朝のドラめもん

2018/12/11

お題「ウィリアムス副議長のインフレ目標に関する枠組み見直しに関して(主に水準目標的な話)」

産業革新投資機構ネタはマクラにするつもりでしたが余計なものを入れて長くなってしまいましたので小見出し入りにしましたがただの雑談です。

〇産業革新投資機構ェ・・・・・・・・・・・

実に強烈ですな。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181210-00010003-wordleaf-pol&p=1
革新機構・田中社長が辞任会見(全文1)この水準の報酬が欲しいとは一度も言ってない
12/10(月) 17:17配信

4ページ目が実に厳しい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181210-00010003-wordleaf-pol&p=4
革新機構・田中社長が辞任会見(全文1)この水準の報酬が欲しいとは一度も言ってない
12/10(月) 17:17配信

『経産省と私ども9名の取締役間で、信頼関係が毀損されている状況であることは明白です。しかしながら、その原因行為を単に私と嶋田次官との会談に求めるのは適切ではありません。日本国政府の高官が、書面にて約束してた契約を後日、一方的に破棄し、さらには取締役会の議決を恣意的に無視するという行為は、日本が法治国家でないということを示しております。』(上記URL先より(直上の方です))

まあ書面は締結していないですけれども国会で「日銀が全責任を持って2年で達成する」と仰せになって「達成できない場合の最高の責任のとり方は辞任」と大口を叩いて日銀副総裁に就任(しかも就任会見では「2 年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、「自分達のせいではない。 他の要因によるものだ」と、あまり言い訳をしないということです。」とまで大口をたたいた人がその後2年どころか5年かけても目標達成できなかったのになんだかんだと言い訳をしてのうのうと副総裁に居座ることを許容している時点でまあこういう事案が起こるのもむべなるかなという所でして、他にもいろいろと案件はございましたけれども、あの置物がのうのうと任期を全うして恥知らずにも程がある書籍を出版(しかも何とか大学の先生とかで好意的な書評が出てくるという辺りに日本の経済学というののゴミクズダメっぷりがよくわかるのですが)してる訳ですからそらもう国としてのタガは外れていますがな皆さんもっと前に怒らないと。

なお毎度の鑑賞用資料ですが、これ置物師匠の答弁見ているといい感じで血圧上がりますぜ。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/183/0020/18303050020012a.html
第183回国会 議院運営委員会 第12号
平成二十五年三月五日(火曜日)
午前十時三十分開議


〇マクロ加算比率減額とな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel181210b.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2018 年 12 月〜2019 年 2 月積み期間:31.5%(注)

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して 5 兆円程度となる見込みです。』


ここで3カ月前のリリースを確認しましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180910a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2018 年 9 月〜11 月積み期間:34.0%(注)

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して 5 兆円程度となる見込みです。』

ということでご案内の通りでマクロ加算比率下がっても政策金利残高が減らないというのはどういうことかと言えばそれはどう見ても前四半期に対して次の四半期は日銀当座預金残高が平均して減るという話になる訳ですがな(マクロ加算残高の基準平均残高は何年たっても改定されないから)というお話になりますが、えーっとすいませんオーバーシュートコミットメントはなどという野暮なツッコミはしない方が良いですかそうですか。

まあ何ですな、どうせ「平均して増加していればよい」「資金需給の季節的な要因」で押していくことになるんでしょうなとは思うのですが、中々感慨深いものを感じつつ、実際には政策金利残高がマクロ的に5兆でも10兆でも限界的に裁定に回らない部分があって、結局のところ短期市場の価格形成にあまり影響が無いという感じですので、現実の短期の所の価格形成に大きな影響があるのかというと無さそうな感じではあるのですが。

それからたぶん誰もネタにしないと思うのですが、本来的に言えば「貯蓄から投資」っていう政策やっているんだったら、貯蓄から投資のゲートウェイになるMRFに関してはマクロ加算の適用って基準年度平残から徐々に増やしていく方向にする方が政策的に意味がありませんかとか思うのですけどねえ(そもそも当初MRF特則無かったくらいですから日銀がそういうの理解しているとは思えませんので期待できませんが)。



〇色々と発言が飛び出すFRBですな(ということでちと出遅れだけどウィリアムスネタです)

セントルイス連銀のお役立ちページ
https://www.stlouisfed.org/fomcspeak
FOMC Speak: Remarks by Federal Open Market Committee Participants

これ見ながら(それだけだと時々抜けがあるので)各地区連銀のサイトをチェックしている訳ですが、そこで出遅れネタが出てくるアタクシ。

11月30日なのでだいぶ証文の出し遅れ感が高いですが。
https://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2018/wil181130
Monetary Policy Strategies for a Low-Neutral-Interest-Rate World
November 30, 2018
John C. Williams, President and Chief Executive Officer
Remarks at the 80th Plenary Meeting of the Group of Thirty, Federal Reserve Bank of New York, New York City

来年見直されるということになっている金融政策フレームワークに関するお話なんですが、ウィリアムスさんは「インフレーションターゲット」の枠組み自体というよりは「どのインフレをターゲットにする」みたいな感じで話をしています。まあ出てくるネタとしてはふーんという感じではありますが。

・つーことで政策枠組みの見直しに関して

最初のマクラの所(小見出し無いのでどこからどこまでというのは無いけど)の途中から参ります。

『In my remarks, I will focus on the following question: What long-run monetary policy strategy is best suited to anchor inflation expectations, foster price stability, and promote maximum employment?』

ロングランの政策ストラテジーをどないしましょうかという話です。

『I emphasize the phrase “long-run” because I will focus on the features of a systematic policy framework, rather than tactical policy decisions. This topic is not only of academic interest: As was recently announced, the Federal Reserve is embarking on a review of its long-run monetary policy framework.1 』

でもって今回の政策フレームワークの話はロングランのシステマティックな政策判断に関する話として、個別の総合判断の話ではない、と先に断っていまして、たぶん現在パウエル辺りが考えていそうなのって中立金利のレンジ内に入った後に総合判断でどのように見せていくのかという話なので、そっちとはぶつかりそうでぶつからない話をしてくる辺りが中々忖度成分が入っていて味わいがあります。

『I will argue that the global decline in the neutral rate of interest over the past quarter century poses significant challenges to maintaining well-anchored inflation expectations in a standard inflation-targeting regime. I will then lay out some alternative policy strategies that have the potential of providing a solid anchor for inflation expectations-even with a very low neutral interest rate-while preserving broad continuity with current inflation-targeting practice. Now that I am already way out on a limb, I should emphasize that my remarks reflect my own views and not necessarily those of the Federal Open Market Committee or anyone else in the Federal Reserve System.』

ということで始まり始まりなのですが、


・自然利子率が低下しているし当面続くでしょうと

『As a starting point, it’s useful to travel back in time to the 1980s and 1990s, when inflation targeting was introduced.』

つーことで序論が入るのですが、インフレーションターゲット政策がぶっこまれるようになった時には、問題は高インフレあんどやたらぶれるインフレであり、インフレ期待が一定になっていないという状況で、それが経済成長に阻害要因になっていたので、それをどないかせないかんということでぶっこんだら、顕著な成果が出ましたぜグヘヘヘヘという話なのでその辺は割愛。

『Today, we face an altogether different set of problems stemming from a very low neutral interest rateーthat is, the short-term real interest rate consistent with an economy operating at its potential alongside low and stable inflation. Ironically, the problem we need to solve these days is the risk of inflation that is persistently too low, rather than too high.』

でもって最近の問題は自然利子率の低下、インフレが低い状態で継続すること、という問題に変わりましたと。

『Today’s low neutral interest rates reflect the culmination of trends extending back 25 years. A quarter century ago, a typical estimate of the neutral rate in the United States was 2 or 2-1/2 percent-consistent with historical averages over the preceding half century. Since then, however, there has been a clear downward trend in neutral interest rates in the United States and other advanced economies, with current estimates ranging from 0 to 1-1/2 percent.2』

ここは世界的に自然利子率が下がったという話で、25年前のトレンドであれば2-2.5%だったのが最近は0-1.5%になっていると推計されると。

『Three main global trends appear to account for the bulk of the decline in the neutral rate over the past quarter century.3 One is demographics: populations are aging as people live longer and birth rates have fallen. The second is productivity growth, which has slowed around the world. The third is the heightened demand for safe and liquid assets, which has led to a wider wedge between yields on safe government securities or central bank reserves and yields on riskier assets such as corporate bonds.』

でもってこの自然利子率の低下要因は主に3つあって、一つが人口動態の変化、一つが生産性の世界的な低下、一つが安全資産への需要拡大による国債への需要拡大、というのを挙げていまして、まあこの辺はECBでも同じ話をしますけれども、FRBはほぼ皆さん揃ってこの話をしているので皆さん既におなじみのネタでありまする。

『Importantly, the onset of these trends preceded the global financial crisis and they have continued even as countries have recovered. Although there is a great deal of uncertainty about the neutral rate, and conditions may change, a reasonable assumption is that it will remain low-not far from current levels-for the foreseeable future.4

その動きに金融危機も後押ししていますので、かなりの長い期間において今後も自然利子率は低いじゃろ、という前提で金融政策どうしますかという話になる訳ですな。

『What does a low neutral rate mean for monetary policy and the anchoring of inflation expectations? When a recession hits, central banks may not be able to reduce interest rates well below their neutral level to stimulate the economy as warranted because of the effective lower bound on nominal interest rates. This shortfall of monetary accommodation would result in less desirable economic outcomes during the recession and recovery. In particular, inflation would typically undershoot its desired target during these episodes. The persistence of below-target inflation rates in many advanced economies over the past decade is a testament to this dynamic.』

自然利子率が低下する中でインフレ期待をアンカーさせるためにはどうしましょうという話で、自然利子率が低い中で金融政策の発動余地が下がっているから、低インフレ状態が長く続くという試練を世界的に中銀が受けています、とかそんな話をしていまして、

『As a result of the inherent asymmetry introduced by the lower bound on interest rates, an inflation-targeting central bank could experience inflation that is below target, once we consider the average inflation rate over periods when policy is constrained and those when it is not. With inflation on average below the target level, inflation expectations will likely slip below the target rate as well.5 』

そのため平均してみるとインフレ目標未達の期間が長くて平均インフレ率でみると低かったりするので、期待インフレが下がってねえかという話は思いっきりあるということで、以下対策になるのですが・・・・・・・


・インフレ期待コントロールの為の新しいストラテジーだが実用性にはだいぶ唸ると思うんだが

『A simple example helps illustrate this problem. Say that 80 percent of the time, the lower bound on interest rates does not constrain policy and the central bank aims for a 2 percent target inflation rate. During these “good” times, an inflation-targeting central bank aims to keep inflation near 2 percent. But, 20 percent of the time, the economy falls into a recession that’s severe enough that the lower bound constrains policy. Assume that during these periods, inflation averages only 1 percent. So, 80 percent of the time inflation averages 2 percent and 20 percent of the time inflation averages 1 percent. The resulting average rate of inflation is about 1.8 percent. As a consequence, inflation expectations are likely to become anchored at the long-run average of 1.8 percent, below the desired 2 percent target.』

まあこの前提がホンマカイナという感じはするのですが、8割の期間はインフレ2%、2割の期間は1%だとすると、平均すると1.8%なのでインフレ期待も1.8%でアンカーされてしまうでしょう、というこの前提がかなり胡散臭いんですが、まあそういう前提で話が始まる。


『But, that’s not the end of the story.』

しかもなお前提の話が続く。

『This downward shift in inflation expectations has a second-round effect on real interest rates, the economy, and inflation. When policy is constrained by the effective lower bound, the downward shift in inflation expectations raises the real interest rate, further diminishing the degree of monetary stimulus, making the downturn worse and reducing inflation even more. Even in times when policy is not constrained, the expectation of below-target inflation in the future affects current decisions, putting additional downward pressure on inflation.』

『In other words, monetary policy is always swimming upstream, fighting a current of too-low inflation expectations that interferes with achieving the target inflation rate. 』

インフレ期待が下がると二次的効果で実質金利の低下につながって緩和政策の有効性が落ちるので問題、という話をしていて、お前だったらインフレが上がった時どうするんだよとツッコミを入れたくなるのですが、インフレがアガランチ会長であるという認識はこのおじさん強いんでしょうな(なのでたぶん本質的にはハトなんだが、しばらくタカっぽいのは一つは忖度でしょうけれども、しばらく物価が威勢よく2%に向かっていたのも大きいと思います、エバンスもそうですが、物価重視の人って足元の物価動向に結構振らされます)と思われます。

ということで、

『A number of alternative monetary policy frameworks have been proposed that aim to tackle the problems associated with the lower bound on interest rates. Although they differ in many ways, it is useful to divide these proposals into three broad categories.』

はい。

『The first option is to maintain the basic framework of inflation targeting and to rely on a combination of aggressive conventional and unconventional policy actions when facing economic downturns to limit the deleterious effects of the lower bound. This carries with it the risk that inflation expectations become anchored at too low a level.』

経済が下向きになった時には非伝統的政策も含めてアグレッシブな緩和を行い、ゼロ金利制約に引っ掛からないようにする(金利引き下げと非伝統的政策を併用する)という話ですが、そもそも金利をプラスに維持しながら行う資産買入って超過準備を不胎化しないと金利コントロールができないので、せいぜいイールドカーブを潰すか、リスク性資産に特攻するかという話になるんですけどどうなんでしょうかねえという気はする。

『The second option is “average-inflation targeting,” whereby the central bank purposefully aims to achieve an above-target inflation rate in “good” times when the lower bound is not a constraint. Properly designed and implemented, such an overshoot can offset the inflation undershoot during “bad” times so that the longer-run average inflation rate and inflation expectations are in line with the target. 』

二つ目は「アベレージインフレーションターゲット」ということで、インフレ率が高かったり低かったりしながらも2%になるように目標を設定するみたいな話なんだが、それはどう見てもインフレ期待がアンカーを外れると思うんだが学者の考えることはよくわからん。

『The third option is price-level targeting, including its various offshoots, such as nominal GDP targeting and temporary price-level targeting. In such a regime, the central bank commits to keep the price level near a steadily growing target path. Like average-inflation targeting, this strategy promises to overshoot the target inflation rate in “good” times to make up for the inflation undershoot when policy is constrained.』

プライスレベルターゲットまたは名目GDPみたいなののターゲット、ということで、こちらにありますようにさっきと同じような話ではあるのですが、プライスレベルターゲットって昔(ブランシャール辺りが言い出して一時思いっきり話題になった時なんですが)FRBのコーン副議長が講演で「実務的に無理があるしインフレ期待が動き出す」みたいな感じで思いっきりダメ出ししていたんですよね。さて実務派の方はどういう反応するかという所です。

『In theory, both average-inflation and price-level targeting can solve the problem of anchoring inflation expectations at the target rate while maintaining a low inflation target rate amid low neutral rates.』

よってここが胡散臭い。

『Although price-level targeting is a bigger leap from inflation targeting than average-inflation targeting, each can be implemented in ways that are very similar to standard inflation targeting, either in terms of forecast-targeting or a policy rule.6 Importantly, neither will likely be effective in practice unless communicated clearly and carried out consistently over time. More broadly, all of these proposed strategies face potential costs and benefits-in terms of macroeconomic performance, communication, and robustness to uncertainty-which require careful study.』

まあさすがに最後の所でコミュニケーションとかロバストネスについて言及しているのでこの線で特攻するという事はなさそうな感じですけど、まあ学者的にはこう考えるだろうなあというのが出ていました。あと最後になるので一応引用しておきます。

『In considering alternative monetary policy strategies, academic experts, policymakers, and others from around the world have an important part to play, sharing and discussing ideas and comparing experiences to help all of us to think through these issues. This process of careful study and discussion proved highly valuable during the development and implementation of inflation targeting in decades past, and will be equally valuable in the present debates.』

ただのご挨拶ですが引用しておきました、ということで相場ワケワカラン時はFRB講演に行くアタクシでした(大汗)。




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