朝のドラめもん

2026/03/22

お題「決定会合レビュー:今回は分かりやすくて「イラン戦争の影響で利上げ路線が頓挫するわけではないよ」がキーメッセージ」

はあそうですか・・・・
https://www.afpbb.com/articles/-/3627611
ネタニヤフ氏、「キリストはチンギスハンに劣る」と発言 力なき正義は悪の前に無力と主張
2026年3月21日 8:36 発信地:エルサレム/中東・アフリカ [ 中東・北アフリカ ]


〇いつもだと週末初日の朝にツッコミのですがショパンの事情で決定会合レビューが連休最終日の昼前時間で勘弁つかあさい

という訳で声明文比較をしますね。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260319a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2601a.pdf(1月展望レポート基本的見解)

・現状認識:関税の影響云々の表現を若干緩和、住宅投資を若干引き上げだがまあ横ばい

声明文項番2の第1パラグラフ、展望基本的見解の本文の最初の部分ですな。

『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(1月展望)

総括判断変わらず。

『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(今回)
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(1月展望)

海外経済の総括判断も同じですが、次の国内企業セクターの話に若干の変更がありまして、

『輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(今回)

『輸出や鉱工業生産は、米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持しており、業況感も良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(1月展望)

企業部門の説明ですが、「米国の関税非上げの影響を受けつつも」という部分が削除されていまして、これは何ですねんという話になりますが、こちらをアタクシなりに解釈ししますとですね・・・

最初の海外経済のところでは「各国の通商政策等の影響を受けて」が残っているのにこっちの輸出や生産の部分では削除(ただし製造業の収益の部分は継続)、ということになっているのは多分芸が細かい話なのですが、もともと昨年のタリフ砲の時に日銀公式が気にしていたのは「タリフの影響で企業業績や先行き見通しが下押しして、その結果マインドが悪化することによって企業の価格設定や賃金設定が消極化するリスク」という奴(それによって賃金と価格の循環が途切れる)でした、ということを思い出すと分かりやすいのですが、輸出や生産の部分でこの「米国の関税引き上げの影響を受けつつも」を削除したのは、製造業の収益問題はあるにしましても、全体として足元の企業の行動が結局問題なかったですね(主に最近の賃金設定と価格設定行動を踏まえて)、と評価しましたよというメッセージが含まれているんじゃないかな、とアタクシは思ったのですがどうでしょうか。

業況感の部分は短観で新しいのが出るとアップデートされるのが基本仕様なので今回は書いていない、ということですな多分。

なので気持ち威勢が良くなっているとは言えないこともないですが、まあ横ばい評価って事になるでしょうね。次は個人部門などですが、

『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(今回)
『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少している。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(1月展望)

住宅投資が減少「傾向」にある、となったので減少言い切り型から比較すると微かな上方修正ですが、まあここも横ばいってことで宜しいかと。

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(1月展望)

ここはいつも通り変わらず。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、2%程度まで低下している。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(今回)

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(1月展望)

ここは現象の説明なので当然こういう説明になるのですけれども、ちゃんと「政策効果で」って書いているのは(書くの当たり前だけど)アクチュアルの物価が下押ししたことに対して特殊要因だよっていうのをちゃんと示している格好ですな。


・先行き見通しでは原油価格上昇の話が当然あるのですが「物価に重点を置いた記述」になっているのが味わいあり

先行き見通し部分になります。

『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられる。ただし、中東情勢の緊迫化を受けて、国際金融資本市場では不安定な動きがみられるほか、原油価格も大幅に上昇しており、今後の動向には注意が必要である。』(今回)

『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられる。』(1月展望)

「ただし、中東情勢の緊迫化を受けて、」以下の部分ですが、また例の「国際金融資本市場では不安定な動き」がでているのが(ノ∀`)アチャー感は漂うのですが、その後に原油価格の話がありまして、この原油価格上昇が与える影響に関する記述に味わいがあるのが今回の特徴です。

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、いったん2%を下回る水準までプラス幅を縮小したあと、足もとの原油価格上昇の影響がプラス幅を拡大する方向に作用すると考えられる。』(今回)

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。』(1月展望)

アクチュアルの物価に関しては従来の見通しに原油価格の影響を上乗せしました。

『この間、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる(注2)。なお、原油価格上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても、留意が必要である。』(今回)

『もっとも、この間も、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続くと見込まれる。その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(1月展望)

基調物価の方、今回ちょっと順序を変えてきていまして、この部分の解釈ですけれども、前回までは「政府の対策によってアクチュアルな物価上昇率は下がるけど基調物価の上昇は続くよ」って表現だったのですが、そのアクチュアルな物価の方が原油のせいで物価上昇率が下押ししている時間が短くなりそうなので順序を変えてきたのかなとは思いました。

でもって原油価格上昇の影響ですけれども、「原油価格上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても、留意が必要である。」とだけ書いていまして、これは説明としては原油価格上昇が経済下押しで基調物価を下げるパスと、インフレ期待を押し上げて基調物価を上げるパスがあって、(声明文だからそこまでクドクド書いていないというのもあるのですが)どっちも記述していないのですな。

でまあ字数の関係で書かなかっただけで他意はないのかもしれませんが、ただここでうっかり両論併記をしてしまうと、どうしても今の流れですと、両論併記すると「経済下押しで基調物価下押し」の方がピックアップされてしまうだろうなあとは思いましたので、今回書かなかったのは「利上げの旗を降ろしたメッセージにとらえられたくない」という意思を示したものだと勝手に解釈しましたけど、まあ単純に字数だけの可能性もありますのでそこは話半分で。

ただまあアレです、アクチュアルの物価に関して原油価格上昇が上振れ(それは当たり前だが)というのを書いているだけに、基調物価の方でどっちも書かないプレイをすると、アクチュアルの方の上振れ要因だけが読後の印象に残りやすいので、全体で見た場合にタカっぽく見えるかなと思いました。


・リスク要因はこれまた中東情勢を乗っけただけ

声明文のリスク要因の記述は書きっぷりが前回比較しにくいのですが、展望会合じゃなくて政策変更が無かったのが9月会合まで遡るのであんまり比較にならんですが9月の表現と比較しますが、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250919a.pdf(昨年9月会合声明文)

『リスク要因としては、今後の中東情勢の展開や原油価格の動向、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(今回)

『リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(昨年9月の声明文)

今回は中東情勢を乗っけただけですね。


・今回項番3の政策ガイダンスがあるのが異例です

今回はこの次に項番3ってのがありまして、

『3.金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、「展望レポート」で示している経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回)

この表現自体は、

『金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(1月展望)

というのと同じなのですが、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k251219a.pdf(12月会合声明文)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250919a.pdf(9月会合声明文)

過去の声明文の体裁をみれば分かりますように、展望会合じゃない時で政策変更が伴わない場合は政策ガイダンスに関する文言は掲載しないのが仕様だったのですが、今回は政策変更なしの展望会合じゃないので、政策ガイダンス文言をわざわざ掲載しているのはちょっと異例だったりします。

でまあこの部分はどこからどうみても「今後も徐々に利上げをしていきますよ、の姿勢は不変です」っていうのをわざわざメッセージとして示しました、ということになりますので、これまた「利上げ路線の頓挫はありません」という事を示しています。


・・・・・てな訳で声明文は明らかにメッセージとしては「利上げの旗は降ろしていませんというのを強調」となっています。

でもって会見は月曜に会見録出るので火曜日にネタにしようかとおもいますが、会見の方でも「利上げの旗は降ろしてませんよ」メッセージが確りしていましたので、まあ今回の会合はそういう事やぞ、という結論だったかと思います。

ということで急いでないけど取り急ぎこんなもんで勘弁。




トップページに戻る