、「大幅に増加している」等、5地域(関東甲信越、近畿、中国、四国、九州・沖縄)から、「緩やかに増加している」、「増加している」との報告があったほか、東北から、「堅調に推移している」との報告があった。この間、企業の業況感については、「幾分悪化している」との報告があった一方、「改善している」、「総じて良好な水準で推移している」等の報告があった。』(今回)

『設備投資は、3地域(北海道、北陸、東海)から、「一段と増加している」、「大幅に増加している」、3地域(東北、関東甲信越、近畿)から、「緩やかに増加している」、「増加している」との報告があったほか、3地域(中国、四国、九州・沖縄)から、「底堅く推移している」、「持ち直している」等の報告があった。この間、企業の業況感については、「改善している」、「総じて良好な水準が維持されている」等の報告があった。』(7月)

えーっと、設備投資なんですけれども確かに全体としての判断は増加傾向が続いているのですが、これって7月の時の判断よりも悪化しているのではないかと思う(中国、四国、九州沖縄が下がっている)のですが、前回の総括判断の所では「生産が出てきました!!」という説明だったのにそこがコケると早速設備投資の話を出してくる辺りが何とも味わいがあるというものです。


『個人消費は、雇用・所得環境が着実な改善を続けていること等を背景に、北海道から、「回復している」、4地域(北陸、東海、四国、九州・沖縄)から、「緩やかに持ち直している」、「持ち直している」等の報告があったほか、4地域(東北、関東甲信越、近畿、中国)から、「底堅く推移している」、「全体としては堅調に推移している」との報告があった。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境が着実な改善を続けていること等を背景に、北海道から、「回復している」、4地域(北陸、東海、四国、九州・沖縄)から、「緩やかに持ち直している」、「持ち直している」等の報告があったほか、4地域(東北、関東甲信越、近畿、中国)から、「底堅く推移している」、「全体としては堅調に推移している」との報告があった。』(7月)

個人消費は見事に全文一致なのですがホンマカイナという気もせんでもない。

『住宅投資は、東北から、「持家を中心に増加している」との報告があったほか、7地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、中国、四国、九州・沖縄)から、「持ち直している」、「持ち直しつつある」等の報告があった。また、近畿から、「下げ止まっている」との報告があった。』(今回)

『住宅投資は、近畿から、「全体として弱めの動きとなっている」との報告があった一方、3地域(北海道、中国、九州・沖縄)から、「下げ止まっている」等、3地域(北陸、関東甲信越、東海)から、「持ち直しつつある」との報告があった。この間、東北、四国から、「高水準で推移している」、「底堅く推移している」との報告があった。』(7月)

住宅投資は上がっています。


『生産(鉱工業生産)は、新興国経済の減速に伴う影響などから、5地域(東北、関東甲信越、東海、中国、九州・沖縄)から、「このところ横ばい圏内の動きとなっている」等の報告があった。この間、4地域(北海道、北陸、近畿、四国)から、「緩やかに持ち直している」、「高水準で推移している」、「増加している」との報告があった。』(今回)

『生産(鉱工業生産)は、内外需要の緩やかな増加を背景に、4地域(北海道、北陸、東海、近畿)から、「高水準で推移している」、「増加している」等、3地域(関東甲信越、四国、九州・沖縄)から、「緩やかに持ち直している」、「持ち直している」等の報告があった。この間、東北、中国から、「横ばい圏内の動きとなっている」等の報告があった。』(7月)

こちらは先に横ばい圏の話をしているのですが、まあそうは言いましても横ばいという話で減少とか弱含みという話ではないので「新興国の影響は一時的だぜヒャッハー」という話なんでしょ。

『主な業種別の動きをみると、輸送機械は、「横ばい圏内の動きとなっている」等の報告があった。また、はん用・生産用・業務用機械、電子部品・デバイス、電気機械は、「緩やかに増加している」等の報告があった一方、「弱めの動きとなっている」との報告があった。この間、化学は、「高水準で推移している」等の報告があった一方、鉄鋼は、「減産を継続している」等の報告があった。』(今回)

『主な業種別の動きをみると、電子部品・デバイス、電気機械は、「高めの操業を続けている」、「緩やかに増加している」等、化学は、「増加している」等の報告があった。一方、鉄鋼は、「操業度を引き下げている」等の報告があった。この間、はん用・生産用・業務用機械は、「減少している」等の報告があった一方、「増加している」等の報告もみられたほか、輸送機械も、「減産の動きが続いている」等の報告があった一方、「全体として高操業となっている」等の動きがみられるなど、区々の動きとなっている。』(7月)

前回の総括判断では「生産が持ち直し」となっていて、今回は「輸出や生産に新興国経済減速の影響」なのですが、個別の書きっぷりを見ると生産に関して前回対比そんなに判断を下げている感じでもないというのがさっきの設備投資の判断の前回対比と並べてみると中々ヤヤコシイですな。まあ水準感ということなのでしょうけれども。

『雇用・所得動向は、多くの地域から、「改善している」等の報告があった。雇用情勢については、多くの地域から、「労働需給は着実な改善を続けている」等の報告があった。雇用者所得についても、多くの地域から、「着実に改善している」、「緩やかに増加している」等の報告があった。』(今回)

『雇用・所得動向は、多くの地域から、「改善している」等の報告があった。雇用情勢については、多くの地域から、「労働需給は着実な改善を続けている」等の報告があった。雇用者所得についても、多くの地域から、「着実に持ち直している」、「緩やかに増加している」等の報告があった。』(7月)

大体強気なのは同じなのですが、雇用者所得の所で「持ち直し」というのと「改善」というのが表現として変化しているのですが、たぶん「改善」の方が判断文言としては強いと思われまする。


・地域の視点関連

毎度の『II.地域の視点』ですけれども、今回のお題は『各地域における少子高齢化・人口減少を踏まえた企業の戦略・対応状況』となっています。

『1.全体感

わが国は少子高齢化・人口減少に直面しており、先行き一段と進展していく見通しにある。こうした環境下で、各地域の企業においては、現状では人口増加が続いている都市圏を含め、業種や規模を問わず、少子高齢化・人口減少の進展への対応に取り組む動きが着実に広がっている。』

うむ。

『すなわち、多くの先で、国内市場が中長期的に縮小する想定のもとで、既存事業の競争力向上を図ったり、成長分野や海外等で新たな需要を獲得することにより、引き続き業容の維持・拡大を目指す動きがみられている。』

ということで先の方とか本文にもうちょっと詳しい話があるのですが、業務縮小や撤退という話ではないですという説明になっていて、ほほーそうなのですかと思いつつも、そもそもそういう所はひっそりと廃業していくような気もせんでもないのだが。

『また、既に顕在化している人手不足への対応として、シニア層・女性の活用や処遇改善等による人手の確保、省人化投資等を通じた所要人員の圧縮を進める先が数多くみられる。』

処遇改善等による人手の確保という話だがうーんこのというサムシングも。

『2.少子高齢化・人口減少に対する企業の受け止め方

少子高齢化・人口減少の進展に対する企業の受け止め方をみると、需要面に関しては、一部にはシニア層などの需要増加を期待する声が聞かれるものの、人口減少が先行して進んでいる地方圏の内需依存型企業を中心に、先行き国内需要の減少は避けられないと危惧する先が多い。』

そらそうですな。

『また、供給体制面に関しては、最近の国内景気の緩やかな回復もあって、既に人手の確保が困難となっている企業が少なくない状況を受け、多くの先から、更なる人手不足の深刻化が今後の事業展開の制約要因になることを懸念する声が聞かれており、地方圏を中心に実際に事業縮小や廃業に追い込まれる先もみられている。』

なるほど。

『このように多くの先がマイナス面の影響を指摘する中でも、需要の変化に応じて新たな分野での取り組みを強化する契機になり得ると捉える先が少なからずみられる。こうした先を含め、少子高齢化・人口減少への対応は、多くの先で重要な経営課題と位置付けられている。』

でまあ以下具体的な話というのがあるのですが割愛して結論部分を。

『4.先行きの展望

以上のように、多くの先では、国内需要が中長期的に減少していくことを想定しつつも、新たな需要の獲得等による業容の維持・拡大を図っている。一方で、人手不足の解消に関して、企業単独での対応には限界があるとする先がみられており、自治体や金融機関等に更なる支援を求める声も聞かれている。今後、このような面での支援機能の充実が図られるとともに、現在取り組んでいる需要の変化への対応や供給体制面での施策の成果を上げる企業が着実に増加し、地域の活性化に繋がっていくことが期待される。』

まあ暗い話にする訳にもいかんという所なのでしょうが、人手不足なら処遇をもっと上げればいいじゃないと単純に行かないというのもあるんじゃないですかね。


ちなみに最近のお題ですけれども、

『各地域における少子高齢化・人口減少を踏まえた企業の戦略・対応状況』(今回)
『各地域における消費関連企業の最近の販売動向と事業戦略』(7月)
『各地域における製造業の生産動向・生産体制』(4月)
『各地域における中小企業の現状と活力ある企業の特徴』(1月)

となっていて、何気に今回はネタが威勢良くないように見えるのですが・・・・・・・・・・・・


○中原伸之さんまで梯子を外しに来るとは・・・・・・・・・・・

ほほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWB5S16S972D01.html
「追加緩和は必要ない」、昨年は増税後押しが隠れた理由−中原伸之氏
2015/10/19 10:34 JST

『(ブルームバーグ):元日本銀行審議委員の中原伸之氏は、昨年10月の追加緩和は黒田東彦総裁が消費税の10%への引き上げを計画通りやるべきだというシグナルだったが、今は送るべきシグナルはないと述べ、30日の金融政策決定会合は現状維持で十分だとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

ほほう。

『中原氏は16日、ブルームバーグのインタビューで、「世界中が低気圧に覆われている。価格低下圧力がものすごく消耗戦が起こっている。世界的にこの10年間、実質賃金がずっと下がっている」と指摘。価格競争は今後ますます激化し、「イノベーションをやってもすぐに技術を盗まれる。これが世界の天気図だ。これはしばらく続く」と述べた。2%の物価目標を掲げる日銀はこうした天気図の変化に伴い「別のことを考えなくてはならない」と語った。』

何ちゅうか色々とツッコミどころがありまして、そもそも価格低下圧力があるのに「実質賃金」がずっと下がるとはどういう事なのか良く分からんというのもあるのですが、もっとアレなのは「世界中が低気圧に覆われている」という話が「世界的にこの10年間」起きていて、その結果として「こうした天気図の変化に伴い別の事を考えなくてはならない」というのなら元々「2年半前」に打ち込んだ2%物価目標が実際にやるべきことと整合性が取れていなかったという話になるのですが・・・・・・・・・・・

でまあそれは兎も角として、ついに中原伸之さんまで「2%物価目標」について梯子を外しに掛かるというか、置物リフレ理論から続々と沈没船からの逃走が始まるとは実に感慨深いものがあります。

『30日の金融政策決定会合については「日銀の金融政策は現状維持で十分だ。今の天気図がどのようになるか、もう少し様子を見なければならない。』

ここ10年間続いている話が1か月や2か月で変わるものなのですかねえ。

『私はもともとマネタリーベースを600兆円まで拡大していいと言って来たが、今はやる必要はない。為替が落ち着いているので、特にやる必要はない」という。』

ここで昨年9月の中原さんの主張を確認してみましょう。
http://jp.reuters.com/article/2014/09/17/ex-boj-nakahara-idJPKBN0HC0PB20140917
Business | 2014年 09月 17日 18:19 JST
株価上昇には金融緩和、500兆円目指せ=中原・元日銀審議委員

なんか数字が違うような気がするのですが、まあそもそもそのMBどうやって達成するのかという話でして、具体的な施策を伴わないでMB倍増とか言われましてもそれは政策論としてあり得ないのですけど、まあ今回のインタビューのあとの方でも「為替」の話がありまして、よーは為替が円高に振れたら対策やれやという話なのは趣旨として分かりました。

でまあ一方で以前のように円安に振れ的な話って本当に出てこなくなりましたねえという事で、ちょっと為替が円高に振れると追加緩和ガーという話が出てくるのですが、為替が落ち着いて株価がサガランチ会長となって来るとややその辺の話が落ち着いてくる、という辺りに見事なクレクレの香りを感じますが、まあ騙し討ち緩和して円安に振る必然性が無い以上は騙し討ち緩和をすることも無いのではと思いますし、「円高に振れたら緩和登場」的な認識を強く持たせておけば為替に黒田プットが働く的なことになるので、逆に追加緩和カードを切らなくても済むような気がしますから、まあ今の状況で引っ張れるだけ引っ張るということになるんじゃないでしょうかねえ、よー知らんけど。

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2015/10/19

○まあ未だにT+1をやろうというのが分からんですけど進捗状況が出ていますな

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kentou/jgb_kentou/kokusaik-giji.html
国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ 議事要旨・資料

議事要旨
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kentou/jgb_kentou/dai42kai_gijiyoushi.pdf

資料
http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kentou/jgb_kentou/dai42kai_shiryou.pdf

個別銘柄方式のGC取引やっていると事務回らないので銘柄後決め方式のGCに移行するという話は特にこの銘柄の多さにおける在庫ファイナンスの立場からはその通りなのですが、この超低金利状態の中でわざわざコスト払ってトライパーティーレポで運用しないといけないという必然性に乏しいというのが資金運用側としてはあるので銘柄後決めになることのメリットが双方(というか運用側)に見える必要があるとは思います(T+0の市場が出来ますキリッというのはそもそもコール市場があるので)。ちなみに金利がまともに付くと国債等担保のコールローンレートってGCレポレートとだいぶ差が付いていたので黙っていても多分メリットが出てくるのでしょうが。

という話はまあ置きまして、議事要旨の方ではこういう記述がありますけどね。

『国債の決済期間T+1化(以下「T+1化」という。)の実施目標時期が 2018年度上期で合意され、2017 年秋口からは、T+1化移行時に円滑に事務を行えるようするための総合運転試験(以下「RT」という。)の実施が想定されている。』(上記議事要旨より)

2%水準への物価上昇見込時期が元々の「QQE導入から2年間(キリッ)」から「2015年度中」に有耶無耶になったと思ったら「2016年度前半」と先送りをされている訳ですが、これが今回の展望レポートで更に先送りされそうな勢いになっているという今日この頃な訳ですが、そもそも論として今の政策が続かないにしても、何らかの形で超スーパー緩和政策は継続しているのでして、正常化路線で利上げを行うにせよ、バランスシートの縮小とかその辺の話って米国の例から見ても物価目標達成とか言い出した時期よりも更に後になる、という事になると思いますので、そうなりますと2018年度上期って日銀の出口政策に絡んで国債市場にストレスが掛かっている時期になりゃあしませんかねえというかなりそうな悪寒。

まあそうなったら後寄せするというのも検討されるとは思うのですが、いずれにせよ毎度申し上げていますが、超異例の政策からの出口をしないといけない前に決済にストレスをわざわざ自分から掛けに行く必然性って何なのと小一時間という所ではありますし、マネタリーポリシーの方とこの手のプルーデンス絡みの制度設計の方がお互いに自分の庭先掃除だけしていると変な所にゴミが残って甚だ遺憾なことになりゃあしませんかと思うのですよねえ。


○総裁の挨拶は例によって例の如くいつも通りですが

全国信用組合大会における挨拶
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/ko151016a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko151016a.pdf

『最近の金融経済情勢と日本銀行の金融政策運営』というのを拝見。

『このところの金融経済情勢をみますと、金融市場では、夏場以降の中国株価の下落などを背景に、グローバルに振れの大きな展開となりました。また、海外経済については、中国を始めとする新興国経済が減速しています。もっとも、先進国経済は堅調に推移しており、世界経済全体としては、緩やかな成長が続いています。』

はあそうですか。

『わが国経済については、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかな回復を続けています。』

>所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで

ふーん。

『企業部門については、今月初めに公表した短観をみますと、製造業の一部にやや慎重な動きもみられますが、業況感は総じて良好な水準が維持されています。また、史上最高水準の企業収益が予想されるもとで、設備投資計画が上方修正されるなど、積極的な設備投資スタンスが維持されています。』

短観が良くて日銀歓喜という所ですが、設備投資に関しては出る出る詐欺ではないか疑惑がががががが。

『家計部門でも、労働需給の引き締まり傾向が続き、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、家計支出は底堅く推移しています。個人消費は、各種の統計で7〜8月は4〜6月対比で増加しており、天候不順の影響などによるひと頃の弱さから脱しつつあります。』

実質賃金の伸びが弱いという話は華麗にスルーですねわかります。

『先行き、輸出は、当面横ばい圏内の動きを続けた後、新興国経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかに増加していくとみられます。』

9月議事要旨での議論ですと新興国経済の減速からの脱出には少々時間がかかるとのことですが。

『また、国内の企業部門・家計部門については、今申し上げたように、前向きの循環メカニズムがしっかりと働いており、内需は増加基調を辿ると考えられます。このため、わが国の景気は緩やかな回復を続けていくとみています。』

・・・・・・・・・・・

『物価情勢をみますと、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、0%程度となっています。昨年度後半以降、上昇率が低下している背景には、エネルギー価格の大幅な下落があります。もっとも、エネルギー価格の影響を除いたベースでみますと、生鮮食品およびエネルギーを除く消費者物価の前年比は1%を上回る水準まで上昇するなど、物価の基調は着実に改善しています。先行き、物価の基調が着実に高まり、エネルギー価格下落の影響が剥落するに伴い、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。』

この「1%」を超えているというのが説明的にはキモでして、1%超えた状況でないと「デフレではない」と言い難い(上方バイアスと糊代の関係上)ので、この1%を上回るを連呼するのは(最近の仕様ですけれども)ややきな臭い訳ですよ。

『金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、今後も2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続していきます。その際、これまでも申し上げているとおり、経済・物価情勢については上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行っていく方針です。』

といういつもの話で締めているのですが、最近の金融政策決定会合などで示されている内容から特段変化がない(まあ有ってもビックリですが)という強気一辺倒な訳で、これをまともに読めば10月展望レポートでは「エネルギー価格の影響ガー」と言って物価2%到達時期の先送りが実施されるものの、基調は改善しているので何ら問題はありません(キリッ)となって政策変更ナンデスカソレという話になるというのが妥当なのですが、何せ昨年の前科があるので誰も信用していないという事で。

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2015/10/15

米国10年2%割れですかそうですか
http://jp.reuters.com/article/2015/10/14/us-sept-ppi-biggest-fall-in-eight-months-idJPKCN0S81SE20151014
Business | 2015年 10月 14日 23:24 JST
米9月卸売物価指数、8カ月ぶりの大きな低下 年内利上げに疑問符


しかしまあ何ですな、「日銀の緩和は全通貨ベースの実効レートでそんなに円安効果が無い」と解説しているのに、その前には「為替市場の動きを受けて追加緩和期待が高まる」という説明をしている訳ですが、そもそも効かないのであれば何で緩和をするのかと小一時間問い詰めたいのですが>モーサテ


○市場メモ雑談と計数関連雑談

・またまた金利低下しておりますが

http://jp.reuters.com/article/2015/10/14/idJPL3N12E2DU20151014
News | 2015年 10月 14日 15:14 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.305%に低下

『<15:10> 国債先物は続伸、長期金利0.305%に低下

長期国債先物は続伸。5年債入札を前にしたヘッジで上値を重くする場面もあったが、日経平均株価が下げ幅を広げると、短期筋の買いが優勢になった。中心限月12月限は一時148円44銭と10月5日以来の高水準に上昇した。現物債は中長期ゾーンの利回りに低下圧力がかかった。5年債入札が無難な結果に収まったことで、国内銀行勢などからの需要が強まったとの観測がみられた。前日の相場で利回りに強い低下圧力がかかっていた超長期ゾーンはさえない。

長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比8銭高の148円40銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp低下の0.305%と4月28日以来の低水準を付けた。』(上記URL先より)

とまあそういうことですが、株価が下がったからどうのこうのというよりはここに来て益々FEDの利上げ観測後退チックな展開になっている方が効いているんじゃネーノという感じではあるのですが、しらっと5年がまたまた5.5bp水準まで強くなっている辺りなどもチャーミングだったりしますな。

付利下げに関しては全力で総裁会見で否定されましたし、アタクシ思いまするに何かやるならそれなりに「大きな政策パッケージ」として見せに来る黒田日銀が付利を5bp如き下げて追加緩和です(キリッ)というような細かいことをやるとも思えない訳で(まあ超過準備を思いっきり(マイナス50bpとか)チャージでもする位の派手な事でもやるなら別ですが実現性皆無)、中期の金利また5bp接近とか何ですねんとは思いますが、何せ昨年騙し討ち緩和をしただけに総裁が全力で否定しても騙し討ちがあるのではないかと思われますから致し方なしという所でしょうかねえ。

総裁の発言が額面通りに受け止められない、というのは普通にコミュニケーション政策の失敗でありますし、要はサプライズ狙いの政策というのは規模とかでサプライズするならワークするにしても、タイミングでサプライズを狙うというのはその結果が騙し討ちになってしまうと一度は効くけどそれ以降のコミュニケーションに問題が生じる訳ですが、逆に考えますと追加緩和に消極発言をしても勝手に市場が期待して緩和効果が出るのであればとりあえず出口方向じゃないときであればタダで緩和効果が出せますな(違うか)。

まあ5年入札とかそんなにビックリするような強い入札じゃなかったと思うのですけれども、地合いが強めになると「まあどうせ明日輪番で吸い上げられるから買っておいて日銀に打ち込んでヒャッハー」という発想になって相場が妙に値持ちしてしまうという傾向がますます高まっているようには見えまして、日銀買入による市場の流動性低下とかは価格形成行動の方に随分と出ているような気がするんですけどねえ・・・・・・・・・・・・


・本日は3M入札でござる

さっきの
http://jp.reuters.com/article/2015/10/14/idJPL3N12E2DU20151014
からですが。

『短期市場では、無担保コール翌日物は0.075─0.077%を中心に取引された。主な取り手は地銀、信託、証券などで、大手行は0.075%付近で調達した。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートは0.082%に上昇。3カ月物の国庫短期証券は弱含み。ユーロ円3カ月金利先物は閑散小動き。6日物の米ドル資金供給オペに応札はみられなかった。』(上記URL先より)

期末期初の所では短国落札金利が最低を更新するという中々あじゃぱーな展開になっておった訳でございますが、GCレポレートの方は持ち直して来ておりまして、先週の3M入札も微妙に流れた感もあったのでさてどうなりますやらという所ですな。今週は明日1Yの入札がある関係上短国買入が月曜に回るのですが、1Y入札後なのでどうせ1.5兆円の買入で来ると思いますが、どこからどう見ても明日の1Yが短国買入専用機としてワークするのでこちらの3Mは浮いてくると思うのですが、如何せんマイナス街道の期間が長いので結局100円超の水準で決着でしょうなあとは思います(ヤケクソ)。


ちなみに短国買入残高ですけれども。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

今回公表分は10月2日の短国買入(1兆円)分が反映されていますが、買入銘柄に関しては10/1に最低落札金利更新をした3Mカレントの561回が3444億円で、毎度の1Yカレントの558回が4527億円で、残りが9月最終週に入札のあった3M560回の1186億円となっていて(あと12/10償還の6Mの成れの果てという謎銘柄が845億円あります)、だいたい入札激強銘柄が叩き込まれるというのは毎度のお話。

月次の償還額を見ると今月は5.95兆円(13日償還済みを含む)で9日に1.5兆円買入をして今月あと1.5兆円と1兆円の買入となるんでしょうなあとは思いますが、来月の償還が5.18兆円で、12月の償還が4.22兆円となっていて、12月償還はもう少し増えるかもしれませんが、12月の償還ペースが少ないので基本的にはここから年末に向けて短国買入ペースは伸びない筈なので、短国の需給は改善してくれる筈なのですが、一方でそもそも9月末に短国需給が逼迫する背景にドルファンディング絡みのベーシススワップ金利絶賛低下モードとかあったりしてましたので、海外が期末になる12月跨ぎの所は金融規制絡みもあって益々ドルファンディングがアレという懸念があるのでまあどうなることやらという所ではありますなと妄想中です。


・たまには長期国債保有残高を確認

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

こいつなのですが、買入銘柄の平均年限がどうのこうの方は華麗にスルーしまして、来年の償還額なんぼですねんと計算(単に償還日をヘコヘコ入れて表計算ソフトでソートするだけのお仕事ですけれども)すると来年の償還額が額面で38.12兆円という数値が出てまいりますな。

・・・・・・・・・となりますと、日銀の「年間80兆円ペースの国債買入残高拡大」というのをやるのに来年は年間で120兆円近くの購入が必要で、それはつまり月間10兆円近くの購入をしないといかん(なおここからまだ輪番で来年の償還銘柄が増える可能性もありますがそこはざっくりで)という話になるように思えるのですが、ただでなくさえ今や「どうせ明日輪番で吸い上げられるから入札が流れて掴まされてもヘーキヘーキ」となっている長期国債市場がどうなるのかとか考えると大変にオソロシスなものを感じるのですが、漫然と今の政策をあとまる1年以上とか継続できるのでしょうかとしか思えません。

ちなみに「どうせ明日輪番で吸い上げられるから入札が流れて掴まされてもヘーキヘーキ」という動きの発展形が現在の短期国債市場でございまして、ヘーキヘーキと言いながら買い進めて逝ってしまった挙句に投資家の買いが限界的なレベルまで金利が低下してしまい、入札が流れて業者が掴まされた場合に日銀と一部の限界的な買い以外に買い手が見当たらないというお洒落な展開になってしまい、セカンダリー市場皆無状態という事になる訳ですなナムナムナム。

てな事を考えますと、マネタリーベースを今から倍にすると2%達成とかいうレポートをどこかで見た気がするのですが、それは具体的な実現可能性を無視しまくった机上の空論というか白昼夢というかなお話としか思えませんなあという所で。

なお、再来年の償還額は今の所24.52兆円なのですが、当たり前ですが1−3輪番でここからまだ残高が増えますのでまあその後も運営できませんわなあという所ではあります。


・市場メモではないがこれは・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi1509.pdf
企業物価指数(2015年9月速報)

まあ何ちゅうかアチャーな指標でしたが、そう言えば企業物価指数はCPIに対して先行性があって、このトレンドがどうのこうのなのでみたいな話を日銀がしていたような気がしたのだがサルベージ出来ていないし気のせいかも知れません(汗)。

○うーんこのレポートは

先週金曜にこんなの出てたんですけどね。

http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2015/ron151009a.htm/
わが国短期金融市場の動向
――東京短期金融市場サーベイ(15/8月)の結果――

本編はこちら
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2015/data/ron151009a.pdf

でまあ概要の方のHTMLから少々。

『概要』

『短期金融市場の取引残高は増加し、特に資金調達残高は、08年の調査開始以来最高となった。』

ほほう。

『この背景として、資金調達サイドをみると、日本銀行の補完当座預金制度のもとでの超過準備の付利金利(0.1%)をメルクマールとする裁定取引の増加や、円転コストの低下を受けた外貨保有主体による円転の増加が要因として挙げられる。』

ということなのですが、「日本銀行の補完当座預金制度のもとでの超過準備の付利金利(0.1%)をメルクマールとする裁定取引の増加」としらっと書いてありますが、要するに超過準備水準が拡大される中で裁定取引という名前で調達(コールだのレポだの)と超過準備の両建てが拡大しているというお話ですわな。

つーことは現状の超過準備水準を維持していく中では既に「マネタリーベースが拡大する中で、金融機関などが投資として保有する国債を売却する(ことによってポートフォリオリバランスが進む)」というだけではなく、ただの両建てによってMB拡大が進んでおりますぞなというお話でもありますので、それってそもそも金融政策として何の意味がありますねんと突っ込みを入れたいステージということで、そうやって拡大しているMBを更に拡大して実体経済に何の意味をもたらしますねんと小一時間問い詰めたい所ですな。

まあその件をさておくとしましても、バーゼル規制のレバレッジ規制のお試し期間が今年から始まっている訳でして、こちらはリスクウェイト調整を掛けない総資産対比のレバレッジを規制する代物でありますから、そもそも上記の裁定取引がいつまでも出来るわけでもない訳で、先ほどネタにした国債買入フローの方もそうなのですが、「超過準備を誰が持つのか」という点でもMB拡大がどこまでできますねんというお話になると思うのですけどねえ。

『他方、資金運用サイドをみると、株価上昇を受けて増加した余剰資金を投資信託等の主体が短期金融市場で運用したほか、海外貸付や外貨資産投資を企図した円投取引が増加した。こうした中、国庫短期証券の利回りが概ねゼロ近傍で推移したことを背景に、運用利回りの確保を企図して、コール市場(無担保コール市場および有担保コール市場)において運用を増加する動きもみられている。』

>国庫短期証券の利回りが概ねゼロ近傍で推移した
>国庫短期証券の利回りが概ねゼロ近傍で推移した
>国庫短期証券の利回りが概ねゼロ近傍で推移した

どうみてもマイナス水準なのですが何でこういう所で大本営発表するかね。

『この間、短期金融市場の機能度については、利回りの低下等を背景に、全体の2割程度の先が「低下した」と回答したものの、全体の7割程度の先は「概ね変わらない」と回答した。』

全体で、と言えばそら短国のアウトライト以外は概ね変わらないという答えになるのでしょうが、リスクフリー資産であるところの短国アウトライト市場が壊滅しているのって問題のレベルが非常に大きいのですけどねえ。

『これらの点を踏まえると、わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられるが、日本銀行としては、今後とも短期金融市場の動向を、日々のモニタリング活動や本サーベイ、市場参加者との対話などを通じて、適切にフォローしていく考えである。』

そらまあ「機能が維持されていません」とか言い出すと金融政策の副作用ガーという話になるというのは分かるのだが、もうちょっと物の言い方というのは無いのかと小一時間ではあります。

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2015/10/08

○決定会合レビュー雑談

・市場のプライスアクションは中々味があった件

昨日の金融政策決定会合は順当に12時に結果公表となって、債券は昼休みになりますのでさておきまして、株価指数先物とかドル円とかについては「追加緩和実施せず」→「株安円高」というファーストアクションがあった訳ですけれども、その後しばらくすると株はホイホイと値を戻すわドル円はホイホイと値を戻すわという展開になりまして、債券市場ちゃんも後場寄り後に下げて前場の安値(そもそも何で前場下げましたねんという所でもあるのだが)にツラ合わせに来たのですが、そこですかさず買いが入って戻るの巻。

ということで、追加緩和が無くて失望売りがどうのこうのとか恫喝まがいのレポートなんぞが出ていたりもしていたような気がしますが、追加緩和に関しては期待する動きもあったにしても「追加緩和が無かったら売られるだろうからそこで買いですな」という向きも入っていて、その人たちの動きの方が目立ったという事でしょうか(^^)。


・声明文:ものの見事に何も変化がないという攻撃キタコレ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151007a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k150915a.pdf(前回)

『わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている。』(前回)

ということで声明文の比較なのですが・・・・・・・・・・

『海外経済は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。輸出や鉱工業生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)
『海外経済は、新興国が減速しているが、先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。輸出や鉱工業生産は、新興国経済の減速の影響などから、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

うむ。

『一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益が明確な改善を続けるなかで、緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直している。公共投資は、高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている。この間、企業の業況感は、一部にやや慎重な動きもみられるが、総じて良好な水準を維持している。』(今回)

『一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益が明確な改善を続けるなかで、緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直している。この間、公共投資は、高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている。』(前回)

ということで、今回変化があるのは短観を受けて出ている業況感のコーナーでして、前回が7月会合の文言になりますが、前回は「企業収益が改善するなかで、業況感は総じて良好な水準で推移しており」だったのが今回やや表現が弱くなっています。

でまあそこを見ておーという事も可能は可能なのですが、これは今回の短観で大企業製造業の業況判断DIが前回よりも下がったために「一部にやや慎重」という表現を入れているという所だと思われまして、そこまで大きな意味があるという印象はない。

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

金融環境とか物価とかの所も相変わらず同じ。


先行き見通し以降も同じです。

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。』(前回)


『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)


『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。』(今回)

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。』(前回)

ということで、引用するまでも無いのではって勢いのコピペ決定会合声明文でございまして、足元生産が弱い指標が出ているとか賃金の指標があまりぱっとしないですよねとか、そういう話は盛大にスルーして先月と同じです攻撃恐るべしという所ですな。

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2015/10/07

・「早期達成」ならそうかもしれんが

IMFというのは金融政策に関しては余計な話しかしませんなあ。

http://jp.reuters.com/article/2015/10/06/imf-on-boj-idJPKCN0S01U020151006
Business | 2015年 10月 6日 23:24 JST
日銀、物価目標達成へ必要なら追加緩和を=IMF

はあそうですか。

『[東京 6日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は6日公表した世界経済見通しで、日本について、物価上昇率を2%の目標に向けて押し上げるために必要なら、日銀はできれば年限のより長い国債を買い入れるなどの追加的な金融緩和を実施する態勢をとるべきと指摘した。』 (上記URL先より)

えーっとですな、さっきネタにした安倍ちゃんのTPP会見でも「輸入品が安くなるのがメリット」とか思いっきり説明したりしている訳でして、もはや「単なるコストプッシュで物価を押し上げるのは意味がない」って認識に政府がなっているという中で「物価を押し上げるために追加緩和」とか言い出すとかお前は何を言ってるんだ状態。

でまあ何ですな、梯子外しちゃあ梯子外しなのですが、どこからどう見ても2%の早期達成が困難で、その一方でQQEが短期決戦を前提にしている建付けなので自爆必至という特攻政策を実施している日銀としては、この流れがどう見ても助け舟でありますのでこれに早晩乗ってくるでしょうという話を昨日も申しあげましたが、まー問題は黒田総裁が何を考えているのかというお話でして、結局の所昨年の追加緩和だって何でそうなったのかって(後付屁理屈はあるけど)正直意味不明(インフレ期待の低下云々は後付にも程があるでしょ)なのでして、今の流れについて黒田さんが「助け舟ヒャッハー」と思っているのか「梯子外すんじゃねえよゴルァ」とお怒りなのかによって出てくる結果が全然違ってくるというのが政策読めんわという事になる訳ですが、まあ本日の決定と会見でも正座して待つしかないですなという所で。

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2015/10/06

○決定会合プレビュー雑談

先週後半あたりから物凄い勢いで何とかストの皆様が追加緩和あるでという話が盛り上がってきておりまして、なんちゅうか乗るしかないこのビックウェーブに状態になっている訳なのですが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVL0ZA6TTDS201.html
10月の日銀緩和予想は約5割に上昇、見送れば信認低下で円高・株安も
2015/10/05 13:18 JST

お、おう・・・・・・・・・・・

えーっとですな、経済物価情勢という文脈で考えますと日銀の見通しであります所の2016年度前半に物価が2%に到達というのは益々無理という所になってまいりましたし、輸出とか生産とかパッとしませんでそもそも今年度後半あたりから角度が上がって回復、というシナリオもどう見てもそうはならないでしょ、という風になっているので、物価のところだけ見ればそらまあ追加緩和しないのはどういう事やという話をするのもそらまあそうなのですけど、予想という意味で考えると別の話になると思うのよね。

でまあ毎度申し上げておりますのを段々整理しているのですけれども、今の政策そのものが長期的に継続することを前提にデザインされている訳ではなく、しかも昨年追加緩和をしているので物理的な限界をその時点で手前に寄せているというのもあります上に、去年と違うのは追加緩和やって物価見通しが早期に達成できるのかというとどこからどう見てもそうじゃないという状況なのに早期爆発の可能性を高めるだけの追加緩和をしますか、というお話な訳ですよ。

ちなみに追加緩和が限界を手前に寄せる件については、長期国債的にはそうなのですけれども、良く良く考えますと追加緩和のどさくさで短国買入の負担を下げていなかったら今頃短期市場が爆発して限界が来ていたのが明らかだったりする訳でございまして、(今の状況から10兆〜20兆円短国買入の残高が多かったら短国市場が壊滅している)ので実は昨年の追加緩和は政策の限界を必ずしも手前に寄せたのかというと微妙でして、どちらかと言うと最初の時点であまりちゃんとデザインしていなかった(規模がでかすぎなのとエイヤーで入れているので仕方の無い面があるが)のでやってみたら短国市場が爆発しそうになって、しかも2年で追われるのかが微妙になってきたので追加緩和のどさくさにマイナーチェンジも入れた、というのはあるのでその点だけは一応申し添えます。

ということで長期国債の買入が純粋にどこまで持つのか、というのと、ETF買入に関しては債券と違って償還が無いから買ったものそのまま残高が増えて減りはしないという問題もありまして、何ぼ何でも中長期的に今のペースでETFを買い続けるという訳にも行かないでしょうから、その辺から考えた場合の限界というのはさすがに近いと思うのですよね。



追加緩和のような政策を逐次投入して延々と続けることが出来るというのであれば、そらまあ見通しが下がる→追加緩和を逐次投入、という事になると思うのですけれども、今申し上げたようにQQEの政策枠組みは追加緩和を逐次投入していくことが出来るようなデザインになっていない(やってあと1回が限界)ですし、そもそもQQE導入がそうですけれども黒田さんの政策の打ち込み方って「小出し感を嫌う」のが明らかな訳でして(QQE2はMB拡大のペースでは小出しでしたが長期国債が50兆円→80兆円にしてETFとかその他で「3」を並べましたから一応ドカンという感じにはしている)、その点から考えますと次回に何かやるとなりますと、一応あと1発は追加緩和を(今の政策枠組みの延長という文脈では)打つことが可能ではあると思いますが、QQE3というにはちょっと派手感に欠ける訳で、その程度の追加緩和をわざわざ打ちに行くのですか???と思うのですけどどうでしょうか。

あと、なんだか知らんのですがやたら「付利下げ」説を唱える人が多いのですが、現在の政策の延長線上という文脈で考えた場合には付利の引き下げはMB拡大という日銀の負債サイドの量拡大をやり難くする政策(付利は日銀負債を拡大しやすくするツール)であるので話として矛盾しますし、大体からして「付利5bp下げ」って小出しの究極みたいな話で、いきなりゼロにするならまだしも、そんな細かい政策黒田さんがよーやらんでしょと思う次第でありまして、それこそ昔の日銀パターンと同じ発想で考えてやしませんかねえという風に思う訳ですよこれがまた。


でもって将来的にも2%の看板は下げられないのですから、緩和政策をかなりの期間長期化しないと行けなくなるのは見え見えですし、以前のように「2年で達成しろ」というような興味も政府サイドの方が失っていると見られる現状を勘案しますと、長期的に継続できない今の政策枠組みは見直し必至な訳で、もう少し先を見た場合には今の政策のデザインを変更しないと行けなくなる筈(何ぼ何でも今のまま拡大して行って物価目標達成前に政策が自爆するような阿呆な選択は取らないという前提ですけれども)なのではてどうしますのやらという所から逆算していって追加緩和の有無とか先行きの政策とかを考えないといかんと思うのであって、10月緩和がどうのこうのというのを単体で考えるのがそもそも意味プーだとあたしゃ思うのですけどどうでしょうかねえと。


でですな、先行き長期的に継続が可能な政策デザイン、という意味でちと考えますと以下の通りになると思いますがどうでしょうかね。

まずMB拡大路線ですけれども、今のマネタリーベース直線一気理論はどこからどう見ても長期化できないので棄却(そもそもマッカラムルールやら何やらで計算したMBにしても物価2%どころか1%にも届いていないのですからMB直線一気理論そのものが棄却されるレベルだが失敗とは言ってはならないのでそこはスルーされるでしょう)でして、MBのレベルに関して明示的な数値を出さない方がどう見ても政策継続が楽なので明示的には出さないでしょ。露骨にガシガシ減らす事もよーしませんとは思いますが。

付利金利に関しては微妙なのですが、MBがガシガシ減っても良いのならば下げるのもアリかもしれませんけどMBを露骨に減らすのは見た目的に宜しくないのでやはり採り難いですし、付利金利マイナスというのはこれまた長期的に継続するのが難しい政策になりますのでオミットでしょ。つまり付利マイナスというのはMB積み上げがしにくいというのも有りますが、そもそも論としてエクセスリザーブを積むなという政策でありますので、エクセスリザーブに掛かるコスト分を金融仲介機能のどこかで負担するか、預金者などの国民の所に負担を転嫁するのかという話になる訳で、短期的にであれば金融仲介機能の所で負担をするのでしょうが、これが長期化した場合にはそうも言ってられなくなり、金融システムに負荷を掛けてストレスを上げるか、預金者の負担になるのかという話になるでしょうから、マイナス金利というのも3年5年とか続けるような政策ではないのでやはり無理がありますぞな。

となりますと、まあ普通に金利政策に回帰して「超強力な時間軸」と「実質金利の上昇を抑制するための長期国債買入」というセットにして、時間軸に関しては従来の日銀路線と変わらんとしても長期国債買入に関しては従来の考え方ではなくて実質長期金利の上昇を抑制するというのを前面に出した政策にするという形でデザインするしかないと思うのですけどね。なおその際にETFの買入どうするのというのはあるのですが、さすがに長期的に継続できないのでどうにかしないといかんでしょ。売りはしないでしょうけど。


ちょうどこの前こんなのが出ていてネタにしましたけど。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab15j05.htm/
家計のインフレ予想:期間構造と金融政策のアンカー効果
鎌田康一郎、中島上智(日本銀行)

このペーパー自体は「スタッフの出しているペーパー」なので日銀の政策とは直接リンクする話でもないし公式見解でもないですよ、という建付けではありますが、まあここで言及されている、

『鎌田他(2015)での分析結果を踏まえると、インフレ目標を有効に機能させるためには、それをアナウンスするのみでは十分ではなく、中央銀行のコミットメントの信頼性を増すために、何か他の大規模な政策とパッケージで実施することが鍵であるように思われる。』

『物価安定目標の場合には、量的・質的金融緩和が続けて実施されたが故に有効に機能したと考えられる。また、中長期的な物価安定の理解の明確化も、その後に包括緩和が導入されてはじめて効果を発揮し得たと解釈することも可能である。政策効果を高めるためには、インフレ目標を、大規模資産買入れ、フォワードガイダンス等、どのような政策とパッケージで実施するのが有効なのか、事例研究を積み重ねていくことが望ましい。』

という最後の部分に味わいがある訳で、「マネタリーベース直線一気理論のQQE政策で2年で2%達成だぜヒャッハー」という政策の建付けからの華麗なる進化(ただの敗戦処理なのですがそこは指摘しないのが優しいオトナの対応と言いたい所ですけど、置物副総裁が過去に日銀に対して行った批判というより誹謗を勘案すると置物一派だけはちょっとねえと思います)をする場合には、それなりに政策パッケージを打ち込むというのがセットになる訳で、金利政策中心のフレームワークにして「2%物価上昇で安定的に推移するまで強力な緩和パッケージで景気をサポート」という形で見せ方として強力パッケージを入れるというのは日銀も考えてるでしょと思うのですよ。

でもってそうなりますと、国債買入に関しても規模感を強調するよりも「長期金利上昇をさせないような政策」という形で「従来とは違う」のを見せてくるのが「大規模パッケージ」としての見せ方になると思いますのでは無いかと思うのですよね(だからと言って別に長期金利をバカスカ下げに行くような必要は無いと思いけど金利が露骨に上がっても見せ方が良くないのでムツカシイ)。


とか何とかうだうだと雑談を書いている訳ですが、将来的には(それも割と近くに)政策の枠組みを変えないといけないし、そもそもアベノミクス第2弾については金融緩和がメインの矢から一段引いた格好になって、金融緩和で経済をサポートして2%物価目標達成に整合的な経済を作る、という建付けに実質的に変更になっているのですから、その辺を勘案すると今の政策枠組みの延長的な追加緩和というのはどうなのよ(なお最後のダメ押し的な意味でやるというのは否定しない)と思うのですよねえという毎度の結論になりましたです。なんか似たような話ばっかですいません。


しかしまあ何ですな、
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVL0ZA6TTDS201.html(再掲)
10月の日銀緩和予想は約5割に上昇、見送れば信認低下で円高・株安も
2015/10/05 13:18 JST

どこぞからは「追加緩和を見送ったら市場が失望してどうのこうの」みたいなクレクレなんだか恫喝なんだか良く分からないレポートまで先日は出ていて爆笑の発作を禁じ得なかったのですけれども、「見送れば信認低下」というのはもしかして貴殿の信認の事を仰っているのではないかと小一時間問い詰めたいところではありますなあということだけ申し上げておきましょう。

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2015/10/02

○ブルームバーグのマッチポンプキタコレ

・まずは岩田一政前副総裁のインタビュー記事

昨日の昼の時間帯だったと思うのだがこんなのが出ました。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVHH8B6S972F01.html
岩田氏:日銀は動かざるを得ない方向に−マイナス金利の導入も (1)
2015/10/01 13:05 JST

マイナス金利ってそれやると量的な拡大が厳しくなるので今のMB拡大路線と整合的ではなくなるんですが・・・・・・・と思って記事を拝読。

『岩田氏は9月30日のインタビューで「黒田東彦総裁の発言を聞くと、追加緩和の必要はないというふうに聞こえるが、実体経済は想定以上に悪い」と指摘。物価についても「エネルギーを除くコア消費者物価指数(CPI)は前年比1.1%上昇しているが、昨年秋の追加緩和後の円安の効果もそろそろ剥落し始める可能性もある。消費も弱いので物価上昇には持続性がない」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)

経済物価状況からのロジックですな。

『その上で、足元で0.8%台のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が0.5%より下がれば、「日銀は何かやらざるを得ないのではないかというのが私の見立てだ」と語った。具体的な手段としては、国債の買い増しは限界に近づいており、株価指数連動型上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れ余地も小さいとして、消極的な選択ながら、日銀当座預金残高にかかる付利金利(現在0.1%)の引き下げを挙げた。』

BEIに反応というのはちょっと????なのですが、良く良く見たら付利金利引き下げは「消極的な選択肢」なのに何でニュースのヘッドラインに思いっきりマイナス金利導入とか出るというのがヘッドラインでのインパクト狙い過ぎてあざといですな。

『その上で、「インフレ期待を測るのは非常に難しいが、日銀が直接相手にしているのは市場であり、市場関係者が抱いている期待はやはり無視できない。BEIが0.5%より下がってくれば、日銀は何かやらざるを得ないのではないか、というのが私の見立てだ。方向性としては、何かやらざるを得ない方向に動いている」と語った。』

・・・・・・・・・うーんそれはちょっと違うと思います。

『追加緩和のメニューとしては、@より長期を含めた国債の購入額の拡大、AETFやREITの購入額の拡大や、これまで買っていなかった地方債や財投機関債の買い入れ、B付利の引き下げという3つの選択肢があると指摘。』

地方債や財投機関債を買うと言いましても市中流通している量って僅少にも程がありますし、大体からしてそこらの債券の金利を下げることによる意味is何という感じなのですが。

『「それぞれ問題点があるが、国債はやはり限界に近づいている。買い増せば限界点がますます近づく。ETFも金融危機で金融機関が倒産するといった状況なら別だが、ある程度正常な水準に近づいているときにさらに買うのは、中央銀行の政策としていかがなものか。』

『日銀のバランスシートのリスク量も相当蓄積している。不動産投資信託(J−REIT)も市場規模が小さく買う余地はあまりない」と述べた。』

そもそもETFとかはリスクプレミアムの縮小余地があるから買入を行った(QQE導入の時にCPと社債の買入は残高維持に止まりましたがその理由はリスクプレミアムが既に縮小しておりこれ以上に縮小させる必要が無いが拡大させにいく必要もないので残高維持という理屈でした)というのがありまして、まーどう見てもすっかりその辺の話はスルーされているとは思いますが、一応そういう建付けだっただけに買入拡大となると「リスクプレミアムを縮小しないといけません」という話をしないといけないんですよね本当は。

『岩田氏はその上で、「消極的な選択だが、付利を動かすしかないのではないか。そうはいっても0.1%しかないので、マイナス金利もあり得るのではないか」と語った。』

ただそれをすると量の拡大が出来ないのですがその辺に関する岩田さんの見解はここでは出ていないのでちょっと????なのですが、中銀負債サイドの量を拡大し続けるターゲット政策とマイナス金利政策というのは本質的に相容れないという事くらいは岩田さんご承知だと思うのですけれども・・・・・・・・・・・・・・・


でまあそういう事でナンジャコラという記事ではありましたが、当然ながらまず最初に「岩田」「マイナス金利」と来るとすわ置物副総裁と反応するでしょうし、置物先生ではなくてもやはり前副総裁がマイナス金利に言及で追加緩和の必要性とくればヒャッハーヒャッハーとなるでしょうから株式市場の方はご案内の通り。

ところがですな・・・・・・・・・・


・まーた単なる見通し記事のヘッドライン詐欺かと

昨日の夜の時間帯にはこんなのが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVJ4KY6JTSEA01.html
日銀はひとまず様子見か、短観まずまずで情勢見極めに猶予−関係者
2015/10/01 20:26 JST

『(ブルームバーグ):日本銀行内で、新興国経済を中心として先行き不透明感が強まっているものの、経済・物価情勢を見極め、追加緩和の判断を下すには、なお時間的な猶予があるとの見方が強まっている。複数の関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより、以下同様)

ということなのですが、

『企業短期経済観測調査(短観)では、新興国経済の減速を背景に大企業・製造業の景況感が悪化したものの、企業収益は高水準を維持し、設備投資計画も引き続き堅調だった。物価もエネルギーを除くと強めに推移している。複数の関係者によると、日銀内では、所得から支出への好循環メカニズム、物価の基調の改善ともに維持されていることから、追加緩和の是非を判断するにはなお状況を見極める必要があるとの見方が強い。』


とありますが、その後にあるのは何とかストの皆さんのコメントが並んでいるだけでして、この関係者とはどこの関係者でしょうかと小一時間問い詰めたいのですが、ブルームバーグの英語ニュースの記事だと『BOJ Is Said to See Little Immedeate Need for Adding Stimulus』とかいうお題になっていて、記事のリードも『Bank of Japan officials see〜』という書き出しになっていまして何だかなあという所ですが、ドル円はこれを見て120円割れとかやっていた(というかドル円見てどうしたのかと思ったらこのニュースがあったわという感じなのですが)という攻撃。

もう何ちゅうか毎度のただの観測記事にしか見えない内容をいかにもリーク記事っぽい英文にするとか大概にこういうマッチポンプは止めて頂きたいですな、と言いつつまあミーもこうやって記事にリンク貼ってアクセス数増加に貢献している所が宜しくは無いのかも知れませんが、結局の所こういうのはブルームバーグならブルームバーグ社の中の人たちがアクセス数で安易に記事の評価を決めてしまうから内容が微妙でも注目を浴びればこっちのもの、という姿勢になり、よりキャッチーな書き方をしないとというスパイラルに嵌ってしまうってな感じでの劣化スパイラルが発生するというのが背景にある訳で、記者さんとか編集さんだけの問題ではないんですけど、まー困ったもんだなとは思うのでありました。

特に最近はブルームバーグの日銀金融政策絡みのこの手の記事がアクセス狙いに走り過ぎているのが目立つ(以前はロイターが総裁会見での発言切り取りを超恣意的に行うのが酷かったのですがライブ中継されるようになって収まったら最近通常の記事も普通になってきたように思える)のですが、これあまりにも度が過ぎるとある時点から急に誰も見なくなるという流れが起きると思いますので、ブルームバーグさんもちょっと考えた方が良いんじゃないのとは思いますがそんなのを市場の片隅で日本語で言っても無意味ですかそうですか(汗)。

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2015/10/01

○鉱工業生産ェ・・・・・・・・・からいつのまにか決定会合プレビュー雑談

http://jp.reuters.com/article/2015/09/30/gdp-idJPKCN0RU0EY20150930?sp=true
Business | 2015年 09月 30日 15:18 JST
焦点:生産悪化で2期連続マイナス成長の公算、待ち受ける受注減

ということで鉱工業生産が7−9でマイナスになってGDPもマイナスではないかという話になってきておりますが、一方でちょうど昨日ネタにしたように黒田総裁の会見では15日の時点では「GDPプラスでは」だったのが28日の時点では「これまでのデータをみる限りでは、必ずしも 7〜9 月のGDPがマイナスになると言うことも難しいと思っています」にトーンダウンしておりましたけど、残念なことにそれよりもダメという状態になっておりますな。

でまあこうなってきますと「これって去年の追加緩和の時にパターン的には似て来ましたよね」というイメージが湧いてくる訳でして、昨年の場合は生産がコケ出す中で原油価格の下落がキタコレとなって突如追加緩和を打ち込んできたので、今回も生産がコケ出すというのは同じパターンだったりするのがアレ。


ということで追加緩和がどうのこうのという話をする人が増えている、というか追加緩和を言っている人が前のめりになってきているというお話で、まあ経済指標的な意味とか、昨年のパターンから見た場合というような観点ではそういうお気持ちも分からんではない。

しかしここでちょっと考えないといけないのは昨年の追加緩和時点と足元での状況の違いでして、物価の基調がどうのこうの的な日銀の理屈もありますがこんなのはいざ追加緩和をするとなると「物価の基調は確りしているがより強化する」とでも何でも言えるのであまりあてにならなくて、そうじゃない部分の違いな訳ですよ。

つまりですね、昨年の追加緩和前の時点と今年の違いということで考えた場合に、(1)オペレーションの限界がより近くなっている(拡大して1年経過しているのだから当たり前)、というのと(2)どこからどう見ても2%物価が行く時期が半年とかのスパンでは無理、というのがあると思うのですな。それに加えてそもそもQQE政策自体が「短期決戦」を前提にした政策の作り込みで中長期的に続けることができる政策ではない、という政策デザインの問題もあります。

ということはどういう事かと申しますと、今の枠組みの延長線上で追加緩和を実施した場合、ただでなくさえオペレーションの限界があるのを更に手前に寄せることになりますので、短期勝負での勝算が無いと追加緩和って打てないと思います。カードもあと1枚しか残っていないと思われますので、絶対に近い勝算が無い中で最後のタマを打つのは非常に難しいんじゃないですかねえと。


でもってですね、

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015093000192
新3本の矢で従来政策強化=安倍首相(2015/09/30-09:46)

『【ニューヨーク時事】安倍晋三首相は29日午後(日本時間30日午前)、米ニューヨークで記者会見し、経済政策アベノミクスの第2段階となる新3本の矢に関し、「従来の3本の矢を強化することで、戦後最大の国内総生産(GDP)600兆円を目指す」と語った。その上で「従来の3本の矢は経済政策の手段を示すもの。新3本の矢で具体的な目標を掲げることにした」と説明した。』(上記URL先より)

この会見は東京時間の昨日朝7時半くらいにやっていて国営放送様で生中継してたと思いますが、「従来の3本の矢は経済政策の手段」というこの整理は政府サイドからの絶好の助け舟にしか見えない訳でして、従来は「2%目標が必達」だったのですが、このロジックからしますと「2%達成は強い経済を作るための手段」なのだから、それはつまり他を無視して強引に物価だけを2%に持って行くのが正しい訳ではない、という話に繋がる訳で、2013年1月の政府と日銀の共同文書に戻ることになると思うのですよね。

でまあそうなりますと「2%目標」というのは掲げるにしても、従来の第一の矢のように2%を達成したから良しという話ではなくて、概念的に言えば「2%の物価安定がサステイナブルに実現されるような強い経済を作るための手段として物価目標が設定されています」という話になりますので、それはもう「2%の物価目標が安定的に達成できるまで緩和的な金融環境を継続する」という中長期的な強力な時間軸政策にするしか無いでしょという話になりますな。

何せMBの無限拡大というのは物理的に出来ない中で時間軸に関してはまあ後ろに思いっきり伸ばすというのは可能な話(あんまりやり過ぎると時間的不整合の問題からクレディビリティを下げてしまうリスクがあるが)ですし、無茶なMB拡大に拘らないで長期金利に対する何らかのコミット(ただしこのさじ加減が難しい)を実施すれば中長期的に緩和政策が続けられる訳で、あとは潜在成長が伸びてくるのをちんたら見守っておけば宜しいという話になるとは思うのですけどねえ。

まあ三本の矢についても「手段」と「目標」という整理をすることによってQQEで2%の物価目標を達成すればめでたしめでたし的な置物リフレ理論を奥の方に引っ込めることが出来た訳でして、これはいわゆる一つの「転身」ってやつでございまして、日銀も当然ながらこの「転身」におつきあいして「QQE政策を進化させた新たな展開」とか何とか誤魔化して2年で2%達成の為にはマネタリーベース直線一気理論とかいう結果どう見ても空論だったのに結果責任取る予定もなさそうな置物リフレ理論をこっそりと引っ込めるという方向が必要でしょとか思います。

つーかですね、今月追加緩和というのはさっき申し上げたようにGDP2期連続マイナスですよね的な観点からは仰せの通りかもしれませんが、そもそもQQE政策の建付けとか、今後の維持可能性という事を考えた場合には、ここで見通しの下方修正を行って追加緩和を実施する、という事になりますと「去年に逆戻り」という事になりますが、QQE政策自体に継続可能な時間が限定的になっている上に、物価がどう見てもそう簡単に2%行きそうもない中で、そういう泥沼化確実の政策をやりますか??というお話なのですよ。

では追加緩和が全くないのかと申しますと、一応QQEの枠組みの中ではおそらくあと1回は追加緩和を打てる(がそれによって政策の限界到達点が更に前に倒れる)筈で、やるなら長期国債買入ペースの10兆円拡大と年限長期化(と言っても10年超とかにするのはツイストでもしないと無理なのでそんなに伸びない)にETFをおまけにつけるかどうかという程度かとは思いますが、どちらにしても最後のタマになってしまいますので、その後の政策見直しが実はセットでやってくるという話になるんじゃないかと思いますですよ。

・・・・・・などとまあ思うだけのお話なのですが、順当に「基調が確りしていて昨年とは違う」という駄法螺じゃなかった総裁の説明を真に受けますと、この場合はやはりどこかで勝利宣言とともに政策の枠組み見直しが起きる(いずれにしても政策の限界が爆発する前にコアCPIが安定的に2%に達するとは思えないので行きつく先は玉砕か転身で玉砕はあり得ないので転身でしょ)のですが、まさかGDP2四半期連続マイナスの時に大勝利宣言をする訳にも参りませんでしょうから、そうなると10-12に持ち直してきましたよやっぱり大勝利ですよほらここで計算される物価が+1%台前半まで行っててデフレからは完全脱却しましたよ、というような形でQQE政策の進化系をお見せしましょう!!という感じじゃネーノかと愚考致しますがどうでしょうかねえ。


とまあそんな雑談メモでありました(汗)。


○味わいのあるリサーチラボ登場

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab15j05.htm/
家計のインフレ予想:期間構造と金融政策のアンカー効果
鎌田康一郎、中島上智(日本銀行)
Research LAB No.15-J-5, 2015年9月30日

最近幾つか出た関連ペーパーを要約してご紹介みたいな物件ですが。

『要旨

家計のインフレ予想の安定化は、中央銀行が物価の安定を達成するための政策の一つであり、それ故に、中央銀行には、インフレ予想の動態に関する深い理解が必要とされる。鎌田他(2015) [PDF 902KB]は、家計を対象としたアンケート調査を分析し、インフレ予想は予想期間の長短によって振る舞いが異なることを示した。』

うむ。

『短期のインフレ予想が現実のインフレ率の影響を受けやすいのに対し、長期のインフレ予想は安定的で、現実の物価動向に左右されにくい。こうした結果は、わが国のインフレ予想が長い目で見て何らかの水準にアンカーされていることを示している。ただし、長期予想は動かないわけではなく、金融政策によって変化し得る。2013年に日本銀行が導入した物価安定目標と量的・質的金融緩和は、両者が相まって、インフレ予想の水準を引き上げ、その安定に寄与した可能性が高い。』

キタコレ!という所ですが、良く良く中身を読みますと実は今回はQQEだけではなくて包括緩和に関しての分析部分も紹介しているのが味わいがあります。まあ中身を読んでちょとは思いますが、この最後の部分を見ますと・・・・・・・・・・・・・・

『金融政策の効果

以上の結果は、これまでの日本銀行の金融政策が、全体として、家計のインフレ予想のアンカー強化に貢献してきた、あるいは、少なくともアンカーを壊すことはなかったことを示している。しかし、これまでに採られた個々の政策手段が、すべてインフレ予想の安定化に寄与したとは限らない。鎌田他(2015)は、2006年9月以降に実施された日本銀行による政策変更を一つひとつ取り上げ、どの政策がどのような形で、家計のインフレ予想の形成に影響を及ぼしたのか、あるいは、及ぼさなかったのかを分析している。彼らは、家計の何らかの意味でインフレ予想に影響を及ぼした可能性のあるものとして、以下の2つの政策を挙げている。』

ほほう。

『一つ目の政策は、2010年10月に日本銀行が導入した包括緩和である。表1によると、同政策は、インフレ予想の水準を引き上げることに効果を発揮していたことがわかる。長期インフレ予想の平均値は、政策の導入を境に約1%上昇し、中長期的な物価安定の理解(日本銀行が2006年に導入し、2009年に明確化を行った)の枠組みの上限である2%にまで達している。短期予想の上昇はさらに大きく、その平均値は、マイナス圏からプラス圏まで2%以上上昇している。しかし、他の統計量、特に分散に、有意な変化は認められなかった。』

実は包括緩和も効いているという説明キタコレ。

『二つ目は、日本銀行による2013年1月の物価安定目標と4月の量的・質的金融緩和の導入である。表1によると、短期予想の平均値は、目標水準である2%へと約2%の大幅な上昇を示している。長期予想の平均値も、幅は小さいが、統計的に有意な上昇を示した。』

実は長期予想に関しては包括緩和で結構押し上げられていたという事ですか。

『また、鎌田他(2015)によると、短期、長期によらず、インフレ予想の足もとの物価変動に対する感応度が低下しており、しかも、金融政策に対する認知度の高い家計の方が、認知度の低い家計よりも、低下幅が大きい。なお、同様の現象は、包括緩和の際にも観察されている。』

つまりアンカーする力が強くなっているというお話。

『インフレ目標政策の有効性

2006年3月に中長期的な物価安定の理解を導入して以来、日本銀行は、段階的に物価安定の定義を強化してきた。2009年12月に中長期的な物価安定の理解の明確化が行われ、2012年2月に中長期的な物価安定の目途、そして、2013年1月に物価安定の目標が導入された。しかし、表1が示しているとおり、2009年と2012年の政策は、インフレ予想に有意なインパクトを与えることはできなかった。なぜなのか。逆に、なぜ2013年の物価安定目標は、インフレ予想に有意な影響を及ぼし得たのだろうか。』

『鎌田他(2015)での分析結果を踏まえると、インフレ目標を有効に機能させるためには、それをアナウンスするのみでは十分ではなく、中央銀行のコミットメントの信頼性を増すために、何か他の大規模な政策とパッケージで実施することが鍵であるように思われる。』

キタコレ。

『物価安定目標の場合には、量的・質的金融緩和が続けて実施されたが故に有効に機能したと考えられる。また、中長期的な物価安定の理解の明確化も、その後に包括緩和が導入されてはじめて効果を発揮し得たと解釈することも可能である。政策効果を高めるためには、インフレ目標を、大規模資産買入れ、フォワードガイダンス等、どのような政策とパッケージで実施するのが有効なのか、事例研究を積み重ねていくことが望ましい。』

ということですので、まあ政策の枠組みを見直す場合には何かのパッケージを打ち込みましょうという話にはなると思いますので、じゃあもうヤケクソで長期金利ペッグ政策でも実施しますか(ただしこれは出口で死ぬのであまり考え無しにやると大変なことになる)というような所ですかそうですかと思います。

でまあ更に申し上げれば、このリサーチラボの説明ですと家計の長期のインフレ期待はそれなりに望ましい水準でアンカーされています(キリッ)とも言えたりしそうな気もするのが、このタイミングでこういうのが出るとはと中々味わいのあるペーパーですなあと思うのでした。

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